○佐藤道夫君 私は銀行業界から自民党に対する政治献金の問題を取り上げたいと思います。
実はこの問題は何回も何回も国会で取り上げられているわけでありまして、私も
予算委員会で一度
質問した記憶がございます。しかし、こういう情勢下において改めて取り上げる価値がある、こう考えて取り上げさせていただきたいと思っておるわけであります。
銀行につきましては、住専問題があって、ただいまも
お話に出ておりましたけれども、六千八百億という公的資金が投入された。それから、金融システムの安定化、預金者の保護あるいは銀行の破綻防止ということで膨大な公的資金が投入され、あるいはされようとしている、こういう
状況下にございます。
最初に結論を申し上げれば、こういう
状況下において、もはや銀行からの公的資金は与党である自民党さんはお断りになるべきではないのかと、これがまず結論であります。
今度は不良債権の問題処理が浮上してきたわけでありまして、これは今銀行にとりまして大変な負担になっておる。サミットでも指摘を受けまして、
政府、与党が一体となってこの問題の解決に当たる、新しい
法案をつくって銀行の不良債権の回収に
全力を挙げていこうと、こういう時世になりましたらば、そもそも銀行サイドが、もうそこまで
国民に面倒をかけておる、
政府に面倒をかけておると、もうありとあらゆるリストラをしよう、むだな金と言っては恐縮ですけれども、今は政治献金などをしている余裕はない、これはもう打ちどめにして、それは預金者の保護とかシステムの安定化に回そう、よってもって辞退させてほしい、打ち切りにしてほしいと銀行業界が申し出るかと思ったら、全然そういうことがない。ちょっとあの連中はどうかしているのかなという気もするわけであります。
一方、自民党の方も自民党でありまして、これだけ
政府、与党一体となって銀行の面倒を見ていくと、しかしこれは痛くもない腹を探られるのもどうだろうかと。政治献金をもらっているからあんなに銀行問題の処理について熱心なのかな、そういう痛くもない腹を探られる、これは思い切ってやめようというぐらいの御決断をしていただければと、こう思うわけであります。
現にきのうもおとといも申し上げましたけれども、山崎政調会長などは公的資金を使って不良債権を買い上げよう、こういう提案すらなされておるわけですから、
国民サイドから見ましても、政治献金があるからその見返りとしてこういうことをやっているのかなと言う人がいたっておかしくないわけであります。
そこで、この問題が取り上げられるたびに
総理の
答弁は大体一貫しておる、見事なくらい一貫しておるわけであります。正当な政治活動資金としての受領はしないことにした、それは自粛したと。しかし、借入金の返済とこれは別でありますから、経理を別にして受け取っておりますと、こういうことであります。
これは筋道が通ったとみずからお考えなんでしょうか。明敏な
総理のことでございますから、ちょっと無理だな、しかし一応言ってみるかというようなことではないかと、私はそれ以外に思い当たるところがないのであります。金に色はついておりませんから、例えば借入金の返済にその金を使えば、浮いた金はどうするか。それが政治活動資金に使われるわけでありますから、結局その分自民党の金が浮いたんだろうと。簡単な問題であります。
さらにわかりやすい例を挙げたいと思いますけれども、暴力団、
山口組が適当かどうか知りませんけれども、
山口組が我々も
日本人だ、政治をよくしてもらうために自民党に献金しようと、こういうことを申し出てくれば、さすがに受け入れることはないんだろうと思います。これは
国民感情に反する、政治的、道義的に考えても受け入れるべきではないということでお断りになるんだろうと思います。うちの
総裁は借金の返済のためならいいと、こう言っているから、そういう名目で受け入れようかと考える事務職員もいないと思います。受け入れるべきでないものはどこまで行っても受け入れるべきでないわけでありますからお断りする、それだけのことだろうと思います。
それから、わいろの例を引き合いに出したいと思いますけれども、わいろの授受は
法律で禁止されております。お金をもらって飲み食いに当たればこれはわいろと。しかし、自分は銀行から金を借りてローンを組んでおると。その銀行から、お役人さんいつもお世話さまでございますと言ってお金を持ってくる、ローンの返済に充てる、これならいいだろうと。自民党の
総裁にして一国の
総理大臣がそういうことを言っているから、自分も自民党も同じことであろうと言ってそれを受け取れば、それは無罪になるかといえば、そんなことはないわけでありまして、もちろん立派なわいろであります。
わいろと自民党の政治献金の受領、これがどう違うのかということになりますけれども、全然違いはしない。わいろは
法律で禁止している。自民党の場合には、政治的、道義的に考えて銀行の政治献金は受け取るべきではない、こう考えられた。
法律と道義というのは同じレベル、むしろ道義の方が上だと言ってもいいわけでありまして、道義上許されないことの中の本当に必要な幾つかのことだけを
法律が取り上げて禁止している。道義的に許されないことはもう
法律以上だと、こう考えてもいいわけであります。
いろいろな考えがあって受け入れるべきではないと言ったものを、借金返済、借入金返済のために受け入れるというこの発想が私は全然理解できないのでありまして、どうかひとつわかりやすく、これは
国民の多くの人たちも全然わかっていないと思いますから、説明していただければと思います。