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立木洋君 この地方自治の本旨の問題については自治省の方で明確にしておりますけれ
ども、団体自治と申すのは、国から独立した法人格を持った
地方公共団体ができるだけ国の干渉を受けないで独立的に地方の行政を行うということ、こういう
方法でございますと。そして、砕いて申しますならば、民意によって行政を行っていくということが本来の義務であると、このように
考えておりますと述べております。
今、
高野さんが言われた
内容では、この安保
条約の問題について私
たちは知らないわけではもちろんありません。地位
協定の第五条において、この問題については
日本の港などに移動することができるというふうなことが述べられております。ただし、同じ
協定の第十六条では、
米軍の
日本での行動に当たっては
日本の法令を尊重し遵守しなければならないということも定められているわけです。だから、
日本の法令を無視して、
日米安保
条約があるんだから何をやっても結構ですというふうになっているわけではございません。
今の地方自治の本旨に基づくならば、御承知のように、港湾法に基づいて地方
自治体いわゆる港湾管理者が危険なものについての入港を拒否する条例をつくっております、各地でいろいろな。核を積載している艦船は危険であるから入港を認めないということを決めたのが、神戸市で行われた市
議会で一致した決議に基づく条例でした。そういうものと同じものを今度は高知県が行いたいという主張をしているわけです。
これは
高野さん御存じかどうかわかりませんが、昭和五十九年三月十七日、私は参議院の予算
委員会で当時の中曽根
首相にこの問題についてお尋ねしたんです。
この非核神戸方式についてあなたはどのようにお
考えかと。これについて中曽根さんは、「それは地方自治の本旨に基づいて神戸の市長及び市
議会がとっておる
一つのやり方でありまして、それはそれとして我々はよく理解できるところであります。」、よく理解できるところでございますと明確に述べております。
その後に、「国は国、地方
自治体は固有の自治権に基づいて地方
自治体の
行為を行う、そういう次元が違うものであるというふうに御理解願いたいと思います。」。そして、国の問題とその地方
自治体の本旨に基づく
行為の問題については、「それはやっぱりはっきり分けられて
考えるべきで、それを混交すると地方自治が侵害されることも起きかねまじきことになります。」、こういうふうに述べて、
法律に従って行われている点については国も
協力すべきだということさえ中曽根さんが述べておられるわけです。
こういうことを、今の時点になって、高知県知事が県
議会の一致した決議に基づいて、核積載艦船の入港は危険だから我々としては認められないというような方向を出したことに対し、それと全く違う態度をとって条例化は困難だと言って圧力をかけて、それができなくなる、三月の
議会では。
橋本知事は、これは次の
議会においては何とかしてやりたいというふうに述べておりますけれ
ども、そういうふうな態度をとるということは、かつて中曽根総理が明確に述べられた地方自治の本旨を尊重すべきであるという態度、これを否定するという結果になるんではないかと思いますが、大臣、その点についてはやっぱり
政治的な判断ですから、御見解をぜひお伺いいたしたいと思います。