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1998-03-20 第142回国会 衆議院 予算委員会第六分科会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十年三月二十日(金曜日)     午前九時開議  出席分科員    主査 中川 昭一君       安倍 晋三君    阪上 善秀君       綿貫 民輔君    上田 清司君       高木 義明君    辻  一彦君       鈴木 淑夫君    春名 直章君    兼務 城島 正光君 兼務 木島日出夫君  出席国務大臣         通商産業大臣  堀内 光雄君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      尾身 幸次君  出席政府委員         経済企画庁長官         官房長     林  正和君         経済企画庁調整         局審議官    小林 勇造君         経済企画庁総合         計画局長    中名生 隆君         経済企画庁調査         局長      新保 生二君         通商産業大臣官         房商務流通審議         官       岩田 満泰君         通商産業省生活         産業局長    水谷 四郎君         資源エネルギー         庁公益事業部長 奥村 裕一君         中小企業庁長官 林  康夫君  分科員外出席者         経済企画庁長官         官房会計課長  薦田 隆成君         大蔵省主計局主         計官      樋口俊一郎君         大蔵省主計局主         計官      中江 公人君         運輸省鉄道局幹         線鉄道課長   三ツ矢憲生君         建設省都市局都         市計画課長   中島 正弘君         参  考  人         (海外経済協力         基金総裁)   西垣  昭君         参  考  人         (海外経済協力         基金理事)   清川 佑二君         商工委員会専門         員       野田浩一郎君         予算委員会専門         員       大西  勉君     ————————————— 分科員の異動 三月二十日  辞任         補欠選任   栗原 博久君     安倍 晋三君   綿貫 民輔君     阪上 善秀君   高木 義明君     上田 清司君   鈴木 淑夫君     達増 拓也君   春名 直章君     吉井 英勝君 同日  辞任         補欠選任   阪上 善秀君     綿貫 民輔君   上田 清司君     辻  一彦君   達増 拓也君     鈴木 淑夫君   吉井 英勝君     藤木 洋子君 同日  辞任         補欠選任   辻  一彦君     高木 義明君   藤木 洋子君     春名 直章君 同日  第一分科員木島日出夫君及び第二分科員城島正  光君が本分科兼務となった。     ————————————— 本日の会議に付した案件  平成年度一般会計予算  平成年度特別会計予算  平成年度政府関係機関予算  〔総理府経済企画庁)及び通商産業省所管〕      ————◇—————
  2. 中川昭一

    中川主査 これより予算委員会第六分科会を開会いたします。  平成年度一般会計予算平成年度特別会計予算及び平成年度政府関係機関予算総理府所管経済企画庁について審査を進めます。  政府から説明を聴取いたします。尾身経済企画庁長官
  3. 尾身幸次

    尾身国務大臣 平成年度経済企画庁関係予算及び財政投融資計画につきまして、その概要を御説明申し上げます。  総理府所管一般会計歳出予算のうち経済企画庁予算額は、百四十九億一千九百万円余であります。  以下、重点事項につきまして、御説明申し上げます。  第一に、経済構造改革と二十一世紀経済社会の姿の展望に必要な経費として、一億九千六百万円余を計上しております。  この内訳の主なものは、真に国際競争力のある経済社会システムの構築のための調査に必要な経費欧州通貨統合世界経済に与える影響に関する調査など二十一世紀経済社会の姿をできる限り具体的に展望するに必要な経費であります。  第二に、適切かつ機動的な経済運営経済構造変化に対応した調査研究機能強化に必要な経費として、三億六千四百万円余を計上しております。  この内訳の主なものは、統計環境整備など、構造改革について適切な処方せんを描くための調査研究機能強化等を図るに必要な経費であります。  第三に、消費者の視点に立った市場のルールづくりなどを通じた豊かで安心できる暮らしの実現に必要な経費として、五億七千百万円余を計上しております。  この内訳の主なものは、消費者政策充実強化に必要な経費ボランティア活動促進環境整備に必要な経費公共料金に係る情報公開に関する調査など物価行政に必要な経費であります。  また、これらの経費のほか、海外経済協力基金に対する交付金八億三千六百万円余を計上しております。  本基金平成年度事業規模は八千百億円を予定しており、このための資金として、一般会計において、前述の交付金のほか出資金三千二百三十一億円が大蔵省に計上されるとともに、財政投融資計画においても、資金運用部資金等からの借入金四千三百九十億円が予定されております。  以上、平成年度における経済企画庁関係予算及び財政投融資計画について、その概要を御説明申し上げました。
  4. 中川昭一

    中川主査 以上をもちまして経済企画庁についての説明は終わりました。
  5. 中川昭一

    中川主査 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。鈴木淑夫君。
  6. 鈴木淑夫

    鈴木(淑)分科員 自由党の鈴木でございます。おはようございます。  三十分ほど時間をちょうだいしておりますので、尾身長官質疑を行いたいと思います。  今、いろいろ予算の御説明がございましたが、やはり経済企画庁中心的な仕事というのは、統計作成情報収集調査分析機能強化、それによって政府全体の経済政策にそごを来さないようにする、経済政策の基盤となるべき情勢判断をしていくということであろうと思いますので、きょうは、尾身長官経済情勢判断についてお伺いしたいと思います。特に、予算委員会の席上ですと、余りゆっくり議論できません。第一委員室でテレビが入ったりしていますと、なかなかゆっくり議論もできませんので、きょうは長官とゆっくり、率直にお話をしたいというふうに思います。  これは、たまたまうちの国対が用意してくれたのですが、尾身長官の一昨年の総選挙のときの選挙公報がございます。二番目のところで、尾身長官、「日本経済景気回復を」、「強力な景気対策を進めます」ということで、選挙公約としても、日本景気回復を着実なものとするために強力な景気対策をやるんだ、こういうお約束で当選してこられたのですね。  その直後の一昨年の臨時国会で、私ども新進党は、消費税率据え置き法案を出しました。五兆円の増税なんてこの段階でやったら、せっかく回復しかかった景気がまたおかしくなるに違いないので、これはちょっと早過ぎる、五兆円増税は早過ぎるということで出したのですが、そのときに尾身長官は、自民党を代表して質問に立たれまして、答弁席に座っている私ほか新進党の者に対して、五兆円増税をしたって、つまり消費税率を二%ポイント引き上げたって景気は大丈夫だ、こういうおっしゃり方であった。  それから年を越して、昨年の通常国会になると、これは尾身長官というより政府自民党でございますが、四月以降、買い過ぎの反動でちょっと景気停滞することはあっても夏には回復してくる、こうおつしゃった。ところが、夏になってもますます過剰在庫は積み上がるし、本格的な生産調整が始まった。  九月に、長官大臣になられました。臨時国会が再び開かれた。そうしましたら、長官、何とおっしゃったか。覚えていらっしゃると思うのですが、足元はちょっと弱いが、年度下期には回復してくるとおっしゃった。年度下期に回復するどころか、十−十二月期は、先般、長官自身の、企画庁の御発表にあるとおり、マイナス成長になってしまった。もう年度下期回復どころの話ではありません。本年度は、これは〇・一%という改定見通しさえ怪しい。恐らくマイナス成長でしょう。こういうふうに次から次へと尾身長官自身景気見通しというのは外れっ放しであります。しかし、選挙公約では、力強い景気対策をやるのだ、こう言って当選してこられた長官でございますから、なぜこんなに次々と外れるのかということについてどういうふうにお考えなのか、まずお伺いしたいと思います。
  7. 尾身幸次

    尾身国務大臣 鈴木委員お話を伺っておりまして、大分昔のことも思い出させていただきました。  たしか、鈴木委員はあのときはまだ国会におられなかったと思うのでありますが、新生党や八党派を中心とする細川内閣がありました。そのときに、細川総理、当時、小沢先生幹事長であったと思いますが、ある日突然、三%の消費税を七%に上げるという提案をされたのを鮮明に覚えているわけでございます。そのときには、当時の社会党、さきがけあるいは公明党もたしかそうだったと思いますが、反対をいたしまして、二日で撤回をいたしました。しかしながら、あの当時の政権の基本的な考え方は、消費税三%を、五%ではなしにさらに大幅に上げるというのが基本的考え方であったように私自身理解をしております。  その後、村山内閣にかわりましてから、どうするかという議論をしたのでありますけれども、そのときに、七%はやはり高過ぎる、少子高齢化社会に向かって、日本財政考えた場合に、しかし六%くらいは必要ではないかという議論もありましたが、私ども、党内でのぎりぎりミニマムのものとして五%に引き上げ、しかも所得税等減税先行をいたしまして、減税増税消費税引き上げ同時セットでいたしました。そして、その中の相当部分をいわゆる福祉に使うという考え方のもとに実現をしたわけでございます。  この消費税引き上げは、私の記憶によりますと、昨年決めたわけではありませんで、減税先行で三年ほど前に決定をし、その減税先行の中から景気回復させて、そしてその三年後に消費税引き上げをやるというふうに決定をしたというふうに考えている次第でございまして、二十一世紀に向かっての財政状況等を見れば、少なくとも五%程度への引き上げは妥当なものであったというふうに考えております。  私ども、九年度予算編成の際の経済見通しにおきましては一・九%という数字見通したわけでございますが、消費税引き上げあるいは所得税特別減税取りやめ等を含めました一連の政策は既に経済見通しの中に織り込んでおりまして、年度当初の四月−六月ごろはその影響があるけれども景気は徐々に回復過程に向かうであろう、そういう想定のもとに一・九%という数字を出したところでございます。  しかしながら、私が就任をいたしましたのは昨年の九月十一日でございますが、それ以後、アジア経済の動向あるいは相次ぐ金融機関破綻等によりまして、景気の将来に対するコンフィデンスが非常に低くなりました。  特に、十一月前後から急速にそういう傾向が見られまして、それが昨年の最後の四半期、十月−十二月の実体経済にあらわれてきているというふうに考えている次第でございます。金融システム安定化法案施行等によりまして、コンフィデンス、いわゆるシステムに対する不安感という意味での問題はほとんど解消したというふうに考えておりますが、なお実体経済への影響は続いている、そういう意味で、経済停滞しており、極めて厳しい状態であるというふうに認識をしているわけでございます。  十年度見通しをつくる際の九年度実績見通しも一・九%から〇・一%へと修正をしたという状況でございまして、経済生き物でございますから、臨機応変にその時点状況をしっかりと踏まえながら対応するのが私ども経済運営の基本的な立場でございますので、ぜひこの点は御理解をいただきたいと思います。
  8. 鈴木淑夫

    鈴木(淑)分科員 今長官最後におっしゃったことは非常に大事なことだと思うのですね。経済生き物ですから、もう何年か前に増税ということを決めたんだから何が何でもやっちゃうんだなんということではいけない、柔軟にやらなければいけない、これはもうそのとおりですね。  長官細川内閣のときの国民福祉税構想からお話をされましたが、あれはとんでもない間違いだと私も思います。あの当時、私は野村総研理事長で、大反対の論陣を張りました。お調べになったらわかることですね。あんなのはだめだというふうに思います。  ただ、あの時点、九三年ですから、日本経済がこれだけ長い停滞局面に入ってしまうということは、まあ一部の人は予想していたけれども、みんなまだわかっていなかったと思うのですね。しかし、九六年の段階で、五・五兆円前に減税したんだ、その分を取り戻すのは五兆円の消費税アップと二兆円の特別減税廃止だ、こういう計画を一応、財政当局はバランス上考えていた。  それはそれでいいけれども長官最後におっしゃったように、やはり経済政策というのは、そのときそのときの情勢を見て、分析をして、予想していなかった新しい条件が出てきたら柔軟に変えていかなければいけないのですね。何年か前に五・五兆円の減税分は七兆円で取り戻すんだと決めたから何が何でもやるんだというんじゃだめなわけですよ。  株価が非常に敏感にそれを示しておりますが、何が何でも計画どおり増税しちゃうんだといって五兆円の消費税率引き上げを決めたあのときが、株価ピークの二万二千円台なんですね。マーケットは非常に正直に反応いたしました。日本経済はまだ弱い、こんなところで消費税率を二%上げ、五兆円増税をやったら、これは先がまたおかしくなるぞという予測を持ったからマーケットが、あの二万二千円をピークにしてどんどん下がってくる。で、その年の末にあと二兆円の特別減税打ち切りまで決めちゃって、合計七兆円の増税だ、おまけにあと二兆円の健康保険自己負担の増加まである、合計九兆円だ。これがわかった途端に株価は暴落をしていくわけですね。  ああいうときにはそれこそ臨機応変に柔軟に判断をしなければいけないのに、あの九兆円の国民負担増と三兆円の公共投資カット合計十二兆円というデフレ効果を持った超デフレ予算である九七年度を成立させてしまった。それこそが今の大不況マイナス不況原因であるわけです。  人間ですから、経済予測を間違えるのはだれでもあり得ることで、年じゅう正確に予想できる人なんてエコノミストといえどもいない。しかし、私が尊敬するエコノミストの大先輩である金森久雄さんが、あるとき非常に含蓄のあることを言われました。立派なエコノミストというのは年じゅう予測が当たるエコノミストではない、予測が外れたときに理由を明示して速やかに柔軟にその予測を修正し、政策的主張を変えていく人だ、これこそがすぐれたエコノミストだと言ったことがあります。逆に言いまして、予測が外れたにもかかわらず、何だかんだと口実を設けて、頑固にその間違った予測に固執し、間違った政策をとり続けるということこそが政策マンとしてもエコノミストとしても落第だということだと私は思います。  その意味で、昨年の、九七年度の超デフレ予算を強行した以後の政府・与党の態度というのは、私は、金森先輩に言わせればエコノミストとしては落第だし、もちろん政策マンとしてもまずいなというふうに言わざるを得ません。  最初、この落ち込みは駆け込みの反動だから夏には直ると言った。ところが、夏に直らない。そのときに、さあ何でおれは予測が外れたんだろうということをもっと冷静に分析しなければいけない。冷静に分析すれば、九兆円の国民負担増実質可処分所得がふえなくなっちゃっているんだ、これが根本的な原因だぐらいのことは気がっくはずです。そして、それが原因過剰在庫が発生して在庫調整が始まつちゃったということは当然わかるはずですね。それでもなおかつ下期が回復するなんてあり得ないことを言っている。しかし、下期が回復しないということはわかった。わかってきたころがちょうど尾身長官大臣ですね、昨年の秋以降、暮れに向かって。それで今度は何を言い出したか。今度は全然別の口実を持ち出したのですね。  一つはもちろん、買い急ぎ反動予想したより大きかった。二番目にアジア通貨危機という予想しないことが起きた。三番目は、十一月を中心に大型の金融機関の倒産というこれまた予想しないことが起きた。みんな予想しなかったのです。外から外生的に来たショックだ。これで消費性向も下がってしまいまして、今、予想以上に景気後退が深刻でありますという、要するにそういう口実を設けてくる。これはやはり問題があるのですね。もっと冷静に自分が予想を間違えた原因分析しなければいかぬのですよ。  まず最初に、買い急ぎ反動予想外に大きかったと。そんな話じゃないのですよ、あれは。実質可処分所得減少し始めちゃったからですよ。  それから二番目のアジア通貨危機というのは、その大きな背景に日本経済停滞円安というのがあるわけですよ。だから、向こうからこっちへ影響された、それもそうだけれども、こっちが向こう影響していることも同時にあるわけで、そんなのは口実にはなりはせぬ。  ましてや日本の金融不安というのは、この景気後退が引き起こしたものであって、逆の因果関係もあるけれども、一種の悪循環を起こしましたからね、景気悪化と金融不安が。そういう逆の因果関係もあるが、基本的な因果方向というのは、景気後退経済危機が金融不安を起こしている。それなのに、その金融不安を理由にして、いや予想外のことが起きたので景気予測が違っちゃったと。そんなことを言っているから、いつまでたっても正しい政策が出てこないのだと思います。  その上に、今出ている来年度予算案を見てくださいよ。マイナス成長のときにああいう、一般歳出二・二兆円減ですか、補正後に比べたら四%以上の減少でしょう。ましてや公共投資に至っては、補正後に比べたら一四%の減少ですよ。そんなもの、ちょっとやそっと減税したって、それよりはるかに大きな規模歳出削減をしている。ネットアウトしたら、完全にこれはデフレ予算ですよ。マイナス成長してあっぷあっぷしている日本経済デフレ予算の、歳出大幅削減予算案を出してくるというのは、何ですか、これは。  そういうことで、繰り返し繰り返し、予測を間違っては言いわけを言い、間違っては言いわけを言い、そして、財政再建最優先のデフレ政策に固執し続けてきたことが今日の事態を招いているというふうに私は思います。長官、いかがでございますか。     〔主査退席綿貫主査代理着席
  9. 尾身幸次

    尾身国務大臣 鈴木委員お話、私は、終始一貫論旨が通っているという点では高く評価しております。ただ、私の考えとはちょっと違う点も幾らかございまして、私自身は、経済の実情に応じて臨機応変の措置をとるという中に、一体現在日本経済はどういう状況にあるのだろうというふうにいつもいつも考えているわけでございます。  その問題というのは、実はバブルがはじけた以降、数次にわたる財政出動によりまして景気対策をやりましたが、経済が思ったほど、かつての時代であれば、鈴木委員が日銀におられたころの時代であれば、あれだけの経済対策をやれば当然景気は順調に回復して活性化をして、そして、それがまた収入増につながるという、いい循環をしていたと思うのであります。  しかし、今回のバブルの後の景気対策につきましては、従来パターンの景気対策を数年にわたってとりました結果、財政赤字幅は非常に大きくなり、そして赤字残高もふえたにもかかわらず、そして、それは下支えという意味ではそこそこの効果を発揮いたしましたが、経済を順調な発展軌道に乗せるとは言いがたい状態でございました。  そういう状況が一体なぜ起こったかということでありますが、私自身は、やはり日本経済の構造的な要因があって、それがかつての日本経済状況とは違ってきているというふうに考えているわけでございます。  一つには、経済グローバル化に伴いまして、企業が国を選ぶ時代になった。したがいまして、世界経済の展開の中で、ベストミックス事業活動拠点を選ぶ時代になった、そのときに、日本という国が企業にとって本当に生産拠点としてあるいは事業活動拠点として選ばれるような魅力ある国になるかどうかという点が一つ問題である。そういう点で、俗に言う産業空洞化の問題が起こって、そして、景気刺激策ケインズ流乗数効果によって簡単に経済活性化に結びつくという状態でなくなったという点が一つあろうかと思います。  それから、長年続いてきた年功序列とか終身雇用とか横並びとか、そういう経済の体質、体制というものが、制度疲労を起こして、これまたグローバル化流れの中で、少子高齢化流れの中で合わなくなっていた点がある。  それからもう一つは、実はこれも大変大事な点だと思っておりますけれどもバブルの後の不良債権の処理というものが済んでいない。済んでいないために、実はそこが金融システム等の面から経済の順調な発展の足を引っ張っている。  そういう幾つかの点があって、その根本原因を直さない限りにおいては、短期的な経済運営をどうするかということではなしに、その基本的な原因を直して、日本経済民間活力中心体制にして、そして競争を激化させ、民間が主体となって経済を立ち上げていくという体制をつくらない限りにおいては、対症療法的なものでは解決できないと私ども思ったわけであります。  そういうことで、昨年の十一月に緊急経済対策を行いました。これは、緊急経済対策としてありますが、その前に、「二十一世紀を切りひらく」緊急経済対策ということでございまして、例えば、法人課税減税有価証券取引税減税、そういうことによって我が国を、事業環境として企業にとってできるだけ魅力あるものにするというねらいもございました。  それから、いろいろな電気通信やその他の分野の規制緩和を進めまして、企業活動活発化になるように、そして民間活力が十分発揮できるような体制をとるということもしたわけでございます。  それから、土地利用活性化、昨年の二月に土地政策地価抑制から土地有効利用土地流動化活性化という方向転換をいたしました。方向としては転換をいたしましたが、しかし、実際の経済運営は必ずしもそうなっていませんでした。そこで、昨年の十一月には、土地流動性を高める、地価税を凍結をする、それから土地譲渡益課税を重加算の点を全部撤廃をする、そういうようなことを打ち出したわけでございます。  そういう各般の構造的な施策を行って、経済民間活力中心方向活性化に向けていきたいというのが昨年の考え方でございました。しかし、同時に、その間に先ほど申しました金融機関等破綻があって、長い話はいたしませんが、経済がまだ停滞、厳しい状況にあるということになったわけであります。そこで、本来の景気活性化のための私どもの十一月の施策は、その後法案を出しているのが三月でありまして、それの規制緩和等法案が通るのは、私は四月、五月になるというふうに考えているわけでございます。  そういう根本的なところから治療をいたしませんと、この日本経済の現状の基本的な問題の解決にならないという考え方で、私ども即効性についてどうかという議論がいろいろなところで、批判をいただいておりますけれども、しかし同時に、二十一世紀に向かって本当の意味での日本経済の力をつけていくためには、基本的なところから直していかなければならない、そういうふうに考え各般施策を進めているところでございます。  先日の予算委員会でも申し上げましたが……(鈴木(淑)分科員「ちょっと、こっちにも時間を下さいよ」と呼ぶ)いや、私ども考えを率直に言わせていただきますので。そして、ほかのところでも言わせていただきましたが、そういう政策の実際の効果が出てくるのはさらに後でございまして、まだ法律も通っていないわけでございますから、そういう点をしっかりとやりながら体質改善をしていきたい。  もとより、景気経済の現状に応じて適宜適切な対応をやるということについては総理の方針でもございますから、私ども全力でやらせていただきたい、そのように考えている次第でございますが、いずれにしても、長期的な視野をしっかりと見据えた上でやりたいと考えていることでございます。     〔綿貫主査代理退席、主査着席〕
  10. 中川昭一

    中川主査 から一言申し上げます。  昨日、冒頭申し上げましたが、限られた時間でございますので、質問者も答弁者も簡潔にやっていただきたいとお願いいたします。
  11. 鈴木淑夫

    鈴木(淑)分科員 日本経済の現状は、単純な景気循環的な意味景気後退不況とだけとらえるわけにはいかない、もっと構造的な危機であるという点では、私も我が自由党もはっきりとそういう認識をしているわけですね。  それで、どういう構造的危機かといった場合、最大の理由は、不良債権の処理をしないまま引きずっているためにバランスシートが壊れていることによる問題、資産デフレ的な話、これが基本だということも私ども考えております。それに加えて、これだけグローバル化してメガコンペティションの時代に入ったときに、日本の法人税率は高過ぎるとか、あるいは資産取引コストが税制の関係で高過ぎるとか、そういった問題だということも、全く私どもは同じ認識なんですね。  だから、そういう観点からいうと、今るる長官申されましたが、構造対策は全然不十分ですよ。特に不良債権処理対策がなつとらん。なっていないところか、あなた方は順序を間違えている。  アメリカがいい例ですが、まず不良債権早期処理が先に来なければだめなんですよ。それをやった後で早期是正措置とかビッグバン的な自由化が入ってくるわけですよ。それをあなた方が逆にやっているから、大混乱が起きているわけですね。大体、不良債権早期処理というのは自己資本を壊してしまうのですよ。早期是正措置というのは自己資本を上げろというのだから、これは矛盾するに決まっている。順番を考えてやっていかなければいけないに決まっているのに、逆の順番でやっているから、今日本経済は混乱しているわけですね。  それから、産業空洞化の問題だって、法人税率の下げ方が遅過ぎますよ。私どもは一気に実効税率を四〇%に下げろと言っているのだ。のろのろ、四六・三六%に今度下げるといって自慢たらたらに今お話しになっているけれども、そんなのでは空洞化阻止などはできない。  それから、最後にもう一つ申し上げておきますが、そういう構造的な危機であることは確かだが、だからといって、財政政策、フィスカルポリシーがきかなかったというのは全然大うそであります。きき方が落ちた、乗数効果が下がったというのはそのとおりだけれども、きかなかったなんというのは大うそですね。  ここにグラフがあります。さっきちょっと私が日本銀行にいたころとおっしゃったけれども、私は八九年に日本銀行理事をやめておりますから、バブル崩壊から景気後退の過程は野村総研理事長として民間で見ておりましたが、ごらんいただいてわかるように、景気後退に入ったときの民間設備投資の落ちる幅の方が公共投資が増加する幅よりはるかに大きいのですね。この設備投資の急激な落ち込み、九一年から始まって、だんだん加速して九四年まで落ちるわけですが、これが単純な中期循環的な設備投資の落ち込みプラス構造危機、バランスシートリセッションによる厳しい落ち込み、これがあったから、公共投資は相当ふやしたがそれより大きな幅で落ちていた。  したがって、GDPを見ていると一見きかなかったように見えるが、実はあの公共投資中心景気対策を打たなかったら大変なマイナス成長になっていたということですから、その辺のところはひとつ企画庁の事務方も長官の頭にしっかりインプットしておいてください。単純なことですよ。設備投資の落ち幅の方が公共投資の増加幅よりはるかに大きかった。だから、公共投資をやらなかったら大変なマイナス不況になったということですね。その辺の認識をちょっとお改めいただきたいと思います。  もう時間がなくなってしまいましたから、きょうは、予算委員会ではなかなかゆっくりできない景気論争と申しますか、景気認識の相違点と共通点のすり合わせをやらせていただきました。ありがとうございました。
  12. 中川昭一

    中川主査 これにて鈴木淑夫君の質疑は終了いたしました。  次に、上田清司君。
  13. 上田清司

    上田(清)分科員 民友連の上田清司でございます。  早朝から、OECFの総裁、清川理事に参考人として御出席をいただきましてありがとうございます。何度もお呼びして大変恐縮ですが、この間に、若干私も怒りっぽい性格で大きな声を出して、人生の大先輩の皆様方にも大変不愉快な思いをさせたこともあるかもしれないということを反省した上で、おわびを申し上げ、しかし議論議論として厳しく、国民の税金を正しく使う、そういう視点に立って、きつく異議に関しては申し上げていきたいというふうに思います。  長官も、長い期間この問題に私は取り組んでおりまして、なかなか納得のいかない部分が次から次に出てくるという経緯がございますので、ぜひ監督官庁として議論の経緯を聞いていただきたい。また、私自身が作成した資料についても、長官みずからぜひ眺めていただきたい。これは国会の使命を果たすという意味で、私なりに現地調査も含めて丁重な資料をつくった経緯がございますので、ぜひ御理解を賜りたいと思います。  まず早速ですが、今回の中国の合弁事業に対するOECFの融資事業に関して一番問題点は、何といっても貸し付けに関して担保をとるか銀行の保証をとるか、こういうことかというふうに思いますが、保証状をとらずに貸し付けてしまったということで一番の問題が起きているのではなかろうかと思います。  この間に、よく調べてみますと、九四年三月二十九日に貸し付けを決定し、翌二十日にOECFと柏塘公司との貸付契約を結び、翌三月三十一日に入金振り込みをしているという大変スピードのあるサービスをなされておりますが、常識ではちょっと考えがたい。貸付決定をして次の日に契約を結び、次の日に入金をされるという、これは大変異常ですけれども、私も幾つか政府金融機関のことを調べてみまして、大変スピーディーな貸し付けをしておられる、あるいはまた、決定から入金まで三日間で終わっている。これはどういう理由だったのですか、清川理事。
  14. 清川佑二

    ○清川参考人 融資の実行のタイミングにつきまして、契約の翌日に慌ただしく融資を実行した、不自然ではないかという御指摘をいただいたわけでございます。  本件の柏塘養鰻有限公司の貸し付けに関しましては、借入人の親会社の本事業の推進企業でもあります日盛産業、この会社がOECFの、当基金の先行融資事業であります汕頭の養鰻事業あるいはまた東昇の養鰻事業など、順調にしているわけでございます。この日盛産業から近日中に中国銀行から保証状が提出されるという旨の説明を受けて、そのように信じまして融資を実行したという経緯がございます。ただ、その点につきましては、債権保全措置を十分にとっていないという点につきましては、金融機関の原則にももとるものでございますので、まことに遺憾でございます。  それでは、非常に短期日の間に出したということについてどうかということでございますが、経済協力基金の過去十年の海外投融資案件四十三件を調べてみましたわけでございますけれども、貸付契約書が締結されて一週間以内に貸し付け実行された案件が全体の約六割の二十五件、それから貸付契約書締結と同日貸し付け実行されたものが六件、翌日または翌々日に実行されたものが四件というような例がございまして、今までの実例に関して、本件だけが貸付契約の翌日に貸し付け実行を行ったのは特殊なのである、そういうようなものとは私ども考えておりません。
  15. 上田清司

    上田(清)分科員 それでは、その件についてはまた資料をいただきたいと思いますが、しかし、内部的にそういう決裁が本当にできるのかどうかというのは疑念があります。  例えば日本輸出入銀行の融資契約締結から融資実行、つまり振り込むまでの期間が、締結する、それからいろいろな先行要件等、担保とか保証契約などを充足して、貸し出し実行依頼を受領して、貸し出し実行稟議決裁して、営業部から、今度はコンピューター登録も含めてそういう作業があって、融資実行するまでにはどんなに急いでも三日ぐらいかかる、こんなお話もございますし、日本開発銀行も、融資の意思決定してから一週間から十日、国民金融公庫、融資の意思決定してから振り込みまで十日、また北海道東北開発公庫、内部決裁してから担保設定、融資実行まで一週間程度。  即日もあるというようなことですから、どういう案件で即日になったか、改めてそれはまた資料を要求した上で見せていただきますけれども、特にこの案件がおかしな形になっただけに、疑念を持たれてもやむを得ぬというふうに私は考えさせていただきたいと思います。  続きまして、この日盛産業並びに柏塘公司を会計検査院でどういう位置づけをしたかということを詳細に記述してありますので、改めてこの部分について復習の意味で総裁も聞いていただきたいと思います。長官にも聞いてもらいたいと思います。「前記のとおり、本件貸付けはA社自体」、日盛産業のことであります、日盛産業自体に「本邦銀行の支払保証を受けるだけの担保余力がないことから、現地企業に対する」、これが柏塘公司でありますが、「現地企業に対する初めての直接貸付けとしたものであり、さらに、養鰻業者は本件貸付対象事業を行う目的で新たに設立された合弁企業であり、担保とすべき資産もない状況であった。」日盛産業には保証能力がなく、なおかつ合弁企業そのものにも担保とすべき資産もない状況であった。現地にも担保になるような資産もない、また本体の日盛産業にもそういう意味での能力もない、だからこそ銀行の保証なり何らかの形の担保が必要だったということであったわけですが、これがなされていない。  もちろんそのことに関して十分陳謝があり、また内部処分もなされたことは事実でありますが、私が今大変気にしているところは、この間にいろいろな経緯がありながら、昨年六月十日の決算委員会、また六月十七日の決算委員会締めくくり総括の中で、こういう点にほとんど触れないままに答弁をなされていた。とりわけ、現地にお金が届いていないこと、また、途中から、本邦銀行に振り込んだお金を中国銀行広東支店に振り込み直しをしない限り保証にならない、有効条件にならないという現実があったにもかかわらず、それが全然履行されないままに推移していて、なおかつ、既にその年の十一月に日盛産業そのものが破産状況にあったにもかかわらず、いろいろな点で問題点が多いにもかかわらず、答弁の中で、貸し付けのときには状態はよかった、しかし貸し付けの実行段階でミスがあった、しかし事業は九〇%推進しておりました、こういう御答弁をなさっておりますが、先日、新しく現地ミッションのそれぞれの出張報告書を資料として提供いただきました。これも何度かお願いしていてやっと出てきたわけでございますが、これを見ますと、相当内部に関してはわかっていたという状況が見られます。  まず、九五年の十一月に和議申請して、再建の協議をなさっておられたわけでございますが、十一月二十七日から二十九日のミッションでは、シラスウナギの購入の資金がないという報告を受けておられます。もちろん、御承知のとおり、シラスウナギの購入資金はその十億五千万の中に入っていたわけであります。そして、十二月十一日から十四日にかけて、十・五億別途用意することは困難、要するに中国銀行に改めて振り込み直すのは難しいという話を聞いておられる。それから、翌九六年一月二十五日から三十日にかけて運転資金が不足している。運転資金の不足ということはあり得ないわけであります、十億五千万入れているはずですから。それから、九七年一月二十二日から一月二十八日、貸付金が到着せず、建設中の養鰻池は別のものであるという報告を合弁会社の職員から聞いておられる。九七年五月二十九日、合弁企業の責任者である葉総経理より、貸付金が入金していない旨の正式な文書がOECFに出されている、受け取っておられる。それから、九七年の六月三日から六日にかけての調査ミッションにおいて、池が別の事業の資金でつくられていることが判明され、柏塘公司の中に一切資金が入っていないことを確認されておられる。そして、会計資産調査団を派遣してもむだだというような結論をそのときに既に出されている。  これはいずれも九年六月十日の決算委員会以前であり、六月十七日の決算委員会以前であります。また、私どもに提供されました「中国柏塘養鰻事業に係る調査結果平成九年六月十一日海外経済協力基金」のこの文書は、六月十七日の決算委員会締めくくり総括以前の調査報告であります。  このように、もう既に決算委員会以前に、養鰻池のそのお金が全然現地に到着していないことや、養鰻事業の池そのものも別の事業の池であって資金を投下された養鰻池でなかったことや、そういうことがそれ以前に十分判明している。そういう出張報告があるにもかかわらず、基金から出された六月十一日付の調査報告書は一切そういうことに触れておりませんし、また私の質疑に対しても一切そういう答弁はなされておりません。  清川理事に確認しましても、例えば、清川理事は、「九五年十一月に九〇%完成ですが、施設は一〇〇%完成したのですか。」という私の問いに対して、「柏塘事業の完成度におきましては、当初の計画の池でいいますと、約九割方、三十二の予定していた池のうち二十九までができ上がってきた、こういうような状態でございまして、一〇〇%完成という事態ではございませんでしたが、非常に完成に近い状態になっているという事態でございました。」「現在もそのような状態ですね。」私の質問であります。「現在もその状態のままに維持されております。」こういう回答をなされております。  もちろん総裁におかれましては、この事業が極めて先進的な事業であり、大変有意義な事業であるということを朗々と述べられまして、それに対して、貸し付けの実行段階だけのミスであり、事業そのものは円滑にいっていた、しかしたまたま破産をした、こういう内容の答弁が一貫してなされました。  なぜ、九七年六月十七日以前あるいは十日以前に事態がほとんど解明されつつあった中で、あたかも資金が現地に届き、事業が九〇%進んでいるような、実態的にうそに近い答弁を委員会の席で申し上げられたのか。  これは、皆様方、常にうまく我々の質疑をかわされるのは技術の上手さであり、我々の追及不足であり、我々の未熟であるということを反省いたしますが、議論の中で事実上うその答弁をされたり物事を隠されては正確な議論ができませんし、また国民に対しても我々は仕事ができません。これは重大な問題だというふうに受けとめておりますので、総裁と長官の御認識を承りたいと思います。理事じゃいけません。
  16. 西垣昭

    ○西垣参考人 私が本件の事業の内容をよしとしているという発言をいたしましたのは、融資決定段階においての私の判断でありまして、それ以後のことについてまで私がそういったことを申し上げたという記憶はございません。また、そんなはずもないわけでございます。  それから、私としましては、質問に対してお答えしているわけでございまして、質問のないところについてはお答えしていない……(上田(清)分科員「それは脆弁だ」と呼ぶ)
  17. 中川昭一

    中川主査 静粛に願います、参考人ですから。
  18. 西垣昭

    ○西垣参考人 これは御理解いただきたいと思います。  ただいまお話がありました国会軽視という問題でございますが、昨年六月十七日の決算委員会で、本事業において資金使途の不正使用の問題があり得るということを承知しながらそうした点について言及がなかった、これは基本だと思いますがという御指摘をいただいた。私、よく記憶しております。  ただ、本件が、中国の公的機関にも関係すること、刑事事件にかかわるために捜査への悪影響を及ぼさないよう、捜査当局以外への言及ぶりについては慎重に対応せざるを得なかったということがあったわけでございます。  それで、本件につきましては、海外経済協力基金は、昨年六月三日から六日にかけまして、資金使途解明のため、弁護士、公認会計士から成る調査ミッションを派遣しましたが、これら専門家の報告書は、決算委員会時点ではまだ一部しか入手しておりませんでした。海外経済協力基金といたしましては、これら報告書を全文入手し、その分析の上で、刑事告発も含む法的措置を念頭に入れたミッションを七月にも再度派遣しようとしていた状況であったわけであります。したがいまして、六月十七日の決算委員会の段階では、事実関係の正確な把握に至っておらず、公的機関であるOECFとしては慎重に対応した次第であります。どうぞ御理解いただきたいと思うのです。  このために、同決算委員会では、清川理事から、資金使途についても明確ではなく、解明に努め、「今後、この資金の使途について不正な使用があるというようなことが明らかになるような場合には、」「法的措置を含めて対応策を講じていく、」という旨の発言にとどめさせていただいたわけであります。それから、六月十日の決算委員会におきましても、私から、「私どもも事実を少しでも明らかにしていきたいということで努力をしているところであります。」と申し上げたところでございます。  したがいまして、昨年六月の決算委員会での答弁におきましては、不正使用の可能性の点については、当時可能な限りの言及を行わせていただいたつもりでありましたが、こうした点についての言及ぶりが不十分であったというおしかりでございます。もしそういう点がございましたならば、これは本当に申しわけないというふうに思っております。
  19. 上田清司

    上田(清)分科員 総裁、今一つだけ過ちの答弁がございます。その時期、六月十日の時点では、まだ捜査も何もしておりません、告発も何もしておりません、公安その他と接触もしておられません。だから、問題に関して、別に慎重にする必要も何もありません。捜査にかかわっている話でもありませんし、告発されたわけでもありませんから、それは後の時点ですから、問題点を明らかにされておかしくないのです。  貸し付けの段階では、過去の一次から三次までの事業に関して立派な事業をなされていたつもりだった。しかし、それも破産して、事実上二十三億損失しているわけです、保証があったから取り戻したということでありますけれども。そういう問題点があって、おのずからもう六月十日や十七日の時点では、−要するに保証状に、とにかく中国銀行にお金を出さなければこれは有効条件になりませんよということで何度も催促しているわけでしょう。その催促に対して全然こたえてくれていない事業でしょう。だったら、そういう問題点を既にそのときに明らかにするのが当たり前じゃないですか。そういう問題点については何ら言っていませんよ。  それから、たまたま言及しなかったじゃないのですよ。テレビのビデオ、送りましょうか。自信満々にあなたが、私も見ましたよ。私は、その案件だけを問いただしているわけじゃないのですよ、全体の話の中でしているのですから。個々の案件だけで総裁は答弁をしましたというようなことを言っていますけれども、私は一貫して全体の話をしているのですよ、事業全体の話を。それを踏まえて議論するのが当たり前でありまして、論弁ですよ、そういう言い方は。貸し付けばどうしたのだと言ったから、貸し付けばこうでした、そう言いましたと、実行段階でミスでしたと。そうじゃなくて、全体としてこれは不明朗だという話をしていたじゃないですか。高野参議院議員だって、五月からずっと一貫してやっているじゃないですか。五月の時点でいろいろなことがわかっていたわけじゃないですか。だから、六月三日から六日までの調査ミッションの報告はまだ一部しか入手していなかったからそういう答えしかできなかったなどというのはおかしいですよ。本来ならば、日本の銀行に振り込んだ十億五千万を中国銀行に急いで返してもらわなければいけないものを、二年間も怠っている企業じゃないですか。そんなことで世の中通用すると思いますか。  第一、催告している、催告していると言うけれども、内容証明の文書一通すら出していないじゃないですか。口頭で催告していることが本当に催告につながりますか。証明できないでしょう。証明できるものがあったら、今出してくださいよ。  とにかく、司法当局あるいは捜査当局との関連があるから事情を説明できなかったというのはうその話であります。お答えください。
  20. 西垣昭

    ○西垣参考人 重ねて申し上げますけれども、私は質問に対して、私の承知しておりますことは隠さずにお答えしているつもりでございます。  それから、事実を確認した上でということはもちろんございますけれども、事実を確認したものについては、御質問があればきちんとお答えしております。それから、報告書が基金に一部しか来ないという段階では、総裁まではわからないわけでございまして、私が承知しないことも多いわけです。  それで、あの時点では、私は、承知していたことは包み隠さずお話しした、もちろん質問がないことについてはお答えするチャンスはございませんけれども、質問を受けたことについてはお答えしているつもりでございます。
  21. 上田清司

    上田(清)分科員 総裁にすべてが行かないというのはよくわかります、そういうことは。しかし、これは参議院の高野先生も取り上げ、新聞にも報道され、そしてそういう状況の中で話が進んでいる議題でありますから、私が承知していないじゃ困るのですよ、こうして十数回調査ミッションが出されて、その都度その都度、何らかの形で報告書が出ているわけですから。  少なくとも、決算委員会に臨んで、私は詳細に知らないということで責任が免責されるのですか、お伺いします。
  22. 西垣昭

    ○西垣参考人 文書の中には中国語のものもありましたり、整理をして私のところまで上がってくるのには時間がかかる、これはやむを得ないことだと思います。
  23. 上田清司

    上田(清)分科員 やむ得ないこと、そんなものなんですか。冗談じゃないでしょう。我々は、それを争点にしてレクをやり、そして委員会に臨んでいるのです。その争点に関して、詳細に事前に聞いていなかった、こんなことで済むのですか、十億五千万の行方に関して。それで総裁の責任は免責されるのですか。たまげました。これはもう重大な事実であります。  長官、いかがですか、この議論を聞いて。
  24. 尾身幸次

    尾身国務大臣 上田委員の数回にわたる御質問、私自身もお答えをさせていただいておりますが、この全体の事件、私が聞いておりまして、おぼろげながらあらかたの経緯は理解できたように思う次第でございます。  そこで、もとより、海外経済協力基金の本件に対する仕事の処理の仕方については、反省すべき点もあり、それからまた責めるべき点もあり、いろいろな問題があると思っております。既に、私の着任以前にこの関係者の処分も行われておりまして、今後、私自身、この問題をどういうふうにしていくかということについて、質疑を承りながら考えているところでございますが、事実関係の解明もしっかりやらなければいけませんし、また、必要に応じて法的措置をとることも必要な段階である。そして、そのために、中国側あるいは日本側の捜査当局とも相談をいたしまして、その捜査及びそれに対する必要な措置は全力でとるように指導してまいりたいと考えております。  また、本件についての全体としての対応の仕方に対する反省も踏まえて、今後、気を引き締めて、こういうことが二度と起こらないように経済協力基金を指導してまいりたい、そのように考えている次第でございます。
  25. 上田清司

    上田(清)分科員 長官、ありがとうございます。  とにかく、この問題は、少なくとも昨年の一月の段階からお金が現地に届いていないらしい、それから養鰻池の事業のお金がどうも違うところから出ているみたい、あるいは養鰻池そのものが他の事業みたいであるということがおぼろげながらわかっていて、そしてそれが総裁のところには届いていないということであれば、これは内部の組織というか仕組みはどうなっているのでしょうか、総裁。
  26. 清川佑二

    ○清川参考人 繰り返しになる部分がございますが、本件につきまして、先ほど長官からもお話がありましたように、融資の事務手続が不適切であったということから、関係者に対する懲戒処分あるいは総裁の給与の一部返上ということもさせていただき、再発防止その他もしているわけでございます。  他方、この事業につきまして、融資金の不正使用の疑いというようなことも出てまいりましたので、昨年九月十八日に恵州市の公安局に関係者を告発し、そしてまた日本の警察にも事情を説明して相談している。そしてまた、資金の使途解明、回収、このために日盛産業の破産の申し立て、こういうようなことをしているわけでございます。  その過程におきまして、今御指摘のございましたように、昨年の一月ごろになりまして、債権の回収ということに踏み切る、そのころになりまして、これによって被害を受けるあるいは債権の回収をされるという側の方から、やや感情的とも思われる、今まで聞いたことのない話が続々と出てきた、こういう部分がございます。  しかしながら、例えば、この池は柏塘の池ではないというようなお話。これは従来、恵州市の副局長が総経理でもあって、この場に案内をして、この池が柏塘の池であると私どもの職員を案内する、あるいはまた帳簿上このような会計になっているという説明がある。それが変わってきているわけでございますから、私どもとしては、その時点で事実を確認しなければならない、特に中国側の管理職でない職員が話をするような場合には、責任者にも確認しなければならない、このようなことで処理をいたしておりますので、この報告書にありますような事柄の中で感情的な話ではないだろうかというような点につきましては、事実を確認して総裁に報告をする、これは当然必要なことであると思って、私どもはそのような形で処理をいたしております。
  27. 上田清司

    上田(清)分科員 今のは質問に答えておられません。総裁にどのような報告をなされたかということを聞きました。  それから、いろいろな点で問題があったことは事実なんです。倉庫の資金が、見積もりが一千万。現地に行かれればこんなのが一千万するかどうかわかるでしょう。建設費が五億。どの程度の池かというのはわかるでしょう、行かれれば。そういうことに関して綿密にやっていないではないですか。そういうことがたくさんありながら、内部でどのような報告がなされているのか。仮に総裁が知らないとすれば、これも内部の問題として問題です。  そして同時に、もし総裁が知っておられるとすれば、私は非常に不誠実だというふうに思います。少なくとも、いろいろな問題点があって、融資の段階では立派な事業だと我々は確信しておりましたけれども、しかし、現在こういう疑いが出てきて今綿密に調査しているところでありますという答弁だったら、わかりましたという議論になりますが、九〇%完成しておりますとか、こういう議論だと、当たり前に進んでいるとしか思いようがないではないですか。聞かれたままを答えましたではないでしょう。事実を明らかにするのが皆さんの仕事ですよ。それを、聞かれるままに答えましたなんて。しかし、全体の流れの中で疑って話をしているのですから、そういう疑いの部分をきちんと答えるのが当たり前ではありませんか。  なおかつ、資料に関しても、なかなか出さないで、どんどん追いつめて追いつめて、どんどん出てくるのではないですか。一貫しているではないですか、この態度は、隠し通そうという。  今度また改めて決算委員会で議論させてもらいます。
  28. 中川昭一

    中川主査 時間が過ぎております。答弁は要りますか。
  29. 上田清司

    上田(清)分科員 どうしてもと言うんだったら、どうぞ、委員長の判断で。
  30. 中川昭一

    中川主査 これにて上田清司君の質疑は終了いたします。  参考人の皆さん、御出席ありがとうございました。  次に、城島正光君。
  31. 城島正光

    城島分科員 民友連の城島でございます。  前回の予算委員会の一般質疑景気動向について長官あるいは経企庁と討論をさせていただきまして、若干時間切れみたいなところもありましたし、さらに予算委員会でも、問題指摘というわけではありませんが、春闘情勢についてもちょっと私なりの見解を述べさせていただきましたけれども、その春闘も一つの大きな山を越えたということもありまして、前回の予算委員会の論議を踏まえて論議を展開させていただきたいというふうに思います。  最初に申し上げておきますのは、最大の問題は実は雇用というところにあるということであります。雇用情勢は極めて厳しい、これはもう御認識のとおりだと思いますが、同時に、さらに悪化をしてきているという状況である。  これは、長官も御案内のとおり、雇用というのは、一たん職がなくなると再度復活していくというのは大変難しいことでありますし、史上最悪に近い失業率に高どまりをしている。私もいろいろな組織といいますか、あるいは職場の声を聞いてみましても、大変不幸なことに、家庭そのものが崩壊する。いわゆる職がなくなることによってですけれども、そういうことですとか、あるいは新聞とかニュースには一部の大きいところしか出ませんが、現実には自殺を含めて大変悲惨な状況の家庭が急速にふえているということについて、本当に心が痛むわけであります。やはり国の安定の第一は、何といっても雇用が安定していることだろうと思います。  そういう点で、ぜひこの雇用情勢を安定、しかもいい方向へ持っていくためにも、長官経済運営は極めて大事だ、また極めて大事以上に最大のポイントだというふうに思って御質問させていただきたいと思います。  連日の景気動向、さまざまなデータが出てくるたびに日に日に悪化しているわけでありますが、もう一度長官に御認識を承りたいわけでありますが、景気について、前回の予算委員会でどなたかの質問に対して、桜の咲くころに景気がよくなるのではなくて、自分が言ったのは、景気がよくなり始めるというようなことだというふうにおっしゃいましたけれども、それもちょっと僕自身納得しかねるのですが、やはり今もそういう御認識でしょうか。その辺をまず確認させていただきます。
  32. 尾身幸次

    尾身国務大臣 こういう機会でございますので少し説明をさせていただきたいと思います。  景気の現状は、停滞し、極めて厳しい状況であるというふうに認識をしております。  そこで、私が申し上げたり、また考えたりしておりますことは、特別減税二兆円あるいは補正予算あるいは金融システム安定化法案というのが既に決定をし、実行をされております。それから、四月一日からの十年度予算及び所得税とか有価証券取引税とか土地関係税制の減税を含みます予算関連法案が現在審議をされておりまして、進んでいる。そして、それが順調にいきますれば、四月一日からお金が使えるようになり、そしてまた減税が実施をされる、こういうふうに考えて期待をしているところでございます。  そして、それに加えて実は十一月に、二十一世紀を切りひらく緊急経済対策というのを決めましたが、その内容はかなりの程度規制緩和等でございまして、例えば労働者派遣事業のネガティブリスト化、つまり業務拡大、それから電気通信分野の規制緩和土地利用に関する規制緩和等でありまして、それが実は三月半ばに国会に提出されて、四月、五月に国会を通って実施に移されるという状況にあるわけでございます。したがいまして、そういう効果が徐々に四月から後に出てくるだろうというふうに考えております。  それからもう一つ、私が桜と申しましたのは、実は、四月一日に早期是正措置というのがありますので、三月いっぱいまでは金融機関のいわゆる貸し渋り現象も、これは好むと好まざるとにかかわらず多少は出てくるであろう。したがいまして、企業資金繰りあるいは金融機関資金繰り等も緩やかになる状況にはなかなかないのではないか。つまり、四月一日からはそういう意味で緩和されてくる、それを全体として総合してみて、四月に入れば新しい局面の展開が期待される、こういう趣旨のことを申し上げたわけでございます。  それからもう一つ、今城島委員のおっしゃいました雇用という点については、実は私は物すごく大事なことであるというふうに考えておりまして、じゃ、これからの長期にわたって雇用を一体どうやって拡大をしていくか。もとより一般的な景気対策が必要なのでありますが、全体として規制緩和競争激化、自己責任、そういう状況の中で、やはり従来型産業は、金融機関等にも見られますようにリストラを進める、こういうことになってくるのではないかというふうに考えております。リストラを進めるということは、別の言い方をすると、合理化をし、必要な人員の整理をするというようなことも実質的に含んでいるのが本音であろうと考えておりまして、ならば、その雇用をどこで吸収をするか、またどこで拡大をするかということが実は現在の日本経済の最大の課題であるというふうに考えております。  そういたしますると、新しい企業、新しいベンチャー、新規産業を起こしてそちらの方で雇用を吸収していく、アメリカ方式の方向でこの雇用問題を解決していき、日本経済活性化することが一番大事であるというふうに考えている次第でございます。  そのために何をやればいいかということになりますと、規制緩和を進めて、新規産業を起こす、それから労働のミスマッチをなくすために労働者派遣業の自由化を進める。あるいは年金等につきましても、確定拠出型の方向に持っていって、ポータブルにして、どんどんと職業転換あるいは会社を移動しても、その人が将来に向かって安心できるような体制にする。  それから、もう一つ大事なことでありますが、資金も、いわゆる銀行の担保金融だけでは、ベンチャー企業は担保能力がありませんから、証券市場の活性化、そういういろいろなところを通じてベンチャーに資金流れていく。アメリカでも雇用拡大の八割はベンチャーでカバーしているそうでございまして、こちらのベンチャーの方をどんどん育てるという攻めの政策を行わない限り、問題の解決は進まないというふうに考えております。  現在私どもが検討しております経済活性化のプログラムの中には、むしろ、短期の問題もさることながら、そういう構造改革をしてベンチャーを育てて、そちらで雇用吸収をして、全体としての日本の雇用を質のいい形で拡大していく、そういうことを考えているわけでございまして、また機会があればぜひ城島委員にも御理解をいただきたいと思いますが、そういう方向で解決しませんと、短期の景気対策だけでこれを解決するということはなかなか難しいというふうに考えておりますので、よろしく御理解をお願いいたします。
  33. 城島正光

    城島分科員 その中身的な構造改革については、一、二点ちょっと違いがありますが、大筋理解できるところであります。  ただ、やはり中心的に、中長期の雇用情勢というのはそういうことだと思いますけれども、現実的には短期の景気動向というのも直接的に雇用情勢には大きく影響しているわけであります。  そういう点で、前回の予算委員会でも御質問しましたけれども、九七年の成長率が〇・九%だったでしょうか、これはG7の中でも最低の成長率で終わったようでありますし、九七年度もほぼマイナス成長が確実になってきているという見通しであります。  政府見通し、一・九%が当初の見込みでありましたし、それから私、きょう少し問題提起をしたいわけでありますが、平成七年につくられました経済計画、これのいわゆる、今長官おっしゃいましたけれども構造改革がきちっとこの中にうたわれているのに沿って進展していけば、三%程度の成長を図る。ただし、構造改革が進展しない場合は、一カ四分の三だったでしょうか、の程度だ。まさしくその最悪の、構造改革が進展しない場合の成長率をさらに大きく下回ることはほぼ確実である。  また同時に、今論議をしています失業率も、実は構造改革が進展しない場合の失業率にほぼ同じぐらいになってきているということでありまして、この一年間の、もう間もなく年度が終わるわけでありますけれども、大変厳しい成長率や失業率の動向、もう一度端的にお答えいただきたいのですが、この原因をどういうふうに分析されているのかまずお尋ねしたいと思います。
  34. 尾身幸次

    尾身国務大臣 現在の経済が厳しい状況は、全体の景気流れ消費者企業家の将来に対する信頼感というものが失われているということもあろうと思いますけれども、やはり一つには、新しいベンチャーを起こす状況がなかなかでき上がっていない。つまり、雇用を攻めの観点から吸収をするような体制をつくるということが、実は回り道のようでありますけれども一番大事なポイントである。  しかも、構造改革を進めるというのは、実は規制緩和等を進めること、あるいは必要なベンチャーに資金を回す等によってそういう形の構造改革を進めて、潜在的な成長率の三%程度は確保する、そういう方向に行きたいというふうに考えている次第でございます。  もとより、経済のこの目先の現状等に対しまして適宜適切な対応をしていかなければならない、この点も私ども非常に大事な問題として考えている次第でございます。
  35. 城島正光

    城島分科員 この一・九、そういう点でいうと、これは僕が見ますと、政府として死守せざるを得ないぐらいの一・九%だと思いますが、それを、本来構造改革を進め、順調にいけば確かに年率でありますけれども三%程度いくという見込みの中で、であるにもかかわらず年度の成長率でマイナスが想定されている、一・九はもとよりですね。そういうことについての現実的な問題は一体どこにあったのだ、どこにあるというふうに認識されているかをお尋ねしたがったのです。成長率の政府見通し一・九すら下回り、九七年でいけば先進七カ国の中でも最低の成長率に陥っているという原因です。
  36. 尾身幸次

    尾身国務大臣 短期的には、やはりアジア経済の困難な状況、それから金融機関の相次ぐ破綻等によりまして、昨年の十一月、十二月に経済の先行きに対する信頼感が低下をし、消費者の懐もそこそこ豊かでありますが、ひょっとすると、あんな立派な会社がつぶれたんだから、うちの主人の会社も危ないんじゃないかというようなことで、消費者が財布のひもをぎゅっと締めちゃったということにもあらわれてきているというふうに考えております。家計調査におきます消費性向等も、ここ四カ月ほどで三%以上の急落をしておりまして、金額ベースでいっても年十兆円ぐらいの最終需要にマイナスの効果がある状況でございます。  そういう状況の中で、やはり私ども規制緩和を進め、そして経済活性化させて、将来の状況に対する信頼感を回復することが最大の課題であるというふうに考えております。  したがいまして、何回も繰り返しておりますけれども、十年度予算、当面これを通していただき、そしてまた関係の法人税の減税あるいは有価証券取引税減税等を含みます、土地関係の減税も含みます法案を早急に通していただき、それが経済の末端にまで浸透していくことが当面の最大の課題であると考えております。  もとより、私ども、先ほどの経済活性化のための規制緩和等中心とする対策につきましても現在鋭意検討中でございまして、適宜適切な対応をとってまいりたいと考えている次第でございます。
  37. 城島正光

    城島分科員 前回の答弁と余り変わらないわけでありますが、実は昨年も予算委員会の中で、もしそういう予算でいけば一・九は難しいのではないかという論議をさせていただきました。すなわち、当時でいけば、消費税を上げる、あるいは特別減税を廃止するような状況、さらには、見通しとしてありましたけれども、医療費の改定を控えた中で、デフレ予算になるのではないかということを論議させていただきましたが、そのときも、当時の麻生長官や土志田局長からは、いや大丈夫だ、一言で言うと大丈夫だという答弁がありました。  ところが、その土志田局長は、今、経済研究センターでしたか、どこかに行かれていますが、最近の討論がある雑誌に出ておりましたけれども、率直に言って、消費税のアップについての見通しが甘かったというようなことを含めた、政策そのものが当局として見たときの現実に描いたラインからはやはりかなり厳しい状況だった。例えば消費税のアップというのはかなり強く、予想した以上に大きく影響したというようなことを住宅着工の見通しも含めて述べておられました。そういう点でいうと、政策そのものが、我々が、あるいは去年私が指摘したとおりの状況になってきて、今の原因というのはやはりその辺にあるのではないかというふうに思っています。  また同時に、長官アジアの問題を言われますが、アジアの問題についても、原因日本政策にあるという論議も結構強いのですね。日本の今の状況が、アジアのそういう危機を受けて日本が一層景気が悪化しているということよりは、例えば海外のタイムズの一月の論評では、次のような論文が出ていますよ。   アジアの金融危機の連鎖反応を大きくした触媒は、昨年四月、橋本政権によって行われた大増税である。この増税政策は、一九三〇年のスムート・ホウリー関税法以来、先進資本主義国で行われたもっとも愚かで、もっとも無意味で、破壊的な経済政策と言われることになろう。   この増税から数週間で、当時、七年間にわたる景気後退から抜けつつあった日本経済が崩壊の危機に直面することになった。(増税政策のもたらした)この危機は経済学部の学生でさえも予測できるくらい明らかなものだった。結果として、消費需要、ビジネス投資、輸入が急速に落ち込んだ。さらに悪いことに日本の巨大企業は、消費税引き上げによって国内で売れなくなった製品をアジアはじめ世界各国において投げ売りを始めた。近隣諸国にツケを回すこの政策は、六〇年前、保護主義に走ったアメリカが行ったことと類似している。 というようなことで、アジアに対しても、政策によってアジアも被害を受けているんだ、そういう見方もある。ですから、アジアの問題というのは、またブーメラン的に日本に来ていることも事実でありますけれども、私は、そういう点でいうと、今の状況というのはやはり政策のミス、判断ミスによる状況であるというふうに思います。  時間がかなり限られていますので、もう一度先ほどの論議に戻らせていただきたいのでありますが、春闘情勢も、御承知のように、どうも最悪の状況になりそうだということの中で、また来年度予算の中で今一・九%の成長率を掲げられている。これは前回の予算委員会で申し上げましたけれども、一・九%を支える要素というのが、どれを見ても今年度よりはさらによくなる見通しを立てられる状況ではやはりないだろう。それはもう今度の春闘情勢からしても、ほぼそうだというふうに思われます。それにもかかわらずまた一・九%を掲げられているのは、先ほど申し上げたように、この経済計画の最低限の数字というのは一カ四分の三、こう規定されていますから、これを下回ることができないということで、どうもかなり無理して一・九ということをつくられているのではないかという感じがしているわけであります。  それを含めてぜひお答えいただきたいのは、この見通し、仮に百歩譲って来年度一・九%程度を達成したにしても、今年度、例えばほぼゼロであったにしても、このお立てになった中期の経済計画構造改革を何としてもやらなければいかぬということからして、構造改革が進展しない場合のケースにのっとる、ないしはそれ以下なんですね。今年度はそれ以下である。とすると、二年続いてそういう状況になる可能性は大ということからして、この経済計画そのものをやはり変更する必要があるのではないか。この中にもありますが、これは実現可能な、しかも企業にとっても国民にとっても目標となる計画である、そういう点で実行性ある計画であるということでありますが、二年続けてこれだけ大きな差が出てくるということも含めて、この経済計画の再検討が必要ではないかと思うのですが、それも含めて御答弁いただきたいと思います。
  38. 新保生二

    ○新保政府委員 不況原因論に関して、若干の見方の違いがあるかと思います。  先生御指摘のように、消費税増税あるいは所得税減税の停止等の税負担の上昇がマイナス効果を及ぼすという点については、我々も年度見通しのときでもそういうふうに見込んでおりました。しかし、これだけが、不況が、景気停滞が長引いておる原因であるというふうには考えておりません。  というのは、先ほど長官が申し上げましたように、秋口までは消費者マインドは上向きに来ていたわけです。例えば、企画庁で消費者態度指数というのを出しておりますが、そこは九年の三月で三五・六でございましたが、六月には四〇、九月には四丁二。つまり、消費税引き上げ後も消費者マインドは九月までは改善していたのですね。それが十二月にかけて、三六・二と非常に大幅に落ち込んでおります。この背景は、五つの指標ではかっておりますが、中でも雇用環境というのが、十二月にかけて非常に大幅に一四・三%ポイントも落ち込んだのですね。これはさっき長官が申しましたように、十一月以来の金融機関破綻等を背景に雇用不安というのが非常に前面に出てきて消費者の財布のひもが引き締まっている、これが今の景気低迷、特に消費低迷の大きな背景であるというふうに思っております。  しかしながら、幸いにも、極端な金融不安というのはこのところおさまってきております。完全に解決したわけではありませんが、おさまってきた。ということで、民間調査機関によりますと、消費者マインドの悪化も歯どめがかかっていまして、民間調査では十二月から二月にかけては若干ながら改善しております。しかも、失業の不安という調査についても、失業の不安度は十二月はピークに達したのですが、若干改善しております。  したがって、こういう金融システムの安定化を背景とする消費者マインドの改善というのが安定してくれば、当然消費にもプラス効果が期待できるわけですから、今の段階で一・九%は全く無理というふうに決めつけるのはいかがなものかというふうに思っております。
  39. 城島正光

    城島分科員 私はその件についてはちょっとまだ、一・九については、来年になると大体わかることだと思いますけれども、はっきり言って、前回も申し上げましたけれども、GDPの六割ぐらいを占める個人消費、これが、最近のデータ、例えば貯蓄の動向を見てもはっきりと、結論だけ言うと、家計のバランスシートが非常に悪くなっているのですね。それで、家計の消費に回すお金の余裕がかなり悪くなっている。  ということからしても、消費に回るというか個人消費が冷えていく原因は、当然心理的だけではなくて、実は先日発表された総務庁の貯蓄動向調査をよく見ますと、実態としてもやはり厳しくなっているということがありますから、長官に前回の予算委員会で少し申し上げましたように、本当に景気をある程度よくするのであれば、やはり今回の賃上げというのは非常に大きな要素があったと思います。残念ながら、昨年比で、大手で五百円から六百円ぐらいのマイナスであるというのが中心になっていますから、あれは現実的に言うと、純粋な賃上げ、ベアでいうと約千円前後なんですね、定昇を除いたとき。そうすると、中小企業に置いてみると一体どうなっていくかというと、お寒い限りでありまして、そういうことからしても、一・九%を支える中心的なところであるはずの民間の消費が伸びる要素というのは基本的にほとんどないというふうに私は思います。  ちょっと、お答えいただかなかったのですけれども、この計画、これは改定するべきではないかと思うのですが、どうなんですか。
  40. 尾身幸次

    尾身国務大臣 経済計画の問題は、長期にわたる我が国の経済方向を示すものでございまして、私ども、橋本内閣の六つの課題を進めていくその一つの基本となる考え方を示していると考えております。もとより、中長期的にわたって、いろいろな意味日本経済方向性を時に応じて示す、大きな流れの中で必要なときには必要な対応をしなければなりませんが、現在の段階では、この経済計画を変えることについて、そういう考え方は持っておりません。
  41. 城島正光

    城島分科員 そうしますと、これで恐らく今申し上げた一・九も仮に達成されたにしても、そういう最悪のシナリオの数字であるということがスタート段階から二年続いて起こってくるとなると、これを参考にしていろいろなことをやる産業界にしても、それはやはり相当不信感は募りますよね。現実的に、この経済計画と現実の経済の動きにこれだけギャップがあるということは、やはり問題があると私は思うのです。どちらかにスタンスを置かないとこれは問題があると思いますので、これについて、経済計画を修正するのか、はたまたこれにのっとったようなところへ政策予算を含めて誘導していくのか、既に二者択一のところに来つつあるというふうに私は思っています。  そういう点で、政策、この予算案についてもう一度お尋ねしますが、長官、先ほどおっしゃいましたけれども、この予算案をやっていくことによって、最低、これはもう死守せざるを得ないと私は思いますが、政府としてこの一・九というのは達成できると本当にお思いですか。
  42. 尾身幸次

    尾身国務大臣 この十年度予算のできるだけの早期成立をぜひお願いしたいというふうにかねがね申しているところでございますが、私ども、さらに経済活性化のための、規制緩和中心とする各般施策も行いたいと思っておりますし、また、経済状況あるいは金融の状況等に応じまして適宜適切な対応をする、総理の方針でございまして、そういう意味で、私どももいろいろな対策をしていきたいと考えている次第でございます。  当面は、この十年度予算及び関連法案を通していただくことが最大の課題であると考えておりますが、規制緩和等も含めまして全力を挙げて対策をし、十年度見通し一・九%はぜひとも達成をしたい、また達成できると考えております。どうぞよろしく御理解のほどをお願い申し上げます。
  43. 城島正光

    城島分科員 なかなかそういうふうに思えないわけでありますが、それでは、時間が来ましたので最後一つだけ。かなり重要な点でありますので、長官の見解をお聞きしたいと思います。  三月末の株価というのは、企業経営にとってもかなり重要だ、昨年の一万八千円ちょっとを維持したいというようなことがあると思いますが、最近、与党の中で、郵貯とか簡保の資金あたりを使っていわゆるPKOをやろうというような考えが時々表明されていますが、長官が何度も御指摘になっている、いわゆる構造改革を進めなければいかぬというようなところからすると、率直に言って、私の感じで言うと全く論外な話だと思いますが、長官、こういった対策についてはいかがお考えでしょうか。
  44. 尾身幸次

    尾身国務大臣 自由経済の原則でありますので、政府が人為的に株価操作をするというようなことは、自由経済の原則からいって適切なものではないと考えております。ただしかし、いろいろな資金の効率的な運用という観点から見ますと、私は、現在、日本全体の、例えば年金基金等が外国と比べてパフォーマンスがいいというふうには必ずしも考えておりませんで、そういう意味で、もっとパフォーマンスのいいような、規制緩和によります運用の弾力化ということを図っていくことも、実は長期的には大変大事な課題であるというふうに考えているところでございます。
  45. 城島正光

    城島分科員 時間が来ました。終わりますが、そういったことを代表例にしながら、実は私の問題意識は、ここに掲げられている構造改革をいろいろな面で進めていこうということが、本質的なところにメスが入らずに、財政の赤字を何とかするというところだけにシフトしているところが今の不況の大きな原因一つになっているということで、そういう面でいうと、構造改革についてぜひ本格的なメスを入れていただきたいということを要請して、質問を終わります。ありがとうございました。
  46. 中川昭一

    中川主査 これにて城島正光君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして総理府所管中経済企画庁についての質疑は終了いたしました。     —————————————
  47. 中川昭一

    中川主査 次に、通商産業省所管について、昨日に引き続き質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。木島日出夫君。
  48. 木島日出夫

    ○木島分科員 日本共産党の木島日出夫でございます。  きょうは、通産省、資源エネルギー庁に、原子力発電所の問題について幾つか質問をしたいと思います。  最初は、高燃焼度燃料、いわゆる9・9燃料の使用と定期検査のインターバルの延長の問題についてお聞きしたいと思うのですが、いわゆる高燃焼度燃料、9・9燃料、これについて、ことし一月に、東京電力が新潟県柏崎市に対して、柏崎刈羽原発でありますが、9・9燃料、現在はいわゆる8・8燃料を使っているわけですが、9・9燃料を二〇〇〇年から使用することについて、新潟県と柏崎市、刈羽村と、事業者である東電が結んでいる安全協定に基づいて、事前了解を求めてきたわけであります。  東電は、市や県に対して、9・9燃料を使用いたしますと、燃料棒の交換が、現在の四年サイクルから四年半ですか、四・五年サイクルに変更できるのだ、燃料棒交換が長くなるわけですね、使用済み燃料も一〇%程度減少できると説明しているようであります。  こういう説明ですから、地元では、いわゆる定期点検、定検のインターバルがそれに伴って長くされるのではないか、大変な不安があるわけでありますので、まず9・9燃料の使用と定期検査のインターバル延長とが結びついているのか、明確な答弁を求めたいと思うのです。
  49. 奥村裕一

    ○奥村政府委員 先生御質問の、東京電力の柏崎刈羽原子力発電所においての9・9燃料の導入の件でございますけれども、先生御指摘のとおり、この9・9燃料というのは、従来の燃料よりも燃焼期間を長くすることが可能でございます。この結果、従来に比べ、約一〇%ほど燃料の数を減らせるということでございます。  そういうことで、この9・9燃料の導入は、使用済み燃料の発生の低減、これを目的とするものでございまして、先生御懸念の定期検査のインターバルの延長を目指したものではございませんということを申し上げておきたいと思います。
  50. 木島日出夫

    ○木島分科員 ありがとうございます。  柏崎刈羽原発は、調べによりますと、九一年二月から、九八年ごとし一月までの七年間に、トラブルによる自動あるいは手動による原子炉停止が十二回もあるわけですね。現在の十三カ月定期点検でもこんなに事故が多発している。  特に、新しいABWRですか、改良型沸騰水型の原子力発電所、原発の事故が非常に多いのですね。非常に不安が現地に高まっておりますから、今の御答弁、9・9燃料の使用は定検のインターバル延長には結びつくものではないんだということを堅持して、きちっとした検査を今後ともやられることを要望しておきたいと思います。  二つ目には、いわゆるプルサーマル計画問題について幾つかお尋ねしたいと思います。  実は、東京電力は昨年五月ベルギーに対して、また関西電力はことし一月イギリスに対して、それぞれプルサーマル計画利用するMOX燃料の製造、加工を発注いたしました。しかし、いまだに東京電力は、地元新潟県あるいは柏崎市、刈羽村と結んでいるさっき触れました安全協定、また関西電力は福井県との間で結んでおる安全協定、この安全協定で規定している事前了解を得ていないわけであります。  ここに私は二つの安全協定を持ってきております。東電と新潟県、柏崎市、刈羽村との安全協定第二条「計画等に対する事前了解」、東電は「原子力発電施設及びこれと関連する施設等の新増設をしようとするとき又は変更をしようとするときは、事前に甲及び乙の了解を得るものとする。」県、市、村の了解を得るものとする。同じように、福井県と関電との間で取り交わされている協定にも、第二条で、関電は原子炉施設等に重要な変更を行おうとするときは事前に福井県の了解を得なければならないとあるわけであります。  こういう事前了解なしに、既成事実をどんどん東電も関電もこういう形で進めている。  一方、政府もことし二月にMOX燃料の加工について保障を、ベルギー政府との間で書簡を交換して与えている。地元了解を得ないこんな段階で、政府がベルギー政府との間でこんな書簡を交換するのは住民無視ではないかと思うわけでありますが、こういうことはやめていただきたい。  これは通産大臣にお聞きしたいですね。どうですか。
  51. 奥村裕一

    ○奥村政府委員 御質問の件でございますけれども、いずれにいたしましても、プルサーマルの推進に当たりまして、先生御指摘のとおり、それぞれの県、自治体との間で各電気事業者は安全協定を結んでおりまして、その安全協定に基づいて地元の了解が得られませんと実際のプルサーマルはできないということでございます。  したがいまして、私どもは、今後とも、立地地域の住民の方々への御理解、地元を初めとした国民の皆さんへの御理解が得られるように努力を重ねていくということをお願いしているところでございます。
  52. 木島日出夫

    ○木島分科員 いや、だからまだ地元理解も何にもない、了解願もないわけですよね。そんな段階で、実際、物すごい金がかかると思うのですよ。MOX燃料の製造、加工を外国政府、ベルギーやイギリス政府との間で締結をする、そして発注する、政府もそれにお墨つきを与える、こんな既成事実がどんどんつくられていく。しかし地元は、福井なんかは「もんじゅ」の事故がありましたし、新潟の柏崎も、今私が言ったような大変な原子炉停止の事故が頻発しておる。了解しなかったら、むだになるわけでしょう、そういうことが。既成事実を積み重ねること自体がどんな結果をもたらすか、もう明らかだと思うのですね。  お聞きしますが、MOX燃料の使用について、国の安全審査はまだ受ける段階ではないのでしょう、受けていないのでしょう。
  53. 奥村裕一

    ○奥村政府委員 まだでございます。
  54. 木島日出夫

    ○木島分科員 ちょっと通産大臣、そういう状況なんですよ。  MOX燃料については、使用について国の安全審査もまだ受けていません。安全協定で必要な地元の了解もまだ全然なされておりません。地元は心配が高まっています。そんな段階で、東京電力も関西電力も外国政府にどんどん加工を発注しておる。おかしいんじゃないですか。既成事実の積み重ねじゃないですか。  所管官庁の責任者として通産大臣は、そういう既成事実をつくるのはちょっと待つべきではないかと。もし地元が了解しなかったら、これは全部パアになってしまうわけですからね。物すごい損失が東電や関電に出るでしょう。私はそんな心配をする立場じゃありませんけれども、しかし、そういうことになるわけです。  こんな既成事実、やめるように指導するのが通産大臣の役割だと私は思うのですね。少なくとも地元の住民の了解を心から得ようと思ったら、そんな既成事実を積み重ねることは間違っていると思うのですが、どうですか。
  55. 堀内光雄

    ○堀内国務大臣 この燃料加工につきましては、電気事業者の自己責任において行われるものというふうに私は聞いておりますし、各事業者もその立場において、新潟県あるいは各県に、地元に対しての折衝を行っているというふうに私は伺っております。  したがいまして、政府としては、今後も地元を初め国民の理解が得られるように努力を重ねる所存でありますが、基本的には電気事業者自己の責任において行われるものと考えております。
  56. 木島日出夫

    ○木島分科員 御答弁の自己責任ということは、仮に地元が了解しなかった場合は、既に既成事実をつくるためにかけた莫大な費用は、東電、関電、事業者が背負うという意味ですね。そうですね。  何でそんなリスクを背負ってまで、東電、関電は事を急ごうとするのでしょうか。きちっと地元の了解が得られてから、そして国の安全審査がきちっと終わってから委託発注すればいいじゃないですか。何で事業者はそんなに慌てようとしているのか、どう推察しますか。
  57. 奥村裕一

    ○奥村政府委員 個々の事業者におきましての御判断ではあると思いますけれども日本が過去におきまして、海外におきまして使用済み核燃料の再処理を委託をいたしまして、その結果、有用なものとして取り出されますプルトニウム等の再利用ということで計画を立ててやってきたものだというふうに理解をしております。
  58. 木島日出夫

    ○木島分科員 全然答弁になってないですよ。なぜ事を急ぐのか。地元も了解してないじゃないですか。国の安全審査も終わってないじゃないですか。それをとってからやって間に合うじゃないですか。それで了解とれなかったら、損失はみんな事業者がしょうのでしょう。電力会社が損失をしようということは、国民にとっても大問題ですよ。それは費用に転換するでしょう。電気料金の値上げに転換していくでしょう。だから許せないですよ。  なぜ、東電、関電が、地元の了解もないまま、国の安全審査もなされてない今の段階で事を急ぎ、既成事実を積み重ねようとしているのかの、その腹のうちは、恐らく、こうやって既成事実を積み重ねてしまえば国がその既成事実の重みに押されて安全審査を事実上手抜きしてくれる、それを期待してのことじゃないかと私は思わざるを得ないのですよ。そうでしょう、大臣。物すごい莫大な金をかけて、イギリスやベルギー政府にもう頼んじゃった。物はできちゃった。さて、それから国が安全審査をする。もう、安全上問題があっても目をつぶらなければ事業者に莫大な損失を与えてしまう。安全審査が手抜きになるのは見えた論理じゃないですか。うがち過ぎじゃないと思うのです。そんなことがあっては断じてならぬと思うのですが、そう思わざるを得ないのです。だから、そういう既成事実をつくることはやめさせなきゃいかぬと私はここで言うのです。どうですか。     〔主査退席安倍(晋)主査代理着席〕
  59. 堀内光雄

    ○堀内国務大臣 国の態度は、毅然としてしっかりと安全の問題を中心に取り組んでまいります。
  60. 木島日出夫

    ○木島分科員 それなら、既成事実をつくるのをやめさせなさいよ。そうすべきじゃないんですか。そういう行政指導をすべきじゃないんですか。
  61. 堀内光雄

    ○堀内国務大臣 先ほども申し上げましたように、燃料加工と個別の安全協定というものは、各事業者の責任において行うことになっておりますし、政府としてその問題についてお答えする立場ではないと考えております。
  62. 木島日出夫

    ○木島分科員 私のさっきの質問に全然答えてないですわな。  事業者の責任で、地元が了解しなかったら莫大な損失が事業者にかけられる。それは回り回ってはね返って国民の負担に返ってくるだろう。電気事業者というのは公益事業者でしょう。リスクは事業者がしょって当たり前なんだ、だから事業者は何をやってもいいんだ、勝手にやってもいいんだという理屈、立場には、通産大臣、立つちゃいかぬと思うのですよ、私は。公益事業者であり、電気料金は国民が負担している。すべての国民が使用するのが電力ですから。リスク負担が事業者だから構わないのだというような理屈は断じてこれはとれないと思うのですが、どうですか。
  63. 堀内光雄

    ○堀内国務大臣 もちろん、それぞれの事業者においては、地元を説得する、あるいは理解を得られるという目標なり、ある程度の自信といいますか、そういうようなものをもとにしてやられているのだろうと思いまして、それはやはりそれぞれの事業者の考え方でありまして、政府としては、今後とも立地地域の住民の方々への説明、あるいは地元を初めとする国民の理解が得られるように努力は惜しまないつもりであります。
  64. 木島日出夫

    ○木島分科員 いや、だから、それが私は事業者の思い上がりだというのですよ。物すごい不安が、新潟県の柏崎周辺でも、特に福井県の敦賀周辺——きのう、私は、予算の第一分科会で科学技術庁に対して、あの大変なナトリウム漏えい火災事故を起こした「もんじゅ」について、運転再開をやめるべきだ。そして、ああいう高速増殖炉路線はきっぱりと断念すべきだ。少なくとも先進五カ国、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、日本の中で、高速増殖炉路線を突き進んでいるのは日本だけ。アメリカもやめました。イギリスもやめた。ドイツもやめた。日本がお手本として見習おうとしていたフランス、実証炉の段階までいったスーパーフェニックスのあれももうとまる。だからもう、そういう高速増殖炉路線はきっぱりと転換すべきだ。こういう立場で、昨日、第一分科会で科学技術庁長官とやったわけでありますよね。  昨年の二月四日の「当面の核燃料サイクルの推進について」と題する閣議了解、この一項が高速増殖炉の開発でもあるのですが、プルサーマル路線もその重要な柱なんですね。ですから、そういうことに対して地元住民の不安は非常に大きい。そんな簡単に同意を与えるような状況じゃないですよ。それにもかかわらず、事業者が、同意を得られるものと確信をするか、あるいは思い込んで、そしてどんどんとイギリスやベルギーに対して製造、加工を発注するなんてことは、ちょっと普通の事業者なら考えられないですわ、こんな危なっかしいこと。そういう事業者の猪突猛進といいますか、思い上がりといいますか、強引さ、これに歯どめをかけるというのが国の行政の仕事、通産大臣の役割じゃないのでしょうか。どうですか。
  65. 堀内光雄

    ○堀内国務大臣 先ほどの「もんじゅ」とこれはもう全く違った次元の話だと思いますし、プルサーマル発電というものについては、技術的には後ほどまた部長の方から御説明を申し上げることになると思いますが、基本的には安全なものであるというふうに理解をいたしておりますから、その基本的に安全なものであるという理解のもとに、業者の方々も、将来の日本の電力事情を考えながら、責任ある立場として取り組みを行われているというふうに思っておりますし、また、それを理解を得るべく、今現在、各地にそれぞれの業者が説得あるいは説明を行っているところで、また、政府もそれに対して理解を得られるように支援をする、協力をするという状態でございまして、これはおかしいことではないと私は思っております。  技術的な問題は、奥村部長の方からお話を申し上げます。
  66. 木島日出夫

    ○木島分科員 技術はいいです、ここは技術論争をする場所じゃないですから、きょうは。  そういう大臣の原発の安全性に対する過信が、敦賀では「もんじゅ」の事故を起こした、そして、業者はひた隠しにした、東海村ではあの爆発事故を起こした、動燃の態度にあらわれているんじゃないでしょうか。今問われているのは、やはり、原発の安全性に対する過信を取り除くこと、そして謙虚に見直していくということではないかと思います。  もう時間が、この問題だけで大分かかってしまいました。非常にかたくなな国の姿勢は、私はおかしいと思います。こういうのが、行政と東電、関電との癒着が裏にあるからじゃないかと思わざるを得ないのです。  次の質問にちょっと移りたいわけでありますが、シビアアクシデント、過酷事故対策の問題です。  言うまでもなく、アメリカのスリーマイルの事故、そして旧ソ連のチェルノブイリの事故と、大変な事故を人類は経験しているわけであります。ですから、シビアアクシデント対策というのは、大げさかもしれませんが人類の生存にとっても死活にかかわる重要なテーマだと思います。  いわゆるシビアアクシデント対策については、原子力安全委員会が九二年五月に「発電用軽水型原子炉施設におけるシビアアクシデント対策としてのアクシデントマネージメントについて」と題する文書を発しまして、通産省や事業者に対してきちっとやるようにという督励をしているようでございます。しかし、お聞きいたしますと、事業者は二〇〇〇年までを目途に実施せよというのが原子力安全委員会の要望のようでありますが、何か現状は東電福島原発の一部と柏崎刈羽原発の一部にしか対策が進んでいないというふうに私の耳には入ってきています。  そこで、簡潔で結構でありますから、この原子力安全委員会が発したシビアアクシデント対策の中心点といいますか、どんなものなのかお答え願いたい。
  67. 奥村裕一

    ○奥村政府委員 お答え申し上げます。  シビアアクシデント対策、具体的にどういうものであるかということでございますけれども、既存の各種の多重防護施設に加えまして、一つは、原子炉をとめる機能の向上策といたしまして、万が一制御棒の挿入というものに問題がございましても、炉心に中性子吸収材を注入してとめる、こんな対策、あるいは、原子炉を冷却する機能の向上策といたしまして、非常用の炉心冷却系が故障いたしましても、非常消火用ポンプ等で原子炉及び格納容器へ水を注水するというような対策、あるいは、放射性物質を閉じ込める機能の向上策といたしまして、格納容器から除熱する設備が万が一故障しましても、高温で膨張した蒸気をフィルターを通して逃がす、あるいは減圧する、こんなような対策を講じるということでございます。  以上がハードでございますが、さらに、原子力発電所を安全な状態に復旧させるための適切な操作を行えるいわゆる手順書を整備、それからこれに基づきます運転員の教育訓練等を行うということにしてございます。
  68. 木島日出夫

    ○木島分科員 ありがとうございました。  ハードとソフトという大事な二つの分野だと思うのです。ハードの部分について詳しく御説明いただきました。非常に大事なのですね。今こういうことが打ち出されるということは、逆に言うと日本の今の原発にこういう部分が欠けているということを示すのですね。そうでしょう。ないからこういうことをやらせるのだ。それ自体がちょっと問題だとは思うのですが、しかし、こういうシビアアクシデント対策は、ソフトの面でも進めなければいかぬし、とりわけハードの面では一日も早く、これは金のかかることでありますから、やっていかなければいかぬと思うのですね。  そこで、進捗状況、ハードの部分だけでも結構なのですが、先ほど私は福島原発の一部と柏崎刈羽原発の一部しか手がついていないと言ったわけですが、現在そんな程度ですか。進捗状況はどうでしょう。
  69. 奥村裕一

    ○奥村政府委員 今、日本に現存しております全原子力発電所、原子炉につきまして、先ほど先生御指摘の整備済みのものが三つございますが、その他すべてのものにつきまして現在整備中でございます。
  70. 木島日出夫

    ○木島分科員 今現に動いている原発の数と、その中で整備済みの三つというのはどこなのか、ちょっと特定していただけますか。
  71. 奥村裕一

    ○奥村政府委員 東京電力の柏崎刈羽六号機と七号機、それから九州電力の玄海四号機、以上の三基でございます。
  72. 木島日出夫

    ○木島分科員 二〇〇〇年を目途ということですが、これはしっかり督励してもらいたいと思うのです。どうですか、見通しは。
  73. 奥村裕一

    ○奥村政府委員 それぞれの原子炉におきまして、事業者の方におきまして、おおむね二〇〇〇年を目途に整備をするという計画を持って着実に進めているところでございます。
  74. 木島日出夫

    ○木島分科員 では、最後長官の決意のほどをお聞きしたいのですが、どうもこのシビアアクシデント対策は、今の国のスタンスは、事業者がやるべきなのだ、そういうスタンスのようなのですが、私は、そうではなくて、当然事業者がやるべきものなのですが、もっと率先して通産省、資源エネ庁が、ただ見ているのではなくて、一定の目標を持ってどんどん推進させる、リードする、原発安全行政についてはそういうことが求められているのではないかと思うのですが、最後に御意見、御所見を聞かせていただいて、質問を終わらせていただきます。
  75. 堀内光雄

    ○堀内国務大臣 お答えいたします。  原子力発電所につきましては、安全の確保が最も重要であるということは当然のことでありまして、シビアアクシデント対策というのは、我が国の原子力発電所の安全性、これが確保されているというものの、上にさらに乗っかった、一層高めるための対策だというふうに私の方は理解をいたしておりまして、これを積極的に進めていく必要があることは御指摘のとおりであると思っております。  シビアアクシデント対策につきましては、既に全部の原子力発電所、五十一基に対しまして整備計画が策定はされているところでございまして、新しいものについては既に全部付加するようになっているということであります。この着実な実施をさらにこの整備計画に基づいて図らせてまいりたいと思っておりますし、これは、業者が自主的にこの整備を行うことは当然でありますが、原子力発電所の安全性をより一層高めるように電気事業者に指導してまいりたいと思っております。
  76. 木島日出夫

    ○木島分科員 ありがとうございました。終わります。
  77. 安倍晋三

    安倍(晋)主査代理 これにて木島日出夫君の質疑は終了いたしました。  次に、辻一彦君。
  78. 辻一彦

    ○辻(一)分科員 私は、きょうは繊維問題と、それから原子力にかかわる地域の振興対策の一環について質問したいと思います。  動燃法案の審議でかなり時間をかけてやるつもりでありますから、ハードの方はそこでじっくり安全問題やそういうことは取り組みたいと思うのですが、きょうは、せっかくでありますので、ソフトな面で、少し地元の状況お話しをして理解を求め、そういういろいろな要望がありますので、反映していきたいと思っております。  まず第一に、繊維問題でありますが、大臣長官も御承知のとおりでありますが、私のところは北陸産地で、繊維産業としては、合化繊では世界一の生産を持ち、輸出の面でも大きい役割を果たし、最近、ここ数年は新合繊という原糸の開発によって相当頑張ってきたのですが、なかなか今、全体の中で容易ならざる繊維産地が、全国もそうですが北陸産地にも起こっておると思います。  そういう認識の上に立って、実は、この新繊維法の中でずっと繊維産業施策中心でありました繊維産業構造改善事業協会が、去年の六月に、平成十一年から廃止になるということが決められている。これは、果たしてきた役割からいって大変残念でありますが、大きな流れの中で避けることのできないことであると思います。  そこで、この繊維産業構造改善事業協会が中小企業事業団に移行されるということになるのでありますが、実は産地においては、従来のような、独立して十分時間をかけ人員も相当用意して予算を持って取り組んできたきめ細かい繊維対策が、中小企業事業団の方に吸収されることによって窓口が小さくなってきめ細かい対策がなされなくなるのではないか、十分な対応ができるかどうか、こういう心配が非常に強くなっております。したがって、移行に伴う対策をどのように考えておられるか、お伺いいたしたい。
  79. 堀内光雄

    ○堀内国務大臣 お答え申し上げます。  ただいま先生の御指摘のように、繊維産業構造改善事業協会の廃止に伴いまして、必要な事業は中小企業事業団に移管するということになっておりまして、一般中小企業対策と一体に実施する旨が昨年の六月、閣議決定が行われているわけでございます。  これを踏まえまして、昨年の九月に繊維産業審議会、産業構造審議会に対しまして、「今後の繊維産業及びその施策の在り方」についての諮問を今行っているところでございまして、現在両審議会において真剣に討議が行われているものと承知をいたしております。  しかし、先生の御心配のように、中小企業事業団に移管をされた場合におきましても、きめ細かな対策というものをしっかり行っていかなければならないと考えておりまして、人材の育成だとか情報化だとかあるいは新商品の開拓、こういうような分野でそれぞれきめ細かな施策を適切に講じてまいる覚悟でございます。
  80. 辻一彦

    ○辻(一)分科員 それで、産地の声としては、中小企業事業団に吸収合併されるのはやむを得ないとしても、繊維担当の部課を設置して、十分受け皿をつくってきめ細かい対応をしてもらいたいという強い要望がありますが、これについて、私は、しっかりした部局をつくって、そして部、課を設置して取り組むべきであると思いますが、これについての見解をお伺いしたい。
  81. 水谷四郎

    ○水谷政府委員 お答え申し上げます。  今大臣からお答えいたしましたように、繊維産業構造改善事業協会から中小企業事業団へ移管すべき事業は何かという点に関しましては、繊維産業審議会、産業構造審議会で今検討を行っている最中でございまして、この検討の結果を踏まえて判断をしてまいりたい、かように考えております。  先生御指摘の中小企業事業団の組織についてでございますが、今申し上げました移管する事業の内容、性格、そういったものを見きわめた上で、繊維産業の方々に対します利便性、使い勝手のよさ、こういうものも含めて、十分に配慮しながら検討してまいりたい、かように考えております。
  82. 辻一彦

    ○辻(一)分科員 繰り返しますが、産地が懸念するのは、どこかの係員のようなところに吸収されたのでは非常に対策が具体的にやれない、だから、ぜひしっかりした部、課を設置してそこでやってもらいたい、こういう強い希望ですが、その面を踏まえて検討いただけるか、一言だけ。
  83. 水谷四郎

    ○水谷政府委員 御質問の御趣旨を踏まえまして、十分に検討してまいりたいと思います。
  84. 辻一彦

    ○辻(一)分科員 さらにお伺いしますが、地域中小企業振興助成金制度がありますが、これは今までなかなか大きい役割を果たしてきたと思います。北陸産地でも、例えば海外で、香港やロンドンやあるいはドイツ等でやる展示会とかあるいは国内の展示会だとか、あるいは新しいファッションの開発であるとか、この制度を通して大きな貢献があったと思いますが、そういう点で、産地では、平成十年で終わることになっているけれども、ぜひこれを継続してほしいという声が非常に強いのですが、継続することはできないのかどうかということ、そしてそれが困難な場合にかわるべき対策をどう考えるか、この二点、お伺いしたい。
  85. 水谷四郎

    ○水谷政府委員 お答え申し上げます。  御指摘の地域中小企業振興助成金制度でございますが、平成三年の設備登録制度の廃止決定に伴います繊維産地の混乱防止の観点から、平成年度から平成年度までの経過的措置として創設されたものでございまして、その趣旨にかんがみますれば、同制度の単純なる延長というものは不可能であるというふうに考えております。ただ、この間、御指摘のように産地にとって大変有効な助成であったという評価はございますし、それの何らかの形での継続のようなものを求める声が非常に強いこともよく承知をいたしております。  いずれにいたしましても、繊維産地の発展、いかにあるべきかという点につきましては、先ほど大臣説明しましたように、今ビジョン策定のための審議を進めているところでございますので、今後の政策のあり方については、そういったビジョンの検討結果等を踏まえながら真剣に検討してまいりたい、かように考えております。
  86. 辻一彦

    ○辻(一)分科員 次に、繊維産業構造改善事業協会の廃止に伴う措置として、振興基金並びに人材育成基金の移管の問題がありますが、事業団に移行の際に、この二つの基金は特別な枠として引き継いで、繊維業界のために活用してほしいという非常に強い声がありますが、これについての見解はいかがでしょうか。
  87. 水谷四郎

    ○水谷政府委員 振興基金、人材育成基金を活用しました事業は、先生御指摘のとおり繊維産地におきまして積極的に利用されております。したがいまして、その事業の継続性という観点からも、中小企業事業団への移管をめぐる際の大きな問題点であるというその重要性は十分認識をいたしております。  本件につきましては、今後、当該事業の政策効果の評価でございますとか、中小企業政策との一体的実施という閣議決定の趣旨を勘案しながら検討してまいりたいという立場をとっております。
  88. 辻一彦

    ○辻(一)分科員 すべて審議会の検討の上ということでありますが、産地のこういう厳しい、また切実な要望を踏まえて、ぜひ努力を願いたいと思います。  それから、最後一つですが、同じく移行に際して、信用基金出捐金の返還問題が要望されております。  事業協会の信用保証事業のために関係産地組合はこの信用基金に出掲をそれぞれしております。  しかし、七百八十億の保証限度額に対して、現在、保証残高は四十三億円、五・五%にすぎないという状況にあります。そこで、現在、この出指したところの産地は組合員等が減少して大変今きつい立場にある。  例えば、福井の産地では三千組合というのが、我々が昭和四十年代に参議院におったときから三千の機屋さん、こう言っていたのでありますが、今実質八百二十か三十ぐらいになっているという、それだけのリストラの厳しい中で産地は頑張ってきたと思うのですが、そういう不況にありますので、民間の出捐金については事業協会廃止のときには何らかの対策を講じて返還してもらいたいという声が非常に強いのでありますが、これについてどう考えておられるか、お伺いしたい。
  89. 水谷四郎

    ○水谷政府委員 お答え申し上げます。  今御指摘の、信用基金への民間出捐金の取り扱いを事業協会から中小企業事業団に移行する際にいかに取り扱うべきかということの問題の重要性を十分認識いたしておりますが、ただ、本件につきましては現在も、理論的な数字でございますけれども基金の総額を上回る保証残高がまだございます。  それから二番目に、御指摘のように、国庫と民間から五対一の割合で出捐金を拠出して基金をつくっておりますが、この民間の出捐金と国庫からの出捐金とを経理上どう整理をしながら取り扱っていいかという、こういう技術的な問題もございますので、そういった点を踏まえて検討してまいりたい、かように考えております。
  90. 辻一彦

    ○辻(一)分科員 最後に通産大臣から一言、決意を聞きたいと思います。  それは、北陸産地は合化繊では世界一の産地であり、輸出も随分やってきました。この産地がつぶれるようなことがあれば、日本の繊維産業はっぷれる、それだけのウエートを持っておると私は思う。したがって、どの産地も皆大事なので、それも支援をしていかなくてはならないと思いますが、北陸産地がつぶれれば日本の繊維産業はつぶれる、こういう認識、理解をしてもらって、この繊維産業の産地対策について十分な対策を講じていただきたい、このように思いますが、大臣の決意をひとつお伺いしたい。
  91. 堀内光雄

    ○堀内国務大臣 繊維産業は、現在、非常に景気の低迷や輸入の増大というようなもののために厳しい状況にあることは確かでございますが、その一方におきまして、関係者においては、将来発展のための真剣な取り組みが行われているわけでありまして、例えば、海外の繊維産地との直接交流、ローカル・ツー・ローカルというようなものが行われましたり、全国の産地のやる気のある企業が結集して統一展示会を開いたり等いろいろなことを行っております。かく言う私の地元も小さいながら織物の産地でございまして、これは二十一世紀にも伸びていく重要な産業であると私は認識をいたしております。  今後の政策のあり方につきましても、繊維産業審議会や産業構造審議会において昨年の九月から検討をしていただいておりますが、この検討の中におきましても、産地の方々、二十三の産地をそれぞれ役所としても直接訪問して意見を承ったり産地の方々からのいろいろの意見を伺う機会を設けたりいたしまして、こういう御意見を十分踏まえながら真剣にこの問題に取り組んでまいりたいと思っております。
  92. 辻一彦

    ○辻(一)分科員 繊維の問題は、時間があればもっともっとお伺いしたいのですが、これでひとつ切り上げたいと思います。  次に、通産大臣それからエネ庁の方にあわせてお尋ねしたいのです。  実は私の福井県、南の方の若狭地方は「もんじゅ」「ふげん」という問題の発電所を初め十五の発電所があり、その容量は千百八十万キロワット、約千二百万キロワット、大阪府と京都府の電力の全部をここから送っている。関西経済圏の半分近い電力は若狭、福井県から移出をしている、送っているという状況にあります。  したがって、発電所のある地元地域自治体は、立地集中地として非常に苦労している面が大変多いわけであります。例えば、放射能等が漏れた問題があると、海の生産物、水産物はどんどん暴落して売れなくなっていく。あるいは、夏場は若狭湾一帯には五百万からの海水浴のお客さんがありますが、民宿は全部キャンセルされる。こういうことで、風評だけでも非常な影響を受けている。  そういうような自治体がこの十五の原発の所在地にあるということを前提にして、安全、防災等に最優先して努力すると同時に、原子力に対する理解を深めるためにはこういう地域のいろいろな要望にもこたえる必要があろう、こういう点から以下の質問をしたいと思います。  まず運輸省に簡単に聞きますが、あの地域に、舞鶴から敦賀まで小浜線という鉄道がありますが、これだけ電力を送りながらまだディーゼルが走っているというまことに不可思議な状況なのですね。関西の五割近い電力を送っているにもかかわらず、その地域ではディーゼル車が走っているという理解できない状況です。これを今電化をやろうという動きがあるのですが、小浜線の電化、そしてそれにつながる上中リゾート新線がありますが、今それぞれ取り組んでおりますが、国としてどういう支援の道があるか、現状を簡単で結構ですから伺いたい。     〔安倍(晋)主査代理退席、主査着席〕
  93. 三ッ矢憲生

    ○三ツ矢説明員 お答え申し上げます。  一般論としまして、運輸省としましても、電化等鉄道の高速化工事は、幹線鉄道のネットワークの質の高度化でございますとか沿線地域の活性化に資する重要な事業であるというふうに認識しておるところでございます。  お話のございました小浜線の電化につきましては、地元におきましても事業化のために基金の創設に取り組まれるなど非常に熱心に取り組んでおられる。また、それを受けて、自治体とJR西日本との調整が進められておるというふうに聞いておるところでございます。運輸省としましても、今後この事業の採算性の見通しが確認されるなど関係者間における合意の見通しが立ちましたら、幹線鉄道等活性化事業費補助制度という補助の制度もございまして、その活用も含めまして適切に対処してまいりたいというふうに考えておるところでございます。  それから、リゾート新線でございますが、これは福井県のみならず滋賀県にもかかわる話でございます。両県を含みます地元自治体等の関係者間で現在調整が行われているというふうに聞いておるところでございますが、この調整が進みまして事業化の見通し等が確認された段階で、国としましてもどのような支援が可能であるか検討を進めまして対処してまいりたい、こういうふうに考えております。
  94. 辻一彦

    ○辻(一)分科員 もう一つ、幹線鉄道等活性化事業費補助によって実施している事業、実施中の事業を、項目だけで結構ですからちょっと挙げてください。
  95. 三ッ矢憲生

    ○三ツ矢説明員 お答え申し上げます。  幹線鉄道等活性化事業費補助によりまして実施しました事業、これはJR東日本の奥羽線、いわゆる山形ミニ新幹線でございますが、この新幹線直通運転化事業、それからJR北海道の石勝・根室線及び北越北線の高速化事業等がございます。  それから、現在実施中の事業としましては、JR北海道の宗谷線、それからJR九州の豊肥線の高速化事業、この二事業を現在実施しているところでございます。
  96. 辻一彦

    ○辻(一)分科員 今の幹線鉄道等活性化事業は挙げられたとおりですが、いま一つ、時間の点から私の方で要約して申し上げますが、福島県に会津鉄道という私鉄がありますが、福島県も福井、新潟と並んだ原子力の集中県になっておりますが、この十五・四キロの電化を数年前にやった経緯がありまして、そのときに、事業費は大体十六億、ところが、その中で電力移出交付金を活用して、県の方におろしたお金から十一億二千万、約七〇%がこれに支出をされている、支援をされているという先例がありますが、例えば福井県から同じような要望があったときにはどういうような扱いをすることができるかどうか、お尋ねしたい。
  97. 奥村裕一

    ○奥村政府委員 お答え申し上げます。  お尋ねの電力移出県等交付金の扱いでございますけれども、私どもといたしましては、最大限地元の御意向、自主性を尊重しておりまして、一義的には福井県当局の御判断によるというふうに考えております。  したがいまして、福井県御当局が当該事業への交付金の活用をしたいということで決定されまして私どもの方に申請がございました場合には、当省としても前向きに検討、対処してまいりたいというふうに思っております。
  98. 辻一彦

    ○辻(一)分科員 この機会にちょっと関連して聞きたいのですが、きょうはハードの話は抜きにしてソフトの話を申し上げてきたので、率直に聞きます。  電力を移出する県に対して電力移出交付金制度がつくられておりますが、天井は一千億キロワットアワー、こうなっておるのですね。ところが、例えば下の方の刻みを見ると、五十億キロワットアワーに対して一・五億円の刻みをつけて交付金を出しておるわけですね。ところが、福井県の場合は千百八十億キロワットアワー、約千二百億キロワットアワーですね、天井が一千億キロワットアワーで切られておるのですが、上の方にまだ三刻みないし四刻みがあるのですが。  原発を、これだけ電力を無理をして京都、大阪の電力を全部賄っているというような産地としては、上限を置いているけれども、下の刻みと同じように上に対しても電力に応じた交付金を支出されるべきではないか、私はそう思いますが、これについての見解をお尋ねしたいと思います。
  99. 奥村裕一

    ○奥村政府委員 御指摘の電力移出県等交付金につきましては、域内の発生電力量が消費電力量を一定の割合以上で上回る県に対しまして、電源立地の円滑化の観点から交付をしているものでございます。  私どもといたしましては、先生御指摘のような大規模な移出県の御要望も踏まえまして、平成年度から、先生今お尋ねの中にございましたような発佐電力量が十倍を上回る県につきましては、特例といたしまして、それまでは二十二・五億円という上限がございましたがこれを三十億円まで引き上げたところでございます。  いずれにいたしましても、現在当省といたしましては、昨年末の国連気候変動枠組条約第三回締約国会議、COP3を踏まえまして、今後の電力需給のあり方につきまして、現在電気事業審議会の需給部会におきまして検討をいただいているところでございまして、御指摘の電源地域振興策にりきましても、地元の御要望等も踏まえつつ、この中で総合的な検討を進めていくこととしておりまして、さらに議論を深めてまいりたいと思っております。
  100. 辻一彦

    ○辻(一)分科員 上限がそれで切られているということは、もう決まっているということは私よくわかっているのですが、下の刻みが五十億キロワットアワーで刻んでおるならば、上の方も、まだかなり多くの電力を送っておるのですから、それに対してどういうような基準で対応すべきなのかということですから、そういうことについて具体的に検討される用意があるかどうか、確認したい。
  101. 奥村裕一

    ○奥村政府委員 先ほど申しました電気事業審議会の需給部会におきまして、この問題についても検討を進めてまいりたいと思っております。現在審議会を開催中でございます。
  102. 辻一彦

    ○辻(一)分科員 最後に、これは通産大臣にひとつ決意のほどを伺いたいと思います。  それは、さっき申し上げましたが、私もソビエト、今のロシアのチェルノブイリの現地もいち早く、初めて西側から行ったと思うのですが、見てきましたし、アメリカのスリーマイル島にも行って随分と見てき、あと各国の、フランスやドイツ等の主な施設はほぼ見て回っておりますが、実は、日本で千二百万キロワット、十五基が一定の地域に集中しているのはほかにないと私は思っております。ただ、一地点で、一つの敷地の中に集中している度合いは、福島やあるいは新潟の場合は一つのサイト、敷地の中に集中しているのは大きなものがありますが、それは一千万キロワット前後だと思いますが、全体で千二百万キロワット、十五基が集中する地域は世界でもない。それだけの集中地になっている。  したがって、地元では発電所が一カ所あればもう電力は十分賄えるのに、それを十五持って関西に送っているということですから、そういう状況の中で、先ほどちょっと申し上げましたが、ディーゼル車が走っておるというようなことは、ちょっともうこれは考えられないことなので、やはり世界一の電力の産地が、せめて列車も電気で走る、電化されるのは当然であろうと思うのです。  こういうような地域の声もかなり踏まえないと、なかなか今原子力行政は簡単には進められない。やはり、地域住民のいろいろな理解を深め、支持のもとに今日の原子力行政は成り立ち得ると思うので、こういう強い電力生産地の声を踏まえて、ぜひ地域振興対策にも精いっぱいの努力をお願いしたい。  私は、ハードの面では、安全問題等はかなり厳しく二十数年取り組んでまいりましたから、これは今回の動燃法の法案審議等を通して、通産にも来ていただいて論議をするつもりでおりますが、きょうの問題について、大臣の気持ち、決意のほどを伺って終わりたいと思います。
  103. 堀内光雄

    ○堀内国務大臣 原子力発電所の周辺の市町村について、原子力立地に対する御理解あるいは御協力をいただくということは、これは極めて重要なことだというふうに思います。  従来から各種の交付金を周辺市町村にも交付をしたりいたしておりますが、特に電力移出県等の交付金、これはまさに広域的な地域振興のために県に対して交付をしているものでありますが、こういうものは非常に重要なことだと私も認識をいたしておりまして、こういう制度を効果的な活用をしなければならないというふうに思います。  そういう意味で、今までの基準にとらわれないで、さらにこの交付金の問題について柔軟に取り組みをするようなことを、今担当の事務方にも私の方でも指示をいたしておりまして、そういう際にいろいろと御意見を承りながら、その活用がうまくいけるような方法をとっていきたいというふうに思っております。  いずれにいたしましても、地域振興策のあり方については、電気事業審議会の需給部会において十分審議をしていただくことになっておりますので、こういうようなところにも、皆様の御要望を踏まえまして、原子力立地地域の発展のための効果的な対策になるようなものを考えてまいりたいと思っております。
  104. 辻一彦

    ○辻(一)分科員 では、時間でありますので以上で終わります。ありがとうございました。
  105. 中川昭一

    中川主査 これにて辻一彦君の質疑は終了いたしました。  次に、阪上善秀君。
  106. 阪上善秀

    阪上分科員 大規模小売店舗立地法案の関係についてお伺いをいたしてまいりたいと思います。  まず初めに、新しい大規模小売店舗規制の枠組みは、都市計画法の改正による立地規制と、周辺地域の生活環境保持のための新しい制度としての大規模小売店舗立地法の制定の二本柱となっており、大型店の立地配置については都市計画法の改正で対処し、交通渋滞、駐車場問題、ごみ問題、騒音問題等の周辺地域の生活環境の保持については大規模小売店舗立地法で調整するものと聞いております。  ポスト大店法の法制度の枠組みは、大規模小売店舗の規制の目的を、中小小売業の事業活動の機会の適正な確保から周辺地域の生活環境の保持、都市計画の中での町づくりの観点からの位置づけという視点へと転換してきたこと、二番目に、地方分権への転換を示したことが大きな特徴となっていると言われておりますが、具体的に、特に出店スキーム等について現行大店法とどのように違うのか、まずお伺いいたしたいと思います。
  107. 堀内光雄

    ○堀内国務大臣 大店法に対する政策につきましては、昨今の小売業を取り巻く環境というものの大きな変化に対応いたしまして、現行大店法による店舗の規模に着目した経済的規制、こういうようなものからの転換を図ってまいろうということであります。そして、地域社会と調和のとれた大型店の出店を確保するための実効性のある制度を構築しようというのが今度の大規模小売店舗立地法でございます。  具体的には、大規模小売店舗立地法の制定に加えまして、都市計画法の改正を含むゾーニングの手法を活用しようということであります。いわゆる交通渋滞だとかごみの問題だとかあるいは騒音だとか、いろいろな環境問題への対応及びその地域全体の計画的な地域づくりというものの整合性を確保しながら、政府としてはこういう必要な法整備をいたしていきたいということで今国会に提出をいたしたところでございます。  現行の大店法の調整は基本的には国の事務でありまして、国またはその委任を受けた都道府県が運用を担うようになっておりますが、新しいスキームの方では地域の実情に最も通じた市町村、こういう地方自治体がみずから運用の主体となって取り組むようにいたしておりますので、地域の考え方が十分に尊重される仕組みになっているというふうに考えております。
  108. 阪上善秀

    阪上分科員 次に、これらの審査対象項目は国の定める本法の指針に定める予定であると聞いております。具体的にどのような内容を指針に盛り込まれるのか、お伺いをいたしたいと思います。
  109. 岩田満泰

    ○岩田政府委員 お答え申し上げます。  指針におきましては、基本的には出店をされる方が出店に当たって配慮すべきこと、及び今回運用主体を基本的には都道府県に委任をいたしましたので、都道府県が調整と申しますか運用されるに当たって留意をしていただくべきことというような、大きく二つに分かれるような事項になると思います。  なお、今回御提案申し上げております法律案にも書かれているところでございますが、住民の生活の利便とかあるいは周辺の業務、商業その他の利便というような観点について、どのような利便と内容について考えるべきか、あるいは騒音というような形で生活環境が悪くなることを防止するという、悪くなるものを防止するというような観点でどういうようなことを考慮しなければならないかといったような点を指針において定めることを予定しておるわけでございます。
  110. 阪上善秀

    阪上分科員 さらに、指針を受けて地域の実情に通じた地方自治体が運用を行うものとされておりますが、これ自体地方分権を推進する上で大きな意味を持つものと思います。  しかしながら、具体的なナショナルスタンダードをあえて定めないだけに、地方自治体に権限を移行することについては運用面ではさまざまな問題が出てくるものと予想されますが、この点について政府はどのように考えておられるのか、お伺いをいたします。
  111. 岩田満泰

    ○岩田政府委員 ただいま大臣からも御答弁申し上げましたように、交通や環境問題あるいは地域づくりというような問題のテーマの性格にかんがみますと、地方自治体というものが中心的な役割を果たすというのはある意味で自然であり、当然であるということでございますが、他方におきまして、その運用の透明性でございますとか出店者にとっての予見の可能性でございますとか公平性、さらには国際ルールとの整合性というようなことも図らなければならないということでございます。  こういう観点から、提案をいたしております大店舗立地法におきましては、国が定める共通のルールと手続に基づいて、地方公共団体が個別のケースについて地方の実情に即して適切な対応を行っていただく、こういう仕組みを予定をいたしておるわけでございまして、指針の策定に当たりましては、地方自治体による大店立地法の円滑かつ適切な運用が確保されますように十分配慮をしていきたい、このように考えております。
  112. 阪上善秀

    阪上分科員 商工会議所、商工会は、地域の総合経済団体として特定の業種、業態、規模にかかわらず不偏の立場から公正な意見活動を行うもので、その事業の一つとして行政庁の諮問に応じて答申することが法定されております。また、各種の町づくり事業も展開をしておるところでございます。  大規模小売店舗立地法案における商工会議所及び商工会の位置づけについては、法文上、「商工会議所又は商工会その他の市町村に存する団体」としておられますが、これら両団体の役割の重要性を踏まえた上で、両団体を意見提出が期待される団体の代表格として明確化したものと思われますが、この点について通産大臣の見解を賜りたいと思います。
  113. 堀内光雄

    ○堀内国務大臣 商工会議所及び商工会は、地域の商工業の総合的な発展を図るための中核的な存在であるということでありますとともに、法文にも、地域社会一般の福祉の増進を図るということが商工会議所法のようなものにも載っているわけでありまして、大変重要な役割を担う団体ということになっております。  したがいまして、こういう観点から、大規模小売店舗立地法におきましても、大規模小売店舗の新増設に関しまして、その周辺の生活環境を保持する見地から都道府県に意見を提出することができるというか期待をされるというか、そういう団体の代表格として商工会議所及び商工会を法文上も明記をしたような次第でございます。  両団体が地域経済活性化や地域社会の発展のために今後とも積極的な役割を果たしていかれるということを大いに期待しているところでございます。
  114. 阪上善秀

    阪上分科員 次に、市街地活性化対策についてお伺いをいたします。  従来の個別施策の延長で対応できるものではなく、土地区画整理事業、市街地再開発事業、各種のインフラ整備事業といった都市整備と商業機能の活性化施策中心に置きながら、各省にまたがる関連分野の事業や税制、規制の見直し等の施策が総合的に推進されるものであることが重要であると認識をいたしております。  以上のような見地から、自由民主党の政調会において検討を重ねてまいりました。関係省庁を督促し、政治主導のもとで総合施策の構築を図ってきたところでございます。その結果、平成年度予算案には、各省合計で約一兆円と言われる事業規模中心市街地活性化対策関連予算が計上されております。また、今国会には、市街地の整備と商業等の活性化を一体的に進めるための中心市街地活性化法が提出されておるところでございます。  そこで、通産省としては、今回の予算措置、立法措置を通じて、これまでの商店街施策を拡充し空洞化の対策に当たるものと思われますが、通産省として講ずる具体的な措置についてお伺いをいたしたいと思います。
  115. 林康夫

    ○林(康)政府委員 お答え申し上げます。  御指摘のように、近年、消費者のニーズが大変多様化しているといった事象や、あるいはモータリゼーションの進展等大変著しい環境変化を背景といたしまして、特に商店街では空き店舗問題が深刻化しておりますし、中心市街地の商店街は特に大変厳しい経営環境に置かれているわけでございます。  こういった中で、今回講じたいろいろな施策で、従来の個々の商店街等に着目した対策に加えまして広く中心市街地全体を面としてとらえ、かつ一つのショッピングモールとしてもとらえて、市街地整備等の関連施策と連携しながら多様な規模、業種、業態の店舗、あるいはコミュニティー施設等の計画的な配置あるいは整備を促進するため各般の支援措置を講じようということでございまして、具体的には、中心市街地全体の商業の活性化を図る機関としましてTMO、タウンマネジメント機関と申しますがこれを市町村に設置していただいて、TMOが地元のコンセンサスを得ながら具体的な計画をつくっていただく、そしてその計画に基づいて商店街等が実施する施設の整備あるいはテナントの誘致等の事業に対して補助あるいは無利子融資、税制措置等による積極的な支援策を講じていくというのが全体の姿でございます。  具体的には、さまざまなTMOのつくる計画あるいは商店街の態様によって内容が変わってくると思いますけれども、その内容に対してフレキシブルに対応できる支援措置を講じよう、こういうのがその趣旨でございます。
  116. 阪上善秀

    阪上分科員 先ほど申されましたが、町づくりには、TMOとしては商工会議所あるいは商工会、第三セクター等がその主体となるものと聞いておりますが、地域によっては、高齢化の進行や中小企業者に見られる危機意識の欠乏等によって、事業者の町づくりへの一体感や組織力が不足しているところも少なくないと言われております。  国としては、人的支援や組織化のための指導援助、さらにはTMOの事業に対するハード、ソフト両面からの支援が必要と思われますが、通産省としてはどういう措置を講じていかれようとしておるのか。また、第三セクター方式によるTMOの場合は人材登用等の面で民間の柔軟な創造力等が十分生かされるよう市町村への指導が必要であると思われますが、お伺いいたします。
  117. 林康夫

    ○林(康)政府委員 お答え申し上げます。  まさに御指摘のように、今回の中心市街地対策がうまくいくかどうかというのは、まさに地元の意思、意欲にかかっていると考える次第でございます。  特に、中心市街地の小売商業の活性化のためには、先ほど申し上げましたように、商業地全体をとらえた総合的な計画整備が必要だという観点からTMOに期待するところが大きいわけですけれども、このTMOが地域の取り組み主体の企画力あるいはコンセンサスをどうやって形成できるか、そして活性化をできるかというところが成否の分かれ目になってくると考えるわけでございます。  御指摘のように、このTMOを、地元では商工会でもあるいは商工会議所でもあるいは第三セクターでも、いかなる組織でもつくっていただくことは可能なわけですけれども、ただその内容について、人材がそのポイントになるということはまさに御指摘のとおりでございまして、このために、私どもも人材対策については相当力を入れて対応しなければならないと考えるわけでございます。  具体的には、ハード事業、ソフト事業あるいはテナント管理等の一体的な実施に向けた戦略的な指導助言ができるような人材、これを養成をしなければいけないということで、実は専門家養成研修制度をつくっていこう、これが一つでございます。さはさりながら、直ちに人材を育成するといっても時間もかかることもありますので、とりあえず、現在いる町づくりの専門家を中小企業事業団に登録して、TMOに長期派遣が行えるような制度も創設していく必要があるだろうと思っております。  その際、御指摘の、民間側のいろいろな知恵をあるいは民間の人たちのいろいろな活力を活用して、特に都市計画づくりに専門的な知見のある方々を委嘱しながら町づくりの支援をやっていただくというような方法も考えていく必要があるのではないかと思っておりまして、人材の養成、そして活用という点を地元の要請に応じて対応できるような施策を展開していきたいと考えておるわけでございます。
  118. 阪上善秀

    阪上分科員 町づくり事業を官民一体となって進めていくためには、すぐれたリーダー、プランナー、コーディネーター、起業家等による人材が必要であると思います。我が国の市町村にはこの種の人材が極端に不足しておるのが現状ではないかな。  そのために、町を愛する人々の定住化のための条件整備を進めるとともに、商業者等の意識を高める研修等を実施する必要があると思います。中心市街地活性化のための長期的あるいは継続的取り組みに対応できるすぐれた人材を育成する必要があると思いますが、お伺いをいたします。
  119. 林康夫

    ○林(康)政府委員 先生御指摘のとおり、まさに町を愛し、町をどうやってつくるかという、その意欲のある人たちを育てていくということが大変重要でございまして、そういう観点から、先ほど申し上げました人材養成事業もかなり充実した内容をもって、時間がかかるとは思いますけれども、できるだけ意欲のある方々を町づくりの専門家に育てていきたいという観点から研修を組みたいと思っております。  ただ、申し上げましたように、直ちに着手したいというところもございますので、現に市井におられる専門家の皆様も活用する道を開きたいというのをもう一つの選択肢として考えているわけでございます。
  120. 阪上善秀

    阪上分科員 今回の中心市街地活性化施策は、市街地の整備と商業等の活性化を一体的に進めるとされるように、予算ベースで見ましても用意された施策のメニューは極めて広範多岐にわたり、十一省庁が関係するものとなっております。これらの各省にわたる施策を円滑かつ効果的に運用していくためには、施策相互間の調整や関係行政機関の有機的な連携が重要であると考えておるところでございます。  商店街振興施策の責任者としての通産大臣のリーダーシップは不可欠なものであると思っております。施策にかける大臣の決意をお伺いいたします。
  121. 堀内光雄

    ○堀内国務大臣 阪上先生の御意見のとおり、今回の中心市街地活性化対策というのは、地元市町村のイニシアチブを第一の前提といたしまして市街地の整備の改善、そういうものを一つ、片方においては商業等の活性化、こういうものを一つ、この二つを車の両輪にいたしまして、関係十一省庁による施策を重点的に講じていこうというものであります。施策効果が最大限発現できるようにするために、市町村が作成する地域の特性を生かしたすぐれた計画を前提にいたしまして、各省庁の施策を総合的かつ一体的に投入していくことが重要なことになってまいると思っております。  このために、現在、政府部内におきまして、通産省を所管として中心的に取り組んでまいりますが、通産省、建設省、自治省を中心といたしまして、地元市町村の利便性というものを確保するために窓口の一元化を図ったり、あるいは省庁間の十分な連携を図るための関係省庁の連絡協議会、こういうものを設置いたしたりすることにして準備を進めているところでございます。  地方公共団体を初め関係者の総力を挙げた取り組みのもとに中心市街地活性化が円滑に進められるように、関係各省庁間で十分に連携をとりながら最大限の支援を行ってまいりたいというふうに思っております。
  122. 阪上善秀

    阪上分科員 そこの一番隅におる人、ちょっと退出させてください。こら、起きんかい。まだ寝ている。
  123. 中川昭一

    中川主査 あなた、仕事ですか。職務で来ているの。
  124. 阪上善秀

    阪上分科員 前の人のときもずっと寝ておるのですよ。出てください。出てください、二人。
  125. 中川昭一

    中川主査 それじゃ、お休みできるんだったら退出してください。  阪上君。
  126. 阪上善秀

    阪上分科員 中心市街地の空洞化に対処するためには、各地域において、商工業など多様な都市機能を勘案して、中心市街地活性化の視点に立った都市計画の活用が極めて重要であると思います。このため、都道府県、市町村の両方の都市計画決定プロセスに、商工業関係者がより多く関与できるものとすべきであると信じております。  都市計画審議会委員には、公共的な地域総合経済団体である商工会議所の関係者がより多く就任できる仕組みにする必要があると思いますが、見解をお伺いいたしたいと思います。
  127. 中島正弘

    ○中島説明員 都市計画を決めます際に、公聴会を開いたり、案の縦覧、意見書の提出などに加えまして、お話のありましたように都市計画中央審議会に付議するという手続がございます。この審議会は、都道府県の場合は法定でございまして置かなければならないわけでありまして、市町村の場合も任意ではありますがほとんどの市町村、私どもの知る限り九割以上の市町村で審議会を既に設置されております。  いずれの審議会におきましても、私どもとしましては、学識の経験者、この場合の学識とは、都市計画に限らず、商工会議所の代表などを含めまして幅広い学識の経験者を含めるようにお願いをしておるところでありまして、現に数多くの審議会で、学識経験者として商工会議所などの代表の方が就任されていると承知をしております。都市計画を進めるに当たりましては、商工関係者を初め多くの立場の方々の意見を広く吸収、反映することが肝要であると承知をしております。  今後とも、適切な制度の運用を促進していくように努めてまいりたいと思います。  以上であります。
  128. 阪上善秀

    阪上分科員 我々、平成年度予算成立に、一日でも早く成立さすことが国家、天下のためだど頑張っておりますのに、このような大事なときに、二人の委員の質問のときに熟睡しておる役人の姿を見て、非常に怠慢である、緊張感がないと私は言わざるを得ないと思っております。大臣からもくれぐれも厳重に注意を促していただきたいと思いまして、私の質問を終わります。
  129. 中川昭一

    中川主査 これにて阪上善秀君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして通商産業省所管についての質疑は終了いたしました。  これにて本分科会の審査はすべて終了いたしました。  この際、一言ごあいさつを申し上げます。  分科員各位の御協力により、本分科会の議事を滞りなく終了することができました。ここに厚く御礼を申し上げます。  これにて散会いたします。     午後零時一分散会