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1998-03-19 第142回国会 衆議院 予算委員会第八分科会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    分科会平成十年三月十六日(月曜日)委員会 において、設置することに決した。 三月十九日  本分科員委員長指名で、次のとおり選任さ  れた。       小澤  潔君    村田 吉隆君       村山 達雄君    小林  守君       西川 知雄君    西村 眞悟君 三月十九日  小澤潔君が委員長指名で、主査選任され  た。 平成十年三月十九日(木曜日)     午後一時五十八分開議  出席分科員    主査 小澤  潔君       河井 克行君    村田 吉隆君       村山 達雄君    北脇 保之君       小林  守君    倉田 栄喜君       西川 知雄君    青山  丘君       東  祥三君    西村 眞悟君    兼務 上田 清司君 兼務 鍵田 節哉君    兼務 中桐 伸五君 兼務 永井 英慈君    兼務 細川 律夫君 兼務 吉田  治君    兼務 石田 勝之君 兼務 太田 昭宏君    兼務 福島  豊君 兼務 石井 郁子君    兼務 上原 康助君 兼務 保坂 展人君  出席国務大臣         建 設 大 臣 瓦   力君         国 務 大 臣        (国土庁長官)  亀井 久興君  出席政府委員         国土庁計画・調         整局長     河出 英治君         国土庁防災局長 山本 正堯君         建設大臣官房長 小野 邦久君         建設省建設経済         局長      五十嵐健之君         建設省都市局長 木下 博夫君         建設省河川局長 尾田 栄章君         建設省道路局長 佐藤 信彦君         建設省住宅局長 小川 忠男君  分科員外出席者         環境庁自然保護         局計画課長   小林  光君         国土庁長官官房         会計課長    高橋 健文君         大蔵省主計局主         計官      樋口俊一郎君         大蔵省主計局主         計官      勝 栄二郎君         気象庁地震火山         部地震予知情報         課長      吉田 明夫君         建設大臣官房会         計課長     河崎 広二君         参  考  人         (日本道路公団         理事)     黒川  弘君         予算委員会専門         員       大西  勉君     ————————————— 分科員の異動 三月十九日  辞任         補欠選任   村山 達雄君     河井 克行君   小林  守君     北脇 保之君   西川 知雄君     倉田 栄喜君   西村 眞悟君     青山  丘君 同日  辞任         補欠選任   河井 克行君     村山 達雄君   北脇 保之君     肥田美代子君   倉田 栄喜君     西川 知雄君   青山  丘君     武山百合子君 同日  辞任         補欠選任   肥田美代子君     小林  守君   武山百合子君     東  祥三君 同日  辞任         補欠選任   東  祥三君     武山百合子君 同日  辞任         補欠選任   武山百合子君     西村 眞悟君 同日  第一分科員太田昭宏君、第二分科員吉田治君、  第三分科員鍵田節哉君細川律夫君、第四分科  員石井郁子君、第五分科員上田清司君、保坂展  人君、第六分科員中桐伸五君、永井英慈君、第  七分科員石田勝之君、福島豊君及び上原康助君  が本分科兼務となった。     ————————————— 本日の会議に付した案件  平成十年度一般会計予算  平成十年度特別会計予算  平成十年度政府関係機関予算  〔総理府国土庁)及び建設省所管〕      ————◇—————
  2. 小澤潔

    小澤主査 これより予算委員会第八分科会を開会いたします。  私が、本分科会主査を務めることになりました。よろしくお願いいたします。  本分科会は、総理府所管国土庁並び建設省所管について審査を行うことになっております。  なお、両省庁所管事項説明は、両省庁審査の冒頭に聴取いたします。  平成十年度一般会計予算平成十年度特別会計予算及び平成十年度政府関係機関予算総理府所管国土庁について、政府から説明を聴取いたします。亀井国土庁長官
  3. 亀井久興

    亀井国務大臣 総理府所管のうち、国土庁平成十年度予算について、その概要を御説明いたします。  国土庁一般会計歳出予算は、四千三百五十九億六千三百万円を予定いたしております。  国土庁といたしましては、以上の予算によりまして、豊かでゆとりがあり、安心して暮らせる活力にあふれた社会の創造に向けた施策を積極的に推進してまいる所存であります。  次に、平成十年度予算の主要な内容は、  第一に、新しい全国総合開発計画効果的推進等国土計画推進  第二に、適正かつ合理的な土地利用確保等を図るための総合的土地対策推進  第三に、水資源開発及び有効利用促進等の総合的な水資源対策推進  第四に、首都機能の移転の具体化へ向けた検討及び三大都市圏基本計画策定等大都市圏整備推進  第五に、人口地方定住を促進し、国土の均衡ある発展と活力ある地域社会の形成を図るための地方振興推進  第六に、阪神淡路大震災の教訓を踏まえ、地震、津波、噴火、洪水等災害から国民の生命及び財産を守るための総合的な災害対策推進  第七に、人口及び産業の地方への分散と地域開発発展を図るための地域振興整備公団事業推進であります。  なお、事業別施策概要につきましては、お手元に配付しております平成十年度国土庁予算概要説明によりまして御承知を願いたいと存じま す。  よろしく御審議のほどお願いいたします。
  4. 小澤潔

    小澤主査 以上をもちまして総理府所管国土庁についての説明は終わりました。     —————————————
  5. 小澤潔

    小澤主査 この際、分科員各位に申し上げます。  質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力をお願いいたします。  なお、政府当局に申し上げます。  質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、これを許します。北脇保之君。
  6. 北脇保之

    北脇分科員 民友連北脇保之と申します。  私は、静岡県浜松市、静岡第八区の選出でございます。静岡県は、東海大地震がいつ来てもおかしくないということで、県民挙げて、自主防災組織の育成とか、また建築物耐震化、さまざまな地震対策に取り組んでおります。  顧みますと、東海大地震がいつ来てもおかしくないという学説が発表されたのが一九七六年、そしてそれを契機に大規模地震対策特別措置法が成立したのが一九七八年ということですから、もうそれ以来二十年を経過しようとしているというわけでございます。先般、阪神淡路大震災もあり、また改めて地震の恐ろしさ、被害の甚大さというものが再認識されているわけでございます。したがって、私の地元の静岡県の県民も、地震対策ということについてもう一度改めていろいろなことを見直しながら取り組んでいこう、こういうことでございます。  そこで、今、この東海大地震予知のために国においてはどのような観測網をしいて観測に当たられているか、それをお尋ねいたします。
  7. 吉田明夫

    吉田説明員 ただいまの御質問に対しましてお答えいたします。  気象庁では、東海地域及びその周辺に独自に設置しました地震計や地殻岩石ひずみ計などのデータに加えまして、科学技術庁防災科学技術研究所、東京大学、名古屋大学、それから建設省国土地理院、さらに通商産業省工業技術院地質調査所等、大学や国立研究機関などの地震地殻変動地下水等観測データをオンライン、リアルタイムで収集しまして二十四時間態勢で監視しています。そして、これらの観測データに異常があらわれた場合には、地震防災対策強化地域判定会を開催しまして、東海地震との関係を検討することとしています。  平成九年度には、前兆現象捕捉能力を高めるために地殻岩石ひずみ計を増設しまして、監視体制強化を図りました。さらに、平成十年度には、建設省国土地理院協力を得まして、GPS、汎地球測位システムデータ収集体制整備を行って地殻変動監視機能強化を図る計画です。  今後とも東海地震前兆現象をとらえるために努力をしてまいります。
  8. 北脇保之

    北脇分科員 それでは、ただいまの観測網に基づく観測データから、東海大地震切迫性ということについてどのような認識を持たれているか、今どういうデータが出ていて、それから判断するところでは、東海大地震切迫性ということについてどのようなことが言えるか、そこのところをお聞かせいただきたいと思います。
  9. 吉田明夫

    吉田説明員 東海地域の最近の地震活動に関して申しますと、固着域固着域と申しますのは、東海地震発生した場合に地震波の大きなエネルギーが放出されると推定されるところですけれども、その固着域周辺で、特に一昨年の平成八年十月五日、静岡県中部にマグニチュード四・四の地震発生しましたけれども、その地震の以後マグニチュード四クラスの地震固着域周辺発生が目立つように見えます。それから、固着域周辺発生しています地震活動地震の特徴をいろいろ調べまして、近年固着域状況が変わってきているのではないかというふうな考え方研究者から出されています。  一方、地殻変動観測では、フィリピン海プレートユーラシアプレートの下に沈み込んでいて、それが東海地震のそもそもの原因であるわけですけれども、そのフィリピン海プレート沈み込みに伴う地殻ひずみのエネルギーの蓄積が続いているというふうな結果が出ています。ということで、地震準備過程は現在も進行している、そういった認識であります。  ただ、今のところは、きょう、あすというふうな非常に切迫した異常な変化観測されていません。もし、そういうふうな異常な変化観測されますと、いつも持っていますこういったポケットベルで直ちに私のところに連絡が来るということになっています。そういった状況でありますので、きょう、あすというふうな状況にはないと考えています。  ただ、気象庁としましては、事態が急変する可能性考えまして、そういった気構え、心構えで監視をしております。
  10. 北脇保之

    北脇分科員 地震観測とか予知の問題というのは、非常に専門的な科学の領域だと思いますので、素人にはちょっとわかりにくい部分もあるのですが、わかりやすくお答えいただければと思うのです。  今のところ、きょう、あすというようなことを心配するような異常なデータはないということでございますけれども、そこで言っている、その異常なデータというのは例えばどういうことなのか、それがどんな状態になってきたら本当の意味の心配といいますか、そういうことの状態になってくるのか、わかりやすくお話をいただければと思います。
  11. 吉田明夫

    吉田説明員 お答えいたします。  昭和十九年に東南海地震発生しました。東南海地震と申しますのは、東海地震西隣震源域としました東海地震と同じ仕組みプレート境界巨大地震であります。その東南海地震の直前に顕著な地殻変動が生じたことが知られています。  その顕著な地殻変動というのは、プレート境界においてゆっくりとした滑り発生したことによって、その原因によってそういう地表付近地殻変動が生じたというふうに推定されているわけですけれども気象庁がこれまでいろいろシミュレーション等で検討してきた結果では、東南海地震のときに生じたと推定されているプレート境界のゆっくりとした滑りの三分の一程度規模滑りであっても現在の地殻変動観測網で検知できるというふうな結果が得られています。  したがいまして、東南海地震の際に観測されたと同様な地殻変動があらわれた場合には、予知は可能であるというふうに考えています。
  12. 北脇保之

    北脇分科員 ただいまの点なのですが、最近、本当に地震予知というのができるかどうかという議論がかなり盛んに行われております。その一つのきっかけになったものとして、私の理解では、昨年に出された文部省測地学審議会報告書、これは全体的には現状では地震予知実用化は困難であるというふうな報告になっているかと理解しております。  東海大地震については、今お話があったように、さきの東南海地震と同じような原因があって、そこから同じような前兆が生じて、同じような経過をたどっていくというようなことであれば予測は可能だという報告だと思います。ただ、その前兆現象というのはいろいろ複雑なので、次の東海大地震が仮に来るとしたときに、東南海地震と同じような前兆を伴って起きるのかどうかそれ自体ははっきりしない、その確率を推定することはできない、こういう報告になっているかと思うのです。  ですから、東海大地震に関しても、東南海地震と同じような前兆を伴って発生してくるならば今の体制予知が可能なのかもしれません。しかし、そういう前兆を伴わない場合もあり得ると考えたときに、本当に東海大地震予知は可能なのかという疑問があるわけです。この点についてどうお考えか、お答えいただきたいと思います。
  13. 吉田明夫

    吉田説明員 現在の地震予知考え方でいきまして、最も前兆現象として頼りとされる現象、こういった現象発生した場合には、現在の科学レベルでは前兆判断してもいいのではないかと考えられています。  先ほど申し上げましたけれども東南海地震のときにあらわれたとされていますゆっくりとした地殻変動、それはプレート境界でゆっくりとした滑り発生するというふうなことによると推定されるわけですけれども、そういったゆっくりとした滑りというものをきちんととらえるというふうな考え方で現在のところ予知監視体制を組み立てています。もしそういった前兆現象として判断されるゆっくりとした滑り東南海地震と同程度滑り発生しました場合には現在の観測網でもって十分検知できる、そういうふうに考えています。
  14. 北脇保之

    北脇分科員 今の御答弁でも、地震予知が可能な場合というのはある程度の前提を置いた場合というふうなことではないのかなと思うのです。もちろん、これは専門家議論ですから、専門家同士議論にまちたい部分が相当あるわけでございます。  ただ、いずれにしても、今の大規模地震対策法仕組みからしますと、地震防災対策強化地域判定会東海大地震が切迫しているという判断をしたときに、それが総理大臣のところに報告されて、閣議にかけて警戒宣言を出す、こういう仕組みができていることは言うまでもないわけですが、警戒宣言が出ると今の計画では、特に東海地方経済活動が大幅な規制を受けるわけです。例えば、新幹線とか東名などの高速道路がストップになってしまう、それから銀行や郵便局営業停止をする、そして電話などについても通話規制がかかるということで、これは大変大きな社会的な規制が働いてくるわけでございます。あるシンクタンクの計算によれば、警戒宣言が出ることによって、一日七千億円近い経済的損失が生ずるというような数字も出ているわけなのです。  その警戒宣言という措置社会的な影響重大性ということと、片や地震予知の現在の到達段階、これを比べたときに、果たして今の警戒宣言という仕組み、それをそのままにしておくということだけでいいのかどうかという疑問を持つわけでございます。  そこで、私の一つ提案は、地震予知ということが、二、三日のうちに東海大地震が来るという切迫した状態だということが明確に言えなくても、つまり白か黒かというと黒だという判定ができなくても、かなりの確度で大きな地震が来る、今想定されている東海大地震というものが来る危険性がある、言ってみれば灰色というような場合、そのときに例えば警戒宣言というところまで至らなくても注意報というような形のものを出して、それに応じた社会的な対応をしていく、そういう仕組みということを真剣に検討してもいいのじゃないかというふうに思います。この点については、前の地震防災対策強化地域判定会の会長をされていました茂木清夫さんも注意報ということについての提案をされております。  そこで、こういった注意報導入について気象庁はどのようにお考えになっているか、その点をお聞きいたします。
  15. 吉田明夫

    吉田説明員 御質問の御趣旨は大変よく理解しているわけですけれども、現在、技術的な観点から申しまして、実用的なレベル地震発生切迫性の度合いを段階分け、ランク分けしたり、それから、地震発生確率がどのくらいかということを定量的に求めてそれを示すということは極めて困難であるというふうに考えています。  ということで、現時点では、いわゆる注意報に結びつくような情報を切り分けて出していくということは難しい、そういうふうに考えています。
  16. 北脇保之

    北脇分科員 私は、切迫性段階を切り分けて、もう非常に黒に近いときに警戒宣言で、そうでもないとき、灰色のときに注意報、そういう意味ではなくて、むしろ警戒宣言を出すべきかどうかということに非常に迷うケースが恐らくあるのじゃないかと思うのです。  というのは、警戒宣言を一度出してしまって、そのときに、ではどういう言い方をするかというのはそのときにならないとわからないと思いますが、例えば、一週間以内に地震発生危険性が切迫しているというようなことを言って一週間たったら何もなかった、しかし、ではもう来なくなってしまったのかなということを考えるとどうも落ちつかないというようなことはあると思うのですね。その警戒宣言を二回か三回出したけれども、その後来なかったということが続いたとすると、まさに警戒宣言という措置といいますか手段というものに対する信頼度というものが失われてくると思うのですね。  ですから、それよりも、大地震発生するということが本当に、一〇〇%近く黒だということではなくても、ひょっとしたらあるかもしれないということでも注意報ということを出す。その場合であれば、例えば、それに付随する社会的規制というものも、新幹線東名も全部とめてしまうというようなことではなくて、例えばそれぞれの会社なり学校などで大規模地震発生したときの対応のマニュアルをもう一度確認し合うとか、家族でまた連絡し合うことをきちっと決めるとか、そういったソフトな対応をする、そういうことであればもしその注意報が空振りになっても国民の受けとめ方は平静だと思います。また次にそういうデータが出てきたときに注意報を発するということもできると思います。そういう意味で、行政的に考えて、社会的な影響をどういうふうに考えていくか、注意報というような措置、それも検討していくべきではないかというふうに思います。  そういう意味で、行政の方で防災を担当されている国土庁に、今の注意報という制度を持ち込むべきではないか、そういう議論についての見解をお聞きいたします。
  17. 山本正堯

    山本(正)政府委員 お答えをいたします。  ただいま気象庁さんの方からお話がございましたように、注意報といったような点について、技術的観点から、実用的なレベル切迫性程度段階分けする、あるいはまた量的に表現するというのは大変難しいというようなお話がございました。いつ、どこで、どの程度災害が起こるのかというのは、大変難しい予知の問題であろうかと思います。  私ども、先ほど先生がおっしゃいましたように、注意報導入という提案があることは十分承知をいたしております。警戒宣言等対応よりも緩やかな防災体制に結びつけるシステム提案ということでございますが、先ほど気象庁からも御説明ございましたように、現段階でいわゆる注意報に結びつく情報を提供することは大変困難だということでございまして、私どもは、情報の受け手である防災関係機関といたしまして、警戒宣言に基づき各種対策を講ずる現在の大規模地震対策特別措置法のスキームに基づきまして、万全を期していきたいというふうに考えておるところでございます。
  18. 北脇保之

    北脇分科員 今の大規模地震対策法の枠組みで努力していきたいということであったかと思うのですが、二十年前のことを振り返ってみると、当時の東大の石橋助手の大規模地震説というのが大変な衝撃を持って社会的に受けとめられたという事実はあったと思います。そして、その後、大規模地震対策特別措置法が成立するまでに非常に短期間であった。そのときに、とにかくこれは何とかしなくてはいけないということで、国会、そして政府を挙げての議論の中で非常に短い期間でこういう法律ができた。  しかし、その後、地震予知についての学問研究というものはずっと進んできて、それが、地震予知ができるということについて自信を深める方向学問研究が進んできたというよりは、むしろなかなか地震予知というのは難しいのだという方向学問研究の通説が動いてきているというふうに私は感じます。  それからまた、先ほど私が申し上げた警戒宣言というやり方、白か黒か判定をつけて社会経済活 動を大きくストップするような警戒宣言を発動していくというこのやり方、こういったものについて、この二十年という経過の中で、やはりもっと柔軟性を持って見直していくべきじゃないか、議論すべき点は棚上げしないで議論をしていくべきじゃないかというふうに思いますが、国土庁はこの点どのようにお考えでしょうか。
  19. 山本正堯

    山本(正)政府委員 ただいま先生から御指摘いただきましたように、警戒宣言を発令するということになりますと、新幹線がとまる、バスがとまる、いろいろな経済活動がとまるということで、地域に及ぼす影響は大変大きいということでございますので、警戒宣言を発するかどうかという判断は、これは気象庁さんの判定会判断を踏まえて内閣総理大臣報告され、内閣総理大臣が必要であるということを判断されたときに警戒宣言が発令される、こういう仕組みになっておるわけでございます。  先生の今おっしゃいましたように、注意報的な、あるいは灰色的な情報導入するようなことを考えたらどうか、こういう話でございますけれども、そういうふうな地震発生切迫性程度まで把握することは大変難しいという状況をお酌み取りいただきまして、私どもの現在の体制によって万全を期していきたい、こういうふうに考えておるところでございます。
  20. 北脇保之

    北脇分科員 行政当局の方の考え方としては、一つの立法をされた法律の枠の中という部分はどうしてもあろうかと思いますので、この辺はむしろ政治家議論といいますか国会での議論の役割が大きいかなというふうに思います。  もう一つちょっとお聞きしたいのですが、今の予知の話とはちょっと別の角度の話になりますが、阪神大震災のときに、米国のFEMAという組織、これは日本語に訳すといろいろな訳し方があると思いますが、連邦危機管理庁とかそんな言い方がされております。この組織は大変注目されました。そのポイントというのは、いざ震災が起きたときに一つ官庁、単独の官庁が現地に乗り込んで、そしてその関係のいろいろな組織を調整するということ、その機能というものがやはり非常に注目されたと思います。  それに対して、日本の大災害時の対策対応基本というのは、中央防災会議があって、緊急対策本部をつくって、そして関係省庁がその本部を構成していろいろやっていくという形なので、そのやり方だとどうしても縦割りの弊害を克服できない。やはり、大震災というときには、その対策は、ます情報の一元化、そして強力な調整機能、そういうものを持った組織が不可欠だと思います。  そういう意味で、お聞きしたいことは、阪神大震災直後には、FEMA的なものを日本行政組織の中にも組み込んでいくべきじゃないかというような議論がかなり表に出てきてあったと思うのですが、最近ちょっとその辺が、こういうふうには言いたくないのですが、世間的にはのど元を過ぎてしまうと議論が少し下火になるような感じがあるわけです。ですから、今の米国のFEMA的なもの、これを日本組織の中に取り込んでいくべきではないか、この点についての政府内部における検討がどのようになっているのか、これをお聞かせいただきたいと思います。
  21. 山本正堯

    山本(正)政府委員 お答え申し上げます。  御指摘のとおり、アメリカにおいて大災害あるいは緊急事態に対応する連邦支援の総合調整機能を行ういわゆる連邦緊急事態管理庁と申しますか、FEMAがございます。  それに対応しまして、また、私どもの方で、国土庁を中心にいたしまして、地震等の災害発生した場合には、迅速かつ的確な情報を一元的に収集し、それを伝達し、総合的な災害応急対策政府一丸となって実施する、こういう格好になってございます。  それにつきまして、私ども、FEMAの組織を十分に参考にさせていただきながら、我が国として取り入れられるものについては十分取り入れてAにおいての大規模災害発生時には、緊急事態支援チームがFEMA本部に設置をされまして、各十二の支援機能に分かれて災害応急対策を実施しておる、こういう状況でございます。我が国においても、緊急災害対策本部を設置をいたしまして、政府一丸となって関係省庁が集まって災害応急対策を行う。あるいはまた、緊急事態対応チームを現地にFEMAが設置するという体制になっておりますが、我が国におきましても、政府の現地対策本部を設置して、関係省庁一丸となって、あるいはまた、被災地方公共団体とも連絡調整をいたしまして、相互の情報の一元化を図り、連絡体制を十分やっておるという状況でございます。  FEMAについて、先日も私どもの職員を、担当官をFEMAに派遣いたしまして、向こうの担当責任者と打ち合わせをいたし意見交換をするなど、十分な情報交換をしているところでございます。今後ともそういう格好でやっていきたいというふうに考えておるところでございます。
  22. 北脇保之

    北脇分科員 最後になりましたが、国土庁長官にお尋ねいたします。  私も幾つかの提案をさせていただきましたが、東海大地震危険性というのは去らないわけでございますので、この東海大地震に対してどのように取り組んでいかれるか、国土庁長官のお考えをお聞きして質問を終わりたいと思います。
  23. 亀井久興

    亀井国務大臣 ただいま幾つかの御提案もいただいたところでございますけれども地震予知のことについても、警戒宣言が出される前の注意報というようなことが考えられないか、そのような御提言もあったところでございますが、気象庁の方からも御答弁があり、また、防災局長からも御答弁申し上げましたように、現状においては、なかなかそうした注意報を出すということについても難しいということでございますので、現在の法律にのっとって万全の体制をとってまいりたい、そのように思っておるところでございまして、大規模地震対策特別措置法に基づいて、もう既に御承知のように、静岡県を中心にいたしまして地震防災対策強化地域に指定をしております。観測及び測量の実施の強化を図っておるところでございます。  また、地震予知情報を受けまして内閣総理大臣警戒宣言を発した場合には、国、地方公共団体、民間事業者などがあらかじめ作成をいたしました地震防災計画に基づく各種の対策を講じてまいることにいたしておるところでございます。  さらに、避難地、避難路等の地震防災上緊急に整備すべき施設等の整備につきましては、国による財政上の特別措置を講ずることによりましてその進捗を図っているところでございます。  今申し上げましたように大規模地震対策特別措置法のこうしたスキームは大規模地震による被害を軽減するために総合的な対策を講ずるものでございまして、今後とも、国、地方公共団体、そして民間が緊密な連携を図りながら東海地震対策に万全を期してまいりたいと存じております。
  24. 北脇保之

    北脇分科員 どうもありがとうございました。
  25. 小澤潔

    小澤主査 御苦労さまでした。  これにて北脇保之君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして総理府所管国土庁についての質疑は終了いたしました。     —————————————
  26. 小澤潔

    小澤主査 次に、平成十年度一般会計予算平成十年度特別会計予算及び平成十年度政府関係機関予算建設省所管について、政府から説明を聴取いたします。瓦建設大臣。
  27. 瓦力

    ○瓦国務大臣 建設省関係平成十年度予算について、その概要を御説明いたします。  まず、一般会計予算は六兆三千百七十四億円を計上いたしておりますほか、道路整備特別会計、治水特別会計、都市開発資金融通特別会計、特定国有財産整備特別会計について、それぞれ所要額を計上しております。  また、財政投融資計画につきましては、当省関係の公庫公団等分として十三兆八千五百六十八億円を予定いたしております。  建設省といたしましては、以上の予算によりまして、二十一世紀に向けて豊かな生活と活力に満ちた経済社会を構築するための基盤となる質の高い住宅・社会資本整備を的確に推進してまいる所存であります。  特に、平成十年度におきましては、計画的な事業推進を図るため、道路整備五カ年計画及び急傾斜地崩壊対策事業五カ年計画を新たに策定するとともに、事業の効率的、効果的な実施を図りつつ、当面する政策課題に対応した住宅・社会資本整備を戦略的、重点的に推進していくことといたしております。  具体的には、  一、高規格幹線道路や地域高規格道路の整備、空港、港湾等への連絡を強化する道路整備など連携交流を支えるネットワークの重点的整備  二、都市基盤、居住環境の整備、交通環境の改善等による中心市街地の活性化など経済社会活動を支える都市と地域の再構築  三、ふるさとの下水道の整備、水と緑のネットワークの形成、水環境改善対策、交通渋滞対策など快適な暮らしを支える質の高い生活環境の創出  四、良質な公的住宅の的確な供給、高齢者向け住宅供給の推進、優良な宅地の安定供給など住生活の質の向上のための住宅宅地の整備  五、緊急土砂災害防止対策推進、橋梁、堤防、住宅等の補強や岩盤斜面対策推進、密集市街地の整備、床上浸水解消対策、緊急渇水対策推進防災公園等の整備など安全で安心できる国土づくり、地域づくりの推進 に重点を置くことといたしております。  なお、事業別の重点施策概要につきましては、お手元に配付しております平成十年度建設省関係予算概要説明によりまして御承知を願いたいと存じます。  以上、よろしく御審議のほどお願いいたします。
  28. 小澤潔

    小澤主査 以上をもちまして建設省所管についての説明は終わりました。     —————————————
  29. 小澤潔

    小澤主査 この際、政府当局に申し上げます。  質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いをいたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石井郁子さん。
  30. 石井郁子

    石井(郁)分科員 日本共産党の石井郁子でございます。  私は、大阪市の平野区というところに住んでおりまして、きょうは地元の公営住宅の問題について御質問させていただきます。  平野区役所の概要説明では、平野区は、市内東南部に位置し、各種の公営住宅が集中し宅地開発人口は市内第一位であり、さらに世帯数の三四%は府・市営の賃貸住宅であり、その五五%が第二種住宅である。また相対的な高齢化が進み、さらに母子世帯の構成比は大阪市第一位、大阪市平均の倍なんですね。被保護世帯の八一%は第二種公営住宅居住者であると分析しています。  これほど一つ行政区に公営住宅が集中をし、さらに旧法の第二種住宅が圧倒的という地域は全国に例を見ないと思います。ここまで公営住宅が集中した主な原因は、大阪市内でも際立って地価の安い地域に狭いが安い公営住宅を集中し、地方出身者などの居住地としてきたことにあるわけでございます。  ところで今、平野区の団地住民の皆さんから、家賃の改定の通知が来た、何で値上げになるのか、三年後には二倍の家賃にされている、このまま住み続けられるのか、不安だという声が寄せられています。  申し上げるまでもなく、第百三十六国会におきまして新しい公営住宅法が成立いたしました。我が党は問題点を指摘し反対したものであります。現在地方自治体の条例制定と合わせて新しい家賃制度などが居住者に通知されていますけれども、住民からの不満、新しい矛盾が広がっております。  そこで最初に大臣にお伺いいたします。この公営住宅法の改正目的はお年寄りや低所得者層を公営住宅から追い出すような目的ではないというふうに理解してよろしいでしょうか。
  31. 瓦力

    ○瓦国務大臣 石井委員から御地元の住宅事情を踏まえての切々たるお話でございました。  平成八年度に改正され、本年から施行されますいわゆる公営住宅法の改正に基づく作業でございますが、公営住宅は住宅に困窮する低所得者に対しまして低廉な家賃で賃貸をする、こういうことを目的といたしておるわけであります。よって、今回の改正につきまして、高齢化社会の到来を踏まえた上で、高齢者、障害者に配慮して入居資格を一般と比べて幅広く認める、さらに家賃につきましても、入居者の収入等に応じまして適切な負担となるよう新たな家賃制度を導入いたしたものでございます。これらによりまして高齢者、低額所得者等の真の住宅困窮者に対しまして的確な公営住宅の供給が図られるもの、かように考えておるわけでございます。
  32. 石井郁子

    石井(郁)分科員 どうも御丁寧にありがとうございました。  この法改正で家賃については応能応益を原則としています。収入に応じた家賃設定となりました。また近傍同種家賃が導入されました。この近傍同種家賃についてます具体的にお尋ねいたします。  この近傍同種家賃が適用されるのは、収入超過者に対して従来の割り増し賃料にかわるものとして考えたらよろしいのでしょうか。建設省住宅局が編さんした「QアンドA新しい公営住宅法」の説明どおり、基準を超えたら直ちに近傍同種の家賃とするのではなく、収入が上昇するにつれて家賃も上昇し、最終的には近傍同種となるということですね。どうでしょうか。
  33. 小川忠男

    ○小川政府委員 お答えいたします。  ただいま御指摘の近傍同種の家賃でございますが、お説のとおり、収入超過者あるいは高額所得者の家賃を算定する場合に計算式としましてその上限を画するというふうな一つのメルクマールとして近傍同種家賃というふうな概念を用いております。
  34. 石井郁子

    石井(郁)分科員 ところが、大阪市の条例改正で近傍同種家賃を設定したのですけれども、当初の公住法とは違う大変な矛盾が生じていると私たちは見ています。  建築後二十年、三十年前後を経過した中層住宅など、特に二Kなどの住宅に多いのですけれども、新公営住宅法の本来の入居者とした収入分位二五%の範囲、基本額の第三、第四区分で一気に近傍同種家賃まで引き上がることになっているわけでございます。例えば平野区の加美地域というところの二Kの市営住宅では近傍同種は三万一千三百円と設定されています。現在一万五千円の家賃である第三、第四区分の方々が一気に近傍同種に引き上がることになっているわけです。このような事例が平野区の団地では数多く見られるわけですね。このことは、収入に応じて家賃を決めるという新法に照らしても、また先ほどの近傍同種家賃の考え方からも矛盾していると言わざるを得ません。  そこで御質問ですけれども、このような事例というのは全国どこにでも起きているのでしょうか、それともこの大阪市の特殊なケースだと言えるのでしょうか、お答えいただきたいと思います。
  35. 小川忠男

    ○小川政府委員 若干の補足説明が必要かと思いますが、改正公営住宅法におきます家賃は、言うなれば応能主義といいますか、収入に応じた負担可能額を求めていくというふうな形で算出されるものでございます。  先ほど申し上げました近傍同種の家賃でございますが、先ほどの収入超過者ですとか高額所得者の家賃を算出する場合に、一種の理念型として、近似値として周辺の家賃を求めるというふうな算式でございます。したがいまして、負担可能額を 求めるというふうなところからアプローチする家賃の考え方と近似値として近傍の家賃相場を求めるというふうなことが必ずしも理論的に一致するわけではない。といいますのは、若干補足的に申し上げますと、例えば公営住宅の規模が極めて小さい場合であるとかあるいは建設してから極めて年数が経過しているというふうな場合には理論的には近傍同種の家賃は極めて低く算出されるというふうな計算式になっております。  したがいまして、こういうふうなケースというのは御地元の大阪市の場合だけではなくて、理論的には全国的に起こり得る現象であろうかと思います。ただ現実問題としてそういうふうなケースが頻発するのかどうかというのは、詳しい状況は申しわけございませんが承知いたしておりません。
  36. 石井郁子

    石井(郁)分科員 今理論的算定の仕方の問題を御説明いただきましたけれども、私はどうもまだ十分納得ができないわけであります。私これは家賃の算定方法にやはり矛盾や問題点があるのではないかというふうに考えざるを得ません。  そこで、法改正とともに政令で決められた家賃の算定方法に基づく係数がございますけれども地方公共団体がその地域の実態に沿って独自の裁量を持っているという部分というのはどんな内容なのでしょうか。
  37. 小川忠男

    ○小川政府委員 具体的な家賃は、収入をベースとしてはじき出されます家賃の算定基礎額に、住宅の便益をあらわします市町村の立地係数でございますとか、あるいは規模係数、経過年数係数、利便性係数と四つの係数を掛けて算出する、こういうふうな算式になっております。  今御説明いたしました係数のうちで前の三つ、市町村の立地係数ですとか規模係数、経過年数係数、これは全国一本で決まっております。ただ利便性をあらわします係数でございますいわゆる利便性係数でございますが、これは具体的なそれぞれの住宅の立地の場所に応じて同じ市町村内においても利便性は異なるというふうなことですとか、あるいは建物によって設備の度合い、使い勝手が違う等々の具体的な状況を反映させるというふうなことから公共団体が判断をして決めるというふうなことでございますので、この一点につきましては地域の実情に応じて公共団体が御判断されるというふうなことであろうかと思います。  それから、極めて特殊なケースでございますが、特異な制度でございますが、例えば収入が極めて低い方々でございますとかあるいは病気になったあるいは失業をしたというふうな特殊な場合には公共団体の判断で家賃を減免するというふうな手当てもしております。その減免の仕方については公共団体の御判断でされればよいというふうなことでございます。
  38. 石井郁子

    石井(郁)分科員 地方公共団体が持っている裁量の範囲というか、そういう内容もあるということがわかりました。しかし、この間大阪市当局はこのように言っているわけでございます。家賃設定には国基準が事細かに決められていて独自にはなかなか難しいというふうに私どもは聞いているんですね。政令で全国一律の家賃算定基礎額や各種の係数を決め縛りをかけているということはあるわけですね。  なぜ古い住宅などでも家賃が引き上がるのかという問題がやはり重大なわけで、ちょっと私も考えてみたのですけれども一つには経過年数係数〇・〇〇四四、これでは新築と二十年経た住宅が八%余りしか差がつかないということになってしまいます。  それから立地係数にも問題があると思うのですね。東京都は特別区ごとに立地係数を定めておりますけれども、同じく大都市と言えるこの大阪市が全市一律なわけでございます。大阪は政令指定都市ですよね。だから大変もう無理があるのです。平野区というのは、郡部地域との合併、また農地など地価が安かったからこそ大量の公営住宅が建設されたわけであります。その平野区の一・二五という係数、一方、高級住宅地で有名な兵庫県芦屋市の場合では一・一五なんですね。吹田市千里、ここも大変マンションとか住宅の多いところですけれども一・一です。平野区と隣接している八尾市、藤井寺市などでは一・○であります。本当に地域的な条件はそこと平野区とは変わりありません。そういう比較をしますとこの家賃実勢に合わないと言わなければなりません。だから大阪市は一方で、地価の安い地域の住宅には負担を軽減するために調整率というのを決めているわけでございます。  こういうふうに見ますとこの経過年数係数だとか立地係数などについての見直しというのは今後必要になるのではないかというふうに思われますけれども、どうでございましょうか。
  39. 小川忠男

    ○小川政府委員 現在全国で三千前後の公営住宅の管理者におきまして一斉に改定の大作業をやっております。したがいまして、少なくとも当面は今回の改正に伴います運用実態というふうなものを少し見きわめて、全国的にいろいろな状況を集約した上で仮に長期的に見て問題がある改善する余地があるというふうなことであるならば長期的には検討する問題というのもあるいは出てこようかと思います。
  40. 石井郁子

    石井(郁)分科員 現に私のところの例としてですけれども、そういう矛盾を申し上げましたので、これは恐らく全国的にもいろいろ出てくるんじゃないかと私は思います。そういう点では柔軟にというか将来見直しをぜひ御検討いただきたいというふうに思います。  次の問題なんですけれども、別の角度からもう一つお話をさせていただきます。平野区の一つの団地の実例を申し上げたいと思うのですね。瓜破府営住宅というのがございまして、千五百四十四戸ですけれども、この団地で四つの町内会を構成しています。この団地の高齢者世帯比率は三五・八%です。しかもそのうちの七割以上がお年寄り夫婦またはひとり暮らし。区内にはこのような団地が幾つもあるわけでございます。  若い人たちの姿の少ない町で活気がないとか、震災でもあれば不安で仕方がない、団地周りにあった個人商店が売り上げ激減で成り立たなくなっていく、だから近所からは商店が消えていくということがいろいろ起こっておりますし、そういう声が上げられているわけです。  ところが、公営住宅法の改正では、入居資格の適正化として、高齢者の基準とともに一般世帯は収入区分二五%までの入居を促進するという内容になっているわけですよね。そうしますと、この入居方針を進めていきますとこの団地はますます高齢者の団地と、低所得化の道を進むわけであります。地域の活力の低下あるいはコミュニティーとしてのあり方というのは大きな打撃を受けることになると予想されます。建設省の昭和六十三年の「特定目的公営住宅の供給について」の通達の中で、「良好なコミュニティーの形成に資するため、適宜入居の分散を図るものとする。」という項目がございまして、これは現在も有効だと私は思います。  そこで二つ御質問ですけれども一つは一般の入居基準を二五%から四〇%水準までに拡大するつもりはないかどうか。もう一つは、これら既設の団地の周辺に建設されている民間住宅を公営住宅として借り上げていく。入居を促進すれば地域の活性化にも役立つわけであります。都市部の高齢化が進んでいる団地周辺に傾斜配分すれば町は生き生きしてくるというふうになるのじゃないでしょうか。民間住宅借り上げの予算措置は今度の予算でどのようになっているのか。この二つをお聞かせください。
  41. 小川忠男

    ○小川政府委員 公営住宅に限らず公団住宅でもそうでございますが、団地がつくられて十年二十年たちますといろいろな意味でコミュニティーのありようについての問題が生じてきております。その意味では、すぐには改善されるわけではないと思いますが、やはり長期的な住宅政策のありようとしては、同じような形、入居者の団地ができるというふうなことではなくて、基本的には町としてあるいはコミュニティーとして通常の形での生活が行われる形態というのは私も望ましいと思 います。  ただ、今御指摘されました入居収入基準を二五%から四〇%に引き上げてというふうなことでございますが、基本的には私ども、前回の公営住宅法の改正におきまして、むしろ御意見とは逆でございますが、戦後五十年かかって二百数万戸を整備いたしました。これは多いと見るのか少ないと見るのか、五十年かかって二百万戸と見るのか、いろいろな議論はございますが、ただ、これは幾ら努力をしても三百万戸四百万戸というオーダーには私は絶対にならないと思います。したがいまして、今必要なのは、入居者を拡散するのではなくて、本当に必要な方に必要な時期にきちっとした形で公営住宅にお入りいただく。その意味では、どなたに入っていただくかをきちっとやはり枠をはめた上で最も適切な入居者を選ぶというふうな政策が必要であろうと思います。したがいまして、基本的には私どもといたしましては二五%を上限としているというふうなことについて変える考えはございません。  それから二番目の借り上げでございますが、公営住宅のありようとして民間がおつくりになった建物を借り上げるというのも一つの方策であろうかと思います。そういうふうなものを駆使しながら既存の団地の周辺に借り上げを配置していくというのも政策的にはあり得る判断だろうと私は思います。それはやはり公共団体で大いに知恵を出されれば結構でないかと私は思います。  それから、どの程度の戸数かというふうなことでございますが、財政構造改革のもとで若干予算が苦しいという状況もございます。そういうふうな中で必要な戸数を確保したいというふうな思いもございまして、借り上げ戸数でございますが、平成九年度に比べましてプラス一千戸の五千戸で予算をお願いしております。
  42. 石井郁子

    石井(郁)分科員 私はやはり将来的にこの民間住宅借り上げという要求というのは強まっていくだろうと思うのですね。ことし一千戸ですけれども、さらにもっとふやしていくということでぜひ取り組んでいただきたいというふうに思います。  最後になりましたが、大臣にもう一度お尋ねさせていただきます。  きょうは大阪市の幾つかの実例を私の地元ということでお示しをいたしましたけれども、今の局長の御答弁もありましたけれども、根本的にはなお公営住宅そのものがやはり不足している、私はそう考えるものであります。この五年間の平均で、大阪市営の住宅入居の競争率ですけれども、空き家住宅で二十倍です。新築住宅で五十六倍を超えているわけです。だから引き続き公営住宅の大量建設の推進はやはり必要だと思うわけですけれども、大臣にその点の御所見を承っておきたいと思います。  また、先ほど指摘しましたけれども、全国一律の家賃算定基礎額や立地係数あるいは経年係数ですね。今後の状況を見て見直しをする必要が生じた場合、遅滞なく見直しをするのかどうか。先ほどは前向きな御答弁もございましたけれども、その点も大臣の御見解を伺っておきたいと思います。  そして地方公共団体の独自裁量の幅をふやすことがやはり必要だというふうに私は考えますけれども、いかがでしょうか。  以上三点、ぜひ大臣から御答弁をお願いしたいと思います。
  43. 瓦力

    ○瓦国務大臣 石井郁子先生から何点かお尋ねございまして、公営住宅の建設戸数の拡大について所見を求められました。  低額所得者の居住の安定を図ることは大切なことでございます。このため公営住宅の供給促進に努めておるところでございまして、平成十年度予算案におきましても、財政構造改革という私どもの担う大変大事な課題のもとではございますが、民間住宅の借り上げ方式によるもの等も含めまして前年度と同水準の四万一千戸の戸数を確保することといたしております。この内数を見ますと、公営住宅で三万七千戸、高齢者向け優良賃貸住宅等につきましては四千戸、こういうことでございますし、地域の住宅需要に的確に対応した公営住宅等の供給を推進してまいりたいと思っております。  家賃算定にかかわる係数についてのお尋ねもございました。今後の制度移行後の施行状況を踏まえまして、改善すべき点が出てくれば、これまた局長から先ほど答弁もございましたが、将来的には見直しも含めまして検討してまいりたい、かように存じております。
  44. 石井郁子

    石井(郁)分科員 もう一点ございました、大臣の御答弁をお願いしている点。地方公共団体の裁量の問題です。
  45. 小川忠男

    ○小川政府委員 先ほどお答えいたしましたように、利便性係数のありようについて公共団体でいろいろ知恵を出していただければというふうに思います。
  46. 石井郁子

    石井(郁)分科員 きょうばいろいろとどうもありがとうございました。  私は、住民の暮らし、福祉を守り、活気ある地域をつくっていくために公営住宅法の見直しが必要だと考えておりますし、このことを強く要望いたしまして、きょうの質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
  47. 小澤潔

    小澤主査 御苦労さまでした。  これにて石井郁子さんの質疑は終了いたしました。  次に、青山丘君。
  48. 青山丘

    青山(丘)分科員 大臣もお疲れのところですから最初だけ、細かいことに入っていきますから後は少し、休憩と言うと失礼ですから、充実していただく意味で最初だけ。  久しぶりに分科会に立たせていただいて感激しています。  昨年八月、新たな道路整備五カ年計画が示されました。二十一世紀を目前に控えて、社会生活と経済活動が、人中心の視点に立って一層効果的、効率的に展開されるよう、道路政策目標が明らかにされたところであります。  そこで、新たな道路政策のポイント、昨年示されました新たな道路整備五カ年計画で盛り込まれている新しいポイントというのはどんなところでございましょうか。また、その中において名古屋圏はどのような位置づけになっていくのか。この点だけ、ひとつ大臣からお示しいただけますか。
  49. 瓦力

    ○瓦国務大臣 青山委員とは大変長いおつき合いもいただきまして、せっかくの御指名でございまして、大変ありがたいと思っております。  今委員から御指摘がありましたように、平成十年度を初年度とする新たな道路五計におきましては、一つは、新たな経済構造実現に向けた支援を行う、また二つ目に、活力ある地域づくり、都市づくりにウエートを置こう、また三つ目に、よりよい生活環境の確保、四つ目に、安心して住める国土の実現、こういったことを主要な施策の柱といたしまして、道路政策に重点的かつ計画的に取り組んでまいりたい。これが新しい二十一世紀にかける一つの道路整備であろう、私はこう思っております。  大都市圏におきましては、交通渋滞の緩和であるとか環境の保全など、国民生活の向上、社会経済活動の効率化を図るために、自動車交通需要を処理する自動車専用道路の整備が効果的、かように考えておるわけであります。  委員格別御心配になっておられます名古屋圏でございますが、二〇〇五年に国際博覧会の開催が予定されていることは十分承知をいたしておりまして、所要の道路整備計画的に進める必要がある、かように考えております。  このため、名古屋圏の自動車交通の円滑化に資する東海環状自動車道、第二東名・名神高速道路等の自動車専用道路網の整備を初めといたしまして、活力ある地域づくりを支援する道路整備につきまして積極的に取り組みたい、かように考えております。
  50. 青山丘

    青山(丘)分科員 今大臣からお話が出ましたように、私の地元瀬戸市では、周知のとおり、「新しい地球創造自然の叡知」をテーマに、二〇〇五年、国際博覧会が開催されることになりまし た。その内容については、現在博覧会協会においてさまざま検討されているところであります。私は、世界から高い評価を受けられる日本の博覧会として、情報を十分発信できるものと強く期待しております。  しかし、私は、博覧会を成功させる重要なファクター、これは周辺地域整備が大切だというふうに考えております。生活環境の整備をどうしても急いでいかなければならない。いろいろの理由があっておくれてきている部分も実はありまして、これは最後に時間があったらちょっと触れさせていただきます。  ともかく、具体的には、会場アクセス道路として、第一に名古屋瀬戸道路の建設があります。これが非常に重要な道路になってくると私は思います。第二に瀬戸大府東海線の建設の促進。第三が、東海環状自動車道は国際博覧会開催に合わせてぜひ完成していただきたいと思います。第四は、国道二十三号線名豊バイパスの拡幅事業推進していただきたいと思います。第五は、豊明市市道桜ケ丘沓掛線道路事業推進を図っていかなければならないと考えております。  これらは総合的に、地域の経済の発展、市民生活、国民生活の豊かさに十分関係してきますので、とりわけ万博開催という大きな事業を成功させていくためにも特段に取り組んでいただきたいと思いますが、建設省の取り組みの方針をひとつぜひ聞かせていただきたいと思います。
  51. 佐藤信彦

    ○佐藤(信彦)政府委員 万博会場へのアクセス道路等の御質問でございます。  ます初めに、名古屋瀬戸道路でございます。会場が瀬戸でございますので、今回のアクセス道路のメーンになるかと思いますが、名古屋瀬戸道路は、名古屋圏の自動車専用道路網を形成します重要な路線でございます。現在、地域高規格道路といった位置づけをさせていただいております。  このうち、西側の日進インターチェンジから長久手町と瀬戸市の境界の六キロにつきましては、現在、都市計画決定の手続中でございます。都市計画決定の手続が終了し次第、愛知県で事業に着手していくというふうに伺っております。それから一方、東側でございますので会場に近い方になるかと思いますが、長久手町、瀬戸市の境界から東海環状道路の瀬戸東ジャンクションまでの六キロ、これにつきましては、現在、都市計画決定に向けて地元に説明を行っているところでございまして、事業のスケジュールにつきましては、今後愛知県で検討していくというふうに伺っております。  したがいまして、今後も、関係団体の要望を踏まえまして必要な支援を行っていきたいというふうに思っております。  それから、瀬戸大府東海線でございます。主要地方道瀬戸大府線、瀬戸市を起点としまして東海市に至る三十九・四キロの主要幹線でございますが、現在、この慢性的な渋滞解消を図るため、愛知県におきまして国庫補助事業として、東郷町それから豊明市、大府市の間を四車化整備を行っているところでございます。建設省としましても引き続き、早期に整備が図られるよう努力していきたいというふうに思っております。  それから、東海環状道路の国際博覧会開催に合わせた完成、開通をというお話でございますが、東海環状道路、これは、名古屋都市圏の、半径大体三十から四十キロぐらいのところをぐるっと回っておりまして、全長では百六十キロでございます。したがいまして、先生おっしゃられているのは、その中の瀬戸周辺の、万博に関係しそうなところをどうするのだというお話かと思います。  これにつきましては、特に万博に関係してきます豊田−土岐間でございますが、これは、東名道とそれから中央道を直結します区間でございます。したがいまして、市街化や地域開発が進行しております愛知県の名古屋東部丘陵、それから岐阜県の東濃地域を通過するといったことでございまして、ここの地域の自動車専用道として重点的に整備推進しているところでございます。  ですが、博覧会開催に当たっての輸送計画、これがまだ、博覧会協会の中で委員会等を設けて詳細な調査が行われるというふうに伺っておりますので、これらの計画と調整を図って進めていきたいというふうに思っております。  それから、国道二十三号の名豊バイパスの拡幅ということでございます。名豊バイパスは、現在、豊橋東、豊橋、蒲郡、岡崎、知立といった五バイパスが進められておりますが、特に交通渋滞の激しい知立バイパスの拡幅ということではないかと思います。これにつきましては、現在、供用開始は大分前でございますが、かなり渋滞が激しいということで四車線化工事を行っております。現在までに、和泉インターから芦池インター、それから西中から一ツ木といった延長七キロについて四車線で供用しておりますが、それ以外の区間につきまして、さらに四車線化区間をふやすために整備を進めているといった状況でございます。  それから最後に、豊明市道の桜ケ丘沓掛線の道路改良でございます。これも豊明市道でございますので、桜ケ丘沓掛線の延長五キロの区間が幹線道路になっているわけでございますが、特に豊明市内における慢性渋滞を解消するといったことで、豊明市の栄町地内の二十三号バイパスとの交差部の立体化を含みますバイパス整備を促進しているところでございます。  いずれの路線にしましても、これから、万博会場の関係、あるいはこの周辺、名古屋でも東の方は非常に住宅整備が進んできているところでございまして、そういったことで、そこら辺の道路の整備を積極的に進めていきたいというふうに思っております。
  52. 青山丘

    青山(丘)分科員 ありがとうございます。  なお、詳細については、また改めて別の機会に直接お話をお願いをしたいと思います。  次に、国際博覧会を開催すれば、当然この地域は世界各国のお客様をお迎えすることになります。それにふさわしい町並み、美しい町並みが求められてまいります。そのためにも、国際博覧会開催時において重要な、名鉄瀬戸線瀬戸駅地区市街地再開発事業推進、それから、名鉄瀬戸線の中継地点の駅になりますが、尾張旭駅地区の市街地再開発事業推進、そして、町並みづくりとしての都市計画街路瀬戸大府線の建設促進、同じく町並みづくりとしての都市計画街路名古屋岡崎線道路新設事業、豊明市町並み町づくり支援施設整備事業、それから第六として、豊明前後駅南特定土地区画整備事業推進は不可欠であります。  さらに、潤いある町並みには公園緑地の整備が必要です。日進市野方三ツ池公園整備事業、大府市ニツ池公園整備事業、知多北部都市計画事業推進していただきたいと思います。  建設省のこれら取り組み方針について、ぜひお聞かせいただきたいと思います。
  53. 木下博夫

    ○木下政府委員 御質問のございました各種の事業については、詳細でございますので個々にお答えをするのはここでは控えたいと思いますが、何はともあれ、やはり今回の愛知の博覧会につきましては、大変地元で御熱心な検討を今なさっておられますし、私ども政府レベルでは、御案内のとおり平成七年の十二月にも閣議了解をいたしまして、国としての支援もいろいろ方向づけとしてはついてきております。  先生おっしゃられましたように、今回の博覧会の理念そのものは自然環境との共生ということでございますし、海外からもこの博覧会の開催については大変注目されておりますから、これを機会に、瀬戸市を中心とする地域におきましての各種施策がうまく整合性のとれた地域づくりにつながっていくことを我々も願っております。  お話のございました幾つかの事業は、それぞれ既に着手しているものもございますし、あるいは来年度の新規要望ということで地元の方から強い御要請をいただいているものもございますが、区画整理事業とかあるいは再開発事業、それぞれ私ども都市局の所管します事業としても大変重要な事業でございます。一方では、予算的にも、十年度予算が大変厳しいことも御承知であると思いますが、こういう一つのまとまった地域におきまし て、集中的に、計画的に事業を進めることによって地域を大きく変化するということは、私どもは、町づくりにおいては手法としてこれからも取り入れていきたいと思っています。  ちなみに、少し話がくどくなりますが、先般来、我々は、次世代都市整備事業というものをやろうとしております。これは、いろいろ新しい技術も取り込んで、次の世代につなげるような都市づくりというものをワンパッケージでまとめていくというようなことを考えておりますので、そういう意味では、今回の博覧会を機にいたしますこうした事業は、大きなエリアの中で、先生お話のございましたようなとらまえ方をしていき、今申し上げました各事業が整合性のとれるようにしていくことが重要であろうかと思っておりますので、基本考え方としては、そういう視点に立ちまして、各事業の促進にさらに一層拍車をかけてやっていきたい、こう思っております。
  54. 青山丘

    青山(丘)分科員 ありがとうございます。ぜひひとつ力強く進めていただきたい。経済社会情勢はなかなか厳しいかもしれませんが、ぜひ進めていただきたいと思います。  この国際博覧会の重要なテーマの一つに、環境があります。近代都市の環境整備状況を示すバロメーターとして、公共下水道の整備状況考えられます。先進諸国の中でも、日本は下水道普及率は低い。とりわけ国際博覧会が開催されようとしている瀬戸市を初め尾張旭市、日進市、豊明市、大府市、愛知部長久手町、東郷町の下水道普及率はかなり低いと考えられます。  環境博覧会でもある二〇〇五年国際博覧会開催までには、この地域が下水道整備においては日本の代表的な地域となってしまいます。国際博覧会ホスト地域としてふさわしい会場周辺地域となることができるのかどうか、環境をテーマとしながら、今、都市局長さんがお話しいただいたようなことでございますので、先進国に対して恥ずかしい日本の生活環境の水準の低さ、これを見破られてしまうのではないかと、実は私は地元であるだけに心配をしております。この地域における下水道整備事業をぜひ進めていただきたいと思います。いかがでしょうか。
  55. 木下博夫

    ○木下政府委員 下水道につきましての御質問でございますが、若干前置きになりますけれども、現在の全国の下水道普及率は、御承知かと思いますが、八年度末でございますが、五五%になっております。数字的に見ましても欧米諸国に比べまして大変立ちおくれておりますので、いろいろ御理解をいただきまして、私どもも下水道の促進を進めてまいりたいと思っております。  とりわけ人口五万未満の市町村につきましては、現在の下水道普及率は一八%となっておりますので、いろいろ課題は多うございますけれども、そうした普及率の大変おくれております人口の小さい市あるいは町、村に対して、私どもも力を入れていきたいと思っておりまして、第八次の下水道七カ年計画におきましても、総額で二十三兆七千億ということで、これによりまして、全国平均で平成十四年度末で約六六%、七割弱まで持っていきたいということで、一生懸命今やっておるところでございます。  御質問のございました今回の国際博覧会が開催されます瀬戸市周辺でございますが、少し細かくなりますが、せっかく市町村のお名前が出ましたので、少し普及率を申し上げさせていただきたいと思います。  八年度末で、先ほど申し上げました全国平均五五%に対しまして、瀬戸市で三一%、以下、尾張旭市で三〇%、日進市で二四%、豊明市で四一%、大府市で二五%、長久手町で一〇%、東郷町で一七%になっております。ちなみに、愛知県平均が四九%。申し上げておりまして、私、若干だんだん苦しくなってまいりましたが、全国平均に比べていずれも低くなっております。そのあたりから、先生も恐らく、さらにこの愛知県下を含めてしっかり下水道整備を図るようにという御趣旨だと思います。  今回の国際博覧会で、これは下水道面から見たわけでございますが、今申し上げました普及率がおくれておりまして、とりわけ瀬戸市の今回の博覧会の開催予定地は、現在の瀬戸市の公共下水道の予定処理区域、いわゆる全体計画区域に入ってございません。そんなところで、お話がございましたようなことで、世界の方々がいろいろ注目し、また博覧会の開催時期にはこの地においでになるわけでございます。期間的にも大変限られておりますけれども、地元では、何とかこの機にということで、伺いますと、先般から学識経験者などがおいでになりまして、昨年の暮れに新下水道計画検討委員会というのを設置されまして、建設省の下水道部の方からもこの委員会に参加させていただいておりますから、こういう検討委員会の中で、先ほど申し上げた博覧会のテーマにも沿った形で、下水道整備をどうやって進めていくのかということを至急詰めました上で、できる限りの準備をさせていただきたい、こういう考え方に立っております。
  56. 青山丘

    青山(丘)分科員 最後に、環境といいますと河川の環境を忘れることはできません。  特に、国際博覧会の会場である瀬戸市には、瀬戸川、矢田川、赤津川、屋戸川、吉田川、それから海の上と書いて、これは例の、カイショと読むのですが、海上川、北海上川など、自然環境や景観に配慮して整備すべき河川があります。これらの河川も、国際博覧会を開催するにふさわしい町の河川としてぜひ整備してまいらなければなりません。いかがでしょうか。
  57. 尾田栄章

    ○尾田政府委員 先生御指摘のとおり、海上の森自体、もともとと申しますか、明治以前ははげ山であったのを、お雇い技術者の指導のもとに砂防事業を進める、そういう中で今の海上の森になったわけでございます。  そういう意味合いで、まさにこの万博のテーマでございます「新しい地球創造自然の叡智」というテーマをある意味では現地に具現をしておる、そういうのが今先生の御指摘をいただいた河川の整備の問題だというふうに私どもとらえております。  瀬戸川、矢田川及び矢田川の支川でございまして、また先ほど申しました砂防の対象河川でもございます赤津川、屋戸川、吉田川、海上川、北海上川、こういう河川の整備に際しましても、河川が持っております自然環境の保全や整備、そういう河川本来の、日本の風土をつくってきたそういう機能に十分着目をいたしまして、周辺の環境に景観面でも十分調和を保った形で整備を行ってまいりたいと考えておるところでございます。この万博に合わせた形で整備を進めるよう、これから全力を挙げてまいりたいと考えておるところでございます。
  58. 青山丘

    青山(丘)分科員 国際博覧会の開催は地元市民にとっては大変関心の高いところでございます。実はここは私が生まれて育った町でございまして、この地元に博覧会が開催されることは、地元市民は大きな期待を持って見ております。ところが、一点だけ大変心配な点を持っておりまして、この点をひとつ、大臣、それから都市局長、河川局長、また道路局長も聞いておってもらった方がよかったのですが、ぜひ聞いていただきたいのは、陶器の町として千三百年の歴史を持っております。このことは後の世の私どもにとっては大きな誇りであり、名誉だと考えております。ところが、町づくりの点では、まさに自然発生的にできた町でございまして、都市計画が十分できなかった、非常におくれてきているという一面を実は持っております。  先ほど瀬戸川の話が出ましたが、瀬戸市全体再十平方キロの中の瀬戸川周辺のわずか五%にも満たないところに、人口の六〇%以上が密集して暮らしておりまして、生活も仕事も余暇も、すべてそこで暮らすという、生活の機能がなかなか分かれておらない。したがって、町づくりそのものが非常に難しかったというこれまでの歴史があります。しかし、それでも、世界の人たちがこれからあと七年先にはどっと来られるわけで、万博会場は立派だった、すばらしかった、さすがに日本の 技術はすごい、でも地元の町は汚かった、こう言われたくないというのが実は地元の私どもの切実な気持ちでございます。  その意味で、道路整備、それから都市計画を進めていただく都市局の仕事、公共下水道の点でも、また河川の整備でも、世界の人たちに見ていただく日本の象徴的な地域になるということをどうぞ御理解いただいて、ひとつ特段のお取り組みをお願いしたいと思います。  これで質問を終わります。
  59. 小澤潔

    小澤主査 これにて青山丘君の質疑は終了いたしました。  次に、石田勝之君。
  60. 石田勝之

    石田(勝)分科員 まず初めに、埼玉高速鉄道線の沿線整備について何点かお尋ねをいたします。  この埼玉高速鉄道線というのは、今、国会の下、溜池山王から赤羽岩淵まで南北線という地下鉄が開通をいたしております。埼玉では、当初、帝都高速度交通営団にお願いをして埼玉県内の十四・三キロを整備しようということであったわけでありますが、その営団の今の事業内容、あるいは将来は民営化になるのではないかというようなことから、六十二年、私が県会議員に当選したときでありますが、県が中心となって第三セクターでやるべきであるということを、私も県議会で主張した一人であります。そして、埼玉県、それから川口市、鳩ケ谷市、浦和市、この自治体三市及び営団、それから金融機関、交通機関等々、四十七機関が出資をして、西暦二〇〇〇年、平成十二年に開通、開業を目的として、今着々と工事が始まっているところでございます。  当初、建設費が二千五百億円で上がるということでありました。しかしながら、軟弱地盤等々もろもろの事情から約五百億円余分に建設費がかかるというふうなことで、各自治体も、県でいうと約二百三十億ですか、川口市が七十二億、鳩ケ谷が二十三億、余分に当初の予定より建設費がかかるということで、地方自治体が大変逼迫した財政事情の中でその建設費を捻出しなければいけないという課題になっておるわけであります。  それに伴って、これから質問をいたします新しい駅にアクセスする道路、街路だとか、さまざまな都市基盤整備をやっていかなければいけない。建設費も上がる、それから都市基盤整備もやらなければいけないということで、まさしく地方自治体の大変な重荷になりているというふうなことでございます。  そういうふうな中において、鉄道施設と整合性のとれた一体的な土地利用と、災害に強い町づくりを目指した都市基盤整備を現在進めておるところでございます。また、最終駅の浦和大門というところでありますが、この浦和大門周辺の浦和東部、岩槻南部地域において、自立性の高い埼玉の新しい都市づくりのための良好な都市環境を整え、魅力ある町づくりを現在進めておるところであります。  例えば、具体的には、この浦和大門周辺で三百二十ヘクタールの土地区画整理事業を行い、関連事業として県営サッカースタジアム、この県営サッカースタジアムというのは、日韓共催になりましたがワールドカップの主会場になるところでございます。その県営スタジアム、そして国道四百六十三号線バイパスをつくるものであります。  そこで、お尋ねをいたすわけでありますが、今申し上げました埼玉高速鉄道線の平成十二年の開業や、サッカースタジアム、これが二〇〇二年ワールドカップでありますから、平成十三年度中には開設をしなければいけないという限られた期間の中で、各種事業及び計画が今進められてきたわけであります。国においては、この沿線地域整備の重要性を十分に理解をしていただいて、鉄道の導入効果を高め、早期の沿線地域整備を図るためにも、現在施行中の都市計画事業及び道路事業に対し、重点かつ積極的な財政支援をお願いいたしておるところであります。浦和東部、岩槻南部地域整備を実現するために、当然土地区画整理事業の促進に御尽力をいただきたいわけでありますが、今申し上げましたように、ここがワールドカップの主会場に予定をされておるわけでありまして、埼玉県におきましては、国際アメニティータウンとして町づくりをやろうといたしておるわけであります。  そこで、大都市の整備は終わったのだ、埼玉もどちらかというと大都市の方じゃないか、大都市の整備は終わったのじゃないかというような意見が一部にあるわけであります。しかし、今申し上げましたように、鉄道が入れば、それに合わせて基盤整備をしなければいけないということで、都市部は都市部で抱える悩みというものもあるわけであります。そういう中で基盤整備をやっていかなければいけないということで、住都公団にやってほしいということで、地元でも要望をいたしておりますが、明確な御返事、御回答をいただいていない現況でございます。今申し上げましたようなことも含めて、前向きな御見解を賜ればありがたいと思っております。
  61. 五十嵐健之

    ○五十嵐政府委員 お答え申し上げます。  先生今御指摘の、浦和東部第二地区百八十ヘクタールあるいは岩槻南部地区七十ヘクタールの問題と思います。この区画整理事業につきましては、埼玉県あるいは浦和市、岩槻市、それぞれ事業化に向けて検討を進めておられます。住都公団に対しましても、一昨年になりますけれども、これらの公共団体から事業施行の要請がなされたと承知しております。  現在、公団といたしましては、いろいろな角度からの協議、お話し合いをしているところでありまして、地元との話し合いがまとまりますと、公団としましてもこの事業の見通しが持てるということになります。あるいは、土地利用転換を行いますので、関係機関との調整ということもあるわけでございます。そういったようなことを今進めているわけでありまして、地元との話し合いがどうまとまるかということにかかっているという状況にあろうかと思います。検討は今後とも進めてまいるということでございます。
  62. 木下博夫

    ○木下政府委員 区画整理事業につきましては今経済局長がお答えしましたが、先生の御質問は大変多岐にわたっておりますので、若干私の方からその他のことについてお答えしたいと思います。  おっしゃられるように今、大都市部分地方都市部分のそれぞれのいわば公共事業のあり方ということについていろいろ御議論あります。私どもも、やはりそれぞれ都市圏によっての問題が異なると思いますが、決して地方重視ということで大都市圏は手を抜こうということではございません。今までの、一つのいわば大都市圏、東京都という大きな町の中でいささか足りていないところもあろうかと思いますので、そこのところは我々の方も十分やってまいりたいと思います。その際に、お話のございました埼玉高速鉄道というのは、一つの町づくりを束ねるいいきっかけになっているのじゃなかろうかと思っておりますから、ぜひ計画予定期間中にこの事業が終わるように我々も側面的に応援させていただきたいと思いますし、それから、鉄道ができても、それに対するアクセスが足らないというお話もございましたので、そのあたりの関連の街路あるいは区画整理事業、これもやってまいりたいと思っております。  二〇〇二年のワールドカップ、これは、我が国としても、国際的に大変大きな打ち出し方をしていかなければいけない一つのイベントであろうと思いますから、その際の有力な会場となります浦和東部と岩槻南部地域整備というのがその中に含まれるわけでございますから、今経済局長が申し上げましたような公団との絡みもまだ調整するところが多々ございますけれども、我々の方も、地元の熱意を受けとめて御協議に臨んでまいりたいと思っております。
  63. 石田勝之

    石田(勝)分科員 ありがとうございます。  それでは、次に、街路整備についてお尋ねをいたしますが、埼玉の幹線街路のDID、DIDというのは人口集中地区ということでありますが、このDID地区内の整備水準というのは全国水準でも大変下位にございまして四八・四%、全国で四十七都道府県の中で四十位ということで、残念 ながら立ちおくれているわけであります。  連続立体交差事業、高速浦和戸田線関連街路及びさいたま新都心周辺街路等の大規模な街路事業を抱え、県もその対応に苦慮しているところであります。このさいたま新都心というのは、今大手町にあります、建設省でいうと関東地方建設局だとか、関東通産局だとか、関東財務局だとか、十八省庁が全部、大宮の国鉄清算事業団から県が買い求めた、そこの隣のところに移るということでありまして、そこが埼玉の中心地になっていくということで、県挙げて今整備をやっているところであります。  そこで、豊かで活力ある都市生活を支えるため、街路の整備を促進するために、埼玉県の街路事業の財政支援について特段の配慮をすべきと思いますが、御見解を伺いたいと思っております。  第一点は、先ほど冒頭触れさせていただきました埼玉高速鉄道関連の街路についてであります。今局長から御答弁をいただきまして大変ありがたく思っておりますが、この川口、鳩ケ谷及び浦和で全部で七つの駅ができるわけであります。その中で、区画整理等々で道路を出していくところもありまして、街路事業としては大体四つの駅が該当するわけであります。川口元郷駅、新井宿駅、鳩ケ谷中央駅、南鳩ケ谷駅、この四つの駅周辺を街路関連ということで目下進めておるところであります。そこにつきましての財政支援等につきまして、御見解を伺いたいと思っております。  次に、第二産業道路と言われる大宮東京線の広域的な幹線街路についてどうなっているのか、お答えをいただきたいと思います。  あわせて、東武鉄道伊勢崎線連続立体交差事業について、これまたお答えをいただきたいと思います。  昔、畑の中に鉄道をつくりました。ところが、その周りに人家がいっぱいできて、その道路ができました。渡ろうと思ってもあかずの踏切で、東武線を越えるだけでもかかるときは一時間ぐらい待たなければいけないということで、建設省にも御協力いただいて高架の事業を今鋭意進めているところであります。これらの問題等も含めて、御見解をいただければと思っております。  それから、高速浦和戸田線の関連の街路についても、あわせて御見解を伺いたいと思います。
  64. 木下博夫

    ○木下政府委員 お答えします。  四点ばかりに御質問が整理されると思いますが、一つは、先ほどございました埼玉高速鉄道に絡む関連の街路でございます。  細かくいろいろ先生お話にございましたように、新駅がます四つばかりできますが、それぞれの駅の周辺あるいはアクセスということで、街路とかあるいは駅前広場、さらには、この地域のやはり一つの特色ではなかろうかと私は判断いたしますが、自転車の駐車場を地下につくろうというようなことで、これは今街路事業などでお手伝いできるところは七年度以降やってまいっております。十二年度の開通を目指してということで高速鉄道の方も頑張っていらっしゃるようでございますから、これとのリンケージを十分念頭に置きながら整備してまいりたいと思っております。  それから、大宮東京線、いわゆる第二産業道路につきまして御質問がございました。もともとこの事業につきましても既に相当の進捗を見ておるわけでございますが、大宮東京線は、東京の県境から県中央部を縦断いたしまして埼玉のいわば重要な骨格をなす幹線街路だと認識しておりまして、大宮市から草加市まで約八・九キロということでございます。これも、先ほどお話ございましたような埼玉高速鉄道が開通いたします平成十二年までに何とか連携ができるように事業としては進めてまいりたいと思っております。  それから、東武鉄道の伊勢崎線の連続立体交差でございます。全国的にも大変この連続立体交差事業というのは御注文が多うございまして、予算的にもむしろ私どもはもう少し予算をたくさんいただかなければいけないのじゃないかと思うぐらいの御要望をいただいております。都市がいよいよこれから安定期を迎えまして、より内的充実を図っていくという中では、鉄道によって町が分断されるような悩み事もいろいろ地域におきましては聞いておりますので、ぜひこの連続立体をやりたいと思っております。  御質問のございました伊勢崎線の件につきましては、全体で十二・五キロ高架対象区間があると承知しておりますが、そのうち約十キロにつきましては、既に平成九年、昨年の春三月に高架の複々線化ということで供用していますので、残りの約二キロ余につきましてはできるだけ早く完成させたいと我々思っておりまして、一応目標としてはこれも平成十二年度としてまいりたいと思っております。  最後に、高速浦和戸田線の関連街路でございますが、これもいわば先ほどお話の出ましたような全体的な交通の円滑化に資する都市計画道路ということでございます。この春には高速浦和戸田線のうちの美女木ジャンクションから与野の間の二車線の暫定供用ができる運びになっております。あわせて、先ほどお話ございましたさいたま新都心の町開きを予定しております平成十二年春までには、その残りでございます四車線暫定供用、これもぜひ頑張ってやっていきたいということで、今重点的に予算をつけているところでございます。  以上でございます。
  65. 石田勝之

    石田(勝)分科員 ありがとうございます。  先ほど申し上げました特に地下鉄関連の埼玉高速鉄道線の周辺整備でございますが、第三セクターでやりまして、地方自治体の負担が非常に多い。それにあわせて建設費も多くなったということで、街路あるいは今局長からお話しいただいた駐輪場、自転車置き場、これは都市部の駅はどこへ行っても歩道が自転車で埋まってしまっているというふうな状況で、埼玉の京浜東北線の沿線も駐輪場なんかの整備にも随分力も入れているところでありますが、この地下鉄開適時にあわせて駐輪場をつくる。それからさらに、東京都内にあるような駅というのではなくて、駅広のある、本当に町づくりにつながる、東京の場合にはどこが地下鉄の入り口がわからないというのが随分あるわけでありますが、まさしく駅を中心として町の活性化を図っていこうというふうな駅広をつくって、そこへ街路、都市基盤も整備して、それで町の活性化へつなげていこうというふうなことでございますので、ぜひ鉄道の駅周辺整備におきましては特段の御高配をお願いしたいということで、重ねて申し上げておきたいと思います。  次に、下水道の促進について御質問をさせていただきます。  埼玉県の人口というのは、今六百七十万であります。今から十二年前は埼玉県の人口は五百四十万でありました。厚生省人口問題研究所の予測によりますと、西暦二〇二五年には埼玉県の人口が約九百五十万ぐらいに達するだろう。そのときには東京がトップで、二番目が神奈川県で、三番目が埼玉県になる、こういうふうに言われるわけでありまして、あと約三十年弱いたしますと、埼玉は大体人口一千万近くに成長するであろうということを厚生省人口問題研究所は予測をいたしておるわけであります。  そういう急激な増加に伴いまして、都市化の進展と下水道の整備おくれから、公共用の水域は著しく汚濁しているわけであります。きょうは河川の問題については直接触れませんが、河川の水質汚濁というのも大変な問題になっておるわけであります。その生活環境の改善と水質保全を図る必要があって下水道の整備のスピードアップが急務となっております。  さらに、川口市などについては、下水道事業に着手してからもう既に五十年もたってしまっているところもありますし、また全く下水が入らない、あと三十年、四十年しなければちょっと無理ではないかというようなところもあります。下太道が古くなってしまって、その老朽化した下水管を交換しなければいけないあるいは機能を更新しなければいけない、こういう改築の両方が必要となっているところもあります。それから、これか ら未整備のところを整備しなければいけないというようなところもあるわけでありまして、人口が急増した埼玉県の下水道整備をスピードアップするために下水道事業に対する特段の支援が必要と考えますが、その点についての御見解。  それから、二点目として、老朽化した施設について計画的、段階的な機能更新、改築を図るための所要事業費の確保を図る必要があると考えますが、国の考えと取り組みについて建設省の御見解を伺いたいと思います。
  66. 木下博夫

    ○木下政府委員 お答えします。  今先生お話ございました、埼玉は二〇二五年には九百万を超えるというお話を伺いまして、私も若干驚きといいますか、改めて認識をしたわけでございます。  御質問を受けるということで、実は昨日、埼玉県の人口なり下水道の普及率を若干担当者に調べてもらいました。先生承知だと思いますが、昭和四十年の埼玉県の人口が三百八万ということでございまして、その当時下水道の普及率が五%でございました。これを仮に一と置きかえますと、現在の、平成八年の人口は六百七十七万、約六百八十万でございますから、倍率で約二・二倍になっております。いろいろ先人の努力で現在の下水道普及率は一応六〇%までなっておりますから、倍率を比較するのはいささかあれだと思いますけれども、普及率の方で約十二倍となっております。  それからもう一つ、ぜひ申し上げたいのは、実は昭和の時代には埼玉県は全国の下水道普及率を下回っておりまして、ちなみに昭和六十年、一九八五年のときには埼玉県の普及率が三三%で全国三六%ですから、三ポイントぐらい低かったわけでございますが、平成になりますと、これは平成二年の数字で申し上げるのですが、全国が四四%に対して四六%。ですから、平成になりますと、埼玉県は御努力で全国平均を少しずつですが上回るほどの進捗になっています。ただ、それを上回るといいますか、それ以上の人口の伸びがあるわけでございますから、なかなか人口に見合う下水道普及率を確保していくというのは課題としてもこれは大変重かろうと思っております。  しかし、いずれにせよ、埼玉だけではなく、全国の下水道普及率を我々としてもしっかりやりたいと思っておりまして、先ほど青山先生のときにもお答えいたしましたが、我々は第八次下水道計画平成十四年に六六%強にしたいと思っております。このためには、一方では施工上の問題あるいはコストの問題などを十分検討、研究いたしまして、限られた予算でございますけれどもより普及率貢献に努めていきたいと思っております。  それから、二点目の老朽化の問題でございますが、これは下水道に限りませんけれども、それなりに各公共インフラがストックを増してまいりましたので、言うまでもなく、一方では新しい建設もこれからも引き続きやってまいらなければなりませんが、既に投資し完成した施設をいかに管理しあるいは一方で老朽化が生じているものをこなしていくか、転換していくか、更新していくかということは重要なことであろうかと思っております。  ちなみに、現在の八次の五カ年計画の中でも五つの課題を持っておりまして、一つは普及促進。それから一つは浸水対策、これは河川事業との連携などであります。それから三つ目には水質保全、高度処理。それから四つ目には下水道の資源あるいは施設を有効利用していく。それから五つ目には下水道施設の高度化でございまして、御質問のございましたのは、その五番目に申し上げました施設の高度化の中で、地震対策等もございますが、あわせて改築とか再構築、あるいは下水道の、今まで合流式でやってまいりましたのを分流化ということでございます。  数字的には必ずしもオーソライズされておりませんが、全体のおおむね一割を、あるいはそれを上回るぐらいは何とかこれに費やしていきたいと思っておりますが、恐らく私の想像では、この分野はこれからだんだんウエートは高まってくると思います。先ほどお話もございました、いわば更新ということについては、技術的な研究も大いにやらせていただきまして、施設として抜かりのないような管理をしてまいりたい、こう思っております。
  67. 石田勝之

    石田(勝)分科員 ぜひよろしくお願いしたいと思います。  最後に、市街地再開発事業の促進についてお尋ねをさせていただきたいと思います。  川口市など東京周辺部は、先ほど来申し上げておりますように、急速な人口増加に伴い、無秩序な市街地が形成されているため、道路などの基盤整備が不十分であります。また、それらの地域では、老朽建物が密集し、土地の有効利用がなされておらず、防災面や商店街の衰退など種々の問題を抱えておるわけであります。  そこで、市街地再開発事業は、このような地域において、道路などの基盤整備とあわせて土地の高度利用を図るものであり、防災性の向上や中心市街地の活性化を図る上で核となる事業として非常に重要な手法になっているわけであります。  そこでお尋ねをいたしますが、来年度の各種公共事業予算地方に集中的に投資されると聞いているわけでありますが、経済企画庁の新国民生活指標でも首都圏の各県が下位を占めているように、都心部はともかく、東京周辺の都市は地方と比較しても魅力的であるとは残念ながら言いがたいわけであります。人口の集中度を考慮すれば、むしろ生活基盤の改善にかかわる予算を集中的に投資されるべきであろうと思いますが、ますこの点、建設省の御見解を伺いたいと思います。  さらに具体的に、川口本町四丁目再開発というのがありますが、これについての御見解を承りたいと存じます。  また、埼玉県では、地元の調整などを行い、市街地再開発事業の補助採択に向けて準備をしている地区が数多くあります。国庫補助については、新規採択地区数が減少していると聞いておりますが、地元の機運の高まりぐあいにより進捗が大きく左右される事業でもあるため、中心市街地の活性化を図るためにも、必要な時期にぜひとも採択をされるのが一番ベストだ、かように思っております。  この二点について、建設省の御見解を伺いたいと思います。
  68. 木下博夫

    ○木下政府委員 公共投資の地域配分についての御質問が一点目にございました。  都市局長としてお答えするのはいささか大きいかもわかりませんが、考え方といたしましては、今までにも申し上げておると思いますが、基本的には都市部、地方部を問わずに国民がいわば生活の豊かさを実感できる、そういう社会の実現を目指してそれぞれの地域に合わせた社会資本の整備を我々やってまいっておりますし、これからもそれぞれの地域のニーズに対応していきたいと思っております。  各地域によっての課題が異なりますから、当然公共事業の配分の仕方も異なってこようと思いますが、先生の御質問のございました、特に既成市街地の活用というのは、今国会にも中心市街地対策というような関連の法案も出させていただいておりますから、それらによって、各地域が自分の町のいわば個性というものを自分みずからが考え、イニシアチブをとりながらやっていくという姿勢の中で、公共事業もお役に立てればと思っております。  それからもう一つ、具体的な川口市の再開発事業でございますが、これは先生も御承知かと思いますが、現在川口駅の周辺では、川口一丁目一番あるいは川口市の本町四丁目あるいは川口第五工区北という三つの地区でそれぞれ再開発事業をやらせていただいておりますが、とりわけ川口第五工区の北につきましては昨年の十一月に一応建築工事は完了しておりますから、残りの二地区につきましてもさらに拍車をかけてやってまいりたいと思いますが、今のところそれぞれ工事の完了時期は、平成十四、五年ごろを目指してやらせていただいております。  その際に、新規箇所が大変減っているから心配じゃないかというお話でございます。  確かに、今の都市の状況から申し上げますと、いわば既存の、既に投資してまいりました公共事業をできるだけ生かしていくような町づくり、それを我々は、既成市街地を中心とする従来の外縁型の都市政策、都市化時代から都市型社会への転換というふうに申しておりますが、まだなかなか世間には十分御理解いただいておりません。いずれにせよ、そういう中では、再開発事業というのは我々重要な仕事だというふうに認識しておりまして、大体御案内かと思いますが、箇所も毎年新規箇所で三十から四十ぐらい箇所づけをさせていただいておりますし、過去に採択をいたしましたのが現在動いておりますが、二百三十、四十ぐらいございます。  そうした箇所の中で、今お話のございました、例えば越谷、熊谷あるいは浦和等々埼玉の県下でもいろいろ御要請が出ております。ます地元のまとまりを我々十分見させていただきたいと思いますが、余り分散をして予算をつけるというのも事業効果が目に見えてこないというところもございますので、その辺は各実情に応じて、まさにおっしゃられたように一番効果のあるタイミングで投資をしていくということは言うまでもないことでありますから、御指摘のところを十分心して、予算配分に努めてまいりたいと思っております。
  69. 石田勝之

    石田(勝)分科員 ありがとうございました。  以上で質問を終わります。
  70. 小澤潔

    小澤主査 御苦労さまでした。  これにて石田勝之君の質疑は終了いたしました。  次に、倉田栄喜君。
  71. 倉田栄喜

    倉田分科員 平和・改革の倉田でございます。  私は、河川管理についてお尋ねをいたしたいと思います。  ます、河川管理のいわゆる地方分権の視点から大臣にお尋ねをしておきたいと思いますが、河川管理の事務区分につきましては、地方分権推進委員会で、当該河川の管理事務を法定受託事務とするか自治事務とするか議論があったと承知をいたしております。  結論的には、分権という視点から考えると、現在の河川法第七条等現行法の枠内での結論しか出ていないのではないのか、そのように思ったわけであります。  すなわち、一級河川の指定区間及び二級河川の河川管理事務は法定受託事務に、そして準用河川の河川管理事務は自治事務にということで、地方分権推進委員会からの勧告がなされております。  中央から地方へというこの分権の基本的な方向考えるならば、私は、この整理ではなお不十分なのではないか、こう思うわけでありますけれども、河川管理という問題に関して分権という基本視点でとらえるならば今後どうあるべきなのか、大臣御自身の基本的な所見をますお尋ねしておきたいと思います。     〔主査退席、村田(吉)主査代理着席〕
  72. 瓦力

    ○瓦国務大臣 倉田先生から河川管理についてのお尋ねでございまして、御案内のとおり、国民の生命財産を守る、かような観点からいたしますと、国の役割は極めて大きいわけでございまして、河川管理における国の役割、このことは大きい、かように認識をいたしております。  一方、各河川の具体的な管理について、国と地方がそれぞれ役割を分担しながら行ってきたところでございますが、委員御指摘のように、昨年の河川法の改正によりまして、知事による河川整備計画の策定制度の創設、河川整備地域の意見を反映させるための制度の創設、二級河川の河川工事に係る国の認可の原則廃止などの措置も講じたところでございます。  今後とも、地域の意向というものが十分に反映される河川行政、このことがつとに大切である、こう心得て推進してまいりたいと考えております。
  73. 倉田栄喜

    倉田分科員 今大臣にお答えをいただきましたように、河川法、これは根本的なところでありますけれども、河川のもたらす災害から国民の生命、健康を守ることが極めて重要な国の責務である。河川法はこれをもとに成り立っていると思いますし、大臣も今その趣旨でお答えいただきました。  私が問題提起をいたしたいのは、今大臣がお答えになった河川のもたらす災害から国民の生命、財産を守らなければならないということ、これは行政の責務として当然のことだと思いますが、この責務というのは国が一番果たせるのかどうか、国の責務でなければならないのか。今までさまざまな議論があったことは承知をしておりますけれども、河川に身近な地方あるいはその流域地域の方が、まさに自分たちの生命、財産の話なわけでありますから、危機意識、問題意識を持って十分に守るという対応ができるのではないのか。原則的に身近なものがより優先する行政の原則というのもあるはずであります。そうだとすれば、私は国民の生命、財産を守るのが責務だということはわかりますけれども、その責務は果たして国でなければならないのかどうか、この点についてはどういうふうにお考えでしょうか。
  74. 尾田栄章

    ○尾田政府委員 ただいま先生御指摘のとおり国民の生命、財産をだれが守るのかという議論でございますが、特に我が国の河川、これはヨーロッパあるいはアメリカ等々の河川と比べますと、治水の問題というのをどうしても捨象できない、ここにまさに我が国の河川の特色があるわけでございます。そういう中で国と地方がどういう形で責任分担をするのがいいのかというのが一番ベースの議論にあろうかと思います。特に二級河川のあり方につきまして自治事務でいいのではないかという議論も随分いたしました。  そういう中で、最終的にたどり着きました結論といたしましては、河川管理、特に洪水に関します最終的な責任という問題につきましては国が負う。これは例えば二級河川でも、非常に大きな大災害が起きますと、とても一地方、一県の中では、関東近県の大県においても処理できないというような事例も生じたりいたしております。そういう中で最終的な責任は国が負う、そういう枠組みの中で、ただ個別の、日々の管理の中で地方にお願いできる、そういうものについてはできる限り地方の方に分権をしていく。先ほど大臣から御答弁を申しましたとおり、昨年の河川法改正の中におきましてもそういう考え方に基づきまして大胆に取り組んでおるところでございます。
  75. 倉田栄喜

    倉田分科員 昨年の河川法改正のときにこの議論が行われたということも承知をいたしております。  今お答えにありましたように、それぞれの地域あるいは地方自治体でとてもとても対応できない大災害が起これば、それは当然国の責務でなければならない。それは最終的な問題としてはもちろんそうなんです、国民の生命、健康、財産を守るというのは国の責任なんですから。  ただ一級河川とか、先ほど申し上げましたような法定受託事務の範囲になっている河川を最終的に国の責任があるからということで全面的に全部管理するということで、さまざまなことまでいわゆる国、建設省が直接やらなければいけないものなのかどうか。今お答えの中にありましたように、分権の流れの中で流域自治体あるいはその川の地方自治体の中にもっと全面的に任せた方がよりよい管理ができるケースがあるんだと思うんです。昨年の河川法の改正で環境という問題も入ったということも承知をいたしております。その点をぜひ、今お答えにありました分権という大きな流れの中でさらに検討を重ねていただきたい、こう思うんです。要は、国民の生命、健康、財産、最終的には国の責任だけれども、その前に、よりよく守れるにはどういうシステムが必要なのか、どういう体制がよりベターなのか、こう思うわけです。  同時に、今回地方分権推進委員会の勧告の中で法定受託事務とされるもう一つ、これは河川管理の基本的なことだと思いますけれども、いわゆる水系一貫主義ということがあります。水系一貫と いう観点から、治水安全度や水資源利用の合理性の確保、こういう観点から国が管理する、こういうふうに言われて、一級河川等々は国の管理だ、それで法定受託事務だ、こうなっているわけですけれども、この問題も、じゃ水系一貫主義ということが妥当なのかどうか、そして水系一貫主義だとしても国でなければ果たしてできないのか。流域ということを考えたら私はそうでもないみたいに思うわけでありますけれども、この水系一貫主義ということに関してはどうお考えですか。
  76. 尾田栄章

    ○尾田政府委員 私は、水系一貫主義、その考え方自体が日本の河川の特性そのものをあらわしているというふうに考えております。ヨーロッパ、欧米の河川では、地先主義と申しますか、それぞれの地先で守ればいい。治水対策としてはそういう形でいいわけでありますが、日本のように、水田、水域をひっくるめて都市も平野部も、山から出たところを海まで一貫して治水対策を講じなければならない、こういうところにおきましては水系全体を一貫した形で物を見るということが大変大事だというふうに考えております。  とは申しましても、水系一貫をして物を見るわけではございますが、直接のいろいろな管理に関しては、国、地方、それぞれ役割分担をして行うということが大事だと思っています。例えば一級河川について申しますと、直轄管理区間の延長が約一万キロでございます。それに対しまして、同じ一級河川でございますが、県知事さんが管理をされております指定区間、これが約七万七千キロございます。ですから、そういう意味合いでは、同じ一級水系の中でも、思想としては水系一貫で管理をいたしておりますが、それぞれの実態管理は、国、地方が分かれてそれぞれの責任において管理をしておる、こういう体系になっております。  そしてまた直轄管理と申しましても、ともすれば、すべて東京で何かコントロールをしておる、こういう形で見られがちでございますが、先生よく御承知いただいておりますとおり、現地にそれぞれ工事事務所を設けておりまして、そこが地元の皆さん方の御意見を十分聞きながらいろいろな計画をつくり、工事を進め、あるいは管理をする、こういう体制でございまして、それぞれの行政目的に合わせて分担をしながら管理をしておるというように考えております。
  77. 倉田栄喜

    倉田分科員 その現地の工事事務所の話はまた後でちょっとお伺いさせていただきたいと思いますが、大臣、今質問させていただいたことで、私がお尋ねしたがったことは少しおわかりいただけたかと思うんですけれども、先ほど大臣は、住民の声を反映をするということで御答弁をいただきました。私は、河川流域あるいは地域住民の声を反映して、迅速かつ適切な危機管理を実現するためにも、国で一元的に管理するよりも地域あるいは流域地域で管理した方がより適切なのではないのか、そういう気がいたしておりますが、大臣、この流域管理ということについてはどうお考えでございますか。
  78. 瓦力

    ○瓦国務大臣 ただいま倉田委員と河川局長の御質問答弁で、それぞれ意が尽くされたかと思うわけでございますが、管理は基本的に、いわゆる重要度の高い一部の河川についてでございますが、各地域の、各流域の地方建設局であるとか工事事務所が担当しておるわけであります。  いわゆる国と地方がお互いに役割を分担をしながら取り組んでいく、そして流域ごとにその状況に応じて特色のある管理が行われるよう、河川整備計画への地域の意見の反映であるとか、渇水調整、河川環境の保全等のための協議会の設置であるとか、各流域における今申し上げたような工事事務所を中心にいろいろ行っているところでございます。  いずれにいたしましても、今後とも地域の意向が十分に反映されていくように努めなければならない、こう考えるわけでありまして、治水、利水、環境保全に適切に対応するためにそれぞれに配慮した川づくりの推進に全力を挙げて取り組んでまいりたい、こう考えます。
  79. 倉田栄喜

    倉田分科員 最終的に国民の生命、健康、財産というのを災害から守るということが行政の責任であるということはそのとおりだとしても、じゃ、いかによりよく守るか、いかによりよく適切迅速に対応していくのかということでいえば、私は、分権という大きな流れの中でやはり考えていくべきであろう、こう考えております。  その手段として流域管理というものがあり得る。水系一貫ということがあるとしても、例えばフランスとかドイツとか、場合によっては国を超えて流域管理体制がしかれている。我が国の中にも市町村を超えて流域で一つのその川を管理していきましょう、そういう流れは現実にあるわけであります。  国の責任であるあるいは水系一貫主義だということで全部が全部国でやらなければならないということではないだろう。もっとより身近に、より適切に、より迅速に、そして地域地域、まさにその川が持っている特殊性というのはその河川の流域に住んでいる方々が一番身近に認識されておられるのだろうと思いますので、先ほども大臣からお答えいただきましたけれども、分権という流れの中で河川管理も大胆に進めていただきたい、これは特に要望を申し上げておきたいと思います。  そこで、ちょっと具体的な事例でお尋ねをさせていただきたいと思いますが、熊本の白川、かつて大災害を、大水害を起こしたことがございました。この白川、熊本市街部の白川河川の河川改修について平成十年度あるいはそれ以降の予定というのはどのようになっておりますか。
  80. 尾田栄章

    ○尾田政府委員 ただいまお尋ねの白川でございますが、先生御指摘のとおり昭和二十八年に大水害を受けたところでございまして、その後、昭和五十五年、平成二年と大きな洪水被害を受けてきておるところでございます。特に、熊本市内を流れるということでございまして、これの流下能力をふやすということを最大の眼目にして現在工事を進めておるところでございます。  現在最も懸案となっておりますところは熊本市街地の大甲橋から子飼橋の区間でございまして、この区間につきましては引き堤計画を持っております。ところが、このところは川沿いの樹木があって市民からも大変愛されている、こういうところでございまして、この計画をいかに進めるかというのが大変大問題でございましたが、おかげさまで、昨年三月からこの区間の改修方式につきまして地域に受け入れられる計画を、熊本県、熊本市、そして地元の有識者の会、これはそれぞれ別個でございますが、そこで検討いただきまして、六月に公表に至ったところでございます。この計画そのものが地域にこれからいかに受け入れていただけるかというのが我々としては一番大きな問題だ、課題だ、こう受けとめておるところでございます。
  81. 倉田栄喜

    倉田分科員 この白川の河川改修に関係をいたしますけれども、この白川に流入する大井出川という河川がございます。この大井出川の逆流防止措置、私は、水門の設置ということで問題提起を平成五年三月五日の当分科会でさせていただいております。今平成十年であるわけでありますけれども、その後どうも進んでいるように見えない。現在どんなふうになっていますか。
  82. 尾田栄章

    ○尾田政府委員 ただいま御指摘の大井出川合流点の処理の問題でございますが、ここのところをどういう形で処理をするかということは先ほど御答弁を申し上げました白川本川の改修計画と絡んでくるわけでございます。本川の堤防の引き堤計画、これが決まりませんと大井出川の合流点の処理ができないといいますか、どこにどういう構造物をつくればいいのかということが決まらないという形になります。  そういうことで、私どもといたしましては、何とか一日も早くこの先ほど申しました白川本川の計画を固めたいということで、昨年の三月三十一日に、国、県、市から構成をされます白川市街部改修協議会を設けるとともに、昨年の四月には白川河川整備検討委員会、これは有識者の方々から成る検討委員会でございまして、ここで案を御検 討いただいて、その上でその改修協議会の方でその計画をオーソライズをするという形で進めておるわけでございます。先ほども申しましたが、六月にこの計画を提示をさせていただきまして、そしてこの計画、いろいろな市民の団体の皆さん方もひっくるめて大体いろいろな形で合意の方向に向かっている、少々甘いかもわかりませんが、そういうふうに我々受けとめておるところでございます。  そういう中で、この本川の計画が固まりますとそれに合わせた形でただいま御指摘の大井出川の水門の構造の検討に早急に入りたいというふうに考えておるところでございます。
  83. 倉田栄喜

    倉田分科員 平成五年に私質問させていただきまして、当時の河川局長からは、ともかくこの問題は建設省が責任を持ってやる、早急に対応したい、こういうお話であったわけです。当然すぐできるだろうと私は思っておった。しかし、もう五年たつのにできない。何回かお話を聞くと、まさに白川本川の河川の幅がどうなるか、河川敷の間に緑があってそれを撤去するのになかなか合意ができていないのだとか、いろいろお話は聞きました。また一方で、大井出川の農業用水という問題等があって、どれくらいの水量があるのかという問題があるとも聞きました。  しかし、いつ大災害が起こるかわからない、いつまた川がはんらんして逆流してくるかわからない、そういう状況にその周辺の方々はおびえておられるわけです。もうずっと長くやっておられる。それでも、毎年梅雨時期が来るたびに、ことしは川がはんらんしないだろうかと。ますこれは、この大井出川の周辺の方々のみならず、あるいは白川周辺の熊本の方々のみならず全国共通の問題だろうと思いますが、要するに何か遅々として進んでいない。責任を持って対応すると言いながら、いまだにやっていない。理由を聞くと、それは、何となく、ああそういうことですかという理由らしきものは返ってきますよ。しかし、要するに解決に時間がかかっているということが問題なわけです。  どうして解決に時間がかかるのか。それはやはり場合によれば、一番最初に申し上げたように国で管理しているからそんなに時間がかかっているんじゃないの。熊本県に任せてしまったらもっと早く済むんじゃないの。もちろん財源の問題あるかもしれませんよ。そういうことがあるから分権の話も出てくるわけです。・  もう一度、なぜできないのか、いつごろできるのか、いつまでにきちっとできるのか、それをちょっとお答えをいただきたいと思います。
  84. 尾田栄章

    ○尾田政府委員 御指摘のとおり、平成五年の分科会におきまして、当時の河川局長から、逆流防止の施設は、当然、河川管理者、建設省が設置するのが適当であると考えているという御答弁をさせていただいておりますし、関係機関と調整を図りながら建設省の方で責任を持って対処してまいりたいというお答えをさせていただいているのを我々重々承知をいたしております。そういう中で、何とか河川の環境を守るということも大変大事でございますので、それとの調和を図る中で治水の実を上げたいということで今まで努力をしてきたつもりでございます。  これは少々口幅つたい言い方になろうかと思いますが、現地に私どもの熊本工事事務所がございますが、これが中心となりまして、熊本県、熊本市、三者でこの問題を進めてきておるわけでございます。私ども河川管理者としては、この治水の実を一日も早く上げたいというこの気持ちのもとに、何とか県、市の協力をいただきたい、そういう働きかけをする中で何とかここまでたどり着けたのではないかなというふうに思っております。  あと、地元の皆さん方の御了解を得るというところも相当のところまで来ておるわけでございますので、関係の機関が一緒に力を合わせて何とか早く、実際に先ほど来御指摘をいただいております大井出川の、これは樋門になるのかどういう形になるのか、先ほど先生も御指摘ございました農業用水の方の流量の問題等もございますので、そういうところと十分調整を図る中で一日も早い完成に向けて努力をしたいと考えております。
  85. 倉田栄喜

    倉田分科員 何とか早く、一日も早くというお気持ちはそのとおりで、ぜひそうやっていただきたいと思いますが、いろいろ理由が出てくる可能性だっていっぱいあるのですね、これができなかった、あれができなかったということで。やはりいつごろまでにはきちっとやれる、そういう見通しをお示しいただきたいと思いますが、どうですか、見通し。
  86. 尾田栄章

    ○尾田政府委員 先ほども申しましたとおり、単にお金の問題あるいは工学的な構造の問題ということでございますれば、いつまでということを私も責任を持って申し上げたいと存じますが、何しろ地元の皆様方とのお話のことでございますので、この点については、残念ながら、最大限努力をさせていただくということ以上を言いますと、現地のいろいろな今行っております作業と申しますか、地元の皆さん方との調整と申しますか、話し合いに逆に悪影響が出るのではないかと恐れております。地元のそういう調整がつき次第、予算面等々の制約は別ということでなしに、地元の合意を得るという点にこれからも全力を挙げたいと考えております。
  87. 倉田栄喜

    倉田分科員 地元の調整ができ次第できるだけ早くやる、一日も早くやるということでよろしいですか。
  88. 尾田栄章

    ○尾田政府委員 おっしゃるとおりでございます。
  89. 倉田栄喜

    倉田分科員 時間が参りましたので終わります。  ありがとうございました。
  90. 村田吉隆

    村田(吉)主査代理 これにて倉田栄喜君の質疑は終了いたしました。  次に、太田昭宏君。
  91. 太田昭宏

    太田(昭)分科員 新党平和の太田昭宏です。  東京の板橋区に大和町交差点というところがございます。国道十七号、環七、高速五号池袋線の交差するところで、上に二重のふたがかかっているというようなところで、都内でも二酸化窒素の濃度が極めて高い、こういう地域になっております。私も昨年五月に建設省に対策方を強く要請して、その後いろいろ尽力をしていただいているということはよく存じております。  この場所というのは、全国のさまざまなところ、昭和四十年代からあそこ、ここと公害ということで話題になったところがありますが、最近ではここの取り組みというものが、ある意味では全国のさまざまな箇所に大変意義あるものに展開できるのではないかというふうに、私はこの地点の問題だけでなく思っておりまして注目をしているところでございます。  ます、この地域の大気汚染の現状というものを、簡単で結構ですが、示していただきたいと思います。
  92. 佐藤信彦

    ○佐藤(信彦)政府委員 板橋区の大和町交差点の現況でございますが、特に立体交差になっておりまして、その二酸化窒素の濃度でございますが、平成八年度で〇・〇八一ppmでございまして、環境基準の〇・〇四から〇・〇六ppmを超過するなど極めて厳しい状況でございます。
  93. 太田昭宏

    太田(昭)分科員 これまでさまざまな努力をされて、例えば光触媒によるNOx除去策が行われてきたわけですけれども、これはある意味ではかなり注目をされた実験的なものであろうというふうに思いますが、平成九年十一月三十日までに中央分離帯のガードレール千百九十メーター、歩車道境のガードパイプ七百四十三メーターに光触媒の板がつけられているということで、私もこれは大変注目をしているわけなんです。この効果というものは、データがあると思いますが、どの程度の効果になっているかということをお尋ねしたいと存じます。
  94. 佐藤信彦

    ○佐藤(信彦)政府委員 地元の板橋区におきます環境対策検討委員会の提言を受けまして、平成九年度から光触媒によります二酸化窒素の除去とか、それから換気装置の設置によります二酸化窒素の拡散といったような取り組みを開始したとこ ろでございます。  このうち光触媒によります除去でございますが、平成九年六月から十一月にかけまして、国道十七号及び都道の環状七号の中央分離帯のガードレールを中心に千七百平米にわたりまして光触媒の塗料を塗布したところでございます。その後、環境状況を測定して、その結果につきましては学識経験者並びに建設省、東京都、首都高それから板橋区から成りますこの効果の検証委員会報告されているところでございますが、その効果についてまだこれから検証を行っていくといった予定であるというふうに伺っております。
  95. 太田昭宏

    太田(昭)分科員 これはひとつ期待をしているところでありますので、効果については随時示していただきたいというふうに思っております。  さて、このたび換気施設が二基設置されまして、これは日本では初めてのことだというふうに聞いておりますが、二月四日からこのフィールド実験が行われていると聞いております。この点、どの程度の効果があるのかということについてお示しいただきたいと存じます。
  96. 佐藤信彦

    ○佐藤(信彦)政府委員 現地が、ちょうど高架橋が重なっておりますので、くぼ地になっているところでございまして、ここの換気を図ることが非常に大事なことだといったことで、先生おっしゃられましたように、二基の換気装置を設置して、実験をことしの二月から開始しているところでございます。現在、そういった換気装置によります拡散能力の検討や施設の耐久性の検証等々で、大型交通量の多い平日の昼間を中心として換気施設などを動かしているところでございます。  設置後の環境状況でございますが、先ほど申しました委員会において行っておりますが、試算によりますと、これによりまして三五%ぐらいの二酸化窒素の量が低減されるというふうに見込んでやっているわけでございまして、かなりの結果が得られるのではないかと思われております。具体的な結果をちょっと確認してきておりませんので、そこら辺の検証をまた行わせていただきたいというふうに思っております。
  97. 太田昭宏

    太田(昭)分科員 三五%という話がありましたけれども、大体その程度というのは可能というふうに見ているのでしょうか。それについて。
  98. 佐藤信彦

    ○佐藤(信彦)政府委員 今ちょっと説明が不十分だったと思います。  今、二基つけて、その結果を見まして、十六基を設置した場合に三五%ぐらいという見込みを立てております。ですから、二基での今度の調査の結果どのくらい効果があるかといったことが、何%になるかというもののあれになるかと思います。
  99. 太田昭宏

    太田(昭)分科員 これが効果あれば、またそれをふやすとか、さまざまな措置というものもあろうかと思いますが、また、この換気施設がばらまく、拡散をするということによって周辺影響が出るのではないか。それからもう一つは、騒音の問題ですが、騒音は特に夜、生活への影響があるかないかということを地元の方では大変心配をしているわけなんです。  この二件についてはいかがでしょうか。
  100. 佐藤信彦

    ○佐藤(信彦)政府委員 ガスの拡散の方でございますが、現在、換気装置の実験に先立ちましてガスの拡散のシミュレーションを実施した結果によりますと、国道十七号の路面上約十六メーターの高さの換気装置の吹き出し口から、さらに上空におよそ四十メーターから七十メーターぐらい、そのくらいまで吹き上げられるのではないかといったことで、この吹き上げによりまして大気に希釈、拡散が行われますので、二酸化窒素の濃度上昇は、検知限界であります〇・〇〇一ppm以下になるのではないかというふうに推定されております。したがいまして、その影響は極めて小さいのではないかというふうに考えています。  それからもう一つ、騒音の問題でございますが、換気装置の仕様を六十デシベル以下というふうに考えてやっておりますので、むしろ夜間の騒音自体、現況が七十一デシベルでございますので、現況自体が余りよくないわけですが、それよりもさらに悪くなるといったことはないのではないかというふうに思っております。
  101. 太田昭宏

    太田(昭)分科員 一部の新聞等におきまして、そのほかの脱硝システム等の技術開発についてこの地域で公募を行っている、既に手を挙げているところもあるというふうに聞いているわけなんですが、大和町交差点に係る新たな技術開発についてのお取り組み状況について、現状を報告いただきたいと思います。
  102. 佐藤信彦

    ○佐藤(信彦)政府委員 本年度につきまして、大和町交差点におきまして光触媒によります二酸化窒素の除去並びに換気装置によります二酸化窒素の拡散、これの効果把握を開始したところでございますが、それにあわせまして、その他の低濃度の脱硝システム、これの開発にも取り組むことにしております。  具体的には、ことしの一月から、国道十七号の中央分離帯を活用いたしまして実験を行う民間の脱硝技術開発につきまして公募を行っておりまして、これに対し、八社から実験の参加の意思表示が出されているところでございます。  今後、学識経験者及び関係者から成ります対策効果検証委員会におきまして、効果及び安全性等にかかわります技術審査を行いまして、平成十年度のできるだけ早い時期に実験が開始し得るよう準備を進めているところでございます。
  103. 太田昭宏

    太田(昭)分科員 公共事業全般にわたりますと、PFIとかBOTとか、さまざまな新しい民間技術を使っての技術展開ということは、私は非常に大事な段階に来ているというふうに思います。そういう意味では、こうした環境という側面についてさまざまな民間の技術というものが開発されたりしていくということは、非常に好ましいことではないかと、私は試みについては大変賛意を表しているわけなんです。今、こういうのがあります、ああいうのがありますと言って具体的に言うと、これは手を挙げたところについて差しさわりがあるからなかなか言えないでしょうけれども、幾つかヒントになるというような提案が出ているかどうか、一言で結構ですが、お述べいただきたいと思います。
  104. 佐藤信彦

    ○佐藤(信彦)政府委員 光脱硝とか土壌脱硝とか、そういった、私どもの方ではちょっと考えつかなかったもの等が上がってきてはいるようでございます。
  105. 太田昭宏

    太田(昭)分科員 今、全国でこのような場所が非常に多いと思います。どこがどうあるということについてはきょうはお聞きいたしませんが、私は、大臣、ここの板橋区の大和町交差点というところで行われている建設省の意欲的な試みというのが、全国のさまざまなそうした環境汚染、大気汚染というものについて大変参考になるものであろうというふうに思っております。ここ自体を実験場と言うと地元になんでありますけれども、ここでの試みを大きく展開をしていって、先進的な、そしてまた、公共事業全体のあり方あるいは民間活力の展開ということに大いに力を発揮していただきたい、私はこのように大臣に要望したいと思いますが、一言お願いします。
  106. 瓦力

    ○瓦国務大臣 大変この道につきましては造詣の深い太田先生でございます。今ほど、道路局長とのやりとりを聞きながら、最後の環境問題も含めて、道路のあり方やまた環境保全のためにいろいろ工夫していかなきゃならぬということについての視点で、私どもの知り得ない知識も実は飛び交っておったわけであります。大変これは重要な課題だという認識は常々持っておるわけでありますが、ただいまの質疑応答につきましても、感銘深く聞いておったわけであります。  今ほど、バイパスであるとか環状道路など道路ネットワークの整備、また交差点の改良によって推進する分野もありましょうし、円滑な自動車交通を確保するということはまた重要なことである、こういうようなことはよく理解をするわけであります。これから民間の力やいろいろな研究者の力もかりまして、今お話しのような地点が確かに一カ所ではなくて方々にあるのだろうと思うのですが、それをこれから解決していくための研究 をどう進めるか、このことにつきましてのまた大きな示唆でございまして、環境面で行き届いた国土というものを目指していかなければならぬわけでありますから、微力でございますが、私もさらに督励をしてまいりたい、こう思います。
  107. 太田昭宏

    太田(昭)分科員 次に、都市計画道路の問題について触れたいと思います。  この都市内道路というのは、単に交通を確保するということだけでなくて、都市の生活に必要な電気、上下水道など各種の公共施設を収容する、あるいはまた、防災、日照、通風のための空間を確保する、さまざまな意味での都市のインフラとしての基本的な施設というものであろうというふうに思います。したがって、道路の計画の多くが都市計画法の都市施設として位置づけられ、順次整備が進められているところだと思います。  しかし、東京の都市計画道路の例をとりますと、戦前から計画があるとか、あるいは戦後、二十一年に計画ができたのだが、結果的にはそれがそのまま遅々として進まないというようなところもございます。平成九年現在で東京都区部の完成率は、私が聞くところによりますと五五%、約半分というような状況だと聞いております。その間、都市計画道路の計画線内に居住している住民が、都市計画法によって木造もしくは鉄骨二階建てまでという建築制限を受けている、またいつ計画事業化されるかわからない、こんな不安の中で生活しているという状況もございます。  戦後五十年間も事業化されることのない路線もあるわけですが、私どもの住んでおります板橋区におきましても、これは四十一年なんですが、補助線二百四十号の指定を受けた計画道路がありまして、そこに商店街等々があるわけです。商店街の活性化をしたい、こう言っても制限がある、都市計画道路ということで困っているというような状況もございます。  そこで、今後、計画道路おのおのの重要性を判断して、必要性の低いものについてはこの際思い切って計画を破棄することを決める、さらに事業化すべきものについては大いに早く進めていくというような、そうしたものが私は非常に大事だというふうに認識しておりますが、いかがでしょうか。
  108. 木下博夫

    ○木下政府委員 お答えいたします。  先生おっしゃられましたように、道路空間の役割といいますか、必要性というのはまさにおっしゃるとおりでございまして、そこを車、人が通過するだけではなく、いわば都市全体の一つのつなぎ目としての役割があることは私もよくわかります。  お話ございましたように、都市計画道路というのは、本来、当該都市計画区域内の土地利用の動向を見ながら、将来にわたる都市のあるべき姿を総合的、計画的に定めているという認識を持っておりますが、いかんせん、まだ大変事業がおくれ一ているのは我々も深く痛感しております。  理由はいろいろあろうかと思いますが、先生おっしゃられたように東京都の区部で五五%ばかりでございますが、若干別の尺度でお答えさせていただくと、いわば都市計画道路の線密度という意味では、現在は一平方キロ当たり約一・四キロぐらいでございますが、我々の構想といいますか、目標としては、一平方キロ当たり約二・六キロぐらいは欲しいと思っておりますから、そういう意味で、今おっしゃられた約半分ぐらいしかまだ到達していないという残念な状況でございます。  そういう中にあって、もう一度都市計画道路の見直し、点検をしなさいということはおっしゃるとおりでございます。したがいまして、最近はいろいろそういう御要請も強く出ておりますので、今、各地方公共団体におきまして早期に事業化を行う箇所をはっきりと明示するという作業をやっております。  いわばその先行的な作業といたしましては、平成三年に東京都の区部におきまして、約十年間の事業化の見通しについてやっておりますが、私は、これを東京だけではなく全国の都市でもぜひ見習ってほしいし、その道路整備を踏まえまして新しい都市構造再編プログラムというのをつくろうじゃないかということで、昨年の暮れにもそういう方針を各公共団体にも示して、今作業に入っております。  これは、ある面では大変厳しいことを公共団体としては点検の作業の中で負うわけでありますが、住民の方々にも、その道路がいつごろできるのか、それによってどんな効果があるのかということを示す意味では、先生がおっしゃったような、いわばこれからの作業スケジュールといいますか、プログラムをお示しすることは大変有効ではなかろうかと私は思っております。
  109. 太田昭宏

    太田(昭)分科員 今答弁いただいたように、大いに進めていって不安を解消していただきたいと私は思います。  計画線内の建築制限につきましては、事業化されたときに支障のないよう、また補償も少ない方がいいでしようというようなこともあってのことだと思いますが、しかし、これが、土地利用が自由にできない、こういう不満になっているわけですね。  現在の都市計画法では、五十三条で「建築の許可」として、「都市計画施設の区域又は市街地開発事業の施行区域内において建築物の建築をしようとする者は、建設省令で定めるところにより、都道府県知事の許可を受けなければならない。」こうあって、そして、五十四条でさらにその追加をしているということです。「階数が二以下で、かつ、地階を有しないこと。」あるいはまた「主要構造部が木造、鉄骨造、コンクリートブロック造」等々の規制があるわけなんですが、これはなぜ階数が二階以下なのかなと。今の時代で、これから建築基準法も相当大きく変わっていくというようなことで、大幅な作業をことしから建設省はやろうとしているということを私は聞いているわけですが、なぜ二階なのかなとか、あるいは、東京都ではやっているわけなんですが、簡易な構造の三階建てまでは認めるというような東京の措置を全国展開するということはいかがだろうか、こう思うわけなんですが、いかがでしょうか。
  110. 木下博夫

    ○木下政府委員 お答えします。  都市計画法の五十三条なり五十四条は御紹介いただいたとおりでございますが、もう一度復唱させていただきますと、本来、五十三条が「都道府県知事の許可を受けなければならない。」と定めておりますのは、都市計画決定をいたしました施設が将来の事業の円滑な施行を確保するという点で特に決めさせていただき、かつその目安として、むしろ知事が許可をしなければならない範囲といたしまして、今お話のございましたように、当該建築行為が当該都市計画施設に係る都市計画に適合するかどうか、あるいは、建築物が二階以下で地階を有さないという一定の要件を示しておりますが、それはむしろ許可をしなければならない範囲を提示しておりまして、東京都あるいは大都市におきまして、それ以外に、一部それぞれの県あるいは政令市でやっていることも事実でございます。  二階と三階といかなる差があるかという御質問は大変難しいといいますか、私もお答えがしにくいわけでございますが、確かに時代とともにそのあたりについては構造等も異なってまいると思いますから、十分現実を見て、私どももそれらについての点検はしていかなければならぬと思います。大まかに申し上げまして、従来の建て方としては、三階あたりになりますと、物理的、経済的に見てなかなか容易に移転、除却ができないという判断をしておりますが、なおこの辺については、各県あるいは政令市で実行されているような例も見ながら、なお我々も引き続き検討させていただきたいと思っております。
  111. 太田昭宏

    太田(昭)分科員 私は、この都市計画道路等について早く結論を出すということが住民のためにも必要だということの筋の上で、経過措置としても、例えば都市計画道路に敷地がかかっているというところにおける固定資産税の減免措置というようなことについてはいかがでしょうか。
  112. 木下博夫

    ○木下政府委員 固定資産税につきましては、市町村が条例を定めまして、特別な事情がある場合には減免することができるとなっておりますが、いずれにせよ、その減免については市町村の判断にゆだねていると思います。  実態の問題といたしまして、道路区域とされていない場合でございましても、実態上道路の機能を提供している土地、こういうものについては既に減免の運用をしているところがございますが、逆に、今御質問があった、道路として都市計画決定されているということだけで、建物のいわば敷地等で排他的に土地を利用しているということになりますと、なかなか当該土地に係る固定資産税を減免するというコンセンサスは得にくいところがあると思います。そのあたりは、むしろ先ほどの、冒頭にお話ございましたように、事業を急いでやる方がまさに我々は必要だと思いますので、その間、事業期間が大変かかっている点は確かに問題がございますけれども方向としては、事業の促進の方向で我々はやっていきたいと思っております。
  113. 太田昭宏

    太田(昭)分科員 事業化に至らない都市計画道路の計画線内に居住する住民が土地や家屋を売ろうとしても極めて低価格になってしまうということで、東京都などでは、一部、事業に先行して買収を行う制度があるということですが、この先行買収についてはいかがお考えでしょうか。
  114. 木下博夫

    ○木下政府委員 最近のように公共事業状況、環境が厳しくなっているといいますか、財政的に大変厳しいわけでありますので、私ども、そういう状況の中では、より事業の効率性ということをやっていかなければならないと思いますが、その一つとして、用地等について先行取得する機会があれば、我々はそういう方向で取り組みたいと基本的には思っております。  したがいまして、当該用地の先行取得を着実に進めるという意味では、建設省の方でやっておりますのは、各公共団体の用地先行取得に係ります貸付制度というのを、昭和四十一年度から都市開発資金の中でやらせていただいております。ちなみに、今までに、実績で約一兆を上回る、一兆四百五十億円の貸し付けをしておりまして、約千四百ヘクタールの用地取得をやっております。  来年度予算におきましても、おおむね六百億弱、五百八十億円ぐらいを計上しておりますが、これらの手を大いに使いながら、今おっしゃられましたような事業の促進ということに寄与できます。地先行取得を、ぜひ我々も頑張ってやってまいりたいと思っております。
  115. 太田昭宏

    太田(昭)分科員 大変ありがとうございます。  最後に大臣、私は、公共事業の評価基準とかあるいは時のアセスメント、非常に大事な問題だというふうにずっととらえて質問等もしてきたのです。考えてみますと、この都市計画道路というのがなかなか遅々として進まない、そして住民がある意味では、はっきりしてくれ、困っているというような状況について、昭和二十一年に計画した道路がまだだめで、二階より以上は建てられないなんというような状況にあるとするならば、これもまた別の意味では、時のアセスメントというか評価基準というか、ダムを中止するか休止するかというようなたぐいの話ではないかというふうに思っております。  この辺についても、時のアセスメントとはちょっと違うのですが、ある意味ではまた同種のような感じもするわけなんですが、最後に、この辺についてもぜひとも私は問題意識を持って取り組んでいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  116. 瓦力

    ○瓦国務大臣 基本的に申し上げまして、太田さんの言うことは全くそのとおりでございます。結構な方法だと、私は常々聞きながら思っておるのです。  平成九年度より新規箇所の事業採択についての評価を試行しておるわけでありますが、事業中の評価の実施など、道路事業の評価システムの構築に努めていかなければならぬ、さような認識でございます。  太田委員からの御質問はこれで最後のようでございますが、大変示唆に富んで御披露いただいております。きょうは三十分で十三問も質問されるのですから、ちょっと参りました。  以上、申し上げました。
  117. 太田昭宏

    太田(昭)分科員 終わります。
  118. 村田吉隆

    村田(吉)主査代理 これにて太田昭宏君の質疑は終了いたしました。  次に、中桐伸五君。
  119. 中桐伸五

    中桐分科員 民主党の中桐でございます。  私は、昨年新しく河川法が改正をされまして、その改正された河川法に基づきまして、幾つかの質問をさせていただくということと、それから、岡山県で苫田ダムというダムの建設計画が進行中でありますが、この苫田ダムに関する幾つかの質問をさせていただきたいというふうに思います。  また、公営住宅法の改正についての質問も、若干加えて行いたいというふうに思います。  ます、改正河川法に関する質問から入りたいというふうに思います。  今、岡山県下で苫田ダムの建設が進められているのですが、それに関連して、この間私も若干河川の整備計画というものについて勉強する機会を持ったわけであります。専門的な細かい議論をきょうするつもりはございませんけれども、私が日ごろこの苫田ダムの問題の関連で専門家との意見交換などを何回かやってきておりまして、その中で、専門家の方からもいろいろ、現在の改正河川法に関する動向を建設省から伺ってほしい、こういう要望もございましたので、幾つか質問させていただきます。  この改正河川法の中で検討されます治水対策との関連で、基本高水流量というものに関する質問から入りたいというふうに思うのです。  従来、この基本高水流量というものが計算されるに当たって、百五十年に一回という最大降雨量というものをます計算して、そこから流出モデルなどを使って求めるという形になっているというふうに聞いているのです。そして、私のいろいろ相談している専門家によれば、その計算の過程で、計算をする者の主観というか判断が入ってくるところが幾つもある。細かいことは私も詰められるとちょっとよくわからないのだけれども、その結果、従来の基本高水流量というものの得られた値が必ずしも客観的なものではないのではないかという問題があると聞いているのですね。  したがって、その点に関して、専門家のいろいろな情報によりますと、建設省自身が、その客観性をさらに深めるというか、高めるために、過去の洪水流量の実績をベースに基本高水流量というものを計算し直す作業を進めているということを聞いたようであります。私が聞いたわけじゃないのでありますが……。  そこで質問なんですが、この改正河川法に基づいて各水系の河川整備基本方針を策定するために、従来の工事実施計画に定められている基本高水流量というものを見直していく作業を現在もう着手して行っているのかどうか、この点についてますお伺いしたいと思います。
  120. 尾田栄章

    ○尾田政府委員 今先生お尋ねの基本高水流量、これは、河川の計画を立てるに際して一番基本となる量でございます。そして、この量につきましては、従前から、工事実施基本計画の中でその量を決めておるところでございます。それで、従前から、その決めておる量を上回るような大出水が起こったり、そういう事態になりますと、流量改定と申しますか、基本高水自体の見直しをするという形でずっと検討してきた経過がございます。  そういう動きとは別に、これは昨年の河川法改正で、今までの工事実施基本計画というものを河川整備基本方針と整備計画という二本立てに改定をさせていただきました。これは、基本高水流量とか計画高水流量というような、ある意味では抽象概念のものと、そしてそういう量に従って出てまいります具体の整備計画、どこにダムをどうつくるか、そういう計画と二本立てにして、そしてその具体の計画の方については流域の皆さん方の御意見を伺っていこう、そういう形に改正をさせ ていただいたわけであります。  それで、現在その基本方針の策定と整備計画の策定という作業に入っておるわけでございますが、そういう中で、必要が生じますれば基本高水流量そのものの再検討ということをやる必要がある川もございましょうし、それは河川によってそれぞれいろいろあろうと考えております。
  121. 中桐伸五

    中桐分科員 そうしますと、先ほど私が質問した基本高水流量の計算手法、これの見直しというのは今検討しようとされているのですか、あるいは検討にもう今入っているのですか、そこはどうなのですか。
  122. 尾田栄章

    ○尾田政府委員 計算手法そのものにつきましては、これはいろいろな手法がございます。  先ほど先生御指摘の、降雨を確率評価して、その降雨を実際の流量に直さなければ流量での確率評価ができないということがございます。ですから、作業としては、確率評価をどうするか、そういうことに関しての手法と、雨量から流量にいかに変換をするかという手法、二段階の手法が必要になるわけでございますが、そういう手法については既にいろいろなものが確立をされております。  そういういろいろな手法を使いながら、個別の河川ごとに、要するに推定をするわけでございますので、その推定方法として一番適切な方法を探して適用してきておるというのが今までの実情でございます。
  123. 中桐伸五

    中桐分科員 非常にわかりにくいお答えなのですが、そうしますと、いろいろな手法があって、その手法の最もいいものを使う、そういう考え方でこれからも臨むということでよろしいですか。
  124. 尾田栄章

    ○尾田政府委員 そのとおりでございまして、手法自体も、今ある意味ではいろいろな新しい手法が開発をされてまいっております。そういう手法についても大胆に取り組む中で、一番すぐれた手法を採用していきたいと考えております。  そして、もちろん皆さん方にも、どういう手法に従ってこういうことをやったのか、そしてそのベースになったデータはどういうものかというものにつきまして、基本的に公表をするということを当然と考えております。
  125. 中桐伸五

    中桐分科員 つまり、どういう手法を使ったかということを、その計算の手法も含めて、結果も含めて公開をするというお答えと理解してよろしいですね。  そうしますと、この新河川法に基づいてすべての水系を、特に一級河川の場合において考えてみますと、すべての水系のいわゆる基本高水流量というもの、これから計算をし直す、全部チェックする作業というのは行われるのでしょうか、それともどうなのでしょうか、そこを聞きたいと思います。
  126. 尾田栄章

    ○尾田政府委員 前段については、先生御指摘のとおり、すべて基本的に公表するということで考えております。  そして、基本高水流量の見直しそのものは、先ほども答弁申しましたが、今回の河川法の改正に従って必要になってくる作業ということでは必ずしもないわけでございまして、今回の河川法改正の一番の眼目は、今後それぞれの河川で、二十年ないし三十年ぐらいを一応目標にしておりますが、その間にどういう河川の整備をするかという具体の絵を流域の皆さん方にお示しをして、その上でいろいろな御意見をいただいて修正すべきところは修正をする、そういうことで考えておるわけでございます。  そういう作業を行います前段として、必要があれば、基本方針、その中に書き込まれるといいますか、それの一番基本となります基本高水流量についても見直しをするということでございます。これは河川ごとによってその必要性は異なるというふうに考えております。
  127. 中桐伸五

    中桐分科員 わかりました。  そうしますと、今度具体的に、私の今取り組んでおります苫田ダムを建築中の吉井川の話にちょっと移りたいと思うのですが、その吉井川の河川整備基本方針というものを策定する予定なのかどうか。そしてまた、もし策定するとすればいつごろの時期に策定するのかということについてお伺いしたいと思います。
  128. 尾田栄章

    ○尾田政府委員 具体の吉井川についていかがか、こういうお尋ねでございますが、法的な形で申し上げますと、従前の工事実施基本計画で定めております基本高水流量がそのまま現在の基本方針の基本高水流量とみなされておるわけでございまして、そういう意味合いでは現在決まっておるということでございます。  その流量そのものの妥当性について、河川整備基本方針並びに河川整備計画を策定をする、そういう立場から、見直しといいますかそういう策定の作業に河川法改正を受けまして入っておるというのが現状でございます。そして、こういう見直しの作業そのものにつきましては、今までの事例で申しましても、ある意味では非常に長期の検討時間を要するところもございます。ですから、いつまでにその見直しができるかということは今ここでお答えをできる状態まで残念ながら詰まっておらないというのが実情でございます。  そういう意味合いで申しますと、現状においては、従前の工事実施基本計画で定めた基本高水流量がそのまま基本方針としての基本高水流量としてみなされているという現状にございます。
  129. 中桐伸五

    中桐分科員 このようにいろいろ細かい話をちょっと前提でお聞きしたのは、またこれも非常に細かい話になるのですが簡単に申しますと、苫田ダムの建設計画の前提として、基本高水流量が一万一千トンという形で治水対策の前提として設定をされて、そしてます苫田ダムというものをつくって流域の洪水対策をやろうじゃないか、こういう形になっている。ところが、一万一千トンという基本高水流量を計算したことを前提にして立てるならば、苫田ダムによってこれは七千五百トンに低減するわけであって、その一万一千トンを全部カバーしようと思うと苫田ダム級のダムが少なくともあと一つか二つは要るということになってしまうわですね。実はこの基本高水流量の値というものは極めて治水対策と密接不可分な関係がある。  そこで、このたび改正河川法によってこの一万一千トンということになると、先ほど言いましたように、もしダムでそれをやるということになれば、もうあと一つか二つは要るということですから、そういう計画でそのままこの吉井川の治水計画というのは今後進めていくのか、それとも、もう一遍見直しをして治水計画そのものが少し変更されるのか。その結果は何か長期間かかるとおっしゃっているのですが、流域の住民の立場からすれば、そんなやたらと長期間かかって治水対策ができるのでは安心できないわけだから、そういう意味ではこれは可及的速やかにやらなければいけない。そのときに、一万一千トンというのを前提にしていくのか、それともそれを見直すのか、そこの話が見えてこないのでそこをお聞きしたいわけですね。つまり、吉井川の河川整備基本方針において、これまで前提となった基本高水流量の見直しと同時に、苫田ダム以外のダムの建設計画みたいなものも含めて今再検討に入っているのかどうかということであります。
  130. 尾田栄章

    ○尾田政府委員 今先生御指摘のとおり、基本高水流量は一万一千立方メートル毎秒でございまして、これを苫田ダム等のダム群によりまして洪水調節を行うことによって三千五百立方メートル毎秒をカットしよう、そして、その結果として七千五百立方メートル毎秒が吉井川本川を流れる、そういうことですから、吉井川の本川の河道の計画の対象流量としては七千五百立方メートル毎秒、この流量を対象に今計画を立てておるわけでございまして、ダムができ上がれば一万一千をすべてため込むというものではないわけでございます。  そういう前提のもとで、苫田ダムの治水の効果ということで申しますと、三千五百トンのうち五〇%を超えるような寄与率を持っておるというふうに考えております。そういうことですから、この吉井川の治水計画考えるに際しては、苫田ダムというのは大変有効なダムだというふうに考え ております。そういう中で、一万一千立方メートル毎秒の基本高水が見直される、見直しの結果変わることがあったとしても、その苫田ダムの必要性というものがなくなることにはならない、そう考えております。
  131. 中桐伸五

    中桐分科員 苫田ダムができることによって洪水の量を調整できるということを否定するものではないとしても、それで大丈夫なのかという問題が流域の住民にとっては重要なのであって、苫田ダムを計画して建設しても、必ずしも安全は全部保証できませんよという問題が残っていると思うのですね。その苫田ダムの建設計画というものだけでは不十分だということが専門家の意見を聞いてもあるものですから、私はしつこく聞いているのです。  そこで、苫田ダムの建設計画はもちろんだが、それ以外のダムの建設というものも今後の河川整備計画の中に入ってくるのかどうか、そこはいかがなものですか。
  132. 尾田栄章

    ○尾田政府委員 苫田ダム以外のダムにつきましては、従前の工事実施基本計画の中でもダム群という形で表現をされておるわけでございまして、先ほどお答えを申しましたとおり、ダム群による調節の量といいますのは三千五百立方メートル毎秒でございます。ですから、先ほど申しましたが、その半分よりは多い、そういうところを苫田ダムで調整をするわけでございます。要するに、一万一千立方メートル毎秒を七千五百立方メートル毎秒まで落とすためには、苫田ダム以外にもダムが必要ということでございます。
  133. 中桐伸五

    中桐分科員 はい、わかりました。  余り時間がないので、別の機会にまた質疑をしたいと思うのですが、そもそもこの苫田ダムというのは、最初の計画ができてからもう四十年以上かかっているわけですね。目的もいろいろ変転をしました。今は水利と治水という形で重点的にやられている。しかし、四十年かかって、しかも今岡山県は財政が極めて厳しい状況にある。まあこういう公共事業は、つくるまでは天国、つくった後は地獄が始まると言われているのだけれども、そういう中で今県の建設計画を見ると、平成十六年に完成予定、これはあくまで予定。そうすると、これでもう五十年近くかかっている。おぎやあと生まれた赤ん坊がもう五十歳になってしまっているわけです。  そういう公共事業というものを計画してきた。つまり、これは貴重な税金を投入してやっているわけだから、その計画そのものがどうしてこんなことになったのか。つまりそれは、建設省のやっていることは長期計画なのだから、六十年、八十年かかってもいいよというふうな形でやっているのかどうかという問題が極めて疑問なわけですね。本当に平成十六年にできるかどうかもわからないわけですよ。その上にまだダムが要るという話だったら、一体いつになったらこの計画が終わるのかという意味において、税の使い方という意味において、やはり現実性というものを持った計画というものが必要なので、どうしてこんな計画がいまだに、建設しかかったのだからもうとまらないのだよというふうな形で来ているように思えてしょうがないのだけれども、その点についてはどうお考えですか。
  134. 尾田栄章

    ○尾田政府委員 苫田ダムが実施計画調査に入りましたのが昭和四十七年でございますので、それ以降ということで申しますと、二十数年、それ以降でもある意味では二十数年かかっておるということでございます。  先生御指摘のとおり、ダム事業につきましては、水没者、水没地の御理解を得るというのが大変難しい性格がございます。水没者の利害と、そして治水上の効果を受けられるあるいは利水上の効果を受けられる下流の方たちとの利害調整、本当に円卓にお着きをいただいてこの問題をお互いに話し合っていただけるところまで達するのに大変時間がかかっておるというのが実態でございます。  そういう意味合いで、この苫田ダムも大変長期間かかっておるダムでございますが、私どもとしては、このダムが吉井川水系全体に果たします治水上の重要性、利水上の重要性、そういうものを考えますとき、地道に一歩一歩、大変遅い歩みではございますが、水没者、地権者の方たちの御理解を得た上でこの事業を進めていくということが一番大事だというふうに思っております。  やはり、治水の仕事というのは、残念ながら大変長期間かかって、一つ一つ、一歩一歩治水の安全度を高めていく、そういうものでございます。そういう点について、私どももこれからより以上に努力をしてまいりたいと思います。
  135. 中桐伸五

    中桐分科員 ちょっと時間がないので、またこの問題は後ほど現実性の問題を含めて検討したいと思います。  さて、最後ですが、一昨年の五月に公営住宅法の改正が行われて、その建設、運営が福祉法人等の法人にも広げられたということになっているというふうに思うのですが、私のところに、草の根的にグループホームを運営しているNPOというか、NPOという団体になっているわけではありませんが、そういう民間の団体から、グループホームを運営しているような草の根団体はまだ運営を任される対象としては——許認可みたいな形になっていて非常に不十分だというふうなことが問題提起されまして、その点どういうふうになっているのかということをお聞きしたい。それからもう一つは、公営住宅法の施行令の中に、常時介護を必要とする者を除くという規定がある、それは障害者を排除するものにつながるのではないかという意見がありまして、ここは早急にこの条項を廃止すべきではないかという意見があるのですが、どのようにお考えでしょうか。
  136. 小川忠男

    ○小川政府委員 お答えいたします。  ます、前段のいわゆるグループホームの扱いでございます。先般の公営住宅法の改正前は、いわゆる目的外使用というふうなことで極めて限定的に建設大臣の個別許可で認めていたというふうな状況にございますが、先般の法改正でグループホームを一般的に公営住宅を活用するというふうな形に改正したわけでございます。  ただ、現在のところ、御指摘のように、貸し付けの対象となります事業の運営主体でございますが、これにつきましては、社会福祉法人、地方公共団体、医療法人、あるいは公益法人というふうな形に法人格を有する団体に限定しているというのが実情でございます。ただ、改正後、運用の実態を見ますと、今までのところまだ五つの県でグループホームが公営住宅を活用して行われているというふうな状況にとどまっております。  したがいまして、御指摘の件は、将来的には一つの検討課題になるというふうな時期があるいは来ようかと思いますが、当面は、改正した直後でもございますので、まずは運用の実績を積み重ねるというふうなことが重要であろうかと思っております。  それから、御指摘の二番目でございますが、公営住宅といいますのは、基本的には同居親族のいる方が入居されるというのが基本でございます。高齢者ですとか身体障害者等々については単身入居も可能としているわけでございますが、ただ単身入居の例外として、常時介護を要する方については多少の制約がある、これが制度でございます。  これは基本的には、現実の公営住宅の管理体制といいますか、管理能力といいますか、この辺の制約から出発しているわけでございまして、言うなれば住宅管理部局と福祉部局との役割分担というふうな文脈の中で考えるべき問題であろうかと思います。  したがいまして、常時介護を必要とする方でございましても、福祉政策としてのバックアップ体制がきちっとした形で整ってくるというふうな状況でございますれば、公営住宅にお入りいただくというふうなこともあり得る話である。したがいまして、私どもとしては、公営住宅の管理サイドの手が回らないというふうなことの限界を福祉政策の分野においてフォローするというふうな状況が確立されればお入りいただくというふうなこと もあり得ると考えております。
  137. 中桐伸五

    中桐分科員 時間が来たけれども、最後にちょっと要望だけしゃべらせていただきたいと思います。  最初の件ですが、一応規制緩和ということが今言われているので、できるだけ許認可というものは少なくして、出口行政の方ヘシフトをしてもらいたい。  それから、NPO法というのもつい先日衆議院を通過しましたから、これは将来できるだけ早く許認可になっている民間の草の根的なグループにも門戸を大きく広げてやる方向でやっていただきたいということ。  それからもう一つは、常時介護を必要とする者を除くという項目についても、ノーマライゼーションという立場で考えますと、では民間ならばいいのですか。既に参議院でも質問が出ておりますが、常時介護を必要とされる人が民間のアパートに住んでいる、公営住宅は障害者のために住宅の環境整備をして意識的にやれるところなのに、そういうところがなぜノーマライゼーションの立場で受け入れないのかという問題が残ると思うし、それから、介護保険法も成立して今後充実してくる介護サービスということを考えれば、常時介護を必要とする人もどんどん将来公営住宅へ入居していくということがあっていいのじゃないかというふうに思うので、その点についてはぜひ検討を早急にやっていただきたい、そのことを申し上げまして終わりたいと思います。どうも時間を超過して申しわけありません。
  138. 村田吉隆

    村田(吉)主査代理 これにて中桐伸五君の質疑は終了いたしました。  次に、東祥三君。
  139. 東祥三

    ○東分科員 自由党の東祥三です。瓦大臣が建設大臣に就任されて初めて質問させていただきます。歯にきぬを着せない大臣として有名でございますので、本日のこの分科会においてもすばらしい答弁が出てくることを期待いたしております。  昨年に引き続きまして、住宅政策について御質問させていただきます。住宅問題は、言うまでもなく大都市の、とりわけ東京の問題だと私は思っております。そして、賃貸住宅、とりわけ公営住宅の抱える問題は、まさに二十一世紀への日本社会が抱える問題そのものであると思います。したがって、この問題を具体的に解決に向けて努力することが、来るべき少子・高齢化社会あるいはまたノーマライゼーション、生活者のための社会コミュニティー実現等、二十一世紀の日本社会に明るい光を与えるものである、このように確信している次第でございます。昨年はこの場で亀井建設大臣、亀井建設大臣も歯にきぬを着せないで極めて前向きなすばらしい答弁がどんどん来ました。瓦大臣は余りしゃべりたくないようでございますが、建設大臣ですからぜひとも建設的な答弁を私は期待いたしております。  まず初めに、公営住宅について御質問させていただきますが、新公営住宅制度が四月一日より完全適用になる。全国の事業主体、都道府県、市町村は施行に向けて着々と準備を進めていることと推察いたしますが、スケジュールどおりうまくいっているのかどうか、この点について住宅局長から御答弁願いたいと思います。
  140. 小川忠男

    ○小川政府委員 昨年の分科会先生に貴重な御意見を賜りました。その後、私どもとしても最大限の努力をやってまいりました。ます、四月一日に向けまして基本的な条例改正が必要になるわけでございますが、二月末でございますが、約三千ある事業主体のうち大半において既に条例改正が終わっております。その意味では、四月一日に向けて首尾よく準備が進んでいるという状況でございます。     〔村田(吉)主査代理退席、主査着席〕
  141. 東祥三

    ○東分科員 法改正に伴って、国からはモデル条例が地方自治体に出されたと聞いております。しかしながら、例えば迷惑行為の禁止条例などは、規定しているところ、あるいはまた踏み込んで明け渡しの理由として規定しているところ、あるいはまた規定していないところといろいろさまざまあるというふうに理解いたしております。  昨年の秋、ある地方自治体、名前は伏せさせていただきますが、極めて重要な地方自治体ですが、この地方自治体も条例改正をしたのですけれども、この点について全く触れられていないという現実があります。この場合、多くの住民が困る事態が存在してもコミュニティーとしては対処できない、問題はそのまま放置されてしまう、何の権限も役割の委託もされない住民、自治会が対応できないケースが多々あるということも知っております。  こういう場合、国は地方自治体をもっときちんと指導していくべきなのではないのかと考えますが、いかが思われますか。
  142. 小川忠男

    ○小川政府委員 御指摘のように基本的なモデル条例を各公共団体にお示ししたわけでございます。ただ、その中で例えば今お話しになりましたような迷惑行為の禁止条例等々でございますが、これについては必ずしも具体的なことについてお示ししたわけではございません。現実、地域によってかなり判断といいますかお考えに相違がございます。したがいまして、非常に難しい問題だとは思いますが、やはり基本的には条例というのは公共団体がお決めになるというふうなことを尊重したいという気持ちは一方においてございます。  ただ現実に今いろいろ悩んでいるというのも事実であろうかと思います。したがいまして、判断がいろいろ割れる問題でございますので、私どもの方で一方的に条例案というふうな形でお示しするよりは、具体的ないろいろな会議の場を通じて各公共団体の意見の相互の開陳でございますとか調整を行うとかというふうなことで、それなりの国としての役回りを果たしていくというふうなことが現実的なのかなというふうな考えでおります。
  143. 東祥三

    ○東分科員 事業主体が多岐にわたりますし、先ほどお話ありましたとおり三千弱でございますので、これを網羅的に把握するということは極めて難しいというふうにも私よく理解できます。ただ、最初に申し上げましたとおりこの住宅問題というのはとりわけ大都市の中、限られているわけですね。そういう意味におきましてそういった主要な都市に対してはもうちょっと目配り気配りして、今の局長お話ですと、いろいろな相談の機会があるならばそこで適切にしてくださるということですが、現実にそれによって多くの住民が困難を抱えていることも事実でございますので、それを踏まえた上で適切に対処していただきたい、このように思います。  続きまして、新制度の広報活動についてお伺いいたしますけれども、昨年質問したときには、全国で百万枚を超える周知徹底のためのパンフレットが配付されているだろう、また、ほぼ正確に理解されているだろうけれども、引き続き周知徹底するという住宅局長の御答弁がございました。それ以来、本制度の理解普及を住民の立場に立って行おうと何回も住民の代表の方々と私、実際意見交換させていただきました。しかし、残念ながらパンフレットはほとんど行き渡っていなかったというのが実感でございました。  これもまたある地方自治体のことでございますが、建設省が普及用に用意して、その地方公共団体名もしくはその住宅局と押印、印刷すればよいA4のパンフレットを、これは建設省からのお知らせですと記入し、コピーを住民に配付しておりましたが、制度は改正されますが私たち何々地方自治体は関係ありませんというような、後ろ向きの住民への告知の方法がなされていたということも事実でございました。  先ほど準備は万端進みつつあるというお話でございましたが、スタートまであと二週間足らずですから、住民への正しい広報活動、そしてまたそれを踏まえた上での周知徹底を重ねてお願いしたいと思っておりますが、この点についていかがでしょうか。
  144. 小川忠男

    ○小川政府委員 昨年も御指摘をいただきました。その節は百万部というふうなことをお答えし たかと思いますが、今年度におきましては、私どもとしましても最大限努力をいたしまして、全国二百万を少し超える公営住宅を念頭に置きましてパンフレットは二百万部作成いたしまして、各公共団体を通じまして基本的には各家庭に必ずパンフレットが行き渡るというふうな形で態勢をとらせていただいたというふうなことでございます。また、大方の公共団体からは、私どもが直接お届けするパンフレットに加えまして公共団体で独自におつくりいただいたいろいろな周知徹底方法というふうなこともあわせて行っていらっしゃるというふうに聞いております。  なお、残された期間若干でございますが、最大限の努力をさせていただきたいと思います。
  145. 東祥三

    ○東分科員 入居収入基準について再び私はお尋ねいたします。  瓦大臣、昨年亀井建設大臣は私のこの質問に対して、御指摘のように、やはり地方自治体がその地域の住民の生活について一番責任を持っておるわけでありますから、そうした実態を踏まえた入居政策をとっていくということが私はあるべき方向であろう、このように思っております、との御答弁をいただきました。  収入分位二五%では東京都においては一七%ぐらいしかカバーされないのが実態でございます。先ほどから繰り返して申し上げておりますが、住宅問題の核はある意味で大都市の問題でございます。したがって、せめて三大都市圏とか東京においては地域別特例基準を設けるべきと考えますけれども、いかがでしょうか。瓦大臣にはブリーフしてくれていますか。
  146. 小川忠男

    ○小川政府委員 私からお答えさせていただきたいと思いますが、公営住宅につきましては基本的には全国どこで住んでも最低限の住宅は確保する、言うなればナショナルミニマムと申しますか、こういうふうな考え方に基づきまして入居収入基準については全国一律で決めているのが現在の制度でございます。  ただ、今お話しになりましたように、全国一律に水準を決めますと、全国平均の二五%というのは東京では一七%、あるいは逆に沖縄では五七%というふうなカバー率になります。そういうふうな観点からは、御指摘のように地域別の入居収入基準というのは私ども一つ考え方かなとは思います。  ただ、仮に東京都で地域別の入居収入基準を導入するというふうなこと、逆に言えば収入基準を引き上げるというふうなことでございますが、現在でも東京都の応募倍率といいますか、これは十一・六倍と極めて高い倍率を示しております。したがいまして、それを引き上げた場合には当然のことながらより大きな高い倍率になるというふうなことになるわけでございます。最大の悩みというのは、そういうふうな場合にはやはり基本的により必要とする方に公営住宅が行き渡る可能性というか確率といいますか、これが相対的に薄くなるというふうな問題を同時に引き起こすというふうな点が実はございまして、その辺のところが非常に悩みの種といいますか難しい問題だというふうなことでございますので、今直ちに地域的な収入基準に切りかえるということについて言えば制度上のあるいは運用上の困難な点というのはかなりあろうかと思います。  ただ、いずれにいたしましても、御指摘のような切り口といいますか考え方というのはあり得る考え方一つだろうとは思います。その意味では、新しい制度の運用の実態というふうなものを少し見届けた上で今後の検討課題の一つというふうなことで考えさせていただければというふうに思っております。
  147. 東祥三

    ○東分科員 やはりさすがに住宅局長というのは弁が立つから納得してしまいそうな雰囲気になるのですけれども、要するにこの問題は、もう既に昨年も指摘している問題でありまして、問題の所在というのは明確にあるのですね。それで、それをどのように判断するかという、これは政治的な問題が出てくるのだろうというふうに思うのです。  それで、実際のところ、昭和二十六年、私が生まれたときにできている基準に従って、瓦大臣、聞いていてくださいね。東京も沖縄もあるいはまた地域所得格差があるところも基本的に公営住宅に関する収入基準が一律である。戦後間もないころ日本全体がある意味で焼け野原になったわけですから、だからそういう視点から考えるならばおっしゃるとおりなんです。ところが、五十数年間たった今日、基本的に地域の格差というのが明確に出てきている。それを一律にしておくということ自体がある意味でナンセンスだというふうに私は思うのです。  それで、それを踏まえた上で、今住宅局長の御答弁にあった問題を踏まえた上で時代の変化とともにどのように政策を転換していくのか。これは官僚の方々の判断ではなくて、やはり一番国民また住民に接している政治家みずからが判断しなくちゃいけない問題なんだろう。とりわけ建設大臣というこの問題の最高責任者の方がどのように将来を見越した上で判断するのか、それが問われるわけですね。一年前にこの問題を提起しているわけですけれども基本的には新しい制度の普及状況を見た上でまた検討させていただくということです。これは問題を先送りにしておくということですけれども、建設大臣、いかがですか。
  148. 瓦力

    ○瓦国務大臣 東議員が都市における住宅政策について、昨年に引き続いてこの分科会におきましても御質問になられて、今住宅局長と東議員との質疑応答の中で、私は、なるほど公営住宅の問題点がやはり幾つかあろうと。それで、私も今この住宅政策について質疑を拝しながら何人かの議員の質疑にも耳を傾けておるわけですが、確かに問題点が幾つかありまして、切り口をどう求めていくかということは、ちょっと私にとりまして、今勇断、英断をもって答弁をするというにしては問題がありますので、少し持たせてください。考えさせていただきたいと思います。
  149. 東祥三

    ○東分科員 住宅局長が問題の所在を的確に把握してくれておりますから、その上で、どういうふうにその問題を解決していく上で一つ判断をするかということなんだろうと思うのです。それをやはり先延ばし先延ばしにしていくことというのはできない問題なんだろうと。  それで、とりわけ入居基準というのは、ただ入居するときだけに起こる問題ではなくて、その後、入居した後何年間にわたって生活していくうちに当然その家族の編成、構成が変わってきます。それに基づいて収入も変わってきます。その結果として収入に変化が起こって、そしてその基準に合致できない場合には急遽出ていかざるを得なくなるということも出てくる。そういうものを全部含めた上でぜひ総合的に判断していただいて、今までの基準があるから、それを変えれば必ず波動というのは出てくるわけですから、物事を変えれば。これからの将来を思考したときにどちらがより多くのこの問題に悩んでいる人々にとって適切な道になるのかどうなのか、ぜひ御検討していただきたいと思います。  住宅局長、公営住宅の自治会を通じたコミュニティーの活性化について御質問をさせていただきます。  自治会に民間住宅の管理組合と同程度の委託をできるようにして、役割分担をして、自治会の活動にもある意味で公的な裏づけを付与すべきだと常々考えているのですけれども、この点についていかがでしょうか。
  150. 小川忠男

    ○小川政府委員 これからの高齢化社会というふうなことを考えますと、公営住宅の団地におきましてもやはりコミュニティー活動の活性化というふうなことは必要かと思います。  そういうふうな観点から、今お話しになりましたように、自治会に対していろいろな管理業務をお願いするというのもその一つの方法であろうかと思います。現に、私ども聞いておる限りでも、駐車場の管理でございますとかあるいは清掃業務、これを自治会にお願いしているというふうな公共団体はもうかなりあるというふうに聞いております。  したがいまして、私どもといたしましても、自治会にお願いする業務というものはほかには一体どういうふうなものがあり得るのかとか、あるいは団地の活性化というふうな観点から見た場合の自治会とのいろいろな協力関係というのはどうあるべきかというふうなことは、やはり公共団体ともいろいろ情報交換、御相談しながら進めていきたいと考えております。
  151. 東祥三

    ○東分科員 よろしくお願いします。  今の質問にも関連しますけれども、昨年のことですが、公営住宅に責任を持った管理人が常住できるよう、その対価を含めて検討すべきであると提案させていただきました。そのときに亀井建設大臣は、指摘のとおりであり、対価の伴う管理責任者の設置を検討するという極めて前向きな答弁をいただきました。国と地方自治体と住民のみんながよい団地にしていこうという団結した取り組みが結果としてよい結果、よい環境を生むと私は思います。  管理人が一人で足りなければ複数にして駐車場あるいは清掃、緑化等の役割を委託できるようにも制度を整えるべきであると考えておりますけれども、この点についていかがでしょうか。
  152. 小川忠男

    ○小川政府委員 常駐する管理人というのは、公営住宅をきちっと管理するというふうな観点からは一定の役割を果たすというふうなことは御指摘のとおりだと思います。  ただ、現実に常駐する管理人がどの程度いらっしゃるのかというふうなことにつきましては、実は率直に申し上げまして全国的に相当ばらつきがございます。常駐する管理人が三万三千人くらいいらっしゃるという集計数字がございますが、数十人しかいらっしゃらない県もあれば、千数百人、二千人近いという県もございます。したがいまして、なかなか国として一律に置くべきである置くべきでないというのは言いにくいというふうな状況にはございます。  ただ、そういうふうないろいろな意味での問題が公共団体からあった場合には私どもとしては個別の御相談というふうな形でいろいろと対応をさせていただければと思います。なかなか、恐縮でございますが、一律にかくあるべきであると言うのは、右か左かと言うのは、ちょっと何か今のタイミングではしんどいのかなというのが率直な感じでございます。
  153. 東祥三

    ○東分科員 そうしますと、例えば居住室の用途廃止というものを具体的に申請してくれば、それに対して積極的に支持して許可することもできる、そういうふうにとらえてよろしいですか。
  154. 小川忠男

    ○小川政府委員 若干事務的なお答えでまことに恐縮でございますけれども、用途廃止というのは制度上の観点からは幾つかの条件があってなかなか厳しいかなというのが率直な感じでございます。したがいまして、公営住宅に入居していただいた上で、むしろ手当の方で何か多少相殺するとかというのが現実的な知恵なのかなというふうな感じはいたします。
  155. 東祥三

    ○東分科員 賃貸住宅政策について御質問させていただきます。  住宅政策の抜本化でコミュニティーの一元化が図られるなら、これほど理想的なことはないと思うわけでございます。現在、住宅・都市整備公団の改革が検討されておりますけれども、公団、特優賃、特定優良賃貸住宅、公営住宅と統合管理したらどうなのか、そういう考えもあると思うのですが、この点についてはいかがでしょうか。
  156. 小川忠男

    ○小川政府委員 現在、公団のありようについて基本的な点で検討いたしております。ただ公団あるいは公社あるいは公営住宅、いろいろな公的な住宅がございます。設立の趣旨も違えばいろいろな入居基準も違うというのが現在の制度でございます。したがいまして、それを完全に統合するというのは制度的には実は極めて難しいというふうな感じは持っております。  ただ、一つ参考になりますのは、神戸であれだけの災害があったときに、やはり公営も三万数千戸つくりましたし、公団の賃貸住宅もつくりました。そのときに募集でございますとかいろいろなことを統合的に実際問題として運用しているというふうな点はございます。  したがいまして、制度として完全に溶け込んでしまうという意味での統合というのは極めて難しいと思いますが、ただ運用の実態において、相互の連携体制でございますとか相互の入居のあっせんとかというふうなことを今まで以上に強力に展開するというのは、ますます今まで以上に頑張っていきたいと思っております。
  157. 東祥三

    ○東分科員 特定優良賃貸住宅について御質問させていただきますが、新たな入居時には家賃が安いけれどもその後、毎年五%ずつ急激に上がっていくというこの家賃上昇については今まで再三にわたって強く改善を求めてまいりましたけれども、現状はどのようになっておるのでしょうか。
  158. 小川忠男

    ○小川政府委員 特優賃、平成五年度に制度を創設いたしました。このときには今御指摘にございましたように年平均五%家賃が上がっていくという前提で補助金をセットしたというふうな状況にございます。  ただその後の経済状況、所得が伸び悩むとかあるいは家賃の相場が上がらない、むしろ下落するというふうな現実を踏まえまして平成十年度の予算案、御審議をお願いしております予算案でございますが、これにおきましては、新規だけではなくて既に管理を開始しております既存の特優賃を含めまして、年上昇率を五%ではなくて年三・五%というふうな形で、よりマイルドになるような形で改革案を御審議いただいております。
  159. 東祥三

    ○東分科員 最後の質問でございますが、瓦大臣、公営住宅それから特定優良賃貸住宅をふやすよういつもいつも申し入れを続けているのですけれども、そもそも良質な賃貸住宅が充実していれば公営の住宅に入居できない人が出てきても居住の安定を図る道が出てくる、こういうふうに思うのです。先日、住宅審議会の基本問題小委員会の中間取りまとめもあったと聞いておりますけれども、大臣、この点についていかがお考えなのか、所見を述べていただきまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
  160. 瓦力

    ○瓦国務大臣 東議員にお答えしますが、確かに欧米諸国に比べて見劣りがしない水準になってきておる、これは持ち家でございますが、借家の居住水準は依然として立ちおくれておるのが現状でございます。  御指摘の民間賃貸住宅市場でございますが、これは政策課題として重要であるということは認識をいたしております。低所得世帯や今後増加することが予想される高齢者の単身・夫婦世帯でございますが、これは、高齢化という問題はもうこの三十年来東京都の、いわゆる首都圏における住宅政策を見ても一転をしまして、若い人たちが住まう時代から急激に高齢化を迎えるという、今委員が御心配のような問題が新たに私どもを短期間のうちに襲っておるわけでありますので、これらの供給体制をどうするのか。公営住宅や高齢者向け優良賃貸住宅の整備等、公的な施策の充実もこれから図っていく必要がある。これは今日の大変大きな課題であるという認識のもとに、先ほどの質疑を踏まえながら私も一層研究してまいらなくちゃならぬ、こういうことを申し上げさせていただきたいと思います。
  161. 東祥三

    ○東分科員 委員長、ありがとうございました。住宅局長、ありがとうございました。
  162. 小澤潔

    小澤主査 御苦労さまでした。  これにて東祥三君の質疑は終了いたしました。  次に、細川律夫君。
  163. 細川律夫

    細川(律)分科員 民友連細川でございます。  私は河川の問題それから道路について質問をいたしたいと思います。  河川につきましては、利水の問題、治水の問題あるいは河川環境などの問題がありますが、特に治水についてお伺いをいたします。  川がはんらんをいたしまして洪水になりいろいろな被害を及ぼすということにつきましては、いろいろな河川でそのようなことが起こるわけでありますけれども、特にそういう洪水が起こる川として有名なのは、西の方では大阪の寝屋川という ふうに言われております。そしてそれに対して東の方では中川・綾瀬川流域が有名でございます。その中川・綾瀬川流域について治水対策に関連してお伺いをいたしたいと思います。  この中川・綾瀬川流域というのは埼玉県の東部地域にございます。この埼玉県の越谷あるいは草加市を含みます東部の平野というものは、ほとんどお盆のような形になっておりまして、高低差がほとんどございません。加えて急速な都市化の影響もありまして、しばしば洪水に見舞われております。その都度激甚災害対策特別緊急事業、いわゆる激特事業が行われてまいりました。  この流域は昭和五十五年に総合治水対策特定河川に指定をされまして、現在までさまざまな対策がとられてまいりました。多くの前進は見られておりますけれども、いまだに住民の不安は解消されていないところでございます。したがって、順次御質問をしてまいりたいと思います。  ます治水施設の整備で、綾瀬川放水路についてお伺いをいたします。  洪水のときに綾瀬川の水を中川に送るというこの放水路が完成をいたしまして綾瀬川流域の被害は減ってきております。しかし、ポンプによります強制排水が十分でございませんと急な増水に対して対応ができないところでございます。現在中川に隣接をいたしております八潮機場のポンプ施設の増強工事、これが行われておるようですけれども、この進捗状況はどういうふうになっておるのかますお伺いをいたします。
  164. 尾田栄章

    ○尾田政府委員 先生御指摘のとおり八潮排水機場は、中川本川の水位が高くて綾瀬川放水路から自然排水が困難な場合にポンプによる強制排水を行うというものでございまして、平成元年度に設置をいたしておりまして、現在五十トン毎秒の、五十立方メートル毎秒の排水能力を確保しておるところでございます。ただ、これでは総合治水対策計画で目標としております百トン、百立方メートル毎秒に及びませんので、今年、平成十年の出水期に何とか稼働をしたい、百トンの排水能力を確保したいということで現在鋭意工事を進めておるところでございます。これをもちまして綾瀬川沿川の治水の安全度は相当大幅に高まるものと考えておるところでございます。
  165. 細川律夫

    細川(律)分科員 ことしの夏の出水時までに百トンの排水が行われるということをお聞きをいたしまして大変安心をいたしたところでございます。  では次に、綾瀬川から排水をいたします中川のことでございますけれども、この中川につきましても、河川の改修がずっと前から行われておるところでございます。ただ、地元の皆さんの話だと、この工事が遅々として進んでいないのではないか、用地買収などもなかなか行われていないというような不満も聞くわけでありますけれども、今後の計画について御説明をいただきたいと思います。
  166. 尾田栄章

    ○尾田政府委員 中川の改修、これができませんと、先ほどの八潮の排水機場のポンプの水を受けられないということでございまして、重点を置いて整備をいたしてきておるところでございます。  下流の東京都区間につきましては堤防がほぼ概成をいたしておる、ほぼでき上がっているというのに対しまして、中止流部の埼玉県内部分についてはまだ流下断面が足らないということでございます。そういうことでございますので、昭和五十七年に都市計画決定を行いまして、本格的な築堤用地の買収に着手をいたしたところでございます。特に、中川改修の重要区間でございます綾瀬川放水路と三郷放水路の間、約四キロメートルございますが、この区間の築堤用地の買収を重点的に進めておるところでございます。  今後とも、地元の御協力をいただきながら改修事業の促進を図りたいと考えておるところでございます。
  167. 細川律夫

    細川(律)分科員 今お話のありましたところのほかにも、むしろ八潮排水機場の上の方、そちらの方もぜひ改修に積極的に取り組んでいただきたいというふうに思います。  ところで、中川、綾瀬川を含みますこれらの埼玉東部地域の抜本的な治水対策といたしまして、地元が大変期待をしているのが首都圏外郭放水路の事業でございます。この事業は、完成時期を含め、どういう進捗状況なのか御説明をお願いいたします。
  168. 尾田栄章

    ○尾田政府委員 首都圏外郭放水路事業でございますが、これは、先ほど来議論が出ておりますとおり、都市化の進展が大変著しい中川流域の浸水被害を何とか解消したい、そして良好な生活環境を持つ住宅宅地の供給の支援をしたい、そういうことが目的で現在鋭意取り組んでおる事業でございます。  大落古利根川、倉松川、中川からの洪水を取り込みまして、そして江戸川に放流する、こういう事業でございます。国道十六号の地下約五十メートルぐらいのところに、内径で十メートル、全長大体六・三キロメートルぐらいございますが、トンネル放水路を掘りまして、そして、先ほど申したような川の洪水を取り込もう、こういうものでございます。  平成四年度に工事着手をいたしまして、平成九年三月、昨年三月に第二及び第三の立て坑の工事を完了いたしたところでございます。現在、第一及び第四立て坑の本体工事を始めております。そして、排水機場、ポンプ施設等で構成されます排水施設や地下トンネルについて、現在工事中でございます。何とか平成十三年度中に中川、倉松川までの通水をしたい、そういうことを目標、目途に置きまして、現在鋭意事業推進を図っておるところでございます。
  169. 細川律夫

    細川(律)分科員 周辺流域の人たちはこれまでにも洪水などでいろいろ大変な被害を受けてきているところでありますので、どうぞ、その十三年度、中川、倉松川までの事業をぜひ確実に完成をさせていただきたいと思います。  さらに、水害対策としてお伺いをいたしますが、水害の対策といたしましては、河川の改修などの洪水処理施設も当然必要でございますけれども、都市開発対応いたします流出量の抑制施設、これもまた大変大事な施設でございます。この点、どういうふうにこの対策が行われているのか。  あわせて、越谷の方に予定をされておりますレイクタウンに係る調整池事業の見通しについてお尋ねをいたします。
  170. 尾田栄章

    ○尾田政府委員 先生御指摘のとおり、総合治水対策の根幹は、河道改修、河川の改修に合わせて、流域からの流出増を抑える、あるいは流出の中で水をより遊ばせる、こういう両輪相まって初めて総合治水対策になるわけでございます。そういう意味合いで、流域内における対策、これは開発に合わせた調整池の設置あるいは貯留浸透施設の整備、そういう流域対策、これは大変大事なことで、流域の皆さん方の御理解を得つつ現在までも積極的に進めてきておるところでございます。  特に越谷のレイクタウン事業につきましては、これは開発によります流出増の抑制機能、それと河川の洪水調節機能を合わせて一つ事業でやろう、こういうものでございます。今までなかなか難航いたしておりましたが、ことしの二月に調整池の規模等の素案がまとまりまして、地元に御提示をさせていただいたところでございます。現在、この事業の早期着手に向けまして、関係省庁とも一緒になりまして、私ども、調整池に係る施設の検討を進めているところでございます。そういうものの完成を一日も早く行いまして、事業の早期着手にかかりたいと考えているところでございます。
  171. 細川律夫

    細川(律)分科員 ひとつ流出の抑制施設等についても積極的に進めていただきたいというふうに思います。  大臣にお伺いをいたしますけれども、一たん洪水などが起こりますと、そこの住民の生命あるいは財産に対して甚大な被害が起こります。そういう意味で、この治水事業というのは大変大事なものであります。しかし、一方、その治水事業にはまた大変な金もかかるわけでございます。時あた かも財政構造改革ということで、予算がこういう事業についても抑制を、あるいは削減をされるということでありますけれども、しかし、私は、大事な人命あるいは財産を守るという意味では、こういうものにはそういうことがあってはならないというふうに思いますけれども、その点について大臣はどういうお考えなのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  172. 瓦力

    ○瓦国務大臣 ただいま細川委員の御質問、河川局長答弁、いろいろ伺っておりましたが、私も、我が国の国土そのものは極めて脆弱な国土だと思っております。急峻な山もありますし、水が出れば一度に大出水を起こすわけでありますから、この河川の問題は、極めて財政も困難な中でございますが、何とかして国土の安全、保全のために努力をしていかなきゃならぬ。先生の御質問も、そういう意味におきましては、私からすると大変ありがたい質問でございます。  治水事業整備水準はまだ河川全体で五二%という低い状態でございますし、また、御指摘のとおり、国民の生命、財産を守るということにつきましては極めて重要でございます。  また、財政の問題にもお触れをいただきましたが、この河川予算、私はまだこれは何とかしなきゃならぬと思っておるわけでございますが、御案内のとおり、目下財政事情は一段と厳しい中でございますので、先生の御協力も得て、河川、ダム、砂防事業等を継続的に進めていかなきゃならぬ、こう考えます。そのためにも、建設コストの縮減とか事業の重点化とか効率化、これらには当然取り組みつつも、治水事業推進には全力を挙げて取り組んで、二十一世紀は安心、安全が確保できる国土、こういうことでつくり上げていかなきゃならぬ、こういう決意でございます。
  173. 細川律夫

    細川(律)分科員 大臣の大変力強い決意をお聞かせをいただきまして、大変頼もしく感じた次第でございます。ぜひよろしくお願いを申し上げます。  次に、河川の浄化といいますか、河川環境といいますか、これについてお伺いをいたしたいと思います。  昨年、河川法が改正をされました。その中で、河川行政の目的の一つに河川環境の保全というものが加わりまして、建設省に対しても、以前にも増して期待が寄せられているところでございます。  そこで河川浄化についてお伺いするのですが、先ほどからお話をいたしております中川、綾瀬川のうち、綾瀬川の方でございます。綾瀬川、この河川は大変汚れておりまして、従来からワーストワンという大変芳しくない、汚名があったわけであります。最近は、ワーストワンではなくてワーストツーまでにはなっているのですけれども、それで地元の方でのいろいろな努力が少しは報われたというふうに感じているところでございます。  しかし、相変わらず全国第二位の汚れでございまして、今後も浄化に努めていかなければならないと思います。現在も、清流ルネッサンス21という地元自治体や関東地方建設局を交えました機関で浄化の検討と事業を続けていると聞いておりますけれども、この綾瀬川の浄化の現状と近い将来の計画についてお伺いをいたします。
  174. 尾田栄章

    ○尾田政府委員 綾瀬川の水質につきましては、先生御指摘いただきましたとおり、流域におきますいろいろな取り組み、流域の皆さん方の御努力によりまして、平成八年の全国直轄河川のあれではワーストワンを脱した、こういうことでございまして、私どもとしても、そういう水質改善の方向が出てきたというのは大変うれしいことだと受けとめておるところでございます。  西暦二〇〇〇年までに環境基準を満足するということを目標に、先生御指摘の清流ルネッサンス21を、これは水環境改善緊急行動計画でございますが、策定をして、現在、関係機関一緒になって鋭意進めておるところでございます。  そういう中で、特筆すべきと申しますか、特にこの綾瀬川の水質に絡む話としましては、荒川から浄化用水を導入をします導水路の建設工事を進めてございます。これは、地下鉄埼玉高速鉄道に合わせて荒川から導水をしようというものでございまして、その高速鉄道の方の進捗にも左右されるわけでございますが、平成十二年の完成を目指して現在事業が進められております。これが完成をいたしますと、流域におきますいろいろな取り組みとあわせまして、環境基準の達成が可能だというふうに見込んでおるところでございます。
  175. 細川律夫

    細川(律)分科員 この河川環境の保全という、河川法改正をされたその目的に沿ってぜひこれも着実に実現をしていただきたいというふうに思います。  続きまして、この綾瀬川と中川を結びます、先ほどもお話をいたしました綾瀬川の放水路そのものでございますけれども、出水時以外はほとんど流れがないために、水がよどんだり、あるいは迷い込んでいる魚が酸欠で浮き上がるというようなことも起こっております。また、夏場にはにおいも、悪臭もあるというふうに聞いておりまして、この放水路内の浄化についてはぜひ改善をしていただきたいと思っておりますが、この浄化について、現状はどうなっているのか、あるいはこれからどうするおつもりなのか、お聞かせいただきたいと思います。
  176. 尾田栄章

    ○尾田政府委員 綾瀬川放水路自体につきましては、御指摘のとおり、現在水の流れがほとんどないという状況でございます。水質保全の対策が必要だと私ども認識をいたしております。  現在どういうことをしておるかということで申しますと、河川巡視を行いまして水質の監視を行いまして、その上で、必要を認めるときには中川からポンプを使って浄化用水の導入をするという現状にございます。  そういう現状でございますが、先ほど申しました荒川からの綾瀬川本川への導水ができまして綾瀬川本川の水がきれいになりますと、綾瀬川と中川両方きれいな水になりますと、その間に水門操作をして、常時水の流れをつくるということも可能になります。その時点では、そういうこともあわせて十分検討をして、綾瀬川放水路そのものの水質の確保に努めてまいりたいと考えております。
  177. 細川律夫

    細川(律)分科員 ぜひよろしくお願いを申し上げます。  続いて、時間がありませんから、道路の方のことについてお伺いをいたします。  埼玉県は、全国的に見ても交通渋滞が大変ひどい地域でございます。特に国道四号は自動車の交通量も大変多うございまして、東京都それから埼玉県、この都県境から越谷とか春日部とか、そういうところにかけまして慢性的な渋滞ともなっているところでございます。  そこでお伺いをいたしますけれども、現在計画中の東埼玉道路ができれば、これらの渋滞が大変緩和をされまして、渋滞によって引き起こされております大気汚染やCO2の排出も減少するところでございます。一刻も早くこれが供用になることを地元の皆さんも強く期待をしているわけでございますけれども、現在この東埼玉道路の進捗状況がどうなっているのか、今後の計画はどのようになるのかということについてお伺いをしたいと思います。  もう時間がありませんから続いて一緒に御質問申し上げますが、この国道四号バイパスの四車線化の工事がまだなかなか進んでいないところでございます。これについてはどうなのか、あるいはまた、外郭環状道路と交差するところが大変渋滞が激しいのでございますが、その対策はどうなっているのか、お願いをいたしたいと思います。
  178. 佐藤信彦

    ○佐藤(信彦)政府委員 東埼玉道路でございますが、これは、国道四号の交通混雑解消、それから埼玉県東部地域開発等によります将来交通需要に対応するため、延長十七・六キロの道路でございまして、昭和六十三年四月に都市計画決定がされております。  このうち、東京外環道路から主要地方道越谷流山線の間、四・ニキロございますが、これについて、平成四年度より用地買収に着手しておりま す。さらに、平成九年度には、越谷総合公園川藤線までの一・五キロについて事業区間を延伸いたしておりまして、この区間については、現在、設計、測量等を推進しているところでございます。  今後は、事業中の区間について、この間では、先ほども出てきました越谷レイクタウン、これの土地区画整理事業との調整を図りながら、地元の皆様の御理解と御協力を得ながら事業推進していきたいというふうに思っております。  それから、先生がおっしゃられているのは四号線、越谷春日部バイパスのことかと思いますが、このバイパスにつきましては、昭和五十二年度までに全線暫定二車線で供用しているところでございますが、平成八年度までに、渋滞の著しい起点側の区間、下間久里交差点から春日部松伏線までの四・二キロについて四車線化の拡幅事業、これを図ってきているところでございます。渋滞が特に発生しております庄和インターの交差点につきましては、現在、右折レーンの延伸と左折専用レーンの設置といった交差点改良を検討中でございまして、これについては、設計が整い次第着手していきたいと思っております。  それから、その場合に残ってくる四車線化整備の区間でございますが、これにつきましても、ここは先ほどの東埼玉道路が自動車専用道で併設されますが、これと合わせながら引き続き事業については検討してまいりたいと思っております。  それから最後に、一般国道の四号と、それから二百九十八号、外環でございますが、これとの交差点であります親善町交差点、これの渋滞が大分厳しいようでございます。これにつきましては、四号の右折レーンが短いのでこれを延伸するといったような交差点改良を検討中でございまして、調査、設計が整い次第着手してまいりたいというふうに思っております。  また、抜本的な渋滞緩和のためには、先ほどの東埼玉道路の整備が必要だということを考えて、やはりそちらの方を重点的に進めていかなくてはならないというふうに考えているところでございます。
  179. 細川律夫

    細川(律)分科員 ありがとうございました。
  180. 小澤潔

    小澤主査 これにて細川律夫君の質疑は終了いたしました。  次に、永井英慈君
  181. 永井英慈

    永井分科員 私は、神奈川県川崎市の川崎区、幸区、中原区の神奈川第十区から選出をされておる永井英慈でございます。この東京湾アクアラインは、まさに私どもにとりましては地元中の地元のビッグプロジェクトでございまして、昨年の十二月十八日、完成式が行われまして、瓦建設大臣も御臨席をいただきました。好天に恵まれてすばらしい式典ができまして、私も一緒にテープカットをさせていただいて、大変感激をした次第でございます。  思いますと、私は昭和五十年に神奈川県の県議会議員になりまして、その翌年あたりからだったと思うのですが、具体的にこの東京湾横断道路建設の話が持ち上がってきまして、それから数えてみますとほぼ二十年、神奈川県議会でも、あるいは川崎市議会でも大変な議論がなされました。当初のうちは、元知事の長洲知事あるいは元川崎市長の伊藤三郎市長などはこのプロジェクトに極めて消極的でございました。しかし、皆さんの熱意によって着工にこぎつけ、私も、三年ほど前、もう完成間近いころ、あの海底トンネルの工事現場へ行って視察をさせていただきました。その技術力のすごさに圧倒された思いでございますが、こうしてでき上がってみて、深い感慨を覚えているところでございます。  そこで大臣にお伺いしたいのですが、この東京湾アクアラインができて、この大きなプロジェクトの評価をます伺いたいと思いますし、今後この大きな施設がどう生かされていくか、将来展望をひとつお聞きしたいと思うのです。  これだけの大きな施設ができ、交通の要衝も変わってくると思いますし、神奈川県、川崎市あるいは千葉県のみならず、首都圏全体に経済面でもいろいろな面で大きなインパクトを与えると思うのです。とりわけ、首都圏の土地利用計画とも非常に密接に関係があろうと思うのです。そこで、今後、国土庁ともそうした面で密接な連携をとって土地利用計画の見直し等も積極的にやっていただきたい。とりわけ私ども川崎市は、二次製造業としての工業都市として発展してきましたけれども、最近、産業の空洞化ということでかなり遊休地が出てきまして、土地利用計画の見直しというのは地元では緊急を要する課題だと考えておりますので、その辺も含めてひとつ御見解をいただきたいと思います。
  182. 瓦力

    ○瓦国務大臣 永井先生から、東京湾アクアラインの先般の開通につきまして、感慨を持ちながら御感想もちょうだいをいたしました。  実は、私も深い思い出がありまして、建設委員長のときにアクアラインの法案を実は扱わせていただきまして、与野党で議論をして、また東京湾へ船で出まして、この海底ヘアクアラインが通るんだと現地を視察をいたしましたり、川崎市も訪れました。横浜もその後伺ったわけでありますが、おっしゃるとおり、私は、この東京湾アクアラインが川崎市と木更津市を結ぶ十五キロメートルの幹線道路としてでき上がり、そしてまた、世界最大級の海底シールドトンネルを持つという大プロジェクトでございましたから、去る十二月十八日に完成を見たわけでございまして、先生同様感慨を新たにするものでございます。  私は、東京湾横断道路が、東京外郭環状線、首都圏中央連絡自動車道、いわゆる圏央道と一体となりまして、首都圏において広域的幹線道路網を形成するものでございまして、京浜地区と房総地域を直結する東京都市圏の南バイパスとしての役割を果たしてまいる、これは、都市機能を大いに高めるわけでありますし、広域的な都市圏を育成する基盤となる、こう思っておるわけであります。  御案内のとおり、東京湾は、房総からどうやって魅力的な都市と結び合わせていくか、川崎の行政区はちょっと長いものですから、それが横浜とつながりますから、東京が、首都圏が両手を広げたようなことになりますので、奥の深い首都圏がつくり上げられるわけでありますから、いろいろな面で国際化が進む中で、ほかよりもすぐれた魅力ある都市圏、経済圏がこれからいろいろな可能性を持って発展をしていくという期待が持てるわけであります。  いかにいたしましても、この東京湾アクアラインをこれからも丹念に磨き上げまして、その機能が果たせるような道路体系整備も含めて、つくっただけでいいというのではなくて、これから多くの期待を持って二十一世紀への大きな基盤づくりに役立てるようにしていかなければならぬ、こういうぐあいに考えておりますが。
  183. 永井英慈

    永井分科員 先ほども申し上げましたように、ぜひ京浜工業地帯の活性化のためにも御努力をいただきたいとお願いを申し上げるところでございます。  さて次に、聞くところによりますと、総工費約一兆四千億という巨大な投資がされたわけでございますが、これからこの巨大な道路施設を有効に機能を高めていくために、国と道路公団と横断道株式会社、これがそれぞれどういう役割を持っていくのか、その辺について、局長でも結構です、お答えをいただきたいと思います。
  184. 佐藤信彦

    ○佐藤(信彦)政府委員 アクアラインの建設、供用に至るまでの間といたしましては、横断道路会社、これが海上の工事を行い、それから道路公団が、基本的には前後の道路とかそれから用地買収、漁業補償とか、そういったことを行ってきたわけでございます。それから関係県ももちろんその間、前後区間の道路とか、それから国も直轄で道路工事等を行っているところでございます。  それで、先生おっしゃられるように、この道路をこれから活用してというお話でございますが、やはり神奈川、千葉、両県に非常な経済効果、両地方につきまして、そういった連携を持ったむしろ広域的な都市圏とか生活圏、そういったものをつくっていくということになるかと思います。  その中で、道路公団については、管理者ではございますが、ここの道路の特に海上部、これは建設を行いました会社がそこら辺の管理も行いますし、それから、中に海ほたるという休憩所などもございますが、これも観光的には非常に人気があるようでございます。そういったところなどは、やはり非常に民間の雰囲気のあります会社がやった方がいいといったことで、そういうことは会社の方で行っていくといった役割分担を考えさせていただいております。
  185. 永井英慈

    永井分科員 そこで、十二月十九日に供用開始してきょうが三月十九日でございまして、くしくもちょうどきょう三カ月日なのですね。九十日ばかりでその経済的効果を議論することは無理かもしれません。でも、三カ月たった今日、どんな波及効果が生まれているか、建設省で把握していることをお話しいただきたいと思うのです。  それで、私、地元ですから神奈川県や川崎市にいろいろ話を聞いてみるのです。ところが、残念ながら、我が地元川崎の効果がほとんど感ぜられない。お大師様がありますから、お大師様に千葉県の方の車のナンバーが多少ふえた、この程度なのですね。それで、横浜の方へ行きますと、湾岸道路を通って山下町へ行って、山下町は御承知のように中華街がすごいですから、あそこへ行ってみんな食事をするらしくて、横浜の経済界はかなり高い評価をしているのですね。  そんなことで、冒頭申し上げましたように、この経済的な波及効果、千葉県の方はかなりよさそうで、墓地もぼちぼちじゃなくて大分人気があるというようなことも報道されておりますが、建設省がつかんでおられる現状。それから、先ほどもちょっと話がございましたけれども、今後どうこのアクアラインの機能を高めていくか、これはいろいろな角度から検討して取り組んでいかなければいけないと思うのです。その辺について御答弁をいただきたいと思います。
  186. 佐藤信彦

    ○佐藤(信彦)政府委員 アクアラインが開通いたしまして、正月の三が日は二万五千台を超えるといったことで大分混雑もしましたが、最近少し落ちてきておりまして、平均が一万二千台ぐらいでございます。少し予定よりは少な目かと思います。この三カ月間の交通量は、こんな冬でもございますし、当初の予定を下回ってはおりますがいろいろ影響が出てきております。  一つは、首都高速道路でございますが、これの混雑の場所とか、そういったことが大分変わってきております。それから、例えば首都高速の荒川断面でございますが、湾岸の方の交通が少し減りまして、むしろ時間の関係もございますのでかなりアクアラインの方に回るという現象が起きております。それでありながら、ちょっと交通状況を見てみますと、川崎縦貫といいますか、四〇九号の方の交通が、十五号を渡るところとかそっちの方になると今度逆に減っているわけでございます。ですから、回ったのが首都高の羽横、あれでまた東京の方に戻っているのじゃないか、そんなような状況が交通の上からだけは見えております。  それから、いろいろ先ほどお話がございましたが、現象としては、何か千葉県のイチゴがイチゴ狩りで品薄になっているとか、それから、ホテルとか旅館の予約、ゴルフ場の予約がどうもふえているとか、中華街は確かにふえているというのは何か新聞等に載っておりましたが、そんなことも出ております。それから、もちろん川崎から木更津の高速バスが一日二十四往復であったのが三十往復に増便されている。  それから、これはこれからこういうことにもなっていくのかと思いますが、木更津とか袖ケ浦、君津それから市原、こういったところの貸し家、アパート、これの新規着工数が、平成九年度でございますが、対前年度で三六%増でございますので、やはり千葉県側の都市というかそこら辺が非常に川崎に通いやすい場所になってきているといった効果があると思っております。  そういったことで、まだ三カ月ですので、これからどういう方向がとか、方針とかそういうものが私どもなかなか出しにくいわけでございます。いずれにしましても、先ほどちょっと申し上げましたように、東京を通っていくわけですけれども、今まで千葉県と神奈川県というのがつながりの比較的薄い県同士であったということかと思いますが、今回十五分ぐらいあるいは二十分でつながる話になってきて、川崎の方で何かやれば必ずその影響が千葉県の方にも出ますし、千葉県の方で何かやれば出てくるといったような非常に一体感のある圏域になってきているといった感じがいたしております。  ですから、そういった意味では、千葉県の方についてどちらかというとまだ開発——それからこのアクアラインを計画したとき、着工のときにはいろいろなプロジェクトを計画しております。それなども、やはり川崎側もそうですが、これからいろいろなプロジェクトを進めていくことによってさらに両方の県が発展するのではないかというふうに思っております。
  187. 永井英慈

    永井分科員 今お話をいただきましたように、千葉県は顕著に三カ月でもう効果があらわれておる、それから横浜も中華街を初めそれなりに評価ができるような効果が出ている。ところが、先ほど冒頭に言いましたように、私の地元中の地元のの川崎、これが全く効果が出ていない。そこで、川崎に直接的にメリットをもたらすには、この四〇九の第一期工事、これが決めると私は思うのです。それで一期工事と同時に二期工事、これができて初めて川崎にアクアライン効果が顕著にあらわれてくるだろう、そう期待しているのです。  そこで、アクアライン供用前後の四〇九号、今第一期工事をしておりますが、あの辺の交通事情はどうなったでしょう。ちょっとわかったら教えていただきたい。
  188. 佐藤信彦

    ○佐藤(信彦)政府委員 四〇九号の浮島橋の付近の交通量でございますが、供用前には二万六千台程度でございましたが、供用後にむしろちょっと減っておりまして二万二千台、二万台以上かと思いますが、測定のときによって違いますが、大体そのくらい通っているようでございます。
  189. 永井英慈

    永井分科員 そうですが。交通量が減ったということは、それなりに地元では見方によってはメリットと見てもいいわけですね。  そこで、この四〇九号は、私ども昔は川崎街道とか府中県道とかいろいろな呼び方でやっておったのですが、四〇九という国道に昇格というか指定がえがされたわけですね。これはどんな経過なのか私は承知していないのですが、ちょっと御説明をいただければと思います。
  190. 佐藤信彦

    ○佐藤(信彦)政府委員 一般国道でございますが、これは御存じのように高速自動車国道とあわせて全国的な幹線道路網を構成します道路でございまして、国土を縦貫し、横断し、また循環し、主要な都市を相互に連絡する道路といったことで、国土の骨格を構成しているわけでございます。一般国道の場合、自動車交通の役割の増大とか、それから、交通が高速道路などによってやはり広域化されてきております。そういった広域化によりまして国道昇格という形で追加指定がされてきております。  それで、先生がおっしゃられるように、従来は川崎街道、府中県道とか言っておりますが、これが一般国道四〇九号線になりましたのは五十六年の四月でございます。それで、起点を川崎市、終点を成田市とする一般国道として指定されております。川崎市は、二四六に取りつくところですね。ですから、溝口付近かと思いますが、そこから成田までの間が五十六年に指定されております。
  191. 永井英慈

    永井分科員 単純な質問で恐縮でございましたが、よくわかりました。  そこで、この一期工事の完成はいつごろになるのでしょうか。大分計画がずれ込んでいるというような話も地元では聞いておるのですけれども、できるだけ見通しを正確にお答えをいただきたいと思います。
  192. 佐藤信彦

    ○佐藤(信彦)政府委員 川崎縦貫道の一期工事と二期工事でございますが、一期工事は、御存じの ように川崎の浮島ジャンクションから国道十五号までの八キロ、これを一期区間と考えて実施しております。  この縦貫道、平成二年度に事業化されまして、川崎浮島ジャンクションについては平成九年の十二月に東京湾アクアラインとあわせて部分的にちょっと供用したということはございますが、そこから先のジャンクションから国道十五号までの間、これは御存じのように用地取得の関係が、地元の方々の権利的な問題の調整に少し難航いたしまして、大分おくれてきております。そういったものとか、京浜急行の大師線の連続立体との調整とか、そういったことでおくれてきておりますが、次期五カ年ですので平成十四年までに完成を目指して現在事業を促進しております。  国道四〇九につきましては、ここの間は首都高速と複断面になっております。そういったことで、首都高速に合わせて次期五計を目指して進めていくといったことで、なるべく早期供用に努めたいというふうに思っておりますのでよろしくお願いします。
  193. 永井英慈

    永井分科員 先ほど来話していますように、せっかくできたアクアライン、地元川崎に直接的なメリットがまだ生じていない。それは、もう一期工事を一日も早く完成することを地元では一番願っていることなのです。ですから、平成十四年と言っていますけれども、今私が強調しておりますこの状況をしっかり受けとめて、もう一刻も早く、一年も早く完成させていただきたいと思います。  それと同時に、先ほども申し上げましたように、第二期工事ですね。二期工事が完成して、東名高速と接続ができ上がって初めてこの東京湾アクアラインのメリットが直接的に、しかも大きなメリットが川崎に及ぼされると思うのです。そういうことを考えて二期工事も、ちょっと私の感じでは建設省も熱意がないなという感じがするのです。川崎もどうも取り組みがいまいちという感じがしているのです。しかし、せっかく一兆四千億もかけてあの橋をつくったわけですから、これは国家的なプロジェクトであり、国家的なメリットを追求しなければいかぬだろうと思うのです。まあ、ちょっと声が大きくなりましたけれども、とにかく総力を挙げて地元のために御尽力をいただきたいと思います。  最後に、大臣にも申し上げました、京浜工業地帯の中核をなす川崎、非常に産業面でも空洞化が目立って厳しい状態なのです。とりわけ中小企業は厳しい状態に追い込まれておりますので、その土地利用計画も今国土庁で進めておるようでございますけれども、一刻も早くそういった計画を整えて万全を期していただきたい。心からお願いを申し上げて、私の質問を終わります。ありがとうございました。
  194. 小澤潔

    小澤主査 御苦労さまでした。  これにて永井英慈君質疑は終了いたしました。  次に、保坂展人君
  195. 保坂展人

    保坂分科員 社会民主党の保坂展人でございます。  本日は、ダムのあり方について絞って御質問させていただきたいと思います。  こちらに水資源開発公団の作成された思川開発事業のカタログがございますけれども、公共事業の見直し、とりわけ建設省でも、長いこと滞っていたダムの計画がこれは本当に必要かどうかという見直しがされて、一応計画をかなりストップされたりという中で、実は思川開発事業というのは大変特徴的な事業であることがわかりました。  といいますのは、これは口で説明してもなかなか難しい。実は、私ども社民党の栃木の地元から要請がありまして、調査団ということで、地質学者の先生、あるいは環境問題の専門家、あるいは地元の住民の皆さんとお会いする中で、先日ここに実際に行ってまいりました。その調査を踏まえて、きょうは具体的に幾つかの点を伺いたいと思うのです。  ます、幾つかの計画の中で、この南摩ダムというダム、これは貯水量一億トンという大変大規模なダムでございます。こちらの計画されている南摩川という川に私ども行ってまいりました。ます一日見て驚いたのは、幅一メートル、まあ二メートルぐらいありましたでしょうか、非常に小さな川だなと。そして、小川というかそんな印象ですねと言ったら、地元の方が、今雪解けで一番水が多いのです、せせらぎぐらいになってしまう、もっともっと水量が少ないの、ですと。  そうすると、水のないところにどうやってダムをつくるのだろうかと素朴ながら思うわけです。この計画が特徴的なのは、やはり水がないので、中禅寺湖を源流にする大谷川という川、その他幾つかの川から二十キロ、直径五メートルの導水管で水を運びますよという計画なのですね。  さらに特徴的なのは、その導水管そのもので水が大谷川から取水されるわけですから、大谷川の流域の皆さんから今度は、渇水もあるじゃないか、そのときは困るぞという話が出てまいります。そうした場合に、今度は渇水時にはこの南摩ダムの方の水を逆送するという計画になっております。大谷川側から計画の南摩ダムには傾斜がありますからほぼ順調に水は来るのですけれども、これは逆送ですから、低いところから高いところに上げなければいけないので、大変費用やポンプなども必要だ、技術的にもこれはどうかなといういろいろな疑問がございます。  ます伺いたいのですけれども、これは昭和三十九年にこの構想が発表されました。その時代はまさに、私は昭和三十年生まれですから、昭和三十九年といえばオリンピックの年ですね。日本じゅうが、例えば東京では首都高速なんかが完成をしていく、あるいは東海道新幹線が走り出すとか、そういう意味で高度経済成長の、日本人が馬車馬のように働いて幾つも大規模な公共事業がどんどん計画されていくという時代だったと思います。  この計画が会計検査院の指摘を受けて、ここのところ急に動き出しているようです。水没地区、調査に行ったら三十年前の看板がありましたけれども、南摩ダム絶対反対と、三十年前の看板ですからもう半分朽ちているわけですね。水没地区の住民は大変悩んで補償受け入れということを決めたということも聞きました。しかし一方で、計画が変更されて新たに立ち退きを命じられる方も出てきた。  そこで、なぜこれだけこの計画が滞ってきたのかということについて、そしてもう一つ計画の練り直しということがなぜ起きてきたのかということ、これを簡単にお答えいただきたいと思うのですが、建設省の方、よろしくお願いします。
  196. 尾田栄章

    ○尾田政府委員 思川開発につきましては、御指摘のとおり昭和三十九年に構想が発表されまして、その後、昭和四十四年に実施計画調査に入り、昭和五十九年に建設事業に着手という段階を踏んでおるわけでございますが、具体の動きといたしましては、平成六年に閣議決定の環境影響評価実施要綱に基づく手続を終えまして、その上で、建設大臣から水資源開発公団に事業実施方針の指示をいたしたところでございます。  この間相当期間がたっておりますのは、御指摘のとおり、大谷川から水を一方的に持っていくということに関して、大谷川並びにその下流の皆さん方の、川の水がかれるというあるいは地下水に対する思い、そういうことが背景にあったかと思います。  いずれにいたしましても、先ほど先生御自身御指摘がございましたとおり、南摩ダムの水没地にかかわります住民の方々につきましては全員の御了解をいただきまして、現在用地補償調査を実施しておるという段階でございます。
  197. 保坂展人

    保坂分科員 昨年問題になりました諌早の問題ですね。これは、でき上がってしまってからの議論だったわけでございます。この諌早でも、当初計画予算より一・八倍でしょうか、大変予算的に膨らんだということも語られました。  今回のこの予算なのですが、総事業費二千五百二十億円ということで九二年に設定されておるようですけれども、その九二年段階のいわば見積も りというか単価と、恐らく現在ということになってくるといろいろな諸経費上昇ということも考えられるだろう。そして、それではその予算を一体どこが負担をして、例えば国や県、それぞれ割り振りはあると思いますけれども、その負担の内訳ですか、ここはどういうふうに定まっているんでしょうか。建設省にお願いします。
  198. 尾田栄章

    ○尾田政府委員 まず総事業費二千五百二十億円についてでございますが、これは平成四年度の単価で積算をしておるわけでございますが、現時点、平成九年度と比較をいたしますと一・三%ぐらいの物価増は予想をされているところでございます。  一方、御承知のとおり、平成九年の一月に公共工事コスト縮減対策関係閣僚会議の検討を受けまして、現在その行動指針をつくりまして、公共工事のコストの縮減に取り組んでいるところでございまして、そういう意味合いではこの二千五百二十億円で工事が完成できるものと考えております。  それから、どういう形で水を使うか、といいますか、だれがどう負担するかということにつきましてはまだ現在決まっておりません。
  199. 保坂展人

    保坂分科員 このパンフレット、大変立派なパンフレットですけれども、拝見しまして、事業概要というのがございます。そこに、先ほど述べたように、この事業概要は、大谷川の水を安定していわば活用するんだというふうに書かれておるんですね。つまり、大谷川から取水をしたり、あるいは渇水があるときには逆送したり。この事業概要そのものは変更されているでしょうか。  そして、その変更されたことに伴って生まれてきたのは二つ問題があると思うんですが、一つは、これはトンネル状の導水管ですよね。直径五メートルのトンネル状の導水管を山岳地帯、山の中をぐっと通すという前例があるのか。それから、その工事に伴って、しかもワンウエーじゃなくて逆送もするわけですから、それらの見積もりはきちっとできているのか。工事費が上回る心配、とてもあるんじゃないかと思うんですが、いかがですか。
  200. 尾田栄章

    ○尾田政府委員 当初の構想のときと比べますと、先ほども申しましたとおり、大谷川から一方的に水が流れるというのではなしに相互方向で流れるという形で現在考えておりますので、そういう意味合いでは大きく基本的な考え方が変わったということでございます。  それから、こういう導水路を持っていって水をためる、こういう方式につきましては、我が国では余り事例はございませんが、ヨーロッパ、特にフランスなんかでは、なかなかダムサイトがないものですので、ダムサイトとしていいところにダムをつくって、そして水を河川から延々と導水路で持ってくる、こういうダムはセーヌ川の上流等にもたくさん事例がございます。  そして、トンネルに関してどうか、こういうことで申しますと、トンネルの技術としては、道路トンネルも河川トンネルも、トンネルを掘るという意味においては一緒でございます。あとは、ライニングと申しますか、水が漏らないような、そういう形の構造をどうするかというのが普通の道路トンネルとこういう導水路のトンネルの違いでございますので、そういう意味合いでは、山の中でのトンネルというのは実績はたくさん持っておるというふうに考えております。
  201. 保坂展人

    保坂分科員 そこで、さらに伺いたいんですが、この思川開発事業は、もう一つ、行川ダムというダムをつくる計画になってございますよね。そうすると、この行川ダムのすぐ近くに今市市がございます。こちらではかつて大きな地震があって、被害があった。ここのところ、本当に、ダムをつくって地震との関係で大丈夫なのだろうかというのが一点。  さらに、山の中の、道路トンネルは車が走るわけですけれども、しかし導水管ですから中に水が入っている。そういった土砂崩れや地震等で導水管部分からいろいろな被害が出ることはないか。  そして、南摩ダムそのものも一億トンという大変な巨大なもの、もしこれができ上がったならば、左岸と右岸の地質が違うとか、非常に危険も指摘されているんですが、そのあたりは、万が一そういう被害が出たときに責任がとれるところまできちっと踏まえて計画があるんでしょうか。
  202. 尾田栄章

    ○尾田政府委員 まず地震対策がどうかという点でございますが、ダムは先生御指摘のとおり極めて重要な構造物でございますので、事前に十分な地形調査あるいは地質調査を行いまして、その上で河川管理施設等構造令に定めております耐震設計を行っておるところでございます。私どもとしては万全の措置をとっておるというふうに考えております。  現に今まで日本のダムで、地震によってダムの安全性に支障を来すというような被害を受けたこともございませんし、特に平成七年の兵庫県南部地震に際しましては、震源近傍にもダムがございましたが、このダムにつきましても安全性に支障を来すというような被害は全く起こっていないということを確認をいたしておるところでございます。  それから二点目の、地震時におけるトンネル導水路の挙動の問題でございますが、これにつきましては、地上の建物がよく地震時に破壊をいたしますのは、地表面の振動と上の固有振動が合わないことによって起こるわけでございまして、こういう地下の構造物というものは、地表の構造物に比べて地震時における安全度は比較的といいますか相当高いというのが基本的な知見でございます。  そして、このトンネル導水路の建設に際しましては、当然そういう耐震設計を行った上でつくることになるわけでございますので、地震時において問題はない、こう考えております。
  203. 保坂展人

    保坂分科員 地震時において問題がない、万全な調査に基づいて計画推進されているということなんですが、それでは伺いますけれども、その南摩ダムの右岸と左岸、これら、昨年二月までは立ち退き対象ではなかった住民が立ち退きをしてくれというふうに言われて、私たちはここのふるさとで、年もとっていることだし、この農地を耕してここで死んでいきたいんだというふうにおっしゃっていて、これはとても合意を見てないわけです。  なぜそのような計画変更がなされたのか。そして住民の合意は全くできてないというふうに私どもはヒアリングをしてまいりました。よもや強制的な手段で立ち退きをさせるなんてことをお考えになってないとは思いますけれども、これを一言確かめておきたい。
  204. 尾田栄章

    ○尾田政府委員 先生御指摘の計画変更に伴う新たな用地買収といいますのは、これは南摩ダムの余水吐き、洪水時に洪水をカットした上でなおかつ下流に流す部分でございますが、そういうものの、洪水吐きの設計変更によるものでございまして、これは当初、平成七年の九月に、この地域、室瀬地区と申しておりますが、室瀬地区全戸に御説明をさしていただいたわけですが、そのときには、余水吐きの構造の関係で水没が少なかったわけであります。それが、今回地質等々の調査を進める中で余水吐きの設計を変えました。その結果、新たに移転対象の家屋が出てきたということでございます。  当初の御説明をした段階におきましても、今後いろいろな計画の検討を詰めていく中で移転対象の戸数がふえることもあり得ますという御説明をさせていただいた上で事業を進めておったわけでございますが、平成九年の二月に、新たにこういう形で移転が出てくるという御説明をさせていただきましたところ、現時点においてはまだ御了解を得られていないということでございます。  私ども、今までも、ダムをつくるに際しましては、本当に粘り強く、一戸一戸の御了解をいただいた上で初めて進めるということをやってきました。その結果、残念ながら非常に長くかかる、そういうこともある意味では覚悟をしながら進めてきたわけでございまして、現時点において強制的に何かするというようなことは全く考えておりま せん。
  205. 保坂展人

    保坂分科員 ではます総括的にまた河川局に伺いますけれども、実は当時の見積もりの水需要と現時点でやはり変化があろうかと思います。当時は東京都民の水がめというふうに語られたと私ども把握をしておりますけれども、現在必ずしも東京都民というふうに限定されているわけではない。あるいは栃木県の地盤沈下の問題も指摘されておりますけれども、これは実際ダム自身の水がどこに供給されるのか、それはきっちり今決まっているのでしょうか。つまり、それが決まっていれば国や各都道府県の負担率も定まると思うのですが、今確定していますか。そこの点に限ってお願いします。
  206. 尾田栄章

    ○尾田政府委員 今どういう形で水をお使いをいただくかということについては確定をいたしておりません。  ただ、先生も御指摘をいただきましたとおり、利根川水系は大変現在も不安定な状況にございまして、全体の取水量の三六%が河川の水が豊富にあるときにしか使えない、こういう不安定な取水、暫定取水に依存をしておるというのが現状でございます。その結果といたしまして、最近だけ見ましても、平成六年の夏、平成七年の冬、平成八年の夏、平成九年の冬と、ほぼ毎年と言ってもいいほど、また夏だけに限らず冬場においても利根川からの取水制限をせざるを得ない。これはもちろん水をお使いになっておられる方々との協議のもとにそういう取水制限の措置をさせていただいておるわけでございますが、そういう状況にございます。  また栃木県あるいは埼玉におきます地盤沈下についても、とまらないというのが現状でございまして、そういう状況のもとで、千葉県知事あるいは埼玉県知事あるいは栃木県の水利用者の方たちから、平成九年だけ見ましても、この利根川水系の水資源開発に対して非常に強い要望が出されている現状でございます。
  207. 保坂展人

    保坂分科員 今お聞きしていましても、当初の目的となった都民の水がめというところから今模索状態というふうに受けとめるわけですけれども、幸い、何というのですか、強引に、計画変更に伴って強制的な力の行使ということは考えておられないというところは一安心しました。ただ、これだけ大きな公共事業予算的にも大変な事業で、そしてその費用は結局水道費にはね返ってくるのではないかというふうに私ども思います。  その点を後ほどちょっと建設大臣にも聞きたいと思うのですけれども、その前に、環境庁に来ていただいていますのでお聞きしたい。環境庁ができる前の話です、この事業計画が作成されたのは。しかし、できる前の話であっても、これからこの工事が始まろうとしている、これは形の上ではもう工事は始まっていることになっているかと思いますけれども、大変豊かな自然、そして希少種の動植物も見受けられるというこの事業に対して環境庁の方でやはり重大な関心、そして注目をしてほしいと思うのですが、その点に関してちょっと一言お願いしたいと思います。
  208. 小林光

    小林説明員 今御指摘の思川開発事業につきましては、閣議決定要綱に基づきまして建設省が環境に係る調査、予測及び評価を既に行っております。その際建設大臣から環境庁長官に対して意見は求められておりません。環境影響評価に係る所要の手続は既に平成六年の時点で終了しているというふうに聞いております。
  209. 保坂展人

    保坂分科員 そういうことを全然聞きたかったわけじゃなくて、関心と注目を喚起をしたいというふうに私は申し上げたわけです。それに対して答弁をしていただきたいと思います。手続的なことを聞いているのじゃないのです。
  210. 小林光

    小林説明員 思川の開発事業に関しましては、環境庁のかかわりに関しまして今御説明したとおりでございます。  環境庁としましては、都市の近郊に存在する里山など、思川の流域もそうだと思いますけれども、生物多様性の保全の観点からも、また身近な自然環境としても重要であるというふうに認識しておりまして、今後と毛里山の保全に関しましては重大な関心を持って対処していきたいというふうに思っております。
  211. 保坂展人

    保坂分科員 はい、わかりました。  それでは大臣に、お疲れのところと思いますが、御答弁いただきたいと思うのです。財政構造改革ということがこれだけ言われて、そして公共事業の見直し、そして、建設省におきましてもダムそのものの、長期にわたって進まなかった、こういう計画の見直しも進められたと思います。これまでのやりとりをお聞きになって、この思川の計画、そして水を二十キロ持ってきてまた返すという、これはちょっと、私は、高度経済成長時代の発想なのではないか、見直しということが選択肢にあっても構わないのではないかというふうに率直に思いますが、建設大臣の所見を伺いたいと思います。
  212. 瓦力

    ○瓦国務大臣 ダムは私どもにとりまして生活上また経済を支える上で欠くことのできない水資源そのものを涵養してもらう施設でございますし、また国土の形成を見ましてもダムをつくり得る箇所というのは限られてもおるわけでございますが、そういった中で近年特に渇水が各地域で見られる状況になってまいりました。また生活の上では非常に水が大量に必要な時代を迎えて、それはもう消費者の立場でいえば水がまさに必要でございます。ですから、供給する側との相互の協力をどう持つかということにつきまして、各般の状況をよく調べて、環境であるとか、あるいはまた水没するであろう方々の理解も得なければなりません。  それらのことのために大変時間のかかる作業になるわけでございますが、それらを通して水をいかに活用していくかということを今河川局長もるる述べておられるわけでございまして、これは高度成長時代で取り組むとか経済の成長が低下したからやめるとかということで判断できる問題でもございませんし、今日、技術の面では非常に信頼する技術が得られておりますので、私は、それらのことを理解をしながら、委員にも御理解をいただければありがたい。  ダムの建設には二十年、二十五年、事によれば三十年、それ以上の年月を費やすわけでございますが、そうした努力の上に今日あるわけで、また先を見ればそのための準備をしていかなければならぬということになりますので、今日の次元ですぐ考えられるかといいますと、いろいろ私どもにも考え方があるわけでございますので御理解を賜ればありがたいと思っております。
  213. 保坂展人

    保坂分科員 私はこの調査の要請を受けて、これを見せられました、このパンフレット。でも、正直言ってわからなかったですね。ここに実際に行ってみて、事業規模、そして百五メートルのロックフィル式のダムがここへできるんだというところに立ってみて初めてわかりました。  そして、今後とも自然保護やあるいは環境面あるいは安全面、いろいろな調べを私どもも進めていきたいと思います。そういった率直な指摘をお届けしたいと思いますので、これはぜひ大臣に受けとめていただきたい、これをお願いしたいと思うのですが、お答えをお願いしたいと思います。
  214. 瓦力

    ○瓦国務大臣 私の立場から申しますと、いろいろな方々の御意見は謙虚にお聞きをしなければならぬ、そう思いますし、それらの方々の意見に耳を傾けることは、全くやぶさかではございません。  ただ、申し上げましたように、私たちの生活をどう守っていくかということになりますと、被害者、加害者の関係というよりは、お互いに協力し合う関係をつくり上げなければならぬので、そういう意味でも、先ほど時間のかかる問題だということは河川局長からの話にもあったかと思うわけであります。  私もでき上がったダム、今建設中のダム、それらのものも、就任いたしましてから、先般も視察をしてまいりました。やはり自然をどう生かしていくかということも工夫してっくられたダムで、水没した家族の方々も集まりまして、新しい生活 設計を描こうということで、ほとんどの方々が集まっていただいておりましたのも見てまいりました。  それから、地形によりまして、本来であれば効率的にここにダムサイトをつくればいいが、少しそれらの地域状況も勘案して、多少の予算はかかりましても、地域との共存の中でつくり上げておるダムを拝見もしてまいりました。いかに協力し合って、いかに理解し合うかということはダム建設の前提になりますので、そういったことも御理解をいただき、使う方の立場、供給する方の苦労、両方をお考えいただきたいと思うわけでございます。
  215. 保坂展人

    保坂分科員 それでは、時間になりましたので、一番最後に一問だけお願いしたい。  この件に関しましては、ぜひ地元の合意ということを前提にしていただくということは先ほど答弁ありましたとおりだということをもう一回確かめさせていただいて、そして、ただいまNGO、市民団体も絶対反対だということだけでただ言っているわけではないということは私ども対話してよくわかります。水需要の予測、シミュレーション、その他市民団体の方もいろいろ対案を提示する時代に今は入ってきているのでございます。そういうことに耳を傾けていきたいということを一言お答えいただいて、おしまいにしたいと思います。
  216. 瓦力

    ○瓦国務大臣 重ねての御質問でございます。そういったことも十分心得ながらこの事態を見守ってまいりたいと思っております。
  217. 保坂展人

    保坂分科員 終わります。
  218. 小澤潔

    小澤主査 御苦労さまでした。  これにて保坂展人君質疑は終了いたしました。  次に、鍵田節哉君
  219. 鍵田節哉

    鍵田分科員 民友連、新党友愛の鍵田でございます。  大臣もせっかくいらっしゃるのですから本来ならいろいろお聞きをしたがったわけでございますが、きょうはローカルな話題を御質問したいと思いますので結構でございます。  私は、大阪で仕事をし、そして奈良県の方で生活をしておるという関係で、両方の地域の課題につきましていろいろ関心を持っておるわけでございますけれども、きょうは特に、大阪と奈良県の境にあります生駒山と、それからもう一つはその山を隔てて東側に矢田丘陵という丘陵地帯がございますが、その間を走っております、生駒市や平群町というところの中を走っております国道百六十八号線のことについてお聞きをしたいと思っておる次第でございます。  この矢田丘陵と生駒山との間というのは非常に狭いわけでございまして、そこに近鉄の生駒線という電車と、そして国道の百六十八号線、この二つが交通の手段として走っておるのですが、この周辺といいますのは、奈良盆地に比べますと大変開発がおくれまして、この近年、二、三十年の間にたくさんの団地開発が行われてまいりまして、人口が急増してきておるわけでございます。そのために、後ほど質問いたします大和川の汚染の問題とも関連をするわけでございますが、大変な人口の急増のためにいろいろな問題が出てきております。  特に人口の増加とともにやはり車の通行量がふえてきた。そしてまた、周辺に高規格道路でありますとか、大阪と奈良を結びます。そういう道路が整備をされてまいりますと、必然的にこの百六十八号線に流れてくる車もふえてまいります。昨年は第二阪奈道路が完成をいたしまして、この地域に住む住民にとりましては、大阪などへの連絡道としましては大変便利になりまして喜んでおるところでございますけれども、その開通に伴いまして関連の道路も大変混雑をしてまいってきております。  そういうことで、この百六十八号線の渋滞が慢性化してきておりまして、生駒市と平群町を結びます間だけでも、十五キロ程度のそんなに長くない距離でございますけれども、朝夕のラッシュ、さらには土曜、日曜などは大阪からの観光客などがたくさん通過をいたします。そのために道路は慢性的に渋滞をするし、そういう時期には緊急車などの通行も大変妨げられるというようなこともございます。  もちろんこれからバイパスなどの供用もできできますと漸次緩和されるのかもわかりませんが、それまでの間に、現在の百六十八号線の国道そのものがもっとスムーズに流れるような、そういうきめの細かい道路対策ができないのかどうか。例えば、百六十八号線という南北に通っておりますこの国道の周辺に住宅団地がたくさんできたわけでございますから、双方の団地、いわゆる左折したり右折したりするわけですが、左折の場合は割合スムーズにできるのですが、右折をする場合にはどうしても対面交通を待たなくてはならないというふうなこともありまして、車が一台ありますと、非常に後ろの車の通行を妨げて渋滞の原因をつくるというようなことがございます。  こういうふうな現在の道路を一日も早く改修をして、何とかバイパスができるまでの間のつなぎとしてやっていただけないか、こういう問題についてどのようなお考えを持っておられるのか、お聞きをしたいと思います。
  220. 佐藤信彦

    ○佐藤(信彦)政府委員 百六十八号の現道の方の交通対策の問題でございますが、一般に二車線道路の場合、特に交差点での今おっしゃられたような付加車線が足らないといったケースが非常に多いようでございます。  そういったものは交通安全対策事業として、バイパスなんかをつくっていたにしてもそういう現道はます対応していかなければならぬといったことで、別個に事業を進めているところでございます。また、そういったところでは歩道がなかなかとれないと。昔の国道ですと歩道が十分についていないといったケースがあるかと思いますが、これもそういった交通安全事業対応していくといったことをやらせていただいております。  そういった中でございますが、何といいましても、やはり根本的にはバイパスの整備が第一かと思います。そういったこと等、さらには、バイパスも単に一本だけではなくて道路自体を道路網としてつないでいく。ですから、そこのバイパスだけの渋滞、そこにばかり集中的に交通を流すのじゃなくて、それと並行の路線があればそちらの方にも交通を回すといったような、情報を与えましてそういうことを行うとか、そういったことが必要になってくるのではないかというふうに思っております。
  221. 鍵田節哉

    鍵田分科員 バイパスの工事も必要だけれども、現道においてもいろいろな対策をということでおっしゃっていただいておるわけでございますけれども、やはり非常に古い昔からの国道でございますので、市街地を走っておったりしまして、まだまだ狭い地域もたくさんございます。それらの解消につきましては、バイパスが供用されたとしましてもやはり生活道路として必要でございますので、それらの改善についても積極的に進めていただきたいというふうに思います。  それで、この百六十八号線というのは、近鉄生駒線と何かお互いに縫うような形で通っておりますから、生駒市と平群町だけでも踏切が四カ所ほどございます。それも、大変なカーブの中で踏切があったりしまして、非常に道も狭いしカーブがあるというふうなことで危険度が高いわけでございます。そういうことを考えますと、やはりバイパス、今計画されておりますそれが実現しますと、踏切も通らなくて済む、そしてそんな大きなカーブもないということでございますので、やはり一日も早くこのバイパスを通していただきたいというふうに、地元の住民の熱い思いがございます。  特に平群町などでは、もう九五%から用地の買収も済んでおるというふうに聞いておるわけであります。また、工事はある程度できておるけれども、何か現道とのタッチ部分がわずかな距離できないためにその供用ができないというようなこともあるようでございますけれども、やはり一日も 早くこれを実現して渋滞緩和を図っていただきたい、こう思うわけでございます。特に、上庄バイパスができますと、非常に危険な部分、それから平群町の町内の狭い道路を通らなくて済む、こういうことでございますので、この上庄バイパスがいつごろ供用される見通しを持っておられるのか、それについてますお答えをいただきたいと思います。
  222. 佐藤信彦

    ○佐藤(信彦)政府委員 上庄バイパスでございますが、延長四キロのバイパスでございます。これまで一・八キロについては部分供用しているところでございますが、残りの区間の用地買収、改良工事を進めているところでございます。  しかしながら、平群町の一部で、先生今おっしゃられたように、用地買収が難航している区間があるようでございます。任意交渉で解決に努めてきたところでございますが、残っている六筆、三名ということでございますが、千百平米ぐらいです。これについては、事業認定の申請を行ったところでございます。かなりそこの区間がネックになってバイパスの供用もおくれてきているというふうに伺っているところでございます。  それで、バイパスがいっかというお話でございますが、そういった用地の確保がます第一かと思います。そこら辺のことも一つはあるわけでございますが、ことしから五カ年計画がスタートいたします。その中で、私どもとしましては、五年の中のなるべく前半ぐらいで供用開始に進められないだろうかといったことで、現在、いろいろ検討させていただいているところでございます。
  223. 鍵田節哉

    鍵田分科員 ちょっと立ち入ったことをお聞きしたいのですけれども、この用地買収がおくれている原因はどういうところにあるのでしょうか。
  224. 佐藤信彦

    ○佐藤(信彦)政府委員 必ずしもそういったことだけではないとは思いますが、一つはやはり単価の問題があるかに伺っております。そこら辺のところが大分ほかの方々と、ほかの方々は大体合意をいただいているようでございますが、そこら辺でおくれているといった状況でございます。
  225. 鍵田節哉

    鍵田分科員 それでは、予算とかそういうふうな面がネックになっているというふうなことはないと理解してよろしゅうございますか。
  226. 佐藤信彦

    ○佐藤(信彦)政府委員 こういう現在のような情勢になってきますと、どこの地域も、むしろ今まで用地買収困難だったところが逆にうまくまとまって、早く供用開始しろ、自分のところへ予算を持ってこいという話が大分出てきたりしているところもございます。したがいまして、こういう御時世になると、やはり予算的にはなかなか厳しい状態はあるわけでございますが、ここのバイパスの場合には、かなり事業も進んでおりますし、それから供用することによっての事業効果もかなり見られるのではないかといったことで、私どもとしては早期に供用できるように進めていきたいというふうに思っています。
  227. 鍵田節哉

    鍵田分科員 ついでに、一分バイパスのことにつきまして。  この地域には、大型小売店舗なども最近たくさん建ってきております。さらには、ここには第二阪奈道路も完成をしたというようなこともありまして、大変混雑をしております。もう平群以上の混雑ではないかというふうにも思っておりまして、この一分バイパスの完成につきましてはどういうふうなスパンで考えていらっしゃるのか、これについてお聞きをしたいと思います。
  228. 佐藤信彦

    ○佐藤(信彦)政府委員 一分バイパスの区間、これも交通険路区間でございますが、二・八キロのバイパスでございます。  これまで、平成九年に第二阪奈有料道路の供用にあわせまして、そのうち〇・四キロ、四百メーターでございますが暫定供用を行っているところでございます。現在、菜畑地区付近におきまして平成十年度に、延長〇・九キロですから一キロ弱でございますが、この部分供用を図るべく、用地買収、それから部分的には改良工事も進めているところでございます。今後とも、そういったことでなるべく早期供用が図れるよう事業促進を進めていきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたしたいと存じます。
  229. 鍵田節哉

    鍵田分科員 これは、一分バイパスとそれから上庄バイパス、やはり両方が完成しない限り、この周辺の道路の渋滞は緩和されないと思いますので、ぜひとも、これはあわせて促進をしていただきたいと思います。  それでは、次の課題の大和川の問題についてお聞きをしたいと思います。  実は、私は三年ぐらい前まで大阪で仕事をしておりまして、その当時はこの大和川という川がたしか日本のワーストツー、近畿ではワーストワンだ、こう言われてきたと思うのですけれども、何かこの二、三年、ちょうど私が大阪の仕事をやめたころに見事ワーストワンになったようでございまして、大変恥ずかしい思いを実はしておるのです。  私自身も小さいころには、この川で泳いだり、それからハゼ釣りやボラ釣りをしたり、上流の方ではフナやハヤ釣りをしたりというふうなことで非常にこの川に親しんでまいりましたし、そして付近の住民にも、大和川、大和川といって大変親しまれてきた川でございますけれども、やはり、先ほどから言っておりますが、住宅などがたくさんできてきた、そのために富栄養化が進みまして、今はコイぐらいしかすんでいないのではないか。  どんな魚がすんでおるのか近畿地建なんかで調査をされたのかどうか知りませんが、私たちが目で見る限りは、たくさんおるのはコイぐらいしかいない。コイというのは、あれは水から揚げまして一晩や二晩置いておいても生きておるというぐらい大変生命力の強い魚でございますから、中国では大変おめでたい魚だと言われておるのですが、コイしかすめないという川ではちょっと問題だなと。ハゼ釣りなどももちろんできません。  そういうふうなことで、一生懸命私たちも、住民も巻き込みまして、この川を何とかきれいにしたいと思ってきたわけでありますが、しかし、我々一般市民が幾らそんなことを言いましても、それだけではどうしようもないわけでございまして、やはり下水を完備していただくとか、それから水源を確保していただくとか、やはり建設省が中心になってやっていただかないといけないのではないかというふうに思うわけです。そういうことに対して清流ルネッサンスということでいろいろな取り組みをされておるようでございますが、そのルネッサンスの取り組みなり、それから下水道の普及率なり、そういうことについてお答えいただきたいと思います。
  230. 尾田栄章

    ○尾田政府委員 先生御指摘の大和川の水質の問題でございますが、確かに平成八年の調査で水質ワーストワンになったわけでございまして、私どもとしても大変残念に思っております。  御指摘の清流ルネッサンス21、これは水環境改善緊急行動計画でございまして、行政そして地域の住民の皆さん方の双方の活動の結果として河川の水質をよくしていこう、こういう取り組みでございます。平成六年に策定をいたしまして、地元の市町村あるいは地域住民の方々の取り組みと一体となって、現在、河川事業、下水道事業を総合的、緊急的に実施しているところでございます。  河川の取り組みといたしましては、大和川及び支川の飛鳥川、曽我川、富雄川等におきまして、浄化対策事業というものを建設省並びに大阪府、奈良県、三者一体となって推進をしているところでございます。  そしてまた、河川の水質に一番効果を発揮いたしますのは、御指摘のとおり下水道事業でございます。残念ながら、平成八年度末時点の整備率は四九%でございます。これを平成十二年度、西暦二〇〇〇年には整備率を七一%まで持っていこうということで、現在、鋭意下水道事業についても促進を図っておるところでございます。  今後とも、関係機関はもとより流域住民の方々と一緒になりまして、大和川の水質浄化対策を進めていきたい、こう考えておるところでございます。
  231. 鍵田節哉

    鍵田分科員 この清流ルネッサンスということ で、地方公共団体、それからボランティアなども集められていろいろ会議をされておるのですが、これを年間何回ぐらいされておって、それがどういうふうな活動をされておるのか。今言われた下水道のことや何かはわかりましたけれども、そのほかにどんな活動をされておるのかを教えていただきたいのです。
  232. 尾田栄章

    ○尾田政府委員 大和川の河川美化という点につきましては、大阪府知事さんも大変関心をお持ちいただいておりまして、例えば平成九年十一月十六日には、大和川・石川まつりということで、河川の大清掃、メダカの放流等々のイベントを通じまして、流域の皆さん方に大和川の水質浄化に向けてのメッセージを発出していただいているところでございます。知事さん、それから藤井寺の市長さん、あるいは私どもの地建の局長等々が参加をいたしておりまして、一般市民五千五百人の参加もいただいたところでございます。  そしてまた、大和川・石川クリーン作戦ということで、平成十年三月一日、つい先ほどでございますが、日曜日の午前中に、柏原市と大和川、石川沿川地区八カ所におきまして、河川清掃あるいは稚魚の放流等々、これまた河川浄化に向けてのメッセージの発出をしていただいたところ、そしてまた、具体に河川の浄化作戦をやっていただいたところでございます。これには知事さんあるいは沿川の市長さん方に御参加をいただいていまして、一般市民の方一万六千人以上の御参加をいただいたということでございます。先生御指摘のとおり、まさに流域全体としてこの問題に対する取り組みが始まっているのではないかというふうに私どもも受けとめております。  今のは、下流の大阪の状況でございます。  上流の奈良県でも、大阪府知事さん、奈良県知事さん等が集まられまして、一緒になってこの問題に取り組んでいく、そういう場もできたように伺っておりますので、そういう上下流一体となった取り組みの中で、より一層大和川の河川美化が進んでいくものと考えております。
  233. 鍵田節哉

    鍵田分科員 今おっしゃられたようなことにつきましては、新聞などでも報道されておりましたので私も存じておるのですけれども、ただ、今までに、では何回ぐらいやられたのか。あの川は非常に保水力もないものですから、雨が降りますとどっと増水するのですが、雨が上がりますとすぐ一減水してしまうというような実態がございまして、雨のたびに清掃しない限りはきれいにならないというのが実態でございます。  ですから、先ほど言われた柏原とそれから王寺町を結びますあの地域、ちょうど川に沿って関西線が走っているのです。私なんかも、地元へ帰りましたら毎日そこを電車で通っているのですが、アシだとか竹やぶとかそういうのが川の横にありますが、そこにビニールの切れ端だとか発泡スチロールだとかがいっぱいだまっているのですね。これは、大水が出たときはどこでも大体そんなことがあるのですが、それがとまったままで年じゅうあるのですよ。  あの関西線などは、外国の観光客も奈良の方へ来るのにたくさん通られるわけでして、そういうことを考えますと、単にイベント的に何かばっとぶち上げるというのは、それはそれで住民に対しての啓蒙とかそういうふうなことの意味もあるのかもわかりませんが、それだけではだめなのではないか、やはりボランティアの人たちも交えて定期的にこういうことをやるということが必要なのではないかなというふうに思っておるわけでございます。  そういうことに関しまして、余り時間もございませんが、どんなおつもりをされておるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  234. 尾田栄章

    ○尾田政府委員 御指摘のとおり、大和川は、王寺のところで、大和盆地のすべての活動の結果をあそこへ集めて大阪に出てくるわけでございます。そういう中で、発泡スチロール等々非常に人目につく形で散乱をするというような状況が間々起こるというようなことは、私ども承知をいたしております。  ただ、こういう問題をどう考えるかということになりますと、何といいましても発生源のところでます抑えていただくということが大事だろうというふうに思いますし、私ども河川管理者としても、できる限りそういうものを取り除く、そういうことを河川維持の一環としてやっていかなければならないと思っておりますが、昨今の財政状況の中で、そういう維持費等々も大変苦しい状況にございます。先生御指摘のとおり、流域の皆さん方のボランティア活動のようなものを非常に組織的に、定期的に行えるような、そういう仕組みをどう考えていくのか、私どもにとりましても大きな課題でございます。  また、現地でもそういう取り組みが、いろいろなところで、いろいろな形で出てきております。そういうものを、この大和川でも本当に実のある形で動くように、私どもとしても努めてまいりたいと存じます。
  235. 鍵田節哉

    鍵田分科員 私自身もそういう運動をしてきた経験もございますので、近畿地建にも申し入れに行ったこともございます。  ただ、私労働組合の仕事をしておりまして、その経験で、人がたくさんおりますから、できるだけそういう人たちも活用してほしい、そして、大阪だけじゃなしに、水源はほとんど奈良にあるわけですから、奈良県も巻き込んでやらない限りは、やはり今言われた発生源のところを抑えないといけない、こういうことで、奈良県の労働組合の団体も一緒になって地建に申し入れをしたのですが、どうも何か、労働組合が行きますとけちをつけられるんじゃないかというふうな感じの対応しか、私の印象として受けなかったのです。そういう団体もボランティアの団体として本当に一緒に受け入れてやっていこうというその姿勢が余り見受けられなかったような気がするのです、これは私のひがみかもわかりませんが。  私自身、実は数年前にニュージーランドのクライストチャーチに行きましたときに、町の中を流れておりますクライストチャーチの川を見まして、この国は非常に民度の高い国だな、町の中を流れる川はこうでなかったらいかぬなというふうに非常に感動したことを覚えております。  私は、大和川も、やはり大和という非常に文化の高い地域を流れ、そして大阪のような都会を流れる川でございますから、エイボン川みたいなところまでは一遍にはいかないでしょうけれども、ぜひともそういうものに向かって、これは建設省だけがお金を使ってどうこうということじゃなしに、やはり、住民も地方公共団体も含めて、そして全員がこれに取り組まなくてはならぬのじゃないか。そういう意味では、労働組合も大いに活用していただいて、ぜひともそれを実現していただきたいというふうに思います。  時間が参りましたので、終わります。ありがとうございました。
  236. 小澤潔

    小澤主査 御苦労さまでした。  これにて鍵田節哉君質疑は終了いたしました。  次に、上田清司君。
  237. 上田清司

    上田(清)分科員 大臣初め皆様、御苦労さまです。気合いを入れていきましょう。  それでは、早速質疑をさせていただきます。  地域の課題でもありますが、同時に首都圏の大きな課題でありますところの道路の建設についてひとつお伺いをしたいと思います。  俗に二五四バイパスと言っておりますが、これは、埼玉県和光市から富士見市につなぐバイパス道路であります。これは、ちょうどこのほど完成しておりますところの東京外郭環状自動車道の一部とつながっている大変重要な道路でありまして、大臣にはちょっと見にくいかもしれませんが、荒川のこういうエリアでございますので、イメージだけでも……。  こちらも実は五十九年度から事業が始まったわけでございますが、全体のうち、赤い線で申し上げますと、今供用できている部分がわずかここだけでございまして、もう十五年もたったかなという感じであります。率直に事務方にお伺いします が、これは大体何年に完成する予定になっておりますか。     〔主査退席、村田(吉)主査代理着席〕
  238. 佐藤信彦

    ○佐藤(信彦)政府委員 先生がおっしゃられる二五四の和光富士見バイパスでございますが、これは、埼玉県の南部地域におきまして、沿線地域開発されておりますので非常に交通量も増大してきている、そういう地域のバイパスでございます。  現在、五十九年度から事業を始めておりまして、全体で六・九キロ区間でございますが、そのうち、外郭環状道路から県道朝霞蕨線まで、この間の二・六キロを重点整備区間ということで事業を進めております。その中で、東京外郭環状道路、それから和光北インターチェンジに接続します六百メーター区間、これは、外環の供用に合わせまして暫定二車線で既に平成四年に供用しているところでございます。  平成九年度、今年度でございますが、そういったことで、その残りの重点区間についての用地買収を促進しているところでございます。これから、用地について地元の皆様の御協力を得ながら進めていきたいというふうに思っているところでございます。  それから、残る県道朝霞蕨線から国道四六三の区間、これについては、重点整備区間の進捗状況と交通状況を勘案しながら整備を進めていきたいというふうに思っております。  いつごろまでにというお話でございますが、現在その用地買収がやはりかなり時間がかかっているようでございます。これは、一つには地元の皆さんの合意を得るということと、それと、やはり用地費が非常に莫大でございます。そんなこともございまして、現在、供用開始自体が平成十年代のちょっと後半に入ってくるのではないか、できれば我々は少しでも早くやりたいと思っているのですが、用地の取得のぐあいによってと、そんな状況でございます。  そういったことで、地元の方々の御理解をいただくために努力していくつもりでございますので、またよろしく御支援方お願いいたしたいと思います。
  239. 上田清司

    上田(清)分科員 余りお答えになっていないのですが……。  もちろんいろいろな不測の事態等々もありますけれども基本的に計画というのがあって、何年に始めて何年に終わろう、途中で経過状況に応じて変更されていくのもまたやむを得ないことでありますが、一応当初の見込みあるいは途中から変更した見込みだとかいうのも聞いて、総工費あるいは各年度の事業費の予定費だとか聞いて、それで、地域の市町村も含めて、県も含めて協力体制ができますので、その辺、少しきちっと御教示いただきたいと思います。
  240. 佐藤信彦

    ○佐藤(信彦)政府委員 いろいろ計画を立てて事業を始めて以来、大分時間がたっております。そういったこともありますので、私どもとしましては、少しでも早くというふうに考えて行わせていただきたいと思っております。  それから、先ほど十年代後半といったことを申しましたが、これはちょっと幅のある申し方でございますが、事業が進捗していけばむしろ十年代半ばぐらいに二・六キロ区間、これについては何とかと思っております。そうしますれば、今五計で一部分でも暫定供用のところが出てくるのではないかといったことで、全線の供用はともかく部分的にでも供用していきたいというふうに思っております。  そんな状況でございますので、また御支援のほどお願いいたします。
  241. 上田清司

    上田(清)分科員 余りかわりばえのしない答弁でいま一つ残念でありますが、地元ではこの調子だと今から四十年かかるだろうというようなことも言われておりまして、当初とやはり事情も変わってきまして、外環ができたことによる交通量の増加、それから土日なんかはスキー客がいわゆる川越街道並びにそのバイパスを使うこととかもありまして、そちらの方が大渋滞に陥っているという事情がございます。  そういうことも踏まえると、当初の計画時点と違った状況が出ておりますので、状況変化というものをもう少しとらえていただきたい。もちろん県の方からも御報告が来ていると思いますが、その辺をぜひもう一度再調査していただきたい。その上でもっと前向きに取り組むということをちょっと確認していただかないときようの質問意味がなくなってしまいますので、局長、確認させていただきますぐらいのことは言っていただかないと、私も帰れないのですから。つまり、調査した上でもっと前向きに、前倒し的に頑張らなくてはいけないかどうかを確認いたします、これを言ってもらわないと私きょうは帰れません。
  242. 佐藤信彦

    ○佐藤(信彦)政府委員 確かに、事業を実施してから長い期間にわたっておりますので今までいろいろな問題あるわけでございますが、外環道路ができてきたというのは非常にやはり大きな影響かと思います。そんな中で、地元でもいろいろ要望、特にいろいろな構造の問題とかそんな話もあるようでございますが、私どもとしては、むしろ積極的に前向きに進めていきたいというふうに思っておりますので、これまでの事情の変化、現在の事情の変化とか、あわせて県の方からいろいろまた話を聞き、前向きに進めていきたいというふうに思っております。
  243. 上田清司

    上田(清)分科員 和光には社民党の菅野壽参議院議員、志木には私そして村上正邦参議院議員、関根則之参議院議員が住んでおりまして、国会議員四人もいて何をやっているのだということになりかねないもので、どうぞぜひ、事情が変わりましたということをもう少し確認していただきたい、現場サイドの方で見ていただきたいというふうに再度お願いを申し上げます。  それでは、道路公団の方にお伺いいたしますが、現在借入金の残高は幾らになっておりますか。
  244. 黒川弘

    ○黒川参考人 現在、高速自動車国道の平成八年度の決算におきましては、営業中の道路資産、借入金の累計額でございますけれども、二十三兆二百九十億円でございます。
  245. 上田清司

    上田(清)分科員 まだふえますか。ピーク時は何年で何兆円なのか、そしていっゼロにする予定なのか、おわかりでしたらお答えしてください。
  246. 黒川弘

    ○黒川参考人 先般施行命令区間が追加された結果、償還対象延長は全体で八千二百七十七キロメートルでございました。これは全体事業費で申しますと三十五兆七千五百億円でございます。十年度以降の投資予定額としては、十三兆六百億円ということになろうかと思います。
  247. 上田清司

    上田(清)分科員 大体、ピーク時には三十五兆というふうな考え方でよろしいのでしょうか。
  248. 黒川弘

    ○黒川参考人 今の金額は全体の事業費でございまして、十年度、これからさらに追加する予定の金額は十三兆六百億円でございまして、先ほど八年度の決算といたしまして、現在借入金累計額が二十三兆二百九十億円と申しましたけれども、そのうち償還準備金という形で六兆百四十四億円は既に償還がなされているということでございまして、十七兆円が現在高速道路の借入金としては残っておりまして、これにさらに先ほど申しました十三兆円余が追加されるということかと思います。
  249. 上田清司

    上田(清)分科員 そうすると、三十兆ぐらいがピーク時での借入金残高というふうに理解してよろしいのですね。  ところで、これはゼロになるのはいつなのでしょうか。
  250. 黒川弘

    ○黒川参考人 現在の償還計画によりますと、償還見込みの年月が平成四十五年の十二月ということでございまして、三十八年七カ月余でございます。
  251. 上田清司

    上田(清)分科員 ありがとうございます。  それで、今、年度の収入は、財投からの借り入れそれから料金収入、国からの補助金、補給金あるいは出資金、原則的にはこのぐらいか。雑費いろいろあるかもしれませんが、このことでよろしいのでしょうか、収入は。
  252. 黒川弘

    ○黒川参考人 収入におきましては、いわゆる料金収入をもって償還するわけでございますけれども、建設する段階で全体として収支が相伴うものについて施行命令をいただいて着手するということで、国費で出資金あるいは利子補給金をいただいております。
  253. 上田清司

    上田(清)分科員 できるだけ答弁をお願いします。それ以外のことは、ちょっと時間がありませんので。  それでは、いわゆる支出ということでありますが、道路建設費は毎年大体何兆円で何%ぐらいですか。別に数字がきちっと合わなくても結構でございますが。
  254. 黒川弘

    ○黒川参考人 道路建設費は毎年一兆二千億円、さらにそれに改良費を加えますと一兆五千億ぐらいの支出をさせていただいております。
  255. 上田清司

    上田(清)分科員 ありがとうございます。  そうすると、大体収入は四兆五千億ぐらいですから、三分の一が建設費に回るというふうな理解をしてよろしいのでしょうか。
  256. 黒川弘

    ○黒川参考人 お答えをします。  建設費につきましては、原則として借入金で行います。それから、料金収入で入ってきた金額につきましては、維持管理費とそれから金利をます払いまして、その残りは建設費の償還に回す、こういう仕組みになっております。
  257. 上田清司

    上田(清)分科員 それはわかっているのですよ。仕組み、分け方はわかっているのです。私の考え方に対してお答えしていただければありがたいなと思ったのです。全体の収入が幾らあって道路建設費には幾らか。その仕組みは理解しているつもりでありますので、御教示いただくのは大変ありがたい部分もありますが、わかっているつもりでいますので、ぜひこれからできるだけ御答弁をしていただきたいというふうに思います。  考え方はいろいろありますが、大枠で見ると、料金収入の方は管理費云々という形でありますけれども、全体の収入の枠の中ではいかにも道路建設費が少ない、こういう仕組みを全く検討されたようなことはないのでしょうか。これで未来永劫このことが一番いいのだというような御判断なのでしょうか。
  258. 黒川弘

    ○黒川参考人 建設費の中身で、借入金には借りかえというのが実は財投の中にもございます。実際上、お借りする金額は大体四十年間で償還するという考え方でございますけれども、一度に借りる金額というのは、大体十年の債券で購入いたしますので、財投でお借りした中の二兆円余が借りかえ分という形で実際上行って来いの金額になりますので、全体として償還云々の面から見ていただきます場合には、先生御指摘いただいてございますように、収入が一兆八千二百五十八億円ございまして、そのうち金利が七千四億円、それから管理費が三千三百五十二億円、償還金には七千九百二億円が八年度ベースでは充てられている、こういう形でございます。借りかえ分の償還がございますので、建設費と比べますと財投の金額が非常に膨らんでおりますけれども、新しい建設費につきましては借入金で充当するのが当然でございますけれども、一兆二千億とか、改良費まで入れまして一兆五千億の範囲で金額は充当させて、借入をさせていただいているということでございます。
  259. 上田清司

    上田(清)分科員 この議論はちょっとなかなか発展しない部分がありますから避けますが、金利のためにまた財投資金を借り入れるというような、実利というのでしょうか、実際にお金を回す、つまり道路建設に充てる部分がいかにも少ないという印象だけを持っております。これは議論の余地があるかと思いますので、また機会を得て議論させてもらいたいと思います。  次に移りますが、入札問題で、今度大きく新規に公開されて、いっぱいいろいろな形で競争入札を導入されて新規参入を認めるという仕掛けを平成九年度からやられたことに関しては敬意を表します。しかし、反面、これは金額が実は少ないのだという批判があることはもう既に御承知のことだと思いますが、まず、その前に、料金収受の部分で、これは全六件のうち三件において新たな会社が入札に参加ということであります。全六件一・八億円のうち、三件一・二億円を新たな会社が受注ということで、これはこれでいいのですが、例えば応募数というのはたくさんあるのでしょうか。
  260. 黒川弘

    ○黒川参考人 今は料金収受の関係でお聞きでございましたけれども、料金収受の場合の競争は、今先生おっしゃったように、たしか六件のうち三件に新しい方が参入されまして落とされましたけれども、その際は、一つの入札につきまして大体五件前後、四件とか五件の業者の方が応募されているわけでございます。
  261. 上田清司

    上田(清)分科員 これは、維持修繕に関してもやはり同じような事情でしょうか。
  262. 黒川弘

    ○黒川参考人 維持修繕につきましては、先ほど先生御指摘のありましたように、新しい九年度の発注としては六十六件を発注いたしました。そのうち、入札には四十七件のところで新しい会社が参加いたしましたけれども、落札したのは十六件でございました。金額は四億円でございます。  その際、一つの契約にどのくらいの会社が参画するかということでございますけれども、原則的には我々は十ぐらいの会社が応募していただければと一般的には考えておりますけれども、現実にはそれより若干少ない数の応募がございまして、その中で競争が行われているということでございます。
  263. 上田清司

    上田(清)分科員 確かに、六十六件中十六件新たなる会社が受注ということで二四%の普又注率だ、反面、金額にすると一・五%だということで非常に少ない、こういう批判があるわけです。これは入札参加に関して基準というのが当然あるかと思います。これは読売新聞の記事ですが、「指名希望業者に、安全確保の方法などを示した「施工計画書」を提出させたが、業界最大手の「日本鋪道」は、二件の入札で指名からはずされた。公団は「計画書の内容が地域に即していない」というだけで、具体的な理由を明らかにしていない。」というような実は報道が一つありますが、そういう基準並びに具体的な指導の中ではねるというようなことはあるのでしょうか。
  264. 黒川弘

    ○黒川参考人 公募型の関係で募集いたしますと、維持修繕の関係でいろいろ計画書を出してきたものにつきまして、例えば技術者が足りないとか、実際上のこういう工事は非常にたくさんの交通量がある場所で行われるものですから、そういう一つの要件を設けております。対象とする道路の種類と交通量に応じまして、会社の配置予定技術者、それから交通量が当該道路の交通量よりも少ない箇所での施工実績などでもいいわけでございますけれども、そういった事柄について一つ要件がございまして、それをチェックさせていただいております。  例えば、高速道路でございます山形道の庄内あさひとか酒田間、こういった場所でございますと、出入り制限のない一般国道での施工実績も一応可とする、そういう資格要件を設定しているところでございまして、こういった箇所では競争入札により新しい会社が落札している。そういう実績を積み上げていただきますと、さらに交通量の多いところについても今後入っていただけるということでございます。
  265. 上田清司

    上田(清)分科員 今実績と言われましたけれども、過去においては、いわゆる公団並びに公団の関係の深い財団法人であります施設協会の出資したいわばファミリー企業と言われるような、そういうところが独占的に受注していたわけですから、経験を積んだ上でというようなことを言われても、経験しようがなかったというのが現況ではないかというふうに私は思いますが、そういう意味では、ちょっと今の基準だと新たなる参加というのは事実上余りできなくなるというふうに認識してもよろしいのじゃないでしょうか。
  266. 黒川弘

    ○黒川参考人 全体といたしましては、一般道路等でいろいろ経験を積んでおられるという場合については、一般有料道路とかあるいは非常に少ない交通量の高速国道には入っていただけるわけで ございますけれども、そういったところで経験を積んでいただいて、さらに非常に交通量の多いところにも入っていただくということでございます。
  267. 上田清司

    上田(清)分科員 どうも、開放したけれども、何かおいしいところはやはりとってしまって、数こそ多いけれどもそんなにおいしくないところだけは新規に公開されたのではなかろうか、こういう疑いも出ておりますので、監督官庁としてそういうことはなかったよと胸が張れるように御報告を、これは宿題でぜひ御教示をしていただきたいというふうに思います。少し時間がかかっても結構ですので、そういう批判についてどのような対応を公団としてされてきたか、そしてまた、建設省として、そういう批判に対してどのような内部での監督をなされていたか、ぜひ後で御教示いただきたい、こんなふうに思いますので、宿題としてよろしくお願いいたします。ぜひ後で教えてください。  もう時間もありませんが、それでは大臣にわざわざお越しいただきましたので、一つだけお伺いをしておきます。  御承知のとおり、今とかく問題になっているのが、道路施設協会並びに施設協会が出資したファミリー企業と言われる企業は非常にもうかっている。そういう中で道路公団の借入金は多い。しかも年額三千億国が何らかの形で出資をしている。では、そんなにもうかっている子会社やグループ企業があるのだったら、そっちの方を連結決算で何らかの形で少し吸収したらいいのではないか、こういう議論がございます。もしくは、先ほどの公開入札の中で大いにオープン化して、一般の企業と同じように、独占的な体系にさせないで競争の原理を生かしていくか、もしくは、独占的に利益を得られるような仕組みであれば連結決算か何かでその利益を道路公団の中に吸収していく、このことが国民にとって利益ではなかろうか、こういう議論がありますので、この問題についてだけ大臣の御所見を伺って質問を終わらせていただきたいと思います。
  268. 瓦力

    ○瓦国務大臣 目下公団の改革につきましては、委員御指摘のように、あらゆる分野におきまして改革を試みて実践に移しておるわけでありまして、まだ宿題、課題がありますからこれからもしっかり取り組んでいかなければならぬ、こう思っておるわけであります。  また、連結決算云々ということがありますが、公団が出資をしておるという関係ではございませんし、これにつきましては、今ほど黒川理事から将来の見通し等も含めて財務経理内容につきまして方針を答弁しておられました。  いずれにいたしましても、健全な形で公団が運営され、また国民の信頼を背景といたしまして、事業が滞りなく効率的に推進されるように私どももしっかり指導していかなければならぬ、こう思っておるわけであります。
  269. 上田清司

    上田(清)分科員 ありがとうございます。時間が来ましたので終わりますが、予算通過前でとかく忙しいときだと思いますので、あと細かくは改めて政府委員室を通じまして資料等の請求をさせていただきたい、また宿題についてもお答えしていただきたいということをお願い申し上げまして、終わります。ありがとうございました。
  270. 村田吉隆

    村田(吉)主査代理 これにて上田清司君の質疑は終了いたしました。  次に、福島豊君。
  271. 福島豊

    福島分科員 大臣、遅くまで大変御苦労さまでございます。私も地元の問題につきまして何点かお尋ねをしたいと思っております。  昨年の暮れに、大臣に陳情に上がらせていただきました第二京阪道路のことでございます。私の地元は大阪の北河内というところでございまして、淀川の南側でございます。国道一号線が京都から大阪に入りますとます枚方市に入りまして、枚方の次が寝屋川、寝屋川の次が守口、そして大阪の市内に入るわけでございます。この間十数キロでございますが、大変に渋滞がひどいわけでございまして、毎朝毎朝この渋滞がずらっと続くわけでございます。延々と大阪市内に向けて渋滞が続いている。私もその中を毎朝車で通勤をしていたことがございまして、ちっとも動かないということで大変にいらいらしたわけでございます。  この沿線には百万を超える人が住んでおりまして、そこにみんなだっと流れ込んでくるわけでございますから、これは渋滞して当然といえば当然の現象なのですが、経済的なことを考えますと大変なロスだというふうに思います。毎日それだけの人が渋滞で時間をます失う、そしてまた車にしましても、のろのろと走るわけでございますから大変に燃費が悪いということになるわけでございまして、これを何としても解決したいというふうに思っております。  その最大の手段、例えば一号線の立体交差とかいろいろありますけれども、それ以上に大切なことというのは、やはりバイパスをきちっとつくるということであるというふうに私は思っておりまして、国が昭和五十八年から事業化をしていただきました第二京阪道路でございますが、これを一日も早く完成をしていただきたい、そのように思っております。鋭意土地取得等に取り組んでいただいていることはよく承知をいたしております。  そしてまた、昨年、大阪におきましてはなみはや国体が行われたわけでございまして、この第二京阪道路のちょうど出発点のすぐ近くになみはやドームというドーム型の体育館ができまして、そこのアクセス道路ということで一部整備を始めていただきました。大変うれしかったわけでございますが、この第二京阪道路の建設について今後の見通し、また現在の状況、この点につきましてお尋ねをしたいと思います。
  272. 佐藤信彦

    ○佐藤(信彦)政府委員 第二京阪道路でございますが、これは京都府久御山町から大阪府門真市を結びます約二十六キロの幹線道路でございます。名神高速、近畿道それから京滋バイパスと一体となりまして京阪間の広域幹線道路網を形成する、そういった重要路線でございます。  その中で、京都府の地域でございます久御山ジャンクションから枚方北インターチェンジまで、これについては調査設計がもう完了しております。用地につきましても、現在九四、五%いっているところでございます。そういったことで、一部工事にもう着手しているといった状況でございます。  それから、大阪府地域でございます枚方北インターチェンジから門真ジャンクションについて、従来は買い取り請求の出るところ、都市計画決定がされておりますので、そういったものについての用地取得をます行っていたところでございますが、かなり進捗してきておりまして、現在約五割程度の用地買収が済んできております。そういうことでございますので、早期に計画的な用地取得に着手できるように、一部地元の地域でそういった用地の協議をこれから開始しているところでございます。  今後でございますが、京都府地域につきましては、次期五計内ぐらいを供用のめどといたしまして事業を進めているところでございます。また、残る大阪府地域、枚方北から門真ジャンクションにつきましても、これから用地が本格化していきます。さらに用地の買えたところ、そういう意味では、先ほど先生がおっしゃられた国体のときの用地を使われたといったこと、そこの部分もそういう用地取得ができていたところかと思いますが、そういった用地取得ができたところから工事が進められればというふうに思っているところでございます。  そんなことで、なるべく早期に供用が図られるよう努力していきたいというふうに思っています。
  273. 福島豊

    福島分科員 限られた財源の中でございますが、ぜひ精力的に用地の取得をしていただきまして、京都に行くのは便利になるのはうれしいことでございますが、大阪市内に向けてのこの渋滞を何としても解決をしていただきたい、そのように要望させていただきたいと思います。  そして、新たな五計でございますが、この図の中に、私もちょうだいしまして拝見しておりますと、大阪門真線が計画中であるということが図示をされているわけでございます。ちょうどこの第二京阪道路が門真南がスタートでございますから、そこから大阪市内に向けての計画というふうに推察したわけでございますが、この大阪門真線につきましてどのような計画なのかということにつきまして、その概略をお聞きしたいと思います。
  274. 佐藤信彦

    ○佐藤(信彦)政府委員 大阪門真線でございますが、お手元の地図にかいてありますように現在の第二京阪道路から大阪の中へ入っていく重要な幹線ルートでございます。したがいまして、平成六年の十二月に地域高規格道路の候補路線に指定させていただいております。ですが、まだそういった点では構想段階でございます。  この路線につきましては、密集市街地を通過するといったことから、導入区間の確保とか事業手法、それから関係機関との調整がこれから図られていくといった状況でございまして、中身としてはルート、構造、そんなこともその中でやっていかなくてはならないといった状況ですので、今後早期に計画を固め、事業実施に向けて進めていきたいというふうに思っております。
  275. 福島豊

    福島分科員 大阪でよく言われますことは、淀川より北は非常に進んでいる、名神道路もありますし新幹線も鉄道も進んでいると。北河内というのは大阪の鬼門と呼ばれていまして、発展が一番おくれた地域であるとも、地元の人はかつてからそのように指摘をしているわけでございます。二十一世紀に向けましてこの北河内の発展のためにも、その大動脈となりますのがこの第二京阪道路、そしてまた今計画をしておられます大阪門真線の、市内まで貫通するその道路だというふうに思っておりますので、ぜひ力を注いでいただきたいと再度要望させていただきます。  また、一号線に関連しましてお尋ねをさせていただきたいのが、この一号線の拡幅計画ということなのでございますが、昭和二十一年に都市計画を決定されまして、八車線、四十メートル道路というのがこの大阪市内の一号線の都市計画上の姿であるということになるわけでございますが、しかし現実にはなかなか実際に事業化されるというところに至りませんで、計画だけがあるということになっております。そして、そうした計画がありますと道路の沿線の土地利用というのが大変に制限を受けるわけでございます。  実際にこの一号線をずっと走っておりますとわかりますことは、守口市から大阪市内の旭区に入りますと途端に沿線の風景が変わるということでございます。守口市内ではビルが建ち並んでいるわけでございますが、旭区内に入りますと、大阪市内に入りますと二階建ての古い住宅がずらっと並んでいる。大阪市の風景にしては非常に時代が逆行したような印象を受けるわけでございます。  それで地元の方も、土地利用について制限があるということにつきましては何とかしてほしいという要望が非常に強いわけでございます。大阪市内でございますから土地の値段も高いわけでございまして、高度利用するということによってもっともっと地元が発展する、そのように訴えております。昭和二十一年からですからもう既に半世紀過ぎているわけでございまして、都市計画工区を見直すということが一つの方法かと思いますけれども、沿道の土地利用制限ということも考えなきゃいかぬと思います。  先ほどの大阪門真線ということで、バイパスが大阪市内までずっと入るということが二十一世紀のビジョンだというふうに思うわけでございます。そういうビジョンというものを踏まえた上で今申し上げました都市計画の見直し、そしてまた土地利用の制限ということにつきましてどのようにお考えなのか、建設省の御見解をお聞きしたいと思います。
  276. 木下博夫

    ○木下政府委員 大変都市計画道路の進捗がおくれているということについては先ほどの質疑の中でも私お答えいたしました。おっしゃられるように大変様相そのものが一変するというお話がございましたが、恐らくそれぐらい規制がされているということであろうと思いますが、先ほど道路局長から申し上げましたように全体の道路のネットワークとしては私は少なくとも現時点においては国道一号線あるいは大阪門真線は必要な路線だということを大阪府自身がお考えだと思います。  問題は、それであればできるだけの予算を確保して早期に実現することが必要でありましょうし、経過的な措置としてはそれなりの土地利用規制をしているというのはやはり将来の道路事業に対して障害にならないように心がけていただいているわけでございます。地元もいろいろ、建物のかたさあるいは高さ等でそれなりに弾力的な活用をしておりますが、私どもは一刻も早くやはり道路を完成するという方の予算の確保に努めてまいりたいと思っております。
  277. 福島豊

    福島分科員 予算の確保が厳しい中でぜひよろしくお願いしたいというふうに思いますと同時に、規制緩和といいましても弾力的な運用ではやはりどうしても限度があるわけですね。二階建てが三階建てになるぐらいの話でございまして、このあたりでしたらやはりできればもっと高いマンションを建てるとかそういうことを地元の人は望んでいるわけでございます。規制緩和といいましてもその弾力の幅というものをもっともっと広げてもらわないとせっかくの土地が利用できないということになるわけでございまして、その地元の切実な声をぜひ受けとめていただきたいというふうに思います。要望させていただきます。  次に、私の地元の問題としましては密集住宅市街地がございます。  先ほども申しましたように大阪では一番おくれて発展したということがございまして非常に狭い土地の中に多数の人がひしめき合っている。急に人口急増の時期がございまして、その時期にできましたのがいわゆる文化住宅と言われるような小さな集合住宅でございます。それが本当に狭い道を隔ててすき間なく建っている。そしてその道も非常に曲がりくねったような道でございまして、踏み込むとなかなか出口がわからないというようなところがまだまだございます。阪神淡路大震災のときにこういった地域というのは大変大きな被害をこうむるということが示されたわけでございまして、そういう意味では二十一世紀に向けてこういった地域というものはなくしていかなきゃいけない、本当に災害に強い安全な町づくりというものをしていかなきゃいかぬというふうに思うわけでございます。  地元を歩いておりますと、そうはいっても、なかなか一朝一夕ではそういうことはうまくいかないということは重々わかるわけでございますけれども、国としましても本当に大切な事業だということで予算もしっかりつけて取り組んでいただきたいと思っているわけでございます。それで、この密集住宅市街地につきましての対策の現状につきましてますお尋ねをしたいと思います。
  278. 小川忠男

    ○小川政府委員 お答えいたします。  密集住宅市街地でございますが、全国で約二万五千ヘクタール存在するというふうに推計されております。このうち大阪府下が合計で四千三百ヘクタール、うち大阪市が約二千ヘクタールというふうな状況になっております。  こういうふうな状況対応するためでございますが、基本的にはやはり市街地再開発事業ですとか区画整理事業、こういった面的整備事業基本かと思いますが、なかなか時間もかかれば金もかかるというふうなことでございますので、予算措置でございますけれども、私ども密集住宅市街地整備促進事業というふうな事業を一生懸命やらせていただいております。  これは具体的には、老朽建築物の共同あるいは協調建てかえをするとか、今もお話ございましたような生活道路を簡単に少し整備するというふうなことをワンパッケージで整備する事業でございまして、現在全国で百五十五地区、約五千七百ヘクタールにおいて実施いたしております。  また具体的な大阪府下でございますけれども、 このような密集住宅市街地整備促進事業につきましては、門真市の北部地区でございますとかあるいは寝屋川の池田大利地区、合計十一地区、約千四百ヘクタールにおいて実施いたしております。また密集対策というふうなことを念頭に置きまして、阿倍野地区において大規模な再開発事業をやらせていただいております。  いずれにいたしましても、時間もかかれば若干金もかかると思いますけれども、これからも精いっぱい努力していきたいと思っております。
  279. 福島豊

    福島分科員 大阪府下四千三百ヘクタールのうち、その三分の一の千四百ヘクタールで事業を鋭意進めていただいておるということをお聞きしまして、これが半分ぐらいになるまでぜひ頑張っていただきたいなというふうに思います。  そしてまた、もう一点お聞きしたいことは、昨年、密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律というのが新たに制定をされたわけでございます。これも今までの事業手法に比較して、さらにこういった密集市街地というものを災害に対して強い町にしていくための強力な手段であるというふうに思うわけでございますけれども、そういう意味では、私はこの法律がつくられたというのは大変よかったというふうに昨年率直に思いました。  この法律に基づきました事業の現在の進捗状況といいますか、今後の見通しといいますか、その点につきましてお聞きをしたいと思います。
  280. 木下博夫

    ○木下政府委員 先ほど住宅局長からお答えいたしましたけれども、昨年の十一月にこの法律が施行されております。  それで、この法律に基づきます各種施策を展開するためには、ます都市計画の世界で防災開発促進地区を指定する必要がございますので、今各公共団体におきましてそれを鋭意準備をしております。具体的には、北海道とかあるいは長野におきまして、恐らく今月中といいますか、年度内には新たな地区指定が行われる見込みでございますし、お話のございました先生の御地元の大阪とかあるいは東京におきましても平成十年度中の地区指定を予定しております。  申し上げましたように、これは我が国の町づくりの中で、例えば関東大震災、それから第二次世界大戦の戦災復興、それから今回の阪神・淡路という三つ目ぐらいの都市づくりとしての一つの局面といいますか、節目であろうかと私どもは思っております。各公共団体、いろいろ努力をしておりますし、地元の協力もいただかなければいけませんが、しっかりやっていきたいと思っておりますので、またその辺を温かく見守っていただきたいと思います。
  281. 福島豊

    福島分科員 平成十年度中に指定をしていただけるということで、指定した後に事業が円滑に進みますように予算面での支援をぜひともよろしくお願いをいたしたいというふうに思います。  最後に、地元の問題から若干離れますが、健康住宅ということにつきまして私はお尋ねをしたいと思います。  これは私自身が経験したことでございますが、住宅と健康というのは極めて密接に関係している。私が新築の集合住宅に住みましたときにこういう経験がございました。夏の暑い時期に家に帰りますと、ドアをあけて中に入ると目がちかちかするわけですね。一体どうしたのだろうと、その当時はよくわからなかったわけでございます。そして窓をあけて空気を入れかえるとそういうものがおさまる。その当時は、しばらく前でしたからわかりませんでしたが、ホルムアルデヒドの室内濃度が高くてそういう症状が起こるのだということを後で知りました。  また、その当時私が経験しましたのは、私はもともと花粉症はなかったわけでございますが、その集合住宅に入りましてから花粉症が出てまいりました。きょうも大変花粉が飛んでおるようでございますけれども。そしてまた、じんま疹が出るとかいろいろなことが起こってきて、どうもおかしいなと。それがホルムアルデヒドという化学物質が原因になってこういったアレルギー疾患を起こすことがあるというのが数年してわかったわけでございます。  この数年の間に、屋内の化学物質、さまざまな新建材ですとかビニールクロスですとか、そういうものが化学物質を出して、そしてそこに住んでいる人の健康を損なう可能性があるということが指摘されてきたわけでございます。健康との関連というのは、一つは、直接的にはそういう刺激症状というものもございますし、二つ目は、私も経験しましたようにアレルギー疾患を起こす。アトピー性皮膚炎を起こすようなこともあります。そしてまた、最近注目されております環境ホルモンという関係ですと、これは具体的な指摘はまだございませんけれども、例えばビニールクロスにはフタル酸というのが含まれているわけでございまして、これも環境ホルモンの一つということでございまして、現在の少子化の傾向にひょっとしたら関係があるのではないかというような指摘すらする人がいるわけでございます。  最近こういう本が出ました。「世界でいちばん住みたい家」という本が出まして、その中で非常に端的な言い方がされております。「病気をつくる家、健康をつくる家」、こういう二つの家があるのだということが指摘をされております。その前文でございますが、現在の住宅を批判してこういうことを言うわけです。「コスト至上主義による大量生産、大量消費指向は、有害な化学建材の多用化を促進し、”化学物質過敏症”という新しい病気を急増させた。そして現在も発ガン性物質をはじめとする」——ホルムアルデヒドも発がん性物質の一つであるというような指摘も最近はされておるわけでございます。「さまざまな病気を引き起こす化学物質の大半が野放しで身の回りの建材に使われ続けているのである。」ということが指摘をされているわけでございます。それで、「親や子や孫たちの命を奪うことのない、そして一〇〇年という長いスパンで考え、ローン人生から脱却し豊かな人生を送ることのできる「終の住みか」を求め」なければならないというような指摘がされておりまして、まことにそのとおりだな。  住まいというのは、毎日毎日そこに帰って寝るわけでございまして、その住まいが化学物質で汚染されている、これはなかなか目に見えないわけでございますから、知らず知らずのうちに健康が害されるというようなことがあってはならないと思います。建設省としても今まで鋭意この問題につきましては取り組んでこられていることは承知しておりまして、現在の屋内の化学物質汚染に対しての対策の現状というものにつきましてますお聞きをしたいと思います。
  282. 小川忠男

    ○小川政府委員 ホルムアルデヒドによります室内空気汚染への対策でございますが、平成八年の七月でございますが、学識経験者、それから関係省庁、私どもと厚生省、通商産業省、さらに林野庁でございますが、さらには住宅関連業界の団体、これらが集まりまして研究会を設けました。その中で、住宅の建材等から発生いたしますホルムアルデヒド等の化学物質によります健康への影響、これを低減するための方策について多方面にわたって検討いたしております。  できるだけ早くその辺の検討結果をまとめまして、一つは住宅生産者向けのガイドラインとして、一つは消費者向けのマニュアルとして、できるだけ早く周知徹底といいますか、普及を図りたいというふうなことで現在鋭意研究、分析を進めております。
  283. 福島豊

    福島分科員 再度お尋ねしますが、いつごろそれはできますでしょうか。大体の時期で結構でございます。
  284. 小川忠男

    ○小川政府委員 失礼いたしました。来年度早々にはということで、もう間近でございます。
  285. 福島豊

    福島分科員 ぜひこれをしっかりとつくっていただいて、もう一つ大切なことは、周知徹底をいたしますというふうに今お答えがございましたけれども、この問題についての啓蒙活動というのが本当に必要だと私は思うのです。  例えばホルムアルデヒドの問題にしましても、 新築の家に住むときに、ますべークアウトということで中の化学物質を発散させてしまうというような方法もございます。そういうこともやはりやった方がいいだろう。そしてまた、家を建てるときにはどういう建材を使うべきなのか、そしてまた、壁紙を張るときの接着剤はどういうものを使うべきなのか、そしてまた、ビニールクロスでしたらそういうものは使わない方がいいとか、いろいろな観点がございまして、いろいろな知恵があるわけです。  実は、この本の中で紹介されていることも、従来の日本の建築技術、家を建てる技術ですね、そういうものをもってして、木材によって本当に健康な住宅をつくることができるという提言といいますか、実例を紹介をしているわけでございます。そういう意味では、恐らく日本の建築技術であればそれほどコスト的にかからなくても健康な住宅をつくるすべはあるのだと思うのです。そこのところを、まず消費者の側がそういうことを知る必要があるというふうに私は思いますし、そしてまた、もう一つはっくる側もそれを知る必要がある。そして、大切なことは、そうした知恵を消費者が持つことによって商品を選択する自由を与えるということなのだろうというふうに思います。  そしてまた、まだこういったことについて何も知らない人もいるわけでございまして、そういう人が、いろいろな症状が出てきたときに、例えば子供にアトピー性皮膚炎が出てきた、またそれ以外の花粉症のようなアレルギー疾患が出てきた、そのときに、これは家が問題なんじゃないか、今住んでいるところが問題なんじゃないかということに気づくということが大切だと思うわけでございます。  そういう意味では、政府が、建設省が率先してそういう健康住宅のあり方というものについていろいろな研究をしまして取りまとめたわけでございますから、多くの人がそういう知識に触れる、そしてまたつくる側もそういうものを一つの道しるべとして健康な住宅をつくることができる、そういう施策を進めていただきたいと思うわけでございます。  さらに進んで言いますと、規制をしっかりつくった方がいいという話にもなるわけでございますが、どういう形での規制をかけるのかという問題もこれはございます。そういう意味では、ます最初の段階としましては、研究成果というものをしっかり取りまとめて、そして徹底して周知をしていただきたい、そのようにお願いをする次第でございます。  以上で私の通告しておりました質問が終わりましたので、若干短うございますが質問を終わりにさせていただきます。  どうもありがとうございました。
  286. 村田吉隆

    村田(吉)主査代理 これにて福島豊君の質疑は終了いたしました。  次に、吉田治君。
  287. 吉田治

    吉田(治)分科員 新党友愛の吉田治でございます。  建設省への質問でございますのでまず最初、大臣、よくゼネコンが云々ということが言われておりますが、土木建設業というのは、本当に中小零細のさまざまな会社が一つ一つ地域地域発展のために頑張って、ここまで国土というふうなものがよくなったというふうに私は思っているようなわけなんですけれども、この一つ一つの小さな会社がこの不景気というふうなものの中で随分大変な状況になっている。公共事業等もいろいろ発注はされていますけれども、上が苦しければなかなか下までやってこないというふうな話も聞いております。  大臣として、この中小の建設また土木関係の業者、業界、これに対する振興というのですか、不況対策、まあ貸し渋りも大きくあると思うのですけれども、どういうふうにお考えになり、どう対応し、これからも対応していくのかということをますお聞かせをいただきたいと思います。
  288. 瓦力

    ○瓦国務大臣 建設市場の大きな構造変化の中で受注の減少、利益率の低下等によりまして建設業は厳しい経営環境に直面いたしております。倒産が急増いたしておるわけでございまして、特に公共事業への依存度の高い中小・中堅建設業者、ただいまも委員からの御指摘もありましたが、この影響は少なくないと考えております。加えて民間金融機関の貸し渋り。資金繰りの面でも厳しい状況にあるわけでございます。  手元の資料を見ましても、平成二年では建設業者数が五十万九千社でございましたが、平成九年に至りますと、建設業者数は五十六万五千社と数はふえるわけでございますが、投資額は八十一兆四千億から七十五兆九千億に実は減少をいたしております。また倒産件数が平成三年で二千百二十五件で、平成八年で三千七百十件。負債総額では五千八百十七億が平成九年に至りまして二兆三千六百六十八億と、大変厳しい環境が続いておるわけであります。  このため昨年十一月の二十一世紀を切りひらく緊急経済対策などにおける中小・中堅業者に対する円滑な資金供給の確保等に積極的に取り組んでまいったところでありますし、本年一月三十日には八分野二十七項目にわたる建設業の経営改善に関する対策を決定いたしまして、直ちに実施に移しておるところであります。  また、特に中小建設業者等の受注機会の確保につきましては、昨年来、数次にわたりまして、上位ランク工事への参入機会の拡大であるとか経常JV制度の活用であるとか分離・分割発注の推進であるとか積極的に展開をいたしております。  これらの措置が着実な進歩を遂げるように私どもといたしましても全力を挙げておるわけでありまして、さらに中小建設業者の経営改善が図られるよう努めてまいりたい、こう考えておるところであります。
  289. 吉田治

    吉田(治)分科員 今大臣言われたように本当に厳しい状況。負債も五千八百億から二兆円を超えているという大変な状況にある。これは業界自身が大変だということと同時に、よく巷間言われておるのですけれども、余りにも大きくなり過ぎた、何でもかんでもがある意味で参入しやすい。いい意味での淘汰というふうな言い方をされる方もいらっしゃいます。でも私はそういう意見に余りくみしない方なんです。ただこの中小の関係考えた場合に、政府でも公共工事コスト縮減対策に関する行動指針等々いろいろ出されている。やはりそれに耐え得る中小のこういう土木建設業者の育成というのも図らなければならない。  ただ、私はここで一つお聞きしたいし、またぜひともしていただきたいのは、この公共事業の場合に、中小企業の場合、はかるランクづけというのですか、俗に言うAランク、Bランク、Cランクというのですか、これがどうも受注額のみでほぼ決められている、前年度の受注額というのですか。やはりここに技術評価であるとか、後で検査はされるやには聞いておりますが、そういう技術研究部門、また政府の一〇%以上のコスト縮減というふうなものを目指すというのであれば、それを縮減できる技術力または経営能力を持った企業というのは、これは育成していく必要がある。ですから、今までのようなランクづけで果たしていいのかどうかという疑問点、これが一点目です。  それから二点目は、やはり今申し上げましたようなそういう技術であるとか経営能力であるとか、まあ技術力ですね、こういうふうなものを評価した総合評価というふうなもので今度は評価し直す必要があるのではないかなというふうに強く考えておりますけれども、この辺いかがされているのでしょうか。
  290. 小野邦久

    ○小野(邦)政府委員 お答えを申し上げます。  先生御指摘のとおり、公共工事のランクづけは、技術と経営にすぐれた企業をどう選び出すか、そういう作業なわけでございます。ランクづけに当たって、従来は確かに完成工事高の占めるウエートは大変高かったわけでございますが、これは過去何回かにわたって下げてまいりまして、現在では三五%少々でございます。それ以外に自己資本額とか経営状況とか、あるいはいろいろな 審査項目によって算定をしております。  特に先生御指摘の技術的な要素でございますけれども、これにつきましては技術職員の数、建設業の種類別の技術職員数というようなもの、あるいは主観的な事項の審査では工事成績でございますね、その業者の方がどのように工事を処理されたか、完成してこられたか、工事の成績といったような技術力も十分勘案してランクを定めている、こういうことでございます。今後ともこの方向はきちっと維持してまいりたい、こう思っております。
  291. 吉田治

    吉田(治)分科員 今官房長いみじくも最後に完成工事の代金については三五%と言われましたけれども、主観の技術力、成績というのですか、そういうふうなものについては、余りやり過ぎますと、悪く言えば汚職の温床になったり何とかしゃぶしゃぶみたいになっても困るのですけれども、しかしながらこの主観的な判断というのがやはり大事だと思うのです。これは現実大体何%ぐらいのウエートを占められているのでしょうか。
  292. 小野邦久

    ○小野(邦)政府委員 お答えいたします。  私申し上げましたのは客観的な要素の中のパーセントでございまして、御案内のとおり競争参加資格審査は客観的な要素とそれから主観的な要素と。それで主観的な要素の中で特に工事成績等を勘案している、こういうことでございます。したがって、全体の中でのパーセントというのは必ずしもはっきりいたしておりません。
  293. 吉田治

    吉田(治)分科員 やはり国民の税金でされる仕事でございますので、成績というふうなものがどういうふうなものかというのは十分に留意していただきますことをお願いを申し上げたい、かように思う次第です。  コスト縮減策の中でもいろいろあるかと思いますが、こういう評価システムというふうな中で今特に道路関係について評価システム導入というふうなものがされるやに聞いております。これについてはどういうふうな形でこれからなされていくのか。道路事業の評価の仕方というんですか、この辺について、現状と、今後どういうような形で進められていくのかを、ますお答えいただきますようお願いいたします。
  294. 佐藤信彦

    ○佐藤(信彦)政府委員 道路事業におきます評価システムについてでございますが、現在のように厳しい財政下にありまして、限られた財源を有効に活用するといった観点から、事業を効率的、効果的に実施していくということが重要だと考えております。  このため、平成九年度から新規に採択するすべての箇所につきまして、費用便益分析を含めました客観的評価指標を用いまして評価を行っております。平成十年度分におきましても、十二月に大蔵省から内示のありました新規箇所についてはその結果を公表したところでございます。  今後は、この客観的評価指標、これはまだできたばかりのものでございますので、これの充実とか、それから事業中、事業完了後の評価の実施など、個別事業についての評価を幅広く行うとともに、渋滞対策ぞれから交通安全対策など、施策についての評価にも取り組む予定でございます。
  295. 吉田治

    吉田(治)分科員 こういうふうなことというのは十分されていかなければならないし、そうでないと、悪い意味でのマスコミネタというふうな形になって、せっかく国家的事業だと言われたものまでがそういうふうな形で残念な結果になるのもいかがかと思います。  今局長の御答弁の中で客観的評価指標と、先ほどの官房長の中でも客観と主観といろいろミックスされたのですけれども、この場合の個別事業の評価において客観性の確保というのは、私は非常に重要だと思うのですね。さっきの質問では主観を大事にしろと言いながら今度は客観をどうするんだということですけれども、でも、やはり着手するときであるからこそ余計客観性というふうなものが重要になってくるのではないかと私は思うのです。この客観性の確保というものに対して、今これから始まるところですけれども、どういうふうに確保しようとしているのか、もしくはもうされているのか、その担保というのですか、どう後々まで生かしていくのか、今どういうふうにお考えなんでしょうか。
  296. 佐藤信彦

    ○佐藤(信彦)政府委員 事業自体、まあ道路事業なんかは特に多様な目的を持っておりますので、これの評価というのは非常に難しい問題がございます。そういったことで、客観性の確保というのも、まだスタートしたばかりでございますのでなかなか難しい状態ではございます。  そういう中でございますが、できるだけ客観性を確保できるようにということで、一つは、費用便益比を含めました客観的評価指標を用いて始めているところでございます。その中では、いろいろ施策の目標に沿いまして、こういったものはどういうふうに扱うんだといったような指標を取り上げております。その中で試行的に始めているところでございます。  そういったシステムの客観性を今後さらに確保していくために、幅広い各方面の有識者から成ります道路事業の評価に関する懇談会、有識者並びに学識経験者等の方が中心になっていただきましてこれを設置しまして、評価システム基本的な方向について検討していただいているところでございます。引き続き、この評価システムの構築のため、これをベースにした検討機関等を設置し、御意見を踏まえての検討を進めていく予定でございます。  そういったことで、今後とも透明性、客観性を少しでも余計に確保できるような、そういう評価システムを構築してまいりたいというふうに思っておるところでございます。
  297. 吉田治

    吉田(治)分科員 今局長言われた評価指標というのですか、いろいろこれから懇談会等開かれるのですけれども、これはもちろん公開して、だれが見てもわかるように、まただれからもその指標に合わせれば同じ答えが出るというのですか、そういうふうなものにこれからなされるというふうに理解してよろしいでしょうか。
  298. 佐藤信彦

    ○佐藤(信彦)政府委員 この指標自体はオープンにさせていただいております。ですが、客観的なものとは言いながらもそこの中でのいろいろな判定というものは主観的なものも入ってくるといったことで、そこら辺のところを今後どういうふうに客観的に進めていくかといったことがやはり大事な問題かと思っております。
  299. 吉田治

    吉田(治)分科員 その辺の判定ですとかそういうふうなものはできるだけオープンにして、みんなが納得できるようにということをお願いしたいと思います。  先ほど局長お話の中で、客観性の確保で多様性ということを言われたと思うのですけれども、これはちょっと難しいかもしれませんけれども、まさに都市部での交通渋滞、これが今後この評価システムの中でどういうふうに評価されていくのか。  特に私のように大阪市内に住まいする者としては、本当にこの交通渋滞というのは何とかならぬのか。局長は道路行政のプロでいらっしゃいますから、もう私が、その渋滞によってどれだけGDPを下げてどうこうということは申し上げません。これについてどういうふうに、今、都市部への評価、渋滞への評価というのをお考えなのか、ちょっとお聞かせください。
  300. 佐藤信彦

    ○佐藤(信彦)政府委員 個別の事業評価についてでございますが、費用便益比が一定値を超えまして事業執行の環境が整ったことなどを前提条件といたしまして、今回の五計でも主要な柱になっております、経済構造改革の支援とか、それから地域づくり・都市づくりの支援、生活環境の確保、それから安心して住める国土の実現といった、そういう四つの観点から設定した項目を取り入れた評価指標に基づいて評価を行っております。  渋滞に係る事項でございますが、費用便益比については、渋滞緩和の効果であります走行時間の短縮、それから走行経費の減少を見込みまして、便益として算定しております。また、評価に当たっての重要な指標といたしましては、現道の混雑度、これは道路の容量に対してどのくらい車が オーバーに乗っているかというのを混雑度と言っておりますが、これが二・〇以上とか、それから現道の混雑時旅行速度が時速二十キロ未満である箇所とか、そういったような項目が挙がっていて、そういったものが含まれているわけでございます。  そういったことが一つの評価になっていくわけでございますが、道路の整備効果についてはもちろん渋滞の緩和だけではございませんので、いろいろな指標がむしろこれから、これも入れなくちゃおかしいんではないかという話が出てくるのではないかと思いますが、そういったいろいろな御意見を踏まえましてこの評価手法の改善の検討を進めまして、適切に評価していきたいというふうに思っております。
  301. 吉田治

    吉田(治)分科員 都市部での道路というのはこれは本当に、地方で道路をつくるのとは違って非常に、地元の反対ですとか用地買収の難しさ、それからそれだけお金をかけた場合にその効果がどれほどのものかということも出てくると思うのですけれども局長、やはり都市部は単に道路をつくればいいというのじゃなくて、システム全体、ハード面だけではなくしてソフトも含めた都市部での道路行政というふうなもの、道路の整備というふうなものをやはり二十一世紀に向かって考えていく必要があると思うのですけれども、この件について何か一言ございましたらお願いいたします。
  302. 佐藤信彦

    ○佐藤(信彦)政府委員 どちらかといいますとやはりハードな中での整備が指標としては使いやすいもので、それが挙がってきてしまうわけでございますが、都市部とかそういうような分け方ではないのかもしれませんが、やはり利用の実態とか、そういうむしろソフト面のものを取り上げて総合的な形で評価するといったことになっていくのではないかというふうに思っております。
  303. 吉田治

    吉田(治)分科員 予算分科会ですから、本当はもっと予算書の中での都市部のということを言えばいいのでしょうけれども……。  ただ、先ほど私もソフトということを申し上げてありますので、去年もたしか質問させていただいたと思うのですけれども、やはりITSという形で、これが単に道路行政のみならず、国際標準化というものをどうとっていくかという中で、これからの日本の道路行政一つの大きな、単に情報通信社会のみならず、高速道路等々、先ほど申し上げましたように交通渋滞を含めたさまざまに影響されていくということですけれども、現状のこのITSの国際標準化についてはどれくらいの進みぐあいになっているのでしょうか。
  304. 佐藤信彦

    ○佐藤(信彦)政府委員 ITSの国際標準化についてどこまで進んできているのかといった御質問と思いますが、ITSの国際標準化につきましては、現在、国際標準化機構、ISOでございますが、それと国際電気通信連合、ITUの場におきまして活発的な議論がなされているところでございます。  我が国といたしましては、日本開発されたシステムを国際標準とする、そういったものにするために、ISOに対応する国内委員会等において積極的に取り組んでいるところでございます。建設省としましても、平成八年度以降、ISOへの提案書の作成など、民間等の行う国際標準化活動を積極的に支援しているところでございます。  国際標準化の進捗状況でございますが、ITSは、道路、自動車、通信などにかかわります広大な領域でございます。現在、ISOにおいて六十二件の検討項目を挙げて議論が進められております。現在、まだ標準として確定したものはないわけでございますが、各検討項目とも最終の基準化の段階に近づいてきておりまして、今後、建設省としましても引き続き、ITSに関する国際標準化活動を最重要課題の一つ認識いたしまして、関係省庁や民間等との連携を保ちまして積極的に取り組んでいきたいというふうに思っております。
  305. 吉田治

    吉田(治)分科員 このごろ、国際スタンダードというのですか、国際標準化だとかそういうものをとった者が市場を制すると言われておりますので、ぜひその点は頑張っていただきたいと思います。  そのITSの中で一応一番実用化が近いのじゃないかと言われ、また、マスコミ等でも報道されている中で、ETC、アルファベットではETCなのですけれども日本語に直すとどういうわけかノンストップという片仮名が入るので、ノンストップ自動料金収受システムというのですか、こういうふうなものが今実験段階に入り、今後実用化をされていく。このETCの実用化と展開というふうなもの、これについて今どういうふうな形になっておるのでしょうか。
  306. 佐藤信彦

    ○佐藤(信彦)政府委員 ETCの実用化についてでございますが、現在、小田原厚木道路と、さらに東京湾アクアラインの、川崎側かと思いますが、試験運用を実施するとともに、必要な機器類の仕様書の作成を進めているところでございます。  まず路側機器の設置を行うことが重要というふうに認識しておりまして、道路四公団の既設の千百カ所の料金所等を対象にしまして、採算性とか効果を踏まえつつ、その設置等についていろいろ検討、調査等をしているところでございます。こういったものが今五計の中で早期にやっていければといったことで、促進しているところでございます。
  307. 吉田治

    吉田(治)分科員 余りこういう片仮名が続くのはお得意でないのかもしれませんけれども、申しわけございません。  この場合、このETCの中で重要なのは、車に積む機械ですか、それが電波を出す、それを受ける、今局長お話しされた、整備アンテナというのですか、一千百の料金所にこれが整備をされていかなければならない。この辺の費用分担、どこがどういうふうに持っていくのかというのはどういうふうになっているのですか。
  308. 佐藤信彦

    ○佐藤(信彦)政府委員 ETC導入のための設備投資でございますが、そういったものにつきましては、管理費等の節減がこれの結果見込めるといったこととか、料金所拡張のための新規投資が不要になるといったことで経費節減の効果もありますので、ETCの設備投資等については、現時点ではまだ不確定な要素も多いわけでございますが、利用者の負担増にならないように配慮しながらその整備を図ってまいりたいというふうに思っております。
  309. 吉田治

    吉田(治)分科員 ちょっと細かい話ですが、車の方へ積む機械は、これはドライバーというのですか、車の所有者が買うということですか。大体幾らぐらいになるめどでございますか。
  310. 佐藤信彦

    ○佐藤(信彦)政府委員 ちょっと説明が悪かったですが、車の方は利用者で御負担ということになるかと思います。そこら辺の単価がどのくらいになるかというのはまだ検討中でございますので、早期にそういうことも進めていかなくてはならないというふうに思っています。
  311. 吉田治

    吉田(治)分科員 こういうふうにして便利なものができるのはいいのですよね。ただ、局長、やはり今言ったように、車に積む機械がべらぼうに高かったらこれは使う人はいないですし、また、今言いましたように、使う人がいないのに整備アンテナだけの設備投資をしても困ります。この辺が、一つには、機械の方はメーカーだとかがそういうことをやるのでしょう。整備アンテナは、要するに道路公団が設備投資する分が高速の道路料金に、まさに私の地元の阪神道路公団においては高速料金の値上げということを申請している。知事がちょっと待ってえなとか、府議会がちょっとねというふうな話もある。こういう新しいものを入れるから値段が上がるというのではなくて、それがコスト削減の方へ進むという方向になっていただくようにお願いしたいのですけれども、その辺はどういうふうに今お考えでしょうか。
  312. 佐藤信彦

    ○佐藤(信彦)政府委員 私どもも、そういった点、利用者の負担増にならないようにいろいろ配慮しながら進めていきたいというふうに思っています。
  313. 吉田治

    吉田(治)分科員 もうそろそろ時間ですので終わりますけれども、去年も道路局長に私いろいろ御質問をさせていただいたと思うのです。ここの部分というのは、多分、道路行政に精通されている局長でも、次のステップ、次の分野になってきて大変いろいろややこしくて、質問する方もややこしいのですけれども、その辺は、これからやはり大事な産業の種にもなると私は思いますので、しっかり頑張って、勉強してくださいというよりもしっかり育てていただいて、次の日本が世界に売る一つのネタにもなるようにしていただくことをお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございます。
  314. 村田吉隆

    村田(吉)主査代理 これにて吉田治君の質疑は終了いたしました。  次に、上原康助君。
  315. 上原康助

    上原分科員 瓦大臣初め皆さん、大変遅い時間までどうも御苦労さんです。パスしようかと思ったのですけれどもそうもいきませんので、できるだけ簡潔に。いろいろお尋ねしたいことがありますが、具体論から入ります。  一つは、嘉手納バイパスのことなんですが、これは、そこに額が飾られている綿貫先生が沖縄開発庁長官をして、恐らく十二、三年ぐらいになるのじゃないかな、北部に視察に行って、嘉手納ロータリー周辺が余りにも混雑をしてなかなか進まぬものだから一体どうしてそういう状況かと言って、それで嘉手納バイパスを今にもできそうなほどに大々的にぶち上げたんだが、いまだにできない。なぜそうなっているのか、今後の見通し等を含めて御説明をいただきたいと思います。
  316. 佐藤信彦

    ○佐藤(信彦)政府委員 一般国道五十八号の嘉手納バイパスでございますが、読谷村から嘉手納町に至ります四・五キロのバイパスでございます。その中で、現国道の嘉手納ロータリーを中心とした町の中心部の交通混雑の緩和等を目的として事業を進めております。本バイパスの計画区間の中には米軍の施設・区域が存在していることとか、それから米軍の用地の一部返還も含めました調整を行ってきたところでございます。またあわせて、平成六年度から読谷村側の用地買収に着手したところでございまして、平成九年度も引き続き用地買収を推進するといったことでございます。そういったことで、用地に比較的時間がかかっているといった状況でございます。  ですが、交通渋滞も大分激しいところでございますので、今後とも、地元の皆さんの御理解と御協力を得ながら事業推進していきたいというふうに思っております。
  317. 上原康助

    上原分科員 完成というか、いつごろでき上がるの、実現できるの。おおよそのめどはありますか。
  318. 佐藤信彦

    ○佐藤(信彦)政府委員 めどといいますか、まだ用地買収の緒についた段階でございますのでなかなか難しい状況でございますが、今五計、さらに次期五計ぐらいまでは、供用開始を目指しますと、全線の開通はそのくらいまではかかるのではないかと思っております。  ですが、まとまって用地取得がされ、かつ工事などが進めば、部分供用が比較的早い時期にできるのではないかといったことも検討しているところでございます。
  319. 上原康助

    上原分科員 もっと努力をしていただきたいという要望を申し上げます。  私もある程度拝見をしているし現場の事情もわかりますので、問題は、ここもやはり軍用地との関係があるわけですよ。事ほどさように、道路一つ、バイパスをつくるにも障害になっているという点、これは何も建設省の責任だけじゃないですが、だが、余りにも期間がたち過ぎる。ですから、いろいろ問題があると思うのですが、もっと関係省庁協議をしていただいて、ぜひ促進をしていただきたいと思います。  それともう一点、沖縄北部地域の道路網、国道四四九号線ですが、名護市の宮里から本部町の大浜に至る延長十三・九キロを四車線区間にしようというふうに、これは、私も県の技官さんとかいろいろ関係者等の要請を受けて地元でもこれまで努力をしてきたのです。当初はかなり予算も、潤沢と言ったら変なんだが、あるので、むしろ前倒しでやるということだったんだが、最近は那覇のモノレールの予算にみんな分捕られて、こういう地方の道路整備が停滞、もしくは後回しにされているということがあるのですね。その点については事情を知っていらっしゃるの。
  320. 佐藤信彦

    ○佐藤(信彦)政府委員 四四九の名護市それから本部町内におきまして、交通渋滞の緩和を図るということで、名護バイパス五・四キロ、それから本部南道路八・五キロ、合わせて十三・九キロの改築工事を実施しているところでございます。  名護バイパスにつきましては、五・四キロの四車線道路でございますが、昭和五十七年に事業着手しまして、安和側から整備を進めて、平成五年までに延長約ニキロの供用を図ったところでございます。平成九年度には安和側の工事も推進しておりますので、延長〇・四キロについて、隣接する本部南道路の一部区間と合わせて供用を図る予定でございます。また、宮里側の区間については、用地買収を促進しているといった状況でございます。  それから、本部南道路の方でございますが、これも八・五キロの四車線道路でございますが、平成四年度に事業着手し、平成九年度は、延長〇・七キロの区間を供用すべく工事を促進しております。  そういったことで、両バイパスとも、用地の取得が完了した時点で部分的といえども工事を行うといったことで、部分供用でも行って進めているところでございます。  南部の事業も、モノレール等、交通渋滞に対する対策としてやはり大事な事業でございますので、あわせて進めさせていただいているというところでございます。  先生おっしゃられたように、用地の問題は地元での御理解が得られることがなかなか難しい問題でもございますので、そこら辺について私どもも一岳懸命やるつもりですが、御支援方お願いいたしたいというふうに思います。
  321. 上原康助

    上原分科員 ですから、いろいろ協力はしてきているんですよ。予算はトータルがあるのでということで、配分の問題で、まあこれは本庁がそういう指示はしていないと私は理解したいんだが、問題があると言っている。だから、平成十二年までに全線整備をするということだったが、何か十四年とか十五年とか言っているんだね。そんなことになっては困るということを申し上げておきますから、ぜひきちっと促進をしていただきたいと思います。  建設大臣、お帰りになりたいようですが、もう一つ地域高規格道路、名護東道路は今、既に調査して、本格設計に入っているのかな、これはどうなるかということですね。もう一つは、地域高規格道路の課題となっている東村への延伸問題、さらに県道屋我地仲宗根線、ワルミ架橋及び、仮称ですが屋我地中央線道路の早期整備がこれまで要請をされていると思います。もちろん沖縄開発庁も、窓口というよりも関係していると思うのですが、道路のことですから、今具体的に挙げました三路線について、建設省としてはこれをどう促進していかれようとしているのか、御見解を聞いておきたいと存じます。
  322. 佐藤信彦

    ○佐藤(信彦)政府委員 名護東道路でございますが、これは、名護市大北から許田に至ります約八キロの道路でございます。この路線でございますが、路線の重要性もありまして地域高規格道路に指定されております。平成六年十二月に計画路線に指定し、七年八月に全線を調査区間に繰り入れているところでございます。  さらに、平成八年八月にはバイパス区間の延長約七キロを整備区間に指定してきております。平成九年度からは、この五十八号の名護東道路、延長六・八キロ区間でございますが、調査段階ではなくて新規に事業着手を行ったところでございます。  事業着手区間については、現在、予備設計、それから環境調査、事業アセス、これを進めている ところでございます。また、未事業化区間が一キロほどございますが、これにつきましても、整備区間指定に向けまして調査を推進しているところでございます。  それから、沖縄自動車道の宜野座インターチェンジから沖縄北部の東海岸を東村の方へ北進する規格の高い道路についてでございますが、これは平成六年の一月に沖縄県知事が策定いたしました広域道路整備基本計画において、現在のところまだ位置づけがされておりません。そういったことで、むしろ同地域の今後の地域開発プロジェクトの動向とか、それから交通需要の見通しといったようなことをます勘案しながら、その必要性も含めまして、関係機関といろいろ相談させていただきたいと思っております。なるべく早い時期に構想から計画へといったことが進められればいいのではないかということで、関係機関と協議しているところでございます。  それから、最後の路線でございますが、一般県道の屋我地仲宗根線におきますワルミ架橋ということでございますが、これは本部半島と屋我地島を結びます海峡横断道路でございます。古宇利大橋とあわせまして、今帰仁村の中心部と古宇利島を連絡します、北部地域の振興を図る上に非常に重要な路線でございます。  このため、平成九年度より国庫補助事業によりまして事業化いたしまして、現在、測量設計及び架橋でございますので地質調査を進めているところでございます。今後もそういったことで支援していきたいというふうに思っております。  以上でございます。
  323. 上原康助

    上原分科員 時間がありませんから、また、細かいと言ったらなんですが、いろいろ問題点やお願いすべきことにつきましては、後日要請させていただきたいと思います。  特に、この宜野座から東村への高規格道路の延長問題は、第三次東村総合計画基本構想の中でも強く打ち出されていることでありますので、これは今申し上げたのは北部全体の振興開発と密接にかかわっていることですから、ぜひ御検討の上、なるべく早い時期に事業化できるようにお願いをしたいと思います。  これまで、瓦大臣、大体お聞きになったと思うのですが、沖縄の道路整備、今具体的に挙げたことについてぜひ御尽力を賜りたいと思いますが、一言御所見を聞かせてください。
  324. 瓦力

    ○瓦国務大臣 先生、今、いろいろ地域の道路問題につきまして御質問があり、道路局長答弁がございました。  私も沖縄へいろいろな関係でよく出かけておるわけでありますが、沖縄の道路整備先生のかねてからの強い御主張がございまして、沖縄には鉄道がない、また、地域間輸送につきましては道路が経済面でも生活面でも極めて重要である、常々かような御主張をなさっていらっしゃるわけでありまして、よく私も伺っておるところであります。  開発庁ともども、いろいろ御協力すべきはして県民に喜ばれる道路体系をつくるように努力をしたい、かように存じておるところであります。
  325. 上原康助

    上原分科員 どうもありがとうございます。  第七分科会でも運輸大臣に言ったのですが、あそこで話をずっと聞いていると、みんなJRの話、新幹線の話をやるのですね。沖縄は鉄道がないのですよ。だが、国鉄の赤字、債務については、沖縄の方もたばこ税が上がると取られるわけでね。だから、道路の整備もきょうは答弁が必要なんだが、どうしてもモノレールを延長させるか沖縄的JRをぜひ敷設してもらいたい。こんなの、投資効果とか独立採算制とか、大蔵の言う費用対効果、そういうことではだめなんだよ。国策として、五十年のツケとして、鉄道の一本ぐらいきちっとやってもらいたい。これは、大臣のまた見解を聞いておきましょう。私は、どうしても、二十年、五十年先のことを考えると、基本のインフラが必要だと思うのです。  そこで、最後に、新しい全国総合開発計画、その中に沖縄の位置づけも、従来よりは目に見えるような位置づけをされていると私は思ってその点は評価をいたします。  私も、国土庁長官、間違ってというかさせられたことがありますので、そのときに亜熱帯軸を設けなさいということを強く主張したのですよ。何で本土だけの軸をやるか。国土基本計画の中に鹿児島から奄美、沖縄、琉球諸島を入れた亜熱帯軸をつくったらどうかということを主張して、文言そのものにはなっていないのですが、太平洋新国土軸というのが沖縄から九州中南部、四国、紀伊半島を経て伊勢湾沿岸に至る新しい軸を今度設定したいということがあります。  そこで、この構想は、もっと沖縄側のこれからの二十一世紀プランとも連携をさせて具体化をしていただきたいということと、国土庁がつくった中の「沖縄地域」「現状認識と今後の基本方向」の中でいろいろ構想がちりばめられております。例えば、パシフィック・クロスロード、太平洋・平和の交流拠点として海洋性の太平洋新国土軸形成をやっていきたい。あるいは、施策の展開方向として、沖縄本島を中心とする琉球弧における広域国際交流圏の形成を図る。または北部圏や宮古圏、八重山圏等における多自然居住地域を創造していく。北部圏の振興も一つのフレーズとして盛り込まれている。  これは今までになかった具体的な軸構想あるいは振興策の方向性だと見ているわけですが、最終的にもっと中身を豊富にしてもらいたいという期待もあるのですが、国土庁としてはどういうふうに考えておられるか、ここで御見解を聞かせておいていただきたいと存じます。
  326. 河出英治

    ○河出政府委員 お答えをいたします。  新しい全国総合開発計画につきましては、昨年秋にその基本的な考え方となる国土審議会の審議経過報告が出されておりまして、公表したところでございます。  この報告では、ただいま先生がおっしゃいましたように、これまでの第四次全国総合開発計画までにはありませんけれども、基地問題を抱える沖縄振興というのを特定の課題ということで位置づけをしておりまして、太平洋新国土軸を含む多軸型の国土構造を形成する上で非常に重要な特定課題ということで位置づけをしているわけでございます。  具体的には、沖縄地域をアジア・太平洋地域におきまして平和交流を初めとした多元的な交流と国際的な貢献活動の結節点という役割を担うパシフィック・クロスロードとして位置づけまして、特色ある地域を形成することにしているわけでございます。  この計画の策定に当たりましては、沖縄県を初めとして全国各県と非常に多数にわたりまして意見交換をして、そういった意見を十分踏まえてつくっているものでございます。現在、この経過報告をもとに最終的な調整を行っているわけでございまして、本年度末を目途に閣議決定すべく、この報告の趣旨を十分踏まえて対応してまいりたいというふうに考えております。
  327. 上原康助

    上原分科員 大臣、もうきょうはこの時間ですから、私終わりますけれども、時間を残して。パスするわけにいかぬから。まあ大体回答もあったので。  私がなぜこういうことに、こだわると言ったら変なのですが、地域の振興にしても、沖縄問題というのは、ただ基地だけ重要だといって国策の中に位置づけるのではなくして、やはり沖縄の将来をどうするのか、これまでにどうだったのか、現在はどうなのかということを、しっかり閣僚なり政治をやっている人々がやらなければいかぬ課題だと思うのです。もちろん役人の皆さんも一生懸命やっておられる方々もいらっしゃいます、ほとんどそうですが。  そういう意味で、今の国土軸の問題等、あるいはさっきの鉄軌道の問題等を含めて、真剣に橋本内閣あるいは日本政治家全体が理解をして力をかしていただきたい。それに対する大臣の見解を聞いて、終わります。
  328. 瓦力

    ○瓦国務大臣 上原先生の沖縄に対する強い思い を同じくするわけでございます。  といいますのも、先生と安全保障であるとかいろいろなことで、時として議論をいたしたりいたしましたが、私も先生のお人柄に触れ、また沖縄に対する情熱を伺うにつけ、先島まで私も足を運びましたが、沖縄開発庁ともどもに、やはり地域振興のために役立つことはいろいろあるな、かように考えながら今日あるわけでございます。きょう初めて委員会質疑を取り交わすようなことになりましてさらに思いを強くしているわけでありますが、どうかいろいろまた御注文も建設省に投げかけていただきましたり、また国土庁の方にも御連絡いただきまして、双方相まって沖縄振興のために努力をしたい、こう存じておるところであります。  ありがとうございました。
  329. 上原康助

    上原分科員 ありがとうございました。終わります。
  330. 村田吉隆

    村田(吉)主査代理 これにて上原康助君の質疑は終了いたしました。  次に、河井克行君。
  331. 河井克行

    河井分科員 皆様、こんばんは。自由民主党、広島三区選出の河井克行です。  大臣におかれましては、深夜にお出ましをいただきまして、本当に心から感謝を申し上げたい気持ちでいっぱいでございます。本当に恐縮をいたしております。また、関係局長様方におかれましても、きょうは八時間以上の審議におつき合いをいただいております。村田主査におかれましても、本当にお疲れさまでございます。今、ちょうど午後九時四十五分を過ぎましたけれども、こんなに遅くまで国会というところは審議をしている、仕事をしているという姿をぜひとも国民の皆様方に御理解をいただきたいものだなというふうに心から思っております。本当にありがとうございます。  先ほどから村田主査、早く終われというふうなサインを送っていただいておりますけれども、きょう、私は自由民主党の議員としてはただ一人の質問者でございますので、与えられた時間を、できるだけ簡潔にさせていただきながらこの権利を行使させていただきたいというふうに思っております。何しろきょう最後の質問でございますので、簡にして明、そして有終の美を飾る、どうかすばらしい御答弁をいただければありがたいというふうに思っております。  まず初めは、きょうはあくまでも衆議院の予算委員会ということでございますので、総論から問いただしをさせていただきたいと思いますけれども、ちょうど一年前、昨年の三月四日、私はこの同じ予算委員会の第八分科会におきまして質問をいたしました。  主たるテーマは、もう一年前から、日本の経済、景気の中倒れが起こるのではないでしょうか、その中で、いわゆる公共事業との絡みの中で、本当に安心できる日本の経済運営が図れるのでしょうかという質問をさせていただきました。  当時、いろいろな角度から質問をさせていただいたわけですけれども、一年前から実は日本の証券市場の株価は低迷をいたしておりました。特に金融・証券関係の銘柄がかなり株価を下げていたという状況が現にございましたけれども、その点につきまして、私は、これは金融・証券の業種だけではなく、日本全体の将来について、大きな意味で不安感が証券市場全般に起こっているのではないでしょうかという問いかけをさせていただき、さらに、これは国内だけではなくて、ちょうどアメリカの連邦政府財務省が昨年の二月二十一日に連邦議会に年次報告書を提出いたしたわけですけれども、その中で既に、過度な公共事業の抑制によりまして日本の九七年度の実質成長率が一・五%程度へと、前年度が三・七%なのですけれども、低下するのではないかというおそれが指摘されていたわけでございます。  その点につきましていろいろと問いただしをさせていただいたのですけれども、当時の大蔵省の説明員、主計局の調査課長さんは、今から思いますと大変白々しい答弁をしていただきまして、九七年度の日本の経済は、民需が軸となって緩やかにリードをしていく結果、実質GDP成長率は一・九%程度の伸びというふうなことをおっしゃっていらっしゃいました。  今となったら、一年前、本当にこの答弁でよかったのかなというふうに率直に言って感じるわけでございますけれども、大臣、現下の景気の、特に地域の景気、経済を見る中で、私はやはり必要な手だては十分、もちろん橋本内閣の最重要課題であります行政改革と財政構造の改革は断固としてこれから推進していかなくては本当にいけないと思いますけれども、緊急避難といたしまして、やはり地域の経済の中の中心的な位置を占めている公共事業につきましては格段の御配慮があってしかるべきだ。  ちょうど一年前、私はこの分科会質問をさせていただいたこと、このことを振り返りまして、本当に、瓦大臣、その点につきましてどのような御認識をお持ちいただいているか、まずお尋ねをいたしたいと思います。
  332. 瓦力

    ○瓦国務大臣 河井委員にお答えいたします。  バブル崩壊後、金融機関のいわゆる信用が失墜をいたしましたり、景気が低迷を続けて今日に至っておるわけでございますが、今委員のおっしゃるとおり、やはり日本の経済に活力を与えるために、公共事業の必要性、これを改めてどう認識しておるかということでございます。  我が国は脆弱な国土でございますから、私は常々申し上げておるわけでございますが、常に安全、安心を確保するためには国土がそれにふさわしい体制にならなければならぬ。急峻な山があり、雨が降ればそれが大きな出水を起こすわけでありますし、まだまだ国土整備についてはすべきことはたくさんあるわけでありまして、またこれだけ高度な経済を営む国にいたしましては道路整備もきちんとやらなければならぬ。また、ダム等を通じて、生活用水、産業にも経済にもかかわり深い水源も確保してまいらなければならぬ。こういう仕事はまだいずれも道半ばで、需要が多いわけでありますから、公共事業といいますか、住宅、社会資本の整備になお一層努力していかなければならぬ。  それがフローとストックと両面を持つわけでございますから、それをうまく転がしていくことが大切でございまして、総理が財政構造改革を、子々孫々に累積する赤字を残してはいけないというのは、これは大切な柱といたしましても、経済は生き物でございますから、臨機応変、いろいろ手法を講じて国民生活とともに経済を引っ張っていく。そういう中で、私は、公共事業、これに今もう一度直視をして取り組んでいく大事なときである、こう認識をいたしておるところであります。
  333. 河井克行

    河井分科員 今、地域の経済にとりまして本当に温かい激励のお言葉をいただいたというふうに感謝をいたしております。  私にとりましては、大臣は、建設大臣ということも当然でございますけれども、党の安全保障調査会の会長として、まさに日本の守護神としてこれまでいろいろと御活躍をいただいておりましたので、今後は地域経済の守護神としてぜひいろいろと大活躍を引き続き行っていただきたいな、そんなふうに思っております。  引き続きまして、あと一点だけ大臣からぜひ御答弁をいただきたいと思いますけれども、各論に移らせていただきたいと思いますが、私の選挙区におきまして、選挙区民の最大の関心事は、何といいましても国道五十四号線の可部バイパス並びに佐東バイパスの建設促進という点であります。現状につきまして、そして今後の進捗につきましてお答えをいただきたいというふうに思います。  昨年も実は当時の建設大臣に質問をさせていただきましたところ、大変前向きな御答弁をいただきましたので、ことしはぜひそれ以上に前向きなお答えをいただければ大変ありがたいなというふうに思いますと同時に、これはいわゆる一般国道ということになっておりまして、この財政構造改革の流れで、一般国道の改築、対前年比〇・八八 ということで、随分厳しい改築の予算になっております。一般国道ということでございますけれども地域からは今この国道五十四号線につきまして高規格道路として御指定をいただきたいという熱心な盛り上がりもございます。そのあたりの見通しにつきまして、あわせて御答弁をいただければ幸いでございます。お願いいたします。
  334. 佐藤信彦

    ○佐藤(信彦)政府委員 五十四号線の可部バイパス並びに佐東拡幅でございます。  可部バイパスでございますが、これは昭和五十六年に事業化されておりまして、起点から百九十一号線までの間二・八キロ、これが一昨年の八月に暫定供用を図られております。  これからの第二の重点区間といたしましては、百九十一号から県道南原狭線までの間一・四キロ、これを重点的に用地買収を進めております。ここら辺の用地買収が済めば即やはり工事も進めなぐてはならないというふうに思っておりますし、さらに、そこからその次の区間の用地買収、これは順繰りに進めていく。しかしながら、その中の供用開始は部分供用でも進めていきたいというふうに思っております。また詳細については検討させていただきたいと思います。  それから五十四号の佐東拡幅でございますが、これは二・五キロの六車線拡幅のバイパスでございます。平成元年に事業化いたしまして、二年度から古川土地区画整理事業区間についての用地取得を進めているところでございます。  そういった区画整理とあわせて共同溝の工事も進めておりますので、なかなか事業費も食うところでございますが、先ほどの可部バイパス、それから佐東拡幅、これは地元の皆様の御理解、御協力を得ながら早期供用が図れるよう事業の促進に努めてまいりたいというふうに思っております。  それから、地域高規格へという話がございます。これは、ことしは五カ年計画を新たに進める時期でございます。その中で地域高規格路線、これは五カ年ごとに大体セットしていっております。その中での区域の変更は毎年行っているわけでございますが、今回そういったことで、地域高規格道路として整備を進めるといったことのいろいろ調査を始めているところでございます。  これは、その整備を進めるに当たっての緊急性とかそれから妥当性、地元の動向とか、いろいろなものが選定の調査の対象になっておりますが、御指摘の国道五十四号の可部バイパス、佐東拡幅につきましても、この次期路線指定に向けての地域高規格道路の全体の見直しの中で十分検討していきたいというふうに思っております。
  335. 河井克行

    河井分科員 大臣、遅い時間でございますので、どうぞもうお帰りいただいても結構でございます。もう本当に結構ですから。どうもありがとうございました。
  336. 瓦力

    ○瓦国務大臣 河井委員から引き続いて要請のございます国道五十四号可部バイパスでございますが、今局長からの答弁にありましたとおり、この道路の必要性もよく勘案しながら、次期路線指定に向けての全体の見直しの中で検討してまいりたいということでございます。  政治家地域の交通網の整備に対する思い入ればよく理解できるところでありますので、私どももよく検討してまいりたい、かように存じております。どうも御苦労さまでございます。
  337. 河井克行

    河井分科員 どうもありがとうございました。  五十四号の可部バイパスといいますのは三十年来の地域住民の悲願でございますけれども、先ほど大臣並びに局長から、今の一九一号線の暫定開通地点から南原狭付近まで一括して進めていきたい、なおかつ地域高規格道路の指定も含めて検討したいという大変ありがたいお言葉をいただきました。深く感謝をいたしたいと思います。  引き続きまして三点目でございますけれども、私のこれも同じく地元であります広島市の安佐南区におきまして、新しい町づくり、西風新都構想が今進捗をいたしております。この件につきまして、ます一つは、通称沼田トンネル、安佐南区の大塚地区から市内中心部に至る特に西区の中広まで、これをずっと貫く新しいトンネル、これを今工事をいよいよ始めようという段階に至っております。従来一時間近くかかっておりますのが、これが開通しますと、車をぶっ飛ばしたらわずか五分足らずで行くことができるということでございます。  また、建設省の方におかれましても、さきの中国地建の局長の松浦さんが新しく設立されました広島高速道路公社の理事長にも御就任をいただいて、格段のお力添えをいただいているというふうに伺っております。ずばり全通の時期はいっかという点も含めて、今後の進捗状況をお尋ねをいたします。  そしてもう一つは、広島高速道路、広島自動車道の仮称広島西部インターチェンジ、これは安佐南区沼田町の椎原地区から安佐北区安佐町の久地の境に至る新しいインターチェンジでございます。これも新しい町づくりを進めるためにはぜひとも早期完成が必要ということでございますけれども、この点につきましても今後のめどをお聞かせいただければ幸いでございます。お願いいたします。
  338. 佐藤信彦

    ○佐藤(信彦)政府委員 沼田トンネルを含みます広島の西風新都線、これは北西部地区の西風新都と広島の都心部を直結する四・九キロの自動車専用道でございます。  本路線につきましては、平成三年度に都市計画決定がされ、平成六年度に広島市が事業着手しまして、引き続き平成九年度から、ただいまお話ありましたように指定都市高速道路として広島高速道路公社が事業に着手しているところでございます。平成九年度に作業用のトンネル工事に着手しております。順調に事業が進展していることと思います。  平成十年度からはトンネル本体工事に着手する予定でございますが、西風新都の開発が概成してきます平成十三年度にあわせて供用が図られるよう事業を現在促進しているところでございます。したがいまして、今五計の中では何とか供用に完全に持ち込めるのではないかというふうに考えているところでございます。  それから、広島の西部インターチェンジでございます。これにつきましては開発インターチェンジとして整備を進めているところでございますが、平成三年十二月に整備計画が策定され、平成五年七月三十日に施行命令が行われたところでございまして、現在道路公団におきまして、これは地元からの委託だと思いますが、用地買収を進めるとともに工事の着手の準備を行っているところでございます。したがいまして、まだ用地買収が残っているといったことがございますが、何とか五計の中で整備を完了していきたいというふうに思っております。
  339. 河井克行

    河井分科員 引き続きまして、次は、河川局長様、大変本当に遅い時間にお待ちをいただいておりますので、二つ質問をさせていただきます。  一つは急傾斜地崩壊防止事業についてなんですけれども、これは余り知られていないことなんですが、実は広島県はこの急傾斜地崩壊危険箇所の指定の数が全国一なんですね。まさに全国一の横綱でありまして、まあ余りこれは褒められたことじゃない、多い数ですけれども、中でも実は広島市の周辺部がおくれております。その中でもなぜか私の地元の広島市の安佐南区、安佐北区、整備率が三%から五%と、今の予算配分ペースでいきますとあと百年以上はかかってしまうというぐらいおくれてきているのが残念ながら現状であります。  率直な質問なんですが、どうして私の地元だけこのようにおくれているのでしょうか。その中で一つ、私自身、昨年中国地建の皆さんとも、そして広島県庁の皆さんとも現地視察をさせていただきましたが、この急傾斜地崩壊防止事業なるものがあること自体御存じない地域の方々がほとんどだったということを実際この耳で聞いてまいりました。そのあたりも含めまして今後の進捗につきまして御見解をます第一点いただきたいというふうに思います。  それからもう一つが一級河川安川の改修事業に ついてであります。  私、実は幼少のころからこの安川の川面を見ながら育ってまいりました。大雨が降って増水したときには、家の二階に上がりまして、お父さん、安川大丈夫なんて言って、本当に私の自宅から十メートルしか離れていない、もう本当にすぐそこなんですね。これまでもしばしばはんらんをした経過がございますけれども、子供心に、どんどんどんどん水面が上がりまして、不安だなという気持ちを抱いたことをはっきりと覚えております。  この改修につきましては、いわゆる一次改修が済みまして、いよいよ第二次の改修が始まったというふうに伺っておりますけれども、先ほど道路局長さんにも質問させていただきました上流に位置する西風新都の建設に対応するためにもこの安川の河川改修、より一層一体となって促進をしていただかなければいけないというふうに思いますので、今後の進捗について。  以上二点お尋ねをしたいと思います。
  340. 尾田栄章

    ○尾田政府委員 ます一点目のがけ崩れ対策でございますが、先生御指摘のとおり広島県、日本一の危険箇所を抱えておりますし、そしてまた、御指摘のとおり広島市は広島県よりも整備率は低い、さらに、今御指摘の安佐北、安佐南区というところはさらに整備率が低いという形になっております。  これは、もう先生よく御存じのとおり、新しい都市開発、人家がどんどん建ってくるという中で、本当ならある意味ではそういうところに人家をお建てをいただかない方がいいような、そういう地域までひっくるめてどんどん人家が建ってくる。そういう中で整備が、そういう人家の発展といいますか、そういうものに追いつかないという中でこういう現象が生じておるというふうに考えております。  そういう中でやはり対策としては、さはさりながら、もう既にどんどん人家が建っておるわけでございますので、そういう危険箇所が集中をしている地域につきましては、先生御指摘のとおり、まずこういうがけ崩れ対策事業が行われているのだということを住民の方たちに御理解をいただいて、そして応分の御負担をいただいた上でそういう対策を講ずる、危険箇所の解消を図っていくということが大事だと考えております。  もう一点、やはりそういうところにスプロール的な発展をしないような、そういうことをいろいろな関係省庁施策とあわせてやっていく必要がある。そういう意味からも、潜在的な危険箇所と申しますか、現在まだ家が建っていないことによって危険箇所にはなっていない、ただ非常に急な斜面があって、ある高さ、一定以上の勾配を持った、そういうところがあるというところについて十分地元に御承知をいただくということも大事だというふうに考えております。  それから、二点目の安川の改修でございますが、これはまた御指摘をいただきましたとおり、既に平成三年度までに一応一次改修は終わった、おおむね十年に一回ぐらいの降雨に対しては安全になっておると考えておるところでございますが、西風新都を初めといたします。そういう開発が進んでまいります。そういう中で、総合治水対策ではございませんが、これと同じような考え方に基づきまして、おおむね三十分の一、三十年に一度ぐらいの大雨に対しても安全なような形の河川改修を現在進めておるところでございます。平成十四年度までに、下流区間約三・三キロ、これは堤防区間でございますが、この区間を重点的に整備をして何とか格好をつけたいというふうに考えております。  それとあわせて、開発者におきます対策防災調節池等の整備もあわせてお進めをいただきまして、そういう中で開発者の負担、河川管理といいますか河川施設での負担、両方相まって安全で安心できるそういう河川にしていきたい。大変厳しい財政状況のもとでございますが、力を尽くしていきたいと考えておるところでございます。
  341. 河井克行

    河井分科員 続いて都市局長質問をさせていただきます。  防災公園緊急整備事業、これは通称グリーンオアシス事業と言われておりますけれども、これは地方自治体並びに地域の住民からも大変人気が高い事業でありまして、新年度以降の継続、ぜひ引き続きやっていただきたい。私の地元でも公園の整備促進を行っていただきたいと思いますけれども一つ提案といたしましてこの防災公園の地下に防災用の貯水池を設ける、そういうふうな事柄についてもぜひ御検討をいただきたいなというふうに思っております。そのあたりについて御答弁をいただきたいと思います。
  342. 木下博夫

    ○木下政府委員 グリーンオアシスにつきまして大変御理解いただいて、ありがとうございます。  お話がございましたように、若干風化しつつございますが、平成七年の阪神・淡路から時間がたっておりますが、その際に公園の機能として、本来の緑地とか環境対策ということは言うまでもないわけでございまして、延焼防止とかあるいは避難地としての評価を大変されたわけでございます。  そこで、お話がございましたように、この事業一つの特色は、一定の広がり、いわば広域避難的な面積の中に複数の中規模の、まあ未利用地的なものも含めてでございますが、公園を確保するというための一括採択的補助制度が大変各地で利用されております。  お話がございました広島市におきまして既にこれらも含めまして六十カ所余りの防災公園がございますが、そのうちのグリーンオアシスは、既に平成九年におきましては六地区、それから十年度には予定といたしましては五地区程度のものを確保したいと思っておりまして、その中には新規も含めてやってまいりたいと思っております。  御質問の耐震性の貯水槽の対策でございます。こういう貯水槽を各地に設けることは我々としても大変必要であろうかと思っておりますが、先ほど申し上げましたように、全体的な防災機能のそれぞれの配置で、施設その他のそれぞれのいわば役割といいますか、今までそれぞれの目標を決めてやってまいっておりますので、そういう意味では、先生お話のありましたグリーンオアシスの今の状況からいきますと、防災性や耐震性の貯水槽を置くには若干狭うございますけれども、今後この制度についてもう少し工夫をして、各地に安全、安心という町づくりで防災公園が機能できるように我々も努力してまいりたいと思っております。
  343. 河井克行

    河井分科員 時間切れも大分近づいてまいりました。最後の質問になります。再び道路局長質問をさせていただきます。  まずは、国道百九十一号線幕の内トンネルの今後の進捗状況。  引き続きまして、東広島高田道路を地域高規格計画路線へと昇格をいただきたいと地元の各町並びに県、特に高田郡地域からも積極的なお申し出をいただいております。その点の見通しいかん、お尋ねをいたします。  三点目は、広島・江津歴史ロマン街道、これは安佐北区から豊平町、芸北町、島根県江津市に至る八十七キロメートル、百九十一号線を中心とするさまざまな路線、この点についてですけれども、次の国道昇格並びに整備促進につきましての基本的なお考えを伺いたいと思います。お願いします。
  344. 佐藤信彦

    ○佐藤(信彦)政府委員 ます初めの百九十一号線の幕の内バイパスでございます。これは、先ほどの可部町から安佐町に至ります延長一・五キロの道路でございますが、広島北部の開発とか交通量の増加に伴いまして平成五年度に事業着手しております。平成九年度、今年度でございますが、新幕の内トンネル、四百九十メーターのトンネルでございますが、この工事に着手したところでございます。このバイパスの重要性にもかんがみまして、ます幕の内トンネルの工事を早期に完成させて、バイパス自体の全線供用が早く図られるよう努めてまいりたいというふうに思っております。  それから、地域高規格道路の東広島高田線の計画路線への昇格といったことでございますが、こ れは呉から東広島までが既に高規格道路になっております、これの延伸といった要素の地域高規格道路でございます。したがって、東広島から高田郡、さらには、構想といたしましては、島根県の方へ抜けるといった、そういう中国地方の横断幹線に将来はなっていく道路かと思います。そういったことで、これも地域高規格についての指定の調査の中で進めておりまして、特に地元からの話としては、計画路線への指定をお願いしたいという話を伺っているところでございます。これもあわせて検討していきたいというふうに思っております。  それから、広島・江津歴史ロマン街道の国道昇格の問題でございますが、これも広島市から山県郡豊平町、芸北町、それから島根県の那賀郡金城町を経由して江津市に至ります八十七キロの道路、改良率は現在全線で四六%。五〇%にちょっと足らない状態でございます。  一般国道については、社会経済の伸展と一般国道の整備状況に応じまして逐次追加指定を行ってきておりますが、最近では、平成四年に百二路線、六千六十一キロの追加指定を行ったところでございます。  建設省としましても、今後の社会経済の動向を踏まえながら幹線道路網の再編成を進めていくこととしておりますので、次回の見直しの際に当該路線については御要望もあわせ検討してまいりたいというふうに思っております。
  345. 河井克行

    河井分科員 大変遅くまでありがとうございました。結果的に時間いっぱい使わせていただきまして恐縮をいたしております。あすの衆議院本会議におきまして平成十年度当初予算、ぜひとも可決、通過をすることを祈念をしつつ私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  346. 村田吉隆

    村田(吉)主査代理 これにて河井克行君の質疑は終了いたしました。  次回は、明二十日午前九時より開会することとし、引き続き建設省所管について審査をいたします。  本日は、これにて散会いたします。     午後十時十六分散会