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1998-03-19 第142回国会 衆議院 予算委員会第七分科会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    分科会平成十年三月十六日(月曜日)委員会 において、設置することに決した。 三月十九日  本分科員委員長指名で、次のとおり選任さ  れた。       桜井  新君    葉梨 信行君       増田 敏男君    山花 貞夫君       上田  勇君    上原 康助君 三月十九日  桜井新君が委員長指名で、主査選任され  た。 平成十年三月十九日(木曜日)     午後二時開議 出席分科員    主査 桜井  新君       葉梨 信行君    増田 敏男君       石井  一君    小沢 鋭仁君       金田 誠一君    山花 貞夫君       石井 啓一君    石田 勝之君       上田  勇君    富田 茂之君       上原 康助君    兼務 永井 英慈君 兼務 鉢呂 吉雄君    兼務 古川 元久君 兼務 石垣 一夫君    兼務 松浪健四郎君 兼務 藤田 スミ君    兼務 松本 善明君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 藤井 孝男君         郵 政 大 臣 自見庄三郎君  出席政府委員         運輸大臣官房長 梅崎  壽君         運輸省運輸政策         局長      土井 勝二君         運輸省鉄道局長 小幡 政人君         運輸省自動車交         通局長     荒井 正吾君         運輸省自動車交         通局技術安全部         長       下平  隆君         運輸省海上交通         局長      岩村  敬君         運輸省会場技術         安全局長    山本  孝君         運輸省会場技術         安全局船員部長 土橋 正義君         運輸省港湾局長 木本 英明君         運輸省航空局長 楠木 行雄君         郵政大臣官房長 天野 定功君         郵政大臣官房総         務審議官    濱田 弘二君         郵政省郵務局長 長谷川憲正君         郵政省貯金局長 安岡 裕幸君         郵政省簡易保険         局長      金澤  薫君         郵政省電気通信         局長      谷  公士君  分科員外出席者         国土庁計画・調         整局計画課長  浜野  潤君         大蔵省主計局主         計官      飯原 一樹君         運輸大臣官房会         計課長     伊藤 鎭樹君         郵政大臣官房主         計課長     岡田 克行君         郵政大臣官房財         務部長     是枝 義人君         郵政大臣官房施         設部長     野々村俊夫君         建設省都市局街         路課長     奥野 晴彦君         運輸委員会専門         員       長尾 正和君         逓信委員会専門         員       丸山 一敏君         予算委員会専門         員       大西  勉君 分科員の異動 三月十九日  辞任         補欠選任   山花 貞夫君     石井  一君   上田  勇君     石井 啓一君   上原 康助君     辻元 清美君 同日  辞任         補欠選任   石井  一君     小沢 鋭仁君   石井 啓一君     石田 勝之君   辻元 清美君     上原 康助君 同日  辞任         補欠選任   小沢 鋭仁君     川内 博史君   石田 勝之君     桝屋 敬悟君 同日  辞任         補欠選任   川内 博史君     金田 誠一君   桝屋 敬悟君     富田 茂之君 同日  辞任         補欠選任   金田 誠一君     川内 博史君   富田 茂之君     福島  豊君 同日  辞任         補欠選任   川内 博史君     金田 誠一君   福島  豊君     上田  勇君 同日  辞任         補欠選任   金田 誠一君     山花 貞夫君 同日  第一分科員松本善明君、第二分科員松浪健四郎  君、第四分科員鉢呂吉雄君、石垣一夫君、第五  分科員古川元久君、第六分科員永井英慈君及び  藤田スミ君が本分科兼務となった。     ————————————— 本日の会議に付した案件  平成十年度一般会計予算  平成十年度特別会計予算  平成十年度政府関係機関予算運輸省及び郵政省所管)      ————◇—————
  2. 桜井新

    桜井主査 これより予算委員会第七分科会を開会いたします。  私が本分科会主査を務めることになりました。よろしく御協力のほどお願い申し上げます。  本分科会は、運輸省及び郵政省所管について審査を行うこととなっております。  なお、各省所管事項説明は、各省審査の冒頭に聴取いたします。  平成十年度一般会計予算平成十年度特別会計予算及び平成十年度政府関係機関予算運輸省所管について、政府から説明を聴取いたします。藤井運輸大臣
  3. 藤井孝男

    藤井国務大臣 運輸省所管平成十年度予算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  まず、一般会計予算でございますが、歳出予算額として九千百五十八億九千九百万円を計上しております。  次に、特別会計予算でございますが、自動車損害賠償責任保険特別会計につきましては六千四百六十九億七千六百万円、自動車検査登録特別会計につきましては四百九十四億四千四百万円、港湾整備特別会計につきましては四千五百八十億五千三百万円、空港整備特別会計につきましては四千七百二十七億八千万円をそれぞれ歳出予算額として計上しております。  また、財政投融資計画中には、当省関係公団等分として二千八百四十九億円が予定されております。  以下、主要な事項につきまして御説明申し上げます。  まず、鉄道整備につきまして申し上げます。  整備新幹線の建設につきましては、既着工区間の着実な整備を進めるとともに、未着工区間については、政府与党整備新幹線検討委員会検討結果を踏まえ、その整備を図ることとしております。  地下高速鉄道ニュータウン鉄道等都市鉄道整備幹線鉄道高速化及び貨物鉄道整備等につきましては、必要な助成を行い、整備推進してまいります。  国鉄長期債務等の問題につきましては、昨年十二月十七日の財政構造改革会議決定に基づき、国鉄改革の総仕上げの観点及び財政構造改革観点から避けて通れない課題である国鉄長期債務本格的処理平成十年度より実施することとし、所要の措置を講じてまいります。  次に、港湾及び海岸整備につきまして申し上げます。  港湾整備事業につきましては、物流効率化国民生活の質の向上に資するために、中枢国際港湾国際海上コンテナターミナル整備及び港湾手続に係る情報システムの導入、地方圏物流コスト削減のためのコンテナターミナル拠点的整備廃棄物海面処分場整備を最重点施策として推進することとしております。  海岸事業につきましては、二十一世紀初頭における安全で豊かな海岸整備を進めるため、防災機能高度化等による質の高い海岸保全施設整備生活環境の改善に資する海岸整備を進めることとしております。  次に、空港整備につきまして申し上げます。  航空ネットワーク形成拠点となる大都市圏拠点空港及びこれに準ずる機能を有する拠点空港整備を最優先課題として重点化し、特に、増大する航空需要に適切に対応するため、関西国際空港二期事業推進するとともに、中部国際空港整備に着手することとしております。  また、地方空港については、滑走路延長等継続事業を中心とした整備推進するとともに、あわせて、空港周辺環境対策及び航空路施設整備推進することとしております。  次に、地域における公共交通維持整備につきまして申し上げます。  地域住民生活に不可欠な地方バスの運行の確保及び自動車事故防止都市交通円滑化対策の総合的、一体的推進を図るとともに、中小民鉄近代化等を図るため、所要補助を行うこととしております。  また、離島住民生活に不可欠な離島航路整備近代化を図るため、事業の欠損及び船舶建造費用につきまして補助することとしております。  次に、海運造船及び船員雇用対策につきまして申し上げます。  海運対策につきましては、外航海運国際競争力強化等に向けて、国際船舶制度の拡充、日本開発銀行からの融資等の諸施策推進することとしております。また、運輸施設整備事業団により、離島航路を含む国内船舶共有建造等を行うこととしております。  造船対策につきましては、メガフロート総合的信頼性評価に関する調査研究等推進するとともに、船舶輸出を行うために必要な日本輸出入銀行からの融資造船舶用工業産業基盤整備、公平な競争条件確保に関する造船協定の円滑な履行等を図ることとしております。また、中小造船業につきましては、構造対策推進のために必要な日本開発銀行からの融資を行うこととしております。  さらに、船員雇用対策につきましては、本四架橋開設に伴う船員離職者等に対する職業転換給付金の支給や技能訓練事業実施等施策推進することとしております。  次に、タンカー事故対策、人と環境に優しい交通実現観光振興等につきまして申し上げます。  昨年のタンカー事故の経験にかんがみまして、海上保安庁等における油防除資機材整備港湾局における大型のしゅんせつ兼油回収船代替建造等油防除体制強化するとともに、船舶交通がふくそうする海域での航路標識整備ポートステートコントロールにおける老朽船対策等を図ることとしております。また、荒天下において高粘度の流出油を回収できる荒天対応型大型油回収装置等研究開発実施することとしております。  次に、人と環境に優しい交通実現でありますが、鉄道駅における障害者対応型のエレベーター等整備、ノンステップバス等普及を促進するため、所要補助を行うとともに、地球温暖化問題等対応するため、環境に優しい自動車開発普及の促進、気候情報提供システム整備等推進することとしております。  また、観光交流の拡大及び観光振興を図るため、国際観光振興会による効果的な誘客、宣伝活動等実施観光基盤施設整備等推進することとしております。  さらに、国際協力につきましては、開発途上国における交通基盤整備人材養成環境保全、輸送安全への協力等事業推進するとともに、貨物流通対策として、日本開発銀行等からの所要融資等を行うこととしております。  次に、運輸関係技術開発推進につきまして申し上げます。  二十一世紀に向けて、より高度な運輸サービスを提供するため、超電導リニアモーターカー、次世代の舶用エンジン等技術開発推進するとともに、基礎的研究に係る研究資金を拡充するほか、研究開発に係る評価制度整備することとしております。  次に、海上保安体制充実強化につきまして申し上げます。  国連海洋法条約締結に伴う新たな海洋秩序形成への対応尖閣諸島周辺海域等における我が国の権益の確保等を図るため、巡視船艇、航空機の整備海洋調査充実強化等推進することとしております。また、航路標識整備推進することとしております。  次に、気象業務体制充実強化につきまして申し上げます。  台風、集中豪雨等観測予報体制強化するため、静止気象衛星及び観測予報施設整備推進するとともに、地震火山対策として、津波予報高度化及び監視体制強化を図ることとしております。  以上申し述べましたほかにも、運輸行政の要請である交通安全対策を初め、各般にわたる施策推進するため必要な予算を計上しております。  以上をもちまして、運輸省所管平成十年度予算につきましての説明を終わります。  何とぞよろしく御審議のほど、お願い申し上げます。
  4. 桜井新

    桜井主査 以上をもちまして運輸省所管についての説明は終わりました。     —————————————
  5. 桜井新

    桜井主査 この際、分科員各位に申し上げます。  質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力を賜りますようお願い申し上げます。  なお、政府当局におかれましては、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石井一君。
  6. 石井一

    石井(一)分科員 神戸港の水先制度見直しの諮問はもう最終段階に入ってきておる、新聞報道では、七月に一万総トンに緩和する。こういう方向であるということも報道されておりますが、この現状と見通し、大体伺っておりますけれども、まず、大臣として簡単にお答えをいただきたいと存じます。
  7. 藤井孝男

    藤井国務大臣 神戸港の強制水先対象船舶トン数見直しにつきましては、阪神淡路大震災契機といたしまして、神戸市等からの問題提起がございまして、これを踏まえ、平成八年度以降、海上安全船員教育審議会水先部会場等におきまして調査をし、検討を進めているところでございます。  船舶交通安全対策等に十分配慮し、神戸市の意向にもこたえられるよう、大阪港との同一トン数にする方向検討を行っており、今月中にも海上安全船員教育審議会答申をいただいて、結論を得たいと考えておるところでございます。
  8. 石井一

    石井(一)分科員 いわゆる運輸省方針としては、現在の三百トンを七月から一万トン以上とする、このため運輸省神戸市が必要な安全対策をとる、こういうことを明言しておるようでありますが、審議会はまだ審議をし、最終結論を出してない。三月十日の時点でこういうことが運輸省責任者から発言されるということは、審議会軽視にならないのか、いかがですか。
  9. 土橋正義

    土橋政府委員 若干審議経過の事実関係について私の方から説明をさせていただきます。(石井(一)分科員「簡単にしてください」と呼ぶ)はい。  先ほど大臣答弁いたしましたとおり、昨年の七月に海上安全教育審議会の方に諮問いたしまして、この三月末に答申をいただくべく現在最後の検討を進めておるところでございますが、これと別に、現在与党の方で規制緩和推進計画審議が始まっておりまして、その場で私ども、ここの方針について説明を求められた際に、こういう説明をさせていただいております。神戸市の強制水先対象船舶の範囲を大阪港と同一にする方向検討中であり、その旨をこの与党会議説明をさせていただいたところでございますけれども、先ほども大臣答弁のとおり、あくまでも正式には海上安全船員教育審議会答申前提としている旨、同時に述べておるところでございます。  以上でございます。
  10. 石井一

    石井(一)分科員 その会議では土橋船員部長が出てそういう説明をされたのか、土井運輸政策局長が出てされたのか。
  11. 土井勝二

    土井政府委員 お答え申し上げます。  当日の会議に私と土橋船員部長と一緒に出まして、ただいまの発言につきましては私の方から申し上げております。
  12. 石井一

    石井(一)分科員 あなたがそういう発言をされたのなら、私はその問題を提起しているんだから、あなたが答弁をされるべきだというふうに思うのです。  しかも、審議会があり、国会の審議がありしておって、審議会答申がまだ出てないというときに、仮に規制緩和の全般の問題として、大変広範な問題でそれぞれ結構だというふうに見ておるわけですが、その段階でそういう見通し大臣にも了解を得て言っておるのですか、それとも、ただ勝手に感触を言っておるのですか、そういうことがあればそれは軽率というか、勇み足というか、規制緩和をやってもらうことは結構なんで、そのことについて文句を言っておるわけじゃないのですが、その辺はいかがですか。大臣了解を得てやっているのか。
  13. 土井勝二

    土井政府委員 お答えいたします。  ただいま先生もお触れになりましたが、新しい規制緩和計画検討している、これは与党でも検討しておりますが、政府内でも検討し、その十日の段階、あるいは現在においても正確に申しますと調整中の段階でございます。  それで、調整中の段階でございますけれども方向性として、運輸省として神戸市等の要望を踏まえてそういう方向に持ってまいりたいということにつきましては、事前に大臣の御了解を得つつ発言をしておりますが、先ほど船員部長も申し上げましたように、海上安全教育審議会答申をいただくことが前提であるということも、同時に明確に申し上げておるところでございます。
  14. 石井一

    石井(一)分科員 だから、その辺はやはり手続が逆になっているので、前提がどうだこうだと言うが、そういう観測を言うのなら、やはり大臣が正式に発言をするということであって、いわゆるクローズドミーティングでそういうことを言う、しかしながら、その情報なり政府決定としてはひとり歩きする、新聞ではそういう報道がされる、そして競争力は回復してこうなるということになれば、審議会は何のためにあるのか、こういうことになる。  運輸大臣、そういう答申が二十六日に出るのだけれども神戸は非常に地震の被害も受けており、そういう要望もあるので、これについては一方トン方向でやる、こういうことを今ここで確認させていただいてよろしいですか。いかがですか。
  15. 藤井孝男

    藤井国務大臣 お答えいたします。  実は先般、運輸委員会一般質疑だったと思いますが、他の委員からも同趣旨質問がございました。そのときに私が申し上げましたのは、あくまでも海上安全船員教育審議会答申を踏まえて、その神戸港の要望というものを前向きにとらえる趣旨答弁をいたしました。  そのときに、その委員から、何でもっとはっきり言わないんだ、答えないんだ、歯切れが悪い、こういうことを言われたのですが、しかし私は、あくまでも審議会というものがあって、その権威というものを私どもは軽視するわけにはいかないということで、そういう答弁をいたしました。  先ほど局長等々が答弁いたしましたように、いささかもそういう誤解を招くようなことがあったとすれば、それは大臣といたしまして深くおわびを申し上げる次第であります。  その上で、今石井議員から御質問のあった件につきましては、まさに阪神淡路大震災復興の一環として、いろいろな復興地元皆さん方も御協力いただき、また運輸省といたしましてもできるだけの支援をしてまいりましたけれども、この強制水先案内人の問題につきましては、まさに三百トン以上という長い間の神戸港と大阪港とのギャップがございまして、このことによってかなりいろいろな意味でのマイナス面が生じている、そういう中で、これからの安全性確保しながら今委員がおっしゃられました方向で進めていきたいというふうに申し上げておきたいと存じます。
  16. 石井一

    石井(一)分科員 この制度昭和二十五年にできたということであります。しかも、その経緯は、アメリカの艦船が入りやすいために良好な港湾においてこういう制度を導入した、言うなれば港湾が非常にすぐれておるからかえって規制が厳しかった。しかし、それからもう大方四十年、五十年たっておるわけですね。  私は、昭和五十二年、運輸政務次官をしておりました。そのときにも、これはどうなのかと申しました。しかし、どうも首を振ってやらない。それからまた、二、三年して自民党の交通部会長をやっておった。そのときにもやらない。同じ大阪湾の港内で、片一方は一万トン片一方は三百トン。これはどう考えても不合理きわまりない。一体こういうことを何十年やって規制をしている、何かメリットでもあったのか。これこそ運輸省の怠慢というか何というか、ここまで放置をしておったのは一体どういうことなんですか。
  17. 土橋正義

    土橋政府委員 お答え申し上げます。  神戸港における強制水先については、先生指摘のとおり昭和二十五年に、現在の三百トン以上ではございませんで、国際航海に従事する船はすべて強制水先ということでまず導入されまして、昭和二十八年から今の三百トン以上の国際航海に従事する船について強制水先というふうになったわけでございます。  御案内のとおり、神戸港は横浜港と並んで我が国を代表する国際貿易港でございまして、外航船入港出港も大変に繁栄をきわめておったということで、特に安全問題に意を用いなければだめだということで今日までこの制度が続いてまいったわけでございますけれども震災をきっかけに地元の方から問題提起がございまして、私どもといたしましてもこれを見直す時期だろうということで検討を進めさせてきていただいておるところでございます。     〔主査退席増田主査代理着席
  18. 石井一

    石井(一)分科員 だから、先ほど桜井主査も言われましたように、もっとちゃんと質問にきっちり答えてもらいたいと思うのですが、今の経過とかなんとか言われても、私が言っているのは、片一方は一万トン片一方は三百トン、だれが考えても余りにも格差があり過ぎる。しかも、神戸港の方がすぐれている。それはまあ、一方的に私のところだから言うわけじゃないけれども海難防止協会操船シミュレーション等も見ても、それは公表はされてないけれども大阪港よりはるかに、入り口の状況その他から見てもその必要性は少ないというようなことも言われておるにもかかわらず、五十年も放置しておるというのは一体どういうことなのかということを聞いておるのに、部長さんの言っておるようなことは何も私、聞いておるものではありません。  そうして、まだこれは、横浜だとか佐世保横須賀那覇等にこういう規制がされておる。神戸のことだけでなしに、神戸地震が起こったからこの際五十年ぶりにそれでは規制緩和してやるが、ほかの方に対してもこういうふうなものはきちきちとやはりけじめをつけていくべきだと思うんですが、大臣、いかがですか。
  19. 藤井孝男

    藤井国務大臣 お答えいたします。  実は私の出身は岐阜県でございまして、海のない県でございますので、私も大臣に就任いたしまして、各港湾等々、精力的に視察をしてまいりました。各港湾とも、これからの大コンテナ時代、また東南アジア等との競争時代対応するために、それぞれハブ港湾というものを充実させなければならない、そういう中で神戸港も視察をさせていただきました。  そういった一連の流れの中で、今御指摘の、いわゆる三百トン以上と一万トン以上の格差がこの神戸港以外に横浜横須賀そして佐世保那覇とございます。私自身も、やはりこういった問題は、今御指摘のとおり確かに安全性というものを確保しなければならない。  それぞれの港湾港湾で事情が異なりますけれども、今おっしゃられましたように、ただ震災があったからこういうことを改革するんだというのではなくて、一つ一つしっかりと、港湾状況、そして安全確保が図れるならば、それは同じ条件でやはりこういった問題も進めていかなければならない。そうでないと、大きなハンディキャップを背負いながら競争せよと言っても、そこにいろいろな格差が出てまいりますので、今回、神戸港につきましては、先ほど来申し上げておりますように、審議会答申を得まして、石井委員要望のこと、十分踏まえながら進めてまいりますけれども、他港においても同様に、安全の確保その他もろもろの観点から審議会等を通じまして早急に結論を得て、この格差をなくすように是正すべきだと考えているところでございます。
  20. 石井一

    石井(一)分科員 この問題は、今回を契機にひとつ総ざらいをしていただいて、それは、安全は重視しなければいけませんし、パイロットの皆様方に対する雇用問題ということに対しても配慮をしなければいかぬでしょう。しかしながら、余りにもこういう格差を放置しておくということはおかしいのであって、神戸が済んだらそれではほかの方はまた地震でも来ないとやらぬというのか、まさかそんなことを言っておられるわけじゃないと思うが、この辺についてもきっちりしたけじめをつけてもらいたい。  また、海難防止協会というのがあり、操船シミュレーションなんというのをやっておれば、それをディスクローズする。いろいろな情報が入ってきて、大阪よりも神戸の方がはるかに安全性が高いなんというふうに言われておるんですが、また事実そういうデータが出ておるんだろうと思いますけれども、それならそれでそういうふうなものを開示し、それではそのほかの港湾に対してもそういうふうなことを示しながら、理論的に、こうだからこういう数字になる、これだけの時間がかかる、あるいは安全の基準はこうだというふうにやられなければ、迷惑するのは最終的には消費者であり国民である。  どれだけの大きな経済効果の格差があるかというふうなことを考えましたときには、もう運輸省の中にもほかにもたくさんそういう問題は山積しているんじゃないかなというふうに私は思うのであります。この点、特に注意を喚起し、またきょうは運輸大臣から、局長なり部長規制緩和の小委員会発言されたことをエンドースされた、もちろん審議会答申を待ってということでありますが、そういう方向でやってもらう。  それで、神戸の経済を見ますと、非常に厳しい状況でありますから、時期がおくれてもらったら困るのであります。これは地元選出の議員として要望しておきたいのでありますが、なぜ七月なのか、答申が出ればもっと早くやったっていいんじゃないか。安全の基準は示したらいいじゃないか。何をどうするかという場合に、運輸省、三カ月もかかる理由は何があるのか。この点をひとつ、最後に時期の問題について、時期はどうしても七月というのならどういうことをやるのか。答申が出たら直ちに実行してもらえないか。政令をつくるといったって、そんなもの急いだら早くできるはずだ。いかがですか。
  21. 土橋正義

    土橋政府委員 お答え申し上げます。  時期の問題についても先ほどの安全教育審議会答申をいただいて正式に決定されることになる運びとなっておりますけれども、いずれにいたしましても、今回一万トンに引き上げるということになりますと、現在一万六千回ぐらい水先教導しているうちの半分、八千回が理論的にはノーパイロットでも神戸港へ入出港できるようになるということになります。  そうしますと、一斉にそれをやるということになりますと、神戸港へ入出港する船の安全対策、それから先生指摘の水先人の雇用への影響、こういうものをしっかり詰めた上でやりたいということで、安教審答申と同時にというわけにはちょっとまいらないというように考えておりますので、よろしく御理解をお願いいたします。
  22. 石井一

    石井(一)分科員 七月が六月になる可能性があるんですか、あるいは五月になる可能性があるんですか。私は、それをできるだけ速やかにお願い申し上げたい。だから、今の答弁では、七月だというのが納得できない。いかがですか。
  23. 藤井孝男

    藤井国務大臣 今土橋部長から答弁を申し上げましたように、安全の確保、それからまた、例えば委員も御承知のこととは思いますけれども、危険物を積載している船等々につきましても一定の基準を設けなければなりませんし、そういう意味で、いろいろなこともございますので一応七月ということでございますが、そういった問題が一日でも早くクリアできれば、早く一万トン以上というふうにすることは、安全確保ということを確認できれば、そのように進めることを最大限努力いたしたいと思っております。
  24. 石井一

    石井(一)分科員 今の御答弁了解をしましたので、ひとつ政策局長船員部長もそういう線で鋭意御努力を願いたいと思います。  あと二つ、質問があったわけですが、どうも最初に時間も少し入って、私の時間、残っていますか。それでは、今の件はひとつ皆様方のさらなる御努力を期待し、御要望しましておきます。  次に、神戸復興特定事業の中に、上海・長江のプロジェクトというのがありまして、これは民間のサイドで専用船をつくったり、そのほかいろいろな形で協力、今鋭意民間の方は懸命に、地方自治体も努力をしておる。政府の方は、プロジェクトは認可、認知していただいておるわけですけれども、これは港湾の発展というふうな意味からも非常に大きな意味があると思うのでありますが、これに今後運輸省としてどういうふうな積極的な支援を考えていただいておるのか、お伺いしたいと思います。
  25. 土井勝二

    土井政府委員 お答え申し上げます。  先生今御指摘になられました上海・長江プロジェクトでございますけれども、御案内のように、阪神・淡路復興委員会から提言された復興特定事業の一つだということでございますので、運輸省といたしましても一生懸命これに協力、支援をしていくという姿勢でおります。  それで、同プロジェクトにつきましては、神戸市が事務局で、日中上海・長江−神戸阪神交易促進委員会というのを設置しておりまして、その推進方法について、率直に申しまして、まだいろいろな検討がなされている最中だというふうに理解しております。その検討のために五つの特別委員会も設置されているということでございます。  この五つの特別委員会のうち、運輸省関係といたしましては、上海・長江物産展、それからイベントなどこれらについて検討を行う大長江節という委員会、それから江海専用船の開発やそれに対応した神戸港の整備等について検討を行う江海専用船の委員会、それから観光交流等について検討を行う文化交流、こういう特別委員会に具体的には神戸海運監理部、第三港湾建設局、近畿運輸局が参加をしているということでございます。この委員会への参画の中でいろいろ助言なり考え方なりを運輸省として述べてまいりたいと思いまして、そういう形で、ほかに関係行政機関もたくさんございますが、こういった機関と調整しながら検討をしてまいりたいというふうに思っております。
  26. 石井一

    石井(一)分科員 神戸港などは、横浜もそうですが、世界に名立たる国際港都であり、そしてこれまでもそれだけの実績を上げておったんでありますが、最近はアジアの攻勢といいますか、近隣諸国の港湾というものが国策の上に立ってぐんぐんと伸びている。そして、荷揚げというふうなものはそちらの方へどんどんと移ってしまっておる、韓国の釜山なんかの勢いもすごいものである。それなら、さっきの荷揚げの話じゃないですけれども、こちらの方はそういう規制だけをかけてやっているというふうな運輸行政ではどうにもならない。  私は、神戸を国際ハブ港湾としてもっと発展させるために、地元が知恵を出して阪神、長江のような中国貿易を中心にこういう形を整えておるということに対して、もっと運輸当局としては積極的な支援の体制をつくっていただきたい。今のは地元でこんなことをやっておるという説明であって、地元が何とかしてきたらこっちがやりましようというふうなことでなく、国際競争力の中で港湾に対する位置づけというものをどう考えておるのかというふうなことが非常に疑問になってまいります。運輸大臣、そういう面で何か御意見がありましたら、一言お伺いしたいと存じます。
  27. 藤井孝男

    藤井国務大臣 お答えいたします。  確かに先ほど私も触れましたように、これからの大競争時代を迎えまして、私は率直に申し上げまして、視察をしてまいりましたけれども、日本の港湾整備は決して進んでいるとは思えません。もっともっとこの拠点港湾というものを、ハブ港湾というものを早急に整備しなければいけない。と同時に、それが有効的また効果的、効率的な港湾でなければなりませんし、そうした中で今のプロジェクトに対しましても私も十分承知をいたしておりますが、相手国のいろいろな上海の事情あるいは長江での事情、それぞれ両国間の問題でありますから、お互いのギブ・アンド・テークと申しましょうか利害というものが必ずしも本当にうまくいっているのかどうかという点も踏まえていかなければなりません。  いずれにいたしましても、こうしたプロジェクトに対する運輸省といたしましての参画というのはいたしておりますけれども、やはりこれは民間のプロジェクトでありますので、まず民間の関係者におけるアイデアと申しましょうか進め方につきまして、まずそれを見守りつつ、そこで私どもが積極的に御支援できるものであれば、支援していかなければならないというふうに考えておるところでございます。
  28. 石井一

    石井(一)分科員 時間が限られておりますので、最後に、関西における空港の問題について所見あるいは希望の一端を申し述べておきたいと思います。  航空局長も来ておられるのですね。こういう問題が提起されたかどうかわかりませんが、九四年に関空が開かれましてからダイヤが大幅に変わっておりまして、関空へダイヤを入れるために伊丹は相当減便をされておるというふうな状況にあります。  飛行場のアクセスがいかに重要かということを向こうからこちらへ来ておる立場から感ずるんでありますが、これまでは伊丹というところだと東京へ航空便を使うのですね。ところが関空だと、新幹線の方が速いんですよ。これはスピードアップすればなおさら速い。  それで、従来、空のドル箱は、大阪−東京と大阪−福岡便ですよ。これがちょうど新幹線と並行しておるわけだ。したがって、関空があいたけれども、航空便で利用しておったドル箱の東京と福岡は全部今は新幹線にかわった。まあJRに協力をするのでそれでいいんだといえばどちらでもいいんでありますが、そういう現状が起こっておると申していいでしょう。私は一週間に一、二回往復をしておりますが、これまではいわゆる空を使っておったが、今だとこっちの方が速くなってしまった。時間とアクセスがいかに重要かということなんであります。  今でも国内航空を見れば、一番多いのが、これは伊丹と関空とのトータルでありますが、東京便です。その次が札幌便、しかし、もうほとんど相並んで福岡便、それから鹿児島、那覇となっております。札幌へ行くとか鹿児島、那覇へ行くのは新幹線がないんですから、それはもうやむを得ません、関空でもいいでしょう。しかし、競争しておる体制の場合に、関空はもう既に一年か一年半で五百五十億も赤字を出しておる、こういうような状況の中にあるときには、航空全体でやはりもう少し営業努力、意欲あるいは知恵というものを考えていくべきである。  恐らく、このごろ関西から東京へ出てくる人間というのはほとんど新幹線にかえたんじゃないのか。大阪市内からもアクセスが遠過ぎる、こういう問題があるわけでありまして、私は、ある一つの提案としては、大阪からの東京便と福岡便はできるだけ伊丹に集結する、あとは全部関空に回すようなやり方をしませんと、今の場合だと何のために飛行機を飛ばすのか、そういう問題が提起されてくると思います。これは航空会社もそんなことを言ったことはないかもわかりませんが、利用者としての立場から申せば、今はもう適当な便がありません、結局新幹線に飛び乗る方が速い。しかし、昔はそうではなかった。これは、関空ができてから大変大きく人の流れが違ってきておるということを指摘しておきたいと思います。  それで、成田とか関空のように昔は環境を考えて遠い静かなところへ巨大な空港をつくりましたが、これはもう現代の感覚には合わない。やはり、伊丹があれなら神戸あたりをしっかり開発をして、そういう形で利用者の便を考えながら航空行政をやっていく必要があると私は思います。  時間がありませんのでこれ以上申し上げませんが、私が十年近く前に国土庁長官をやっておったときに、建設省、運輸省のOBが中心に第二オムニコア構想というのを持ってきた。石井長官、これは関西の将来にとって最大のプロジェクトになりますよ、伊丹を日本の副都心にする、すべて国有地だ、そして、神戸と関空とを国際線と国内線に分けてやる、そういう形式がいいといいますか、第二オムニコア構想というのを、それを言うと周辺が文句を言ったり、がたがたするというんですが、聞いたことがありますか。ここにおられる官僚の皆さん、だれかお一人でも、第二オムニコア構想というのがあって、これは首都移転と関連をする中に関西に一つの情報その他すべての核の副都心をつくる、仮に東京が何かあったとしてもそこでもう、そこは恐らく何百階建てのビルが林立するという絵もそこに示されておった。そういう中から空港のネットワークというのは、私がまず前段に言っていることとちょっと違うことを言っていますけれども、海上なら海上に集結して機能を分散していく第二オムニコア構想というのを聞いた方、だれかありますか。——だれからも手が挙がりませんか。
  29. 藤井孝男

    藤井国務大臣 私、実は初めてお聞きをいたしました。  今の委員のお話を聞いておりますと、私の地元も同じ構想を持っておるわけで、オムニ構想とは申しませんが、首都機能移転でぜひとも首都機能を我が岐阜県を中心とした中部圏へ持ってきてほしい。これも、今委員がおっしゃられたそういった機能を集約し、例えば東京に何かあった際にすぐに機能が分担できる、神戸を中心とした、大阪を中心としたそういったプロジェクトがあるということは私は存じませんけれども、これからの都市機能のあり方、ハブ空港ハブ港湾あるいは物流のあり方については、いろいろなことで我々は勉強していかなければなりませんし、そういう意味で、一層石井委員からのいろいろな御指導をいただければと思っておるところでございます。
  30. 石井一

    石井(一)分科員 時間が参りましたのでやめますが、これは首都を持っていくという計画ではありません。首都移転は別に考えてもらいたい。  しかし、一眼レフでなしに、この列島を二眼レフにするという構想の中でそういうものがある。それは、政府内にあると思いますから、まあ、わかっておるけれども、ここで手を挙げたら物騒やという人もおるかもわからぬ。  この程度できょうはやめましょう。どうもありがとうございました。
  31. 増田敏男

    増田主査代理 これにて石井一君の質疑は終了いたしました。  次に、石井啓一君。
  32. 石井啓一

    石井(啓)分科員 平和・改革の石井啓一でございます。  早速質問をいたします。  まず、路面電車の有効活用でございますが、今後の都市交通を考える上で、排気ガスや騒音を出さない、人と環境に優しい、また建設コストの安い路面電車の見直しということが重要と考えております。特に、本格的な高齢社会の到来を考えたときに、高齢者や障害者にとって利便性が高い新型低床路面電車ですか、ライトレールトランジットの導入も大変有効であると考えております。今後の都市交通における路面電車の位置づけと具体的な支援策について、運輸省と建設省、両省に伺います。
  33. 小幡政人

    ○小幡政府委員 公共輸送機関としての鉄道、軌道は、御案内のように、速達性、定時性、環境面にすぐれた輸送モードであるということで、近年、道路混雑や環境問題を背景に、国民の期待が高まっていると認識しております。  特に、お話しの路面電車につきましては、社会経済環境の変化とも相まちましてその機能が見直されているところでございまして、路面電車としての輸送特性に適した分野において、多様化するニーズに対応して有効活用されることは有意義かつ望ましいものと認識しております。  運輸省といたしましても、車両の近代化に対する補助など助成措置を効果的に活用いたしまして、その支援をしていきたいというふうに考えております。
  34. 奥野晴彦

    ○奥野説明員 路面電車に対します建設省の取り組みについて御説明申し上げます。  都市部におきます道路交通は、大変深刻な交通渋滞の発生など依然として厳しい状況にございまして、今後とも、バイパスや環状道路等の道路整備を積極的に進めるとともに、公共交通との役割分担を含めた自動車利用の適正化についても取り組んでいくことが必要と認識しております。  建設省におきましては、道路交通と各種の交通機関の連携を強化するとともに、公共交通機関をより一層利用しやすくするための支援策を講じるマルチモーダル施策推進しているところでございます。  路面電車につきましては、地下鉄、新交通システムやモノレールあるいはバスなどとともに、都市内の公共交通機関の一つとして、それぞれの特性、地域状況、道路や交通状況に応じた活用が期待されるものであるというふうに考えております。路面電車の活用は、自動車利用者が転換することによりまして道路交通の円滑化を図ることができるのはもとより、都市内における二酸化炭素の排出削減などの環境対策、高齢者や障害者にとっても利用しやすい公共交通機関の実現、さらに中心市街地の活性化や魅力増進といった面からも効果が期待されるところでございます。  このため、建設省といたしましては、道路整備事業の一環として路面電車が走行する路面の整備を行う、これに対する支援をする制度を設けたところでございまして、今後とも積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
  35. 石井啓一

    石井(啓)分科員 引き続いて路面電車について伺いますけれども、現在、現存しております路面電車というのは、大体人口が三十万前後ですか、地方都市ということで、大都市は東京の荒川線が残っているだけなのでございますけれども、今後の活用を考えますと、併用軌道の場合を含めて大都市においても活用を考えていったらどうかと思うわけであります。この点につきまして、やはり運輸、建設、両省に伺いたいと思います。
  36. 小幡政人

    ○小幡政府委員 お話しのように、かつては大都市から全国的に路面電車は有効な機能を発揮していたわけでございますが、現状においては地方中核都市を中心に十九都市という寂しい状況になってございます。  しかしながら、お話しのように、大都市部におきましても路面電車の特性が発揮され得る分野というのは当然あるわけでございまして、そういう分野におきましては、路面交通全体の走行環境の総合的な整理、調整事業採算性の確保に十分留意しつつ、有効に活用されることが非常に望ましいと考えておりますので、先ほど申し上げましたような支援措置をもちまして大いに支援していきたいというふうに考えておるところでございます。
  37. 奥野晴彦

    ○奥野説明員 私どもも同様な考えでございます。  路面電車は、先ほど申し上げましたとおり、いろいろな公共交通機関の一つとして、その機関の特性に応じて、あるいは地域状況、道路の状況等に応じた活用が期待されるものでございます。大都市におきましても、その地域特性とか道路交通状況に応じた活用と、それによる効果の発現が期待されるものというふうに認識しているところでございます。
  38. 石井啓一

    石井(啓)分科員 それでは、続いて、地元の問題を伺いますが、営団地下鉄十三号線の建設について伺います。  この地下鉄十三号線の延伸というのは、池袋駅のターミナル機能強化とともに、池袋、新宿、渋谷を結ぶ山手線や地下鉄有楽町線の混雑を緩和するだけでなく、この三副都心の連携を強め、バランスのとれた多心型都市構造の形成を促進する、こういうふうに思っているわけであります。池袋まで今あるわけでございますけれども、そこから先に、新宿、渋谷まで計画はあるわけでございますが、今までこの事業を進める上で最大のネックになっておりました、地下鉄の導入空間でございます都市計画道路環五の一について、本年度中に用地測量が完了し、来年度の早い時期に事業認可が予定されている、こういう状況でございますので、十三号線の早期の整備着手が地元で待たれているところでございます。今後の事業化のめどについてお伺いしたいと思います。
  39. 小幡政人

    ○小幡政府委員 営団十三号線は、昭和六十年に運輸政策審議会答申整備すべき路線と位置づけられた路線でございます。  現在、営団におきましては、七号線の溜池山王から目黒間、それに、十一号線の水天宮前から押上間の建設に全力を挙げているところでございまして、基本的には、当該路線の整備はこれらに引き続いて行うこととしたいというふうに考えております。その具体的な時期につきましては、その事業の採算性の問題や、御案内の営団の民営化の問題もございまして、現在のところ明らかにできる段階にはございません。
  40. 石井啓一

    石井(啓)分科員 今答弁のありました営団の民営化に関してお伺いしたいわけでありますが、この十三号線の延伸、これは営団地下鉄で予定をされているわけでございますけれども、民営化と、それの前段階として特殊会社化ですか、これが予定をされている。今建設中の七号線が平成十一年度ですか、同じく十一号線が平成十二年度に開業を予定している、こういうことを考えますと、このスケジュールどおり進んだ場合、早ければ十二年度にも営団地下鉄が特殊会社になる、こういうことかと思います。  今後、運政審の答申に織り込まれました整備予定路線を建設するに当たって、この特殊会社に対する国の助成措置というのがどういうふうになるのか、この点についてやはり早急に結論を出すことが求められていると思いますし、なおかつ、そのことが十三号線の整備着手に向けての大きなステップになるのだ、こういうふうに考えております。この点についての運輸省のお考えを伺いたいと思います。
  41. 小幡政人

    ○小幡政府委員 先生お話しのように、営団の民営化に関する平成七年の閣議決定におきまして、民営化に当たりましては、助成措置のあり方について、特殊会社化を図るために、早急に検討に着手して結論を得るべき事項の一つであるとされているわけでございます。  このため、運輸省におきましては、省内に営団民営化プロジェクトチームを設置いたしまして、助成措置のあり方を含めまして、営団民営化をめぐる課題につきまして幅広く検討を行っているところでございます。  そのうち、助成措置のあり方につきましては、実は、特殊会社は、当然、会社法、商法等の適用を受けますいわゆる利益を追求する主体になるわけでございますが、こういう特殊会社に対しましていかなる助成を行うことができるのかという大変難しい問題を抱えておりますことから、現時点において結論を得るには至っておりません。今後、引き続きまして精力的に検討を行って、早く結論を出したいというふうに考えております。
  42. 石井啓一

    石井(啓)分科員 いずれにしろ、特殊会社に対して助成措置を行うという前提検討している、こういうことでございますね。ちょっとその確認。
  43. 小幡政人

    ○小幡政府委員 先ほど申し上げましたように、特殊会社という利益を追求する主体でございますけれども、ぜひ支援をさせていただいて、建設促進を図りたい、こういう観点から検討させていただいております。
  44. 石井啓一

    石井(啓)分科員 よろしくお願いしたいと思います。  続きまして、JR大塚駅の周辺整備でございますが、この大塚駅の周辺におきまして、国鉄清算事業団の跡地を使いましたシティーホテルがことしの六月にオープンする予定でございます。また、北口の方にもホテルの建設が予定されておりまして、今後、大塚駅の利用者が増大する予想があるわけでございます。現状のJRの大塚駅といいますのは、JRの線路といいますか盛り土によりまして北口と南口が分断されておりまして、歩行者の南北の往来には幅が二・七メーターほどの狭い都電のホームが使われておる、こういう状況でございます。地元の豊島区も本年度調査を行いまして、駅舎の改築を含む周辺整備の計画をまとめようとしておるわけであります。この鉄道施設により町が分断されているという現状を考えましたときに、歩行者の安全確保のためにも、早期にこの南北を自由に往来できる通路を整備すべきである、さらには、駅舎改築を含む駅周辺の整備も進めなければならない、こういう状況でございます。  ついては、鉄道事業者であるJRがこういった駅周辺の整備計画に積極的に協力すべきである、こういうふうに考えるわけでございますけれども運輸省の見解を伺いたいと思います。
  45. 小幡政人

    ○小幡政府委員 特に、お話しのJR大塚駅の駅周辺の整備の中で、我々、南北の自由通路の問題が一番大きな問題ということで、かねてから地元の取り組みがあるというふうに伺っております。この自由通路等の整備につきましては、御案内のように、基本的には都市側の町づくりとしての問題であるということでございまして、鉄道事業者と都市側との協議、調整により推進されるべきものと認識しております。  特に、大塚駅の自由通路につきましては、地元においてその実現に向けて調整が行われ、その整備案を取りまとめ中というふうに聞いておりまして、それが取りまとめられた後、JRとの相談に入るというふうに伺っております。  鉄道側としての当事者でございますJR東日本の問題になるわけですが、良好な町づくりの観点から適切に対応がとられるものと、我々としても期待しているところでございます。
  46. 石井啓一

    石井(啓)分科員 民営化されたJRですから、かつての国鉄のように運輸省さんが指導するというわけにはなかなかいかないことはよく承知をしておりますが、その点、よろしくお願いをいたしたいと思います。  続いて、実は、昨年の八月二十九日に、股関節に障害をお持ちの方々の団体でございます四つ葉会という会がございまして、この四つ葉会の皆さんから私のところに、路線バスに関する御相談がございました。運輸省さんにこの要望書を手渡しをいたしたわけであります。その際、要望事項として三点ございまして、まず、その三点のうちの初めの二点、これはバスの運行についての要望でございますけれども、この点について伺いたいと思います。  まず要望事項の一つとして、バスの停留所の停車位置と発車までの停車時間ということで、健常者のように歩道の高さから直接バスに乗れればいいのですけれども、バスの停車位置が離れるということで、股関節に障害をお持ちの方ですから、一たん歩道から車道におりてまたバスに乗る、こういうのが現状でございまして、乗りおりが非常に大変である、なるべく停留所に近づけて停車をしてほしい、こういう要望がございます。  また、乗客が運賃を支払ってから座席とかつり革にたどりつく前にバスが発進してしまうと、足の不自由な方は大変な御苦労をされるということで、確実な停車位置と、乗客の安全を確認してからの発車に努めていただきたい、こういう要望が一点目でございました。  二点目に、今度、バスを降りる場合でございますけれども、降車客の安全確認をして、急がずに発車をしていただきたい。やはり障害をお持ちの方ですから、健常者の方に比べて、おりる際もなかなか時間がかかる、こういうことでございます。こういった要望をしたわけでございますが、その後の運輸省対応関係バス協会並びに路線バス事業者の対応について伺いたいと思います。     〔増田主査代理退席、主査着席〕
  47. 荒井正吾

    ○荒井(正)政府委員 お答えさせていただきます。  今石井委員がおっしゃいましたように、昨年の八月二十九日に御丁寧な要望書をいただいております。お年寄りの方あるいは少々不自由な方のために、バス停留所の停車位置を歩道に近づけて歩道から乗りやすくしてほしい、あるいは、発車の際、安全を確認してほしいという要望でございます。  それを受けまして運輸省は、東京の話でございますので、東京バス協会というバス事業者の団体がございますので、バスの事業者に対しまして、以上の点を励行するように指導させていただきました。東京バス協会は、東京の各事業者に対しまして指導内容の周知徹底を図られたところでございます。バス事業者は、各営業所、さらには乗務員への周知を図られたと聞いております。  親切なバス、高齢者に対する配慮というのは、都心の乗り物として大変重要でございますので、今後とも励行に努めてまいりたいと考えております。
  48. 石井啓一

    石井(啓)分科員 よろしくお願いしたいと思います。  続いて、同じ四つ葉会からの要望書の関係ですが、これは大臣にお尋ねをいたします。  この同じ要望書の三点目にリフト式バスの全車導入というのが挙げられておりましたが、運輸省からは低床バスの紹介もございまして、四つ葉会の皆さんからはこの低床バスの導入促進に期待が寄せられている、こういうところでございます。  実際に調べてみますと、平成八年に、国産の自動車メーカーから超低床ノンステップバス、こういうものが開発、販売されている。路線バスの事業者の方も、高齢者と障害者に優しいバスの観点から、まだまだ不十分ではございますけれども、徐々に導入をしている、こういう状況かと思いますが、さらなる導入を図るためには、財政上、税制上の支援、助成を国としてぜひ拡大をしていかなければならない、こういうふうに思うわけでございます。  一方で、運輸省平成三年から行っておりますバス活性化総合対策補助制度の中で、平成七年度から、人と環境に優しいバス等の普及ということで、リフトつきバスだとか、低床スロープつきバス、超低床ノンステップバスの導入に対して、地方自治体と国とで車両購入費用の四分の一ずつの補助を行っている、こういうふうに伺っております。  その予算額を見てみますと、バス活性化総合補助制度予算額は、七年度が六億二千万、八年度が七億四千万、九年度が十一億一千万。そのうち、今申し上げましたバスに対する補助額は、七年度が四千百万、八年度が九千四百万、九年度が三億三百万。少しずつ予算はふえている状況でございますけれども、全国ベースで考えますと、まだ三億程度ということでございますので、今後、この予算の増加をぜひ図っていただきたい、こういうふうに思うわけでございます。この点についての見解を伺います。  あわせて、この補助制度が赤字事業者に対象が限られているということでございますが、こういった低床バスの導入については、黒字事業者も対象としていいのではないか、私はこういうふうに考えるわけでございまして、あわせて大臣の見解を伺いたいと思います。
  49. 藤井孝男

    藤井国務大臣 石井啓一委員の、高齢化社会に対する、あるいは福祉社会に対するバス交通、バス交通のみならずあらゆる交通につきまして、そういった高齢者の方々、身体障害者の方々に一層利用しやすいように改善することは当然でありますし、大変重要な点でございます。  今お触れになりましたように、超低床のノンステップバス等につきましては、確かに不自由な方にとっては大変画期的な開発であり、また導入されてきたわけでありますけれども、私自身、よく個人的なことで言うのですが、もちろん体に障害を持たれている方々に優しい、使いやすい、そういった交通機能等と環境整備するのは当然のことでありますけれども、障害のある方々ということを意識せずに、こういったことは別に体の不自由でない方も大変使いやすいわけですっそういう意味で、余り私は身体障害者、高齢者ということを意識せずに、すべての利用者の方々が乗りやすい、使いやすい、そういったものをやはり私どもは積極的に整備していかなければならない。  そういう中で、ノンステップバス等補助につきましても、今まで赤字路線事業者ということでありましたけれども、十年度からは五分の一でございますけれども、路線バスの黒字業者も補助の対象とすることになったわけであります。  また、その財源の問題でありますけれども、これは今大変厳しい財政事情でありますけれども、こうしたことにやはり私どもは積極的に財源確保をして、予算獲得と申しましょうか、増大に向けて努力しなければならないと考えいるところでございます。
  50. 石井啓一

    石井(啓)分科員 大臣の御答弁のとおりでございまして、障害者や高齢者に使いやすいということは、当然健常者にとっても使いやすい。ユーザーサイドに立てば、そういう利便性を高めるということは非常に重要だと思いますし、ぜひよろしくお願いしたいと思います。  続いて、JR埼京線の延伸問題について伺います。これは昨年も同じ質問をしたのですが、今、大宮−恵比寿間で運行されております埼京線の恵比寿から先の延伸でございます。  大崎駅で考えますと、今、東京臨海高速鉄道というのがあるわけでありますが、これは平成十二年末の完成を目指して、今東京テレポートから大崎までの延伸工事を進めているというふうに伺っております。そうしますと、この大崎駅の需要の増加が見込まれる、こういうことだと思いますし、また、今ある埼京線につきましても、平成八年三月に延伸、開業いたしました新宿−恵比寿間で見ますと、開業前の山手線のみの輸送力に比べ、一日当たり大体二万人ぐらい輸送人員がアップしている、こういうことで需要の増加が認められている。またさらに、今恵比寿まで来た埼京線の車両が、折り返しのために、恵比寿で乗客をおろした後に大崎まで回送している。  こういうことを考えますと、大崎駅でホームを増築しなければいけないという課題はございますが、利用客の利便性の向上あるいは山手線の混雑緩和のために大崎駅までの延伸が私はやはり必要ではないかというふうに思うわけでございます。運輸省としての見解を伺いたいと思います。
  51. 小幡政人

    ○小幡政府委員 埼京線につきましては、先生お話しのように、平成八年に新宿から恵比寿まで開業させていただきまして、御案内の恵比寿から大崎までの延長ということが残されておるわけでございます。  本件、御案内のように、JR東日本の経営判断ということになるわけでございますけれども平成十二年に予定されます東京臨海高速鉄道の延伸、あるいはその後の輸送需要の動向というようなことを見きわめながら、JR東日本において検討されるべき課題ということで、我々としてもそれを見守っていきたいというふうに考えておるところでございます。
  52. 石井啓一

    石井(啓)分科員 この点についてもよろしくお願いしたいと思います。  続いて、西武池袋線の高架化事業でございますが、現在、目白通りとの交差部を除いた桜台から練馬高野台駅までの間の在来線の高架は完了しておりますけれども、残された目白通りとの交差部の工事の進捗状況及び完成のめどについて伺いたいと思います。  あわせて、混雑緩和のためには複々線化の実現というのが一日も早く望まれるわけでございますが、この複々線化の事業の進捗状況と完成のめどについても伺いたいと思います。
  53. 小幡政人

    ○小幡政府委員 お答え申し上げます。御案内のように、練馬−石神井公園間につきましては高架化、複々線化を行っているわけでございますけれども平成九年十二月に、お話しのように、一部区間を除きまして在来線の複線部の高架化を完成しておるということでございますが、全体の複々線化は、平成十三年度末の完成を目指して努力しておるという状況でございます。  このうち、放射七号線、通称目白通りとの交差箇所のお尋ねでございますが、鉄道の高架橋を建設するための空間を確保するために道路のレベルを上げる必要があることから、現在の道路橋の両側に仮設道路橋の建設工事を実施しております。平成十二年度中には鉄道は高架橋へ、道路は地平へと同時に切りかえることができるのではないかということで努力しているところでございます。
  54. 石井啓一

    石井(啓)分科員 連続立体交差化事業、それから複々線化事業、あわせておやりになっていただいているわけでございますが、都市部の特特事業としておやりになっているというところでございますので、ひとつよろしく促進方お願いしたいと思います。  時間が参りましたので最後の質問でございますが、東京の二十三区周辺部の環状方向公共交通網の整備について伺います。  今、環状方向の計画としては、環状八号線を基本ルートとしたエイトライナー構想、環状七号線を基本ルートとしたメトロセブン構想、両方ありまして、これを一体化して環状的な方向公共交通網を整備しようという構想があるわけでございます。  東京都も、昨年の十一月の生活都市東京の創造・重点化計画の中で、区部周辺部における新たな環状方向公共交通については運政審の次期答申に向け、引き続き調査検討するというふうに位置づけております。  運政審の現在の答申昭和六十年ということでございまして、二〇〇〇年を目標年次としておりますが、新たな鉄道整備計画の検討が求められている状況でございますし、また、区部周辺部においては、放射方向の路線に比べまして、環状方向交通網の整備はおくれているということでございます。  次期運政審の諮問はまだ行われていないという状況でございますが、東京都の方の計画検討委員会には運輸省関係課長さんも委員として参加されているということで、東京都の意向は伝わっているかと思います。東京都からの正式な要請があった場合、運輸省としても、ぜひ、エイトライナー、メトロセブンの構想を次期の運政審の答申に取り上げていただきたい、このように思いますが、運輸省の見解を伺います。
  55. 小幡政人

    ○小幡政府委員 お話しのように、現在の運輸政策審議会答申は、一九八五年、昭和六十年に答申された中身でございまして、目標年次は西暦二〇〇〇年ということでございます。  その答申がなされたのは一九八五年ということで、現在と比べますと、経済社会の情勢は基本的に変わっていたということでございますので、運輸省といたしましては、新たな東京圏の鉄道整備計画を検討する必要があるとの考え方から、目下、この答申実施状況や今後の整備課題等について勉強しているところでございます。  お話しのエイトライナー、メトロセブン構想につきましては、近い将来、運輸政策審議会で新たな東京圏における鉄道整備計画のあり方が審議される際に、地元関係者における必要性についての検討結果を踏まえつつ、判断してまいりたいというふうに考えているところでございます。
  56. 石井啓一

    石井(啓)分科員 時間が来ましたので、終了いたします。
  57. 桜井新

    桜井主査 これにて石井啓一君の質疑は終了いたしました。次に、小沢鋭仁君。
  58. 小沢鋭仁

    小沢(鋭)分科員 平成十年度予算に関連して、運輸省関係分科会質問をさせていただくわけでありますが、よろしくお願い申し上げます。私は、民主党、民友連の小沢鋭仁でございます。  初めに、JR中央線の事故あるいはまた故障がちょっと続いておりまして、その件につきまして質問をさせていただきたいと思います。  私も、地元との交通はJR中央線を使っているわけでありますが、ここのところ、事故が結構多く発生しておりまして、昨年の十月以降を見ましても、大体、月平均四、五回くらい起こっているんではないでしょうか。その中には、大変残念なというか、人身事故みたいなそういう話もありまして、そういったことは、ある意味では行政としてはやむを得ないといいますか、その人身事故でも、少し見通しをよくするとか、いろいろな手当てもあるのかもしれませんが、ともかくとして事故が多発をしております。  そういう中で、報道を見ておりましたならば、運輸省としてもそういった認識はかなりお持ちのようでありまして、二月六日の報道でありますけれども、事務次官からJR東日本さんに、原因究明、そしてそれの対策をという話をしている、こういうふうに承知をしております。  また、地元紙の方でも、中央線がまたストップ、こういうような報道がされているわけでありますけれども、具体的にその後どんな指示を与えていただいて、どのような状況になっているか、そして、今後の対策としてはどのような対策が打たれるのか、明快に御答弁をお願いしたいと思います。
  59. 小幡政人

    ○小幡政府委員 お答え申し上げます。  中央線におきまして、輸送障害が、特に本年になりまして、一月、二月に合わせて二十九件も発生しております。その結果、利用者の皆様に大変な御迷惑をおかけしたことは、まことに遺憾と思っております。  この二十九件を原因別に見てみますと、多い順に申し上げますと、車両の故障によるものが十一件、自殺等外部要因によるものが九件、自然災害によるものが五件、鉄道施設の故障によるものが三件、鉄道係員の取り扱いの誤りによるものが一件でございます。なお、車両故障十一件のうち五件、それから、自然災害五件はすべて雪に起因するものでございます。  このような事故の再発防止対策につきましては、先ほど先生お話しのように、運輸省といたしましても、JRを厳しく実は指導させていただいておるところでございます。当方からの指導を踏まえまして、JR東日本は、早速社内に検討チームを設置し、その対策について検討をし、車両故障防止のための車両の取りかえ、改良、自殺防止のための警備員等の配置、鉄道施設の故障を防止するための設備強化等々の対策を講じることとして、逐次実施に移しているという状況でございます。  特に、雪害対策につきましては、輸送混乱を極力小さくするために降雪時の運転本数を減らす雪ダイヤの実施、それから、車両のパンタグラフに着雪防止剤を散布するという対策のほか、ポイントヘの電気融雪器の導入、車両のパンタグラフの改良等々を実施いたしまして、次の冬に備えることとしております。  申すまでもなく、鉄道におきましては、安全かつ安定的な輸送の確保が基本要件でございます。運輸省といたしましても、再発防止につきまして、JR東日本を引き続き適切に指導してまいりたいというふうに考えております。
  60. 小沢鋭仁

    小沢(鋭)分科員 ぜひ、引き続き十分な検討、対策をお願いしたいと思います。  今、局長のお話にもありましたけれども鉄道の場合には、安定的といって、特に、日本の場合には時刻が正確でありますからそれに合わせて、車だとなかなか予定が立たないなというところでも、鉄道だとかなり大丈夫だ、こういう話で、きちきちと皆さん予定を立てて動かれるわけですね。それがそういう形になって、一時間おくれ、二時間おくれ、あるいはまた、今回の場合みたいに、一日全く動かないという話になってしまいますと、まさに鉄道のメリットが損なわれるわけであります。そういった意味では、ぜひ、十分な対策を今後ともお願いを申し上げておきたいと思います。  次に、同じく中央線の問題なんですけれども、私は、今地元が山梨県甲府市、県都なんですが、最近言われているのは、東京近県の県都で一番遠い県都が甲府市になってしまった、もちろん、時間距離の話ですけれども、こういう話が実は出ているんですね。  ついこの前、東京−長野間、新幹線が結ばれて、百六十分から七十九分ですか、それから、甲府と水戸というのは距離が全く同じのようでありますけれども、ここも六十五分。甲府−新宿というのは八十四分かかるんですね。距離的にははるかに遠い福島、これも八十四分でありますから、そういった意味では、本当に遠い県都になってしまって、大変残念な思いをしているわけであります。  後に、リニアの話を聞かせていただきますが、そういった話は、これからの期待、私どもの夢として持っているわけでありますが、当面の、現状でも、やはりこの時間距離を何とか埋められないだろうか、そういうふうに思っているわけであります。いわゆる中央線の高速化ということでございますが、どんなふうにお考えをいただいていますでしょうか。
  61. 小幡政人

    ○小幡政府委員 鉄道高速化等によります利便性の向上につきましては、幹線鉄道のネットワークの質の高度化、沿線地域の活性化に資する重要な事業であるというふうに認識ほしております。  お話しの中央線につきましては、御案内のように、平成六年十二月から振り子型車両の導入によりまして、時間短縮等を図りてきたところでございます。  運輸省といたしましては、事業主体でございますJR東日本と関係の方々との間において十分な御検討をいただきまして、案件の成熟度を高めることが重要であるというふうに認識しております。それらの検討結果を踏まえて、我々としても十分にそれを勘案し、現行の補助制度がございますので、これらを活用することを含めまして、適切に対処させていただきたいというふうに考えております。
  62. 小沢鋭仁

    小沢(鋭)分科員 大変期待に富んだ御答弁だったと思うんですが、いま一つ、ちょっとわからなかったんですけれども、いわゆる技術的にも難しいとかそういう話ではなくて、やり得る余地があると思うから十分やらせてもらう、こういうことで、局長、よろしいんですか。もう一回、済みません。
  63. 小幡政人

    ○小幡政府委員 実は、鉄道高速化を図る場合に、車両の性能の問題と線路そのものの実は線形の問題等々、いろいろな要素がございます。それぞれの需要なり要請に応じまして、事業主体がどの方法をとるかということを考えるわけでございますけれども、その具体的な中身については、実は地方公共団体等の御支援もいただきながらという部分がございますので、その意味では、事業主体たるJR東日本と地方公共団体を中心とした関係の方々との御相談をまずしていただいて、その御要望を受けて我々としても必要な助成措置等について検討させていただきたい、こういう趣旨でございます。
  64. 小沢鋭仁

    小沢(鋭)分科員 わかりました。それは私の方でも宿題としてやらせていただきますので、どうぞ御対応をお願いいたしたいと思います。  それから同時に、山梨県の東側、郡内、こう呼ばれている地域になるんですけれども、例えば大月とかそういったところはもう既に八王子を含めて通勤圏になっているわけであります。ただ、今その通勤線として八王子まで、中央本線ではなくていわゆる中央線でありますが、延ばしていただいているのも若干あるのでありますけれども、これが通常の都心のいわゆる山手線とか中央線とか、全然そういう普通の感覚ではない。この辺を少しアップをしていただきたい、こういうふうに思っているんですけれども運輸省さんとしてはそのあたりはどのようにお考えになるか。
  65. 小幡政人

    ○小幡政府委員 運行計画あるいは運行区間の設定等につきましては、基本的には事業者でございますJR東日本の経営判断ということになるわけでございます。その意味で、JR東日本によりますと、中央線の快速電車の大半が高尾駅どまりになっておるわけでございますけれども、これは利用者の大半が高尾駅以東のものであるという旅客流動の実態を踏まえたものであるというふうに聞いておるわけでございます。  そういう中で、大月駅までの直通列車の増発については、今後の旅客流動実態を踏まえてのJR東日本の経営判断ということになろうかと思いますけれども、ここ十年の流れを見てみますと、昭和六十二年には大月までの直通列車は上下六本でございましたけれども、需要動向を勘案して、平成九年には上下十七本という状況にまでふえておるというふうに承知しております。
  66. 小沢鋭仁

    小沢(鋭)分科員 もちろん、事業者の問題でもあるわけですし、需要の問題でもあるわけでありますが、それを交通網として考えて整備していくというのはある意味では行政の役目だし、それによって地域が活性化していくという意味では、その地域を活性化していくための交通網、こういう視点は運輸省のお仕事の範囲だろう、こう思うものですから、ぜひ今後とも御検討要望しておきたいと思います。  それでは三番目に、空港の話をちょっとお聞かせをいただきたいと思っております。  山梨県は、私のところはいわゆる航空法に基づく飛行場がない都道府県ということになっておりまして、全国に私は三つというふうに聞いているんですが、正確にはちょっとわかりませんけれども、そういう県になっております。  それで、空港の話、先ほども先輩議員の中で関空の話なんかも出ておりましたが、もちろん、旅客需要とかそういう話があるのは承知しておるのですが、それを超えても、やはり阪神淡路大震災の経験を踏まえても、防災上もやはり航空法で定められた空港というのが一つくらいはないと、全く陸の孤島になってしまうわけですね。ですから、緊急時の物資の空輸それから緊急医療の基幹病院への搬送とか、やはりそういったことを考えてもどうしても不可欠だろう、こういうふうに思っておるんですが、航空法に基づく飛行場設置許可の申請のあり方あるいは今までそういうものを山梨県の関係者から運輸省は申請を受けた経験があるかないか、それでその判断はどうだったか、また今後の話としてどういうふうに考えるか、この辺をちょっとお聞かせいただけますか。
  67. 楠木行雄

    ○楠木政府委員 お答えいたします。  最初に、先生が前段でおっしゃいました空港ないしは滑走路を持つ飛行場がない都道府県でございますけれども、滑走路を持つ飛行場という意味では八つほど都道府県、そういったのはないということになっております。それから、公共用の、つまりどのような飛行機が飛んできてもいいという意味での公共用飛行場がない都道府県になりますと、もっと少なくなりまして四つでございます。具体的には、山梨、神奈川、岐阜、京都といったところが、そういうものがないということになっております。  いろいろ先生、御指摘のような観点から空港をつくるということになりますと、航空法の手続によりまして運輸大臣の許可を受けなければいけないということとされております。そして、設置許可の申請がなされました場合には、運輸大臣は航空法に基づく基準に適合しているかどうかを審査いたしまして、その基準に適合していれば許可するということになるわけでございますが、審査を行う場合に公聴会ということで広く意見を聞くということになります。そういうことの開催が必要になりますことから、申請者は地域と十分に相談、調整されることが必要であると考えております。  山梨の場合、我々が聞いたことがあったかということでございますが、割と短い滑走路で非公共的なもので形があるという事実は承知をしておりますけれども、まだそのようなことを具体的に、飛行場あるいは空港としてどうというようなことは聞いたことはございません。したがいまして、何かございますれば、こういったような基準あるいは地域との調整といったことを踏まえて、また御相談させていただきたいと思います。
  68. 小沢鋭仁

    小沢(鋭)分科員 ぜひきちっと基準を満たす要請もさせていただきたいと思いますので、その際は、大臣、よろしく御検討のほどをお願い申し上げます。(藤井国務大臣「岐阜もございませんから」と呼ぶ)岐阜もなかったようでありまして。  それでは、岐阜にも関連するリニアの話をやらせていただきます。  リニアの実験線をおかげさまでスタートさせていただいておるところであります。ちょっと時間がないので、今の実験状況についてまず御説明いただこうと思っておりましたが、大体私も掌握しておりますので、そこは割愛させていただいて、次に行かせていただきます。  実験線がおかげさまでスタートしたのですが、当初の予定は四十二・八キロで実験計画を立てさせていただいているというふうに承知しています。今の実験が約十八キロ、こういう話になっていて、私も平成五年の当選以来、この間ずっと、このリニアの問題では運輸省さんやJR東海さんともいろいろ協議をしてきたんですが、これはもともとの計画は四十二・八キロで発表していただいているものですから、当然それに対応する形をいろいろ準備をしてきているんですね。  具体的に言いますと、取得済み用地の管理とか工事で使った土捨て場というのがあるんですけれども、それの用地とか維持管理、そういうのをずっとやってきているのですが、これはなぜか四十二・八キロまでなかなか進めていただけないのですね。まず、なぜですか。
  69. 小幡政人

    ○小幡政府委員 実験線の残された区間の建設ということでございますけれども、これにつきましては、現在実施しております走行試験等の成果をもとにリニアモーターカーの開発目標の達成の度合いを勘案して、各種設備の仕様等を検討する必要があるということが理由でございまして、その着工時期につきましては、今後の試験成果等を勘案して検討させていただきたい、こういうことでございます。
  70. 小沢鋭仁

    小沢(鋭)分科員 今の局長のお話は、今やっている実験結果を勘案して、こういうお話のように聞こえたのですけれども、最初は四十二・八キロでやりますよ、こういうのがもともとの計画ではなかったのですか。最初から、今の十八キロでまずやって、二段階になっていたのですか、なっていなかったと思うのですけれども
  71. 小幡政人

    ○小幡政府委員 お話しのように、最終的には全体の区間でやるわけでございますけれども、試験走行を早めるために先行して現在の短区間のところで進めさせていただいておる、こういう認識でございます。
  72. 小沢鋭仁

    小沢(鋭)分科員 先行してと言うのか残りの部分がおくれてと言うのか、それは言葉のあやのような気もするわけでありますけれども、きょうの段階は、もともとが四十二・八キロでスタートして、地元もそういう対応をしておりますものですから、それが先行して今の十八キロなのか、そこの部分がおくれたのかはともかくとして、我々としては、その四十二・八でやるための対応をずっと県もあるいは関係者もやってきているものですから、ぜひそのように、できるだけ早く進まれるように運輸省としてもバックアップをお願いしたい、こういうふうに要望をしておきます。  それで次に、その関連ですけれども、これでいよいよ大臣のところとも関係をするわけでありますが、今御質問したのは、実験線であります。やはり実験線は、もちろんそれが安全性とか技術的な問題は全部クリアして後の話として、実験線のままではいけないわけで、リニア中央エクスプレスそのものの問題が次に来るわけですね。  もう私なんかは、マウント・フジがある、世界に有名なマウント・フジのもとに、すばらしい、環境にも配慮した、技術革新のまさにシンボルとして世界最速のリニアが走る、これがある意味で私の夢でもあるわけでありますし、それを中央リニアという形で実現したい、こういうふうに思っているわけであります。  そこは、岐阜の方を当然通過していく、こういう話になるわけでありますが、この実験線と実用線に関して、これをどういうふうに考えていらっしゃるか。大臣にお願いしていなかったかもしれませんが、大臣の意見もお聞かせいただけたらと思います。
  73. 小幡政人

    ○小幡政府委員 実は、我々の実験線につきましては、これはリニアモーターカーの開発ということを念頭に置いているわけでございます。一方また、お話の中央新幹線は、これは全国新幹線鉄道整備法に基づく整備ということで、基本計画路線として定められるということでございまして、実は必ずしも一致した話ではございませんけれども技術開発が進み、リニアモーターカーの実現化が達成できますれば、そのリニアモーターカーでの中央新幹線ということに結びついていくという認識でございます。
  74. 藤井孝男

    藤井国務大臣 運輸大臣というよりは、政治家藤井孝男として大変うれしい質問をしていただきまして、ありがとうございます。  今、鉄道局長が申し上げましたように、山梨県で十八・四キロの区間で実験を進めておりますが、これはとにかくいつでも実用化できるように、十年度もすれ違い走行等々進めているわけですから、いつでも実用化できる、ゴーサインが出れば進めるようにということまで持っていきたいとまず思っております。  そこで、しからば、リニア中央新幹線と申しましょうか、エクスプレスにつきましては、岐阜県もこれは大変な期待を寄せているところであります。ただ、今の財政状況、また今後の需要等々、これから高齢化社会、少子社会という中で、今の東海道新幹線のこの需要がとても追いつかないという状況になるのかどうか、いろいろな課題があろうかと思います。しかし、私といたしましては、いつでも実用化ができるまでこの実験を進め、そしてさらには、将来、今小沢委員がおっしゃられましたように、まさに私にとりましても、政治家としましても同じ気持ちでおりますから、そういうふうになるように環境整備その他整えていかなければならないなということでありますが、課題はまだまだ多いということも御理解をいただきたいところでございます。
  75. 小沢鋭仁

    小沢(鋭)分科員 大臣からも大変うれしい意見表明をいただきました。ぜひ今後もいろいろ御尽力をいただきたいと思います。  大臣のお話にもございましたが、東京−大阪間の新幹線のまさに今の満杯状況とかいうことを考えたときに、中央リニア、これは決して地元エゴとかいう話ではない、日本全体を考えたときも、その動脈をどういうふうにつくっていくのかという意味では、ある意味では国民全体の皆さんが納得をしていただける案だ、こういうふうに私は思っているわけであります。そこは大臣も同じお気持ちを持っていただいている、こういうお話でありますので、ぜひこれが一日でも早く進むように、改めてまた御尽力をお願い申し上げておきたいと思います。  それで、そうなってきたときに、新しい全国総合開発計画、これの位置づけも極めて重要になるのですね。今私が申し上げたようなことがその総合計画の中でもしっかりと受けとめられているということになれば、日本全体で客観的にそういう認識がある、こういう話になるわけで、そういった意味で、私どもはこの新しい全国総合開発計画での位置づけというものを大変注目をしているわけであります。  前長官のときに、会合に出ていただいたときに、きちんと位置づけますよというようなお話もいただいたりした経緯があるわけでありますけれども、いよいよこの全総、新全総とこう改めて呼ぶのでしょうか、第五次になるのですか、ここの中でどんな位置づけを考えていただいているか、ぜひいい御意見を聞かせてください。
  76. 浜野潤

    ○浜野説明員 御説明させていただきます。  新しい全国総合開発計画につきましては、厳しい財政制約のもとではございますけれども、国民が夢と希望を持てるようなものとすべく、現在最終的な検討段階にございます。  新しい全国総合開発計画におきましては、国土計画の観点から必要な各プロジェクトにつきまして所要の位置づけを行うべく現在検討しておりまして、先生指摘の中央新幹線、超電導磁気浮上式鉄道のプロジェクトにつきましても、この作業の中で位置づけを鋭意検討しているところでございます。
  77. 小沢鋭仁

    小沢(鋭)分科員 位置づけを検討していただいている、こういう話なのですが、その位置づけはどうかというふうに御質問をしたつもりでありまして、検討しているという話は、前向き検討ですか、局長、もう一回。
  78. 浜野潤

    ○浜野説明員 ただいま御説明したとおりでございますけれども、昨年十月に新しい全国総合開発計画の骨格となります国土審議会の計画部会の審議経過報告が出されておりまして、その中で、「中央新幹線について長期的視点から調査を進めるほか、超電導磁気浮上式鉄道について実用化に向けた技術開発推進し、新しい輸送システムの実現を目指す。」というふうに記述されているところでございます。こうした表現を踏まえまして、現在検討しているということでございます。
  79. 小沢鋭仁

    小沢(鋭)分科員 確かに計画発表前ですから、それ以上の御答弁はなかなかいただけないと思いますが、今具体的にその審議会のお話の記述は、もう既に発表済みのところは出していただきました。そういったものが計画の中にもそのまま入るかどうかはともかくとして、今の御答弁から、入ってくるのだろうな、こういうふうに私は理解をしながら、期待を申し上げながら、私の質問時間が参りましたので、終わらせていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  80. 桜井新

    桜井主査 これにて小沢鋭仁君の質疑は終了いたしました。  次に、古川元久君。
  81. 古川元久

    古川分科員 民友連の古川元久でございます。  本日は、今小沢先生から大変夢のある将来的な話がありましたが、私も夢のある話も一つ質問させていただきたいと思いますが、もう一つ、非常に身近な生活、足元のお話をちょっと御質問させていただきたいと思います。  まず、さきに行われましたパラリンピックにおきましては、多くの障害者の人たちが大変に活躍されて、それが私たちに本当に大きな感動を与えてくれたわけなんです。このパラリンピックを見ていて、私は、かなり多くの国民が日本にもこれだけ多くの障害者がいたんだというようなことに気がついたこともあるのじゃないのかなと思うんですね。  同時に、私自身も、活躍された選手のインタビューなどを聞いていまして思いましたのは、交通事故等に遭われて障害者となった選手なども多く活躍しておられまして、そういった意味では、これはまさに他人事じゃない、むしろ、障害者の存在というのは、私たち社会の中でごく普通のこととして受けとめていかなければいけないんじゃないのかな、そんな気がいたしたわけであります。そういった形で、このパラリンピックを契機に、障害者に対する認識というものも日本社会の中でかなり変わってきたんじゃないかという気も私はいたします。  ただ、今普通に生活をしておりますと、日本社会の中ではそんなにちまたに障害者の人たちが、あるいは車いすなんかで出ているというものを見かけない。ですから、そういう普通に生活しているところだけを見ていますと、どうも、何か日本はそんなに障害者というのは多くないんじゃないかというように思ってしまいそうなところがあると思うんですね。しかし、これは本来からしてみると、そうじゃなくて、実は外に出ていないだけじゃないか。  私は実は、アメリカのニューヨークで一年間生活をしたことがあるんです。そのときに、私自身が生活をしたときの感じというのは、町で多くの車いすの人やあるいは障害を持っていらっしゃる方、あるいはもう本当に高齢でつえをついていらっしゃる方々、そういう方々を非常によく見かけました。  最初は、一瞬、アメリカはそういう方々が多いのかというような錯覚もしたわけなんですが、よく考えてみたら、そうではなくて、そういう人たちが外に出やすいような環境がいろいろな面で配慮されている。そういう方々が外に出るためには、当然、いろいろな移動手段を使ったりしなければいけないわけですが、そういうもののハードルは、日本の場合に比べると非常に低いんじゃないか。  例えば、きょうお伺いしたいバスの件でちょっと言いますと、ニューヨークなどは、二ーリングバスと言われて、大体みんな車高が傾いて、ステップがあってもそれが傾くものですから足が非常に上げやすくなる。また、後ろの方には、ボタンを押すと階段がリフトに変わるような仕組みになっていまして、車いすもちゃんと上がっていく。ですから、お年寄りで、もう本当に足が何十センチも上がらないような人とか、そういう人にとっては二ーリングで傾いたり、あるいは車いすの人にとってはリフトがあったりということがあります。  ですから、ニューヨークなんかの場合は、地下鉄の場合は古いですからエレベーターとかそういうものが充実はしていませんけれども、少なくとも、あそこの場合は二十四時間バスなんかも走っているわけなんです。そうしたバスがほとんどすべてニーリングかつリフトつきであるということが、やはり障害者あるいは車いす利用の方々に非常に移動しやすいような環境を提供している。  それに対しての周囲のサポートというのがやはり非常に進んでいるなと思いましたのは、そういった車いすの方がいらっしゃれば、リフトに乗せたり、リフトからおろして車いすを固定するところに固定したり、そういうことをやるのは運転手さんが皆さんやられるわけなんです。それに対して乗客の人が文句を言うこともない。また、御承知のように、ニューヨークも日本と同じように決して道が広いわけじゃないですけれども、そういう中で、バスがそういう人を乗せるために長く停車していて、それで渋滞が続いたからといって、後ろの方からクラクションをプープー鳴らして文句を言うような人もいない。そういった意味で、社会の成熟度が違うのかなという気がいたしましたが、これからやはり日本もそうした方向に向かっていかなければいけないんじゃないか、そういう方向を行政としても進めていかなければいけないんじゃないかというふうに思うわけであります。  そうした観点から、私も、日本におきまして、特に運輸省さんが先頭に立って、日本の場合は、単に傾くとかあるいはリフトバスというよりも、それだけじゃなくて、むしろもう少し、そういう障害者に限ったわけじゃなくて、お年寄りあるいは乳母車を引いた母親なんかでも乗りやすいようなノンステップバスと言われるような床の大変低いバスの導入を図り始めているという話は聞いておりますけれども、現実問題としてみますと、このノンステップバスというのが、値段で見ますと通常のバスの一・五倍ぐらいに高い価格になっている。一方で、バス事業というのはどこも大赤字で、その運営自体が非常に苦しいというようなこともあって、バス事業者がこうしたノンステップバスを導入するのには非常にハードルが高い。  現状で見ますと、平成九年三月末だと、全国のノンステップバスはわずか十九台、普及率にしてみると〇・〇三%。十年度末の見込みでも、全国で百十二台を見込んでいる。これは、全国のバスの規模からいえば極めて微々たるものです。こういうもので進めていますといっても、いろいろ聞いてみますと、こうしたバスが通る時間というものが時刻表で一部指示してあったりしますよというものがありますが、しかしそれも全体からしてみると極めて微々たるものであります。  これで本当に、例えば車いすの人が外に出ていきやすい状況が少しずつ整ってきているかというふうに考えれば、多くのバスの中で一台や二台だけそうしたバスにかわったからといっても、それで即外に出やすくなるような状況をつくっていくものではないと思うのですね。やはり普及率が、少なくとも二台に一台ぐらいはそうしたバスが来るということであれば、このバスには乗れなくても、もう一台待っていれば乗れるバスが来るということになるのかもしれませんが、今みたいに少ないと、一台そのバスを逃すと何時間もそこで待っていないと乗れないというような状況では、結局、本当にそうした利用者の側に立っていない。そうした意味では、バス事業全体のあり方というものも考えていかなければいけないと思います。  それはそれとして考えられるといたしまして、今の補助制度、バス活性化総合対策補助制度において、このノンステップバスの普及促進策というものが平成八年度から始められていますが、まだまだこれは十分とは言えないんじゃないか。やはりこれをもう少し思い切った形で拡充していくような必要があるんじゃないかと思うのですが、その点に関してはどのように運輸省としては考えておられるのか、お聞かせいただきたいと思います。     〔主査退席増田主査代理着席
  82. 荒井正吾

    ○荒井(正)政府委員 お答えさせていただきます。  交通機関の大きな使命の中で、障害を持った方の移動というものがあると思います。運輸省の使命でもあろうかと思います。その中で、バスの果たす役割というのも一定のものがあろうかと思います。  ノンステップバスは、扉のステップから奥のところが段差がないというバスで、御案内のとおりでございますが、段差は、障害者の方の敵というような障害物でございます。それで、ノンステップバスヘの導入の支援の状況でございますが、今委員指摘のように、昨年三月に初めて国産車両ができるという非常に最近できたバスでございますが、助成といたしまして、八年度から、国四分の一、地方四分の一の助成制度を確立いたしました。  ノンステップバスは一般のバスより少々割高でございまして、普通でございますと約千六百万円ぐらいでございますが、現在、二千四百万円ぐらいしております。また、バス事業者の大半が赤字事業でございまして、自己の体力で早急にかえられないという事情もございますし、バスの寿命というのもございますので、古いものから代替するということでございますが、その中で、今申しました国の助成制度をつくったわけでございます。  なお、十年度からは、助成対象事業者をバス事業の黒字の事業者にも拡充するといったようなことを考えております。  今後、今御指摘のありましたように、このノンステップバスの導入というものに積極的に取り組んでいきたいと考えております。
  83. 古川元久

    古川分科員 今のお話だと、このペースで少しずつ努力していきますというふうにしか見えないのです。これは、先ほど私が申し上げましたように、今のようなペースだと、このノンステップバスを導入することによって、例えば車いすの方の生活範囲がどれだけ広がるかとか、そういうものが目に見えた形でわかってくるまでには何年かかるかわからないみたいな感じになってしまうのではないか。そういった意味では、もう少しいろいろな工夫のやり方があるのではないかと思うのです。  例えば、モデル事業みたいな形で、ある市のバスは集中的に補助をして、半分以上はそういうバスにしてみるとか、そうした形で効果が出てくれば、逆に言えば、これは国全体として広がっていくことにもなろうかと思います。何だか今のような形で、本当に薄く、全国に少しずつばらまくような形をしていたのでは、これは、運輸省の側からすればやっていますよということにはなっても、利用する側からすると、それは単に言いわけにすぎないというふうにしか見えないのではないかと思いますが、もう少しそうした工夫をするわけにはいかないのですか。
  84. 藤井孝男

    藤井国務大臣 私も今、先ほど来から質疑を聞いておりまして、大変いい観点をとらえておられると思います。  先ほど他の委員にも同趣旨の御質問がありまして、高齢者あるいは身体障害の方々に優しい交通手段と申しましょうか、そういったものを進めるということは、これは体の不自由な方、お年寄りの方に限らず、私自身を含みまして、健常者にとっても使いやすいものですから、積極的に進めるべきであるというふうに私は御答弁を申し上げたところであります。  そういう中で、今のお話で、薄く広くということであれば目に見えてというのは、多分委員のおっしゃりたいのはどこか集中的にモデルケースとしてそういった地区を設けてやったらどうか、そういったことを踏まえて、効果が上がればそれが全国の都市に広がっていくのではないかというようなことだと思いますが、私ども平成九年度から新たに、バスを活用した人、町、環境に優しい総合的な町づくりを目指すオムニバスタウン構想を開始いたしたところでありますが、昨年十二月に全国で初めてこの構想に基づき指定された静岡県浜松市におきまして、ノンステップバスを集中的に導入する計画を有しているというふうに承知いたしております。  我々、国といたしましても、そういった取り組みに対しまして、できるだけの支援を尽くしていきたい、このように考えているところでございます。
  85. 古川元久

    古川分科員 今、大臣から大変心強いお話を直接いただきましたので、ぜひともそのような目に見えるような形で、やはりせっかく国民の税金を使ってやられる補助事業ですから、それが、やっていますよという形だけではなくて、本当に使う人の側にとって、ああ変わったのだなということがわかるような形での施策推進というものを、例えば今のようなそういうモデル事業計画だけではなくて、またいろいろ知恵を出していただいて、ぜひとも広げていっていただきたいということをひとつお願いをさせていただきたいと思います。  また、この話に関して、これはもう少し広い話になってくるかもしれないのですが、バスの問題だけではなくて、こうした障害者の人たちが移動するのに交通手段を使うには、いろいろなそうした高齢者の人とかあるいは体の不自由な人にとっては障害となるようなものが町にはまだまだあるわけですね。  アメリカなどで私が感じましたそうしたものが、例えばバスがすべて二ーリングバスになっていて、リフトもついているというような状況になっているのはなぜかということをよくよく調べたり聞いてみますと、アメリカでは、一九九〇年にADA、障害を持つアメリカ人法というものが制定されて、その中で、障害を理由にした一切の差別的な扱いを禁止し、そうした禁止規定が交通機関に関しても適用され、それを受けて、駅の施設の改善や公共バスのリフト化など具体的な改善を年数を限って進められてきた。そうしたことが、今、私など外国人が行っても、そうした人たちに非常に優しい町づくりをしているなということが目に見えるような形で実現されている。  そうした意味では、日本において個別にいろいろな形で努力しておられることは重々承知はしておりますが、もう少し一般的に、例えば交通アクセス基本法でも何でもいいです、名前はいろいろあろうかと思いますが、そのような形で、基本的に、そうした障害者の人たちが健常者と同じように交通手段にアクセスできる、そういうものを法律で定める、そのような義務を措置を講ずることを法律で定めるような、そういう一般法の制定というものまでやはり考えていく必要があるのではないかと思いますが、その点に関しては運輸省はどのように今考えておられるのでしょうか。
  86. 土井勝二

    土井政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先生が言及なさったアメリカのADA法、障害を持つアメリカ人に関する法律は、先生もおっしゃいましたけれども、障害に基づく差別を禁止することを目的として、交通関係等においても所要の措置をとるということだということで私たちも承知をしております。  翻りまして、我が国でございますが、御案内のように、障害者基本法がございまして、これを中心といたしまして関係省庁が各種の障害者対策を推進しているところでございます。この法律の中でも交通関係についても触れておりまして、運輸省といたしましては、この法律の考え方に沿って、障害者の円滑な社会参加の実現に努力しているところでございます。先ほど大臣及び自動車通局長の方からも触れましたような施策をやっているというところでございます。  一般的に、さらに運輸省としては、平成六年三月に公共交通ターミナルにおける高齢者・障害者のための施設整備ガイドラインというのを設けまして、これに基づきまして、各交通事業者に対して、駅の施設整備等を指導してまいっているところでございます。  指導に関連しまして、資金面での支援措置、あるいは開発銀行からの低利融資、あるいは平成十年度から税制上の特例措置、こういうことを盛り込んでいるということでございます。  それでは、日本の場合に、今の法律、ただいまの障害者基本法以外に、交通関係の障害者用の設備を法律でさらに義務づけていくという点でございますけれども、これにつきましては、ただいま申し述べましたようなこれまでの施策による整備状況などを見きわめながら、社会福祉政策全体での位置づけなども含めまして検討していくべきものだと考えております。
  87. 古川元久

    古川分科員 今、規制緩和時代というふうに言われておりますが、私は、例えば環境の面については、むしろ規制をしてでもそういうものの導入を促進をしていくというようなことが本当の意味でめり張りのきいた行政のあり方であり、またそれがまさに生活をしている者から信頼をされるような行政にしていくためにも必要だと思います。努力をしているからというだけでは、それがなかなか見えてきていないというのが一般の国民の感情でございますから、ぜひとも、またそうした基本法的な義務規定まで設けるような方向で考えていただきたいということをお願いさせていただきたいと思います。  次にもう一つ、これはちょっと具体的な話なのでございますが、昭和五十三年に自動車局長からの通達で、「車いす利用者の乗合バス乗車について」という中で、乗降等に必要な介護人が同伴していること、そういう条項が入っているわけであります。  これは、昭和五十三年にはそうであったかもしれませんけれども、今の時代にこうした介護人が同伴していないと乗れない、まあ乗れないわけではなくても、事実上そういうことを要求しているようなことは、これは、いわば障害者の人権が侵害されているとも言えるくらいな話でありまして、こうした通達はもう見直すべきではないかと思いますが、運輸省としてはどのようにお考えになっておられますか。
  88. 荒井正吾

    ○荒井(正)政府委員 お答えさせていただきます。  今御指摘がありましたように、五十三年に通達が出ております。五十年ぐらいから、身障者の方が外に出よう、車いすを利用して外に出ようという運動がございまして、バスにも乗りたいということでございました。ただ、安全の観点からいろいろ制約はあるかもしれないということで、検討した結果、五十三年に通達が出た経緯がございます。  その中で、車いすを利用してバスに乗られる場合に、乗客や御自身の安全性から、介護人の同伴について必要だということになったわけでございますが、その後、今委員指摘のように、リフトつきのバスが普及するとか、単独で動く車いすも出てきておるとか、いろいろ実態の変化があるわけでございます。  最近は、車いすによるバス利用のあり方について見直したらどうかという御指摘を身障者の団体の方からも受けておりまして、見直す方向検討を進めようとしておるところでございます。具体的には、近々、身障者の団体の方、バス事業者の方、組合の方あるいは運輸省の局の職員が入りまして、介護人の同伴を不要とする方向検討していきたいというふうに考えております。
  89. 古川元久

    古川分科員 社会一般のこうした車いす利用の方に対する認識も変わってきております。先ほど申し上げたように、別に運転手の人がお手伝いをしても、あるいは乗客の中の人が手をかしても、バスに乗るくらいに必要な介護は十分にできるはずだと思いますから、こうした差別をするような通達は早急になくしていただきたいということをお願いをさせていただきたいと思います。  次に、もうちょっとこれは、先ほどのリニアの話よりは具体的な夢のある話でございますけれども大臣の御地元にも関係をする話でございまして、中部国際空港の話についてお尋ねを時間の限りさせていただきたいと思います。  この中部国際空港につきましては、第一種空港として位置づけられて、しかもこの空港建設については、新しい時代の公共事業のあり方として、行政改革あるいは財政改革が必要だという中で、新しい時代のモデルプロジェクトにしよう、そういう意気込みで位置づけられているというふうに聞いております。その中心が、やはり民間主導でこの空港建設をしようということであります。  民間主導ということを考えれば、これはどうしたら民間の人たちが喜んでお金を出して、そして自分たちが主導してやっていくか、そういうことを考えていかなければいけない。民間のやる気をどうしたら起こせるかということを考えていかなければいけないと思うのですが、その中で行政でやるべきことは、そのための環境設定をどのような形でできるかということにかかってくると思うのですね。  そういうことから考えていきますと、要は、民間のやる気というのは、お金を投資すればちゃんとそのお金が、投資したものが返ってくるということでしょうから、要はこの空港が大変に多くの人に利用されて一そこでちゃんと出したものが返ってくるような、十分に民間経営としても成り立つような形になっていくということだと思うのですね。  ところが、この中部空港の話になりますと、例えば需要が成田や関空並みには見られない。最初からそもそも需要が非常に限られているというような話があるわけであります。しかしながら、それは今の現状を前提にした需要予想であって、そこはまさに需要がふえるような、そうしたいろいろな知恵が考えられるのではないかと思うのですね。  その中で、例えば今回の中部国際空港の場合には、関空などに比べれば建設費は半分ぐらいで済むのじゃないかという話もあるわけですから、関空などで非常に評判の悪い空港利用料なんかを極めて安くするとか、あるいは中部というのがいわゆる東京と大阪の間にあって、物流拠点として大阪圏にもあるいは東京圏にも非常に便利なところにある。そういうことからすれば、この新しい空港物流拠点空港として位置づけるということも可能かと思います。  そしてまた、これはもう少し発想を大きくすれば、ある意味で空港島というのは新しい国土をつくるようなものでありますから、今までのいろいろな、例えば商慣行とかそういうところはないわけでありますから、そこをいわば自由貿易地域のような形で、フリー・トレード・ゾーンのような形にしてしまって、とにかくそこに来たら免税で物が買える、日本の香港、かつての香港みたいな形をつくってみるとか、いろいろ知恵を出していく必要があるのではないのかな。  そういう知恵を出すということは可能ではないかと思うのですが、その点に関しては、運輸省はどのようにお考えになっているのでしょうか。
  90. 楠木行雄

    ○楠木政府委員 お答えいたします。  先生指摘のように、新しい形態のプロジェクトということで、私どもも昨年、この要求、そしてその獲得に大変精を出したわけでございますが、最終的には、大蔵大臣運輸大臣大臣折衝ということで七千六百八十億円の総事業費、原則としてこれを限度として建設を促進するということになったわけでございます。そういたしますと、さまざまなものにつきまして、やはりこういうことを前提に物を考えていくということになるわけでございます。  また、その使用のあり方につきましても、旅客、貨物、その後背圏というものをいろいろ考えながらやっていくわけでございますが、物流拠点空港というお話につきましては、これは中部圏は全国のたしか二五%でございましたでしょうか、非常に厚い製造業の集積を持つ地域でございまして、国内、国際の航空貨物輸送の拠点となるポテンシャルは高いものと考えております。したがいまして、中部圏の物流効率化に資する観点からも、この地域の貨物輸送需要に十分対応できる空港整備を行っていくべきものと考えておる次第でございます。  先生、途中でおっしゃいましたフリー・トレード・ゾーンですか、これは私、大蔵なのか通産なのかちょっとわかりませんけれども運輸省がお答えしていいかどうかちょっとわかりませんけれども、もしあえてお答えするならば、中部国際空港が立地する埋立地の中には、空港のほかに、愛知県が地域開発のための用地を確保することを計画しておりますので、そういう御指摘の点について必要に応じて、地域開発用地の計画の中で検討が進められたり、あるいは関係者間の調整がなされていくものと考えております。
  91. 古川元久

    古川分科員 大臣にちょっとこれはお願いをしたいのですが、実は私、自由貿易地域の話を聞こうとしましたら、運輸省から、いや、うちじゃないです。通産省の方に行ったら、いやうちは貿易の話はできますが、税金の話は大蔵省です。大蔵省は、税金の話だけれども、そういうふうに設定するかどうかはうちじゃないですみたいな形で、要は、今、日本にはないような仕組みをつくろうとすると、役所をたらい回しになって、どこが責任を持っているのかわからないということがあります。  私は、こういうフリー・トレード・ゾーンのようなものは、日本経済を新たな時代へ向けて再活性化する一つのプロジェクトあるいはあり方として真剣に検討してもいいのじゃないのかな。沖縄問題などにおいてもこうした議論がされておるわけでありますが、どうも今の役所の中で見ますと、みんながどこもたらい回しのような形で進んでいかないと思いますから、ぜひこうしたものはやはり政治の主導でそういう枠組みをつくっていただいて考えていただきたいということをお願いをさせていただきまして、時間になりましたので、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  92. 増田敏男

    増田主査代理 これにて古川元久君の質疑は終了いたしました。  次に、松浪健四郎君。
  93. 松浪健四郎

    ○松浪分科員 松浪健四郎でございます。  大臣におかれましては、体調を崩され、大変な激務で御苦労さまでございます。今までお聞きしておりますと、まだ鼻声で、大変なんだなというふうに同情させていただくわけでございます。  また松浪が立つということは関西国際空港質問をやるのだな、しつこいなというふうな印象を持たれるかもしれませんけれども、何と申しましても、我が国を代表するハブ空港をつくらなければならない。しかも、私にとりましては、私の地元でございますし、故郷でございます。この世界に誇ることのできる空港を何としても立派なものに仕上げたい、二期工事、それから全体構想をにらんで立派な空港にしたい、この思いでいつも関西国際空港について質問をさせていただいておるわけでございます。  冒頭、お尋ねしたいということよりも、大臣は就任されてからあちらこちら運輸省の関連施設等を視察されているということをお聞きしておるわけですが、大臣も関空を視察された、その印象からまず聞かせていただきたい、このように思います。
  94. 藤井孝男

    藤井国務大臣 関西空港視察いたしました折に、いろいろ感慨深いものがございました。一つは、前にも委員にお答え申し上げたと思うのですが、日本のいわゆるハブ空港ハブ港湾等々、こうした大きな拠点空港というものがまだまだ未熟ではないかなという印象を実は持ちました。  しかし、一方で、非常に海底の地形の悪い条件の中で、見事に関西空港を技術を駆使されて完成させたというこの日本の誇り得る土木技術と申しましょうか、これは、私は、世界に向かって大いに自信を持って披瀝できるものではないかなと思います。  ただ、委員も、第二期工事につきましては、大変御熱心に、運輸省の方にも、また大臣室の方にも何度もお越しいただきまして、二期工事につきましても事業化のめどが立ってきたわけでありますが、いずれにいたしましても、やはりせっかくつくるんですから、使いやすい、そして機能的な、効率的な、効果的なハブ空港にいたしたい。そういう意味では、一つの目標でありますけれども、関空の平行滑走路をもう一本、この二〇〇七年供用開始に向けて、私ども、最大の努力をしていきたい、このように考えておるところでございます。
  95. 松浪健四郎

    ○松浪分科員 大変結構な感想をいただいたわけですが、効率的な、安全な空港をつくらなければならない。  御案内のように、今、橋が一本しかかかっていない。ずっと、泉南市、和歌山の岩出町、和歌山市は、もう一本、いわゆる南ルートと言われる陸と空港を結ぶ橋をつけてほしいという要望をかねてよりしておるわけでございます。  そこで、昨年の予算委員会の当分科会で、私は、当時の古賀運輸大臣にこの質問をさせていただきました。安全の面から見ても、古賀前運輸大臣は、今は必要がないかもしれない、しかし、将来にわたっては必要性を認識しておるというふうに答弁してくださいましたけれども藤井大臣は、どのようにこの南ルートと言われる橋について考えられているか、お話を聞かせていただきたいと思います。
  96. 藤井孝男

    藤井国務大臣 古賀前運輸大臣答弁を私も見ておりますし、また、松浪委員質問されたことも承知をいたしております。  古賀前運輸大臣も、これは、まず大前提といたしましての将来の交通量、需要、そういった面に触れておられて、そういう面から見ると、今現在、直ちにもう一ルートの橋をかけることには、かなり困難な面があるのではないかということでの答弁がありまして、それに続きまして、将来にわたってということでありますから、私は、やはりこういった問題は長期的な観点から見る必要がありますし、地元を中心として新たなルートの整備必要性等について検討を行う、そして、そういうものについて煮詰めていくということは、大変意義深いものがあると考えておるところでございます。
  97. 松浪健四郎

    ○松浪分科員 意義深い、おっしゃられるとおりでございまして、和歌山、そして南大阪、泉南地域一帯の経済的波及効果、それから関空の安全対策、これらをかんがみたときに、どうしてももう一本必要になってくるであろう。  もちろん、現在の財政事情が極めて厳しいということを私自身承知しておりますので、これ以上は申しませんけれども、長い目で見たときには、やがてもう一本、南ルートと呼ばれるこの連絡橋をつけるんだということをお願いしておきたいので、もう一度大臣に確認をさせていただきたいと思います。将来にわたってこの橋について検討をしていくというふうな答えをいただければありがたいなというふうに思います。
  98. 藤井孝男

    藤井国務大臣 委員御案内のとおり、お互いに政治家でありますから、いろいろなやりとりがあろうかと思います。  先ほど申し上げましたように、また、前大臣が申し上げましたように、今の状況でいきますと、これは、もう一本橋をかけるのはとても困難である。しかし、将来、いろいろな時代の変化、財政状況、また地元での要望、それから空港自体の需要増、あるいは災害という面、いろいろな面からもう一本必要だということを検討する、そういったことについては、私は、今後とも、これは意義深いものであるから、そういう面で、今、そういう気持ちを持っているということをお伝え申し上げた次第であります。
  99. 松浪健四郎

    ○松浪分科員 ありがとうございました。次にお尋ねしたいことは、この予算が通りますと、いよいよ関空の二期の事業が現実味を帯びてくるわけでございますけれども、何と申しましても、四千メートルの滑走路をつける、しかも、今ある空港島の沖合である、埋め立てなければならない。その埋め立てについて、供給する土砂の問題が当然のことながら浮上してまいります。  それで、既に造成会社から、兵庫県、大阪府、和歌山県、一応この三つから土砂を供給するんだというふうにお伺いしておるわけですが、その調整状況についてお尋ね申し上げます。
  100. 楠木行雄

    ○楠木政府委員 お答えいたします。  二期事業の用地造成につきましては、一期よりさらに大量の土砂が必要となることでございます。埋立土砂の調達が二期事業の円滑な実施のために重要な課題となっているのはこのためでございます。  平成八年八月に、上期事業に必要な埋立土砂の調達に関しまして、関西国際空港用地造成株式会社、この会社から、大阪府、和歌山県、兵庫県に対しまして、埋立土砂の供給についての検討を依頼いたしました。  その後、三府県において検討が進められておりますが、それぞれの検討状況を踏まえて、関西国際空港用地造成株式会社と三府県との間で、具体的な調整が行われているところでございます。
  101. 松浪健四郎

    ○松浪分科員 そこで、大阪府の場合はどこからとるのか。おおむね大阪府の最南端に位置します岬町から土取りをするというふうにお聞きをしておるわけであります。ところが、どうも、ベルトコンベヤーをつくらなければいけない、あるいはトンネルを掘らなければならない、そこで、単価が高くなる。大阪府と造成会社では、結局、まだ調整がついていないというふうな話を伺っておりますが、その辺のところをお聞きできますか。
  102. 楠木行雄

    ○楠木政府委員 検討依頼の中身でございますが、平成八年八月には、用地造成会社から三府県に対しまして、当面二期事業地に必要な土砂約二・五億立米、その三分の一ずつに当たる八千万立米ないしは八千五百万立米の土砂供給についての検討を依頼いたしました。  そして、平成八年九月に、大阪府におきましては、事業主体を大阪府土地開発公社とするとともに、土砂採取場所の候補地を岬町多奈川地区とする旨、発表したところであります。  現在、こういったことを前提に、関西国際空港用地造成株式会社と大阪府との間で、調整が行われているところでございます。
  103. 松浪健四郎

    ○松浪分科員 今、調整を図っておるということでございますけれども、この前の運輸委員会でも御質問させていただきましたように、第二阪和国道がなかなか延伸されない、その影響で岬町という町が過疎化しておる。これは大阪府の責任であるかもしれませんけれども、しかしながら、関西国際空港が完成しながら、共存共栄という視点からすれば、岬町は騒音の被害を受けながらも発展をしていない。そのためには、やはり、岬町を何とか発展するように、大阪府も運輸省も考えていかなければならない。単価が高くなるのかもしれないけれども、そこは、運輸省が造成会社あるいは大阪府に指導しながら、協力しながら、岬町から土取りをするんだ、このように推進していただきたいということをお願いしておきたいと思います。  問題は、この土取りした跡をどのように有効利用していくのか。これは岬町の問題であるかもしれませんけれども運輸省は、再三再四、三点セットの中に含まれているように、共存共栄をうたって、主張しておるわけでございますから、岬町の発展のためにも、その跡地利用のための協力、これも惜しまないようにお願いしたい、こういうふうに思いますが、その可能性はございますか。
  104. 楠木行雄

    ○楠木政府委員 これは先生御承知のように、関西国際空港のような大きなプロジェクトを進めます場合には、関連事業、こういったものの整備推進する、大変重要なことでございます。  関空の一期のときから我々もそのように考えておりまして、いろいろ御要望等あれば当然関係の省庁に取り次ぐ、そういったことで対処してまいりたいと思います。
  105. 松浪健四郎

    ○松浪分科員 積極的に運輸省が働きかげて、そして地域の周辺の整備、これらに御尽力いただきたいということを強く要望しておきます。  そのことは、阪南市に、土取りの後、阪南スカイタウンという住宅地ができ上がりましたが、まだまだスペースがございます。この広いスペースに公共物の建っておりますのは学校だけであり、一つは国民宿舎がございますが、公共的施設、これらをつくるときには優先的に土取りの跡を使っていただく。また、大阪府の企業局はりんくうタウンという埋立地を持っておりますけれども、これらもまだまだ土地が売れ残っております。それほど高い単価だとは思いません。積極的に政府がこれらの土地に公共的な施設をつくっていく、あわせてお願いしておきたいというふうに思うわけであります。  次にお尋ねしたいのは、関西国際空港二期事業推進に当たりまして、関空会社の組織の拡充の必要があると思われます。一方では、現行の組織の効率化を進めながら二期工事に向けての体制整備を図っていく必要があると私は考えますが、運輸省はいかがお考えでしょうか。
  106. 楠木行雄

    ○楠木政府委員 関空会社の組織・定員につきましては、今後の二期事業の進捗に応じまして、特に建設部門における組織・定員の拡充など体制の強化を図っていく必要がある、これはもう先生指摘のとおりでございます。  ただ一方、いろいろ行政改革等の要請もございますので、関空会社におきましては、業務の一層の効率化を図ることによりまして、管理運営部門におきまして、要員を三年間で一割程度を目途に削減するなどのスリム化、これも実施することにしております。  今後の事業の進捗状況に応じまして弾力的な組織・定員の見直しを行いまして、効率的な事業運営に努めていくよう関空会社を運輸省といたしまして指導してまいりたいと思います。
  107. 松浪健四郎

    ○松浪分科員 非常に結構なこと分と思うわけでございますが、地元の議員といたしましては、雇用の問題、それから二期事業を行うに当たりましてはその地域の企業、これらを積極的に使われるようお願いしておかなければならないというふうに思います。  とにかく安全な立派な空港をつくっていかなければならない、そして地元との共存共栄を図る、その上において、関空会社の組織等におきましても、常に地元のことを視野に入れながら積極的に推進されるようお願いしたい、このように要望しておきたいと思います。  そこで、関空は非常な発展を遂げているというふうに私自身は認識しておるわけでございます。航空機の発着回数は一日平均で三百三十二便、それから一日平均五万四千百三十一人の方が空港を使われる。年間の旅客数は二千万人に届こうというふうな状況でございますし、あの連絡橋を通行する自動車の数は一日一万八千五百八十三台、一年にして六百八十万台が橋を渡るというふうな形で、盛況を見せております。  私は、かつてスポーツ人類学者でございましたので、世界じゅうの秘境、辺境、異境をフィールドワークするというふうな仕事をしておりました。空港に行っていつも思うことは、麻薬というものに対して大変必死に入り口で、水際で制御するといいますか防止する、そういう空港が非常に多かった、そういうふうな記憶を持っておりますし、この前韓国の新しい空港視察のためにソウルに参りましたときにも、たくさんの麻薬探知犬が空港の中におりました。  そして、関空にも実は麻薬探知犬がおるわけですけれども、私は、これだけの利用者がある関空ではちょっと少ないのではないのか、もっともっとこれからの麻薬犯罪を防止する、そういう意味においては、ハブ空港である関空では、きちんとここでこの犯罪を防止する上においても麻薬探知犬をふやす、こういうふうな工夫があっていい、そういうふうに思うものであります。  しかし、麻薬探知犬を養成するということになりますと莫大な費用がかかる。これは、実は大蔵省の管轄の問題で、この場で聞くつもりはございませんけれども、とにかく、大臣がおっしゃられたように、安全なすばらしいハブ空港にしていくためにはそのことをも視野に入れて、そして積極的にこれらの犯罪を防止できるような安全な空港にしていただきたいということを強く要望しておきたいし、関係省庁にそのことをも伝えていただきたい、こういうお願いをしておきたいと思います。次に、私たちは、関西国際空港ができた、これは伊丹市にある大阪国際空港の騒音、環境問題、そして手狭になってきた、これらのことから、時代の要請もあって新たな空港を必要とする、そしてでき上がったのが関西国際空港であるというふうに認識しております。そして、おおむね国際便は関空に移ってまいりました。  私も時たま大阪空港を使うんですけれども、恐ろしいものだな、だんだん大阪空港周辺は寂れてきたな、けれども騒音問題は解決され、地域住民の人たちは快適な生活ができるようになったんだな、そういう印象を持っておりましたけれども、どうも昨今、大阪空港をもうちょっと何とかしなければいかぬ、つまり、便数をふやしていかなければいけないというふうな声があちらこちらから聞こえてまいりました。  私は、関空の陸上ルート問題がうまいこと解決しないから、うるさいことを泉南地域の人たちが言うんであるならば、関空の規模はこの程度にして、もう一回大阪空港に飛行場の機能を移していくぞというふうなおどしにも私自身は地元の人間として受けとめております。  しかしながら、経済的な問題、利便性の問題、これらもあって大阪空港もうまいぐあいに発展していってくれればありがたい、こういうふうに願うものでありますけれども大阪国際空港について増便の計画があるとお聞きしております。関空と大阪国際空港との機能分担について運輸省はどのように考えられているのか、お尋ねしたいと思います。
  108. 楠木行雄

    ○楠木政府委員 お答えいたします。  一口に申し上げますと、関西国際空港は世界のグローバルハブ空港である、大阪国際空港は日本の基幹空港である、こういうことでございますが、先生今御指摘がございましたように、一月三十日に、実は、大阪国際空港騒音対策協議会、十一市協と申しておりますが、ここから運輸省に対しまして、YS11型機の代替等を含む低騒音ジェット機の導入計画を求める文書が提出されております。そして、今運輸省におきましてその対応につきまして検討しているところでございます。  しかし、最初に申し上げましたようなものでございますし、関西国際空港大阪国際空港機能分担が、まず、関西国際空港が世界各国と国内各地とを結ぶ国際ハブ空港であり、そして大阪国際空港が関西圏と国内各地との間の航空需要を賄う国内基幹空港である、こういう基本的な考え方を変更するというものではないと考えております。
  109. 松浪健四郎

    ○松浪分科員 そうあってほしいというふうに願うわけでございます。  昨日の新聞報道によりますと、大阪空港はジェット機三十便を増便する、運輸省の計画案によれば二十日にも地元にこのことを提示する、こうありますが、これは間違いございませんか。
  110. 楠木行雄

    ○楠木政府委員 五十八着、伊丹の方でふやしてほしいという御要望があり、そのうちおおむね二十八着につきましてはYSの代替であるということで、差し引きいたしますと、ジェットと言えるものにつきまして新しく出てくるものは三十の発着になるというのは事実でございます。  そして、その十一市協の文書に対する対応ということでございますけれども、二十日にそういった会合が行われるということはあるわけでございますけれども、現在その中身というものにつきましては検討中でございまして、できるだけ早く地元に提示できるよう、検討し、努力しているところでございます。
  111. 松浪健四郎

    ○松浪分科員 関空周辺の人たちは、例えば、羽田に来る、行きたい時間に便がなくて、どうでもええような時間に、また中途半端な時間に便があって、便利な時間のときには皆伊丹になってしもうている。えらい窮屈で不便な飛行場やないかという批判があります。  私は、便利な時間帯にもうまいこと関空から使えるような形にしておいていただきたい、そして今局長からお話がありましたように、機能分担というものを明確にしておいていただきたい、こういうふうに思います。  そこで、おおむね長距離便は関空発にする、いわゆる千キロを超えた便は関空で、それよりも短い距離のものは伊丹にするというふうにお聞きしているのですが、そういうことなんですか。
  112. 楠木行雄

    ○楠木政府委員 先ほど申し上げましたように、検討中でございますけれども、もともとの考え方がそのような考え方で成り立っておりまして、基本的にはそういう考え方でやってまいりたいと思っております。
  113. 松浪健四郎

    ○松浪分科員 そうしますと、遠いところへ行くのは関空は便利やけれども、近くへ行くのは関空は不便やというようなことになってまいります。真の意味でのハブ空港をつくっていくというのであるならば、短い距離も可能な限り関空から離発着できるよう御尽力いただきたい、こういうふうにお願いしておきます。  この機能分担というものは、地元の人間からしますと極めて大切な問題であり、伊丹と関空の役割というものを明確に明示しておいていただかなければ、将来の全体構想に向けて関空の存在意義というものが薄れるのではないのかという心配があることをお伝えしておきたいと思います。  時間がやってまいりましたのでまとめさせていただきますけれども、とにかく、大臣がお約束になられました二〇〇七年までには二期工事を完了する、このことをお守りいただきたいし、私たちはそのことを強く要望いたします。  そして、土取りの問題につきましては、地域の発展、このことを視野に入れながら、勘案しながら、十分配慮をいただいて、土をとっていただきたい。とりわけ大阪にありましては、岬町から土をとっていただいて、そしてその跡地のことについても、政府は努力する、そういう姿勢で地元に貢献していただきたいということをお願いしておきます。  もう一つは、関空が麻薬が持ち込まれるような空港であってはならない。これが持ち込まれないように厳重に対応できる空港にしていただきたい。  このことをお願いし、そして南ルートと言われる連絡橋につきましては、将来にわたって検討し、その必要性が認められたならば、財政上許されるならば、建設するというようなことをお願いしたわけでございますが、最後に、私が今申しましたことに対して、大臣から御所見を賜りたいと思います。
  114. 藤井孝男

    藤井国務大臣 おおむね関西空港を中心とした御質問だったと思いますが、貴重な御意見を賜りまして、まことにありがとうございました。  関空と大阪国際空港とのいわゆるすみ分けと申しましょうか機能分担の問題、あるいは将来にわたる関空の二つ目のルート橋の問題、それから土取りの跡地の利用の問題、さらには麻薬の取り締まりに関してもお話がございました。  麻薬につきましては、私は、十年ちょっと前ですが、大蔵政務次官も拝命いたしておりまして、この麻薬警察犬の必要性というものは十分認識しておるところであります。  いずれにいたしましても、ただいま委員がさまざまな御質疑をいただいたこと、私どもも十分配意しながら、これからもよりよいものにしていくために頑張っていく決意でございます。  ありがとうございました。
  115. 松浪健四郎

    ○松浪分科員 時間が参りましたので、私の質問を終わります。  真摯な答弁を賜りました局長並びに大臣に感謝を申し上げて、終わります。ありがとうございました。
  116. 増田敏男

    増田主査代理 これにて松浪健四郎君の質疑は終了いたしました。次に、藤田スミ君。
  117. 藤田スミ

    藤田(ス)分科員 私もまた、関西国際空港の飛行経路の変更にかかわる問題についてお伺いをいたします。  もう御承知だと思いますが、運輸省が、飛行ルートを変えたいということでお申し出がありまして以降、泉州九市四町はもとより、大阪府議会、市議会、それから住民の間で大きな問題になっているわけであります。  私は、本論に入ります前に、大臣に、航空行政の基本姿勢についてお伺いをしたいわけであります。  大臣はもう十分御承知だと思いますが、例の大阪国際空港の裁判闘争と呼ばれるものがございました。始まったのが一九六八年で、十二年にわたって裁判が続けられて、最高裁判決ということに至ったわけであります。  この判決の中で、非常に今日も航空行政の基本として生かされるべき考え方というものが明確に出されているということから、非常に短い言葉ですから、私ここで読み上げますので、大臣の御見解をお伺いしたいわけです。  この判決の中では、現代社会での公共輸送機関として航空機がますます公共的重要性を持つことは自明であり、また、国内、国際航路での要請が相当高度なものであったとしても、その便益は絶対的優先順位を持つとは限らない、こういうふうに判断を下しています。  私は、今日、環境保全の社会的要請が高まってくる中で、これは、今後航空行政の中で尊重されるべき大事な基本じゃないかというふうに考えますが、大臣、いかがでしょうか。
  118. 藤井孝男

    藤井国務大臣 この最高裁の判決及びこれに至る経緯等を踏まえまして、運輸省といたしましては、空港周辺の環境対策に積極的に取り組んでおるところでございまして、また、今後とも取り組んでまいる所存でございます。  さらに、新設する空港につきましては、当初より、環境問題の生じない空港つくりに努めているところでございます。そういったことで今後とも進めていく考え方でございます。
  119. 藤田スミ

    藤田(ス)分科員 それでは続けていきますが、運輸省でも、一九七四年の航空審議会の第一次答申で、大阪空港での騒音問題は「かねて住民が提起していた訴訟の第一審判決ともからみ、昨今では一層深刻化し、同空港の存廃さえも問題とされるに至ってきた。」したがって、「大阪国際空港の騒音問題の抜本的な解決を図る」ということから、実は、新空港候補地の検討には、騒音を地上に及ぼさないことを目標にして基本調査が行われ、その中では、当初の候補地が八カ所ありましたけれども、それを四カ所に絞り込んで進めていって、騒音問題の解決が著しく困難な候補地を除き、三キロ沖合をさらに五キロ沖合に持っていって、「新しい空港の位置としては泉州沖の海上が最も望ましいと判断した。」こういうふうにして、「この候補地に新しい空港をつくるならば、将来にわたって公害問題の発生は避けられよう。」こういうふうに明記したわけであります。  つまり、関空は、建設される前から、将来にわたって公害問題を引き起こさない空港としてあり続ける、そういう使命を担って建設されたものであります。  それから六年後、一九八〇年、航空審議会の第二次答申が出され、そして関空建設のための地元合意を取りつけるために、関空の計画案、関空の環境影響評価案、そして関空の立地に伴う地域整備の考え方、このいわゆる三点セットが地元に提示されたわけであります。  私は、こうした経緯を踏まえて質問をしていきたいと思いますが、まず最初に、関空建設の地元合意の原点の問題であります。  この示されました三点セットの飛行計画案の中の「飛行経路の設定」は、「沿岸部の居住地域への騒音影響を考慮して、努めて海上を飛行し、低高度では陸地上空を飛行しないこと。」とする要件を満たすように、滑走路別に複数の飛行経路を設定した、こういうふうに書いてあります。その結果、この計画案で示された複数の飛行経路は、すべて海上のルートということになったわけであります。  一方、居住地域への影響を考慮するためのアセスメント案では、航空機騒音の環境基準は、陸上に及ばないことということで、ここでも図示して出されてきました。  つまり、努めて海上飛行、低高度陸上不飛行という要件を満たす飛行経路というのは、もっと平たく当時運輸省が言われた言葉によると府下の陸域上空を飛行しない、これが関空建設の合意を取りつける前提として地元に提示された。これは認められますね。     〔増田主査代理退席、主査着席〕
  120. 楠木行雄

    ○楠木政府委員 お答えをいたします。  運輸省は、騒音問題の生じない空港つくりという関西国際空港の基本原則や、三点セットにおきまして飛行経路を設定した際の要件であります「努めて海上を飛行し、低高度では陸地上空を飛行しないこと。」という基本的な考え方は将来にわたって堅持すべきものと考えております。  しかしながら、現行経路によりまして、それによっておきますと今後の増便等が困難になりている状況にかんがみまして、一昨年の七月から、地元三府県に、飛行経路の現状と問題点の説明を続けてきました結果、これについての一定の御理解をいただいたことを踏まえて、昨年六月に、新たな飛行経路の対応案を含む「関西国際空港の飛行経路問題に係わる総合的な取り組みについて」を提示したところでございます。  先生は、この原点がもともと航空審議会の第一次答申にあるのではないかというお尋ねでございますが、昭和四十九年の航空審議会第一次答申は、関西空港の建設予定地を泉州沖、神戸沖、播磨灘の各候補地から絞り込むことが目的でありまして、答申において示されました年間離着陸回数十六万回も、海上に空域を限定しても安全で騒音の被害がなく、新空港として最低限必要な能力を有しているかどうかを確認したものでございます。  したがって、第一次答申における各候補地の滑走路の位置及び方向、飛行経路等は、新空港として最低限必要な能力を有しているかどうかを確認するため暫定的に設定されたものでありまして、処理能力が最大限どの程度あるかを詳細に検討したものではないと考えております。  一方、昭和五十五年の第二次答申の方におきましては、滑走路の位置や方向、飛行経路等を確定した上で、年間離着陸回数につきましては、滑走路能力として示された単位時間当たりの離着陸回数について、安全に離着陸することが可能かどうかを机上で各航空機の動きをイメージすることにより予測しておりました。  しかしながら、これは立体的なものではなくて平面的な予測であり、当時、予測の適否に関して精緻に検証し得るコンピューターシミュレーションシステムが開発をされていなかったということから、各航空機が三次元の空間において交錯する場合の検証まで行うことができなかったために、結果として、当時の予測と異なる事態を招いたものでございます。  こういったことを踏まえて、最初に申し上げました総合的な取り組みというものを提示したところでございます。
  121. 藤田スミ

    藤田(ス)分科員 聞いてもいないことを長々と。  一つ一つ聞いていきましょう。私が質問したのは、関西国際空港建設の合意を取りつける前提としてあなた方が示した合意の原点、前提というのは大阪府域を飛行しないということであったなということを、これはあなた方が出した「飛行経路の設定」という空港計画に基づいてお伺いをしているわけです。地元にとっては、この約束があって、だから、反対をしていたけれども賛成をしていこうということで変わっていった原点でありますから、言葉だけ並べれば済むというような問題じゃないんです。はっきりしてください。  私はここに大臣もごらんください、大阪府が当時府民に配布したこういうパンフレットを持ついます。  ここには、「提示された運輸省の関西国際空港計画案の概要は次の通りです。」というふうに説明を入れて、「飛行経路出発・進入それぞれの飛行経路は下図の通り、府域では陸地上空を飛行しないことになっています。」というふうに明記をしているわけであります。そうして、計画案の第五章、空域飛行経路の計画を出発、進入ともに図示して、この海上ルートだけを示しています。  この点についてはもっと具体的に、地元の自治体があのとき運輸省に出した質問に対しても、あなた方の回答というのは、計画案に示しているとおりであり府下の陸域上空を飛行するものではないと明言しています。そして運輸省は、関空が泉州沖五キロの地点、飛行コースは海上ルート以外にはあり得ないということで示した、これが地元合意の大前提であったわけであります。  この前提がなければ、最初に言いましたように、地元は合意をとてもしなかった。運輸省はこのことについて長々と言っておられるけれども、まともに答えられようとしていない。それは私は事実として言っているわけですから、もう一度答えてください。
  122. 楠木行雄

    ○楠木政府委員 簡単に申し上げますと、先生おっしゃいましたように、関西国際空港の飛行経路について、関西国際空港の計画案の第五章、空域飛行経路の計画に示しているとおりであって、大阪府下の陸域上空を飛行するものではない、こう言っておるのは事実でございます。  それは、私どもの方で、三点セットのところで「沿岸部の居住地域への騒音影響を考慮して、努めて海上を飛行し、低高度では陸地上空を飛行しないこと。」その絵をつけたものがそういうことになるわけでございますが、もともと、これはその開港時における技術進歩を現時点において可能な範囲で予測して計画するものでありますけれども、将来において計画の前提条件が異なった場合には、こういった基本的な考え方を踏まえつつ改めて検討するものとするということも三点セットに書いてあるわけでございます。
  123. 藤田スミ

    藤田(ス)分科員 でたらめを言ったらいけませんよ。大阪府の知事は、この衆議院の運輸委員会に来られて、そのとき何とおっしゃったか。「三点セットの前提となっております海上五キロとなっております空港の位置、あるいは航空機の離発着に当たっての飛行経路等は今後変更しない、」つまり、航空機の離発着に当たっての飛行経路は、大阪府域を飛行しない、その飛行経路は変更しない、「それが合意の前提になっておりますので、その前提を変えてもらっては困る」、こういうことを言っているわけであります。  私は、世の中、約束をしたら、やはりその約束をごまかして物事を進めるというのが第一からして許せないことだというふうに思うのです。約束というのは、運輸省が片方の責任があるのです、少なくとも合意した者と約束をさせた者。大臣、どう思われますか。行政がうそをついてはいけませんよ。
  124. 楠木行雄

    ○楠木政府委員 先ほども申し上げましたように、開港時における技術進歩を現時点において可能な範囲で予測して計画するものだということを当時の三点セットで言っておりまして、将来において計画の前提条件が異なった場合には、こういった基本的な考え方を踏まえつつ改めて検討するものとする、こういう経緯がございましたので、私どもは、一昨年の七月から地元三府県に飛行経路の現状と問題点の説明を十分続けてきた結果、これらについて一定の御理解をいただき、今回のような提示をしているところでございます。
  125. 藤田スミ

    藤田(ス)分科員 地元の九市四町を初め、大阪府議会も多くの住民も決して理解はしていません。それとも、理解をしたというふうに理解しておられるのですか。大阪府議会や九市四町、それは合意をした、理解をしたというふうに理解していらっしゃるのですか。違いますよ。
  126. 楠木行雄

    ○楠木政府委員 私どもの方は、先ほど申し上げましたような、一昨年七月から地元三府県に対して現状と問題点というものの説明をまずしたわけでございまして、この点につきましての一定の御理解をいただいたと承知しております。それを踏まえまして、昨年六月に、これを踏まえた新たな飛行経路の対応案を含む総合的な取り組みについてを提示したところでございます。
  127. 藤田スミ

    藤田(ス)分科員 ここで言っているときには、怒っているのは私だけでしょう。だけれども、その言葉をそのまま大阪の方に持っていってごらんなさい。みんな、現在あなた方が言っていらっしゃることもとても信用することができないのです。そういうことになるではありませんか。  約束事はこれだ、府域は通らないと言いながら、今確かめたらどうしてもそれを言わないで、そしてその当時から、ぐあいが悪くなったら経路を変更する、そういう検討もすると言っていたよということで事を進めようとする。そういう姿勢は、今後、いよいよ不信感を抱かざるを得ないものであります。  しかも、シミュレーションで検討した結果、先ほどからおっしゃるように、航空路への乗り入れ地点の混雑、出発機や到着機の錯綜、到着機の安全間隔、そういうことで、三点セット策定時に想定し得なかった問題点がつまりコンピューターのシミュレーションの開発でわかってきたのだ、そして実際に飛び立ってみたら、いよいよそれで問題点がはっきりした、こういう御説明でありますけれども、しかし、一九八四年の参議院運輸委員会で我が党の小笠原貞子議員が、問題はありはしませんか、いずれ問題になるだろうと、現在問題になっているこの三点については全部取り上げて質問しているのです。  そのとき運輸省が言ったのは、あのニューヨークの空港をごらんなさい、百万回飛んで、サンフランシスコは六十万回だ、大丈夫なのだ、いろいろな対策を講ずればそれは大丈夫なのだ、こういう御説明でした。しかしながら、管制官やパイロットの皆さんも、危険をはらむ空域ということで、その飛行経路については厳しい指摘をしてきたのです。ところがあなた方は、そのときは、無責任にも大丈夫一点張り。  そうして、しかもそのシミュレーションが開発されて、開港する一九九四年、その以前にもうそのシミュレーションによってこれはどうもぐあいが悪いなということを知りながら、今度は、そのことを地元にはっきり言えばそれはえらい大騒ぎになるということで、そのこともあえて隠された。  もう一つの問題は、そういうふうに空域の問題をめぐって深刻な問題点があると知りながら、どんどん関空の需要拡大を認めてきたのは、ほかでもない、あなた方ではありませんか。その点はどうなのですか。
  128. 楠木行雄

    ○楠木政府委員 運輸省といたしましては、この三点セットが地元空港建設に同意した基本をなすものであって、その意味で、地元合意の原点である三点セットの経緯は大変重みのあるものであると受けとめております。  この三点セットの策定時におきまして、飛行経路にかかわる予測が甘かったこと、また、その結果として当時の説明と異なる事態を招いていることにつきましては、大変申しわけなく思っております。  しかし、今先生からも御指摘ございましたようないろいろな大きな問題点というのがその後出てまいりまして、例えば、国際線を中心とする急激な乗り入れ便数の増加で今後の増便等が困難になっている状況、こういったことにかんがみまして、運輸省では、昨年七月から、まず、その地元三府県にこういった飛行経路の現状と問題点について御説明をするということで続けてまいった、こういうことでございます。
  129. 藤田スミ

    藤田(ス)分科員 説明さえすれば済むという話ではないのです。しかも、地元合意の原点である三点セットの経緯を大変重く見ている、この言葉自身が既にもう、あなた方、すりかえているのです。さっきも言ったように、大阪府域を通らない、それが約束事の言葉であったのです。  大臣大臣と同じ政党の自民党の大阪会議員もこう言っておられるのです。昨年の十二月の府議会でですが、特に大阪府域では陸地上空を通らない飛行経路が設定されている、まさしくこれが関西国際空港の憲法であり、最も重要な点であります。私だけがえらい力入れて言っているのと違うのです。三点セットを尊重すると言うなら、まさしくそこが原点なのです。  大臣、お互い政治家として、この話、どう思われますか。あなたの政党の府会議員も、憲法だ、府域を通らないという約束は憲法に等しいものだ、憲法をじゅうりんしてはいかぬということを言っていらっしゃるのです。それをしきりに三点セット、三点セットと、もう基本をすりかえられる。大臣お答えください、話を聞いていて。
  130. 藤井孝男

    藤井国務大臣 この点につきましては、先ほど楠木航空局長がお答えいたしましたけれども、いずれにいたしましても、私どもは、騒音問題の生じない空港つくりという基本原則、まさに三点セット、そういったことにつきましては、これは大変重いものでありますから、将来にわたって堅持すべきものと考えておるところでございます。
  131. 藤田スミ

    藤田(ス)分科員 それでは、その基本原則というのは、府域を通らない、そういう約束であったという御認識ですか。もうちょっと具体的に言ってください。
  132. 藤井孝男

    藤井国務大臣 そこが先ほどからすれ違いがあるのではなかろうかなと思います。「努めて海上を飛行し、低高度では陸地上空を飛行しないこと。」こういうことの基本的な考え方を堅持するということを申し上げたということでございます。
  133. 藤田スミ

    藤田(ス)分科員 これはすれ違いではないのです。先ほどからおっしゃっている、居住地域に騒音の迷惑をかけないという要件ですね。要件というのは、字引を引いたら、必要な条件です。必要な条件を満たす経路をつくるとすればこれしかないということで出され、そして、それを府民に向かって、決して府域は通りません、こういう約束をしたわけです。あなた方がずっとすりかえていらっしゃる。  だから、その約束の原点を守ろうとしないで、あくまでも需要拡大という方向で事を進めていこうとする。結局、地元の方は約束なんてほごにされて、犠牲だけが今度は入ってくる、こういうことになるわけであります。そうでしょう。あなた方は、こういうふうに限界点が見えてきた、だからこうしようという対策なんかとっていないではありませんか。とっていないのです。  私は、ここでもう一つ確かめておきたいと思いますが、二期工事で、新たな平行滑走路供用との関係でも飛行経路の問題解決が急がれる。これは運輸省の言葉でありますけれども、これは具体的に言うとどういうことになりますか。
  134. 楠木行雄

    ○楠木政府委員 二期工事につきましては、平成十年度予算におきまして九百十七億円の現地着工準備事業費というものがつきまして、これから諸般の手続を進めていくわけでございますが、そういった場合に、やはりルート問題というのが大きなかぎになる。例えば環境アセスメントなど、そういうのが行われます際に、どういうルートを前提に考えていくのか、そういうことが前提になるという趣旨でございます。
  135. 藤田スミ

    藤田(ス)分科員 わかりませんね。  これは結局、今でも陸上ルートを使わなければいけないのだと言い出している。平行滑走路供用が開始されたら陸上ルートがふやされる。そのためのアセスメントですか。
  136. 楠木行雄

    ○楠木政府委員 一期事業と二期事業、これを両方あわせまして、飛行ルートがどのような形になるかというものが次の二期事業、使います際の空港の使用料、そういうものの前提になるという意味でのアセスメントでございます。
  137. 藤田スミ

    藤田(ス)分科員 空港の使用料は計算されても、それでは環境に対する影響ということは関係ないのですね。  結局は、あなた方は、一つの約束を破る、一つ約束を破って地元が譲れば、もっと譲れ、もっと譲れということで、なし崩し的に拡大をされていく。そのことは大阪国際空港のあの深刻な騒音問題の悲劇を再び繰り返すことであり、最高裁がまさに指摘をした、いかに国内、国際航路での要請が相当高度のものであったとしても、その便益は絶対的優先順位を持つものではないということで断を下し、大臣も先ほど、そういう基本的な問題については尊重しなければならないという、その姿勢を踏みにじっていっているということになるわけですよ。  そういうことで、私は、運輸省がやられることに対して断固抗議をいたします。  きょうはすれ違いのままで終わったのではありません。あなた方がもう本当に必死になって、合意の原点が府域を通らないということをあくまでも口にしようとしない、それだけ地元を踏みにじっている姿勢のあらわれだというふうに理解をいたしましょう。  私は、本当にあなた方が地元の合意というものを大事にし、そして地域との共存共栄というなら、そこから出発するのだという立場に立てば、まさに今やるべきは、需要の抑制とそして環境保全の立場を貫いて需要追随型の供給方式を改め、当初の地元合意を堅持して、海上ルートを厳守することであります。  最後に、私は一言だけ申し上げますが、こういうような状況の中で、しかしながら、当初大阪居住区域には騒音の迷惑はかけないというふうに約束されたけれども、結構迷惑はかかっているのです。開港以来騒音公害が頻発して、そしてそれに対する苦情や問い合わせば、開港以来わずか三年余りの間ですけれども、四百件を超えるに至っています。  また、アクセス鉄道の騒音というのは大変ひどいものであります。しかもあなた方は、二十四時間空港だ、そして今回もっと新しい飛行機の乗り入れを認めて、だから電車も一番電車を早くするんだ、こういうことで、いよいよもって騒音、振動問題を解決しなければならない、せっぱ詰まった問題です。どうぞ、最後にその問題について一言だけ御答弁ください。
  138. 小幡政人

    ○小幡政府委員 アクセス鉄道の騒音、振動問題についてお答え申し上げます。関空への連絡鉄道の騒音、振動問題等の解決を図るため、平成八年に近畿運輸局、大阪府、沿線の地方公共団体、鉄道事業者から成ります南海本線・JR阪和線騒音、振動等問題協議会を設置いたしまして、ここで検討を重ね、平成九年五月に中間報告を取りまとめていただいております。  これに基づきまして現在対策を実施しているわけでございますが、その対策の内容は、防音壁の設置、弾性まくら木の敷設、ロングレール化、レールの削正等を九年度から三カ年計画で実施する計画でございます。
  139. 藤田スミ

    藤田(ス)分科員 終わります。
  140. 桜井新

    桜井主査 これにて藤田スミ君の質疑は終了いたしました。  次に、石田勝之君。
  141. 石田勝之

    石田(勝)分科員 藤井大臣、御苦労さまでございます。何点かお尋ねをさせていただきたいと思います。  まず初めに、人に優しい駅づくりということで、鉄道駅のエレベーター、エスカレーター整備についてお尋ねをしたいと思います。  二十一世紀へ向けて、急速なテンポで高齢化が進展をいたしております。また、過日、私どもに感動を与えていただきました、そして大変な盛り上がりを見せた障害者のスポーツの祭典パラリンピックの例を見るまでもなく、障害者の方々の自立と社会参加の一層の促進が求められる、こういうことであります。このような社会情勢の中で、地域拠点ともいうべき鉄道駅は人々のニーズに対応したものとなっているかが、極めて私は疑問だろうと思っております。  特に、首都圏の多くの駅では高く、長い階段が私どもを待ち受けておりまして、厳しい移動を強いられることがたびたびあります。私ども健常者にとって大変だなと思うわけでありますから、特に障害を持たれている方々にいたしてみると、それは大変な思いだろうというふうに理解をいたすわけでありますが、その鉄道駅を障害者や高齢者を含むすべての人々にとって利用しやすいものにしていくことは、大変重要な課題であろうかと思っております。  鉄道駅の施設整備、特にエレベーター、エスカレーターの設置については、JR、民鉄の鉄道事業者に今日までどのような指導をされてきたのか、されているのか、まずお伺いをしたいと思います。     〔主査退席増田主査代理着席
  142. 小幡政人

    ○小幡政府委員 お答え申し上げます。  先生お話しのように、高齢化社会の到来、障害者の自立と社会参加の要請の高まりの中で、鉄道駅等の公共交通ターミナルにおいては、高齢者、障害者等のために安全かつ身体的負担の少ないモビリティーを確保することは重要な課題であるというふうに考えております。  移動制約者のための鉄道駅におけるエレベーター等整備につきましては、運輸省といたしましては、平成五年八月に策定いたしました鉄道駅におけるエレベーターの整備指針等に基づきまして順次計画的に整備するよう、関係事業者を指導しているところでございます。
  143. 石田勝之

    石田(勝)分科員 私ども地元、埼玉でありますが、埼玉におきましては、このような鉄道駅の施設整備が急務と考えまして、土屋埼玉県知事の英断で駅づくりの補助金を、今年度予算平成十年度予算で、まだ議会が最終日を迎えておりませんから、まだ議会としては通っておらないわけでありますが、全国で最高水準の三億円を駅づくりの補助金として予定をいたしておるわけであります。  さらに、その補助金は、エレベーター、エスカレーターの設置のみならず、トイレだとか連絡通路だとか駅前広場にも視野を広げまして、地域住民要望に沿った施設整備も対象といたしておるところであります。  一方で、運輸省の同種の補助金は予算額が一億円余りでありまして、対象は鉄道事業者が整備する車いす対応型のエレベーター、エスカレーターと、大変間口が狭いものとなっているわけであります。  そこで、運輸省が定めているエレベーター整備指針に該当する駅は、私ども調査によりますと、平成八年度末で全国で千八百八十一駅、そのうち、エレベーターの設置駅は四百七十八駅であります。まだまだ整備が行き届いていない駅は多々あるにもかかわらず、年間一億円の予算というのはいかがなものかな、年間一億円の予算でどれほどの支援ができると考えているのか。我々の埼玉県ですら、これは全国最高水準といっても、一つの県ですら三億円の補助額を予定しているにもかかわらず、運輸省では年間一億円でどれほどの支援ができるのかなというふうに疑問に思うわけであります。  今後、この鉄道駅の施設整備に向けて、補助金などの支援する制度をどのように充実をさせていくかということが大きな課題になっていくと思いますが、この年間一億円でどれほどのことができるのか、正直疑問に思うわけでありますが、大臣の御所見を伺いたいと思います。
  144. 藤井孝男

    藤井国務大臣 先ほども他の委員から、超低床ノンステップバス、これももっともっと普及をさせてほしいという御要望、御要請がありました。  そのときにもお答え申し上げたのですが、今、石田委員指摘のとおり、急速な高齢化、それから身体に障害を持っている方々、そういった方に大変優しいと申しましょうか、受け入れられやすい、そういう交通手段というものをもっともっと整備していかなければならない。それは、単に高齢者であるとか体に不自由のある方とかいうことではなくして、社会全体としてこれから我々が取り組まなければならないのは、健常者も含めましてこういった問題に取り組んでいくということが、すなわち、環境に優しいいろいろな整備が整ってくることだと思います。  そういう中で、今御指摘のとおり、一億円ということであれば、私は、それを率直に大臣として答えれば、十分とはとても思っておりません。しかし、今の財政状況等々ありますけれども日本開発銀行からの低利融資であるとか、いろいろな、例えば税制の、エレベーター、エスカレーターに対する特例措置を新たに盛り込んだ、こういうことをやってきております。しかし、答えを率直に申し上げれば、十分だとは思っておりません。もっともっとそういったものは確保すべきものと考えておるところでございます。
  145. 石田勝之

    石田(勝)分科員 ぜひ大臣、また運輸省皆さん方に、この人に優しい駅づくりという観点から、エスカレーター、エレベーター等々の整備につきましては、今大臣からも御答弁がありましたように、十分とは言えないということであります。ぜひ、これらの整備について前向きに推し進めていただきたいことを強く要望をいたしておきます。  それでは、次に、高速鉄道建設に対する助成措置の充実強化についてお尋ねいたします。  私は埼玉県の県南部の出身でありまして、運輸省皆様方にも御理解をいただいて、地下鉄七号線を導入しようということで一生懸命やってまいりました。私が県会に初当選したのは昭和六十二年でありまして、そのときに、今、岩淵からそこの溜池山王というところが、南北線が通っております。これが平成十一年には、赤羽岩淵から溜池山王を越えて目黒まで、たしか二十一‘四キロだと思いますが、この区間が来年度開通をするということで、事業主体は帝都高速度交通営団でございます。  それに伴って、私どもの選挙区は川口、鳩ケ谷なんですが、この岩淵と、荒川を越えるともうすぐ川口、こうなって、その川口から鳩ケ谷を通って、また川口に入って浦和東部まで、これが十四・六キロ。ここに地下鉄を通そうということを、昭和四十三年、都市交通審の答申を受けて、地下鉄七号線期成同盟会を設立して、今日までずっとやってきたわけです。当時、今委員長席に座っている増田先生も県会議員をやっておられたから、当時のことはよくおわかりだろうと思いますが、ずっと運動をしてきた。  その運動をしてきた背景というのは、営団に埼玉県内に地下鉄を掘ってもらおうというふうな目的で、約十数年間にわたって、営団にやってもらおうということでやってきたわけであります。私が六十二年に県議会に当選をして、営団にお願いをしても無理だよ、帝都高速度交通営団法第一条というのは、東京都の二十三区内の地下鉄の整備を主たる目的としているのだから、これは営団にただただ陳情を重ねたって無理だと。  そこで、埼玉県が中心となって第三セクターでもこしらえないことには、これはいつまでたっても幻なんだ、だから、ここで思い切って埼玉県が中心となって第三セクター方式を打ち出すべきだということを言ったのは、実は私なんです。こうすれば荒川を越えられるというレポートも出して、当時の知事に対して、地下鉄導入へ向けて、これは全力でやるべきだと。  しかし、当時は、いや、営団にお願いするんだ、いや、第三でやるべきだというふうな議論の中で結局私どもの主張が通って、平成二年には、地下鉄七号線は埼玉県知事あるいは川口、鳩ケ谷、浦和、三市市長において第三セクター方式でやろうということの結果を見たわけであります。  その後、おかげをもちまして免許申請もスムーズにいって、運輸省当局の御理解、建設省当局の御理解もいただいて、今着々と工事が、つち音を立てて進んでおります。十二年開通といっても、十二年にはちょっと厳しいかな、十三年春まで、十二年度には何とかこれは開通、開業へ向けてやろうというふうなことで今やっておるわけでありますが、そういう中で、埼玉県と川口と鳩ケ谷と浦和と、この県と三市で五一%出資をしているのですね。そして、残りは営団だとかあるいは先ほど出てきた開発銀行だとか、そのほか地元の金融機関だとかあるいは交通機関の会社だとか鉄道会社だとか、そういったところの四十七機関によって四百五十億円の出資金を出してもらって、第三セクターで始まったわけであります。  当初、地下鉄工事が始まったときは二千五百億円でできるということだったのです。ところが、軟弱地盤だとかそういうふうなもろもろの問題やらいろいろあって、結果二千九百九十六億円、要するに約三千億円かかる、五百億円余分にお金がかかることになった。私も今隣の建設の分科会で、地方自治体が、埼玉県が大体二百二十億円ぐらい余分にかかってしまうのです。そのほか川口が七十二億、それから鳩ケ谷が二十三億、浦和が四十五億、これは余分にかかる。  こういうことで、地元の市だとか県は駅が通っただけではだめなんで、駅広をつくって、そこに道路を通して、街路を通して基盤整備をやっていってというふうな形の、都市型の駅ではなくて郊外型の人が集まるような駅をつくろうということで、そういう基盤整備に物すごい金がかかる上に、今言ったような五百億円の建設費が余分にかかる、地元市の負担がまたふえたということで、これは実は大変な思いをしておるわけであります。十二年度には開通だということで、それに合わせて街路だとかなんとかの基盤整備で、さまざまな地方自治体の厳しい財政事情がさらに逼迫を一するというふうな現状であるわけであります。  そういう中で、現在地下鉄を掘る場合に、地下鉄の助成制度というものと、それから鉄道建設公団のP線による利子補給というか利子の補助、大きく分けると地下鉄補助とP線補助と二つに分かれる、かように思うわけであります。  しかし、では実際にP線補助は活用されるかということをいえば、鉄道局長も御案内のとおり、P線補助というのは利息が五%以上になった場合には補助をしますよというふうな制度になっている。この現在の低金利の時代に五%以上にはなりっこないので、実際にはP線補助制度というのがあって、この地下鉄の七号線の場合を例にとれば、その事業主体は岩淵から鳩ケ谷中央までは営団がやっているのですよ。それで鳩ケ谷中央から浦和大門までは鉄道建設公団がやっておるわけです。つまり、そこのところはP線補助の適用になるところなんですね。手前側は地下鉄補助で今やらせていただいている。その浦和大門の北側には、二〇〇二年ワールドカップの主会場になるサッカー場を今建設をしようとしているところなんです。P線補助というのが、実際に金利が下がってしまっているから、制度はあっても制度が使えない、野球で例えれば空振り状況に今あるわけであります。  そして、地方の各自治体では財源確保に大変苦慮しているところでありますし、P線補助といっても実際にあってないみたいなものだ、そういうことで元金を実際に返済をしなければならないということを考えれば、これは実質的には何の補助にもなっていないというのが現状です。  それからまた、ニュータウン鉄道の建設を促進するために公営事業者等が行うニュータウン鉄道の建設費の一部を補助するニュータウン鉄道整備事業補助というのがあるのですが、今後は大規模なニュータウン事業の見込みも少ないわけですね。大規模なニュータウンをつくろうというのはだんだん少なくなってきている。そういうのも見込みも少なくて開発者負担も期待できないことが予想されるので、一般的な都市整備事業と連携した鉄道整備も対象とすることなどとした制度充実強化などを実際に行うべきではないかと私は思うわけであります。  今申し上げているように、実際にP線補助といっても実質的には補助になっていない、ニュータウンの補助といっても実際にニュータウンをやろうというところはない。そういうことで、補助、助成制度について実効あるものにしていくためには、厳しい財政事情でありますが、地下鉄補助というだけじゃなくて、P線補助だとかそういう補助制度があるということであれば、そういうものが実際に本当に適用になるような形にすべきだろうというふうに私は思うわけでありますが、その点につきまして御答弁をいただきたいと思います。
  146. 小幡政人

    ○小幡政府委員 お答えを申し上げます。鉄道整備につきましては、先生お話しのように膨大な資金と長期の懐妊期間を要するということから、利用者負担のみでは投資資金の回収が困難であるということで、鉄道事業者の金利負担の軽減を図るために、鉄建公団が建設した民鉄線に対しまして、国、地方公共団体がそれぞれ五%を超える利子分について補給をするという制度がございます。  この利子補給制度は、お話しのように、近年の金利の低下によりましてその実効性が乏しくなっているということは否めない事実でございますが、一方、低金利という状況は、長期の懐妊期間を要する鉄道整備にとっては逆に望ましい面もあるというふうに考えておるわけでございます。このような意味からも、金利の変動によりその率を直ちに見直すようなことにはならないと考えております。  また、ニュータウン補助につきましては、平成十年度政府予算案におきまして、北総・公団線の延伸であるとか京阪奈新線の新規採択を盛り込んだところでございまして、必要な制度であるというふうに考えております。  ただ、先生お話しのように、今後の都市圏人口の伸びの鈍化あるいは都市整備方向等を勘案いたしますと、長期的にはこの見直しも必要という問題意識は持っております。そういう意味で、運輸政策審議会においてせっかく御議論いただいているところでございます。この検討方向を見守りながら我々としては対応していきたいというふうに考えておるところでございます。
  147. 石田勝之

    石田(勝)分科員 埼玉ではこの地下鉄の七号線以外に、高速鉄道八号線とか十二号線の県内延伸とかあるいは地下鉄七号線の浦和以北の鉄道整備等々を今後やっていかなければいけない。  先ほどもちょっとお話をしてきたのですが、今埼玉の人口が六百八十万弱であります。今からちょうど十二年前の人口というのは五百四十万です。これは厚生省人口問題研究所の予測なんですが、二〇二五年には埼玉の人口は九百二十万を突破するだろう、こういうふうに言われているわけであります。そのときには東京が一番、二番が神奈川、三番が埼玉、大阪を抜いて埼玉が三番になるだろう、こういうふうにも言われているわけであります。当然、今の勢いでいくとその数値に近くなるかなと我々も実感を持って思っておるわけでありますが、まさしく人口がどんどんふえてくる。当然今の鉄道網だけでは足りなくなるわけでありまして、そういう新線建設のために実効ある補助、助成制度というものを国として前向きに検討すべきだろうというふうに思っておるわけであります。  最後に、もう時間がありませんから、水上交通による広域的輸送ネットワークの構築についてお尋ねをしたいと思います。  都市内においては、物流効率化や建設工事等のコストの縮減による効率的な事業の執行が求められていると同時に、環境に対する負荷を低減する観点から、大都市におけるさまざまな課題への対応が求められている。こうしたことから、大都市圏における広域的な水上輸送について、ネットワークの整備を図り、物資の流通、人の輸送において関係機関と協力するなど、積極的に水上輸送を活用したさまざまな課題への対応が期待をされておるところであります。  また、直下型地震などの災害時においては、東京圏において甚大かつ広域的な被害が想定されているわけでありますが、こうした被災時の応急対策活動において、都県市を超える広域的な救援、支援活動を円滑かつ効率的に実施するために、震災時における輸送手段として水上交通は大きな役割が期待されているわけであります。そのため、防災上の観点からも広域的輸送ネットワークの構築が必要となっております。  近年、河川を活用した人や物資の輸送など、舟運事業の活性化について建設省を中心とした研究が行われ始めたところでありますが、今後、こうした防災上の輸送も含めて、東京湾等の港湾も視野に入れた水上交通を活用した広域的輸送ネットワークの構築について、運輸省としても、国の支援も含め、本格的に検討すべきであろうと思いますが、最後に御見解を伺いたいと思います。
  148. 木本英明

    ○木本政府委員 先生今御指摘になりました、水上交通の活用によります広域的な輸送ネットワークの形成といいますか構築、これは都市における人流、物流のネットワークの多様化という観点からも大変意義深いものであろうというふうに考えております。  そしてまた、特に荒川の例を出されましたけれども、東京湾諸港との絡みで見ましても、大変混雑をしております都市内の交通、そういった中で港湾に出入りする貨物、特に内陸部と結ぶ、そういった貨物をどういうふうに円滑に輸送するかという問題もございます。  そういった観点で見ますと、港湾貨物の内陸部への適切な輸送ルートを確保するという観点からも大変意義深いものがあろうと思いますし、また、お話がありました地震等の災害時におきます防災という観点からも、港湾地帯の臨海部の防災拠点と内陸部の防災拠点の輸送ルートの確保という観点からも大変意義深いものがあるというふうに考えております。  そういったことで、私どもは従来から河川舟運についてもいろいろ検討を進めてきておりましたが、平成十年度以降、今お話ししておりました建設省とか国土庁も関係しますので、こういったところと一緒になりまして、河川舟運の活用による輸送ネットワークの形成のための課題とか方策について、いろいろ調査検討を進めていくことにいたしております。
  149. 石田勝之

    石田(勝)分科員 どこの町でも古い町は水上交通で栄えてきたというところがあろうと思います。私のうちは昔酒をつくっていまして、芝川という川がうちのすぐ近くに流れているのですが、そこで船に酒をかめで乗っけて東京へ運んでいったというふうなことで、水上交通というのは非常に昔から大変歴史のあるものであります。  そういう中で、今まさしく、河川の水質汚濁だとかさまざまな問題があるのですが、徐々に徐々に水質汚濁も一時期よりは低下してきている。そういうことで、今、実際には、建設省で荒川を利用して水上交通というふうな形ができつつあります。スーパー堤防というふうな形で、地震災害に備えて物資の輸送——まして埼玉県というのは、御案内のとおり大臣地元と同じように海がないのですね、海なし県であります。海なし県はどうするかといったら、やはり母なる川を利用しながら、そういう人の輸送、物資の輸送、ついてはその地域の発展につなげていくということが、やはりこれからの大きな課題になってくるのだろうというふうに思っております。  そういうことで、建設省と十分連携もとりながら、運輸省におきましてもこの水上交通についても前向きにやるべきだろうと思いますが、最後に藤井大臣の御感想をちょっとお聞かせいただきたいと思います。
  150. 藤井孝男

    藤井国務大臣 石田委員おっしゃられましたように、岐阜県も海のない県で、とりわけ私どもの県は、木曽三川といいまして、揖斐川、長良川、木曽川という、まさに川の県と言っても過言ではございません。  先ほど、委員の御実家と申しましょうか、もとは酒を川で船で運んでいたということですが、私どもの場合、川と山の県でありますから、私の親類、親戚、多くの者はいわゆる林業を営んでおりまして、かつては、その林材を運ぶときには川を利用したということであります。  そういう意味で、今、交通混雑等を解消するためにいろいろな手だてを考えていかなければなりませんが、川はふだんは非常に利用しやすいのでございますけれども、一たん集中豪雨等が起きますと、まさにそれが大変恐ろしいものに化すわけでありますから、そういった面も含めて、河川を利用しての運輸行政というものがどうあるべきかというのはなかなか難しい点があろうかと思いますけれども、建設省ともよくその点は打ち合わせをするといいますか、詰めていきながら、なるべく川の再利用と申しましょうか、そういう交通手段として、あるいはさまざまな物流の輸送手段として活用できるのかどうか、その点は今後とも検討を進めていくべき課題ではないかなというふうに思っておるところでございます。
  151. 石田勝之

    石田(勝)分科員 ありがとうございました。  以上で終わります。
  152. 増田敏男

    増田主査代理 これにて石田勝之君の質疑は終了いたしました。  次に、金田誠一君。
  153. 金田誠一

    金田(誠)分科員 民主党の金田誠一でございます。  去年もこの同じ分科会質問させていただいたわけでございますけれども、いわゆる代行車検、この問題につきましてフォローさせていただきたいなと思うわけでございます。  規制緩和によりまして代行車検が伸びてきているわけでございますけれども、私の立場は、この代行車検そのものに反対をするなどということではございません。規制緩和社会の中では、まずは正確な情報が提供されて、それによってそれぞれのユーザーが自己責任を負えるという状況が最低の要件であるという立場から質問させていただいているわけでございます。  それで、このユーザー車検、実態としては検査のみで整備は行われていない。実態としてはユーザー検査、代行検査であるわけでございますけれども、それが車検という、非常に誤解を招く不正確な情報が提供されているのではないか、これでは自己責任を負えないではないか、代行車検といえば、旧来の検査プラス整備ということ、だれでもそう誤解をして当然だ、したがって、これについてしかるべく措置をとってほしいというのが私の去年の質問趣旨でございました。‘  それについてさまざま御答弁をいただいておりますが、公取とも相談をする、あるいは事務当局に把握させ、厳正な対処をする、よくわかる指導を検討する、あるいは当時の大臣は、適切に対処する、こういうような理解をいただいた御答弁を去年はいただいたと思っておりますけれども、それでは、この答弁に基づいてこの一年間で具体的にどのような改善がなされたのか、まずお聞きをしたいと思います。
  154. 下平隆

    ○下平政府委員 御答弁申し上げます。  昨年御質問をいただきました以降、私どもとしましては、先生今御指摘のように、ユーザーに正しく情報を提供するということが非常に大切であるというふうに考えておりまして、まず一点は、ユーザーの皆様に、自動車は機械でございますから必ず整備が必要であること、そして、その整備をすることはユーザーの責任に基づいて行うこと、検査と整備は違うということ、こういうことにつきましてユーザーの皆様へ情報提供をする運動、点検整備推進運動を特に行ってまいりました。昨年度は、これまでと違いまして自動車損害保険関係の団体にも参加をいただきまして、大規模に展開をさせていただいております。  それ以外にも、例えば運輸省のホームページに点検整備実施のマニュアルを載せるとか、あるいは自動車の型式ごとの技術情報を提供する、こういった取り組みもさせていただいております。  それからもう一点は、代行業者に対する指導の点でございます。ユーザーの皆様が代行業者による車検の代行を受けた場合に、整備を受けているかのような誤解を招かないように、代行業者に対する指導もあわせてさせていただきました。具体的には、支局におきまして代行業者に対する指導を行う、あるいは代行業者が整備工場の認証をとらずして分解整備を行うような場合は、これは違法行為でございますので、未認証行為がなきよう指導を行うということでございます。  いま一点は、これは昨年御質問をいただきましたけれども、ユーザーの皆様に、いわゆる前検査を受けた場合にはがきで点検整備必要性をPRすることがございましたけれども、これを充実をするようにという御指摘をいただいておりまして、この点についてもしかるべき措置をさせていただいております。
  155. 金田誠一

    金田(誠)分科員 確認をさせていただきますけれども、いわゆる前検査を受けた方には整備が必要であるというはがきはすべて出した、出すようにしたということでよろしいですか。
  156. 下平隆

    ○下平政府委員 整備をせず検査を受ける前検査を受けた者で検査が不合格になった者に対しては、すべてはがきを出しまして、整備の励行を促しております。検査に合格した者につきましては、このはがきを出すためにあて名書き等かなり手数がかかるものですから、私ども、可能な限りの事務的な努力をいたしまして、限界はございますが、対前年に比べまして六〇%増というふうなはがきの枚数を発出をさせていただいております。
  157. 金田誠一

    金田(誠)分科員 前回も指摘させていただいたのは、不合格になった者だけでは意味がない、前検査で通った方は通って安心されるわけですよ、車検が通ったと思って。そうではないのです、あなたが通ったのは検査であって、整備はされていません、従来の車検とは違うのですよという情報を提供すべきだということを申し上げたわけです。手間暇かかるとかかからないという問題ではない、正確な情報のもとに自己責任をとっていただくということでございますから、どうも、六〇%増とか、もとの数字がどうなのかもよくわかりませんので、安心できない答弁だなと思って聞いておりました。これからは、前検査で通った方全部にはがきを出すということをおっしゃっていただけませんか。
  158. 下平隆

    ○下平政府委員 お答え申し上げます。  自動車のユーザーの皆様に日ごろ整備が必要であるということを御理解、御認識いただくということがその目的でございまして、はがきもその一つの方法であろうというふうに思っております。ですから、はがき以外のユーザーに対する情報提供でもってその意識を高めるということとあわせて実施をしたいと思っておりますが、繰り返して恐縮でございますが、全体の発出枚数が大変多うございまして、合格をした者全部に対してこれを出すというふうに明確に御答弁申し上げたいのでございますが、要員等の制限もございまして、それが非常に難しい点がございますので、可能な限りこれから努力をしてまいりたいということでお許しを賜りたいと思います。
  159. 金田誠一

    金田(誠)分科員 推進運動とか週刊誌に広告とかいろいろやっておられる。これは非常に金もかかる、手間暇がかかることなんです。しかし、効果のほどはほとんどないというものだと私は思います。それよりもダイレクトに、あなたの行った代行車検は検査なんです、旧来の車検という整備とセットになったものではないのですよという情報を提供してさしあげる、そのことが私は最低のことだと思うのです。ぜひひとつこれは実現をしていただきたい、改めて強く要請をしておきたいと思います。  そこで、もう一つ提案がございます。  現実に行われている代行車検は、実態としては、車検ではなくて代行検査でございます。したがって、代行検査という用語を使用するのが正確ではないか。誤解を招かないためにも、自己責任をきちっととっていただくためにも、代行検査が実態なわけですから、代行検査という用語を使用させる。車検というのは、検査プラス整備として旧来行われ定着してきた言葉でございます。検査だけやっていて代行車検という言葉は非常に紛らわしい、誤解を招く、そういう言葉は避けるべきでございます。したがって、検査のみの場合は代行検査という本来の正確な用語を使わせるような、法的措置になるのか政省令でいいのか通達になるのかわかりませんが、具体的に代行検査という用語を使わせる措置をとっていただきたい、このことを新たに提案を申し上げ、御答弁をいただきたいと思うわけでございます。
  160. 下平隆

    ○下平政府委員 代行業者によります代行検査といいましょうか、今先生の御指摘の代行検査でございますが、法的には何ら位置づけがございません。したがいまして、政省令等にそういう言葉が出てくる部分がございません。整備事業者においても、ユーザーから車を預かり、国の検査場に車を持ち込んで検査を受けるという意味では、代行行為に近いものがございます。  したがいまして、代行行為そのものが法的な位置づけもございませんし、それを何ら直接に規制をする必要はないと思っておりますが、先生の御趣旨のように、紛らわしい言葉ゆえにユーザーに誤解を与えるということは私どもも極力戒め、気をつけなければいけないと思っております。  今後、確かに代行で検査を受ける場合にも事前にユーザーが整備をして代行する場合もございますので、識別をしなければいけないかと思いますが、検査だけの場合には、代行の検査であるというふうなことに注意をしながら言葉を用いていきたいというふうに思います。
  161. 金田誠一

    金田(誠)分科員 どうも歯切れが悪いわけでございます。実際行われているのが代行検査なわけですね。整備はされてないわけでございます。旧来、車検というのは、検査プラス整備で車検といったわけでございます。代行でやっておるのは検査ですから、旧来の言葉の意味での車検ではないわけですから、代行検査という用語を使っていただくというのがなぜ問題があるのでしょうか。なぜそのような歯切れの悪いことをおっしゃるのでしょうか。  去年のこの荒谷政府委員の御答弁によれば、「車検という言葉に整備も含まれるという形でずっと推移をしてきた。これは事実でございます。」こういう答弁もございます。当然のことですよ。したがって、現在代行で行われているのは検査なわけですから、代行検査という言葉を使う何らかの措置を具体的にとっていただきたいなという提案なんです。実際は代行でやっているのは検査だけにもかかわらず、代行車検という言葉を使われると非常に誤解を招きやすい、紛らわしい表現だというふうには思うでしょう。思いますというふうに答弁してください。
  162. 下平隆

    ○下平政府委員 御指摘のとおりでございまして、代行車検といいますと、ユーザーに間違った誤解を与える可能性があるというふうに思います。したがいまして、これから、代行して検査のみ受ける場合には代行検査という言葉を使うようにしてまいりたいというふうに思います。
  163. 金田誠一

    金田(誠)分科員 そういう言葉を使わせるようにする強制力をどうやって持たせるかなんですよ。法律改正までは要らないのでしょうけれども、何らかの形で具体的にどういうことが考えられますか。
  164. 下平隆

    ○下平政府委員 代行業者の皆様に、例えば整備をしていないのにしているがごとき誤解をユーザーに与えないなどについていろいろ指導をしておりますが、そういう指導の際に、用語として、検査のみ受ける場合には代行検査というふうな言葉を用いるように指導をするということにいたしたいと思います。
  165. 金田誠一

    金田(誠)分科員 ぜひそれが具体的な効果を生むように、もし単なる指導で済まないとすれば、政省令等の改正も含めて、ぜひ実効ある措置を検討していただきたいなと強く要望しておきたいと思います。  それでは、次のテーマでございます。  私ども地元の函館空港なんですが、ここに飛行機をナイトステイをさせてくださいということで、二度にわたって質問主意書を差し上げているのですが、一向にはかばかしい回答をいただいておらないわけで、実は大変遺憾に思っているわけでございます。  そこで、順次質問をしたいと思うのですが、函館−東京路線というのでしょうか、この収支についてどうなっているのかという質問に対して、答弁書では、収支は「承知していない。」というふうになっておりますね。あるいはその他の路線についてはどうかということについての質問にも「承知していない。」これは本当ですか。何かの間違いではないかと思うのですが、どうなんでしょうか。
  166. 楠木行雄

    ○楠木政府委員 お答えをいたします。  一つ一つの路線の収支については私ども把握しておりませんが、ただ、今先生おっしゃったような目的という意味で考えますと、例えばその路線のロードファクターがどうなっているかというようなことを見れば、ある程度のことはわかるのではないかと思っております。
  167. 金田誠一

    金田(誠)分科員 どうも、その程度の把握なのかどうかというのがちょっと理解できないわけですね。  内部補助という言葉があるそうでございます。採算路線と不採算路線がある場合、採算路線の収益をもって不採算路線を維持する、これを内部補助というようでございますけれども運輸省としては、この内部補助によって維持されている路線がどことどこなのかということは、それではわからないわけですね。内部補助という言葉はわかるけれども、実際はどこの路線がその内部補助で維持されているかというのはわからないのだということですね。
  168. 楠木行雄

    ○楠木政府委員 おっしゃるとおりでございまして、一つ一つの路線を細かに把握しているわけではございません。そういった場合に、収入は確かにわかるかもしれませんけれども、そういったところの経費の配算とかそういったことになりますと、かなり大胆な仮定を置くとかそういう話になってまいりますので、その路線一つ一つをつかんでいるということはなかなか難しいわけでございます。  ただ、先生おっしゃったような趣旨、さっき私も申し上げましたように、では、ある程度利用率のようなことを見ればわかるのではないでしょうかというようなことを申し上げたわけでございますけれども、例えば、その東京−函館路線、これはちょっと資料が古くて恐縮ですが、平成七年度に、八便飛んで、日本での路線でいいますと第十位ぐらいになっている路線でございますが、百三十七万六千六百四十人の旅客が利用している、そして座席利用率は五七・七%である、こういうようなデータが出ておりますので、こういったところから路線の性格というのはわかってくるのではないかと思います。
  169. 金田誠一

    金田(誠)分科員 なるほど、そういう程度の掌握なわけですか。  それでは、現在は料金規制ということも行われていますね。今度は、上限規制にするとか幅運賃ですか、いろいろなことを規制緩和方向でやられているようでございますけれども、それではその料金規制の根拠は極めて薄弱だということになるのですか。例えば、収支がどうなっているかわからない、赤字なのか黒字なのかわからない。それで、この申請された運賃というのですか、料金が適正なのかどうなのかというのはどうやってわかるのですか。
  170. 楠木行雄

    ○楠木政府委員 先ほど申し上げましたように、収入の面については、これは私どもわかる。それで、費用の面について、その一つ一つの路線は、会社の全体的な経費の配算という面でなかなか難しい。しかし、それを一定の仮定を置いて計算をするということは可能でございますので、そういった面での判断をさせていただいております。  それから、幅運賃を決めます場合には、今申し上げましたような各路線の前提の計算によりまして、ダブルであるとかトリプルであるとか、そういう路線を中心に一定の距離と原価、そういったものとの関係で算式を求めまして、その算式を上限として下限二五%ということでその運賃の幅を確定する、その範囲内でこの制度を認めるということをやっておりますので、おおむね原価に対応するような運賃が決められるというふうに考えております。
  171. 金田誠一

    金田(誠)分科員 これは航空法は改正になっているのかどうか、現在生きているのかどうかあれですが、運賃及び料金の認可ということでは、「左の基準によってこれをしなければならない。」「能率的な経営の下における当該事業の適正な経費に適正な利潤を含めたものの範囲をこえることとならないこと。」ですね。当該事業の適正な経費に適正な利潤を含めたものでその一本ずつの路線の料金が、運賃が決められていくことになるわけですから、かなり路線ごとの情報というものが運輸省に集中されることになるのではないのですか。申請書なりに路線ごとの実態、赤字路線もあるでしょうし黒字路線もあるでしょうし、それらが内部補助によって均衡していく場合もあるでしょうし、路線ごとの状況事業全体の状況、その辺の情報が集中されて運賃が認可されていくというものではないのですか。
  172. 楠木行雄

    ○楠木政府委員 私ども平成八年の六月から幅運賃制度というのを設定しておるわけでございますが、それ以前の状況におきましては、先生指摘のような、一つ一つの路線について原価を把握し、総括的なプロフィットをかけてそれをやっていくという形でやっておったわけでございます。  ただ、私ども規制緩和と申しますか、事業者の自由な経営責任のもとに行う運賃設定というのを重視する観点から、繰り返しは避けますが、先ほど申し上げましたような幅運賃制度というもので、一定の算式のもとに計算いたしました上限というもの、それと下限の範囲内であれば、その路線について航空事業者が届け出をしてくればそれを認める、こういう形になっているものでございます。
  173. 金田誠一

    金田(誠)分科員 函館−東京路線における収支の状況がどうなっているのかという質問をした背景というのは、よくわかりますでしょう。黒字路線なのか赤字路線なのか、黒字だとすればどの程度黒字なのか、その黒字幅というものが適正な利潤なりに比較してどうなのか。ナイトステイというものは恐らく経費がかかるのでしょう。乗客も多少はふえるかもしれません。その収入増と経費の増のその見比べの中でそれぞれ判断されていくのだと思うわけでございますけれども、公共の福祉といいますか、非常な不便をかこっている。  先ほど、上から十位の乗客数だとおっしゃいましたけれども、それよりも乗客数が少ない空港でナイトステイを行っている空港がざっと見て十カ所あるわけですね。にもかかわらず、上位から十番目の空港がなぜできないのか。収支が悪いのだろうか。できないにはできない理由があるだろう。それならそれで、なるほどなと納得せざるを得ないのであればいいのですが、一切その情報も何も明らかにならない。承知をしていないなどという紋切り型の答弁。こういうものを承知していないのだったら、それでは、どこが内部補助で維持される路線になるのかだってわからぬでしょうし、料金の認可だってどうなるのか。不親切だと思いませんか、こういう答弁
  174. 楠木行雄

    ○楠木政府委員 各空港におきますナイトステイの実施については、これはもう先生質問主意書に対して私どもお答えをしておりますが、簡単に申し上げますが、各空港の発着路線の需要動向とナイトステイの実施に伴って追加的に発生する費用、それから効率的な機材繰り等を総合的に勘案した上で各航空運送事業者が判断をしている、その結果、先生おっしゃったように、多いところでしていなくて少ないところでしておるというふうな実態が生まれておるわけでございます。  私、今、先生からのそのようなことの御質問を改めて考えてみますと、現在、東京から函館、逆に函館から東京、こういったものの各便の座席利用率というのがございます。こういうのを見ましたときに、例えば東京発から函館というのを見ましたときに、ロードファクター、座席利用率が一番高いのが十時五十五分東京発、これは七七・二%に上っております。普通のあれからいきますと、これはかなり高い。ただ、それから後、十二時三十分発、十四時発、十六時十分発、十七時発とあるのですが、このロードファクターはどんどん下がりまして、最後の十七時発になりますと、五一・二%と非常に低いものになるわけでございます。  これは航空会社から直接どうのこうのということではございません、私の推測でございますけれども、やはり東京発のビジネスマンと申しますか、そういう方々が非常に多くて、そういう人たちの需要動向というのをあらわしておるのであろう。そうした場合に、こういう現在の時間の組み方といいますか、そういうものは割とそれにフィットしているのではないか、こう思うわけでございます。
  175. 金田誠一

    金田(誠)分科員 季節によっても相当違いがあるのだろう。北海道ですから、冬期間というのはどうしてもやはり下がってくる。その辺の情報が適正に提供されれば、あるいはトータルの収支がどうなのかという情報が提供されれば、納得できるものは納得するわけですよ。これは赤字でございます、無理言えないなということになれば、なるほどと思うかもしれません。  しかし、承知していないだけで納得せいというのは、ごれは無理ではないでしょうか。それよりまだ乗客数の少ない空港が十カ所もあって、それがナイトステイをやっているわけですよ。なぜここだけできないのかというふうに疑問を持つ。やはり許認可権を持っているお役所としては、アカウンタビリティーといいますか、そういう立場にもまた立つのではないでしょうか。  そういうことからしますと、これはどうですか、ぜひひとつ御検討をいただいて、本当に不可能なのか。収支の状況、恐らく詳細な数字は全部持っているのだと思うのですけれども、推測で出していただいても結構です。乗降率等々からはじき出していって、本当に無理なのか、その辺の御検討をいただいて、行政指導なりなんなりという対応ができないものか、いかがでしょうか。
  176. 楠木行雄

    ○楠木政府委員 せっかくの先生の御提案でございます。私どもも考えてみますけれども、こういう需要動向とか、先生おっしゃいましたいわゆる収支とか、そういうことだけではなくて、やはり効率的な機材繰りの問題もございますし、あるいは雪の問題とか、そういった季節的な問題も出てくるかと思います。  いずれにいたしましても、これは決めるのは航空運送事業者であるということでございますし、私どもも今、運輸政策審議会の航空部会というところで、需給調整規制を撤廃してどうするのか、やはり各航空事業者が自由な経営判断で自己責任のもとにやっていくというのを推し進めておる環境もございます。  そういう意味では、先生からそういうような御指摘があったということは、私ども関係事業者には伝えて、考えてみたいと思います。
  177. 金田誠一

    金田(誠)分科員 規制緩和、自由競争、今そういう大きな流れの中にあるということは十分承知をいたしております。そして、その競争原理、市場原理の中でサービスが向上していくのだということが言われているのですけれども、事この路線に限って言えば、その効果が全くあらわれてこない。  この原因は何だろうと考えますと、情報非公開にあるのかな。もしかすると莫大な利益が上がっておるのかもしれない。その利益を温存したいがために、経費のかかることは一切拒否をするということがもし行われているとすれば、許しがたいことだなという気がしているわけです。全部情報を持っていると思うのですよ。各路線ごとに詳細な収支を持っておると私は思うのですけれども、そういうお立場から、指摘を踏まえて、ぜひひとつ行政指導等の対処をお願いをしたい。強く要請しまして、時間でございますから、終わります。
  178. 増田敏男

    増田主査代理 これにて金田誠一君の質疑は終了いたしました。  次に、石垣一夫君。
  179. 石垣一夫

    石垣分科員 自由党の石垣一夫でございます。  本日は、時間の制限がございますので、三点に絞ってお尋ねしたいと思うのですけれども、第一点は、関西国際空港を取り巻く状況問題。第二点は、地元の高槻、島本におけるJRの駅舎に関する問題についてお尋ねをいたしたいと思うのです。  まず最初に、関西空港を取り巻くいわゆる二期工事の着工に向けての問題点でございますけれども平成十年度政府予算で、財政構造改革が進む中で、いわゆる二期事業現地着工準備事業費として九百十七億円認められたということにつきましては、大臣初め関係者の皆さんに心から敬意を表し、感謝申し上げたいと思います。第二点目は飛行経路問題です。これは陸上ルートの問題ですね。第三点が漁業補償の問題。それから第四点が、土取り及び跡地利用の問題です。第五点が地域整備。こういうふうに問題が五つあります。きょうは時間がございませんので、第二点目の陸上ルート、いわゆる飛行経路の問題についてお尋ねをしたいと思うのです。  運輸省は二月九日に第一回目の実機飛行調査実施されましたね。その結果、おおむね予測内である、こういうことなんですけれども、これに対する地元及び関係者の皆さんの受け取り方はどうだったのですか、反響は。
  180. 楠木行雄

    ○楠木政府委員 お答えいたします。  私ども、この問題については地域の十分な御理解をいただくということが非常に重要であるということで、一昨年からこの問題に取り組みまして「現状と問題点ということで御説明をし、今先生指摘のございましたような総合的な取り組みについて、昨年の六月に初めて地元の三府県に提示をし、そして、こういったものの御理解をいただくように、新しい飛行経路案について実際の騒音レベルや飛行高度を検証するとともに、地元に体感していただくことを目的として、二月の九日に実機飛行調査実施したわけでございます。  そして、早朝と夜間にわたった調査でございましたが、地元の方々も一緒に体感をする、あるいは別途それぞれの計測というようなことを行っていただくというようなことがございまして、それを私どもといたしましては、まあ私どもの感じと申しますのは、すべてこれは予想の範囲内であったかな、こう思っておるわけでございますけれども、そういった結果というものをやはり地元に判断をしていただくということもございますので、二月の二十四日に地元三府県に報告をいたしました。大阪府の専門家会議調査結果等についても御説明し、それを受けて、専門家会議が実機飛行調査を終えての所見を表明していただいているというのが現状でございまして、おおむね、そういう意味での手続といいますか、そういったものが進みつつあるという理解をしておる次第でございます。
  181. 石垣一夫

    石垣分科員 二点お聞きしたいと思うのですけれども運輸省昭和五十六年にみずから示したいわゆる三点セットの内容。それから第二点目が、今答弁がございました、二月二十四日の専門家会議での結論はどうなったのか、この二点。
  182. 楠木行雄

    ○楠木政府委員 まず、三点セットの中身というものでございますけれども、基本的な考え方といたしましては、航空機の騒音による障害が居住地域に及ばないということでございますし、飛行経路の設定に関しましては、「沿岸部の居住地域への騒音影響を考慮して、努めて海上を飛行し、低高度では陸地上空を飛行しないこと。」これにルートがつく、こういうような形でございます。  それから、専門家会議の内容につきましては、先ほど申し上げましたようなことで審議をしていただいておりまして、六項目の提言というのがなされておると承知しております。
  183. 石垣一夫

    石垣分科員 三点セットにおける一番重要なポイントは、やはり陸上を飛ばない、これが大きな目玉だったと思うのですよ。  したがって、平成四年の十月、大阪府議会においても、飛行経路に関する意見書が出されておりますね。また、地元の九市四町の各市議会においても、陸上ルートに対するいわゆる反対意見書、こういう意見書が提出される中で、今回運輸省は、将来の航空需要に向けて、どうしても現状でさばき切れないという観点から、陸上ルートもしようということで、その前段として、今回飛行機を飛ばして、騒音問題についてもきょうは尋ねたわけですけれども、専門家会議のこの六点の指摘について、その原則は環境面の特別な配慮、これが表題になっておるわけですね。  したがって、今後この調査を進めるについては、大阪府から出されておりますこの特別な配慮、この六点についてどのようにお考えですか。
  184. 楠木行雄

    ○楠木政府委員 先生指摘のように、騒音問題の生じない空港つくりという関西国際空港の基本原則や、それを踏まえた三点セット、これはもう私どもは将来にわたってその考え方を堅持しなければいけない。先ほどちょっと読み上げましたが、「努めて海上を飛行し、低高度では陸地上空を飛行しない」ということで、それならば、上空で少し旋回をして、八千フィートということで陸地上空を通るという案をつくり、これが総合的な取り組みということで、今提示をしておるところでございます。  先生指摘のような専門家会議におきます六項目、これにつきましては、環境面の特別な配慮とうことでの要請でございまして、我々は非常に重く受けとめて、十分に航空機の安全の確保というものは考えなければいけませんけれども、全体的にこれを十分検討したい、こう考えております。
  185. 石垣一夫

    石垣分科員 では、改めてこの六項目についてここで確認したいと思うのですけれども、  一 大阪府南部の居住地域において、騒音に関する苦情が生じている現状を踏まえ、将来予測をも考慮に入れた騒音影響を軽減するための措置  二 深夜・早朝用経路の運用時間帯(午後十一時から翌朝午前六時)をさらに拡大するための措置  三 新経路案の具体的な運用方法について、航空需要の動向や環境影響等を考慮した措置  四 大阪府域の陸地上空に入る際の最低飛行高度や飛行経路の遵守に関する明確な担保措置  五 航空機騒音や飛行経路・高度等の苦情処理体制について、運輸省と関西国際空港株式会社との責務の明確化と適切な役割分担に基づく強化措置  六 航空機騒音や飛行経路・高度等の迅速な情報提供などによる環境監視体制強化措置この六点が、先ほど申し上げました環境面の特別な配慮を求めるという内容ですね。  こういう要望について、いつからこれは協議を始められますか。
  186. 楠木行雄

    ○楠木政府委員 実は先生の方がどんどん先取りをしておっしゃいますので、私どももスケジュールより先生の御質問の方が早くなってしまうわけでございますけれども、そういう騒音、環境問題というのは非常に難しい問題でございますので、今、非常に慎重にこういった提案を受けて検討をしておる最中でございます。  基本的に申し上げますと、まず、上空八千フィート以上というのはやはり担保しなければいけない。それには、飛行の基本でありますAIP、情報誌にそういうことを書いて、これを担保していくということもございます。そして、それ以外にもいろいろ、騒音の苦情の問題の処理を国も参加してやっていくとか、そういった、今ほんの一例だけ申し上げましたけれども、真剣にこれは取り組んで検討しなければいけないと考えておる次第でございます。
  187. 石垣一夫

    石垣分科員 地元の反対感情は非常に今強いわけでございますから、逐次、それは軟着陸という方向で努力されているということはわかるのですけれども、この問題は、拙速に走ることなく、十分論議を尽くして、地元と共存共栄の立場で理解を求めなければいかぬ、こう思うのですね。したがって、先ほど特別な配慮という六項目を挙げたのですけれども、十分意を尽くして、誠意ある回答をしていただきたいと思うのですよ。  同時に、これは第二回目の飛行調査はいつやりますか。
  188. 楠木行雄

    ○楠木政府委員 一回目を二月九日にやったわけでございます。それで、実機飛行調査につきましては、騒音値などをさらに検証いたしますとともに、地元に再度体感していただくことを目的として、四月十一日土曜日に再度実施することとしたいと考えております。  なお、当日、これは自然条件でございますが、天候などによりやむを得ず実施できない場合は翌四月十二日の日曜日に、さらにこれも実施できない場合には翌四月十三日月曜日に調査実施することとしております。
  189. 石垣一夫

    石垣分科員 もう一つ、そうしたら、大体何回ぐらい飛ばしたらそれなりのデータをつかめるのですか。
  190. 楠木行雄

    ○楠木政府委員 第一回目の二月九日の調査におきまして、私どもはおおむね予測数値の範囲内かなということを考えておりますし、その後も、運輸省に置きました専門家会議、それをさらに大阪府の方での専門家会議と十分な解析もしておりますし、今回、再度また体感していただくということを目的として四月十一日に実施するわけでございますが、いろいろこういった面での慎重な手続を進めていきたいと考えております。
  191. 石垣一夫

    石垣分科員 では、これは専門家がたくさんおられるわけですから、大体何回ぐらい飛ばしたら結論が出るんだろう。これは、一面では慎重にやれと言っておるわけですからね。一面では、やはりこれはいつまでも、航空需要を踏まえて、悠長にできぬわけでしょう。片一方では急がなければいかぬと言うし、また、片一方は慎重にならなければいかぬ、そういう板挟みにあると思うのですけれども、それはよくその苦労はわかるのですけれども、大体何回ぐらい飛ばしたら、自信を持った一定の結論を出せますか。
  192. 楠木行雄

    ○楠木政府委員 一回目も朝と夜と飛ばし、それは風の向きとかそのときの状況等もございますし、これは相手のある話でございまして、先生ももう御質問の中でお気づきのように、私どもも、ここの場でこうだと申し上げても、なかなかそれが相手との関係でそれで決まるわけでもございませんので、これは地域の御理解を得られるように慎重に進めて、そこで御理解を得られればそこが終わりである、こういうことでやらせていただきたいと思います。
  193. 石垣一夫

    石垣分科員 では、あくまでも地域が納得するまで誠意を持ってこたえる、こういうことですね。
  194. 楠木行雄

    ○楠木政府委員 先生おっしゃるように、よく地元と御相談して、これはやってまいりたいと思います。
  195. 石垣一夫

    石垣分科員 では、次に、JRの問題についてお聞きしたいと思うのですけれども地元の高槻の駅の問題です。これは橋上駅をおつくりになったのは昭和五十四年九月ですね。それから今日これがずっと続いているのですけれども、現在の時点でいわゆる利用客はどのぐらいですか。
  196. 小幡政人

    ○小幡政府委員 お答え申し上げます。高槻駅の一日の平均乗車人員、平成八年で見ますと、約六万五千人と伺っております。
  197. 石垣一夫

    石垣分科員 朝夜乗るとして、往復十三万ですね。この六万五千というのは、これはどういうふうに読むのですか。地元の高槻市の資料によりますと、一日乗降客は大体十二万、こういうふうに考えているのですけれどもね。
  198. 小幡政人

    ○小幡政府委員 今申し上げましたのは乗車人員でございますので、おりる方もそれぐらいいらっしゃるということでその数字になるかと思います。
  199. 石垣一夫

    石垣分科員 そこで、大阪から京都までJRの駅は十二あるのですね。この中で高槻が一番人口が多いわけです、三十六万五千。ところが、駅のいわゆる昇降階段、これが上りと下り、上りは京都行きですか、下りが大阪行き、こうなっているのですけれども、もらった資料によりますと、上りのホームは階段有効幅員としては二・二メートル、下り、大阪行きは階段有効幅員三・六メートル、一・四メートル差があるのですね。  これは普通同じレベルでなかったらいかぬわけですね。これはどこの駅を見ても大体同じレベルなんですよ。私も実際ここを利用しております。これは全国たくさん駅はあると思うのですよ。しかし、こんないびつな昇降階段があるところはないのですよ。だから、僕ははっきり申し上げて、きついけれども、これは欠陥施設だ、こう言っておるわけです。  先般JRの西日本へ行ったのですよ。ところが、頑としてそういうことについて検討しようという答えが出ないわけですよ。行ってみられたらわかるのですけれども、これは二・二メートルの幅員しかないのですよ。だから前に電車が来ても乗れないのですよ、上へ上がってきたら。現実にまたそういう場面を何遍も見ているわけですよ。そういうことについてどういうふうにお考えになっているのか。  普通鉄道構造規則、これの第三十四条、「旅客用通路等しということがありますね。「旅客用通路の幅並びに旅客用階段のけ上げ及び踏面の寸法は、旅客の流動に支障を及ぼすおそれのないものとしなければならない。」ならないのですよ。これは現実に旅客の流動に支障を及ぼしているわけですよ。片一方は三・六一これは大体正規だと思うのです。大体どこのレベルもこれぐらいの幅です。ところが、京都方面に行くものは二・二メートルしかない、一・四メートル狭隘です。これはどうですか、今この法に照らして。
  200. 小幡政人

    ○小幡政府委員 JR高槻駅のいわゆる上りホームの階段の狭さという御指摘でございます。  これは、お話のように昭和五十四年に橋上化された際の事情ということで現在に至っているようでございますけれども、当該事業主体でございますJR西日本からの報告によりますと、JR西日本の認識といたしましては、全般的には流動に支障する状況ではないけれども、ラッシュ等の時間帯等については混雑が発生しておると認識しておるということでございまして、輸送需要の動向を見きわめた上で必要な対策は検討していきたい、こういう報告を受けているところでございます。  我々といたしましても、いわゆるラッシュ時等においてお客さんとの関係において所要のスペースを必ずしも十分に用意できないケース等々、特にラッシュ時間帯の集中度によりましてございますので、一概にこの法令違反ということにすぐになるかどうかということについては、我々としてもすぐにはそういうふうには判断できないわけでありますけれども、今の問題、事情については我々としても認識しておりますので、今後JR西日本を適切に指導してまいりたいというふうに考えております。
  201. 石垣一夫

    石垣分科員 当局はJR西日本を指導してまいりたい、今こういうお話なんですけれども、JR西日本は全然、頑として受け付けないという意識なんですよ。  地元の市会議員三名と行ったのですよ。もう少し話が出ると思った。ところが、頑としてガードがかたい。そういう認識すらも、まあ若干それはお客さんに迷惑をかけておるかもしれないけれどもというような感覚なんですよ。西日本の人は、近いから現場を見ていますよ。ところが、それに対する認識が全然ない。私ははっきり言った。これは事故が起きたらやるんだな、事故が起きるまでやらないのと違うか。堂々めぐりの状態じゃないですけれども、犠牲者が出て初めて取り組むのと違うか。業者というのは大体そういうところですけれどもね。だから、そういうことがあってはならないから申し上げているわけですよ。  しかも高槻は、北部地域が今どんどんまだまだ開発されているわけです。しかも、駅前の再開発がようやく本年の十月ごろにはスタートするわけです。したがって、大学等の誘致も含めて北部はかなり人口が集中してきつつあるわけです。当然そこを利用するわけですよ。だから、この橋上駅ができた時点とかなり利用が変わってきているわけです。だから対応もそれに応じてもう少し柔軟に考えていただかなければ、これはさっき申し上げたけれども、事故が起きたらやるんだなという感覚で、事故が起きることは望みたくないけれども、そういう事態があってはならないということであえて私はこの問題を申し上げておるわけですよ。再度答弁してください。
  202. 小幡政人

    ○小幡政府委員 お答え申し上げます。  今先生お話しのように、開発等が進み、今後の輸送需要等も相当伸びるというようなお話でございます。そういうお話でございますので、そういうことを勘案いたしまして、我々としては引き続きJR西日本を指導してまいりたいというふうに考えております。
  203. 石垣一夫

    石垣分科員 普通鉄道構造規則第三十四条に照らして、私は法にかなった対策をしていただきたいと重ねて要望しておきます。  次に、同じく隣の島本町の新駅の問題ですけれども、これは現在どのように当局としてお取り組みになっておりますか。
  204. 小幡政人

    ○小幡政府委員 JR京都線の高槻−山崎間の新駅設置の問題だと思いますが、地元の島本町からは、かねてよりJR西日本に対し要望をされていると聞いております。  最近の状況でございますけれども、JR西日本からの考え方を聞きましたところ、JR西日本としては、島本町の意向を踏まえて具体的な協議に応ずることとしておるという心づもりは持っておるようでございますが、先般何か新聞報道があったようでございますが、その新聞報道にあるような具体的な協議はまだ島本町の方からJRの方には来ていないという状況を聞いております。
  205. 石垣一夫

    石垣分科員 この話はどちらから持ちかけられたのですか。
  206. 小幡政人

    ○小幡政府委員 島本町と鉄道側との協議の経緯は非常に古うございまして、一番古い話としては昭和四十九年ごろでございますが、これは島本町が当時の国鉄に対しまして、新駅設置の要望をされております。  それから、昭和六十二年ごろになりますが、JR西日本が島本町に対して新駅設置の意向を確認した経緯がございます。この際には、町の財政事情等から具体的な話には至らずという経緯があったようでございます。  さらにまた、平成二年ごろにJR西日本が再度島本町に対しまして新駅設置の意向を確認したということでございますが、このときにも町の財政事情等から具体的な話に至らずということでございます。  その後、平成六年から八年にかけまして、島本町が新駅を前提とした町づくり調査実施しておるということでございまして、こういうものをまとめて、新聞報道によりますと、近々JRにその相談が入るというようなことになるのかなというようなことで認識しております。
  207. 石垣一夫

    石垣分科員 最初は島本町が行って、これはもうけんもほろろに断られた、その後、JRになってから、JRの方から話を持ちかけた、こういう経過があるのですね。JRの方は平成三年から、これはかなり積極的にずっと出されておりますね。平成七年までの間に十三回島本町を訪問しておるわけですよ。これを見ますと、JR自体が非常にこの新駅については前向きだなということがうかがえるのですね。そういう中で、平成九年から今日に至っても、数回やはりまた訪れているということですね。この三月、島本町として正式に町長が議会で新駅取り組みの構想を発表したわけです。そういう中で、一番関心のあるのは費用負担の問題なんです。  地方自治体、今これは大変な財政ですから、JR西日本、これは財政は大変ですけれども、結局必要と認めた以上はやはり施主の方から、施主といったらこれは島本も折半やないか、こういう意見も出るのですけれども、これはどういうふうに財政的に配慮されますか。
  208. 小幡政人

    ○小幡政府委員 駅の設置はJR西日本というその経営主体の純経済行為でございまして、駅設に伴うその費用をどのように地域と分担するかというのはあくまでも相談事でございまして、統一的なルール等はないというふうに理解しております。
  209. 石垣一夫

    石垣分科員 まあ、それならケース・バイ・ケースですか。  そういう中で、先ほど申し上げましたように、この問題については、主体はJR西日本ですけれども運輸省としては、現在の地元、いわゆる地方自治体の財政状況も踏まえて、また、JR西日本としても新駅をつくるだけの価値があるからそのような話を出すわけでございますから、それを踏まえて財政負担については十分配慮されるように、ひとつこれは指導できませんか。
  210. 小幡政人

    ○小幡政府委員 先ほど申しましたように、あくまでも経済行為でございますので、せっかくの地元の御要請、それからJR西日本としても新駅設置についての意向があるというお話でございますので、そういう中で円滑に協調的に話が進むように、我々としてはその環境づくりに努力したいということでございます。
  211. 石垣一夫

    石垣分科員 大臣、最後ですけれども、先ほどの高槻駅の昇降階段の問題です。私は先ほど欠陥施設やという決めつけをしましたけれども、今その表現にふさわしい認識を私は持っているわけですよ。こういうことについて、私はさっき事故があってはいけないということを申し上げて、早く手を打つべきだと申し上げましたけれども、こういうやりとりをお聞きになって、どのようにお感じですか。
  212. 藤井孝男

    藤井国務大臣 今、石垣委員とのやりとりを聞いていまして、一つ、JR西日本、JR各社そうでありますけれども、民営化したわけでありますが、そういう中で、駅の階段の問題あるいは新駅の問題、一にその事業主体であるJRさんの経営判断によるものだと思います。しかし、鉄道、これはJRに限らず民鉄も含めまして、やはり地域との共生というもの、鉄道は公共性の非常に高い輸送手段でありますから、民営化になり、それで利益を追求する、これももちろん民間会社であればそれは当然のことでありますけれども、一方では、やはり地域との共生というものも考えていかなければならない。そして、いま一つは、安全というものをいかに確保するか。  そういう観点から、この階段の問題にいたしましても、私は現場を見ておりませんからわかりませんが、先ほど鉄道局長申し上げましたように、適切に、JR西日本に対しましては、これは安全という面から私は指導すべきであるのかなと思います。  また、新駅につきましての費用分担の話がございましたけれども、これはなかなか難しい。実は来週末、私の地元の高山本線の美濃太田駅というのが、駅舎が完成しますが、ちなみにこれを申しますと、詳しくは申し上げませんが、ほとんど地元の負担でございます。
  213. 石垣一夫

    石垣分科員 以上で終わります。
  214. 増田敏男

    増田主査代理 これにて石垣一夫君の質疑は終了いたしました。  次に、鉢呂吉雄君。
  215. 鉢呂吉雄

    鉢呂分科員 藤井運輸大臣、大変お疲れさまでございます。若干の時間、おつき合いを願いたいと思っております。  大臣、青函トンネルを通ったことはありましょうか。
  216. 藤井孝男

    藤井国務大臣 青函連絡船は何度か乗りましたけれども、まだ青函トンネルを通過した経験はございません。
  217. 鉢呂吉雄

    鉢呂分科員 実は三月十三日に十周年を迎えまして、世紀の、世界最長の海底トンネルが十年を経過したところであります。  私も実は飛行機の都合が悪くて、夜、例えば集会をやりますと、夜九時台から一本ずつ北斗星という夜行列車が出ておりまして、上野に十二時間かかって朝の九時台に着きます。飛行機ですと、朝九時半ごろの飛行機しかありません。それでは国会に着くのが十二時になりますので、その北斗星に乗りまして、それではまだちょっと遅いので、仙台に五時過ぎに着きまして、この起きるのが大変ですけれども、六時四分の仙台発の新幹線で、これは東京に八時半ちょっと前に着きます。そして九時には国会に駆けつける。二カ月に一回ぐらいやっておるのですけれども、だんだん年をとってきますと疲れる話であります。大臣もきょうは半日そこに座っておるのは大変だと思いますけれども、時間の便益性というのは最近問われておるところであります。  そこで、青函トンネル、五十三‘八五キロ、建設費用六千九百億、十年前ですね。着工から二十四年かかって完成をしたわけであります。JR津軽海峡線の利用者は、初年度は約三百六万人を記録しましたけれども、その後二百万人台に落ちまして、昨年は百九十六万人。本年度は、まだ終わっておりませんけれども、三月末で百八十六万人と予想されておるところであります。  活用度が必ずしも十分ではないというふうに私どもは承知しておりまして、これからどんどん補修費等がかかってくるどころでございます。今後の改善策というものがございましたら、また、私、二つの問題を後から提起いたしますが、大臣、乗ってはいらっしゃらないのだと思いますけれども、何かお考えがあれば、まずお示しをいただきたいものだと思います。
  218. 藤井孝男

    藤井国務大臣 旅客輸送につきましては、やはり航空機との競争、そういった競争の激化、あるいは景気ももちろん関係するでありましょうし、また観光客の問題もありましょう。いろいろな意味で、今青函トンネルにおける環境が非常に厳しいということは、十分承知をいたしておるところであります。  これをいかに有効な活用をするかということは、長期的に見れば、やはり私どもは、運輸省の行政の中に整備新幹線は着実に整備していかなければならないという基本方針があるわけでありますが、これは今すぐにというわけにはなかなかまいりませんけれども、先般、新青森までの本年度着工というのは認可をしたわけであります。いずれにしましても、長期的に見れば、そういった新幹線という問題ももちろん頭の中に描いていかなければならぬと思っております。  また、こういう時代ですから、輸送サービス等々、そういったいろいろな問題につきましても、やはり需要の喚起につながるわけですから、サービスの向上等々、今利用客、消費者のニーズというのは非常に多様化していますから、そういった面でのいろいろなアイデアを出しながら需要を喚起しなければいけませんが、長期的には、私の頭の中には新幹線というものが入っていることだけは事実でございます。
  219. 鉢呂吉雄

    鉢呂分科員 お客さんを見ますと、やはり空港から遠い方、それから羽田空港から遠い方、例えば大宮でおりる方とか、もちろん観光客は相当数多いですけれども、ぜひ大臣に一度青函トンネルをくぐっていただきたい、あの津軽海峡の下を通っているんだということを実感していただきたいものだなと。  そこで、今新幹線という話が出ました。新青森から札幌までということで、既に平成七年一月に、駅、ルート公表のための地質調査等の各種調査を進めてまいりました。そして、大臣の大変な御尽力で本年一月二十一日に、政府与党整備新幹線検討委員会における検討結果において、「駅・ルート公表を速やかに行い、引き続き環境影響評価に着手する」ということの判断が下されたわけであります。私ども地元では、このことに対して、地元の皆さん挙げて大変な歓迎をしておりました。とりわけ二月三日に鉄建公団が新青森−札幌間の駅、ルートを公表したということで、各町村で垂れ幕が下がって、花火を上げてお祝いをしたということでございました。  私も、小里総務庁長官の大変な熱意で、与野党の超党派の整備新幹線建設推進連絡会議というものに民主党から一名入らせていただいて、皆さんの検討のさまざまな経緯についてお聞かせを願ったり、また私どもから、ぜひ進めていただきたいということをやらせていただきました。そういう点では、本当に感無量のところがあるものであります。  そこで、これは技術的なことでありますから事務段階から御答弁を願いたいのですけれども、一つは、環境影響評価の作業についていつから着手をするのか、それと同時に、一定程度その作業が整った段階環境影響評価書案というものを作成して、これは鉄建公団が案を作成して運輸大臣に申請することになりますけれども、いつごろになるのかのめど、これも相変わらず鉄建公団でありますけれども運輸大臣に工事実施計画の申請という手続があるわけであります。この三つについて、まだ不確定なところはおありと思いますけれども、特に一番目の環境影響評価の作業の着手等については具体的に御答弁いただければありがたいと思います。
  220. 小幡政人

    ○小幡政府委員 北海道新幹線の環境影響評価につきましては、我々としては、先ほどの政府与党検討委員会でゴーサインが出ましたので、一刻も早く速やかに着手したいと考えております。  ただし、先生御案内のように、昨年の六月に環境影響評価法が公布され、本年の六月を目途に関係諸規定の整備が行われているところでございます。そういう意味で、手戻りを避けるため、これらの整備の完了を待って、環境影響評価の実施主体である日本鉄道建設公団が速やかに着手できるよう努めてまいりたいというふうに考えております。  次に、着手した後のスケジュールでございますが、全体の仕上がりまで、環境影響評価の結果まで数年かかるのが通例でございますけれども、これにつきましてはまだこれからでございまして、一刻も早く最終的な結論を出すような努力をしたいと考えております。  それから三点目の、その次の工事実施計画の申請でございますけれども、これは御案内のように、政府与党検討委員会での結論は駅、ルート公表と環境影響評価まででございまして、ここまでをいたしますと、次のステップでございます収支採算性等々についての議論ができ得る準備ができ上がるということでございます。その次のステップはその次のステップということで、また先ほどの検討委員会等の場での議論を踏まえてからということになろうかと思います。  そういう意味で、我々としては、環境影響評価までの諸手続を一刻も早く進めるのが役目ということで対応させていただきたいと思っておるところでございます。
  221. 鉢呂吉雄

    鉢呂分科員 今局長が言われたとおりでありまして、ぜひ大臣環境影響評価作業は事務的な手続があるということで六月以降ですけれども、速やかに着手をお願いいたしたいなと。また、事実上、この間、もう二十年以上環境影響評価にかかわる調査をやってきておりますので、局長は数年と言いましたけれども、できるだけ早くこの手続を終えて、所定の、先ほど言った評価案というものを出していただきたいものだなというふうに思っております。  それから、検討委員会検討結果にも決定をいただきました新函館駅の駅部の調査、これも速やかにやることになっておりますので、いつから着手するのか、これも局長さんからお願いいたしたいと思います。
  222. 小幡政人

    ○小幡政府委員 新函館駅の駅部調査につきましては、現在、同調査実施主体でございます日本鉄道建設公団と北海道庁等の地元自治体との間で具体的な調査項目、調査期間等について調整が進められているところでございます。  今後、この調整が整い次第、必要な手続を経まして同調査が開始されるわけですが、関係者の間では、春ごろには着手できるよう努力したいということで調整を行っておるというふうに聞いております。
  223. 鉢呂吉雄

    鉢呂分科員 春といっても、北海道の春と沖縄の春では大分違うと思いますので、北海道の春は四月だというふうに思いますから、そのころというふうに受けとめてよろしいかどうか。大変申しわけないですけれども、もう一声お願いいたしたいというふうに思っております。
  224. 小幡政人

    ○小幡政府委員 努力としては、実は我々も月まで関係者から伺っているわけではございませんで、春というのは四月から春でございますので、一刻も早くということで努力いただいているというふうに理解してございます。
  225. 鉢呂吉雄

    鉢呂分科員 大臣も北海道新幹線の必要性については御案内と思いますけれども、若干申し上げますと、新幹線は公共事業の一番問題のように言われておりますけれども、私は自信を持って、北海道新幹線であっても大変な経済的な効果、あるいは北海道の道民の皆さんの生活向上に資するというふうに思っておるところであります。  先ほども若干お話ししましたけれども、新青森−札幌間、距離は三百六十キロございます。しかしながら、新函館−新青森間が百五十キロあるのですけれども、その半分以上、八十二キロがもう既に青函トンネルということで新幹線軌道を敷設できる規格になっておりまして、残るところ七十キロ弱が新幹線の工事を行えばいいということでございます。  先ほども言いましたけれども、札幌から上野まで今は十五時間ぐらいかかるわけであります。これは夜行に乗らなければもっと早い、さっき私が言ったように乗り継ぎをすれば。ヨーロッパかニューヨークに行く以上にかかるわけでありまして、新幹線になりますと、今めどとして行えるのは、札幌から東京まで三時間五十七分で行けるという試算をしております。  今すぐこの時速で行ける新幹線にはなっておらないようでありますけれども平成二十二年という形で北海道期成会が試算をしておりまして、今言いました三時間五十七分で行けますと、今、東京−札幌間は、利用客のシェアはもう九九%飛行機でありまして、その飛行機のお客さんが四五%新幹線に移るだろうということでございまして、開業した当初は、開業前に比べますと四倍の、一日に二万三千人ほど乗るというふうに言われております。これはトンネルの部分だけを見ております。したがって、先ほど開業時に三百万、今は百八十万というふうに言いましたけれども、それが年間八百二十万ぐらいあのトンネルを通るということでありまして、これだけ見ても大変な収支の改善効果はあるというふうに言われておりまして、さらにこれが上昇していくということも試算をされております。  したがって、もちろん私ども、大変大きな、巨額の公共工事費を使う、今はそれほど使っておらないのですけれども、そういうことで、できるだけ早く、平成二十二年といったら大変な将来のことでありまして、めどとすれば、やはり十年以内にぜひ開業していただく。とりわけ新青森−新函館間、これが、先ほど大臣もおっしゃいました、八戸−新青森間が工事着手に入ったわけでありますから、新青森が開業すると同時に新函館駅が営業開始できるように、同時開業を北海道民は望んでおりますので、こういう点で藤井運輸大臣のお力添えをいただきたい。そこまでずっと運輸大臣をやっていただきたいわけですけれども、次の総理大臣になったときには、ぜひ北海道新幹線を開業して、それに一番乗りをしてトンネルを通るぐらいの気持ちでぜひお願いをいたしたいというふうに思っておるところであります。  時間もありませんので、それと関連いたしまして、大臣も御案内と思いますけれども、同じ海峡を通るのに英仏海峡、ドーバー海峡の海底をユーロトンネルというのが、青函トンネルよりもおくれて営業いたしております。この関係で、例えば、これはちょっとデータが古いのですけれども、一九九六年の六月現在で、青函トンネルは一日当たり列車運行総数は、一日五十往復です。これに比べまして、ユーロトンネルは九十六往復しておるわけであります。そのうち、いわゆるカートレーン、車を列車にそのまま積み込んで走る本数は七十七往復、旅客が、人を積んで走るのが十五往復ということで、そういう点からいって、青函トンネルは大体同じぐらいの長さでありますので、今の五十往復というのは、やはり青函トンネルの能力を最大限に活用しておらないと言わざるを得ないというふうに思うわけであります。  そういう意味からして、カートレーンに対する世論の盛り上がりというのはいまだございませんけれども、私は積極的な意味合いがあるというふうに思っております。いろいろ課題もあります。若干申し上げますので、お聞きをしてほしいのです。  まず一つは第四全総。今、新全総をつくる形になっておりますけれども、第四全総では、青函トンネルにかかわる施策ということで、青函トンネルの有効活用ということで、第二国土軸における高速交通体系の整備ということが挙げられておりまして、具体的には新幹線の早期開業が必要である。  そのほかに、高速自動車道としての機能を持たせるため、定時性、安全性がすこぶる確保できるカートレーンの運行を図る。カートレーン基地と高速道路のインターチェンジとを効果的に結ぶことによって青函圏域、青函というのは青森と函館の漢字を二つつけて青函圏域というふうにいうのですけれども、青函つまり青森・函館のその圏域を縦貫する自動車道という機能を持たせるという意味で、大変大きな意義があるというふうに第四全総でも触れられておるところでございます。  大臣、きょう初めてお聞きになったと思いますから、これについて、本当に率直な御感想があれば、このカートレーン構想というものについてのお考えをお聞きいたしたいというふうに思います。
  226. 藤井孝男

    藤井国務大臣 カートレーンそのものについて私は承知をいたしておりますけれども、今委員おっしゃられたように、青函トンネルの青森−函館間のカートレーン構想については初めてお聞きしたところであります。  この点につきましては、一つのアイデアだというふうな認識を私は持っておりますし、それはやはり具体的なニーズ、先ほど盛り上がりというお話がありましたけれども、その盛り上がりというのは、事業採算性とか需要とかそういうものも当然入ってくるでしょうし、地域の活性化のためにどれだけのプラスになるのか、いろいろな点があろうかと思いますけれども、私としては、初めてお聞きしましたけれども、一つのアイデアかなというふうに感じておるところでございます。
  227. 鉢呂吉雄

    鉢呂分科員 ありがとうございます。  ユーロトンネルのカートレーンの輸送の実績といいますか、先ほど言いましたように、一日に七十七往復で四千四百三十六台の車を輸送しております。イギリスのフォークストンからフランスのカレ↑まで約五十キロあるのですけれども、ル・シャトルという列車で片道三十五分ということで、一番問題になりますのは、車を積み込む時間、それをどのぐらい速やかに行えるかということで、乗り継ぎ時間というのですけれども、それらを合算してもこのル・シャトルが、フェリーが運航するよりも二時間三十分も短縮しているということでございまして、フランスとイギリスでは、これは大きな役割を果たしておるところであります。  ただ、問題もございまして、これは問題提起ということで、運輸省にも今後検討してほしいのですけれども、例えば、先ほど言いましたように、みずから車で走っていって列車に乗る、これが不可欠ですね。車がとまったものをフォークリフトで上げてというようなことになりますと時間がかかりますから、自走式の積み込みができるかどうか。それから、積みおろしのシステムをどういうふうにスムーズにやれるか。それからターミナルを、ループ線ということでスムーズに、一直線でその列車に積み込めるようなターミナルを確保できるかどうか。それから、カートレーンの走行中は運転手はその車に乗車したまま、さらにガソリンを抜かないで、そういう方式でユーロトンネルでは通っております。  ところが日本では、若干このカートレーンをやってはおるのですけれども、青函トンネルも夏の間は一往復はすることになっています。これは安全上、ガソリンを抜き取って行う。したがって、抜き取りますから自走式になりませんね。だれかに積み込んでもらわなければいけないとかそういうことが起きますので、そこのところの規制緩和が必要になります。  もちろん、ユーロトンネルでも一度火災がありまして、この問題は大きな問題になりましたけれども、一応規則上は、火災が起きても、各車両間にローラーシャッター式の防火壁をつくるとか、その際は通り抜ければよかったのですけれども、火災が起きたということで列車がとまってしまったのですね。それで、煙が蔓延したとかということで問題になったのです。いずれにしても、安全対策の万全を講ずるという方法を必要としておるというふうに考えております。  いずれにいたしましても、それらのさまざまな課題がありますけれども、私は、カートレーンを青函トンネルに導入することの意味合いは極めて大きいというふうに思います。ぜひ運輸省内での検討をお願いいたしたい。北海道でも、そのトンネルの出口の木古内町、今回、新幹線の駅の一つのところとして指名をされましたけれども、その木古内町の皆さんが大変熱心でありまして、また、東北仙台で研究する機関もございまして、一定の研究成果を挙げておりますので、ぜひこれらの熱心な研究、誘致運動というものも見ながら、運輸省としてカートレーンの具体化の進め方について御検討を願いたい。大臣、もう一度、御答弁お願いします。
  228. 藤井孝男

    藤井国務大臣 今委員おっしゃいましたユーロトンネルの件ですが、私も実はびっくりしておるのですけれども、一九九四年にカートレーンの実績が、ユーロトンネルの場合に、乗用車が八万二千台、トラック用カートレーンが六万五千台。それが、一九九六年、ちょっと古いですが、平成八年ですね、乗用車カートレーンが二百十三万五千台、トラックが約五十二万台。これは国と国との間ですから、青函トンネルとはあれが違うかもしれませんけれども、この数字一つ見ますと、これは大変な一つの効果があるのかなというふうに思いました。  いずれにしましても、検討課題としては十分これは頭の中に入れておかなければなりませんが、今鉢呂委員のお話を聞いておる限りにおいては、私が今直観的に思ったことは、新青森と函館の間という狭い範囲ではなくて、カートレーンそのものの効用というのは、もっと長距離と申しましょうか、いろいろなニーズにこたえられるような形で進めていく方がいいのかなという感じがいたします、これからそういう需要があるかどうかわかりませんが。  また、いま一つは、安全性の問題、非常に日本の場合厳しいものがありますけれども、ガソリンを抜いてということになると、そういう制約があると、やはりせっかくのカートレーンの効用というのがそがれる、そこの安全性の問題との兼ね合いというのがあるのかなと思います。  いずれにいたしましても、先ほど申し上げましたように、一つのアイデアとして大変これはおもしろいものと申しますか、興味があるなというふうに思っておるところでございます。
  229. 鉢呂吉雄

    鉢呂分科員 残り三分でありますので、もう一つだけ簡単に御答弁をお願いいたします。  北海道では、農業地帯でありまして、農業にはトラックを利用する方がほとんどでございます。そこで、数年前に農業用トラクターについては車検制度を廃止していただきまして、大変な規制緩和ということで、今北海道の農家の皆さんはこの恩恵をひしひしと感じておるところであります。  そこで、農耕用トラックといいましても普通のトラックでありまして、しかし、いろいろコーンサイレージを積んだり、収穫物を積んだりという形で利用をしていただいております。  そこで、運輸省にも北海道の農家の方が盛んに陳情いたしまして、この関係について検討委員会を設けて、二年越しですか、検討をしてきまして、きょう「フォーラム「車検」を考える」ということで、運輸省の主催でこの検討会の分析結果についての御説明があったというふうにお聞きをいたしております。これをもとにして審議会を開いて結論を出すというふうに聞いておるわけであります。  大臣も御案内のとおり、トラックは毎年車検でございまして、ここには実績がございますけれども、北海道の農家の組織の皆さんが走行距離の調査をしておりまして、年間平均四千三百キロということで大変少ないのですね、もちろん多い方は一万キロ乗っている方も調査した中では七・五%おりますけれども。ですから、距離数によって車検制度を乗用車並みにするとか、そういうことについてぜひ検討していただきたい。一言御答弁お願いいたしたいと思います。
  230. 下平隆

    ○下平政府委員 お答え申し上げます。  自動車の検査の有効期間につきましては、規制緩和要望を受けまして、政府規制緩和計画において、運輸省検討会を設け、今調査検討を行っております。  特に、今年度におきましては、四十万台にわたる自動車の構造上のふぐあいについて調査を行いました。そのうち二十万台がトラックでございまして、このトラックの中には農業用のものも含まれていると思いますが、これらの集計、分析を今行いまして、ただいま御紹介がございました、きょうフォーラムでその一部を御紹介をさせていただきましたが、この調査結果をもとに、今後、安全、公害面の総合的な検討を行った上、必要であれば運輸技術審議会に諮問をし、検討してまいりたいというふうに考えております。
  231. 鉢呂吉雄

    鉢呂分科員 大変どうもありがとうございました。
  232. 増田敏男

    増田主査代理 これにて鉢呂吉雄君の質疑は終了いたしました。  次に、富田茂之君。
  233. 富田茂之

    富田分科員 平和・改革の富田茂之でございます。どうぞよろしくお願いいたします。  私の方からは、自賠責保険に関しまして、何点か問題点をお尋ねしたいと思います。  昨年の九月二十六日付で自動車通局長の荒井局長名で、自動車保険料率算定会、いわゆる自算会あてに通達が出されておりまして、「自賠責保険に係る「損害調査方法」等の改善について」という通達でございます。  昨年来、週刊誌等で大分この自賠責保険の支払いについて問題があるのじゃないかというようなことが言われまして、この通達の中でも、被害者死亡事案に係る事故状況調査、被害者の過失の認定のあり方、後遺障害等級の認定のあり方につき問題点が指摘されている、この点について、自動車事故被害者の救済のため公正かつ中立な第三者機関として調査している自算会が社会的使命をよりよく全うするために改善策を出してほしいというような通達を出されている。  この通達に対して自算会の方も一生懸命検討されたようで、十二月末までに出せというものに対して、十二月の二十六日付ですか、「自賠責保険に係る「損害調査方法」等の改善策」というものを運輸省の方に回答ということで出されたようであります。  その資料をいただきまして勉強させていただいたのですが、やはり何点か問題があるのではないかなと思いますので、大臣並びに自動車通局長にお尋ねしたいと思います。  この回答書によりますと、事故当事者に対する調査また現場調査を徹底するということで項目を設けておられます。事故当事者への照会様式を改定し、事故状況をできるだけ具体的に把握するように努めるとか、目撃者を含む事故関係者への事故状況に関する照会を徹底するとともに、必要に応じ事故関係者への面談等を実施する、こういうようなことが報告書の中に書かれております。  こういう言い回しで具体的にどういう点を事故調査、現場調査に関して改善されようとしているのか、何度も読んだのですが、よくわからない。具体的にどうやってやろうとしているのだろう。これが一点。  また、その次に、事故状況調査マニュアルを改正するという一文がありました。この文章があったものですから、ちょっと運輸省の方にこのマニュアルというのは一体どういうふうになっているのだということでお尋ねしました。  これは内部文書で、マル秘扱いだ、外には出せませんと言われまして、こういう公の回答書でこういうものを改正すると言っておきながら、それがマル秘扱いというのは、では、このマニュアルのどういう点に問題があって、どういうふうに改正するのだということが全然公表されないのじゃないか。自算会と運輸省の間で内々にやってしまうということになってしまうのではないかな。  そうしますと、最初に局長の方から通達で出された中に、自賠責保険の支払いに係る一層の公平性及び客観性の確保、そして、意志決定システムに係る一層の透明性の向上を図るために改善策を考えろと言われているのですけれども、マニュアルも出せぬ、どういうふうに改正するかもオープンにはできないのだということになると、この趣旨にも反するのじゃないかと思うのですが、具体的にどういうふうに事故状況調査を変えるのか、またこのマニュアルというのは一体どういうものであって、どこが悪かったからどういうふうに変えようとしているのか、その点について運輸省の方はどのように理解しているのか、教えていただきたいと思います。
  234. 荒井正吾

    ○荒井(正)政府委員 九月二十六日の改善の自算会に対するお願いと、十二月に返ってきました改善策の経緯は、今、委員御承知のとおりでございます。  もとはといえば、被害者の無責事案でございますか、死人に口なしといいますか、亡くなられた方が自分の事故状況を証明できないという事情で一方的に不公平な見分がされているんじゃないかという遺族の方に会いまして、これは何とかしなければいけないということで、改善命令を出したものでございます。  自算会は、それを受けまして、やはり一生懸命やってくれたとは思っております。いろいろな改善策が出てまいりました。  それで、十二月二十六日に出てまいりましたので、それを受けまして、保険会社等に指導の通達を出した次第でございます。  ところで、今、お尋ねは、その改善策の中での中心になります損害調査方法の改善はどのようになされているのか、特に事故状況の把握についてどうなされているのかということでございますが、少々細かくなりますが、知った限りでお答えさせていただきます。  事故状況の把握は、事故は突発的に起こるものですので、その後フォローするのがなかなか難しゅうございますが、これまでも、警察の協力を求める一方、事故当事者に対する調査を中心に、状況をできるだけ正確に把握していただきたいということでございました。  改善策の中で出てきておる具体的な内容は、今御紹介がありましたようなことでございますが、破損車両の写真の入手、事故関係者の面談、目撃者への照会の徹底ということをされております。聞き取りを十分する。この間き取りは、後ほど被害者の方の御遺族の方との資料の突き合わせになるもとだと思います。  それから、今御紹介ありました事故調査マニュアルというものを自算会の中でつくっておられますが、それの励行を徹底するということに聞いております。調査担当者の研修の充実、調査能力の改善、さらに、ちょっとした機械を導入されるということでございますが、デジタルビデオカメラの導入、パソコンによる事故解析システムの導入というようなことでございます。  さらに、事故調査マニュアルについての改正でございますが、私どもとして聞いておりますのは、例えば、改正された点でございますが、当然のような内容が多いわけでございますが、調査担当者が行うべき事前準備、事故現場における道路や歩道の幅員、信号サイクルの測定方法、具体的に書かれているようでございます。それから、交通量の把握方法、事故関係者への照会方法、事故形態別の調査ポイント等の必須調査項目を明確にするとともに、その他すべての調査について、要すれば、客観的かつ的確な事故状況の把握に改善を進めるという趣旨でございます。  そのような報告を受けておるわけでございますが、事故調査というのは保険会社がいたしますが、一義的には事故の見分は警察がされるわけでございます。保険会社、自算会の事故調査は、事故が発生してから一定の時間が経過してから行わざるを得ないというハンディキャップがございます。正確な事故状況の再現はなかなか容易ではないという状況は、もう承知しております。  したがいまして、このような改善策だけでも、いろいろな本当の真実を追求するという観点からは十分でない面もあろうかと思いますが、まず、改善を図って、また、問題があれば改善する、一歩一歩の改善に努めていきたいというつもりでございますので、その努力をぜひ御理解願いたいと思っております。
  235. 富田茂之

    富田分科員 努力されているのはよくわかるんですけれども、いろいろな資料をいただいて読んでみますと、全国に約七十カ所の調査事務所があって、調査員も一千四百人ぐらいだ。この人数で、最近の自賠責の請求件数をずっと見ておりますと、大体百十五万件を超えるような数字になつている。全部が全部、問題になる事案じゃありませんから、これを均等割するというのも変だと思いますが、一人当たり、頭割りにすると、八百件を超えてしまう。一年間で八百件を超えるということになると、一日三、四件処理していかないと処理できない。現場に行って見てこいと言われても、三、四件分、現場を回るというのは、事実上不可能ですよね。  まあ、死亡無責のような場合、死亡した人の方に一〇〇%過失があったという認定をするような場合、現場を見ないとわかりませんから、特に交差点内でのお互いに相手が赤だったと主張するような事故の場合、なかなか、現場を見ただけでも、これはわかりません。  私も、弁護士としてこういう事件を何度か担当しましたけれども、何回行ってもわからない。今局長が言われていたような信号サイクルとか、そういうものを全部とってみて、お互いの主張から、何キロで走ってきてブレーキ踏んで何メートルでとまるというようなものをやっても、なかなかこれは、裁判になっても工学鑑定をやっても出てこないというような状況を見ますと、こういう調査員の人数で、こういう改善策を出しても、現実的に実行できるんだろうか、これがちょっと心配なんですね。  昨年ですか、新聞に自賠責の方に五兆円ぐらい剰余金があるというような報道が出まして、保険料を下げるというようなこともありまして、そういうものから見ると、もう少しこういう現場調査に当たる人たちのところに資金を回すかして、このあたりをふやすとか、そういう指導は、運輸省の方では今のところ考えていないんですか。少しずつ努力していくんだというのはよくわかるんですが、その点はどうなんでしょうか。
  236. 荒井正吾

    ○荒井(正)政府委員 目算会の事故調査の体制、今正確におっしゃったとおりでございます。一方、事故の件数は大変多大でございますし、ふえつつあるわけでございますが、今度の改善の通達ないし改善の策の中心は、被害者無責、死人に口なしで、被害者及びその遺族の方と加害者の方の情報の突き合わせが非常に不公平になる場合、あるいは重過失減額、被害者に大変な重過失があって相当減額されるといったハンディの大きいものを特定事案として処理する体制を考えようというのが中心でございます。したがいまして、調査は、非常に難しい、難題を中心に、重点的にしてほしいと思っております。さらに、事故の件数は多うございますが、今、委員もちょっと御指摘されましたように、すべてがすべてマンパワーが要るという事情でもないようでございます。ただ、今後、こういう公平性についての厳しい吟味が進みますと、人が要るかもしれませんので、そういう状況に達すれば、増員というようなことを十分考えなければいかぬかと思っております。今しばらく、その努力の跡をフォローしてみたいという態度でございます。
  237. 富田茂之

    富田分科員 わかりました。  この報告書の中でも、自賠責保険の有無責等審査会あるいは再審査会というようなものを設ける。これまでは死亡無責を適用しようとするケースや死亡重過失減額を適用しようとするケース、こういうような認定困難な事案も自算会の中で内部的に処理されていたものについて、まず、弁護士の参加を求めて審査会をやる、それに異議があるような場合には再審査会ということで、第三者のみで構成する審査機関を置く。これのメンバーは交通法学者とか日弁連推薦の弁護士、学識経験者等で、本当に中立的にやる、こういう組織を新設するという提言をされておりまして、これは本当にいいことだな、積極的に評価すべきだと思うんですが、ちょっと気になることがあります。  昨年の十月十七日付の日経新聞なんですが、この自算会の布江さんという専務理事が、もしかしたら前後が切り取られて、切り文的に記者さんに引用されたのかもしれませんので、はっきりしたことはわかりませんが、弁護士への協力要請について、「弁護士への支払いが経費を押し上げ、保険料負担の増加につながりかねない」というようなコメントを述べられているんですね。  こういうことをもしこの専務理事が言われるとすると、せっかくこの有無責等審査会あるいは再審査会というものを設けるとしても、では、この具体的構成あるいはこれにかかる経費というものをどういうふうに負担しようとしているのか、ちょっと心配になるんですが、そのあたりについては、運輸省の方はどのように把握されているんですか。
  238. 荒井正吾

    ○荒井(正)政府委員 日経新聞、私も読みましたが、新聞報道に盾突くと最近はなかなか難しいものがあると思いますが、布江さんは、この改善策の交渉を通じまして存じ上げましたが、大変積極的で立派な方でございます。したがいまして、事故見分ではございませんが、発言の真意はわかりませんが、多分そのような言い方じゃなかったとは思っております。  それはともかくといたしまして、経費についてでございますが、審査会、再審査会に参加者を招くというときに、日当、謝金等の支出になろうかと思いますが、自算会におきまして、二千人以上の組織でございますので、その中で処理することは可能だというふうに聞いております。
  239. 富田茂之

    富田分科員 今の局長答弁を信じたいと思いますが、この審査会とか再審査会のメンバー、特に再審査会のメンバーですね。これは公表しないというふうに報告書に記載されております。  最初に局長の方が出された通達に、先ほども御紹介しましたが、自賠責保険の支払いに係る一層の公平性の確保、また意志決定システムに係る一層の透明性の向上を図るための改善策を出せというふうにうたわれていることを見ますと、審査会や再審査会のメンバー、これもきちんと公表して世間の批判にさらさせるということが僕は必要じゃないかと思うのですが、この点はどのように考えていらっしゃいますか。
  240. 荒井正吾

    ○荒井(正)政府委員 審査会、再審査会の構成、人選でございますが、四月一日からのスタートでございます。メンバーの構成は、日弁連から推薦を受けた交通事故を専門とする弁護士の方、それから交通法学会から推薦を受けた交通法学者の方、日本医師会から推薦を受けた医師等の専門家及び世論の代表とみなされます報道関係者というふうにカテゴリーとしてはお願いしております。具体的な個人名の公表でございますが、審査会、再審査会は、当事者があるいは保険会社が入って大変もめた事案を特定事案として再審査あるいは特別の再審査をするということでございますので、関係者の利害が大変錯綜したり、思いが錯綜しているケースが多いものと思います。  したがいまして、想像でございますが、メンバーの個人名を公表した場合、関係者の方の陳情、要望その他が殺到、善意の方ばかりであればよろしいのでございますが、いろいろなプレッシャーが殺到して、せっかく入っていただいたメンバーの方に御迷惑をかけるおそれがあるんじゃないかというような懸念から、個人名の公表を差し控えたものでございます。しかし、透明性ということは基本線としてこれから維持をしていきたいと思います。先ほど申しましたような分野の方に参加していただくということは、今申し上げたとおりでございます。
  241. 富田茂之

    富田分科員 この再審査会のメンバー等については目算会と運輸省が協議して最終的に決定するというような報告になっておりましたので、中立性、公平性を疑われないように、そこはもう運輸省の方で努力していただきたいと思います。  あと、後遺障害の態様、程度について、これを的確に把握するための照会様式を定型化する、これによって「後遺障害の態様・程度の的確な把握に努める。」というような報告書の文がありました。  私もいろいろ相談を受けて、お医者さんに後遺症認定の診断書を出していただいて被害者の方から自算会等に何度も出したことがあるのですが、なかなかお医者さんが専門的じゃないものですから、医学所見を書くところが個々ばらばらでして、自算会の方が見てこれでは認定できないというようなことが本当に多かったんですね。この点を様式の定型化によって改善できるのかなとちょっと懸念を持っているのですが、そのあたりはどのように検討されたんでしょうか。     〔増田主査代理退席、主査着席〕
  242. 荒井正吾

    ○荒井(正)政府委員 今委員指摘のように、後遺障害は後で出てくるものでございますので、さまざまな症状が発生いたします。定型化することはなかなか容易ではございませんが、一方、交通事故の強制保険の賠償という観点からは、不公平にならないように公正な賠償ができるためには、客観性あるいはそのための定型化ということはある程度要求されると思います。  従来、今委員指摘の点でございますが、保険金請求に際して提出される医師の診断書には、後遺障害の等級認定に必要な情報が必ずしも十分に記載されていないケースもあったということを認識しております。  このような認識でございますので、少なくとも医療機関への照会様式については定型化を進めることにしたいと思っておりますが、もちろんそれだけで定型化が必ず進むというものでもないわけでございますが、これも先ほどの姿勢の一環かもしれない、まず第一歩というふうに考えている次第でございます。
  243. 富田茂之

    富田分科員 次の質問に移らせていただきますが、後遺障害についてよく問題になるのは、労災の方の等級と大分違ってくるという点、いろいろな方から言われます。労災の方は結構高く認定してくれるのに、自賠責の方は認定が低くて、金額的にも不満だというような相談をよく私自身も受けるのですが、この労働者災害補償保険法施行規則別表一の障害等級表と自動車損害賠償保障法施行令別表の後遺障害別等級表、これは見てみますと、もうほとんど同じ表現ですね。一番上の「両眼が失明したもの」から始まって十四級までほとんど同じ。  これについて、もともとこの労災の方の規定が、一九三六年の工場法施行令の身体障害等級及び障害扶助料金表からこれをもとにずっとつくられてきたものじゃないかというような指摘もありますし、この労災の規定を自賠法の方でまた引っ張ったというような指摘もされております。  こういうことを考えますと、労災の方は本来十五歳以上の働ける年代層を対象にしていたものであって、交通事故の被害者の人たちというのは、交通弱者と言われますけれども、幼年の人とか高齢者が多いわけですから、なかなか労働者を対象にした等級がそのまま今の時代に当てはまるのかなという疑問が一つあります。  また、お医者さんの方からの意見では、この等級表が整形外科医の発想でつくられているんじゃないか、内科とかあるいは精神科系の後遺障害がほとんど無視されている、これだけ医学も発達して、またいろいろな病気の原因等がわかってきたときに、こういう古い時代のものをもとにした等級表を自賠責の方でそのまま適用するというのはおかしいんじゃないか、時代に応じた改革が必要なんじゃないかというような提言も大分されていると思うのですが、そのあたりについては運輸省はどのように考えているのでしょうか。
  244. 荒井正吾

    ○荒井(正)政府委員 自賠責保険の後遺障害の等級につきましての経緯は、今委員指摘のとおりでございます。以前からございました労災保険に基本的に準拠しておるわけでございます。  すべての国民が対象となります自賠責保険について、勤労者を対象としております労災の制度に準拠することは問題だという基本的な御指摘も過去にあるわけでございますが、この自賠責保険の後遺障害の等級のあり方につきましていろいろな経緯があるわけでございます。  昭和四十八年に自賠責保険審議会答申が出ておりまして、後遺障害特別委員会というものができまして、これには医療関係者、脳外科、精神神経科その他六名の医者の方が入っておられると聞きます。あるいは法律の専門家の方々等の意見を踏まえて、約一年間、労災の保険の別表と自賠責の保険の別表の差異の適否について検討されたと聞いておりますが、そのときには、自賠責保険の等級は基本的には妥当性があると判断されたという歴史がございます。  ただ、その後今日まで、昭和五十三年、五十九年、最近では平成二年と三次にわたり検討委員会等を設けて、検討見直しがされてきたものでございます。  後遺障害等級表の見直しは、いろいろな治療の方法とか後遺障害の実態が変わってくるものだと思いますので、時代の要請に応じて今後も見直しを行うべきだと思います。ある面、各方面から見直しを求める意見がふえておるというふうな感覚もございますし、委員の御指摘の面もございますので、特に最近の先進的な医療の知識を持たれた専門家が参加する委員会の設置も含めて、見直しについての積極的な姿勢で検討はしてみたいと考えております。
  245. 富田茂之

    富田分科員 ぜひ、それはよろしくお願いいたしたいと思います。  あと、平成十年一月十二日付で運輸省の記者発表資料というのが出ておりまして、これをいただきました。  「自賠責保険の支払いの適正化を通じた自動車事故被害者保護の充実について」、こういう題の資料でしたが、この資料の中で、運輸省は、自算会の損害調査の円滑な実施を支援するため、自算会が関係各官署から協力を得られるよう関係省庁と協議をしていきますというような記載がございました。  この点について二点ほどお尋ねしたいのですが、今の労災と自賠の認定が違ったような場合、運輸省としては、労働省の方にいろいろな働きかけがまたできると思うのですが、これはその場合にどういうふうな協力を求めていくのか。また、勤務中の交通事故なんというのは典型になると思うのですけれども、そういう場合に、それはもう労災の適用がされて、労災の専門医が診断したり、そちらの医療機関の方での診療経過、治療経過のわかるレセプト等も存在すると思うのですが、なかなか自賠の方の調査員がこれを見せてもらえないというような状況があるようです。  そういう点も含めて、運輸省と労働省でかなり協力していくことができると思うのですが、その点については運輸省は今どのような働きかけをしているのでしょうか。
  246. 荒井正吾

    ○荒井(正)政府委員 労災の等級認定と自賠の等級認定が、先ほど別表で、基本的な準拠でございますが、具体的な適用に当たりまして時々相違するケースがございます。  今委員指摘のように、労災の等級認定を非常に重要な貴重な資料として利用すればいいわけでございますが、従来、労災の等級認定につきましては、関係者の守秘義務等から、認定の根拠について自算会が具体的な情報を得るのに困難なケースも多かったと聞いております。・  今後のことでございますが、被害者の方は、どうして労災と等級が違うのだろうかという疑問を持たれて、もし違えばその根拠を教えてほしいというふうにお求めになるのがごく自然でございますので、等級認定が相違した場合は、目算会と労働基準監督署との間で情報交換、意見交換が可能となるよう労働省に申し入れをしております。  労働省も、その趣旨は理解していただきまして、認定困難なケースについて情報交換、意見交換が今後軌道に乗るというふうなことを期待しておる段階でございます。
  247. 富田茂之

    富田分科員 それはもうぜひ、現場でもきちんとできるように、運輸省本省の方でぜひ頑張っていただきたいと思います。  もう一点、先ほど、審査会、再審査会の組織が報告書の中でうたわれておりましたけれども、そういう審査会や再審査会を開く際、そのメンバーが現場に行って事故状況検討するということはできないわけですから、そういう場合に、私は警察官が作成した実況見分調書の活用というものが本当に重要になってくるんじゃないかと思うのですが、今なかなかこれは手に入れることができない。運輸省の方で、法務省やあるいは警察庁と、この実況見分調書の活用というものについて何か具体的な協議がされているのでしょうか。
  248. 荒井正吾

    ○荒井(正)政府委員 警察御当局が調査されます実況見分調書は、大変有力な情報でございます。事故状況の把握について重要な情報でございますが、従来から、警察当局から個々の事案ごとに、刑事訴訟法等の法令の制約があるわけでございますが、それに抵触しない範囲で御協力をいただいております。  今後とも、法令に基づき、捜査上の支障や関係者の人権、プライバシーの保護に支障のない範囲で協力を得られるものと理解しておるところでございます。
  249. 富田茂之

    富田分科員 これは最後の質問になると思うのですが、今、刑事訴訟法に抵触しない範囲、また、プライバシーを侵害しないような範囲でということでしたけれども、今回こういう審査会とか再審査会というものを新たに組織する、ここで公平中立な審査をしていくのだ、そこできちんとやられれば、被害者も大分納得していくと思うのです。そのためにも、実況見分調書がそういう場に出せるような何かそういう仕組みをぜひ運輸省の方で主導的に動いていただいて、法務省や警察庁と協議できないかなと、私、この報告書を読ませてもらって思ったのです。  実は、もう十年ぐらい前になると思いますけれども交通事故なんかあった場合に、刑事事件で裁判になれば、民事の裁判の方でもきちんとその記録が取り寄せられたりできるのですけれども、刑事の方で不起訴になった、そういう場合、不起訴記録の実況見分調書というのは、これまで表に出てくることはなかったのですが、十年ぐらい前に、法曹三者の方で検討されたのだと思うのですが、弁護士法二十三条の二に基づく照会の申し出の制度を利用して、弁護士が事件を受けた場合に、警察庁にこの不起訴記録にとじられている実況見分調書も閲覧、謄写ができるようになったのです。  こういう仕組みをぜひ運輸省の方で法務省や警察庁に働きかけて、自算会の中にこういう審査会、再審査会という本当にいい制度ができてくるわけですから、そこにはせめて見せてもらえるように、まあ現場の調査員が行って見せろと言ってもなかなかそれはプライバシーの問題等がありますから難しいとは思うのですが、せっかくこういう自算会も努力しているものに対して、運輸省協力して、何かそういう仕組み、制度がつくれないかと思うのです。  ここば制度改正等になっていくと思いますので、なかなか難しいと思うのですが、大臣、どうですかね、このあたり、ひとつ在任中にどんとやっていただいて、新しい試みをしていただきたいと思うのですが、ぜひ御意見を最後にお聞かせ願いたいと思います。
  250. 藤井孝男

    藤井国務大臣 警察の捜査は犯罪捜査の観点から行われているものでございまして、実況見分調書等の内容の公開については、刑事訴訟法等の規定に照らして、今、委員もこれは御承知のことだと思いますが、大変難しい問題があると認識をいたしております。  これまでも警察当局からは可能な範囲で協力していただいておりまして、今後とも引き続き必要な協力をいただけるものと考えています。  まあ委員のおっしゃることはよくわかりますが、警察も大変協力をいただいておりますので、その点につきましてはまた御理解をいただければと思っております。
  251. 富田茂之

    富田分科員 刑訴法四十七条は、訴訟記録の公開を禁止はしているのですけれども、これは全面禁止はしていませんので、新たな仕組みができれば、また先ほどの弁護士法の照会のように、見ることもできると思いますので、ぜひ運輸省にそういう努力をしていただきたいとお願いしまして、質問を終えたいと思います。どうもありがとうございました。
  252. 桜井新

    桜井主査 これにて富田茂之君の質疑は終了いたしました。  次に、上原康助君。
  253. 上原康助

    上原分科員 どうも、藤井大臣初め関係者の皆さん、大変遅くまで御苦労さまです。あとしばらくですので。  私は、一つは、沖縄政策協議会で運輸省所管のことがいろいろ検討されておるようですが、空港インフラ整備推進というか、那覇空港の将来展望あるいは位置づけについて、大臣運輸省関係者の御見解を聞いておきたいと思うのです。いろいろ検討されておって、今月末かあるいは近々検討結果がまとまると聞いておるのですが、現在どうなっているのか。  例えば、那覇空港が国際的に発展する可能性について、どういう御見解あるいは展望があるのか。もちろん、これは輸送実績なりあるいは国際的ないろいろな関係等で決まっていくことではあるのだが、国際都市形成構想とのかかわりで、ハブ空港構想などもいろいろ取りざたされておるわけですが、そういう点についてはどうお考えなのか。また、御承知のように、自衛隊との共用空港であることなどもあって、非常に安全面でも支障を来す面もあるわけですね。それから、現実問題として、これはなかなか民間専用にするということも難しい状況にあります。  今私が指摘をしたことなどを勘案した上で、那覇空港の将来展望についての御見解をお聞かせいただきたいと存じます。
  254. 楠木行雄

    ○楠木政府委員 お答えをいたします。  那覇空港の施設運用あるいは国際面での今後の展望いかんということでございますが、那覇空港は、現在国が設置、管理しております三千メーターの滑走路を持つ二十四時間運用の空港でございまして、年間九百万人の利用客があるわけでございます。現在、この利用者の増大に対応するために、本土線及び島内線を統合した新国内線ターミナル地域整備平成十一年春の供用開始に向け整備中でございまして、当面の需要については十分対応できると考えております。  また、長期的な問題といたしまして、地元で構想されております沖合展開による滑走路の増設問題につきましては、沖縄特別振興対策調整費、この中で、長期的な航空需要への対応観点から、その必要性を含めて検討を行っているところでございます。  先生指摘の国際航空網の増開設、こういったものの見通しいかんということでございますけれども、現在、沖縄におきましては、本邦及び外国航空企業によりまして、外国の三都市との間で国際航空路線が運航されております。このほか、現行の航空協定上、沖縄への運航権を擁する国が六カ国ございまして、これらの国の航空企業については現段階においても既に沖縄への乗り入れを行うことが可能であるわけでございます。  こういった意味で、沖縄に運航する権利を航空協定上有している国の航空企業に対して、民間ベースで沖縄乗り入れを奨励することが先決であるわけでございますが、さらに運輸省といたしましても、航空企業が沖縄への乗り入れを希望する場合には、航空交渉においてできる限り柔軟に対応することにいたしたいと考えておる次第でございます。  最後におっしゃいましたいわゆる共用の点でございます。これは何度も先生からも御指摘はいただいておるわけでございますけれども、日本の場合、国土あるいは空域といったものが狭くてこういったものが残ってしまうわけでございますが、先生指摘の点も踏まえ、私どももまたこれからよく検討してまいりたいと思います。
  255. 上原康助

    上原分科員 そこで、今、沖合展開の構想があるということはコメントがありましたが、随分前からそういう要望は強かったわけですよ。沖縄経済界の皆さん、共用を少しでも、安全性、危険性というか、そういう面を緩和していくには沖合展開しなければいかぬじゃないか、だが、これは最近はさたやみになっておるんですよ。政府としてはというか、運輸省としては、沖縄県なり地元の方から、沖合展開の那覇空港というものがそういうことで要求というか要請、構想が出てくれば検討するお立場にあるということなのか、これは大臣の方からお答えいだだいた方がいいのかな。
  256. 藤井孝男

    藤井国務大臣 これは、上原委員もう御承知のとおりと思いますが、もちろん新空港滑走路をふやす場合等々、まず長期的な航空需要対応観点というのがございます。そういった点を踏まえて、地元からそういう要望協力要請等があれば、私どもといたしましては、そういう需要の観点も含めまして検討することは当然のことだと思っておりますが、現在、沖縄特別振興対策調整費の中でその必要性を含めて検討しているところでございます。
  257. 上原康助

    上原分科員 それは、ぜひ引き続き積極的に御検討を願いたいと思います。  そこで、十一年というと来春、ようやく中央ターミナルというのが完成するわけですよ。沖縄に行かれておわかりだと思うのですが、ああいう変則的なターミナルがある空港はないですね。だから、あれだけ見ても、基本的インフラというものがいかにいびつな形でしか進んでこなかったかということを、大臣はおわかりだと思うのですが、ぜひ関係者の皆さん、しかと受けとめていただきたい。なぜそうなったのか。そういうところにも沖縄の不満があり、今日のいろいろな政治的な亀裂というか摩擦があるということを踏まえて、この空港整備のことについては積極的に前倒しをしてでもきちっとやるように強く要望をしておきたいと存じます。  次に、きょう私はずっと座っていろいろ各先生方、御質問者の意見を承ったのですが、ほとんどがJRの問題、新幹線、鉄軌道のことなんですよ。だが、沖縄にはそういう鉄軌道もない。モノレールがようやく今着工になって、これは平成十五年から供用できるような方向検討されているようです。しかし、十三キロぐらいですか、そのことは後で大臣なりお答えいただきたいのですが、そういった鉄軌道がない。主要な交通機関というとバスなんですよ。しかし、この沖縄の公共輸送機関であるバス企業が今大変な状況にあることは御承知のとおりです。  もちろんこれは私的企業ですから、政府がどうとか行政が先行してというのか、直接的にはいろいろ面倒を見るというわけにはいかないと思うのです。  だが、このままこのバス企業の問題を放っておって、放っておるわけじゃありませんが、既に合併統合方針も出しているし、また今申し上げた平成十五年末に予定されておるモノレールの開業とも関連させて県でもいろいろ対策が講じられているわけですが、国としては、今の沖縄のバス四社の企業実態あるいは今後の公共交通機関としてのバス企業というもの、やはりこれは基幹交通機関ですから、これをどうしようとしているのか、どういう相談を受けて、どういう指導助言をしておられるのか。特に、赤字経営で大変な状態に追いやられている、こういうことについてひとつ総合的に、今の状況と、政府としてはどういうお考えなのか、またどうすればこれが公共交通機関として健全な方向に再建されていくものなのか、少し御見解をお示しください。
  258. 荒井正吾

    ○荒井(正)政府委員 お答え申し上げます。  沖縄本島のバス事業者四社、琉球、沖縄、那覇、東陽、四社の現状及び今後の方向ということでございます。  沖縄のバス輸送あるいは交通全体が関係するかもしれませんが、全体的に、モータリゼーションが進展する中で、バスの輸送人員が減少してきたわけでございます。経営的には、累積欠損が非常に多額になってきて、各社とも経営問題を抱えておられる。その中で、モノレールが今後空港からのアクセス輸送機関として中心になる見込みということでございます。目下の問題は、累積欠損のほか、具体的な余剰人員、退職金の支払い等まで問題が進展しておると認識しております。一言で言えば、少々程度の差はありますが、経営的には大変深刻な状態に四社ともあるということを認識しております。  それで、今御案内のように、四社間で、昨年六月に、一般乗り合い部門について統合するという方向に向けて基本的合意がなされました。現在まで具体的な進展はございませんが、四社による統合促進検討委員会というものもこの四月からスタートするというふうに聞いております。  私的企業でございますので、国、県等がどのような形で協力できるか難しい面もあるわけでございますが、先ほど御紹介申し上げました余剰人員の話、退職金の話、過去の負の資産をどのようにするかということが非常に大きな課題でございます。  また、今後、バスが輸送の中核になるかということでございます。長くなって恐縮でございますが、何よりも日本で有数の観光地でございますので、バス輸送というのは、住民の皆様の足のみならず、来訪者のための大変重要な機関ということに今後ともなろうかと考えております。
  259. 上原康助

    上原分科員 もちろんこれは私的企業ですから、今おっしゃられるように、自助努力とかいろいろやらなければいけないと思うのですが、余り立ち入ったことは申し上げませんが、四竹の累積赤字というのも大変になっているのではないですか。今、春闘の時期なのだが、もう賃上げどころではないですね。もちろん、四社それぞれ程度の差はある。今おっしゃるように、昨年六月に統合方針は、合併は合意したけれどもなかなか進展しないといういわゆる企業間のいろいろな問題も抱えている。  乗り合いバスの生活路線の維持対策というのは、やはりこれが公共的要素が強いだけに、弱いお立場の方々とか学生とか、鉄軌道がないわけですから、本当に大変な交通渋滞の中で支障を来しているのですね。こういうことについては、単に私企業だから、あるいは、なかなか路線の競合等があって過疎路線に対する補助制度というものの適用も難しいとか、いろいろなハンディはあるようですが、やはりここは、介入とかそういうことではなくして、政府として、県とも、善意の誠意ある協議をした上でやっていただかないと困ると私は思うのです。  時間の都合もありますから、藤井大臣もある程度実情については知っていらっしゃると思うので、多分運政審でもいろいろ審議もされているのではないかと思うのですが、もう少し積極的な指導助言ができませんかね。
  260. 荒井正吾

    ○荒井(正)政府委員 まず、今の状況等をごく簡単に御紹介させていただきます。  バスの補助制度でございますが、沖縄におきまして、先ほど委員御紹介のように、四社が大変深刻な状況の中でそれぞれ競争されておるという状況で、長年の懸案でございます。正直言いまして、我々の持っております補助制度がなかなか活用できない状況にあるということでございますが、今後、沖縄における足というのはどうしても、来訪者のためにもぜひ必要でございます。  どのような補助制度が今後沖縄に向いた補助制度になるのかというのは心して検討しなければいかぬと思いますが、今の経営状況、退職金等の支払い、余剰人員対策というようなものになかなか直接適応できないというような補助制度になっておる状況にございます。
  261. 上原康助

    上原分科員 それはまあ行政ベースというか、あるいは今の制度の中では今局長答弁なさるどおりの範囲かもしれませんけれども運輸大臣、これはやはり沖縄振興策との関係もありますし、本来、いろいろな複合的な影響、悪い影響があってそういう状況に追い込まれている社会的背景、要因というのも見落としてはならないと私は思うのですね。そういう面で、政策、政治判断でどういうことができるか運輸省として少し御検討いただいて、沖縄開発庁あるいは関係者と御協議していただけませんか。
  262. 藤井孝男

    藤井国務大臣 今の上原委員の御趣旨を私ども十分認識をしながら、沖縄開発庁とも、何ができるのか、どういう形がいいのか等々を踏まえて検討はさせていただきたいと思いますが、この四社、私もその辺はまだ詳しくわかりませんが、やはり会社の方、企業の方も合理化と申しましょうか、例えば、これはどうかわかりませんが、合併するとかいった企業の自助努力というものも踏まえながら、それにあわせて国がどういう支援と申しましょうか助成ができるのか、そういうことをよくお互いに密接に、どういう点に問題点があり、どういう点が改善すべきか。また、沖縄開発庁が中心になろうと思いますが、国としてどういうことができるか。運輸省がこうしたバス行政について、これからも生活路線として、また特に沖縄の場合は観光の島として大変すばらしい魅力を持ったところでありますから、バス交通というのが一番の大きな手段だと思っておりますから、そういう点を含めまして、さらなる検討をしてまいりたい、このように思っているところでございます。
  263. 上原康助

    上原分科員 ぜひそれは、積極的といいますか早急に御検討いただきたいと思うのです。もうこれは相当経過がありまして、何回かいい方向に向かうかなと思ったらまた停滞をする、なかなかいかない。  今度の場合も、乗り合いバスというか普通の路線は統合するけれども、貸し切りとか観光部門はまたそれぞれ四社、これはドル箱ですから、そういった面もなかなか容易ではないみたいですね。ですから、そういう中で、貸し切りバスの新規参入が規制緩和の中で出たということも相当影響を受けるようですから、これはまたじかに、いろいろ関係局や部とお話し合いをしてみましょう。  次に、時間もありませんから、那覇の重要港湾整備状況と、これから浦添埠頭を含めての港湾整備の構想というか計画、大筋でいいですから聞かせていただきたいと思うのです。  沖縄政策協議会の中でいろいろ検討されているようですが、国際都市形成構想の位置づけの中に、中枢国際港湾への格上げができないものか、こういう地元の意見があることは恐らくおわかりかと思うのですが、現在の那覇港湾というのは、御承知のように、通称安謝新港から浦添埠頭に至るまで、あれは管理権は那覇市にあるのではないですかね。そういった全体像について、運輸省としてはどういうふうに位置づけて、どういう整備をしようとしておられるのか、ちょっとお聞かせを願いたいと存じます。
  264. 木本英明

    ○木本政府委員 那覇港の整備状況、また位置づけのお話でございますが、まず整備状況につきましては、御案内のとおり、那覇市の地先での港湾整備の展開から、今徐々に浦添の方に展開しつつあるという状況でございます。そして、施設的には、既に北米等と結ぶコンテナ定期航路が幾つか入っておりまして、そういったものに対応するための水深十三メートル級のコンテナターミナル整備を進めておりまして、既に一つのバースができておりまして、今二バース目に取りかかっておる、そういった状況でございます。  港の位置づけでございますが、御案内のとおり、私ども全国の港湾配置あるいは整備計画につきまして、いわゆる東京湾とか大阪湾のようなああいう日本の根幹的な国際物流を担うような港を中枢港湾と位置づけまして、これは四地域、東京湾、伊勢湾、大阪湾、それから北部九州地域を位置づけております。そのほかに全国の八ブロックを代表する拠点港湾を中核港湾と位置づけておりまして、那覇港はその八つの中核港湾の一つとして位置づけをいたしております。  それを中枢港湾という今お話でございましたが、やはり港湾のそういった実情だとか利用状況、それから根幹的な、日本を代表するような物流拠点港湾の位置づけ等から見まして、やはり中枢港湾にはまだちょっと遠いのかな、そういう感じでございます。  いずれにいたしましても、沖縄、離島県を代表する大港湾でございますから、そういった観点で、沖縄の一層の振興を図るために、私ども那覇港の整備をしっかり応援していきたい、こういうふうに考えております。
  265. 上原康助

    上原分科員 今の物量、流通の現状からして御答弁のとおりかもしれませんが、さっきのバス問題もそうですが、空港にしても港湾にしても、正直申し上げて基本的なインフラがまだまだなのですよ。水深も十三メーター、僕はこれはもう前から言っている。せめて、つくるのだから、中城湾港もつくっているのだから、十五メーター、十六メーターぐらいにして、ガントリークレーン、そういったものも設置したらどうかと言うと、いや、それだけの物量がないからといって、みんなやらない。これでは、国際都市とかなんとかいったって空文句に終わってしまう。ですから、そういったことについてはもっとひとつ国もお考えになっていただきたい。  そこで、もう時間ですから、さっき申し上げましたが、モノレールが平成十五年にようやく、私に言わせればおもちゃみたいに、那覇空港から首里まで延長十三キロ。確かに、これは総経費が千八十一億もかかるというのですから、大変な投資であり、ある面では沖縄振興に役立つと思うのです。私は、こういう問題は、大臣、さっきから聞いていると、みんなJRの話でしょう、新幹線でしょう、青函トンネルでしょう。どれだけの国費を国民のために、日本列島に投入してきたのですか。私に言わせれば、沖縄はそういう恩恵を受けていないのです。  だから、それこそ本当に沖縄の今の交通渋滞、交通アクセスを考えてくださるというならば、私は、投資効果とかなんとか言わずに、受益者負担とか言わずに、那覇を起点に、北は沖縄海洋博記念公園まで、将来は奥間まで延ばす、南は糸満の平和祈念公園までモノレールを延長させるか、あるいは沖縄的JRというものをそれこそ国の交通政策として考えていただきたい。これは、もう首を振っている役人もいらっしゃるけれども、それは大臣がリードして、内閣としてひとつ御検討をいただきたい。総理が言う二十一世紀プランにそういうものをぜひはめ込んでいただきたい。これは大臣の方から御所見を聞いて、もう時間ですから、きょうのところは終えたいと存じます。
  266. 藤井孝男

    藤井国務大臣 今モノレールの件につきましてもお触れになりましたけれども、これも延伸等について、やはり経営が成り立つのであればできる限り幅広く利用に供されることが望ましいと考えておりますし、また鉄軌道の問題につきましても、やはり将来における事業環境状況、また輸送需要の見通しというのは、委員のおっしゃられることはよく私もわかります。わかりますが、そういうものをもし進めるとするならば、やはりどうしても需要予想とかその見込みとか、そういったことも踏まえていかなければなりませんので、今ここで私がわかりましたと胸を張って言えれば、これで結構なことでありますが、これが、何もできないものを、私が、わかりました、任せてくださいと言うわけには、これはむしろ無責任な答えになりますので、やはりそういった可能性、採算性、需要の伸び等もやはり十分踏まえながら、これは慎重に検討すべきものと考えているところでございます。
  267. 上原康助

    上原分科員 運輸省はそういうのは専門ですから、シミュレーションもしてみて、これはやはり沖縄の五十年先、百年先を考えると絶対やらなければいけない、これこそ国策ですよ。一つ一つこういうことをやれば問題は解決するかもしれない。  終わります。
  268. 桜井新

    桜井主査 これにて上原康助君の質疑は終了いたしました。     —————————————
  269. 桜井新

    桜井主査 次に、郵政省所管について政府から説明を聴取いたします。自見郵政大臣
  270. 自見庄三郎

    ○自見国務大臣 委員の皆様には、郵政行政の適切な運営につきまして、平素から格別の御指導をいただき、心から御礼申し上げます。  当省所管各会計の平成十年度予算案につきまして、御説明申し上げます。  最初に、一般会計予算案でありますが、歳出予定額は八百八十一億円で、平成九年度当初予算額に対し四十四億円の増加となっております。  この一般会計予算案における重要施策について御説明申し上げます。  まず、次世代ネットワークインフラの構築を推進する観点から、基幹的な情報通信基盤としての加入者系光ファイバー網の整備促進、移動通信サービスの地域格差を是正する移動通信用鉄塔施設整備事業、さまざまな通信’放送サービスをより低コストで実現するための成層圏無線プラットホームの研究開発、国民の皆様に技術革新の成果を還元し情報選択機会を拡大するための地上デジタル放送のパイロット実験等の諸施策実施することとしております。  また、情報通信利用の高度化推進する観点から、関係省庁と連携して公共分野の情報化を推進する電気通信システム共同開発事業、中心市街地の活性化に資するマルチメディア街中にぎわい創出事業、すべての人が情報通信の利便を享受できるよう、高齢者、障害者のための情報バリアフリー環境整備等の諸施策推進することとしております。  さらに、情報通信分野における創造的研究開発充実強化を図る観点から、産学官の連携による国際標準実現研究開発制度地域提案型研究開発制度の創設等の諸施策実施することとしております。  国際面では、グローバルな情報流通の促進を図る観点から、沖縄をアジア太平洋地域情報通信ハブとして形成するための沖縄マルチメディア特区構想等を推進することとしております。−  次に、郵政事業特別会計でありますが、歳入歳出予定額は、ともに七兆七千二百五十億円で、平成九年度当初予算額に対し一千五百四十三億円の減少となっております。なお、収入印紙等六印紙に係る業務外収入・支出分を除きますと、歳入歳出とも予定額は四兆九千三百九十七億円で、平成九年度当初予算額に対し八十六億円の増加となっております。  郵便貯金特別会計については、一般勘定の歳入予定額は十五兆七百五十七億円で、平成九年度当初予算額に対し七百六億円の増加となっており、歳出予定額は十兆五百九十八億円で、平成九年度当初予算額に対し一千十六億円の減少となっております。  金融自由化対策特別勘定の歳入予定額は十二兆六千百五十八億円で、平成九年度当初予算額に対し八千八百七十四億円の増加となっており、歳出予定額は十二兆六千二十四億円で、平成九年度当初予算額に対し八千七百四十三億円の増加となっております。  簡易生命保険特別会計については、歳入予定額は十九兆五千八百六十八億円で、平成九年度当初予算額に対し三千三百七十三億円の減少となっており、歳出予定額は十四兆一千五百三十四億円で、平成九年度当初予算額に対し二千三百十五億円の増加となっております。  郵政事業に関する重要施策について御説明申し上げます。  まず、事業効率化し、利用者本位の郵便局サービスの充実を図る等の観点から、新郵便番号制度による郵便処理システムの改善、郵便窓口の土日開設局の拡大、郵便貯金ATM、CDの休日稼働実施局の拡大、民間金融機関を通じた保険金等の口座振替の実施、過疎地域における高齢者の在宅福祉支援サービスの拡大等の諸施策推進することとしております。  また、国民利用者の皆様の利便の向上、地域社会の発展のために郵便局ネットワークを一層活用する観点から、ワンストップ行政サービス実験の拡充、郵便貯金と民間金融機関との間のATM、CD及び送金ネットワークの相互接続、情報受発信拠点としての郵便局におけるマルチメディア化の促進等の諸施策推進することとしております。  なお、資金運用についても、為替リスクの管理手法の充実、資金決済への日銀ネットの導入等、制度の改善充実を図ることとしております。  以上をもちまして、郵政省所管各会計の平成十年度予算案の概略につきまして御説明を終わらせていただきます。  御審議のほど、よろしくお願いを申し上げます。
  271. 桜井新

    桜井主査 以上をもちまして郵政省所管についての説明は終わりました。     —————————————
  272. 桜井新

    桜井主査 質疑に入るに先立ちまして、政府当局に申し上げます。  質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。永井英慈君
  273. 永井英慈

    永井分科員 私は、神奈川県第十区、川崎市の川崎区、幸区、中原区から選出されております民友連の永井英慈でございます。  地元の仮称新川崎郵便局の新設についての御質問をする前に、今、自見郵政大臣から所管の説明がございました。  伺っておりまして、郵政省の行政分野というのは、国民生活に本当に密着していて、大変な、責任の重い分野であるということを痛感した次第でございます。同時に、マルチメディア時代というようなことで、情報通信の分野の責任もこれまた大きい。とりわけ、この分野が次なる我が国の経済の主流を担っていかざるを得ないというような認識もされておるわけでして、本当に大変なことだと思うんです。  その割には、この間の逓信委員会でも申し上げましたが、国民にびんぴんと伝わってくるものが弱いような感じがするんです。それは、一昨年来から、郵政三事業の経営形態の見直しあるいは郵政省の解体、こういうどちらかというと郵政省にとっては余りフォローの風が吹いていなかった、そのために、一般国民は、どちらかというと郵政三事業の経営形態に関心がとられて、そちらに引っ張られていったような感じが私はするんです。  そういうムード、雰囲気を払拭するのは、やはり、アメリカの予算、アメリカの政治じゃありませんけれども、戦略性を持たなければいかぬ。とりわけ、時代の転換期で、すごい勢いで変わっていますから、そういう時代をしっかりととらえて、次なる時代をどう切り開いていくか、日本の命運をどう切り開いていくかという気迫あるいは戦略性というものをぜひ持っていただきたい。今御説明していただいたこと、本当にすばらしいことで、一つといえども欠かすことのできない重要なことでございますので、冒頭、まずお願いを申し上げておきたいと思います。  そこで、地元の新川崎郵便局でございます。この新川崎郵便局という局名、これは最終的な正式な名称かどうか。  極めて単純なことなんですが、この新川崎という地名というんですかネーミングは、川崎では、川崎区でなくして、横須賀線の新川崎駅というのがあるんです。その周辺を新川崎と通例呼んでいるんです。したがって、この新川崎ができるところは川崎区なんです。そこへ新川崎の郵便局ということで、かなりイメージ的にロケーションが混乱する危険があるんです。ですから、最終的に決めるのは、いつ、どうやって、どういうふうに決めるのか、明確にしておいていただきたい、単純な質問ですけれども
  274. 野々村俊夫

    ○野々村説明員 お答えいたします。  現在の建設中の郵便局ですが、川崎中央郵便局から大部分の業務が移管されるということで、仮に新川崎郵便局と呼んでいるものでございまして、現在のところ、正式名称は決まっておりません。  今後、先ほど先生からお話がありました、横須賀線の駅の名前が大分違うところにあるということでございますので、皆さんの混乱を避けるという意味から、そういうことも考えまして、設置位置、それから「地域の御要望などを十分勘案しまして、開局予定、平成十一年秋ごろになりますが、それまでに正式な名称を決めさせていただきたいと思っております。(永井分科員「法律に書き込むわけですね」と呼ぶ)そうです。
  275. 永井英慈

    永井分科員 今の仮称新川崎郵便局は、川崎中央郵便局と比較的近いところですね。したがって、この新しい局と中央郵便局との名前も、整合性というか、うまく名称をつけることが大事ではないかと思うんです。  そこで、今の川崎中央郵便局という名称を変更して、もっと適切な名称に変更できるのかどうか、ちょっとその辺のところもあわせて検討していただきたいと思うんです。
  276. 野々村俊夫

    ○野々村説明員 今の御質問は、川崎中央郵便局と新しい郵便局との両方が近いから混同しないような名前にするということでしょうか。  現在のところ、川崎中央郵便局は既に住民の皆さんに親しまれている名前でございますので変えるということは考えておりませんが、新しい郵便局の方で違った名前をつけていくということで考えたいと思っております。  それから、先ほどの御質問ですが、名称につきましては告示でございます。申しわけありません。訂正させていただきます。  以上でございます。
  277. 永井英慈

    永井分科員 そこで、こういう公共施設、サービス提供施設というのは適正配置ということが大事なんですね。ところが、御承知のように、川崎の南部、川崎区、幸区、中原区、これは川崎区に今言いました中央郵便局がある、幸区には十五万の人口がありながら郵便局なし、そして中原区が約二十万の人口で中原郵便局があるんです。その幸区という行政区に郵便局がないということはわかっていたわけだ。それで、川崎中央郵便局があるのにまたその近くに新局をつくるということですね。  適正配置について、大変私は配慮を欠いた建設じゃないかと思うのですけれども、どうしてそういう形になってしまったか、また、いつ新川崎郵便局を今の場所に決めたのか、この辺のところ、一連の経過を御説明いただきたいと思います。
  278. 野々村俊夫

    ○野々村説明員 御指摘の新川崎郵便局、仮称でございますが、設置場所の選定について御説明いたします。  川崎市の幸区には、先生指摘のとおり集配郵便局がございません。それで、改善計画を策定した最初のころにおきましては、幸区の中に用地選定を進めるべく、平成二年には川崎市長にも文書で用地取得の御協力をお願いいたしました。  その当時、旧国鉄新鶴見操車場跡地というのがございまして、これはJR横須賀線の新川崎駅付近でございますけれども、ここに用地を求めたわけでございますが、これは川崎市の方のトータルな御計画の中で私どもが求めております面積が確保できないその他種々の条件が折り合いませんで、最終的に決定には至りませんでした。  その後も、幸区の中に幾つかの工場跡地等の取得に努めたわけでございますが、地域区分局三万平米という面積がかなりネックになったわけでございますが、三万平米という規模、それからその周辺の道路状況、これはかなり大きな運送車両が通りますので、道路状況その他建築基準法上の条件等々を満足するいい敷地が幸区の中にどうしても確保できないということで、同区内の設置を断念しまして、平成七年に、これは実は地域区分局でございますので、高速道路との関係も考えなければいけませんので、幹線道路である首都高速道路へのアクセスが良好な現在の位置に最終的に決めたということでございます。
  279. 永井英慈

    永井分科員 郵政省が一生懸命努力して現在地に用地を確保したことはよくわかるんですけれども平成七年というと私もここにもういたわけです。こういう公共施設をどこにつくるかというのは、かなりある意味では政治的な配慮もしなければいけない、逆に地元の政治家の協力も得る必要があろうかと思うんです。ところが、私は全くこの決定経過は知らなかったんです。去年の夏ごろ初めて知ったような状態なんです。ですから、今お話しの面積だとかあるいは取りつけの道路とかいろいろな条件があるわけですけれども、なぜ相談してくれなかったのかという思いで大変悔やまれてならないのです。  適正配置をするということは大変重要なことですから、しかも幸区に郵便局はないわけですから、しかも既に今お話しのように鶴見の操車場の跡地、あれは国鉄清算事業団がまだ持っているところはいっぱいあるわけですね。そういうところ等も多分当たったと思うけれども、それでも何としてもあの辺に設置して、今の仮称になっている新川崎郵便局、こういう形でつくっていただきたかった。しかし、もう間に合いませんので、いつまでもそんなことを悔やんでもしようがありません。  こういう新局をこれから郵政省は全国に幾つぐらい、例えば五年とか十年計画ですね、新設をしていく計画があるのか、ちょっとお伺いしたいと思います。
  280. 野々村俊夫

    ○野々村説明員 ちょっと漠としたお答えしかできなくて大変申しわけございませんが、今後十年ぐらいの間に、一年大体一局ぐらいの感じで新設していくという計画でございます。
  281. 永井英慈

    永井分科員 そこで、新川崎郵便局はかなり規模が大きいと聞いております。先ほどのお話で敷地三万平米ということですからかなりの規模だと思うのですが、ちょっとその施設の規模それから建設費、そういうことを御説明をいただきたいと思います。
  282. 野々村俊夫

    ○野々村説明員 工事費、工事の中身、施設の規模その他についてでございますが、建設位置が川崎市川崎区南渡田でございます。敷地面積がちょうど三万平米、それから建物面積が三万四千六百平米で、鉄骨造地上三階建てでございます。  工期が、先ほどちらっと触れましたが、昨年の十一月に着工いたしまして平成十一年の秋に開局を目指しております。  総工事費につきましては、土地取得費を含めまして百五十四億円でございます。
  283. 永井英慈

    永井分科員 大変大きな施設ですが、今工事している建設会社、通称ゼネコンというんですか、これはどの会社が請け負っておるのか。
  284. 野々村俊夫

    ○野々村説明員 落札工事会社でございますが、建築本体が三社のJV、ジョイントベンチャーでやっておりまして、株式会社熊谷組、三菱建設株式会社、日本鋼管工事株式会社の三社JVでございます。そのほか電灯その他設備工事が浅海電気株式会社それから受変電その他設備工事が新生テクノス株式会社、空気調和設備工事が第一工業株式会社と竹村総合設備株式会社のこれもJVでございます。それから、衛生設備工事が西原衛生工業所ということになっております。
  285. 永井英慈

    永井分科員 この件についてはこのくらいにさせてもらいますが、幸区に実はこだわるんです。幸区は、御承知のように行政区が一つでありながら郵便番号は三けたの番号が二一〇と二一一と、一つの行政区で二つの郵便番号が使われているんです。大変不便な点が住民にはあるわけですね。  そこで、新川崎郵便局ができることによって幸区の新しい郵便番号をどう決めていくか、この辺のところを、今わかっている範囲でいいです、今検討している範囲でいいですけれども、御説明いただきたいと思います。
  286. 長谷川憲正

    ○長谷川(憲)政府委員 お答え申し上げます。  川崎市幸区につきましては、先生指摘のとおりに、中原郵便局と川崎中央郵便局で半分ずつ配達を受け持っておりますために、郵便番号につきましても、今は七けたになりましたが、頭の三けたにつきましては、中原郵便局が二一一、川崎中央郵便局が二一〇ということで両方の番号が使われておるわけでございます。  今回、仮称でございますが、この新川崎郵便局が平成十一年に開局をいたしますと、幸区一円はすべて川崎中央郵便局が配達を受け持つことになっております。  その際に、幸区の郵便区番号のつけ方につきましては二通りございまして、まだ決めてございません。一つは、従来どおりの二つの番号を使用する方法でございます。これは住民の方々が改めて番号を変えるのは大変だという御意見の場合の措置でございます。もう一つは、せっかく一つの郵便局が配達することに改正をされますので、統一した新たな番号を設定するやり方でございます。  ごれから、地方自治体あるいは住民の御意向も伺いながら、適切な方法を検討してまいりたいと考えております。
  287. 永井英慈

    永井分科員 この幸区の郵便番号については、地元からいろいろ私なんかにも要望が寄せられております。郵政省もそのことについてはお話をした経過がございます。今までこの幸区の区民の皆さんに、郵便番号について、郵政省は住民の皆さんにどうアプローチしてきたか、要望を聞くなりしてきたか、ちょっとお聞かせをいただきたい。
  288. 長谷川憲正

    ○長谷川(憲)政府委員 新川崎郵便局、仮称でございますが、これができました後の新しい郵便番号のつけ方につきましては、先生指摘のとおりに、地元から要望が出ておることは私どもも承知をいたしております。  これから郵便局の具体的な中身が固まっていく段階でございますので、正直申しまして、まだ地元との具体的なお話し合いはいたしておりません。これから、先ほど申し上げましたような二つの方法がございますので、方法をいろいろ御相談申し上げたいと考えているところでございます。
  289. 永井英慈

    永井分科員 そこで、話が郵便番号にいきましたので、この二月二日から七けたの郵便番号が導入されたわけです。二月、三月、まだ四、五十日でしょうか、たったところですね。  そこで、七けたの郵便番号の導入後、順調にこれが定着する方向で進んでいるかどうか、実態をちょっとお聞かせいただきたい。
  290. 長谷川憲正

    ○長谷川(憲)政府委員 お答え申し上げます。  二月二日に郵便番号をスタートさせていただきまして、最初の週に三回の記載率の調査をさせていただきました。二月二日のスタート時点では、サンプル調査でございますが、五五・四%の番号の記載率、二月三日に六七・五%、二月六日に七二・六%という番号の記載率をちょうだいをしてございます。その後、二月十二日に、全国の特定局も含めまして六百局ほどでさらに詳細な調査をいたしましたところ、切手の張ってあります郵便物で七二・八%、それから別納、後納で出された郵便物で五五・八%という記載率をいただいているところでございます。これは制度の開始間もない時期としては大変に高い記載をいただいているものというふうに考えているところでございます。  この記載をいただきましたことによりまして、私ども、今配備をいたしております新型の区分機が効率的に活躍ができるというふうに思っているところでございまして、現在、平成九年度末で約二百局に三百五十台の新型区分機が配備されているわけでございますが、この稼働状況も順調でございます。これによりまして、現在約二千五百人の人員の節減を考えているところでございます。  その後次第に局数、あるいは配置をいたします区分機の数がふえてまいりまして、今後十年間でトータルで千百局に千五百台の機械を導入いたしまして、八千人の人員の削減と二千億円のコストの削減を図るつもりでございます。今後とも着実に進めてまいりたいと考えております。
  291. 永井英慈

    永井分科員 大変喜ばしいことだと思うのです。七けたの番号を導入してコスト低減、削減を図っていくということ、効率を上げていくということ、その目的に向かって順調に推移しているということは、いいことだと思っております。  そこで、この千百局に七けたの読み取り区分機を導入するについて、総額でどのくらい投資が必要なのか。
  292. 長谷川憲正

    ○長谷川(憲)政府委員 この新型区分機を導入するための投資につきましては、二千二百億円を考えております。
  293. 永井英慈

    永井分科員 二千二百億円というと、この郵便番号読み取り区分機というのですか、このマーケットというのは、十年間で二千二百億円ですから、単体の市場としてはかなり大きな市場だと私は感じております。  そこで、新聞報道によりますと、それらの区分機を導入するに当たって談合があったという疑惑報道がなされております。特殊な機械ですから、かなりメーカーの方も開発には力を入れる。しかし、二十社、三十社とこれの開発に取り組むこともなかなか難しいと思うのです。  そこで、この読み取り機の開発の経緯、どういうメーカーがその開発に取り組んできたか、そして、その入札がどんな形で行われてきたか、この辺のところの経過をちょっと御説明いただきたいと思います。
  294. 長谷川憲正

    ○長谷川(憲)政府委員 お答え申し上げます。  この郵便番号の読み取り区分機につきましては、昭和四十三年に三けた、五けたの郵便番号を導入いたしますに当たりまして、民間に開発をお願いをしてきたものでございます。  したがいまして、昭和三十年代の後半から検討を開始いたしまして、外国の事例等を見たわけでございますが、外国では専らタイプライターで印刷した英文字あるいは数字を読み取るというものが中心でございましたが、日本では、手紙は手書きで書かれるものが主流であるということで、その手書きの文字あるいは数字を読み取るための技術というものの開発をお願いをいたしました。  そして、広く電算機メーカーに声をかけたわけでございますが、結局、国内の三社が当初この実用化に向けて実験開発に取り組んでこられまして、それは、東芝とNECと日立の三社でございます。その後、日立は、なかなか効果が上がってこないということで、開発を断念されまして、それ以降、東芝とNECの二社体制になっております。  なかなかたくさんのメーカーが参入をしてこられなかった理由というのは、私ども考えておりますのは、先ほど申し上げましたように、手書きの文字を読み取るということで、大変高い技術力を要する一方で、この技術の使える対象が専ら日本の国内での郵便の区分機だけに限られる、それ以外には応用のなかなかきかない技術であるということで、メーカーの方で採算性等を考えて、多くの企業が参入してこなかったというふうに理解をしているところでございます。  その後、ただの数字だけではなくて郵便物のあて名も読み取るというような機械を開発をしてまいりまして、そして今回、郵便番号の七けた化に伴いまして、表面に書かれました番地まですべて読み取ってこれをバーコードに変換するという機械を開発するに至ったものでございます。  なお、つい最近になりまして、もう三十年前でございますが一度開発を断念いたしました日立が、五年ほど前から再度開発に乗り出しておりまして、つい先ごろ実用機が誕生したという状況になっております。  調達の状況につきましては担当の部長から説明させていただきますが、よろしゅうございますか。
  295. 永井英慈

    永井分科員 わかりました。そうしますと、この二千億円の市場に対して、メーカーはたった二社ということですね。それで、この入札を二社が応札をしたということですね。  一般競争入札という仕組みでやる場合、二村ですね、二社だと一般競争入札のこの機能が働くかというと、私は極めて疑問に思っているんです。二社しかエントリーできないわけですから、一般競争入札ということだとどうしても談合疑惑を持たれると思うのです。二社で競争するというのは、どうも、競争にならないような感じがするんです。  先ほど伺ったのは、どういう入札の方法ですかと聞いたんですけれども、お答えがなかった。そこで、今後、これだけ大きなマーケットですから、十年もこの事業を継続するわけですから、入札方法、入札というか購入方法といったらいいのかな、これは工夫する必要があると思うのですけれども、最後にお答えをいただいて、私の質問を終わります。よろしくお願いいたします。
  296. 是枝義人

    ○是枝説明員 お答えいたします。  区分機の調達方法でございますが、スタート当初は随意契約というような形でやっておりましたが、やはり、政府調達協定、そういったものに基づきまして、オープンな一般競争入札でやらなければいけないというようなことで、平成七年度から一般競争入札に切りかえまして、仕様もオープンにして、いろいろな企業が参入できるようにしていこうというようなことでやってきたところでございます。担当の郵務局の方もいろいろ努力をいたしまして、この二月に実施しました入札におきまして、また新たに日立が参入したというようなことでございます。  私ども、やはりこういった政府調達の原則というのは一般競争入札という形になっておりますので、そういう手続をとる中で、さらに参入する企業がふえ、そして低廉なより性能のいい機械が調達できるということを期待しておるところでございます。  以上でございます。
  297. 永井英慈

    永井分科員 もう少し申し上げたいけれども、  これで終わります。ありがとうございました。
  298. 桜井新

    桜井主査 これにて永井英慈君質疑は終了いたしました。  次に、松本善明君。
  299. 松本善明

    松本(善)分科員 郵政事業の民営化の問題について、郵政大臣に伺いたいと思います。  郵政三事業については、中央省庁等改革基本法でも、行政改革会議最終報告でも、「民営化等の見直しは行わない(国営)。」というふうにありますし、郵政大臣も総括質疑の中で、民営化の議論は行わないというふうに答弁をしておられます。  私どもは、民営化というのが、郵政事業の公共性をなくして国民に対するサービスを切り捨てる、特に過疎地ではそれがひどいというふうに思っているので反対であります。しかし、総括質疑状況を見ておりますと、郵政大臣の言っていることがそのまま信用できるのかどうかということが大変懸念をされます。  小泉厚生大臣は、民間参入、預託廃止と自主運用、郵政三事業独立採算、これを強調した上で、将来の郵政三事業民営化の布石が打たれた、必ず民営化の方向へ行くというふうに答弁をしていますし、行革会議議長代理の担当の小里総務庁長官は、民営化ということはないんだというふうには言わないで、民営化は他日の問題だ、こういうふうに答弁しています。  総理大臣はどうかというと、総理大臣は、民営化が後退したのではないかという質問に答えて、「郵便事業への民間企業の参入について、その具体的条件検討に入る。」「資金運用部への預託を廃止し、全額自主運用とする。」これは最終報告にも法案にも書かれていますけれども、そういう基本的なポイントをきっちり押さえている、こういう答弁をされています。  こういう経過を見ますと、小泉厚生大臣の言うように、民営化への道を舗装したことにならないかというふうに思うのですが、いかがでしょう。
  300. 自見庄三郎

    ○自見国務大臣 松本委員にお答えをさせていただきます。  今先生の話にもあったことでございますが、行革会議最終報告を踏まえた基本法案では、郵政事業については、御存じのように、中央省庁再編にあわせて、総務省に、企画立案及び管理を所掌する内部部局と、実施事務を所掌する外局としての郵政事業庁を置く、こういうふうになっております。  それから、今御指摘の点でございますが、その後、郵政事業庁は、国営、三事業一体、国家公務員としての身分を維持しつつ、国営の新たな公社に移行し、これにより「民営化等の見直しは行わない」、こういうふうに基本法案でもはっきり明記をされているところでございます。  したがって、郵政事業につきましては、国営・非営利の経営形態で、国民生活に大変不可欠なサービスを国民に身近な郵便局を通じて全国あまねく、先生の中にも過疎地という話があったわけでございますけれども、そういったことを含めて全国あまねく広く、いわゆるユニバーサルサービスを提供することというこれまで郵政事業が果たしてきた基本的な役割は、今後とも維持されるものというふうに受けとめております。
  301. 松本善明

    松本(善)分科員 大臣、また、後から答弁する方にも申し上げておきますが、法案の中身だとか行革会議最終報告、全部知っておりますので、そのことをここで繰り返すのではなくて、やはり私の聞いたことにお答えをいただきたいというふうに思うのであります。  小泉さんは、預託廃止、全額自主運用、民間参入、独立採算、これを言っているんですね。加藤自民党幹事長は、十月三十日のテレビ東京の「ワールドビジネスサテライト」で、郵政民営化の問題は、財投を投入しないということになれば七割はもう終わっているんです、そういう見方をしているんですね。郵政大臣、この加藤幹事長の発言についてはどう思われますか。
  302. 自見庄三郎

    ○自見国務大臣 今先生の御質問でございますが、私も、基本法案でははっきり「民営化等の見直しは行わない」、こう書いているわけでございますし、確かにそういった意味で、総理が、御存じのように委員会でも、預託義務の廃止をする、これは明記をさせていただいたわけでございます。また、郵便事業につきましては、民間企業の参入の条件について考える、こういったことをある一定の、行革というのは簡素、効率、国民のための行政改革だというのが私は基本と思いますので、そういった視点を押さえつつ、総理もそういった発言をされたわけでございます。  加藤幹事長の発言については、いろいろな論議がございますが、やはり最終的にきちっと基本法案になったことが、政府与党との最終的な合意として、「これらにより、民営化等の見直しは行わない(国営)。」こういう結論が出たわけでございますから、私は、民営化の論議は言葉どおりに、これはもう見直しは行わない、そういうふうに思っております。
  303. 松本善明

    松本(善)分科員 法案に書いてあって郵政大臣がそう言ったらすっきりするかというと、やはりそういかない。小泉発言のような、加藤発言のようなものがあるのです。  行革会議の四十一回の議事概要では、会長代理、これは小里議員のことですね、「会長代理より、自主運用については財政支援は行わないとの考えを提案し、説明したが、与党側の抵抗が強く、協議結果の整理からは落とすこととなった。今後、最終報告を得て、諸計画を策定するが、その際には原則として財政支援をしないとの精神を尊重し、そうした気持ちを持ちながら対処していきたい。」だから、財政支援をしないという方向で行くんだということを小里さんは言っておるわけですよ。  会長代理がこういうことを言っているということになると、郵便貯金法三条の「国は、郵便貯金として預入された貯金の払もどし及びその貯金の利子の支払を保証する。」という三条の削除の方向というのが出ているのではないか、こう思うのですけれども、いかがでしょう。
  304. 安岡裕幸

    ○安岡政府委員 お答えを申し上げます。行革会議の議論におきまして、郵便貯金の国家保証を定めました郵便貯金法三条の削除についていろいろと議論があったということでございますけれども最終報告におきましては、そのような点については触れられておりませんで、郵政事業を国営にするということが明記されておるところでございます。  したがいまして、現行の郵便貯金法三条でございますけれども、郵貯が国営であるということの当然の結果としまして国家保証を規定しているところと理解しておりまして、先述のとおり、事業が今後とも国営ですというふうに明記されている以上、郵便貯金に対する国家の保証も当然に維持される、こういうふうに理解をしているところでございます。
  305. 松本善明

    松本(善)分科員 自主運用、預託廃止ということになると、ここへ来るのではないか。三十八回の議事概要でも「郵便貯金を完全自主運用すると国が大赤字を出す恐れがあるが税金で穴埋めをするわけにもいかないため、国家保証を定めた郵便貯金法三条を削除することを条件としてはいかがかとの意見があった。」と明記されているのですね。それは途中経過の議論だ、こういうふうに言うけれども、それでは、自主運用ということで、これはそういう方向に行かないということが内閣一致して、総理も小泉さんも小里さんも一致して、三条の削除は考えていないということをはっきり言えるのですか。これは大臣に聞きましょう、大臣の中での意見の違いがありそうだから。
  306. 自見庄三郎

    ○自見国務大臣 これは国営の事業でございますし、さっきから何度も申しておりますように、これにより、民営化等の見直しを行わないということでございますから、郵便貯金につきましても、これはもう、やはり国が最終的にきちっと保証するというその基本精神は変わらないというふうに思っております。
  307. 松本善明

    松本(善)分科員 郵貯の完全自主運用ということになりますと、大きな損失を出す危険があることは周知のところなのですね。現に、年金福祉事業団が財投から二十三兆借りて、銀行、証券会社からプロを引き抜いて運用していると言われているけれども、その結果、一兆円を超す損失を出している。全額自主運用でいきますと、運用規模で二百三十兆ぐらいだ、元本保証がなくなったら大変なことになるのですよ。  これはもう内閣の方針として、郵便貯金法三条の削除は絶対考えていないのだ、後で総理大臣とか小泉さんに聞いても間違いないと言えるのかどうか。郵政大臣、はっきりその点は、あなたの考えではなく、内閣の考えとして間違いないかどうかお聞きしたい。
  308. 自見庄三郎

    ○自見国務大臣 私、内閣を代表する立場にはございませんが、閣議できちっと基本法律案に全閣僚が署名をしたわけでございますから、こういったことを当然確認をし、認識をし、署名をしたというふうに、当然でございますが、そういうことだというふうに私は信じております。
  309. 松本善明

    松本(善)分科員 大臣、自主運用というのと国営と両方あるのですよ。自主運用ということは、まともにいくとやはりそういう方向へ行く、全額完全自主運用ということになると、そういうことになっていかざるを得ない。それを小泉さんは言うわけでしょう。だから、もし本当に三条の削除を考えていないというのなら、赤字が出たらどうするのです。国はどうやって保証するのです。お答えを大臣からいただきたい。
  310. 安岡裕幸

    ○安岡政府委員 行革会議の議論の中でも、この郵便貯金の資金について、今後、全額自主運用しますという格好になりまして、やっておるところでございます。  今現在、郵便貯金は、資金の一部でございますけれども既に自主運用をやっておりまして、その中で、かつ独立採算をきちっとやっているということでございまして、全額自主運用になるから大赤字が出るというようなことではなくて、むしろ、貯金の観点についても、入り口から出口まできちっと郵政大臣が責任持って独立採算を維持するという体制ができたということでございます。  現在、簡保についても全額自主運用をしているわけでございますけれども、それは、みずから国がこの主体となって運用しておりまして、健全な経営もやっているということでございますので、全額自主運用であるから赤字が出るということではなくて、しっかりした運用をやると同時に、国でございますので、預金の面については、国として、今までと同様に、国の支払い保証があるということでございます。
  311. 松本善明

    松本(善)分科員 大臣、内閣を代表する立場ではない、それはそうだけれども、しかし、郵政事業に関して言うならば、やはり内閣を代表して、きちっと内閣でまとまったものをきちっと答えてもらわなければ困るのですよ。私は個人の意見で、総理大臣が言ったら変わるのですということでは困ります。  それで伺いますが、私は、全額自主運用でいきますと、やはり額が大きいからこれははっきりしていないといけないと思うのですよ。  二月二十日の参議院本会議で我が党の上田耕一郎議員が質問したのに対して、橋本総理は、郵便貯金の元本保証廃止を打ち出したことはないと明言をしました。こういうことになれば三条を廃止しないということですけれども、これはそういう意味だというふうに受け取っていいのでしょうか。郵政大臣が、この三条を廃止しないということを内閣の方針としてここで断言できるのかどうか、それを大臣から伺いたい。
  312. 自見庄三郎

    ○自見国務大臣 さっきから言いましたように、国の郵便貯金事業でございますから、これは国の企業でございますから、元本を保証するということは当然の理だと思っておりまして、今松本委員から、三条を廃止することはないというふうに総理は言われたということでございますが、そのとおりだというふうに受けとめております。
  313. 松本善明

    松本(善)分科員 これは確認をしておきたい、将来それが変わるということがないように期待をしたいと思うのですけれども。  報道によりますと、自民党山崎政調会長は、企業の三月期の決算をにらんだ株価対策に絡んで、郵便貯金、簡易保険の自主運用資金を直接株式の購入に充てる考えを示して、既に自見郵政大臣協力を要請したということが報道をされております。これは事実なのかどうか、郵政大臣はそのときにどういうふうにお答えになったのか。
  314. 自見庄三郎

    ○自見国務大臣 自民党において、直接株を購入することについて議論をされたということは、私は承知いたしておりません。  一般論として申し上げれば、郵貯、簡保資金の運用は、まさに確実、有利な方法で行うことにより、郵便貯金事業あるいは簡易保険事業の経営を健全ならしめ、加入者、国民の方々の大変貴重な資金を預かっているわけでございますから、そういった預金者、加入者の利益の向上を図ることを目的として行っているものだというふうに思っております。今、株式の購入については、もう先生御存じのように、簡保事業団を通じて、単独運用指定金銭信託、指定単でございますけれども、その契約を信託銀行と締結して行うことになるわけでございますが、この指定単という制度は、御存じのように、売買する株式の銘柄、数量あるいは時期などについては、これはまさに信託銀行みずからの裁量によって、投資判断によって決定する仕組みでございまして、郵政省の具体的な指示が出せる仕組みにはなっておりません。  いずれにいたしましても、指定単を通さずに、郵貯、簡保本体で株を購入することについては、さまざまな問題があるため、慎重に検討する必要があるというふうに考えております。
  315. 松本善明

    松本(善)分科員 山崎氏は、昨年三月三十一日の株価一万八千三円まで引き上げないと企業の決算対策ができないと言う。ことしの三月十七日現在で一万六千九百九十七円。昨年の水準にするためには、必ず市場価格より高く買うことになりますね。自主運用よりもはるかに危険な損失を出す可能性がある、これは決してやるべきではないと思います。郵政大臣の御答弁はちょっとあいまいでしたが、決してやるべきではないと思いますが、いかがでしょう。
  316. 自見庄三郎

    ○自見国務大臣 自民党においてさまざまな論議がなされていることは承知をいたしております。株式の購入につきましては、簡保事業団を通じて指定単契約を信託銀行と締結して行うことになっておりますが、今さつきも申し上げましたが、これは分散投資ですね。やはり預かった資金を安全、確実、有利に運用せねばなりませんから、そういった意味で、分散投資の観点からも必要な資産だというふうに考えております。  それから、平成四年、五年には、簡保事業団を通じた指定単で株式の組み入れ制限のない五年一括利払い型の新たな指定単制度を創設するとともに、その額を増額して実施したことがございます。この場合は、平成四年度は総合経済対策、また平成五年度には新総合経済対策という経済対策閣僚会議の議を経た政府全体の方針の中で行われたものであるというふうに認識をいたしております。  いずれにいたしましても、与党内での議論の趨勢を踏まえて、政府全体としてどのような取り組みを行うのか、また、郵政省としていかなることが可能なのか、慎重に検討してまいりたいというふうに思っております。
  317. 松本善明

    松本(善)分科員 今、郵貯がふえているとかたんす預金がふえているというのは、銀行に対する信頼がなくて、それで元本だけでも返してほしいというのが国民の金融に対する期待なのですよ。いいかげんなところへ使ってもらうということは、これは人の金ですから、これは本当にそう簡単に、株を買うのに金貸してくれといって貸す人はいないのですよ、絶対に。そういう運用が、自分の金のように思って勝手なことができると思ったら大間違いなのであります一  郵便事業への民間企業の参入の問題について、次に伺いたいと思います。  行革会議三十八回の会議議事概要では、郵便事業の国家独占を定めた郵便法五条の削除が既定事実のように述べられております。また、同会議四十一回議事概要では、「郵便事業への民間参入について、会長」、総理大臣ですね、橋本総理、「会長より、具体的条件検討に入るとの合意は、民間参入を認めるとの合意である旨が確認されているとの発言があった。」こういうふうに明記をされております。  これは、郵便法第五条を削除するということになると思いますが、そういうことを内閣が決めているのですか。
  318. 長谷川憲正

    ○長谷川(憲)政府委員 お答え申し上げます。  先生指摘のとおりに、私どもも公表されております行革会議議事概要を拝見をしておりますが、三十八回の会議の中に、一部の委員から、郵便事業の国家独占を定めた郵便法五条の削除を条件としてはいかがかというような意見があったということは承知をいたしております。  それから、四十一回会議におきましても、民間参入についての質疑応答がございまして、当該郵便事業に信書も含むのかというような御質問もあり、それに対して、選択肢として存在するが、具体的条件検討において明らかになるものであるというような説明があったということは承知をしております。  しかしながら、これらの議論を受けて、最終的にまとまりました行政改革会議最終報告におきましては、御指摘のとおり、単に「郵便事業への民間企業の参入について、その具体的条件検討に入る。」とのみ記述をされておるわけでございまして、郵便に関してはそれ以上の記述はございません。  私どもも、この提言を受けまして、これから検討を進めていきたいと思っているところでございます。
  319. 松本善明

    松本(善)分科員 大臣、総理の発言としてあるのですよ。これはやはり普通のものではありません。総理がそういう考えを持っているということだと、これは検討というよりもやはり民間参入という方向へ非常に大きく進んでいく、実際はそういうことであるのではないか。これは総理にお確かめになったことがありましょうか。
  320. 自見庄三郎

    ○自見国務大臣 総理に公の席で確かめたことはございませんが、今さっきも何度も申し上げましたように、いろいろな御意見が途中であったというのは、それは自由な国でございますからいろいろあると思いますが、やはり我々は、きちっと最終的な基本法案としてまとまったこと、そのことが合意だということの基本的認識に立って、いろいろやらせていただいておるわけでございます。
  321. 松本善明

    松本(善)分科員 大事な発言ですから、やはりこれはきちっとしておかないといけない。  もしそういうことになりますと、郵政省の出した「行政改革会議ヒアリング資料」、随分細かいものが出されていますけれども、これの十三ページによりますと、手紙、はがきのサービスに民間の参入を認めた場合にはどうなるか。全国均一料金制、簡便で効率的なポスト投函制は崩壊し、地方あて郵便料金の値上げが必要であるということなんです。こういうことになるのですよ。  これは、民間参入は検討するというけれども、認めない方向ですか、認める方向ですか。
  322. 自見庄三郎

    ○自見国務大臣 先生御存じのように、郵便は国民の基本的通信手段でございまして、不採算地域を含めて全国あまねく公平にサービスを提供することが郵便事業の使命であるというふうに思っております。  具体例を申し上げれば、私の記憶が正しければ、郵便事業というのは、東京あるいは周辺の関東、あるいは近畿と申しますか、そして東海地方は黒字でございますが、ほかの地域は大体不採算地域だというふうに認識をいたしております。私は九州の出身でございますが、九州一円、郵便事業は赤字でございますが、そういった黒字のところとあわせて、全国あわせれば黒字になる。これは、御存じのように、ユニバーサルサービスでございまして、どんな僻地でも、有人離島でも全国あまねく郵便が国民から利用できるということは大変大事なことだ、私はこう思うわけでございます。  そういった点に立って、具体的な検討に当たっては、国の郵便事業による、今さっき申し上げましたユニバーサルサービスが確保されることが私は大前提になるというふうに考えております。  具体的な条件検討に当たっては、今後、各界各方面の意見を承りながら、幅広い観点から総合的に検討してまいる所存でございますが、いずれにいたしましても、国の郵便事業によるユニバーサルサービスということがきちっと確保されることは大変大事な大前提であるというふうに私は認識をいたしております。
  323. 松本善明

    松本(善)分科員 郵政大臣、郵政省のつくったこのヒアリングの十五ページになると、仮に民間参入を認めた場合には、大都市あて、大口利用など採算性が高いサービスを中心にいいとこ取り、クリームスキミングが発生をする。全国均一料金制の崩壊、大都市あては大口利用で値下げ、地方あては一般利用で値上げ。不採算地域からの郵便局の撤退、赤字補てんのための補助金等の導入、政策料金の廃止、盲人用点字郵便物や日刊新聞等の定期刊行物。  過疎地では、大臣も、皆さん御存じのように、新聞は皆、遠いところは郵便で行くでしょう。それから宅急便も、遠いところは、離島だとか山奥は、ラベルをはがして、郵便のラベルで送っているでしょう。こういうことがなくなるということを郵政省自身が言っているのですよ。私も、それはそのとおりだと思います、参入すれば、合わなくなっていくんだから。  だから、先ほど最初からの議論は、国営ということを決めているけれども、外堀が埋められていくようになる。自主運用とか民間参入とか独立採算ということになっていくと、成り立っていかないようになっていく。だから、小泉厚生大臣が胸を張って、布石を打ったんだ。必ずそうなる、こう言っているんですよ。  だから、これはやはり総理大臣にきちっと、総理大臣発言ですからね、先ほど答弁では、総理大臣、会長が発言したようなことをはっきり言わなかったんだけれども、はっきり出ています。ですから私は、大臣が本当にあなたの答弁に責任をお持ちになるのなら、やはり、総理大臣に詰めて、こういうことを聞かれたんだ、おれはこういうふうに答弁したけれども間違いないか、郵便貯金法の三条も、それから郵便法の五条も削除しないということでいいのかと確かめてもらいたい。いかがです。
  324. 自見庄三郎

    ○自見国務大臣 確かめる、確かめないということよりも、やはり、私、今さっき申しましたように、いろいろな発言があったというふうに言われるわけでございますが、一々の発言を私は確認をいたしておりませんが、閣議できちっと行革の基本法律案として署名をし、その中にきちっと明記されてあることは、やはりこれはそういったことを認めてみんな署名をしたわけでございます。この民営化の論議はもう行わないということもきちっと明記をしてあるわけでございます。そして、郵便貯金につきましても、これは国営、三事業一体でやるということでございますから、郵便貯金については国の保証がきちっとつくというのは当然の帰着だというふうに私は認識いたしております。
  325. 松本善明

    松本(善)分科員 郵政大臣、きょうは郵政大臣だけだからこの程度で済むけれども、これから、行革委員会とかその他、総理大臣も小泉厚生大臣もそろう、小里総務庁長官もそろうという機会があるでしょう。またそういう機会に聞こうと思いますけれども、これは、はっきりしないと、やはり内閣の意思が統一していないということになりかねない問題ですよ。そして、はっきりしないと、確かに小泉さんの言う方向にもとれる。法案でそういうことがきちっと決まっているという郵政大臣の言うとおりであるならば、小泉厚生大臣のような発言が出てくるわけがないんですよ。出てくるだけの根拠があるんですよ。だから、こうやってお聞きをしているんです。  この次、私がまた郵政大臣にお聞きする機会があろうかと思いますけれども、そのときまでに、やはり、国営で異論がない、郵便貯金法の三条、郵便法の五条の問題についても、今、私が聞きましたことについて、削除はしないんだ、このままでいくんだとはっきり言えるかどうかということについて、総理大臣まで詰めて、閣内の意思をはっきりさせておいて、後で郵政大臣が勝手なことを言ったんだということがないようにしてもらわないと国会で審議をしている意味がありませんので、そのことをお約束いただけるかどうかをお聞きして、私の質問を終わろうと思います。
  326. 自見庄三郎

    ○自見国務大臣 何回も繰り返すようでございますが、行政改革会議長終報告ということでございまして、また、基本法案の中にも、今さっきから言いましたように、「これらにより、民営化等の見直しは行わない」ということは、はっきり明記してあるわけでございますから、私は、これをもって明々白々なことであるというふうに思っております。
  327. 松本善明

    松本(善)分科員 終わります。
  328. 桜井新

    桜井主査 これにて松本善明君の質疑は終了いたしました。  次回は、明二十日午前九時より開会し、郵政省及び運輸省所管について審査を行うこととし、本日は、これにて散会いたします。     午後九時十三分散会