○鈴木(淑)
委員 もう
一つ、本年度、九七年度の超デフレ予算、この二つがそろえば、間違いなく経済は不況に陥り、金融システム不安が噴出しますぞ、出てきますぞということは、私はもう一年ちょっと前に、この場で
総理に御
指摘したではありませんか。
そのとき
総理は何とおっしゃったか。そのとき
総理は、あなたが言っているほど景気が悪くなるとも思わないし、金融三法の枠組みで十分やっていけると思うというふうにおっしゃったのですよね。ここにちゃんと私はそのときの議事録を持っています。
平成九年二月十日の予算
委員会であります。
私がここではっきり申し上げたのは、「ノンバンクに一切公的資金を投入しない、それから信用組合以外の預金取扱金融機関に公的資金を投入しないというお約束と、二十行」当時は二十行ですね、「二十行の大銀行は破綻させないというお約束、この二つを維持していくというのは、現在のような、」去年の四月以降経済がほぼゼロ成長に陥ることは間違いないと私は予想していましたから、間違いないと思いますので、「そういう
状況のもとでは大変きつい」、とても息できない。ですから、どうか私がこれを
指摘したということを、
総理、覚えていてください。もし私の言うとおりになったら、今からわかっていたのにそうしなかったのだから
責任とっていただきたいのだという発言をしているのですよ。
去年の二月ですよ。もう去年の二月の
時点で私はそれは
指摘を申し上げたのですよ。それを一切聞かないで過ごしてきたのが橋本内閣であるし、やじっているだけでまともに考えていなかったのが自由民主党の先生方であります。私は
指摘したのですから、ちゃんと。私はちゃんと
指摘をしているわけであります。
ですから、今の金融危機というのは、住専処理をああいうでたらめな形でやったために、もうこれ以上金融システム対策は打てなくなってしまったということと、本年度の超デフレ予算でゼロ成長に日本経済を突き落としてしまった。この九六年、おととしは暦年でいえば三・九%成長しているのですよ。日本経済は二、三%成長するのがやっとこさだ、いや、三%無理だなんと言う人がいるけれども、三・九成長していた。そこまで回復した日本経済を、この超デフレ予算でたたき落としてしまったわけです。
私は、このことも非常に早くから
指摘しました。おととし、総選挙直後、九六年十二月九日の予算
委員会で既に
総理に申し上げた。あのときは企画庁長官は尾身さんではないのですが、
総理と三塚
大蔵大臣にはっきり
指摘した。私、トリプルパンチという言葉を使ったのであります。
トリプルパンチとは何かというと、消費税率引き上げ前の買い急ぎの反動が出て落ち込むだろう。これは政府も言っておられた。しかし、それだけではないよ、あと二つあるよ。九兆円の
国民負担増で、実質可処分所得の増加がとまってしまうのですよ。それから三番目に、もう一昨年の七—九月期から公共投資は落ち始めているのですね、四半期推移で見れば。それを、どんどんこの本年度予算では落としていくという形になります。このデフレ効果も相当なことになる。
このトリプルパンチで間違いなく日本経済ゼロ成長になるということを、おととしの
時点でここで申し上げているのですよ、理由もはっきり申し上げて。
そして、さらにその後、消費税の据え置き法案。こんなときに税率引き上げて五兆円負担させたら本当に大変なことになりますぞ、これは十二月十二日の税特委であります、このときも同じことを申し上げた。それから、去年の三月六日の特別減税の据え置き法案のときもそういうことを申し上げた。
何回も何回も、閣僚の皆さん方は大変楽観的なことを言っておるが、四月以降間違いなく日本経済は停滞しますぞ、そのときに金融システムに対して何も手を打たないで来たら、まず再び不安が起きるでしょうということを警告し続けてきたのですよ。それにもかかわらず、橋本内閣はこの警告に対して一顧だにしていない。
その上で、今ここへ来て重ねてもう
一つ、
一つではない、もう二つですね、大きな政策的な失敗を重ねました。
一つは、去年の十二月に財政構造改革法案をつくって財政運営の手足を二〇〇三年まで縛ったこと。そしてもう
一つは、金融二法を新しく出してきて三十兆円を準備したこと。これはさらに失敗を重ねているということにほかなりません。もう一回このことも警告しておきます。
この警告に対して皆さん方、
総理、恐らく私がこれから言うような方へ政策転換せざるを得なくなるのは、一カ月後でしょうね。一カ月後でしょう。さっきお話ししたのは一年たってお気づきになったと思うが、今度はもう恐らく腹の中ではそう思っていて、一カ月後に転換するのではないですか。
財革法に縛られた
平成十年度予算、これは
一般歳出が二兆二千億のマイナス、四・八%のマイナスであります。公共投資に至っては何と一四・六%のマイナスであります。若干の減税をしたからといって、この歳出減を補えるものではない。その
意味で、これは明らかにデフレ予算だ、財政構造改革法案をつくったがゆえに避けることのできないデフレ予算であります。
しかも、現在ゼロ%成長に落ち込んでいる日本経済に向かってこれをぶつけていこうという、何といいますか、海外の
人たちから見たら、気は確かかと言いたいような大変な予算を出そうと、成立させようとしているのですよね。
ですから、与党の方では、自由民主党の中では、もうすぐに大型補正予算を出すのだ出すのだという議論をしております。
総理はこの席では全くそんなことは考えていないという、だれが聞いてもすぐわかる二枚舌を使っておられますけれども、テレビの前にいる
国民の皆さんだって、与党の自由民主党の幹事長やら幹事長代理やらあるいは政調会長が言っていて、その与党の総裁であり
総理大臣である橋本
総理が考えてもいないなんというのは、うそに決まっている、こんなことはわかっていますよ。
国民の皆さんだって、こんな見え透いた二枚舌を何で使うのだろうと思っているに違いありません。
なぜそういう、一国の
総理が、だれにでもわかる、子供にでもわかるような二枚舌を使い続けるのでしょうか。これも財政構造改革法案のせいでしょうね。財政構造改革法案に縛られておりますと、今
総理は否定しておられるが、自民党の内部で
検討しておられる大型補正予算も大変ゆがんだものになります。
財政構造改革法の四条では、赤字国債の発行を年々減らせと言っていますね。そうしますと、補正後の九七年度予算に比べて九八年度予算の赤字国債発行額、一兆三千八百八十億円カットされておる。ということは、赤字国債の発行の限度が一兆三千八百八十だということですね。
そうしますと、赤字国債を財源にせざるを得ない減税とか、あるいは建設国債対象になっていない情報通信
関係の公共投資などは、一兆三千八百八十というキャップをかぶってしまっているということですよ。そうしますと、大型補正、大型補正、十兆円を超えるなんと言っておるが、今言った一番必要な減税とか情報通信
関係公共投資、一兆三千八百八十しかできないじゃないですか。こういうゆがみを持っています。
さらに、これは前回の予算
委員会でも確認をさせていただきましたが、
総理は、この財政構造改革法の精神は、当然のことながら毎年財政赤字を縮減していくことだとおっしゃいました。そうしますと、補正後の本年度予算に比べて、来年度の予算で赤字を縮減するのだということになりますと、この赤字国債を財源とするものだけに限らず、全体でも三・九八兆円しか補正予算が組めないのですね。このことも、実は先日の予算
委員会で同僚議員が確認したことであります。
大蔵省が計算して答えた。それが三・九八兆円なんですよ。
これだけの縛りがかかってしまっているときに、どうして十兆円を超える補正予算を組めるのですか。これを組むためには、
総理が私に去年十月二十一日の財政構造改革の推進等に関する特別
委員会でお答えになった、そして私が今
読み上げた、当然のことながら毎年の財政赤字縮減に努めていく必要がある、これは私は議員の提起されたとおりだと思うと。この
総理の答弁を踏みにじらない限り、十兆円を超える補正予算なんか組めないですよ。
総理、いかがですか。
総理の配下の、
総理が総裁をしておられる自由民主党の指導者たちが、
総理の答弁を踏みにじってこういうことを言っているのですよ。
総理、どうお考えですか。