運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1998-03-04 第142回国会 衆議院 予算委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十年三月四日(水曜日)    午前九時開議  出席委員    委員長 越智 通雄君     理事 伊藤 公介君  理事 石川 要三君     理事 中山 利生君  理事 深谷 隆司君     理事 山本 有二君  理事 五島 正規君     理事 高木 義明君  理事 北側 一雄君     理事 加藤 六月君        甘利  明君     飯島 忠義君        岩永 峯一君     江藤 隆美君        小澤  潔君     小野寺五典君        大石 秀政君     大野 松茂君        大原 一三君     岡部 英夫君        奥山 茂彦君     河村 建夫君        熊谷 市雄君     栗原 博久君        関谷 勝嗣君     滝   実君        津島 雄二君     東家 嘉幸君        中川 昭一君     中山 正暉君        葉梨 信行君     萩野 浩基君        増田 敏男君     村田 吉隆君        村山 達雄君     綿貫 民輔君        生方 幸夫君     岡田 克也君        海江田万里君     小林  守君        仙谷 由人君     中桐 伸五君        原口 一博君     藤村  修君        松沢 成文君     山花 貞夫君        赤羽 一嘉君     上田  勇君        草川 昭三君     斉藤 鉄夫君        西川 知雄君     鈴木 淑夫君        中井  洽君     中村 鋭一君        西村 真吾君     木島日出夫君        春名 直章君     東中 光雄君        矢島 恒夫君     上原 康助君        北沢 清功君  出席国務大臣         内閣総理大臣    橋本龍太郎君         法務大臣      下稲葉耕吉君         外務大臣      小渕 恵三君         大蔵大臣      松永  光君         文部大臣      町村 信孝君         厚生大臣      小泉純一郎君         農林水産大臣    島村 宜伸君         通商産業大臣    堀内 光雄君         運輸大臣      藤井 孝男君         郵政大臣      自見庄三郎君         労働大臣      伊吹 文明君         建設大臣      瓦   力君         自治大臣         国家公安委員会         委員長       上杉 光弘君         国務大臣         (内閣官房長官)  村岡 兼造君         国務大臣         (総務庁長官)   小里 貞利君         国務大臣         (北海道開発庁長官)          (沖縄開発庁長官) 鈴木 宗男君         国務大臣         (防衛庁長官)   久間 章生君         国務大臣         (経済企画庁長官) 尾身 幸次君         国務大臣         (科学技術庁長官) 谷垣 禎一君         国務大臣         (環境庁長官)   大木  浩君         国務大臣         (国土庁長官)   亀井 久興君  政府出席委員         内閣審議官     安達 俊雄君         内閣審議官     坂野 泰治君         内閣法制局長官   大森 政輔君         内閣法制局第一         部長        秋山  収君         人事院総裁     中島 忠能君         人事院事務総局         給与局長      武政 和夫君         阪神・淡路復興         対策本部事務局         次長        田中 正章君         総務庁長官官房         審議官       瀧上 信光君         北海道開発庁総         務監理官      小野  薫君         北海道開発庁計         画監理官      青木 東雄君         防衛庁長官官房         長         大越 康弘君         防衛庁防衛局長   佐藤  謙君         防衛施設庁長官   萩  次郎君         防衛施設庁総務         部長        西村 市郎君         放映施設庁施設         部長        首藤 新悟君         経済企画庁調整         局長        塩谷 隆英君         科学技術庁長官         官房長       沖村 憲樹君         科学技術庁原子         力局長       加藤 康宏君         科学技術庁原子         力安全局長     池田  要君         環境庁企画調整         局地球環境部長   浜中 裕徳君         沖縄開発庁総務         局長        玉城 一夫君         沖縄開発庁振興         局長        若林 勝三君         国土庁防災局長   山本 正堯君         法務省刑事局長   原田 明夫君         法務省人権擁護         局長        横山 匡輝君         外務省総合外交         政策局長      加藤 良三君         外務省条約局長   竹内 行夫君         大蔵大臣官房長   武藤 敏郎君         大蔵大臣官房金         融検査部長     原口 恒和君         大蔵大臣官房総         務審議官      溝口善兵衛君         大蔵省主計局長   涌井 洋治君         大蔵省主税局長   尾原 栄夫君         大蔵省理財局長   伏屋 和彦君         大蔵省証券局長   長野 厖士君         大蔵省銀行局長   山口 公生君         大蔵省国際金融         局長        黒田 東彦君         国税庁次長     船橋 晴彦君         文部大臣官房長   小野 元之君         文部省生涯学習         局長        長谷川正明君         文部省教育助成         局長        御手洗 康君         厚生省社会・援         護局長       炭谷  茂君         厚生省老人保健         福祉局長      羽毛田信吾君         厚生省年金局長   矢野 朝永君         農林水産大臣官         房長        堤  英隆君         農林水産省経済         局長        熊澤 英昭君         農林水産省構造         改善局長      山本  徹君         農林水産技術会         議事務局長     三輪睿太郎君         林野庁長官     高橋  勳君         通商産業大臣官         房審議官      杉山 秀二君         通商産業省産業         政策局長      江崎  格君         資源エネルギー         庁長官       稲川 泰弘君         運輸省鉄道局長   小幡 政人君         運輸省海上技術         安全局船員部長   土橋 正義君         郵政大臣官房総         務審議官      濱田 弘二君         郵政省貯金局長   安岡 裕幸君         郵政省簡易保険         局長        金澤  薫君         労働大臣官房長   渡邉  信君         建設省住宅局長   小川 忠男君         自治大臣官房総         務審議官      香山 充弘君         自治省行政局公         務員部長      芳山 達郎君         自治省行政局選         挙部長       牧之内隆久君         自治省税務局長   成瀬 宣孝君  委員外出席者         最高裁判所事務         総局家庭局長    安部 嘉人君         予算委員会専門員  大西  勉君     ───────────── 委員の異動 三月四日  辞任           補欠選任   相沢 英之君       岩永 峯一君   江藤 隆美君       小野寺五典君   大原 一三君       滝   実君   河村 建夫君       飯島 忠義君   桜井  新君       熊谷 市雄君   関谷 勝嗣君       大石 秀政君   東家 嘉幸君       岡部 英夫君   野中 広務君       奥山 茂彦君   岩國 哲人君       藤村  修君   小林  守君       中桐 伸五君   山花 貞夫君       仙谷 由人君   草川 昭三君       赤羽 一嘉君   鈴木 淑夫君       中村 鋭一君   志位 和夫君       春名 直章君   不破 哲三君       矢島 恒夫君 同日  辞任           補欠選任   飯島 忠義君       河村 建夫君   岩永 峯一君       相沢 英之君   小野寺五典君       江藤 隆美君   大石 秀政君       関谷 勝嗣君   岡部 英男君       東家 嘉幸君   奥山 茂彦君       野中 広務君   熊谷 市雄君       桜井  新君   滝   実君       大野 松茂君   仙谷 由人君       山花 貞夫君   中桐 伸五君       小林  守君   藤村  修君       岩國 哲人君   赤羽 一嘉君       草川 昭三君   中村 鋭一君       鈴木 淑夫君   春名 直章君       東中 光雄君   矢島 恒夫君       不破 哲三君 同日  辞任           補欠選任   大野 松茂君       大原 一三君   東中 光雄君       志位 和夫君     ───────────── 本日の会議に付した案件  公聴会開会証人要求に関する件  平成十年度一般会計予算  平成十年度特別会計予算  平成十年度政府関係機関予算      ─────◇─────
  2. 越智通雄

    越智委員長 これより会議を開きます。  平成十年度一般会計予算平成十年度特別会計予算平成十年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、総括質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。岡田克也君。
  3. 岡田克也

    岡田委員 民友連岡田克也でございます。  きょうは、まず景気対策について質問をさせていただきたいと思います。私は、基本的に、この予算委員会での議論を見ておりまして、政府答弁いろいろあるわけですけれども、もっと景気現実を率直に認めて、そして速やかに予算措置を伴う景気対策を打ち出すべきである、そういう観点で質問をさせていただきたいと思います。  まず、企画庁長官にお聞きをしたいと思います。  企画庁長官景気現状に対する御認識というのは、この委員会で何度も披瀝をされているわけでございます。いろいろなことを言っておられますが、一言で言えば、桜の咲くころには景気回復基調に乗る。その理由として、三月末で現在のクレジットクランチが山を越える、あるいは二兆円の減税効果が浸透してくる、したがって、予算が順調に通り、そして四月当初からの実施ということが確保されれば、景気は順調な回復軌道に乗ってまいります。そういう答弁をあちこちで、この場で何回も繰り返しておられる、そういうふうに思うわけでございます。  しかし、例えば、民間のいろいろな予想機関はもちろんでありますけれども、例えば日銀金融経済月報、これは二月十七日でありますから多少日がたっておりますが、この中では景気現状についてどういうふうに述べているか。「先行きについては、外需の下支え効果や、家計支出に対する特別減税の好影響などが期待されるが、在庫調整圧力が強まっている中で、最終需要の目立った回復が見込めないことから、今暫くは停滞色の強い展開が続くものとみられる。また、これまでの景気減速によって、わが国経済の追加的なショックに対する耐久力は低下してきているものとみられる。このため、今後、アジア経済調整わが国輸出等に与える影響や、後述するような金融面動向実体経済に及ぼす影響などには、十分な注意を払っていく必要がある。」こういうふうに述べているわけであります。私は、この日銀見通しの方がはるかに常識に近い、こういうふうに思うわけでございます。  企画庁長官は、長官になられる前に、経済企画庁経済見通しに対して、あるいは景気現状に対して、非常に楽観的であるということで大変批判的であったというふうに私は認識をしておりますが、今企画庁長官現実になられて、その楽観論の先頭を走っておられるというのは非常に皮肉な姿じゃないか、そういうふうに私は、大変失礼ですけれども思うわけであります。  本当のところ、企画庁長官景気認識というものは、今までこの予算委員会で述べられてきたところでいいのでしょうか。もしよろしければ、長々と繰り返していただく必要はありませんが、私の今の発言に対しまして何かコメントがありましたら、よろしくお願いしたいと思います。
  4. 尾身幸次

    尾身国務大臣 まず最初に、経済企画庁経済見通しに対する全般的なスタンスの問題でございますが、私自身は、就任以来、経済現状についてできるだけ客観的に正しくその実態を国民の皆様にお知らせし、必要な対策はとる、そういう方向でやってまいりたいと思って、そのように心がけてきたところでございます。  桜の咲くころには景気回復し始めるというふうな表現をさせていただきましたが、現在は、御存じのとおり、消費者及び企業経済先行きに対する景況感がまだ低下をしておりまして、経済停滞をしているというふうに認識をしているわけでございます。  ただ、これから先の状況でございますが、二兆円の特別減税あるいは補正予算、それから金融システム安定化策実現をされることになりました。それによりまして、十二月の初めころの、今にも大恐慌が来るというような感じの心配というものが国民全般からはなくなったと思っておりまして、そういう意味では、コンフィデンスは、金融システムが崩壊するのではないかというような不安感という水準からはかなり回復してきているというふうに考えている次第でございます。  さらに、この十年度の予算及び法人税減税等含みます予算関連税制改正関係法案等が三月中に通り、そしてまた昨年十一月に決定をいたしました緊急経済対策、その中には、例えば電気通信規制緩和とかあるいは人材派遣業規制緩和とか土地の有効利用に関する規制緩和等々がございますが、そういう関係法案がこの三月に提出をされて、四月、五月ごろには通って、実施に移されるというふうに期待をしているところでございます。  それからまた、早期是正措置、四月一日でございますが、早期是正措置を控えての貸し渋り現象も四月以降は緩和されてくるだろう。  そういう意味で、この一—三月というのは大変厳しい時期でありますが、それを通り越して、四月になれば次第に順調な回復軌道に復帰してくる、そういう考え方を申し述べたものでございまして、そういう意味で、この十年度予算の、予定どおりといいますか、三月いっぱいにおける、予算を国会が通していただきまして、実施、金が使えるようになるということが大変大事なポイントであるというふうに考えております。  なお、経済企画庁といたしましては、総理の御指示もございまして、自民党の第四次緊急国民経済対策を受け、また昨年十一月の緊急経済対策フォローアップ、さらには追加の規制緩和策等につきまして、現在関係各省庁と協議をしながら具体策検討に入っているところでございます。  経済はもとより生き物でございますから、今後の内外の経済金融状況に応じまして適時適切な経済運営に努め、できるだけ早く景気回復させたいというふうに考えている次第でございます。  当面は、繰り返して恐縮でございますが、この十年度の予算及び関連法案予定どおり三月いっぱいに通していただくことが一番大事な景気対策であるというふうに考えておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
  5. 岡田克也

    岡田委員 経済企画庁長官というのは、経済景気見通しに対して内閣の中でも責任を負う立場にあるというふうに思います。  今のお話ですと、これは従来の繰り返しだと思いますが、四月に入れば回復基調に乗る、こういう御発言であります。もしそういうことが事実でなければ、長官政治家として責任をどういうふうにおとりになりますか。  そしてまた、順調に回復基調に乗るというのであれば、当然、補正予算を今後編成するなどという話は起きてこないはずでありますが、もし政府景気対策で、公共事業であれ減税であれ、大型の補正予算を組むということになった場合に、そういう楽観的な見通しを述べておられた経済企画庁長官としてどのような責任をとられますか。
  6. 尾身幸次

    尾身国務大臣 私はそのことに対してもただいまお答えをしたつもりでございますが、経済生き物でございますから、その状況金融経済状況に応じまして適宜適切な対応をするということは総理も申し上げておりますし、私どもも考えているところでございます。  したがいまして、先ほど申し上げましたように、総理の御指示も受けまして、現在、規制緩和のさらに一層の推進等を含めました経済活性化のための対策を講じているところでございますし、適宜適切な対策をとって、十年度の一・九%という、この経済見通しはぜひ実現をさせていくべく全力を尽くしてまいりたいと考えている次第でございます。
  7. 岡田克也

    岡田委員 今から半年ぐらいたって、いろいろ、長官が述べておられた前提が狂ってきたということであれば、それは補正を組む一つ理由になると思います。しかし、もし補正を組むということが近々決定をされる、ここ一、二カ月で決定をされるというようなことになれば、長官国民の前で間違った見通しを堂々と述べていた、そういうふうに評価されても仕方がない、私はこういうふうに思います。もし何かありましたらどうぞ。
  8. 尾身幸次

    尾身国務大臣 私はここで、補正を組むとか組まないとかいうことは総理と同じように一切申し上げておりません。現在は当面この十年度の予算を通していただくことが最優先の景気課題である、そういうふうに申し上げているわけでございます。
  9. 岡田克也

    岡田委員 今長官がおっしゃっている楽観的な景気見通し前提として補正をどう考えているのかという問題です。補正をやるとはおっしゃらないわけでありますから、補正なしにそういう楽観的な景気見通しというものを述べておられるというふうに見るしかないわけですね。もし補正前提にして述べておられるとすればこれは重大な問題であります。  ですから、補正なしにこういう楽観的な景気見通しを述べて、そういうふうになっていくんだ、順調に回復していくんだ、そういうふうに考えておられるとしか論理的には思えないわけであります。いかがですか。長官はそれとも、大幅な補正予算前提にして楽観的な景気見通しを述べておられるんですか。
  10. 尾身幸次

    尾身国務大臣 現在提出しております十年度予算が最善のものとして提出をしております。しかし、経済の実情に応じて適宜適切な対応をとるということも経済対策責任者としては必要なことでございますから、いろんなことを考えながらいろんな対策検討はしている。  そしてまた、現在ただいま特に重点的にやっておりますのは、規制緩和を中心とする昨年の十一月のフォローアップ、それからまた自民党の第四次経済対策を受けましての政府部内のいろんな検討をしているということでございます。
  11. 岡田克也

    岡田委員 またこの問題は後に総理とも議論をしたいと思っております。  では次に、通産大臣にちょっとお聞きをしたいと思っております。  通産大臣アジア経済というものに対して大変な御懸念をお持ちではないか、今までの答弁をお聞きしてそう思います。確かに、このアジア経済影響というのは我が国にとって非常に深刻な影響を及ぼしているというふうに私は思います。  たまたま私の地元四日市市で、ある企業が倒産をいたしました。資本金が五千万、年商十億という中堅企業であります。その企業が倒産した理由は、その企業自動車生産ラインの一部の部品をつくっていたわけですけれども、韓国の自動車メーカーからの発注がぱったりとまった、そのことによって資金の回転ができなくなりまして自己破産されたわけであります。  あるいは、最近、一部上場の大同コンクリートという会社が破産申請したという記事が載っておりました。この会社も実は四日市市に百人ぐらいの工場を持っております。報道によれば、インドネシアの関連会社が行き詰まり、その資金手当てができなくなって破産の申請をした、こういうことであります。  そういう意味で、非常に狭い私の地元という範囲でもこういう事件が立て続けに起きますと、アジア経済の後退あるいは金融の問題というものが日本経済にも非常に大きな影響を及ぼしてきているということを実感するわけであります。  同時に、そういった日本輸出影響を受けるというだけではなくて、やはり日本責任として、アジアの国々が日本に対して輸出をする、つまり日本が輸入をすることによってアジア経済を立て直していく、そういう役割も非常に大事なことだと思うわけでございます。総理は否定されるかもしれませんけれども、やはりアジア経済がおかしくなった理由一つとして日本の去年の春からの不況というものがあったことは、私は否めないというふうに思うわけでございます。  そういう中で、通産大臣は昨日の記者会見の中で、これは報道でありますから確認もあわせてお願いしたいんですが、日本内需拡大アジア経済にとって重要である、九八年度予算成立後ある程度の財政出動を考えなくてはいけない、そういうふうに述べたと伝えられているわけでございます。  通産大臣というのは、閣内でも最も産業に近い、つまり現場の声がわかる、そういうお立場でありまして、従来、過去においても政府景気対策をつくる際に最もその牽引車となってこられた、そういうお立場だろうと思います。そういうお立場から、景気現状についてどういうふうに認識しておられるのか、そして、昨日の発言は真意はどういうことなのか、お答えをいただきたいと思います。
  12. 堀内光雄

    堀内国務大臣 岡田委員の御質問お答えを申し上げます。  最近の経済動向というものを眺めてみますと、昨年の秋以来の金融システム不安等、非常に、マインドの下振れによりまして、個人消費低迷をいたしております。また、住宅建設下げどまりの兆しも見られますが、依然弱含みでございます。設備投資も動きが鈍くなってきております。こうした中で、在庫調整のおくれなどから、生産は弱含みで推移をしているということは事実でありまして、企業とりわけ中小企業景況低迷をいたしておると考えております。  産業動向を業種別に見ますと、自動車、小売等の消費関連業種では、消費マインドの冷え込みによりまして国内の販売は低迷が長引いているところでございますし、また、鉄鋼等の素材関連業種では、内需の伸び悩みあるいはその他の輸出の問題の影響から、生産が伸びが鈍化をいたしてきております。さらに、パソコン、通信機器というようなこれまで比較的好調であると言われていた電子情報関連業種においても、内需は鈍化の傾向にございます。  こうしたことから、私としましては、景気停滞をしており、厳しさはますます増しているというふうに認識をいたしております。  そういう意味で、政府といたしましては、既に実施をいたしております緊急経済対策、あるいは、御決定を、御承認をいただきました九年度の補正予算、これには一兆円の公共事業あるいは一兆五千億のゼロ国債の発注などが含まれていると同時に、二兆円規模の個人所得税の特別減税というものがございますし、金融システムの安定化、こういう対策の迅速かつ的確な執行に努めているところであります。  さらに、私の見ているところでは、今この国会において御審議を賜るところの十年度予算においては、法律案などに含めまして、米国を下回る法人税の引き下げ、あるいは有価証券取引税の引き下げ、地価税の凍結というような数字は、この税制の改正により、約二兆数千億の税制改正が行われることになっております。また、電気料あるいは電話料の引き下げによりまして、約一兆円の引き下げの例も行われることになっているところでございます。  これらの施策によって、私の判断といたしましては、消費者あるいは企業を取り巻く環境がこれの実現によりまして改善をされてきて、そして企業活動などが活発化されてくるであろうというふうに思います。その結果、四月以降においては、こういう諸施策の成果があらわれてくることを期待すると同時に、経営者の先行きに対する期待感も含めて企業活動が活性化されて、国内景気というものが改善されてくるんではないかというふうに考えております。そういう意味合いから、私は、この予算案並びにこの国会における関連法律案が通ることによりまして、四月以降においては期待のできる状態があらわれてくるというふうに考えております。  ただ、その際に、先ほど委員からもお話がございましたように、東南アジアの問題というのは、やはり非常に重要な問題として今浮かび上がってきているところでございます。内外の経済金融情勢、こういうアジアの国際情勢、こういうものに対しての臨機応変な措置を講じるということは当然のことだろうというふうに私は思っております。  私の申し上げました財政出動というような問題は、ASEAN経済を見ますと、先ほどのお話がございましたように、通貨、金融というような面での危機をもたらしてまいりました。そういう影響は非常に深刻でございます。タイにおきまして、あるいは韓国におきましては、大きな対外債務についての一応の危機は脱しつつあるというふうに思いますが、いまだに流動性の問題としては目を離せない状態にあります。さらに、現在まだインドネシアにおきましては一千億ドルをさらに超えるような非常に大きな対外債務を抱えておりまして、これの結論がまだ出ていないような状態でありまして、解決すべき課題は非常に多いわけでございます。  そういう意味で、東南アジア向けの対策として経済対策という問題は考えておかなければいけないことであるということでありまして、現在の予算の実行によって、四月以降の国内景気の問題と別の問題としまして、やはり今後のアジア状況に応じましては財政投融資や貿易保険などを中心といたしました対外応援の対策、こういうものを念頭に置いて、アジア経済回復基調に戻るようにアジア産業を支援する。  金融面あるいは流通面の解決をすればそれでいいというものではなくて、各国の産業自体をしっかりと伸ばしていって、それによって、借りた金は返さなきゃいけないわけでありますから、その借りた金を返せるような産業基盤をつくるには、先ほど委員のお話のように、日本を中心とする輸出入の増加、あるいは世界を中心とする輸出入の増加のようなものをASEAN各国においてとり行われるようにしていかなければならないというふうに考えますし、それを行うのはやはり日本責任であるというふうに考えておりまして、そういう意味合いからの必要な措置を講じなければならないと考えた趣旨を申し上げた次第でございます。
  13. 岡田克也

    岡田委員 今の大臣の御答弁は、景気現状認識は余り企画庁と差がないというふうに私は理解をいたしました。そしてその上で、アジア経済の問題、非常に重要だ、そのために、予算ではなくて財投や貿易保険その他でしっかりした手当てをしなければいけない、こういう御説明だったと思います。  私は、アジア経済のためにも、やはり日本が、彼らが輸出をするその対象としてしっかりと輸入してあげるということは大事なことだし、それは日本国民のためにもなるわけですね。安い輸入品が入ってくる、為替のレートも随分変わっておりますから、値段も安くなるわけであります。  そういう意味で、日本の内需を拡大していくということがそういったアジア経済を立て直すための大前提としてある。それは、そういう手法はいろんなところでされているわけでありますし、内需を拡大するためにどうしたらいいかということを、貿易保険とかそういった対症療法ではなくて、もっとやはり中に踏み込んだ対策が私は必要である、そういうふうに思うわけでございます。  そこで、ちょっと話題を変えますが、この予算委員会で今日までの間、我々は、本予算を修正すべきだ、景気対策をもっと盛り込むべきだ、こういう主張をしてまいりました。それに対しては入り口のところで、いや、景気はそういう現状にありませんというところで、そこでもう議論が終わってしまっているわけであります。政府が、今の両大臣の御答弁のように、いや、景気は春以降回復していくんだと、こういうふうにおっしゃるから、そこで議論はとまってしまいます。しかし、現実はそうじゃない。これはもう自民党の中からも、今の景気現状がいかに厳しいかということは、そういう話はどんどん出てきているわけであります。  本当は我々は予算の修正を主張しているわけでありますが、それに対して政府の側から出てくる話は、いや、予算の修正をしていたら間に合わない、だから予算の修正はだめだという話が出てくるのなら私は議論はかみ合うと思いますよ、しかし、景気は悪くないと言ってしまうからそういう議論ができないじゃないですか。  あるいは、自民党の方から補正という話が出てくる。補正一つの選択肢かもしれません。しかし、補正にはいろいろ問題がある。財政法二十九条の問題もあります、そういう問題もきちんとここで議論しなきゃいけない。しかし、そういう議論ができないじゃないですか。それは、今経済企画庁長官おっしゃったように、景気は悪くないとおっしゃるから議論できないわけであります。  例えば、我々は、減税中心にやるべきだということを主張しております。それに対して自民党は、公共事業中心だという声も漏れ聞こえてくる。ではどっちが景気対策としていいんだ、こういう議論もここでちゃんとしなきゃいけないはずです。しかし、そういう議論もできない。なぜなら、政府景気対策の必要性を認めていないからであります。そこを私は非常に懸念をするわけであります。この予算委員会が形骸化しているんじゃないか。それは一にかかって、総理初め政府側が、いや、景気は悪くありませんよと言っているから議論できない状況にあるわけで、総理を初め政府のそういうかたくなな姿勢がこういう議論の余地を残していると私は思います。  このことは、国会自身が機能していない、そういう国民の批判にもなってくるわけでありますが、今の私の意見について、総理、何か御見解ありますか。
  14. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 一つだけお言葉を返す部分がありますのは、我々は景気を決して楽観して、少なくとも私は楽観した物の言い方をしたとは思っておりません。むしろ、だからこそ機敏に行動する必要性、あるいは経済金融の情勢に応じた対応、こういうものもここまでもしてまいりましたし、同時に、補正予算の御審議もお願いをし、それにあわせて予算が切れないようにぜひということを繰り返してお願いを申し上げております。  私どもは、楽観して入り口でとめているというつもりはありませんが、同時に、平成十年度予算並びに関連する税制改正を初めとする法律案の必要性、重要性というものを繰り返し強調させていただいておる、私はそうお答えをしたいと思います。
  15. 岡田克也

    岡田委員 景気について楽観していないというお話ですが、先ほどの経済企画庁長官の御答弁は、桜が咲くころには景気回復基調に乗るんだ、こういうふうにおっしゃるわけで、これが楽観論でなくて一体何なんだ、こういう気がいたします。  総理の御答弁の中で、金曜日、これは鈴木委員補正質問をしたときに、総理がそれに対してお答えになりました。それに対して鈴木委員が、補正について総理は全く言っていないそうですから、ぜひ新聞にはそう書いてほしいですね、こういうふうに発言されましたら、総理は、その席にお座りになったまま、いや、やるともやらないとも何も言ってないということです、十年度予算を成立させてくれとしか言っていないです、そういうふうに叫ばれたと議事録に書いてあります。今の答弁と全く同じですね。  私は、一国の総理がそういうやり方で、本音は今の景気現状から見れば補正をやらざるを得ない、あるいは追加的な財政措置をやらなければいけないというふうにここまで出かかっていながら、それをおっしゃらないで、この国会の場で、国民の前で、いや、そういうことはどちらとも言ってないんだと、そういう姿勢が非常にわかりにくくしている。そして、もっと言えば、そのことが日本の今の景気低迷を招いているかもしれない。一国の指導者として、はっきりとしたメッセージを国民に送る責任総理にあるのじゃないか、そういうように思いますが、いかがでしょうか。
  16. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 お尋ねがありますから、私はお答えをしてまいりました。  そして、今私どもは十年度予算の御審議を一日も早くとお願いを申し上げております。同時に、十年度税制改正が遅滞なく行えますように、ぜひまた関連する法律案が通過、成立いたしますように、それをお願い申し上げている。まさにそういうお願いを繰り返しております。  そして、私は楽観論をもって物を申し上げているつもりはありませんし、楽観をしていないからこそ特別減税の審議もお願いをし、補正予算のお願いもし、そして金融システム安定化のための方策についても御審議をお願いをし、これらのものを少しでも早く使わせていただきたいということを繰り返し申し上げてまいりました。十年度予算においても、また関連する法律案につきましても、同じことを申し上げている。  確かに、そのお尋ねにお答えをしてくる中に、いろいろなやりとりはありましょう。しかし、まさにそういうお願いを申し上げております。
  17. 岡田克也

    岡田委員 十年度予算案が最善の予算案である、これを早く通すことが最大の景気対策だ、こういう答弁は何度もお述べになっているわけでありますが、そういう答弁が非常にわかりにくくしている。  その前提として、今の景気現状をどう見て、そして追加的な景気対策が近々必要とされるのか、されないのか、そこのところをお述べにならないと、何のために早く通せと言っているのかわからないじゃないですか。国民は、ほとんどの人が、いや、その後追加的な財政措置というのが出てくるのだろうというふうに思いながら、総理がそのことを言われないから、議論を聞いていても何にもわからない。もっと率直に国民に語りかける、そういうお気持ちにならないのでしょうか、いかがでしょうか。
  18. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 先ほど来、経済企画庁長官も、経済企画庁長官としての役割の中から、昨年取りまとめました規制緩和フォローアップ、さらにこれに党の方でいろいろ御検討いただいたものを政府がまた加え、新たなものをやりたい、そうした努力をしようとしているのだということも申し上げておりますし、また、通産大臣も、みずからの職責の中におきまして、例えばアジアの国々から製品輸入をする、製品輸入をいたします前提で今度は逆に日本から部品が出ていかなきゃならない、そうしたところにおける影響も心配しての発言もいたしております。  楽観してというようなことではありませんし、現時点において審議していただいております予算、税制改正等をできるだけ早く御審議いただきたいと申し上げるのが、政府の真剣な姿勢としては当然のことではないかと私は思っております。
  19. 岡田克也

    岡田委員 ややしつこいかもしれませんが、それでは総理補正予算、いろいろ自民党からもそういう声が上がっているし、あちこちでそういう報道がありますが、例えば、もう三月も四日でありますけれども、この補正予算について、三月いっぱいまでに政府として補正予算決定をすることはないということを断言できますか。
  20. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 先ほど経済企画庁長官も、同種の御質問に対して、経済生き物でありますという言葉を使いました。そういうことにならないためにも、少しでも早い御審議をお願い申し上げたいと思います。
  21. 岡田克也

    岡田委員 経済生き物だという一般論は私もそのとおりだと思いますが、じゃ、三月いっぱいまでのこれから二十日間余りの間で、どういう大きな変化があって、つまり、今必要ないというふうに判断しておられるならどういう大きな変化があって補正決定に至るのか。私は、そういうことについてきちんと説明する政治家としての責任がある、そういうふうに思います。  私がこういうことをいろいろ申し上げているのも、先ほど言いましたように、景気対策をとるとして、公共事業中心か、減税中心かという議論もある。あるいは、この本予算を修正するのか、補正予算かという話もある。そして同時に、財政構造改革法をどうするのだという話もあります。財政構造改革法を今のままやっていけば必然的に公共事業中心にならざるを得ない、そのことはこの委員会で何度も指摘がされたところであります。したがって、もし減税の方が効果があるということであれば、例えば弾力条項を置くとか、毎年赤字国債を減らしていくという規定を凍結するとか、そういう具体的な議論をしなきゃいけないわけですね。  しかし、最初に戻りますが、そういった追加的な財政措置の必要性について、現実には恐らく認めておられながら、この場では形式論で切り抜けられるものですから、そういう深まった議論ができない。ただ単に時間が過ぎていく。その間に、国民の方はますます政治に対してあるいは政府に対して不信感が募る。それが今の姿じゃないでしょうか。(発言する者あり)
  22. 越智通雄

    越智委員長 静かに願います。
  23. 岡田克也

    岡田委員 それじゃ、この予算修正について、私は、総理についていろいろな責任があると思うのですね、今までのことについて。いろいろな責任がある。  例えば、具体的には余り申し上げたくはないのですけれども、まず第一は、昨年春の九兆円の負担増、これによって日本景気決定的な後退を招いた。これは政府の、総理責任があります。そして、財政構造改革法、これに基づいてデフレ予算を組んだ。これも総理責任であります。三番目には、早期是正措置影響を軽く見た。四番目は、二兆円減税のタイミングを誤った。  もし二兆円減税が前の国会の間に議論され、そしてその国会で通過をしておれば、年末のボーナスの時期に間に合った。そうすれば恐らく、二兆円であってもかなり景気にいい影響を及ぼしたはずであります。それが、国会が終わってから減税措置を打ち出されたためにこの国会にずれ込んだ、そして実施も二月、三月あるいは六月ということに分散した、このことの影響もかなり大きいです。  そういう、今申し上げた四つの点、私は総理に非常に大きな責任があると思います。そのことについても総理責任をお認めにならない。例えば九兆円の負担増については、いや、今景気が悪いのはそのせいではなくて、アジア景気後退が主たる原因である、そういう答弁をされたと思います。そういったことで責任を認めない。私は、そういったことについてきちんと責任を認めた上で、そしてこの国会審議の中できちんと、だから今追加的な財政措置が必要であるということを総理は言われるべきだと思うのですよ。  私は、今いろいろ申し上げたことについての総理責任もありますけれども、より大きな責任は何かといえば、今これだけ審議している中で、そして景気現状が非常に厳しいということはわかっている中で、そうじゃないという楽観的な予想を振りまいて、総理は楽観的じゃないとおっしゃるかもしれませんけれども、楽観的な予想を振りまいて、そして追加的な財政措置について口をつぐんで、そしてこの予算案が通った後で、通った後というのは衆議院を通った後だと思いますけれども、いきなりどかんと追加的な景気対策、財政措置を打ち出す、補正予算を打ち出す、こういうやり方は私はだめだと思うのですよ。  そして、もしそういうやり方をされれば、私は、そういうやり方について政治家として総理責任、これは徹底的に追及したいと思います。もし今総理がみずからの今までのことをお認めになって、だから財政措置を自分としてはやりたい、協力してくれ、そういうことであれば我々は中身の議論というのはできると思うのですよ。そういうものを全部はねておいて、そしていきなりだまし討ちみたいにどかんと補正予算を組む、そういうやり方は私は納得できないのですが、いかがでしょうか。
  24. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 大変恐縮ですが、この紙をちょっとお目通しをいただきたいと思います。  私は、この委員会の御論議というもの、党派を超えて評価すべき御意見というものは評価する、そしてその上で、これに対して、現実に例えば難しいと思うとかいうお答えをすべきだと思い、してまいりました。そして今、そういう御答弁の大変できにくい環境にございます。だれのせいということではございません。  しかし同時に私は、議員が今、これが私の責任だと言われましたもの、それぞれ議員としては私を批判する論拠をお持ちと思いますので、その批判はちょうだいをいたします。私は私なりにいろいろと申し上げたいことはございますけれども、少なくともそうした御批判を私は無視するつもりはありません。
  25. 岡田克也

    岡田委員 総理の御発言に対して、自民党の中ですら責任とってやめろなどという話が聞こえてくるという報道もありますから、総理が非常に我々野党のことも含めて気にされるのはわかります。しかし、そんなことを一々気にせずに、総理としてみずから国民に対してきちんと語りかけるということは大事だと思うのですよ。  我々は別に、野党ですけれども、総理が率直にみずからの責任をお認めになり、そしてこれから追加的な財政措置が必要だ、だからその中身について議論したい、あるいはやり方について議論したい、補正なのか当初予算の修正なのか、公共事業中心なのか、それとも減税なのか、あるいは財政構造改革法について修正しなきゃいけないんじゃないか、そういう御提案があれば、きちっと受けとめられますよ。そういうことについて総理の踏み出しがないから私は、議論が後退している、あるいは議論生産的なものになっていない、そういうふうに思います。  今総理が御指摘になったその紙もありますけれども、しかし、もし総理がそれだけが気になっているということであれば、私はちょっと総理の心臓も小さ過ぎるんじゃないか。そんなことを気にせずに、どんとやられればどうですか。何かありますか、総理。  まあ、何もないようですから、いずれにいたしましても、私はやはりこの国会の場で、予算委員会の場で、景気現状について、そして追加的な財政措置のあり方について、きちんと議論するというのが本来だと思います。そういうことについてやっていないということが、私は、政治不信、あるいは経済全体に対する国民の信頼というものも後退させているんだ、そういうふうに思うわけであります。現在のこの経済不況の原因、直接的にはいろいろありますが、基本的には政府に対する信頼の問題なんですよ。それが後退している、そういうふうに私は思っております。  そこで、その政府に対する信頼の問題ということで、一つ追加的に御質問したいと思います。  厚生大臣に対して御質問したいと思うんですが、先般の自民党の発表された景気対策の中で、これは文章を読んでも中身が必ずしもはっきりとしないわけでありますけれども、不動産を証券化する。しかもただの不動産ではなくて、いろいろわけありの不動産も含んでいる、その不動産を証券化した商品を購入する。しかしそれはなかなか民間資金では難しい、だから厚生年金基金を活用すると思われる記述があるわけです。  厚生大臣はかねがね、厚生年金の基金の自主運用ということを言っておられる。厚生年金のもとの保険料というのは、やはり年金受給者のために最もよい条件で最も有利に運用していくのが責任である、そういうふうにいつも言っておられますね。そのことと、こういった不良不動産の証券化したものについて基金の金を投入して民間資本の先導役を果たす、こういうことについて、厚生大臣は賛成でしょうか、反対でしょうか、それとも絶対反対でしょうか。
  26. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 厚生年金基金、これは確実に有利に運用しなくてはいけない。そして今、一つの案として自民党が考えている不動産を証券化する商品についての購入はどうかという質問なんですが、政府がこの商品を買えとか買うなとかいう問題ではないと思います。また、それは政府はできない、民間に運用は委託しておりますから。その商品が有利であれば買えばいいし、不利であれば買う必要はない。厚生年金基金というのは、安全で確実に有利に運用するのが筋であります。
  27. 岡田克也

    岡田委員 今の御答弁ですが、自民党景気対策は、それをある程度、強制まではいかないかもしれないが、意図的に買わせる、そういう趣旨だと思うんですね、そうでなければ景気対策にならないわけですから。民間が買えないものを先導して買わせるというわけですから、民間がリスクがあって負えないようなものを負わせるということなんですよ。だから、そういう一般論の話じゃないと私は思うんです。  今の小泉大臣の御答弁は、そういった一般の民間と同じ条件でなければそれは買えません、そういう御趣旨ですから、先導的な役割を果たすことについては否定しておられる。そういうふうに受け取りましたが、それでよろしいですね。
  28. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 政府は強制できませんし、また不利な商品を買えなんと言うはずはありませんし、むしろ不利な商品を買うなと言っても、買えということは言えません。
  29. 岡田克也

    岡田委員 今まで、財投の歴史を見ますと、郵貯にしても厚生年金基金にしても、必ずしも有利でないものも買わされてきたという歴史があるから私は非常に気にしているわけで、今の厚生大臣の御答弁は、そういった過去の事実も踏まえた上で、強制することはない、つまり市場の一般の民間の事業者が買わないようなものは買わせるわけにはいかない、そういうふうに断言をされたというふうに受けとめます。  いずれにしても、きのうの郵貯についての郵政大臣の御発言もありましたけれども、三十兆円の資本投入以来、どうも私は、政府のやっておられることはおかしいのじゃないか、こういうふうに思うのですね。今までは、民でやることは民にお任せします、政府の役割は最小限ですというふうに言っておられた中で、もちろん緊急の必要性というものは私も否定するものではありませんけれども、三十兆円の投入、そして今回の年金基金の活用、あるいは郵貯、簡保資金で株を購入しろと。何か五年か十年昔に戻ってしまった、政府が何でも手を出してやりますよ、そういうふうに私は受け取れるということを申し上げておきたいと思います。  次に参ります。日米防衛協力の指針であります。  前回少し議論をしたところを整理したいというふうに思っておりますが、国会承認の問題でございます。前回の答弁の中で、あるいはその後の防衛庁の記者会見の中で、防衛庁長官は、周辺事態発生に伴う自衛隊の出動ということに国会承認が要るか要らないかという問題について、いろいろなことを言っておられます。  一つは、PKFとの関係を述べられたところで、PKFというのは、一応シビリアンコントロールは確保されているけれども慎重を期すという立法府の意思に従ったのだ、こういうふうに述べておられますね、これは国会答弁の中でそういうふうに述べられているわけであります。  確かにPKFというのは後で修正した。PKOそのものについては国会承認は要らない、しかしPKFについては要る、これは後での国会での修正であります。しかし、その修正をしたのは当時の自民党、公明党、民社党、圧倒的多数ですね、国会の院の構成においては。それだけの多数の政党が立法府の意思としてPKFの場合にも国会承認が要るということを表明したわけです。その国会の意思の表明というものは、現在においても引き続いてあるというふうに私は考えるのです。  そういう意味では、従来のPKOに関する政府の御見解というものは、考え方が一部修正をされた。したがって、PKFは例にならずというのは成り立たない議論じゃないかと私は思いますが、いかがでしょうか。
  30. 久間章生

    ○久間国務大臣 シビリアンコントロールが確立されているかどうかということと、国会承認を経るか経ないかということは、必ずしも軌を一にするわけじゃございませんで、シビリアンコントロールというのは、御承知のとおり、政治がとにかく軍に対して優位性を保っておればいいわけでございますから、現在の憲法のもとで、いろいろな自衛隊法なり現在の制度のもとで、文官の総理大臣あるいは防衛庁長官、そういうのがちゃんと機能するという形になっておるわけだから、それはそれであるわけですけれども、ただ、立法政策として、我が国の自衛隊が海外に出ていくときに、それをどの程度国会との関係を持たせるか、そういう判断の問題になるわけですね。  そのときに、御承知のとおり、今言われたように、PKFについては、シビリアンコントロールとしてはこれでいいけれどもということで出しましたけれども、国会の意思として、これは承認がより望ましいのだという意思によってあのように決まったわけでございます。そういう意味で、これから先も自衛隊が海外に出るときにどう判断するかというのについては一つの例になるのじゃないかと思います。  しかしながら、今度の周辺事態のときに、果たしてそういうふうに海外まで出ていくことになるのか、我が国周辺で後方地域支援なり主体的な活動をするのか、いろいろあると思うのです。  だから、それらについては、まさに国会の御審議を経ながら、議論を聞きながら、これから先どうやっていくか、これはやはり立法政策の問題に絡んでくるものでございますから、そういう意味で今幅広く検討を行っておるという状況でございます。
  31. 岡田克也

    岡田委員 長官は、そのほかにも、邦人救出との対比において、邦人救出というのは緊急にやらなければいけない、だから国会承認の時間的な余裕がないんじゃないか、こういうことも言われております。しかしこれは、今の防衛出動であっても、あるいは命令による治安出動であっても、場合によっての事後承認ということを法律上規定しているわけであります。承認されなければ、そこでやめると。だから、同じような構成にすれば、時間がないということは理屈にならぬだろう、そういうふうに思います。  それから、もう一つ大臣が言っておられるのは、国会というのは、行政府に対して最終的には内閣不信任案という形で優越権を持っているんだ、だから、内閣不信任案があるから、国会承認なんてことをしなくたって、政府が出したものについて文句があれば不信任案を出せばいいじゃないか、こういう御趣旨だと思うのですが、私は、これはちょっとシビリアンコントロールという考え方を誤解されているんじゃないか。  我々が国会承認と言っているのは、自衛隊の活動に対して、国会が直接に承認という形で影響を与えるということを主張しているわけで、行政府に不信任案を突きつければいいじゃないかということを言い出したら、これは、国会というのはシビリアンコントロールについては基本的に必要ないという議論にもつながってくる議論で、私はかなり暴論だと思うのですが、いかがでしょうか。
  32. 久間章生

    ○久間国務大臣 先ほど冒頭に言いましたように、シビリアンコントロールというこの言葉の意味からいきますと、現在の日本の憲法なり法律はそういう制度については確立されておるということを言ったわけでございます。  ただ、個々の具体的な自衛隊の行動等について、どこまで国会との関係で承認を必要とするとかしないとか、そういう問題については、まさに立法府が法律を決められるときに立法府の意思として決められる問題であって、これは、シビリアンコントロールという抽象的な言葉の持っておる響きといいますか、それとは直接には関係しないということを言っているわけでございます。  政府に対するコントロールがきかない場合は、政府が勝手に、要するに外国に対して義務を負うようなことをやってしまった場合、これは大変でございますから、これについてはちゃんと、いわゆる条約で義務を自分が負う場合には国会の承認を、批准をするという形になって、憲法上そういう制度ができております。それ以外については、政府に対してはいつでも国会が優位性を持って変えることができるというふうに、我が国の憲法は、そういう点では非常にすばらしい憲法としてでき上がっておる。  ただ、その中で、自衛隊のいろいろな行動についてはどこまで国会にかからしめるか、これは立法政策の問題で、立法府が政府に対して、政府から案を出されましても、それに対して、これはすべきであるという、まさにこの間修正されたような形で立法府の意思としてきちっと決めることによってそれは守らせることができるという、そういう形で、我が国のシビリアンコントロールは法制上は非常に行き届いておるというふうに思っておることを私は言ったわけでございまして、これから先のことについて、だから要らないとか、そういうことを言っているわけじゃないわけでございます。
  33. 岡田克也

    岡田委員 今までのシビリアンコントロールについての政府の御見解、あるいはPKFについての国会承認の経緯、そういうものを踏まえて、長官は、いや、法案を出しても、それを立法府で修正すればいいじゃないかとおっしゃったけれども、そうじゃなくて、そういったいろいろな議論を踏まえて、提出の段階で国会承認についての政府のきちんとした考え方を出すべきだというふうに私は申し上げているわけでございます。  私は、従来のシビリアンコントロールについての考え方の中で一番問題になるのは、国民の権利義務に関係するかどうかというところだと思います。もう一つの、我が国にとって重大な事態であるかどうかというのは、周辺事態の定義からも、この前も申し上げましたが、重大な事態であるということは間違いなく言える。  国民の権利義務に関係するかどうかというところについて、例えば今の自衛隊法の百三条、防衛出動時における物資の収用という規定がございます。自衛隊の任務遂行上必要があると認められるときには、知事が、病院その他政令で定める施設を管理し、土地、家屋もしくは物資を使用し、あるいは保管を命じ、収用することができる、こういう規定でございます。一種の権利を制限している、非常時における権利を制限している規定でございます。  これと同様の規定は、こういった周辺事態出動の場合に必要がないとお考えですか。
  34. 久間章生

    ○久間国務大臣 財産権等との関係で私権の制限については非常に慎重を期さなければならないわけでございます。今の防衛出動の場合は、ちょうど災害の場合と同じで、非常時の場合に、それをすることによってより大きな公共の福祉が確保できるという場合に非常に限定された規定であると思います。  そういう意味では、周辺事態のときに果たしてそれに匹敵するような私権の制限をすることが可能かどうか、これはやはり議論があるところでございまして、そういう意味で今幅広く検討しているわけでございますけれども、現在の検討段階では、罰則まで設けて私権を制限するようなそういう規定は難しいんじゃなかろうかというような方向に意見は結構出ております。  しかしながら、今各省庁で、特に古川官房副長官を議長とする各省庁とのいろいろな会議でこれから先の法整備はどうあるべきかについて議論をしているわけでございますので、そういう中でこれから先、今委員の御指摘のようなそういう点も踏まえながら、議論が集約されていくんじゃないかというふうに思っているところでございます。
  35. 岡田克也

    岡田委員 続いて百四条には「電気通信設備の利用」という規定もございますね。私は、罰則を設けるかどうかというのは一つ議論があると思いますが、もしいずれにしろこういう百三条、百四条的な規定がない場合に、じゃ、民間に自主的に協力してくださいとお願いすると思うんですが、これは一種の行政指導であります。しかし、法律の根拠がない行政指導になってしまうんじゃないか。  こういう非常事態でありますから、例えば極東で現実に戦争が始まっている、そしてそれに対して米軍が武力行使している、そういう中で自衛隊として日本の憲法の枠内で後方支援をしているわけですけれども、そういう事態で、こういった規定がなくて、できたら協力してくださいとこう言ったところで、それはかなり現実には強制になるんですね。そうしますと、それは法律の根拠のない行政指導ということになって、非常に不透明になってしまう。それよりはきちんと規定を置いて、その規定を背景にして行政指導をしていく、それが私はきちんとした考え方じゃないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
  36. 久間章生

    ○久間国務大臣 ガイドラインの実効性を確保するためにはどういうような法整備が必要か、そういうことについて今種々の広範な範囲の中から議論をしているわけでございます。  今委員が御指摘になりましたようなそういう点も踏まえ、協力を求める根拠が要るんじゃないかという議論もございます。しかしながら同時に、協力を求めたときに、罰則がなくて本当に協力が担保できるかというような意見もございます。それに対して、それはなくても、協力体制をつくる方法等でそれはカバーできるじゃないかといろいろな議論があるわけでございます。  そういう中で、今委員が御指摘になりましたような意見も踏まえながら、これから先どういう形が一番ふさわしいのか、先ほど冒頭に言われましたような私権の制限等の問題もございますので、私どもは慎重にしながらも、しかしながら、実効性が確保できるためにはどういうふうな、少なくともそういう協力を要請する規定ぐらいは要るんじゃなかろうかというような意見等も結構あるわけでございますので、そういう点も踏まえながら今議論を重ねているところでございます。
  37. 岡田克也

    岡田委員 これは邪推かもしれませんが、国会承認を避けるために、法律の規定を置かずに協力するという体制にして、したがって私権の制限は形式上はない、だから国会承認も要らない、こういうことを考えておられるんじゃないかという気もするわけであります。  いずれにしろ、これはシビリアンコントロールの問題でありまして、国会承認にかからしめるかどうかなどというのは、いろいろな議論の積み上げが必要ですけれども、基本的には私は政治家のリーダーシップの問題だ。こういう場合にはシビリアンコントロールのためにきちんと国会承認させろ、そういうことをまず大臣が、いろいろな議論の結果、議論していてまだ決まっていないとかそういうことじゃなくて、大方針をきちんとお立てになって、それに基づいて組み立てていくというのが本来じゃないでしょうか。大臣の御答弁を聞いていると、議論している議論していると言うだけで、何か長官の御意思というものが伝わってこないわけですが、いかがでしょうか。
  38. 久間章生

    ○久間国務大臣 先ほど委員も御指摘になりましたけれども、緊急性を要する場合については事後的にでもいいじゃないかとか、例えば邦人救出の問題とかいろいろございますが、そういうような議論もありまして、必ずしもこういう方針でこうやれというような形で言うほど、みんな機微な非常に微妙な問題ですから、それほどはっきりしたわけじゃないわけでございまして、それだけに議論もいろいろ出るわけでございます。  余り委員と私とで基本的な認識は違いはないと思うのですけれども、ただ、できるだけこういうことについては慎重に検討していかなきゃならないということから、今、いろいろなたたき台をもう構わず出していいから、どんどんやってくれということを言っております。それゆえに新聞等にいろいろ出ておるようでございますけれども、あれだって固まっているわけでも何でもないわけで、案については遠慮なく出して結構だということを言って、今どんどん議論をしているところでございますので、どうかもうしばらく検討させていただきたいと思います。
  39. 岡田克也

    岡田委員 この議論の続きは、安全保障委員会その他でまたさせていただきたいと思います。  ほかにもいろいろ議論したい点がございましたが、時間が参りましたので、終わります。
  40. 越智通雄

    越智委員長 これにて岡田君の質疑は終了いたしました。  次に、仙谷由人君。
  41. 仙谷由人

    仙谷委員 民友連仙谷でございます。  質問通告をしてございませんが、朝から山一証券に強制捜査の手が入っております。  思い起こせば平成三年八月のこの場で、いわゆる証券・金融スキャンダルにかかわる集中審議が行われておりました。私もそのときに、どうも損失補てんをしおくれた証券会社と得意先の関係が、飛ばしということで、山一には特に飛ばしがあるのではないかという指摘をそのときにしたわけでございます。当時の大蔵大臣は、現在の総理大臣、橋本龍太郎総理大臣その人でございます。  事ここに至って、総理が進めようとされている経済構造改革との関係、そして山一証券のこの事態をもたらしたことについての大蔵当局あるいは政府責任というものについて、どういうふうにお考えですか。感想だけで結構です。
  42. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 本委員会に入ります直前、議員が聞かれましたと同様の情報を私も聞き、その上でここに入ってまいりました。ですから、その後の状況を全く存じません。  その上で、確かに、山一を特定されたかどうか記憶にありませんけれども、議員が飛ばしの問題を提起をされた。その当時、大蔵省として把握をしております資料に基づいて、私は、御答弁をしたことは記憶をいたしております。  しかし、今回本当に、簿外資産、資産といえば結構なんですが、簿外債務という形で自主破綻の道を選ぶという事態にこれが発展をし、その後においてこうした捜査当局の手を煩わすような事態になっておりますことを、その当時、なぜ関係者が正直な話をしてくれなかったのか、また、簿外の取引でありますから、帳簿の検査において見つけられなかったということはある程度私はあると思いますけれども、そうした問題が把握できなかったということに対しては非常に悔いが残っております。  当時、飛ばしという問題点を提起をされ、その当時の資料においてはそうしたことがないというお答えをいたしましたこととともに、申しわけなく思います。
  43. 仙谷由人

    仙谷委員 この事件、粉飾決算、タコ配当ということでどうも強制捜査が入っているようなんですね。  考えてみますと、証券・金融スキャンダルのときもそうでございましたけれども、結局、バブルの生成と崩壊、この後処理。バブルのときは含み益経営をやった、後処理のときには粉飾決算をやりつつある、そしてそれがやみで処理される。つまり、格好いい言葉で言えば全然ディスクローズされない。これは銀行業界の不良債権処理も全く同じですよね。  あるいは、もっと言えば大蔵省の検査のあり方、そして今回の、昨日大蔵委員会で少々トラブっておるようでございますが、検査報告書等々についてのディスクローズをしないというこの体質、隠ぺい体質ですよ。これが私は、日本の現在の経済の行き詰まり、経済構造がどうしようもないところへ行っている大きな原因だと思いますね。  つまり、不信感を呼ぶ、この不透明さが信頼されない、何があるのかわからない。これが山一をつぶした原因でもありますし、今、日本の大蔵行政に対する不信ですね。大胆なことを言えば、接待を受けた問題なんかはその端っこで出てきた問題かもわかりません。  しかし、問題はこの隠ぺい体質ですよ。何物も国民に知らせない。知らせると騒ぎ出して大変なことが起こるという恐怖感だけで知らせない。しかし市場原理に、マーケットメカニズムに任せるのだ、それがビッグバンであり経済構造改革だ、こうおっしゃるのであれば、この体制をがらっと変えない限り、この体質を変えない限り、この国は言っていることとやっていることと全く逆さまなことをやっているということで沈没してしまう、破綻してしまう、私はこう思うのです。  総理、一昨日でございますか、閣議決定で四銀行の検査報告書、示達書等資料の提出について、拘置所でもないのに墨を塗って実質的にほとんど消して、それを見てくださいというような程度のことしかしないというこの国会審議のあり方、国政調査権に対する政府対応、これについてお考え直すお気持ちはありませんか。
  44. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 私は、今議員が指摘をされました議論の中に、一つ加えさせていただきたいと思います。その移り変わりの時期、ショックをいかに和らげるかという工夫もまた我々は必要だと思います。  そして、私自身、その示達書あるいはそれに対する回答書、さらにその後における書類等があるのかないのかそこは存じませんけれども、大蔵省としては、御要求の資料を提出させていただきました。ただ、特に北海道の中に占めておりました従来の北拓のウエート、そしてそれを信じ取引を続けてこられた善意の第三者に影響を及ぼさないようにという配慮をいたすこともまた、私は必要なことだと思います。  ただ、今後ともにといいますよりも、従来の検査の手法から、全体の手法に問題があったことは、これはだれも否定できません。そして、これを直していかなければならないという御指摘は、私はそのとおりのものだと思います。
  45. 仙谷由人

    仙谷委員 時間の関係もありますので次の質問に入りたいのですが、もう一点だけ。今の質問の中で、国政調査権に対する政府の態度という点についてはどうですか。  つまり、大蔵委員会で議決をしていますから、これは個人的に議員が資料を出せとかなんとか言っているのじゃないのですね。そのときに政府がああだこうだと注文をつけて墨で塗ったりするというやり方はどうですか、大蔵大臣
  46. 松永光

    ○松永国務大臣 大蔵委員会の議決に基づいて、国政調査権に基づいての政府に対する要求でございました。  大蔵省が持っておる資料の中で、ほとんどがこれは守秘義務がかかっておるわけでありますが、守秘義務との関係でどの程度まで明らかにすることが許されるか、そういった点等について検討を加えさせていただいて、少なくとも銀行の取引先の経済活動に不測の損害を及ぼすおそれがあるという事項等については公開を差し控えさせていただきたいという見地から、一部について、墨を塗った形での公開というふうにすることによって守秘義務と国政調査権との調和を図っていただいた、こういうふうに思っておるところでございます。
  47. 仙谷由人

    仙谷委員 調和じゃなくて、それは、要するに大蔵省なりの独自の判断によって出す情報と出さない情報を選別できる、ここがシステムとしても体質としても運用としても今問われているんですよ。そういうことで、もう一遍再考をされるように、この場をかりて要望しておきます。  次の質問に入ります。  平成十年度の予算書を見ておりまして、予算書といいますか予算全体を見ておりまして、気がついたことが一つございます。  どうも十年度末には公債残高が二百七十九兆円になるというんですね。公債金収入は約十五兆六千億、こういうふうに言われております。九年度末の公債残高が二百五十五兆円です。そうすると、二百五十五足す十五・六は二百七十・六ということになって、計算が合わない。  さらには、ことしもある種、国債の償還をするんでしょうから、どうも聞くところによりますと四・一兆円国債償還をする、こういうことでございますから、ここで十三兆何がしがどうもつじつまが合わない。いや、ことしになって補正予算を組んで一・七兆円公債を増発したから、それを差し引くとどうも十二兆ぐらいこれはつじつまが合わないお金があるね、こういう話になっておるわけでございます。  大蔵大臣、これはどうなっていますか。
  48. 松永光

    ○松永国務大臣 細かい数字の関係その他は後で事務方に説明をさせますが、委員御指摘のとおり、平成九年度末の国債発行残高二百五十五兆、十年度末が二百七十九兆、こうなっておるわけでありますが、一般会計分の本来の増額は十二兆であるべきところ、全体として二十四兆となっているのは、国鉄の長期債務を一般会計で承継したという分、それから国有林野の累積債務の分を承継したということ、これが十二兆強でございます。そこで合わせて二十四兆増になった、こういうことになるわけであります。  その他細部の点は、事務方にひとつ説明させます。
  49. 仙谷由人

    仙谷委員 承継というお話でございますけれども、大蔵大臣も法律家ですからちょっとお聞きしたいんですが、これはどういうことなんですか。片一方で国鉄関連で国債を発行した、その前提の事実としては、いいですか、もともと清算事業団が他の債権者に対して負っていた債務十二兆数千億を一般会計が債務者として引き受けて、さらにそれを元来の、もともとの債権者に払うべく国債を発行して、そこで新たなニューマネーを取って、その十二兆二千億をもともとの債権者に払うということですか、平成十年度に。
  50. 涌井洋治

    ○涌井政府委員 お答え申し上げます。  今回の国鉄の長期債務及び国有林野の累積債務の処理に当たりましては、最終的には国民負担ということにしたわけでございます。  この国鉄の長期債務については、過去におきましても国が承継したケースがございます。それと同じような形で、今回も国が債務自体を承継するという形で対応してきたところでございます。ただいま地方交付税特別会計が行っている借入金につきましても、同じような形で処理をしておるところでございます。
  51. 仙谷由人

    仙谷委員 そういうばかばかしい一般論を聞いているのじゃないのですよ、局長。ちゃんと答えてくださいよ。いいですか、そうしないと質問を続けられないですよ、これは。  一般会計が資金運用部なら資金運用部に払うのですか、ちょっと私、途中をはしょっていますけれども。十二兆二千億円、平成十年度中にどこかから財源を調達して払うのですか、払わないのですか。
  52. 涌井洋治

    ○涌井政府委員 お答え申し上げます。  今回の処理に当たりましては、国鉄の長期債務、全体が約十五・八兆円、及び国有林野特会の債務のうち二・八兆円分につきましては、国の一般会計が処理するということになっているわけでございます。その中で、十五・八兆円のうち約十二兆円、これは、国鉄及び国有林野の特会の債務の中で資金運用部及び簡保特別会計、簡保資金の債権につきましては、これは要するに国が負担を負うということで、一切、清算事業団あるいは簡保との債権債務関係を、要するに繰り上げ償還するということになるわけでございます。  そうしますと、要するにその部分は国の国債整理基金特別会計の債務になる。その部分につきましては資金繰りが必要でございますから、資金運用部ないし簡保の債権債務から、それが国債という、国債を発行してその資金繰りを行うということになるわけでございます。
  53. 仙谷由人

    仙谷委員 あなた、まだ全然理解していない。  私がずっとこの間おたくの主計局と理財局の方々を呼んで話をしたら、私が今説明したことを言っているのですよ。そんな法律論がどこにありますか、ぐちゃぐちゃな話。  いいですか、一般会計で承継するということは、一般会計が債務引き受けするのでしょう。そのときの債権者は資金運用部で、債務者は一般会計なんじゃないですか。どうですか、そんな簡単な話。
  54. 涌井洋治

    ○涌井政府委員 お答え申し上げます。  資金運用部から借りているお金に対しましては一般会計から繰り上げ償還しますから、資金運用部の債権はなくなるわけでございます。
  55. 仙谷由人

    仙谷委員 繰り上げ償還の前の話を聞いているの。ちゃんとお答えなさい。  まず承継した段階で、いいですか、この国鉄の九兆円の分は、林野の二兆八千億もそうです、債権者は資金運用部で、債務者は一般会計でしょう。うなずいているから認めるのですね。それを一括して払うのですね。どうですか。
  56. 涌井洋治

    ○涌井政府委員 私の答弁がちょっと舌足らずで申しわけございませんでした。  先生のおっしゃるとおり、資金運用部の債権が一般会計へ来る、それを、要するに資金運用部との関係を一応断ち切りますから、繰り上げ償還をすることになるわけでございます、資金運用部と簡保に対しまして。これは、一般会計の債務を処理する国債整理基金特別会計が、それを処理を行うということになるわけでございます。
  57. 仙谷由人

    仙谷委員 そうずるっといくからおかしいのですよ。  いいですか、一般会計がまず債務を負う。だから、どこかから財源を調達して、それを一括して、繰り上げ償還というのは一括して払うということでしょうが。うなずいているからそうですよね。だから新しい財源が必要なわけですね。新しい財源のつくり方が、日本国有鉄道清算事業団承継債務借換国債と国有林野事業承継債務借換国債を発行して市中から十二・二兆円マネーを取って、そのマネーを資金運用部に払う、こういうやり方でしょう。答えてください。
  58. 涌井洋治

    ○涌井政府委員 先生のおっしゃるとおりでございます。
  59. 仙谷由人

    仙谷委員 何でそんなことがわかるかというと、これ、予算書にも一般会計にも何にも出てきていない。ただ、「国債及び借入金の状況に関する平成八年度末における現在高の実績並びに平成九年度末及び平成十年度末における現在高の見込み及びその償還年次表に関する調書」、これに今申し上げた借換債のことが書かれておる。  ところで、この借換債というのは、国債の種類でいうと、四条公債なんですか、特例公債なんですか、どっちですか。
  60. 涌井洋治

    ○涌井政府委員 借換債という概念に入ります。
  61. 仙谷由人

    仙谷委員 財政構造改革法の論議のときにも、ちゃんと大蔵省、説明しましたよね。公債の中に、四条一項ただし書きで発行できる国債のほかに、そのほかの分は全部特例公債だと。それは、財政法の解釈としても疑う余地のない通説じゃないですか。別の借換債なんという概念をどこからつくってこれるんですか。  もっと言えば、じゃ、この借換債の発行できる根拠は何なのですか。おっしゃってください。
  62. 涌井洋治

    ○涌井政府委員 お答え申し上げます。  借換債の発行の根拠は、国債整理基金特別会計法第五条におきまして、「政府ハ各年度ニ於ケル国債ノ整理又ハ償還ノ為必要ナル額ヲ限度トシ借換国債ヲ起スコトヲ得」と定めております。
  63. 仙谷由人

    仙谷委員 国債整理基金特別会計法五条に言う借換債は、既に発行をされた四条公債、特例公債を借りかえるための規定じゃないですか、権限じゃないですか。だから特例法も必要がない。包括的権限が授与されているわけですよ、五条で。認めましょう。それは、新たに国債をふやすものでないから認めるんだという話じゃないですか。  だから、さっき私が申し上げた償還年次表に関する調書の中でも、ことし出てきた分以外のものについては全部こういう記載になっているじゃないですか。「財政法四条一項ただし書きの規定による国債及びその国債を借り換えるための国債」ですよ。「その」ですよ、借りかえ対象の国債が前に出ているんですよ。いいですか。特例公債の方は、「各年度における公債の発行の特例に関する法律の規定による国債及びその国債を借り換えるための国債」と書いてあるじゃないですか。  借換債というのは、その前段に借りかえるべき対象の国債が先に発行されてない限り、そんなに大蔵省が勝手に借換債をどんどん発行するなんてこと、どこにできるんですか。  もっと言いましょうか。それじゃ、北東開発公庫、苫東とかいろんな債務ありますよ、特殊法人に。清算事業団だってその一つじゃないですか。あるいは、特別会計法上の債務というのはいっぱいあるじゃないですか。これ全部こんなやり方でできるんですか。全部できるんですか、何百兆の特殊法人の、一般政府の外の事業体の債務を、借換債なんという、こういう便法というか脱法行為でできるんですか。答えてください。
  64. 涌井洋治

    ○涌井政府委員 お答え申し上げます。  国債整理基金特別会計法第五条において「借換国債ヲ起スコトヲ得」と定めておるわけでございますが、この前提といたしましては、もちろん、清算事業団の債務を一般会計の債務、借入金に移すという、そういう法律措置がまずあるわけでございます。まず一般会計の借入金となった上で、今度はその国債整理基金特別会計法第五条の規定が適用されまして、借換国債を発行することができるということでございますので、ただ単にほかの特殊法人の債務があるからといって、これを国債整理基金特別会計法で借換債を起こすということは、できないわけでございます。
  65. 仙谷由人

    仙谷委員 このごまかしの論理が、私も昨日までわからなかった。一生懸命考えたんですよ、これでも。これはごまかしだというのを。何なのか。  法律があるとおっしゃいましたよね。では、予算上どうしてそれが表現されないのですか。予算総則で、限度額の議決をちゃんとしなければいけないのでしょう。特例公債のときだけ、いいですか、歳入の欄の公債金の中になぜ書かなければいけないのですか。借入金の場合はなぜ書かなくていいのですか。借入金の場合でも、財政法四条を見れば同じじゃないですか。国債と借入金の扱いは全く同じ扱いですよ。借入金をする場合に特例法が必要だと。  あなたがおっしゃるように、清算事業団の処理に関する法律が、私の目から見ればそういう借入金をする権限まで与えたとは到底読めないけれども、百歩譲りましょう。予算でなぜ書かないのですか。
  66. 涌井洋治

    ○涌井政府委員 お答え申し上げます。  清算事業団の債務及び国有林野特別会計の債務につきましては、これを一般会計の債務に移すということが、これは法律で、規定で定まっているわけでございます。  それから、財政法四条の国債といいますのは、法律に書いてありますように、歳出の財源に充てるための国債発行でございます。例えば公共事業をやるための借入金であるとか、あるいは赤字国債の場合には経常的経費の財源に充てるための借入金でございまして、他方、今回の債務処理の関連は、これは清算事業団ないし国有林野特別会計の債務を法律上移しがえているわけでございまして、実質的に違うわけでございます。
  67. 仙谷由人

    仙谷委員 どうしてそんなインチキな法律論を言うのですか。資金運用部に対する十二兆二千億の支払いが何で歳出じゃないのですか。移しかえるだけだから歳出じゃないなんて、そんな論理、どこにあるのですか。冗談じゃない。そんなむちゃくちゃな法律論を主計局長ともあろう人が言うのだったら、大蔵省の財政規律なんかもう全然ないじゃないですか。どうなっているのですか。
  68. 涌井洋治

    ○涌井政府委員 いわゆる予算という形式の面から申し上げますと、運用部に対する債務償還につきましては、国債整理基金特別会計の歳出予算の中に立てております。  それから、他方、その公債金の発行につきましては、国債整理基金特別会計の歳入の「公債金」のところで具体的に、「「日本国有鉄道清算事業団の債務等の処理に関する法律」の規定等により一般会計において承継し、又は承継することとなる借入金及び債券並びに「国有林野事業の改革のための特別措置法」の規定により一般会計において承継することとなる借入金の借換えのため「国債整理基金特別会計法」第五条第一項の規定により発行する公債金」等の「収入見込み額を計上」ということで、歳入歳出予算に計上しているところでございます。
  69. 仙谷由人

    仙谷委員 もう一遍言ってください。いいですか、では、支払いの方は、どこの項目に十二兆二千億の歳出を書いてあるのですか。収入の方に、歳入の方に、十二兆二千億がどこに計上されているのですか。
  70. 涌井洋治

    ○涌井政府委員 国債整理基金特別会計の歳出、「国債償還に必要な経費」の中で、その「説明」のところの後半部に書いてございますが、「「日本国有鉄道清算事業団の債務等の処理に関する法律」の規定により平成十年度に一般会計において承継することとなる債券のうち」云々という規定のところに歳出権が与えられているわけでございます。
  71. 仙谷由人

    仙谷委員 あなたが言っているのはまだ答えになっていませんよ。十二兆二千億の歳入と歳出がどこに書いてあるのですかと聞いているのです。いいですか。だって、十二兆二千億、資金運用部という会計法上もあるいは法律主体としても別のところに払うのでしょう、払うとお認めになったじゃないですか。だから、新たな財源が必要だからこういう国債を出すのだということもおっしゃったじゃないですか。それが予算書上どこに表現されているのですか。そんなあなた、説明に書かれているなどということをぬけぬけと言うなんていうのは、主計局の官僚としては恥ずかしくて言えないはずだ。予算書の数字としてどこに書かれているのですかと聞いているのですよ。  あなたが言っていることは、せいぜい善意に解釈しても、償還年次表に書かれておる、来年度に数兆円返されるとかなんとか、その程度の話じゃないですか。そうでしょう。収入として、歳入としてどこに書かれているのか、歳出としてどこに書かれているのか、これを聞いているんじゃないですか。
  72. 涌井洋治

    ○涌井政府委員 お答え申し上げます。  繰り返しになりますけれども、国債整理基金特別会計の歳入の面では「公債金」のところで、これは「款・項・目」の中の「公債金」という欄でございます。それから歳出につきましては、「事項」の「国債償還に必要な経費」ということでこの総額が出ているわけでございます。(仙谷委員「だから十二兆二千億入っているの、入っていないの、その中に。入っていない、書かれていないということじゃない」と呼ぶ)「説明」の中で……(仙谷委員「数字の中で書かれているのかどうかですよ」と呼ぶ)積算の内訳でございまして、国会の御議決をいただくこの予算書としては、あくまで十二兆はその積算の根拠となっておりまして、その分の数字はここには書いておりません。
  73. 仙谷由人

    仙谷委員 そんな積算の根拠などというでたらめな話がありますか、こんな巨額のものを。いいですか、ことしの特例公債法で発行する公債ですら七兆一千億なんですよ。十二兆二千億というのは七兆一千億の何倍ですか。そんな巨額なものが、収入の欄にも、歳入の欄にも歳出の欄にも書かれていない。こんなでたらめなことがありますか。  あなた、借換債ができる、こういうふうに言いましたね。この「国債」という本がある。大蔵省理財局国債課長がちゃんと書いている本ですよ、毎年書いているのか二年に一遍なのか知らぬけれども。読みましょうか。  「これは、特例公債、建設公債のような新規の財源債と異なり」「これは」というのは借換国債です。「新規の財源債と異なり、債務残高の増加をもたらさないという借換国債の性格に基づくものである。」「これは」というのは何か。「発行限度額について国会の議決を受けることも償還計画表を提出することもなく、借換国債を発行することができる。これは、」残高をふやさないからだ、新規財源債じゃないからだというのは、ちゃんと大蔵省が書いているじゃないですか。  今回の場合は、先ほどから聞いておりますように、新規の財源債であった、新規に十二兆二千億マーケットから取って資金運用部に払うのだ、こういうことになっていますよね。だから残高が十二兆二千億ふえるのだと。何で残高がふえて新規財源債が特例公債じゃないのですか。何で国会の議決が必要ないというふうに強弁するのですか。大臣、どうですか、今の。
  74. 涌井洋治

    ○涌井政府委員 まず、この部分だけ国が一般会計で引き受けるわけですから、国の債務残高がふえることになるわけでございますが、その点につきましては、先ほど申し上げましたように、法律で国が引き受けるということによって事実上これは移っているわけでございます。その段階で債務残高がふえるわけでございますが、後は資金運用部なり簡保に返済するための資金繰りとして借換債を発行しているという形でございます。法律の段階で債務残高はもうふえているということになるわけでございます。
  75. 仙谷由人

    仙谷委員 幾らそんな説明してもだめなんですよ。財政法四条をよく読んでください、大臣も。  四条の一項、「国の歳出は、公債又は借入金以外の歳入を以て、その財源としなければならない。」つまり、公債と借入金、大蔵省に言わせますと双方を含めて広義の国債、こう言うらしいのですね。広義の国債の中の、いいですか、公債と借入金、全く同じ書き方、同じ扱いをされていますよね、並列です。「但し、公共事業費、出資金及び貸付金の財源については、国会の議決を経た金額の範囲内で、公債を発行し又は借入金をなすことができる。」と。公債を発行する場合も借入金を発行する場合も、国会の議決を経た金額の範囲内でできるというのが四条債なんですよ。  特例債というのは、本来何にも法律がないから、わざわざ特例法をつくって公債を発行しているのじゃないですか。じゃ、借入金のときだって特例法をつくって借入金を借り入れる権限を与えないといかぬじゃないですか。授権しないとできないじゃないですか、四条にそもそもないものを。そして、予算総則の中で国会の議決を経た金額を決めなきゃいかぬじゃないですか。  今回の予算書は、総則を読んでも予算書全体を読んでも、そういうことになっていませんよ。法律論だけでもおかしい。政治論はもっとおかしい。いいですか、財政構造改革に、では、この段階で、委員長、私は大蔵省に予算書の記載の書き直し、そして予算総則の書き直し、少なくともこれだけをやっていただくように要求します。
  76. 涌井洋治

    ○涌井政府委員 お答え申し上げます。  先ほど申し上げましたように、財政法四条の国債は、いわゆる歳出の財源に充てるものでございます。これはいわゆる建設国債でございます。それから、一般会計の経常的な財源に充てる財源として特別に発行する場合には、特例法によりまして、いわゆる特例国債を出しているわけでございます。  それに対しまして、今回の借換国債というものは、要するに財政法四条の国債ではございません。国債整理基金法第五条に基づく国債でございまして、この法律の規定に基づき、かつ、予算書におきましては、国債整理基金特別会計歳入歳出予算に歳出権をいただいているところでございます。
  77. 仙谷由人

    仙谷委員 幾ら言っても、いいですか、まず立場が、国債整理基金特別会計法五条でこんなものは発行できない、さっき言ったとおりじゃないですか。新規財源債で残高がふえるような国債を、国会が権限を与えないで発行できるはずないじゃないですか。それが、すべてやみからやみへ葬って一般会計上全然出てこないじゃないですか。予算総則上も出てこない。根本的に間違っています。これは書きかえを要求します。
  78. 越智通雄

    越智委員長 速記をとめて。     〔速記中止〕
  79. 越智通雄

    越智委員長 速記を起こして。  大蔵省からの答弁を再度求めます。主計局長
  80. 涌井洋治

    ○涌井政府委員 お答え申し上げます。  まず、今回の債務処理の関係では、ただいま国鉄及び国有林の債務処理の関係で法律案の御審議をお願いしているわけでございますが、その法律案の中で、国鉄の債務及び国有林の債務の一部につきまして、国の一般会計にその債務をつけかえするという法律の規定がございます。それで国会の御審議をお願いしているところでございます。  そうしますと、この法案を御承認いただきますと、その清算事業団の債務ないし国有林の債務は、一般会計の債務に法律上もう自動的に移しがえになるわけでございます。そうしますと、今度は一般会計の債務の処理は、これは特別会計含めて国債整理基金特別会計においてその元本あるいは利息の支払いを行うシステムになっているわけでございます。  そうしますと、その中で資金運用部及び簡保資金から借りている分につきましては、これを繰り上げ償還することになります。そうしますと、その債務償還は、今度は国債整理基金特別会計の歳出の中、これは国債償還に必要な経費として、今年度の、平成十年度で約四十兆、これはあらゆる債務の処理が入っていますから、この歳出権に基づきましてその支払いを行う。  そうしますと、今度は国債整理基金特別会計の資金繰りの問題が出てきます。それにつきましては、国債整理基金特別会計法におきまして、国の債務については一部借りかえができるという規定がございます。それに基づきまして借換国債を出して、その資金手当てを行うということでございます。
  81. 仙谷由人

    仙谷委員 結局さっきと同じことを言っているじゃないですか。何もわからぬですよ、今のは。  それで普通なら素人だましできるけれども、少なくとも私も法律を勉強していますから、あるいは会計法は少々しかやっていないけれども、全然ごまかされない。あなたがおっしゃった、四十兆の何か償還とかへったくれとか言っているけれども、ことし元本で償還するのは四兆一千億とさっき決めたじゃないですか。  いいですか、ことし一般会計から資金運用部に払う十二兆二千億、これが歳出であるのかないのか、一般会計からの歳出であるのかないのか。歳出であれば歳出と書かなきゃいけないじゃないか。反対の、見合う歳入はどこにあるんだ。借換国債を発行するとおっしゃっている十二兆二千億が財源だと。そんな新しい大きな借金をする、財源を得る国債を発行するのに国会の議決がないというふうな予算書になり予算総則になり、権限法がない、こんなでたらめが許されるか。この話をさっきからしているんじゃないですか。納得できない、こんなものは。
  82. 越智通雄

    越智委員長 速記をとめて。     〔速記中止〕     〔委員長退席、石川委員長代理着席〕     〔石川委員長代理退席、委員長着席〕
  83. 越智通雄

    越智委員長 では、速記を起こして。  ただいま提出されました資料に関して、大蔵省より発言を求められております。これを許します。主計局長
  84. 涌井洋治

    ○涌井政府委員 ただいまの資料につきまして、御説明申し上げます。  まず、大原則論でございますが、財政民主主義は憲法に規定されているところでございます。日本の場合は、予算の形式と法律という形式がございます。国の債務を負担するには、予算または法律という形式があるわけでございます。  そういうことで、今回の、まず最初の一ページに書いてあります国鉄長期債務及び国有林野債務の一部を一般会計が承継することの根拠でございますが、この根拠は、現在国会に御審議をお願いしております日本国有鉄道清算事業団の債務等の処理に関する法律案、それから国有林野事業の改革のための特別措置法案におきまして、一般会計への承継をお願いしているところでございます。  ちなみに、過去におきましても、国鉄及び清算事業団の有利子債務を一部一般会計が承継する措置を講じてきているところでございます。  昭和六十二年三月三十一日承継分といたしましては、日本国有鉄道の経営する事業の運営の改善のために昭和六十一年度において緊急に講ずべき特別措置に関する法律、これで約五兆五百九十九億円の承継が行われた前例がございます。それから、平成三年三月二十九日に同じく九千三百七十二億円の承継を行っておりますが、これも同様に法律措置によって承継が行われております。それから、平成十年三月三十一日承継分、三回目の承継が行われておりますが、これも同様に、平成九年度において講ずべき特別措置に関する法律において行っている。このように、国鉄の債務につきましても、従来から法律措置によって一般会計への承継が行われているところでございます。  次に、二番目でございますが、一般会計承継債務の償還費の予算上の取り扱いでございます。  この借金の元本あるいは利子の支払いに当たりましては、これは当然のことながら予算措置によって、予算によって歳出権が与えられなければならないわけでございます。  我が国の一般会計、特別会計の借金は、全体として国債整理基金特別会計という特別会計を設けまして、そこにおいて借金の管理が行われているわけでございます。したがいまして、この国鉄及び国有林の債務につきましては、先ほどの法律の御承認がいただければ、今度は一般会計に承継され、そうしますと、現在の予算制度上は、国債整理基金特別会計を通じてその償還が行われることになっているわけでございます。  これは一般会計だけでなくて、国債整理基金特別会計をごらんいただければわかるのですが、あるいは国立学校特別会計の借金も、あるいは国立病院特別会計の借金も、いずれもすべてこの国債整理基金特別会計を通じて償還及び利払いが行われているというシステムとなっております。  したがいまして、この法律案を御承認いただきますと、今度は、国債整理基金特別会計におきまして歳出権の授与をお願いしているわけでございます。具体的には、先ほど申し上げましたように、歳出権では国債償還に必要な経費、これは、ボンドの償還は国債償還に必要な経費でございます。それから、借入金の償還に必要な経費はまた別途、借入金の償還に必要な経費ということで歳出権の授与をお願いしているわけでございます。  その場合に、国債整理基金特別会計の財源はどうなるのかということになるわけでございますが、これはいわゆる借換債、いわゆる公債金収入をお願いしているわけでございます。  それから三番目でございますが、その承継債務の償還のために借換債を発行する根拠でございます。  これは、国債整理基金特別会計法の第五条第一項におきまして、借換債を発行することができる。ただ、文言上は、「政府ハ各年度ニ於ケル国債ノ整理又ハ償還ノ為必要ナル額ヲ限度トシ借換国債ヲ起スコトヲ得」ということで、この「国債」の規定の解釈でございますが、実は、国債整理基金特別会計法第二条におきまして、これは定率繰り入れの規定なんですが、国債の元金償還に充てるべき金額は前年度首における国債総額の百分の一・六を入れなさい、そういう規定になっているわけでございますが、この中で、第二条で、定率繰り入れの対象となる国債については、大蔵省証券だとか借入金だとか一時借入金は入れませんよと。要するに、長期国債については定率繰り入れをしなさいという規定になっているわけですから、逆に、国債整理基金特別会計法上、ほかのところの、そういう除外規定がない場合の国債には借入金が入るというのが私どもの解釈でございまして、したがいまして、この規定に基づきまして借換債を発行するということにしているわけでございます。  いずれにいたしましても、国会に御審議をお願いしております法律が通らなければ、当然のことながらこの予算の執行もできないわけでございまして、国会の御了解、法律の御了解をいただいて初めてこの予算執行が可能となるわけでございます。
  85. 仙谷由人

    仙谷委員 根本的なところを全然答えられていないんですよ、わかりますね、流れをおっしゃっただけで。  つまり、一般会計が債務者。特別会計が債務者じゃないんですよ、まだ。債権者は資金運用部。こういう構造になるわけでしょう、法律で。何で一般会計の中に借入金が立ってこないんですかとまず聞いている。そんなことはやみからやみへ葬って、全部特別会計に流してしまえばいいじゃないかという処理じゃないですか。  あるいは、この借換国債の収入が何で一般会計に入らないんですかと聞いているわけですよ。何で入らないんですか。そんなものをやみからやみへ、だれも知らないうちに特別会計の中が収入を得たとかなんとかということはあり得てならない、新規財源債なんですよ、これは。  全然答えになっていない。納得できない。
  86. 涌井洋治

    ○涌井政府委員 お答え申し上げます。  まず、最初の点でございますが、これは一般会計が承継するわけでございますが、一般会計そのものは、先ほど申し上げましたように、借金の管理運営は、これはすべて、一般会計、特別会計をあわせて国債整理基金特別会計で行うということになっているわけですから、一般会計そのものは、個々の国債の償還、元本の償還とか利払いは、これはすべて国債整理基金特別会計に預けているということでございますから、一般会計に債務が償還されるために、以後の管理は国債整理基金特別会計が行うということになっているわけでございます。  したがいまして、第二点の御質問と重なるわけでございますが、一般会計の国債、財政法第四条の国債というのは、あくまでも公共事業に使うとか文教に使うとか、いわゆる各般の歳出に充てるために国債を発行するわけでございまして、今回の借換債という、要するに借金の借りかえというものは、これは国債整理基金特別会計で行うということになっておりますわけですから、一般会計にはその部分は出てこないということでございます。
  87. 仙谷由人

    仙谷委員 さっき言ったように、一般会計が債務者で、債権者は資金運用部ですよね。借換債を発行した瞬間には、いいですか、あなたの説だと特別会計が債務者で国民が債権者ということになるじゃないですか。その連関をちゃんと表現しない限り、まさに飛ばしになるんですよ。簿外処理じゃないですか、こんなものは。納得できないですよ。債権者も債務者も全部変わっちゃうじゃない。それがどうして許されるかという説明をしなきゃ。
  88. 涌井洋治

    ○涌井政府委員 お答え申し上げます。  一般会計、特別会計を問わず、いわゆる国の債務、借金につきましては、これは先ほど申し上げましたように、一般会計だけじゃないんです、すべての特別会計の借金を含めて、借金の管理は国債整理基金特別会計で行うことに法律制度上なっているわけでございます。したがいまして、一般会計にしても、借金した後は、その管理は国債整理基金特別会計で行うわけですから、その歳入歳出もそちらの方でお願いいたしているということでございます。
  89. 仙谷由人

    仙谷委員 これ、質疑終了時間と来ましたよ。納得できませんよ、これは。
  90. 越智通雄

    越智委員長 午前の審議はこれまでとし、休憩いたしまして、午後は、午後一時から再開することといたします。     午後零時十二分休憩      ————◇—————     午後一時十三分開議
  91. 越智通雄

    越智委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。仙谷由人君。
  92. 仙谷由人

    仙谷委員 先ほど涌井局長の方から、書面を示された上で答弁がございました。それを拝見いたしましても、先ほどの答弁を聞きましても、私の根本的な質問にはお答えになってない。つまり私は、新規の財源債を発行したのに、なぜそれが国会の議決の対象にもならなければ予算総則にも記載がない、そして、公債なのに発行権限が、新規の財源債であって残高がふえるのに、国債整理基金特別会計法五条の包括規定によってなぜ行えるのかというのがさっぱりわからない、こう考えております。  あと十分しかないといいますから、法律論をここでやいのやいのやるつもりはありません。この点は留保いたします。こんなことは財政民主主義の観点からいって許されない、こんな規律の緩んだ話はあり得ないと私は思っているわけでございます。  そこで、先ほどの書面で回答がされたもののうち、二番目の「具体的に、平成十年度における一般会計承継債務の償還のための経費は、同特別会計の歳出予算のうちの「債務償還費」の内訳となっている。」という、この部分については数字であらわしてください。これはさっぱりわからない。後でいいですから、書面で一覧表をつくって持ってきてください。  委員長、今の点、後に資料として提出していただく、この点、委員長の方でお取り計らいいただきたいと存じます。
  93. 越智通雄

    越智委員長 主計局長、今の御要望に対しての資料を確実にお届けするように。  どうぞ、御質問を。
  94. 仙谷由人

    仙谷委員 私、結局この問題は、きょう私が申し上げたのは、実は厳密に事実を確定しておかなければここからの議論ができないと思ったからやったわけでございます。  大蔵省の提出された資料の中にも、実はこの国鉄、林野の債務を一般会計で引き受けるとすると、単年度の国債発行額が対GDP比九・七になっちゃうんだ、こう書いてあるわけですね。書いてある。九・七になる。それを除くと四・七という、昨年来の財政構造改革の中の中期財政展望とか中期財政試算とか、これに一応沿う形になるけれども、この部分を含むと九・七になる。突出して財政構造改革路線が破綻したということがわかる。それでこういうふうな簿外処理のような格好で整理をした、こう考えております。  財政規律論からして、大蔵省は歴代、特例公債を出すのでも、大臣、特例公債ですら、特例法をつくり、予算総則の中で限度額を決めるというやり方でも財政規律は緩むんだ。四条公債、建設公債は物ができるからいいんだ。この財政規律論をやってきたわけですね。したがって減税よりは公共事業減税については一切耳をかさない。補正予算を組んでどんどん建設公債を出せ、その方が選挙にも役に立つというふうなことをやってきたわけです。  私は、大蔵省主計局の皆さん方も本当はふんまんやる方ない気持ちで、この国鉄清算事業団の債務の処理も、せっかくこの間の財政再建をやりながら補正予算で建設国債を出されることについても、プライドを傷つけられていると思うんですよ。  私は、今重要なことは、国民の前にすべてを出して、結果責任をとるべき人があれば結果責任をとる。国鉄清算事業団債務については、もたもたしているうちにこんなになりました、日延べしているうちにこんなになりました、私の責任でございます、坊主になって腹切ってやめますと。何でこんな人が出てこないのですか。しようがないじゃないですか、こんなに二十八兆八千億という金がたまりにたまって、だれがけつふくんですか、けつふくというのは汚いけれども。だれが後始末するんですか。全部国民に後始末させているじゃないですか。  いいですか。今度の国鉄清算事業団債務の説明を、元本償還についてのくだりを読みますと、「元本償還に要する財源については、上記の財源の一部を充てるほか、当面は、一般会計の歳出・歳入両面にわたる努力により対応し、最終的には、年金負担が縮小していくことに伴い確保される財源等により対応することとする。」何にも書いてない。書いてないに等しい。  ところが、先ほど私が指摘した借換債というインチキ手法によって、債務を特別会計の方に入れて、そしてこれは年次償還計画があるではないですか。年次償還計画がまた借りかえ、借りかえでやられるとしても、これを見る限り一般的には、もうあれではないですか、国民がすべて国民の負担で、税負担で、六十年かかるのか借りかえして百年かかるのかわかりませんけれども、それでやっていくということになるではないですか。そうではないのですか。  大蔵大臣でも局長でもどっちでもいいです。事の経過としてはそうなるでしょう。
  95. 涌井洋治

    ○涌井政府委員 お答え申し上げます。  国鉄の債務を一般会計が承継いたしますと、先ほど申し上げましたように、国債という形で借換債を発行する。そうしますと、それにつきましては、国債の償還ルールに従いまして六十年で最終的に償還する。それの財源は、最終的には一般会計がいずれ国債整理基金特別会計に入れていくわけですが、それはその時々の歳入歳出の努力によって賄っていくということでございます。
  96. 仙谷由人

    仙谷委員 あれだけ拝見すると、平然と、国民の負担になるけれどもそれはしようがないのだ、こうおっしゃっていますね。官僚機構は平然でもいいかもわからない。政治家はだれかが責任をとらないといけませんよ、これは、二十八兆八千億は。どうでしょうか、総理大臣。
  97. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 議員が今はしなくも述べられましたけれども、国鉄清算事業団発足時二十五兆五千億円ありました債務が、現在、十年度首見込みで二十七兆八千億円とふえておりますことは、そのとおり、御指摘のとおりです。  そして、その間において、国鉄改革後に新たに背負いました負担、これは鉄道共済への特別負担あるいは厚生年金移換金等ございますけれども、いずれにしても、財産の処分等に努力をしながら、結果としてこの赤字が消えていないどころかふえているということは事実であり、それを何とかして根本的に解決をしなければならないということから、今回、法案提出し、御審議をいただこうといたしております。  こうした点については、私は清算事業団発足当時の運輸大臣でありますし、地価高騰の中で売却をむしろとめられ、しばらく地価の鎮静を待つようにということで資産の売却を一時見送りましたときの大臣でもあります。それだけに、そうした要因があることは事実でありますが、それ以上の弁解はいたしません。
  98. 仙谷由人

    仙谷委員 私は、これはだれかが政治責任をとりませんと、日本の政治の世界のモラルハザードもきわまれり、国民からは徹底的な不信が、政治不信がより深刻化する、こう思います。だれか責任をとられることを期待します。  そして、きょう質問しましたことは、予算書の書きかえ、予算総則の書きかえ、このことがどうしても必要だ。そして、国民の前で堂々と議論をし、国会の議決を受ける。この債務負担については、新しい財源の収入についてはそういうことが行われるべきだ。委員長の方にもそういう取り扱いを要求しておきます。
  99. 越智通雄

    越智委員長 これにて仙谷君の質疑は終了いたしました。  次に、赤羽一嘉君。
  100. 赤羽一嘉

    赤羽委員 平和・改革の赤羽一嘉でございます。  本日は、本来であれば阪神・淡路大震災の震災復興のことをまず聞き、それから国鉄清算事業団の債務の法案について質問させていただく予定でしたが、今、仙谷委員質疑の流れもございますので、順番を逆にお話を聞かせていただきたいと思います。どうかよろしくお願いいたします。  まず、午前中、仙谷委員質問の中で、今回の国鉄清算事業団の債務を引き継ぐことになった、国が承継することになったことに対し、運輸省は一般会計に帰属するという説明をしておったにもかかわらず、午前中、局長の御答弁の中で、一般会計には入っておりませんという答弁を聞きまして、私は一瞬、この法案、内容自体が非常に無理筋な内容があって、可決されることが非常に難しいということで最初から組み入れられていないのではないかという思いで、大変びっくりしながら答弁を聞いたのです。  その後、今、主計局の説明を聞かせていただいて、これは、国債の償還については、明治以来国債整理基金特別会計の歳出予算で債務償還費という大くくりの中に組み入れられているという説明を伺いました。  しかし、これは、今、前段に申し上げました、運輸省は世に言っております事業団の債務については国が承継する、一般会計に帰属するというペーパーも配られておりますが、その中で、しかし実態の処理としては、従来明治時代からの慣例としてこういう特別会計の債務償還費の支出として取り扱われている。やはり、従来のやり方かもしれませんが、私も仙谷委員とも同意見で、明らかに一般会計の中で借入金という形で支出を立てて、国民の目に見えるような形で、ぜひ今回のこの問題を機に慣行を改めていただいた方がいいというふうにまず要望をしておきたいと思います。  それで、この長期債務の問題について若干質問をさせていただきますが、今仙谷委員が最後に質問されたことと若干重なりますが、まず、私、今回のこの法案、またこれまでのいきさつ、政治家になる前でしたのでいろいろ勉強もさせていただきました。しかし、非常に、何というかすっきりしないものがございました。  この国鉄清算事業団、清算事業団というのは、土地を売却するか株式を売却する、これが収入の唯一の方法であるはずでございますが、そういう事業団でありながら、先ほどお話ありましたバブルの土地高騰を防ぐために、昭和六十二年十月十六日の閣議決定、緊急土地対策要綱の中で、旧国鉄用地は地価の高騰の鎮静化をするまで売却を凍結する。この売却の凍結を決定すれば、総理大臣の、ある委員会答弁でもございますが、清算事業団の赤字がふえることを覚悟の上で当時売却を停止いたしました、こういう御答弁も過去の委員会でされております。  だれが考えても、年間一兆円ぐらいの利子負担が発生する中で、これは一年間なら一兆円、十年間なら十兆円の債務が膨張することは、もう小学生が考えても明らかなことであって、土地を売却することを停止するというのは、それぞれの事情があったかもしれませんが、私は当然それに見合う措置をなぜとらなかったのか。とらないでも、しばらく凍結をしていればまたその資産としては、含み資産として売ってまだまだ十分ペイできるというふうな思惑があったのかどうか。  まず、ここをはっきりさせて、この十年間、清算事業団のやり方が失敗だったのかどうなのかということをまず明らかにして、国民の前にそこの部分の責任を明確にして、国民の負担をお願いするという姿勢が当たり前のことではないかと思います。  運輸省の説明を聞いても、何かそこの部分、非常にやむを得ない措置だったということで放置された、二十五兆円余りのあれが今二十七・八兆円になった、これを今、抜本的に解決しなければいけないから国民の負担をお願いするということで今回の法案が出てきたわけですが、抜本的にこの債務の解決をしなければいけないのは十年前も同じ状況であったはずです。  繰り返しになりますが、私の質問は、土地売却凍結をしたその見合いとして何か政策を打ったのか、打たなかったことに対してどう政治責任を考えられているのかということを、ぜひ、まず総理に御答弁をいただきたいと思います。
  101. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 これは、事実問題として、議員が引用をされました昭和六十二年十月十六日の閣議決定、緊急土地対策要綱の中で、旧国鉄用地の売却に対し、「国民負担を軽減すること及び一般競争入札を原則とすることに留意しつつ、」という上で、実質的にはほとんど売却をストップをする状況になりました。そして、私はこれについて弁解も何もいたすつもりはありません。  同じ緊急土地対策要綱の二項めの「旧国鉄用地及び国公有地の処分」に、「国鉄改革については、既定の方針どおり推進することとし、(1)の措置」つまり、高騰を招かないようにという「(1)の措置については、国鉄改革の一環としての日本国有鉄道清算事業団の確実かつ円滑な運営の確保に留意する。 (3)運輸省及び日本国有鉄道清算事業団は、地価を顕在化させない土地の処分方法について検討を進め、速やかに結論を得る。」というのがございます。  そうした閣議決定がありましたことを御紹介をいたしました上で、六十三年の十月あるいは十一月の主要紙の社説を見ましても、例えば、旧国鉄用地の売却を焦るな、あるいは旧国鉄用地の売却再開は愚策、あるいはなぜ急ぐ旧国鉄用地売却といった形で、世論というものはこの処分を許す雰囲気ではございませんでした。  そして、地価を顕在化させない手法というものは、それなりに私はその後関係者は努力をしたと思います。しかし、それが十分な効果を上げなかったということも、それは、私は議員から御指摘があればそのとおりと受けなければなりません。  そしてその後、これにあわせまして、JR東日本、JR西日本、JR東海、順次上場が決定し、その株式も売却をされてまいりました。そして、現在、国鉄清算事業団は、一部の株式の保有並びにある程度まだ残っております用地を財源として、最大限の努力をここまでもやってまいったわけです。  そして、私は議員の御主張は御主張として承りました。しかし、まさにこれから先、それでは、今の形で継続をし、清算事業団の資産の売却という手法だけでこれを減少させ得るか。これ以上引き延ばすことはよくない、そういう決断のもとに、今回、法案の形でも御審議を願うような結論を出したということは御理解をいただきたいと思います。
  102. 赤羽一嘉

    赤羽委員 これから早く抜本的な解決に向かって取りかからなければいけないというのは、もちろん私も異論がないことですが、土地の売却の凍結をした、当然それで債務は膨らむわけですね、そこの部分だけは。今総理がおっしゃられたように、取り巻く世論というか、そういった状況の中ではなかったというのもわかったとしても、それに見合う、膨張をしないように、債務の膨張を防ぐような措置というのは全くとられなかったんですか。それを私は非常に素朴に理解しがたいんですが、その点はどうなんでしょうか。
  103. 藤井孝男

    藤井国務大臣 お答えいたします。  ただいま総理から御答弁がありましたが、この間土地売却ができなかった、それは当然債務がふえるということはわかっていたじゃないか、そして、これまでそれに対して何の施策を講じてきたのかという御趣旨だと思います。  政府といたしましても、今先生御指摘のとおり、この事業団の債務を少しでも減らすために努力をしてきたところでございます。しかしながら、バブル崩壊後、土地売却するにいたしましても、地価の下落という今御指摘の話でありますし、また株式の売却も、言いわけがましく聞こえるかもしれませんけれども、阪神・淡路大震災等あるいは景気回復のおくれ等々、いろいろな事情で株式の売却もスムーズにいかなかったこともございます。  その時々によりまして、事業団に対しまする総額約一兆六千億の国庫補助金の交付、平成二年度における営団出資持ち分相当約九千億円の有利子債務の一般会計による承継、あるいは平成九年度における約三兆円の有利子債務の一般会計への承継等、その時々の情勢の中で、事業団の債務につきましては、そのときによって最善と思われる措置を講じてきたところでございますけれども、先ほど総理の御答弁にもありましたように、結果的に見て、もっと早く抜本的な処理が、本格的な処理が行われなかったことにつきましては、委員御指摘のとおり、我々は謙虚に受けとめなければならないと思っているところでございます。
  104. 赤羽一嘉

    赤羽委員 ありがとうございます。  まず、今の御答弁どおり、もう世に、明らかに政治責任はあったのだということを謝罪する形をはっきりしてから、この法案の通過に国民の理解を得るという姿勢が僕は大事だと思います。  次に、今回のJR等の問題で非常に問題になっております鉄道共済年金の厚生年金への統合に伴う移換金の負担について質問をさせていただきたいと思います。  まず、このことにつきましては、要するに、まず国鉄改革のときに、六十三年一月の閣議決定で、清算事業団の債務等については国において処理する、平成八年の三月、この厚生年金の問題があったときにも、閣議決定で、移換金の事業団の負担分も事業団の既存の債務等と同様の取り扱い、つまり、これも国において処理するというお話でございます。  今何が問題になっているかというと、JR側の主張は、あの負担区分を決めた、閣議決定をし法律で決めたあのときの国において処理するは、国が処理するという理解がJRだし、当時の厚生委員会の議事録を見ていましても、それはみんな国が処理するという前提質疑がされているのですよ。  当時、菅大臣だったですね、厚生大臣が。菅さんに直接聞けばよかったのですが、気がついたのがきのうの夜だったので、この場であれなのですが、菅さんの答弁を聞いていても「今持たれている土地とか株とかでできるだけ負債を少なくする、その残ったものは結局は国民の負担になっていくということを考えれば、」という発言があるのですよ。菅さんも、国において処理するというのは、国が処理するということで理解をしていたのだろうなと、本人に聞いたわけじゃありません、時間がなくて確認できなかったのですが、そういうものであった。  大体、国において処理するという日本語がありますか。私、ちょっと失礼ですけれども、私と友達が食事に行った、きょうの代金は私において処理するよと。友達にしてみれば、赤羽が処理するんだなと。いざ金を払うときに、よし、おれが処理して、おまえがきょうはおごれなんて言ったら、こんなふざけた話じゃ友情関係はそこで壊れます。  何でこんなわかりにくい日本語を使うのか。僕はこういうことが、非常に官僚らしいと言うと官僚出身の同僚議員にも怒られますけれども、非常にあいまいな、国が処理するのか、国が責任を持って負担者を決めるのかとどうでもとれるような、これは何か大蔵省の入れ知恵じゃないかなんていうふうに冗談を言った同僚議員もいますけれども、この国において処理するという話が、平成八年度の段階で運輸省とJRの間で話し合いがなかったのですか。  当時の厚生委員会質問を見ていますと、みんな聞いているのですよ。七千七百億円もの負担なんかできるのですかと、清算事業団は。こんな真っ赤っかで、何も、土地も売れない、株もまだだというような話の中で、無理でしょう、どうするのですかという話のときに、みんな、国において処理する、何でだれも質問しないのかなというと、みんな国が処理すると思っているのですよ。  ところが、この段になって、国において処理するから一部をJRが負担しろなんという話は、私は到底理解もできないし、たった一年半前に今日の事態が来るということがわかっているならば、当時は国鉄清算事業団があるから七千七百億はそういう割り当てにするけれども、一年半後、二年後には、清算事業団がなくなるに当たっては一部JRが負担するんですよという話し合いがあるんだったら、JRの七社だって納得すると思いますよ。  ところが、総理が七社の社長に会ったって納得しないというのは、その平成八年度の段階で非常にあいまいとした、私は、国において処理するというのをずっと考えたのだけれども、よく理解できないような日本語で閣議決定がされているということにすべて問題があるのじゃないのですか。
  105. 藤井孝男

    藤井国務大臣 お答えいたします。  厚生年金移換金、この分について、今JR各社に七千七百億円の清算事業団の負っている年金移換金の部分のうち三千六百億をお願いいたしているところであります。そしてそれは、今先生御質問にありましたように、平成八年の法律でありますけれども、この厚生年金移換金のうち国鉄清算事業団の負担分は、鉄道共済の厚生年金への統合という国鉄改革後に生じた事情に基づき、平成八年の法律によって事業団が負ったものでございます。したがって、このことは昭和六十二年の国鉄改革においては予定されなかった問題であるということは先生もう御承知かと思います。  また、平成八年の法律では、当該移換金は国鉄清算事業団が負担すると定められたものでありまして、国が負担すると定められたものではございません。また、将来事業団が廃止された場合には、事業団の負担分を最終的にだれが負担するかはこの法律によって定められておりません。  さらに申し上げれば、事業団の負担分は国鉄期間分でありますが、国鉄改革では、年金については現役の職員が過去の職員の国鉄期間分を含めて負担することとしたものでございます。  先生、ここはぜひ御理解いただきたいところなんですが、六十二年のときにも、国において処理すると、国鉄改革のあれに反するのではないか、もう決着がついた話ではないかという話ですが、また、先般他の委員からも同趣旨の御質問がありましたが、昭和六十二年の国鉄改革では、鉄道の経営形態や労働関係等については国鉄とJRを明確に断ち切ることといたしました。  しかし、共済年金という職員の福利厚生の問題につきましては、職員の利益を守るために、共済制度を継続して国鉄期間との連続性を確保し、年金制度の原則に従って、現役の職員が過去の職員の年金給付のための負担を行うこととしたものでございます。この点が何か六十二年の改革に反するのではないかということですが、ですから、すなわち、経営形態や労働関係については国鉄とJRというのは明確に断ち切りましたけれども、年金というものにつきましては今申し上げたとおりであります。  また、なお、職員の国鉄期間分の取り扱いについてあえて申し上げれば、国鉄改革では、JRの社員の退職手当につきましても、JRはその社員の国鉄期間分も含めて支払うこととしたところでございます。  いずれにいたしましても、移換金の問題は共済年金の問題でございまして、本来、当事者である共済関係事業主で処理し解決すべき性格の問題であると考えておりまして、JR社員分の移換金はJRにとって自分の社員の福利厚生のための費用でありますので、その事業主であるJRの負担とすることが合理的であり、この分まで一般国民の負担とするわけにはまいらないということをぜひ御理解いただきたいと思います。
  106. 赤羽一嘉

    赤羽委員 それは、JRという企業が国鉄といまだ関係性があるというのであればわかりますよ。ところが、年金の部分についてはまだ関係があるんだというような答弁はきのうからずっと繰り返されていますけれども、それはかなり手前勝手な解釈ではないでしょうか。  ですから、JR社員の旧国鉄時代の三千六百億円は、JR社員に対して年金を給付するための費用でありJRが負担するのが合理的だというのが繰り返しになっていますけれども、しかし、国鉄改革で事業主というのは明確にかわったわけですよ。JRと国鉄と何か似たような、鉄道を走らせて、やめた人も随分いるのですけれども、残った、再就職してJRということに継続、勤めている方もいるから、何か同じようなというような話で非常にわかりにくくなっていますけれども。  退職金のことについても、あえて言うなら、清算事業団が支払わなければいけない退職金をJRが面倒を見ているという解釈、僕はどちらかというとそういう認識でいますから、そういうことを考えれば、JRと国鉄は全く別の組織、団体なんだということで、前回こういう負担区分を決めたわけじゃないんですか。ですから、この理解というのは非常に僕は納得いかないですね。
  107. 藤井孝男

    藤井国務大臣 御答弁申し上げます。  ただいま申し上げました繰り返しになりますけれども、先ほど御理解いただきたいと言ったポイントは、六十二年の国鉄改革に当たりましてJRに分割・民営化されたわけであります。そのときに、先ほど申し上げましたように、国鉄改革では、鉄道の経営形態や労働関係等については国鉄とJRを明確に断ち切ることといたしました。ですから、これは全く国鉄と違う性格のものだということであります。  しかし、共済年金につきましては、年金という職員の福利厚生の問題につきましては、職員の利益を守るために、共済制度を継続して国鉄期間との連続性を確保し、年金制度の原則に従って現役の職員が過去の職員の年金給付のための負担を行うこととしたものでございます。ですから、これはずっと改革以降続いておるわけです。  したがいまして、加えますが、共済年金につきましては、これまでも、国鉄期間分を含めた年金のため、JR社員が保険料を、またJRは事業主負担を負担してきたところでございます。また、JRは、これまで共済年金のために毎年二百二十億円を任意で負担してきたところでありますし、これも国鉄期間分を含めた年金の給付に充てられてきたところであります。  そういうことでございますので、JRもこれまで毎年二百二十億円、この共済年金のために任意で負担してきたということもありますので、ぜひこの点は御理解いただきたいと思うわけでございます。
  108. 赤羽一嘉

    赤羽委員 それでは、この追加負担の件で総理がJR七社の社長と会われたというふうな報道もありますが、納得が得られなかったという報道がございましたが、なぜなんですか、そういう正当性、ロジックが破綻していなければ。いや、総理に聞きたいんです、もし答弁していただけるなら。
  109. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 今運輸大臣からも御答弁を申し上げましたが、確かに、国鉄改革で鉄道の経営形態あるいは労働関係などについて連続性を明確に断ち切りましたが、一つだけ残った問題として年金という問題がありました。  そしてこれは、その職員の福利厚生の問題ということもありまして、その職員の利益を守るために、鉄道共済制度は継続をして国鉄の在籍期間との連続性を確保したわけです。そして、年金制度の原則に従って、今回、JRの現役の職員、過去の国鉄職員の年金給付の部分の負担にも応じてほしいということを申し上げました。  先ほど言われたように、私、経営形態を分けた、分かれた、その意味で連続性が切れたということは否定をいたしません。ただ実は、この鉄道共済というものとその鉄道共済の非常に悪化した内容の中で、他の共済等からの支援を受けている状況は変わらなかったわけです。そして、今回私どもは、一般の社会の企業と社員との関係あるいはその元社員との関係、同じルールに従ってほしいという考え方で、これは非常に単純化した言い方です、非常に単純化した言い方ですけれども、そういう考え方をとってほしいということを申し上げました。  JR側としては違った言い分をされたわけですけれども、ならばといって、それでは、JRの皆さんが過去の自分たちのOBの分の負担は嫌だ、それは一般国民の税金で負担をしろと言われるのも、私は実は随分乱暴だなと正直思いましたし、まさに七社の社長さん方と話をしたときというのはそういう話をしたわけです。  ただ、それでJR側が納得をされたわけではない。これは、議員も指摘をされたとおり、継続して話し合おうということで終わっているということもつけ加えます。
  110. 赤羽一嘉

    赤羽委員 六十三年一月の閣議決定の、国において処理するという、この問題にちょっと戻りますが、国において処理をするということから今回このような追加負担ということが、措置がとられようとしているわけですけれども、これでは今後元本の、二十七・八兆円のこれからの長期債務に対して、国においてJRに一部負担させるというようなことは今後ないというふうにはっきり言い切ることはできますか、約束できますか。
  111. 藤井孝男

    藤井国務大臣 ないというふうに解釈していただいて結構でございます。
  112. 赤羽一嘉

    赤羽委員 大蔵大臣もよろしいですか。
  113. 松永光

    ○松永国務大臣 今運輸大臣が申したとおりでございます。
  114. 赤羽一嘉

    赤羽委員 わかりました。  余談ですけれども、今後は、国が処理するとか、わかりやすい日本語を使われる方が、こういったお互いが二つのような解釈をして、あいまいとして結論を先送りにするということは、僕は、もう二度と生じさせないように御注意いただきたいというふうに思っております。  三つ目に、この件で、私はJRの分割・民営化というのは行政改革の大変な成功例の一つであるというふうに思っておるのです。ですから、ちょっと繰り返しになりますが、先ほど総理の御答弁もいただきましたが、JRと国鉄は決して一緒じゃないんだ、もう完全にJRは政府とは、こういう表現が正しいかどうかわかりませんが、ひもつきではない、株式が売却されればですけれども、完全な民営化、民間企業なんだということをはっきりとさせておかなければ、今後の民営化事業に対して非常に大きな禍根として残してしまうと思いますので、ぜひこの点についてはよろしく、御見解の方をもう一度、最後ですから総理に。
  115. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 今申し上げましたように、国鉄改革の時点において、過去を継続させた部分がまさにこの共済、そして年金の部分でありました。そして現在、国は株主ではありますけれども、既に特殊会社として国と離れた姿をとっております。そして、これが完全に民間にその株が譲渡されました場合、当然ながら、私は、それぞれの会社を設立した根拠法自体がなくなり、民間鉄道一般としての同じ対応が、いわゆる私鉄さんに対するのと同じ体制に国はなると思います。  ただ、問題は、必ずしもそれを期待する方ばかりではない部分がJRの方にも残っていはしないだろうかという心配は私は多少いたしておりますけれども、そうでないことを願っております。
  116. 赤羽一嘉

    赤羽委員 ありがとうございます。  それでは、残り短い時間になってしまいましたが、阪神大震災の件について質問をさせていただきたいと思います。  阪神大震災から三年余りの月日が経過をいたしました。当初三年間で、かなりの復興が見込まれるということで、震災復興、政府にも御尽力をいただいたわけです。実際インフラ等々は整備されておりますが、まだまだ問題は残っている。そればかりか、非常に問題が多様化してきて解決が難しくなってきているという実感をせざるを得ないのでございます。  まさに震災の復興をこの三年間私も経験させていただきまして、震災直後、総務庁長官が地震担当大臣に任命をされて、私も特別委員会理事をやらせていただきました。そこで質問をさせていただくことが、大臣もなるほどそうだと思えば、財布もついていて、ではこれで決めようということで、本当に議会の場で提案したこと、現場の声が届いて、まさに縦割り行政の壁を超えた措置がとられた半年間であったと思います。  残念ながら、とったことが、その新しい支援策が施行されるときにはまた別の問題が起きてきて、後追いになった三年間だったというふうに思わざるを得ないのですが、本当に政治のリーダーシップ、また決断力というものが問われたのが今回の阪神大震災の支援策であるというふうに思っております。  その部分では、非常に耳ざわりなことかもしれませんが、同年八月のあの内閣改造で地震担当大臣という職責がなくなったことについては、これは明らかに間違いであったというふうに、私の個人的な見解としてまず述べさせていただきたいと思います。  その後、非常に縦割り行政のもどかしさを感じていたわけでございますが、総理平成八年二月に神戸に来ていただきました。仮設住宅にも足を運んでいただいて、私はマスコミ報道で知るだけですが、直接お手紙も読んでいただいた。その中で、災害公営住宅の家賃低減化、五千円台からお年寄りのひとり住まいの場合は入れるという画期的な施策を実行していただいたのは、これはひとえに橋本総理に御来神していただいて現場の声を聞いていただいた、その結果だというふうに思っております。  その恒久住宅への移行というのが今行われているわけでございますけれども、現状は、神戸市内では仮設住宅の入居数は約半分です。半分がもう移られた。半分は残っている。残っているうちの三割強が高齢者世帯、五五%が単独世帯なのですね。ひとり住まいでございます。  この二年間に仮設で独居死、ひとりで亡くなられた方たちは二百名。正確に言いますと、二月二十五日時点で百九十八名というのが兵庫県警の調べでございます。独居死でございますから、自殺も事故死も、また餓死というのもあるのですが、そういった現状の中で、この現代の中で二百名の人たちが何らかの、ひとりで寂しく死んでいるということに対して、政治家として何とかしなければいけないという思いでいるのでございます。  非常に今問題なのは、幾つか残っておるのですが、ちょっと手紙を紹介するわけでもありませんが、これは垂水区本多聞の仮設住宅の中の自治会の役員の方からいただいた手紙なのですが、恒久住宅に転居されている人が出てきて、仮設の中は歯の抜けたようにぽつりぽつりとなっている。仮設の皆さんで話し合ったところ、一カ所にまとまって暮らしたい、そうすれば隣との交流もできるし、安心して住むことができる。  残念ながら、災害公営住宅を本当に一生懸命つくっていただいて、神戸で二万六千百戸発注が終わったところでございますが、現実的には、仮設であれほど文句を言っていたのだけれども、仮設のコミュニティーがなくなって、たった一人で鉄のドアの公設住宅に移ることに対する不安、それをまた拒否する人たちが約千世帯以上いるのですね。四次募集をしていただいたのですが、応募をしない高齢者世帯が千世帯以上いる。その中でまた、特別養護老人ホームを待機するに当然な寝たきり老人が百三十一名、神戸市内の仮設の中にいる。この数字も出ております。  この中で、幾つかぜひ要望があるのですが、総理の御来神のおかげで施策として実現した家賃低減策が、五年という期限になっておるのです。生活再建支援金というのも、毎月二万円ずつお年寄りの収入の低い方には五年間出るのですが、五年後には切れる。家賃も五年後には普通に戻ってしまう、今のままですと。支援金も五年後には切れる。五年後住んでいくことができないということで非常にちゅうちょをして、そこに応募をしない人も中にはいるのです。  ですから、五年先のことだから今から何も制限はできないというのが地元のお役所なり建設省ですか、厚生省の人たちの、それは役所の言葉としてはよくわかりますが、ぜひ政治家の言葉として、今回特別に安い家賃制度で入った人たち、収入が上がれば、公営住宅ですから家賃が上がるのは当然なのですが、収入が上がる見込みのない高齢者の世帯の人たちに対して、ぜひ、五年後も心配なく住んでいただけますよという政治のメッセージをしていただきたいなというふうに思いますが、総理、いかがでしょうか。     〔委員長退席、伊藤(公)委員長代理着席〕
  117. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 私、今議員が提起された問題、二つに分けてお答えをしたいと考えます。  まさに五年の期間を今から延長するかどうか、これは、私は確かに、ここで判断をして結論を出すのはむしろ早過ぎるんだと思うんです。  それは、行政がどういう言い方をしているか存じませんけれども、むしろ、私が申し上げたいと思ったのは、今議員の指摘をされた中で、仮設住宅に入居されておられる方々が、一つはコミュニティーとしての存在意義、それからまたもう一つは、殊に高齢単身者の場合に、将来不安という両方の面があるということを言われました。  そうすると、現在でも、仮設住宅に入居しておられる高齢者の方々の健康状態に応じて必要なサービスが利用できるような工夫はいたしておるわけですが、これはまさに、厳しい財政事情の中とは言いながら、自治体とも御相談をし、また要望を踏まえながら必要な支援としてやってきました。  むしろ、どうすれば、でき上がってしまったコミュニティーというもの、言いかえれば、単独高齢者世帯としての寂しさというものに直面している方々に、例えば生活援助員、現在は派遣しております、御承知のとおりです。あるいは訪問介護などの在宅サービスをうまく仕組んでいくことができるか、あるいは特別養護老人ホーム等の施設サービスというものと組み合わせていくか。むしろ積極的に、地元の自治体の御要望を踏まえながらそうした工夫をしていくことに力を入れていきたい。それによって、仮設住宅におけるコミュニティーということに集中される気持ちをむしろ変えていくことを考えたい、私はそうお答えをしたいと思います。
  118. 赤羽一嘉

    赤羽委員 私も総理と同様の意見でございまして、今二つ目の質問というか提案として言おうと思っていたんですが、仮設のままのコミュニティーを存続させるということは無理だとしても、実際、神戸では二カ所、今回新しくできるんですが、仮設住宅の痴呆症の老人を対象にした、一階から三階までが特別養護老人ホームと高齢者介護センター、四階、五階がグループホーム、シルバーハウジングという、この組み合わせたものが二カ所できるわけです。  この特別養護老人ホーム待機者が百三十一名市内にいる、寝たきりで仮設に住んでいる方がいるという現実を、私、今一番何を心配しているかというと、そういった特養とかの新設によってカバーしていくとか、公営住宅にそういったものをコンバインドしていくとかということをやることは緊急の課題だと思うんですが、財政構造改革法の中で、福祉施設整備費の削減の中で、地元の要望が、全体のパイの縮小の中でそういったものが実現できるのかどうか。  それは、震災被災地ということで甘えを言うわけじゃありませんが、現実に仮設という厳しい状況の中で寝たきりになっている方たちが数字も挙がっているわけですから、その百三十一人だけは、政治の責任として、そういった施設に平成十年度の予算以後でカバーしていただきたいということを要望したいと思います。厚生大臣
  119. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 要介護状況の高齢者に対しては、基本的には在宅サービスでやっていきたい。それでは無理だ、施設に入らないと無理だという方につきましては、地方自治体の実態把握、それに基づく要望についてできるだけの支援措置を講じていきたいというふうに考えております。
  120. 赤羽一嘉

    赤羽委員 私も数字を持っておりますし、実態を把握していただいて、全国一律の中での一都市ということではなくて、まだ被災地としてのダメージが残っているという現状の中で、ぜひ別枠でお取り扱いいただきたいというふうに思っております。  実は、きょうは、復興担当教員の継続配置の問題とか、神戸港の水先案内人の、神戸港と大阪港の非常に不条理な制度の違い等々用意しておりましたが、時間となりましたので、また引き続き別の委員会質問させていただきますので、どうかよろしくお願いいたします。ありがとうございました。
  121. 伊藤公介

    ○伊藤(公)委員長代理 これにて赤羽君の質疑は終了いたしました。     —————————————
  122. 伊藤公介

    ○伊藤(公)委員長代理 この際、お諮りいたします。  最高裁判所安倍家庭局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  123. 伊藤公介

    ○伊藤(公)委員長代理 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  124. 伊藤公介

    ○伊藤(公)委員長代理 次に、上田勇君。
  125. 上田勇

    ○上田(勇)委員 平和・改革の上田でございます。  ちょっときょうの質問要旨の順番とは逆になりますけれども、証券スキャンダルそれから大蔵省不祥事問題について、けさも大蔵省の問題、新聞のトップになっておりまして、この問題について何点かお尋ねしたいと思います。もう既にこの委員会でもこの問題は繰り返し取り上げられておりますので、これまでの質疑の中で若干はっきりしなかった点、これに絞りまして御確認をさせていただきたいというふうに思います。  まず初めに、昨日の北側委員質問に関連してでありますけれども、北側委員の方から、仮名、借名口座について調査を行って、その結果の中に政治家、官僚の口座があったとすれば、その名前を公表すべきであるという質問をさせていただきました。総理は、その意義については一定の御理解をいただきまして、大蔵大臣と御相談の上でという御答弁でありましたので、御相談はいただけたのでしょうか。お答えをいただきたいと思います。
  126. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 昨日、そのようなやりとりをいたしました。そして、大蔵大臣とも相談をいたしましたが、借名口座、仮名口座につき、官僚ということになりますと、これはどこまで広がるのかわかりません。少なくとも国会議員について、これは調べたい。  そして、その調査をいたしました結果、これをどう扱うかにつきましては、委員会の御決定にと申した方がいいのでしょうか、それとも理事会の御決定に従うと申し上げた方がいいでしょうか、それに従ってもよろしゅうございます。また、質問者にお届けをすることも調査が終わり次第いたしますが、ただ、仮名、借名という性格上、御本人を特定できるという自信は必ずしもありません。  しかし、調査をいたし、その結果を委員会または理事会の決定に従って、所定の手順を踏んで御報告をする。大蔵大臣と相談をいたした結果、そのような方針をとりたいと思います。
  127. 上田勇

    ○上田(勇)委員 今、政治家については委員会決定により公表していただけるという御答弁であるととりましたけれども、確かに官僚といいますと、今総理も、非常に膨大な数だ、国家公務員といえば膨大な数に上るのでということでありますけれども、国家公務員すべてがその対象に私はなる必要は必ずしもないとは思います。  ただ、この仮名、借名口座というのは、協会の自主ルールで禁じられているものでありますし、その理由というのは、きのう大蔵省の方からもお話がありましたけれども、これは違法行為に関連しているケースが多いのだと。その意味で、責任ある立場の公務員が仮名、借名口座を利用するということは、これは到底許されることではないというふうに思います。  各種業界にそれぞれの省庁が影響力があって、特別の情報も入手し得る、そういう立場にある場合もあるわけでありまして、国家公務員全体でいえば膨大な数になってとても調査できないということでありますが、それであれば、少なくとも責任ある立場、例えば現職の国家公務員の指定職級以上とか、そういう責任や権限から考えて非常に重要な立場にあるというところに限ってでも結構でありますけれども、その辺、調査の上公表していただくのが妥当かと思いますけれども、重ねてお尋ねしたいと思います。
  128. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 昨日御質問のありましたことに大蔵大臣と率直な相談をし、その上でお答えを申し上げました。  そして、まず、いずれにもせよ私は、国会議員、これは実名でその取引をしておられること、これは別です。しかし、法に反する借名、仮名口座の中にそれと疑わしきものがあれば調査をする、そして、委員会の御指示により、それをどう取り扱うかについては理事会にお任せをいたしたい、まずそれからやらせていただきたいと思います。
  129. 上田勇

    ○上田(勇)委員 ぜひこの問題は、ちょっときょうは時間の制限もございますのであれですけれども、私は、責任ある立場の、特に高級官僚につきましては同様の扱いが必要だと思いますので、また、ぜひその辺は御検討いただければというふうに御要望いたします。  次に、大蔵省の過剰接待やそれから収賄事件に絡みます内部調査の件について、これまでこの委員会の中でも何回か取り上げられてきました。金融検査部の接待、収賄事件が発覚いたしまして、金融服務審査官を設ける、あるいは金融関連部局に勤務した約五百五十名の職員については内部調査を徹底する、これは了解いたしました。ぜひ早急に徹底していただきたいというふうに思います。  では、その他、この金融検査部以外のところはどうなのか。  これは、昨今の報道を見てみますと、この接待の問題というのは、何も金融検査部に限ったことではなくて、新聞を見てみますと、証券局、銀行局、理財局、次から次へと出てまいります。また、昨日の御質問の中でも、地方財務局長についてのそういう質問も行われました。そういうことを考えれば、これは金融検査部に限ったことではなくて、他の部局についても速やかに徹底的な内部調査を行っていただくのが当然かと思いますが、これは、以前総理は、この予算委員会の中で、銀行局、証券局もやるというような御答弁をいただきました。  ところが、その後の大蔵大臣また政府委員の御答弁の中では、まずは金融検査部についてはすぐやると、その先は若干あいまいになっているような印象も否めないのでありまして、そこをぜひきょうは、これは金融検査部だけに限ったことではなくて、今、国民の信頼を回復するためには、大蔵省全体について徹底的な内部調査を速やかに実施するんだということを確認をさせていただきたいと思いますが、大蔵大臣、いかがでしょうか。
  130. 松永光

    ○松永国務大臣 お答え申し上げます。  捜査当局で起訴されたこと等から見まして、問題があるというふうに思われるから急いで内部調査を進めたいということで、金融服務監査官という新たな仕組みを設けまして、過去五年にさかのぼって、金融関連部局に在籍した者について内部調査を進めているところであります。その数が約五百五十名、相当な数であります。  委員は今、それ以外の人にもという話でございますが、金融関連部局だけでも五百五十名でございます。それで、それ以外の職員については、いろんな報道等がなされておるなどという、そういう疑惑がある人については、これは必要に応じて調査を行い、そしてその結果に基づいて厳正に対応していかなきゃならぬ、こう思っているところでございます。
  131. 上田勇

    ○上田(勇)委員 捜査が入った具体的な事件のところをまず内部調査を徹底しなければいけない、これは当然のことだと思うんですが、なかなかやはり、昨今のいろんな報道を見てみますと、それだけでは、今大蔵省の失っている信頼感、これを回復するのは到底不可能だというふうに思います。  連日、新聞を見ていると、次から次へと出てくる。しかも、これは昨年の金融検査部の事件に始まったことではなくて、実はこうした大蔵省の接待や収賄問題というのは、いろいろなところで、もう数年前、九四年、九五年のころから話が出ていることでありますし、その時点から、これは内部でそういった規律の保持、それから疑惑の調査というのは行ってきて当然のことであると思います。だから、今人手が足りないからこれから行えないというのは、今までやはりもっと、本来、そういう話がいろいろなところで出てきていた、マスコミにも出ていたという中で、実施されるべきことであったわけであります。  そこは、ここから始めるということについて、人手が足りない、時間が足りない、これはもう、そう言われてしまえばおしまいなんですが、では何で、九四年や九五年ころからこういった問題が次から次へと報道され、話題になっていたにもかかわらず、今まで放置されてきたのか、これは私は非常に疑問であります。これは、昨年の金融検査部の事件に端を発して初めて話題になったことではないのでありまして、それまで九四年から九五年にかけても、中島さん、それから田谷さん、こうした事件が出たときにも、国会の場でぜひ内部調査を徹底的にやってほしい、そのときに何でやってこられなかったのか。  実は、今回のこの一連の事件の中でいろいろ言われているそういう接待の問題だとか、これはもうかなり前からいろいろな新聞や雑誌で報道されているわけでありますし、今ここに、例えばこれは別冊宝島という雑誌ですけれども、この中で「銀行の大問題!」「大蔵官僚の病気」というような題で出版されている。これは実にもう二年以上前に出版されているので、その中には、今回いろいろ出て、いろいろ明らかになってきた料亭での接待の問題であるとか、はたまた風俗しゃぶしゃぶのことなんか、これはある大手銀行のMOF担の話だということで、実名は入っていませんけれども、言われている。だから、そういうことがもうかなり一般化されていたわけですね。  それを、さらに中島事件、田谷事件があって指摘されたにもかかわらず、調査を怠ってきた。これは、何で今までそういう怠慢な調査を行ってきたのでしょうか。それはやはり身内に甘いという指摘があっても、これは否定できないと思うのですけれども、大蔵省、その辺いかがでしょうか。     〔伊藤(公)委員長代理退席、委員長着席〕
  132. 松永光

    ○松永国務大臣 役所としては、実は常日ごろから、監督の立場にある人は、自分の部下について、間違ったことをしていないかということは常に監督していくというのが、公務員の倫理を守っていく上で大事なことだというふうに思います。今回、金融服務監査官という制度を特に設けて、そして内部調査を厳しくやっていこうとしたのは、言うまでもないことですけれども、金融検査に当たる人の不祥事からでございます。  先ほど、金融関連部局に在職した人を過去五年にさかのぼってと申し上げましたが、その金融関連部局というのは、実は銀行局だけではございませんで、銀行局のほかに、証券局、それから金融検査部、証券取引等監視委員会、理財局、国際金融局等々が入るわけであります。相当広くカバーしているものだ、こういうふうに思うわけでありまして、それをまずきちっと内部調査をして、そして倫理にもとる行為のあった者については厳正な処分をしていく、こういうことでございますので、しばらく様子を見ておいていただいて、そしてその上で報告をさせていただきたいというふうに思います。  なお、去年、実は第一勧業銀行の関係で一応調査したけれども、それが極めて、結果においては不備であった、ずさんであったという批判を受けるような結果になったわけでありますが、あのような結果になってはならないというふうに私は思っております。  では、なぜ去年の夏から秋にかけての調査がずさんな結果に終わったかというと、接待をした側の、銀行側等の資料はすべて捜査当局に押収されておりましたから、言うなれば反面調査的なことが全くできないで、実は本人だけの申し出、あるいはそれに類する程度のことしかできなかったということが、結果において十分な調査ができなかった理由一つであります。  そういったことがないようにするためにも、もう少し時間をかしていただいて、そして厳正な調査をしたという結果をぜひ出したいと思っておりますので、それまで時間をかしていただきたいというふうにお願いを申し上げる次第でございます。
  133. 上田勇

    ○上田(勇)委員 ぜひ徹底した調査と厳正なる対処をお願いしたいのです。  実際、今の問題というのはこの金融検査部の検査官の逮捕から始まったことでありますけれども、実際には、世の中の話題としては何年も前から言われていたことであって、それに対して調査が不十分で何ら対処ができなかったというのが、結果的に逮捕者を出して、さらにそれがもっともっと広がったということは、これは本当に大蔵省の、大臣はかわられたばかりで何とも申し上げようもないのですけれども、大蔵省の事務局、事務方の職務怠慢だというふうに私は思います。  本当に何でそんな、やるべきことをやらない、やれと言われたこともやらない、こんなに世の中で話題になっているにもかかわらず、何ら対応せずに知らんぷりしてこういう結果を招いてしまったということに対して、これは本当に重大な責任があると思いますので、大臣、ぜひ今回はそういうことの繰り返しにならないように、リーダーシップを発揮していただいて対処していただきたいというふうに心から要望いたします。  では、この問題については以上とさせていただきたいと思うのですが、全く話題が変わって恐縮でありますけれども、この委員会でもこれまで何回か話題には上りましたが、少年事件とそれから報道のあり方についてまずお伺いしたいというふうに思います。  この問題、文芸春秋の三月号に少年の検事調書らしき文書が掲載されたり、またそのほか、その他の月刊誌にも堺市での幼児殺傷事件の少年の実名や顔写真が掲載されるなどということが相次ぎまして、今大きな論議を呼んでいる事件であります。  もう総理もこの二つのケースについては内容は十分御存じかというふうに思いますけれども、いずれのケースも、少年法による非公開の原則、これを承知の上で、出版社側の言い分としては、事件の真相に迫る上で必要である、公益にかなうのだというような主張で記事を掲載しているわけであります。  私は、必ずしもこうした出版社側の主張というのは正しくないというふうに考えているわけであります。検事調書というのはその事件の一部の見方をあらわしているにすぎませんし、それをもって全貌だというのは到底無理な話でありますし、しかも、必ずしも記事のタイトルにあるように全貌を明らかにするというものではないわけであります。実名や顔写真の掲載が、事件の真相の究明と、解明とはこれは何ら関係ないことであるというふうに思います。  そういう意味では、両誌の記事とも、公益というよりもやはりこれは興味本位、商業主義的であるという批判がされても仕方のないもので、社会にとっては公益というよりもマイナスの方が大きいのではないかというふうに考えているわけであります。  少年法の今の規定に対して疑問を提起するのは、これは結構であります。報道の自由でありますし、そのことを主張されるのは結構なんですが、そのために法を承知の上で破って、今の法で守られている少年の人権を侵害するというのはいかがなものかというふうに考えるわけであります。  もっと問題をストレートに提起して、正々堂々と少年法をこういうふうに改正すべきだという議論をすればいいわけであります。それこそが本来はマスメディアの使命であるというふうに考えるのですが、どうもそういう方法じゃなくて、いきなりそういう法に違反した行為をもってそういう主張をされるというのは、私は理解できないのです。  そこで、総理、この二つの記事についての御感想、御所見、それと少年事件と報道のあり方についてどのようにお考えなのか。その辺の基本的な考え方をお尋ねしたいというふうに思います。
  134. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 私は、民主主義社会というのは報道の自由というものを欠いては成立しない社会だと思っております。それだけに、私は、報道の自由というものが憲法の保障する重要な基本的人権であるし、最大限尊重されるべきものだと思っておりますということをまず申し上げたいと思います。  同時に、現行の少年法が現在の時代に合っているかいないか。これについて、それぞれの報道機関がそれぞれの報道機関としての意見を持たれ、その主張をされ、キャンペーンされることも、私はそれを決して否定するものじゃありません。ただ、現行の少年法の趣旨に反するような報道、そのために人権が侵害される、こういうことは、私はやはり報道の自由の限界に抵触するものだと思います。そして、御指摘のケース二つにつきましては、私は大変悲しい思いでこの報道を見ました。  これは、私は、前に法務大臣がここで答弁されたと思いますけれども、やはり報道機関自身が自己規制のルールを働かされるべきものではないか、そういうふうな点で自主的に取り組まれることが望ましいものではないか、そう答弁をされたように記憶をしていますが、私も同じような思いがいたします。
  135. 上田勇

    ○上田(勇)委員 この二つの記事の中で、文芸春秋の方に掲載されました記事というのは、これは法務省にお聞きしても、どうも実際の検事調書のようであります。この調書というのは、少年事件では当然非公開でありますので、公開されていない文書でありまして、こうした秘密であるべき文書が外部に流出するというのは、これはやはり司法に対する国民の信頼を著しく損ねるものじゃないかというふうに思うわけであります。  ちょっと時間の制限があって、法務省、裁判所の方に調書の流出経路等についての調査の現状をお聞きしようかというふうに考えていたのですけれども、ぜひこれは、まだ解明されていないのであれば、徹底して調査をしていただくということが第一であるということを申し上げさせていただきたい。  この調書、これに接することができるというのは、私はごく限られた人間だというふうに思うわけであります。当然、家庭裁判所の判事や職員の方々、それから検察、それから捜査に当たられる警察の方、付添人というのですか、これは弁護士の方ですね。それから、この場合は鑑定人、お医者さんがされていたというふうに聞いております。いずれも守秘義務が課せられている人たちでありますし、国民が大いに信頼を寄せる立場の方々であります。  この方々の中に漏えいした人間がいるということは断定するわけにはいきませんけれども、この文書に接する人間、当然ここから流出したという可能性もこれは否定できない。かなり高いのじゃないかということも否定できないのじゃないかというふうに思いますけれども、ぜひ、この流出経路を徹底的に究明していただいて、厳正な対処をしていただきたいというふうに思います。  これは、法務省それから裁判所の方、ぜひよろしくお願いいたします。
  136. 下稲葉耕吉

    ○下稲葉国務大臣 お答えいたします。  御指摘の検事調書が報道されたということはまことに遺憾でございまして、今お話しのように関係者が多数いるわけでございます。私どもは、関係当局それから検察機関とも協力いたしまして、何とか実態解明いたすべく全力を挙げて努力いたします。
  137. 安倍嘉人

    ○安倍最高裁判所長官代理者 御説明申し上げます。  今、私ども裁判所の側におきましては、神戸家庭裁判所において、所長を中心とするスタッフによりまして、この事件の記録に接触する可能性のある職員全員につきまして事情聴取を行っている段階にございます。  現時点におきまして、家庭裁判所の中から何らかの不審な事情があるという形跡はないわけでございますけれども、さらに引き続き調査を進めてまいりたいと考えているところでございます。  以上でございます。
  138. 上田勇

    ○上田(勇)委員 特に、この一連の事件の中で、この調書の内容が、革マル派、過激派のアジトで押収されたフロッピーディスクに記録されていた、このことが明らかになりました。過激派の方は、我々の運動に共鳴する人、協力者的な人なのでしょう、から入手したと言っているわけであります。  先ほど申し上げましたように、この文書は当然秘密の文書でありまして、管理されていなければいけない文書であって、それが、事もあろうに過激派に渡っていたというのは、私は、我が国の司法制度の根幹にかかわる極めて深刻な問題であるというふうに思います。今回の文書の性格はともかくとしまして、そういう司法に係る秘密文書が過激派に渡るというようなルートがあるというのは、これは絶対に、どうして流出したのか、またその経路、これはぜひ徹底的に解明していかなければいけないことだというふうに思います。  そこで法務大臣に、最後に、こうした秘密が守られなければいけない、徹底した管理が行われていなければいけない文書が過激派のところに渡っていたという今の事態についてどのように御認識されているのか、お伺いしたいというふうに思います。
  139. 下稲葉耕吉

    ○下稲葉国務大臣 お答えいたします。  過激派の資料を読みますと、本件は国家機関による謀略だ、謀略事案だというふうな報道もなされているということを私承知いたしております。  いずれにいたしましても、極めて重大な問題でございますし、法秩序の維持に当たる我々としては、いよいよその責任の重大さを感ずるわけでございまして、先ほど申し上げましたように、真相解明のために調査並びに捜査を徹底してまいりたいと思います。
  140. 上田勇

    ○上田(勇)委員 実は、きょうは少年事件と報道の問題について、さらに総理また法務大臣の御見解をいろいろ伺いたいと思ったのですけれども、時間が参りました。またこうした議論は引き続きいろいろな場で続けさせていただきたいと思いますので、ぜひ政府の方においても、この問題、特に文書流出の問題や少年法のあり方など、非常に今社会の中でも大きな論議を呼んでいることでありますので、鋭意御検討をお願いしまして、質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
  141. 越智通雄

    越智委員長 これにて上田君の質疑は終了いたしました。  次に、斉藤鉄夫君。
  142. 斉藤鉄夫

    ○斉藤(鉄)委員 平和・改革の斉藤鉄夫でございます。  二年前、平成七年の十二月に、動力炉・核燃料開発事業団、動燃の「もんじゅ」、高速増殖炉原型炉、この「もんじゅ」のナトリウム事故が発生いたしました。絶対漏れないと言われていたナトリウムが漏れたということと、その後、動燃事業団による事故隠し、情報隠しが発覚した。また、一年前、同じく動燃の東海事業所再処理工場のアスファルト固化処理施設が火災爆発事故を起こした。そして、この後も事故隠し、事故隠ぺい工作が動燃の組織ぐるみで行われたという事件がございました。この二つの不祥事で国民の原子力に対する信頼感はまさに失墜をしたわけでございます。  こういう経過を踏まえまして、科学技術庁の方では、動燃改革検討委員会というものを設けて、動燃をどのように改革するのか、また原子力行政をどのように改革するのかという検討を進められてきて、その結果を受けて、今年度予算案に動燃の改革、これはもう動燃をなくして、核燃料サイクル開発機構、こういう機構にする、またそのほかのいろいろな諸施策を打つという予算が計上をされた次第でございます。  この動燃問題は大変大きな国民的関心を呼びましたし、今回は、この二年間の結果が今回の予算案に盛り込まれているということに関しまして、前に進む前に、この二年間を総括して、この原子力行政、またもっと広げて動燃事故の本質と行政改革という観点から議論をさせていただきたい、このように考えております。  まず最初に、総理にお伺いをいたしますけれども、昨年八月十九日の日経新聞でございます。行革会議の集中討議に関する記事でございますが、その中に、「首相は、討議の中で有馬委員が科学技術庁の拡充を主張すると語気鋭く反論。「動燃事故でもあんなことになったのは技官がおかしなことをしたからだ。今のままの科技庁ではだめだ」と断言して周囲の委員を驚かせた。」こういう記事がございますし、また別なところには、「科技庁のていたらくを見ていると反対せざるを得ない。」こういう発言も書かれているわけでございますが、これは事実なのかどうか。事実だとすれば、御真意は何だったのか。お伺いしたいと思います。
  143. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 行政改革会議における議論、これは、科学技術という特化された分野に集中することなく、学術教育と科学技術の双方を視野に入れた取り組みが重要である、同時に、社会経済情勢全体を見渡した幅広い観点から、政府全体としての科学技術に関する総合的な企画立案、総合調整を行っていくことが必要だということでありまして、その点を踏まえて、最終報告で、教育、学術、科学技術を全体的に取り扱う教育科学技術省を設ける、同時に内閣府に政府全体として取り組むべき人文、社会、自然科学にわたる総合戦略を具体化するための総合科学技術会議を設けるという結論が出ております。  今議員が引用されました言葉、私は正確に記憶をいたしておりませんけれども、言い回しに多少の違いはあるかもしれませんが、平成七年十二月の「もんじゅ」の事故、そしてビデオ隠しあるいは虚偽報告等が行われた、あるいは昨年三月にも、議員触れられましたが、東海村で虚偽報告等がございましたけれども、その東海村での動燃の事故を私に説明をされました際にも論議になった点がございました。結果として、私が提起いたしました疑問は科学技術庁の皆さんからは否定されましたけれども、原子力安全委員会の皆さんは、私と同じ疑問を呈されたと聞いております。  そういう意味では、確かにこの体質は、私は門外漢でありますから、門外漢の私が提出した疑問というものに、専門家としての見地でありましょう、問題にならないというお答えをいただいたものが原子力安全委員会の方で再び取り上げられるということ、私はこういう体質はいいことだと思っておりません。そういう点で、体質を変えてもらわなければ本当に困ると思っておりました。  同時に、科学技術というものが大事であれば大事であるほど、その閉鎖的な体質の中でこれを固められたのでは困る。むしろ社会と幅広い、きちんとした接点を持って、幅広い視点から行政を進める必要があるのではないか、まさにそういう考え方を申し上げたと思います。同時に、ある委員から御提起がありました総合科学技術会議構想というものに賛成したことも、たしかその日ではなかったかと思います。
  144. 斉藤鉄夫

    ○斉藤(鉄)委員 橋本総理が科学技術を非常に大切にされているということはよく存じ上げております。しかし、今回の動燃の事故は、その問題ではなくて、動燃の組織もしくは科学技術行政そのものの中に含まれている不合理さについて怒られたからこそ、このような発言をされたのではないかと私は思っております。  別な雑誌に、「エネルギーフォーラム」という、ちゃんとした雑誌ですけれども、次のような記事が二月号に載っておりました。「動燃”事件”が首相をその気にさせた」「ある行革委員によれば、橋本さんは行革をやる気がなかった。とてもじゃない、難しくて。ところが動燃の事件が起きて、やる必要があるし、やれるんじゃないかという気持ちになった。行革の報告書の中に原子力なんかほとんどないけど、動燃の事件が橋本さんをその気にさせたようだ。」という記事がございます。  この中で、橋本総理に「行革をやる気がなかった。」というところはともかく、動燃事故を見て、行革をやる必要があるし、やれると思ったという部分については本当でしょうか。
  145. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 エネルギーという分野の専門の方々が、そのほかの問題を全く意識の中にとどめず、この動燃という問題だけを見てこられたとすると、あるいはそういう印象をお持ちだったのかもしれませんが、動燃の事件、言いかえれば、恐らくここでおっしゃっているのは東海村でしょうと思います、しかし、動燃の問題、「もんじゅ」まで含め、むしろ行政改革の必要性というものは、私はその前から申し上げておったと思います。動燃だけどうにかすれば行政改革は終わると私は考えておりませんでしたし、今も考えておりません。
  146. 斉藤鉄夫

    ○斉藤(鉄)委員 私は、動燃のあの一連の不祥事の中に行政改革をやらなければならない必要性の本質があらわれている、このように考えております。この意見については後でまた述べさせていただきますけれども。  私は、動燃の一連の不祥事を総理が見られて、ああいう事故隠しであるとか密室的な行政というものの本質が端的にあそこにあらわれていた、国民もそれを端的にそこで見てしまった、だからこそ行政改革の必要性をその動燃事件に端的に見られた、こういうことで、総理がそのような、先ほどの日経新聞の発言とか先ほどの記事のような感想を持たれたのかな、このように思いましたけれども、今の総理答弁は、特に動燃だけを見て行革の必要性を感じたのではないという御答弁でした。私は、先ほど言いましたように、一つの本質がそこにあらわれていると思います。  まず、科学技術庁長官にお伺いしますが、このような形で総理から、動燃の問題に対しても科技庁そのもののあり方についても問題が提起されたわけですけれども、それに対してどのように対応をされたのか、どのようにお考えになっているのか、お聞きいたします。
  147. 谷垣禎一

    ○谷垣国務大臣 今、斉藤委員が御指摘になりましたいわゆる動燃の一連の不祥事、これは事柄自体も大変大事でございますけれども、御指摘になりましたような、その後の虚偽報告などのいかにも対応のまずさ、こういうものが問題をさらに倍加させて社会的な問題に大きくなったというふうに思っております。それがやはり原因となりまして、地元の方々の不安感あるいは多くの国民の方々の不安感、ひいては日本の原子力行政に対する不信感というところまでいったのではないかと私は重く受けとめているわけであります。  そのために、やはり動燃を抜本的に改革しなければならない、こういうことでありますが、今までいろいろ議論もしてきたわけでありますけれども、やはり動燃自体の任務、役割というものをもう一回洗い直して明確に再定義をしていく必要がある、明確な使命をここできちっと洗い出して付与しなければならないということが一つあろうかと思います。  そして、そのもとで何をやらせるかということになりますと、こういう分野でございますから、何といっても安全確保ということが一番大事。しかし、それだけではなくて、今恐らく斉藤委員が御指摘になりましたことは、技術者が技術の方向にだけ目が行ってしまって、社会的な対応が不十分だったではないかという御指摘もあると思うのです。  したがいまして、やはり社会に開かれたオープンな体制、そういうものをつくっていかなければならない。それから、やはり地元との連携というものも十分に考えていかなければならない。そういう中で、動燃の権限と責任というものをもう一回はっきりさせていかなければならない。こういうことで、先ほど予算の問題にもお触れになりましたけれども、今度この国会に、核燃料サイクル開発機構ということで再出発をする、抜本的な出直しをするという法案を出させていただいているわけでございます。  ただこれは、言うなれば器はある程度そういうことで議論をしてできてまいりましたけれども、一番大事なことは、器の中に盛る、仏つくって魂入れずということになっては仕方がないわけでありまして、その魂をどうやって吹き込んでいくか、一人一人の動燃の職員にもう一回その使命感、新しい国民のために技術を開発していくという使命感をどう持っていただくかという意識改革が一番大事なのではないかと思っております。しかし、これはなかなか言うべくして簡単ではないわけでありますけれども、今、新しい改組を前に動燃の中でそのことに真剣に取り組んでいただいていると思っております。  それと同時に、じゃ、科学技術庁がこの問題に対してどうしてきたかということでございますけれども、やはり科学技術庁としても、動燃のはしの上げおろしまで一々言うのが私はいいと思っているわけではありません。しかし、十分、動燃のやっている事業あるいはいろいろな仕事というものの実態を把握していたのか、現場を踏んで把握していたのか、こういうことには私はやはり多々反省点があったのではないかというふうに思っております。  したがいまして、科学技術庁の職員にもう一回動燃の全施設を点検してもらう、あるいは科学技術庁の中にも二十四時間の警戒体制をもう一回つくっていく、それから、動燃に対しても抜き打ち検査をする、そういう監督体制の強化というようなことをやってきたわけであります。  いずれにせよ、この動燃という組織、今度は形を変えるわけでありますけれども、これが日本の核燃料サイクルを確立していく中核的な組織でなければならないわけでありますから、私としても全力を傾けてこの改革に魂を入れるようにしたいと思っておりますし、科学技術庁も、今申し上げたような対応をしてまいりましたけれども、きちっと責任を果たせる組織につくり変えていく、こういうことをやりたいと思っております。
  148. 斉藤鉄夫

    ○斉藤(鉄)委員 今の谷垣長官のお話を聞いておりますと、また動燃改革委員会の報告書を見ておりますと、動燃が基本的には悪いのだ、もっと極端に言えば、動燃だけが悪いのだというふうな書き方になっていると思うのです。  もう一度、総理に私お伺いしたいのですけれども、総理が、もちろん動燃の事故を見て行革の必要性を感じた、そんなことはないでしょうけれども、しかし、動燃の一連の不祥事の中に行革の必要性の本質を何らかの形で見られたからこそ、先ほど紹介したような発言があったのではないかと私は考えたわけですけれども、その点はいかがでしょうか。
  149. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 率直に申し上げて、行革会議のスタートの年月日とこの事故の時期をお考えいただけば、先ほどの御質問に、それが例ではありませんと申しあげたのはおわかりがいただけると思います。  その上で、私は、この事故を、事故だけではなく、その後の対応を見ておりまして感じましたこと、これは、まず第一に、経営が不在であるということでありました。そしてもう一つは、その閉鎖体質というものであります。そして、これは動燃だけではなく、動燃と科学技術庁、あるいは科学技術庁から内閣の我々に対しても、どこかで目詰まりを起こしているのではないか、率直にそのような印象を持ったことを隠しません。  ですから、その意味で、今回出てきた動燃の改革案というものの中で、適切な情報公開、もちろん安全の確保は最優先です。しかし、その上で、適切な情報公開によって業務運営の透明性を確保する、殊に裁量権と責任を明確にした経営体の体系をとり、それが第三者の外部評価を受ける、そうした中で業務を行う体制を整備する。これは、私は、本当にメカニズムとしては、非常に今までに比べて大きく変わった方向を生み出し得る素地ができた、率直にそういう感じを持ちました。ただ、これは科学技術庁長官答弁にもありましたように、意識改革というものが同時並行で動いてくれなければ、せっかくのシステムもうまく動きません。  ですから、議員の御指摘に答えるとするなら、この事件から感じ取ったもの、これは、一つは動燃そのものの経営の不在、あるいは閉鎖体質、さらに監督官庁との間の、いわばなあなあの関係の中で、情報の目詰まりといったような問題点をこの中からは取り上げることができると思います。
  150. 斉藤鉄夫

    ○斉藤(鉄)委員 まさしく、先ほど総理がおっしゃったなあなあのなれ合い体質、それから責任の不明確さ、まさにその問題がこの動燃事業団の今回の一連の不祥事に端的にあらわれたからこそ、そこに行革の必要性を見られたという総理の気持ちだったと私は思います。  今回の動燃改革の原案、私は先ほど申し上げましたように、この無責任体質、なれ合い体質、そこに本当にメスが入っていない。動燃だけを悪者にして、組織改革で事足れりとしているというふうな部分が見えてならない、このように申し上げさせていただきたいと思います。もっと本質的なところを議論していかなくてはいけないのではないか、このように思います。  それでは、この動燃に関連して、これからの原子力開発体制、高速増殖炉について質問をしたいと思います。  フランスがスーパーフェニックス、高速増殖炉シャットダウン、廃炉を、閉鎖を決めました。これで、高速増殖炉の研究を進めているのは日本だけという状況になったわけでございます。  これまで日本は、高速増殖炉を中心に据えたプルトニウムリサイクルを将来の日本のエネルギーの主流にする、こういう国策のもとに進んできたわけでございますけれども、動燃の事故もありまして、高速増殖炉懇談会が昨年末十二月に、この高速増殖炉は今後のエネルギー政策の選択肢の一つである、こういうふうになりました。  これまで、高速増殖炉は将来のエネルギーの主流であると言ってきたわけですけれども、選択肢の一つというのは、これは大きな後退である、このように新聞にも報道されておりますし、国民の理解にもそのように伝わっているわけですが、この認識について、科技庁と通産省、お願いいたします。時間がありませんので、端的にお願いします。
  151. 谷垣禎一

    ○谷垣国務大臣 今回の高速増殖炉懇談会の結論でございますけれども、委員は今、選択肢の一つとおっしゃいましたけれども、正確に申し上げると、有力な選択肢の一つ、こういうふうに位置づけているわけであります。  ただ、今度の、今、後退だと御指摘になりましたけれども、我々は決して後退と位置づけているわけではなくて、少し弾力的に考えていく必要があるのかなということからこういう表現にしたわけでありますけれども、我々は、今後とも高速増殖炉の開発というのは引き続き続けていかなければならないと思っております。  今、フランスがスーパーフェニックスの廃炉を決めたというお話がありましたけれども、確かに世界の中で進めているところは少なくなっているわけでありますけれども、やはり、日本においてしっかりこれが開発できるのだということをやっていきたい、このように考えております。
  152. 稲川泰弘

    ○稲川政府委員 今科学技術庁長官が申し上げた点と全く同じでございまして、まさに今後のエネルギー行政の根幹としての核燃サイクルの中核というような位置づけで、今後の研究開発、その実現に向けての努力をしたいと思っております。
  153. 斉藤鉄夫

    ○斉藤(鉄)委員 選択肢の一つということでございますので、これから選択をするわけでございます。その選択の議論をオープンにするべきだと私は思います。  先ほどの動燃の事故の原因、根本原因とも関係いたしますけれども、これまでの原子力行政は通産と科技庁と電力、この三者が密室で決めてきた、密室行政でやってきた、これは否定できない事実だと思います。それが遠因となって動燃の事故も起きたのだ、私はこのように思います。  新型転換炉というものがございました。昭和四十二年から研究、建設を始めて、「ふげん」という原子炉をつくりました。投入国費は三千五百億円。エネルギー長期計画、原子力長期計画にも明確に、この新型転換炉を軽水炉と高速増殖炉の中間に置くんだ、こういう形で国費が投入されてきたわけでございますが、国会で一遍の議論もなく、この新型転換炉が中止ということが二年前に決まりました。  これは、新聞記事を読みますと、コスト高、非常にお金がかかるということで電力が難色を示し、それに通産と科技庁が乗ったんだということで、三千五百億円の税金を投入してきたにもかかわらず、国民の代表であるこの国会で一遍の議論もなく、この中止が決まったわけでございます。今回のプルサーマルの問題にしましても、ほとんど議論なく話が進められようとしている。  こういうことから考えて、選択肢の一つというこの高速増殖炉懇談会の結論、これは原子力委員会も重視をすると言っておりますので、ぜひ、今までの新型転換炉、ATRの轍を踏まないように、我々が国会で決めるのだ、このように主張したいと思いますけれども、総理大臣、いかがでございましょうか。
  154. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 技術の問題、そして研究開発の可能性、こうしたものになりました場合に、私自身は素人でありますから必ずしもその将来を決定するだけの見識は持ちません。しかし、議員が専門家でおられることもよく承知しておりますし、また、この問題を今のような角度から取り上げていただいたことにも私は敬意を表します。  我が国の将来を考えますとき、環境という一点から考えましても、原子力のエネルギー供給源におけるウエートは今後も一層高くなるわけであります。今までも繰り返し申し述べてまいりましたように、京都会議の我々が負いました責任を果たしていきますためにも、原子力発電と新エネルギーに頼らなければならない部分は極めて大きいわけでありますし、量的には原子力エネルギーに依存する度合いが一層高くなるわけでありまして、そうした点からも御議論が深められることは大切なこと、私はそのように思います。
  155. 斉藤鉄夫

    ○斉藤(鉄)委員 ぜひ国民議論を国会を中心にして高めていきたいと思います。  最後に、先ほど総理が触れられましたCOP3の二酸化炭素排出抑制と原子力の問題に触れたいと思います。  二〇〇八年から二〇一二年までの間に一九九〇年レベルから二酸化炭素排出レベルをマイナス六%、これに対する計画、私もつぶさに見させていただきました。私は、非常にきれいごとの議論が並んでいる、このように思います。非常なる省エネ努力、これは民生でも産業でもまた運輸の部分でも大変な省エネ努力は必要でございます。その省エネ努力をした上で、なおかつ二十基以上の原子力発電所の建設がなければこの二〇一〇年度の二酸化炭素排出抑制の目標は達成できない、これは明らかでございます。  今原子力発電所の建設にかかる期間は最低二十年、リードタイムは最近二十五年になっていると言われております。今計画してもまだ遅い、しかし将来の計画は今ほとんどない、こういう現実を踏まえてこの二酸化炭素排出抑制の国際公約をどう達成していくのか。私は、まじめな人であれば、これはもう不可能である、これはもう仮につくった国際公約にすぎないとしか思えないわけでございます。この点について科技庁長官、どのようにお考えになっているか。  また、質問通告をしておりませんが、環境庁長官、京都会議でも原子力は鬼っ子のように扱われて、ほとんど触れられていないという現実の中で、このほとんど達成不可能な目標をどのような形で達成しようとされているのか。  お二方の答弁を聞いて終わりたいと思います。
  156. 大木浩

    ○大木国務大臣 今、原子力に限っての御質問だったと思いますのでそれに限っての御説明をいたしますけれども、各国ともそれぞれにどういうエネルギーに依存しておるかというのは、国別で状況は差異が非常に大きいわけでございます。例えばフランスなんかは今まで非常に大きな部分をそれに依存してきた。日本も依然として重要なあれだということで今後もということでありますから、COP3自体においては議論はいたしませんでした。  しかし、いろいろと二国間で私どもが話を聞いて、これからどうしようというところでは、引き続き原子力を重要な資源だということで、これを利用しなければならないということを言っている国は決して少なくないわけでございますので、共通の議題としては議論しませんでしたけれども、いろいろと情報は交換した、そういう状況でございます。
  157. 谷垣禎一

    ○谷垣国務大臣 今斉藤委員御指摘のように、この間の数字の背後には、いろいろ計算があって御議論があったと承知しておりますけれども、その基礎に、やはり二十基程度の原子力発電所が必要ではないかという算定があったというふうに承知しております。このためには、やはり国民の理解を取りつけて進めていくということが不可欠でございますので、私たちはそのために努力をしたいと思っております。  先ほど、密室の中で政策を決めるのはいかぬという御指摘がございましたけれども、私は、科学技術庁としてもできるだけオープンな場で議論をするように努力をいたしておりますが、一番は、やはり国会の場の議論であると私も思っております。その意味で、きょう委員に、この動燃の問題あるいは原発の問題をお取り上げいただいたことは大変ありがたく思っておりまして、心から感謝申し上げます。
  158. 斉藤鉄夫

    ○斉藤(鉄)委員 終わります。
  159. 越智通雄

    越智委員長 これにて斉藤君の質疑は終了いたしました。  次に、中村鋭一君。
  160. 中村鋭一

    中村(鋭)委員 総理は、今国会においておおむね終始一貫して、現在審議中の予算案について、これが最善のものである、このように答弁をしておいでになります。  ひとつ端的に、はいか、いいえか、イエスかノーかでお答えいただきたいのですが、現在も依然として本予算案が最善のものである、このようにお考えでございますか。
  161. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 私どもは、今議員から私の発言をなぞりながら御質問いただきましたように、この速やかな成立に向けて全力を尽くしているところであります。
  162. 中村鋭一

    中村(鋭)委員 随分いろいろと、新聞、またテレビ、海外の論調等々、現在の日本の財政金融政策につきまして議論がなされております。おおむねその議論は、ひとつ思い切った政策転換をして積極的な財政政策を展開してはどうか、こういう意見でございます。  これはまた後に御紹介するとして、恐縮でございますけれども、総理を除く全閣僚の皆さんに、現在審議中の予算案が最善のものとしてお考えなのか、あるいは予算修正も伴う国民の期待に沿う道を選ぶのか、補正を組むのか組まないのか、そういった点について、一言ずつで結構でございますから、お答えをお願い申し上げたいと思います。
  163. 松永光

    ○松永国務大臣 お答え申し上げます。  現在御提案申し上げ、御審議を願っておる予算が最善のものと考えておりまして、その速やかな成立に向けての努力を全力でやっていきたい、こう考えているところでございます。
  164. 小渕恵三

    ○小渕国務大臣 最善のものと考えております。
  165. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 民主主義というのは難しいものだな、一人では成り立たない。一人でやれというならいろいろな方法はあると思いますけれども、あちらを立て、こちらを立て、調整すると、現時点ではこういうことになるのかなと思っております。
  166. 瓦力

    ○瓦国務大臣 お答えいたします。  予算審議は政府が国会に問うわけでございますから、政府と議会のまさに接点に立つ仕事でございますが、この予算が早く成立をして執行に移せるように、全力を挙げて取り組んでいただきたい、また御協力を賜りたい、かように願っておる次第であります。
  167. 小里貞利

    ○小里国務大臣 御案内のとおり、各般にわたりまして多彩にわたり国会論戦が行われておりますこと、大変結構だと思っております。殊に、先生がお尋ねの当初予算等を中心にいたしました議題に対する考え方でございますが、これは総理が言っておりまするように、できるだけ早期に手がたく御可決いただくことが国益になり、国家の要諦である、さように思っております。
  168. 島村宜伸

    ○島村国務大臣 可能な限りの英知を傾けて編成したものでございまして、一日も早い成立を願っております。
  169. 久間章生

    ○久間国務大臣 限られた財政の中で最善のものができ上がったと思っております。
  170. 堀内光雄

    堀内国務大臣 現在御提案申し上げております平成十年度の予算案が最善のものと考えて、最善を尽くしてまいりたいと思っております。
  171. 大木浩

    ○大木国務大臣 内閣一体となって、現在御審議中の予算を通していただくのが少なくとも現時点における最大の国益に資するゆえんだと考えております。
  172. 村岡兼造

    ○村岡国務大臣 現在提案しております十年度予算案でございますが、最善のものと考えておりまして、一日も早い成立をお願いしたいと思います。
  173. 藤井孝男

    藤井国務大臣 現在御提案申し上げております平成十年度予算案、あとう限り速やかに成立させていただくことを心から願っている次第でございます。
  174. 亀井久興

    ○亀井国務大臣 現在御提案しております予算案が最善のものと考えておりますので、その成立のために精いっぱいの努力をいたしたいと思っております。
  175. 谷垣禎一

    ○谷垣国務大臣 来年度予算案が持っております本来の力と効果を速やかに発揮させるのが国家国民のためであると、かたく信じております。
  176. 尾身幸次

    尾身国務大臣 午前中の議論にございましたが、経済企画庁景気状況を楽観的に見ているということは全くございません。  我が国経済は、昨年来、バブルの後遺症であります不良債権の処理のおくれが景気回復の足かせとなっておりまして、金融機関の経営破綻やあるいはアジア地域における通貨・金融市場の混乱等を背景に、家計や企業景気先行きに対する景況感個人消費設備投資影響を及ぼしているなど、最近における景気停滞し、極めて厳しい状況になっていると認識している次第でございます。  私ども、そういうわけで、最近におきまして、二兆円の特別減税、あるいは九年度の補正予算、あるいは金融システム安定化対策等の迅速かつ的確な施行に努めているところでございます。それに加えまして、電気通信やあるいは人材派遣業、土地の流動化等に対する規制緩和の策も進めているところでございます。  そういう中におきまして、平成十年度の予算及び法人税や有価証券取引税や土地譲渡益課税の減税等含みます予算関連法案が、一日も早く通過をして、四月からはこれが施行できるように、ぜひお願いをしたいと考えている次第でございます。
  177. 伊吹文明

    ○伊吹国務大臣 現在の国民の生活、未来の日本人のあり方、そして国民負担、未来の負担、いろいろなことを総合的に考えてこの予算案が一番いいと思い、我々は憲法に従って、国務大臣として全員がこれにサインをして提出したわけでございますから、お一人お一人お聞きになるまでもなく、私は最良のものだと思っております。
  178. 町村信孝

    ○町村国務大臣 財源にもっとゆとりがあるのならば文教予算を二倍にも三倍にもと思ったりもいたしますが、現下の厳しい財政状況のもと、私どもは、これが最善の予算である、このように考え、一刻も早いこの予算の成立を心からお願いをする次第でございます。
  179. 自見庄三郎

    ○自見国務大臣 現在御提案申し上げております平成十年度予算案が最善のものであると確信をいたしておりますので、全力を尽くしてこの予算の成立に努力をさせていただきたいというふうに思っております。
  180. 鈴木宗男

    鈴木国務大臣 概算要求のフレーム、さらには概算要求決定、そして政府原案決定と、少なくとも七カ月、我々は議論議論を重ねてつくった予算案でありますから、これ以上のものはない、こう思っております。
  181. 下稲葉耕吉

    ○下稲葉国務大臣 このような厳しい情勢の中で、一刻も早い予算の成立をお願いいたしたいと思います。法秩序、国民の権利の維持という仕事をやるためにも、一日も早く通過させてほしい、お願いします。
  182. 上杉光弘

    ○上杉国務大臣 都道府県、市町村は、既に議会の予算審議も始まって、国家予算の成立を待っておるわけでございます。一日も早く成立をさせていただきたいと思います。
  183. 中村鋭一

    中村(鋭)委員 ただいまお伺いいたしますと、閣僚全員の皆さんが、最善の予算であるから一刻も早く成立をさせていただきたいということでございましたが、やや小泉大臣はニュアンスが違いまして、多数の中の一人でありますから、言いたいことも言えないような少し含みのある御発言であったと思いますが、その辺までは閣僚としては精いっぱいの御発言であったと心中お察し申し上げる次第でございます。  今、閣僚の皆さんは異口同音に、最善のものである、こうおっしゃいましたが、閣僚の皆さんと一心同体である与党の方の中には、見解を異にしておられる方もあるように思います。  例えば野中幹事長代理は、これは二十八日付の読売でございますが、「「実質的には財政構造改革法の枠から出た行動を既に示している。アナウンスなき政策転換と言っていい」と述べ、積極財政路線への政策転換を党執行部として初めて明言した。」このようにおっしゃっているわけでございまして、さらに続けて、当初予算を成立させて、速やかに九八年度補正予算案の編成を求めたい、このような発言をなさっているわけでございます。このことはもう皆さんもよく御存じだと思うのですね。  さらにまた、先日、亀井前建設大臣はテレビで、これは私も見ておりましたけれども、財政構造改革路線の誤りを認め国民に謝罪した上で政策転換をすべきだと強く求めてきたが、この日はさらに、橋本首相に言い続けてきたんだが逆噴射を政策的にかけられた、このように亀井さんはおっしゃっているわけでございます。  だから、これは与党の中から、総理大臣、おやめなさいよ、あなたがやめて積極財政に転換してやるべきだ、こういう声が出ているわけでございまして、そのほかにも例示をすれば幾らでもこのようなケースはあるわけでございます。  まず総理にお尋ねをいたしますが、日本は、我が国は議院内閣制の国でございますか。ちょっと確認をさせていただきたい。
  184. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 政党政治であり、また議院内閣制である、議院は衆参両院をもってこれを構成していること、御承知のとおりであります。
  185. 中村鋭一

    中村(鋭)委員 議院内閣制の我が国であるならば、そしてさらに、今御発言いただいた閣僚の皆さんは同時に自由民主党の党員だと思いますね、そして国会議員であり、橋本総理大臣は同時に自由民主党の総裁でもあるわけでございますが、自由民主党の総裁として、一心同体であるべき与党の、それも一年生、二年生議員じゃない、つい先日まで大臣をしていたり、党の幹事長代理という要職にある人が、このような、先ほど御発言の論旨とは全く違うことを堂々と、テレビ等も通じて、新聞、記者会見で言っておられるわけでございますが、この点については総理はどのようにお考えでございますか。
  186. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 まず第一に、一年生や二年生という言葉をお使いになりましたが、衆参両院ともに、議員の歳費は当選回数にかかわらず同一であります。また、その発言権に制約が加えられておりませんことは議員御承知のとおりであります。  そしてその上で、政党として云々とおっしゃいますならば、この予算編成は政府・与党一体で行っておりますことは御承知のとおりでありまして、同時に、与党のそれぞれの所定の党内手続を得て承認されたものを、我々は内閣としても手順を踏み、国会に御審議を願っております。それが党としてこの予算に対し公式に定めたものであります。  その上で、個々の議員の議論というものを我が党は伝統的に封じてまいっておりません。
  187. 中村鋭一

    中村(鋭)委員 私が問題にしているのは、自由濶達な議論を個人が考えたり言ったりするのは、それは自由でありましょう。当然です、このことは。だけれども、自由民主党の党員であり、国会議員であり、党幹部を歴任したような人が、一体であるべき政府の政策を批判したり、中には、総理大臣、おやめなさいというようなことを言う。この点については、私は、それなりの総理の御意見があってしかるべきだ、こう思うのですよ。  議院内閣制、政府と与党は一体のものですね、一体のはずです。これが、例えば死刑廃止是か非かとか、あるいは先般ありました臓器移植法について、すなわち生命観とか倫理観とか、こういうものについて言うならば、党は党議拘束を外して、それは各人の良心に従って投票しなさいということがあるかもわかりませんが、今回、今この予算委員会で一番問題になっておりますことは、政府がおとりになっている超デフレ予算の路線、この路線を思い切って転換して、積極財政に切りかえて、そして国民の期待に沿わねばならぬ。  そのために、例えば財政構造改革法という法律が成立をいたしました。我々は、この財政構造改革法についても考え直されたらどうですかということを申し上げているのですが、少なくとも、自由民主党と、自由民主党の党員によって構成されておりますところの今の政府、閣僚の皆さん、この皆さんは、財政構造改革法という法律をつくるのに一体となって努力をされたわけですね、一体となって。我々は反対をいたしました。この法律はぐあいが悪いぞと反対をしたのですよ。だけれども、一体となって、いわば我々からいえば強引に成立をされたのが財政構造改革法であります。  そのように一体になって成立をさせたような法律が一方にありながら、自由民主党の党員、国会議員、また幹部である皆さんが、この法律もなというようなことで、ひとつ思い切って転換したらどうなんだと。野中さんなんかは、既にアナウンスなき再建路線を歩んでいるんだ、積極路線を歩んでいるんだ、こうおっしゃっているわけでしょう。  であれば、私は、総理がとるべき道は二つに一つだと思います。このような一心同体の議院内閣制のもとにおける自由民主党のこういった幹部の発言をきっとしかりおくといいますか、それなりの処分をするか、そうでなければ、あなた方の言うとおりだから我々は今の路線を改めましょう、皆さんおっしゃるとおりに転換をしましょう、どっちかをおっしゃるべきだ、こう思うのです。  自由濶達な議論が許されているから我が党の所属の国会議員が何を言おうとそれは勝手だ。それだったら、何のために法律の審議があるんですか。何のために政府提出案件を与党が一体となって、例えば今の財政構造改革法のように、一生懸命通されたわけでございます。一生懸命一体になって通した法案を批判するような、そういうことをそれじゃ許していいのかということになりますから、その点をお伺いしているんです。  再度お答えをお願い申し上げます。
  188. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 党の中の話まで一々御報告をするのが至当かどうかわかりませんが、改めて一点申し上げたいと思いますのは、党の中にはルールとしての党規がございます。その党規の中に、総裁を何と呼ぼうと、それを罰する規定はございません。  同時に、政策あるいは予算、政務調査会の中にそれぞれの担当の分野を主管する部会あるいは調査会、特別委員会等がございます。そして、政策審議会、そして総務会という党のそれぞれの機関がそれぞれの場面でチェックをいたします。そして党議というものは拘束されてまいります。本予算案も、また関連をいたします税法等につきましても、それぞれ党はそうした手順を踏んで、それぞれの施策に対する是非を決してまいりました。いわば、この総務会における論議、その結果というものが党議というものを構成いたしております。自由民主党の組織の中においては、その党議はそこで定まるわけであります。  そして、党議と、最初にお答えをいたしました党規、党のルールの中に、個々人の党員の発言を制肘するものはございません。
  189. 中村鋭一

    中村(鋭)委員 いやこれは、そのようにおっしゃいましても、それはちょっと私、本当に通用しない、こう思いますよ。  だって、例えば野中広務幹事長代理は党の運営のナンバーツーじゃないですか。その人たちが、先ほどから御紹介しているような非常に基本的な政策転換という点について、既にもう実際やっているんだということを言っているのを、党規があって、それから党議があって、それはまた別々だと。それは、先日も総理は自由闊達という言葉をお使いになりましたね。自由闊達でいけないなら、党規があって、そして党議があるんだ、それとこれとは別だというようなことは、これは通用しませんよ。  特に、この財政構造改革法という法律を一体となって仕上げたのであれば、そのことについて総理のお考えや閣僚の皆さんの考えと全く違うことを言っている幹部の方がおられたら、それはやっぱりそれなりに、少なくとも総理は、これはぐあいが悪いとか、余計なことは言わないでもいいんだとか、何らかのアナウンスがあったっていいじゃないですか。それを、全くほうりっ放しにするわけですか。それでいいんですか。  例えば亀井さんは、総理はやめなきゃいけない、ここまで言っているんですよ。それで、そういうことは当然許さるべきことだ、こうお思いでございますか。  もう一遍、総理お答えをお願い申し上げます。
  190. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 自由民主党の党規の中に、総裁の批判をすることを認めないといったルールはございません。
  191. 中村鋭一

    中村(鋭)委員 批判にもよりけりだということを申し上げているんです。  押し問答になりますから、もうこれでおきますけれども、やはり私は、自由民主党の総裁であり、議院内閣制であり、総理大臣であるならば、党の幹部が党の政策に真っ向から反するようなことを言ったり、総理大臣おやめなさいと言っていることを看過するものであってはならないということを申し上げているわけで、何にも言わないというのは、よほど都合が悪いから、それを問題にしたらやっぱり自分が追い詰められてしまうから、だから黙っているのかなというふうな推測をされてもしようがない、こう思います。  先日の当委員会におきまして、我が党の鈴木議員の質問に対しまして総理は、神崎議員の質問を引用する形で、今回の路線の見直し、財政構造改革法についてもこれを見直してもいいような、よくないような、非常にあいまいな答弁をされているわけでございますが、この点につきましてもう一遍お尋ねをさせていただきたい、こう思います。  先日の鈴木議員の質問に関して、総理はこのように言っておられるわけですね。「私は、大変、北側議員が最初に提起をされたと記憶をいたしますが、その後、神崎議員が述べられた御議論に対して、立法政策上確かに一つの考え方であるという評価をいたしました。その上で、なかなかこれは難しいという御答弁を申し上げております。 私は、御質問の中でやはり敬意を表すべき御意見があったとき、これに対して敬意を表しつつ政府の判断を示すということが、おしかりを受ける材料であるとすれば、大変、国会の御質問というものにどのような立場お答えをすべきかに苦しむと存じます。」このように答弁をされているわけです。大蔵大臣も今ちょっと首をかしげられましたが、私もこの答弁を読みまして、総理が何を言いたいのかよくわからないのです。  これは、鈴木議員が、財政構造改革法について、主要な経費の量的縮減目標等の達成義務を外すことは立法政策上一つの考え方であり評価するというふうに、明らかに財革法の一時的な棚上げを示唆する答弁をされたじゃないですか、だから、この答弁はさきの保利国対委員長の回答に明らかに反しているじゃないですか、こういう質問だったわけですね。それに対して、今私が読みましたように、総理は、これに対して敬意を表しつつ政府の判断を示すということが云々、どのような立場お答えをすべきかに苦しむと存じますと。  要するに、総理答弁は非常に流暢ではありましても、結果として判断に苦しむようなあいまいな答弁が多い、こう私は思うのですが、総理質問に対してはいつも明快に、端的に答えていらっしゃるおつもりでございますか。
  192. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 できるだけ誤解を生じないように、誠心誠意答弁を申し上げているつもりであります。  その上で、今議員が引かれました部分、あるいは鈴木委員が、いわゆるアメリカの同種の法案における免責条項といいますか延期条項といいますか、これについて述べられた部分に対する私の答弁かと思います。であるとすれば、私は確かに、北側議員、神崎議員と続けてありました御質問に対して、立法政策上一つの考え方だという評価をいたしました。その上で、現実にはなかなか難しいという御答弁を申し上げ、同じ趣旨を鈴木委員にもお答えしたと記憶をいたしております。
  193. 中村鋭一

    中村(鋭)委員 総理答弁が、非常に言語明瞭ではありますけれども、徹底を欠いて結果としてわかりにくいというような印象を持ちますのは、結局、やはり今、世界の人たち、日本の人たち、マスコミ、こういう人たちが今の橋本内閣について最も問題としております点について、現実と言い続けておられるところに乖離があるものですから、なかなかすかっとして答えられないというような点がある、こう思うのですよ。  例えば、はっきりと、これまで私のとっておりました路線は間違いでございました、自民党の幹部も言っております、野党の皆さんも言っておられます、マスコミも言っております、わかりました、すかっとひとつここは路線を転換しましょうと言いたいところが言えないものですから、そして一方では、継ぎはぎで小出しに兵力の逐次展開をして、実効が上がるか上がらないかは別にして、次々に小出しの景気対策を打たざるを得ない。その気持ちの苦しさみたいなものが答弁にもあらわれてきているのじゃないだろうか、こう思うのですね。  私が小学校のときに小学唱歌で習った歌に、「年を経し糸の乱れの苦しさに衣のたてはほころびにけり」というのがありますけれども、だんだん苦しくなってきてほころびが随分見えてきているな、こう私は思わざるを得ないのであります。  橋本内閣の政策の失敗、今言った政策の煮え切らなさ、こういうものについては、本当に随分厳しい評価があります。ちょっと一、二紹介をさせていただきたい。  例えば、二月二十日のニューヨーク・タイムズです。これは、総理のことをヘジタントスチュワードと書いておりますね。スチュワードというのは女性のスチュワーデスに対抗するスチュワード、いわば世話役といいますか給仕さんといいますか、その程度の表現を使っております。  それから、ニューヨーク・タイムズですね。日本経済政策はバーチャルポリシーだ。これは、バーチャルリアリティーという言葉がありますが、要するに仮想の、まるで夢を見ているような政策で、現実性が何にもない、こういうことを言っているわけですね。  それからまた、二月二十七日付のファイナンシャル・タイムズは、ザ・ジャパニーズ・ポリシー・ストリップティーズ、こう言っておりますね。日本の政策はストリップティーズだ。余り感心する言葉ではありませんけれども、ストリップティーズというのは、だんだん一枚ずつ脱いでいく。だから、思い切って抜本的な政策の転換ができないで、まるで着物を一枚ずつ脱いでいくように小出しに次から次から余り実効のない政策を展開せざるを得ない、この点をストリップティーズと言っているんだと思います。  さらに、ロンドン・タイムズ。総理、ロンドン・タイムズという新聞は御存じでございますか。
  194. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 ロンドン・タイムズという新聞が英国に存在し、長い歴史を持ち、その論評が世界史の中でも非常に大きな役割を果たし、日本も、例えば日清戦争の当初、タイムズにおける投稿によってその立場を救われたことがあり、そうした程度の常識は持っておるつもりであります。
  195. 中村鋭一

    中村(鋭)委員 総理から非常に的確にロンドン・タイムズについて伺いまして、これはもう、今総理おっしゃったとおりのいわゆるクオリティーペーパーですね。失礼でございますが、総理が先般投稿なさいましたイギリスの大衆紙がございますが、これは発行部数は多い。部数が多いからよく読まれるんでしょう、それで総理は投稿をなさって謝罪をされたということなんでしょうが、しかし、その新聞の一枚返した裏には、これはセミヌードの女性のカラー写真が出ております。こういう大衆紙と違って、ロンドン・タイムズというのは、まさに総理が今おっしゃったとおりの立派な新聞でございます。  そのロンドン・タイムズにこのような記事が出ているわけですね、これは二月二十三日付のロンドン・タイムズの社説の抜粋であります。まさに総理がおっしゃったように、世界をリードする立派なオピニオンを持ったクオリティーペーパーであります。  本年度予算は相変わらず財政緊縮路線を続けるので、これは日本予算でありますが、国内需要や輸入についてはゼロないしはマイナス効果しか望めない。かかる政策はアメリカではバーチャルポリシー、見せかけの政策として軽べつされてしまった。こういう小出しの措置は甚だしい時代錯誤のあらわれであり、全く世界の雰囲気をつかんでいない。日本の新蔵相松永氏はロンドンで他国の蔵相から冷遇されたことに驚いているとすれば、それは結構なことでむしろ遅きに失することである。というのは、他国の蔵相が期待していたことは、松永蔵相が具体的な信頼できる経済復興計画をひっ提げてロンドン会議に臨むと期待されていたからである。  今、日本が実行すべき国内政策と世界政策の間には何ら矛盾するところはない。G7が日本に求めている諸政策は、まさに国内経済を強化するのに必要なものばかりである。日本のビジネス界も東京の金融市場も一般世論も、皆求めている政策である。今日本が緊急に必要とする減税の早期実現を阻んでいるのは日本の国益ではない、むしろ日本の政治エスタブリッシュメントのプライドである。  総理、ここのところはひとつ大事なところですからよくお聞きをお願い申し上げたいのですが、ロンドン・タイムズは、今日本経済政策が国民の要求するところに合致しない、世界の世論にも合致しない、G7の求むるところにも合致しない、何で阻んでいるかといえば、今日本がこの国益にあらざる道を選ぼうとしていることは、日本の政治エスタブリッシュメントのプライドである、とりわけ橋本総理のプライドである、こう言っているわけですね。日本の問題はせんじ詰めれば一個人の心理状態である、このようにロンドン・タイムズは社説で書いているわけです。  だから、このように世界じゅう、しかもロンドン・タイムズのような立派な見識を持った新聞の社説で、日本にいろいろとお願いをしたい、世界のリーダーとしてもまず日本景気をよくしてもらいたい、そのためにいろいろな提言をしておるのにやろうとしないのは、少なくともロンドン・タイムズの社説で言っていることは、これは橋本総理のプライドである、はっきり、橋本総理のプライドである、こう書いているわけですね。  日本の問題はせんじ詰めれば一個人の心理状態である、このように書かれているわけでございますが、総理は、このように書かれたことについてどのような感想をお持ちでございますか。
  196. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 先日、御党の他の議員から、海外の新聞の論調について丁寧な御紹介をいただきました。そして、それに加えて、エスタブリッシュメントのクオリティーペーパーと言われるロンドン・タイムズについて、我が国のエスタブリッシュメントを代表される議員が御紹介をいただいたことを、私は深く敬意を表しながら拝聴いたしました。  その上で、結論というものはさまざまあるが、日本報道機関の中にも同様の趣旨をもっとスマートに表現しておられる社説があったなという感じを持ちました。
  197. 中村鋭一

    中村(鋭)委員 私は、ロンドン・タイムズが、まさに総理がおっしゃったように立派な新聞、その社説が、一個人の心境に属するとか、そのようなことを書くというのはよほどのことだと思うのですね。ですから、これはやはり総理、しっかりと受けとめてもらったらなと私は心から希望をしたい、こう思うのですよ。  先般、NHKの世論調査です、きのう、おとついでしたか、発表されまして、このNHKの世論調査もなかなか信用の置ける、長い間のそれこそ歴史と伝統のある世論調査でございますね。  これによりますと、およそ六〇%の人が、橋本内閣は今は財政再建より景気対策を優先すべきだと考えております。これは、男女千八百人を対象に行い、六六%に当たる千百八十八人から回答を得たものでございます。だから、非常に精度が高いですね。  このところの景気の実感について、暮らしは悪くなっていると感じている人が六七%で、最も多い。変わらないは三〇%、よくなっているは、わずかに一%。そして、八四%の人が政府景気対策は十分ではないと考えており、十分だと考えている人は二%でありました。  財政再建と景気対策のどちらを優先するかを尋ねたところ、財政構造改革の目標の達成年次がおくれてもいいから今は景気対策を優先すべきだ、こう答えた方が五九%。逆に、財政構造改革の政府方針を堅持、目標の年次までに計画を達成すべきだは、一三%でありました。  総理は、このNHKの世論調査の結果、今私が御紹介申し上げたわけでございますが、国民の八割を超える人が、今もう政府の財政政策、金融政策はだめなんだ、こう言っているし、それから、財政再建は後回しにしても景気対策を優先すべきだという人がやはり五九%、半分以上いるというこの事実を、世論調査の結果をどのようにお受けとめになりますか。
  198. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 私は、やはりNHKという、我が国の代表的な報道機関であり、公共放送という役割を持っておられるところが、先月二十七日から三日間をかけて、全国の二十歳以上の男女千八百人を対象にして面接による世論調査を行い、そのうち六六%に当たる千百八十八人から回答を得られたものを分析した結果、それだけのやはり尊重すべきものと思います。  その上で、これは繰り返して申し上げるとまた委員からおしかりを受けるのかもしれませんが、財政構造改革の必要性というものと、当面の景気回復のために採用しなければならない手法、景気対策というものと、同一のスパンでとらえられているのであれば、これは残念だなという思いを持ちました。なぜなら、その設問、前提の設問等を私は拝見しておりませんので、その辺についてはよくわかりません部分がありますけれども、そういう意味ではそうした思いも持ちながら、しかし尊重すべきもの、そう思います。
  199. 中村鋭一

    中村(鋭)委員 いやいや、これは総理、設問は、財政再建と景気対策のどちらを優先するか尋ねたところ、財政構造改革の目標の達成年次がおくれてもいいから今は景気対策を優先すべきだが五九%、こういうことなんですね。  ですから、いずれにしても、国民の少なくとも半分以上、問題によっては八割以上の人が、今の政府景気対策は誤りだと。だから、二兆円ぱっと減税するんじゃなくて、思い切って十兆円ぐらい恒久減税やってほしい、そうして景気をよくしてほしいと思っている人が国民のやっぱり八割ぐらいいるという事実は認識をしていただかないといけないし、それから総理、また古い表現だと言われるかもわかりませんが、私を捨て公をなすという言葉がありますが、国民の声、これはもう本当に我々政治家が最も重視すべきものですね。  それが、例えばNHKのこの世論調査において、国民の八割が、言葉をかえれば今の政府景気対策や財政再建路線というものは間違っているという、そのような認識を持っているということは我々が知らなければいけない。であれば、過ちを改むるにはばかることなかれ。すかっとこの路線を転換して、そして、自由民主党の幹部の中にも何人もの人が、思い切ってやり直そうじゃないかということを言っているわけでありますから、そういう声を重視していくべきだ。  何遍も言いますけれども、個人のメンツだとか、ロンドン・タイムズが言うように一個人の心境だとか、そういうところに立ちどまっていてはいけない、こう思うのですが、総理は、本当に国民のためになることであれば、幸せになることであれば、自分のメンツだとか心境だとかそういうことには一切こだわらない、こういう覚悟はありますか。
  200. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 もし自分のメンツというものだけにこだわっていれば、恐らく違った御議論をさせていただいた場面もあるかもしれないとは思います。  その上で、私は、別に議員に論争を吹きかけようとかそういうことではありません。先ほど十兆円の減税という言葉をお使いになりました。そして、多分、国民にその言葉は非常に耳ざわりのいい言葉として響くと思います。  私は、衆議院選のとき、消費税率を引き上げさせていただきたいと訴えて選挙をいたしました。そして、その消費税を引き上げさせていただき、皆さんから面罵されんばかりにおしかりをいただいております現在でも、我が国の租税負担率は二四・五%であります。アメリカは二五・八であり、イギリスは三八・三です。ドイツも三一・一%、フランスも三三・五%であります。しかも、課税最低限、言いかえれば、所得税を負担していただく方と負担しないで済ませていただいている方、その線引きは欧米の水準より我が国が高いということも御承知のとおりでありますが、十分国民はそういうことまでを御承知であろうか。  そういう数字を御存じの上で、しかも、我が国の消費税に当たります付加価値税が、その税率が一体どんな数字であるのだろう。ドイツはこの四月からまた一%上がって一六%になるわけですけれども、それだけの負担をしていただいているほかの国に比べて、我が国がどういう考え方を持ったら将来に対しても公平なのか。そうした思いを持ちながら仕事に取り組んでいることだけは、議員にも知っていただきたいと思います。
  201. 中村鋭一

    中村(鋭)委員 我々自由党が申し上げていることは、例えば今おっしゃったような直間比率に関しましても、中長期的なスパンでの財政再建というのは当然あってしかるべきですね。それに基づいて税制を考えるのは当然ですけれども、今言っているのは、まさに焦眉の急なんだ、肺炎の子供に水をぶっかけるようなことをしてどうするのだ、消費税を五%に上げ、特別減税を打ち切り、そしてさらに社会医療費を上げて、総額九兆円に上るような増税をしておいて、その一方で、今度の財政構造改革法を通して超デフレ予算をやって、それで何が何でもだと。これがいけない。そのために国民は今本当に困っているし、中小企業の皆さんはどうにもならないところへ来ていると言うし、世界の世論も、先ほどから私がずっと紹介をしたように、国民も、そして自由民主党の党内の幹部の方も、もうこの辺で目を覚まして、おい、しっかりしようよ、こう言っているのじゃありませんか。それを紹介しているのです。  だから、今総理が私に御説明くだすったことは、それは基本的にはおっしゃるとおりだと思いますよ。しかし問題は、今は本当にモラトリアムが必要なときなんですよね。だから、そのことをしっかりと認めて、ここまでは誤りでしたということを御認識いただくところからでないと、議論はなかなか進まない、国民も喜ばないということを申し上げているわけでございます。  松永大臣にお伺いをいたします。  信用組合は、国の機関委任事務として都道府県知事の所管となっておりますけれども、この検査発動、監督権限は第一義的にどちらにあるのでございますか、御存じですか。
  202. 山口公生

    ○山口政府委員 都道府県でございます。ただ、県をまたがる場合は大蔵省ということになっております。
  203. 中村鋭一

    中村(鋭)委員 都道府県知事に任せておいて、これらの金融機関の破綻処理はできると大臣はお考えでございますか。
  204. 山口公生

    ○山口政府委員 お答え申し上げます。  破綻処理は預金保険機構を使いますので、預金保険機構には信用組合も含まれております。したがって、都道府県と共同して大蔵省が処理をいたしております。
  205. 中村鋭一

    中村(鋭)委員 大臣、今、銀行局長がかわって答えました。まあ、そうだろうと思うんですね。いきなり私がこういう質問を申し上げて、大臣はなかなか答えにくかろうと思います。まだ一カ月でございますからね。  総理、松永大臣を大蔵大臣に起用されたのは、松永大臣のどういう点に期待をし、どういう見識を買われて大臣に起用されたのですか。
  206. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 既に大蔵大臣として任務を果たしつつあるその姿を見ていただけるならば、私が松永さんにとお願いをした理由はおわかりがいただけると思います。
  207. 中村鋭一

    中村(鋭)委員 ちょっとそれがまだ私には見えてこないのですが。  では松永大臣は、橋本総理から、大蔵大臣をやれ、こう言われたときに、自分のどういう点が期待をされ、自分が大蔵大臣としてどういう仕事をこれからやっていかねばならないんだと、一義的にどうお感じになりましたか。
  208. 松永光

    ○松永国務大臣 お答えいたします。  私は、前からそうでございましたが、自分にはこういう能力がある、ああいう能力があるという自己査定をして、やや高目に、そしてそれを人に言うというようなことは私はしてきませんでした。そういう能力の査定は、私を使う人あるいは私の任命権者がするものだというふうに思っております。ただ、選挙のときは多少の自己査定をして宣伝はしますけれども、余り高目に査定すると、結果は余りよくないようであります。  私は、さような立場で今までもやってきました。そこで、任命権者から任命されたならば、自分のあらゆる能力を発揮して、全力を挙げて任命権者の期待にこたえるというのが政治家の生き方であろう、私はそう思っております。  任命されたそのときには、大事なのは、今、国会で審議をされておる補正予算とか、あるいは金融システムの改革のための特別措置法、そしてまた今御審議を願っておる十年度の予算、そしてそれに関連する法案、そういったものを速やかに通すように一生懸命努力すること、それが私に与えられた大きな務めであろう、こう思って、大臣に就任をして今日まで一生懸命やってきたつもりでございます。
  209. 中村鋭一

    中村(鋭)委員 今お答えになりましたのは、本当に私、正直なお気持ちだろうと思います。大臣もひとつこれからも大いに頑張ってください。  ただ、我々が理解し、国民の大方も理解したのは、大蔵不祥事がありましたね、それで、大臣は検事をおやりになっていたから、大蔵バスターズで、掃除するにはやはり検事出身者がいいだろう、そういうことで橋本総理が任命されたのじゃないかというような論をなす人もおりましたね。ですから、そうじゃないんだ、これもやってもらわなきゃいけません、大蔵省の再建、これも大事な新大臣のお仕事でありますが、まさに今御本人がおっしゃったように、大蔵大臣として今日のこの金融財政危機をどのようにして総理を補佐して乗り切っていけばいいのだ、まさに陣頭に立って頑張る、そういう覚悟を固めておいていただきたい。  そうでなければ、先ほど御紹介したような外国の新聞、雑誌等でまるで全く評価しないような論調をなされては、私も同じ国会議員の仲間として大蔵大臣がそのように書かれるのは非常に不本意でありますから、これからもせっかく頑張っていただきますように、勉強をしっかりしていただきますようにお願いを申し上げておきたい、こう思います。  民友連あるいは平和・改革、自由党国対委員会から自民党に対しまして何回かお問い合わせを申し上げておりましたが、それについて、大体これまでは判で押したような回答が来ていたわけですね。その回答というのは、本予算案は最善のものでありますから、一刻も早い御審議をお願いし、成立を願いたい、こういうのが来ておったわけでありまして、補正予算等については一切考えておりません、このような回答が来ておったのですが、本日昼過ぎに保利耕輔国会対策委員長名で参りました返事によりますと、「昨日、貴三会派から総理、総裁宛てのお申し入れについて政府・与党で検討の」政府・与党でですよ、「政府・与党で検討の結果、左記の通りでございます。」この第四項、「現在ご提出申し上げている平成十年度予算は、政府・与党としては最善のものと考えており、その成立に全力を傾けているところであります。一日も早い成立に向けて、何卒ご理解を賜りたい。」ここまではこれまでの回答とおおむね一緒でございますが、その後二行ついておりまして、「なお、補正予算の取扱いについては、財政法二十九条の趣旨を厳正に判断し、適切に対処してまいりたいと考えております。」このような二行がついておったわけでございます。  これは、政府・与党で検討の結果、左記のとおりの返事が来たわけでございますから、総理は承知のことですね。
  210. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 こういう回答をするという報告は受け、目を通し、その上でお答えを申し上げたと存じております。
  211. 中村鋭一

    中村(鋭)委員 そこでお尋ねをさせていただきたいのですが、これまで来ておりました、補正予算等については一切考えてないというのと、きょう参りました「なお、補正予算の取扱いについては、財政法二十九条の趣旨を厳正に判断し、適切に対処してまいりたいと考えております。」これは当たり前のことですね。当たり前のことならば何でこれまでと違う回答でこの二行をつけ加えられたのか、その辺が私にはちょっとわかりかねる点でございます。  財政法二十九条によりますと、補正予算は、「法律上又は契約上国の義務に属する経費の不足を補うほか、予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要となつた経費の支出又は債務の負担を行なうため必要な予算の追加を行なう場合」「二 予算作成後に生じた事由に基づいて、予算に追加以外の変更を加える場合」。二十九条にはこう規定がありますけれども、わざわざこの二行がつけ加わったのは、じゃ、この財政法二十九条の規定に照らして、そう書いていらっしゃるわけですから、財政法二十九条に基づいてと書いておられるわけでございますが、これはどういう見解に基づいてこの二行がつけ加えられたのか、総理お答えをいただけますでしょうか。
  212. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 大変恐縮ですが、私、前にお答えを申し上げるに至りましたその御質問自体を今、正確に記憶をいたしておりません。  その上で、今回のお申し入れに対して、この「補正予算の取扱いについては」という二行をつけ加えましたのは、三党の国対委員長の皆さんが連名で「議院内閣制の下では政府・与党は一体である。橋本内閣として今国会で補正予算を編成する予定があるのか、ないのか。政府・与党としての統一見解を求める。」というお問いかけでありましたから、正確に「財政法二十九条の趣旨を厳正に判断し、適切に対処」というお答えを申し上げたものと思います。
  213. 中村鋭一

    中村(鋭)委員 これはやはり、これまでと違った二行が加えられたというのは……(橋本内閣総理大臣「いやいや、質問が」と呼ぶ)同じ質問だったら同じ答えでいいわけですね。だから、このようなことを新たに加えられたのは、これは、真意とするところは場合によれば補正予算もあり得るということ、そういう含みになりはしませんか。
  214. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 正確に申し上げましたので正確にお聞きをいただきたいと思うのでありますが、お申し入れが参りましたのは三月三日、そして「午後六時までに文書で回答を求める。」となりました中の第四項に、先ほど引用いたしましたように、補正予算に三野党の国対委員長として統一見解を求められた文言がございます。ですから、それに対してお答えを申し上げた。これはまさに、お問い合わせがありましたことに正確にお答えを申し上げたというものであります。
  215. 越智通雄

    越智委員長 質疑時間が来ています。
  216. 中村鋭一

    中村(鋭)委員 時間が参りました。恐縮ですが、総理、じゃ、補正予算はもう絶対に組まない、そういうことはおっしゃいませんか。一言だけ。
  217. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 時間が過ぎておるということですから簡潔にお答えいたしますが、今まで私は、十年度予算の御審議を一日も早くお願いを申し上げたいと繰り返しており、補正予算云々ということに対して言及をいたしたことはございません。
  218. 中村鋭一

    中村(鋭)委員 終わります。
  219. 越智通雄

    越智委員長 これにて中村君の質疑は終了いたしました。     —————————————
  220. 越智通雄

    越智委員長 この際、公聴会の件についてお諮りいたします。  平成十年度総予算について、議長に対し、公聴会開会の承認要求をいたしたいと存じます。  公聴会は来る三月十一日、十二日の両日とし、公述人の選定等手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、これに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  221. 越智通雄

    越智委員長 起立多数。よって、そのように決しました。     —————————————
  222. 越智通雄

    越智委員長 質疑を続行いたします。  次に、矢島恒夫君。
  223. 矢島恒夫

    矢島委員 私は、質問に入る前に一言抗議を申し上げたいと思います。二つあります。二つの点で。  一つは、今の採決をするに当たって、質問者はまだ自分の席へ、自分の委員席へ戻れなかった。私は次の質問者ですから、次のところに待っていました。そうしたら、途端に公聴会についての採決を行ったわけですよね。(発言する者あり)だから、採決の仕方を言っているのですよ、私は。公聴会を決めるか決めないかの問題を抗議しているんじゃないのですよ。  私が席に戻るまでの時間の猶予を与えていただいて、その上でやっていただければ私もこの採決に参加できたわけです。私はその権利があるわけです。たとえ多数決で決まる問題だとしても、それはやはり本人一人一人の委員の権利を保障するのが委員長の役割だと思うのです。この採決、無効じゃないですか。
  224. 越智通雄

    越智委員長 お答えいたします。  公聴会の件についてお諮りいたしますと言いましてから起立を求める間に数秒ございました。十分お立ちになってお戻りになる時間はございました。あなたは、お立ちになりませんでした。
  225. 矢島恒夫

    矢島委員 では、質問者の方も戻る時間はあったというふうにお考えですか。
  226. 越智通雄

    越智委員長 質疑の終了を私は宣告いたしております。
  227. 矢島恒夫

    矢島委員 私は、実を言いますと、自分の質問する時間をこんなことで割きたくないのですよ。ただ、そういう問題について後で理事会でよく相談してもらいたいということと、もう一つは、きょうのお昼の理事会で、証人喚問の問題など、それぞれまだ決着がついていないわけですよ。ない段階でこういう決定をすること自身に私は抗議して、質問に入りたいと思うのです。  今、次々と大蔵不祥事あるいは金融機関の贈賄事件が起こっているわけです。けさの新聞でも、官僚に対する国民世論調査の結果などが出ていたわけです。私は、今こそ本当に国民の声にきちんと、謙虚に耳を傾けて、そして……(発言する者あり)
  228. 越智通雄

    越智委員長 お静かに願います。
  229. 矢島恒夫

    矢島委員 国民の持つ疑念とかそういうものに対して、率直に、しかも納得のいく説明をすることが非常に重要だと思っているわけです。国民の声の圧倒的な部分は、やはりこの大蔵不祥事だとかあるいは金融機関の一連の贈賄事件、こういうものは許されることではない、そして、そういう銀行になぜ税金を投入するのか、こういう極めてわかりやすい疑問なんですね。  私は、きょうは、ことしに入ってから次々と起こった不祥事、大体大蔵省絡みです、全部。そういう中で、大蔵省の天下り官僚の不祥事件、汚職問題、こういうものをただしていきたいと思うのですが、まず最初に、総理、この相次ぐ大蔵汚職の問題について、現時点で総理はどのようにこれを認識し、そしてまたどういう御見解をお持ちか、お伺いしたいと思います。
  230. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 私自身、大蔵省をめぐりますこの一連の問題というものを何とも腹立たしく、また苦々しい思いで迎えました。今、それをむしろ超えて、ちょっと言葉の選びようがありません。  他の委員から、きょう午前中に御指摘を受けましたが、数年前の証券不祥事が問題になりました際、確かに、その委員の方から飛ばしの問題を本院で提起をされまして、当時の大蔵省の手持ち資料に基づいて、私はそれを否定をいたしました。しかし、それは結果として全く裏切られておりました。そうしたことまでを含めて考えますとき、言葉で言いあらわしようがないという気持ちは、立場は異なれ御理解がいただけるものと思います。  当然ながら、大蔵省は、これに対し徹底的な原因究明の努力を今払っておりますが、みずからの努力の中でこの汚名を晴らし、国民の信頼を回復する道を、松永大臣を中心にぜひとってもらいたいと心から願っております。
  231. 矢島恒夫

    矢島委員 日本道路公団のかかわりの問題ですけれども、一昨日ですか、また汚職事件で施設第二課長が逮捕されましたけれども、これまでも道路公団の問題、いろいろ出てまいりました。その中で一つきょうお聞きしたいのは、大蔵省の初代の金融検査部長、そして造幣局長までやられた、それから道路公団に天下った井坂理事の問題であります。  外債発行に絡んで贈収賄事件が発覚いたしました。政府直系の特殊法人にまで汚職や腐敗が広がったということを示す問題として、当委員会でも既にこの質疑がなされております。特殊法人の綱紀粛正をどうするのか、また外債発行にかかわる汚職事件、これをどう認識していくのか、これは非常に重要な問題だと思うわけです。  これまで政府関係機関による外債発行というのは、発行する側も、それからそれを引き受ける側も、極めて限られた範囲で行われておりました。いわゆる特殊分野であったわけであります。したがって、両者の関係は極めて不透明であったわけであります。この両者のなれ合いというのが表面化した事件、これが野村証券のいわゆる接待というような形での井坂武彦理事とのかかわりということになると思うのです。  私は、九〇年代以降、発行業務のいわゆる規制緩和、自由化という方向が出されて、そして証券会社も外債発行に参入できるようになった。それで引き受け競争というのが始まったわけですね。そういう中で、癒着だとかあるいは腐敗というものが出てきたわけですが、こういう汚職事件の背景には、この引き受け競争というものの激化の一つのあらわれということが言えると思うのです。このことは今後ますます激化していく、競争は激化していきますから、癒着だとか汚職だとかいう形は広がっていくことも十分考えられます。  そういう中で、今後これらに対する対策、どういうふうにしていったらいいと思うか。大蔵大臣
  232. 松永光

    ○松永国務大臣 お答えいたします。  大蔵省の関係者、特に、起訴直前に免職処分にいたしましたが、金融機関の検査に当たっておった職員二名、これが収賄事件で逮捕、起訴され、現在再逮捕中でありますが、大変遺憾な事件でありまして、おわびを申し上げる次第でございます。同時にまた、今御指摘の人、井坂という人でありますが、これもかつては大蔵省の職員であった人であります。こうした人が収賄罪を犯して、そして捜査当局に逮捕され、起訴されておるということ、まことに残念至極なことであると思います。  私、大蔵大臣としての立場からいえば、大蔵省の職員について、公務員としてのきちっとした倫理を持っていただく、そういう職員によって大蔵行政がなされるように、不祥事によって失墜した大蔵省の信頼を、国民からの信頼を回復するために一生懸命努力したい、そう考えておるわけであります。  そのためには、起訴された人の処分は既にしたところでありますけれども、事件にならなかった人であっても、公務員としての倫理にもとる行為があった者がおれば、その行為の実態を十分調査をして、厳正な処分をして、そして倫理の確立に努めてまいりたい、こう考えておるところでございます。
  233. 矢島恒夫

    矢島委員 大臣、私聞いたのは、一般的なものじゃなかったんですよ。実は、外債発行の問題でお尋ねしたわけなんです。やはり、いろいろ外債発行が自由化され、規制緩和された、そういう中で証券会社も参入することができた、それで野村証券としては何とかその中に入っていくための有利な立場をとりたいということから出てきた問題なんですね。そういう問題が今後もこの外債発行の分野でどんどん起きてくるだろう、そういうことに対する今後の対策はどう考えていらっしゃるかということを聞いたんですが、時間の関係もありますから、やはりまたの機会にはそれを。  例えば、この問題では総理自身も言っていらっしゃるんですよね、あれは井坂が逮捕された翌日の委員会だと思います、実態を調査する責任があるということを。それから、官房長官も、記者会見ですけれども、システムの問題ありと見ている、早急に事態を調べて、必要があれば見直していかなければならない、こういう発言もされております。ぜひ大蔵大臣もそういう中できちんとやっていただきたいということ。  そこで、次の井坂に関する問題なんですが、私、なぜこの特殊法人の道路公団でこんな汚職が起きたんだろうかという、ここなんですよ。  外債発行にかかわる不祥事というのは初めてだ、こう言われています。それが日本道路公団の中で勃発したわけであります。これがどうしてこの特殊法人である日本道路公団の中で起きたのか、これはどういうふうに大蔵大臣お受け取りになっていらっしゃいますか。
  234. 松永光

    ○松永国務大臣 率直に申し上げまして、特殊法人に行った人、元大蔵省の職員であっても、特殊法人に行っても、これは現役の公務員と同じように高いモラルが求められることは当然のことなんです。そのモラルが欠落しておったというふうに私は言わざるを得ないと思っています。
  235. 矢島恒夫

    矢島委員 資料を用意しましたので、委員部の方、配っていただけますか。  私、一つの問題を指摘したいと思うんです、そのことについて。それは、今お配りしてある資料の一枚目と二枚目をごらんいただければと思うんです。外債発行機関への大蔵OB天下り理事です。理事というのは、いわゆる外債発行担当です。それぞれの特殊法人によって、財務担当とか経理部担当とか、名前はいろいろになっていますが、いずれも外債発行を担当するところであります。  これを見ていただきますと、それぞれ、外債発行をしている特殊法人の五つの機関を並べてみました。二十年間ずっとどれもみんな大蔵OBなんですよ。この大蔵省の天下りが、歴代の外債発行の担当をずっと独占しているわけです。  例えば、今問題にした道路公団、これを見ていただければおわかりのとおり、官房審議官から始まって、局長クラスが次々と財務担当になっています。特に、その下の公営企業金融公庫なんかは、かわりばんつやっているんですね。見ていただければわかるとおり、国税庁関係とそれから大蔵官房審議官、指定席になっているわけです。以下、次のページまで含めて、いずれも局長クラスがそれぞれの担当理事になっている。  大蔵大臣、歴代の経理担当理事が天下りによって受け継がれているんですね、このように。こういうこと自体、問題があるとお感じになりませんでしょうか。いや、大蔵大臣の感想をお聞きしたいんです。こう、ずっと一緒になって二十年間も次から次へと天下りのメンバーがそこを担当しているということについて、どう感じますか。
  236. 松永光

    ○松永国務大臣 特殊法人のポストへの大蔵省の職員をやめた人の就任に当たって、どういう状況で行くのかということでございますが、私は、特殊法人のその職務にふさわしい能力、識見、それを特殊法人の側で、出身母体や経歴というよりはその人の能力や識見をもとにして選任するものだというふうに思っておるわけであります。  この選任されている人の前歴を見ますと種々雑多なんでありまして、大蔵省のOBではありますけれども、直前のポストはいろいろ違うようでありますので、これがどういういきさつでそうなっているのか、これは事務方からよく聞いてみたい、こう思います。
  237. 矢島恒夫

    矢島委員 いや、種々雑多とおっしゃいましたが、比較的系統的な順繰り順繰りのもありますし、なぜそうなっているかということについては、私、後から質問の中でお尋ねしようとは思っているんですけれども、いわゆる退職管理という言葉が大蔵省の中にあると思うんですが、大蔵省、それでいいですか。
  238. 武藤敏郎

    ○武藤政府委員 退職管理という固有名詞的なものは、私ども使っておりません。  ただ、退職者が特殊法人等に再就職する場合には、これは政府の中での諸手続が必要でありますので、当然、人事当局が関係してくるということがございます。
  239. 矢島恒夫

    矢島委員 官房長だけ知らなくて、あと職員は全部知っているというのがこの退職管理という言葉ですけれども、また後でその問題についてお聞きするとして、さらに問題になっているのは、やはりこういう天下り指定席になる中での業者との癒着や接待、これが汚職、腐敗にまで発展する温床というところを一つ見ていかなければいけないんじゃないかということなんです。  といいますのは、この指定席は、いずれも在任期間を調べてみますと、二年というわけなんですよ。ほとんどが二年です。中には一年でやめられた方もいらっしゃいます。中には幾らか、たまには三年とか四年というのも出てきます。ほとんどが二年なんです。これは特殊法人で働いている職員の中からも、腰かけで責任ある仕事が本当にできるのか、こういう異議も出てくるような状況なんです。  大蔵大臣、なぜ二年で交代なのか、どうお考えですか、これは。
  240. 武藤敏郎

    ○武藤政府委員 今確かに御指摘のように、一年、二年の者もかなりおりますけれども、やはり三年以上の者もかなりいるのではないかというふうに思っておりまして、二年でかわるのが当然というような、そういう運用がなされているというふうには私どもは理解しておりません。
  241. 矢島恒夫

    矢島委員 四年と六年というのは、この三十名いるうちのたったの四名ですよね。ですから、三年を含めるか含めないかは別ですけれども、半分は、三十名中十五名はやはり二年で終わりになっているんですよ。  私が指摘したいのは、やはり、きのうも問題になったかと思いますが、国家公務員法の百三条とのかかわり合いですよ。この百三条には、いわゆる私企業からの隔離という問題があります。その第二項では、職員というのは、「離職後二年間は、営利企業の地位で、その離職前五年間に在職していた人事院規則で定める国の機関と密接な関係にあるものにつくことを承諾し又はついてはならない。」こういうわけですね。ですから、二年間というのはそういう企業には天下りできないんですよ。その三項には例外規定もありますが。そこで、この私企業からの隔離という条項の大前提が二年間の禁止になっているんです。  この二年間をつなぐために天下りが制限されていないところの特殊法人に天下りする。それで、特殊法人に二年、あるいは三年いる人もいるでしょう、三年いたら、その後で民間の会社に横滑りをする。大臣、こういうことをどのようにお考えでしょうか。
  242. 武藤敏郎

    ○武藤政府委員 ただいまの御指摘のありましたような、国家公務員法との関係で二年というのがあるのはそのとおりでございますけれども、道路公団の場合を見ましても、一年の人が三人ぐらい、むしろ二年というのは見当たらないように思いまして、三年、四年、六年といったようなことかと思います。  確かに国家公務員法はそのようになっておりまして、それと符合したような理事の任期という例もそれは御指摘のとおりあると思いますけれども、それが全体を律しているというふうには私どもは考えておりません。
  243. 矢島恒夫

    矢島委員 大蔵大臣には、また感想を述べたいときに言っていただければと思います。  そもそも、この公務員の天下りを規制する現行の国家公務員法というのは、一九四八年に制定をされたものですね。そのころは、特殊法人なんというのは極めてわずかだったんですよ。現在は百五十を超えていますか、そういう数に特殊法人がなっていて、そこが高級官僚の天下りの最大の受け皿になっているんです。国家公務員法のこの百三条をまさに骨抜きにしちゃっている。だから、この国家公務員法の百三条というものは、今日の実態と全くかけ離れてしまって、役に立たなくなっているというのがその実態だということを申し上げておきたい。  先ほど退職管理という言葉をお聞きしたわけです。この退職管理という言葉は、官房長は公の言葉じゃないけれどもまあ大体わかっている、聞いているということだろうと思いますが、こういうやり方で、いわゆるキャリア組と呼ばれている人たちですね、これを特別扱いにしている。天下りでさらに手厚い待遇をして、その後の横滑りまで面倒を見る。こういうようなのは考え直さなければならないと私は思うのです。  総理、ここまで私は天下りの指定席の問題を取り上げてまいりました。この指定席はなくすべきだと思うのですが、今までのこの話を聞いていて、御感想があれば承りたいと思います。
  244. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 これは実は議員からしかられるかもしれないのですが、私は実は、その人がそのポストに発令されたときに、非常にいい人が行ったなと思って喜んだ人事がこの中にございました。ところが、その人が一番短くやめさせられておるケースの一つでありまして、あれと思って実は眺めた次第です。  そして、好むと好まざるとにかかわらず、私は、やはり平均寿命が延び、しかも国家公務員の退職年齢はそれほど変わっていない状況の中で第二の人生というものが必要になってきたこと、これはこうした問題につながりやすい素地を持っているだろうと思います。  先ほど議員の御指摘で、現在の国家公務員法、昭和二十二、三年でございましたか、というふうに言われ、そのころには特殊法人なんてほとんどなかった、だから天下りという問題もなかったという御指摘がございましたけれども、同時に私は、昭和二十二年といえば、たしか男性の平均寿命が初めて五十歳の壁を破った年であったと記憶をいたします。そして、そのころから公務員の退職年齢はほとんど変わっていないとするならば、実はそのころの平均寿命の中では、公務員はほぼ人生いっぱいを勤務をし、まさにその老後を楽しむだけの人生というものもあり得たであろう。  しかし、今日、その時代から余り変化をしていない公務員の退職年齢と平均寿命の延びを考えたとき、この問題は、ただ単に天下りがいい悪いという議論だけではなく、公務員のライフサイクルとして我々が考えなければならない本質的な問題を持っていると思います。  その上で、私は、議員が指摘をされる、特定の省庁の、また特定の出身の人たちが特定の特殊法人における特定の地位を独占するような、いわば指定席と批判を浴びるようなことについては慎むべきであり、そうしたものに対して工夫をすべきであるという御指摘はそのとおりだと思います。
  245. 矢島恒夫

    矢島委員 公務員の退職後の生活、このことを考えるというのは別にキャリア組に限ったことじゃないのです、これは。私がなぜこの問題をこういうふうにやっているかというと、先ほど退職管理の問題をちょっと話しましたけれども、そういう中でキャリア組というのはきちんと後が保障されている。しかも、一人の人が、同じ年代で入った人たちの中でだれか一つこう行くと、あとの人たちは退職してほかへ行く、こういう形態がずっととられているのですね。ここには確かに問題があると思うのですよ。定年まで全部いられるようにしてそれから考えるか、あるいは行く場所についても、キャリア組ではなくて全体の公務員の再就職問題を考えるとか、今後ぜひそういう点も工夫してもらいたいと思うわけです。  さて、今ちょっと話しましたけれども、井坂というこの理事と同期の方には、武藤官房長も多分同期だと思いますし、長野証券局長もそうです。それに中島元主計局次長も同じメンバーだと思います。  私は、実はこれから中島元主計局次長の問題でお聞きしたいのです。  みずからその身を正して清めるという自浄能力、これこそ今問われている。大蔵大臣も、そのことのために内部調査というものを徹底的に進めていく、春と言われる間に五百五十人ですからという答弁がありました。春と言われる間というのが、余り遅くならないでできるだけ早くやっていただきたいとは思うのですけれども、この調査という問題でちょっとお聞きしたいのです。  この中島義雄元主計局次長の問題で、再調査すると答えられた。国会での発言国民への約束ですから極めて重要であることは御案内のとおりですけれども、その三日後に、再調査という言葉の意味も含めながら、東京国税局が五カ月近くにわたって調査し、途中省略いたしますが、「国税に関する調査と処置、これは適正になされているということがわかりましたので、私は安堵した次第でございます。」と答弁なさった。何回も答弁されているので、私、その答弁を求めようとしていません。  そこで、大蔵省に聞きたいのです。九五年の九月七日にその調査結果を発表していると思うのですけれども、その内容はどういうものか、お答えいただきたい。
  246. 武藤敏郎

    ○武藤政府委員 御指摘の平成七年の九月に行われました中島元主計局次長に関する監督者責任の処分というものを行った際に、大蔵省の方から、処分の基礎となりました主たる事実というものを公表いたしました。それを当時の資料で読み上げさせていただきますと、「中島氏の行為のうち処分の基礎となった主たる事実は以下のとおりである。 1 中島氏が窪田氏との間の冬虫夏草ドリンクの契約書に署名捺印し、自らの名前を利用することを許したこと。 2 中島氏が上記契約書に関連し、窪田氏とその共同事業者との間の契約の清算金の受渡しの場として主計局次長室を提供したこと。 3 中島氏が知人から極めて多額の贈与等を受け、これに関しての税務申告を長期間怠ったこと。」ということでございます。
  247. 矢島恒夫

    矢島委員 今の内容の中の三番目ですか、中島氏が知人から極めて多額の贈与を受けた。この知人、約十人、その金額は約五千万円、こういう贈与であった。さらに別の人から一億円の低利の融資を受けた。  大臣、調査の中でこういう報告も大蔵省から受けながら、中島については適切であって安堵した、こうおっしゃられるわけですか。
  248. 松永光

    ○松永国務大臣 これは平成七年九月の時点の処分であったと思うのでありますが、このことで行政の処分があり、かつ、この受けた金について、中島氏の方から期限後の……(矢島委員「そういうことじゃないです」と呼ぶ)これはこれなんです。  その後、国税の方がさらなる調査に入ったんです、五カ月かけて。よく調査をして、そして新たに重加算税をつけた更正・決定という課税処分をしておるわけでございます。
  249. 矢島恒夫

    矢島委員 大蔵大臣、私がお聞きしたのは、大蔵大臣が自分で調査するわけじゃありませんから、この中島問題についてはどうだったのかと聞いたと思うのですよ。その結果、これこれだから、だから大丈夫だということに、答弁のように結論になったと思うのですよ。では、そのこれこれだったから大丈夫ですよ、適正に行われましたという結論になるための聞き取りの中で、ある知人から贈与があったけれども、約十人ぐらいで、そして五千万円の贈与で、ほかの人から一億円の低利融資というのもありましたよというようなことをお聞きになりましたか、こういうことなんです、大蔵省から。大臣が調査された中で。
  250. 武藤敏郎

    ○武藤政府委員 先ほど私の方から読み上げさせていただきました三項目め、「極めて多額の贈与等を受け、これに関しての税務申告を長期間怠ったこと。」ということに関して松永大臣から税務の関係についてああいう御答弁があり、また、その後の経緯があったのは御承知のとおりでございます。この三項目めについてそういうお話がございました。
  251. 矢島恒夫

    矢島委員 もう一度聞きたいのですが、大蔵大臣に説明した、説明した結果、この三項目め、多額の贈与の中身はこういうことですよというのを説明なさった、こういうことですか。
  252. 武藤敏郎

    ○武藤政府委員 私どもは税務の方につきましては全く関係がないものですから、大臣は私どもからこの税の話を聴取されたのではなくて、国税の方と大臣との間にやりとりがあったわけでございまして、私が今申し上げましたのは、この三項目との関連において御質問があって、その流れで、どういう位置づけかという意味ではこの三番目の問題が取り上げられて、そういうことを申し上げたわけでございます。
  253. 矢島恒夫

    矢島委員 それじゃ税の方の説明をした方、いらっしゃいますか、国税の方の方。来ていないですか。じゃ、いいです。  大臣がどういう説明を受けてどう判断されてこの結論が出たかということを私はお聞きしたいわけなんですよ。
  254. 松永光

    ○松永国務大臣 今話の出ている人の税務上の処分というか、それは二度になっているんです。今おっしゃっているのが第一回の分でございます。これは、その人の方から期限後申告という申告書が出るんですね。期限後申告書が出たけれども、これはいずれ調査があるだろうということを予見して慌てて持ってきた申告書だから、これはみずからの申告とは認めがたいというわけで無申告加算税をつけて処分したんですね、税務上の処分をした。そのようにした。  その後、一カ月ぐらいしてからでしたか、十月ごろから本格的な調査に入るんです。それで五カ月間も調査した。百数十カ所について反面調査などもやったわけなんですね。よく調査をしたことは事実だというふうに認めました。
  255. 矢島恒夫

    矢島委員 その問題ばかりやっているわけにいきません。  それでは、いわゆる贈与を受けたわけですが、その知人の中に金融業者は含まれていましたか。
  256. 武藤敏郎

    ○武藤政府委員 ノンバンクの経営者から贈与を受けていたというふうに理解しております。
  257. 矢島恒夫

    矢島委員 拓銀についてはもちろん調査に入っていろいろわかっていると思うんですけれども、ノンバンクから贈与を受けていたというお話です。その知人の中にあの大阪に住んでいる垣端信栄、通称中岡という人なんですが、その人の名前は出ていましたか。
  258. 武藤敏郎

    ○武藤政府委員 今御指名のありました方が、私、先ほどノンバンクの経営者と申し上げましたが、その方がノンバンクの融資を受けて、その方が融資をしていたということでございます。民間の方でございますので、私どもから具体名をこの場でお話しするのはちょっと差し控えさせていただきたいと思います。
  259. 矢島恒夫

    矢島委員 いわゆる拓銀の直系のノンバンク、エスコリースだと思うのですけれども、今出てきているノンバンクというのは。もちろん拓銀に調査に入ったのですからわかると思うのですが、拓銀からこのエスコリースへの融資、ピーク時はどれくらいあったのですか。
  260. 武藤敏郎

    ○武藤政府委員 ちょっと、突然の御質問なので、手元に計数を持ち合わせておりません。
  261. 矢島恒夫

    矢島委員 持ってきて、途中でもいいから答えてもらいたいと思います。  私は今こういう問題を何で聞いているかということについて、お手元に配付した資料の三枚目を見ていただきたいのです。  三枚目の一番左側下のところに、イージー・キャピタル・アンド・コンサルタンツ、約してECCと呼んでいます。そこに垣端信栄(中岡)という人が出てきます。このECCはエスコリースから、拓銀の直系のノンバンクですけれども、先ほど官房長が話したノンバンクです、二千億円の融資があったわけなんですが、そのこともわかりませんか、今。
  262. 武藤敏郎

    ○武藤政府委員 大変申しわけございませんけれども、手持ちにちょっとその数字がございません。
  263. 矢島恒夫

    矢島委員 手元に数字がないのか、あっても言いたくないのか、こういうことはなるべく言わない方がいいというのか。いずれにしろ、二千億円の融資があったのですよ。  それで、その図をちょっと説明させていただきます。  このECCというのは、総額二千五百億円の負債を抱えた。そのうちの二千億円がエスコリースからの融資で、これが焦げついたわけです。エスコリース、これは拓銀の直系ノンバンクですから、これへの融資残高というのは、まだ資料がないというのでまた答えないと思いますから、私が申し上げますと、五百三十億とも五百七十億とも言われている。拓銀はつぶれたのですよ。ECCは今も会社は残っているのですよ。  そのECCの会長が垣端信栄という、通称中岡という人物で、その中岡氏と中島氏とは極めて密接な関係があったわけなんです。この中岡氏から二千万円の贈与が中島氏にあったのですよ。違いますか。これは、当時既にマスコミでも広く報道されていたものですよ。東京新聞の九五年の九月十七日、あるいは読売新聞の九五年の九月十四日付の新聞を見ていただければこの問題も出ております。  つまり、私が言いたいのは、大蔵省のこの二回にわたる調査を行った、その調査の中では、垣端信栄となっているかあるいは中岡信栄となっているかわかりませんが、この人物の名前が必ず出てきているわけなんですよ。どうだったのですか。
  264. 武藤敏郎

    ○武藤政府委員 ある企業経営者から中島元主計局次長が相当の額の贈与を受けたということにつきましては私たち把握しておりますけれども、金額については、今御指摘のあった数字が正しいものかどうか、これは私ども確認できておりません。  それから、名前につきましては、そういうことが報道されているのはそのとおりでございますが、私どもの口からそういう人であるということをこの場で申し上げるのは差し控えさせていただきたいと思います。
  265. 矢島恒夫

    矢島委員 ここに私は重大な疑惑がある。  またその表を見ながら聞いていただきたいのですが、一九九三年の十二月二十二日、拓銀をメーンとするところのECCに融資している金融会議というのが持たれているのです。その十二月の二十二日の会議で、もうECCについては十二月いっぱいで二回目の手形不渡りにしよう、こういうことを決めたのです。  ところが、ECCはその会議の翌日、十二月二十三日、和議申請を行ったわけです。その和議申請の中の和議条件というのは、第一に、七八%の債務をカットすること。七八%も債権を放棄してもらいたい、こういうのが一つあるのです。第二に、中岡会長は会長を辞任するということ。第三は、後任会長に頼松祥典、元福岡国税局長だったと思いますが、元の福岡国税局長を据える。こういう三つだったのです。  最大の債権者であるところのエスコリースが、二千億円ですから、承知しなかったらこの和議は進むはずがなかったのです。常識的に考えてもそうなのです。ですから、エスコリースは最初は同意を拒否しました。ところが、翌年の十二月に突如としてエスコリースはこれに同意したのです。その結果、和議は成立しました。  この一年間に何があったかということなのです。七八%もの債権を放棄する、とんでもない条件です。常識で考えましても、メーンの拓銀としては、エスコリースを通して貸しているわけですから、自分のところの不良債権を拡大するものです。ですから、到底認められるはずのないものだと思うのです。  大蔵省の検査だって普通なら通るはずがないものだと私は思うのです。大蔵省はこの期間に拓銀に検査に入っていると思います。これはいつだったのですか。
  266. 山口公生

    ○山口政府委員 拓銀の検査は、六年と昨年と入っております。
  267. 矢島恒夫

    矢島委員 そういう検査が行われたにもかかわらず、拓銀の負債がますます拡大するような和議というものが認められて、それが成立しているという経過がこの間にあるわけです。  この和議が最大の疑問点なのです。中岡氏が、これは条件によって会長を退いた。後任に会長になったのは、頼松という元福岡の国税局長です。何のことはない大蔵OBのオンパレードではあるのですが、結局のところこのECCがどうなったかといえば、和議が成立したので生き残った。その反対に拓銀は償却で資産を食いつぶして、ついに破綻という結果になったのです。  ですから、中島氏がここに介在するということは、少なくとも中岡氏との間の資金提供、この間のちょうどぴったり合う時間なのですから。この間に大蔵省も先ほど言ったように検査に入っているのですけれども。この大蔵検査に手心を加えてくれとかあるいは和議が成立するように骨を折ってくれ。和議申請を出してから和議が成立するのはちょうど一年後なのですから、つまりエスコリースがこの和議を承諾してしまうのは。その間に中岡氏と中島氏とのかかわり合いというのが特に持たれているし、資金提供も行われている。  法務省にお聞きしたい。今まで私がここで述べてきたように、中島氏への資金提供というのはまさにわいろ性の強いものだということ、法務省、このことについてどうお考えですか。
  268. 原田明夫

    ○原田(明)政府委員 お答え申し上げます。  具体的な個々の事件につきまして、どのような角度から捜査するかどうかという点は、検察官におきまして、まさに証拠に基づきまして検討し、判断すべき事柄であるというふうに考えますので、法務当局といたしまして、具体的な個々の事件につきまして、それについての捜査のあり方ということについて申し上げさせていただくことは差し控えさせていただきたいと存じます。
  269. 矢島恒夫

    矢島委員 ひとつ法務省としても重大な関心を持って調べてもらいたいと思うのです。  大蔵大臣、中島についての調査は適切だったと、今後はそれで何もしないという結論を出されたわけですよね。  ただ、このECCの中岡という人物と中島氏への贈与関係は、非常に疑惑の多いものです。まさに私はわいろだというふうに言ってもいい。これは検察が調べることだろうと思いますが、わいろだと言ってもいいようなものなんですよ、贈与とは言いながら。だから、隠していたんですよ。  大蔵省にいた人物が申告の仕方を知らなかったとか、どうやってやるのか知らなかったとか、そんな、これはとんでもないですよ。これは初めから出せないお金だったんですよ、大っぴらには。後で調査の結果、その後の経過は大臣がお調べになったとおりですわ。これは、出さざるを得なくなってしまった状況が生まれてきたからなんですよ。初めは隠しておきたかった、知人からの、とりわけこの二千万円だったんですよ。調査で言っておりますように、申告漏れなどというようなものではないのです。隠したものなのです、これは。中島氏は借名口座の問題もあったり、いろいろあるのです。  大臣、私は、大臣に再調査してもらいたいということを要求したいのです。
  270. 松永光

    ○松永国務大臣 国税の立場は、無申告加算税をつけた贈与税の課税処分、これが平成七年の九月ですか、それから、翌年の二月ですか、その間に税務調査を五カ月にわたってやって、そして所得税あるいは贈与税の関係での処分としては重加算税等、そして更正、これをしたわけでありますが、国税としては、新たな事実があって、過去にした処分が妥当でないと思えるような新たな事実があれば、みずから再調査をするというのが国税庁の姿勢でございます。
  271. 矢島恒夫

    矢島委員 委員長。先ほど、私、突然の質問だからその資料が手元にないということで答弁をもらえませんでした。この中島氏に対する資金提供をした人物とその金額、あるいは調査結果の報告等、先ほど答弁できなかったものも含めて資料として提出してもらいたいと思いますが、後ほど……。
  272. 越智通雄

    越智委員長 理事会でお諮りいたします。  わかった分がありますようですから、銀行局長
  273. 山口公生

    ○山口政府委員 お答え申し上げます。  先ほどのお尋ねの、北拓からエスコリースへの融資額ということでございます。個別の案件でございますので、お答えするのは差し控えたいと思いますが、ほぼ先生のおっしゃるような感じだと思います。
  274. 武藤敏郎

    ○武藤政府委員 委員御指摘の、経営者から中島元次長が幾ら資金援助を受けていたのかということにつきましては、相当多額だということは本人がその当時申しておりましたが、具体的な金額は記憶がないということで、これは、その当時の調べがそれ以上は不可能という状態でございました。
  275. 矢島恒夫

    矢島委員 資料については、また後ほどお願いするとして、時間がありません。中小企業問題で大蔵大臣にお聞きしようというので、質問通告は出してあります。貸し渋り問題です。ただ、残り時間が物すごく少なくなりました。  実は、もう私がくどくど申し上げるまでもなく、中小企業の経営というものは、今全国的に極めて大変な局面にあるということは、大臣おわかりのとおりです。三人の中小企業の社長さんが自殺されるという痛ましい事故に続いて、またまた、二人の御夫婦の方ですけれども、中小企業の経営者が自殺されるという事件まで起きています。いずれも資金繰りということの問題であります。  そこで、この貸し渋りなんですね。貸し渋りというよりは、もう資金回収が行われている事態、こういう問題については、松永大蔵大臣もそれぞれ事情は聴取しているということですから、一定の把握をされていると思います。そういう状況の中で、いわゆる資金投入ということの中での貸し渋り対策というのが本当に期待できるだろうかという声も実際にあるということ。  それからまた、私が手に入れた、これは第一勧銀の銀行の内部資料なんですが、もう読んでいる時間は余りありませんから、こういう時期、自己資本比率の向上が重要な課題として挙げられている、自己資本を早期に回復すると。そのためには何をするかというのがずっと書いてあるのですわ。貸出金の回収、これもあります。金利の水準引き上げ、これもあります。今の時期を絶好の機会として、金利引き上げによるもうけを追求していこう、こういうのがあるのですよ。けしからぬです。  つまり、借りたくてもなかなか貸してくれない。何とか貸してくださいと来た、そうしたら、これくらいの金利ならいいでしょうと、今までより高い金利で、これくらいなら融資しましょうかとか、そういうので金利を上げろ、こういう指令を出しているのですよ。これは非常にけしからぬです。  そういう事態の中で、時間がありませんから、私、実は川口市に調査に行ってきたのです。大蔵大臣は、もとは自分の選挙区でしたし、地元ということで、いわゆるキューポラの町というので映画にもなりましたが、あの川口市でやったのですがね。実は、川口では、市当局や、鋳物業界あるいは機械業界、いろいろそういう中小企業の集積したところですけれども、そこで、川口では、年末に三十億の緊急融資をやったのです。ところが、受け付け時間、開始したら三時間で三十億全部なくなっちゃうというような状況だった。これじゃ大変だ。借りられなかった方が大勢できちゃった。  そこで、翌年の、つまりことしですね、ことしの一月に、また三十億の緊急融資をやった。そうしたら、前の晩から、あのときは雪が降った日なんですよ。前の晩から徹夜の人が二十人、それから朝の六時十五分になったら、百四十人がそこへ並んだのです、緊急融資に。そして、受け付けを始めてわずか二十五分、開始してから二十五分、ここでもう融資額をオーバーしたのです。大変な状況だったのですね。  これでもまだ借りられなかった人がたくさんいるわけです。というのは、申請件数は三百二十件、申請金額は四十四億円超、申請に来た人は六百人超、受け取っていった人が八百七十人、申請予定額というと百十億円超というのですよ。川口では、これを市として手当てをすることは不可能だという状況にもうなっているわけです。  私、そのときに借りに行った方に会ったのですが、これは工場を経営する人です。融資を申し込んだけれどもだめだった、今国民金融公庫にお願いしているが、これがだめなら本当に死ななきゃならなくなると言うのです。この人、十数人の従業員を抱えているところの中小企業です。給料払えないと言うのですよ。ちょうど亡くなられた、自殺された方々と同じような状況だなと私思いまして、励ましてきましたけれども。これは四十年間苦労してつくり上げた工場だそうですけれども、息子たち、次の世代にこれだけ残してやりたいと思うが、もうそれもかなわない、こういうことを言っていました。  大臣、地元の問題ですがもう全国の問題なんですけれども、こういう事例もあるので、ひとつ頑張ってもらいたい。貸し渋り対策、何とかしてもらいたい。最後に決意だけ。
  276. 松永光

    ○松永国務大臣 お答えいたします。  きちっとやっている中小企業等が必要とする資金金融機関から借りられない、そういう事態は決して見逃してはいけない、こう思っております。  そういう観点から、しょっちゅうだれしも言っていることでありますけれども、政府中小企業金融機関、これは全力を挙げて対応に努めているところでありますし、それからもう一つは、四月一日からいわゆる早期是正措置がある、それの懸念もあるということもありまして、早期是正措置については弾力的に運用するからということで、これも貸し渋りの解消のための措置であります。  同時にまた、これはもう長くなりますから言いませんけれども、新たな法律に基づく措置をする場合にも、審査委員会の方でいろいろな条件を決めていただいたわけでありますが、その中で、委員も御承知と思いますけれども、申請銀行はきちっとした計画書を立てて出さなければいかぬ。その計画書の中に、融資の円滑化はきちっとやりますという、そういう計画書も入っておらなければならぬわけでありまして、そういったこと等いろいろやっておるわけでありますが、今後ともさらに意を用いて努力をしていきたい、こう考えております。     〔委員長退席、伊藤(公)委員長代理着席〕
  277. 矢島恒夫

    矢島委員 時間が来ました。  ただ、計画書の中のその問題ですが、数量的にきちんと出すということになってないのですね、融資の問題のところの書類には。私は、あそこは不満なところがあるということを一言だけ申し上げまして、終わりたいと思います。
  278. 伊藤公介

    ○伊藤(公)委員長代理 これにて矢島君の質疑は終了いたしました。  次に、東中光雄君。
  279. 東中光雄

    東中委員 私は、最初に、イラク情勢に関する安保理決議一一五四、昨日採択されました決議についてお伺いしたいと思います。  昨日の委員会総理は、日英共同提案の決議が、審議の上、全会一致で採択されたことは大変喜ばしいことだというふうに述べられました。  この決議をめぐりましては、フランス、ロシア、中国を初め、十五理事国のうち九カ国から、米国によるイラクへの自動的軍事攻撃、オートマチックアタックを容認するようなことはできないという強い批判がいろいろな形で出されました。それが最終的に全会一致というふうになって、まことに全会一致は結構なんですが、そうなった経過、過半数がいろいろ意見を言っていたのがこうなった、この点について御説明をいただきたい。
  280. 小渕恵三

    ○小渕国務大臣 我が国は、先般来のイラクをめぐる問題につきまして、外交的解決を図ることを最善と考えまして、問題解決に向けさまざまな外交努力を行ってまいりました。  そのような中で、アナン国連事務総長がイラク側との間で取りまとめた文書を踏まえ、これを安保理として承認し、イラクが無条件、無制限の査察を実際に受け入れることを求めること等を内容とする安保理決議を新たに採択することが適当と考え、英国と共同で決議案を提案し、さらに各理事国と緊密に協議した結果、今般、全会一致で採択されるに至ったものでございます。  この件につきましては、イギリスのクック外相から私あてにお電話をちょうだいいたしまして、イギリスとしてこうした決議案を検討中であるので日本側の協力もいただきたいということでありました。その件につきましては、ニューヨークの国連における我が国の小和田大使を通じましてそのドラフトをいただき、検討した結果、共同提案国になることを了承し、常任理事国はイギリスが、それから非常任理事国は日本、こういうような形で各国を説得し、御理解を得て、全会一致をもってこの決議案が成立したのがその経過でございます。  本件につきましては、昨日はプリマコフ外相からわざわざお電話をちょうだいいたしまして、この決議案成立につきまして日本側の努力を多とされるお電話もちょうだいいたしました。
  281. 東中光雄

    東中委員 いや、そういう経過をお聞きしているんじゃなくて、じゃ、こう聞きましょう。  当初に日英案が出されましたけれども、最終的に採決されたときには、政府の方の仮訳でいって五項めが挿入されて、そういう中で採決されたということでございますね。五項めというのは、「国連憲章の下での責任に従って、本決議の履行を確保し、この地域の平和と安全を確保するために、この問題に引き続き積極的に関与することを決定する。」と。  国連安保理が「この問題に引き続き積極的に関与することを決定する。」という文章を挿入することで、アメリカが自動的に武力行使に入るというふうなことはできないんだという、そういう決議になったから全会一致になったのじゃないんですか。この外務省からいただいた仮訳の五項というのは、初めからあった文じゃないでしょう。そのことを聞いているんです。どうでしょう。
  282. 小渕恵三

    ○小渕国務大臣 決議案というものは、これを提案した国と常任理事国がすべていろいろ討議を積み重ねて決定されるわけでございまして、どのような順序でどういうふうな文言を入れたかにつきましては、現地大使にゆだねておったわけでございますが、その点につきまして事務当局から御答弁させます。
  283. 加藤良三

    加藤(良)政府委員 この五項が最初からなかったか、あるいは後から加わったかというその審議の過程について、ちょっと私から具体的な言及は差し控えさせていただきたいと思いますけれども、いずれにせよ、この決議というものは、事務総長のイラクとの間に達成された合意というものと一体をなして、外交的解決を求めていくという立場から採択されたものでございます。したがいまして、その五項ということは、要するに「国連憲章の下での責任に従って、本決議の履行を確保し、この地域の平和と安全を確保するために、この問題に引き続き積極的に関与することを決定する。」ということで、いわば当然のことを述べているものと解しております。
  284. 東中光雄

    東中委員 後から挿入したものでないとは言われなかったわけですね、私の口からは申し上げませんというだけで。これはもう明白ですよ。前に発表されておった要旨と今度出たやつとを見てみたら、この文だけふえているのですからね。それは否定はされなかった。  そこで、問題になるのはそこのところなんですが、この決議文の中の「いかなる違反もイラクにとって最も深刻な結果をもたらす」という例の問題の部分について、きのう外務大臣は、「決議案の中で、「最大級の深刻な結果」という表現は、武力行使の発動と直接は関係ありませんで、すなわち、この表現によって、イラクの違反があれば自動的に武力行使に至るという性格のものではない」というふうに昨日は答弁されました。  きょうニュースを聞いておりますと、クリントン大統領は三日ホワイトハウスで、これは私起こしてみてなにしたんですが、「イラク政府は幻想を持つべきではない。「最も深刻な結果」の意味していることは明らかである。これは、イラクがコミットメントを守らなければ、行動する権限を与えたものである。」行動というのはアクトと言っていますから。  マカリー大統領報道官は、「イラクがそのコミットメントを守らなければ「最も深刻な結果」ということになる。この意味するところは極めて明白であって、軍事行動である。」これもそういう発言をしています。それから、ルービン国務省報道官は、「「最も深刻な結果」という語は、外交用語では軍事行動である」、こう述べています。これは報道されたものを起こして、そういうことであります。  これは違いますね。小渕外務大臣の言われたことと、米国の発表していることとは、明らかに違います。だから、これは違う、米国のは間違っておる、こういうことですね。
  285. 伊藤公介

    ○伊藤(公)委員長代理 加藤総合外交政策局長
  286. 東中光雄

    東中委員 外務大臣に聞いているのです。
  287. 伊藤公介

    ○伊藤(公)委員長代理 委員長が指名しました。
  288. 加藤良三

    加藤(良)政府委員 委員長の御指名をいただきましたので、私から御説明を申し上げたいと思います。  今回の決議は、先ほども申し上げましたけれども、アナン事務総長がイラク側との間で取りまとめた文書を安保理が全体として支持して、イラクに明確な警告を伝える警告の決議でございます。それは、外交努力のあらわれという視点からとらえていただきたいというふうに考えます。  この決議は、イラクが関連安保理決議の義務を履行しない場合には、深刻な結果になるということを警告しております。この決議は、これまでのいろいろな決議、六七八、六八七、一一三七等ございますけれども、その内容を変えるものでは全くございません。  すなわち、別の言い方をいたしますと、武力行使をこの決議をもって容認したとか、あるいはしないものか、そういう切り口の話ではないのでございます。これをベースにむしろ外交努力というものをぎりぎりまで進めるというのが、安保理の国、常任理事国、非常任理事国十五カ国を通じての一致した見解であるというふうに受けとめております。
  289. 東中光雄

    東中委員 私は、この決議の趣旨を聞いているのではないのです。  きのう、この国会で答弁された小渕外務大臣答弁と、そしてアメリカの大統領なり大統領報道官なり国務省報道官なりが言っておることとは、内容が違いますよ、アメリカの言うていることは間違っておるのだ、日本の見解からいえば違うのだということになるのですか、ならないのですかと。結局それはどっちも同じことを言うているということになるのか。普通の文理上はもう明らかに違いますね。それを聞いているのです。外務大臣に聞いているのです。
  290. 小渕恵三

    ○小渕国務大臣 アメリカの最高責任者並びにそれぞれの方々の御発言を述べられておりましたが、私それを定かにいたしておりませんが、日本政府としては、昨日も御答弁申し上げましたように、これは武力行使の発動と直接関係なく、この表現によってイラクの違反があれば自動的に武力行使に至るという性格のものでないという前提で、この決議案につきまして、国連におきまして各国との話し合いが成立したものであると思っております。  アメリカとしても、恐らくこの会合に出たのは先般来日されたリチャードソン大使だろうと思いますが、それぞれ国連の場において各国を代表する方々が相集ってこの決議案をまとめたということだと理解しております。
  291. 東中光雄

    東中委員 アナン国連事務総長もCNNの番組でこう言っています。「安保理のほとんどの国は、「最も深刻な結果」の具体的内容について、安保理でまず話し合うべきだと考えているだろう。」だから、そんなものは、初めから軍事力の行使になるのだというようなことではないという趣旨のことを、先ほどのテレビを見ておって発言しておるようです。  そういう点でいうならば、アメリカは依然としてこの国連決議の、もともとこの国連決議と関係なくイラクへの攻撃をやるという立場で湾岸に臨戦態勢をとり続けて、米英が決断しさえすればイラク空襲は行われる、まだ今臨戦態勢をとっているということだと思うのですが、それに対して日本政府はどうなんですか。  リチャードソン国連大使との会談で小渕さんは、すべての選択肢をとる余地が残されているという米国の見方を共有しますという例の発言がございました。それから、アメリカとイギリスは今臨戦態勢をとっていますね。武力攻撃を決断すればできるという態度をとっているように思われます。それについてはどうなんですか。そういうことはやるべきじゃない、それは反対だということですか。どうですか。
  292. 小渕恵三

    ○小渕国務大臣 武力行使に至らずに今問題を解決すべきということで、我が国としては外交的手段を講じて今日までまいったわけでありまして、そのために、せっかくのアナン事務総長の調停そのものが効果あらしめるために、今般英国とともに決議案を提出し、これが認められたということでありますので、その決議案によりましてイラクが十分査察を受け入れることを期待しておる、こういうことでございます。
  293. 東中光雄

    東中委員 次の問題に移ります。  総理にお伺いするのですが、二月十九日の本会議で、不破委員長がこういう質問をいたしました。日本が米国の世界戦略のための海外遠征部隊に基地を提供している世界でただ一つの国だ。外国の海外遠征部隊の基地という屈辱的な、そして危険の多い立場から日本が抜け出す道を探求すべきだ。いろいろ言いましたけれども、そういう発言をしました。  それに対して橋本総理答弁は、現時点で在日米軍の削減や撤退を求めることは考えておりません、「日米安保共同宣言で確認されたとおり、国際情勢の変化に対応し、米国の兵力構成を含む軍事態勢につき米政府と協議を継続してまいります。」その上で、こうつけ加えられたのです。「ただ、議員の御主張の中で、米国に対し基地を提供しておる国は、私の知る限りは日本以外にあると存じます。その点だけは申し添えさせていただきます。」こうなっておるのです。  不破さんが言うているのは、海外遠征部隊。世界戦略に基づく海外遠征部隊を日本に置いている、そんな国はほかにないですよ、こう言うたのですが、ほかの国も外国の基地を置いていることはあるということをつけ加えると言われたのでは趣旨がよくわからぬので、日本以外に海外遠征部隊というものを置いている外国があるというふうに認識されて言われておるのか、そんなものはないということで言われているのか、総理の御見解、認識をお聞きしたい。
  294. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 私は、少なくとも私の答弁は正確に引用していただいたと思います。  それで、この御質問の際、米国の世界戦略への協力という言葉がございました。これがいかなることを意味するのか、もう一つ私にはよく解せませんでしたが、私が御答弁を申し上げましたのは、我が国以外にも米軍に対して基地を提供している国があるということを一般的に申し上げております。  日米安保条約第六条、これは申し上げるまでもなく、我が国の安全及び極東の平和と安全の維持という目的のために、米軍が我が国の施設・区域を使用することを認めており、国際社会に引き続き不安定要因が存在する中において、在日米軍は我が国の安全及び極東の平和と安全の維持に寄与していると考えております。  ほかの国の例、基地の数、手元にございますけれども、一々読み上げることは控えさせていただきます。
  295. 東中光雄

    東中委員 それはちょっと問題をそらし過ぎますよ。  それじゃ、こう言いましょう。日本には、横須賀にインディペンデンスを中心にした空母戦闘群があります。それから、沖縄を中心にした海兵機動展開部隊、海兵第三師団があります。これはいずれも、いわゆる海外遠征部隊であります。アメリカの海兵師団は三個師団ありますが、第三師団は沖縄を中心にしておる。しかし、そのほかは全部アメリカ本国であります。空母機動部隊が、日本の横須賀をインディは根拠地にして、その一連の戦闘群があります。機動部隊が横須賀を根拠地にして活動しています。しかし、世界じゅう、アメリカの本国以外にそういう母港にしている空母機動部隊はない、これが実情であります。  そのこと自体は総理はお認めになりますか。ほかにもあるぞということなんでしょうか。
  296. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 私は非常に単純明快にお答えを申し上げ、議員も御引用いただきましたように、本会議で私が申し上げましたのは、前段の部分を除きますと、米国に対し基地を提供しておる国、私は、基地を提供している国は日本以外にもあると存じますと申し添えております。
  297. 東中光雄

    東中委員 そんなことはこの間の話で、だから私は今改めて聞いているんですよ。いわゆる海外遠征部隊と言われる海兵師団、それから空母機動部隊、こういうものが、日本でははっきりそれの母港になり、根拠地になっているわけです。しかし、ほかの国はないわけです。そのこと自体はお認めになりますか。ほかもあるんだと言うんですか、どうですか。
  298. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 私どもは、日米安全保障条約という条約を持っております国です。そして、当然ながらその条約に基づく義務は日本側も履行していかなければなりません。それぞれの国、例えば空軍が展開しております国、あるいは陸軍と空軍が展開しております国、陸軍、海軍、空軍が展開しております国、いろんな国があることは議員よく御承知の上で、最後に残る部分は、海兵隊はとおっしゃりたいんだと思います。海兵隊が展開をいたしておりますのは、日本における存在が、米国領土外に常駐する存在として存在する海兵隊は唯一であろうと思います。
  299. 東中光雄

    東中委員 海兵師団、あるいは最近は言葉が変わりまして海兵機動展開部隊、こう言うんですが、第三海兵隊。これはもう、いわゆる遠征軍、世界戦略の中での位置づけなんですよ。それから、今の空母機動部隊というのも、どこそこの空軍が、あるいはどこそこの陸軍が何ぼおるかというような問題じゃなくて、空母機動部隊という戦闘群、そういう部隊、これは戦略部隊なんですから。それが日本におるということで、そこが問題なんですよ。  だから私たちは、そういうのは、安保条約で、アメリカが世界戦略で日本を拠点にして全世界に活動するんだ、そんなことは安保条約のどこにもないんです。安保条約は、日本の平和とそして極東の平和と安全に寄与するというふうに書いてあるだけであって、だから私たちが今問題にしているのは、世界戦略のための海外遠征部隊の、アメリカ本土以外では日本だけがこの空母と海兵隊の根拠地になっている。これが日本の安全と平和の、安保条約の枠を超えたものだということを問題にしているわけです。だからそれは私たちの言っていることを前提にして答えてもらわないといかぬ。まあそれはいいですが。  じゃ、聞きましょう。日本におる空母インディペンデンス戦闘群は、これは世界的な軍事介入戦略の先頭に立っているということが言えると思うんですよ。日本の平和と安全じゃなくて、アメリカの世界戦略に基づいて、世界的な軍事介入戦略の先頭に立っている。  これは例えば、クリントン大統領が、九六年の日米安保共同宣言で署名した直後に、横須賀の空母インディペンデンス艦上で演説をしています。何を言ったかというと、ベトナム、レバノン、グレナダのとき、インディはそこにいた。イラクがクウェートを侵略したとき、現場に一番乗りした空母は皆さんのインディであった。平時も戦時も、この偉大な軍艦とその戦闘群は、アメリカの盾として、やいばとしてそこにいた。世界じゅう行っているということなのです。  この数年間のインディペンデンスの戦闘部隊の動いたところを見ますと、ハイチです、それからイラクです、ルワンダ、ソマリア、朝鮮半島、ボスニア・ヘルツェゴビナ、台湾海峡。これは世界じゅうの紛争が起こっておるところ、いわゆる危機状態になっておるところ、ここへ、横須賀を根拠地にしてこのインディ戦闘群が走っていくのですよ。(発言する者あり)そういう点で、それぞれが問題が起こったときに、ハイチは観光地というのは問題じゃないです、危機があったときに行っているのです。  そういう戦略的な配置、任務についているものを主権国家日本が置いておいて、それで何とも思わぬのか。私たちが言うのは、外国のこういう世界戦略上の機動部隊、海外遠征部隊の基地にいつまでもしておくのだ。その点について、インディも日本の平和と安全のために、やはりそう言うのですか。総理、白々しいとは思いませんか。
  300. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 白々しいより何より、首尾一貫して御党とは考え方が違うのかなと。我々から見ると事実として見えるもの、それは、空母インディペンデンス及びその艦載機を含めて、我が国の施設・区域を使用する米海軍部隊、これはその抑止力をもって我が国の安全及び極東の平和と安全の維持に寄与している、間違いなしにそういう事実であると思っています。  そのような実態がある以上、このインディペンデンスがその他の地域に移動する、他の任務につくこと、これが安保条約上排除されていないことも従来から御説明をしているとおりであります。
  301. 東中光雄

    東中委員 もう一つ聞きましょう。  いわゆる今度のイラク問題で、インディペンデンスが今展開していますね。これも、コーエン国防長官が来日して、一月の二十一日に空母インディペンデンスに乗艦をしました。そこで、インディは湾岸における米国のプレゼンスを維持するためニミッツと交代する、このプレゼンスはサダム・フセインに国連決議の遵守を迫るものである、それは重要だが危険な任務になる、こう述べまして、そして公然とインディペンデンスの中東派遣任務を発表したわけです。その二日後ですよ、二十三日にこれは出ていっているのです。そして今、臨戦態勢をとっているわけですね。こういうのが日本におる空母機動部隊の現実の動きなのです。これが平和と安全だと言えるかどうか。  このことについて言うならば、だから今度はイラク攻撃に参加する主要部隊になったのですね。日本は、それは移動であって出撃じゃないとか、全部そのまま容認しているのです。ところが一方、米国は、イラク問題で臨戦態勢をとって、湾岸諸国の協力、支持を得ながら、軍事的なイラク包囲網をつくり上げようということでいろいろ行動を起こしました。しかし、中東諸国を初め同盟国に基地提供をアメリカ側が求めたけれども、ペルシャ湾岸諸国を含む中東二十数カ国の中で、米軍のイラク攻撃に参加すると表明した国は一つもなかった。  それで、サウジアラビアでは、二月八日、スルタン国防長官が、米国防長官の訪問に先立って改めて武力行使に反対を表明し、イラクへの攻撃発進目的の基地使用を拒否するということを言いました。サウジアラビアといえば、そのスルタン空軍基地は、湾岸地域では五千人の米空軍部隊がおって、アメリカの検討していた今度のイラク空爆計画といって報道されているのによると、攻撃開始から数日間は連日数百回の集中攻撃をかける方針というふうに報道されています。そのサウジが出撃拒否ということを言うている。  それから、アメリカ海軍の第五艦隊司令部が置かれているバーレーンは、イラク攻撃の領空使用を拒否するということを発言しています。  それから、米空軍地上部隊が集結している最前線のクウェートです。イラクが攻撃してきたときに、イラクが侵略をしたときに、クウェートは御承知のようにアメリカの支援を受けて侵略をはね返した国だったわけですが、このクウェートも、他国への攻撃は考えていない。だから、動きがとれなくなっている。こういう状態なんですよ。  だから、基地を提供している国も、そのイラク攻撃というような事態について言うならば、主権国家ならば、いかに小さい国でも、そんなことでもって使うのは許されないという発言をしているんですよ。そういうことが背景になって先ほどのイラクの決議がやられ、そしてアメリカの武力行使が今少しとまっているというふうになっているでしょう。  ところが日本は、それらの国と比べてみたら、なるほど、インディペンデンスは日本におるんです、それは平和と安全のためだと言うけれども、実際にはあそこへの攻撃部隊の中心部隊、二つの空母でやるんだと言うているその部隊になっているでしょう。それに何にも言わない、そのまま認めている。だから、サウジやそういう湾岸諸国のクウェートなんかから見ても、独立国家として本当に私は恥ずかしいという気がします。  そういう点について、総理、どう思われますか。
  302. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 ここから後は外務省なり防衛庁なり専門家に御答弁をお任せしたいと思いますけれども、議員は、今の事実関係を述べていかれる上で、一番基礎の部分を外して御論議になりました。  イラクの大量破壊兵器の存在というものが問題の発端だったのではないでしょうか。そして、そのイラクの大量破壊兵器に対する国連の査察、これに対するイラクの行動というものが、国連各国の中に、この大量破壊兵器の査察拒否の状態を続けさせることはできないという強い問題意識になったのではないでしょうか。そのプロセスにおいてさまざまな議論が国連にあったことは当然でありましょう。  しかし、イラクの大量破壊兵器を廃棄させるための査察の重要性をどういう手段で行うかということについて、例えば常任理事国の間にも幾つかの意見はありましたが、最終的に合意が形成され、安保理決議というものが満場一致で決定をされたというのは、日本が誇ってもいい努力の結果であった、英国とともに手分けをして努力をしたかいがあった、私はそう申し上げていいのではないかと思います。  ただ、それだけに、イラクがこの国際社会の意思というものを見誤らないように、約束をきちんと果たしてくれることが何より大切だということをつけ加えたいと存じます。
  303. 東中光雄

    東中委員 私が言っているのは、大量破壊兵器の査察をちゃんとやれ、当たり前です。私たちもそのために全力を尽くしてやっている。そのことと、アメリカが武力行使をやることについて、そのそばにいるサウジ等の諸国でさえ、自分のところの基地を提供しているけれども、そこを攻撃に使うのはだめですということを言うているのです、小さい国でも。ところが日本は何にも言わないで、しかも世界戦略で動いている米軍をそのままやっている。主権国家としてまことにそれは、日本はアメリカの保護国かというようなことを、アメリカの外交官だった人がそういうことを発言するような時期になっているのですよ。  世界戦略に従っての米国の海外遠征軍の基地にして、それをそのまま自由に動かしていくというふうなことは、少しは反省し、これはチェックしていくというふうに私はするべきだと思います。その点はまことに遺憾だと言わざるを得ません。  時間がありませんので、次に、ガイドラインの問題でお聞きしたいと思うのです。  二十五日のこの予算委員会で、今回のイラク問題との関係でいろいろ質問がありました。小渕外務大臣は、周辺事態は、あくまでもその事態の態様に応じて考えていくべきもので、今回のイラクの問題とは直接関係することはないという考えでありますという答弁をされました。それから防衛庁長官は、我が国の平和と安全に重要な影響を及ぼすようなものには至らないと思っておりますと、今のイラク問題でですね、そういう答弁をされました。  それで私思ったのですが、要するに、イラクというのは随分遠いところで日本周辺地域じゃないからというのじゃなくて、そういうことじゃなくて、起こっておる事態が日本の平和と安全に重要な影響を及ぼす事態かどうかということだけから見るのだということを、それは地理的条件もある程度は関係あるでしょうけれどもね、その一部に入るかもしれない、そういうふうに言われておるのだなというふうに実は思ったのです。それでよろしゅうございますか。防衛庁長官
  304. 久間章生

    ○久間国務大臣 あのとき外務大臣お答えになりましたとおり、周辺事態というのは、起きておる事態を規模とか態様とか総合的に判断して、それが我が国の平和と安全に重要な影響を与えているかどうか、そういうことによって判断するわけでございますが、イラクあるいはインド洋等において発生することでそういうような事態になることは通常は考えられないということを外務大臣も言われまして、私もそれを受けてそのような旨の答弁をしたつもりでございます。  要するに、どこかの事態が、あらかじめこれは入らないということはなかなか言いにくいわけでございますけれども、通常入るとは考えられないということは推測することができるのじゃないかと思うわけでございます。そういう意味では、イラクで何か起きたとしても、それがそういう事態になるとはなかなか考えにくいのじゃないかということを申し上げたわけでございます。
  305. 東中光雄

    東中委員 そしてそのときに、これは二十六日に、外務省が周辺事態について非常にまとまった定義みたいなことを言われました。「周辺事態は、単に経済的でなく、軍事的な観点を含め我が国の平和と安全に重要な影響を及ぼす事態」である。「典型的に申し上げますと、日本周辺地域において日本の平和と安全に重要な影響を与えるような実力の行使を伴う紛争が発生する場合、あるいは紛争の発生が差し迫っている場合、及び紛争後の秩序の維持、回復が求められている場合等も含むと思いますが、そういった場合が考えられる」。これは非常に統一見解的、統一見解とは言われなかったけれども、そういう定義をされました。  それで私お聞きしたいのですが、日本周辺地域において、それから、日本の平和と安全に重要な影響を与えるような実力の行使を伴う紛争、この二つの条件があるのですね。だから、日本の近隣地帯である朝鮮半島であろうと、あるいは台湾地域であろうと、あるいはフィリピン、ASEAN地域であろうと、そういう日本周辺地域において、日本の平和と安全に重要な影響を与えるような実力の行使を伴う紛争が発生したら、発生したなと日本が思えばそれは日本が周辺事態だと言うし、アメリカが思えばアメリカが周辺事態だと思う、こういうことになるわけですね。そういうふうに聞いてよろしゅうございますか。
  306. 高野紀元

    ○高野政府委員 今委員が御指摘になりました周辺事態の定義でございますが、日本の平和と安全に重要な影響をもたらす事態ということでございまして、典型的に申し上げますと、日本周辺地域において、日本の平和と安全に重要な影響を与えるような実力の行使を伴う紛争が発生する場合が典型的な例だと申し上げたわけでございます。  具体的に、それではどういう地域においてそういうことが起きた場合に周辺事態に当たるかどうかということは、繰り返しで恐縮でございますけれども、その周辺事態そのものが、事態の態様、規模等を総合的に勘案して判断されるべき問題でございますので、あらかじめ仮定の状況について、これが周辺事態だとかそういう形で申し上げることは困難だと思います。
  307. 東中光雄

    東中委員 だから、私が先ほど言うたことについてそういう話がありました。  それで私、台湾問題について聞きたいのですが、台湾関係法によりますと、皆さん御承知でしょうが、アメリカは、中国は一つということで、中華人民共和国と国交回復したとき法律をつくりました、台湾関係法。それではこう言っているのですね。  台湾の将来を非平和的手段によって決定しようとするいかなる試みも、西太平洋地域の平和と安全に対する脅威であるとみなす。だから、米国は台湾に対して、必要とみなされる量の防御的兵器、武器を供給する。戦闘態勢を支援する、こういうことを言っているのですね。  それから三番目は、米国は、台湾住民の安全あるいは社会または経済体制を危機にさらす武力行使またはその他の強制に対して抵抗する軍事的能力を維持するということを言っています。そして、大統領は、台湾住民の安全あるいは社会もしくは経済体制に対するいかなる脅威及びそれから生ずる米国の利益に対するいかなる危険に対しても、憲法の手続に従って適切な行動を決定しなければならない。その意味は、武力行使または実力行使を含む行動を起こさなければならない。こういう法律なんです、もっと細かくいっぱいいろいろありますけれども。  ですから私は、台湾地域というのは近隣地域ですから、日本周辺地域に入ると思うんですが、そこでアメリカが、この法律に従って、台湾の住民の安全とそれから社会経済体制に対する脅威があるというふうに見た場合は武力行使を行わなきゃならないというふうになっているんですから、そういうふうにそういう行動を起こした場合、そういう行動は周辺事態になるのじゃないか、こう思うわけですが、その点はいかがでございましょうか。防衛庁長官
  308. 加藤良三

    加藤(良)政府委員 委員長の御指名を得て、事実関係について私から申し上げます。  議員は、台湾関係法のことを専ら強調なさいました。ただ、米国について申しますと、米中の間に三つの共同コミュニケが存在しているわけでございます。その中で米国は、中国はただ一つであり、台湾は中国の一部であるという立場認識する。それから、二つの中国、あるいは一つの中国と台湾といった政策を推し進める意思がないということを明確にしております。それから、中国の主権と領土保全を侵犯する意思及び中国の内政に干渉する意思のないこと、これを明らかにしております。そして、中国人自身が台湾問題を平和的に解決することを希望することを繰り返し述べてきているわけでございます。先般の江沢民主席の訪米の際にも、クリントン大統領からこの四つの原則が確認されております。  したがって、米国の台湾政策について御議論をしていただきます場合に、台湾関係法ということにばかり集中されるのではなくて、やはりこの中国との間の三つの共同声明、そこに盛られた米国の政策ということを照らし合わせていただかないと均衡を失した議論になるのではないかと思います。
  309. 東中光雄

    東中委員 何を言っているんだ。三つの声明なんてだれだって知っているよ。そんなもの、知らぬことがあるかいな。  江沢民の声明は出ているよ。そのときも、こういう武器援助するのはけしからぬと言っているじゃないの。そういう内容は書いてある。しかし、アメリカはそれをやると言っているということなんで、その三つの声明の中でアメリカはこういう法律を現につくっている。  だから、その法律に従ってアメリカが行動を起こした場合、起こさなかったら何も周辺事態にならぬわけですよ、しかしアメリカが、法律にしなければならないと書いてあるんだから、それを起こした場合には、日本として、それは新ガイドラインで言っている周辺事態になるのかならないのかということを聞いているんですよ。どうですか、外務大臣
  310. 小渕恵三

    ○小渕国務大臣 御指摘の台湾リレーションズアクト、すなわち台湾関係法が米国に存在することは承知をいたしております。これは米国の法律でございます。  先生の御議論は、もともとガイドラインで、周辺事態という問題から話を進めておられるわけでございますが、周辺事態につきましては、日米間で特定の国や地域における事態を議論して策定したものでないことは既に御案内のとおりでございます。また、周辺事態は、態様、規模等を総合的に判断してするのでありまして、これはそれぞれ主体的にそれぞれの国が判断する、こういうことでございます。
  311. 東中光雄

    東中委員 だから、それぞれの国が判断するので、日本はどういう判断をするのか。そういう法律どおりのことを起こした場合、起こった場合です。アメリカは、法律に書いてあることが起こるか起こらぬかはわかりませんよ。起こった場合は、日本のガイドラインでいって、日本から見てそれは、いわゆる周辺事態という概念をつくったんでしょう、それになるのかならぬのかと。そういうことについては物を言えないんですか。  イラクの場合は、判断して、ならぬという判断をしたわけ、関係ないと言って。台湾の場合はどうですか。そういう事態というのは、これは架空のことじゃないんです、法律があるんだから。三つの声明があって、それでもそういう法律をつくっているのだから。  そういう事態が起こった場合に、日本立場からいえば中国は一つ、内政干渉はしないという、中国と台湾の関係というのは国内問題だから軍事介入をすべきでないということだから、アメリカはそういう法律でやっておっても、日本はそういうものは入らないというなら、入らないということを言うべきじゃありませんか。イラクなら入らないと言っているじゃないですか。  だから、台湾問題についてアメリカがそういう態度を法律に従ってやった場合に、日本はどうなんだ。それは日本立場からいえばいわゆる周辺事態ではないんだということを言い切れるか、いやそれはわからぬと言うのか、あるいはやはりそれは周辺事態だと言うのか。そこのところを聞いているのですよ。
  312. 小渕恵三

    ○小渕国務大臣 そもそも法律が存在いたしておることは承知をいたしておりますが、我が国といたしましては、申し上げましたように、周辺事態というものにつきましては、これはその事態の態様、規模等を総合的に判断いたしまして、我が国として判断をするものでございます。
  313. 東中光雄

    東中委員 そうすると、台湾でそういう事態が起こった場合も、その態様を見て、規模を見て、そして周辺事態だと判断することもあるということですね。
  314. 小渕恵三

    ○小渕国務大臣 仮定の問題についてお答えすることは差し控えます。
  315. 東中光雄

    東中委員 仮定の問題じゃないです、現実にそうなっているんだから。だって、ガイドラインというのは全部そういう意味では仮定の問題でしょう。周辺事態が起こった場合という周辺事態というのはまだ起こっていないんだから。起こった場合にこういう支援をするとかと書いているのですよ。今現実に台湾の法律があるということを認めている。そういう事態が起こった場合に、その規模とか態様とか、そういうものを総合的に判断して、周辺事態であるということを認定する場合もある、認定しない場合もある。  しかし、台湾問題についていえば、中国の内政問題だから、アメリカがどういう態度をとろうと、日本はそれは周辺事態とは考えないということをはっきりと言わないというところが一番中心問題なんです。そこのところを私は聞いているのです、それを言えないのですかと。  周辺事態とは内政問題に対するアメリカの軍事的干渉になるんだ、だからそういうものは日本の周辺事態というふうに見るわけにはいかぬということを、外務大臣なり総理大臣なりがちゃんとここで言えるのか言えないのか。それは言えない、そのときになったらその規模なんかを見て判断するんだ、こういうことですかということを聞いているのです。
  316. 小渕恵三

    ○小渕国務大臣 少し長くなりますけれども、いつも申し上げているとおりに、台湾につきましての我が国の態度は、基本的な立場は、日中共同声明において表明されておるとおり、中華人民共和国政府が中国唯一の合法政府であることを認識した上で、台湾が中華人民共和国の領土の不可分の一部であるとの中華人民共和国政府立場を十分理解し尊重するというものであり、我が国としては、中国政府が台湾をめぐる問題は中国人同士の問題として平和的解決を目指していると承知をいたしております。  いずれにしても、我が国としては、台湾をめぐる問題が当事者間で話し合いにより平和的に解決することを強く希望いたしておるわけでございまして、そうした中国、台湾との関係につきましては、我が国政府としては、基本的にそういう態度でこの対応をするということでございます。
  317. 東中光雄

    東中委員 だから、そういうことを希望しているという、そういう態度だなと。では、アメリカは一般的にはそういうふうに言っておりながら実際には法律をつくってそういう体制をとっている、そのアメリカが法律に従って行動を起こした場合に、日本はどうするのかということを聞いているのですから。そうでしょう。希望しておるけれどもそうでない方向へアメリカが行く、法律でそうなっておるのだから。  そうした場合に、日本のすぐそばですからね、日本は今あなたが言われたような態度をとっておるけれども、しかし、とっても、アメリカがそういう法律に従って行動を起こした場合に、日本はどうするんだ。それはもう日本は、日本の希望している態度と違う方向へ行くんだから、アメリカの行為は軍事干渉になるんだから、だから、日本としてはいわゆるガイドラインに言う周辺事態とは考えない、そこから排除するということを言うか言わぬかということが今政府の決めなきゃいかぬ態度なんですよ。  それを聞いているのですから、それに対して答えないで、そんな抽象的なことを言ったってだめじゃないですか。総理、どうです。
  318. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 私は、外務大臣は随分丁寧に我が国の姿勢を明言されたと思います。     〔伊藤(公)委員長代理退席、委員長着席〕
  319. 東中光雄

    東中委員 台湾問題というのは、単に仮定の問題だとかなんとかいう問題じゃないわけですね。というのは、防衛庁でこういうものを出していますよ。  防衛研究所発行の「東アジア戦略概観」九六—九七というのがあるのですね。これによりますと、九六年の台湾海峡危機について、「一九九六年三月に台湾で行われた「総統」直接選挙と、選挙中に中国が行ったミサイル軍事演習は、冷戦後の東アジアで武力衝突の起きる可能性が存在していることを明らかにした。また、中台関係の展開如何によっては、米国と中国が軍事的に対決する可能性があることも実証した。」「米国は中国との直接的な武力衝突は慎重に避けたが、台湾海峡危機に対して二個空母戦闘群を派遣して台湾の民主化プロセスを支えたことにより、台湾問題に関して今まで以上にコミットすることになった。」こういうふうに書いているのです。  これは防衛研究所発行の東アジア概観であります。だから、仮定の問題でも何でもないのですよ。そういう状態の中で、アメリカはそういう法律を持ってやっている。  それに対して日本は、アメリカがそういうことで武力行使をやったとしても、日本の中国に対する、あるいは日中共同声明からいってそれは断じて周辺事態とは認められないということを言わないということは、私は、周辺事態と認める場合があり得る、その場合は日本がガイドラインによってそれを支援するということになるので、これは許されないことだということを申し上げておきたいと思います。  時間がありませんので質問しようと思ったことを言えなくなりましたが、最後に一点だけ。  沖縄の基地問題について、普天間基地は住宅密集地のど真ん中にあり、一刻も放置できない危険な普天間基地の返還という沖縄県民の要求に対して、政府は、普天間基地返還の条件として、名護市辺野古沖に最新式の海上ヘリ基地を建設するというSACOの最終合意を推進してきました。総理は、初めから、地元を頭越しにすることはしない、それから、地元の意向を尊重するということを繰り返してこられたわけであります。  それについて、この間の昨年十二月の名護市民投票では、海上基地建設については、もう申し上げるまでもありませんが、反対が五三%弱であります。賛成は八%ですよ。それで、条件つき賛成というのは、まあ随分ひどい防衛庁のこういう利益誘導みたいなことをいっぱい出しました、体育館もつくる、プールもつくる、何やらをつくるということで、それは結構だというのがわずかに三七%。だから、圧倒的多数は反対だということを言っている。  大田知事は、住民投票の結果を受けて、県内各団体、町村長など県内意見を集約して、二月六日、海上基地建設受け入れ拒否を表明した。  ですから、大田知事個人ではないのです。県としてそれを組織的に言った。それから、当選した名護の市長も選挙中に、知事の言うことに従うと。当選後も……
  320. 越智通雄

    越智委員長 質問時間が終了いたしておりますので。
  321. 東中光雄

    東中委員 はい、終わります。だからそういう点では、なお基地提供をやかましく言うというのは、これは公約にも反するし、許されぬ。むしろ普天間返還のために海兵隊の縮小ということをこそ要求すべきだと思いますので、その点を総理に申し上げて、質問を終わりたいと思います。
  322. 越智通雄

    越智委員長 東中委員に申し上げます。質疑時間が既に終了いたしております。
  323. 東中光雄

    東中委員 先ほどの乱暴な公聴会の採決がありましたが、私たちは断じて認められない。全会一致の民主的運営を要求します。理事会を直ちに開催することを委員長に求めまして、終わります。
  324. 越智通雄

    越智委員長 これにて東中君の質疑は終了いたしました。  総括質疑を続行いたします。  質疑の申し出がありますので、次に、北沢清功君。
  325. 北沢清功

    ○北沢委員 私はきょうは総括質問の最後をするわけでございますが、野党の皆さんが審議拒否をされて退席されるということは、極めて私は遺憾であるということをまず申し上げておきます。  私は、きょうの質問は、農水大臣が海外へもう本当にあとわずかの時間で出発しなければ間に合わないということで、上原委員と交代いたしまして、先に申し述べたいというふうに思っております。  農業問題は、実は今回の総括質問を通じてほとんど出されなかったわけでございまして、やはり、日本国民また地域の中では、非常に広範な中に農業にかかわる皆さんが大変おります。だから、そのこともやはり触れることが大事であるし、今日の農業事情を見るときに、米の過剰もさることながら、食糧という観点やまた地域という観点、それから日本の伝統的な文化という観点から、これは極めて大切なことでございます。そんなことで、あえて私は農業問題に絞りまして御質問を申し上げたいと思います。  実は、農水大臣、今夜これからパリへ立たれるわけでございますが、OECDの農業大臣会議及び五カ国の農相会議で御出発と聞いておりまして、大変御苦労さまであるというふうに私は申し上げたいと思います。  これらの国際会議は今後の国際的な農政論議を進めていく上で大変重要な会議でありますし、また、特にWTOの再交渉というものを控えて、いわゆる日本の農業のあり方や日本のこれからの社会を規定する上において大変だろうというふうに私は思っております。特に、輸入国を代表して副議長をされるということでございますので、ぜひ我々の主張を十二分にひとつ反映をしていただきたい。  意見交換をするわけでございますが、特に大臣はこの会議をどのように受けとめておられるか、そして輸入国としての我が国の主張を行うチャンスであると考えるわけですが、会議に臨む大臣の決意についてお尋ねをいたしたいと思います。
  326. 島村宜伸

    ○島村国務大臣 お答え申し上げます。  お答え申し上げる前に、北沢、上原両委員におかれましては、私の出張に際しまして特別の御理解をいただき、御配慮をいただきまして、感謝申し上げたいと思います。  本日、皆様の御理解を得まして、OECDの農業大臣会合また五カ国農相会議に出席させていただくわけでありますが、OECD農業大臣会合は、加盟二十九カ国及びEUの農業大臣が一堂に会して、各国のこれまでの農政の取り組みを踏まえ、今後の農政の展開方向について意見交換を行うものであります。また、五カ国農相会議は、我が国のほか、米国、EU、カナダ、オーストラリアの主要五カ国の農業大臣の間で、農業について抱える幅広い話題について、率直な意見交換を行うものであります。  両会議は、農業をめぐる今後の国際的な議論を方向づける重要な会議であると認識しており、積極的にその議論に参加し、我が国の立場あるいは我が国農業の特殊性について強く主張してまいりたい、そう考えているところであります。
  327. 北沢清功

    ○北沢委員 ひとつ頑張ってお願いしたいと思いますが、私ども社会民主党も、党としてまとめました四項目で、この私の質問直後、農林大臣に申し入れを行うということでございますので、ぜひ飛行機の中でお目通しをいただいて、私たちの意見も反映すべく頑張っていただきたいということを特にお願いを申し上げたいと思います。  私は、やはり考えなければならないことは、これからの世界の人口の推移ということをよく見ていかなければいけないと思いますが、発展途上国を中心に確実に増加をしております。国連の経済社会問題局の発表によりますと、長期予測でも、現在五十七億人の世界人口でございますが、五十年後には九十四億人、それから百年後の二一〇〇年には百四億人、つまり、今後百年の間に現在の二倍になるというふうに実は予測をされております。  こういう事態に加えて、地球温暖化などが加わりまして、既にエルニーニョ現象とか異常気象が頻発をしております。昨年、つくば市の農水省農業環境研究所は、温暖化を踏まえて、稲など主要穀物栽培に適した土地の関係などについて予測を出しておるそうですが、その内容と、これに対する農水省としての見解をまずお聞かせをいただきたいと思います。
  328. 島村宜伸

    ○島村国務大臣 先生ただいま御指摘になりましたように、世界人口はまさに急速に増大を続けておりまして、数字につきましては、今るる御指摘があったとおりであります。一九五〇年がたしか二十五億と記憶をいたしますから、今先生のお話しになった数字にはめてみますと、大変な勢いで人口が増加しているということが指摘できると思います。そしてその中には、当然のことのように、今飢餓人口がふえ続けておりますが、現時点でも八億四千万、そういうふうに言われておりますので、将来に向かっての食糧の供給というものについては、相当我々は将来的な視野でこの問題に取り組まなければいけない、こう考えておるところであります。  また、ただいま御質問のありました、農林水産省農業環境技術研究所が地球の温暖化と穀物栽培適地との関係を予測したところによりますと、二酸化炭素の増加に対してこのまま何ら対策を講じないのであれば、気温の上昇により主要穀物の栽培に適した気象条件の地域が北上し、栽培適地が大幅に減少すると予測しております。  農林水産省といたしましては、今後の地球温暖化の進行は世界の食糧需給を逼迫させる要因の一つであると考えており、まず第一に、二酸化炭素の排出削減に取り組むほか、第二点として、このような長期的な気候変動が作物生産に与える影響を回避するため、品種改良等の技術開発を積極的に推進することが重要である、こう認識いたしております。
  329. 北沢清功

    ○北沢委員 いずれにしても、大変なことだろうというふうに私は思っております。  次に、我が国の食糧の自給率の推移はどうなっているか。また、輸入食糧の現状ですね。これは米ばかりではなくて、あらゆる食糧であります。  特に、世界の穀物需給の予測というものが実はありまして、年間、先進国の一人平均の穀物消費量というのは、二〇〇〇年、ですから二年後には一人六百七十二キロ、それから発展途上国では二百四十二キロということで非常に低いわけでありますが、二倍の開きがございます。この場合、我が国の輸入農産物は維持できるかどうかということについても心配されるところでございますが、農水省はその点についてはいかがお考えでしょうか。
  330. 島村宜伸

    ○島村国務大臣 我が国の食糧自給率についての御質問であります。  御承知のように、お米の消費は年々減少の一途をたどっておりますが、その一方で、輸入飼料に頼らざるを得ない畜産物や、輸入原料に頼らざるを得ない油脂の消費が増加するなど、国民の食生活は大きく変化をしております。この結果、現在の豊かな食生活が実現した反面、農地が狭くて平たんでない我が国の農業生産だけでは対応が困難となったことなどから、農産物の輸入が増大し、食糧の自給率は、たしか昭和四十年当時は約七〇%と記憶をいたしますが、現在では、カロリー換算で四二%、穀物自給率では二九%、実に三割を割っているところでございます。
  331. 北沢清功

    ○北沢委員 この実情というものは恐らく世界の先進国では最低だろう、そういうものだろうというふうに思いますし、また各国は、自分の食糧は自分で何としてもやっていかないと、安全保障といいますか、そういう面も含めてそういう政策が実はとられております。  こうした状況の中で、国が安定して食糧を供給、確保するということは、やはり国の基本ではないか。環境ホルモンであるとか遺伝子組み換え食品、輸入穀物や果物、野菜等までに、その中身は農薬漬けも問題になっておりますね。そのことが、がんになる割合が非常にふえているのではないかというふうに言われて、さまざまな影響がございます。食に対する不安というものが急速に広まっておりますね。こうした不安をなくすることが大事でございまして、その意味で、国内の耕作可能な食糧生産や、また、その可能な地域というものは大切に守っていかなければだめだと思います。  その点においても緊急な対策が迫られていると思いますし、特に、山合いの条件の不利な地域の農業の将来という対策は大事だろうと思います。一たん荒廃をするということになると、もとに戻すことは不可能なのですね。経済効率だけではなく、公益上という考えや、ヨーロッパの先進国では既に導入されておりますけれども、直接所得補償制度もお考えになるべきだろうというふうに考えますが、これらの問題を含めて、農水大臣はいかがお考えであるか、お答えをいただきたいと思います。
  332. 島村宜伸

    ○島村国務大臣 先生は農政の専門家でいらっしゃいますから釈迦に説法になりますが、中山間地域は、農家戸数、耕地面積、農業粗生産額で約四割を占めております。これらの地域の農業の振興は、緊急かつ重要な課題であることは改めて申すまでもありません。  このため、平成十年度予算におきましても、採択要件の緩和あるいは農家負担の軽減等に配慮した中山間地域における総合的な基盤整備事業の実施に大きく踏み込んだところでございまして、また、新たに創設する基盤整備を促進する事業を活用したきめ細かい整備の機動的な推進もこれにつけ加えております。さらには、棚田地域のいわば保全対策等を行うことといたしております。また、中山間地域の農産物の販売促進と農業者の定住を確保するため、農産物の処理加工施設の整備、あるいは生活環境を整備するための集落排水施設、農道、情報通信施設の整備等を推進することといたしております。今後ともこれらの施策の充実を図り、中山間地域の活性化に努めてまいりたいと考えております。  なお、今回私が行かせていただきます両会議におきましては、我が国の農業のいわば多面的な機能というものがまだまだ十分理解されているようには思いません。実は本年一月に、これもその前段としてヨーロッパへ出向きまして、アメリカ、イギリスを初め、EUあるいはOECDの要路の人たちともいろいろ話し合いをしたところでございます。  何といっても、我が国の農業は特殊でありまして、いわば本当に急峻な山合いを利用しての農業とか、あるいは一戸当たりの大変に規模の小さな農業であるとか、そして同時に農業が果たすまさに多面的な機能、公益的な機能については、説明をするたびに向こうは盛んにメモをとって、会議がやたらに延びたという経験もあるところでございまして、これらも十分踏まえて努力をしたいと思いますし、また、きょうは御党からも要望書をいただきましたので、これらの御趣旨が十分生きるように最善を尽くしてまいりたいと考えております。
  333. 北沢清功

    ○北沢委員 昨年の八月に国土庁の調査によりまして、山合いの中山間地域では、高齢化などもありますが、今後十年間に約五百の集落が無人化をする、そういうふうに実はなるというふうに思いますし、また、そういうおそれのあるところも二千集落だというふうに結果が出ています。私の地元の長野でも八十集落にも達すると。  このような中で、これは単に食糧問題だけではなくて、景観だとか環境だとか伝統芸能の衰退など影響が非常に多方面にわたります。まさに死んだ村と化するわけでありますから、こうした地域の将来に当たって総合的な施策をお考えになるということが非常に大事だろうと思います。  私は、自治大臣に、実は今回非常に評価をしてお礼を申し上げなければいけないのですが、二千百億円の金を、国土の保全という意味で非常に幅広いメニュー方式というものがとられて、これは私は非常に有効な手段であるというふうに思いますが、これらの将来における拡大を含めて総理大臣にお考えをいただきたいと思いますが、よろしくお願いをいたしたいと思います。
  334. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 これは型どおりに御答弁を申し上げるのも失礼だと思いますが、今の議員の御発言を要約していけば中山間地域をいかに振興していくかということになろうと思います。そしてその場合に、先般終了いたしました長野の冬季オリンピック、開会式の最初が御柱祭で始まり、そして、みのかさを子供たちあるいは参加する人々の中につける人があり、そしてまた、わらぐつをはき、わらで編んだ雪ぐつをはき、まさにあれが日本の伝統を象徴するものでありました。  そして、そうしたものを維持しようとした場合に、これは間違いなく我が国にとって、食糧自給率の維持のためにも、あるいは国土、自然環境の保全のためにも、また余暇のための空間を提供するためにも、重要な役割をしているわけですけれども、生産と定住条件に恵まれていないということに問題は集約されるかと思います。  そうなりますと、これはどうしてもやはり、振興を考えたとき、基幹産業である農業そのものを振興することを考えなければなりません。同時に、その住民の所得の確保のために就労機会をいかに拡大をするか、また、都市に比べて立ちおくれております生活基盤整備をどう行うか、こうしたことが重要であると思いますし、私は、関係省庁一体となってこうした視点から施策の充実と効率的な推進に努めてまいりたいと思いますし、そのためのまた御協力をもぜひお与えをいただきたいと存じます。
  335. 北沢清功

    ○北沢委員 よろしくお願いいたしたいと思います。  最後に、私ども農村の発言というものが、何か最近肩身の狭い思いをするという方もございます。合理主義をスローガンに、農業は国際競争に勝てないという中での切り捨てだとか、機械と効率の工業技術がもたらした利便性と引きかえにということから見ると、やはりいろいろ最近農村に再び関心が集まるといういい傾向がございますし、また、子供たちの教育上からも、大自然に接して豊かな感性を育てるという意味では、今の日本の教育の現状から見ても大切であろう。そこをひとつ大いに考えていただいて、地域で生きる人がいるのですから、生きる人は生かしてもらいたい、私はそう思います。  今や五割減反に近いわけですから、五割は失業するということなんです。実際に、希望を持って農地を買って拡大しても、五割がなくて、生きるはずがないんだ、そこだけはひとつ私は訴えておきたいと思います。  以上で終わります。
  336. 越智通雄

    越智委員長 これにて北沢君の質疑は終了いたしました。  次に、上原康助君。
  337. 上原康助

    ○上原委員 本論に入る前に、この事態について一言、社民党の立場を申し上げておきますが、実は、公聴会の日程につきましては、これまで理事会で再三再四議論をしてまいりました。私もその都度出席をさせていただいておりますので。  自民党、三与党としては、先週金曜日、二十七日にでも公聴会日程、日取りを決めてもらいたいということを強く提案をし、野党の方々から、総括が済むまでとは言いませんでしたが、当初は月曜段階と言って、月曜日になったら火曜日ということになりまして、なかなか日程調整がうまくいきませんでした。そういういきさつもありまして委員長は御裁断なさったと思います。しかも、御自分の党の質問は終えて、社民党だけが残ったらやめましょうということは、いささか社民党としても不本意でありますので、その点は申し上げておきたいと思います。  これから先もまだまだ予算委員会、続きますので、委員長を初め与党の理事さん方が、野党の御意向も受け、取り入れられるところは取り入れて、一日も早く正常化に戻していただくことを要望申し上げて、質問に入りたいと思います。  一応きょうで総括は終わることになりますが、どういうわけか私がどんじりになりました。できるだけ持ち時間の範囲で終えたいと思います。  若干質問の順序を変えて、まず福祉問題からお尋ねをさせていただきたいと思うのですが、質問通告してございますので御案内と思いますが、昨年の十二月二日、参議院の厚生委員会で我が党の清水澄子委員質問に対して、ホームヘルパーなど介護サービスの担い手となる人材を確保するために福祉職俸給表が必要という趣旨の御発言がございました。これは総理の方からそういう御発言がありました。  既に全国社会福祉協議会など関係団体も、平成三年に、福祉従事者確保に関する緊急提言を行って、その中で、国における福祉職俸給表の創設について強く御要請をしておられるわけであります。また、最近は、より幅広い福祉団体でそういう御要望が強いということもおわかりかと思います。  そこで、厚生大臣にまずお尋ねいたしますが、およそ百万人と見られる社会福祉従事者の給与水準と社会的地位の改善のために、私は、総理が御提言というか、そういう所見をお述べになった内容は、本当に必要不可欠だと認識をしている一人であります。厚生大臣は、これを真剣に受けとめていただいていろいろ御検討なさっておると思うのですが、今後の、現在の取り組み、あるいは今私が指摘をしたような事柄について、どういう御認識で改善策を進めていかれようとするのか、御所見を賜りたいと存じます。
  338. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 この問題に関しましては、かねてより総理も非常に熱心に取り組んでこられたと思います。  現在、厚生省としても、これから福祉の分野で働く方々に対して、一般職員と同様に行政職俸給表が適用されておりますが、その専門性にかんがみまして、業務の実態に見合った適正な給与体系を確立するとともに、その仕事に対する社会的評価を高めるために、福祉職俸給表を創設する必要があると考えております。  従来から、人事院に対し福祉職俸給表の創設を要望してきたところでありますが、今後とも、その実現に向け、人事院初め関係省庁と話し合いを進めていきたいと思っております。
  339. 上原康助

    ○上原委員 今、前向きといいますか積極的に、福祉職俸給表の設定をしたい、創設をしたいという御発言ですが、人事院総裁もおいでいただきましたが、これは人事院及び大蔵省との調整が必要かと思うのですね。あるいはまた、地方公務員への影響という点で自治省の関与も必要かと存じます。  仄聞するところによりますと、既に非公式な折衝が重ねられておると理解をいたしておりますが、人事院総裁大蔵大臣自治大臣のそれぞれのお立場で、簡潔にお考えをお聞かせ願いたいと存じます。
  340. 中島忠能

    ○中島政府委員 この問題につきましては、その政策的必要性というものは認識した上で、この新設を視野に置いて、現在、大蔵省、自治省、そして厚生省、私たち、この四者で問題点を詰めておるところでございます。
  341. 松永光

    ○松永国務大臣 お答えを申し上げます。  福祉職俸給表については、福祉の分野で働く方々の業務の実態に見合った適切な給与体系を確立することが必要であるという観点から、関係省庁とも協力して検討を進めたいと考えております。  一方、現在福祉の現場で働いていらっしゃる方々の処遇の実態や、今後の高齢化の進展に伴い福祉の分野でも一層の効率化が求められるということ、また、介護保険の施行後は現在の措置費が介護報酬により支払われるようになること等も念頭に置きつつ、財政面への影響を含め、慎重に検討を進めていく必要があるとも考えておるわけであります。
  342. 上杉光弘

    ○上杉国務大臣 お答えいたします。  本格的な少子・高齢社会を迎えるに当たりまして、福祉の担い手となる人材を確保すること、専門職としての福祉職員に対する処遇の向上を図ることは、大変大切なことであると認識いたしております。  御指摘の福祉職俸給表の対象となる職員についてでございますが、そのかなりが地方公共団体の施設に勤務している職員でございまして、地方公共団体の行財政運営との関連も含めまして、今後、関係省庁と十分連携をいたしまして取り組んでまいりたいと考えております。
  343. 上原康助

    ○上原委員 初めて私の質問に対して各大臣から中身のある答弁があった気がしたので、終わりにしますが、要望もあります、これだけに時間をとるわけにいきませんが。  協議をなさいながら調整をしていく過程で、当然、人事院も、あるいは厚生省も自治省もおやりになると思うのですが、全国社会福祉協議会や関係労働団体等の御意向もぜひ御参考にするようにしていただきたいということ。これについては厚生大臣から。  そもそも福祉職俸給表というのは、橋本総理大臣の思い入れでこういうことが積極的に検討をされたと聞いておりますので、まとめて総理大臣の方からも、ぜひその実現に向けて一層関係各大臣に御助言といいますか、御指示を願いたいと存じます。
  344. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 福祉職俸給表につきましては、人事院あるいは関係省庁と相談するのは当然でありますが、今御指摘のように、全国社会福祉協議会や関係労働団体、さらに福祉に従事する方々との意見交換を進めながら検討していきたいと思います。
  345. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 随分前から福祉職の給与表をつくりたいと夢見てきました。そして、専門性の高い職種にふさわしい、ある程度初任給が高い、なだらかな俸給表の姿が望ましいなどと勝手に自分で頭に描いておりました。しかし、世の中、なかなかそれを取り上げていただけず、いたずらに時間が立ちましたが、今、関係閣僚、そして人事院総裁から、あれだけ積極的な意思を表明されるようになったことを感慨深く聞いております。ぜひとも専門職にふさわしい福祉職給与表が生まれますように、私もできる限り力を尽くしていきたいと思います。
  346. 上原康助

    ○上原委員 ぜひひとつ、早目に実現をさせていただいて、関係者の期待にこたえていただきたいと御要望申し上げておきます。  次の質問に対しても、中身のある答弁を期待したいわけであります。  私は、まだ風邪が抜けないのですが、この間は余り考え過ぎて、やりとりがなかなかうまくいきませんでした。きょうは、さらりといきますので、総理もさらりとお答えください。経過報告は、よくお互いに知っておりますから。  そこで、まず海上ヘリ基地問題からいきますと、総理は、政府は、SACOの最終決定が現時点ではとり得る最善の選択肢だと。これは変わらない。しかし、沖縄県知事は、沖縄県は、海上案は明確に拒否を今のところしているわけですね。名護市の市長さんも、若干ニュアンスは違うけれども、またこれがもとに戻って、名護市に落とされるというか持ち込まれることはもう勘弁してくれという、非常にクールな立場で見ておられる。そうしますと、総理、双方がこれまでの主張に固執する限り、私は、普天間基地返還というのは困難になる可能性が強いと思うのですね。  そこで、率直に申し上げて、今実務者会談を先行させてやろうという話し合いも沖縄県となされているようでありますが、双方がそれぞれの主張に固執している限りは接点は求められない。日にちはどんどん経過している。この四月が参りますと、二カ年を経過しますよね。とてもじゃないが、五年、七年でできる代物じゃない。  総理としては、どのような解決策というものをお考えになるのか。原則論でいってできない場合はもうやむを得ないという立場をおとりになるのか。あるいは、大田知事との会談はいつでも応じていいというお立場をとっておられるわけですが、会談することによって、果たして双方の理解と協力が得られる内容が得られる可能性というのを政府としてはお持ちなのか。あるいは、総理の本心としてはどういうふうにこの問題の打開策をお考えになろうとするのか。そこいらを今国民も、沖縄県はより知りたいと私は思うのですね。  そういう、今後どうなさるかということについて、ぜひお聞かせを願いたいと存じます。
  347. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 まさか私、議員、話し合ってもむだだよとおっしゃりたいのではないと思うのです。  私は本当に、今までの経緯を長々と繰り返すつもりもありません。そして、先月二十七日、岡本補佐官が沖縄県を訪問いたしました際、大田知事との会談の中で、先月六日の拒否声明の後、初めて大田知事の方から国に対して早目の会談という御要望が寄せられました。  私は、当然のことながら双方の日程の調整がつき次第お会いをし、御意見を伺いたいと考えておりますし、その前段階で知事が国の実務者レベルの人々と真剣な議論の時間を持ちたい、これは大変強い御要望として私の方に伝わってまいりました。それは、双方の持っております情報を突き合わせ、今後どういう議論をしていこうとする場合でありましても大事なことだと思いますので、そうした協議の場というものは大事であり、議論が必要だと思っておりますから、これを早期に実現するよう事務方に指示したところです。  私自身申し上げたいこと、それは、一日も早く市街地の中にある普天間の基地の危険な状況を除去してほしい、周辺住民の不安を解消してほしいと言われた知事の声にこたえるべく自分なりに全力を尽くしてきたつもりでありますし、また関係者も全力を尽くしてくれたと思っております。その思いを受けとめていただきたいと心から願います。
  348. 上原康助

    ○上原委員 私は、もちろん一国の総理大臣と一地方の県知事がお話し合いをするというチャンスは何回あっても結構ですし、それは重要であり、必要だということはよくわかるわけで、理解をしている一人なのですよね。  しかし、これまで十七回、あるいはそれ以上かもしれませんが、やっても、展望がなくなりつつあること自体については、周辺、周囲は大変懸念を持っているわけですから、その打開策は事務レベル会議を持てば何かいい知恵が出てくる見通しを立てての上なのか、そこを知りたいわけですよね。話し合いだけで果たして、私は、沖縄県側の、知事の海上ヘリ基地結構という翻意というものは、なかなか、これまでの経過あるいは今の県内状況からして、出てくる可能性は少ないと思うのですよね。その点を私なりに懸念をするから申し上げておるわけです。  そこで、それは実権を握っておられる方々がお話し合いをしなければ進まないわけですから、大いにその点はやっていただきたいと思うのです。  もう一つここでお聞きしておきたいことは、これまでも、海上ヘリ基地というものは、海上ヘリポートは、総理も何回か強く指摘をしておられますが、いわゆる役割が終わったら、米軍が撤退するときは撤去可能なんだ、移設可能なんだからこれがいいんだということをおっしゃっておりますよね。それは、理論的にはそうかもしれません。しかし、それにどれだけのコストがかかるかというようなことは一切触れていらっしゃらないわけですね。  それともう一つは、これは防衛庁長官もこの委員会の席でも、私も聞いた覚えがあるし、ほかの党からもあるいは質問があったのですが、この海上ヘリポート基地の、今政府がイメージしている規模のものを建設する場合に、どれだけのコストがかかるかということについては一切明らかにしていらっしゃらないわけです、政府は。そういうことについても、非常に県側も、多くの国民は不安と不信を持っておる。そういう点はどう説明していかれようとするのか。これは今の段階で言えるのですか、まだ言えないのですか。
  349. 久間章生

    ○久間国務大臣 これは、正直言いまして、その積算ができていないわけなんです。それで、よく数千億とかそういうオーダーでの話はございますけれども、何せ具体的に計画をきちっとしてやっていないものですから、それができていないというので、先生からもたびたび御指摘がございましたけれども、隠しているわけじゃなくて、まだ言えていない。とにかく、かかるというのは間違いなくかかるわけでございまして、普通の埋め立てと比べると高い。  しかし、それにもかかわらず、この方法がやはり沖縄の環境その他からいってもいい、しかも撤去可能だということでこれを追求してきた経緯がございますので、そういう点について、ひとつよろしくお願い申し上げます。
  350. 上原康助

    ○上原委員 総理のおっしゃる、撤去可能なんだと。それは理論的にはそうでしょう、くい打ち桟橋方式ですか、そういうQIPの工法をまずとるとして。撤去可能ということは、具体的に、総理がおっしゃろうとしている点をもう少しわかりやすく御説明いただけますか。
  351. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 これは私が御説明するのがふさわしいかどうかわかりませんけれども、御承知のように、海上に基地を建設するという議論に行き着くまでにいろいろなプロセスがございました。それは、既存の基地を利用する案、あるいは新たな土地造成、すなわち埋め立てを工夫する案、いろいろな案がございましたけれども、この海上に移設可能な、言いかえれば撤去可能な基地をつくるといいましたときに、幾つかの工法がその例として考えられました。  そして、それぞれの工法を日米両政府関係者は比較検討いたしましたが、比較考量の結果、二つほどの工法にそれは絞られ、そこから先は、逆にそれが、予測される海の、海底の形状、潮流の状況等々によってどちらが適しているかということまでが技術的な検討の中で論じられておったと私は承知をいたしております。  その後、その海上へリポートというものを想定をいたしました中から、名護の沖合に複数の候補地を調査をさせていただきたい、海面の占使用のお願いをし、調査をいたして、その報告書がまとまりました。  ただ、それでよいということになれば、今度は技術的にその費用の検討とか具体的な工事上の問題点の検討に入るわけでありますけれども、その前段階でとまっている状況でありますので、必ずしも議員の御質問に正確に答えるものはないように思います。もしありますなら、事務当局から補足をさせますが。
  352. 上原康助

    ○上原委員 後で私の方から聞きますから。  そこで、私は、やはり普天間飛行場返還、普天間基地返還というのが余りにも政治先行で進められてきたがゆえに、十分な県側との意思疎通、まあおやりにはなっていると思うのですが、どういう形で県内移設をするのか、あるいはどういうタイプのを、県内につくるという場合はやるのか、そこがないままに大変大々的にその普天間全面返還ということが報じられたがゆえに、二カ年たってみると、ちょうど核抜き、本土並みというような政治宣伝が先になって今日の事態を招いている、その感を強くするから申し上げているわけです。  本来ならば、A案、B案、C案があれば、A案の場合はどれだけコストがかかり、どれだけのあれがあるということをきちっと日米間で示して、地域や県民や国民に判断材料を与えるのが私はあるべき手法だと思うんですね。それが今までにないということが、より問題を複雑にしているという点を指摘しておきます。しかし、アメリカ側はちゃんとそういう計算を既にしているんですよ、これはおわかりかと思うんですが。  そこで、運輸大臣にちょっとお尋ねしたいわけですが、一般論で結構ですが、民間空港、滑走路二千メーター規模の飛行場を建設するにはどれくらいのコストがかかるんですか。飛行場というのは、陸地につくるか、あるいは海岸とかそういう面を埋め立てするか、どっちかなんですよね。一般論でいいですから、どのくらいの費用でできるのか。
  353. 藤井孝男

    藤井国務大臣 お答えいたします。  空港の整備に要するコストは、先生御承知のとおり、空港の立地条件や用地費によって大きく異なるので、一般的とおっしゃられましたが、なかなか金額を示すことは困難でありますけれども、最近の例で申し上げますと、二千メートルの滑走路を持つ新設空港の場合、空港本体の事業費で約三百億円程度と見ております。
  354. 上原康助

    ○上原委員 私も、例えば沖縄ですと宮古空港とか久米島空港、最近拡張して二千メーター滑走路ができた、いろいろ聞きました。また、本土でできた飛行場についても相当調べてみた。飛行場本体は大体三百億、地上施設を入れてもそれプラス百五十億あるいは二百億、五百億もあれば近代的空港ができるというのが一般相場なんですよね。  だが、これまで言われている海上ヘリポートというものは、数百億の単位じゃないと、億というのは一億から十億、何といってもいわゆる三けた以上ですね、何千億かかるかわからない、あるいは場合によっては一兆円かもしらない。  そういうコスト面から考えても、同時に、危険な状態にある普天間の返還というのが原点にあって、そのためにどういう移し方をするのか、どういう合意形成ができるのかというこの基本に返っていただいて、もう一度総理なり、外務大臣もこれは重要な役割があるんですよ。今、振興策についてもすべて官邸主導になっていますからね、後でちょっと述べますが。やっていただかないと、この問題、前進しないのじゃないか。  きょうの朝日新聞にも出ておりますね。後藤田さんの、御意見番「後藤田正晴の目」というのにある。これは、一々は言いませんが、「県内移設がネックになっている以上、また合意の前に県内自治体との調整が不十分であったことからみて、SACO合意は見直さざるを得ないだろう。このままだと普天間飛行場は、七四年に「返還」で合意しながら移設先が決まらず、そのまま四半世紀が過ぎた那覇軍港の二の舞いになる恐れが強い。」こういう指摘をぴしゃりとなさっているわけですね。  もう一つ大事な点は、これは私が常に申し上げていることなんだが、要するに、我が政府の対米姿勢の問題だと思うのですね。「これは、もとより事務方とくに外務官僚にゆだねられる話ではない。日米双方の首脳による政治解決以外に道はあるまい。 ところが政府の最近の対応をみると、安保共同宣言といい、新しい防衛協力指針(ガイドライン)の中身といい、冷戦後の平和と軍縮の方向とは逆に、局地問題を事由とする米国の世界戦略の一翼の中で対米軍事協力を強化する方向に向かいつつある。」こういう指摘があるわけです。まさにこのあたりは、私が今までも何回か指摘をしてきたことと同一線上にあると私は理解をしているわけですね。  ですから、こういうことじゃなくして、もう一度本当に、沖縄側の意向も酌みながらこの解決策というものはどうするのかということについて、総理大臣、今私が指摘をしたようなことを含めて、大変総理大臣としてはおつらいお立場かもしれませんが、そこをやってのけてこそ、私は、本当に日本総理として、あるいは今国際的なリーダーシップを発揮するという立場で、沖縄県民や国民の期待に沿うと思いますよ。御感想があれば聞かせてください。
  355. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 私は、今あえて感想を求められましたので申し上げたいと存じますが、今までも知事あるいは県と御相談をしながら物事を進めてまいりましたという一言とともに、やはり誠心誠意、県ともお話をこれからもさせていただきたいと申し上げるにとどめたいと存じます。
  356. 上原康助

    ○上原委員 誠心誠意、ぜひお願いしたいわけですが、そういたしますと、まだちょっと結びは早いのですが、県側も、実務者会談というか実務者会議を先行させて、できるだけ早目に橋本総理大臣と大田知事の日程設定もお願いをしたいという立場、お気持ちのようですね。  そうしますと、あるいは私もこの間三つの提言をいたしましたが、そっけない御返答でしたが、今の後藤田元副総理の御指摘などなど、こういうことは国民も県民も読むのです。今はインターネットで、政治家だけが読むのではなくして、むしろ一般の読者が広く読むわけだから、何だ、こういう方法もあるんじゃないか、ああいう方法もあるんじゃないかと、我々よりも情報は豊富に持っている面もあるわけです。  そういう面で、県側から新たな問題提起とか、あるいはこういう解決策ならどうだろうかというような、柔軟なといいますか、対案的なものが出された場合は、国としてはそれを率直に受けて御検討なさるという、そういうお立場と理解してよろしいかどうか。
  357. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 どのように申し上げたらわかっていただけるのでしょう。実務の中心的な人間たちと話したいということを知事の方から御要請がありましたから、十分知事の御要請にたえ得るだけの知識を持ち、またこの問題の解決のために骨身を削ってきた諸君を送ろうと考えております。  そして、私は、その話し合いは真剣なものとして、少なくとも、指示いたしました官僚の諸君は真剣にその席に臨んでくれる、十分時間をかけてお話し合いをすると存じております。その中で、よりよい、実現可能性のある解決策というもの、夢のような話では困ります、実現の可能性のあるお話が出てくれば、彼らはそれを受けとめて、私に取り次ぐことに何らためらいはないと思います。  しかし、同時に、今日まで少なくとも官僚として全力を尽くしてきた諸君でありますから、彼らの持っておりますデータも十分に県側にもお聞きをいただきたいと存じます。彼らに、県側の御意見も十分に承り、実現可能性のあるものあるいはそうでないもの、きちんと整理をして議論するように指示をいたします。
  358. 上原康助

    ○上原委員 もちろん接点は、仮に合意形成の方法があるとすれば、それは政府のお立場は、日米安保の重要性、必要性というのはもう一貫して言っておられるわけで、すべてその範囲内ということになると難しいかもしれません。同時に、SACOの決定にしても、あるいはこれまで日米間で決まった沖縄米軍基地の取り扱いについては、それは政府間で決めたことであって沖縄県の意向というものは残念ながら反映されていない、その点も御留意を願いたいと思いますね。  そこで、アメリカの米連邦議会の会計検査局が、GAOが出した報告書がございます。これは今月出されたもので、私もきょう手に入れたのですが、この中には、アメリカは、もし海上基地が建設された場合のそのコストとか、あるいはその上につくる施設とか、あるいは維持費等について綿密に、綿密というか相当具体的に計算をして出しておるわけですよ。少なくとも建設費は四十億ドル、五千億円かかるという報告がある。  今アメリカ側が言っている懸念材料は、現在の普天間基地の維持費よりも海上基地にした場合にはより負担が高くなるんだ、アメリカ側が持ち出す維持費。日本側負担じゃないですよ。それも日本側が持てるのかどうかという議論さえもうアメリカ側はやっているんですよ、皆さん。それをみんな伏せてはいないはずなんだが、そういう情報は国会とか我々には提供せずに、まだ幾らかかるかわからないということだけでは、到底私はこの問題というのは、むしろこういうものが公にされることによってマスコミももっと取り上げるでしょうし、沖縄側も勉強するでしょうし、私は問題が大きくなる可能性があると思うのですね。  私の非常に貧弱な英語力で見ても、このページ八に記されてございます、いわゆる会計検査局が議会の関係委員会に答申する四項目がレコメンデーションとして触れられておりますけれども、こういうことを見ても、やはりもっと防衛庁も外務省もしっかり情報をつかんで、そういう内容についても国民にももっと知らせてこの海上基地問題というものをやっていただかないと、とてもじゃないがそう簡単にはいかないことですよ。  外務大臣、このことについて知っておられるかどうかということと、また、これはぜひ翻訳をして、私は、本委員会なり日本の国会にも提出すべき材料だと思うのですが、その点いかがですか。
  359. 小渕恵三

    ○小渕国務大臣 御指示がありましたので、私、本日その資料を拝見をいたしました。
  360. 上原康助

    ○上原委員 ですから、それを翻訳して、内容について明らかにいたしますね。
  361. 小渕恵三

    ○小渕国務大臣 資料として勉強させていただきます。
  362. 上原康助

    ○上原委員 きょうはもう遅い時間ですから終わりますが、振興策については、私はせんだっても割愛をしましたが、総理の、一言でよろしゅうございますから。  総理は、意地悪的な絡ませ方はしませんでしたと、大変私の脳裏にこびりついております、そのお言葉が。だが、私はあえて、与党という立場もあるし、また、お互い議員同士あるいは政党同士は時には感情が高ぶることもありますし対立することもあるから、どうのこうのとは言いませんけれども、要するに、沖縄にこれだけの基地の負担をかけて、しかもなかなか前進しないといいながら、振興策も、基地を認めるならやってあげるが、そうじゃないとおれは知らぬよというようなことの印象は私はよろしくないと思うのですね。総理がそう言ったわけじゃない。だけれども、少なくともそういう感じを、悪いイメージを持たせたことは間違いない、これまでの一月の末から二月にかけて。  ですから、ぜひ振興策については、これまで北部振興を含めて沖縄側と協議をして決まったことについて、あるいは計画しておられることについては、きちっと橋本内閣としてやっていただく。そして、総理が沖縄で十一月二十一日におっしゃった、この二十一世紀プランについてもできるだけ内容のあるものを明らかにしていく、こういうことをここで表明をしていただきたい。  むしろピンチはチャンスですよね。このときに政府が踏み込んでやることが、問題解決につながる糸口にもなるかもしれません。そういう面で、私は要望を含めて申し上げておきたいと思いますが、いかがでしょう。
  363. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 これ、何遍御答弁を申し上げたかなと思うのですけれども、私はこれを絡ませるつもりはないということは、国会の場でも、現地沖縄県の、それこそぶら下がり記者会見のときでも、随分繰り返してきました。  そして、沖縄の将来を考えるときに、米軍基地の整理、統合、縮小を図るだけでは済まない、これに対応して基地依存型の経済から自立型の経済へ移行させていく努力が不可欠だ、そしてこの両者が密接に関連した課題だというのが県の関係者の基本的なお考えでした。政府はこれを重く受けとめて、沖縄政策協議会を中心に、政府と県一体となって各般の振興策の検討にも、また事業の推進にも取り組んできました。  政府としては、今後ともに米軍基地の整理、統合、縮小の進展を踏まえながら、振興策についても国民の理解と協力を得ながら、最大限努力していこうと思っています。  その上で、大田知事が海上ヘリポート受け入れの拒否という声明をされましたことに伴いまして、県の国際都市形成構想、これ自体が基地問題の解決と地域振興を密接に関連する形で取り上げておられますだけに、これを今後どう取り扱っていくのかという問題があることは先日も申し上げました。いわば振興策を進める上での前提条件が大きく変化してきている、この点にも私は留意を願いたいと思うのであります。  いずれにいたしましても、プランの策定に当たりまして、今後ともに私は県とも協議をしたいと思いますし、県の考え方も十分今までも伺ってきました。これからも十分お伺いをし、具体的な策定時期も含めて、さらに検討を行いたいと思っております。
  364. 上原康助

    ○上原委員 もう終わりますが、総理のその決意といいますか、熱意をぜひ是として、私はまだ努力のしがいがあると考えている一人ですので、一層のお力添えを賜りたいと思います。  そこで、この二十一世紀プランについて、きょう触れる時間はありませんでしたが、ここに大臣が二十名もいらっしゃるんですからね。私は、やはり沖縄に一番今必要な基本的インフラは鉄道だと思うのですよ、鉄軌道。国鉄負担や、問題、いろいろやっている。沖縄は何もないんですよ。ですから、ぜひ総理の二十一世紀プランについては、那覇を起点に、北は海洋博記念公園まで、南は糸満の平和祈念公園までのこの鉄軌道を、モノレールを延ばすか、あるいは沖縄的JRを敷設するか、ぜひ内閣として考えていただきたい、これを強く要望して、これはまた一般質問でやります。  終わります。
  365. 越智通雄

    越智委員長 これにて上原君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして総括質疑は終了いたしました。  次回は、明五日午前九時より委員会を開会し、一般質疑に入ります。  本日は、これにて散会いたします。     午後七時二十分散会