○
草川委員 じゃ、次に移ります。
これはぜひ
大蔵大臣と
総理に聞いていただきたいことであります。榊原財務官のいわゆる証券疑惑について、問題提起をしたいと思います。
一連の金融・証券、
大蔵省職員の不祥事に関連をするわけでございますが、近年明らかになりました銀行や証券会社による不祥事は、野村証券による大物総会屋への利益供与事件が発端であります。
今からさかのぼりますと七年前の
平成三年、証券会社による損失補てん問題が表面化をし、
日本じゅうが大騒ぎになったことは記憶に新しいところです。その際、本院におきましても、証券・金融問題の特別
委員会が設置をされまして、野村などの大手証券会社の幹部が証人として喚問され、野村証券と暴力団幹部との
関係が取りざたされるなど、
国民、投資家の間に、証券会社と証券行政に対して不信感が渦巻いておりました。
委員会の席上、野村証券の幹部は、
国民と全国の投資家に向けて反省とおわびの言葉を述べました。当時、私も同
委員会の
理事として尋問も行いましたが、今回の銀行や証券会社、事もあろうに監督をすべき
大蔵省職員をも巻き込んだ事件を見るときに、このときの教訓が何ら生かされていなかった。非常に私は残念に思います。
また、その後発覚をいたしました
大蔵省の一部幹部による不祥事では、当局の処分の甘さが
指摘をされていますけれども、この際、
大蔵省は、
国民から信頼されるよう、根本的に
姿勢を改めるべきだと強く申し上げたいと思います。
そこで、本日はあえて、個別案件でありますけれども、
大蔵省の反省を求める立場から、以下のことをただしたいと思います。
まず、経緯をかいつまんで説明をいたします。
今述べました証券会社による損失補てん問題が表面化したのは、
平成三年の一月でした。
大蔵省の榊原財務官、当時東海財務
局長でありました。都内で会社を経営する社長でありますけれども、証券会社との取引で発生をした損失の処理についての依頼を受けまして、証券会社などに働きかけを約束したと言われます。すると、一転して、これまで社長の言い分を認めていなかった証券会社から、社長側の銀行口座に巨額の金が振り込まれたという内容です。当初、通常の取引だと主張をしておりました証券会社が、突如判断を変えたわけです。
私の調査では、榊原氏と同社長は以前から懇意にしており、たびたび飲食の接待を受けていたようでありますが、接待は大和証券とのトラブル解決後も続いております。
本日は、このあたりの事実
関係を榊原財務官御本人にお聞きしようと思って、昨日、本
委員会の
理事会において、榊原財務官の本
委員会出席を了承していただいたわけですが、残念ながら、本日は海外出張のため御出席いただけませんでした。御本人不在の場所で申し上げるのは甚だ不本意でありますが、きのうの午前中はお見えになりまして午後一時から海外へ行かれたわけでありますから、
大蔵省はかわって、私の今から申し上げることをよく聞いていただいて、調査をして、本
委員会にその答弁をしていただきたいと思います。
調査をお願いしたい内容を今から言います。
私の調査では、
平成三年一月二十三日、榊原財務官、当時東海財務
局長は、勤務先の東海財務
局長室において以前から面識のあった会社社長と面会をし、同社長が大和証券新宿センタービル支店などで行っていたワラント債の取引でこうむりました二億二千万円の損失の補てんについて、大和証券へ働きかけてもらいたい旨の依頼を受けたと言われますが、この点について、
大蔵省は調べていただいて私に報告を願いたいと思います。これがまず第一です。
なお、この社長は、事前に電話で今からお伺いをするという用件を伝えた上、名古屋の東海財務局の榊原氏を訪問しております。その際、榊原氏は、問題解決のため、大和証券社長と証券局業務課長へ働きかけをすることを約束したと言われていますが、これは相違あるかないか、調べていただきたいと思います。これが第二番目です。
さらに、依頼を受けた直後、社長の自宅に榊原さんは電話をかけ、大和証券の社長の了解を得た、話はついたので心配要らない、金は返るといった趣旨の話をしたようですけれども、これも調べていただきたいと思います。
その後、月が明け二月になって、社長の銀行口座には、榊原氏の言葉どおり、大和証券から損失分に相当する二億二千万円が返金されました。榊原氏は大和証券から返金があったことをいつ、どのように知ったのか、これもあわせてお調べ願いたい、お答えを願いたいと思います。
この社長は大和証券で株の取引を始めましたが、これはちょうど昭和六十二年五月ごろからワラント債で失敗をした
平成二年の七月ごろまでの約三年の間に、十五回ほど榊原氏を飲食接待をした。一回当たり三万円から五万円の車代を渡していたと言われています。これは事実でしょうか。
この社長は、
平成三年九月から十月にかけて、捜査当局から、損失補てんに関連をしてたびたび事情聴取を受けています。榊原氏への飲食接待は、事情聴取を受ける直前の
平成三年八月二十日と八月二十九日にも行われています。私は、この両日、接待に使われた場所も承知をしています。
そもそも榊原氏は、この社長と面識を持ってから、何回くらい飲食の接待を受けたのでしょうか。また、社長から現金や品物を贈られたことは何回あるのでしょうか。金額、品名を挙げて詳細に調査してください。これは後ほど、時間がおくれておりますけれども
大蔵省は職員にやっているわけですから、さかのぼって榊原さんに聞いてもらいたいと思うのですよ。
若干前後しますけれども、このトラブルについては、榊原財務官に相談する以前の
平成二年の十一月ごろに、この社長
自身が大和証券新宿センタービル支店長と
交渉しています。何とかしてくれ、こういうことですね。また、同じ時期にこの社長は、知人の
大蔵省OBを通じて紹介を受けた証券局第一課の係長に、名前を申し上げませんけれども、大和証券の一任勘定取引によって損害を受けたのだから、損害を償ってもらいたいとも訴えているのです。しかしながら、十二月になりまして、これも名前は伏せますけれども、大和証券の監査本部の
部長から、一任勘定ではないと反論されて終わっちゃうわけですね。
聞くところによれば、大和証券側は、裁判をしてもこれは勝てると判断をしていたようです。ですから、この時点では、大和証券側は金を返す意思がなかったわけです。とすれば、このときの監査本部の
部長の反論は当然のことと言えます。
ところが、先ほど申し上げた翌年の
平成三年一月になり、当時の榊原東海財務
局長に相談をすると、ごく短期間の間に、突如として二億二千万円もの大金が返金された。しかも、先ほど述べたように、この時期を含め、長期間にわたり社長から接待を受けながら行った行為だ、こういうことになりますね。ここに不自然さを感ずるのは当たり前ではないでしょうか。
さらに、返金の理由を調べてみると、約定取り消し扱い、つまり取引そのものがなかったということになっておるわけですよ。大変都合がいい話ですね。これはどう考えても不可解です。榊原氏の大和証券側への働きかけを境に、白と主張していたものが黒という判断に変わるわけですよ。これは大和証券側ですね。この働きかけが大きな役割を果たしたとしか思えません。だからこそ取り調べもあったのでしょうね。
この年の七月二十九日、
日本証券業協会は大和証券の損失補てん先リストを公表いたしました。これは、我々がここでいろいろと
委員会でも申し上げてリストが公表されましたが、その中にはこの会社社長の名前はないのです。なぜか。今申し上げたように、大和証券側が取引そのものがなかったとしたために、損失補てんには当たらないと認定したものと思われます。
この会社社長との取引に対する大和証券側の一連の対応、当時の経緯については、大和証券から詳細に事情を聞いてもらいたいと思うのですよ。こういうことが現実にあるのかないのか、あるいはあったのかどうか、これは当
委員会にきちっと報告をしていただきたいものだと思います。
この社長は榊原氏以外にも多くの大蔵官僚と交際をしておりまして、昭和五十七年ごろから、都内にある自社ビルの六階、後にこれは五階に移転をしておりますけれども、ここにカラオケサロンを開いて、
大蔵省OBの名前がついているのですよ、トップに。それで、何々カラオケ歌謡学校と称して、幹部の方々の接待を行っておりました。
私の調査では、大和証券から社長に二億二千万円が返金された
平成三年当時、このカラオケサロンにおいて社長から飲食接待を受けていた現職の大蔵官僚は、今回は名前を伏せますけれども、七、八人おみえになります。これは事実でしょうか。調べてください、簡単な話ですから。また、このカラオケサロンを利用して接待を受けていたすべての大蔵官僚の氏名も明らかにしてもらいたいと思うわけです。これは事実
経過です。
そこで、
総理と
大蔵大臣にお伺いをしますが、いずれにしましても、この榊原氏の行為には問題があると思うのです。私は、きょう申し上げた中に、現在の
大蔵省を巻き込んだ一連の証券・金融不祥事の病巣を見る思いがします。
総理、
総理はかつて
大蔵大臣を経験され、大変苦い思い出もあるわけであります。また、
大蔵大臣は今回新たに任命をされましたけれども、
大蔵大臣の経歴というものが非常に重要視をされ、
国民の方々もその
大蔵大臣の経歴を高く評価をして、私はこれからのお仕事を注目すると思っているわけであります。私のこの問題提起についてどうお考えか、お伺いをしたいと思います。