○河合正智君 新党平和の河合正智でございます。私は、平和・
改革を代表して、ただいま
提案のありました諸法につきまして、
総理大臣及び関係各大臣に
質問をいたします。
ここに、昨年十二月一日衆議院予算
委員会の議事録がございます。宮澤喜一元首相の
質問です。昨年十一月三日に三洋
証券が倒産し、十一月十七日に北海道拓殖
銀行が破綻、十一月二十四日山一
証券の自主廃業、十一月二十六日徳陽シティ
銀行の破綻が進行しておりました。そうした
状況の中でいわゆる貸し渋り現象が起きていることについて、宮澤元首相は「本来は自己資本を充実すればよろしいのですけれども、それは難しゅうございますから、
資産の方を何とかして切りたい。
資産を切ることによって、
自己資本比率の、国内でいえば四%、BISならば八%ですが、それを実現をしたいということから、」「貸し渋りというものが進行しております。」と発言されております。
つまり、
資産である株価が下がると分子の含み益が減り、したがって分母の貸出金を減らすために貸付金を貸し渋りで回収をしている。すなわち、
資産不況が根本にある、BIS八%と貸し渋り現象は一体であるとの認識でございます。
そうであるとすれば、
政府は、BIS八%を守ると決めたときから、貸し渋りによる中小
企業を中心とした倒産が起きることを想定すべきでありました。
橋本総理大臣はどのような見通しを持ってBIS基準の早期是正
措置という
政策決定をなされたのでしょうか。その結果起きていることについての
政治責任を問いただしたいと思います。
ところで、宮澤元首相は、先ほどの
質問に次いで、BISの
ルールによらない「もう一つの貸し渋りということをちょっと申し上げておきたいと思うんでございますけれども、これは具体的にはたしか三洋
証券の倒産のときでございますけれども、普通、毎日、
金融機関はインターバンクの金をやったりとったりする、コールのようなものでございますけれども、三洋
証券の
最後の瞬間というのは、実はコールの一部にデフォルトが起こった、債務不履行になった」「これがありましたものですから、その後どこかの
金融機関が危ないということになると、コールがとれない、コールを出さない。こういうことはかつてなかったことでありまして、いわば患者から突然酸素マスクを取ってしまうようなことでございますから、」とん死する、サドンデスになるという
現実があったと指摘されました。
御案内のように、インターバンク
市場の資金供給の調節は、日銀によるコール
市場への流動性の適切な供給によって円滑に行われます。特定の
銀行が支払い不能になりましても、日銀が
最後の貸し手となって流動性を供給して危機を防いでまいりました。しかし、三洋
証券の場合は、その
最後のとりでたる日銀が金を出さなかったからサドンデスになった、日銀によって息の根をとめられたと宮澤元首相は
判断、
質問されております。
この
質問に対して、当時の三塚大蔵大臣は、患者から突然酸素マスクを取ってしまったという宮澤元首相に全く反論せず、このように申されております。日銀総裁ともこの辺のところは十分に相談させていただきました、
日本銀行により十分な流動性を
市場に提供することでインターバンク
取引の安全を
確保すると答弁しております。松永大蔵大臣も、四つの
大型金融機関の倒産は日銀の貸し渋りによるものと認識されておりますか、
質問させていただきます。
さらに、私は、日銀が、今までやったことのない日銀の貸し渋りによる四つの
大型金融機関の倒産というサドンデスを昨年十一月になってどうして行ったのか、
橋本総理大臣及び大蔵大臣に
質問いたします。
実は、日銀総裁にもこのことを
質問いたしたく、本年四月一日
施行の
改正日銀法第五十四条第三項により日銀総裁の本議院への出席要求をいたしましたが、実現しませんでした。私は、日銀総裁は本議院に出席し
説明すべきであると強く問題提起をさせていただきます。
さらに、日銀が貸し渋りをした背景には、
橋本内閣が財政構造
改革法を無理やり通してしまったことがあるのではないかと、京都大学名誉教授である宮崎義一先生は指摘されております。つまり、単年度財政赤字を国内総生産の三%以内に抑え二〇〇三年度までに赤字国債をゼロにする緊縮財政を決定した、このことが、日銀はコール
市場に対する流動性にブレーキをかけるとの日銀総裁の
判断の決め手になったのではないですか。しかし、その結果、三洋
証券のサドンデスになり、四つの
大型金融機関の連鎖倒産となった。そこで、宮澤発言をかりて、サドンデスの連鎖、インターバンク
取引の破綻を回避するために
政府は方針の大転換を図ったのではないですか。この点についてもあわせてお答えいただきたいと思います。
その
財政改革法を、
橋本総理大臣は
改正しようとされております。わずか五カ月後さえ見通すことができない先見性のなさもさることながら、全
野党の反対にもかかわらず財革法を強行成立させたことによって生じた日銀の貸し渋りによる
金融機関の破綻、及びBIS基準早期是正
措置による貸し渋りから生じた全国津々浦々に起こっている倒産による悲劇に思いをいたしますと、
橋本総理大臣の
政策決定はまことに万死に値する、退陣を要求せざるを得ません。(
拍手)
さて、二〇〇一年
日本版
ビッグバンは、
バブル後遺症ともいうべき
不良債権処理と同時進行で行われます。今日の厳しい
日本経済は
バブル経済の崩壊が原因と言えますが、この苦境を脱出するためには、
バブルの発生と崩壊の過程を検証する必要がございます。
一九八四年六月、円転換規制の撤廃という
金融自由化が行われました。さらに、財政赤字と貿易赤字という双子の赤字を抱えていた
アメリカに対し、
日本は五百六十億ドルの貿易黒字を計上、日米貿易摩擦解消という切実な
状況にあった
日本は、一九八五年九月二十二日、プラザ合意に加わりました。中曽根
総理大臣、竹下大蔵大臣によってなされました。
ところが、この合意には、実は為替
市場への介入と同時に、
政策協調の合意もなされておりました。それが内需拡
大要求となり、具体的には、宮澤当時大蔵大臣に対するカウンターパートナーであったベーカー財務長官からの、円高圧力をてこにした減税と公共
投資と公定歩合下げの強い要求となったのであります。これに対して早急になし得るものとして当時の
日本の政権が選択した、史上最低の三%そして二・五%という公定歩合の下げが、
バブルに点火をしたわけでございます。金は有利な
投資先、土地、株等を求め、あふれていったわけでございます。
ここに、日米の将来の明暗を分ける分水嶺がありました。今日の深刻な
日本経済に対し、
アメリカにおいては、ニューヨーク株式
市場はダウ九千ドル台に乗せ、財政赤字も解消されようとしております。そもそも、
日本の
バブルを発生させた
政策決定における
政治責任こそ問われるべきであります。さらに、
金融引き締めにより
バブル経済を崩壊させた
政治責任も問われるべきであり、その上にデフレ
政策をとり
政策不況を招いた
一連の
自民党歴代内閣の
政治責任についてどのように認識されているのか、
橋本総理大臣に伺います。
この
バブル崩壊後、日銀は公定歩合を一気に〇・五%に下げてしまいました。本来
国民が得るべき預金金利を犠牲にして、中小
企業救済のためではなく、専ら
不良債権にあえぐ
金融機関救済のために行われたのであります。一橋大学の中谷巌教授は、日銀の
金融政策は
政治と行政の圧力にゆがめられ、長く財政の犠牲になってきた、その結果
バブル経済が発生し、
日本は
バブル崩壊後の
後遺症からいまだに抜け出せずにいると指摘されております。
景気対策として有効な手段である金利下げの手をみずからの手で封じてしまったため、残された唯一の景気対策として、赤字公債の発行しか道がなくなってしまったのではないでしょうか。一九八九年十二月、大蔵大臣であったとき、公定歩合は上げさせないと言明、日銀の独立性を否定された
橋本総理大臣の見解を伺います。
ところで、
金融の
自由化以前のリスク管理方式でもあった
護送船団行政にかわりまして、国際的なリスク管理方式ともいうべきBIS規制が合意されましたのは、一九八八年七月十一日でありました。
今回の
改正法では、
証券会社の自己資本規制比率の公表を四半期ごとに
義務づけ、一〇〇%を下回り、かつ三カ月以内に回復できない場合には登録を取り消すことができるとしております。また、
保険会社のソルベンシーマージン、支払い能力余力については
大蔵省が一九九三年度に
導入したところでございますが、来年度中にも
業務改善命令を出す
保険版の早期是正
措置の
導入が図られていると言われております。
しかし、BIS規制がバーゼル
委員会という合議体で決められたのとは異なり、この二つの基準はグローバルスタンダードとは言えず、省政令の運用に任せると
大蔵省は再び巨大な権限を手にすることになり、
ビッグバンの精神に逆行いたします。大蔵大臣はどのようにお考えか、
質問いたします。
ビッグバンにより、
銀行や信託、
保険などの垣根が取り払われ、
銀行が
証券業務を行えるようになります。しかし、日産
生命の経営破綻にいみじくも露出されたように、
ビッグバンが
金融機関の生き残りのためだけで、
預金者、
投資家、
保険者
保護が口実にだけ使われるものであってはなりません。
イギリスにおいては、一九八六年、
証券市場における
ビッグバンを敢行し、翌年には
金融サービス法を
施行いたしました。
金融システム改革法はいわば
業法改正と言えます。速やかに
金融サービス法を制定するように私は
提案申し上げます。
この
法律で、一、
預金者及び
投資家の
保護、二、
市場機能を支える公正で透明な
取引ルールの確立、三、ディスクロージャーの徹底、四、
ルール違反に対する厳格なペナルティーの
整備を図るべきと考えます。以上、大蔵大臣に
質問いたします。
続いて、担保不動産
証券化について、大蔵大臣に
質問いたします。
一、
取引市場の環境
整備をどのように行うのですか。二、
不良債権を
証券化した
商品から個人の
投資家をどのように守るのでしょうか。
さらに、厚生大臣及び郵政大臣に
質問いたします。
SPCを立ち上げるため
公的資金を使って
証券を購入する構想があり、厚生年金及び
郵便貯金、
簡易生命保険の名前が挙がっております。購入するお考えはありましょうか。
さて、昨年末、
橋本総理大臣が検討を指示されたと言われる郵貯、簡保資金によるPKOは、三月三十一日
取引終了直前に投入されたと報道されました。二千億円規模と言われる
公的資金は、四月一日には前日比二百八十五円五十一銭安で
取引を終えた
市場でわずか一日ではげ落ち、早くも含み損を抱えたと言われております。このことについて、
橋本総理大臣及び郵政大臣はどのようにお考えか、
質問いたします。
政権を維持するためには何をしても構わないというお考えがあれば、それは間違いです。
権力の座にある者は絶えず自制すべきであります。まして、郵貯、簡保は
国民の汗の結晶であることを思えば、むしろ恐れを抱くべきであると申し上げたい。郵貯、簡保に託する
国民は、まさかPKOに使われるとは夢にも考えていないでしょう。また、
市場原理にも逆行するとのそしりを免れないと私は考えます。
以上、代表
質問を終わります。(
拍手)
〔内閣
総理大臣橋本龍太郎君
登壇〕