○木島日出夫君 私は、
日本共産党を代表して、九七年度
一般会計補正予算外二案に対し、
反対の
討論を行います。(
拍手)
反対の最大の
理由は、本
補正予算が、
預金保険法一部改正
法案、
金融機能安定化緊急措置法案と相まって、当初
予算の約四割、三十兆円という巨額な
公的資金を
銀行業界支援のためにつぎ込む仕掛けづくりのかなめの役割を担おうとしていることであります。
橋本総理は、住専処理のための六千八百五十億円の税金投入が厳しく問われた一昨年の国会において、
金融機関の
破綻処理は
金融システム内の
負担により賄われるのが原則、住専処理と信用組合の
破綻処理以外に税金投入はしない、税金を使うのはこれが
最後と繰り返し明言しました。これは、橋本政権の国会と
国民に対する重大な公約であります。本
補正予算がこの公約を乱暴にじゅうりんするものであることは余りにも明らかです。
国民に信を問うことなしに公約をほしいままにねじ曲げることは、議会制民主主義に対する許しがたい挑戦であり、断じて容認できるものではありません。
一昨日、東京地検特捜部は、
大蔵省金融検査部室長ら二人の
大蔵官僚を収賄容疑で逮捕しました。第一勧業
銀行、あさひ
銀行、三和
銀行、北海道拓殖
銀行に対する大蔵
検査の
検査日や対象店舗を事前に漏えいしたり、問題のある融資を見過ごすなどの便宜を図った見返りとして、飲食などの接待を受けたというのが容疑事実であります。
金融検査が不正を隠ぺいする場となっていたというゆゆしい
事件の発覚であります。
三十兆円の
公的資金をつぎ込むのは、
銀行業界の抱える多額の
不良債権を早期に処理して、
金融システムを
安定化させるためだというのが橋本政権の基本的
立場でしたが、今回の
事件は、
大蔵省から公表された
銀行の
不良債権額それ自体の信憑性を根本から失わせるものであり、まことに重大であります。投入される
公的資金額と公表される
不良債権額とは密接不可分の関係にあることを考えれば、この問題の
真相の徹底的解明なしに本
補正予算の審議を終結させることができないことは明らかです。
私は、この問題の解明を初め、政官財の醜悪な癒着にまともにメスを入れようともせず、極めて短時間の委員会
質疑のみで本
補正予算の議決を図ろうとする
政府・自民党の暴挙に対し、厳しく抗議するものであります。(
拍手)
政府の公約破りの口実の第一は、三十兆円のうち十七兆円は
金融機関の
破綻に対する
預金の
全額保護のためだ、今、税金を投入してでも
預金を
全額保護しなければ、
国民の
金融システムに対する
信頼を
回復することはできないというものであります。
しかしながら、
政府・
大蔵省は
予算委員会の
質疑の中で、我が党議員の質問に対して、
金融機関が、全体として見た場合、
不良債権に対する十分な償却
財源を持っているということをはっきりと認めました。
預金保険機構に対する
金融機関の保険料率がアメリカの三分の一の水準であること、大
銀行ほど利益に対する保険料
負担率が低くなっている実態も明らかとなりました。
今起こっている
金融機関の
破綻は、
金融機関みずからが引き起こしたバブルの不始末の結果であります。その穴埋めをする力が
金融業界全体としてはあるというのですから、
金融業界共同の
負担と
責任で後始末をするのは当たり前のことではありませんか。
銀行業界の自己
責任の原則を貫かせるどころか、逆に税金投入で
銀行を支援しようというのでは、
我が国金融業界の無法な体質を温存、助長し、
金融システムに対する
内外からの
不信をますます拡大させるだけではありませんか。
政府の公約破りの第二の口実は、三十兆円のうち十三兆円は
銀行業界の体力増強のためであり、それによって
銀行に対するBIS規制、自己資本比率八%をクリアし、
中小企業に対する貸し渋りを
解消させるということであります。
しかしながら、こんな身勝手な理屈はありません。今全国各地で引き起こされている大
銀行の貸し渋り、資金回収は横暴きわまるものでありますが、
政府・
大蔵省は、これに対してまともな指導もせず、事実上野放しにしてきたことが、
予算委員会の審議を通じて明らかとなりました。
金融機関が本来果たすべき公共的
責任は、資金を求める
企業に対して必要な手当てをきちんとすることであります。みずからの不始末でつくり出した
不良債権のおもしのために、この基本的な
責任を全うすることができない、税金の助けをかりなければ国際基準を達成することができないということ自体、
金融機関の存在
理由をみずから否定することでありませんか。
結局、十三兆円もの
公的資金を投入しようとする本当のねらいは、世界的
規模で行われている巨大
銀行間のマネーゲームの中で、巨額の利益をほしいままにすることができる巨大な多国籍
銀行を
国民の税金で支援しようということにほかなりません。
阪神大震災の
被災者の公的支援を求める叫びに対しては振り向こうともしない
政府が、大
銀行のためには国会と
国民に対する公約も投げ捨てて恥じない、こんな逆立ちした政治を認めるわけにはいきません。
本
補正予算に
反対する第二の
理由は、本
補正予算が、米軍による沖縄県の県道越え実弾射撃演習を本土に移転、拡張するための
追加経費を含むSACO関係経費七十二億円を計上していることです。
既に、北富士、矢臼別、王城寺原では実弾演習が行われ、二月には東富士での演習が計画されています。これら米軍による実弾演習が、地元住民の平穏な生活を脅かしているだけでなく、米軍が
我が国周辺地域で起こす軍事行動に対し、
国民総動員の後方支援体制をしこうという新ガイドラインの先取りとなっていることが重大であります。SACO関係経費は、その
財政的なてこの役割を果たすものにほかなりません。
本
補正予算には、一回限りの二兆円の
特別減税が盛り込まれています。今日の深刻な不況は、
政府が強行した九七年度
一般会計当初
予算による九兆円もの
国民負担増、一九二九年大恐慌時のアメリカのフーバー大統領による世紀の大
失政にまさるとも劣らない
橋本内閣の大悪政によるものであることは明らかであります。
深刻な不況打開のためには、二兆円所得
減税を継続、
恒久化すること、
消費税率を三%に戻して五兆円の即効性のある
減税措置をとること、社会保障
制度や労働法制の改悪をやめて、
国民の将来の所得、雇用、健康、生活への不安を取り除くことなどが求められています。そのためには、大
銀行、大
企業の利益第一の橋本自民党政治の根本からの転換が必要であり、
日本共産党はそのために
全力を挙げて奮闘することを表明して、
反対討論を終わります。(
拍手)