○富田
委員 ぜひそういう方向で御努力いただきたいと思います。
実は、私ども新党平和で、前回の
質問のときにもちょっと御
紹介させていただいたのですが、母親とナイフプロジェクトということで、今なぜ子供が突然キしてしまうんだということの原因を探るというか、そういうシンポジウムを行ったり、いろいろな講師の方を招いて勉強会をしております。
先週も、池坊
委員の御
紹介で社団法人
家庭問題情報センターの
理事をされている原口
幹雄さんという方に来ていただいて、一時間半ほど
お話を伺いました。この先生の
お話を伺っていて非常に感銘する
部分がございました。三十年近くこの方は
家庭裁判所の少年
担当の調査官をやられておりまして、調査官の経験に基づいて、なぜ今普通の子、よい子だと思われているような子が突然キして事件を起こしてしまうのかという背景について、いろいろ示唆に富む提言をしていただきました。
この先生に言わせますと、やはり今、
学校がもう危険区域、ストレスの場になっているんだ、下手をしたらもう拷問の場になっていると言わざるを得ないような
状況だ、そういうことをきちんと認識すべきだという
指摘をされた上で、やはり自尊心を育てる、自尊心を大事にするようなことを
考えていかないと、なかなか対症療法ではだめなんじゃないか。どうして子供がムカつくとかキレるなんという言葉を使うのか、そういうところをきちんと押さえていくべきだというような
お話でした。
小学校のころは、親からいろいろ教わったもので何とか
自分の自我というものを、借り物の自我で間に合うけれども、それが
小学校高学年から中学生になるに従って、親から教わっているものだけではだめだ、
自分が実体験として何か持っていないと、なかなか競争社会の中で普通に生きていけなくなってしまう。そういう子が事件を起こして
家庭裁判所に来るのですということでした。
その
家庭裁判所の中で、今どういう実験が行われているか。実験といってはあれなんですけれども、どういうことで子供
たちを更生させていくかという一つの手がかりとしてこの先生が教えてくださったのは、今の中教審の
中間報告か言われていた特別養護老人ホームへのボランティアなんですね。本当に問題を起こして、例えば家裁で試験観察になっている。この子がこれからどういうふうになりていくだろうかというようなときに、調査官の方でなじみの特別養護老人ホームの方にお願いして、老人の介護のお手伝いをさせてもらう。
最初は物すごく心配したそうです。こんな問題のある子を特別養護老人ホームへ連れていって、入所している老人に危害を加えてしまうんじゃないか。でも、そういう心配は全然なくて、物すごく特別養護老人ホームの
皆さんが温かく迎えてくれて、
自分ができる仕事をきちんと与えてくれる。そういう中で、
自分が役に立っている、人から初めて認めてもらえたという経験をする。また、
学校で嫌な先生とか
自分の親にも反抗していても、本当にそういう
現場で働いている人の大変さというのを見て、実感として
自分がこの場に必要なんだということを覚えていく。そういう
意味で、非常に特別養護老人ホームへのボランティアは大事だという
指摘を一点してくれました。
もう一つが、先ほど
川内委員の方からも
お話がありましたけれども、
援助交際とか、あるいは今少女の覚せい剤事件が多いのですが、そういう事件を起こして
家庭裁判所の方に来た少女
たちに、乳児院にボランティアに行ってもらう。乳児院というのは、親の暴力を受けたり親に捨てられてしまった子
たちを何とか大事に育てようということで、いろいろな方に面倒を見てもらってやっているわけですね。
そういう少女が乳児院に行きますと、子供の顔がもうぼこぼこになっている、本当に小さな
お子さんが親に虐待されてぼこぼこになっている顔を見たりして、
自分もちゃんと子供に責任をとれるようにならない限りは性的
交渉をやっちゃだめなんだということを、実体験として感じて家裁の方に戻ってくる。そういう子というのは絶対二度と事件を起こさないと言うのですね。私も、少年事件の弁護活動をずうっとしていて、きちんと家裁で調査官が間に入って、親御さんや
学校やそういうところときちんと話をできた事件の当事者の子というのは、事件をもう一度起こすということはやはりないのですね。
この先生の
お話は本当に示唆的だったのですが、これは、事件になってそういう調査官のお世話を受けた子は、そういうふうに立ち直りの機会がある。ただ、そうじゃない、今新しい荒れだと言われているこの
学校の中で事件を起こす、その前段階にいる子
たちに、じゃ我々はどうしたらいいのか、
文部省はどうしたらいいんだ、政治家として我々はどういう提言をしたらいいのか。なかなかまだ解決策は浮かばないのですが、この
家庭裁判所、あるいは少年院でも同じような実験がされているようですけれども、これをやはり一つの参考にして、
学校、
家庭、
地域、みんなが一緒になって少年や少女のことを
考えて、その子
たちの自尊心の確立をするためにどういうことがいいのか。
このボランティアは、一つ本当にきっかけになると思うのですね。特老に行ったり乳児院に行ったりして、お年寄りや幼い子
たちにきちんと触れて、
自分が役に立つという実感を受けてもらう。そういうことをぜひカリキュラムの中に、必修としてやるのは難しいと思うのですが、先ほどの総合学習の時間とかあるいは道徳の時間、道徳の時間も充実させようということになっておりますので、そういう中に選択肢の一つとして入れていただきたい。
これからスクールカウンセラーとかもふえていくと思いますので、そういう方に家裁の調査官のような役割をしてもらって、
地域や
学校がいろいろな連携をとって、そういう子
たちを早目に見つけて、勉強はできない、
スポーツもできないけれども、
自分はこういう社会の場で役に立つんだというような、そういう実感を得させるようなボランティア
教育というのをきちんとぜひカリキュラムの中に選択肢の一つとして入れていただきたい
と思うのですが、
大臣のお
考えをお聞きして
質問を終わりたいと思いますので、ぜひよろしくお願いします。