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1998-06-04 第142回国会 衆議院 内閣委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十年六月四日(木曜日)     午前十時開議 出席委員   委員長 谷津 義男君    理事 植竹 繁雄君 理事 小此木八郎君    理事 小林 興起君 理事 穂積 良行君    理事 佐々木秀典君 理事 中沢 健次君    理事 倉田 栄喜君 理事 三沢  淳君       小野寺五典君    越智 伊平君       佐藤 信二君    近岡理一郎君       虎島 和夫君    萩野 浩基君       桧田  仁君    平沢 勝栄君       池端 清一君    生方 幸夫君       北村 哲男君    福岡 宗也君       一川 保夫君    鈴木 淑夫君       瀬古由起子君    松本 善明君       深田  肇君    笹木 竜三君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (総務庁長官) 小里 貞利君  出席政府委員         内閣審議官   松田 隆利君         総務庁長官官房         審議官     瀧上 信光君         総務庁行政管理         局長      河野  昭君  委員外出席者         議     員 北村 哲男君         議     員 倉田 栄喜君         議     員 松本 善明君         議     員 木島日出夫君         文化庁文化部宗         務課長     前川 喜平君         内閣委員会専門         員       新倉 紀一君     ――――――――――――― 委員異動 六月四日  辞任         補欠選任   生方 幸夫君     北村 哲男君   鹿野 道彦君     福岡 宗也君   鰐淵 俊之君     鈴木 淑夫君   寺前  巖君     松本 善明君 同日  辞任         補欠選任   北村 哲男君     生方 幸夫君   福岡 宗也君     鹿野 道彦君   鈴木 淑夫君     一川 保夫君   松本 善明君     寺前  巖君 同日  辞任         補欠選任   一川 保夫君     鰐淵 俊之君     ――――――――――――― 五月二十九日  元日赤救護看護婦に対する慰労給付金増額に関 する請願稲垣実男紹介)(第三四二二号) 六月二日  恩給欠格者救済に関する請願西田司紹介  )(第三八七九号)  同(越智伊平紹介)(第三九四八号)  同(関谷勝嗣君紹介)(第三九四九号)  元日赤救護看護婦に対する慰労給付金に関する  請願深田肇紹介)(第三八八〇号)  同(西村眞悟紹介)(第三九五〇号) 同月三日  元日赤救護看護婦に対する慰労給付金増額に関  する請願大野松茂紹介)(第四一一〇号)  同(矢島恒夫紹介)(第四四六八号)  元日赤救護看護婦に対する慰労給付金に関する  請願大島理森紹介)(第四一一一号)  傷病恩給等改善に関する請願山本有二君紹  介)(第四二六二号)  同(羽田孜紹介)(第四四六九号)  恩給欠格者救済に関する請願石井一紹介  )(第四四六七号) 同月四日  恩給欠格者救済に関する請願小野晋也君紹  介)(第四九二五号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 六月四日  情報公開法案の一部修正に関する陳情書外一件  (第三七六号)  情報公開法案一部修正に関する陳情書  (第三七  七号)  情報公開法案等修正に関する陳情書  (第三七八号)  同(第四四七号)  傷病恩給等改善に関する陳情書  (第三七九号)  真に実効性のある情報公開法制定に関する陳  情書外一件  (第四四六号)  実効ある公務員倫理法等制定に関する陳情書  外一件  (第四四八号)  青少年期におけるシンナー及び覚せい剤等の根  絶に関する陳情書  (第四四九号)  平和憲法擁護等に関する陳情書  (第四五〇号  ) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  行政機関の保有する情報公開に関する法律案  (内閣提出第一〇二号)  行政機関の保有する情報公開に関する法律の  施行に伴う関係法律整備等に関する法律案  (内閣提出第一〇三号)  行政情報公開に関する法律案北村哲男君外  五名提出衆法第一一号)  情報公開法案松本善明君外一名提出、第百四  十一回国会衆法第五号)      ――――◇―――――
  2. 谷津義男

    谷津委員長 これより会議を開きます。  内閣提出行政機関の保有する情報公開に関する法律案内閣提出行政機関の保有する情報公開に関する法律施行に伴う関係法律整備等に関する法律案北村哲男君外五名提出行政情報公開に関する法律案及び第百四十一回国会松本善明君外一名提出情報公開法案の各案を一括して議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小此木八郎君。
  3. 小此木八郎

    小此木委員 おはようございます。私は自由民主党の小此木八郎でございます。  本日のこの御議論はずっと行われてきたわけでありますけれども、この情報公開法案について、これまで本会議における質疑と当委員会における二度の一般質疑が行われました。さらに、先日、参考人からの意見の聴取もありまして、我々質疑を行ったところでございますけれども、本日は、特に参考人の方々の御意見を踏まえまして、これらの論点を解決するために、政府及び野党案提出者に対し質問を行いたいと思います。  質問に入る前に、政府情報公開のあり方について、一言私なりの意見を述べたいと思います。  最近の行政不祥事、このことには、国、地方を問わず、マスコミで報道されますように、大きな批判をいただいているところでありまして一それも当たり前の話である。したがって、こういうことにつきましては私は行政に対しては反省を求める、こういう強い思いでおります。しかしながら、言うまでもなく、この責任というのは、我々国民に選ばれました政治に携わる議員、やはり我々がしっかりとした責任を持って、大きな視点を持って、さらに考えていかなければならないことであると思っております。  このような問題に関連して、行政情報公開がしばしば指摘されるところであります。このような不祥事に関連した情報は、行政の信頼を確保するためにできる限り公開をするべきであると思います。  しかしながら、このような問題を契機として、およそ行政情報はどんどん公開すべきであるというような意見が見られます。これだけ騒がれているのだから、あるいは望まれているのだからというふうに言って、では何でもかんでも情報公開してしまっていいものだろうかということも、我々は責任を持って考えていかなければいけないものだというふうに思っております。  これだけの騒がれている問題、望まれている問題、やれやれと言われている問題をそのまま通すのが本当にいいか。いや、だからこそ、この国会で我々が慎重に議論をして話をまとめる責任があるというふうに思っております。  政府の保有する情報には、国家の安全や犯罪捜査にかかわる情報などや、個人法人情報など、十分な保護を図るべきものがあると思います。このような情報について、守るべきものと守らざるもの、守るべきものは守る、こういつた前提のもとに情報公開責任を持って進めるという観点から、個別の問題について質問をさせていただきたいというふうに思います。  先日の参考人の中には、政府案は不開示情報範囲が広範、あいまいであるとの指摘があったところであります。しかしながら、野党案政府案を比較しても「明らか」という文言のあるなし、そう大きな違いはないのではないかとも思いますけれども政府案では「明らか」の文言が用いられておりません。これによりどのような違いが生じるのか。「明らか」という文言を用いることについての政府の見解を問いたいと思います。
  4. 瀧上信光

    ○瀧上政府委員 お答えいたします。  いわゆる「明らか」の文言規定することは、公開による支障の発生について、通常一般の「おそれ」では足りなくて、相当厳しい明白性を求める趣旨として実際に解釈、運用されるものとなると理解をいたしております。その結果、通常一般理解であれば不開示とすべきものが開示されることとなる場合が生ずることになります。  行政改革委員会意見におきましても指摘されているところでございますが、行政情報は、原則公開としつつも、個人法人等権利利益、国益、公益保護すべきものは的確に保護する必要がある。そういった考え方からは、「明らか」という要件は、保護すべき情報を軽視することになりかねないということで、政府案では用いなかったものでございます。
  5. 小此木八郎

    小此木委員 それで、個人情報についてでありますけれども、この個人情報については、政府案では個人識別型、三派案ではプライバシー型を採用しておられます。先日の塩野参考人ですが、我が国ではまだ個人情報保護重要性についての意識が十分にしみ込んでいないうらみがあるというふうに述べられました。個人識別の方がよいとの意見を述べられたと思います。  一方で土生参考人は、個人識別型は非公開事由が拡大し過ぎるので不適当であるとし、プライバシー内容をなす実質を列記すること等によりプライバシー概念明確化を図ることが十分に可能と思われている旨述べられた。  三派案では、一般に知られたくないと望むことが正当であると認められるもの、こうしてありますけれども一般にとか、知られたくないと望む、あるいは、正当であると認められる、こういった表現というのは、それこそ一般的に不確定概念だと言われるそうでありますけれども、このような規定プライバシー内容実質を明確に列記しているとお考えかどうか、三派案の提出者にお伺いいたします。
  6. 倉田栄喜

    倉田議員 委員お尋ねは、三派案の記載、内容プライバシー内容実質を明確に列記しているものかどうか、こういうことでございます。  委員指摘のように、個人プライバシー部分に関しては個人識別型とプライバシー情報保護型とあるわけでありますけれども、私どもは御指摘のとおりプライバシー情報型を採用したところであります。そして、そのプライバシー権利というものが、憲法上、私事をみだりに公開されないことを含むということでは、異論がないものと思われます。  そこで、プライバシー権利性を初めて認めたとされるいわゆる「宴のあと」事件の判決では、正当な理由がなく他人私事公開することが許されてはならないことは言うまでもない、こういうふうにしているところであります。  お尋ね規定プライバシー内容実質を明確に列記したものであるかどうかということでありますけれども、まさに、個人情報を不開示にしなければならない、そして、私ども立場が、プライバシー実質保護されるかどうかということに視点を置いておりますことから、正当な理由がなく他人私事公開することが許されてはならない、この基本的な立場に立っているものであります。その意味で、この規定によってプライバシー実質保護される、こういうふうに考えているわけであります。
  7. 北村哲男

    北村(哲)議員 私からもちょっと補足といいますか、個人情報非公開規定する目的がプライバシー保護にあることについては争いのないことだと思っておりますが、今日の我が国では、情報公開条例運用実績を踏まえて、何が保護すべきプライバシーであるかの判断は可能になっていると思っております。  アメリカ情報自由法というのがございますけれども、そこではパーソナルプライバシーというふうにして、いわゆる個人プライバシーというふうに規定しておるということもありますけれども、そこでそういうふうに規定しても、アメリカにおいて特段の混乱があるとは聞いておりません。  野党党案は、日本の法律外来語としてプライバシーという言葉をそのまま使用することも考えたのですけれども外来語を入れることを避けまして、日本語訳として、一般に知られたくないと望むことが正当であると認められるものというふうに規定したものであります。  なお、今多くの市町村で行われている条例では、通常他人に知られたくない個人に関する情報というふうに規定されているものも多くあるところでありますけれども、そこでも特に混乱はありません。例えば、大阪とか京都とか山梨県とか兵庫県、それぞれ同じような条項を設けております。野党案は、それよりももう少し絞りをかけて、一層混乱を防ごうと努力しておる規定でございます。  また、いわゆる個人識別型の規定では、行政機関としては判断しやすいかもしれませんけれども、本来保護されるべきプライバシーを超えて非公開とされるおそれがあって、国民主権の理念にのっとった情報公開請求権を不当に制限することになりはしないかということで、個人識別型は不適当だと私ども考えておるわけであります。  加えて、政府案は、特定個人識別することはできないけれども、公にすることによって、なお個人権利利益を害するおそれがあるということまで広げてしまっておるわけですね。そうすることによって、またその識別型がますます広くなって、いわゆる情報公開を狭める効果があるということで、識別型はとっておらないということが野党案趣旨でございます。
  8. 小此木八郎

    小此木委員 それでは、政府個人識別型を採用した理由を伺いたいと思います。
  9. 瀧上信光

    ○瀧上政府委員 行政改革委員会での御論議や、先日の塩野参考人の御意見では、個人情報は極めて厳格に取り扱うべきとされているところでございます。一方、我が国におきましては、いわゆるプライバシー内容というものは、法的にも社会通念上も必ずしも明確でないというふうにされているわけでございます。こういつたため、個人識別される情報公開することは個人権利利益を侵害するおそれが高いことから、国の法律におきましては個人識別情報原則として不開示とすることとしたものでございます。  加えて、個人識別情報であっても、実質的に公開支障のない情報が含まれ得ることから、既に公にされている公知情報で不開示とする必要がないものや、公益的観点等から本来開示すべきものを除外することとしたものでございます。政府案におきましても、このような意見に沿いまして、個人識別型の不開示情報としているところでございます。
  10. 小此木八郎

    小此木委員 そこで、公務員氏名についてでありますけれども氏名については、職務遂行における公務員氏名にはプライバシーはないとの判決が既に十件を超えまして、地方公共団体条例でも公務員氏名は全面公開する方向で見直しが進んでおるようです。政府案は既に通用しないものとなっているとの参考人意見もございました。そこでまず、三派案についてでありますけれども、例えば仮に、ある私立病院看護婦さんがある人の看護を担当しているという情報行政機関文書に書かれている場合、その看護婦氏名プライバシー情報なのかどうか。同様のケースで、国立病院看護婦さんの場合はどう考えますか。
  11. 倉田栄喜

    倉田議員 三党案の四条一項第一号において、先ほど委員から御指摘の、個人に関する情報であって、特定個人識別されるもののうち、一般他人に知られたくないと望むことが正当であると認められるものを不開示情報といたしております。  そこで、一般他人に知られたくないと望むことが正当と認められるかどうかについては、当該個人公開を望まないかどうかということではなくて、一般的に社会通念他人に知られることを望まないかどうか、そういうごとで判断されることになろうかと思います。  そこで、お尋ねケースで、どういう場合にそういう請求がなされるかということがちょっと前提として不確定な部分もございますけれども私立病院看護婦氏名がこれに該当するかどうかは、まさに当該ケースに即して、社会通念他人に知られないことを望むかどうかということによって判断されると思います。  私自身の考え方でいけば、このケースの場合、私立病院、まさに私人ということの中で、私どもの案に職業とかそういうことを列記しておるわけでございますけれども、そのことを考えて言えば、プライバシーの一内容としてこの部分については非公開事由に該当するのではないのか、こういうふうに考えております。
  12. 小此木八郎

    小此木委員 政府についても同じことをお伺いします。
  13. 瀧上信光

    ○瀧上政府委員 御指摘ケース取り扱いとしましては、国立病院看護婦氏名慣行として公にされている情報には該当しないというふうに考えられますことから、私立病院看護婦氏名国立病院看護婦氏名も、いずれも政府案情報公開法第五条第一項第一号に規定する個人に関する不開示情報に該当するものと考えております。
  14. 小此木八郎

    小此木委員 また、慣行として公にされている情報として、政府案では氏名開示するのを中央省庁課長相当職以上に限定しているという考え方は破綻しているという指摘もございました。  公務員氏名として中央省庁課長相当職以上に限定しているのか、あるいはまた、慣行として公にされている情報とはどのような範囲の者を考えておられますか、政府
  15. 瀧上信光

    ○瀧上政府委員 お答えいたします。  政府案では、公務員氏名につきましても、法令の規定によりまたは慣行として公にされ、または公にすることが予定されている情報に該当するかどうかといったことに基づきまして判断することとなります。すなわち、公務員氏名開示されるかどうかは、職によって一律に決まるものではなく、中央省庁課長相当職以上に限定しているものではございません。  そしてまた、慣行として公にされている情報とは、例えば勲章の受章者名資格試験合格者等のほか、一定の管理職につきましては人事異動に際して公表しているところでございまして、こういつたように行政機関がある種の個人情報を公表することが運用上の措置として慣行となっている、そういうような情報でございます。  行政改革委員会意見では、公開される例として、中央省庁課長相当職以上の者とされておりますが、こういったものに限られるものではございません。
  16. 小此木八郎

    小此木委員 公務員と一口に言っても、私は、公務員として公表されている個人としての側面があるというふうにも思います。個人としての側面からは、当然プライバシーを尊重することは憲法上の要請とも言える。  野党側の御主張は、あるいは最近のこういう世間の風潮といいますか、そういったものには、官官接待ですとか空出張、こういうものに関連するケースを想定しているものが多いとも思います。公務員氏名が記載されているのは、そのようなケースに限るのか限らないのか。私は限らないと思います。また、公務員の不正は、これは当然許されるべきものではありません。先ほども反省を求めました。その摘発や処罰は、法律手続に乗って公正に行われる必要があるとも思います。氏名を公表するということは、その公務員個人としての生活領域に与える影響は極めて大きいというふうにも思います。  政府案は、ポストの名称をあえてすべて公表することとしており、ポスト名が明らかになれば、行政遂行状況を明らかにするという点で十分効果があるというふうに私は思っております。公務員であっても、氏名を公表するというときは、常識的に公表が認められる場合や、そのプライバシー侵害を上回る公益上の必要性がある場合に限られるべきでありまして、その意味では私は政府案でよいというふうに考えます。  次に、情報公開法における法人情報取り扱いについてでありますけれども、一口に法人と言っても、その性格、営む事業の内容などがさまざまであり、これらに応じて保護すべき権利利益は的確に保護されなければならないと思います。特に、憲法上の特別の考慮を要する宗教法人について、先日もこの委員会で御答弁をいただきました。  平成七年の宗教法人法改正により、国の文化庁都道府県知事書類提出が義務づけられたところであります。これらの書類について、国や地方公共団体においては、宗教法人信教の自由を十分尊重して取り扱いがなされなければならないとも考えます。この点について、五月十二日に行われましたこの委員会で、総務庁長官が、情報公開法では、憲法が保障する信教の自由、集会、結社表現の自由などは権利の中心的なものとして、当然のこととして法人等の不開示情報として保護される、こういう答弁がされました。  そこで、文部省に、宗教法人法第二十五条第四項に基づいて国に提出された書類について、信教の自由を侵害しないような適切な取り扱いがなされるのか、情報公開法制定後、行政手続法に基づき設定すべき審査基準をどのように定めるのか、また、地方公共団体提出される書類情報公開条例上の取り扱いについて、文部省として地方公共団体を指導する考えがあるのかないのか、伺います。
  17. 前川喜平

    前川説明員 お答え申し上げます。  宗教法人法の第二十五条第四項によりまして宗教法人から提出される書類のうち非公知の事実に係るものに関しましては、これが一般に知られるところとなりますと、当該宗教法人管理運営に何らかかわりを有しない第三者によりまして、例えば当該宗教法人宗教活動の態様に対する誹謗中傷など、自由な宗教活動を妨害するための材料、あるいは宗教法人の自律的な運営に干渉するための材料などとして使われまして、そのため、当該宗教法人及びその関係者信教の自由、特に宗教上の結社の自由が害されるおそれがあると考えております。  一方、内閣提出情報公開法案の第五条におきましては、公にすることにより当該法人等権利を害するおそれがある情報を不開示情報としておりますが、ここに言う権利には憲法上の権利である信教の自由が当然含まれるということでございまして、この点につきましては、この委員会におきましても、総務庁長官から御答弁があったところでございます。したがいまして、宗教法人提出書類のうち非公知の事実に係るものにつきましては、原則として不開示情報として取り扱うことになると考えております。  また、行政文書開示、不開示等に関する審査基準につきましては、先生御指摘のとおり、情報公開法成立後、行政手続法の第五条に基づきまして定められることとなります。したがいまして、宗教法人法第二十五条第四項により提出される書類取り扱いを、どのように審査基準に盛り込むかということにつきましても、情報公開法成立後、具体的に検討してまいることになると考えております。  いずれにいたしましても、この基準の策定に当たりましては、宗教法人法に基づいて提出される書類のうち非公知の事実に係るものにつきましては、原則として不開示情報に当たるという考え方で対応することとしております。  次にお尋ねがございました、都道府県における取り扱いでございますが、文化庁におきましては、改正宗教法人法全面施行に当たって発出いたしました平成八年九月二日付の文部事務次官通達におきまして、各都道府県知事に対しまして、宗教法人提出書類取り扱いについても示しております。  この通達におきましては、情報公開条例に基づく開示請求があった場合につきまして、宗教法人法第二十五条第三項に規定する閲覧請求制度趣旨及び同条第五項の所轄庁留意義務規定、これを踏まえまして十分慎重に対処すべきこと、また、当該書類宗教法人内部情報でありまして、開示することにより宗教法人活動支障が生じるおそれがあること等に十分留意しなければならないということを示しております。  これは、宗教法人提出書類のりち非公知の事実に係るものにつきましては、これを公にすることにより当該宗教法人等信教の自由を害するおそれがあるため、所轄庁がみだりにこれを開示することがないよう、慎重な取り扱いを求めたものでございます。現在御審議いただいております内閣提出情報公開法案におきましても、先ほど申し上げましたとおり、原則的に不開示情報に当たることになると考えております。  一方、宗教法人に関する事務と申しますのは機関委任事務でございまして、情報公開に関する提出書類取り扱いについても、国及び都道府県において統一的に取り扱う必要がございます。このため、情報公開法制定された際には、この法律のもとでの国における提出書類取り扱いについて、都道府県においても、これと同様に、原則として不開示取り扱いとすべき旨、改めて通達により都道府県に対し指示を行いたいと考えておるところでございます。  以上でございます。
  18. 小此木八郎

    小此木委員 わかりました。憲法というのは、改正するだとかしないだとか、見直すべきだとかそうすべきでないとか、いろいろな議論があると思いますけれども、やはり憲法というのは国の一番大切な我々のルールという中で、その憲法で保障されている権利が侵害されることのないように、十分配慮をしていただきたいというふうに思います。  そこで、任意提供情報規定の是非は、本委員会でも主要な論点の一つとなっております。先日、経団連の立花参考人が、非公開を約束して企業から入手した情報行政公開することはそもそも信義則に反するのではないか、こういう意見を述べられました。私としてもこれは同感であります。任意提供情報趣旨について、政府に確認をいたしたいと思います。
  19. 瀧上信光

    ○瀧上政府委員 行政改革委員会は、法人等から非公開前提として行政機関に任意に提供されている情報につきましては、その流通の形態や提供者の非公開扱いに対する期待と信頼は保護に値するものとされているところでございます。その上で、このような任意提供情報のうち、法人等で常例として公にしない場合であって、公にしないとの約束が常識的にも理解できる場合について不開示情報とすることとされているところでございます。  政府案は、行政改革委員会のこのような意見に沿って立案をしたものでございます。
  20. 小此木八郎

    小此木委員 また、アメリカの任意提供情報取り扱いに関する判例において、要求を受けて提供するものは対象にならないとの指摘が本委員会でなされています。これが本当なら、政府案のよりどころとするところの一つが崩れることになると思いますけれども、そこで、アメリカの判例と政府案における任意提供情報に関する規定の異同について、政府の説明をお聞きしたい。  また、「約束」を「条件」に変更したことによりまして、要件があいまいになったのではないかという指摘もあります。この変更の理由はどういうことでしょうか。
  21. 瀧上信光

    ○瀧上政府委員 アメリカの司法省の回報によりますと、現在、連邦政府では、任意提供情報取り扱いにつきまして、クリティカルマス事件判決で示された基準、いわゆるクリティカルマス基準にのっとって判断をされているものと承知をいたしております。この基準では、任意に提供された情報については、提供者が通常公衆に公開しないような種類のものであれば不開示とされております。  一方におきまして、行政機関情報提供を求める法的権限を有しており、そしてかつ、当該権限を実際に行使して情報を入手した場合、すなわち行政機関から要求された、英語ではりクワイアドと言っていますが、そういった場合には任意性なしとして、別途モートン基準によりまして、提供者の競争上の地位に相当な損害をもたらすか、あるいは政府の将来の情報収集能力を損なう場合には不開示とされるということになっております。  政府案情報公開法の第五条第二号ロの規定は、行政機関の要請を受けて任意に提供されたものとしておりますが、要請を受けても、法人等情報行政機関に提供するか否かは任意の場合でありまして、法人等の側に当該情報の提供義務がある場合は除かれております。すなわち、この規定は、クリティカルマスに言う任意のものとされる場合と異なるものではないというふうに認識をいたしております。  そしてもう一つ、任意提供情報につきまして、「約束」を「条件」に変更したことにより要件があいまいになったのではないかという御質問でございますが、行政改革委員会意見の要綱案では「公にしないとの約束の下に」としているところでございますが、このような場合に、約束という用語を用いている法令上の例はほとんど見られないということから、その趣旨法律上の用語として的確に表現するために「条件」との文言を用いることとしたものでございます。  したがって、要綱案の内容実質的に変更したものではなく、要件としても明確なものであると考えております。
  22. 小此木八郎

    小此木委員 企業その他の法人が安心して自律的に活動できるようにするためには、非公開を条件に任意に提供されている情報というのは適切に保護することが必要であると私は思いますが、乱用のおそれを理由保護しないというのは、本末転倒ではないでしょうか。  任意提供情報につきましては、乱用の危険性が高いため、適用範囲を限定すべきとの意見もあります。このような意見に対し、再び政府でありますが、このようなことはどのような考え方でつくられているのでしょうか。
  23. 瀧上信光

    ○瀧上政府委員 法人等から非公開前提として任意に提供された情報であっても、これをすべて不開示情報とするのではございませんで、法人等における通例として公にしないこととされているものである場合のように、公にしないとの条件が常識的にも理解できる場合に限る旨の要件を明記しているところでございます。  行政機関の長は、任意提供情報取り扱いに当たりましては、この規定に基づきまして、適正に決定する必要があるわけでございます。そしてまた、行政機関の長の開示、不開示の判断は、最終的には情報公開審査会あるいは裁判所の審査の対象となるものでございます。したがって、この規定が乱用を許容するものではないというふうに考えております。
  24. 小此木八郎

    小此木委員 わかりました。  続きまして、外交、防衛、捜査関係情報に関してであります。  国際協調、世界の平和の維持は重要なことであります。他方、自国の安全を守らないとか自国の発展を願わないというような国は、私は、どこにも存在しないというふうに思います。各国においてもこのような重大な国益にかかわる情報は厳格に管理されているものでありまして、我が国のみ例外とすべきではないと思います。  参考人の中には、防衛、捜査情報のように、国民権利に重大な影響を及ぼすものこそ最終的に司法判断に服させるべきであり、「行政機関の長が認めることにつき相当の理由がある」、こういう表現は削除すべきという意見がありました。しかしながら、国益の保護増進は、まさに国会の最も重要な使命でありまして、責務でもあります。  論点は、まず、公開非公開の判断が国の安全保障や重大な国益等にかかわる問題について、どこまで個別具体的な審査を司法機関に求めるかということであると思います。このようなものは、高度に政策的、専門的な問題でありまして、国会行政に対する民主的な統制で対処できる問題であると考えます。この規定行政機関の恣意的な運用を広範に認めることになるから反対との意見がそこにもありましたが、このような意見については、政府はどうでしょうか。
  25. 瀧上信光

    ○瀧上政府委員 政府案情報公開法第五条第三号及び第四号の規定は、外交、防衛、犯罪捜査等に関する情報のすべてを対象とするものではなく、このような情報のうち、国の重大な利益等に係るものに限っているものでございます。そしてまた、諸外国の情報公開法におきましても、国の安全等に関する情報につきましては、その特殊性にかんがみまして、特別な取り扱い規定いたしているところでございます。  この情報公開法の第五条第三号及び第四号の規定に該当する情報であっても、まず行政機関の長は相当の理由の有無についてこの法律趣旨に沿って適正に判断すべきでありまして、そしてまた、裁判所の司法審査を一切排除するものではございませんで、訴訟が提起されれば、裁判所は、行政機関の長の判断に合理性を持つ判断として許容される限度内のものであるかを審査するということになりますので、行政機関の恣意的な運用を許容するものではないというふうに考えております。
  26. 小此木八郎

    小此木委員 次に、審議、検討情報取り扱いでありますが、意思形成過程情報について、野党案では規定が設けられておりません。参考人からも不要ではないかとの意見がございました。審議、検討情報の類型を設けた趣旨を教えていただきたいと思います。
  27. 瀧上信光

    ○瀧上政府委員 諸外国や地方公共団体条例におきましても、検討中の段階の情報につきましては、そのカテゴリーに特有な支障のおそれがあることから、不開示情報の類型を設けているところが多いわけでございます。  しかしながら、行政改革委員会での御議論におきましては、政府部内で検討中の情報は、政策形成過程を明らかにする観点から、公開すべき要請が強いとの指摘もございました。そこで、審議、検討あるいは協議に関する情報につきまして、公開原則としつつも、適正な意思決定等を保護する観点から、その不開示情報の要件を定めているわけでございます。  特に、情報公開法案におきましては、率直な意見の交換が不当に損なわれるおそれがあるもの等、不当という文言を用いることにより、公開非公開必要性を比較考量した上判断すべきこととしておりまして、こういつたことによりまして、公開可能なものは公開する趣旨をより明確にしているところでございます。
  28. 小此木八郎

    小此木委員 私は先ほどから、保護すべきものは保護すべきだということを申し上げておりますけれども、しかし、その上で、やはり法律の解釈、運用に紛れがないように、明確な基準をぜひつくっていただきたいというふうに思います。  続きまして、手数料の問題でありますけれども、その考え方。  手数料については、政府案では政令で定めることとしております。参考人の方々から、どのような額となるのかがなかなか見えない、こういう指摘もありました。また、公益目的の請求については減免すべきとの指摘があったところであります。  手数料は、額の定め方次第では開示請求権の行使の阻害要因となりかねないものもあると思います。一方で、開示請求の処理に相当の手間と費用がかかることも容易に想定ができるところであります。個人権利行使に伴い生ずる負担について、すべて一般納税者の負担とすることが適当かどうかはまだまだ議論が分かれているところだと思いますが、公益目的というのは一体何かということについて、明確な判断が困難なところであります。乱用防止という観点考えあわせますと、制度の利用を制約してはなりませんけれども、政令案の策定の際に適切な額を設定すべきであるというふうに思います。  手数料の算定について、これは基本的な考え方ですが、大臣の明確な答弁をいただきたいと思います。
  29. 小里貞利

    ○小里国務大臣 手数料の額については、ただいま議員もお触れいただきましたが、政令によって定められるものといたしておりますが、このことにつきましても、関係方面からいろいろ御意見があります。殊に、国会、この委員会におきましても御意見をお聞かせいただいておるところでございまして、各方面の意見にも配慮しながら、実費の範囲内におきまして、しかも利用しやすい適切な価格を決めていくべきである、経費を決めていくべきであると判断いたしております。
  30. 小此木八郎

    小此木委員 それでは、ちょっと具体的に二、三お聞きいたしますが、今大臣がおっしゃいました実費にはどういうものが含まれるのか。あるいは、手数料の算定について、電磁的記録の公開の方法とも関連いたしまして、どの程度具体的に議論をされているのか。もう一つ、今後の検討の中で手数料の金額が具体的に明らかになるのは大体いつごろでしょうか。
  31. 瀧上信光

    ○瀧上政府委員 実費の内容といたしましては、請求された書類の探索、開示・不開示の決定の審査、開示決定等の通知書の発行、請求者に交付する写しの作成等、開示請求及び開示の実施のための事務における人件費、光熱料、事務用機器等の設備費、消耗品などが含まれるものと考えております。  そして、手数料の算定についての磁気的記録の公開の方法等も含めての議論の進みぐあいというようなことでございますが、先ほども大臣の方からお答え申し上げましたとおり、手数料の具体的な額等につきましては今後政令で定めることとなりますが、現段階では、開示の実施に係る手数料は、閲覧、写しの交付等のそれぞれの実施方法ごとに定める必要があると考えております。  その中で、特に御指摘のありました電磁的記録の開示につきましては、ハードコピーで打ち出すかフロッピーディスク等の電磁的媒体でするかは、情報化の進展状況等も勘案して定める必要がございますが、いずれにしましても、それぞれの方法に要するコスト、すなわち実費を把握した上、具体的な額を決める必要があると考えております。そして、手数料の額は、情報公開制度の利用の制約要因とならないよう、できる限り利用しやすい金額とすべきとの御意見を踏まえまして、検討してまいりたいと考えております。  そして、さらに、手数料の金額が具体的に明らかになる時期はいつごろかということでございますが、手数料の金額等につきましては、ただいま申し上げましたとおり、具体的には、法の施行までに策定する政令で定めることといたしております。そして、この政令は、法施行前に手数料の金額等において十分な周知期間等を置くことを前提に検討を進めてまいりたいと考えております。
  32. 小此木八郎

    小此木委員 この辺のところは、国民の皆様あるいは私たちも最も関心のあるところだと思いますので、できるだけ早い時期にそういうふうに明らかになるようになればいいというふうに思います。  最後に、文書管理法の必要性のことについてでありますが、情報公開法の円滑かつ適切な運用のためには的確な文書管理が重要なことについて、異論はないと思います。政府案では、文書管理責務について法律で明記するとともに、政令で基準を定めることとしておられます。これに対し、三派案では、別に法律で定めることとしております。  法律規定する内容は、項目としては、政府案における政令で定める基準と大差がないようにも見受けられますが、例えば分類、整理、保管、保存などなどの項目ごとに、具体的に何を法律で規制されようとしておられるのか、ちょっとわからないところもあるのですが、政府案文書管理の規定趣旨について、お伺いをいたしたいと思います。
  33. 瀧上信光

    ○瀧上政府委員 政府案では、情報公開法の基盤となる適正な行政文書の管理を確保するという観点から、情報公開法案の第三十六条第一項におきまして、行政機関の長の行政文書の適正管理の責務を規定しまして、その第二項におきまして、それぞれの行政機関の長に、行政文書の管理に関する定めの策定及び公開の義務を課しているわけでございます。  そしてまた、それぞれの行政機関の長が定める行政文書の管理に関する定めに盛り込むべき内容につきましては、三十六条第三項におきまして、基本的な事項を政令で定めることとし、政令で規定すべき内容として、具体的に、行政文書の分類、作成、保存、廃棄に関する基準等を明記いたしております。  このように、情報公開法三十六条は、情報公開と車の両輪とも言われています文書管理につきまして、基本となる骨格について定めているものでございます。
  34. 小此木八郎

    小此木委員 文書管理法の必要性についての指摘もありました。あるいは、今後、文書管理にどのような形で取り組んでいかれるのか、こういうこともあわせて、政府の方針を聞きたいと思います。
  35. 瀧上信光

    ○瀧上政府委員 文書管理法の制定必要性についてでございますが、政府案におきましては、政令で規定すべき事項を法律に明記し、その規定に基づき、共通的な政令基準を策定し、そしてさらに、それぞれの行政機関の長にこの政令に依拠した行政文書の管理に関する定めを定めさせ、そして、これを国民公開することとしております。  このように、行政文書の管理の骨格につきましては、法律で明確に根拠を規定し、そして、その内容国民に見える形で整備しているということから、特段、文書管理に関する法律制定をする必要はないというふうに考えております。  そして、文書管理への今後の取り組みでございますが、政府としましては、情報公開法規定趣旨を踏まえまして、今後、行政文書の管理に関する政令基準内容を的確に定めますとともに、それぞれの省庁等の行政文書の管理に関する定めを適切に定めるよう推進をしていく必要があると考えております。  そしてまた、文書管理を実効的に改善するためには、ルールづくりに加えまして、近年の情報処理システム技術を活用した統一的な組織的管理システムを整備していくこととしております。例えば、行政文書の目録情報を各省庁のLAN上のコンピューター・ネットワーク・データベースとして構築するための具体的な検討等に着手しているところでございます。
  36. 小此木八郎

    小此木委員 時間が来ましたので終わりますけれども、以上質問させていただいたこと、どれも私は重要なものであると思います。この問題、個々の問題、職員の皆さんの一人一人の意識改革あるいは我々政治家、国民の皆様あわせた意識改革の中で、こういったいい意味での情報公開がされるということを私は望んでおりますので、以上申し上げて、質問を終わらせていただきたいと思います。共産党さんには、大変失礼いたしました。  どうもありがとうございました。
  37. 谷津義男

    谷津委員長 御苦労さまでした。  小野寺五典君。
  38. 小野寺五典

    ○小野寺委員 自由民主党の小野寺五典です。小此木委員に引き続き、情報公開法について質問させていただきます。  まず、今回の委員会審議の中で、特に一番議論が集中したところ、それが目的規定に知る権利を盛り込むかどうかというところだと思っております。そこで、まず初めに、この知る権利を明記することの妥当性について、少し議論をしていきたいと思います。  さきの参考人質疑の中で、塩野参考人から出た御意見でありますが、この知る権利を明記するということは、学説上我が国憲法が知る権利を保障しているかどうかという問題と、条文の形で憲法上の言葉を書くかどうかということは、全く別の問題であるということが指摘されました。また、憲法上の抽象的権利という考え方は、これは実はかなり日本的な考え方であり、余り普遍性のある考え方ではないのではないか、いずれにしても、こういう議論というのは学問上の問題だというような指摘がありました。さらに、憲法上の権利を確定するのは憲法制定権者と最高裁のいずれかでありまして、最高裁は開示請求権としての意味での知る権利は認めていないということから、条文上規定することは適切でないと考えている、こういう御意見塩野参考人からありました。  他方、その他の参考人の多くの皆さんは、この知る権利というのを明記すべきと指摘しています。特に、右崎参考人は、世界人権宣言、ドイツ憲法アメリカ下院の作成したガイド、また、イギリス政府の白書、こういうのを例に挙げられまして、人権の国際的発展動向を踏まえると、憲法第二十一条の表現の自由にはこの知る権利が含まれていると理解することが十分に可能だというような御意見をおっしゃいました。  こういうふうに、解釈が非常に分かれているわけでありますが、このドイツ憲法あるいはアメリカ下院のガイドにあります知る権利といいますのが、今議論されていますこの情報公開法の中での憲法上での権利として、政府に対する積極的な情報開示請求権の意味で用いられているかどうかということは、ちょっとまだ十分私としても理解ができないところであります。  そこで、まず政府にお伺いしたいのですが、諸外国におきまして、本当に、知る権利というのを法律上明記することが世界的な潮流なのか。我が国で今情報公開法として議論されているような内容について、知る権利法律上明記しているのかどうか、このことについてお伺いしたいと思っています。
  39. 瀧上信光

    ○瀧上政府委員 お答えいたします。  諸外国におきまして、いわゆる知る権利憲法上どのように位置づけられているかといった問題は学問上の問題であると認識しておりますが、研究者の論文等により把握しているところによりますと、例えばドイツ基本法第五条には、知る権利という文言規定されておりますが、これは、一般に近づくことのできる情報源、報道機関といったようなことでございますが、情報源から妨げられることなく知る権利を有すると規定されており、講学上の情報受領権と認識をいたしております。  そして、アメリカ憲法修正第一条は、言論もしくは出版の自由を制限する法律制定してはならない旨の規定がございまして、これが表現の自由を保障しているというふうにされていますが、これは典型的な自由権とされていると承知をいたしておりまして、アメリカ情報自由法と同条が関連づけられた議論といったものは承知をいたしておりません。  行政改革委員会行政情報公開部会での議論でも、諸外国ではアクセス権といった文言が用いられておりますが、これを憲法上の権利に結びつけた議論というものは見られない旨の御指摘がなされているところでございます。
  40. 小野寺五典

    ○小野寺委員 といいますと、結論的には、我が国の今審議しておりますこの知る権利というところとは、外国の例は少し違うというような結論かなというふうに思っています。  さらにちょっとお伺いしたいのですが、この知る権利というのが憲法上保障されているということは我が国において既に通説となっているというような御指摘もありました。この知る権利概念について、学説の状況、裁判上の取り扱いについて、本当にこのような通説になっているのかどうか、さらにお伺いしたいと思うのです。
  41. 瀧上信光

    ○瀧上政府委員 いわゆる知る権利概念につきましては、学説上いろいろ考え方がございまして、その一つとしましては、憲法上既に具体的な内容を持って存在する権利であるという具体的権利説、二つ目としましては、基本的には抽象的な権利であるにとどまり、法律による制度化を待って具体的な権利となるという抽象的権利説、そして三つ目としましては、憲法第二十一条が保障する表現の自由はあくまでも自由権であって請求権的なものは含まないという消極説といったようないろいろな説が存在し、そしてまた、論者により根拠条文が異なるといったように、その概念がなお固まっていないという状況にございます。  そしてまた、裁判上の取り扱いにつきましては、地裁レベルでの判決はさまざまでございますが、最高裁判所におきましては、これまで政府の保有する情報開示請求権といった意味での知る権利を認めた判決はございません。
  42. 小野寺五典

    ○小野寺委員 といいますと、この知る権利というのは、学説上の評価も定まっていない、また裁判上でもそれほど明確になっていない、そういうことでありますと、知る権利ということを今回の法律の目的規定の中に明記するということになりますと、これは、憲法解釈上はっきりしていないものを法律で確定しようというようなことにもつながるのではないかと思いますので、私は、おかしいのかなというふうに考えております。  また、この間塩野参考人が御指摘されましたが、この学説上の議論というのは、やはり議論議論ということでさらに深める必要があると思うのですが、今回の法律文言としてそれを規定するということは適当ではないという御意見もありましたので、私は、この法律運用上、知る権利文言の有無ということ、これを議論するというよりは、その内容について、しっかりとその条文の中に盛り込めばいいのかなというふうに考えている一人であります。  さて次に、またもう一つ議論のありました参加、監視ということ、これが行政改革委員会意見には、明記すべきという形だったと思うのですが、この政府案の中にはこれは落ちている、そういう御指摘野党側あるいはさきの参考人の中からもありました。  そこで、この参加、監視という表現が落ちたということについて、私もちょっとまだはっきりしないところがありますので、この参加、監視という表現がなかった理由について、ぜひ政府にお伺いしたいと思うのです。
  43. 瀧上信光

    ○瀧上政府委員 先日の参考人質疑におきましても、塩野参考人から、行政改革委員会の要綱案の監視、参加とは、客観的で広い意味で用いているという指摘があったところでございます。  法律用語としての監視あるいは参加という用語は、既に幾つかの法律で用いられておりまして、特定意味内容を持っております。すなわち、法律用語として監視、参加をそのまま用いますと、行政改革委員会意見趣旨を的確に表現することにはならないということから、この言葉にかえて、国民の的確な理解と批判のもとにある公正で民主的な行政の推進としたものでありまして、決して行政改革委員会趣旨内容に変更を加えたものではございません。
  44. 小野寺五典

    ○小野寺委員 と申しますと、これは参加、監視という言葉が法律用語としてある程度限定されて使われているものであるから、立法技術的問題として、これを使うことは適当ではないということで今回使わなかったという御答弁だと思っています。  そうなりますと、まず私は、この参加、監視ということ、当然非常に重要な論点だと思いますので、この参加、監視という文言、これが今回技術的には盛り込むことができなかったということですが、政府案、この内容というのはその中に盛り込んでいるのだということについて、ぜひ明確に大臣から御答弁をいただきたいのです。
  45. 小里貞利

    ○小里国務大臣 先ほど政府委員も御答弁申し上げましたように、本法律案は基本的に行政改革委員会意見に沿って立案されたものでございまして、ただいまお話しの目的規定につきましても、その要綱を変えるものではない、さように御理解いただきたいと思います。
  46. 小野寺五典

    ○小野寺委員 この参加、監視という考え方、確かに、私ども国会議員でありまして、国民から選ばれております。その中で、私どもの仕事も重要でありますが、今後やはり国民視点というのは、政府にいろいろな形で直接声を反映したい、そういう意見もあると思いますので、それも踏まえて、ぜひ実効ある法律にしていっていただきたいというふうに思っています。  それでは次に、またこれは私は何度かこの委員会質問させていただいておりますが、特殊法人取り扱い。今国民の関心といいますのは、特殊法人あるいは認可法人その他に、一体その内容はどうなっているのかということも含めて、いろいろな論点があると思います。  この特殊法人については、参考人の方々の御意見、これまでのいろいろな議論を含めまして、情報公開のための法制上の措置が必要であるということは、もうこれは与野党、共産党案も含め一致しているというふうに考えておりますが、自民党としましても、法案提出に先立つ三党合意におきまして、この法律制定後二年以内に特殊法人を対象とする情報公開法案国会提出を図るということを決定しています。  問題は、この行政機関を対象とする法律を現時点で修正して、特殊法人にも直接適用することがいいのか、あるいは、専門的な検討を経た上で特殊法人に関する情報公開法制定する方が適当なのかということだと思います。  この点、論点が分かれていると思うのですが、このことについては、さきの参考人質疑におきまして、塩野参考人が、特殊法人の中にはいろいろな性格のものがある、これまで理論上検討が進んでいないということもあって、合理的な説明を行うための整理には二年程度の検討期間が必要だということでありました。  ですから、法制上、技術上、これを一緒に今回の中ですることは難しいから、まず、この法案に盛り込んでありますように、二年程度検討してから、別な法律でしっかり定めていこう、そういう案だと思っています。これも、そうなのかなというふうに感じるのです。  そこで、改めまして、政府側に、特殊法人を本法の対象としなかった理由について、この議論を含めて、明確に御答弁いただきたいと思うのです。
  47. 瀧上信光

    ○瀧上政府委員 特殊法人をこの法律案の直接の対象機関とすることにつきましては、行政改革委員会におきまして、特殊法人は国とは別の法人格を有するものであり、それぞれ法的性格、業務内容、国との関係がさまざまであることから、一律に適用することは不適当であると判断をされているところでございます。  すなわち、行政改革委員会でこのような考え方となりましたのは、一つには、開示請求権制度は国の機関と国民との一般的な公法関係を前提とするわけでございますが、国の機関とは別の人格を与えられております特殊法人国民との関係が、国と国民との関係と同様であるかどうかといったことにつきましては、理論的な解明が必要であるということでございます。二つ目としましては、現在ある八十四の特殊法人の法的性格、事業内容等はさまざまでございまして、個々の特殊法人の実態を吟味することが不可欠であるということでございます。三つ目としましては、対象とする特殊法人の性格、事業内容に即して法律の目的、対象範囲公開非公開基準手続救済制度等を構築することが不可欠であるということによるものであります。  そこで、行政改革委員会意見を踏まえまして、この法律案では、別に情報公開に関する法制上の措置その他必要な措置を講すべき旨を規定しているところでございます。
  48. 小野寺五典

    ○小野寺委員 確かに一口に特殊法人と申しましても、いろいろな性格のものがあります。ですから、それを全部一緒くたに公開という形になってもまた性質上違うものもあると思います。ぜひその内容を精査していただいて検討していただき、私個人としましては、ぜひ認可法人についてもその範囲を広げていただければというふうに思っています。  さて、その中で、さきの参考人の御意見の中にもあったと思うんですが、先日研究会の報告書が公表されたということで、これは特殊法人情報公開を検討するというようなそういう内容の研究会だというふうに伺ったんですが、その内容について少しお伺いしたいと思うんです。
  49. 瀧上信光

    ○瀧上政府委員 特殊法人情報公開の制度化に関する研究会の報告を先日公表したわけでございますが、この研究会は、制度化に当たっての理論的な課題の解決に資することを目的としまして、平成九年十月からことしの三月まで開催をされたものでございます。研究会では、諸外国における状況を比較法制的に研究、分析することを中心に検討が行われまして、今般、その成果が報告書として取りまとめられたわけでございます。  研究会報告は、一つは我が国の特殊法人制度とその類似制度の概要、二つ目としまして主要国の特殊法人対応制度の状況、三つ目としまして主要国の情報公開制度におけるそれらの取り扱いについて整理をするとともに、以上の研究を通じて、制度設計に当たり今後検討すべき論点としまして現段階で考えられるものを整理しているわけでございます。  今後の主要な論点として今の時点で考えられるものの整理としましては、例えば、情報公開制度の対象となる法人基準につきましては、国が直接設立しているかどうか、国からの出資があるかどうか、役員大事に関与しているかどうか、予算、決算統制が行われているかどうか、本来的に国の作用と言えるかどうか等々を挙げまして、今後、個々の特殊法人の制度、実態も吟味した上での検討が必要であるというふうにしております。  そしてまた、特殊法人についての情報公開考える場合に、対象文書、不開示情報範囲救済手続等について、どのような制度を構築していくかといったことについても検討をする必要があるといった指摘もございます。
  50. 小野寺五典

    ○小野寺委員 今のような基準という形で諸外国では情報公開については対応しているということになりますと、これは単に特殊法人ということだけではなくて、認可法人、指定法人、そういうことも恐らく基準として検討できるのではないかというふうに思っています。  ですから、政府法律として設置をしています特殊法人というだけではなくて、これは、あくまでも民間からの自発的な認可要請ではあっても、今のような基準であれば、認可法人にもこれから公開の状況が及ぶのではないかというふうに考えますので、ぜひそれも含めて今後検討していただければというふうに思っています。  それでは次に、存否情報について、少しお伺いしたいと思っています。  存否情報につきまして、これは三派案それから政府案にお伺いしたいと思うんですが、まず存否情報委員会でもいろんな議論がありました。特に、企業活動に対してそのことがあるかどうかによってある程度推察がつくというような指摘もあったと思うんですが、この存否情報、共産党案ではそもそも規定を設けていないということ、また三派案では個人情報、国の安全、捜査等の情報に限定しておりました。これは、要は限定することが適切かどうかというところだと思っています。  この点につきましては、先ほど経済活動という点から、さきの参考人の御意見でも、経団連の意見としまして、法人情報について存否情報規定を適用することが必要であるというような御意見もあったと思います。例えば、参考人の中では、アメリカでは存否情報範囲というのは国防情報あるいは個人情報に限定されているという指摘があったと思います。  そこで政府にお伺いしたいんですが、このような存否情報の限定ということについてどのようにお考えか、改めてお伺いしたいと思います。
  51. 瀧上信光

    ○瀧上政府委員 アメリカにおきましては、記録の存否を明らかにしないで応答を拒否することは、判例上認められてきたところでございます。研究者の調査によりますと、判例は、個々の不開示事項につきまして、当該記録の存否を確認すること自体が、当該不開示情報開示した場合と同様の支障をもたらし得る場合は、応答拒否が可能という立場をとっているとされまして、拒否が限定されているというものではないとされております。  そしてまた、アメリカ連邦政府におきましても、存否情報の適用範囲は、不開示情報の類型により限定されるものではなく、法人情報など他の類型についても存否を明らかにしないで応答を拒否することが必要なものがあるというふうに解釈され運用されていると承知をいたしております。
  52. 小野寺五典

    ○小野寺委員 この存否情報ですが、さきの参考人質疑の中でも、参考人の中には、法人情報については存否情報として保護すべきものではないと言い切られた方もいらっしゃったと思います。まだ、三派案の提案者の方の中にも、法人に関する存否情報については、法人に関する不開示情報規定で対処すればいいというような御意見もあったと思っています。しかしながら、不開示情報規定で対処するのは、私は十分に保護したことにはならないのではないかというふうにも考えております。  そこで、改めまして、この存否情報の適用範囲を限定するということについて、まず三派案の提出者の方にお伺いしたいと思います。また、その後に、政府にも同じ質問をいたしますので、お答えをいただければと思います。
  53. 倉田栄喜

    倉田議員 三党案立場でございますけれども原則公開、例外非開示ということで、原則公開趣旨をでき得る限り貫く、この立場に立っております。  この立場に立った場合に、存否情報応答拒否という場合につきましては、実際その処分がなされました場合に、例えば最終的にその当否を争う場合についても非常に争いづらい。そして、存否を答えることが開示に当たるということも、これもいわゆる判断の問題であって、実際そうなのかどうかということも非常に不明確である。  そうだとすれば、原則公開という立場に立つ以上、この存否の問題についてはよほど重要なものについて限定をすべきである、その趣旨から、外交、防衛、捜査そして人権というところに限定をしたわけであります。
  54. 瀧上信光

    ○瀧上政府委員 文書の存否を明らかにすること自体に支障の生ずるおそれがある場合は、いわゆるプライバシーや外交、防衛、犯罪捜査情報には限らないと考えております。その理由としましては、文書の存否それ自体が一つの情報であるからであります。  先ほど来御説明しておりますとおり、例えばある企業が特定の先端科学技術分野の開発に着手しているか否かを明らかにすることが、しのぎを削っている企業の競争上の地位が害されるおそれがある。これは、当該文書を不開示と決定することでは保護できないわけでございます。すべての不開示情報の類型ごとに同様のケースが生じ得る以上、類型により限定することは適切でないと考えております。
  55. 小野寺五典

    ○小野寺委員 私も企業活動に関して、先ほどの経団連のお話を伺うと、特にその存否自体が企業活動あるいは企業の秘密にかかわるという中で、非常にこの点には注意をしていきたいと思っています。ですが、三派案の先ほどのお答えにありましたが、存否情報というのが乱用につながるというようなことがないような形には、ぜひこの法案、しっかりと考えていただきたいというふうに考えています。  それでは次に、これもまた同じく議論になっておりましたが、訴訟におけるインカメラ審理導入の適否について、政府にお伺いしたいと思います。  裁判段階におきましてこのインカメラ審査手続の導入について、これは参考人からもいろんな御意見がありました。その中で、検討すべきという御意見が多かったと思うんですが、特に塩野参考人からも、三派案では現行憲法下での疑義は解消していないとして、インカメラ審理導入の可能性について今後とも引き続き探る必要があるというような御指摘があったと思います。  そこで、政府に、裁判所におけるインカメラ審理を認めることについて、その見解について改めてお伺いしたいと思います。
  56. 瀧上信光

    ○瀧上政府委員 行政改革委員会におきましては、情報公開訴訟手続でインカメラ審理、すなわち相手方当事者にもその内容を知らせない裁判官だけによる書類の審査の手続でございますが、これを認めるべきかどうかということにつきましても検討されまして、結局、今後、憲法八十二条の裁判の公開原則との関係等の問題を念頭に置きつつ、情報公開法施行後の訴訟の実情等に照らし、専門的な観点からの検討が望まれるというふうにされたものでございます。  すなわち、インカメラ審理につきましては、裁判の公開原則憲法八十二条に定めておりますが、これとの関係をめぐってさまざまな考え方が存する。そしてまた、相手方当事者に吟味、弾劾の機会を与えない証拠により裁判をする手続を認めることは、行政訴訟あるいは民事訴訟制度の基本にかかわる問題であるといったことが指摘をされているところでございます。  そしてさらに、裁判官が取り消し訴訟に係る行政文書を実際に見ずに、間接的な証拠のみにより推認を働かせて審理をしなければならないことは、裁判上困難な面があるものの、情報公開条例に基づく同種の訴訟の現状では、立証上種々の工夫をすることで訴訟が遂行されております。そしてまた、不服審査会における調査の過程で得られた資料が、訴訟上活用されることも期待されるといったことも指摘をされているところでございます。その上で、今後、情報公開法の訴訟の実情等に照らし、専門的な観点からの検討が望まれる旨の指摘をされているところでございます。  政府としましては、この行政改革委員会意見国会の御論議を踏まえて、今後検討すべき問題というふうに考えております。
  57. 小野寺五典

    ○小野寺委員 ぜひ、重要な課題でありますから、慎重に審議、検討し、納得のいける結論を出していただければというふうに思っています。  それでは次に、地方公共団体への要請の内容についてお伺いしたいと思います。  今回の情報公開法案第四十条ですが、「地方公共団体は、この法律趣旨にのっとり、その保有する情報公開に関し必要な施策を策定し、及びこれを実施するよう努めなければならない。」という規定があります。現実的には、各都道府県、かなりのところが、この情報公開法情報公開条例という形で先取りしている部分もあると思うのですが、まず、この地方公共団体における情報公開条例制定について、政府側にお伺いしたいと思っています。
  58. 瀧上信光

    ○瀧上政府委員 地方公共団体における情報公開条例制定の状況でございますが、地方公共団体では、昭和五十七年に山形県金山町と神奈川県で情報公開条例制定をされましたのを皮切りとしまして、平成九年四月現在、四十七都道府県中四十四団体、三千二百五十五市区町村中三百二十八団体におきまして情報公開条例制定しているわけでございます。都道府県につきましては、その後二県において条例制定をされておりまして、未制定は一県のみとなっておりますが、市区町村におきましては、九割程度が未制定という状況でございます。
  59. 小野寺五典

    ○小野寺委員 こういう形で情報公開法というのが制定されますと、既にあります各都道府県、各市町村にもありますが、この情報公開条例というものとの関連性というのでしょうか、これが非常に重要な議論になってくると思います。  せっかくの地方自治体が先行している試みでありますので、ぜひこの法律が妨げにならないように、また、さらにその情報公開趣旨にのっとって進展するような、そういう環境を保っていただきたいと思っております。ぜひ、大臣からその趣旨について、明確な答弁をいただきたいと思っています。
  60. 小里貞利

    ○小里国務大臣 四十条は、御承知のとおり、訓示規定であり、いわば努力義務であるところでございますが、御承知のとおり、情報公開条例は、地方公共団体憲法上の条例制定権限に基づきまして自律的に制定されたもの、さように思っております。  既に情報公開条例制定されているところ、都道府県、ただいま報告のように非常に多いようでございますが、国の法律でよいところを取り入れていただきたい。そしてまた未制定の団体については、国の法律を参考に条例制定に努力をしていただきたい。以上が本条の趣旨でありまして、政府としては、そのような地方公共団体に対して情報提供その他の支援を行ってまいりたい、さように考えております。
  61. 小野寺五典

    ○小野寺委員 ぜひ、今御答弁内容で、しっかりとした対策をお願いしたいというふうに思っています。  それでは、これもまた議論がかなりあったところでありますが、土地管轄の問題、原告住所地での訴訟提起を認めることの妥当性ということについて、政府にお伺いしたいと思っています。  原告住所地で訴訟提起を認めるかどうかということでありますが、これは参考人質疑の中でも要望がかなり強いところでありました。その中で、参考人の中には、例えばコストがかなりかかるとか、あるいは、手続等で非常に時間がかかるとか、そういうような御意見もあったと思います。  この点につきましては、塩野参考人の方から、質疑の中で、国会が判断することというお答えがあったと思います。要するに国会の判断ということだったと思うのですが、その塩野先生の直前の質疑内容などを考え合わせますと、塩野先生の真意といいますのは、これは恐らく、行政事件訴訟法全体の問題として、この土地管轄の問題を議論した上で、要するに専門的な検討をもうちょっとすべきだということで、解決を図るべきというふうな御趣旨があったというふうに私は感じております。  このような御意見を真摯に考えますと、国会が国権の最高機関であり唯一の立法機関でありますので、我々が決断すれば足りるといった単純なものではなくて、これは法制度上かなり広範囲議論をするというような責任もあるのではないかというふうに考えます。  そこで、この土地管轄について、まず政府の御意見を改めてお伺いしたいと思います。
  62. 瀧上信光

    ○瀧上政府委員 情報公開訴訟の裁判管轄につきまして、行政事件訴訟法第十二条の一般取り扱いに関する特則を設けるかどうかといった点につきましては、行政改革委員会でも議論をされたところでございます。  そして、地方在住者の負担の実情に配慮するとともに、情報公開訴訟において一般行政訴訟に対する特例を設ける必要性はあるか、訴訟遂行に要する費用の負担はいかにあるべきか等につきましては、いろいろな考え方があり得ること、そしてまた、出先機関への権限委任やそこでの事務処理の状況によっては出先機関の所在地での訴訟が広がること等から、今回の要綱案においては取り上げられなかったところでございます。  その上で、今後、情報公開法運用の実情等を勘案し、行政訴訟一般の問題との関連にも留意し、専門的な観点から総合的に検討すべき旨を指摘されているところでございます。  先日、塩野参考人からも、当委員会で御指摘のとおり、幅広い専門的な検討が必要なことを指摘され、そして国会で御判断していただきたい旨の御意見があったところでございます。政府といたしましては、行政改革委員会の御意見や各方面からの御意見国会での御議論を踏まえまして、そしてまた実情を適切に把握し、検討をしていくべきものというふうに考えております。
  63. 小野寺五典

    ○小野寺委員 済みません、今のは、検討をしていくということなんですが、それは前向きの検討なのでしょうか、それとも、現段階ではなかなか厳しいということなのでしょうか。
  64. 瀧上信光

    ○瀧上政府委員 裁判管轄に関する問題につきましては、いろいろと専門的な検討課題もありますので、訴訟の実情等を踏まえて、どういつだ対応をしたらいいかといったことについて検討するということでございます。
  65. 小野寺五典

    ○小野寺委員 済みません、まだ新人なものですから、なかなか言葉によく理解できない部分が多くて、恐らく、実情に合わせて、これから御不満がないような形でやっていくというようなことかと思います。  このような訴訟管轄の問題につきましては、恐らくおっしゃりたい内容というのは、同一の文書について全国各地で次々と提訴が起きた場合に、それをどこでどう扱うのかというような整理の問題があったり、あるいは、情報公開訴訟に関しまして、現住所所在地の訴訟提起を認める規定を設けるということで、訴訟制度全体、ほかの行政訴訟関係で同じような規定がありますから、ゆがみが生じるというような種々の問題があって、恐らくそういう御意見になったと思うのです。  いかんせん、これからは、それを使う方の立場というのでしょうか、国民立場ということも十分踏まえられて、現実にもう訴訟ができないよなどというようなことがないようにしないと、せっかくの法律が有効に活用しないのではないかというふうに考えております。  そこで、この情報公開法、きょう実はいろいろな議論がずっとあったと思うのですが、その中で、三派案、共産党案政府案も含め考えてみますと、例えば、一番初めの知る権利ということの議論がありました。この議論というのは、その内容については十分理解をしている、ですが、憲法上明確になっていない中で、法律でそれを明記するということは技術上あるいは学問的にも少し問題があるのではないかということで、今回政府案の中には入れなかったということが論点として明らかになったと思います。  また、監視、参加という文言が落ちたということでありますが、これも、監視、参加ということが、現在の法技術上、この言葉というのがまた別の意味にとられてしまっては困る。既に法律用語として確立している以上、これをそのまま入れてしまうと、解釈としてまた違う形になってしまう。そういうふうな技術的な問題で、これを使わないで別な文言にした。ですから、その趣旨が実はこの中に盛り込まれているということも、話の中でクローズアップされてきたのではないかというふうに考えています。  それから、特殊法人取り扱いでありますが、これにつきましても、確かに今回の法律の中でえいやと一緒くたに規定することは、ある面ではそういう御意見もあるとは思うのですが、現実的に、特殊法人というのは既に政府行政体からは距離を置いております。その設置目的もまた、政府ではないという形で設置されている部分がかなりあるということで、内容については一つ一つ精査をする必要が今後もあるということが、よく考えれば、多分そういうふうに出てくると思います。  ですから、二年程度の、期間というのは果たしてこの二年が適当かどうかわかりませんが、期間を置いた中で、実効あるもの、あるいは先ほど諸外国の例が紹介されましたが、諸外国の例に合うような形で一つ一つ詰めていくというような、ある面では地味な作業も今後必要かと思いますので、今回の規定の中ではこういう形で、二年後に別な形で立法するというものは仕方がないのではないかというふうに思います。  それから、存否情報に関する規定必要性でありますが、これは三派案あるいは共産党案の御意見も、確かにそうだと思います。余りこういう規定をたくさんつくってしまうと、むしろ乱用につながるおそれがあるのではないか、そういう御意見、確かにそのとおりだと思います。  ただ、確かに経団連の御意見、企業活動もこれに含めていただかないと、存否情報が企業に対しても制限がある。要するに、どの段階でどういうふうに実効あるようにこの法律を用いていくかという現実の課題であるというふうに考えております。  ということで、最後の土地管轄の問題については、議論が分かれますし、ほかの法律との整合性もあるので慎重な対応が必要だということなんですが、どうも、全体の今回の委員会の審議を通じて言いますと、ある面では、ほぼ、内容とか方向については、これはどこの党も同じく同じ方向に向かっているのではないか。  ただ、その中で、実際に法案化すると、技術的にこれはどうも難しいとか、あるいは、ここまで言い切ってしまった場合にはほかに弊害が出てくるとか、そういうふうないろいろな障害がたくさん出てくるということで、表現がちょっと変わったり、あるいは読み方によっては、少し表現がトーンダウンしたのではないか、そのようなとらえ方もされるのではないかというふうに思っています。  ですが、いずれにしましても、方向というのは、一刻も早くこの情報公開法を通しまして、そして実効ある行政の透明性というのでしょうか、それを図っていくことが最も重要なことだというふうに思っています。  そして、特殊法人だけではなくて、認可法人も含め、政府が現実的にはかなり関与している外郭団体が日本にはたくさんあります。それが今、国民にとっては非常な関心の的になっています。ですから、ぜひこれもその対象に今後は広げていっていただきたいというふうに考える一人でもあります。  そこで、最後になりましたが、ここまでいろいろな議論をしております。今国会でぜひともこの法案を成立させていただきたいのですが、私は、できるだけ早くこの法案が成立することを望む一人としまして、この早期制定に向けた決意を大臣にお伺いしたいと思っております。
  66. 小里貞利

    ○小里国務大臣 それぞれ大切なポイントを整理しながらお話をお聞かせいただいておるところでございますが、申し上げるまでもなく、情報公開法は、主権者たる国民の皆様方に行政、政策を吟味、評価をいただく、そしてまた御意見をお聞かせいただくという意味におきましても、大変重要な要素を持っておるわけでございます。  時折しも、中央省庁等改革基本法も今国会に御相談申し上げておりまするが、この法案とも基本的に非常に重要な関連性を持つ。また、基本法を国会の意思で決定いただきましたなれば、これを推進する有力な一翼を担っていただく一つの法案である、さように思っておりまして、一日でも早くこれを御審議の上、国会の意思を確定いただきますことをひたすら念じておるところでございます。
  67. 小野寺五典

    ○小野寺委員 私は衆議院議員となりましてまだ半年であります。ですから、今までは外から国会議員を見ておりました。その中で、ここまで国会議員、衆議院、参議院も含め、一生懸命国のために議論しているということを、実は気づきませんでした。改めて、大変な御努力を皆さんされているな、また各省庁も、本当に日本の将来のために前向きにいろいろな努力をされているということも改めて感じました。  ですから、ぜひこのような活動がより国民に広く知れ渡るためにも、また国民にさらにこの活動理解していただくようになるためにも、私たちは隠し事がありませんということを、まずこの情報公開法の中で国民全体に大きくアピールをしていって、さらにその中で、実効ある情報公開をする中で、国民に今、ともすれば多少不信感がありますこの政治と行政に新たな光を当てまして、なるほど、一生懸命やっているんだな、あるいは、政府は変わったな、そういう一つの転機にこの法案がなればいいと思っております。  ですから、いろいろな内容等についての議論は確かに分かれるところではありますが、今国民が一刻も早く早期成立を願っておりますこの情報公開法をぜひ成立させまして、新たな日本再生のために頑張っていければなというふうに思っております。情報公開法早期成立をお願いして、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  68. 谷津義男

    谷津委員長 御苦労さまでした。  松本善明君。
  69. 松本善明

    松本(善)委員 長官にお伺いしたいと思います。一番最初に伺いたいのは、この法律行政改革の中でどのような位置を占めているかという問題であります。  与党の自民党の質問の中でもありましたが、今、官官接待から大蔵省、防衛庁、警察に至るまでの腐敗、不祥事、何よりも緊急に事態を明らかにして、政治と行政に対する信頼を回復しなければならない、そういうときではないかと思います。  私は、今の自民党の質問にもありましたが、省庁再編の法律よりもこの情報公開法律を優先させて、そして連日審議をしたならば、今国会でも成立させることは決して不可能ではないと思います。問題は、省庁再編の法律を優先させるのか、それとも、この情報公開を優先させるのかということによって決まるのだというふうに思います。  私は、今国民が求めておるのは、省庁を再編するというよりは、行政に対する信頼を回復しなければならない。それがなければ、どんなに機構をいじりましても、これは立派な行政はできない。ここが中心の問題であろうかと思います。  長官は、省庁再編法と情報公開法、これは両方ともと言う。時間が十分あれば、それはそうです。しかし、今の状況でどちらを優先させるのか、お答えをいただきたい。
  70. 小里貞利

    ○小里国務大臣 ただいま議員もお触れいただきましたように、中央省庁改革基本法案におきましても、第五十条で、国民に対する情報公開は極めて大事な要請でありますということをきちんと記しておるところでございます。あわせまして、また、今次国会におきまして情報公開法、先ほども若干申し上げましたような、極めて重要な目的と一つの背景を持ちまして御審議をいただいておるところでございます。  率直に申し上げますと、先ほども申し上げましたように、情報公開法そのもの自身も非常に重要な役割を担うわけでございますが、あわせまして、今お話しのように、中央省庁改革基本法案においても大きな一翼を担っていただける法律だ、私どもはこう思っております。  ただ、これは率直に申し上げまして、松本御先輩のせっかくの御意見でございますが、その両案に対する国会の審議の対応あるいはその運営の取り運びにつきましては、国会の皆様方の御意思であり、そしてまた内部の事情もおありかと思う次第でございまして、私の立場から申し上げますと、両案、ぜひひとつ国会の意思をこの機会にお取り決めをいただきたい、こういう御相談を申し上げる次第でございます。
  71. 松本善明

    松本(善)委員 私は長官から、省庁再編法はどうしてもこの国会成立させてほしいという話は何度も聞きましたけれども情報公開法をどうしてもやってくれと一度も聞いたことがありません。実際の運営につきましても、長官が衆議院の内閣委員会に出てくる機会は、きょうは参議院で参考人がやっておるからということで、省庁再編法を優先していることは明白であります。  公式の答弁でいうとそういうことになるけれども、事実上そういうようなやり方をやっているというのは極めて遺憾である。情報公開法を、省庁再編法に優先をして十分な審議と与野党の協議を行って、一日でも早く成立させることが国民の期待にこたえる道だ。自民党議員もそういうふうに先ほど言われた。その道がとられていないということは極めて遺憾だということを申し上げた上で、お聞きしたいと思います。  政府案をそのまま成立というのは、もちろん多くの問題があり過ぎます。自民党の穂積理事も、本委員会で、政府案野党案との調整を図ることを真剣に考えているということを発言されました。  そこで、長官にお伺いをしたいのでありますが、問題は政府修正考えるかどうかということであります。なぜそういうことを特に言うかといいますと、参考人質疑でも、行政改革委員会情報公開部会の部会長代理として本法案の作成にかかわり、本委員会参考人として意見陳述をされました塩野宏成蹊大学法学部教授の陳述からいたしますと、政府修正をこの際考えるのが当然ではないかというふうに考えられる諸点がございます。  例えば、塩野氏は、今も議論がありました特殊法人の問題について、だれが見ても対象にしなければならないものもあるが、時間がなかったんだ、早晩できると思うと。動燃などは、あるいは道路公団など、だれが見ても直ちに対象にするべきだというものがあります。もちろん、検討をすれば、とことんまで一〇〇%検討をすれば、いつまででもかかるかもしれません。やはり一定の期間を限って、今の時点でだれでも対象にすべきだというものは、政府修正でやるべきではないか。  また、情報公開訴訟の管轄の問題につきましても、今もお話がありましたが、塩野氏は、管轄の問題だけ議論したわけじゃないんだ、時間の問題と、民訴の専門家がいなかった、これは余り言いわけにはならぬと思いますけれども情報公開訴訟だけならば原告の住居地で裁判を起こせるということは筋が通るけれども行政訴訟全体の問題にかかわる、情報公開訴訟だけについて言うならば国会考えてほしい、こういう発言なんですね。  情報公開訴訟というのは、いわゆる行政事件の抗告訴訟とは性質が違います。これは、常識的にそうです。だから、これは特例として、この法律で管轄を決めて一向に差し支えない。そのことの審議であれば、それはすぐにできる、私はそう思います。  そういうような諸点を含めて、参考人意見、あるいは、まだ短い、始まったばかりと言ってもいいぐらいの審議でありますけれども、幾つもの問題が当委員会で出てきております。それらを検討して、政府修正考えるかどうか、それを検討する意思があるかどうか、これを長官に伺いたい。
  72. 小里貞利

    ○小里国務大臣 まず一つ、これは決して言葉を返すわけではございませんが、政府は、情報公開法の審議促進について多少腰が引けているのではないかという感じを与えるようなお話であったかと思うのでございますが、決してさようなことではございませんでして、議員も御承知のとおり、衆参両院の中央省庁改革基本法の熱心な、かつ広範にわたる御意見などをお聞かせいただきまして、私は、ますます情報公開法というものは、これはまさに一衣帯水だな、そのような気持ちすら、実感すら持っておるところでございまして、ぜひひとつ国会審議をよろしく念願申し上げますよ、こういう気持ちでございますから、御理解いただきたいと思います。  なおまた、法案修正についてのお話でございますが、法制の専門家等によりまして幅広く検討された、いわば行政改革委員会意見を受けまして立案いたしましたことを先ほどから申し上げておるところでございまして、少なくとも立法を提案する以上は、私どもは、これが最善の案である、こういう気持ちで御提案を申し上げておるところでございます。  なおまた、若干お触れいただきましたように、特殊法人情報公開や訴訟管轄等の問題については、本委員会でも議論されまして、各方面からの意見、要望が出されたところでございました。それぞれ実情を把握いたしました上で、専門的な検討が必要な課題ではなかろうか、さように認識をいたしております。  以上でございます。
  73. 松本善明

    松本(善)委員 政府がこの審議について腰が引けているんじゃないかということについての、やや反論的なことがありましたけれども、実際がそうなんですね。もしそうでないというならば、この委員会で、あと何回も長官が出席するというふうにすべきです。向こうの省庁再編法がどういうふうになろうと、少なくも平等に、向こうへ出るならこっちも出るというぐらいにやったらどうです。そういう意思がありますか。
  74. 小里貞利

    ○小里国務大臣 私ども国会の参加の問題は、国会運営上の要請を基本にいたしておりますから、そのこともひとつ御理解いただきたいと思います。  なおまた、松本議員の方からおっしゃる、旺盛な意欲を持って、できるだけ、あとう限り出てこいよというお気持ちは、率直にお受けいたしておきたいと思います。
  75. 松本善明

    松本(善)委員 長官がこっちを優先すると言えば、そうなるんですよ。ところが、そういうふうに言わないから。言わないです。私も何遍も聞きました。省庁再編法だけは何よりも先に通してほしいということを、もう耳にたこができるほど、あなたから聞きました。そういう姿勢だから、こうなっているのですよ。  それから、現在、政府案を出すから政府案を最善だというふうに考えている、これは普通の答弁なんです。だけれども、今までの審議の状況を見ますと、やはりもうこれは政府修正考えなければならぬという時点に来ておる。私はそれをさらにお考えになるべきだと思いますが、角度を変えて、国会での与野党修正協議にこれを任せるという意思はありますか。
  76. 小里貞利

    ○小里国務大臣 いろいろ与野党一緒になりましてこのような形で審議を尽くしていただきまして、その延長線上におきまして、与党の皆様方を初め、そしてまた野党の皆さんの貴重な御意見などがそれぞれ整理をされまして、そして私どもにも一定の集約された形の要請があれば、これを十分注目申し上げなければならないことは当然のことでございます。まず私は、与党そして与野党国会審議の趨勢を、その審議の一つのしぶりと申し上げましょうか、一つの論議ぶりというものをまず注目申し上げることが私どもの基本でなければならぬ、さように思っております。
  77. 松本善明

    松本(善)委員 まだ不十分ですけれども、一応伺っておきましょう。  先ほど問題になりましたが、塩野参考人が、監視と参加という言葉が法案にある的確な理解と批判の中に含まれていなければ反対だということまで言いました。先ほどの御答弁では、要綱を変えるものではないという答弁でした。はっきりと監視と参加ということが含まれているのだというふうに答弁をされますか。
  78. 小里貞利

    ○小里国務大臣 先ほどお答え申し上げましたように、行政改革委員会意見に沿ったものであり、その要綱を変えたものではないということでございます。
  79. 松本善明

    松本(善)委員 慎重な、用意された答弁だけに固執されるというところがやはり問題なんだと思いますよ。せめて答弁で変えるぐらいの、確認をするぐらいのことがなければだめだ。  私は、なぜこういうことを長官にお聞きするかといいますと、政府提出というのが見識を欠くということの批判さえあるのですよ、政府提出にしたということが。議員提出にして、議員立法にすべきだ。  これは一体なぜなのか。行政庁の方は行政情報公開する側、いわば国民と対立する側なんです。ですから、国民の側に立って議員国民の知る権利、再々問題になっておりますけれども、そういう立場からこの法律議論をしなければならない。にもかかわらず、公開を求められる方の立場からの提案というのでは、そのこと自体が問題だ、こういう批判なんですよ。いわばその証拠が、今の答弁もその証拠の一つです。  一つ申し上げたいのは、この情報公開法については、我が党の瀬古議員が本会議質問したときにも、また私が行政改革特別委員会質問したときも、行政改革会議の議事録を国会提出しろということを要求し続けてまいりました。  議事概要は出ていますけれども、これは、だれが発言したということは一つも出ていません。私は、これが国会にも出ないというようなことになりますと、この情報公開法に対する政府の姿勢というものがはっきり示されているのではないか。国会が要求しているのですよ。長官は、これは拒否するものではないと答弁されました。にもかかわらず、いまだに出ていません。参議院で審議が始まっていますけれども、出ていません。  私は、国づくりを論議するというような審議会、プライバシーとかなんとか、個人の名前を隠すなんということは全く考えられないことです。そんな、名前を隠してほしいというような人は委員をやめてもらいたい。そういうものでさえ国会にも出さない、そんな姿勢で情報公開に対処するのはとんでもないと思うのです。  私は、提出を求めますと同時に、その姿勢を何と考えるのか。あなた自身の問題ですよ。何遍も何遍も要求をされて、いまだに出ていない。こういう問題では、とてもとても期待もできないですよ。
  80. 小里貞利

    ○小里国務大臣 結論から申し上げますと、これも誤解を恐れず私はきちんと申し上げた方がいいと思うのでございますが、今松本議員がおっしゃることは、私はある意味では本当に全く同感です。しかしながら、事情がありまして、一部、先生の要請される願意といいますか希望に、結果としてこたえていない部面があるのかなということは気づいております。  私は、行政改革会議なんて五十年、百年に一回の話ですから、日本の中央省庁の基本の大変革を期する話でございますから、その審議の過程における全容というものはできるだけこれを公開する  べきであるというその前提に立っております。  それからもう一つは、議員も前の予算委員会でお話しいただけたかと思うのでございますが、議事の概要はほとんど出してあるという判断を私はいたしております。ただ、どの委員さんが、いつ、どのテーマについて具体的にどういう発言をなさったかという、その発言の要旨はきちんとここにまとめてありまずけれども、またお手元にも届けてございますけれども、だれがその発言をしましたかというところが実は切除してある、こういうことでございます。  行政改革会議の本会議を前後五十数回開いておりますが、一回四時間、長いときには五時間、延々と開きました。これは大変な改革委員の皆様方の御努力のおかげであり、また橋本座長も大方それに出席をいたしました。私は昨年の九月二十二日以降でございますけれども、私も可能な限り出席をいたしました。  ですから、毎度いわゆる行政改革会議を開きましたたびごとに、先生も御承知のとおり、必ずその後記者会見をいたしまして、きちんと一問一答、何でも尋ねてください、そして説明いたしますということを繰り返してまいりました。また、その翌日は翌日で、きちんとまた事務方の方でその整理もして、公表してまいっております。もちろんのこと、毎回会議終了後、議事内容については記者団にもオープンにして、説明をしてまいったという経緯もございます。  それからさらに、五十数回が全部終わりまして、昨年の十二月三日でございますか、最終報告をいたしましたときに、今ここに持ってきておりますが、このような一つの概要書というものをまとめて、御案内のとおり、御説明、御報告を申し上げております。  全議事概要であり、あるいはその関係資料であり、さらにまた法案関係資料まで、ヒアリングの中を含めてこれだけのものを御報告申し上げておりまして、これで決して十分であるとは申し上げませんけれども、私は先生の要請の意はおおむねこれでおこたえ申し上げておるのではないかと思いますから、御理解をいただきたいと思う次第です。
  81. 松本善明

    松本(善)委員 到底理解はできないのですけれどもね。昔から我が国には、論より証拠という言葉があります。いまだに弁明せざるを得ないということ自体が、あなたの姿勢がとんでもないものだ。論より証拠、もしあなたが議事録を提出すれば、提出しましたという一言で済むのですよ。あなたは拒否はしないと言いながら、いまだに出していない。私がここで議論をしても、弁明を聞くだけだから、そんなものは意味ないのですよ。もし私がけしからぬと思うならお出しなさい。それが最大の私に対する反論です。  さらにお聞きをしたいのですが、そう時間がありませんけれども、私は、長官がどの程度問題の重要性理解しているかということを聞きたいので、長官御自身の御答弁をいただきたいのです。  先ほど来問題になっておりましたが、防衛、外交、捜査等の情報についての行政機関の長の判断を優先するという問題ですね。これはもう詳しく言わなくてもわかると思います。これの法案上の表現は、例えば、国の安全、外交上信頼が損なわれるおそれがあると認めるに足りる相当の理由がある情報について判断を当該行政機関の長の判断による。犯罪予防、捜査に対するものも、おそれがあるというところからは同じです。  これをやりますと、行政庁の長の判断が著しく悪いかどうか、この条項に当たっているかどうかということになりますので、極めて司法判断は制限をされます。アメリカ法は、非公開の適法性の立証責任行政機関の側にある。このやり方でいきますと、原告がこの立証責任を負わなければならぬということになるのです。長官は裁判の実務についてどれだけ御存じかわかりませんが、この法案を提案する以上は、この問題はどういうことになるのかということを知らないで提案するというわけにいかないので、私は、政府委員ではなくて長官に聞きたい。  もう一つ、存否応答拒否の情報についても、これはあるかどうか言わないということになりますと、これは裁判で争うことも事実上不可能であります。アメリカ法は、これは規定をしないで、そういうような行政庁側の回答がある、それが正当かどうかということを争うことになる。そういうようなことが当然ではないか。私は、長官のこの点についての見解を聞きたいと思います。
  82. 小里貞利

    ○小里国務大臣 どうもきょうは松本議員、大変厳しいお話をなさるようでございますが、先ほどの議事録の話は、ちょっとくどいようでございますが、先ほど漏らしましたことを一言申し上げておきますが、行政改革会議第一回の会合で、自由闊達に議論してください、国民立場に立ってあなた方の専門的な造詣の深いところを聞かせていただきますよ、ただし、発言者の名前はできるだけ省略をしたらどうかというお話がありましたから、今申し上げましたような趣旨におきまして、概要はきちんとはっきりするけれども特定はいたしませんよ、発言者の特定はいたしませんよということは、マスコミを通じて、あるいは記者会見で、あるいは国民に向かってきちんと最初からお断りしていたことがあることも、ひとつ事情を御理解いただきたいと思う次第でございます。  それから、次の、先生のお話は、いわゆる行政機関の長が認めることにつき相当の理由がある情報を不開示としているが、これは司法判断を実際上拒否することになるのではないか、このお話だろうと思うのでございますが、若干お触れいただきましたように、政府案第五条三号及び第四号に規定する防衛、外交、捜査関係情報であっても、訴訟が提起されれば、裁判所は行政機関の長の判断が合理性を持つ判断として許容される限度内のものであるかどうかを審査するものであり、これをして司法判断を排除しているわけではございませんということをはっきり申し上げなければならぬと思うのでございます。  さらにまた、存否情報についてのお話でございますが、行政文書の存否を明らかにしないで開示請求を否決する決定についての裁判においては、当該文書が実際にあるかどうかが問題の中心となるというよりは、当該文書の有無を明かすことに支障があるかどうかが中心となる。例えば、ある人のカルテが実際にあるかどうか問題なのではなく、ある人のカルテがあるか否かを明かすことが不開示情報に該当するか否かが問題ではなかろうか、さように判断をいたしております。
  83. 谷津義男

    谷津委員長 松本君、時間が来ております。
  84. 松本善明

    松本(善)委員 時間なので終わりますけれども、長官が言われた、例えば行政改革会議の問題は、それで公務員立場を失うかもしれない人は今の公務員の七割になるんですよ。すべての情報公開するのは当然です。(小里国務大臣「それは公務員は入っておりません」と呼ぶ)反論だけですけれども。  それから、やはり司法判断の問題について、長官の理解は極めて浅い、実務は知らないと私は思いました。まだ知る権利の問題もお聞きしたいと思いましたが時間がありませんので、瀬古議員からの質問にかわります。  以上で終わります。
  85. 谷津義男

    谷津委員長 御苦労さまでした。  次に、瀬古さんですが、時間がないんだけれども、いつも熱心だから、五分間許します。どうぞ質問してください。瀬古さん。
  86. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 じゃ、早急に質問させていただきます。  個人情報の不開示について、日本共産党案は、政府案と同じく個人識別型といわれる指摘もありますけれども、その点、いかがでしょうか。
  87. 木島日出夫

    ○木島議員 お答え申し上げます。  我が党の法案の形態は、確かに個人識別型をとっているように見られるわけでありますが、政府案と比較いたしましても、開示すべき具体的内容は非常に広い。政府案は除外三項目ですが、我が党案は除外六項目でありまして、実質プライバシー保護型に遜色ないと考えております。  まず、特殊法人の職員を含む公務員にかかわる情報でありますが、これは、職務遂行にかかわる情報についてはその職及び氏名は例外なしに公開としておりますから、いわゆる官官接待などに参加した公務員氏名は全部明らかにすることができるわけであります。  また、国務大臣及び国会議員につきましては、職務遂行にかかわりなく、公益上必要と認められる限りすべての情報公開の対象となる。  次に、非公務員にかかわる情報についても、許可、認可、免許、届け出等によって行政資料に記録されている情報については、公益上必要があればすべて開示の対象としておりますから、基本的に、行政がかかわりを持った個人情報については開示請求が認められるということになるわけです。  さらに、公表することを目的として行政機関の職員が作成、取得した情報公開の対象としておりますから、この情報を活用するということによって、いわゆるプライバシーを除くかなり広い範囲での個人情報開示することが可能となると考えております。  以上のとおり、我が党案は、政府案と違いまして、公益上の必要によって個人情報についても基本的に開示が認められるということになります。非開示情報として残されるのは、基本的には個人プライバシーに関する情報ということになると考えられますので、野党党案と法の運用においてはそれほど違いが出てこないのではないかと考えております。  最後に一点だけ、政府案また野党党案にもありますけれども、人の生命、身体、健康、財産、生活を保護するため特に必要な情報については、情報開示される個人利益との比較ではない、我が党案は、比較ではなく開示の対象としておりますから、国民情報開示を求める基本的な目的に最も合致している、こう確信している次第であります。  以上であります。
  88. 谷津義男

    谷津委員長 一分ありますから、もう一問。
  89. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 ありがとうございます。  手数料の高さは情報公開の障害になるということは私も本会議指摘したところですけれども、共産党案は、この点はどのように考えておりますでしょうか。
  90. 木島日出夫

    ○木島議員 簡潔にお答えいたします。  手数料が高額過ぎて払えない、そのために情報開示請求権の行使を実質的に妨げてはならぬということが私の方の法案の基本であります。  法案は、確かに、実費を勘案して政令で定めるとしておりますけれども開示請求権が国民権利である、行政機関には開示義務が法定されたということの意味は、このサービスを実施する公務員の手間賃とか人件費、これらは基本的に一般財源で賄うべきだということだと考えるわけであります。したがって、我が党案の実費の概念にはいわゆる公務員の手間賃は含まれないと考えますから、閲覧のみの場合は費用は無料ということになると考えております。  行政資料の写しの交付を伴う開示請求につきましては、実費ですから、コピー代のみが対象になると考えます。  基本的には、資料代のみ、原価に近い価格を実費として政令で計上されるべきものと考えております。また、経済的困難その他特別の理由がある場合には、政令で手数料の免除、減額ができるとしておりますから、これは解釈でありますが、いわゆるオンブズマン活動など、私的利益のためじゃなくて、公益目的のために開示請求をしているんだと認められるような場合には、この条項が適用され、免除、減額等が可能になる、そういう政令をつくるべきだと考えております。  以上です。
  91. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 委員長、温かい御配慮、どうもありがとうございました。  終わります。
  92. 谷津義男

    谷津委員長 本会議散会後直ちに再開することとし、この際、休憩いたします。     正午休憩      ————◇—————     午後一時二十九分開議
  93. 谷津義男

    谷津委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。福岡宗也君
  94. 福岡宗也

    福岡委員 民主党の福岡宗也でございます。  きょうは、知る権利、管轄の問題等につきまして、二、三の問題につきまして御質問をいたしたいと思うわけであります。  この知る権利を目的に記載すべきかどうかという点につきましては、もう既に当委員会において熱心に御討議を賜りまして、その問題点というのはほぼ明らかになったものだというふうに考えるものであります。したがいまして、きょうは若干整理をさせていただいた上で、長官の御意見を拝聴いたしたいというふうに考えるものであります。  まず、政府の主張とするところは、目的には、国民主権に基づくところの政府の説明義務、これに対応する適切な理解と批判、これを盛り込めば十分であるという考え方でございまして、知る権利は確立した概念とは言いがたい、最高裁の判例も明確に請求権としてのこの権利を認めていないということを挙げておられるのでございます。  これに対しまして野党党案それから共産党案は、情報公開制度の目的というのは国民行政監視権ということだけではない。行政情報というのは、国民の共有財産として、国民のいろいろな権利を守るため、実現をするために、行政機関に対しまして開示を求める権利があるものと理解をしなければならない。いわゆる憲法二十一条による表現の自由の一内容である受け手の権利、すなわち知る権利というものを具現するということを目的としておるのである、こういうことで、この目的を法案の中に盛り込むべきだ、こういう主張をしておるわけであります。  これに対しまして、五月二十七日に当委員会におきまして参考人をお呼びして意見を聴取したわけでありますけれども、その中で最も注目されるのは、何といいましても、塩野教授と右崎教授が学問的な見地からいろいろな角度で意見を述べられているところであります。  そして、右崎教授は、簡単に要約しますと、学界の動向につきましては、幾多の学者がおおむね知る権利表現の自由の中身として、請求権として認めておる、これは若干の異論はありますけれどもということでおっしゃいました。そうした上で、この知る権利を具体化するのは、法律によってその内容やら手続を明記していくことによって具現化していくのだから、まさに入れるべきである、こういうような学説の紹介であったというふうに思います。  それからまた国際的な流れも、ドイツの基本法の五条に明定してあるというほか、国際的に、知る権利という言葉自体は使っていない場合でも、ほぼ同じような内容のものが先進国で多くあるということを踏まえまして、世界人権宣言それから人権規約等においても、知る権利というものの実現ということを表現の自由の中身として求めておるということを明確におっしゃいました。内容はちょっと省略しまずけれども、そういうようなお話でありました。  それからもう一つ、実際に情報公開の先進的立場で頑張ってきた地方公共団体につきましては、もう既に、当初の条例には入っていないところが結構多かったのでありますけれども、最近では、ほとんどのところがそういうものを盛り込むという方向でいく。特に先進的な情報公開に熱心なところでは、ほとんど入れておるというようなお話もあったわけでございます。  すなわち、国際的に見ても、学問的に見ても、実践的な活動の中で見ても、やはり知る権利というものを盛り込んで、より憲法上の権利としてこの請求権を保護しようという動きがあるから、そこに当然国家としての基本法もあるべきだ、こういうような御趣旨であったわけであります。  これに対しまして、塩野教授の方はどうかといいますと、講学上の問題としましてはそういう通説になっているということを是認された上で、自分も、憲法二十一条の表現の自由の内容とする権利としてこれは認めて、教科書にも書いているということも言っておみえになるわけであります。  ただ、問題は、この方といたしましては、知る権利というものを法文の中で書くかどうかについてはまた別の問題であるから慎重論であるというふうにおっしゃいまして、その慎重論の理由としましては、結局、具体的には、そういう学説にも若干の異論があるということと、それから最高裁判所として直接請求権を判示したその判例がない、こういうことを指摘されておるわけであります。結局、そのところが違うだけであるわけでございまして、塩野教授も、理論的に知る権利を盛り込むことに矛盾があるとか間違っているとかというようなことでは決してなかったように理解をしているわけでございます。そうであるといたしますと、学問的にも国際的にもそういう状況になっているとしますと、これを盛り込むかどうかということについては、我が国が独自に判断をし、国会が独自に判断をして決定をすればいいということであります。そこで、やはり重要になってくるのは、実際に地方公共団体において条例による知る権利というものを行使してきた国民の人たちがどう思っているかという点に尽きると思うのですね。  実際にその人たちの御意見をこの間の参考人でお聞きしたわけでありますけれども、知る権利を盛り込んでおるところは、やはり地方公共団体としては情報公開に熱心なところ。それはどうしてかというと、条文というのはそれぞれ似通ったような内容なのです、各条例を見ましても。ところが、実際の運用やら解釈では基本的に違っているということなんですね。やはり、そういうものを盛り込んでおるところは姿勢自体も、非常に厳格な解釈をして、実質的に制限を余り広げないということにしておるということであります。  実際に判例上も、大阪の事例なんかは、下級審でありますけれども、明確に知る権利を認める、そういう憲法上の権利だから厳格に解釈しなければならぬという前提で、有利な判決をしておる。また、それと違った、単なる条例によって創設された権利であるということで棄却をしておるというので、差も出ているということのようであります。  したがいまして、要するに、今は学問上の論争をしておるわけではないので、学問上でそれは違法だとか間違っているというならともかく、ほとんど大部分がそういうふうになっている。最高裁も、憲法二十一条による表現の自由の中に知る権利がないという判断をしたのは一回もないのです。むしろ、請求権ではなく自由権としてはもう何回も判決をしていますし、ただ、請求権として具体化するそういう事件がないから、たまたま直接的な判断がないというだけでありまして、時代がもし来れば、これはもう早晩そういう判決が出ることは間違いはないわけであります。  さように考えますと、これはぜひとも、せっかく政府の方で一生懸命御努力をいただいておまとめになったということでございますから、地方公共団体の流れ、姿勢というものに逆行、水を差すような形、これは具体的にどの程度の影響力があるかは実際のところはわかりにくいところがあります、確かに目的ですから。だけれども、そういう流れというものに水を差してしまって、消極的な態度であるというふうに推測をされてしまう危険性がある。それは非常に私も残念であるわけです。  当初のころはなかなかわからなかったと思うのですね。私自身もわからぬ点がいっぱいありましたけれども、そういう意味で大分明確になってきたわけでありますから、そういう方向でいま一度政府案を見直していただく。さらには、要綱案のいろいろな考え方というものも見直しをしていただいて、ぜひともこれを中に盛り込んでいただく。そして、国民がみんな、やはり政府も積極的に知る権利としての情報公開請求権を認めていくのだなと、この信頼も得られる、こういうふうに考えます。  総務庁長官に、その点について、ぜひともそういう前向きの検討をお願いしたいということで、御意見をお伺いしたいと思います。
  95. 小里貞利

    ○小里国務大臣 議員の専門的な大変高度な御意見も含めて、御指摘といいますかお尋ねをいただいておるところでございますが、はっきり申し上げまして、知る権利情報公開法に具体的に明記するべきではないかというお尋ねであろうかと思うのでございます。  申し上げるまでもなく、この前の委員会におきましても御説明申し上げたつもりでございますが、今次の情報公開法は、政府の諸活動遂行状況を主権者たる国民の皆様方にあとう限りお知らせする、そしてまた知っていただく、あるいはまた意見を述べていただく、そういういわゆる吟味、評価をしてもらうというところに大きなねらいもあると思うのでございます。そのような意味で、政府といたしましては、いわゆる説明責任という一つの考え方を基本に据えて、今次の立法に至っておるということを申し上げてまいっておるところでございます。  他方また、いわゆる知る権利という文言をお話しのように法律に用いるかどうかは、従来、憲法上の権利として行政情報に対する開示請求権が保障されているかどうかという学説上の議論と不可分となっていたところであると判断いたしておるわけでございまして、しかるに、このような行政情報開示請求権という意味での知る権利憲法上保障されているか否かについては、なおさまざまな見解があるというのが現状でございます。  また、先般来御説明して申し上げておりまするように、ただいま先生もお触れになりましたが、最高裁判所の判例等におきましても、行政情報開示請求権を意味する知る権利を認めたものはないという状況と判断をいたしております。  このような状況を踏まえて、行政改革委員会の専門家の方々も、知る権利という文言法律上の文言として用いないとされたところでございまして、政府といたしましては、同様の考え方から、情報公開法案において知る権利という文言を用いないといたしたところでございまして、御理解いただきたいと思います。
  96. 福岡宗也

    福岡委員 今、総務庁長官の方から御答弁をいただきましたが、それは承知の上で実は私は申し上げているわけでございます。  といいますのは、確かに要綱等の議論の中に長官のおっしゃったようなことが書いてあるわけでございますけれども、最近行われた先ほど申し上げました参考人意見聴取という中において、相当にそれとは異なる事実関係が明らかになってきておりますし、最も重要なことは、国民がそれを要望し、そういう流れというものができておるということでございます。それが判明をした以上は、やはり真剣に見直しをしていただいて、ぜひとも、党利党略ではなくて、これは、あくまでもよりよい制度を実現するのにどちらがいいのかという問題として御検討をいただきたいと思うわけであります。  それに関連をいたしまして、具体的に今、講学上の問題であるとか最高裁がないという話はもう塩野さんも言っておみえになりましたのですが、それは大した問題ではないような御発言だったと思うのですけれども、実際に問題になるのは、知る権利を入れたら具体的にこういう弊害がある、だからもうこれはやめざるを得ないのだ、こういうような問題が実際にあるのかないのか、ちょっと御答弁をいただきたいわけであります。
  97. 瀧上信光

    ○瀧上政府委員 お答えいたします。  知る権利規定した場合の問題でございますが、知る権利法律規定するという趣旨が、憲法上知る権利が保障されているということを明確にするということであるとすれば、そもそも、憲法上保障されているかどうか、それから保障されているとしてもその内容、根拠はいかなるものかということ自体が確定していないものを、下位法である法律で確定するというようなことにつきましては無理があるのではないか、こういうことで、行政改革委員会としても、いろいろな考え方もあり最高裁判所の判決においても確定をしていない知る権利というのを法律規定するのは適当でないというふうに判断したものと理解しております。
  98. 福岡宗也

    福岡委員 そうしますと、概念として確定をしていないから、最高裁の判例がないからということになりますと、確定というのは最高裁の判断が出なければ確定はしないということになって、立法権を行使するときにまず最高裁の判決を待ってから立法化する、表現も使う、こういうことになったのでは、立法権の権威は何にもないわけです。やはり我々は独自に、学者の意見なんかがあっても、一人でも反対したらだめというのではなく多数決で、しかもそれが国民のためによければ、これは概念を確定して、むしろ逆にそれを違憲立法審査権で最高裁に判断してもらえばいいと思うのです。  そうすると、確定というのはどういうことなんですか。
  99. 瀧上信光

    ○瀧上政府委員 憲法上の概念につきましては、どのようなものであるかといったことにつきましては、憲法制定権者及び最高裁判所においてその考え方を確定するということになっているわけでございます。
  100. 福岡宗也

    福岡委員 そんなばかげた理屈はないのであって、確定をする権限は、我々が、学問的にも理論的にも十分検討した上でですけれども、それで我々が判断をして決めていけばいいのだというふうに思うわけでございます。そんなことでは実際困ると思うのです。前進的な改革ができないと思います。  そこで、もう一つそれに関連して質問しまずけれども都道府県条例の中で知る権利を定めたところというのはどれだけあって、最近定めたところはどことどこなのかということと、それから、市町村ではどれぐらいが定められているか、その数字だけ教えてください。
  101. 瀧上信光

    ○瀧上政府委員 都道府県におきまして知る権利規定いたしておりますのは、大阪府、京都府、それから高知県、北海道等と承知をいたしております。  市町村につきましては、把握しておりません。
  102. 福岡宗也

    福岡委員 北海道、高知県については、従来なかったのを新たに改定して入れたということですか。それから、その年月日はいつごろですか。
  103. 瀧上信光

    ○瀧上政府委員 ただいま直ちに資料を持っておりませんが、北海道、高知県ともつい最近でございます。
  104. 福岡宗也

    福岡委員 結局、市町村も含めまして地方公共団体といたしましては、最近の立法傾向としてはほとんど、知る権利も入れて、憲法上の権利として住民の請求権というものを保障しよう、こういうような考え方でもって流れができておるのではないでしょうか。これは最後に総務庁長官の方からお願いします。
  105. 瀧上信光

    ○瀧上政府委員 憲法上の知る権利概念が最高裁の判例上確立するなど、その概念等が固まった段階において、法律上明記することの意義、必要性を検討した上で結論を出すべき問題であると認識をしております。
  106. 福岡宗也

    福岡委員 私としては、そんなことを聞いているのではないのです。やはり立法例の流れとして、最近の新しい、市町村にもどんどん情報公開条例ができているわけですけれども、その中には知る権利というのが盛り込まれることが多い、そういう流れになっているのではないかということを聞いているのです。イエスかノーかで答えてください。
  107. 瀧上信光

    ○瀧上政府委員 知る権利制定している条例につきまして、大阪府、北海道、京都府、いずれも前文等で規定をいたしておるものでございます。目的で規定しているのは高知県だけでございまして、これで全体をもって流れができているかどうか言うことができるかということにつきましては、私どもとしてはコメントする立場にございません。
  108. 福岡宗也

    福岡委員 ばかばかしい答弁ですけれども、要するに、前文に入っていて、目的のところが違うだけで、結局そういう流れだということは認めておるという前提で聞きます、時間が足りませんから。そういう流れであることは間違いないわけです、前文で入ろうが目的で入ろうが。やはりそう  いう流れの中で考えていただきたいということを、これは当局にお願いするというよりも、総務長官の決断といいますか、本当の国民のためということでお願いをしたいというふうに、要望だけしておきます。  それから次に、この情報公開法の実施に伴いまして、他の法令との整合性等を整備するための法律というのが出されておりますけれども、これとの関係で御質問を申し上げたいというふうに思います。  この情報公開法政府案は、非公開情報については第五条に統一的な規定を置いております。第一号から六号にかけまして、各類型ごとに整備をして、この情報はこういう理由があったときは非公開とすることができるんだ、それ以外のものは原則公開だ、こういう定め方で規定をしております。そして、そのうち第四号において、犯罪予防と捜査の情報について、犯罪の予防、鎮圧、捜査、公訴の維持その他公共の安全と秩序の維持に支障を生ずるおそれがある場合に不開示を定めておるわけでありますから、この中には最も重要なものとして刑事訴訟記録が含まれておるのは当然のことです。したがいまして、刑事記録もこの要件に合致をしない限り原則公開という規定だと、だれが読んだって読めるわけであります。  ところが、情報公開法施行されるのに他法令を整備するという。いわゆる本格的にどの情報を非開示にするかとか、どういう要件かとか、そういう一番重要なところは全然関係なくて、その成立した基本法である情報公開法で定められたものの他法令との整合性を確認するだけのための整備法というものの第七条において、突然、刑事訴訟法の五十三条の二、訴訟に関する書類及び押収物については行政情報公開法規定を適用しない。いわゆる刑事記録については、先ほど申し上げました五条の四号の規定、いわゆる公共の安全等にない場合は全面公開だという規定の適用はなくて、頭から全部出せないんだ、こういう規定を置いてしまったわけでございます。  しかし、情報公開法というのは、国民憲法上の権利に基づく本当に重要な権利で、それを実施する、原則公開ということで、それを例外事由としてはまとめて、しかもどこまで非開示にすべきか真剣に討議をして長年やってきたわけで、そうしてこれは決めたわけですね、刑事記録について。それを、そういうものが決まったということを前提として整備をする法律の中で、一番重要なところを、頭から、刑事記録は全然だれも判断もできなくて無条件提出せずという形で、後は刑事訴訟法に全部任せろというような規定の仕方は、本来、基本法と付随法という立場、これはもちろん同じ法律ですよ、だけれども、あるべき姿じゃないんですね。  むしろ、刑事記録を除外したいというのならば、非公開事由はどうあるべきかという中で、行政改革委員会なり学者の意見も十分そこで徴しておかなければならぬのに、突然そういう事務的とも言えるようなところで取り扱ってしまって、重大な制限を設けている。  このことの重要性については、なかなか論議が今までされなかったんですよ。ところが最近、民事訴訟法の提出命令制度に関連をして、法務当局がこういうことを言ったわけですね、これは全面的禁止だと。だから、民事訴訟法の改正案も全面的禁止だ、裁判に刑事記録は提出しなくてもいいんだ、そういう見解を出したので大パニック状態になっているわけですけれども、こんな定め方がいいんですか。こんなことが許されたのでは、これは本当に審議会の審理をこの点は十分経ていないんですよ、それが突然出てきてこういうことになっている。  だから、この辺についての審議、こういうやり方がいいのか。これは私の見解を言わせてもらえば、整備法でやるべきことじゃなくて、基本法の第五条の中に、もしもあれが甘過ぎるというのなら刑事記録に一項設けて、条文を設けるというやり方をしなければおかしいと私は思うんですが、どうでしょうか。これは長官の方がいいです、もう事務局はいい。
  109. 瀧上信光

    ○瀧上政府委員 関係法律の整備につきまして、行政改革委員会考え方について御説明申し上げます。  行政改革委員会意見の中では、関係法律との調整としまして、情報公開法とそれから個別の法律によりまして情報開示等規定している法律との調整について、基本的な考え方としては、それぞれ制度目的、手続が異なることから、基本的には情報公開法規定と個別法の規定とがそれぞれ適用されることとしてよいとしながらも、しかし、個別法により既に同一文書公開されている場合には、情報公開法を適用する必要性は乏しく、事務手続の錯綜を避けるべきであること。それから二番目としましては、登記、特許、刑事訴訟手続の制度等、文書公開非公開取り扱いが当該制度内で体系的に整備されている場合に、当該制度にゆだねることが適当なものもある。同一文書について、情報公開法開示義務と個別法の公にすることを禁止する義務とが抵触する可能性がある場合には、法律上の調整措置をあらかじめ講じておく必要があるというような調整方針を規定いたし、こういった調整方針に基づきまして、ただいま御指摘の刑事訴訟に関する書類につきましても調整を行ったものでございます。  その理由としましては、刑事訴訟に関する書類につきましては、その性質上、多数の事件関係者や訴訟関係者の名誉、深刻なプライバシーにかかわる事項を含み、個人情報等の情報公開法の不開示情報に該当するものが大部分であります。そして、刑事司法手続の一環として、被疑者、被告事件に関して作成された書類であって、その適正な確保は司法機関である裁判所により判断されるべきものであること、刑事訴訟法は、裁判の公正の確保、訴訟関係人の権利保護等の観点から、訴訟に関する書類を公判の開廷前に公開することを原則禁止する一方、事件終結後においては、一定の場合を除いて何人にも訴訟記録の閲覧を認めていること、そしてまた、この閲覧を拒否された場合の不服申し立てについては準抗告の手続によるとされていること等から、その開示、不開示の要件及び手続について完結的な制度が確立をしているため、情報公開法の適用除外としたものでございます。  押収物につきましても、刑事司法手続の一環として、捜査機関が強制的な権限に基づいて押収、保管するものであり、訴訟に関する書類と同様、その押収、保管の適正な確保は司法判断によりなされるべきである、そして、押収物が第三者の所有に係るものを捜査機関が捜査、公判のために保管しているにすぎないものであることからも、司法判断にゆだねることが適当であること、押収物の開示、不開示についても、刑事訴訟法において押収物の開示の時期及び相手方について規定しており完結的な制度が確立している、こういうようなことから、情報公開法の適用除外としているものでございます。
  110. 福岡宗也

    福岡委員 長い答弁で、ちょっと皆さん方わかりにくかったと思いますけれども、要するに、登記だとか特許とかそういういろいろな文書取り扱い関係について、いろいろな制度の中でそういうものがあるので、それとの整合性の中でやればいいということと、刑事裁判については、あくまでも刑事裁判の実施というところがら、どれだけを見せてどれだけ見せぬということを決めればいいというような御趣旨だと思うんですよ。  ところが、その例に挙げられている登記とか特許とか要するに文書取り扱いというのは、形式的な事項なんですね。今回、憲法上の権利でもあるような重要な情報公開請求権、これは、自分の権利を守るために、例えば自分が被害者の場合だと損害賠償を請求するとか代表訴訟で責任を追及するとか、そういう具体的な権利を実現をするために情報公開を求めたり、それから行政に不正があった場合にそれを正すためにこれをやるということなんですよ。  だから、そういうものとそんな形式的なものを一緒にするのは間違いであるということと、刑事記録で、確かにプライバシーやいろいろなものは必要ですよ。そうしたら、第五条のところでそういう要件を定めてやればいいのですよ、独立してちゃんと。何も手続法みたいなところでやらなくても。そういうことを私の方は言っているのですね。したがって、そこのところはもう何もかもごちゃまぜというふうに、何でもこれでできるといったら整備法でどんどん変えてしまえばいいということになりかねない。だから、私はこういう立法方法は間違いだというふうに言っているわけであります。  そこで、そうはいってもとられたのだからということですけれども、それなら実際に、刑事に情報公開法の適用がないのだから、もしも裁判なんかやろうとか、そういう資料を集めて責任を追及するかどうかを判断しようかという住民の方がおったときにどうなるかということなんです。  まず、刑事訴訟法の関係からいえば、五十三条の本文の方はどうなっているかというと、これは原則公開ではありますけれども、あくまでも公判後の刑事記録に限られているわけですから、公訴提起前の不起訴記録等は一切出されない。期間が三年間に限定をされている。それから謄写は、刑事訴訟記録法のところでも、閲覧は認めていますけれども謄写は認めないというようないろいろな制限があるので、やはり刑事訴訟法の方で求められるということはすごく狭いのですね。  したがって、やはりこれはあくまでも情報公開の例外事由のところにおいて、相当な範囲内に限定するという具体的な規定を置いて対処すべき問題であると思いますけれども、これはどう考えられますか。
  111. 瀧上信光

    ○瀧上政府委員 刑事事件の訴訟記録を仮に適用除外しないとしても、その性質上、多数の事件関係者や訴訟関係者の名誉、深刻なプライバシーにかかわる事項を含み、そしてまた犯罪の手段、態様を明らかにしていることから、何人にも請求目的を問わず開示する情報公開法観点からは不開示とすべき場合がほとんどであると考えられております。  そしてまた、刑事訴訟法におきましては、訴訟記録の閲覧をした者は、その知り得た事項をみだりに用いてはならないことが義務づけられており、情報公開法と異なる利用制限が課されているなど、刑事司法の観点からの特別の取り扱いがなされているというふうに考えております。
  112. 福岡宗也

    福岡委員 はっきり申し上げたいのですけれども、刑事司法は刑事司法の便宜で、しかも検察官なんかの事務の取り扱いの便宜という制限が許されているのですよ。そんなことで、情報公開法は理念が違うのです。だからやはり、それはそれで別途に定めるということを検討しない、そういう国民不在のような法案をつくってもらっては困るわけであります。  これはぜひとも与党の先生方に言いたいのですけれども、私自身も不明にして余り気がつきませんでした。だから、これは後から気がついて愕然としたわけでありますけれども、こんな法案をつくったら恥になりますから、この辺のところの修正は、何も全面的に出せと言っているのじゃないのですよ、これは。刑事記録は大切だ。答弁にありましたようにプライバシーが云々、そんなことを私は言っていません。プライバシーの問題については除外することは賛成です。当然です。だったら、それを明確にして、頭から審議もなしで全面非公開というようなやり方はもうやめていただきたいということで、ぜひともこれはそういう意味で真剣に御討議をいただきたいということをお願いしたいと思います。  それから、管轄問題でございますけれども、この管轄の問題というのは、なぜ我々が非常に問題にしておるかといいますと、やはり司法救済の充実強化ということなくしては情報公開制度の健全な発達、利用ということがあり得ないと考えているからであります。  それは抽象的に考えておるのではなくて、実際に最初の情報公開制度が制定されてから三十年近くになると思うのです。その間、地方公共団体条例制定し、結構いい中身のものもつくってまいりました。しかしながら、実際の運用はどうであったかといいますと、非開示情報の解釈、運用というものについて、本当に最初のころはひどい、理屈にもならぬような理屈をつけて拒否処分をしてきた。  それをどういうぐあいに改めてきたかといいますと、それに対して国民がオンブズマンとかいろいろな団体等の支援を受けながら裁判を提起し、判例においてその解釈を積み上げてきたわけです。それによって初めて、公共の安全、外交上の利益、そういうものがどういうものかということも含めまして、それから地方のいろいろな公共の福祉の問題等も含めまして、判断を積み重ねてきた。それでだんだんそういうものが公開をされるようになってきた。特に、今では食糧費等の公開は当然ですけれども、当時は名前が知れるからと言って全然出さなかったし、ひどいのは、請求書に書いてある見積金額自体が営業上の秘密だなんて言って出さなかった。そういう判例もあるのです。それぐらいひどかったのです。  だから、ある意味では、情報公開制度になれなかったという公務員が、やはり監視はされたくないと思うのは人情ですから、ついついそういうようなことになってきて組織としてそうなってしまった。それを打破して今日大きな流れをつくって正しい情報公開制度を確立したのは、裁判制度による救済があったからです。だから、今ではそういうばかげた理由でもって拒絶する公共団体はだんだんなくなりつつあるということであります。  ということは、完全に行政官庁自体がきちっとした解釈で出せば、裁判もそんなに多くなくなるのですね、そういう性質の問題だ。だけれども、残念ながらまだ形成途上にあるということになりますと、国段階では特に初めてでございますから、ここで中身をいろいろ審議していただきました非公開情報、この審議について、やはり庁側の判断がまず第一にあるわけです。そして、非公開という決定をされた処分に対しまして取り消しを求めるということになりますから、当初のころはどうしてもそういう恣意的解釈というのがあるので、それを正していく。やはり、法律の専門家でもあるし公正な立場でもある裁判所が最後にそれを判断をするという司法救済、これを確立していかなければ、実際につくったって何にもならないという可能性があるのですね。  その中で考える管轄というのは、まさに訴えを提起する、訴訟を取り扱う権限を持っているのがどこかという問題、だからそこしか訴えが提起できないという問題なのです、これは。やはりそれは、請求権者の方としてはどこかということが、民事訴訟法でもそうですけれども、一番利害が大きいわけですね。それで、今回の政府の案は何の規定もありませんので、いわゆる行政事件訴訟法の七条の規定がそのまま適用になりますから、行政官庁の本拠のある、東京がほとんどでございます、だから東京地裁に提起ということにならざるを得ない。大部分はできない、こういうことになるわけであります。  そして、これはもう私が今ここでくどく言うまでもなく、市民団体その他の計算が出ています、旅費だけでどれだけと。特に、沖縄か何かから来ればその他の費用を入れたら五百万ぐらいかかるというような試算が出ておるわけであります。そんな遠いところまで行かなくても、我々の名古屋ぐらいから来たってやはり百万以上のものほかかってしまう、こういうことですね。しかもそれは行政監視ということが相当のウエートを占めているわけであります。そういうような性質を持つそういうものについて、そうしていいのかという選択ですね。  これは使い勝手が悪いということを塩野先生もはっきりとおっしゃっております。使い勝手が悪い。しかも、行政手続法の特例として情報公開法の中に規定を入れればできるのだということも言っているのですよ、みずから要綱をつくられた方が。だけれどもそれは、行政手続法改正そのもの自体の中で、いわゆる一般行政事件の管轄そのもの自体も見直すぐらいの必要があるから、この段階ではというような、何かしりすぼみになってはいまずけれども、結局使い勝手が悪くてこれは直さなければならぬということは認められている。しかも、法的に矛盾して間違いだというなら別ですけれども、できるわけです。  それで、検討するというけれども情報公開法はすぐ施行されるのですよ。自民党では二年と言っていますけれども、遅くとも二年ということでしょう。そうすると、その段階で管轄が整備されてしまえばいいんですけれども、その間については断念せよということに通ずるわけであります。  だから、ぜひともこの点から、やろうと思えばいつでもできること。要するに、国民のために使いやすいものにするのか、行政側に立って行政の便宜かという選択の問題なんですね。行政の方の負担が多いというけれども、これは試算がされたり計算が出ておるわけじゃありません。国民の方は明確に出ていて、これは国民の方が多いに決まっているんですよね。  そういう点で、ひとつ長官にお伺いしたいんですけれども、たまたま見ておりますと、この間出られた奥津参考人の資料で見ますと、総務長官の選挙区である鹿児島県の県民が、廃棄物施設から出るダイオキシン濃度のデータを厚生省に請求するとか、その他環境汚染について環境庁に手持ちデータを請求するということになると、これは東京まで行かなければならないということに原則としてなる。そうすると、交通費だけで二百七十五万が必要というあの計算になるわけですね。これは高裁までです、大体。  こういうかかり方をして、実際に先生のところの地元の選挙民の皆さん方がこれだけ払わなければ権利行使ができないということでいいんでしょうか。やはりこれは間違っているんじゃないでしょうか。率直な御見解をお伺いしたいわけであります。
  113. 小里貞利

    ○小里国務大臣 お答え申し上げます。  情報公開訴訟にかかわる裁判管轄のお話でございますが、要するに、先生が要約して御指摘になりましたように、主権者たる国民が使いやすい、そして有効にこれを生かし得る一つの手段というものは最も大事なことである、先生御指摘のとおりである、私もそう思う次第でございます。  一応、今次の立法に当たりまして、行政事件訴訟法第十二条の一般取り扱いに関する特則を設けるかどうかについては、行政改革委員会におきまして、この前の委員会でもまた御説明申し上げましたが、今後、情報公開法運用の実情等を勘案し、行政訴訟一般の問題との関連にも留意し、専門的な観点から総合的に検討するべき旨が指摘されました。  そしてまた、先ほど若干お触れになったかと思うのでございますが、塩野参考人も先日、当委員会におきまして、幅広い専門的な検討が必要なことを指摘されました。そして、国会で御判断いただきたい旨の御意見も付してあるようでございます。  ただいまの先生の御指摘趣旨は、私どもも十分認識をし、そして対応しなければならぬことだと思うところでございますが、今後、申し上げましたように、行政改革委員会意見や各方面からの、ただいまの御意見ども十分参考にしながら、これから国会での議論を踏まえまして、また実情を適切に把握をいたしまして、使いやすい法律としてこれを磨き上げていかなければいかぬな、そういう気持ちを持つ次第でございます。
  114. 谷津義男

    谷津委員長 福岡君、時間が来ておりますから。
  115. 福岡宗也

    福岡委員 ありがとうございました。前向きで、本当に国民のためになるという形で御検討をしていただくという決意を伺いまして、私も非常に心強く思ったわけでございます。  特に、我々特例という形で法律案を出しておりますけれども、要は、我々としては、その方法が一番いい方法じゃないかと、住所地において管轄の特例を設けるという形であれを出していますけれども、これにこだわるわけじゃございません。やはり管轄は、広く地方の隅々の人まで訴えが提起できる、そういうようなシステムというものをつくるということならば、我々はどういう形であれ賛成はするという基本的な考え方であることを申し述べておきますので、ぜひとも御検討いただきまして、施行、実際に実施されるまでの間にそういう形のものを明確におつくりいただきたいということをお願いしたいと思います。
  116. 谷津義男

    谷津委員長 時間が終わっております。
  117. 福岡宗也

    福岡委員 それじゃ、一点だけ。時間が参ってしまったようでございますが、積み残しが一つございますので。
  118. 谷津義男

    谷津委員長 それでは、民主党の時間の中で処理させていただきます。
  119. 福岡宗也

    福岡委員 二、三分で、一つだけいいですか。  今回の司法救済の問題に関連しますので、一言だけ御質問させていただきたいのでありますけれども政府の案を見ますと、不服審査会におきましては、不服申し立てに対しまして、ボーン・インデックスとインカメラというものを採用して、実際に目録その他の理由説明書等を交付したり、それからさらには現物自体を見て非公開の事由の有無というものを判断できるというふうになっておりますけれども、裁判の方の、司法救済の方には、これは何の規定もないわけでございます。そして、従来理由とされているところは、裁判の公開の制度、いわゆるインカメラは室内で密室ということになりますから、それに反するのではないだろうかということのようであります。  野党案も若干その点を配慮いたしまして、ボーン・インデックス、いわゆる説明書みたいなものをまず提出を求めたり、資料を求めて、現物は求めずに、それでどうしてもいけない場合に、さらにそれを補充する形で、実質は釈明権行使みたいな形ですけれども、それで現物を見て判断をする、こういうような形でカバーをしょうとしているわけであります。これは、諸外国においても、裁判の公開というのはどこでもなされているわけですけれども、そういう国々においてもすべて、ボーン・インデックスもあるし、それからインカメラもあるわけで、そういう工夫でできるというふうに思っているわけであります。  特に問題は、不服審査会において、現物も見て、それから関係書類も見て判断しておるのに、裁判所の方には何にも行かないということになると、仮に不服審査会から回ってきたものを取り消すとかなんとかという場合に、それで判断ができるのか。また、判断された例えば行政官庁もそれから請求人も納得できるのかということが非常に問題であるということで、やはりこういう制度を設ける以上は納得が大事でもあるんですね。それから、真実も、どうであるかということについては、証拠調べ的なものはやはり十分に統一的になされなければならない、こういうふうに考えるので、この辺の検討をしていただく余地があるかどうかだけ、一言。  イエス、ノーで結構ですからお答えいただきまして、私の質問を終わります。
  120. 瀧上信光

    ○瀧上政府委員 インカメラの訴訟における導入の問題につきましても、行政改革委員会におきまして検討をされました。そして、その中で、インカメラ審理については、裁判の公開原則との関係をめぐってさまざまな考え方が存すること、そしてまた、相手方当事者に吟味、弾劾の機会を与えない証拠により裁判をする手続を認めることは、行政訴訟制度の基本にかかわる問題であるといったようなことが指摘をされております。  そのほか、現行の情報公開条例に基づく同種の訴訟の現状では、立証上、種々の工夫をすることで訴訟が遂行されていること、そしてまた、御指摘の不服審査会における調査の過程で得られた資料が訴訟上活用されるといったことが期待されるといったことも指摘をされまして、その上で、今後、情報公開法の訴訟の実情等に照らし、専門的な観点からの検討が望まれる旨、指摘をされております。  政府としましては、この行政改革委員会意見国会の御論議を踏まえて今後検討すべき問題と考えております。
  121. 福岡宗也

    福岡委員 ありがとうございました。ぜひともそういうように検討していただきたいということをお願いいたします。  どうもありがとうございました。
  122. 谷津義男

    谷津委員長 北村君。残された時間の範囲内でお願いいたします。
  123. 北村哲男

    北村(哲)委員 結構でございます。中途半端になるかもしれませんが、時間の範囲内で行いたいと思います。  私は、政府案の五条の法人情報、とりわけ五条二号ロの任意提供情報について伺いたいと思っております。  私どもの提案しました三党案は、検討の結果、この五条二号ロのいわゆる任意提供情報は入れないというふうに決めました。一方、政府案は、非公開条件つきという形式要件によって非公開情報というものを認めております。  私どもは、これをなぜこれだけ大事にするかと申しますと、今まさに問題となっております官業のなれ合いという体質、これを断ち切って、行政指導という名のもとの行政支配をなくして行政を透明なものにしたいという意味で、この規定は極めて重要である。重要であるというよりも、不要であるという意味で大事だという立場をとっております。  そこでお伺いしたいわけですけれども行政機関法人情報を保有することとなる経緯とか理由、すなわち、何ゆえに法人情報を保有する必要があるかということについて、まず御説明をいただきたいと思います。
  124. 瀧上信光

    ○瀧上政府委員 行政機関法人情報を保有することとなる経緯、理由についてのお尋ねでございますが、行政の対応において極めて多様でございまして、総務庁としてお答えするのはなかなか難しいわけでございますが、一般的なケースとして申し上げれば、許認可、補助金等の事務に関連して所要の情報を収集したり、あるいは統計調査その他日々の政策立案等に必要な情報収集活動の一環として収集することがあると考えられます。  いずれにいたしましても、行政は、法人を相手としたり、あるいは法人活動前提として行政を行っているものでありまして、行政運営を行っていく上で、法人情報の収集というものは不可欠なものと考えております。
  125. 北村哲男

    北村(哲)委員 そのとおりであろうと思います。  それでは、行政運営上必要であるならば、必要であるという根拠に基づいて、法律に基づいて提出してもらえばいいのに、なぜ法人情報を任意で提供させるということが必要になるということなんでしょうか。
  126. 瀧上信光

    ○瀧上政府委員 行政機関法人情報を任意で提供させる理由についてでございますが、これについても行政の対応はさまざまでございまして、総務庁の立場としてなかなかお答えしにくいわけでございますが、あえて一般論として申し上げれば、定期報告や緊急時の報告等で法律規定に基づき情報を収集する場合がありますが、このほか、行政運営を行っていく上で法人の協力を得て情報を収集するということは不可欠なものとなっていると考えております。  問題があるとすれば、任意かどうかということよりも、行政活動に必要な範囲を超えて不要な情報を収集しているかどうかということではないかというふうに考えております。
  127. 北村哲男

    北村(哲)委員 要するに、行政施策の遂行に必要だから行政情報を得るんだということで、場合によっては任意でもそのために必要なんだということだと私も今のお話を理解しておりますけれども、ところで、そうすると、逆に言うと、行政施策の遂行に必要がないのに行政機関法人情報を保有することはないというふうに聞いてよろしいわけですね。
  128. 瀧上信光

    ○瀧上政府委員 問題は、行政機関が必要ないというような情報をとっているかどうかということでございますが、こういった問題につきましては、行政施策の遂行に必要もない法人情報を仮に行政機関が保有しており、それを改善する必要があるかどうか、そういったようなことにつきましては、この情報公開制度といったものができれば、行政機関運営、そういったような運営も改める効果があるのではないかと考えております。
  129. 北村哲男

    北村(哲)委員 ちょっとよくわからないんですが、要するに、必要がないのにとるわけないですよね。何らかの行政運営上、政策上必要だから、できればそれは法律とか規則に基づくのだけれども、そうじゃない場合でも任意的にも受けるんだ。受けるけれども、それは必要があるから受けるんだということと確認してよろしいと思うのですけれども、それでいいですか。そういうふうに理解していいですか。
  130. 瀧上信光

    ○瀧上政府委員 行政機関の個別の判断として、そのような考え方に基づいて情報を収集しているということが一般であると思っております。
  131. 北村哲男

    北村(哲)委員 非常に前提問題のようなことで申しわけない質問をしたんですけれども、そうすると、任意であろうと強制であろうと、行政機関が保有する法人情報はすべて行政施策の遂行に必要だとすることは間違いないわけですから、そうなると、一般論として、その情報は任意であろうと強制であろうと主権者たる国民の監視の対象であって、また行政国民に対する説明責任範囲内に入ると思いますけれども、その点についてはいかがでしょうか。例外は別にしましてですね。
  132. 瀧上信光

    ○瀧上政府委員 行政機関が任意であれ義務的であれ法人等から収集した情報行政文書に記録して保有している場合は、すべて情報公開法の対象文書となります。ただ、対象文書に記録されている情報のうち、不開示情報に該当するものは不開示ということとされるわけでございます。
  133. 北村哲男

    北村(哲)委員 ところで、行政国民に対する説明責任を、この五条二号のロは条件つきということで除外しているんですけれども、説明責任の例外を設けてまで守るべき法人情報というのは一体どんなものだろうか、なかなか想像できないんですけれども、できれば具体例を挙げてその説明をしていただきたいと思います。特に長官にしていただきたいのです。  というのは、先ほどからよく出ておる塩野教授が、法律時報という雑誌に、この任意提供情報というのはほとんど考えられない落ち穂拾いみたいなものなんだ、ほとんど利用される必要のない問題であるというふうにも言っておられるのです。一体そういうものが必要なんだろうか、どういうものがあるんだろうかということについて、長官  の御認識を聞きたいと思います。
  134. 河野昭

    ○河野政府委員 先生におわかりいただきやすいように、総務庁の例をとって御説明したいと思います。  総務庁が行政監察を実施していることはよく御存じだと思いますが、総務庁の設置法の中に、総務庁長官行政監察に関して公私の団体あるいは関係者に必要な資料の提供の協力を求めることができると。これは、まさに今問題の任意情報でございます。  例えばこれは一例でございますが、金融行政監察などを実施する際に、大蔵省からばかり話を聞いていても的確な問題点は出てきません。そこで行政監察局は、例えば金融機関に、大蔵省の行政指導のどこが問題でしょうとか、あるいは、いろいろと資料をいっぱいとり過ぎていただいて困っていないでしょうかという、我々が問題を考える場合のヒントをいただくわけです。それがまさに行政監察をするときの我々の参考の資料になるわけです。そういう任意提供の情報が、開示請求がありまして、監察局はどこの銀行に情報を依頼したはずだ、そういうものを仮に出しますと、以降、行政監察局に対して民間の協力は全く得られない。したがって、行政運営支障を生じる。そういうものは、仮に請求があってもお断りせざるを得ない。  そういったぐいのものは、行政全般を見ますと間々あるわけでございます。
  135. 北村哲男

    北村(哲)委員 一つの例を伺いました。  しかし、今御説明になった問題について、これは何も任意に提供を受けたから出せないんだというのじゃなくて、五条の二号のイのところに、もし出してしまえば当該法人あるいはその個人権利とかあるいは競争上の地位その他正当な利益を損なうおそれがあるから、だから出せないんだという理由で拒否をすることはできないのでしょうか。
  136. 河野昭

    ○河野政府委員 まさに、おっしゃったような意味内容で出せない場合もありますし、私ども当然協力をお願いするときには、約束としますか、法律では了解、前提でとっているわけでございまして、そういう意味合いからも出せないということでございます。
  137. 北村哲男

    北村(哲)委員 今のお話ですけれども、その前提でとっているということが問題であって、前提でとりますと、その後の、実質的に保護するべき情報なのか、あるいは前提があるから中身は検討しないでも出さなくてもいいんだというふうにしてしまうと、非常に範囲が広がってきますよね。だから、今御説明があったものについては、私は、その二号イでまさに一つ一つ説明すれば十分に保護される対象だと思うのです。  さらにお答え願えるならば、いわゆる五条二号イの公にすることによって当該法人権利あるいは競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるということに該当しないもので、なお特記しなければならぬものというのは、一体どういうことがあるのだろうか。そこをお聞きしたいわけなんですよ。
  138. 瀧上信光

    ○瀧上政府委員 情報公開法案の第五条二号イは、法人等の正当な利益保護しようとするものであるのに対しまして、同号のロは、法人等から非公開前提として行政機関に提供されるという情報の流通の形態や、提供者の非公開扱いに対する期待と信頼を保護しようとするものでありまして、それぞれ別の観点から法人等に関する情報を適切に保護しようとするものであります。  行政改革委員会意見においても例示されておりますが、内部管理情報一般にはまだ知られていない情報、特別の情報源から得た情報等の中には、必ずしも法人等の正当な利益保護されるか否かが明確ではなく、非公開前提としなければ提供されないような情報はあり得るものというふうに考えております。
  139. 北村哲男

    北村(哲)委員 期待と信頼といえば、それはもうすべての法人が出してほしくないですよ、情報というのは。  今の一般的な説明はわかりました。しかし、何か私、その説明だけでは、一体どういうのがあるのだろうか、わからないのですよ。そういうことをお聞きしたいわけです。例えばというふうに具体的に言っていただけますか。
  140. 瀧上信光

    ○瀧上政府委員 これは通常の私人間でもあるわけでございますが、信頼関係というものを前提として、非公開の約束といったものを前提として初めて受け渡される、そういったような情報の伝達の形態ということについては法的保護に値するという考え方でございまして、ただいま申し上げましたように、内部管理情報とか、一般にはまだ知られていないけれども特別に提供するような情報、そういったようなものが該当するということでございます。
  141. 北村哲男

    北村(哲)委員 どうもはっきりしないのですけれども。塩野先生も、本当に落ち穂拾いで、ほとんど考えられないとおっしゃるから、恐らく具体例もなかなか難しいのじゃないかという気がしますけれども、繰り返しても仕方がありませんので、次に行きます。  今後の協力も得られなくなり、行政の遂行に支障を来しかねないというふうなお話がありますけれども行政の遂行に必要ならば、任意提供で情報収集するのではなくて、法律提出を義務づけるべきではないかというのが私どもの主張でございます。国民の生命、健康あるいは権利保護に必要な情報については、任意提供に頼るのではなくて、行政が強制的な取得権限を持つよう法令を整備しておくべきではないかというふうに私ども考えます。この点、日本の法整備はおくれていると言われております。  その点について、今のようなあいまいな点をやめて、法令等を整備してきちっとすべきであるということと、日本の法整備はアメリカなんかに比べて極めておくれているのではないかという見解がありますけれども、そのあたりについてはどのようにお考えでしょう。
  142. 瀧上信光

    ○瀧上政府委員 任意提供の情報を受けることが適切かどうかということにつきましては別途の議論でございますが、一般論として申し上げれば、あらかじめ行政運営に必要な情報の収集のすべてを法定しておくということは困難であるというふうに考えております。情報公開法としては、現状の行政運営前提に制度を構築しております。  なお、ただいま御指摘のありました、国民の生命、健康等の保護に必要な情報があらかじめ特定可能であれば、当該情報の提供を法律で義務づける制度ということは従来も整備をされてきているところでございますが、今後とも、このような制度の整備も適切に行われるべきであるというふうに考えております。
  143. 北村哲男

    北村(哲)委員 まさにそのとおりで、この情報公開法に伴って、法人に対して、出すべき情報あるいはそうでない情報、それをしないとまた法人の方も困る。また後々聞きますけれども行政機関が、出してくださいと。一体何だろうというふうな気持ちで、出していいものか悪いものか、あるいは拒否していいものかどうかわからないということがあると思いますし、そのあたりは、この間の参考人質問のときも経団連の方々が言っておられた点があると思います。  それでは次の問題に移ります。  ある特定情報について公開非公開かが問題になったときに、それを最終的に判断するのは言うまでもなく裁判所ということですけれども、日本国憲法三十二条は、「何人も、裁判所において裁判を受ける権利を奪はれない。」と規定しております。企業から公にしないとの条件を付されて提供された情報公開されないこととなると、一企業が、裁判所の本来有している公開非公開かの最終判断権を奪ってしまうのではないか、そうなると憲法違反の問題が起こってきてしまいますよという議論もあるのですけれども、そのあたりについてはどのように御説明をされますか。
  144. 瀧上信光

    ○瀧上政府委員 任意提供情報規定により保護すべき情報につきましては開示すべきではないわけでございますが、この不開示情報に該当するか否かといったことにつきましての行政機関の長の決定に不服があれば、裁判所に訴えを提起することができるものでありまして、御指摘のような裁判を受ける権利を侵害するといったような問題はないものと考えております。
  145. 北村哲男

    北村(哲)委員 確かに、今の点については、合理的であるかどうかということが裁判の対象になるからならないということ、そのお答えは予想できるのですけれども、大前提として、私どもは今の議論の中で、これは本来的には政府が保有しているものだから国民情報開示の対象になる、しかし例外的にこういう場合はだめなんだということなんですけれども、その例外の判断が合理的であるかどうかという、その物そのものを見ないで判断せざるを得ないという点が問題だと思うのです。  ところで、先ほど福岡委員からもお話があったように、政府案には裁判所におけるインカメラやボーン・インデックスの規定がない。一体、裁判所は、当該条件を付することが当該情報の性質あるいは当時の状況に照らして合理的であると認められるかどうかということをどういうふうにして判断すればいいか。物を見ないで判断することは難しいのじゃないかと思うのですけれども、そのあたりはどのように考えておられるでしょうか。
  146. 瀧上信光

    ○瀧上政府委員 第五条第二号ロの規定の適用につきまして、裁判所が審査するに当たって、いわゆる推認等の方法によって判断をされることとなると考えますが、こういった点につきましては他の不開示情報規定と変わるものではございません。そしてまた、情報公開審査会で付議されていれば、そこで提出された資料も訴訟において活用することが期待されるというふうに考えております。
  147. 北村哲男

    北村(哲)委員 先ほども同じような御回答を得ましたけれども、インカメラというのは、実際、物を見るわけですけれども、不服審査会で見たとしても、見たものが、見たからその写しをとって記録にとじていればそれはいいですよ、そうするとだれでもそれ以後は皆見るのですけれども。ボーン・インデックスというのは整理したものですよね、いろいろな整理。インカメラというのは、不服審査会の委員の人が、それじゃこれが本当にそういう不開示に当たるかどうか見てみましょうというふうに見るのですけれども、その見たものは、記録は、見て、それがどうかというのはわからないのですよ。だから最終的には裁判所がまた権限に基づいてやるというのに、その行政審査会の資料があるからいいというふうに言われるのは、ちょっと私は腑に落ちないのですよ。  私どもの三党案は、もちろん、憲法問題が疑義があると言われるので、今裁判所で認めておる文書提出命令という規定に準じてインカメラ制度をつくりました。  私はなぜ繰り返しこういう問題を言うかといいますと、アメリカ情報公開法が三十年間非常に機能してきたというのは、最終的には裁判所が見て判断をするということが担保になっている。常に見ているわけではないのです、これはたくさんありますから。しかし、最後は裁判所に見られるのだという行政からのやはり恐怖感といいますか、うそは言えないよと。国民からいうとその信頼感。それでもってこの情報公開法が公正にやられるという担保になっているわけですよ。  ですから、審査会というのは諮問機関ですからね、その面で、この裁判所におけるインカメラ制度というのは極めて重要なこの情報公開制度を担保する制度だと思うのですけれども、もう一度この点について、今はないけれどもどうするかということについての方向づけを御説明願いたいと思います。
  148. 瀧上信光

    ○瀧上政府委員 訴訟上のインカメラの問題につきましては、先ほどの御質問もございましたが、憲法八十二条の裁判の公開原則、あるいは裁判を受ける権利、そういった観点のいろいろな問題、議論があるというようなことから、今後訴訟の実態等を踏まえて専門的に検討されるべき課題であるというふうに行政改革委員会の方でも指摘をしているところでございまして、政府の方といたしましても、そういった指摘、さらには国会での御論議等を踏まえて検討していきたいというふうに考えております。
  149. 北村哲男

    北村(哲)委員 ちょっと次の質問に移りたいと思いますが、金融機関の破綻救済のために公的資金を導入する場合、国民にはその支出が税金を投入するに値するのかどうかを知る権利があります。政府にはこれを説明する責任があると思います。もし金融機関の役員や職員の違法な行為によって損害が生じたものであれば、彼らの責任を追及することなく公的資金を投入すべきではないから、国民は金融機関の破綻救済のための公的資金の導入が妥当なものかどうかを判断するために、あらかじめ金融機関の不良債権等の情報を得ておく必要があります。  ところが、政府案だと、国民開示されるべき金融機関の不良債権の情報が、金融機関から非公開条件をつけられるだけで開示されないことになるというふうになりかねない。そういうことがあるとすると非常に困るというふうに思うのですけれども、今の質問に対してはどのようにお考えになりますか。
  150. 瀧上信光

    ○瀧上政府委員 御指摘のような具体的なケースについて、総務庁としてはなかなか判断しがたいところでございますが、御指摘の問題につきましては、不開示情報に該当する場合であっても、公益上の観点から公開することがより必要かどうかという場合として考えれば、政府案におきましては、第七条において公益裁量開示規定を設けているところでございまして、その適切な運用によって対応すべき問題であるというふうに考えております。
  151. 北村哲男

    北村(哲)委員 私がしつこく質問するのは、政府が、持っておられる情報を独占されて、任意情報だから独占されて、また任意情報であるがゆえに出さないということによって、出すべき情報が出されないということを非常に警戒しているわけで、その点を、これがなければそういうことはないし、万一あったにしても極めて限定的に解釈しなければいけない。しかし、この条文は非常にあいまいであるということで非常に警戒心を持っておるわけです。  野党案は、非公開条件や任意提供という形式だけで非公開を認めるべきではなく、情報自体の持つ性質から実質的に競争上または事業上の地位その他の正当な利益が損なわれることが明らかなもの、それを非公開にすれば企業の守られるべき利益は守られ、国民情報公開請求権も損なわれない、それで十分ではないかというのが私ども考えでございます。  したがってこの五条二号ロは不要なものだと考えるわけです。しかしなかなか、不要だと言っても削除していただけないと思いますので、もし万一これが残った場合に今後の解釈上非常に大きな問題を残すと思いますので、さらに細かい点について、各論についてお聞きしていきたいと思います。  まず最初に、「行政機関の要請を受けて」という点があります。この「要請を受けて」ということは、一体どういうことなのだろうかということです。  なぜそういうことを聞くかといいますと、今、行政と業界との関係は、行政指導という強い上下関係によって業界が支配されているというふうに聞いております。そういう意味で、「要請を受けて」というふうに、要請を受けるならば、企業はあたかも単なる半ば強制されてということになってしまうのではないか。そうすると、任意に提供することと要請を受けることとの関係が極めて矛盾してくるように思うのですけれども、この「要請を受けて」ということについてはどのようにお考えなのでしょうか。なぜこういう条文が必要なのか、黙っていて公にしないとの約束でやれば十分ではないかと思うのですけれども、いかがでしょうか。
  152. 瀧上信光

    ○瀧上政府委員 ただいまの「要請を受けて」というのは、行政機関から法的権限の行使といったことによらずに情報の提供を求められた場合を意味するものでございます。このような要請がないにもかかわらず法人等が提供した情報につきましては、任意提供情報規定の対象とはならないと考えております。
  153. 北村哲男

    北村(哲)委員 ちょっと、ほかのことを気にしていたので最後が聞き取れなかったのですけれども、済みませんが、もう一度。
  154. 瀧上信光

    ○瀧上政府委員 「要請を受けて」というのは、行政機関から法的権限の行使によらずに情報の提供を求められた場合を意味する。そして、この要請を受けた方の民間といいますか、いわゆる法人側については、その要請を拒否し得るような場合。そういった場合でございます。
  155. 北村哲男

    北村(哲)委員 拒否し得る場合というのが大事だと思います。そうすると、行政から頼みもしないのに送りつけたような場合というのは、この条項に当たらないのですか。
  156. 瀧上信光

    ○瀧上政府委員 こういった要請がないにもかかわらず法人等が提供した情報につきましては、任意提供情報規定の対象とはならないと考えております。
  157. 北村哲男

    北村(哲)委員 次に、「条件」というのがございます。これは午前中の小此木先生でしたか、その質問があったようですけれども、どういう意味だろうかと。これは要綱案の段階では「約束」というふうに出ておったはずなのですけれども、その「約束」が「条件」に変わったのはどういうことなのでしょうか。
  158. 瀧上信光

    ○瀧上政府委員 御指摘のように、要綱案では「公にしないとの約束の下に」としているところでございますが、このような場合に「約束」という用語を用いている法令上の例というのはほとんど見られないということから、その趣旨法律上の用語として的確に表現するために「条件」との文言を用いることとしたものでございます。したがって、趣旨を変えたというものではございません。
  159. 北村哲男

    北村(哲)委員 趣旨を変えたものではないというふうにここで確認しておきたいと思いますが、法令用語にないということが午前中からよく出てきております。しかし、私も多くの法令を見て、例えば「行政機関の要請を受けて」という言葉でも、別に、そう出てくる法案じゃないと思いますのでということと、この問題をなぜ質問するかといいますと、約束ということがあれば、当事者間の合意、過去の出してほしくない、出しませんという約束があったということで、一つの歴史的事実としてあるのですけれども、条件となると、そういうものがなくても、非常にあいまいになるわけですね。  そうなると一体、最初は「約束」であったものが「条件」ということになると、望洋としたものによって出さなくていいという判断が今度は行政の方にあって、出す方としては非常に不安である。かたい約束をしたならばこれは自分として安心だけれども、そうじゃなくて、出すとも出さぬとも言われないのにこの「条件」が適当に解釈されて勝手に出されてしまうこともあるかもしれないし、あるいは出されないこともあるかもしれないというふうに思うのですけれども、それはもう「約束」ということと意味が変わらないというふうに確認してよろしいのですか。
  160. 瀧上信光

    ○瀧上政府委員 意味は変わらないということでございます。「公にしないとの条件」につきましては、法人等行政機関情報を提供するに当たりまして、その情報を公にしないということにしてほしいとの申し出があっても、その申し出を行政機関が受け入れなければならないというものではなくて、行政機関側もその申し出を了解した上で条件となるということでございます。
  161. 北村哲男

    北村(哲)委員 今大事なことを言われたと思います。要するに、法人が勝手に条件をつけるのではなくて、それを行政機関が判断し了解するという行為が伴うということでよろしいわけですね。はい。そうすると、結論的には約束と一緒だというふうに理解するという結論になると思います。わかりました。  本法施行前に作成、収集された情報も本法の対象になると思いますけれども、そうすると、既に非公開条件つきで収集され、行政が保有している情報もすべて公開の対象になるけれども、何年も前の情報に条件があったかどうかについて争いがあったとき、どうやってこれを証明するんでしょうか。
  162. 瀧上信光

    ○瀧上政府委員 そういった場合につきましては、必要に応じまして、事前に第三者の意見を聞く制度、そういったようなものを活用するということになります。
  163. 北村哲男

    北村(哲)委員 次に、これも既に何回か問題になっておりますが、「任意に提供」という、「任意」という言葉がございます。この「任意」とは一体どういうことなのかということですが、要するに任意の反対用語は強制なんでしょうけれども、例えば、行政機関法律上の資料収集権限があるのにそれを行使しなかったところ、企業が自主的に提出した場合は、これは「任意」に当たるんでしょうか、あるいはこれは強制的なものなんでしょうか。
  164. 瀧上信光

    ○瀧上政府委員 行政機関の要請がなければ、情報公開法第五条第二号ロの規定には該当しないというふうに考えております。
  165. 北村哲男

    北村(哲)委員 では、これは本来出すべき法律上の義務がある、資料徴収権限が行政機関にあるのに、それをする前に企業が勝手に出してしまったという場合も入ると思うのですね。では、その場合も同じですか、これは任意情報に入らないのですか。
  166. 瀧上信光

    ○瀧上政府委員 あくまでも、前提としては行政機関の要請があるということでございます。
  167. 北村哲男

    北村(哲)委員 それでは、その要請があるかないかということは極めて重要になってくると思いますので、そのように聞いておきましょう。  ところで、その任意提供かどうかという問題について、少し私の見解というか、私どもが調べた見解を述べさせてもらいたいと思います。  この任意提供情報というのは、アメリカのクリティカルマス判決がもとになっているし、その判例に基づいてつくられたものというふうに一般的に言われておりますが、あたかも任意に提供されるというだけで非公開にできるように解釈されているということが、非常に私は、怖いというか、危険だと思うのです。  日弁連、日本弁護士連合会が一九九三年と一九九七年、去年に調査団をアメリカに派遣して、アメリカの司法省などで直接確認してきた事項が、ここに、「アメリカ情報公開の現場から」という本があります。それによりますと、アメリカでは、任意提供に当たるかどうかについて極めて限定的に解釈しており、実際に非公開になる企業情報は極めてまれだという報告があります。  アメリカの司法省の情報公開運用基準によると、一、政府機関と契約を結ぶときに提出を求められる文書については任意提供に当たらないとされているし、二番目に、法律や規則によって提出義務がある場合には、政府機関の方から提出を求めなくても任意提供には当たらないことになっておる。また、アメリカでは、法律や規則に提出義務の規定提出を求める権限を綿密に定めており、情報が企業から行政に対し厳密な意味で任意に提供されている例は多くないと言われておる。これはこの本の中に出ておるわけです。  一方、日本では、法令上の根拠が明確でなくても行政指導などを通じて多数の行政情報行政に提供されておって、任意提供という形式だけで非公開を認めることとなると、アメリカと比べて日本の場合は多くの情報公開されないということになる。逆に国際的なハーモナイゼーションに反してしまうという結果になって、ひいては国際摩擦も起こりかねないんじゃないかということの懸念があるわけです。  そういう意味で、こういう情報はない方がましだというふうに思うのですけれども、その国際的なアメリカなんかの基準と日本の基準がそごを来したときに、むしろこの法律アメリカからも早くつくってほしいという要望があって、国際摩擦をなくすための一つの方策でもあるわけですから、そのあたりのスタンダード、基準を共通にすべきだという批判があるのですけれども、そのあたりについてはどのようにお考えでしょう。
  168. 瀧上信光

    ○瀧上政府委員 アメリカのクリティカルマスの基準と、それからこの法律での任意提供といったものについての範囲は、同一であるというふうに考えております。  アメリカのクリティカルマス基準におきましても、行政機関が法的権限を有していたとしても、実際にその権限を行使せずに情報の提供を受けた場合には、任意であるというふうに解されています。この法律におきましても、法的権限に基づき行政機関情報が提供される場合、または行政機関の要請がないにもかかわらず企業が自発的に情報を提供した場合には、任意提供情報には該当しませんが、法的権限があってもこれを行使せずに、要請を受けて任意に提供された場合には、任意提供情報ということになります。
  169. 北村哲男

    北村(哲)委員 時間もあとわずかになりましたので、あと二点ほど続けて聞いていきたいと思います。  これは文言上のものですけれども、「通例として」という文言があります。「法人等又は個人における通例として公にしないこととされているもの」ということについて、もし具体例があれば説明していただきたい。  それから、法人または個人における通例というのは、至って主観的なものではないかという考えがあります。国民情報公開請求権の有無が一法人または一個人の主観的な取り扱いや解釈で左右されるのはおかしいんじゃないかという意見もありますけれども、そのあたりの見解をお聞きしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  170. 瀧上信光

    ○瀧上政府委員 御指摘の「法人等又は個人における通例」とは、当該情報を提供した法人等または個人ではなく、当該法人等または個人が属する業種、業態における通常の取り扱い意味するというものでございます。そしてまた、法人等または個人における通例とは、当該法人等または個人における取り扱い意味するというものではございません。したがって、情報提供者が通例であると主張したことをもって不開示と判断するのではなく、あくまでも客観的に判断されるものであります。
  171. 北村哲男

    北村(哲)委員 どうもありがとうございました。終わります。
  172. 谷津義男

    谷津委員長 御苦労さまでした。  一川保夫君。
  173. 一川保夫

    一川委員 自由党の一川保夫でございます。  今回、政府の方から提案されております行政機関の保有する情報公開に関する法律案につきまして、私は政府の方に御質問をしたい、そのように思っております。  まず、大臣に基本的なところを所見をお伺いしておきたいと思うのですけれども、こういう行政機関が有する情報をいろいろ公開してほしいというような動きは、私が知っている限りでも、もう二十年も近く前からいろいろな動きがあったように記憶しておりますけれども、どちらかといえば地方公共団体の方が先行して、いろいろな住民の要望にこたえて、そういう制度化に取り組んできたというふうに思っております。  そういう中にあって、国レベルでのこういう制度が大変立ちおくれてきたわけですけれども、もともと、こういう行政側のいろいろな情報公開すべきであるというような動きというのは、我が国のいろいろな、高度成長に伴っての経済的な、社会的なひずみが生じてきたと思いますけれども、そういうものを受けての、行政内部のいろいろな情報を納税者側としてもぜひ知りたいということでの、いろいろな運動が展開されてきたのではないかというふうに思っております。  その後といいますか、それと並行してといいますか、あってはならない、例えば政治の中あるいは行政の中において疑惑を持たれるような事件が相次いできたのではないかというふうに思っております。そういったことがいろいろな面で、こういう行政にかかわるような情報国民に広く公開すべきだということが相当強くなってきたというふうに私は思うわけですね。  そういったことを踏まえて、当然大臣もいろいろなお考えを持っていらっしゃると思いますけれども、私自身はこういつた制度化が非常におくれているということは残念に思っておりますけれども、所管大臣としまして、今なぜこの時期に政府といいますか国レベルでのこういう制度が必要かということについて、再度大臣の所見をここでお伺いしておきたい、そのように思っております。
  174. 小里貞利

    ○小里国務大臣 ただいま議員のお話をお伺いしながら、長い間の重要法案であるにもかかわらず懸案事項だったな、そういう思いを入れながらのお話をお聞かせいただきました。私ごとで恐縮でございますが、私も今からざっと二十年前に、ただいま先生も二十年という歴年の数字をお挙げになりましたが、私もちょうど二十年前に、当時の大平総理大臣から、やはり民主政治というのは国民の信頼の上に立たなければいけないのだ、情報公開というのは民主政治の目を大きくあけるものだよ、そういうものを言い聞かせられたことを、ただいまのお話をお伺いしながら思い出したものでございます。  その後、国会も、いろいろ起伏はございました。情報公開法に対する制度設定についての強い響きも感じないわけではございませんでしたけれども、今ここに初めて、国会の与野党の皆様方の御理解とそして深い関心のもとに、具体的な法案化というものが出てまいりました。  私は、せっかくここに出てまいりましたこの今日の情勢を見ますときに、先生も今お話がございましたように、例えば国家公務員の驕奢あるいは汚職等も背景に置きながらこの法案は動いているなということも考え出す次第でございますが、それも大事なことでございますが、同時に、根本的に主権者たる国民行政あるいは政策と直接的により身近なものに置くために、ぜひこれは必要な一つの法案だな、そういうことを感じておるところでございます。
  175. 一川保夫

    一川委員 私ども、この制度が、これだけ長期にわたっていろいろと検討されてきたにもかかわらずまだ制度化されていないという面では、恐らくいろいろな問題点も当然抱えているわけですけれども、ただ、現状におきまして私自身非常に残念に思いますのは、この国会でもいろいろ議論されておりますけれども、依然としてやはり地方から中央に対してのいろいろな陳情とかこういうことが相変わらず繰り返されているという実態は、やはり陳情という一つの行為の中には、そういうことによって今まで余りオープンになっていないような情報をできるだけ早期につかみたいということも当然私はあるような気もしますし、また、最近いろいろ批判されておりますいろいろな接待に伴う、官官接待を中心にした一連の接待疑惑という問題も、やはり情報というものを何らかの手段でもって早期につかみたいというようなことがこういうことにつながってきているのではないかというふうに思っているわけです。  そうしますと、地方から相当のコストをかけて上京されていろいろな要請活動をされる皆さん方の気持ちも当然わからないわけでもないわけですけれども、やはり、もっと基本的に行政側が抱えているいろいろな情報が全国津々浦々までに知れ渡るような、そういう制度をぜひ完備すべきだというふうに私は思います。  そういうことを踏まえて、大臣としまして、まだ依然として残っているこういった陳情政治といいますか陳情行政といったものに対して、何か所見があったらお伺いしておきたいと思います。
  176. 小里貞利

    ○小里国務大臣 結論から申し上げますと、全く同感でございます。  折しも一中央省庁等改革基本法を国会に御相談申し上げております。世紀の改革法案と私どもは銘打って御相談申し上げておるわけでございますが、この省庁改革の目的達成のためにも、今先生がお話しになりましたように情報公開と並んで非常にこれは大事な一つの要素である、こう思いまして私どもは法案の整備をお願い申し上げておるところでございまして、例えば、中央省庁等の改革を実現することによって、政府あるいは政策、事業の全貌を国民理解をいただけるし、そしてそれが透明性というすっきりとした一つの、国民行政との関係というものも一体感が出てきますし、そういうことなどを念じながら、御相談を申し上げておるところでございます。
  177. 一川保夫

    一川委員 これまで、この問題についてのいろいろな質疑の中で、もう既に出尽くしたと思いますけれども憲法にいろいろと保障されている、こういう知る権利というようなことにかかわってのいろいろなやりとりがあったというふうに承知いたしておりますけれども、私自身も、そういった憲法に保障された知る権利というものをしっかりと保障しながら、この行政運営にかかわるもろもろの情報というものをしっかりと開示しながら、やはり行政というものは、公正が確保されるということと透明性がしっかりと向上するということが非常に大事であるというふうに思っているわけです。  先ほども大臣もちょっとおっしゃいましたけれども、今この時期に、政府側それから野党側も含めていろいろな意見を出し合っているわけでございますので、この機を逸しないで、お互いに譲歩するところは譲歩しながら、しっかりとこの制度を完備していくというような気持ちでいくべきだというふうに私も思っております。そういう中にあって、この情報公開制度そのもの、当然ながら、政府提案ですから政府側としてはこの法案に固執されるというふうに私は思いますけれども、今、野党側も当然いろいろな対案を用意して、いろいろと鋭意取り組んでいるわけでございます。  大臣として、そういうことに対して、基本的なスタンスとしまして、野党側のいろいろなそういう法案等に対する取り組む姿勢に対して当然大臣もいろいろな考えを持っていらっしゃると思いますけれども政府案も含めて、この際、しっかりとお互いに協力しながらそういう制度をつくっていくということについての大臣の考え方をお聞かせ願いたいと思うのです。
  178. 小里貞利

    ○小里国務大臣 今次法案を提出申し上げる前後から、与野党のいかんを問わず真摯にこの情報公開問題につきまして御意見などをお聞かせいただいておりますこと、非常に感銘をいたしておるところでございます。殊に、この委員会が始まりましてきようで四回前後でございますか、会議を開いていただいておりますが、大変具体的に前向きな御意見をお聞かせいただいておりまして、野党の皆様方を初め、与党はもちろんでございますが、私どもも刮目申し上げておるところでございます。  ただ、私、立場もございまして、私ども政府が出しました一つの案なるものは、これは、それぞれ機関なりあるいは専門家の立場の皆様方の御意見どもお聞かせをいただきまして、ひとまず最善のものである。これは最善のものであると、あとう限りそれを追求しながら、そして念じて法案を出したものでございまして、その立場も基調にしながらお話をお聞かせいただいておる。率直に申し上げる次第でございます。
  179. 一川保夫

    一川委員 では、ちょっと個別の問題に移らせていただきたいと思います。  これも基本的には今まで質疑の中である程度話題に出た事項だというふうに思います。地方自治体との関係のことでございますけれども、今回の法案の第四十条にその条文はございます。  先ほどちょっと触れましたように、情報公開にかかわるような制度というのは国よりもむしろ地方の方が先行してきたという中で、都道府県あるいは市町村、そういうレベルにおいての、多少の濃淡はあったとしても、相当数そういった制度が完備されてきておるというふうに思います。今そちらの方で把握されている状況としまして、全体で地方自治体というのはこういう制度をどの程度完備されておるのか。もし今わかるようでしたら、ちょっと御説明をお願いしたいと思うのです。
  180. 瀧上信光

    ○瀧上政府委員 地方公共団体における情報公開条例制定状況でございますが、条例を定めております地方公共団体は、平成九年四月一日現在で、都道府県は四十四、市区町村は三百二十八、合計三百七十二団体でございます。その後、県段階では山口県、山形県が条例制定いたしておりまして、条例制定していない県レベルでは、一県だけということでございます。市区町村につきましては、全体の一割程度が条例制定しているという状況でございます。
  181. 一川保夫

    一川委員 一県だけ条例を持っていないというのは、非常に知りたいところもありますけれども、それはそれとしまして。  今、皆さん方の方で、各地方自治体のそういった実態をいろいろと調査され把握されておると思いますけれども、量、質ともに情報公開としては相当進んでいるという表現がいいのかどうかわかりませんけれども、住民に行政情報を相当な部分まで公開しているなというような、具体的な市町村の名前とか県の名前はよろしいですから、例えばこの程度までやっているところもある、最も公開の程度が進んでいる部分はこの程度までいっているという、何かありましたら御説明願いたいと思いますけれども
  182. 瀧上信光

    ○瀧上政府委員 総務庁としましては、具体的に地方公共団体内容について、現段階、御指摘のような内容で把握をいたしておりません。
  183. 一川保夫

    一川委員 それは非常に残念なことなんですけれども、ぜひそういうことを調査された上で、国レベルでの情報公開制度というのはこうあるべきだというところを本当にしっかりと検証しながらやっていただきたいな、そのように思っております。  そこで、今ほど、三百七十二の地方公共団体でもう既に制度化されているというお話がございました。そのときに、今回、国でのこういった制度が近いうちに完備された場合、現状でもよろしいわけですけれども、要するに、本来は国の行政機関が有しているような情報なり、あるいはもともと国レベルのつくり出した情報といいますか、そういうものが、いろいろな会議とかいろいろな文書上の通知をもって地方自治体に知れ渡ることが当然あるわけです。地方公共団体情報公開制度を通じて国の情報を要求するというようなケースが当然あると思うのですけれども、それは、現状どういうふうに対処されておるのでしょうか。
  184. 瀧上信光

    ○瀧上政府委員 ただいまお尋ね地方公共団体にある国の文書取り扱いにつきましては、地方公共団体が保有しています情報につきましては国の情報公開法の対象外でありまして、当該文書につきましては、当該地方公共団体情報公開条例制定されていれば、これに基づき請求をしていただくということになります。
  185. 一川保夫

    一川委員 それは、私も十分そのあたり勉強をしていないのですけれども、ある、都道府県でもよろしいのですけれども、そういうところを通じて、国の情報を知りたい、そういう要請があった場合、県の条例と今おっしゃいましたけれども、その条例で、なおかつ県の責任者の判断で公開してもよろしいということになっているのでしょうか。
  186. 瀧上信光

    ○瀧上政府委員 当該地方公共団体が国の行政機関情報を保有していれば、その地方公共団体条例上の判断になります。
  187. 一川保夫

    一川委員 条例の条文は手元にないから何とも言えないのですけれども、皆さん方のこれまでのいろいろな研究というか調査の中で、都道府県等からそういうことについての問い合わせというのは何かあったのでしょうか。もしあった場合に、それに対してどういうアドバイスをされたのかというところを、ちょっとお聞きしたい。
  188. 瀧上信光

    ○瀧上政府委員 御指摘のようなケースは、総務庁に対しては特にございませんが、それぞれの各省庁には照会があるのではないかというふうに考えております。
  189. 一川保夫

    一川委員 そこで、今、政府の法案との関係にもなるかもしれませんけれども、既に各地方公共団体、自治体等で完備されている制度については、この制度ができ上がった場合でもそれについてどうこうするというものではないだろうというふうに私は思います。また、先ほどの説明によると、まだ一県、条例制定されていないところとか、あるいは市町村でまだ相当の部分そういう条例を持っていないというところがあるわけですけれども、そういうところに対しては今後具体的にどういう指導をされていくということになるのでしょうか。  この条文を読む限りは、非常に抽象的な表現になっておりますけれども、そのあたり、ちょっとお聞かせ願いたいと思います。
  190. 瀧上信光

    ○瀧上政府委員 御指摘情報公開法の条文の第四十条におきましては、「地方公共団体は、この法律趣旨にのっとり、その保有する情報公開に関し必要な施策を策定し、及びこれを実施するよう努めなければならない。」というふうに規定をしているところでございます。この規定は訓示規定でありまして、しかも努力義務というふうにされているところでございます。  それで、ただいまの未制定の自治体、こういったものに対しましては、国の法律を参考に条例制定に努力をしていただきたいという期待を申し上げるところでございます。したがって、政府としては、そのような地方公共団体に対しまして、情報公開法に関する情報提供その他の支援を行っ  てまいりたいと考えております。
  191. 一川保夫

    一川委員 そこで、ちょっと先ほど御質問させていただいたこととの関連なんですけれども、国のこの情報公開制度というのはまだ固まっておりませんけれども、もし決まった場合でも考えられるわけですが、先ほどもちょっと触れましたように、地方自治体の条例なりそういった制度を使って、国レベルの、国の行政機関が有している情報を要請された場合、それはそこの地方自治体の条例の判断でよろしいということは先ほどおっしゃったと思いますけれども、そこはそれでよろしいのですか。もう一回確認しておきます。
  192. 瀧上信光

    ○瀧上政府委員 先ほどお答え申し上げましたのは、当該自治体が国の行政情報を保有している場合には、当該地方公共団体条例で判断をするということでございます。
  193. 一川保夫

    一川委員 それは、保有している場合ということが非常に微妙なわけですけれども、公文書等で地方自治体にいろいろ流されている情報もありますし、それから担当者レベルなりそういういろいろなレベルでの会合で配付された資料、そこで述べられた中身というのがあると思うのですけれども、そういったことも含まれますか。
  194. 瀧上信光

    ○瀧上政府委員 当該地方公共団体がその情報を保有していれば、そういったものも含まれます。
  195. 一川保夫

    一川委員 そういうことでは、地方公共団体の意向を尊重するということが基本に私はあるというふうに思います。それはそれで私も理解ができるところでございますし、そのあたりの基本的な考え方をしっかりと持っていただかないと、あいまいな状態にしておきますと地方自治体が混乱するということにもなりますので、そのあたりをよろしく指導をお願いしておきたい、そのように思います。  それでは、ちょっと次の問題に移りまして、特殊法人にかかわるところなんですけれども、これも次の条文、第四十一条に特殊法人情報公開規定を設けてございまして、政府は、この特殊法人にかかわる情報公開のことについては、その性格とか業務内容に応じて、特殊法人の保有する情報開示及び提供が推進されるように法制上の措置を講ずるというような趣旨のことを書いてございます。  特殊法人にかかわる情報公開の問題というのは、直接の行政機関公開はもちろん大事なわけですけれども、この特殊法人にまつわる話題というのは最近でも相当いろんなことが話題にのっていたわけでございますし、今、通常こういう制度が完備されていないこの状況でも、一般行政機関情報よりも、特殊法人の世界というのは非常にわかりづらい世界なんですよね、一般国民にとって。  ですから私は、こういった制度を検討される場合には、当然、特殊法人のそういった情報もこの際しっかりと国民に知らしめる、またそういう要請があれば公開するということは、特殊法人のいろんな業務をしっかりと円滑に進めていく、またその信頼度を高めていくという面では大変大事なことだと思いますけれども、今回これを対象にできなかったといいますか、しなかったといいますか、そのあたりをもう一度ちょっと御見解をお伺いしたいと思います。
  196. 瀧上信光

    ○瀧上政府委員 特殊法人を今回の情報公開法案の直接の対象機関とすることにつきましては、行政改革委員会におきまして、特殊法人は国とは別の法人格を有するものであり、それぞれ法的性格、業務内容、国との関係がさまざまであることから、一律に適用することは不適当であるというふうに判断をされたところでございます。  行政改革委員会でこのような考え方となりましたのは、開示請求権制度は国の機関と国民との一般的な公法関係を前提としますが、国の機関とは別人格を与えられている特殊法人国民との関係が同様であるかどうかといった点につきましては理論的な解明が必要である。それから、現在八十四ありますが、その特殊法人の法的性格、事業内容等はさまざまでありまして、個々の特殊法人の実態を吟味することが不可欠である。そして、対象とする特殊法人の性格、業務内容に即して、法律の目的それから対象範囲公開非公開基準、それから手続救済制度等を構築することが不可欠であるといったことによるものでございます。  政府としましては、行政改革委員会意見を踏まえまして、この法律では、御指摘のように、情報公開に関する法制上の措置その他の必要な措置を講すべき旨を規定したところでありまして、この法律とは別に検討を進めてまいりたいというふうに考えております。
  197. 一川保夫

    一川委員 今ほど御説明された中身というのは、私は、別に今この時点でそういうことがだんだんわかってきたということじゃなくて、相当以前からそういう問題意識というのは当然あっていいと思いますし、特殊法人を取り巻く先ほど言いましたようないろんな問題がいろいろと話題になっていることを考えれば、当然この際こういつた制度にしっかりと取り組んでいくということが非常に大事なことであったのではないかというふうに思っております。  そこで、総務庁だと思いますけれども、特殊法人情報公開の制度化に関する研究会というものがスタートして、いろいろ研究されてきたというふうに聞いております。特に、海外のいろんな特殊法人情報公開にかかわる制度等について研究されてこられたということでのレポートがまとまっておりますけれども、私もこれにさらっと目を通した印象としましては、諸外国でも、特殊法人にかかわる情報公開については約半分近いものがもう公開制度を持っているというような感じを受けたわけです。そのあたりは間違いないでしょうか。
  198. 瀧上信光

    ○瀧上政府委員 御指摘の研究会報告におきまして、諸外国の情報公開制度においてどのような法人が対象とされているか、それぞれの各国におけるその取り扱いというのは非常に異なっておりまして、いわばスタンダードと言えるようなものは見出しがたいというのが実情であります。  情報公開制度が整備されている、情報公開法があるといいますか、アメリカとフランスについて見ますと、この研究会報告では、アメリカでは政府関係法人が対象機関とされておりますが、どういつだ法人が具体的に対象機関であるかは法律上あらかじめ定められておらず、判例の積み重ねにより対象機関が明らかにされてきております。裁判所におきましては、設立形態等の組織面と、政府機能を果たしているかという作用面の両面から総合的に判断をしております。  一方、フランスにおきましては、公施設法人、具体的な対象法人としましては大学とかパリ空港とかそういったようなところがあるわけでございますが、そういったもののほか、公役務の管理の任を負う私法上の法人、具体的には弁護士会とか地域医師会等といったものも対象機関とされております。ただし、法の対象となるのはこれらの法人の公役務に関する行政文書であり、何が行政文書に当たるかということは実態を見て判断されるということになっております。
  199. 一川保夫

    一川委員 そこで、ちょっと大臣にこのことについて、基本的な所見なんですけれども、今私がいろいろやりとりしましたけれども、特殊法人というこの世界は行政改革の中でもこれからの検討課題だというふうに思いますし、もともと特殊法人は、先ほども触れましたように、日本の高度成長期に政府レベルのいろいろな施策を政策目的別にできるだけ促進していくという観点でこういう特殊法人が出てきたと思いますし、今日のいろいろな経済社会、いろいろな国民のニーズということを考えれば、ある程度役割を終えつつあるような特殊法人も中には正直言ってあるというふうに私は思います。  しかし、現実そこで働いている皆さん方もたくさんいらっしゃるわけでございますので、そういう実態を考えれば現実的な対応をしなければならないということも当然理解できるわけでございますが、こういった特殊法人が抱えている現状におけるいろいろな情報というものをもっと正直に国民の前に明らかにしていくということが、いろいろな面でこれからの行政改革を進めていく上で、私は逆に非常にやりやすいといいますか、世論のいろいろな支援を受けながら、なおかつそこに働いている皆さん方に対する配慮もしながら、しっかりと立て直していくということが非常に大事なことだと思います。  今までのいろいろなやりとりの中でもなかなか歯切れのいいところが聞こえないわけですけれども、この特殊法人にかかわるような、また今回行政改革では独立行政法人ですか、そういうような名称のことも言われておりますけれども、こういう世界について、もっと大臣の方としまして責任を持って情報公開するという積極的な姿勢を示してもよろしいのではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
  200. 小里貞利

    ○小里国務大臣 昨年の十二月三日の行政改革会議の最終報告におきましても、あるいはまたその後の中央省庁等改革基本法の立案作業の過程におきましても、ただいま議員から御指摘になりました特殊法人をどうするか、しかもこの整理合理化ないし廃止については従来も相当論議をされ、既に既往の計画もあり、また実施中のものもお話のとおりあるわけでございまして、これをして、今日の状況から、これでいいなんという考え方は全くないわけでございまして、議員指摘のとおり、行革会議におきましても、あるいはまた基本法におきましても、独立行政法人化が必要であるではないか、そういうような御指摘もあるような状況でございます。  いわんや、今日の情報公開についても、先ほど審議官の方から御説明申し上げましたような経緯もあります。そしてまた、そういう経緯の上に立ちまして、本法案が成立いたしましたなれば、この情報公開法成立いたしましたなれば、二年以内には特殊法人も手をつけなければいけません、こういう一つの形になっておるのでございます。  私は、あとう限り、より早い時期に、特殊法人情報公開のための法制定を初め、もろもろの準備を積極的に誠実をもって対応するべきであるということをこの前の委員会でも申し上げたつもりでございますが、そういう確固とした方針を政府は持つべきである、そう思っております。
  201. 一川保夫

    一川委員 今、大臣の方から割と力強い決意のほどをお聞かせいただいたわけですけれども、どうもこの研究会のレポート等を見ておりましても、いろいろ研究する課題がたくさんありますよということをちょっと書き過ぎているような気がするのです。これは何となく時間をかけることに対する言いわけをしているような感じも私はいたしますし、そういう面では、海外の各国の事例というものは当然参考にするところは参考にしなければならない。ほかの国でも成功しているところ、失敗しているところ、それはいろいろとあると思います。そういうところを踏まえながら、今、要するにしっかりと判断する時期だというふうに思っております。  そういう面では、我が国の今抱えている特殊法人、全体で八十四あるというふうな説明もございましたけれども、この資料によりましても、特殊法人を、いろいろな分類の仕方はあると思いますが、分類のやり方によっては十一ぐらいのいろいろな性格上、業務上の分類ができるというようなことも記述されております。  ですから、私は、特殊法人を全部一律同じ扱いをしろということを言っているわけではなくて、法人の抱えている業務内容等々、それから国が関与する度合いの非常に強いところと弱いところ、割と民間に近い法人も当然あると思います。そういうことを考えれば、今一気に全部何か統一した考え方情報公開しろということをやろうと思ってもなかなか検討課題が多過ぎてできないと思いますけれども、少なくとも国の行政機関に割と近いような業務をやっている公団等につきましては、あるいは情報公開することを早めるとかそういうことだって当然考えられると思うのだけれども、そういったところに対して、大臣、いかがですか、もう一度御見解を。
  202. 瀧上信光

    ○瀧上政府委員 どういった法人情報公開制度の対象とするかということは、国民権利行使の対象を規定するものでございまして、法律上明確な基準が必要でございます。  どういつだ基準で特殊法人情報公開制度の対象とするかにつきましては、国が直接設立しているかどうか、国からの出資があるかどうか、役員大事に関与しているかどうか、予算、決算統制が行われているかどうか、本来的に国の作用と言えるかどうか等々、さまざまな切り口が考えられるところでございます。今後、特殊法人情報公開制度にふさわしい対象とは何かといった観点から、さまざまな特殊法人の実態を踏まえて検討していくことが必要と考えております。
  203. 一川保夫

    一川委員 以上で私の質問は終わらせていただきますけれども、特殊法人という名前がついているように、それぞれ皆法人は特殊な仕事をやっているわけでございまして、そういう面では、それぞれ個性的な、法人は今日のいろいろな激動の時代、またいろいろな国民のニーズが多様化している時代に、法人としてどういう役割を担っていくかという面では、それぞれの法人がすべて課題を抱えているというふうに私は思います。  そういう面では、行政改革の中でしっかりとしたまた検討が必要だと思いますけれども、やはりその前提として、行政にかかわるような情報というのがその基本にあるというふうに私は思いますので、ぜひ、総務庁としましてもこの特殊法人にかかわる情報公開というものについて本当に真剣に取り組んでいただきたいということを御要望いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。  どうもありがとうございました。
  204. 谷津義男

    谷津委員長 御苦労さまです。  倉田栄喜君。
  205. 倉田栄喜

    倉田委員 平和・改革の倉田でございます。私は、政府案に対して、政府案は一条から四十三条までございますけれども、最初の方から逐条的に御質問させていただきたいと思います。  まず、第一章の総則について、その中の目的規定でありまずけれども、これは非常に大切なところでございますので、大臣に特にお答えいただければ、こう思うわけであります。  第一条の中に、「国民主権の理念にのっとり、行政文書開示請求する権利」、こう書いてございます。この行政文書開示請求する権利、これは、いわゆる最高裁判例でも言及されて、福岡議員も知る権利をこの目的の中に明記すべきだ、こういう御議論でありましたけれども、私もその立場でございますけれども政府案の中におけるこの行政文書開示請求する権利というのは、いわゆる最高裁判例で言及されている憲法上の知る権利を具体化したものである、このように考えていいのかどうか、この点についてまずお尋ねいたします。
  206. 小里貞利

    ○小里国務大臣 本法案は、第一条の目的規定から明らかなように、憲法国民主権の理念にのっとり定められたものでありまして、開示請求権はその中核となるものであると判断いたします。  なお、先般来御説明しておりますように、知る権利概念が固まっていないことから、情報公開法案規定する開示請求権がいわゆる知る権利を具体化するものか否かを答えることは困難であることは、御理解いただきたいと思います。
  207. 倉田栄喜

    倉田委員 政府案の中に知る権利を明記できない。それは、憲法上、知る権利が、多くの判例あるいは多くの学説、通説、もう定説と言ってもいいと思いますけれども、知る権利が認められている。しかし、その法文の中に言葉として知る権利という言葉を使うことは、すなわち知る権利概念が不明確である、あるいは請求権的な権利であるかどうかまだ定まっていないのではないのか、こういうことだと思うのですね。  大臣は、今御答弁の中で、いわゆる国民の知る権利、そしてここに書かれている行政文書開示請求する権利はその中核としての権利である、こういうふうにお答えになりました。私は、知る権利とは書けないけれども行政文書開示請求する権利が今盛んに議論をされている、そして、ほとんどの学説が定説として、通説として、そして判例も、最高裁も知る権利という言葉を使っている。その憲法上の知る権利に由来する権利であり、それを我が国会で具体化したものとして行政文書開示請求する権利であるのだということがどうしてお答えいただけないのか、ちょっとわからないわけですけれども、もう一度重ねてお尋ねをいたします。
  208. 小里貞利

    ○小里国務大臣 これは、行政あるいは法律の専門家に、議員に私が申し上げるのはどうかと思いますが、行政文書とは一定の媒体に情報が記録されたものを言い、媒体の例としては紙、フィルム、磁気テープ等がある、そう判断いたします。これに対しまして、行政機関の保有する情報とは、いわば媒体に固定されていない段階のものを含むのではなかろうか。そして、開示請求権制度として構築する場合においては、開示請求の対象が、情報が一定の媒体に記録されたものであることが不可欠であることから、すなわち行政文書としているものである、そういう判断を御理解いただきたいと思います。
  209. 倉田栄喜

    倉田委員 いやいや、大臣はまた次のことを少しお答えいただいたところかと思うのですが、要は、この行政文書開示請求する権利、これは憲法上の知る権利を具体化したものである、私はこういうふうに受けとめているわけでありますけれども、その憲法上の知る権利に由来する権利である、あるいは憲法上の知る権利としてその中核をなすかどうかわかりませんけれども、そういう権利である、そういうふうに理解をしていいのかどうか、ここを重ねてお伺いをしたわけでありますけれども、どうぞ審議官でも結構でございますので、お答えいただければと思います。
  210. 瀧上信光

    ○瀧上政府委員 知る権利と呼んでいいかどうかということでございますが、知る権利概念といったことはいろいろな考え方があり、最高裁におきましても概念として固まっていないということから、情報公開法上、知る権利ということを用いなかったわけでございますが、こういった状況のもとで、情報公開法案規定する開示請求権がわゆる知る権利を具体化するものかどうかということを答えることは困難であるということを御理解いただきたいと存じます。
  211. 倉田栄喜

    倉田委員 なぜ困難なのかということが、どうも、理解しろと言われても、ずっと議論をされてきているわけです。それで、憲法上の知る権利という言葉は、確かに、言葉として初めて使うとすれば問題があるかもしれないというお立場は、それはそれなりに理解をいたします。それでは、ここに、行政文書開示請求する権利、こう書いてありますけれども、この権利は一体どういう権利なのか。憲法上の知る権利と全く関係ない権利なのか、あるいは憲法上の知る権利を具体化した権利なのか、あるいは憲法上の知る権利に由来をする権利なのか。お答えするのは困難だとこの大切なところを言われては、今まで何を検討してこられたのかという気がしてならないわけであります。  よく、憲法上の抽象的権利として知る権利がある、これを法律的な言葉で言えば、憲法上の抽象的な権利法律によって具体化することによって具体的な権利になる、こういうのは一つの通説であると思います。そうすると、この行政文書開示請求する権利というのが憲法上の知る権利とどんな関係に立つという、どういう立場政府案はお書きになったのかということは、これは非常に重要なことであります。どうでしょうか。
  212. 谷津義男

    谷津委員長 瀧上官房審議官、はっきり答えてください。
  213. 瀧上信光

    ○瀧上政府委員 この法案、憲法国民主権の理念にのっとって定められたものでありまして、開示請求権はその中核と考えております。  知る権利概念が固まっていないということから、情報公開法案規定する開示請求権がいわゆる知る権利を具体化するものかどうかといったことについては困難であるということでございます。
  214. 倉田栄喜

    倉田委員 この委員会審議はまだ続いているわけでございますので、これは実は非常に重要な問題なんです。この行政文書開示請求する権利の性質というのは、政府案はどういうお立場なのかということは非常に重要な問題なんです。  それで、今の時点で答えることは困難だというのであれば、これはぜひ検討していただいて、少なくともこの委員会が終わるまでは、この行政文書開示請求する権利というのは知る権利とは全く関係ない話なんですよという話なのか、あるいは先ほど申し上げておりますように憲法上の知る権利を具体化した権利なのか、あるいは言葉としていろいろ正確かどうかわかりませんけれども憲法上の知る権利に由来する権利なのか、少なくともやはりお立場をお示しいただかなければならないと思います。  それは、これからこの政府案、それから三党案、共産党案ありまして、この委員会審議の中でさまざまな議論が重ねられて、よりいいものになっていくことを私は望みたいと思いますけれども、少なくとも、先ほど大臣がお話しになったとおり、これは省庁改革基本法案と匹敵するくらい重要な法案であります。この重要な法案の中に書かれている行政文書開示請求する権利が一体どういう権利なのだということは、これからこの法律にのっとって行政文書開示請求される方々にとっては非常に重要なことなんだろうと思いますので、これは委員長、ぜひ御指示をいただいて、政府の方からきちんとした回答をいただけるように、特にお願いを申し上げたいと思います。
  215. 瀧上信光

    ○瀧上政府委員 知る権利の問題につきましては、いろいろ申し上げましたように、その考え方についてさまざまなものがあり、最高裁判所の判決でも請求権としては認められないといったこと等から、法律上、政府情報公開法の中では知る権利ということを用いていないわけでございます。  したがいまして、政府案の中で使われていない知る権利につきまして、憲法上の位置づけ云々といったことについて政府の方からお答えするのは困難であるということでございます。
  216. 倉田栄喜

    倉田委員 最高裁の判例が請求権として認めていないという言い方は、それは正確ではなくて、その点については言及していないということなんだろうと私は思います。  それで、確かに、お答えするのは今困難だということと思いますけれども国会とすれば、あるいは政府としても、この法案を運用するについて、この行政文書開示請求する権利というのは一体どういう権利なんだということは非常に重要であろうと思いますので、これは委員長、重ねてお願いをいたしますけれども政府の方として、文書でしかるべくきちんとお答えをいただきたい。そのようにお願いを申し上げますけれども委員長、よろしいでしょうか。
  217. 谷津義男

    谷津委員長 どうですか、瀧上官房審議官
  218. 瀧上信光

    ○瀧上政府委員 政府の見解としましては、知る権利というのを法律上使うことは適当でないという考え方に立って立法をいたしておりますので、開示請求権の知る権利との関係について御意見を申し上げるということは困難でありますということでございます。
  219. 倉田栄喜

    倉田委員 どうも堂々めぐりするようですので、これはちょっと留保をいたしますけれども、知る権利をこの目的の中に規定することはいろいろ問題があってできないという政府のお立場理解できなくもない。その関係で、憲法上の知る権利行政文書開示請求する権利とどういう関係に立つのかということを答えるのも困難だというのは、ちょっとこれは理解しがたいと思いますので、この議論は留保をして、またしかるべき時間をいただいて続けさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしく願いをしたいと思います。
  220. 谷津義男

    谷津委員長 わかりました。  大臣、お答えになりますか。小里総務庁長官
  221. 小里貞利

    ○小里国務大臣 政府としての一定の見解は、先ほど審議官がしばしば申し上げたところでございます。  それからまた、御熱心に御質問なりあるいは御意見をお聞かせいただいておるわけでございまして、十分注目をさせていただきたい、こう思っております。
  222. 倉田栄喜

    倉田委員 それではまた、これは留保をしながら先に進めさせていただきます。  先ほど大臣から少し御説明をいただきました。この目的の中に、まず、行政文書、こういう言葉の概念がございます。「行政文書開示請求する権利」、それから次のところに「行政機関の保有する情報」、こうあります。  そうしますと、この第一条の目的から読みますと、まず行政機関の保有する情報というのが広い概念としてある。その中で開示をできるのは行政文書開示ですよ、こういうことですね。行政文書開示をすることによって行政機関の保有する情報の一層の公開を図る。そういたしますと、いわゆる行政機関の保有する情報、この中から行政文書開示いたしますよ、そういう目的規定になっているわけであります。行政機関が組織的に保有するというところが後で出てきますので、そこで議論をさせていただきたいと思いますが。  そうすると、ここを見たときに、その行政機関の保有する情報の中で、いわゆる何人も、あるいは国民が、開示請求権として請求できる権利行政文書開示なのだなと。そうすると、どのくらいなんだろう、そういうふうに思うわけです。そこで、先ほど大臣ちょっとお答えいただきましたけれども行政文書ということと行政機関の保有する情報というところとの間に、円にすればどのくらいの差が出てくるのかな、こういうふうに思ったわけであります。後でこれは次の文言のところでお尋ねをいたします。  そこで、これも後で関係することでありますので聞いておきたいと思いますけれども、その目的の中に、「行政機関の保有する情報の一層の公開を図り、もって政府の有するその諸活動国民に説明する責務」、こう書いてあります。  そこで、この「国民に説明する責務」というのは法的に意味を有するのかどうか、この点についてはいかがですか。
  223. 瀧上信光

    ○瀧上政府委員 国民に説明する責務につきまして、行政改革委員会意見によりますと、説明責任とは、国政を信託した主権者たる国民に対し、政府がその諸活動の状況を明らかにし、説明する責務であるとされております。
  224. 倉田栄喜

    倉田委員 言いかえて御説明をいただいたわけですけれども、法的にこれはなかなか難しいのだということを私も思いながら質問をしているのです。  先ほどちょっと質問もあったわけですけれども国民に説明する責務がある、責任がある。そうだとすれば、後の問題で、情報公開に係る諸手数料とか費用とか、そういう問題はここにかかわってくるのだろうと私は思うのですね。説明する責任、説明する責務があるというふうに書いてあるのだとすれば、それはみずから積極的に、積極的だと私は思うのですけれども、当然やらなければいけないことをただやるわけであって、果たさなければいけない責任を果たすということがここに書いてあるのだ。目的を読めば、そういうふうに理解ができるわけであります。  この点も、後で、手数料のところで、こことの関連でお聞きをいたしますので、ぜひ詰めておいていただきたい、こう思います。  目的規定のところで、もう一点。もう随分議論になったところであります。「国民の的確な理解と批判」であります。  監視と参加という言葉が、理解と批判という言葉に変わったことについて意味があるかどうかについて、これはもう随分この委員会議論をさせていただきました。お答えは、要綱の内容を変えたことではない、基本的に同じである、こういう御答弁であったと理解をいたします。それで、私はそれでいいわけでありますけれども、あえて若干の疑念を持ちながら、この点は言わせていただきたいと思うわけであります。  それは、よく、我が国は今民主主義の時代ですから封建主義の時代とは違うわけでありまずけれども、よらしむべし、知らしむべからず、こういう言葉があるわけであります。つまり、いわゆる有権者、民というものは、もう全部政府に任せなさい、別に細かなことは一々知らなくていいじゃないですか、万全としますからと。民は守るべきもの、そういう発想がまだこの我が国の民主主義の時代の中に、いわゆるお上意識という言葉の中に続いているとしたら、どうも監視というのは語感としてうれしくないね、監視されるなんというのは、ちょっとよくないな、そういうお上意識のもとで、こういう言葉はやはりよそうよ、同じ意味でももうちょっと違う言葉を使おうよと。  あるいは、参加という言葉も、有権者が直接行政に参加をしてくる、とんでもない。我が国は、少なくとも国会は、間接民主主義の国なんだから、代議制なんだから、議会を通じて、代議を通じてやればいいわけであるから、参加という言葉がそういうふうに政策決定に直接参加をしてこられるような響きを持っては困るのではないのかと。  そういう懸念のもとに、監視と参加という言葉を削られたのではないか。これは若干の疑念であります。だとすれば、我が国の民主主義、行政のあり方というものに、実は根本にかかわる問題であります。  実は大臣、その点はぜひ御留意をいただいて、監視と参加ということは、たまたまほかのところで監視と参加という言葉が使われていて、それを同義的に使われた場合、ちょっと意味が狭くなったりするから困るからこういうふうに使ったのだということでありますので、私はそれを一応受けますけれども、しかし、今私が申し上げたような問題意識がある。そして、その点をいわゆるこの情報公開法によって打ち破っていかなければ、民主主義というのは本当のものにならないのだということを問題意識として持っているということを御理解いただきたい、こう思います。  以上、目的のところ、この行政文書開示請求する権利は一体どういう権利なのだということは後でまたお伺いをさせていただくとして、定義であります。  情報公開法という言葉をずっと使ってまいりました。この情報公開法という言葉の中で、あえてこれは私ども、私も提案者でありますけれども、三党案行政情報という言葉を使いました。政府案行政機関の保有する情報、こういうふうに使いました。国民の、有権者の側から見れば、情報公開法で言われる情報というのは、国会情報もそうですよ、裁判所情報もそうですよ、行政情報だけではありませんよ、こういう意味合いで情報公開を求める運動というのはずっと続いてきたのだと思うのですね。  そこで、これは政府案立場として、大臣は、いわゆる行政機関以外の国会、裁判所、この国会情報公開あるいは裁判所の情報公開を、大臣の御所見で結構でございますので、どのようにお考えになっておられますか。
  225. 小里貞利

    ○小里国務大臣 国会及び裁判所における情報公開制度のあり方についてのお話でございますが、国会及び裁判所御自身において御検討いただくべき問題である、さように判断をいたしております。
  226. 倉田栄喜

    倉田委員 私は、まさに国会、裁判所でも、やはり国民の信頼の上に成り立つ、特に国会はそうでありますので、これはひとつ積極的に検討して、情報公開情報公開といっても、情報発信の部分と同時に国民情報にアクセスできる部分、そこをきちっとして制度として整備すべきだ、そのように考えておりますので、また大臣もぜひ御検討をいただきたい、こう思います。  そこで今、行政情報という、情報という言葉を使いました。私どもの三党案のところも、いわゆる文書情報というのを、どう違うのかと先ほど二回目ぐらいのところに質問をさせていただきましたけれども文書という言葉を常識的に受け取る範囲としてはどうも範囲が狭くなるな、文書に電磁的記録とかなんとかというのを、ファイルなんかも含ませるのは、どうも言葉の語意として余りぱっとわからないのではないのか、こういうふうに思ったのですね。  しかし、政府案行政文書として定義をしてあるわけでありますけれども、この辺は多少、文書という概念に電磁的記録を先ほども申し上げましたように含ませるということは、内容として評価できるとしても、国民が受ける語意としてはどうなんだろうという気がいたします。むしろ文書よりも情報の方がよくないか。  そうしますと、先ほど、行政文書請求する権利、あるいは、行政機関の保有する情報の一層の公開を図る、ここのところが、私は、円で描けば円周の直径の差が大分あるのではないのかなという気がしてならないのですけれども、そこがもう少し狭まるような気がするのです。  この点、どうして文書とされたのか、あるいは行政情報というふうに修正をされるようなお考えはないのかどうか、この点についてはいかがでしょう。
  227. 瀧上信光

    ○瀧上政府委員 法律文書という概念を使いましたのは、請求の単位を画することの容易性、明確性や、対象となるものの管理を適正に行うといった観点から、情報ではなく、情報が一定の媒体に記録されたものとしての文書を対象とする、そして、電磁的記録を含めて文書と定義をしているところでございます。
  228. 倉田栄喜

    倉田委員 その文書という概念を定義すれば、そういうふうに、ここではこう読むのですよということですから別におかしくはないと思いますけれども、受け取る語意としては少し、やはり国民の皆さんが見ただけですぐこういうことだなとわかる言葉の方がいいのではないのかな、こう思うわけです。  そこで、これは第二条の二項に「この法律において「行政文書」とは、」こういうふうに書いてございます。そして、三行目ですけれども「当該行政機関の職員が組織的に用いるものとして当該行政機関が保有しているものをいう。」こう書いてあるわけですね。  そこで、まだほかにも問題があるのかもしれませんけれども、私の方からは二つ。当該行政機関の職員が組織的に用いるもの、そして、当該行政機関が保有しているものをいう。  つまり、行政機関の保有する情報、最大の円があって、その中で、行政文書というのは、電磁的記録、その話意の問題はひとつ置いておいたとしても、当該行政機関の職員が組織的に用いるものというふうに限定がある。さらに、当該行政機関が保有しているものをいう。さらに限定がある。そうしますとやはり、では組織的に用いられていないものは外れるのですね、当該行政機関が機関として保有していないものは外れるのですね、こういう話になります。  そこで、まず、組織的に用いるものとはどのようなものですか。どの段階から組織的に用いるものになるのでしょうか。  いわゆる薬害エイズ等で議論になりました郡司ファイル、これは厚生省の方でその郡司ファイルの扱い方によって異なるのかもしれませんけれども一般論として、この郡司ファイルというのは該当するのかどうか。あるいは、該当しないという答えがもしあるとすれば、どの段階から組織的に用いるものになるのか。  これは私は、行政情報ですから裁量の幅というのはできるだけ小さくなって、この法案の中で明確にならなければならないという立場でありますけれども、この言葉だけでは非常に、どの段階からかな、どういう場合に当該行政機関が保有していると言うのだろう、こう思うわけです。  まず、組織的に用いるもの、この点についてお尋ねをいたします。
  229. 瀧上信光

    ○瀧上政府委員 職員が組織的に用いるものというのは、対象文書を客観的に定める要件を規定したものでございまして、開示請求を受けた時点で当該行政機関の組織において業務上必要なものとして利用、保存されている状態のもの、いわば組織共用文書すべてを対象とする趣旨でございます。
  230. 倉田栄喜

    倉田委員 だから、言葉としてはなるほどとわかるのですけれども、例えば公務員の方が個人メモを作成する、それがどの段階から組織的に共有される文書になるのだろう。いろいろな、さっき郡司ファイルの問題を出しました。全く個人だけしか見ていない、使っていないというものであればこれは当たらないのかな。しかし、会議なんかで共有すれば当たるのかな。そこの区分を少し明確にしていただければという質問であります。
  231. 瀧上信光

    ○瀧上政府委員 いわゆる郡司ファイルにつきましては個別事例の法律適用に関する解釈でございまして、ケース・バイ・ケースにいろいろな状況を把握した上で判断すべき事柄であります。  一般論として申し上げれば、重要な政策を検討する会議に関しては、その会議提出された資料、会議における重要な意見についての記録、検討結果等が政策決定を行う上で重要な情報として作成され、一定期間保存されるのが通常であります。そのように組織的に用いるものとして保有されているものにつきましては、情報公開法の対象文書となります。  そして、この法案において開示請求の対象となる行政文書は、作成段階では個人メモとしてつくられたものであっても、その後、業務上の必要性観点から組織共用文書として保有される状態になっていれば、行政文書となります。  どういつだ段階で組織共用文書になるかといった点につきましては、当該文書の利用、保存の実態や、当該組織における業務の態様等の実質に基づいて判断されるべき事柄であると考えております。
  232. 倉田栄喜

    倉田委員 だから、当該文書が、個人メモが、ある一定の段階から共有文書になる。それがどの段階からなるのかということは、まさに使われ方だとか、どういうふうに使ったのか、それを見ながら判断するんだということになるわけですね、今のお答えは。だからここが、いや、これはまだ個人メモですよ、組織的に共有されるものではありませんよと、何となく裁量ではねられたり入ったりするような気がしてならないわけですね。ここももう少し明確にしていただかなければならないのではないのか。  そこで、組織的に用いるもの、少し審議官の方から中身の説明をいただきました。それで大丈夫かどうかということは、また後でお答えを少し検討させていただきたいと思いますが、この当該行政機関が保有しているもの、ここの場合も、これは公務員個人が一人でロッカーの中に入れていた場合がありますね。あるいはその課とかなんとかが共有のロッカーの中に入れていた場合がありますね。  そうすると、ここで、当該行政機関が保有しているもの、こう書いているわけです。行政機関が保有する、あるいは公務員個人が保有する。この間に差があるのかないのか、あるいは差があるとすればどういう差があるのか、その点についてはいかがでしょうか。
  233. 瀧上信光

    ○瀧上政府委員 御指摘の当該行政機関が保有しているものというのは、行政機関が保有しているもの全般を指しまして、どういう段階かといったものは問わないというふうに考えております。
  234. 倉田栄喜

    倉田委員 だから、私がこだわっているのは、その行政機関という言葉なんですよ。行政機関が保有しているものと書いているわけです。公務員個人が保有していた場合とは違うんでしょうか。行政機関が保有すると、あえて行政機関、機関として位置づけられている。機関として保有をしている。  そこで、公務員個人がいろいろ会議で資料に使ったとしても、それは自己の意見を述べるために持ったものであって機関として保有しているものではありませんよと言うこともできるのかな、こういうふうにも読めるわけです。  だから、公務員個人の場合。もちろん個人が機関として保有している場合もそれはあるだろうと思いますよ。当該公務員個人として、機関としてではなくて個人として保有している場合は、これはだめだという趣旨になるんでしょうか。
  235. 瀧上信光

    ○瀧上政府委員 私文書以外は個人的な使用というものはないと考えております。
  236. 倉田栄喜

    倉田委員 私文書以外は個人的な使用はないということですね。
  237. 瀧上信光

    ○瀧上政府委員 職員もその行政機関の構成員でございますので、私文書以外は機関保有として含まれるというふうに考えております。
  238. 倉田栄喜

    倉田委員 当該個人の私文書以外は、公務員行政機関の一人であるので、当該公務員が単独で保有していたとしてもそれは行政機関が保有しているものだ、こういうふうなお答えでありました。  それでは、二条の二項二号ですね。公文書館その他の機関において、政令で定めるところにより、歴史的もしくは文化的な資料または学術研究用の資料として特別の管理がされているものも例外になっているわけです。  そこで、この二条の二の立法趣旨、どうしてこの規定があるのかということと、学術研究用の資料として特別の管理がされているもの、特別の管理というのは一体何なんだ。こういうことで非常に、実は、確かに希少価値があって大切な資料があって、それだけしがなくて、それを他人にさわられたくない、さわると損傷するんではないのかとか、いろいろな心配があることはわかるんですけれども、しかしこれは、ある意味でやはり国民の共有財産というか、非常に大きな財産であります。できるだけみんなで、なるほどこういうものがあるのかということは公開すべきであると思うんですが、場合によれば、この規定によって公開されないことがあり得る。  そこで、この第二条の二項の二号、この立法趣旨と、特別の管理というのは一体どういう管理なんだ、それをお尋ねいたします。
  239. 瀧上信光

    ○瀧上政府委員 情報公開法案第二条第二項第二号の趣旨でございますが、歴史的もしくは文化的な資料または学術研究用の資料として価値があるために特別に管理されているものにつきましては、貴重資料の保存、学術研究への寄与等の観点から、それぞれ定められた開示範囲手続等の基準に従った利用にゆだねられるべきである、こういった考え方から、開示請求権制度の対象としていないものでございます。  対象外とする文書範囲につきましては、保有機関を政令で指定し、そして管理の方法を政令で定めるということとしておりまして、その明確化を図ることとしております。  そして二番目の、特別の管理として政令で定める管理方法の基準でございますが、これにつきましては、他の一般行政文書と区分して管理すること、そして内容、所在を明らかにする目録を作成、公開すること、部外者の閲覧等利用に関する手続を作成、公開すること、こういつたことを想定いたしております。
  240. 倉田栄喜

    倉田委員 次に三条でありまずけれども、これは非常に評価をされる条文であります。何人も、この法律の定めるところにより、行政機関の長に対し、行政文書開示請求することができる。  そこで、行政機関の長。先ほど、行政機関の長の判断、この言葉を入れるかどうかという議論もありました。これも後で少しお尋ねさせていただきたいと思いますけれども行政機関の長、大体イメージできるんですけれども、ちょっと、行政機関の長というのは一体だれのことなんですか。
  241. 瀧上信光

    ○瀧上政府委員 例えば、各省大臣と各委員会委員長、各庁の長官、こういった長でございます。そしてまた、出先機関に権限が委任をされている、こういった場合には当該機関の長が行政機関の長ということになります。
  242. 倉田栄喜

    倉田委員 最後の方で、出先機関に権限が委任をされた場合については、その委任をされた当該出先機関の長が行政機関の長になる、こういうことですね。わかりました。基本的には、委員長であり、各省の大臣である、その所管の最終責任者である、こういう理解ですね。わかりました。  それから、開示請求手続のところであります。第四条であります。  実は、開示請求権を行使する人にとっては、たしかこういう文書があるはずだな、しかし、詳細にきちっと正確に理解をしているわけではない。だから、余りその請求をする文書特定を厳格に要求されると、そんなに厳格に特定できないということもあり得る。しかし一方で、行政の方としては、余り漠然と請求されたのではとても大変だ、何を請求しているかわからない、こういうことになるわけでありますね。そうすると、請求する場合に、開示請求手続の中で、こういう文書請求しますよ、その請求手続に何を書けばいいの史文書特定範囲はどの程度であればいいのか、これは請求する側にとっては実は大変大切なことであります。  そこで、第四条で、どういうことを書かなければいけないのかということを第四条一項の一号、二号と書いてあります。そこで、二号のところに「行政文書の名称その他の開示請求に係る行政文書特定するに足りる事項」、こう書いてあります。私が申し上げたところは、この政府案でも後できちんと、説明してあげなければいけませんよという規定が書いてございますので、その点はそこのところでそういう規定があるということは承知の上で、この行政文書の名称、どの程度の行政文書の名称を、開示請求を記載する請求書に書けばいいのか、こう思うのですね。行政文書の名称というのはどういうものを指すのでしょうか。
  243. 瀧上信光

    ○瀧上政府委員 ここに言う行政文書の名称というは、特定文書について、法令上または実務上特定の名前が付されている場合における当該名前を指すということでございます。  そして、具体的に、請求者が開示を求める行政文書が個別具体のどの文書であるかといったことが判断可能な程度に記載をする必要があるということでございます。
  244. 倉田栄喜

    倉田委員 そうすると、特定するに足りる事項の方が非常に重要であるということですね。  そこで次に、第四条の二項の方に、「行政機関の長は、開示請求書に形式上の不備があると認めるときは、その補正を求めることができる。」と。ここで言う形式上の不備というのはどういうものを指しますか。
  245. 瀧上信光

    ○瀧上政府委員 形式上の不備とは、開示請求書に記載すべき事項が記載されていないか、あるいは記載が不十分である場合など、開示請求書が法律に定められた要件を満たしていないことが外形上明らかである場合を指します。具体的には、開示請求者の住所、氏名等が記載されていない場合、行政文書特定するに足りる事項の記載が不十分である場合等でございます。
  246. 倉田栄喜

    倉田委員 政治も行政国民の信頼を本当に取り戻さなければならない、こう思うのですね。しかし、現実の行政の窓口の対応というのは、何か少しでも不備があると、またもう一回書き直してきてと。あるいは、一回で言ってもらえばいいのに何回も何回も、これが足りない、あれが足りないと、ここで言われるような補正を求められて、もう本当に手間暇、時間がかかるということは現実に起こっていることであります。情報公開法にあっても、情報公開請求があってもそんなことが起こってはならない、こう思うのですよ。まさにこれも請求者、利用者の立場から窓口はきちんと対応をしていただかなければならない、こう思うのです。  そこで、「その補正を求めることができる。この場合において、行政機関の長は、開示請求者に対し、補正の参考となる情報を提供するよう努めなければならない。」これは確かに親切な規定だと思うのです。評価をいたします。ただ、私は、せっかくここに書いていただくのだったら、努めなければならないということではなくて、情報を提供しなければならないと、それくらいの積極的な情報提供。あるいは、先ほど目的のところで申し上げましたように、国民に説明する責務が全うされるというのであれば、努力義務ではなくて義務規定であった方がいいのではないか、こう思いますが、この点いかがですか。
  247. 瀧上信光

    ○瀧上政府委員 形式上の不備がある場合、例えば開示請求者の名前の記載が欠けている場合のように、参考となる情報を提供する必要がない場合があるということとともに、行政機関として何が参考となる情報であるかをあらかじめ特定できない場合といったことも想定されることから、努力義務規定としたところでございます。
  248. 倉田栄喜

    倉田委員 努力義務ですけれども実質的に作用するときは義務規定であるように運用していただきたいと思いますね。そういうことで一々、公開したくないからそもそも窓口のところではねているのだなんて思われたら、せっかく目的のところに書いてあることが無意味になると思います。積極的に公開されるべきものは公開をする、積極的に説明をする。非公開の該当事由に当たれば別ですけれども非公開に当たらないのに、窓口のところで、形式上の不備とかあるいはいろいろなことがあってこれはだめですよとはねることがあってはならないと思います。  そこで、行政文書開示義務、第五条以下でありますけれども、これはここで少し議論になりました。あと時間がもうないのですけれども、後でいただくとして、まず、ここの五条一号のハ「当該個人公務員」括弧がありまして「である場合において、当該情報がその職務の遂行に係る情報であるときは、当該情報のうち、当該公務員の職及び当該職務遂行内容に係る部分」。  参考人質疑のときも、この規定が何を書いてあるかよくわからない、課長職以上の氏名というのがこれによって公開されることなのだろうと思うけれども、これからそのことをばっとは何かわかりにくい、こういうふうな御指摘もあったことでありますけれども、この第五条一号のハというのを、今具体的に議論となっている部分について、どういうことなのか、どこまでが公開されるのか、少しこれは説明をしていただきたい。
  249. 瀧上信光

    ○瀧上政府委員 第五条一号ハにつきましては、公務員職務遂行に係る情報は、一般的には職務遂行内容、それから担当した公務員氏名及び当該者の職名で成り立っている場合が多いと考えられますが、そのうち、この第五条第一号ハの規定により、職務遂行内容と職名の部分は、当該公務員個人情報としては不開示としないといった趣旨でございます。
  250. 倉田栄喜

    倉田委員 当該公務員の職名、氏名開示される場合は全くないということですか。
  251. 瀧上信光

    ○瀧上政府委員 職名についてはすべて公開されるということでございますが、公務員氏名につきましては、行政事務の遂行に係る行政組織の内部管理情報として当該公務員特定するために行政文書に記載されていることも多いわけでございますが、氏名につきましては同時に、当該公務員の私生活においても個人識別する基本的な情報として一般に用いられておりまして、これを開示すると公務員の私生活等に影響を及ぼすことがあり得るということでございます。  こういったために、行政改革委員会意見では、公務員の職名と職務遂行内容はすべて開示するということとしまして、氏名につきましては、慣行として公にされている場合等は開示するということとされたところでございます。政府案はこの考え方に沿って立案をしたものでございます。
  252. 倉田栄喜

    倉田委員 質疑時間がなくなりました。今、慣行として公にされている場合は氏名であっても開示をするということでしたね。そうすると、あとの問題は、ではどの範囲までが慣行として公になっている場合か、これはまた後でお尋ねをいたします。  委員長、四十三条まで行かなければいけないのですけれども、まだ五条のところであります。四十三条を一々全部細かくやるつもりはありませんけれども、まだ大変重要な問題が残っておりますので、また審議の機会を与えていただきますよう、そして最初の、開示請求権というのはどういう権利なのだ、このこともきちっとこの審議の中でできますように特にお願いをいたしまして、質問を終わります。
  253. 谷津義男

    谷津委員長 理事会で諮らせていただきます。御苦労さまでした。  深田肇君。
  254. 深田肇

    深田委員 大臣、いつものことで二十分間ですから、もう直接大臣と、政治的な問題での御意見を少し賜ればいいと思っていますし、私の持ち時間では全条やることはできませんから、二つか三つに絞りまして、そろそろ少し政治的な御判断をいただくときかなと思いますので、そこへ絞りますので、直接問答ができますように、応答ができますようにお願いいたしたいと思います。  参考人の先生方意見聴取のことは、極めて正確に全部、音声と同時に活字で、両方で聞いておられると思いますけれども、これは微妙な問題がありますから、きょう以降でまた結構なのでありますがぜひ聞いておっていただきまして、次々のこれからの審議の中で正しい御判断をいただくことが必要だというふうに私は思っていますことを申し上げておきたいと思います。  同時にまた、けさ方からの先輩、同僚議員のやりとりを全部聞かしてもらっておりますから、そこのところで私どもが同じようなことを思ったり質問することもないと思いますから、これももう割愛することも御理解いただきたいというふうに思っているわけでございます。  その上で、毎度申し上げておりますが、何としてもこの法案は総仕上げを仕上げて、それで国民の期待に沿うようにつくり上げるべきだというふうに思っていますので、その点ではひとつ積極的な意見を一、二申し上げて、長官のこれまた積極的な前向きの御答弁をいただければありがたいと思っているところでございます。  そこで、先輩議員の中から一人、政府の方で修正するつもりはないのかというのが出ましたときに、私どもとしてはこれはもう最善の案を出しているんだと、これは当然のことと思いますね。今の段階といいますか、初めから修正するつもりがあってはおかしなものですから、だからその点はよくわかりますが、同時に、そのときにさすが大臣は言葉をつけ加えられまして、審議の経過を見て、いろいろお聞かせいただいた上でとこういうところまで出たのであります。  政府修正になりますか、委員長を中心にして院内の与野党が相談をして一定のものをつくり上げて、政府と協議しながら物を決めていくかにいたしましても、まあとにかく、もう延べ何時間もの御説明を伺っております。私の場合は、朝の十時に来て最後まで座って聞いておるわけですから、全部もう議事録的に頭に入っていますから、決してもう総務庁の職員の皆さんに負けないぐらい条文の中身は知っているつもりなんです。したがって、もう説明は要らないと私は思っているんです。その点のやりとりはもう大体皆さん終わったと思います。  したがって私は、そういう意味からしますと、一定の時期には、どういう方法にするかは別にしまして、長官からもう一声、ひとつこちらに任せるとおっしゃるのか、私の方も考えて一緒になってやろうとおっしゃるのか、これが完全無欠なものだから一切いじくることできないよと今言う段階ではなくて、私はどの項目と言わずに一般論で言っているんですが、当然そういうふうな前向きなお気持ちだろうと思います。  参考人の先生方七人の方が、要綱との関係や加えてまた今度できた法案について、全部が丸つけたわけじゃないわけでありますから、そこも十分参酌されるならば御配慮いただくべきものだと思いますが、その点、いかがなものでしょうか。
  255. 小里貞利

    ○小里国務大臣 議員の発言の中にもございましたが、私ども、いずれの時期、いずれの法案であっても、これは完全無欠でございますよというような思い上がりは政府としても慎むべきであると常に私は思っております。  同時にまた、法案を提出する以上は、政府国民に向かって限りなく大きな責任があるわけでございますから、あとう限り情報を集め、そして検討の限りを尽くして、そして、現段階における我々の法案としてはこれはもう本当に最善を尽くしましたと、そういうものを上程するのが最小限の義務であり、そしてまた政府のあり方だろう、そう思う次第でございます。  今次の法案におきましてもそのような原則に立っておりますことを一応御理解をいただきとう存ずる次第です。  それから、あえて先ほどもあるいはまた議員お尋ねでございますから申し上げる次第でございますが、国会の審議を私どもは十分見守ることだけはまた一つの立場であり、そしてまた規範であろうかとこう思っておる次第です。しからばいかに具体的に対応するかということは、やはり国会審議を大事に基調にしながら、刮目と申し上げましょうか、見詰めていかなければならない、さように判断をいたしております。
  256. 深田肇

    深田委員 さすが、議会の側に目を向けられ、同時にまた国民の側に常に配慮されている大臣のお言葉として心から尊敬をいたしまして、いい法案ができるように最終決断をいずれの時期にお願いをしておきたいというふうに思います。  さて、その次に私がもう一度ここで御確認のために聞いておきたいことは、いわゆる要綱案というのとこの法案との関係。これは、ずっとお話聞いておりましたら、要綱案の趣旨を尊重して、それを法的な用語を含めていわゆるきちんと処理したものだというふうにお話があることでございますから、その点では尊重し要綱案に沿ったものである、これはこういうふうにもう極めて単純に理解をしている。うなずいておられますから、それでいいですね。  そういうふうに理解をした上で、しからば、そこなんです。そのことを踏まえて、知る権利は、私は皆さんの説明はよくわかるが、私個人としては納得できない。やはりこれは、もう少し補強したり修正したり、条文の中に何か生かすことはできないかと思いますが、それはちょっと置いておきます。  もう一つのところで、塩野先生とやりとりをやらせていただいて、塩野先生がおっしゃったところの関係もあります、マルポツが入っておりますけれども、このマルポツも問題だということをおっしゃるものだからあえて私は言うんでありますが、いわゆる監視と参加というところなんでありますが、この言葉は、極めて簡単に総務庁の高級官僚はお言葉で御説明されますが、私はそういうものじゃないだろうと思っていろいろやりとりいたしました。  その中で、いろいろなことが正確に音声と文章で長官のところへ上がっているだろうと申し上げましたが、認識の違いがあってはいけないかなと思いますから一言申し上げておきますが、私が皆さんに質問したのです。私が質問した側の中での印象から申し上げますと、いわゆるこの要綱をつくり上げた塩野先生の表現を、私が受けた側からしますと、これはもうニュアンスを含めての受け取りでございますが、この点につきましては、要綱の精神が法案に入っていると聞いていると。私は入っていないと思って質問したんですから。入っていると思う、二度目のときは、入っているというように聞かされております、こういうお言葉だった。その次に、もしそうなっていなければ私はこれに反対ですと。そこまで明確にばしっと言われたことを今思い起こしながら、もう一遍お尋ねします。  大臣、本当に、今、私の前に倉田先輩がいろいろと聞いておられましたが、マルポツの話じゃなくて、いわゆる監視と参加という民主主義の原則、近代社会として大変すばらしいものであり、もっと言えば、今の憲法の精神に完全に一致するこの国民の政治のあり方論について、これは完全に踏襲し、それが今度の法案に入っている。そのことは、ひょっとしたら、お話がありましたとおり、この目的の項目の中に、いわゆる、もう時間がないのでいらいらいたしますけれども、「国民による行政」のところが「国民の的確な理解と批判の下にある公正で民主的な行政の推進に資する」、こういう言葉に変わったところがその精神が入っているとこうおっしゃっているんだと思います。そうだろうと思った上で言うんです。そういうようなお言葉がどんどん皆さんにありましたから、そのことを伺っていったんじゃもう時間がありませんから、そう思いますと申し上げた上で、だとしたら、私はこれは違うと思う。  大臣、あなたは、塩野先生とこのことでさしでやられて、あなたが塩野先生に了解を取りつけて、塩野先生の精神と心はしっかり入っている、小里さんよく入れてくれたとあの人が感謝するだろうかと思うんです。日本語としても違うと思う。  しかも、背景、バックのことを言えば、いわゆるお上の言葉であったり、いわゆる監視という言葉が嫌であったり、いろいろありましょう。とにかく、提案する側が私のことを監視してくれというのは言いにくいということがあるかもわからぬが、そこは、お上の提案じゃなくて、情報公開を求める日本の民主主義の発達過程の中で全国民的なものとして上がっているところを、いわゆるみんながその気になって情報公開法をつくろうとしているんでありますから、これはお上が監視されるされないの問題じゃなくて、監視をして、そしてその結果、自分たちがその政治に参加できることがすばらしいことだと言って、要綱の中の考え方のところなんかではもうここまで書いておられますよ、あの先生は。  「このような制度を通じて、行政運営に関する情報国民一般公開されることは、国民一人一人がこれを吟味した上で」、一人一人が吟味した上でとこうおっしゃるんだ。とにかく、開示を求める求めないということの以前だ。とにかく政府がどんどんどんどん出してくれる、出してもらったものを国民一人一人が吟味した上で、適正な意見を形成することが可能となるものであると七まさに民主主義で、みんな一人一人の市民参加、国民参加の政治がそこにできる。主権在民そのものを具体的にここで法律として提起をされているということであります。  塩野先生がそういうものを出されて、しかもその先生は皆さんが適当な方と任命されて、同意事項でしたか、承認した上でやったものでありますから、そのことが要綱で出されたものを、この中でその次があるのですよ、そういうものを可能とするものであり国民による行政の監視、参加の充実に資することになるのだと、わざわざもう一度そこであの先生たちは、いわゆる行革委のメンバーたちは、そのことが行政の監視と参加になる、監視と参加しなければならないということを言っているのですよ。  それをすりかえて、「監視」のところを変えて、この言葉なんかは日本語としても私は納得できない、これはできれば文学部の先生の意見を聞いてみたらおもしろいと思うのですが、「国民による行政の監視」というところが「国民の的確な理解」。行政の監視と、国民の的確な理解国民理解が的確でなくて不的確であるといって、国民に点数をつけようということかいということになる、私にしてみれば。こんな文章をつくるべきじゃないと思うな、文章としても。  したがって、国民による監視というのは、極めて謙虚に、国民の皆さんが監視してくれ、私たちはどんどん情報公開して、一緒になっていい政治をつくっていこうということを言っておられるのだからいいわけなのであって、「理解と批判の下にある公正で民主的な」というのは前の原案にはないんだ、要綱にはないんだ。「公正で民主的な行政の推進」という言葉はない。公正で民主的な推進のためにとわざわざ政府原案に入ったということは、これは当たり前のことを言っていると言うかもしらぬけれども、あえて言わせてもらえば、今まで公正じゃなかったのか。それとも、民主的なそういう行政のために国民理解する、そういうことを理解する国民、今の政府と同じような見解で同じようなことを考えている国民意見を入れて、それでやることが民主的で公正であるというふうに断定することになると私は思います。  だから、その点は、日本語としても、国語としても理解できないし、政治的背景を考えたら、私は全く、いわゆるお上の行政論がここにもう定着しているのではないかというふうな感じがします。  したがって、私は長官にこれ以上失礼なことを申し上げませんが、長官が塩野先生と話をして、塩野先生が手を握って、よく私の意見を入れてくれた、これで結構なんだとおっしゃるかといったら、おっしゃらないのじゃないか。だからこそあの大変難しい立場で全議員質問に答えてあれだけの答弁をされたのだと私は思いますから、もっと政府当局や我々は前向きに受けとめて、いわゆる要綱の精神は、少なくとも要綱の精神は踏襲していく、入れていくという努力をしなければいかぬのじゃないかということを思いますが、言いただけますか。
  257. 小里貞利

    ○小里国務大臣 いわば主権在民を根底に置くただいまの先生の御発言、そしてその趣旨は十分理解できるものでございます。  塩野参考人は、先生もお話がありましたように、行政改革委員会の要綱案の監視、参加とは、いわば客観的で広い意味を持っているのであるよ、そういう趣旨の発言もなさっておられるようでございます。これは先生もまた御承知のとおりでございます。  申し上げるまでもなく、法律用語としての監視あるいは参加という用語は既に幾つかの法律でも用いられておるところでございまして、言いかえますと特定意味を持っておりますなと、そういうことであろうと思う次第です。法律用語として監視ないし参加をそのまま用いると、行政改革委員会意見趣旨を的確に表現することにはならないことから、この言葉にかえて、国民の的確な理解と批判のもとにある公正で民主的な行政の推進としたものであるというのが、私ども提案者の一つの思想統一でございます。したがいまして、同意見趣旨内容に変更を加えたものではないのでありますが、監視、参加という用語を法律上用いることは、かえって行政改革委員会意見趣旨に沿わないことになるのではないかと懸念をいたしておるところでございます。
  258. 深田肇

    深田委員 時間がありませんから、そういう御見解だろうと思いますが、その御見解は、本当に行革委の先生方はそういう御意向だろうかな、そうではないのじゃないか。同時にまた、広範な国民たちは、別に監視するからといって、今いろいろと不信が盛り上がっておりますけれども、それの表現と相まって、監視監視で取り締まり行政国民がやろうということを言っておるわけじゃないわけでありますから、まさに主権在民の組織的な運営論として、いい意味での民主的という形でお互いが理解すればいいのでありますから、その点はこれからもっともっと検討をして、お互いに納得できるものをつくらなければいかぬのではないかということを申し上げておきます。  もう時間がありませんから、いろいろな、存否応答拒否の問題などもお尋ねしたり意見を申し上げたいのでありますが、それもできませんので、ちょっと、最近私のポストにこういうチラシが入ったのです。これ、わかりやすいです。情報公開の、日弁連が出した文書ですよ。  この中で、知る権利に基づくと書いてある。それは日弁連の見解で、いいでしょう。しかしこの中で、四つある中で、地方でも裁判ができる情報公開制度に、これはわかりやすい。読んでいくと、いわゆる訴えをするときに、だめだというときの訴えは東京地裁しかできませんと解説があるんですよ。したがって、地方でも裁判ができる情報公開制度にというもの。  そしてもう一つ同じチラシで、遠すぎます情報公開法。遠過ぎます、地方でもできるようにと書いて、ここで、東京かと考えておられるんだね。不開示の通知をもらって東京まで行くというのは、旅費もかかるとか弁護士さんがいるとかいない、いろいろなことを含めて、実にこれはわかりやすい。こういうチラシを刷れば私どもの選挙も大分票がふえるのじゃないかと思うぐらい、いいのをつくっているなと思いました。  そこで、この間からこの点は長官に何遍もお願いしているし、きょう、同僚議員、先輩も皆指摘しておりますから申し上げるのでありますが、いわゆるこの訴訟直轄のところも、何としても修正補強すべき課題だというふうに思っています。  その点についてはきよう具体的にどうこうという答弁をいただくわけじゃありませんが、ぜひ検討すべき課題なんだというところあたりまではい ただかないと、私としては、これがまた逆に、一部総務庁の偉い方々の中では、長官じゃありませんよ、偉い方々の中では、塩野先生とのやりとりの中で、塩野先生の話は、いわゆる行政訴訟法との関係もあるし、同時にまた一般法との関係もあるし、いろいろなことがありますから研究しなければいかぬが、私の方は時間がなかったのでこれ以上言わなかったが、その点は国会で決めてくださいと。  決めてくださいということを言ったということは、我々が直すべきだ。直すべきことについて認めてもらった、こう理解するものですから、ぜひひとつ前向きに、これこそ前向きに長官は指示をされて、連絡をお互いに密にしながらやるというふうにやるべきではないかと思いますので、できれば最後にお言葉をいただきたいと思っています。
  259. 小里貞利

    ○小里国務大臣 法案を責任を持って提案をさせていただきました政府の見解、立場は申し上げてまいっておるところでございますが、せっかく、日ごろ尊敬申し上げる議員からいろいろ力説をいただきました。その御発言の前後については十分注目をさせていただきたいと思います。
  260. 深田肇

    深田委員 まだ一分ぐらいあるのじゃないかと思うのですが、注目ですか。注目じゃなくて、そこは前向きにお互い検討しようではないか、あなたの方は委員長によく言えと、こういうふうなお言葉をいただけませんか。
  261. 小里貞利

    ○小里国務大臣 日ごろ尊敬申し上げる議員の御発言でございます。その意味におきましても、十分注目をさせていただきたい、さように思っております。
  262. 深田肇

    深田委員 よろしくお願いします。  これで終わります。ありがとうございました。
  263. 谷津義男

    谷津委員長 御苦労さまでした。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時四十九分散会