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1998-05-15 第142回国会 衆議院 内閣委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十年五月十五日(金曜日)     午前十時開議 出席委員   委員長 谷津 義男君    理事 植竹 繁雄君 理事 小此木八郎君    理事 小林 興起君 理事 穂積 良行君    理事 佐々木秀典君 理事 中沢 健次君    理事 倉田 栄喜君 理事 三沢  淳君       逢沢 一郎君    小野寺五典君       越智 伊平君    佐藤 信二君       近岡理一郎君    虎島 和夫君       野田  実君    萩野 浩基君       桧田  仁君    平沢 勝栄君       池端 清一君    生方 幸夫君       鹿野 道彦君    石井 啓一君       上田  勇君    富田 茂之君       鰐淵 俊之君    瀬古由起子君       中路 雅弘君    深田  肇君       笹木 竜三君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (総務庁長官) 小里 貞利君  出席政府委員         総務庁長官官房         審議官     瀧上 信光君         総務庁行政管理         局長      河野  昭君  委員外出席者         議     員 北村 哲男君         議     員 福岡 宗也君         議     員 倉田 栄喜君         議     員 達増 拓也君         議     員 松本 善明君         法務大臣官房参         事官      菊池 洋一君         法務大臣官房参         事官      勝丸 充啓君         文化庁文化部宗         務課長     前川 喜平君         厚生省社会・援護         局企画課長   大泉 博子君         資源エネルギー         庁公益事業部原         子力発電安全企         画審査課長   三本松 進君         内閣委員会専門         員       新倉 紀一君     ――――――――――――― 委員の異動 五月十五日  辞任        補欠選任   石井 啓一君     富田 茂之君   石田幸四郎君     上田  勇君   寺前  巖君     中路 雅弘君 同日  辞任        補欠選任   上田  勇君     石田幸四郎君   富田 茂之君     石井 啓一君   中路 雅弘君     寺前  巖君     ――――――――――――― 五月十五日  元日赤救護看護婦に対する慰労給付金増額に関  する請願今田保典紹介)(第二三二三号)  同(菅原喜重郎紹介)(第二三二四号)  同(畠山健治郎紹介)(第二三二五号)  同(倉田栄喜紹介)(第二四三六号)  同(菅原喜重郎紹介)(第二四三七号)  同(中野正志君紹介)(第二四三八号)  同(大森猛紹介)(第二四五七号)  同(木島日出夫紹介)(第二四五八号)  同(寺前巖紹介)(第二四五九号)  同(中林よし子紹介)(第二四六〇号)  同(松本善明紹介)(第二四六一号)  元日赤救護看護婦に対する慰労給付金に関する  請願佐々木秀典紹介)(第二三二六号)  傷病恩給等の改善に関する請願松岡利勝君紹  介)(第二三二七号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 五月十三日  国民の祝日に関する法律改正に関する陳情書  外四件  (第二一三号)  公務員倫理法制定及び天下り規制強化に関す  る陳情書外十四件  (第二一四号)  同  (第三一一号)  公務員倫理法早期制定に関する陳情書外三件  (第二一五号)  情報公開法案に知る権利を明記する等の修正に  関する陳情書  (第二一六号)  情報公開法案全面的修正に関する陳情書  (第二一七号)  非核法制定非核原則法制化に関する  陳情書  (第二六一号) 同日  国家公務員法第二十三条の規定に基づく新たな  再任用制度を導入するための国家公務員法等の  改正に関する意見 は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  行政機関の保有する情報公開に関する法律案  (内閣提出第一〇二号)  行政機関の保有する情報公開に関する法律の  施行に伴う関係法律整備等に関する法律案  (内閣提出第一〇三号)  行政情報公開に関する法律案北村哲男君外  五名提出衆法第一一号)  情報公開法案松本善明君外一名提出、第百四  十一回国会衆法第五号)      ――――◇―――――
  2. 谷津義男

    谷津委員長 これより会議を開きます。  内閣提出行政機関の保有する情報公開に関する法律案内閣提出行政機関の保有する情報公開に関する法律施行に伴う関係法律整備等に関する法律案北村哲男君外五名提出行政情報公開に関する法律案及び第百四十一回国会松本善明君外一名提出情報公開法案の各案を一括して議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小野寺五典君。
  3. 小野寺五典

    小野寺委員 おはようございます。自由民主党の小野寺五典です。本日はよろしくお願いいたします。  まず、今回の情報公開法案ですが、これは行政改革の大きな柱になる非常に大きな問題、意味のあるものだと思っております。行政のむだ、不正が一体どこにあるのか、それを正すこと、あるいは、今日本行政に求められています行政情報を独占しない、国民行政を監視していく、こういう大きな意義がある、大きな問題だと思っています。  そこで、きょうはこの問題について、少し細かく質問させていただければと思っております。  まず、今回の情報公開法の特徴でありますが、私率直に感じまして、かなり踏み込んだ、一生懸命つくった内容ではないかというふうに感じています。その第一点、特に政府案でありますが、まず説明する責任ということ、アカウンタビリティーということを明確にしているということ。それからまた、対象機関というのが行政機関をすべて網羅しているということ。これは、現在各県で条例制定されていますが、その中のほとんどのものは警察が含まれておりませんが、行政機関ということで警察も含まれる、一部不開示情報もありますが、そのような規定になっているということ。  また、対象文書でありますが、これは組織的に用いるものということも含まれまして、通常条例では決裁済み文書ということになっていますが、その文書範囲も拡大しているということ、あるいは法制定前のストックの情報についてもこの情報公開法対象になるということ、また電子情報対象になる、このように、内容についてはかなり広範囲に、また踏み込んだ状況にあるのではないかというふうに思っています。  加えるに、例えば外国人を含め何人にも情報開示請求権を認めているということ。また、その行政機関の不開示の問題に関して、これに対応するために情報公開審査会、あるいはもしここでさらに問題がある場合には裁判所に提訴を行う、司法の場でも判断をするというようなこと。いろいろな内容が盛り込まれていまして、一刻も早くこの情報公開法国民がこういう法律案を待っております、国民本位で使いやすい法律制定ということを早く実現したいなというふうに思っている一人であります。  また、今回この情報公開法、確かに法整備は初めての試みでありますから、いろいろな問題が確かに各界から指摘をされています。ですが、まず成立をさせて、そして、これはアメリカ情報自由法の例でもありますが、その運用に当たって細かく改正していく、そのような配慮も今後必要ではないかというふうに考えています。  それに当たりまして、まず初めに、特にきょうは、私、この不開示情報規定に関して、不開示情報というのはある面で余り範囲を広くしてもいけない、ですが、かといって国家機密あるいは国防に関する問題あるいは個人情報に関して秘匿すべきものは秘匿する、そういう非常に難しい状況であると思いますが、その規定について特にお伺いしたいと思っています。  まず、特に日本の国益に一番大きな問題であります防衛外交それから捜査情報について、この不開示規定趣旨についてお伺いしたいと思います。
  4. 瀧上信光

    ○瀧上政府委員 情報公開法の第五条の第三、第四号についてのお尋ねでございますが、行政改革委員会意見におきましては、外交防衛警察情報のうち、特に我が国の安全、他国との信頼関係及び我が国国際交渉上の利益を確保すること、また公共の安全と秩序を維持することは、国民全体の基本的な利益を擁護するため政府に課された重要な責務であり、情報公開法制においてもこれらの利益は十分に保護する必要があると指摘をされているところでございます。  そしてまた、情報公開法案の第五条第三、第四号に該当する情報につきましては、その性質上、開示、不開示判断が高度の政策的判断を伴ったり、専門的、技術的な判断を要することから、司法審査等の場において行政機関の長の第一次的判断権が尊重されるようにすることが適当と指摘をされているところでございます。政府案は、このような行政改革委員会意見に沿いまして、国の安全等に関する情報公共安全等に関する情報について的確に保護するよう立案をしたところでございます。  諸外国立法例につきましても、防衛外交捜査関係情報は、すべての国において、それぞれ不開示情報類型として規定をされております。そしてまた、これらの情報特殊性にかんがみまして、アメリカ、オーストラリア、カナダなどの国におきましては、特に大統領命令により秘密指定が正当になされたものを不開示としたり、不開示文書である旨の大臣判断が最終的なものとなる大臣認定書制度を設けるなど、特別の仕組みが設けられているところでございます。
  5. 小野寺五典

    小野寺委員 ちょっと確認しますが、すべての国で外交防衛に関しては、例えば今の秘密指定があったようなそういう規定が必ずあるのでしょうか。今、すべてとおっしゃいましたが。
  6. 瀧上信光

    ○瀧上政府委員 お答えいたします。  すべての国でこのような不開示類型を設けているということでございます。
  7. 小野寺五典

    小野寺委員 それでは、三派案についてお伺いします。  同じく、外交防衛捜査情報の取り扱いについて、その内容について教えていただきたいと思うのですが。
  8. 北村哲男

    北村(哲)議員 委員にお答えしたいと思いますが、私どもの案も、基本的には政府案と構成上は同じでございます。ただ、違うのは、一つは、政府案が例えば「国の安全が害されるおそれ」という言葉を使っておりますが、この「おそれ」という言葉は私どもはありませんで、例えば同じことであれば、国の安全が害されることが明らかな場合は非開示でもいいというふうにしております。それは、おそれというのは非常にあいまいな概念でありますから、国の安全が害されることが明らかな場合はもちろん非開示で構わないけれども、それ以外は原則開示すべきであるということが一つであります。  もう一つは、政府案は非開示にするかどうかということについての判断を、行政機関の長が認めるにつき相当理由がある情報というふうに、これも非常に、もちろんこの非開示情報というのは第一次的には行政機関の長が決め最終的には裁判所が非開示かどうかを決めるというのが私ども考え方基本ですけれども、この外交防衛情報捜査情報については、これを裁判所判断ではなくて、最後まで行政機関の長が、害するおそれがあることに、しかも相当理由があるというふうに二重のあいまいさをかけているので、この点の双方をのけたのが私どもの案でありまして、害されることが明らかな情報については、これを第一次的にはもちろん行政の長が判断するのですけれども、最終的には裁判所が明らかかどうかという判断をして、明らかでないものは開示しなさいという構造になっております。  そして、なぜ、政府案の、行政の長が認めるについて相当理由があるということがあいまいかということにつきましては、外交防衛情報などが開示か非開示かを判断するのは、本来、最終的には裁判所判断すべき性質のもので、そのもの自体を見て非開示かどうかというのを判断すべきところを、その前段階行政官庁が、出すべきでない、あるいは出すことが相当でないと考えるという、その相当性判断の是非を問われるという点で、その辺の違いがある、その点が私どもの違いでございます。  それともう一つは、外交防衛情報については、これは日々刻々と変わっていくものですから、二十年たてば原則開示ということ、これはアメリカども十年ルールというのがありまして、十年たてば外交情報はもう公にしてもよい、そして、もう二十五年もたてば、これは歴史的文書として当然公開だ、そういうルールがあります。そういう例に倣いまして、二十年たてばもう原則公開というふうにしているのが私どもの案でございます。
  9. 小野寺五典

    小野寺委員 今の三派案の中で特に自分が考えますのは、例えば、最終的な判断司法の場にゆだねる、それは、特にこの外交防衛の問題、これが本当に裁判所判断できるのかどうか。法の解釈の問題ではありませんので、非常に国際的な、国際関係の問題あるいはいろいろな防衛情報の問題、外交情報、そういうものが裁判所で果たして判断できるのか。そういうことを考えますと、本来政治のある場ということを考えますと、どうしてもこの国家の根幹にかかわる問題については、これはあくまでも国もしくはこの国会の場で議論していくこと、あるいは判断すべき部分ではないかというふうに思っています。  それからもう一つの、今の二十年の公開の要件でありますが、私も専門国際政治でありますが、外交文書というのは二十年ではかなりまだ生々し過ぎるといいますか、そういう部分がありまして、たしかアメリカ情報自由法の中でも、秘密規定十年というのがありますが、かなりの部分延長延長ということで、事実的にはかなり長く延ばしているのではないかというふうに考えていますので、少しその範囲については疑問が残るなというふうに思っています。  続いて、共産党案について同じくお伺いしたいと思うのですが、特に共産党案の場合には、防衛情報規定ということ、これは特に置いていないというふうに判断しているのですが、その辺についてお伺いしたいと思います。
  10. 松本善明

    松本(善)議員 小野寺委員に御答弁申し上げます。  いわゆる防衛情報を非開示事由に挙げなかったことにつきましては、前回の委員会でも述べましたが、簡単に申し上げますならば、第二次大戦後、国際ルールとして、武力行使の禁止、紛争平和的解決というものが確立をしてきて、それが実効性を発揮したのがイラクの問題でもあり、それから、今度のインドの核実験でもますますこのことの重要性が確認をされると思います。そういう点で、武力の不行使それから紛争平和的解決を真正面からうたっている日本国憲法立場というのは、特に先進的なものとして重要だ、その立場からのものでございます。  それが一般的なものでございますが、現実には安保条約もあり、自衛隊もございます。いろいろの防衛情報現実にございます。これは、防衛に関するものだからといって当然に開示を免れるものではなく、むしろ基本的に開示をされて、いろいろの考え方があればあるほど、国民民主的コントロールのもとに置かれるべきだろう、こういうふうに考えます。  さき戦争で、戦況についての正確な情報が与えられないで、悲惨な被害を受けながら、勝利を信じて、耐え忍んで敗戦を迎えたという苦い経験もございます。防衛情報公開というのは、そういう点では非常に重要であろうかと思います。  実際の例といたしましても、那覇市の公開条例に基づく公開請求に関しまして、建築基準法第十八条二項によって防衛施設庁那覇建設主事提出をいたしました自衛隊庁舎建設計画通知書添付図面那覇市が公開したところ、防衛施設庁は、国の安全にかかわるとして公開の差しとめを求めた。こういう問題でも国の安全ということが言われるわけでございます。公開処分が今争われております。その図面秘密指定もなされていないし、通常建設図面にすぎないものであるにもかかわらず、防衛施設庁は、図面から壁の厚さがわかるから、施設の強度が把握をされ、公開することは国の安全を害する、こういう主張になっているわけであります。  一方、米軍相模原補給廠内に建設される施設につきまして、那覇と同じく横浜防衛施設庁から提出された計画書図面非公開処分を受けた市民グループが、アメリカ情報自由法によりましてアメリカ陸軍請求したところ、すべて公開をされました。やはり、国の安全という言葉で何でも隠してしまうというのは正しくない、憲法の精神に基づいて公開すべきである、こういうふうに考えております。  以上でございます。
  11. 小野寺五典

    小野寺委員 さき戦争に関しては、本当に私どもも同じような気持ちであります。  ただ、この防衛情報に関しましては、確かに、日本がおっしゃるような形で公開しても、これは対外的な部分で、ほかの国が公開をしておりません、当然でありますが。そうしますと、トランプでいえばカード部分で、もし今、共産党案のような形であれば、日本はどんどんカードを見せておいて、相手はカードを伏せて、国際交渉をしなければいけない、あるいは国際政治の場で闘わなければいけない。  そういう部分がありますので、本当に将来的にすべての国がオープンになれば、それはそれで非常に意味があることでありますが、現実的には、日本以外の国が非公開という中では、日本だけが公開するということの事実面での問題が当然防衛上は起きてくるのかなというふうに思っております。  さて、時間も過ぎてまいりましたので、次に、同じく非開示情報でありますが、存否に関する情報、あるかないかということに対する情報について、政府案規定趣旨をお伺いしたいと思います。
  12. 瀧上信光

    ○瀧上政府委員 存否に関する情報についての規定趣旨でございますが、行政改革委員会意見におきましては、開示請求に係る行政文書存否を明らかにするだけで、不開示情報規定により保護される利益が害されることとなる場合がある旨を指摘しているところでございます。  例えば、特定個人病歴情報が記録された文書開示請求があった場合、当該行政文書は不開示情報に該当するため不開示と答えるだけで、当該個人病歴の存在が明らかになってしまうという問題がございます。そしてまた、法人に関する情報につきましても、例えば先端科学技術分野特定企業に関する開発関連情報につきましても、同様のケースが生ずることが容易に考えられるところでございます。  こういつたように、この問題は、特定の者または特定の事項を名指しした探索的な請求が行われ得ることを想定すれば、すべての不開示情報類型について生じ得るものであります。そして、このような事態が生ずることを避けるため、行政改革委員会意見におきましては、行政文書存否を明らかにしないで請求を拒否できる旨の規定が設けられているところでございます。政府案は同様の考え方に立ちまして、行政文書存否を明らかにしないで開示請求を拒否できる旨の規定を定めているところでございます。  なお、このような行政文書存否を明らかにしないで開示請求を拒否する決定も行政処分であり、当然のこととして、行政上及び司法上の救済の道が認められておりますので、この規定の適正な運用は確保されているものと認識をいたしております。
  13. 小野寺五典

    小野寺委員 同じくこの存否情報に関してですが、三派案では、存否に関する情報規定を、外交防衛捜査個人に関する情報という形で限定していると思うのですが、それについての理由を教えてください。
  14. 達増拓也

    達増議員 我々の法案では、まず、原則公開という理念があるわけであります。原則公開の中で、特に公開すべきでないもの、しない方が適当であるものについて不開示情報といったことで縛りをかける。  そういった観点から考えた場合、確かに存否に関する情報自体明らかにできない場合はあり得るわけですけれども、これを広く認めることによって乱用されることを防ぐために、外交防衛捜査そして個人に関する情報といった重大なもの、そして特に存否に関する情報の有無ということが問題になる分野に限ったということであります。
  15. 小野寺五典

    小野寺委員 その際、ここに企業あるいは先端情報その他の規定が入っていないと思うのですが、例えば新薬開発申請しますということで、厚生省に今そういう申請が出ているかどうかということ自体存否とか、イエス、ノーで、例えば企業活動影響を及ぼす、あるいは先端技術開発影響を及ぼすような場合というのは想定されるかと思うのですが、その点についてはいかがでしょうか。
  16. 達増拓也

    達増議員 行政府として当該情報について保有するに至った以上、やはりそこには、国家としてあるいは公として保有している情報という公的責任がある。ですから、純粋に企業企業のみで持っている情報とそこは性質が違うということで、ただし、ほかの不開示情報範囲に該当する場合であれば、そちらの法益を重視して不開示ということになるわけでありますけれども企業情報については、存否に関する情報ということで一括して不開示というふうにはしないという整理をしているわけであります。
  17. 小野寺五典

    小野寺委員 そうしますと、理解として、例えば、企業が初めから非開示を前提に情報を提供した、あるいは、これに関してはその存否について明らかにすることでも企業活動影響を及ぼすという場合には、解釈上その情報に関しては存否を明らかにしないというふうに考えていいのでしょうか。
  18. 倉田栄喜

    倉田議員 原則公開であって、存否そのものに関しては非常に重要度の高いものに限定をしている、こういうのが基本でございます。  そこで、お尋ねの、例えば新薬開発等々の資料等行政として保有をしていた場合に、その文書があるかどうかということについては、存否例外規定がない以上、基本的にあるかないかという答えはしなければならない。ただ、その内容については、法人等例外規定の中で、それがその企業競争上の地位を脅かすものである以上答える必要はない、こういうことに基本的になると考えております。
  19. 小野寺五典

    小野寺委員 ただ、通常企業活動の中で、新薬申請を出したかどうかということ自体企業間競争ではすごく重要な意味合いを持つような感じがするのですが、同じように、いろいろな先端技術分野で、例えばがんに対する新薬をつくりました。それが認められるかどうかは別として、内容は別として、どうもそういうのを開発しているらしい、それを申請したという段階で他社は、ああ、これはあそこがある程度のものを目鼻をつけたんだなというような判断にもつながるのではないかと思うのです。その点、いかがでしょうか。
  20. 倉田栄喜

    倉田議員 その点まさに、どのように考えるかということで評価が分かれることになるのだろうと思うのです。できるだけ秘密裏秘密裏にということにするとすれば、申請を出したこと自体も知られたくないという企業心理は、確かに御指摘のとおりあるのだと思います。  しかし、いずれにしてもそのことは公開をされていくわけでありますし、申請をした書類があるということを開示したとしても、それはそれほど企業競争上の地位を失うものではないのではないのか。私どもは、基本的にはそのような考え方でございます。
  21. 小野寺五典

    小野寺委員 考え方の違いかとは思うのですが、私がもし企業経営をしていれば、申請を出したか出さないか、こういう実例というのはいろいろ広がると思いますが、あるかないかだけで実は重要な情報になってしまうという部分もかなりあると思いますので、私個人としてあるいは我が党としては、やはり政府案のように、この企業情報についても同じく、存否に関する情報について非開示とすることを認めるべきではないかというふうに考えています。  それから、同じく共産党案にお伺いしたいのですが、共産党案の場合には、存否についての情報規定が特にないというふうに読み取れるのですが、その辺について御所見をお伺いしたいのです。
  22. 松本善明

    松本(善)議員 御答弁申し上げます。  御指摘のとおり、ございません。応答拒否処分と申しますが、存否に関する情報開示の問題につきましては、第一次的判断行政機関が行いますので、乱用の危険が極めて大きいというふうに思います。  行政文書存否に関する情報に関して、行政改革委員会の特別部会の情報公開部会の中間報告要綱案に対する各省庁からの意見整理という文書行政文書存否に関する情報、各省庁がこれは置いてほしいと、公正取引委員会警察庁、防衛庁、法務省、外務省、通産省、労働省、ずらっとあります。これだけあるということは、これをまともにやりますと、情報開示が行われないという危険性が極めて大きいかと思います。  この応答拒否処分を認めますと、司法審査は極めて困難になります。あるかないかということ、それを明らかにしないということの司法審査というのは極めて困難でございます。しかも、請求者は応答拒否処分を争った後に改めて不開示処分を争うことになりまして、二度手間になりまして請求者に負担が大き過ぎるということで、これは一回の、開示に応ずるかどうかということで解決をすべきものと考えて、この規定を置かなかったものでございます。  以上です。
  23. 小野寺五典

    小野寺委員 御趣旨は非常によくわかるのですが、これが法律として成立しますと、先ほど言いました本来存否自体が大きな問題となるような事項もございますので、それに関してはしっかりとした規定を設けるべき、ですが、それが乱用につながらないような形でしっかりと行政監視をするべきだというふうに私は考えています。  それでは最後に、特殊法人、公益法人情報公開ということについてお伺いしたいのですが、特殊法人については今回、情報公開を別な法律で定めるという規定をこの法律の中ではうたっております。特に私は、それ以外の公益法人、現在日本に二万六千、国、地方所管であると思うのですが、今の国民の関心といいますのは、行政体本体もそうでありますが、この特殊法人さらに公益法人、ここの中が一体どういうふうになっているのか、ある面では官僚の天下りの受け皿になっているのではないか、内部は一体どうなっているのか、そういうことに対して疑問があると思います。  ただ、この情報公開法の中でそのような公益法人に対してその範囲を広げるということは、法律上非常に難しい、またするべきでないとは思いますが、ただ、実効上、今、公益法人に対しての情報についてどのような形で国民が知っていったらいいのか、その辺の方針についてお聞かせいただければと思うのです。
  24. 瀧上信光

    ○瀧上政府委員 公益法人情報公開の関係でございますが、公益法人はその公益的目的等から民法に基づき法人格を付与されているものでございまして、相応の社会的責任を有しているものでございまして、最近国民からは、情報公開の推進を求める声が強くなってきていると認識をいたしております。  このため、昨年十二月に改正されました公益法人の設立許可及び指導監督基準において、公益法人情報公開のための措置として、定款や事業報告書などの公益法人の業務及び財務等に関する資料を主たる事務所に備えておき、一般の閲覧に供すること等の措置が盛り込まれたところでございます。公益法人情報公開につきましては、その法人の性格、事業内容に対応し、適切に公開が推進されるよう、今後とも所管官庁において所要の指導監督が行われるべきものと考えております。  なお、公益法人に対しまして国から補助金等が交付されており、当該補助金等に関する文書が所管省庁に提出されている場合、これらの文書情報公開法対象となり、本法に定める不開示情報を除き開示されることとなります。
  25. 小野寺五典

    小野寺委員 行政に問い合わせれば、情報公開で求めれば、そこを通じて、こういう公益法人情報も得られるというようなことで判断をしたいと思っています。  今回このような形で、情報公開法、本当に待ちに待った形でありますが、一刻も早くこれを成立させまして、適正な形で運用していただきたいというふうに思っています。また、初めての試みでありますから、運用に当たっては、実態に合わせて、使いやすい形で、今後も見直しを図るということもまた必要だと思います。  最後に、情報管理ということもまた非常に重要です。せっかく情報公開法行政情報公開するという中でも、逆に言えば、文書管理の問題、役所の中での情報管理の問題というのが今度は問われてくると思いますので、ぜひ、そこもしっかりとしていただければと思います。  質問を終わります。
  26. 谷津義男

    谷津委員長 御苦労さまでした。  穂積良行君。
  27. 穂積良行

    ○穂積委員 去る十二日の委員会で、私は、行政各機関が公明正大な行政を行うことによって国民の期待にこたえていくということは必要なことであり、そのために、行政機関のいろいろな行政情報というものをできるだけ国民に明らかにしていくということは必要であって、今回の情報公開法案は早期成立を図るべきである、そういう基本姿勢を申しました。私ども自民党としては、その基本姿勢に立って、政府案と、野党さんの方から提出された法案との間の調整をどう図っていくかということを実は真剣に考えているところでございます。  実は、この問題については、広くマスコミに強い関心を持たれ、特に中央各紙でも、社説で、何回かにわたって、情報公開法の早期成立を期待するという論陣が張られております。私も、それを見てなるほどと思ったことがございます。  それは、故大平正芳総理大臣が在任中に、情報公開問題についてこんなふうにお話しになった。政府が持っている情報公開は差し支えない限り行うことが行政の公正さを確保する上でも必要だ、こう大平総理がお話しになったじゃないか、その志を生かすのは後輩たちの責任だ、三月二十八日の朝日新聞の社説は、そのように私どもに主張されておるわけであります。  さらに、五月二日の同紙の社説でも、大事なことは、とにかく早く、国民本位立場で、使いやすい情報公開法を早く誕生させるべきである。毎日、日経、読売、産経、その他各紙、そのような論調では共通するものがございます。  そこで、成立を早く図りたいということはやまやまではありますが、実は、政府におきまして、行政改革委員会の部会で三年前から審議を行い、学識経験者の非常に熱心ないろいろな面からの検討を加えた上での委員会の報告を踏まえて、政府はこれを法制化したわけであります。  当然、内閣法制局において、いろいろな法制面でのきちんとした検討を踏まえた案ですから、私ども自民党は、これを党内でいろいろ議論してきましたけれども、そうした、政府での真剣な検討を踏まえ、さらに与党として、私どもの信ずる自由民主主義国家の擁護のために、どのような範囲において情報公開を積極的に進めていくかという見地から議論いたしました。そこで、その結論が、政府提案に私どもの主張も盛り込まれておるわけであります。  そうした経緯からしまして、野党の各案と対比しまして、既に十二日、そして、先ほど小野寺委員の質疑にもありましたような対立点が幾つかありまして、これらについて、対立したままで、今国会、私ども多数をもってこの委員会で採決、可決をお願いするということでいくのか。あるいは、できれば、真摯な相互の論議を経て、取りまとめにいくか。この辺がまさに大人の、国会の場での議論のあり方だと思っておる次第でございます。  新聞の社説などはこんな言い方もされています。修正のかぎを握る自民党に、野党に大幅譲歩をしてまで成立させる必要はないという空気が漂っているようだというような表現で言われておりますけれども、私どもは、内容次第によって、歩み寄れるかどうかということは、大人の判断として今後考えていきたいと思いますけれども、どうもこれまでの論議からしますと、私自身も前回野党さんの方に御質問しましたけれども、幾つかの点で、どうもこれは、我が自民党としては、党内手続や何やを考えますと、とても歩み寄れるものではないというような事項が幾つもございます。  まず、冒頭の知る権利という問題につきましても、前回私が申し上げましたけれども、これは私自身もですけれども、知ることを拒否できる権利といいますか、プライバシーにかかわる問題等について、憲法上、そういう知られざる権利との対比において、知る権利ということを明確にこの法律で明示することについてはいささか、これはまださまざまな議論がある中で、私どもはいかがなものか。この話から始まっておるわけであります。  そうしたことについて、知る権利ということを明定しなくても、冒頭に私が申し上げました、公明正大なる行政を進めていく上で必要な情報開示をさせようということについては異論がないわけですから、目的規定でも、政府案で皆さん納得いただけないものかな、こんな話がありますね。  それから、先ほどの小野寺委員が質疑に出しました防衛外交それから犯罪捜査等の情報について、これは不開示相当とする場合があるということで、これらについても、どうも防衛庁や外務省が自分の仕事を、従来の延長で、余り知られないままに、信頼してくれというようなことでやらせていいのかという体質について、私どもは、やはり国家というものが本当に存続をしていくための大変な配慮のもとに政権は運営されなければならないと思っているわけですから、これは、政府案のような形で当面は国民の皆様にも御理解いただいてしかるべきではないか、こんなふうに思っているわけであります。  そうしたことはまだ幾つかあります。例えば、問題の、不開示についての訴訟の土地管轄について、他の行政事件の訴訟の場合とは別途に、この情報公開については、情報公開を求める側の所在地に管轄を認めるべきではないかということを一挙にやっていいのか。これは実際に、この政府案のような形で、多くは東京地裁になると思いますが、行政情報の管轄を機関委任や何やで地方におろした場合にはどうなるかということなどを含めて、これは運用の上で、法律施行後しばらく実態を見た上で、また別途、必要ならば法改正を相談するかというような話であろうかとか、いろいろあるわけでございます。  そうしたことからしますと、私は、新聞の社説とは逆なんですけれども、まずは野党の皆さんが、ここはとにかく政府案法律を成立させて、その上で、法施行後の実際の運用にかんがみて見直していくということは将来の国会において可能なわけですから、そうしたことで歩み寄っていただくということが国民の期待にこたえる道ではないか。自民党、それは甚だ勝手な話だ、おれの方に歩み寄れとおっしゃるのかもしれませんけれども、そんな気持ちで、これについては、三党さんそれから共産党さんに、その辺の感触をまず冒頭に伺いたいと存じます。
  28. 北村哲男

    北村(哲)議員 ただいまの委員のお言葉、特に、野党案に譲歩するならばつくらなくてもいいんだというふうな話もあるということは、違うんだ、そうではないんだ、大いに議論したいんだということをおっしゃって、私も大変うれしく思います。  私ども法案政府案と同じ構成をとっております。ですから、その七〇%、八〇%あるいはさらにその上、ほとんど同じものでございます。というのは、今までの政府の御努力と、それから今までつくられたものについて、評価をしているということでございます。  ただ、違う点が幾つかあるということで、ここで強調して、違う点だけが強調されている点があります。その違う点については、委員もおっしゃったように、議論を尽くすという態度が大事でありまして、これを絶対に通さなければ我々は反対なんだということではなくて、できれば一緒につくりたいという気持ちはあります。そういう意味で、私どもがこの法案をつくる段階から、いわゆる要綱案に沿って同じようなペースで進んでいるところがら見ても、これは明らかであります。  ただ、今、知る権利、それはもう既に何回もここで議論されておりまして、知る権利あるいは防衛上の問題、これは確かに、私ども考え方情報公開法考え方に基づいた基本的な問題であります。現実に、だから譲らないというのじゃないのです。ですから、なぜ知る権利が必要なのかということを、ここで議論を尽くしていただきたい。情報公開法というのはどういう目的でつくられているのか。  すなわち、私どもは、情報公開法の目的には三つの柱があると。すなわち、国民の知る権利に基づいて、政府のアカウンタビリティー、すなわち説明義務を政府が持ち、そして、それをもって国民政治に参加し、それを監視する、こういう三つの目的を持って情報公開法はつくられるのだということ。  その目的に沿うならば、この政府案というのはここがおかしい、ここが問題なのじゃないかということをそれぞれ指摘しているわけですから、これをぜひ議論を尽くしていただきたい。議論を尽くした上で、将来の指針としたいし、あるいは将来の改正法のもとにしていきたいし、そういうつもりの議論でありまして、私たちは、これをもって、これでなければ反対だというふうにして、あるいはそれをすることによって政府案が真っ向から対決法案のようになって、それで通ってしまったというふうに、またしたくない。  できれば、私どもは、だんだん議論を尽くす中で、どこか修正点、あるいはここぐらいは何とかしてほしい、これはどうしょうじゃないかということで、幾つかの、やはり何かの点は、むしろ逆に譲るものは譲っていただいて、双方合意のものをつくっていきたい、そういう気持ちでおりますので、決して御心配のようなことはありません。それは、もともとの姿勢から見ていただければ明らかでございます。
  29. 松本善明

    松本(善)議員 御答弁申し上げます。  この情報公開法というのは、我が国国会で初めての審議でございますので、慎重な対応が必要であることは言うまでもございません。  本来、情報公開といいますのは、情報を保有しております行政機関国民との関係でございますので、やはりこれは、本来ならば、国会の方で議員立法ででも、いろいろ協議をしてつくるのが本筋ではないかと私ども思うぐらいでございます。政府案提出されておりますので、与党案として私たち協議をしていくというのは当然であろうかと思います。  しかしながら、問題点を明らかにする、どこに差があるのか、その差は縮められ得るものなのかどうかということも含めまして、十分な審議をするということがまず前提であろうかというふうに思います。  例えば、先ほど小野寺委員から御質問のありました外交問題につきましても、私ども外交交渉の過程にあるものは出さない、不開示ということでございますので、何でもかんでも全部出せということでないことは、私どもの案を見ていただいてもおわかりいただけるかと思います。  また、知る権利の問題につきましても、政府案行政情報開示を求める権利というふうになっておりまして、その権利を知る権利として位置づけるということでございますので、この点はかなりいろいろ議論があるかもしれませんけれども、その位置づけの問題でございますので、これは協議も可能であろうかと思います。  もう一つ、マスコミがいろいろ今国会でと申しますけれども、これは憲法上の権利にもかかわる、そしてまた、それについていろいろ議論がありましても、我が国で初めての制度でありますから、やはり十分な審議をして、そして協議もし、何も今国会でどうしてもということでなかろうと私は思います。どうしても審議が終わらなければ、継続しても、引き続いて十分に論議を詰め合って、論議が尽きるまで詰め合って、そして協議をするということで成立させるべき筋の法案ではないだろうか、こういうふうに考えております。  以上でございます。
  30. 穂積良行

    ○穂積委員 今、松本先生の方から、何もこの国会で成立させなくとも、十分議論を尽くすべきだというお話がございました。実際の会期末までの日程を考えますと、私ども衆議院で議論を尽くしておりますと、参議院の先生方だって、参議院に送られたら十分審議を尽くしたいということになると、どうもこの国会、日程上、成立させ得るのか、国民の皆さんの期待に今国会はこたえ得るのかということでは、多少厳しい見込みを立てざるを得ません。それは同感なんです。  ただ、論議の中で、どうしても与野党が対立して、歩み寄りが難しいというようなことが、本当にどこにあるのだ。これは最後は、委員会採決で、多数の意見でこの条項についてはこうしようというようなことで決めてもいいんでしょうけれども、できればお互い了解点に達した形での法案成立を図っていくのが良識かなという感じも私もしております。  それで、行政改革委員会の部会などで随分と議論をしてきたということは先ほども申しましたけれども、これらについて、政府側の基本的な見解をもう一回きちっと表明していただきたいと思います。  それに対して、私の要望は、私は、野党の皆さんにもぜひお聞きいただきたいんですけれども行政というものが、昨今いろいろな不祥事で大変信用を失って、何をやっているんだ、おれら国民が直接行政のいろいろな局面に介入して、それをつまびらかにしてやっていかなければ、おれらのためになる行政をやってもらえないんじゃないかというような、言うなれば行政機関性悪説的な方に傾斜するような風潮があるのは甚だ残念でございます。  私どもは、どのような機関であれ、信頼をされ、そして、誇り、生きがいを持って与えられた職務を遂行するということで、本当に国民の皆さんの行政が達成されるものと思っておりまして、多少の不心得者が、これはだんだんなくさなければなりませんけれども、そういう者が出るとしても、大半の人間が、私は再三言うんですが、国家国民のために行政機関で本当に役立っていきたいということで働いているということを私は信じております。そういう人たちの善意、性善説的なものに傾斜して、鼓舞激励するという姿勢も片方では必要ではないかと思っておるわけであります。  そういう意味で、例えば行政目的を達成するためには、行政内部のいろいろな論議の途中経過や何や、フリーに議論する、それまで全部オープンにしろというようなことなどはちょっと行き過ぎではないかとか、あるいは、先ほどから申しております国家機密や何やに関しては、何も他の国家国民のための利を図るような外交官やあるいは防衛関係者、職員がいるわけじゃない。スパイ防止法や何やというのは、日本ではないですけれども。  まずは、国家国民のためにやっているんだということからは、諸外国との関係で、これは秘密、秘匿すべきものを、国民や皆さん、そこまでオープンにしないでも、安心してくださいというような性善説に傾斜した考え方で対処するということが必要だ、こんな気がいたしますので、その辺も踏まえまして、まずは行政当局から、この政府提案を固めるまでの経緯で、この辺は再度十分御理解いただきたいということをできるだけ、国民に向けても、特にマスコミに向けても、それから法曹界の一部に向けても、きちんと説明をしてほしい。  それから、その上で、大臣が、先ほど私が申しました行政機関への信頼というものについての、性悪説に傾斜してか、あるいは性善説に傾斜してか、国民のための行政というものを実現するための基本的な考え方について、大臣の所見を伺いたいと思います。
  31. 瀧上信光

    ○瀧上政府委員 政府案につきまして、その考え方、背景等につきまして御説明をさせていただきます。  御指摘のように、政府案は、行政改革委員会の要綱案に沿って立案をしたところでございます。行政改革委員会におきましては、二年間にわたり、その間、行政情報公開部会における五十七回の審議、加えて親委員会における審議等、濃密な審議を重ねられまして、外国制度、条例制度、判例等の状況を詳細に調査し、参考にされ、また多方面からの意見聴取の上、要綱案、そしてその要綱案の考え方を策定されたものでございます。  そこでまず、外国法制との比較ということについて申し上げたいと思いますが、外国では今、十三カ国において情報公開法制定をされていると承知をいたしております。  外国の法制は、それぞれの国における法文化の違い、例えば慣習法、判例法が重視されているか、成文法が重視されているか。さらに基盤的法制の違い、公法、私法の関係、あるいは行政裁判所行政審判所が整備されているか、司法裁判所のみか、大統領制か議院内閣制か連邦制か等々の統治システムの問題、そういった基盤の違い。あるいは国情の違いにより、法律のスタイル、規定内容相当の違いが見られるところでございます。基本的には、各国の基盤的制度及び実情に即して制度化されるべきものであると考えております。  したがって、単純に外形的な比較のみで得失を判断することは適切でないと思いますが、しかしながら、御質問を受け、あえて今回の政府案の特徴について中心に整理をさせていただきたいと思います。  外国の法制の中には、請求者を国民等のみとしていたり、対象文書を完成文書等に限定しているところが見られます。そしてまた、電子情報対象文書規定しているところは少ないところでございますが、政府案では、請求者は「何人も」とし、対象文書を組織共用文書とし、電子情報対象文書とすることを明記しているところでございます。国によってはまた、過去に発生した文書については段階的に対象としたり対象外にしているところも見られますが、政府案は、法施行の前後を問わず法律対象とすることとしております。  そしてまた、不開示情報範囲につきましては、いわゆる審議の秘密につきましてはカテゴリカルに不開示情報としているところも見られますが、政府案では、特段の支障を生ずるおそれがない限り開示するということとしております。そして、不開示情報全体に保護法益を明確に規定し、類型化と実質的、定性的な要件を極力多用し、保護すべき情報はきちんと保護した上公開するという合理的かつ明確な基準としております。  そしてまた、法律の基準上は不開示とされるべき情報であっても、特別の公益上の観点から公開すべき場合は公開可能な仕組みとするため公益開示の仕組みを設けるなど、可能な限り公開が図られるような仕組みといたしているところでございます。  他方、第三者に関する情報開示につきましては、第三者の権利利益を適正に保護する必要があります。国によっては、いわゆる開示をした行政機関が訴えられるという逆FOIA訴訟が発生をしておりますが、政府案ではそのための手続規定も設けております。このような手続規定を設けているところは、外国の立法ではまだ少ない状況にございます。  そしてまた、一部の国では、紛争案件の迅速かつ簡便な救済を図る観点から、行政部内に第三者的救済機関を設け、効果を上げている状況が見られますが、政府案においても、情報公開審査会をかなめの機関として位置づけ、その機能の充実を一図っているところでございます。  今後、各国においても、著作権と開示請求権との調整問題が顕在化することが懸念されておりますが、この情報公開制度と著作権制度との調整規定を設けているところは少ないわけでございます。政府案では、著作権の保護を図りつつ、開示請求権の行使が不当に制約されないよう、調整規定を設けているところでございます。  そしてさらに、対象機関につきましては、各国における政府の組織構造が相当異なるところがら、一概に比較することは困難な面がありますが、しかしながら、国によりましては、行政機関以外に、国会裁判所、地方公共団体、教会等を対象機関としているところもございます。そして、特に特殊法人につきましては、国により、その性格、機能等相当異なるところであり、我が国の特殊法人に対応するとは言い切れないところでございますが、このような特殊法人対象機関としているところは少なくないわけでございます。こういつたことに対しまして、政府案は、国の行政機関対象とし、特殊法人については別途法制化を行うということとしております。  政府案は、当然最も新しく法制化されるものでありますので、各国の制度を参考としつつ、電子情報化等の新しい状況を踏まえて立案をしたものであり、各国の法制に遜色のないものと考えております。  条例との比較では、おおむね外国法制との状況と変わらないと考えますが、特に警察機関を対象としているところ、対象文書について、電子情報を含め事案決定手続を終了したものに限定していないところ、法施行文書も……
  32. 谷津義男

    谷津委員長 答弁、簡潔にお願いします。
  33. 瀧上信光

    ○瀧上政府委員 対象情報としているところ等の点もあわせて指摘をさせていただきたいと思います。  以上でございます。
  34. 小里貞利

    ○小里国務大臣 時間の関係もあるようでございますから簡潔に申し上げますが、まず一つは、先ほどからお聞かせをいただきました、国民の関心が強くて非常に緊急性を持つ本法案でございますが、これらのこれからの審議の進め方について、与党自民党としての寛容な御意見どもお聞かせをいただきました。  それから機関性悪説でございますが、そういうふうに一つの先入観といいますか、どんなものだろうかと。私は、むしろ本法案が目指すいわゆる結果として透明性あるいは行政機関に対する信頼性というものを強めていくことが最も肝要なことではなかろうか、さように思います。
  35. 谷津義男

    谷津委員長 よろしいですか。それでは、時間が参りましたので、穂積議員の質問を終わらせていただきます。  次に、生方幸夫君。
  36. 生方幸夫

    ○生方委員 民主党の生方幸夫でございます。  政府案並びに三派共同案について質問をさせていただきます。  アメリカ情報自由法が成立して以来、日本でも三十年間にわたって情報公開法の必要性が叫ばれてまいりましたが、残念ながら法案にはなってきませんでした。ようやくここに法案として提出をされ、成立する見通しがついたことは、大変私も喜ばしいことであるというふうに考えております。  今行政改革ということが叫ばれておりますが、行政改革を実施して小さな中央政府をつくっていく、官僚に集中した力をそいでいくためにも情報公開というのが私は欠かせないと考えております。情報公開をすることによって、いわば官僚の力の源泉ともなっている情報国民に広く公開するということが、小さな中央政府をつくる上でも極めて重要な点であるというふうに私は解釈をいたしております。  そこで、まず最初に質問をしたいのですが、政府案と野党案で最も違ったところは、まず法案の目的について、知る権利を明示しているのか明示していないかという点が非常に大きな点であるというふうに私は理解をしております。  もちろん、政府案にもございますように、アカウンタビリティーということを明示してあるということは非常に大事でございますが、アカウンタビリティーをなぜ政府が持たなければいけないのかという基礎に、やはり私は、国民の知る権利というものがあるからアカウンタビリティーが発生するのだということをやはり明示するべきではないかというふうに考えます。  そこで、野党案の提案者に質問をしたいのですが、政府案と違って、きちんと国民の知る権利を明示した、このことの意味というものをまずお伺いしたいと思います。
  37. 倉田栄喜

    倉田議員 知る権利を明記した意義ということでございますけれども情報公開には、その機関みずからが積極的に情報の説明をする、情報の発信をしていくという側面と、そしてもう一つ国民がその情報に接近をする、あるいは開示を要求するというこの二つの側面があると思います。  今委員指摘のように、説明義務の前提として、国民情報を知る権利というのを意義づけられるということも私はそのとおりだと思いますが、この情報公開法、つまり行政情報公開に関しては、私どもは、国民情報を求める権利、情報に近づく権利、そのことを重視しなければならないのではないのか、このように考えるわけであります。  その意味で、政府案の方も知る権利の中身というのは盛り込まれているわけであります、このような説明だと思いますけれども、その中身の中に知る権利という言葉を使うかどうか。知る権利が 多義的で概念が不明確であるとか、あるいは、今申し上げました、表現の自由の中身として請求権としてまでの知る権利までまだ認められていないのではないのかということは、先ほど来の御指摘があるとおり、当委員会で十分に議論を尽くしていただかなければならないと思っております。  私ども立場では、憲法二十一条の表現の自由の中から、当然知る権利も導かれてくる。行政の監視あるいは参加というものに対して、有権者がどういうふうに自己の意思を表現するか、その表現の意思形成の前提としては十分確かな情報がなければならない。その意味で、知る権利というのは明確にされなければならないし、この国会審議を通じてその知る権利の概念が明確になっていくのであるとすれば、それが私どもは立法の責任である、このように考えております。  また、その知る権利を明記するということによって、この法律が利用者本位の、国民のためにつくられる法律であることを明確にすることができると思いますし、同時に、その運用、そして最終的な解釈の中において、その知る権利が法律の目的の中に明記されているかどうかについて大きな差が出てくるのではないのか、こういう立場で、私どもは目的の中に知る権利を明記したわけであります。
  38. 生方幸夫

    ○生方委員 小里長官にお伺いしたいのですが、今の説明にもありましたように、憲法二十一条の表現の自由の中には当然知る権利というものも含まれているというふうに私は解釈をしております。  したがって、一点お伺いしたいのですが、この目的の中に知る権利を明示しても、特段何か不都合があるというふうに私は思えないのですが、あえてこの知る権利というものをここに入れなかった何か理由というのはございますか。あるいは、入れてしまうと何か不都合が起きるようなことがございますのでしょうか。
  39. 小里貞利

    ○小里国務大臣 政府のもろもろの活動遂行の状況を主権者たるいわゆる国民に広く公開し、国民の皆様方にその全容を知ってもらう、そして評価してもらうという意味で、いわゆる説明責務の考え方基本的に据えたところであります。他方、また、今お話がありまするように、知る権利という文言を法律に用いるかどうかは、従来、憲法上の権利として行政情報に対する開示請求権が保障されているかどうかという学説上の論議と不可分となっていたところであります。しかるに、このような行政情報開示請求権という意味での知る権利が、憲法上保障されているか否かについては、なおさまざまな見解があるというのが現状ではないか。以上の判断でございます。
  40. 生方幸夫

    ○生方委員 この知る権利については、この後も同僚議員の方から質問があると思います。私は一番バッターでございますので、いろいろな点について、この法案についてお伺いしたいので、この論議はここでとどめさせていただきます。  第二点目として、非常に重要な点であると思うのですが、政府案は、特殊法人情報公開について二年以内に見直すというふうになっております。私は、特殊法人のいろいろな不祥事も相次いでおりますし、特殊法人情報公開はこの情報公開において非常に重要な部分であるというふうに解釈をしております。したがって、まず、二年以内というのは、具体的には、例えば一年後ぐらいを見ているのか、あるいは、もう二年ぎりぎりまでなのか。  もう一つ、特殊法人と同時に、日銀の情報公開というようなものも大事であって、日銀に関して言いますと、大蔵省の所管の認可法人になっておりますので、認可法人情報公開についてはこの見直しの中に含まれているのかどうか。あわせて総務庁長官にお伺いしたいと思います。
  41. 小里貞利

    ○小里国務大臣 先般も申し上げてまいったところでございますが、率直に申し上げまして、一つは、与党三党の合意というものもございまして、二年以内に所要の法案国会提出することとされたところであります。  検討に当たりましては、対象となる特殊法人の基準、公開範囲等の諸点について、各特殊法人の実態を踏まえ、広範な検討を図る必要がありますが、現段階では二年以内のいつごろということは申し上げられないところでありますけれども、私は、先般も申し上げましたように、できるだけ早い時期に、こういうことを念じておるところでございます。  なおまた、特殊法人情報公開制度についてでございますが、特殊法人情報公開制度にふさわしい対象とする基準等を検討することに関連し、必要に応じまして認可法人等の問題も視野に入れてまいる所存でございます。
  42. 生方幸夫

    ○生方委員 野党案でも、特殊法人のみに触れられておりまして、認可法人については触れておらないのですが、日銀の情報公開とか、建設省所管の日本下水道事業団の情報公開など、私は、全部が全部公開しろということではないのですが、情報公開すべき認可法人というのもあると思うのです。野党案では、その辺はどのようにお考えになっているのでしょうか。
  43. 倉田栄喜

    倉田議員 私どもも、今委員指摘のように、公開されるべき認可法人あるいは公益法人があるということは、同様の考え方であります。  そこで、では、どこまでを公開し、どの法人公開する必要がないのかということについて私どもが議論をいたしましたときに、これは前回のこの委員会の中でもプライバシーという側面からも御指摘がございましたし、また、法人あるいは民間ということになれば、それぞれの自律権、自主決定権というものがございます。  そういうことになるとすれば、いわゆる行政固有の情報というものと、民間の情報あるいは法人情報、その法人の中にも特殊法人、認可法人、公益法人等々さまざまな種類があるわけでございます、どこまでを公開し、どれが公開する必要がないかということにつきまして、私どもは特殊法人部分までは一応詰めた議論をしたわけでありますけれども、その後の今御指摘の分については、特殊法人の例に準じながらさらに公開の議論を進めなければならないのではないのか、そのように考えております。
  44. 生方幸夫

    ○生方委員 その方向で検討していただけたらありがたいというふうに思います。  それともう一点、国会情報公開ということについて、ここではもちろん触れられておらないのですが、国会情報公開については、憲法五十七条の規定が一応それに相当するものではないかというふうに解釈をしております。情報公開法をつくるに当たって、国会情報公開ということについて、あえて何か、これをしなければいけない、するべきだというようなお考えがございましたら、野党案についてちょっとお伺いしたいのです。
  45. 倉田栄喜

    倉田議員 委員指摘のとおり、その点も、この法案を私どもつくりましたときに、いわゆる情報公開という当初のスタートからすれば、国会もあるいは地方自治体も、後で御質問があるかと思いますけれども裁判所も含めて、情報公開対象になるべきではないのか、こういう議論をいたしました。  その中で、あえて行政情報という形の中で絞りましたのは、国会それから地方自治体等でいえば、それぞれの自律権、自治権というものがある中で、そのことも考えなければならない。同時に、今御質問の国会の点に関して申し上げれば一情報を発信する、情報を説明する、こういう側面と、情報国民にアクセスをする、そういう側面があるというふうに考えた場合、国会がみずから情報を発信し、あるいはそれぞれ有権者から選ばれた代議士を通じて国民情報開示していく、その責任の方がより大きな側面があるのではないのか。  その上で、国会みずからが持っている、国会の中にある行政情報等々の部分については、それぞれ衆議院、参議院の中に規則制定権等々ございますので、その中で再度の議論が必要なのではないのかということで、今回の私どもの案の中からは国会は除いたわけであります。  ただ、委員の御指摘はそのとおりだ、このように思っております。
  46. 生方幸夫

    ○生方委員 国会国会でいろいろ情報公開をしなければいけないと思うのですが、総務庁長官に一点お伺いしたいのです。  これはむしろ議運の問題かなとも思うのですけれども、今、国会にたくさんの子供たちが見学に来ておりますが、本会議とか委員会とかの場にはまず入れないですね。  この間、私、オーストラリアにたまたま行く機会があったのですが、オーストラリアの議会を見ましたら、確かに子供たちが来てがやがやすると議会の議論に影響が出るということがあるのですが、オーストラリアの場合ですと、上にガラスで仕切られておりまして、子供たちがそこから見て、マイクで中の議論を聞くことができるというようになっているのですね。  子供たちがただ廊下を歩いて、審議していない、開かれていない本会議場を見て帰るよりも、これは、するには構造上の問題もいろいろあるでしょうけれども、せっかく子供が来たのなら、こういう委員会もどこかで見るとか、国会もどこかで見られるというふうにした方が国政への理解というものも深まると私も思うのですが、長官、いかがでございましょうか。
  47. 小里貞利

    ○小里国務大臣 率直に申し上げまして、今お話をお伺いしながら感じたわけでございますが、国の将来に向かって大きな志を持って育ちつつある子供たちに、ただいまの先生のお話、大変深い意味を持った御提言、お話をお聞かせいただいた、そういう感じでございますが、よく検討させていただきたいと思います。  なおまた、国会の問題でもあろうかと思っておるところです。
  48. 生方幸夫

    ○生方委員 もう一点、裁判所の問題は、司法の独立ということもございますので、こちらで云々できることではないと思うのですけれどもアメリカでは裁判所の中にテレビを入れて、国民がだれでも裁判を見れる。それが全面的にいいことだとも私は思いませんが、しかしながら、重要な裁判については、私たちも傍聴にまで行って見学をできるというのは非常に少ない機会でございますから、人権に配慮しながら、テレビカメラも場合によっては持ち込んでもいいというようなこともあってもいいのじゃないかと考えておるのです。  これは、こちらの方で云々と言えることではないでしょうが、総務庁長官個人的な御意見として、どのようにお考えになっていますでしょうか。
  49. 小里貞利

    ○小里国務大臣 裁判所情報公開制度のお話であろうと思うのでございますが、いわば裁判所自身で御判断になられるべき問題ではなかろうか、さように思います。
  50. 生方幸夫

    ○生方委員 それでは、次の質問に移らせていただきます。  開示請求権につきまして、政府案では、何人もこの法律の定めるところにより情報公開請求することができるというふうになっておりますが、この「何人も」という中には外国人も含まれるのかどうか。政府案と野党案、両方についてお伺いしたいと思います。
  51. 瀧上信光

    ○瀧上政府委員 政府案の「何人も」の中には外国人も含みます。それから、海外にいる外国人も含まれます。
  52. 達増拓也

    達増議員 「何人も」ということでありまして、外国人も含まれます。
  53. 松本善明

    松本(善)議員 私どもも、外国人が含まれると考えております。
  54. 生方幸夫

    ○生方委員 これは、含まれるということであれば、私もその方がいいというふうに思いますので、次に行きます。  あと、不開示情報についてお伺いしたいんですが、特にこの間、大蔵省の不祥事とか、不祥事が相次いだときに、公務員の氏名が発表されるのか発表されないのかということが、非常に重要な問題だというふうに私は解釈をしております。  政府案では、公務員の氏名が特定できないように、職及び内容に係る部分しか開示をしないことになっておるようでございます。しかし、最近の判例を見ますと、九六年七月の仙台地裁の判決では、宮城県の食糧費の支出文書について、公務員が公務として飲食を伴う会合を行った場合、プライバシーを云々する余地はないから氏名を公表するべきであるというような判決が出ております。また、同様の判決が、東京、大阪、埼玉でも出ております。  したがって、公務員に関しては、全部が全部公開しろと私ももちろん申しませんが、場合によっては氏名を公開するべきであるというふうに私は考えておるのですが、総務庁長官、いかがでございましょうか。
  55. 瀧上信光

    ○瀧上政府委員 公務員の氏名につきましては、行政事務の遂行に係る行政組織の内部管理情報として担当公務員を特定するために行政文書に記載されることが多いわけでございますが、同時に、当該公務員の私生活においても個人を識別する基本的な情報として一般に用いられておりまして、これを開示すると公務員の私生活等に影響を及ぼすことがあり得るわけでございます。  行政改革委員会意見では、公務員の職名と職務遂行の内容はすべて開示することとし、氏名につきましては、慣行として公にされている場合等は開示することとされているところでございます。
  56. 生方幸夫

    ○生方委員 野党案については、公務員の氏名の公表ということについてどのようにお考えになっておりますでしょうか。
  57. 倉田栄喜

    倉田議員 私どもは、公開をすべきであるという立場規定をいたしております。  今政府委員から御答弁がありました公務員のプライバシー等の問題については、実質的なプライバシーが守られるかどうかということで個別に判断をすべきであって、一般論的に、公務員の氏名だからといって不開示とする必要はないのではないのか、このように考えております。
  58. 生方幸夫

    ○生方委員 本人情報開示についてお伺いしたいんですが、これはいろいろ、自分の内申書を見たいとか、あるいは医療機関に診察に行ったときの診断書を見たいとか、情報開示についての希望があると思うんですけれども、本人情報開示について、政府案は特に書いておらないんですが、どのようにお考えになっているか聞かせていただきたい。
  59. 瀧上信光

    ○瀧上政府委員 本人開示の問題でございますが、情報公開は、何人に対しても、目的を問わず行政情報公開する制度でございます。これに対しまして、個人情報の本人への開示は、個人情報は保護することとしつつ、本人のみに開示する制度でございます。  このような個人情報の本人開示の問題につきましては、行政改革委員会意見でも論議されたところでございますが、結局、基本的には個人情報の保護に関する制度の中で解決すべき問題であること、開示範囲、本人確認手続等情報公開法の枠組みを超えた検討が不可欠であること、行政部門と民間部門を通ずる問題であること、特に国民の関心が強い医療、教育関係情報について専門的な検討を避けて制度化することは適切でないこと等から、情報公開制度に盛り込むこととはしないというふうに判断されたところでございます。  そしてまた、行政改革委員会は、国民から医療、教育関係情報等を中心として本人開示を求める意見、要望が強いことを踏まえまして、関係省庁において、個人の権利利益の保護の観点から専門的な検討を進めることとされているところでございます。  政府におきましては、行政改革委員会意見を踏まえ関係省庁とも連携を図りつつ検討を進め、その解決を図ってまいりたいと考えております。
  60. 生方幸夫

    ○生方委員 大変長い説明だったんですけれども総務庁長官基本的にはどちらの方向かという、方向だけでもちょっとお伺いしたいんですが。  特に医療情報とか教育情報に関しては、今、国民の皆様の関心も非常に高いと思いますので、基本的には開示する方向であるとか、基本的には開示しない方向であるとか。どちらか、方向性だけでもお示しをしていただけたらと思います。
  61. 小里貞利

    ○小里国務大臣 専門的検討が必要な課題ではなかろうかという感じを持ちますが。
  62. 生方幸夫

    ○生方委員 もちろん、これは個人のプライバシーの問題と非常に密接に関係しておりますので、今のようなお答えになってしまうのかもしれませんが、野党案についても特に本人情報開示については触れられておらないんですが、基本的な考え方をお聞かせいただきたい。
  63. 谷津義男

    谷津委員長 生方君に申し上げますが、野党案というのは二つありますので、どちらを指すのか、今後、質問の中で申し上げていただきたいんですが。
  64. 生方幸夫

    ○生方委員 済みません。三党案について。共産党案のときは共産党案と言わせていただきますので。
  65. 倉田栄喜

    倉田議員 私どもの案は、四条の三項に、当該行政情報に係る個人または法人等がその開示について承諾をしたときは、開示請求者に対し当該行政情報開示するものであると、承諾をしたときは開示をしなければならない、こういう規定を置いてございます。この規定は、当然、本人開示の問題を肯定的にとらえるという意味で置いたものでございます。  その規定趣旨は、自己の情報というものが行政等々によってどういうふうに位置づけられてあるのか、それを本人が知りたい、あるいは本人が承諾するのであれば、それは認められるべきである、そのような基本的な考え方に立って規定をいたしました。
  66. 生方幸夫

    ○生方委員 次に、不開示情報についての法人等に関する情報についてお伺いをいたします。  政府案では、法人等または個人の事業活動によって生ずる人の生命、身体もしくは健康への危害、または財産もしくは生活の侵害から保護するため、開示することがより必要であると認められるものを除くとなっていますが、その判断はだれがするんでしょうか。
  67. 小里貞利

    ○小里国務大臣 開示請求に係る行政文書開示、不開示判断基準の一部を構成するものと思うのでございますが、行政文書開示、不開示判断は、開示請求を受けた行政機関の長が行うものであると説明申し上げておるところでございますが、請求されている文書に記録されている情報が当該規定に該当するかどうかの判断も、第一次的には機関の長が行うことになる、そういう判断でございます。  なおまた、開示決定等は、当然、処分に該当することから、訴えが提起されれば、行政機関の長の判断は、裁判所の審査の対象となる。
  68. 生方幸夫

    ○生方委員 行政機関の長というのは、一番上ということですか。それとも、課長とかなんとかまで含まれるということなんでしょうか。
  69. 瀧上信光

    ○瀧上政府委員 基本的には一番上位の者ということでございます。(生方委員「ということは、大臣ですか」と呼ぶ)各省庁であれば大臣ということでございます。
  70. 生方幸夫

    ○生方委員 そうしますと、大臣のところへ大量の文書がたまってしまうということになる心配はございませんか。
  71. 河野昭

    ○河野政府委員 対外的な責任を負うのは、各行政機関の長、大臣でございます。ただ、対応性等もありますので、内部委任で、局長等に一次的な判断がおりるということはございます。対外的には大臣ということでございます。
  72. 生方幸夫

    ○生方委員 基本的に、こういうことで裁量開示というものが認められているということを私は評価したいと思います。  しかし、これも変に操りますと、企業が任意に提出したものについては公開しない、情報を集めるためには当然そういう条件がつけられることはしようがないのでしょうけれども、それによって、悪用すると、企業をコントロールすることにもつながりかねないと思うのですが、その辺の防止というのですか、懸念についての防止策というのをどのようにお考えになっておりますでしょうか。
  73. 瀧上信光

    ○瀧上政府委員 行政機関開示決定につきましては当然行政処分に該当しますので、訴えが提起されれば、行政機関の長の判断裁判所の審査の対象となります。
  74. 生方幸夫

    ○生方委員 わかりました。  それでは、不開示情報関連でもう一点お伺いしたいのですが、もともと要綱案には入っていなかった、今申し上げました「行政機関の長が認めることにつき」というのが、国の外交についての情報公共の安全、秩序維持に関する情報について新たに加えられたのですが、新たに加えられたというか、前に加わっていなかった理由についてお伺いしたいのです。
  75. 瀧上信光

    ○瀧上政府委員 御指摘行政改革委員会の要綱案におきましては、国の安全や公共の安全に関する情報につきまして、国の安全や公共の安全を害するおそれがあると認めるに足る相当理由がある情報を不開示とするとの規定を設けることとされております。  このような規定ぶりとされましたのは、この種の情報につきましては、司法審査の場において、裁判所は、当該不開示情報に該当するかどうかについての行政機関の長の第一次的な判断を尊重し、その判断が合理性を持つ判断として許容される限度内のものであるかどうかを審理、判断することとするのが適当であるとの考え方に基づくものでございます。このことは情報公開法要綱案の考え方に明らかにされているところでございます。  法律では、この行政改革委員会の要綱案及び要綱案の考え方に示されている趣旨法律上明確に表現するために、「行政機関の長が」との規定を挿入したものでございまして、要綱案の内容を何ら変更するものではないということでございます。
  76. 生方幸夫

    ○生方委員 三党案について伺いたいのですが、三党案には特に「行政機関の長が認めることにつき」という文言が入っておらないのですが、今の政府の答弁を聞いて、どのように違いがあるのか、お答えをお願いしたいのです。
  77. 倉田栄喜

    倉田議員 今、政府案のお答えですと、要するに、最終責任者がだれであるかということを明確にする意味で「行政機関の長が」という文言を入れただけであって、当初の要綱案の内容趣旨と異なるものではない、こういうお答えであります。  私どもの案には「行政機関の長」というのは入れていないわけでありますけれども、当初のもので、異なるものでないとすれば、どちらにしても、最終的な判断行政機関大臣のところまで行くわけでございましょうから、あえてそこに盛り込む必要はないのではないのかという気がいたしますし、この点について、あえて何か意図があるのではないかという憶測がいろいろ出ておりますので、そのこと自体が何らか情報の非開示の方向に働くのではないのかという危惧がされるのであるとすれば、それはない方がいいのではないのか、このように考えます。
  78. 生方幸夫

    ○生方委員 三党案に重ねてお伺いしたいのですが、私の手持ちの資料では、政策形成過程に関する情報の不開示について、三党案は何も具体的には表示をしていないのですが、これについてはどのようなお考えでございましょうか。
  79. 北村哲男

    北村(哲)議員 意思形成過程の情報でございますね。私たちがこの点を問題にしているのは、なぜ、意思形成過程情報を非開示にすべきでない、開示すべきであるということは、これをそうすべきでないという理由は、情報公開法という制度そのものが、そもそも行政に対する国民の不信感というか、性悪説に立ったものであるということ。すなわち、今まで密室の中で行われてきた行政決定がしばしば国民利益に反して、その改善が求められているのが現在の状態であるということ。それとともに、今の行政行為というのは、官僚の一方的な判断で行えるものではなく、かなり難しい、国民の参加が必要なものだというものである。そのためには、国民とともに考えるという参加型の行政に改めなければならない。そのためにこそ、この行政情報公開法が必要である。そういう視点に立つならば、この意思形成過程情報公開が必要になってくるだろう。  今まさに求められているのはこの点であって、行政の意思決定過程こそ国民が参加していかなければならない、国民のための行政決定がそれによってできるのだという観点からの議論が必要であると考えております。  そうすると、意思形成過程には幾つもの確かにいろいろな段階があると思いますけれども、一概にいいか悪いかというのではなくて、私たちは、意思形成過程には幾つもの段階情報があると思います。その一つ一つを見ると、他の非開示情報である、例えば五条一項六号に検査とか試験とか交渉とか、そういうものは、それを明らかにすることによって行政目的を達成できない場合がしばしばあるのだ、その場合、非公開にしていいという条項があります。その条項に個別的に分けてみれば、一つ一つ公開非公開かという判断をすることができるというふうに考えますので、この条項は必要ない。  まさにそれは思想の違いみたいなところもあるのですけれども、こういうものをひっくるめて非公開にすれば、結局、国民参加型の政治というのは実現できないのじゃないかというわけでございます。
  80. 生方幸夫

    ○生方委員 今のことに関連した質問ですが、その情報があるのかないのか、その存否に関する情報について、政府案では、存否を明らかにしないで行政文書開示請求を拒否することができるというふうになっております。三党案では、存否を明らかにできない情報範囲について、範囲を限定しているわけでございます。  この明らかにできない、拒否することができるというのを拡大解釈すれば、すべて拒否して、存否そのもの自体を否定してしまうということにもなりかねないわけで、この辺はやはり三党案のように範囲をある程度限定するべきではないかというふうに考えるのですが、小里長官、いかがでございましょうか。
  81. 瀧上信光

    ○瀧上政府委員 存否情報についてでございますが、行政改革委員会意見におきましては、開示請求に係る行政文書存否を明らかにするだけで不開示情報規定により保護される利益が害されることとなる場合がある旨を指摘しているところでございます。こういった問題は、特定の者あるいは特定の事項を名指しした探索的な請求が行われ得ることを想定すれば、すべての不開示情報類型について生じ得るものでございます。  そこで、このような事態が生ずることを避けるため、行政改革委員会意見におきましては、不開示情報類型を限定せず、行政文書存否を明らかにしないで請求を拒否できる旨の規定が設けられているところでございます。政府案は、同様の考え方に立ちまして、行政文書存否を明らかにしないで開示請求を拒否できる旨の規定を定めているところでございます。  今、御指摘のありました、こういった点についての歯どめの問題でございますが、このような、行政文書存否を明らかにしないで開示請求を拒否する決定も行政処分でありまして、当然のこととして、行政上及び司法上の救済の道が認められておりますので、この規定の適正な運用は確保されるものというふうに考えております。
  82. 生方幸夫

    ○生方委員 先ほどから、司法の救済の道が開かれているというふうにたびたびおっしゃっているのですけれども裁判所まで持っていくということになるのは非常に大変で、それ以前、そんな一々面倒くさい手続をしないためにもまさにこの情報公開法があるわけで、私が最初に質問した趣旨は、限定をしておかないと、その情報そのものがあるなしを言わないで門前払いになってしまって、それを一々裁判所に訴えるということになったら、何のためにこの情報公開法をつくるのかということになってしまいますので、その辺、小里長官、いかがお考えでございましょうか。
  83. 小里貞利

    ○小里国務大臣 政府考え方は先ほど申し上げたとおりでございますが、ただいまの御意見も十分参考にしていかせていただきたいと思います。
  84. 生方幸夫

    ○生方委員 次に、手数料の問題についてお伺いしたいんですが、政府案でも基本的にはそれほど高い手数料を取るということにはなっていないようでございますが、この実費というのは、公務員の人件費とかそういうものまで入るのか、それともコピー代だけなのか、その辺、どのぐらいをめどにしておるのか、ちょっとお伺いしたいのです。
  85. 瀧上信光

    ○瀧上政府委員 手数料の内訳についてということでございますが、情報公開請求に対応するため、そして情報公開開示請求の実施を行うために必要な人件費、光熱水費、あと、その他のもろもろの事務経費等々がその積算の前提となります。
  86. 生方幸夫

    ○生方委員 どうも何かよくわからない話なんですが、これは、外国人請求した場合、外国からの通信費や、外国に対してまた通信費とか、インターネットを通じるのかどうか知りませんが、いろいろな方法があると思うんですけれども外国人請求してきた場合にも、それほどの高額になったり、その額が支障になって情報公開影響が出るようなことがないような額なのかどうかということをお伺いしたい。
  87. 瀧上信光

    ○瀧上政府委員 情報公開の手数料につきましては、実費の範囲内で利用しやすい手数料にするように、政令で定める段階で検討してまいりたいと考えております。
  88. 生方幸夫

    ○生方委員 三党案について伺いたいんですが、三党案では、閲覧による行政情報開示は、これを無償とするというふうになっております。これですと、よくわかっていなければわかっていないほどいろいろな情報請求してしまって、大量の情報が出てくる。  したがって、私は、ある程度の手数料を取らないと、歯どめにならないで、かえって、みんなが情報公開してくれといって一斉に押し寄せると、事務が混乱してしまうおそれがなきにしもあらずだなという印象を持つんですが、いかがでございましょうか。
  89. 達増拓也

    達増議員 情報公開ということは行政側の責任ということで、それは対価を取ってサービスをするということではなく、求められたら原則無償で対応するという考え方がまず前提にあります。ただし、コピーとか写しを交付する場合や、あるいはその写しを送付する場合には、それぞれ実費や郵送料をいただくというふうに考えております。  ただ、いろいろわからなくてたくさん情報をとりたがるとかいう場合、現実的には、正式な情報開示請求公開請求をする前に、役所で相談を受けて、混乱のないような開示請求の仕方をしてもらうようなことも考えられますし、また、国民が真に関心を持って情報開示請求してくる場合、それが殺到する場合には、やはりこれは行政側が責任を持って対応する。人が足りないならふやすとか、あるいは先手をとって広報という形で先に情報を出すとか、そこは行政責任でやる。  また、幾つかの自治体で、手数料を取ることで、かなりの手数料がかかって、それが一種、敷居が高くなり、必要な情報公開請求をしにくい状況になるということを聞いておりまずけれども、そうならないように、料金設定で敷居を高くするようにはしないということであります。
  90. 生方幸夫

    ○生方委員 これは、文書の管理の問題とも密接にかかわってくると思います。この文書の管理について、政府案では、行政機関行政文書の管理に関する定めを制定し、これを公にするとともに、定めに従った適切な管理を行うことにするというふうになっておりまして、行政文書の分類、作成、保存及び廃棄に関する基準その他必要な事項について定めるというふうになっておりますが、これは各省庁ごとにつくるんですか。それとも、全部の省庁が決まった基準というものをおつくりになる予定なのか、その点についてお伺いしたいと思います。
  91. 小里貞利

    ○小里国務大臣 申し上げるまでもなく、情報公開法を適正に運用するためには、おっしゃるとおり、適切な文書管理が大前提であると思います。この定めに盛り込むべき基本的、共通的な事項は政令で定める、その方針でございます。
  92. 生方幸夫

    ○生方委員 政令で定めるということですが、その前に、今現在で、例えば今私が申し上げましたように、全部の省庁で、ある程度のまとまったパターンというのをおつくりになるのか、それとも、文部省なら文部省、通産なら通産で、その省ごとに独特のものをつくるのか、どちらの方向でございますでしょうか。
  93. 瀧上信光

    ○瀧上政府委員 情報公開法案では、三十六条におきまして、それぞれの政府機関の長に行政文書の管理に関する定めを設けさせることとしておりまして、この定めの中に盛り込むべき基本的、共通的な事項を政令で定める旨を規定しているところでございます。  政令で定める具体的な内容としましては、系統的かつ具体的な文書分類の設定、行政文書の作成及び保存に関する責務の明確化、行政文書基本的な保存期間基準の設定、行政文書の廃棄手続の明確化等について、各省庁の業務の実態等を踏まえつつ検討を進めているところでございます。
  94. 生方幸夫

    ○生方委員 聞いているのは、各省庁ごとにやるのか、それとも、全部の省庁に共通したものをつくるのかというのを聞いているんですが、どっちなんですか。
  95. 瀧上信光

    ○瀧上政府委員 行政文書の管理に関する定めにつきましては、それぞれの省庁でつくります。そして政令で、その中に盛り込むべき基本的、共通的な事項を定めることにいたしております。
  96. 生方幸夫

    ○生方委員 よくわからないのですけれども。やはり、基本的にどういうふうに文書が管理してあるというふうにわからないと、省庁はただでさえこんな膨大な大きいものですから、私どもが行ったって、どこの省に行ってどこの課にどんな情報があるのかということすら、もちろんほとんど普通の人はわからないわけで、ある程度は各省庁に共通した文書管理の仕方というものをつくって、大体それに、全部が全部のっとるわけにはこれは仕事の内容がいろいろ違うからいかぬでしょうけれども、そういうふうに少なくとも私はしなければいけないというふうに考えております。  ここで、三党案は、特に情報管理官というのを置いて情報公開の手助けにしようというのが盛り込まれているわけですが、私は、情報公開を行うのであれば、三党案に見られますように、情報管理官的なやはりプロがいて、その情報はここにあるというようなアドバイスをしていただければ情報公開も非常にスムーズにいくと思うのです。  それを置かないと、事務も、やたら情報公開に関する問い合わせばかり来て、仕事ができないということにもなりかねないと思うんですが、小里長官、情報管理官というものを置く、名称はどうであれいいんですが、置くおつもりがあるのかどうか、お伺いしたいのです。
  97. 瀧上信光

    ○瀧上政府委員 御指摘のように、行政情報は非常に膨大でございますので、一つは一行政文書の管理に関する定めを公表いたします。それとともに、それぞれの省庁の行政文書につきましての所在案内システムというのを情報システムで構築し、それを総務庁が総括的な、総合的な行政文書のクリアリングシステムをつくるということも考えております。  それとともに、政令で定める具体的な内容、そしてさらには、総務庁がその細目につきましては政府全体のガイドラインといったものもつくろうというふうに考えておりまして、こういつた中で、行政文書の所在を的確に把握、管理するための管理台帳、それとともに、そういったもののチェックのための体制についても整備を進めてまいりたいと考えております。
  98. 生方幸夫

    ○生方委員 総務庁長官にお伺いしたいんですけれども情報公開に関連して専門官をやはり私は置くべきだというふうに思うんですが、その辺についてのお考えをちょっとお伺いしたいんですけれども
  99. 小里貞利

    ○小里国務大臣 はっきり申し上げまして、行革に反しないように、十分具体的対応措置をとるべきである、さように思います。
  100. 生方幸夫

    ○生方委員 行政改革といっても、人数を減らすばかりではなく、もちろん、必要なところには必要な人材をつけるというのが行政改革でございますので、せっかく法律がこれから審議してできたら、ひとつ国民が使いやすいように、それなりの担当の専門官を置いていただくことが非常に大事だと思いますので。
  101. 小里貞利

    ○小里国務大臣 具体的対応策を考えるべき御指摘である、さように思います。
  102. 生方幸夫

    ○生方委員 三党案についてお伺いしたいんですが、三党案は、情報管理専門官を置くというふうに明記しておりますけれども、具体的にはどんなものをイメージしているのか。これは、例えばその資格みたいなもの、例えば図書館だったら図書館の何か、何かと言ったら失礼ですけれども、何とかさんていますですね、そういう人なのかどうなのか、そのイメージをちょっとお伺いしたいと思います。
  103. 達増拓也

    達増議員 三党案の文書管理、我々は行政資料管理という言葉を使っておりまずけれども、そもそも、各省庁にばらばらにその管理の基準を任せるのではなく、法律できちっと共通のルールを決めて、そのもとで各省庁対応するというふうに決めております。  その中で、行政機関がそれぞれ情報管理専門官を置くというふうにしているわけでありますけれども、具体的に何か試験に受かっているとか、あるいは図書館学、そういう司書の資格を持っているとか、そういう厳密な資格というものは考えておりませんけれども行政機関、例えば各省庁の実務について把握できる一方で、文書の分類ですとか、そういった文書管理、資料管理のそういう専門的なこともわかっているような、そういう人材と申しましょうか、そういう人がイメージとしては浮かぶわけでありますけれども、厳密には、行政資料管理法、文書管理法とでもいうべき法のもとで、その必要性に応じて行政機関の方でそれを置いていくという形になります。
  104. 生方幸夫

    ○生方委員 地方公共団体でも、もちろん情報公開条例というのをつくっているところがたくさんあるわけで、都道府県では四十四条例、市町村では、三千二百五十五のうち二百二十一のところでつくられている。しかしながら、全体で見ると、まだ一〇%程度しか情報公開に関する制度というのができていないわけです。  この国における情報公開制度というのができた場合、地方自治体については、国としては、どのような指導をするんだか何をするんだか私よくわからないんですが、どういう方向で指示を出していくのか、総務庁長官のお考えをお伺いしたいと思います。
  105. 瀧上信光

    ○瀧上政府委員 地方公共団体の定める情報公開に関する条例等の取り扱いについてでございますが、この情報公開法案の四十条におきまして、「地方公共団体は、この法律趣旨にのっとり、その保有する情報公開に関し必要な施策を策定し、及びこれを実施するよう努めなければならない。」とされているところでございます。  地方公共団体の自律性を尊重するという観点から、努力義務規定というふうにされているところでございますが、この法律が成立をしました後は、情報公開条例の未制定の地方公共団体においては、この法律趣旨にのっとり条例制定に努めるとともに、既に条例制定済みの地方公共団体につきましては、この法律趣旨にのっとり条例の必要な見直し等が行われるよう、政府として要請をしてまいりたいというふうに考えております。
  106. 生方幸夫

    ○生方委員 わかりました。  具体的には、やはり条例と今のこの情報公開法とが乖離、乖離している部分があるのかどうか私よく知らないんですけれども、著しく違っている場合には、改善するように指導なりなんなりするというふうに解釈してよろしいでしょうか。
  107. 瀧上信光

    ○瀧上政府委員 情報公開法の四十条は努力義務規定でございまして、最終的には地方公共団体において的確に御判断をされる問題であると思いますが、国としましても、情報公開法制定されれば、その情報公開法趣旨等につきましては、十一分地方公共団体の方にもその内容等につきましても御説明をしてまいりたいというふうに考えております。
  108. 生方幸夫

    ○生方委員 総務庁長官、一言今のことについて、地方に対してどのような長官としては御意見を持っているかをお伺いしたいと思います。
  109. 小里貞利

    ○小里国務大臣 御承知のとおり第四十条は、いわゆる努力義務規定と申し上げましょうか、そういうものでありまして、最終的には、地方公共団体においてこの規定及び本法案第五条第二号ロの規定趣旨をどのように的確に判断するかの問題であろう、さように思います。
  110. 生方幸夫

    ○生方委員 あと、国が持っている地方の自治体に関する情報というのがございますね。これについての公開というのは、公開する場合にその地方自治体に問い合わせをするのか、あるいはそれは国の独自の判断公開をするのか、どちらなのかをちょっとお伺いしたい。
  111. 瀧上信光

    ○瀧上政府委員 御指摘のように、国の行政機関におきましては、地方公共団体から取得し、あるいは作成をしました地方公共団体に関するさまざまな情報を保有しております。こういった地方公共団体に関する情報につきましても、行政機関が組織として保有している以上、情報公開法対象文書となり、請求があれば、不開示情報に該当しない限り、この情報公開法の定める基準によって開示をされることとなります。  こういった情報開示することによる支障等の有無、その程度につきましては、行政機関が実際に開示請求があった場合に具体的に判断するに当たりましては、必要に応じ当該地方公共団体からの情報の提供を受け、適宜な形式で意見を聞くなどして、的確に判断するように努める必要があると考えております。
  112. 生方幸夫

    ○生方委員 ということは、原則として、国が持っている地方公共団体に関する情報開示するときは地方公共団体に通知をするというふうに解釈をしてよろしいんですか。
  113. 瀧上信光

    ○瀧上政府委員 請求のあった情報内容に応じまして、必要に応じて適宜な形で協議するということでございます。
  114. 生方幸夫

    ○生方委員 三党案は、今私が質問いたしました地方公共団体の情報公開条例との関連について、どのようにお考えになっていますでしょうか。
  115. 倉田栄喜

    倉田議員 地方自治体の情報公開をどうするかということについても相当議論がございました。  そこで私どもの案は、この法律そのものに、いわゆる地方自治体が持っているのも行政情報だから対象にするという考え方もあったわけでありますけれども、地方自治の本旨という条例規則制定権あるいは住民自治、団体自治の視点からそこは尊重されなければならないということで、基本的には第三十九条で、「地方公共団体は、この法律規定する国の施策に準じて、その保有する情報公開に関し必要な施策を策定し、及びこれを実施するよう努めなければならない。」  それで、この法律の方が進んでいる法律であるとすれば、それぞれの条例があるわけでございますけれども、この施策に準じてその地方自治体で決めていただきたい、このような規定を置いているわけでございます。
  116. 生方幸夫

    ○生方委員 情報公開条例、大変重要な法案でございますので、ぜひとも政府の方も野党案のいいところは取り入れて、ぜひとも成立をさせていただきたいというふうにお話をいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
  117. 谷津義男

    谷津委員長 御苦労さまでした。  本会議散会後直ちに再開することとし、この際、休憩いたします。     正午休憩      ————◇—————     午後一時三十九分開議
  118. 谷津義男

    谷津委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。佐々木秀典君。
  119. 佐々木秀典

    ○佐々木(秀)委員 民主党の佐々木でございます。  本法案につきましては、去る四月二十八日、本会議趣旨説明に続いて、私、民主党を代表して質問をさせていただきました。その際、総務庁長官にも御丁寧に御答弁をいただいて感謝を申し上げますが、なおいろいろと聞きたい点がございます。  それと、私は大変残念に思ったのは、実は四月二十八日の代表質問のときに、アメリカが一九六六年に情報公開法施行いたしましたけれども、そのときに司法長官のラムゼイ・クラーク氏が非常に感動的なステートメントを発表しておられます。  私は、この情報公開法が、さまざまな事情があり、それからまた、そのときにも申し上げ、きょうも同僚委員も質問をされている中で、あるいは私どもの同僚議員議員立法をつくって提案をされているその内容などと比べて、政府の今度の法案が少しくパーフェクトとは言えない、足らざるところが大分あるのではないかという思いを持ちながらも、しかし、これまでにさまざまな御苦労もあった、その障害を一応乗り越えて、政府としてこの情報公開法を提案するに至ったという努力については評価をさせていただいたわけですね。でき得べくんば、みんなが納得する、本当によいものをつくっていかなければならないという思いを持っておるわけです。  そこで、これを提案した政府の最高責任者である橋本総理大臣には、格調の高い国民に対するメッセージをぜひ提案に伴って述べていただきたかった、そんな思いを強くしていたのですが、実は私の質問に対しましても、非常にさっぱりしたというか、少し期待に沿わない御答弁だったと思って、その点が私は大変残念に思うのですね。  総理の御答弁でそのステートメントを私は求めたわけですが、その際のお述べになったところとしては、国民が主権者であるということは強調されながらも、この法案国民政治行政に対する関心を高めていただくことに役に立つのだということを申し述べられているのですが、そのこと自体は間違っていないにしても、私はもう一つ突っ込んでほしかったと思うのですね。  というのは、実は、さきにつくられた要綱の中には、行政に対する国民の参加や監視というくだりがあったはずなんですね。ところが、今度の法案の目的のところでは、この点が実は変えられてというか、なくなっているわけです。このことが、総理の今のお話と絡めて考えてみた場合に、私は少しく残念だなという思いを否めないわけであります。  そこで、「国民による行政の監視・参加」の文言が除外された理由。野党三党案にはこれは明記されていますね。目的の定義に明記されています。そこの違いと申しますか、まず、どうしてこれが削除されたのだろうかという点を、ひとつ大臣の方から御説明いただきたいと思うのです。  なお、ちなみに、ちょっと私の地元のことで恐縮なんですけれども、北海道には北海道の情報公開条例がございます。これは昭和六十一年に制定され、本年三月改正されたものであるわけです。今度の政府提案の法律案には前文はついていないと思うのですけれども、この北海道の情報公開条例には前文がついております。  この前文は、「道が保有する情報は、道民の共有の財産であり、これを広く公開することは、民主主義の原理及び地方自治の本旨に由来する開かれた道政を推進していくために不可欠である。」その次のくだり、道民による行政参加と監視の視点から、情報公開重要性はますます高まっているのだということも強調しているわけです。終わりの方で、「新しい情報公開制度は、だれもが知りたいときに自由に知り得るよう知る権利を明らかにするとともに」というようにして、知る権利についても明記をしておりまして、「道政の諸活動について説明する責任を全うすることにより、その公開性を高め、及び道民参加を促進するものでなければならない。」「このような考え方に立って、道政に対する理解と信頼を深め公正で民主的な道政を確立するため、この条例制定する。」という前文がついております。  読み上げましたように、知る権利が明記されている。そして、道民による行政の参加と監視ということがうたわれているという点で、私はこれは大変すぐれたものだと思います。  政府案も、つくる過程で、要綱で監視と参加、参加と監視ということをせっかくうたっておられたのに、今度の法案ではこれが削られているというのはまことに残念な思いがするのですけれども、この事情などについて御説明をいただけたらありがたいと思います。
  120. 小里貞利

    ○小里国務大臣 お答え申し上げます。  国民による行政の監視、参加の話でございますが、まず、政府案は、行政改革委員会趣旨及び内容に沿って忠実に立案したという一応の前提は十分御理解いただいておるところでございますが、御指摘の「行政の監視・参加の充実」という表現につきましても、これは先生は専門家であられますが、実際に用いられている言葉の使い方や意味を調べた上で、いわゆる行政改革委員会意見趣旨も最も適切にあらわすような表現を用いたものでありまして、決して同意見趣旨内容を否定するものではございません。  また、北海道の情報公開条例についての話につきましては、事務局の方から答弁いたさせますので、御了解いただきたいと思います。
  121. 瀧上信光

    ○瀧上政府委員 北海道を初めとして、条例の前文で、知る権利、それから参加、監視等々の規定の入っている例の御紹介がございました。  行政改革委員会の「国民による行政の監視・参加の充実に資する」ということを、条文化するに当たって表現を変えましたのは、ただいま大臣が申し上げましたとおり、行政改革委員会意見法律上適切に表現するためということで規定をしたものでございます。  その考え方でございますが、行政改革委員会意見では「国民による行政の監視・参加の充実に資する」としておりますが、その趣旨は、国民一人一人が、これを、すなわち行政運営に関する情報を吟味し、適正な意見を形成することを可能とし、公正で国民の意思が反映された行政運営を推進することであるということを要綱案の考え方に記されているところでございます。  一方、実際に立法化に当たりまして、法律用語として用いられております監視というのは、注視ということにとどまらず、監督の一態様で使われておりまして、そしてまた、法律用語として用いられている参加というのは、会議等に参加するあるいは行政手続に加わるという意味でございまして、行政改革委員会のただいま御説明しましたそういう意見考え方趣旨を適切にあらわす用語とは言いがたいということで、法律の立案に当たりまして、この行政改革委員会意見趣旨を適切にあらわすため「国民の的確な理解と批判の下にある公正で民主的な行政の推進に資する」という表現を用いたものでございまして、行政改革委員会意見内容に異同はないというふうに考えております。
  122. 佐々木秀典

    ○佐々木(秀)委員 いろいろ御説明をいただきましたけれども、例えば監視というのは監督という意味合いもあるというけれども、それは実際のいわゆる監督権なんというときの監督とは違うわけです。しかし、行革委員会の方も要綱ではいろいろな議論を経ながら監視だとか参加というような言葉を使っていたわけですから、これを法律用語として用いるということは私は決しておかしなことではないと思っているのですけれども、三党提案者の方は今の件に関連しては何かありますか。
  123. 谷津義男

    谷津委員長 質問をよく聞いていてください。
  124. 佐々木秀典

    ○佐々木(秀)委員 まあ、いいです。それでは、この次、知る権利との関係でお聞きしますから。  では次に、今との関連もあるのですけれども、知る権利の問題。これも、議論をしていくと果てしないところもあるのですね。  これも四月二十八日の私の本会議での質問に対しては、小里大臣は、けさほども御答弁ありましたけれども、学説上必ずしもまだ固まっていない、あるいは最高裁判所としてもはっきり認知はしていないのではないかというようなことをおっしゃいました。ただ、お隣の国の韓国が一昨年この情報公開法をつくっていますけれども、この韓国の法律では、これはもちろん政府提案でできたものですけれども、知る権利を入れているのです。明記しております。  最高裁判所が認知していないということですけれども、最高裁判所も全くそういう言葉を使っていないわけではありませんで、例えば昭和四十四年の十一月二十六日の最高裁判所大法廷の決定ですけれども、これはいわゆる博多駅テレビフィルム提出命令事件というのがあって、これに対する決定。これは報道の自由に関して争われた事件ですけれども、決定文の理由の中で、民主主義社会において国民が国政に関与するにつき重要な判断の資料を提供し、国民の知る権利に奉仕するものであるということで、ここで初めて知る権利ということへの言及がなされたわけです。  もちろん、これは報道の自由の制限との関連ということで、判例上これで知る権利が確定したというものではないにしても、裁判所としても十分に意識をされておるのですね。特に最高裁まで至らなくても、下級審の判決では知る権利という言葉を使った判決というのは幾つも出ているわけですが、そうすると、こんなこととの絡みで、知る権利という概念あるいは文言、これを明記する意義、これは三党提案者の方からは非常に積極的な意味があるのだという御説明があったわけです。  確かに私もそうだと思うのです。この言葉、これを明記することにこだわるというのは、ただ単に用語のどうのこうのという問題ではなくて、知る権利を明記することによる法的効果というものは私はやはりあるのだろうと思うのです。  要するに、今度の法案の中でも、政府としても、行政情報開示についての国民の権利、これを認めている。情報開示請求権ということまで言っておられるのだろうと思うのです。ですから、知る権利は、ただ単に知るという自由権ではなくて、さらに進んでそれに基づいて情報開示を求めるという具体的な請求権に結びついていく。その根拠になるのが私は知る権利だろうと思うのです。  ですから、知る権利というのは、情報公開法の中での法的な位置づけとしては、決して理念だとかシンボルだとかいうような程度にとどまるのではなくて、開示請求権という実定的な権利、これを具体化するものだ。それを根拠づけるものとして、憲法の第二十一条の内容として認識される知る権利というものが生まれ出てきているのだ。  したがって、憲法の中の条文としては知る権利という言葉は出ていないけれども法律がこれを位置づけることによって、この文言を使うことによって、その内容法律の上で高めあるいは確定するという作用というのは十分あることだし、これを政府がやるということも私は積極的な役割だとさえ思っているわけであります。  そういう点で、知る権利の明記がないのは残念だと思うのですけれども大臣としては、そうすると、例えば最高裁の判例でこの概念が確定されればその段階で入れるということになるのか、いやいや、そうであってもこの知る権利というものを明記する必要はないのですよというお考えなのか、その辺はいかがでしょう。
  125. 小里貞利

    ○小里国務大臣 要約いたしますと、今の最後の御指摘は、知る権利を法律上明記する条件についてといいますか、そういう意味合いのお話であると思うのでございますが、憲法上、知る権利の概念、内容等が最高裁判例で確立するか、憲法上明記された段階におきまして、法律上明記することの意義、必要性を検討した上で結論を出すべき問題であろう、そういう私どもはいわば見解の統一をいたしているところでございます。
  126. 佐々木秀典

    ○佐々木(秀)委員 それでは提出者の方にお確かめをしたいというふうに思いますが、これは松本先生いらしていますから共産党の松本先生の方からまずお聞きしましょうか。この知る権利を明記することの積極的な意義づけあるいは法的効果、私先ほど申し上げましたようなことでよろしいかどうか、それについて。
  127. 松本善明

    松本(善)議員 御答弁を申し上げます。  知る権利を明記することは、情報公開法に命を吹き込むかどうかぐらい非常に大事なものであろうと思います。といいますのは、情報公開の制度は、情報を保有する行政機関国民開示請求権との対抗のもとに成り立つといいますか、行政機関の側は常に要求される側になっております。これは、政府案でも「情報開示請求する権利」というふうに書かれておりますのはそういうことでありますので。ですから、これを知る権利として具体化する、これが情報公開を進める上では非常に積極的なことになろうかと思います。  政府の考えは、最高裁の判例で請求権的な権利として認知されていないといいますが、私の知る範囲では最高裁の判例で知る権利について述べている判例が三つありますけれども、これらはすべて報道の自由との関係、取材との関係であります。ですから、請求権的な知る権利として判断をする機会が最高裁にはなかったわけであります。各地方自治体で情報開示条例ができたり、今回この法律ができるということになって、それの争いが最高裁に持ち込まれて初めてこの判断が出てくるのではないかと思います。  そういう点でいえば、裁判所は立法機関ではありませんから、立法機関のやったことの後追いになるのは当然でありまして、これを待って立法機関が事を決めるというのは、私はまことに見識のないことではないかと思います。国会は唯一の立法機関でありますので、最高裁の判例に拘束される必要は全くないのであります。知る権利を明記するということが、国民主権にのっとるという点で非常に重要であろうかと思います。  実際の差も判例上出てまいります。  知る権利が明記をされている大阪府の公文書公開条例に基づいて、知事交際費に関する会計帳簿の非公開処分の取り消しが争われた事案につきまして、大阪地方裁判所は、同条例を、憲法二十一条に基づく知る権利の尊重と、同法十五条の参政権の実質的確保の理念にのっとり、これを府政において具現するために制定されたものと規定した上で、本件条例趣旨、目的、理念に照らせば、右各非公開事由に該当するか否かの判断は、条文の趣旨に即し、厳格に解釈しなければならないとして、非公開事由を限定的に解釈しております。  これに対して、知る権利の明記のない栃木県公文書公開に関する条例に基づいて、知事交際費に関する現金出金簿の非公開処分の取り消しが争われた事案については、宇都宮地方裁判所は、本条例の定める公文書開示請求権は憲法二十一条から直接導き出されるものではなく、本件条例によって創設されたものであるから、本条例六条各号の適用除外規定解釈に当たり、条例規定する文理及び趣旨を超えて、これを限定的に解釈すべき理由はないと判示をしました。  問題は、やはり、知る権利ということが明記をされていない場合には非常に限定的になるわけです。基本的に知る権利が明記をされている場合には、例示をされているものから推測をして、一体これは、国民の参政権的な権利、知る権利を保障するという観点から見て、果たしてこれを情報開示した方がいいかどうかという判断になろうかと思います。  そういう点でいうならば、原則にするか原則でないものにするか、開示をする場合を非常に限定的にするか、そういう違いが出てきますので、これは根本問題として、国会として、この知る権利を認めるかどうかということは十分論議をしなければならぬ問題点ではないかというふうに考えております。
  128. 佐々木秀典

    ○佐々木(秀)委員 それでは、福岡先生、なるべく簡潔にお願いをしたい。
  129. 福岡宗也

    ○福岡議員 今、共産党の代表の先生の方からお話がありましたこと、基本的な考え方はそういうことでございます。  いわゆる憲法に保障されておる表現の自由をもとにして、その受け手である公開請求権というものを、具体的な権利としてのものは学説においてももう十分に論議を尽くされておるわけであります。しかしながら、これがさらに具体的な内容まで含めた具体的な権利となるためには、法律の立法によって明確化しなければならないというのが学説のほとんど一致した意見でありますので、当国会において、明確にその範囲それから非公開事由等を明記すれば、これは具体的な権利として完全に機能するという問題であるというふうに考えておりますし、先ほど松本先生のお話にもありましたように、実際の判例においても、それによって差異が出ているわけでございます。  それから、各地方裁判所判断においては、先ほどの大阪の判例を見るまでもなく、明確に二十一条に基づくという判断をしておる判例はたくさんあります。ただ、最高裁までないのは、そういった知る権利の具体的な内容についてまでの争いがまだないので、判例として構築をされていないだけだというふうに考えておりますので、現段階では十分に概念として法律の中に取り入れて問題のないものだというふうに我々は考えておるわけであります。     〔委員長退席、植竹委員長代理着席〕
  130. 佐々木秀典

    ○佐々木(秀)委員 どうもありがとうございました。知る権利、突っ込んでいけばいろいろまだ議論の余地があるのですけれども、時間の関係がありますので、とりあえずはこの程度にしておきたいと思います。  次に、特殊法人の問題に行きたいと思います。  特殊法人の問題については、これも私の本会議での質問に対して大臣は、特殊法人情報公開法制定は、国民から要望が強い緊急の課題と認識しております、こういう御答弁でございます。そして、本法案においては法制上の措置を講すべき旨を明記している、与党三党の合意によって本法制定後二年以内に所要の法案国会提出することとしている、こういう御答弁をいただきました。  そこで、大臣としても、特殊法人をこの請求対象とすることの必要性、これについては十分に認識をされておられるというように理解をしてよろしいわけですね。そうだとするならば、先送りをしないで、この際、何とかこの法案の中にはっきりと明記をすることはできなかったのかなという思いがするのです。  これは代表質問のときに私申し上げましたけれども、例の動燃の一連の事故、それに対する報告のずさんさ、あるいは作為的なことなどを事例として取り上げて申し上げた。そういうことから考え、また、大臣が御答弁のように緊急の課題だとすると、この際、やはりこの法案の中にはっきりと位置づけるべきで、後送りするべきではなかったのではないかと思うのですけれども、この点はいかがでしょうか。
  131. 小里貞利

    ○小里国務大臣 本会議でお答え申し上げましたことは、ただいま重ねて御認識いただいたとおりでございますが、直接の本法案対象機関として明記することにつきましては、行政改革委員会においても、特殊法人はいわば国とは別の法人格を有するものであり、それぞれの法的性格、業務内容あるいは国との関係がさまざまであることなどからいたしまして、一律に適用することは不適当であるのではないかという判断をいたしたわけでございます。  行政改革委員会のこの問題に対する考え方についてはもう御承知いただいておるところでございますが、開示請求権制度は国の機関と国民との一般的な公法関係を前提といたしますが、国の機関とは別人格を与えられている特殊法人国民との関係が同様であるかどうかは、理論的な解明が必要なのではなかろうか。  二つ目に、現在ある八十四の特殊法人の法的性格あるいは事業内容等はさまざまでありまして、個々の特殊法人の実態を吟味することが必要ではなかろうか。あるいは、対象とする特殊法人の性格、事業内容等に即して、法律の目的、対象範囲公開非公開の基準、手続、救済制度等を模索する必要があるのではなかろうか、こういうような整理をいたしておるところでございます。  以上、お答えになったかどうかわかりませんが、整理いたしておるところを申し上げた次第でございます。
  132. 佐々木秀典

    ○佐々木(秀)委員 そこで、特殊法人特殊法人と言うのですけれども、この定義というか特殊法人の概念ですね、私は必ずしも明確になっていないのじゃないかと思うのです。  ただ、この政府案法案の中で、四十一条で、この情報公開対象としての特殊法人として、総務庁設置法第四条第十一号の規定の適用を受けない法人を除いて「法律により直接に設立された法人又は特別の法律により特別の設立行為をもって設立された法人」、こう定義づけておられるわけだけれども、そうすると、この定義からいくと、日銀などは入らないことになるわけですね。これをまず確かめさせてください。
  133. 瀧上信光

    ○瀧上政府委員 ただいまの総務庁設置法の特殊法人の中には日本銀行は入りません。
  134. 佐々木秀典

    ○佐々木(秀)委員 そこで、これは午前中も同じような質問があったわけですけれども、ついこの間も日銀の不祥事、それで処分の問題なんかもあったわけですね、役員の交代なんということもあった。そういうことからすると、私は、日銀がこの四十一条の対象外になっているということに対しては、国民の皆さんは納得しないんじゃないかと思うのです。この情報公開法の目的というのが、国民に対して行政に関する情報を広く開示する、あるいは国民がそれを求める権利を有するんだという点からすると、やはり日銀のような認可法人ども国民の目から見ると対象とさるべき存在と考える点では、特殊法人とこういう認可法人、選ぶところはないのだろうと私は思うのです。  この種の法人、日銀などに類する法人というのは私はたくさんあると思うのですね。確かに、特定法律、つまり民法、商法などによって設立された法人じゃない特別の法律によって設立された法人。だけれども、もう一つ別のような、そういう中でも会社の形をとっているものだってあるわけですね。例えば電源開発株式会社とか日本電信電話株式会社、あるいはJRなんかも会社の形をとっているわけですね、だけれどもこれは法律によって設立されている。ところが逆に、こういう特別な法律によって設立されていないけれども、やっていることというのは政府のやるべきことの一部を実質的にはやっているとか、あるいはその役員の大事についても、かつて官庁におられた方のいわゆる一種の天下りというか横滑りというか、そういう方々によって運営されているとか、国民の目から見るとそういう点での区別はほとんどつかないのだろうと思うのです。  そこで、私はこの四十一条で、これから時間をかけて検討して、どういうことになるのか、別の法律をつくって扱うことになるのかどうかわかりませんけれども、やはり日銀のような認可法人だとかあるいは公益法人などというものも対象として考える必要があるのじゃないかと思うのですけれども、この四十一条の関連ですが、そういうところまで拡大して今後検討される余裕はあるかどうか。余裕がないとすれば、どうしてそこへ区分けをしなければならないのか、その辺についてお話をいただきたいと思います。
  135. 小里貞利

    ○小里国務大臣 いかなる基準で情報公開制度の対象となる法人を定めるかにつきましては、一つは、国が直接設立しているかどうか、あるいは国からの出資があるかどうか、あるいはまた役員大事に関与しているかどうか、さらにはまた予算、決算統制が行われているかどうか、本来的に国の作用と言えるかどうかと、さまざまな切り口があるのじゃないかという議論を相当いたしておりますし、そういう一つの基準があると思います。  さらにまた、先生がお話しのように、今後、特殊法人情報公開制度にふさわしい、対象とする基準等を、前向きでと申し上げましょうか、お話の趣旨ども含めて検討することに関連いたしまして、いわば必要に応じまして認可法人等の問題も視野に入れてまいらなければならない。その原則ははっきり言えるのではないか、さように思う次第です。
  136. 佐々木秀典

    ○佐々木(秀)委員 今、大臣から積極的なお答えをいただいたと私は思っております。認可法人も当然検討の視野の中に入れる、これはもう本当に結構なことだろうと思いますし、でき得べくんば公益法人についても、いろいろな性格の公益法人がありますけれども、特殊法人だとかあるいは認可法人に近いような、今大臣がおっしゃられたような内容を持つような公益法人、これについてもやはり検討の視野に入れていただきたい。  そういうことで、できるだけ広く国民情報開示するんだというその姿勢に立って事柄を進めていただきたいんだ、ぜひお願いをしたいと思います。具体的には、また次の機会にと思っております。  ただ、これは野党三派案の提出者の方にも御意見をお聞きしたいと思うのですが、実はけさも、国会は別にしている、こういうお話がありましたね。それから裁判所、別になっていますね。政府案の方ではもちろんそうなっています。  もちろん、裁判所については司法の独立ということがあるのだけれども、しかし私は、開示対象とならなくてもいいというのは、例えば裁判所の場合だと、現実にやっている裁判ですね。この裁判については司法権の独立というのは確かに働く。ただ、裁判の分野でも司法行政という分野がありますね。これについては私は、余り裁判所特殊性というのを強調していいのかどうかという思いがするわけです。  と申しますのも、実は随分古い話で恐縮なんですが、昭和四十六年に宮本裁判官の再任拒否事件というのがございました。それで、宮本さんがちょうど十年目の再任期を迎えて、彼一人だけが同期の裁判官の中で再任を認められなかった。裁判官自体は大変有能な裁判官だという専らの評価で、本人にも何も欠けるところがない、むしろ非常にいい裁判官だ、すばらしい裁判官だ、仕事もよくできる裁判官だという評価が高かったにもかかわらず、彼一人だけが十年目の再任を迎えて再任されなかった。つまり、裁判官としての道を閉ざされたということになった。  そのときに、本人は、最高裁判所に対して、私が再任されないその理由は何なのか説明してくれと言ったけれども、一切説明しなかったわけですね。人事の秘密だと言った。法務委員会でも最高裁が出て、多分そのときに答弁されたのは、議事録を見ますと、後に最高裁判所の長官になられた矢口判事だったと思いますが、当時人事局長だったのではないでしょうか。これももう、人事の秘密だと言って、一切言わなかった。そして、本人のプライバシーの問題もあるということを言ったのだけれども、むしろ宮本さんは、自分のプライバシーとかなんとかということは捨てるから、そういう自分の権利は捨てるからその理由をはっきりと明かしてくださいということを言ったのですね。  むしろ、巷間、一般的には、彼が青年法律家協会の会員であることが大きな理由ではなかったかと言われた。当時、私は青年法律家協会の議長をやっていて、この問題に重大な関心を持って関与していたわけですけれども。そういうような事柄というのは、これはもう新聞、テレビを含めて随分大きく報道されると同時に、これはむしろ司法権の独立の問題、裁判官の独立の問題、あるいは裁判の、司法の民主化という問題と非常に深くかかわっている、ひいてはそれは国民の人権にもかかわる問題だということで、マスコミは一様に取り上げたのですね。  そうすると、これによってはっきりさせられること、この理由を告げられて得ることの利益というのは、単に宮本裁判官個人的な問題ではなかったはずだと私は思うのです。にもかかわらず、かたくなに最高裁判所はその理由を明らかにしなかった。そのようなときに、裁判官会議の議を経ての決定だとされたのですけれども、それじゃ裁判官会議の議事録だとかこういうものについて公開請求が、もしこの情報公開法ができていて裁判所司法行政についても対象となるのだということだったとすれば、私は違った展開が出てきたのじゃないかなとさえ思うのです。  この辺について、裁判所を別にされていますけれども、何かお考えがあるかどうか、提出者の方にお伺いしたいと思います。
  137. 倉田栄喜

    倉田議員 ただいま委員の御指摘の点は踏まえなければならないというふうな問題意識は同じように持っておるつもりでございます。  ただ、午前中にも答弁をさせていただきましたけれども委員もお話しのとおり、司法の独立、三権分立ということもございますし、同時に裁判所はいわゆる規則制定権を持っている。私どもはこの行政情報公開に関する法律が論議される中で、裁判所みずからも、いわゆる司法行政等々も含めて積極的に情報を発信していく、公開をしていただけるように望んでおります。
  138. 佐々木秀典

    ○佐々木(秀)委員 この辺のところはひとつ今後の検討事項としてぜひ御考慮いただきたいと思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。  それから、地方公共団体の情報公開の関係で四十条の規定がこの政府案では置かれております。同僚の生方委員からも、地方公共団体の条例との関係はどうなるんだとお尋ねがありました。  もう一回私は確かめさせていただきたいと思うんですけれども、この四十条で地方公共団体に、努めなければならないということをこれは義務づけではないんでしょうけれども、努力目標という言葉でしたかね、文言で大臣から御説明いただいたかと思いますが、しかし、この法案ができた場合に、そうすると、今まで条例を持っていないところはこの法案に沿って条例をおつくりくださいというようなことになるんでしょうが、既に条例を持っているところ、さっき私が御紹介しましたように、北海道の条例などというのは知る権利も書いておりますし、それからまた参加と監視というようなことも書いていたり、それから手数料については、少なくとも閲覧については無料だというようなことになっているんですね。  そうなってきますと、この政府案が通った場合に、政府案と例えば北海道のこの情報公開条例とは一致をしないというか、そういうところが何カ所か出てくるんだろうと思うのだけれども、そうすると逆に、知る権利のところは取りなさい、あるいは参加と監視なんという文言も取った方がいいですよ、あるいは、政府案の方では、これから決まっていくんだけれども、政令で手数料なんかも決めますよ、そうすると、その手数料も条例の方は合わせてくださいよ、こういう指導になるんですか。これは総務庁、どうですか。
  139. 瀧上信光

    ○瀧上政府委員 地方公共団体の条例は、基本的に地方自治の本旨にのっとって自律的に策定をされているものであります。  その上で、今回情報公開法制定をされた場合には、この法律の第四十条の定めるところによりまして、地方公共団体において、法律趣旨にのっとった適切な措置が講ぜられるように努力されるべきものであるというふうに考えております。
  140. 佐々木秀典

    ○佐々木(秀)委員 だから、その適切な措置がわからないんですよ。それを教えていただかないと地方自治体だって困るじゃないですか。適切な措置ってどうやったらいいんですかと尋ねられたときに、どう言うんですか。さっき私が具体的にお伺いしたんですから、具体的に答えてくださいよ。
  141. 瀧上信光

    ○瀧上政府委員 既に条例制定済みの地方公共団体につきましては、この法律趣旨にのっとり、条例の見直し等を行うということを意味しているわけでございます。
  142. 佐々木秀典

    ○佐々木(秀)委員 それは問題だと思いますよ。もしも、見直してくださいよと言って、例えば北海道が、いや、私のところでは議会に諮ってこういう条例をつくっているんです、だから変える意思はありませんと言ったらどうするんですか。それは違法になるんですか。あるいは、直せということを強要するんですか。  これはちょっとはっきりしてくださいよ、大事な問題ですよ。あなた今、地方自治の本旨と言ったんだからね。これとの関係はどうなるんですか。
  143. 瀧上信光

    ○瀧上政府委員 この法律の四十条は努力義務規定でございます。最終的には、当該地方公共団体において、この法律規定趣旨をどのように的確に判断するかの問題であると考えております。
  144. 佐々木秀典

    ○佐々木(秀)委員 どうも納得できないですよ、そんなことで。努力目標というけれども、この努力というのは主体はどこなんですか。国なんですか、政府なんですか、それとも地方自治体なんですか。地方自治体にその努力を押しつけるとすれば、これは一方的じゃないですか。そんなことできるんですか。地方自治を認めながら、そういうことできるんですか。言ってくださいよ、それ。憲法違反じゃないですか、それだったら。
  145. 河野昭

    ○河野政府委員 先生もよく御存じのとおり、法律で一般的に地方に対して努力目標をお願いするということはあるわけでございます。  ただ、私ども、この法案で、先ほど先生がおっしゃったように、この条例にこういう規定があるのはけしからぬとか、あるいは現在特定の手数料について手数料を取らないのはけしからぬとか、そういう個別具体的な指導等をする予定はしておりません。
  146. 佐々木秀典

    ○佐々木(秀)委員 いんぎん無礼という言葉があるので、お願いするといっても、その内実が強迫めいていることだってあるんだよ。それは、政府が地方自治体にこの法律を盾にしてお願いをするというのは、実は強迫だと私は思いますよ。もしも、これをこう変えれ、ああ変えれというような内容まで含むんだとすれば。それがないんだったら、こんなことをわざわざ書かなければいいんだ。条例条例で、地方自治体がつくったものについてはむしろ手をつけませんと。  だって、そっちの方が、私が見た場合に明らかに北海道の条例の方が、そう言っちゃ悪いけれども政府案よりずっと住民のためになっていると思うもの。その権利を認める、大事にするという意味では進んでいると思うもの。その進んでいるところをレベルダウンさせるということをやっていいんですか。どうなんですか。
  147. 河野昭

    ○河野政府委員 私の物の申し上げ方がちょっと不十分かと思いますが、先ほどから御説明しますように、行政改革委員会で検討する段階でも、要するに、先進的な地方自治体の先例というのは十分参考にさせていただきながらやってきたわけでございます。  それで、先ほどから申し上げているのは、一般的に私どもがしますことは、この法律趣旨なりなんなりを地方公共団体の方に周知する、それでそれに合ったようなお願いをするということでありまして、先生は強迫的等々というお言葉がございましたが、個別に、ここの条項がこうであるからけしからぬとかという意図は全くございません。
  148. 佐々木秀典

    ○佐々木(秀)委員 これだけでもう時間がなくなってしまいましたので、最後に、今の点に関して私は大臣の御所見をお伺いしたいと思うんです。  私の善意に解釈するところがらすれば、この四十条というのは、むしろ今条例をつくっていないような地方公共団体に対して、国もつくりました、だからあなたのところでもどうぞこれにのっとって、これを参考にしておつくりなさいよと、あるいはこれを上回るようなものでも結構なんですよ、むしろそういうのがこの四十条の趣旨じゃないかと私は思うんです。  どうも今の審議官の話なんか聞いていると、これよりもレベルダウンをするということだってあるように聞こえるんだけれども、私はそうであってはならないと思うんだけれども大臣、この辺はどうですか。
  149. 小里貞利

    ○小里国務大臣 原則的なところは先ほど事務当局の方から述べたかと思うのでございますが、一つは、整理して申し上げますと、地方公共団体は、この法律趣旨にのっとって、その保有する情報公開に関し必要な施策を策定してくださることを期待しますよと、及びこれを実施するよう努めなければならないと、こう言っておるわけでございまして、ひとつ御努力をお願いしますと、ここは一つあると思う。  もう一つは、政府として要請をしてまいりたい。いわゆる情報公開条例等をおつくりになっていらっしゃるところで、この法律に乖離があるところはひとつ是正を期待いたしますよという政府としての要請、これがあると思うんですね。  しかしながら、先ほど若干申し上げておりましたように、この第四十条規定は努力義務規定でありまして、最終的には地方自治といういわゆる根本的な主体性を持った当該地方公共団体ですから と、そこを私は非常に大きな前提に置いておるのではないかなと思うのでございますが、この規定及び本法案第五条第二号ロの規定趣旨をどのように的確に判断するかの問題がある、こう考えておりますということを言っておるわけでございます。  整理して申し添えますと、今先生が言っていらっしゃるように、国であろうと地方であろうと、概念として情報公開の目的、趣旨をきちんと、より多く全貌を期待に沿えるように明らかにすることは非常に大事な話でありまして、私はこれはまた後ほどきちんと整理しなければならないかなと思うのでございますが、少なくとも前向き志向で、きちんと、この際、地方自治団体等に対しましても期待をかける。具体的な御指摘意味におきましても、前向きで期待をかけるということは大事なことではなかろうか、さように思います。
  150. 佐々木秀典

    ○佐々木(秀)委員 時間がなくなりましたので残念ながらこれで終わりますけれども、実は手数料の問題なども、本当は、ささいなことのように見えて重大な権利制限の問題があるということを私は指摘したかったのです。そういうことと絡めて、この間、代表質問でも言いましたけれども、高知県の知事、橋本総理大臣の弟ですよ、あの人なんかは手数料は取らないよと言って、閲覧については取らないことにしたんですよ。  そういうようなことで、今度も、使い勝手のいいものにしようということが一つあるにもかかわらず、どうも今のような、この地方の条例との関係を考えますと、もしも下手をして、この地方の条例、先に進んでいるところを、これとの乖離があるから法案に合うように直せなんということになって、そのためにレベルダウンするというようなことは、私は絶対に認められない。そんなことがあってはならないと思うんです。そんなことだったらこの法案も私はない方がいいと思っているぐらいですよ。それは、既に条例をつくって一生懸命やっているところ、地方自治体に対して失礼ですよ、そんなことは大体。  そういうことにゆめならないように、くぎを刺しておきます。もしもそういうようなことがあるんだとすれば、もう一回これは議論のやり直しをしなければならないと私は思っています。  なお予定した質問まだありますけれども、この法案、大事な法案ですから、ひとつ十分に審議を尽くしていきたいと思いますし、そのためにはまだ時間があると思いますので、残余の質問はまた次回にやらせていただきたいと思いますので、これで終わらせていただきます。ありがとうございました。
  151. 植竹繁雄

    ○植竹委員長代理 上田勇君。
  152. 上田勇

    上田(勇)委員 平和・改革の上田でございます。  今日の最重要課題の一つでもあります行政改革を実行するために、これまで官が情報を独占し国民に知らせようとしなかった、そういった行政の体質を改めることが不可欠であり、常に行政国民の目に見えるようにし、国民行政を監視し、行政に参画できる道を開いていくことが大切であるわけであります。  そのために、今審議している法案早期制定がぜひとも必要でありまして、政府案、それから民主、平和・改革、自由の共同提案並びに共産党提案が提出されてありますけれども、これらの法案を、情報公開制度が、利用者すなわち国民立場に立ってどういうふうな制度にしたら利用しやすいのか、そのことを考えたときには、やはりちょっと政府案には問題が多いというふうに言わざるを得ないと思うわけであります。  そこで、まず初めに、共同提案の提案者の方にお伺いしたいと思うのです。  国の行政機関情報については、平成三年に情報公開基準についてというものが定められまして、現在はこの運用基準に基づいて行政情報が提供されているのですけれども、現状、行政機関のそういった情報公開度、そういったことについての評価、また、改めてこの法律を提案する、そして制定する必要性、また、法律制定によりましてもっとそういった公開が進むのだろうか、そういった期待されている効果はどのようなものなのか、お伺いしたいというふうに思います。
  153. 北村哲男

    北村(哲)議員 お答えいたします。  この平成三年の行政情報公開基準についての現在における評価でございますが、この行政情報公開基準によって公開対象とされているのは、行政機関において決裁手続等の事案決定手続が終了しているものに限定されている点が第一点。それから、公務員の職務遂行に係る情報に含まれる当該公務員の氏名に関する情報開示されていないという問題点が二点。三点目に、不開示情報とする基準が、害するおそれがあるものという、いわゆるおそれ、あるいはさらに、支障を及ぼすおそれというふうにされているというふうな問題点があります。  そこで、抽象的に言うと今のとおりなわけでございますけれども、私の手元に、日本弁護士連合会でこの問題について「日本情報公開の現状と問題点」ということで平成七年に調査した報告があります。そこにおける評価が私と同様の評価でありますので、少しそれを紹介したいと思います。  ここには、「公開に役立たない行政情報公開基準」という項目がありまして、今の問題につきまして、すでに何らかの形で公表された文書がほとんどを占める閲覧文書目録掲載の文書については、担当者は公開基準を改めて当てはめる必要もなく当然に公開に応じているという点はあります。しかし、未公表の情報文書)について公開を拒む場合、情報開示するか否かを判断する各担当者が公開基準を十分理解し公開基準の条項に当てはめ判断しているかについては、担当者の対応からして疑問が残る。また、担当部局での口頭による交渉において開示が拒否された場合、公開基準のどの条項により拒否されたか明確でない場合が多いと思われるという報告があります。そういう問題点があります。  そもそも、五項目の共通的非公開基準は抽象的であって、非公開理由解釈の余地が大きい。また、公開可能な文書の種類として二十三区分の文書がここに挙げられているわけですが、その文書ごとにさらに非公開とすることができる場合を抽象的に規定しているという点も、問題として挙げられています。つまり、この公開基準は、公開原則としているのではなくて、公開可能な文書を制限的に列挙しているにすぎないのではないか。そのため、実際に情報が非開示とされる場合においても、非開示理由は抽象的にしか示されないという問題点が指摘されています。  そういう問題について、私どもも同様な評価をしております。  さらに、改めて法律制定する必要性、または法律制定により期待される効果がどのようなものであるかということに関してですが、これは、国民主権の理念にのっとって、国民の知る権利を保障するとともに、政府の諸活動国民に説明する責務が全うされるようにし、国民行政に対する監視、参加の充実に資するため、行政運営の公開性の向上を図るよう、法律をもって、行政情報開示請求する国民の権利について定める必要があるというのが、繰り返すようですけれども、それが今の私ども情報公開法の目的でございますが、法律制定することによって、その不開示情報範囲を縮減して明確化するという効果があると思います。  さらに、開示請求をしょうとする者の利便を考慮した行政体制の整備を促すという効果があるというふうに、この法律を定めることによってそういう効果があるというふうに考えております。  以上でございます。
  154. 上田勇

    上田(勇)委員 今のいただきました御答弁で、やはりぜひともこの法律を定めて、情報公開を進めていかなければいけないという意味合いがよくわかりました。  それで、これまで過去の経緯を調べてみますと、実は情報公開に関する法案というのはかなり以前から議論になっておりまして、昭和五十六年に初めて議員立法として提案がされて以来、野党が中 心ではありますが、たびたび法案提出されてまいりました。しかし、いずれの場合もこれまでは廃案となってまいりましたけれども、なぜそういうような取り扱いになったんだろうか、その辺の理由はどういうところにあるというふうにお考えか。共同提案の提案者の方からぜひ御意見を伺いたいと思います。
  155. 北村哲男

    北村(哲)議員 今までたびたび廃案になってきたということでありますが、一九八〇年、民社党の公文書公開法案以来、社会党を初め何度か、数々の政党から提案されました。このころはまだ、もちろん本気でつくろうという気はあったのですけれども、まだまだ世論の支持というのはそう大きくなくて、ともかくつくろう、つくりたいという意見での議員立法であった。  しかしながら、画期的なのは、一九九三年に、参議院がちょうど与野党逆転したときでありますけれども、社会、公明、民社、日本新党、社会民主連合、民主改革連合の当時の野党の六派が参議院で出した行政情報公開に関する法律案というのがありました。これは、当時もう既に法律のないところでも自治体レベルの条例でいろいろな実績があるものを踏まえて、二年以上も検討した結果、吉時の野党が総結集をして、参議院でこれを可決しよう、そして衆議院に攻め上ろうという戦略でつくり上げた画期的なものでありました。  しかし、それで野党ではかなり盛り上がったのですけれども、当時の政府、総務庁の態度は非常に冷たいもので、こんなものができるわけがないという態度、雰囲気であったことを覚えております。当時、参議院ではアメリカなどにも調査に行ってつくり上げたということを、私が当時の社会党の提案の責任者であった点で、よくそれは覚えております。  しかし、これは衆議院の解散とか総選挙で廃案になりましたけれども、その後誕生した細川政権でこの思想が受け継がれて、本格的な検討に入るきっかけとなって、民間レベルでも、日弁連あるいは自由人権協会あるいは国民会議というところで、情報公開の立法の動きがどんどんどんどん広がっていったという経過がございます。  そして、一九九四年十一月に参議院で行政改革委員会設置法が成立して、九五年三月には行政改革委員会の中に行政情報公開部会が設置された、そういう経過がございます。そしてその後、九六年十二月十六日に首相に対して要綱案の具申、答申が行われて、約一年半を経て今日に至ったという経過があります。  少し長くなりましたけれども、もう少しその説明をさせていただきます。  なぜ廃案になったかという点でございます。これは一言で言うと、その間において、行政当局が非常にこの法律に対して後ろ向きの姿勢であったということがわかります。それによって今日まで阻まれていたと言うよりほかないだろうというふうに思います。  例えば、行政情報公開部会の各省庁ヒアリングではどういうことが言われたかといいますと、行政機関内部の意思決定過程あるいは研究、事務の遂行過程にある情報云々、この種の素案や精度の点検が不十分な資料あるいはデータの公開国民をミスリードするとか、特定の人の利益に不利益を与えるなどから、あるいは内部での検討の自由度を失わないために、原則公開すべきではないと考えるというふうな通産省の意見。あるいは、行政機関に任意に提出された情報とか、公開すれば行政運営に支障を生ずるものがとても多いのだというふうな通産省の見解。あるいは、公開によって会議などにおける独立かっ公正な立場から自由な討論の場が確保できなくなるおそれのあるものが非常に多いのだ、したがって審議会なんかの議事録あるいはその審議会に提出された資料は非公開にすべきであるという、これは法務省の見解なんです。  こういうふうな見解が、非常に後ろ向きなものが各省庁みんなありまして、結局その足を引っ張ってきたという経過がありまして、なかなかできなかった。  しかし、この間、むしろ政治側のリードでここまで持ってこられた。もちろんそれについては総務庁ほかの省庁の協力もあったと思いますけれども、ここまで来たことについては大きな評価をしたいと思っておりますが、今までの経過はそういうことであります。  以上でございます。
  156. 上田勇

    上田(勇)委員 今二つのことを提案者の方にお伺いしまして、その答弁の中で、最近になっても、つい最近まで行政の方が後ろ向きであったということをかなり具体的に御指摘があったのですが、もしこの点について政府の方からコメントがあれば、お願いいたします。
  157. 小里貞利

    ○小里国務大臣 先生も御承知のとおり、情報公開制度のいわば本質的な役割、その効果につきましては、もう随分早い時期から国会内外で主張されてまいった経緯があります。しかしながら、先ほど野党の皆さん等のお話をお伺いいたしましても、複雑な起伏がありました。その間におきまして、政府側あるいは役所側におきまして、若干の抵抗などがあったのじゃないかという意味お尋ねであろうかと思うのでございます。  今日におきましては、この法案を出すにつきましては精力的な協力をしていただいた。お互いに作業の精査に努めたというその前提がありまして初めて今日の法案国会提出するに至ったわけでございまして、もろもろ、内外の経験に富む御意見ども参考にしながら、本法案が成立いたしましたなれば今後の運用等に十分努めてまいらなければならぬ、さように思っております。
  158. 上田勇

    上田(勇)委員 これまでの経緯について先ほど提案者から伺いましたが、政府の方としても今回その法案提出に、ここまで持ってきたということについては大いに前進があったという、そういう面では評価したいというふうに思います。  次に、これから法案の中身について何点か御質問をさせていただきますけれども、ちょっと時間の関係もございまして通告してあるもの全部に及ばないかと思いますので、その中から何点か選んで質問をさせていただきます。  まず、政府の方にお伺いをいたしますけれども、この政府とそれから議員立法との大きな差の一つが、対象機関に特殊法人を含めているか、あるいは外しているかという違いがございます。特殊法人は、それぞれが法律で定められて設立されたものであって、行政の一環を担うものであるというふうに私は理解しているのですが、政府の方でこの情報公開対象からそういった特殊法人を除外した理由は何か。  あるいは、今回同じく総務庁の方で提出されております中央省庁の再編が行われると、例えば今の郵政省は郵政公社という形になる。これは特殊法人になってくるのだと思いますし、またいろいろな今行政分野で行われております各種の独立行政法人が設立されるということになると思いますが、こうした独立行政法人、これはこの今回の法案による情報公開対象になるのか、政府の方からお考えを伺いたいと思います。
  159. 小里貞利

    ○小里国務大臣 行政改革の論議の前後から私は痛感いたしております。いわゆる特殊法人情報公開制の対象にするべきである、これはもうおっしゃるとおりでございます。また、国民も大変強く要望し、緊要の課題だ、こういう認識でございます。  しかしながら、行政機関対象とした本法を特殊法人にそのまま適用することにつきましては、特殊法人が国とは別の法人格を有し、その法的性格、業務内容、国との関係がさまざまであることから、いささか不適当ではなかろうか。そういうことで、御承知のとおり、本法案では、別に特殊法人について情報公開に関する法制上の措置を講じます、また講すべきである、こういうことを言っておるわけでございます。  さらにまた、独立行政法人についてのお話でございますが、与党三党の合意事項において、特殊法人情報公開法の検討の際に両者の関係を整理する、こういうことにされたところでございまして、政府の諸活動について説明責任を確保するものでありまして、独立行政法人政府のもろもろの活動の一翼を担うものであり、その公開性を図ることは不可欠であると考えております。
  160. 上田勇

    上田(勇)委員 ぜひ、今後設立されます独立行政法人は現在行政の中にあるもので、現在であれば対象になる、それが独立行政法人になることによって対象から外れるということがないようにしていただきたいということを要望させていただきたいと思います。  次に、不開示開示されない条項の中の国の安全や外交交渉に関する情報について、これは政府案と共同提案で若干の違いがあります。  一つは、三党の共同提案におきましては、安全や外交交渉に関する情報についても、二十年以上経過したものについては開示するということになっております。一方、政府の方におきましては、期限は設けていないわけであります。もちろん、安全保障や外交に関する文書が必ずしもすべて公開になじまないというのは私もわかりますけれども、一定期間を経過したもの、かなり相当期間を経過したものについては、これは公開することが、その時点においてどういう判断を行ってきたのかということを後から検証する意味では重要なことではないかというふうに思うわけであります。  これについて、三党の共同案の提案者、それから政府の方から、あわせて御見解をお願いいたします。     〔植竹委員長代理退席、委員長着席〕
  161. 瀧上信光

    ○瀧上政府委員 時限公開の仕組みの問題でございますが、行政改革委員会におきましても、この問題について検討をされました。そして、結論としては、「行政文書の作成又は取得からの一定年数の経過を開示・不開示判断基準とする規定は設けない」ということにされたところでございます。その理由としましては、開示、不開示判断開示請求があった都度なされるのであること、そしてまた、一たん不開示とされた行政文書であっても、その後の事情の変化により、開示されるべきものがあることは当然であるとの考え方によるものでございます。  政府案も同様の考え方に立って立案をしたところでございまして、一定期間を経過した場合であっても、当該情報開示することにより、他国等との信頼関係が損なわれる等のおそれがあるのであれば、当該情報は不開示とすべきであり、一律に不開示とされる期間を定めることは適当でないというふうに考えております。
  162. 倉田栄喜

    倉田議員 私どもの案は、原則公開である。この趣旨がどこまで貫徹をされるか。原則公開、例外非開示。そういたしますと、例外非開示範囲はできる限り限定をされなければならないというのは基本的なスタートでございます。  その意味で、例外の中に、今委員指摘の、国の安全、外交、あるいは捜査に関する例外規定を置いているわけでありますけれども、この例外規定につきましても、例えば外交とか安全等というものにはある意味では国益というものがかかるわけでありまして、非常に非開示とされる方向に働きやすい。その面から考えれば、私どもが議論をいたしましたときには、このこと自体が、国の国益であるからとかあるいは安全であるとか国際上の信頼であるからということで、非常にある意味では乱用のおそれもあるのではないのか。そういたしますと、その乱用のおそれというものにやはり一定の歯どめをかける必要がある。  そういたしますと、一定期間経過後はこれは公開するのだという規定を置くことによって乱用のおそれがなくなるのではないかというのが、私どもが議論をいたしまして二十年という期間経過を設けた理由でございます。  もちろん、先ほど答弁ございましたように、国益あるいは外交上の機密等々のものについては、その時々について判断されなければならないということもあり得るのだと思いますけれども、世界の流れの中では、一定期間を経過したものは公開の方向で流れているという方向であるというふうに理解をいたしましたのも、この二十年という期間を置きました理由ということでございます。
  163. 上田勇

    上田(勇)委員 今、倉田先生からも答弁がありましたように、どうも我が国においては、外交情報だ、外交文書だという理由によって情報が余りにも隠されるケースが多いのではないかということを、私は常々懸念しております。その意味で、これは議員立法の案とそれから政府案で、期限だけ、表面上は期限だけの問題でありますけれども、私はどうもそこに、外交情報、これは政府の方は原則非公開というふうに考え、提案者の方の説明は原則公開の中の例外を設けているというような、根本的な考え方の違いがあったような気がいたしました。  一つ例として、「日米コメ交渉」という本があります。これは内容はどういうことかといいますと、ウルグアイ・ラウンドの交渉の最終局面でずっと交渉の経緯を追っかけている書物なんですけれども、実はこの本の初めのところで、前書きのところで著者が言っているのは、いろいろな外交情報外交文書というのが、日本からは入手できないけれどもアメリカ情報公開法によって米政府の部内文書は入手して、それに基づいていろいろストーリーを構築できたということが書いてあります。  やはり、物事の是非を判断する、政策判断の是非を判断するといったときには、その結果と同時に、そこに至るプロセスというのも検証していかないと実はわからないわけでありまして、そういった意味では、そうした外交文書が最終的な政策判断の検証をしていく上で重要な要素ではないかというふうに思うわけであります。  これでやはり気になるのは、日本の方からはなかなか手に入らない同じ内容のものが、アメリカ政府からは入手できたということでありまして、同じ、外交というのですか、国の安全が害されるおそれだとか、他国や国際機関との信頼関係が損なわれるということでも、やはり国によって基準が大分違うのじゃないのかなという気がいたします。  やはり、この法律の文言だけではなくて、外交情報に関する公開の基準を、少なくとも、アメリカではここまでやっているのであれば、それと同じ水準で考えなければいけないというふうに思いますし、どうも我が国の傾向としては、外交関係を損なうという、外交文書であると一概にこれはもう秘密なんだということの傾向がどうも強過ぎるように思うのですけれども政府の方、いかがお考えでしょうか。
  164. 瀧上信光

    ○瀧上政府委員 行政改革委員会におきましては、諸外国情報公開法制についての調査を踏まえて要綱案の規定がつくられたところでございまして、政府案も諸外国情報公開法も、規定の実質的な趣旨内容は異ならないと考えております。  外国情報についての実際の情報公開法施行運用に当たりましては、外国政府と当然調整の上行われることとなると考えられますが、外国政府公開されている情報であれば、他国もしくは国際機関との信頼関係が損なわれるおそれまたは他国もしくは国際機関との交渉上不利益をこうむるおそれがあるとは考えがたく、御指摘のような事態が起こるとは考えておりません。
  165. 上田勇

    上田(勇)委員 何か今の答弁は、外国が見せたら、ではもうそれは秘密じゃないから見せてあげましょうかというふうに聞こえたのですけれども。  しばしば国会でも、例えば外交の公電、どういうことが書かれてあったのかというような質問が出たときに、いや、これは外交文書なので報告することはできませんという答弁が余りにも多過ぎるのじゃないかというのが私の率直な感想でありまして、もちろん、外国公開したものは、それは当然、それに関係することを公開するのは、もう秘密でも何でもないわけですから当然のこととして、その判断を何か外国や国際機関にゆだねるというのは、どうも余り責任ある政府判断とは言えないような感じがいたします。  その意味で、外交情報についてもやはり原則公開されるべきものなんだ、どうしても、他国との関係、あるいはもちろん安全保障の関係、そういったことで非開示公開できないものについてのみ開示できない、この法案で言うところの五条三号に該当するんだという理解で、そういう解釈運用していただきたい。そのことを要望させていただきます。  先ほど答弁の中でも出てきたのですが、こうした外交情報というのは、その時点において、外国との関係や国際機関との関係というのが常に微妙に変化していくものだというふうに思います。きょうはある国との関係においてどうしても開示できない、秘密だけれども、一週間後になってみればそれはもう公開してもいいのだといった性質のものというのはたくさんあるのじゃないかというふうに思うのです。  先ほどちょっと答弁でもあったのですが、ある時点での判断で一たん不開示だというふうに第五条第三号の規定に基づいて決定したものについて、後日、再度請求があった場合に、そのときには改めてもう一度検討し直すんだと。当然、状況の変化等もあるはずですから、必ず検討し直して、その状況の変化を考慮した上でさらに開示されるかどうか、できるものであるかどうかを判断するんだ、こういう理解でよろしいのでしょうか。
  166. 瀧上信光

    ○瀧上政府委員 先ほど申し上げましたように、開示、不開示判断開示請求があった都度なされるものでありまして、一度不開示とされた行政文書であっても、その後の事情の変化により、開示されることはあり得るというふうに考えております。
  167. 上田勇

    上田(勇)委員 それでは次に、この政府案の方の法案の第五条の六号では、契約の事務に関する情報は不開示となっております。  契約ということであれば、しかも政府案の方では特殊法人も除外されておりますので、となると、例えば最近大きな話題になった問題に、一つ日本道路公団の外債発行の幹事社決定、これは契約ですね、それの過程、それからそういった契約条件等の問題がありました。もう一つ、まとめて伺わせていただきますが、昨年ですか、関西空港株式会社において清掃業務の業者決定にまつわる汚職事件がありました。  政府案でいけば、こうした今私が申し上げました二つの事例に関するいわゆる契約に至る過程、そういったものの情報というのは開示対象になるのでしょうか。
  168. 瀧上信光

    ○瀧上政府委員 ただいま御質問にありました情報公開法の第五条第六号は、行政機関がみずからの事務として契約を行う場合の規定でございます。  御指摘のケースで、監督官庁が特殊法人の関係書類を保有している場合には、この情報公開法の第五条の第二号、法人の不開示情報に該当するかどうかということを検討する必要はありますが、いずれにしましても、そういった情報がそれぞれの特殊法人の契約事務等に支障があるかどうか、不開示要件に該当するかどうかといった点については厳正に判断する必要があるというふうに考えております。
  169. 上田勇

    上田(勇)委員 ちょっとよくわからなかったのですけれども。  ただいま私が二つ事例を申し上げました。それについて、その時点で非常に国民は強い関心を持っている問題でもございますし、国会でも取り上げられた問題でありまして、その辺、こうした二つの事例の中において、不正があったのか不正がなかったのか強い関心があるわけです。そうした過程あるいはその結果について、具体的に、もう終わっていることでありますので判断できると思うのですけれども、この二つの事例について開示対象になるのかどうか、もう一度ひとつよろしくお願いします。
  170. 瀧上信光

    ○瀧上政府委員 個別事案につきましてのそれぞれの不開示情報の基準の該当性につきましては、それぞれの行政機関が、開示請求のあった都度、当該情報に係る種々の具体的な事情を考慮して適正に判断すべきものでございます。  したがって、個別案件について法律案の不開示情報に該当するかどうかといった問題についてはお答えしがたいことを御了承いただきたいと思います。
  171. 上田勇

    上田(勇)委員 私は仮定の話をしているわけではなくて、今まであった事例について、今度の法律ができればこれに関する情報開示されるのですかというのを伺っているのですけれども、もちろん、どの部分とかこの部分とか細かい話はあるのかもしれませんが、それは対象としては含まれるのかどうか、それは現時点でもお答えしていただけると思うのですけれども、どうでしょうか。
  172. 河野昭

    ○河野政府委員 先生のお尋ねでございますが、このロのところに「契約、交渉又は争訟に係る事務に関し」とありまして、これは一般的には開示請求対象になるわけでございますが、その後に、「国又は地方公共団体の財産上の利益又は当事者としての地位を不当に害するおそれ」がある場合は開示できない。  今私どもが、お尋ねの件について右か左か申し上げられないと申し上げているのは、御指摘のあった点について具体的な内容等を承知していないので、具体的にどういうおそれがあるかどうかということは今の時点で私どもとしては判断できないということを申し上げているわけでございます。  ただ、一般的に、契約に係るものであればすべて不開示という規定にはなっていない。あくまでも、行政機関の長が、開示することによって個別におそれがあるかどうかという判断にかかわるということを申し上げているわけでございます。
  173. 上田勇

    上田(勇)委員 ちょっと時間の限りもあるのであれなんですが、今の答弁を通じてもう一つ問題になってくると思うのですけれども政府案の中で、第四条第二項で、形式上の不備があったら開示しなくていいというか、すぐに判断しなくていいというふうな条項があります。  これは、形式がきちっとしていないと、つまり今の答弁でもあったのですが、具体的に、このことの、このことの、このことという情報部分まで指定しないと、形式上の不備があるということで不受理になってしまうおそれがあるのじゃないかというふうに感じたのですが、このことについて、行政機関の方が余りにも細かい点まで注文し過ぎると、実際には、一般の国民はこの制度を利用するのは不可能になってしまうのじゃないかというふうに思うわけであります。  今の、先ほどの御答弁からすると、この事案の中のだれだれが関与している部分のこの文書というところまで指定しないと、じゃ、それが公開できるかできないかの基準に、個別に判断できないというふうに受け取れたのですけれども、そう一いった文書まで、特定情報の名前まで特定しなければこの形式上の不備ということに当たるのかどうか、その辺、お考えを伺いたいと思います。
  174. 瀧上信光

    ○瀧上政府委員 情報公開法の第四条第二項に規定する形式上の不備というのは、開示請求書に記載すべき事項が記載されていない、あるいは記載が不十分である場合といったことで、開示請求書が法律に定められた要件を満たしていないということが外形上明らかである場合を指します。  具体的には、ただいま御指摘のありました第四条第一項第二号に規定する行政文書特定するに足りる事項の記載が不十分である場合といったものもこの中に入りますが、この行政文書特定につきましては、開示請求者が的確に行えない場合も容易に想定されることから、行政機関の長が補正を求め、それの際には参考となる情報を提供するように努めることとしておりまして、こういつたことによりまして、情報公開法の円滑な運用を確保することができるというふうに考えております。
  175. 上田勇

    上田(勇)委員 もうそろそろ時間でありますので、まだまだいろいろとお聞きしたいことがあるのですが、要は、やはり情報公開制度というのは、国民が、行政が持っている情報に適切にしかも容易にアクセスできるシステムをつくっていく点にあるというふうに思います。  その意味で、いろいろと先ほどからお伺いしたのですけれども、やはり、行政側が、いろいろな影響があるということで開示できない範囲、これを解釈によって拡大してしまうとこの法律の精神といったものは全然生かされないことになると思いますので、その点、ぜひとも、国民が利用しやすく、しかも、本来すべての行政情報原則公開なんだという原則が守られるような制度として運用していただきたい。このことを要望いたします。  まだいろいろとお聞きしたい点、特に議員立法の方についてもいろいろありましたし、ちょっと時間の関係で共産党提案の方には御質問できなかったのですけれども、そういった点、まだいろいろと疑問の点もありますので、引き続き委員会の中で明らかにしていきたいと思います。どうかよろしくお願いします。  どうもありがとうございました。
  176. 谷津義男

    谷津委員長 御苦労さまでした。  富田茂之君。
  177. 富田茂之

    富田委員 平和・改革の富田茂之でございます。私の方からは、具体的な問題について質問をさせていただきたいと思います。  今、上田委員の方から、不開示情報について何点か具体的な質問がありましたが、なかなか満足のいく答弁が出ておりませんので、ぜひ私には満足のいく答弁を長官にしていただきたいなとお願い申し上げまして、質問に入らせていただきます。  今回の政府案の前提になります情報公開法の要綱案、これが我々に示され、国民の目に触れられて、これまでいろいろ議論の対象になってきたのですが、実は、その情報公開法の要綱案に「第六 不開示情報」という項がありまして、「第五に規定する不開示情報は、次の各号に掲げる情報とすること。」ということで、その中に(2)として「法人その他の団体に関する情報又は事業を営む個人の当該事業に関する情報であって、次に掲げるもの。」というふうに規定されまして、その中にイ、ロとあるのですが、イとして「開示することにより、当該法人等又は当該個人競争上の地位、財産権その他正当な利益を害するおそれがあるもの」というふうに規定がされております。  情報公開法の要綱案では、今読み上げたような、イとして「競争上の地位、財産権その他正当な利益を害するおそれがあるもの」というふうになっておったのですが、今回提案されております政府案によりますと、これが法第五条の第二号のイにおきまして、「公にすることにより、当該法人等又は当該個人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるもの」というふうに、若干ニュアンスが変わっております。  これは、先日のこの委員会審議の中でも御質問が出たようですが、情報公開法の要綱案からこの法案に至る過程でなぜこう変わったのか。そのあたりの経緯について、長官に御説明いただければと思います。
  178. 小里貞利

    ○小里国務大臣 要綱案では、法人等に関する情報の不開示情報につきまして、法人等が有する正当な権利利益は、原則として開示することにより害されるべきではないとの考え方から、当該法人等競争上の地位、財産権その他正当な利益を害するおそれがある情報を不開示情報といたしましたということでございます。  しかし、要綱案に例示する競争上の地位、財産権といった経済的な利益のみならず、当該法人等の有する日本国憲法法律上の権利を保護することをより明確にするために、「財産権」の文言を、政府案では「権利」という文言としたところであります。
  179. 富田茂之

    富田委員 今の長官の答弁に含まれているとは思うのですが、今言われた、「権利」と規定することによって保護されるべき利益を明確にしたんだという御答弁でしたが、この「権利」には一体どういうものが含まれるのか。憲法上の権利は全部含まれるのか。先ほどの御答弁では、要綱案のときには「財産権」というふうに明示されていたので、経済的利益しか保護しないんじゃないかというような疑念も呈されていました。その点も超えて憲法上の権利を全部保障するんだという趣旨でここに「権利」とうたわれたのか。  この「権利」の意味するところをもう少し具体的に御答弁いただけますか。
  180. 小里貞利

    ○小里国務大臣 いわば「権利」が何を意味するのかということであると思うのでございますが、法第五条第二号イでは、法人等に関する不開示情報については「公にすることにより、当該法人等又は当該個人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるもの」と規定いたしております。  このうち、「法人等」には、株式会社、公益法人、宗教法人その他の法人のほか、法人格のない団体が含まれるが、「権利」には、当該法人等の有する日本国憲法法律上の権利はすべて含まれることといたしております。  すなわち、ちょっとくどいようでありますが、憲法が保障する権利、例えば信教の自由、集会、結社、表現の自由などは権利の中心的なものと言うべきであり、当然のこととして、御指摘の本法案第五条第二号イの「当該法人等又は当該個人の権利」として保護されることといたしております。非常に大事なところだと思いまして、くどくどと申し上げました。
  181. 富田茂之

    富田委員 ありがとうございました。  今の御答弁でかなり明確になったとは思うのですが、一つ心配がございまして、実は、平成七年に、この国会におきまして宗教法人法の改正が行われました。その中で、宗教法人の方からなぜ改正が必要なんだというような意見もありましたし、衆議院におきましてもかなり活発な議論をしまして、宗教法人法の二十五条が改正されました。備えおくべき帳簿等が整理されて、帳簿の閲覧権、そして宗教法人から管轄庁に提出されるべき文書規定されました。宗教法人法の二十五条三項、四項、五項が整備されたわけであります。  この規定の審議の過程でかなりいろいろな議論がありまして、どういう人たちに帳簿を閲覧させるかというような点でもいろいろ議論されました。その帳簿の閲覧請求の制度とこの情報公開の制度とが両立しないのではないかというような疑念が今宗教界の方から出ておりまして、その点をちょっと確認したいと思いますので、文部省の方見えていると思いますが、この宗教法人法の二十五条三項、四項、五項、どのような趣旨でこういうふうに改正されたのか、ちょっとお答えいただきたいと思います。
  182. 前川喜平

    ○前川説明員 宗教法人法の第二十五条第三項は、信者その他の利害関係人の閲覧請求権について定めたものでございます。  この制度は、宗教法人の財務会計等の管理運営につきましてより民主的運営や透明性を高めるということが期待されていることから、閲覧することについて正当な利益のある信者その他の利害関係人に対しまして事務所備えつけ書類等の閲覧を認めることにより、これらの者の一層の利便を図るとともに、宗教法人のより適正な運営が行われることを目的としたものでございます。  宗教法人法第二十五条第四項は、所轄庁への書類提出義務について定めたものでございます。  この制度は、宗教法人の事務所備えつけ書類のうち一定のものにつきまして、その写しを毎年度所轄庁に提出することを義務づけたものでございます。その趣旨は、宗教法人が規則等に従ってその目的に沿った活動をしているということを所轄庁が継続的に確認するためのものということでございまして、これによりまして所轄庁がその責任を適切に果たしまして、宗教法人法の適正な運用が図られるようにすることを目的としたものでございます。  なお、所轄庁に提出された書類の内容には職務上の秘密に値するものが含まれていると考えられますので、これにつきましては、公務員につきましては守秘義務が課されているわけでございます。  同法第二十五条の第五項、これは、所轄庁が提出書類を取り扱う場合の留意義務を定めたものでございます。その趣旨は、所轄庁が提出された書類を取り扱う場合におきまして、信教の自由を妨げることがないよう十分留意し、慎重を期すべき義務があるということを示しているものでござい ます。
  183. 富田茂之

    富田委員 今のような趣旨で立法がなされたとすると、今回、情報公開法がつくられることによって、宗教団体から見ますと、所轄庁に対して自分たちがちゃんと規定にのっとって活動しているのだということを示すために文書を出す、帳簿類を出す。ところが、その出された帳簿類は、所轄庁にある文書になるわけですから行政文書になってしまう、行政文書として当然情報公開対象になる。そういうような流れになると思うのですね、情報公開法の流れでいくと。  そうすると、宗教法人法の改正を行って、あの議論をしていたときに、こういうことが全く予想されていなかった。宗教法人法の改正の中でもかなり議論になっていたのに、そこを超えて、今度、情報公開法ができるということになって、宗教団体が例えば文部省に出した書類がそのまま情報公開のシステムに乗ってしまう。これは、本来、宗教法人法のときに議論した議論の枠から完全にはみ出てしまうのではないかというふうに私自身には思えるのですが、そのあたりは、総務庁と文部省の方はどのように考えているのでしょうか。
  184. 瀧上信光

    ○瀧上政府委員 情報公開法開示請求権制度は、ただいま御指摘のありました法人等の権利利益公共利益など、公にすれば国民に不利益をもたらす情報を適正に不開示情報と定め、これ以外のものを公開するという制度であります。  そして、情報公開法では、憲法上の権利である信教の自由についてはもちろんのこと、法人個人の権利利益を適正に保護する仕組みを不開示事項としてとっておりますので、両方の制度として矛盾を生ずることは考えられないというふうに考えております。
  185. 前川喜平

    ○前川説明員 ただいま総務庁の方から御答弁がありましたことと同じことでございますが、私の方から文化庁としての考え方をお示し申し上げます。  宗教法人法の第二十五条第二項によりまして、宗教法人は、その事務所に財務会計等に関する書類を備えつけることとされております。  この事務所備えつけ書類のうち非公知の事実につきましては、これが一般に知られるところとなりますと、当該宗教法人の管理運営に何らかかわりを有しない第三者によりまして、当該宗教法人の宗教活動の態様に対する誹謗中傷でありますとか、あるいは宗教法人の自律的な運営に干渉するための材料と使われるというおそれがございます。したがいまして、この結果、当該宗教法人及びその関係者の信教の自由、特に宗教上の結社の自由が害されるおそれがあると考えております。  こういつたことから、宗教法人法の第二十五条第三項に基づきます閲覧請求制度におきましては、事務所備えつけ書類の閲覧請求権者が、信者その他の利害関係人であって正当な利益があり、不当な目的によるものではないと認められる者に限られておりまして、当該宗教法人とかかわりのない一般人には閲覧請求権が与えられていないわけでございます。  また、この第四項におきまして所轄庁に対する書類提出義務が定められているわけでございますけれども、先ほど申し上げましたとおり、これらの書類のうち非公知の情報につきましては、公にすると宗教法人の信教の自由を害するおそれがある情報であると考えております。  一方、内閣の提出いたしております情報公開法案の第五条第二号のイによりますと、公にすることにより法人等の権利を害するおそれがある情報は不開示情報であるとされておるわけでございまして、ここに言う「権利」には、先ほど来の御答弁にもありましたように、憲法上の権利である信教の自由が当然含まれると考えるわけでございます。したがいまして、宗教法人提出書類は原則として不開示情報に当たることになると考えております。  このように、宗教法人法の閲覧請求制度において一般人が閲覧を請求できない書類につきましては、この情報公開法案情報公開制度のもとにおきましても原則として不開示情報に当たることになると考えられますので、両制度の間の整合性は保たれるものと考えております。
  186. 富田茂之

    富田委員 明快な御答弁をいただきましたので、了解いたします。  長官にお尋ねしますが、平成九年十月三十日付で、財団法人日本宗教連盟の方で長官あてに、情報公開法案立案にあたっての要望書というものを出されたと思います。実は、私の住んでいる地域にこの日本宗教連盟の前の理事長の亀谷荘司先生がお住まいでございまして、宗教法人法の審議のときからいろいろ御指導いただいていたものですから、その先生からこういう日宗連通信というのを定期的に送ってくださるのですが、その中に長官にあてた要望書の文書が入っておりました。実によくできた文書で、多分、法律家が関与して書かれたと思うのですね。  文部省の方が御説明された宗教法人法二十五条三項、四項、五項とこの情報公開法とのかかわり一方について、今のように説明していただければ、「権利」と明示されて、その権利に憲法上の権利も含まれるのだ、今のような御説明を聞くと安心されると思うのですが、当時はそういう状況になかったものですから、この皆さんは、長官あてにこういうふうなことを検討してもらいたいというふうに文書を出されたと思います。  その文書の中に実はこういう部分がございました。「われわれは、先の通達のとおり、公務員の守秘義務が保たれ、提出書類の内容が外部に漏れない限り、宗教法人法第二十五条第四項に基づき定められた書類を所轄庁へ提出するよう準備しております。」宗教法人法の議論の中で、きちんと文部省の方もやってくれるというふうに宗教団体の皆さんも納得されて準備をしている。ところが、情報公開で、もしそれの趣旨を破るような扱いがされるのであったら出さないでおこうかというような議論がこの文書の前提に多分あったのですね。そういうことから、やむにやまれず長官あてに要望書を出されたと思うのです。  この要望書を受けとられて、長官の方はどのように感じられましたか。ちょっとその点をお聞かせ願いたいと思います。
  187. 小里貞利

    ○小里国務大臣 お話がございましたような要望書は拝読いたしました。お話がありましたように、宗教法人関係者の皆様方が、宗教法人から国に提出される書類について、情報公開法制定された場合のこれらの書類の取り扱いについて御心配になっておられたことは十分承知をいたしております。また、中身についても御紹介があったとおりでございます。  そこで、二つお答え申し上げておいた方がいいのじゃないかと思うのでございますが、一つは、宗教法人を初め法人等に関する不開示情報については行政改革委員会でも相当審議をされまして、いわゆる法人等に関する情報開示、不開示判断に当たっては、その活動に対する憲法上の特別の考慮の必要性等、それぞれの法人等及び情報の性格に応じて的確に判断されるべき旨指摘されていたところでございます。そこで、法人等に関する情報の不開示情報については、「公にすることにより、当該法人等又は当該個人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるもの」と規定いたしたところであります。  これは、言いかえますと、信教の自由はもちろんのこと、憲法が保障する権利は、ここで規定している権利の中心となるものとして、当然のこととして保護されることを明確に規定するものであり、適正かつ的確な運用にも十分留意をしてまいらなければならない、さように判断いたしております。
  188. 富田茂之

    富田委員 ありがとうございました。  次の質問に移らせていただきます。  政府案の第七条に「公益上の理由による裁量的開示」という規定がございます。これまでの御説明のように不開示情報規定を設けておきながら、今度は、公益上の理由で裁量的に開示できるのだという規定もまた別個にあるわけであります。せっかく設けた不開示情報が、この七条を恣意的に運用することによって全然意味がなくなつてしまうのじゃないかなというおそれを抱くのですが、なぜこのような規定を設けられたのか。  また、この規定の中に「公益上特に必要があると認めるとき」というふうにうたわれております。これはどのような場合を具体的に想定されているのか。  現時点で明確にできる範囲で結構ですので、御説明いただけますか。
  189. 瀧上信光

    ○瀧上政府委員 情報公開法の第七条の規定は、第五条各号の規定によれば不開示とすべき情報であっても、別の公益上の観点からは公開した方が適当な場合があるとの考えに基づくものでございます。この点につきましては、行政改革委員会意見においても、個別具体的な場合においては、不開示情報規定により保護される利益に優越する公益が認められる場合があり得ることから、行政機関の長の高度の行政判断により開示することができることとすることが合理的である旨を指摘されているところでございます。  ただいま御指摘の「公益上特に必要があると認めるとき」というのは、あらかじめ具体的なケースを想定して規定を設けているものではございません。  実際にこの法律の第七条の規定を適用するに当たりましては、個々の不開示情報規定による保護利益性質内容を考慮し、これを不当に侵害しないようにしなければならないことは当然のことでありまして、特に個人の人格的な利益、その他憲法上保障されている利益につきましては慎重な配慮が求められるものと認識をいたしております。
  190. 富田茂之

    富田委員 今のようにきちんと限定的にぜひ運用していただきたいと思います。  行政機関の長の高度な判断でできるということになると、一般人から見れば全然わからないのが、行政機関の長は、私が高度な判断をしたのだということで運用することになると、せっかく設けた不開示情報が全く意味がなくなると思いますので、ぜひ運用に当たっては注意をしていただきたいと思います。  この件に関して三派案の方についてもちょっと質問をしたいのですが、三派案の方の第四条の第一項二号に、先ほど私がお聞きした政府案の方の不開示情報範囲についてと同じような規定があります。この三派案の立法趣旨と、政府案と比較した場合に不開示範囲が広がるのかあるいは逆に狭まるのか、この点をまずお聞かせください。
  191. 倉田栄喜

    倉田議員 立法趣旨につきましては、今政府委員からお答えいただきました内容とほぼ同じでございます。ただ、委員指摘のように、私どもも、いわゆる大臣の恣意的裁量権によって、いわゆる大臣開示権みたいな形でこれが乱用されてはならないということで、私どもの方もそのことを考えまして、この四条四項の方では「公益上の理由が明らかにあると認める」ということで限定をいたしまして、大臣の裁量的開示であるとしても、当然、恣意的裁量であってはならないわけでありますし、また、その裁量の幅も、私ども政府案よりも限定的に狭くなる、こういうふうに考えております。
  192. 富田茂之

    富田委員 今指摘されました三派案の四条の四項ですが、「開示しないことにより保護される正当な利益に優越する公益上の理由が明らかにあると認めるとき」と、ちょっと政府案の書きぶりとは若干異なっております。何度読んでも、ちょっとなかなか理解しにくい。相当考えてこういう文章にされたのだなというのはわかるのですが、ここで言われている「保護される正当な利益」、片方にそれがある、またそれを超える「公益上の理由」というふうに挙げられております。  先ほど政府案の方の答弁でもちょっと似たような答弁があったのですが、「保護される利益」と「公益上の理由」というのが比較対象になるものなのか。また、それを超えるというような判断ができるのかという点がちょっと疑問に思うのですが、その点については三派案の提案者はどのように考えているのでしょうか。
  193. 倉田栄喜

    倉田議員 確かに、御指摘の点は大変難しい話でありまして、私どももこの点を議論するときに実は大変考えたところであります。  趣旨は、先ほど申し上げましたとおり、非常に限定的に、恣意的裁量権で開示がされてはならないということが基本にあるわけでございまして、要するに「保護される正当な利益」と「公益上の理由」という比較考量がそもそも可能なのか、比べることができるのか、こういう御懸念だと思いますけれども、要は非常に程度が高く重いものである、そういうことで御理解をいただければいいのではないのかと思います。  もう時間がないかと思いますが、ではそういう具体的なケースがあり得るのだろうかということであわせて申し上げさせていただきますと、先ほど上田委員の方から、例えば外交あるいは防衛、安全上の秘密等々で時期時期変わるケースがあり得るのではないのか。ある時点では非開示であったけれども、ある時点では逆に開示をすることが国際間の信頼を維持することに役立つことがあり得るかもしれない。そういう問題に関して、非開示であったものが開示されるケースがあり得るのではないのか、こういうことを考えながら規定をいたしました。
  194. 富田茂之

    富田委員 わかりました。  次の質問に移らせていただきますが、行政機関の保有する情報公開に関する法律施行に伴う関係法律整備等に関する法律案、こちらの方の第七条、これについて政府の方にお尋ねいたします。  この条項によって、刑事訴訟に関する書類及び押収物について情報公開法の適用がすべて排除されております。なぜこのような規定を設けたのか、その点まず御説明ください。
  195. 瀧上信光

    ○瀧上政府委員 整備法の第七条で、刑事訴訟に関する書類、押収物について情報公開法規定の適用を除外した立法趣旨でございますが、刑事訴訟に関する書類につきましては、個人情報等の情報公開法の不開示情報に該当するものが大部分であります。  そして、刑事司法手続の一環として、被疑事件、被告事件に関して作成された書類でありまして、その適正確保は、司法機関である裁判所により判断されるべきものである。そして、刑事訴訟法は、裁判の公正の確保、訴訟関係人の権利保護等の観点から、訴訟に関する書類を公判の開廷前に公開することを原則禁止する一方、事件の終結後においては、一定の場合を除いて何人にも訴訟記録の閲覧を認めております。そして、この閲覧を拒否された場合の不服申し立てにつきましては、準抗告の手続による。  そういったことを理由としますとともに、今申し上げましたように、その開示、不開示の要件、そして手続につきましては完結的な制度が確立をしているために、情報公開法の適用除外としたものでございます。  押収物につきましても、同様に完結的な制度が確立しているということから、情報公開法の適用除外としたものでございます。
  196. 富田茂之

    富田委員 この点はこの審議の中でよく検討していただきたいと思うのですが、今の答弁はちょっと事実と反するところがあるのですね。確定記録はだれでも閲覧できるというのですが、実際、確定記録の閲覧を申し込んだ場合に、かなり拒絶されている例が多い。事実上全面拒絶と言ってもおかしくないような状況にあるのですね。  不服申し立て、準抗告できるといったって、それをけられれば終わりなのですから、基本的に情報公開されていないと思った方がいいのです。全部個人情報に絡むのだと言われますけれども、そうではない客観的な証拠も刑事訴訟の記録の中には物すごく多くあるのですね。そういうことを考えると、全面的に適用排除というのはどうなのかなと。この委員会でぜひこれから議論をしていっていただきたいと思います。  そして、今の答弁で、司法の方の、裁判所判断によるべきだというふうに言われているのですが、実はこの国会に民事訴訟法の一部を改正する法律案提出されておりまして、その二百二十条の第四号ホにおきまして、刑事事件に係る訴訟に関する書類、少年保護事件の記録及び押収文書について、文書の所持者は提出義務を負わないというような規定がこの改正案に入っているのですね。民事訴訟法の方でもこれは出てこない、情報公開でも出てこないというふうになっているので、すよ、今の状況では。これで民訴法の改正案が通ればそうなってしまう。  この民訴法の改正についても、平成八年に民事訴訟法の改正案が国会で審議されました。そのときに、この民事訴訟法の二百二十条というのは、与野党挙げてこのままではだめだと、情報公開法がこの二年以内に出てくる、その情報公開法にかなりおくれる規定になってしまうから、与野党挙げて修正して、この部分については情報公開法とあわせてまた法務省の方から提出してもらおうというふうになったのですが、そういうふうにして法制審にかかったのに、なぜか突然、刑事記録は対象外だというふうにされているのですよ。  まあ法務委員会の方でまだ審議されていないようですが、これが審議されていくと、情報公開法とこの民訴法の改正案が通ってしまうと、もう刑事記録に関しては一切出てこないというような状況になるのですね。ぜひ内閣委員会の皆さんもそこを注意していただいて、これが何とか出るような方向に両方とも修正していただければなというふうに思います。  平成八年の民訴法の改正の審議の際、いろいろな意見が出て、それを参考に法務省の方も提案されたはずなのに、なぜこういう情報公開の流れに逆行するような規定になっていったのか、ぜひ法務省の意見を聞きたいのですが、どうですか。
  197. 菊池洋一

    ○菊池説明員 お答え申し上げます。  今の国会提出させていただいております民訴法の改正法案の中に、ただいま委員指摘のような規定が盛り込まれているわけでございますが、これは、これも御指摘のとおり、平成八年に民訴法の全面改正をさせていただいた際の国会の御審議の結果、いわゆる公文書文書提出命令の制度については「行政機関の保有する情報公開するための制度に関して行われている検討と並行して、総合的な検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。」という定めが附則に設けられたわけでございます。  お尋ねの点でございますが、今ここで御審議いただいております整備法案の七条につきまして、先ほど総務庁の方から御説明がございました趣旨と同趣旨で民事訴訟法の法律案も考えておりまして、私ども言葉で説明させていただきますと、刑事関係の文書といいますのは関係者の名誉やプライバシーに非常に深く立ち入った内容であることが多うございますので、それらの関係者の利益ということを考える必要がございますし、加えまして、適正な捜査や刑事裁判の実現という観点も必要なわけでございます。  そういったことを考えまして、今提出させていただいております民訴法の改正法案におきましては、刑事関係の文書文書提出義務の例外というふうにさせていただいているところでございます。  なお、御指摘のとおり、刑事関係につきましては、刑事訴訟法それから刑事確定訴訟記録法におきまして、ただいま私が申し上げました問題点をも踏まえまして自己完結的な公開制度を設けているところでございますので、今の民事訴訟法案内容が特段情報公開の流れに逆行するというようなものではないというふうに私どもは考えているところでございます。
  198. 谷津義男

    谷津委員長 時間が来ておりますので。
  199. 富田茂之

    富田委員 質問時間が来ましたのでこれで終わりますが、一点だけ。  今のふうに考えて、この整備法案の七条が通って民事訴訟法の改正もされたときに、実際、現行法曹三者の協議で、不起訴記録、交通事件の不起訴事件でも、その不起訴記録の中に実況見分調書があります。その実況見分調書については、弁護士法二十三条の二の照会制度で現実問題としては今出ているのですが、この情報公開法の関連法案の七条、そして民訴法が通ってしまうと、そういう記録すら一般の人が見ることができなくなるのか、その点懸念がありますので、その点だけお答えいただいて、質問を終わりたいと思います。
  200. 勝丸充啓

    勝丸説明員 不起訴、不提出記録につきましては、刑事訴訟法は原則として非公開とされておりますが、弁護士法第二十三条の二に基づく照会がありました場合には、従来から交通事故の実況見分調書等につきまして、代替性がない客観証拠であることや民事上の権利行使のため必要であること等を勘案いたしまして、その照会に応じているところでございます。  ところで、今回の法律及び民事訴訟法の一部を改正する法律が成立いたしましても、弁護士法二十三条の二に基づく照会に関しまして、ただいま申し上げました従来の取り扱いが変更されることは一切ございません。
  201. 富田茂之

    富田委員 ありがとうございました。
  202. 谷津義男

    谷津委員長 御苦労さまでした。  次に、鰐淵俊之君。
  203. 鰐淵俊之

    ○鰐淵委員 自由党の鰐淵でございます。大変御苦労さまでございます。  この情報公開法というものが政府の方から提案されたわけでありますが、御案内のとおり、この情報公開、自治体含めて、公の公開というのはむしろ地方自治体の方が先んじておる、私はこのように理解しております。恐らく私の記憶では、早い町では十六年ぐらい前に最初につくっておる町があるわけです。これは十分完全なものではない、不完全なものであるかもわかりませんが、住民に公開するという制度を既にもう十五、六年前につくっている。  現在は、御案内のとおり、都道府県、聞きますと愛媛県だけがちょっとまだあれですけれども、ほとんどの都道府県はもうこういうものができておる。それから、市もやはり六百二、三十ですかありますが、このうちの四分の一はもうできておる、このように思います。したがって、政府のこういった情報公開の制度案を出すというのは遅きに失した、こういうふうに私は感じざるを得ないわけでございます。  なぜかといいますと、これは、薬害問題のああいう国民の不信の点がありましたし、住専初め大蔵省の数々の非難を浴びるような事件もございましたし、厚生省の社会福祉法人にかかわる不正な事件もございました。こんなものが数々発生しておりますので、どうしてもこれはやはり情報公開という制度を設けることによって、みずから行政情報の透明化を図って、公務員は国民に奉仕するという立場にあるわけでございますから、できるだけそういったものを未然に防ごう、こういう趣旨一つあるのではないかと私は思うのであります。  そこで本題に入りますが、すなわち、この情報公開法の目的というものは、行政情報のアカウンタビリティー、いわゆる説明責任というのでしょうか、いろいろな情報国民開示するんだ、こういうことが基本にあると思うわけであります。どうしても開示してはならないものは、今言った不開示情報、プライバシーの保護とか、いろいろ担保されております。  目的には、国民主権の憲法の理念のもとに書かれておりますが、この知る権利というものについて、政府案はあえて書いておらない。しかし、私どもは、この政府案の目的を読みますと、当然もう知る権利もその中に包含しておるのではないかというぐあいに思います。そういう意味では、なぜあえてこの知る権利というものを明記しなかったのかということについて、政府案について、長官の御答弁をいただきたい、このように思います。
  204. 小里貞利

    ○小里国務大臣 お話がございましたように、行政状況をできるだけ全貌に近い形で国民に知らしめる、そしてまた国民行政の実態なりそれぞれの課題について十分御叱正をいただく、これは本当に大きな原則であろうと思うのです。  他方、いわゆる知る権利という文言を法律に用いるかどうかは、従来、憲法上の権利として行政情報に対する開示請求権が保障されているかどう かという学説上の論議と不可分となったところであります。しかるに、このような行政情報開示請求権という意味での知る権利が憲法上保障されているか否かについては、なおさまざまな見解があるというのが現状でございます。先般来御説明申し上げておりますとおり、最高裁判所の判例等におきましても、行政情報開示請求権を意味する知る権利を認めたものはないという状況であります。  このような状況を踏まえて、行政改革委員会専門家の方々も、知る権利という文言を法律上の  文言として用いないとされたところでありまして、政府としても、同様の考え方から、情報公開法案において知る権利という文言を用いなかったところでございます。
  205. 鰐淵俊之

    ○鰐淵委員 政府のその見解についてはたびたびお聞きしておりますが、全くいつも同じ答弁であります。恐らくそれ以上逸脱できないのだろうと思いますが。  私は法律専門家ではないのですけれども、こういった法律を出すのは、一体この情報公開というのは行政の側に主体があるのか、あるいは国民の側に主体があるのかということを考えた場合に、私は、こういう法律国民の側に主体があると思うわけであります、行政の側に主体があるわけではないと思うのですね。  そうすると、国民の側に主体があるということになれば、せっかく国民主権の理念に基づきということが書かれておるとすれば、そこまで踏み込んでも、最高裁が開示請求権を認めておらないということが一つの大原則になっておられるようですが、私は、入れてもさほどの問題は起きないのではないか、そう思います。  そこで、三派案、共産党案につきまして、それぞれひとつ御説明いただきたいと思いますが、野党案におきましては、いずれも知る権利を明記しております。この目的に明記することによって、この法律の法益といいましょうか、あるいはまた意義といいましょうか、これを入れることによってどのようにその法律が生きてくるかということですね、実際に。したがって、その辺をひとつそれぞれの提案者に御説明いただきたいと思います。
  206. 福岡宗也

    ○福岡議員 お答えをいたします。  実質的に目的のところに知る権利を入れる意義についてでございますけれども、これはもちろん理念的にも大切なごとでございますけれども、単にそういう面だけでこれを盛り込まなければならないんだと言っているわけではないのです。やはり法律の目的というのは、その各条文の解釈というものの一つの大きな基準をなすものであります。  したがいまして、公開請求権の基本的な権利として知る権利というものを明記するということになりますと、憲法で保障しておりますところの表現の自由というものを根拠にする、受け手の国民の側の行政情報公開を要求する具体的な権利、請求権があるんだということを法律に明記するということになるわけでございます。このような強力なといいますか、憲法上保障された権利であれば、これを制限するところのいわゆる非公開事由の要件というものは極めて厳格に解釈をしなければならないということになるわけであります。  そして、実際の実例も、いろいろ学者によって分析をされておりますけれども、事例として、地方公共団体において、条例の目的に知る権利を明記した地方公共団体と、これを明記していない公共団体では、明らかに裁判所判断に違いが出ておるということのようであります。  特に、知事の交際費に関する会計帳簿の公開に関しての裁判所判断がございますが、その第一番は、知る権利が条例に明記してあります大阪府の事件につきましては、憲法二十一条に基づき知る権利を認めている、そして、当然そういう権利であるからこれは公開すべきなんだという結論、中間の理由は省略しまずけれども、そういうようなことで判断がされております。  しかしながら、知る権利が条例に明記されていない栃木県の例では、これは単に条例によって創設された権利であって憲法上の権利ではないんだということで、条例解釈上これは除外をしていいんだというような形で、明らかにもう出ているわけであります。  それからさらに、問題は、事例的にどういうぐあいに適用をされるかはどうかといたしまして、政府案では、明確に、国民主権に基づいて民主的な行政を推進するための行政監視権の問題ということを明記しているわけですけれども、我々はそれでは狭過ぎると言っているのですね。  それだけではなくて、それも重要なことですけれども、それだけではなくて、国民の享有の権利として、いわゆる行政情報というものを利用し、自分の生命財産等の維持それからさらにはいろいろな被害を受ける予防というような問題にも積極的に利用できる、そういう幅広い権利としてこれを確立する必要があるという観点から、やはり知る権利の明記はそういう面からも非常に重要である、かように考えている次第でございます。
  207. 松本善明

    松本(善)議員 お答え申し上げます。  委員が、専門家ではないかと言われて、知る権利の問題を触れられたのは、大変大事なんだと私は思います。といいますのは、国民の目線から見てこの知る権利というものはどういうものかということをおっしゃったのだというふうに思うわけでございます。政府案でも、国民主権の理念ということを言っております。主権者であります国民行政情報を知るという権利がある、これはだれでも国民が皆そう思うのだと思います。それを率直に述べられた。  それが法律的に構成をいたしますと、先ほど来言っているような問題になるわけでございますけれども、いわばこの問題の根本でございまして、国民の側から行政情報を知る、そういう権利としてこの法律を見るか、それとも、国会で限定的に幾つかの部分だけに限って国民に知らせてやる、こういう立場に立つかという、いわば国民主権の立場を徹底するかどうかという問題であろうかというふうに思います。  そういう点で申しますと、結果的にはどうなるかといいますと、政府案それから三党案、我が党の案、すべて不開示事由というのを全部決めております。知る権利があるからといって何でもすべて明らかにするというわけにはいかない、これは明白なのです。ただ、知る権利を決めるということになりますと、情報開示することが原則だ、そして不開示は限定的に解釈すべきだ、厳格に解釈すべきだ、こういうことになろうかと思います。  知る権利を規定いたしませんと、これはその逆になって、原則と例外が逆になる、法律で認めたものだけを開示する、こういう立場になりますので、これは行政当局の側の考え方。ですから、本来行政当局、政府が提案するよりは、各党が国会議員提案として提案すべきではないかという意見が出るのは、そういうところがらでございます。  政府立場の根拠は先ほど来最高裁の判例に求めておりますけれども、これは三権分立の立場から考えますと、立法機関が独自に判断をしてこの法律をつくるというのは当然のことでありまして、最高裁の後追いをするというようなことでは立法機関の責任を果たすことはできないのではないか、こういうふうに考えております。  以上でございます。
  208. 鰐淵俊之

    ○鰐淵委員 皆さんありがとうございました。よくわかりました。皆さんも、三つの案、政府案、野党案を入れて、知る権利の考え方というものが大体わかったのではないか、このように思います。  そこで、今、最高裁で判断されたということは、司法判断で絶対的なものはあろうかと思いますが、これは、必ずしも最高裁の判断が未来永劫同じに判断されるとは限らないと私は思うのです。また行政訴訟等が起きて最高裁まで行ったら、今度は、やはりそれは開示すべきだというような判断も下らないという保証はないわけであります。  そういうような最高裁の判断に差異が出てきた場合には、政府案として、またこれは知る権利の明記というものについて云々されることになるわけでありますが、そういった点については、いかがお考えでしょうか。
  209. 瀧上信光

    ○瀧上政府委員 知る権利につきまして今さまざまな考え方があるという状況のもとで、例えば、開示請求権は憲法から直接発生するという考え方、あるいは抽象的権利説として、開示請求権は憲法上抽象的権利にとどまり、法律制定によって初めて発生する、そしてその権利の内容、手続は法律に依拠する、それから消極説として、開示請求権は憲法上の権利ではなく法律上の権利であるというような考え方、いろいろと知る権利の類型がございます。  それとともに、知る権利の憲法上の根拠につきましても、きょうの国会の審議の中でもいろいろと出ておりますが、表現の自由の二十一条、それから国民主権説、あるいは参政権、それからすべての基本的人権等々、いろいろなさまざまなこういう考え方がある中で、そういった憲法解釈として確立しているかどうかといった前提を抜きにして、法律規定をして解決を図るべき問題ではないのではないかというふうに考えております。
  210. 鰐淵俊之

    ○鰐淵委員 私は、この質問についてはちょっと締めてみたいと思いますが、国会というのは立法府でございますから、多数決の原理で法律をつくるわけでありますが、そのときに、やはり後々に問題を引き延ばさないような法律をつくらなければいけない。  ですから、必ずしも司法判断というのは、三権分立てございますから司法判断はあると思いますが、国会でつくる立法というものは、やはり立法そのものは優先すると思うのですね。それをどう解釈するかが最高裁の判断だ、こう思うわけでございます。したがって、私は、できる限り国民主権の立場に立って、国民側に立った情報公開というものを確立する必要がある、そう思いました。  そのためには、私も長い間経験しておりますが、こういう情報公開によって、のぞき見的な悪用、情報をとってそれを非常に悪用する例もまたあるわけです。あるいは、個人的なプライバシーについて、またこれもあえて公表したりするような人もあるということですから、厳にそういった個人情報的なプライバシーは保護し、それからのぞき見的なもの、こういったものはどうしても排していかなければならぬ、このように思います。  しかし、今、各答弁者が述べましたように、情報公開というのは、できるだけ開示をしていくというのが原則であり、非開示をだんだん広げていくとか、行政裁量によってこれは出す出さない、行政がいつもこれに対して裁量を持つというのは、どうも情報公開法というものが不活発になるといいましょうか、そういうようになっていくと私は考えますので、私の立場としては、ぜひこういった知る権利という立場を明記していただければ幸いだな、このように思うところであります。  さて、続きまして御質問でございますが、この政府案におきまして情報公開対象機関から特殊法人が除かれております。これは御案内のとおりであります。そして、これは二年後別途法整備をする、こういうぐあいにうたわれているわけであります。  私はいつも思うのですが、特殊法人は、会計検査などで調べると九十前後ありますでしょうか、そしてほとんど政府が一〇〇%出資、そういう法人が非常に多いわけであります。ですから、言ってみると、特殊法人もほとんど、国民の側から見れば、政府がやっているような事業と見てもいいのではないかと思います。  ただ、直接政府がやるのではなくて、例えば道路公団のように、道路の使用料、高速料金、使用料とかこういうのがありますから、そういうのは直接の官庁になじまないかもわかりません。しかし、それは国民側にとっては情報としては知りたい。それがないがために、道路公団は莫大な借金を残していて、そして下請の方はみんなもうかっているというああいうスタイルが出たり、そして非常に苦しい中でも、例えば人件費なんかは非常に高い人件費を払っているとか、どうも私どもが見ますと、理解のできない点が多々あるわけであります。  そういう意味で、今回の公開法の中に特殊法人を、私は、政府が二分の一を出資している特殊法人はぜひひとつ、中央省庁の伝統的な行政機関と同様のかかわりを持っているということで、これも対象機関にすべきではないか、こういった点につきまして、ぜひ長官並びに野党案の皆さんにお聞きしたいと思います。
  211. 小里貞利

    ○小里国務大臣 おっしゃるように、特殊法人情報公開法制定国民からの要望が非常に強い、緊要の課題だ、そのように思っております。  なおまた、今先生御指摘のように、政府が二分の一以上出資云々のお話でございますが、大変私はボリュームのあるお話だ、そういう感じを持ってお聞かせをいただいたところであります。  本法案国会制定いただきました後、二年以内に云々の話がございますが、必ずその方向で、特殊法人もその対象として実現することを私どもは念願いたしておるところでございます。  先ほどお聞かせいただきましたような趣旨あるいは方向を十分わきまえながら対応しなければならぬ、さように思います。
  212. 福岡宗也

    ○福岡議員 お答えを申し上げます。  野党三党案といたしましては、第二条の二におきまして、特殊法人をその対象に加えております。すなわち、先ほど先生の御指摘にありましたように、出資の割合、役員の選任等について政府に支配をされているものについては、全面的に対象にいたしているわけでございます。そして、その理由とするところは、まさに、これも先生の御指摘にありましたように、その公的性格ということにあるわけであります。  特殊法人は、法律によって行政の一定範囲の行為を執行していくということについての法人でございまして、大部分は公的な執行というものを職務としておるものでありますし、そのために国から出資金または運営資金等も高額なものが支出をされているというのが実態でございますので、当然、主権者としての国民の監視を受ける、中身を明確にしていくという責任があるということでございますので、これを除外してしまったら、本当に、情報公開の目的の半分は失われてしまう。  そのような結果を招くということで、直ちにこの基本法の中に盛り込んで、すべて対象にしていく。二年待って、そこで見直していく、そういうことでは、その間何かの問題があった場合、これに対処する方法がないということであります。そういう意味で、ぜひとも、これは早急に実現をしたいというふうに思っておる一つの項目であります。  お答え申し上げました。
  213. 倉田栄喜

    倉田議員 若干補足をさせていただきます。  特殊法人についての基本的な考え方でございますけれども、この法律で、原則対象とする。ただ、この委員会の中でもさまざま議論が出ておりますけれども、特殊法人といえども、さまざまな形があるのではないのか、それを一律対象とすることについていかがなものだろうか、こういう議論があるわけであります。  私どもが考えましたのは、特殊法人といえども、例えば株式会社形態のものがある。株式会社形態のものは、株主総会等々、いわば非常に自律権のあるものでありまして、これを全面的に公開することによって、いわゆる株主総会荒らしみたいな形で株主総会の自律権が害されてはならない。そういうわけで、第二条一号二のところで、商法の適用を受ける法人であって、いわゆる株式会社形態みたいな法人であって、それは原則適用除外ですよと。  ただ、そういう株式会社形態のものであったとしても、先ほど先生が、出資の二分の一というお話をなさいましたけれども、出資の割合、役員の選任等について政府に支配されているものについてはやはり対象になるべきではないでしょうか。基本的にこういう考え方で、第二条一号二に規定をいたしました。
  214. 谷津義男

    谷津委員長 鰐淵委員にお願いがあります。  野党案と申しますと、実は二案出ているわけでありまして、ひとつ、分けて質問をいただきたいと思います。
  215. 松本善明

    松本(善)議員 特殊法人の職員は公務員と同じように考える、こういう立場で、第五条に私ども規定をしております。
  216. 鰐淵俊之

    ○鰐淵委員 私、最初、特殊法人については質問になかったと思いますので、大変失礼をいたしました。  特殊法人の全体のお金の使い方というのは、言ってみれば、第二の政府というように言われるほど、大変大きなボリュームのお金を扱っているわけであります。そこで、商法のような、今おっしゃったものまで開示せいということではなくて、少なくとも、政府責任を持って運営する、例えば事業団とか公団とかありますね、そういったものに限定しても、やはり特殊法人開示しなければいけない。今までいろいろな世間的な問題を出している状況を見ますと、やはり情報開示がおくれている。あるいは、情報を知ろうと思ってもそれは全然開示しない、また開示する根拠もないということですから、情報が全然とれないわけですね。とれない間に大きな問題を起こしている。  ですから、そういうことがあれば、そこに働いている方々は、それで縛られるということではないんですが、情報が全部公開されると、自分たちもやはりしっかりしていかなければいかぬなという気持ちにもなってくるのではないか。未然にそういったことを防ぐことにもなるのではないか。そういう意味で、特殊法人というのはぜひ入れるべきである、私は個人的にそのように考えているわけであります。  さて、次に進めまして、今度は、この情報公開法とは直接かかわってきませんが、非常に大事なことがございます。  今、ゴールドプランにおきまして、高齢化でもって介護保険制度が発足しまして、いわゆる社会保障費含めて膨大な国費が投入されます。この投入される受け皿は何かというと、ほとんどが社会福祉法人。例えば特別養護老人あるいは老人ホーム、老健施設、あるいは介護支援センター、これは自治体がやっているのもありますが、これからはますます、自治体よりはそういった法人、こういつた方にどんどん広がっていくと私は思います。  しかし、そこに入るお金の大宗は、国、都道府県、市町村ということに相なります。あとは一部負担ですね。一部負担は残りますけれども、例えば老健施設なんか、一人二十七、八万入るわけですから、そして、あと個人の負担はわずかですから。そういうことで、大宗、国が、国というか公共機関が出す法人について情報公開するすべがないわけです。都道府県にももちろんありません。市町村にもありません。  ですから、そういう法人は別途の制度になっていて、どうしてそれをチェックするかというと、内部の監査とか、それから、その法人を監督するいわゆる官庁、例えば都道府県知事とか、こういうことになるわけですが、行政の中だけでの検査ではなかなかわからないものが非常に多いんです。  ということは、社会福祉法人は全国大変な数ですが、中には世襲みたくなっている場合もある。おじいちゃんから息子、息子から弟、弟から今度は兄貴の子供、こういうぐあいに、何と施設長が延々となっている場合もあると思うんです。あるいはまた、理事会は私物化してしまって、理事長の号令のもとにみんな聞く。たまたまその理事長あるいは施設長が何かの商売とかかわったら、その商売のところにみんな物品が行ったり、工事の受け渡しが行ったり。  これは、今ちょっと忘れてきました、例示しようと思ったのですが、これは会計検査院の報告にもきちっと出ています。貸付金を不当に多く貸し付けてしまった。これは、例の厚生省の事件を見ればよくわかるとおりです。受けたものを丸抱えでやって、ピンはねするわけですから。そういうものが、これから膨大に広がる社会福祉のマーケットの中でちょくちょくやられては、これはたまらないわけであります。  こういったものに対する情報開示というものは、一体これをどうお考えになっておられるのか。この点について、これは今社会福祉法人のことで言いましたので、厚生省の方も呼んでいると思いますが、まず厚生省の方の御意見を伺い、政府としてのお考えをひとつ伺いたいと思っております。
  217. 大泉博子

    ○大泉説明員 社会福祉法人を所管する立場からお答え申し上げたいと思います。  社会福祉法人につきましては、委員指摘のとおり、従来から、国、地方公共団体で、監査という方法で事業運営の適正を図ってきたところでございますが、冒頭にお話がございましたような不祥事もございまして、昨年は、指導を強化するためのたくさんの通知を出させていただいているわけでございます。  その中で、昨年四月以来、社会福祉法人に対しまして、業務と財務に関する情報について自主的に開示するように指導してまいりまして、その運営の透明性に努めているところでございます。  そして、より総括的にということでございますが、来年の通常国会を目指して、私ども、社会福祉の基礎構造改革の審議を中央社会福祉審議会で行っておりますが、この中で、やはり社会福祉法人の自主監査の導入とか、あるいは情報開示を自主的に社会福祉法人が取り組むべきという強い御意見が出ておりまして、私どもは、この御意見を踏まえて来年の制度改正に臨みたいと考えているところでございます。
  218. 鰐淵俊之

    ○鰐淵委員 今、私、その厚生省が指導しておる内容も見ました。これは、例えば理事はだれだれである、あるいはまた財産は何がある、あるいはまた経理上の、これは総体的なものであります、法人会計のトータル的なものですね。しかし、あの書類、提示している中では、契約要項だとか、それから職員の、今言った世襲みたくなっているものだとか、独断で進めている理事会の議事録ですか、そういったようなことまで実際はチェックをしなければ、もう理事長独断でどんどん進む。それで、監督官庁がなかなかそこまで監査はまたできないのですね、実際。  私は市長を約二十年やっておりまして、法人も、たくさん民間の法人を見ておりますが、なかなかこれは、ちょっと一年に一度か二度来て監査したってわからないのが普通です。ほとんどわかりません、書類はきれいに出しまずけれども。ですから、そういうものについて、やはり疑義を持つものは、これから、全国これだけ社会福祉の予算も大きくなり、幅も広がってくれば、やはりちょっと不思議だなと思うのは十分開示しなければ、やはり国民として膨大な税金の負担をするわけですから、納得いかないという面があるわけでございます。  したがって、その非開示部分について、例えば今は監査その他でやっておりますが、今、一般の住民が何々法人の何々の書類を見たいと。これは国でやれる情報公開にのっとって、それは不開示部分があってもいいわけですね、プライバシーの問題だとかいろいろあってもいいのですが、正当に出し得るものを出す仕組みにしておかなければ、やはり法人は暴走する、このように私は思うのです。これからも必ず起こり得ると思います。  ですから、そういったものを起こり得ないように、未然に防げるように、徹底した行政指導をどうやっていくかということは、大変私は大事なものだと思うのですが、その点についてはいかがでしょうか。
  219. 大泉博子

    ○大泉説明員 先ほど申し上げました中央社会福祉審議会で、現在、来年の抜本的な制度改正を考えているところでございますので、その中で、先ほども申し上げましたように、委員から御意見が出ているところでございますので、考えていきたいというふうに思っております。
  220. 鰐淵俊之

    ○鰐淵委員 最後になりますが、ゴールドプランもありますし、エンゼルプランもありますし、言ってみますと、この社会保障というものは、小泉大臣がいつも言いますが、本当にキャップをかぶせられるほど、国にとっては大変重荷の財政なんですね、どんどん莫大に当然増が膨らんでいきますから。ですから、そういう意味では、やはり大いに透明性のあるやり方をしていかなければ、福祉で福祉を食ってしまうというか、福祉を一つの、何といいましょうか、商売道具にする、言葉は悪いですが、そういうようなことでは、やはり国民は納得いかない。  したがって、行政の中での監査とか指導とか、そういうものではなくて、一般市民も不思議だなと思うことについては、不開示原則はそれはそれで結構ですが、それ以外について情報公開という制度を持っておった方が法人としては襟を正して経営していくのではないか、こう思いますので、ひとつ十分厚生省の方でも検討されて、これからの高齢化、少子化時代における社会福祉施設運営の健全な経営ということについての期待をいたすところでございます。  それでは、次にまた進めてまいります。次は、行政文書範囲の中で、当該行政機関の職員が組織的に用いるものとして行政機関が保有しているものは文書公開するということですね。ですから、この規定が非常に私はあいまいではないかと思うのですね。組織的に共用するという範囲はどうとらえているのだろうか、どこまでとらえているのか。  例えば、ある課における担当者が起案を起こした。起案を起こして成案をする段階までは、これは開示しても、まだ成案になっていませんから。ところが、成案になって係長の判こを押したらそれが開示できる文書になるのか、組織的な文書なのか。課長の決裁をして課として出ていった場合に組織的な文書になるのか。こういつたことについて、この情報公開法ではどのように解釈したらいいのか、御答弁いただきたいと思います。
  221. 瀧上信光

    ○瀧上政府委員 情報公開法案の第二条第二項に規定する行政文書の定義では、組織的に用いるものとして行政機関が保有しているものとしておりますが、これは、開示請求を受けた時点で、当該行政機関の組織において業務上必要なものとして利用、保存されている状態のもの、いわば組織共用文書すべてを対象とする趣旨でございまして、極めて広範なものを対象としているというふうに考えております。  そしてまた、組織的に用いるものというのは、客観的に判断すべき要件として定めておりまして、行政機関が恣意的にその範囲を狭められるという性格のものではございません。  そして、この組織共用文書以外のものとは、例えば組織的な検討に着手する前の、個人としての思案中の段階に作成した単なるメモや参考資料などがあり得るわけでございますが、こういったものも、組織的な検討に付され、組織において利用、保存されるものとしてファイルされた後は対象となります。  組織共用文書以外のものを対象とするということは、組織的な管理も困難であり、実際的ではないと思っています。そしてまた、政府の諸活動の説明といった観点からも、対象に含める必要があるとは考えられないというふうなことでございます。
  222. 鰐淵俊之

    ○鰐淵委員 私は法律家ではないから、説明が法律的にされるとちょっとわからないので、私はやはり情理に訴えた議論をしたいなと思います。もちろん、これは法律に基づくわけですが、今説明を受けても非常にわかりにくいのでありますが、要するに、行政の裁量によって、開示すべき行政文書、いわゆる公開すべき文書が縮まっていくという懸念があるわけですね。当然開示できるものでも、行政の裁量で、しなくてもよくなるということですね。  ですから、今メモとかなんとか、これは論外です。今私が例示した、担当者が起案をして、そして既に成案をして、係長の決裁を受けた。皆さんは全部判こで仕事をしていると思うのですよ。ですが、決裁を受けたら、どこの辺の決裁までがそういう組織的共用文書として開示されるのかということを具体的にそれでは伺います。
  223. 瀧上信光

    ○瀧上政府委員 ただいま御指摘のような場合に、決裁をされたかどうかにかかわらず、その組織において、ただいまの御指摘であれば、その係において使われる文書であれば組織文書になるということでございます。
  224. 鰐淵俊之

    ○鰐淵委員 大変いい答弁をいただきました。まさしくそれであれば、かなり開示文書は広がると思います。  それからもう一つ。官庁では、みずからやるべき判断を随分審議会にゆだねて、そして、審議会の結論が出るまで出るまでと延ばすのがかなりございます。結果的に、審議会を見たら、両論併記とか、何のために結論を出すのかわからない。これでは、その審議会で例えばどういう意見を言っているか、どういう審議がされているかということは、審議の途中で、それが不利益になるから開示できないということで、開示できないという中に入ってくるわけです。  政策の形成過程の何だかはできないとか、僕もちょっと読んだら書いてありましたが、その辺はどう解釈すればよろしいでしょうか。
  225. 瀧上信光

    ○瀧上政府委員 この法案の第二条の行政文書の定義から申し上げますと、組織的に用いるものとして当該行政機関が保有するものというふうにされていることから、行政機関等の決定前の審議、検討段階に作成した文書対象になるわけでございます。そして、その対象文書とされれば、特定公開に支障のある情報以外は公開すべきことというふうにされまして、審議、検討等に関する情報原則公開の枠組みで構成をされるわけでございます。  そして、御指摘の、その審議会等の検討の場合に、情報公開法の第五条五号では、率直な意見の交換が不当に損なわれるおそれ等の基準を設けておりますが、こういったものに該当するかどうかは客観的に判断をしまして、予想される支障が不当なものかどうかの判断というのは、その情報性質に照らして、開示することによる利益と不開示とすることによる利益を比較考量してなされるということになります。そして、これは情報の性格で判断されることでありまして、審議会が公開する公開しないということを決めたということで決まるものではございません。
  226. 鰐淵俊之

    ○鰐淵委員 そうずると、ちょっと確認しますが、審議会で、これは公開しない審議会のいろいろな意見だと、それには左右されないということですね。
  227. 瀧上信光

    ○瀧上政府委員 おっしゃるとおりでございまして、情報の性格から見て、情報公開法の第五条の審議、検討情報の不開示事項に該当するかどうかといったことで判断されることになります。
  228. 鰐淵俊之

    ○鰐淵委員 わかりました。この辺はなかなか微妙であるなということがわかったのです。  なぜかというと、不開示情報にすべき判断行政裁量にゆだねられているというところが問題なんですね。ですから、行政裁量の中にゆだねられて、これは開示項目の中で、開示する、これは開示しなくていい、これを考えて決定するのは行政なんです。そこが、端的に、国民の側から見れば、信頼される行政体と信頼されない行政体とでは大分違ってくるのではないか。これはちょっと申しわけないあれですけれども、どうもそういうことになってくると思うのです。  ですから、私は、そういう意味で、非常におそれがあるものとか、それから、非常に自由裁量が入るような情報の出し方というのは、かなりばらつきが出てくるのではないか、こういう懸念がございます。  そういう意味で、開示される国民の側として、それを悪用したりのぞき見したり、そんなことではなくて、ある問題についてしっかりとそれを知ることによって国民として対応するという立場からすれば、不開示にするなんということは本当に少ない範囲だと私は思うわけでございまして、そういった点を十分留意していただければと思います。  基本的には、不開示情報というものはなるべく小さくして、そして、どうしてもこれは行政上出されない、あるいはまた公益上出されない、こういつたことについては不開示にするのは当然のことだと私は思っております。  さて、時間もちょっと押してきましたが、続きまして一公の救済機関の設置でございます。  裁判の仕組みでは、この法律の中では、提訴するのはその官庁の担当ですが、これは、東京なら東京の裁判所、こういうことになって、北海道の外れから裁判しようといったって、東京まで飛行機に乗って来なければいけないのですね。こういったものは、なぜ地方の裁判所ではだめなのか、ひとつその辺の理由をお聞かせ願いたい。
  229. 瀧上信光

    ○瀧上政府委員 情報公開法に関する訴訟に関しまして、原告の所在地を管轄する裁判所への提訴を認めない理由考え方でございます。  開示決定それから開示拒否決定というのは行政処分でございまして、訴訟については、行政事件訴訟法に基づく抗告訴訟とされるわけでございます。行政事件訴訟法では、御承知のとおり、十二条におきまして、被告所在地等を管轄する裁判所が管轄するということとされております。  情報公開訴訟の裁判管轄について、このような一般的取り扱いの特則を設けるかどうかといった問題につきましては、行政改革委員会でもいろいろと議論されたところでございますが、結局、地方在住者の負担の実情に配慮するとともに、情報公開訴訟において一般の行政訴訟に対する特例を設ける必要性、一般の行政事件訴訟と比較した場合の情報公開訴訟の特色とかその必要性といったものはどのようなものがあるか、それから訴訟遂行に要する費用負担のあり方についてはどのように考えるべきか、いろいろな考え方があり得る。そしてまた、この法律に基づきまして、出先機関への権限委任やそこでの事案処理の状況によっては出先機関の所在地での訴訟も広がるということから、取り上げられなかったわけでございます。  その上で、今後、情報公開法運用の実情等を勘案し、行政訴訟一般の問題との関連にも留意して、専門的な観点から総合的に検討すべき旨を指摘されているところでございます。政府としましては、このような行政改革委員会考え方を踏まえまして、行政事件訴訟法の一般原則でいくという前提で法案の立案に当たったところでございます。
  230. 鰐淵俊之

    ○鰐淵委員 いろいろな御答弁がありましたが、詰まるところ、東京でしか裁判を起こせないということになれば、国民の側から見れば、ちょっと不服があっても、東京まで旅費をかけてやるのはちょっとできない。だから、そういう訴訟を起こそうと思っても、起こす元気がなくなる。ですから、ある意味では、国民にはそういうチャンスを失うような経済的事由ですよ。沖縄だってそうだと思いますよ、沖縄から東京まで来るのに、やはり飛行機で来なければいけませんから。  ですから、私は、そういう意味では、そうたびたび行政訴訟が起こるわけではないと思うのです。したがって、やはりもっと広く、国民の側にはこういう法律が活用しやすい形にしていくことが妥当ではないか、私はそのように思うわけでございますので、その点、ぜひ今後とも検討をしていただければ、このように思います。  さて、あと十分ほどになりましたので、二、三ありましたが、最後の一点の問題に入っていきたいと思います。  先ほど、情報公開国民主権のもとにアカウンタビリティーの原則に基づいて行う、こういうことをはっきり明文化されているわけでございます。  そこで、行政機関が、例えば文書管理等は単に政令にゆだねておれば、請求に足る十分な文書というのが一体あるかどうかという問題になります。ところが、この文書というのは、行政の中にあれば、行政の中でこの文書は、国民が非常にわからないところで文書管理しますから、なかなかこれは、場合によっては恣意的なことだってあり得る。現実にはそれはもう起きていますね。これは、言わなくてもわかるとおり、起きているわけです。  ですから、この文書管理というものがしつかりしていなければ、幾ら情報公開法の制度を整備したところで、文書の管理がちゃんとしていないのですから、幾ら開示を要求しても、その文書がありませんとか、これは整備できていませんとか、これはちょっとそういう文書は該当しないとか、いろいろなものになります。  ですから、この文書管理制度というのは、この情報公開と一緒にどう中央省庁では進められているのか、またこれから進めようとしているのか。あるいは、場合によっては永久保存か何保存か政令であると思いますが、情報公開に基づいてこの文書管理をどうされようとしているのか、その点について御質問します。
  231. 瀧上信光

    ○瀧上政府委員 御指摘のとおり、行政文書の適正管理は、情報公開制度を運営していく上でいわば基盤、車の両輪とも言われていますが、そのようなものと考えております。その制度面、運営面での整備は重要な課題であるというふうに認識しております。情報公開法案でも、三十六条におきまして、行政文書の管理に関する基本的な骨格を定めているところでございます。  すなわち、三十六条の第一項におきまして、行政文書の適正管理の責務を行政機関の長に課すとともに、第二項におきまして、それぞれの行政機関の長に、行政文書の管理に関する定めを策定すべきことと、その定めを一般の閲覧に供すべきことを義務づけております。そして、三十六条三項におきましては、行政文書の分類、作成、保存、廃棄に関する基準等、行政文書につきましてのライフサイクルといいますか、こういったものにつきましての基本的な事項、共通的な事項につきましては政令でその内容につきまして具体的に定めて、その政令に基づきましてそれぞれの行政機関行政文書の管理に関する定めを設けることとしております。  そして、政令基準によってそれぞれの行政機関が定める行政文書の管理に関する定めにつきましては、先ほど申し上げましたように国民公開するということでありまして、行政文書ルールというものも一般に明らかにするということを考えております。  そして、今、政令の中に規定すべき行政文書の管理に関する基本的事項の内容の詰めと、それとあわせまして、その内容の具体的なものにつきましては総務庁におきまして、政府全体としてのガイドラインを策定するといったことも考えておりますし、それとともに、情報化の進展に対応しまして、電子的な手段による総合的な電子文書管理システムの構築といったことも進めてまいりたいと考えております。
  232. 鰐淵俊之

    ○鰐淵委員 政府の出されている中でも、あとの二案もそうですが、やはり電子的なものまで情報公開対象にした、これは私は非常に評価しています。私は、ここまでやはりやっていくというのは本当に、地方ではまだそこまでいっていないと思う。私もちょっとそれは聞いておりません。ですから、これはもう政府は非常に進んだところまでいったなと思います。  したがって、電磁的ファイルといっても、各ところにフロッピーがたくさんありますから、何のフロツピーをどういうぐあいにファイリングしておくかということが、果たして政令だけで大丈夫なのかどうか。これは、普通の文書もそうですが。そうすると、小さいことは政令でやればいいが、大枠、何はどうするというものはやはり法律で定めるということはできないのかどうか。その点についての見解はどうでしょうか。
  233. 瀧上信光

    ○瀧上政府委員 ただいま申し上げましたように、情報公開法の三十六条で、それぞれの行政機関行政文書の管理に関する定めを規定すべき責務、そしてそれの公表、それから具体的な規定内容につきましては政令で、例えば、具体的には、行政文書を体系的に管理し迅速に検索できるようにするための系統的かつ具体的な文書分類の設定、それから行政文書の作成、保存に関する責務の明確化、それから行政文書の種類、性質等に応じた基本的な保存期間の基準の設定、そして行政文書の廃棄手続とか、それから行政文書の管理、チェックのための体制の整備と明確化、それから電子情報につきましての新たな管理ルールの整備、こういつたことを政令等で規定をするということで今やっておりますので、これ以外に改めて文書管理に関する法律といったものを定める必要はないというふうに考えております。
  234. 鰐淵俊之

    ○鰐淵委員 それでは、終了になってまいりますが、一つは、今のこの文書管理、これはなかなか言うはやすく行うは難しいのです。本当に難しいのです。私も市の職員から今までずっとそういうことに携わって三十年ですから、これは書庫をきちっとしなければならない。  私は、普通の各省庁の書庫がそんなにぴしっとしているとはどうも思われないのですね。各省によってきちっとしているところはあるかもわかりませんが、大概は書類を山に積んで、どこに書類があるかは、その人はわかるけれども、ほかの人はほとんど何がどこにあるかわからないように、両側にずっと積んで、前にも積んで、上にも積んで、釧路のような地震のあるところだったら、あれはすぐがたがたになってしまいます。  だから、ああいうことで、私は省庁を見て、ファイリングシステムだとか、全くなっておりませんね。ですから、私が先ほど言ったように、文書管理というものは非常に大事だ。大事だということをお認めになって、そういうぐあいにいろいろとやるのだというのだけれども、実態を見ていると、どうもそれが本当にできるのかな、そういうぐあいに思うのです。  今の現実の実態から、この情報公開法が実際通って文書管理を進めていく場合にどういう形でやるか。ファイリングシステムというのは、これはあくまでもペーパーの文書、それからあとフロッピーのもの、これを入れて、相当なお金もかかると思いますね。それについてどういう計画を各省庁でなされようとしているのか、これについて。
  235. 瀧上信光

    ○瀧上政府委員 御指摘のように、各省庁におきます文書管理の状況を見ますと、保存期間等に統一性がないとか、行政文書の管理のルールとしては必ずしも十分ではないとか、そしてまた、文書管理の実態として、許認可、補助金、人事、会計等比較的文書が整理されている分野もございますが、一方で、例えば企画立案、調整部門といった非定型的な業務をやっているところにつきましては、管理ルールは必ずしも明確でない。  そして、今度、新たに行政文書という考え方を導入しましたので、従来の場合には、主として、どちらかといえば決裁文書中心でございますから、今度は行政文書を中心とした新たな管理の仕組みが必要になってくるということでございます。そのために今回、その新たな行政文書の管理に関する基準を先ほど申し上げましたように政令で定めるとともに、行政文書の管理に関する定めを各省庁が適切に定めるよう、総務庁におきましては、ガイドラインの策定とかそういったことで推進をしていく必要があると考えております。  そして、さらに、行政文書の管理の実施と施行というのは職員一人一人の意識と習慣といったものに左右されるところが多いことから、近年の情報処理システムの技術を活用しまして、新たに、行政文書のライフサイクルを通じ適正かつ的確な管理を行うための各省庁統一的な組織的管理システムを整備していくということとしております。  例えば、行政文書の所在を的確に把握し管理するための台帳の整備につきましては、行政文書の目録情報を、ローカルエリアネットワークといいますか、構内通信網のコンピューター・ネットワーク・データベースとして構築するための具体的な検討といったことにも着手をしているところでございます。
  236. 鰐淵俊之

    ○鰐淵委員 いろいろ御答弁をいただいたが、どうも心もとないわけでございます。恐らく、聞かれた委員の皆さんもそう感じ取られたと思います。  ですから、これは本当に大変なことなんですね。ですから、この情報公開というものは、本当に国民のためになる情報公開政府が実施していくということになれば、総務庁が、各省徹底して同じような、今の文書管理一つにしてもそうですが、それをやっていくとすれば、相当強力な内閣のリーダーシップ、特に長官が閣議において、こういったものをやっていくためには、相当な各省庁に対する徹底した指示、そういったものが必要だと思うんですが、最後に長官の決意をお伺いいたしたいと思います。
  237. 小里貞利

    ○小里国務大臣 さまざま、これから国会の意思を決定いただく段階に至るまでも、大変貴重な御意見をお聞かせいただいたと思うのでございますが、いわんや国会の意思を決定して法制定後進めるについて、大変傾聴に値する具体的なお話を御指摘もいただきましたし、十分これの運用管理等については留意して対応しなければいかぬ、さように自覚を促されたところでございます。
  238. 鰐淵俊之

    ○鰐淵委員 これで終わりますが、どうかひとつ、こういう情報公開法に基づくものは、絶えず国民に開かれた、フェアでオープンで、そうして国民が本当に行政を信頼できるに足る整備をひとつやっていただきたいということをお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  239. 谷津義男

    谷津委員長 御苦労さまでした。  深田肇君。
  240. 深田肇

    ○深田委員 社民党の深田肇でございます。  長官、持ち時間が二十分しかないもので、だから各党のように全面展開で話ができないので、同時にまた、朝から先輩や同僚議員のお話を伺っていい勉強をいたしましたから、かいつまんで幾つかの問題だけに絞りましてお話し申し上げるし、それから、内容的に大変賛成の部分の多い御意見が野党三党と共産党さんから出ておりますけれども、そことのやりとりも時間がないからしませんので、勘弁してください。  だから、主に政府及び長官を中心にやらせていただきたいというふうにお願いしておきたいのでありますが、せっかくの機会でございますから、我が党がこの情報公開にどれだけ積極的に今まで取り組んできたかをちょっと、御承知のことかもわかりませんが、話をさせてください。  一九八一年の五月に、社会党時代に情報公開法というのを衆議院に出しました。八五年の四月には参議院にも提出いたしました。それから十年近く間を置くわけでありますが、御案内のとおり、九四年の六月に村山政権が発足するに当たりまして、新しい連立政権の樹立に関する合意事項という中で、情報公開法の早期成立を図る、こういうことがきちんと確認されて、それの延長線上で今日まで与党三党間で合意をして、本日のように提案をしてもらって討論するところまで来たことを、本当に社民党としてはうれしく、責任の一端が果たせたなというふうに思っている次第でございます。  それだけに、何としても、できればこの会期中に仕上げたいと思いましたが、諸般の事情、なかなか難しいという雰囲気もわからないわけではありませんが、政府案を基軸にして、ここです、政府案を基軸にして、冒頭申し上げたように、野党三党案それから共産党案などなどのいいところをどんどん選択して、何としてもまとめて、一日も早く総仕上げをするべきだというふうに社民党は思っていますし、私もそういうふうに思っていることを冒頭に申し上げておきたいというふうに思います。  その次に、ちょっとこれは自民党の先輩議員におわびしながら申し上げますが、与党合意ということで三党間でいろいろとやってここまで来たことは事実でありますが、その間に社民党の意見が取り入れてもらえないものがやはりあるんですよ、あるんです。そこをきょうはずばり申し上げて、長官に社民党はこういうふうに考えているんだということを申し上げて、そして、ひとついろいろと、野党案だけではなくて、与党内におる社民党の意見も吸収してもらうということを意識しながらしゃべりたいということを、ちょっとお許しいただいておきたいというふうに思います。その他はうまくやりますけれども、ちょっときょうは御勘弁いただきたいと思います。  そういうふうに申し上げた上で、長官、いかがでございましょうか。政府案を基軸にして、大変共通の問題意識を持っている諸課題がありますから、個別課題は私は意識的に言わないのでありますが、全体的に土盛りをして、いい法律をつくろうではないかということに関しての、長官の側としての、いわゆる与野党間の話はまた委員長を中心にやらせてもらうことにして、政府当局の側のひとつ積極的な御意見を言いただいてから、中に入っていきたいと思います。  いかがでしょうか。
  241. 小里貞利

    ○小里国務大臣 議員が豊富な経験から本当に豊富な意見をお述べいただいておると思うのでございますが、けさ方も自民党代表のお話などもお伺いいたしました。ただいまの寛大にして、そして、しっかりひとつ法案をまとめて国民の期待にこたえなさいよというその御警鐘は、十分承っておきたいと思います。
  242. 深田肇

    ○深田委員 少し具体的な問題に入りますが、私たちの中でいろいろ話をいたしたり、それからまた広範な国民の皆さん方と御意見を拝聴する機会を得ますと、きょうも各党がおっしゃっている特殊法人の問題がやはり関心事ですね。それで、与党の中でもいろいろ話をいたしまして、これは二年後には云々ということで復帰するということも確認していることも承知の上、なおかつ、きょう一日の討議の中で、長官が、しっかりとそれはやるべきだと思っているよ、したがってそのための準備はするよという話がありました。  御質問者の中からちょっと出たのでありますが、二年後から手をつけるとかいう話が出ましたが、二年後から手をつけるんじゃなくて、今からすぐ手をつけてもらって二年後にはやってもらわなければいかぬというふうに思っているんです。そのことを、私の方は積極的に特殊法人問題を、できればこの法案の中に入れてきちんとやれということを申し上げたように、あちこちでも、与党間でも申し上げているし、どこでも私の立場であえて申し上げるのであります。  そこでちょっと、同僚議員、先輩議員と角度を変えまして、なぜ二年間という空間を置くんですか。聞くところによると、当局の職員の皆さんが大変で、それは簡単にできないよ、今度のこの法案を出すだけで大変なんだよと。これから特殊法人を全部調べて、七十、八十のいろいろな種類が違う、出資金が違う、それを全部調整をして、いろいろな法律がある、それを全部点検をしてやろうと思ったら、ここに間に合わなかった。したがって、ここへ出ているんだから、今から二年間やっていってやるのが精いっぱいなんだという、職員といいますか、お役所側の大変御苦労があるようにも伺うんですが、長官、そういうように認識したらいいんですか、いかがでしょう。
  243. 瀧上信光

    ○瀧上政府委員 特殊法人につきましての情報公開の検討でございますけれども、御承知のように、特殊法人と申しましても、その法的性格、業務内容、国との関係等が非常にさまざまでございまして、具体的に情報公開対象とすべき特殊法人はどのようなメルクマール、どのような切り口で考えたらいいかといったようなことにつきましては、今あります八十四の特殊法人全部について、その制度及び運営の実態をつぶさに調査した上で、いわゆる国民に対する説明責任といいますか、こういった考え方に基づく公法上の権利義務関係である開示請求権の設定の主体としての特殊法人の選定、それから、特殊法人にふさわしい情報公開内容としまして、対象となる情報範囲とか不開示範囲とか、それから救済手続とか請求手続、いろいろそういったものについて検討をしなければならない。そういうことを考えますと、かなり、やはり相当の作業量になるというふうに考えております。
  244. 深田肇

    ○深田委員 ちょっと確認しておきたいんですが、実態調査はもうしているんですか、これからやるんですか。今までしていないから、これからやるから大変なんですか、それとも、やってみたがまだまだ大変なんだ、事実はどうですか。あなたの答弁もいいけれども、本当は大臣がどこまで知っているかということなんだな、こういうことを。
  245. 瀧上信光

    ○瀧上政府委員 実態調査等につきましてはこれからでございます。しかし、特殊法人情報公開のあり方につきましては、外国の制度とかそういったような実態等につきましては、調査を進めているところでございます。
  246. 深田肇

    ○深田委員 もう時間がないからどんどん急ぎますが、よその国のことはいいんですよ。特殊法人対象にしょうじゃないかということは、社会党にしても社民党の今日も、それから与党間で話している間も、何遍も提起しているんだから。それで、結論はおっしゃるとおり二年間云々で落ちついたわけですから、落ちついたことを含めて、なおかつ積極的にやりたいというので長官に今哀願をしているんだよ、私は。はっきり言えば。  そういうことをやっているときに、だから、調査しているのかと言えば、まだこれからするんだとかしないんだとかそういう答弁をやっているから、情報公開するつもりはないからストップしょうとして二年間かと人様は疑っているんだよ、今国民は。何のための与党かわからなくなつちゃうんだ、こっちは。(発言する者あり)
  247. 小里貞利

    ○小里国務大臣 今も前向き答弁という激励がありますが、まさにそのとおりでありまして一法制定後二年後ではなくて二年以内、ここにも三党の積極的、前向きの精神がこもっていると私は確信をいたしております。  したがいまして、誠実に、三年以内に、あとう限り短時間において、短日時間においてと申し上げましょうか、これを詰めなければならない、さように思っております。
  248. 深田肇

    ○深田委員 こればかりやっておれません、時間がないので。  もう業務的に大変なことはよくわかっているんです。ここでやりとりしてもしようがないことで、わかっていますけれども情報公開というのは、けさも与党の筆頭理事の穂積先生がおっしゃったとおり、もう新聞ではやれ、やれだから、それをどこが足を引っ張っているのか、だれがおくらそうとしているのかという誤解を含めた不信もあるわけで、そうなってくると、情報公開は民主主義の原則だとだれもが思っているわけだから、日本の場合は今やっと日を見かかったとこうなるわけだから、そうなってくると、私は、もう与野党を超えて、政府はもちろんのことだけれども、事務の仕事も大変でしょうけれども、ひとつ本格的にどんどんどんどん集中的にやってもらって、特殊法人をやっちゃまずいと思っているなら別だけれども、やらにゃいかぬと思っていろんなら、どんどんやるぞというふうにお互い確認し合って、そのための姿勢を示し合う。  そのことを国民に約束するということができたら一番いいと思いますが、これはもう長官、約束しておるでいいですね。はい、ありがとうございました。じゃ、別にあなたの答弁をもらわなくていいので、ということにしておきたいと思います。  その次のやはり問題は、幾つかあるけれども時間がありませんから、一番大きいのはこの訴訟の管轄の問題ですよ。  やはり、市民なり国民に親切で、情報公開を求める側としてみればどんどんやれる。どんどんやるというのは、おもしろおかしくやるというわけじゃなしに、同時にまた、だれか先輩議員が言っておられましたが、情報公開情報をとってきてプライバシーに使うとかということをやろうというわけじゃないわけだから。そういう意味からすると、情報公開を積極的にやっていくということは日本の民主主義だし、国民の意識も高まることだし、日本の国全体を国民一人一人がつくっていくという観点からすればいいことだとこうなれば、おのずから、この手続の問題だとか地区の問題などはもう前向きにやらにゃいかぬと思うんです。  ですが、これもちょっと気になったことが出ましたから一言言っておきますが、いわゆる行政事件訴訟法との関係でできないという答弁ですか。それとも、そこはクリアして、本委員会で決めればいけるんだということですか。これは簡単に短く、もう時間がないから。
  249. 瀧上信光

    ○瀧上政府委員 情報公開法上で行政事件訴訟法に対する特則として原告の所在地の裁判所の管轄を認める規定を設けるかどうかといった点につきましては、一般の行政訴訟法に対する特則を設けることの合理性や、訴訟制度全般との、つまり、被告の所在地の裁判所が管轄するというのは行政事件訴訟法、民事訴訟法を通ずる大原則でございますので、そういったものとの整合性等ともかかわる問題でございます。  したがいまして、そういった点を考慮して、行政訴訟一般の問題との関連を留意して、専門的な観点から総合的な検討が必要であると考えております。
  250. 深田肇

    ○深田委員 今の話を国民が素直に聞くと、できないんだということなんです。東京一カ所だけなんだということを素直に言われればいいんだ、今の法律があるからだめなんだと。  私は聞いたよ。皆さんが質問取りに来られて、質問取りというのは余り好きじゃないけれども、来られたからやりとりしたときに、穂積先生、よく聞いておいてよ。聞いたんです。それは法律が今あるからできないんですか、それとも、ここで決めて、それで、立法府とお互い言っているところで確認していったら、どんどん波及効果があってそういうふうになるんですかというところまでやりとりしているよ。そういうことをわかった上でまた同じ答弁されるので。  今の答弁を聞いたら、今の日本行政訴訟法がある限り一カ所なんですよ、不開示になった場合に何かしたいと思ったら東京地裁にやるんだよと。いわゆる訴えられる側は日本政府だ、したがって東京地裁ですよと、こういうふうに限定しているんじゃないかと思うんだよ。それをやられちゃったら、広げろと言ったって話にならぬじゃない。もっと言わせてもらえれば、私どもなんかの原案は、社民党は居住地でやらせろと言っているんだから。与党間で合意できないからここで言わせてもらっているんだけれども。  これは何とか道は開けないか。長官の政治的リードをひとつお願いしておきたい。
  251. 小里貞利

    ○小里国務大臣 私の間違いがあったらまた後で訂正させていただきますが、今の御発言の趣旨に沿うように、委任事務等によってできるだけ御期待に沿う方向でなければならぬのじゃないかなと、私は、そういう方向性は持っている、さように思っております。
  252. 深田肇

    ○深田委員 時間がありましたらもうちょっと討論したいんですが。あなたしゃべる。じゃ、答えるときに一緒に答えてよ、その前に先に言うよ。委任事務でカバーできるじゃないかという言葉だけでいくと、これまた量的拡大論とはつながらない面があるということを言った上で、あなたの見解を聞いてまた討論したい。あと五分しかない。
  253. 瀧上信光

    ○瀧上政府委員 この情報公開に関する訴訟と一般の行政事件訴訟とを比べた場合の特色、そういったような特例を認める必要があるかどうかといった実態を踏まえた検討が必要であるというふうに考えております。
  254. 深田肇

    ○深田委員 じゃ、そこまで言うんなら、時間がないけれども、実態を何を検討するんですか。そんなこと一般の国民はわからぬよ、今のことが新聞の見出しでぱっと載ったら。深田の質問にあなたが答えた、実態を見て検討しよう。そんなことは、日本語はわかる、日本語は。何が実態で、どこをどう調整したらいいかということを言わないから国民にはわからないじゃないの。  そういう答弁ばかりしているから、隠そうとしているんじゃないかとみんな思っちゃうんだよ。不信持たれちゃうんだよ。何が実態で、どういう実態を調べようと言うんだよ。
  255. 谷津義男

    谷津委員長 瀧上官房審議官、端的に答えてください。
  256. 瀧上信光

    ○瀧上政府委員 一般の行政事件訴訟の場合には、それぞれの自分の権利利益の侵害とかそういったような場合であっても、被告である行政機関の所在地でやっているわけです。  それで、情報公開の場合には、行政文書公開するかどうかといったことについての判断についての訴訟でございまして、そういったものが、法廷に出廷して自分の権利義務関係を特に主張しなければならない行政事件訴訟一般と比べて、行政情報公開の訴訟の方が裁判管轄の特例を設けなければならないような特殊な事情があるかどうか、そこのところを実態を調べる必要があるということでございます。
  257. 深田肇

    ○深田委員 その実態を調べにゃいかぬとなると大変に危ない、今その程度の認識しかないんなら。情報公開を求めておる国民の声はそんなものじゃないよ。あなたがその程度で、実態は少ないんじゃないかと、あっちのほかの裁判所の問題から比べたら情報公開の方はそんな大問題になるとは思えぬからということで東京一カ所に絞ろうというのなら、断固反対だ。  それを与党が承認したか。自民党が承認しているか、そういうことを。と思えぬな、私は。少なくとも、与党協議でやった段階ではそんな雰囲気じゃない。少なくとも自民党の方がもっと積極的だ、長官がおっしゃるとおり。ということを申し上げて、この件について大いに不満だ、これはもう当局のやり方に不満だということをあえて言っておきたいと思います。まだ与党だけれども、今は。  時間がありません。そこで、誤解が残っちゃいけませんからこれは必ず言えよという先輩の、先輩というのはうちの内部の先輩の意見もありましたから、時間がありませんので、主要な課題二本に絞りました。  本来ですとここで、一般市民の側からすると、中央段階、東京段階に不服審査会ができる。不服審査会ができたとしてもそれはなかなかいかないと皆思っているんですよ、今までのいろいろなことで。もう建築とか建設、いろいろなことを皆感じていますから、これでもなかなか不満だなと皆一般市民は思っていますよ。だから投票率も低いし、お互い支持率だって低くなっているんだから。そういうように考えたら、そんな簡単にどんどん市民が、問題があったら不服審査会に出しなさい、出したらまじめにちゃんとやりますよというような言葉だけ信用するほどの状況じゃないという不信が満ち満ちているということをあえて言った上で、そういったことももっと改善すべきだと思いますが、時間がありませんから。そのことも言いたかった。その次に、これはぜひ言っておかぬと誤解が残ると言われましたから言っておきますが、憲法上の認識として知る権利を記載すべきだという意見は、私どももそういう意見なんです。これも与党に言ったが、そこのところは、与党間で、なかなか今回は難しいぞというので、そこはうちが下がっている。下がっているんだけれども、それは、うちがもうないとなつちゃうと野党の皆さんは全然意見が違うように聞こえるから、そうじゃないんです。知る権利も、我々はちゃんと憲法上の理念として掲載すべきであるという気持ちを持っていることをこの際ひとつ言っておきます。  それから、国民による行政の監視とか参加というこの必要性も、我々は、最初の要綱と今度の法律の間の違いがあることも含めて指摘をしてあります。  その次、ここ言いますよ、すべての行政文書原則的に公開すべきだと思っているのです。あえてすべてと平仮名で言いました。何々と言いません。あえてすべての行政文書という、そのすべてのというところに、原則としての公開すべき中であっていろいろな処理をしなければいかぬことがあることを承知の上で、そのことを原則として確認した上でちゃんとやっていかなければいかぬなと思っています。  その次、意思を形成するときの過程の情報公開すべきである、これも私たちの主張です。  それから、不開示情報については、今話はいろいろしましたけれども、いわゆるこの範囲をどんどん広げてしまって、不開示が何でもできるような、範囲を広げるようなことがないようにきちんとしなければならないということも、私たちの意識として持っていることを申し上げておきたいと思います。  以上申し上げた上で、大変言葉が過ぎたかもわかりませんが、長官、ぜひひとつ、日本国民のために、民主主義のために、情報公開法が一日も早くでき上がりますように頑張りますので、長官によろしくお願いしておきたいと思います。  他の野党の方々、済みません、質問しなくてごめんなさい。  ありがとうございました。
  258. 谷津義男

    谷津委員長 どうも御苦労さまでした。  笹木竜三君。
  259. 笹木竜三

    ○笹木委員 笹木竜三です。二十分の時間で、大きく二点について質問させていただきたいと思っています。  一点目は、きょうも何人かの委員の方が質問されていまずけれども、特殊法人にかかわる情報公開について、二つ目は意思形成過程の情報公開について、この二点について聞かせていただきたいと思っています。  最初に、この特殊法人情報公開についてですけれども、さっきからお話があるように、政府案では二年後にということですけれども、ちょっと具体的なことからお話ししたいわけです。  今、財政構造改革法の改正とかそんな中で、行政改革とか財政構造改革、この議論が続いているわけです。二年ほど前から盛んに、地方と国の借金は五百兆に上るのだとさんざん議論がされているわけです。では逆に、資産はどれだけなのか、資産はどれだけあるのか御認識されているでしょうか。  これは、民間の商売をされている方でも、サラリーマンの方でも、おかしい、大蔵省の言っていることも閣僚の言っていることもおかしい、借金の話ばかりしていると。商売やっている者の常識は、あるいはサラリーマンの常識は、借金返そうという話をしたら、では資産はどれだけあるのだ、貯金はどれだけあるのだ、そういう話をする。このことについての長官の御認識、資産は五百兆に対してどれだけあるか、どうでしょうか。  九百兆あります。この九百兆についても、いろいろ調べていきますと正式なバランスシートはありませんで、例えば国連勧告による国民経済計算、とれは経企庁でつくっている、これもちゃんと表があるわけではございません。一つ一つの数字を積み上げてこちらで一応合計してみますと、八百九十四兆になる。これも、国有財産法の範囲とは異なっていまして、国有財産のすべてを網羅しておりません。あるいは、資産評価の費目が個別の資産によって簿価であったり時価であったり、いろいろまざり合っております。  さらに問題なのは、先ほどから話題になっている特殊法人、この資産は一切入っておりません。一切入らないで九百兆に上っている。特殊法人も入れたら一体どれだけの額になるのか、数字だけでいったらこれは案外健全優良企業なのではないかと思われるほどの数字になってしまう。  話を戻したいわけですけれども、昨年から、特殊法人の財務諸表、これは情報公開法を待たずに財務諸表については公開がされております。しかし、びっくりするわけですけれども、例えば道路公団で公開されている財務諸表、これを見ますと、資産として、道路の資産としては二十五兆以上になっておる。まあもっとあるのではないかと思いますけれども、一応二十五兆というふうに出ております。では、民間の企業の基準で、減価償却費としてどれだけが勘定科目として出ているか。わずか二百億円。ということは、単純計算しますとここの道路公団の管理している道路、千二百五十年もつのか、そんな話になります。提示されている情報というのは、こんなレベルの、非常にひどいというか全くわけのわからない情報もたくさん提示をされております。  それで、話を戻したいわけですけれども情報公開について、特殊法人については二年後ということを言われておりますけれども、例えばこの財務諸表、これはもう既に去年から公開をされている。しかし、提示されている情報というのはこの程度のものがいっぱいある。当然、この根拠、数字の根拠を詳しく示す義務があると思うわけですけれども、その程度は二年後を待たずに今すぐにでも、財務諸表を公開されているわけですから、説明する義務があると考えますけれども、この点について、まず長官に、そして野党の提案者についても、説明の責任ということについてお伺いをしたいと思います。
  260. 瀧上信光

    ○瀧上政府委員 特殊法人のディスクロージャー制度では財務諸表等を公開することとされていますが、これから検討します特殊法人情報公開法による開示請求権制度では、それに限らず、特殊法人が実際に保有しているいわゆる行政文書について開示請求があれば、不開示情報に該当しない限り、原則として開示される。  したがって、ただいま御指摘のあったようなデータも、行政文書相当する限りにおきましては、情報公開法開示請求対象になるということでございます。
  261. 笹木竜三

    ○笹木委員 長官にお伺いしたいわけですけれども、要するに、提示情報だけではこの程度のものがたくさんあるわけですから、その数字の根拠とかそういったものをしっかりと説明する、あるいはその資料の根拠になるデータも提示する、これは義務があると私は考えますけれども、そのことについてコメントを、長官に、また野党の提案者にもいただきたいと思います。
  262. 小里貞利

    ○小里国務大臣 いわゆる特殊法人のディスクロージャー制度では、お話のとおり財務諸表等を公開することとされておりますが、開示請求権制度においては、それらに限らず、現に保有している行政文書について開示請求があれば、不開示情報に該当しない限り、原則として開示されることとなるものであります。  したがって、特殊法人が保有する文書についても、開示請求権制度の基本原則にのっとり、適切に公開されるものと判断いたしております。
  263. 福岡宗也

    ○福岡議員 お答えを申し上げます。  特殊法人につきましては、先生の御指摘のように、公共的な、税を使った支出というものが大勢あるわけでありますから、当然国民の監視権のもとにあるべきであります。したがいまして、その財務諸表についても、当然公開をすべき基本的な義務があるというふうに考えているわけでございます。  そこで、先生の御指摘のように、核燃料サイクルの開発機構の問題なんかもこの問題としてどうか、基準があるのではないかというような御指摘もあるようですけれども基本的に、やはりこういつた特殊法人の場合には、国民の側から権利として請求ができるという基準を法律によって明定をしておくということでありませんと、内部的ないわゆる公開基準というようなものは、行政権の裁量といいますか特殊法人の裁量によってなされるということで、余り中身としていいものではないというふうに考えておりますので、ぜひどもこれは、特殊法人も中身について法定をしたい、さように考えている次第であります。
  264. 松本善明

    松本(善)議員 お答え申し上げます。  委員指摘のとおり、特殊法人を先送りする理由は全くなく、私ども法案でも国の業務と同じように扱っておるところでございます。
  265. 笹木竜三

    ○笹木委員 長官のお話でも、非開示にするしっかりした理由がない限りは公開するんだというお話です。ぜひ今言った、いろいろな提示情報、レベルのひどいものもいっぱいありますから、それについての根拠となる情報もしっかりと公開をさせる、特に財務諸表については今からすぐにやれるわけですから、そのことを確認したいと思います。お願いします。  二点目の意思形成過程情報についてお聞きをしたいわけですけれども政府案では、国の機関及び地方公共団体の内部または相互の審議、検討等に関する情報で、公にすると率直な意見の交換が不当に損なわれるなどのおそれがあるものは不開示となっているわけです。  この「不当に損なわれる」、何度も議論があるわけですけれども、例えば、政府あるいは行政、各省庁が五カ年計画についてのいろいろな方針を決定する、あるいは審議会が報告書を出す。その報告書とか決定の前提になるような議論も、計画を立てた決定時には前提となる数字とか議論は当然公開されるべきだと思いますけれども、そのことについて確認をしたいと思います。
  266. 瀧上信光

    ○瀧上政府委員 計画の決定時には計画をつくる前提となったデータ等の公表をということは、基本的にはそのとおりでございますが、この情報公開法考え方は、そのような決定済みの文書に限らず、その文書が組織的に保有されているというものであれば開示請求対象になるということでございます。
  267. 笹木竜三

    ○笹木委員 ぜひそのことをしっかりお願いしたいわけです。例えば、先ほどの資産のこのデータなんかにつきましては非常に残念で恥ずかしいことだと思いますけれども、いまだに先進国の中で例えば発生主義にのっとって財務諸表をつくっていないという国は、日本とドイツだけです。  あるいは、政策の決定のその基準となるというか、判断の材料になるような数字、例えばダムの建設を決定した場合に、アメリカの場合でしたら、オーバン・ダム建設の情報開示、これでいいますと、ダム建設を実施しない場合も含めたコストと効果の試算、あるいは洪水の被害がもしあった場合の見積もりとリスクの不確実性試算、あるいは動植物の生態系に与える影響と回復事業コストの測定、行政機関で交わされた文書、地元住民の質問書、意見書とそれに対する役所側の回答。かなりの情報を、しかも決定以前の事前評価の段階で、こういった数字に裏づけられた情報開示している。あるいは、いろいろな政策決定をする場合にでも、数字で、例えばこの道路をつくってこれだけの経済的な便益を得られるのだ、そういったことも可能な限り数字であらわそうとしている。  そういった情報も役所からしっかり出てくるようにしていただきたいと思うわけですけれども、ここで、今話題になっております例えば原子力関係でいいますと、安全性ということ、あるいは人体の安全にかかわる情報は特に積極的に開示をされるべきだと思うわけです。例えば今、プルサーマル、私は個人的にはこれはやれる範囲でなるべくやっていくべきだと思っておりますけれども、フランスで、プルサーマルを行った同じ加圧水型の軽水炉の安全性のデータ、これはかなり分厚いものが出ているというふうに聞くわけです。  これは政府委員の方で結構です、科技庁の政府委員の方か通産の政府委員の方で結構ですけれども、フランスではこれがちゃんと公開されている。日本で、例えば安全だと言うわけです。結論として安全だから大丈夫だ、だから今からやるのだ、そういうふうに役所の方は言うわけですけれども、その根拠としてそういった、例えば同じような加圧水型の軽水炉でのデータ、フランスでは公開されている。これは当然、日本でも、安全だというときに根拠として示す責任があると思うわけですけれども、そういったデータは示されているのかどうか。お答えいただきたいと思います。
  268. 三本松進

    ○三本松説明員 今月十一日、関西電力高浜発電所の三号機、四号機に関しましてのプルサーマルの原子炉設置変更許可申請が出されました。  多少長くなりますけれども、通産省としましては、安全確保の観点から、今後厳重に審査してまいります。御指摘の安全に関する情報につきましては、地元住民の方々の不安の解消のため、広く公開していくことが基本と考えております。  御指摘のプルサーマルに関しての安全性に関するデータにつきましては、これを広く公開していくことが基本であると思っております。ただ、その中に、メーカーのノウハウ等企業の財産権にかかわるデータであって公開できないものなどが入っている可能性が否定できないと思っておりまして、この点は御理解いただきたいと思います。  いずれにしても、基本的にはこれを広く公開していくこととしたいと思っております。
  269. 笹木竜三

    ○笹木委員 今どうしてこの例をお話ししたかといいますと、私もこのことについて、例えば資料の請求をする。プルサーマルについてフランスでそういう報告書があると聞いている、出してくれと言うと、ここの部分についてというふうに特定されない限りはフランス語の原文しか出せません。これは、フランスでは全面的に公開されている、一般の国民も手に入れられるわけですから、フランスへ行けば手に入るわけです。それで、その現物しか、フランス語でしか出さない。  こういう答えが返ってくるのは、どういう理由からなんでしょうか。
  270. 三本松進

    ○三本松説明員 今御指摘のフランス語とかそういう話なんですけれども、まず翻訳の問題もあろうかと思いますけれども、我々の基本的な考え方なんですが、原子力発電の安全は基本的に十分に確保されており、このための重要な情報は、既にいろいろな設置許可申請書等で公開しております。  それで、個別の具体的な情報公開のあり方につきましては、現在御審議していただいております法案規定にのっとって基本的には厳正にやっていきたいと思うのですが、今御指摘のフランス語の問題は、非常に、我々が受け取っている申請書も、日本語でもこのぐらいの厚さ、十センチぐらいあるのですけれども、その中で個別の問題として出てきますので、今後の課題として厳正に対応していきたいと思っております。
  271. 笹木竜三

    ○笹木委員 ちょっと時間が少ないので簡単に言いまずけれども、先ほどの例えばオーバン・ダム建設の情報アメリカのカリフォルニア州ですけれども、全八巻二千ページのものを事前評価の段階で出しているわけです。これが説明責任だと思うのです。  しかも、これだけ話題になっている、熱意を持って取り組んでおられると思っているプルサーマル、その安全だと言うときに、そんなものはフランスで全面的にだれでも手に入るものを、どうして、まさか庁内でフランス語のできる人しか議論していないはずがないわけでして、翻訳物がないというのが、もしないのだとしたらそれは問題だと思うし、そういうようなことも含めて、みずから積極的に公開するという姿勢が必要じゃないかということを言いたいわけです。  ぜひそういったことをお願いしたいと思うわけですけれども、もう一回戻しますけれども、意思形成過程にあるものでもぜひ積極的に公開をしたいと思うわけです。  私は、選挙区の関係で原子力行政ということを、この数年間、情報公開ということでいろいろ「もんじゅ」の事故から見てきましたけれども、例えば原子力の長期計画の問題。皆さんも御存じのように、ATR、新型転換炉を原子力委員会が推進するんだと改めて結論を出したわずか一年二カ月後に、やっぱりやめますという結論を出している。どれだけの税金をむだにしているか。  ですから、意思決定の以前の議論の情報公開することが、行政に対する信頼を増すことになる。それを、議論を不当に妨げるといった、こういう抽象的なことで公開しない、事前の情報公開しない範囲を広げていくことをぜひやめていただきたいと思うわけです。むしろ公開して、議論もなるべく出していくことが行政に対する信頼を増すことになると確信しているわけです。この原子力の長期計画に対しての審議会の審議も、次回からはすべて公開することになったわけです。今までは全く非公開だった。日本でもそういう流れにあるわけですから、ぜひお願いしたいと思います。  最後に、そのことについて、意思決定までの審議、検討の資料についてもなるべく基本的には公開するんだということ、その基本的な姿勢について、もう一度確認をしたいと思います。長官にコメントをいただきたい、そう思います。
  272. 小里貞利

    ○小里国務大臣 要するに、個人的メモ、個人的資料以外は公開する、そして決裁の有無にかかわらず、そういうことだろうという感じがいたします。感じというか、その判断でございます。
  273. 笹木竜三

    ○笹木委員 野党案の提案者にも、基本的な姿勢をもう一度確認させていただきたいと思います。
  274. 福岡宗也

    ○福岡議員 お答え申し上げます。委員のおっしゃるとおり、意思形成過程の情報というのは、国民にとって非常に重要なものがあります。それによってそういう阻止ができるという、行政監視が十分にできるということもあるわけでございますので、これは絶対に公開をしなければならないということで、野党案におきましては、意思形成過程は原則的に公開をするというその原則の中に入っておりまして、ただ、その中でこういう規定があります。当該事務または事業の性質上、開示することによって当該事務または事業の目的を達成することができないという一般的な基準のある場合には、これはやむを得ませんけれども、形成過程自体ということについての除外理由というには全然しておりませんので、原則公開でございます。  終わります。
  275. 松本善明

    松本(善)議員 お答え申し上げます。  政策は、本来、国会で予算だとか法律とかをつくって、その執行が行政機関のもの、もちろん行政機関の中でも意思決定をする場合がその執行過程であると思いますけれども、この過程を明らかにすることこそ、行政の信頼を増すゆえんであろうかと思います。これは、協議、審議過程の情報であることを明確にすれば、誤解や憶測に基づく混乱もないので、公開すべきものだ、こう考えております。  以上です。
  276. 笹木竜三

    ○笹木委員 この情報公開法案がいい形で成立することを願っています。  御苦労さまです。どうもありがとうございます。
  277. 谷津義男

    谷津委員長 以上で本日の質疑はすべて終了いたしました。     —————————————
  278. 谷津義男

    谷津委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  ただいま議題となっております各案審査のため、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、日時、人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  279. 谷津義男

    谷津委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。      ————◇—————
  280. 谷津義男

    谷津委員長 去る十三日、人事院より国会国家公務員法第二十三条の規定に基づく新たな再任用制度を導入するための国家公務員法等改正に関する意見の申し出があり、同日一議長より当委員会に参考送付されましたので、御報告申し上げます。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時三十三分散会