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1998-03-18 第142回国会 衆議院 内閣委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十年三月十八日(水曜日)     午後一時二分開議 出席委員   委員長 谷津 義男君    理事 植竹 繁雄君 理事 小此木八郎君    理事 小林 興起君 理事 穂積 良行君    理事 粟屋 敏信君 理事 佐々木秀典君    理事 倉田 栄喜君 理事 三沢  淳君       逢沢 一郎君    小野寺五典君       越智 伊平君    熊代 昭彦君       佐藤 信二君    近岡理一郎君       虎島 和夫君    野田  実君       平沢 勝栄君    池端 清一君       鹿野 道彦君    中沢 健次君       石井 啓一君    鰐淵 俊之君       瀬古由起子君    寺前  巖君       深田  肇君    中田  宏君  出席国務大臣         国 務 大 臣        (内閣官房長官) 村岡 兼造君         国 務 大 臣         (総務庁長官) 小里 貞利君  出席政府委員         首席内閣参事官 江利川 毅君         内閣参事官   洞   駿君         内閣参事官   尾見 博武君         内閣官房内閣内         政審議室長   竹島 一彦君         内閣審議官   坂野 泰治君         内閣官房内閣安         全保障室長   江間 清二君         内閣法制局第二         部長      宮崎 礼壹君         総務政務次官  熊代 昭彦君         総務庁行政管理         局長      河野  昭君         外務大臣官房長 浦部 和好君  委員外出席者         内閣委員会専門         員       新倉 紀一君     ————————————— 委員の異動 三月十八日  辞任         補欠選任   笹木 竜三君     中田  宏君 同日  辞任         補欠選任   中田  宏君     笹木 竜三君     ————————————— 本日の会議に付した案件  内閣法等の一部を改正する法律案内閣提出第  二二号)  国家行政組織法の一部を改正する法律案内閣  提出第二三号)      ————◇—————
  2. 谷津義男

    谷津委員長 これより会議を開きます。  内閣提出内閣法等の一部を改正する法律案及び内閣提出国家行政組織法の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石井啓一君。
  3. 石井啓一

    石井(啓)委員 平和・改革石井啓一でございます。  まず、今回提出されました二法のうち、国家行政組織法に関しまして質問をいたします。  今回提出されました法案では、外務省政務次官を二人置くことができるとする、こういうふうになっております。  国家行政組織法第十七条第四項では、「政務次官が二人置かれた省においては、各政務次官の行う前項の職務の範囲及び職務代行の順序については、その省の長たる大臣の定めるところによる。」こういうふうにされておりますので、外務省政務次官を二人置いた場合のその役割分担外務大臣が定める、こういうふうになるわけでございますが、実務的には、大臣判断をするというよりは、大体今想定をされていると思いますので、政務次官を二人置いた場合の役割分担がどうなるのか、まず御説明をいただきたいと存じます。
  4. 浦部和好

    浦部政府委員 ただいま委員指摘ように、国家行政組織法第十七条四項で、大臣がお決めになるということになっておるわけでございます。  したがいまして、外務省としても、今回増置されます外務政務次官の具体的な役割分担ということにつきましては、実際に二人の政務次官が置かれますことになった状況の中で、その時々の政策課題の内容であるとか、処理を要する政務の性格であるとか、任命をされました政務次官の方の経歴、経験等を勘案の上、外務大臣の御意向に沿って適切に対応してまいりたい、かように考えております。
  5. 石井啓一

    石井(啓)委員 今の答弁では全くよくわからないのですけれども、大体どんな感じのことを想定されているのでしょうか。もう少し具体的なものがあれば教えてください。
  6. 浦部和好

    浦部政府委員 実は、今回初めて外務省政務次官を二人、もし法案をお通しいただければ置いていただけるわけでございますが、それで、大蔵省、通産省、農林省、既にお二方おられるところをいろいろと参考にさせていただきながら検討はしておりますが、何分にも、各省のを拝見いたしましても、非常にストレートに、Aの方はどういう分野で、Bの方はどういう分野でときっちりと分かれているということよりも、大臣の御意向に沿ってかなり柔軟に対応されている。  特に外務省の場合には、いろいろな事件、事象がどう起こるかということをあらかじめ想定したりなんかするのはなかなか難しいものですから、そういうことも考えまして、外務大臣の御意向に沿って適切に対応してまいりたい、かようお答えをしたわけでございます。
  7. 石井啓一

    石井(啓)委員 それでは一般論として質問をしたいと思うのですが、そもそも政務次官については、国家行政組織法第十七条の第三項では、「政務次官は、その機関の長たる大臣を助け、政策及び企画に参画し、政務を処理し、並びにあらかじめその機関の長たる大臣の命を受けて大臣不在の場合その職務を代行する。」こういうふうに位置づけをされております。  しかし、どうも仄聞するところによりますと、残念ながら、政務次官役割というのが必ずしも省庁において重要な役割というふうにされていない。非常に残念な言い方でございますけれども役所盲腸だとか、儀式要員だ、こういうけしからぬ言われ方をされている、こういうこともお聞きしているわけであります。そういうふうにいてもいなくてもよい存在ではなくて、やはり、ここにございますように、しっかりと政務次官役割というのを私は位置づけるべきだと思うのです。  そもそも、現状、各省庁にどういう役割政務次官は負っているのか。具体的には、政策決定にどう関与しているのか、また省議庁議への出席というのはどうなっているのか、あるいは文書決裁過程においてどういう扱いをされているのか、こういった点につきまして答弁を求めたいと思います。
  8. 竹島一彦

    竹島政府委員 政務次官のことにつきましては、自民党におかれましていろいろ御検討がなされているわけでございます。その過程各省次官ヒアリングを受けておりまして、今先生指摘ような問題についてどうなっているかという実情ヒアリングも行われました。そのことは後でちょっと申し上げますが、私どもは、そういう御検討を踏まえて、政府の中でも、具体的には事務次官会議がございますので、党の方での御検討の項目についてどういうことが政府側としてできるかということを今鋭意詰めております。いずれ近いうちに、その対処方針を各省庁において決めさせていただきたいと思っております。  それで、具体的な点でございますが、国会答弁につきまして、大臣にかわられて政務次官がもっと答弁機会を持たれた方がいいのじゃないかというようなことも言われております。これらにつきましては、ごく一部でございますが実績もございますけれども、私どもとしては、政府としても努力すべきところは努力いたしますけれども、これは国会の方のお取り扱いに係ることの方が大きいのではないかというふうに思っております。  それから、省議等全庁的な会議政務次官がちゃんと出席していらっしゃるのかどうかということもございました。  これは基本的に、大事なことについては政務次官にも御説明し、会議にも入っていただいているということでございますが、ただ、実態は、正直言って各省でまちまちでございます。大臣政務次官の日程が合わないとかいろいろなこともございまして、そこはまちまちでございますので、この辺につきましても、原則として、できれば定期的に、そういう大臣政務次官が一緒になられるよう会議機会というものを設けるというようなことも検討すべきではないかと思っております。  それから、文書決裁についてでございます。  これは、大臣にどういう案件大臣決裁として上がっていくかということにもかかわるわけでございますけれども閣議案件は当然上がっているわけでございますが、それ以外のことについても当然、重要なことは全部上がっているわけでございます。  ただ、具体的に文書決裁規定という問題になりますと、これは下の者に委任されているという実情がございます。各省庁において決裁規定が定められておるわけでございますが、これについてふぞろいがあるということが指摘されておりますので、これもなるべく統一するということで、大臣に上がる案件については政務次官の御決裁も必ずいただくというよう問題意識で対応させていただきたいというふうに思っております。  それから、大臣不在のときに代決ができるようにということがございます。  これについてもふぞろいといえばふぞろいでございますが、ただ、実態は、大臣海外出張にいらっしゃる場合には、大臣臨時代理ということで、ほかの閣僚がそれをなさるということでございます。それから、国内で大臣がいらっしゃらないという場合には、よほど緊急なことでなければ、これは大臣に必ず決裁をいただくということで、代決という実際の必要性がそんなに起きているわけではございません。ただ、それはそれとして検討をさせていただきたいというふうに思っております。
  9. 石井啓一

    石井(啓)委員 政務次官役割強化する方向検討されている、こういうことですが、私、今若干気になりましたのは、事務次官会議検討している、こういうことのようなんですけれども、やはり政務次官扱いでございますから、事務方に任せることなく、閣議においてでも、閣議でやるかどうかわかりませんけれども閣僚懇かもしれませんが、これは政治家として行政府に入っていかに政策あるいは企画に参与するか、こういうことでございますから、大臣間でそこら辺の議論もぜひ御活発にやっていただきたいなと思うのです。  その辺ちょっと、官房長官どうでしょうか。
  10. 村岡兼造

    村岡国務大臣 政務次官のいろいろなお話がございました。  私もずっと前に一回建設政務次官を経験させていただきまして、今、政務次官積極活用ということで、この前自民党から、総理、私も同席をいたしまして、党の調査結果の報告を聞きました。  新聞なんかを見ますと、全部政務次官に上げている省庁は二省庁。建設省は一つ上げてない、四つ上げている。中にはゼロというところ、一つというところもあるわけでございまして、これではやはりうまくないということで、現在、政務次官会議、また事務次官会議検討しているところであります。  今おっしゃるとおり、この政務次官のものを事務次官でやるのではなくて、閣僚懇か何かでやるというお話、ごもっともであります。ただ、実態はどうかということで事務次官会議でやっている、こういうことで、御指摘盲腸じゃないかとか、企画に参画できないのじゃないか、決裁もできないのじゃないか、こういうものは改めていかなければなりませんし、また、私も国対委員長を経験しましたが、各委員会大臣だけではなくて政務次官答弁活用も、ひとつこの席でお願いをいたしたい、こう思っているところであります。
  11. 石井啓一

    石井(啓)委員 よろしくお願いいたしたいと思います。  実は、この政務次官役割強化といいますのは、私は、各省におきます大臣補佐機能強化大臣リーダーシップをより発揮させるためにそういうことをやるべきだというふうな認識でおるのです。  行革会議における最終報告においては、総理大臣リーダーシップ強化総理大臣補佐機能強化、こういつたことについては報告の柱の一つとして随分検討、言及されておるのですけれども、残念ながら、各役所における大臣補佐機能強化といいますか、リーダーシップ強化については、私が見落としたかもしれませんが、見るところによると言及されていないのです。  これは非常に残念なところなのでございますけれども現状でも各省立法府から入っているのは大臣政務次官一、二名、こういうことの中で、幅広い行政各部指揮監督をするというのは実務的には非常に難しいわけでございますよね。とても大臣が指導監督できるよう状況にない、こういうことでございまして、大臣政治家としてのリーダーシップをいかに各省庁で発揮できるかというのは、現状では専らその大臣力量によっている、とういうことではなかろうかと思うのです。  私は、制度的に、仕組み的に、もっと大臣がそれぞれの政治家としての力量を発揮できるよう補佐体制、そういうものをやはり強化すべきだ、こういうふうに思うのでございます。  今申し上げました、各大臣が各省庁におけるリーダーシップ強化する、こういうことにつきまして、どういうお考えでいらっしゃるのか、御答弁をいただきたいと思います。
  12. 小里貞利

    小里国務大臣 まず、せっかくの先生の御提言でございますから、二つに分けて、先ほどお話がございました政務次官役割任務の話でございますが、これは私に直接お問い合わせでもなかったかもしれませんけれども、非常に大事な御提言だと思います。  私は、今先生もお触れになりましたように、政務次官役割あるいは任務、そして実態としての機能性あるいはその実用度というもの、言葉は実用度と申し上げるのはどうかと思いますが、やはり、先ほど官房長官も、あるいは役所の方からも、室長からお話がありましたように、率直に申し上げまして個人差が非常に顕著である、こう思っております。  特に、話がありましたように、二つ省庁のごときは政務次官二〇〇%働いておりますよというお話がございましたが、私は、まさに総務庁のごときは政務次官が大変な汗をかいて働いていただいておる、こう思っております。これは私が大臣なるがゆえにということでは決してございませんでして、総務庁本来の伝統だ、そういう感じも持っております。それから、時局的な非常に重要な案件、高度な政策案件を抱えておるということもあろうかと思っておるのでございますが、この機会に、お話がございましたように、政務次官機能強化、そして実際の運用における、その責任の遂行上における役割というものをぜひ強化をしていただきたい、さように思います。  それからもう一つ各省における、大臣としての、閣僚としてのリーダーシップお話がございました。まさに御指摘のとおりでございまして、行革会議最終報告においてもこの点が具体的に表に出ていないじゃないかというお話でございますが、確かにそのとおりでございます。  ただ、行革会議の経緯を見てみますと、主要論点の中におきまして、内閣機能強化と、そしてその中におきまする総理大臣発議権の件、あるいはリーダーシップ強化の件、それに劣らず各閣僚役割、そしてその機能機能というものをどうするかということが大きな論点の中に入っておるわけでございます。  今、国会に出しておりまする基本法案を御採決をいただきまして、御採決をいただいた後、可決をいただいた後、これからいよいよ各省庁論議に入ってまいりますから、そのときに、今お話がありましたような、いわゆる閣僚リーダーシップを各省庁の中においてどういうふうに位置づけていくか、十分注意をしながら議論を進めてまいらなければならない、さように思っております。
  13. 石井啓一

    石井(啓)委員 といいますのは、今回の中央省庁再編で、それぞれの一つずつの省庁所掌事務というのが従来より広くなるわけでございますよね。広くなった割に、従来と同じような、大臣政務次官一、二名という体制では、とても、これは大臣リーダーシップは従来より発揮しにくくなる、こういうことではなかろうかと私は思うのです。  私ども新進党時代から既に提唱しておりますけれども、いわゆる副大臣制ですね、今も政務次官は一応位置づけ的には副大臣という位置づけだと思いますけれども、きちんと正式に副大臣あるいは政務審議官という形で各省にもっとたくさんの国会議員が入って、そして実際に政治家がより政策企画に参画をしていく。ある意味で、役人任せにせずに、政治家がもっと責任を持ってリーダーシップを発揮できるようなそういう仕組み、体制をつくっていく。これは今でも必要だと私は思うのです。特に、中央省庁再編に合わせてそれぞれの組織も見直すことになるわけでありますから、これは非常にチャンスだ、こういうふうに思っております。  この副大臣制導入についてはいかがでございましょうか。
  14. 坂野泰治

    坂野(泰)政府委員 行革会議論議経過の中では、御指摘の副大臣制導入などのほかに、各省トップ層におきます政治的任命などの是非についても論議としては確かにございました。ただ、賛否両論もございまして、具体的な結論を得るに至らなかったという経過があるわけでございます。これを受けまして最終報告では特段具体的な言及をいたしておりませんけれども問題意識としては、先ほど小里大臣から御答弁がございましたように、行革会議としては持っておったところでございますので、今後、基本法の成立を受けた具体的な作業の中では、一つ検討課題にはなろうかと考えております。  ただ、その場合におきましても、現行の政務次官役割を積極的に活用するという現在政府で行われております検討は、当然の前提としてなってくるのではないかというふうに考えております。
  15. 村岡兼造

    村岡国務大臣 今政府委員の方からお答えがありましたけれども先生の主張している、前から聞いております副大臣二人とか、あるいは政務審議官ですか、六名とか、もう一人置いて七名。考えてみますと、六、七名各省に行きますと、これは正直言いまして二十省あれば百何十名、百四十名も行ってしまう。立法府行政府の関係もございます。  何よりも大事なのは、もう少し強化しなきゃいけない、指導力リーダーシップもやらなきゃいけない、これはもちろんで、ごもっともな話でございます。この点も考えながら、これは余り各省に七人も行って、何しろ私、先ほど先生も言われましたけれども、もう各省もこれは改めなきゃいけないなと、政務次官邪魔者みたいな感じがしているようなことも。今後は両方で相まってやらなきゃいけない。  同時にまた国会でも、政務次官なり、仮に副大臣という制度をつくりましても、これを活用していくということもお考え願わなきゃならぬ、こう思っておるところであります。
  16. 石井啓一

    石井(啓)委員 六、七名という人数はともかく、六、七名だとしても、今度は十二省庁ですから八十名ちょっとでございます。  官房長官もよく御存じだと思いますけれども、我々の議院内閣制先輩でございます英国においては、閣内大臣閣外大臣、あるいは政務次官というのでしょうか、やはり合計八十名ぐらい入っているんですね、立法府から行政府に。先輩のそういう実例もございますので、それほど人数は私は特にこだわらないわけでございますけれども、今より体制強化していく。名前はともあれ、一人一人の今いる政務次官役割強化していく、なおかつその人数もふやしていくという方向でぜひこれは御検討をいただきたいと思います。  続きまして、内閣法改正の方に移らせていただきます。  今回の内閣法の一部改正で、まず、内閣官房長官の定数を一人増員するわけでございます。従来、政務事務それぞれ一名ずつということでございましたが、三名になることによりまして、この官房長官三名の役割がそれぞれどういうことになるのか、まずこれから御説明をいただきたいと思います。
  17. 村岡兼造

    村岡国務大臣 官房長官増員を一名お願いいたしております。  御承知のとおり、いろいろな、激しい状況時代でございます。最近、金融システムの不安や、あるいは、私も担当大臣でございますが、沖縄問題とか、あるいは行政改革の推進とか経済構造改革等、政治的な判断を要する高度な諸課題が増大しており、こういう課題に迅速的確に対処するためには内閣における総合調整機能強化することが急務だと認識をいたしておりまして、今回、内閣における総合調整機能強化するために、官房長官増員をお願いしているという状況であります。  実は私もなりましてからまだ半年ぐらいでございますけれども、端的に申し上げますと、いろいろな外国の方も参ります。また、国会にも対応しなきやならぬ。官房長官は、衆参を回りましたり、それでも、おまえら対応がまずいぞと、毎回私が議運やその他におわびに行っている状況でございまして、そういうような総合的ないろいろな問題について、やはり、予算も伴うことでございますが一人増員をお願いしている。これは中央省庁のさきにひとつ早目にお願いする、こういうところでございます。
  18. 石井啓一

    石井(啓)委員 ちょっと確認質問をしたいと思うのですけれども、今回、内閣法改正では、今の官房長官と、それから内閣危機管理監ということなんですね。内閣危機管理監については行革会議危機管理に関する意見集約を受けて今回新たに増員をしているわけでありますが、官房長官増員については、当然行革会議報告に載っているんだろうと思って私も見てみましたら、ないんですね。総理大臣補佐官増員だとか内閣審議官増員とか、そういうのは触れているのですけれども、副長官増員については残念ながら触れておりません。  ちょっと事前に確認してみたら、たまたまそういう議論がなかったということのようなんですけれども中央省庁再編に先立って今回出されているわけでありますから、この増員の趣旨について、私、もう一回確認をしておきたいと思いますので、御答弁をいただきたいと思います。行革会議最終報告には出ていないんだけれどもという点についてです。
  19. 小里貞利

    小里国務大臣 内閣、官邸の機能強化というのは、今次の行政改革の最も中心的テーマ一つであったことはお話のとおりでございます。  そういう意味合いにおきまして、内閣及び内閣総理大臣のいわゆる補佐支援体制強化しなければいかぬ、そのよう前提でいろいろ議論されてまいりましたが、その中の一つといたしまして、内閣官房強化いたしますよ、これが一つございます。もう一つは、さらにそれに内閣府を加えまして、そして補佐支援体制強化していきましょう、このような基本的な構想のもとに進められてまいりました。  ただいま先生の方から御指摘もございましたが、では、今次の内閣官房長官プラス一というのは、その行革会議過程において具体的に議論、記述がされておるのかと申し上げますと、先生おっしゃるとおりでございます。ただ、基本的な思想、考え方は、行革会議の全体的な流れの中の有力な一翼をなすものではなかろうか、さように私どもは評価をいたしておるところでございます。
  20. 石井啓一

    石井(啓)委員 確認のために今質問させていただきました。  では続いて、内閣危機管理監について御質問申し上げますが、改正法案の第十四条の二の二項では、「内閣危機管理監は、内閣官房長官及び内閣官房長官を助け、命を受けて内閣官房事務のうち危機管理国民生命身体又は財産に重大な被害が生じ、又は生じるおそれがある緊急の事態への対処及び当該事態の発生の防止をいう。)に関するもの(国の防衛に関するものを除く。)を統理する。」こういうふうになっております。  まず、ここの「危機管理」でうたわれております「国民生命身体又は財産に重大な被害が生じ、又は生じるおそれがある緊急の事態」というのは、どういうケース想定されていらっしゃるのか。一般的には災害、事故、事件、こういうふうに伺っておりますけれども、具体的にどういうケース想定をしているのか、この点について確認をいたしたいと思います。
  21. 江間清二

    江間政府委員 ただいま先生おっしゃられましたように、内閣危機管理監が今度担当する危機として具体的に私どもイメージしておりますのは、例えばハイジャックでありますとか、あるいは大規模な騒擾、暴動、あるいは大使館の占拠でありますとかそういった重大事件、あるいは石油等の大量流出事故、あるいは航空機、船舶の大規模な事故といったような重大事故、そのほか、当然のことながら大規模災害。その他の事態としまして考えられますのは、在外邦人の救出でありますとか、あるいは大量難民の流入、そういうよう事態というものを念頭に置いております。  それで、具体的にこれは、例えば災害にしてもそうですけれども、それぞれの省庁の中でそれぞれに対応できる規模のものというのは現行の仕組みの中でやっていくわけでありますけれども、やは久政府として総合的にあるいは統一的に対応を行う必要があるという事象、あるいはかつ社会的な影響の大きい事象というようなものについて、内閣危機管理監がその一次的な初動においての対応措置というのを推進していくという観点で考えておるものでございます。
  22. 石井啓一

    石井(啓)委員 ところで、この内閣危機管理監については、その職務からすると危機管理の専門家といいますか、そういう面に関する十分な経験なりあるいは能力なりが当然必要になってくると思いますけれども、具体的な人選に当たっての基準あるいは想定される人物像、これはどういうことをお考えになっているのか。これも御答弁いただきたいと思います。
  23. 村岡兼造

    村岡国務大臣 内閣危機管理監は、特別職として、内閣総理大臣の申し出により内閣任命することとなっております。  危機管理監は、先と言われましたように、常に緊急事態に対応できる態勢にあり、かつ、危機管理について高度の専門的な識見を有する者が必要でありまして、これに当てはまるような人物であれば、広く各界から求めることとなる、こう思っているところであります。
  24. 石井啓一

    石井(啓)委員 広く各界からお求めになる、こういうことでございますけれども、まあ単純に想定されるのは、例えば警察庁長官OBだとか防衛庁のしかるべき官僚OBだとか、そういう役人OBというのがすぐ思いつくのでございますけれども、どうなんでしょうか、そこら辺をお考えになっていらっしゃるのでしょうか。
  25. 村岡兼造

    村岡国務大臣 ただいま、広く各界から人材を求めるということでございまして、なかなかこれ、一般的な話を言えば、いろいろな問題のときに広く民間から人材を求めると、この問題は別として、なかなか待っている人もいない、職もありますし、正直に申し上げましてここはなかなか難しい人選をしなければいけない。二十四時間体制でいくわけでございますから。そこは、OBとか、いろいろな問題、条件に合致して、この任務にたえ得る人をこれから総理が選ばなければいけない、こういうふうに思っているところであります。
  26. 石井啓一

    石井(啓)委員 これは要望といいますか申し上げておきたいと思うのですけれども役所のOBを活用活用といいますか任用される場合は、特定の省庁ということにならないように、やはりそこら辺は十分御配慮をいただきたいと思います。いわば特定の省庁の、植民地と言ったらおかしいですけれども、固定ポストみたいな形にならないような御配慮はぜひお願いしたいと思うのですが、ちょっとその点だけ確認します。
  27. 村岡兼造

    村岡国務大臣 十分に気をつけていきたい、こう思っております。
  28. 石井啓一

    石井(啓)委員 それでは、この内閣危機管理監の具体的な任務ですね。これを提案しました行政改革会議意見集約内閣危機管理機能強化に関する意見集約において、その任務が例示をされておりますけれども、今回の法律案を読む限りは、具体的な任務というのがなかなかイメージがわいてこないのでございます。  今回、この法案を出されるに当たって、この内閣危機管理監の具体的な任務内容についてはどういうふうになっておるのか、その点について御説明いただきたいと思います。
  29. 江間清二

    江間政府委員 ただいま御審議をいただいております内閣法等の一部改正の中で、内閣危機管理監については、先ほど委員お読みをいただきましたけれども、「緊急の事態への対処及び当該事態の発生の防止をいう。」ということで、これについて所掌することになっております。  具体的なイメージという点についてさらに敷衍して申し上げさせていただきますと、先ほど申し上げたような危機というよう事態が発生しました際に、この内閣危機管理監は、当然のことながらこの事態に関する情報収集あるいは分析評価、さらには政府としての対処方針検討でありますとか、あるいは対策本部、関係閣僚会議など対処に必要な意思決定を迅速に行うための体制の確立と申しましょうか、そういうようなことについて第一次的に判断をし、初動措置について関係省庁と総合調整を行っていくということがまずあろうかと思います。  さらに、事態が起きたということでない、いわゆる平素の段階におきましても、過去いろいろ起きた事態への対処ということから導き出されると申しましょうか、いわゆる教訓でありますとかあるいは反省点というようなものを踏まえて、将来、同様の事態への対処あるいは発生の防止というものに生かしていくために、いろいろ普段の政府、関係省庁含めた危機管理体制の点検、見直しでありますとか、発生防止策の策定といったようなことについて、これも総合調整という立場から助言なり研究の積み上げということを図っていくというようなことになろうか存じております。
  30. 石井啓一

    石井(啓)委員 先ほども申し上げました行革会議意見集約の中では、危機管理監の任務の例示として、突発的事態に際し内閣として必要な措置について第一次的に判断し、初動措置について関係省庁に適宜連絡、指示を行い、こういうふうになっておりますけれども、この初動措置について関係省庁に適宜連絡、指示を行うということは、おやりになるのでしょうか。
  31. 江間清二

    江間政府委員 お答え申し上げます。  総合調整を実際に行っていく際に、関係省庁との間で連絡あるいは指示ということも当然行っていくことになるというふうに考えております。
  32. 石井啓一

    石井(啓)委員 その際の連絡、指示というのは、内閣危機管理監はだれに対してどういうふうな連絡、指示を行うのでしょうか。
  33. 江間清二

    江間政府委員 これは、内閣危機管理監は、内閣官房の各室がございますけれども、それぞれ各室の中におきましては、危機管理ということについての再発防止策ということも含めて、それぞれ各室で分担しておるところがございます。  そういう観点に立って、内閣危機管理監が各省庁と総合調整をやっていくという場合に、内閣官房のそのそれぞれの所掌事務の範囲において、各室を通じて関係省庁に連絡調整を行っていくという場合もあると思いますし、あるいは、迅速な調整というものが必要な事項あるいは高度な調整が必要な事項というようなことについて考えますと、それにつきましては内閣危機管理監みずからがその連絡、指示をするということも当然あり得るというふうに考えております。  その際、これは各関係省庁のだれに対してということのお尋ねがございましたけれども、当然のことながら、そういう事柄の性格からいって、例えば関係省庁事務次官等かなり高位の方々との間での調整というようなことになるのではなかろうかというふうに考えております。
  34. 石井啓一

    石井(啓)委員 私が今あえてお聞きしましたのは、後ほどの質問にもちょっと関係をしてくるんですけれども事務次官に連絡をする、こういうことになりますと、ある意味で各省庁大臣の頭越しにやるような連絡、指示を行うというケースもあり得るかと思うんですが、その際、各省大臣の権限との整合性といいますか、それはどういうふうに考えたらいいのか、この点について。
  35. 江間清二

    江間政府委員 内閣危機管理監が行いますのはあくまで総合調整という立場から実施をするわけでございまして、結局、調整を受けた各省庁におきましては、当然のことながら、これは各省大臣判断のもとで、その大臣指揮監督を受けてその事務を遂行するということでありますから、そういう危機管理監からの総合調整に対して、各省それぞれ大臣の御判断のもとでその判断をし、実施をしていくということになろうというふうに考えております。
  36. 石井啓一

    石井(啓)委員 指示という言葉を聞きますと、何かそれに従わなければいけない義務を伴うのじゃないか、そういう感じを受けるわけですけれども、ではその点については、極端な例で言えば、指示があったけれども大臣判断と違う場合はその指示を当然受けない場合もあり得る、極端なケースで言えばそういうこともあり得るということなんでしょうか。
  37. 江間清二

    江間政府委員 お答え申し上げます。  指示という言葉を私、使わせていただきました。ただ、それはあくまでも総合調整という範囲の中で実施することでございますので、指示というと、さらに言葉をかえれば、指導助言といったような性格のものではないかなという感じがいたます。  もとより各省はそれぞれの大臣の御判断のもとで実施をするわけでありますし、仮にそこにいろいろな、一致を見ないというようなことがあるとすれば、最終的にはこれは閣議の中で決められていくという手続になるんだろうというふうに思います。
  38. 石井啓一

    石井(啓)委員 ところで、この行革会議の危機、管理に関する意見集約の中の提案の一つとして、今回のこういう危機管理監的なポストをつくるのと同時に、こういう体制の整備にあわせて、「突発的な事態の態様に応じた対処の基本方針についてあらかじめ所要の閣議決定をしておき、総理大臣が迅速に行政各部指揮監督できるようにすること。」と、こういうふうな提案がされておりますけれども、この提案に関しては今どういう取り扱い状況検討状況でございましょうか。
  39. 村岡兼造

    村岡国務大臣 おっしゃるとおりに、昨年五月一日に行政改革会議から「突発的事態の態様に応じた対処の基本方針についてあらかじめ所要の閣議決定をしておき、総理大臣が迅速に行政各部指揮監督できるようにすること。」という提言を受けておるところでございます。  これを受けて、現在、突発的事態において内閣総理大臣行政各部指揮監督する場合における方針となる閣議決定について、関係省庁とも協議を進め、必要な検討を行っておるところでありますが、その決定の時期については、危機管理監の設置時を目途として検討している状況であります。
  40. 石井啓一

    石井(啓)委員 わかりました。そうすると、これは四月一日を目途に検討されている、こういうことでございますね。それでは、またこれはぜひ御報告をいただきたいと思うのです。  実はこれは、いわゆる総理大臣行政各部指揮監督権という意味では、ある意味で非常に画期的なことでございますよね。従来、憲法七十二条では総理大臣行政各部指揮監督するというふうにされながらも、内閣法では各大臣が分担管理するというふうになっていましたので、こういうふうに、あらかじめ所要の閣議決定をした上で総理大臣行政各部指揮監督できるというのは、従来の総理大臣の権限の発揮の仕方としては一歩踏み込んだといいますか、そういう内容になっていると私は思いまして、総理大臣リーダーシップの発揮という意味では極めて重要である、こういうふうに認識しております。  この、総理大臣が迅速に行政各部指揮監督できるようにする、その場合に、各省大臣との権限調整というのはどういうふうになるんでしょうか。その点をちょっと確認しておきたいと思います。
  41. 村岡兼造

    村岡国務大臣 阪神・淡路の大震災とか、いろいろな大事件が突発いたしますですね、そういうときに、いろいろこういう対処方針にしろ何にしろ、一々閣議を開いてやっているのではどうも対処できない。こういう事故の場合は、初動というか初期の対応が一番大事なわけでございます。したがって、この閣議で詰めるということも突発的事態ということに限定されておりますので、これは、今までこういうことはなかったんですが、いろいろな事故の、大事件の経験にかんがみ、こういうことにいたしたい。こういうふうに考えておるところであります。
  42. 石井啓一

    石井(啓)委員 その点については非常に私は評価をいたしますので、今ちょっと質問したことをもう少し詳しくこれから質問をしたいと思うのです。  内閣機能強化、この点でございますが、行革会議最終報告でも、先ほど申しましたように、内閣機能強化総理大臣リーダーシップの発揮、これが大きな柱の一つになっているわけでございますけれども、まず確認しておきたいのは、そもそも現状について、閣議がどういうふうに運営をされているのか、この点について確認をしたいと思うんです。  まず、今、閣議の議決というのは閣僚全員一致方式というふうに承知をしておりますけれども、それはどういう根拠でそういうことになっているのか、これをちょっと御説明いただけますか。
  43. 村岡兼造

    村岡国務大臣 閣議の議事運営方法について明文の定めはないのですが、閣議においては、慣行として全会一致により議決が行われております。これは、憲法第六十六条第三項が「内閣は、行政権の行使について、国会に対し連帯して責任を負ふ。」と定めておりまして、内閣の構成員すべてが一体として統一的な行動をとることが要請されているということによるものであると考えております。
  44. 石井啓一

    石井(啓)委員 行革会議最終報告では、閣議の議決方法については本来内閣みずからが定めるものであるが、この場合、必要とあれば合意形成のプロセスとして多数決の採用も考慮すべきである、こういうふうにうたわれているのですね。この多数決制の取り扱いというのは、今後どういうふうになりましょうか。
  45. 坂野泰治

    坂野(泰)政府委員 御指摘のとおり、行革会議最終報告について、閣議の運営の問題として、合意形成のプロセスとして多数決の採用も考慮すべきであるということが提言されていることは御指摘のとおりでございます。  この趣旨について少し申し上げさせていただきますけれども、この趣旨は、内閣総理大臣や他の閣僚自身の発議による案件、あるいは事務的に調整が整っていない案件についても、必要があれば、閣僚が国務大臣としての立場で自由に討議をし、主体的に決定をしていくということなどによって、閣議議論を活性化させたらどうか。そのよう問題意識のもとに行革会議論議がなされ、その結果としまして、その運営上の工夫の一つとして、かつ議論のプロセスの一つとして、このような、多数決の採用も考慮すべきではないかという報告の記述になったわけでございます。  もとより、閣議の意思決定の方式につきましては、憲法の規定の範囲内におきまして、内閣の自律にゆだねられるべきものでございます。したがいまして、今回御提案を申し上げております基本法案におきましても、このよう閣議におきます意思決定方式のあり方については、このような性質にかんがみ、特に規定も置いていないということでございまして、具体的には、内閣そのものにおいてみずから御判断をいただき、適切に対応していかれるべきものというふうに考えているわけでございます。
  46. 石井啓一

    石井(啓)委員 ある意味で、今まで全員一致じゃないと議決ができなかったのを、多少なりとも柔軟に議論ができるようにということなんでしょうが、ある意味で皮肉で申し上げますと、多数決制というと、じゃ、総理大臣が反対するのも、多数決で決まればそれで物事は決まるのかしらという、そういうこともございますので、若干そういう点も私疑問に持ちながら質問をしましたが、こういった点についても今後よく検討をいただきたいと思います。  今現状では、閣議にかける案件は、事前に事務次官会議で了承された案件がかけられることになっている、こういうふうに承知をしておりまずけれども、そもそも閣議におけるこの発議権、これはどういう根拠になっているのか、それからその運用方法というのはどういうふうになっているのか、その点について御説明ください。
  47. 村岡兼造

    村岡国務大臣 内閣法の第四条でございますが、「閣議は、内閣総理大臣がこれを主宰する。」と定めておりまして、「各大臣は、案件の如何を問わず、内閣総理大臣提出して、閣議を求めることができる。」と定めております。したがって、内閣総理大臣及びその他の国務大臣は、いかなる案件についても閣議を求めることが可能であるわけであります。
  48. 石井啓一

    石井(啓)委員 確かに内閣法上はそうなんですけれども実態を見ると、自由に提出しているわけじゃなくて、今申し上げましたように、事務次官会議で了解された案件しかかかっていない、これは事実でございますよね。  ところで、その事務次官会議の法的な位置づけというのはどういうふうになっているのでしょう。
  49. 江利川毅

    ○江利川政府委員 事務次官会議の法令上の根拠という御質問でございますが、この会議は法令上の根拠はございません。新憲法になりましたころに、官房長官から各次官への通知がありまして、開催をする、毎週月曜日と木曜日に開催すると通知がありまして、以後そのような形で運営されているものでございます。
  50. 石井啓一

    石井(啓)委員 各大臣がそれぞれの各省の行政の事務について目を光らせて、万全に詳しいというわけじゃありませんから、当然のことながら事務サイドできちんと詰めたものが上がってくる、こういうプロセスは私も理解できるのですけれども、逆にそれしか、事務次官会議で了承されたものしか一〇〇%上がってこないということについては、私は疑問があるのですね。  というのは、じゃ、事務次官会議で否定されるよう案件というのは閣議に上がらないということになってしまいますから、各省庁、役人の皆さんが嫌がるよう案件というのはそうなると上がってこない。そういう仕組みになっていますよね、現状が。私は、そこら辺はやはり改革をしていく必要があるのじゃないかと思うのですけれども、そもそも、現状事務次官会議で了承された案件だけしか上がらない、これはどうしてそういうふうなことにされたのでしょうかね。
  51. 村岡兼造

    村岡国務大臣 いろいろな法案とかいろいろな問題が出ると、まず政党政治ですから、与党と協議をしながら、与党がなかなか認めないというのはまず上がってこない。  それからもう一つ事務次官会議、別に定まったものではない、こういうよう答弁ございました。いろいろ事務次官、今までの法令と関係あるかないか、各省といろいろな関係があるかないか、そういうよう事務的ないろいろな細かなこともそこで検討されると思います。事務次官会議にかけないものは上がってこない、こう今おっしゃいましたが、そうでない場合もありますし、また閣僚懇というのがございまして、そこでいろいろ相談されたものが、事務次官へおろして、各省との調整とかそういうものでまた出てくるものもありますので、一概にそうではない、こういうふうに思っています。
  52. 石井啓一

    石井(啓)委員 今その問題、ずっとしつこく申し上げましたのは、憲法七十二条で、内閣総理大臣行政各部指揮監督する、こういうふうにうたわれていながら、実際、内閣法では、内閣法の六条では「内閣総理大臣は、閣議にかけて決定した方針に基いて、行政各部指揮監督する。」三条では「各大臣は、別に法律の定めるところにより、主任の大臣として、行政事務を分担管理する。」こういうふうになっておりますから、現行法では、総理大臣閣議で決定した方針に基づかないと自分の行政各部指揮監督権が発揮できないようなこういう形になっておりますので、その閣議にかけるという、かけて決定するというそのプロセスがやはり非常に重要になると思うわけでございますね。  今までの御説明によりますと、閣議案件事務次官会議で了承した案件しかかけられないというわけではない、それ以外のものもある、こういうことになりますと、行革会議でもうたわれておるのですが、総理大臣がみずからの国政に関する基本方針を発議し、討論、決定を求めること、これを内閣法で明確にしよう、こういうふうに行革会議でうたっているのですけれども、これは私は、ある意味で現行法でも可能なのではないか、こういうふうに思うのですけれども、その点はどうでしょうか。
  53. 坂野泰治

    坂野(泰)政府委員 行革会議での指摘は、委員指摘のとおり、現行法上でも可能であると解されておりますけれども内閣総理大臣が国政の基本についてみずから発議し、内閣全体をその方針のもとに運営をしていくという立場をより明確にする必要がある、そのために内閣法改正してこの発議権について明確に規定をすべきである、そういう考え方で指摘されておるものでございます。
  54. 石井啓一

    石井(啓)委員 今政府委員から答弁ありましたように、官房長官、今やる気になったらそういうふうにできるという仕組みになっておりますので、これは、この行革会議の趣旨、内閣法改正を待たずに、ぜひそういう形で橋本内閣もおやりになったらどうかと思いますね。ぜひその点よろしくお願いしたいと思います。  ちょっと確認をしておきたいと思うのです。これは言うまでもありませんけれども、どちらかというと、今いろいろな事象を見聞きしますと、とかく各省大臣というのは、各省の利益代弁者といいますか、そういう形の言動が非常に多い。言うまでもなく、各省大臣各省の利益代表ではなくて、内閣の一員として総理の監督のもとに行政事務を管理しているのだ。だから、総理大臣の監督権というのがまず第一であって、その総理大臣が国務大臣の中から各省大臣任命するというふうになっておりますし、そういう点については当たり前のことだと思うのですけれども、その点について確認をしておきたいと思います。  各省大臣は、各省の代表として閣議に上がってくるのではなくて、総理大臣指揮監督のもとでそれぞれの省庁事務を分担管理しているんだよ、この当たり前のことを再度確認をしたいと思います。
  55. 村岡兼造

    村岡国務大臣 各省それぞれ大臣はおるのですが、その前に大臣は全部国務大臣でございます。したがいまして、内閣の方針に沿って、各省の利益を代弁するのではなくて内閣の方針と国民のためにやるという精神でいかなければいけませんし、私どもなりましてから、例えば規制緩和とか各省のいろいろな問題ございましたが、業界を守るとか何かでなくて、相当規制緩和をしながら、そういう考え方で総理もあるいは各大臣も一生懸命やっている、こう思っているところであります。
  56. 石井啓一

    石井(啓)委員 時間が参りましたので、終わります。
  57. 谷津義男

    谷津委員長 御苦労さまでした。  寺前巖君。
  58. 寺前巖

    ○寺前委員 内閣法の一部改正国家行政組織法の一部改正について、時間の許せる範囲で質問をしたいと思います。  内閣法の一部改正を見ておりますと、要するに、一人官房長官をふやすんだ、総合調整が非常に重要な段階にあるからだ、こういうお話です。同時に、内部機構的にも、内閣危機管理監を新しく設けて、管理監の補佐体制を整備していくんだ、こういうことが書かれています。  そこでお聞きしたいのですが、現実に総合調整をする上において、もう一人置かなかったら総合調整ができないんだという何らかの支障が今までに起こっているのでしょうか。それとも、新しくこういう点をやらなかったならば、総合調整に欠けることが生まれるんだという問題点があるのでしょうか。お聞きしたいと思います。
  59. 村岡兼造

    村岡国務大臣 先ほど石井先生にも答弁をいたしましたけれども、金融のシステムの不安や沖縄問題の対応、行政改革の推進、経済構造改革と、政治的な判断を要する高度な諸課題が増大しており、こうした課題に迅速的確に対処するためには内閣における総合調整機能強化することが課題と、増員一名をお願いしておるところでございます。  先ほども言いました、私も実は正直に言いまして、七時にうちを出て、六時、七時まで国会に勤務をいたしているのがこの半年の実情でございます。同時に、私も答弁にも立たなければなりません。外国の方々も、あるいは労働団体の方々も、また議員の先生方ともいろいろな御意見で会わなければならない。政務官房長官が一名おりますけれども、この六カ月の間に、橋本総理、大変外交問題も活発というか重要なもので、五、六回も副長官がこれに随行していくというような問題等。  あるいは、政務の副長官国会対応もございますので、こちらへ来て説明をしろ、何をしろと。衆議院並びに参議院にも私もたびたび足を運んでおりますが、副長官も行っておりますけれども、なかなか手が回らない。ほかの政府関係者をやりましても、なかなか、おまえの説明ではだめだ、やはり副長官官房長官が来い、それでなければ話にならぬということもいろいろあるわけでございます。そして、こういうような時勢になってまいりますと、ますます仕事もふえてくる、調整もふえてくる。政党とのいろいろな問題もございます。  ということで、ぜひ一人増員をしていただきたい、こういうのがお願いであります。
  60. 寺前巖

    ○寺前委員 私は、要らぬことするさかいに仕事がふえるという面があることを考えないかぬなということを、これは意見として率直に申し上げたい。  去年の通常国会です。国民負担増九兆円という予算を組んだわけでしょう。中身は何だったのか。消費税を上げたことであり、それからサラリーマンの特別減税をやめたことであり、それから医療費の改悪、これで九兆円になる。国民主権になって五十年の歴史を振り返ったときに、一兆円以上の負担増というのは一回しかなかったんだから。一九八一年です。こういうことをやったら国民的な批判が起こる。それにどう対応していく、対処していく、これは忙しくなりますよ。  同じようなことは沖縄です、今もお話があった。沖縄で海上基地をつくって、さあ今陸上にあるものをちょっと移動させてもらいますわと、莫大な金を使って。住民は嫌や、住民投票をやったら嫌やと明確に出たんでしょう。それを納得させるんだということを言うとったら、これは要らぬ仕事をするんだから。住民の自治のお申し出を尊重するんだという立場に立ては、要らぬことをせんかていいんだから。  だから、国民主権の立場に立たないやり方をやっていったら仕事は何ぼでもふえていくのは当たり前だ、納得させるために、ということになると私は思う。その基本を直さなかったら、私は、何でこれは人をふやさなければならぬのかなと。総合調整をやるような、やれるよう機能というのは、やはり立場を明確にすることだ、改めることだということを私は率直に申し上げておきたいと思う。  そこで、この一年二年の間に新しい事態といえば、この間イラクで戦争事態に入るかという問題になりました。日本からだあっとアメリカの軍隊が出ていく。アメリカの軍隊にそんなことで提供した覚えはないですよ、日米安保条約に基づいても。それでこんな事態がつくられていく。  そこへもってきて、今度は新しいガイドラインという問題が出てくる。新しいガイドラインで、周辺事態に対するところの対応を日本がやっていかなならぬ、そのための研究をせなならぬ。忙しくなってきますわ、新しいそういう問題を考えるから。そんな問題というのは、全然日本の従来の条約とは関係ない路線にまただあっと突っ込んでいくからそういうことになるでしょう。  危機が起こったときにどうなる。台湾は中国の、二つの中国があるわけではないのだから、内政に干渉するようなことになったらいかぬさかいどうするか。日本国憲法から見るならば、戦争をやるようなことは許されていない。そういうことになるならばどうなるかといって研究して。これは何ぼ仕事やったって切りがないと思うわ。  憲法と国民主権の立場に立った仕事をやらないところがら、ああ人が足りません足りません、いや、事が重大な段階になったときには新しい体制をつくらなければ間に合いません、こういう発想になっていくのではないだろうか。私は、基本を改められることをまず最初に申し上げておきたいと思うのです。  次に、質問に入りたいと思います。  危機管理体制強化するということで危機管理監が置かれる。この危機管理監についても、ペルーのようなテロ事件や、ハイジャック事件や、いろいろなことの危機がある、それから地震もあったでしょう。新ガイドラインで、周辺有事での日米協力ということが検討されている。この危機管理監というのは、周辺事態の有事についても関与することになるのですか、関与しないのですか。これは担当の方から聞きましょう。
  61. 江間清二

    江間政府委員 お答え申し上げます。  ガイドラインにおきます。辺事態の問題につきましては、これは、我が国の平和と安全への影響、あるいは外交上の観点、それから日米防衛協力の観点ということから、総合的な対処を必要とするということでございますので、これは内閣危機管理監の所掌ということとは基本的に違うというふうに思います。  ただ、個々の周辺事態における対処の中でも、例えば邦人救出とかそういうような具体的な事象はございます。そうなると、これは内閣危機管理監の掌理する分野ということにもなってまいりますので、部分的に見ればそういう面はあろうと思いますけれども、いわゆるガイドラインに基づいての周辺事態の対応という観点全体について、この内閣危機管理監が云々するということではないという認識を持っております。
  62. 寺前巖

    ○寺前委員 私は、関与するのかと聞いておる。  この間、橋本総理は、緊急事態への対応として、難民対策、邦人救出、対米協力、沿岸等の警備の四項目について各省検討を指示しておられたようです。この緊急事態対応について、邦人救出の問題を今ちょっと言われましたけれども、関与しないのですな、するんですな、どっちです。
  63. 江間清二

    江間政府委員 ただいま私、ガイドラインに基づくところの周辺事態への対応ということについてお答えをさせていただきましたが、ただいままた委員指摘の緊急事態対応策の検討、これはもう御案内のとおり、一昨年の五月に総理の指示を受けて、いわゆる在外邦人等の保護でありますとか、あるいは大量難民対策、あるいは沿岸重要施設の警備、そのほか対米協力措置といったようなその四つの分野について、具体的なそういう事態が生じた際の対応を円滑に進める上での研究というのを進めているわけであります。  この四つの分野のうち、在外邦人等の保護でありますとか、あるいは大量難民対策、あるいは沿岸重要施設の警備といったような問題については、これは今御審議をいただいております内閣危機管理監の、国民生命身体財産に重大な被害を生じ、またはおそれがある緊急事態への対処及び当該事態の発生の防止をいうという、そういう所掌分野ということとは密接に関連をしてまいりますので、その意味では、内閣危機管理監は対応するということであろうと思います。
  64. 寺前巖

    ○寺前委員 次に、新ガイドラインに基づいて国内法制の整備ということがいろいろ言われています。国内法制の骨格について、自衛隊法の改正、それから米軍の支援法というのでしょうか、それから船舶検査、臨検のための法律とか、有事ACSAの問題とか、この四本柱、骨格について報道がずっと流れていました。  こうした法制の検討調整については、現在の内閣安全保障室が担当してきたのではなかったのだろうか。今度の法改正によって、内閣安全保障室が危機管理室ということになってくると、そこが引き続きこの問題について拡充し強化していくという仕事についていくことになるのでしょうか。そこはどういうことになっておるのか。
  65. 江間清二

    江間政府委員 この内閣危機管理監の設置をお願いしているわけでありまずけれども、同時に、内閣危機管理監が有効にその機能を発揮するためには、危機管理監一人を設置すればいいということではなくて、やはり補佐体制、これは行革会議の中間整理にも出ておりますけれども補佐体制というものをある程度整備する必要があると考えております。  そこで、その補佐体制を考えた場合に、これはある程度の人数を持った体制ということがやはり必要だろうというふうに思います。しかし、やはりこの行革の中で多くの増員というものを確保していくということは、現実にはなかなか難しいことでございます。  現在、私ども安全保障室におきましては、いわゆる重大緊急事態という、緊急事態に対する対応ということは安保室の所掌として持っております。それで、現在、私ども安保室は実質二十数名の世帯でありますけれども、そのうち、一班五名の体制でもって事があったときの重大緊急事態班というのを事実上構成をしております。ところが、この五人で何か起きたときに実際にすべて対応するなんということは不可能でございまして、例えば昨年ございましたあの東京湾でのダイヤモンド・グレース号一つをとっても、安保室全体でこれに対応していくというようなことになるわけであります。  したがいまして、この内閣危機管理監補佐体制というものを考えました際に、ここで数十名も集めるといってもこれは現実には不可能でありますので、現在、一方で安保室では重大緊急事態というものをもう所掌しておりますから、そこに今度新たに、重大緊急事態ではない分野の緊急事態というものについても補佐する体制として、そこの安保室を若干の増員を加えて、これはまず十一名程度の体制にし、そこを中核として、事があれば安保室、これは名称的には今後安保・危機管理室というふうに名称も変えたいということで検討しておりますけれども、そこがまず補佐体制として対応をしていきたいということを考えておるわけでございます。  実際の、現実の実現可能性というようなことも踏まえて、そういうふうなことで考えておるところでございます。
  66. 寺前巖

    ○寺前委員 ということを聞いておったのは、私は、内閣機能強化とか危機管理というけれども危機管理、いろいろなことをいっぱ旦言われたけれども、結局、具体化していくと、この部屋に集中して仕事をさせていこうと。  次官クラスの内閣危機管理監を置いていく。そして、そこでは何の仕事が始まってきているかといったら、今言われたところの新ガイドラインに基づくところのいろいろな日本有事の場合の有事立法についての調整、検討を進めていく。そして、危機管理監は各行政機構の上に乗っかって、それぞれ全部指揮していくことができるよう機能強化していく。こうなってくると、ねらいはどこにあるんだろうかなということを私はやはり考えざるを得ない。  そのねらいとして考えられる問題というのは、新ガイドラインが中心の体制づくりになっていくんじゃないだろうかと危惧するのはおかしな危惧なんだろうか、私はそう言わざるを得ないと思うのです。仕事をいろいろいっぱいつくっては、わあわあ言っているだけでは、私はいかぬと思う。  ところで、内閣法の場合にはそういう形で出てくる。国家行政組織法という問題についてはどうなんだろうか。  聞いてみると、総務庁の方からこういうふうに言ってきています。共通の趣旨、目的を有しておりますので、内閣法と一括して日切れ扱い法案として審議していただくことが適当と考える。趣旨、目的、一緒だと。そういう目的のために外務省政務次官一人ふやすのかいなと。総務庁文書であります、これ。だから、一括して、同じ考え方なんだ、こう言われると、あれ、それじゃ、今の外務の政務次官のやっていることは何だろうかと。  最近見ていると、ミャンマーというのですか、あそこに今度はODAのお金を出してやるんだ、飛行場を整備してやるんだ、がたがたになっておると。ヨーロッパの方のニュースを見ていると、日本は人権を抑えられている国に対して金を出すのか、長い間とめておったところのものに対して何で出してやるんだ、こういう批判を受けることになるでしょう。そういう仕事づくりをやっておって、さあ人手がないんだと言われたら、やることが違うんじゃないかと言わざるを得なくなるじゃありませんか。  私、この際についでにちょっと聞いておきたいのだけれども、あの湾岸戦争のときに日本もお金を持たされましたよ。今アメリカの軍隊がイラク周辺に行っていますけれども、あれ、金を持ってくれと言われたら、また金を持つつもりでおるのですか。国際的な批判が非常に激しかった一翼に日本も入っているのです。またこの分野においても金を出そうという動きがあるのですか、絶対にそういうことをやらぬという方針を閣僚の皆さんは持っておられるのですか、どちらなんですか。ちょっとこの際に聞いておきたいと思うのです。
  67. 村岡兼造

    村岡国務大臣 まず、その前に、この官房長官増員、要らぬことをやっているから増員をという手厳しい御意見でございますけれども、そればかりではなくて、いろいろな問題も多くなっていると御理解をいただきたいと思います。  湾岸戦争のときにいろいろございました。仮定の問題について今お答えすることはできない、こう思っております。
  68. 寺前巖

    ○寺前委員 話は、これからやるものは皆いろいろなことが起こるんだから、政務次官もこれから事が起こるのに、どういうことになるかわかりませんから、仮定の問題だ、答えられませんでは審議できないので、将来の問題という……(村岡国務大臣「お金の話を言うから」と呼ぶ)お金の問題だってこれから、今話が出ていますのか。(村岡国務大臣「出てませんよ」と呼ぶ)出てないやろ。だから私は、こういう問題についてきっぱりと、何で持たなければならぬのか、質問される方がおかしいぐらいのことを言うたらよさそうなものやのにな、そう思って聞いておったんや。  ところが、それは仮定の問題だから、出さにやならぬことも起こるかもしらぬというような態度だったら、それは自主性のない話だな、えらいことを言うなと思って今私は聞いておったんや。
  69. 村岡兼造

    村岡国務大臣 その今の金額の話は、私、全く聞いておりません。したがって、そういう問題に対してお答えすることはできません、こういうことです。
  70. 寺前巖

    ○寺前委員 金額の話と違います。そんなもの、金を出す、何で出さなければならないと怒って当たり前じゃないか、私はそう思うのや。そういうことが言えないよう内閣では困るね、本当のところ。私は正直にそう思います。  せっかくの機会だから、前にも官房長官質問をしたことが、何年か前の話ですから、内容的にも少しすかっとしないかもしれませんが、ちょっとお聞きしたいことがある。  それは、私も長い間議員をやっている間に何回か聞いた話であるし、新聞やあるいは本などに書かれている話があるのは、海外へ議員が出張するときに総理大臣のところへあいさつに行ったら、帰りしなに官房長官に会ってあいさつしていってくださいと、行ったら包み紙がもらえたという話がよく出たんだよ。今でもそれがあるのかなと。私、お伺いしたことがないから、自分自身の体験としてはありませんから。  今、地方では官官接待が問題になったりして、本当にお金のないときになればこそ一層きちんとしたお金の使い方というのは、みんなが要望される。まして、金がないからといって国民負担増がふえてきているときであるだけに、余計そういうきれいな姿というのが求められる時代に来ているということで、私はお伺いしたいのです。  そこで、内閣には、官房だけではなくしてほかの省にもありますが、報償費という名目があります。報償費というのは一体何なんだろうかということで、大蔵財務協会というところが予算事務提要というのを出しているので、読んでみると、こういうふうに書いてあるのです。国が、国の仕事を円滑に実施するため、その状況において最も適当と考えられる方法により機動的に使用される経費である。円滑な運営をするための機動的に使用される経費だ。うまいことこういうのは言うものだなと思って感心しておったのです。  そこで、これは内閣官房事務的な方で結構ですよ。具体的に言うと報償費というのは何に使いますのやろ。さっき私が言ったような、海外出張のあいさつに行くとせんべつとしてさっと包み紙を渡すというようなことも行われているのですか、行われていないのですか、どちらなんでしょうか。御説明いただきたいと思うのです。
  71. 尾見博武

    ○尾見政府委員 お答えをいたします。  内閣官房の報償費についてのお尋ねでございますけれども先生、今、大蔵省の方の事務提要を引用されておりましたが、国が、国の事務または事業を円滑かつ効果的に遂行するため、その状況に応じて最も適当と考えられる方法により機動的に使用する経費、そのとおりでございます。  例えば、内閣といたしましては、一国の総理として広く内政、外交の円滑な推進を図る上において、これに関し功労、協力及び努力のあった者等に対して、その労苦に報い、さらにそのような寄与を奨励することが望ましいと思われる場合において、その状況に応じ、最も適当な方法で支出しているところでございます。  具体的な使途について、いろいろ例を挙げてお尋ねがございましたけれども、具体的な使途につきましては、一般の経費とは異なる取り扱いをしているところでございまして、内閣として、その具体的な使途を公表することは行政の円滑な遂行に重大な支障を生ずるというふうに判断しておりまして、公表すべき性格のものとは考えておりません。  以上でございます。
  72. 寺前巖

    ○寺前委員 公表するのは適当でないと言うけれども、新聞に載ったり話題になったりして気になるやろ。  要するに、議員があいさつに行ったら、せんべつとして、あれはどんな言い方をするか知らぬけれども、出すということは、今でもやられているのですか。私は報償金全部について聞いているわけじゃない。そういうことはやられているのですか。現在の官房長官はいかがでしょうか。
  73. 村岡兼造

    村岡国務大臣 内閣といたしまして、具体的な使途を公表するということは支障を来すと判断しておりまして、公表はできません。
  74. 寺前巖

    ○寺前委員 やってへんのやったらやってへんと胸張って語れるものが、公表しませんと言うのやさかいに、これはやっているということを裏づけているものとしか聞こえないですよ。  私、ここに、ある年度の内閣のペーパーに書いてある「報償費について」というのを持っているのや。これは、ある年度やさかいに、おたくの年度じゃないですから。  それで、その性格は何だということを書いた上で、「報償費の額」「官房長官が取り扱う報償費は、予算上、内閣官房外務省に計上されており、形式的には外務省計上分を内閣官房に交付する形をとっている。官房長官の取り扱う報償費の額は、次のとおり。」といって、報償費の推移がずっと書いてある。五十八年度十一億八千、五十九年十一億八千、六十年十一億八千、ずっと来て、六十三年十二億七千八百万、平成元年十二億九千七百万と、ずっとこう数字が書いてある。  それでその後に、「留意点」「昭和六十三年度分については五億円(内閣分一億、外務省分四億)が増額されているが、これは、税制改正のための特別の扱いである。更に平成元年度についても、引き続き同様の額を計上しているが、これも新税制の円滑実施等の事情によるものであり、異例の扱いである。したがって、報償費の使途としては、増額分の五億円は例年とは別扱いとする必要がある。また、平成二年度の予算要求に当たっては、昭和六十二年度までの例にならうこととなる。」三番、平成元年度分の使用状況はこうこうごうごうと、ちゃんとこう書いてあるのや。  私、これを読むと、これはえらいことを言っておるなと。外務省の中にもちょっとほうり込んであり、こっちにもほうり込んであり、これはほんまやろか。正直に出さないかぬのと違うか。だから、そういうこともあったんや、いや今もあるのか。  外務省お見えですから、ちょっと教えてくれますか。これは本当なんだろうか。
  75. 浦部和好

    浦部政府委員 お答えをいたします。  外務省の報償費でございますが、外務省の報償費は、情報収集であるとか、あるいは諸外国との外交交渉あるいは外交関係を有利に展開するために、外務省判断責任において使用をしております。したがいまして、外務省のコントロールを離れて報償費の支出が行われるというようなことはございません。
  76. 寺前巖

    ○寺前委員 だめを押して聞きますけれども外務省責任において回しておるということもあり得るのですよ。絶対にそんな、官房の方で外務省のをもらってこんなことをするというようなことはあり得ない話やとおっしゃり切れますのか。
  77. 浦部和好

    浦部政府委員 先生先ほどおっしゃいましたように、まさに内閣には内閣で報償費というのが計上されていると承知しております。外務省の報償費の一部が内閣に行っているというような事実はございません。
  78. 寺前巖

    ○寺前委員 この時期の問題といったら竹下内閣の時期の話かな、これは、出ておるのは。だから私、このときの予算なんかをずっと見ると、これはこういうことをかつてはやったことがあったのかなというふうな気もしよるので、内閣官房の方はこれについてどうなんですか。どなたが説明してくれはるのかな。
  79. 尾見博武

    ○尾見政府委員 先生のお尋ねは、外務省の報償費を内閣において使用しているのではないかというようなお尋ねかと思いますが、内閣官房におきましては、行政運営をするに当たって必要な報償費につきましては内閣官房できちっと予算計上されているところでございます。外務省に計上されている報償費を使用することはございません。
  80. 寺前巖

    ○寺前委員 そうおっしゃっているのだけれども、何でこんな文書が出ておるのかなというので気になるのや、私。それで、これは領収書をもろうてどうこうするということでないところに機密費の問題があるから、だから、言うたってこれ以上は何の証拠も出てきやへんのやしね。だけれども、気になる、依然として。  地方では官官接待としてみんなに明らかにするようになった。地方の小さい市でも、私、ある人が初めて議員になって、議長に選ばれた人の話を聞いたことがある。これはまたみんなからやいやい言われたらかなわぬと思って、私は交際費は、きょうはこういう人にお会いしましたけれども交際費は使っていませんとか、何かこういうふうにばあっと発表するように議長になってから一年間やったというのや。そうしたら、五分の一の予算で済んだ。みんなの人に堂々と監視を受けるような姿でやったら、むだなことはしなくて済むようになった、そんな話をしていました。  私、今国民の前に対して、国家の事業をやるのに地方とすべて同じようなことは言いません。だけれども、少なくとも私は、国会を踏みにじるような、国民にわからないような、そういう運営にならないようにあくまでも貫いてほしいということを願いたいと思う。そして同時に、議員のせんべつとかいうようなものについて、新聞やあるいは本にまで書かれるようになっておるという歴史を持っているだけに、この道を絶対に歩まさないようにしなければならない。  これは、官房長官自身が直接使うことができるお金として報償費というのはあるのだから、だからその点はきちんと、官房長官は、そういうふうに私はさせませんということを明確にしてほしいと思う。その点はいかがでしょうか。
  81. 村岡兼造

    村岡国務大臣 いろいろ例を挙げられて質問がございました。答えは先ほどのとおりであります。
  82. 寺前巖

    ○寺前委員 先ほど何を聞いたんやったかな。失礼しましたので、改めてお聞きをしたいと思います。
  83. 村岡兼造

    村岡国務大臣 報償金の具体的な使途については、一般経費とは異なる取り扱いをしているところでありまして、内閣として、その具体的な使途を公表することは行政の円滑な遂行に支障を生ずると判断しておりまして、公表すべきではない、こういうお答えであります。
  84. 寺前巖

    ○寺前委員 それではあかんと、私さっき言うたんや。  私は広く言っているのとは違うんや。議員のせんべつを出すようなことをおやめなさいという問題提起をあえてしたんだから。私の代では絶対にやりませんと言えへんかったということは、引き続きやりますということですから。そんなことでは、地方でみんな苦労して政治をよかれと思っている諸君たちが泣きますよ、そういう話を聞いていると。本当に正面切って、そういうような、せんべつなどというようなものにお金を使うということはやめたいと。  私、もう一度言いますと、今そこまで言わばるのやったら紹介しておきますけれども、このときの、これは平成元年の私が持っているものの中身を見ると、経常経費、官房長官扱い官房長官予備費、四番目に特別経費、こうなっておって、その備考欄を見ると、自民党外交対策費とか、そんなことをずっと書いてあるんです、これ。だから、そやさかいにこれ全部明らかにされたらかなわぬなと思わはったのかしらぬけれども、私はそないなことまで言ってへんのやけどな。  少なくとも、議員のせんべつと言われるようなものは、かなり新聞にいろいろ書いてあるんだよ。最近でも、私がこの間見ておったら、武村さんが官房長官をやっておられたときのものか、新聞記事をずっと振り返っておったら、またやはりそこでもその話が書かれておるのや、新聞に。だから、こういうことは広く言われてきた話であるだけに、ちょっと紹介しておきましょうか。これは九四年の二月二十七日の読売新聞に載っておった。九四年の話ですね。  「昨秋、政治改革関連法案の衆院通過が危ぶまれた段階で、武村長官から連立与党の国会対策関係の幹部に「通過のために必要なら、官房機密費を使ってほしい」と電話があったが、この幹部は「もうそんな時代ではない」と断ったという。しかし、旧野党の大物議員が官邸サイドに「与党内の根回しのため、少し用立ててほしい」と持ちかけたといううわさもある。」云々という、またここにも官房機密費という形で出てくるんだよ。  私は、こういうような使い方が国家のために必要なんだと言われたら、冗談じゃない、こう言いとうなるさかいに、もうこんなことが二度と話題にならぬようにしょうと思ったら、そんなものに使ってはならないものであると発生源である官房長官が言ってくれたら、もう二度とこういうことが新聞や雑誌に書かれぬようになる。これが政治が信頼される上において一つの大事な課題だというふうに思うので、本当に言いませんということで済ませていかれるんだったら、この問題を軽視しておられるなというふうに私は言わざるを得ないと思うのです。御答弁になりますか。
  85. 村岡兼造

    村岡国務大臣 いろいろ私もそういう雑誌とか新聞を前も見ましたよ。しかし、随分見ていますと、いろいろなこのごろの雑誌、必ずしも事実でないことがうんと出ておりますね。そして、私は公表できない。その新聞を見まして、何か外遊するときせんべつを渡したかと。公表できないと言うと渡したと推測で決めつけられるのも私は困るのですね。  もう寺前先生とは国対委員長時代、よく話しました。先生の意見、御立派なこともたくさんございますが、私どもとして、どうしてもだめだというときもございます。主観の違いもございますし、この問題に関しては公表できない。そうすると先生は、どこかの四、五年前のものを出して、そして、こういう記事があったから私はそれをやっていると思うと言う。推測では困ります。  私は公表できません。
  86. 寺前巖

    ○寺前委員 何も推測していないよ、あなたが出しているなんて。(村岡国務大臣「いやいや、前の人のだよ」と呼ぶ)前の人のものは、私はそうやって紹介して、書かれるようになっているんだから、もうこんなことが書かれない、信頼されるようにしょうと思ったら、こういう報償費の中で、官房長官がそういうことに使うということはやめますとはっきり言うたら、これはそれなりに値打ちが出てくる。言わなかったら、やはりまだ残っているのかなと国民は思わざるを得ないよということをお話ししてあげているんだから、御意見はごもっともでございます、そうしますと言ってくれたら、それで国民は納得すると思うよ。
  87. 村岡兼造

    村岡国務大臣 そう言ったら御立派というような話でございますけれども、何回言われましても公表できません、こういうことであります。
  88. 寺前巖

    ○寺前委員 時間が来ましたので、終わります。
  89. 谷津義男

    谷津委員長 次回は、明後二十日金曜日午前十時五分より理事会、午前十時十五分より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後二時四十六分散会