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木村政府委員 情報通信産業は、
競争の激化によりまして
料金も下がってまいりました。そういったことで、減収減益傾向を示している電気通信事業者が見られるということは、確かに
先生御
指摘のとおりでございます。しかしながら、産業全体としては、設備投資、売上高とも堅調に推移しているというのが私
どもの
認識でございます。
具体的に申し上げますと、将来の
経済成長の牽引役という
一つのメルクマールは設備投資ということでございますが、最新の一九九四年度から一九九六年度の三年間の通信・
放送産業の設備投資の平均伸び率は一七・五%ということで、うち移動通信は四九・一%であります。この時期の全産業平均は一・三%という中で、一七・五というのが通信・
放送産業の設備投資の平均伸び率でございまして、こういった
状況、これは設備投資であります。
それから、その結果といたしまして、一九九六年度の通信、
放送産業の設備投資額は四兆九千億円、全産業に占めるシェアは二%に達し、リース業を除きまして、業界別では実質第一位となった、こういう現状がございます。
それから、売り上げについてでございますが、同じ期間の通信・
放送産業全体の売上高の平均伸び率は一三・九%でございます。このうち移動通信は六六・二%、全産業平均は〇・二%ということで、一九九六年度の通信・
放送産業全体の売上高は十六兆一千億円に達しておるということでございます。
先生御
指摘の、当時三C時代の到来と言われておりました、カー、クーラー、カラーテレビ、この家電産業あるいは自動車産業が成熟の全盛をきわめておりました一九六〇年代後半には、確かに
先生御
指摘のとおり、こういった三Cがリーディング産業の役割を担っておるということが
指摘をされておりました。
そこで、当時の、一九六六年から一九六八年までの三年間の平均を、設備投資伸び率につきましては
日本開発銀行設備投資
調査、売上高伸び率につきましては通産省工業統計
調査等によりましてひ
もときましたところ、家電産業につきましては、設備投資伸び率、この時期、一九六六年から三年間の平均でありますけれ
ども、実に五六・二%の増、それから自動車産業につきましては三三・五%、しかしこの時期の全産業の設備投資の伸びは二五%もございました。そういった
状況でございます。
それから、売上高につきましても調べましたところ、家電産業はこの時期、二八・九%の伸び、それから自動車産業につきましては二三二%の伸びでございまして、全産業も一八・一%の伸び、こういう
状況でございました。
そういうことからいたしますと、時代の背景が違います。それから、
情報通信産業は内需主導型産業であるといったようなことで、必ずしも外国
に輸出をするといったものの性格を自動車とか家電等と同じように扱うこともできないかと思いますけれ
ども、当時の
状況と今の
状況では、必ずしも
情報通信産業が見劣りをするということではないのではないか。ベースが、今非常に
経済成長率あるいは売り上げ、他の産業の設備投資も非常に低いものですから、その中で、通信・
放送産業については、先ほど申し上げました数字を維持しておるということは、やはり景気の牽引力としてここまで引っ張ってきた。
さらに将来につきましても、私
ども、昨年の六月に
電気通信審議会の答申をいただきました。二〇一〇年の二十一
世紀ビジョンということでございましたけれ
ども、これによります試算が出ております。二〇一〇年には、通信・
放送関係につきましては、七兆二千億の設備投資が行われるということ、それから通信・
放送事業の売り上げにつきましては三十五兆、これに関連をするコンテンツあるいは受信機等の関連の売り上げを含めます
市場は百二十五兆だというような試算もございます。
そういうことでございますので、いずれにいたしましても、
情報通信産業につきまして、今後とも
我が国経済の牽引車となるべく、新たなリーディング産業ということで期待もされておりますし、
関係業界もそのような方向で、
国民なり、
世界と
競争していく
体制をつくろうといたしておりますので、私
どもとしましては、リーディング産業だという
認識を持って、自重しながらしっかりと頑張ってまいりたい、このように
考えております。