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1998-03-11 第142回国会 衆議院 逓信委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十年三月十一日(水曜日)     午前十時開議 出席委員   委員長 坂上 富男君    理事 住  博司君 理事 野田 聖子君    理事 古屋 圭司君 理事 山口 俊一君    理事 小沢 鋭仁君 理事 永井 英慈君    理事 石田 勝之君 理事 河村たかし君       浅野 勝人君    石崎  岳君       今村 雅弘君    大石 秀政君       木村 義雄君    佐藤  勉君       坂井 隆憲君    園田 修光君       竹本 直一君    中谷  元君       野中 広務君   吉田左エ門君       伊藤 忠治君    小坂 憲次君       吉田  治君    遠藤 和良君       神崎 武法君    石垣 一夫君       矢島 恒夫君    横光 克彦君       中田  宏君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 自見庄三郎君  出席政府委員         郵政政務次官  中谷  元君         郵政大臣官房長 天野 定功君         郵政省郵務局長 長谷川憲正君         郵政省貯金局長 安岡 裕幸君         郵政省簡易保険         局長      金澤  薫君         郵政省通信政策         局長      木村  強君         郵政省電気通信         局長      谷  公士君         郵政省放送行政         局長      品川 萬里君  委員外出席者         警察庁生活安全         局少年課長   勝浦 敏行君         総務庁青少年対         策本部企画調整         課長      竹林 義久君         郵政大臣官房首         席監察官    有村 正意君         郵政大臣官房人         事部長     足立盛二郎君         逓信委員会専門         員       丸山 一敏君     ————————————— 本日の会議に付した案件  逓信行政に関する件(郵政行政基本施策)      ————◇—————
  2. 坂上富男

    ○坂上委員長 これより会議を開きます。  逓信行政に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。竹本直一君。
  3. 竹本直一

    竹本委員 昨日、郵政大臣から所信表明演説がございました。その中で、「情報通信高度化に向けた取り組みを加速することにより、我が国経済の再建と国民が真に豊かさを実感できる社会実現に貢献し」という言葉がございました。  まず、このとおりだと私は思うのでございますけれども、今世界先進国を見ておりますと、情報通信、このテーマをもと社会改革をやっていこうというのが先進国動きではないかというふうに思います。  特に、私は、アメリカの現状、経済あるいは株式の市場、あるいはその他社会の仕組みの変化、こういったところを見ておりますと、米国経済の再生は情報通信がリードしているのではないかというふうに思います。NASDAQにいたしましても、あるいはダウ三十種平均にしましても、いずれにしろ高い株価を誇っておりますが、その原動力は、すべてこの情報通信産業の振興、活性化が大きく貢献しているのではないか、そのように確信するものであります。  特に、スーパーハイウエー構想というものがございまして、これをもとNII構想推進されております。全米情報基盤とでもいうのでしょうか、このようにアメリカ社会情報という一つインフラストラクチャーでもって、効率のよい、そして開かれた社会にし、万人にあるいは全企業に情報が伝わり、そしてその間のロスを少なくし、効率のよい社会をつくっていこうというのがこのアメリカに見られる情報通信革命ともいうべき一つ動きだと私は思うわけでございます。  そこで、このように国際的規模で激しい競争が繰り広げられているこの情報通信分野でございますが、この激しい競争社会の中で、我が国主導的地位を確保いたしまして、二十一世紀に向けた新しい日本をつくっていかなければいけない、それがこの情報通信行政郵政行政の大きい役割ではないかと私は思うわけでございます。  そこで質問でございますが、世界各国でこのような二十一世紀への発展基盤の形成に向けた努力、そういった中で我が国取り組み郵政大臣として、あるいは郵政省としてどのように見ておられるのか、どのようにしていくつもりであるか、その基本的な考えをまずお聞きいたしたいと思います。
  4. 木村強

    木村政府委員 先生指摘ございましたように、情報通信は、我が国のこれからの社会経済システム改革をしていく原動力だということで、特に社会経済あるいは国民生活基盤になる分野だというふうな認識を持っております。  世界各国の例は、先生ただいま御指摘のとおりであります。我が国におきましても、このような観点基盤整備というものが非常に大切だということで、これまで光ファイバー網全国整備の促進、あるいは衛星放送開発普及など、いわゆるネットワークインフラ整備というものがまず基本だということで取り組んでまいりました。  日米比較、その結果でございますが、例えば光ファイバー化率、一九九四年度末で申し上げますと、これは我が国は一五・一%であります。米国は九・三%ということで、光ファイバー化率そのものは、我が国米国に劣らず何とかインフラとしての成長を遂げてきております。  それから、衛星放送世帯普及率にいたしましても、一九九六年度末、米国は五%でありますけれども日本は二一・三%だということで、衛星放送関係日本は非常に進んでおる。もちろん、CATVアメリカの方が進んでおるという実態がございます。  このように、インフラがまず基本だということで取り組んでまいりました。  それから、具体的な競争市場につきましては、NTTの再編実施であるとか、あるいは接続ルールの設定を初めとする公正有効競争を確保するための条件整備努力しましたし、規制緩和推進も行い、電話料金につきましても、一九八五年と比べまして約四分の一になるなど、料金低廉化あるいはサービス多様化というものについてもそれなりの進歩を遂げたというふうに認識をいたしております。  また、民間の自由な競争にゆだねておきましてはなかなか達成が難しいといいます地域間あるいは個人間の情報格差の問題がございますが、これにつきましても、例えば携帯電話等不感地帯解消目的としました過疎地等におきます移動通信用鉄塔施設整備事業、あるいは民放テレビ放送難視聴解消事業、また障害者方々のための字幕放送等充実といったようなことで取り組んでまいりました。  それから、アプリケーションの開発といたしましては、高度なネットワークを通じて公共施設を接続しようということで、自治体ネットワーク施設整備事業等推進も行ってまいりました。自治体ネットワーク施設整備事業実施地域全体で三十五地域ございますが、この半数程度教育支援システムということで、具体的にこういう行政領域についての取り組み地域情報化というものが進んでおります。  また、研究開発につきましても、ミリ波帯等の新しい周波数帯開発するといったようなことで、それぞれの基盤、あるいは応用技術、あるいは研究開発といった点でそれなり努力をしてまいったということでございます。  これからは、非常に情報通信高度化してまいりますと、各省庁の垣根を越えた、例えば電子商取引といったような新しい課題も出てまいりますので、これには総理を本部長といたします高度情報通信社会推進本部ども設置をしていただきまして、各省が一緒になって取り組むという体制どもつくってまいったということで、それなり成果は出てまいっておると思いますけれども、何せ情報通信技術は非常に激しい分野でありますし、今先生指摘のとおり、世界各国が戦略的な目的意識を持ってこの情報通信基盤というものに取り組むという体制でもございますので、二十一世紀の私どもの国としての生き残りの一つの大切なものだということで、特に光ファイバー網全国整備していく、あるいは放送デジタル化というものを早期に持っていくという形の中で、生産性の高い、付加価値の高い、あるいはゆとりのある情報通信の効用が発揮できるような社会に引き続き努力してまいりたい、このように考えております。
  5. 竹本直一

    竹本委員 詳しい御説明、ありがとうございました。  今お話を聞いておりましても、例えば衛星放送につきましては、アメリカが五%程度であるにかかわらず、日本は二三%の普及を誇っておる。ところが、他方CATVアメリカが圧倒的に進んでいる。これは、日本の二十数倍もある国と、日本のように国土の狭い国との地形の差ということは大きくあろうと思いますけれども、いずれにしましても、その国に合った情報メディア普及ということは絶対に必要でございます。  そこで、どんどん日進月歩するこういった技術をどのように社会が消化していくかということが非常に重要なことであると思います。  対外的な競争社会の中では、技術研究もしていかなければいけない、他国の動きもよくウォッチして、それに負けないようにちゃんとした対応をとっていかなければいけない。同時に、国民一般がこういったメディアあるいは情報基盤をどのように消化し切れるかということがまた非常に大きい行政課題であろうかと私は思うわけでございます。  そこで、郵政大臣、私は、インターネットは実は自分でさわったことはないのですけれども郵政大臣はさわったことがあるのかどうか、ちょっとお聞きしたいのです。  それと、このようなインターネットの急速な普及、また仕事や生活全般にわたっていろいろな情報メディアが必要になってきているわけでございますが、やはり情報アクセスするためには小さいときからの教育ということが絶対必要ではないかなというふうに思うわけでございます。  そこで、どのような方策を講ずれば全国民がこういったメディアあるいはこういった情報通信のいろいろな機器になれ親しめるようになるのか、そのために行政としてどのような工夫をしておられるのかをぜひお聞かせいただきたいし、またその中で郵政省としての施策進捗状況もお聞かせいただきたいなと思います。  特に放送行政分野におきましては、今パーフェクTVができておりますが、私も契約しようと思って、契約書をひもといてやったのですけれども、なかなかどのように記入していいかよくわからない。もう二百も三百もあります。一度皆さん見られたらわかりますが、本当に目がちらつくわけであります。我々ぐらいの平均的な世代でもなかなか理解し切れないほど、こういった新しいメディアに対するアクセスには難しいものがございます。  そこで、特に、デジタル化が進んでまいりますと、これから国際社会において日本というものを世界に理解させていくために、国際放送をどのように発展させていくおつもりであるのか、そういったことも含めて、現在の取り組みとこういった問題についての郵政大臣のお考えをまずお聞きいたしたいと思います。  その前に必ず、インターネットの御経験がありやなしや、お聞きいたしたいと思います。よろしくお願いします。
  6. 自見庄三郎

    ○自見国務大臣 竹本委員に答弁をさせていただきます。  竹本委員は自民党のインターネット委員会の副委員長をしておられるということは、私よくお聞きいたしておりますが、私自身がインターネットアクセスしたことはあるかどうかという御質問でございます。  私も、三年ほど前から実はインターネットホームページをつくらせていただいておりまして、まだ五十の手習いでございますが、一生懸命インターネットアクセスをし、また私のホームページも、数は多くございませんけれども大変国民方々からアクセスをしていただいているという状況でございます。  また、二点目の質問でございますが、特にインターネットが小中学生の方においてどういうふうな状況にあるのか、こういう御質問でございます。  御存じのように、今先生の御指摘のとおり、高度情報通信社会においては、インターネットを活用できるように、情報リテラシーと申しまして、情報通信機器を自由に操作できる能力、これは先生の御質問の中にもございましたように、なかなか操作するのが難しいという御指摘もあったわけでございます。できるだけ高齢者方々にもたやすくアクセスできるような簡便な方法と申しますか、大変技術革新が要るようでございますが、そこら辺の研究開発もやっておりますが、いずれにいたしましても、リテラシーの向上が重要な課題だというふうに認識いたしております。  このため、御質問の趣旨にございました、小中学校において学習の中でインターネットを活用することにより、次代を担う児童生徒の皆さんに早い段階からインターネット等になれ親しんでいただくことは大変重要だというふうに認識をいたしております。  郵政省といたしましては、まず、小中学校を初め全国すべての人々が市内料金インターネットアクセスできるように、アクセス拠点整備の来年度中の実現支援していく考えでございまして、全国に今は五百六十七の単位料金区域と申しまして三分間十円で通話できる区域がございます。これがまだアクセスができない地点が現在百三十ございますから、これをできるだけ早くアクセスができるようにしようということで、来年度中に全国すべての単位料金区域アクセスできるようにということを実現するために支援をしていく考えでございます。  さらに、小中学校においてインターネット高度利用を図るためには、学校向け通信回線高度化や、特にこれは大事な点でございますが、有害情報除去、今大変社会問題になっておりますが、さらにインターネット利用に当たってもかなり料金がかかるということもございまして、この負担軽減などが課題と思っております。  実は、こういったことを踏まえまして、昨年の十二月でございますが、私と町村文部大臣で相談をいたしまして、郵政文部両省で有識者による懇談会を昨年発足いたしまして、六月ごろまでに提言を取りまとめていただくという予定でございます。  これは決して手前みそではございませんけれども郵政大臣文部大臣で、二人で平等な立場でこういった懇談会をつくったのは初めてでございまして、やはりとかく省と省との間の壁が問題になっている今日でございますから、ものは小学生中学生でございまして、一方は情報通信でございますから、二人の大臣でこういった会議をつくらせていただいたわけでございます。  いずれにいたしましても、こういった中で、竹本先生インターネットの副委員長でございますからいろいろな貴重な御意見を寄せていただいて、やはり小学生中学生が将来もインターネット利用できるように、そういった客観的環境整備、あるいは今答弁申しましたような点を解決しつつ利用環境整備に積極的に取り組んでいきたいというふうに思っております。  最後に、御存じのように、アメリカにおきましてもクリントン大統領が教書で、二〇〇〇年までに全米学校等インターネットで結び、十二歳でみんながインターネットアクセスできるようにするというふうに発表したわけでございますが、そういったこともこれあり、我が国もしっかりそういった世界の情勢を踏まえながらインターネット環境整備に努めてまいりたい、こういうふうに思っております。
  7. 竹本直一

    竹本委員 どうもありがとうございました。  特に、大臣が自信を持って申し上げられました町村文部大臣との懇談会ですか、その結論が六月に出るということを私は非常に期待いたしております。省庁の壁を乗り越えるということも、これはもちろん政治課題であり、政治家として当然やらなければいけないことでございますが、同時に、その中身に私は期待しておるわけでございます。  有害情報除去というお言葉がございましたけれども、何せ三百もある中ではいろいろな番組がございます。青少年に対しては一定の、例えばアダルト番組なんか見せないように手配はしてありますけれども、その辺がきっちりなされるようにされることが非常に重要だと思いますし、また、その他の有害情報についても、どのように家庭に伝わらないようにするかということもまたその場で議論されるものだと期待いたしておりますので、ぜひ立派な成果を出していただきたいなと思います。  ところで、グローバル化ボーダーレス化が進む中で、日本に向けた情報発信もございますが、同時に、日本世界に対して情報発信していくこともまた情報メディアを通じて日本を売る非常にいいチャンスでございます。  映像国際放送とか、こういったものの充実が必要でございますが、特に私はこの点に関しては、前にも当委員会で申し上げましたけれどもイギリスBBCワールドあるいはCNN、こういったものの放送を見ておりますと、二十四時間やっている。しかも、基本的に違うのは、日本の例えばNHKであれば、二十四時間ではないといいますか、八時間ぐらいでしょうか、それを今度延ばしたというふうに聞いておりますけれども放送中身が問題でございます。  こういったBBCワールドなんかは、まさにイギリスのことのみならず、全世界情報を二十四時間世界に伝えている。ところが、日本NHK国際放送ですと、どうしてもそこまでいかない。そのために、日本だけを海外へ紹介するという程度のことにとどまっておる。ぜひこれを、世界先進国であり情報先進国としてこれから日本情報基盤を整えていこうという我々の気持ちをより具体化するためには、全世界のニュースを東京から発信できる、そういう映像国際放送充実ということがぜひとも必要なのではないか、そのように思うわけでございます。  特に、十年度予算ではこういった方向への予算措置が講じられておると聞いておりますが、その点も含めまして、どのような措置が予定されているのか、お伺いいたしたいと思います。事務当局で結構です。
  8. 品川萬里

    品川政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先生からお話がございましたように、我が国国際放送、主としてNHKあるいは民放の皆様の御努力によってなされているわけでございますが、NHKにおいては平成十年度予算で大変より国際放送を拡充する中身になっております。  従来は、九年度でございますと、欧州北米向けでそれぞれ約五時間程度放送でございましたが、十年度はこれらの地域に加えまして、アジア太平洋それから中東、アフリカ、南西・中央アジア欧州それから中南米、北米、ほぼグローバル放送対象地域を拡充いたしまして、九年度は放送対象地域に、延べでございますが大体一日十時間程度でございましたが、十年度は五十時間を超える放送時間になります。対象国も一挙に三十カ国から百七十五カ国にふえるということになります。  こうしたことで一挙に対象国が六倍にふえたわけでございますが、これに要する衛星を使っておる回線コストの方は実は一・四倍ということで、大変効率的な国際放送ができるようになりました。これも衛星回線デジタル化によって可能になったわけでございまして、こうした技術革新成果を活用することによりまして、より効率的な国際放送充実が図られるというふうに考えております。  また、民間放送事業におきましても、昨年三月から、二十四時間、アジア太平洋に向けまして放送を行っておりまして、大体対象国八カ国になっていまして、このようにNHKあるいは民間放送におけるいろいろな国際発信努力がなされているわけでございます。  郵政省といたしましては、平成十年度予算におきまして、開発途上国向け放送番組翻訳事業、これはなかなか手間暇がかかりますものですから、これに計上したものが九千五百万円、それからアジア地域において映像国際放送普及していくためにどのような配慮をしたらいいのかといったことについての調査研究費として六百二十五万円を計上しておりまして、こうした調査研究あるいは支援を通じまして、さらにNHK民放における国際放送充実するように対応してまいりたいと存じます。  以上でございます。
  9. 竹本直一

    竹本委員 情報通信発展というのは、要は技術革新によるところが非常に大きいと思います。また、サービスの面ではグローバル化がどんどん進んでまいります。こういった環境の中において、今後の日本発展のためには、どうしても日本技術世界標準にしていくという努力もまた必要ではないかと思います。アップルとウインドウズのあの戦いを見ましても、大勢を占めるものが主流を占めるという現実があるわけでございます。そういった意味で、技術開発政策についてどのような努力政府としてしておられるのか、御説明をお願いします。
  10. 木村強

    木村政府委員 お答え申し上げます。  情報通信技術発展というもの、これをグローバル的な観点から見ますと、今御議論がございましたように、インターネットというものが非常にグローバル化して進展をしております。それから、イリジウムといったようなことで、世界をまたにした携帯電話利用といったようなサービスども現実に出てきております。それから、情報通信業界につきましても、もう世界的な再編等がどんどん進んでおる。こういった中で、先生指摘のとおり、日本研究開発された情報技術世界に通用していくということが極めて大切な段階に来ておるという認識でございます。  したがいまして、私ども、この点につきまして、世界標準化をめぐる動きを見ますと、例えば欧州では、もう十年前に、一九八八年でありますけれども、ETSIと申しまして欧州電気通信標準化機構ということで、三十二カ国、四百十二団体が一緒になって、官民一体となって研究開発段階から世界標準化を目指した取り組みが行われる、こういう組織ができております。  それから、米国につきましては、民商標準化機関は既に一九八四年からあるのですが、特に民間主導フォーラム活動ということで、事実上の市場における競争の中からデ・ファクト標準という ことで世界標準に持っていこうという動きがございます。  こういうように、欧州米国とでは標準化を目指す手法は違いますけれども、もう十年以上前からこの動きを始めておるということであります。  私どもも、グローバル化が進む、今先生指摘のように、技術世界に通用するということがますます必要になってまいります。したがいまして、昨年の春にいただきました電気通信審議会の二十一世紀ビジョン等にも、アジア太平洋地域からの一つデ・ファクト標準発信とか、あるいはITU活動に貢献するような考え方でひとつ組織づくりができないものだろうかという提言もいただきました。  私ども、それを受けまして、海外におきます関係者働きかけを行いまして、このたび、アジア太平洋電気通信共同体もとで、アジア太平洋電気通信標準化機関ASTAPと申しております。エイシア・パシフィック・テレコミュニティー・スタンダーディゼーション・プログラムということで、このASTAPというものを設立しようということで、本年二月に第一回の総会がタイで開催をされたということで、アジア太平洋から技術世界発信していこうという取り組みが、私ども働きかけ、あるいはアジア諸国の御協力をいただきました結果、こういう組織もできたということで、私ども世界的にもこのような動きの中で、標準化を目指した動きに取り組んでまいりたいと考えております。  また、十年度予算案につきましても、今御審議いただいておりますけれども国際標準実現型研究開発制度ということを公募研究段階からやろうということで、研究開発段階から国際標準を意識した研究開発産学官協同で行おうといったような研究開発制度につきましても、政府原案ではお認めいただいたというような状況でございまして、標準化への取り組み、非常におくれておりましたけれども、私どもとしまして、官民一緒になって、あるいは学に協力もいただきまして、そのような体制で持っていこうということであります。  なお、それとは別に、さらに情報通信技術グローバル化に関する研究会というものを昨年九月から省内で学者先生等にお集まりいただきまして議論をしておりまして、そういった世界に通用する標準化についての問題意識を深め、実践をしていこうという研究会も発足させております。  いずれにいたしましても、先生の御指摘のような問題意識を持って、世界に向けた技術という意識で取り組んでまいりたい、このように考えております。
  11. 竹本直一

    竹本委員 このように重要な情報通信行政でございますけれども、現在、国会に提出されました省庁再編等基本法案、ここでは現在の自治省などとともに総務省に統合されることとなっているわけでございます。  我々としては、郵便局の果たしてきた大きい役割、また郵政省としてこれから果たさなければならない大きい課題考えますときに、どうしても情報通信省へのノスタルジアがいまだに私は心に残るものがあるわけでございますが、それはともかくといたしまして、全体がどんどん一府十二省に整理される中で、やむを得ないところかとも思いますけれども、現在のこの動きの中で、最高責任者としてその責めに当たっておられる郵政大臣のこういった問題についての御感想をお聞きいたしたいと思います。
  12. 自見庄三郎

    ○自見国務大臣 竹本委員にお答えいたします。  今さっきから先生が大変見識のある御質問をしていただいたわけでございますが、その中にもございました情報通信というのは、まさに社会経済構造改革原動力であるとともに、経済のみならず、文化、行政等あらゆる分野を支える基盤として、二十一世紀の国の根幹となるべき最重要分野であるというふうに私も認識をいたしております。  そういった中で、先生の御指摘にもございましたが、例えばアメリカ情報スーパーハイウェーの話、あるいはアメリカのみならず、これはもう御存じのように欧州でのTEN計画、あるいはシンガポールでのIT二〇〇〇構想、あるいはマレーシアのマルチメディア・スーパー・コリドー計画等、各国がまさに国を挙げて積極的に取り組んでいるところでございます。  我が国におきましても、今情報通信行政を強力に遂行するために、一人の大臣もとで総合的、戦略的、機動的な行政の展開が可能な体制を確保すべきもの、私は前も委員会で御答弁申し上げましたように、そういうふうに行革の途中段階でも考えておりました。  現在、国会に提出されております中央省庁改革基本法案の中にも、御存じのように、現在の郵政省情報通信行政が一体として総務省に移管するということになっておりまして、現在と同様、一人の大臣もとで総合的、戦略的、機動的な情報通信行政の展開が可能であるというふうに認識をいたしております。
  13. 竹本直一

    竹本委員 ぜひそういう御決意のもとに精力的にやっていただきたいと思うわけでございます。  この前の省庁再編の議論のときに、我々は、全国の特定郵便局長さんとお会いし、また関係のいろいろな業界の要望も聞き、そして何よりも国民の声を聞いてまいりました。全国二万四千六百の郵便局ネットワークがあるわけでございまして、そこでは、安心感もあれば信頼感もある。百年にわたって培われてきたこのよき、情報ネットワークという言葉を私は使っておったわけでございますが、このいい伝統を日本の誇りとして残していただくと同時に、先ほど来議論いたしてまいりました諸外国との競争の中で、情報通信分野で、世界に負けない強力な、そして先進的な日本の通信行政を構築していくことが日本にとって最も肝要なことだと私は確信しておるものでございます。  そういう意味で、今の大臣のお言葉を聞きまして安心したわけでございますが、ぜひそのすそ野の広がりを広げていき、みんなが協力して、そして世界から尊敬される、世界の中心地としての日本をつくっていくこと、そしてその手段がこの情報分野にあるという私の考えを申し上げまして、時間が来ましたので、これで質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  14. 坂上富男

    ○坂上委員長 園田修光君。
  15. 園田修光

    ○園田(修)委員 自民党の園田修光でございます。  それでは、質問に入らせていただきます。最近、株式の市場活性化策として我が党の山崎政調会長が郵便貯金や簡保資金の活用を提唱されておられます、大臣は、政府の一員としてという立場でありながら、政治家の発言についてあれこれ言うのは大変答えにくい面もあろうかと思いますけれども、せっかくの機会でありますから、その事実関係についてお教えいただきたいと思います。  まず、株式への運用と言われますが、国の機関として特定の会社の株を買うというのは大変難しいことだと思いますが、現在郵便貯金や簡易保険の株への運用はどういう形で行われているのか、お教えいただきたいと思います。
  16. 金澤薫

    ○金澤政府委員 お答え申し上げます。  株式への運用につきましては、簡保事業団を通じまして、単独運用指定金銭信託、いわゆる指定単契約を信託銀行と締結して行うことが認められているところでございます。  指定単と申しますのは、金銭信託の一種でございまして、委託者が、つまりこの場合は郵政省でございますが、信託銀行に運用資産の種類や割合、まず大枠を指定いたします。信託銀行は、当該信託金を他の投資家と区別いたしまして、単独のファンドをつくりまして運用するものでございます。  すなわち、指定単運用は、信託銀行が自己のノウハウに基づき運用するものでございまして、郵政省が一々銘柄それから買い入れ時期等々を特定するものではないわけでございますが、その運用 の実績につきましては、配当という形で簡保事業団が受け取る仕組みというふうになっております。  簡保事業団は、この受け取りました配当を郵政省に借入利息等の形で支払う仕組みということでございます。
  17. 園田修光

    ○園田(修)委員 今の御答弁を聞きますと、郵便貯金も簡易保険も特殊法人の簡易保険福祉事業団を経由して信託会社への指定単運用という形で行っているということでありますが、特殊法人については一般的にディスクロージャーの必要性が叫ばれております。その面から、この簡易保険福祉事業団による指定単運用の結果はどのようにディスクローズされているのか、そしてまた、郵便貯金と簡易保険とできちんと区別をされているのか、お聞かせいただきたいと思います。
  18. 金澤薫

    ○金澤政府委員 お尋ねの簡保事業団のディスクローズでございますけれども、これは、特殊法人の財務諸表等の作成及び公開の推進に関する法律に基づきまして、毎年度、決算の状況、つまり損益計算書、貸借対照表等を官報に公示いたします。「事業のあらまし」というディスクロージャー冊子も発行いたしておりまして、その内容を広く公表しているところでございます。  また、簡保事業団における簡保、郵貯の資金運用事業でございますけれども、簡易保険福祉事業団法という法律に基づきまして、それぞれの業務を区分しております。勘定につきましても、簡保は運用事業特別勘定という勘定がございます。郵貯は郵便貯金運用事業特別勘定という勘定がございまして、それぞれ明確に区分して経理しているところでございます。ディスクロージャーにつきましても、郵貯は郵貯、簡保は簡保という形で行っているところでございます。
  19. 園田修光

    ○園田(修)委員 御答弁をいただきました。  今の株価、最近回復基調にはあると言われますけれども、運用成果については大変厳しいものがあろうと私は考えております。郵便貯金と簡易保険それぞれについて、最近のこの指定単運用の損益状況を明らかにしていただきたいと思います。
  20. 安岡裕幸

    ○安岡政府委員 お答え申し上げます。  まず、郵便貯金の関係につきまして、郵貯の指定単の状況について申し上げます。  郵貯の指定単につきましては、平成元年度から運用を開始されているところでございますが、最近の直近の決算でございます平成八年度の郵貯指定単の損益の状況は、投資環境がおおむね良好であったこと等によりまして、三百六十六億円の当期利益を計上しておりまして、この結果、累積で七十五億円の黒字を計上することができております。
  21. 金澤薫

    ○金澤政府委員 簡保の実績について申し上げたいと思います。  簡保事業団の運用事業特別勘定の平成八年度の経常収益でございますけれども、三千四百二十七億円となっております。費用は三千八百五十八億円でございまして、経常損失四百三十億円を計上したところでございます。ただ、前年度と比べまして、損失額は七百五十六億円減少いたしております。  これは、平成六年度の運用寄託制度の導入により調達コストが非常に減っているということがございましたし、信託受託者間での競争等積極的な取り組みの結果でございます。九年度にはさらに状況が改善いたしまして、現時点では数百億円程度の単年度の経常黒字が出る見込みでございます。  平成八年度末で三千六百七十九億円となっております累積欠損金も減少に転じておりまして、平成十二年度以前に解消できる見通しでございます。  以上でございます。
  22. 園田修光

    ○園田(修)委員 今の御答弁を聞けば、私が心配するほどのことでもないみたいであります。しかしながら、郵便貯金や簡易保険資金は、言うまでもなく、やはり国民の財産であります。日本経済に配慮をしつつも、やはり国民あるいはまた利用者の利益も大事にしていかなければならないと思っておりますが、最近の山崎政調会長の提唱されている郵便貯金や、あるいはまた簡保の資金の株式運用の問題について、大臣、どのように考えておられるのか、御答弁をいただきたいと思います。
  23. 自見庄三郎

    ○自見国務大臣 園田委員にお答えをいたします。  山崎政調会長の発言があったことは承知をいたしております。しかし、自由民主党として正式に決定したというふうには聞いておりません。  現段階ではコメントできる状況ではないというふうに私は思っておりますが、今園田委員も御指摘のとおり、一般論として申し上げれば、郵貯、簡保の資金は、確実で有利に運用することにより、郵便貯金事業及び簡易生命保険事業の経営を健全なものにたらしめることが目的であるというふうに認識をいたしております。  また、今両局長から答弁があったわけでございますが、簡易保険事業団、簡保事業団を通じての指定単運用で、その先は一部株式投資に行っているわけでございます。それも大変な関係各位の努力があったというふうに私は想像いたしておりますが、両方とも本年度は黒字になるということでございまして、私は、そういった観点から、やはり安全、確実、有利というのが、国民から預かった資金の運用でございますから、そういった意味でも、御存じのように、運用といたしましては、国債などの債券あるいは地方債、いろいろ買わせていただいておるわけでございますが、指定単を通じた株式運用もやはり有利な運用の一つかなというふうに認識をいたしております。
  24. 園田修光

    ○園田(修)委員 コメントする立場ではないということでありますが、今大臣からも答弁をいただきました。  郵便貯金や簡易保険は、国民にとってはいわばとらの子のお金であって、老後の生活資金や、あるいはまた子供の教育資金など、国民の生活に直結しているわけであります。全体の運用の中でハイリターンを求める部分は必要であるわけでありますけれども、株式運用というのはいずれもリスクが伴うことであります。十分に肝に銘じて運用をされたいと思っております。  また一つ、肝に銘じていただきたいことは、折しもきょうの新聞で取り上げられているわけでありますが、少し読んでみたいと思います。  市場では、従来のPKO、プライス・キーピング・オペレーション、株価維持策ならぬ、PLO、株価引き上げ操作という言葉が出ております。「自由で公正な市場実現を目指す日本版ビッグバンに逆行し、「市場をゆがめるだけ」との批判も出ている。」そしてまた「昨年十一月の金融危機で一万四千円台に下落した東証の平均株価は一万七千円台まで回復したが、その要因は巨額の公的資金投入」「海外から見れば「国ぐるみ」のPLO対策がほとんど。」である。メッキがはがれれば、四月以降株価の波乱を招くとの懸念が強い。これもまた肝に銘じていただきたいことであろうかと思います。  そうはいいながらも、最近景気対策の中で、財投制度や郵貯あるいはまた簡保資金の活用が各方面で叫ばれております。昨年の行政改革議論の中で、一方的に、財投制度や郵貯あるいはまた簡保資金が悪者のように言われてまいりました。しかしながら、存在意義と改革の必要性を混同した議論が随分行われたと私は思っております。今後もあのような議論に巻き込まれることのないように、郵政大臣の所信にありましたが、毅然とした業務運営が必要かと思うのであります。  そこで、預託制度の廃止に伴って、郵便貯金あるいは簡易保険の全額自主運用ということになるわけでありますが、先ほども大臣からは少し聞いたわけでありますが、全額自主運用になった場合の基本的な運用スタンスについて、もう一回大臣にお伺いをいたします。
  25. 自見庄三郎

    ○自見国務大臣 今先生の御指摘のように、郵便貯金資金の預託の廃止と全額自主運用について、大変私は責任の重大さを感じております。  郵便貯金においては、御存じのように、昭和六十二年より一部自主運用をしておりますし、平成八年度末現在の残高は約四十兆二千百四十五億円となっております。  それから、もう一方、簡保資金でございますが、簡保の積立金につきましては、もうこれは大正八年の創業以来、基本的に自主運用ということでございます。一時、戦時中戦費の調達ということで一元化したことはございましたが、戦後は、昭和二十八年より郵政大臣が直接管理運用いたしております。平成八年度末現在の簡保資金の総額約九十八兆七千九百六十九億円のうち、約九四%が自主運用になっております。  郵政省といたしましても、もう長年の簡保、郵貯における、まさに大正八年以来の自主運用の経験もございますから、長年の自主運用の経験と実績を踏まえて、預金者の利益の確保や経営の健全の確保に留意しつつ、適切に対応していきたいと思っております。  具体的には、今先生の御指摘にございましたように、引き続き社会資本整備等の公的部門へ長期資金を供給するとともに、また、日本版ビッグバンの中で進展、拡大する証券・金融市場で、国債、社債等の長期債を中心に有利に運用していきたいというふうに思っております。こういったことをやりながら、安全、確実な資産を中心として長期安定的な資金運用を行っていくことを基本として、健全経営を維持していく考えでございます。  先生の御指摘にもございました、これは国民から預かった大変貴重な資金でございますから、これをやはり安全、確実、有利に、なおかつ各簡保事業あるいは郵貯事業の健全性を確保しつつ、なおかつ利用者、預金者の利益に資するように、そしてまた先生今御指摘ありましたように、社会資本整備、私の選挙区でも小学校、中学校の体育館の建て直し、校舎の建て直しというのがありますと、こういった長期資金、財政投融資でございますが、これを借りてきて、御存じのように小学校、中学校、特に過疎地帯ではそういったことで立ち直るわけでございますから、そういったことも我々よく認識をして、引き続き公的部門へ長期資金を供給することも、国の事業でございますから、やはり大変大事な観点であるというふうに私は思っております。
  26. 園田修光

    ○園田(修)委員 大臣、大変力強いお言葉をいただきまして本当にありがとうございます。  次に、地域情報化の問題について、私は、地元の鹿児島県の実情を踏まえて質問をさせていただきたいと思います。  私のところは、多くの離島を抱えて、台風等の災害発生の多い地域でありまして、情報通信基盤整備情報サービスの拡充は緊急な課題であります。  そこで、携帯電話等の移動体通信サービスを例にとれば、地元の鹿児島県ではいまだに二十五町村が未整備でありまして、三町が一部未整備という状況にあります。携帯電話等の移動体通信サービス全国におけるカバー率はどの程度なのか、また、離島などを多く含む未整備地域へのサービスの積極的な拡大のために、郵政省としては今後どのような施策を講じるつもりなのか、お教えいただきたいと思います。
  27. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 お答え申し上げます。  全国普及状況でございますが、平成八年度末現在で申し上げさせていただきますと、携帯・自動車電話サービス利用可能な市町村の全市町村に対する割合でございますけれども、約八四%ぐらいとなっております。もちろん、その後これは少し伸びておると思います。  それから、これを市町村の人口または面積によりまして算出したカバー率として見ますと、人口カバー率で約九七%、面積で見ますと約七四%というふうになっております。  それで、私どもといたしましては、この携帯・自動車電話等の移動通信サービスをどこでも利用できるようにするために、平成三年度から過疎地、離島等を対象といたしまして、いわば格差是正ということで移動通信用鉄塔施設整備事業というものを実施いたしております。これによりまして、中継用の基地局の整備に係ります費用を一部補助するということでございます。  この事業の推進に当たりましては、平成八年五月に電気通信審議会から答申されました西暦二〇〇〇年までの情報通信高度化中期計画というのがあるわけでございますけれども、この中で、二〇〇〇年までにこの利用ができないような市町村の割合を一〇%にまで減少させるようにということが述べられておりますので、これを踏まえて取り組んできております。  こういった施策も含めまして先ほど申し上げましたような数字になっておるわけでございますけれども、御指摘のように、なお離島、過疎地等の不採算地域につきましては、まだこのサービスを全く利用できないという地域、それから一部の地域でしか利用できないという市町村、そういうものがまだかなりあるということは事実でございます。  このため、今後とも、ただいま申し上げました施設整備事業を積極的に推進すること等を通じまして、携帯・自動車電話サービスのエリアをさらに拡大すべく努力してまいりたいと考えております。
  28. 園田修光

    ○園田(修)委員 また、二十一世紀高度情報通信社会基盤的な社会資本として、光ファイバー網の迅速な整備、そしてまたその計画の前倒しが議論をされておりますが、情報通信基盤の優劣がやはり地域間格差を生みかねないわけであります。  そこで、地方における光ファイバー網の円滑な整備を促進するために特段の配慮が必要であると思いますが、郵政省はどのように考えておられるのか、聞かせていただきたいと思います。
  29. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 二十一世紀を支えます基盤的な通信手段といたしまして光ファイバーがその筆頭にあるわけでございますけれども、この光ファイバーの整備につきましては、基本的には民間事業者が行うということでございますが、そうでありますと、やはりどうしても採算ベースということでおくれることになりがちでございます。そこで、特別償却等の税制上の優遇措置でございますとか、無利子、低利融資といった財政上の支援措置実施してきているところでございます。  この整備につきましては、これが整備されますと、中央と地方の情報ギャップが解消され、国土の均衡ある発展を達成するということが可能となりますし、また地方の情報発信能力を大きく向上させるということでございますので、私ども郵政省といたしましては、民間事業者による整備支援に当たりましては、特定の地域に偏らないようにしなければならないということで、この支援に当たります際の要件といたしまして^偏らないように配慮するということを課しております。  それからまた、地方での整備には高い比率で融資するということにしておりまして、例えば首都圏で申し上げますと、東京の特別区につきましては事業費の二五%が対象でございますけれども、近郊の整備地帯では三七・五%、その他の地域では五〇%というふうに厚くするようにいたしております。  それからまた、いわゆるふるさと融資という制度があることは御案内のとおりでございますけれども、無利子融資制度でございますが、この制度におきましては、過疎地域、離島地域等における加入者系の光ファイバー網整備を行う民間の事業者に対しましては、新規の雇用要件というのが一般的にあるわけでございますけれども、この雇用要件が緩和されるという特例措置が設けられておりまして、これによりまして地方における光ファイバーのネットワーク整備にも活用されていると承知いたしております。
  30. 園田修光

    ○園田(修)委員 今御答弁をいただきました。  私自身、選挙区に離島をたくさん抱えております。その面で、やはりどうしても離島の場合は通信網、情報発信の基地になりますとか、またあらゆる生活面で、企業を興す、産業を興す面でも大変に必要なわけであります。  一つ例を申し上げれば、沖永良部というところがあります。奄美大島といえばサトウキビが基幹産業と言われているわけでありますけれども、その中にあって、花卉の栽培に島ぐるみで取り組んでいる地域であります。そこはどうしてそんなに、一戸三千万農家、五千万農家というのが出てきているのです。それは各農家がそれぞれ、花卉農家がコンピューターの端末を使って日本の花卉の市場の、もう数分時に千葉の市場は幾ら、菊が幾らで売れるという形のものを、みんなそれを備えて町ぐるみでやっているのです。  ですから、大変な成功をしているわけでありますけれども、ただ、そうはいいながらも、先ほどの光ファイバーの件は民間主導型であって、やはりコスト面で考えれば離島は大変なハンディを背負うことになります。これから村おこしあるいは島おこしというのを真剣に考えている住民の皆さんには、やはり離島であっても、東京都内あるいはまたそういう情報通信網の消費が大きいところと同じベースのものが、最初基盤整備をするときに同じ整備でいけるような形のものを施策としてひとつこれからつくっていかなければならないところも出てくるのではなかろうかと私自身は考えております。  規制緩和が進んで自由競争よということで考えてしまえば、これは地方に人なんか住むこともできないし、生活ができなくなるわけでありますから、その点は、大臣も九州の出身でありますし、そういう面は十分おわかりいただけるかと思っておりますから、どうか郵政省の皆さんにもしっかりとその面を心にとめていただいて、頑張っていただきたいと思っております。  以上で終わります。
  31. 坂上富男

    ○坂上委員長 小沢鋭仁君。
  32. 小沢鋭仁

    ○小沢(鋭)委員 民友連の小沢鋭仁でございます。  大臣の所信表明を受けて、幾つか質問させていただきたいと思います。  大きな柱で、一つ郵政三事業に関係する問題と、それから情報通信関係する問題、二つに分けて御質問をさせていただきたいと思います。  郵政三事業の問題は、実は行革会議初め昨年来議論があって、この委員会でも本来であれば昨年のうちにぜひやりたかったわけでありますが、諸般の事情でできなくなって、きょうに至っております。そんな意味で、ぜひそこの点をお聞かせをいただく初めての機会として御質問をさせていただきたいと思います。  今、中央省庁改革基本法案ですか、これは逓信委員会の所管ではないと思いますが、そういったものが議論の対象になっているわけでありますが、それをベースに質問をさせていただきます。  まず、その法案の中で、「資金運用部への預託を廃止し、当該資金の全額を自主運用とすることについて必要な措置を講ずるものとする。」となっておるわけであります。  問題は、この時期についてでありますが、第一点、この自主運用、預託を廃止して自主運用をいつから行うのか、こういうことに関して、今、大臣初め郵政の皆さんはどういうふうにお考えになっているのか。郵政事業庁をつくり、公社をつくり、こういうところに関しては、若干そこの時期の問題がきちんと明示されていない法案の形になっているわけであります。  そして一方、これは漏れ伝え聞くところによると、与党の方の皆さんたちは、二〇〇一年に金融ビッグバンをある意味では開始する、こういう話の中で、預託の廃止、そして自主運用もその金融ビッグバンとあわせて二〇〇一年から行う、こういう話も議論としてある、こういうふうに聞いているわけでありますね。  ですから、そこのところの時期のずれを含めて、どういうふうに考えておられるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  33. 安岡裕幸

    ○安岡政府委員 お答え申し上げます。  郵貯資金の全額自主運用の時期はいっかというお尋ねでございますけれども、まず、郵貯については既に昭和六十二年から、一部でございますけれども、一部自主運用しているということでございまして、残高も約四十兆となっているところでございます。  このたび郵貯資金の資金運用部への預託を廃止して全額自主運用するということにつきましては、先生指摘のとおり、今国会に提出されております中央省庁改革基本法案の中でこれについては明記をされてございます。国会の御可決をいただけましたならば、その成立後、政府において必要な措置をとる、こういうふうな表現になっておるわけでございまして、したがいまして、郵貯資金の全額自主運用の開始時期につきましても、同法案の成立後、政府部内において調整していく、こういう格好になるというふうに理解しております。
  34. 小沢鋭仁

    ○小沢(鋭)委員 質的な意味では今局長がお答えのとおりだと思うのですが、ですから、それが実際の年次的にはどのくらいになるというふうにお考えになっているのですか。  それと、もう一つあわせて、先ほど申し上げた与党の議論の中で、ビッグバンとあわせて二〇〇一年からやるんだ、こういう議論があるというふうに漏れ聞いているわけでありますが、そことの関係はどういうふうにお考えになっているのですか。
  35. 安岡裕幸

    ○安岡政府委員 お答え申し上げます。  自民党の行革推進本部が取りまとめました「財政投融資の改革について」という中では、郵貯の自主運用につきましてはビッグバンがスタートするときということでございまして、二〇〇一年の四月以降、金融市場を通じた完全自主運用を行うということにされております。  私どもにつきましても、こういった点も踏まえまして、これから政府としての最終的な調整をやっていくという運びになろうかと思います。
  36. 小沢鋭仁

    ○小沢(鋭)委員 そうしますと、要するに二〇〇一年からほぼ全額自主運用をやっていくようなことで考えたい、こういう御答弁だったと思うのですけれども、それはそれで結構かと思いますが、そのときに、実際に事業庁はできていて、あるいは公社になっているかどうか、まだ今の時点ではわからぬわけですね。  その場合に、今の基本法案の中だと、企画の方は新たにできる総務省の方で行う、それで運用は恐らく公社の方で行う、こういう話になるのだろうと思うのですけれども、そこは、二〇〇一年から始めるとしたらどうするのですか。
  37. 安岡裕幸

    ○安岡政府委員 お答えを申し上げます。  省庁再編関係でいいますと、二〇〇一年に総務省という格好の中でやりまして、郵政事業庁も発足するということを基本に置いた格好になっております。  それで、自主運用をどういうところで担当するかということでございますけれども、現在は、郵政省貯金局という中の資金運用課がその専担する任を負ってやっておるところでございまして、今後、郵貯資金が全額自主運用になった場合におきましても、引き続き貯金事業を担当する部局において資金の運用を行っていく、この基本においては変わりないというふうに思います。  ただ、省庁再編に伴いまして、郵政事業に係る事務が総務省の内局とそれから事業庁に分掌していくということになりますけれども、その具体的な事務分掌の役割分担については今後これから検討していく、こんな格好になっております。
  38. 小沢鋭仁

    ○小沢(鋭)委員 さらにお聞かせいただきたい気もするのでありますが、今はその経過の過程の中でいろいろ工夫もなさっている時期だ、こう思いますから、この点に関してはこのくらいにさせていただきたいと思います。  私も、ずっと金融問題を専門に扱ってきた人間として、郵貯、それから今簡保の方はお聞かせいただきませんでしたが、同じように考えさせていただければいいのだろうと思いますが、郵貯、簡保合わせると、その時点においては恐らく三百五十兆ぐらいになるのでしょうか。もう実際にそれは運用になっているところもありますから、三百五十兆全部新規にやる、こういうことではないのは承知しているわけでありますが、要するに、三百五十兆の資金を動かしていく、こういう責任が出てくるわけであります。これはきっとそのときの大臣が責任を持つ形になるのだろうと思います。  今の経済規模でいっても、やはり三百五十兆のお金を動かすというのは大変なことであります。マーケットの中でどのように運用していくのか、そしてそれを逆に今度はどういうインフラ整備に向けてやっていくのか。そういった意味では大変大きな責任が生じるということでございますので、これはもう言うまでもないかもしれませんが、ぜひその部分は肝に銘じていただいて、私もその過程の中で皆さん方ともいろいろ議論をしてまいりましたが、全額自主運用というのはずっと郵政省も言ってきた話でありますから、そこはしっかりと責任を持ってやっていくということで、さらにいろいろな御検討を詰めていただきたい、こういうふうにお願いを申し上げて、この問題はとりあえず区切りをつけさせていただきたいと思います。  二番目に、同じく郵政三事業の問題でありますが、改革基本法案の中に、三十三条の三項ですか、「政府は、郵便事業への民間事業者の参入について、その具体的条件の検討に入るものとする。」こういう規定があるわけですね。この法律が通りましたら、あるいは今もう検討も始めているのかもしれませんが、その検討をどのように進めるか、そのスケジュールはどうか、こういうことであります。  それと同時に、具体的条件、こういう話になっているわけですから、その条件というのはいかなるものを今の時点で考えられているのか、こういうことをお聞かせいただきたいと思います。  これにつきまして、私の考え方を若干申し上げると、この議論をしてきたときに、私は少なくとも、いわゆる郵政省がみずからの事業を既得権として守る、こういう話はあってはいけませんよ、これは申し上げました。しかし同時に、郵政事業、特に郵便事業を初めとするユニバーサルサービス、この条件というのは大事な条件ですよ。  ですから、これは自分たちのもの、こういう話をすることはあってはいけないけれども、私は少なくとも、民間参入があるとしても、それがいいとこ取り、クリームスキミングの話になってはいけない、ユニバーサルサービスをきちっとやりますよというイコールフッティングのもとであれば別にそれはいいじゃないですか、こういう議論だろう、こういうふうに私は思っておるのですが、そこのところについてどのようにお考えか、お聞かせをいただきたいと思います。
  39. 長谷川憲正

    ○長谷川(憲)政府委員 郵便事業への民間参入についてのお尋ねでございますが、私ども先生指摘のとおりに、郵便は国民基本的通信手段であるというふうにとらえているわけでございまして、不採算地域を含めまして全国あまねく公平にサービスを提供することが郵便事業の使命であるというふうに考えておるわけでございます。  したがいまして、おっしゃいますように、今後の具体的条件の検討に当たりましては、国の郵便事業によるユニバーサルサービスの確保ということが大前提になるというふうに考えておるところでございます。  それで、具体的に条件の検討というものをどういうふうに行っていくのかということでございますが、まだトータルとしてのスケジュールを考えているわけではございませんが、広範な検討が必要になるというふうに思っておりまして、既に私ども郵政省の省内に調査研究会を設けまして、法律、経済等の専門家の方々にお願いをいたしまして、この二月から既に調査研究を始めております。  とりあえずは海外の事情を学ぼうということを考えておりまして、これを中心として、今後の国の郵便事業によりますユニバーサルサービスの確保の方策等について研究をしていただくということを考えているわけでございます。  したがいまして、まずはこの研究会の成果を踏まえまして、その後、各界各方面の御意見も承りながら、さらに幅広い観点から総合的に検討してまいりたいと考えているところでございます。  なお、イコールフッティングでというお話先生からございましたが、純粋な民間企業がこれから国の郵便事業の一部に参入するということを考えました場合に、この純粋な民間企業に国と同じような全国均一料金による全国提供義務を課すということにつきましては、制度的に無理があるというふうに考えております。  現在こういった全国提供の義務を課されておりますものは国内を調べてみましてもございませんし、努力義務はございますが、そういった企業は、かつて独占の権限を与えられておったというような経緯がございます。  なお、諸外国の状況をまだつぶさには調べておりませんが、私ども今知る限りでは、諸外国でも、参入した民間企業にユニバーサルサービスの義務を課しているという例は見当たらないというふうに承知をしているところでございまして、これからこの辺も含めまして研究を進めてまいりたいと考えております。
  40. 小沢鋭仁

    ○小沢(鋭)委員 この問題は、ある意味で大変奥深い議論ができる問題なんだろうというふうに私は思っているのですね。  それで、今のイコールフッティングに関して、ユニバーサルサービス中身にも触れられましたが、それについてはいろいろな考え方もあるのだろうと思いますけれども、要は、この問題は、私のとらえ方でいうと、自由主義社会、自由主義経済、そして自由競争の中にも、例えばフランスのミッシェル・アルベールが前に「資本主義対資本主義」、こういう本を書いています。  これはもう八六年くらいの本でありますけれども、その中で、ライン型資本主義とアングロサクソン型資本主義がある、自由競争の中にそういう二つの分類をしているのですね。それは、ライン型資本主義というのは、ある意味では利益も長期的な利益を考えるし、そして雇用も大事にする。逆に、アングロサクソン型資本主義というのは、利益に関しても短期的だし、そして雇用よりも利潤追求だ。こういう大ざっぱな、大変誤解を恐れず言うと、そういう話がある。  例えば同じ自由競争でも、安心できる社会の中での自由競争というものを私ども民主党はずっと求めてきているつもりでいます。規制緩和論あるいはまた自由競争論、今華やかでありますけれども、それが流行、ファッションに流れてはいけない。いわゆる自由競争のあり方論の中で、やはりそこのところは政治家がしっかり議論をしなければいけないのではないか、そういう大もとのまさに理念を政治家は議論をしなければいけないのではないか、こう思うのですね。  それで、まさに今の郵政事業のような話を守っていけるかどうかというのは、さっき申し上げたように、短期的な利益だけ考えれば山奥のところに郵便を配らなくてもいいんだ、利益だけ考えればですよ、そういう話になってしまう中で、しかし、そこはやりましょう、だけれども、それは事業ですよ、こういう考え方があり得るという意味では、これは大変哲学的な、意味深い話だと思うのですが、大臣政治家としての所見をお尋ねさせていただきたいと思います。
  41. 自見庄三郎

    ○自見国務大臣 小沢委員から、大変哲学的な示唆に富んだ、また同時に、今現在の政治考える視点として大変貴重な御意見を伺ったというふうに思っております。  今、アングロサクソン型ですか、ライン型、自由主義の中でもいろいろなタイプがあるということでございますが、いずれにいたしましても、我々政治家は国家国民のために政治をさせていただくわけでございますから、その視点に立って、やはりいろいろな問題があるわけでございますが、そういった立場に立って、今後とも激励をいただきながら、しっかり郵政行政をやらせていただきたいというふうに思っております。
  42. 小沢鋭仁

    ○小沢(鋭)委員 今、大臣からお話を伺いましたが、続いて、では、ちょっと話を先ほどの話から情報通信の話に変えさせていただいて、引き続き大臣の御意見を伺いたいと思います。  先ほど来、ずっと諸先生方からの質問が出ておりましたが、情報通信産業が大変重要だ、こういうことに関しては、皆さん、共通認識なんだろうと思います。それについてのいろいろな御所見もございました。それをやはり、今度は改めてまた政治家として自見大臣にお尋ねするのですが、くくり得るコンセプトというか、やはりそういったものを政治が出さなければいけないのではないでしょうか。  例えば、ゴア副大統領は、スーパーハイウェー構想、こういう言い方をしました。そのスーパーハイウエー構想というのを、では何だ、こういろいろな人に聞くと、細かいヒとまでわかっていないのですよ。だけれども、ああ、ゴアさん、スーパーハイウエー構想ということで、アメリカは一生懸命それをやっているんだねと、ここはもうみんなわかっている。やはり政治一つの仕事といいますものは、そういう話があるのではないか。  僭越ながら、私小沢鋭仁は、まさに光ファイバーの国という意味で「光の国、日本」、こういうことを言っているわけですね。これはもう二年ぐらい前から、自見大臣一緒にやらせていただいたあの例の無利子融資のころから「光の国、日本」、こういう言い方をしているわけでありますが、小沢鋭仁が言っても大したことないので、そこはだから、例えばしかるべき立場にある人がまさに国民に向かってそういう話をぶつけていくような、そういうものが必要ではないかと思うのですが、大臣の所見をお聞かせください。
  43. 自見庄三郎

    ○自見国務大臣 小沢委員が「光の国、日本」、こうネーミングをしておられるということでございますが、かつて小沢委員と一緒に、光ファイバーの全国敷設をするためのお手伝いとして、無利子融資制度をつくるために一生懸命同じ立場で働かせていただいたことを思い出したわけでございます。  今委員の指摘の中に、国民、企業に対して高度情報通信社会をつくっていくと明確なコンセプトを示す必要があるのではないかという御質問だと思いますが、私も、全くそのことは効果的であるというふうに思っております。  国民の皆様に、わかりやすい、共感を呼び、かつ心に残るコンセプトで施策を提示し、情報通信政策を推進していく決意でございますが、やはりそれを一つのコンセプトで、例えば今お話がございましたように、アメリカでは情報通信ハイウェーだ、これはゴア副大統領が提唱しておられますし、またTEN計画、それからスーパー・コリドー計画、いろいろなネーミングがあるわけでございますから、そういったことも拳々服膺しながら、こういった時代でございますから考えていきたいというふうに思っております。
  44. 小沢鋭仁

    ○小沢(鋭)委員 大臣にも頑張っていただきたい、こう思うと同時に、我々野党としては、政権をゆだねてくれたら我々もそれをやりたい、こういう思いも実はあるわけでありまして、切磋琢磨してやらせていただきたい、こういうことであります。  続いて、最後に情報通信産業郵政省に公共事業というのはあるのですか、一番最初にちょっと初歩的に、これは通告してなかったかもしれませんが。
  45. 木村強

    木村政府委員 お答え申し上げます。  いわゆる道路、橋、二十世紀日本の国をつくる基本的な公共事業ということではなくて、公共事業費の中で、今申し上げました道路とか橋といった公共事業関係費ということではなくて、その他施設費という形の中で、社会資本整備として情報通信関係というものが入るようになっておりまして、十年この方、例えば移動鉄塔格差是正事業といったような仕事等につきましては、この公共事業費の中で対応させていただいているところでございます。
  46. 小沢鋭仁

    ○小沢(鋭)委員 今御答弁ありましたが、これも私もかつて仕事をさせていただいた経験がありますが、物すごく小さいのですね。先ほど来、情報通信基盤整備というものをどういうふうにするか、こういうお話があって、さっきの移動体通信も施設整備事業補助金を出しております、こう谷局長からお話がありました。こういうものを公共事業でやってしまったらいいのじゃないですか。  まさに新しいタイプの社会資本整備ということを考えたときに、私たち民主党は、赤字国債、建設国債の区別というものをもうなくすのだ、こういう話をずっと提案しています。ですから、そういった意味では、それに関連して、建設国債でやる公共事業という概念がなくなります。ですから、何をやったっていいのです。そうやらないと、まさに公共事業や何かの配分比率が変わらないじゃないか、こういう問題意識で我々はずっとそれを提案させていただいている。  今の時点ではまだ、総理大臣の答弁でも、それは大事だから残しておく、こういうことでありますけれども、だったら公共事業という話、建設国債、そのまま残っていても、新しい社会資本整備ということの中で、公共事業でやれるものというものはないのですか。そして、今国民が本当に求めている事業というのはまさに情報通信基盤整備事業だということであれば、例えば移動体通信の鉄塔なんというのは、補助金ではなくてつくってしまえばいいじゃないですか。そういう政策転換、考え方の転換というのを郵政省としてはなさらないのですか。やるのだったら応援しますよ。どうですか。
  47. 天野定功

    ○天野政府委員 予算を担当しておりますので、私の方からお答えさせていただきます。  公共事業につきましては、先ほど通信政策局長から御答弁させていただきましたように、長い伝統的な予算の概念がございまして、私どもは残念ながら、公共事業の中の公共事業、いわゆる公共事業関係費という本丸には入っておらないので、その他施設費ということで、若干違ったところになるのです。  私どもも、公共事業関係費の中に新しい社会資本整備というもので入れていただきたいということで、これまでも関係当局、財政当局の方に働きかけてまいりましたけれども、最近の状況ですと、いわゆる公共事業の経済波及効果も非常に小さくなってきている。それに引きかえ情報通信分野経済波及効果は非常に大きいと言われてきておりましてこれからの新しい国づくりでは、私どもが所管しております情報通信整備などが本当のこれからの新しい社会資本、公共事業関係費として位置づけられるべきであろうと私どもは思っておりまして、これまで以上に強力に財政当局に働きかけていきたいと思っておりますので、どうか先生の御支援をよろしくお願いいたします。
  48. 自見庄三郎

    ○自見国務大臣 小沢委員から大変な高い視野に立っての御激励をいただいたわけでございますが、我が国世界に伍してさらに発展していくためには、従来の道路、港湾といった社会資本の整備に加えて、二十一世紀に向けた社会発展を支える情報通信基盤については、いわば新しい社会資本として政府として積極的にその整備推進していくことが必要であるというふうに思っております。  御激励をいただきながら、私も一層その努力を行ってまいりたいというふうに思っております。
  49. 小沢鋭仁

    ○小沢(鋭)委員 もう時間が終わりましたからこれで終わりにいたしますが、役所の皆さんが言えるのはそこが限度だと思うのですね、それはいろいろなつき合いがありますから。  これは大臣政治家の仕事ですから、これができないというのは、逆に言うと今の自民党の問題ですから、これができないという話だったら政権を譲ってもらわなければいかぬ、こういう話になりますので、そこは我々もずっと言い続けていきますから、どうか頑張っていただきたいと思います。  終わります。
  50. 坂上富男

    ○坂上委員長 永井英慈君
  51. 永井英慈

    ○永井委員 民友連の永井英慈でございます。  こういう質問の機会をいただいて、まずどういう質問をさせてもらおうかとつくづく考えたのですが、最近本当にやり切れない危機感を私は抱いておるのです。毎日、新聞を開けば、テレビをつければ、大蔵省をめぐる贈収賄汚職事件の摘発のニュースばかりでございまして、大変なことだなと思うのです。  ひところ政治不信ということが大変関心を持たれて、政治不信なるがゆえに有権者は投票所へ行かなくなってしまった。選挙をやるたびに低投票率を更新するような状況でございました。ところが、今日、それに追い打ちをかけるように公務員の汚職事件が続発しておるわけでございまして、公務員冬の時代、公務員元気が出ないなという感じがするのですが、とりわけ、私は長いことこの逓信委員会の委員を務めておって、最近どうも郵政省の職員は元気がないなという感じを強くしているのです、こういう時代ですから元気を出すのはなかなか難しいかもしれませんけれども。  そこで、先ほど来ずっと議論がありました高度情報通信時代を迎えての郵政省の使命、役割というのは殊のほか大きい、とりわけ日本の産業経済の行く末を左右するような大きな責任やら役割が求められていると思うのです。  ところが、申しわけありませんけれども、きのう自見郵政大臣大臣所信表明を伺いまして、その責任というか、気概というか、気迫というか、そういうものが残念ながら伝わってこない。それは職員と同じなんですね。私は非常に残念に思っておるのです。  先ほど小沢委員も話しておられました。政治の仕事、きちっとしたビジョンを政治の側から発信をする、政治の側から職員を叱咤激励する、そういうことは極めて大事だと思うのです。  そこで、どうしてこんな状況かな、私だけの感じではないと思うのですね。その辺のことを御感想をお伺いしたい。  それからもう一点は、去年の金融監督庁設置法案の審査に当たって、自見郵政大臣も当時行政改革特別委員会の委員をやっておられました。私はそこで質問を一時間いたしました。その前半のほとんどを使って時代認識ということを強調したり当時の三塚大蔵大臣にただしたわけですが、議論がかみ合わなかった。  しかし、今政治家にとって、あるいは行政にとって最も重要なことは、この時代をどう認識するか、現在の状況をどう把握するかであろうと思うのです。そのときに、私が委員会が終わって立ち上がりましたら、初めて自見郵政大臣にお目にかかって、大臣が、永井さん、あの議論は大切だねと実は声をかけてくれたのを印象深く覚えておるのです。  そこで、先ほど指摘しました今の郵政省の空気、それから自見郵政大臣の時代認識あるいは状況の把握、それから二十一世紀に向けての展望、さらにいえば、日本はどういう国を目指すべきか、この辺についてもお考えをいただければありがたいと思います。
  52. 自見庄三郎

    ○自見国務大臣 永井委員にお答えをいたします。  まず一点でございますけれども、高度情報社会に向かってひとつ大臣しっかり頑張れというふうな、あるいは激励の質問であったのかなと私は思っております。  御存じのように、高度情報化社会あるいはマルチメディアとも申しますけれども、やはり私は一点、これは私見でございますが、マルチメディアというのは大きく文明が変わることではないかというふうに思っております。それは、個人の生活、あるいは企業の経営のあり方、あるいは行政のあり方、あるいは社会の仕組み、あるいは政治の仕組みまで、ある意味で変革を催すような実は大きな文明の流れではないかというふうに私は思っております。  また、短期的に見ても、マルチメディアは、私の就任のときも言わせていただいたわけでございますが、一粒で三度おいしい、こう申しておりまして、一つは、やはり景気の回復になります。  御存じのように、昨年も民間設備投資、四兆九千億円が情報通信あるいは放送行政分野でござました。これは全産業のうち、ずっと伝統的に電力業界が実は民間設備投資のナンバーワンでございましたが、それを抜いて情報通信産業分野民間設備投資の第一番目になった、こういったことでございますし、これがやはり景気の下支えと申しますか、回復に非常に大きく役立っておると私は思っております。  二つ目は、これは雇用でございまして、今大変雇用不安が高まっておりますが、一例を挙げますと、携帯電話でも四兆円のマーケットができまして、新たに二万人の方が雇用できたというふうに報告をいただいております。  また、三番目は、今さっき言いましたように、産業構造あるいは社会構造の転換、やはりあらゆるものが重厚長大からやはり情報の方に、これは日本のみならずアメリカあるいはヨーロッパ、近隣のアジアの国々を見てもそういった大きな流れがあるわけでございますから、私は、やはりマルチメディアは、景気の回復、あるいは雇用の増大、あるいは産業構造の転換ということでも大変大きな役割を果たしている、こう思うわけでございます。また、それは大きく言えば、一つの新しい文明に遭遇しつつある、私はそういった時代認識を持たせていただいておるわけでございます。  また、私に対して時代についてどう考えるかという話がございましたが、私は、今の時代というのは、米ソの冷戦構造が崩壊して、新たな世界じゅうの秩序がまだ、できかかっているけれどもできていない、そういった中で大競争の時代がある、大競争の時代が訪れてきた。  しかし、いずれにいたしましても、私は、これは私見でございますが、人間が幸せで健康で明るく暮らすということがやはり政治に求められた最も大事な原点だ、こう思うわけでございます。なおかつ、世界の情勢、時代、歴史、変わってきます。価値観も変わってきます。そういった中で、やはり政治家は一生懸命国家と国民のために、それこそ命をかけて働かせていただくものだ、大変素朴な世界観でございますが、そういうふうに思っておることだけは御認識いただければありがたいなというふうに思っております。  以上でございます。
  53. 永井英慈

    ○永井委員 職員の皆さんの気概については。
  54. 自見庄三郎

    ○自見国務大臣 それから、これは私が郵政行政を今預からせていただいているわけでございますが、私は率直に言いまして、九月三日の行革の中間報告が出た後に郵政大臣にならせていただいたわけでございますが、当時郵政省は四分五裂というふうな中間報告をいただいておったわけでございます。  当時私が聞いた話だと、頭の中が真っ白になったとか、あるいはお父さんもお母さんも郵政省で働いておられる職員の小学校二年の娘がテレビを見て、テレビは当時、郵政省解体だ、こういった話があったわけでございますが、それを見て、お父さんもお母さんも失業するんですか、こう言ってうっすら涙を出したとか、そういった話を私はいろいろ聞かせていただきました。  やはり行政改革はせねばなりません。となれば、行政改革基本は、やはり簡素、効率国民のための行政改革だというふうに私は確信を持っております。やはり郵政三事業につきましても、国民方々から高い支持をいただけたということが決着としましては十二月の行革会議の最終報告になったわけでございますが、そのことに結びついたというふうに私は思っております。  雨降って地固まるというようなことがございますが、当時はいろいろありましたけれども、私はやはり雨降って地固まる、もう一度国民郵政行政郵政三事業、また情報通信行政も二つに、独立三条委員会と産業省と分かれるというふうになっておりましたが、これも一元的に一人の大臣もとで、機動的、総合的、戦略的に一つ大臣もとでやるということは一応の決着を見たわけでございます。  そういった意味では、今ごろは雨降って地固まるで、もう一度我々は、郵政行政国民からやはり改めて信任をされたと申しますか、改めて使命感を持ってやらねばならない、こういった意気に 今燃えているのではないかなというふうに私は思っておりますけれども、永井先生のそういう御意見でございますから、拳々服膺しながら、自認自戒しつつ、郵政行政の責任を果たしていきたいというふうに思っております。
  55. 永井英慈

    ○永井委員 熱弁を伺いましたが、本当に文明の転換期という認識は私もしております。  そこで、情報通信分野というのは、これから、先ほどもいろいろ話がありましたけれども、とりわけ先進工業国日本のリーディングインダストリーとして大変な使命があろうと思うのです。  そこで、先ほどの小沢委員の質問とも関連するのですが、私もかねてからの持論なのです。それは、高度の情報通信社会、その基盤をきちっと早急に、それこそ今お話しのように戦略的に整備していかなければいかぬ。そのために、今までの公共事業という概念と、あるいは今までの社会資本の整備という概念と、もう一つ、まさにこれは戦略的だと思うのです。私は、知的社会資本整備という言葉を使っているのです。  知的社会資本整備。言ってみれば、マルチメディアの時代というのは、物、金より情報とか心とかの活動が中心になってこようと思うのです。そこで、知的社会資本整備ということで、知的社会資本という概念を取り入れて、戦略的に日本予算構造、財政構造を変えていくべきだと実は去年の放送法の改正の代表質問のときに私はこれを言ったのです。そうしたら、橋本総理は、それは民間主導でこの分野はやっていただくのですということで、するっと逃げてしまった。  先ほどの小沢委員の趣旨と同じなのです。新しい文明を開く、新しい時代を開く、新しい産業を起こして経済の振興、発展を図るためには、こういうときにはすごい戦略性が大事なのですね。ところが、それはすぽっと抜けている。  大臣所信表明でもその言葉は出ていました。しかし、それが実際に気迫として伝わってこない。実際に予算としてそれが伝わってこないのです。その辺のところを私はしっかりと、文明の転換期と認識しておられるのですから、ぜひこの委員会で明確にしていただきたいぐらいの思いなのです。  それは、きょうたまたま言うのじゃなくて、去年から、あるいは郵政政務次官を私は二年前にやらせてもらいましたが、そのころから言っているのです。でも、全くその概念は取り入れられず、今日に至っているのです。今まさに戦略的にこの概念を取り入れるべきだと思うのですけれども、どうでしょうか。
  56. 自見庄三郎

    ○自見国務大臣 お答えをいたします。  やはり我が国世界に伍してさらに発展していくためには、従来の道路だとか港湾といった社会資本整備に加えて、今先生指摘のように、二十一世紀に向けた社会経済発展を支えている情報通信基盤について、いわば新しい社会資本として、政府として積極的にその整備推進していくことが必要であり、私もその一員でございますし、また情報通信の方ではこういった責任がある立場でもございますから、先生方の御理解をいただいて、一層努力をしていきたいというふうに思っております。
  57. 永井英慈

    ○永井委員 そういう新しい考え方を取り入れて、新しい時代を開こう、これが先ほど言った郵政省職員に大きな励みになると思うのです。そういうドラスチックな施策、姿勢を打ち出していくことが今一番求められている、そのように痛感しておりますので、ぜひ新年度から徹底してその方向で取り組んでいただきたいと思います。  それから、話は変わります。  一昨年から中央省庁の統廃合に関連して、郵政省の、特に三事業の経営形態が話題になりました。  そして郵政省も、労働組合の方も一緒になって、郵政省の持っておる郵便局二万四千六百のネットワークをうまく使って、しかも地方、地域に根差した国の行政機関である郵便局を生かしたいということで、その中で、私もこれは十年来考えておったのですが、ワンストップサービスということが出てきました。  私は、これはいいことだ、こういう国の資源、国の、国民の宝のようなこのネットワークをもっともっと付加価値をつけて有効利用し、国民への行政サービスをさらに手厚くしていくことは本当に大事なことだ、それでこの行政のワンストップサービスに関心を持っておりました。  しかし、私、先ほど申し上げるように、どうも伝わってこないのですね。この二年ぐらいの間に言葉は随分聞きました。ところが、どんなことをどこでどうやっているのだか、いつごろそれは実現するのか、そういうようなことが全く皆目伝わってこないのが実態じゃないかと思うのです。  そこで、改めてワンストップサービスというのはどういうことなのか、そしてそれはどこでどういうことをやるのか、どこでこのシステムの開発なりをやっているのか、いつごろにそれが実現するのか、国民がそのサービスを享受できるのか、その辺のことをちょっと具体的に御説明をいただきたいと思います。
  58. 長谷川憲正

    ○長谷川(憲)政府委員 ワンストップ行政サービスにつきましては、本年度、予算をいただいておりまして、現在、郵便局の情報端末から直接お客様が機械を操作いたしまして、このワンストップサービスの実験が行えるような試みをやっているところでございます。  具体的に申し上げますと、昨年十一月からことしの一月の末まで、三カ所でございますが、大都市の代表ということで東京の台東区、それから地方都市ということで愛知県の岡崎市、それから離島ということで沖縄県の竹富町の三地域を選びまして、お客様に実際にこの機械を操作していただくワンストップ行政サービスの実験を行っているところでございます。  現在は、この実験を終了いたしまして、これをお使いいただいた各地域のモニターの方々から、いろいろと使い勝手のよさ、悪さ、あるいはどういう情報が具体的に皆さんにとって役に立ったのか、あるいは必要であるのかというようなことをお聞きしているところでございます。  例えば、どういう実験をやったかといいますと、竹富町の例で申し上げますと、在宅老人用の日常生活用具の給付や貸与、こういった手続を役場まで行かなくても郵便局で具体的に情報端末をさわることによりまして申し込みができる、あるいは許可が受けられるというようなことをやってきたわけでございます。  現在、こうした実験結果の調査、分析を行っているところでございまして、この成果を踏まえまして、さらに来年度は、機能の高度化あるいは実験地域の広域化といったようなことを図ってまいりたいと考えているところでございます。  そこで、いっこうしたワンストップ行政サービスが具体的に実現されるのかという御指摘でございますが、昨年六月に郵政審議会で答申をいただきました郵便局ビジョン二〇一〇というものがございますが、その中で、二〇〇五年、平成十七年ごろまでに郵便局でさまざまな行政手続あるいは公的サービスの申し込みが一括して行えるようなというところのワンストップ行政サービスを本格的に実現すべきである、こういう提言をいただいているところでございまして、私ども今、この二〇〇五年ということを目標にいたしまして、具体的に開発研究を進めているところでございます。
  59. 永井英慈

    ○永井委員 そういう実験をしておられるのですか。私は、ワンストップサービスというのは、役所ですから、例えば戸籍謄本あるいは登記簿謄本、法人登記、あるいは納税証明あるいは固定資産評価証明、こういった要するに証明類、こういうものをそれぞれの登記所やあるいは市の出張所や区役所へ行かずに、郵便局の窓口でそういうものが自由に簡便に手に入るんだと思った。そういうサービスをするのが基本的にワンストップ行政サービスだと思っていました。ところが、今のお話ですと、福祉のサービス、市役所へ行かなくても郵便局の窓口で間に合うというのですね。そうなんですか。  どうも、ワンストップ行政サービスという鳴り物入りの宣伝にしては、私は今初めて聞いて、がっかりしている。今、登記所なんかは効率を図るために利用の少ないところはどんどん閉めていますね。登記所が閉鎖されても、いや郵便局で登記簿謄本がとれるというような、そういう国あるいは地方自治体の行政の総合的なサービスを提供する、これが私はワンストップサービスだと思っていた。これじゃ、ワンストップサービスが泣きますよ。  もう一度、もっと詳しく説明してみてください。
  60. 長谷川憲正

    ○長谷川(憲)政府委員 御説明が不十分でございまして、まことに申しわけございません。  委員御指摘のように、ワンストップ行政サービスの本来の趣旨は、今御指摘のとおりでございまして、郵便局というような一カ所で地方あるいは国のいろいろな行政手続がすべて間に合うということが本来の目的でございます。(永井委員「初めからそういうふうに説明しなければだめだよ」と呼ぶ)大変失礼をいたしました。おっしゃるとおりでございます。  御指摘のとおりでございまして、すべての行政サービスを郵便局で一括して受けられる、そのことによって住民も便利になりますし、また、国あるいは地方も出先の機関を多数つくらなくても済むというような効果も含めまして、私ども、これからの社会のあり方としてこれはもう望ましいものであるということで、懸命に今取り組んでいるところでございます。  委員よく御存じのとおりでございますが、諸外国でも同様の取り組みを今やっているところでございまして、私どもも、例えばアメリカでも実験を行っておりますが、そういったところとも情報の交換をしながら、一日でも早い実現を目指していろいろと努力をしているところでございますので、ひとつ御了承のほどをお願い申し上げます。
  61. 永井英慈

    ○永井委員 済みません、もう少しこじつかり、百三十年の歴史を誇る郵政省でしょう、全国二万四千六百の行政窓口があるのでしょう。大変な国民の資源ですよ。国の資源、住民の資源ですよ。それを、私は十年前からこれを言っているのですけれども、まだ今の答弁、今の説明程度なんですね。これは緊張感がない、これは使命感がないと私は思っているのです。  どうかこじつかり、責任があるのですから、三事業の維持のために、ウンストップサービス、やりますよ、しかし、そう言い出したなら、これだけの情報機器ももう全部そろっているのです、通信機器が。幾らでもできる。幾らでもやる気ならできる。民間でこんなことをやっていたらつぶれてしまいますよ、私はそう思います、中小企業をやってきて、緊張感がないというか。私はがっかりしましたけれども^どうぞひとつ徹底してやってください。言葉には責任を持ってください。お願いします。  申しわけありません、ちょっと頭にきてしまって。  そこで、話は全く変わります。マルチメディアの時代、多チャンネル化の時代です。そこで決定的になるのは、私が申し上げるまでもなく、ソフトあるいはコンテンツだと思うのですね。これは郵政省が中心になっているのですか、このコンテンツ産業というかコンテンツ市場というか、これの責任はどこなんでしょう、通産省でしょうか。はっきりお答えをいただきたい。
  62. 品川萬里

    品川政府委員 お答え申し上げます。  放送番組ソフトと申しますかコンテンツと申しますか、この充実が図られるということは、放送の健全な発達にとって不可欠なことでございます。放送の健全な発達を願うことは私どもの任務でございますので、このコンテンツ問題あるいは放送番組ソフトについては、郵政省の重大な任務の一つ認識しております。
  63. 永井英慈

    ○永井委員 どこでやっているのでしょう。所管は主体的にどこでやっているのでしょう。
  64. 品川萬里

    品川政府委員 今、このコンテンツの問題は、インターネット普及等に伴って関連しておりますが、私は放送行政の所管をしておりますので放送行政分野について一言申し上げさせいただきたいと思います。  今申し上げましたように、放送の健全な発達にとって、放送番組ソフトの充実は大変重要な課題でございます。  放送番組のソフトについては、制作、流通、保存ということが大きな分野でございまして、したがいまして、政策の方も、制作支援あるいは流通支援、保存支援というものが放送番組ソフトにかかわる政策の三本柱かと認識しております。  番組制作につきましては、最近の私どもの政策といたしましては、これから放送番組の制作はデジタル技術を使って制作されていくわけでございまして、放送番組制作の放送会社に対して、こうした支援施策といたしまして、今年度は財投の低利融資の道が開かれるような予算要求をお願いしております。  それから、番組流通でございますが、この分野につきましては、一つは権利問題というのがございます。いわゆる著作権の問題でございまして、この問題が大変複雑でございます。これは今、文化庁が所管でございますが、文化庁それから放送関係者番組制作関係者が集まりまして協議会を開いておるところでございます。郵政省も、先ほど申し上げた立場からこれに参画しております。  それから、今、放送番組が流通するためには、基本的に放送番組ソフトがどこにどれだけあるのかといういわばデータベースが必要なのでございますが、現状におきましては、こうした放送会社が番組ソフトを保存する場合に、帳票類といいますか、これがばらばらでございまして、データベースをつくるためにどのような標準化をしたらいいかということで、今年度、大変地道でございますけれども、このデータベース構築のための予算要求、支援策を要求しております。  それから番組ソフトでございますけれども、これは放送番組に限りませんで、国会図書館が書籍等の保存については責任を持っておるわけでございますので、国会図書館と共同で、放送番組ソフトの保存についてどのように今後やっていったらいいのかということで、共同研究を進めております。  したがいまして、私ども放送番組のソフト、あるいは広くコンテンツについて、郵政省の所管事項の重大な柱の一つだと思っておりますけれども、例えば、今申し上げましたように、著作権の問題は、これは文化庁の所管でございますので、関係省庁ともそれぞれの役割に応じて、課題に応じまして、連携をとりながら、郵政省の役割を果たしてまいりたい、かように存じております。
  65. 永井英慈

    ○永井委員 時間になりました。  冒頭申し上げましたように、郵政省職員の気概、気迫がなかなか伝わってこない思いです。今の答弁を聞いていても、本当に自見郵政大臣が申されたように、新しい時代を開く、新しい文明社会をつくっていく、こういう気迫をぜひ持っていただいて、もう財政も経済も金融もがたがたですから、しっかりしていただきたい、心から御期待を申し上げ、質問を終わります。  ありがとうございました。
  66. 坂上富男

    ○坂上委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午前十一時五十二分休憩      ————◇—————     午後一時七分開議
  67. 坂上富男

    ○坂上委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。吉田治君。
  68. 吉田治

    吉田(治)委員 民友連の吉田治です。  予算の総括のときにも郵政大臣にお聞きしたのですけれども、何か余りにもこのごろ、三月に入って、俗に言う三月危機説ですか、株価もできれば高値安定、一万八千円を目指してという形で、新聞等によりますと口先介入だとかいうことで、これは政府ではなく自民党側の政調会長等々がいろいろ発言をされているようですけれども郵政大臣としてもう一度、株価安定のために郵貯また簡保資金の投入というものについて、どういうふうに今お考えになられているのか。それから、今までかつて、俗に言うPKOというのですか、株価安定のために郵政の資金がどういうふうな形で投入され、使われ、もしも使われているのであれば、それはもうけているのか損しているのか、そういうふうなことまで含めて、大臣並びに事務当局の御答弁をちょうだいしたいと思います。
  69. 自見庄三郎

    ○自見国務大臣 吉田委員にお答えをさせていただきます。  自民党の山崎拓政調会長が簡保、郵貯の自主運用資金を直接株の購入に充てるという考えを示したという報道があったことは私も知っておりますけれども、自民党として正式に決定されたとは聞いておりません。  そういったことで、今正式にコメントするということは差し控えさせていただきますけれども先生予算委員会でも私から説明したと思いますが、一般論としては、簡保、郵貯資金の運用は、確実で有利な方法で行うことにより、簡易生命保険事業及び郵便貯金事業の経営を健全たらしめること、また加入者あるいは預金者の利益の向上を図ることを目的としたものでございます。  それで、簡保、郵貯本体が直接株を購入することについては、検討する事項も多いし、慎重な対応が必要と考えておりますが、いずれにいたしましても、与党内での動向を踏まえ、いかなることが可能か、慎重に検討してまいりたいというふうに思っております。
  70. 金澤薫

    ○金澤政府委員 過去、このような施策を打ったことがあるのかどうかということについてお答え申し上げたいと思います。  まず、株式を購入することにつきましては、午前中もお答え申し上げましたが、簡保事業団を通じて単独運用指定金銭信託、いわゆる指定単契約を信託銀行と締結して行うことが認められているわけでございます。私どもとしては、簡保事業団が大枠を信託銀行と定めるだけでございまして、特定の銘柄をいつどのぐらい買うかということは指定できない、そういう仕組みになっているわけでございます。  また、指定単に簡保資金を運用する場合でございましても、簡易生命保険事業の経営を健全ならしめ、加入者の利益の向上を図ることを最終的な目的としているわけでございます。  それで、平成四年、平成五年に総合経済対策、それから新総合経済対策の一環として簡保事業団を通じた指定単の増額を行ったことがございます。このときは、株式の組み入れ制限のない五年一括利払い型の新たな指定単制度を創設いたしました。  その新たな指定単について、その額を増額して実施した、そういうことがございます。これは、当時の株式相場から考えますと、加入者の利益という観点から一定の成果があったというふうに考えております。結果として、総合経済対策として、証券市場活性化にも一定の貢献はできたものというふうに考えている次第でございます。  それから、平成四年、五年度実施いたしました新たな指定単につきまして、五年一括利払いということで、償還時期が平成九年、平成十年に来るわけでございますけれども平成九年の利払いも順調に推移しておりますし、平成十年につきましても順調に推移するものというふうに考えているところでございます。  特に、平成九年度につきましては、数百億単位の簡保事業団の経常利益が出る予定でございまして、そういう意味からも、一定の成果はあったというふうに考えている次第でございます。
  71. 吉田治

    吉田(治)委員 では大臣、確実、有利な方法と、直接、党としては慎重にということは、これはもう現実上、事実上はやらない、そういうふうに受け取ってよろしいのでしょうか。
  72. 自見庄三郎

    ○自見国務大臣 今私が答弁申し上げましたように、山崎拓政調会長の発言あるいは報道については私も承知をいたしておりますが、そういった運用資金を直接株の購入に充てるかどうかという報道でございましたが、自民党としては正式に決定されていないということでございまして、今の時点ではコメントを差し控えさせていただきたいというふうに思っております。
  73. 吉田治

    吉田(治)委員 何度も大臣ばかりにお聞きして恐縮ですけれども、いや、自民党の話を聞いているのではなくて、郵政大臣として、お立場として、そういう話が来たときには、党が決めたことだからしようがないからやろうかと思うのか、あくまでも先ほど大臣が言われた確実、有利ということでいうならば、いや、党さん、そう決めたけれども、できませんよと言って断るのか、たしか深谷郵政大臣の時代にははっきり断るというふうに、私もちょっと調べておりませんが、明言されたやに聞いております。  自見郵政大臣として、そこはどうなのか。
  74. 自見庄三郎

    ○自見国務大臣 今局長の答弁にもございましたように、平成四年、五年には新経済対策の一環として、郵貯資金、簡保資金を、これは御存じのように、簡保事業団を通じて信託銀行と指定単を結ぶということでございますが、そういった方法でやって結局利益が出たという話があったわけでございますから、そういった意味でも、結果として証券市場活性化につながり、新経済対策の一環にも資することができたのではないかという答弁があったわけでございます。  今の委員の御質問でございますが、まだ何とも、党の方が正式に決定いたしておりませんから、今私の立場では、やはりコメントを差し控えさせていただきたいというふうに思っております。
  75. 吉田治

    吉田(治)委員 ということは、党高政低とよく言われているように、党が上で政は下だから、党が決まったらそのとおりいたしましようということだと私はこの場で理解をさせていただくと同時に、局長、数百億の利益と言われましたけれども、事業団の利益なのか、それとも運用益として信託銀行から数百億利益が上がってきたのか。では、そのための原資は何兆何千億突っ込んで、利回りが何%で、結果として五年償還を終わってこうなったのか。これは平成四年度のものがもう九年度に来ているはずです。では、五年のものは十年になってどうなる見通しなのか。この二点。
  76. 金澤薫

    ○金澤政府委員 先ほど申し上げましたのは簡保事業団の利益でございます。  簡保事業団の指定単の利益と申しますのは、信託会社から配当金として簡保事業団に対して支払われるということでございます。先ほど数百億と申しましたのは、正確なオーダーがまだはっきりしておりませんのでそういうふうに申し上げたことでございまして、配当金が最終的に幾らの額になるのかということはまだ未定でございます。  それから、平成四年、五年においてどの程度の額が投下されたかということでございますけれども、新たな指定単枠に、平成四年度は、郵貯一兆円、簡保一兆二千七百億円を運用いたしました。  それから、平成五年度の新指定単の実行額でございますけれども、郵貯は五千億円、簡保は二兆円ということでございますが、これは年度当初に予定されていた額を前倒ししたということでございます。
  77. 吉田治

    吉田(治)委員 そこもロジカルなところでごまかさないでよ。事業団の利益は数百億なのでしょう。配当金については出ていないというのでしょう。出ていないものが、五年たって出ているはずなのですよ、去年。それを出せないというのは、何か問題があるから出さないのじゃないですか。それはどうなのですか、局長
  78. 金澤薫

    ○金澤政府委員 平成四年度の指定単の利益につきましては、数値が出ておりますけれども、まだ手元に、今持っておりませんので、後ほど調べましてお答え申し上げたいと思いますが、平成五年度につきましてはまだ未定だということでございます。
  79. 吉田治

    吉田(治)委員 委員会の場では答えられないということなの。私は、事前通告でこの質問をすると言っている。それがここへ出せないということは、出せないような数字だ、株価がそういうふうに動いたのだということを暗に認めているというふうにここで私は理解します。
  80. 金澤薫

    ○金澤政府委員 今、平成八年度の数値を持っておりますけれども、収益として三千四百二十七億円上がっております。簡保事業団全体の利益、損失という場合には費用の部分がかかってまいりますので、平成八年度の場合は三千八百五十八億円の費用がかかっておりまして、差し引き四百二十億円の損が出ているということでございます。利益というのは、結局信託銀行からの配当金ということでございます。  平成九年度は、まだその数値が確定しておりませんので、今手元に持っていないということでございます。
  81. 吉田治

    吉田(治)委員 マイナス出ているわけでしょう。そういうふうなことをここで隠してどうするのよ。山崎政調会長が言った、今大臣もいみじくも言われた、党高政低だ、党が決めていって、これからそういうことに郵貯だ、簡保だというのを突っ込んでいく。五年たったらまたマイナスだ。そして、ここの委員会質問しても、いや、それは今計算しているので出せませんわ、そういうふうなことで、郵政の民営化の話は終わったとしても、では、一番日本で安心して預けられるところに実は預けたつもりがそうではなかったというふうになるのではないですか。
  82. 金澤薫

    ○金澤政府委員 平成八年度の数字を、ちょっと私、今手元になかったと思いましたが、探しましたら出てきましたので、今お答えしたわけでございます……(吉田(治)委員「そういうやり方はやめてくれよ」と呼ぶ)隠すつもりではなかったわけでございますけれども……(発言する者あり)
  83. 坂上富男

    ○坂上委員長 どうぞ、まず答弁を続けてください。
  84. 金澤薫

    ○金澤政府委員 平成九年度につきましては、まだ数値が出ていないということでございます。まだ決算が終わっておりませんので、数値が出ていないということでございます。決して隠すつもりではございません。
  85. 吉田治

    吉田(治)委員 本当に郵政の皆さんは一生懸命頑張られているのはわかるよ。いろいろなことを言われて、ぼろくそに、けちょんけちょんにやられて、これは、もうマスコミがいいとか悪いとかいろいろあるかもしれない。自分も心の中で同情するけれども、そういうふうなことの積み重ねになるから、みけんにしわを寄せたような人らが郵政の民営化だと声高に何カ月も叫ぶわけよ、テレビに出られるから。  本当にそういうことをちゃんとしてもらわなくては、今後のこの委員会において、もっともっと審議時間とって質問をがんがんさせてもらって、本当の郵政の奥はどうなっているのかということをこれから私どもはもっとしていかなければならない。  これ以上したいところですけれども、ほかに質問したいこともあるので、この件についてはこれからもずっとやっていくということで、よろしくそちらの方も覚悟しておいてください。  同じように、郵政という形でいきますと、やはり民営化の中で、特定郵便局、まあ私ども局長さんに応援してもらったことはないので余りわからないのですけれども大臣の所信の中にも、全国に二万四千六百の郵便局のネットワークがあると。  まず、特定郵便局について、俗に言う局長さん、二万四千六百のうち、どれぐらいがオーナーさんなのか。オーナーと言うとよくないですね。世襲と言ってもよくないですね。お父さんの代、おじいさんの代、もしも御親戚からずっと局長さんをやられているのか。そして、その局舎というものはだれが所有しているのか。その局舎がどういう形態で所有され、どういうふうな形で扱われているのか。その中に、自動支払い機ですか、これの扱いも別にあるやに聞いているのですけれども、その辺どうなのか。まず、お答えいただきたいと思います。
  86. 天野定功

    ○天野政府委員 ただいま委員の方から御質問がございました二万四千六百の郵便局の中で特定郵便局長がオーナーとして保有している局舎の数でございますが、今私、手持ちに資料ございませんので、後刻、至急取り寄せまして御回答させていただきますので……(吉田(治)委員「大ざっぱで結構ですので」と呼ぶ)いや、私、正確な数字はちょっと申し上げられませんので……。
  87. 坂上富男

    ○坂上委員長 大ざっぱでいいそうです。どうぞ。
  88. 天野定功

    ○天野政府委員 いや、ちょっと私もそこのところは具体的な数字を申し上げるわけにはまいりませんので、よろしく……。
  89. 吉田治

    吉田(治)委員 何割。パーセンテージで言ってください。パーセンテージで大体何%か。
  90. 坂上富男

    ○坂上委員長 どうぞ、天野官房長、何割ぐらいか、それだけ答弁してください。大体でいいですよ、推測で。
  91. 吉田治

    吉田(治)委員 だから、特定郵便局のサービス向上について質問すると事前通告をしているじゃないか。それなら、特定郵便局は何局ぐらいあって、それでどういうふうな形態になっているかぐらい事前に調べてきてくれよ。
  92. 坂上富男

    ○坂上委員長 答弁できませんか。
  93. 吉田治

    吉田(治)委員 おれは何にもペーパーを出していないわけじゃないでしょうに、特定郵便局のサービス向上についてと、こう出しているじゃないか、ペーパーを。では、きのう、事務方はうちの事務所に何しに来たんだよ。
  94. 坂上富男

    ○坂上委員長 郵政省側に申し上げますが、どうぞ、きのうも準備をされた上でのきょうは御質問だそうでございますから、きちっとやはり答弁していただかぬといかぬと思いますし、また、ペーパーが出てきたからお答えしますなどということはもう許しがたい発言でございますので、きちっと誠意を持って、まじめな答弁を期待したいと思います。  郵政大臣、どうぞ。
  95. 自見庄三郎

    ○自見国務大臣 特定郵便局がどれくらいあるかということでございまして、質問通告等、具体的には受けていないという話は事務局から聞きましたが、先生御存じのように、二万四千六百の郵便局のうち、私は事務方ではございませんけれども、大ざっぱに言いますと、大体一万八千五百ぐらいの特定郵便局があるんじゃないかというふうに思っております。それから、簡易郵便局が五千ぐらいございまして、普通郵便局が大体千三百ぐらいあるというふうに認識をいたしております。  その中で、一万八千五百の特定郵便局のうち一体どれくらいが、発生的には明治四年、郵便制度ができたときに、これは特定郵便局というのは、基本的には局長さんの私有財産である土地と局舎を政府がお借りをさせていただくという制度で制度的に発生をしたわけでございますから、そういったことを踏まえて、お父さん、おじいさんも特定郵便局長さんであるという数字につきましては、今私も頭の中にございませんが、かなりの部分はそういった制度でやってきたというふうに思っております。  日本の郵便局ネットワーク、二万四千六百ございますが、やはり特徴の一つとして、この特定郵便局制度、あるいは独立採算、あるいは企業会計とも申しますけれども、それと国営、三事業一体ということが外国からは日本の大きな郵便局のネットワークの特徴だ、こう言われているというふうに認識をいたしております。
  96. 吉田治

    吉田(治)委員 この特定郵便局云々に関する質問は、もう時間がないから今度にします。  こういう状況質問しろというのは、本当は私、もうここでやめて、もう一遍勉強し直してくれというふうに失礼したいところですけれども、時間もあと十分弱ございますので、一応最後まで質問は続けます。  今回のことに対して、私は、逓信委員会というのは初めて参加させていただきましたけれども郵政省というのはそういうところであるならば、本当に郵政の民営化ということについてはっきりと、もう一度私たち郵政に余りかかわりない議員から声を上げるべきではないかというふうなことを強く感じたということだけを今申し上げておきたいと思います。  俗に言う郵便局の話から全然外れるのですけれども郵政省としては、今さまざまな部分で通信の関係衛星関係というお仕事をされていると聞いております。  デジタル時代に入ってきて、今現在、地上波と衛星放送を合わせて最大十チャンネルというふうなものが、デジタル化の中で電波の有限性、まさに一昔前であるならば日米の通信交渉の、まあ放送じゃなくてあれは電話でしたけれども、モトローラとかそういうふうなところで問題になった有限性というものがなくなってきて、現状、どうなんですか、二〇一〇年の段階でチャンネル数というのは大体何チャンネルぐらいになるというふうな予測がされているのでしょうか。
  97. 品川萬里

    品川政府委員 お答え申し上げます。  この試算は、かつて電気通信審議会で将来のビジョンを出していただいたものによる数字でございますけれども、二〇一〇年時点において大体四百ないし五百チャンネルまでチャンネル数を確保することができるのではないか。もちろん、いろいろ、例えば衛星を使った放送の場合ですと軌道位置がどれだけ確保できるかとか、あるいは技術革新がどこまで進むかというのはございますけれども、大体四百ないし五百チャンネルまで確保できるのではないかというふうに承知しております。
  98. 吉田治

    吉田(治)委員 四百から五百チャンネルにもなってくると、私、問題点をちょっと指摘だけで、まあ指摘に対するお答えになるかと思うのですけれども、では、それだけチャンネルがあってその会社がやっていけるのか。  きょうも新聞に出ておりましたけれども現実にCSのテレビ局が二社合併するとか、もう今やパラボラを、ちょっと大きいものをコンバーターと一緒に買いに行けば、日本のものを使わなくてもアメリカ、香港の衛星から入るとか言われている中で、まず一点目は、事業者自身、これだけ多チャンネルで仕事ができるのかというマーケットについての予測。  そして二点目は、今まででしたら、地方の俗に言うテレビ局というふうな形で、地上局というのが十チャンネルぐらいの中で何とか生き残ってきたものが、次のステップとして、では果たして生き残っていけるのかどうか。  そして三点目は、これは非常に重要なことなんですけれども、四百、五百もチャンネル化してまいりますと、まさにソフトというふうなもの、そこで流される情報というものをどう権利を確保するのかということと、では、その情報が反社会的な情報、今でしたら俗に言う視聴者というエンドユーザーは垂れ流しの情報を見るだけであって、それがいいか悪いかどうか。  文教委員会の方でも非常に議論されているでしょうけれども、テレビの持つ影響、ついテレビで見ていたから欲情したから襲ったとか、そういうふうな調書なんかが出てきますと非常にびっくりするのですけれども、その辺を含めて、もう時間がございませんのでまとめて御答弁をいただきたいと思います。
  99. 品川萬里

    品川政府委員 お答え申し上げます。  先ほど申し上げたいわゆる電気通信審議会でのビジョンにお示しいただいた数字でございますけれども、二〇一〇年には放送市場というのが大体八兆四千億円、九兆円弱の試算というものをいただいております。これは平成八年度と比較いたしますと、約二・五倍の規模になります。これは、今後の国民総生産の伸びでございますとか、先ほど申し上げましたように、技術革新程度によりますけれども、大体こんな見通しを持っております。  先生もう一つのお尋ねの地上放送への影響はいかがかということでございますが、電気通信の世界、すべて基礎技術がデジタル技術をベースにしたシステムに変わっていくわけでございますが、地上放送につきましてもそのような方向にあるわけでございます。今、大体全国九〇%近いところが四チャンネル見られるわけでございますけれども、これが三倍ぐらいのチャンネルがとれるようになるということが技術的には可能でございます。  しかし、これだけのチャンネルをどれだけ使って放送するかというのは、これはまさに放送事業を進める方の意欲によってこのチャンネルが埋まっていくわけでございます。将来、衛星放送あるいはCATVとかいろいろなメディア普及してまいりますけれども、地上放送への影響いかんということになりますと、デジタル技術というのはいろいろな可能性を秘めております。  既に、ローカル局におかれましては、そうしたデジタル技術を使ってどのように番組構成を深めていくか、あるいはCS放送を使ってどのようにローカル局の機能を高めていくかというような試みもなされておりますので、積極的な展開でいく中で、多メディアがローカル局にマイナスの影響を及ぼすというふうにも一概には言い切れないのではないかというふうに存じております。  それから三番目に、番組ソフトのお話がございました。  確かに、今いろいろな放送についての御批判をいただいておりまして、放送事業者も、いろいろ番組審議会の審議等を経て、より豊かな番組提供に努めているというふうに認識をしておりますけれども、テレビの影響というのはなかなか一概に言うところは難しい。  アメリカにおきましては、いろいろな調査研究を通じまして、テレビと青少年関係というようなことが進めておられまして、私どもも、これは非常にいわば学際的研究を要する分野ではなかろうかと思いますけれどもYいろいろな研究調査を深め、また政府においては、内閣において次世代の青少年情報との関係の勉強会ができておりますし、それからまた青少年対策本部でいろいろな議論も進められております。  そうした政府全体の動きを見ながら、放送のこれからのあり方というものについて郵政省としてとるべき任務、あるいは果たすべき役割を十分果たしてまいりたい、こういうように存じております。
  100. 吉田治

    吉田(治)委員 もう時間が来ていますので、ちょっと今のところの答弁の中で、テレビの影響については随分御答弁いただいたのですけれども、五百チャンネルになっていったときのソフトの権利関係の保護、その辺については、今どうなっていて、これからどういうふうにするのかということを最後にお願いしたいと思います。
  101. 品川萬里

    品川政府委員 いかにチャンネルがふえましても、いい番組が流れなければ、これは放送事業にとっても、また視聴者にとっても目指す方向ではございません。したがいまして、我々も、放送の健全な発達という立場から、放送番組ソフト、いかにいいものがつくられ、またそれがいかに流通するかということが大事だと思っておりまして、放送番組ソフトにつきましては、放送番組の制作それから流通、保存、この三つの分野につきまして、それぞれきちんとした政策を立てるべきというふうに考えております。  番組の制作につきましては、先ほど申し上げましたように、これからの放送もデジタル技術をベースにしてまいりますので、デジタル技術による放送制作、番組制作というものについて、政府として支援できるものはやっていくということが大事だと思っております。  二点目の流通につきましては、これは著作権が大変絡んでおりまして、この著作権処理というものにつきまして、放送会社あるいは番組提供者、それから著作権を主管する文部省等と一緒になりまして、この問題について、いかに流通を円滑化する処理ができるかということについて今研究をしておりますし、それからまた放送番組のデータベース、これがありませんと流通市場もできませんので、この点の手当てをしてまいりたい。  三点目の保存につきましては、今、国会図書館と郵政省において、いかに番組ソフトの保存を充実させるか、そしてそれがまた流通市場に回っていくにはどうしたらいいかということで、十年度におきまして、さらに研究を深めるべく、予算の方でもお願いしている次第でございます。
  102. 吉田治

    吉田(治)委員 もう時間ですので、これで終わります。
  103. 坂上富男

    ○坂上委員長 郵政省に申し上げますが、吉田委員の質問に対しまして御答弁ができなかった部分については、後刻文書でもって御回答申し上げるように要請をいたしたいと思います。  遠藤和良君。
  104. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 平和・改革の遠藤和良でございます。  きょうは、理事の皆さんの御理解をいただきまして、私、質問時間を一時間いただきました。ありがとうございました。  一般質問でございますから、アトランダムにいろいろなことをお伺いしたいと思います。  ちょっと話題を変えまして、大河ドラマ「高田屋嘉兵衛」を実現する会というのがあるのですが、この会がNHKとか郵政省の方に陳情されているようでございますが、郵政省はどのように認識をされておりますか。
  105. 品川萬里

    品川政府委員 兵庫県の淡路島で、震災復興のいわば精神的支援になればということで、そのような御計画がおありだということは私ども承知しております。  若干私的なところも触れるのかもしれませんが、お許しいただきまして、この経緯を御説明させていただきたいと思います。  私、前々職で震災担当の、災害担当の審議官をしておりましたときに、たまたまこの阪神・淡路大震災がございまして、お見舞いかたがた淡路島をお伺いする機会がございました。  その際に、五色町初め地域のいろいろな方とお目にかかる機会がございまして、それでお見知りおきいただいたわけでございますが、その後、前職の貯金局長になっておりましたときに、そうした経緯で知り合いになった方から、ぜひ淡路島の五色町出身の高田屋嘉兵衛の話をドラマ化して、災害復興の一つの手がかりにしたいというようなお話がございました。これをぜひNHKドラマにしたいけれども、どうやったらいいのかという御相談を受けまして、私、そうしたことで面識を得たことから、NHKのどこに相談をすればいいかという窓口の御紹介をいたしました。  そういう意味で、この淡路島における動きは承知しておりまして、その後どのような経緯で進んでいるか、今は承知しておりませんけれども、いずれにしましても、そういう経緯でこの淡路島のお話NHKのおつき合いが、私が御紹介したことだけによっているのではないかと思いますけれども、私の承知している限りでお答え申し上げた次第でございます。
  106. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 郵政大臣、高田屋嘉兵衛は知っていますか。
  107. 自見庄三郎

    ○自見国務大臣 通告のない御質問でございますが、高田屋嘉兵衛どいえば、私も高等学校の歴史か何かで学んだような気がしますけれども、淡路島出身の、江戸時代後期だったと思いますが、後期は経済が、何といいますか、前期に比べれば発達した地域でございますから、交易をいたしまして、たしか蝦夷地との交易をされた立派な商人であったというふうな、その程度認識は持っております。
  108. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 いきなりの質問で申しわけございません。  この方は、今お話がありましたが、江戸の末期から明治にかけて活躍した方でございまして、兵庫県の五色町の生まれでございますから、私の選挙区ではございません。  それで、有名になりましたのは、やはり司馬遼太郎先生が「菜の花の沖」という小説に書かれて、その主人公に書かれてから有名になったわけですね。五色町の出身で、兵庫県のところで、昔、江戸のころ、北前船というのがありました。その船頭兼回船問屋をいたしまして、蝦夷地との交流をした。当時、一寒村にすぎなかった函館の現在の開港の基礎を築いた。  それから、蝦夷地だけにとどまらずに、国後、択捉、それからカムチャツカまで行くのですね。国後から択捉の間の航海の海路ですか、これを発見したり、それから当時は長崎の出島が唯一の日本の玄関だったのですけれども、裏玄関というのはしょっちゅうあいていまして、蝦夷地と大陸との密貿易ですけれども、それが盛んに行われていたわけですね。  ある事件がありまして、向こうのゴロウニンという艦長が日本に抑留、逮捕されるわけですね。その折、直後に、高田屋嘉兵衛もロシアに拿捕されまして、カムチャツカに抑留するのですが、彼はそこで艱難辛苦の中、ロシア語を独学で勉強いたしまして、民間人ですけれども、当時のロシアの政府といろいろ交渉して、ゴロウニンも無事に帰還させる、自分も帰ってくる、民間人ですけれども当時の日本政府を代表するような形で見事に武力衝突なくして平和的に解決をしていく、こういう方なんですね。  今、日ロ関係は大変良好でございまして、橋本総理がこの間ロシアに参りましたし、エリツィン大統領は今度は川奈にお越しになりますし、大変良好な状況で進んでいまして、領土問題も含めて、今度は平和友好条約を結ぼう、そういうふうな話もあるわけでございますから、そうした歴史の前史のような形で、彼は民間人ですけれども日ロの友好親善に努めた、こういう役割を果たしているわけでございます。  そうした大きな観点から考えましても、こうした人物が大河ドラマになっていくということは、今の時期にも大変よいことではないのかなと私は理解をいたしまして、選挙区ではないのですけれども、五色町にも行ってまいりました。それで、町長さんにお会いしました。  それから、函館の方にも行ってまいりまして、函館で高田屋嘉兵衛がどのように評価を受けているか見てまいりましたが、どの地域でも立派な記念館がありましたり、銅像が建っていたり、あるいは今度の大河ドラマを実現させようという機運が民間人の中で大変盛り上がっているわけでございまして、何とかその皆さんの気持ちというものが実現できないものかな、こんな気持ちでおるのですが、そんなことをちょっと思いまして、郵政大臣の感想をお聞きしたいと思います。
  109. 自見庄三郎

    ○自見国務大臣 時代認識を含めた遠藤委員の大変見識のある御意見でございますが、御存じのように、放送事業者には放送の自律がございますし、放送番組は、放送法に定める権限に基づく場合でなければ何人からも干渉されない、または規律されない、これは大変大事な表現の自由、報道の自由の原理でございますから、NHKに対してこうせい、ああせいというふうに郵政省が言う権限は一切ございませんし、言ってはならないことだと思っております。  ただし、いずれまたNHK予算の審議があるわけでございますから、またその辺でNHK自身が自律的、自主的に判断することでございますから、先生の方からもそういう御意見を申し伝えることができるのかなというふうに思っておりますけれども、いずれにいたしましても、全体としては、私は大変見識のある御意見だというふうにお伺いをさせていただきました。
  110. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 それでは、所信表明に対する質疑に入りたいと思います。  きのう、所信表明があったのですけれども、全く触れられなかったことがあるのですね。それは何かというと、行革の最終報告、それからそれをもとにいたしましたこの国会に提出されております中央省庁改革基本法、この中に郵政省の姿が書かれているのです。これは大変大事なことなのですけれども、きのうの所信表明では一言も触れておりませんが、これは何か意図して触れていないのですか。
  111. 自見庄三郎

    ○自見国務大臣 行政改革会議を踏まえた基本法案では、郵政事業については、もう先生御存じのように、中央省庁再編にあわせて一総務省に企画立案及び管理を所掌する内部部局と事業の実施を所掌する外局としての郵政事業庁を置くというふうになっております。また、その後、郵政事業庁は国営、三事業一体、国家公務員としての身分を維持しつつ、国営の新たな公社に移行し、これにより民営化等の見直しを行い、こういうふうに明記をされておるわけでございます。  私は、そういった中で、やはり国民に対して、国民生活に不可欠なサービスでございますから、国民の身近な郵便局を通じて、このことがあまねく広くと申しますか、ユニバーサルサービスを提供するというこれまでの郵政事業の果たしてきた基本的な役割は今後とも維持される、そういった気持ちで今後とも郵政行政を預からせていただきたい、こういうふうに思っております。
  112. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 私は、何できのり触れなかったのかということを聞いているのです。一行も書いていないのですね。
  113. 天野定功

    ○天野政府委員 確かに大臣の所信表明の中には直接的には出ておりません。  これは、この行革会議の報告書を受けまして、それを法律の形に出しております基本法案が当委員会の付託ではなかろうということで、直接的に大臣の所管ということからは申し上げるのはいかがかという趣旨でございます。  ただし、直接的には触れておりませんけれども、非常に論議されました郵政事業につきましては、国営、三事業一体を基本的に維持していくといった基本考え方は触れさせていただいております。
  114. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 確かに行革基本法はこの委員会の所管ではないのですけれども郵政省がどうなるかという大変大事な話ですから、これは当然この委員会でも議論をしなければいけないテーマだと思うのですね。  それで、この行革基本法を読みまして思いますことは、この行革基本法というのは、やはり中央政府と、地方政府といいますか地方とがどういう仕事をするのだという整理がないままに、現在のままで中央省庁の数だけ再編成した、要するに、数合わせで終わっているのではないかという印象を私は持ちます。  こういうことを郵政大臣に聞いても感想は答えられないのでしょうけれども、例えばワンストップサービスというものがあるのですけれども、ワンストップサービスというものと行革との関連をどう考えるかという視点が私は大事だと思うのですね。ワンストップサービスとは、いろいろなサービスを付加してやっていくのだということになれば、これは行革に逆行する話だ。そうではなくて、国や地方自治体のすべての窓口をここに集約するのだという話になれば行革の話になるわけですね。  国の出先機関というのはいろいろな役割があるのですけれども、統治機構としての役割がある。もう一つの面は、国民サービスの窓口という役割がありますね。そのサービスの窓口というものをこの郵便局に集約するのだ、だから他省庁の窓口はもう要らなくなりますよ、こういう話なら、郵政省の言っているワンストップサービスというのは確かに行革の話だなという話になるのですけれども、そうした視点が明確ではない。  このワンストップサービスをやる理念といいますか、哲学、そういうものをまず確認したいと思います。
  115. 自見庄三郎

    ○自見国務大臣 遠藤委員にお答えする前に、先ほどの行革についての郵政大臣の所見やいかにという話でございましたが、たしか、私の記憶が正しければ、前回の臨時国会のときに、私はそのことについて所信で触れさせていただいたのではないかなというふうに記憶をいたしております。  しかし、いずれにいたしましても、今行革の絡みで、先生質問のワンストップ行政サービスというのは大変大事なテーマだというふうに私は受けとめております。今言われるとおり、まさにワンストップ行政サービスは、身近な郵便局で多種多様な行政サービスを一括して簡単に受けられるという国民利用者の利便の向上を第一に考え取り組みだというふうに私は思っております。  実は今、ワンストップ行政サービス全国で三カ所の郵便局で実施をいたしておりますが、昨年の年末、その三カ所の一カ所でございます沖縄県竹富島の竹富町という最南端の町でございますが、その竹富町の郵便局に、実際ワンストップ行政サービスの実験を始めておりますから、私は視察に行かせていただきました。  その島は、昔は五千人ぐらい人がおられたらしいのですが、過疎になりまして、今は大体三百人ぐらいの人しかおられない。ある機関は、国の機関は当然郵便局一つでございまして、町の機関も、また駐在所もない、こういった中で、焼き畑農業をいつ始めるかとか、そういったものは町の許可でございますが、それを郵便局でやる、あるいはホームヘルパーの申し込みを郵便局でやれる、そういった実験を実は始めております。  ああいった過疎の地域あるいは有人離島、そういったところにおいては現実には郵便局しか、国の機関の窓口というのは一つしかないわけでございます。そして、郵便局でしなければ、実は何時間も船に乗ってほかの町の役場に行かねばならない。  そういった現実を踏まえまして、やはりワンストップ行政サービス実現すれば、国や地方自治体にとっても、今先生の御指摘のございましたように、出先機関の設置が不要となるということでございまして、また増大する窓口業務が軽減されるということになるわけでございますから、行政改革基本は、簡素、効率国民のためということでございますから、そういった意味で、簡素で効率的な行政実現、そのことはまさに私は行政改革基本に資することではないかというふうに思っております。  先生御存じのように、アメリカでもクリントン政権でWINGSという構想がございまして、これは要するに郵便局が政府国民とを結ぶ橋渡しとなっている、こういった構想も着々とアメリカでは進んでいるというふうに聞いております。  いずれにいたしましても、全国の二万四千の郵便局ネットワークが持つ力を最大限利用して、このワンストップ行政サービス実現に積極的に取り組むことは、住民のためであり、また行政改革基本的精神に資するものだというふうに思っております。
  116. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 郵政省の中で考えるワンストップサービスではなくて、国全体の中で行革をするのだ、そこへ集約するのだ、こういうふうな議論を大きく起こしていかないといけないと思うのですね。郵政省の中だけで考える話じゃないのじゃないかと私は思います。  そういう意味で、総務省というのは現在の郵政省と自治省だとか総務庁だとかが一緒になるわけですから、ある意味ではワンストップ行政サービスがより連携をとってやりやすいという環境になると思いますね。そうすると、国の出先は郵便局で賄います、あとはみんな出先でなくていいですよ、この辺の議論をしていかなければいけないのじゃないか。その理念のことをきょうは伺ったわけでございまして、そういう認識と同じと理解してよろしいですね。
  117. 長谷川憲正

    ○長谷川(憲)政府委員 若干実務的な御説明をさせていただきたいと思います。  御指摘の各省庁との間の連携ということにつきましては、現在私ども郵政省が中心になりまして各省庁に呼びかけをいたしまして、この十二月からワンストップ行政サービス、国のいろいろな役所にかかわるものでございますが、これを郵便局一カ所でできるようにするというための研究を始めておるところでございます。この中では、御指摘をいただきましたように、自治省、総務庁それから法務省にも御参加をいただいておりますし、いろいろな地方自治体にも参画をしていただいております。  なお、技術的な問題もいろいろとございますので、そういった分野の専門家等も交えまして、この六月を目指して今鋭意研究を進めているところでございます。
  118. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 行革基本法に則してもう少し聞きたいのですが、総務庁、自治省それから郵政省を含む総務省というのは三十一万人ぐらいの大きな省になるだろう、こういうことですが、大臣は一人ですね。それから、その外局にいわゆる郵政事業庁というのを置くのですけれども、この職員が三十万人。そうすると、総務省全体のほとんどの職員は郵政事業庁の職員になるのですけれども郵政事業庁というところには大臣はいないのですね。
  119. 天野定功

    ○天野政府委員 郵政事業庁と申しますのは、これは新しくできます総務省の外局の機関でございますので、そこの大臣は、やはり総務大臣というものが統督しているということになります。
  120. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 ですから、総務大臣というのはこれはすごい広い分野で、今でいうと、地方行政から、消防の話から、選挙の話から、それから今やっている郵政省の話、全部やって、公正取引委員会もやるのですか、すごく広い分野ですね。これを一人の人が見るということになるわけですね。  それで、この郵政事業庁でございますけれども、これはいつできるのか、法律上はこう書いてあります、実際は努力目標としてはいつごろまでにつくりたい。それから、それをまた新しい国営の公社に移行するとあるのですけれども、この公社に移行する時期ですね。それも、法律上はこうなっています、努力目標としてはいつごろまでにしたい、こういうことを立て分けて御答弁ください。
  121. 天野定功

    ○天野政府委員 お答え申し上げます。  まず、郵政事業庁はいつできるのかということでございますが、この郵政事業庁は、ただいまお答え申しましたように、新しくできます総務省の外局の機関でございまして、総務省ができるときと一緒でございます。  これにつきましては、法律では非常に幅のある書き方になっておりまして、これは法案の五条になるわけでございますが、「遅くともこの法律」、基本法ですが、「この法律の施行後五年以内に、できれば平成十三年一月一日を目標として、中央省庁改革による新たな体制への移行を開始するものとする。」という形で書いてはございまして、総務省の設置される時期に、同時にこの事業庁が外局として設けられる、こういうことになります。  しからば、新たな公社へはいつ移行するのかという二番目の御質問でございますが、これは、この法案によりますと、まず原則は「郵政事業庁は、この法律の施行の日から起算して五年を経過する日の属する年において、」「国営の新たな公社に移行する」となっております。これは法案の第十七条の中です。ただ、この五年を経過する日が、その日が郵政事業庁の設置の日から起算して二年を経過する日より前である場合には、その同日の属する年において、国営の新たな公社に移行するということでございまして、わかりやすく申し上げますと、郵政事業庁としての期間として二年を確保する、こういう趣旨でございます。
  122. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 努力目標といいますか、できればという書き方なのですけれども郵政事業庁というのは、できれば平成十三年一月一日ということでございますと、その新しい公社というのは平成十五年一月一日を含む年、こういう理解でよろしいですか。
  123. 天野定功

    ○天野政府委員 ただいまの御解釈で結構でございます。
  124. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 それから、現在の郵政省の仕事が郵政事業庁、そして新公社に移るのですけれども、いわゆる国営、三事業一体という経営形態、これは一気通貫で変わらない、こう理解してよろしいわけですね。  その事業はどういうことを旨としてやるのかということなのですけれども、いわゆる俗にユニバーサルサービスの確保であるとかいう話があるのですが、ユニバーサルサービスとは一体何ぞやということになると、私は、ユニバーサルサービスの根幹をなすものは、やはり全国均一料金制度、それからポスト投函制度、こういうものがやはり必要かつ十分、十分かどうかわかりませんが最低必要な条件になる、こういう理解でよろしいのでしょうか。
  125. 天野定功

    ○天野政府委員 ユニバーサルサービスの定義というものは明確に法律であるわけではございませんが、私どもは、ふだんユニバーサルサービスの用語を使いますときには、法律にあらわれておりますあまねく公平というものがユニバーサルサービスの概念を最も典型的に表現している言葉と思っております。  この意味することは、先生が今おっしゃいましたように、利用条件が都市部、地方かかわりなくひとしく均等であるということも入っていようかと思います。
  126. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 ポスト投函制というのはどうなのですか。
  127. 天野定功

    ○天野政府委員 言い忘れましたけれども利用条件のひとしく均等ということ、それから簡便で国民が手軽に利用できるということもそういった趣旨に含まれておりますので、ポスト投函はまさに簡単な郵便の差し出しの形態でございますので、それも具体的なあらわれかというふうに理解できるかと思います。
  128. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 そういたしますと、郵政事業への民間の参入について、その具体的条件の検討に入るとあるのですけれども、その具体的条件とユニバーサルサービスとの関連でございます。  あまねく公平にということをきちっと条件に入れるということになると、全国料金均一制かつポスト投函制というものをクリアしない民間の参入はあり得ない。これは大変高いハードルになるわけですけれども、そういうハードルにするのか、もっと簡便なハードルにするのか、その具体的要件はどのように考えていますか。
  129. 長谷川憲正

    ○長谷川(憲)政府委員 郵便のユニバーサルサービスにつきましては、官房長からお話を申し上げましたとおり、あまねく公平に、全国津々浦々サービスを提供するということだというふうに思っておりまして、先生おっしゃいますように、均一料金あるいはポスト投函制というものもその一環をなすものだというふうに思っております。  ただ、この辺のユニバーサルサービスというものの定義というものは明確なものがございませんで、私ども、今一生懸命勉強している最中でございますが、外国でもそれぞれの国によって、また国情によっても違いがあるというふうに思っております。  そこで、今回の法案にございます郵便事業への民間企業の参入について具体的条件の検討に入るということでございますが、私どもは、いずれにしても、民間の参入を考えます場合には、ユニバーサルサービスを従来同様に確保していくということが大前提であるというふうに思っておりまして、しかも、このユニバーサルサービスの確保というものは、国の提供しております郵便事業によってしか可能にならないというふうに思っているわけでございます。  盛んに私どもも今海外事情、むしろユニバーサルサービスの議論と申しますのは、日本よりも海外の方が議論がたくさんなされているという実態がございますので、私ども、その勉強をしている最中でございますが、外国でも民間の参入した事業者にユニバーサルサービスを課しているという例はないように承知をしております。  したがいまして、これから具体的な条件の検討をいろいろやっていくわけでございますが、海外の事情を中心として、郵便事業によるユニバーサルサービスの確保のためにどんな方策があるのか、学者先生の御意見を聞きながら、まずは勉強してまいりたいと思っているところでございます。
  130. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 そうすると、参入する民間にはユニバーサルサービスは義務づけない、要するに、国営の郵便局でユニバーサルサービスはやります、こういう話ですか。
  131. 長谷川憲正

    ○長谷川(憲)政府委員 私ども、まだ具体的にどういうような形の参入があるのかというところまでのイメージはできておりません。  しかしながら、日本だけの制度というものをつくるわけにはいかないであろう。電気通信ほどではございませんけれども、郵便もだんだんグローバル化してきておりまして、世界を共通とするような郵便物もどんどんふえてきているわけでございますので、そうした意味から申しましても、民間の参入のあり方というものについては世界的な標準の枠の中で考えていくべきだ、このように思っております。  そういう点から申しますと、民間の参入者に国と同じ条件を課すというような例は今のところ見当たっておりませんものですから、私どもとしては、そういうような制度をつくることは困難であろうかなと今の段階では思っているところでございます。
  132. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 郵便局は赤いポスト、民間は白いポストで同じようにやらせる、全く同じ条件でなければ認可しないということは考えていない、そこはよくわかりました。  では、最低条件は何ですか。
  133. 長谷川憲正

    ○長谷川(憲)政府委員 現在の段階で具体的条件個々をまだ検討しておりませんので、これが最低の条件であるということを申し上げるのはなかなか現時点では難しいのでございますが、先ほど申し上げましたように、民間の参入という事態になりましても、国家的に考えましたときに、国の隅々まで従来のように郵便が配達をされる、しかも均一料金でポスト投函というような簡便な手段もあわせ持って、従来同様のサービスが確保されるということは最低の条件であろうかというふうに思っております。
  134. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 まだもやもやとしている話なのですけれども、具体的に条件が検討されてこれでいきましようということになった、そのときに、それは新しい法律をつくるということになるのでしょうか。いわゆる認可条件といいますか、それをつくって、その法律のもとに認可された株式会社というふうな制度そのものができるというふうになるのでしょうか。その法律上の仕組みというのは一体どういうことを考えているのでしょうか。
  135. 長谷川憲正

    ○長谷川(憲)政府委員 民間の事業者が郵便事業に参入をするということは、いわゆる信書の送達を認めるということになるわけでございます。郵便と申しましても、小包のような物体を運ぶ事業、あるいは新聞や雑誌というものは現在でも民間企業に開放されておりまして、国の独占にされているものは、いわゆる信書の送達だけでございます。  それで、この信書の送達の独占と申しますのは、郵便法の第五条に規定がございまして、これを国の独占とするということになっているわけでございますので、民間企業の参入を考えます場合には、郵便法の五条の改正が必要になるというふうに考えております。  それ以外にどのような規定を設けるべきか、あるいは新しい法律を考えるべきなのか、あるいは関係の法律がどのようなものがあるのかというところまでは、まだつまびらかにしておりません。
  136. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 あまねくということをやはり民間事業者の方にも理解してもらわないと、いわゆるいいとこ取りというふうな参入の仕方になる可能性は十分にあるわけですね。  その信書の部分ですけれども、ここを開放するというとなんですけれども、出入り自由にするという形にすると、要するに、東京都内の郵便だけやりましようとか、そういう話になってくる可能性はありますね。そうすると、そういう形態の参入があるのか。そういう人にはやはり点字郵便なんかも扱ってもらわなければだめよというふうにしてしまうのかどうか。あまねくというのは、地域に平面的なあまねくもありますが、業務的なあまねくもあるのでございますが、そういうところはどのように考えているのでしょうか。
  137. 長谷川憲正

    ○長谷川(憲)政府委員 民間の郵便分野に参入しました事業者がどのような形でサービスを提供するのかというのはいろいろなケースが考え得ると思っておりますが、今私ども調査研究会の中で調べようとしておりますのは、実際に先行しております国ではどのような事態が起きているのかということを調査しようとしているわけでございます。  詳細は存じませんが、私どもが見る限りでは、国によりましては非常に小さな事業者が一部分の郵便の配達を一部分の地域で行っているという例もあるようでございますし、かなり広い範囲で行っているという例もあるようでございます。  しかしながら、いずれも、基本的な手紙、はがきと申します部分については、おおむね国または国に準ずる事業体の独占に依然としてなっているというところがほとんどだというふうに認識をしておりまして、私どももまだ具体的なイメージは持ち得ていないわけでございますけれども、部分的な参入ということになるのではないか、このように考えているところでございます。
  138. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 これは少し議論を今後詰めていかなければいけない問題だと思いますね。国民の皆さんが見ていて、サービス多様化した、あるいは便利になった、郵便局の方も民間の方もともに競争してさらにサービスがよくなった、こういうふうなものがよい形だと思います。具体的な参入条件については、今後も熱心に議論を続けていきたいと思います。  ちょっと話は変わりますが、郵便貯金の剰余金の扱いの話ですが、「国庫納付については、その是非を含めて合理的な基準を検討する。」というふうに最終報告にはあったのですが、行革基本法は一切触れていません。触れない理由というのは、要するに国鉄清算事業団の長期債務の利子償還に、一兆円を五年に分けて、毎年二千億円ずつ郵貯特会から一般会計の方に入れてしまう、こういう整理でこの問題は話がついた、こういうことなんでしょうか。
  139. 天野定功

    ○天野政府委員 お答え申し上げます。  今、委員御指摘のように、郵政事業に係る剰余金の国庫納付の問題につきましては、昨年の十二月三日の最終報告の中にはそのようなことが書いてあったわけでありますが、その後、財政構造改革会議において議論が行われまして、最終的に、財政の財源確保に特に協力するためということで、本来貯金者に還元されるべき積立金でございますが、それを一般会計に繰り入れる特例措置をとることとしまして、平成十年度から平成十四年度までの各年度に二千億円程度の郵便貯金特別会計から一般会計への特別繰り入れを行うということが決定されております。  これを受けまして、二月二十日には、一般会計における債務の承継等に伴い必要な財源の確保に係る特別措置に関する法律案が国会に提出されたところであります。  このような経緯から、ただいま御指摘の国庫納付の問題につきまして、その是非を含めて検討するということにつきましては、基本法案の提出を待たずに先取りして検討が行われまして、平成十四年度までの特別繰り入れを行うことが決定されたという状況があるために、基本法において規定を設けなかった、こういう経緯でございます。
  140. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 この扱いについて郵政大臣に聞きたいのですけれども郵政大臣はそもそも国庫納付は反対だと言っていましたね、一番最初は。反対だと言っていた。最終報告の時点では、合理的な基準をという話になった。合理的な基準も何もなしに、やみくもに国鉄長期債務の利子の償還の財源にこれを持っていかれてしまったわけですね。こういう政治の手法、何も理念も哲学もなくて、もう財源のあるものは何でも使ってしまおうというふうな考え方ですね、この際、たばこも上げてしまって、たばこの税金もそこへ埋めてしまえと。  こういう話の中にこの郵貯の剰余金が扱われているわけですが、こうした節操のない財政運営に対して、郵政大臣国務大臣でもあるのですから、国の財政はもっとめり張りをつけてきちっとやるべきだ、こんなことに郵貯の剰余金が使われることは憤慨する、こういうことを言ってもよかったのじゃないかと思うのですが、いかがでしょうか。
  141. 自見庄三郎

    ○自見国務大臣 遠藤先生の御指摘でございますが、今般の国鉄長期債務の処理策については、財政構造改革会議等も踏まえて、私、国会でも答弁をしたと思いますが、郵貯資金はやはり基本的に貯金をしていただいている国民方々の利益のために使う、あるいは郵貯の経営の健全性のために、常に考慮に入れて運用していかなければならない、こういうふうに思うわけでございますが、やはり国鉄長期債務の処理については、国家財政が非常に非常事態であるということにかんがみ、また、ほかの機関も協力するという取り組みが行われる中国の機関でございますから、郵便貯金としても特例的に協力を行うことにしたものでございます。  それから、先生御存じのように、これは毎年二千億円を郵便貯金特別会計の一般勘定から一般会計へ繰り入れることにしたものでございますが、繰り戻しの条項も、経営の健全性ということは私は万般揺るぎのないことだと思っておりますが、もし将来そういった事態になったら、繰り戻しを含めて適正な処理をするというふうなことになっておりますから、そういった意味でも、そういった措置をさせていただいたわけでございます。  いずれにいたしましても、大変国家財政も非常事態であるということで、国のほかの機関も協力するということもございますし、特例的に協力を行ったものだというふうに認識をいたしております。
  142. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 剰余金というのは、本来的なことを言えば貯金者に還元すべき財源ですね。利子で還元するのかサービスで還元するのかわかりませんけれども、貯金者に還元すべきものでございます。今回は、貯金者に何の相談もなく、いきなり一般財源に組み込んでしまったわけですけれども、まだ少し残っていますね。剰余金四兆円あったうち一兆円行ったわけですから、あと三兆円ですが、これは持っていかれないということなんですか。
  143. 安岡裕幸

    ○安岡政府委員 郵貯特会の損益の状況でございますけれども平成八年度末で四兆三千億円ございます。九年度の末におきましては、今まだ決算が済んでおりませんが、ある程度の剰余が見込まれるのじゃないかというふうに思っております。  そんな中で、国家財政が非常に非常事態だということで協力する話になりましたことも、そういう面では、五年間で一兆円になりますけれども、三兆三千の今剰余を抱え込んで、その中で健全経営をしていかなければいかぬというふうに思っておりますし、先ほど大臣も申し上げましたように、万々一、いろいろな事業経営の中で事業の健全性が危うくなるという場合には、繰り戻し措置等も含めた適正な措置をやろう、こんなことになっております。
  144. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 それで、剰余金の活用の仕方なのですけれども一つは、今超低金利時代が続いていまして、長いものですから、お年寄りの皆さんとか大変な思いをしているわけですね。一年間で試算によると七兆円ぐらいが国民から銀行に所得移転しているのではないかという統計もあるぐらい、長い間、庶民、大衆はこの超低金利政策の被害を受けているわけですが、剰余金もたくさんあることですし、できれば目的を限定して、例えば福祉定期貯金の対象をふやすとか、あるいは介護貯金の利率を上げるというふうな、郵政省国民に温かい政策を発表してはどうかと思いますが、どうでしょうか。
  145. 安岡裕幸

    ○安岡政府委員 お答えを申し上げます。  先生ただいまの御指摘にもございましたように、今大変、超低金利ということもございまして、いわゆる一定の要件を満たす者につきまして、福祉定期郵便貯金という格好で提供しているところでございます。  先般、本年度の二月二十八日にその取扱期限が切れましたので、さらに一年間延長しようということでございまして、現行の金利四・一五%でございますけれども、これは今の水準からいうと大変高い金利を一年間さらに延長しようということと、同時に、もう少し同趣旨の対象者については拡大を考えようということで、いろいろ検討しました結果、恩給法に基づく障害あるいは遺族給付及び援護年金の受給者の方々、この方々を対象に加えまして広く御利用いただこう、こんなふうにしておるところでございます。  それから、もう一つ施策といたしまして、介護貯金ということがございます。いわゆる寝たきりの方とかそれから痴呆の方ということで、そういう面で非常に介護にコストもかかってくるということで、一定の要件を満たす方につきましては、一般的な金利水準に二割の上乗せ金利をつけていこうということにしておりまして、その施策につきましては、既に数年前から実施もいたしておるということでございます。  これらのサービスをさらに充実もさせていきたいというふうに考えます。
  146. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 福祉定期貯金については、今回対象を拡大して、百七万人ふやして合計五百六十一万人が対象なのですけれども、実際に預け入れている人は九十七万件と聞いています。ですから、大体二割弱の人しか使っていない。  それから、こちらの方は金利が高いのですけれども、介護貯金の方は金利が低いのですね。二割アップだけですから、実際は〇・五か〇・七という話ですから、これも平成八年の九月にスタートしているようですが、実際に預けている人は二千七百十一人しかいないわけですね。  それから、一つは広報活動が徹底していないのじゃないかと思うのですよ。対象者はたくさんいるのだけれども、実際に知っている人がいない。ですから、やはりきちっとした広報活動を両貯金制度ともやってあげるということと、私が申し上げましたのは、特に介護貯金の方の金利が余り高くないのですね。これを少し、福祉定期貯金並みとは言いませんけれども、それに少しでも近づける努力をするということが大切ではないかと思うのですよ。やはりある意味では、国営の銀行としての郵便貯金の役割だと思うのですね。こういうことは民間の皆さんに強制するわけにいきませんから、今の超低金利時代というものを認識して、その辺をやはりきちっと対応してあげればいいではないか。  僕は、予算的には大した額じゃないと思うのですよ、この額は。とても剰余金を全部充てるような額ではございませんから、剰余金の一部を使ってそうした心の温まるような施策を展開していただきたいと思いますが、自見大臣考えてくれますか。
  147. 安岡裕幸

    ○安岡政府委員 それでは、まず事務当局の方から答えさせていただきたいと思いますけれども、今の福祉定期郵便貯金の利用者でございますが、郵貯の利用者は九十七万ということになっていますけれども、対象者の中には^これは民間金融機関の方でも御利用いただけるという格好になっておりますので、実際にはこの福祉定期の利用はもっと多いということになりますが、さはさりながら、もっともっと同じ対象になっております方々にあまねく御利用いただけるように、私どもも周知徹底をしていかなければいかぬというふうに思っております。  今までも新聞広告とかポスターとか、そういう媒体で周知に努めてきたわけでございますけれども、もう少し効果的な方法を考えてみたらどうだろうかということで、テレビとかラジオの活用とか、あるいは社会福祉協議会さん等のいろいろそういう関係機関の機関誌にもっと載せていただくとか、そういうきめ細かな周知についても相努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。  それから、介護貯金のサービス充実につきましては、何分、一定の条件の中で金利を優遇するということではありますけれども、事業の健全性の中で、ただいま先生の御要望も十分やりまして、今直ちにできるかどうかは別でございますけれども、踏まえさせて検討はさせていただきたいというふうに考えています。
  148. 自見庄三郎

    ○自見国務大臣 遠藤委員の御指摘でございますが、やはり国の事業でございますから、先生の御指摘の福祉定期郵便貯金の対象になる方々、あるいは介護という話も出たわけでございますが、そういった方々に対してきちっと配慮をさせていただくということが国の事業として必要であるというふうに私は思っておりますので、先生お話をいろいろ拳々服膺させていただいて、また前向きに検討をさせていただきたいと思います。  同時に、福祉定期郵便貯金につきましては、昨年末でございますが、対象者の拡大あるいは存続ということが決まったわけでございます。私どもも、そのことを知っている方は少ないということでございますから、恐縮でございますが、私はPRの一環と思いまして、大臣の記者会見でもこれは大変大きく主張をさせていただいたわけでございます。  いろいろなPRの方法はあるというふうな貯金局長の話でございますから、しっかり対象者の方々に、こういう制度をつくらせていただいておりますから利用していただくように、今後とも引き続き努力をさせていただきたいというふうに思っております。
  149. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 最後に、公務員の綱紀粛正についてお聞きしたいのですが、大変残念なことですけれども、会計検査院の報告によりますと、平成八年度郵政省関係で四十六件、八億円を上回る事故があったということが報告されております。  こうした事故を起こした職員に対する処分、対応、それからこの中には、一部、本人が弁償したものもあるようですけれども、弁償されなかったものも残っている、こういうことでございまして、それをどのように処理をしたのか、あるいは今後そのような事故が起こらないような職員の教育、こういう点について、総括して御答弁をお願いします。
  150. 足立盛二郎

    ○足立説明員 会計検査院の報告で今回指摘されております四十六件でありますが、いずれも公金横領等の犯罪行為でありまして、事業及び官職の信用を失墜するものでありまして、絶対に許されないものであります。  これらにつきましては、その都度、迅速かつ厳正な措置をいたしておりまして、具体的に申し上げますと、四十六件のうち四十五件につきましてはすべて懲戒免職処分を執行いたしております。なお、残りの一件につきましては、発覚時に行為者が既に退職しておりましたことから、懲戒処分を行うことができなかったものであります。  以上でございます。
  151. 有村正意

    ○有村説明員 ただいま先生お話しになりました四十六件、約八億のものでございますけれども、この決算検査報告書には、回収済みとして掲記されておりますものが三十五件で金額的には一億九千五百十一万円ということでございますし、未回収のものとして掲記されておりますものは十一件の六億一千百三十一万円ということでございますけれども、その後もこの十一件につきましてはそれぞれ回収を進めておりまして、昨年の十二月末現在で、先ほどの三十五件のものと合わせまして、トータルで二億七千三百八十六万円を回収しております。  こういった未回収のものにつきましては、郵政省の債権ということになっておりまして、現在、地方郵政監察局で管理をしておるわけでございますけれども、裁判所に対しまして支払い命令の申し立てなどをいたしまして、まず取り立てができるように法的な措置をしておるわけでございます。  ただ、実際の回収に際しましては、この不正行為の実態を見ますと、借金の返済に窮して不正を行うといったものが多くございまして、なかなか返済の資力に乏しいケースでございますとか、あるいは今人事部長がお答え申し上げましたように、行為者が懲戒免職になりまして退職金もないでございますとか、あるいは実刑に服しているケースでございますとか、あるいはまた家庭が崩壊するケースもございまして、親族等からの代納も難しいということがございまして、なかなか順調に運ばないこともあるわけでございますけれども、滞納いたしました場合には、文書で督促をいたしましたり、あるいは監察官等が出向きまして取り立てをいたしましたり、また新たな資産のあることが判明いたしました場合には、法的な措置を経まして差し押さえるといったようなことをいたしまして、債権管理を厳正にやっておりまして、今後とも鋭意回収に努めたいというふうに考えております。
  152. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 国営で三事業一体という結論が出た、今後民営化の見直しは行わないというその前提は、あくまでも現在の郵政省の職員の方が本当に間違いのない、信頼するに足る公務員であるということが前提だと思うのですね。それが毎年このような事故が起こる。四十六件、八億円というのは、私は大変な額だと思うのですね。それを起こした人も大変でしょうけれども、起こさないことが一番大事なわけですね。起こさないことが大事なのです。起きることが大変な問題なのでございまして、それはやはり郵政大臣の仕事だと思うのですよ。  綱紀の粛正、そして郵便局に働いている人がやはり自信と誇りを持って仕事に精励できる、そこには不正の入り込む余地がなくなると思うのですね。そうした状態にぜひしてもらいたい。何かそのことについて抱負があれば最後にお伺いして、質問を終わります。
  153. 自見庄三郎

    ○自見国務大臣 遠藤委員の御指摘のとおりでございまして、まさに国営、三事業一体で国家公務員ということでございますから、そのためには当然、公務員としての自覚、そして何よりも厳正な綱紀の粛正、綱紀を保持してやるということが大事でございまして、そういったことを通じてやはり国民の信頼をかち取るわけでございますから、先生の言われるとおり、国民の皆様からいただいておる高い信頼を裏切ることがないように、特に各部署、郵政職員の犯罪防止に向けた倫理意識の高揚策として今までもいろいろやってきたわけでございますけれども、そういったことをきちっと実行しながら、さらに一層奮起をさせていただきまして、犯罪の根絶に向けて努力をしていきたいというふうに思っております。  いずれにいたしましても、国家公務員でございますから、それぞれに与えられた公務員としてのまさに使命感があるわけでございますから、そのことを踏まえて、今後とも引き続きそういった犯罪の根絶、そして何よりもこの綱紀の厳正な保持に努めていかねばならない、こういうふうに私自身思っております。
  154. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 終わります。ありがとうございました。
  155. 坂上富男

    ○坂上委員長 石垣一夫君。
  156. 石垣一夫

    ○石垣委員 自由党の石垣でございます。  けさほどから郵貯、簡保資金のいわゆる株式への投入問題がいろいろと論議をされてまいりました。  そこで、私の記憶によれば、三月一日の自民党の大分県連大会で山崎政調会長が発言なさったということで、当時、テレビを見ますと、自見郵政大臣がその席におられた、こういうふうに伺ったのですけれども、そのときの御感想はどうですか。
  157. 自見庄三郎

    ○自見国務大臣 今の石垣委員の御指摘のとおり、自由民主党の大分県連の政経文化パーティーがございまして、我が党では大体党三役と閣僚が行くということでございまして、当時、実は玉沢徳一郎組織本部長と藤井運輸大臣が行く予定でございました。ところが、朝、東京で大雪が降りまして、実は東京から大分まで行く飛行機便が欠航になりまして、結果といたしまして、私と政調会長は福岡出身でございますから、九州におったということで、たまたま山崎政調会長と私と二人が自民党の大分県連主催の政経文化パーティーに出席をさせていただきまして、その席で政調会長が発言をされたということでございます。  当時、新聞に何か事前に話をしたというようなことが書かれていた報道があったやに思いますが、実は、一時から懇親会があったわけでございますが、政調会長は一時すれすれに来られてすぐ会場の中に入りましたので、そういった時間的余裕はなかったということだけは、この前も予算委員会でもそういうふうに答弁をさせていただいたわけでございますが、そういう事情であったということでございます。
  158. 石垣一夫

    ○石垣委員 途中経過はいいのですけれども、その席におられて、所管の大臣を差しおいて、それは先ほど党高政低という話が出ましたけれども大臣が発想のない、あったかもしれませんが、まだ表に出していない、そういう中で、突如としてそういう発言をされたことについて、所管大臣として率直なお考えはどうですか。
  159. 自見庄三郎

    ○自見国務大臣 最初に私が五分ほど話しまして、後から、今さっき言ったように二人が来ないということもございまして、政調会長が二十分から二十五分ぐらい話をされたのかなというふうに思っております。  後ろで聞いておりまして、政調会長初め、やはり自民党というのは基本的に、幹部になりますと、一般の国会議員でも党員でもそうでございますが、非常に自由濶達な政党でございまして、いろいろな発言があるわけでございまして、その中の自由濶達な発言として政調会長が発言されたのかなというふうに私は後ろでお聞きをいたしておりました。  ただし、今さっきも回答いたしましたように、何も党の正式な決定ではございませんから、私は、それはそれなりに聞かせていただいておったという状況でございます。
  160. 石垣一夫

    ○石垣委員 本心はやはりじくじたる思いがあったのではないか、こう推察するのですけれども、立場上おっしゃることはよくわかるのです。  今自民党の中でこれを検討しておるというのだったら、当然、所管の大臣としてこの点について相談を受けられたと思うのですけれども、いかがですか。
  161. 自見庄三郎

    ○自見国務大臣 自民党の幹部がいろいろな発言をされます。私も行政を預からせていただいて、それを一々ああだこうだと言うのも、党から正式に決定があって、こういうことを討議していただきたいとか、あるいはこういったことにしていただきたいということは場合によったらございますけれども、今回の場合、政調会長がいろいろなところで発言をいたしておりますが、正式に政調会長から私にあるいは郵政省に、まだ党の決定でもございませんから、いろいろ話があったということは、今の時点では私は聞いておりません。
  162. 石垣一夫

    ○石垣委員 いや、自民党が今、政調会長が三月末の株価一万八千円キープということで懸命な努力をされているのはよくわかるのですよ。その中で出てきた、これは一つの対策ですね。主管の大臣をおいて、これは全然つんぼ桟敷なんですか、ちょっと考えられませんけれどもね。私は、当然御相談があってしかるべきだと思う。決まってから、こういうふうにせい、こうなるのですか。
  163. 自見庄三郎

    ○自見国務大臣 正式に党で決定したというふうにお聞きをいたしておりませんから、私の方としては、それについてはコメントする立場にはございません。
  164. 石垣一夫

    ○石垣委員 だから、決定の機関でいろいろ論議されるわけでしょう。当然、この対象は郵政省でしょう、郵政省の金を使うというわけですから。それに相談なくして決める、そういう自民党の政策決定システムなんですか。これは常識では考えられませんよ。どうなんですか。
  165. 自見庄三郎

    ○自見国務大臣 私も自民党に十四年ぐらいおらしていただきましたが、いろいろな政策決定はいろいろなところでいろいろな、人間的な要素も多分あると思うのでございますが、この政策決定というのはなかなか、率直に言って私でもわからないところがございます。  正式に党の部会長の発言でも、部会で考えてということも、検討していないというようなこともございまして、そういった意味で、私は、党の正式決定があれば、それはいろいろコメン十する立場にあるわけでございますが、まだ党の方から正式に決定をしたという話も聞いておりませんから、今の時点ではあくまでコメントできないというふうに思っております。
  166. 石垣一夫

    ○石垣委員 しつこいようですけれども、では、決定してから相談を受けるわけですか。決定というと、先ほど党高政低の話がありましたけれども、政策は党が優先するのですか。決定したことはすべて決定なんでしょう。それならこれは相談を受けたって、実はセミの抜け殻じゃないですか。当然、こういう重要問題は、私は大臣として所見を求められると思うのですよ。それはイエス、ノーは別にしてです。  大臣として今、意見を持っていないのですか、考え方、所見を。
  167. 自見庄三郎

    ○自見国務大臣 一般論として申し上げれば、郵貯、簡保の資金は、確実で有利に運用することにより、郵便貯金事業及び簡易生命保険事業の経営を健全にたらしめることを目的としているわけでございますから、今のところ、郵政省としては、自民党内で正式に決定したというふうに私は聞いておりませんけれども、動向も踏まえて、いかなることが可能か、慎重に検討してまいりたいというふうに思っております。
  168. 石垣一夫

    ○石垣委員 大臣は、まあ立場上……。  では、担当部局としては、こういう提案があったということについて、今検討しているのですか。
  169. 金澤薫

    ○金澤政府委員 この問題につきましては、党の方でさまざまな御意見があるということを私ども伺っております。  こういう問題につきましては、平成四年、平成五年の二回やられた経緯がございますけれども、そのときも、新総合経済対策または総合経済対策という形で、経済関係閣僚会議の決議として、政府全体としてそれをどういう形でやっていくかということを前提にした施策が打たれているわけでございます。  そういう意味からいたしまして、党でどのような御結論になるのか、それを受けて政府全体としてどのような施策を打っていくのか、そういう中で、私どもとしてもこの問題について慎重に対応していきたいというふうに考えている次第でございます。
  170. 石垣一夫

    ○石垣委員 党の方は今懸命に問題点について検討されているのでしょう。当然、担当部局として、並行してこれを検討しておると私は思うのですよ。決まってから、どうなっているんだよと慌ててやるのですか、これは。そんな無能な担当部局じゃないと私は思うのです、優秀な方がやっておるわけですから。  どうなんですか、もう準備できているのでしょう。どうですか。
  171. 金澤薫

    ○金澤政府委員 何度も同じようなことをお答えしてまことに申しわけございませんけれども、私どもとしては、党がどのようなことをお決めになるのか、それを受けて政府全体としてどのような形でこれを進めていくのか、またその中で郵政省としてどのような手段がとれるのかということにつきまして、慎重に検討していきたいというふうに思っている次第でございます。
  172. 石垣一夫

    ○石垣委員 これ以上聞いてもなかなか答弁出ませんから、まあ了解いたします。これは了解せざるを得ませんわな、了解していないけれども。本心は了解していませんよ。  先ほどいわゆる郵貯、簡保の指定単の運用についていろいろ論議がありました。  現在の簡保の指定単のいわゆる累積剰余金、欠損金を含めての数字は私持っておりますけれども、先ほどのやりとりの中で、簡保の指定単の損益状況の中で、局長は、平成十二年には赤字は解消するのだ、こういう答弁があったと思うのですね。これは確信を持って言えるのですか。
  173. 金澤薫

    ○金澤政府委員 お答え申し上げます。  平成六年から運用寄託という制度を取り入れたわけでございますけれども、この制度は、株式の配当収入程度の利率で簡保事業団に対して必要な資金を寄託するという制度でございます。  この制度を取り入れまして以来、簡保の経営状況は次第に改善されておりまして、例えば平成六年の当期損失は千五百七十五億でした。平成七年は千百八十七億、平成八年は四百三十億という形で、着実に損失は減ってきております。これに伴いまして、累積損失もその増を抑えることができる状況となっております。  平成九年度でございますけれども、これは、私ども、信託配当というのは年に一回、三月二十七日にいただくということになっておりますが、どの程度の信託配当があるかということは、信託銀行に大体一週間置きぐらいにヒアリングいたしまして、その状況を把握いたしております。  その状況から見ますと、平成九年度は大体数百億オーダーの黒字が出るだろうというふうに推測 いたしております。運用寄託の制度が今後きいてまいりますので、大体平成十二年度以前には累積赤字は解消できるというふうに判断しております。
  174. 石垣一夫

    ○石垣委員 数百億の黒字が出るだろう、こういうことなのですけれども、これは非常にアバウトなのですね。一週間ごとにヒアリングをしているということなのですけれども、今の時点でもう少し具体的な数字は出ないのですか。  と同時に、平成十二年までの経済情勢をどう見ているのですか。いよいよ四月一日からビッグバンになります。金融自由化になって大変な競争です。そういうことを全部除外して、今おっしゃったことは全部担保されているのですか。どういう金融情勢の変化があろうとも、今おっしゃったそういうものは担保されるのだ、こういうことなのですか。
  175. 金澤薫

    ○金澤政府委員 当初、この簡保の指定単でございますけれども、これは財投基準金利で簡保特会から事業団にお貸しするという仕組みの中で行っていたわけでございます。そのために財投基準金利と実際の運用との間で逆ざやが生じて赤字が発生してきたという経緯がございます。  それで、運用寄託という制度を取り入れまして以来、この運用寄託という制度は、非常に低い利率で簡保特会から簡保事業団にお金を寄託する、運用を寄託するという制度でございまして、この制度を取り入れました結果、運用利回りと運用寄託の利率との間で純ざやが発生いたしまして、その結果、着実に赤字は解消できているという状況でございます。  先生おっしゃいましたように、今後、経済状況はビッグバンの中で非常に変化してくると思いますけれども、この純ざや構造というものが変化ない限り、私どもとしては、十二年度以前に赤字は解消できるのではないかというふうに判断している次第でございます。(石垣委員「もう一点、数百億という具体的な数字」と呼ぶ)  今のところ、まことにこれは申し上げるとあれでございますけれども、私どもとしては、四百億以上の黒字を念頭に置いて動いております。
  176. 石垣一夫

    ○石垣委員 これは信託銀行を経由して運用しているわけですね。信託銀行、いろいろあると思うのですよ。例えば、これは安田信託ですね。これはほとんど、いろいろのいわゆる金融システムのてこ入れで何とか保っておりますけれども、経営がかなり厳しい。恐らく私は、運用委託を受けた、これは中身は知りませんが、運用成績はマイナスだと思うのですよ。あるいはまた、信託はそれぞれの証券会社に委託している。山一証券はもうつぶれましたね。山一証券の株は全く紙切れです。  こういう山一あるいは三洋あるいは安田信託という金融機関によって生じたマイナス面、これは信託銀行を通じてチェックしましたか。
  177. 金澤薫

    ○金澤政府委員 指定単は単独運用指定金銭信託ということでございまして、単独運用というのは、簡保だけでファンドを組んでいるということでございます。当然、ある信託会社が指定単をやっている場合は、一般財産それから他の信託財産というものときちんと峻別して、簡保についてのみどの程度の利益が上がったかということを前提にしながら事業団に対して配当を行うという仕組みになっている次第でございます。そういう意味で、その企業の全体的な経営成績と指定単の絡みというのは必ずしもリンクしていないというところがございます。
  178. 石垣一夫

    ○石垣委員 これは今、信託銀行を通じての運用です。新しく今度は自主運用を二年後にやるというわけですね。これはまた大変なリスクを一方には背負ってやらなければいかぬ。けさほどもこの問題が出ましたけれども、信託を通じてもこういうリスクがあるわけですね。  そういう今の指定単の運用におけるリスクの問題について、計算の中に入っておるのですか。
  179. 金澤薫

    ○金澤政府委員 簡保は全体として百兆近くの資産を有しておりますけれども、そのうち、平成九年度末の計画額の累積でございますけれども、十一兆三千七百億円を指定単で運用しているということでございます。  なぜ指定単で株を運用するのかということでございますけれども、私どもとしては、株と債券というふうな異なった種類の資産はそれぞれ異なった値動きをいたします。したがいまして、分散投資という視点、それからポートフォリオ上もそういう指定単が必要だというふうに考えておりまして、指定単も全体のリスク対策としてあるということでございます。  もちろん、指定単そのものもリスクというものを考えていかなければなりませんので、その点については、信託銀行等々に十分なリスク対策を講じてほしいというような要請をしているところでございます。
  180. 石垣一夫

    ○石垣委員 信託銀行に委託をする、これはもう任せっ放しですか、ただ利息だけいただいたらいいと。途中の運用について、委託した信託銀行にヒアリングしないのですか。
  181. 金澤薫

    ○金澤政府委員 お答え申し上げます。  指定単の信託契約の中身でございますけれども、事業団として信託銀行に対して要請しておりますことは、まず運用対象の種類でございます。株式、債券等々というふうな形でやる。それから、それぞれの運用割合をどの程度やるということを信託銀行に対して御要請するということがございます。それが契約内容になっておりまして、信託銀行はそういう大枠を受けまして具体的な個々の株を買い進む、また債券を買うというふうな仕組みになっていきます。  したがいまして、私どもとしては信託銀行に対しては、どのような株を買えとか、どのような株を売れとか、そういう指示は一切できない。単独運用指定金銭信託といういわば一種の商品を買うという仕組みとなっている次第でございます。
  182. 石垣一夫

    ○石垣委員 いや、だから、個別的にどの銘柄を指定するとか買えとか、そういうことを聞いているのではないのです。全体の、トータルとしてチェックをしないのか、ヒアリングしないのか、このことを聞いているわけです。
  183. 金澤薫

    ○金澤政府委員 当然、どの程度の配当が可能かというふうな点についてはお聞きしているところでございます。
  184. 石垣一夫

    ○石垣委員 これは、安全、確実、有利という大前提のもとに行われている郵貯、簡保の資金でございますから、十分ひとつその点は厳しくチェックをしながら、英知を絞って運用されることを要望しておきます。
  185. 金澤薫

    ○金澤政府委員 私どもお預かりしている金は、国の資産ではなくてむしろ国の債務でございまして、最終的には加入者にお返ししなければいけないといったぐいのものでございます。したがいまして、先生おっしゃいましたとおり、私どもとしても細心の注意を払って運用してまいりたいというふうに思っております。
  186. 石垣一夫

    ○石垣委員 続いて、先ほど遠藤議員からも質問があったのですけれども、綱紀粛正に関する、いわゆる郵便局の出納員等の不正事件、これは先ほど話がありましたように、平成八年度では八億六百四十二万、四十六件ということが報告されているのですけれども、最近五年間はどうなっているのですか。
  187. 有村正意

    ○有村説明員 会計検査院の決算検査報告書に記載されております最近五年間のことでございますけれども平成四年度が四十六件六億七千五百九万円、平成五年度が三十一件の二億二百六十一万円、平成六年度が四十三件で七億六千二百八十一万円、平成七年度が三十八件の八億九千六百三十九万円、それから八年度が四十六件、先生がおっしゃった数字でございます。
  188. 石垣一夫

    ○石垣委員 これは五年間トータルいたしますと三十三億四千三百二十二万、この数字ですね。この中からこの五年間で回収された金額は幾らですか。
  189. 有村正意

    ○有村説明員 平成八年度のものは平成九年十二月末現在で二億七千三百八十六万円でございますけれども、それ以前の数字につきましては、ちょっと今手元に持ち合わせておりませんので、後ほど御報告させていただきます。
  190. 石垣一夫

    ○石垣委員 私は、最近五年間の検査報告の状況を資料要求しておるのですよ。ちゃんと資料ももらっておるわけです。当然収支報告が質問に出てくるのです。それを今持っていないということはどういうことだ、資料を持っていないということは。  こんなことを言いたくないけれども、ふまじめですよ。何もやみくもに言ったのじゃないのですよ。ちゃんと資料請求をしているのです。そんな答弁ではだめですよ。出ますか、今。言わぬなら次に行きますよ、時間がないから。
  191. 坂上富男

    ○坂上委員長 答弁できますか。
  192. 有村正意

    ○有村説明員 大変申しわけございません。至急取り寄せますので、取り寄せまして御回答申し上げたいと思います。
  193. 坂上富男

    ○坂上委員長 では、後で時間をあれしますので、後で御質問してください。どうぞ続いて……(発言する者あり)  速記をとめてください。     〔速記中止〕
  194. 坂上富男

    ○坂上委員長 では、速記を起こしてください。  ただいまの石垣先生の要求につきましては、調査の上、ひとつきちっと答弁または報告できるようにお願いをいたしたいと思います。  石垣君。
  195. 石垣一夫

    ○石垣委員 じゃ、問題を変えまして、けさほどからもいろいろと各委員から指摘がございましたいわゆる本委員会における郵政大臣の所信表明について、それぞれの角度から話があったわけであります。  大臣は、自民党の通信部会長として長らくその要職をお務めになって、いわゆる郵政の専門家でありますね。そういう中で、今回の所信表明についてはもう少し大臣のカラーが出てくるのじゃないか、こう期待しておったわけであります。ところが、これはここ二、三年の大臣の所信表明とスタイルは余り変わらないのですね、全くまた官僚がつくった、そのレールに乗った中身である。  先ほども指摘がございました一番大事な行政改革、いわゆる中央省庁再編に係る郵政三事業についての見解が触れられていないということを先ほど質問がございましたけれども、その答弁の中で、官房長ぱ、「国営、三事業一体による効率的事業運営のもと、」これはたった半行なんですよ。こういう問題で済まされる問題じゃないと思うのですけれども郵政大臣として、この所信表明に盛り込まれなかった大臣の意のあるところをちょっとここでもう一度。
  196. 自見庄三郎

    ○自見国務大臣 石垣委員の御質問でございますが、郵政行政としまして、二十一世紀を展望し、特にまた現下の経済情勢も踏まえまして、私の所信表明の中で、国営、三事業一体による効率的事業運営のもと、郵便局サービスの改善、国民の共有の生活インフラでございます郵便局のネットワークの最大限の有効活用をしたいというふうに私は申し上げたと思いますし、また、情報通信基盤の促進、国際化を視野に入れた競争の一層の促進、また、今後ますます重要になってきます情報通信分野における戦略的、機動的、総合的な行政を展開していくことが当面の最重要課題であるというふうに認識をいたしております。  大臣所信においては、こうした課題に積極的に取り組み郵政行政観点から我が国社会経済構造を改革していきたいという私自身の決意を申し上げたつもりでございます。
  197. 石垣一夫

    ○石垣委員 期待をいたしております。  そこで、きのう文部大臣は、いわゆるナイフ持ち歩きをやめようと、子供へ緊急アピールということで大臣みずから命の大切さを訴えた、こういう報道がなされました。  当日の夕刊を見ますと、全国で三カ所において次々事件が起きている。名古屋では、中二の男子が教室で同級生を切る。それからまた、神奈川県の厚木署では、殺人未遂容疑で十六歳少年を逮捕。それからまた、京都の西陣において、拳銃をねらい警官を襲う、これで高一を強盗未遂で逮捕。あるいはまた、沖縄では、中二を刺した容疑で中三男子を逮捕、こういう事件が毎日のごとく報道されているわけです。  そういう中からいわゆる文部大臣の緊急アピールがあったと思うのですけれども、こういう状況をごらんになって大臣はどうお考えですか。
  198. 自見庄三郎

    ○自見国務大臣 そういったいろいろな事件が起きているということでございまして、青少年の健全育成ということも大変大事な政治の責務であるというふうに私は認識いたしております。
  199. 石垣一夫

    ○石垣委員 これは本委員会とも非常に関連がありますので、あえて大臣に初頭にお聞きをしたのですけれども、今日、放送・通信における影響、これは青少年に与える影響は極めて大だと思うのです。  そういう中で、まず警察庁にお聞きしたいのですけれども、最近の少年犯罪の現状とマスメディアにおける影響について、心理学的にどのような影響を与えておるのか、その現状と影響についてお答え願いたいと思うのです。
  200. 勝浦敏行

    ○勝浦説明員 まず、最近の少年犯罪の状況について御説明を申し上げます。  少年人口の急激な減少にもかかわらず、刑法犯で警察が補導いたしました少年の数は大幅な増加傾向にございます。その上、昨年は少年による凶悪犯罪も昭和五十年以降の最悪の数字となっておりまして、こういった状況につきましては極めて憂慮をいたしておるところでございます。また、今御指摘もございましたように、本年も少年による刃物を使用した犯罪が相次いで発生をしておりますし、その一層の深刻化が進んでいるものと受けとめております。  それから、特徴について一点だけ申し上げますと、何らかの問題行動があるものの、一見普通に見える少年が欲望のコントロールがきかずに短絡的に重大な非行に走ったり、あるいは善悪の判断なく、例えば刃物の携帯をかっこいいなどと誤って認識をし、ちょっとしたきっかけで凶悪な非行に至るなどの傾向が見られるところであります。  このような少年非行の深刻化の背景といたしましては、少年を取り巻く社会環境の変化でありますとか、あるいは少年自身や社会全体の価値観の変化など、さまざまな要因が考えられるところでございます。  そして、メディアの影響につきましても、そこから得た情報が非行の直接の原因となったとの供述の得られた暴力事件として私ども警察庁の方に報告がありましたのは、一昨年は四件、昨年は三件となっておりますが、これ以外にも、性やあるいは暴力に関するさまざまな情報が少年自身の認識の変化あるいは逸脱衝動と相まって、非行に対する抵抗感を失わせる一つの要因となっていることは否定できないものと考えております。
  201. 石垣一夫

    ○石垣委員 今の御説明ですと、図書あるいはまた映像、こういうものが非常に大きな影響を与えている、こう理解するのですけれども、最近のテレビ放送には極めて残虐な映像が多い、こういうことを国民のほとんど大多数の方がお感じになっている、こう私は思います。  それで、特に最近の日本テレビの「FIVE」、九七年四月から六月放送の場面ですけれども、主役が頭をピストルで撃ち抜かれて、陥没した穴から血を出しながら死んでいくという強烈な残虐きわまる場面があったのですね。こういう事実、現象についてどのようにお考えですか。
  202. 勝浦敏行

    ○勝浦説明員 御指摘番組につきましては承知はいたしておりませんけれども、先ほど、非行に対する抵抗感を失わせる一つの要因となっていることは否定できないものと考えておりますと申し上げました。情報のレベルの問題もございましょう、それからその情報に接する頻度というものもあろうかと思いますが、いずれにしましても、先ほど申し上げましたように、さまざまな情報が少年自身の認識の変化とかあるいは逸脱衝動と相まって一つの要因となっているということは、繰り返しになりますが、否定できないのではないかというふうに考えております。
  203. 石垣一夫

    ○石垣委員 この資料によりますと、九三年一月から始まった「高校教師」、これはTBSの放送です。それから、九三年四月から始まった「ひとつ屋根の下」、これはフジテレビ。それから「家なき子」、これは日本テレビ、九四年四月からですね。それから、九四年七月からのTBSの「人間・失格」。それから、九五年七月から始まった「沙粧妙子 最後の事件」、これはフジテレビ。それから「金田一少年の事件簿」日本テレビ、九五年七月から九月。それから「銀狼怪奇ファイル」日本テレビ、九六年一月。「真昼の月」、九六年七月からTBS。「踊る大捜査線」フジ、九七年一月。「サイコメトラー」日本テレビ、九七年一月。「ギフト」フジ、九七年四月。「FIVE」日本テレビ、九七年四月。「聖者の行進」、九八年一月。こういう人気番組があるのですけれども、その中での暴力シーンが極めて大きな話題を呼んでいるわけであります。  こういう問題について、民放会社は、いわゆる民放連の自主規制ということで、あくまでも民放連が決めた放送基準に基づいて放映されていると思うのですけれども、この民放が決めた基準からいっても、これは逸脱している、私はこう思うのですけれども、いかがですか。
  204. 品川萬里

    品川政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先生から、放送と児童、青少年への影響について御質問がございました。  今先生引用されました日本民間放送連盟の放送基準では、「児童および青少年への配慮」という中で、「武力や暴力を表現するときは、青少年に対する影響を考慮しなければならない。」という一つの基準がございます。  放送会社におきましては、番組放送に当たりましては、こうした基準を十分念頭に置いて放送しているというふうに考えるわけでございますが、では具体的にどの番組がどうこうということについては、これは現行の法制におきましては、あくまでこの基準に該当しているかどうかというのは一義的には放送事業者が判断して放送するというふうに考えております。
  205. 石垣一夫

    ○石垣委員 日本民間放送連盟の放送基準によりますと、十八章、百三十四条の自主規制の基準を設けているわけですね。特に暴力表現あるいはまた性表現ということについては詳しくそれぞれ基準を設けておるわけですね。  第九章の「暴力表現」では、第五十九条として、「暴力行為は、その目的のいかんをとわず否定的に取り扱う。」六十条では「暴力行為の表現は最小限にとどめる。」それから六十一条では「殺人・拷問・暴行・私刑などの残虐な感じを与える行為、その他精神的、肉体的苦痛を、誇大または刺激的に表現しない。」こういう基準です。  あるいはまた「性表現」では、七十条で「性に関する事柄は、視聴者に困惑・嫌悪の感じをいだかせないように注意する。」七十二条では「一般作品はもちろんのこと、たとえ芸術作品でも、極度に官能的刺激を与えないように注意する。」いろいろと書かれておるわけです。  私が申し上げました先ほどの放送中身について、全部これに抵触する、そういう感じを私は持っているわけです。  郵政省としては、こういう民間放送基準にすべてを任せきり、先ほど警察庁から話がありましたように、そういう影響を与える放送が現に行われているという現実、こういうことに対しては無関心なんですか。
  206. 品川萬里

    品川政府委員 今先生からお尋ねございましたような件については、放送、言論の自由、表現の自由ということを考えるにいたしましても、もしそのような因果関係があるというようなことであれば、大変憂慮すべきことだろうと思っております。  ただ、現行の放送法制においていかにして放送の適正を期するかということは、まずは一義的に各放送事業者が設けられました放送番組審議会において、有識者の意見もいろいろ承りながら番組の適正を期していくということでございますので、この点の充実した運営というものをまず期待し、またそれによるということがまず放送法の一つ基本理念になっているというふうに理解しております。
  207. 石垣一夫

    ○石垣委員 いわゆる言論の自由、報道の自由の中で、その許容範囲の中でつくられたこの放送基準じゃないのですか。その放送基準を逸脱する表現であれば、これはだれがチェックするのですか、だれが指摘するのですか。あくまでもこの範囲でつくった基準ですよ、放送者みずからがつくった基準ですから、自主的につくった基準ですから。それを超えておるわけですから、それについては野放しですか。
  208. 品川萬里

    品川政府委員 それぞれ放送事業者において定めた放送基準に、それを超えているものかどうかということは、一義的に放送事業者がこれは判断していくということでございまして、郵政省が直ちに、今申し上げられたような事例、私も番組を見たもの、見ないもの、ございますけれども、直ちにこれが番組基準に反しているというふうに私どもとして判断を述べる立場にはないということを、今の放送の制度の仕組みについてでございますけれども、お答え申し上げた次第でございます。
  209. 石垣一夫

    ○石垣委員 いわゆる民間放送事業者に対して、審議機関をつくってみずからチェックしている、しかも昨年十月、その審議機関を強化した、これはわかるのですよ。ところが、そういう現状にもかかわらず、先ほど警察庁からお話のあったように、現実にやはり大きな影響を与えているというこの現実を踏まえたときに、当局として、これはあくまでも自主的な判断に任せます、こういうことなんですか。
  210. 品川萬里

    品川政府委員 ただいま先生指摘ございましたように、放送法改正によりまして、放送番組審議会という番組審議機関をさらに強化して、放送番組の適正を期するという体制を整えていただいたわけでございます。  もう御案内のとおりでございますけれども、まず放送事業者が番組審議機関に報告、情報をどんどん提供するということについて、大きく三点、報告義務というものが追加されましたし、また放送事業者がどのように番組審議会において議論されたかということについて新たに一点、大きく公表義務というものを課したわけでございます。  今、このような新しい番組審議機関の充実という考え方に基づきましてどのように実践されているかということでございますけれども、それぞれ新しい工夫を持ちまして、この番組審議機関の充実あるいは公表の充実ということが図られておりまして、私ども、まずはこの番組審議機関の充実等を通じての放送事業者の番組の適正化努力を見てまいりたいというふうに存じております。  ただ、暴力と番組関係については、諸外国でも、例えばVチップの導入とかレーティングの導入とか、いろいろな法的措置あるいは放送会社による努力もなされております。  私どもといたしましては、これは我が国にとどまらず世界的な傾向でございますので、平成十年度の予算におきまして、今申し上げました、具体的に我々が当面こうした問題についてとり得る手段としては、Vチップあるいはレーティングの導入というのはいかがかということがございますので、これらについて、平成十年度において研究会の設置も含めまして検討体制を強化して今後の問題に対処してまいりたい、かように存ずる次第でございます。
  211. 石垣一夫

    ○石垣委員 平成十年度の予算に五百七十万円を計上されて調査研究する、その姿勢は了解するのですけれども、裏返して言えば、これは問題があるという認識もとにこういう出発をされたと思うのですよ。  したがって、当然放送局の自主的判断に任せる、これはもうベストです。しかし、現実はそれを逸脱してきているわけでございますから、それがはっきりすれば、いわゆる自粛勧告するとかあるいはまた行政処分を科する方向にいわゆる放送法を改正すべきじゃないのか。ここまで行かなければ私はだめだと思うのです。  けさもテレビでやっていましたけれども、新聞に載っていますけれども、いわゆる中教審の小委員会が業界に要請ということで、「Vチップ導入し有害TV制限」という報道が流れております。 やはり教育に関心を持つ教育界の人たちも、この問題については深刻な意識を持ってきたと私は思うのですね。先ほどあった調査研究するということもいいのですけれども、やはり私は、ここでは一歩踏み出してそういう方向に行くべきじゃないのか。  これは二月二十七日の予算委員会で、下稲葉法務大臣がこういう答弁をしておりますね。  マスコミの行き過ぎた報道によりまして、被害者を含め、個人の名誉、プライバシー等の人権が侵害されたと認められる場合には、法務省は、人権擁護機関といたしまして、例えば当該出版社等に対し、反省と再発防止を求める勧告を行うなどの措置を現在までやってきておるわけでございますし、今後もやりたいと思います。   委員御承知のとおりに、平成八年の暮れに人権擁護施策推進法が成立いたしまして、昨年から施行されております。それに基づきまして人権擁護推進審議会なるものが設けられまして、調査審議を始めているところでございます。   その審議の結果をも踏まえて考えたいと思いますけれども、やはり勧告だけでいいのかどうか、そういうふうな問題を含めまして、法的措置も必要ではなかろうかということも踏まえまして鋭意検討してまいりたい法的措置も踏まえて検討してまいる、ここまで法務省が踏み込んできているわけです。  こういう背景があるわけでございますから、当然、まず自粛勧告をして、それからさらに聞かざれば公正を促す、さらに聞かざれば行政処分を科する、やはりこういう方向に行かなければ現代の放送業界の行き過ぎた体制は変わらない、こう私は思うのですけれども、いかがですか。
  212. 品川萬里

    品川政府委員 お答え申し上げます。  視聴者が番組を見ていろいろお感じになったことについて放送事業者に意見を伝えるというルートはいろいろございます。こうした苦情なり視聴者の意見を聞く体制というものも放送会社においていろいろと整いつつありますので、そうした視聴者が意見を伝える手段というのはどういうものがあるかということを広く国民の皆様に情報を知っていただくように私ども努力してまいりたいと思います。  先ほどちょっと申しおくれましたけれどもNHK民間放送あわせまして協力しまして、放送と人権等権利に関する委員会というものも設置されております。こういうせっかくの委員会でございますから、視聴者の方々がこれを通じまして、本当にいい番組放送というのは送り手と受け手と一緒になってつくる側面もございますから、どんどんそうした声が伝わるような手段がある、そういうルートがあるということを大いにこれからも情報提供してまいりたいと思います。  私どもとしましては、これは、何が通念と申しましょうか、社会通念というのはどんどん変わるわけでございますから、そうした動向を十分踏まえながら、視聴者の保護と表現の自由とをともに担保する制度を絶えず考究していくべきものと考えております。
  213. 石垣一夫

    ○石垣委員 そこで、いわゆる放送審議会で、メディア青少年に与える影響について、こういう問題を諮問すべきだと思うのですけれども、いかがですか。
  214. 品川萬里

    品川政府委員 今後の検討課題につきましては、ただいま政府全体において、次代を担う青少年について考える有識者会議、あるいは総務庁におきまして青少年対策本部というところでいろいろな議論がなされております。  それから、先ほど先生の御指摘になられましたように、文部省においてもいろいろ検討がなされておりますので、そうした政府全体の取り組みというものを見ながら、広く多角的な検討ということについて準備してまいりたい、かように存じている次第でございます。
  215. 石垣一夫

    ○石垣委員 では、総務庁にお伺いいたしますけれども、いわゆる先般の資料、次代を担う青少年について考える有識者会議、今こういう会議が開かれておりますね。この中で、三点ありますね。その最後の一点の中で、特に青少年に大きな影響を与えるテレビ、出版等のマスメディアのあり方はどのようにすればよいか、こういう議題が取り上げられておりますね。このことについて、この審議の方向性はどういうふうに考えておられるのか。
  216. 竹林義久

    ○竹林説明員 お答え申し上げます。  先般、三月六日に総理の主宰で次代を担う青少年について考える有識者会議の第一回会合が開かれました。メンバーは、総理の御指示もありまして、関係審議会の会長様、それから有識者の方、それから関係大臣にも御参加をいただいて、自由濶達な意見交換をするということで、その際の大きなテーマとして、委員御指摘の三つの大きなテーマを題材にされておりまして、その中の一つとして、青少年を取り巻く環境の改善をどのようにすればいいかというテーマになってございます。  この会議自体は、先般第一回目が開かれまして、次回は三月の下旬に開くということで、またさらに四月にも二回程度開催して、そこの中の議論を踏まえて参加者の共通認識を踏まえ、その上で各省庁関係審議会に持ち帰っていただいて、そこでの検討を踏まえてまた有識者会議にその状況を報告するという形になってございまして、この有識者会議そのものでどこまで共通認識が深まるかというのはこれからの問題でございます。  それでは、第一回目の際におきましては、非常に大所高所論から青少年の育成をどう考えるかということで、現実的にはこの第三の、先ほどの青少年を取り巻く環境の改善、特にメディアの問題についてまでは深く御議論はございませんでした。今後の開催の中で、このような問題につきましても、参加の委員の皆様方からいろいろな御意見が出てくるものとうかがわれます。  以上でございます。
  217. 石垣一夫

    ○石垣委員 総理大臣みずから音頭をとってこういう青少年に対する育成策について真剣に論議をされておる。その中の一つの大きな議題として、いわゆるマスメディア青少年に与える影響ということが取り上げられております。こういうことについて、大臣としてどのようにお考えですか。
  218. 自見庄三郎

    ○自見国務大臣 放送青少年の健全育成、こういったことに関する先生質問でございますが、これは、憲法、放送法の一条にも規定されておりますとおり、表現の自由の確保、公共の福祉への適合を図ることがやはり民主主義国家においては大変貴重な、大事な基本的理念だというふうに私は認識いたしております。その中でも、放送における青少年の保護については、さっきも答弁申し上げましたように、大変重要な課題であるというふうに受けとめております。  今話がございましたが、米国においても青少年へのテレビの影響に対する研究は多角的に進められておりまして、そのような多角的な研究については、日本米国に比べればまだ緒についたばかりであるというふうに思っておるわけでございます。  しかし、政府におきましても、今さっき話が出ました、官邸に、これは三月六日に第一回の会談をいたしましたが、次代を担う青少年について考える有識者会議、また総務庁にも青少年対策本部ができた、こういうふうにお聞きをいたしております。  郵政省といたしましては、こうした政府全体の取り組みを踏まえつつ、米国等諸外国の調査を行い、当面、Vチップの問題、レーティングのあり方について検討を進めてまいるところでございます。  先生からも御評価をいただきましたように、これは平成十年度の政府原案に計上しており、予算をお認めいただき次第、調査研究会の設置を行い、十分な検討をしてまいりたいというふうに思っております。  特に、そういった中でアメリカはいろいろVチップを法制化したというふうに聞いておりますけれども実施は二月以降だというふうなことでございますし、レーティングも、御存じのように、 年齢によってたしか六階級だと思いますし、表現についてはたしか五つの階級に分けて、民間放送事業者が自主的にレーティングを発表していただいている。例えば、自分の子供には非常に暴力的な直接的なシーンは見せたくないと親が考えれば、親の権利として、そのVチップを操作すれば、自宅ではそういったテレビ番組は見られなくなるという制度だというふうに私は認識いたしておりますが、そういったことを含めて青少年の健全育成ということに取り組んでいきたいと思います。  同時に、今さっきから、大変大きな問題でございますが、放送の自由、表現の自由ということも大変大事な民主主義国家における原則でございまして、先生から日本民間放送連盟の放送基準について御紹介がありましたように、「武力や暴力を表現するときは、青少年に対する影響を考慮しなければならない。」これは民間放送事業者が自主的に放送番組基準を基準にしてつくっていただいているわけでございますから、そういったことは、やはり基本的には、第一義的には、民間放送事業者が自分たちに与えられた責務を考え、きちっと自律的にやっていただけることだ、こういった原則もあるわけでございますから、そこら辺の表現の自由と青少年の育成、公共の福祉をどう規律していくのかという大変重要な調和の問題であるというふうに私は認識をいたしております。
  219. 石垣一夫

    ○石垣委員 大臣から決意をお聞きいたしまして、省を挙げてこの問題について真剣に取り組んでいただくことを要望しておきたいと思います。  最後になりましたけれども青少年の健全育成については、これはもう全国の都道府県で、長野県はどうか知りません、長野県だけ抜けているのですね。四十六都道府県で全部、いわゆる青少年に対する健全育成条例ができているのですね。こういう社会情勢であります。各地方自治体からも意見書あるいはまた国会における請願、こういう要望がある中で、何で全国的にカバーする法律ができないのか。この法に対する、健全育成に対する取り組みについて、当局としてはどうお考えですか。
  220. 竹林義久

    ○竹林説明員 お答え申し上げます。  都道府県で制定のいわゆる青少年保護育成条例あるいは青少年健全条例につきましては、若干経緯を述べさせていただきますと、戦後の混乱期の中で、昭和二十三年に初めて千葉県で制定されておりまして、その後、各地域の実情に応じまして、順次制定あるいは新しいものに改廃されたりして、昭和五十五年の段階で、先生の御指摘のように長野県を除く四十六都道府県におきまして制定されまして、その後、社会状況と必要に応じまして改正を行って、現在も四十六都道府県で条例があるという経緯がございます。  また、これらの都道府県の条例の中身、内容につきましても、各地域における社会環境あるいは県民意識の実情を反映していまして、規制される内容はもとより、その規制に対する違反に対しても、罰則規定があるもの、あるいは単に努力義務だけしかないもの、そういうことで、規定の内容、またその運用実態につきましても都道府県でさまざまでございます。  このように、これまでの経緯及びその運用状況を見ますと、現在までのところ、各地域の実情に応じた形できめ細かな対応がなされておりまして、先生指摘のような法制化の問題につきましても、これは今後の状況を見きわめつつ、各都道府県、自治体の自主性という問題もございますけれども、国の法律をもって定めることの必要性も含めて慎重に考えていかなければいけない問題であろうかと考えております。
  221. 石垣一夫

    ○石垣委員 これは、地方分権という今大きな流れですから、これは地方優先で任せる、こういうことですね。そのうちに時が来れば、そういうことで、非常に消極的だと私は思うのですけれども、まあそれはそれでよろしい。  先ほどの資料、来ましたか。
  222. 坂上富男

    ○坂上委員長 はい、わかりました。答弁させます。  石垣委員に申し上げますが、有村監察官から答弁をさせますが、その答弁に基づきましてさらに質問発展するならば、どうぞ続けていただいても結構でございますから。  有村首席監察官
  223. 有村正意

    ○有村説明員 先ほどは大変失礼いたしました。  従来の五年間の不正行為に基づきます債権の回収の状況でございますけれども、この債権が発生いたしましてから営々と回収を続けておりまして、最も最新の数字で申し上げさせていただきますと、平成四年度のものにつきましては三億五千八百二十万円、平成五年度のものにつきましては一億五千四百六十五万円、六年度のものにつきましては二億九千三百四十八万円、七年度につきましては二億四千二百七十四万円、八年度のものを加えますと、この五年間の分で十三億二千二百九十三万円という回収になっております。
  224. 石垣一夫

    ○石垣委員 三十三億四千三百二十万で、回収が十三億余で、大体五分の二ですね、これは。だから、ほとんどこれは、二十億ですか、ほとんど返ってきていないという状況ですね。先ほど聞きましたら、これはなかなか回収が難しいということです。  先ほどの答弁では、こういう事件が起きれば迅速、厳重に処置をする、対応する、こういうふうな答弁なのですけれども、五年間見ても、若干の上下があったにしても、ほとんど減っていないのですね。これはずっと推移しているわけですよ。恐らくこれは、もう五年さかのぼればもっとあると思うのですよ、そこまではいきませんけれども。  五年間の状況を見てもこういう状況ですから、これは再発防止に対してどういう手を打ってこられたのか、また今どういうことを考えておられるのか、最後にもう一遍。
  225. 有村正意

    ○有村説明員 確かに先生がおっしゃいますように不正行為の件数、金額というのは大体同じような傾向をたどっておりまして、この不正行為と申しますのは郵政事業に対するお客様の信頼を裏切るものでございまして、郵政事業は国民の皆様の信頼の上に基づいて成り立っているものでございますから、まことに遺憾なわけでございます。  そこで、回収をもちろん続けるわけでございますけれども、翻りまして職員の犯罪が起こらないようにするというのが基本になるわけでございまして、これにつきましては、例えば研修所、郵便局等におきまして教育訓練、各種会議等を通じまして職員に対する防犯意識の高揚、それから生活指導の徹底を図る等を行っておりますし、またお客様との間で正規取り扱いを遵守することでございますとか、あるいは現金とか切手の検査、監査を徹底をするとか、あるいは郵政監察官等によります郵便局の考査あるいは会計監査の実施ということで取り組んでおるところでございます。  犯罪を防止いたしますには、ハード、ソフト面における犯罪を起こさないシステムをつくるということ、それから職員におきます犯罪を起こさないという意識を徹底をさせる、その両面からの施策が必要でございますので、今後ともこれらの施策を一層徹底をさせまして、犯罪を根絶するように努力していきたいと考えております。
  226. 石垣一夫

    ○石垣委員 それぞれ現場はそういう再発防止について懸命な努力をされておるということはわかるのですけれども、結果は全部すぐに出てくるわけでございますから、私は、やはり結果が出るような対策を鋭意ひとつ検討されて、胸を張ってこの委員会で報告できるように検討願いたいものです。  以上で終わります。
  227. 坂上富男

    ○坂上委員長 矢島恒夫君。
  228. 矢島恒夫

    ○矢島委員 昨日の大臣所信の中で、こういうことを大臣は言われました。「NTT再編成の実施を初め、この分野における公正有効競争を確保するための条件整備規制緩和を積極的に進め、一層の料金低廉化サービス多様化実現してまいります。」  私は、このことに関連いたしまして、特に、一層の料金低廉化サービス、この問題で質問していきたいと思います。  その第一は、二月二十七日にNTTの一〇四の番号案内サービスの大幅値上げを郵政省が認可いたしました。当初、NTTは、大幅な値上げたけじゃなくて、早朝、夜間のサービスの中止ということを考えておりましたけれども、世論の反対もあって、さすがにこれはできなかった。  確かにこの一〇四というのは、災害のとき、特に阪神・淡路大震災のときにも、非常にその中で重要性というものが確認されたといいますか、そういうものであります。こういう緊急時に欠かすことのできないものであると同時に、目の不自由な方、こういう方々にとってはやはり不可欠のサービスだと言えると思うのです。  こうした基本サービスの値上げを認めるということになりますと、この必要な基本サービスへのアクセスが制限されることになる。この値上げというものが一〇四の番号案内サービスのいわゆる基本サービスとしての性格をゆがめてしまうものだと私は思うわけです。  しかも、大臣予算委員会でずっと聞いていらっしゃったし、また答弁にも立たれましたけれども、現在の景気の問題がいろいろ出されました。このいわゆる消費不況、個人消費がすっかり凍りついているという状況の中で、今度の値上げを見ますと、通常の料金で二倍、深夜、早朝で二・五倍、公衆電話では三・三倍という例のない大幅な値上げになっています。こんな公共料金の値上げを行うということは、あの予算委員会の中でも企画庁長官が盛んに強調していましたが、いわゆる消費マインドに対して大きな影響を与える、これは必至だと思うのです。  そういう点からしても、この大幅値上げというのは撤回させるべきではないかと私は思うのですが、大臣、お考えをお伺いしたいと思います。
  229. 自見庄三郎

    ○自見国務大臣 矢島委員にお答えをさせていただきます。  番号案内サービスについては、平成八年度は九百五十億円もの大幅な赤字だというふうに承っておりまして、かつ、番号案内を利用する方が、全体の八〇%の方が月に一回以下しか使わないという現状があるということでございまして、非常に番号案内サービス利用に偏りがあるということでございまして、そういった中で、利用者間の公平性が損なわれている状況にあるのではないかというふうに思っております。  そういった状況に対応しまして、NTTではオペレーター業務の外部委託化等により、約八百億円の経費削減を実施すること等、業務の効率化を促進することとしていますが、これらの施策でも解消されない赤字分、百五十億円でございますが、この分は料金改定により対応したいものだというふうに認識をいたしております。
  230. 矢島恒夫

    ○矢島委員 今度の値上げというのは非常に問題が多いのですね。というのは、これが電気通信審議会でいろいろと意見が分かれて、全会一致で普通ならば答申が出されるというのに、多数決で決まった、こう聞いております。  この一〇四については、有料化され、値上げが繰り返される。その値上げの問題だけではなくて、郵政大臣も今言われましたけれども、業務の委託化の問題があるわけです。問題は、サービスとの関係という点で、一層のサービスの向上を図るというわけですから、このサービスの点で聞きたいわけであります。  NTTは、九六年の九月二十六日に発表したいわゆる番号案内事業の抜本的な経営改善計画、この中で、オペレーション業務の全面委託化というものを打ち出しました。  昨年七月の北陸の全面委託、これを皮切りにいたしまして、金沢や高岡は廃止されましたし、富山、福井、これらは全面委託が行われたわけであります。引き続いて、十一月に東海、十二月に関西、一月に東京と四国と全面委託化をどんどん進めてきたわけです。そして、多分ことしの十月だと思いますけれども、北海道の旭川を最後に、この一〇四の番号案内サービスのすべての委託を完了する、こういう計画だろうと思います。  電気通信事業法の第十五条のところを見ますと、「第一種電気通信事業者は、電気通信業務の一部を委託しようとするときは、郵政大臣の認可を受けなければならない。」こういう条項があると思います。  昨年の七月から始まったこの全面委託、それぞれの地域地域ごとにだんだん行われてきて、これからもというわけですけれども、その申請は、委託が行われる都度出されているのですか。その辺をお聞きしたい。
  231. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 お答え申し上げます。  一括いたしまして、全体としての委託の認可をいたしております。
  232. 矢島恒夫

    ○矢島委員 実はそれは、この条文を素直に読めば、本来ならばその都度申請が出されるべきだと私は思うのです。そうでないといろいろな問題が起こるのではないのですか。  これは、委託を受けた会社というのは全部同じなのですか。北陸も関東も、全部同じ会社が委託を受けたのですか。その辺どうですか。
  233. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 内容はほぼ同一だと思いますが、会社はそれぞれ別の会社でございます。
  234. 矢島恒夫

    ○矢島委員 委託を出す時期も違う、それから委託を受ける会社も違う。そして全部、多分二月の二十六日に一括して出されたのだと思うのですけれども、そうすると、もしその最後の段階において、二十七日、翌日には認可してしまったのですけれども、どうも問題があるというようなことが起きたとき、非常に重要な問題が起きてくるのですね。  というのは、実際に委託化はどんどん進んでいるのですよ。そして申請、その後、認可、このやり方というのは重大な問題があるのではないですか。例えば電話料金でいえば、値上げを実施してから値上げの許可を申請する、これと同じようなものではないですか。このやり方というのは、私は電気通信事業法違反ではないかと思うのですが、違反でない理由をちょっと言ってください。
  235. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 認可を行いました後にそれぞれ個々に契約をしていくという形でございまして、契約の時期というものがそろっていなくとも、認可の際に審査した条件にすべて適合しているものであれば、それで差し支えないというふうに考えております。
  236. 矢島恒夫

    ○矢島委員 それぞれ契約をやるというわけですが、そうすると、今までやってきていた、つまり認可前に行ってきた委託業務というのは、これはNTTは契約なしでやってきたのですか。
  237. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 認可前の事務の委託というものがあったかどうかということは、具体的な事実についてつまびらかでございませんが、恐らく、何がしかの委託関係があったといたしますならば、それは業務そのものの委託ではなくて、業務の中の個々の具体的な事務の委託ではなかったのかというふうに考えております。
  238. 矢島恒夫

    ○矢島委員 私は現場を見ているのですよ。そんな生易しいものじゃないですよ。どんどん始まったのです。それでも申請はなかなか出ないな、それで委託契約はどうなっているかな、こういうことを私も心配していたけれども、どうもきちんとした委託契約が結ばれていないようだ。いろいろな点で不明な点が多いのです。  それでは聞きます、今の問題にまだ納得できませんけれども。委託される業務は何なのですか。
  239. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 今回の委託につきましては、番号案内の業務全体でございます。
  240. 矢島恒夫

    ○矢島委員 番号案内業務全般ということは、接続業務とかあるいはハローダイヤル案内業務、これも委託ということになって申請されているのですか。
  241. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 接続の問題は別だと思います。それから、ハローダイヤルはまた別途の問題でございます。番号案内業務そのものではございません。
  242. 矢島恒夫

    ○矢島委員 これは、NTTの子会社のNTTテレマーケティング株式会社、そことの委託契約ですね。委託先がそこです。  そして、NTTの関東情報案内事業部が部内に知らせた文盲の中で、委託業務については「番号案内・接続業務」「ハローダイヤル案内業務」、こう書かれているのですよ。  そうすると、今答弁いただいたのと食い違っているのですが、これはどういうことなんですか。
  243. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 ハローダイヤルについては認可の対象外だと考えております。それから、接続については別の認可であろうと思います。  契約は、あるいは同じような契約の中で行われているかどうか、私はちょっとつまびらかでございませんが、行政行為としては別のものでございます。
  244. 矢島恒夫

    ○矢島委員 そうすると、ハローダイヤルについては、業務委託を自由に出せるという判断、それから、接続業務については、今後、委託ということになればきちんとした申請を出さなければならない、そう理解してよろしいですか。
  245. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 委託の認可を要しますものは電気通信業務ということでございまして、付帯的なサービスにつきましては認可の対象になっておりませんので、ハローダイヤルは別でございます。  それから、接続の問題につきましては、具体的に申請がありました中で考えていくことになると思います。
  246. 矢島恒夫

    ○矢島委員 中でというのは、郵政省の中なのですか、そういうことですね。
  247. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 失礼いたしました、答弁を修正させていただきます。  接続の認可は別のものとして認可をいたしました。
  248. 矢島恒夫

    ○矢島委員 もう認可してあるということですね。なるほど。  郵政省からいただいた資料の中には、番号案内のオペレーション業務、こういうところしか委託対象業務にないので、これは落とされているというふうに考えてよろしいですか。
  249. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 大変失礼を申し上げました。  昨日、番号案内業務としての資料を先生にお届けしたかと思うのでございますけれども、したがいまして、番号案内についての資料はすべてそれで網羅されていると思うわけでございますが、その他につきましては、私、ちょっと今ここに持っておりませんものですから、お許しいただきたいと思います。
  250. 矢島恒夫

    ○矢島委員 中身がよくわからないので、今とは言いません、NTTと委託を受けた業者との間でどういう委託契約がなされたのか、もちろん郵政省はつかんでいると思うのですけれども、それら等も含めて、いわゆる接続業務の委託の問題も含めて、後で資料をいただければよろしいかと思うのですが、委員長、よろしくお願いいたします。  資料を出せますか。
  251. 坂上富男

    ○坂上委員長 資料を出せるかどうかという答弁をしてください。
  252. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 後ほど、先生のところにお持ちをいたします。
  253. 矢島恒夫

    ○矢島委員 先ほどの大臣の御答弁の中にも、委託の理由として九百五十億円の赤字となっていることなどが出されて、いただいた資料の中にも、委託によって番号案内コストの削減を図るためというのもございます。  そこで、先ほど、資料をいただくということですけれども、認可をした一〇〇あるいは一〇六などの接続業務、できたらハローダイヤルも含めて、その収支がどういうふうになっているか。赤字だ赤字だといっても、全体としての状況というのか、あるいは番号案内だけなのか、皆目つかめないのですよ。案内業務について、赤字か黒字かという収支なども含めて、後ほど資料を提出でもいいのです、あればお答えいただいてもいいし、いきなりの問題ですから。
  254. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 ただいま承知しているところで申し上げますと、通話接続につきましては分計はしておりませんので、その部分の収支というものは明らかではございません。それからハローダイヤルにつきましては、事業収支といたしまして、営業利益が二十六億の赤字と承知をいたしております。
  255. 矢島恒夫

    ○矢島委員 そうすると、先ほどの九百五十億円の赤字というのは、分けていないというわけですから、両方含めた額、こう考えてよろしいですか。
  256. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 それは別でございまして、番号案内そのものについては九百五十億、これは別になっております。今申し上げました赤字二十六億はそれの外にあるわけでございまして、一般の電話の部分と一緒になっておるという意味でございます。
  257. 矢島恒夫

    ○矢島委員 会計の中で接続業務とあれは分けていないのでしょう、だったら、その中かと。ハローダイヤルは別でいいですよ。
  258. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 その両方とも番号案内業務とは別になっておりますので、番号案内業務は独立して分計いたしまして先ほどの九百五十億の赤字ということでございますので、それとは両者とも関係ございません。
  259. 矢島恒夫

    ○矢島委員 接続業務だとか、あるいはハローダイヤルの方、それぞれ、二十六億円のところはわかりましたが、また資料等ありましたら後ほどぜひお願いできればと思います。  次の問題へ進んでいきます。  もう一つは、この委託の理由は、今いろいろ論議してきましたように、コストの削減となっているわけです。しかし、業務の責任という問題でいけば、これはあくまでNTT本体ということが前提になっていると思うのです。  電話番号というプライバシーにかかわる責任の重い仕事を行っているわけですから、委託は出したけれども、これからも当然NTT本体が責任を持ってこの業務を指揮していくべきだと考えますが、郵政省基本的な考え方を御答弁いただきたい。
  260. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 委託をいたしましたので、一時的には受託者が責任を持っていくわけでございますけれども、許可を受けた事業として、NTTもその責任を負っているわけでございます。
  261. 矢島恒夫

    ○矢島委員 基本的な責任はやはり本体のNTTにある、やはり業務の内容が内容ですから、十分にその点に留意してもらいたいと思います。  次の問題に移ります。  次に、二つ目の問題ですが、大臣所信で言われた公正有効競争の確保と、それからユニバーサルサービスの問題で、NTT市内電話の割引問題で質問したいと思います。  二月四日に、郵政省は、首都圏を対象としたNTTの市内電話割引サービスを認可いたしました。電話の市内通話料金というのが幾らになるのかということは、これはユニバーサルサービス基本中の基本だと思うのですね。その割引サービス実施を首都圏に限定した。こういうものを認めるということは、NTT法がNTTに課したあまねく公平、こういうサービス実施する義務を放棄してしまう、これを容認することになるのではないかという点であります。  実際、昨年、NTT法をいろいろ論議いたしました。そのときにも、宮津社長も答弁されておりましたし、また谷局長も、それぞれこのユニバーサルサービスの問題では答弁されました。  ところが、こういうものもぼちぼち出ているのですね。日経ビジネスですが、「将来は「責務」をなくし完全に自由にしてほしい」、これが宮津社長の雑誌のインタビューに答えたものです。こういう題の中で、「個人的には、ユニバーサルサービスはもういいんじゃないか」と述べているのですね。  それからもう一つ、これは一月一日、日経に出ている、「再編に備え抜本改革」という表題の宮津社長のインタビュー記事であります。その中で社長が言っているのは、「NTTの設備投資には公共事業的色彩もあるが、投資判断の尺度を変えた結果、投資額が減ってもやむを得ない」、つまり、公共的必要がある事業でももうからなければやらない、こういう宣言をしているわけですね。  どう見ても、NTTの今度の市内電話の割引問題を見るときに、国内あるいは国外との競争に勝つためには、ユニバーサルサービスは重荷だ。割引サービスの首都圏限定実施ということによって、これはTTNetとの関係があるわけですけれども、このTTNetと対抗しながら、全国一律実施をおくらせた分だけ結局減収はおくらせることができる、こういうことになるのではないか。  大臣、私はこれは確信犯的なユニバーサルサービス放棄ではないかと思うのですが、大臣も、このユニバーサルサービスの問題では、先ほどは郵便の問題でいろいろと出ておりました。電話の問題でどうお考えか、お聞かせいただければありがたいと思うのです。
  262. 自見庄三郎

    ○自見国務大臣 矢島委員から、ユニバーサルサービスについてどう考えるのかということでございますが、ユニバーサルサービスという概念については明確な定義が存在するわけではございませんが、しかしNTT法では、電話サービスをあまねく日本全国において安定的に供給することがNTTの責務として規定されているところでございます。  また郵政省といたしましても、NTTがNTT法の責務を適切に果たすことにより、国民生活に不可欠なる電話サービスが、だれもが利用可能な料金など適切な条件で、過疎地域を含むあまねく日本全国において安定的に供給されることを期待するものでございます。  そういった中で、今後、マルチメディア時代に向けまして、ユニバーサルサービスという概念について明確な定義がないと、いろいろな御意見があるようでございますから、そういった範囲や確保の方法などについては、現在、有識者において研究会で御論議をいただいておるところでございます。  また、先生の御質問の中に、NTTが首都圏のみに限定した市内電話の料金割引を行うことは、これは首都圏のみに限定したということはいかがなものか、こういう話があったわけでございます。  私といたしましては、これは本サービスを最初に首都圏で先行するということでございますが、本サービス平成十年度内のできるだけ早期に全国展開することなどを条件として許可したというふうに聞いておりますので、本年度、平成十年度内でございますから、時間的なタイムラグは少しあるけれども、まあ本年度内でございますから、やはり基本的にユニバーサルサービスということは守られたのかなというふうに私は認識をいたしております。
  263. 矢島恒夫

    ○矢島委員 電話の市内通話料が幾らかということはユニバーサルサービスというもののいろいろなあれがありますけれども、そのユニバーサルサービスの中でも基本的なものだと私は考えております。  首都圏、今一年間でという条件は、初めからNTTが一年間にやりますよと言っているのか、それとも、この問題では公正取引委員会もいろいろと当初は何か問題があるというようなことも出ておりますので、郵政省がこれじゃまずいよと言ったのか、その辺はよくわかりません。しかし、結局一年間というタイムラグがあるということですけれども、首都圏の人は割引料金を選択できる、首都圏以外の人は、本当にその言葉どおりにやれば全国あまねくいくのかもしれませんが、もし何かでずれ込んだというようなことがあっても、とりわけ罰則規定があるわけでもありませんから、そうなりますと、おくれる部分が過疎地やそのほかのところでもし起きたとすれば、そういう人たちは選択できないことになってしまう。  NTT法の第二条をちょっと読んでみますと、「国民生活に不可欠な電話の役務を適切な条件で公平に提供する」、こういうものがあるわけですね。  市内通話料金で首都圏の人は割引料金を選択できる。一年ならばいい、これは公平のうちだ、郵政省もそう考えているのですか、ちょっと郵政省の方。
  264. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 このサービスにつきましては、NTT自体も認可の申請書の中で、年内の実施を予定しているということを書いてきておりました。私どもも、そういう前提に立ってこの案件を審議会に諮問いたしました。  ただ、審議会での御議論の中で、それを確実にたらしめるために条件として課すべきであるということでございましたので、条件として認可の際にそれを付しましたことと、さらに、十年内だけではなくて、十年内のできるだけ早い時期にということをつけ加えたわけでございます。  私どもといたしましては、このサービスを、NTTの考え方によりますと、これは確かに市内通話にかかわる初めての選択的な割引サービスでございまして、そういう意味でユニバーサルサービスとのかかわりについても議論のあり得るところであったわけでございますけれども、いずれにいたしましても、サービスの導入に当たって市内通話収支への影響等を検討するために試行的に提供してみる必要がある、その結果を踏まえて全国展開を考えたいということでございました。  そういう観点から考えますと、一定期間の時期的な差というものはやむを得ないと考えたわけでございまして、その中でできる限り早期ということを判断した次第でございます。  今回のこの措置実現しますならば、ユニバーサルサービスとしての問題として考えましても問題はないというふうに考えておるわけでございます。
  265. 矢島恒夫

    ○矢島委員 時間がなくなってまいりました。  いろいろ言われましたけれども、私は、昨年五月十四日の当委員会だと思いますけれども、これは東西会社にそれぞれ分かれた状況を想定してのユニバーサルサービスの問題というので、宮津社長や谷局長といろいろ論議をしたわけです。  やはり宮津社長も「一番注目しているのはユニバーサルサービス、電話ですね。」電話を中心にしたそういう料金の差というのは、地域的には格差を設けないよう努力していかなければなりません、こういう答弁をされているわけです。  残念ながら、このユニバーサルサービスという問題は、谷局長も一年じゃなくてもっと縮めて試行的にやっていると言われますけれども、受けられるところと受けられないところが現実の問題として生じてくるということはそのとおりだろうと私は思うのです。  ただ、こういう問題は今後もいろいろな面で十分注意していく必要があるのではないかと私は思うのです。  というのは、そもそも今回の問題が起きたのは、TTNetが首都圏のみを対象にして市内電話三分九円で参入した、これを認可した。郵政省は活力ある公正競争、こう言っていますけれども、こういうようにもうけを期待することのできる、大企業や人口が集中している、そういう地域にはやはり参入というのは集中してくるわけですよ。競争の激しい都市部では、競争になればいろいろなサービスあるいは値下げ、こういうものが起こるかもしれない。  しかし一方、参入が期待できない地方で独占的にNTTだけがやっている、一般の企業がなかなか採算の合わないところへ出かけていくなんということはありませんから。そうすると、そういうところでは一〇四は独占ですからね、あの番号案内は。ですから、赤字だという理由での値上げが起こる。そうすると、そういう地方でも採算が合わないから値上げた、こういうことも起こり得るわけなんですね。  だから、TTNetのように、参入企業がいろいろ差別的なサービスを持ち込むのは、これは当然だと思います。こうした新企業の参入に対して、NTTが全国あまねく同じ条件のサービスをしないとどうしても格差が生じてくるわけですね。  そういう問題は今後の問題として、今度の問題については、一年以内のとりわけ早い時期ということと、それに対する規制も設けているようですから、ぜひそれは格差という点をできるだけ早くなくしてもらいたいと思いますけれども、やはり、公正取引委員会も一般的に好ましくないとしたのは、独禁法の不当な差別、対価という点が問題になったと聞いております。  そこで、郵政省としては、この問題で、次の三つの中からどれを選択するかという問題が問われているのじゃないかと思うのです。  つまり、競争政策が格差を持ち込んできて、ユニバーサルサービスというものもやがて崩れていくんだというように考えるのか。あるいは、ユニバーサルサービスの義務を負っているNTTに、自動的に、大都市部で例えばそういう新たな利用者のためのサービス、こういうものが行われたら、できるだけ早く、できれば即座に全国実施させるという方向へ行くのか。それとも、郵政省が今の競争政策を改めて、すべての電気事業者にユニーバーサルサービスを守らせていこうというので、そのユニバーサルサービスの内容、これはきちんとつくって実施させる。このどれかだろうと思うのですが、その細かいことはともかくも、時間がなくなりましたので、大臣、何か感想でも結構ですから、ひとつ述べてください。では、初め局長でいいです。
  266. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 この問題については、大変難しい問題というのは御指摘のとおりでございます。  基本的に電気通信事業は民間が担うものであり、その民間がこの事業を担っていく上でいかにして適正なサービスの提供を確保するかということにつきましては、競争という原理のもとにそれを働かせるというのは基本でございます。  と同時に、現在の状況につきましてはまだ独占的な分野があるわけでございまして、NTTは特殊会社として一定の責務を課されているわけでございます。これから、サービス自体もまた、電話からもっと幅の広いサービスに変わっていくということになるわけでございまして、その中で、基本的にはユニバーサルサービスは、いつまでたちましても、中身は変わりましても、常にユニバーサルサービスというものはあり得るわけでございまして、それは何とかして確保していかなければならぬということが第一でございます。  その確保する際の方策としてどのような方策をとるかということでございますけれども、それは確かに御指摘のように、競争が進む中でNTTのサービスのあり方も大きな影響を受けるではないかということになるわけでございます。  ただ、現段階におきましては、NTTはNTTとしての責務を法律で課されているわけでございまして、競争の進展等を見ながら、このユニバーサルサービスというもののあり方、あるいはその確保の仕組みをどのようにしていくかということを今後検討していく必要があると思うわけでございまして、この点につきましては、前者のユニバーサルサービスのあり方につきましては、先般の審議会答申の中でも、郵政省においてそのあり方について検討するようにという宿題をいただいているところでございます。
  267. 矢島恒夫

    ○矢島委員 大臣、時間が来てしまいましたので、またの機会にお聞かせいただくということで、やはり私は、もうけ本位の電気通信市場への参入競争が起こりますと、大都市だとかあるいは人口の多いところは有利なサービス、あるいは地方とか個人は不利な状況に置かれる、こういうようなことになっては大変だということ。一方では、値上げがあり、サービスは低下する。こういう問題も今後きちんとやっていかないと重要な問題を積み残すことになるのじゃないか、このことを指摘いたしまして、質問を終わりたいと思います。
  268. 坂上富男

    ○坂上委員長 横光克彦君。
  269. 横光克彦

    ○横光委員 社民党の横光克彦でございます。  大臣、きょうは、長時間にわたり御苦労さまでございます。私がしんがりを務めさせていただきますので、いま少しどうぞよろしくお願い申し上げます。  きょうのこの委員会で随分と質問がございましたが、私も、さらに確認の意味を込めまして質問させていただきます。  郵政三事業の件ですが、政府行政改革会議の最終報告において、郵政三事業は国営の公社に移行することとされました。これは、中央省庁改革基本法案の中にも規定されているわけでございます。  ところが、これは三月二日の予算委員会で、小里総務庁長官や小泉厚生大臣が民営化への含みを持たせるような発言をされているのですね。これは私は、関係者国民に大変不安や混乱を与えるのじゃないかという気がしてなりません。  所管大臣であります自見郵政大臣に、郵政三事業のこれからの進むべき道を明確な形でお示しいただきたいと思います。
  270. 自見庄三郎

    ○自見国務大臣 横光委員にお答えをさせていただきます。  行政改革会議を踏まえた基本法案では、郵政事業については、中央省庁再編にあわせて、御指摘のように、総務省に企画立案及び管理を所掌する内部部局と実施事務を所掌する外局としての郵政事業庁を置く、こうなっております。  また、大事な点でございますが、その後、郵政事業庁は、国営、三事業一体、国家公務員としての身分を維持しつつ、国営の新たな公社に移行し、これにより「民営化等の見直しは行わない」というふうに法律に明記をしてあります。そういったことでございますので、御理解をしていただきたい、こういうふうに思っております。  したがって、郵政事業につきましては、国民生活に不可欠なサービスとして国民に身近な郵便局を通じて全国あまねく公平に提供するというこれまでの郵政事業が果たしてきた基本的な役割は、今後も維持されるというふうに受けとめております。
  271. 横光克彦

    ○横光委員 どうか、今おっしゃったことをしっかりと推し進めていただきたい、私はこのように思っております。  次に、郵便貯金についてちょっとお伺いいたします。  郵貯が国民の利益という観点から国営として必須のものであることは、申すまでもないと思うのです。全国津々浦々に店舗を持って、国民、市民の日常の最低限の蓄えを、いざというときに、先ほどからお話がございますように、安全かつ確実に預かり、そして運用してくれる機能を持つということですから、私は、当然のことだと思う。  さらに、現在、郵貯の残高が二百兆を超すところまで至っているわけですね。このことも、国民に愛され、また、親しまれている国営企業のあかしてはないか、このように考えております。  ところが、この郵便貯金の肥大化が金融秩序に悪影響を及ぼす、悪影響を与える、こういった民営化論の一つの根拠と言われる意見がございます。また、銀行筋もそういったことを強く言うわけですが、私は、残高が二百兆円を超えたというその数字の大きさだけから、観念的に郵貯が金融秩序に悪影響を与える、そういった主張がなされているにすぎないという思いがしているのです。このことに関しまして、郵政大臣はどのようにお考えですか。
  272. 安岡裕幸

    ○安岡政府委員 お答え申し上げます。  郵便貯金は、国営事業といたしまして、小口個人を念頭に置きまして国民生活に大変密着した基礎的な金融サービス全国あまねく公平に提供する、こういう役割を担ってきたところでございます。  今お尋ねの郵便貯金と民間金融機関とのかかわりでございますけれども、個人金融資産、今千二百兆ということでございますけれども、郵便貯金のシェアはこの十年間、二割弱ということで全く安定的に推移をしております。  それから、郵便貯金は小口預貯金金利の自由化に積極的に対応してまいっておりまして、その金利は市場金利及び民間の預貯金金利等を勘案して設定しております。そういうことをするなどしまして、これまでも金融市場との整合性を確保してきたということでございます。  今後でございますけれども国民共有の財産でございます郵便貯金のネットワーク、これを、今、国会に提出しておりますけれども、オープンネットワーク化ということで民間金融機関とも手を結び合って有効活用を図るということをやっていこう、こういうふうに考えておりまして、我が国金融システム全体の効率化に資するということで、もって国民利用者の利便の向上に努めていこう、こんなふうに考えているところでございます。
  273. 横光克彦

    ○横光委員 要するに、官業が民業を圧迫しているというのではなく、これから民業とともに手を携えていくのだ、そういうお話だと思います。  次に、労使関係についてちょっとお伺いいたします。  民営化論議のときに、マスコミはこぞって民営化賛成の論陣を張りました。しかし、いろいろな世論調査、アンケートの結果、国民の過半数が国営を支持するという結果が出ましたね。しかも、この行革会議の九月三日の中間報告の後、私たち与党三党でプロジェクトチームをつくりまして、札幌、福岡、東京と公聴会を開きました。私も三カ所参加したのです。  ここでも、多くの御意見を述べられる方々の中でも、民営化しないでほしい、国営を維持してほしい、こういう声が非常に多かったのですね。とりわけ、福岡では障害者の方が民営化しないでほしいという非常に強い要求をされたのが印象に残っておるのです。これはなぜかと申しますと、郵政事業、サービスがやはり国民に受け入れられているあかしてはなかろうか。  では、なぜ受け入れられているか。それは、郵政行政の各種の諸施策を遂行するとともに、私は、職員の皆様が非常に頑張ってこられたのじゃないか、全国津々浦々で頑張ってこられた、その成果ではなかろうかという気がするのですよ。  どこの郵便局に行ってもおわかりのように、本当に組合員の皆様方、厳寒酷暑の中、文字どおり額に汗して一生懸命働いている姿が見られます。これは、職員の皆様方が一生懸命全力で仕事をすれば必ず国民の皆様方に喜んでもらえるのだということを肌で感じて、しかもそのことに働きがいを見出しているのじゃないか、そのようにさえ私は思えるわけでございます。  管理者もこうした姿勢をよく理解し、労使一体となって国民に奉仕しているわけでございます。つまり、労使一体の成果があのような国民の声につながったのじゃないか、こういう気がいたしておるわけでございます。  ただ、労使間の問題は、かつては大変な対立の時期があったわけですね。ストと処分の繰り返しという不幸な、険悪な時代もございました。もし仮に、その労使の対立の非常に厳しかった昭和五十五年当時にこのような民営化論議が提議されておりましたら、国民はどうでしょう、今回のような答えを出したかどうか、私は非常に疑問に思います。  そういった意味で、労使の関係というものは非常に重要だなと最近つくづく思うわけでございます。どうか、今後ともこのよき労使関係をさらに生かして、国民利用者のために、ワンストップ行政などを含めよりよいサービスを提供し、そして利益のみにとらわれない官営事業としてのメリットを最大限に生かしてもらいた、そういう気持ちでいっぱいでございます。  大臣、所信表明でも、「郵政行政は多くの職員に支えられて初めて成り立つものであり、意欲に満ちた創造性ある職員なくして、その発展は期待し得ないものであります。」「相互信頼に基づく、より高次の労使関係の構築に向けて努力して」まいりますと表明されております。このことに関しまして、いま一度大臣のお気持ちをお聞かせください。
  274. 自見庄三郎

    ○自見国務大臣 私どもといたしましては、これまでも労使関係の安定が郵政事業を支える重要な基盤であると深く認識し、常に良好な労使関係の確立に努めてきたところでございます。  このように安定した労使関係もとに、労使双方が日夜懸命に努力してきたことが郵政事業に対する国民利用者の高い支持につながっているというふうに受けとめております。  今後とも、今先生の御指摘にございましたように、郵政事業が国民利用者の皆様の期待にこたえていくためには、やはり労使がさらに一致協力して、事業の改善あるいは改革に取り組んでいくことが不可欠であると私は思っております。  このためには、今先生指摘のとおり、労使間の意思の疎通についても一層充実を図り、相互の信頼に基づき、より高次な労使関係を構築していく所存であります。
  275. 横光克彦

    ○横光委員 どうかひとつよろしくお願い申し上げます。  最後に、電気通信事業の将来についてちょっとお伺いいたします。  電気通信事業も、情報通信産業一つとして、二十一世紀のリーディング産業として大変な期待が寄せられている、そういうことになっております。しかし、決算等経営の現状は、その期待に沿うようなものだろうか、現状は決してそうじゃないのじゃなかろうか、そういう気がしてならないわけです。  かつてのリーディング産業であります自動車や家電産業の発展期の状況というのは、それはすばらしかったというか、すごかったですね。目に見えるような形で次から次へと本当に大きく発展していった。しかし、同じようにリーディング産業と言われながら、電気通信事業、まあ発展している分野もあろうかと思いますが、全般にわたってそういった印象を私は受けないわけです。どこかおかしいなという気を常々持っていたわけですが、このことに関して、ちょっと実情をお知らせください。
  276. 木村強

    木村政府委員 情報通信産業は、競争の激化によりまして料金も下がってまいりました。そういったことで、減収減益傾向を示している電気通信事業者が見られるということは、確かに先生指摘のとおりでございます。しかしながら、産業全体としては、設備投資、売上高とも堅調に推移しているというのが私ども認識でございます。  具体的に申し上げますと、将来の経済成長の牽引役という一つのメルクマールは設備投資ということでございますが、最新の一九九四年度から一九九六年度の三年間の通信・放送産業の設備投資の平均伸び率は一七・五%ということで、うち移動通信は四九・一%であります。この時期の全産業平均は一・三%という中で、一七・五というのが通信・放送産業の設備投資の平均伸び率でございまして、こういった状況、これは設備投資であります。  それから、その結果といたしまして、一九九六年度の通信、放送産業の設備投資額は四兆九千億円、全産業に占めるシェアは二%に達し、リース業を除きまして、業界別では実質第一位となった、こういう現状がございます。  それから、売り上げについてでございますが、同じ期間の通信・放送産業全体の売上高の平均伸び率は一三・九%でございます。このうち移動通信は六六・二%、全産業平均は〇・二%ということで、一九九六年度の通信・放送産業全体の売上高は十六兆一千億円に達しておるということでございます。  先生指摘の、当時三C時代の到来と言われておりました、カー、クーラー、カラーテレビ、この家電産業あるいは自動車産業が成熟の全盛をきわめておりました一九六〇年代後半には、確かに先生指摘のとおり、こういった三Cがリーディング産業の役割を担っておるということが指摘をされておりました。  そこで、当時の、一九六六年から一九六八年までの三年間の平均を、設備投資伸び率につきましては日本開発銀行設備投資調査、売上高伸び率につきましては通産省工業統計調査等によりましてひもときましたところ、家電産業につきましては、設備投資伸び率、この時期、一九六六年から三年間の平均でありますけれども、実に五六・二%の増、それから自動車産業につきましては三三・五%、しかしこの時期の全産業の設備投資の伸びは二五%もございました。そういった状況でございます。  それから、売上高につきましても調べましたところ、家電産業はこの時期、二八・九%の伸び、それから自動車産業につきましては二三二%の伸びでございまして、全産業も一八・一%の伸び、こういう状況でございました。  そういうことからいたしますと、時代の背景が違います。それから、情報通信産業は内需主導型産業であるといったようなことで、必ずしも外国 に輸出をするといったものの性格を自動車とか家電等と同じように扱うこともできないかと思いますけれども、当時の状況と今の状況では、必ずしも情報通信産業が見劣りをするということではないのではないか。ベースが、今非常に経済成長率あるいは売り上げ、他の産業の設備投資も非常に低いものですから、その中で、通信・放送産業については、先ほど申し上げました数字を維持しておるということは、やはり景気の牽引力としてここまで引っ張ってきた。  さらに将来につきましても、私ども、昨年の六月に電気通信審議会の答申をいただきました。二〇一〇年の二十一世紀ビジョンということでございましたけれども、これによります試算が出ております。二〇一〇年には、通信・放送関係につきましては、七兆二千億の設備投資が行われるということ、それから通信・放送事業の売り上げにつきましては三十五兆、これに関連をするコンテンツあるいは受信機等の関連の売り上げを含めます市場は百二十五兆だというような試算もございます。  そういうことでございますので、いずれにいたしましても、情報通信産業につきまして、今後とも我が国経済の牽引車となるべく、新たなリーディング産業ということで期待もされておりますし、関係業界もそのような方向で、国民なり、世界競争していく体制をつくろうといたしておりますので、私どもとしましては、リーディング産業だという認識を持って、自重しながらしっかりと頑張ってまいりたい、このように考えております。
  277. 横光克彦

    ○横光委員 私の杞憂のようでございました。二〇一〇年、百二十五兆、期待しております。  終わります。どうもありがとうございました。
  278. 坂上富男

    ○坂上委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時四十三分散会