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1998-03-19 第142回国会 衆議院 地方行政委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十年三月十九日(木曜日)     午前九時三十二分開議 出席委員   委員長 加藤 卓二君    理事 今井  宏君 理事 谷  洋一君    理事 平林 鴻三君 理事 宮路 和明君    理事 古賀 一成君 理事 葉山  峻君    理事 桝屋 敬悟君 理事 佐藤 茂樹君       石橋 一弥君    稲葉 大和君       小野寺五典君    住  博司君       滝   実君    中野 正志君       西川 公也君    西田  司君       平沢 勝栄君    藤本 孝雄君       持永 和見君    森  英介君       保岡 興治君    川端 達夫君       桑原  豊君    古川 元久君       松崎 公昭君    白保 台一君       富田 茂之君    鰐淵 俊之君       穀田 恵二君    春名 直章君       畠山健治郎君  出席国務大臣         自 治 大 臣         国家公安委員会         委  員  長 上杉 光弘君  出席政府委員         地方分権推進委         員会事務局長  東田 親司君         警察庁長官官房         長       野田  健君         警察庁長官官房         総務審議官   金重 凱之君         警察庁生活安全         局長      泉  幸伸君         警察庁刑事局長 佐藤 英彦君         警察庁警備局長 伊達 興治君         自治大臣官房長 嶋津  昭君         自治大臣官房総         務審議官    香山 充弘君         自治省行政局長 鈴木 正明君         自治省財政局長 二橋 正弘君         自治省税務局長 成瀬 宣孝委員外出席者         大蔵省主計局主         計官      川北  力君         大蔵省主税局税         制第三課長   西原 政雄君         文部省初等中等         教育局中学校課         長       河村 潤子君         文部省体育局学         校健康教育課長 佐々木順司君         厚生省生活衛生         局水道環境部環 入江登志男君         境整備課長         地方行政委員会         専門員     黒沢  宥君     ————————————— 委員の異動 三月十九日  辞任         補欠選任   石橋 一弥君     森  英介君   保岡 興治君     小野寺五典君   西村 章三君     鰐淵 俊之君 同日  辞任         補欠選任   小野寺五典君     保岡 興治君   森  英介君     石橋 一弥君   鰐淵 俊之君     西村 章三君     ————————————— 三月十九日  軽油引取税増税分延長措置反対に関する請願  (古賀一成紹介)(第八一一号)  同(畠山健治郎紹介)(第八一二号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  地方税法等の一部を改正する法律案内閣提出  第二一号)  地方交付税法等の一部を改正する法律案内閣  提出第三四号)      ————◇—————
  2. 加藤卓二

    加藤委員長 これより会議を開きます。  内閣提出地方税法等の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。古賀一成君。
  3. 古賀一成

    古賀(一)委員 民友連古賀一成でございます。先週の一般質問に引き続きまして、本日は、地方税法地方交付税法の一部改正につきまして、大臣及び政府の方に質問をさせていただきたいと思います。  地方税法及び地方交付税法、技術的な面、実務的な面で、多々論点はあるわけでございますが、一連質問、私も去年から地方行政委員会理事を務めさせていただいておりますけれども、ずっと論議をしていく中で、あるいはある程度の勉強をしていく中で、いろいろな疑問が私は心の中にたまってきておりまして、そういう地方財政及び地方自治、あるいはその前提にございます地方交付税あるいは地方税法の大きな根本問題といいますか、そういう面に焦点を当てて御質問をさせていただきたいと思います。  まず、冒頭でございますが、極めて実務的な点でございますけれども平成十年度地方財政計画公共事業費が削減になっておりまして、いわゆる災害を除きます普通建設事業費、一兆百四十八億円の減、そして公共事業費補助負担金、これは歳入でございますけれども、四千八百十億円の減、そして地方費も五千三百九十四億円の減、こういうふうになっております。今さらという感じもしないではないのでありますけれども公共事業に関してこれだけの減となった背景及び理由というものをまずお聞かせを願いたいと思います。
  4. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 公共事業が十年度の地方財政計画マイナスになっているという背景でございますが、御案内のように、十年度から財政構造改革が本格的にスタートいたしまして、その際の公共事業関係の取り扱いにつきましては、公共投資予算について七%のマイナスを上限として予算編成がされておるわけでございまして、公共事業予算につきましては、結果的に七・八%というのが予算案でございます。  その上で、さらに、国の予算の配分におきましては、過去の債務負担行為を伴います大型継続事業を多く抱えております直轄事業、ここに重点化が見込まれたために、地方財政計画上の、地方団体が実施する公共事業費、これが一〇・四%のマイナス、一兆百四十八億円のマイナスということになっておるわけでございます。
  5. 古賀一成

    古賀(一)委員 今、財政構造改革本格化ということで、直轄には重点があったけれども、とりわけ、地方の方についてはより大きい金額であったという説明がございました。恐らくそのとおりだと思うのです。  そこで、今の御答弁に潜む問題がいろいろあるのではないか、そこを問いたいわけでございます。  まず申し上げたいのは、そういうふうに、財政構造改革法、いろいろ国会で、紛糾もいたしましたし、賛否両論もあったし、将来に警告を発する人、これで大丈夫だという人、いろいろ論議の中で法案が通り、財政構造改革元年というようなふれ込みの中で平成十年度予算が組まれた、その一環に、実はこの地方交付税もあるいは地方税法も、あるいは地方財政計画もあったわけであります。  ところが、平成十年度予算、まさに今審議中でございます、その中で、政府与党サイドから、予算案が不十分であると言わんばかりの大型補正方針が伝わってまいります。そして今、その一端をお聞きしました公共事業について、これを中心として、十兆円のいわゆる大型補正を組むという話がもう既に出ておるほどでございます。  これは、本会議でも、おかしいではないか、こういう議論がるるあったわけでありますけれども地方財政計画もしかり、交付税もしかり、財政構造改革前提に今この地方行政委員会論議しておるそのさなかに、これの根底を否定するような、そういう論議が出るということに関しまして、民主主義という面、あるいは国会権威という面、いろいろな意味から見て、大いに問題のある点ではないか、かように私は思うのであります。  この地方交付税及び地方税、そしてこの地方財政計画を、これがことしのいわゆる地財計画だという思いで大臣は出されたはずでございますけれども、その中でこういう論議が出ることに関しまして、私は、自治大臣の御所見というか姿勢というものをぜひこの際聞かせていただきたいと思います。
  6. 上杉光弘

    上杉国務大臣 新聞テレビ等でそのようなことが伝わっておることは私も十分承知いたしておりますが、非公式にも公式にも、現時点で政府与党のそのような議論があったことはまだ一度もございません。そのことを申し上げて、お答えをいたしたいと思います。  平成十年度予算及び地方財政計画におきましては、たびたびお答えをいたしておりますように、財政構造改革推進いたします一方で、経済情勢に応じ臨機応変措置を講じるという観点から、平成十年分の所得税及び平成十年度分の個人住民税に係る特別減税や、法人関係税減税等の幅広い措置を講じているところでございます。経済対策のためにも、平成十年度の予算を、また関連法案を一日も早く成立をさせていただきまして、切れ目のない予算執行ができますように、心から私どもは御理解お願い申し上げたい、このように考えておるところでございます。
  7. 古賀一成

    古賀(一)委員 今大臣の方から、臨機応変にというお話がございました。  確かに、こういう状況になってきて、この予算案、及び一連の今付託されておりますこういう計画等々は臨機応変に対応した結果、つくられたものだと思うのですね。正式に国会提出されたものが、いわゆる審議途中の採決も見ない段階で、いや、公共事業は抑制するのです、七・八%、地財計画においては減額するのです、その理由はこうですと言っておるさなかに、実は公共事業中心に十兆円ということをその後言われるというところに問題があって、これは臨機応変という言葉で済まされる問題であろうか。  国会権威、あるいは党内民主主義というか、他党のことはとやかく言う必要はないのかもしれませんけれども、そこまでも私はおろそかにされておる問題ではないかと思うのですね。  ここで、ちょっと経緯を振り返ってみますと、例えば、私は非常にこの点について信用ならぬというか、今大臣はこれは党内ではまだ論議していないとおっしゃいましたけれども新聞を見ただけで、ちょっと探しただけでこれだけの新聞が出てきます。政調会長山崎拓氏であります。前建設大臣亀井静香さんであります。党の最高幹部が全部今の段階でこういう話をしておるわけで、これで、党内で正式に論議はありませんと言うことが許されるのだろうか。  ある面では、政府みずから、与党みずからがこの予算案を不十分なものです、十分審議をせずに検討をせずに出した仮の予算案ですと、まさに与党最高幹部がおっしゃっているに等しいと私は思うのですね。これは一議員として、国会とは何だろうかと私は思わざるを得ないと思うのです。  振り返ってみますと、これが初めてではないのですね。今度の国会にかかっておりますいろいろな事柄について、例えば特別減税であります。これは、私も新進党のころ、労政局長をやっておりまして、特別減税を何とかこれだけは継続してほしい、医療費負担もあった、消費税もある、特別減税ぐらいは継続してもらわなければ国民のいわゆる消費意欲は減退になるということで、いろいろな会合もありましたし、デモ隊も我々接遇をいたしました。会議もいたしました。  ところが、これについては、一貫して政府は、いや、かくしかじかの理由で万全の措置でございますからする必要はないということで来た。その結果、国会が終わるや否や、恐らく党内での税調論議も十分ではなかったはずですよ。国会が明けた後、特別減税が突如として出された。  それをめぐって、この並んでおられる自治省の皆さんもそうだと思うのですね。年末のぎりぎりに、今までやらなかった、やるはずがないと言われていた特別減税を、おい、やるぞ、さあ、地方税の対応はどうだ、正月を返上して全部計算しろ、準備をしてくれということであったと思うのです。  こういう政治やり方というのが一番問われている国会だと私は思うのでありますが、まさに堂々とこういう話がまかり通っておることは、国会とは何ぞや、国会予算審議権とは何ぞやと私は言わざるを得ないと思います。  そういうことで、私はまずその点で、自治省が出されました、政府が出されましたこの二法及び地財計画の問題だけというよりも、もっと大きい政治行政あるいは国会予算審議意味というものを問うておる重要な問題である。これは私ども民友連だけではないと思うのですね。野党はこぞってだと思います。これは与党の方もひとつしっかり考えていただきたい問題である、重大問題であるということを私は御指摘を申し上げたいと思います。  それでは、それはそれで私はそういうふうに申し上げ、次に移ります。  これまでの論議の中で、大変私が気にすることがもう一つございます。今国会でも相当の委員皆様方から御質問がございましたけれども、いわゆる地方分権推進法に伴います諸手続の問題であります。  大ざっぱに言えば、地方分権推進法国会で通してもらいました、委員会をつくりました、四次にわたる勧告をしました、それに基づいて政府推進計画を今つくっております、そのつくる時期については、できるだけ早く、こういう論議で推移してまいりましたけれども、こういうやり方でやっていると、では、政府推進計画をつくった、これについては、それを実施するかどうするかという問題について、自治省大蔵省、あるいはある省と自治省との折衝がまた起こるのですね。  そうしますと、結局手続手続を踏みながら、あるいは審議会役所のキャッチボールをしながら、時はむなしく何年も推移してくる、こういうことになるのではないか。今までのいわゆる臨時行政調査会もそうであります、地方分権をめぐる動きもおおむねそういうことで、法律としてこうするという対案が出るのがいつも先延ばしにされてきたという経緯が厳然とあります。  そこで、私は大臣お願いとともにお尋ねをしたいわけでありますけれども最大の問題でございました自主財源強化、あるいは権限の移譲、こういつた根本的かつ具体的な地方分権推進にかかわる法案いつお出しになろうという腹でおられるのか。私はこれは大臣決意だと思うのでありますが、お聞かせを願いたいと存じます。
  8. 上杉光弘

    上杉国務大臣 ただいまの質問お答えする前に、認識の違いがあるといけませんので申し上げておきますが、先ほどのお答えで、私、与党内で議論されたことはないと申し上げたつもりはございません。政府与党として非公式にも公式にも大型補正については議論をされていない、こう申し上げたわけで、その点が違いますので、ひとつそのように御理解いただきたいと思います。  ただいまの質問でございますが、私に対して決意も含めて、こういうことでございますが、地方分権推進につきましては、御案内のとおり、機関委任事務の廃止をいたしました後、昨年の末に分権推進大綱取りまとめをいたしまして、今、分権推進計画について、日夜を分かたずその作業を進めておるところでございます。  この作業につきましてはいつごろ方向づけをするのか、こういうことでございますが、この国会中のできるだけ早い機会にこれは取りまとめをして国会にお示しをしたい、これまでそのようにお答えをいたしてきておりますが、その気持ち、その決意に変わりはございません。
  9. 古賀一成

    古賀(一)委員 今の大臣の御答弁推進計画についての見通しと承りましたけれども、それでよろしゅうございますか。私が申し上げたいのは、いわゆる国の計画ができましても、これだけでは済まないと思うのです。具体に法律ということで、法案という形で出さない限り、これは実行に移されないわけでありまして、恐らくその部分がまた重要な法律マターだと思うのですね。法律もなくて、計画に書いたから動くような事柄というのは、大したことではないとは言いませんが、根幹部分、基本的な部分、そういうものはやはり法案という形にせざるを得ないと私は思うのですね。  だから、私が聞きたいのは、その推進計画を受けて、骨太の骨格になる部分法案というものをいつお出しになるのか、いつ出すかという決意を私はお伺いをいたしたかったわけであります。
  10. 鈴木正明

    鈴木政府委員 手続的な面もございますので、私から御答弁申し上げますが、現在、計画を策定いたしておりまして、それにつきまして各省庁と精力的に調整をいたしております。この計画というものは閣議決定を行いますので、しかるべく、それにふさわしくかなりの調整をした後に閣議決定に持ち込みまして、国会に御報告するということでございます。その後は、計画に基づきまして、それぞれの行政分野におきまして速やかに所管法令改正作業に入っていく、こういうことになります。  なお、計画の作成を待たずに実行に移せるものは既に前倒し措置ということで、昨年、ことしと私どもの方でも行っておりますが、なお、計画を受けてそれぞれの法律改正作業を行ってきまして、法案国会提出時期のことでございますが、昨年の十二月に取りまとめられました行政改革会議最終報告におきまして、「地方分権推進委員会勧告については、遅くとも平成十二年三月三十一日までに法律整備を完了し、着実に実行するもの」とされておりますので、そういうことを踏まえまして、関係省庁とも十分連絡をとりまして対処してまいりたいと考えております。
  11. 古賀一成

    古賀(一)委員 私がこの質問で申し上げたかったのは、要するに、必要なこと、地方分権なり地方財政強化あるいは自主財源強化とかいうものは、自治省のレーゾンデートルと言ってもいい自治省所管なんですよね。今局長の方から、この勧告についても実施できるものは一部法案化といいますか、そういうものをもうやっておるという話がありましたけれども、まさにそうだと思うのです。  私は、地方分権推進委員会だけではなくて、この五年、十年の霞が関の全体の動きを見たときに、あるいは代表質問における橋本総理答弁を私は何百回聞いたかわかりませんが、それを聞いた中でも痛切に感ずるのは、いわゆる中央官庁というか各省庁がみずからの所管事項について、もちろん各省折衝は要るでしょう、要るのだけれども、これはおれのところの所管事業だ、これは急ぐ、だから法案を出す、各省折衝しよう、そういう役所から直接企画をし調整をし物事をなし遂げていくというやり方が本当に希薄になってきたと思うのですね。  全部審議会お願いをする、今検討をしていただいております、それが終わった暁にまた何か計画をつくってもらいます。行政全体が、とりわけこの地方自治については昔から言われておったわけでありまして、これがなかなか進まない、その根本的な原因一つは私はここにあると思うのですよ。  地方分権推進委員会というものにゆだねて、そこで各省庁からの調整を何カ月も何年もかかってやって、特に税制については、例えばいろいろ意見が出ましたけれども税調からも調整を求められてすったもんだする、その結果できた勧告についてまた計画をつくり直す、そしてまた法案にかかる。こういうやり方だと間に合わないと私は思うのですね。  だから、大臣の御意見とか方針じゃなくて決意を伺うと申し上げたのは、自治大臣地方分権根幹に関してはもう来年度までにやれと言う権限もあるし、大臣がそれを言われればできると私は思うのです。私はかっての行政はそうだったような気がいたすわけですね。  そういう面で、この前も申し上げました、日本行政あるいは日本経済が非常に無責任になって、だれが責任者かわからずに物事がほとんど先送りされる、それはやはり、自分の、おれの仕事だという発想よりも、審議会お願いをしている、そういう一種のどんぶり勘定というか、マクロストラクチャーという言葉をこの前使ったのですが、そういう大きい仕掛けの中にゆだねてしまうものだから、だれが責任者かわからないというところに、今この地方自治というものが具体的に進んでいかない最大原因があると私は思うのです。  そういう面で、この点について、先ほど大臣にお伺いしましたので再度聞きませんけれども、行政府の長、大臣は、自分所管事項についてはもう、何年までに事務方にやれと言っていいマターであり時代じゃないかということを、再度、要請も兼ねまして、私は申し上げたいと思います。  それで、それに若干関連もいたしますが、次の質問に移ります。戦後、今日に至るまで、戦後というとちょっと大げさでありますけれども、ずっと言われてまいりましたいわゆる地方自主財源についてでございます。  大臣所信表明演説で、地方税財源強化を図る、地方自治体の自主性あるいは自立性というものを確立していく、地方公共団体自己決定自己責任というものをもっと高めていかなければならぬというのが大臣所信表明にございました。全く私もそう思うのです。  その一つの項目として地方自主財源がずっと議論をされてまいったわけでありますけれども、今日に至るまでどのようにこれが強化されてきたのか。地方自主財源強化というのはずっと言われてきたことでありまして、自治省みずから、大臣みずから、これが一つの柱である、こう言い続けてこられたわけでありますけれども、この長いトレンドの中で、ではどこまで来たのか。ちょっと御説明お願い申し上げたいと思います。
  12. 上杉光弘

    上杉国務大臣 先ほどのことについて一言その前に申し上げますが、大臣が決めればそれでしっかりやる、責任を持って決断せろ、こういうことでございましたが、各省庁とこの地方分権関係もございます、事務ベース事業ベース整合性もなければなりませんし、国と地方の財政問題もございます。  したがって、各省庁との整合性を持った分権の合意というか、そういうまとまりがなければ、自治省だけが先にいてやりましてもできるものではありませんので、この点についてはそのように御理解をいただければありがたい、このように考えております。  ただいまの件でございますが、私、全く同感でございます。委員と全く同じ気持ちでございます。そのことを申し上げて、お答えいたします、若干長くなりますが。  地方分権の進展に応じまして、地方公共団体がより自主的、自立的な行財政運営を行えるようにするためには、地方税というこの固有の税を充実強化していくということは極めて重要であると考えております。  地方税につきましてはもう御案内のとおりでございますが、どういう経過でどういうふうにやってきたのだ、こういうことでございますが、戦後、シャウプ勧告を受けまして、昭和二十五年に現行の地方税法が制定をされて以来、昭和三十一年度には軽油引取税及び都市計画税昭和四十三年度に自動車取得税昭和四十八年度に特別土地保有税昭和五十年度に事業所税。近年においては昭和六十三年度に道府県民税利子割、平成九年度に地方消費税をそれぞれ創設して、その充実に努めてきておるわけでございます。この結果、地方財政計画歳入額の総額に占めるこの地方税収比率は、昭和三十年度におきましては三五・八%でございましたものが、平成十年度におきましては四四・二%の比率になっておるわけでございます。  地方分権推進するための税制をパッケージにいたしまして税制改革の柱として構築すべきという意味の御提案でございますが、今回の税制改正におきましては、地方分権推進するため、個人市町村民税制限税率を廃止するなど、課税自主権を拡大するための改正を盛り込んでおるところでございます。  今後、地方分権推進委員会勧告を踏まえまして、所得消費資産等の間におけるバランスのとれた地方税体系や、税源の偏在が少なく、税収安定性を備えた地方税体系の構築などにも努めまして、地方税充実確保を図ってまいらなければならないと考えております。
  13. 古賀一成

    古賀(一)委員 今大臣お答えになりました、地方税の占める比率が上がってきた、それはそれでよろしいと思うのです。  それで、もう御承知のとおり、今回出ておりますこの法案がまさにそうでございますが、地方税法中心に、地方財源については大体国会の場で決めておる。本当の意味での課税自主権地方は、うちの町ではこういう税金を住民理解してもらって、こういう新しい事業福祉事業をしたい、こういった、自治体が自立的に考え、その地域の実情に合って自立的に使う、ある面では自由な税制というのはごく限られているわけですね。地方税住民税もいわゆる標準税率でない部分もありますよという、微々たるところはあるのでしょうけれども、基本は地方税も国が決める。  一番自由な法定外普通税をとりますと、道府県の分と市町村分を合わせて二百二十億、ところが、地方税収入は、平成十年度三十八兆四千七百五十二億円ですから、計算しますと千分の一もいかないのですね。  地方自治体の自立性、あるいは、どちらかというと交付税頼み、国頼みという今の自治体の体質に一筋明かりを差すためにも、もっと自主財源、自立的な財源というものを地方に与える、考えさせる、つくる余地を与えるということが私は何よりも重要ではないかと思います。法定外普通税を中心に自治体が自由に使える、使っているといいますか、それはわずか千分の一にも満たないという現実を申し上げておきたいと思うのであります。  それから、もう時間も刻々と迫ってまいりましたけれども、次に、一つ通告しましたものを飛ばしまして、あとは優先順位に従って質問をしたいと思います。  平成十年度に新規に計上されました地域経済対策事業費、新たな起債制度でございますが、三千億円というのがこの計画にのっております。これはどういう経緯でできたのか、そしてその意義といいますか、戦略的な意味というものをひとつお教えを願いたいと思います。
  14. 上杉光弘

    上杉国務大臣 ただいまの件でございますが、平成十年度の国の予算におきまして、財政構造改革法に基づき、公共事業予算マイナス七・八%とされました。これに伴って、地方団体が実際に執行する補助事業は、地方財政計画上一〇・四%のマイナスとなっております。しかしながら、これは全国の平均値でございまして、地域によってはさらにこれよりも大きなマイナスも予想されるところでございます。  一方、地域の中には、経済に占める公共投資のウエートが高い地域も多く、公共事業マイナス経済に与える影響を懸念いたしまして、その影響を緩和するため地方単独事業を積極的に計上する必要のある団体もあろうかと存じておるところでございます。  こうしたことから、平成十年度の地方財政計画の策定に当たりまして、地方単独事業につきましては、地域経済への影響等も十分心配し、勘案をいたしまして、対前年度比のマイナス四%にとどめ、十九兆三千億円を確保することといたしたところでございます。  そして、その中で、地域の実情にも応じ、地方団体が、地域経済の動向、特に地域経済のみならず住民生活と直結をしておる経済でございますから、そのような動き等にも即応した機動的、弾力的な対応ができるように支援をしていく、地方に対するそういった影響がないように支援していくというために三千億円の規模で地域経済対策事業を創設したものでございます。
  15. 古賀一成

    古賀(一)委員 それでは、政府委員の方にお伺いをいたしたいのですが、地域経済対策事業債は、具体的にどういう地域で、どういう事業に充てられるのか、ちょっと御説明をいただきたいのです。
  16. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 今大臣からお答えがございましたような趣旨で、地方財政計画の中でそういう枠をつくっております。  具体的には、これから法案を成立させていただきました後に検討いたしたいと思っておりますが、私どもは、特に何か事業を特定して物を考えるということよりも、先ほど申しましたように、地域の経済状況を勘案したものという意味で、なるべく地方団体の方が事業の種類というのは広く選択できるような、むしろ地方の側からいろいろな事業を拾い上げていただいて、そういう意味ではよそよりも積極的に単独事業をやりたいというようなところに対する支援ということで考えていきたいと思います。  具体的には、これからその内容は考えていきたいというふうに思っております。
  17. 古賀一成

    古賀(一)委員 私は、今の答弁は、今の交付税あるいは地方財政計画全体が抱える重要問題をあらわしているのではないかと思うのです。  この予算が成立した後にこの地域経済対策事業債の使い方を検討するということに聞こえました。これは三千億新しく創設されたわけでありますが、実はこれと入れかわる形でなくなった起債制度がございます。臨時地域基盤整備事業債五千億、こういうことでございました。でも、これは地域基盤整備という言葉があるのですね。  そもそも起債というものは、百五十六兆に今年度なるわけであります。膨大な借金が孫子に残るわけでありますけれども、孫子に金を払わせるこの借金を認めるまず発端というものは、やはり建設国債的な発想ですよ。今の時代に何兆円も使って、何千億もかけてダムをつくる、道路をつくる、このストックの効果は孫子にも及ぶではないか。忍びがたきを忍んでも、これを借金で次の子供たちに送っても構わぬ、そういう思想からまず来たと思うのです。地方債もそうだと思うのです。発端はそうだと思うのです。  ところが、聞くところによりますと、昭和四十四年から、そういう起債についても、後日交付税で国が手当をするという制度が創設をされた、これもよく似た発想だと思うのです。その一連の流れの中で臨時地域基盤整備事業債というのが設けられて、少なくとも基盤整備だから孫子にストックは残る。  ところが、今の御説明ですと、今年度あらわれましたこの地域経済対策事業債というものは、いわゆるストック効果とかそういうことよりも、地域的に不況が激しいとか失業率が高まっている地域だとか、これはストックというよりも今のフローの世界の話なんですね。そこに自治省が音頭をとって起債を認める、起債を奨励する、そういうことは、起債制度そのものの本質からもう足が離れたのではないかという気すら私はいたします。  それが実は、今度のこういった安易な国債増発論、住専だってそうですよ、六千八百五十億ございましたけれども、何と三十兆の金融安定化及び預金保護、こういうところまで、もう次から次に何か巨額の数字が人ごとのように出てくる。これはまさに軌を一にするものではないか。私は、この点が今の地方自治最大の問題だと思ってこれを聞いたわけであります。  そういうことで、これは予算成立後その委細を決めるということになりますと、こういう安易な制度で本当にいいのかな、こんなことが許されるのなら、もう何でもかんでも、来年も再来年も困ったところは全部起債でやれ、そういうことに流れる一つのあかしのような起債制度ではないかという気が私はいたしまして、この点は、今聞いてさらにその疑念を強くしましたけれども、そういうことで本当にいいのかな、おかしいのではないかと私は思っております。  厚生省からもわざわざお越しいただいておりますので、次の質問に移らざるを得ません。まだ申し上げたいことはありますが、移ります。  今度の地財計画上もそうでございますが、いわゆる一般廃棄物及び産業廃棄物の行政の取り扱いの問題でございます。  地方財政計画上、一般廃棄物処理事業につきまして、地方債の事業別内訳の一つとして、五千五百九十四億円が計上されておりまして、対前年比二百三十二億円減、こうなっております。  私は、地方自治の具体的な問題の最大のものは廃棄物行政だとかねてより思っておりまして、私、自治体に出向した折も、四全総のヒアリングがございました折も、国土庁に、自治行政最大の悩みは今廃棄物ですと。もう老朽化した清掃工場を抱えている市町村長は、あの煙突が倒れるのではないかと夜も寝られぬ。しかし用地が見つからない。住民が反対する。ごみは毎日出てくる。そして、やむにやまれず、結局見て見ぬふりして、廃棄物業者がそれを持っていってどこかの遠くの山村の市町村にごみを捨てる。それがまた地域で大問題。私は、そういう面で大変な問題であると思っているのですね。  そういう面で、私はここでお伺いしたいのですが、まず、産業廃棄物については地財計画上全然言及がない、それは産業廃棄物制度の制度の問題であるわけでありまして、自治省責任ではないのですが、廃棄物処理の現状と問題点、及び今後増大する廃棄物処理行政の需要といいますか、それについて、どういうふうになっておるのか、厚生省からお越しいただいておると思いますが、ひとつ御説明をいただきたいと思います。
  18. 入江登志男

    ○入江説明員 お答えいたします。  まず、廃棄物の現状でございますが、我が国の経済規模の拡大等を背景といたしまして、平成六年度におきましては、一般廃棄物の発生量は年間五千五十四万トン、国民一人一日当たりにいたしまして千百三グラムでございます。また、産業廃棄物の発生量は年間約四億五百万トンに達しておりまして、廃棄物の質も多様化しております。  廃棄物の処理をめぐりましては、最終処分場の逼迫や、施設の設置や維持管理をめぐります地域紛争の多発、不法投棄等のさまざまな問題が生じておりまして、国民に産業廃棄物に対する根強い不信感が生じているとともに、生活環境や産業活動に重大な支障を生じかねない深刻な状況にあると認識しております。  こうした状況を踏まえまして、平成九年六月には、廃棄物の減量化、リサイクルの推進、廃棄物処理施設の設置手続の明確化や不法投棄対策等の総合的対策を講じるため、廃棄物処理法の改正を行ったところでございます。また、同じく九年八月には、廃棄物焼却施設からのダイオキシン類を削減するため、政省令を改正いたしまして施設の構造基準や維持管理基準を強化したところでございまして、現在、その円滑な施行を図るため、万全の準備を進めているところでございます。  さらに、廃棄物の発生抑制、リサイクルにつきましては、平成九年四月に施行されました容器包装リサイクル法に基づきます容器包装の分別収集並びに再商品化等の推進を図っているところでございます。また、今国会には、家電製品等のリサイクルにつきまして、特定家庭用機器再商品化法案提出させていただいているところでございまして、これらを通じてリサイクルをさらに推進していきたいと考えております。  厚生省といたしましては、国民の環境意識の高まりの中で、今後廃棄物行政の重要性はますます高まるものと考えておりまして、関係省庁とも連携を図りながら、地方自治体の事務が円滑に執行できるよう必要な措置を講じてまいる所存でございます。
  19. 古賀一成

    古賀(一)委員 これは本当に奥が深いし、規模も大きい問題でございまして、特に、産業廃棄物については行政制度が極めて未熟である。そして、現に大変な問題が起こっている問題でございます。いただいた資料では、平成七年度で不法投棄に関する紛争が六百七十九件起こっておるという報告ですが、絶対こんなものではないのですね。私が地元で聞いただけでも十何件あるのです。恐らく全国では、これでは済まない、潜在する紛争があるのだと思うのです。  これはまた一般質問議論もあるでしょうし、私自身が厚生委員会に行ってでもいろいろ申し上げたいので、きょうはこの点だけにとどめておきたいと思います。  時間がもうあと一分を切りましたので、最後になりますが、総括する意味でぜひ大臣にお伺いをしたいのですが、本当に今問われておるのは、地方分権の真の意味は本当は何だ。恐らくこれは、言うまでもなく地方自治体の自立、自己責任によるリスク管理、あるいは自己の創意工夫による町おこし、そういう地方自治体の自立性を高めることだと思うのですね。  この自立性前提条件は何か。それはやはり財政的自立てすよ。あといろいろありますけれども、財政的自立がその根本である。実態はどうか。もう何度も申し上げてきましたように、いわば借金地獄と言ってもいい状況だと私は思うのですね。これは、個人がぜいたくしてローンを借りて借金地獄に陥ったのとは若干わけが違いまして、国に連動する形で地方自治体が借金地獄にはまっていったという構図でもあると思うのですよ。それを橋渡ししているというかリンクさせた制度が政府の補正予算であり、予算そのものであり、あるいはそれをつなぐ交付税制度であるのかもしれない、私はこういう気すらします。  そういう面で、私は、本当の意味での地方分権推進するために、財政的自立を中心にするために、自治省はどれまでの責任と使命を負うべきか、その点につきまして、ちょっと抽象的な質問でありますけれども、最後に自治大臣の御決意をお伺いをいたしたいと思います。
  20. 上杉光弘

    上杉国務大臣 お答えいたします。  地方分権に私どもが取り組む姿勢は、もうたびたびお答えいたしておりますように、極めて重いものがあるわけでございまして、四次にわたる勧告につきまして、これを重く受けとめて対応してまいらなければならない、このように考えておるところでございます。  また、各省庁との調整を図りつつ、地方分権推進計画に確実に盛り込まれるように、これもさらに努力をしてまいります。  また、地方分権推進計画の作成を待たずして実施できるものがあるとすれば、これらは積極的に取り組んでまいりたい。我々が分権推進計画を策定し国会にお示しをする、五次の勧告が後から出る、こういうものもございますが、それらは、勧告が出たときには、足らざるものがあればこれはまた柔軟に対応しておこたえをしていかなければならない、責任ある自治省としての行政というものに取り組んでいかなければならない、こう考えておるわけでございます。分権推進するに当たりましては、みずからの地方自治に関する施策に総合的に取り組みまして、諸制度の改革に向けても取り組んでまいりたい、このように考えております。
  21. 古賀一成

    古賀(一)委員 それでは、終わります。
  22. 加藤卓二

    加藤委員長 桑原豊君。
  23. 桑原豊

    ○桑原委員 民友連の桑原でございます。  きょうは、前回の特別減税のときにも質問をいたしたわけでございますけれども、今後のこともございます、既に特別減税が成立をして実施されているわけでございますけれども、改めてこのことに関連をいたしまして、いま一度ただしておきたい、こういうふうに思います。  国と地方の財政の役割というのは、おのずから共通点もございますが、それぞれ特色があろうかと思います。例えば、景気対策というような形で全国的に一定の大きなインパクトを与えるようなものをやらなきやならぬというようなときには、当然、国がその財政の役割をその面で果たすというごとでございますけれども地方財政の場合には、やはりその地域に住む住民の皆さんがどう日々の生活の中でいろいろな福祉的なサービスを中心にして享受をしていくのかというような、生活に非常に身近な役割を財政的にも果たしていくということになろうかというふうに思います。  そういう意味では、特別減税で、二兆円でございますが、そのうちの一定部分地方が担わなければならないというのがどうしても私は納得ができないわけでございます。住民税の減税が連動したわけですけれども、そうした連動というのはあってしかるべきなんでしょうけれども、それは、それぞれの自治体がどうすべきかというふうな判断をしてやるべき性格のものではないのか、そのことがやはり地方自主性自立性、そして責任というようなものをしっかりさせていく大変大事なところではなかろうかというふうに思っております。  そういうことで、既にそういう形で道連れになって、連動して実施をされてしまったわけでございますが、この後、いわゆるその減収部分が減税補てん債で、後年度、元利償還金が一〇〇%基準財政需要額に算入をされてくる、こういうことになります。地方交付税制度という面から見てまいりますと、いわゆる強制的に減税をさせられて、その穴埋めの借金も強制的にもちろんしなきやならぬ。そして、それを埋める、需要額に組み入れていくということも強制的に当然やられていくということで、そういう意味では、交付税制度のあり方というものと、こういうふうな仕組みにならざるを得ないということの間に私は非常に矛盾を感ずるわけでございます。  まず、交付税制度のあり方からして、こういつたふうなことが本当に妥当なのかどうなのか。私は、極めて妥当性を欠くのではないか、将来的にはやはりそういった減税のあり方も含めて改めていく必要があるのではないか、そういうふうに思いますので、まず、その点についての御見解をお伺いをしたいと思います。
  24. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 減税が行われます場合の減税補てん債を一〇〇%交付税に基準財政需要額として算入をいたしておるわけでございますが、交付税制度の趣旨からいってどうなのか、こういう御指摘でございます。  御案内のように、今地方税の基本的な仕組みについては国の法律で定めるというのが我が国の地方税制度でございまして、減税を行います場合にも、今回のように、いろいろな御議論はございますが、基本的には国の法律に基づいて減税を行うということを決めるわけでございます。  その減税なかりせばあったであろう財源というのは、地方団体にとりましてはその分が減収になりますから、交付税との関連で申しますと、いわゆる交付税で計算をいたします場合の留保財源も含めて全部を補てんしなくてはいけないということであろうかと思います。したがいまして、それを全部補てんするということになりますと、後年度の元利償還金の一〇〇%を基準財政需要額に算入していく必要があるということになるわけでございます。  そういうことの結果、交付税の中でそういうものがいわば強制的に算入をされて、全体の交付税のほかの経費がその分だけ減るのではないかというふうな御意見もあろうかと思いますが、これは毎年度の地方財政計画を策定いたします段階で、今のような税制改正も含めて歳入歳出全般を見積もりますので、その歳出を見積もる際に、この今の減税補てん債の元利償還金、この経費も含めて所要経費がどれだけかということを含んで、それも全部含んで所要経費を算定をいたします。  そういう形で必要な一般財源を確保して地方財政計画を策定するということになりますので、それを織り込んで所要経費を含む結果、このことによって他の経費にしわ寄せがいくということにはならないものであるということは御理解いただきたいと思います。
  25. 桑原豊

    ○桑原委員 交付税制度が、地方のあるべき行政サービスといいますか、そういったことを踏まえて、なおかつ、不足をする財源を保障していくという国の側からの地方への財源保障、そんな立場で考えますと、この制度の持っている由来からして、そういった措置というのはどうしても避けられないというふうには思いますけれども、国の交付税制度というのが、何か地方のためにあるというよりも、こういうやり方を見てみますと、どうも国のためにあるような、そんな感じがせざるを得ないわけでございまして、これはまた改めて、交付税制度のあり方というようなものも含めて議論をすべき課題かなというふうに思います。  そこで、もう一点、平成八年度の国税の決算に伴います交付税に係る精算金といいますか剰余金といいますかの問題でございますが、今度の所得税の減税による交付税特別会計の減収が生じたわけでございますけれども、その補てんにその決算剰余金を充当する、こういうような形になるわけでございます。こうした特別会計の減収というのは、まさに国の政策運営によって生じたものでありまして、本来、この剰余金は当然地方が受け取るべきお金であるわけでして、そういったところに相殺をして補充をしていくというようなことは、やはり大きな地方の損失につながっていくのではないかと思うのですけれども、その点についてどういうふうな御見解なのか、お聞きをしたいと思います。
  26. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 今の、交付税の精算増分をどういうふうに財源として充てるか、地方の固有の財源ではないのかということでございます。  先ほど来の委員一連の御議論と密接に関連をいたしておるわけでございますが、まず、国税決算の精算増を、こういう減税に伴います減収が生じました場合にどういうふうにこれを扱ってきたかということでございます。過去におきましては、昭和五十八年とかあるいは六十二年とか六十三年とかの場合に、減税によります減収をいわゆる交付税の精算増で補てんしてきたことがございます。  今、御案内のように、八年度、九年度、十年度と、交付税法の六条の三第二項の規定に該当するような大幅な財源不足が生じておりますので、不足をする必要な交付税の額を折半で国と地方で分担をしておるわけでございます。  したがいまして、今の平成八年度の精算増、これは八年度に生じたわけでありますが、この年度で仮に精算増が出ないようにきちっと税収が見積もられておったというふうにいたしますと、それぞれその年度の交付税特会の借入金は国、地方でそれぞれ半分ずつ負担をするわけでありますけれども、それがそのときに縮減していたということになるわけでございます。  そういうことからいいますと、この精算増というのは、今のように財源不足が生じておって国と地方が折半をしておるというような年度が続いておりますときには、結果的にその増加分をすべて地方財源として充当するということには結果的にならないということになるわけであります。こういつたようなことを踏まえまして、先ごろ行われました減税の補てんに一部精算増を使わせていただいたということでございます。  基本的な考え方といたしましては、委員が先ほどから御議論になっておりますが、いわゆる政策減税で交付税の減収が生じました場合に、今、地方財政が非常に大きな公経済のウエートを占めておりまして、一般財源では国と地方交付税まで含めますとほぼ一対一というふうな財源の配分になっておりますこと、それから、景気回復をねらった減税でございまして、その場合には、増収の効果は、これまた交付税を含めますと一対一で国と地方との間に増収の効果が出てくるといったようなことがあるということを基本的に踏まえまして、今申しましたような対応をとっておるということでございます。
  27. 桑原豊

    ○桑原委員 剰余金といいますか、それがそういった内容を含んでおるということでございますけれども、外部から見ておりますと、その点が何か非常にわかりにくいというか、そこら辺はひとつこれから本当に、そういう内容なんだということがはっきり説明できる、わかりやすい、そういう仕組みというのがやはり必要ではないかなというふうに思います。  それでは次に、補助金の一般財源化の問題についてお伺いをしたいと思います。  補助金の一般財源化というのは、一般的には非常に結構なことだ。地方にとっては、分権推進委員会の第二次の勧告でもうたわれておるわけでございまして、地方の自主的な運営という意味では推進すべき課題だというふうに思うのですけれども、どうもこれもまた剰余金の問題とも少し似通っていますけれども、よくわかりにくい。本当にその財源保障が行われているのかということがわかりにくい面が非常に多いというふうに思います。  私も農水委員会では部会に属していまして、たまたまそういうこともあって、農水省の方から主要農作物種子法による補助金八千二百万円は今度の国会で一般財源化するのだというようなお話を聞いたわけです。そういうことになりますと、この八千二百万円の方も地方交付税財源に加算をされるということになろうかと思いますけれども一つは、そういったものがちゃんと加算をされているのかということ。  それから、そうしたものをトータルして、今度の国会でこうした一般財源化された補助金の総額というのは一体どれぐらいあるのかということをまずお聞きしたいと思います。
  28. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 補助金の一般財源化でございますが、今委員からも御指摘ございましたように、地方分権を進めていくという観点からは、これは地方の側にとってはそういう方向で進めていきたいというものでございます。  今、一つ具体的な例をお挙げになりましたが、主要農作物種子法によります補助金八千二百万円を、平成十年度、一般財源化を図ったところでございます。これにつきまして、その要する経費につきましては、まずその必要額を地方財政計画に計上いたしまして、具体的には地方交付税の農業行政費の中でそれを財源措置するというふうなことにいたしております。  十年度、これらも含めまして一般財源化いたしましたものは新たに二十二件、一般財源化をいたしました金額が四百六十二億円ということになっております。
  29. 桑原豊

    ○桑原委員 これだけの額が交付税に増額をされた、そういうふうに解釈をすればよろしいわけですか。
  30. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 地方財政計画を策定いたします段階で、今のような一般財源化されました経費、補助金から一般財源に振りかわりますものを、四百六十二億円を所要経費に含んで、それをもとにして全体の地財計画をつくっております。したがって、その中で交付税の必要額も、そういうことも織り込んで計算をいたしておるということでございます。
  31. 桑原豊

    ○桑原委員 地方段階で、受け取る側になりますと、そうしたものが交付税に加算をされているということで言われるわけですけれども、なかなかそこら辺が本当にどういう形に具体的になっているのかというのがよくつかみ得ない。それで一方では例えば一般歳出を一・六%削っていくんだとか、そういうふうなことで全体が圧縮をされていきますから、何かこのプロセスの中でそういうものがうやむやにされてしまったのではないかというような印象を非常に受けるわけです。そこら辺がどうも制度的にもう一つ、透明性をどう高めていくのか、はっきりそういうものが具体的にわかるような形にどうしていくのかという工夫が必要なようにも私は思うのですけれども、その点が一つ。  それから、補助金を一般財源化して、しかし一方で事務の方は法で定めてやられるということであります。一般財源化をするということになれば、そういった権限とか事務というようなものも地方に移すというようなことにすべきだと思うのですけれども、そういったことも含めて、どういうふうにお考えかお伺いをしたいと思います。
  32. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 まず、一般財源化をしたものが、それで交付税の額が本当にふえたのかどうかわかりにくいではないかという御指摘でございます。  今申しましたように、十年度で申しますと四百六十二億円といったような金額でございまして、交付税全体は十七兆円を超える金額になりますので、その中では四百六十二億円という金額は大きなものではございませんで、なかなか目立ちにくいということかもしれませんが、先ほど申しましたように、地財計画を組む段階では、それも含めて全体の所要額を計算をいたしまして、ことしの場合にはそういうこともございまして、いわゆる法定五税で足りないものですから借り入れをして全体の交付税総額を確保しているということでございます。  具体的に、そういうものにつきまして、私どもは、地方団体の皆さん方にはいろいろな機会に一般財源化の金額なり内容なりということは御説明をして、御理解をいただくべく努力をいたしておるつもりでございます。  それから、一般財源化するのであれば、権限地方に全部移譲すべきではないかということでございます。補助金を整理合理化いたします場合には、対象として、基本的には、地方団体の事務として同化定着しているものとか、あるいは金額が少額であるので補助の手続等でかえってロスが大きいといったようなものが一般財源化を図っていく対象となっておるわけでございます。  他方で、今の地方財政の制度で申しますと、それがそもそも地方の固有の事務であるか、あるいはいわゆる機関委任事務であるかということを問わず、事務を実施する側で財源負担するというのを基本原則にいたしておりまして、例えて申しますと国道の管理のような、これは明らかに国からの機関委任事務でありますけれども、国道の管理に要する経費というのは全部地方負担するというふうな仕組みに今なっております。それを税と交付税財源措置をするということにしておるわけでございます。  そういうことから申しますと、補助金から一般財源に変わるということと事務のやり方とは直接は当然には連動しておらないわけでございます。ただ、私どもとしては、せっかく補助金の整理合理化を行います場合には、単に歳出の削減のためにだけ行うということではございませんで、そこのところは今委員が御指摘になりましたような趣旨も踏まえて、地方団体自主性が高まりますような方向で関係省庁とも協議をいたしておるというところでございます。
  33. 桑原豊

    ○桑原委員 その仕事そのものが地方に同化定着をしたということを前提にして一般財源化ということであれば、今局長が言われた方向でより地方自主性を高めていく、そういう方向が必要なのではないか、こういうふうに思います。  次に、地方交付税制度の議論の中では常々言われてきておるわけでございますけれども、今度の地方財政も大幅な財源不足が生じました。交付税特会からの借り入れというようなことで補充をされていくわけでございますけれども、財政課長内簡では、平成八年度及び九年度に引き続き地方交付税法第六条の三第二項の規定に該当することになったということで、いわゆる大幅な財源不足が五年続きで生じたと。  本来、こういうことならば交付税率の変更ということになるのは当然でございますけれども、今回も地方財政もしくは地方行政に係る制度の改正というようなことでこれに対処していくということになったわけでございます。私もよく承知をしていませんので、なぜそういった制度の改正ということで対応していくのか、率の変更になぜ至らないのか、そこら辺、制度の改正と率の変更との考え方の相違といいますか区分けというか、そういうものはどこら辺にあるのか、経緯も含めてちょっと御説明をいただきたいと思います。
  34. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 平成十年度が四・六兆円の財源不足が生じまして、八年度、九年度に引き続いて三年連続して交付税法の六条の三第二項の規定に該当することになりました。いわゆる交付税が一割以上不足をするという事態が三年連続して見通せるという状態が、その事態そのものが三年続いておる、こういうことでございます。  そこで、こういう場合に、交付税法の六条の三第二項は交付税率の変更または地方行財政制度の改正といったようなことを行うべきだということを定めておるわけでございます。私どもといたしましては、そういうことを踏まえまして、十年度の地方財政対策におきましては、交付税率の引き上げの検討も含めて国庫当局と協議、交渉を行ってきたところでございます。  その際にも、平成十年度からいわゆる財政構造改革がスタートいたしておりまして、国、地方を通じて大変深刻な財政状況にございます。基本的に国も地方も非常に大きな財政の不均衡、アンバランスを抱えておるわけでございまして、そこの均衡回復を図っていくというのが何といいましても当面の財政構造改革の最も大きな課題でございます。  これは、国、地方を通じてそういう財源の不均衡を是正していかなくてはいけないということでございまして、そういう趣旨から構造改革を進めるということで、その中でも特に平成十二年度までの三年間、十、十一、十二までの三年間を集中改革期間と定めて、歳出の改革、縮減を行おうということにいたしておるわけでございます。  そういう国、地方を通じてこの財政のアンバランスを是正しなくてはいけない、それが緊急の課題になっておって、なおかつ集中改革期間がまずその最初の三年間ということにされておるといったようなことを考え合わせますと、交付税率の引き上げといったような恒久的な制度改正は現実になかなか難しいというふうに判断せざるを得なかったわけでございます。  そういうことから、今回御審議お願いいたしております交付税法の改正では、十、十一、十二の集中改革期間三年間における制度改正を行おうということで、この間の償還の繰り延べと、この期間中におきます財源不足のうち交付税で対応するものについては国と地方が折半をして責任を持つ、そういう意味の制度改正を今御審議お願いいたしておるわけでございます。  もちろん地方財政の側からいいますと、恒久的な制度改正というのが望ましいということはそのとおりでございますが、今申しましたような状況から現実にはなかなか難しいということで、今の御提案は暫定的ないわば制度改正になっております。  なお、この六条の三第二項の制度につきましては、恒久的な制度改正はもちろんでありまずけれども、今御提案申し上げておりますようなものも含めて、法律の上では幅の広い選択が制度改正に許されているというのが法制局の見解でもございまして、そういうことも踏まえて今回御審議お願いしておるということでございます。御理解をいただきたいと思います。
  35. 桑原豊

    ○桑原委員 国も大変な財政難で、だからそういうふうな対応にならざるを得ないというようなことだと思うのですが、ある意味では地方の借金体質というのも、現在の国のそういう財政運営と連動してそういうものがつくられていった、こういう経緯は先ほどの御質問の中にもあったとおりです。  そういうふうなことで考えていきますと、なかなかそういう抜本的な税率改正のような話にはならないんじゃないか。結局は、国もそうだからというような形で、制度改正、小手先の対応でしかいかないんじゃないかというふうに思うのです。そういった点、自治省の方からは常々税率の改正というようなことで御要望はされているんだろうと思うのですが、法律ではそういうふうになっているけれども、それが運用されるというのは、今の状況ではちょっと見通しとしては考えられないように思うのですけれども、そこら辺はどうなんでしょうか。
  36. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 今構造改革を進めている中で、国と地方が、双方非常に財政的には密接に連動いたしておりまして、今委員も御指摘になりましたように、歳入の面におきましても、歳出の面におきましても、直接いろいろな方面で連動いたしておりまして、その双方が基本的に非常に大きな財政のアンバランスを抱えておるわけでございまして、どうやってそのアンバランスを解消していくかということが、今の構造改革の最大の課題でございます。  構造改革会議自体に、もちろん自治大臣もメンバーでずっと参加をしておられますし、我々も事務方としてずっとこの問題に関与してまいりましたけれども、まず、今のアンバランスをいかに計画的に縮小していくかということが最大の課題でございまして、そういうことから再建目標がつくられておるということでございます。  そういう状況を踏まえて考えますと、要するに、抜本的に恒久的な制度改正を行って片方の財源を片方に移動させますと、移動を受けた方は当然大幅な収支の改善なり、あるいは財政赤字の縮減を図れますが、その分、そっくりそのまま渡した側が、それだけ赤字の拡大あるいは財源不足の拡大になるわけでございまして、今の構造改革を進めていく再建目標の達成ということ、双方を通じて今の三%以下ということを決めておりまして、そういうことにはならない、そういう事情がございます。  したがいまして、今回、少なくとも集中改革期間中は、我々の方、地方財政の側も大きな財源不足が見込まれますし、また公債費の負担も見込めるというような状況でございますので、その間は、今の交付税財源不足については、今回御提案したような形でそこを対応させていただきたいというのが、今回御提案申し上げておる趣旨でございます。
  37. 桑原豊

    ○桑原委員 次に、財政構造改革という国が決めたそういう方針に基づいて、地方の一般歳出も一・六%カットだ、こういう結果になっているわけですけれども地方では、この先、介護保険などを中心にした福祉をどう充実をしていくのかとか、あるいは公共事業でも地方特有の課題で整備をしなければならないような事業もいろいろあるというふうに思います。  そういう意味では、一方的に歳出カットを国から押しつけていくというような、地方自主性自立性を阻害するような制度のあり方というのに、私は問題があるのではないかというふうに思います。  そういう意味では、この交付税制度のありようも含めてなんでしょうけれども、この際、地方自主性自立性前提にして、地方の意思を尊重した地方財政制度のあり方というものをやはり根本的に考えていく、そういう時期に来ているので一はないかというふうに思うのです。  一方で、分権というものが推進をされていくということで分権の流れができてきたわけですけれども、それを根本的に支えていくというのは、やはり地方財政の制度が本当に分権たり得ているのかどうかというところにかかってくるというふうに思うのですが、その点について、これは大臣に一言お聞きしたいと思います。
  38. 上杉光弘

    上杉国務大臣 御指摘のとおり、地方の団体が自主性自立性前提に置いて財政の健全化を行うことは当然のことでございます。全く同感でございます。  ただ、地方財政は、国の施策や予算と密接に関連をいたしております公共事業、社会保障、教育等で一般歳出の約七割を占めておるわけでございまして、国において、こうした分野における国、地方双方の歳出の抑制につながる施策の見直しを行うこともまた不可欠なことであります。  こうした観点から、平成十年度の地方財政計画におきましては、もうたびたびお答えをいたしておりますが、公共事業の分野で、国の公共事業費の七・八%の削減やこの長期計画の延長に伴う関連事業費の抑制を行ってまいりました。  いま一つは、教育の分野では、義務教育及び公立高校等の教職員配置改善計画の延長による職員数の抑制を行ってきたところでございます。社会保障の分野では、薬価の引き下げ等による医療費の抑制や児童扶養手当等の制度の改正にも取り組んでまいったところでございまして、おっしゃるように、一般歳出の七割を占める公共事業、社会保障、教育の分野において、国が勝手に法律や制度を決め、予算的方向づけをして、地方に財政負担を求めるやり方というものはどうかというのは、これはずっと地方の中にある一つ気持ちだということに私の理解も変わりはございません。  したがって、今回は、その分野にどういうふうに対応していくかという、国、地方、双方の歳出の面についての、この抑制というものをどうするかというのが大きな改革の視点だ、私はこう思っておるわけであります。  また、地方単独事業公共事業の分野でございますが、基本的には抑制の基調に立って予算を編成いたしたわけでございます。この問題については、一般行政経費の社会福祉等の経費については四・九%増の三・九兆円を計上しますとともに、地方経済の動向や地方分権の動向を踏まえつつ、地方単独事業については九年度との比較で四%の削減を、マイナスをいたしまして、十九兆三千億を確保しておるわけでございます。一方的に歳出を抑制したということではない、こういうふうに理解をいたしておるところでございます。  今後におきましても、国と地方の役割分担に応じまして、地方税財源充実確保に努めることには基本的に変わりのないことでございますし、地方自治地方分権推進の視点にも十分留意をいたしまして、地方の財政健全化に努めてまいらなければならないもの、このように考えておるところでございます。
  39. 桑原豊

    ○桑原委員 どうもありがとうございました。  続きまして、個別の税目について少しお伺いをしたいと思いますが、地方に割り当てられている税目として、それが本当にふさわしいのかどうなのか、検討の余地はないのかということがいろいろあろうかと思います。  そこで、法人事業税についてでございますが、法人事業税の税率の引き下げというのが予定をされております。しかし、法人事業税は、そもそも地域偏在性といいますか、地域での偏在性の高い税目ではなかろうかというふうに思うわけで、そういう意味では、地方税として適当かどうかということは検討の余地があるだろうと思います。  一方では、よりそういった安定性を高めるためにということで外形標準課税が論議をされているわけでございますけれども一つは、その検討の現況と展望についてお聞きしたいということと、それはそれとしても、法人事業税は地域偏在性を、そういう性格を改めていくというのも非常に難しいわけでございまして、そういう意味では、法人税と一本化して、圧縮して、かわりに国からそういう偏在性の少ない税目を地方に移管をしていくというようなことなどもひとつ考えていくべきではなかろうか、そういった二方向から少し検討の余地がないのか、こういうふうに思うのですが、その点どうでしょうか。
  40. 上杉光弘

    上杉国務大臣 現行の地方税法を全体として見ました場合に、地域間に経済力の格差が存在をいたしております限り、どうしてもある程度の税収の偏在は避けられないのではないか、このように考えておるわけでございます。特に、法人関係税につきましては、大都市圏の税収が比較的大きくなる傾向にございまして、税収の偏在について指摘する意見もあるわけでございます。  御指摘の法人事業税につきましては、税源帰属の適正化の観点から行いました平成元年度分の分割基準の見直し等に伴い、結果的にその偏在度がある程度緩和されている、このように認識をいたしておるわけでございます。地方法人課税のあり方につきましては、今後、政府税制調査会等の場におきまして、「事業税の外形標準課税の課題を中心に総合的な検討を進めること」とされておりますが、その際には、より税源の地域的な偏在が小さくなるように、御指摘の線に沿って、この偏在度を小さくするという一つの考え方から検討を行ってまいりたいと考えておるわけでございます。  なお、法人事業税、地方法人課税の今後のあり方につきましてでございますが、昨年末の政府税制調査会の答申におきましては、「地方の法人課税については、平成十年度において、事業税の外形標準課税の課題を中心に総合的な検討を進めることが必要」、このようにされておるわけでございまして、今後、政府税制調査会等の場で検討を進めることになると思います。  事業税への外形基準の導入につきましては、具体的な外形基準のあり方や税負担の変動等、なお検討すべき課題もございますが、都道府県の税収の安定化に資する等の意義もあることから、自治省といたしましては、その実現に向けまして、努力を重ねてまいりたいと考えております。さらに今後、政府税制調査会等の場で、この点も各界各層に御議論をいただきまして、大方の御理解を得られるように、さらに検討を進めてまいりたい、このように考えておるわけでございます。  この問題につきましては、本年末までの税制改正検討において取り組むべきものと考えております。いつまでもだらだらと方向を出さないということでは相済まぬのではないか、こういう考え方を持っております。
  41. 桑原豊

    ○桑原委員 早急な検討をよろしくお願いしたいと思います。  最後に、時間もなくなりましたので、道路特定財源についてだけお聞きしたいと思います。  道路特定財源が国に集中しているということで、それが陳情行政や裁量行政の根っこにあるのではないか。また、そういったことが利権の構造もつくっているというようなことから、極論になれば、道路特定財源を廃止してしまえというような意見もありますし、また一方では、国鉄の長期債務の財源にしようなどという発想も生まれてくる、こういうことなのですが、地方にも軽油引取税自動車取得税などの道路特定財源がございますけれども、これは額にしてもそんなに大きなものではございません。  しかし、道路要望の大半というのは、やはり地方での生活道路であるとか地域産業道路、そういった地方に非常に身近な要望ということが、そういう切実なものが大半だというふうに思うのですけれども、国に集中した財源で、国が裁量で行うということになれば、結局、薄まきのばらまき、そういったようなことで、効果的な道路整備ができないのではないか、こんなふうに私は思うのです。  この際、陳情行政や裁量行政にメスを入れ、効果的な道路整備というものを地方の実情に沿ってやっていくという意味で、道路財源を大幅に地方に移すべきだ、こんなふうに思うのですけれども、その点についてお伺いしたいと思うのです。  例えば、私どもの方でも、山間部の非常に大きな幹線道路なんかはかなり早い段階でつくわけですけれども、市街地の周辺部の、いろいろな意味で交通渋滞を緩和したり、あるいはその都市の活性化を促すような基幹の道路、そういったものは本当に、これは待てど暮らせど完成しない。こういうようなことで、非常に道路行政地方の方から見ていますと、ある意味ではバランスを欠いた効率の悪いものになっているのではないか、そんなふうな印象を受けるわけですけれども、そういったことも含めて、道路財源の移譲といいますか、そういうものをどう考えておられるのか、お伺いをしたいと思います。
  42. 上杉光弘

    上杉国務大臣 地方道路目的財源につきましては、御案内のとおり、地方道の整備状況あるいは新たな道路整備五カ年計画平成十年度から十四年度まででございますが、この策定状況等も十分踏まえまして、今回の改正においては軽油引取税及び自動車取得税の現行の暫定税率の適用期限を五年延長いたしまして、引き続き地方道路の目的財源の確保を図ることといたしておるわけでございます。  これによりまして、新たな道路整備計画期間中の事業に占める地方の目的財源の割合は三五%程度と見込まれ、国に比べて依然低い状況にございます。委員御指摘のとおりでございます。  さらに、財源充実を図ることが望ましいことは十分考えておるわけでございますが、現下の国の厳しい財政状況等を考えますと、現時点でこれを地方に移すということについては、全部これをやるというようなことなどは大変難しい、困難な状況にあると考えております。
  43. 桑原豊

    ○桑原委員 全部ということではなくて大幅に移譲すべきだということで、そういった方向も含めてさらに検討を深めていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
  44. 加藤卓二

    加藤委員長 午後二時に再開することとし、この際、休憩いたします。     午前十一時十分休憩      ————◇—————     午後二時二十二分開議
  45. 加藤卓二

    加藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。白保台一君。
  46. 白保台一

    ○白保委員 去る十二日に、本案に関しての代表質問を行いました。その際には、地方財政再建についての問題や、あるいは財政構造改革との関係についての問題やその他、財政の硬直化の問題、そしてまた地方単独事業抑制の問題等を含めて、さまざまに伺いました。  その際にも総理に伺いましたが、担当大臣としまして、大臣、けさほどの話にもございましたが、マスコミ等でさまざまに景気対策としての大型補正の問題等が出ておりますが、本案を預かる担当  大臣として、こういうさまざまな御意見等をどのように思われているのか、これをまず最初にお聞きしたいと思います。
  47. 上杉光弘

    上杉国務大臣 今、私どももマスコミ等を通じてしかお聞きできませんが、前の質問にもお答えいたしましたように、公式にも非公式にも、政府与党でそのような議論をしたことはまだ一度もございません。総理みずからも発言をしておられますように、補正をやるともやらないとも総理も言っておられないわけでございまして、財政構造改革の基本は変わるものではないと考えております。  しかし、臨機応変に対応していくこともまた大切な事柄でございまして、私といたしましては、切れ目のない予算の執行を図るためにも、一日も早く予算を通していただきまして、関連法案等の成立をしていただきますればまことにありがたい、このように心から念願をし、御理解をいただきたいと考えております。
  48. 白保台一

    ○白保委員 では、代表質問との重複を避けて伺ってまいりたいと思いますが、地方分権については既に四次まで勧告が出たわけでございますが、本委員会においても、地方分権推進委員会の諸井委員長は、住民自治というゴールへ行くための出発点を築いた、そしてまた、分権推進法をベースにした勧告であるから一〇〇%実現されるはずである、また、されなければいかない、こういうような発言もされたわけでございます。  そこで、大臣に、地方分権推進計画の現状、進捗状況といいますか、これをどのように承知されておるのか、それについて伺いたいと思います。
  49. 鈴木正明

    鈴木政府委員 お答え申し上げます。  四次にわたる勧告によりまして具体的な指針の全体像が示されたわけでございまして、地方分権を総合的、計画的に進めるということで、まず、分権計画というものを早期に作成することに全力を注ぐべきだと考えております。  自治省としましては、先般、大綱というものを示しまして、機関委任事務の廃止及び自治事務、法定受託事務という新しい事務区分のもとでの地方自治制度の骨格、あるいは地方団体に対する国とか都道府県の関与などの新たな地方自治制度の仕組み、これを大綱として昨年末に取りまとめたところでございまして、現在、その内容を計画に盛り込むべく作業を行っております。  また、この計画におきましては、大綱の内容のほかに個別の機関委任事務につきまして、新しい事務区分、自治事務や法定受託事務へどういうふうに整理するか、また、それに伴いまして国の関与を見直してどのようにするか、それから、都道府県から市町村への権限移譲を具体的にどうするか、それから個別の国庫補助金の整理合理化等地方税財源充実確保、これなどを計画の中に盛り込むということになります。  これにつきましては現在、各省庁において、勧告最大限に尊重するということで、個別の所管法令につきまして整理、検討が行われておるところでございます。  自治省といたしましては、計画原案の作成に向けまして調整作業を行っているところでございまして、今国会中のできるだけ早い時期に計画取りまとめるということで、鋭意努力をいたしてい  るところでございます。
  50. 白保台一

    ○白保委員 次に、昨年の十二月に総理は、地方への権限移譲、特に市町村への移譲が不十分なので引き続き検討してほしいと、これは分権推進委員会の、事務局長おいでいただいていると思いますが、諸井委員長に要請をされたわけでございます。委員長も、当委員会においても、我々も権限移譲については必ずしも十分とは思っていない、したがって、何かいい工夫がないかということを鋭意検討している、政府推進計画をつくっている間に何か落ちがないか、もう一遍よくチェックしてみる、具体的にできた段階で対応を考えると。こういうこともありますので、先ほどの点も含めて関係してまいると思います。  そこで、第五次勧告に盛り込んでいこうという内容についてでございますが、この内容だとか提出時期が明らかにできるならば教えていただきたい、こう思います。
  51. 東田親司

    ○東田政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先生御指摘のとおり、昨年暮れでございますが、総理の方から、行政改革会議最終報告において、国、地方を通ずる行政の役割を見直す見地からも改めて地方分権を進めることとされているところであり、市町村べの権限移譲を含む国及び都道府県からの事務、権限の移譲などの問題について、さらに検討を進めていただきたい、こういう御趣旨の要請がございました。  これを受けまして、分権委員会といたしましては、権限移譲関係につきましては四次までの勧告においても触れたところではございますけれども、改めての要請であるということで、対応する方向で審議いたしまして、まず固めましたのは、検討の視点といたしまして、国と地方の役割分担の明確化、それから二点目は国の行政組織のスリム化、三点目は市町村への権限移譲の推進、この三つの検討視点を固めたところでございます。  それで、お尋ねは、この内容あるいは時期ということでございますけれども、現在、この検討視点に基づきまして、二月から、有識者それから関係団体のヒアリングを大体毎週のように開いているところでございます。二月から四月くらいにかけまして、この有識者等のヒアリングを行いまし  て、論点を洗い出しまして、その後この論点を絞った上で、関係省庁意見を聞く等の調整作業  に入ると思っております。  したがいまして、現時点におきましては、まだ取り上げるべき課題の範囲や分量等が固まっておりませんので、内容は具体的にどういうものであるということをちょっと申し上げる段階にございませんし、スケジュールもまだはっきり固まって  はおらない、こういう状況でございます。
  52. 白保台一

    ○白保委員 新聞などで時々出てきたりするような項目があったりするわけでございますが、そういった内容とかそれから時期的な問題というのは、これは否定されますか。そうじゃないということですか。
  53. 東田親司

    ○東田政府委員 新聞等で、私どもの取り上げる具体的な課題、あるいは取りまとめの時期が夏ころでないかというような報道もなされておるのは承知しております。取り上げる課題につきまして、あるいは時期につきましても、委員会としてまだ何かを決めたということは全くございません。  これまで二回ほど有識者の方々をお招きしたヒアリングをやっておりまして、約六人くらいの方からお話を伺っておりますので、その方々のお話の中に報道されているような事項があることは事実でございますが、私ども委員会として、何を取り上げるかというのは、まだ全く白紙の状態でございます。それから、時期につきましてもそういう状況でございます。
  54. 白保台一

    ○白保委員 じゃ、前へ進めますが、地方分権の受け皿づくりとしての市町村合併、これの推進が打ち出されて、進められているわけでございます。自治省もプロジェクトチームを設けて、行財政措置の拡充等、合併支援策の検討に着手しているわけでありますが、また地方行革の要請も強まっておりますし、合併による経済的効率の面からも、合併推進の機運は非常に高まっています。  昨年本委員会も、委員会として、沖縄県の久米島の仲里村や具志川村、そしてまた沖縄本島中部の具志川市、勝連町、与那城町の合併をにらんで、推進の状況等を視察を行ったわけでございますが、昨日もある首長さんが来られまして、千人ばかりの人口のところでやっていても、自治体では本当に予算等の規模からいってもまさに自治の精神が問われていくような、そういう感じを持つということも言われておりました。  そういった面では、第二十五次の地方制度調査会は、合併に関するアンケート調査を実施して、十二月には中間報告をまとめ、本年四月には最終答申を出すとの報道があったり、あるいは地方六団体による自主的市町村合併研究会も、二月二十三日、地方制度調査会へ意見の反映を図るために報告書をまとめるなど、合併の動きが進んでおる、こういうふうに思うわけでございますが、大臣、この動きの中で、今国会に合併推進改正法を合併を進めるために提出されるかどうか、または出されるのでしたらいつごろ出される考えでおられるのか、これをお聞きしたいと思います。
  55. 上杉光弘

    上杉国務大臣 市町村合併について、私に対する所見のお尋ねであり、いつごろまでにそういうまとまったものを出し、示すのか、こういうことでございますが、私は、今後の少子・高齢化の進展に対応いたしまして、市町村におきましても、高度かつ多様な役割を担うことが求められておるということには違いないと思うのです。  もう一つは、実行段階に入りました地方分権の成果を上げるために、市町村の自立が求められておることも確かなこれは事実でございます。さらに、厳しい財政状況の中で、市町村行政の合理化、効率化を図ることが求められていることも事実であります。こういうことから、自主的な市町村合併を積極的に推進する必要があると考えております。  現在、地方制度調査会において御審議いただいておりますが、これまで幾つかの論点がございますが、合併市町村内の地域格差が生じないよう施策の充実、それから二つ目には一層の財政措置の拡充、財政サイドからの問題もあります。三つ目には、市町村合併のパターンを作成するなど、都道府県の役割の拡充も論議になっておるわけでございます。このような方策について、極めて濃密な御論議をいただいておるわけでございますが、こうしたことを含め、この春には答申をいただけるものと考えておるわけでございます。  自治省といたしましては、この答申を踏まえまして、市町村合併の推進に関する基本的な事項について地方分権推進計画に盛り込み、これに基づき、制度改正や具体的な支援策など、実効ある方策を講じまして、市町村合併を積極的に支援してまいりたい所存であります。
  56. 白保台一

    ○白保委員 ただいまるる細かく説明いただきましたが、この最終答申を受けて、その推進計画に盛り込んで制度改正というお話がございましたが、先ほど私申し上げたのは、そのための法改正を今国会中にやられるのでしょうか。
  57. 鈴木正明

    鈴木政府委員 お答えいたします。  流れといたしましては、この春に地方制度調査会の答申がなされる。それを受けまして、先ほど申し上げましたが、分権推進計画というのを今国会中のできるだけ早い時期にということで取りまとめてまいりたい。そこに、その基本的な事柄については計画の中に位置づけてまいりたいということでございます。  それから、それを受けまして法制上の検討を行いまして、法律として必要なことについては必要かどうかの検討、あるいは財政的な措置についての検討、その他具体的な支援策についての検討ということになりますので、なかなか今国会中にそこまでの結論が得られるかどうかというのは難しいのじゃないかと思います。
  58. 白保台一

    ○白保委員 要するに、答申を受けて、それから推進計画に盛り込んで、改正が必要かどうかというこれから検討をされるということですね。  では、続けますが、税財政についてお伺いしたいと思います。  地方分権推進委員会勧告事項が着実に実施されるならば、まさに分権改革への道筋が確固たる方向へ進んでいくだろう、こういうふうに思うわけでございますが、国と地方の財政関係について、地方自治体の自主性自立性を高める観点から、基本的な見直しを行う必要があるということは、分権推進委員会からも勧告を受けているわけでございます。  そういった中で、国庫補助負担金の整理合理化の問題とか、あるいはまた存続する国庫補助負担金の運用、関与の改革、地方税地方交付税等の一般財源充実確保の視点から、財政面における自己決定自己責任の拡充に向けた改革案が勧告されているわけであります。  そういった意味で、国と地方の財政関係の基本的な見直しと国庫補助負担金制度の改革に取り組んでいかれると思いますが、そのことについてどう取り組まれておるのか、基本的な問題ですが、お伺いいたします。
  59. 上杉光弘

    上杉国務大臣 国と地方公共団体財源関係等の見直し、一般財源の確保も含めて、自治省としての基本姿勢はいかに、こういうことでありますが、地方分権推進に対応した財政のあり方につきましては、全く御指摘のとおりであります。  補助金、税財源につきましては、地方分権推進委員会の第二次勧告において具体的な提言をいただいておるところでございます。この第二次勧告最大限に尊重いたしまして、地方分権推進計画を策定し、補助金等の整理合理化や、事務、権限の移譲に応じて必要となる地方一般財源の確保を図りますとともに、地方税財源充実強化に積極的に取り組んでまいる所存でございます。
  60. 白保台一

    ○白保委員 次に、我が国の財政は、かってないほどの危機的な状況であるということはそのとおりでありまして、そのために、歳出のあらゆる分野において聖域を設けることなく削減が求められている、こういう状況があります。  その一方で、地方分権推進によって、国と地方関係が対等・協力の関係に移行することとなっていく。先ほども大臣からも答弁がございましたが、したがって、地方自治体の自主性自立性を飛躍的に高める必要があるわけであります。国庫補助負担金制度の改革に当たって、国、地方を通ずる厳しい環境のもとで、地方分権の観点から、地方自主性自立性強化と、そしてまた財政資金の効率化を同時並行的に進める必要があることは当然であります。  そういうわけで、国の財政負担の軽減等、今、国が厳しいからといって補助率の引き下げは認められないけれども、この改革をどのように進めていくのか、このことについても伺っておきたいと思います。
  61. 上杉光弘

    上杉国務大臣 国庫補助金の整理合理化をする場合に、地方への負担転嫁があってはならないという意見を付しての方向と改革についての御質問でございますが、国庫補助負担金の整理合理化に当たりましては、地方分権に資するよう、地方分権推進委員会の第二次勧告を踏まえまして、まず一つは存在意義の薄れた事務事業に係る補助金等の廃止、二つ目が地方に同化定着しているものの一般財源化及び必要な地方一般財源の確保、三つ目が公共事業重点化でございますが、これも前の質問お答えしたとおりでございまして、これらのことを進めていく必要があると考えておるところでございます。  また、国、地方を通じます財政の健全化を図ります観点から、国、地方双方の歳出抑制につながる施策の見直しが重要でございまして、国から地方への負担の転嫁のようなことが行われることのないように、申し上げるまでもなく、この点に十分注意をいたしまして、各省庁とも協議をいたしてまいりたいと考えております。
  62. 白保台一

    ○白保委員 そういった中で、国庫補助金の廃止や縮減、こういったことも考えられるわけですね。その場合の地方財源の確保が当然のこととなるわけですが、国税から地方税への税源移譲というのが行われなければなりませんが、それをどう考えておられるのか、重ねてお伺いしたいと思います。
  63. 上杉光弘

    上杉国務大臣 この点もたびたびお答えをいたしておりますが、地方分権の進展に応じまして、地方公共団体がより自主的、自立的な判断のもとに行財政運営を行えるようにするためには、地方税充実強化していくことが極めて重要な課題でございます。  地方税源の充実確保につきましては、地方分権推進委員会第二次勧告は次のように示しておるわけであります。国と地方公共団体との役割分担を踏まえつつ、中長期的に、国と地方の税源配分のあり方についても検討しながら、地方税充実確保を図っていく必要があるとして、その方向を示しておるわけでございます。  私は、国から地方への税源移譲ということもその際の重要な課題であり、委員の御意見、御指摘のとおりだと考えております。こうしたことを踏まえながら、地方税源の充実確保を図ってまいりたいと考えております。
  64. 白保台一

    ○白保委員 次に、地方自治体がその住民の生活を向上させるために実施する各種の行政サービスに要する経費は、その住民負担する地方税によって賄われていく。これが地方自治の原点であって、最も望ましい姿であることは当然のことでありますが、我が国では、国の政策遂行の手段として、これまで国庫補助金あるいは負担金が行政のあらゆる分野にわたって支出され、また、地域間の経済力の格差からくる財政力の格差を調整する意味で、地方交付税地方譲与税等の調整財源の比重が極めて高く、歳入中に占める地方税の割合が低くなっています。  この傾向というのは、戦後、経済の高度成長に伴い、地域間の経済力の格差の拡大に比例して大きくなってきているわけでありますが、地方分権推進委員会勧告の中で、「地方税については、基本的に、この地方における歳出規模と地方税収入との乖離をできるだけ縮小するという観点に立って、課税自主権を尊重しつつ、その充実確保を図っていくべきである。」こういうふうにしているわけでございます。  地方税制の改革について、これをどのように考え、どのように検討をされてこられたのか、あわせてお答えいただきます。
  65. 上杉光弘

    上杉国務大臣 地方分権推進いたします観点から、地方団体課税自主権を尊重いたしまして、各地方団体がみずからの判断と責任において地方税の運用を行い得るための制度を拡充していくことが必要であると考えております。  地方分権推進委員会の第二次勧告におきましては、地方団体課税自主権を尊重する観点から具体的な勧告がなされているところでございますが、この勧告を踏まえて、順次、法律改正措置を講じ、課税自主権の拡大に努めてまいりたいと考えておるわけでございます。  行政改革、地方分権推進、またこうした地方課税自主権の拡大等は、私は一体のものであろうと考えております。
  66. 白保台一

    ○白保委員 地方財源総額というのは、景気変動等に対処するための借入金や、それ以外の財源として、地方税のほか地方交付税地方譲与税、国庫補助負担金などがあるわけですが、地方自治の理想からして、地方税の割合をできるだけ引き上げて、ひもつき財源である国庫補助金の負担をまず減らし、次いで地方交付税地方譲与税等の調整財源の比重を下げるべきであるといった議論もあるわけでございますが、自治省としてこういつた議論についてどのようにお考えでしょうか。
  67. 上杉光弘

    上杉国務大臣 地方分権推進委員会第二次勧告におきましては、地方税について、基本的にはこのように言っておるわけであります。  地方における歳出規模と地方税収との乖離をできるだけ縮小するという観点に立って、課税自主権を尊重しつつ、その充実確保を図っていくべきとされ、また、国と地方公共団体との役割分担を踏まえつつ、中長期的に、国と地方の税源配分のあり方についても検討しながら、地方税充実確保を図っていく必要があるとして、たびたびお答えいたしておりますように、その方向性が示されております。  地方税源の充実確保地方分権推進にとって極めて重要な課題であると認識をいたしておるわけでございまして、今後、地方分権推進委員会勧告を踏まえ、所得消費資産等の間におけるバランスのとれた地方税体系や、税源の偏在性が少なく、税収安定性を備えました地方税体系の構築などに努めまして、地方税源の充実確保を図ってまいりたいと考えております。
  68. 白保台一

    ○白保委員 これは十六日の官庁速報、時事通信ですが、公債費の負担比率について配信されていますが、公債費負担比率が、過半数が警戒ラインを突破ということで、市町村の九六年度の普通会計決算について自治省が発表をいたしております。  それによりますと、自治省は、市町村の一九九六年度普通会計決算をまとめた。歳入総額は前年度比〇・一%減の五十三兆三千三百四十五億円で、戦後初のマイナス伸び率となった。歳出総額も五十一兆八千九百八十六億円と前年度を二十五億円下回って、五五年度、前年度比〇・二%減以来二度目の前年度割れを記録した。九五年度のように大型の景気対策が盛り込まれなかったのが主因である。地方債の元利償還金が財政へ与える影響度を示す公債費負担比率は、警戒ラインの一五%以上の市町村が百七十一団体にふえて、全体の半数を超える五〇・五%に達した。財政構造の硬直化が進んでいる実態が浮き彫りになった。  こういうような通信が出ております。まず、そのことについて確認をしたいと思います。
  69. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 平成八年度の決算で、いわゆる公債費負担比率が、警戒ラインと私どもはよく申しております一五%を超えている団体が、今委員御指摘になりましたように、半分を少し超えたところまでふえてまいりまして、財政の硬直化が進んでいるという状況は御指摘のとおりでございます。
  70. 白保台一

    ○白保委員 それで、このことについてですが、自治省としてはどのように対応をされ、検討されておるのか。
  71. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 この公債費の負担の圧力が非常に高くなっておるということは地方財政の最も大きな問題の一つでございまして、まず、全体といたしましては、何といいましても、借り入れに依存する体質からなるべく早く脱却しなくてはいけないということがございます。  そういうことから、財政構造改革の方向に基づきまして、まず国と地方が双方で歳出の抑制につながるような施策の見直しを行って、そのことによりまして、地方の場合には、交付税特別会計の借入金でありますとか、あるいは特例的な地方債でありますとか、そういう借入金の縮減あるいは地方債の抑制に努めていかなくてはいけないというふうに考えているところでございます。  一方で、過去に出しました公債費の償還経費につきまして、必要な経費を見込んで毎年度の地方財政の運営に支障が生じないような地財計画の策定をしていかなくてはいけないということがございます。  一方で、個別に見ますと、先ほど申しましたように、半分以上の団体が一五%ラインを超えているような状況でございまして、その中でも特に公債費の負担の多いところでは、市町村で自主的に公債費負担適正化計画というのを策定をしていただきまして、公債費負担の軽減に取り組むためのいろいろな努力をされる、そういうことに対する支援措置というものも拡充をして、公債費負担の重い市町村における財政の健全化を支援してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  72. 白保台一

    ○白保委員 次に、本案と関連して、沖縄県の振興に係る地方税財政上の措置の問題がございます。  これは、沖縄等基地所在地地方団体の基地関係経費の普通交付税措置として、米軍の専用施設が集中する沖縄県下の基地所在地市町村を初めとする基地が所在する地方団体における清掃関係経費、消防活動経費、基地関係の渉外事務あるいは公共施設の消音化等の財政需要に着目して、九年度から新たに普通交付税措置を講じているわけでございますが、その算定に当たってはどのようなことを勘案をしてなされておるのか、これをお聞きしたいと思うのです。
  73. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 平成九年度の普通交付税から、基地に係ります財政需要に対する交付税の算定ということを行っておるわけでございますが、これにつきましては、基地が所在することによって生じます地方団体の清掃、消防あるいは基地関係の渉外事務等の財政需要につきまして、全国の基地所在の都道府県、市町村を対象に措置するものでございます。  これらの財政需要につきましては、基地所在地方団体の実態を勘案いたしまして、米軍基地及び自衛隊基地の面積と、国勢調査人口にカウントされておりません米軍軍人等の人口、こういう客観的な指標に基づいて算定をいたしておるところでございます。
  74. 白保台一

    ○白保委員 算定に当たっては、今御答弁ございましたように、軍人軍属、そういった人たちの人口とか面積、こういったものを算定基準にしておられるということでございました。  実は局長、例えば私どもの嘉手納に空軍基地がございます。あそこは町面積の八三%が軍にとられているわけでございますが、軍人軍属がそちらの方には住んでいない。そういったことで非常に厳しい状況にあるわけでございます。一七%の小さなところで振興計画をつくって展開しようとしても、極めて厳しい状況で、よく政治は閉塞状況にあるようですが、嘉手納町の方がもっと閉塞状況にありますというふうに町長に言われるぐらい、狭隘な面積の中で物事を展開するので苦労しているわけですね。そして同時に、爆音訴訟が起きているぐらい、環境の面で非常に悪い。そういう状況というのが現実にあるわけです。  したがって、この算定に当たっては、単に軍人軍属の人口あるいは面積だけで計算をされると非常に厳しい状況があるな、こういうことがあります。  私は、提案でございますが、そういった騒音とか、あるいはさまざまな環境の問題というのが今後は大きな問題となってくるのではないか、したがって、環境の問題を含めたことも考える必要があるのではないか。環境アセスの問題、これはもう何を展開するに当たっても、今は環境が基本ですから、そういう面から言うと、従来のこのような状況ではなくして、ぜひそういった環境の問題等も含めた算定をなされてはどうかと私は考えておりますし、ぜひその辺のことも勘案をしていただきたい、こう思いますが、いかがでしょうか。
  75. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 この普通交付税の算定に当たりましては、先ほど申しましたように、米軍の軍人軍属の人口でありますとか米軍基地あるいは自衛隊基地の面積といったような客観的な指標を用いて算定をいたしておるところでございまして、これは、普通交付税ができるだけ標準的な経費を客観的な数値をもって算定するという、普通交付税に与えられた任務からくるところでございまして、今、委員、たまたま嘉手納の例もお挙げになりました。私どもも算定をする前から嘉手納の町長さんからもいろいろ御意見を伺っておりまして、また意見の交換もしたところでございますが、この騒音でありますとかいったようなこと、それに伴う財政需要を客観的にどうとらえたらいいのかということがなかなか難しい面がございます。  先ほど申しましたような普通交付税の性格からいたしますと、被害状況に応じた財政需要というのを客観的にとらえるということが困難であるというのは、私どもの方でいろいろ考えました結果、やはりそういうことになります。  一方で、交付税は普通交付税のほかに特別交付税がもちろんあるわけでございまして、特別交付税の算定に当たりましては、今申しましたような騒音関係も考慮いたしまして、この騒音関係につきましては御案内のように防衛施設周辺の騒音対策の工事、生活環境の整備に関しますいろいろな工事がございまして、それに伴って地元の地方団体負担する額がございます。特別交付税の算定に当たりましては、そういったようなことをとらえた負担額をもとにして、基地による騒音等を勘案した配分を行っているというところでございます。  いずれにいたしましても、これは九年度から初めて普通交付税の算定を始めたわけでございまして、関係地方団体の方から財政需要の実態がこういうふうな実態になっているとか、あるいはこういう指標でとらえたらどうかといったようないろいろな御意見がまたこれからも出されるのではないかと思いまして、そういうことをよく伺いながら、今後の算定に当たっては検討してまいりたいというふうに考えております。
  76. 白保台一

    ○白保委員 実は、今回、この中に清掃関係の問題だとかあるいは消防活動だとかそういった問題等が含められていて、これは妥当なことだ、こう思っております。特に清掃関係の問題を申し上げますと、私自身が経験していることでございますが、文化論をここで申し上げるつもりはないのですけれども、文化の違いといいまして、基地の中と外に、両方に分かれて住んでいらっしゃいますが、外に住んでいる方々が移動する場合に、この人たちの文化というのは、物を持って動かないのです。全部置いていくのです。そうすると、自治体がこれを片づけるには大変な手間暇がかかるのです。ですから、こういう清掃の問題等も入っていることについては私は非常に妥当なことだな、こう思っております。  したがって、今後の問題として、やはり基地から派生するそういったさまざまな問題等を勘案した考え方というのは、今後の問題として含めていくことが妥当であろう、こういうことを申し上げたい、こう思います。  続けますが、もう一つは、本法案の中に沖縄振興開発特別措置法との関連で、自由貿易地域等の関連で、情報通信産業振興地域における一定の情報通信産業の用に供する施設に対する特別措置の創設、時間がありませんからまとめていきますが、観光地域内における一定の観光関連の特定施設に対する特別措置の創設、この二つが入っています。これについての効果とかその辺のことについては試算とかそういったものがなされているのでしょうか。
  77. 成瀬宣孝

    ○成瀬政府委員 お答えをいたします。  現在国会提出されております沖縄振興開発特別措置法の一部を改正する法律案により新たに創設をされます情報通信産業振興地域につきましては、今後高い成長が見込まれる情報通信産業の集積の促進を図るため、地方税制上の措置といたしましては、その地域内において、一定の情報通信産業の用に供されます土地や施設に係ります特別土地保有税あるいは事業所税の非課税措置ないしは課税標準の特例措置を講じることといたしております。  これらの税制上の措置を講ずることによりまして、こうした情報通信産業振興地域に対して講じられます他のもろもろの沖縄振興施策と相まちまして、情報通信産業の集積が図られることが期待され、沖縄の振興にも資するものと考えております。  同じく、新たに創設されます観光振興地域につきましては、観光産業が沖縄県経済を支える主要な柱であることにかんがみまして、地方税制上の措置として、その地域内におきます特定民間観光関連施設の用に供されます土地施設に係る特別土地保有税の非課税措置事業所税の非課税措置あるいは課税標準の特例措置を講じることといたしております。  これも、観光振興地域に対して講じられます他のいろいろな国税、地方税を通じますもろもろの沖縄観光振興対策と相まちまして、沖縄県経済を支える観光産業の振興を図ることが期待され、沖縄の振興にも資するものというふうに考えております。  定量的にどのぐらいの効果があるかということはなかなか難しいかと思いますけれども、そうした振興に少しでもつながるようにということが期待されるところでございます。
  78. 白保台一

    ○白保委員 これは自由貿易地域、特別自由貿易地域、そういった問題でありまして、フリーゾーンというのは国際競争の中でやっていかなければならない問題なんですね。課税そのものが、法人課税とかそういった問題が、フリーゾーンですから国際水準の中でまさに競争してやっていけるのかどうかという問題等も基本になければいけないわけで、そういった意味からいうと、この国際水準に合って、そして国際競争の中で十分やっていけるものだ、こういうふうに受けとめてよろしいわけですね。
  79. 成瀬宣孝

    ○成瀬政府委員 今回の地方税制上の特例措置は、沖縄県が策定をいたしました国際都市形成に向けた新たな産業振興策などを踏まえまして、沖縄開発庁初め関係省庁とも十分協議の上講じることとしているものでございまして、特別自由貿易制度の創設など、今回の特別措置法の改正に伴います他のさまざまな措置と相まちまして、沖縄の振興開発を推進し、沖縄における地域産業の国際社会における競争力の維持向上にも資するものというふうに考えております。
  80. 白保台一

    ○白保委員 時間が来ましたので、終わります。
  81. 加藤卓二

  82. 鰐淵俊之

    鰐淵委員 私は、自由党の鰐淵でございます。本会議で一部御質問を申し上げましたが、十分程度ではなかなか意を尽くせない点もありますので、その問題を少し掘り下げて伺いたいと思っております。  まずは最初に、マクロ的な話を二つぐらいお話しいたしまして、大臣の所感をお伺いしたいと思っております。  その一つは何かと申しますと、これは橋本総理もおっしゃっているわけですが、今の六つの改革はまさに、明治維新に行った改革、そして富国強兵、近代国家に歩む道筋、二つ目は、いわゆる終戦を迎えて日本が焦土と化したこの国土からみんなが一心不乱に努力をして復興し、いち早く近代国家あるいはまた世界に復興する国家として頑張っていく、そういう時期、そして戦後五十年を過ぎまして、今や平成の改革と言われているわけでございます。  私はまさにその歴史観は正しいというぐあいに思っておりますし、そういう意味では明治維新の改革、戦後の改革、それから平成の改革、いずれも前二つに劣らない改革をするということになりますと、相当これはドラスチックな改革をしなければ、本当の地方分権意味というものは薄れてくると私は思っているわけでございます。  したがいまして、その決意による平成の改革に匹敵するいわば行政改革の中で、いわゆる中央集権型から地方分権型社会に移行するということは、今、国民あるいは衆参の決議もございます、地方制度調査会でも答申されております。こぞって地方分権型社会ということについては異議のないところと思うわけでありますが、まず一つ、その決意をお聞きしたい。  二つ目は、今度地方分権を進めていく上において非常に大きな障害になるのは、今いろいろな方々から御質問があったとおり、各省庁にある補助金、この補助金がたくさんあるわけでございます。地方では、それは都道府県を通じますと、縦型の社会、縦型の行政でもってどうしてもいかざるを得ない。この補助金が残っている限り、なかなか地方分権といっても、やはりこの省庁の縦割りから流れてきてそれを受ける市町村は、地方分権をしていくといっても難しいものがございます。  二つ目は、やはり許認可事務であります。  何かやろう、自分たちで自分たちの町をつくっていこう、住民とともに頑張っていこう、こういつたときにやはりこの許認可を受けなければならない。なかなか自主的にやっていけないというものが相当大変な数があるわけであります。こういった許認可という問題がこれまた大きく地方分権を阻んでいるものでございます。  三つ目は、やはり各省庁がそれに基づいて、これは補助金もそうですが、各種行政の通達に基づいて大変多くの通達が次々に出されて地方の自治体に参ります。その通達によって、自主的にやろうという自治体の行政というものがやはりその通達事務によってかなり規制されてくる。  こういった規制、このような三つの規制を思い切って撤廃しなければ、平成の改革の名に値する地方分権はなかなかできない。地方分権推進委員会皆様方が大変な会議を重ねて今のような労作を、四次まで勧告が出されておりますが、私、この四次の骨子をいろいろと読ませていただきました。かなり今までよりは進んでおる、進歩しておると思いますけれども、どうも思い切った改革ということについてはいま一つと、こういう感じがするわけであります。  したがいまして、最後の結論になりますが、これは今の時点で行うのは非常に難しいということも当然私もわかっておるわけですが、しかし最終的には、封建時代のことを話しても今とは違うと思いますけれども、幕藩体制という一つやや思い切った地方分権のあり方もあります。ということは、各藩でお金をつくったり、あるいはまた藩で自主的にやっていた。その中で幕府が統制をとるということはありましたが、これは別にして、そういうこともございました。  それからやはり外国では、アメリカあたりでは連合になっておりますし、州がかなりな自主的な行政権を持っております。例えば、今言った課税自主権も持っておる、消費税も州によって違う、弁護士もその州によって認可をする。思い切った分権制度をとっている。  こういうことを考えていきますと、今三千二百五十でしょうか、かなりの地方自治体、市町村があるわけでありますが、やはり思い切ってこの地方自治体というものの数を少なくしていく。私の持論は、やはり国と地方、この二つの形にして、地方は都道府県と市町村が合体しまして、自治体を大きく分けていく。これがやはり最終的な目標ではないかと私自身はそう思っておりますが、現実的にはなかなかやはり難しい面もあるわけでございます。その辺は理解しているつもりでございますが、今後、そういったものに向かって私はできるだけ意見を申し上げ、努力をしていきたいものだと思っております。  以上、マクロ的なお話の中から大臣の所感をいただければ、このように思います。
  83. 上杉光弘

    上杉国務大臣 私は、今回の改革は、地方に限って申し上げれば、地方における行政があります、財政があります。これが一つ。それからもう一つは、地方分権推進という問題がございます。三つ目には、これを受ける受け皿としての地方団体がどういう体制で受けるかという問題があろうかと思うわけでございまして、これは一つ一つ切り離して議論されるべきものじゃなかろう、三点セットだ、私はそういう認識でおるわけでございます。  それで、この基本をなすものは、総理もたびたび言っておられますが、言うなれば、徳川幕藩体制から明治政府に移行したときに行われました大改革がございます。それが廃藩置県でございます。しかし、この折目指したものは、国−都道府県−市町村という上下の関係における中央集権のもとに近代国家を目指したことに違いありません。  しかし、明治時代に福沢諭吉が言っておりますように、「一條の巨根は幾多の細根に若かず」という、記憶が間違っていなければそういう発言を「分権論」の中で既に明治時代にいたしておるわけでございまして、やはり市町村の末端行政がきちっとならなければならぬというのは、これはもう私が今さら申し上げるまでもないことだと思うのです。委員地方行政を経験されておるわけでありますから、申すまでもなくそういう御苦労や経験を豊富にお持ちだと思うのです。そういう意味で、今回の改革は明治以来の大改革だと私は思っております。  その基本は、縦にあったものを、中央集権を、国、都道府県、市町村と横に並べまして対等の立場でこれを分権していくというものにあると私は思っておるわけです。これは、行政改革の明治以来の大改革ではないかと。  地方分権もまたそれと同じように大改革を決意したわけでございまして、これがスムーズにいくためには、財政の問題もございます。また、国内的には少子・高齢化にどう対応していくかという政策の具体的な対応の問題もあります。社会保障問題へも連動した問題です。税制にも連動した問題だと思います。  加えて、国際社会でどう生きていくかという我が国の生存と将来の発展的方向も含めた国民生活を含めた問題があろうかと思いまして、そういう意味での今回の行財政改革、そして地方分権推進、これを受けて立つ受け皿としての市町村の体制をどうするか、問題はそこにあると私は最終的には思います。  これらの問題をどう市町村が受けて、そして決断をしていくかということです。これは国から押さえつけてやるものじゃありません。あくまでも市町村の自主的判断、自立的判断に基づく決断がそこには厳しく求められてくる時期が必ず来る。そのことを十分市町村というか地方団体には御理解いただきまして、受けて立つ受け皿体制をどうするかというこの論議地方において、議会においても、あるいはこの行政の中においても、そして地域住民の皆様の上にも、広く理解し、広く議論をした上で方向づけがなされなければならない。  そのために、国は国として、政府政府としてどのように支援をしていくかというのが基本ではなかろうか、このように考えております。
  84. 鰐淵俊之

    鰐淵委員 ただいまの大臣のお考えは全く私も同感でございます。  したがって、いわゆる明治維新、戦後、これはいずれも中央集権的手法でなければ日本の国家が進展していけない事情もあった、こういうぐあいに思います。ですから、その当時は中央集権によってこれだけの国家を形成してきたということも言えるわけであります。  今度の改革は、今大臣がおっしゃったような観点から、やはり今世の中はグローバルの時代、ボーダーレスの時代でございますから、国家と政府というものは世界の中の日本という意味から、少なくとも国家的な仕事をする、地方の仕事はあくまでも地方に任せていく。それが、主従の関係ではなくて、あるいは上下の関係ではなくて、対等の関係であるということは、まさに私はそのとおりだと思うわけでございます。今後、そういった形でひとつ地方に対する御指導をいただければ、このように思います。  さて、続いて、ぐっと調子はミクロの方になりますが、私は、この地方分権推進委員会勧告を見まして、非常に理解できないというものが多々ございます。  その一つとしましては、都市規模に分類して権限の移譲をしているわけでありますが、私ども長い間地方を経験した者にとりましては、十万都市といえば十九万九千まで十万都市でございます。それを二十万都市と十万都市と分けまして、そしてかなり仕事を落とす内容は違っておりまして、いわば、十万都市になりますと、本当にささいな権限移譲しかなされておらないわけであります。  この辺につきましては非常に不満でございまして、これはまだ実際に、勧告案として出てきたわけですから、これから自治省推進計画をつくり、その中でいろいろと検討されることとは思いますけれども私は、都市規模にこだわる必要はないのではないか、このように思うわけでございます。  例えば、地方自治体で、いつも私ども一番現場でもって考えることは、自分たちの町をつくっていく、建設をしていく、そして住民の方々と話していく、その中にはやはり都市計画というものがございます。どういう都市をつくっていくか、その中にはどういう道路をつくるか、公園をつくるか、あるいは用途地域、商業はこういうところにつくろう、あるいはこういうのはひとつ緑化をつくろう、これは、我々、自主的に幾らでも判断できるわけです。  ところが、今のこの都市規模等のあれでは、自分たちでできない。都道府県の認可をいただく、場合によっては国の認可をいただく、こういうことに相なりました。これは、私は、地方分権というよりは、どうも地方分権とは逆行しているのではないか、もう少し地方自治体、基礎自治体に、いわゆる住民に近い自治体に任せていくべき仕事の内容ではなかろうかと思う。  あるいはまた、例を言いますと、農振法というのがありますが、いわゆる農業地域を策定する。それから、用途地域の中では、調整区域というのがあります。この調整区域を市街化区域に変更する、あるいは農地を一部改廃して住宅団地にするとか、こういつたことは、やはり自治体の方々がもう本当に肌で感じているわけでございますから、これらの計画を立てれば、それはわざわざ都道府県や国の認可は必要ない、私はこのように思うわけであります。  残念ながら、推進委員会の中ではそこまで提示されておりませんし、私は、諸井委員長にもこのことを質問いたしました。質問いたしましたら、そこです、我々は十万でもよかったんだけれども、いろいろ検討した結果がこんな形になった、こう言われましたので、ああ、やはり少し考えておられるのかなと思いました。こういった点についてどのような所感を持っておられるか、お伺いしたいと思います。
  85. 鈴木正明

    鈴木政府委員 お答え申し上げます。  都市の規模に応じて事務の移譲をしていくということを中心としたお話でございます。  まず、市町村に対して権限、事務を移譲していく場合に、できる限りやはり一律に市町村に権限を移譲していくということが望ましいということは、そのとおりだというふうに考えております。  しかし、今回の第四次勧告におきましては、市町村への権限移譲をできるだけ推進していこう、できるところがら推進していこうという観点で、いわば事務処理に必要とされる専門的知識とか技術というものをやはり備えた組織体ということを頭に置きまして、人口規模に応じて段階的に権限を移譲することも必要であるというふうに考えております。  その際、どの程度の人口規模を有している市町村であればどのような権限を移譲できるかということにつきましては、今お話ございましたが、個々具体の事例に即して検討する必要があるというふうに考えております。  今お話しのように、例えば、人口十万以上の市に中心に、そこにおろしたらどうか、あるいは全市町村におろしたらどうかという御議論につきましては、例えば、地方六団体等におきましても、人口十万以上の市にこういった権限を移譲すべきでないかという御意見もいただいておりますので、それは現場の御意見ということで私どもは受けとめさせていただいているところでございます。  お話のございました都市計画につきましては、まさに市町村が中心になってやはり処理していく事柄であると考えております。  今回の勧告におきましても、都市計画の決定の関係では、かなりの部分について市町村への権限の移譲が図られております。例えば、道路などでも、十六メートル以上のものでも四車線未満であればこれは市の方の決定になる、あるいは公園についても十ヘクタール未満のものは市町村の決定になる、あるいは土地区画整理などでも面積がかなり広いものまで決定になるというようなことで、市町村への都市計画の決定権限が市町村におりているということがございます。  それからまた、性格的にも、自治事務という位置づけをして、県の認可ということでなくて、県との事前協議というような対等・協力の考え方で整理をすべきである、こういうような考え方で勧告がなされておりますので、私どもとしては、そういうことを踏まえまして、計画の中にきちんと位置づけるよう各省とよくお話し合いをさせていただきたい、こういうふうに思っております。
  86. 鰐淵俊之

    鰐淵委員 時間が進行しておりますので、私、御意見だけ申し上げます。  基本的には、この町づくりは、やはりみずから、住民の近いところで決定すべきものと思います。その町に道路をつくる、公園をつくる、あるいはもろもろな都市施設をつくる、これは、一番そこの住民が知っているわけでございますから、その知っている方が自分で決めて自分責任をとる、そして、それでまた金がかかれば自分でそのお金もつくる、そのくらいな自己責任を与えることにしていかなければ地方分権というものも進んでいかない、私はこのように思います。  それから、御案内のとおり、市には、指定都市もあれば、中核都市もあれば、あるいはまた広域行政では広域連合のシステムもございます。あるいは一部事務組合とか、そんなことで、いろいろなやり方があるわけであります。  そこで、私は、先ほど言ったように、人口でこだわるわけではございませんが、今、その市役所に、あるいは村に、町に、専門家とか、あるいはまたそういう組織がないということもありますが、今の時代は、官ができなければ、今、幾らでも、民に優秀な技術屋さんがたくさんいる。コーディネーターをする方は、もうたくさんおります。そういう方々は、例えばそこの町にいなくても、そこの県の中心のところがら来ていただければ、幾らでも、そこのヒアリングをしながら、現地を見ながら、やはり現地の人にふさわしいプランニングをしていただけます。  したがって、市役所や役場にそういう人材がいないということはその仕事をおろせないという理由にならないということをぜひひとつ肝に銘じていただきたいなと思っております。  さて、時間も押してきましたので、続きまして、私は、受け皿としての市町村の体質、どう強化するかという点について質問をいたしたいと思っております。  これは、かつての白川自治大臣にもいろいろと何回か質疑があったわけでありますが、今の状況で、自主的という言葉は大変すばらしい、響きのいい言葉です。ところが、自主的合併といっても、今自治省から私、資料をいただきました、その資料を見ますと、実際この合併の進め方というのは非常に少ないわけであります。  例えば、合併協議会の設置要求、これは発議で五十四、これは自治省からもらった資料ですが、五十四の発議のある中で、協議会の設置に至った件数はわずか七件であります。手続進行中は三件、協議に至らなかった件数は四十四、ほとんどが協議に至らない。なぜこうなるのかということであります。ですから、この協議、なかなか合併協議会でああいう形を指導しても進んでいかない。なぜ進まないのかという基本的な問題をとらえていただきまして、やはりこれらの問題を大いに進めていくことが必要ではないか、私はそのように思っておるわけであります。  そのためには、これはもう自治省だけではなくて、各省庁横断的な協議をいただいて、どうしたら、三千二百三十二ある市町村、これがもっと機動的に、機能的に、お互いの住民理解し合いながらいわゆる合併をしていくかということは、ぜひひとつ自治省としても、指導とかインセンティブとか相談とか、こういったものをどんどん進めていただきたい。それによって、交付税に対する思い切った措置、なるほど合併をしたらこんなにすばらしい制度があるのか、こんなにお金を導入する道があるのかと思うようなほど、やはり模範的な合併を進めていってもらいたいなと思うのです。  私は、恐らく行政の合併よりも、経済団体、農協とか漁協とかあるいは信用組合とか商工信組とか、こういった経済団体の方がはるかに市町村より早く広域的な合併をどんどんしていくと思います。ですから、私は、むしろそれは市町村が、いわゆる議会があるとか、首長がいるとか、あるいは地域のお互いのエゴがぶつかっているとか、こういつたことが阻んでおるとするならば、そういったものをできるだけ解きほぐして合理的な市町村合併というものを進めていくべきではないか。あるいはそこまでいけなければ、広域連合という形でもありますし、一部事務組合もあります。  そこで、一つの例ですが、もう時間がありませんからこれ一つですが、介護保険を進めれば、これは厚生委員会になりますが、私、随分大臣ともやりました。間違いなく、この介護保険を進めていきますと、小さな町村ではサービスはできません。まさに保険あって介護なし、というのは、北海道の市町村の中では、本当にお医者さんが一人、保健婦さんですら数人、そういう状況の中で、特別養護老人ホームもない、養護老人ホームもない、介護支援センターもない、したがってデイサービスもケアハウスもない、ホームヘルパーさんがちまちまといる。これでは、三万ずつ毎年取られて給付がない。そうすると、そういう時代になったらどうなるかというと、村の方から介護移動しますよ、介護保険給付のための移動をします。  これは、我々かつて体験したのは生活保護ですね。管内にいれば生活保護の給付は少ない、都会にいれば、一級、二級といって生活保護が高くなって、しかもいろいろなサービスを受けられるということで、生活保護のためにどんどんふえてくる。あるいは医療の住民移動というのもあるのです。札幌がどっとふえる一つの中には、札幌市長がよく言っていましたが、やはり大学の病院がある、いい病院がある、そのために地方から病院に、わざわざ住宅を借りて、マンションを借りて、そして通う、こういうことになっています。  これは、介護保険が二〇〇〇年にスタートしたときには、間違いなくこの現象は起きます。ですから、そういったときに対応して、早く中心的な町と周辺部とがいかに協調して、そして速やかに、今機動性は、自動車もありますし、いろいろあるわけですから、こういうのを使いながら保険にふさわしい給付というものを考えていくというふうにするのならば、やはりこの市町村の受け皿体制というのは、自主性といって腕をこまねいているだけでは進んでいかないのは、今自治省の資料で見てもこのとおりであります。  したがって、この点についてひとつ大臣決意と、それからまた自治省の専門の方からお話ししていただきたいと思います。     〔委員長退席、宮路委員長代理着席〕
  87. 上杉光弘

    上杉国務大臣 御指摘の点については、私どもも心して、心配をいたしておるところでございまして、市町村というか地方団体においてせっぱ詰まったものが今ない。それは何かといいますと、国で行っておりました事務ベース事業ベースのものを分権していくわけですから、それをどういう形で受けるかというのは、今度は地方が判断すべきなんです。今の介護のこと等も含めて広域行政でいくのか、単独の市町村合併という形での受け皿をつくるのか、これは地方が決めることなんです。それは、自主的、自立的な判断と決断に基づかなければならない。国が抑えつけて、例えば十万単位でつくれとか三十万単位でつくれというような、その地方団体整備は、いつまでこの議論をしてもそういうものにはならないだろう。  したがって、国が抑えつけてこうだというものじゃありませんから、それこそ自主的に、自立的に、方向をちゃんと見定めた上で決断をしていただかなければならない時期がもう来ておるわけでございます。  そのことがせっぱ詰まった状態で受けとめられておるかというと、私は必ずしも、幅広の、深い意味での、この分権というものがそういうことにはまだ至っていないのではないか。もしそれが正しく理解され、判断をされておるならば、広域行政でいくのか、あるいは合併でいくのかという問題は、もう少しにぎやかに議論され、地域住民の皆さんの議論もまみえた上で積み上がったものにならなければならないのじゃないか、こういう気持ちが強くいたしております。  したがって、そのことについて申し上げた上でお答えいたしたいと思いますが、市町村を対象といたしましたアンケート調査の結果や地方公共団体の声などを伺いますと、それでも合併に関しては、市町村の中心部と周辺部で格差が生じることに対する懸念、これは今までの合併の実績に基づく一つの心配だと思います。必ず中心と周りの格差が生じるという実態がありますから、そのことに対する心配がございます。  それからもう一つは、合併によるメリットなどがはっきりわからぬじゃないか、これも一つ意見であり、声であります。  それからいま一つは、一層の財政措置の拡充を求める意見が出ておるわけでございますが、これもまだ、こうですよという、ああわかったというところまでは意気が投合しておるとは思っておりません。こういうことがアンケート調査の結果総じて言えるのではないか。  したがいまして、こうした合併の阻害要因や対応や合併推進のための行財措置の拡充というものについては、総合的に検討していかなければならない。  委員の御指摘のとおり、市町村なりあるいは議会から、なるほどそうなのかという決め手を欠くものもございますが、しかしそこは、こういうこの時世といいますか、時代のもとで、やはりどういう事態になっても、それは末端団体における、地方団体における自主的なもの、自立的なものの判断に、決断にまたなければならないというそのことがあるからではないか、こう思っております。  昨年の十二月に地方制度調査会の専門小委員会でございますが、総会に対し審議の状況の中間報告をいたしております。この中でも、市町村合併の必要性やメリット、合併の阻害要因を明らかにしつつも、合併前の市町村の区域を単位とする施策の充実、財政措置の拡充、国、都道府県の役割の拡充、住民発議制の充実などの方策について検討を進めることが必要である、こういうふうにしておるわけでございます。  私はせっぱ詰まったものがないと申し上げましたが、もう一つの問題は、分権を進めていきますと、必ず地方団体行政運営あるいは政策の打ち出し方によってでこぼこができてくると私は思います。県との関係も新たな事態がありますし、国との関係も新たな事態が起こってくるわけでございますが、そういう意味で、創意工夫する、必死になって頑張る市町村とそうでない市町村の差が生じる時代が必ず来ると思っておるのです。そこにどういう備えをするかというのは、これは地方団体のそれこそ自主的、自立的判断というものにまたなければならない。  我々国にある者といたしましては、そのために地方が意欲を持って取り組むなれば、そのことに対する支援は惜しみなくやらなければならぬと考えております。
  88. 鰐淵俊之

    鰐淵委員 時間がございませんので、済みません。  今の大臣のおっしゃったことは全く原則論だし、私もよくわかります。ですから、市町村合併を高圧的に上の方からやれということではないわけです、私の主張は。いわゆる末端でいろいろと考えているところがたくさんあるのです。  ところが、にらみ合い、感情的なものだとかいろいろなものがあって、行司役がいないのです。ですから、その行司役というのは、どちらかといったらやはり都道府県の役割でしょう。そういうことで、にらみ合ったときにお互いに話を進めていくきっかけをつくってあげるとか、それから合併による特例がこういうぐあいにあるとか、各省庁ではこういう合併を推進することによっていろいろなインセンティブがあるとか、こういうやはり魅力がなければなかなかこれはお互いに住民が納得しない。  ただ単に、おれたちのところは黙っていても人口がふえるから、向こうが来るのは人口が減ったから合併するのではないかなどという非常に俗っぽい話し合いがほとんどなのです。あるところでは飛行場がある、飛行場が欲しいから合併するのではないか、こういうところもありますし、それから、我々は飛行場があるのだから合併しなくても黙ってどんどんふえる、そういうことが合併の障害となっている本当に具体的なことだ、このように思います。  そこで、もう時間がございませんので、最後はやはり自治省は何といっても地方自治体のことを本当に真剣に考えておられる官庁ですし、また職員の皆さんも、それぞれ地方に行かれて実情も承知されて頑張っておられます。やはり一番自治省で大事なのは、地方がいろいろな仕事をしていくための財源措置とそれから財源調整、これは何といったって自治省に最も地方が期待しているところだと思います。  そこで、地方交付税ということで地方財源の制度をやっておりますが、今は国税三税の三二%、こういうことで率が設定されております。しかし、今、御案内のとおり、特会でもってかなり借りて何とか支給しているということですが、この交付税は基準財政需要額を考えると各省庁にまたがって、ですから、要するにいろいろな地方自治体で仕事をするものに全部交付税というものがかかわってくるわけです。  したがって、この三二%は我々としてはどうしても、これからこれを下げろという勢力もあると思いますが、ぜひこの三二%を堅持し、もしくはこれを少しでも上げていく。こういう決意につきまして、最後に大臣の御答弁お願いしたいと思います。
  89. 上杉光弘

    上杉国務大臣 鉄砲を与えて玉も火薬も与えないということはしてはならない、一口で言えば私はそういうことだと思うのです。  したがいまして、交付税を含めた地方財源の確保については、自治省といたしましては、これまでどおり。さらに地方分権という問題も加わってくるわけでありますから、委員の御意見等も十分聞かせていただきました、対応してまいりたいと考えております。  なお、市町村の合併問題につきましては、地方分権という問題が新たな事態としてあるわけでございますから、これはそのようなものを受けた地方行政体制の整備というものにかかってくるだろう。  その場合、地方分権というものを受けた場合の国と都道府県と市町村という関係がございますが、国はこのような姿勢でおりますが、新たな事態を受けて県がどういう役割を果たすのか、これは私は重要な一つの視点であり、問題点だと考えておるわけでございまして、市町村合併についてはこれまでどおりではいかないだろう。分権推進もするわけですから、今まで中間組織にありました県、これを横並びにするといえども、県の行政としての果たす役割というものは十分見守っていかなければならない、このように考えております。
  90. 鰐淵俊之

    鰐淵委員 大変ありがとうございます。時間が参りましたので、これで質問を終わらせていただきます。
  91. 宮路和明

    ○宮路委員長代理 次に、春名直章君。
  92. 春名直章

    ○春名委員 日本共産党の春名直章です。地方交付税法改正の問題について質問させてもらいます。  今回の交付税法の改正は、法の趣旨からしますと、私は今まで以上に問題がある改正だと思っております。例えば、借入金の償還を三年の間先送りをするということを決めようとしております。こうした改正についてまずお聞きしますが、単年度主義という交付税法の趣旨にこういう措置はなじまないのではないかと思うのですけれども、まず御見解をいただきたい。
  93. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 今回御審議お願いいたしております交付税法の改正の中で、集中改革期間中の財政状況を踏まえまして、この間の交付税総額を安定的に確保するという観点から、特会の借入金の償還の繰り延べ措置ということとあわせて、この問の不足する交付税の不足額については国と地方で折半するというふうな制度改正を御提案申し上げているわけでございます。  単年度主義との関係はどうなのか、こういうお話でございます。確かに交付税につきまして年度間の調整をどう考えるかという問題は、本来年度間調整というのは地方団体にゆだねるべきではないかという意見があるということも私ども承知いたしておりますが、一方で、四十年代以降交付税の総額の特例措置をさまざまな形で法律で定めることによりまして、結果的に交付税を年度間にわたって調整するというふうなことが行われてきたことも事実でございます。  今のように多額の財源不足が続いております財政状況のもとで、交付税特別会計の借り入れによる補てん措置がとられておるということを御理解いただきたいと思います。     〔宮路委員長代理退席、委員長着席〕
  94. 春名直章

    ○春名委員 昔、結果的に年度間でやってきたことがあるからということでごまかさないでいただきたいと思うのです。  つまり、交付税及び譲与税配付金特別会計法、これの附則第五条第二項ですけれども「前項の規定による借入金は、一年内に償還しなければならない。」という規定があります。この規定があるから、毎年度の借入金については、一たん返却をし、また借りていく、こういう面倒な手続を基本的にやるようになっているわけであります。交付税特別会計は単年度主義をとっているからこういう措置をとるのではないですか。この点はお認めになりますか。
  95. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 交付税特別会計の借り入れば、基本的に単年度ごとの借り入れという形をとっておるということは、御指摘のとおりでございます。
  96. 春名直章

    ○春名委員 形と言われますけれども、それが法の精神なんですね。法の構造が単年度になっているからそうせざるを得ないといいますか、しているわけでありまして、その原則をこういう形でゆがめていいのかということが私は問われていると思います。  そういう交付税法の中に三年間の先送りの仕組みをつくることが一体なじむのかどうかということが、私は非常に疑問であります。その点をもう一度、法の精神、構造に立ち返ってきちっとした御見解をいただきたいと思います。
  97. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 最初に申し上げましたように、現在、多額の財源不足が続いておる状況でございまして、交付税特別会計の借入金の残高も非常に多額になっておるわけでございます。  借り入れを行います都度、この借入金の償還についてその都度の償還の計画といいますか、そういうものを定めまして、これを毎年度の交付税法の改正という形で国会の御審議お願いして、そういう形で交付税の年度間の調整を行っておると  いうことでございます。
  98. 春名直章

    ○春名委員 私は、法の構造に比してこういうことでいいのかということを言っているわけであります。  今度の改正は単年度主義に反するというこの問題は、これだけではないのです。今回も、一兆五十五億円もの一般会計からの繰り入れを先送りするということになるわけです、この数字、見させていただきましたが。この先送りをされた金額というのは、合計五兆八千億円を超えるという大変大きな額に現在もうなっているわけでございます。  そこで、お聞きをしますけれども自治省は、繰り入れられる額が法律で決められているから、これは確かなものなんだ、将来返ってくるのだというふうにおっしゃいます。しかしこれは、各年度繰り入れる額を明示することにもう意味をなさなくなっているといいますか、法律で幾ら繰り入れるというふうに書いていてもそれが守られていない現実がありますから、毎年度繰り入れられる額を明示することに実態としてもう意味をなくしてきているというように私は思うのですけれども、それはいかがでしょう。
  99. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 私どもの立場は、いわゆる法定加算額は、法律で定めているということの重みを十分踏まえまして、加算すべきは基本的に加算すべきであるというふうな考え方に基づいて毎年度国庫当局との交渉を行っておるところでございます。  国、地方を通ずる非常に厳しい財政状況の中で、法定加算額であらかじめ定めたものを全部加算できないという事態が今年度、十年度の場合もございましたけれども、その加算できない額につきましては、後年度いつどのくらいの金額を加算するのかということを法律に明らかにしておく必要があるということで、今回の法律改正お願いいたしておるところでございまして、そういうところに法律で定める意味があるというふうに私どもは考えております。
  100. 春名直章

    ○春名委員 全部加算できない事態が続いているということをおっしゃいまして、しかし、法律では、法定では、だから、きちっとその次いつどうするかということを決めておかなければいけないから金額は明示しておかなければいかぬというふうに言われました。いみじくも全部加算できない事態が続いているということを言われているわけです。  そこで、やはりそういうことを聞けば聞くほど、当該年度に法律で書かれていた額が繰り入れられたということが余りない、そうであるならば、はっきり言いまして総額を明記すれば済むのではないかと思うのです。なぜ各年度に分けた表にしなければならないのか。  もう一回聞きますけれども、実態からいってこれはほとんど意味がないなというように私は思うのですけれども、そんなことはないですか。
  101. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 後年度加算すべき総額はもちろんのことでございますが、私どもといたしましては、それを各年度どういう金額で加算をしていくかということを明示することによりまして、各年度の地方財政対策を講じる際に、地方として見ると、まず主張すべきものとして主張するという根拠がそこにあるわけでございます。  それから、これまでの間におきましても、現に平成八年度の場合には、法定されたとおり加算されたということもございますので、そこは、そういうことを前提にして、毎年度の地財対策に当たって必要な交付税の総額を確保するということに、私どもとしてはこれからも全力を挙げてまいりたいというふうに考えております。
  102. 春名直章

    ○春名委員 主張できる根拠をちゃんと示しておかなければいけないということなんですが、根拠はあっても、それがずっと一貫して繰り延べられて先送りされてきているという実態は隠すことができません。そのことは指摘しておきたいと思うのです。  はっきり言いまして、明記するということに意味があるとすれば、うがった見方かもしれませんがそこに意味があるとすれば、毎年度の地方財政対策がその趣旨に沿ってとられていっていないということを示しているだけのことになっているように私は思うのです。これだけ法定でやらなければいけないとなっているのに、積み残してずっと先送りしている、その趣旨でやられていませんということを示すようなものではないですか。  ところで、今回の改正の中で、国の一般会計からの繰入金が三千億円ということになっています。なぜ三千億円なのか、その根拠を御説明いただきたいと思います。
  103. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 この三千億円という加算額は、国の一般会計から加算するわけでございます。  これは、毎年度、年末に地方財政対策の交渉をいたします際に、国の方は、一般会計からの加算でございますから、一般会計の財政状況をにらんで、国の方としてはこういうふうな加算額にしたいという提案がございます。私どもは、先ほど申しましたように、法定加算なりあるいは覚書加算なりということがこれまでございますので、それを踏まえて、加算すべきだという金額を主張してぎりぎりのやりとりをするわけでございます。  そういう非常にぎりぎりのやりとりをする中で、この一般会計からの加算は、国の側からいたしますと赤字国債を発行して加算を行う、そういう財源手当てになるわけでございまして、そういう点で、今のような財政状況の中で国の方としてはできるだけこれを少なくしてほしいという要請がございます。そこのところは私どもと非常にぎりぎりのやりとりになるわけであります。  そういうやりとりの中から、国の財政状況の中で何とか割ける金額をぎりぎり私どもとしては向こうの方から引き出した、その金額が三千億ということでございます。
  104. 春名直章

    ○春名委員 ぎりぎりのやりとりの中で引き出したというふうに御返答いただきましたけれども、その一般会計からの繰り入れを、この間どういうふうになってきているかというのをちょっと御紹介しますと、最近ですけれども、この一般会計からの繰入額は、九六年度は四千百三十八億円です、九七年度は三千六百億円です、九八年度が今お話の出た三千億円、年々減少しているではありませんか。国負担の借入金も、九六年度一兆二千億円、九七年度九千七百二十二億円、九八年度が七千五百五十億円、これまた減少しているではありませんか。はっきり言って、一定の方向を定めて地方財政対策がされてきたと思わざるを得ない数字的結果が出ていると思うのです。  そこで、私はお聞きをしたいと思います。  さきの補正関連交付税審議の際に、二橋財政局長が、私が政策減税の財源の補てんの問題を質問したときに、こういうふうにおっしゃいました。「一つの節目は、やはり昭和五十九年度の地方財政対策の抜本的な見直しということが一つの節目かと思います。」このように御答弁をされました。あれと思いました。節目という言葉をお使いになりました。節目というのはどういうことなのか、どういう認識なのか。このことを御説明いただきたい。
  105. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 さきの補正関連審議の際に、委員の方から、過去は国の減税に伴う交付税の減収を全部国の方で加算をした実績があり、私の方からは、最近はただ加算をしたその加算額について後年度精算をしておるということを申しました。そのときの一つの境目といいますか、そういうふうな取り扱いが変わってきた境目が五十九年度の地方財政対策であるということで、節目というふうに申し上げました。  一方で、五十九年度対策というのは、それ以外でも、やはり地方財政対策の全体の歴史の中では、交付税特会の借り入れが非常に多くなった、これ以上の借り入れをすべきではないということから、特会の借り入れを国の方と地方との責任分担に応じてお互いにそれを引き取るというふうなことにしたことに加えて、原則として特会の借り入れを行わないことにして、必要な場合には加算をする、その加算したものは精算をするというやり方を取り入れたという意味で、その五十九年度というのは地方財政対策にとっても非常に大きな変換期でございまして、そういう意味でも一つの節目であるということは言えようかと思います。
  106. 春名直章

    ○春名委員 制度の改正の内容を私はお聞きしているのではございません。節目と言う以上は、前と後で違いがあるわけでありまして、制度改正一般であれば節目というふうには私は言わないと思います。改正の中でもそれまでの改正とは性質が違うと、違う意図を持って改正をしているということがなければ私は節目ということにはならないんじゃないかと思うのですね。  今御説明あったのは、いろいろな制度の改正をやってきたという点での節目だとおっしゃいましたけれども、前と後では一体どう変わったんでしょうか。制度ではなくて、どういう意図でこういう制度改正をされたのか、そこのところが私は不思議でならないわけでありまして、もう一度お答えいただきたいと思います。
  107. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 そこのところは、端的に申し上げますと、五十年代がずうっと財源不足に対して特会の借り入れをしながら国と地方で分担をするというやり方をしてきましたけれども、その借り入れの残高が非常に大きくなって、これ以上の借り入れをすべきではないということから、それぞれの責任分担に応じてその残高を引き取るということにまずしたということであります。  その際に、新たな交付税特会の借り入れば原則として行うことはやめようということで、その交付税の額が足りない場合には特例措置という形で、いわばキャッシュで加算をする、そのかわり、それは後年度精算をするという方式を取り入れた、そういう意味では前後でやり方は違っておるということは言えるわけであります。
  108. 春名直章

    ○春名委員 同じ制度の改正の仕組みの中身を御説明しているわけですけれども、それは私、そういう答弁だけでは納得できかねるところがございます。  この間の議論でも私は言いましたけれども、八四年度、五十九年度に導入されたこの特例措置は、率直に言いまして国からの支出を抑制するということが最大の目標だったのではないかと思うのですね。その流れを、その精神で今回の対策も私はとられていると言わざるを得ないと思っております。  額が少ないうちは先ほどの特例措置ということで、改正で乗り切れたけれども、先日の議論でもやりましたけれども財源不足が多額になるとそれは機能しない。もともとそういうものだったわけです。交付税法第六条の三の二項ですね、これに基づく改正とはとてもこれは言えないものだったと私は思うのですよ。それを自治省の皆さんは制度改正というふうに強弁をされてきたわけです。  しかも、その後再び借り入れを行わなければならなくなると、今度は、臨時異例の措置あるいは単年度ということで政策破綻をごまかしてくるということになってきたと思うのですよ。  しかし、そういうことをやってきても、九四年度以降の事態がその破綻をもう証明してしまっているという状況が生まれてきていると思うのです。そういう政策の誤りというんですか、失敗というんですか、そこのところをきちっとお認めになって、そして解決をしていくというふうにしなければだめなんじゃないかなと私は思うのですね。  その政策破綻ということを証明しているんじゃないかと私は今の事態を思うのですけれども、その辺はいかがでしょう。
  109. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 現在、地方財政は非常に多額の財源不足が続いておりまして、これに対しまして、交付税特別会計の借入金あるいは財源対策債等の特例的な借入金によって補てんいたしておる大変厳しい状況にございます。  こうしたことから、地方財政財政構造改革を進めるということは非常に大事な課題であると思っておりまして、まず何よりも、特例的な借入金に依存する状況から脱却しなくちゃいけないというのが、今回構造改革に当たっての地方財政における最も大きな課題であろうかと思います。  そういうことから、これは、やはり何といいましても国、地方を通ずる歳出を抑制をしていかなくてはいけないということで、双方の共通する歳出が非常にたくさんございますから、そういうものの抑制につながるような施策の見直しを行いますとともに、地方の単独施策につきましても一定の抑制をかけていくということによりまして、他方でまた行財政改革を進めるということを地方団体にも要請して、こういう財政構造から、特例的な借入金から脱却していくということを今目指しておるというのが今回の財政構造改革であるというふうに考えております。
  110. 春名直章

    ○春名委員 八四年に導入された措置というのは、今説明ありましたけれども、国からの支出を抑制することを目的にして、額が少ないうちは現ナマで確保するということができたのかもしれないけれども、それが、巨額の不足が出てきて、この間も言いましたけれども、その当時五兆六千九百億円だったものが十五兆二千百三十七億円と膨れ上がるという事態をつくり出してしまった。そして、そうやってやってきたけれども、もうなかなか取り繕えなくなって、九四年以降は一層それが深刻な事態になっているという、この数字を見てもわかります。  だから、導入したときは最善の策だったかもしれませんけれども、そういうふうに考えてやられたかもしれませんけれども、それがそういうやり方がよかったのかどうか結果も見ていただいて、今後に生かす意味で、その判断が正しかったかどうか、そういう評価も私は必要になっていると思うのですね。  そういう立場から、大臣としてどういう御見解か、そのことをぜひお聞かせいただきたいと思います。
  111. 上杉光弘

    上杉国務大臣 特例措置が間違っていたんではないか、こういうことですが、財政の実態論からいえば、国が国債に依存しておる限り、補助事業等の問題で財源の対応をするときには地方地方債に頼らざるを得ないというのは、実態論としてこれはあるわけです、現金ないわけですから。では、おっしゃるように特例措置というものを認めないということになって、市町村の財政が回らないという事態、これをつくることは、私はもっと大きな社会問題、国民生活に支障を来すことになると思うわけでありまして、創意工夫の結果出てきたこの財政措置ではないか、このように思っておるわけでございます。  地方だけで財政の健全化ができるものじゃありません。国の財政は国債依存からの脱却を図ること、地方地方債からの脱却を図ること、これはともにしなけりゃならぬことでありますから、そこには国、地方を通じた歳出の抑制があるし、そして赤字をGDPの三%以下にするという目標がそこには定められておるわけでありますから、これに向かってなだらかにやると。したがって、三年の繰り延べというものは当然なだらかにやるということを前提に置けば、これは御理解をいただかなければならぬことではないか、このように考えておるわけであります。  今後へ我々は地方団体に対して徹底した行財政改革に取り組むよう強く要請をいたしますとともに、交付税特別会計のこの借入金や財源対策債等の特例的な借入金に依存する地方財政の構造改革を推進してまいらなければならない、こう思っております。御理解をいただきたいと思います。
  112. 春名直章

    ○春名委員 強い語気で言われますけれども、しかし、生まれてきた結果をきちっと総括してほしいと言っているんですよ。さっきも言いましたけれども、国の予算は、だんだん繰り入れる額を減らしてきているわけでしょう、国の負担の借入金も、それから繰り入れている額も。私はその節目が八四年の制度改正にあるということを指摘をしているわけであって、それで、支障のないようにしなければいかぬといいながらも、結果、大変な負担地方に今のしかかってきているという事態が目の前に生まれているじゃありませんか。  よく車の両輪と言われますけれども、車の両輪であれば、昔から車は両輪でして、地方も国も。国も大変だから地方も頑張れというふうに言われるかもしれないけれども、昔から車の両輪は両輪だったわけで、そのときに交付税の税率引き上げとかそういう措置もやっていたじゃないですか。そういうことをやらずに、国の支出は減らしながら地方負担をかぶせていくというやり方がもうはつきり流れていると思うのですよ。  そういう流れの中で今度の改正がやられているということに、私は非常に、そういう意味で承服できかねる、怒りを感じるわけでありまして、地方自治体の苦しみというのはそういう形で広がってくるだろうと思うのですね。  そのことを私は問うているわけでございまして、特例措置をやらなければ国にお金がなくなって地方がもっと大変になるというふうに今おっしゃられましたけれども、そういう次元のことを私は問うているわけではないということを申し上げておきたいと思います。  最後になりますけれども、あと一分ぐらいで終わりまずけれども、最初に質問しようと思っていたことを一言お聞きしておきたいと思います。  最近、大蔵省のあの大きな汚職問題が大問題になっていますけれども自治省の方も、九六年の十二月に職員倫理規程がつくられています。その中には、接待を受けること、会食をすること、遊技、旅行をすること、こういうのを関係業者とやってはならない。それから、服務管理官、総括服務管理官というのを置いて、職員が例外として職務として必要な会議等において会食をする場合は、服務管理官に事前の届け出をして了承を得る、あるいは、やむを得ない理由でそれができない場合は、事後に速やかに服務管理官に報告する。かなり細かい禁止事項が決められていたわけです。官官接待が問題になっていたころです。  この運用がどうなっているか。それから、服務管理官が事前の了承を、了承してほしいと言ってきたけれども了承しなかった、こんな事例はあるのか、そのあたりを最後に伺っておきたいと思います。
  113. 嶋津昭

    ○嶋津政府委員 お答えいたします。  今御指摘のように、平成八年十二月に自治省職員倫理規程を作成しておりまして、当然のことながら、この規程を厳に遵守しているところでございます。  今、また御質問の中にございましたけれども、規程の実効性を担保するために、総括服務管理官、これは私でございますが、それから服務管理官というのは主管課長を任命しておりまして、これは随時会議を行いまして、その運用状況を点検しまして、その徹底を期しているところでございます。  どういう実情なのかということでございますが、こういう会合に出る、そのときに、出るのをやめなさいというような例があったのかということについては、私も聞いてみましたが、そういう実例はございません。  御承知のように、私どもがおつき合いいたしますのは、大半が地方団体の職員ということになると思います。自治省の業務の上で、地方団体の職員と意見を交換したり、議論をしたりすることは非常に大切なことであると思っております。したがいまして、そういうようなことにつきましては、この服務規程を遵守しながら、節度を持ってそれぞれの職員が対処していただいている、こういうふうに考えております。
  114. 春名直章

    ○春名委員 以上で終わります。ありがとうございました。
  115. 加藤卓二

  116. 畠山健治郎

    ○畠山委員 わずかな時間でありますが、きょうは、税制についてお伺いをいたしたいと思います。  まず最初に、税制改正とその会計処理の問題についてお尋ねいたしたいと思います。  いわゆる債務承継等財源法案でございますが、三年間、臨時たばこ税が創設されようとしております。ところが、初年度、千二百二億円の税収見込みはおろか、税目さえ一切租税及び印紙収入には計上されておりません。これは、一般会計を通さずに国税収納金整理資金特別会計から国債整理基金特別会計に直納されるということからであろうかと思います。税という国民にとって最も基本的な負担についてなぜ一般会計の歳入に計上しないのか、不可解と言わざるを得ないと思っています。大蔵省説明を願いたいと思います。
  117. 川北力

    ○川北説明員 御説明させていただきます。  国鉄清算事業団の長期債務及び国有林野の累積債務の問題につきましては、今般、処理策を取りまとめまして、関連法案の御審議お願いするところでございます。御案内のとおり、たばこ特別税は、この債務の処理策の一環として特例的に創設されるものでございます。  一般会計を通じないのはなぜかという御質問でございました。これは、このたばこ特別税の特例的な創設という趣旨を明確にいたしまして、課税標準等が同じたばこ税との混同を避け、たばこ特別税の税収がこれら二つの特別な債務の利払い等の財源に充てられるということを明確にする観点から、特例的に国債整理基金特別会計に直接組み入れることとしたものでございます。
  118. 畠山健治郎

    ○畠山委員 ただいまの説明では、本当に国民が理解できるとは到底思えません。明らかに財政民主主義のアカウンタビリティーに反するのではないかと思うのです。大蔵省の反省をお願いいたしたいと思います。  もう一点。今お話ありました、国鉄長期債務及び国有林野累積債務の利払いに充てるための臨時増税ならば、たびたび言うように、一般会計を通すとともに、二つの長期債務の利払いに充てるということを明確にするための特別会計をつくるべきではないかと考えますが、いかがでしょう。
  119. 川北力

    ○川北説明員 お答え申し上げます。  たばこ特別税をその趣旨を明確にするために特例的に国債整理基金特別会計に直接組み入れるということにつきましては、先ほど申し上げましたとおりでございます。  そこで、この国債整理基金特別会計の機能ということでございますが、これは、国の債務の償還は、債務の発生原因のいかんにかかわらず、すべてこの特別会計を通じて行うということでございます。この仕組みは、公債政策に対する国民の理解と信頼を確保するですとか、財政膨張に対する間接的な歯どめ、財政負担の平準化等の観点から仕組まれているものでございます。  今回のこの国鉄長期債務等の処理につきましても、国の債務の償還を一元的に管理するというこの国債整理基金特別会計の目的の範囲内のものでございますので、特に新たに特別会計を別途設けることではなくて、国債整理基金を通じて利払い及び償還を行うこととしているものでございまして、何とぞ御理解いただきたいと思います。
  120. 畠山健治郎

    ○畠山委員 今回の税は、臨時とはいえ、事実上の第四たばこ税ではないかと思います。財源確保に狂奔する余り、これが許されるならば、第二酒税のような臨時税創設も許されかねません。交付税の基本税目に係る税の扱いについては、慎重の上にも慎重でなければならないと思います。自治大臣並びに大蔵省の見解をお尋ねいたします。
  121. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 たばこ関係税は、地方にとりましては偏在の少ない貴重な税源でございます。また、昭和四十年代以降、このたばこ関係税に占める国税と地方税の割合は半々ということになっております。加えまして、平成元年度に国庫補助負担率の引き下げに関連して交付税の対象税目にされたところでございまして、こういう意味でも、たばこ関係税は地方財政にとって極めて重要な税であるというふうに私ども認識いたしております。  今回のたばこ特別税の創設は、先送りの許されない国鉄長期債務あるいは国有林野の累積債務について財政構造改革会議取りまとめた処理方策の一環をなすものでございまして、臨時異例の措置であるというふうに私ども考えております。  その際に、あわせて、これまでの国と地方のたばこ税の関係を基本的に変更するものではないこと、製造たばこに対します全体的な税財源配分がこれで国に偏った形となることを踏まえまして、今後地方税源の充実を図る必要があることといったような議論を踏まえて決定されたものでございます。  このような事情を踏んまえて考えますと、今回のたばこ特別税の創設はやむを得ないのではないかというふうに私ども考えておりますが、今後におきましては、税制改正等に当たりまして、国と地方の役割分担に応じた地方税財源充実確保が図られますように適切に対処してまいりたいと考えております。
  122. 川北力

    ○川北説明員 御質問につきましての地方財政運営の観点からの御答弁自治省からございましたので、私からは、このたばこ特別税の創設の背景につきまして、若干補足的に御説明をさせていただきます。  国鉄長期債務及び国有林野累積債務の問題は、財政構造改革会議におきまして、将来世代へ負担を先送りするという形での安易な処理を回避するとされるなど、財政構造改革をなし遂げる上で抜本的な処理策の策定が不可欠な、先送りのできない、許されない重要な課題であるということでございます。この観点に沿ってあらゆる選択肢について検討が行われまして、最終的には、昨年十二月十七日の財政構造改革会議におきまして処理方策が取りまとめられたところでございます。  この処理方策におきましては、まず自助努力によってできるだけ返済し、残る債務を一般会計に承継するということにいたしまして、その上で可能な限りの財源捻出努力を行い、どうしても足らざる部分について、今御議論ございました、たばこ特別税という形での税負担を求めることとしたところでございます。  たばこ特別税の創設は、この二つの債務を一般会計に引き継ぐことが財政赤字のさらなる拡大要因になるということに対処するため、財政構造改革の趣旨を踏まえまして、特殊な嗜好品であり、景気動向に比較的左右されがたく、安定的な財源を確保できる、いわゆる財政物資であるたばこにつきまして、最近の価格に占めるたばこ税の負担割合の低下を回復する範囲で税負担を求めることとしたところでございます。
  123. 畠山健治郎

    ○畠山委員 いずれにしても、このような会計処理についてはとても納得できません。ぜひひとつ考え直していただきたい、このことを申し上げておきたいというふうに思います。  先ほど来の大蔵答弁からすれば、これまで自治体から強く要請されている、地方交付税について、一般会計から交付税特別会計に直納することは当然認められてしかるべきではないかと思うのです。地方交付税に与える自治体事務はどう考えるか、また、大蔵省としては今後交付税の直納を認めるべきではないかと考えますが、御意見を承りたいと思います。
  124. 上杉光弘

    上杉国務大臣 交付税特別会計の直納については、これまで議論をされてきたことでございますが、自治省といたしましては、かねてから、この地方交付税地方共有の固有財源であるという地方交付税のその性格を明確にする見地から、その実現を図ることが望ましいものと考えておるわけでございます。  今年度におきましても、地方交付税の概算要求に当たりましては強く要請したところでございます。しかしながら、交付税を一般会計から除くと一般会計が国の財政全体を反映しなくなるという、今まで大蔵省が言ってきたことでございますが、このようなことなどといった問題がございまして、国庫当局との合意を見るに至らなかったところでございます。  地方分権推進委員会勧告におきましても、こうした問題点を踏まえまして、さらに検討していく必要があるとされておるわけでございまして、自治省といたしましては、今後とも、この地方分権等もあることでございまして、地方が安心して分権を受け入れていただく、推進をするという見地からもその実現に向けて努力をしてまいりたいと考えております。
  125. 川北力

    ○川北説明員 お答えいたします。  地方交付税交付税特別会計への直入問題につきましての御質問でございました。今大臣からも御答弁ございましたように、私どもといたしましても、自治省から毎年度要求がございますので議論を重ねてきているところでございますが、お尋ねでございますので、ここで財政当局としての考え方を申し述べさせていただきます。  私どもといたしましては、地方交付税が一般会計予算に計上されている現行の方式につきまして、まず歳入面で見ますと、税制根幹をなす所得税、法人税等の税負担の状況、また歳出面で見ますと、中央、地方相互間の財源配分の状況をそれぞれ一覧性のある姿で示すということになりますので、国民に国の税負担の状況及び財政状況をごらんいただく、あるいは国及び地方を通じる財源運営の総合的調整について理解と判断を求めるという上で必要不可欠なものであるというふうに考えているところでございまして、こういう考え方で引き続き議論してまいりたいと考えております。
  126. 畠山健治郎

    ○畠山委員 都合のいいところは直納して、都合が悪ければ直納しないなんて、そんな勝手なことは許しちゃならないと思うのです。ぜひひとつ再考を願いたいと思います。  この臨時たばこ税に関連して、交付税で二百億円一般会計から加算されております。これは、臨時税の創設によるたばこの売り上げの減少を補てんしようとするものだというふうに伺っておりますが、事実でしょうか。もしそうだとするならば、今後も当然一般会計から交付税特会に繰り入れられていくべきものと考えますが、自治大臣、いかがでしょうか。
  127. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 たばこ特別税の創設に伴いまして、たばこの値上げになります。そういたしますとたばこの需要減が見込まれるということから、地方交付税への影響を勘案して、一般会計から交付税特別会計に二百億円の繰り入れをすることにいたしております。  明年度以降どうなるか、こういうお話でございます。地方財政への影響は、たばこの値上げによります売り上げの減少ということを通じた間接的なものでありますが、過去の例によりますと、たばこの値上げによります売り上げの減少は一時的なものにとどまっておりまして、その後は売り上げが回復してまいります。また、たばこの需要というのはさまざまな要素がございまして、このたばこ特別の影響をどういうふうに特定するかというのは難しいところがございます。  したがいまして、長期にわたってこういう加算を必要とするものではないというふうに私どもは考えております。  しかし一方で、今回の値上げは二年連続のものでございますし、また、施行が十月一日と年度途中でありますので、十一年度まで、回復するには半年というのは短い、そういう要素もございます。このようなことも踏まえながら、今後のたばこの需要動向を見定めて、地方財政の運営に支障が生ずることのないように適切に対応してまいりたいというふうに考えております。
  128. 畠山健治郎

    ○畠山委員 時間がありませんから最後の質問になろうかと思いますが、今回の法人税改正によりまして、現在約六五%の赤字法人の割合はどれくらい下がると見込んでいらっしゃるのでしょうか、大蔵省からお伺いをいたしたいと思います。  また、法人事業税一%を下げるが、これでは自治体のサービスと法人負担の格差は拡大するばかりであろうかと思います。法人事業税については、賃金、利子等を課税標準とする外形課税への転換が急務と考えますが、自治大臣の御見解を承りたいと思います。
  129. 西原政雄

    ○西原説明員 お答えいたします。  今回、法人税の改正ということで、課税ベースを適正化するとともに税率を引き下げるということを提案させていただいております。先生のお尋ねは、それによって欠損法人割合がどのように下がるのかということかと思います。  それで、一般論として申し上げれば、先生御指摘のとおり、課税ベースを適正化するということによりまして課税法人割合というのは相応の改善が図られるということが言えようかと思います。  それでは、具体的に赤字法人割合というのがどの程度下がっていくのかということになりますと、これを見積もるということは実は非常に困難でございます。と申しますのは、赤字法人といいましてもピンからキリまであるといいますか、赤字、黒字すれすれのところと累積欠損を抱えているところといろいろなものがございます。また、課税ベースの適正化によりましてどの程度所得が増加するのか、こういうのもまたまちまちでござ  います。  そんなことで、そういう状況からこれをひっくるめて試算するということが非常に困難なものですから、その点御容赦をお願いしたいと思います。
  130. 上杉光弘

    上杉国務大臣 事業税につきましては、御案内のとおり、本来、事業地方団体から受ける行政サービスに必要な経費について分担すべきであるとの考え方に基づきまして、事業の規模や活動量を示す外形基準により、広く薄く課税することが望ましいと考えております。極端な言い方をすれば、赤字の法人、企業でありましても行政サービスは受けておるわけであります。  法人事業税を含む地方法人課税の今後のあり方につきましては、昨年末の政府税制調査会の答申において、地方の法人課税については平成十年度において事業税の外形標準課税の課題を中心に総合的な検討を進めることが必要、たびたびお答えしておりますが、そのようにされておるわけであります。今後、政府税制調査会等の場において検討を進めることとしております。  外形標準課税を導入する場合の具体的な外形基準といたしましては、付加価値、売上高、経費等さまざまな考え方がございますが、それぞれ一長一短があると思いますので、外形基準として何が最もふさわしいかということについても、政府税制調査会等の場において専門家の方々の御意見も伺いながら早急に検討してまいりたいと考えております。
  131. 畠山健治郎

    ○畠山委員 時間ですので終わります。どうもありがとうございました。
  132. 加藤卓二

    加藤委員長 中野正志君。
  133. 中野正志

    ○中野(正)委員 自民党の中野正志でございます。  まず、先般来ずっと議論をされております地方分権推進についてお伺いをいたします。  橋本総理地方分権推進委員会に、予定にはなかった五次勧告を求められた。これは、言ってみれば、地方分権を通じ省庁再編で果たせなかった行政組織のスリム化を実現しよう、そういう橋本総理の考え方、意思の発露かなと確信をいたします。言ってみれば、本格的な分権論議がようやく緒についたということであります。  個別の質疑は後にするとして、まず、改めて地方分権推進についての上杉大臣の御決意をお伺いをいたしておきたいと存じます。
  134. 上杉光弘

    上杉国務大臣 私はもう何回も申し上げておりますが、地方分権は、地方行政改革、さらには財政構造改革、そして地方行政体制の整備と一体的なものであろうと私は申し上げておるわけでございます。  そのような前提を置いて申し上げますが、地方分権推進は明治以来の大改革だというのが私の考え方でもございます。橋本総理もおっしゃっておりますように、縦の国−都道府県−市町村という上下の関係から、行政を対等、横の関係に置くわけでございまして、そしてここに分権という問題があるわけでございます。そのような意味からいたしましても、これは大改革だ。これが成功しなければ、改革だ、改革だといっても、世直しというか、国民の目線から見てなるほどよくやったということにはならない、こう私は思っておるわけです。  そういう意味で、分権推進は、さらにそれを受けていただく市町村の行政体制の問題がございます。先ほども申し上げましたように、今はまだせっぱ詰まっていない状況でございますが、分権推進して受け皿をどうするかは地方の判断にまたなければならない。黙って待つわけではございませんけれども地方の市町村長さんがどういう判断で市町村合併と取り組んでいただくのか、あるいは広域行政という選択をされるのか、まだそこまで詰まったものに私はなっていないと思うのです。  したがって、分権が具体化すればではどうするか、慌てて地方行政体制を整備するようなことになってはならない、それは政府としての責任でもあろうと思います。  さような意味で、先ほども分権推進するに当たりましては、まことに我が国の政治行政を取り巻く内外の環境が急速に大きく変貌してきておるときでございまして、個性豊かな地域社会の形成や高齢社会、少子化社会の対応などの新たな状況に的確に対応していかなければならないという課題がそこにはあるわけでございます。  また、国際的にも我が国の中央集権、縦の行政というものではもう対応し切れなくなった。国際社会の中でどう冠たる国家になっていくかという課題も一方ではあるわけでございます。このような中央集権システムというものを新たな状況と課題の処理に適合したものにしていくようにこの行政改革、地方分権推進をされなければならない。  そのためには、四次にわたります地方分権推進委員会勧告によりまして示されておりますものを私どもは重く受けとめまして、着実、速やかにこれを実現していかなければならない、このように考えておるわけでございますが、そのためには、政府の内部にありまして各省庁ともよく連携をとりながら、また相協力をいたしまして、この問題に取り組んでまいりたいと考えておるわけでございます。  二十一世紀に向けまして、地方公共団体自己決定自己責任の原則のもとにみずからの行政を行うことができる地方自治新時代にふさわしい自治を確立するためにも、この分権を強く進めてまいりたいと考えております。
  135. 中野正志

    ○中野(正)委員 大変心強い限りでございます。  おととしのあの衆議院選挙のときに橋本総理は私の応援に参られまして、五千人の仙台市民の前で大演説をぶたれました。これからは日本行政が変わります。外交、防衛あるいは金融、財政、経済、福祉政策、教育、日本の背骨の部分については国の政策として取り進めてまいります。あとの住民、市民の皆さんに密接な政策については、国が持っております権限財源も一切合財県にあるいは市町村に移譲して、それで責任を持って断行していただくのであります。  その話を聞きながら、自分がこの行政改革、地方分権推進の中に身を置くことができるのかなとあのとき思いましたら、武者震いを実は感じたこともありますし、また橋本総理の演説を聞きながら、ある意味でポエムだな、こうも思ったのであります。  ぜひ橋本総理、そして上杉大臣のリーダーシップで、何としても国民の期待にこたえられる地方分権を実現をしていただきたい、このように心から期待をさせていただきます。  個別の質問に入ります。国庫補助金などの削減と地方税財政制度の充実について質問いたします。  地方分権推進委員会のこれまでの勧告においては、地方税財政制度の問題についてはその基本的な方向性については言及しておりますが、具体性のある内容とはなっておりません。この点に関して、国においては、今回の地方分権のための制度改革の中心機関委任事務の廃止など国の地方に対する関与の見直しが中心であった。予算の執行を伴う事務、権限地方への移譲はわずかなものであるため、地方税財源の問題は大きく取り上げる課題ではないとの考えも実は示されております。  しかしながら、国庫補助制度などの抜本的見直しや削減を図り、かわりに、地方が一般財源として使い道を拘束されない自主財源充実していくことは、今回の地方分権の理念を実現するためにも極めて重要なことであります。  いろいろ議論はされてきましたけれども、これまで地方自治体は、財源を少しでも多く確保するため、使い道が限定されかつ全国均一的にメニュー化された国庫補助制度を活用せざるを得ず、地方自主性やあるいは地域の個性を反映した事業には縁遠くなる傾向があったことだけは事実であります。また同時に、この補助制度を通じて、施設整備の内容や職員の配置など地方行政運営にさまざまな制約が加えられていたことは言うまでもないのであります。  機関委任事務の整理により国の関与を縮小していくことも重要でありますけれども、このような状況を改革して、地方が真に住民の意思を反映した自立的な政策の展開が図られるような制度改革がより重要であります。地方分権推進地方や国民が最も期待をいたしておりますのも、まさにこの点にあります。  したがって、この通常国会が終了するまでの間に策定されることになっております地方分権推進計画の中で、このキーポイントに十分留意され、国庫補助制度の統廃合と地方税財源充実を図るための具体的な方策が示されるべきと考えますが、いかがでありましょうか。
  136. 上杉光弘

    上杉国務大臣 御指摘の補助金、税財源につきましては、地方分権推進委員会の第二次の勧告におきまして具体的な提言をいただいておるところでございます。  その中で、国庫補助負担金の整理合理化に関しましては、国庫補助金の削減計画の策定、サンセット方式の導入、運用、関与の改革等が示されておるわけでございます。  また、税財源につきましては、地方税充実確保課税自主権尊重の立場からの法定外目的税の創設、二つ目には、地方交付税総額の安定的確保、算定方式の簡明化や地方公共団体意見の反映、三つ目には、地方債について許可制から事前協議制への移行などが提言をされておるわけでございまして、これらの勧告に基づき、できる限り内容の具体化を図りまして、地方分権推進計画を作成してまいりたいと考えております。
  137. 中野正志

    ○中野(正)委員 ぜひそのように強力にお取り進めをいただきたいと存じます。  次に、国の地方に対する関与のあり方についてお伺いします。  地方分権推進委員会による国の地方への関与の見直しに関する勧告については、一定の評価はいたしますけれども勧告の趣旨が十分生かされるかどうかはまさに運用次第であります。  国の地方に対する関与は、技術的な助言・勧告、報告の徴収、事前協議、合意または同意、是正措置要求、指示、許可・認可・承認などに整理され、拘束性の強い関与については法令に根拠のある場合のみ認められ、また、国と地方の係争処理機関の設置や訴訟の提起という道も開かれておりますが、これらの国の関与に対して明確にノーと言い異議を唱えるということは、実は大変な困難が伴うものと思われます。  特に、これらの国の関与のうち、最も日常的に行われることになるであろう助言、指導的な拘束性のない関与がどのような範囲と内容で行われるかによって、この制度改革の効果が実質的に決まるものと思われます。残念ながら、国と地方とが長年にわたって置かれていた主従関係を考えますと、このような危惧を抱かざるを得ないところもあります。  そういう意味で、地方分権の趣旨に沿い、これまでの関与のあり方について基本的な見直しを行い、地方行政運営は地方に任せる、違法な行為や住民の生命、安全にかかわる行為以外には国は口を出さないのだというような態度を徹底させて、地方自主性最大限尊重する対応をされるべきだと考えますけれども、いかがでありましょうか。
  138. 上杉光弘

    上杉国務大臣 基本的なことについての御質問でございますが、私は、地方分権推進し、住民に身近な行政は、住民に身近な地方公共団体自主性自立性を持ってみずからの責任と判断のもとに地域の実情に沿った行政を行っていくことができるようにすべきであると考えております。  私は、この分権推進地方行政体制の整備というのは特に密接で一体の関係と申しましたが、県の果たす役割、県が傍観することは許されるのだろうか。地方分権を進めるという意味での地方行政体制の整備というものについては、県が大きく汗をかいてもらうということについての新たな事態というものは、地方分権という新たな問題があるわけでありますから、今までのような状況で傍観しておるという姿だけでは相済まされるものではない、私はこういう前提を置いて申し上げたわけでございます。  地方分権推進委員会勧告では機関委任事務制度を廃止することとしておりまして、地方公共団体が実施する事務は、自治事務、法定受託事務とともにすべて地方公共団体の事務として位置づけられるわけであります。国の下部機関として、国の行政機関の包括的指揮監督を受けることはなくなるわけであります。  また、国の関与を類型化するとともに、法令に定める場合に限定することとしておりまして、事務の処理についての地方公共団体自主性自立性が高められるものと考えております。  国と地方公共団体は、対等・協力の横の関係にあることを基本といたしまして、明確な役割分担のもとに、相互に信頼して、国民の福祉向上に努めなければならないものでございます。  助言・勧告を初め国の関与については、勧告に示されたルールにのっとりまして、地方自主性最大限尊重すべくきちんと対応していかなければならないものと考えております。  私といたしましては、勧告の目指す社会の実現に向けまして、実りある成果が得られますように、全力を挙げて取り組んでまいります。
  139. 中野正志

    ○中野(正)委員 大臣、ありがとうございます。共感度大でございます。それにつけましても、今御指摘のありました都道府県にもっと汗をかいていただかなければならない、私どもも率直にそう思っております。  次に、自治体の規模に応じた地方分権についてお伺いをいたします。  地方分権推進委員会のこの四次勧告においては、一部例外的に、市町村の規模に応じた権限の移譲について言及しておりますけれども、ここに掲げられている項目は、中核市以上に移譲すべき事務が九項目、政令指定都市に移譲すべき事務が四項目にすぎません。これは、勧告においても、委員会は時間的な制約のもとで結論を得たものでありますから政府においてさらに積極的に取り組むよう求めているとおり、まだまだ不十分な内容であります。私自身、政令都市仙台選出議員でありますから、殊のほかその思いもあります。  大都市に対しては、都市計画、再開発事業、農地の転用などの町づくりに関する権限の包括的な移譲など、多くの検討すべき課題があると考えます。  政府は、この四次勧告を踏まえて、自治体の規模に応じて権限を移譲する項目について現在どのような方向性でどのような検討を進められているのか、具体的にお伺いをいたしたいと存じます。
  140. 鈴木正明

    鈴木政府委員 お答えを申し上げます。  住民に身近な行政は、できる限り住民に身近な地方公共団体が担っていくということを基本といたしまして地方分権推進していくということでございます。国から地方団体への権限移譲、特に市町村への権限移譲に積極的に取り組んでいく必要があると考えております。  政府におきましては、四次にわたります勧告最大限に尊重いたしまして、地方分権推進計画を作成いたしまして、総合的かつ計画的に分権を進めてまいりたいと考えております。地方団体への権限移譲につきましても、分権計画に盛り込んでいくことになると考えております。  委員お話のございましたように、四次の勧告におきましては、権限移譲の具体的な項目といたしまして、指定都市へ移譲すべきものとして、例えば工場の新増設に係る届け出の受理、勧告、変更命令などの四項目、また、中核市へ移譲すべき事務としましては、大気汚染の公表とかあるいは関係行政機関の長への協力依頼、こういった事務が九項目、また、人口二十万以上の市へ移譲すべき事務といたしまして、開発許可あるいは騒音とか振動の関係の地域指定、こういった事務十三項目、また、すべての市へ移譲すべき事務としまして三項目、また、すべての市町村へ移譲すべき事務として五項目というものが示されているわけでござ  います。  政府におきましては、これを踏まえまして、分権計画の中に盛り込むべく、現在各省庁と相協力しながら作業を進めているという状況でございます。
  141. 中野正志

    ○中野(正)委員 そこで、第五次勧告に向けて推進委員会にお伺いいたします。  第五次勧告においては、道路事業や河川管理事業などの公共事業事業主体を国の地方機関から自治体に移管するという方向で検討が進められていると聞いております。これまでの勧告ではほとんど触れられていない事務、権限の移譲という分野に踏み込んだ、影響の大きな内容になるものと推測いたしております。  このような対応は、地方がこれまでも行っていた公共事業との整合性を図りながら一体的に町づくりを推進できるという観点から大いに評価すべきものと考えますが、事業規模が大きいことなどを理由としてその多くを都道府県の事務とするのではなく、こうした事務、権限についても、町づくりの中心的な担い手である、住民に最も身近な存在である市町村を中心とした移譲とすべきと考えます。もちろん、こうした公共事業の移譲についても、自治体の規模や能力に応じて段階的に推進していくことは必要でありますが、基本的には市町村への移譲が適切と考えております。  また、公共事業事業主体の移管に当たっては、必要とされる事業費が膨大であることから、あわせて地方への財源措置を適切に行い、地方への負担の転嫁につながらないように十分配慮していくことが重要だと考えております。  推進委員会の考え方をお聞かせいただきたいと思います。
  142. 東田親司

    ○東田政府委員 お答えいたします。  昨年の末でございますが、総理の方から、行政改革会議最終報告において、国、地方を通ずる行政の役割を見直す見地からも改めて地方分権を進めることとされているところであり、市町村への権限移譲を含む国及び都道府県からの事務、権限の移譲などの問題についてさらに検討を進めていただきたい、こういう御要請がございました。  まず、この改めての御要請の趣旨につきましての私どもの認識でございますが、行政改革会議の十二月の最終報告におきまして、「今後地方分権をさらに本格的に進めるに当たっては、地方への財源権限の委譲を大幅に進めていく必要がある」という指摘があるとともに、さらに、「政府をあげて、国と地方が一体となって本格的に取り組むことが必要である。」こういう御指摘がございまして、この指摘を踏まえられた総理からの御要請だというふうに私どもは認識しております。  そこで、私ども委員会といたしましては、改めての要請ということで、この国及び都道府県からの事務、権限の移譲の問題につきまして審議検討を進めようという方針を本年に入りましてまず固めたところでございます。  その際に、検討の視点を、まず先に三点固めました。国と地方の役割分担の明確化、それから国の行政組織のスリム化、そして三番目に、ただいま先生の御指摘にあります、基礎的な自治体である身近な市町村への権限の移譲と、この三点を検討視点といたしました。  この視点に基づきまして、どのような具体的な課題を取り上げるかにつきましては、現在、二月から四月にかけまして、有識者それから関係団体等から意見を聴取している真っ最中でございます。これらの方々から出されております共通的な課題あるいは個別分野の個別的な課題等を踏まえまして、今後具体的に取り上げるべき審議課題を整理いたしまして、その具体的な課題の範囲や分量等に応じまして今後のスケジュールも固めていきたいと思っております。  また、その際、お尋ねのございました財源措置に関しての考え方でございますが、昨年七月の第二次勧告におきましては、「国から地方公共団体への事務・権限の委譲が行われた場合には、地方公共団体が事務を自主的・自立的に執行できるよう、地方財政計画の策定等を通じて所要財源を明確にし、地方税地方交付税等の必要な地方一般財源を確保することとする。」こういう提言になってございます。  したがいまして、今後、国から地方公共団体への事務、権限の移譲を行う場合には、この基本的な考え方を踏まえまして必要な検討が行われることになろうというふうに思っております。  以上でございます。
  143. 中野正志

    ○中野(正)委員 ぜひ思い切った形でお願いを申し上げ、また期待もいたしておきます。  法案関連一つだけ御質問いたします。環境対策についてでございます。  橋本総理が施政方針演説で述べられたとおり、地球環境を守り子孫に引き継ぐことは、我々に課された最も重い責任一つであります。あのCOP3でも、私ども日本、六%削減という数値目標がございます。なおさらであります。  その環境問題の中で自動車の排気ガスの問題も深刻なものがあります。自動車の排気ガスに起因する大気汚染問題や地球温暖化問題に的確に対応するためには、今盛んに喧伝をされております低公害車の普及を促進することもその重要な課題であると思っております。  特に最近では、低公害車の中核となるものとして、いわゆるハイブリッドカーが世間の注目を集めているようでありまして、技術の進歩により、自動車としての性能もすぐれたものであると聞いております。また、このハイブリッドカーは、先ほど申し上げました温暖化ガスの代表的なものであるCO2の排出量も相当程度抑制できるものと聞いております。  地方税においては、これまでも、電気自動車やメタノール自動車などの低公害車や排ガス規制に対応した自動車の普及を促進するための地方税制上の措置などを講じてこられたと承知しておりますけれども、このようなハイブリッドカーの普及促進のためには、融資あるいは補助金などの面での促進策はもちろんでありますけれども税制面での後押しがぜひとも必要だと痛感いたしております。今回の地方税制改正においてはこの点に関して改正がなされようといたしておるようでありますけれども、その具体の内容、目的についてお聞かせをいただきたいと思います。
  144. 成瀬宣孝

    ○成瀬政府委員 お答えをいたします。  いわゆるハイブリッド自動車は、内燃機関と電気モーターを併用して動力源とすることによりまして、地球温暖化、大気汚染などの原因となります二酸化炭素、窒素酸化物等の排出が抑制され、環境対策の観点から、その普及促進を図ることが必要と考えております。  ところで、このハイブリッド自動車につきましては、同種の一般の自動車に比べまして価格面において割高であることが普及を阻害する要因の一つとなると考えられますことから、税制におきましても、その普及促進を側面から支援するため、自動車取得税について税率の特例措置を講じることにより、自動車の取得時における負担を軽減することとしたものであります。  具体的に申し上げますと、同種の一般の自動車との価格差などを考慮いたしまして、バス、トラックについては、三%の税率が通常適用される営業用のもの及び軽自動車税を二・四%軽減して〇・六%に、五%の税率が適用される自家用のものを同様に二・四%軽減しまして二・六%に、そして、バス、トラック以外のその他の自動車につきましては、三%の税率が適用される営業用のもの及び軽自動車を二%軽減して一%に、五%の税率が適用される自家用のものを同様に二%軽減しまして三%にすることといたしております。
  145. 中野正志

    ○中野(正)委員 引き続き、ぜひ頑張っていただきたいと思います。  次に、提案を一つ申し上げたいと思います。学校におけるインターネットの整備でございます。  情報化、国際化の急激な進展の中で、私たちの社会はますます複雑化、多様化の一途をたどっておりまして、これまで以上に情報の活用能力あるいは国際性を養うなど、子供たちの学校教育のあり方についても根本的な改革が必要だと考えております。  折しも、次期教育改革のための第十五期中央教育審議会においては、「我が国における情報通信ネットワーク環境の整備状況などを踏まえつつ、初等中等教育段階での情報通信ネットワークの活用を本格的に進めるべきである。」として、近い将来、すべての小中高等学校などでコンピューターを利用してインターネットに接続できる環境を整備することを提言されております。また、昨年五月十六日の経済構造の変革と創造のための行動計画においても、「近い将来全国の学校がインターネットに接続されることを目指す。」とされたところであります。  今日、私たちの周りでは、インターネットによって結ばれた世界が広がっております。それも、文字情報だけでなく動画や音声などが送受信できる、まさにマルチメディア対応の情報通信機器の普及により、これまでの生活様式さえ変えつつあります。このように高度に情報化の進んだ社会において、将来を担う子供たちが、誤った情報やあるいは不要な情報に惑わされることなく、真に必要な情報を選び出し、そしてみずからの情報を主体的に発信できるような能力を身につけるというのは、これからの時代、本当に重要な課題になってくると思っております。  そういう意味で、インターネットを活用したマルチメディアネットワークの教育的利用は、一つには、子供の体験的で能動的な学習、二つ、子供の一人一人の個性に応じた指導を効果的に行うための道具、三つ、子供の体験的な活動を触発させる、四つ、子供の自発的な問題解決能力を高める、五つ、テレビやその他の視聴覚機器などのメディアと統合活用した授業ができる、六つ、地域を越えた、異なる文化理解と即時即応性、七つ、情報のより高度化と信頼性の向上、こういつたことなど、学校改革の多様な可能性を秘めたメディアとして世界的な規模で発展していることからも、避けて通れないものと考えております。  そこで、自治省にお尋ねいたしますけれども、今申し上げたような意味において、二十一世紀を担う子供たちの情報の活用能力や国際性を一層養うため、すべての学校がインターネットに接続できるように財政的な面で積極的に支援していくべきであると考えておりますが、いかがでありましょうか。
  146. 香山充弘

    ○香山政府委員 学校インターネットに関しまして、お答えを申し上げます。  昨年、文部省の方から、経済構造の変革と創造のための行動計画、さらには緊急経済対策を受けまして、すべての公立学校をインターネットに接続したいとの御相談がございました。ただいま御指摘にありましたように、私どもも、子供たちの情報活用能力あるいは国際性を養うことは極めて重要なことと判断をいたしまして、両省協議をいたしまして、結論的には、平成十年度から平成十五年度までの六年間で、すべての公立の小中高等学校、さらには特殊教育諸学校、これはすべて合わせますと四万校になりますけれども、これをインターネットに接続するということで計画を進めようということに相なりまして、私ども、必要な財源を普通交付税措置することといたしました。  具体的には、それぞれの学校におきます回線の使用料あるいはインターネット通信料等を想定いたしまして一校当たり二十万円程度を算入することといたしておりまして、平成十年度には八千三百校分の十七億円を普通交付税措置することといたしております。  この額は、当初申し上げました計画に沿いまして年々増額をしていくことになっておりまして、平成十五年に大体四万校すべてをカバーすることに相なりますが、そのときになりますと八十億円程度財源が必要になってまいりますけれども、これを普通交付税によって措置いたしまして、地方団体の取り組みを支援いたしたいと考えておる次第でございます。  以上でございます。
  147. 中野正志

    ○中野(正)委員 ぜひ強力に頑張っていただきたいと思います。  次に、警察庁にお伺いをいたします。  ここ数カ月の中学生、高校生によるナイフを使った殺傷事件、あるいは覚せい剤汚染、先般は首都圏で小学校の女性教師までが検挙された例がありますけれども、こういつたことは大変憂慮すべき事態だと思っております。  先日、文部大臣の諮問機関の中央教育審議会、幼児期からの心の教育に関する小委員会が中間報告原案の中で、生徒らの覚せい剤使用やナイフ所持あるいは校内暴力などに対し、警察に連絡、協力要請するとともに、校内の秩序を保つために警察官による巡回、警ら活動でありますけれども、これを仰ぐことを提言をいたしております。.  現実に、残念ながら、教師の側から問題生徒にいかに働きかけ、指導を行っても、ほかの生徒への学習あるいは心身への悪い影響を及ぼす例が枚挙にいとまがない、あるいは指導する教師側に危険が及ぶ例が多いことも事実であります。  校内暴力、過去最多だと報告されております。問題行動を起こす生徒に現場の教師が毅然とした態度で的確な対応ができるよう側面支援しようというねらいだ、こう言われるのでありますけれども、今まではどちらかといえば教育の聖域に警察が介入するということに抵抗があることは事実でありますけれども、やはり、ナイフ殺傷あるいは薬物汚染、校内暴力、いじめ、こういうことから学校を守るという意味で、私はためらわずにこれを実現することが大事だと思っております。  警察庁の所見をお伺いいたしますと同時に、この十七日、文部省の調査研究協力者会議でも、学校の能力、権限の限界を明らかにして警察などとの連携を求めることで合意されたようでありますが、あわせ文部省にも所見をお伺いをいたします。
  148. 泉幸伸

    ○泉政府委員 御質問の中央教育審議会の中間報告案につきましては、報道で承知しておりまして、現在審議中と聞いておりますが、子供たちが学校内において安心して学ぶ環境をつくるというのは、もちろん事柄の性質上、まず学校関係者でできる限りの御尽力を願うというのが前提ではございますが、少年非行が極めて深刻な状況にある現在、警察と学校とがその責務に応じて役割を分担しつつ、少年の問題行動などに関し実態に即した情報交換や意見交換を行い、さらに少年の規範意識の啓発等のための共同行動を行うなど、その連携強化を図ることは極めて重要であると考えております。  また、警察といたしましても、学校や教育委員会との具体的協力関係の確立に全力を挙げているところでございますが、学校内の暴力行為等の問題に関して学校側から相談や協力要請があった場合には、その内容に応じ万全の措置をとってまいることといたしております。
  149. 河村潤子

    ○河村説明員 お話のございました会議は、昨年の七月から審議を行っております児童生徒の問題行動等に関する調査研究協力者会議であると承知をいたしております。この会議は、警察庁の関係者の御出席もいただきまして、校内暴力等の最近の実情を踏まえ、これらの問題行動を予防するための学校における指導体制、それから学校と関係機関との連携ということに課題を絞って検討を行っているところでございます。  その中で、学校は、学校の中ですべての問題を解決しようという、いわゆる抱え込み意識というものがございますけれども、こういうものを捨てて、問題の内容、程度、状況に応じて警察等の関係機関に速やかに相談をする、あるいは事例によりましては、役割分担を明らかにしつつ主たる対応をゆだねていくといった方向で連携を進めるべきという議論がなされているところでございます。  この会議は、今月中にも報告を取りまとめることと予定をいたしておりまして、文部省といたしましても、報告を受けた後、その内容について教育委員会あるいは学校等に周知を図ってまいる所存でございます。
  150. 中野正志

    ○中野(正)委員 ぜひ抑止の力をしっかりと見せつけていただきたい、こう思います。  なお、覚せい剤などにいとも簡単に手を出す中学生、高校生が激増いたしておりますということは、大変残念であります。  昨年初めに、私は、宮城県警と宮城県教育委員会の例を引きながら、薬物汚染のビデオを学校現場でしっかり見せつける、体に対する悪影響、その哀れな人生末路をしっかりと見せつける、このことが必要だと提案をいたしましたけれども、警察庁、文部省連携の中で、全国の学校教育現場の中でどのような指導をされてこられたのか、その現況をお伺いをしたいと思いますし、同時に、低年齢化が進む薬物汚染に厳しく取り組まれる、その総合的対策についてもお伺いをいたします。
  151. 佐々木順司

    ○佐々木説明員 まず私の方から、学校に対します指導等につきまして御説明をさせていただきたいと思います。  委員御指摘のとおり、最近は、高校生、特に平成九年は中学生の覚せい剤事犯が非常に増加をいたしておりまして、私ども大変憂慮しているところでございます。  それで、私どもといたしましては、小中高等学校用の教員用の指導資料の作成、配付、あるいは、先ほど先生御指摘ございましたように、平成九年度は高校生用のビデオ、ドキュメンタリータッチで作成したものでございますが、これを新学期に間に合いますように三月中に全国の高等学校に配付をするという予定にいたしております。また同時に、中高校生用のパンフレット、これも作成をいたしまして、新学期に間に合うように配付する予定にいたしております。さらに、教員の指導力をつけるということが非常に大事でございますので、教員の研修会を、全国また都道府県段階で実施しているところでございます。  特に、薬物乱用防止の指導につきましては、実態を熟知しておられる現場の専門の方等の御協力を得ることが大変効果的であるというふうに言われておりまして、私どもは、警察庁の全面的な御協力をいただきまして、各高等学校で薬物乱用防止教室というのを進めております。平成九年の四月から十二月までの間におきまして、全国の高等学校の八二・九%、四千五百五十八校で実施されたというふうに承知しております。  今後とも、関係省庁と協力いたしまして、覚せい剤の防止対策につきまして全力を挙げてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  152. 泉幸伸

    ○泉政府委員 少年の薬物犯罪につきましては、御案内のとおり、補導人員が平成七年以降急増傾向を示しておりまして、昨年まで三年連続増加しておる、特に昨年は、中高生による薬物乱用の補導人員が二百六十二人ということで過去最高を示しているということでございまして、この問題については昨年の当地方行政委員会でも御指摘いただいたところでございますが、警察といたしましても、教育現場における薬物乱用防止のために、学校との連携を強化して、少年に薬物の危険性、有害性についての正しい認識を持たせるということを目的とした、ただいま文部省の方から御答弁ありました薬物乱用防止教室を積極的に開催いたしておるところでございます。  また、当然のことながら、それにあわせまして、薬物全般についての、密輸、密売組織の摘発を通じた供給の遮断、少年を含めた末端乱用者の検挙、補導、あるいは広報啓発活動を通じた需要の根絶、さらには薬物事犯における不法収益の剥奪等の不法収益対策、これを三本柱として総合的な薬物乱用防止対策を推進しているところでございます。
  153. 中野正志

    ○中野(正)委員 外国人の密入国問題やら組織犯罪やらたくさんの質問点があるのでありますけれども、諸般の事情もこれあり、最後の質問にさせていただきたいと存じます。内に治安、外に防衛、まさに国家存立の基盤であります。第一線の警察官の御苦労、また警察庁、各都道府県警の活動は私は大変評価をいたしておりますけれども、残念でありますが、それでも犯罪は増大の一途をたどっております。少年犯罪の凶悪化、あるいは薬物汚染、外国人の組織犯罪など、真っ正面から戦っていかなければなりません。  この治安情勢の悪化に対して、国家公安委員長の御決意を最後にお伺いをいたしたいと存じます。
  154. 上杉光弘

    上杉国務大臣 委員御心配のとおり、日常生活の上では交通安全対策の問題があり、さらに治安上の問題といたしましては来日外国人の組織犯罪があり、さらにまた暴力団の組織的な殺傷事件等の凶悪犯罪があり、そして、次代を担う青少年の非行や薬物あるいは性に対する非行化がだんだん激増しますと同時に、そういう社会問題化しておる問題があるわけでございます。加えて、最近のナイフ等の問題がございます。  これらの問題は、警察といたしましては、国家が繁栄をいたしますための基盤として良質な治安を提供しなければならないという役割があるわけでございまして、そのために日夜を分かたず全力を挙げて取り組んでおるわけでございます。  また、他方、経済的な知能犯としての企業と暴力団あるいは右翼との癒着の問題、総会屋対策等が一方でございまして、いっときも油断のならない、いっときも気の許せない、限られた人員のもとで行政改革や財政構造改革のもとに極めて厳しい人員のもとでその体制を整え、それに対応していかなければならないという警察の厳しさがございますが、敢然としてこれに立ち向かっていかなければならないわけでございまして、今後ともそういう基本的な認識、基本的な姿勢のもとに対応してまいりたいと考えておるわけでございます。  私は、警察が対応をするために何が問題か、国家公安委員長になりまして事務方に聞きました。幾つかの問題をお聞きしましたが、二十三年間にわたって超過勤務手当がないという事実を知りました。限られた人員で、人員をふやすことができないというこの状況で、多種多様化しておる犯罪等を考えますと、それらに対応することは、現場の警察官に対しての当然の対応であると考えまして、二十三年ぶりに超過勤務手当等の対応もできたところでございます。  そのような目配り、気配りも十分しながら、国民に対して安心して暮らせる国づくりの基本としての、良質な治安の提供に向かって全力を挙げて取り組んでまいりたいと考えております。
  155. 中野正志

    ○中野(正)委員 勇将のもとに弱卒なしの言葉どおりだと思います。しっかり頑張っていただきたいと思います。  以上で終わります。
  156. 加藤卓二

    加藤委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。  次回は、明二十日金曜日午後六時理事会、午後六時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時二十四分散会