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1998-03-10 第142回国会 衆議院 地方行政委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十年三月十日(火曜日)     午前九時開議 出席委員   委員長 加藤 卓二君    理事 今井  宏君 理事 谷  洋一君    理事 平林 鴻三君 理事 宮路 和明君    理事 古賀 一成君 理事 葉山  峻君    理事 桝屋 敬悟君 理事 佐藤 茂樹君       石橋 一弥君    稲葉 大和君       岩永 峯一君    住  博司君       滝   実君    中野 正志君       西川 公也君    西田  司君       平沢 勝栄君    持永 和見君       保岡 興治君    川端 達夫君       桑原  豊君    古川 元久君       松崎 公昭君    白保 台一君       富田 茂之君    西村 章三君       穀田 恵二君    春名 直章君       畠山健治郎君  出席国務大臣         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長     上杉 光弘君  出席政府委員         地方分権推進委         員会事務局長  東田 親司君         警察庁長官官房         長       野田  健君         警察庁長官官房         総務審議官   金重 凱之君         警察庁生活安全         局長      泉  幸伸君         警察庁刑事局長 佐藤 英彦君         警察庁交通局長 玉造 敏夫君         大蔵省主計局次         長       寺澤 辰麿君         自治大臣官房長 嶋津  昭君         自治大臣官房総         務審議官    香山 充弘君         自治省行政局長 鈴木 正明君         自治省行政局公         務員部長    芳山 達郎君         自治省行政局選         挙部長     牧之内隆久君         自治省財政局長 二橋 正弘君         自治省税務局長 成瀬 宣孝君         消防庁長官   谷合 靖夫君  委員外出席者         行政改革会議事         務局参事官   大藤 俊行君         厚生省生活衛生         局乳肉衛生課長 森田 邦雄君         地方行政委員会         専門員     黒沢  宥君     ――――――――――――― 委員の異動 二月四日  辞任         補欠選任   中山 利生君     西田  司君 三月十日  辞任         補欠選任   稲葉 大和君     岩永 峯一君 同日  辞任         補欠選任   岩永 峯一君     稲葉 大和君     ――――――――――――― 三月二日  地方財政への介入反対に関する請願平賀高成  君紹介)(第四七四号)  住居集合地域周辺等パチンコ店を含む風俗営  業の規制に関する請願(辻元清美君紹介)(第  四九一号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 二月十日  現行行政書士制度の堅持に関する陳情書外八件  (第三号)  銃器犯罪根絶に関する陳情書  (第五  三号)  地方財政拡充等に関する陳情書外一件  (第五四号)  地方財政対策に関する陳情書  (第五五号  ) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  地方自治地方財政警察及び消防に関する件      ――――◇―――――
  2. 加藤卓二

    加藤委員長 これより会議を開きます。  地方自治地方財政警察及び消防に関する件について調査を進めます。  この際、上杉国務大臣から、所管行政の当面する諸問題について説明を聴取いたします。上杉国務大臣
  3. 上杉光弘

    上杉国務大臣 おはようございます。  所信を申し上げたいと思います。  委員長理事委員各位におかれましては、平素から地方行政及び警察行政推進格段の御尽力をいただき、厚く御礼を申し上げます。  この機会に所管行政の当面する諸問題につきまして所信一端を申し上げ、皆様の深い御理解と格段の御協力を賜りたいと存じます。  さて、二十一世紀を間近に控え、内外ともに大きな変革期を迎えつつある中で、国民が豊かさとゆとりを実感できる社会を実現していく上で、地域の総合的な行政主体である地方公共団体役割はますます増大しております。  地方行財政を取り巻く環境には依然として極めて厳しいものがございますが、国、地方を通ずる行政改革を一層進めますとともに、今後とも、地方税財源充実強化を図りながら地方分権を具体的に推進し、みずからの創意工夫地域づくりを行える新時代にふさわしい地方自治確立していかなければなりません。  私は、このような基本的認識もとに、最大限努力を払ってまいります。  以下、概要について御説明いたします。  地方分権推進につきましては、地方がその実情に沿った個性あふれる行政を積極的に展開できるよう、地方公共団体自主性自立性を高めていくことが必要であります。  政府といたしましては、四次にわたる地方分権推進委員会の勧告を最大限に尊重し、今通常国会が終了するまでのできるだけ早い時期に地方分権推進計画を作成することとしております。  このため、自治省におきましては、昨年末に、機関委任事務制度の廃止後における地方公共団体事務あり方及び一連の関連する制度あり方についての大綱を取りまとめたところでありますが、今後とも、地方公共団体自己決定自己責任原則もとにみずからの行政を行うことのできる新時代にふさわしい地方自治確立するため、地方分権推進全力を尽くしてまいります。  また、地方公共団体においても、自主的な市町村の合併の推進広域連合の活用など、新たな地方公共団体役割を担うにふさわしい行政体制整備確立を図っていただくことが重要であり、私といたしましても、その推進に積極的に取り組んでまいります。  なお、特別区の自主性自立性強化する方向で都区制度見直しを行うため、地方自治法等の一部を改正する法律案を今通常国会に提出するよう、本日閣議決定を行ったところでございます。  次に、地方公共団体における行政改革についてでありますが、地方分権成果を十分に上げるためには、地方公共団体が自覚を持って徹底した行政改革に取り組むことが必要であります。また、現下の極めて厳しい行財政環境もと、二十一世紀にふさわしい日本の新しいシステムを構築するため、政府においては行政改革財政構造改革への取り組みを強力に進めているところでありますが、国、地方を通じた行財政改革推進するためには、地方行革のより積極的な取り組みが不可欠であります。  このため、先般、地方行革の新たな指針を策定し、行政改革のさらなる推進を強く要請するとともに、情報提供等を通じて地方行革の一層の支援に努めているところであり、今後とも、地方行革推進を最重要課題の一つとして積極的に取り組んでまいります。  公務員行政につきましては、公務能率向上公務員倫理確立と厳正な綱紀保持、給与・定員管理適正化、正常な労使関係樹立等に引き続き努めてまいります。また、来るべき高齢社会に対応し、高齢地方公務員の新たな再任用制度を設けることについて検討を行うほか、社会経済情勢変化に対応した地方公務員制度あり方について検討を進めてまいりたいと考えております。  次に、地方税制について申し上げます。  先般、本委員会審議、採決をいただいたところでありますが、平成十年度分個人住民税について、当面の経済状況等を踏まえ、六千億円規模特別減税を実施することといたしております。この特別減税につきましては、原則として六月に実施することとしており、現在、市町村税務当局などにおいて、円滑に実施するための所要の手続を進めているところであります。  この特別減税以外の平成十年度の地方税制改正につきましては、最近における社会経済情勢変化に対応して早急に実施すべき措置として、法人事業税について、課税ベース適正化しながら、平成十年四月一日以降に開始する事業年度から、基本税率を一二%から一一%に引き下げますとともに、土地税制見直しなどの改正を行うほか、地方分権推進する観点から、課税自主権を尊重するため、個人市町村民税制限税率を廃止するなどの改正を行うこととしております。  また、基地交付金及び調整交付金につきましては、基地所在市町村実情等にかんがみ、増額を図ることとしております。  なお、事業税につきましては、課税公平化や税収の安定化などを図るため、課税標準への外形基準導入課題となっており、平成十年度において、税制調査会での御議論等を踏まえながらさらに検討を深めてまいりたいと考えております。  地方税地方公共団体住民を結ぶ地方自治基盤であり、この上に立ってこそ、時代要請である地方分権推進も図られるものと考えております。私といたしましても、課税自主権を尊重しつつ、地方税充実確保を図ってまいります。  次に、地方財政について申し上げます。  地方財政は、引き続き大幅な財源不足状況にあり、地方財政借入金残高平成十年度末には百五十六兆円に達する見込みとなっておりますが、今後その償還により公債費の一層の増加が見込まれるなど、極めて厳しい状況にあります。  こうした地方財政の現状のもと平成十年度の地方財政計画の策定に当たりましては、所得税及び個人住民税特別減税が実施されることに伴う地方財政への影響を補てんするほか、財政構造改革推進に関する特別措置法等を踏まえ、地方一般歳出を抑制することを基本といたしますとともに、引き続き生じることとなった大幅な財源不足について、地方財政運営上支障が生じないよう補てん措置を講じております。  この結果、平成十年度の地方財政計画歳入歳出規模は八十七兆九百六十四億円で、前年度と同額程度となっております。公債費等を除く地方一般歳出は、七十三兆三千六百二十五億円と、前年度に比べ一兆一千五百六十七億円、一・六%の減となっております。  また、地方公営企業につきましては、上・下水道、交通病院等住民生活に密接に関連した社会資本整備推進するとともに、社会経済情勢変化に対応した新たな事業展開支援し、あわせて経営健全化効率化推進し、経営基盤の一層の強化に努めてまいります。  二十一世紀に向け活力ある豊かな地域社会を実現するためには、地方公共団体地域の総合的な行政主体として、みずからの創意工夫による施策を積極的に展開していくことが何よりも必要であります。  このため、自主的・主体的な地域づくり、少子・高齢化等に対応した総合的な地域福祉施策展開国際交流国際協力推進等の重要な課題地方公共団体が積極的に対応していけるよう、引き続き支援してまいります。  とりわけ地域づくり課題として、食糧等を供給するという経済産業活動面のみならず、水資源の涵養、自然環境保持等国土保全という多面的かつ重要な公益的機能を有しておる農山漁村地域は、過疎化高齢化進展等によりその活力は低下してきておりまして、これら機能役割が低下していることが憂慮されるところであります。  一方、町の中心部におきましては、空き店舗発生等の商業の衰退を初めとする中心市街地空洞化が進行しております。このため、平成十年度の地方財政対策においても、地方公共団体農山漁村地域における国土保全対策を総合的に推進する経費や、町の中心部の再活性化を計画的に、総合的に推進する経費に対して地方財政措置を講じることとしたところでありまして、今後とも引き続き農山漁村地域活性化中心市街地の再活性化などに努めてまいりたいと考えております。  また、高度情報通信技術進展に対応して地域情報通信基盤整備を促進し、住民サービス向上地域活性化を図ることが重要な課題となっております。このため、平成十年度より、光ファイバー等を利用したネットワーク整備等に対して新たに地方財政措置を講ずることとしております。  さらに、情報化め一層の進展に対応して、行政簡素効率化住民サービス向上に資するため、住民基本台帳ネットワークシステム導入につきまして、住民基本台帳法の一部を改正する法律案を今通常国会に提出するよう、本日、閣議決定を行ったところであります。  次に、消防行政について申し上げます。  我が国消防は、昭和二十三年に地域に密着した自治体消防として発足して以来、本年で五十周年を迎えました。この間、関係者努力の積み重ねにより、組織施設装備等充実強化が図られ、国民からの厚い信頼を得るに至っており、また、国際協力にも大きく寄与してまいりました。  しかしながら、昨年もナホトカ号海難流出油災害、鹿児島県出水市土石流災害を初め、各地での地震、風水害、林野火災危険物漏えい事故など、住民の安全を脅かす災害事故が相次いで発生しております。  こうした中で、国民防災に対する関心は依然として高く、災害に強い安全な町づくり推進し、総合的な災害対応力強化することが強く求められております。  私は、災害などから国民の生命、身体、財産を守り、安全で安心な地域社会を実現することが政治の理想であるという認識に立ちまして、安全で安心な地域社会づくり消防防災行政推進を二つの大きな柱に、地域防災計画の抜本的な見直しを初め、地域防災機能を高めるための基盤整備推進消防防災の広域的な応援体制防災情報通信体制強化に努めてまいりたいと考えております。  また、消防団充実強化、自主的な防災体制整備取り組みますとともに、技術革新成果なども取り入れながら、今後とも消防防災全般にわ たる充実強化全力を挙げて取り組んでまいります。  次に、警察行政について申し上げます。  良好な治安は、国家社会発展基盤であり、国民一人一人が豊かで安心できる生活を送るために、欠くことのできないものであります。  最近の治安情勢は、少年犯罪凶悪化銃器使用による凶悪事件発生など、まことに厳しいものがありますが、私は、我が国が誇る財産ともいうべき良好な治安を維持向上させるため、全力を尽くして国民皆様期待信頼にこたえてまいる所存であります。  初めに、少年非行情勢対策について申し上げます。  本年に入って、少年による刃物を使用した凶悪事件が相次いで発生しておりますが、最近の少年非行情勢を見ますと、刑法犯少年増加を続ける中、昨年は、少年による凶悪犯罪昭和五十年代以降最悪を記録したほか、少年への覚せい剤汚染も拡大するなど、極めて憂慮すべき状況にあります。  次代を担う少年非行犯罪の被害から守り、その健全な育成を図ることは、国民すべての願いであり、社会全体として早急に取り組むべき課題であります。警察といたしましても、強さと優しさを車の両輪としつつ、少年事件捜査少年補導活動強化、学校、家庭、地域との連携広報啓発活動推進少年を取り巻く環境浄化活動などの諸課題につきまして、関係機関団体協力しながら、緊急かつ総合的な対策推進に努めてまいります。  次に、犯罪情勢対策についてでありますが、現下の最重要課題は、組織犯罪対策であります。  昨年、暴力団幹部に対する射殺事件発生し、一般市民が巻き添えとなって亡くなられましたが、それ以降、銃器発砲件数死者数がともに増加に転じるなど、依然として銃器が安全な市民生活に対する直接の脅威となっている状況が続いております。  このような情勢を踏まえ、内閣に設置された銃器対策推進本部もと関係省庁や海外の関係機関との連携を図り、暴力団等組織的に管理している銃器を重点に、その流入阻止と摘発を推進いたしますとともに、違法銃器根絶に向けた諸対策を強力に推進していくこととしております。  また、暴力団に対しては、あらゆる法令を活用した検挙活動中心に、暴力団対策法効果的運用や、事務所撤去等暴力団排除活動を組み合わせた暴力団総合対策を強力に推進してまいる所存であります。  一方、昨年は、大手企業による総会屋等に対する利益供与事件が相次いで検挙され、大きな社会問題となりました。こうした中、昨年七月には、いわゆる総会屋対策のための関係閣僚会議が開催され、企業から不正な収益を獲得する活動排除に向け、政府を挙げた取り組みがなされているところであります。  警察におきましても、取り締まりとあわせ、企業及び業界団体等に対する指導及び支援強化しているところであります。  また、近年、来日外国人による組織的な犯罪が多発し、我が国治安に対する重大な脅威となっております。  このような情勢を踏まえ、警察庁では、昨年四月に来日外国人犯罪対策室を設置して、来日外国人犯罪実態解明と徹底した取り締まりを行い、成果を上げてきたところであります。今後とも捜査体制充実関係機関との連携強化などの諸施策推進し、犯罪組織実態解明とその壊滅に向けた取り締まり強化してまいります。  さらに、昨今の情報通信ネットワークの急速かつグローバルな規模での発展により、我が国においても、新たなコンピューター技術等を用いた犯罪増加しているところであります。  こうしたいわゆるハイテク犯罪については、その対策が国際的な重要課題となっておりますが、警察といたしましても、国際的要請に対応しつつ、都道府県警察捜査力強化取り組み等に加え、それを技術的に支援するための体制充実強化を図るなど総合的な対策推進してまいる所存であります。  また、オウム真理教関連事件につきましては、平田信を初めとするオウム真理教関係指名手配被疑者が依然として逃走中であり、警察庁長官狙撃事件全容解明のためにも、引き続き、全国警察を挙げて被疑者の発見、検挙に取り組んでまいります。  また、最近の薬物情勢につきましては、少年による覚せい剤乱用の急増、来日外国人による密売事犯増加等、非常に厳しい状況にあります。  警察といたしましては、今後とも薬物の供給の遮断と需要の根絶不法収益対策を加えた三本柱による総合的な薬物対策を一層強化してまいる所存であります。  さらに、金融不良債権関連事犯につきましては、債権回収業務の進捗や本格化する金融制度改革等経済取引環境変化に伴い新たな事案発生も懸念されることから、引き続き、関係機関と緊密な連携をとりながら、必要な諸対策推進してまいります。  次に、警備情勢対策についてであります。  国際テロ情勢については、世界各地で宗教・民族間問題等を背景としたテロが頻発する中、在ペルー日本国大使公邸占拠事件等発生で端的に示されたように、我が国の権益や在外邦人に対する脅威が高まっております。  一方、国内においても、右翼等による銃器を使用したテロや、成田問題等に関連した極左暴力集団によるテロゲリラ事件等が今後とも発生することが懸念されるところであります。  警察といたしましては、こうした厳しいテロ情勢にかんがみ、引き続き、情報収集活動強化事案対処能力充実国際協力推進等テロ対策充実強化に努めてまいる所存であります。  また、二十六年ぶりに我が国で開催された長野オリンピック冬季競技大会については、全国警察を挙げて警備交通対策推進した結果、無事終了したところでありますが、引き続き、パラリンピック冬季競技大会についても、その安全確保を図ってまいる所存であります。  次に、交通情勢対策についてであります。  平成九年中の交通事故死者数は、国民皆様を初め関係方面の懸命な努力により、二年連続して一万人を下回りました。  しかしながら、いまだ多くのとうとい人命が失われており、交通事故発生件数も五年連続して過去最悪の記録を更新していることから、決して予断を許さない状況にあります。  安全で快適な交通社会を実現することは、すべての国民願いであります。警察といたしましては、関係機関団体、とりわけ市町村との連携を一層強化するとともに、国民一人一人が交通安全を身近な問題として、積極的に交通安全活動に参加していただくよう、広報啓発活動充実を図りつつ、交通安全教育推進交通安全施設等整備指導取り締まり強化等対策を講じていくこととしております。  次に、地域社会における安全の確保についてであります。  地域社会における安全は、国民が安心して暮らすために欠くことのできないものであります。このため、特に年少者高齢者等弱い立場にある者が地域での安全を体感できるような地域社会の実現に向け、自治体やボランティアの方々と連携しながら、地域安全活動推進していくこととしております。  また、交番・駐在所は、地域住民に最も身近な警察機関として地域社会の安全と平穏の確保に大きな役割を果たしております。今後とも地域住民期待信頼に十分こたえていけるよう、その充実強化に努めてまいります。  なお、本国会において、風俗営業に対する規制の緩和などを内容とする風営適正化法の一部を改正する法律案を提出いたしたいと考えておりますので、慎重御審議のほどよろしくお願いをいたします。  以上、警察行政の当面する諸問題について申し上げましたが、先般、警視庁警部収賄罪で逮捕・起訴される事案発生し、国民警察に対する信頼を損ねたことについてはまことに遺憾であります。今後とも警察職員綱紀の粛正と職業倫理確立について、さらなる徹底に努めてまいります。  現下の極めて深刻な諸情勢に的確に対処し、我が国治安水準を維持、向上させるためには、警察力の一層の充実強化が必要であります。このため警察といたしましては、従来にも増して組織、人員の効率的運用職員資質向上装備資機材近代化など業務合理化を積極的に推進するとともに、必要な警察体制あり方について十分な検討を重ねてまいりたいと考えております。  さらに、警察職員一人一人が誇りと使命感を持って職務に精励できるよう、引き続き処遇の改善や勤務環境整備にも取り組み、真に国民の負託にこたえることのできる警察確立に努めてまいる所存であります。  以上、所管行政の当面する諸問題につきまして、所信一端を申し述べましたが、委員長理事委員各位の格別の御協力によりまして、その実を上げることができますよう、一層の御指導と御鞭撻をお願い申し上げる次第であります。
  4. 加藤卓二

    加藤委員長 引き続き、平成十年度自治省関係予算概要について説明を聴取いたします。嶋津官房長
  5. 嶋津昭

    嶋津政府委員 平成十年度の自治省関係歳入歳出予算につきまして、概要を御説明申し上げます。  第一に、一般会計予算でありますが、歳入は七億六千万円、歳出は十六兆二百八十九億九千百万円を計上いたしております。  歳出予算額は、前年度の予算額十五兆五千八百六十一億二千二百万円と比較し、四千四百二十八億六千九百万円の増額となっております。また、この歳出予算額組織別の額を申し上げますと、自治本省十六兆六十五億三千万円、消防庁二百二十四億六千百万円となっております。  以下、この歳出予算額のうち、主な事項につきまして内容の御説明を申し上げます。  最初に、自治本省につきまして御説明を申し上げます。  まず、地方交付税交付金財源の繰り入れに必要な経費でありますが、十五兆八千七百一億五千万円を計上いたしております。  これは、平成十年度の所得税法人税及び酒税の収入見込み額のそれぞれ百分の三十二、消費税収入見込み額の百分の二十九・五並びにたばこ税収入見込み額の百分の二十五に相当する金額の合算額十五兆五千七百一億五千万円に平成十年度の加算額三千億円を加算した額を交付税及び譲与税配付金特別会計へ繰り入れるためのものであります。  次に、国有提供施設等所在市町村助成交付金に必要な経費でありますが、二百三十一億五千万円を計上いたしております。  これは、いわゆる基地交付金でありまして、米軍及び自衛隊が使用する国有提供施設等の所在する市町村に対し、助成交付金を交付するためのものであります。  次に、施設等所在市町村調整交付金に必要な経費でありますが、六十億円を計上いたしております。  これは、特定の防衛施設が所在することに伴い税財政上特別の影響を受ける施設等所在市町村に対し、調整交付金を交付するためのものであります。  次に、新産業都市等建設事業債調整分の利子補給に必要な経費として、五億四千二百万円を計上いたしております。  これは、新産業都市、工業整備特別地域等の建設、整備の促進を図るため、建設事業債の特別調整分について利子補給金を交付するためのものであります。  次に、公営企業金融公庫の補給金に必要な経費でありますが、二十九億円を計上いたしております。  これは、公営企業金融公庫の上水道事業、下水道事業、工業用水道事業、交通事業、市場事業、電気事業、ガス事業及び駐車場事業に対する貸付利率の引き下げに関連し、同公庫に対し補給金を交付するためのものであります。  次に、公営地下高速鉄道事業助成に必要な経費でありますが、四十九億九千二百万円を計上いたしております。  これは、昭和四十七年度から昭和五十七年度までの間において発行された公営地下高速鉄道事業債の支払い利子に相当するものとして発行を認めた企業債の利子の一部について、地方公共団体に助成金を交付するためのものであります。  次に、公営交通施設改良モデル事業に必要な経費でありますが、一億五千万円を計上いたしております。  これは、地域の中核的施設である公営交通のターミナル等について、高齢者や身体障害者に配慮した改造をモデル的に行う地方公共団体に対し事業費の一部を補助するために必要な経費であります。  次に、明るい選挙の推進に必要な経費でありますが、十九億百万円を計上いたしております。  これは、選挙人の政治意識の向上を図るとともに投票参加を促す等のために必要な経費であります。  次に、政党助成に必要な経費でありますが、三百十六億一千六百万円を計上いたしております。  これは、法人である政党に対し交付する政党交付金等に必要な経費であります。  次に、参議院議員通常選挙に必要な経費でありますが、五百六十億七千万円を計上いたしております。  これは、平成十年度における参議院議員通常選挙の執行に必要な経費、参議院議員通常選挙の開票速報に必要な経費、選挙人に対する参議院議員通常選挙の啓発の推進をするために必要な経費であります。  以上が自治本省についてであります。  次に、消防庁について御説明申し上げます。  消防防災施設整備に必要な経費として、百八十八億二百万円を計上いたしております。  これは、阪神・淡路大震災の教訓を踏まえ、安全で安心な地域社会づくり推進するため、耐震性貯水槽、画像伝送システム消防団拠点施設防災無線、緊急消防援助隊関係資機材、ヘリコプター、高規格救急自動車などの諸施設等を地域実情に応じて重点的に整備するために必要な経費であります。  第二に、特別会計予算につきまして御説明を申し上げます。  自治省関係の特別会計といたしましては、交付税及び譲与税配付金特別会計があり、交付税及び譲与税配付金勘定と交通安全対策特別交付金勘定があります。  まず、交付税及び譲与税配付金勘定の歳入予定額は三十五兆九千五十七億七千九百万円、歳出予定額は三十五兆七千六百四十六億七千九百万円となっております。  歳入は、交付税及び譲与税配付金特別会計法に基づく一般会計からの受け入れ見込み額、地方道路税の収入見込み額、石油ガス税の収入見込み額の二分の一に相当する額、航空機燃料税の収入見込み額の十三分の二に相当する額、自動車重量税の収入見込み額の四分の一に相当する額、特別とん税の収入見込み額等を計上いたしております。  歳出は、地方交付税交付金、地方譲与税譲与金及び借入金の償還財源等の国債整理基金特別会計への繰り入れ等に必要な経費であります。  次に、交通安全対策特別交付金勘定でございます。歳入予定額は千三億一千万円、歳出予定額は九百二十五億六千四百万円となっております。  歳入は、交通反則者納金の収入見込み額等を計上いたしております。歳出は、交通安全対策特別交付金等に必要な経費であります。以上、平成十年度の自治省関係の一般会計及び特別会計予算の概要を御説明申し上げました。
  6. 加藤卓二

    加藤委員長 次に、平成十年度警察庁関係予算の概要について説明を聴取いたします。野田官房長。
  7. 野田健

    ○野田(健)政府委員 平成十年度の警察庁予算につきまして、概要を御説明申し上げます。  平成十年度の警察庁予算総額は、二千五百二十九億六百万円であります。  次に、その内容の主なものにつきまして御説明申し上げます。  第一は、警察庁一般行政に必要な経費八百五十一億四千八百万円であります。この経費は、警察庁警察大学校及び地方機関の職員並びに都道府県警察の警視正以上の警察官の俸給等の人件費のほか、警察庁警察大学校及び地方機関の一般事務経費であります。  第二は、国際会議等に必要な経費三億三千万円であります。この経費は、国際会議への出席のための旅費等及び国際刑事警察会議分担金であります。  第三は、電子計算機運営に必要な経費九十二億一千六百万円であります。この経費は、全国的情報管理システムその他のために設置した電子計算組織の運営に必要な電子計算機の借料とそれに付随する消耗品購入費等であります。  第四は、警察機動力の整備に必要な経費二百八十六億七百万円であります。この経費は、災害対策の一環ともなりますヘリコプター、警察用車両の購入、警察装備品、警察通信機器の整備及びその維持管理等の経費であります。  第五は、警察教養に必要な経費六十一億一千六百万円であります。この経費は、警察学校入校生の旅費と警察学校における教養のための講師謝金、教材の整備費等であります。  第六は、生活安全警察に必要な経費五億六千七百万円であります。この経費は、青少年非行化防止、風俗取り締まり、麻薬、覚せい剤、密貿易、けん銃等銃砲危険物、公害等に関する犯罪の捜査、取り締まり指導、連絡等に必要な旅費、物件費等であります。  第七は、刑事警察に必要な経費三十九億二千二百万円であります。この経費は、暴力団犯罪及び一般犯罪の捜査、取り締まり指導、連絡等に必要な旅費、物件費、暴力団対策法施行に伴う経費並びに犯罪鑑識に必要な法医理化学機材等の整備費、消耗品費、死体の検案解剖の経費のほか、犯罪統計の事務等に必要な経費であります。  第八は、交通警察に必要な経費七億六千五百万円であります。この経費は、交通安全に関する広報及び運転者対策等に必要な物件費並びに交通取り締まり指導旅費等であります。  第九は、警備警察に必要な経費十億八千二百万円であります。この経費は、警備警察運営及び警衛に関する会議指導、連絡等の旅費、機材類の整備等に必要な経費であります。  第十は、警察活動に必要な経費二百八億九千百万円であります。この経費は、犯罪の捜査、取り締まり警察活動に必要な旅費及び捜査費であります。  第十一は、警察電話専用回線の維持に必要な経費三十九億二千四百万円であります。この経費は、警察電話専用回線を維持するためのいわゆる警察電話専用料であります。  第十二は、犯罪被害給付に必要な経費六億二千六百万円であります。この経費は、殺人、傷害等の犯罪により死亡しまたは重障害を受けた場合、その遺族または被害者に対し国が一定の給付をするために必要な給付金及び事務費であります。  第十三は、参議院議員通常選挙の取り締まりに必要な経費三億三千九百万円であります。この経費は、参議院議員通常選挙の取り締まり指導、連絡等に必要な旅費、物件費であります。  第十四は、千葉県警察新東京国際空港警備隊に必要な経費百七億二千三百万円であります。この経費は、千葉県警察新東京国際空港警備隊の維持運営に必要な旅費、物件費及び空港警備隊員の人件費等の補助金であります。  第十五は、船舶建造に必要な経費四億二千二百万円であります。この経費は、警察用船舶の建造に必要な経費であります。  第十六は、科学警察研究所に必要な経費二十一億二千四百万円であります。この経費は、警察庁の附属機関として設置されています科学警察研究所職員の俸給等の人件費と研究、調査、鑑定等に必要な機械、器具類の購入費、維持費、その他一般事務経費であります。  第十七は、皇宮警察本部一般行政に必要な経費八十億三千九百万円であります。この経費は、皇宮警察本部職員の俸給等の人件費のほか、その他一般事務経費であります。  第十八は、皇宮警察本部の護衛・警備に必要な経費七億三千六百万円であります。この経費は、皇居の警備及び行幸啓の護衛に必要な経費であります。  第十九は、警察庁施設整備に必要な経費百二十四億七千六百万円であります。この経費は、国庫の支弁対象となっております都道府県警察学校等の施設整備に必要な経費であります。  第二十は、都道府県警察費補助に必要な経費三百八億二千五百万円であります。この経費は、警察法第三十七条第三項の規定により、都道府県警察の一般の犯罪捜査、交通指導取り締まり地域警察活動、防犯活動等の一般行政費の補助に必要な経費であります。  第二十一は、都道府県警察施設整備費補助に必要な経費二百六十億二千八百万円であります。この経費は、警察法第三十七条第三項の規定により、都道府県警察警察署、待機宿舎等及び交通安全施設整備費の補助に必要な経費であります。  以上、平成十年度の警察庁予算の内容につきましてその概要を御説明申し上げました。  よろしく御審議のほど、お願い申し上げます。
  8. 加藤卓二

    加藤委員長 以上で説明は終わりました。     —————————————
  9. 加藤卓二

    加藤委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。今井宏君。
  10. 今井宏

    ○今井委員 おはようございます。  大臣の所信表明に対しまして、何点か御質問をさせていただきます。  まず第一点でございますけれども、地方自治をどう振興していくかという視点から、地方分権をさらに積極的に、ダイナミズムを持って推進したいという立場から御質問を申し上げたいと思う次第であります。  所信の一ページに、地方行政を取り巻く環境には、依然として極めて厳しいものがある、国、地方を通じる行政改革を一層進める、今後とも地方税財源充実強化を図りながら地方分権を具体的に推進していく、みずからの創意工夫地域づくりを行える新時代にふさわしい地方自治確立していかなければならない、このような基本的認識と大臣のお考えをお聞かせいただきました。大変心強く思っているわけであります。  早速具体的に推進していただきたいわけでございますが、地方分権推進法も、御案内のように、五年の時限立法ということになりますので、二〇〇〇年の七月までということになりますと、二年有半しか時間がないわけです。また、行革会議の最終報告を見ましても、二〇〇〇年の三月までに法整備をするようにと、こういう要請も行革会議側からいただいている、報告をもらっている、こういう状況で、この通常国会のできるだけ早い時期に政府による分権推進計画を発表する、作成する、こういうことになっているわけであります。  その作成状況がどうなっているのか、大変気がかりでありますし、大変膨大なお仕事だ、こういうふうに思っておるわけでございますが、大臣が国会に報告できる見通しはどの時点とお考えになっているのか、ぜひお聞かせをいただきたいと思う次第であります。
  11. 上杉光弘

    上杉国務大臣 お答えいたします。  地方分権推進計画についてのお尋ねでございますが、政府は、地方分権推進法に定める国と地方公共団体役割分担等の地方分権推進に関する基本方針に則しまして、地方分権推進委員会の四次にわたります勧告を最大限に尊重して、今国会 が終了するまでのできるだけ早い時期に計画を作成をいたしまして、国会に報告をいたしたいと考えております。  このため、自治省といたしましては、地方分権推進計画の円滑な作成や各省庁における法令改正作業に役立ちますように、昨年末に大綱の取りまとめをいたしたところであります。  今後とも、各省庁と十分相協力をいたしまして、計画の作成が円滑に進みますよう努めてまいりたいと考えております。
  12. 今井宏

    ○今井委員 六月十日が会期末、このように伺っておりますし、ただいまの大臣のお話ですと、終了するまでのできるだけ早い期間、こういうことで、あと何日もないわけなんですね。ぜひ精力的に相互調整を図って、間違いのない推進計画を、しかも地方分権を進める意味での弊害というのは数々指摘されておりますので、地方自治推進する立場の大臣として、その辺のお力添えを、指導力を、リーダーシップをぜひ発揮していただきたい、このように強くお願いをさせていただく次第でございます。  さて、今の御答弁でございましたように、第四次まで勧告がなされて、これを参考にする、こういうわけでありますけれども、その後、第五次と言われる勧告を分権推進委員会で取りまとめの作業に入っておるわけでございます。そうしますと、この会期末までに出る分権推進計画と次に出る第五次の勧告、この五次の勧告というのも極めて重要な勧告になるものだ、かように思っているわけであります。  私の問題意識としては、四次までの勧告では、地方分権を確かなものにして分権社会をつくっていくためにはまだまだ不十分ではないか、このように考えておるわけでございます。ぜひ第五次の勧告を、今度はそれ以前にできる推進計画をどう反映して相互調整を図っていくのか、その辺につきまして、見通しも含めてお考えをお聞かせいただきたいと思う次第でございます。
  13. 鈴木正明

    ○鈴木(正)政府委員 地方分権推進委員会に対しまして、今お話ございましたように、昨年末、総理から、市町村への権限移譲を含みまして、国及び都道府県からの事務権限の移譲の問題についてさらに検討を進めていただけるよう要請がなされたところでございます。現在、地方分権推進委員会におきましては、有識者の方やあるいは関係団体から御意見を聴取するなどしまして、検討が進められているところというふうに承知をいたしております。今後、さらに審議を進めていただきまして、実りのあるものとなることを期待しているところでございます。  いずれにしましても、分権推進委員会からは既に一次から四次にわたり勧告がなされております。その内容は、機関委任事務制度の廃止に伴います諸制度の改革というものを中心に、あるいは権限移譲の推進などで多岐に及ぶ内容となっております。現在、政府におきまして、各省庁と原案作成に向けて精力的な調整作業を行っているところでございまして、まずは、これらの勧告を最大限尊重して、今国会が終了するまでのできるだけ早い時期に計画としてまとめて、確実に実施に移してまいりたい、このように考えております。
  14. 今井宏

    ○今井委員 その件で再質問させていただくわけでありますが、第四次までは、どちらかというと機関委任事務、国と地方の関与のあり方中心に分権委員会から勧告があった。それを最大限尊重して分権推進計画を今策定中で、この国会になるたけ早く出す、こういうことで、これはわかるのでありますが、第五次が権限移譲も含めてということで、実は権限とか財源という問題が裏腹でございます。  この問題が、政府による推進計画と今後どういうプロセスを経て、どういう形で整合されていくのか、その辺が大変気になるところでございまして、その辺につきまして御答弁をお願い申し上げたいと思うわけであります。
  15. 鈴木正明

    ○鈴木(正)政府委員 分権推進委員会におきましては、現在、国と地方役割分担の明確化、あるいは国の行政組織のスリム化、あるいは市町村への権限移譲の推進といった視点から、国及び都道府県の事務権限の移譲などの問題につきまして、検討審議を進めているというふうに承知をいたしております。  今、精力的にいろいろな方のお話を伺っているというふうに聞いておりますが、この結果も踏まえまして、具体的な審議課題が整理されてくる、その後、分権委員会の方でおまとめになり勧告をいただければ、私どもは、それを分権推進法の精神にのっとって実施に移していく、計画に盛り込んでいく、こういうことになりますが、勧告でいくのか、どういう形でいくのか、今後、十分注視をしながら対処してまいりたいと考えております。
  16. 今井宏

    ○今井委員 分権推進委員会事務局じゃありませんのでなかなか言いづらいことだろうとは思いますけれども、そうすると、このように解釈してよろしいのでしょうか。分権推進計画がここで取りまとめできますね。その後、追っかけ第五次の勧告と言われるものが出てくる。当然それは計画の中に織り込んでいくということになるわけですので、そうすると、第一次の政府による推進計画ができて、その次、また追っかけ第五次の地方分権推進委員会から出た勧告に基づいて第二次の政府による分権計画ができる、こういうふうな形でイメージしてよろしいのでしょうか。
  17. 鈴木正明

    ○鈴木(正)政府委員 分権推進委員会の方でどのようなスケジュール、タイミングで、またどのような形で審議の結果をおまとめになるかは、私どもまだ現段階では承知いたしておりませんが、勧告ということになれば、お話のようなことになろうかと思います。
  18. 今井宏

    ○今井委員 私が申し上げたいことは、分権社会確立するために地方分権というものをしっかりと確かなものにしていただきたい、こういう一念でございますので、どうぞ御努力をお願い申し上げたいと思う次第であります。  それにつけても、ただいまの分権推進計画が片側にあり、そしてもう一つは、今定例会に提案されるだろう中央省庁の再編の基本法案があり、もう片側では、今年から二〇〇〇年にかけての三カ年の規制緩和計画、これがあるわけですので、これらが今までのやり方であったのでは、これまた縦割りになってしまうのではないか。きちんと総合的に、戦略的に、この問題は国と地方の関係、あるいは官と民との関係、戦略的な攻勢、取り組みということが求められておりますので、どうぞ総合的な視点から取り組んでいただくように御要望を申し上げておきたいと思います。  次にこの分権の受け皿として言われておりますように、今回の所信でも、新たな地方公共団体役割を担うにふさわしい行政体制整備確立を図っていくことが重要である、こういう大臣の所信がございました。地方制度調査会でも、この市町村の合併の推進に関する答申が間もなく提出される、こういう見込みと伺っておるわけでございますが、自治省として、この市町村の合併の促進について、とりわけ分権を確かなものにするためにどのようなお取り組みをする御決意かお聞かせいただきたいと思う次第であります。
  19. 鈴木正明

    ○鈴木(正)政府委員 市町村合併の推進につきましては、今お話ございましたが、地方制度調査会において御審議いただいて、昨年の十二月に専門小委員会から総会に対しまして、これまでの審議状況の御報告がございました。その中でも合併の必要性やメリット、あるいは合併の阻害要因といったものを明らかにしまして、それの対応策としまして、例えば住民発議制度をもっと充実したらいいのではないか、あるいは合併前の市町村の区域を単位とするような施策というもののもう少し充実なりを考えられないのか、あるいは財政措置の拡充、あるいは都道府県、国の役割というものをもっと充実したものにできないのかということで、合併推進のための方策についてさらに検討を進めることが必要である、こういうようなまとめになっております。  今後の地域社会構造の変化、あるいは行政ニーズの多様化、高度化ということを考えますと、基 礎的地方公共団体である市町村役割は非常に重要になってくると思いまして、これに的確にこの役割を担っていくということにつきましては、自主的な合併を積極的に推進していく必要がある、このように考えております。  地方制度調査会におきましても、この春に答申を取りまとめていただけるものと思っておりますが、この答申内容あるいは地方団体の御意見というものを伺いながら、より一層、市町村合併が推進されるような実効ある方策というものを取りまとめて、積極的に支援推進してまいりたいと考えております。
  20. 今井宏

    ○今井委員 この分権を確かなものにするという、たびたび同じ言葉を使わせていただきますが、その受け皿としての合併論議というのも、これは簡単なものではございませんので、そういう意味では、やはり自治省のかなりのリーダーシップというものが要求されるはずでございますので、ぜひ積極的な御指導を求めていきたい、かように思っている次第でございます。  さて、地方分権なんでございますが、すっかり熱が冷めてしまっているような印象を私は受けるわけであります。国民住民にとっては、地方分権というのは自分たちにとってどんなものになるんですか、何なんでしょうか、どうもわかりづらいという側面もあるのではないかと思えてならないわけであります。  担当する自治省としては、なぜ盛り上がらないのか、どのようにお考えになっているのか、お聞かせいただきたいと思う次第であります。     〔委員長退席、宮路委員長代理着席〕
  21. 上杉光弘

    上杉国務大臣 御指摘の点につきましては、私は決して、地方分権の動きが盛り上がっていないという認識には立っていないのであります。しかし、そのような見方がされるということもまた事実でございまして、そのような見方がされるということは、地方公共団体や議会あるいは住民皆様の皮膚感覚として、分権推進によって仕事だけがふえて、財政が伴わぬじゃないかというような心配も一方にあることも私は事実だと思います。  そういう心配がある中でございますが、しかし、国におきまして、分権推進計画を具体的に国会自治省がお示しをできるような段階になれば、さらにそれは理解が深まる、こう思っておるわけです。  こういう状況の中にありましても、地方公共団体では、地方分権推進のための総決起大会を開くとか、あるいはその場で、地方分権に関する意見表明をしたり、各方面に積極的に働きかけをしたり、あるいは住民の関心の喚起等にもお努めいただいておるものと私理解をいたしておるわけでございます。地方分権が実効あるものになるよう一生懸命努力はされておる。  また、地方公共団体における地方分権取り組みとしては、都道府県から市町村への権限移譲を推進いたしますとともに、徹底をいたしました行政改革あるいは地方行政体制整備確立に積極的に取り組んでいただきたいと思っております。  分権の計画がどういう形で仕上がるかですが、第五次の勧告等も十分見きわめながらこれはやらなげればなりませんが、最終的にこの行政体制整備というのは、私は市町村合併があり、もう一つは広域行政推進だ、こう思うのです。それをどういうふうに地方公共団体が選択をされるのか。あるいは、地方住民の自主的な判断、自立的な判断でこれはなされなきやならぬものでありますけれども、ぎりぎり分権が進めば、どういう受け皿づくりをするかというのは、これは地方の責任において判断をされなければならない時期は必ず来るわけでございます。  そういう意味では、分権推進計画をお示しするときには、それぞれ御判断をいただき対応いただくものではないか、このように考えております。  また、地方分権型の社会を実現することは、私は時代要請だ、こう思っておるわけです。したがいまして、そういう社会を実現するために、住民の方々が中心になりまして団体を設立したり、あるいは地域住民への情報提供を行うなど、住民運動も非常に盛り上げていただきたい、このように考えております。  もとより、政府といたしましては、今国会が終了するまでの、先ほど申し上げましたようにできるだけ早い時期に分権推進計画を作成いたしまして、お示しをしなければなりません。そのための作業に全力を挙げて取り組んでまいりたい、このように考えておるわけでございまして、積極的に私としても取り組んでまいりたいと考えております。     〔宮路委員長代理退席、委員長着席〕
  22. 今井宏

    ○今井委員 諸般の事情で最後の質問にさせていただきますが、少年による非行情勢対策、大変不幸なことに、昨日も東松山の中学校で、中学生による、ナイフの不幸な事件が発生いたしました。このように立て続けに少年の刃物による凶悪事件が起きておるわけでございますが、この原因、そして背景、その対策、これらについて第一点お伺いさせていただきます。  第二点としては、言われておりますように、バタフライナイフを含めた刃物の販売を禁止したり、あるいは取り締まりをしたり、あるいは学校における持ち物検査をしたりという対策だけでは根本的な解決には至らないわけでございます。警察行政のみならず、教育界あるいは地方自治体、家庭、すべての面で総合的な幅広い取り組み、そして抜本的な対策に今こそ真剣に取り組まないと、これは根が深い問題だろう、対症療法的で済む問題ではない、このように思っているわけでございます。  そういう意味では、中央省庁を含めて、地方を含めた各省庁との連携、これはうまくいっているんだろうか、また、どのように連携を図ってこの対策をしていくのか。その二点につきまして御質問させていただき、私の質問を終了したいと思います。
  23. 泉幸伸

    ○泉政府委員 御指摘、御質問にございましたように、昨日の事件も含めまして、本年に入って少年による刃物を使用した凶悪事件が相次いで発生しておりますが、長期的に見ますと、これは本年に入った一時的な現象ではなくて、昨年までの五年間でも、刃物使用事件が約六五%の大幅な増加を示しておるという状況で、極めて憂慮すべき問題であるという受けとめをいたしております。  昨年、少年による凶悪事件昭和五十年以降の最悪を記録するなどといった少年非行の深刻化の問題と軌を一にするものであるということで、その背景としましては、少年を取り巻く社会環境変化、あるいは少年自身や社会全体の価値観の変化などの問題があるのではないかと考えておるところでございます。  私どもといたしましても、人の生命、身体に著しく危害を加えることになるような少年による刃物の使用犯罪の防止に向けて、関係省庁と緊密な連携をとりながら、学校との連携による少年の規範意識の啓発、販売店に対する指導の徹底、街頭補導強化等の緊急の対策を現在推進しているところでございますが、御指摘のように、少年非行凶悪化に抜本的に対処するためには、少年事件捜査少年補導活動強化、あるいは学校、家庭、地域との連携広報啓発活動推進、あるいは少年を取り巻く環境浄化活動展開など、総合的な施策が必要であろうと考えております。  また、刃物につきましても、刃物使用事件の防止のために、現在、警察庁内の検討を鋭意進めておりますが、少年事件に対しまして、強さと優しさを車の両輪としつつ、少年警察の刷新強化も必要と考えております。  また、少年の規範意識の啓発に関しましては、文部省との継続協議を進めておりまして、昨年十二月、警察と学校との一層の連携を全国において図るような通達を行いました。また、本年二月には、総務庁、文部省、自治省の各省庁と連絡協議会を持つなどの関係省庁との具体的な問題についての協力関係の確立に努めているところでございます。  また、先般の総理の施政方針演説にもございましたが、少年問題は政府を挙げて取り組まれるべ き問題と認識しておりまして、警察庁といたしましても、今後とも御指摘のように関係省庁との一層の連携強化を図ってまいりたいと考えております。
  24. 今井宏

    ○今井委員 ありがとうございました。終わります。
  25. 加藤卓二

    加藤委員長 古賀一成君。
  26. 古賀一成

    ○古賀(一)委員 民友連の古賀一成でございます。  これまで幾度となく、この地方行政委員会の一般質問ということで、前大臣にも質問をさせていただきましたけれども、今回も時間をいただきまして、地方行政、とりわけ地方財政をめぐるいわゆる構造的な問題、あるいは現在だけではなくて将来にわたる危機的状況について私は大変心配をいたしておりまして、これまでも一貫してその点を申し上げてまいりましたけれども、くどいようですが、上杉大臣にもぜひとも質問したい、こういうことで立ったわけでございます。  それで、まず第一点でございますけれども、先ほど大臣の方から、地方財政、とりわけ平成十年度の地方財政計画あるいは予算につきまして御説明がございましたけれども、毎年自治省の方から説明を受け、この委員会でも議論になっております。  大ざっぱな話でございますけれども、私は、地方財政をめぐる問題の指摘というのが、自治省サイドからいうと非常に近視眼的というか、単年度的というか、とりわけ我々国会の方に説明される資料を見ますと、地方財政計画、例えば地方単独事業をこれだけ抑制した、あるいは伸び率がこれだけ下がりましたというような、非常に短期的な、しかもいいとこ取りみたいな説明が強調されたように思うのです。  昨年末の地方制度調査会、私も国会を代表しての委員でございますが、出ましたところ、地方制度調査会の資料説明を受けました、読みもしました。これは大変長期的な視点に立って、どんどん厳しくなる、これからもっと厳しいというトーンが大変明らかになっておるわけですね。私は、国会にこそ、そういう長期トレンドによる、とりわけ先行き厳しい状況というものをもっと端的に、ダイナミックにお示しをいただきたい、かようにまず冒頭、政府委員皆様方に指摘とともにお願いをしたいと思うのです。  そこで、第一点でございますが、私は、長期的に見た場合、地方財政は大変厳しいものがあるだろうと思っておるわけでございまして、この点につきまして、大変概括的な質問でありますけれども、大臣、基本的に現下地方財政、とりわけ今後の介護保険等々いろいろな問題もございます、高齢化もあります、少子化もあります、開発途上国の追い上げもある、いろいろな内外の情勢から見て、地方財政の危機的状況について基本的にどうお考えになっておるのかを、ぜひ冒頭お聞かせをいただきたいと思います。
  27. 上杉光弘

    上杉国務大臣 お答えをいたします。  御指摘のように、地方財政は多額の財源不足が続いておるわけでございます。平成十年度の予算でも、官房長から説明いたしましたように、五兆四千億の財源不足が生じました。二兆五千億を地方債で、二兆九千億を地方交付税の特別会計の借入金で財政措置をしなければならない。こういう状況で、非常に厳しいものがあることはもう御案内のとおりでございます。総体的には百五十六兆円の借入金がある。  こういうものも含めて申し上げたいと思いますが、このような地方財政の厳しさあるいは財源不足が続いておりまして、地方一般歳出を抑制しなければ、これはもうどうにもならない。さらに、国及び地方の財政赤字、対GDP比三%以下という目標に向けまして、こうした特例的な借入金に依存する地方財政の構造改革を進める必要があるわけでございます。国の財政運営がどうしても国債に頼っておるという状況もとでは、現金がないわけですから、何としてもそれは地方債に頼らざるを得ないという連動した問題があることは御理解いただきたいと思います。  加えて、こうした地方財政と国の関係でございますが、しかし住民の要望にはこたえていかなければならない、これが地方の行財政の非常に苦しいところであり、厳しさだと私は思うのです。こうした地方財政は国の施策や予算と密接に関係する。  もう一つの問題は、公共投資、社会保障、教育、これで七〇%を占めるわけです。法律も制度も予算的なものも、国と連動したものが七割あるということですから、国が決めて、これで地方財政負担分はこうしろという政策的なものが連動してあるわけでございます。私は、七割が公共投資、社会保障、教育で占められておる、一般歳出の七割をこれで占めるという状況は、大変、地方行財政の厳しさがここに側面としてある、こういうふうに理解をいたしておるわけでございます。  したがいまして、地方財政の健全化には、国におきまして、こうした分野における国と地方の双方の歳出の抑制につながる施策見直しを行うことが不可欠であるわけでございます。財政構造改革推進に関する特別措置法に基づきまして、関係省庁と十分連携をしながら、引き続きこれらの対応に取り組んでまいりたいと考えております。
  28. 古賀一成

    ○古賀(一)委員 地方財政の危機的状況は、大臣も同じだと思うのです。  そこで今、いわゆる教育、社会保障そして公共事業と、国と地方、ともに財政で絡んでおる、そこが一つの悩みだというお話がございました。これが実は、私がきょう一時間いただいて申し上げたかったまさにその点でございまして、地方分権が進まない、あるいは地方自治そのものがいわゆる活性を失っておるというところもここにあると私は思うのですね。それは後ほど、ある本を引用いたしまして、だからこそ、地方分権はまさにその点にメスを入れるという作業そのものじゃないかと思うのです。それは次の質問で申し上げます。  一点、これは局長にお伺いしたいのですが、地方財政がこれから大変だという一つのあかしとして、いろいろな指標があると思うのですね。地方債残高もあるだろうし、財政力指数を見ていった場合もあるでしょうけれども、一番わかりやすい話で、個別団体公債費負担率、これが年々悪化の一途をたどっておるということだろうと思うのです。  最近の数字でいいますと、地方制度調査会の資料で、昨年末にお聞かせ願った資料では、公債費負担比率一五%以上の市町村がざっと五割近いというお話がございました。二〇%を超えるものは一四・八%、一五から二〇が団体数にして九百九十一の三〇・二、これを合わせて四五%になるのです。こういうことで、公債費負担率が非常に高い、しかも高い市町村が年々多くなっておるということなんですが、私は、これをぜひ、今の段階だけで見るのではなくて、過去との比較、そして将来の予測というものをひとつお聞かせ願いたいと思います。将来予測についてあれば、ぜひともお願いを申し上げます。
  29. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 今委員がお挙げになりました公債費負担比率でございますが、平成八年度の公債費負担比率は、七年度に比べまして〇・七ポイント上昇いたしまして、一四%になるという見込みでございます。  過去の推移でございますが、昭和五十年ころでございますと五%前後ということで推移いたしておりましたが、その後だんだん上昇してまいりまして、ピークの昭和六十年度には一四・三%になりました。その後は低下に転じましたが、平成四年度以降は再び上昇して、現在に至っておるわけでございます。  これからの予測でございますが、公債費負担比率は、分母が一般財源で分子が公債費でございます。その両方の要素がございますが、まず分子の公債費、これは、もう既に発行いたしました公債が決まっておりまして、ここ数年は毎年一兆円前後増加するというふうに見込んでおります。分母の状況、一般財源の状況にもよりますが、一般財源を大幅に増加するといったような特段の事情が ない限りは、当面相応の上昇が見込まれるのではないかというふうに考えております。
  30. 古賀一成

    ○古賀(一)委員 これは、市町村の数、例えば二〇%以上の市町村がどう推移してきたかというような、あるいは五%未満の優良なといいますか、財政力の強い市町村がこれだけ減ってきた、こういう数字はないんでしょうか。
  31. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 団体ごとの推移、特にいわゆる警戒ラインと申しております一五%以上の団体、それから危機的なラインであります二〇%以上の団体、これは、先ほど委員がお挙げになりましたような数でこれまで推移いたしております。  これからの見込みというのは、なかなか個別団体ごとに立てるのが難しゅうございまして、私どもは、先の数字を申し上げるところまでは、個別団体についてはまだ算定をいたしておりません。
  32. 古賀一成

    ○古賀(一)委員 その点は、自治省は公表するかは別としても、しっかりと分析をすべきだと私は思うんですね。  公債費負担率だけではございません。例えば、これから間違いなくふえるのは老人であります。間違いなく減るのが子供でございまして、老人、社会保障給付、これを見ても、ある予測によれば、一九九五年、六十五兆円なんですね。内訳を申し上げますと、医療費が二十四兆円、年金が三十四兆円、その他、こうなりまして、一九九五年、三年前でございますが、この段階でGNP比一七・五%だ。  これが高齢化進展、それから高齢化に伴う特に伸び率の高い老人医療費の増嵩、こういうものを予測しますと、二〇二五年、ちょうど我々が老人ホームとかに入らなければならぬような時代なんですけれども、二百十兆円に増大するだろう。医療費百七兆、年金九十三兆、GNP比で三七%の社会保障給付が実は必要になるだろう、こうなっているんですね。  今までも、公債費負担率そのほかのいわゆる地方財政の指標はずっと悪化をたどってきた。しかし、これからはもっと、国の財政がどうだ、経済成長がどうだというのを除いても、これがいい調子にいったって、高齢化社会、とりわけ老人医療費の増嵩というのは恐るべきスピードで実はふえてくるだろう。それに介護保険という新しい仕組みも入ってくるわけであります。  私は、ここら辺が、福祉の時代だ、豊かになった、これから福祉社会をつくるのだ、こう言いながらも、実際にはその福祉で、地方財政あるいはそれをバックで支える国家財政も破綻するのが今のトレンドでいえば間違いないのではないか、こう思うのです。  したがいまして、私は、先ほども第一問で申し上げましたけれども、いわゆるスタティックというか静態的に分析するだけではなくて、やはりこれまでのトレンド、そして将来の予測というのを踏まえたダイナミックな分析というものをした上で、地方行革あるいは分権あるいは各種施策というものを講じていく時代だろうと思います。  ですから、これは要望になるのか指摘になるのかわかりませんが、ぜひとも今後そういう視点で地方分権の論議、あるいは後ほど申し上げます市町村合併の話というものも、自治省がその分析をもって説得するという姿勢で立ち向かっていただきたいと私は思います。  それで、三問目に移りますが、これは先ほどお話が出ました、国の財政と地方の財政が複雑に絡み合いながら、両方とも厳しい坂を転げ落ちると言ったら変ですが、苦難な道を歩いているというさまを大臣がみずから御指摘になりました。  おっしゃるとおりでございまして、私は、今度の平成十年度の地方財政計画あるいは予算の仕組みというものの説明を受けましたけれども、これをつらつら見たときに、本当にこれは、単に処理しているというよりも、今の子供たち、赤ん坊、あるいはこれから生まれてくるであろう子供たちへのすべて転嫁ではないか、こういう気がするのです。  ちょっと説明をさせていただきたいと思います。先ほど大臣の方からお話がございました通常収支、減税分を除けば、平成十年度は四兆六千四百六十二億円のいわゆる歳入欠陥というか収支が合わない、こういうことになっております。それを二つの柱で措置します、こうなっていますね。一つが、地方交付税で補てんをいたします二兆七千五百六十二億円、こうなっています。  では、これを地方交付税で補てんするといったらこれで問題ないのかなと思ったら、その内訳は次のようであります。  一つは、六千四百六十二億円がいわゆる償還の繰り延べでございます。ある面では負担の先送りでございます。そして、地方交付税で補てんをするといった中身のもう一つは、二兆一千百億円分でありますけれども、地方交付税増額となっております。  これもさらに内訳を見るならば、国の一般会計の加算三千億がございます。これは当然私は赤字国債だと思うのです。結局、国で補てんの分の一般会計加算も赤字国債が面倒を見ている。  地方交付税増額の分のもう一つの中身でございます交付税特会借り入れ、これも実は負担先送りなのです。そして、地方分の一兆五百五十億円の負担については、これもまた交付税特会の借り入れであります。  つまり、地方交付税で補てんします二兆七千五百六十二億円、これも行き着く先は全部次の世代の負担にお願いをするという構図になっておると思うのです。  もう一点、地方交付税の補てんのほかに地方債がございますが、これも一兆八千九百億円でございまして、これもまた借金でありますから、これもいわば次の世代への負担の先送り、こうなっておりまして、私はこれを見ますと、まさに今の地方財政というものは次の世代の人たちにことごとく頼っておる、先延ばしである、先送りである、こう思うのです。  だから、選挙制度で十八歳以上の子供たちに選挙権を与えるかどうかという議論がありまずけれども、お年寄りの皆さんから選挙権を取ると問題でしょうけれども、まさにこの財政の状況を見れば、赤ん坊に本当に選挙権をやらなければかわいそうだという気がするような状況だろうと私は思うのです。  こういう点も踏まえまして、大臣いかがでございましょうか、こういう構造的な問題への取り組みをひとつお伺いしたいと思います。
  33. 上杉光弘

    上杉国務大臣 御指摘の点につきましては、子や孫の代にこれらの課題が残らないように、何としても我々の時代にこれを解決しなければならないというのが財政構造改革基本的な認識であることには変わりはございません。地方財政の構造を改革していくことは極めて重要な課題でございます。  私の心配も委員と同じことがございまして、この基本に立ちまして、財政構造改革推進に関する特別措置法というのが国会の御了承をいただいてできたわけでございます。これに基づきまして、国及び地方の財政赤字対GDP比三%以下という目標というものをまた設定もされておるわけでございます。  これに向けまして、国においては地方分権推進の視点に留意しつつ、公共事業の重点化や社会保障、教育における制度見直しなど、制度そのものの根幹にさかのぼって、国、地方双方の歳出抑制につながるよう施策見直しを進めていかなければならないと私は考えておるわけであります。これは地方だけで、あるいは国だけでやってもできるものではありません。したがって、こういう一つの定めた目標に向かって取り組みをいたさなければならないわけでございます。他方、地方団体に対しましては、徹底した行財政改革取り組み、財政体質の健全化に努めていただくよう強く要請をいたしておるわけでございます。  御指摘のように、交付税特別会計の借入金や財源対策債等の特例的な借入金に依存する地方財政の構造を改革しなければ、おっしゃるように子や孫の代まで引き続きこの負担がかかっていく、そういうことのないように委員と同じ気持ちで積極 的に取り組んでいかなければならないものと私認識をいたしているところであります。
  34. 古賀一成

    ○古賀(一)委員 そこで、気持ちは大臣と私も全く一緒だと思うのですが、では具体的にその構造的な改革をどういうふうな理念というか戦略でやっていくかという問題だと思うのです。  私は実は、地方行政委員にもう数年なっておりますので、地方のことにはとりわけ関心が深いのですが、僕は余り本を読む暇がないのですけれども、たまたま手にしたのがこの二、三週間で、地方財政をめぐるおもしろい本が幾つかありました。これは、今でも各書店とか空港でも売っているのですが、「地方栄えて、日本は破産」、村野まさよしさんというジャーナリストの方の本でございまして、何とこれが地方交付税について書きまくった本なのです。  これをつらつらと読んでみますと、いわゆる地方への補助金あるいは交付税を当てにしたデラックスな建物等々に対する東京の方の強烈な批判と疑問点を出してございます。しかし、これは意見としては非常に情緒的であるし、私も地方の人間ですから、何だこれは東京人の論理ではないか、事実を全然見ていないというところもございます。でも、おもしろいと思ったのは、ジャーナリストがこういう地方交付税という、今まで本当に難しくてでか過ぎてだれも関心を持たなかったようなところまで一生懸命調べ上げて本を書いたというところに、構造的な面に国民も一般の人も何か関心を持ち始めたな、こういう感じでちょっと驚いたのです。  ところが、これと軌を一にしまして、何と週刊新潮に櫻井よしこさんが、もう御存じの有名なジャーナリストでありキャスターでございますが、大変知性のある方だと私は尊敬をしておりますけれども、この櫻井よしこさんが「日本の危機国民の知らない地方自治体「大借金」の惨状」と、かなり激しいタイトルの文を寄せております。  これも、櫻井よしこさんが地方交付税について週刊新潮に書く、おもしろい時代になったな、今までは考えられなかったのに、こう思ったのです。さほどに、実は地方財政あるいは非常に難しい地方交付税という制度にこういう方々まで関心を持ってきたという時代になってきたなと思うのですね。  そこで私は、この村野さんの本をぜひ読んでいただきたいと推薦はしませんが、もう一つの本でございますが、私はビッグバンの本だろうと思って、これも空港で先週買ってつらつら見てみたのですが、田中直毅さんの「ビッグバン後の日本経済」という本が今でも売られております。  私はこれを見て、自分が今まで思ってきたこと、まさにそうだ、ずっと書いてあることを、地方自治とか地方財政とか、経済というのを行政と置きかえて読んでみると、今まさに日本が立ち至っていますいわゆる閉塞状況、とりわけ財政の閉塞状況あるいは地方自治体の疲弊というものが読めてくるのですね。  だから、これはぜひ私は、ここはお役所の方がたくさんおられますけれども、いわゆる行政の今までのパラダイムというものを根底からちょっと見直してもいいような気にさせる本でございまして、私は御一読をお勧め申し上げるのですが、ここでこう書いてあるのですね。  この本に書いてあるとおり申し上げますと、日本の経済秩序の基本は業界秩序というものであった、業界秩序を守るということは持続的なものに高い評価を与えることである、しかし、一般に資本主義国では、経済秩序とはすなわち競争秩序を意味すると。つまり、私がここで言いたかったのは、地方自治は別に業界ではございませんが、やはり持続的なものにこだわり過ぎてきた、それはやはり日本の経済体質でもあったと思うのですね。  ところが、今起こっておりますのは、インターネットを通ずるいわゆる情報化の大進展であり経済の世界化であり、金融なんというのはまさにそうですね、〇・三秒でニューヨーク、ロンドン市場と東京市場というのが比べられる時代であります。そういう時代の中に、実は日本は、この本が言わんとするところは、日本はマクロストラクチャー、マクロは例の、あのマクロですね、彼は「巨視構造」と書いておりまずけれども、マクロストラクチャーというものが余りにも支配し過ぎたのじゃないか。  つまり、どういうシステムかといえば、業界秩序もそうでありましょうし、私は地方交付税もそうだと思うのです。あと、いわゆる年金制度。つまり、一人一人の人間が金を出す、一人一人が拠出をする。しかし、それが余りにも大きい政策体系といいますか、あるいは基金とかそういうものでくくられてしまって、結局どんぶり化することによって、だれが責任を負っているのか、あるいは一人一人が頑張ってもその見合いがはね返ってこないという構造になっているのですよ。それが日本の今の一番の問題だろうと私は思うのです。  先ほど大臣が、地方関係諸経費の七割に及ぶものが国とリンクになっている、だから容易じゃないんだ、そういうお話でございました。その大きいマクロ構造の中で、だれが責任を負うか、自分が頑張れば自分にはね返ってくる、そういうシステムが欠けておるわけであります。  その点は、国の一般会計と例えば地方交付税の問題あるいは地方交付税そのもの、つまり、地方交付税というものは総額の中から、幾つあるかわかりませんけれども、おびただしい方程式の中で分配される、結局、一つの市町村が町おこしで頑張ってやったって、それが直接評価され、反映するシステムにはなっていないと思うのですね。いわば巨大なるどんぶり勘定の中で、地方財政が、数の集約の中で一つ一つの自治体というものが努力しても余り反映しないような、そういう財政構造になっているのじゃないか、私はかように思います。  それが結局、先ほど申し上げました先延ばし、先送りにつながっているのではないか。一人一人は関係ないです。だれが責任を負っているのかわからない、大どんぶり勘定なものだから。そういうことで、地方財政一つ見ても、国家財政も、すべて先送りという手法で利害調整をやってきた、こういうことだと私は思うのです。  つまり、ちょっと長くなりましたけれども、日本の最近顕著な先延ばしを前提とした利害調整の仕組み、これはこれからはもたない、その都度市場において「解」を生み出しながら経済の内部にある力を引き出すようなメカニズムが必要だと。これを地方行政に当てはめれば、先へ延ばすことによっていわゆる利害調整をする、それは右肩上がりであれば、先送りすれば必ず調整できるのです。これが右肩上がりじゃないものだから、もう調整ができなくなるのですね。  しかし、今までは右肩上がりの経済を信じて、全部起債、借金、勘定がえという先送りで来た。それがもたないというときに、地方財政も国家財政も今までどおりの右肩上がりが解決してくれるであろう先延ばし、先送りの手法をとり続けているというところに、日本の最大の問題があると私は思うのです。そういう面で、私は、地方交付税制度について、今のようなどんぶり勘定でない、何か新しいシステムというものを真剣に考えるべき時代に来ているのではないかと思うのですね。  その点、ちょっと長くなりましたけれども、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  35. 上杉光弘

    上杉国務大臣 私、勉強不足でそのような本を読んでおりませんから、そのことについてどうと言うわけにはまいりませんが、その戦術、戦略をもってやるべきだ、これは意味はよくわかります。  私は、二つの視点があると思うのです。  一つは、国と地方と二つの財政は車の両輪でございますから、国と一緒になって地方財政の構造を改革していかなければいかぬことは、おっしゃるとおり、幾ら批判がありましても、国と整合性を持った財政構造改革はやらなければいかぬ。  それからもう一つの視点は、地方の振興、活性化をやらなければ、地方努力によってみずから の財源を地方税として増収していく方策というものは、地方団体が念頭に置いて予算を組み、政策を打ち出して、その方向へ持っていくというのは、当然の与えられた努力すべき課題だ、私はこう思うのです。  この二つの視点によってどうするかというのが予算編成でもございますし、その中で財政構造改革というのをやらなければならない。また、御指摘のように公共事業あるいは社会保障、教育の三つの分野で一般歳出の七割を占めるという状況もとで、一体これをどうするのかは、建設省や農水省や厚生省あるいは文部省、関係省庁とは今後十分連携をとったもとで分権推進はなされなければならない課題だ、私はそういう認識に立っておるわけでございます。  歳出抑制であり、地方行革にもっと踏み込んだ戦略というのは、そういうものも含めてのお尋ねと思いますが、まず一つは、国家公務員に準じた一般職員の定員というものをどうするか、この問題があります。定員削減や定数の改善計画というものは、当然その延長等によりまして、この定数の問題が一つはかかっております。もう一つは、地方公務員の定数の問題があるわけです。したがって、この点につきましては、これまでこの実績がなかった過去最高の一万名台、一万二千九百二十七人の削減というものを打ち出したわけでございます。  これは自治省にとりましては、地方の理解を求めることも当然ありますが、これだけのものを打ち出したというのは、国を上回る削減を断行するというのは大変勇気の要ったことであることは御理解をいただきたい。  それから、ふるさとづくり事業でございますが、このソフ十分の縮減を図る、あるいは旅費、物件費の縮減等の徹底した一般歳出経費の節減合理化を図るというのも、これも踏み出したことでございます。  それから三つ目は地方単独事業ですが、これは四%の縮減といたしました。十九兆三千億でございますが、これだけ多額になるものも抑制をしていく、こういうこと等でございます。  私、宮崎でございますけれども、公共事業、これ全体で三〇・一%、県内の経済構造に占めております。これを削減するということは住民生活に即影響の出ることでございまして、これは総合的な検討をし、地域の対応というものを配慮した上で行政措置、財政措置をしなければならないわけでございますが、そのような地方のこと等も十分考えた上で歳出の抑制等を講じたところでございまして、その結果として、地方一般歳出を対前年度比マイナス一・六%といたしておるわけでございます。  また、地方行革につきましては、先般地方行革の新たな指針を策定いたしまして、これまでと違っておりますのは、数値目標の設定をいたしまして、住民にオープンにしながら事務事業や組織機構の見直し定員管理、給与の適正化経費の節減合理化等に積極的に取り組むよう強く要請をいたしておるところでございます。  今後とも、地方財政の健全化と、徹底いたしました行政改革推進に積極的に取り組んでまいらなければならない、そのように考えております。
  36. 古賀一成

    ○古賀(一)委員 大臣のお気持ちもよくわかりますが、私が申し上げたかったのは、この本に書いてあるのを、くどいようですがもう一回引用いたしますと、日本経済が大きな難しいテーマを幾つも抱え始め、責任者はその前にひざまずいている、こういう文章のくだりがあるのですね。もうとてつもない大きい問題が出てきて、その前で、要するにその問題と格闘するというよりもひざまずいている、どうしたらいいものだろうかと。今、大臣おっしゃいました各地方努力というものは、恐らく、大きい問題の前でひざまずきながらも、まあできることはやろう、細かいところはやろうという感じで私は受けとめております。  一番問われているのは、先ほどマクロストラクチャーと言いましたけれども、地方交付税という制度がある、国の財政というものがある、それが貸し借りをする、そういう中で今地方自治体も一般歳出削減に努力しているという話がございましたけれども、結局今のような制度だったら、私は本当にそう思っているのだろうかと疑問を呈さざるを得ないのですね。  今度地方債でこれをやっております、いや、これは元利償還、自治省がちゃんとくれますから実は我々の借金じゃないのですよと、もう平気で私の地元の市町村長さん、議員の方はおっしゃいます。何か、地方債でありながら自分の借金でないような意識が相当蔓延しております。  私は、地方債を全部とは言いませんけれども、昭和四十四年からだそうでありますが、いわゆる地域総合整備事業債ですか、そういうものにいわゆる地方の借金を交付税で将来見るという構造もつけ加わったこともあり、何か地方の借金というのが、自分たちの借金ではない、大きいどんぶりの中で何かしてくれる、まあそう汗流さぬでもいいというような精神構造を、今の地方財政構造は、とりわけ地方交付税は生み出しているのではないかという気がいたします。  だから、各般のいわゆる行革努力あるいは人員削減等々の地方行革もとよりでありますけれども、私はこういう時代、ことし平成十年度の財源構成を見ても、あれほどの先送りとなっている現実にしっかり目を据えて、地方交付税あり方というものをもう一回根本から、ひざまずくのではなくて、根本からひとつ考えてみるということをぜひ指摘をいたしたいと思います。  その一環で、私は、いろいろな起債について交付税が面倒を見るというのも仕分けをしたらいいのだと思うのですが、もう一つが、かねてより言われておりました地方交付税の特会直入の問題でございます。  今言いましたように、地方交付税という、それだけでもとてつもない大きい構造がある。それが国の財政構造と絡み合っている。今度の財政構造改革特別措置法もそうですよね。国と地方を合わせて三%というのも、あれも本当はどっちに責任があるんだ、これも巨大な二つのストラクチャーが一緒に重なり合って、どっちに責任があるかわからないような、ある面では無責任な構造ではないかと思うのです。そういう面で、私は分けるべきものは分けていく、そして、それ一つ一つを、市場原理というか、あるいはそのコストを計算するとか、あるいはリスクをみずからが負うとか、そういうシステムに持っていくべきだと思うのですね。  そういう面で、第一弾として、地方交付税のいわゆる特会直入という問題がかねてよりあるというふうに聞いていますが、この点につきまして、私は、まずは切り離して直入をすべきだと思うのです。  私も、かつて建設省で道路局におりまして道路財源を担当しておりましたけれども、特定財源については財政当局と多々哲学の違いがございました。私は、先ほど言いましたミクロストラクチャーというか、払ったものがその受益に応じて道路として整備されるというその筋論の方が市場原理にも合うし国民の納税意識にも合うと私は今でも確信しておるのですが、そういう経験も踏まえまして、私は地方交付税の特会直入というものをこれまた真剣に考えていい時期じゃないか。今のような国、地方どちらが最終責任を負うかわからないような構造に終止符を打つためにも、まずここからはっきりさせた方がいいのではないかと思いますが、これは自治省及び大蔵省両省からの御見解をお伺いしたいと思います。
  37. 上杉光弘

    上杉国務大臣 先ほどございました、一つ落としておりましたが、交付税の関係、特に今地方財政は国の従属構造、こういうものを是正すべきだという観点に立ってからの御指摘でしたが、御案内のとおり、国民生活に密着する関連した行政の多くは地方団体が実施しておるわけです。国が法律を決め、制度を決め、予算を決めて、それに伴う地方の財源負担を打ちますが、それはもうほとんど国が法律も制度も予算も決めたものを、地方が、特に国民生活に密接に関連する行政というの を実施しておるわけでございます。  その歳出の相当部分について、国が国庫補助負担金や法令等に基づき関与する仕組みになっていることは、私が今さら申すまでもないことでございます。  その一方で、これに対応する財源の問題ですが、地域経済力の格差等によりまして、非常に税源が偏っておる、偏在しておるという問題がございます。これをならさなければならない。地方交付税制度によりまして、地方公共団体に義務づけられた事務事業等に必要な財源を保障するという国の責任もまた一方にあるわけでございます。地方公共団体間の財源不均衡の調整をそのために行わなければならないという、ある意味では、実に自治省はしんどい仕事がそこにあるわけです。一方では国との関係をやらなければいかぬ、一方ではそういう偏在した財源というものをならすためにいろいろなことをしなければならない。  こうした地方交付税制度というのは、それしかないという今の財政の取り組みの中では、そういうことだと私は思います。  したがって、交付税制度をどうするかというのは極めて重要な国と地方のつながりの中で大切なことでもございます。今後の地方行政あり方として、地方分権が進めば進むほど、国と地方役割分担というものは表裏一体の関係にございますから、これをきっちり整理をするというのは大変大切なことではないか、そのような意味で地方交付税の果たしております役割は非常に大切でございます。  また一方では、前段で申し上げました地方歳出に対する国の関与のあり方でございますが、これも大いに議論されるべきものだと。どういうふうに関与するかというのは、地方から見ても国から見ても国民が理解、納得するものにならなければならない。そういう意味で、地方交付税制度を含む地方税財源あり方地方財政あり方等につきまして、そのような見直しに対応して検討していく必要があると私は理解をいたしておるところでございます。
  38. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 交付税特別会計への直入の問題でございます。  自治省といたしましては、かねてから地方共有の固有財源でございます交付税につきまして、その性格を明確にするという見地から直入を図ることは望ましいというふうに考えております。平成十年度の地方交付税の概算要求に当たりましてもその旨の要求をしたところでございます。しかしながら、一方で、交付税を一般会計から全部除きますと、一般会計が国の財政全体を反映しなくなるといったような問題もございまして、国庫当局と合意を見るに至らなかったものでございます。  この問題につきましては、地方分権推進委員会の勧告におきましても、こうした問題点を踏まえてさらに検討していく必要があるというふうにされておりまして、私どもといたしましては、今後ともその実現に向けて努力してまいりたいというふうに考えております。
  39. 寺澤辰麿

    ○寺澤政府委員 お答え申し上げます。  地方交付税の特会直入論につきましては、ただいま自治省から御答弁があったところでございますが、その中にもございましたように、さきの地方分権推進委員会の第二次勧告におきましても、この問題については「地方公共団体の固有財源とされている地方交付税の性格を明確にすることに資するという意見がある」方で、国の一般会計において主要税目の状況を一覧性ある姿で示す必要がある等の観点から問題が多いとの意見があり、こうした状況を踏まえ、引き続き検討していく必要がある。しとされたところでございます。  本件につきましては、先ほど財政局長からもありましたように、予算編成過程で要求をいただいておりまして、私ども議論をしているところでございます。  繰り返しになりますけれども、私どもの考え方をやや敷衍して申し上げさせていただきますと、現行制度昭和二十九年の地方交付税制度創設以来とられている制度であるということで、これを変更することは国の予算制度あるいは会計制度にも非常に大きな影響があるということに加えまして、地方交付税一般会計予算に計上されております現行の方式につきましては、歳入面では、税制の根幹をなす所得税法人税等の税負担の状況をトータルな形でお示しすることができる、また歳出面では、中央、地方相互間の財源配分の状況を一覧性のある形でお示しすることができるということで、国民に国の税負担の状況及び財政状況をきちっと一覧性を持ってお示しすることで、財源配分の総合的調整につきましての理解と判断を求める上で必要なものであると考えておるところでございます。  この問題につきましては、引き続き自治省との間で議論をしてまいりたいと考えております。
  40. 古賀一成

    ○古賀(一)委員 今の寺澤次長の説明、聞けばもっとものように聞こえるのですが、国民にわかってもらうという意味では、ちゃんと足して、足せばこうなりますよというふうに説明することは私は十分できると思うのですね。  実際、やはり一番のところは、いわゆる法人税あるいは所得税、いわゆる地方交付税関係諸税というものを全体で管理して、場合によっては、国の財政が厳しければそこの両会計間でやりくりするという、大蔵流に言えば、資源配分、財政配分の自由性を確保するというならば実態的にわかると思うのですけれども、それは私はおかしいと言っているわけです。  この点は大変大きな問題で、今御説明のように昭和二十九年以来の制度ということで、大問題でありますけれども、私は、先ほど言いましたように、マクロストラクチャーの中で、何が責任者かわからないような構造というのは、一つ一つ光を当てて分析し、正すべきは正していくべき時代だろうと思うのですね。この交付税と国の一般会計というのは、これまた口汚く言えば、二つとも巨大なる大福帳であり、巨大なるどんぶり勘定が二つ融通し合っているという構図だと思うのですね。  私は、その点だけ指摘をしまして、時間も迫ってまいりましたので、次の質問に移ります。  次は、例の市町村合併でございます。  これは、毎回私は申し上げておりまして、たしか去年の大臣に対する一般質疑では、前白川大臣は、我々野党だけではなくて自民党の御質問に対しても、非常に冷ややかだったと私は判断をいたしました。その後、与野党を問わず、やはり地方財政基盤づくりというものは、公共団体の基礎的体力、とりわけ規模から直さずしてという一致した主張がございまして、私は、当委員会が挙げて大臣なり自治省に一つのエンカレッジを与えたのだろう、こういうふうに自負しております。  今国会で、私は、場合によっては特例法が出るのかなと思って期待もしておりましたけれども、どうもそのようではございません。しかしながら、作業は私は着実に進んでいると期待しております。  この点につきまして、先ほど言いましたいわゆる地方財政の構造から見て、私は市町村の合併というのは不可避である、かように思いますが、現在どういうふうに自治省の方でこの作業を進めておられ、そして大臣におかれては、地方自治そのものの維持のために市町村合併が必要だという私の主張に対しまして、どういう御所見あるいは決意をお持ちかをお聞きしたいと思います。
  41. 上杉光弘

    上杉国務大臣 お答えをいたします。  今後の少子・高齢化の方向というものは見えておるわけでございまして、この進展等に対応した市町村が高度かつ多様な役割を担うことが強く地域住民皆様から求められておる。それからもう一つは、実行の段階に入りました地方分権成果を上げますために、市町村の自立というものが強く求められている。それから三つ目には、厳しい財政状況の中ではございますが、その中にありましても、市町村行政合理化効率化を図ることがこれまた強く求められているなどから、自主的な市町村合併を積極的に推進する必要があると考えております。分権をこういう形で進めていけ ば、私は、こういうものは当然前提にならなければならない。  昨年六月の財政構造改革推進方策についての閣議決定におきましては、集中改革期間である今世紀中の三年間に実効ある方策を講じまして、市町村合併を積極的に支援することとしておるわけでございます。また、地方分権推進委員会の第二次勧告におきましても、自主的な市町村合併を推進する観点から方策を挙げられ、これを尊重することを閣議決定しておるわけでございます。  自治省といたしましては、市町村が合併を進めていくことに関する基本的事項について地方分権推進計画に盛り込みまして、これに基づき制度改正や具体的な支援について取り組んでまいりたい所存であります。  その際、これまで論議されております一つは、合併市町村内の地域格差が生じないよう施策充実を図る。合併してその地方団体地域的な格差が生じることは、これは何としても克服をしなければならないことでございます。もう一つは、一層の財政措置の拡充というものがあります。三つ目には、市町村合併のパターンを作成するなど、都道府県の役割の拡充が必要であります。  このようなこと等の方策を講ずることを含めまして、幅広く方策を検討してまいる所存でございます。  私、冒頭に申し上げましたが、分権を推進すれば、その受け皿として、市町村が合併でそれを受けるのか、行政のこの推進のレベルを上げるために広域行政としていくのか、これはもう地方団体が今度は選択をされて決断をされることだ、私はそのように思っておるわけでございます。
  42. 古賀一成

    ○古賀(一)委員 質問はたくさん用意しておりましたけれども、あと一問しかできません。  最後に一問いたしますが、その前に、今の合併問題で、大臣の先ほどの答弁でも、いわゆる権限移譲、分権の形というものがあって市町村が合併、そういう論理立てのように思いましたけれども、例えば今一番小さい、去年の段階で一番小さい公共団体は百九十三人なのですよ。私の地元にも千人台の村がございます。恐らくそういう五百人、一千名の村というのは全国山ほどあるのですが、何はともあれ、五百人の村で三十のベッドを持つ老人ホームというのは実はできないのですね。百床のベッドを持つためには五十人のケアする職員が要るというのが老人ホームの実態なのです。  そういう面から見れば、まず合併ありき、それが私の個人的意見でありますけれども、切り口の発端ではないか、かように思います。  それでもう一点。私は、大局的な視点から、そういうことで合併というものを進めていただきたいし、その中で、この前、地方制度調査会に出させていただいたところ、地方の方からはいわゆる議員共済の存続の問題が出ました。これなんかはいわゆる合併によって生み出された巨額な総務費が浮くわけでありまして、それは国の中できちんと措置すると、心配するなと私は言っていただきたいと思うのですね。  こういうことで、合併そのもの、つまり国の形の改革ができないということであれば、いかにも部分的なことで全体が進まないということにもなって惜しいと思うのですね。この議員共済が、もし制度の維持の問題がネックであるならば、私はそれは自治省でこういう対応策があるというのをはっきり申し上げていただきたいと思います。  あと一分ありますので、せっかくきょうは大蔵省の方もお見えになっておりますから、一つの意見として聞いていただきたいと思うのですが、今、行革の論議が地方も国もございます。国の行革については大変いろいろな意見があって、あと一時間も二時間もかかるので言いませんが、私は、一つのアイデアとして、国、地方にこだわらず、ひとつエージェンシーというものを活用できるのではないか。  私は、実は建設省におりましたとき、公園というものを担当したことがございます。公園の専門家というのは、地方公共団体にほとんどいないのです。五百万人の人口を抱える福岡県でも、県庁には公園の専門家がいない。まして二万人、三万人の公共団体に、公園、造園、どうするんだ、うちの市民からは、何かいい公園一つもない、何かつくれと言われる、あるいは山村部ではこの緑を生かして何か町おこし、村おこしができるんじゃないか、ただ専門家がいないのですね。それを時代のニーズ、住民のニーズだからそういうものに各地方公共団体が対応しろと言っても、たった一つ二つ公園をつくるために職員を置くというのもむだなのですね。  だから、やはり国が持つそういう機能を、ブロックでもいい、全国でもいいのですが、エージェンシー化して、例えば九州ブロック公園及び緑化エージェンシーとか、そして必要なところで要請に応じて設計をし、企画をし、場合によっては受託もしてやっていく、そういうような国の知恵を、地方全体の一定の広域的なエージェンシーとして使っていくというようなやり方も私はあると思うのですね。  これは、例の外部監査でも私はそのことを申し上げたのですね。一つの町で、三万人の市で、では税理士をひとつ見つけてこい、外部監査をしろというのではなしに、九州ブロックで一つの外部監査エージェンシーというか、そういうのをつくってやっていったらいいのではないか、こう申し上げたこともありますが、私は、ひとつ地方の方も、今後地方行革指導される立場にある自治省におかれては、そういう視点もひとつ頭に置いてほしい。  これはもう質問ではございません、要望を申し上げまして、質問を終わります。ありがとうございました。
  43. 加藤卓二

    加藤委員長 桝屋敬悟君。
  44. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 平和・改革の桝屋敬悟でございます。  引き続きまして、先ほどお伺いしました大臣所信に対する質疑をさせていただきます。  私も、今の古賀委員と同じ地方財政の危機的な状況、あるいは地方財政の再建に向かっての方向性等についてお話をさせていただきたいと思います。  本題に入ります前に、大臣に確認をさせていただきたいのですが、実は一月二十七日でございますが、私、当委員会で大臣にお伺いをいたしました。例の補正の問題をやるときに、大臣に、財政構造改革の問題もお話をしながら、財政構造改革の方向性について、政府・与党の中でいろいろな議論が当時もありましたけれども、この方向性、基本的な方向は変わらないのかという話と、これについては大臣から、その基本方針は変わりません、変えるつもりはございません、こういう御答弁もいただきました。  それからもう一点、景気対策でさらなる追加対策という話がずっと出ておりましたから、今も出ておるわけでありますけれども、それはどうですかと、地方にとっては大変に関心のある問題でありますし、きょうお話をいたします地方の財政状況からすると大変深刻な影響を与える話でもありますから、追加対策というのはないのですかというふうにお伺いしました。それに対しまして、大臣の方からは、追加措置がないように二兆円の特別減税等実効あらしめるものにしたい、こういうお話がありました。  それで、もう一回きょうは同じ内容を確認しておきたいと思うのですが、やはり地方が大変に関心を持っておる。私のところにも、地元の自治体を初めいろいろな方から、どうなんですか、これからどうなるのですかというお尋ねはしょっちゅうあるわけでありまして、また、公共事業等を中心に景気対策という観点もあり、本当に十年度予算が成立すれば一気に前倒しで発注しようという話も聞いておりまして、そうなれば、それこそ三角が立っている公共事業、それを全部前倒しする。そうすると、年度後半はかれてしまうという話も当然出るわけでありまして、そんなこともあって、一般紙にはいろいろなことが書かれているのだろうと思うのです。  大臣、もう一回、あのときは一月でございました。今、三月になりました。財政構造改革地方自治体にとりまして、自治大臣のお考えは変わっていないのか、あるいは追加の景気対策、この辺については一体どうなのか、あのときの大臣の御答弁は変わらないのか、最初にお伺いをさせていただきます。
  45. 上杉光弘

    上杉国務大臣 確かにさっきの質問でお答えをいたしておりまして、御指摘のとおりでございます。地方財政は極めて厳しい状況にございまして、財政構造改革推進することはこれまた重要なことであり、次の世代に残してはならないことでございます。一方、その時々の経済金融情勢に応じた臨機応変の対策措置をとっていくことも必要なことであります。  財政構造改革経済金融情勢を踏まえた景気対策とは、二者択一の問題ではなく、二〇〇三年度までの中期の目標と当面の対応という、対象とする期間の異なる問題と総理からもたびたびお答えしておるとおりでございまして、私の考え方としては、財政構造改革基本に変更はないものという考え方に変化はございません。  かつ、景気対策の追加措置につきましては、せっかく地方財政厳しい中でありましても、国の方向づけに沿いまして約一兆円余の減税措置をとったわけでございまして、そのためのやりくりをしてさきに補正予算をお通しいただき、また、十年度の予算にも影響がございますが、これも克服をして予算編成をし、皆様に御審議をいただいておるわけでございます。  このような観点から、二兆円の特別減税の実施や、さらにまた政府が打ち出そうとしております金融システム安定化策について、関連法案を成立させていただいておるわけでございます。  さらに、政府は、法人関係税の減税を含む平成十年度の予算や関連法案を早期に成立をさせていただき、早期に実施に移すことこそ我が国経済の回復に何よりも必要なことではないか、このように考えておるわけでございます。これらの一日も早い成立に向けて御理解をいただき、御協力をいただければまことにありがたい、このように考えておるわけでございます。  さような意味で、先般質問にお答えした考え方は、基本的には変わっておりません。
  46. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 今、大臣の方から、一月の私に対する答弁の内容は変わらない、基本方向は変わらないというお話をいただきました。さっき一例も申し上げましたけれども、地方自治体というのは、今からお話ししますけれども、十年度の予算案を組むに当たりまして、本当に危機的な状況の中でやっているわけでありまして、景気対策、これも後ほどお話ししますが、国と地方、本当に立場の違いというのがあるんだ、確かに車の両輪ではありますけれども、地方状況というのは本当に厳しいですよということは申し上げておきたいと思います。  それで、具体的な話になるわけでありますが、平成十年度の地方予算、これは今週、これから本会議で十年度の地財計画等についても御説明があろうかと思いますが、既に国が示された十年度の地財計画に基づいてどんなふうに各地方が予算を組んでいくのかというのは、大変に私ども関心があるところでありまして、これについては先週あたりからかなりマスコミに報道されております。  それで、特に各自治体での予算の審議は、まだ予算が最終決定はしていないと思いますが、審議の段階でございますが、報道によりますと、歳出では特に公債費がふえているわけでありますから、道路、橋、学校などの建設事業に充てる投資的経費を削らざるを得ない、大変厳しい状況がうかがわれるわけであります。「財政ひっ迫進む都道府県九八年度予算案」でありますとか「地方債の残高計六十兆円超す」とか、大変に厳しい状況がいろいろなマスコミに出ております。  大臣は、こうした地方の厳しい実態を、特に平成十年度の予算編成を、状況をごらんになって、報告をまだお聞きになっていないかもしれませんが、どういうふうに把握をし認識をしておられるのか、お伺いをしたいと思います。
  47. 上杉光弘

    上杉国務大臣 地方の財政が苦しいことは、私が説明するまでもなく御理解のとおりだと思いますが、バブル期に政府が公共事業をどんどん打ち出してまいりまして、それに伴って地方も、公共事業のありようあるいは地方単独事業というものを拡大してきたわけでございます。  財源が足りませんから、借入金を、地方債で財源措置をした。したがって、今後地方財政の厳しさというものは、その地方債の償還がどんどん拡大していくという状況にあるわけでございまして、百五十六兆円の地方債残高というものを、予算編成をしながら、地域住民生活を支えながら、守りながら、これをどうして乗り越えていくかというのは、大変な厳しいものがある。  加えて、地方財政計画は、八十七兆九百六十四億円という国の財政規模よりも十兆円程度大規模なものとして、全体の地方財政計画を、枠を決めたわけでございます。そうしなければ、地方団体が予算を編成し、またいろいろな事業を打ち出していくためにはどうにも立ち行かないという状況があるからでございまして、その点については御理解をいただきたいと思います。  このような一つの前提を置いて申し上げますが、平成十年度においては、財政構造改革推進するため、国も地方も一般歳出を抑制することにいたしておるわけであります。このため、投資的経費を減額することとしておりまして、国の予算においては公共事業予算を七・八%のマイナスとしておることは御承知のとおりです。これに伴って、地方財政計画における補助事業等も九・六%のマイナスになっております。  また、平成十年度の地方財政計画においては、地方単独事業については、極めて地域経済への影響等がございますから、これを考慮いたしまして四%の減にとどめました。十九兆三千億でございます。一方、公債費については八・八%の増を見込んでおるわけでございます。相対的に、財源措置ができませんから、どうしても公債費にゆだねなければなりません。  平成十年度の各都道府県の当初予算における公債費の増及び投資的経費の減は、このような財政構造改革推進基本として、国の予算や地方財政計画の方向に沿ってなされるものと考えておるわけでございまして、大変厳しいものだ、こういう認識をいたしております。
  48. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 それで、私はこの委員会もまだ新参者でありまして、よく状況はわからないのですけれども、十年度の地財計画を政府が発表された。今大臣も、何度も大臣は言われていますけれども、例えば投資的経費というのは対前年度三角の六・〇%、あるいは地方単独事業も、今、三角四%、四%にとどめた。地財計画の中で、本当に地方交付税の特別会計あたりを何とか工夫をして、地財計画というのは財源を確保されたわけですね。  これで全国お示しをされて、全国は、私も地方におりましたときに、いつも議会で報告するのは、ことしの当初予算は、地財計画はこれぐらいですけれども、本県の計画はそれを上回っていますというようなことを言わないと、地方が納得しないというような状況もあったわけであります。  何を言いたいかというと、示された十年度の地財計画よりも、いろいろな新聞を見ますと、これはまだ自治省の方でも整理されていないというお話でありますが、国が予定された、必死になって確保したその事業量に行っていない。地方のこれは県レベルの予算でありますけれども、この報道を見ますと、例えば投資的経費は今三角六・〇%というふうに聞いておりまずけれども、都道府県ベースでは実態は八%以上へこんでいるのじゃないか。あるいは地方単独事業も、四%という数字でありますけれども、この事例を見ますと、一〇%以上三角が立っているようなところもあるという報道もあるわけであります。  これは、この地財計画と各都道府県あるいは地方の十年度の予算との乖離というものがあるわけでありまして、これは一生懸命大臣が御説明され たように、何とか三角四%にとどめたといいながら、実態は現場はそこまでもいかない厳しい実態があるのかなというふうに私は思うわけであります。  こういう地財計画と地方の予算の実態、この乖離というのをどのように考えておられるのか、どういう原因なのか、あるいはごれはどういう分析になるのか、そのあたりをお示しをいただきたいと思います。
  49. 上杉光弘

    上杉国務大臣 これは、私、手前みそで自治省みずからまた持ち上げるつもりはありませんが、例えば交付税、これは対前年度比、九年度は一・七%の伸びでした。しかし、地方分権推進等もこれあり、地方財政の厳しさ等も国の財政当局と十分相談をして、十年度の交付税の伸び率は二・三%としたわけでございます。私の記憶が間違っていなければ、十七兆五千二百億でございます。  そういうふうに、よく見ると、財政構造改革行政改革、このどきだから、国の財政も厳しい、地方も厳しいからそういうことができたのかと思われるような数字があるわけです。こういう努力を、固有の財源措置としての交付税等を、対前年度比一・七であったものを二・三%まで十年度の予算編成の中で上げた、そういう努力はひとつ見てもらいたい、こう思うのです。  それからもう一つは、地方まで届いていないじゃないかということですが、私は、これからだと思うのです。予算編成をしていただいてこれが成立しましてから。  ただ私は、地方の行財政を預かる大臣として一言申し上げたいのは、よく言うことでありますが、例えば東京で公共事業、道路建設予算を一千億組んだとしますと、土地代が八〇%もかかる、高いところは九三%もかかる、一千億の道路建設予算で、公共事業としての道路建設費に回すものは七十億しかない。私、宮崎ですが、ちょうど清武というところがら西都というところまで高速道路を今やっていますが、一千億の道路建設予算を組みましても、土地代や補償を含めて三割に届きません。同じ一千億でも、七百億が一方では使える。一方は七十億しか使えない。  こういう公共事業の張りつけとかありようというものは、私は議論の余地ありと思っておるわけでございまして、そういうものを含めて、今後の公共事業のあり方地域の振興や活性化というものは十分見きわめていかなければならぬのではないか、そういう考え方を持っております。
  50. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 大臣の演説は、それはそれで結構なんでありますが、私がお聞きしたがったのは、今大臣こういうふうにおっしゃったのですね。一生懸命苦労して地財計画を立て.財源を確保した、地方財政計画として全国に示した。これは、私が今マスコミの記事を引用しまして、地方はついてこれないのじゃないか、それぐらい地方は厳しいのですよということを申し上げたのだけれども、いや、これからです、大丈夫ですと。  この十年度の地財計画、お示しになったこの内容で、地方は本当に、集計をすると、大体地財計画ぐらいに単独事業あるいは公共事業の確保はされている、されていくというふうに大臣は本当にお考えになっていますか。
  51. 上杉光弘

    上杉国務大臣 いや、十分確保されておると申し上げるつもりはありません。ただ、地方が困らないように、自治省としてもそれなりの努力はいたしました、それはひとつ御理解いただきたい、そういう意味で申し上げたわけで、地方の財政運営、行政を進めるに十分だとは決して思っておりません。  あとは、事務方から足りない分はお答えさせます。
  52. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 大臣、僕がお聞きしたいのは、いいですか、大臣の努力は評価します。地財計画で本当に大変な苦労をされて確保されたのはよくわかる。だけれども、地方は簡単についてこれませんよ、そんなに地方はみやすくありませんよ、そういう実態があるのではないですか、これが最近のマスコミの報道ではないかということをお尋ねしているわけです。これは一体どういうことですか、どういうふうにそれはお考えになっているのかということを私は伺いたいわけです。
  53. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 今、委員がお話しになりました各県の予算編成状況でございますが、今、私どもは速報的に数値を集めておりまして、選挙がございまして、骨格予算をしております県が三つございます。それを除きました数字が、単独事業で申しますと、四十四県で単独事業の対前年比がマイナス七・五%という数字で、今当初予算の編成はされております。  地財計画は、先ほど大臣からお話しいたしましたように、マイナス四%ということでございます。県レベルで四%とマイナス七・五%の差と申しますのは、二千億ちょっとという数字の差になります。  県は、御案内のように、六月、九月、十二月というふうにこれからいろいろな状況に応じて補正予算を組んでいきますが、今の数字は当初予算の段階でございまして、これまで補正予算でどのくらい単独事業を追加いたしておりますかというその実績を見ますと、一番少ないときでも三千億ぐらいの追加はいたしておる。多いときには九千億ぐらいの追加をいたしておるという状況でございまして、仮に、ここ最近、近年のような補正予算の状況がございますと、マイナス四%のラインには十分届くような数字でございます。  各県とも、いろいろ非常に苦労しながら予算編成をいたしておりますが、この数字から見ますと、当初予算の段階で考えれば、先ほど大臣から、おおむね地財計画の線に沿っているのではないかと申し上げましたのは、そういうふうなことを分析した上で申し上げておるわけでございます。
  54. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 確かに当初予算比較ですから、大臣がおっしゃるように、これからということがあるのかもしれません。あるいはまた、これから追加対策があるのかないのかという話、えらい大きい数字が今出まして、そんなことを展望される話なのかどうなのか、驚いたわけでありますが、いずれにしても、最近の地方単独事業の地方財政計画上の額と決算との比較をしますと、やはり平成二年、三年、四年というのは財政計画以上の決算額を、実績を積んでおりますけれども、五年、六年、七年とだんだん乖離が出てきている。それは、やはり私は、地方もこれ以上借金してやれないという実態があるのではないかという気がします。  実は、ここで私が申し上げたいことは、国の地財計画はもちろんいろいろな努力をされたのでありましょうけれども、大臣が今回所信表明で述べられている以上の、大臣も認識されていると思いますが、それ以上の実は厳しい地方財政の危機的な状況が横たわっていまして、やはり公債費の支払い、この額が太くなって単独事業が圧迫を受けている。  きょうはもう時間がないので次の質問ができなくなってしまったのですが、やはり先ほどの古賀委員の議論の中でもありました、地方はどんなに厳しい状況の中でも、これからのことを考えますと、公共サービスの水準というのは下げられない。だけれども、そこは下げられないのと、それから財政再建をしなければいかぬという、まさに綱渡り的な作業をこれからやっていかなければいかぬ大変厳しい実態にあると思うのですね。  私のところでも、公共事業のみならず、例えば地方の単独の医療費の助成制度でありましたり、いろいろなものがじわじわと合理化をしなければいかぬ。合理化というのは言葉はきれいですけれども、地方独自の給付を切り捨てていかなきゃ財政が立ち行かないような状況にあるわけでありまして、私はその辺を大変に心配をしているわけであります。  時間もないので、大臣、最後にお聞きしたいと思うのですが、先ほどの古賀委員の中でも議論がありました。大臣、国の借金と地方の借金、車の両輪だ、いつも地方と国の財政は車の両輪だと言いまずけれども、国と地方の借金というのはやはり性格が違う。地方の借金というのは本当に、金 融政策を持っているわけでもありませんし、下手したら、これから、それこそ厳しい地域住民が逃げていくような、こんなことだって私は出てくると思うのですね。本当に、まず自治大臣としては、財政再建に当たっては地方の財政再建をきちっとやる、その本質的な議論をきちっとしていただきたいな、こう思うわけであります。  そのためにはやはり、今回、地方分権の計画を今からお出しになるという先ほどの議論もありましたけれども、私はずっと地方分権の勧告を読んでおりまして、税財源の移譲といいますか、こうした本質的な話がどうも出ていないような気がしてしようがありません。恒常的な歳出と税収の乖離というこの問題は何とか克服しなきゃいかぬ状況があるわけであります。  これは、地方分権の勧告でも、補助金とかなんとかというのは随分議論がありますけれども、税財源の移譲、この抜本的な議論がなされていない、このように思いまして、これについて地方分権の計画を今から作成されるお立場としてどのようにお考えなのか、最後に大臣にお聞きして、終わりたいと思います。
  55. 上杉光弘

    上杉国務大臣 地方分権推進委員会の勧告を踏まえまして、国庫補助負担金の整理合理化事務権限の移譲に応じた地方税地方交付税等の確保を図りますとともに、中長期的に地方歳出規模地方税収の乖離をできるだけ縮小する観点に立ちまして、地方税充実確保を図っていくなど、地方税財源充実確保に積極的に取り組んでいきたいと考えております。  この集中期間の三年間は、今まで、許可制という国との了解でございましたが、税制においても地方の自主的な判断、決断によってこれを報告制にする、こういうような一つの方向づけをしつつあるところでございまして、そういうものも含めて、地方分権推進のこの進め方に伴う対応というものは今も鋭意努力をいたしておるところでございまして、このようなことも含めて積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
  56. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 きょうは時間がありませんから、またの大臣との議論にさせていただきたいと思うのですが、今、政府でおやりになっているのは外形標準課税あたりの議論はされておられますが、本当に所得税の本質的な議論に踏み込んで地方財政確立するという議論が全く欠けておるというように私は理解をいたしておりまして、この議論はまた今後させていただきたいと思います。  以上で終わります。
  57. 加藤卓二

    加藤委員長 佐藤茂樹君。
  58. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 自由党の佐藤茂樹でございます。午前中最後の質問をさせていただきます。  私の方からは、先ほど来地方財政に絡んでのいろいろな議論がありましたけれども、この問題については十分時間をとって、次の法案の質疑時間のときにでも、地方税法また地方交付税法を絡めてしっかりと質問をさせていただきたいと思うのです。きょうは、大臣所信を踏まえまして、特に四点ほどお尋ねをしたいのです。  まず一点が地方行革のことなんですけれども、大臣は、先ほどの所信の中でも、地方行革の一層の推進ということを掲げられまして、今後ともこの地方行革推進を最重要課題の一つとして積極的に取り組んでまいりますと述べられたわけです。地方行革、構造的な改革をしないといけないという問題、確かにこれは国も地方も一緒なんですけれども、その中で最近とみに大きな課題に浮上してきているのが、第三セクターの経営難あるいは破綻の問題をどうしていくのか。  自治省の方としては、地方公社、そういうことで地方自治体の外郭団体という掌握をされているそうなんですけれども、当初、官と民が資本や人材を出し合う第三セクターというのは、民間活力導入の切り札として、非常に地域おこしの決め手になるはずではなかったのか。そういうことで、非常に脚光を浴びたのですけれども、今、あちこちで行き詰まって地方自治体のお荷物になっている、そういう実態があります。  私の住んでいる大阪でも、昨年ですけれども、大阪府などが設立した泉佐野コスモポリスという団体が破綻しておりますけれども、特にそれ以外でも、昨年、やはり一段と第三セクターの経営難というのが深刻になってきております。これは日本経済新聞社の調査なんですが、都道府県や市のうち、事実上経営が破綻した債務超過の第三セクターを抱える自治体は一九・三%に達している。これは、押しなべて一九・三%ですから、その中でも特に都道府県というのは、もう半数に近い四六・八%が債務超過の第三セクターを抱えている。政令指定都市に至っては八三・三%に及んでいる。そういう調査も出ております。  その同じ調査で、第三セクター企業については、七割が累積赤字を抱え、うち半分が解消のめどが立たない、そういうことが判明しているわけでございます。そうした中で、結果として、一〇・六%の自治体が、九七年度の補助金とか助成金などの財政支援額を前年度より増額している。都道府県の三四・〇%も同じように増額しておりますし、政令指定都市に至っては、五〇%の政令指定都市がそういう財政支援額を増額している。そういう状態になっているわけでございます。  私は、本当に地方自治体の財政というのが国と同様に悪化の一途をたどっているというのは、先ほど来、二人の質問者の方でもありましたけれども、やはりこの第三セクターの問題を放置していては、今後ますます地方財政をさらに悪化させてしまうのではないか、そういう気がしているわけでございます。  第三セクターの今までの役割というのは非常に評価しながらも、この時点において、経営状態を洗い直すといいますか、果たしてその団体の目的、果たしている機能というものも含めて、きちっとなっておるのか、決算はもちろん、さらには役職員の報酬であるとか事業の将来性などについてもきちっとメスを入れる、一言で言うと総点検ですね、そういうものをそろそろやはりきちっとしていくべきときではないのかな、そういう気がしております。  これは、一つには各自治体の首長さんであるとか、また議会が第一義的にはやらないといけないことでしょうけれども、しかし、こう全国のあちこちで経営難に陥っているとか破綻になっている、そういう問題が起こっている状況を踏まえますと、自治省としても何らかの対策を講ずる必要があるのではないか、そのような気がしております。  この第三セクターの抱える問題に対する大臣の御認識と、そして何か対策を考えておられるのでしたら、お伺いをしたいと思います。
  59. 上杉光弘

    上杉国務大臣 お答えをいたします。  第三セクターが行財政改革の足を引っ張るというようなことがあってはならない、それは全く同感でございます。  それを前提に申し上げます。  第三セクターは、その数が全国で九千三百あると伺っていますが、それぞれ地方公共団体の責任において設立をされまして、指導監督が行われるものでございます。また、地方公共団体のかかわり方もまちまちであるということから、自治省としては、個別具体的にそれぞれの第三セクターの経営状況がどうなっているのかまでは把握をいたしていないところでございます。しかし、これを黙って見過ごしていいものかということについては、問題意識を私としては持っております。  自治省といたしましては、財政運営通達等によりまして、地方公共団体等に対し、第三セクターの設立に当たりましては、事業内容、採算性等十分検討の上、慎重に対処いたしますとともに、既に設立をされた第三セクターの業務運営等について指導監督をいたしますよう、自治省としての指導をいたしておるところでございますが、今後はその徹底に努めてまいらなければならないもの、そのように受けとめております。
  60. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 それで、今大臣からおっしゃられましたけれども、自治省のつかんでおられる数字で、私も事前に資料をいただいているのでは、九千三百四十四、これは平成八年の一月段階だっ たと思うのですけれども、私自身がちょっと調べましたら、一九七〇年には、今から二十八年前ですか、約三十年前ですけれども、八百六十五団体だったのですね、地方公社というのが。それが年々増加というよりも激増してきまして、平成に入ると、もう三百団体ずつ毎年つくられてきて、結局八百六十五から、この二十八年後の現在に至って、平成八年ですから二十六年後ですけれども、もう十倍以上になっている。  ざちに、そこに勤める役員、職員を合わせますと、七〇年のときにはたしか五万人程度だったと伺っているのですけれども、それが今、平成八年段階で三十三万六千人という役員、職員を抱えるぐらいまで、全国合わせるとそういう形になる、六倍ふえているという状況があるわけですね。  結局、何が言いたいのかというと、確かに自治省として、例えば昨年の四月には「平成九年度地方財政の運営について」という通達でそのことについても触れておられますし、さらには、昨年の十一月に「地方自治・新時代に対応した地方公共団体行政改革推進のための指針について」を策定されて、各都道府県、市町村に徹底されているのもよく存じておりますけれども、一言で言うと、一通り触れている、そういう状況で、自治省としてもきちっとそこには注意して一応ちゃんと言うべきことは言っていますよ、その程度であって、実際にやはり現場へ行くと第三セクターに対する自治体のチェックというのは必ずしも十分ではなかったのではないのか。  それが今、事ここに至って、最終的には地方自治体それぞれに降りかかってきて非常に地方財政を圧迫させてしまっている、そういう状況が生まれている感じがするのです。  自治省としても、もう一度大臣に追加で質問したいのですけれども、特に地方公社、さらには第三セクターというものの経営に関する指針を策定するとか、自治省として、新たにつくるときには大体こういう基準でやりなさいとか、また今の経営についてはこういうところをきちっとチェックしていきなさいというような、そういう指針を策定する予定はございませんか。
  61. 上杉光弘

    上杉国務大臣 昨年の十一月に示しました地方行革の新しい指針に公社等の外郭団体見直しを盛り込むなど、地方公共団体に対し第三セクターの指導監督を徹底するよう指導もいたしておるわけでございますが、現在、経営診断のための評価指標、経営改善、統廃合等の手法等について検討をいたしておりまして、これらをマニュアル化した指針として地方公共団体に示していきたい、このように考えておるところでございます。
  62. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 私は、先ほど別の関連からの地方行革に関しての取り組みで、大臣が、十一月の指針では数値目標の設定等を盛り込んで徹底して行財政改革をやるように言ったのだ、そういう話がありました。私は、やはりこの地方公社さらには第三セクターの問題についても、すべて数字化するわけにはいかないでしょうけれども、それは各自治体の実態に応じてやるべき部分もあるかと思いますが、しかしそこまで切り込んだ何らかの指針というものを明確にしていただきたいと思います。  もう一つは情報公開の問題なんですけれども、今の地方自治法では、出資比率が五〇%以上の第三セクターの経営内容については首長が議会へ報告することを義務づけていまずけれども、二五%未満の場合には全く法的なチェックとか権限がない。二五%以上五〇%未満については監査委員による財務監査を認めている。それが今の地方自治法の一つの限界であって、例えば複数の自治体が一つの第三セクターとか地方公社に出資する場合に、官の比率としては過半数、五〇%以上に達していても、例えば五つの自治体が一〇%ずつ出資していたということになると監査対象から外されてしまう、そういう現実もあるわけです。  私は、やはり自治体は、関係する第三セクターの現状について積極的に今情報公開に努めるべきであるし、また自治省としてもやはりきちっとその問題について推進するべきではないのかな、そのように考えるわけですけれども、自治省としての御見解をお伺いしたいと思います。
  63. 香山充弘

    ○香山政府委員 お答えいたします。  第三セクターの情報開示についてのお尋ねでございますけれども、法律上は、御指摘がありましたように、四分の一以上出資している場合に監査委員会への監査報告、二分の一以上出資している場合に経営状況を議会に提出する義務、こういったものが設けられているところでありますけれども、これはあくまで法令の義務づけが以上のとおりだということでありまして、要は、第三セクターが地方財政に及ぼす影響というのは、各自治体が必要に応じて十分なチェックをすべきものというふうに私ども考えております。  そういう意味では、御指摘にもありましたように、既にすべての出資団体に関して何らかのチェックをするような仕組みを設けている地方団体もあります。そういう意味では、地域の自主的な対応というのが基本になろうと思いますけれども、私ども、御指摘にありましたとおり、第三セクターの経営というものが地方財政に及ぼす影響は極めて重要な問題と考えておりまして、先ほど大臣から御答弁申し上げました、いろいろ検討する中で、議会との関係とか監査のあり方、さらには住民情報開示のあり方等につきましても、同じように検討してまいりたいと考えておるところでございます。
  64. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 この問題は、さらに私自身も、独自に調査したり勉強させていただいて、今後引き続きやらせていただきたいのですが、次に、がらっと質問の内容を変えまして、警察行政について若干時間をとってお尋ねをしたいのです。  きのうもそれぞれテレビ、新聞で報道されておりましたけれども、埼玉の東松山市で十三歳の男子中学生が、同学年の生徒をナイフで刺し殺した、それも学校内でそういう事件を起こした、そういうことが問題になっていますように、現在、ことしに入って特に、毎日のように全国のどこかで世間を驚かせるような少年による凶悪事件発生しております。  これは朝の質問のときにも出ておりましたけれども、事前にいただいておりますこの警察庁の資料をしっかりと読ませていただきますと、これは、しかしながらことしに始まったことではない、逆に顕著なのは、去年一年間で激増したという事実があるのですね。  数字だけちょっと言わせていただきますと、刑法犯を犯した少年というのは昨年は十五万二千八百二十五人で、その前の年に比べて一万九千二百四十四人増加して一四・四%増と二年連続の増加となって、特にこの結果、少年人口千人当たりに占める補導(検挙)人員というのは十六・一と五年連続で増加して、なおかつ、昭和六十三年の十六・二以来、九年ぶりに十六人台を記録して、警察庁の資料によると「戦後第四の上昇局面を迎えた」、そういうふうに言われている状態にある。刑法犯全体がそういう状況である。  その中でも、特に昨年は、強盗であるとか強姦であると言われるように、少年非行の凶悪・粗暴化というのが急速に進展したというように言われておりまして、凶悪犯の補導人員というのは昨年二千二百六十三人で、十六年ぶりに二千人の大台を突破した。これは昭和五十年以降の最悪の記録である。さらには、少年による凶悪犯の増加率というのがまず五一・三%増加している。粗暴犯の増加率というのが一五・五%の増加を示し、凶悪犯全体の中で占める少年被疑者の割合というのが三四・一%と約三分の一を超えている。さらには、粗暴犯にあっては四四・五%を占めているという。  そういう急速に悪化している状況が現実に数字としても、はっきりと昨年一年間の数字として出ているわけですけれども、そこで大臣、できれば国家公安委員長としてお答えいただければ非常にありがたいのですが、なぜ少年による凶悪犯罪、粗暴犯が昨年急激に増加してきたのか、その理由、要因をどのように国家公安委員長として御認識されているのか、お伺いをしたいと思います。
  65. 上杉光弘

    上杉国務大臣 お答えいたします。  急増した少年の刃物使用でございますが、これは、社会全体の責任でありますとか、家庭の教育やしつけとか、そういういろんな背景が私はあると思うのです。私の方から、これらの問題につきましては、次代を担う青少年の大切な問題でありますから、事務方の警察中心にした会合について提案をして、そのテーブルはできております。また、閣僚懇談会等でも政府挙げてこれに取り組むべきだと申し上げまして、先ほど有識者会議というものが総理から方向づけになりまして、第一回会議が終わったところでございます。  この問題についてはいろんな意見があるところでございますが、昭和五十年以降の最悪記録を昨年度いたしておるわけでございまして、極めて深刻な状況にあると考えております。このような事態の背景には、少年を取り巻く社会環境変化少年自身や社会全体の価値観の変化などの問題があるわけでございまして、そのような認識に基づきまして、決め手がないことがこれは非常に悩みめ種でございます。一気にこれをどうするかということになかなかならない。  したがいまして、警察といたしましても、十分これに責任を感じ、社会全体の問題としてこれに取り組む方向で今対応いたしておるところでございます。  既に、銃刀法につきましても、非常に凶悪化いたしておるわけでございまして、刃物による事犯というものが大変多いわけでございまして、これらの改正等も視野に入れたプロジェクトチームを設置いたしまして、警察としては、万全の体制で今後の対応をしていこう、総合的に取り組むという姿勢を明らかにした上で組織的な対応をいたしておる、こういうことでございます。
  66. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 今もう大臣すらすらと対策まで全部答弁していただいたのですけれども、私自身ちょっとお伺いしたがったのは、昨年の夏に神戸で小学生連続殺傷事件というのがありました。それが契機となったかどうかは別にしましても、たしか八月だったと思うのですけれども、警察の方としても、強さと優しさを車の両輪として少年非行問題に当たっていくんだ、そういうスローガン的なものを掲げられて緊急の対策を打たれた、そういうように私自身覚えておるのです。  しかし、それからやはり半年近くたって、果たしてそのときの緊急対策のままで効果があったのかどうか、これがもうわからないぐらいにそれをさらに上回るような具体的な数字がどんどんどんどん出てきて、さらにことしに入っては、そういう刃物による殺傷事件が社会問題的に取り扱われるぐらいにひどくなっているわけですね。  そこで、やはり新たな対策として何か考えておられるのか。先ほど大臣の答弁の中で、銃刀法の改正も視野に入れたプロジェクトチームをつくるんだ、そういう問題がありました。  この問題も、二つ方法があると思うのですね。一つは国のそういう銃刀法を改正してしまうのか、それとも都道府県の青少年育成条例の中に、今それぞれ動いている都道府県もありますけれども、そういうバタフライナイフ等も含めた、ある一定の限度を超える刃物については有害玩具として指定するというような、都道府県に任せてしまうというやり方もいろいろあると思うのですけれども、その辺も含めて、新たな対策としてどういう方向で今警察庁の中で議論されているのか、御答弁をいただきたいと思います。     〔委員長退席、今井委員長代理着席〕
  67. 上杉光弘

    上杉国務大臣 この点について御理解いただきたいと思いますが、警察は、昨年の夏の事件から精力的に対応いたしておるわけでございます。今、成果として言えるかどうかわかりませんが、地道な努力の積み上げとして、ナイフを製造しておる製造企業、さらには販売しておる販売者、そういう一つの業界に対する地道な理解を求めた協力要請は、結果的に自粛しようという方向に二つの業界、製造も販売の方も出てきておるわけで、これは警察のやはり地道な働きかけがあったものと思っております。  もう一つの視点は、法律や制度だけでいくかという問題があるわけです。したがって、例えば銃刀法にしても、銃と刀剣と刃物ということになつております。刃物も五センチと六センチの問題があるわけで、議論がいろいろあることは、しかし、人を殺そうと思えば二センチでも一センチでも殺せるわけです。そういうものの、刃物に対するものを含めて、では総合的にどうしたらいいかという法や制度の問題があります。  しかし、私は、もっと根の深い、社会全体が考えていかなければならないこと、家庭や学校現場、そういうものも含めて考えていかなければならない。大方の責任は大人にもある、あるいは教育やそういうものも含めたものにもある。そういう点も含めてこれは取り組まなければならぬというので、大変な苦労をして今警察努力をしておる。この点については御理解をいただきたい。  ただ、民主警察ですから、高圧的に、警察権力を振りかざして取り締まるとか、そういうものをやるというわけにはまいりません。そこがまた難しいことだということも十分ひとつ御理解をいただきたい。しかし、警察はできる限りの範囲内で、法と制度の許すもと努力をしておる、こういうことでございます。  不足の点は事務方から。
  68. 泉幸伸

    ○泉政府委員 ただいま公安委員長から具体的かつ詳細にわたって御答弁ございまして、尽きておると申すべきでありますが、なお一点、私どもの立場で今非常に苦労していることをつけ加えさせていただきますと、やはり規範意識の問題でございます。なかんずく、最近問題になっております刃物による犯罪、ほとんど学校現場で行われております。  刃物につきましては、これは種々検討はいたしておりますが、現行法におきましても、既に、ゆえなく携帯しておるということ自体が犯罪でございます。そういう意識を持って、本当に、学校現場、家庭において刃物に対するそういう意識が浸透しているかどうか。これは私どもの反省でもございます。こういう面を強く訴えながら関係省庁とも働きかけ、そして、申すまでもなく、街頭における少年補導、少年非行の相談、警察が従前行ってきましたこと、これを強化してまいるということも当然でございます。
  69. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 この問題、実は私ずっと報道でしかわかりませんが、上杉国家公安委員長は、いろんな閣僚がおられるけれども、一連の動きの中で一番熱心に、さすがに気をつけていろんな提言をされている、そういうふうに私自身は認識しておるのですね。先ほどもありましたけれども、閣僚会議の設置をまず提案されたのも、閣僚懇ですか、大臣だというようにお伺いしているのです。それが影響してかどうかわかりませんが、今、そういう省庁横断的な審議会、そこに閣僚の皆さんも入られて議論をされている。  そういうことまですべて存じているのですが、議論も確かに根深い問題なので大事だと思うのですけれども、その上で、一つの方向性が出たときにはぜひまた大臣の方から総理にでも提言していただきたいのは、後で質問に入りますが、薬物についても総理が本部長となられて対策本部をぴちっとつくられた。今回の青少年非行の問題、この数字だけ見ても非常に急増してきているわけですね、何も刃物に限ったことじゃないと思うのです。  そういうことから考えますと、ぜひまた大臣がイニシアチブを握っていただいて、例えば仮称青少年非行防止対策本部みたいなものを政府を挙げてがちっとやはり構えていく、そういうようなこともぜひ大臣の方から警察行政をあずかる所管大臣として提唱していただければと思うのですが、大臣の所見をお伺いします。
  70. 上杉光弘

    上杉国務大臣 当面は、事務方の連絡会議、テーブルができました。警察中心となって提案をしたものが、総務庁が所管省庁でありますから、総務庁を中心にした事務方の対策会議が、テーブルができた。  私が閣僚会議で御提案申し上げましたのは、内 閣が挙げて取り組む姿勢というものをしっかり示すことが必要である、同時に、実の上がるトップの会合において対応すべきだ、こう申し上げましたら、総理から私なりの考え方もあるということでございました。  そういう意味で、先般設置をされました二十一世紀を担う青少年に関することを協議する専門家委員会というのが、総理、官房長官、総務庁長官、文部大臣それから私自治大臣・国家公安委員長が入りまして、あと各界各層の、教育審議会の代表であるとか保護司の代表であるとか、いろんな教育や社会問題等で頑張っておられる皆さんがお入りになった専門家委員会というのが設置されたわけです。  当面はここで議論をされ、この前も極めて熱心な議論がございまして私も感心いたしましたが、大変専門的な立場から、それぞれの濃密な議論がなされました。私からは、今のこの急増状態を考えると、警察という立場、国家公安委員長という立場で考えれば、背筋が寒々する思い、こういう状況ではとても警察では対応し切れない、この流れというものを何としても断ち切る形をつくらなきゃならぬという思いがあっただけに、そのことも全体の前で申し上げました。  大変御賛同もいただきましたけれども、そういう議論の場がせっかくできましたから、そこでまず議論をしっかり詰めてまいり、実の上がる方向というものを、当然これはそう時間をかけずに対応していかなければならない、こう考えております。
  71. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 大臣から前向きな話もありましたので、抜本的な対策が出てくるかどうかわかりませんが、ぜひ精力的にやっていただきたいな、そんなように思うわけでございます。  今の少年凶悪犯罪に関連するといえば関連するのですけれども、次に、これも非常に深刻化しております覚せい剤による汚染、この問題について時間の許す限りお伺いしたいのです。  一月の二十九日だったと思うのですけれども、警察庁は、第三次覚せい剤乱用期に突入した、そういうように宣言されておるわけです。時間もないので幾つかあわせてお聞きしたいと思うのですが、今そのように第三次覚せい剤乱用期と言われる覚せい剤汚染状況と特徴、さらには、私の知る限りでも、九〇年代前半までは鎮静化していたのが、最近とみに、この三年ほどで急激に検挙者一つとっても増加しておるというように私も承っているのですが、その辺の原因、要因についてどのようにとらえておられるのか、まずお伺いしたいと思います。
  72. 泉幸伸

    ○泉政府委員 覚せい剤は我が国で一番乱用されている薬物でありまして、平成七年以降三カ年連続でその検挙人員が増加し、昨年はほぼ二万人に達するという状況でございます。  これらの状況取り締まりの立場にある私どもの立場で分析しました結果、覚せい剤については昭和二十九年が第一次乱用期のピーク、五十九年が第二次乱用期であって、今回は五十九年をピークとするものに続く第三次乱用期に入ったのではないかということで、覚せい剤情勢薬物情勢を最も正確に把握できる立場にあるのは警察でございますから、警察といたしまして、現下の厳しい情勢国民の方々に広く知っていただく、このことが非常に大事であるという意図のもとにそのような表現で広報いたしたところでございます。  覚せい剤の犯罪が急増している原因、いろいろ考えられると思いますが、また多くの要素が絡んでおると思いますが、私ども、その中で一番注目しておりますのは密売方法の変化でございます。  この三年間、従前あるいはひそかに行われておりました覚せい剤の密売が街頭で行われるという状況が現出してまいりました。これがだれでも簡単に覚せい剤にアクセスできるというような状況をつくり出したのではないか、特に少年に広がっているというのはこういう情勢が非常に影響をしておるというふうに考えておるところでございます。
  73. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 そこで、大臣所信の中でもこの問題に触れられて、「警察といたしましては、今後とも薬物の供給の遮断と需要の根絶不法収益対策を加えた三本柱による総合的な薬物対策を一層強化してまいる所存であります。」というように先ほども大臣は述べられておるのですね。  今局長説明にもありましたけれども、特に、特徴として密売方法の変化があるんだという話をされました。その一つ目の柱である供給の遮断の対策として、密売方法の変化、特に、街頭で売っているのは、イラン人などを中心としたそういう来日外国人組織というのが結構やっているのではないかと思うのです。  例えばこれ一つとっても、警察が本当にやる気であれば、職務質問などをきっかけにこのような外国人に対して、外国人の場合には、根絶やしにするということも本気でかかればそう困難ではないのではないのかなと我々素人感覚でも判断しますし、さらには、今の覚せい剤は中国産というのがほとんどであるというように承っておるのですけれども、そういうことであれば、日中の取り締まり当局間で、特にこちらが被害をこうむっているのですから、日本側から連携を密にして、密輸阻止の水際作戦なんかもきちっと立てれば相当変わってくるのではないのかな、そういうように思うのです。  供給の遮断というように一言で言われていますけれども、対策として、特に第三次乱用期に突入したと言われた後ここに力を入れているんだ、そういうものがあればお伺いしたいと思います。
  74. 泉幸伸

    ○泉政府委員 ただいま、供給遮断のために密輸対策それから街頭販売対策について御指摘がありました。私どもとしても、全くそのとおりだと思っております。  ただ、あえて申し上げさせていただきたいのですが、これは決して簡単ではございません。密輸対策につきましては、現に私ども、仕出し国として一番注目しておる中国でございますけれども、こことの連携を一昨年来、非常に強化してきております。具体的事件についての情報交換等も従前以上に頻繁に行っております。それに基づく成果も実はございます。  それから、街頭のイラン人という御指摘がございました。イラン人らによる街頭密売、これに対する取り締まりも、昨年春以降、非常に全国的に強化しております。一部の地域では、駆逐と申しますか、そういうものがなくなった地域もございますが、まだまだ根深いものがございます。しかも単独ではございません。組織的に行われておる。ですからそれを一網打尽にするという形で取り締まることが必要なわけでありますが、これ自体、日常的に非常に苦労して取り組んでおります。まだまだ根絶に至っていないというのが残念でございますが、なお、根絶に向けた一層の取り締まりを行ってまいりたいと考えております。
  75. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 非常に努力しているんだが、なかなかそう簡単じゃないというお話でしたけれども、なお一層力を入れていただきたいのです。二番目の柱として、需要の根絶、ここの部分について特にお聞きしたいのですが、私は、やはりここの問題というのは非常に難しい局面に来ているな、そういう感じがしているのですね。  これは、地方行政じゃなくて文教関係の委員会でこの問題をやったときにも、数字を見せられて私びっくりしたんですけれども、さらに新しい数字として、昨年一年間で、覚せい剤違反での少年検挙者というのが一一%ふえていて、千五百九十六人。特に中学生が前の年から倍増の四十三人、高校生は二百十九人で、二年前に比べると倍以上にふえている。その中で特に、どちらも女子が六割を占めている、そういう実態。一言で言うと、検挙者の低年齢化、少年検挙されているというのが非常にふえてきている、そういう問題があると思うのです。  先ほど来、規範意識の低下であるというような話もありましたし、さらにもうちょっと専門家に聞くと、ファッション感覚で覚せい剤を一回吸ってみよう、そういう女子なんかもいる、そういう話も聞いておりますけれども、この問題について は総務庁とか文部省なんかも、文部省の意識調査というのは、私が一回質問して、やったらどうだと言ったんですけれども、ようやく腰を上げて去年やっていただいたのですが、その結果、さらに驚くべきことに、薬物使用は他人に迷惑をかけていないので、使うかどうかは個人の自由、そう答えた人が高校生なんかは約二割いた、そういう驚くべき数字も出ております。  一言で、こうやったら何とかなるんだというのは非常に難しいと思うのですけれども、やはり専門的知識を持った警察官であるとか、また麻薬取り締まり官、そのOBの皆さんが学校教育の現場に行って薬物教育をしっかりとやる。警察庁のやっておられるのでは、薬物乱用防止教室どいうものを昨年ぐらいから本格的に力を入れて、高校で八五%ぐらいですか、されたというようにお聞きしております。  ことし特に、さらに第三次乱用期に入ったので、そういう需要の根絶のために警察としてこういうところに力を入れていきます、さらには、去年は高校に対しては八五%、中学についてはさらにまだ大分低いかと思うんですけれども、そういう率をしっかりとこの辺まで上げるとか、そういう具体的な対策として何か考えておられるようなことがあればお伺いしたいと思います。     〔今井委員長代理退席、委員長着席〕
  76. 泉幸伸

    ○泉政府委員 需要の根絶のためにまず申し上げなければいけないのは、末端乱用者の徹底検挙でございます。これは国際的に見ましても、日本の薬物対策の一つの特徴をなすものだろうと思っております。これにつきましては、今後とも一層強化していかなければいけないと考えております。  それとあわせまして、特に少年につきましては、今ファッション感覚という御指摘もございましたが、薬物を乱用した場合の悲惨な状況、どういう悲惨な目に遭うかということを本当にしんから知っていただくということが大事だと思っております。  そのような観点で、薬物乱用防止教室、昨年四月から文部省等との連携を持ちまして、各都道府県で実施いたしております。その数は、先ほど御指摘のあった数でございます。この実施に当たりましては、いろいろ実は細かい問題がございますけれども、そういう問題を乗り越えて、全校で実施すべく、警察側の体制も整えて取り組み、一人でも多くの少年にこの薬物乱用のもたらす悲惨な結果というものを十分に知ってもらうということで進めてまいりたい。  それとあわせて、繰り返しになりますが、末端乱用者の徹底検挙、末端乱用については厳しく対処するということも堅持してまいりたいと思っております。
  77. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 最後に、あと三分ほどありますので、大きな四点目でちょっとお伺いしたいのですけれども、それは自治体の震災対策です。  これはもしかすると災害対策特別委員会なんかでやった方がいいのかもわかりませんけれども、もう既に大分時間がたってしまいましたが、一月十六日に発表になった総務庁の震災対策に関する行政監察結果、また、その結果に基づく勧告というのが出たわけですけれども、その中を見ますと、我々、各自治体はしっかりやっているだろうな、そう思っていた幻想がもろくも崩れて、本当に阪神大震災の教訓から時間がたつとともに、実はずさんな行政をしていた、そういう例が幾つか見られるわけですね。  例えば、これは既に自治省への勧告があったので既に手は打たれていると思うのですけれども、都道府県の地域防災計画であるとか市町村地域防災計画、そういうものが平成九年三月末現在、阪神大震災を受けて地域防災計画を改定していない自治体というのがその当時で、二十都道府県調査されたのですが、そのうちの四団体改正していない。さらには市町村では、百二十一市町村調べたうちの五十が地域防災計画を改定していない、そういう調査の結果も出ておりますし、さらに、具体的に災害が起こったときにどう対応するのかということで、国の防災基本計画で義務づけられている防災用の食糧等確保を全く行っていないものが百二十一市町村のうち二十三である。また、仮設トイレを全く確保していないものが百二十一市町村のりち六十である。地区別避難地を指定していないものがさらに多くて、百二十一市町村のうち八十である。百十四団体ではさらに、避難所の円滑な運営のためのマニュアルというのは全くなかった。  そういう具体的な調査結果が出ているわけですけれども、やはり一言で言うと、この調査結果一つ見ても、自治体自体の防災意識の希薄さというか、もっと言うと行政の無責任体制といいますか、そういうものが露骨にあらわれている、いざというときにやはり住民の生命であるとか身体、財産を本当にしっかりと守り切ろう、そういう意識が非常に希薄なのではないか、そういうことをこの監察結果と勧告を読ませていただいて感じたわけです。  最後の質問ですけれども、特に消防庁の管轄になるかと思うのですけれども、この勧告を受けて具体的にどういう徹底した対策を各自治体に打たれたのか、また指導されたのか、その辺につきまして御答弁をいただきたいと思います。
  78. 谷合靖夫

    ○谷合政府委員 国の防災基本計画につきましては、阪神・淡路大震災後の平成七年の七月に大幅な修正をし、昨年も事故対策中心にした修正を行っております。  私ども消防庁といたしましても、このような経緯を踏まえて、都道府県、市町村でつくっております地域防災計画については、そういうような防災基本計画の内容に応じたものを、もちろん地域の実態を踏まえてですが、そうしたものになるように、これまでも再三指導はしてきたところでございます。  先ほど行政監察の結果についての御指摘がありましたが、これは抽出調査ですが、都道府県では、昨年の十二月末現在で、もう四十六の団体見直しをしております。ただ、御指摘のように、市町村地域防災計画については、まだ進捗がはかばかしくないというのは事実でございます。  ただ、地域防災計画というのは、文字どおり地方団体にとっての総合的な防災対策基本をなすものですから、極めて重要なことだということを前提に、私ども、あらゆる機会に、これまでも続けてきたのですが、ことしに入り、特に行政監察結果が出た後につきましては、それをお示しをしつつ、総務部長会議を一月に行いました。それから消防防災の主管課長会議あるいは通知を出すというようなことを通じて見直し方をお願いをし、指導してまいったわけでございますが、今後とも、特に市町村見直しの進捗が進んでおりませんので、あらゆる機会を通じて見直しを図っていただくように指導の徹底を期してまいりたい、かように考えております。
  79. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 時間が参りましたので、質問を終わります。ありがとうございました。
  80. 加藤卓二

    加藤委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後零時二十二分休憩      ————◇—————     午後二時二十二分開議
  81. 加藤卓二

    加藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。春名直章君。
  82. 春名直章

    ○春名委員 日本共産党の春名直章でございます。午前中に引き続き、またよろしくお願いいたします。  きょうは、二つのテーマで御質問をさせていただきたいと思います。  第一は、住民投票の問題についてでございます。  沖縄県それから名護市、岐阜県の御嵩町、あるいは新潟県の巻町、先日は岡山県の吉永町、こういうところで、今、全国各地住民投票が実施されています。住民投票は、やはり、住民自身が暮らしに重大な影響を与える問題で直接みずからの態度を示すという住民参加の一つの形態になって、今全国的に広がっているわけですが、自治大 臣としては、この住民投票の全国的な広がり、実施のための条例の制定や投票の実施、そういう問題について、地方自治の観点からどのように評価をされているのか、まずお聞かせください。
  83. 上杉光弘

    上杉国務大臣 現行制度上、一般的な住民投票につきましては、法律の規定はございませんが、地方公共団体が、住民の関心が高く、地域においても影響が大きい事案に対し、その意向を問うため任意に住民投票を行うことについて、法律上特に禁止されていないところでございます。御案内のとおりです。  近時、原子力発電所の設置や産業廃棄物の処理施設の問題等が各地で起こっておることも承知いたしておりますが、これらの施設の設置等について、地方公共団体が条例を制定して住民投票を実施しているケースが見られるわけでございます。これらは、住民の関心が非常に高く、地域においでも影響が大きい事案に対し、住民の意向を問うために、地方公共団体が任意に条例を制定して住民投票を実施しているものと考えております。
  84. 春名直章

    ○春名委員 地方自治の本旨というのをよく言われますが、その中に、住民自治、地域行政地域住民の意思と責任で行うということが重要な構成要素だということがよく言われます。少なくとも大臣は、そういう住民自治の観点からいえば重要な方法の一つではある、こういうふうに御評価はされているのでしょうか。
  85. 上杉光弘

    上杉国務大臣 住民自治でございまして、そこへ住む人たちが判断し、自主的な判断、自立的な判断で地方自治は運営されるものと思います。  ただ、行政と議会があるわけでございまして、我が国制度は代議制をとって議会があるわけでございます。そういう一つの運営の中で、当然、総合的に判断をして行政は運営されていくものと考えております。
  86. 春名直章

    ○春名委員 もちろん代議制との関係とかあるわけですが、総合的に判断して、住民が参加するという点では肯定的だということだったと思います。  その点に立って、具体的な問題について大臣の見解も伺いたいと思います。  具体的にといいますのは、先日行われた名護の市民投票であります。結果はもう御承知のとおりですけれども、問題は、この市民投票が、住民の意向でやられなければならない住民投票が、その中に政府や国家権力がその結果を左右するような干渉や介入が行われてきた、こういう事実があると思います。  昨年十二月の十三日に、沖縄開発庁長官、防衛庁長官のお二人の大臣が市民投票の期間中に沖縄に行きまして、しかも名護市を訪れまして、その当時の新聞報道によりますと、条件つき賛成派の集会に出席して参加者を激励する、建設賛成派が市民投票で多数になるように建設業界へ要請する、こういうことが起こったというふうに報道されております。  さらに、防衛庁長官が「隊員諸君へ−普天間飛行場代替ヘリポートの実現に向けて」という文書を発表されまして、きょう、この現物といいますかコピーがここにありますけれども、この文書を沖縄駐留の約五千五百人に上る自衛隊員の方や防衛施設局の関係者に送付をしております。これ自身は長官自身が国会答弁で既にお認めになっていることでございます、こういうことをやったということは。  その中身は、読んでみますと、「安全性、生活、自然破壊に与える影響など、様々な面について検討を行い、キャンプシュワブ沖水域は建設適地であると考えております。政府として、こうした考え方をもとに、今般、海上ヘリポート案を地元の皆様に対して御説明し、ご理解をお願いしています。隊員諸君もお知り合いの方が名護市にいらっしゃれば、是非御鳳声いただきたいとおもいます」というふうに述べております。名護市に知り合いがあれば、海上ヘリポート建設の趣旨を話して建設に賛成するように、こういう指示の文書であります。  大臣、市民投票などが行われていない平時に、国の重要な施策を市民にお知らせをするということは当然私はあると思います。しかし、今まさに名護市民自身が自分たちの手で住民投票の条例をつくって、そしてこれについてどういう判断を下すかということをやろうとしている渦中にこういうことが行われたということは、私はゆるがせにできない、そういう問題だと考えます。  そこで、これは防衛施設庁が勝手にやっているからということではなしに、これはもう何回も報道もされておりますので、自治大臣、地方自治を預かる自治大臣として、こういった介入といいますか、こういうことが許されるのかどうか、この点について御見解をお伺いしたいと思います。
  87. 上杉光弘

    上杉国務大臣 個別のことではなくて一般論で申し上げますれば、地方自治に介入することは許されるべきものではない、こういうふうに私は思います。  ただ、一般論で申し上げましたが、御指摘の件につきましては、防衛庁において、自衛隊員に普天間飛行場移設の問題の重要性を改めて認識してもらうとともに、名護市民を初めとする国民の皆さんにその内容等についてもよく知っていただけるようお伝え願いたいという考え方を述べたものであると聞いております。御指摘のような住民投票への介入を行うという趣旨からなされたものではないと承知をいたしております。
  88. 春名直章

    ○春名委員 それは余りにもおかしいと思うのですよ。それは国会の答弁の中でも同じように、防衛庁長官がそのことを質問されて、よく考えを知っていただきたいという考えを述べたものですから介入するというような性格のものではないというふうにおっしゃっています。しかし、防衛庁長官が何をおっしゃっているかということではなくて、やっているこの事実をどのように判断するのか、そのことを私は自治大臣として見ていただきたいなと思って、あえてきょう問題提起をしているわけであります。(発言する者あり)静かにしてください。  投票の運動期間中に、那覇防衛施設局の職員を連日二百人以上動員されて、公務時間中に、ゆいまーる運動と称して戸別訪問が行われております。この訪問の中では、「海上ヘリ基本計画案」や「名護市の皆さまへの訴え」という文書等々が入っております。この市民の皆様へという文書ですけれども、本日はそういうものをいろいろお持ちしました、そのパンフレットをお持ちしましたが、「どうか、これらのパンフレットをご一読いただき、海上ヘリポート建設につきまして、皆様のご理解とご協力をたまわりますようよろしくお願い申し上げます」、こういうふうに述べてあります。  まさに、ここのキャンプ・シュワブ沖につくるのがいいのかどうかそのものを住民がその場で判断しようというために市民投票をやっているさなかに、一方の立場から二百人も動員をして入っていく、そして説明をする、理解を求めるということになれば、それは、ただわかってもらうということではなくて、まさにそれをやろうとしているときに、一方の立場から、建設推進の立場の人をふやしていくということにもう事実なっているわけですね、こういうことをやっているということ自身は。  だから、例えば十二月十一日付の琉球新報の社説では、こう書いてありますよ。政府の露骨な干渉に対し、「賛成、反対両陣営がしのぎを削っている土俵への割り込みは不純さを感じる」、このようにマスコミも報道されるような状況があったのです。  だから私は、長官が言われたことは、私も本会議で聞きまして、そういうふうに考えられているのかと思いました。しかし、地元のまさにそれを問うているときに、問われている住民の方々は一方的にそういうことをやられてくる、そして新聞も不純さを感じると書かざるを得ない、こういう問題が目の前に広がったのです。そのときに対して、長官はそういうことを言っているからいいのじゃないかというふうに御判断されるというのは、地方自治を預かられる大臣として、もう一つ 突っ込んだ御見解をする必要が私はあるのじゃないかと思うのですね。そういう問題を私は提起しているわけでありまして、もう一度御答弁をいただきたいと思いますが、いかがでしょう。
  89. 上杉光弘

    上杉国務大臣 繰り返しになってまことに申しわけありませんが、本会議場でも、理解を求めるためにやったことだと御本人もおっしゃっていますし、そのことからしても、そういう意味での受けとめ方を私としてはいたしておるところでございます。  ただ、一般論で申し上げれば、そのような誤解を受けるようなことを私どもは厳に慎んでいかなければならない、こういうふうに考えております。
  90. 春名直章

    ○春名委員 誤解を受けるようなことは慎まなければならないとおっしゃったのは重要だと思います。まさに誤解を受けるようなことがやられたわけでして、みんな、これは介入じゃないか、ここまでやるかというようなことが新聞報道でも、私、関係している新聞を全部切り抜いてきましたけれども、こんなにあるのですよ。物すごいですよ、これは。いいのか、そんなことやっていいのかというようなタッチの新聞が多いです。沖縄タイムスだけじゃありませんから、ちゃんと見ておいていただきたいのですけれども、そういう点をしっかりと受けとめる必要があると思います。  この点でもう一言だけお聞きしておきますけれども、沖縄タイムスの十二月六日付では、政府の普天間飛行場移設対策本部が東京で会議を開いて、名護市民投票に向けて関係省庁取り組み強化することを確認したという報道が出てくるわけでございます。これは、東京でこの対策本部を開いておりまして、本部長は久間防衛庁長官なんですが、取り組み強化しよう、関係省庁取り組み強化しようということを確認をして、先ほど言ったようなことを推進してきたというふうに報道されています。  私、この報道を見まして驚いたのです。つまり、こういう行動が東京で決められる、中央政府によって決められて、それで指示をおろして名護に、現地にさせていくゆいまーる運動なんかをやらせていくというようなことがやられたわけなんですね。それも私は驚きました。  つまり……(発言する者あり)変なことを言わないでください。つまり、私は一つ聞きたいのは、こういう対策本部が東京で、中央政府で開かれていたということをまず御存じなのかどうか。もし御存じだったのであれば、そこまでやってはだめじゃないかぐらいは、自治大臣としておっしゃるべきではなかったかと私は思いますけれども、その点はいかがですか。
  91. 上杉光弘

    上杉国務大臣 申しわけありませんが、私、それは存じておりません、そういうのがあったことも。  それから、先ほど誤解を受けるようなことというのは、沖縄におけるその長官の行為を申し上げたわけではございませんで、一般論とお断りした上で申し上げたわけでありますから、そういうふうに御理解いただければありがたい。沖縄の長官の動きが誤解を受けるようなこととは申し上げたつもりはございません。
  92. 春名直章

    ○春名委員 名護の市民投票の条例は、第十五条というのがありまして、「市民投票に関する運動は自由とする。ただし、買収、脅迫等市民の自由な意思が拘束され、不当に干渉されるものであってはならない」という条文まで名護の場合は制定をされているのですね。私、だからこの条文から見たって、二重、三重に政府がやられたことは、大臣の言葉をかりれば、誤解を受けるようなことをやったというふうに言わざるを得ないわけであります。  そういうことが現地では大問題になったのです。そのことの重みを改めて私は認識していただきたいと思いますし、冒頭に住民投票一般の御質問をさせていただきましたが、住民が参加する上で一つの手段といいますか、そういうことはあってよろしいという趣旨をおっしゃいました。そうであるならば、住民が本当に自分の意思で自主的に判断するために行っているのが住民投票なんですから、それを左右するようなことはやはり断じてあるべきではないと思いますし、そのことは厳しくもう一度指摘をしておくようにしたいと思います。  住民の対等、協力の関係を国と地方でつくろうというのが、今地方分権で大きなスローガンとなって言われているわけでありまして、そういう対等、協力の関係に傷をつけるようなやり方であると私は断ぜざるを得ませんし、そういうことに対して、やはり自治大臣として見識を持って当たっていただきたいということを改めて指摘をしておきたいと思います。  これ以上お話をしても余り進みそうにありませんので、次に進ませていただきたいと思います。  地方財政の問題について、第二点目に伺いたいと思います。  まず最初にお聞きしたいことは、来年度の個々の地方団体の財政を健全化する推進策としまして、新たに財政健全化債、それから公債費負担適正化措置の拡充、これが予定をされていると思います。この財政健全化債や公債費の負担適正化措置を拡充するということ、こういう措置を新たにとるという趣旨、理由をお答えいただきたいと思うのです。
  93. 上杉光弘

    上杉国務大臣 お答えする前に一言申し上げておきたいのですが、お言葉をお返しするわけではありませんが、地域住民の皆さんと国を同格にするという改革ではございません。国と地方公共団体、すなわち都道府県でありますとか市町村が同列に横に並んだ形で地方分権推進して、これに取り組むというのが行政改革基本であり、地方分権のねらいとするところでありまして、住民の皆さんと国が同格ということではないので、その点はひとつそのように御理解いただきたいと思います。  ただいまの質問でございますが、平成十年度において、行政改革、財政健全化に自主的に取り組む地方公共団体に対しまして、将来の財政負担の軽減が見込まれる範囲におきまして、充当率の引き上げ等により、財政健全化債を認めることといたしております。また、公債費負担の重い市町村が自主的に公債費負担適正化計画を策定して、公債費負担の軽減に取り組む場合の財政措置を拡充することとしておるわけでございます。  近年、景気の停滞に伴いまして、地方税収の伸び悩みが大変心配をされておるところでございます。一方では、公債費など義務的経費増加等によりまして財政構造が悪化している団体増加しておるわけでございますが、自治省といたしましては、これらの団体要請を踏まえまして、財政構造が悪化しておる団体に対し、当該団体の財政健全化の努力等に応じて支援を行うもので、努力が条件になっておるし、計画書等を策定したり、自主的に公債費負担の適正化計画等もおつくりをいただく、こういうことで、それがはっきり見えるならば支援をしていきましょう、こういうことであります。
  94. 春名直章

    ○春名委員 そういう措置を受ける団体というのは手を挙げてやるわけですけれども、数は多くないと思うのですね。そういう団体は、その団体がやはり財政運営に問題があるというような御判断をされているのかといいますか、今の地方財政が百五十六兆国会度あれになるわけですけれども、そういう中で生まれていることであって、つまりその手を挙げる団体が特別に大問題を抱えている、そういう認識ではないですね。そこら辺の認識はどうでしょうか。
  95. 上杉光弘

    上杉国務大臣 大問題があるというよりも財政的に非常に困窮しておる、財政的に問題があるといえば、非常に赤字がふえて大変な状況にあるわけでございますから、それを自立できる、自立をさせていく、そういうためには、国の財政力といいますか国の力でそれは支援をしてあげなければならない。ほったらかすわけにはまいりませんので、しっかり経費の節減もする、また、そういう計画をきちっと立てる努力をする、そういうことが見えるならば応援しますよ、こういうことであ ります。
  96. 春名直章

    ○春名委員 この質問を準備するに当たりまして、その財政健全化債というのは一体どういうものかとかいうのを教えてもらいながらいろいろ考えてきたのですね。こういう対策が当面、一定の期間一定の効果を発揮する可能性は確かにあるかもしれません。しかし、私は、今やはり一番問われているのは、マクロの財政運営にどういうふうな改革を、改善をしていくのか、このことが今最も問われているように思います。先ほど桝屋委員もそういう角度で質問されていましたけれども、財政運営の見直しと転換ということが今厳しく問われているときに来ているというふうに思うわけです。  なぜこのような財政破綻が起きたのか、そこの点をまず認識することが、私はそういう財政の転換を図る上での出発点だろうと思います。  その点について、幾つかの問題を御質問させてもらいたいと思うのですが、まず、今回拡充しようとしている公債費負担適正化措置、これがやられるわけですけれども、公債費負担のこの措置、これは八七年度につくられたものですけれども、この公債費負担適正化措置、八七年につくられたときに、なぜこういう措置が必要になったのか、どういう背景によってこれが導入されたのか、まずその点をお聞かせください。
  97. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 今委員が御指摘になりました公債費負担適正化措置というのは、昭和六十二年にスタートいたしました。このときは、個別団体の財政状況を見ると、公債費の負担が著しく大きくなっている団体団体によっては特に大きくなっているところがございまして、そういう状況から、いわば財源的にかなりの不足が見込まれてくる、したがって、通常の平均的な団体にないくらいの何がしかの財源対策を必要とするというふうな状況のある団体が見られまして、そういう団体に対しまして、平均的な地方債以上の率で、充当率と言っておりますけれども、そういうものを上回った地方債の発行を、そういう時期を乗り切るために認めていく必要があるということが背景にございました。  そのときに、その財源を将来にわたって確保できるような見込みを片方で立てた上で、そういう特例的な、平均的なところにない地方債の許可をしていこうということからスタートしたというのがそもそもの最初でございます。
  98. 春名直章

    ○春名委員 当時の地方財政白書にも、昭和五十年以降の財政不足を補てんするために大量に増発された地方債の元利償還による影響が出てきて、公債費の負担率がかなり上がってきたというようなことが背景に述べられておりました。  そこで、私、個別団体がどうしたかということを聞いているのではなしに、そういう措置をやらざるを得ないような財政の困難さというのがどうして起こってきたかということを問うていきたいと思うわけであります。  八四年の交付税法の改正、特別会計の資金運用部からの借入という措置をやめて特例措置導入したという制度改正がやられました。このことも、私は地方の借金増大の要因となったというふうに考えております。  今までの方法では借入金が増大してしまう、そういう理由でこれを改正いたしました。しかし、実際はどうなったかといいますと、数字はよく示しているのですが、この措置が廃止をされた八四年の借入金の残高は五兆六千九百四十一億円でありました。特例措置導入されてから、八四年にこれが廃止されて特例措置導入されてきているわけですが、御存じのとおり、九七年末は借入金残高は十五兆二千百三十七億円でありまして、五兆円が十五兆円に膨れ上がってしまいました。  今まで、不足分全額を資金運用部から借入して、それを国と地方が折半によって返すというやり方だったけれども、特例措置導入することによって国の一般会計から繰り入れていこう、借入金を増大させないという措置だということで、国の一般会計から繰り入れようというふうになったわけであります。  しかし、少額の財源不足ならば新しいこの措置で対応できたのですが、巨額の財源不足が出ると対応できなくなってしまいました。実際、バブル崩壊後の税収の落ち込みによって地方財政に巨額の財源不足が生じました。国の一般会計からの特例加算が必要な事態になりました。ところが、その約束を国が全部果たすことはありませんでした。国の財政出動は抑えられたままに、地方に借金が加算されていくという事態になったのであります。だから、五兆六千九百億円が十五兆二千百三十七億円に膨れ上がるということになりました。  そして、八五年から国庫補助負担金の一律カットが行われました。これ自身も私は重大だと思います。自治体財政を借金漬けにする一つの要因となったと私は考えております。例えば、八五年の補助負担率の引き下げによる影響額が五千八百億円ありました。これは自治省の計算で五千八百億円ありました。その補てん措置としてとられたのが、地方交付税の特例で一千億円、あとの四千八百億円は建設地方債で丸々賄うということになってしまいました。八五年から八八年までの四年間の影響額が四兆九千三十九億円ですけれども、建設地方債による補てんがそのうち何と四兆二百四十八億円、八二%であります。  七〇年代から八〇年代にかけての二つの例を挙げました。これらが地方自治体の借金を増大させて、公債費負担適正化措置等も導入せざるを得ない要因になったのではないかと私は考えます。  こういう事態になってきた要因、そこのところを私は二つの例を挙げたわけですが、自治大臣はどう認識されておられるでしょうか。
  99. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 委員は、五十九年の地方財政対策の改革までさかのぼってお示しになりました。その五十九年は非常に大事な時期でございまして、私どももそれまで、五十年代ずっと交付税特別会計の借り入れでかなり交付税の補てんをしてきた、それを国と地方で折半しながらやってきたわけでありますが、そこを境目にいたしましてそのやり方を改めるということにいたしました。  平成四年から、御案内のように、今おっしゃいましたようないろいろなバブル後の状況がございまして、また財源不足が出てくるというふうなことになりまして、今、交付税特会にまた十五兆円、ことしでありますともう少し多くなりますが、そういう特会の借り入れの残高が出ております。全体に、そういう借入金へかなり依存してきながら財源補てんをしてきたということが全体の背景にあることは確かでございます。  ただ、先ほどおっしゃいました健全化とかあるいは公債費負担適正化というのは、あくまでもこれは個別団体に着目した話でございまして、マクロの財源という意味では、それぞれのそのときに不足しました財源不足は、交付税特別会計の借り入れでありましたり、あるいは財源対策債がありましても、元利償還も含めてそれについてマクロの財源補てんはしてきておるということでありますので、今お話しになっております適正化計画なり健全化計画は、その中の平均的なものを上回る、個別団体ごとに見た場合の上回るものに対する対応の措置だというふうに御理解いただきたいと思います。
  100. 春名直章

    ○春名委員 財政健全化債や公債費負担適正化措置というのはもう置いておいてください。それは結構ですから。そのことを聞いているのではなくて、マクロの財政運営全体に問題がなかったのかということを問うているわけであります。  九〇年代の財政悪化の要因についても聞いておかなければなりません。私は、九〇年代の財政悪化の最大の要因は、地方の財政事情を過度に、無視するとは言いませんけれども、それを軽視して地方単独事業が大きく増大してきた、税収が減っているときに地方単独事業が大きく増大してきた、そのことが大きな借金を抱える重要な要因になったと考えております。  地方財政計画における地方単独事業の年度当初の伸び率を見てみました。九一年度は一〇%、九二年一一・五%、九三年一二%、九四年一二%、 連年二けた以上の単独事業費の伸びで進められました。ところが、国の直轄、補助事業の伸びは、同じ年度で、一・九、二・二、五・七、二・九、非常に低いわけです。平均三%。いかに単独事業の伸びが大きいかが一目瞭然であります。同時に、九二年から九五年まで五回にわたって年度途中の景気対策がやられました。その合計額も五兆九千億円でございまして、これを消化するために、充当率一〇〇%、すべて借金でやって構わないということになったのであります。九〇年代の雪だるま式にふえてきた借金の要因はここに私はあると考えております。原因ははっきりしていると思うのですね。  そういう点で、いわば自治省の政策によって地方自治体の借金が増大することになってきたということ、このことをしっかり認識をして、そこから改革を始めていくということが私は必要ではないかなと考えます。その点についての御認識と御意見を伺いたいと思います。
  101. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 マクロでどういうふうに財政悪化の要因を把握しているのか、こういうお話でございます。  確かに、平成六年度から五年連続して非常に多額の財源不足が続いております。この要因は何点かあると思いますが、一つは、国も地方も共通でありますが、この間ずっと景気が停滞いたしておりまして、地方税収は当然伸び悩んでおります。交付税もとになります国税も不振でございます。そういうことで、税、交付税ともに伸び悩んでおるということが一つ挙げられます。  それから、そういう中でございますが、景気対策あるいは減税の先行といったようなことで、財政がそういうものに対するてこ入れ的な出動をしなくちゃいけないという状況がございました。これは地方財政におきましても、そういうことから公共投資の追加とか、あるいは減税のための補てんの地方債を出したという要因が一つございます。  それからもう一つは、いわゆる高齢化あるいは社会資本整備といったような地方が取り組まなくてはいけない身近な課題、それに伴う財政需要というのは非常に根強く多額にございまして、そういうものがございましたので、歳出は一気にそれを抑制するというわけになかなかいかないというふうな要因が重なって、今のような全般の財政悪化になっておるというふうに私どもとしては把握をいたしております。
  102. 春名直章

    ○春名委員 時間が終了しましたので、財政構造改革というのであれば、自治体に借金が残らざるを得ないようなそういう施策をまず見直すことが最も大事じゃないかということを指摘をしまして、私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  103. 加藤卓二

    加藤委員長 葉山峻君。
  104. 葉山峻

    ○葉山委員 葉山であります。  地方行政についての自治大臣の所信表明に関しまして、幾つかの質問をいたしたいと思います。  まず最初に、地方分権についてであります。  昨年、平成九年の二月十八日の衆議院本会議における私の代表質問に対しまして、橋本総理並びに白川自治大臣は、地方分権推進委員会の勧告にどう思うかということに対しまして、これを最大限に尊重するというふうにお答えになりました。既に推進委員会から四つの勧告が昨年十月までになされておりまして、地方分権はいよいよ議論の段階から実行の段階に入ってきているというふうに思います。言うなれば、明治維新そして戦後の改革に次いで、地方分権の問題というのは、今回第三の改革と言われております。特に、この機関委任事務の廃止というようなことはまさに画期的なことでありました。  いよいよこれから、政府のプログラムの策定ということを含めまして、本格的な段階に入るわけでありますから、そこで、自治大臣の推進委の勧告に対する評価と、そして地方分権に向けての決意のほどをまず伺いたいと思います。
  105. 上杉光弘

    上杉国務大臣 少し長くなりますが、地方分権推進委員会におかれましては、平成七年の発足以来、精力的に審議を深められまして、四次にわたる勧告がまとめられたところであります。その御努力に深く敬意を表する次第であります。  地方分権推進委員会のこれまでの四次にわたる勧告におきましては、関係省庁との間で踏み込んだ議論が重ねられ、機関委任事務制度の廃止など、国と地方公共団体の新しい関係とそのルール、都道府県と市町村の新しい関係、国庫補助負担金の整理合理化地方税財源充実確保、さらに権限の移譲の推進等に関して、地方分権推進するための具体的指針の全体像が示されております。  こうした一連の地方分権委員会の勧告における国と地方公共団体の関係の抜本的見直しは一国と地方公共団体の関係を対等、協力の横の関係に改めるというものでございまして、それとともに地方公共団体自主性自立性を高め、分権型社会を実現するために積極的に評価すべきものと考え  ております。  私といたしましても、地方分権推進委員会の勧告も踏まえまして、地方公共団体自己決定自己責任原則もとにみずからの行政を行うことのできる地方自治時代にふさわしい自治を確立するため、地方分権推進に強い決意で取り組んでまいりたいと考えております。
  106. 葉山峻

    ○葉山委員 決意のほどを伺いました。  そこで、いわゆる地方分権推進法という画期的な法律ができまして、これは時限立法でありますから、これからいよいよ二〇〇〇年までの中で、特に政府がここでプログラムを作成しなきゃいけない。いわば地方分権の問題は、いよいよ政府並びに国会の中で、この計画策定の問題を十分論議しながらやっていかなければならないところに来ているというふうに思っております。  そこで、大臣の所信表明演説によりますと、今国会の終了するまでのできるだけ早い時期に計画を策定したいという表明がなされたわけでありますが、その中身はどういうものであるか。昨年十二月の発表によりますと、機関委任事務制度の廃止後における地方公共団体事務あり方等についての大綱を取りまとめたそうでありますが、この大綱においては、地方分権推進委員会の勧告事項のうち、第一に、機関委任事務制度の廃止及び新たな事務区分のもとでの地方自治制度、第二に、地方公共団体に対する国または都道府県の関与等、第三に、国と地方公共団体との間の係争処理の仕組み、第四に、都道府県と市町村の新しい関係という、国と地方公共団体との新たな関係の根幹にかかわる四つの事項についての考え方を整理していると伺っておるわけでありますが、そのとおりであるか。また、それに加えるべきものがあるのか、その中身について御説明をいただきたいと思います。
  107. 鈴木正明

    ○鈴木(正)政府委員 地方分権推進計画につきましては、その策定時期は、今お話のございましたように、今国会の終了するまでのできるだけ早い時期につくるということで、今鋭意作業を進めております。閣議決定の後、国会に報告されるものでございまして、その後、計画に基づき速やかに各省庁において所管法令の改正作業が行われる、こういう段取りになります。  まず、自治省といたしましては、この分権推進計画の円滑な作成、あるいは各省庁が法令改正作業をする場合に役立つように、昨年の末に大綱というものを取りまとめて、今委員から御指摘のような、おおむねそういう内容のものでございますが、機関委任事務を廃止しまして、新しく自治事務、法定受託事務という二つの事務区分になりまして、そういうことを踏まえたもとでの地方自治制度基本的な仕組み、これを大綱で示しているわけでございます。  その際に、自治事務、法定受託事務それぞれにつきまして、国あるいは都道府県の地方団体に対する関与につきまして、基本類型あるいはそれらの要件、手続等についても大綱でお示しをしております。また、国と地方団体との間の係争処理の仕組み、あるいは都道府県と市町村の新しい関係、位置づけ、これにつきましても大綱でお示し しております。  この大綱は基本的な枠組みでございますので、これからはこれを踏まえまして、各省におきまして個別行政分野において、それぞれの機関委任事務あるいは団体委任事務あるいはそれぞれの事務権限、それにつきまして具体的にどうするのか、どういう性格の事務として位置づけるのか、どういう関与にしていくのかということを今作業をしておりまして、また、私どもと調整させていただいて、各省それぞれ協調しながら原案作成に向けて努力をいたしているところでございまして、計画の作成を円滑に進めてまいりたいと考えております。
  108. 葉山峻

    ○葉山委員 私は、今まで分権推進委員会の勧告は第四次で終わり、こう思っておったのでありますが、最近伝えられるところによると、第五次の勧告があるようだということが伝えられ出しているわけですね。とにかく第四次までのいろいろ勧告だけでも膨大なものでありますから、これへの作業もなかなか大変でありますが、第五次ということになると一体どうなるのかと思うわけでありまして、そういった意味からお答えをいただきたいのでありますが、地方分権推進委員会の第五次勧告に盛り込む内容及び提出時期を伺いたいというふうに思うわけであります。  特に、この問題については、例えば新聞等で伝えられるところによりますと、省庁改革というのがどうもあるようだ。その中で、労働福祉省はもう少しスリムになっていいのじゃないかというようなこととか、あるいは国土交通省は大きくなり過ぎだ、この問題を扱うのだとかいうことも報道されております。  私の感じでいいますと、もう一つ大事な問題がこの勧告の中で非常にぼやけているように思うのです。それは財源の問題ですね。やはり言うなれば、地方分権というものは、一つは行政の分権という問題が大事な問題としてありますが、それと同時に、もう一つ、三ゲンといいまして、それに伴って財源が伴わなければ分権が本物にはならぬ。また、そういう事務をきちっと行っていくためには、それぞれの自治体において人間が育っていかなければならぬ。この行政の権限と財源とそして人間が育たなければ本物の地方分権はできないのだということが、私が市長当時よく言われておったわけであります。  この分権推進委の第四次までの答申のところでは、どうも財源の問題も大分遠慮をされているのじゃないか。これは税調は大蔵に属するのだからというようなことを言われてしまうと、余り明確に触れてはだめなのじゃないかということで、肝心なところがはっきりしていない、そういうふうな印象を受けておるわけです。  そういった、第五次の中で、いわゆる省庁の再編に伴う福祉省とか国土交通省が大きくなり過ぎているとかいう問題等を含めて、財源の問題は触れないのかというような問題ですね。あるいは、百九の一級河川が全国にあるわけでありますが、そのうちで特別の、都道府県が一県だけで管理しているのが大体六十ぐらいある、そういうものを検討しているのだというようなことも伝えられているが、その中身が一体どうなっているのか、いつごろになるのか、この辺についての推進委員会のお答えをいただきたい、こういうふうに思っております。
  109. 東田親司

    ○東田政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先生御指摘のとおり、四次の勧告が昨年の十月までに出されました後でございますけれども、昨年末、総理の方から、行革会議の最終報告においても、国、地方を通ずる行政役割を見直す見地からも、改めて地方分権を進めることということが指摘されていることもあるので、市町村への権限移譲を含む国及び都道府県からの事務権限の移譲などの問題について、さらに検討を進めていただけないものだろうか、こういう御要請がございました。  これを受けまして、私ども分権委員会といたしましては、まず検討の視点を固めました。これは三つから成っておりまして、国と地方役割分担の明確化、これが一つ。二つ目が国の行政組織のスリム化。先生御指摘の中央省庁等の問題を念頭に置きまして、国の行政組織のスリム化。そして三点目は市町村への権限移譲の推進。こういう三つの視点から事務権限の移譲の問題について審議検討を進めていこうという方針を立てたところでございます。  それで、お尋ねがございました具体的な分野といいましょうか、課題といいましょうか、具体的な内容につきましては、現在有識者それから関係団体から、二月から四月にかけましてヒアリングをやっている最中でございます。これらの方々の御意見も踏まえました上で、具体的にどの課題を取り上げるかを固めていき、その範囲なり分量なりに応じてスケジュールの方も考えていくことになるだろうと思っております。  それから、ただいまお尋ねがございました財源の問題に再度触れるのかどうかということでございますけれども、私が本日時点で御説明できますのは、財源問題につきましては、私どもの第二次の勧告で基本的な考え方は勧告をしたと思っております。御批判はあろうかと思いますが、私どもの考え方は述べさせていただきました。  今後、この事務権限の移譲の問題に伴いまして財源問題に触れなければならない場合も出てくるかと思います。その場合には、必要に応じて触れる、こういうことになるのではないかと思います。  それから、省庁名を挙げられたお話とか、それから河川の問題とかございましたけれども、これにつきましては、先ほど申し上げましたとおり、有識者等の御意見を踏まえた上で具体的な課題選びをしていきたい、こういうふうに考えております。  以上でございます。
  110. 葉山峻

    ○葉山委員 ありがとうございました。第五次の勧告がどのようなものになるか期待をしております。  次に、今行われている省庁再編の問題があるわけであります。  この紀元二〇〇一年一月からの一府十二省庁への省庁の整理統合を目指す中央省庁等改革基本法案がこの二月十七日に国会に提出されておるわけでありまして、自治省と総務庁だけでなく、例えば、特に心配しておるのはこの自治省の問題であります。  私なんか二十四年市長をしておりましたから、やはり自治省の自治大臣が、やはり地方財政は大変だというそれぞれの知事や市町村長、六団体の意向を自分のものとしつつ大蔵大臣との折衝を繰り返す、そこで地方財政をきちっと決めて、地方の代表者として、言うなれば与党内野党とでも言ったらいいのでしょうか、何しろ地方自治を守るためには非常に頑張ってこられたことだというふうに思っているわけでありまして、今回二十二省庁が一府十二省庁へと少なくなる、自治省が総務省の一部となるということは、地方自治の後退につながるのではないか、こういう心配をしているわけであります。  単に職員の数でも、自治省で今何人ですか、六百人ぐらい、郵政省が三十万、これが一緒になる、総務庁も一緒になる。こうなりますと、自治省の、先ほど言っていたような、地方の大きな輿望を担って折衝をしていく、これはお金の問題まで含めてそうでありますが、そういう問題はこれからどうなるのか、本当に埋没してしまうのではないか、こういう心配をするわけでありますが、この辺についてどうお考えであろうか、こういうふうに思うわけであります。  自治大臣としては大変お答えづらいところもあろうかと思いますが、しかし、これは六団体からも、昨年の八月あるいは十月にも、再三にわたってそういう意味での強い要望も出ておるわけであります。「地方行財政に係る事務を一体的に所掌し、かつ、これを主たる任務とする大臣を置くことが不可欠である」、こういうふうに六団体でも八月に指摘しているとおりでありまして、このようなことについて、自治大臣も、憲法の一章に設 けられている地方自治の重みを十分踏まえて、新たに設けられる総務省の機能組織はこれまでの自治省に比し低下するようなことがあってはならない、こういうふうに御答弁はなすっておられるわけでありますけれども、率直なこれについての大臣の考え方を御披瀝願いたい、とう思います。
  111. 上杉光弘

    上杉国務大臣 御案内のとおり、行政改革会議の最終報告を受けまして今国会に提出されております中央省庁等の改革基本法案におきましては、地方自治あるいは地方行財政については、新たに設けられる総務省において所管することとされておるわけでございます。各省庁の具体的な事務の執行体制につきましては、本法案の成立後、各省が設置法等の具体の法案の作成過程において検討することになると思われます。  自治省といたしましては、御指摘のとおり、憲法に一章を設けられております地方自治の重みを、憲法で保障されておるわけですから、その地方自治の重みを踏まえまして、新たに設けられる総務省において、地方行政が埋没せず、地方自治確立、一層の発展が図られるよう適切に対応してまいりたいと考えております。
  112. 葉山峻

    ○葉山委員 次に、地方財政の問題について伺いたいと思います。  地方財政の問題は危機的な状況にあるということは、幾多の委員の皆さんからの御指摘のとおりでありますが、この問題に関しては、一日費やしても言い足りないことが私もいっぱいありますが、この後のまた十二日の本会議説明がありまして、法案の審議もあるわけでありますから、そのときに譲るといたしまして、ごく簡単に触れておきたいというふうに思います。  御承知のとおり、地方財政はまさに危機的な状況にあるわけであります。私は神奈川県に住んでおりまして、去年のときにも指摘したわけでありますが、地方債というまさに借金で借金を返している、地方財政の現状はまさにサラ金地獄のような運営である、こういうふうに指摘したわけでありまして、そこで、神奈川とか、私の住んでおる町とその県、あるいは隣の横浜とか川崎の例を引かせていただいたわけであります。  ことし、その関係での当初予算を、平成十年のことを、試みに私の住んでいる県並びに近隣の諸都市について指摘をさせていただきますと、まず神奈川県でありますが、千八百六十五億円が地方債発行でありまして、公債費が千二百八十八億円でありまして、比率は、A分のB、つまり地方債で公債費を割りますと六九・一%、七割近く。つまり借金を国からしても、その七割はもうその場で国に返す、そういう仕組みになっていることは御承知のとおりでありまして、予算規模が一兆七千三百四十四億円でありますが、地方債残高は一兆九千九百二十七億円、もう地方債の方が多くなっている。神奈川県で、もうこのとおりであります。  数年前までは、不交付団体を府県別でいいますと、神奈川は愛知、大阪とともに、あるいは東京とともに四つの不交付団体の一つになっておりましたけれども、今や交付団体に転落といいますか、推移をしているということは御承知のとおりであります。  同様に隣の横浜市で見ますと、地方債の発行は千五百三十億円、それが公債費が千五百七十四億円でありまして、比率でいうと一〇二・九%。まさに同額をすぐ、国から借金したと同時に返してしまう、返すところの方が多くなってしまっている。予算規模が、県と同じように一兆三千四百二十八億円で地方債残高は一兆九千六百九億円、比率からいうと一四六%です。  同じく川崎市は、四百九十五億円の地方債発行で、それよりもっと上回る五百五十六億円を公債費として返している、つまりパーセンテージでいくと一一二・三%。予算規模は五千百四億円でありますが、地方債残高は五千七百九十億円、一一三・四%。こういうふうに、ここも千葉と並んで政令都市で不交付団体でありましたけれども、ここも横浜も同様に交付団体に移行している。  私が市長をしておりました藤沢市をちょっと挙げさせていただきますと、ここは六十七億円の地方債発行に対して、公債費はもっとふえまして百二億円、一五二・二%。予算規模は千百七十一億円、地方債残高八百八十五億円、七五・六%。こういうことでありまして、まさに起債という、地方債という借金で借金を返しているという自転車操業が全く今の自治体の姿であるわけであります。あとの県とか横浜、川崎は交付団体になったわけでありますが、私が市長をしておりました藤沢市だけがいまだに辛うじて不交付団体でいるというけれども、もう危ないものである状況があるというのが実態であるわけであります。  こういうサラ金地獄的な運営を迫られているわけでありますが、この問題、これも先ほどからいろいろ御指摘がありましたけれども、言うなれば、特に、先ほどもありましたが、平成三年ぐらいから急激に地方の借金がふえて、もう今ではどうにもならないところまで来ている。これは確かに不景気ということも理由の一つに数えられるでありましょうけれども、それだけじゃない。  ちょっとお答えになっておられましたけれども、やはり自治省の責任もかなり大きいと思いますよ。特に地方公共事業といって、どんどん予算をつけるからどんどん使いなさい、地方単独事業をやりなさいと勧められますと、それは社会資本も足りない自治体もかなりあるわけでありますし、それを断ったらまた後で面倒見てくれないのじゃないかという悲しさ、地方自治体の悲しさもあったでありましょうけれども、言うことに従って借金はどんどん膨れ上がっちゃったということが偽らざる自治体の姿であるというふうに思うわけであります。  こういうことで、少なくとも平成四年ぐらいから自治体の借金というのは目立ってふえている。先ほど春名議員も鋭く指摘をされておりましたけれども、全くあの時点からぐっとふえていることは間違いないわけでありまして、平成三年に七十兆であった総額が平成十年には百五十六兆円。七十兆がことしはもう百五十六兆円になっている、こういう現実があるわけであります。そして、平成五年から六年度、大体六兆円から十兆円、毎年十一兆、十二兆、平成十年度は十一兆三百億円でありますが、こういうふうに事態は推移しておるわけであります。  こういうことの原因について先ほどお答えをいただいたわけでありますけれども、大臣が言ったように、不景気という理由もないわけではないけれども、やはり自治体に借金がこれだけぐっとふえたということには、やらなくてもいいような公共事業も随分地方にやらせたし、単独事業もやったとか、いろいろそういう理由があってここへ来ていると思いますが、その点についての大臣のお考え方、私の言うとおりであるかどうかということについて、まずお答えいただきたいと思います。
  113. 上杉光弘

    上杉国務大臣 一つには、バブル期に国が制度事業として補助事業を公共事業で進めたわけでございまして、そのときの伸び率に合わせて、地方は厳しい財政のもとでも負担を求められた。言うなれば、国が借金財政に頼っております以上は、国債に依存しております以上は、地方財政地方債という借金に頼らざるを得なかった。それが一つ、おっしゃるとおりあると思います。バブル期にそれがふえたことも事実で、これは地方が単独だけでふやしたものじゃなくて、制度事業、裏負担を要する補助事業等によってこういうものはそういう形でもたらされた、こういうふうに考えておるわけでございます。  したがって、平成六年度から五年連続して多額の財政不足が続き、本年度は五兆四千億の財源不足もさらに来しておるわけでございます。また、十年度末には御指摘のとおり百五十六兆円に達する地方債残高を抱えておるわけでございまして、平成三年度との比較におきましても二倍強になっておるわけでございます。  これについての考え方、原因は何か、こういうことで、先ほども質問がありまして事務方がお答えもいたしましたが、バブルがはじけて景気が停 滞しました。景気が停滞するに伴いまして、国の税収もそうでありますが、地方の税収も伸び悩むとともに、国税も不振でございますから、これに連動して地方交付税税収が伸び悩んでおることが一つの原因。  二つ目には、先ほど申しましたように、国が国債に依存しておりますから、その財政運営というものは地方も借金に頼らなければならなかった、地方債に依存せざるを得ないという財政構造になっている、このことがあった。  また、景気対策のために公共投資の追加や減税による減収補てんのための地方債を増発した。地方債の増発、これも大きな原因だと思います。  さらに、高齢化に対応するための地域の福祉施策推進地域活性化、あるいは住民に身近な、先ほど御指摘がありました立ちおくれております社会資本整備等もありました。  これがトータルな面で地方の財政需要を増大させたわけでございます。こういうことが原因として言えるのではないか。  それからもう一つの問題は、こうした中でございますが、平成十年度の予算編成、地方財政対策に当たりましては、財政構造改革推進特別措置法に基づきまして、国、地方双方の歳出抑制につながるような施策見直し等を行うことによりまして、国、地方を通ずる財政の健全化を進めたところでございます。厳しくともこれは健全化を進めなければならない。  今後とも、地方財政対策等に当たって、所要経費を的確に見込んだ上、必要な財源を確保して、地方財政の運営に支障のないように対処してまいりたいと考えております。特に、少子・高齢化社会等をにらんだ財政需要という予測できなかったものも、これはこれから長期的にあるわけでございますから、そういうものも考えた上で、財政健全化というものは、厳しい中でもしっかり心していかなければならぬと考えております。
  114. 葉山峻

    ○葉山委員 ありがとうございました。  それで、いわゆる地方のこういう借金財政といいますか、地方財政が危機的な状況にあるのを本来の地方自治の姿に戻すためには、地方財政確立が急務であるというふうに思うわけでありますが、とまれ、地方交付税法第六条の三第二項では、大幅な財源不足が三年度以降も連続する場合には、交付税率の変更または地方行財政制度改正を行うこととしておることは御承知のとおりであります。  平成十年度の地方財政については、所得税個人住民税特別減税による影響額を除いて四兆六千四百六十二億円の財源不足額が生ずる見込みでありまして、平成六年度以降、お調べになればおわかりだと思いますが、五年度連続して大幅な財源不足となっておりまして、今年度も、地方交付税法第六条の三第二項の規定に該当する事態となったわけであります。  今回の地方財政対策では、地方行財政制度改正として行われた措置は、交付税特別会計借入金の新規借り入れと借入金の償還繰り延べを含みまして、これは地方の借金体制の温存、拡大でありまして、交付税の本来想定する地方行財政制度改正ではないものではないかと思うわけであります。地方行財政制度改正であるとするならば、国、地方役割分担の見直し行政そのものの見直しが必要であると思うのでありますが、この点についていかにお考えかということが一つであります。  並びに、先ほど推進委員会からもお答えをいただきましたが、第二次勧告の中で地方財政についての幾つかの勧告を行っておることは御承知のとおりであります。そこでは、もう御存じだと思いますので、私は繰り返し述べることはよしますが、いろいろなことを言っている。  大づかみに言って私の主張は、やはり、先ほどの三ゲンでいうならば、財源は思い切った財源を地方に渡すべきだ。言うなれば、この第二次勧告の五十七ページに言う地方税財源充実確保という中の、地方税充実確保の一でありますが、簡単に言うと、御承知のように、いわゆる日本の財政の三分の二は国が全部吸い上げている、しかし、そこから補助金とか負担金とかいろいろやって、またそれは県なり市町村でその税金は使っておりまして、最終的には、地方自治体が三分の二は使って、中央は三分の一であるという財政構造になっていることはそのとおりだというふうに思うわけであります。  したがって、課税自主権の建前からも、これは思い切って、三分の二をもとから、基礎自治体というか地方自治体でそれだけの財源を手当てするというようなことを基本的には考えなきゃいけないんじゃないか、それがこの第二次勧告の基本的な考え方ではなかろうかというふうに思うわけでありますが、その点、自治大臣はいかがお考えであるかということ。  それから、五十八ページに言われている地方交付税、ここでもいろいろなことを勧告しているわけであります。地方公共団体の実施事業量に応じた動態的な算定方法とか算定方法の簡易化とか、それから、「地方公共団体の意見をより的確に反映するとともに、その過程をより明らかにするため、地方公共団体地方交付税の算定方法について意見を申し出ることができることとする等の法令に基づく制度を設ける。」とか、いろいろなことを言っておりますが、こういった勧告についてどう考えられているかということが一つであります。  また、それに関連して、地方債についてどういうふうに考えられているかということが、次いでお答え願いたいと私が思っていることの一つであります。  三番目に、先日、私などよりもっと若い青年市長会という方々が陳情に見えられましたが、なかなかいいことを書いているように思ったわけでありまして、よく勉強されてきて、「地方分権実現のための最善の方策とスケジュール」というパンフレットを持ってこられました。  もうお読みになられたかもしれませんけれども、一、国庫補助負担金の段階的廃止について、国は全体計画の策定や基準づくり、ナショナルミニマムのみを行い、事業ごとの予算の配分は行わない。奨励的国庫補助金から段階的に廃止し、最終的には国庫負担金まで廃止する。そのためには、国庫補助負担金に係る法律を段階的にすべて廃止する。  二番目に、地方分権推進交付金の創設についてということで、段階的に廃止した国庫補助負担金は、地方分権推進交付金を創設し、地方の一般財源として地方に交付し、その主体的な運営に任せる。一、地方分権推進交付金の配分に当たっては、財源調整としての地方交付税とは違った配分基準を設定する。二、配分基準例として四つあって、大体この十年間の平均値を各都道府県、市町村が出して、それを均等割、人口割、面積割で何通りかの試算をして、そして配分基準を決定して、平均値と試算値に大きな差がある自治体については、特別交付税で調整をするというようなこと。  それで三番目に、そのスケジュールについては、第一段階は、一年から五年次には国庫補助金の段階的廃止と地方分権推進交付金の創設。第二段階として、六年から十年次に国庫負担金の段階的廃止と地方分権推進交付金の充実。第三段階として、十一年次以降、地方分権推進交付金の廃止と税財源の移譲。  こんなスケジュールと方策についての要請書をこの間持ってこられました。  これはやはり若い市長さん方はなかなか勉強されているなと、地方自治を愛する者の一人として、私は大変うれしく思ったわけであります。これは御質問前に届けてありますので、お読みいただいたかと思うのでありますが、こういう青年市長のあれについてどのように思っておられるか。  以上の点についての基本的な考え方について、地方財政問題についてお答えをいただきたい。
  115. 上杉光弘

    上杉国務大臣 幅広に盛りだくさんでございますから、ちょっと時間がかかりますが、国、地方歳出歳入のベースで、歳入は少ないのに歳出は 多いじゃないか、そういうものじゃない方にきちっとしたらどうだ、この点についてが一つございました。また、財源不足が何年も続いた状態の交付税の問題がありますが一事務的なものは事務方から答えさせまして、以下、答えます。  地方分権推進委員会の第二次勧告におきましては、地方税については、基本的には地方における歳出規模地方税収の乖離をできるだけ縮小するという観点に立って、課税自主権を尊重しつつ、その充実確保を図っていくべきとされております。地方においては、それぞれ地域的に、産業、経済、あるいは人口とか、いろいろな違いがございまして、特に税源が偏在しておりますから、その乖離をできるだけ縮小する、これが一つの柱でございます。  国と地方公共団体との役割分担は、おっしゃるとおり。これを踏まえつつ、中長期的に、国と地方の税源配分のあり方についても検討しながら、地方税充実確保を図っていく必要がある。  二つの柱があるわけでございまして、これを受けて、この示された方向に従いまして対応していかなければならない、こう考えております。  私は、地方税源の充実確保は、地方分権推進にとって極めて重要な課題であると認識をいたしておるわけでございまして、今後、地方分権推進委員会の勧告を踏まえまして、所得、消費、資産等の間におけるバランスのとれました地方税体系や、税源の偏在性が少なく、税収の安定を備えた地方税の体系の構築等もこれは十分視野の中に入れて、地方財源の確保に努めてまいりたいと考えております。  地方税もいろいろやっておるわけでございまして、例えば、外形課税導入する、あるいは課税自主権の拡大では、法定外普通税の許可制を事前の協議制にする、あるいは標準税率を超えた税率の課税の届け出制をなくすというようないろいろな工夫も凝らしまして、地方分権推進等もにらみながら、努力をいたしておるところでございます。  次の質問でございますが、二次勧告で言われておる簡素化、単位費用であるとか地方団体の意見の反映とか交付税見直しとか、いろいろなこういうものについてはどうしておるか、こういうことでありました。地方交付税につきましては、地方分権推進委員会より、算定方法の簡素化、それから単位費用化、地方団体の意見反映の制度化などについて勧告をいただいておるところでございまして、この点については、重く受けとめ、また対応しなければならぬと考えております。地方交付税の算定は、できるだけ簡素な方法、また、わかりやすいというか、よく理解してもらっておくことが必要でありますから、透明な手続によることが重要であると考えております。  今の交付税というのはなかなか理解をしにくいものもあると私も思っておりますが、しかし、よく勉強してもらえば、これは理屈の合わぬところではないわけでございます。勧告をいただきましたこれらのことについては、簡素あるいは透明、こういうことが重要であると私も思っておりますので、十分これらのことを踏まえて対応しなきやならぬ。  それから、勧告をいただきました算定方法の簡素化でございますが、地方団体間において財政力の強い団体と財政力の弱い団体がございます。あるいは、地域に特有の財政需要を抱える団体等との間で意見が分かれておるわけでございます。当然のことと思います。こういう難しい面もございます。しかしながら、地方団体がより自主的、主体的な財政運営を確立していくことができるように、簡素化、透明化というものは進め、さらに現在、地方分権推進計画に盛り込むべき内容について検討を進めておるわけでございます。さらに具体化したものにしなければならない。  それから、単位費用化、あるいは地方団体の意見反映の制度化につきましても、現在、地方分権推進計画に盛り込むべき内容について検討を既に進めておるところでありまして、できるだけ早期に交付税法を改正しまして、所要の規定を設けることといたしておるわけでございます。  それから、先ほどありました全国青年市長会の提言でございますが、地方分権推進して地方自治確立するためには、国と地方団体との役割分担を明確にするということは、これは当然のことであります、これは、整理して明確にしなきやなりません。地方団体自主性を高めるよう国庫補助金等の整理合理化を進めることも重要であると考えております。御指摘のこの青年市長会の提言もそうした観点に立ったものであり、これは耳を傾けて聞かなければならない、このように考えておるところであります。  生活保護や義務教育、災害復旧等の国庫負担金等を含めすべての国庫補助金を廃止することにしているなど、国と地方役割分担や、税財源の配分、地方財政制度あり方などにも大きな影響を与えるものでございますので、慎重に検討する必要があると考えております。  いずれにいたしましても、国庫補助負担金の整理合理化は極めて重要な課題でございますので、地方分権推進委員会の勧告を踏まえ、積極的に進めてまいりたいと考えております。公共事業、社会保障、教育、もう何度もお答えしておりますが、これで七〇%を地方財政は占めておるわけですから、国と地方役割分担は、そういうものも含めた上で、総合的にこれは見ていかなければならぬ一こういうことであります。
  116. 葉山峻

    ○葉山委員 時間が参りました。御丁寧な御答弁、ありがとうございました。
  117. 加藤卓二

    加藤委員長 富田茂之君。
  118. 富田茂之

    ○富田委員 平和・改革の富田茂之でございます。  午前中から、桝屋委員、そして先ほど春名委員、また今葉山委員の方から質問のございました交付税特別会計借入金について最初にお尋ねしたいと思います。  春名委員の方からは、なぜこれだけ交付税特別会計借入金が膨張したんだ、その要因はどこにあるんだというお尋ねがありました。私は、ちょっとこの先のことについてお尋ねしたいと思います。  平成九年度の特別会計予算では十七兆一千四百四十四億四千八十二万九千円であった交付税特別会計借入金残高が、平成十年度の地方財政対策並びに平成十年度特別会計予算によりますと十九兆九百一億二千八十二万九千円となり、しかも財政構造改革の集中改革期間であります平成十年から平成十二年の三年間の借入金の償還額は、この三年間の合計で二兆二千八百十四億円になると思いますが、これを平成十三年以降に繰り延べるというふうになっております。  こういうふうに地方財政対策で考えるということは、平成十三年度には、今あります交付税特別会計借入金の残高が一体どれぐらいになっているんだというふうに自治省の方としては予想しているのでしょうか。そのあたり、何か予想する数字があったら教えていただきたいのですが。
  119. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 十三年度に特別会計の借入残高がどのくらいになるかということでございますが、もちろん、十一年度と十二年度の財政状況といいますか、財源不足がどういうことになるかということにもよるわけでありますが、これは仮にでありますが、例えば十年度と同じぐらいの財源不足が続いて十年度と同程度の特別会計の借り入れが必要になったというふうに仮定をいたしますと、十二年度末でありますけれども、二十二兆九千億ぐらいになるかなと。  それから、何とか特会の借り入れを少しでも減らして、今の十年度に比べて、例えばこれは一つのケースでありますが、四分の一程度ずつ縮減することが仮にできたというふうにいたしますと、十二年度末の特会借り入れの残高が二十一兆四千億ぐらいになるかな、こういう見込みでございます。
  120. 富田茂之

    ○富田委員 今の数字はちょっと驚くべき数字といいますか、この交付税特別会計借入金については第二の国鉄化するのではないか。国鉄の長期債務がいつの間にか十兆円台だったのが二十八兆に なって、どうなっているんだというふうに今議論の対象になっているわけですけれども。  普通であれば、借金は早く返して身軽になる。暮れの大蔵省との折衝でも、自治省の方は大蔵からそういうふうに言われたというような新聞報道がありましたけれども、この借入金に関しては、結局将来の税金で返済するほかはないわけですよね。登記特会のようにその会計自体が何か原資を持っているというわけではない、ただの整理基金なわけですから、どうしても最後は税金で返さざるを得ないというふうになると思うのです。三年後に最悪最悪かどうかはわかりませんが、二十二兆九千億ぐらいが予想されるというのに、なぜこのときに三年間も償還を繰り延べるのか。少しでも返して、二十兆を超えないようにどこかで歯どめをかける必要があると思うのです。  その点は、この三年間繰り延べるんだ、集中改革のためにそれはやむを得ないんだというような答弁になるのかもしれませんけれども、早く返した方がいいという声もいろいろあると思いますので、そのあたりはどんなふうに考えてこの三年間の償還繰り延べという結論になったのでしょうか。
  121. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 確かに御指摘のように、借金でありますからなるべく早くその負担を小さくしたいというのは、私どももそういう思いでおります。  この特別会計の借入金が以前に一つのピークになりましたのは、先ほども春名委員の御質問の中にもありました五十九年度のときでありまして、十一兆円を超えるという当時の金額になりました。  これにつきまして、国と地方の方でそれぞれの責任の割合に応じていわば引き取ってそれを何とか減らしていこうということで、地方の場合にはそれをほとんど減らすという段階で、一たんそこまで来ましたけれども、四年度以降の財源不足でまた膨らんできておるわけであります。  これにつきましては、ただ、この今の十九兆円の借入残高の中には、国の方がもちろん負担をするという金額が二兆七千億ございますし、それから税制改正でいわば償還財源が確保されている金額、これが三兆四千億ございます。それから、特会の借残がありましても、国側の一般会計の法定加算で予定されておるというものが五兆八千億ございまして、そういういわば財源が、私どもの側から見ますと予定されているものがそういう金額あるということでございます。  そういったようなことも踏まえながら、十年度の地方財政対策におきましては、確かに六条の三第二項の規定に当たるような事態になりましたが、御案内のように今財政構造改革を中期的に進めようということで、六年間の期間、再建目標をつくって取り組んでおるわけでございまして、この間の中でも特に前三年間というのは集中改革期間として歳出の改革を中心にして構造改革を進めようということでございます。  そういう中で、片方でこの交付税地方団体に持っておるウエート、影響は非常に大きゅうございまして、そういう中で中期的な交付税確保ということもまた考えておかなくてはいけないという要請もございまして、それらを考え合わせて、十、十一の集中改革期間中の償還を十三年度以降に繰り延べするとあわせて、この間に財源の不足が生じて交付税で対応しなくちゃいけないものについてはあらかじめ国の方と折半をするというふうなことを制度改正として予定をいたしておるということでございます。
  122. 富田茂之

    ○富田委員 今の財政局長の答弁は、二点ほどちょっとおかしいのですよ。  今御自分でも言われましたけれども、私どもの方にしてみたら財源が確保されているというふうに言われたのですね。これは国と自治省の、大蔵省と自治の関係で見ればそうなのかもしれません。  今の数字、十一兆九千億の財源が確保されているというふうに言われたけれども、国の負担の二兆七千億は、これは結局税金で払わざるを得なくなる。財政局長が例に挙げられた五十九年に整理したというときも、結局そのときも五兆八千二百七十七億円は一般会計に振りかえ整理された。これは要するに国民の税金負担になったわけですよね。それで、今局長が挙げられた数字十一兆九千億、それで先ほど局長が挙げられた二十二兆九千億、この差額の十一兆は一体どうなるのだ。これを整理しようと思ったら、やはりどこかで一般会計の債務につけかえざるを得なくなる。それがただ三年間先送りされたというだけの今回の地方財政対策平成十年度の特別会計予算じゃないかなというふうに思えます。  これは、法案の審議の中でまた各委員からいろいろ質問が出ると思いますので、問題点だけ指摘させていただきたいと思います。  そして、二点目は、これからの集中改革期間の三年間を国と地方で半分ずつ負担するのだというふうに財政局長答弁されましたが、それは大蔵、自治両大臣の昨年の十二月十九日付の覚書第四項に書かれていることを指摘されたのだと思うのですが、この覚書も、ちょっとよく読んでも意味がわからない。事前に事務方に何度か地方財政対策説明を受けましたけれども、ここが制度改正になるのだというような御説明でした。  三年間、国と地方が折半でそれぞれ補てん措置を講ずるのだ、こういうふうに制度改正したのだと言うけれども、これは前提がありまして、覚書の第四項の頭に「地方財政状況が特に好転することがない限り、集中改革期間中における地方財政財源不足については、原則として、平成十年度に準じ、」というふうに書いてあるのですね。この「地方財政状況が特に好転することがない限り、」というような文言がなぜ入ったのか。この「地方財政状況が特に好転する」というのは一体どういう状況を指すのか。これがよくわからない。この点について、ぜひ説明していただきたいと思います。
  123. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 御案内のように、平成八年度から今のような六条の三第二項の規定に該当するような事態になっておりまして、八年度それから九年度と、それぞれ単年度の制度改正ということでやってまいりました。  これにつきまして、いろいろまた地方行政委員会でも御議論のあったところでございまして、富田委員からも指摘を受けたところでございますが、今回財政構造改革を始めるというその時期に、またその六条の三第二項の規定に該当するという事態になりましたので、私どもといたしましては、やはり単年度だけではなかなか先のことは見えにくいということもございまして、何とかやはり集中改革期間中、せめてその期間を通ずるような制度改正を考える必要があるだろうということで、地財対策に臨んだわけでございます。  そういうことから、この六条の三第二項の規定に該当するような、いわばかなり大幅な財源不足が続いているという状態が十一、十二に続いております場合には、今の折半というやり方でいこうということでございます。逆に言いますと、仮に財源不足がほぼ解消されてしまって、十年度にやったような措置を講ずる必要がないというふうなことになればともかくとして、そういうことにならない限り、十一、十二は十年度に準じたような措置をとろうという趣旨がこの覚書でございます。
  124. 富田茂之

    ○富田委員 単年度だったのが単に三年間予約したというふうにしかどうも読めないので、これで制度改正だとは、とても私は思えません。  五十九年のときに、巨額の借入金残高は将来の地方交付税の総額の確保に重大な影響を及ぼす、そしてまた、地方財政の借入金体質を改め、その健全化を図るためには、特別会計借入金によって地方交付税の総額を安易にふやすことは好ましくない、こういう二つの趣旨から交付税特別会計における新たな借入金措置原則として行わないというようなことを決めたことがあったと思うのですね。やはりここに一回立ち戻らないと、この借入金というものの償還というのは確実にできないのじゃないかなというふうに私は思います。  この点、法案の審議の中でまた議論をしたいと思います。  時間がありませんので、次に、これも午前中からお昼にかけて佐藤委員の方から種々御指摘がありましたけれども、一月二十八日に中学生が女性教師を刺殺する、そして、昨日もまた中学一年生が、別のクラスの子ですけれども、もともと仲のよかった子をナイフで学校内で刺殺してしまったというような事件がありました。  一月二十八日の事件が起きた後、大臣は、二月六日ですか、警察庁に対して銃刀法の改正も含む総合的対策検討を指示した。閣僚懇の後の記者懇談等でもかなり積極的にいろいろな発言をされておりまして、その点に関しては非常に頼もしいなと思いました。  実は、先ほど審議を聞いておりましたら、私の秘書が文部省の方からこういう文書が届いたということで持ってまいりました。文部大臣緊急アピール「子どもたちへ」「ナイフを学校に持ち込むな 命の重さを知ってほしい」。もう一つ、文部大臣緊急アピール「保護者、学校関係者、そして全ての大人たちへ」という二つのアピールですが、きのうもまた殺人事件が起きたということで、こういうアピールになったと思うのです。  どこかの新聞に、ある若手の作家が、事件が起きた直後になぜすぐ文部大臣が子供や学校関係者に自分の考え方をアピールしないんだ、それがないから今の文部行政はだめなんだというような批判をしておりました。一カ月たって、また別な事件が起きてこういうアピールが出るというのは、大臣も政治家ですので、文部大臣にももう少し早目にやっていただきたかったなと私自身は思います。  ただ、自治大臣の方は、二月六日に具体的な指示をされて、今警察庁の方に、刃物対策推進検討委員会ですか、これが三月の六日にできた。また、総理の方は、次世代を担う青少年について考える有識者会議というものをセッティングして、ここで審議をしてもらったものを具体的に、この会議で打ち出される方向性を踏まえ、政府を挙げて対策を実施したいと三月六日に橋本総理もあいさつしているようであります。  こういうふうに具体的にやってくれるのはいいのですが、どうもちょっと一カ月遅いのじゃないかな。最初の事件のときに何らかの具体的な対応に動いていたら、きのうのような事件はもしかしたら起こらなかったかもしれない。こういうときに、果敢に本当に即応できるような体制が大事じゃないかなというふうに私は思います。  そして、先ほど佐藤委員の質問に対して事務方の方で答えられておりましたけれども、刃物対策推進検討委員会ですか、ここに所属している関連部局の課長さんたちというのは、こういう事件に関しては一番の専門家だと思うのですね。この人たちの具体的な意見を、できたら、総理のもとに置かれている有識者会議ですか、そこに具体的に持ち込むというか、その連携が必要なんじゃないか。  有識者の方は、大局的な見地あるいは長期的な見地に立って、子供たちに対してどういうふうに対応していったらいいのかというような話し合いをするのかもしれませんが、私は、警察の現場で第一線でいろいろな形で少年に接している、本当にその専門家の意見が今一番重要視されるべきじゃないかなというふうに思います。  そういう意味でも、検討委員会と有識者会議、この有識者会議に沿って恐らく閣僚会議というのもできるのだと思うのですが、関係閣僚ということで自治大臣の名前も挙がっておりましたけれども、そういううまく連携をとるということがこれから重要になると思うのですが、その点、大臣はどういうふうに考えていらっしゃいますか。
  125. 上杉光弘

    上杉国務大臣 警察というか国家公安委員会、非常に地味なところでございまして、アピールが下手でございますが、それは御理解をいただきたい。  ただ、刃物対策会議、私が事務方に指示しまして、文部省、総務庁、関係各省庁との連携をとって、すぐ対応したわけでございます。  また、閣僚懇談会におきましても、次代を担う青少年の問題であるので、これは内閣挙げてやるべきことではないか、こういうふうに申し上げました。総理から、近々考え方もあるからということでございましたが、やるべし、こういうことで有識者会議となったわけでございます。当然、事務方で積み上げました方向が何らかの形で出れば、有識者会議の場でも、私は、国家公安委員長として立場を明らかにしながら述べてまいりたいと考えておるわけでございます。  特に、銃刀法の改正等については、中身は銃と刀剣と刃物でございまして、国際的な状況がどうなっておるのか、あるいは、どういうふうに時代の流れに対応したものにしたらいいのか、極めて総合的な視野の中でこれらの問題は取り組むべきものと考えておるわけでございまして、置かれましたこの刃物対策会議の中でこれらのことはもう既に議論を始めておるわけでございます。一日も早い集約を、議論の積み上げをいたしまして、これがそうした対応につながるように努力をしてまいりたいと考えておるところであります。
  126. 富田茂之

    ○富田委員 実は先週、警察庁事務方の方に、この事件の対応についてどういうふうに対策をとっているんだということで、いろいろ教えていただきました。その際、二月五日に、局長クラス、警察、総務、文部、自治、四省庁の局長クラスの連絡会議をやった、また二月六日には、文部省主宰の生徒指導社会教育担当課長会議において、担当官が刃物携帯の犯罪性、危険性を説明したというような御説明がありました。  この会議では、生徒指導の担当の先生、課長さんたちが銃刀法違反のことを知らなかった、刃渡り六センチ以上の刃物を学校に持ち込むことが銃刀法違反で犯罪になるんだということを知らないというような発言も出たりして、かなりちょっと衝撃的だったようですが、担当者の方できちんとそのあたりを説明したというふうに伺いました。  そういうことを各地でもやっていっていただきたいと思うのですが、事務方にいろいろ教えていただいたとき、今後の対応として二点挙げていらっしゃいました。関係省庁との連携を一層強化し、少年による刃物等使用事件の防止に向け国民的な広がりを持った施策展開を図る、これが一点。もう一つ、刃物使用事件等の拡大が少年非行凶悪化と軌を一にするものであることから、学校等の関係機関との協力関係を確立し、総合的な少年非行対策推進に引き続き全力を傾注する。この二点を挙げておられました。  特に二点目の方で、実はいろいろ資料を読んでおりましたら、昨年の十二月四日に、警察庁と文部省の方で、少年の健全な育成に向けた学校及び教育委員会との連携強化についてという通達がそれぞれの省庁で出されておりまして、この中で、大きく二点この通達の中身がありまして、この二点がきちんとこの後されていれば、事件の防止にかなり役立ったのじゃないかなというふうに思われるのですね。  それは、一点目は、警察と学校との連携強化を図るため、各都道府県においても警察本部と教育委員会とが密接に協力することが必要だ、両者が緊密な情報交換を行う体制整備し、警察と学校とそれぞれの自発的発意に基づいて適切な措置が促進されるよう配慮する。  二点目は、警察と学校との連携強化するには、警察署ごとに、または市町村その他の区域ごとに設立されている学校警察連絡協議会等を通じ、警察と学校とが非行防止に関する情報を積極的に交換し、共同して取り組むべき具体的措置について協議を行い、これを計画的に実施していくことが望ましい、各都道府県の実情に即して学警連等の充実活性化に配慮することというふうになっておりまして、この二つが現実に通達が出た後行われているのか。  文部大臣が、所持品検査について、他の生徒の安全を考えたらもう少し踏み込むべきだという発言をしたにもかかわらず、学校の現場では、各都道府県教育委員会は校長の判断に任せるというこ とで、なかなか所持品検査もできないというような状況もあるようです。  この通達がきちんと実施されて、ここに書かれてあることが学校の現場にも配慮されて警察の方から強力に進めれば、かなり事件防止に役立つと思うのですが、この通達が出された以降の実施状況と、具体的に今後どうやってこれを詰めていくのか、警察当局としてはどういうふうに考えているのかお教えください。
  127. 泉幸伸

    ○泉政府委員 少年非行防止に関しまして、学校と警察連携をとるということはもとより非常に大事なことでありまして、実は以前から、それぞれの警察署ごとに、その管内にある小中学校あるいは高校との学校警察連絡協議会というのは設けられておりまして、昨年非常に少年にかかわる重大な事件が相次いだものでありますから、ここを一層強化すべく、先ほど御指摘の、昨年十二月、警察だけじゃなくて、私どもだけじゃなくて文部省とも連携いたしまして、同時に、それぞれの都道府県、関連機関に対してほぼ同じ内容の通達をいたしました。  そこで新しく盛り込まれたのは、先ほど警察署と学校との連携組織があると申しましたが、都道府県単位で、都道府県を一まとまりとする、都道府県の警察本部と対応する教育委員会あるいは知事部局の対応課との連携、ここもしっかりしていこうということでやったものでございます。  現在、学校警察連絡協議会、二千六百カ所設置されております。先ほど御指摘のような中身につきましては、私ども、それぞれの都道府県警察で精力的に連絡協議会を開いておるわけでございます。御指摘のように、本当に学校現場における理解が深まれば事態は相当進展するだろうという思いを持って、この施策を一層進めてまいりたいと考えておるところでございます。
  128. 富田茂之

    ○富田委員 もう少し具体的な答弁が欲しかったのですが、ぜひこの点しっかりやっていただいて、少年のナイフ等を使った犯罪の防止に全力を挙げていただきたいと思います。  以上で終わります。
  129. 加藤卓二

  130. 畠山健治郎

    ○畠山委員 今国会においては、例年になく地方自治の根幹にかかわる法案の審議が予定されておりますが、中でも中央省庁等改革基本法案は、今後の地方分権推進にも重大な影響をもたらすものとして、法案の行く末には看過できないものがございます。  そこで、大臣の所信表明に関連して、地方自治にかかわる幾つかの問題についてお尋ねをいたしたいと思います。  地方分権推進を真っ先に表明されました大臣の識見については評価を申し上げたいと存じます。ところが、総理が新たに求めておりますところの権限移譲に関する第五次勧告に対して大臣の所信が明らかにされなかったことは、いささか残念の感がいたします。  そこで、お尋ねをいたしますが、総理が求めた権限移譲を具体化するとなれば、税財源の移譲も表裏一体のものとして扱われるはずであり、また、そうでなければ第五次勧告の意義はないと考えますが、大臣の基本的な御認識をお尋ねいたしたいと思います。
  131. 上杉光弘

    上杉国務大臣 地方分権推進委員会では、御指摘のとおり、橋本総理からの要請を踏まえまして、市町村への権限移譲を含む国及び都道府県からの事務、権限の移譲について、第五次勧告に向け調査審議が進められているものと承知いたしております。  橋本総理は、国会答弁でもたびたび、私も申し上げておりますが、縦にあった国、都道府県、市町村の関係を、中央集権でございますが、これを、もう国内的にも国際的にも機能しなくなったこの体制を横に並べて同格にするというものでございまして、この権限移譲も含めた調査審議が進められておる、こういうことを承知しておるわけでございます。  住民に身近な行政は、住民に身近な地方公共団体市町村が一番身近でございますが、そこが担うことを基本に、地方分権を進める観点から、勧告が実りあるものとなるように期待をいたしておるところでございます。  また、国から地方への事務、権限の移譲が行われます場合には、地方分権推進委員会の第二次勧告にもありますように、これに対応して地方税地方交付税等の必要な地方一般財源等も確保しなければならない、このように考えておるわけでございます。  ただ、私どもは、この地方分権推進計画を、今期議会の会期内のできるだけ早い時期にこれをまとめ上げたいと今努力中でございます。この第五次の勧告というものがいつになるのか、それよりか先になることはなかろうと思うのです。そこのところの整合性の問題というものは非常に心配をいたしておるところでございまして、その点についても御理解いただきたいと思います。
  132. 畠山健治郎

    ○畠山委員 九八年度以降六年間にわたって国、地方の財政を規定する財政構造改革法は、基本的には現行の財政制度を前提としており、地方分権推進委員会が当初構想したような税財源の移譲は全く視野に入っておらないはずであります。  しかし、先ほど申し上げましたように、第五次勧告がなされるならば、当然財政構造改革法の基本的フレームに重大な影響を与えることになるのではないかと考えますが、いかがでしょうか。
  133. 上杉光弘

    上杉国務大臣 地方分権推進委員会の第五次勧告につきましては、現在委員会におきまして調査審議中でありますことを先ほど申し上げましたが、その結果を踏まえて検討することになるわけでございます。地方分権を進めるためには、極めて厳しい地方財政の健全化が重要な課題でございまして、また、財政の構造改革を進めるに当たっても、地方分権に十分留意することが必要と考えております。  こうした地方分権財政構造改革の整合の重要性については、財政構造改革推進に関します閣議決定や第二次勧告にも触れられているところでありますが、今後の第五次勧告についても、その趣旨を十分踏まえて適切に対処してまいりたいと考えております。
  134. 畠山健治郎

    ○畠山委員 行政改革会議の最終報告では、地方分権推進には相当なエネルギーが必要、こううたっております。ここで言う相当なエネルギーとは、恐らく行政府における総理の政治的リーダーシップと、それを中心的に担当する省の必要性を指しているものと私は思います。  しかも、憲法に規定された地方自治の所管省を、内閣機能強化の一環として形成される総務省として他省と統合することは、いまだ改革の緒についたばかりの地方分権に水を差し、さらには、総理が求める権限移譲、ひいては税財源の移譲にもブレーキとなり、先ほどから指摘する基本認識と矛盾する結果になるのではないかと考えます。  大臣の所見を承りたいと思います。
  135. 上杉光弘

    上杉国務大臣 私も、地方分権推進していくためには、政府を挙げて相当なエネルギーを傾ける必要があると考えておりますが、このことは、新たに設けられる総務省において地方自治あるいは地方分権推進を所管することは、委員認識が違いますが、決して矛盾するものではない、このように考えております。  ただ、総務省におきまして、地方自治確立発展、あるいは地方分権推進機能が埋没し、十分なエネルギーが確保できないのじゃないかとの御懸念につきましては、各省設置法等の関係法案を作成する過程におきまして、憲法に一章設けられている地方自治の重みを踏まえ、地方自治地方分権推進機能が埋没しないよう、適切に、これは責任を持って対処していかなければならない、このように考えておるところでございます。
  136. 畠山健治郎

    ○畠山委員 相当なエネルギーが必要という観点から、もう一点お尋ねしたいと思います。  他方では、国の地方自治に関する行政機能あり方について、必要最小限度にとどめるとしきりに強調する最終報告のねらいは一体何だろうか。このような国の機能論は、相当なエネルギーを もって初めて実現する地方分権が成就した段階で言えることで、いまだ改革の緒についたばかりの現在、これを強調することは、地方分権はもはや勧告がなされたことで一件落着したと言わんばかりに聞こえます。  そこで、行政改革会議にその真意のほどをお尋ねいたしたいと思います。
  137. 大藤俊行

    ○大藤説明員 行政改革会議最終報告におきましては、国の地方自治に関する行政機能あり方につきまして述べておるところでございますが、この中では、地方自治が国の基本的な制度でございまして、かつ、地方自治を維持し及び確立することが国の重要な役割であることを前提とした上で、地方分権推進に伴いまして、自立性の高まった地方に対する国の機能を縮小することを基本として、地方分権推進状況を踏まえつつ、国の地方公共団体に対する関与を必要最小限のものとするよう提言しているところでございます。  このように、最終報告における記述は、地方自治が憲法上位置づけられた国の基本的な制度であることを基本といたしまして、地方分権推進を踏まえた上での改革を目指すものでございまして、地方分権の一層の推進を前提とするものでございます。
  138. 畠山健治郎

    ○畠山委員 次に、自治省が来年度発行を予定しております財政健全化債について、お尋ねをいたしたいと思います。  行政改革大綱などに基づき行政改革や財政健全化に取り組む自治体について、起債充当率の引き上げにより財政健全化債を許可するとしておりますが、これに対し、当面、岡山県、大阪府などが発行を予定しておると承りますが、それに間違いございませんでしょうか。
  139. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 今、委員が御指摘になりましたように、財政の健全化に自主的に取り組んでおります地方団体に対しまして、将来の財政負担の軽減が見込まれる範囲内で健全化債を認めるということを十年度から予定いたしておりますが、大阪府、岡山県においては、そういう健全化努力を前提にして十年度当初予算に財政健全化債を計上いたしておるというふうに私ども承知いたしております。
  140. 畠山健治郎

    ○畠山委員 財政危機回避の一手段としてこうした起債を許可することはあり得ることであろうかと思いますが、これが安易に使われることは、自治体の首長の経営責任の観点から問題があるのではないかと思います。経営責任を不問にしたまま、財政健全化債の償還財源は職員の削減などで賄うとなれば、山一証券と実態は同じことになります。  かつて自治省は、東京都が求めた起債に対し、法律に基づいた行為とはいえ、厳しくこれをはねつけた経緯があったわけでありますから、財政健全化債の発行に当たっては、自治省もまた責任ある対応を願いたいと思います。  これと関連してもう一点。恒常的財源不足を理由に、本来交付税措置すべき分を起債充当率の引き上げなどによって需要算定から追い出すなど一起債充当率をその都度操作してきたことが公債費累増の要因になっていることを思えば、起債充当率を余り便宜的に扱うべきではないと考えます。  以上二点について、大臣の所見を伺いたいと思います。
  141. 上杉光弘

    上杉国務大臣 今回の財政健全化債は、税収の伸び悩み、公債費など義務的経費増加等によりまして財政構造が著しく悪化している団体に対し、資金面で援助するというものであります。援助というか支援をするというものであります。  しかしながら、財政健全化債の発行は地方公共団体の借金の増加となるものでありますので、行政改革大綱等に基づき数値目標を設定、公表して、行政改革や財政健全化に取り組むことによりまして、将来の財政負担の軽減が見込まれる範囲内において認めることといたしておるわけでございます。  人員だけの削減ではございませんで、財政健全化債については、地方公共団体行政改革、財政健全化の努力を勘案しながら適切に配分をいたしたい、このように考えておるわけでございます。努力をし、そういう計画的なものをきちっとしなければこれは支援ができない、こういうことであります。  それから、もう一点のお尋ねでございますが、地方債の充当率でございますが、これには四点の考え方を持っております。一つは、世代間における負担の均衡であります。二つ目には、交付税など他の財源措置あり方でございます。三つ目には、各事業の性格がございます。四つ目には、財政運営の健全性の確保というものを考えまして、このような見地から決定をいたしておるものでございます。  その一方で、現下地方財政平成六年度以降、巨額の財源不足が続いておるわけでございまして、定率分の交付税のみでは必要な額を賄うことができない危機的状況にあることはもう既に御承知のとおりでございます。  このような状況もとで、各年度の地方財政対策におきまして、地方交付税の所要額を確保するために、必要な増額措置を講じることとあわせて、公共事業の地方負担に係る地方債の充当率を引き上げる措置、いわゆる財源対策債の発行を行うことにしているものでございます。  この地方債の償還に対しましては、後年度交付税措置を講ずることといたしまして、地方団体の財政運営に実質的影響が生じないよう対処しておりますので、何とぞひとつ御理解をいただきたいと思います。
  142. 畠山健治郎

    ○畠山委員 時間になりましたので、終わります。どうもありがとうございました。
  143. 加藤卓二

    加藤委員長 宮路和明君。
  144. 宮路和明

    ○宮路委員 自民党の宮路和明でございます。  もう夕方も迫ってまいりましたので、長時間の御審議皆様もお疲れかと思います。短目にやってまいりたいと思いますので、どうか答弁の方をしっかりときちっと簡潔に、そしてこちらの意を体した答弁をひとつちゃんとやっていただきたい、このように最初にお願いをしておきたいと思います。  これまでの委員の先生方、地方自治基本にかかわる非常に高度な、高邁な御議論をされておみえになりましたので、私は現場に密着した、生活に密着した地域の問題について二、三質問をさせていただきたい、このように思っておるところであります。  実は三月は、私ども自由民主党は、畜産物の価格、それから畜産物の価格に関連した畜産政策、これをやるシーズンということでございまして、目下自民党では農林部会でこれらの問題を精力的に審議をいたしておるわけであります。  そうした中、実は先般、畜産に関連する団体の皆さんからいろいろと要望もお聞きをしたわけでありますが、一つこういう要望がありました。これは社団法人日本食鳥協会というところがらであります。  私の地元鹿児島は、日本一の食鳥の産地であり、また自治大臣の宮崎県もこれまた大変な食鳥の産地でありまして、私の鹿児島が一番、宮崎が二番ということで、三番が岩手なんですが、しかも断トツで鹿児島、宮崎というのは全国のシェアを占めておる、そんな状況であります。人間の数は過疎地域で少ないわけでありますが、それに反して鶏の数は、鹿児島が一千九百万羽、宮崎が一千八百万羽でございまして、二県で全国の何と三割をはるかに超すシェアを占めておる、こんな鶏の大産地でもあるわけであります。  そこで、鶏、ブロイラーを処理する業者、処理業者がたくさんいるわけでありますけれども、その処理業者の団体であります日本食鳥協会からこういう要請が強くなされました。これはもう例年行われてきているところでございまして、なかなかそれが改善を見ない。これは農林部会の方で幾ら議論してもこの問題は解決がつかないものでありますから、実は地方行政委員会で私が取り上げさせていただくことになった、こういうような次第でございます。  そこで、要請の中身といいますのは、「食鳥検査制度につきましては、平成四年度に導入されてから満六年を経過しようとしておりますが、土曜日、祝祭日、年末年始の検査並びに早朝の検査について一部に中止の申し入れがあり、困惑をしております。生鮮品出荷が基本である鶏肉の販売実態にそぐわないようになっております。」ということで、食鳥検査制度の弾力的運用についてぜひ推進をやってもらいたい、こういう要請であります。  そこで、厚生省にお聞きしますが、今私が読み上げたところでありますが、こういう要請を聞いてどういうふうに感じておられるか、そのことをまず最初にお聞かせいただきたいと思います。
  145. 森田邦雄

    ○森田説明員 先生のただいまのお話で、厚生省といたしましても、食鳥処理団体からの要望を受けまして、土日あるいは年末年始等あるいは早朝等の勤務体制の弾力的な運用につきまして、できるだけ検査を実施するように関係都道府県等に要請しているわけであります。  しかしながら、実際に実施するかどうかにつきましては、各都道府県等が地域実情等を勘案して勤務体制を決定することになっておりまして、一部関係団体の要望を受けているところもありますし、なかなか受けていただけないところもあり、いずれにしても各自治体が判断しているということでございます。
  146. 宮路和明

    ○宮路委員 これは大臣も御承知のように、平成二年、私、当選してきて直後の国会だったのですが、平成二年の国会で食鳥検査制度というのは新しく法律ができまして、そして平成四年から実施をされたわけでありますけれども、我々、産地の国会議員として国会へ上がってまいりましたときに、こんな法律がつくられつつあるというようなことを知って、私ども新人でありましたからびっくりしたわけであります。  食鳥は鮮度第一でありまして、とにかく早朝に処理をして、その日のうちに消費者の食卓に届くのが原則、そういう商品、食品であるわけでありまして、いわば日配品であります。豚や牛と違って脂肪が少ないためにその分品傷みが早いわけでありまして、朝びき鳥という名前にも象徴されますように、とにかく日配品的に早朝処理、そしてその日のうちに消費者の食卓に届く、これが食鳥としては一番望ましい姿ということなのであります。  一方、量販店なんか、御承知のように、最近は休業日数をどんどん減らしてまいりまして、年末年始も含めて無休に近い状態で量販店なんかは営業をやるという、そういう店もどんどん広がっておる、ふえておるという傾向にございます。  一方では、国際競争力がどんどん弱まってきているといいましょうか、海外からもブロイラーがどんどんと輸入をされてきているという状況の中にあるわけでありますので、生産者あるいは食鳥処理業者はそれこそ血眼になって食鳥の生産あるいは流通加工に取り組んでいるということなのであります。  そういう中で、役人による、県による検査制度導入されたとするならば、これは大変混乱を来すことになりはしないか。役所が年がら年じゅう生産者あるいは食鳥処理業者のニーズに応じて検査をしてくれるということであれば問題ないわけでありますけれども、役人仕事でありますから、土日はだめだとか、あるいは早朝はだめだとか、あるいはまた夕方も一定時間で切ってしまうとか、そういうようなことになって、生産者あるいは出荷業者に大変な迷惑を及ぼしていくということになりはしないかということを我々は非常に懸念したわけであります。  そこで、その点の懸念がないように、法律の施行に当たってはぜひその点に重々留意してやってもらいたいということを、我々は口酸っぱくその法律の審議の際にもやったわけでありまして、そのことを厚生省も約束をして、この法律の提案と成立、こういうことになったわけであります。そういう法制定時の経過も、我々と政府との間にいろいろな議論があって、そしてこの法律が提案され成立を見たということなのであります。  しかしながら、残念ながら、法施行後の法の運用の実態を見ておりますと、先ほどの団体要請にもありますように、この検査制度がどうも硬直的で役人仕事に徹しているということで、早朝の処理あるいは夕方遅くの処理あるいは土日の処理というものが、検査あるがゆえにこれがうまくいかない、こういうような実態に今日なっているというのが偽らざる現状なのであります。  ちなみに欧米諸国では、検査、処理、解体、それから後の工場の清掃とかいうのを三交代制でやるとか、あるいは二交代制でやるとかというのは常識になっている。日本は一交代制でやっているわけでありまして、そういうものが新しく導入されたということでありますから、生産者あるいは出荷業者に対する負担はこれによって相当重くのしかかってきて、国際競争力の低下へもつながっているし、また生産者の大変な負担、あるいは所得の向上に対する阻害要因と言ってもいいぐらい、そんな状況なんです。  そこで、厚生省としても、各地域地域の実態だ、実情だということで自治体に任せているところがあるようなのでありますが、そこは自治省と厚生省がしっかりと手を携えて、そういった不満が起こらないようにやってもらわぬといかぬわけです。  これは毎年毎年、年末年始になると、業者の皆さんあるいは生産者団体の皆さんから役所にお願いに行って、そして、いや、やめないでくれ、今度はまた早くやってくれ、そういうことを繰り返しやっている。いつもそれでトラブっている。こういう情けない現状なんですね。  そして、現に処理業者の操業日数というのは低下してきているわけですよ、平成四年のスタート以来。徐々に徐々に操業日数が低下している。これが問題で、土日だとかあるいは早朝だとかというのを嫌がる、そういう傾向が強いからなのですよ。ですから、そこのところをもう一遍、私が当初お願いしたきちっとしたポイントを得た答弁ということから見ると、先ほどの課長の答弁は、何かそうじゃないですよ。だからもう一遍きちっと、そこをどういうふうに今後改善を考えているか、答弁してくれませんか。
  147. 森田邦雄

    ○森田説明員 先ほども御説明申し上げましたとおり、私どもといたしましても、土、日あるいは早朝における検査、これを実施していただきたいということで、各地方自治体に何度も要請しております。実際にその要請に基づいて勤務体制をしいていただいているところもございますけれども、残念ながら、これは各地域実情もありまして、勤務体制を変更することがなかなか難しい自治体もございます。あくまでも各自治体の判断で勤務体制をしくということでございまして、私どもとしても、今後とも努力してまいりたいとは思いますが、最終的な決定は自治体にあるということでございます。
  148. 上杉光弘

    上杉国務大臣 自治省との関連もありますから私から申し上げておきたいと思うのですが、自治省も、行政運営の効率化、それから住民の皆さんへのサービスの向上、そういうものを念頭に置いて民間への委託というものを計画的、積極的に進めておるわけでございます。そういうことになって、民間に委託することが足を引っ張ったり後退するようなことになってはならないし、また、養鶏は、もう同じように私もそういう実態をよく聞くのです。委員から言われるような実態、よく知っています。例えば、朝早くの方がいいのですね。夏場は昼に検査したって、鳥は暑さに弱いですから、これは大変な問題になる。夕方がよかったりする場合もあるわけです。  そういうことを実態も踏まえて、まず厚生省との関係も含め、実態の把握を私いたしておりませんから、よくこれは実態を把握いたしたいと考えております。
  149. 宮路和明

    ○宮路委員 さすが大臣、よくポイントを押さえてお答えいただいたと思うのですが、今、この食鳥検査、民間委託の道も実は開かれておるわけでありまして、厚生省からもらったデータによりま すと、四十都道府県のうち、今、一部委託をしているというところも含めて、十四府県が民間の機関に委託をしているということなのです。ですから、これをもっともっと広げていくというようなことも有効な対処方策じゃないか。おっしゃるように、大臣から答弁いただいたように、私はそういうことだろうと思います。  ですから、その辺も含めて、これは思い切った検討と改善方策をぜひ探っていただきたい、このことを強く要請をしておきたいと思います。  この問題はこれで終わりますので、しっかりと、次また質問を私がしないようにひとつやっておいていただきたいというふうに思います。  次に、暴走族の問題について、これは警察庁にお聞きをしたいと思います。  警察白書を見ましても、先般発表になりました警察白書、暴走族のことがうたわれておるわけであります。実は、私、これは最近の地元における新聞で、暴走族を扱ったものをちょっと手に持っているのですけれども、地元の新聞ですよ、こんなにたくさん、これがそうなのですけれども、暴走族を扱った記事がいっぱい出ているわけですね。  それで、一向に衰えを知らない暴走族というか、それが大変迷惑をまき散らしている、こういうことなのですが、最近の暴走族の現状、特徴、そういったものについてどう認識しておられるか、まずお聞きしたいと思います。
  150. 玉造敏夫

    ○玉造政府委員 最近の暴走族の実態についてでございますが、平成九年末で、警察が把握しております全国の暴走族の総数でございますけれども、約三万四千人でございます。傾向としては減少傾向にございます。グループの小規模化が進んでおりまして、グループ数自体は増加しておるという傾向もございます。平成九年には初めてグループ数が千を超えております。  グループ員の年齢構成でございますけれども、十五歳から十七歳の層がややふえております。反面で十八歳以上が減少しておるということで、低年齢化の傾向が出てきております。  また、最近の暴走族でございますけれども、道路交通法違反にとどまりませず、グループ間の対立抗争事犯あるいは脱会者に対する集団リンチ事犯、そういったものを敢行しております。凶悪化あるいは粗暴化の傾向を強めておるということが言えようかと思います。
  151. 宮路和明

    ○宮路委員 今、交通局長から、数的には減少傾向というのが見られるけれども、その質といいましょうか内容において、先ほど少年犯罪の話もいろいろ議論がされましたけれども、低年齢化の傾向、あるいは違反の内容凶悪化あるいは粗暴化と言われましたか、そういうことで非常に悪くなっている、そんなお話でありました。  地元の記事などを見ても、鹿児島の県警なども創意工夫を凝らして、対策に苦慮しながらいろいろなことをやっているという話が出ております。「ゼロヨン許さない」というので、「路面線引きデコボコに」、ゼロヨンというのがあるそうですけれども、ゼロヨンを許さない。それから、「暴走はやめよう」というので、高校生がポスターをつくることを県警が募集して、そういう運動を展開しているとか、それから、タクシーの運転手に暴走族監視を委嘱してやっている、そういうのを新しく始めたとか、それから、何と去年の暮れ、暴走族対策に補正予算で二千万も鹿児島県は計上して、財政事情が苦しい中、黒バイと呼ばれる追跡捜査用バイク三台、赤外線ビデオカメラの購入をしたとか、何かいろいろそういうこともやっている。  こういうことで、いろいろ工夫しながら現場現場で一生懸命やっているのですけれども、どうも、目に見えたと言ってはちょっと語弊がありますが、大きな効果を上げてきているな、そんな感じが必ずしもしないし、また、どうも我々の地域を見ておっても、地方に分散している、分散というか地方へと拡大している。今までは町の中心部みたいな、鹿児島であれば鹿児島市というような、そういうところに限られておったというかそこが中心だったものが、どんどん地方へ拡散している。そういうことで、今度は地方でも暴走族対策にいろいろと乗り出さざるを得なくなってきているというふうなことが言われているわけです。  私の住んでいるところも、帰ると金曜日、土曜日、必ずやってくる。しかもやってくるのが、向こうも頭がいいというか、よく警察の対応ぶりというのを調べておって、朝の二時から大体五時、六時、どうもその間が警察のそういう態勢というのが手薄らしいのですね、だからそこをねらってやってくる。賢いというか、彼らとしてみれば、いろいろ作戦を練ってそういう警察取り締まりの間隙を縫ってやってきている。  そういうことで、非常に、地域にとって、地域住民にとっても安寧を害されるわけでありますから、これほど厄介なものはない、そんな状況になっているんですよ。  それで、先ほど現状とそれから特徴の話がありましたけれども、もっと突っ込んで、違反の中身、そしてそれらが使用されている車はどうなのか、あるいはやっている連中は免許を持っていない連中なのか、免許を持っていてやっているのか、その辺もうちょっと突っ込んだ分析というのを聞かせてくれますか。
  152. 玉造敏夫

    ○玉造政府委員 先ほど宮路先生の方からお話がありましたような現状があるわけでございまして、確かにかつて大規模な集団暴走というものがあったわけでございますが、これは警察取り締まり等々によりまして次第に小規模化した、どちらかといいますとゲリラ的な暴走にと変わってきつつあるということも確かに言えるわけでございます。  そうなりますと、例えば態勢面で弱いところをねらってくるとか、あるいは弱いところの時間帯をねらってくるということはあるわけでございます。まさに知恵の闘いになってくるわけでございますけれども、私どもといたしましては、彼らの暴走行為の事前情報をどうやって把握するかということにさらに工夫を凝らしていかなきゃいかぬというふうに思っております。それを踏まえて、警戒態勢をとって徹底検挙をいたすということで、各県警それぞれ知恵を絞ってやっているところでございます。  いずれにしましても、まず彼らの実態をつかんで、そして彼らが次にどういうふうに動こうとしているかを把握するということが、まず私どもがやらなきゃいかぬことというふうに考えております。
  153. 宮路和明

    ○宮路委員 先ほど鹿児島県警の話をちょっと披露したわけですけれども、例えばこれに対する装備の関係も、何か赤外線のカメラを何台か買ったという話がありました。それから、追跡用というか追跡捜査用のバイクも買ったという話もありました。こういうものも補正予算で何とか去年の暮れ買ったということですから、どうもそういうものも十分備わっていない、そういうのが本当は実態じゃないですか。  装備の関係も、そういう機械化、機械化というか対応するためのものも、彼らのオートバイの方がむしろよくて警察のオートバイの方が能力がないということじゃこれは話にならぬわけで、それからカメラにしても、そういう実態をしっかりととらえるためには、暗いところでもぴしゃっと撮れるカメラがあるわけですから、そういうものもきちっとやるとか。そうすると、それによって心理的にも、相手もやはり写真を警察で撮られたらこれは大変だ、こういうふうにも思うでしょうし、そういった装備の面。  それから、検挙はかなりやっているというのですが、じゃ検挙後の厳しい処分のやり方なんというのはどうなのか。去年、道交法をたしか改正して、一緒に乗るというか唆した人なんかも処罰の対象にするということにしましたよね。それから、暴走族であることを承知の上で車を貸す者についてもまたそういう処罰の対象にするということをたしかやったんじゃないですか、それが今度四月から施行ですか。  そういう法制面で強化が若干図られているわけ だけれども、法の執行、それは厳正な執行がちゃんと今までなされているのかどうか、もっとその辺を厳しく。先ほどの大臣のごあいさつの中で、警察といたしましても、強さと優しさを車の両輪としつつというのがあるんですが、優しい警察ではだめなんだよね。これは障害者とかお年寄りに優しいのはいいんだけれども、やはり強い警察、頼りがいのある警察でなきゃ、優しさばかり強調されておってもやはりだめなんだよ。  そういうことで、きちっと検挙し、またきちっと処分をするというその辺の厳しさというのか厳正さというのがきちっとやられているのかどうか、そこらも、皆さんどうなのかなという懸念を持っていると思うんですよ。  だから、その装備の面あるいは法制の整備それから整備された法制の厳正なる運用、そういうことをこれは総合的にやっていかなきやならない。道交法六十八条だって、何か私見てみると、「著しく」という言葉が入って、「道路における交通の危険を生じさせ、又は著しく他人に迷惑を及ぼす」、この「著しく」というあたりも、もうこんなもの取ってしまっていいんじゃないかなという気もする。こういうものが逆に弊害になって警察取り締まりをシュリンクさせているというようなこともありはしないかということもある。  どうですか、その辺、今私が申し上げた装備の面それから法の整備の面それから法の執行の面、それを局長局長暴力団対策じゃ物すごい実績を上げて、あの暴対法によって、あれだけ厄介者にされてきた暴力団というものが、暴力団対策は少なくとも物すごくいい成果を上げてきていると思うんですよ。そういう面から見て、これは同じ「暴」だけれども、この暴走、どういうふうに今私の指摘した点をお考えか、ちょっと忌憚のない御意見というかお考えを聞かせていただきたいと思うのです。
  154. 玉造敏夫

    ○玉造政府委員 お答えいたします。  まず装備の話でございますが、先ほどお話がございましたように、それぞれ創意工夫を凝らしているわけでございますけれども、やはり最近の技術革新成果といたしまして、例えば、夜間においても鮮明な写真が撮れる、あるいは画像が得られるといった赤外線連写カメラあるいは高性能デジタルビデオカメラといったものも出てきているわけでございます。これを導入いたしました県におきましては、それぞれ、集団暴走に対して一挙に数十人を後刻の捜査において検挙いたしまして、その暴走族を壊滅するといった成果も上がってきているわけであります。  したがいまして、装備をさらによいものに充実していくということは、暴走族壊滅のためにも極めて重要なことでございます。それにつきましてはしっかり努力をいたしたいと思います。  次に法整備の関係でございますが、平成九年の法改正によりまして、一つは、悪質で危険性の高い運転者に対する行政処分の強化ということで、かつて免許を取り消された者がさらに再度免許を取り消されるといった場合には、免許を受けることができない期間を、上限さらに二年追加するといった措置を講じていただきました。もう一つは、暴走行為を唆すなどの行為を行った者、これについても免許を取り消せるようにしていただいたわけでございます。これは本年四月から施行いたすことになっております。  改正法による運転免許の行政処分、これを厳正に行うなど、暴走族を道路交通の場から的確に排除する、追放するというふうに努めてまいりたいと思っております。  なお、取り締まりの現状でございますが、昨年の場合、暴走族、これは繰り返して検挙している者もございますから、約十万二千六百人を検挙しているわけでございますが、このうちで、共同危険行為あるいは刑法犯さらに暴力行為処罰に関する法律等によりまして、五千六百人を逮捕しておるという状況にございます。このほか、免許の行政処分の件数といたしましては、取り消し約千六百五十件、停止約千三百件、いずれも前年よりも増加しているところでございます。  いずれにいたしましても、暴走族の暴走行為、これは騒音だけではなくて、彼らが暴走族としてまとまって行動していること自体によって、もろもろの凶悪犯罪にも現に結びついていっておるわけでございます。  そういう意味におきまして、暴走族を壊滅するために一生懸命頑張ってまいりますので、よろしく御支援のほどをお願いいたします。
  155. 宮路和明

    ○宮路委員 このことで、ちょっと警察庁から聞いた話では、暴走族の連中の乗っている車は、二輪、四輪いずれにしても半分は盗難車である。それから半分は無免許の連中であるということで、無免許だから免許の取り消しもできない、盗難車であるから車検がなくたって何だって乗って歩く、そういうことになっておって手の打ちようがない。手を打つにしても非常に制約をされておる。  そういうことで、かつどんどん若齢化しておって、共同危険行為禁止違反、道交法六十八条の違反ですね、その年齢別逮捕者とその処分状況というのを私、警察庁から資料をもらったのですが、十九歳から十五歳までこう書いてあります。何とそっちの方が圧倒的に多いわけで、いわゆる少年だ。そうなると処分にもこれはまた限界がある。とにかく八万ふさがりと言ってはいかぬですけれども、非常にこれをしっかりと取り締まりをやっていくということにいろいろな阻害要因が横たわっているというふうに思うのです。ですから、そこを乗り越えていくためには、先ほどの機械装備、それらもしっかりとした、まさに最新鋭のものをどんどんとやってもらうように、予算も大臣にもよくお願いしておかなければならないが、今日の状況に応じた法体系等を整備していかないといかぬというふうに思うのですよ。  それで、道交法の改正も、先ほど申し上げた点をもっとこれから突っ込んで、我々などというのは選挙違反を一回やると、もう立候補五年禁止ですからね、今度は。ところが、こういう悪いことをどんどんやっても、免許拒否期間というのは初犯は三年だという。累犯になってくると何か五年になるらしいんですけれども。我々は一回選挙違反をやると五年も立候補できなくなる、こんな厳しい話なんですよ。それこそ政治生命なくなるんだから。こういう連中は、幾ら悪いことやっても運転生命がなくなるということはないわけで、そこらから見ても、これは非常に優しい警察というか、そういう感じがしますよ。だから、やはり法体系を整備していかなければならぬ。  少年法の改正問題も、先ほどから少年凶悪犯罪の問題がいろいろ出ておりましたが、これについては我々の党の法務部会でもいろいろ議論してきました。  それで、下稲葉法務大臣は積極的な発言をしておられますが、自治大臣、国家公安委員長ですね、こういつたところはどういうふうにお考えか、それをぜひお聞かせをいただき、そして、今後のこの撲滅に向けての決意のほどをひとつお聞かせをいただきたいというふうに思います。
  156. 上杉光弘

    上杉国務大臣 少年による凶悪犯罪は、その補導人員が昨年、昭和五十年以降の最悪を記録するなど、極めて深刻な状況にあるわけでございますが、このため、警察といたしましては、悪質な少年事件捜査強化に努めるのはもちろんでございます。  この問題に抜本的に対処するためには、社会全体の取り組みということも重要でございまして、御指摘の、現行青少年法制の問題につきましても、現実に即した仕組みのあり方について十分議論を尽くし、必要な検討を行うことは極めて意義深いことと考えております。  このため、警察といたしましても、このような検討に資するため、必要に応じまして、法務省に対し現在の少年事件の実態を説明いたしますなどの協力を行ってまいりたいと考えております。
  157. 宮路和明

    ○宮路委員 それでは最後に、先ほど申し上げたような対策強化を、法制の改正も含めてひとつ十分御検討をいただいて、ぜひその前進を実現していただきますことを心から期待を申し上げて、 私の質問を終えさせていただきたいと思います。  どうもありがとうございました。
  158. 加藤卓二

    加藤委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時六分散会