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1998-05-15 第142回国会 衆議院 大蔵委員会 第28号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十年五月十五日(金曜日)     午前九時開議 出席委員   委員長 村上誠一郎君    理事 井奥 貞雄君 理事 衛藤征士郎君    理事 坂井 隆憲君 理事 浜田 靖一君    理事 池田 元久君 理事 北橋 健治君    理事 石井 啓一君 理事 谷口 隆義君       今村 雅弘君    岩永 峯一君       大石 秀政君    鴨下 一郎君       河井 克行君    桜田 義孝君       杉浦 正健君    砂田 圭佑君       中野 正志君    根本  匠君       宮路 和明君    村井  仁君       山口 泰明君   吉田六左エ門君       渡辺 具能君    渡辺 博道君       渡辺 喜美君    石橋 大吉君       岩國 哲人君    上田 清司君       北脇 保之君    末松 義規君       中川 正春君    藤田 幸久君       赤松 正雄君    河合 正智君       並木 正芳君    小池百合子君       鈴木 淑夫君    西田  猛君       佐々木憲昭君    佐々木陸海君       濱田 健一君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 松永  光君  出席政府委員         大蔵政務次官  中村正三郎君         大蔵大臣官房長 武藤 敏郎君         大蔵大臣官房金         融検査部長   原口 恒和君         大蔵大臣官房総         務審議官    溝口善兵衛君         大蔵省主税局長 尾原 榮夫君         大蔵省証券局長         心得      山本  晃君         大蔵省銀行局長 山口 公生君         大蔵省銀行局保         険部長     福田  誠君         大蔵省国際金融         局長      黒田 東彦君  委員外出席者         内閣官房内閣内         政審議室内閣審         議官      山本 晶三君         経済企画庁調査         局内国調査第一         課長      古川  彰君         厚生省年金局運         用指導課長   皆川 尚史君         郵政省簡易保険         局資金運用課長 蝶野  光君         参  考  人         (日本銀行副総         裁)      山口  泰君         大蔵委員会専門         員       藤井 保憲君     ————————————— 委員の異動 五月十五日  辞任        補欠選任   今村 雅弘君     山口 泰明君   上田 清司君     岩國 哲人君   日野 市朗君     石橋 大吉君 同日  辞任        補欠選任   山口 泰明君     今村 雅弘君   石橋 大吉君     日野 市朗君   岩國 哲人君     上田 清司君     ————————————— 五月十五日  消費税減税に関する請願大森猛紹介)(  第二三三〇号)  同(金子満広紹介)(第二三三一号)  同(木島日出夫紹介)(第二三三二号)  同(児玉健次紹介)(第二三三三号)  同(佐々木陸海紹介)(第二三三四号)  同(中路雅弘紹介)(第二三三五号)  同(中島武敏紹介)(第二三三六号)  同(平賀高成紹介)(第二三三七号)  同(矢島恒夫紹介)(第二三三八号)  銀行救済策国民税金投入反対に関する請願  (金子満広紹介)(第二四九三号)  同(児玉健次紹介)(第二四九四号)  同(佐々木憲昭紹介)(第二四九五号)  同(佐々木陸海紹介)(第二四九六号)  同(中島武敏紹介)(第二四九七号)  同(不破哲三紹介)(第二四九八号)  同(松本善明紹介)(第二四九九号)  同(矢島恒夫紹介)(第二五〇〇号)  所得税減税中小業者への国民金融公庫の返済  条件緩和に関する請願中島武敏紹介)(第  二五〇一号)  同(中林よし子紹介)(第二五〇二号)  同(春名直章紹介)(第二五〇三号)  同(東中光雄紹介)(第二五〇四号)  同(平賀高成紹介)(第二五〇五号)  同(藤木洋子紹介)(第二五〇六号)  同(藤田スミ紹介)(第二五〇七号)  同(古堅実吉紹介)(第二五〇八号)  同(不破哲三紹介)(第二五〇九号)  同(松本善明紹介)(第二五一〇号)  同(矢島恒夫紹介)(第二五一一号)  同(山原健二郎紹介)(第二五一二号)  同(吉井英勝紹介)(第二五一三号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  金融システム改革のための関係法律整備等に  関する法律案内閣提出第八六号)  特定目的会社による特定資産流動化に関する  法律案内閣提出第八七号)  特定目的会社による特定資産流動化に関する  法律施行に伴う関係法律整備等に関する法  律案内閣提出第八八号)  金融機関等が行う特定金融取引一括清算に関  する法律案内閣提出第八九号)      ————◇—————
  2. 村上誠一郎

    村上委員長 これより会議を開きます。  内閣提出金融システム改革のための関係法律整備等に関する法律案特定目的会社による特定資産流動化に関する法律案特定目的会社による特定資産流動化に関する法律施行に伴う関係法律整備等に関する法律案及び金融機関等が行う特定金融取引一括清算に関する法律案の各案を議題といたします。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  各案審査のため、本日、参考人として日本銀行総裁山口泰君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 村上誠一郎

    村上委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  4. 村上誠一郎

    村上委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。北脇保之君。
  5. 北脇保之

    北脇委員 民主党北脇保之でございます。きょうは、金融システム改革法に関連して質問いたします。  まず最初に、さきG7蔵相中央銀行総裁会議で、日本金融システム安定化についてどのまうな議論が交わされたのかということを再度確認をしたいと思います。  この共同声明の要旨によれば、金融システムの問題については、G7としては、日本におけるビッグバン金融自由化、イニシアチブの実施の進展を歓迎し、日本当局金融システムにおける問題への取り組みを推進することを促したというふうに発表されております。ということは、当局金融システムにおける問題に取り組んでいることはもちろん理解をしつつ、さらにその推進を促したということであると思います。  また、日本とアメリカ、日米会議、個別の会議においても、ルービン財務長官の方からは、金融システム安定化前進が重要なんだ、こういう指摘があったというような発表がされております。  そこで、このG7会議そのもの、そしてまた日米の二国間の蔵相会議、このそれぞれにおいて、日本金融システムの現状について、諸外国の側からはどのような認識が表明され、そしてそれに対して、取り組み促進するようにという共同声明にもなっているわけですから、どういうことをやるべきであるという議論があったのか、それを大蔵大臣にお尋ねいたします。
  6. 松永光

    松永国務大臣 お答えいたします。  先般のG7の会合は、正確に言えば、まず前段がG7蔵相会議、後半の方が蔵相外相G7会議、そして三段目がG8の蔵相外相会議、そういうふうな会議でございました。したがって、中央銀行総裁というのは今回は参加していないわけであります。  そこの会議での話、さらにまたその前に行った日米蔵相会議の話の概要について御質問があったものと思うのでありますが、まず、ルービン米財務長官と私とのバイの会談では、まず私の方から、四月二十四日付で政府が決定をした十六兆を超す総合経済対策についての説明をし、そしてその内容についても概略を説明したのが話の始まりでございました。  それに対してルービン財務長官は、内需主導成長の達成される方策だということで歓迎をした上で、日本内需主導型の経済成長を達成する上で大事なのは日本金融システムの一層の安定強化だ、同時にまた、不良債権処理を速やかにやることも大事なことだというふうな発言があったわけであります。  これに対して私の方から、もう向こうさんもある程度知っておるわけでありますけれども国会で成立させていただいた金融システム安定のための緊急措置法に基づいて日本金融システム安定のための施策は着実に進めております、それからもう一つ不良債権処理を進める問題については、大蔵省としては、不良債権処理を着実に行うよう各銀行に強く要請しておるところであるが、同時に、今回の総合経済対策の中に、不良債権について、その不良債権についておる担保不動産不動産担保つき債権証券化して、そして処理を進める等々の措置も入っておりますし、それから、その関連の土地についても有効利用促進されるような、そういう施策もやることにしておるということを説明をして、ルービン氏の理解を求めたところでありますが、その点についても、不良債権処理が進む、そしてまた土地有効利用が進むということはいいことだというふうに理解を得たものというふうに私は感じました。  実は、G7蔵相会議でも私はそれと同趣旨発言をしたところでありまして、その点についても理解が得られたというふうに私は思っております。その結果として、七カ国蔵相結論文書というのが出されたわけであります。  概要は以上のとおりでございます。
  7. 北脇保之

    北脇委員 ルービン長官発言、それからまた共同声明そのものでも、日本金融システム安定化促進ということをさらに促しているわけですから、ということは、今までの我が国政府取り組みで十分に金融安定化が、もちろん達成されているというわけはないのですが、その取り組みそのものについて、必ずしも十分であるとは受けとめていないということがあると思うのですね。  報道によれば、例えばルービン長官が、その金融システム安定化前進ということに関連して、銀行のリストラとか再編、そういったことをさらに民間の努力によって進めるようにというような、体質強化、これを求めたというような報道もあるのですが、その辺のところについても具体的な、例えばルービン長官との会談の中でそういう指摘は出ているのでしょうか。
  8. 松永光

    松永国務大臣 さっき申し落とした点が二つあります。  一つは、護送船団方式がまだ残っておるのかというふうな感じ質問もありましたので、その点につきましては、緊急金融安定措置法において法律上明確になっているんだけれども資本注入措置等をして自己資本を充実させる、そういう銀行というものは、三年連続赤字などといったような弱っている銀行は対象にしないというふうに法律に定めてあるので、その趣旨に基づいて自己資本充実についての支援をする、法律どおりそういう施策を進めております、したがって、いわゆる護送船団方式ではありませんということもはっきり説明しました。  ルービン氏たちの方は、破綻すべきものは破綻するというやり方の方が全体として日本金融システムは安定、強化するんだという考え方のようでありまして、それに対して、日本やり方はややともすれば護送船団方式ではないのかというふうな懸念を持っておられたようでありますので、その懸念を完全に払拭することができたというふうに私は思っております。  それからもう一つは、今までの話は銀行の話でございますが、その他の金融組織、すなわち証券保険関係等でありますが、その点につきましては、今、金融関係四法というのを国会に提案をして、そして自由化規制緩和、これが大きく前進するようにというわけで法律案審議していただいておる。国会でこの法律案を成立させていただければ、日本金融システムそのもの自由化とそして規制緩和が大幅に進む、そのことによって日本金融システムが全体として活性化してくる、それがまた日本経済の発展の大きな力になるということも説明をいたしました。  そして、不動産担保つき債権不良債権になっているものの流動化その他を通じての処理促進も、法制度整備を含めて積極的に進めていくということを申し上げて理解を求めたところであります。  私は、理解は得られた、こう思っておるわけでございます。
  9. 北脇保之

    北脇委員 今、大臣お話の中にはっきり出ていたわけですが、ルービン財務長官は、日本金融行政護送船団方式というのが残っているのではないのかというような質問があったということが一つ。それから、米国側としては、基本的には、悪い銀行といいますか悪い金融機関、そういう破綻すべきものというのでしょうか、それは破綻させるべきだというような考え方に基づいての意見であったように受けとめたということでございます。  この辺のところについては、まさに私ども民主党としても、さき金融緊急安定化法、これの審議の中で再三指摘したことですが、やはり日本金融システムを本当の意味安定化していくためにはもっと不良な部分というものは整理していかないと、単なる問題の先送りになってしまうのではないかということを指摘してきたわけでございます。さらにまた、金融機関に関する資本注入についても、決して横並び銀行救済になってはいけないということも指摘してきたわけです。その結果として資本注入がどのような形で実行されたかというと、三月中に二十一行について、ほとんど一千億単位というような横並び、まさに横並び資本注入が行われた。  ですから、そういうことを米国側も十分知っているから護送船団方式ではないかということを言っているのであるし、また、破綻すべきものを破綻させるという方法になっていないので、そこに懸念を表明しているのだと思うのです。  ですから、今の金融緊急安定化法に基づく資本注入やり方、このことについて、具体的に言った場合に米国側はどのような評価をしているのか。そういうようなお話はありましたでしょうか。
  10. 松永光

    松永国務大臣 まず第一の、破綻に瀕しているような銀行まで救済するというふうなことであれば、それは護送船団方式という批判が当たることになるわけでして、その点の懸念であったわけであります。  そこで、私の方からは、残念なことに破綻するようになった金融機関については、十七兆の別枠の資金が実は用意されておって、それで、預金者保護を中心に破綻処理を、公的資金を活用しての措置をするという仕組みはきちっとできておるんです、したがって、破綻するようなところまで公的資金で助けるなどということはいたしません、法律にもそう書いてあります、これをはっきり申し上げて理解を得たところであります。  なお、先般の二十一行ですか、これについては、いずれもそれぞれの銀行経営方針もあるでしょうから、そこで申請を待って、その申請に基づいて審査をしたわけであります。  それぞれの銀行経営方針があるでしょうからと申し上げました趣旨は、自己資本充実支援というものはただではございませんから、それぞれの銀行評価に基づいて市場で決まる利払いを預金保険機構にするわけであります。二・五とか三とかという利息預金保険機構に支払うという仕組みになっておるわけですね。  同時にまた、自己資本注入を受けるについては、経営健全化に向けての方針もきちっと定めて、そして審査委員会提出をしなければならぬ。提出を受けた審査機関としては、それの確認をした上、その方針に基づいての経営がなされておるかどうか、それを注視していくわけでありますから、強い言葉でいえば監視していくわけでありますから、そういった監視などを受けるのは嫌だという銀行があってもこれは不思議ではないのです。  同時にまた、今日の金利状況でありますから、二・五とか三とかという利息を払わぬでも、別なところからの自己資本充実策も実はとろうとすれば現在はとれるという状況でありますから、そこで、それぞれの金融機関自己判断経営判断に基づいての申請であったというふうに私は理解をしておるわけであります。  もっとも、破綻をした銀行の受け皿となった銀行についての措置、これは別途定めておるわけでありまして、それはそれとして、そうでない一般行の場合には、右申し上げましたような条件がついておるわけでありますので、それはそれぞれの銀行自己判断に基づいての申請であったというふうに思います。  その意味では、護送船団方式だったというふうに決めつけるのは、これは事実と少し違うのではないかというふうに申し上げたいわけであります。
  11. 北脇保之

    北脇委員 私は、そこのところは見解を異にするのですが、いずれにしても、今までの我が国政府金融システム安定化取り組みというものについて、方向性ということについて、すべてを抱え込んでじわじわと先へ持っていくというのではなくて、もう少し、まさに短い、二、三年の間に根本的な対応をしていかなくてはいけない。そういうある程度の荒療治になることもあえてしないと、余計に後での処理コストが大きくなってきてしまうということを私どもは従来から主張しているわけで、この点については今後とも主張していきたいというふうに思います。  ちょっと具体的なことをお尋ねいたします。  大蔵省把握では、現在の金融機関不良債権というのはどれだけあって、それは時系列的に言うと、特にこの三月末においてどれだけ不良債権処理が進んだのか、現時点把握状況をちょっと教えていただきたいと思います。
  12. 山口公生

    山口政府委員 お答え申し上げます。  結論的に申し上げますと、ことしの三月期末の不良債権償却額は、私どもの推計では十兆円弱だというふうに見込んでおります。それは主要十九行に限ってのことでございますが、主要十九行について申し上げますと十兆円弱、九兆七千ぐらいかなという、今の時点ではそう思っておりますが、若干変化があると思います。  業務純益をちなみに申し上げますと、この三月期、見込みでは三兆五千億ぐらいかなと。そうしますと、利益をかなり上回る償却を各金融機関はこの三月期ではやるということになる。この五月の後半に決算が出ますので、また改めてそのときには十九行で御披露できると思うのですが、そんな感じで、今度の三月期は相当不良債権問題に力を入れたというように感じております。
  13. 北脇保之

    北脇委員 そうしますと、三月末の時点で、十九行及び全金融機関それぞれにおいて、要処理額といいますか、まだ償却が済んでいないといいますか、未処理になっている不良債権の額というのはわかりますでしょうか。
  14. 山口公生

    山口政府委員 実は、不良債権問題の一番わかりにくいところ、御理解していただきにくいところは、不良債権額というのがなかなか固定した数字でないというところなんでございます。  これまでの統一開示基準での破綻延滞金利減免という数字でやっておりましたら、統計的に見ると三十八兆ぐらいあったのが二十八兆ぐらいになって、引き当てとか土地でのカバーを除くと四兆数千億が要処理で残っていますという御説明時系列にしておりましたが、では、そのほかに全くそういう処理をすべきものがないのかと言われると、今度SEC基準でやった場合にはまたふえるというような議論になりますし、この間私はどこかで御紹介した、二分類まで入れた七十七兆ベースになるともっとふえるという議論もありますので、あと幾ら残っているのかという議論ができないところがどうも国民の皆様にも非常におわかりにくいところで、何とかうまく説明ができないかと私も思っております。  ちなみに、一つ考え方として、時系列で申し上げたいと思いますが、主要行の、先ほどの十九行だけで限って、これまでの公表の不良債権額をずっと時系列に見ますと、最初、九三年の三月期が十二兆七千億ぐらいあったのが、九六年の三月に二十一兆八千億にふえてきておりました。それが、九七年の三月期では十六兆四千億に落ちていまして、今私が申し上げた九八年の三月期で、またこれはかなり償却が済んで、落ちているんじゃないかと思うのでございます。  余りにも楽観的な印象を与えてはいけませんのは、これは融資先業況にもよると思うのですね。つまり、今まで支払いを定時的に受けていたものが延滞になる可能性だって、それは業況によってはあるわけでございますので、不良債権そのものが出入りがあって動いていくということなんです。時系列的に言うと、主要行だけで言うとちょっと山を越したというイメージもとらえられますが、それを自信を持って申し上げることができるかどうかということになりますと、まだ若干逡巡せざるを得ない、こんな状況が正直なところです。
  15. 北脇保之

    北脇委員 確かに、不良債権というのは動いていくものだということは、そのとおりだと思います。ですから、総じて十九行で十兆円の償却がこの三月期に行われるだろうとしても、またさらに不良債権そのものの額も動いているから、正直なところ、確たることを数字的に言うことは何とも難しいということだろうと思います。それはそれでそうだと思うのですが、ただ、いろいろな角度からの数字がありますから、例えば二分類で七十七兆円という、そのベースで見たときに、では、どれだけ償却が進んで、その七十七兆円の中で要処理というのがどれくらい残っているか、また、その後、不良債権部分が膨らんでどうなったかという、その辺のことについては把握はされているんでしょうか。
  16. 山口公生

    山口政府委員 先般御披露申し上げた、十二月の末時点での二分類、三分類、四分類を含めて七十七兆というベース、これを不良債権と決めつけないでいただきたいといつもお願いしている話ですけれども、これが趨勢的にどうなるかというのは私ども非常に興味を持って見ております。ただ、この統計というのは、せいぜい半年に一回程度しか、場合によっては、自己査定がどれくらいの回数になるかによりますので、そう頻繁にはとれないという状況でございますので、その辺は先生と同じような関心を持ちながらフォローしていきたいと思っております。  ただ、一つだけちょっとつけ加えさせていただきますと、全体的に、マクロ的に経済をとらえる場合に不良債権問題が非常に重要な問題、それはそうでございますが、今度の三月期を経た後のイメージは、ちょっと各銀行で相当ばらつくんじゃないか。ある銀行は次のステップといいましょうか、不良債権問題を完全に脱し切るわけじゃありませんが、不良債権問題から今度はビッグバン対応といいましょうか、そういうところにちょっと足を踏み出すところもかなり出てくるんじゃないかというふうに思っております。  したがいまして、不良債権問題がマクロ的に全体の問題であることは否定いたしませんが、個々の銀行にとってみると、それはそれぞれの重みが少しずつ違ってくるというような感じを持っております。
  17. 北脇保之

    北脇委員 今後、金融機関不良債権処理をどのようにして進めていくのかということが問題だろうと思うのですが、先ほど大蔵大臣は、各銀行処理を要請していく、それと同時に、今度の総合経済対策の中で、不動産担保債権証券化を進める、そしてまた土地利用促進をしていくというような中で不良債権処理を進めていくというようなお答えがあったんです。  後者の、総合経済対策に盛り込まれたことについてなんですが、不動産担保債権証券化、こういったことについてはまだ時間がかかるんじゃないかと思うのですね。そういう仕組みが立ち上がって不良債権処理に活用されていくということについてはまだ時間がかかるんじゃないか。これが一点。  それからまた、土地の利用を促進していくということで、例えば土地の整形・集約化と都市再開発を促進していくとか、また、都市再構築のための公的土地需要を創出していくとか、こういったことが総合経済対策の中に盛り込まれているんですが、この土地利用促進ということ、これについては、まず、今の景気、経済状況からすれば、民間でビルを建てようとか、そういう投資の意欲そのものが非常に減退していると思うのですね。ですから、こういう政策を打ち出してもなかなか実効が上がらないんじゃないかということ。また特に、町づくりのための公的な土地需要をつくり出していくこと、このことについて言えば、今の地方自治体は大変な財政難の中にありますから、そういう中で公的な開発のために土地を取得していくとか、これも大変難しいと思うのですね。  ですから、今の総合経済対策に盛り込まれた土地の活用策とかそれを含めての不良債権処理策、これは時間がかかるし、なかなか実効が上がらないんじゃないかというふうに思うのですが、この点についてはいかがでしょうか。
  18. 山口公生

    山口政府委員 不良債権問題の処理というのは、先生おっしゃるとおり、かなり幅広い問題でございまして、単に金融機関のバランスシートだけの問題じゃないと思います。おっしゃるとおりだと思います。  それで、例えば証券化といってもなかなか時間がかかるということも、御指摘懸念もわかりますが、ただ、今御審議いただいておりますSPCでそういった仕組みをつくり、それで、最初から公募形式でのボンド発行、エクイティー発行というのはなかなか難しいと思いますが、私募の形式でやるというふうなことになりますと、これはかなり需要があるような感じがいたします。そういった形での動きが出てくるのではないかと思っております。  それからもう一つ、実需面での土地の動かし方あるいは動き方を御指摘になりました。まさにこれが本当の意味不良債権処理になるわけですが、これにつきましても、一番の問題は、非常に不動産に係る権利関係が複雑になって身動きがとれない。だから、動かそうにももう塩漬けにしておくしかないというような状況を打破しなければいけない。それで、これの権利義務関係を調整する体制というのを至急つくろうということを一つやっております。  それからもう一つは、なかなか買い手がないとかいうお話がありました。民間の方では実需がない。それは、ある意味では高い価格で売ろうとするからそうなのでありまして、本当の市場価格といいましょうか、収益還元価格でそういう取引がオファーされれば実需は出てくる。特に、外資系等はもうその辺に目ざとく目をつけております。  そういったことで、不良債権問題は、単なる金融機関のバランスシートだけの問題じゃなくて、それからまた、バランスシートから落とし、また、それを実際に土地を動かしていくという先生の御指摘のようなところもあわせて、今度対策の中に盛り込んでやらせていただこうと思っております。
  19. 北脇保之

    北脇委員 総合経済対策の中に、今の債権債務関係の迅速、円滑な処理というその一環として、資産担保証券、いわゆるABSを郵貯や簡保資金の運用の対象にするということについて平成十一年度に向けて検討するということが盛り込まれています。これについては、この仕組み金融機関不良債権処理にも使おうという意図でこういう検討ということが盛り込まれているのでしょうか。
  20. 山口公生

    山口政府委員 ABSを買うかどうかということについては、これは郵政当局の方で御検討される話で、ポートフォリオとして採算性があれば買うというようなことの御検討がなされると思うのですけれども不良債権処理の問題そのものとはこれは私はちょっとステージが違うと思います。  不良債権処理というのはもともと何を意味するかというと、金融機関が、例えば先ほど業務純益とか申し上げました、あるいは含み益でもいいですが、利益でもって引き当てをして、あるいは償却をするということがまず帳簿上の不良債権処理であります。それから、もう一つのステップとしては、その帳簿からまた落とす。そのときには土地を売却するとか債権を売却するということですね。そこまでがいわゆる金融機関不良債権処理でございます。  その売却された後の例えば資産等をバックにした証券がABSという形で出たときに、それをだれが買うかというのは、これは今度は投資家の問題として考えるべきものではないかというふうに考えております。
  21. 北脇保之

    北脇委員 今の点はおっしゃるとおりだと思います。  ただ、きのうの緊急経済対策特別委員会でも、総理は何度か、不良債権処理のことについて、バランスシートから落とすんだということをおっしゃっていました。そのことからすると、バランスシートから落とす一つの手段として、不良債権なり担保不動産も含めてこれを売却する、その売却する受け皿として何らかのSPCの仕組みを用意しておいて、そこで買い取らせて、それをまた、ABSを郵貯、簡保で買うというような仕組みをつくっていけば、結果的に金融機関不良債権をバランスシートから落としていくという一つ仕組みというかそういうものをつくることになるのではないかと思うのですが、そういうことを念頭に置いて検討していこうということなのかどうかということをちょっとお尋ねしたいわけです。
  22. 山口公生

    山口政府委員 今北脇先生のおっしゃったような御疑念というのが幾つか聞かれますけれども、もともと不良債権をバランスシートから落とすときは簿価そのもので落とすわけではないわけでございます。例えば、一〇〇の不良債権があった、そうすると値段が、実質価値は担保を評価しても五〇しかないといったときはその五〇で売るわけでございます。だから、売った後は、ある意味では、それがペイする形で、利回りが六%になりますか七%になりますか、そういうキャッシュフローを生むという形になるわけでございますが、その不良債権処理としては、もうそこでオフバランス化することによって一回切れる。  それが、先生の御懸念のように、例えば一〇〇のものを一〇〇で、損を含んだまま証券化して、だれも買わないからだれかが買い上げるというふうになれば、それはおっしゃるような議論は出てくると思いますが、しかし、そういったものは全くABSは成り立ちませんので、一応、時価での、正当な評価でのオフバランス化が行われれば、そこはそこで不良債権問題は片がつくということだと思います。
  23. 北脇保之

    北脇委員 もちろん、簿価でそのまま売るわけではなくて、今の米国系の金融機関のやっているようなことを見れば、十分の一とかなんとかで買いたたくということになっているということは、それはそのとおりだと思います。  ということは、そうしますと、今の御答弁だと、このABSを郵貯、簡保の運用対象にすることを十一年度に向けて検討していくということは、もう別に金融機関不良債権処理とは関係ないのだ、まさに郵貯、簡保の運用先をどうするかという問題なんだ、こういうことだというふうに断言されるわけでしょうか。そこをもう一度確認したいと思います。
  24. 山口公生

    山口政府委員 これは大蔵省当局がちょっと答えるべき話ではございませんが、経済対策に書かれておりますのは、「郵貯・簡保資金の運用対象を多様化し、預金者・加入者の利益に資するため、安全・確実な資産担保証券(ABS)に対する運用について平成十一年度に向けて検討する。」というふうにされておりまして、今後、本問題については郵政当局において検討が行われることとなっております。
  25. 北脇保之

    北脇委員 それから次に、もう近々金融監督庁が発足するわけですが、それが発足したときの金融機関破綻処理、これをどういうふうにやっていくかということをお尋ねしたいのです。  というのは、これまでの大蔵省における金融機関破綻処理、いろいろなパターンがありました。例えば、阪和銀行のケースなんかですと、整理、清算のための紀伊預金銀行というのをつくって、そこで処理をしていくという方法もあれば、京都共栄銀行のときのように、幸福銀行へ営業譲渡してやっていったケース、また拓銀の場合であれば、北洋銀行が受け皿になって、その他本州の部分については本州の金融機関がその譲渡を受けてやっていくというようないろいろなパターンがその都度選択されてきたわけですが、それをどういうふうにやるかということは、今まででしたら大蔵省銀行局が決めてやってきたのだと思うのですね。  ただ、これが、どういう処理の仕方を選ぶかということは、今後金融監督庁ができた後はどのようにして決めていくことになるのか、それをちょっとお答えいただきたいと思います。
  26. 山本晶三

    山本説明員 御説明いたします。  金融監督庁は、事前指導的な行政から、市場規律を基軸としました事後チェック重視型の金融行政への転換に資するとの観点から総理府に設置されるものでございますが、昨年六月に成立いたしました金融監督庁設置法及びその関連法におきましては、民間金融機関等に対する検査監督という執行面の機能は、銀行等の破綻処理に関する権限の行使を含め、すべて金融監督庁が担当することとされておるところでございます。  お尋ねの、破綻金融機関処理については、法令により与えられた権限の中で金融監督庁が対応することとなります。  なお、銀行法等におきましては、金融監督庁長官が業務停止命令等の処分をすることが信用秩序の維持に重大な影響を与えるおそれがあると認めるときには、あらかじめ信用秩序の維持を図るために必要な措置に関しまして大蔵大臣と協議することとされておりますので、これに沿って適切な連携を図ることによりまして金融危機管理に万全を期することとしているところでございます。
  27. 北脇保之

    北脇委員 そういう形に変わっても、基本的に金融機関破綻処理の方法というのを官庁が決めるということは変わりないと思うのですね。  それが、例えば米国の例なんかと比べてどうかということをちょっとお尋ねしたいのですが、例えばRTCなんかの例をとった場合、これはSアンドLの処理に限定した暫定的なものではありますけれども、管財人機能というのがありますから、破綻した金融機関を接収するような形にして、そこからそれをどう処理するかというときに、部分的に売っていくようなPアンドAというような手法をとるとか、また資産を切り売りしていくとか、そういう形で、資産の処分と預金者保護意味の預金をどう処理していくか、つまりPアンドAをとるのかペイオフをやるのかとかというそこの部分、そういったことを一体としてRTCなりFDICがやっていくという仕組みだと思うのですね。  それが日本仕組みだと、どこに吸収合併させるかとかそういうことは大蔵省が決める、あとの処理は、破綻した金融機関なりまたは預金保険機構という、ある意味では民間ベースの中でやっていくということで、どうも二つに分かれているような感じがするのです。  それが、必ずしも日本やり方の場合、効率的で効果的な機能をすると言い切れない部分があるのではないかというふうに思うのですが、もう時間が来ましたので、この最後の質問だけ、今までそれを担当してきました銀行局の方に、ちょっと今の私の疑問についてお答えをいただきたいと思います。
  28. 山口公生

    山口政府委員 破綻処理やり方の基本は、アメリカあるいはヨーロッパでも、余り基本は変わらないと思うのです。それは、まず預金者のことを考える、それからできる限り取引先の保護を考え、システミックリスクを起こさないように考えるということだと思います。  確かに、先生がおっしゃったRTCは、これは破綻したいわゆるSアンドLの後処理ですから、ある意味では、整理回収銀行が今やっているような回収業務、それをどこかに売るとかいろいろなことをやるという後始末的なことをやっておりますが、でき得ればそういうことではなくて、取引先で健全であればそのままどこかに引き継いでもらうということが可能であれば、それも彼らは追求しているわけですね。それから、システミックリスクを起こしそうなときには、やはりそれは国全体の問題として支えなければいかぬという発想もしております。  基本的に、当局間の問題意識あるいは悩み、これは全世界共通なのではないかというふうに私は思います。
  29. 北脇保之

    北脇委員 時間が来ておりますが、私、今回の質問で一貫して申し上げたかったことは、今、日本金融機関というのは非常に危機的な状況を抱え込んでいるので、今までのような先送り的なことではなくて、一定期間に限定して、もう破綻すべきものはするのだ、一番痛みのないように、国民に被害が来ないような形で、短期間に集中的に処理をしていくというような方法をやっていくべきだということを申し上げたい、そういう意図で質問いたしましたので、これからもぜひそれは検討いただきたいというふうに思います。  どうもありがとうございました。
  30. 村上誠一郎

    村上委員長 次に、北橋健治君。
  31. 北橋健治

    ○北橋委員 北脇議員に続きまして、関連で質問をさせていただきます。  本当にことしは、一月から長期間にわたりまして、大蔵大臣、そして大蔵省の皆さんにとりましても、大変御苦労の多い期間であったと思います。  提案されております金融システム改革四法案の審議もいよいよ最終盤を迎えようといたしております。私どもは、この問題を議論するに当たりまして、いろいろな角度から議論してまいったわけでございますが、金融ビッグバンはもう既に進行しております。これからさらにスピードアップをしていくのではないかとも思います。ですから、江戸幕藩体制の末期に、尊王攘夷かあるいは鎖国かという議論が当時あったわけでございますが、そのようなことを考える余地は今はないわけで、これからは、急速に進んでいく金融ビッグバンに対して、どのようにしてそれが投資者を保護し、そして投資者のメリットを最大限に生かすかという、その両方の視点からとらえていかねばいけない、こう思っております。  この審議を通じまして感じておりますのは、そうなりますと、規制が緩和をされて市場が活性化に向かうと期待をされるわけでありますが、一面、消費者、投資者の保護という問題が非常に大きくクローズアップされる。  たまたまイギリスにおきましては、このビッグバンが一九八六年に本格的に始まったときに金融サービス法というものが制定をされたということもございまして、イギリスの調査についても若干の資料は読ませていただいておりますが、日本のような厳格な、いわゆる縦割りといいますか、業法規制というのではなくて、そういった意味では、イギリスの場合は、本格的なそういう規制がなかったところの金融サービス法でありますが、それにしても、百万件ぐらいの消費者トラブルという大問題が、社会問題が発生したと聞いております。それだけに、今後進んでいくであろう本格的な金融ビッグバンに対して、本当に消費者、契約者を守っていくということが一番大きな論点の一つではないか、こう考えております。  そこで、まず金融検査監督体制という観点からこの問題を議論してみたいのですが、そういった意味では、金融検査のあり方についてはこの国会におきましても大変大きな問題になりました。しかし、考えてみると、直していただく、正していく世界はあるにしましても、今後この検査監督体制の充実強化というのは、消費者を保護していくという意味からも非常に重要な役割がある、このように考えております。  それで、労働団体連合も消費者の立場からいろいろな提言をしておりますが、やはりこの連合の指摘を見ましても、アメリカやイギリス、外国に比べて日本の検査体制は証券取引等監視委員会を入れても四百人、この程度の数で、アメリカでは、いろいろと日弁連の指摘でも一万人ぐらいはいる、イギリスでも二千人ぐらいいるという指摘があるわけでございまして、各方面から、余りにも貧弱な体制ではないか。これで、今想定されているだけでもたくさんの金融商品が出回ってくるわけでございまして、そのトラブルに不幸にして巻き込まれる人も出てくるかもしれない、そういう中で本当に消費者を保護できるのだろうかという気がいたします。  その点について、今後、役所の方からはなかなかこの体制を充実するということは言いにくいかもしれないのですけれども、きちっとこれまで指摘された問題点をクリアしていただいて、その上で、私はやはり一層の充実強化ということを消費者、投資者保護の見地から推進すべきであると思いますが、どうでしょう。
  32. 原口恒和

    ○原口政府委員 御指摘のように、今後自由化が進んでいくという中で金融の検査監督体制、これも、従前の体制から市場規律を基軸とした事後チェック型の金融行政への転換、あるいは検査監督体制の転換を図っていくということが重要だと考えております。そういう中で、今までもいろいろ増員等に努力をしてまいりましたが、今後とも関係方面の御理解を得ながら、検査官等の増員の確保に努力する必要があるというふうに考えておりますし、また同時に、内容といいますか、研修の強化等によって中身、質の充実も図っていきたいというふうに考えております。
  33. 北橋健治

    ○北橋委員 できればこういう問題は大臣からお答えいただきたいと思っているのですが、これはやはり官僚の立場から答えにくい問題であります。もう一度大臣からこの点について、一層の充実を図るべきではないかと質問したわけですから、それにお答えいただくと同時に、もう一つ、今検査部長の答弁にもありましたが、その質という問題についても触れられました。  実際、日弁連なんかも海外の消費者保護というのを大分調査されまして、その中の資料も読ませていただきましたが、やはり非常に工夫をしている。数も、日本に比べると圧倒的なスタッフ体制を持っているわけでありますが、検査の手法といいますか、監督のやり方というものも、今の日本の検査体制とは大分違ったもの、いろいろといいものがあるということを、視察して報告されております。私ももっともだと思うのです。  そこで、今後、ビッグバン先進国における金融検査監督の手法を研究していただいて、ぜひ日本でもいいものは採用していく、そういう努力は必要ではないかと思いますが、大臣、よろしくお願いします。
  34. 松永光

    松永国務大臣 金融機関に対する監督検査の業務は、六月になりますというと金融監督庁に移るわけでありますけれども、それまでの間は大蔵省の責任になっておるわけであります。したがいまして、新しく発足する金融監督庁においてその検査監督という業務が適切になされるように、移行するまでの間は大蔵省がいろいろな研究をして、そして金融監督庁の方に引き継ぐ必要があるというふうに思っております。  それから、検査官等の人員の問題でありますが、現在の状態が十分とは決して私は思っておりません。金融検査部、証券取引等監視委員会の職員プラス地方財務局のそれに当たる者を含めましても五、六百以内だと思いましたが、それとアメリカと比べれば格段の差があります。もっとも、金融機関の数がアメリカの方が日本の十数倍ということでありますので、その点はあるわけでありますけれども、それにしても、要員は十分であるとは思っておりません。したがいまして、要員の確保に努めなければならぬことは当然のことであります。  同時に、質の向上、これも大事なことであるというふうに思います。今委員がおっしゃったように、こういう部門での先進国であるアメリカの経験等を参考にして、検査手法の研究それから要員の能力向上のための研修等しっかりやっていかなければ、消費者に対して損害を発生するなどという状態があってはならぬことでありますから、そういうことの方向で努力をしていきたい、こう考えているところであります。
  35. 北橋健治

    ○北橋委員 この金融検査の充実それから質についても、今後、相当に突っ込んで検討を深めてほしいと申し上げておきたいと思います。  そして、一つ、この金融検査の問題で、外資系の企業がどんどん日本に進出をしておりますが、当然、国内における活動については法律によって内外平等に適用されているはずであります。果たして、金融検査の面で、外資系の企業と日系の企業との間に対応に差はないでしょうか。例えば、日本銀行がアメリカに進出をして営業活動を行う場合には、アメリカの企業と同じように非常に級密な厳しいチェックがあるのだそうでありまして、全く一緒であります。日本の場合は、それは間違いなくやっておられますか。
  36. 原口恒和

    ○原口政府委員 お答えします。  御指摘の外国の金融機関の在日支店に対する規制、監督のあり方につきましては、基本的には我が国金融機関と同様の対応で、もちろん外国の金融機関の本店には我が国の主権が及ばない、そのため直接の検査監督ができない、これは当然でございますが、支店につきましては、日本銀行と同じ形で検査を行っているということでございます。
  37. 北橋健治

    ○北橋委員 金融検査官の数は非常に少ないわけですね。膨大な金融機関日本にはあるわけです。私がたまたまお伺いした状況を聞いてみると、中には、外資系の金融機関の職員の営業の方が、あるときはまさに銀行マンの名刺を配って営業する、そしてまたお客さんによっては証券会社の営業マンのような名刺を出して、そして営業を行っている事例があるのだというふうに聞いたことがあります。  日本の場合はファイアウォールの規制がかかっているわけでございまして、そういった意味では、ビッグバンになりますと、当然、各金融機関がしのぎを削る、競争ということは激しくなるものと予想されております。本当にやっていらっしゃるのでしょうか。私の聞いたお話というのは、ここで具体名を言うことは避けさせていただきますが、今のスタッフの体制でもできるのでしょうか。  既に、例えば日産生命の債務超過の問題とか、山一の簿外債務、飛ばしの問題とか、総会屋への不正融資だとか、いろいろと不祥事が起こりました。それを実質的に見抜いて適正に指導できなかった。そういう大きな問題と同時に、こういった問題についても、私は、相当、やってはいらっしゃるという基本的な姿勢はわかるのですけれども、現実にはこういう問題があるのではないだろうか。やはり今後、充実するとともに、外資系と日本との間に差がないように、日本国内の営業活動についてはきちんと監督をすべきではないか、検査すべきではないかと思いますが、局長、この問題についてどうですか。
  38. 原口恒和

    ○原口政府委員 検査の問題でございますので、私からお答えをいたします。  おっしゃるように、検査官の数等で、これは外資系を問わず、金融検査に対する間隔といいますか、こういうものも諸外国に比べてやや間隔があいているというようなことで、これもいろいろな工夫をしていく必要があると思います。  御指摘のような問題、これはまさに業法等にかかわる問題でございますし、そういうことについて、いろいろな角度から特にそういう御指摘もございます。今後とも、何か外資系だけが日本の国内の金融機関と扱いが違うのではないかという誤解を招くことのないように、きちっと対応していきたいというふうに考えております。
  39. 北橋健治

    ○北橋委員 私も、自分の目で確かめて、自分で調査をした確証というものを今ここで調査資料としてございませんので、名前は言いませんけれども、現実にはそういった問題があるのですね。ですから、そういった意味では、やはりきちんとして検査をしていただきたい。千二百兆円の個人金融資産があるわけでありまして、世界じゅうが注目をする資産だと思います。これから国境の壁がなくなってくる、ボーダーレスになって、いろいろな会社が日本にいろいろな形態をとってどんどん進出をしてくると思うのですけれども、そういった意味におきましてもこういった視点は重要だとここでは指摘するにとどめたいと思っております。  さて、先ほども大臣から金融監督庁のお話がございました。間もなくその金融監督庁はスタートするわけでございますが、金融監督庁設置法におきましても、その目的として、消費者、投資者、契約者を保護するということがこの金融監督庁の設置理由として書かれております。ところが、そういった消費者、投資者を保護するという重要な仕事を担うにしては、この間の不祥事やいろいろな問題で、余りにも国民の信頼が失墜している現状にあります。  したがいまして、私は、やはりトップ人事というのは今後の組織の歩みにとって非常に重要な意味を持っておると思いますけれども、初代長官の起用というのは、金融行政全般に対する内外の信頼を取り戻すという意味におきましても、非常に重要な判断が求められているのではないかと思います。私は、民間の学識経験者を思い切って登用するぐらいの体制をとられてはどうかと思いますが、大臣、御所見があればお聞かせ願いたいと思います
  40. 松永光

    松永国務大臣 金融監督庁長官の人事は、実は内閣総理大臣の任命事項でありまして、私の任命事項ではありません。しかし、事は金融監督庁という、金融に関する国民の信頼を取り戻し、今後とも維持していくための大事な金融監督庁であり、そのトップの人事でありますから、私も重大な関心は持っております。したがって、この長官の職責の重さにかんがみまして、公正な金融行政を確立していくのにふさわしい人材が任命されるよう見守っていきたい、こう考えておるわけであります。  同時にまた、長官と同時に、実務を担当すると思われる次長の人事も大事だと思うのでありまして、そういう点についても、私には任命権はありませんけれども、大事なこととして見守っていきたい、こう考えているところでございます。
  41. 北橋健治

    ○北橋委員 再質問はいたしませんけれども、官邸の方で人事を行うにしましても、やはり大蔵省あるいは大蔵大臣に対して合い議がないとはとても思えません。そういった意味では、そういうチャンスといいますか時期はあると私どもは思っております。そういった意味で、これまで金融検査体制についてこれだけ世間の関心を集め、著しく信頼が失墜した中で、改めて消費者を保護するために設置をされるという設置目的を持った監督庁でございますだけに、その点を十分踏まえましていい人選をしていただきたい、そのための御努力をお願いしておきたいと思っております。  さて、金融システムのサービス法をぜひつくるべきだという主張を民主党はこれまでるる申し上げてきたわけでございますが、既に局長からも大臣からもいろいろな答弁をいただいております。私は、この問題を考えるときに、局長は、当面、業法規制という形で状況を見ながら的確に運営していく、そしていろいろな商品が出回ってきてビッグバンがさらに進んでいく、その状況の中で、各省庁いろいろなものを持っているので、十分議論を尽くした上で前向きに検討されるという趣旨だと思うのです。  それにしましても、証券取引審議会だとか金融制度調査会が去年の六月に出した答申を見ると、いろいろ議論はあったようでございますけれども、その議論を集約してみて、やはりビッグバンのためには、横断的な、包括的な消費者保護の新規立法が必要だという結論を出していると思うのですね。  審議会というのは、学識経験者を集めるときに、やはり大蔵省の方が、この方はいろいろないい意見を持っていらっしゃるからということで人選されていると思うのですね。最後に答申書をまとめるときも、じっと聞いておられた職員の方が責任を持って起草して、それを委員の方に示して結論を出されていると思うのですね。  したがいまして、私は、この取引審議会は明確に新規立法という方向をうたっているわけでございまして、それを当然、大蔵省もその方向でやられるものと理解をしているのですけれども証券取引審議会の答申が出たような方向で今後努力されると理解しておいてよろしゅうございますか。
  42. 山口公生

    山口政府委員 大変難問が多いということをるる申し上げましたので、いろいろ否定的な印象を与えたかもしれませんが、私どもとしては、そういった審議会の答申を踏まえてできるだけ努力をしていくべきというふうに考えておる次第でございます。
  43. 北橋健治

    ○北橋委員 私は、関係省庁との議論を今後煮詰めていただきまして、一年間懇談会で議論をかなり突っ込んでやっておられるわけでございますから、残念ながら今後やはりトラブルがふえてくるだろう、その事態に対処するためにぜひともいいサービス法をつくり上げていただきたい。私は、そのためにも民主党としてもいろいろな提言をさせていただきたいと思っております。  さて、時間が限られておりますが、新しい金融商品でトラブルが今後発生すると思われるのは、やはり証券に絡む問題ではないか。投資信託だとかデリバティブが解禁されていきますといろいろな商品が出てくる。業界が基本的に、自主的なあっせんでありますとかそういった管理機構で対応していくということをこれからも努力してほしい、それを見守っているという趣旨の答弁が既にあったわけでございます。  これまでの事例でも、ワラントでありますとか変額保険でありますとかが裁判になりまして、随分と被害例が報告されております。実際、裁判に持っていって闘うという投資家というのは極めて少ないのではないだろうか。予算もかかるし、時間もかかる、心労もたまっていくということで多くの人が泣き寝入りをしているのではないか。したがいまして、裁判になるというのは極めて限られたケースであろう。相当周辺に被害者や苦情があると思うのです。  それにしましても、日本証券業協会苦情処理業務管理室の方でまとめたこれまでの状況を見ると、平成九年度で八千七百六件の苦情相談があったとか、いろいろとあります。今後、例えばイギリスで百万件のトラブルが発生したなんという話を聞きますと、百万になるかどうかは別にしまして、業界の自主的な苦情処理といいますか、あっせんというものの体制が貧弱ではないか。やはりこの辺については、消費者保護という見地から相当踏み込んで、見違えるようなといいますか、人員の体制にしましても、大蔵省等も相当気を配らなければいけないかと思うのですけれども、この点についてどのようなお考えをお持ちでしょうか。     〔委員長退席、坂井委員長代理着席〕
  44. 山本晃

    山本(晃)政府委員 お答えをいたします。  今、北橋先生御指摘のとおり、証券取引に関する紛争あるいは苦情処理制度といたしまして、自主規制機関である証券業協会では、現在、苦情相談の窓口を置き、また、自主的なあっせんを行っているところでございます。今後、さまざまな金融商品が出てくるものと考えられますので、証券会社や金融機関と顧客との間のトラブルへの対応についても十分配慮していく必要があるというふうに考えております。  このため、今後、特に証券取引に関する民事上の紛争につきましては、できるだけ簡便にかつ迅速に処理できる体制を整えておくということが重要でございまして、裁判に至る前の段階での解決スキームをより一層充実させることとし、現在御審議いただいている金融システム改革法案におきましては、証券業協会が提供する公正中立な第三者によるあっせん制度というものを証券取引法に明確に位置づけまして、その機能強化を図ることとしております。  日本証券業協会が行うこのあっせんにつきましては、発生する紛争の状況に合わせ、適切に処理されるよう、今後、あっせん委員の増員等、その機能の充実強化を図るというふうに聞いておりますので、また、今北橋委員の御指摘も踏まえまして、私ども、このあっせん制度の充実に万全を期してまいりたいというふうに考えております。
  45. 北橋健治

    ○北橋委員 十時十分までの質疑時間でございます。もう限られておりますが、いずれにしても、自主規制機関による利用者保護の拡充ということは今回の法改正でもうたわれております。問題はその中身でございまして、これについては、私ども、今回この法案については条件を付して賛成することにいたしております。その条件の中でも、消費者保護のための万全の体制を我々は大蔵省に求めていく、そういう方針でございまして、これが果たして、法改正が現場で具体的に利用者、投資者にとってどのように生かされていくか、それを真剣に見守っていきたい。そしてまた、後日また問題があるようでしたら取り上げさせていただきたいと思っております。  きょうは生保についても、証券投資の投資者保護基金につきましてもいろいろとお伺いしたがったわけでございますが、最後に一点だけ、官房長にお伺いしておきたいと思います。  この一連の不祥事が起こりまして、今日まで大変な心労の中で頑張ってこられました。ただ、一定の方向を出されたわけでございますが、私ども野党といたしまして、国民の間にはまだまだその処分については甘いといった、皆様方のお考えになっていることと国民世論との間には相当の落差があるということも指摘をさせていただきました。官房長がこれまで服務規律の監督者として、不幸にして自殺をされた、そういった大蔵省始まって以来の厳しい中で陣頭指揮をとってこられたわけでございます。私もこれまで厳しいことをいろいろと申し上げてまいりましたけれども、それが国民世論であるからと思ったからであります。  そういった意味では、今後とも厳しい世論環境の中で大蔵行政を取り仕切っていくと思うわけでございますが、週刊誌を見ましてもどこを見ましてもいろいろなことが書かれております。しかし、大蔵省の皆様方の士気が衰え、そして仕事に差し支えが出てくるということになりますと、これからビッグバンが進んでいくわけでございまして、そういった意味では日本の行政にもしっかり頑張ってもらわなければいけないわけでございます。  厳しいことをこれからも申し上げると思いますが、服務規律の最高責任者といたしまして、官房長にはそういった意味で、内外の厳しいビッグバン状況、いろいろな問題があると思いますけれども、ぜひとも大蔵省の再生を期して、その陣頭に立って頑張っていただきたい。そういった決意があればお聞かせを願って、私の質問を終わらせていただきます。
  46. 武藤敏郎

    ○武藤政府委員 今般、金融検査部等の職員が逮捕されたこと等によりまして、金融行政に対します不信感、さらには大蔵省全体に対する不信感が高まりかねない状況にあったわけでございまして、千五十名の職員を対象に調査を行ってまいりました。この結果、多くの職員が民間金融機関等との間に公務員としての節度を欠いた関係があったことが判明し、御案内のように合計百十二名に上ります処分者が出たことは、まことに遺憾なことというふうに存じております。  大蔵省職員一同、これを契機に、松永大臣の指揮のもとで綱紀の厳正な確保を図るとともに、新しい時代の要請を踏まえて、真に国民の負託にこたえられるよう全力を尽くしたいというふうに思っておりますので、引き続き御叱正、御鞭撻をよろしくお願いしたいと存ずる次第でございます。
  47. 北橋健治

    ○北橋委員 終わります。ありがとうございました。
  48. 坂井隆憲

    ○坂井委員長代理 次に、石井啓一君。
  49. 石井啓一

    ○石井(啓)委員 おはようございます。平和・改革の石井啓一でございます。  今も北橋委員の方から検査に関する質問がございましたが、私も、今後の新しい金融行政を考えますと、この検査というのが非常に重要なポイントになるというふうに考えております。  まず、監督のあり方としては、早期是正措置が今後柱になるわけでございますけれども自己資本比率等、金融機関自己査定の結果をきちんとチェックをする、こういったことのために検査が非常に重要になるということでございます。また、行政の全般のあり方としても、従来は参入規制が厳しかったということで、ある意味で入り口で厳しくすることによりその内部でのプレーヤーの質を確保していったという面があったかと思いますが、今後この参入規制が緩まるということで、プレーヤーが非常に多様化してくるということになると思いますから、プレーヤーがルールにのっとってきちんとやっているかというチェックをするということが従来以上に重要になってくる。こういった点からも、私は、やはり今後の金融行政においてこの金融検査というのが大きなポイントである、このように考えるわけでございます。  そこで、大蔵省におきましては、ことしの三月三十一日に「新しい金融検査に関する基本事項について」、これを発表されているところでございますけれども、具体的にこの新しい金融検査の実施方法、特に検査の頻度についてどういうことになるのか、答弁をいただきたいと思います。
  50. 原口恒和

    ○原口政府委員 今御指摘のありました新しい検査方式、これは早期是正措置の導入ということを念頭に置きまして、これまでの検査手法あるいは体制を抜本的に見直して、まさに事後的なチェックということに重点を置いた検査方式のあり方に転換をすることとしたものでございます。  具体的には、特に新しい方式におきましては、重点的な項目といたしまして、一つは、早期是正措置の導入を契機として、民間の金融機関等自己査定ないしは外部監査の活用ということを前提として資産の内容の健全性について実態把握をする。もう一つは、昨今のいろいろな状況にかんがみまして、健全かつ適切な業務運営を確保する上で遵守すべき法令等のルールに関して、その遵守等についてその体制がどうなっているか、きちっと内部的に体制ができているか等について事後的に実態把握をする。こういうことに重点を置いて検査を行うことにしております。  また、検査の頻度につきましては、従来、どちらかといいますと一定周期を置いて検査をしておったわけでございますが、今後はそういう金融機関の実態等、あるいは資産内容の状況等に応じて検査の必要性に応じて検査の頻度に繁簡をつけますといいますか、必要性の高いところに重点を置いてやっていくというふうに、検査の間隔についても改めることとしておる次第でございます。
  51. 石井啓一

    ○石井(啓)委員 それでは具体的にお聞きしますが、この「新しい金融検査に関する基本事項について」、この概要を読みますと、検査としては、今御説明あったように、資産内容の健全性に係る検査と、ルールの遵守状況、リスク管理状況等に係る事後的確認検査、この二種類をおやりになる、原則としてこれは一体的に実施するのだけれども、別々に実施することもあり得る、特にルール遵守状況にかかわる検査については抜き打ち検査もあり得る、こういうことのようです。  私は、抜き打ち検査をすること自体は、確かにその必要性は理解をするのですが、逆に、今の金融不祥事の金融検査部に対する接待の一つの原因が、金融検査日を把握するということが大きな目的だったと思うのですね。検査日の漏えいということもあったようですけれども、この抜き打ち検査があり得るとなると、またいつ抜き打ち検査があるのかということを、金融機関としてはこれはやはり恐ろしいですよね、抜き打ち検査というのは。またそういう接待の土壌をつくるようなことにはならぬのかな、こういう懸念一つございます。  もう一つ、これはちょっとうがった見方でありますけれども、原則として予告つきの検査だ、ただ場合によって抜き打ち検査があるということになりますと、当局が懲罰的に抜き打ち検査をするということがあり得るのじゃないか。そういうことはないというふうにおっしゃるとは思いますけれども、そういうある意味での裁量権というのを、金融機関に対して大変プレッシャーを与えるような裁量権というのをここで保持することになるのではないか、私は一方でこういう評価もあると思うのです。抜き打ち検査自体は、ルールをきちっと守るということの検査ですから、その点については必要だと思うのですけれども、逆に、いいことばかりあるわけではなくて、そういう懸念なり心配もあるわけでありますが、その点についてはどうでしょうか。
  52. 原口恒和

    ○原口政府委員 お答えをいたします。  今の先生の御指摘になった検査を予告でするのか無予告でやるのかというのは、まさに見る角度によっていろいろな御主張がございます。  一方において、ただ、従来無予告でやっておったということについて、金融機関の側からいたしますと、検査の場合に非常に膨大な作業を、いろいろな資料を用意しなければいけない、そういうこともあってできるだけ早くそれを知りたいというようなことがあったのかなというようなことも感じております。  そのため、今回の見直しの中で、一方ではいろいろ自己査定をやっておられるということで、金融機関の負担にも配慮をして、その検査に行った場合、できるだけ既存の資料を活用するというような方向にも見直していきたいと思います。そういう意味で、いろいろな資産で資料なんかももう準備をされておるというような中でできるだけ効率的にやっていく場合には、やはり予告をして準備をしていただくということが原則かなというふうに考えた次第でございますが、一方において、いろいろな法令遵守の状況等、こういうものをすべて予告をして行くということになりますと、我々、金融機関について、必ずしもすべて性善説に立って事を進めていくということは、今後の事後チェックの中ではできないということでございますから、やはり無予告でやる場合ということもあり得るということは残しておく必要があるのかなと思っております。ただ、その運用に当たって、今御指摘になったような疑念とか誤解を招くことのないように、これは客観的な立場に立って適正にやっていきたいというふうに考えております。
  53. 石井啓一

    ○石井(啓)委員 その点についてはよろしくお願いしたいと思います。  もう一つ、検査の頻度でございますけれども、今、経営実態に応じて頻繁にやる場合と少し間を置いてやる場合と、そういう差をつけてやることもある、こういうことのようですが、昨年の十二月に総務庁の行政監察に基づく勧告、ここで調べられておりますけれども、結果があるのです。都銀が従来平均四年二カ月の頻度だ、地銀が平均二年十カ月、信用金庫が平均二年、信用組合ですと平均一年十カ月、こういう頻度になっておるのですけれども、この検査の頻度は原則として私はふやす方向には当然なってくると思うのですけれども、その点どうなんでしょう。
  54. 原口恒和

    ○原口政府委員 従来の検査について、御指摘のような間隔があいておるということは事実でございます。  ただ、今後、先ほど申しましたように、特に早期是正措置の導入に伴って、いろいろ資産の状況に応じてまた行政の方でも動かなければいけないというふうなこともございます。そうなりますと、やはりそういう状況について的確に把握する必要があるということでございますので、できるだけ検査の間隔というものがそういうことに影響しないように考えていかなければいけないと思っております。  そういう中で、一つは効率的に検査をやるということもございますし、先ほど申しましたように、今まではどちらかというと総合的な検査でございましたので、そういう意味で間隔があいたという面もございますが、今後は必要に応じて、一つの目的に特化したといいますか、資産査定だけを見るということであれば従来より短い期間でできますので、その分逆に検査間隔を縮められるというようなこともございます。そういうことを総合的に工夫しながらやっていきたいというふうに考えております。
  55. 石井啓一

    ○石井(啓)委員 それでは、今の質問は次の質問に関連するのですけれども、この早期是正措置の実効性をどう担保するのかという問題なんです。これは、金融機関自己査定の結果を外部監査等でチェックした上で監督当局が検査、モニタリングをする、こういうことなんですけれども、この金融機関自己査定の正確性をどう把握するのか、ついてはこの早期是正措置の実効性をどう担保するのか、この点についてはどうなんでしょうか。
  56. 原口恒和

    ○原口政府委員 早期是正措置におきましては、まず原則としては、金融機関みずからの責任において行う資産の自己査定及びこれを踏まえた償却、引き当ての状況の正確性、適切性について、まず公認会計士等の外部監査によるチェックが行われます。そのようなチェックを前提といたしまして、金融検査におきましては、この自己査定の結果、自己査定基準、自己査定体制の整備状況といったようなことについて実態把握をすることによって、的確な自己査定が行われているかどうかということについて事後的にチェックをしていくということでございます。  そういう意味で、検査というのは事後的なチェックでございますけれども、先ほど申し上げましたように、早期是正措置を踏まえて新しい検査の体制を組むことにしておりますので、金融機関の実態あるいはその各決算期における自己資本比率の報告状況等に基づきまして、必要のある場合においては、先ほど言いました繁簡をつけて、重点的な、機動的な検査を実施するということによって早期是正措置の実効性の確保を担保していきたいというふうに考えております。
  57. 石井啓一

    ○石井(啓)委員 そういたしますと、金融機関自己査定をして自己資本比率を発表する、その都度監督当局が検査に入ってそれをチェックする、こういうふうに考えればいいのでしょうか。
  58. 原口恒和

    ○原口政府委員 基本的に、検査の場合、先ほど申し上げましたように、繁簡をつけて必要に応じて行くということでございますので、金融機関自己査定をして決算をすればその都度検査が入るということの体制までは今至っておりません。したがいまして、どういう場合に行くかというのは、やはりその都度必要性等勘案しながらやっていくということにならざるを得ないと思っております。
  59. 石井啓一

    ○石井(啓)委員 これまで例えばいろいろ銀行破綻してきましたけれども、その都度、従来公表してきた不良債権額より、実際にその後検査にしっかり入ってみると不良債権額が非常に大きくなってきたという問題、あるいは証券会社の山一の場合は簿外債務というのがチェックできなかった。こういったことを考えますと、金融機関自己査定をしてその外部監査をした結果をやはり一〇〇%信じるというわけにはいかないですよね。それをやはりちゃんとチェックをその都度しなければこの早期是正措置というのがうまく働かないのじゃないか、この検査が十分にその都度できるような体制を組まないと、この早期是正措置、絵にかいたもちにならないのかな、こういうふうに思うのですけれども、その点どうでしょう。
  60. 原口恒和

    ○原口政府委員 早期是正措置におきましては、やはり基本的に金融機関の自己責任というもの、それからいろいろな市場のルール、この中には決算なりディスクロージャーについてのルールということも含まれると思います。そういう全体の中で、またそれは検査だけではなくて、いろいろな法令によって、例えば虚偽のいろいろな決算をしたという場合の、あるいは報告をしたという場合の罰則等も前回の国会で強化をしていただきました。そういういろいろな中で、全体として自己責任、市場規律のもとにやっていくという中で、また検査も十分有効な機能を果たしていくということを組み合わせていくということだと思います。ただ、今の体制からいって、すべての金融機関の決算が終わった段階で全部それをチェックしていくということはなかなか難しいということも御理解をいただきたいと思います。  ただ、一方におきまして、早期是正措置というのが導入されまして、それについて各金融機関がきちっとそれを悪意ということでなくて理解をして、正確な自己査定をしているかどうかということについては、これはできるだけ早い段階に早急に確認をするということをやっていきたいというふうに考えております。
  61. 石井啓一

    ○石井(啓)委員 今の体制の中ではなかなかその決算のごとに検査をすることはできない、こういうことのようなんです。確かに今の体制を前提にすればそういうことなんですが、私どもは、やはり今の体制自体を、検査体制を抜本的に充実すべきである、このことを主張したいがために今るる申し上げているのですが、従来以上にこの検査が重要になってくる。なおかつ、早期是正措置ということになると、金融機関自己査定の結果を、理想的には決算のごとにきちんとチェックをすることがやはり理想でありましょうから、そういったことで考えると、到底今のこの金融検査の体制ではできない、こういうことのようでございますので、私は、先ほども同僚委員の方からございましたけれども、やはり金融監督庁の定員をこの際大幅に増員するということを考えていくべきではないかと思うのです。この点、大臣、いかがでしょうか。
  62. 松永光

    松永国務大臣 先ほどから申し上げておりますように、金融ビッグバンが進めば進むほど、たくさんの人が金融機関との取引が進むわけでありますし、量的にも大変ふえるでしょう。  そこで、消費者の保護という立場も考えれば、金融機関というものは健全な経営をしてもらわなければ消費者に迷惑が及ぶ、損害が及ぶということがあるわけであります。その意味で、金融機関経営の健全性確保についての検査というものは非常に大事だというふうに思います。今までより以上に大事になるだろう、こう思います。そう考えれば、金融機関に関する検査、これに当たる要員の数とそれから質の向上は非常に大事なことであるというふうに思います。  金融機関に対する検査の権限、業務というものは、金融監督庁に移りまして大蔵省で云々することではありませんけれども、人員の増加あるいは検査に当たる人の質の向上についての所要の措置については今後とも努力をしていかねばならぬ、こういうふうに思います。
  63. 石井啓一

    ○石井(啓)委員 大蔵省から金融監督庁に移りますと、定員の増員というものの査定は総務庁ということなんでしょうが、当然予算がかかわりますから大蔵省にも相談があるわけでございますので、大蔵大臣はその点十分バックアップをぜひしていただきたいと思うのです。その点、よろしくお願いをいたします。  この点について、もう一つ指摘をしておきたいのです。  先日、当委員会におきまして、参考人質疑で慶応大学の池尾先生がおっしゃっておったのですけれども、この金融システム改革金融ビッグバンというのは、フリーとフェア、それに伴ってグローバルということですけれども、とかくフリーが強調されてフェアの部分がなかなか表に出てこない、実は公平さを確保するためにはコストがかかる仕組みになっているのだ、今回の新しい金融システムというのは公平さの確保のためにコストがかかる仕組みになっていて、そのコストを惜しむべきでない、そういう御意見を伺ったのですね。私はもっともだと思いました。  そのコストがかかるというのは、一つはやはりこの金融検査に関するコストだと思うのですね。行政改革ということもありますから、全体的にスリム化していくというのは当然でありますけれども、やはり必要な点においては充実させていくということはもちろんのことでございます。私は、やはり、全体的な行政の中でも金融監督、金融検査に係る人員というのはそういう意味で非常にウエートが高くなるのではないか、そういう思いがいたしますので、指摘をしておきたいと思います。  それから、金融監督庁の、これは六月のいっかわかりませんが、六月に発足をするということでございますけれども、職員の人選の基準がどうなるのか。特に、大蔵省が発表された「新しい金融検査に関する基本事項について」の中でも触れられておりますけれども、民間の専門家の登用、この登用についての措置というのがどういうことになるのか。この点について答弁をいただきたいと思います。
  64. 山本晶三

    山本説明員 御説明いたします。  金融監督庁の職員の大事につきましては、任命権者たる長官が、その判断によりまして、業務を的確に遂行して国民に信頼される金融行政を実施していく観点から、適切に人事権を行使し、望ましい人材を確保していくべきものと考えております。金融監督庁の設立時におきましては、大蔵省からの検査監督事務の移管に伴いまして定員の振りかえを行い、これらの事務に従事してきた者の相当数を金融監督庁に移して活用していく必要がございます。  金融監督庁の設立に当たりましては、金融行政経験の豊かな人材を確保する必要がありますが、長官の判断のもとに、御指摘のあった民間からの人材の登用も含め、幅広い分野からの望ましい人材確保について検討していく必要があるものと考えているところでございます。  なお、民間からの人材登用につきましては、処遇その他の点でなかなか難しい面もございますことは事実でございます。検討すべき点も少なくないもの等はございますが、そういう点につきましては御理解いただきたいと考えております。
  65. 石井啓一

    ○石井(啓)委員 大臣にちょっと確認したいのです。  これはたしか行革特であったと思いますけれども、今回の大蔵省の内部調査で処分を受けた職員は金融監督庁に推薦しない、こういう御答弁があったと思います。今回処分が実施された段階でこのことについて改めて確認したいと思いますが、大臣、お願いいたします。
  66. 松永光

    松永国務大臣 どういう人間を金融監督庁の職員として採用するかということは、基本的には金融監督庁長官がその権限に基づいて行われるわけであります。一般論からいっても、国家公務員法上の懲戒処分を受けた者は金融監督庁の重要な職につく者としてはふさわしくないというふうに私は考えます。  国家公務員法上の懲戒処分を受けた者でない場合にどうかということになってくると思うのでありますが、やはり、倫理観と使命感を持ち、知識と経験を持った有為な人材を長官は望むでしょうから、倫理観、使命感、知識、経験、こういったことからいって妥当だという人を金融監督庁長官の方から求められた場合には推薦をするという形で協力をしていかなければならぬ、こういうふうに思います。     〔坂井委員長代理退席、委員長着席〕
  67. 石井啓一

    ○石井(啓)委員 そうすると、懲戒処分以上の処分を受けた人、これは推薦をしない、それ以下の内部処分の方については場合によってはあり得る、こういうことでございましょうか。ちょっと確認します。
  68. 松永光

    松永国務大臣 先ほど申したことの繰り返しになりますけれども、国家公務員法上の懲戒処分を受けた者が金融監督庁の重要な職につくことはふさわしくないというふうに私は思います。その人事権者は長官でありますから、恐らく長官の考え方も私に似たような考え方ではなかろうかなというふうに思いますけれども、現在、私の考え方を問うということであるならば、一般論としてそのように申し上げるわけであります。  なお、だれを職員として採用するかは、先ほども申し上げましたけれども、長官のお決めになること、長官の人事権でありますが、推薦する場合には、先ほども申したとおり、金融監督庁の業務を遂行するというその職務の重要性にかんがみまして、ふさわしい倫理観と使命感と知識、経験、こういったものを持った人を推薦して、そしていい人材が集まるように協力をしていかなければならぬ、こう思っておるわけであります。
  69. 石井啓一

    ○石井(啓)委員 基本的にはそれは金融監督庁の長官の人事権なのでしょうけれども、でも、大蔵大臣がオーケーと言わなければ大蔵省から出さないのでしょう。移籍しないわけですね。大蔵省が、いやこの人は大蔵省として残しておく人材だといってオーケーしなければ、それは移れないはずですね。そういう意味大蔵大臣の了解がなければ当然金融監督庁の方には行けないと思うのですけれども、その点はどうなんでしょうね。ちょっと確認します。
  70. 松永光

    松永国務大臣 その点につきましても、先ほど申し上げたわけでありますが、できる限りの御協力をしてまいりたい、こう申し上げたところでございます。
  71. 石井啓一

    ○石井(啓)委員 ですから、実際的にはやはり大臣の了解がないといかぬと思うのですが……(松永国務大臣「協力するんだよ」と呼ぶ)協力するのでしょう。  だから、言っていますのは、やはり金融検査に対する不信感というのは非常に大きいわけですから、新しい組織というのは身ぎれいな人でやる、スタートするというのが当然国民の期待であるし、やはりそうでなければいけないと思うのです。そういった意味において、要するに内部処分の人を本当に行かせるのか、この点については私はやはり疑問があるのですけれども、その点、どうでしょう。
  72. 松永光

    松永国務大臣 先ほども申し上げましたとおり、基本的には金融監督庁長官の権限であります。私の方でその者の過去の経歴等を故意に隠して採用されるようにするようなことはしたくありません。その人の経歴、そしてすべてを申し上げて、その上で金融監督庁の長官がみずからの権限に基づいて採用されるものというふうに私は思います。
  73. 石井啓一

    ○石井(啓)委員 それでは、またこれは金融監督庁が発足したときに確認をしたいと思います。  それから次に、金融監督庁と大蔵省との人事交流が今後どうなるのか、この点について答弁をいただきたいと思います。
  74. 山本晶三

    山本説明員 御説明いたします。  金融監督庁発足後の大蔵省との人事交流のことだろうと考えておりますが、今回の総理府に設置されます金融監督庁の大事につきましては、先ほど大蔵大臣からも御答弁ございましたように、任命権者たる長官の人事権が厳正に確保されることが何よりも重要でございまして、長官がその判断によりまして業務を的確に遂行できるよう、適切に人事権を行使して望ましい人材を確保していくことが必要でございます。  金融監督庁と大蔵省との人事交流を一般的に遮断するかどうかにつきましては、省庁間の人事交流はいわゆる縦割り行政の弊害の是正に資するものでございますこと、それから国民に信頼される金融行政を実施していくためには、検査監督の実務と制度の基本等の双方に通じた人材を養成する必要があること等の点も十分に踏まえるべきものであると考えているところでございます。  いずれにせよ、この点につきましては、金融監督庁法をつくりましたときの衆議院の行政改革に関する特別委員会において附帯決議が行われているところでございますので、これをも踏まえ、金融監督庁長官が適切に判断していくものと考えております。
  75. 石井啓一

    ○石井(啓)委員 これは人事交流ということですから当然大蔵省側の意向もあると思うのですけれども大蔵省としてはどうですか。
  76. 溝口善兵衛

    ○溝口政府委員 御指摘のように、交流でございますから、両方で協議して決めることになろうと思います。  基本的な考え方は先ほど準備室の方から説明がありましたとおりでございまして、私どもも基本的な考え方は同じでございますので、具体的な運用に当たりましては、双方の間でよく協議の上、適切に対処していきたいというふうに考えております。
  77. 石井啓一

    ○石井(啓)委員 これは附帯決議が付せられたときにも議論にはなっていたと思いますけれども、新しくできる金融監督庁というのがいわゆる大蔵省の植民地にならないようにというやはり皆さんの心配といいますか、そういうのがあると思うのです。そういう意味では、人事交流自体は私は否定をするものではありませんけれども金融監督庁の特定のポストがずっと大蔵省の指定席になる、こういうようなことはぜひやめてほしいと思うのです。  大臣、ちょっと答弁いただきたいと思います。
  78. 松永光

    松永国務大臣 どのポストにどういう人をつけるかということは金融監督庁長官の人事権でありまして、その人事権を適正に行使されるもの、私はそういうふうに思います。  したがいまして、あるポストに時あってはこの人が適当だから欲しい、こうなってきた場合に、大蔵省側でその協議に応ずれば大蔵省の人がなることもあるでしょうけれども、それはすべて金融監督庁長官、人事権者の判断でなされるものというふうに私は思います。
  79. 石井啓一

    ○石井(啓)委員 建前はそうだと思うのですが、今現在の実態を見てみましても、各省庁に固定ポストで大蔵省の方から出向しているのがたくさんあります。その実態は大臣も御存じだと思うのですけれども、私は金融監督庁についてはそういうことにならないようにぜひしてほしいと思います。  これは、それでは金融監督庁ができましたらこのことについてもまた改めて確認をしたいと思います。  検査に関する質問の最後ですが、金融検査に関する情報公開を進めるべきではないか、そういう論点でございます。やはり透明性の高い金融行政を構築していくという観点から、また国民理解を深めるという観点から、金融検査に係る情報公開を進めるべき、こういうふうに考えますが、この点についてはいかがでしょうか。
  80. 原口恒和

    ○原口政府委員 今後の金融のあり方の中でいろいろな意味でディスクロージャーと申しますか情報を公開していくということは重要なことだと思いますし、またそれ自身いろいろな制度の中で拡充をされているというふうに考えております。  ただ、個別の金融機関等の検査結果、その生のままを公表するということにつきましては、信用秩序維持等に重大な影響を及ぼすおそれがあること、あるいは金融機関の取引先、預金者等に不測の損害を与えるおそれがある、ないしはプライバシー侵害の問題があるというような理由から、公表をしてきておらないわけでございますし、また、アメリカ、イギリス、フランス等の海外当局においても同様であることを御理解いただきたいと思います。  ただ、金融検査につきまして、その全般的な実施状況でございますとか、あるいは検査の基本方針、検査によって把握した金融機関業況の全般的な状況、そういったものを取りまとめて公表するということにつきましては、先生御指摘のとおり、検査に係る事務運営の透明性の向上を図る、あるいは検査に対する国民理解を一層深める観点から有益であるというふうに考えられますので、今後そういったことについて検討を進めてまいりたいというふうに考えております。
  81. 石井啓一

    ○石井(啓)委員 全般的な実施状況についてはそれはそういう方向でやっていただきたいと思いますが、個別検査についても、私、全部出せとは申しませんが、できる範囲でおやりになったらどうかと思うのです。  当委員会で資料要求をいたしました四つの銀行に関します検査報告書、示達書、示達回答書、拝見させていただきましたが、あれをそのまま出すということになりますと確かに個人のプライバシーあるいは企業の利益、不利益にかかわるということでありますから、まああれはその現物の資料を出すということはできないということは私も理解をいたしましたが、その資料要求のときにも個別の検査について概要を出されたのです、検査報告書の概要という形でああいうものはプライバシーに十分配慮してなされているものでありますから、私はやはり個別検査の結果についてもああいう検査報告の概要的なものを公表をしたらどうか、こういうふうに思うのです。この点についてどうでしょう。
  82. 原口恒和

    ○原口政府委員 御指摘概要につきましては、当該銀行の検査に関しましてはいろいろな不祥事の絡みもあっていろいろな御疑念をいただいたということであえて作成をいたしました。ただ、我々としては、あれ自身も秘密保持ということをお願いをしておったわけでございますし、また、一般的に、先ほど申しましたけれども、検査の間隔等も今後各銀行によっていろいろな状況で繁簡をつけてまいるというようなことになりますと、その都度、差しさわりのない部分であるにしても、それを個別に検査の概要として発表するのがいいのか。それよりやはり、一方においては金融機関の各決算期とかあるいは重大な事故が起きたときに、商法上の原則に基づいたディスクロージャー、そういうものをやっていく中でそれをいろいろ担保をしていく、また検査においてもそういうものがきちっとできているかどうかを検査していくということで、全体として情報の公開、情報の開示の拡充をしていくということが適切ではないかというふうに考えております。
  83. 石井啓一

    ○石井(啓)委員 この点については前向きに御検討いただきたいと思います。  それから、先ほどもちょっと申し上げましたが、昨年の十二月に総務庁の勧告で金融に係る勧告が出されておりますけれども、この中で「金融に係る情報開示の推進」ということで指摘をされております。この指摘に関しましてどういうふうな対応がなされているのか、この点について御説明いただきたいと思います。
  84. 山口公生

    山口政府委員 この勧告におきまして、金融機関のディスクロージャーの重要性を御指摘いただいております。  これにつきましては当委員会での御議論もいろいろございましたし、それを踏まえまして、まず、個別金融機関のディスクロージャーにつきましては、国際レベルでの経営の透明性を確保するという観点から、デファクトスタンダードでありますSEC基準に合わせたディスクロージャーの拡充を図ることといたしました。さらに、この法案でもお願いしてございますが、来年三月期から連結ベースでも、あらゆる金融機関に対してSEC基準並みの不良債権額の開示を罰則つきで義務化させていただくことといたしました。こうしたことで、開示の内容の正確性、預金者への確実な開示を担保することをねらっております。  さらにもう一つ、ディスクロージャーで、不良債権だけの問題ではございませんで、顧客、お客様にどういうふうによく知ってもらうかという問題もあるわけでございます。ディスクロージャーというと、何か不良債権だけが問題があるようにいつもとられがちでございますけれども、こういうビッグバンを迎えますと、もっともっとお客様に丁寧にいろいろ開示をしていくということが重要でございます。  その点につきましても、今度の法改正の中で、二十一条の第四項等では、その他の事項についても参考となるべき事項の開示に努めなければならないという規定も置かせていただきまして、こういった商品がどういうものをやっているのかというようなこともディスクローズをするようにということで、この勧告も十分に参考にさせていただいて、もちろん当委員会での御議論を重要視させていただいたわけでございます。
  85. 石井啓一

    ○石井(啓)委員 今局長の方から顧客に対する開示ということがありましたが、この勧告の中でもそういったことを細かく大分言っているのですね。利用者の利便に配慮した開示方法の適切化ですとかあるいはオープンにする時期をなるべく早くすべきだとか、そういったことを言っておりますので、その点についても今後とも改善措置を図るよう要望をしておきたいと思います。  それから、先ほど申し上げましたが、今回、金融監督については早期是正措置が非常に重要になるわけでございます。これは過日、我が会派の西川知雄議員の方から早期是正措置について、これはきちんと法律に明記すべきではないかということで議論があったと思いますが、私も、肝心の早期是正措置の発動される基準とか具体的な措置の中身はやはり法律に明記すべきというふうに考えておるのです。  今回の改正案では、証券取引法については、証券会社への早期是正措置に関してこの改正案の第五十二条そして第五十六条の二で明記をしているのですけれども銀行法、保険業法では相変わらずこれが省令に委任をされている。なぜ業種によってこういうふうな差があるのか。私は、証取法で法律に明記ができているのでありますから、銀行法、保険業法でも当然できるのではないか、こういうふうに考えておりますが、この点について御答弁をいただきたいと思います。
  86. 山口公生

    山口政府委員 銀行の場合、先生御承知のように、BIS基準が国際統一基準になっておりまして、その国際基準についても頻繁に会合を行い、その変更等がしばしば行われております。そういったことに対して弾力的に対応する必要があるというふうに考えておるわけでございます。  一方、証取法の方は、確かに先生おっしゃるように、法律で一二〇%というようなパーセントも書いてございますけれども、証取法の場合、今度は証券会社を登録制にいたしまして、免許制から登録制へ、すなわち参入、退出が自由という形にさせていただいた。そうすると、基準をなるべくはっきり明示的にしておくという一方の要請も強いという面もございます。  確かに、どの部分法律で書くべきか、どの部分を省令で任せられるかという問題は立法政策的に非常に難しい点でありますけれども、特に、銀行あるいは保険の場合でも国際的ないろいろなスタンダードづくりというのが進められておりまして、しょっちゅう弾力的な対応ということで変えていかなければいけないという事情もあるというようなことではないかということでこういう措置をやらせていただいたということでございます。
  87. 石井啓一

    ○石井(啓)委員 保険についてはどうですか。
  88. 福田誠

    ○福田政府委員 お答えいたします。  保険業法も銀行法と大体同様な体系でございます。すなわち、早期是正措置の大きな枠組みは法律で規定いたしまして、細部の発動基準、措置内容については省令で定めるということでございます。その理由については今銀行局長が申し上げたとおりでございます。  なお、ソルベンシーマージン基準そのものにつきましては、平成八年度から施行されております現保険業法の省令及び告示等において既に明らかにされております。早期是正措置は、既に明らかにされておりますソルベンシーマージン基準を活用しまして、どのようなカテゴリーでどのような措置をとるかを定めていくものでございます。  いずれにしましても、そのカテゴリー区分に応じた是正措置の詳細につきましては、今後十分検討の上、透明性等にも留意しながら検討してまいりたいと考えております。
  89. 石井啓一

    ○石井(啓)委員 今回、保険については新たにソルベンシーマージン比率をもって早期是正措置が導入されたわけでありますけれども、その基準の区分なり、あるいは措置がどういう措置なのか、私は、少なくとも、省令に委任されているとはいえ、法案審査の段階でやはりそこら辺はきちんと説明してほしいと思うのです。私ども審査をする段階では全くわからないのですよ、どういうことになるのか。早期是正措置、ソルベンシーマージン比率を導入すること自体は私は結構だと思うのですけれども、それがどういうふうに実際に運用されていくのか、やはり法案審査の段階で明らかにすべきじゃないのでしょうかね。どうでしょう。
  90. 福田誠

    ○福田政府委員 お答えいたします。  具体的には、確かに詳細を詰めさせていただくのは今後でございますが、考え方といたしましてやはり銀行における早期是正措置が参考になるわけでございます。あくまで、発動基準の趣旨としては、保険会社の経営の健全性確保と経営破綻の未然防止を図るという意義にかんがみまして、保険金の支払い能力の充実度を示すソルベンシーマージン比率を用いて区分を設けるわけでございますので、考え方としては大体、銀行のようなことを考えているということでございます。
  91. 石井啓一

    ○石井(啓)委員 いや、考え方はわかるのですけれども、では、本当にどういう措置になるのかというのがわからないのですよ。例えば銀行と同じような措置になるのですか、保険会社に対しても。
  92. 福田誠

    ○福田政府委員 例えば銀行の場合、御案内のように三区分設けておりまして、その区分に応じて、傷みぐあいといいますか財務内容の健全性に応じて段階的に是正措置を強化していく、そして一定の比率を下回る場合には業務停止命令を含む措置を発動するということでございます。ただ、銀行と保険と全く同様でよろしいかどうかということになりますと、保険会社と銀行との財務体質あるいは経理の違い等々ございますので、詳細の点についてはやはりお時間をちょうだいしなければならないと思っているわけでございます。
  93. 石井啓一

    ○石井(啓)委員 今回の金融システム改革法案、実は、いろいろ勉強してみると、随分政令あるいは省令に委任されている部分が多いのですね。確かに、これだけ大部の法案ですから、具体的な中身を詰めるのは時間が要るかと思いますけれども、私は、できるだけといいますか、政省令に委任されるにしても、やはり法案審査の段階では、我々がその審査をきちんとできるような概要をきちんと説明すべきである、このことは強く申し上げておきたいと思います。  時間が少なくなってまいりましたので、保険契約者保護機構につきましてちょっと気になる部分が幾つかあるのです。  破綻保険会社から保険契約を移転する場合に、保険の金額その他の契約条項の変更をすることができるというふうに今回の保険業法の改正案の第二百五十条でされておりますけれども、具体的にどういう条件の場合、その契約条件が変更されるのか、この点について確認をしたいと思います。     〔委員長退席、井奥委員長代理着席〕
  94. 福田誠

    ○福田政府委員 お答えいたします。  かねがね申し上げておりますように、保険の場合には、契約者保護のためには契約の継続を図るということが最も重要でございます。そうなりますと、保険契約を引き受ける側の健全性を確保することが前提となるわけでございまして、したがいまして、引き受けた後の将来に向けたものに限って予定利率等の変更が必要となる場合があるというふうに考えているわけでございます。  その具体的な変更はどう行われるのかということでございますが、これはやはり個々の破綻状況、あるいはどのような商品を引き継ぐのか等々によって異なるわけでございます。実際には、保険契約を適正かつ安全に維持する等の観点からいたしますと、例えば、破綻会社が破綻した時点破綻処理時点に、健全な会社が募集している同種の商品がどのような条件で販売されているか、あるいは、そのときの金利状況等の資産運用に係る環境、そして引き継ぎ後の、引き継いだ側の支払い保証機構等の収支見通しなどを踏まえながら、やはり保護機構においてその時点で具体的に検討されることになるのではないかというふうに思います。
  95. 石井啓一

    ○石井(啓)委員 もう時間になりましたが、最後に確認したいのですけれども、契約条件が変更されるということですが、二〇〇一年三月末までの経過期間、この期間においては補償の基準を厚くしておりますね。この期間においても、破綻した場合、契約条件は変更されるのかということと、もう一つ、早期解約控除制度は適用されるのかどうか、この二点を確認しておきたいと思います。
  96. 福田誠

    ○福田政府委員 お答え申し上げます。  経過期間中につきましては、責任準備金を全額保護するものとして個人年金保険を対象としておりますので、この契約の対象者につきましてはそのまま全額保護されるということを申し上げておきます。  それから早期解約控除でございますが、これは、引き継がれる保険集団、これがどんどん目減りいたしてまいりますと保険として運営できなくなりますので、引き継がれる保険集団の維持を図るために、必要であれば早期解約控除が適用されることもあり得るということでございます。
  97. 石井啓一

    ○石井(啓)委員 済みません、保険部長、いいですか、ちょっと時間がないのですけれども、責任準備金、一〇〇%が補償されるというのはわかるんだけれども、予定利率も変わらないのかということを確認したいのです。
  98. 福田誠

    ○福田政府委員 失礼いたしました。責任準備金は全額保護いたしますが、将来に向けての条件変更は場合によってはあり得るということでございます。
  99. 石井啓一

    ○石井(啓)委員 時間が参りましたので、終わります。
  100. 井奥貞雄

    ○井奥委員長代理 次に、小池百合子君。
  101. 小池百合子

    ○小池委員 自由党の小池百合子でございます。  きょうは締めくくりということで、少々幅広く、また、できるだけ枠組みについて御質問をさせていただきたいと思います。  まず、きょうは日銀の山口副総裁にもお越しいただいておりますので、早速、日銀の金融政策について再び伺いたいと思います。  副総裁も、前回の私の質問については若干御記憶があると思いますけれども、最近はデフレの瀬戸際ではないかという表現を私使わせていただいた、それに対して、いや、まだそこまでは至っていないというようなお答えをちょうだいいたしたのを記憶しております。そしてまた、こうなりますと金融政策はもう余り幅がないのではないか、しかし、それでも昨今の経済状態を考えますとさらなる金融緩和もとり得るのではないかということで、もっと極端な例で、ネガティブレートはどうかということを伺わせていただきました。お答えがネガティブでございましたけれども。  さて、また新たにさまざまな経済指標も出てきております。例えばマネーサプライの広義流動性などを見ましても、前回伺いましたリクイディティートラップの傾向であるとか、それからマネーの収縮と物価の下落の関係を見ますと、どう見ても私はこれははっきりとしたデフレではないかというように思うわけでございますが、一番最新のところでのお考えを伺わせていただきたい。  また、他のところで山口副総裁御自身が、一段の利下げはプラス面の方が大きいというニュアンスの発言をなさっておられますけれども、その御認識で今もおられるのか、伺わせてください。
  102. 山口泰

    山口参考人 まず、デフレについての認識の部分でございますけれども、確かに、いろいろな物価指数を見ますと、例えば卸売物価などにはかなりはっきりとした下落の傾向がうかがわれます。一方、消費者物価などを見てみますと、これはサービスがかなり含まれているということもございまして、もう少し安定した動きでございますけれども、それでも大体、一年前の水準に比べましてフラットというところ、フラットに近いというところではないかと存じます。このような物価の動きの背後には、やはり全般的な需要の弱さあるいは需給バランスの引き緩みということがあろうかと思っております。ごく最近の経済情勢を踏まえますと、このような需給の緩和傾向がもう少しは続くと思われますので、物価につきましても、どちらかといえば弱い展開がもうしばらく続くのではないかというふうに思っております。  ただ、物価の今のような動きが、例えば企業収益を大幅に減少させるというようなことを通じまして経済活動を次の局面でもう一段大幅に弱くするというようなこと、そういうことが起こりますと、これは本当のデフレではないかと思うわけでございますけれども、今、私どもは、日本経済がそのような局面に入っているというふうには思っておりません。なかんずく、政府総合経済対策が今後着実に実行に移されていきますならば、そのことの効果が必ずやあらわれてくるというふうに思っておりまして、申し上げました物価や需要の動きに対しまして、いずれかの時点で歯どめがかかってくるということを期待しているところでございます。  第二に、日銀の政策についての御質問がございましたけれども、これは来週十九日に改めて総点検をするという予定になっております。直近の政策委員会における判断ということで申し上げさせていただきます。  私どもは、金融をさらに緩和した場合に、それはプラスとマイナスと両方の効果があるだろうというふうに見ておりますけれども、何分金利水準は現在極めて低いところにございますので、ここからさらに引き下げる措置をとった場合に、果たしてどのようなマイナス、あえて言えば副作用というのがあるだろうかということにも十分気をつけなければいけないというふうに思っております。それに加えまして、申し上げました総合経済対策の効果ということが期待されますので、直近の日銀政策委員会議論といたしましては、そういうこと全体を頭に置きましてもう少し様子を見きわめるのが適当であろうということで、これまでの金融緩和基調を維持するというような決定をいたしたところでございます。
  103. 小池百合子

    ○小池委員 最近の長期金利の動きを見ましても、史上最低を目指すような動きでございますし、またさらなるそれに連なりましての短期金利の下げも、その余地はあると考えてよろしいわけですか。
  104. 山口泰

    山口参考人 全く理論的に申し上げますと、短期金利の水準は、今おおむね〇・五%前後のところで動いているわけでございますけれども、理論的にはその下げ余地が全くないというわけではございません。ただ、下げるのが適当かどうかということになりますと、これは先ほど申し上げましたような幾つかのことを総合的に頭に置いて考える必要があるだろうというふうに思っております。
  105. 小池百合子

    ○小池委員 それでは、副総裁、ほかの方で御用事があると伺っておりますので、これで結構でございます。ありがとうございました。  金利については、年金生活者等々のことを考え、また、さらに金利を下げることによってヘッジファンドにまたねらわれてしまう、プラス・マイナスの方をいろいろ考えていかなければならない、それだけに要注意のところかと思っております。  さて、この連休に私もワシントンの方に参りまして、いろいろな方にもお目にかかり、そして自民党の加藤幹事長が御出席になられましたESIの会議の方にも出てきたわけでございますが、その中で私は非常に興味深く感じたセッションが、財政黒字をどうするかというテーマで話し合われた約一時間にわたるセッションでございました。  これは当然日本のことではございませんで、現在のアメリカの黒字をどうするかというまことにうらやましい限りのテーマで話し合われたものでございます。二人のエコノミストが出てまいりまして、そして一人が、財政黒字ということは、すなわち納税者から取り過ぎているのであるからして、それは減税で戻すべきだという説と、それからもう一人、これはライシャワー大使の御子息でございますが、今ブルッキングス研究所の研究員、こちらの方は、むしろ将来に備えて社会保障に備えておくべきだということで、けんけんがくがくの論議を繰り広げておられました。  別の宇宙の話を聞いているようでございましたし、また、かつてアメリカも大変な財政赤字から悩んで悩んで、そして大胆な政策をとって、その結果、今花開いているということで、うらやましくもあり、またやはりそこから学ぶべきことはたくさんあったのではないかというふうに思っております。  しかしながら、我が国を考えますと、またつけ加えさせていただきますと、その会議では、二日間にわたったのですが、やはり日本悪者論というのが、何か日本というのはいじめやすい体質なのか、中南米の問題にせよ、アジアの問題にせよ、大体コメントをする方々がほとんど日本の問題ということを必ず指摘され、その場にいる私も、非常に肩身が狭いという思いをいたしたわけでございます。  そして、そこに至るといいますか、現在の状況に至る原因というのを幾つか振り返ってみますと、当然複合的な原因が考えられるわけでございますが、私は、やはり何といいましても、あの消費税の引き上げというその瞬間からが大きな分岐点であったというふうに思うわけでございます。  つまり、これは何度も繰り返されることでございますけれども、バブル経済からまだまだ立ち上がっていないところに対して、急にフルマラソンをするような、そういうことを強いた。さらには、昨年の暮れの財政構造改革ということでさらにそれを緊縮という方向に持っていったという、まさに明らかな経済政策の間違いというのが重なったことがこの数年間の一番大きな問題点ではなかろうかと思うわけでございます。  そこで、ではなぜそういうふうになったのかというと、さらなるその原因をひもといてみますと、やはり経済の見通しのたび重なる誤りということがあったのではないかと思うわけでございます。そして、そのたび重なる誤りということ、そのポイントとすれば、やはり経済指標といいますか、経企庁の月例経済報告等々で出されます、回復しているとか、いや持ち直したとか、いや一歩下がったとか、非常に文学的な表現でその行間を読み取るという、そういったニュアンスの読み取りみたいな、何かどんどん狭いところに入ってしまって大きいものが見えなくなってしまった、それが重なったということと、それから何としてでもその財政構造改革を目指す動きが、そういった指標、そしてもしくはそういう文学的な表現の中にその意図を織り込んでいったのではないかというふうに思うわけでございます。  まず、せんだっても幾つかこれは記事にも取り上げられていたことがあるわけでございますが、この月例の、それをお決めになる判定委員会というのがございますね。そこで専門委員の方々がもう既に景気は山を越したということをおっしゃっておられるのに、結局それが実際には反映されていなかったというような、そういう報道もございました。  このあたり、どのようにしてこの経済見通しというのが誤っていったのか。それは決して経企庁の方ではお認めにならないでございましょうけれども、その事務的手続、そしてその専門委員意見が酌み取られなかったこと等々について、その問題点を一度はっきりとここで指摘というか、それについて経企庁の方の所見を伺います。
  106. 古川彰

    ○古川説明員 お答え申し上げます。  二つの問題点を御指摘いただいたと思います。  一つは、月例経済報告での判断ということでございますけれども、私どもとしては、経済の動向につきまして、入手可能な最新の統計をできる限り収集して分析する、それから産業界からのヒアリングも行うということで経済の実態把握を行っておるつもりでございます。それから、その時点で最も的確と考えられる判断を行う、そしてその判断に当たりましては関係の省庁とも十分な意見交換をやるということで、政府としてのできる限り中立的な見解を取りまとめているというつもりでございます。  昨年の四月以降ということで御指摘いただきましたけれども、四月の消費税率の引き上げ、それに伴いまして、それの前に駆け込み需要があり、その反動減があったということで、消費につきましては予想以上に下がったわけですけれども、夏にかけましては緩やかに回復に向かっていたというふうに認識しております。そういうふうに月例でも判断したわけですが、秋口ぐらいから、金融機関破綻であるとかアジア地域の混乱であるとかいうことで家計の景況感が厳しくなった。それで経済が停滞するようになったわけでございまして、それを、月例経済報告ではそういうふうに判断を示すように書いてきたというふうに私どもは考えております。  それから二つ目の点ですけれども、景気基準日付につきましての御質問でございます。  景気基準日付、これは景気の山と谷というのを決めるということで、このタイミングを統計的、学術的な見地から十分に検討する、そして私ども調査局長にアドバイスしていただくということで、景気基準日付検討委員会というのをお願いしておりまして、学識経験者の七人の方から構成してやっていただいております。  十二月に開催いたしました委員会につきましての御質問でございますが、そのときにはまだ景気の山と谷を決めるだけの十分なデータがないということでございまして、そもそも、景気の基準の日付、つまり山とか谷を決める、そういう議題としての事項はなかったということでございます。個人的な御見解で委員の先生方からどう見るかというお話があったことは確かでございますけれども、そういう技術的、学術的に山を決めるという議論ではありませんでしたので、そういうふうに新聞なんかにも申し上げたということでございます。  以上です。
  107. 小池百合子

    ○小池委員 今御説明ございましたけれども、官僚の方には申しわけないのですが、よく言われることは、官僚というのは論理的に間違える、そういう表現がありまして、論理はその場その場は正しいのだけれども、しかしそれは全体とすれば違う方向に行ってしまうというようなことがある。  それから、先ほどの専門委員お話どもありました。そもそも景気基準日付検討委員会なるものは山とか谷とかを決めるものであって、後退とか停滞とか、そういう言葉はまた事務方でつけられるというふうには伺っております。そして今、山一とか金融破綻が起こったからとおっしゃいますけれども、では、金融破綻が起こったのは何なんだということも言えるわけで、原因と結果がぐちゃぐちゃになっているとしか私には思えません。  また、関係省庁と打ち合わせをしというところが私は一番気にかかるわけでございます。こうやって客観的に判断するのであるならば、徹底的に客観的に判断すべきでありますし、また、この見通しでもってそれぞれの予算の策定等々の目安にする、何かルールをつくる者とそれからそれを使う者とが同じ人がやっているのは、私は基本的におかしいと思うのですね。ですから、本来であるならば、この経済予測というものは基本的には私は民間にゆだねるべきではないかというふうに思っております。これは私の考え方でございます。  そして、基本的に、私から言わせれば見通しは完全に外れていたと思います。だからこそ、これだけどんどん違う方向に走ってしまって、論理的に逆に日本の立場というのはもう説明がなかなかつかない。それが日本経済政策に対してのコンフィデンシャルクライシスというのを招いているというふうに思うわけでございます。  また、では、これに対してだれが責任をとるのかといったら、だれも責任をとっていないわけです。そうじゃないでしょうか。例えば韓国の場合、あれだけの経済危機を迎え、それが現実のものとなった。そこで、韓国では、ここは前の大統領をすぐ死刑にしてしまうような極端な例でもございますが、経済担当副首相には経済政策の誤りということで逮捕状が出ております。エイズの問題のときに、厚生省の官僚に対しましても逮捕状がというような大変厳しいものが行われました。みんな緊張感がないんじゃないですか。責任感がないんじゃないですか。それはまた政治にも言えるとは思います。  私は、何かどこかでこの国は違ってきてしまったように思うのですね。金融システム安定化の法案もさることながら、かつて、城山さんの小説などを見ましても、官僚の方も、この国をある意味でしょって立つというようなグランドデザインをかいたりする、何かロマンを持っていらしたと思うのですが、今の接待の問題にしろ、官僚の方々がいろいろと世間から問題にされているようなことは非常に恥ずかしいことだと思いますし、皆さん自身がそう思っておられると思う。けれども、心の余裕であるとか、この国を何とかしょうというような気概であるとか、そういうものをどこかの時点で失われてしまわれたのではないかというように思います。  きょう官房長が降格という、そういう人事をとられたというふうに伺っておりますが、今沈滞するこのムードの中で、官僚の方々が余り頑張り過ぎても困るのですけれども、しかしながら、ある種のそういった気概というものをこれからむしろ取り返していただいて、そして本当の意味で政治を行政としてバックアップする、それに立ち戻っていただきたいというふうに私は思うのです。  だれも責任をとらないということについては、大蔵大臣はどうお考えでしょうか。
  108. 松永光

    松永国務大臣 先ほどからの委員お話を聞きますというと、まずは、経済企画庁の経済見通しに誤りがあったのではないかという御指摘でございました。  その点について一経済企画庁の側にもいろいろ言い分はあろうと思うのであります。別に尾身経済企画庁長官の言葉を借用するわけではありませんけれども、やはり経済は生き物でありますから、人知の及ばない出来事も起こり得るわけでありまして、経済企画庁の職員も一生懸命調査もし、努力もして見通しは立てておるというふうに私は言いたいところであります。  内閣の方はどういう形で責任をとるのかといえば、これは御存じのとおり議会制民主主義の国でありますから、その責任は私は選挙によって問われる、これが議会制民主主義の原則だろうというふうに思います。
  109. 小池百合子

    ○小池委員 私はそれは違うと思います。まず、人知の及ばないところでこういう事態が起こったというふうなことをおっしゃいましたけれども、この経済政策の誤りというのは明らかに人災だと思います。経済政策の見通しを誤ったからこそこういうふうになったのだと思います。  であるならば、例えば、去年の十二月、この大蔵委員会で大騒ぎしてつくった財政構造改革法を今改正するという動きは一体何なのですか。これこそ見通しが悪いわけですから。ですから、ここで見通しが悪いということからこのような事態に陥って、そしてわずか四、五カ月後に改正をするというのは、これこそ政策の誤りではないでしょうか。その意思は酌みます。しかしながら、どのタイミングでやるか。経済は生き物だと今大蔵大臣はおっしゃったでしょう。そのタイミングを全部間違えているのですよ。なぜ間違えたかというと、基本的な、論理的なバックアップである経済の報告であるとかその見通しを誤ったからという極めて明快なところにたどり着くのではないかと私は思うわけでございます。  だれもかれも逮捕するというふうなことは言っておりませんけれども、今だれも責任をとっていないから、いつまでもうじうじとして、どこで政策転換したのか、めり張りがないから、どないになっているのかと思って世界は日本のことを見ているわけですよ。全然もはやロジックはないんですよ、今の日本の政策には。それは、だれも責任をとっていなくて、どこかで線を引くということをやらずにずるずるやるから、せっかく十六兆円といったって効果がないのは、そのせいですよ。十六兆で効果がなければ、では二十兆へ行くのですか、二十五兆へ行くのですか。そういう問題じゃないわけでしょう。  やはり、私は、今基本的なこの経済の問題というのは、構造改革ということも必要でございましょうけれども、まさにこの全体の日本の空気の発想の転換と、そして人心一新をすべきというふうに、まず強く訴えておきたいと思います。  いろいろあるけれども、ちょっと次へ行きます。  今回の法案の中にも、いろいろとデリバティブの問題が出てきております。そして、これまでの事前から事後へのチェックというふうになりますけれども、一体、大蔵省の中にどれぐらいデリバティブに精通した人がおられるのか、何人おられるのか、教えてください。
  110. 山本晃

    山本(晃)政府委員 お答えいたします。  確かにデリバティブ取引といいますのは、新たなヘッジなり資産運用ニーズにこたえる取引として日進月歩のところがございます。そういった意味で、私どももいろいろと勉強はしているつもりでございますけれども、デリバティブに関する専門家がどのくらいいるか、また、それが例えば検査部門あるいは監視部門にどのぐらいいるかということになりますと、私もちょっと詳細は存じ上げておりませんけれども、いろいろと恐らく、金融検査部におきましても、あるいは証券取引等監視委員会におきましても、こういったデリバティブの関係については一生懸命勉強をしているものというふうに認識をしております。     〔井奥委員長代理退席、委員長着席〕
  111. 小池百合子

    ○小池委員 何か背筋がちょっとぞくっとしたりして。はっきり言って、私、おられないんじゃないかと思うのですね。  例えば、かつてシンガポールで問題になった、あれはデリバティブじゃなかったのかな、ベアリングズ社でも、若い彼氏が好き勝手にわっとやってしまって、それで穴埋めして、けれども経営責任者はそれを知らなかったわけですね。  私は、はっきり言って、デリバティブの事後チェック、大蔵省もしくは金融監督庁、これはひょっとしたら無理じゃないかと思うのです。それはむしろ監督するのは市場だと思うのです。市場は何かといったら、経営責任者がどこまでリスクを負うかということに尽きるのじゃないかと思う。それが最も現実的な方法だと思うのですが、その経営責任者、銀行経営者、金融機関経営者が責任を負う、リスクを負うということについて、今回の法案では十分ではないのじゃないか、私はまずこれを指摘したいのですが、いかがでしょうか。
  112. 山本晃

    山本(晃)政府委員 お答えいたします。  今回の法案におきましては、有価証券店頭デリバティブ取引を証券業というふうに位置づけましてその導入を図るとともに、投資家保護上の問題が生じることのないように、一つは、顧客の知識、経験及び財産に応じた勧誘を行うべしといういわゆる顧客適合性の原則、それから第二に、相場等の動向について断定的な判断を提供して勧誘することの禁止、第三に、取引の概要を記載した書面の事前交付義務、こういった行為規制がデリバティブ取引に適切にかかるようにするとともに、デリバティブ取引を用いたインサイダー取引あるいは相場操縦等の不公正取引を禁止する等の所要の規定整備を行っているところでございます。  何よりも、このデリバティブズというのは、今委員指摘のように、リスク管理ということが一番大事でございます。私ども、今回の法案におきましては、証券会社というものは、原則、今までの免許制から登録制に移しますけれども、このデリバティブ、これを営業として行うということにつきましては認可制をとる。その認可の際の基準としては、まさにこのリスク管理体制、これを各社がどういうふうにとるのかという点についてチェックする。そして、実際には、その検査のときには、その証券会社なり銀行なりがとっておるリスク管理の体制、それがうまく機能しているかどうか、そういった点を中心にしてやっていこうというふうに考えておるところでございます。
  113. 小池百合子

    ○小池委員 私の申し上げているニュアンスが余り伝わっていなかったかと思います。  このデリバティブというのは、まさにヤクルトは大蔵OBの方がいらして、それでやっていらしてパアになってしまったわけですけれども、それを考えても大変複雑なものであろうし、いいときはいいですけれども、一度逆方向に向かったときはいかに怖いかということで、私は、今回も興銀、野村の提携ということで新会社ができると伺っておりますけれども、はっきりと責任の所在を明確にした上でのデリバティブの開発ということ、これをしなければ、大変厳しいというか、危険なものになると思います。デリバティブというのは切れ味のいいナイフということで、切り方によっては大変なシャープさがあるけれども、逆に自分の身を切るということもございます。  それから、逆に、最近、年金等の運用で五・三・三・二ルールであるとか、さまざまな規制緩和も行われているわけでございますが、そうしますと、公的な資金のデリバティブを使っての運用に対してそういうことも考えられると思うのですが、それに対してのルールというのはどういうことが考えられるのか。御担当の方々、お願いいたします。手短にお願いします。
  114. 皆川尚史

    ○皆川説明員 御説明申し上げます。  年金福祉事業団を通じた公的年金資金の運用は、現物資産への投資が基本であります。ただ、債券先物と外国為替先物、そういった取引を行う場合でも、保有している現物資産の価格変動のリスクをヘッジする、そういう目的、あるいは現物資産の取得または処分を一時的に代替することを目的とした限定的な活用ということに行っております。
  115. 蝶野光

    蝶野説明員 お答えいたします。  郵政省におきましては、郵便貯金、簡易保険の資金運用をやらせていただいておりますが、この両資金運用におきまして、いわゆるデリバティブ運用といたしましては、郵便貯金法、簡易生命保険の積立金の運用に関する法律におきまして、債券の先物取引、債券のオプション取引、そして先物外国為替、この三つが認められております。この三つの運用に当たりましては、為替変動や現物債券の価格変動の危険の防止または軽減を目的といたしまして、それぞれの積立金の運用の健全性に配意して投機的な取引は行わないという旨が関係の省令に明確に規定されておりまして、上記法令に基づき、デリバティブ運用につきましては、投機的目的には一切行わないで、ヘッジ目的にのみ行うという形で行っております。  今後とも、遺漏なきよう万全を期してまいりたいと考えております。
  116. 小池百合子

    ○小池委員 最後のお話を聞いておりますと、今の株式市場というのは非常に危険だと私は思いますので、今やっておられるPKOそのものを否定する発言じゃないかと思って伺ったわけでございます。  あと、企業年金のことについても伺いたかったのですが、次回にさせていただくことにいたしまして、最後に、この金融システムの安定の中で、私は、実は一番重要なのは、ディスクロージャーと消費者教育、そこに尽きるというふうに思っております。  若干、先ほどの質問で重複するところがございますので、そこを省かせていただきたいと思うのです。  ただ、私、せんだっても新聞記事を読んでおりまして、例えば、第一勧銀でしょうか、キティちゃんの預金通帳にすると、第一勧銀は私と同じ名前の小池という総会屋が荒らしに荒らしまくったところで、そしてそこでの信頼度が一気に落ちたということなのですが、しかしキティちゃんだけで一気にまた盛り返してしまった。それからまた、別の銀行が最近新しいデザインの預金通帳を導入しましたら、これがまた人気だというのですね。  私は、これからの金融ビッグバンということを迎えて、これほど消費者教育が必要なことはないなと。つまり、これまでの金利というものに対しての金利差ということ、消費者からすれば、預金者からすれば、どっちへ行けば得なのかということよりも、キティちゃんなのかミッキーマウスなのかという、それしか選択の余地がなかったわけですね。ですから、ゼロのところから消費者教育、預金者教育というのをやっていかなくてはいけない。そして、何かというと急に自己責任と言われてしまうわけですよ。それはやはりたまらない。ですから、まず金融機関すべてのディスクロージャーとそれから徹底した消費者教育ということをしなければならないということを記事を読みましてひしと感じたわけでございます。  それから、ディスクロージャーにいたしましても、これは私自身の保険のことで生保の方からの連絡で、「日ごろから御愛顧を賜り、まことにありがとうございます。さて、今回お支払いする配当金につきましては、厳しい資産運用環境が続く中、運用実績が予定利回り、利率に及ばず、御期待に沿えない結果となり、申しわけなく存じます。」ということだけで、あとはその中身であるとか何もディスクローズがないのです。  預金者からすれば、預金ということは銀行を選んでそこにお金を貸し付けるわけですね。借りるときは今貸し渋りで大変なのに、貸すときには有価証券取引等報告書とか、それを一般の人が読んでもわからないかもしれないけれども、この銀行は安全か否かぐらいの、やはり義務があると思うのですね。私も以前株主総会に向けての。パンフレットで銀行のお手伝いもしたことがあるのですけれども、こんなのでいいのかなと思うぐらいの対談で、それが巻頭のページを飾ってしまったりして、それで済んでしまうような。  ですから、預金者の方も金融機関の方もこれは本当に厳しい競争、サービス合戦そして運用合戦である。そして、それがお互いにリスクをかけるというようなことをもっと徹底していかなければならないのではないか。キティちゃん口座が一気に五万口座ふえたというのを見て私はつくづくそれを思ったわけですが、大臣に一言、それについてお言葉をちょうだいして、終わりたいと思います。
  117. 松永光

    松永国務大臣 金融ビッグバンが進行していく過程の中で一番大事なのは、ディスクロージャーの問題が一つ、もう一つ金融機関の側の説明責任。一般の人たちは、銀行でいろいろな金融商品が売られるということになりますと、銀行だから元本保証だぐらいに誤解するおそれがある。したがって、これは元本保証ではない、リスクがあるということの説明が当然なされなければならぬわけでありまして、そういう説明責任がきちっと果たされなければならぬというふうに思います。そしてまた、各金融機関が適正、適法な活動をしておるかということについての監督検査、これもそれなりに必要であるというふうに思います。それらがそれぞれ任務を果たし、責任を果たしてこそ初めて日本金融市場というものが国内外の信認を得て大いに活性化するのであろう、こういうふうに思うわけでありまして、それを目指して進まなければならぬというふうに思います。
  118. 小池百合子

    ○小池委員 ありがとうございました。  最後に、みどり銀行と阪神銀行の、きょう日経の一面に出ているのですが、これの今後について大蔵省の見方を伺って終わりたいと思います。
  119. 村上誠一郎

    村上委員長 短く答弁をお願いします。
  120. 山口公生

    山口政府委員 本日報道がありましたこの合併問題につきましては、当事者間の話し合いに入ったと聞いておりますが、現段階でそれが固まったという報告はまだ受けておりません。
  121. 村上誠一郎

    村上委員長 次に、佐々木陸海君。
  122. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 日本共産党の佐々木陸海です。  私は、これまでの質疑の中で、このビッグバン法案で、フリーという面は進むけれども、フェアの部分がこれでいいのか、今何よりも必要なのは消費者保護策の確立てはないか、そう大臣に申し上げてまいりました。  消費者保護策を実効あるものにするためには、八〇年代後半の金融自由化以降金融機関が起こした被害をしっかりと受けとめてその教訓を学ぶ必要があります。当委員会でも、幾人もの同僚議員から金融被害の象徴として変額保険問題が挙げられました。また大臣も、しばしば答弁の中で変額保険に言及をされました。その際大臣は、銀行が被告として訴えられ、敗訴したケースもあると述べて、銀行の問題として答弁をされました。私も、変額保険の問題は、本質的には銀行による被害だというふうに考えております。この点では大臣と全く認識が一致するわけであります。  しかしながら、大臣がこういうふうに言われた。銀行といえども銀行の第一線で営業している人のミス、故意過失による不法行為があり得る、そういうことを示すケースとして変額保険の問題に言及しておられた。これは私といささか認識が違うわけであります。認識を深めていただく必要があると思うのですが、変額保険で銀行が問われているのは、現場の営業マン個人だけではなくて、組織的に違法行為をやったということだという点を私は強調したいと思うのです。  一昨年の九月四日に横浜地方裁判所で、横浜銀行と明治生命を相手にした被害者の勝訴の判決が出ましたが、この判決は、銀行員が銀行法、募取法に違反して変額保険を勧誘し、契約を結ばせたこと、そして銀行と生保が密接な提携関係にあり、明治生命から横浜銀行紹介手数料が環流していたことを認定をいたしました。翌日の新聞は、ここにコピーを持っておりますが、「横浜銀などが組織的違法行為」とか、あるいは「銀行と生保の癒着認定」と大々的に報道をしております。  そこで、まず大臣にお伺いしたいのですが、こういう銀行敗訴判決が出ていることは御存じですか。御存じかどうかだけ端的にお答え願いたいと思います。
  123. 松永光

    松永国務大臣 変額保険の関係で、銀行側が敗訴した判決が出たことがあるということは承知しております。私の関与した関係でいえば、問題のポイントは、銀行側の説明責任を故意か過失かで果たしていなかったという点ではなかったかと記憶しております。
  124. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 この横浜銀行のケースはそれよりも少し深い問題であります。  私は、ここに横浜銀行紹介手数料や協力預金を受け取っていた事実を裏づける内部資料を持っております。  一つは、八九年十一月、横浜銀行の個人金融部長が営業店長あてに出した「(変額)一時払終身保険に対する需資案件の推進について」という文書であります。この中では、「ローン増強等の観点から」と強調した上で、「相続を意識し始める六十才以降対策を急ぐ八十才未満の者で健康者」、健康な者をターゲットにしろと指示しております。そして、指示どおり銀行員が保険の勧誘をする。これは当然明白な募取法違反であります。契約のときになって、明治生命の一〇〇%子会社明治生命保険代理社の外交員がやってきて契約を結ぶ。すると外交員から、代理社の横浜営業部長名の個人口座を通じて、横浜銀行系列の株式会社朋栄という保険代理店に紹介手数料が振り込まれるわけであります。その証拠が二つ目の内部資料の文書、これであります。明治生命代理社の「横浜銀行紹介契約手数料支払マニュアル」と題する文書でありまして、紹介手数料の銀行への支払いは、「横浜銀行グループ損保・生保代理店(株)朋栄へ支払う。」というふうに書いて、この朋栄の口座番号が示されている、そういう文書があります。  そして、明治から朋栄に入った紹介手数料はどうなるか。今度は横浜銀行の内部文書、三つ目の文書ですが、九一年九月、営業店長あてに営業推進部長や融資部長などの連名で、「変額一時払終身保険の取引先紹介に係わる生保会社からのメリット吸収について」、こういう文書であります。「基本的には(株)朋栄への手数料収入を期す。」として、朋栄に「保険金額一億円につき三十二万円の手数料が入る。」と書いてあります。そして朋栄から横浜銀行へは、「営業店へは手数料収入全額が収益還元される。」と書いてあります。「預金協力を受ける。」という記述もあります。これには、この左上に「一覧後破棄」と書いてある文書であります。  銀行が組織的に保険の勧誘をし、その結果、生保からの紹介手数料で収益を上げているという動かしがたい証拠があるわけであります。これはまさに銀行法の他業禁止規定違反になるのではありませんか。銀行局長、いかがでしょうか。
  125. 山口公生

    山口政府委員 個別の、また裁判でいろいろ御議論を、事実確認、認定を行われているマターでございますので、私の方からはコメントは差し控えさせていただきます。
  126. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 その問題は後で触れましょう。  実際にこのルートで横浜銀行資金が還流していたことを示す領収書もあります。  これは、明治生命保険代理社の紹介手数料明細書でありますが、五本の保険について三百九十五万五千二百円とあります。日付は八九年十二月二十六日。そして、翌二十七日に朋栄から、これが領収書ですが、「紹介手数料三百九十五万五千二百円(うち消費税十一万五千二百円)上記支払額將に受領致しました株式会社朋栄」。動かしがたい事実であります。  この株式会社朋栄について、明治生命保険代理社の社員がこう証言しています。朋栄は、「変額保険の販売にはいっさい関わっていません。つまり朋栄は、この関係では、横浜銀行へのマージンを支払うダミー会社として入っているのです。」というふうに証言しております。これが証言書です。  事実関係は極めて明白だと思うのです。こういう事実を事実として示されても、銀行局長、これは銀行法違反ではない、あるいはそれについて判断できないとおっしゃるのですか。
  127. 山口公生

    山口政府委員 個別問題でいろいろ御披露いただきましたけれども、この件は、判決がまだ確定していない係争中の個別の事柄でございますので、そういった面でコメントは差し控えさせていただきたいというふうにお願い申し上げております。
  128. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 それは、こういう問題を取り上げるときのいつもの言い分でありますが、私は言い逃れの理由にならないと思うのです。私は、個別事例の判断を求めているのじゃないんですよ。内部資料に基づいて、横浜銀行が組織的な違法行為をしていたかどうかという点を問題にしているのです。これは民事の問題ではなくて行政上の問題です、銀行業法にこういうことを取り締まる規定があるのですから。  そして、三年ほど前になりますが、九五年五月十二日の大蔵委員会で、銀行局長覚えておられますか。私が、裁判で確定したものでなければ事実として認めないというのが大蔵省の立場かと聞いたのに対して、当時保険部長であった山口銀行局長はこういうふうに答弁している。「裁判でなくても事実関係が全く明らかになれば、それは私どもとしては厳正な対処ということになろうかと思います。」こう答弁しているんですよ。  この問題では事実関係、全く明らかです。これだけの事実を私は示しているのですから、そういう裁判中のものだ、係争中のものだというようなことで言い逃れしないで、大蔵省としても横浜銀行に対して厳正な調査をして、きちんと処分すべきではありませんか。
  129. 山口公生

    山口政府委員 先生は、これの事実関係がもう確定したという御主張でございますが、今資料を見ましたら被告の方が控訴を行っておりますので、私としては、裁判というものがそういう事実認定を含めてまだ係争中だというふうに考えております。
  130. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 私が今示したこういう書類は、銀行局として指導すれば、ちゃんと横浜銀行から取り寄せることができるんですよ。それを調べれば事実は確定できるじゃありませんか。裁判所しか事実が確定できないというのですか。そんなばかな話はありませんよ。(拍手する者あり)
  131. 村上誠一郎

    村上委員長 静粛に。
  132. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 私、率直に申し上げたいのですが、銀行局長大臣も、これからは事後チェック型の行政に転換すると常々言っておられるのですよ。違法行為がこういうふうにあるじゃないかと証拠をもって具体的に提起されても、何にも調査しない、裁判の結果を待ちますと言うだけでは、事後チェック体制になんかならないじゃないですか。大蔵省のあり方が問われるのですよ。  大臣、どうですか。この問題をきちんと調査してもらう、大蔵省として、大蔵省の責任で。やるべきですよ。
  133. 山口公生

    山口政府委員 何度も申し上げておりますように、この件は、一審の判決は出ておりますが、今控訴中でございまして、事実関係を含めて最終的には裁判所で、今事実認定も行われております。したがって、この件に関して私がコメントするのは差し控えるべきであろうというふうにお答え申し上げているわけでございます。
  134. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 絶対にそれは納得できないですよ。だって、こういう事実関係があるんだから。この事実関係は、裁判所だけしか判断できないなんて問題じゃないんですよ。こういう問題について銀行局が、大蔵省がきちんと銀行を指導しなかったら、事後チェック体制なんてできないじゃないですか。全部裁判しかないということになってしまうじゃないですか。そんなばかな話がありますか。
  135. 山口公生

    山口政府委員 先生は、この件についてのお尋ねでございます。この件は今裁判で、しかも控訴中であります。しかも、事実関係も含めてそこはまた審査が行われるわけでございますので、したがって、私はコメントをすべきではないということを申し上げておるわけでございます。
  136. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 それは事実が通らない。先ほど、あなたの保険部長当時の答弁も私は引用しましたよ。裁判で確定しなければ事実が認定できないか、そういうものじゃない、全くの事実があればそれによって処分をするのだということをあのとき認めざるを得なかったじゃありませんか。(発言する者あり)そういう問題ですよ。司法への介入じゃありませんよ、これは。銀行がやっている行為についての銀行局の調査なんですから。  委員長、これはやはりきちんと調査をして当委員会に報告してもらうように、手配してもらえませんか。
  137. 村上誠一郎

    村上委員長 委員長では、認める必要がないと思います。
  138. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 極めて不当ですよ。理事会で協議してください。
  139. 村上誠一郎

    村上委員長 不当ではありません。
  140. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 なぜ不当じゃないのですか。
  141. 村上誠一郎

    村上委員長 委員長が答えるべきことじゃありません。委員長は、認めません。
  142. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 極めて不当なやり方だと思いますよ。だって事実があるのだから。裁判かどうかということは関係ないんですよ。裁判は裁判でもちろんやってもらえばいいわけですよ、行政の問題なんだから。
  143. 村上誠一郎

    村上委員長 委員長としては、三権分立の建前から、大蔵委員会ではその要求をする必要はないと思います。  以上です。
  144. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 絶対納得できません。  横浜銀行に対して大蔵省は事実を確認して厳正な処分をすべき、そういう任務を持っている。この問題を放置するようでは、横浜銀行は歴代の事務次官が天下っている銀行でありまして、だから大蔵省は手を出せない、与党の皆さんも手を出すべきじゃない、そうおっしゃるとしたら、そう受け取られても仕方がない。そこをよく考えていただきたいと思います。  そこで、では別の問題を聞きましょう。  大臣、あなたにお聞きしますが、大蔵省は過去一度も銀行の変額保険融資の実態を明らかにしたことがありません。一方で、大蔵省は、保険料ローンがあったことを認めております。  そこで聞きますが、大蔵省は、変額保険の保険料のために銀行が融資した件数や金額、関与した銀行数を把握しておりますか。イエスかノーかですよ。その数を発表しろと言っているのではないから。
  145. 福田誠

    ○福田政府委員 保険料ローンそのものについて、どのような規模で行われているかという統計はございません。
  146. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 要するに把握していないということですね、これだけ問題になっているのに。しかし、大蔵省、本当に事実をつかんでいないのか。  ここに私、千葉銀行の内部資料を持っています。「変額保険融資に対する経過報告について」という文書であります。本店の審査部長から営業店長あての部内通達であります。変額保険融資の債務者一人一人について、貸出残高、返済状況、返済原資、利払い状況、正常か延滞破綻かに始まって、変額保険に対する不満、不満の相手先、不満の内容に至るまで、詳細な中身の報告書の提出を求めています。発出したのはことしの四月九日付で、回答期限は四月十七日。  そこで重要なのは、この文書が、「本報告は当局への回答書の基礎資料となるため、期限厳守のこと。」となっていることであります。当局に回答をするために報告書の提出をせよということを千葉銀行は指示しているわけであります。大蔵省は実態がわからないといいますけれども銀行にこういう報告を求めて回答を得ているのではありませんか。銀行から変額保険の融資状況について報告を受けていないというのですか。
  147. 福田誠

    ○福田政府委員 一般的に、銀行の貸出商品につきまして資金使途や内容等を報告させるといったことは行っておりません。そういうことで、そのような統計は把握していないわけでございます。
  148. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 今私が取り上げた資料の問題については何にも触れていないのですが、これは、参議院で、我が党の上田耕一郎議員が四月に変額保険被害者の実態解明を求める質問主意書を出しているのですよ。その提出日が四月三日なのです。そして、この千葉銀行の通達は四月九日付、その回答期限が四月十七日、そして上田議員への政府の答弁書が出たのが四月二十四日、この日に閣議決定されている。私から見ると、大蔵省は、銀行から調査結果を受けた上で上田議員への答弁書を出したはずなんです。  しかし、この答弁書には何と書いてあるかというと、変額保険への融資件数や金額などを求める質問への答弁は、一般に貸出商品について資金使途や内容等を報告させるといったことは行っておらず、御質問の点については不明である、今の答弁と同じようなことを言っているわけですね。銀行から実態報告を受けているのに、御質問の点については不明である、これは虚偽答弁です。内閣の名前でうそをついたということにもならざるを得ない。銀行から報告を受けていたことはこの内部文書で明白なのですよ。それなのにその結果を明らかにしないで何もつかんでいないというのは、もう調査結果の内容がよほど被害実態がひどかったのか、銀行大蔵省に都合が悪かったのかということを言わざるを得ないと思う。だから隠ぺいしたのではないか、そう勘ぐられても仕方がないと思うのですね。この文書の中には、「報告に際しての留意点」ということで、「現況把握に際しては、債務者に対し、直接質問する等のことは厳に慎むこと。」というふうに書いてあって、秘密に調査しなさいということをやっているわけですね。  大臣、この変額保険融資実態調査をめぐる事実経過、調査の結果の全容を文書で提出していただけませんか。
  149. 山口公生

    山口政府委員 先生の御質問を拝聴させていただいておりますと、ローンをすること自体が何か悪いことのような印象を受けますけれども、ある商品につきまして、お客様の方がローンを組んでほしいという場合に、保険料のローンがあるということはしばしば見られる、また、お客様の要望があるわけでございます。そういった通常の銀行の業務であります。  先生が恐らくおっしゃりたいのは、過去、ローンと保険会社とが何か一生懸命勧めて、十分な説明がなかったのじゃないかというような問題点の御指摘かと思いますけれども、このローン自体を何か問題視されるということは、私はちょっとよくわかりません。
  150. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 この千葉銀行の文書には、当局への回答書の基礎資料として、変額保険への融資の問題について詳細に調査をしているわけですよ。つい最近やっているんですよ。知らないはずないでしょう。当局への回答書として準備しているんですから、大蔵省が求めたはずなんですよ。だから、この経過について報告をしてくださいと私は申し上げているんですよ。
  151. 山口公生

    山口政府委員 やっておりませんので、報告できかねます。
  152. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 そうすると、この千葉銀行の文書は虚偽を書いているということになりますな。結構です。  では、その経過を、この千葉銀行についてもちゃんと調べて報告をしてくれませんか。委員長理事会で協議してもらえませんか、報告出すように。
  153. 村上誠一郎

    村上委員長 時間も来ましたので、理事会で後日協議します。
  154. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 もう時間がありません。変額保険を初めとするバブル期以降の金融被害がなぜ起こったのか、大蔵省はこの真剣な総括がない。だからビッグバンの一方で消費者保護が欠落するわけであります。  さきに挙げた横浜の事件では、横浜銀行が控訴したために今高裁で争われている、おっしゃったとおりです。被害者はみんな高齢です。最初から六十歳から八十歳をターゲットにしろといって、それでやられているのですから当然ですよ。一審で勝訴した四人の原告のうち二人は、昨年からことしにかけて相次いで亡くなられました。本当にどういうお気持ちで亡くなられたか、想像に余りあるものがあると思うのです。横浜銀行が控訴しなければ、あるいは裁判以前に大蔵省の適切な指導によって解決の道があれば、生きておられたときに救済できたはずなのであります。  大臣、最後の質問になります。問題の早期解決は被害者の願いであります。この人たちを置き去りにしてビッグバンなどとんでもない。大蔵省として被害実態の全容の解明と被害者の救済に踏み出すよう、大臣の決意を伺いたいと思います。大臣、最後ですよ。
  155. 松永光

    松永国務大臣 問題は司法の手に移っているわけであります。日本の司法は厳正、公平に判決を下すもの、私はそう確信しております。
  156. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 私は今、最後の問題は一般論として聞いたつもりなのです。裁判にかかっている問題だけの解決の問題を言っているわけじゃないのです。こういう金融被害の問題について全容を調査して解決すべきだ。よろしいですか。−もういいです。保険部長、結構です。
  157. 村上誠一郎

    村上委員長 これにて各案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  158. 村上誠一郎

    村上委員長 これより各案を一括して討論に入ります。  討論の申し出がありますので、順次これを許します。衛藤征士郎君。
  159. 衛藤征士郎

    ○衛藤(征)委員 私は、自由民主党を代表いたしまして、ただいま議題となっております金融システム改革のための関係法律整備等に関する法律案特定目的会社による特定資産流動化に関する法律案特定目的会社による特定資産流動化に関する法律施行に伴う関係法律整備等に関する法律案及び金融機関等が行う特定金融取引一括清算に関する法律案について、賛成の討論を行うものであります。  欧米の金融市場は、この十年間に大きく変貌し、これからもダイナミックに動こうとしております。こうした中で、我が国金融市場におきましても、総合的かつ抜本的な改革を早急に実施し、その魅力と利便性を高めていくことが求められております。こうした問題意識のもとで進められている我が国金融システム改革は、G7のコミュニケにもしばしば言及され、評価されるなど、海外でも極めて関心の高いものとなっております。  今回審議を行っている金融システム改革関連の四法律案は、こうした金融システム改革を本格的に進める上で極めて重要な法律案であります。  具体的には、法律案は次のような利点を有しております。  まず第一に、この法律案は、金融分野の抜本的規制緩和を行うことにより、経済を活性化させるとともに、国民の資産運用手段の充実に資することが期待されております。また、直接金融市場が強化されれば、いわゆる貸し渋りなど、近年企業が直面している資金調達の困難さを緩和し、経済によい影響を与えるものと考えます。さらに、特定目的会社の活用による資産流動化促進一括清算ネッティングは、金融技術の高度化に資するものと考えます。  第二に、本法律案は、金融システム安定化に万全を期すためにも必要であります。預金受け入れ機関のみならず、すべての金融機関の利用者が安心して取引できるようにするため、本法律案では、保険契約者保護機構及び投資者保護基金の創設が盛り込まれております。  第三に、本法律案は、市場に対する国民の信頼を確保するためにも必要であります。抜本的な規制緩和を進め、事前調整型から事後チェック型へと行政のあり方が転換していく中で、投資家等の保護に万全を期するため、今回の法律案では、公正取引ルールの整備、ディスクロージャーの拡充、顧客に対する金融商品等の説明義務の充実等の措置が盛り込まれております。  以上、三点について申し上げましたが、今回の法律案は、我が国市場がニューヨーク、ロンドン並みの国際市場として再生するとともに、利用者の信頼を確保していくためにまことに時宜を得たものであり、今国会において早期に成立することがぜひとも必要であることを指摘し、私の賛成の討論といたします。(拍手)
  160. 村上誠一郎

    村上委員長 次に、池田元久君。
  161. 池田元久

    ○池田(元)委員 私は、民主党、平和・改革及び自由党を代表し、金融システム改革のための関係法律整備等に関する法律案特定目的会社による特定資産流動化に関する法律案特定目的会社による特定資産流動化に関する法律施行に伴う関係法律整備等に関する法律案及び金融機関等が行う特定金融取引一括清算に関する法律案に賛成する立場から討論を行います。  世界的に金融自由化が進む中、我が国金融市場が生き残るためには、金融ビッグバンは避けて通れない道であります。本法律案のうち、いわゆる金融システム改革法案は、外為法の改正に引き続き、ビッグバンをより完成した形に近づけるために非常に重要なものであります。本法律案により、我が国にも魅力のある金融商品、金融サービスが生まれ、一般の預金者や投資家がそのメリットをフルに享受できるようになれば、我が国金融市場は健全かつ力強く発展するものと期待されます。  政府におきましても、本法律案趣旨を十分に踏まえ、適切な執行に努めるとともに、ビッグバンの完成を目指して今後も一層の自由化を検討すること、他方、一般の預金者、投資家が不測の損害をこうむることのないよう、いわゆる金融サービス法等の利用者の視点に立った横断的な法制化についても早急に検討することを求めるものであります。  いわゆるSPC法案については、今日の深刻な金融危機をもたらした最大の原因であるバブル経済崩壊による不良債権問題を解決するための一策として、その法制化が早くから期待されていたものであります。アメリカにおいても、かつてこのスキームが大きな成功をおさめ、不良債権処理促進されたことは記憶に新しいところです。政府におきましては、本法律案の実効性をさらに高めるため、アメリカのRTC等を参考にしつつ、さらに効果的な施策を検討するよう求めるものであります。  また、護送船団方式、密室裁量行政、官民癒着の構造等と批判された大蔵省金融行政、また、数多くの不祥事を引き起こした大蔵省そのものについても、厳しく反省することを求め、真に我が国金融市場がフリーでフェアなものになるよう、今後の金融行政について真剣に議論すべきであることを強調しておきたいと思います。  最後に、投資者保護基金に対する公的支援について、破綻証券会社の救済に公的資金が投入されることがないよう、制度の運用に当たっては十分な配慮をすべきであることも申し上げておきます。  以上、金融システム改革のための関係法律整備等に関する法律案特定目的会社による特定資産流動化に関する法律案特定目的会社による特定資産流動化に関する法律施行に伴う関係法律整備等に関する法律案及び金融機関等が行う特定金融取引一括清算に関する法律案に賛成する理由を申し上げ、討論を終わらせていただきます。(拍手)
  162. 村上誠一郎

    村上委員長 次に、佐々木陸海君。
  163. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 私は、日本共産党を代表して、政府提出金融システム改革関連四法案に対し、反対の討論を行います。  まず、金融システム改革法案に反対する第一の理由は、本法案が投資信託や証券デリバティブなどの拡大を図り、それらの銀行窓口販売を認めるなど、国民の資産を預貯金から元本保証のないリスクの大きな商品に向かわせ、国民金融資産をめぐる内外金融機関の大競争を促進して、これを投機の波にさらすものだからであります。  第二の理由は、本法案において提案されているさまざまな自由化措置が、大金融機関本位の金融再編を促し、金融機関に求められる公共性や社会的責任を後景に追いやるものだからであります。こうした弱肉強食の激しい競争は、金融機関破綻を招来し、預金者や中小企業、地域経済に深刻な影響を与えるとともに、金融労働者の雇用と生活を脅かすことになります。  第三は、不十分な監督体制のもとで、利益相反やインサイダー取引の横行、消費者被害の急増が予想されるからであります。イギリスでは、ビッグバンと同時に金融サービス法が制定されたのに対して、我が国では、金融サービス法はおろか、金融制度調査会が提起した統一的消費者信用保護法すら見送っており、苦情処理体制も未確立てあります。これでは、行政の責任を放棄するものと言わざるを得ません。  また、投資者保護基金や保険契約者保護機構を設けることは、制度面では前進でありますが、時限的にせよ政府保証がつけられており、公的資金導入に道を開くものとして問題であります。  次に、SPC関連二法案についてであります。  両案に反対する理由は、特定目的会社を設立し、特定資産証券化及びこれによる特定資産流動化を図る今回の法整備の最大の眼目が、金融機関が抱える不良債権処理を投資家、国民へのリスク転嫁によって進めようとするところにあるからであります。政府は、土地・債権流動化のトータルプランにおいて、資産担保証券の郵貯、簡保資金による買い取りや、日本開発銀行による信用保証の付与などの公的支援策を打ち出しており、今回の法整備はこうした銀行支援への道を開くものであります。金融機関不良債権は、バブル期に金融機関みずからがつくり出したものであり、その処理金融機関自身の責任と金融業界全体の自助努力で行うべきものであります。三十兆円もの銀行支援策に続き、さらにこうした金融機関の救済支援策をとることは、到底容認できません。  最後に、一括清算ネッティング法案は、倒産処理に伴うデリバティブ取引の一括清算について、その法的疑義を取り払うことによって我が国におけるデリバティブ取引を一層拡大しようとするものであります。こうした投機性の高い取引の拡大は、金融機関に求められる公共性、社会的役割に逆行するものであり、賛成できません。  国民が求める金融システム改革への大道は、これらの法案のような方向ではなく、金融システム全体への国民の信頼を根本から揺るがせている諸問題の抜本的解決、すなわち公共性、社会的役割の高い自覚に立った金融機関の徹底的な体質改善と、金融機関との癒着をきっぱりと断った清潔で実効性のある監督機関の確立、世界に通用する金融ルールの樹立の方向にこそあります。  そのことを強調して、反対討論を終わります。(拍手)
  164. 村上誠一郎

    村上委員長 次に、濱田健一君。
  165. 濱田健一

    ○濱田(健)委員 私は、社会民主党を代表いたしまして、ただいま議題となっております金融システム改革のための関係法律整備等に関する法律案特定目的会社による特定資産流動化に関する法律案特定目的会社による特定資産流動化に関する法律施行に伴う関係法律整備等に関する法律案及び金融機関等が行う特定金融取引一括清算に関する法律案について、賛成の討論を行うものであります。  我が国経済が、二十一世紀の少子・高齢化社会においても活力を保ち、豊かな国民生活を実現するためには、我が国経済社会システムを構造的に変革することが必要であり、経済の動脈ともいうべき金融システムについても、二十一世紀の我が国経済を支えるすぐれたものへと変革していくことが不可欠であります。  今回審議を行っている金融システム改革関連の四法律案は、以下申し上げます理由から、こうした金融システムの抜本的変革を行うために必要欠くべからざるものであります。  まず第一に、本法律案は、一千二百兆円にも達する我が国の個人金融資産に対しさまざまな資産運用手段を可能にすることで、国民各人それぞれにとってよりよい資産運用を可能にするものであります。  第二に、本法律案は、サービスの自由化や価格の自由化を進めることで、銀行証券会社、保険会社といった金融機関の利用者に対し、さまざまな質の高いサービスを受けることを可能にするものであります。  第三に、本法律案は、金融システムの安定に寄与するとともに、市場に対する国民の信頼を確立するために不可欠の法律案であります。今回の法律案には、金融自由化が進む中でぜひとも必要なディスクロージャーの充実や公正取引ルールの整備証券会社や保険会社の破綻の際の証券投資者や保険契約者保護の枠組みである投資者保護基金や保険契約者保護機構の創設が盛り込まれております。  また、特定目的会社を通じて担保不動産等の資産の流動化が可能となり、一般の投資者によるこれらの証券への投資が容易となれば、喫緊の課題である金融機関不良債権処理促進にも資すると考えられます。  以上、申し上げましたように、今回の法律案は二十一世紀における豊かな国民生活を実現するためにまことに時宜を得たものであり、今国会において早期に成立することがぜひとも必要であることを指摘し、私の賛成討論を終わります。(拍手)
  166. 村上誠一郎

    村上委員長 これにて討論は終局いたしました。
  167. 村上誠一郎

    村上委員長 これより各案について順次採決に入ります。  まず、金融システム改革のための関係法律整備等に関する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  168. 村上誠一郎

    村上委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  次に、特定目的会社による特定資産流動化に関する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  169. 村上誠一郎

    村上委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  次に、特定目的会社による特定資産流動化に関する法律施行に伴う関係法律整備等に関する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  170. 村上誠一郎

    村上委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  次に、金融機関等が行う特定金融取引一括清算に関する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  171. 村上誠一郎

    村上委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
  172. 村上誠一郎

    村上委員長 ただいま議決いたしました各案に対し、坂井隆憲君外四名から、自由民主党民主党、平和・改革、自由党及び社会民主党・市民連合の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨説明を求めます。石井啓一君。
  173. 石井啓一

    ○石井(啓)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、案文を朗読し、趣旨説明といたします。     金融システム改革のための関係法律整備等に関する法律案特定目的会社による特定資産流動化に関する法律案特定目的会社による特定資産流動化に関する法律施行に伴う関係法律整備等に関する法律案及び金融機関等が行う特定金融取引一括清算に関する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、次の事項について、十分配慮すべきである。  一 自由かつ公正で諸外国と調和のとれた金融システムを構築し、もって、国民によりよい資産運用と資金調達の道を提供するという金融システム改革趣旨を十分に踏まえ、本法の適切な執行に努めること。  一 金融システムの改革に当たり、公務員一人一人の意識改革と倫理向上に全力を尽くすとともに、明確なルールに基づく市場規律を軸とした透明な金融行政を早急に確立し、行政に対する国民の信頼の回復に最大限の努力を傾注すること。  一 我が国金融・資本市場を公正かつ透明で利用者が安心して取引できるものにするため、仲介金融機関の法令遵守のための内部管理体制の早急な確立を促すとともに、不公正な取引に対する検査・監視体制を抜本的に充実・強化し、公正取引ルールの厳格な適用を行うこと。  一 金融システム改革により多様な金融商品やサービスが提供されるようになることにかんがみ、預金者等の利用者が不測の損害を被ることのないよう、ディスクロージャー・商品説明等の一層の充実に配慮すること。また、いわゆる金融サービス法等の利用者の視点に立った横断的な法制について早急に検討を進めること。  一 金融システム経済及び国民生活の基盤をなすものであることを踏まえ、不良債権の速やかな処理を促すとともに金融システム安定化に格段の配慮を払うこと。  一 投資者保護基金制度の適正な運用に資するため、証券会社による分別管理の徹底を図るとともに、その監視を強化し、違反に対しては厳正に対処すること。また、基金を発動した場合には、分別管理等に関する違反がなかったか原因の究明を行い、証券会社の経営者がモラルハザードに陥ることのないように努めること。  一 金融機関が抱える不良債権流動化について、本法の実効性を確保するため、アメリカのRTCなど諸外国の制度も参考にしつつ不良債権処理方策等について検討すること。 以上であります。  何とぞ御賛成賜りますようよろしくお願い申し上げます。(拍手)
  174. 村上誠一郎

    村上委員長 これにて趣旨説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  175. 村上誠一郎

    村上委員長 起立多数。よって、各案に対し附帯決議を付することに決しました。  本附帯決議に対し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。大蔵大臣松永光君。
  176. 松永光

    松永国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても、御趣旨を踏まえまして配意してまいりたいと存じます。
  177. 村上誠一郎

    村上委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました各法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  178. 村上誠一郎

    村上委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     〔報告書は附録に掲載〕
  179. 村上誠一郎

    村上委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時二十九分散会