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1998-04-28 第142回国会 衆議院 大蔵委員会 第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十年四月二十八日(火曜日)     午前九時開議 出席委員   委員長 村上誠一郎君    理事 井奥 貞雄君 理事 衛藤征士郎君    理事 坂井 隆憲君 理事 浜田 靖一君    理事 池田 元久君 理事 北橋 健治君    理事 石井 啓一君 理事 谷口 隆義君       今村 雅弘君    岩永 峯一君       大石 秀政君    鴨下 一郎君       河井 克行君    桜田 義孝君       下地 幹郎君    杉浦 正健君       砂田 圭佑君    田中 和徳君       中野 正志君    根本  匠君       宮路 和明君    村井  仁君      吉田六左エ門君    渡辺 具能君       渡辺 博道君    渡辺 喜美君       上田 清司君    島   聡君       末松 義規君    中川 正春君       日野 市朗君    藤田 幸久君       赤松 正雄君    河合 正智君       並木 正芳君    西川 知雄君       小池百合子君    鈴木 淑夫君       西田  猛君    佐々木憲昭君       佐々木陸海君    濱田 健一君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 松永  光君  出席政府委員         法務大臣官房長 但木 敬一君         大蔵政務次官  中村正三郎君         大蔵大臣官房長 武藤 敏郎君         大蔵大臣官房金         融検査部長   原口 恒和君         大蔵大臣官房総         務審議官    溝口善兵衛君         大蔵大臣官房審         議官      中井  省君         大蔵省主計局次         長       細川 興一君         大蔵省主税局長 尾原 榮夫君         大蔵省所見局長         心得      山本  晃君         大蔵省銀行局長 山口 公生君         大蔵省銀行局保         険部長     福田  誠君         証券取引等監視         委員会事務局長 堀田 隆夫君  委員外出席者         郵政省貯金局資         金運用課長   篠田 政利君         参  考  人         (日本銀行総裁速水  優君         参  考  人         (日本銀行理事鴨志田孝之君         大蔵委員会専門         員       藤井 保憲君     ————————————— 委員の異動 四月二十八日  辞任         補欠選任   砂田 圭佑君     下地 幹郎君   渡辺 博道君     田中 和徳君   北脇 保之君     島   聡君   河合 正智君     西川 知雄君 同日  辞任         補欠選任   下地 幹郎君     砂田 圭佑君   田中 和徳君     渡辺 博道君   島   聡君     北脇 保之君   西川 知雄君     河合 正智君     ————————————— 四月二十一日  たばこ特別税創設反対に関する請願生方幸  夫君紹介)(第一六七八号)  同(金田誠一紹介)(第一六七九号)  同(川内博史紹介)(第一七九二号)  食料品消費税非課税即時実施消費税廃止に  関する請願児玉健次紹介)(第一七九一号  ) 同月二十四日  たばこ特別税創設反対に関する請願中桐伸  五君紹介)(第一八五七号)  消費税の減税に関する請願(矢島恒夫君紹介)  (第一八九一号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  金融システム改革のための関係法律整備等に  関する法律案内閣提出第八六号)  特定目的会社による特定資産流動化に関する  法律案内閣提出第八七号)  特定目的会社による特定資産流動化に関する  法律の施行に伴う関係法律整備等に関する法  律案内閣提出第八八号)  金融機関等が行う特定金融取引一括清算に関  する法律案内閣提出第八九号)  金融及び証券取引に関する件      ————◇—————
  2. 村上誠一郎

    村上委員長 これより会議を開きます。  金融及び証券取引に関する件について調査を進めます。  この際、松永大蔵大臣から発言を求められておりますので、これを許します。大蔵大臣松永光君。
  3. 松永光

    松永国務大臣 大蔵省においては、金融関連部局に在籍した職員を中心に調査を行ってきたところでありますが、この結果、多数の職員において民間金融機関等との間に行き過ぎた関係があったことが判明しました。まことに遺憾であり、深くおわびを申し上げます。  調査の結果を踏まえ、昨日、厳正な処分を行ったところであります。  その内容は、国家公務員法上の懲戒処分である停職が一名、減給が十七名、戒告が十四名、内規に基づく処分である訓告が二十二名、文書厳重注意が三十三名、口頭厳重注意が二十五名、合計百十二名であります。このほか、国家公務員法上の懲戒処分対象者ではありませんが、辞職した者が一名あります。これは、かつて前例を見ないものであり、まことにざんきにたえません。  また、証券局長ほか一名から辞職の申し出があり、これを受理いたしました。このほか、近畿財務局長ほか四名を昨日付で官房付に更迭したところであります。  このような行き過ぎがあったことを深く反省するとともに、綱紀の厳正な保持を図り、信頼回復に向けて職務に邁進することを決意し、私と両政務次官、事務次官を初め幹部職員は、俸給の一部を国庫に返納することといたします。  大蔵省職員一同、これを契機に、綱紀の厳正な確保を図るとともに、新しい時代の要請を踏まえて真に国民の負託にこたえられるよう、全力を尽くしていく決意であります。  以上でございます。     —————————————
  4. 村上誠一郎

    村上委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  両件調査のため、本日、参考人として日本銀行総裁速水優君及び日本銀行理事鴨志田孝之君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 村上誠一郎

    村上委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  6. 村上誠一郎

    村上委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。杉浦正健君。
  7. 杉浦正健

    杉浦委員 自由民主党杉浦正健でございます。  ただいま大臣から処分の御発表がありましたが、きょうは、それとは関連いたしますけれども、別の件を質問しようと思って立たせていただいた次第であります。  大臣の御所見につきましては後ほど触れますが、まず、当初質疑させていただく予定でありました、産経新聞に載った「大蔵接待に元検事同席」という記事内容について、法務当局に御質問させていただきたいと思います。  あわせまして、これは今自民党の中で大きな問題になっておるのですが、検察官リークについても基本的な考えをお伺いしたいと思います。  検察官リークにつきましては、今、政府与党内部国家公務員倫理法の制定の作業をいたしております。また、国会議員倫理の確立に関する法律ということで議論もなされておるところでありますが、その中におきまして、自由民主党党内から、我々のことは、あるいは公務員のことはさておいて、このところと申しますか、ずっと長いわけでありますけれども、検察官がいわゆるリークをする、捜査中の事実についてどうもマスコミに流しているのじゃないか。世論を誘導する目的ではないかと推測されるわけですが、それが目に余る、これを何とかしなければいかぬのじゃないかという意見が強いわけであります。  リークというのは、公務上知り得た捜査上の事実を漏らすことであります。国家公務員法上、百一条でしたか、ちょっと条文の正確なあれは忘れましたが、職務上知り得た事実を漏らした者は厳重に処罰されることになっております。一年以下の懲役、罰金もあるわけでありますが、どうもそれを意図的に検察官がやっておるのじゃないかというところがあるわけであります。この点については、自民党としてもこれから具体的にいろいろなことを考えていかざるを得ないと思うわけでありますが、基本的に、大蔵省の考え方をお伺いいたしたいと思います。  まず、産経新聞記事の方からでありますけれども、委員のお手元には配付させていただいてありますが、このような記事が載った。四月十五日の朝刊であります。  内容を拝見すると大変問題だと思うわけでありますが、産経新聞にも来てもらって事実関係をいろいろ聴取いたしました。伺うところによると、法務当局としても事実関係調査する、その結果対応するということのようでありますが、法務省官房長ですか、この事実関係調査内容、結果、どう対応するかについてお聞きしたいと思います。
  8. 但木敬一

    但木政府委員 法務当局といたしましては、検察から大蔵省金融関係部局、これには証券取引等監視委員会を含みますが、これに出向した者あるいは現在出向中の者、合計十名でございますが、これにつきまして、担当職務関係のある金融関係業者との会食の有無、状況等に関しまして、本人からの聞き取り調査や必要な反面調査を現在行っている最中でございます。  現在までの調査によりまして、先ほど委員指摘のございました検事の問題につきまして調査を進行させておりますが、特定証券会社とその相手方の費用負担によりまして会食等を行っていた事実が判明しております。この事実につきましては、昨日、預金保険機構連絡済みであります。  御指摘検事は、現在、預金保険機構に在職しておる者でございますが、同機構は昨日付で、現在は検事を辞職しておりますので、当該の者に対して、その課長等の職を解いて総務部付とする旨の発令を行ったと聞いております。  法務当局といたしましては、他の出向者を含めてなお調査を継続しているところであり、できる限り早く調査を遂げ、適切に対処いたしたいというふうに考えております。
  9. 杉浦正健

    杉浦委員 この記事によりますと、この問題になった検察官刑事被告になっている榊原氏と同席したことがあったとあるわけでありますが、その接待については榊原被告起訴事実に含まれていないと書いてあります。  検察は、榊原氏を起訴する際に、検事が同席した起訴事実を意図的に外したのではないかという疑いもあるわけでありますが、この点についてはいかがでございますか。
  10. 但木敬一

    但木政府委員 御指摘の件でございますが、起訴されました榊原被告人と同席して会食をともにしたことがあるのは否定できません。ただ、そのうちの多くは既に時効にかかっている古いものでございまして、また、時効にかかっていないものにつきましては、捜査を遂げた上で、職務行為との対価関係が認められない等の理由によりましてこれを起訴していないと聞いております。
  11. 杉浦正健

    杉浦委員 我々が目指している日本版ビッグバン、この委員会でも御審議賜っておるわけでありますが、フリーフェアグローバルということを目標にしていることはもう御高承のとおりであります。フリーの部分はさておきまして、フェアということは、公正、透明なルールのもとで行政も行われ、業界も対応していくということであります。グローバルということは、まあ言ってみればアングロサクソンスタンダードということでありましょう。  この検事が在職していた職務証券取引等監視委員会であります。アメリカでいえばSECでありましょう。SEC職員がもし監視されている証券会社その他からこのような接待を受けたことがわかれば、理由のいかんを問わず解職でありましょうと僕は思っております。今回の大蔵省処分でも、私、時間がありませんから十分聞く余地はないと思いますけれども、解職のはずであります。検査担当の者でもそうであります。それが我々がビッグバンを審議している最中に明るみになった事実でありますが、まことにけしからぬきわみである。そこへ検察の立場にある人がいわばお目付役として送り込まれたわけでありましょう。お目付役がこんなことをやっておるのでは、他は推して知るべしであります。  法務当局におかれましても厳正な処分をするように、この際強くお願いしておきたいと思います。まだ捜査中ということでありますが、いずれ調査の事実がわかった場合には御報告を願いたいと思います。  次に、検察官リークの問題についてでありますが、検察官捜査の過程における事実を漏らす、これはもう新聞を読んでおって感ずることであります。同僚の新井議員が自殺したときもそうでありました。リークがひど過ぎる。  官房長に伺いますが、捜査がまだ完結していない、起訴するか逮捕するかまだはっきりしていない段階で仮に検察官捜査中の事実をマスコミリークするということがあった場合には、国家公務員機密漏えい罪に該当しますね。お答えを願います。
  12. 但木敬一

    但木政府委員 もちろん、個々の事件が該当するかどうかというのは個々の事実関係によるのでありまして、一般論としてそれが当たるかどうかというのは一概には言えないと思いますが、ただ、委員指摘のとおり、そのような行為は場合によっては国家公務員法違反になる行為であり、かつ、それによって関係者の人権を侵し、あるいは捜査におきましても罪証隠滅のおそれが極めて高くなるとの支障を生じる結果となりますので、厳に慎まなければならないところであります。
  13. 杉浦正健

    杉浦委員 大変心配しておりますのは、最近検察庁の高位高官であった人が、政府部内のポストのみならず民間会社の顧問だとかそういうことで、いわゆる天下りといいますか、そういう事実が非常にふえておる。この間、読売新聞でございましたか、一覧表が出ておりましたが、報道されておりました。厳正な職務を行う検察官の知恵をかりたいという民間の気持ちもわからないわけじゃありませんが、私が心配いたしますのは、例えば大蔵のこの不祥事にしても、大蔵官僚天下りがだあっと、銀行証券、そのほかの民間にどんどん行かれる。それでその先輩が後輩を接待する。それが長年続く。民間は、民民接待はある意味では良識の範囲で許される面があるわけですが、それが徐々に徐々に大蔵官僚組織の中に浸透したという側面が非常にあったと思うのですね。私が心配するのは、検察が、こういう事実から始まって天下りがだんだんこれからひどくなる、ひどくなるといいますか多くなる。検察当局がいずれこの大蔵省がやったようなふうになりはしないかどうか、非常に心配しておるわけであります。情報の漏えいに金品が伴わなければ幸せであります。  これから自民党としても、党内意見、非常に強うございますので、この問題については取り上げざるを得ないと思うのですが、法務当局においても、そういうことがないように、検察官が厳正、公平に職務を遂行するように、特に権力者には、権力は腐敗するという言葉がありますが、腐敗が伴わないように、間違っても疑われるようなリークは行わないように、厳正な指導をお願いしたいと思います。  最後に、大臣に一言申し上げたいわけでありますが、今回の処分内容を私まだ詳細拝見しておりません、精査いたしておりませんが、前回、四月十日の本委員会において私からお願いいたしましたとおり、部下の方の処分についてはおおむね寛大な御処分ではなかったかと一見拝見いたしておるところであります。問題は幹部でありますが、二人辞職されて一人は、合計三人ですか、ということでありますけれども、この事態の監督上の責任を感じ、この問題全体についての大蔵省責任を感じて、辞表を出された二人以外の幹部から進退伺が出されたかどうか、お伺いいたします。
  14. 松永光

    松永国務大臣 辞職された二名以外の人から進退伺が出たということはありません。  なお、地位の低い人について寛大だという話がございましたが、過去の事例比較してみますというと、国家公務員法八十二条第三号だと思うのでありますけれども、それを理由国家公務員法上の懲戒処分、すなわち将来にわたって人事記録に残るような処分をした事例は余りないのじゃないか。そう思いますと、地位の低い者に対する処分も他の事例に比べると重い処分になっているというふうに理解をしていただきたいと思うのです。
  15. 杉浦正健

    杉浦委員 時間がなくなったという通知がありましたが、私の時計ですとまだ一分ぐらいあります。申しわけありません。一つだけ、これは要望させていただきます。  先ほど申し上げましたが、フリーフェアグローバルの精神の根幹から申しますと、証券取引等監視委員会あるいは検査担当職員接待にあずかるなんというのは、その事実だけで解職すべきだと思うわけであります。これは職位の高下を問わずであります。大蔵省は先頭を切ってその身を正してこのビッグバンに向かうのでなければ、金融業界なんかに示しがつきますか。私は、ここに幹部が何人かおられるけれども、大蔵省がみずからこの際襟を正すように、世間から見て本当に大蔵省が襟を正したという形ができるようにきちっと進退を明らかにするよう、幹部方々に特に要望して終わりたいと思います。
  16. 村上誠一郎

    村上委員長 次に、浜田靖一君。
  17. 浜田靖一

    浜田(靖)委員 杉浦先生質問の後やらせていただきます浜田靖一です。  今、先生が二分ほどオーバーしたかもしれませんので、私は時間どおり終わりたいと思いますので、簡潔にお願いをいたします。  まず官房長大蔵省の全職員は何名ぐらいいらっしゃるのですか。
  18. 武藤敏郎

    武藤政府委員 国税庁関係職員まで含めまして八万弱、ちょっと正確な数字が手元にございませんけれども、八万弱でございます。
  19. 浜田靖一

    浜田(靖)委員 まさにこの八万弱という人数の中で百十二人もこういう形で処分者が出たというのは本当に前代未聞のことであります。そして、もしかしたらこの百十二人だけで八万人の方々の名誉だとか信頼というものを失っているかもしれない。この問題は本当に大蔵省には反省をしていただかなければいかぬわけでありますが、しかし、これからはこの問題は御自分たち努力で、小学生じゃないのですから、我々が法律をつくったり、我々がいつもこの件について追及をしたりしていること自体が非常に残念であります。  ぜひ官房長大蔵大臣、しっかりとこの点は通達を出すなりなんなりしていただいて、もう一度確認をしていただきたい。これはもう避けては通れない問題であります。多分、この後野党の皆さん方からも同様の趣旨の質問が多々あろうかと思います。ですから、大臣、ここで今回の処分に関しまして所感を一言、手短にお願いできますでしょうか。
  20. 松永光

    松永国務大臣 今回の大蔵省職員四名逮捕起訴、こういつたことを契機として内部調査をしたわけであります。そして、今までに例のない、国家公務員法に基づく厳正な処分をしたわけでありますが、このことは大蔵省の全職員に対する相当な戒めになるものというふうに考えます。これを契機に、大蔵省職員綱紀保持に特に意を用い、かつ、高い使命感倫理観を持って国家国民のために職務に精励してもらいたい、そう思っているところであります。
  21. 浜田靖一

    浜田(靖)委員 そして、逆に言えば、大蔵省に勤める方々お子さんたちが学校でいじめに遭っているようなこういう状況を生み出したことは、まさにこれは信頼回復というか、汚名返上をするにはかなりの努力をしなければいかぬと思いますので、そういうことのないようにこれからの体制というものをぜひ整えていただきたいと思います。  そして、いろいろな批判の中に、日銀に比べて処分が甘いのじゃないかという話もあるのですが、この点についてはいかがですか。
  22. 武藤敏郎

    武藤政府委員 日銀との比較ということでございますが、日銀処分との単純なる比較というのは適当でないというふうに考えておりますけれども、御指摘でございますので御説明させていただきますと、日本銀行は、逮捕者監督者責任として五名の者の譴責給与返上を行いました。これに対しまして、大蔵省におきましては、さきに逮捕されました宮川、谷内関係監督者責任といたしまして、九名の者の減給戒告等を行ったところでございます。  それから、内部調査実行行為処分でございますけれども、日本銀行におかれましては、譴責戒告厳重注意ということで、譴責総裁名による処分戒告厳重注意人事局長名による処分ということだそうでございますけれども、合わせて九十八名の処分を行いました。これに対しまして、昨日処分いたしました者は、御承知のとおり停職一名、減給十七名、さらに戒告十四名、それに加えて訓告等、これは厳重注意まで含めまして八十名、合わせて百十二名の処分を行ったところでございます。  私どもといたしましては、厳正なる判断ということで、極めて厳しいものというふうに考えておるところでございます。
  23. 浜田靖一

    浜田(靖)委員 日銀は、これは実名を出していましたか。
  24. 武藤敏郎

    武藤政府委員 日銀におかれましては、この実行行為の九十八名につきましては人数だけで、実名を出しておりません。
  25. 浜田靖一

    浜田(靖)委員 この際、大蔵でも実名を出したわけでありますので、私は、この委員会にぜひとも日銀処分者リスト実名お願いをしたい、このように思うわけでございます。委員長においてお取り計らいをお願いしたいと思います。
  26. 村上誠一郎

    村上委員長 後日、理事会で協議いたします。
  27. 浜田靖一

    浜田(靖)委員 そこで私は、なぜこんなことを言うかといえば、やはりこの問題をいつまでも引きずり続けてはいかぬと思いますので、その点では日銀大蔵省と同じにしっかりとした処分者リストを出していただいてすべてを公にしていただきたい、これが私の思いでありまして、ぜひそれはお願いしたいと思います。  そして、今後、我々がしっかり今まで積み重ねてきた行政というものをこのようなことでまた後退させてはいかぬ。百十二人のために、八万人もの職員がいるのに、その人たちのやる気をうせさせ、ましてや国内外においての大蔵省評価というものが下がったわけであります。これをやはり重く受けとめて、我々政治家自身もこれからは、大蔵任せ、官僚任せという言葉がありますけれども、決してそうではない、我々がしっかりしなければ官僚は抑え込むことができないという話もあります。しかしながら、その官僚を選んでいるのもまた我々の分野になるわけであります。ですから、天につばするような行為にならないように、官僚にすべてを牛耳られていて官僚が悪いのだというような逃げ口上は言えないと思うわけでありますので、この大蔵委員会においても、大蔵省並びに金融財政行政というものをしっかりとやはり精査していかなければいけない、このように思うわけでございます。  ぜひともその点だけは、決して官僚だけのせいではないということを、そしてまた、大蔵省がなおかつ自分たちの能力を十二分に発揮して、職員皆さん方に頑張っていただきたい。八万人のうちの百十二人でありますので、それですべての評価をすることは私はいかがなものかと思いますので、ぜひとも大蔵省の各職員皆さん方には頑張っていただきたいと思いますので、その点だけをお願いをして、私からの質問を終わります。ありがとうございました。
  28. 村上誠一郎

    村上委員長 次に、上田清司君。
  29. 上田清司

    上田(清)委員 おはようございます。民主党の上田清司でございます。  まず、大臣にお尋ねをしたいと思います。  今回の処分に至るまでの経過について、私は、非常に丁寧な調査内部の処置であったのではなかろうかというふうに一定の評価をするものであります。特に霞が関では異例ではなかろうか、このような評価もあるわけですが、国民の目から見れば必ずしもそう見えない。さまざまな形で、人数こそ多いのですが、厳重注意であるとか口頭注意であるとかという形で、現実的には大した処罰は受けないという認識を私は持っております。  そういう意味で、今回の処分について、大臣として、最高責任者としてどのような評価の上に立って結論を下されたのか、このことについて生のお言葉でお聞きしたいと思います。
  30. 松永光

    松永国務大臣 今回の内部調査、それに基づく厳正な処分一これは随分今までは遅いじゃないかとかもつと早くしろとかという激励もいただきました。また、いろいろなアドバイスもいただきましたが、結果においては、当初は五百五十名程度と思われておったわけでありますけれども、もっと広範囲に調査をする必要があるということから、千名を超える対象者に実はなったわけであります。その面で少し時間がかかった。  もう一つは、職員人たち、自分の記憶に基づいて自己申告的なことはしてくれたわけでありますが、私の率直な感じを言うと、自己申告は記憶に基づくものでありますから、自分の記憶に基づいて割合まじめに申告をしてくれておったなという感じが一つあります。それをもとにして担当者が面接をし、そしてその上でさらに接待をした側、金融機関の側の担当者に職員が参りまして、まあ反面調査といいましょうか、そういったことをしたのであります。金融機関の側に資料等があれば助かったわけでありますけれども、その資料等は捜査当局の方に押収されておりまして、したがって金融機関等担当者と面接して話を聞くという形で調査を進められたわけであります。  その結果、問題のある者が大体特定できるようになりましたので、それに基づいて厳正な処分という最終判断をすることになったわけであります。  この場合、大蔵省の場合もありますが、ほかの省等もありますけれども、前例も一つの参考になりますけれども、今回の場合は過去の例は参考にするのは適切ではない。いかにすれば厳正な処分をし、大蔵省がこれを契機国民信頼回復に向けて全力で進んでいくんだということを国民に理解してもらえるような、そういう厳しい処分にしなければならぬという考え方のもとに今回の処分を決めたわけであります。  そして、先ほど自民党委員の方から話がありましたが、比較的若い人や地位の低い人等々にりいては、できるならば訓告とか文書厳重注意とか、その程度のことならば、奥さんや子供がいじめられるという現象が起こったりしておるのですよ、実際問題。そういったことも配慮して日銀はそういう方式をとられたわけでありますがという考え方はありましたけれども、しかし、結果においてはそういう人たちの名前も出して処分をしたということであります。  大蔵省職員にとっては非常な衝撃であったろう、こう思いますが、それを重く受けとめて立ち上がってもらって、そして国民のための信頼回復、そういう行政に邁進してもらいたい、これが私の現在の感想であります。
  31. 上田清司

    上田(清)委員 ありがとうございます。  率直に大臣の感想をいただきましたが、私は、週刊誌で接待王だとか接待大魔王だとか、そんなことがやゆされたわけでありますけれども、中島、田谷両氏にかかわる話になれば、これはもうそれを超えておりまして、閻魔大王でもつけなければ難しいかぐらいの内容ではなかったかというふうに思います。私はむしろ、中島、田谷問題を十分処断できなかった、このことに今日の悲劇があったのではなかろうかというふうに判断しております。この点について、大臣はいかがですか。
  32. 松永光

    松永国務大臣 今回の処分の一つの基準は、中島、田谷問題が起こって、そして平成七年の春に大蔵省内部規律を厳正にしょうという立場から、倫理あるいはまた綱紀の徹底についてということが行われました。その以降の分について重くする。そして、さらには平成八年十二月に倫理規程というものが策定され、そして公表され、全職員はそれを承知しておるわけであります。したがって、平成八年十二月以降はさらに厳正な目でこれは見ていかなければならぬ。そういう基準で今回の処分はいたしたわけでありますが、多くの職員は平成八年十二月以降は実はほとんど過剰接待などは受けていないと言ってもいいのです。ただ、例外的に数回受けておった人があるわけでありますが、それは重い処分になった、こういう経過があるわけであります。
  33. 上田清司

    上田(清)委員 いわばエリート中のエリート、国家の柱石とも言えるような大蔵省の皆さんが、千人からに上る人たち調査を受け、あるいは自主申告をし、そしてこれだけの処分に至った。この間にさまざまな形で大蔵省の信用をなくし、浜田議員が言われますように、子弟においても迷惑をこうむるような事態に陥っている。これは何らかの形で構造的なものではなかろうかということで私も何回が御指摘をさせていただきましたけれども、例えば裁量行政の問題であるとか、あるいは許認可行政が過ぎるとか、こういう問題ではなかろうかというようなことも申し上げました。  大臣として、これは構造的なものなのか、しかるべき背景があってこのようになってきているのか、そうであればどうずれば問題解決につながっていくのか、このような視点から率直な所感を伺いたいと思います。
  34. 松永光

    松永国務大臣 私は、大蔵省職員、なかんずくいわゆるキャリアと言われる人たちは、知らず知らずのうちに自分はエリートだという意識を持ち、世間もそれを認め、そしていろいろな機会にちやほやする、それがまたその職員の体にしみついていつの間にか思い上がりという人間として好ましくない性格というものができ上がる。そしてまた民間の方は、そういう人との間に宴会の席を持っていろいろな知識を得たい、そういったことがだんだん積み上げられてきて、その結果として、民間からの接待の誘惑に対して、それを公務員であるからということでお断りをするというだけの厳しい倫理観というものがいつの間にか麻痺しかけておったという背景があるように思います。人間というものは実は大変弱いものでありまして、いつの間にかそういう精神構造になっておったのじゃなかろうか。  そういったことがあって平成八年十二月に倫理規程というものが定められたわけであります。これはいかぬのだということをはっきり認識するように大蔵省職員はなったのじゃなかろうか、こう思うのでありまして、したがって、調査の結果によりますというと、二、三の例外はありますけれども、特別の場合を除けば平成八年十二月以降は過剰接待を受けた職員は余りいなかったという事実が実はわかってまいりました。  そんなことは当たり前のことだというふうに世間では言うことでありますけれども、当たり前のことが必ずしも大蔵省職員の間には当たり前になっていなかったというふうに見られる節もあります。しかし、今度の厳正な処分によって、国民一般の常識あるいはそれより以上の厳しい身の処し方というものをしなければならぬということが、大蔵省職員には身にしみて理解してもらえたのじゃないかというふうに思うわけであります。したがって、これを契機にして綱紀保持の徹底を図り、そして高い使命感倫理観を持って職務に専念してもらいたいというのが私の心境であります。
  35. 上田清司

    上田(清)委員 今のはまさに倫理観に基づく判断として大臣の御答弁がありました。前にも山日銀行局長に申し上げましたが、銀行局長の通達がどのくらい出ておりますか。最近は減りました、そういうふうな認識でありますという局長の御答弁もありましたけれども、実際は二日に一遍出ていると言っても過言でない。祭日、休日がございますから、平日だけでいけば二日に一回は出ている。もうほとんど病気に近いぐらい銀行局長通達が出ているわけですね。二日に一回も出していると思わなかったでしょう。数えれば出ているのですよ。  ある地方銀行の頭取に言わせると、いわゆるMOF担は、この通達行政を有効にと言ったら言葉は語弊がありまずけれども、通達行政の中身をよく知るためにMOF担が必要なんだということを、私は一時間半ぐらい、ある地方銀行の頭取とお話をさせていただく機会が四カ月ぐらい前にありました。  そういうお話を承ったとき、これは、大蔵省に限らず、日本の行政の中で裁量行政がある。その裁量行政がある中で法律に基づかない何かの範囲、その部分は解釈のしょうがない。したがって、人的に接触する以外なかなか方法がないということで、接待になる場合もあるでしょうし、個別に面談をしたり、あるいは省庁を訪ねてヒアリングをしたり、そういうこともあるでしょうけれども、やはり丁寧に御指導いただくには丁寧なある意味での接待が必要かなというふうな感覚になってもおかしくない。こういうところに構造的な問題があるのではないかということで、今行政改革特別委員会でも議論がなされているところですが、過剰な許認可行政あるいは過剰な通達行政、こうしたところに一番大きな原因があるのではないかというふうに私は考えております。  大臣倫理規程あるいはまた倫理の問題としてこの問題をとらえるのも正しい認識かとも思いますが、しかし、広範囲にわたっているということは構造的な問題ではなかろうかという認識に切りかえないと、これからまた、まだ何回もこういうことが起こり得るのではなかろうか。のど元過ぎれば熱さを忘れるということわざもございます。そういう意味で、構造的な問題に踏み切るというような決意こそが大臣として一番大事ではなかろうかというふうに、大変恐縮ですけれども、私は思っております。この点についていかがでございますか。
  36. 松永光

    松永国務大臣 委員指摘のとおりでありまして、職員一人一人の倫理観の問題が一面ではある。それは先ほど申したとおりでありますが、同時に行政のあり方、簡単に言えば、今までの許認可行政、裁量行政あるいは事前指導型の行政から、事前にルールを明示して事後的にルールの遵守状況をチェックするという言うなれば事後チェック型の、そういう形の行政に根本的に変えていかなければならぬ、こういうふうに思うわけであります。  したがいまして、この委員会で審査をお願いしておる金融改革関連の法案、この中にも、今までの許可、認可から事後チェック型に相当変わっていくということになっておるはずでございまして、行政のあり方をそういうふうに変えていくということが同時に大事なことだというふうに思っているところであります。
  37. 上田清司

    上田(清)委員 我が意を得た大臣の答弁だというふうに思いますが、まさしくそうした決意で大蔵省内での改革、そして国政全体にわたって大臣の改革に対する姿勢を引き続き続けていただきたい、こんなふうに思うわけであります。  最後に、蛇足でありますけれども、天下り等々の問題にしましても、在任中に知り得たさまざまな知識や情報をそれぞれ天下り先にある程度開示しなければ、受け取る側の方もこれは何のメリットもないという部分がございます。能力や人格、識見に対する評価もあるかもしれませんが、しかし、後ろにある背景、過去に持ってきた情報あるいはさまざまな知識、そういうものは一歩間違えますと守秘義務違反、これは在任中であろうと退職後であろうと罪になります。  そういう問題を常に抱えておるわけでございますから、今後綱紀粛正の問題は内部だけにとどまらず、OBの皆さん方にも緩やかに、非常に僭越かもしれませんけれども、現職の皆様方もやんわりとそういうことについてもくぎを刺していくような姿勢が必要かと思います。しばしば守銭奴とも思われるような方が週刊誌に出てくる。こういうことも極めて不快千万でありますから、そういう人たちにもみずからの倫理観の中で早くけりをつけていただきたい、そんなこともあわせて申し上げて、官房長、特にお願いしたいというふうに思います。  それでは、先般TBSで報道されました日銀の裏給与というふうな御指摘の中で、まだ総裁来ておられませんが、一部大蔵省のチェックの問題がございますので、先行的にお聞きしたい。  私は、日銀の通貨発行権、独占的に通貨発行益を得ることができる立場の中で、これはあくまで国民の共有財産として処理されなければならない、そういう認識の中で進めていくときに、ある意味では大蔵省にすべてのチェックをゆだねてしまっていた、このことにもやはり国会として責任があったかもしれません。通貨発行益の独占的な権限というのは国民の財産であり、そしてその国民の財産は同時に国会が厳しくチェックしていくという仕組みがあるべきだったのですが、大蔵省の承認、認可でもってすべて事足りるという通例でございましたので、こういう疑惑を招かれるような形になったのではないかというふうな認識を持つものであります。  そこで、大蔵省にお伺いしますが、予算、決算の承認全体もそうでありますが、特に給与についての積算根拠というものを、さきに決算行政監視委員会で石井紘基議員が中井審議官にお尋ねした経緯がございますが、余り丁寧にチェックをしていないようなニュアンスのことを言われておりました。改めて、日銀から出される予算書、決算書に対して大蔵省としてどのようなチェック体制をしいておられたのか、伺いたいと思います。
  38. 山口公生

    ○山口政府委員 お答え申し上げます。  日本銀行の経費予算につきましては、政策委員会の議決を経て給与等の認可対象科目ごとに区分されて申請がなされます。当該区分ごとに経費の総額の積算について説明を受けまして、例えば給与等の各項目の総額の伸びが過大ではないかとかいう点について、また効率的な業務運営の確保等の観点から認可をしてまいったということでございます。  決算につきましても、政策委員会の議決を経て監事の監査を受けて作成されたものについて、予算総額との関連で問題がなかったか、経理手続で瑕疵がなかったかという点について説明を受け、承認している。  先生の御指摘の点につきまして、確かに細かく、査定という性格のものではあるべきではもちろんありませんが、かなり立ち入って審査をしたかと言われると、私の感じでは、日本銀行の自主性ということを強く意識したといいましょうか、その意識がかなり強く働いて総額でのチェックをやるにとどめるというような形で対応してきたという感じがいたしております。
  39. 上田清司

    上田(清)委員 予算も決算も大体この程度の一枚紙だというふうに私は理解しておるのですけれども、これに間違いありませんか。
  40. 山口公生

    ○山口政府委員 おおむねそういう形でやらせていただいておりました。
  41. 上田清司

    上田(清)委員 大変意地悪な質問で恐縮ですけれども、総額チェックにしても、この一枚のべら紙でどのような視点で総額チェックをされるのですか。
  42. 山口公生

    ○山口政府委員 例えば平均給与額というものにつきましては、民間金融機関等のベアの状況がどうであるかというようなことを見ながら、妥当な線かどうかということでやっておるというようなことだと思います。  予算でありますので、これはあくまで上限を記すものでございます。したがいまして、もし決算でそれより低い額になりますと、それは当然国庫に納入していただくものということになるわけでございます。だからといって甘くしたわけではありませんが、日本銀行のおっしゃる根拠というものを一応お聞きしながら、単価掛ける数量という関係でのチェックをしておったということでございます。
  43. 上田清司

    上田(清)委員 単価掛ける数量。そうすると、人数を把握されて、大体一人当たりこんなものかというふうな計算にされるのですか。  そういう考え方が一点でありますが、そういう考え方でいくと、単純に人数で割ったりすると、女性行員が四〇%ぐらいあって一人一千百万ぐらいになってしまうということで、そこには退職金もありますし、そういうところもある程度見なければ、単価掛ける人数というふうになかなか大ざっぱに割り切れないんじゃないか。そういう点ではこのべら一枚では不十分じゃないかというふうに私は思うのですけれども、そんなことは過去に思われなかったのでしょうか。
  44. 山口公生

    ○山口政府委員 認可予算のやり方については、日本銀行の法的な性格、中立性を最大限尊重しなければいけないというところが要素としてございまして、長年そういう形でやってまいったということだろうと考えております。  私、この国会で先生方の御審議をいただきまして旧日本銀行法を新日本銀行法に変えさせていただいた、参画させていただいた者でございますが、かえって強い権限を持った古い法律でございましたので、むしろそれを乱用してはいけないというような気持ちが強く働き過ぎた。そういった面で、こういう経費予算のチェックについても、どこまでをきっちりやるべきだったかというのを、本当は、法律がどうあろうとも、先生がおっしゃいましたように、もともとそれは国民の財産であるという観点からすれば、もう少しきめ細かく見た方がよかったのかなという反省はございます。  ただ、あくまで認可予算でございまして、総額をチェックするということで、そのベースになっております給与の基準等は、旧法では認可の制度に何らかかわらしめておりません。したがって、そこは日本銀行民間等に準拠して独自に決める。それを明らかにするということになりますと、各人各人の給与が、自分がどれくらい査定されているか、自分の評価がどうなるかというのがあらわになってしまうという点があって、なかなかそういうことも日本銀行としては公表しづらかったという面があったと思います。  そういった面が今度の新しい法律でむしろある程度すっきり公表されるという形になってくるものと考えておりますので、若干反省を込めてそういったことを申し上げたいと思います。     〔委員長退席、井奥委員長代理着席〕
  45. 上田清司

    上田(清)委員 必ずしも私の質問にお答えになっておられません。  大臣、この問題は、基本的な問題として、私は給与が高いとか低いとかという問題に矮小化したくないんですね。やはり、日銀が持つ通貨発行益、独占的なこの権限に対して大蔵省もあるいは国会もどのような認識で臨むか、これが非常に大事だと思うのですね。何の制限もなく通貨を発行して、その発行益が二兆円に上る。そして、さまざまな経費を引いて余った分は国庫に納入するこの仕組み。したがって、できるだけさまざまな経費を抑えて、この発行益によるところのまさに利益を国民に還元する。とりわけこういう国家財政が厳しい中にあって、日銀の持つこの最大限の特性というものをどのように認識するかというのが一番大事な問題でありまして、給与が高いか安いかとかという問題に矮小化してはならない、こういうところがこの問題の一番のポイントであります。  そういう点で、通貨発行益に基づく日銀内部行政というものがいかなるものかということに関して、今の銀行局長の答弁のようであったとすれば、これは重大な瑕疵に値すると思っても差し支えない、私はそう思っております。  大臣、この日銀の持つ特性に対してどのように大蔵大臣として認識されておられるか、改めてお伺いしたいと思います。
  46. 松永光

    松永国務大臣 新日銀法によって日銀の独立性が極めて強く高く保障されるという状況になったわけであります。日銀のもろもろの政策決定等については、大蔵省は、意見を言うことはできても決定には加わることのできないという立場になっておるわけであります。ただ、大蔵省日銀のことについてチェックし得るものが、予算及び決算の承認権というふうになっていると思います。  そうでありますからゆえに、日銀の予算、決算の承認については、より適正に的確に審査をして承認を与えるというふうにしなければならぬというふうに思います。
  47. 上田清司

    上田(清)委員 肝心の日銀総裁がちょっとおくれております。  できましたら、委員長にお諮りして、少しとめていただきまして、もし同僚議員の御理解をいただけますならば先にやっていただくとかというお計らいはできないでしょうか。
  48. 井奥貞雄

    ○井奥委員長代理 それでは、上田清司君から日銀参考人を求められておりましたが、時間がおくれているようでありますから、その間、かわりまして、赤松正雄君から質疑を受けたいと思います。赤松正雄君。
  49. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 新党平和の赤松正雄でございます。  二十七日、昨日ですが、大蔵省の元金融証券検査官室長の宮川被告、また元金融検査部管理課長補佐兼金融証券検査官の谷内被告の初公判が東京地裁で開かれ、同時に、先ほど来議論されております百人を超える大蔵省内の処分が発表されました。また、収賄罪に問われておられる大蔵官僚、日本道路公団理事日本銀行幹部、計六人の公判もこれから次々と始まる。既に自殺者も二人出ている。まさに、今や大蔵省の人を見れば接待漬けになっているのじゃないのかというふうに見る向きさえ一般的である、こんなふうに言えると思います。  前例のない厳しい処置をしたとか、あるいは先ほど武藤官房長が極めて厳しいものだ、こういうふうにおっしゃっておりますけれども、過剰接待そのものがこういう日本の社会の中で取りざたされたということがないわけですから、私は前例がないというのは当たり前だろうと思います。  大蔵省大臣を筆頭にして自浄努力を示されたということかもしれませんけれども、私は国民の一人として、さっき自民党浜田委員の方からこういう問題に早く始末をつけて新しい段階へというお話がありましたけれども、私は、そうじゃない、もっとこの問題にこだわった方がいいというふうに実は思っております。  とりわけ今回の問題については、いろいろマスコミ等で、日銀大蔵省のOBの皆さんが、かつて金品は絶対だめだったけれども接待はその限りにあらずというふうな受けとめ方をしていた、つまり接待は普通のことだと思っていたというふうな発言をされている方もいらっしゃるということもあり、私は、この問題は非常に重要な問題である、こういうことに早くけじめをつけて次へというふうにはいかない、しっかりここでこだわって、この問題の本質的なものにしっかりと我々が真っ正面から向かっていかなければならないということをまず感じます。  そこで、きょういらっしゃっている大蔵省幹部で今回の処分の対象になっておられる銀行局長がいらっしゃるので、銀行局長御自身、今回の御自身に対する処分についてどう受けとめられるかというのをまず冒頭に聞かせてください。
  50. 山口公生

    ○山口政府委員 私も大臣から処分を受けまして、私の場合、今回辞職する職員監督責任もございまして、私自身の反省するところもありまして、重く受けとめて今後反省をしていきたいと思っております。
  51. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 重く受けとめて反省したいということでありますが、私、きのう見せていただいた大蔵省の一連のこの調査及び処分についての書類を見ておりまして、非常にわかりづらいというものを感じます。  ちょっと具体的にお聞きしたいのですが、まず、杉井審議官については過去五年間に民間金融機関から五十六回の会食と十一回のゴルフの接待を受けたということでありますけれども、言ってみれば、杉井審議官とそれから長野局長を比較しますと、杉井審議官の方は特定民間金融機関、金融機関がそう大きく広がっていない、いわば金融機関が一部に偏っているという指摘ができるのじゃないかと思います。一方、長野局長については、特定の業者とのつき合いということではなくて、会食など百二十七回の接待を受けたということでありますけれども、そういう幅広く大勢の機関から接待を受けたということです。  ここでお聞きしたいのは、では特定金融機関に偏っているというその特定金融機関というのははっきりさせられるかどうか、また幅広いということはどこまで指しているのか、その辺についてお伺いしたいと思います。
  52. 松永光

    松永国務大臣 特定金融機関と多数回宴席などが持たれるということは、職務行為について依頼をする等々のことがない場合でも、ややともすれば、その接待をした金融機関等との間に何か不正な、ないしは不当な話し合いがなされておるのじゃなかろうかという、そういう疑いを受ける可能性が強い。そういう意味で、特定金融機関等から多数回にわたって接待を受けたというのは、これはどちらかといえば状が重いというふうに判断するのが妥当だろうというふうに思います。  多数の金融機関というのは、例えば金融機関等の頭取さん等々の協会その他の会合、その会合に来賓として呼ばれたという形での宴会というのは、これは今申したように職務の公平さ等々についての疑いを持たれる可能性ないし危険性が少ない、そういうことが言えるのじゃなかろうか。したがって、多数の人からただ儀礼的に宴席があったというのと、それから特定金融機関から多数回にわたって宴席に招待をされたというのとは、情状を判断する上で、特定金融機関から多数回にわたって接待を受けたということの方が状は重く見なければならぬというふうに判断をしたところであります。  詳しいことは、必要に応じて官房長から答弁をさせることにいたします。
  53. 武藤敏郎

    武藤政府委員 御指摘の杉井と長野の比較でございますけれども、回数で申しますと、長野の方が全体を合計しますと百四十回程度ということで、かなり多いわけでございますが、相手金融機関の数も非常に多いということでございまして、一つの機関との回数という意味では比較的少ないといいますか、幅広いというのはそういう意味でございます。  杉井の場合には、全体で八十回程度でございますけれども、一つは私ども、反復、継続して特定金融機関の接待を受けるということについて、公務の公正さを疑わせるおそれがあるという判断をしておるわけでございますが、そういうところが複数ございました。  具体名を言えるかというお尋ねでございましたけれども、これは相手方の御協力もいただいておりますので、個別の名前は申し上げるわけにはまいりませんけれども、いわゆる都銀でございます。  そういうことで、杉井の場合には今言ったようなことでございますけれども、なお、もう一つ、お尋ねにはございませんでしたけれども、杉井は、平成四年から七年にかけまして綱紀保持についての担当であります秘書課長の職にあった、そういう立場にありながら接待を受けていたということもこの判断の重要な要素になったということをつけ加えさせていただきたいと思います。
  54. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 今官房長がおっしゃった中で、特定銀行の名前を挙げられない。これは全部掌握をしておられるということですね。しているのだけれども言えないということだろうと理解をします。  先ほど大臣が同僚委員質問に対してお答えになられた中で私がちょっと気になるのは、要するに、今回のこの大蔵省の中における調査のやり方、これは、書類を見ますと、一つは調査対象者との個別面談、二つは諸資料間の相互確認、三つ目は相手方民間金融機関等に対する問い合わせ等を行った、こういうふうにあります。  さっき、大臣はそれとダブる形で、一つは当初の予定より数がふえたので若干おくれた、二つは自己申告が非常に割合まじめだったというふうな発言をされておりました。  そのことはいいのですが、三つ目に問い合わせた金融機関ということが挙げられているわけですけれども、その辺に関連して、先ほど大臣は、捜査当局に押収されているのでその資料がない、捜査当局に資料を押収されてしまっているのでその問い合わせた銀行にこちらが知りたいものがなかったというお話をされていましたけれども、そうすると、対象になった銀行というのは捜査当局が入った銀行だけなんですか。     〔井奥委員長代理退席、委員長着席〕
  55. 武藤敏郎

    武藤政府委員 私ども、かなり広範にわたりまして民間金融機関に対して問い合わせを行いました。したがって、その全部がそうであったかどうかということについては確証はございませんが、私どもが問い合わせた先におきましては、かなりのものがそういう状態にあったというふうに理解しております。
  56. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 私が知る範囲というか、私の関係、いろいろな銀行関係者に聞いた感じでは、大蔵省の問い合わせに対して的確にきちっと金融機関が答えたということについては大いに疑わしいというような判断を私はいたしております。ぜひ、どの金融機関にどういう問い合わせをしたのかというそういうデータについても、私はきちっと公表すべきだというふうに思います。  これは、実は今回のこの問題についてもそうですし、もう一つ非常に重要なことは、先ほど上田委員からの質問に対する答えの中で、私は非常に気になりましたことがございます。それをあわせてお伺いしますけれども、要するに、私も上田委員と同じように、今回の事件が招いた状況の中で注意すべきは、やはり九五年春のいわゆる田谷、中島両氏の事件、この事件のあったときにも大変に日本じゅうが大騒ぎになりました。大蔵省への指弾というものが非常に厳しいものがあったと思います。なぜその教訓が生かされなかったのかということを私も強く思うわけですけれども、さっき大臣はこうおつしゃいました。平成八年十二月、それより一年前の五月、春、綱紀保持通達が出されて、翌年の九六年十二月に職員倫理規程が出た、それで、二、三の例外はあるけれども、特別のものを除けば過剰接待を受けた者はいなかった、こうおっしゃいましたね。少なかった。いいです。  要するに、九十六年十二月の職員倫理規程以降については、その以降に今日話題になっているこういう過剰接待があったんではなくて、もっと前からあったんだ、むしろ九六年十二月以降というのは非常に例外的に少ないんだという意味のことをおっしゃいましたね。それでよろしいですか。まず確認いたします。
  57. 松永光

    松永国務大臣 これは官房長から詳細に答えてもらった方がいいと思いますけれども、まず、厳正に処分をするに当たっての基準的なものを我々は持ったわけであります。その一つは、平成八年十二月に倫理規程というものが定められて、それが各職員に通知がなされておるわけですね。それから、その前の平成七年五月に、これは「綱紀の厳正な保持について」と題する書類がつくられて、全機関の長にそれが通達をされ、それが全職員に渡る、こういう仕組みになっておりました。  したがって、一番重く見るべきは平成八年の十二月以降の分、その次に重く見るべきは平成七年五月以降の分、そしてその前のが、まあ普通に見るといいますか、右申したことに比べれば重さのかげんはやや軽い、そういう三つの基準を設けまして、それで処分をする場合に公平さを欠くことがないようにということでやったわけであります。  それで、内容を見てみますというと、平成八年十二月、倫理規程発出後は極端に過剰接待等が減少しておる、人によっては全くなくなった人もいる、こういつたことを先ほど申し上げたわけであります。
  58. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 一つの基準として九五年の綱紀保持通達あるいは九六年の職員倫理規程というものがあるんだということはわかりますけれども、大臣のお話を聞いておりますと、要するに、私たちは決してその以降に今日問題になっておる過剰接待が全部起こったとはもちろん思っていないのですけれども、やはり一つポイントは、九六年十二月の職員倫理規程だけでは不十分だ。今の大臣のお考えだと、これがあったことによってその後はそんなにない。先ほどの上田委員に対しては例外的というお言葉を使われたり、特別のものを除けばというお話があって、言外に、それ以降にいろいろなものがあったことはそうないんだというニュアンスを私は感じました。  改めてお聞きしますが、今職員倫理規程だけではうまくない、いわば公務員倫理法的なものが必要なんだというふうに世間も言っておりますが、私たちもそう思いますが、それについてはどう考えられますか。
  59. 松永光

    松永国務大臣 この点については、この委員会でも、あるいは予算委員会等でも、私はいろいろな人の質問に対して私自身の考え方を答弁の形で述べてまいりました。  倫理というのは、本来的に言えば、制裁がある、制裁を受けるのが怖いから倫理を遵守するというのでは本当の倫理と言えるだろうか、私はそういうふうな考え方が一つあるわけであります。しかし、さはさりながら、人間はそれほど完全な人ばかりじゃない。やはり、何らかの制裁があるということが倫理にもとる行為をすることをとめる力になる。そう考えますと、私は、この公務員倫理法、これに違反した場合には何らかの制裁があるというものは必要だという考え方であります。  同時にまた、今回の内部調査を見ましても、平成八年十二月の倫理規程が出た後は、ほとんどない人もおれば、職務関係上、やむなく昼の会合に出て食事をした程度の人もおりますけれども、例外的には夜の会合をした人もおります。こういう人は重く処分をされたわけでありますが、そういったことを見ましても、やはり平成八年十二月の倫理規程の制定、発出、これは意味があったというふうに私は思っておるわけです。  しかし、それだけでは完全と言えるかな、十分と言えるかなという感じを持っております。その意味で、公務員倫理法、制裁のある公務員倫理法、これは必要だという考え方に私は立っておるわけであります。
  60. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 そういう側面は今の大臣のお話でわかりました。  あわせて、私は非常に思いますことは、その九五年の中島、田谷事件というものの教訓といいますか、何ゆえにこういう事件が起こったのかということについての詳細な報告書といいますか、あの事件というものが起きて先ほど来あるような綱紀保持通達を出した、あるいは職員倫理規程をつくったということだけではなくて、その全貌について報告書的なるものをつくられたんでしょうか。     〔委員長退席、浜田(靖)委員長代理着席〕
  61. 武藤敏郎

    武藤政府委員 田谷、中島事件に関しましての詳細な報告をつくったかということでございますけれども、そういうものはございません。ただ、当時から今日に至るまで、さまざまな場所でいろいろな議論がございますので、その過程でかなり事実は明らかにされているというふうに考えております。
  62. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 この問題については、先ほど来大臣も、その事件の前後、私の主張、その後ろの部分については余りない、例外的なものを除いて、ないというお話もありました。そういう点では、ある意味で、今の大臣のお話をまともに受けますと、今回のことよりもむしろ中島、田谷事件の方が重要であったという位置づけもできるわけです。ですから、その周辺のことについてしっかりと大蔵省としてみずから、その問題、今日の事態を招いたことに至る詳細な原因と、なぜこうなったのかという背景、そういうものをやはりきちっとまとめられるべきだというふうに私は思います。  例として適切ではないかもしれませんが、例えば山一が今回、企業としてのそういう今日に至る経緯についての報告書的なるものをまとめておられます。社内報告書をまとめておる。あるいはまた、イギリスの例でいえば、九五年二月のイギリスのベアリングスの倒産事件について、その年の暮れにかなり大部の報告書というものをまとめているというふうに、今回の事件もそうですけれども、今官房長、九五年のこの事件についてはそういうものはない、ただ、いろいろなことで、ばらばらで、さまざまなことがあるけれども、一つのまとまったものはないというお話でしたけれども、ぜひこれは大蔵省として、まずその辺のことを、今回も含めてでもいいですけれども、まとめるべきだ、報告書という格好でまとめて国会に出すべきだ、こういうふうに私は思いますが、どうでしょう。
  63. 武藤敏郎

    武藤政府委員 田谷、中島事件につきましては、確かに、当初の把握と、その後、時の経過とともに新たな事態が判明するというようなことで、いろいろな批判を浴びたことは事実でございますけれども、私どもといたしましては、現時点におきましては、そういう実態について全体として掌握され、それぞれ、田谷、中島ともに辞職ということで、その意味では事件の処理はされた、それからその後、倫理規程、あるいはその前のこの問題を契機といたします通達の発出等の中で、この問題についての総論的なといいますか、大蔵省としての考え方というものが十分に取りまとめられた上でのああいう通達の発出になったということで、そのときそのときにきちっとけじめをつけつつ今日に至っているというふうに私どもは考えております。  もちろん、御指摘のとおり、それにもかかわらずなぜ今回のような問題が起こったのか、それが防げなかったのかということについては、十分反省する必要があると思いますけれども、御指摘のような現時点で取りまとめるといったようなことは考えておりません。
  64. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 ぜひそれを考えてくださいと言っているわけですよ。要するに、反省しますとか、こういうことを踏まえてこういう規程をつくりました、皆十分反省していますということは、それは当然です。わかっています。  ただし、我々のもとに一細かいことを聞くと、それは公表できない、はっきりさせられない、言えない、こうおっしゃるわけですけれども、私たち国民の前に九五年の時点の話を含めてやはりきちっとしたものをつくるべきだ。こういうことについて大臣はどう思われますか。
  65. 松永光

    松永国務大臣 今官房長もお答えをいたしましたとおり、九五年のいわゆる田谷、中島事件、これは特定の人との間の、あるいは特定会社関係者との間の極めて不健全な交際関係で問題になったわけでありますが、そのことについては、大蔵省としてはその当時判明した範囲内での実は処分をしたという経過があります。  その処分は、今考えてみるというと極めて甘かった。その後さらによろしくないことが判明をしたという経過であったと思いますが、この経過にかんがみ、九五年の五月に官房長名で金融機関の全機関の長あてに、「綱紀の厳正な保持について」という文書を発出して、そして全職員にその趣旨が伝わるようにという措置がなされたわけでありますが、その内容についてやや甘い点があったという反省はしたわけですね。したがって、翌年の十二月にはより厳格な倫理規程を設けた、こういう経過になっておるわけであります。
  66. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 大臣がおっしゃっていることは、私は、やはりこれは非常に閉鎖的な社会としての大蔵省の中で対症療法的に、その起こった事件についてどうしょうかということをされてきた経緯にすぎないというふうに思うのですよ。  例えば、さっき浜田委員もおっしゃっていましたけれども、ちょっと私は角度は違うのですけれども、今回千人を超える人の調査をされたわけですね。ここで思うことは、一般にもよく新聞等で書かれていますけれども、私も同じ疑問を持つんですけれども、いわゆる金融検査関係をする人たちを中心にされている。八万人の職員がいらっしゃるということですから、この千人というのは本当に逆に言うと調査の対象が少ないというふうに言えるわけですね。  例えば、過去五年にさかのぼって金融検査に、主にそういう金融機関とつき合うポジションにいらした方を調べられた。そうすると、言ってみれば、六年前にされていた人、そしてこの五年間違うポジションにいらした方は全くそういう対象になっていないということですよ。つまり、私たち国民の側から見て、今回の大臣が先頭に立たれてやられたこの処分についても、やはり際立って一つの全体像がはっきりしない。どこか一部分についてやった、その調査の結果こうだ、処分をした、これでどうでしょう、勘弁してくださいということはうかがえるというか、伝わってくるんですけれども、それでは今回の問題が提起している全体の像というものを明らかにしていないではないかという感じを強く抱くわけでございます。  それで、そういうことが一方にあって、同時に私思うのは、大蔵大臣は一生懸命やっている、それはやっておられるのはわかりますけれども、その一生懸命やるポーズというものは非常に目につく。例えば、きのう大蔵省大蔵省行政の在り方に関する懇談会というものを開かれたようですけれども、ここで大臣は、これはお聞きすると時間がかかりますので、私は一部の新聞で知ったわけで、間違っていたら訂正をしていただきたいのですが、こんなふうに書かれている記事を発見しました。その大蔵省行政の在り方に関する懇談会で大臣は、今回厳しい処置をした、これで大蔵省は再スタートするだろう、再出発するだろうというふうな印象を持ってもらえるような処分だ、こういう趣旨のお話をされたというわけです。  私は、ここで大臣にお聞きしたいことは、一つは、要するに、こういう大蔵省行政の在り方に関する懇談会なるものが今ごろ、こういう事件が起こったときに、しかもこういう発表をされるその日に開く、どうもでき過ぎているなという感じがします。というのは、大蔵省にまつわる審議会というものは幾らもあるわけでしょう。要するに、大蔵省行政にまつわる例えば金融制度調査会だとかいろいろな調査会、直接的に今回の事件に関するものはないにしても、ふだんから大蔵省行政のありようについて大臣が聞ける場は幾らでもあるわけです。それを、わざわざ改めてここでつくる。屋上屋を重ねるような感じがするわけです。  そういうことだったら、全部言っちゃいますけれども、こういう不祥事対策というのは、どうして二年前にそういう大蔵省行政の在り方に関する懇談会というものをつくらなかったのですか。そういうことさえ思いますよ。
  67. 松永光

    松永国務大臣 二年前の当時は私はこういうポストにいなかったわけでございますから、それを今そう言われても答えようがありませんが、一つ誤解を解いていただきたいのですが、大蔵行政のあり方についての懇談会というのは、これはもう少し前にきのうの日にやるということが決められておったわけなんです。処分を決めて公表したのは、実は連休前に、きょうの日にこの件についての質疑に入りたいということ等があったやに私は与党の理事から聞きまして、それなら国会の運営にひとつ協力できる形で処分をし、発表した方が妥当だというわけで、きのうに実はなったわけなんです。  実は数日前までは、これも知った人もいるでしょうけれども、きょうの日を予定をしておったわけなんです。しかし、そうすると連休に入ってしまって委員会における審議との間に時間があくので妥当じゃないという意見を寄せられましたので、その意見を重く見てきのうやったということでありますから、きのうの日に懇談会とそれから処分の日を合わせたということは全くありません。それは誤解でありますので、解いていただきたいというふうに思います。  なおまた、大蔵省関係、いろいろな審議会等がありますけれども、私は、今回の事態は異例の事態であって、問題ある職員についての厳正な処分だけでは済まない、これからの大蔵省行政のあり方を考える場合には。そこで、大蔵省行政のあり方等についてかねがねいろいろな関心を持ち、また学識をお持ちの代表的な方々意見をぜひ寄せていただいて、それを参考にして国民信頼される大蔵省にしなければならぬということで懇談会をスタートさせていただいた、こういういきさつでありますので、御理解を願いたいと思います。     〔浜田(靖)委員長代理退席、委員長着席〕
  68. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 それは、大蔵大臣が就任をされたのはまだそんなに日がたたない、四カ月ほどですから、先ほど冒頭におっしゃった、私の知らないところだというのはそうですけれども、私が言っているのは、要するに今日に至るまでさまざまな問題点が、それこそ今に始まったことではなくて指摘をされていた。したがって、そういうさまざまな大蔵省関係をする懇談会あるいは調査会、そういった部分でそういう議論がなされていたはずですから、ここで改めて識者の方の御意見を聞く、それは大事なことだろうと思いますけれども、ある意味で既にそういう問題は出尽くしている感もあるわけです。  むしろ、先ほど私が申し上げましたように、過去の事件についてのがっちりとした、深い、突き詰めた自己反省の書というようなものをつくって、自分たちでどうこの問題について対応していくのかということについてみずからの体にメスを入れていく。単に処分をしてそれでいいというのではなくて、あるいはまた学者の意見を聞いてそれでお茶を濁すというのではなくて、やはりみずからそういったきちっとしたものを向けていくという努力が必要だ、こういうことを言ったわけでございます。決して誤解をしておるわけではございません。  それで、次にお伺いしたいことは、やはり大臣もしばしばおっしゃっていますように、特定の人間の犯した失敗ということではなくて、もっと幅広い、奥深い問題をはらんでいる、そういうことだろうと思います。そういう観点に立って、やはり従来的な大蔵省の持っている、いわば大蔵省行政システムの中に深くビルトインされたような行き方で、少し考え直したらいいじゃないかということがいろいろな場面で挙げられております。  例えば、かつて大蔵大臣御自身が、テレビであったと思いますけれども、要するに大蔵省の若いキャリアが地方に税務署長として赴任をする。さっき、冒頭でも大臣がおっしゃっていましたけれども、若いときにいろいろ周りからちゃほやされるということから、だんだんと人間として自分自身の考え方、受けとめ方というものに狂いが生じてくるというような意味のことをおっしゃっておりました。そういう地方の税務署長として、例えば、正確にどういうふうな基準になっているかは知りませんが、二十代の後半あるいは三十代前半でそういうところへ行くというようなことについては、そういう人事慣行は改めた方がいいと私は思っているというふうな趣旨の発言をされたと記憶しておりますけれども、それについて、現時点でのお考え方を聞かせていただきたいと思います。
  69. 松永光

    松永国務大臣 従来は、大蔵省の考え方としては、若いうちに地方の税務署の署長を経験して税務行政の実態を身につけさせることは有益である。同時にまた、署長として、何といいましょうか、責任ある立場で仕事をするという経験を積ませることも必要である。こういつたことで従来から若いうちに税務署長の体験をさせる、こういうことにしてきたもののようであります。  しかし、我が党の議員の中にも、大変厳しいといいますか、当然のことだと思うのでありますが、税務行政の現場で経験するというならば、署長室に座っておくだけで何の経験になるんだ、その経験をするぐらいならば、一兵卒という言葉を使った人もおりましたけれども、実際に一生懸命会社経営をやっておる、そういう中小企業等の現場に行って税に関する調査なり相談なりするということで、そういう現場の仕事を実際にやるような経験をさせた方がいいんだという意見が大変強うございまして、私も、なるほどそれはそうだな、こう思っておるわけであります。  同時にまた、一つは、民間の人の話を聞きますというと、キャリアでちょろっと一年間来る税務署の署長さんは余りいい仕事をしていない、むしろノンキャリアでたたき上げてきた署長さんの方がいい仕事をしている。したがって、そういう人をより多く署長にはすべきだという民間側の声が私にはたくさん入っております。  そういったことも踏まえて、行政のあり方の検討の一つにとれもなるのじゃなかろうかというふうに思うわけでありまして、今までいろいろなことを言われてきた、どれもこれも謙虚に受けとめて検討をして、そしてなるほど大蔵省は生まれ変わったという実態を速やかにつくり出していくことが大事なことであるというふうに私は思います。
  70. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 ぜひそれは言葉だけに終わらせていただきたくないと思います。強く進めていっていただきたいと思います。  もう一点、今は若い人の話をしましたけれども、これはOBの方の問題です。これもいろいろな場面で既に指摘をされていることですけれども、例えば、今回さまざまな人がいらっしゃる。銀行局長を初めとしてさまざまな処分を受けられたわけですけれども、処分を受けても時間がたてば結局もとへ戻る、復活するという部分があります。もちろん、そのことをずっと引きずらなくてはいけないという意味ではありませんけれども、逆に、むしろ処分そのものが箔がつくというふうな部分が必ずしもないわけではない。  例えば、七九年の鉄建公団事件で戒告処分を受けられた当時の松下官房長は、その後事務次官になられて、民間金融機関の頭取になられ、そして日銀の総裁になられた。こういうふうなことが、これは一つの例ですけれども、幾つもある。たくさんの人材がいるにもかかわらず同一人物がいろいろなところに天下りを引き続きされる、そういう場面が非常に、私たち国民のサイドから見て、私たちがいろいろ皆さんにお会いしたときに、そういう点を何とかしてほしいという声が強くあります。  最後に、すべてを禁止するという前に、とりあえず天下り先の退職金を廃止するなどといったそういう抜本的なことを導入するつもりはないのか。例えば千葉県の柏市、これは非常に例がマイナーかもしれませんけれども、市職員OBが天下りの外郭団体をやめる際に退職金は支給しないように外郭団体に要請して、ほとんどの団体がそれを受け入れるというようなニュースが出ておりますけれども、そういったことも含めて天下りという問題について抜本的なことを打ち出す用意はないか、そういうことをお聞きして、終わりたいと思います。
  71. 松永光

    松永国務大臣 よく国会議員大蔵省をやめて民間に行った人のことを天下りと言うんだね。あるいはまたそれに類した言葉を使っているけれども、私は天下りという言葉は大嫌いなんです。天下りといえば、大蔵省が上で民間の方が下、だから天下りと言うんです。私は、大蔵省の経験者で余りいいことをしていないような人の場合には、余りいい言葉じゃありませんけれども、大蔵崩れという言葉を使ったりするのです。したがって、できる限り天下りという言葉は使わぬようにして、再就職というのがいいんじゃないでしょうか。そうせねばおかしい、私はこう思っておるわけであります。  いずれにせよ、先ほど、処分の話でございましたが、今回の処分は内規による処分ではなくて、実は国家公務員法に基づく処分なんでありまして、しかもその処分は、今回の場合はほとんどの人が自己の行為に基づく処分であります。いわゆる監督責任者としての処分はほとんどありません。強いて言えば、きょういらっしゃる山口局長、これは監督者責任も加味した上での処分であったわけでありますが。  というのは、山口局長の名誉のために言っておきますけれども、平成八年の倫理規程発出後は非違と見られるような行為は実はなかったわけであります。それにしても減給一カ月という処分でありますので、これは国家公務員法処分としては監督者責任ということも考えた上での処分であったわけでありますので、その点も一つ申し上げておきたいと思います。  なお、国家公務員法懲戒処分の場合には、当然のことながら、人事記録カードに掲載されるのですね。この人事記録カードに掲載されたものは生涯ついて回る。したがって、任用の面では相応のマイナス評価を受ける。昇進の際の判断材料となるんですね。給与の面でもしかり。それからまた、将来、叙勲等の場合にも、これは大きなマイナスの評価を受けるというふうに聞いております。さようなわけで勲章などということはないのです。その人が公務員としての立場で物事をする場合には必ずマイナスの評価がなされるということでありますので、勲章などになるということは絶対ないということを申し上げておきたいわけです。  それからもう一つ、退職金等の問題でございますが、このことについては、大蔵省のみならずほかの役所もそうでありますが、再就職をどうするかということは、公務員の制度のあり方として考えなければならぬというわけで、総理の発案によりまして今懇談会が持たれておるわけで、その懇談会の成り行きをきちっと実は見届けておるわけでありまして、それに基づく対応をしていきたい、こう考えておるわけでございます。
  72. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 終わります。
  73. 村上誠一郎

    村上委員長 次に、上田清司君。
  74. 上田清司

    上田(清)委員 速水総裁以下、日銀の皆様方、御多用中のところありがとうございます。  忘れないうちに申し上げますが、武藤官房長戒告以上の方々に関しては処分理由を文書にしてぜひ出してください。お願いしておきます。
  75. 武藤敏郎

    武藤政府委員 ただいま、処分の事由というものを示せということでございますけれども、私どもは従来から、御質問があれば口頭で御説明をさせていただいておりますが、今のお話につきましては、検討させていただきたいと思います。
  76. 上田清司

    上田(清)委員 よろしくお願いいたします。  総裁、たまたまTBSの報道に端を発しておりますが、私は、先ほど大臣とも、単に給与が高いとか安いとか、こういう問題に矮小化してはならぬ。日銀の独占的に持つ発行権、これによってもたらされるところの発行益は国民の貴重な財産だ、この認識に立っておのずから日銀行政日銀の業務というのは考えなくてはいけない。みじんの曇りもあってはいけない。発行益は国民に還元する、こういうきちっとした姿勢が必要だ。アメリカの連邦準備金は、ルールによって、私も正確さにちょっと欠けておりますが、九五%はもともと国庫に納入する仕組みをつくっているはずです。そういう視点からも、例えば日銀の予算全体を見ても、五%でなくて約一〇%ですから、倍の経費を使っている、こういう認識にもなるわけであります。そういう視点が私の根底の中にあるということを御認識の上に、ぜひ御答弁を速やかにしていただきたいというふうに思います。  実は、TBSの報道がございまして、やはりそういう認識に立って私なりに気になりましたので、みじんの疑いもあってはならないということで資料要求をしておりましたけれども、小刻みに出てくるのですが、今日に至っても十分出していただけない。特に、近年の三、四年は、もちろん民間の市中銀行も下げてきておられますから、一緒に下げてきておられる。しかし、五十八年以降はどうなのかということで提出をお願いしているところですが、なかなか出てこない。これは、日銀内部の仕組みとしていかなる状態になっているのか。  先ほど銀行局長にお伺いしましたけれども、余りきちっとしたルールに基づいてそういう整理もしていないというようなことも伺っております。だから遅いんだというふうなことを言われておりますけれども、私に言わせればとても信じられないぐらい資料がさっさと出てこない。つじつま合わせでもやっているんじゃなかろうかというふうに疑わざるを得ないような状況であります。  この点について、総裁、いかがですか。
  77. 速水優

    速水参考人 上田委員には、御質問を分断させてしまいまして大変申しわけございません。今、行革委員会の方がちょっと時間が長引いてしまいましたためにおくれて参りました。  早速でございますが、ただいま御質問銀行券の発行益はどうしているかということ、まことにこれは中央銀行の機能の本質にかかわる御質問でございます。簡単に説明させていただきます。  日本銀行は、御承知のように、独占的な通貨発行権を認められておるわけでございまして、現在、約四十九兆円、五十兆円近い銀行券を発行いたしております。これは、内外で持たれておるわけでございますが、この四十九兆円の銀行券発行残高というのは、日本銀行にとっては。バランスシートでは債務勘定なんです。これに見合って資産に国債があったり銀行に対する貸し出しがあったり、あるいは外貨を持ったりといったようなことになっておるわけでございます。ただ、御指摘のようにこれは無利子で、銀行券を発行して、債務でありますけれども、利息は払ってないわけです。したがって、運用益が出てくるからそれが発行益になるはずだという御質問かと思います。  これは確かに収益になるわけですけれども、銀行券を発行するにつきましては、印刷費それから私どもの諸経費、こういうものを差し引いて、さらに内部留保を控除した残高を国庫に納付する。それらも差し引いて純益として一兆五千億ぐらいのものが昨年度あたり出ているわけですけれども、これから通常の計算で所得税を二千二百億ぐらい、それから日本銀行納付金というのは昨年で一兆一千億払っております。これは両方とも一般会計に入るわけですね。一般会計のかなり大きな財源になっているはずでございます。  そういう意味で給与その他余計に取って国庫に納めるべきものを少なくしているのではないかという御懸念をお持ちになっているのかと思いますけれども、その点につきましては、もう十分厳格に経費については内部でチェックもいたしておりますし、適正なものと考えております。大蔵省の審査も受けておるわけでございます。その辺は間違いのない国庫の歳入になっているということを御理解いただきたいと思います。
  78. 上田清司

    上田(清)委員 先ほど総裁のいらっしゃらない間に局長等とお話をさせていただきまして、十分な査定をやっていないということを言っておられました。それはいいです。見解の相違でいろいろ議論がございます。  それではお尋ねします。もう時間が少なくなっておりますので、お尋ねした点だけ。  支店長、局長クラスの人数は何人おられますか。
  79. 鴨志田孝之

    ○鴨志田参考人 お答えいたします。  いわゆる我々の資格で参事級と言っておりますが、これには局長、支店長というものが含まれますが、これが四月一日現在九十名でございます。それから、課長級が百五十名でございます。それから調査役級が三百三十九名でございまして、これがいわゆる管理職というレベルでございまして、全体で五百七十九名でございます。
  80. 上田清司

    上田(清)委員 課長と局長、支店長の間にいらっしゃる次長級というのはどこに入っているのですか。
  81. 鴨志田孝之

    ○鴨志田参考人 お答えいたします。  ちょっと言葉が足らなかったかもしれませんが、この参事級という中に、局長、室長、研究所の所長、それから審議役、局に次長を置いているところがございますが、次長、それから局にいる参事、それから支店長、こういう人たちが全部ここに含まれているわけでございます。
  82. 上田清司

    上田(清)委員 そうしますと、総裁、これは給与の問題に私はしたくないのですが、ちょっと数字で幾つか気になることがございまして、課長の中にもいろいろ給与の差があると思いますので、雑駁で結構です、あるいは理事でも結構ですが、二千万以上の給与を四月一日現在でいただいている人数というのは何人ですか。
  83. 鴨志田孝之

    ○鴨志田参考人 ちょっと申しわけございませんが、今手元にございません。
  84. 上田清司

    上田(清)委員 少なくとも支店長、局長以上は二千万以上ですね、いわゆる参事級というのは。
  85. 鴨志田孝之

    ○鴨志田参考人 そのとおりでございます。
  86. 上田清司

    上田(清)委員 課長の中にも二千万以上の人はいますね。
  87. 鴨志田孝之

    ○鴨志田参考人 ちょっと今すぐ確認ができませんので、申しわけございません。
  88. 上田清司

    上田(清)委員 確認しなくてもいいのですよ、一人でもいらっしゃればいいのですから。
  89. 鴨志田孝之

    ○鴨志田参考人 わかりませんという状況でございます。
  90. 上田清司

    上田(清)委員 とにかく、情報開示がなかなかされないのですね。疑惑を私が晴らしてあげたいと思っているのに、なかなか疑惑は晴れないですよ。  総裁にお願いしたいのですが、この問題をたまたま取り上げました石井紘基議員と私が日銀まで参りますので、納得のいくような資料をそこで見せていただくというようなお計らいはできないでしょうか。
  91. 速水優

    速水参考人 必要な資料というのは、公表できるものはすべて公表してまいりたいと思っております。
  92. 上田清司

    上田(清)委員 そういう総裁の言葉ですから、後で理事職員の皆様方には、明確に委員会で言われましたので、今後、遅滞を許しませんので。  それで、お伺いしますが、昨年の四月二十五日の大蔵委員会自民党砂田議員が質問されて、当時の松下総裁が、二千万以上もらっている職員は何人いるのだと言ったら、八十人と言っていましたよ。課長でもたくさんもらっている人がいるのですから、今の参事級の九十人と違いますね。年々減らしているのでしょう。ふえるわけはないですね。多分、平成七年度の話をされたと思いますよ、松下総裁は。どうしてですか。
  93. 鴨志田孝之

    ○鴨志田参考人 お答えいたします。  その当時、給与等の削減ということを考えておりましたので、恐らく削減の方針ということを頭に置いてお答えになった数字じゃないかと思います。
  94. 上田清司

    上田(清)委員 極めて苦しい答弁ですね。削減の方針の数字を言われたというふうにおっしゃるのですか。あなた方はいつもそうじゃないですか、その都度、数字の基準が違ってくるじゃないですか。  では、まだ聞きますよ。  いろいろ出された資料だけでも怪しげな判断が時々ありますので、確認させてもらいますよ。嘱託のモデルで調査役を出されておりますが、調査役の定年退職時に八百七十六万円・再雇用された場合のモデルの年収として、六十歳時に七百四十六万、六十一歳時に六百四十三万六十二歳時に六百四十三万、こう出されていますね。この調査役級の職員は再雇用の中では一番高いレベルですよね。
  95. 鴨志田孝之

    ○鴨志田参考人 調査役級レベルよりも高い特嘱の人はいるということでございます。
  96. 上田清司

    上田(清)委員 再雇用の中に調査役級以上の人がいるということがあるのですか。何人ぐらいいらっしゃるのですか、そういう方は。
  97. 鴨志田孝之

    ○鴨志田参考人 ちょっと私も技術的なことなので必ずしもわからないのですが、別に隠すとか全然そういう話ではないのですけれども、後ほどお答えさせていただくということでお許しいただけないでしょうか。
  98. 上田清司

    上田(清)委員 資料を配付いただけますか。  調査役級の方以上の人たちが再就職される可能性というのは私は薄いと見ています。課長以上の方々民間に再就職されますので、これ以上の待遇であり得るはずですから。もちろん、業務に関して取り残された部分だとかということで、あえて一年、二年残られる方もいらっしゃるかもしれませんけれども、原則、余りあり得ないというふうに私は見ております。そういう認識を持っていきますと、資料として提出された嘱託人数が、平成五年から平成九年まで、百二人、六十九人、六十四人、五十五人、三十四人とどんどん減らしておられます。かつては三百六十人からいらっしゃったときもありました。その三百六十人が怪しいのではないかというような話もあります。  それで、この嘱託の皆さんの総額が予算で、例えば平成五年、十億四百万、一人当たりにしますと九百八十四万になるのですよ。そうすると、これは日銀の皆さんから出された資料の(七)の中でも九億三千九百万、こういう数字を嘱託人数で割っても九百二十万になるのですよ。モデルの平均を割ってもそうなるのですよ。嘱託金額よりもはるかに大きいじゃないですか。どの数字も嘱託の給与平均を下回るもりはないですよ、私の試算では。お手元にありますね。どういうわけですか。
  99. 鴨志田孝之

    ○鴨志田参考人 先生のおつくりになった資料というのは拝見させていただいていますが、恐らくこれは、特嘱の総額を年度末の人員で割ってつくっておられるのじゃないかと思うのですね。けれども、実際の給与の支払い額というのは、年度末の人数ではなくて、平残といいますか、その期中に平均的にいた人数でということになりますので、そういう観点から数字をごらんいただければと思うわけでございます。
  100. 上田清司

    上田(清)委員 しょうがないね、わけのわからない答弁をされて。あなた方が持ってきたのは、日銀提出資料(七)というのは決算作業中ということですから、多分これは決算の数字でしょう。そして、左の方は経費予算書の給与科目内訳から出してきた数字です。この数字が違う。  では、嘱託人数のこの数字というのは何なのですか。
  101. 鴨志田孝之

    ○鴨志田参考人 この嘱託の人数は年度末の数字でございます。したがいまして、年度末の人数が期中にいる人数とはやはり異なってくるわけでございますね。したがって、その差が出てきているということでございます。  例えば、今御指摘になった平成五年度でございますが、百二人というのが五年度末の数字でございますが、その期中というのは、前年度末の人数とここにある五年度末の人数、非常に技術的になって恐縮なんですが、その平均的なところにあるわけでございますね。この前の特嘱の人数が、私が今事務方に聞いたところ、百三十八人だということでございますので、期中の平残としては、百三十八と百二を二で割ったような、百二十人なら百二十人、厳密に今数字を申し上げているわけではございませんが、そういう数字になるわけでございまして、そういう意味で割っていきますと今先生指摘のような数字と矛盾はないことになるのじゃないかというふうに思っております。
  102. 上田清司

    上田(清)委員 その数字は矛盾がなくても、それでは、決算のときの処理の仕方は一体どうするのですか。決算額で出てくるじゃないですか。その金額もどんどんずれてくるわけでしょう。  もう時間がないからどうにもなりませんけれども、あなた方はこの数字の出し方をそれぞれ一貫して変えますよ。決算で出してきてみたり、予算で出してきてみたり、途中のものですからとか。そんな科目はないですよ。どの予算書でもどの決算書だって、最初にいたときと最後にいた人たちとの人数は違いますよ。それを問題にしないままに計算していくのですよ。それで平均値だとか、それからまたさまざまな平均給与だとか人数とか出すのですよ。そういうやり方をあなた方だけしないというのだったら、これはなかなかできませんよ。本当の数字とか本当の中身というのは見えませんよ、何度も何度もそんなことばかり言っておられるけれども。  総裁、一貫してこういうやり方なんですよ。考えられないでしょう。どう思われますか。これは最後ですけれども。
  103. 速水優

    速水参考人 先般来、上田委員からいろいろ聞かれております、人為操作によって意図的に給与をふやしているのではないかということにつきましては、現在もありませんし、過去も調べた結果断じてありません。そのことと、調整給についても水増しの道具に使っているではないかということを御懸念のようでございましたけれども、これもそうではございません。今、いろいろ違った数字が出ているとおっしゃいますが、これはもしそういうことであれば、事務方でよく検討させて的確にお答えするようにいたします。  それから、透明性とおっしゃいまずけれども、それは確かにどこから見ても透明なものでなければいけないわけですけれども、中には、やはりある一定のときに来ないと出せない数字もあるわけでございまして、アカウンタビリティーという言葉は、ただ透明ということでなくて、だれにも申し開きができる数字という意味であるはずなんですね。そういうものを一人一人が間違いなく中央銀行の機能を考えながらアカウンタブルな数字を公表していくということで進めてまいりたいし、新生日銀法のもとでそういうことを徹底してまいりたいと思っておりますので、よろしく御理解いただきたい、御支援いただきたいと思います。
  104. 上田清司

    上田(清)委員 時間ですので終わりますが、最後に申し上げますけれども、では、なぜ平成五年以前のは出さないのですか、給与の額にしても。平成五年以降しか出してないじゃないですか。何度言っても出さないじゃないですか。何週間かかっているのですか。なぜ平成四年、平成三年、平成二年、平成元年、六十三年、六十二年、六十一年、出さないのですか。出してないじゃないですか。何かおかしいことでもあるのじゃないですか。そういうふうにしか思えませんよ、いつまでたっても出さないから。そのことを最後に申し上げて、終わります。ありがとうございました。
  105. 村上誠一郎

    村上委員長 次に、小池百合子君。
  106. 小池百合子

    ○小池委員 自由党の小池百合子でございます。  大蔵日銀の今回の不祥事の調査及び処分について発表されるということで、委員といたしまして、昨日、議員会館でずっと待っておりました。どんなにたくさんの書類が運び込まれるものやらということで机をあけて待っていたのですけれども、運び込まれましたというか、持ってこられたのは封筒それぞれ一枚ずつでございまして、べらの紙、たったこれだけでございました。  最近、政策の問題でツーレート・ツーリトルというふうに言われますが、まさに今回の発表もそのツーレート・ツーリトルと全く同じではないか。そしてまた、ここから思いますには、あれも隠そうこれも隠そう、そういう思いばかりが先に来て、結局こういう形になってきているのではないか。もちろん、大蔵省の、また日銀の当事者の方々からすれば、僕はどうなるんだ、あのときどうなっているんだ、あいつの方が何でこんな軽いんだとか、それぞれの考え方はあるでしょうが、しかしながら、私ども、そして国民の皆様からすれば、こんなのでもう幕をおろしてしまうのかというような思いが強いことと思います。  つまり、もうそこまで日銀にしても大蔵にしてもコンフィデンスというものを欠落させてしまっている。私は、最大の罪は、不祥事を起こしたということもさることながら、結果としての日本に対する、そして大蔵省に対する、日銀に対するそういった信頼感の欠如、これこそが最も大きな犯罪ではなかろうかというふうに思うわけでございます。  それで、きょうも日経平均、きのうのニューヨークの急落を受けまして、もう三百円近く下げて一万五千三百円台というところをうろうろしているようでございます。その後の最終的な数字はわかりませんが、前回もこの大蔵委員会に大手銀行の九行の頭取にお越しいただいて、そしてもう皆さんコメツキバッタのように謝っていかれたわけでございますが、折しもその日はシティコープとトラベラーズ・グループの大型合併の発表された日でございました。また、その後も強い者同士が合併をするということで、まさに日本を除く金融機関、今世界での大編成、大再編の大きなうねりがあるわけでございますが、片や日本におきましては、どこがこれから危なくなるからどこかで救済をしょうというようなマイナスの意味での再編の動きになっているわけでございます。  まず大蔵大臣にお伺いしたいのですけれども、この連休前にぎりぎりに発表されたわけでございます。そもそも、その連休の間に挟まって、みんなが連休で頭をとられているところに発表しようとしたんじゃないかとさえ私ども読んでしまうわけでございますけれども、これはもっと全体的な、先ほども前の委員も御質問がございましたが、この中身をもっと大幅に公表すべきではないかというふうに思うのですけれども、一体これ以上の公表はないんでしょうか。     〔委員長退席、坂井委員長代理着席〕
  107. 松永光

    松永国務大臣 厳正な処分をしたわけでありますが……(発言する者あり)何に比べて甘いかという問題もあるわけですけれども、後で共産党さんの質問の場合に必要があればお答えいたしますけれども、今は小池委員質問でありますから小池委員にお答えします。  私は一つ考えますことは、最近はちょっとしたことでも新聞、雑誌、テレビ等々がその家庭に押しかけまして、そしてその子どもや奥さんにまで迷惑をかけるという事態がしばしば見られる。私は、そういう被害は最小限に食いとめなければ子どもがかわいそうという気持ちを持っております。しかし、特に重い人についてはそういう点の迷惑も甘受してもらわなければいかぬという考え方を持つわけであります。  したがいまして、比較的非行の程度、非違の程度が軽い者等については、そういう迷惑というか被害を奥さんや子供さんに及ぼすのは忍びない。したがいまして、文書厳重注意以上については氏名あるいはまたその地位というものを明らかにしたところであります。
  108. 小池百合子

    ○小池委員 今大臣のお話を伺っていると、私はこれは本末転倒以外の何物でもないというふうに思います。  まず、問題がある、また、問題を起こした、それが一人であれ集団であれ、それが起きたから今これだけの問題になっていて、そして本来であるならば世界経済もしくはアジアの経済の牽引役になるべき日本経済が今ずぶずぶの状態で、そして今日はアメリカの株価も急落しています。では一体どうするんだということで、本当に今世界の危機を迎えている状況にあると私は思うのですね。そこにマスコミが押しかけるからとかそういう話になってくると、それは私は違うと思いますね。  それはマスコミの問題もあるでしょう。そして、冤罪というような形で名誉が守られない場合もございます。しかし、今回のケースは、これは文書なりで処分するということは、やはり明らかに大蔵省も非を認めての話なわけですよ。だから、そこには既に行為が発生しているからそういうことになるんであって、では、家族がかわいそうということになったら、つぶれた山一証券の問題なんかどうなるんですか。それから、大蔵のOBの方々が天下っているような銀行も、それだってたくさんもうつぶれているじゃないですか。そこで路頭に迷っている人たちの家族は一体どうなるんですか。  これはまさしく裁量行政、そしてこれまでの護送船団の金融行政の誤りが今ここへ来て出てきているわけでしょう。大蔵省の人がどうして今被害者面するんですか。私はそれは絶対に解せません。大蔵大臣、答えてください。
  109. 松永光

    松永国務大臣 過去五年にさかのぼって大蔵省職員で特に金融関連部局に在職している者、あるいはまた過去五年にさかのぼって在職した経験のある者等が民間金融機関から過剰な接待を受けるなどの非違があったかどうか、相当綿密に内部調査をしたわけであります。  その結果として、その程度に応じてそれぞれ厳正な処分をしたわけでありますが、しかし、極めて軽微な者については、これを公表して奥さんや子供にまで非常なマスコミその他の集中砲火を浴びるようなことは、これはできることならば勘弁してやってほしいなという気持ちを私は先ほど申したわけであります。大蔵省が被害者とか、非違を犯した人が被害者ということを申し上げたわけではありません。
  110. 小池百合子

    ○小池委員 軽微だとか、それから節度だとか行き過ぎだとか、私はそもそも今回のだって基準がよくわかりませんよ。  それからもう一つ、今回は金融関連部局の課長補佐以上のポストということで在籍して五百五十名、実際にはもっと多くなったということでございますけれども、何でここだけに限るんでしょうか。  例えば、これは検察調査じゃないわけですね。検察調査の場合には、それは例えばいわゆる職務権限ということで詰めていかなくてはならない。しかし、今回のこの結果を見ますと、もう明らかに会食であるとかゴルフとかいわゆる接待のことを基準にして調べられたわけでしょう。そうですよね。であるならば、贈収賄ということではなくて、これは、要はどれだけ接待を受けたかという調査であるならば、金融関連部局に限る必要はないんじゃないですか、大臣
  111. 松永光

    松永国務大臣 先ほどの質疑、論議の中にも出ておりましたが、大蔵省職員、七万人おると言いましたな。(小池委員「八万人ですよ」と呼ぶ)国税を入れれば八万人。今問題になっているのは、大蔵省職員とそれから金融機関との間に癒着があるような問題、金融行政というものがそれで公正さを欠いているのではなかろうかという問題、これが現在問題になっているところであります。したがいまして、金融関連部局に在職する者あるいは在職した経験のある者と金融機関との間の好ましからざる関係があるかどうか、あったかどうか、それを重点に置いて内部調査をしたわけであります。  もっとも、それ以外の者であっても具体的に重大な疑惑があるということであるならば、それは一般論として、厳正な調査をして、そして厳正に対処することは、これは当然のことであります。
  112. 小池百合子

    ○小池委員 しかし、例えば官官接待だって、これだって癒着の問題でしょう。相手が金融機関だから、これはこれからのビッグバンに移っていくために不都合であるとか、もしくは、ひょっとしたら、六月に金融監督庁ができるからそれまでにいろいろなうみを出しておこう、一掃しておこうというお掃除感覚で金融関連部局に限ったのじゃないかと思いますし、また、五年間ということですけれども、では何で五年間なんだという理由は、私は何度もここで聞いているけれども、納得はできない。ましてや、これはだれしも、銀行関係者金融機関も言うし、マスコミも言うのですけれども、主計の方に主なメスが入っていないのじゃないかというのは、省内でもこれは不公平感を生んでいるわけですよ。  例えば、キャリアの人なんて八万人全員いるわけではないじゃないですか。これを対象に全部をやるということにした方が、私は、今求められているのは、癒着の問題、いろいろある、こうやって接待の問題で処分をする、であるけれどもそれが一部であるということの問題が、いや、もっとあるのじゃないか、もっとすごいことがあるのじゃないかということが市場に疑心暗鬼を呼び、そして国民からは、大蔵、そして日銀に対しても同じような不信感を抱いている。それこそが最大の問題だ、そしてそれはもう犯罪に等しいということを先ほど申し上げたわけなんですね。  大蔵大臣、それでは、このキャリア全部の方に対して、数は限られていますよ。今回だって千人近くやったわけでしょう。これを全体に広げるというお考えは全くないのですか。
  113. 松永光

    松永国務大臣 委員もある役所の重いポストにつかれた経験もあるわけであります。私もそういう経験があります。国家公務員が犯罪者の集団みたいに言われることは、これは御遠慮願いたい。しかも、犯罪というのは勝手につくってはいかぬのです。罪刑法定主義、これとこれが犯罪、こうなっておるわけでありますから、そういうことでありまして、私が先ほど使っている言葉は、犯罪という言葉は使っておりません。私は非違、非行という言葉を使っておるわけでありますが、その非違、非行について内部調査をするということも実は相当な労力が要ることでありましたけれども、調査をして、そしてその重さに応じて厳正な処分を実はしたところであります。  先ほども御答弁申し上げましたが、それ以外にも、金融関連部局以外にも具体的に重大な疑惑があるということであれば、それは任命権者としては真相を解明するように努力をし、そしてその結果に基づいて厳正な処置をするということは当然のことだと先ほども答弁したところであります。
  114. 小池百合子

    ○小池委員 先ほどから私が申し上げているのは、例えば今回の調査でも、省内で不公平感というのは実際あるわけですよ。例えば、これを拝見していましたら、それぞれ停職、そして減給六カ月、四カ月、二カ月、一カ月というふうにありますけれども、私の知る範囲、これが何か抜け穴みたいなのがあって、服務管理官に承認を受けたものは含まないとか何かいろいろあったりして、この辺のところがよくわからないから余計また疑心暗鬼になるわけだから、全部公表しろと言っているのです。  例えば今回のでも、何でこの人が六カ月でなぜこの人が二カ月かなんというのは我々にとってみればわからないわけですよ。厳正に調べて、その結果処分をしたとおっしゃるけれども、例えば最近新聞で言われているのは、銀行証券もさることながら、保険の業界からの接待の方が実は多かったということが随分出ているわけですよ。それなんかはちゃんとここのところに出てきているのでしょうか。大臣、いかがでしょうか。
  115. 武藤敏郎

    武藤政府委員 保険の業界につきましても私ども対象といたしました。例えば、国家公務員法上の処分の対象ではないけれども、辞職した者一名ということで、具体的に佐藤という名前が出ておりますけれども、これは保険関係接待におきまして行き過ぎがあったということが認められましたために辞職に至ったということでございます。  そのほか幾つか保険関係のものについてもこの処分者の中に入っておりますけれども、できる限り保険も含めまして調査をいたしたところでございます。
  116. 小池百合子

    ○小池委員 では、もう一度大臣に伺いますけれども、例えばキャリアの方々は数限られています。この方々について、五年といわず十年でも、いやそれは結局大蔵省のためになるし、日本の金融界にとっても私はプラスになると思うから言っているのですね。これこそディスクロージャーですよ。フリーフェアグローバルとおっしゃるならば、まずみずからのディスクロージャーをもっときちっとやらないと、市場がそれにこたえるはずないじゃないですか。例えばキャリア全体に対しての調査をもう一度やるということなどはいかがなんですか。  それともう一点、大蔵大臣に伺いたいのは、前回、田谷、中島事件というのがありました。今回、それぞれ処分を受けて、御自分で辞表を出された方が何人かおられますけれども、例えば中島さん、田谷さんの退職金は払われたのでしょうか。この点はいかがなのか、二点について伺います。キャリア全体を調査するつもりはないのか、そして中島、田谷さんの退職金の取り扱いは現在どうなっているのか。よろしくお願いします。
  117. 武藤敏郎

    武藤政府委員 中島につきましては、御承知のとおりさまざまな疑惑が、当初訓告という形で処分を受けましたけれども、その後、副業疑惑でありますとか、あるいはいろいろな方面からの金銭の受領があったのではないかといったような話がございまして、辞職後自主的に、退職金は受け取らないということで辞退をしております。  田谷につきましては、当初の訓告のときに税関長から官房付になったわけでございますけれども、その後それ以上の問題の指摘は具体的にはございませんで、それから数カ月後に辞職いたしましたけれども、この者は退職金を受け取っております。
  118. 小池百合子

    ○小池委員 大蔵大臣、きのうはお二方、三人になるのか、辞表をお受け取りになったということですが、この退職金の扱いについてはどういうふうになさるおつもりなんでしょうか。
  119. 松永光

    松永国務大臣 そのことについては、私の方ではまだ決めておりません。
  120. 小池百合子

    ○小池委員 でも、お決めになるのは職務大臣のはずですね。いつごろお決めになるのですか。
  121. 武藤敏郎

    武藤政府委員 国家公務員法上、御承知のとおり、懲戒免職処分を受けた者は退職金を受け取る資格を喪失いたしますけれども、それ以外の者は、退職金を受け取る法律上の権利といいますか、受け取ることができるわけでございます。したがいまして、中島の例で申し上げましたとおり、自分の意思によりましてこれを辞退するかどうか、こういうことでありまして、そういうことについてまだ決められていない、こういうことでございます。
  122. 小池百合子

    ○小池委員 そうすると、むしろそのお三方の方の意思の問題であるということでございますけれども、では、そうなりますと、大蔵省としてはその点について意思は持たないということになるわけでございますね。——まあいいです、答えはわかっているから。  それでは日銀の方、速水総裁、またちょっとこれはテクニカルになるかもしれませんので、鴨志田さんでも結構でございます。  昨日の調査結果を拝見いたしまして、「今回の不祥事に関し、前営業局証券課長の容認のもと内部情報を取引先に漏らしたことがあると申告した者が若干名いた。」それからもう一つ、「節度を超えた接待等」。先ほどからも申し上げているように、この節度というのがどこからどこまでなのか私はよくわからないし、また日銀は特に、大蔵省と違って通達というかルールを全く決めていなかったところに突然ルールのような何かよくわからないものがかかってしまったので、日銀の人の方がある意味では大変だろうなと私は思うのですが、でも、世間の常識を考えれば何も大変なことはなかったのです。  もう一つ、三番目のところに、「また、同期間中に、考査局幹部が、考査先から接待を受けた例もみられた。」というような調査結果が上がってきております。淡々と書かれておりますけれども、これだけでも十分重要な大変なことではないかというふうに私は思いますし、また、考査局というのはこれから新生日銀として、前回の大蔵委員会のときにも申させていただきましたけれども、一番基本に、肝心なところになるんじゃないか。それが、これは新生日銀の前だとおっしゃるかもしれないけれども、接待を受けた例も見られた。ひょっとしたらここに多々というふうに入れた方がいいんじゃないかと思っているのですけれども、この二点、若干名そして接待を受けた考査局の点なども含めてお答えください。     〔坂井委員長代理退席、委員長着席〕
  123. 速水優

    速水参考人 情報を漏らした者が若干名というものにつきましては調査役以下の者でございまして、やはり四名ほどが譴責処分を受けております。  それから、基準をどこに置くかということですが、処分は、節度を超えた接待等により日本銀行の信用や名誉を傷つけたことに対して強く自覚を促すという趣旨から行ったものでございまして、接待の頻度、内容、時期、接待を受けた者の立場等を総合的に勘案して処分の軽重を決めたものであります。その際、同じような行為であれば、本行の信用確保についてより重い責任を有する上席者ほど厳しい処分になっております。  また、今御指摘の考査局関係者につきましては、考査中、特に考査先から接待を受けることは世間から見れば疑義を招きかねないものだけに、状況をしっかり吟味して、その立場等も勘案して譴責ないし戒告処分といたしております。その点は十分配慮したつもりでございます。
  124. 小池百合子

    ○小池委員 結局、基準というのは極めてあいまいであることがよくわかりました。確かに難しいことは難しいのでございましょうし、また、日銀にとっても、そういったもとになる基準そのものがなかったということも大きな反省点ではなかろうかというふうに思います。  また、例えば何か方程式をつくるとか、頻度とお金と地位と、そんな方程式でもできればいいのでしょうけれども、そんなものはできない。基本的には、公務員倫理法、及びみなし公務員である日銀に対しての同じように厳しい倫理法を早急につくる必要がある。我々は新進党時代にとっくにそういうものを出しているんですけれども、ずっとそれは無視されてきてしまって、今ごろになってわいわい言っているということの方が大きな問題かと思います。  それで伺いたいのは、日銀の方、先ほどから、またこのところ上田議員などが日銀職員数の水増しの問題をずっと追及しておられます。例えば、中央銀行職員数がそのたびにふえたり減ったり、アカウンタビリティーという言葉を先ほども使いましたけれども、アカウントという言葉はそもそも数を数えるという意味でございまして、中央銀行職員の数さえ数えられないというのは、アカウンタビリティーから最も遠いということをみずから証明しているような、恥ずかしい話だと私は思います。  私はその意味で、株式会社でもあります日銀に外部監査を導入したらどうかというふうに思うわけでございます。例えば、ドイツのブンデスバンクや、フランスなどでは中央銀行にも外部監査が入るというふうに聞いております。つまり、これまでの日銀は、会計検査院はあるけれども、ちょっとその距離がほかの公務員と違うということから、ある意味でそこが抜け落ちていたのじゃないかと思うのですね。私はそこで、それに対しての方策として、また新しいシステムとして、日銀の外部監査をすべきではないかというふうに考えておりますが、総裁はどうお考えになりますでしょうか。
  125. 速水優

    速水参考人 初めに一言、先ほどお答えした中で、情報漏えい調査役以下、譴責と申し上げましたけれども、それは間違っておりまして、まだ裁判も決まっておりませんことで、これは今のところは厳重注意ということになっております。先ほどの譴責というのは撤回させていただきます。  それから、御指摘のように、日本銀行の場合は接待として明確なルールがございませんので、しかも七百十行ぐらいの取引先があって、五年間で六十回以上の者を譴責とするという、一応、本人の場合には行為責任というのはそういう基準を設けて、月一回ということでございますけれども、その質が先ほど申し上げましたようにいろいろございます。そういうことがあった上で、私どもとしては、組織としてこういうことを行うような空気があったということは本当に反省しなければいけないことで、ルールもつくっていなかったことに対して、前の正副総裁は責任をとって辞任をしているわけでございます。  これからは、その点についてはもう厳重なルールができておりますし、今後はそういうことは起こらないだろう。私どもとしても、新しい日銀をつくってまいりたい、新しい意味での市場あるいは金融機関とのつき合いの関係というもの、取引の関係というものをつくり上げていかなければいけないというふうに思っております。  最後の質問は、私、ちょっと意味がとれませんでしたので、理事に答えてもらいます。
  126. 鴨志田孝之

    ○鴨志田参考人 外部監査というお話でございますが、日本銀行は会計検査院が必ず検査しなければならない法人ということになっておりまして、毎年、会計検査院の検査を受けているわけでございます。  それから、こういうふうに会計検査院という第三者の検査を受けることを義務づけられておりますので、例えば民間の監査法人等の新たな外部検査を追加的に受ける必要は必ずしもないのではないか、今、こういう認識を持っております。
  127. 小池百合子

    ○小池委員 では、会計検査院が検査をしているのに、何でそんなに人間様の頭数が出す書類ごとに違ってくるんですか。そうすると、会計検査院がきっちりと検査をしていないということに、向こうの方に話が行ってしまいますけれども、そんなのでいいんでしょうか。  つまり、私は、これまでの職員水増し事件の話を見ておりましても、会計検査院と日銀との間が一種ブラックホールのようになっていて、結果的に機能を果たしていないのじゃないか、だから、それではいけないから外部の監査を入れるべきではないかという趣旨でお話ししているのであって、もし会計検査院がきっちりと機能を果たしているならば、もしくは日銀と会計検査院が緊張関係にあるのならば、今のような事態は起こらないではないですか。いかがでしょうか。
  128. 鴨志田孝之

    ○鴨志田参考人 お答えいたします。  まず、人数があれこれ違うというのは、そういう予算をつくる上での人数と実際の人数ということの違いはございますが、何かそこで意図的に操作して人数を変えているとか、そういう事実はございません。それで、会計検査院に対しましても、きちんとした人数を御報告しているところでございます。
  129. 小池百合子

    ○小池委員 上田議員の書類で、実人員というタイトルがここに打ってありまして、人員に実がつかないものは、ではにせ人員、何と言うのかわかりませんが、いずれにいたしましても、今回の大蔵の、そして日銀調査結果の公表、そしてまさに結果そのもの、処分その他含めまして、多くの国民が、また結局これでお茶を濁していつの間にかみんなが忘れることを期待していこうというような、つまり、いつまでも隠そう隠そうという意識がいまだに変わっていないのではないかということを、みんなかぎ取っているわけでございます。よって、これからの本当の意味でのフリーフェアグローバルを目指すのであるならば、そこの核になっておられる、もしくはもうその核は余り機能しない方がフリーフェアグローバルが果たせるというふうに思いますけれども、そこが本当に大きく生まれ変わらない限りはまた同じ繰り返しが行われるのではないか。  先ほども赤松議員の方からも指摘がございましたけれども、きのうになって、これは私が受けた印象でございますけれども、また有識者という、何かタイトルはそういうふうなのがついて懇談会がばたばたと開かれて、また同じことを繰り返しているではないかというのが私の感覚でございますし、まだわかっていないのだなという気持ちが強い。  また、大蔵省の若い方々というのも、もういいかげんにしたいというふうなこともおっしゃっておられます。むしろ僕たちに任せてほしいというようなこともおっしゃっている。きのうやめられた長野証券局長は、どうせやめるのならばみんな一緒にやめようというようなことを提唱しておられたというようなマスコミ報道もございました。まさにパージとは申しませんけれども、でも、それは大蔵の、今、上の方におられる方にとっては大変なことですけれども、私は、日本の金融行政、そして今後のフリーフェアグローバルを目指すならば、それぐらいの大胆なことをやってもいいのではないかというふうにも思うわけでございます。  いずれにいたしましても、もう隠そう隠そうということはやめていただきたい。だから、そっくりこれを公表したらいかがでしょうか。そして、キャリア全体、数は知れています。数少ないからエリートだ、キャリアだといってみんなが持ち上げて、そこに接待が集中するわけでしょう。だったら、数は知れているわけですから、この際大幅にやっていただきたい。  そしてまた、今回の退職金問題、これも今後どのようになるのか、国民は注視しています。別に、私は魔女狩りとかそういうことは申しません。しかし、国民感情というものも実際にはある。そういったことも含めて、今回の発表について、大蔵大臣に、これからこれを踏まえてどうやっていくのか、決意を伺って、私の質問を終わらせていただきます。
  130. 松永光

    松永国務大臣 一月以来、担当者がそれこそ一生懸命になって内部調査をし、そして接待をした側からの話も十分承った上で、不公平にならぬように、できる限り念には念を入れて内部調査をした結果、それに基づぐ厳正な処分をしたところでありまして、これを契機大蔵省国民から信頼される、そういう役所として、非常に大事なこの時期でありますから、経済、景気対策、その他しっかり仕事を進めていける、そういう役所として機能していけるようにこれからやっていかなければならぬ、こう思っているところでございます。
  131. 小池百合子

    ○小池委員 ありがとうございました。
  132. 村上誠一郎

    村上委員長 次に、佐々木憲昭君。
  133. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。  接待汚職に関する大蔵省内部調査処分の公表で、大蔵省金融業界との癒着というのがいかに深刻なものであるか、構造的なものであるかということが明確になりつつあります。ところが、この接待というものの中身がどういう目的で行われたのか、あるいは、接待の結果、大蔵行政がどのような影響を受けたのか、こういう点が一切明らかになっておりません。全容が公表されないままでこれで一件落着ということは、国民は到底納得できないと思うわけであります。  きょうの東京新聞などでも、処分大蔵省が下したもので内部への処分は甘い、公務員の退職金も税金から出るのだから処分は軽い、懲戒免職にすべきだ、許しがたい、公務員全体の信頼を失墜させてしまった罪は減給で済まない、退職は当然、大蔵大臣が約束しておきながら処分は遅いし軽い、許せない、こういう声がどんどん出されているわけであります。  そこで、具体的にお聞きをしたいと思います。  大臣談話で松永大蔵大臣は、「金融機関との間に行き過ぎた関係があった」というふうにあります。あるいは大蔵省の発表文には、「節度を超えた関係」、こういう表現があります。極めてあいまいな表現だと思うわけであります。どこまでが認められるところで、どこから超えれば行き過ぎた関係になるのか、何を基準にその点を判断されるのか、松永大蔵大臣にまずこの点をお聞きしたいと思います。
  134. 松永光

    松永国務大臣 これは大蔵省だけではありません。すべての公務員に当てはまることだと思いますけれども、自分の職務関係のある人、そういう人から接待を受けるなどということは、これは当然のことながらよくないことでありますから、そういったことがしばしば行われておるということであれば、それは重大なことだというふうに私は思います。  ただ、たまたま親しい友人が、久しぶりだから一杯やるかなんというような場合のことは、これは常識の範囲内じゃなかろうか、こう思いますが、そういう特別ではないのに自分の職務関係のある者との間に接待を受けるということは、これは公務員倫理として許されないことだというふうに私は思います。
  135. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 職務関係のある業者との間の接待会食、こういうものは許されないというお話でありました。  そこで、今回、百十二人の処分が発表されたわけでありますが、この処分のランクづけがありますね。停職、それから減給あるいは戒告。ところが、それぞれの基準というのが示されておりません。つまり、減給停職との間の基準といいますか、仕切りはどこにあるのか、あるいは戒告減給との間の仕切りはどこにあるのか。つまり、接待内容を具体的な基準として示していただきたい、こう思います。
  136. 武藤敏郎

    武藤政府委員 ただいま大臣からも御答弁がございましたけれども、まず、判断の基準といたしまして、当然のことながら接待の回数といいますか、そういうものが基本にございます。しかし、仮に回数は同じ、あるいはより少なくても、より問題のあるケースもあるのではないかということから、私どもは幾つかの基準を設けて判断いたしました。  その第一は、八年十二月の倫理規程の制定前後で世の中のこの問題に対する対応が違った。したがって、公務員としてそういう倫理規程に従うべきであるということから、その後におきましてはより厳しく、その前におきましては、これはその当時、例えば八年の十二月の前でも、七年五月のいわゆる大蔵省の中での通達がございますけれども、その間は次に重く、それよりさらに前になりますと、原則として会食は行わないといったようなことで、一定の社会通念上許される会食というものがあったというのが、残念ながらそういう認識が職員の中にあったのも事実でございますので、そういう意味で倫理規程等との関係というのが第一点でございます。  第二点は、職務上の関係があったかどうかということでございます。  それから第三点は、同一の相手方と反復、継続する度合いが非常に強いといいますか大きいケースにおきましては、より戦務の公正を疑われるのではないかということでございます。  そういうものを総合判断した上で、さらに、管理監督の立場にある者、位の高い者はやはりそれだけ責任も重いというようなことで、そういうことを総合勘案いたしまして判断をしたわけでございます。そういうことでございますので、これは一般的な基準でございますが、それを個々具体的に当てはめまして、あそこに御報告しましたようなそういう判断に至ったわけでございます。
  137. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 今言われた基準を当てはめて処分を行った。  それでは、先ほど上田議員の質問に対しまして武藤官房長は、戒告以上の処分について、一人一人について処分理由を文書で具体的に示すことを検討する、このように答弁されましたが、それはいつまでに結論を出し、いつまでに公表する予定でしょうか。     〔委員長退席、井奥委員長代理着席〕
  138. 武藤敏郎

    武藤政府委員 つい先ほどの御質問でございましたので、ちょっと、いつまでにということを今申し上げられませんけれども、真剣に検討いたしたい、このように考えます。
  139. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 もう既に処分もされて、そしてまた基準も明確なわけでありますから、現実にその資料はそろっているわけですね。あとは公表するかどうかということだけであります。直ちにこれは公表すべきだと私は思うわけですが、その決意、これは大蔵大臣にお聞きした方がいいかもしれません。基準が今明確にされましたね。そして、それに基づく処分が行われたという事実がありますね。ですから、それぞれの処分者のこういう理由でこういう処分になったという具体的な中身について、これは少なくとも戒告以上については直ちに明らかにすべきだと思いますが、いかがでしょうか。
  140. 松永光

    松永国務大臣 国会の委員会等で正式に答弁をするというのは、これは公表したということに理論上なるんじゃないでしょうか。ただ単に文書をつくって配るということよりも、国会の委員会の場で答弁の形で申し上げるというのが一番権威があるんじゃないでしょうか。
  141. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 それならば、今ここで戒告以上のそれぞれの理由について具体的に述べてください。
  142. 松永光

    松永国務大臣 もう一つ申し上げておきたいことは、先ほど官房長から判断の基準というのを答弁をいたしました。その基準に基づいて総合的に勘案して結論を出したということであります。これは裁判とは全く違いますけれども、この種の場合の処分の量定といいますか、裁判の場合には量刑と言うんでしょうけれども、この量定については一応の判断の基準があり、それに基づいて総合判断して重さのかげんを決める、こういう仕組みになっておるわけであります。したがいまして、その概要についてはお答えはできる、こういうように思います。
  143. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 お答えできると言いながら答えないんですが、具体的な内容について、それでは後で、委員長理事会で直ちにこの処分内容を文書で提出するようにお取り計らいを願いたいと思います。
  144. 井奥貞雄

    ○井奥委員長代理 理事会で協議をいたします。
  145. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 具体的なことについて少しお聞きをしたいと思います。  今回処分を受けた滝本銀行局保険部第一課長、これは当時の肩書でありますが、この方は現在は証券取引等監視委員会総務検査課長でありますが、一九九五年一月十九日、二月九日、二月十四日、この三度にわたりまして日本生命副社長、現在の社長から接待を受けたという報道があります。これについては検査をしたでしょうか。事実はどうだったでしょうか。
  146. 武藤敏郎

    武藤政府委員 私どもはいろいろな金融機関からの接待状況というものを調査いたしましたけれども、本人の申告及び相手方に対する問い合わせ等々いろいろな手段を講じておりますので、中身の個々の名前を申し上げてお示しするということはこの場では差し控えさせていただきたいというふうに思います。
  147. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 具体的な調査を行ったわけでありますから、では、この問題について対象にはなったということでしょうか。
  148. 武藤敏郎

    武藤政府委員 今御指摘の者につきましては、保険会社との間でかなり頻繁に会食が行われておったということと、さらに、今お示しの個別のところがら接待を受けたということは把握しておりますけれども、具体的な場所等までは確認できておりません。
  149. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 具体的な点は把握しているという答弁でありました。内容については公表していただきたいという要望を申し上げておきます。  きょうの日経によりますと、杉井、長野両氏に大蔵大臣は、責任の重さを考慮してみずから進退を判断してほしい、このように要請をされて事実上辞任を求めたという報道がございます。長野証券局長、杉井審議官は、辞職願を出して受理されたということであります。  その扱いですけれども、これは自己都合による退職という扱いなのか、それとも、事実上要請されたというわけでありますから、これは勧奨退職という扱いになるのか、どちらでしょうか。
  150. 松永光

    松永国務大臣 私が具体的に辞職を要請したという事実はありません。辞表を出したのは、二人の文字どおり任意の気持ちで出された辞表提出であったというふうに私は思います。
  151. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 大臣は、この二人に直接、責任の重さを考慮していろいろ判断してほしいというお話はされましたか。
  152. 松永光

    松永国務大臣 責任の重さを痛感して云々ということを私は申したことはありません。
  153. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 大臣は、先ほどの答弁でもありましたが、退職金の問題について、やめる人の気持ちを聞いて判断したい、これは昨日の記者会見でも述べておられました。これだけ重大な処分を受けたわけですから、退職金は当然辞退すべきだ、あるいは出すべきではないというふうに思うわけであります。この点について大臣は、当然これは辞退すべきだというふうに要請されるべきだと思うのですが、いかがでしょうか。
  154. 松永光

    松永国務大臣 そのことをまだ私は決めておらぬわけです。だから決めておりませんというふうに申し上げたわけでありますが、この二人の場合は過去に例のあった中島某氏の場合とは少し事情は異なると思っておりますが、いずれにせよ、本人の気持ち、本人の意思がまず明らかにさるべきだ、こう思っております。
  155. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 決めていないということは、出すこともあり得るということですね。
  156. 松永光

    松永国務大臣 先ほども申し上げましたとおり、本人の気持ち、本人の意思、これがまず先にあるべきで、それによって私自身の考え方は決まるということであります。     〔井奥委員長代理退席、委員長着席〕
  157. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 本人が退職金をいただきたい、こう言えばそれに従うということですか。
  158. 松永光

    松永国務大臣 それが出た上で私は判断する、こう申し上げておるわけなんです。
  159. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 判断する場合は、出すことも判断の内容には含まれるということですね。
  160. 松永光

    松永国務大臣 決めていないわけなんです。だから決めていないというふうに申し上げたわけです。
  161. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 それでは、ちょっと別の角度で。  再就職、まあ、天下りか再就職かという言葉の違いはいろいろありますが、この辞職をされた方は再就職先というのは決まっているのでしょうか。
  162. 武藤敏郎

    武藤政府委員 今回辞職した者は、昨日、辞表が提出されて受理されたわけでございまして、今後の身の振り方につきましては御本人が考えられるものというふうに思います。
  163. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 その際に、大蔵省として就職のあっせんとかそういうことはやるつもりがありますか、ありませんか。
  164. 武藤敏郎

    武藤政府委員 現時点におきましてはそういうことを考えておりません。
  165. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 次に、接待をした銀行の側のねらい、目的であります。  この点については、それぞれ具体的に調査をされましたか。
  166. 武藤敏郎

    武藤政府委員 金融機関側の目的、気持ちがどういうことであったかということにつきましては、私どもとしては承知しておりません。
  167. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 調査をしたのかしないのか、対象に入っているのかいないのかという点を聞いているのです。
  168. 武藤敏郎

    武藤政府委員 私どもは、その会食等調査をするに当たりましていろいろなことも同時にあわせ聞きましたけれども、その目的について特に何か問題があるということは確認できませんでした。
  169. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 ということは、調べはしたが、問題があるというふうには把握できなかった、こういうことですか。調べたわけですね。
  170. 武藤敏郎

    武藤政府委員 この金融機関に対する問い合わせといいますのは、あくまでも本人の申し立てをもとに、それを確認するというために行っておるものでございまして、金融機関側がどのような目的でやったかということについては、先ほど申し上げましたとおり、私どもは承知しておりません。
  171. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 要するに、調べていないわけですね。つまり、本人が自主申告をした、自主申告をした中に特定銀行名がある、その場合にその銀行に対していわば反面調査を行う、そういうことをやったというだけであって、銀行が何の目的接待をしたのか、そのねらいは何かというところは調べない、こういうことですね。つまり、回数、場所、金額、この程度は調べた。それでは、そこでどういうことが要請をされ、接待を受けた側がそれに基づいて何をやったか、このことは極めて重大でありまして、そのことを調べて初めて処分の性格、処分内容、これが決まってくるわけですけれども、そういう点は一切調べない。単純に数だけ調べた、場所だけ調べた、こういうことなんですね。
  172. 武藤敏郎

    武藤政府委員 具体的に金融機関が接待を受けた者に対して何か要請をしたかどうか、これは私ども問い合わせておりますが、それが一般的にどういう目的であったかということは調査していない、承知していない、こういうことでございます。
  173. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 要するに、その点を究明するという姿勢に立っていないということであります。極めてこれは問題だと私は思います。  自主申告ですから、自分がこうこうこういうことをやりましたということを正直に告白すれば、それは意味のあることですけれども、千五十人の調査をやったわけですから、中には重大なことでも隠している可能性がある。その場合には銀行に対してその点についてただすということもやらない、こういうことになるわけですね。ですから、重要なのは、接待を行った銀行の側に対して全体的に、何があったかということについて、また目的について調査をするということでありますけれども、今回の大蔵省検査は、本人の自主申告の限定された枠の中で、しかもその性格、その質、この点についてはほとんど問わない、そういうずさんなものであったということが今の答弁で明確になりました。  次に、接待等を受けた人数が三つの期間にわたって書かれております。これを単純に計算しますと、合わせて五百三十六名であります。これは、期間をまたがって同じ人間が接待を受けている可能性がありますので、当然これはダブりがあると思うんですね。そこで、そのダブりを除いた実質人員、実質的な数について示していただきたいと思います。
  174. 武藤敏郎

    武藤政府委員 私どもは幾つかの判断基準で今回の調査をいたしましたので同一の相手方との一定の反復、継続ということが前提となっておるわけでございますけれども、そういうことを前提といたします今回の調査におきまして、会食を行った者は、千五十名余りについて調査した結果、約半分ぐらいの者が会食を行っているということが判明したところであります。
  175. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 もう時間が参りましたから終わりますけれども、最後に松永大蔵大臣、こういう大蔵省の不祥事が繰り返されている状況の中で、国民の怒りも非常に強くなっております。行政の在り方に関する懇談会というのも設置されたというふうにお話を伺いましたが、しかし問題は、大蔵行政について国民の声が反映できるような仕掛けをどうつくるか。例えば、この懇談会も、労働組合の代表ですとか消費者の代表ですとか、国民の広範な声ができるだけ反映するような構成にすべきだと思いますけれども、今後のその点についての考え方をお聞かせいただきたいと思います。
  176. 松永光

    松永国務大臣 大蔵省行政の在り方に関する懇談会についてのお尋ねでございますが一幅広く有識者の意見を聞くということ、しかも、今回のような不祥事があったことを契機にして、その有識者の意見を参考にして改むべき点は改めるという姿勢をとっていきたいというわけでこの懇談会をスタートさせたわけであります。  メンバーといたしましては、労働団体等の代表を含め、幅広く有識者の意見を伺いたいということで、行財政運営の概略等を知っていらっしゃる方を中心に選ばせていただいたということでございます。
  177. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 時間が参りましたので終わりますが、この点は引き続き究明をしていくつもりであります。  以上です。
  178. 村上誠一郎

    村上委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後零時十二分休憩      ————◇—————     午後三時四十三分開議
  179. 村上誠一郎

    村上委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  内閣提出金融システム改革のための関係法律整備等に関する法律案特定目的会社による特定資産流動化に関する法律案特定目的会社による特定資産流動化に関する法律の施行に伴う関係法律整備等に関する法律案及び金融機関等が行う特定金融取引一括清算に関する法律案の各案を議題といたします。  この際、松永大蔵大臣及び政府委員から発言を求められておりますので、順次これを許します。大蔵大臣松永光君。
  180. 松永光

    松永国務大臣 本日、午前中にも申し上げましたように、大蔵省においては、金融関連部局に在籍した職員を中心に調査を行った結果、多数の職員において民間金融機関等との間に行き過ぎた関係があったことが判明したため、厳正な処分を行ったところです。  処分を行った者の中には、減給三名、戒告一名、計四名の政府委員が含まれております。金融システム改革関連法案の御審議に当たり、改めて深くおわびを申し上げます。  以下、この四人について、処分理由の概要を申し上げます。  山日銀行局長は、平成五年六月から銀行局保険部長の職に、七年六月から証券担当大臣官房審議官の職に、八年二月から証券局及び銀行担当大臣官房審議官の職に、八年七月から銀行局長の職にありますが、  一 辞職に至った佐藤誠一郎の上司として、平素の指導及び監督に不行き届きがありました。  二 また、平成八年十二月二十六日以降、職務上の関連のある民間金融機関との間で、会費を負担したとはいえ、倫理規程に定める手続を経ずに会食を少なくとも三回、  三 平成七年五月二十五日から平成八年十二月二十五日までの間に、職務上の関連ある民間金融機関との間で手続を経ずに会食を十数回、また、職務上の関連のない民間金融機関一社との間で会食を少なくとも一回、  四 平成五年一月一日から平成七年五月二十四日の間に、職務上の関連のある民間金融機関八社等との間で会食を二十回程度、ゴルフを十回程度、 行いました。  このようなことは、綱紀保持について特に率先垂範すべき立場にある管理監督者として、職務執行の公正さに対する国民の疑惑や不信を招き、公務に対する国民信頼を著しく損なうものであることから、減給一〇%一月の懲戒処分をしたところです。  中井銀行担当議官は、平成四年七月から証券取引等監視委員会事務局総務検査課長の職に、六年七月から国際金融担当大臣官房審議官の職に、七年六月から銀行担当大臣官房審議官の職にありますが、  一 平成八年十二月二十六日以降、職務上の関連ある民間金融機関との間で倫理規程に定める手続を経ずに会食を少なくとも五回、また、職務上の関連のない民間金融機関との間で会食を少なくとも一回、  二 平成七年五月二十五日から平成八年十二月二十五日の間に、職務上の関連ある民間金融機関との間で手続を経ずに会食二十回程度、また、職務上の関連のない民間金融機関四社との間で会食を少なくとも七回、  三 平成五年一月一日から平成七年五月二十四日の間に、職務上の関連ある民間金融機関二十六社との間で会食を四十回程度、ゴルフを十回程度、また、職務上の関連のない民間金融機関三社との間で会食を少なくとも四回、 行いました。  このようなことは、綱紀保持について特に率先垂範すべき立場にある管理監督者として、職務執行の公正さに対する国民の疑惑や不信を招き、公務に対する国民信頼を著しく損なうものであることから、減給二〇%二月の懲戒処分にしたところです。           、  福田保険部長は、平成四年六月から銀行局総務課長の職に、五年六月から東海財務局長の職に、六年七月から大臣官房参事官の職に、七年六月から銀行局保険部長の職にありますが、  一 平成八年十二月二十六日以降、職務上の関連ある民間金融機関との間で倫理規程に定める手続を経ずに会食を少なくとも一回、ゴルフを少なくとも一回、  二 平成七年五月二十五日から平成八年十二月二十五日の間に、職務上の関連ある民間金融機関との間で手続を経ずに会食を十数回、ゴルフを少なくとも二回、また、職務上の関連のない民間金融機関三社との間で会食を少なくとも三回、  三 平成五年一月一日から平成七年五月二十四日の間に、職務上の関連ある民間金融機関九社等との間で会食を二十数回、ゴルフを十回程度、また、職務上の関連のない民間金融機関五社との間で会食を少なくとも三回、ゴルフを少なくとも二回、 行いました。  このようなことは、綱紀保持について特に率先垂範すべき立場にある管理監督者として、職務執行の公正さに対する国民の疑惑や不信を招き、公務に対する国民信頼を著しく損なうものであることから、減給二〇%二月の懲戒処分にしたところでございます。  山本証券局長心得は、平成四年七月から証券証券業務課長の職に、五年六月から証券局総務課長の職に、六年七月から東北財務局長の職に、七年五月から東京証券取引所監理官兼証券局の職に、八年七月から証券担当大臣官房審議官の職に、昨日より証券局長心得を兼務しておりますが、  一 平成七年五月二十五日から平成八年十二月二十五日の間に、職務上の関連ある民間金融機関との間で手続を経ずに会食を十回程度、  二 平成五年一月一日から平成七年五月二十四日の間に、職務上の関連ある民間金融機関二十七社等との間で会食を三十数回、ゴルフを二十数回、また、職務上の関連のない民間金融機関四社との間で会食を少なくとも三回、ゴルフを少なくとも一回、 行いました。  このようなことは、綱紀保持について特に率先垂範すべき立場にある管理監督者として、職務執行の公正さに対する国民の疑惑や不信を招き、公務に対する国民信頼を著しく損なうものであることから、懲戒処分として戒告したところであります。  本人たちも深く反省しておりますので、これらの者による答弁をお許しいただきますようお願い申し上げます。  これから順次四人の者から発言をさせたいと思いますので、御聴取をお願いいたします。
  181. 村上誠一郎

    村上委員長 銀行局長山口公生君。
  182. 山口公生

    ○山口政府委員 銀行局長の山口でございます。  昨日、減俸処分を受けたところでございます。深く反省しており、今後、自覚を新たにして職務に邁進したいと思いますので、よろしくお願いいたします。
  183. 村上誠一郎

    村上委員長 大臣官房審議官中井省君。
  184. 中井省

    ○中井政府委員 銀行担当議官の中井でございます。  昨日、減給処分を受けました。大変申しわけございません。深く反省しており、今後は自覚を新たにして職務に邁進してまいります所存でございますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。
  185. 村上誠一郎

    村上委員長 銀行局保険部長福田誠君。
  186. 福田誠

    ○福田政府委員 銀行局保険部長の福田でございます。  昨日、減給処分を受けたところでございます。大変深く反省し、またおわび申し上げる次第でございます。今後、自覚を新たにいたしまして職務に邁進したいと存じておりますので、何とぞよろしくお願いいたします。
  187. 村上誠一郎

    村上委員長 証券局長心得山本晃君。
  188. 山本晃

    ○山本(晃)政府委員 昨日、辞職いたしました長野局長の後任として証券局長心得を拝命した山本でございます。  私自身、昨日、戒告処分を受けたところでございますが、大変深く反省しており、まことに申しわけございません。今後は自覚を新たにいたしまして、まさに公務員の原点に立ちまして職務に邁進したいと思いますので、よろしくお願いをいたします。     —————————————
  189. 村上誠一郎

    村上委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中川正春君。
  190. 中川正春

    ○中川(正)委員 民主党の中川です。  これから一時間余りでありますが、時間をいただきまして質問をさせていただきたいというふうに思います。  本格的な質問に入る前に、先ほど、それぞれ政府委員皆さん方から今回の処分に対して言葉がありました。  私自身は、先ほどのお話を聞いていて、いまだに割り切れないのです。というのは、一つは、あれほどこれまでの国会の中で私たちがこの問題を取り上げてさまざまな角度から議論をしていた。そのときにはみんな判で押したように、それぞれの答弁というのは、特に長野さんあたりの答弁というのは、社会通念上のという言葉と、それから、そのようにしてそれこそ情報収集というのが必要なのだ、コミュニケーションが必要なのだ、そういう話で一点張りであったわけであります。  ところが、ここに来て一転して、しかも先ほどのお話は心がこもっていないですね。皆同じ言葉で同じ話をしているのです。これは官僚答弁なんですよ。皆さん方は今どういう状況にあるかというと、この国の経済、金融、これを本当に心底から改革をしていって生き返らせていけるのだろうかどうだろうかというその中枢にいるのだ、そういう自負があってしかるべきポストにいるのですよ、みんな一人一人。それが、一片の言葉で、しかも判を押したような話で終始するというのは、これは国民に対しても裏切り行為ですよ。  そうした意味で、大体何を反省しているのか。これまでの国会答弁の中では、皆さんの具体的な、何を反省しているのか。まさか、業界と一杯飲んでゴルフに接待していただいたよという、そのこと自体の反省ではないはずなんですよ、今回の問題は。そこにどこまで私たちが至れるかというのに勝負がかかっているところだと思うのですが、一体何を反省しているのか。そして、これから構造的にこれを切りかえていく場合に、どういうことを主眼に皆さん方金融を切りかえていこうとしているのか。  そしてもう一つは、今回の処分というのは自己申告です。検察庁が入って書類がすべて向こうへ行っています、大臣銀行当局に問い合わせたときの答えがそうであった、そういう状況を踏まえていけば、恐らく、今回自己申告で出てきた問題以外に、皆さん方以外にでも、もちろん皆さんの場合にもあるかもしれない、いろいろな問題がまだ起こってくる可能性があるのです。それに対して、それこそ政策の責任者として大蔵省全体を切り盛りしていく実際の力のある皆さんがどういう処し方をしていこうとしているのか、そういうところも含めてもう一回答弁をし直してください。
  191. 山口公生

    ○山口政府委員 先ほど深く反省している旨を申し上げましたけれども、考えてみますと、私どもの行政のスタンスと今回処分を受けた例えば私の行為というものが、ある意味ではかなり根深くつながっておったということも反省の一つだと思い ます。  それは、従来からのいろいろな習い性になったような部分というのもあったかもしれませんが、しかし、世の中の流れあるいは金融を取り巻く流れ、金融行政が求められているものというのはもっと変わっていくべき時期ではあったというふうに思います。そういう時期に私どもがより自覚をしておれば、金融機関との関係というものも、おのずとそこには違った形のものがあってしかるべきだったのではないかということを考えております。  確かに、自己弁護するわけではありませんが、通達で倫理規程が厳しくなってからは身を律してきたつもりではありますけれども、それ以前におきましても含めて、やはりそういった行政のあり方と私どもの業界とのつながり方というものを、もう少し自分の行動の形でもって変わっていくべきではなかったかというふうに考えておる次第であります。  この機会に、いろいろ法律お願いしてございますし、昨年来、しばしば重要な法案を御審議いただいております。そういうことで新しい金融システム、金融秩序を構築していくことに微力ながら力を尽くさせていただきたいという気持ちでいっぱいでございます。そういうつもりで職務に邁進したいと考えておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
  192. 中井省

    ○中井政府委員 昨日、処分を受けまして、私自身、大変深刻に反省しています点が幾つかございます。  一つは、私自身、過去五年間すべて金融に関連する部局におりまして、私個人としましては、自己の倫理観に基づいて対処してきたつもりでありますが、実はこれはとんでもない思い違いと申しますか、非常に甘い自己の倫理観でございまして、国民公務員に対して求める厳しい倫理観からかけ離れていたのではなかろうかという点が一点。  それから、国民大蔵省金融行政に対しましてその公正さを疑っているような状況においてまだ従前のような行政のやり方を引きずっていたということについて、極めて深刻な反省をしているところでございます。これについては、何回おわびしても申しわけない気持ちでいっぱいでございます。  それに加えましてもう一つ、私個人でいいますと、平成七年の五月時点の綱紀粛正の通達、それから平成八年の十二月時点の通達、これについては実際一読をいたしましたけれども、自己の倫理観に基づいて、従前のいわゆる会食についてこれからは絞っていかなければいかぬという非常に漠然とした考えで、例えば平成七年以降はもう全くゴルフはしておりません。しかしながら、文章をよく読んでみますと、私の勝手な思い込み以上にもっと厳しいものが通達で求められておりました。八年十二月の通達も、これもまた非常に雑な読み方をいたしまして、それ以降若干の会食がありますが、例えば、あるジャーナリストの帰国歓迎会のパーティー、会食でございますが、私は主賓でないのでこういうのは許されるであろうとか、こういう関係銀行が負担しているものでありますならばすべて申告をして事前のチェックを受ける、必要性の認定を受けなければいかぬということでありますが、そういうことについてやや自己の過信があったといいますか、自己の倫理観ばかりに頼ってそういう面での気配りが足りなかったということについて、以上、種々反省しておる点がございます。  これについてはどういうふうにこれから対処すればいいかということでございますが、改めて平成八年末の通達を熟読玩味いたしましてこれを遵守していく、それから恐らく公務員倫理法の問題というようなことでございますので、そういうもとで努力をしていくということしかないと思っております。  なお、自己の調査でございますが、私の場合は過去の五年間の手帳がすべて残っておりました。記憶と手帳を突き合わせる作業がなかなか大変でございましたが、私としては精いっぱい努力して誠実な申告をさせていただいたつもりでございます。
  193. 福田誠

    ○福田政府委員 お答え申し上げます。  私も、過去五年、銀行行政、そして最近は保険行政担当させていただいてまいりましたが、金融行政自体がバブルの崩壊後転換すべきであるということは十分に認識しておったわけでございますけれども、いろいろな問題、不良債権の処理にいたしましても、それから金融制度の改革につきましても、同時にそのような問題が出てまいりまして、いわばそのような大きな変革期におきましてどのように行政を進めていくかということにつきまして大変悩んでまいりましたが、やはり長年の慣行に甘んじていたと申しますか、一つのルールを定めるにしろ、あるいは個別の経営問題を解決するにしましても、やはり先方との納得ずくで少しずつ解決するということで対応してきたがために、私自身は近年の綱紀粛正の自粛通達について常に頭に置いていたつもりでございますけれども、やはり長年のそのような慣行にどうしてもとらわれてしまったわけでございまして、今考えればもう少し毅然としてそのような従来の行政手法から決別しておけばよかったと心から反省しているわけでございます。  したがいまして、今後は、今回のいろいろな私をめぐる不祥事を深く反省しまして、やはりできるだけ透明な、だれからごらんいただいてもプロセスがわかるような、そのような行政を心がけるのがせめてもの今回とるべき方向ではないかというふうに心から反省しているわけでございます。
  194. 山本晃

    ○山本(晃)政府委員 昨日、大臣から戒告処分ということで、私自身、平成四年の夏以降、証券行政、一時財務局に出ておりましたけれども、そういう意味で長年証券行政に携わってきたわけでございます。  証券行政につきましては、平成三年に証券不祥事というものがございまして、要するにそこからできるだけ通達行政といいますか指導行政というものを排していかなければいけないというつもりでやってきたわけでございます。ただ、その過程におきまして、証券界を中心といたしまして私が少なからざる接待を受けていたわけでございます。そして、そのこと自身、私自身も含めてでございますけれども、いわゆる国民行政に対する信頼というものを損なわせる結果になってしまったという点について深く反省をしているわけでございます。  話がちょっと取りとめのない話になって恐縮でございますけれども、私は、この五年間の行政の経験ということから、日本の特に証券行政について言いますと、平成三年の証券不祥事以降変わったと言いつつも、しかしまだ法律が改正されていないということがございまして、まだいわば事前防止型の行政手法というものがどうしても残らざるを得なかったという面がございます。そこを一刻も早く転換をしていかなければいけないというふうに考えておる次第でございます。  まことに国民の皆様方に信頼を損ねたという点につきまして、深く反省をしておるところでございます。
  195. 中川正春

    ○中川(正)委員 もっと議論は進めたいところがあるのですが、時間が限られていますので、もう一つだけ大臣にお聞きをしたいのです。  先ほどの答弁を聞いていましても、何といいますか、そつのないというか、恐らく御本人はみんなそれなりに一生懸命考えてやっていられるのだろうと思うのですが、私はどう見ても均質なというか、発想の原点というのが全く同じ色なんですね。  恐らく今回の不祥事も、たまたま金融部門がビッグバンの関連もあって動き始めている、だからこういう形で改めて問われたという経緯があったのでしょうけれども、国民の目から見たら、大蔵省の原点は金融だけじゃないよ、本来もっと奥の深い、よく言われる主計を中心にした同じような体質があるのだよ。これはもう国民も我々もよく知っているわけです。その中で金融だけがこういう形で取り上げられて、先ほどのような処分があって、それに対してそれぞれの感想というのがああいう形で出てきた一基本的には、体質そのものはさっきの答弁を聞いていても全然変わっていかないのじゃないか。物すごくそこに私は今の官僚体制というものに対する限界を感じているわけであります。  そこで、これから先のことを考えていかなければいけないのだろうというふうに思うのですが、本当に大蔵省の体質が変わってきたよ、基本的に行政のあり方が問われ始めたよというのは、やはり金融だけでは話はとどまらないだろうと思うのです。本来の核にメスを入れなければいけないということだと思うのです。この際、そこまでいくべきだ。そうでないと、日本はいつまでたってもこういう形で議論を繰り返して、それで中途半端にやったがためにまた次に新しい事象が出てきて、それによって前言ったことが覆されて同じことの繰り返しをやっている。これはもう何年繰り返していますか。  そういう意味では、ひとつここで決断をしていただいて、もう一つ深くメスを入れていただいて、金融にとどまらず、先ほども午前中の議論にも出て、おりましたけれども、もっと違った手法で、自己申告だけじゃない本当に違った手法でこの際うみを出して、主計も含めてすべて点検をするというような視点に立てないものかどうか、これをひとつお伺いをしたいということ。  それからもう一つ、きょうは私もこの後山一の報告書に基づいて質問をしたいということで用意をしてきたのですけれども、相手がかわってしまったわけですね。長野さんはやめる、こういうことでかわってしまった。それで、はたと私も不安になりまして、これから先の人事でありますが、どういうふうに期限を区切ってやっていくかということ。  それからもう一つは、さっき申し上げたように、キャリアでそれこそよく言われる東京大学の法学部あるいは経済学部を中心にした人材を特殊な形で、いわゆる特殊培養して官僚に育て上げるという今のシステム、これだけでやってきたということが基本的には大きな、メリットもあったけれども、その裏返しの中でなかなか体質がひつくり返せないというデメリット、これが今出てきているのだろうというふうに私は思うのです。そういう意味から、次の人事の中で外からの起用、全く違った切り口でこの経済を議論ができて、全く違ったいわば視点というのを今の行政の中に反映ができるような民間人あるいは学者、あるいはまたいろいろな意味合いで他省庁の人事も含めて新しい人事体系がこれをきっかけにしてできないものかという期待を私はしているのですが、そういうお考えがないかどうか。  この二点についてお尋ねをしたいというふうに思います。
  196. 松永光

    松永国務大臣 お答えいたします。  一番最後の御質問でございます。あるいは御意見だろうと思うのでありますけれども、これはある意味では我が国の公務員制度、官僚制度そのものに関する御意見だったと思うのでありまして、これはある意味では人事院を中心にした内閣全体の問題であろうというふうに思います。  委員もたくさんの官僚を御存じでしょう。私も知っておるわけでありますけれども、大蔵省のみならずほかの省でも同じでありますが、人を見た場合に、悪人という前提で見るか、あるいは善人という前提で見るか、私は常に善人という前提で見ることにいたしております。そういう目で見ると、私は非常に救いがあったと感じましたことは、午前中も申し上げましたけれども、平成八年十二月に明確な厳しい倫理規程が策定されてそれが職員に伝達された、それ以降というのは極端に民間金融機関等との会食接待というのが減っておるのですよ。やはり厳しい指針を示すことによって相当改善されてきておるということに、私はある意味では安堵しました。その後も同じような状態であったならば絶望的になったかもしれませんけれども‘そういう面が一つあります。  それともう一つは、問題のそもそもの原点は、官僚である、あるいは大蔵省官僚であるがゆえに自分の所管する民間の人との間のつき合い方の問題が今度の内部調査のスタートであったわけです。なぜかというと、国民は、自分の関係しておる公務員との間でいろいろな関係を持つ、その中で簡単に接待に応ずるような役人であった場合には当然のことながら不信感を持つだろうというふうに思いますし、はたから見れば、その役人のやっておる行政というものの公平性についての疑惑を持ってしょう。それが最も実は問題なのでありまして、その点を中心にして調査をしたということであります。  その他、ほかの部局もという話がございましたが、まあ民間と接触するのが一番多い部局は現在の行政のシステムの中では金融関連部局ということになるわけでありまして、その部局中心に内部調査をしたということであります。他の部局については、これはどちらかというと、民間との間の直接的な関係金融関連部局と比べると少ないような感じがいたします。しかも、午前中も話が出ましたけれども、八万人もおる大蔵省関係職員でございますから、その全部について相手を悪人という前提で調査するということは、私は余り気が進みません。  しかし、具体的に大きな疑惑というものが指摘されるならば、あるいは指摘されたならば、これは当然のことながら任命権者として、またその前に服務の規律を管理しておる服務管理官の立場で、そういうものについてはいつでも真相を解明して適切な措置をとるというのは当然のことだというふうに思っておるところでございます。    (委員長退席、井奥委員長代理着席〕
  197. 中川正春

    ○中川(正)委員 民間ということだけじゃないのですよ。さっき四人の皆さんがそれぞれの弁でいわゆる自己反省をされたように、一つの仕組みというか構造的な部分が今回の不祥事の中にはあったのだ、それは裁量行政、通達行政という流れの中で業界を律していこうとしていたそのこと自体を基本的に考え直していかなければいけないのだというその立脚点、これは私は正しいことだというふうに思うのです。  そういう意味から考えれば、この金融だけではなくて、そういう構造的なゆがみというのは各局にあるのですよ。例えば地方自治体が、まあ私の県なんかは今、行政改革一本やりでしっかりやっている県ですから胸を張って言えるのですが、各自治体が官官接待についてこれだけ騒がれた。それで、官官接待の基本というのは何だったかといったら、それぞれの県が東京事務所というのを持っていて、その東京事務所を中心に政治家とそれからそれぞれの官僚群を、各省庁はもちろんのことですが、大蔵省の主計まで含めて、これだけは理解してもらわなければいけない、これはわかってもらわないとうちの予算はつかないんだということで、しっかりもてなししているのですよ。そのもてなしのあり方というのが、税金を使って官僚をもてなすというのはおかしいじゃないかといって官官接待といってあれだけ騒がれた、そういう構造があるというのは御存じのはずですよね。  それは、こういう構造があるのだということに対してどういうふうに考えておられますか。ないのですか、あるのですか。
  198. 松永光

    松永国務大臣 私は、二十八年衆議院議員をしておりますけれども、そういう官官接待的な場所に同席したことはございません。同時にまた、私の地元、埼玉県でありまずけれども、非常な大きな問題等について陳情を受けることはあります。その場合に、私は、大蔵省の役人を接待して陳情したことはございません。表から堂々と意見を言いに行きます。私の経験では、それで理の通るところは実現をしたというふうに思っておるわけでありまして、幸か不幸か、その官官接待と言われる場に同席したことがないものですから、新聞等ではそれは目にしますけれども、私自身の経験は、二十八年間の衆議院議員生活の中ではございません。  ただ一つあるのは、県が県選出の国会議員全員集めて、昼飯食いながら県の重要要望事項はこれだという説明を受けることはあります。去年も実はそれはありました。接待と言われるほどのものではなかったと思うのでありますが、そういう県の席には行ったことはあります。そして、さらに古くは、与党の議員だけ県から重要事項についての説明をしてもらうという場はございました。その場合には、夜の席も七、八年前にはありましたけれども、その後は夜の席はなく、必ずホテルの部屋で全国会議員が集まって、そして県の陳情を聞くというのはありました。聞いた上で、大蔵省はもちろん、自治省でもあるいは文部省でも、役所の人を私が呼んで、そして飲食しながら物を頼むということは私には経験はないのです。それをしなくとも私の要望は大体通っておりましたから、不便は感じておりませんでした。
  199. 中川正春

    ○中川(正)委員 自分の職務を間違っておられませんか。私が尋ねたのは、大臣みずからがそれをやっているか、やっていないかという話じゃないのですよ一そうじゃなくて、大臣の配下にある官僚群が、金融だけじゃなくて、そうした構造の中に巻き込まれている可能性があるかないか、その点について調べなくていいのですかという話をしているのです。
  200. 松永光

    松永国務大臣 先ほど来申し上げておりますように、金融関連部局以外の局にある者とそれから民間または地方公共団体の代表等との間で極めて行き過ぎた接待があったという具体的な事実、そしてそれが非常に大きなものであるということが明らかであるならば、行き過ぎたものであるかどうか、それはよく内容調査してみたいというふうには思っております。  私自身は、先ほど言ったような二十八年間の国会議員生活でありまして、接待をしなくとも、私が要望した事項は、一〇〇%まではいかぬでも、大体まずまず通っておりますので、新聞等でしばしばそういう話を聞きますけれども、現実にそれがあるのかなと不思議に思っているところであります。委員はそういう経験ございますか、聞いてはいかぬのかもしれませんけれども。私はそういう経験がないものですから、新聞に出ていることは、はてな、本当かなと思っているものなんです。
  201. 中川正春

    ○中川(正)委員 大臣の自慢話はよくわかりました。しかし、さっきのお話のように一遍調べてみる……(松永国務大臣「いや、具体的に指示……」と呼ぶ)具体的に出ているじゃないですか、マスコミで。(松永国務大臣マスコミじゃなくて、先生が調べてこうだと言わなければ」と呼ぶ)
  202. 井奥貞雄

    ○井奥委員長代理 質問を続けてください。
  203. 中川正春

    ○中川(正)委員 いずれにしても、これはまた同じような轍を踏んで、同じような繰り返しがあって、それが具体的に出てきたときには、言っておきますけれども、今度はもう一回大蔵省がやられるのですよ、中核のところで。だから、それを同じように繰り返すのか、それとも事前に大臣の決断によってこの際メスを入れるところは入れる。恐らく大蔵省の中でもいろいろな思いがあるのだろうと思うのです、官僚の皆さんそれぞれの部署で。それによってそういう思いを払拭して全体が、みんなが第一歩からやり直すのだというような気持ちを醸し出すためにも、これはぜひもう一歩進めるべきだとあえて申し上げておきます。  答弁してもまた自慢話になるでしょう。この話をやっているともう一時間終わってしまうので、またこれはたびたびやらせていただいて、具体的なものを挙げよということであれば、そういう話も取り入れさせていただいて、具体的なものが出たら徹底的にやりますか。
  204. 松永光

    松永国務大臣 決して私は自慢話をしておるわけでも何でもございません。自分の経験ではそうしたことに関係したことがないものですから、新聞には出ておっても、はてな、ある意味ではむだなことをしているなという感じを私は持っておるわけでございます。  なお、新聞に何か漠然と出ておったぞというふうなことですぐ動くわけにはまいりませんけれども、委員の方から、何年何月ごろどこそこでこういつたことがあったという確実な情報があるが、どうだということになってくるならば、しかもそれが著しく度を越した接待関係というふうなところまで委員の方で情報を用意してくだされば、それなりに私は調べてみたい、こういうふうに申し上げるわけでございます。
  205. 中川正春

    ○中川(正)委員 物事を予見して経済対策を立てていくという大蔵大臣職務からすれば、さっきの答弁は非常に失望をせざるを得ないというところであります。これは、これからの問題としてまだまだ大蔵省のためにもやっていかなければならないというふうに思っています。  さてそこで、通告をさせていただいた質問に移らせていただきたいというふうに思います。  この間から、山一の社内調査報告書というのがオープンにされました。これは、今回ビッグバン関連法案を審議していく上に非常に大きな教訓になっていく中身を含んでいるものだというふうに私は思います。そんな観点からも、大臣、これは目を通されましたか。それと同時に、これをどういうふうにこれから生かしていこうとお考えであるのか。総論部分でひとつお聞きをしたいというふうに思います。
  206. 松永光

    松永国務大臣 山一証券の社内調査報告書の関係でございますが、これは山一証券が株主や顧客やあるいは従業員等に対する責務として、また社会に対する責務として、けじめをつける観点から、会社関係者へのヒアリングにより、簿外債務の発生から自主廃業に至る経過を調査されたものと理解をいたしております。そういう責務を果たされることはいいことであるというふうに思っております。  この報告書が、今後、会社として関係者責任追及をしていくための材料として、とりあえず会社関係者からの記憶や発言を記録したものである以上、行政として公式にコメントする性格のものではないと実は考えておるところであります。既に、有価証券報告書虚偽記載で行平元会長、三木元社長が起訴されているので、その推移をしっかり見守ってまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  207. 中川正春

    ○中川(正)委員 さっきの答弁を聞かせていただいておると読んでいただいてないような感じがするのですが、いずれにしても、私が改めて説明をさせていただきたいというふうに思います。  それぞれ先ほどのお話のように訴訟の対象になっておってという物の見方もあります。そういう観点で見る見方もあります。これは、大臣はそういう畑を歩いてこられたからそういう色合いが濃いのでしょうけれども、私は、実は全く違った見方をしたのです。それはどういうことかといいますと、時間的経過の中で、どうも、今回山一が破綻をしていった、その破綻の引き金を引いたのは簿外債務でありますが、その簿外債務で飛ばしに向かってどんどんいわば沈み込んでいったという過程の中に、大蔵省のそれこそ金融政策が非常に密接に絡んできている。言い方を変えれば、このままずっと読んでいると、そうせざるを得ない、そういう処分をせざるを得ないような流れに追い込んでいったという行政指導が裏にあって今回の出来事が起こったのじゃないかという読み取り方ができるわけなんです。そこのところを一遍これは議論をしていく必要があるのじゃないかな、こういうふうに思ったものですから、取り上げさせていただきました。  それを具体的に言いますと、この報告書は一九八五年から始まっているのですが、そのころ、昭和六十年ですが、それからずっとバブルが始まりまして、営業特金あるいはニギリというのですか、一任勘定でそれぞれ法人を対象にしたそれこそ営業合戦が繰り広げられて、各証券会社、これは山一だけじゃなかったと思うのです、そのときの状況は。各証券会社がシェアの分捕り合戦でこの営業特金という方法論を使いながらしのぎを削っておったという状況があったということがまずは一つはしのばれます。  それに対して一九八九年、平成元年、これは二年前のブラックマンデーの後、ちょっと陰りが見えてきて、いろいろな意味で株価自体がもたなくなってきたという状況の中で、まず大蔵省の通達が出ているのですね。これが一九八九年の十二月二十六日、証券局長通達で、営業姿勢の適正化通達という中身になっていますが、これは、一九九〇年、平成元年から一年後、平成二年三月までに営業特金を全廃していきなさい、こういう内容の通達が出ているのですね。  中身を見ていると、それから実は山一の苦悶が始まったわけです。この通達によってそれぞれどういう選択をしなければならなかったかというと、顧客に対してはニギリをやっているわけですから、これだけの利益保証はしますよということを、ニギリというのは書面で交わす契約ではなくて、口約束でこれぐらいのものですよという約束をしていますよ、こういうことですね。ですから、営業特金をやめるのだ、これはやめなければいけないのだということは、このニギリを解消しなければいけない。そのときに、株価の動きによって損失が出ている分については、これは山一が持つのか、それとも顧客が持つのか、どっちかで整理をしていかなければならないということですね、この通達のとおりでいくと。それを始めたわけです。それを始めていきながら、そこでいろいろな中身があったのだろうというふうに思うのですが、結局最終的にはここから飛ばしが始まる。飛ばしというのは、そうした意味でどっちにも責任をかぶせることができないから、まずは飛ばした形で問題の先送りをしょうという選択がそこに出てきたということだと思うのです。  それで、一九九〇年、さっきの平成二年の三月にこの証券局の通達が効き目を持ち出して、平成三年を迎えるのです。平成三年を迎えたときにどういうことになったかというと、証券不祥事の発覚がありまして、損失補てん問題というのが社会的に大きくクローズアップされました。そのときの損失を証券会社に持たすのか、それとも顧客に持たすのか、これをやっているうちに、相当部分が証券会社が持っていた、言うたら損失を補てんしていたということがこの流れの中で明らかになったものですから、この損失補てん問題というのが社会現象化した、こういうことであります。  そこで、この年の九月四日にその当時の行平社長が参議院に呼ばれまして、それで、これ以上問題のある取引はないのだ、もうこれで全部清算したのだ、これからは損失補てんもしないのだ、こういう証言をしているということであります。  実は、先送りにしていた問題がいっぱいあったのですけれども、山一はこのころから特に、そういう証言を社長がしたときから、顧客の企業から、これまで契約していたファンドを解消したい、このままでしていたらどうも先送りの問題というのはみんな企業の方に持たされてしまって約束が違うじゃないか、ニギリが生きないじゃないか、こういうような要求が相次いで来まして、結局全体として山一がかぶらなければいけないような雰囲気にだんだん押し込まれてきているということであります。  実は、そうしたさなかに出てきた問題が東急百貨店の問題でありました。この東急百貨店の問題というのは、先ほど、どちらが持つかというものがどうしても話し合いがつかない、だから東急百貨店の方から山一に対して、話し合いがつかない場合には裁判に持ち込みますよ、表に出しますよというおどされ方をしたということであります。それをもって、実はその当時の三木副社長が松野証券局長と面会をして、松野証券局長から、「東急百貨店と揉めているそうですが、どうするのですか」という質問を得た、こういう流れなんですね。この報告書によると、そのときに松野局長は同時に、こういう問題のときには「大和は海外に飛ばすそうですよ」という話が松野局長から出た。だから、この会見をもって山一の方は、実際には海外には飛ばさなかったけれども、こういう場合には飛ばすという手法が一般的なんだな、これでいいんだなという確証を得ながら多くの問題をこの東急百貨店の問題も含めて飛ばした、こういう経緯になっております。  実はその後、平成五年、一九九三年に、平成五年の検査というのは定例検査大蔵省証券取引等監視委員会によって入っているのですが、このときに実は、改善指示書では、直接取引の仲介という部分については、これはどういうことかというと、いわゆる負債を抱えた証券を飛ばしていくときに、A会社からB会社の仲介を山一証券が直接やった、それは書類の上に出ている、出ているから直接取引の仲介という点で不適正、不適切な取引があったと指摘しているわけです、大蔵検査は。指摘をしていて、しかし、真ん中に立つということはだめですよということだけを言っておいて、それから先がないんです。この指摘以上に、どうも客観的に見ていると、この取引がどういう取引であったのかということがわかっていながらこれ以上の追及はしなかったという形跡がここで見られるということであります。現に山一としては、それ以上の追及があるだろうという心づもりをしていたんだ、しかしなかった、こういうような報告書のいわば中身であります。ここは、どう考えても我々が納得できないところであります。  そして最終的に、このままの状況が続いていったとすれば、この問題がこうして大きく表に出ずにどこかで山一が破綻したかもしれない、あるいは株価が上がってそれが解消されたのかもしれない、そういう状況が続いたんだろうと思うのですが、外からのこうした監視だとか外からのチェックでこの問題が出たんじゃなくて、この飛ばしの問題が表に出たのは何から出たかというと、平成九年の総会屋への利益供与事件、小池事件なんです。これで表に出て、検察が入って、警察が入って、その中からにつちもさっちもいかなくなったということであります。  そのきっかけは何だったかというと、そのときの責任をとった社長、副社長以下役員が交代をして、新しい役員がこれまで全く知らされていなかったこうした簿外債務というものの存在を知ったときに、野沢社長が決断をして大蔵省に話を持ってきた。そういう経緯の中でこの問題が表に出たということであります。  そこで、具体的に二、三、質問をしていきたいのですが、まず一つは、先ほどの平成五年の大蔵検査であります。このときに、先ほど申し上げたように、山一は資料提出に対しては確かに虚偽の提出をした、飛ばしの一番最終のところでいわゆる簿外債務を抱えたままにしている企業については名前を提出せずに虚偽の提出を行ったと言っています。しかし、これはこれでその部分ではつかんでいないんですけれども、さっき言ったように、改善指示書では、直接取引の仲介という部分については、これはおかしいよという指摘をしているんですね。指摘をしていて、後、それ以上の追及をしなかった。  もう一つ腑に落ちないのは、これをやっておいて、その後、十月十五日、証券取引等監視委員会から山一に対して、この平成五年の大蔵検査において確認された取引以外の取引で飛ばし取引、その他の簿外取引の有無、あるかないかという、いわば改めて質問状を送っているんです。わざわざ、飛ばしとか簿外取引、これについて一遍自己申告しなさいということを証券取引委員会の方から言っているわけですね。  これはなぜ言っているかといったら、恐らく、この改善指示書で直接取引の仲介があってこれはどうも怪しいぞという前提があるから、それについてはもう一回確かめなければいけないということで取引委員会はこういうような指示をおろしているんだと思うのです。ここの点について、どう考えてもこれは納得がいかない。それ以上の追及がされなかったというのは納得がいかない。それについて、今どなたに答えてもらおうといったって、それはどなたからも答えの出てこないことだろうと思う。  それで、一つは、そのときの経緯というのを認識されているのかどうかということと、それからもう一つは、このときの担当者がだれであったか、この検査担当責任者はだれであったのかということと、その責任者は今回の処分の対象になっているのかどうか、処分の対象のときに山一からどの程度の接待を受けていたのか、これを聞かせていただきたいというふうに思います。     〔井奥委員長代理退席、委員長着席〕
  208. 堀田隆夫

    ○堀田政府委員 ただいまの最初の点についてまずお答えを申し上げます。  平成五年の検査におきまして、今先生から御指摘がございまもたまうに、山一証券に対しまして、飛ばし取引その他の簿外取引の有無及び簿外取引がある場合ほその内容ということで報告を求めたということは事実でございます。山一証券からそうした取引はないという回答がございました。その点については、今般の特別検査におきまして、事実と異なる虚偽の報告であったということを確認したということでございます。  なぜそのような報告を求めたかということでございますけれども、一つは、当時市場関係者の間に山一証券について飛ばしがあるといううわさがいろいろございました。それからもう一つは、本委員会でも証券局長から御説明申し上げたことがあると思いますが、二十六顧客につきまして現先取引の一部が依然として継続していた、現先して返ってくるはずのものがまだ顧客に滞留していたものがあるというようなことがございました。  それから、今先生が山一証券の社内調査から言われましたが、直取引の仲介について不適正、不適切なところがあると指摘もいたしました。それも事実でございます。直取引の仲介というのはそれ自体違法というものではございませんけれども、価格が時価と乖離している取引であった、おかしいではないかという指摘をしたということでございました。  私ども、この五年の検査におきまして、あるいはその後でやりました七年の検査におきまして、簿外で行われた飛ばし取引というのは結局把握するに至らなかったということでございまして、それはおわびしなければいけないのでございますけれども、そういった状況の中で何かもやもやしたものがございましたので、山一証券に対して報告を求めたということでございます。  不適切な取引であるというところまで指摘して、なぜその後把握できなかったのかということにつきましては、この山一証券の社内報告書でその一端が書いてございますけれども、結局、出庫された有価証券について、その先の取引をフォローすることをしなかった、つまり、山一証券の顧客に対して直接にいろいろ話を聞いていれば把握できたかもしれないけれども、それをせずに、山一証券の話でそこを納得してしまったというところに原因があったということでございました。いずれにしても、把握できなかったということでおわびを申し上げなければいかぬと思っているところでございます。  それから、担当者のお話がございまして、これは検査部と合同でやっておりますが、一緒に申し上げますと、平成五年二月の検査につきましては、金融検査部の主任検査官は杉森満利金融証券検査官、現在の近畿財務局の証券取引等監視官でございます。それから、我々証券取引等監視委員会検査の主任検査官は西沢好直証券取引検査官室長、本人は既に退職をしているということでございます。  この二人につきまして、山一証券から接待を受けていたのかどうかという、あるいは処分の対象になっていたのかどうかというお話でございますけれども、これは大臣官房からお答えすべきところでございますけれども、今現役で残っている金融検査部の主任検査官は処分の対象とはなっていないというふうに聞いております。
  209. 中川正春

    ○中川(正)委員 大臣、外部に対する検査はうわさだけでも聞き取りをするのですよ。さっきのは理解していただけましたか。飛ばしのうわさがあるから、だからこうした内部調査で聞き取りをやったのだ、こういう答弁でしたが、外部に対してはそういうスタンスを持っているのですよ。さっきの話、どうぞよく考えてください。いや、答弁はもういいのです。  それから、さっきのお話を聞いていますと、やはりさらに割り切れないというか、理解できないのですね。そういううわさがあった。専門家なら、直取引、直接取引をやっているということは何のためにやっているかというのは、こんなものは理解しているという、そういうことがわかっていて次の追及をしないということでしかないではないかと指摘されてもいたし方がないぐらいに明らかな問題なんだろうというふうに思うのです。私は、そこのところを故意に見逃したのだというふうに受け取らざるを得ないと指摘をしておきたいと思います。これが一つ。  それからもう一つは、松野局長のところへ三木副社長が行ったときに出た言葉、「大和は海外に飛ばすそうですよ」と、山一以外の関連の話が出ました。  この一連の流れを見ていますと、こうした状況にこのときに追い込まれた、こうした状況というのは、問題の先送りをするために飛ばしという手法を使わざるを得ない、それこそそれを簿外に持っていかざるを得ないという、こういう状況にあったのは山一だけではない。他のどの証券会社もこういうような客観情勢にはみんなありましたというのは、この報告書を見る限りは理解できることだと思うのですね。それに対して、松野局長からも「大和は海外に飛ばすそうですよ」というコメントまで出ている。それを総合して解釈すると、どうも大蔵省の判断の中に先送り志向があって、それでその先送りにこの業界を誘導していったという、その操作がここにはっきりあらわれてきているのではないかということであります。  そういう点について、これがそういう過程であるとすれば、今どの証券会社にもまだ同じような問題は残っているのです。たまたま山一の場合はそれこそ小池問題で表に出ましたけれども、ほかの証券会社というのはいまだに同じ構造を抱えながら、それこそたんたんと株の上がるのを待ち続けているというところがあるのではないかという想像が当然出てくるわけであります。しかも、松野さんが「大和は海外に」と、こういうコメントをしているわけですから。  どうですか、大臣、その部分をもう一回再点検をするという必要を認めませんか。
  210. 山本晃

    ○山本(晃)政府委員 事答えをいたします。  いわゆる飛ばし取引につきましては、平成四年の二月及び平成五年の八月に主要証券会社調査を行うよう要請しまして、報告を求めたところでございます。このときは口頭の報告でございました。それで、証券会社からは、飛ばし取引がない、こういう報告を受けたわけでございます。  今回の山一証券の事態を受けまして、実は昨年の十二月に、証券取引法五十五条第一項等の規定に基づきまして、外国証券会社を含む二百八十九社を対象にいたしまして簿外債務等の社内調査結果について文書により報告を求めたところでございます。  調査結果においては、有価証券評価損を表面化させないため、時価と乖離した金融取引の仲介を行っているという会社が一社、一件ほどございました。昨年の十二月二十六日に監視委員会関係部局に連絡をしたところでございます。また、報告の内容を見ますと、自主規制機関のルールの問題もあると考えられまして、証券業協会にも連絡をしたところでございますが、監視委員会及び証券業協会からは、法令違反、自主ルール違反があったという連絡は受けていないところでございます。  したがいまして、山一の事態を契機といたしまして、既に昨年の十二月に、今度は文書できちっとした調査をさせていただいたということでございます。
  211. 中川正春

    ○中川(正)委員 きちっとした調査というのが、今回の話を聞いていると、聞き取りといいますか、申告なのでしょう。ちゃんと処理をしたのかどうかというのを申告しなさいというそういう意味なんでしょう、調査というのは。
  212. 山本晃

    ○山本(晃)政府委員 今回の昨年十二月の調査は、文書でもって行っております。そして、相手からも文書で回答をいただいているということでございます。
  213. 中川正春

    ○中川(正)委員 通常はそんなものは調査と言わないのですよ。それは報告しなさいということなんでしょう。
  214. 山本晃

    ○山本(晃)政府委員 仮に虚偽報告ということでございますと、これは証取法によりまして罰金の刑に処せられるということになっております。
  215. 中川正春

    ○中川(正)委員 この山一のレッスンというのは痛いほどわかっていると思うのですよ。こうやって、報告しなさいといったら虚偽の報告が上がってくる、これに対して本格的ないわゆるルールでいくということであれば、検査監督機構が働かないとこれはもう表に出てこないんだ、絶対に出てこないんだというレッスンだと思うのですよ。そういった意味で、私は再度この問題については広く調査をする必要があるというふうに思います。  それから、もう一つの問題は、こうした一連の今回の調査が報告された。その中で大蔵省としても、例えば選択肢を迫られたときに、いわば立場を変えて、通達が来て、それで顧客と山一との間でニギリについての解消をしなければならないということになった。その解消をする手法として、すべて山一がその損失補てんをしますよというような形には社会的に持っていけないわけですね。損失補てんはだめですよということで、これも閉じられた。それでは、相手が訴訟に訴えますよという形の中で出てきたときに、訴訟されたらあっちもこっちもということで収拾がつかなくなる、もう一つそういう判断があったわけですね。それで不公平さも出てくる。  それについて、例えばあのときに、山一の社長に何をさせようとしたのですか。どういう解決をもたらそうと大蔵省はしたのですか、その意図は何だったんですか、あのそれぞれの通達によって。これを教えていただきたい。私はここがわからないのですよ。
  216. 山本晃

    ○山本(晃)政府委員 お答え申し上げます。  平成元年の十二月二十六日の日にいわゆる証券局長通達でもって損失補てん等を禁止をしたわけでございます。その際に、先ほど委員からも御指摘のように、営業特金の解消ということが言われたわけでございます。基本的には、営業特金というものがいわば損失補てんの温床になるということで、営業特金の解消を通達により求めたわけでございます。  基本的には何を求めたかといえば、それはやはり何と申しましても証券取引というものは多数の投資家から成り立っている公正な市場でございます。そこで、そういういわば不公正な取引が行われることによりまして市場機能が損なわれる、こういう問題が当時からあったのだろうと思います。そういった経緯でもってこの通達を出したというふうに認識をしております。
  217. 中川正春

    ○中川(正)委員 どうですか。答えられないでしょう。これは、一つ一つの通達はそのときそのときの議題をとらえて出しているのです。けれども、トータルで見た場合に整合性がないし、それで、結局業界を一つの方向へ向いて追い込んでいくというようなことが結果的に起こったということ、これが大きなレッスンなのだろうというふうに思うのです。  この問題については、またこれは時間を改めてもう少しやらせていただきたいと思うのですが、実はきょうはこの問題をひとつ問題意識として持っていただいて、その上で、いまだにそれをやっている施策があるのですよということを指摘したかったのです。  それは何かといったら、BIS基準で八%、四%を定めたということと、早期是正措置でそれへ向いてずっと追い込んでいく、この過程の中で金融機関、特に銀行がどういうような行動をとっていったらいいのかということ、これは同じような構造があるのです。それこそ、山一の解散に流れていった大蔵省の体質。大蔵省としては、これで責任逃れはしているのだろうというふうに思うのです。ちゃんと指導はしたよ、こういうふうに言っているのだろうと思うのですが、全体として日本の経済をむちゃくちゃにしているのですよ。そこの戦略をだれかがしつかり考えない限り、この過ちは何回も何回も繰り返していく。その体質が怖い。その体質をえぐり出していかないとどうしても日本の金融は根本的なところで生き返ることができないのだ、こういうことであります。  時間が来てしまいましたので、そういうことをテーマにこれからもう少し掘り下げてやらせていただきたいと思います。  以上、ありがとうございました。
  218. 村上誠一郎

    村上委員長 次に、西川知雄君。
  219. 西川知雄

    西川(知)委員 平和・改革の西川知雄でございます。  私は、こういう金融関係の弁護士を国会議員になる前に二十年間ばかりやっておりました。大蔵省の方にも新しい金融商品のこととか規制とか、そういうことでいろいろと法律、政省令、通達、ずっと質問を現場でさせていただいておりました。やっと金融システム改革が少しは国民の目に見える形で今度の法律改正でできてくるのかなという気は個別分野ではしております。  また私は、銀行証券会社、保険、損保、生保一それぞれの国際市場の中でそれぞれの分野で第一線で新しい商品と取り組んでいる、そういう人々とずっと研究会をつくっておりまして、個々具体的な問題点等についてもずっと研究をしております。・  そこで、きょうは、大蔵不祥事等のことについてはちょっとほかの方にお譲りすることにして、基本的に、この金融システム改革法のことについて、まず全体的なことについてお尋ねをしたいと思います。また、後日時間があると思いますので、きょうもあれば質問しますが、例えば具体的には、金融機関がクレジットデリバティブ取引を行うことが可能であるとか、生保の構成員契約規則は今後どうするのとか、デリバティブ取引についての当局による報告徴収義務等々、また、金融先物取引についての持ち高規制等、こういう個別の議論はちょっとまた時間のぐあいで後でさせていただきたいと思いますが、まず早期是正措置、これについて、それと金融システム改革と自己責任の原則、それから銀行証券、保険の新商品の認可基準、この三つぐらいについてまずきょうはお尋ねをしたいというふうに思います。  そこで大臣、これは基本的なことなのでお尋ねをしたいと思うのです。早期是正措置というのが銀行にはあるということですが、これを保険の分野、証券の分野、この三つの主な金融の分野において整備をするということが言われていますが、それは基本的にはどういう概念のもとでそういうふうにされるのか、ちょっと大臣のお考えをお聞かせください。これは大臣に、政策論としてお聞かせ願いたいのです。
  220. 山口公生

    ○山口政府委員 大臣のお答えの前に、ちょっと事実関係を。  法律目的としておりますのは、名前のとおり早期是正措置でございまして、早目にウォーニングを出し、自己責任のもとでその体質の改善を図ってもらう、健全性の維持のための施策だというふうに考えております。
  221. 松永光

    松永国務大臣 基本的には、銀行証券、いずれもそうでありますが、取引の相手方に対して金融機関というものが真に信頼に足るものだということを数字の上で明確にすることによってそれを担保していこうという考え方のもとから、しかも、それを早期にやることを通じていわゆる金融ビッグバンに備えていこう、こういう考え方のもとに実施されるものだというふうに私は理解しております。     〔委員長退席、坂井委員長代理着席〕
  222. 西川知雄

    西川(知)委員 そうすると、それは数字によっていろいろと客観的な基準というものを設けて、当局の裁量の幅を狭めて行政の透明性を確保する、そういうことだということなんですが、それでは大臣、こういう基準は銀行証券、保険について、これは法律で決められているのですか、それとも政令、省令または告示なんですか。また、そういう客観的な基準というものはどこに決めるのが一番正しいのか、一番好ましいのか、それについて御所見お願いします。
  223. 松永光

    松永国務大臣 本年四月より導入されたものは、一昨年六月に成立した金融機関等の経営の健全性確保のための関係法律の整備に関する法律の附則第二条第三項によって本年四月から導入されることになったというふうに私は理解しております。
  224. 西川知雄

    西川(知)委員 そういうことを聞いているのじゃなくて、国民にこの金融機関は本当に健全なのかどうかということを数字によって客観的にあらわす、これが早期是正措置の目的であるというふうに今大臣はおりしゃいましたね。  では、私の質問は、そういう客観性というのは国民の前に知らしめることであるから、これは法律事項として、具体的にどういうふうに計算をしてどんなふうな形でどんなリスクがあるのか、こういうことについて明確化するべきではないかというふうに私は思うのです。それであればそれは法律に明確に書くということが当たり前だと思うのですが、現状がどうなっているかということはおいておきまして、大臣のお考えではそれはどこに決めるのが一番明確化されるのか、情報公開として正しいのか、それをお答え願いたいのです。
  225. 松永光

    松永国務大臣 先ほど申し上げましたとおり、基本的には法律に基づいて、四月から導入されたものは健全性確保のための関係法律の整備に関する法律の附則第二条第三項をもとにして導入されたものだ、こう思っております。それを導入することによって、実はその金融機関の健全性というものを取引相手方、消費者は知ることができる、それによってこの金融システムというものが取引先から見て、消費者から見て不安があるかどうかということを自主的に判断して対応できる、こういうことになってくるのだと思います。
  226. 西川知雄

    西川(知)委員 それは大臣、具体的に言いますと、例えば保険会社、生保、これはソルベンシーマージンというのが導入されるわけですが、その中には、例えば通常の予測を超えて保険金等の支払いの発生する危険の可能性、保険リスク、それから予定利率を確保できなくなる危険、これは予定利率リスク、それからあとどんなリスクがその中に入るのか、こういうことは計算の根拠になるわけですね。銀行の八%、四%のルール、これもこれを達成するかしないかによって大いに銀行の利益に関係するということで、これが基本になって貸し渋りとかそういうことが起きたわけですね。ですから、どういう要素が含まれて、そしてどういうふうに計算をするということは、これはそれぞれの業界だけの利益、損失、これに関係するだけじゃなくて、国民生活にも大きく関係してくることだと思うのですね。そういうような、例えば今申しました保険のリスクとかどういうものがリスク総額の中に入ってくるのかということは、これは計算の重要な根拠ですね。ですから、そういうことは法律でちゃんと書くというふうにしないといけないのじゃないですか。法律家としての大蔵大臣の御意見をお聞きしたいと思います。
  227. 福田誠

    ○福田政府委員 保険のことだけ、一言補足させていただきます。  今回の金融システム改革法の中で、保険会社に対します早期是正措置の根拠の条文を御審議いただくことになっておりますが、先ほど来のお話のように、行政の透明性の確保の観点から裁量の範囲を極力限定し、原則的には省令で規定される基準について的確に適用していくこととしております。銀行と同様でございますが、保険会社の場合はソルベンシーマージン比率の水準に応じて幾つかのカテゴリーを設けまして、それに応じて是正措置を発動していく仕組みでございまして、その具体的なカテゴリーの区分あるいはそれに対応します是正措置の内容等、詳細につきましては省令で明らかにさせていただくつもりでございます。
  228. 西川知雄

    西川(知)委員 大蔵大臣、今保険部の見解を聞いて、これからどういう業務命令を発しようか、そしてそれが業界だけではなくて国民生活にも大きく関連をしていく、そういうときに、国民が一体この会社はどんな経営状況であろうということを知りたい、その知りたいという大きな計算根拠、これが省令で定められているということは、御自身の意見として、いいのですか、それともそういうことは好ましくないのですか。今事実を保険部長が述べただけで、御見解は、大臣、言ってください。
  229. 福田誠

    ○福田政府委員 お答えいたします。  法律そのものに規定を置くということも一案かと存じますが、ソルベンシーマージン比率自体が大変技術的な細かい算出方法でございますので、いろいろ法制局等とも相談してまいりましたが、その計算方法自体につきましては省令で定めるのが適当であろうというふうに考えたわけでございます。
  230. 西川知雄

    西川(知)委員 計算方法はそんなに難しくないのですよ。どういうものがリスク総額の中に入るか、ソルベンシーマージンの総額はどんなのかということは、この大蔵省が考えた考え方の中にも書いてあるのですが、それを法律の中に書かないと、省令というのは、大臣、各省で毎年毎年変えることもできるし、また自由にそれを変更することもできるわけですね。そういうような計算の根拠になっているものがどんどん動いていっては、国民は本当に正確な判断というのはできないのじゃないですか。  ですから、私は今政策の判断を言っているのであって、事実は今保険部長の言ったとおりですよ。けれども、政策的な判断として、国民に対してこの金融機関はどんなふうな経営をやっていてどんなリスクを持っているのかということを公開するときには、その基準というものは法律で決めるべきではないのですか。大臣、御答弁願います。
  231. 松永光

    松永国務大臣 基本的な事柄はやはり法律の根拠が要ると思います。しかし、それに基づく具体的な、先ほど話がありましたような計算の基準その他は、これは政令あるいは省令があっても私はよろしいのじゃないかというふうに思います。
  232. 西川知雄

    西川(知)委員 いや、そうすると、その基本的なことというのと基本的じゃないことというのは一体どこで分けるのか、基本的にこの辺が疑問なわけですが、今言いましたように、分母が何によって構成されている、分子が何によって構成されているということは基本的なことじゃないですか。大臣の御所見を言ってください。
  233. 福田誠

    ○福田政府委員 御指摘のとおり、ソルベンシーマージン比率自体は分母が諸リスクの合計額でございまして、分子がソルベンシーマージンということで、それ自体はそういう概念でございます。  それから、法律上も何も規定がないわけではございませんで、今回御提案をさせていただいている保険業法第百三十条に、その定義の詳細ではございませんが、保険会社の資本、基金、準備金その他の大蔵省令で定めるものの額の合計額、これが分子になりますが、それから、引き受けている保険に係る保険事故の発生その他の理由により発生し得る危険であって通常の予測を超えるものに相当する額として大蔵省令で定めるところにより計算した額というように、法律上もソルベンシーマージン比率のわかりやすいできるだけの規定は盛り込んであるつもりでございます。
  234. 西川知雄

    西川(知)委員 では、保険ばかりであれなので、ちょっと違う観点からお尋ねをしたいと思います。  今度から自己責任の原則の徹底ということで、金融機関の資産内容が自己査定されるということになりました。しかし、どういうふうにして自己査定をするのかということについては、今までいろいろな検査を受けてきたのでどんなふうな査定方法をしていいか大体わかっているだろう、だから自分たちの基準で自己査定をやってください、こういうふうに言っているわけですね。これが金融機関の資産内容の自己査定。それで、外部監査、これも活用しなさいということで、公認会計士の監査を使いなさい、そしてさらに、その真ん中にというかトライアングルの一つとして監督当局の検査、モニタリングをやりなさいということになっているのです。  そこで、どういうふうにしてモニタリングをやったり公認会計士が監査をするかということについては、当然御存じのように、例えば公認会計士協会ではどういうふうな実務指針があるかということで、平成九年の四月十五日にそういう指針が出ている。  まず大臣、こういう指針とか、それからどういうふうにやって監督当局が検査をすべきか、これは平成九年の三月五日に公表されているのですが、この基準は全部お読みになりましたか。——読んだかどうか本人に聞いている。
  235. 原口恒和

    ○原口政府委員 今先生が御指摘になりましたように、平成九年に検査部より自己査定のいわばマニュアルを発出しております。これはまさに今先生が御指摘になりましたように、今後の早期是正措置あるいは自己責任に基づく金融行政という中で、まず金融機関に自分自身でやっていただくということですけれども、一方、金融機関の自己査定基準について、各金融機関においてできる限り共通の基本的な考え方が確保されるようにということで、これまでの検査における資産査定の実務あるいは今後どうあるべきかということを検討した上で基本的な考え方を公表して、これに沿ってやっていただくということで、一方で共通の基本的な考え方が確保されるように努めているところでございます。
  236. 西川知雄

    西川(知)委員 先に結論を言いますと、大臣がお答えにならないので申しますと、早期是正措置というのは新たな金融当局の見えない手による権限強化、一層の権限強化じゃないかというふうに実は私は思っているからこういう質問をしているわけです。すなわち、法律で明確じゃないそういう基準、そしてその基準については、実は省令でも具体的ではないのですよ。そういう基準をもってあなたのところは場合によって業務停止するかもしれない、何カ月するかもしれない、そういうパワーを新たに金融当局に持たすということじゃないかということを私は申し上げたいわけです。  例えば、今の「資産査定について」とか公認会計士協会の実務指針とか、そういうことをお読みになったかと私は聞いたわけです。読んでなかったら読んでなかったで、それは仕方ないことですし、それは結構なわけです。余り好ましいとは言えませんが。けれども、それをお役人の方がお答えになる、こういうこともひっくるめて、金融不祥事があるにもかかわらず、こういう具体的な内容について、さらに大蔵省の権限が省令とか通達とかそういうところによってますます強化されるのじゃないかというふうに私は思っているからこういうことを申し上げているわけです。  大蔵大臣、もう一度お聞きします。今言ったような、自己査定はどういうふうな方法によってやっているのかということが、自己査定の基準が明確じゃないのですね。各行によって違うのですよ。どういうふうにして自己査定しているかということもみんなには公開されない。お互いに知らない。そして、公認会計士の協会の指針も一般論しか言っていないのです。これは後で読んでください。平成九年四月十五日ですから。そしてまた、「資産査定について」という当時の官房金融検査部からの平成九年三月五日公表の自己査定についての基準も、ふわっとした、明確な形じゃないのです。  こういうふうなふわっとした形で何かわからないものが結果として出てくる、こういうことは情報公開にも何もなっていないと私は思うのですが、もし私の言っている前提というものが正しい、私は正しいと思って言っているわけですが、そうした場合に、大臣、これは今のままの省令で例えばソルベンシーマージンの総額とかリスク資産の総額を決めたりそういうことをやるということ、これが正しいことか、また好ましいことか、どういうふうに思われますか。これは大臣に対する御質問ですから。
  237. 松永光

    松永国務大臣 先ほども申したとおり、基本的なことは法律または政令で明らかにする必要がありますが、細部にわたる事項等については必要に応じ省令にゆだねることは、これはあり得ることだと思います。  それから、自己査定ということでありますが、それの基準というのもこれまた省令等で定められておるわけでありますけれども、その省令に基づいてなした自己査定、しかもそれは同時に公認会計士等々が監査もしてくれるはずだと思うのでありまして、それを前提にして当該銀行の自己査定の正確性が間違いないかどうか、その正確性をチェックする、そういう立場で検査をこれからしていこうということに検査のやり方を是正したというふうに私は見ておるわけであります。
  238. 西川知雄

    西川(知)委員 それはあいまいな答弁で、基本的なことは法律で定める、そんなことはだれでもわかっていることで、私が申し上げていることは、要するにそういう早期是正措置、例えば保険では今言いましたようにソルベンシーマージン、証券では自己資本規制比率等々について、そこの分母と分子が何によって構成されているかということは基本的なことですか、基本的なことじゃないですかとお尋ねしているので、それはどっちかお答えください。
  239. 山口公生

    ○山口政府委員 大臣がお答え申し上げておりますように、基本的な考え方は法律に示されるものでございますが、技術的また具体的な項目は省令あるいは告示でやっております。  例えばの例を申し上げ、なぜそういうことをやっているかということを申し上げたいのでございますが、例えば、ことしに入りましてから、インターバンクのネッティング、預金と貸し出しのネッティングがまずBISで認められました。そして、三月の会合では、今度はオンバランスのネッティングも認められました。そうすると、先生がおっしゃっているのも筋論として正しいとは思いますが、毎回それを法律を直すということで対応しなければならないということになりますと、かなりそういった弾力性の問題もあると思います。しかし、私どもは先生のおっしゃっていることはよくわかりますし、それをクリアにきちんと公表しておくということが大事だろうなというふうに思います。したがって、ごらんになって、法律の趣旨から離れているとかそういうことであればその省令自体が問題化されるものと思います。しかし、あくまでそれはオープンにしてそういった御批判を仰ぐということだろうと思います。そういったことで、弾力的に、また機動的に対応するためにも、ぜひ省令あるいは告示という形でやらせていただきたいというのが現在の私どもの気持ちでございます。
  240. 西川知雄

    西川(知)委員 こればかりできませんが、例えば証券の方については、オンバランス商品のリスク相当額の見直しとか、また今おっしゃったことに若干関係して、リスクヘッジされているものについての相殺規定の整備とか、いろいろなことがより的確に自己資本規制比率をあらわす一つのメルクマールになると思うので、これは新しい商品ができてくることによってどんどん変わってくるということは今おっしゃったとおりなんですが、これは、やはり市場の意見、プロの意見、国内、国外の意見、これをぜひ十二分に聞いて、いつどこでどういうふうにして決定したのかということを、市場におもねるということじゃないのですが、市場の意見を十二分に聞いて決定をしていっていただきたい。そして、どういう要素が入ってどういうふうにこのオンバランスの商品については考えているのかとか、そういうことも、自分たちで考えて公表しないというのじゃなくて、ぜひ公表していただきたいというふうに思います。  そこで、そういうふうにしていただけますねということの確認を、これは証券等各三者からまず言っていただいて、それではそうしますということを最後に大臣言ってください。
  241. 山本晃

    ○山本(晃)政府委員 お答えいたします。  今委員指摘のように、この自己資本規制比率でございますけれども、実際のリスクをより的確に反映するための規定の見直しを省令改正によって行いたいというふうに考えております。今委員おっしゃられましたように、オンバランス商品のリスク相当額の見直しであるとかいろいろとございます。そういったものにつきましては、当然のことながら、相当技術的、専門的な事項でもありますので、市場関係者意見というのは十分に聞きますし、それについては当然のことながら積極的に公表してまいりたいというふうに考えております。
  242. 福田誠

    ○福田政府委員 お答えいたします。  保険会社につきましても、今の証券会社と同様でございます。ソルベンシーマージン基準自体は省令ではっきりさせるわけでございまして、これを勝手に朝令暮改というようなことは毛頭考えておりません。そして、むしろ、そのソルベンシーマージン比率に応じてどのようなカテゴリーを設けるか、それに応じてどのような早期是正措置をとるかということにつきまして、来年度から施行するためにも、透明性に配慮しながらできるだけ早く検討を進めてまいりたいと思っております。
  243. 山口公生

    ○山口政府委員 お答え申し上げます。  先ほど先生大蔵省の権限強化ではないかということをおっしゃいましたけれども、早期是正、三業態ともにこれからは金融監督庁が所管いたしましてそれを運用するわけでございます。したがって、その運用の際にいろいろ問題になったりそういうことになりますと、監督庁が主となってそれを変えていく、その際には、先生のおっしゃったようなよく意見を聞いてやるということに、していきたいじゃなくて、してもらいたいというふうに思っております。
  244. 松永光

    松永国務大臣 大事なことは、大蔵省が独善的に政令、省令を定めるとか改正するとかというのではなくして、関係者といいましょうか、そういう方々意見を十分に聞き、それに耳を傾けて、より望ましい政令、省令を定める、そして定めたものは当然のことながら公表をして関係者の利便を図るといいますか、より透明性のある行政になるように努力をしていく、こういうことでなければならぬというふうに思います。
  245. 西川知雄

    西川(知)委員 それでは、また規則等を制定される前には、どういうものが入ってくるのか、どういう分析をするのか、これはまた私もそれなりに意見がございますから、ぜひそれもしんしゃくして考えていただきたいというふうに思います。大臣、いかがですか。
  246. 松永光

    松永国務大臣 先ほども申したとおり、それぞれの分野の専門家あるいは業界の代表あるいは業界によって組織されたる協会の代表、こういつた者の意見を聞き、それに耳を傾けて適切な省令等の整備をしていくのが適切な行政であり、また透明性のある行政になっていく、こういうふうに思っておるところでございます。
  247. 西川知雄

    西川(知)委員 それでは、ちょっと時間もあれなのでもう一つ聞きますと、自己責任の原則ということをよくこの金融システム改革法の制定に当たって言われます。自己査定、先ほど申しました不良債権がどれだけあるのかとか問題債権はどれだけあるのか等々についても、これは自己責任の原則の一つのあらわれである、こういうこともおっしゃいます。  それで、ここでひとつお聞きしたいのですが、プロの機関投資家、その意見を聞きますと、とにかくほうっておいてくれ、規制緩和だけやってくれ、自己責任はとるから、おれたちは大蔵省のお役人よりも今の金融商品について、新しい商品についてはプロなんだから任せてくれ、失敗したら自分たち責任だ、株主代表訴訟もあるし、いろいろなこともあるからこれは任せておいてくれ、これが基本的な一般論だと思います。  ところが、そうじゃない、プロ以外の投資家という者もたくさんいるわけです。それで、この金融システム改革法が通るということになると、より一層競争をしないといけないということになる。当然、情報公開もないといけない。しかしながら、これは負けるかもしれないという人も当然出てくる。その負ける人がプロであればこれは別だけれども、そうじゃない人たちもたくさんいる。こういう人たちに対して、例えば金融サービス法なんかをつくって、そして一般投資家、消費者、そういう人たちの権利を保護しないといけない、こういうような声が非常に強いわけですが、大臣、今のこの金融システム改革法、御存じのように、新旧の対照表でも、この間大臣に予算委員会でお見せした通達と同じぐらいの太さがあるわけです。この中で十二分にそういう措置がなされているというふうにお考えなのか、また、そうじゃないところもあるから金融サービス法をつくろう、そういうふうに考えていらっしゃるのか。まず、基本的なお考えをお聞かせください。
  248. 松永光

    松永国務大臣 今委員は自己責任原則というのを言われました。委員が御指摘のような側面での自己責任もありましょうが、もう一つは、実は一般の人自身、一般の顧客ですね、これもある意味では新しくなってくるこの金融ビッグバンの時代にはとらされるということもあり得ます。したがって、それだけに業界というものは一般の消費者に対して、誤った選択をさせないように、やはりきちっとした責任をとってもらうということは必要なことであろう、そういう両面があるように私は思います。  今委員のおっしゃったことは、この法律が成立いたしますというと、いろいろな金融サービスの関係で、あるいは金融商品の関係で新しいものがどんどん出てくる、その場合にどういう紛争が起こるか、どういう問題が起こるかということを、総合的にといいますか、一般的に解決、処理をするという形での法律の仕組みが実は必要じゃないのか。言うなれば、関係者の共通の行為の規制あるいは公正ルールの適用、そういったことを盛り込んだ法体系というもの、法律というものが必要だという意見じゃないかと思うのであります。  このことについてもやはり検討していかねばならぬ問題でありますけれども、今御審議を願っておるこの法案においても、大体問題意識は同じにして、そして改革を図ろうとしている法律案だというふうに私は思っておるところでございます。
  249. 西川知雄

    西川(知)委員 一般論はよくわかりましたが、大臣、私の質問は、今の一般消費者なり、それとか機関投資家じゃない投資家というのもたくさんいるわけですね。そういう人たちは、消費者というふうに、そういうカテゴリーの中に入るかどうか、ちょっと入らないと思うのですが、そういう人たちも守っていかないといけないというときに、今おっしゃった原則はよくわかりました。  そこで、私がお尋ねしているのは、この金融システム改革法にも幾つかのそういう規定があります。それは私も検討して、読みました。そして、例えば今の商法、民法、刑法、現存する基本法、または特別法の中にもそれぞれの規定があるということも知っております。私が確認したいのは、そういう法整備で、今度の金融システム改革によって新しい商品とかが生まれできます、そういうときに対応してそういう投資家保護の十分な規定が整備されていますかどうかということを聞いているわけです。検討をしていかないといけないとかなんとか、そんなことをおっしゃったような気がしますが、それは、整備がされてないのならば検討しないといけない、整備がされているのなら検討する必要はないと思うのですが一その辺のところをもう一回はっきりと、今の現行法制と金融システム改革法によって消費者、投資家保護の整備がなされているのか、それとも、これでは十分じゃないから新しい金融サービス法というものをつくって、また新しいもので保護していかないとというふうに考えていらっしゃるのか。どっちかお答えください。
  250. 松永光

    松永国務大臣 先ほど申し上げたのは、金融サービス法という法律をという意見があるということを申し上げたわけで、今御審議を願っておるこの法律によって、投資信託の販売や有価証券店頭デリバティブ取引など、銀行等と証券会社がともに行う取引について共通の行為規制あるいは公正取引ルール等を適用する措置が盛り込まれておるわけでありますので、多様な金融商品・サービスの提供や、あるいはまた業態にとらわれない自由な参入が行われるようになることに備えて、今申したような業者あるいは消費者の保護に対する制度もこの法律の中に盛り込まれておるということを申し上げたわけであります。
  251. 西川知雄

    西川(知)委員 いや、それは盛り込まれていることは私も十二分に知っていますし、読んでいますからわかっています。私が申し上げたいのは、これで十分なのか、それとももっと法整備をしないといけないのか。先ほど金融サービス法の制定が必要だという意見もあるというふうに大臣は聞いておられるというのですが、大臣の御意見としては、この法律で十分なのか、それとも十分じゃないのか、これはどっちかしかないですから、お答えください。
  252. 山口公生

    ○山口政府委員 お答え申し上げます。  先生非常に詳しく研究なさっておりますので御存じだと尊敬しておりますけれども、との法律はかなり画期的に変えております。例えば、投資信託や有価証券店頭デリバティブ等の扱い、あるいは今までグレーゾーンでなかなか手が出せなかったような部分もきちっとやれるような形にするということでございますので、現時点においてはこれで対応できるというふうに思います。  ただ、最近の金融技術は日進月歩でございます。思わぬものが商品として出てくるかもしれません。それはいい意味で申し上げております。いろいろなものが組み合わされる、あるいは逆にアンバンドリング、分離されるということもあると思います。そうしたときに、では、こうしたある意味では縦割りの法制で十分かという議論は当然出てくると思います。  イギリスで金融サービス法というのができた、それを見習えという議論はありますが、あれはどっちかというと業法的なものが余りしっかりしてなかったというので一足飛びにそちらの方へ行ったというような認識を私は持っておりますが、今我が法制において縦割りの業法というのは、例えば免許制をとっているものは自分を律するということを強く求めておりますので、それはそれなりに担保されていると思いますが、それだけで十分かという議論はいつも私ども頭に置いて研究をしていく必要があるというふうに考えております。     〔坂井委員長代理退席、委員長着席〕
  253. 西川知雄

    西川(知)委員 大臣に御確認をいたします。  今の山日銀行局長のお話ですと、現在の商品に関しては、この金融システム改革法に基づいてまたいろいろな商品がこれから新しく出てくる、この法律によって創造し得る商品が出てくる、そういうものに対してはこの金融システム改革法の中でいろいろな法整備がなされ、また、先ほど申しましたほかの特別法、一般法において消費者、投資家の保護がなされている。しかしながら、これから日進月歩で全く想像もできないような新しい金融商品が出てきた、そういう場合に果たしてこれで対応できるかどうかはわからない。その場合にはもう一回法の整備を考え直さないといけないかもしれない。しかしながら、今言ったような現状、そしてこの金融システム改革法ということもこの現状の中に入れてください。そのシステムの中では、今の法整備というものは消費者、投資家に対していろいろな保護規定があって十分であるというふうに私は理解したのですが、それでよろしいかどうか。大臣、お答えください。
  254. 松永光

    松永国務大臣 現段階で想定される事態には、今御審議を願っておる法律によって対応できるというふうに思います。  先ほど銀行局長、この分野は日進月歩、将来は今想定できないような新商品その他が出てくる可能性はある。そういった場合に備えて実は金融サービス法という一括的な法律についての議論がなされているということを私も聞いておるわけであります。しかし、金融サービス法という問題は別として、現段階で想定される多様な金融商品やサービスの提供、そういったものを考えますと、現段階においては、今審議を願っておる金融システム改革法案、これによって対応していけるものというふうに考えております。
  255. 西川知雄

    西川(知)委員 持ち時間が終了いたしましたので、新しい保険の商品と証券の商品、銀行の商品がそれぞれどういうふうな規制になっているのか、どういう理由で違うのか。また、最初に御紹介しましたいろいろな具体的な問題、さっきは構成員契約規則とか申しましたが、そのほかにも、銀行については営業用不動産の空きスペースの他者への賃貸について規制があるのですが、生保にはないと言われているのです。その辺はどういうふうな理由によって違うのかとか、そういう具体的なことはまた連休が明けてから質疑させていただきたいと思います。  私の質問を終わります。
  256. 村上誠一郎

    村上委員長 次に、西田猛君。
  257. 西田猛

    ○西田(猛)委員 自由党の西田猛です。  まず最初に、去る三月十八日の本委員会で私が質問いたしましたことに対して、大蔵省当局からの答弁に誤りがありましたので、再質問をさせていただきたいと思います。  私がお聞きいたしましたのは、平成九年十二月の二兆円の特別減税により増額を余儀なくされた三月の時点で今年度の特例公債の額は幾らかとお聞きいたしました。それは平成九年度の特例公債の額をお聞きしたのでありますが、お答えいただけますでしょうか。
  258. 細川興一

    ○細川(興)政府委員 今御質問の件につきましては、二月から実施しております十年分所得税の特別減税とそれによる特例公債の発行額の関係についてだと思いますが、特例公債の発行額が歳出歳入の状況全体から判断されるものでありますことから、一対一の対応関係を申し上げるのは必ずしも適当ではないと考えられます。  しかしながら、二月から実施している平成十年分所得税の特別減税による九年度税収の減収が九千七百九十億円と見込まれている一方で、特例公債を一兆四百八十億円増発していること等を踏まえますと、この特別減税の実施により約一兆円程度の特例公債の発行を余儀なくされたものと言えると考えております。
  259. 西田猛

    ○西田(猛)委員 それでは、橋本総理が今年度に入りましてから四月九日に発表いたしましたことしじゅうの二兆円の特別減税の上積みで増額発行を余儀なくされる十年度分の特例公債の額は幾らだと考えておられますか。
  260. 細川興一

    ○細川(興)政府委員 総理が発表されました今年中の二兆円の特別減税の上積みとそれによる特例公債の発行額との関係につきましては、先ほど申し上げましたように、特例公債の発行額が歳出歳入の状況全体から判断されるべきものであることから、一対一の対応関係を申し上げるのは適当でないと考えております。しかしながら、今回の二兆円の特別減税の上積みにより、国税については一兆四千億円程度の減収が見込まれること等から、それとほぼ同額程度の特例公債の発行を余儀なくされるのではないかと考えております。
  261. 西田猛

    ○西田(猛)委員 今御答弁いただきましたように、しないと言っていた特別減税をすることによって特例公債の発行増がだんだん余儀なくされているわけでございますね、大臣。  そこで、その三月十八日の大蔵委員会で私はお尋ねを申し上げました。我々自由党は新進党のときから、抜本的な税制改革をして、そして減税も行わなければいけない、ですから、もう昨年の初めの時期に二兆円の特別減税の継続法案まで出したわけですけれども、それはほかの皆様方の反対で否定されました。そのことなどについて三月の大蔵委員会でお聞きしたときに、大臣は、財源もよくわからないし、そんなのはだめだ、まずは財政再建あるのみだという御答弁で終始しておられたわけでございます。  ところが、今になってこの特別減税が余儀なくされ、そして特例公債が増額発行を余儀なくされて財政構造改革の目標が遠のいていっているという事態についてどのようにお考えなのか、お答え願いたいと思います。
  262. 松永光

    松永国務大臣 委員を中心にしたいわゆる自由党の先生方が、常に大幅な税制改革、その中での恒久減税ということを主張していらっしゃることは、私もよく承知しております。  減税を言う場合には、その財源は何によるのか、財源が明確でなければ、そしてまた妥当な財源がなければ、減税をすれば当然のことながら特例公債の発行を余儀なくされるわけですね。特例公債を発行した場合には、いずれその返済のための負担を今度は国民に求めざるを得ないという結果になってくるわけでありますから、したがって、その点についてはまず財源はどうするのでしょうかということをお聞きせざるを得ないわけなんです。  今度総理が特別減税を実施され、さらに十年中に新たに二兆円の特別減税を主張し、決められたわけでありますけれども、その財源措置は、今主計局次長が答弁を申し上げたとおり、特例公債の増発を余儀なくされるわけであります。  なぜそうしたのかということでありますが、現下の厳しい経済、景気の動向、それの対応策として緊急避難的にそれを実施する、こうなったものと承知いたしております。
  263. 西田猛

    ○西田(猛)委員 緊急避難が三度続いてきているわけなんですね。  といいますのは、三月十八日のこの大蔵委員会で平成九年十二月の二兆円の特別減税について私がお尋ねしたときに、大蔵大臣はこうお答えになっておられるのですよ。   そうすると、財源がありませんものですか  ら、先ほど主計局次長が答弁をしたように、一  兆近い特例公債によって減税せざるを得なかっ  た、これは正しいのですね。  この事態を乗り切るために。こういったのが今  回の特別減税の措置であったというふうに思う  わけでありまして、文字どおり特別の措置で  あったということでございます。そこでまず特別の措置であったとおっしゃいました。  さらに、私はそれを踏まえて、では、もうこれからはその二兆円だけで景気がよくなるんだとおっしゃるわけですね、しかしながら、財政構造改革は突き進めていかないということでしょうか、大臣、政治家としての御決意をとお聞きしたのです。大臣。覚えておられると思います。そうしたら、そのときに大臣はこうおつしゃつたのです。   したがいまして、非常に厳しいことでありま  すし、つらいことではありますけれども、今おっしゃったのと全く同じ言葉ですね。  財政構造改革法に定められておる目標、それを  達成するために最大限の努力をしていくのが私  は政治家として大事な務めだろう、こういうふ  うに思っております。そのときにそうおっしゃいました。今もまた同じことをおっしゃろうとしておられますが、三月十八日に同じことをおっしゃったにもかかわらずまた二兆円、今度また来年ももう一遍二兆円を継続してやるとおっしゃっておられます。ということは、三月十八日といえばたったの二十日前ですけれども、二十日前に大臣が御自身として、この財政構造改革法に定められておる目標を達成するために最大限の努力を払うことが政治家としての務めだと言っておられたことは、では、もう終わったのですね。大臣の政治家としてのお務めは終わったということでしょうか。やらないわけでしょう。     〔委員長退席、浜田(靖)委員長代理着席〕
  264. 松永光

    松永国務大臣 三月十八日の大蔵委員会でのことをおっしゃいましたが、今、四月幾日でございますから、二十日前ではなくて一カ月ぐらい前になりますかな。(西田(猛)委員「日にちがちょっと間違ったかもしれません」と呼ぶ)それはお互いです。言い間違いはありますから、それは結構なのでありますが、要するに、後世代の負担ということを考えますと、やはり財政構造改革は絶対進めていかなければならぬ、それが大原則であります。しかし、経済情勢、景気の動向というものは変化していくわけでありますから一その中で臨機応変の措置をとるということは、これもまた当然のことだというふうに総理も申し上げ、私も申し上げてきたところであります。現在における厳しいこの景気の情勢等を見て、臨機応変の措置あるいは緊急避難的な措置として特別減税の追加ということを実は決めることになったわけでございます。
  265. 西田猛

    ○西田(猛)委員 確かに三月十八日は四十日ほど前であります。それは私が訂正をいたします。私が素直に訂正を認めたのであれば、大臣もそこのところは素直にお答えいただければと思うのですよ。あの当時、二兆円はやるけれども、それ以外、財政構造を推進していくのが政治家としての役目だとおっしゃったのが、わずか四十日後になってまた違うことをおっしゃらなければならないという事態になったわけですね。  さらに、四月九日に、平成十年度予算成立に伴う橋本総理大臣記者会見の御発言の中では、まさに驚くばかりの発言内容が引きも切らず並べられています。例えば、「今のような深刻な経済情勢にかんがみ、」これは予算成立したときの直後のコメントですね。「私は現在の財政構造改革の基本的な骨格は維持しながら、緊急避難的にどのような対応を取るべきかを早急に検討すべきだと考えます。」「特例公債発行額の弾力化を可能にする、」云々かんぬんです。これは何度も国会の場でいろいろと言われてきたことでありますけれども、本当に驚くべきことだと思います。  この総理の御発言の中で、「しかし、この場合でも安易に公債に頼るだけではなくて、さまざまな財源確保の道を政府自身の努力で求めなければならないことは言うまでもありません。」と、ある程度のことは言っておられるのです。ここで言うさまざまな財源確保の道というのはどういうものだと考えればよろしいのでしょうか。
  266. 松永光

    松永国務大臣 委員指摘のように、四月九日にさまざまな財源確保の道ということを研究していかなければならぬということを言われたことは事実であります。それは、安易に公債に頼るだけではなく、さまざまな財源確保の道を求めて、殊さらに将来世代に負担を先送りすることのないよう努めなければならない、そういう趣旨を一般論として言われたものと私は理解しております。
  267. 西田猛

    ○西田(猛)委員 私が言っていることを繰り返さないでください。それはここに書いてあることです。  いいですか。もう一度読みますよ。「さまざまな財源確保の道を政府自身の努力で求めなければならないことは言うまでもありません。」そのさまざまな財源確保の道は何なのかを教えてください。
  268. 松永光

    松永国務大臣 要するに、総理は一般論として努力目標を言われたものだというふうに私は理解しております。
  269. 西田猛

    ○西田(猛)委員 お話にならないと思うのですね。一国の総理大臣がさまざまな財源確保の道と言えば、普通は、歳出を削るだとかあるいは新しい税を設けるだとか、何かあるのではないでしょうか。これは一般的な目標を言われただけなのですか。一般的な努力目標を言っただけだと今おっしゃいましたね。これは後々大変な問題になってくると思うのですね。一般的な努力目標を言っただけだということは、この総理の記者会見の内容そのもの全部が一般的な努力目標と考えていいのでしょうか。
  270. 松永光

    松永国務大臣 そのさまざまな財源確保の道がすっすっと見つかるようならば実は苦労がないわけでありまして、どういう点に新たな財源の道を求めるか、これは研究に研究を重ねなければならぬ問題だと思うのですね。ただ、その心は、その精神は、とにかく将来世代に負担を先送りするということは極力避けたいという気持ちのあらわれだろう、こういうふうに私は思います。
  271. 西田猛

    ○西田(猛)委員 今おっしゃったことそのものが将来世代に負担をどんどん残していくことなのではないですか。財源確保の道がわからない、けれども、必要なものが、需要があるから特例公債を発行していくというものが積み重なって今のような財政赤字の日本になったのではないのでしょうか。今おっしゃったことが積み重なってきたのですよ。ですから、我々が従前から申し上げているように、構造的な改革が必要なんだ。だから、歳出の根本的な見直しというよりも立て直し、そして税制構造の改革ということでなければ、この財政赤字の日本、そして資産デフレによるところの経済不況の日本は克服できないということを我々は二年も前から申し上げているわけです。  ちょうどきのうの夜、たまたまテレビを見ておりましたら、英国のBBC放送が英語で言っておりました。シックスティーントゥリリオンイェン・パッケージ・フェイルド・トゥー・チアー・ザ・マーケットですよ。幾ら十六兆円の経済対策を打ったって、市場を鼓舞するには失敗したと言われているわけですね。それに続けていわく、もう下手な英語は言いませんけれども、構造改革が見えないがゆえであるとはっきりと言っておりました。  大臣にお答えをお願いしても、この場で何かしらばっと明るく先の見えるようなお答えが返ってこないので、私も大変残念ですけれども、ここのところは本当に問題だと思います。今おっしゃったように、財源確保の道があればいいのだけれども、ないから特例公債に頼っているのだ。だからこんなことになっているのではないですか。今、財政の最高責任者として言ってはならないことをおっしゃったのだと僕は思いますよ。ほかに道がないから特例公債に頼らざるを得ないのだ、それは財政とは言えないと思います。  ところで、橋本総理の総合経済対策の中でこういうくだりがございました。四月二十四日に発表された総合経済対策の中で、「郵貯・簡保資金による資産担保証券への運用の検討等など資産担保証券の市場整備を図る。」とされておるわけです。これは、私は、郵貯だ、簡保資金だというものがそういうことに使われるという切り口でお聞きするのではなくして、今ちょうどこの委員会での審議にかかっておりますいわゆる金融ビッグバン法に絡んで、そういう資産担保証券の市場整備を図るために公的資金が導入されるということの問題点を指摘しているのですけれども、総理のおっしゃった総合経済対策の中のこのフレーズは具体的にどういうことを言っているのか、お答え願いたいと思います。
  272. 篠田政利

    ○篠田説明員 今般の経済対策の中では、「郵貯・簡保資金による資産担保証券への運用について、平成十一年度に向けて検討する。」というように表現されておるところでございます。  郵政省といたしましては、資産担保証券の市場が整備されますのが、この特定目的会社による特定資産流動化に関する法律が施行される九月一日以降であるということを踏まえまして、郵貯、簡保資金の運用対象を多様化いたしまして、預金者、加入者の利益に資するために、安全、確実な資産担保証券に対する運用につきまして平成十一年度に向けて慎重に検討してまいりたいと考えております。  もとより、郵貯、簡保の資金運用と申しますのは、預金者、加入者の利益の確保、事業の健全経営の確保という観点から行われているものでございまして、安全、確実な資産担保証券に対する運用につきまして慎重に検討してまいりたい、このように思っております。
  273. 西田猛

    ○西田(猛)委員 今、郵政当局からそういうお答えでしたけれども、安全、確実な資産担保証券というのはあるのですか。これは、今おっしゃったから私も急に思いついたのですけれども。恐らく橋本総理がここでおっしゃったことの心は、バブルがはじけて資産が非常にデフレの要因になっている、その流通性を阻害されている資産の流動性をも鼓舞するためにこういう資産担保証券の市場を整備していこうという趣旨ですね。ということは、不良債権化した債権に係る資産を担保とした証券なんですけれども、そういうものの中で、安全で確実とおっしゃいましたか、そういう資産担保証券というものはあり得るというふうにお考えなのでしょうか。
  274. 篠田政利

    ○篠田説明員 いわゆるSPC法が施行されますのが九月一日でございますので、実際にどのようなものが出てくるかということにつきましては、市場の動向を踏まえて検討していかなければならないと思っております。  ただ、この資産担保証券と申しますのは、証券の裏づけとなります資産、指名金銭債権あるいは不動産等でございますけれども、こうしたものの健全な収益性があるものであれば、それを裏打ちとして発行されます証券の健全性というものもある程度確実なものと考えることができるのではないかと思います。  いずれにいたしましても、法が施行になりまして実際の市場が動き出しますので、そういったものを見ながら慎重に検討したいと思っております。
  275. 西田猛

    ○西田(猛)委員 経済対策の中で述べられたことですから、経済対策の一環としてそれに資していくんだと思うのですが、それにしても、今入ってきたニュース、夕刊にも出ていますけれども、大臣もう御存じだと思いますが、三月の失業率が過去最悪です。三・九%ですね。さらに〇・三%上がっています。そして、有効求人倍率は〇・五八倍。これは、〇・〇三ポイント下がって七カ月連続の低下ということでありますね。まだまだその十六兆円のパッケージも、もちろん失業率とか有効求人倍率には遅行性があるとはいいますけれども、市場を全然反応せしめていないということだと思います。  大蔵大臣という財政運営の最高責任者が、ほかに財源確保の道がないから特例公債に頼るしかないんだと言ったら、また、これ以降のマーケットが私は本当に心配になってくるのですね。大臣、本当によろしくお願いしたいと思います。  ところで、きょう午前中に若干御質疑がありました大蔵省における処分の問題ですけれども、先ほどの理事会で、訓告以上の方ですかについては、どういう理由でどういう量定になったのかということを公表していただけるというふうに聞いております。文書でいただけるということでありますけれども、またいつになるかわかりません。  そこで、ちょっと急で恐縮ですけれども、一番重いとされていた処分の方、これは懲戒停職四カ月になられた方は、どういう理由でこの懲戒停職四カ月になったのかを今ここで教えてください。
  276. 武藤敏郎

    武藤政府委員 停職四カ月になった者は杉井でございますけれども、この者は、平成八年十二月二十六日のいわゆる公務員倫理規程制定後におきましても、職務上の関連がある民間金融機関との間で倫理規程に定める手続を得ずに会食を少なくとも六回行っております。また、平成七年五月から平成八年十二月までの間に、同様に職務上の関連のある民間金融機関との間で会食を十数回、また、職務上の関連がない民間金融機関ではありますけれども、会食を十回程度、それからゴルフを少なくとも一回。さらに、平成五年一月一日から平成七年五月の間に、職務上の関連のない民間金融機関との間で会食を三十回程度、ゴルフを十回程度行っております。  これは、このこと自体が公務員としてふさわしくないということでありますが、さらに、この者は、平成四年から平成七年まで、大蔵省職員綱紀保持についての担当であります秘書課長の職にありました。その間、あるいはその後におきましても今申し上げたような行為があったということで、停職ということになったわけでございます。
  277. 西田猛

    ○西田(猛)委員 午前中官房長はある委員の方の御質問に対して、この場では答えることは差し控えたいとおっしゃっておられましたけれども、理事会の議を経て今非常によどみなくお答えになっていただいて、よかったと思います。  と申しますのは、御存じのように、国家公務員法に基づく懲戒処分と分限処分、あるいは省内規律、規則に基づく処分というのは全く違うわけです。国家公務員法に基づく懲戒処分というのは、言うまでもなく、その名が示すとおり、何か義務があって、しかしその義務に違反したからそれが公務の能率を阻害するあるいは公務全体に対する信頼を阻害するということで行われる処分であるべきなんですね。ということは、何かしらある義務があってその義務を破ることがあったということが前提でなければならないのだと思うのです。  したがって、そのような重い処分をされるときには、やはりこれを、当然本人には文書等で通知されるでしょうけれども、少なくとも国会あるいは国民の目の前にも明らかにして、それはその処分を受けられた方のためにもなると思うのですね。本当にこの人はそういう処分を受けなければいけないのか、あるいはそうでないのかということも我々は明らかにしていかなければならないからだと思います。  ところで、減給二〇%二カ月になっておられる保険部長さんについては、なぜこのような処置になられたのですか。
  278. 武藤敏郎

    武藤政府委員 保険部長につきましては、大臣の方から冒頭御説明がありました。  繰り返しになりますのでちょっとはしょらせていただきますけれども、平成八年十二月の倫理規程以降、職務上の関連のある民間金融機関との間で会食が一回、ゴルフが一回あった。それから、七年五月から八年十二月までの間にやはり会食が十数回ありました。それから、平成五年から七年までの間に同様に会食を計二十数回、ゴルフが十回程度行われた。そういうことをもちまして減給二〇%二カ月ということにされたわけでございます。
  279. 西田猛

    ○西田(猛)委員 今おっしゃったような行為はどのような義務に違反したのですか。
  280. 武藤敏郎

    武藤政府委員 まず第一に、平成八年十二月の倫理規程におきましては、会食を行うためには手続を踏む必要がある、事前に服務担当者の承認を得るという必要が原則としてございます。そういう手続を得なかったこと。それから八年十二月以降は、ゴルフはこれは例外なく禁止されておるわけでございますので、そういうことに違反したといったようなことが主なことでございます。
  281. 西田猛

    ○西田(猛)委員 そこで、このリストをいただきまして、我々もきのうの夜からけさにかけていろいろと調査をさせていただきましたけれども、保険関係の方がどうも数が少ないように思われる。これは、保険部関係についてはまだこれから調査を継続しておられるということですね。
  282. 武藤敏郎

    武藤政府委員 保険関係の者は数が少ないという御指摘がございましたけれども、私どもは、今回の調査におきましては、保険会社との関係につきましても調査を行いました。ほかの民間金融機関等との関係もあわせまして今回の処分を行ったわけでございます。  そういう意味で、今、今後もまだというお話がありましたけれども、そういう状況ではございません。
  283. 西田猛

    ○西田(猛)委員 巷間よく言われているところで、銀行業界証券業界よりも保険業界が、これは損保、生保を問わず大変大蔵省当局の御指導のもとに強くあられたからその関係はより一層濃いというふうに言われています。私も知るところは恐らくそうではないかなというふうに思っておりますので、そこは今の官房長の認識とはちょっと違いますね。大臣、どうでしょうか。
  284. 松永光

    松永国務大臣 今官房長が申したとおりであります。したがって、保険会社との関係銀行等との関係調査をしたわけでありまして、その結果としての処分を行ったところでありますから、保険会社との関係をさらに調査をしていくという予定はございません。  しかし、今後新たに具体的な事実でも判明した場合には、これはそのことについての調査はしなければならぬ。そうした上での処分というものはあり得るわけでありますが、それは具体的に、そしてまた大きな疑惑等が出てきた場合ならばこれは別でありますが、私どもは現在のところそういう事実関係を把握しておりませんので、現在までの調査で一応終わりとし、そして処分を行ったということと理解をしていただきたいと思います。
  285. 西田猛

    ○西田(猛)委員 将来調査についての見解はそうかもしれません。それでなければ処分もできないわけですけれども。でも、今大臣が最後のところがら一歩手前ぐらいでおっしゃったところを我々は多としたいと思います。新しい事実が出てくれば、あるいは何かしらのさらなる事実、事態が判明すれば、当然さらに調査を進めていかれる、こういうことですね。
  286. 松永光

    松永国務大臣 本日も前にも申したことでございますが、任命した職員について大きな疑惑が出てきた、こういつたこと等の場合には、調査をして、そして任命権者としてその調査の結果に基づいて処分をするというのは、これは任命権者の務めだろう、こういうふうに思っているわけです。そういう具体的な事実がない、ただどこかで言われているということだけで行動するのはやや軽率ではなかろうか、こう思っておるところでございます。
  287. 西田猛

    ○西田(猛)委員 ぜひ軽率でない調査を継続していただきたいと思います。これは大変重い問題でありますから、まあきのうの時点でおやめになられた方が二人プラス一人、三名いらっしゃったようですけれども、強い身分保障のある公務員においてこういうことというのは大変重いことでありますから、その方たち御本人及び御家族も含めた周辺の皆さんのことをも考えれば、我々はそのことを非常に重く受けとめて、なぜこうであったのか、そしてこれをどういうふうにこれから教訓としていかなければならないのかということを本当にしっかりと考えていかなければならないことだ一と思います。  そこで、四月二十四日の政府の総合経済対策に戻るのですけれども、同じく今大変問題になっていますバブル経済崩壊後の債権債務関係の迅速、円滑な処理のために、当事者間の合意が得られ、債務者の再建計画が策定される場合の税制上の措置を検討するとありますけれども、この税制上の措置というものは具体的にどういうふうに理解したらよろしいのでしょうか。
  288. 尾原榮夫

    ○尾原政府委員 ただいま先生から御指摘ございましたように、今回の総合経済対策の中で、臨時不動産関係権利調整委員会(仮称)によるあっせん、調停等によって債権者及び債務者の合意が得られ、債務者の合理的な再建計画が策定される場合の税制上の措置を検討するというのがこの対策の中に入っております。  具体的な検討の方向としては、二点ございます。一つは一このような再建計画が策定される場合に、債権者については、債権放棄による損失を損金の額に算入することとする、いわゆる寄附金課税は適用しないというのが第一点でございまして、第二点といたしましては、債務者については、その債権放棄による債務免除益を会社創設以来の累積欠損金と相殺することができることとする。今申し上げましたこの二点の方向で検討するということとしたところでございます。  なお、少しつけ加えさせていただきますと、このような課税上の取り扱いでございますが、会社更生法の決定等が行われた場合に同じようなことが認められていることでございまして、今回の税制上の対応といいますのは、これに準じた取り扱いを検討しようとするものでございます。
  289. 西田猛

    ○西田(猛)委員 今おっしゃったことの前提として、そういう当事者間の合意が得られたらということなんですけれども、この合意というのはどういうふうに得られるものなんでしょうか。
  290. 尾原榮夫

    ○尾原政府委員 まだこの臨時不動産関係権利調整委員会(仮称)、構想段階でございまして、これから法律がどうなっていくか検討を要するところでございますが、まさにあっせん、調停等によって債権者及び債務者の合意が得られ、その債務者とそれから複数の金融機関を含む債権者の間で合理的な再建計画ができた、こういうことが前提とされているものと考えております。
  291. 西田猛

    ○西田(猛)委員 従前、官房の金融検査部で出しておられた無税償却証明との関係はどのようになってくるのでしょうか。
  292. 尾原榮夫

    ○尾原政府委員 無税の償却証明といいますのは、まさに貸し倒れ損失として税制上損金と見られる債権かどうかということでございまして、最近の改正によりまして、まさにそれは証明制度ではなしに、納税者の申告によって同じような基準によって無税になるものかどうかを申告していただくという制度に変わっております。  今申し上げましたこの制度でございますが、まさに債権を放棄するわけです。金融機関などがある債務者について持っている債権を、そのまま債権を持っていたのでは会社なり債務者の経営が成り立たなくなるだろう、そのときにみんなが合理的に債権をカットすればその会社が成り立っていく、しかも不動産も動き、不良債権も処分されていく、こういうような場合でございまして、先生今申されました無税償却の話とは若干次元の違う側面があろうと思っております。
  293. 西田猛

    ○西田(猛)委員 同じく今回の金融ビッグバン法の中で出てくる証券版の早期是正措置についてお聞きしたいのです。  証券会社というのは基本的には仲介業ですから、ブローカレッジハウスですので、そんなに大きなリスクさえとらなければ破綻するということは本当は考えられないことだと思うのですね。けれども、従来の経緯を見てみれば、証券会社本体だけじゃなくして、それの関係のノンバンクですとか不動産関係の子会社などが問題を起こして、よってもって一緒に倒れてしまったということだったのではないかなと思います。  したがって、この証券版の早期是正措置についても、それら関連の会社を一体的に、連結的に見ていく必要があると思いますけれども、そのあたりの工夫はどのようにしておられますか。
  294. 山本晃

    ○山本(晃)政府委員 お答えいたします。  証券会社の自己資本規制は、業務に伴うリスクを全体として把握して、すべてのリスクが顕在化した場合に損失に耐え得るだけの自己資本の保持を求めるものでございまして、平成二年に早期是正措置として導入されたものでございます。  それで、リスク算定に当たりましては、市場リスクや信用リスク等を詳細に計算することを求めておりまして、御指摘のような点につきましても、証券会社関係会社の破綻に耐え得るよう、関係会社貸付金に相当する自己資本の保持を求めているところでございます。  いずれにいたしましても、こういった個別リスクのあり方につきましては、今先生指摘の点も踏まえまして、今後ともより適切なものとなるように見直しを図ってまいりたいというふうに考えております。     〔浜田(靖)委員長代理退席、委員長着席〕
  295. 西田猛

    ○西田(猛)委員 大臣にお聞きしたいと思うのですけれども、先ほど来私が話題にしております四月二十四日の政府の総合経済対策の中でいろいろと出ております。特に国を中心とした社会資本整備等を行わなければならない。我々は、この総合経済対策そのものが、今申し上げた十六兆円の総合パッケージが本当にワークするのかどうかというのは全く疑問ですし、とてももろ手を挙げて賛成できるものではありません。ありませんけれども、もしもこのような状況の中で今政府がこれをどうしても実行するというのであれば、どうせ実行するのならばそこはしっかりした、ちゃんとしたやり方でやっていただきたい。これはもう国民の強い願いだと思うのです。  そこで申し上げたいのは、国を中心とした社会資本整備をする、特に環境への負荷の少ない経済社会の実現を目指して環境・新エネルギー特別対策事業として一兆六千億円程度の事業を実施するというようなことを言っておられます。ところが、かてて加えて橋本総理は、四月九日の平成十年度予算成立の後の記者会見で、例えばダイオキシンの問題あるいは地球環境問題に対応するための投資、こういうものに投資をしていきたいというふうなことを言っておられます。例えばダイオキシンの問題と、特にダイオキシンを出して言っておられるんです。  最近、すなわち、ごみ処理施設から高い濃度のダイオキシンが出ているという問題が日本の各地で散見しています。私のふるさとの大阪府の豊能町、能勢町でもそのような問題があって、大変多くの住民の方が困っておられる。大臣、ごみ処理は市町村の事務だからといって財政力の弱い市町村に任せっ切りにはできないと思うんですね。ですから、もしもせっかくこういうパッケージをするのであれば、本当に国民、住民の皆さんのことも考えた、ダイオキシンが発生することのないようなごみ処理施設建設などについて国が積極的に関与していくというふうな仕組みも、例えば一つの例として考えられていいのではないでしょうか。
  296. 松永光

    松永国務大臣 委員指摘のように、総理は、特に環境それから新エネルギー等々に重点を置いた公共投資をということで述べられていることは事実でありまして、その中でも特に緊急性の高いダイオキシン、環境ホルモン対策や水質保全対策に思い切った対応を図るというふうに実はなっておるわけであります。これを受けて廃棄物処理施設整備事業の追加になってくるわけでありますが、これについては今厚生省などと十分相談しながら具体的に検討を進めているところであります。
  297. 西田猛

    ○西田(猛)委員 それでは、時間が来ましたので終わります。
  298. 村上誠一郎

    村上委員長 次に、佐々木陸海君。
  299. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 日本共産党の佐々木陸海です。  まず、大蔵大臣にお聞きしたいと思います。  私、先般、当委員会質問大蔵大臣に、大蔵省内の調査の結果を一刻も早く公表してください、そしてそれができないというのであれば、せめて答弁席に立つ人の調査結果だけでも一刻も早く発表してくださいということを申し上げました。  きょう、大臣は午後の冒頭で、四人の答弁席に立つ人たちについてその結果を発表し、かつ処分もし、反省もしておるから答弁に立つことを認めてもらいたいということを言われました。かつての私の言ったことが杞憂でなかったということが証明された形になっているわけです。  その四人の問題ですが、私は、処分もしたし、本人も反省しているから認めてくれと言われて、はいそうですかと言って素直に認める気には簡単にはなれないし、そういう問題にはならないということを最初にまず申し上げておかなくてはいけないと思うのです。  特に、接待の問題で大問題になって本人が辞表を提出した証券局長の後任に、あえて国家公務員法戒告処分を受けた方をわざわざ充ててくる。率直に言って、私は神経を疑いたいと言わざるを得ないと思うのです。きのう、大蔵大臣は記者会見で、国家公務員法による処分というものは格段その効果が違う、処分をした場合は、これは十分人事の考慮の対象にしなければならぬ、法律の規定がそうなっている、こういうふうにも言っているわけです。戒告処分を受けた人を新たに政府委員にするというようなことはとんでもないことじゃないか。一体どういう人事の考慮をした結果こういうふうになっているのか、まずそこをはっきりさせていただきたいと思います。     〔委員長退席、井奥委員長代理着席〕
  300. 松永光

    松永国務大臣 国家公務員法に基づく懲戒処分、それが重いということは私も承知しておりますし、特に国家公務員に経験のある西田先生が先ほど厳しく申されました。要するに、国家公務員法八十二条に定めてある懲戒処分、これは、一番目が「法律又はこの法律に基づく命令に違反した場合」、二番目が、第二号が「職務上の義務に違反し、又は職務を怠った場合」、三号が「国民全体の奉仕者たるにふさわしくない非行のあった場合」。私は、今回の処分はこの第三号としての処分というふうにしたわけでありますけれども、これは、大蔵省における過去の例、ほかの省における過去の例等々と比べた場合には格段に重い処分になっていることは、西田委員はよく御承知のことと思います。  そういう重い処分の中で、一番重いのが免職、次が停職、そして減給、次が戒告、こういう順序になっておるわけでありますが、今御指摘証券局長心得にしたのは、この戒告処分はしたところであります。しかし、委員指摘のとおり、できることならばそういった処分にならなかった者を充てたいのでありますけれども、何せ急なことでありますし、すぐ答弁に立てる人を充てなければならぬというわけで、事務取扱ということに発令をさせていただいて、そして審議に参加することをお許し願いたい、こういうことでお願いをしたところでありますが、正式な後任につきましては、近々に委員から非難されるような人でない適任者を充てたいということで今考えておるところでございます。
  301. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 そうすると、今その心得としてやった人は本当につなぎであって、今の法案を通すためだけの便宜的な配置ということになるわけじゃないですか。それは本当におかしな話で、そんなことをやったら、ますますそういう人を相手に質問してこの法案を通すというわけにいかなくなりますよ。
  302. 松永光

    松永国務大臣 心得というのは、ずっとこの人が心得でいくものではないというふうに御理解願いたいわけです。
  303. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 だから、今、大蔵大臣、答弁に立たせるためにすぐ立てる人をということで任命したけれども、しかし、もっとすっきりした人を証券局長の後がまには近々据えるからとおっしゃったわけでしょう。だから、今の答弁者は全くつなぎの答弁者で、この法案を通すためだけの便宜的な答弁者ということにならざるを得ないじゃないか、それでは本当に話が通らないじゃないかということになるのじゃないですか。
  304. 松永光

    松永国務大臣 行政は一日も停滞が許されませんし、国会の審議といたしましても停滞するのは望ましくない。そういう状況下でのきのうの処分になった関係上、まずは心得ということで発令をさせていただいたわけでありまして、心得でありますから、いずれは、近いうちに適当な後任を決めなければならぬ、こういうふうに思っておるわけであります。
  305. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 納得できませんね。今回の事件への国民の感情を本当に真摯に受けとめれば、処分を受けた局長クラスは全員辞任させても当然なぐらいである。そういう中で懲戒処分を受けた人物が新たに局長代行職になるなんというのは本当に論外であって、こういう人事は撤回して臨むべきだ。本当に大蔵省信頼ができる行政をここで立て直そうとするのだったら、国会の答弁に立てる人たちもそういう人たちを、この人事を撤回してきちんとした者を充てるべきだ。それが大蔵省の本当の出直しになるのじゃありませんか。
  306. 松永光

    松永国務大臣 先ほども申し上げましたとおり、この大事なときでありますから、行政の停滞あるいは国会審議の停滞、そういったものは許されない、こう思いますので、国家公務員法に基づく厳しい行政処分をしたわけでありますけれども、その中から、すぐ局長の仕事の代行ができる人という見地からいって心得として任命をさせていただいて、そして証券局長の仕事を代行させていただいておる、こういうことでありますので、これは御理解を賜りたい、こう思う次第でございます。
  307. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 私は、大蔵行政への国民信頼を失墜させた、そういう人たち処分したから、それであとは国会に出てきて答弁をするのも認めてもらいたい、それは結構なんだ、行政を停滞させないためにそれは必要なんだという議論は通らないということをはっきり申し上げておきたいと思います。  午後の冒頭で松永大蔵大臣は、四名に限って、なぜ処分をしたのか、その処分理由を明らかにされましたけれども、その場合も、具体的な相手先も接待内容も全然明らかにはされていません。しかも、先ほど四人について述べましたけれども、その述べた内容も、当委員会で厳しく追及されて初めて発表したものでありまして、本来だったらきのうの処分内容の発表の際に、処分の結果だけじゃなくて、この処分をしたのはこれこれこういう内容処分をしたのだということを、一人一人について当然発表すべきものだったと思うのですよ。それを四人については今述べられましたけれども、なぜ初めから、少なくとも処分した者全員についてそういう全容をはっきりさせようとなさらないわけですか。  私たちが一貫して要求してきたのは、一刻も早く処分しろなんということを要求してきたわけじゃないのです、処分するというのは、それで一件落着ということで物事にけじめをつけるということですから。私たちが要求してきたのは、その調査内容を一刻も早く発表してくれと言ってきたわけで、まさに処分をするのだったらするで、その処分をした人たち処分理由が、どういう行為によってそういう処分になったのか、一つ一つ明らかにすべきだし、その一つ一つも、さっきのような抽象的な内容じゃなくて、どういう銀行、どういう証券会社からどういう接待があって、その接待は金額にすればどういう金額に上るか、そしてそこでどういう会話があったのかということまできちんと発表してくれなければ、我々は判断のしょうがないじゃないですか。
  308. 武藤敏郎

    武藤政府委員 処分の発表に当たりまして、その処分の対象となった事実につきましては、これは従来から、口頭によってお尋ねがあれば御説明するということでやってまいりました。昨日の発表の時点におきましても、いろいろな御質問に対しまして担当の者がお答えさせていただいたということでございます。  本日も、お尋ねに応じましてできる限りのことにつきましてはお答えさせていただいておるわけでございますけれども、先ほどからそれを文書で出すようにというようなお話がございますので、それにつきましては真剣に検討させていただきたいというふうにお答えをしているわけでございます。  さらに、その処分内容を示す際に、詳しい金額でありますとか相手先というものも開示すべきではないかというお尋ねでございますが、まず、費用、金額につきましては、これは通常、会食におきましては相手側が負担しておるわけでございますので、私どもの調査では金額の把握はできなかったわけでございます。  それから、今回のこの調査は、大勢、一千名を超える者につきまして五年間にわたって調査をするということでございますから、その一件一件について事実関係を正確に調べるということは、特に過去にさかのぼればさかのぼるほどなかなか難しい面がございます。そういうことで、調査の主眼は、各人の調査期間中の行為全体を総合的に勘案いたしまして、行き過ぎがあったかどうかということを判断するための調査ということでございます。すべてにわたりまして日時あるいは場所、相手先というものを把握できたわけではないわけでございますので、その公表はできない。さらに、名称につきましては、相手方に対して協力を依頼しながら調査をしたという経緯もございますので、相手方に対する配慮も必要かということで、先ほどから申し上げておりますとおり、件数等についてお答えをさせていただいている次第でございます。
  309. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 国民の声は圧倒的に、今度の処分は軽過ぎる、そして、こういう大蔵省幹部業界接待漬けにあって大蔵行政がゆがめられていないのかというところに一番の疑惑や不信があるわけですね。ですから、その疑惑を晴らすためには、だれから接待を受けたのかという点の公表は本当にかなめですよ。実態を解明する上で不可欠の問題じゃありませんか。しかも、調査の中で相手方の金融機関に対して問い合わせもちゃんと行って自己申告の裏づけをとっているわけですから、大蔵省には少なくとも相手側はどこだったかということの明確な資料はあるはずです。ありますよね。
  310. 武藤敏郎

    武藤政府委員 本人の申告内容によるわけでございますけれども、相手方が特定されている場合には御指摘のようなことでございますけれども、相手方が例えば都銀であったとか生保会社であったとかということであるとか、あるいははっきり記憶がないとかいうようなこともあるわけでございますので、もちろんわかる場合もあるわけでございますけれども、特定できない場合もあるというのが実態でございます。
  311. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 そのわかっているものだけでもちゃんと公表すべきじゃありませんか、資料があるのですから。それを出さなければ、本当に大蔵省のうみを出し切るのかどうなのか、その姿勢が問われるわけですよ。どういう相手からどういう接待を受けたのか、可能な限りきちんと公表する、そうしなければ国民の疑惑や不信にこたえるということにならないのじゃないですか。そこまできちんとやっていただきたいと思うのですが、いかがでしょう、大蔵大臣
  312. 武藤敏郎

    武藤政府委員 先ほどもお答え申し上げましたとおり、この調査目的、それから相手先をすべて把握できたわけではないという実情、さらには相手方の協力を得て調べたというような経緯等を考え合わせますと、御指摘のような相手方を公表するということは、私どもとしては差し控えさせていただきたいというふうに考えます。
  313. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 そうすると、この調査は何のためにやったのですか。処分をして一件落着ということをするためにやったわけですか。     〔井奥委員長代理退席、委員長着席〕
  314. 武藤敏郎

    武藤政府委員 調査目的についてでございますけれども、私どもは、これはいろいろ大蔵省職員民間金融機関等との間でいわゆる接待というようなことがあり、それが大蔵行政の公正さというものを疑わせておるといいますか、公務の公正さということが疑われている、そういうことに対して対応するために調査をしたわけでございます。もちろん、処分をして一件落着というようなことだけではございませんけれども、今言ったような目的の中では、必要な範囲内においてそれを調査し、最終的にはやはり個々人の倫理という問題がございますので、処分ということが大変重要な結果でございますので、それが大きな目的の一つであるということは当然のことだというふうに私どもは思っております。
  315. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 そうすると、今言われた公務の公正さを疑わせている、その疑いは完全に晴れたというふうに思っておられるわけですか、この処分の公表によって。国民に対しては全然そんな疑いは晴れていませんよ、処分をしたというだけでは。どういうところがらどういう接待を受けて、それによって行政がゆがんだのか、ゆがんでいなかったのか、大丈夫なのかということが全然検証できないわけですから。何回接待を受けました、処分しました、公務の公正さを国民に疑わせているその疑いがこれによって晴れたことに全然ならないじゃないですか。
  316. 松永光

    松永国務大臣 以前から申し上げておることでありますが、およそ公務員たる者、全体の奉仕者として公務に専念しなければならぬわけです。同時にまた、高い使命感倫理観を持って行動してもらわなければならぬわけです。  今回の不祥事によりまして、その公務員として当然守るべき倫理あるいは高い使命感、それに反する者がいるという疑いが相当出てきた関係がありまして、そこで内部調査をして、調査の結果に基づいて、その行為の重さ等々を念頭に置き、国家公務員法八十二条第三号、国民全体の奉仕者たるにふさわしくない非行があったとして処分をしたわけでありますが、その処分をすることによって、実は大蔵省職員全体に高い使命感倫理観を持って全体の奉仕者たるにふさわしいそういう行動を今後とり続けていってもらうことによって、大蔵省行政が適正に国民のために執行されるように、そういったことを目的として調査もし、処分もしたわけであります。
  317. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 法案の審議を云々という声が自民党の与党席からも聞こえてまいりましたけれども、私も法案の審議を大事に考えるから今こうやって質問をしているわけです。  そうすると、大蔵大臣、お聞きしますけれども、要するに、それだけ接待を受けていた、接待を受けていたけれどもそれによって大蔵省行政がゆがめられているようなことはなかったと言えるのですね。あなたはそういう結論ですか。
  318. 松永光

    松永国務大臣 大蔵省行政国民の目から見て公正さを欠いているのじゃないかという疑念を持たれるようなことがあってはならないということで調査をしたわけでありますが、具体的にゆがめられたということは、そういう確証は私どもは持っておりません。結果においてはゆがめられてはいないというふうに私は見ておるわけであります。
  319. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 それは、大蔵省大蔵大臣を中心として自分の省内の問題を調べてゆがんでいなかったと宣言してみたところで、客観性を持たないんですよ。そして、何人処分したって、それによって客観性の証明にはならないんですよ。どういう業界からどういう具体的な接待を受けて、そのときにどういう話を受けたのか、そしてそれに対して、そのことを受けとめてそれで行政がゆがめられるようなことがなかったのか、あったのか、こういうことは一つ一つそういう事実を公表してもらわないことには、我々も国民も判断できないわけでしょう。  この金融ビッグバンの推進の法案にかかわってだっていろいろな問題があり得るわけです。つまり、消費者の保護というような規定が我々から見れば本当に弱い。去年の金融制度調査会の答申の中で述べられているような、基本的に前年度中に検討して方向を出さなければいけないと言われているような問題さえまともにやっていないという問題も、これは次の機会に質問しまずけれども、あるんですよ。消費者保護のためのいろいろな推進すべきことを推進していないという問題があるのです。こんな問題を見ても、大蔵省がそういう接待漬けになって業界の利益になるようなビッグバン推進の今出している法案のような方向はどんどん進めるけれども、しかし、消費者を本当に保護していこうというような方向は全くなおざりにしているという疑惑だってあり得るわけです。これは具体的に次の機会に質問しまずけれども。  だから、この調査の結果もまともに公表しないで、ただ処分をした、それで終わりだ、そして処分された人もよく反省しているからその答弁を聞いてビッグバンの法案の審議を進めてくれと言われたって、そう簡単に我々に通る話じゃないし、国民にも通用する話じゃないということを重ねて大蔵大臣に申し上げたいと思うんですよ。だから、この人事はやはりきちんと撤回して、本当にまともに信頼できる答弁をする人を立てるようにしてもらいたいと思うのです。いかがですか。
  320. 松永光

    松永国務大臣 委員指摘のような疑問があるならば、具体的に法案の審議の中身の中で、この条文はどうだ、これはどうだというふうに質問をしていただければ、これは政府委員の方から的確に答弁があるはずでございます。
  321. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 それをはっきりさせるためにも調査内容を、どういう金融機関からどういう接待を受けたかということもきちんと公表してもらわなければ裏づけようがないじゃないですか。それは大蔵省が握っていて、処分の結果しか発表していないのですから。そのことを私は繰り返し申し上げているんで、まあ文書にして発表するというのも、どうせ金融機関の名前は全然出ないものが出てくるんでしょうけれども、一刻も早くそれを出してもらって、それを議論した上でそういう方向もきちんとやっていきたいと思います。  以上で終わります。
  322. 村上誠一郎

    村上委員長 次回は、来る五月六日水曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後七時二分散会