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本間参考人 昨日私
ども発表させていただきました短観につきまして、今先生から数字を挙げられまして詳細なお話をいただきました。基本的にはそのとおりだと思いますが、改めまして、私
ども、この短観についてどういうふうに全体を受けとめておるかということを申し上げさせていただきたいと思います。
私
どもはこれまで、景気の全体についての認識といたしまして、景気は停滞を続けており、下押し圧力が強まりつつある、こういう基本的な判断をしてきておるわけでございます。先月、三月の日銀の政策判断は、以上申し上げたようなことでございます。
昨日発表いたしました短観の調査の結果を見ますと、先生お話しのようなことが全部出ておるわけですが、基本的に、一つは、内需が低迷を続けているということと、それから在庫調整の
影響、これがやはり非常に強く短観にも出ております。こういうことを受けまして
企業のマインドが一段と
悪化をしている、これが非常にはっきり出ている。それからもう一つは、九八年度の事業計画、これもかなり慎重なものになってきているというふうに受けとめております。
つまり、
企業マインド、これが非常にこの時期特に大事なわけでございますが、その動きを示すと考えられます業況判断、今先生がおっしゃいましたような数字はそのとおりでございますが、主要
企業で前回十二月に調査をいたしましたのと比べまして大幅な
悪化を示しております。その水準も、先生おっしゃったとおりの非常に低いレベルにまで過去数年にさかのぼって下がっております。また、中小
企業の業況判断も、これもほとんどの業種で
悪化を見ているというところでございまして、先行きについても一段の
悪化が見込まれる、こういう
状況にございます。
以上が
企業マインドでございますが、事業計画の方を見てみましても、主要
企業の
収益が、前回の調査、十二月対比で見ましてかなり下方修正されておりますし、それから製造業が減益に転化をしている、それから非製造業も減益幅を
拡大している、こういう中で、やはり
収益環境が悪いものでございますからどうしても設備投資にもそれが出てまいりまして、これまで過去何年間か堅調を続けてまいりました製造業におきましても、当該年度、九八年度は減少する計画にこれがなっているということで、頭打ち傾向がここに来て一段と鮮明になってきているというのが今回の大きな特色だというふうに受けとめております。
このように、今回の短観では、内需の低迷の
影響が
企業活動のさまざまな面にあらわれているということが改めて確認されたというふうに考えております。特に
企業収益の
悪化、
悪化は
悪化なんですが、それ以上に
企業マインドが後退している、
企業収益の
悪化以上に
企業マインドが後退しているというところに私
どもは今回の短観の一つの
意味合いがあるように今考えております。
それからもう一つ、先生がおっしゃいました貸し渋りの方の数字でございますが、これも確かに非常に厳しい数字が、
資金繰り判断、それから
金融機関の貸し出し態度判断、それから借入金利水準判断、いずれにつきましても
企業のサイドから見まして大変厳しい数字が主要
企業、中小
企業とも
ども出ておりまして、これは私
どもも大変厳しい認識がここに改めて出ているということを強く感じ、受けとめております。
この要因等につきまして、確かに、一つは先生もおっしゃいましたが、公的
資金の投入ということの判断がここにどう出ているかというのがございますが、私
どもは、公的
資金が投入されるということの中でやはり
金融機関の自己資本の制約というものはそれなりに緩和されている面があるのではないか、これはなかなか定量的には難しいところでございますが、そういうふうに思っております。
ただ、一方で
金融機関の慎重な融資姿勢、やはりあれだけの大きなバブルを引き起こした
金融機関の融資姿勢というものに対する大きな反省も
金融機関サイドにはございますので、そういうものが
金融機関の経営リスク管理というふうな中にこれからも続いていく。そういう
意味では、四月以降も
金融機関の慎重な融資姿勢というのはある
部分はやはり続いていかざるを得ないところはどうしてもあるのだろう。そういう中で
企業によっては厳しい調達環境というのが続く可能性があるというふうに考えておりまして、この辺のところを私
どもも今回の数字を十分踏まえながらしっかりフォロー、点検をしていくことが極めて大切だというふうに思っております。
それからもう一つ、最後に先生おっしゃいましたデフレスパイラルということに関する物価の面の話でございますが、ここのところも数字は、例えば製品価格の判断それから需給判断、こういうところが、製品需給が一段と緩和し、在庫が積み上がるというふうな製品のところがありまして、一方で価格につきましては、上昇と下落を引きました下落の超過という、いわば短観では三角になっておりますところの数字がどんどん大きくなっております。それだけやはり物価については下方の方向に向かって判断が傾いてきているということでございます。
物価につきまして、商品価格が軟化を続けておりますが、サービス価格まで含めてこれをつかまえてみますと、これまでのところは全体としては横ばい圏内の推移となっている、先行きにつきましては全般に軟調に推移する公算が大きいというのが三月における私
どもの見方でございますが、こういう今回の短観の結果も踏まえながら、これは改めて点検をしていくことが大切だというふうに考えておるわけでございます。