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1998-03-20 第142回国会 衆議院 大蔵委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十年三月二十日(金曜日)     午前九時開議 出席委員   委員長 村上誠一郎君    理事 井奥 貞雄君 理事 衛藤征士郎君    理事 坂井 隆憲君 理事 浜田 靖一君    理事 池田 元久君 理事 北橋 健治君    理事 石井 啓一君 理事 谷口 隆義君       今村 雅弘君    岩永 峯一君       遠藤 利明君    大石 秀政君       大野 松茂君    鴨下 一郎君       河井 克行君    桜田 義孝君       下地 幹郎君    杉浦 正健君       砂田 圭佑君    中野 正志君       根本  匠君    宮路 和明君       村井  仁君    山口 泰明君      吉田六左エ門君    渡辺 具能君       渡辺 博道君    渡辺 喜美君       上田 清司君    北脇 保之君       近藤 昭一君    末松 義規君       中川 正春君    日野 市朗君       藤田 幸久君    赤松 正雄君       漆原 良夫君    河合 正智君       中野  清君    並木 正芳君       小池百合子君    鈴木 淑夫君       西田  猛君    鰐淵 俊之君       佐々木憲昭君    佐々木陸海君       濱田 健一君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 松永  光君  出席政府委員         大蔵政務次官  中村正三郎君         大蔵大臣官房長 武藤 敏郎君         大蔵大臣官房金         融検査部長   原口 恒和君         大蔵大臣官房総         務審議官    溝口善兵衛君         大蔵省主税局長 尾原 榮夫君         大蔵省証券局長 長野 厖士君         大蔵省銀行局長 山口 公生君  委員外出席者         郵政省簡易保険         局資金運用課長 蝶野  光君         参  考  人         (株式会社住宅         金融債権管理機         構代表取締役社         長)      中坊 公平君         参  考  人         (日本銀行理事本間 忠世君         参  考  人         (日本銀行理事鴨志田孝之君         大蔵委員会専門         員       藤井 保憲君     ――――――――――――― 委員の異動 三月二十日  辞任         補欠選任   今村 雅弘君     下地 幹郎君   杉浦 正健君     大野 松茂君   中野 正志君     山口 泰明君   宮路 和明君     遠藤 利明君   末松 義規君     近藤 昭一君   赤松 正雄君     漆原 良夫君   並木 正芳君     中野  清君   鈴木 淑夫君     鰐淵 俊之君 同日  辞任         補欠選任   遠藤 利明君     宮路 和明君   大野 松茂君     杉浦 正健君   下地 幹郎君     今村 雅弘君   山口 泰明君     中野 正志君   近藤 昭一君     末松 義規君   漆原 良夫君     赤松 正雄君   中野  清君     並木 正芳君   鰐淵 俊之君     鈴木 淑夫君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  特定住宅金融専門会社債権債務処理促進  等に関する特別措置法の一部を改正する法律案  (内閣提出第五一号)  平成十年度における財政運営のための公債の発  行の特例等に関する法律案内閣提出第六号)  法人税法等の一部を改正する法律案内閣提出  第八号)  租税特別措置法等の一部を改正する法律案(内  閣提出第九号)      ――――◇―――――
  2. 村上誠一郎

    村上委員長 これより会議を開きます。  内閣提出特定住宅金融専門会社債権債務処理促進等に関する特別措置法の一部を改正する法律案議題といたします。  趣旨説明を聴取いたします。大蔵大臣松永光君。     ―――――――――――――  特定住宅金融専門会社債権債務処理促進等に関する特別措置法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――
  3. 松永光

    松永国務大臣 ただいま議題となりました特定住宅金融専門会社債権債務処理促進等に関する特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由及びその内容を御説明申し上げます。  政府は、債権処理会社が譲り受けた住宅金融専門会社貸付債権その他の財産処理をさらに促進する必要があることにかんがみ、その回収等に伴う利益損失を相互に調整する等の措置を講ずることとし、本法律案を提出した次第であります。  以下、この法律案内容につきまして御説明申し上げます。  まず、国庫納付または国庫補助の基準となる債権処理会社による譲り受け債権等回収等に伴う利益または損失について、各事業年度ごと回収益と二次損失の二分の一を相殺した上で、国庫納付または国庫補助を行うこととしております。  次に、預金保険機構罰則つき財産調査権の対象として、現行の債務者に係る財産に加え、債権担保として第三者から提供されている不動産を追加することとしております。  さらに、債権処理会社債権の取り立てを、預金保険法規定する協定銀行に委託することができることとしております。  以上が、特定住宅金融専門会社債権債務処理促進等に関する特別措置法の一部を改正する法律案提案理由及びその内容であります。  何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  4. 村上誠一郎

    村上委員長 これにて趣旨説明は終わりました。     ―――――――――――――
  5. 村上誠一郎

    村上委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本案審査のため、本日、参考人として株式会社住宅金融債権管理機構代表取締役社長中坊公平君、日本銀行理事本間忠世君及び日本銀行理事鴨志田孝之君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 村上誠一郎

    村上委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――
  7. 村上誠一郎

    村上委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。渡辺喜美君。
  8. 渡辺喜美

    渡辺(喜)委員 自民党渡辺喜美でございます。  大臣におかれましては、連日連夜の委員会出席、まことに御苦労さまでございます。きょうは大臣には一切御質問いたしませんので、ゆっくりとお休みをいただきたいと思います。  まず、住管機構の中坊社長さん、御足労ありがとうございます。本論に入る前に一言申し上げておきたいことがございます。  本日、日銀の新しい総裁が決まる御予定だそうでございます。新しい総裁速水優さん、人格、識見ともに大変すぐれた立派な方であると私は存じております。また、昨今のような非常に円安の誘惑が働くような経済状況のもとにおいて、必ずしも円安が国益にかなうものとは言えないというお立場の総裁が御就任をされることは、非常に結構なことだと思っております。  しかし、昨年の日銀法改正、このときの御議論をぜひひとつ思い出していただきたいのでございます。  御案内のように、日本銀行株式会社でありまずけれども、株主総会というのがないんですね。我々国会年がら年じゅう株主総会をやっているようなものでございます。我々は日銀をいじめて利益をせしめようなんという総会屋では全くありませんけれども、新しい日銀法のもとにおいても、国会に対する説明責任、アカウンタビリティーを果たしていく、そういうことが大きな柱の一つになっているわけでございます。大蔵省から独立をして、糸の切れたたこのように飛んで歩かれたんではかなわない話であって、これは、国会へ来て、金融政策についてきちっと説明をしてもらわなければ困りますよということでございます。  したがって、新日銀法では、日銀総裁、副総裁並びに政策委員、これについての国会同意というものを必須条件にした法改正を行ったわけでございます。我々自民党の一期生が、新日銀法の中で経過規定がございますけれども、例えば、今の総裁が新日銀法が施行される四月一日以前におやめになったような場合はどうなるんでしょうか、そういう問題を提起したのでございます。我々は、新日銀法が四月一日から施行されるということであるならば、要するに、それ以前に総裁がかわってしまったという場合には改めて国会同意を必要とすべきではないか、そういう提案も行ったわけでございます。残念ながら、我々の主張は通りませんでした。  今回、私どもが危惧をした人事がまさに行われようとしている。この点については我々は非常に残念でございます。ぜひ、大臣におかれまして、総理にそういう意見があったよということをお伝えいただきたいのでございます。  ゆっくり休んでくださいと言いながら休むことのできないような話で、まことに申しわけございません。  我々は、今この金融システム状況がある意味では非常に落ちついてきているということを認識するものでございます。総理はきのうかおととい、日本発金融恐慌は回避をすることができた、こういうことをおっしゃられたようでございますが、私は、当面、目先の金融システムの不安というものは解消されつつある、例えばジャパン・プレミアムも三洋証券が倒産する以前の状況に戻っておる、あるいは銀行間のスプレッドがゼロになってきた、そういうようなことから金融の危機的な状況は一応回避されつつあると認識をしております。  しかしながら、基本的な状況は依然として変わっていないということを考えておかなければなりません。と申しますのは、平成土地、株大暴落に始まった不良債権、これは相変わらず残っているわけです。そして、いわゆる資産デフレ状況というものは変わっていない。最近では、地価下落する傾向が続いているばかりでなく、円安にもかかわらず卸売物価が前年対比でマイナス六%も落っこってしまうというとんでもない状況が起こっております。また、家計の消費が六八ポイント台まで落ちてきたというデフレスパイラルの入り口に差しかかっている状況でありますから、再び株価が下落をするようなことになりますと再び金融システム不安が起こってきかねない、そういう認識を我々は持っておくべきだというふうに考えるのでございます。依然として危機的状況と裏腹に我々は生きているということでございます。  そうした中で、不良債権処理の大きな側面であります回収、この業務を実に地道にやっておられるこの住管機構が、今回新たな法改正によってさらに国民負担を少なくしよう、そういうインセンティブを職員皆さんにも持ってもらおう、そういう法改正がなされることは、我々としては全面的に大賛成でございます。一刻も早くこの法案国会で通過をさせたいというふうに考えるものでございます。  住管機構平成八年の七月に設立をされました。一千百名の職員がいらっしゃいます。設立されて大体一年間、昨年の九月末までに六千百二十億円の回収をされたということは、実に見事な、立派なことであると思います。我々一期生が国会議員になる前の話でございますが、六千八百億円の財政資金を投じて、住専に対する貸し手にも債権放棄というような形で泣いてもらった金額が五兆四千億円ほどございます。これは、いわゆる一次ロスとして処理をされたわけであります。そして、この資産は、いわばただで住管機構引き取った無価値財産であるということでございます。  かつて豊田商事管財人をなされておられました中坊社長さんは、当時、とらの子の財産豊田商事にだまし取られた、そういう方々のために回収不能と思われたようなところがら必死の回収の御努力をされた御経験があるとお聞きをいたしております。こうした経験を生かされて、いわばごみの山から金の卵を見つけ出そうという御努力をされておられることは、大変に敬意を表するものでございます。  この一次ロスからの回収額というのは国庫納付金になるわけでありますが、二次ロスへの国庫助成金、これが国民の二次負担になるわけでございます。この両者を相殺を可能とするというのがこの法案の大きな柱の一つでございますが、この国民の二次負担をできるだけ軽くしょうということで職員皆さん士気高揚に努めておられるわけでございますので、我々は全面的にこの法案賛成をいたします。  そこで、いろいろな回収の御努力をされておられます中で、民事刑事責任追及を厳格にやっておられるということは国民にとっても大変わかりやすい話でありますし、ぜひともこの姿勢を今後とも続けていただきたいと思います。例えば民事上におきましては、暴力団などが不法占拠しておるところを排除する保全処分などをもう既に二十一件行っておられる。また、刑事告発においても、住管機構告発を受けて警察当局強制捜査をした事案が二十四件あると聞いております。  そこで、例えば暴力団不良債権担保土地の上に、競売を免れようとか強制執行を免れようとかいうことで、例えば掘っ立て小屋なんかを建てたりすることがあるのですね。これについては、何年か前に刑法改正が行われて、強制執行妨害罪あるいは競売等妨害罪という規定が新設をされているのでありますけれども、この法定刑を見ますと、「二年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。」こういうことでございます。  昨年、我々は、相次ぐ金融スキャンダルの中で、自民党の中に金融不正問題プロジェクトチームというものをつくりまして、商法並びに証券取引法罰則強化を主体とする法改正をやったわけでございますが、刑法のこの二つの条文の改正は積み残しになっておるわけでございます。この点において中坊社長さんの御意見がございますれば、ぜひお聞かせをいただきたいと思います。
  9. 中坊公平

    ○中坊参考人 中坊でございます。  参考人としてお答えする前に、一言お礼を申し上げたいと思います。  大変国会の忙しい日程の中で特にこの法案を早く審議をしていただきまして、本当にありがとうございます。心からお礼を申し上げたいと思います。  さて、今渡辺先生からお尋ねいただきましたように、私自身も、強制執行不正免脱あるいは財産隠匿罪、この法定刑最高刑が二年以下になっているということについては矛盾を感じております。と申しますのも、例えば私たちが殴られた、そして血が出たとなると、これは傷害罪であります。すると、それで法定刑最高刑は十年以下の懲役になります。そういたしますと、例えば末野興産のように一千三百億以上の財産を隠しても二年以下であります。ぽかっと殴られて血が出たら十年、五倍も違うというのはいささか問題ではなかろうか。事実、警察の中におきましても、やはり大きい犯罪の方が警察としてもやりがいがあるわけでありまして、そういう意味ではいささか均衡を失しておるのではないか。できればこれらの罪の法定刑に関しましても再考慮していただけますれば大変結構かと私自身考えております。
  10. 渡辺喜美

    渡辺(喜)委員 実は、この問題は、私、昨年法務委員会でも取り上げたことがございます。引き続き、立法府にある我々の大きな問題点一つとして取り上げてまいりたいと考えております。  この不良債権処理ということを考えてみますと、一つには帳簿上の償却ということがございます。しかし、これだけではこの処理というものは終わらないわけでありまして、最終的に土地処分したり、あるいは証券化をしたりして回収をするということが必要になってまいります。  今、我々今国会でいろいろな法案を用意しているわけでございますが、民間の中にあっては、この不良債権を大量に買い取る人たちがあらわれてまいりました。いわゆるハゲタカファンドなどと言われるのでございますが、いわば半値、八掛け、五割引きのそのまた五割引きというような値段でこの不良債権を一括して買い取る商売が出てきております。これは日本人よりは、どちらかというと外国人の方が得意な分野のようでございますけれども、例えば百億円の担保がついておるというものは十億円ぐらいで買い取ってしまうわけですね。そういたしますと、キャッシュフローのついている不良債権であるならばいわゆる収益還元価格というのがよくわかってくるわけです。ですから、例えばあるビルが、債務者が借金を返せなくなってしまって左前になってしまった、そういうときに、このビルに入居している人たち賃料を払うわけでありますから、この賃料というキャッシュフローのついた不良債権であるならば、これはいわゆる収益物件ということになるわけでございますので、収益還元価格というものが出てくるわけであります。住管機構の持っております資産の中で収益物件というのは七割ほどあるのだそうでございますが、利回りはいろいろだ、ネットで大体平均すると二%ぐらいの利回りだ、こういうことをお聞きをいたしております。  ところが、不良債権担保土地の中には全く収益を生まない土地があるわけですよ。虫食い飛び地であるとかあるいはウナギの寝床みたいな土地とかそういうのがあるわけでして、こういうものは一体だれが買ってくれるのだろうなということなんです。  先ほども申し上げましたように、地価というものは下落傾向にございます。収益還元価格ということがきちっと割り出せるのであれば、その収益還元価格にがつんとぶつかった時点で地価の値下がりというものはそこでとまるはずなんでありますけれども、どうもこういう収益を生まないような土地というのは底値が見えないという心配があるわけであります。  いろいろな御努力をされておられるのだと思いますが、隣地の所有者とか自治体引き取ってもらって、例えば防災用の空き地とか公園にするとかそういうこともお考えになっておられるようでありますけれども、こういう土地はどのような御処分をお考えになっておられるのでしょうか。自治体との契約がほとんど一件もまとまっていない、こういう話も聞いておるのですが、いかがでございましょうか。
  11. 中坊公平

    ○中坊参考人 ただいまお尋ねいただきましたように、当社が持っております不良債権担保物件の中には、虫食いあるいは飛び地、その他暴力団が占拠しておる等のいろいろな瑕疵があるわけであります。私といたしましては大体三つぐらいの方法で考えてまいったわけですが、まず、そのようなきずがあれば、それが譲り受け価格に反映しているかどうかの問題であります。私としては、もう一度担保を実査した上でそこに瑕疵があればその分は値引きをしていただかないといけないのではなかろうか、このような視点から実態調査を約二カ月ほどで終えまして、物件瑕疵として一千億ほどを第一次損失に追加していただいて、それだけ譲り受け価格も下がってきたというふうになっております。  それから二つ目には、確かにおっしゃるように飛び地虫食いになっている、それであったら隣の人と買う、あるいは二人が一緒に第三者に売るといったようなこと、さらには私としては逆にお金を出してでも買い取る、いわゆるこのきずのある物件を少しでもグレードアップする、そして商品価値のある商品にしよう、これが二つ目であります。  さらに三つ目といたしましては、今まさにこの法案で御審議いただいておりますように、我々が四分類としてくずの中から探してきたものと、どうせ売っても大変な二次ロスが出てきますので、それとを相殺してやっていきたい、このように考えております。  確かに、これ以外にも、自治体との関係につきましては、できれば自治体として必要な場合は買い取っていただけることも一つのいいことではないかと思います。担保不動産連絡会議をつくりまして、百三十三件をリストアップして、関係省庁を通じ各自治体にそれの内容をお知らせしてまいりました。しかし、きょう現在当社地方公共団体として売却ができましたのは二件だけであります。すなわち、船橋市の消防署用地と九州の宮崎市の市庁分舎の二件だけであります。総額大体七億一千八百万円ということに相なっております。しかし、同時にリストアップして出しましたさきの件につきましても、きょう現在いずれも話し合いは進んでおりまして、そちらの方は具体的な成果はきょう現在ゼロではありますけれども、北海道においてあるいは大阪等におきまして公園その他の用地として今買収の話が進んでおりますので、これはまた早晩できるのではなかろうかと考えております。  ただ、今お尋ねのように、自治体売却といいましても、自治体が本当に具体的にどういう必要性があるのかということと、我々が売る価格とが合うということが必要でありまして、私たちとしては、自治体の本当の意味の要請をもっと理解して、いわゆるはまる物件売却していきたい、このように考えております。
  12. 渡辺喜美

    渡辺(喜)委員 住管機構公的サービサーでありますけれども、我々自民党杉浦正健財政部会長のもとに民間サービサー創設ワーキングチームを今始動させております。ぜひとも中坊社長さん初め住管機構皆さんにおかれましては、国民負担を極力少なくするよう頑張っていただきたいと思います。  質問を終わります。ありがとうございました。
  13. 村上誠一郎

    村上委員長 次に、藤田幸久君。
  14. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 住専法案につきましてまず申し上げたいと思いますけれども、この住専不良債権処理をめぐって公的資金の投入の是非について大論争になったわけですが、その後、きょうもいらっしゃっております中坊公平さんが率いる住宅金融債権管理機構が徹底した回収を進めて大きな効果を上げておるというふうに聞いております。今回の関連法の一部改正というものは、その不良債権回収を一層促進するものだと私も評価をしておるわけですけれども、特に預金保険機構財産調査権強化をするということがポイントであるのではないかというふうに思うわけです。  それで、特に担保提供をしている方が第三者である場合は、その担保提供者に対して預金保険機構罰則つき財産調査をすることができないわけです。ですから、会社経営難になった場合に、その不届きな経営者財産を必死になって隠そうとする。その財産の名義を第三者にかえるというのがその典型的な例だろうと思うのですけれども、今回の改正案に基づきまして、第三者担保提供をしているケースが大体どのぐらいあって、それから改正によってどの程度財産調査範囲が広がるかということについてお伺いしたいと思います。     〔委員長退席井奥委員長代理着席
  15. 中坊公平

    ○中坊参考人 ただいまお尋ねの具体的にどの程度の数がふえてくるかということは、正直言って、明確な数字としては私としてははっきり把握をいたしておりません。しかし、少なくとも我々は、預金保険機構のお持ちの特別調査権というのが債務者に限る、その債務者という概念には当然のように債務者本人連帯保証人が入っておるというところまでは間違いないけれども、しかし、物だけで担保している場合に及ぶかどうかについて疑問がありまして、そういう場合、物の範囲、物だけを担保に提供している者にも及ぶということがやはり特別調査権範囲を広げることになります。したがって、預金保険機構が主としてその辺をやっていただいておりますので、私自身はきょう現在のところ具体的数字としてどれぐらいになっているかということは言えませんが、確実に広がることだけは間違いない、そのことが債権回収に大いに役立つ、このように考えております。
  16. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 この不良債権の問題というのは非常に重要でございまして、実は最近も、大蔵省の方で開示していなかった検査報告書の一部が開示されたわけですが、きのうもその肝心の部分が閲覧に当たってほとんど塗りつぶされていたということがわかっておるわけです。  その最近の事実関係で明らかになったことは、北拓銀行の経営内容大蔵省平成六年の八月に既につかんでいたという事実が明らかになっておるわけです。検査報告書によりますと、拓銀の分類資産が合計二兆四百九十九億円で、平成三年一月の検査時に比べると七倍になっていたということが明らかになっているわけです。その分類資産の中でも、損失が見込まれる第三分類、第四分類の合計が六千四百七十四億円、非常に拓銀の経営は危険な状態にあったというふうになっておるわけです。結局、拓銀の経営が非常に危機的な状況にあったにもかかわらず、それを隠して、その上、拓銀は絶対につぶさないというふうに大蔵省の方で言っておったわけですけれども、この責任は大変重大だろうと思いまして、こういったほかの銀行の経営の実態についてもやはりこれから明らかにしていく、なかんずくその不良債権の実態を明らかにしていくということが重要だろうと思っております。  実は、先日予算委員会でも、たまたま私資料を持っておりました琉球銀行、ある意味では非常に似ておる銀行でございますけれども、その資料で御説明をしたわけです。お手元にその資料が行っておるかと思いますけれども、大蔵省の方でいわゆる銀行協会の基準に基づく不良債権というのを開示されておりますのが、昨年の九月の段階で金利減免等を足したものも合わせまして五百三十五億というふうになっておるわけです。ところが、琉球銀行の方で実際に出しておりますこの資料によりますと、つまりこの琉球銀行平成十年一月という方の資料でございますけれども、「不良債権状況」ということで、琉球銀行自身がこの不良債権状況について説明をしておるわけです。  それで、左側のAプラスBという方がこれまでの銀行協会の開示条件によりますところの不良債権状況なわけですけれども、要するに今までは、この左側にありますように破綻先債権と延滞債権だけ公表してきたわけです。これに基づいて大蔵省の資料もできているわけです。  ところが実際には、右側にありますような、金利減免または元本返済猶予を行っている債権とそれから要注意債権というものがこれだけ実はあるということが琉球銀行自身不良債権状況と把握の中に入っておるわけです。ということは、実際に公表されておるものに比べまして、水面下にあったものを足しますと七倍ぐらいの数字に実はなっておるわけであります。  それで、そもそも、この前もお聞きしたんですが、元本返済猶予、リスケ債権と言われておりますけれども、この元本返済猶予というのは、元本に手をつけずとも例えば一円でも二円でもその利子を払っておればそれが猶予されてしまうということで、実はここにその実際の不良債権が相当隠されていると思うわけでございます。それで、この前の予算委員会の答弁でも、大蔵省の方は、元本返済猶予になっておるものは必ずしも不良債権とは言えないというふうにおっしゃっておりまずけれども、実際に琉球銀行の方でこれは不良債権と認定しておりますし、これは恐らくはかの銀行におきましても――実は、今度の公的資金を投入します二十一行のうち十八行はこの新しい基準に基づく不良債権の公示を先送りしておるわけですね。実際に新しい基準で不良債権の公示をしておる銀行というのは三行しかないと。  このいわゆるリスケ債権といいますか、元本に手をつけずにいわゆる利息さえ払っておけば不良債権として出てこないこのシステムについて、これはやはり私は、この場合の資料ですと琉球銀行自身不良債権と認めておるわけでございますし、実際には不良債権ではないかと思うんですけれども、これについて大蔵大臣及び、急な質問でございますけれども、もし中坊さんの方からもお答えをいただければ幸いです。
  17. 山口公生

    山口政府委員 お答え申し上げます。  先日の予算委員会でもお答えを申し上げたところと若干重複するわけでございますが、不良債権と一口で言ったときに、例えば元本の返済を猶予しているだけでこれは不良債権、もうこういうところには貸してはいけない、これはすぐ償却をしなさいということを決めつけてしまうというのは実態には合わないんではないか。  例えば、中小企業が一生懸命頑張っているけれども、二期、三期赤字ですと、いや、ちゃんと利息は払っています、ただ、元本はもう少しリスケしてくださいと言われたときに、それは不良債権だ、けしからぬ、すぐ回収だ、こういうふうにしてしまいますと、銀行としては一体何をどうずればいいのか。もう安全なところしか絶対貸さないというようなことになると、それは社会的な機能は全く果たせなくなるんだと思うのですね。  最近よく言われる貸し渋り現象、あるいは回収までやっているというようなことにつきましても、かなり相手企業にもいろいろ問題があるケースが多いと思うのです。そのときに、何らかのそういった点があれば全部それは不良債権であるというふうに決めつけてしまうということについてはやや問題かなと。  そうしますと、私は余り特定銀行のことを申し上げたくないのですけれども、一般的に銀行自身もそういったことを不良債権だと認めていると今先生おっしゃっていますけれども、通常、こういったものは管理を要する債権としては認めていると思うのです。それは、よく一件一件見なければいけないという管理を必要とするものと。しかし、それは不良債権ですぐ償却をするものというような認識はしていないと思うのですね。では、何をもって償却、引き当てをするかというと、それは公認会計士が企業会計原則にのっとってやるということでございます。その前段階としての自己査定をきっちりやるということが今やられているということではないかと思うわけであります。  それから、先ほど、不良債権での公表で二十一行のうち三行だけだとおっしゃいましたが、これは昨年の当委員会でも相当厳しい議論がありまして、ディスクロージャーの大切さというのを各委員から御指摘がありました。したがいまして、今度三月期からはSECの基準を見ながら拡大をしてほしいということを強く要請した結果、金融界も、それをそういう方向でやりましょうということで対応しているわけでございます。したがって、今回まだ出していないところは今作業中でありまして、いずれは、五月になりますと、これは今までの基準でも出すし、それから新しい基準でも出すというような形になるわけでございますので、別にそれが今隠しているということではありません。  当委員会でのいろいろな御議論、私もいろいろ御答弁申し上げて、皆様方の御意見をよくお聞きし、また金融界にもそれをお伝えしています。その結果、こうやってディスクロージャーについても前に一歩一歩進んでいるということをぜひ御理解いただきたいというふうに思うわけでございます。
  18. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 リスケ債権について、特に中坊さんから御意見をいただきたいと思います。
  19. 中坊公平

    ○中坊参考人 私の方といたしましては、今おっしゃるような特定の銀行というんじゃなしに、確かに、多くの債務者の方々にいわゆる不良債権があるのは事実であります。  しかし、その不良債権とは一体何を意味するのかということが、先ほど山口局長もおっしゃいましたように、企業会計原則からいうのか、どういう立場からいうのかというのが大変微妙ではなかろうかと考えておりますし、当社といたしましては、そのような分類をすることなく、やはり一人一人の債務者に対しましてどのようにして回収していくかということを考えておるわけでありまして、このような方法で現在のところ支障は発生していない、こういうことでございます。
  20. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 通常管理を要すればということを前回もそれから今回もおっしゃったわけですけれども、私も、確かに中小企業で健全に経営をされておられる企業については、それはそのとおりだろうと思いますが、実際にたまたまこの銀行の場合に、不良債権としてこれだけ出しておる一つ理由は、たまたまこの二枚目にございますけれども、琉球銀行の子会社に対する貸し付けの表がございます。  これは要するに、ある意味ではかなりが不動産処理のいわばペーパーカンパニーのようなものだろうと思いますけれども、ぱっと見まして、非常に利益の少ない、あるいは赤字が相当出ている会社にこれだけ貸し付けをしておる。それで、その合計の数字なんかも下の方にも出ております。やはりこういったものは、これはいわゆる二分類の中に入るのだろうと思いますけれども、実際には不良債権とほぼ断定していいような内容ではないかと思いますけれども、いかがでしょう。
  21. 山口公生

    山口政府委員 この個別事案について私がコメントすべきではございませんが、こうした個々の取引といいましょうか貸し出しについて、自己査定をし、また公認会計士がそれを、中には償却、引き当てをすべきものというものもあると思います。中には、いや、業況がよくなってきつつあるからこれは大丈夫だというものもあると思います。一般論として言えば、それは一件一件判断されるものでございまして、今先生がおっしゃいましたように、利益が出ていない、そこに貸付残高がある、それは二分類である、だからそれはすぐ回収しなさい、引き当てなさい、こういうふうにはならないのだと思います。  それは、相手の中小企業もあるいは大企業もそうですけれども、一生懸命努力をしております。いろいろな景況感にも左右されます。そこで、回収可能性というのを個々に判断をしていくということだというふうに考えております。
  22. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 ただ、個々の銀行に云々という話がありましたが、実際に日本銀行の現地の支店長とか大蔵省の出向しております財務部長が不安はないというようなことをこの間もおっしゃっておられたわけですけれども、逆に言いますと、そういう不安がある場合に、それを客観的に証明するような根拠を示さないということの方が不安を呼ぶのではないかと思うのです。これは、実際に銀行自身不良債権状況という形で大蔵省に出している書類でございますので、逆に言いますと、これを否定するような客観的な根拠がなければ、これはやはり非常に説得力のないことになってしまうのではないでしょうか。  一般的にというふうに先ほどおっしゃいましたけれども、例えばここに出ておるようなことについては、最近開示をされた北拓銀行なんかの例と非常に似たような、実はこれだけ公表開示額以上のものがあるということがこういうふうにたまたま資料に出ておるわけですね。そうしますと、これから公的資金導入を含めまして金融システムの安定というような観点から進めていく際に、非常に説得力がないのではないか、反論の根拠を明らかにしていただかないとこれはおさまらないのではないかと私は思うのですけれども、いかがでしょうか。
  23. 山口公生

    山口政府委員 先生のおっしゃっていることをもし極端に推し進めますと、当局が、この銀行はマル、この銀行はバツというようなことまでやるということになってしまうわけでございます。そういう行政ではないと思うのですね。やはりこれは、各金融機関が自己査定をして、公認会計士の方に償却すべきもの、引き当てすべきものを判断してもらって、その結果、自己資本比率がはじかれます。財務諸表が正確に出てきます。当局も、それが正しいかどうかをチェックします。そういうことで出てきた数字を、いわゆるマーケットあるいは預金者、取引先、そういったものがごらんになって判断されるわけであります。  検査に入って明らかに異常な事態になった場合というのは、それは行政措置というのがあるでしょう。例えば、今度の早期是正措置でも、自己資本比率が何%になったらどういう措置をとりますというのを明示してございます。それに当てはまったらそういうふうな行政処分をしますけれども、一般的にある銀行を、この人はマル、この人はペケということを私どもがやる話ではないというふうに思うわけでございます。
  24. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 公認会計士の話を前回もきょうもされますけれども、償却に関しては公認会計士がかかわると思いますけれども、不良債権の額の大きさについては公認会計士の問題ではないと思うのです。  それから、マル、バツは行政として言うべきではないとおっしゃいますが、実際に一緒に記者会見をしているということは、マルというお墨つきを与えたということではないのでしょうか。
  25. 山口公生

    山口政府委員 当該銀行の場合は一月だったと思いますが、ちょうど昨年の十一月に全国的に広がった例の風聞による取りつけ的な動きと同じようなことが沖縄で現出いたしました。非常にデマがかき立てられた、非常に不安感が醸成されました。そこで、銀行は急いでそれを否定したわけであります。  そういう金融不安に陥りそうなときに、当局として、あるいは日本銀行が預金者の皆様に安心感を与えるために一生懸命できるだけのことをするということは、それはぜひ必要なことだと思います。そういうことをやらなければ、不安が不安を呼んで大変な事態に陥る、地域経済に取り返しのつかないことになってしまう。そうすると、当局も日本銀行も少なくともその時点で、きちんと把握し、見ておるその判断のもとで、預金者の皆さん、御安心くださいということを呼びかけているわけでございます。これは何ら行政として問題はない、むしろそういうことをやらないことが不作為だと私は思うわけであります。
  26. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 昨年の九月の数字でいいますと、琉球銀行自身不良債権と称しております額、つまり一枚目の紙の一番右側の下から五列目の数字でございますけれども、三千六百九十八億円という数字が出ております。これは、この銀行の総資産の三〇%ぐらいになるわけです。拓銀の場合にはたしか二五%ぐらいだったと思いますけれども、それ以上の額というものを、例えばこの銀行の場合に、みずからの方でこういうふうに数字を出しておるわけですね。  結局私は、個々の銀行について、これをいろいろとほじくり出そうとしておるわけではございませんで、要は、いろいろな銀行の実際の経営状態がどうであるということをきちっとディスクローズし、それに対して、昨今も出ておりますけれども、金融検査報告書に基づいて大蔵省の方で経営改善等の適切な対応をするということが必要だろうと思うのです。ただ、その適切な対応をする対象が、実際の公示の不良債権は七分の一ぐらいである。それに基づいて対応していると言い張っているうちは適切な対応はできないのではないだろうか。そして、今、中坊さんが一生懸命やりておられますけれども、やはり実際に対応が必要な不良債権というものの姿が見えなければ対応ができないのだろうと思うのですけれども、その点についてもう一度、局長、それから今までのやりとりについて中坊さんの方からもコメントをいただければ幸いです。
  27. 山口公生

    山口政府委員 全国の銀行すべてそうでございますが、大なり小なり不良債権を抱えております。絶対安全なところしか貸さないというようなポリシーをとっている銀行はないと思います。ある程度のリスクをとりながらやっていくというのは、銀行としては避けられないものであります。  そうしたときに、現実にではどういう不良債権処理をやっていくかということは、各銀行のポリシーであります。例えば、ある銀行は思い切って不良債権処理を今期しようというと、どういうことをするかといいますと、それは赤字決算を組みます。今までの蓄積を取り崩して埋めます。それを一期あるいは二期、だから二期連続の赤字なんというのはしょっちゅうあります。そういうことで不良債権を早く脱却して、それで新しいイメージでの銀行に生まれ変わるということをやろうと必死でやっておるわけです。その結果、自己資本比率の問題があって、またいろいろな別の問題を生じているという面もあるのですけれども、実際にどういうふうに不良債権に対応するかというのは、まず企業会計の必須の問題が一つあります。それに加えてその銀行のポリシーの問題があります。どこまでやるのか、体力はどこまであるのか、業務純益が幾らなのか、将来の見込みがどうなのかということでやるわけです。だから、赤字決算を仮に組んだからといってその銀行は危ないというのは、これは間違いなんです。これはそういうポリシーのあらわれでございます。  そういうことを私どもが手とり足とり、あるいははしの上げおろしのように、あなたのところは何%、今期はどれだけ償却しなさい、この債権は切り捨てなさいなんということを言うべきではないと私は思います。そういう自己規制のもと、あるいは自立心のもとで各金融機関が自助努力する、そのために思い切ったリストラをやっていくということがこれから求められることだというふうに私は思うわけでございます。
  28. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 三〇%以上だということについて……
  29. 井奥貞雄

    井奥委員長代理 ちょっとお待ちください。中坊社長はいいんですか。
  30. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 では、中坊さんの後にもう一回伺います。
  31. 中坊公平

    ○中坊参考人 ただいま御議論いただいておることに関しましては、そのことを当社にとって考えてみますと、当社は、いわゆる旧住専七社から譲り受けておりまして、一応譲り受けは全額する。約十三兆ほどの譲り受けをいたしました。その中で、債権にして四兆六千億というものを我々が譲り受けておるわけでありまして、先ほど申し上げましたように、それが二分類、三分類となっておるわけであります。果たして、それではそれが全部二分類なのか、三分類なのかということは、私たち会社を設立するときに自動的に決まっておったことでありまして、私たちとしてはそれを一応その価格引き受けたわけであります。  しかしながら、先ほども少し答弁させていただきましたように、その中に、やはり例えば物件瑕疵のあるものは本当に入っていたか、あるいは信用に瑕疵のあるものが果たして入っておったかということに関しましては、それぞれ問題がありました。したがって、その旨を申し上げてきたところでありまして、現在までのところ、その分につきましては、先ほども申しましたように、物件瑕疵については調査をして一千億ほどの減額をしてもらい、信用の瑕疵については別枠管理として処理するというような方針のもとにやらせていただいておりまして、それなりに先ほど申し上げましたように現在のところは支障なく回収を進めておる、こういうことであります。
  32. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 先ほどの質問で、山口局長の方で、例えばこの銀行の場合に資産の三〇%が不良債権、これはやはり拓銀以上のものだろう、それで、こういう中でここに出ているものが必ずしも回収不能ではないというような言い方、それからリスク管理が適当であればというような言い方をされておられますが、先ほど申しましたように、例えばここにございますような、いわゆるペーパーカンパニーのような形で不動産処理のために自分の銀行でつくったようなこういう片仮名で出ているような会社、これにこれだけ貸し付けをしている。実際こういう状況にあって、必ずしも回収できないというようなことをまたこちらの銀行の幹部は言っておりますけれども、本当に実際にこれでは回収できないんじゃないですか、どうなんですか。
  33. 山口公生

    山口政府委員 私は、個別銀行のまた個別の取引についてコメントをすべき立場ではないというふうに思います。
  34. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 ただ、実際に、この前も大蔵省の方で一緒に記者会見をしたり、それからいわゆるこの二分類あるいはリスケ債権のものが実際に回収不能とは思わないというふうにおっしゃっているわけですけれども、では、逆にこれだけの数字を覆す根拠を与えなければその説明が成立しないんじゃないですか。
  35. 山口公生

    山口政府委員 あくまで自己査定をやり、それに公認会計士が企業会計原則にのっとって償却、引き当てをするという原則にのっとって各銀行がディスクローズをし、それでマーケットが評価し、預金者が評価するということに尽きるわけでございます。  なお、一月初旬に当局あるいは日本銀行がとおっしゃいましたけれども、あのときは、いわゆる風説が大変に激しく、しかもいつつぶれるというような極めて悪質な宣伝が行われたという事態があったからであります。預金者の方々は非常に不安を覚えられたということで、これは大変だということで、現地の判断で預金者の方々に安心をしていただくということを目的に対応をした。それはちょうどこちらでも、本州でも昨年の十一月に現実に起きました。そのとき対応し、またそれでもおさまるかどうかの不安がありましたので、大臣日本銀行総裁の共同で声明を発表していただきました。それでおさまったということでございます。  私ども、仕事の一番大切なことは、そういう不安が不安を呼び起こすことをしないということでございます。その点をぜひ御理解いただきたいと思います。
  36. 井奥貞雄

    井奥委員長代理 藤田君、時間ですから終局をしてください。
  37. 藤田幸久

    藤田(幸)委員 はい。  また、今公認会計士のことをおっしゃいましたが、自己査定の基本がこの資料でございますし、それから、預金者不安をとおっしゃいましたけれども、実際にこの共同記者会見をした後で株価が上がっているわけですね。ですから、結局そういう形で実態とかけ離れた形で株価を上げて、そうしますと、こういう状況でこういつた銀行に対して大蔵省というものが本当に責任を持てるのか。それで、これから公的資金導入の基準の問題もございますけれども、やはりディスクローズということを徹底してこれからやっていただきたいということを申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  38. 井奥貞雄

    井奥委員長代理 次に、北脇保之君。
  39. 北脇保之

    ○北脇委員 民友連の北脇保之でございます。藤田議員に続いて、今回の住専法の改正について御質問をいたします。  まず、中坊社長お尋ねするのですが、私は、中坊社長住専関連の債権回収に日夜努力されていることに対して深く敬意を表する次第でございます。先ほど中坊社長のお話を聞く機会がございまして、そのときに社長が、基本理念を確立して事に当たることが大変大事なんだ、私は理念先行型でこの問題を処理するということをおっしゃるのを聞きまして、私は大変感銘を受けました。  今、日本の社会はいろいろな意味で大変混迷を深めておりますが、日本人の物の考え方として、理念先行型、基本理念が大事だという方は非常に少ないと思います。その中で中坊社長考え方は大変すばらしいものがあると思いましたので、この際、この大蔵委員会の場において、現在住管機構の社長として住専関連の債権回収に当たるその考え方、その基本理念というものを、基本理念が大事だという考え方を含めて御披瀝をいただければ大変ありがたく思います。
  40. 中坊公平

    ○中坊参考人 一般にどのような企業でありましても、あるいは団体にあっても、その目的あるいは理念といったものが大切だろうと思いますけれども、わけても当社というのは、御承知のように資本金の二千億は全額国出資ということでありまして、国策会社であります。すなわち、その国策とはそれじゃ一体何をいうのかということがまず大切になってこなければならないのではないか、このように考えました。  法によりますと、金融秩序の維持ということになっておるわけですが、えてしてそのような抽象的なものではなかなか皆さんにもわかりにくい。したがって、当社といたしましては、まずその目的、国策といったものを国民にこれ以上二次負担をかけないことであるというふうに考えまして、政府の方の御了解も得てこのようにさせていただいておるというわけであります。  そして、そこに至りますまでには、それではその目標さえ到達すれば手段はどんな手段でもよいのかというところにやはり問題があろうかと思いました。そういうことから、私は、回収の中において常にいわゆる公正、道義、道理あるいは正義といったもので、しかもその手続を透明化しつつやることが必要ではないかというふうに考えたのであります。  私自身としては、先ほどおっしゃっていただきましたように、このような場合に世の中では二つの対応をすることが考えられますが、着手先行型というのがあります。それは、一つのことをやろうと思えばいろいろな弊害が起きてくる、それに対して、最大公約数はこの辺かとか、あるいはまたこの辺ならということでやることが多いわけであります。正直言って、その方の方が現実型とも、あるいはそのような指導者は円満だとも言われております。しかしながら、本当に歴史の批判にたえられるためにはまず確立した理念といったものを確実に実行していかなければならない、障害があってもそれを乗り越えてやっていくべきではなかろうかと考えておるわけでありまして、その意味におきまして私は理念先行型という方法をとってやってきております。  しかも、私自身はいわば現地の指揮官であります。率直に言って、先ほど申し上げます目的、国策とは何かといっても、正確に言うならば、国民になるべく二次負担をかけないよう努力しますという言葉があるいは表現として正しいのではないかと考えました。しかしながら、私はあえてその言葉の中からなるべくという字と努力するという字を抹消して、削除して私は向かう。これは、小さな軍隊でありましても、軍隊を率いて前進するときにはまず何が必要かといえば、自分の退路をみずから切ってしまうことだ、そして前に向くしか方法がないというふうな窮地の中に押し込んでこそ初めて我が社も作戦ができるのではないか、このように考えて現在やっておるところであります。
  41. 北脇保之

    ○北脇委員 ただいまのお話の中で、中坊社長、この住管機構については国民に二次負担をかけないということを目的として、手法としては公正と透明ということを掲げてやっているというお話でございました。これは大変すばらしいことだと思います。  そこで、私は、翻って今の政府の経済財政運営を見ますと、大変基本理念に欠けているというふうに思います。別に中坊社長のお話とこれを結びつけるという意味ではございませんので、中坊社長にはそれはそれとしてお聞きをいただきたいと思うのです。  私は大変よくないと思うのは、今景気が大変深刻な状況になっている、あらゆる経済指標を見てもすべて悪化している、これから本当に大変な不況になっていくのではないかという心配があります。そういう中で政府に対して景気対策をどうするのだということを私どもはたびたび問いただしているのですが、そうしますと、橋本総理を初めとしてのお答えは、財政再建ということを掲げつつ景気対策については臨機応変にやっていく、こういうお答えがあるのです。  臨機応変ということは、日本の社会の中ではよいことのように受けとめられます。本当に適時に適当な対応をしていくというようなプラスの意味合いで使われることが多いのですが、私は決してそうではないと思うのです。やはり臨機応変というのではなくて、今中坊社長もおっしゃられたような、基本理念をぴしっと定めてそれによって対処していく、このことが大変大事なわけであって、これは欧米社会から見ればもう当然のことだと思います。  今、日本の金融システムとかまた経済財政運営について必ずしも国際的な信認が得られていない。この原因は、景気対策について臨機応変でやっていく、つまり、その場しのぎでその場の対応をしていけば何とかなる、こういうことで取り組んでいるということが大きな原因になっていると思います。ですから、臨機応変という考え方、これがそもそも私は間違っていると思います。  今の景気対策について、今の政府が臨機応変に対応していくのだ、このことは正しい態度ではない。これについて松永大蔵大臣はどのようにお考えか、お聞きしたいと思います。
  42. 松永光

    松永国務大臣 お答え申し上げます。  もう前にも言ったことがありますし、何度もいろいろな委員の先生方にお答えしたところでありますが、委員も御承知のとおり、今日本の財政は先進国の中で一番厳しい財政状況でありまして、GDPを超える国債、地方債あるいは長期債務を背負っておるのが今日本の状態です。これをこのままにして我々の子や孫、後世代に引き継ぐわけにはいかない。このままにしておけば、いわゆる財政の硬直化を招き、これから少子・高齢社会になっていくのに必要な対策を実行するそういう資金配分もできなくなる、こういつたことでありますから、財政構造改革の必要性、この旗をおろすということは私はできないことだというふうに思うわけであります。これが橋本総理の今まで一貫した発言でありますし、私も、橋本総理のもとでの大蔵大臣でありますから、同じように申し上げておるわけであります。  しかしながら、そのときそのときの景気の状況、経済の情勢、これに対する対策もやっていかなければならぬことは当然のことでありまして、それをやっていくということを臨機応変の措置というふうに総理は言っておりますし、私もそう思います。例えば、去年の暮れに二兆円の特別減税を決断された。あるいは金融を緊急に安定化させるための二法もお願いをした。こういったもろもろの措置は、やはり臨機応変に手を打って、そして厳しい状況を乗り越えていかなければならぬ、こういってやったことだというふうに思います。  いつも景気対策のために新たな政策をやるべしというお話は聞きますけれども、何といっても、あと十日で新年度に入るわけでありますが、その新年度に入ってから現在実行しつつある九年度の補正予算の実行と切れ目のない状態で十年度の予算が実行できるようにすること、これが今一番大事なことではないか、こう思っておるわけでありまして、その意味で、平成十年度の予算と関連法案の成立のために先生方の格段の御努力と御協力をお願い申し上げたいというのが私の考え方でございます。
  43. 北脇保之

    ○北脇委員 もうこの議論はたびたびいろいろなところでされていると思いますから、そんなに繰り返す必要はないと思うのですが、今のお話では日本政府としては今までの態度とそんなに変わっていない。そういうことで、マーケットから見ても国際社会から見ても、やはり日本政府は今の景気対策、景気をよくする、内需拡大による経済振興ということに本当の意味で本腰を入れているというふうには受けとめられないと思うのです。  私は、今日本の国際社会における役割というのは、景気対策に本腰を入れてやっていく、そのことを基本理念としてきちんと表明していくということだろうと思いますが、今の御答弁ではやはりそういうふうな信頼というものは出てこない。大変残念に思います。  それでは、もう一つ大蔵大臣にお聞きをいたしますが、今金融システムの不安ということがあって、これについても緊急な対応が求められているわけですが、今回の公的資金の投入についても、二十一行が本当に横並びで公的資金の投入をする、資本注入をするということ一その結果になって、ではこれは何を目指しているのか、今の日本政府金融システム対策の基本理念は何なのか、これがまた非常にわからなくなってしまっている。  改めて大蔵大臣に、それでは今の日本政府のこの金融システム不安に対する対策の基本理念はどこにあるのか、このことをお聞きしたいと思います。
  44. 松永光

    松永国務大臣 お答えいたします。  昨年の十一、十二月、あの時点においては、委員御存じのとおり大型金融機関が破綻をし、そしてその影響もあって国民の間に金融システムについての不安感、それが相当走っておったわけであります。その状況のもとで、先ほど琉球銀行の話が出ておりましたけれども、風説によって実は自分の銀行の預金は大丈夫だろうかというわけで不安に駆られて、そして預金を下げに行く、こういう動きも現実にあったことであります。  そういったことでは金融システムについての内外の信認は全く得られるものではありません。そういう状況を何とかして克服しなければ日本の経済は大変なことになるという認識のもとに、まず国民皆さん方、預金者の皆さん方に、あなたの預金は利息も含めて全額保護されますということを明確にするということ、そのために御存じのとおり七兆円の交付公債そして十兆円の政府保証、こういつたことで預金者の預金は全額確実に保護されますということを明確にすることによって国民の不安な気持ちを鎮静化させていただく、これが一つ。  もう一つは、日本の金融システムが風説などによって動かされるなどという状態、そんな弱い状態ではいけないわけでありまして、金融機関そのものがもう少し強くなってもらうことによって日本の金融システムを実は安定させていきたい。そういうことから、交付国債三兆円、政府保証債十兆円、十三兆円を用意しておいて、そして、内部資本を充実したい、そのために資本注入を図りたいという希望銀行に対して厳重な審査の上その資本注入の申し出に応ずる。これは、申請銀行の発行する優先株あるいは劣後債、そういったものを預金保険機構が買い取るという形で資本注入がなされるわけでありますが、そういう仕組みを使って自分の銀行の自己資本率を高め、あるいは融資対応力をもう少し強めていきたいという希望銀行がそれぞれ独自の判断で申請をしてきた。それに対して危機管理審査委員会が審査の上それに応ずることを決めたわけであります。  こういつたことで、まずは預金者に絶対的な安心感を与える、二番目には、日本の金融システムを安定させて内外の信認をより高いものにしていく、こういった理念のもとに今回の措置はなされたというふうに私は理解をしておるわけであります。
  45. 北脇保之

    ○北脇委員 ただいまのお話は、どういう手段をとっているかということの説明に終始していると思うのです。  私は、今の日本の金融システムの問題というのは、問題債権でも七十六兆円もある、そしてそのことが金融機関に対して大変な重荷になっている。金融機関の数も多過ぎるし、一つの産業分野と考えたときに大変非効率な産業分野になってしまっている。このことは、例えばいろいろな国際機関による格付を見てもそうですし、また、銀行金融機関の株価の動向を見ても非常に問題を抱えた産業であるという評価がされている。このことは明らかだと思うのです。  ですから、やはり、この金融システムの中からもう経営が本当に破綻しているような金融機関というものを排除していく、そして健全なものだけで成り立つような金融機関、それによる金融システムにしていくということを目指さなければいけないと思うのです。そういうことについての方向性というのは今の大蔵大臣のお話の中には出ていない。とにかく今の状態を抱え込んでそのまま持っていくということに終始していると思うのですね。  それで、ちょっとそのことに関連をして御質問したいと思うのですが、今回、資本注入が二兆円弱ということで二十一行になされるということの決定がありました。片方で十三兆円の資本注入を用意しているわけですが、この資本注入というのはこれで終わりなのか。もし終わりだとすれば十三兆円ということの意味がなくなってしまうわけですから、このことについてどのようなお考えか、大蔵省にお聞きをしたいと思います。
  46. 山口公生

    山口政府委員 お答え申し上げます。  さきの金融安定二法によりまして、資金注入の点については十三兆円の準備をお許しいただいたわけでございますが、今回、三月末までの対策として申請を出してきましたところが二十一行でございまして、その金額は二兆円弱だったわけでございます。とりあえず三月末までの関連で申請するのはもうないかと思いますが、四月以降は、二〇〇一年三月までの措置でございますので、またいろいろ状況により各銀行が手を挙げて申請をするということはあると思いますし、その際には審査委員の方で御審査をいただくということでございますので、この十三兆円の備えがあるということが大変意味があるもの、そういった意味を持ち続けるものだというふうに私は思っております。
  47. 北脇保之

    ○北脇委員 今回の措置問題点というのは、先ほど私が申し上げたような、問題を抱えている金融機関についてはそこまで救ってしまうのではなくて、そういう銀行についてはこの金融システムの中から退場してもらう、それをやりながら残す銀行には支援をしていく、そういうようなことでなければこの十三兆円の資本注入というのは全く意味をなさないと思うのです。今回のとりあえずの三月までの資本注入を見ますと、大手の銀行全部軒並み、しかもその資本注入の額も一千億程度ということで、これまた横並びになっている。この措置の中には、そうした残すべき銀行とそうでない銀行を峻別して対応していく措置というのは全く見られないわけですね。  この点について、今回の二十一行の資本注入については、今の残すべき銀行とそうでない銀行を峻別して、残すべきでない銀行についてはそんな公的資金の注入はしないのだということ、その考え方はどうあらわれているというふうに言えるのか。また、これからその辺についてはどういう対応をしていく考えか、その峻別ということをどんな手段でやってこうとしているのか。これをお答えいただきたいと思います。
  48. 山口公生

    山口政府委員 個別の金融機関の問題と金融システムあるいは金融機能の維持の問題とがいつも非常に込み入った関係にありますので、しばしばそういった御疑念をお持ちになる方がたくさんいらっしゃいますけれども、私どもの考えとしては、別に峻別をこちらが意図的にやるべきものではないと思いますが、結果として、今回の四月から導入します早期是正措置というのは、自己査定をベースにして、リスクについての公認会計士の判断を仰ぎながら、自己資本という形でのある意味ではみんな共通の土俵での公表が出てくるわけです。そうしますと、マーケットの力でもってその辺の峻別というものがある程度は避けられないものとなってくる可能性があるわけでございます。  そのときに、私どもとしてはやはり行政的に、立ち直るものは立ち直ってもらいたいということで、早期に是正措置という命令を明示的に、これは省令できちんと、こういう場合にはこういうふうにやりますということを明示しながら打っていきます。これまではそれがどうも水面下でよくわからないという御批判がありましたので、そういう措置をとります。それで、もう一息あるいはもう二息で健全化するところはどんどん健全の努力をしてもらうということでございますけれども、非常に残念なことにそういう努力が実らなくてだめになったというところについては、今度十七兆円の方の措置でもって預金者の皆様に御迷惑をかけないように対応するということでございますので、こちらが意図的に峻別するということではありませんけれども、早期是正措置が結果としてそういうような形になっていくものだろうと思うわけであります。  今回の資本注入との関係をしばしば御指摘いただきますけれども、資本注入は、やはり金融の持っている機能が、例えばBIS規制あるいは国内基準という壁でもって非常に不全を来す傾向がある、そのおそれがあるということで、本来ならマーケットの中で解決できればそれにこしたことはないのですけれども、昨年の秋のようなマーケットのすくみ現象、あるいは海外で一%というジャパン・プレミアムがつくような現象、これはある意味では大変な国損なんですね。今、そういったものをいかにクリアして、機能を守り、経済を守るかということに力点を置いてやっているわけでございます。  ただ、全然無関係かというと、確かに資本注入という手段が、個々の銀行に対してやるわけでございますので、今先生がおっしゃったようなことと全く無関係というふうに申し上げるのはちょっと極端かと思いますけれども、ねらいとしてはそういうふうな御理解でいいと思います。その際に、やはり立ち直って残っていく銀行が、機能として持っているものをより十分にしていくためにこういったものが使われるということはあるという意味での結びつきは、当然出てくる可能性はあると思います。  しかしこれも、よく税金で税金でとおっしゃいまずけれども、贈与してしまう金ではありません。これは有コストの資金でございます。今度のリストをごらんになりましても、かなりばらついておりますけれども、コスト的にはかなりのコストを払って資金調達をするわけでございますから、そこにはやはり採算性で、返す能力がなければ、手を挙げただけではなかなか実現しないという面もあります。  それからもう一つ、先生、残すべきでない銀行とおっしゃいました。私に言わせると残れないような銀行というふうに言わせていただきたいのですが、そういう銀行は、今回の法律によりましても申請自体ができないというふうになっておりますので、結果的には先生がおっしゃることとの結びつきはありますけれども、もともとのねらいというのは、一方では早期是正措置によるそういった健全化の政策、一方でそういう持っている機能をいかに十分に果たさせるかという、あるいは危機対応としての今回の金融安定二法というふうに御理解をいただきたいと思うわけでございます。
  49. 北脇保之

    ○北脇委員 早期是正措置等を通じて実際の市場の中で残る銀行とそうでない銀行の選別みたいなものが働いていくだろうということをおっしゃっていましたけれども、それであるならば、やはりそれに値するだけの情報開示ということが当然必要だと思うのですね。それがあって初めて国民も正しい選択ができるわけですから、そういう点でいえば、先般の問題債権、七十六兆円という各銀行の自己査定による額、総額で発表はされておりますけれども、これはもう各行別に発表すべきだと思いますが、どうでしょうか。
  50. 山口公生

    山口政府委員 しばしば当国会でそういう御意見をちょうだいしておりますけれども、あくまで自己査定は早期是正措置の下段階、予備的作業としてやっておるものを、まだトライアルのベースですが、それを集めたわけでございます。  各行別にそれを公表してしまうということにつきましては、各国ともそういうことは一切しておりません。先ほどから不良債権とは何ぞやとか、それは個別の管理が必要だとかいって私がいつも説明させていただいておりますが、例えば、二分類債権というのを出しますと、それが不良債権だと決めつけられて、それを減らさなければその銀行が悪い銀行だというふうになりますと、本当に銀行の機能は非常に縮小されたものになると思います。健全な経営をして、本当にもうかっているところだけしか貸せない、あるいは赤字が続いたらもう貸さないというようなビヘービアを、当局が進めるわけではありませんが、世間がそういうふうに追い込めていきますと、それこそ銀行が機能を果たせなくなってしまう。したがって、私は、個別に出すのはよくないのではないかというふうに思っております。  情報開示としてもっともっと開示してもらった方がいいという預金者の声、それはわからないわけでもないのですが、大変よく効く薬が、今度は逆に物すごい副作用を起こすという面があるかもしれません。そうするとディスクロージャーをどうするかといいますと、では諸外国でどうやっているかと見まして、アメリカが一番厳しいと言われているのです、SECが。そのSEC基準をならって、ちょっと今やっているものを拡充して統一の基準でやってみようということでやっているわけです。  先ほどの七十六兆ベースの話も、銀行によっては、これを出せと言われますと、なるべく二じゃなくて一だ、一だということで恣意的に二を減らすとか、そういうことをやられるともう統計の信頼性も全くなくなってくるという現象も起きるかもしれません。私はそういうことを疑うわけではありませんが、そういう気持ちだって働くかもしれません。そうすると、やはり外形基準できちっと、だれが見てもごまかせない、みんな同じ基準で統計を出すというのが世界的にもディスクロージャーの原則になっているわけです。  自主的に公表されるのは、それは構いません。構いませんけれども、統一的にやる場合には、SECの基準のようなものをもってすれば、国際的にもこれが一番厳しい基準だと言われています。グローバルスタンダードという言葉は余りないとかいうことで、デファクトスタンダードという表現を使わせていただきますと、それがデファクトではないだろうか。そうすると、そういう方向に近づけていくということです。  そうすると、先生の御疑問は、では一から四までやった分類は一体どういうことになるかといいますと、何度も申し上げましたように、それでもって例えば二分類の場合は今までどれくらいの平均値で貸し倒れが起きているのか、回収不能に陥っているのかということを公認会計士が恐らく判断されるわけです。そうすると、おのずと二分類からはこれに関してはこれくらいの引き当て、償却が必要だ、三分類からはおのずとこれくらいの引き当て、償却が必要だ、四分類は、これはほぼ一〇〇%償却をしなければいけないというふうに公認会計士がチェックして、その集大成として出てくるのが自己資本比率あるいは償却額ということになるわけでございます。そういう形で預金者の方々あるいは投資家の方々が御判断されることだろうというふうに私は思うわけでございます。     〔井奥委員長代理退席、委員長着席〕
  51. 北脇保之

    ○北脇委員 大変答弁が長過ぎます。聞いていないことについては答えなくても結構ですから、そういうのはやめてほしいと思います。時間が限られているわけですから、何も銀行局長の講義を聞くためにいるわけではないのですから、本当に自粛してもらいたいと思います。委員長、それはぜひお願いします。  それから、貸し渋りについても今回の資本注入が効果があるというような説明が再三されているわけですが、では今回二兆円弱の資本注入をすることによって、貸し渋り緩和、これは金額的にどういつだ効果があるのか、これをお答えいただきたいと思います。
  52. 山口公生

    山口政府委員 ちょっと長い答弁で申しわけございませんでした。  数字的に今回計画で出しておられますのを単純に足しますと、三月末でリスクアセットの増加額が六兆円という数字が出ております。これが数字的に出てくるリスクアセットの増加。これは貸し渋り解消の効果としてはかなり出てくるという数字だろうというふうに考えます。
  53. 北脇保之

    ○北脇委員 そのリスクアセットの増加というのは、それは計算上逆算すれば数字は出てきます。しかし、今の貸し付けの回収、こういったことは、単に早期是正措置、こればかりが原因ではないと思うのですね。今までの金融界のあり方、異常に貸し付けが多過ぎる、しかも非常にリターンが少なくてもつき合いでも貸してしまう。これからの国際的な金融界の競争の中で、そんな経営ではもうやっていけない。そういうことで資金回収が入っているという面があると思うのですね。  ですから、大蔵省の立場で、今回のこの程度の中途半端なことをやってそれが六兆円分の貸し渋りの緩和になるとは言い切れないと思うのですが、六兆円分の貸し渋りの緩和にはなるのだということでお答えだったのか、その辺をもう一度確認したいと思います。
  54. 山口公生

    山口政府委員 六兆円は、三月末で注入後のリスクアセットの増加でありますので、それが貸し渋り解消そのものと申し上げているわけではありません。しかし、資本注入によってそういった計画が出てきているということでございます。  それから、先生がおっしゃいますように、長期的に見た場合にはリスクアセットを縮小しようという動きはあります。しかし、その中でも中小企業や個人はなるべくふやすという方向を各銀行は言っております。
  55. 北脇保之

    ○北脇委員 最後に、また住専改正法案に戻って中坊社長にお聞きをしたいと思います。  今やはり旧住専経営者に対する責任追及、このことは大変大事だと思います。今住管機構で取り組んでいる損害賠償責任追及の中には、旧日本ハウジングローンの経営者に対する損害賠償責任の追及というものもありますが、これが今どんな展開になっているかということ、そしてこれからも旧住専経営者に対する法的責任の追及が進んでいくのか、その見通し、これについて中坊社長にお聞きしたいと思います。
  56. 中坊公平

    ○中坊参考人 お答え申し上げたいと思います。  旧日本ハウジングローンの経営者四名に対しまして約三十五億円の損害賠償請求訴訟を昨年の九月に提起いたしました。現在まで約四回の口頭弁論を経ております。その中におきまして被告側の基本的な姿勢というのは、まず認めていらっしゃいません。そして、経営責任を否定されまして、もうもともと危ない、しかしここでストップしたらもっとあかんことが明らかになった、だからやったんだ、これがいわゆる経営者の方々がおっしゃっている基本的な主張であり、あるいは、自分はだれかの命令に基づいただけで、自分は関与していない等のことであります。  さて、私たちといたしましては、このように住専処理について国民の税金をもって賄ったということは、言葉をかえて言えば、まさに罪なくして人を罰したことになるのではないか。それでは、少なくとも関与していた者がその責任を追及されてしかるべきではないか、このように考えまして関与者責任の追及を考えました。そして、そのための弁護団をつくりました。  どういう形で責任を追及していくかということについては、世の中には一罰百戒という方法もあります。しかしながら、同時に私は、このような場合は百罰百戒でなければならない、そのようなことから全件数に当たりまして調査をしてまいりました。いわゆる数値基準、実態基準という二つをつくりました。数値基準というのは、不良債権の中でも、今言う担保物で取れる、回収できるという価格で買ったものでも、なおかつその債権の二割も回収できない。それを私は、不良債権の中のさらに劣悪債権であると。このような債権を旧住専に押しつけた、紹介した銀行、そしてまたそのような不良債権、劣悪債権を発生させた、その中においてそのように関与した者の責任の中でやはり法的に責任追及可能なのは、まず紹介責任の方でいえば、やはり不公正に紹介した、すなわち、危ないと思って自分のところが助かるためにそこに住専会社から金を貸させた。あるいはまた、経営の責任に関しますと、一言で言えば甘い経営になるのですが、その中で特に背任的な要素が見られる。一番極端なのは公私混同でありましょうし、あるいは今回のようなリゾート開発等に至りましては、もうだれが見てもだめだというのがわかりながらやった。こういう場合の責任を追及していきたい、このように考えて現在実行をいたしております。  それぞれ、もう既に二百八十七件を選び出しまして、そして私としては、我々の主張だけではやはり足りない、相手方の言い分を聞く必要がある。そういう意味におきまして現在相手方の言い分を一部聞いておる、このような状況であります。
  57. 北脇保之

    ○北脇委員 住管機構には、ぜひともこれからも御努力をお願いしたいというふうに思います。今まさに経営責任の追及といったことについて、本当に奮闘されていると思います。我々国会の場においても、この金融の問題についての行政、経営、そういった責任追及、これはやはりしっかりやっていかなくてはいけない、そういうふうに思います。そのことを申し上げて、時間が参りましたので質問を終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
  58. 村上誠一郎

    村上委員長 次に、石井啓一君。
  59. 石井啓一

    ○石井(啓)委員 新党平和の石井啓一でございます。平和・改革を代表して、まず中坊社長に質問をいたします。  まず、本日は参考人出席、大変御苦労さまでございます。また、旧住専から譲り受けた債権回収、大変困難な仕事に御努力をされていることに大変敬意を表したいと存じます。  さて、今回の住専法の改正では、各事業年度ごと回収益と二次損失国庫補助可能額とを相殺できるようになっているわけでございますが、ついては、平成九年度の住管機構におきます債権回収の見込み額とそのうち回収益、そして二次損失がどれぐらいに見込まれるのか、この点についてまず確認をしておきたいと存じます。社長、よろしくお願いします。
  60. 中坊公平

    ○中坊参考人 当社の本年度の回収目標といたしましては、年間六千三百九億という数字を公表して現在に至っております。どうやら、三月ももうすぐで終わりますが、この目標額は若干上回って回収ができるというふうに考えられております。  次に、そのうちの回収益金は幾らであるのかということでありますけれども、現在、正確には算定をいたしておりませんが、約二百七十億ほどその中に入っておるものと考えておるわけであります。  したがいまして、二次ロスという方は、しかしこれは大変難しゅうございまして、単に物件が簿価より下がってしか売れなかっただけでは直ちに二次ロスにはならないわけであります。ほかの一般財産からも入る可能性のあるときはまだ二次ロスに入らない。そういう意味では、まだ二次ロスの金額がそのうちで幾らであったかはなかなか算定しにくいのが現状であります。
  61. 石井啓一

    ○石井(啓)委員 今お伺いしましたら、平成九年度で二百七十億近い回収益が出ている。平成八年度九億。本当に御努力されていると思いますが、この回収益を出すためには相当の御苦労があったかと存じます。特に、第四分類債権は通常回収不能と位置づけられておりますけれども、ここからも回収をしているというふうに伺っておりますから、これは本当に私も大変頭の下がる思いでございます。  具体的にどのような御努力、御苦労をされているのか、御披瀝をいただければと存じます。
  62. 中坊公平

    ○中坊参考人 それなりの努力をいたしておるつもりでありますけれども、私は、損失処理された四分類の債権も取ってくれ、いわゆるゴールインが百点であれば、そのゴールインを百二十点に考えてほしいというふうにまず職員の方にお願いをしています。そして一方、確かに担保物件地価の値下がりによって二次ロスが発生している。その場合であっても、君たちのところで損失処理された中から取ってきたらこれは二次ロスを出してもよいというルールを我が社内で決めておりまして、二次ロスを出して担保物件売却するためには他方に見合うものを必ず取ってきてくれ、こういう体制の中でやっております。  さらに、この関係で正直申し上げまして大変な威力のありましたのは、先ほどもお尋ねになった中でもあった預金保険機構特別調査権であります。いわゆる隠し資産というものが預金保険機構特別調査権によって数多く発見されております。当然のように隠し資産でありまして、それは四分類の中に隠れておったわけであります。そういうものが明らかになってくることによってまた四分類もふえてきておるというのが事実であります。  最後に、このようなものを先ほど言うように相殺して考えるということをどの単位で考えるのか。私は、会社全体として考えるのではなしに、できるだけ細かく管理するのが正しいのではないか。大体事業部の支店でありますと十名ぐらいであります。大体十名ぐらいを平均として、小さくとも自分の世帯をやりくりするような気持ちでやってもらいたい、そうすれば結果的にはそれが全体として大きなものになるのではないか、このように考えまして、極めて極端に小さな単位の中で一種の四分類と二次ロスとの貸し借りといったようなことをさせて現在に至っておるのが現状であります。
  63. 石井啓一

    ○石井(啓)委員 まさに極めて細かい御配慮で社員を精励されておやりになっている様子がうかがえました。特に二次ロスを出したらその分回収益を取ってくるのだ、こういうことで精励をされておるようでございますから、そういった面では、今回の法改正でより皆さんの士気が上がるのではないかと期待をしております。  ところで、今回の法改正では、さきの預金保険法改正で整理回収銀行から住管機構に対して債権回収の委託が認められたこととあわせまして、逆に今回は住管機構から整理回収銀行への債権回収の委託を可能としておりますけれども、どのようなケースをこれは想定をされているのか、お伺いをしたいと存じます。
  64. 中坊公平

    ○中坊参考人 率直に言って、今具体的にこういう案件を整理回収銀行の方に委託しようと考えているわけではありません。しかしながら、例えば整理回収銀行当社とが共通の債権者になっている場合が多いわけでありまして、そういう場合、整理回収銀行の方が多くお持ちのときには当社債権回収もできれば整理回収銀行の方にお願いしたい、このようなことを考えておるわけであります。
  65. 石井啓一

    ○石井(啓)委員 ところで、旧住専債権回収では、債権回収妨害ということに遭ってなかなか御苦労されている、また、こういつたことに対しまして法的な措置を伴って対抗されている、こういうふうに伺っておりますが、昨日の毎日新聞の夕刊には、旧住専の大口融資先でございます三正という不動産会社の社長に債権回収妨害の逮捕状が出た、こういうふうに報じられております。この不動産会社の三正というのは東の末野興産と呼ばれていたようでございますけれども、大変債権回収に抵抗していた、こういうふうに伝えられております。  この報道に対しまして、社長の感想あるいはコメントがあればお伺いしたいと思います。
  66. 中坊公平

    ○中坊参考人 確かに、三正という会社の社長は、こういうふうにバブルが崩壊したのはすべて政治と行政が悪いんだ、借りた自分たちには責任がない、このようなことを主張されておる立場をとっておられまして、あちこちの雑誌等、あるいは当社に対しても直接そのような言い分を御主張なさっている会社でもあるわけであります。しかしながら、調査してみますと、まさにいわゆる悪質な財産隠匿を実は行っておりました。そのようなことで、この十六日に警察告発し、警察におかれましても直ちにそれについての捜査をされ、昨日逮捕に至ったということであります。  私は、こういうことは、言わばることの言論を封じるという意味では決してないのでありますが、しかし一方において、このような犯罪行為を行っているということが明らかなときには、我々としては刑事告発等のいわゆる刑事処分を求めることも必要ではなかろうか、このように考えておりますし、その債務者がおっしゃるのはやはりおかしい。借りたものは返すのが当たり前でありまして、今の債務者の大半、大口の債務者というのは、借りたものはもらったと同然だ、このような発想のもとに考えられておるわけであります。私は、そのような考え方は絶対に排除していくことが正しい方法ではなかろうか、このように考えております。
  67. 石井啓一

    ○石井(啓)委員 そのとおりでございまして、ぜひ頑張っていただきたいと思います。  ところで、三正という会社の社長は、住管の取り立ては強引だ、憲法違反だ、中坊社長は民主主義の敵だ、こういうふうなことを主張していたようでありますけれども、この主張に対しまして、ちょっと社長の反論をぜひこの場でお聞かせをいただきたいと思います。
  68. 中坊公平

    ○中坊参考人 私は、まさに国策会社の社長として法の定めるところに従って厳正に行っておるだけでありまして、特段、正義感を気負ってやっておるわけではありません。  ただ、言えますことは、先ほど言ったような、もらったと同然だと思って、そしてそのあげくの果てに多くの国民に迷惑をかけておるという人の自覚を促していく必要がある。その意味では、やはり悪は悪でありまして、悪は厳しくその責任を追及していく必要があろうか、このように考えておるところであります。
  69. 石井啓一

    ○石井(啓)委員 では、中坊社長に最後にお伺いしますが、今回の住専法改正以外で私ども立法府あるいは行政府に対しまして何か御要望がございますれば、この際、お聞かせをいただきたいと存じます。
  70. 中坊公平

    ○中坊参考人 これは私の個人的な見解にはなろうかと思いますが、私は一般にきょう現在、我が国の社会において、権利の行使には壁が高く、義務を免れるときはやすい、ここが基本的にあるのではなかろうかと思っております。  皆様御承知のように、例えば法務局から登記簿をとる、登記簿の一通の金が今度は六百円から千円に四百円値上がりになっております。そのほか、いわゆる法的手段を使おうと思いますと、まず債権額の大体二割ぐらいの保証金を積まなければなりません。その上、御承知のように、いろいろな登録税、これが大体債権額の四%、さらには印紙代あるいは切手代、このようなものを全部予納しなければ手続に移れない。その意味においては費用は大変かかる。その上、例えば大きな債務者というのはえてしてグループをなしておるわけであります。ところが、グループをなしておりますと、その一個一個が独立の法人格ということになりますと、それ一つ一つに例えば破産なら破産をしないといけない。その会社同士はまた利害が対立しているということに形式上はなる。そのようなことで、大変な困難がそこにあるのも事実であります。  そういう意味では、まさにアメリカにもあると言われておるような包括破産法とかいったような法律もまた必要でしょうし、私は、現在の債権回収の中にあって出てくるいろいろな問題について、今後とも国会におかれましても十分御審議いただくことをお願い申し上げたいと思っております。     〔委員長退席、坂井委員長代理着席〕
  71. 石井啓一

    ○石井(啓)委員 中坊社長、大変ありがとうございました。  それでは、この住専法改正につきまして、引き続いて大蔵省に確認をいたしたいと思いますけれども、まず、二次損失が発生した場合の国庫補助及び民間負担の実施、これは実際に具体的に実施されるのがいつになるのか、これを確認いたしたいと思います。
  72. 山口公生

    山口政府委員 国庫からの補助金の交付時期は、債権回収に伴う損失の発生状況等を勘案して決定することとなっております。また、金融安定化拠出基金からの助成金の具体的な交付時期につきましては、債権回収に伴う損失の発生状況等を勘案して、預金保険機構の運営委員会の議決を経て交付することとなっておりまして、いつまでにどうというふうには書いてございません。
  73. 石井啓一

    ○石井(啓)委員 今おっしゃったその発生状況を勘案してというのは、もう少し具体的におっしゃるとどういうことになるのでしょうか。
  74. 山口公生

    山口政府委員 具体的なイメージとしましては、住管機構の資金繰りとか財務状況とか、そういうところを見ながらということだろうと思います。
  75. 石井啓一

    ○石井(啓)委員 それでは、今回の改正で、回収益と二次損失の半分、すなわち国庫補助可能額とを相殺し、なおかつこの国庫補助相当分が残った場合に、これを次年度以降に繰り越して、そして次年度以降の回収益でその国庫補助相当分を相殺するということが可能なのかどうか、これを確認しておきたいと思います。
  76. 山口公生

    山口政府委員 今回の改正法案におきましては、国庫補助金の対象となる額は、補助金を交付する年度までの損失額累計の二分の一から回収益累計と既に交付した補助金を差し引いて求めるというふうにさせていただいております。  したがって、国庫補助対象可能額のうち、現実に補助がされなかった額につきましては、翌年度以降の国庫補助金の対象額を算定する際、回収益と相殺がされるということになって、御指摘のとおりです。
  77. 石井啓一

    ○石井(啓)委員 そういたしますと、先ほど二次損失国庫補助はいつやるかとお聞きしましたが、それははっきりしないけれども、住管の財務状況等を考えてやる、こういうことだとすると、今言いましたように相殺して国庫補助額が残ったとしても、これはすぐに補助を実施するということではないと思いますね。  そうしますと、実際的には、実務的には、相殺をして国庫補助額が残ったとしても翌年度以降の回収益でこれは相殺できるようになる、こういうことだと思うのですけれども、今度は逆のケースについて、相殺した後、国庫納付金が生じる場合、これを国庫に納付をせずに例えば基金としてプールをしておいてその翌年度以降の二次損失国庫補助分と相殺する、そういうような仕組みも、先ほどの問いと逆のケースで、そういう枠組みも私は今後考えてもいいのではないかというふうに思うのですけれども、この点についていかがでしょう。
  78. 山口公生

    山口政府委員 今回御提案申し上げております改正法案におきましては、今先生がおっしゃったちょうど逆の場合でございますが、それは、一昨年に成立した住専処理に関する基本スキームを変えないという立場でやっておりますので、現行法と同じ考え方、すなわち、回収益と二次損失の二分の一相当額を相殺した上でなお残額が残ったときは毎事業年度国庫納付をやっていただくということになっております。
  79. 石井啓一

    ○石井(啓)委員 それはわかるのです。ですから、今のこの改正法案でも私が申し上げたことはできないというのは理解しているのですけれども、今後そういうことを検討していってもこれは十分価値があるのじゃないでしょうか、こういうことでございます。
  80. 山口公生

    山口政府委員 確かに先生の御指摘の趣旨はよく理解できるのでございますが、もともと住専スキームをつくりましたときに、六千八百億の財政支出を投入したことから、その六千八百億円を、大変中坊さんの方で御苦労いただいて少しでも回収なさっていただいておるということで、それを少しでも減らしているんだということを、過程を明示する意味もあってそういう措置をとらせていただいております。それを余り徹底すると、何で今度相殺するんだという話になりますが、それはまたやる気を起こす等の問題もありますから、そのスキーム自体は今回は変えていないということで御理解いただきたいと思います。
  81. 石井啓一

    ○石井(啓)委員 では、これは今後の検討課題ということで、社長、今の議論はわかりましたでしょうか。よくまた大蔵省さんの方にもおっしゃってください。  それでは、きょうは日銀に来ていただいておりますのでお尋ねをしたいと思いますが、本日、日銀総裁が交代をされる予定だ、朝ですか、もう交代されたのでしょうか、こういうふうに聞いております。本来であれば、新しい総裁に早速この大蔵委員会に来ていただいて抱負等をお聞きしたいところだったのですが、なかなかごあいさつ等で忙しいということでございましたので、またこれは機会を改めて新総裁にはお越しをいただいて、また決意なり抱負なりをお聞かせいただきたいと存じます。  今回、松下総裁が不祥事の責任をとって交代をされた。これはある意味で当然のことでございますけれども、総裁がやめれば全部問題は解決というわけではないことはこれはもちろんのことでございます。特に、日銀に捜査の手が及ぶというのは日銀始まって以来の不祥事でございますし、内外の市場に我が国の金融のあり方に対して非常に不信感を与えた。ある意味で、大蔵省の不祥事以上に内外の市場に与えた影響が大変大きいのではないか、こういうふうにも考えるわけでありまして、この信頼回復のためにやはり全力を尽くさなければいけない。特に、綱紀粛正、この再発防止というのを真剣にやっていかなければならないわけであります。また、時あたかもこの四月一日からは新日銀法が施行になるわけでございますから、新しい日銀として生まれ変わる。そのために全力で取り組んでいただきたいと思うわけでございます。  まず、日銀ではこの三月六日に「服務に関する準則」それから「日本銀行員の心得」を制定したということで、私も取り寄せましたけれども、この「服務に関する準則」というのは、役職員の職務の適切な執行を確保するため役職員が守るべき服務に関する事項、具体的には、服務の根本基準、職務専念義務、諸規定の遵守義務、信用、名誉の保持義務、秘密保持義務、兼職制限、再就職制限、対外的活動等に当たっての留意事項を網羅的に規定したもの,それから「日本銀行員の心得」というのは、日本銀行員が外部と接触するに当たっての具体的な行動上の指針として、情報の開示と管理、講演、寄稿、出版、会食等、贈答品、便宜供与及び個人的利殖行為に焦点を当てて規定したもの、こういうふうにされております。  こういうものをおつくりになったのは大変結構なことなのですけれども、私はむしろ、なぜ今までこういうものがなかったのか、このことの方が逆に大変不思議に思っておりまして、この点について伺いたいと思います。
  82. 鴨志田孝之

    ○鴨志田参考人 まず初めに、今般の日本銀行員の不祥事につきまして、私どもでもまことに遺憾であり、この場で深くおわびを申し上げます。私どもでも全力を挙げて信頼回復に努めてまいりたいと思います。  今先生の御質問に対するお答えでございますが、私どもでもこれまで、職務の公正性の確保という点につきまして組織運営には意を用いてきたところでございます。私どもでは、役職員は広く各方面の方々と接触することがあるわけですが、そのこと自体は中央銀行員としての視野を広げるということでやってきたつもりでございます。もちろん、その際、中央銀行員としての節度を持って対応するよう、行内でも機会あるごとに徹底を図ってきたところでございます。ただ、具体的な行動につきまして各人の判断に任せておりまして、例えば会食を伴う会合に出席すること自体を組織として明確には禁止してこなかったということも事実でございます。  しかしながら、職員の逮捕という今日の状況に照らしてみますと、銀行が組織として明確な基準やルールを設けないで、また、職員が外部との接触をどういうふうにしているかということを管理するということも余りしてこなかったということで、非常に大きな強い反省をもたらすものであるというふうに考えております。  私どもでは、今先生御指摘ございましたように、新しい日銀法の施行を前にいたしまして、「服務に関する準則」というものを制定し、また、外部の方との接し方に当たっての具体的な行動の指針といたしまして「日本銀行員の心得」というものを策定いたしました。その中で、職務上の関係者との無償の会食につきましては明確に禁止をいたしておりますし、情報の開示あるいは管理、それから講演、寄稿、出版、贈答品、個人的利殖行為、こういったものにつきましても職員が守っていくべき事項を具体的に規定したわけでございます。  今後は、この心得の厳格な運用というものを徹底していくということで、行内の規律の維持、それを通じました職務の公正性の確保ということを図ってまいりたいというふうに考えております。
  83. 石井啓一

    ○石井(啓)委員 守られてきたかどうかは別にして、大蔵省においてはこれまでいろいろな不祥事が起きるたびに通達あるいは倫理規定等を制定してきたわけですけれども、そういったことを見ながら日銀の方ではそういう必要性というのは今まで感じてこなかったのでしょうか。自分のところは例えば接待だとかそういうのはやっていない、そういう認識だったのでしょうか。
  84. 鴨志田孝之

    ○鴨志田参考人 お答え申し上げます。  先ほども申し上げましたように、明確なルール、基準というものは定めてはおりませんけれども、機会あるごとに、あるいは職場職場でそれぞれの仕事の内容等も見まして、節度を持つように、節度を保った外部との接触をするようにということはやってまいってきたつもりでございます。
  85. 石井啓一

    ○石井(啓)委員 やってまいってきたつもりだけれどもこういう不祥事が起きたということは、やはりちゃんと反省していただかないといけない、私はこういうふうに思うのです。  今度、新日銀法施行に伴い、日銀のあり方として従来以上に独立性なり透明性が求められているわけでありますけれども、いわゆる日銀から民間企業への再就職、天下り、これが日銀民間との癒着を生むことになるのではないか、こういう指摘もあるわけでございます。この点についてはどういう御見解でございますか。
  86. 鴨志田孝之

    ○鴨志田参考人 お答え申し上げます。  日本銀行の場合の民間への再就職でございますが、これまで、外部から人材を求められるというような場合に限りまして、世間からいたずらに批判を招くことのないよう慎重に対応をしてきたところでございます。  先ほど先生からも御指摘ございましたように、新しい日銀法では、日本銀行職員の職務の公正性を確保するという観点から、再就職に関するルールを含みます服務の準則というものを定めて、これを大蔵大臣に届け出て公表をするというふうに規定されているわけでございます。こうした新法の趣旨を踏まえまして今般定めました「服務に関する準則」の中では、役職員の職務の性格に即しまして再就職の自粛期間というものを具体的に定め、いわゆる再就職自粛ルールというものを決めたわけでございます。  私どもといたしましては、今回、こういう形で決めました準則を厳格に運用していくということによりまして、役職員の再就職について世間から誤解を招くことのないよう、より一段と慎重な対応を図っていきたいというふうに思っております。
  87. 石井啓一

    ○石井(啓)委員 確かに、建前上は強い要請があって行ったということになるのでしょうけれども、その実態はどうかなと思います。  今回は、この「服務に関する準則」の中で、確かに第八条で「再就職制限」がうたわれておりまして、役員、それから局長級の職員、それから考査役を経験した役員または職員、これに応じてその再就職の自粛期間を定めているわけでありますが、同時に第四項で、「政策委員会が特に認めた場合は、本条第一項から第三項までの規定を適用しない。」、こういうふうになっておりまして、これではせっかくつくった自粛規制が何かしり抜けになってしまうのではないか、そういう懸念もございますけれども、この政策委員会が特に認めるというのはどういうケースでございますか。
  88. 鴨志田孝之

    ○鴨志田参考人 お答え申し上げます。  国家公務員の再就職制限におきましても、憲法上の職業選択の自由との調和を図りますために、人事院による承認ということを条件に、兼職制限の適用を外すといいますか、除外する道が確保されているわけでございます。私どもとしましても、そうした趣旨から、政策委員会が特に認めた場合に限りまして自粛ルールの適用除外とすることができるという旨の手当てを設けることとしたわけでございます。  ただ、現段階で「政策委員会が特に認めた場合」に該当するケースが具体的にどういうことかということを想定しているわけではございません。そうしたケースが発生した場合に、職務の公正性の確保という観点を踏まえながら政策委員会が判断するということになろうかと思いますが、そういった判断は非常に限定的なケースに限られるのではないかというふうに私自身考えているところでございます。
  89. 石井啓一

    ○石井(啓)委員 安易な運用にならないようにお願いしたいと思います。特に、これは「自粛する。」ということですから、皆さんがみずから決めたルールなわけですから、みずからお守りになっていただきたい、こういうふうに思います。  それから、日銀職員の退職に関する制度というのはそもそもどういうふうになっているのでしょうか。定年は六十歳というふうに聞いておりますけれども、現状はもっと若いときからおやめになる、こういうケースも多いというふうに聞いていますが、現状、退職に関する制度について確認したいと思います。
  90. 鴨志田孝之

    ○鴨志田参考人 日本銀行の退職制度についてのお問い合わせでございますが、私ども、職員の処遇につきましては、これまで同じ金融機関として業務及び職員の勤務の形態がかなり同質的でございます都市銀行を参考にしながら決定してまいったわけでございまして、退職制度についても同様でございます。具体的には、平成二年から六十歳定年制というものを実施しておりまして、これは全職員に適用をされております。なお、職員の一部は、民間企業等から求められるという形で、定年前に退職し、民間に就職しているという状況でございます。
  91. 石井啓一

    ○石井(啓)委員 求められるという形でという、形はそうかもしれませんけれども、実態はいわばお勧めしておやめになっているということなのではないかと思います。  ちょっと時間がなくなりましたので、指摘だけしておきたいのですけれども、私は、決して再就職だとか天下りをやめろということを申し上げているのではなくて、そもそもそういうふうに天下りをしなくても済むような人事制度をつくるべきではないかという主張をしたいのでございます。今週号の週刊誌にも天下りリスト九百何人というのが出ていましたけれども、見てみますと、やはり五十代前半から大分若い方がおやめになっていまして、これは役所と同じそういう仕組みなんだなというのがよくわかるのですけれども、例えば、ラインのポストだけではなくてスタッフのポストを充実させた複線的な人事管理だとか、あるいは定年年齢自体の引き上げたとか、そういったことを考えた、天下りをしなくて済む人事制度ということをぜひ考えていただきたいと思います。  それから、きょうは郵政省さんを実はお呼びしておりまして、株価対策、いわゆるPKOについてもお聞きする予定でございましたが、残念ながら質問時間が参りましたので、終了いたします。
  92. 鴨志田孝之

    ○鴨志田参考人 先ほどお答えしました中で、国家公務員の再就職制限に関しまして、法の兼職制限と私申し上げたようでございますが、これは再就職制限の誤りでございますので、おわびして訂正させていただきます。
  93. 石井啓一

    ○石井(啓)委員 終わります。
  94. 坂井隆憲

    ○坂井委員長代理 次に、西田猛君。
  95. 西田猛

    ○西田(猛)委員 自由党の西田猛でございます。  きょうは、中坊参考人におかれましても大変お疲れさまでございます。質問をさせていただきたいと思っております。  まず、今議題となっております法律案について審議いたしますには、どうしてもやはり住専の問題について、さらりとではありますけれども、おさらいをしておく必要があるのだと思います。  その意味も含めましてお聞きしたいのですが、まず第一に、平成九年三月三十一日現在の住管機構の損益計算書によりますと、特別利益として一兆二千億円が計上されておりますけれども、これはどのような内容でありましょうか。
  96. 中坊公平

    ○中坊参考人 平成九年三月三十一日付の損益計算書の中で、確かにおっしゃるように特別利益として一兆二千百億円が計上されております。  その内訳は、預金保険機構からの助成金が六千八百億円、すなわち税金であります。それから残りは、農林系金融機関からただでもらったという受贈金が五千三百億円、その合わせたものが一兆二千百億円、このように相なっております。
  97. 西田猛

    ○西田(猛)委員 おっしゃるようなことでございます。  他方、当時よく言われた住専処理のスキームにおいては、住宅金融専門会社のいわゆる母体行、一般行、そして系統系とありまして、母体行、一般行については直接債権を放棄するという形をもって負担をしたわけでございますけれども、他方、では、農林系金融機関についてだけはなぜ、住専についての直接の債権放棄ということではなくして、住管機構に贈与をしたという形をとったのでしょうか。どうしてこういうスキームにしたのか、お答えいただけますでしょうか。
  98. 山口公生

    山口政府委員 この点につきましては、農林系統金融機関につきましては、住専の設立や経営への関与の経緯から、住専の経営に全く関与していないため、金融システムの安定性確保に資する観点から資金贈与という形をとったというふうに理解しております。
  99. 西田猛

    ○西田(猛)委員 いつもの鋭い銀行局長にされては全く理由のわからないお答えでありまして、総量規制がかけられて農林系統だけが外されたわけですから、そこでいわばどぼどぼっと資金が住専に流れていったわけですね。にもかかわらず、今おっしゃったのは、農林系金融機関は設立にも関与していない、それから経営にも余り責任がなかったから、そういう意味での関与の薄さから贈与という形にしたのだということですけれども、それでは、一般行との違いというのはどういうところにあって、本当にそんなに農林系の金融機関というのは、この大きな、オーバーオールな住専問題について責任がなかったというふうに当局は認識しておられるのですか。
  100. 山口公生

    山口政府委員 一般行あるいは母体行は、母体行はもちろん母体になった主体でございますし、一般行もいろいろな形で関与をしておったということでございますので、若干ニュアンスとしては違うのではないかというふうに感じております。
  101. 西田猛

    ○西田(猛)委員 ニュアンスの違いをお聞きしたいのではなくして、農林系金融機関の責任ということについてお聞きしたのでございます。これは、いわゆる住専国会のときにもかまびすしく議論がされたところでありますけれども、この問題は、やはり今の日本の金融不安を招いている元凶の一つと言えるものでもありますから、これからもこれは常々、事あるごとに反省をして、そして未来に向けて考えていかなければならない問題なのだと思っております。もう何年も過ぎたから、これが終わって、そして住専を忘れてしまった、これからは住管機構の中坊社長に頑張っていただいて回収していけばいいのだということではないのでありまして、この点についてはまた後ほども触れさせていただきたいと思っております。  そこで、母体行、一般行とあったわけですけれども、六・四九九兆円の住専処理に伴う損失のうち、母体行、一般行が債権放棄した金額は各銀行それぞれ幾らかを、今教えていただけるならば教えていただきたいし、もし教えていただけないのであれば資料として提出していただきたいと思うのでありますけれども、まず御答弁いただけますでしょうか。
  102. 山口公生

    山口政府委員 総体としては母体行が三・五兆円、一般行が一・七九兆円でございますが、各銀行別の具体的な数字につきましては、個別の内容でございますので、お答えは差し控えさせていただければと思います。
  103. 西田猛

    ○西田(猛)委員 それでは、今申し上げたように、住専処理に当たってのいろいろな問題を摘出して未来に向けての解決策としていくに当たっては不十分なんですね。  ですから、銀行検査についても、我々はいわゆる四行についての三点セットの完全なる提出をお願いしておりまして、大蔵委員会においては、黒塗りされたものはこれは資料でない、全く資料ではございませんから、我々は見なかったわけです。そういう中で、今申し上げた、これは基本的な数字ですよ。母体行や一般行が債権放棄した金額は各銀行それぞれ幾らかということがはっきりしない限り、この問題、これは中坊社長が今やっておられる住管機構の存立根本にかかわる問題ですから、ここをはっきりしていただきたいと思うのです。
  104. 山口公生

    山口政府委員 住専全体のスキーム等はしばしば御説明申し上げておりますが、個別銀行が個別に幾ら放棄したということについてはお答えを差し控えさせていただければと思います。
  105. 西田猛

    ○西田(猛)委員 きょうの銀行局長の答弁には全く私も感服するところがないのでありまして、今の資料要求については、委員長、では後で理事会で御協議いただきたいと思います。よろしいですか。
  106. 坂井隆憲

    ○坂井委員長代理 後で理事会で協議いたします。
  107. 西田猛

    ○西田(猛)委員 はい、ありがとうございました。  それでは、次に、預金保険機構からの〇・六八兆円、それから農林系金融機関からの〇・五三兆円の計一・二一兆円、これが冒頭中坊社長から御説明がありましたように特別利益として計上されて、これが、同じく第一期の損益計算書によれば特別損失として計上されているわけでございますが、この特別損失というのは内訳はどのようなものでございましょうか。
  108. 中坊公平

    ○中坊参考人 特別損失というのは、内訳ということは旧住専七社に支払っておるという意味でありまして、それは各住専に分かれて支援金が行われているということです。その一つ一つの、住専七社のどの会社に幾らかということは、当社に帰ればわかると思いますが、きょう現在私はちょっと記憶をいたしておりませんが、いずれにしてもその全額が旧住専七社に支払われた、こういうことであります。
  109. 西田猛

    ○西田(猛)委員 今の中坊社長の御答弁のうち、全額がと言われましたけれども、特別損失のうち国庫納入金が入っているんではないですか、九億一千百万。
  110. 中坊公平

    ○中坊参考人 ただいま申し上げましたように、特別損失が、一兆二千百億と別に、何ぼになるかな、一兆二千百二十六億円。やや数字が違います。この数字の違うところのうち九億一千百万円が国庫納付になっておりますので、問題の、今おっしゃいました一兆二千百億円は全額住専七社に支払われておる、このように御理解していただいて結構かと思います。
  111. 西田猛

    ○西田(猛)委員 はい、よくわかりました。  一兆二千百億円はすべて住専七社に対して支援金という形で今おっしゃったように出たものでありまして、それでは、これも後ほどで結構ですので、住専七社のそれぞれにどのような金額の支援金が出たかということを教えていただければよいと思います。  このように、当時の住専処理のスキームというのはかなり跛行的なものであったのですね。民間金融機関の母体行、一般行は、そもそもまず債権放棄をしなさいということで債権放棄をいたしました。他方、農林系金融機関は、その持っている債権預金保険機構を通じずに直接住管に贈与をされた。そして、それを政府からの預金保険機構を通じての補助金六千八百億円とともにして、これを住専七社に支援金として渡した、こういうことなんですね。このスキームの立て方の中にも、当時、政府部内でどういう議論が行われてきたのかということが明らかになってくるのだと思います。ぜひ中坊社長におかれては、今私がお願いしました、住専七社に対して各個別にどれくらいの金額が出たかという資料を提出していただきたいと思っております。  それから次に、今般の法律改正案ですけれども、いわば、一言で言えばネッティングということだと思います。その年度内において国庫納付すべき金額が出ても、その国庫から受ける補助金とネッティングしょうということだと思うのですけれども、これは従前言われているように、住管の職員の皆様の士気を高めたり、それから国民の皆様の前に、どういう資金の流れで回収が行われ、損失が出たかを明らかにしょうということだという御説明があるのです。あるのですけれども、他方、見ますと、先ほどまさにいみじくも銀行局長が言われたように、住専処理のときに公的資金の導入とされた六千八百五十億円、うち五十億円は預金保険機構に出資金として残りましたけれども、六千八百億円が、当時もうどうしょうもないだろうという、いわばよく言われていた腐った債務を当時の時価に戻すまでのお金に使われたわけですね。それは、国民の税金を使って、経済状態がこうなってしまってこの部分はどうしょうも処理できないものだから時価まで落とさせてくれということで使われたわけですね。  そして、先ほどの委員に対する銀行局長の御答弁でも、これはできれば国民からいただいたものだから返していければ返していきたいというふうに言っておられます。私どもも、それはそうしていくべきだと思います。六千八百億円、それこそもらいっ放したということでは住専からお金を借りた人たちと全く同じになってしまうので、借りたものは返す、まさにそういうことですね。であれば、幾らその回収ができたのだということの方をむしろ国民の皆様に明らかにして、返すべきものは返していく勘定でやるべきなんですよ。  そして、国庫補助が出るというのは、これは本来出ないはずだった損失、いわゆる二次損失が出たから、それを民間の拠出基金と国庫補助で二分の一ずつ負担しようよというスキームを、これは二次的につくったわけです。  したがって、ここで、本来国民に返すべき益金と、予定されざるべきであった二次損失がたまたま出たからそれに対して補助金を出しますよという補助金とをネッティングするのは、私は必ずしも全幅の賛成ができるものではないというふうに思うのです。ここは議論があってしかるべきだと思いますけれども、まず中坊社長、いかがでしょうか。
  112. 中坊公平

    ○中坊参考人 ただいま御指摘のようなお考えがあるのは、私も当然のように理解をいたしております。  しかし、既に投与をされてしまった六千八百億円を先に充当するのか、あるいは今新しく発生するような国民負担を削減する方向に考えるのかは、確かに、ある意味で両方とも国庫に入るわけでありますから同じことだということが言えないわけではない。むしろ国庫納入の方を先にすべきではないか。確かに、歴史的に見れば、先にそのようなことをしたのだからそこから満たしていけというのが一つの方法であろうかと思います。  しかし、いずれにいたしましても、当社は一昨年の七月二十六日に新しく発足した会社でありまして、私たちにまず与えられておる譲り受け価格、このものを全額回収すれば国民に二次負担をかけないで済むわけでありますから、私としては、社員一同に対しまして、どのような姿勢でいくのか、過去のことはいざ知らず、我が社が国民の新しい税負担にならないよう努力しよう、やはり、職員の倫理の上からおきましてもそういう目標を掲げることが絶対に必要ではなかろうかと考えております。  そしてまた、私の承る範囲では、その前の六千八百億につきましては、さらに別の基金ができておるとも聞いておりますし、その運用益をもってやるということにもなっております。いささか少しではありますけれども、昨年の決算のときに行いました九億円というのはその六千八百億円の一部に投入されるものだと理解をいたしております。  私としては、やはり四兆六千億をさっと回収して、そういうことが全部できて国民負担をかけなければ当然のように国庫納入をいたして、今出ておる六千八百億の削減ということに向かって、またこれは次の段階として全力を挙げて処理していきたい、このように考えておるところであります。
  113. 西田猛

    ○西田(猛)委員 もちろん頑張ってくださいなんです。本当に社長には頑張っていただきたいのですけれども、ところが、今おっしゃったところは、住専処理の基本的な考え方、基本的なスキームとちょっと違うと思うのですね。  というのは、当時の住専国会のときには、六千八百五十億円の公的資金導入、それ以外には国民皆さんには御負担をおかけしたくない、極力おかけしないという答弁が立て続いているわけです。これは全く引き受けられた中坊社長の御責任ではありませんし、中坊社長はもう頑張っていただくしかないのであります。ですから、これは政府のむしろスキームの問題点を指摘されるべきだと思うのです。  例えば、大蔵大臣、この第百三十六国会の衆議院で、当時の銀行局長西村氏はこのように答えているわけです。この二次ロスは、私どもとしては生じないように万全を尽くしていった上でと。この次はそういうものが生じた場合には備えをしておく必要がある、こういうおっしゃりようだったのですけれども、二次ロスについては生じないように万全を尽くしていくということをまず言っておられます。  ところが、そのスキームをお受けになった中坊社長は、最近のある雑誌でのインタビューでこういうふうに言っておられるのですね。「譲り受け価格平成七年一月の路線価格をもとにしているが、時価で売却しなければ意味がない。ひどい物件では譲り受け価格の半分以下に下がっているものもある。その意味では、譲り受け価格に拘束されるといっても、二次ロスが出るのは必然だろう。」と。確かにそうだと思います。あのときの価格で買い取らせて、さあそれから回収しろ、売れといっても、まだこんなに相場が下がっていっている現状では二次ロスが出るのはいわば当然なんであります。  しかも、ましてや、先ほど来もるる御議論がありました、二次損失以降というか、一次処理には含まれなかったものでも、現にもう回収不能だとか価値がどんどん下がっていっているというようなものも含まれていたのではないかということの指摘があるわけです。中坊社長の試算によれば、それが五千億円分ぐらいあるだろうというふうにいろいろなところで言っておられますね。  こういうものを潜り込ませた上で住管機構が設立され、住専スキームが起こって、またここに来て今度は二次ロスの二分の一の補助金。これは、毎年例えば住管でロスが出て二分の一ずつ補助金が出ていくとすれば、国民の目の前に明らかになるわけですよ。例えば平成十年決算で住管が百億円のロスが生じた。そうしたら五十億円国庫から出ていくわけです。国民ははっきりわかります、五十億円また税金が出たなと。他方、こちらで中坊社長あるいは職員の皆様の血のにじむような努力で、取れないかもしれないと思っていた債権が例えば二十五億円でも取れたとしましょう。そうしたらそれはそれで国庫に納付してくださいよ。国民皆さんは喜びます。よくやってくれた。その方がよくわかるのです。でも、他方五十億円また出ていったな。これは住専処理のスキームがそもそも根本的に間違っていたのだいうことを常々思い知る必要があるわけですよ。これをネッティングしてしまうと、国民の意識は薄くなっていくのです。  最近の記事で、中坊社長が、信用枠も逃さへんで、こう述べておられて、その中で、論評によれば、「それは、回収可能と評価した住管機構への譲渡債権の中に、「キズあり債権」を潜り込ませ、」潜り込ませですよ、「世論が住専を忘れたころに、少しずつ二次損失として財政資金との折半で処理する作戦と推察できる。」というふうに看破しているエコノミストもいるわけなんです。  これらについて当局の方から、おざなりではなく、本当のところでお答えをいただきたいのですが、大蔵大臣、まずどのような御感想をお持ちですか。
  114. 松永光

    松永国務大臣 事務方から今までの経過も含めて答弁させますから、お聞き取りください。
  115. 山口公生

    山口政府委員 西田先生、大変級密な論理の展開で、私はそれを否定するものではありません。そういった御議論があることは当然予想されます。  ただ、例えば国庫と住管機構との関係からいいますと、ネッティングしてもしなくてもそれは同じだということ、これはよろしゅうございますね。そうすると、今一番大切なことは何かというと、国民負担を一番小さくする。中坊社長の方で物すごく努力されて回収を図っておられる。それは職員がやる気を出さないと回収が進まないわけです。もうだめなものはもうだめというよりは、一生懸命やっていただく、そのインセンティブを与えるためのネッティングでございます。  先生のおっしゃっているのは、それだと二次ロスの話とわからなくなるじゃないかと。その点につきましては、住管機構が決算概要説明の場において回収益と二次損失の額を説明することにしておりますので、国民の皆様には前の制度と同じようにディスクロージャーをされますので、そこはそういったことは国民に明らかにされる。しかし、いずれにせよ中坊さんの方で一生懸命やっていただいているのをそのインセンティブを与えないと、回収自身が本当に少なくなってしまいますと、結局は国民の方のツケがふえるということになりますので、その点は御理解賜ればと思います。
  116. 西田猛

    ○西田(猛)委員 大臣からの御感想が伺えなかったのが大変残念なんですけれども、どうでしょうね、大臣、この住管に六千八百億円の資金が投入されたわけです。そして、それを返していく。その国民の皆様からいただいた税金を少しでも返していくために本来取れなかったかもしれない債権回収していくのだというのは、これは立派に職員皆さんのインセンティブになるのではないですか。ネッティングする方がなるのですか、社長。
  117. 中坊公平

    ○中坊参考人 ただいまのお考えのような御意見もあろうかとは思います。しかしながら、当社の社員に対して私が一番厳格に戒むべきことは、決して税金の負担を君たちの手によって起こさせてはならないのだ。あなたたちは、旧住専七社の当時、結果的に会社が倒産して、それほど大きな倒産であったために結果的に六千八百億円という国民の税金でもって後始末をしてもらわないといけなかった。その後始末を引き受ける我々として、まず第一に考えるべきは、新しい税負担を僕らの手では出さないようにしよう。そこが旧住専七社と当社との根本的な違いなんだ。だから、決して国民にこれ以上負担をかけない、このことを我々のすべてに考えようということでやっておるわけでありまして、そして私たち自身としては、きょう現在もいわゆる貸付債権四兆六千億というのは全額回収するつもりでやっております。しかも、十五年じゃなしにその半分ぐらいで回収しよう。既にその二〇%強を現在回収をしておるわけでありまして、このようにして、結果的に国民に迷惑をかけないようにしようということが第一でやっておるわけであります。  続きまして、確かに、それをネッティングしたらわからぬじゃないか、こっちならすぐ国庫納付したのが何ぼだ、九億円としてのるじゃないかということでありますけれども、ただいま銀行局長がおっしゃられましたように、幾らをネッティングしたのかということは私は既に明らかに、これからもしていきたい。特に私自身は、一カ月に一回定例の記者懇話会というのをやっておりますし、その席でも、この貸借対照表あるいは損益計算書、それに関する説明をいたしております。  今後とも、このような会社の会計手続の中はすべて公表をしていきたい、そして透明化を図っていきたい、このように考えておりますので、どうか御理解をいただきたいと思います。
  118. 西田猛

    ○西田(猛)委員 社長のおっしゃることは常々よくわかっております。  そうしますと、社長、一言だけ決意を述べておいていただきたいのですが、要するに、今回の法改正によってのネットの剰余でできれば七年半ぐらいで六千八百五十億円を返していきたい、こういう決意でよろしいのですね。ネット後の剰余で六千八百五十億円を返すということですか。
  119. 中坊公平

    ○中坊参考人 正直申し上げまして、そこまでの確信を今持っているわけではありません。  私は、これ以上新しく国民に税負担をかけないということが第一義でありまして、先ほどから申し上げていますように、もっとたくさん回収できれば、それは言うまでもなくもう一度、納められた六千八百億、正確に言えば六千七百九十一億になるのですけれども、それだけのものに充当をしていくような形で経営していきたい、このように考えておるわけであります。
  120. 西田猛

    ○西田(猛)委員 そういたしますと、もう一度だけ確認しておきたいのですが、二次損失に対しての国民負担、半分ですね、これをまずは毎年度毎年度でなくしていこう、そうやって国民負担させられるべきであった二次損失分の回避、それも含めて、今おっしゃったのは十五年ではなく半分ぐらいの期間で六千八百五十億円返していこう、そういうことですか。要するに、これから起こる剰余で全部返していくということですね。
  121. 中坊公平

    ○中坊参考人 おっしゃっていただきますように、剰余というよりも、その二次負担にかけないためには、まず一つは二次ロスそのものを少なくしないといけません。少なくさせるためには、僕の方としては、先ほども御説明したように、四分類に取ってきたるものがあればその範囲内でやりましょう、いわゆるその二分の一は常にこちらで四分類から取ってきてください、そういうことで今会社運営をいたしておるわけでありますから、そのことがすなわち、担保物件何ぼ安くてもええわとか安易なことで取り立てなくて、やはりとことんまで取り切るという態勢が必要だ、このようにも考えてやっておるわけです。  したがいまして、今おっしゃいますように、それが全部七年半でできるかと言われると、少なくとも現行の計画がそのとおりいけばそれは可能ではありますけれども、先ほどからるる申し上げていますように、第一次損失処理の中で出てきた国民の税負担の六千八百億円、正確には六千七百九十一億円は、そのための特別基金がまた銀行から組まれておって、そこからもその六千八百億が随時返済されておるというふうに聞いておりますし、我々としても、先ほど言いますように、余ってくればそれは即国庫納付をして六千八百億円が一円でも少なくなるように努力をしていきたい、このように考えておるところであります。
  122. 西田猛

    ○西田(猛)委員 わかりました。  そのような中で、やはり今お受けになった営業貸付金といいますか、そういうものを少しでも有利に売って、そして利益を上げていっていただきたいというふうに思っているのです。  そんな中で、先ほど来も議論に出ておりました、きょうも新聞に出ておりますけれども、子会社や孫会社や関連会社などに資産を譲渡して住管の皆さんの追及を逃れる例がよく見受けられるのでありますけれども、これはやはり、我が国でいわば連結決算制度とかあるいは商法、企業会計基準上のいろいろな制約があるから、そういう別の法人に移ればもうそれでなかなか追及の手が及ばないというふうなことが出てくるのだと思います。  そこで、これは政府全体として検討するべき事項ですけれども、連結納税制度の導入、それから子会社、孫会社等も通じた法人格の否認とか、いろいろな問題がございます、そういうものでやはり総体的に不良債権の取り立てをしていかなければいけないと思います。  御存じのように、米国においては司法省や国務省とも連携して、海外に逃げた資産も調査対象にして徹底的に追及をしたというふうに言われています。我が国ではまだなかなかそのような体制が整っておらないようですけれども、そういう体制を立てるために今後どういうふうな措置をとっていったらいいというふうにお考えでしょうか。当局及び、もし中坊社長の方から御要望があればお伺いしたいと思います。     〔坂井委員長代理退席、委員長着席〕
  123. 中坊公平

    ○中坊参考人 この際、今御質問いただきましたことについて一言申し上げたいと思うのです。  正直言って、この法律は、そのような場合に、今おっしゃるような財産隠匿等が行われておることがあり得るということを前提にして、預金保険機構特別調査権当社には及ぶということになっております。そして、この特別調査権というのは、率直に言って大きな威力を発揮しております。特別調査権というのは二つに分かれておりまして、一つ銀行に問い合わせる権利というか、問い合わせられれば銀行は答えなければならない。それからもう一つは、債務者のところへ立入調査をするということによってその実態を解明しようという武器というか、そういう方法でありまして、それが今行われておりまして、かなりの成績を上げております。  しかし、それがやはり公的資金関係しているからそれは可能だということも、また現行法の方ではやむを得ないかもしれませんけれども、少なくともそういうように隠すということに対して、それを暴くための力が場合によれば必要であるし、現に当社においては、先ほど言う債権回収ができる中の大変な部分を預金保険機構との連携の中でその成果が出ておるものと考えておるわけであります。  しかしながら、先ほども少し触れましたように、アメリカで、私も正確な言葉は知りませんが、関連会社破産法というような特別法があるようでありまして、その債務者をすべてグループとしてとらまえるという物の考え方であります。現在、我々としては、その特別調査権を行使しまして、別会社と言うけれども、この金はどこから出た、そういうのを一つ一つ証拠を積み上げていってそれは同じグループであるということで処理していますけれども、もっと大胆にやらなければ、またその隠しが上手ですとなかなか発見できないようになります。そういう意味ではすべての会社が関連会社を持っております。しかも、その数は百とか二百とかいうように、多数の会社をこしらえて財産隠匿を行っておるのが現状であります。そういう意味では、確かに今御指摘いただきましたように新しい法律もまた必要ではなかろうか、私個人はこのように考えております。
  124. 西田猛

    ○西田(猛)委員 当局からの御答弁よりも、よく今の中坊社長の御趣旨を体していっていただければというふうに考えております。  それから、そんな中で一条の光明と申しますか、これは、外国の証券会社が今日本へやってきて、日本の不動産がこれだけの低水準にあるから、これを買って証券化して、そしてそれを外国の投信に組み込むなり外国の投資家に売り出そうというふうな動きが出ておるようでございます。現に、あるビッグハウスが日本の大きな不良債権を買い取っていったという報道がなされておりますけれども、そういう不良債権外国人が買って証券化して外国で販売する場合の我が国内における課税関係についてはどのようになるか、ちょっと急ですけれども、よろしいでしょうか。
  125. 尾原榮夫

    ○尾原政府委員 お答え申し上げます。  証券化された商品を海外の投資家が買った場合の課税関係でございますが、いろいろな形態が考えられるところでございます。  実際のスキームが例えば債券利子という形でございまするならば、我が国の法人が支払う場合には、我が国で源泉徴収により課税が行われるということになるわけでございます。
  126. 西田猛

    ○西田(猛)委員 それだけですか。不良債権が移る時点で……。
  127. 尾原榮夫

    ○尾原政府委員 もう一段階、その前の段階が確かにあるわけでございまして、証券化する場合に実は不良債権をその法人に移すことになってまいります。仮にSPC等に譲渡した段階では、その譲渡価格が適正なものである場合には、譲渡した金融機関サイドにおきましてその損失が損金算入されるということになるわけでございます。
  128. 西田猛

    ○西田(猛)委員 ありがとうございました。  終わります。
  129. 村上誠一郎

    村上委員長 次に、佐々木陸海君。
  130. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 日本共産党の佐々木陸海です。どうぞよろしくお願いします。  まず、大蔵省にお聞きしたいと思いますが、九六年の住専処理をめぐって、いわゆる二次損失の穴埋めをするための金融安定化拠出基金の設立などの取りまとめに当たっていた杉井孝審議官が住専の母体銀行などから過剰な接待を受けていたとの疑惑が報道をされております。  この問題は、十八日の予算委員会で我が党も取り上げました。ここで山日銀行局長は、杉井審議官がいわゆる銀行局別室のヘッドになったのは九六年二月であり、住専のスキームは十二月の閣議決定で決められ、一月の閣議了解で具体化された、その後は閣議決定に基づいて各金融機関が調整をみずから行ったと言い、杉井氏は住管機構の立ち上げに従事していたというのが主だと思います、金融機関の負担額を彼が幾ら幾らと割り当てたということでは、そういう意味ではないと、杉井氏の関与を否定する答弁をいたしました。実際にそうだったのかという問題であります。  一月の閣議了解は、スキームの大枠は決めていましたけれども、細部の調整は全くその以後のことでありまして、二次損失のための金融安定化拠出基金については、一兆円という規模は決まっておりましたが、出資を求められる関係金融機関の範囲や業態ごとの負担額は未確定でありました。この調整が最終決着したのは七月の初めでありました。大蔵省から各業態ごとの負担額が提示され、各業界がそれを受け入れるということで七月に決着をいたしました。  この決着に至る二月の段階での報道ですが、金融安定化基金への拠出額をめぐり、「住専負担をほかに押し付けようとする各業態問の〝内ゲバ〟は、激しくなるばかりだ。」これは九六年二月二十日の読売の報道です。こう報道されるような状況がありました。こういう業態間のつばぜり合い、内ゲバの調整に大蔵省も関与し、その中心の役割を杉井氏が果たしたのではありませんか。
  131. 山口公生

    山口政府委員 この基金の総額が一兆円というふうに決められたのは、先生御紹介いただきました一月三十日の閣議決定、平成八年でございますが、その決定でございます。したがいまして、当局としましては、総額がこの一兆円になるように関係者にいろいろとお願いをしたということでございます。  私がさきの予算委員会で申し上げたのは、何とか銀行、あなたは幾らです、あなたは幾らですというようなことをやっていたわけではありません、こういうことであります。少なくとも一兆円という枠がありますので、それが実現するようにいろいろお願いをしたということで、個別行についてどうこうしたということはないというふうに聞いております。
  132. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 その答弁で山日銀行局長は、各金融機関が調整をみずから行ったというふうに 言っておられるわけです。  九六年二月二十七日付の毎日新聞にはこういう報道があります。   大蔵省は二十六日、住専処理問題で、金融機関関係者と協議。住専母体行の部長クラスのほかに、農林中央金庫など農林系金融機関の代表が初めて出席した。同省からは体制強化のため銀行局兼務になる杉井孝主計局次長らが出席、同処理問題の解決に向け、協議を断続的に続けていくことを確認した。今後は預金保険機構内に作る金融安定化拠出基金への出資や、住専資産引き継ぐ住専処理機構への低利融資などを具体的に詰めていく。 というふうに述べています。同様の内容は、同日付の日刊工業新聞でも報じられています。  まさに、杉井氏が金融安定化基金への出資額の調整役をやっていった、協議を断続的に続けていくその主導をやっていったということではないのでしょうか。予算委員会以来の山口局長の答弁は、そういう意味では虚偽答弁と言わざるを得ないと思うのですが、大臣、いかがでしょうか。
  133. 山口公生

    山口政府委員 先生のおっしゃる調整ですけれども、一兆円という枠が決まっておりますので、それは各業態別でいろいろ、私の方は少なくしてくれという意見が出てくるのは当然だと思います。それを、いや全体で一兆円になるようにひとつよろしくお願いしますと言うことは、それは広い意味では調整かもしれませんが、私が否定したものは、各銀行で、あなたのところは幾らです、あなたのところは幾らにしなさい、あるいはこっちを減らしてこっちをふやすというようなことを各行別にやるとかいうことをやったわけではありません。つまり、一兆円という枠が決まっておりますので、それにはまるようにひとつ各業態、代表者だったと思いますけれども、その代表の母体行の人に、一兆円になるようにやっていただかないと一兆円の枠が埋まりませんので、そういった調整ということであれば、それは当然やっているはずでございます。
  134. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 つまり、先ほど言いましたように、業態間での内ゲバまで起こっているような状況だった。そこで、どの業態はどうするか、どの業態はどうするか、そして個別の金融機関はどうするかということが最終的に決まっていったわけであります。そのいわば協議の中心を担っていった、これが杉井氏であったわけであります。  九六年三月十九日付の日経金融新聞。大蔵省銀行局、援軍が奮闘という見出しで、杉井氏は最近、民間金融機関の幹部と頻繁に会い、民間とのパイプ役を買って出ていると、銀行界によく名を知られている杉井氏の仕事ぶりを描き、ある都銀企画部幹部の「杉井氏らの登場で省内の情報が伝わり、本音で話せるようになった」との言葉を報じております。企画部というのは、MOF担の担当部局の幹部であります。その人物が、杉井氏から省内の情報が伝わるようになってきたということも言っているわけであります。このような当時の状況を重ねると、今の杉井氏の接待疑惑の報道というのは極めて真実味を感じさせるものを持っているわけであります。重大な疑惑と言わざるを得ないと思います。  そこで、大臣に最後にこの問題でお聞きしたいと思いますが、接待の有無を明らかにするための五百五十人を対象とする調査とこういう重大な疑惑のある杉井氏の調査などとは同列ではないのではないかと思うのですが、大臣は同列にやるという認識でしょうか。大臣認識をお伺いしたいと思います。
  135. 松永光

    松永国務大臣 委員からも、それから先生からも、予算委員会でもいろいろ御指摘をいただいておるわけでありますが、私は、その中で参考にすべきものは参考にしながらやっていきたいという気持ちがあるわけです。それからもう一つは、これはどなたでしたか、五百五十というのを全部一列でやろうとするから手間暇かかるんだ、重立った者を重点的にやったらどうかという話も聞きました。私は、それも一つの参考になるな、こう思ったわけであります。  いずれにせよ、杉井次長も内部調査の対象でありますし、それからまた報道も相当あるわけでありますから、一般の人よりも重点を置くというか、そういう感じを持ちながら調査を今進めているところでありまして、もう少しひとつ時間をかしていただきたい、こう思います。
  136. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 公的資金を投入した住専処理のあり方というものは国民的な大問題になったものであります。その処理策を確定する過程で直接の当事者である業界から接待を受けていたということになれば、それだけで重大な行為であります。その上、接待の結果、仮に特定の業態、特定の企業に便宜を図っていたとすれば大蔵行政の根幹を揺るがす問題になる、そういう認識大臣はお持ちになっているのかどうか。ちょっと私は今の答弁を聞いていて疑わしいというふうに思うわけです。もちろん、彼が調査の対象になっていることは当たり前の話なのです。調査の対象になっていることは当たり前であって、しかし、こういう疑惑がかけられている者については、ほかとは切り離して早く調査をして発表する、ヒアリングをして、必要な調査もして、その内容国会に公表すべきじゃないでしょうか。そうお思いになりませんか。もう一度、大臣
  137. 松永光

    松永国務大臣 先ほども申し上げましたけれども、五百五十名を一列にやっていくのではなかなか調査の内容をまとめ上げるのが時間がかかる、だから、重立った者というか、上の方を先に内部調査をしたらどうか、そういうアイデアも出していただきました。そのアイデアは、私は参考にしたいと思っておるわけです。  それからもう一つは、新聞によく名前が出たりあるいは週刊誌等に名前が頻繁に出るような人についても、これまたやや優先度を先にして調査を進めていかないといかぬな、そう思っておるところでありますが、そういう考え方で今実施しつつあります。  しかし、それが法律上どういうことになるかというそういう問題は、これは私どもの所管ではないわけでありまして、それは別のところでやっていただくとして、要するに、私どもがやっておるのは、国家公務員法あるいは人事院規則、これらに基づいての行政上の処分の対象になるかどうか、どういう処分をすべきかどうか、それをするための実は調査でありますから、その点は御理解願いたい、こう思うわけであります。
  138. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 ですから、そういう調査であれどうであれ、問題になっている人たち、あるいはこの間の委員会でも言いましたけれども、ここに答弁に出てこられるような皆さん方については早く発表しなければ、私たちも、国会審議としてもまともに進まないではないかということを重ねて申し上げておきたいと思うのです。  時間がありませんから、次に、中坊社長にお伺いをしたいと思います。  住専七社から譲り受けた債権、この資産の実際を調査をする中で、本来一次ロスとしてカウントされるべきものがかなりあった。先ほどもちょっとお話が出ましたけれども、その実態はいかなるもので、そしてそれをどう対処してきたのか、これからどう対処されていかれるのか、その辺のことについてちょっとお伺いさせていただきたいと思います。
  139. 中坊公平

    ○中坊参考人 確かに、既に申し上げておりますように、譲り受け価格の中に本来譲り受け価格として支払うべきもの以上のものがあったのではないかということは、当社といたしましても現場において指摘をいたしました。  そのことは、大きく分けまして二つに分かれておりまして、担保物件瑕疵があるのにその瑕疵を見逃して譲り受け価格の中に入っているのじゃないか。そのために、実態調査をいたしまして、一千億円は第一次損失に加算して処理していただくというふうにお願いいたしました。それだけすなわち譲り受け価格が下がったわけであります。  二つ目には、今度は信用に瑕疵がある。それには担保物件はないのだけれども、この会社収益力があって金を返していけるのだという主張のもとに、担保なしでいわゆる信用枠で認められておるものが、当方で計算いたしますと約七千億ございました。その中の一部がもう既に、十月一日に譲り受けた当時にはその信用がない、いわゆる不渡り等を出して既に倒産しておるのに信用があるとするのはやはりおかしいのではなかろうかという指摘をいたしました。  その分につきましての処理といたしましては、一応、先ほど言った四兆六千億の中の一部を特別枠にいたしまして、その額の最終的結末はこの法律の十五年先に決める。それまでの間、本来は、私をして言わしむればいわゆる疑似四分類に相当すべきものでありますから、そのお金も当社銀行から借りているわけですから、その借り入れの金利だけは払ってください、そのようなことで一応大蔵省とも私たちは合意いたしまして、そのような方法で解決をいたしております。  それでは、その七千億のうち幾らになったかということにつきましては、鋭意、我々の方といたしましては、預金保険機構を通じて具体的な案件ごとに検査を続けていただいておりまして、もう早晩、最終的な額が決まるものと考えております。
  140. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 もう一つお伺いしたいと思うのですが、旧住専七社とそれから母体行との関係関係者の責任ということにかかわって、この母体行の紹介融資の実態、その責任などの追及もなさっておられるようですけれども、その辺の母体行の責任にかかわるような実態といいますか、それに対してまたどう対処しておられるのか、その辺のことについてちょっとお聞かせください。
  141. 中坊公平

    ○中坊参考人 私は、このような場合、関与者責任と言っておるわけですけれども、それは大きく分けて三つの形態があると思っています。一つは、言葉はちょっとどうか知りませんけれども、いわゆるばば抜きと言われておる、劣悪なものを紹介したというばば抜き。それから二つ目には、極端に甘い経営の場合の経営者。そして最後に、先ほども出ておりますように、債務者財産を隠匿するのにまたお手伝いをする、このような隠匿責任に呼応している場合があるのではないか。  そもそも、そこの言葉で言うばばあるいは甘いとは一体何かというのを決めてかからなければいけない。それは、先ほども言っていますように、譲り受け価格が貸した金のいわゆる二割にも満たない、その担保物件がさらに実は値下がりしているわけですけれども、そういうような劣悪債権を紹介した場合、あるいは個々の案件の中において不公正だと思われるものとして報告された場合、あるいは当国会において審議された中で具体的な名前が出てきたもの等を集めました実態基準というものと二つの基準をもちまして、我々でそのための関与者責任追及弁護団をつくったところで、約半年ほどかかって調べ上げていただいたのが五千二百件ございました。  そして、その中においてやはり我々としては、最終的には法的責任を裁判所においても明らかにしないといけない。そうすると、単に劣悪債権を生じさせたというだけで法的責任が追及できるものかと考えました。そういうことの中から、その中においても不公正な関与の仕方がさらにある、劣悪の上に不公正な要素が入っている、あるいは経営者の甘いという中においては、それプラス、甘いというだけではなしにその甘さが背任的な要素を含んでおる、このような事案を選び出してきたわけでありまして、現在その総数は二百八十七件に及んでおります。そして、そのうち既にこの二月に八十何件をすべて、その相手方になられる方に我々として問い合わせをいたしております。やはり、相手方の言い分も聞かないと我々の決定はできないと思いまして、現在相手方の言い分を聞いておる、これが現在の状況であります。
  142. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 そういう実態をお聞きするにつけても、大蔵大臣住専処理のスキームというものに私たちは真っ向から反対でありました。六千八百五十億円も反対でありましたし、そして二次ロスが出た場合に、金融機関とそして政府、最終的には国民がこれを何か割り勘で負担する、そんなばかな方式はないということを申し上げてまいりました。今のこの中の実態を見ましても、やはりそういうやり方は正しくなかったということを私ははっきり申し上げておかなければならぬということを、大蔵大臣に、質問はしませんが、申し上げておきたいと思います。  そして、最後に、中坊社長さんにもう一点お聞きして終わりにしたいと思いますが、社長さんがお書きになったものの中でこういうことを言っております。「当社は、債務者に対して、全人生をもって贖ってもらう。死ぬまで追い求めることを回収のプロの第一歩と思っています。ただ、血も涙もない回収はしない。」ということも言っておられます。  私、こうして国会で仕事をしておりますと、最近、バブルの時期に銀行などの過剰融資を受けて、そして今、銀行がその決着をつけるためにということで血も涙もないような競売をかけられたりして、個人の財産が取り上げられて本当に困っているというような訴えがたくさん来ているわけです。これは銀行の方に貸し手の責任がある問題でありまして、銀行はけしからぬという立場で私たちはやっておりますが、この血も涙もない回収をしないという観点について、もちろん本当に悪い借り手がいっぱいいるわけですから、そういうのは本当に容赦なく追及すべきだと思いますけれども、そうでない例外もあるのではないかと思います。それに対する配慮は、こういうふうに言っておられますけれども、行き届いているのでしょうか。そのことについてちょっとお聞きをしておきたいと思います。
  143. 中坊公平

    ○中坊参考人 ただいまお尋ねの件に関しまして、当社がどのように対応しているかについて若干申し上げたいと思います。  まず私は、債務者を大きく分けまして、住宅ローンの債務者と事業者ローンの債務者に基本的に分けております。と申しますのは、今総計約二十万人ほどのあるいは二十万社の債務者がいらっしゃるわけでありますけれども、そのうち十七万人というのが実は住宅ローンの債務者であります。その二つをまず分けることを考えております。そして、住宅ローンというのは、庶民の方々がおうちをお買いになって、あるいは建てられて、そしてバブルの結果大変な、ある意味において実質上の被害者の一人でもあるかと思っております。そのような人と、先ほど言うように借りたものはもらったものだと考える業者とはやはり区別していかなければならない、これがあくまで基本であります。  そして同時に、そういう弱者というような人に対しましては、私は、そこの本にも書いてあるように、まさに血も涙もない回収はしないことが正しいのである。そういうことから、率直に言いまして、まず競売件数というのも、大体我々が握っておったものの一割程度しか現実にはいたしておりません。それよりも、みんなに申し上げますことは、そんな法的措置は味の素みたいなもので、ぱっと振りかけるみたいなものだ、だから、本当に取ろうと思うならやはり任意交渉、任意返済ですよと。やはり相手方に納得をしてもらって払うことが必要ではなかろうか、このように考えております。  そしてまた、私自身といたしましては、世の中でいろいろこのような債権回収するところで、これは住宅ローン、事業ローンに限らず、いろいろな不平不満あるいは疑問が出てこられる場合があるわけであります。私は、社長に就任して一つつくりました制度は、相談室というのを当社の中に設けました。そして、その件数に限ってだけは社長である私が全件見ることにいたしております。多い日には日に二十件ほどの件数が参ります。その一件一件について、私自身はそれに直接関与をいたしておりまして、それに対して指示をいたしておる、このようにしておるわけであります。
  144. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 ありがとうございました。終わります。
  145. 村上誠一郎

    村上委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。  この際、暫時休憩いたします。     午後零時十四分休憩      ――――◇―――――     午後八時五十三分開議
  146. 村上誠一郎

    村上委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  内閣提出平成十年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案法人税法等の一部を改正する法律案及び租税特別措置法等の一部を改正する法律案の各案を議題といたします。  各案に対する質疑は、去る十八日に既に終局いたしております。  これより各案を一括して討論に入ります。  討論の申し出がありますので、順次これを許します。衛藤征士郎君。
  147. 衛藤征士郎

    ○衛藤(征)委員 私は、自由民主党、社会民主党・市民連合を代表して、ただいま議題となっております特例公債法案を初めとする三法律案について、賛成の討論を行います。  まず、平成十年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案について申し上げます。  平成十年度予算は、財政構造改革法に従い編成され、前年度当初予算に対して一般歳出について五千七百五億円、一・三%の縮減を達成するとともに、公債減額一兆一千五百億円を実現するなど、財政構造改革のさらなる一歩が進められております。  その中で、特例公債につきましては、前年度当初予算における発行予定額から三千四百億円減額したものの、なお引き続き発行せざるを得ない状況にあります。本法律案は、このような極めて厳しい財政事情のもとで、十年度予算の財源を確保し、財政運営を適切に行うため、まさに必要不可欠なものであります。  次に、法人税法等の一部を改正する法律案について申し上げます。  本法律案におきましては、法人税の基本税率を三七・五%から三四・五%に引き下げることとしております。この水準は、戦後のシャウプ税制改革以降最低の水準であり、また、アメリカの連邦法人税率をも下回るものとなっております。加えて、中小企業に配慮し、軽減税率も二五%に引き下げることとしております。さらに、課税ベースについて、国際的な潮流を踏まえて適正化が図られております。  このように、本法律案は、公正、中立て透明性の高い法人税制を構築し、新規産業の創出や企業活力の発揮など経済構造改革の推進に資する観点から、極めて重要なものであると考えております。  次に、租税特別措置法等の一部を改正する法律案について申し上げます。  本法律案におきましては、まず、金融システム改革に迅速かつ適正に対応し、市場の活性化に資するため、金融関係税制について、有価証券取引税及び取引所税の税率の半減等を行うこととしております。  また、土地をめぐる状況や現下の厳しい経済情勢にかんがみ、土地住宅税制について、地価税の臨時的な課税停止、個人、法人の土地譲渡益課税の大幅な軽減、居住用財産の買いかえに係る譲渡損失の繰越控除制度の創設等を行うこととしております。  さらに、沖縄の経済振興や中心市街地の活性化に資する措置が講じられるとともに、阪神・淡路大震災の被災者等に対する支援措置なども盛り込まれております。  このように、本法律案においては、最近における金融経済情勢を踏まえ、経済社会の構造的な変化及び諸改革に対応するために、従来にない思い切った措置が講じられております。  以上、これらの三法律案はいずれも重要であり、法案の速やかなる成立を期待し、賛成の討論を終わります。(拍手)
  148. 村上誠一郎

    村上委員長 次に、中川正春君。
  149. 中川正春

    ○中川(正)委員 私は、民友連を代表しまして、平成十年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案法人税法等の一部を改正する法律案及び租税特別措置法等の一部を改正する法律案に対して、反対の立場から討論を行います。  まず、いわゆる特例公債法案について、反対する理由を申し述べます。  本法案では、予算総則に書かれた七兆一千三百億円の範囲内で特例公債を発行できることとしておりますが、景気対策のための思い切った減税を実施するということならまだしも、これまでの橋本内閣の政策判断の誤りや行政改革による歳出削減の不徹底の結果として、将来の世代へのツケ回しにつながることは極めて問題であります。  また、私どもは、従来型の公共事業を野方図に繰り返す効果しか生まない現在の建設公債と特例公債の区分そのものを見直すことを繰り返し求めてきたところであり、この意味からも、実行すべきことは、この特例公債法の制定ではなく、財政法の公債に関する規定改正であります。  厚生保険特別会計年金勘定からの七千億円の隠れ借金、年金会計全体の累積では約四兆五千億円にも上る隠れ借金の返済について、後日返すというだけで、期限と方法が具体的に明示されないという方策も強く批判されるべきであります。  次に、法人税法等改正案についてであります。  法人税の税率引き下げと課税ベースの適正化につきましては、その方向性は当然ですが、税率引き下げ幅は極めて不十分であり、欧米先進国並みに実効税率を思い切って四〇%に引き下げる措置が不可欠であります。政府の小出しの方策では景気対策の効果も得られないことは、このところの株価等の推移を見ても明らかであります。  また、基本税率や中小法人等の軽減税率を引き下げながら、大規模な生活協同組合等への特例税率三〇%をそのまま据え置いたことは不公平であります。  最後に、租税特別措置法等改正案についてであります。  私どもは、本法案のうち、土地流動化対策、沖縄経済振興、福祉・環境対策、阪神・淡路大震災被災者対策等につきましては当然の内容考えますが、その他の部分につきましては、住宅ローン等の減税を初めとして国民生活にかかわる減税が不十分であり、あるいは不適切と考えております。  自動車関係諸税の特例税率五年延長につきましても、暫定税率による安易な増収策を踏襲したことは問題であり、公共事業の重点化、効率化並びに自動車ユーザーなど納税者の立場から見直すべきとの声があることも事実であります。  また、既存の租税特別措置の整理合理化については、新設五件に対して廃止はわずか一件、企業関係租特見直しの増収額は約二百億円にすぎません。これこそまさに業界の既得権を保護し、経済構造改革に不熱心な政府・与党の本質を示すものであります。  以上、るる申し述べました理由から、民友連としては三法案のいずれにも反対であることを重ねて申し上げ、私の討論を終わります。(拍手)
  150. 村上誠一郎

    村上委員長 次に、石井啓一君。
  151. 石井啓一

    ○石井(啓)委員 私は、平和・改革を代表し、ただいま議題となりました法人税法等の一部を改正する法律案及び租税特別措置法等の一部を改正する法律案に反対する立場から討論を行います。  今国会におきます審議では、景気対策が大きな課題となりました。そもそも今日の我が国の景気悪化は、平成九年度にデフレ予算を編成し、消費税率引き上げ、特別減税の廃止、医療保険料の自己負担引き上げで国民に九兆円の負担増を強いて、個人消費を全く冷え込ませてしまった結果であります。  それにもかかわらず、橋本内閣は、昨秋成立させた財政構造改革法に縛られて、平成十年度予算案として大変な緊縮予算を提出してまいりました。現今の厳しい景気状況を直視しない硬直的予算編成であり、景気対策上落第の予算と言わざるを得ません。  私どもは、大幅な減税を含む景気対策の要求を繰り返し行ってきましたが、橋本総理を初め各閣僚は、あくまでも当初予算が最善との主張を変えませんでした。しかし、一方で与党幹部は、次々と五月雨式に、六兆円補正、十兆円経済対策、アナウンスなき政策転換と発言し、果ては当初予算成立直後の補正予算にまで言及するなど、国会外で補正予算編成の流れをつくっております。補正予算に言及すれば当初予算の修正を迫られることを恐れ、政府が口をつぐんでいる一方で、与党に役割分担をさせ、アナウンスをさせる、こういったやり方は全くの国会軽視であり、極めて遺憾であります。  橋本内閣は、メンツを捨ててでも当初予算の修正に応じ、明確な景気対策を打ち出すべきであったことを強く申し上げます。  平和・改革の平成十年度予算に関する組み替え要求のうち、税制に関するものは、まず総額六兆円を超える規模の大幅減税の実施であります。具体的には、税率構造の緩和、諸控除の見直し等による二兆円を超える規模の所得税減税、四兆円規模の法人税減税、有価証券取引税、取引所税の撤廃などであります。  さらに、少子化対策として、就学前児童を特定扶養親族に追加する子育て減税の実施であります。  私どものこの予算組み替えの観点から、今回の法案の中身に言及をいたします。  法人税については、税率を引き下げ、地方税である法人事業税の税率引き下げと相まって、表面税率を四九・九八%から四六・三六%に引き下げております。しかし、景気対策からの観点に加え、現行の厳しい企業の事業環境を整える、国際的な税率水準に合わせるとの観点から、表面税率を四〇%程度引き下げることが必要と認識しております。したがって、今回の法人税率の引き下げは、私どもの考える法人税改革と比べると大変中途半端と言わざるを得ません。  また、租税特別措置については、地価税の停止、土地等の譲渡益課税の軽減などは評価できるものの、有価証券取引税、取引所税は直ちに廃止し、株式取引の活性化を図るべきであり、今回の税率半減はやはり中途半端と言わざるを得ません。  なお、平成十年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案については、平成十年度予算において特例公債発行がやむを得ない状況であることを勘案し、賛成をいたします。  我が国の構造改革のためには税制の改革が不可欠であり、その意味で、今回の税制改正は、その方向としては一部評価できるものがあるものの、全体的には抜本的改革にほど遠い内容であります。  一日も早く大幅な減税を実施し、景気対策に万全を期すことを重ねて求め、討論を終わります。(拍手)
  152. 村上誠一郎

    村上委員長 次に、小池百合子君。
  153. 小池百合子

    ○小池委員 私は、自由党を代表し、法人税法等の一部を改正する法律案並びに租税特別措置法等の一部を改正する法律案に反対する立場から討論をする前に、今回の日銀総裁、副総裁の任命手続における大きな瑕疵について強く抗議をいたします。我が国が法治国家である限り、法律は厳正に解釈されるべきものと考えます。  さて、両法律案に反対する最大の理由は、ともに、我が国が現在そして将来必要とする抜本的構造改革とはほど遠く、これまでも橋本政権がとってきた小手先で小出しの対応にすぎないからであります。  法人税改正では、減収額は初年度八千百九十億円、課税ベースの拡大により実質三千二百六十億円の減税でしかありません。  自由党は、かねてより、連結納税制度を導入し、法人関係税の実効税率を一〇%引き下げ、四〇%とすることを主張してきました。産業界からも同様の要望が出ておりますが、グローバル化が加速する経済状況にあっては当然のことであります。少子・高齢化社会において、民間活力が最大限に発揮され、世界経済とも調和のとれる税体系の構築が急がれています。そのためには、課税ベースの適正化もさることながら、国、地方をあわせた体系的な税制、行政、財政の構造改革が必要です。これこそが真の税・財政構造改革であります。  法人課税とのバランス、グローバルスタンダードとのイコールフッティングを考慮し、所得税、住民税の最高限界税率を五〇%に引き下げ、税率の簡素化、フラット化を初めとする六兆円規模の大幅減税を断行すべきであります。  金融関係税制についても、我が国証券市場の空洞化を防ぎ、活性化を図るのが目的であれば、我々がかねてから主張しているように、有価証券取引税、取引所税は直ちに全廃とするべきであります。特に、有価証券取引税、取引所税は、キャピタルゲイン課税とあわせ、今後見直すとのことですが、本年四月一日から改正外為法が施行され、金融ビッグバンの第一波が始まるというのに、このような悠長な構えでは間に合うわけはありません。  また、阪神・淡路大震災への対応も、いまだ不十分であります。  橋本政権に決定的に欠けているのは、シビアな現状認識と真の将来展望優先順位設定への手順、スピード感、責任の徹底追及、そして何よりも、みずからの政策ミスが今日の悲惨な経済状況をもたらしたという自覚であります。  景気認識を誤り、九兆円もの国民負担増を強行したかと思うと、突如季節外れの特別減税を行う。また、財政構造改革法を委員長の大立ち回りで無理やり通してみずからの手足を縛っておきながら、わずか数カ月で修正の声が与党内で上がる。みずから胸を張って削った公共事業費についても、選挙対策の一環としてか、大盤振る舞いが行われようとしています。これを支離滅裂のマッチポンプと言わずして何と申せましょう。すべて手順の間違い、政策の間違いです。  また、これまで税収中立を盾に法人税率等の引き下げにかたくなな姿勢を貫いてきた大蔵省の役割とは一体何だったのでしょう。  最後に、九七年度の国内総生産が第一次石油ショック以来二十三年ぶりに実質マイナス成長を記録することが確実となった今、これまでの甘い現状認識を前提として計算された新年度予算にもはや整合性はありません。ましてや、本予算案を最善のものと繰り返しながら、一方で事実上の補正予算案を口々に唱えるなど、支離滅裂もきわまれりといった様相を呈しています。  一刻も早く、これまでの失政を悔い改め、総責任者である橋本総理がみずから責任をとって退陣されることが、むだな出費を伴わない最大の景気対策であることを強く主張いたします。  なお、平成十年度における財政運営のための公債の発行の特例に関する法律案は、自由党の主張に沿うものであり、賛成いたします。  以上、両法案に反対する理由を申し述べ、私の討論を終わります。(拍手)
  154. 村上誠一郎

    村上委員長 次に、佐々木憲昭君。
  155. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となりました内閣提出の九八年度財政運営のための赤字公債発行の特例等法案法人税法等の一部改正案租税特別措置法等の一部改正案の三法案に対し、反対の討論を行います。  まず最初に、九八年度財政運営のための赤字公債発行の特例等法案についてです。  本法案に反対する第一の理由は、大企業への減税実施等のため、赤字国債の削減を政府自身の目標の約四分の一の三千四百億円にとどめ、七兆円を超える赤字国債の発行を認めていることです。  もともと赤字国債の発行は財政法に真っ向から違反しています。にもかかわらず、歴代の自民党政府は、建設国債とともに莫大な発行を続け、今日の深刻な財政危機を招きました。その責任は重大です。九八年度もゼネコン向け公共事業や軍事費などの浪費の構造を改めず、巨額の赤字国債を発行して、二〇〇三年度までに赤字国債発行をゼロにするという政府みずから決めた目標すら困難にしました。これが財政赤字をさらに膨らませ、ツケを国民に回すことになるのは必至です。その一方で、財政構造改革法に沿って、社会保障、教育、中小企業対策など、国民生活関連予算切り捨てが強引に進められています。これは二重の意味で許しがたいものです。  第二に、四年連続繰り延べ、残高だけで二兆六千億円を超す厚生年金への国庫負担の繰り延べなど、隠れ借金で当面をごまかしたことです。国庫負担を先送りすることは、結局、膨大な利子を含め、将来の国民負担増を招くことになることは必至です。  次に、法人税法等の一部改正案についてです。  本法案に反対する第一の理由は、法人税の基本税率を三%引き下げで戦後最低の三四・五%にし、法人税だけで差し引き三千三百億円もの実質減税を行うからです。  これは、先に税率引き下げありきとする財界の主張に屈したもので、恩恵を受けるのは専ら大企業であり、中小企業にはほとんど回りません。減税しても、大企業の内部留保積み増しか海外投資に向かうだけで、内需拡大に効果がありません。  一方、法人税率引き下げの見返りに三十三年ぶりに行う課税ベースの適正化は、引当金の縮小、廃止など、我が党が一貫して批判してきた大企業優遇措置について一定の是正をするものではあります。しかし、受取配当益金不算入、外国税額控除など国際課税制度、租特法の各種準備金、特別償却制度など、大企業優遇措置にはメスが入っていません。  政策減税としてのいわゆる教育減税の拡充、特別障害者の障害者控除、寝たきり老人を持つ世帯の扶養控除、通勤手当の非課税限度額引き上げなどについては、部分的措置とはいえ賛成です。しかし、我が党が要求していた二兆円の所得減税の恒久化を見送り、一時的な特別減税でお茶を濁していることは許せません。  以上の理由で、大企業減税を中心とする法人税法等改正案には反対です。  最後に、租税特別措置法等の一部改正案についてです。  本法案に反対する第一の理由は、本法案が、市場活性化と日本版ビッグバン対応を口実に、有価証券取引税等を半減して撤廃方向を打ち出す一方で、株式譲渡益課税を金持ち優遇のまま温存、銀行持ち株会社の設立促進税制やストックオプション税制の本格化などを盛り込んだ金融・証券税制の大幅改正が、同業界等の要求にこたえた大企業、金持ち優遇の不公平税制の拡大にほかならないからです。  第二に、景気てこ入れ等を口実に、地価税の課税停止、法人の土地譲渡益追加課税の全面的取りやめ、事業用資産の買いかえ特例の大幅緩和など、バブル以前の水準に戻すことを主眼にした土地税制の抜本見直しは、土地流動化につながる保証もなく、バブルを引き起こした大企業、大銀行負担軽減、救済だけをねらったものです。譲渡損失の繰越控除創設など住宅税制も、専ら金持ち優遇のそしりを免れません。  第三に、廃止が一件にとどまるなど企業関係特別措置にはほとんど手をつけない一方で、CP、コマーシャルペーパーの軽減税率の適用拡大、中部国際空港建設推進など、大企業優遇となる措置も拡大していることです。七十八兆円もの五カ年計画とセットに道路建設の自動膨張装置、道路特定財源制度を温存していることも容認できません。その一方で、中小企業の交際費課税を強化しています。  阪神・淡路大震災の被災者対策、福祉・環境対策などの一定の税制措置、沖縄経済振興のための思い切った措置などには賛成です。中心市街地活性化税制は、大店法廃止の見返り措置とはいえ、それ自身には賛成します。  以上、租税特別措置法等改正案には、一部賛成できる内容もありますが、全体として大企業優遇を強めるものであり、反対することを表明し、私の三法案に対する反対討論を終わります。(拍手)
  156. 村上誠一郎

    村上委員長 これにて討論は終局いたしました。     ―――――――――――――
  157. 村上誠一郎

    村上委員長 これより採決に入ります。  まず、平成十年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  158. 村上誠一郎

    村上委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  次に、法人税法等の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  159. 村上誠一郎

    村上委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  次に、租税特別措置法等の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  160. 村上誠一郎

    村上委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     ―――――――――――――
  161. 村上誠一郎

    村上委員長 ただいま議決いたしました法人税法等の一部を改正する法律案及び租税特別措置法等の一部を改正する法律案に対し、坂井隆憲君外四名から、自由民主党、民友連、平和・改革、自由党及び社会民主党・市民連合の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨説明を求めます。谷口隆義君。
  162. 谷口隆義

    ○谷口委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、案文を朗読し、趣旨説明といたします。     法人税法等の一部を改正する法律案及び     租税特別措置法等の一部を改正する法律     案に対する附帯決議(案)   政府は、次の事項について、十分配慮すべき  である。  一 現下の厳しい経済・財政の現状にかんが   み、財政構造の改革に努めるとともに、歳入   の根幹をなす税制に対する国民の理解と信頼   を確保する観点から、所得課税のあり方等を   含め、引き続き、検討すること。  一 企業活力の一層の活性化や新規産業の創出   等を促す観点から、国・地方を通じた法人の   税負担のあり方について、引き続き、検討を   行うこと。  一 租税特別措置については、政策目的、政策   効果、利用状況等を勘案しつつ、今後とも一   層の整理・合理化を推進すること。  一 変動する納税環境、業務の一層の複雑化・   国際化・情報化、更には制度改正等に伴う事   務量の増大にかんがみ、複雑・困難であり、   かつ、高度の専門知識を要する職務に従事す   る国税職員について、税務執行面における負   担の公平確保の見地から、職員の年齢構成の   特殊性等従来の経緯等に配慮し、今後とも処   遇の改善、定員の確保及び機構・職場環境の   充実に特段の努力を行うこと。  一 高度情報化社会の急速な進展により、経済   取引の広域化・複雑化が進む状況下で、従来   にも増して税務執行体制の整備が求められる   ことから、事務の一層の機械化促進に特段の   努力を行うこと。以上であります。  何とぞ御賛成賜りますようよろしくお願い申し上げます。
  163. 村上誠一郎

    村上委員長 これにて趣旨説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  164. 村上誠一郎

    村上委員長 起立多数。よって、両案に対し附帯決議を付すことに決しました。  本附帯決議に対し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。大蔵大臣松永光君。
  165. 松永光

    松永国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても、御趣旨に沿って配慮してまいりたいと存じます。     ―――――――――――――
  166. 村上誠一郎

    村上委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました各法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  167. 村上誠一郎

    村上委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――     〔報告書は附録に掲載〕     ―――――――――――――
  168. 村上誠一郎

    村上委員長 次回は、来る二十四日火曜日午前八時四十五分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後九時十八分散会      ――――◇―――――