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1998-02-06 第142回国会 衆議院 大蔵委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十年二月六日(金曜日)     午後零時三十六分開議 出席委員   委員長 村上誠一郎君    理事 井奥 貞雄君 理事 衛藤征士郎君    理事 坂井 隆憲君 理事 浜田 靖一君    理事 池田 元久君 理事 北橋 健治君    理事 石井 啓一君 理事 谷口 隆義君       今村 雅弘君    岩永 峯一君       大石 秀政君    鴨下 一郎君       河井 克行君    古賀 正浩君       桜田 義孝君    杉浦 正健君       砂田 圭佑君    竹本 直一君       中野 正志君    根本  匠君       宮路 和明君    村井  仁君      吉田六左エ門君    渡辺 具能君       渡辺 博道君    渡辺 喜美君       岩國 哲人君    上田 清司君       島   聡君    末松 義規君       中川 正春君    日野 市朗君       赤松 正雄君    河合 正智君       並木 正芳君    西川 知雄君       若松 謙維君    一川 保夫君       小池百合子君    鈴木 淑夫君       西田  猛君    佐々木憲昭君       佐々木陸海君    濱田 健一君  出席国務大臣         内閣総理大臣  橋本龍太郎君         大 蔵 大 臣 松永  光君  出席政府委員         経済企画庁調整         局長      塩谷 隆英君         大蔵政務次官  中村正三郎君         大蔵大臣官房長 武藤 敏郎君         大蔵大臣官房金         融検査部長   原口 恒和君         大蔵大臣官房総         務審議官    溝口善兵衛君         大蔵省主計局次         長       藤井 秀人君         大蔵省主税局長 尾原 榮夫君         大蔵省理財局次         長       妹尾喜三郎君         大蔵省証券局長 長野 厖士君         大蔵省銀行局長 山口 公生君         大蔵省国際金融         局長      黒田 東彦君         国税庁次長   船橋 晴雄君         国税庁課税部長 乾  文男君  委員外出席者         総務庁行政監察         局監察官    伊藤 孝雄君         建設省道路局日         本道路公団・本         州四国連絡橋公         団監理官    松井 邦彦君         参  考  人         (日本銀行秘書         役)      村上  堯君         大蔵委員会専門         員       藤井 保憲君     ――――――――――――― 委員の異動 二月六日  辞任         補欠選任   根本  匠君     竹本 直一君   村井  仁君     古賀 正浩君   北脇 保之君     島   聡君   藤田 幸久君     岩國 哲人君   赤松 正雄君     若松 謙維君   並木 正芳君     西川 知雄君   鈴木 淑夫君     一川 保夫君 同日  辞任         補欠選任   古賀 正浩君     村井  仁君   竹本 直一君     根本  匠君   岩國 哲人君     藤田 幸久君   島   聡君     北脇 保之君   西川 知雄君     並木 正芳君   若松 謙維君     赤松 正雄君   一川 保夫君     鈴木 淑夫君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  預金保険法の一部を改正する法律案内閣提出  第一号)  金融機能安定化のための緊急措置に関する法  律案内閣提出第二号)      ――――◇―――――
  2. 村上誠一郎

    村上委員長 これより会議を開きます。  開会に先立ちまして、民友連自由党及び日本共産党所属委員出席を要請いたしましたが、いまだ出席がありません。  再度理事をして出席を要請いたしますので、しばらくお待ちください。  速記をとめてください。     〔速記中止
  3. 村上誠一郎

    村上委員長 速記を起こしてください。  理事をして再度御出席を要請いたさせましたが、民友連自由党及び日本共産党所属委員の御出席が得られません。やむを得ず議事を進めます。  内閣提出預金保険法の一部を改正する法律案及び金融機能安定化のための緊急措置に関する法律案の両案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。浜田靖一君。
  4. 浜田靖一

    浜田(靖)委員 自由民主党の浜田靖一でございます。この大蔵委員会で初めての質疑をさせていただくわけでございますので、どうぞよろしくお願いをいたします。  既に今国会において御議論されているように、我が国金融システムに対する内外の信頼が揺らぎ、信用秩序国民経済に重大な影響が懸念されるという事態に至っております。これが日本発金融恐慌となって世界じゅうに広がるかどうかは、まさに我が国金融システムに対する信頼を盤石なものとすることにかかっておるわけであります。  では、我が国金融システムに対する信頼はどのようにすれば獲得できるかと申しますと、ただ信頼しろと言ってもだめであります。これは我々政治家にとっても同様であり、これまで、信頼を得るため、公正な選挙という適正な手続と資産公開を行うなどのディスクロージャーを行って、我が国民主主義基盤を確固たるものとしてまいりました。そして、一度信頼を失えば政治家政治生命を失うのであります。金融も全く同じであります。  今般の政府・与党の金融関連二法においては、預金者保護重要性について議員各位はどのようにお考えでしょうか。  我が国は、大競争時代を迎えるに当たり、自己責任原則市場原理に基づく世界に入っていこうとしております。ただし、金融機関ディスクロージャーが不十分な現在、急激にこうした世界に入ることは国民各位に多大な不安を与えることになります。預金に対する信頼が失われた場合に、世の中で一体どのようなことが起こるでしょうか。想像するだに恐ろしいことであります。  ここで重要なのは、市場原理に基づき、金融機関ディスクロージャー充実を急ぐことであります。そして、ディスクロージャーの過程で明らかとなった経営内容は、市場原理に従って定められる明確な破綻処理基準に照らして、速やかにかつ適切に処理すべきであります。  金融システムに対する信頼を取り戻すため、市場原理に基づき、市場から退場すべき金融機関はこれまで同様速やかに破綻させ、そして、破綻した金融機関については厳格な責任追及を行わなければなりません。それは大競争時代に至るための当然のルールであります。  ただ、この際、公的資金を用いても、国民基本的な貯蓄手段である預金安全性を確保するとともに、一生懸命働いている借り手は保護しなければなりません。なぜなら、預金者保護こそは金融システムの安定の基本であり、いたずらに風評等預金者に動揺を与えることは最も防がねばならないからであります。  金融システム国民経済の動脈とも言える基盤をなすものですが、信用を根幹としており、自由主義経済においては、時としてさまざまな理由により信用不安が広がるという危険性を本来的に内包しております。したがって、国際的な自由主義経済における金融システムが何よりも求められているのは、自己責任原則市場原理に基づく、だれの目にもわかるような、透明で、努力した人がその分だけ見返りを得るという公正なルールであります。  なお、一部に金融機関保険料を引き上げて対応すべきとの主張が見られますが、既に平成八年度から七倍に引き上げ、これ以上の引き上げは健全な金融機関経営に対して負担が大きくなり、日本金融システム世界のマーケットの中で弱くすることになってしまいます。  また、金融機関自己資本充実させて金融システム安定化を図る方策は、自己責任原則市場原理に基づき、個別金融機関を救済することのないよう、我々国民代表者たる国会議員が全幅の信頼を与えるに足る公正中立審議委員が厳正に審査して運用することとなっており、民主主義国家において、危機管理を図る上で必要な調整を図った巧みな仕組みだと考えております。  こうした措置により、今後日本版ビッグバンを進めていく上での基盤がより強固なものになるとともに、金融が本来の役割である資金供給機能の回復に資するものと考えます。現在、この金融不安を払拭することは、日本のため、またアジア世界経済の安定のため、大蔵大臣に課せられたまさに待ったなしの責務であると考えます。  最後に、ごく簡潔で結構でございますので、今回の金融システム安定化にかける大臣の決意をお伺いして、私の質問とさせていただきます。
  5. 松永光

    松永国務大臣 浜田委員お答えいたします。  今委員申されましたことは、私どもすべてこれは同感でありまして、金融システム安定のために全力で頑張っていくことが私の務めでございます。その務めをしっかり果たして、我が国経済の安定を図り、ひいてはアジア世界経済の安定にも貢献していかなきやならぬというふうに思っております。  全力を傾けて金融システムの安定のために頑張っていきたい、こう思っておりますので、よろしくひとつ御指導のほどをお願いします。
  6. 浜田靖一

    浜田(靖)委員 終わります。
  7. 村上誠一郎

  8. 若松謙維

    若松委員 新党平和を代表して、衆議院議員若松謙維質問をさせていただきます。  まず、松永大臣、同県人の選出国会議員として、御就任、心よりお喜び申し上げます。ただし、大変厳しい状況の御就任というのは、この十日間、御本人がだれよりも認知しているところだと思います。  そういう中、今この金融法案並びに予算関連法案に関しまして、さまざまな政治家がさまざまな立場から、かなり勝手なことが出回っている、そんな状況であります。  まず、本題の質問に入る前に、けさの毎日新聞ですけれども、野中議員がいわゆる六兆円減税構想、二年後または三年後に定額郵便貯金が集中的に満期を迎えるということで、そこで源泉徴収税が約六兆円見込める、これをぜひ減税財源にしてはどうかという御意見がありましたけれども、財政当局責任者としての松永大蔵大臣、それについてどのように御認識されていますか。
  9. 松永光

    松永国務大臣 お答えいたします。  その前に、励ましとお祝いの言葉をいただきましてありがとうございました。  御質問に対するお答えでございますが、自民党には日本経済の現状を憂えていろいろな意見を発表する方がいらっしゃいます。その意見一つとして私も新聞紙上等で承知しておるわけでありますが、ただ、その意見については、まだ正式の場で議論されたことはないのです。個人的に意見を述べ合っているという状況であります。  その中で、二年後、三年後に入ってくるであろうという郵貯の利子に対する税金、これを財源として平成十年度に使えないかという御意見のように野中さんの話は新聞で私は見ました。  しかし、財政当局としては、本年度の財源になるのは、税目ごとに厳しく積み上げてきた、それが財源になるわけでありまして、二年後、三年後の不確定なものがたくさんあるようなものについて、それを本年度の財源にするということは非常に困難ではなかろうかというふうに私は考えておるところでございます。
  10. 若松謙維

    若松委員 その考えは私の考えと一致しております。いわゆる先食い的な減税政策が無責任な形で出るのは好ましくないと思っております。やはり行革を断行して、それが財源になるのがいわゆる財政構造改革につながるのではないか、それが回り回って経済改革にもつながる、そういう認識をぜひこれからも持っていただきたいと思っております。  そして、この金融法案に入る前に、今世の中が、特に金融検査あり方、また公務員倫理あり方について議論が集中しております。やはりこれにどうしても触れないと二法案に入れませんので、これをまずやらせていただきたいと思います。  まず、昨年の十二月二十四日ですか、これも決算行政監視委員会議論になった行政監察の結果報告書、これをずっと読んでいきましたところ、この行政監察勧告の中にこう書いてあるのです。自己責任原則の徹底を基本とした透明性の高い金融システム金融行政を構築していく観点から、検査結果の公開のための基準の設定、明確化など、公開内容のさらなる充実を図るための措置を検討する必要がある、こうされております。  ですから、検査は私たちの自由裁量でやればいいんだという認識は、今の国民感情時代情報化流れから全く孤立しているわけでありまして、ぜひともこの検査内容は、支障がない範囲内で積極的に検査結果の公表を検討していくべきだと考えまずけれども、大臣、お考えはいかがですか。
  11. 原口恒和

    原口政府委員 御指摘のように、総務庁行政監察結果に基づく勧告においても、検査についていろいろ情報公開するようにという御指摘をいただいております。  たびたび申し上げておりますように、個別の金融機関等検査結果をそのまま公表するということについてはいろいろな問題がございますが、一方で、金融検査に対するいろいろな情報というものをお示しして検査に対する皆さん理解を得ていくということも重要だと考えておりますので、この点については、今やっております検査の抜本的な見直しの中で今後検討していきたいというふうに考えております。
  12. 若松謙維

    若松委員 検討されるということですので、いつごろまでに一つ報告が出ますか。
  13. 原口恒和

    原口政府委員 金融検査あり方につきましては、特に本年の四月からの早期是正措置導入に合わせて、いわゆる自己査定というものを導入した事後的なチェックに移行することを考えております。それに合わせていろいろなことを今見直しておりますので、逆に言いますと、その早期是正措置の実施までにはある程度の考え方をまとめていきたいというふうに考えております。
  14. 若松謙維

    若松委員 大臣も同じお考えでよろしいですか。
  15. 松永光

    松永国務大臣 お答えいたします。  今検査部長が御答弁申し上げたとおりでございます。
  16. 若松謙維

    若松委員 恐らく、その早期是正前というところですけれども、基本的に自己査定というのはスケジュール的には五月、六月あたりがピークになると思いますので、その前後と私は理解しました。  それでは、今、自己査定というお話ですけれども、私も実は公認会計士ですから、銀行監査した経験がございます。そして、監査立場から、蔵検ですね、大蔵省検査報告書をぜひ見せてくれと言ったら、これはだめです、見せることはできませんということで、非常に機密性が高い。非常に自分勝手にやって、後は文句言われないようにもう出さない、そういう体験を私はずっとしてまいりました。  そういうことをやめようということで、これから検査事前通告とか、またはいわゆる自己査定ですか、それを公認会計士チェックさせる。それはいいんですけれども、検査部としても、そういう制度に一挙に持ってきちゃうと、果たして会計士だけのチェックで大丈夫なのかなと恐らく心配も持っていらっしゃると思うんです。  そういったことを考えると、先進国のアメリカ、カナダ、ドイツ、そしてイギリス等、いろいろと試行錯誤しながら今検査充実強化を図っているわけですけれども、私がちょうどイギリスにいたときに、レポーティングアカウンタントという制度があるんですね。それは何かといいますと、あそこは、監督当局英国銀行ですので、英国銀行スーパービジョンという監督部門が、いわゆる検査部門銀行に行きます。それでチェックをします。さらに、報告会計士レポーティングアカウンタントというのも銀行監査します。そして、それぞれの出た報告書をさらに銀行と合わせて、三者協議という形でお互い情報交換をして、それで最善の策を得る。  やはりそういう協調体制というか、今、検査部検査が絶対かというとそうでもない、会計士検査が絶対かといえばそうでもない、そういった状況だからこそ、そういう協議をベースにした監査検査体制に持っていくべきだと私は思いますけれども、大臣、お考えはいかがですか。
  17. 原口恒和

    原口政府委員 御指摘のように、金融検査と、これに関係するいわゆる公認会計士方々等外部監査、この連携というのは極めて大事だと思っております。そういうことで、今回実施します早期是正措置導入後におきましては、基本的にまず自己査定をやっていただく、それから外部監査を活用してまず銀行なりそういうところのチェックをやっていただいて、ただ、やはり我々としては銀行法上の検査義務もございますので、それをまた、ちゃんとできているかどうかを検査で事後的にやっていくというふうな形をとりたいと思っております。  また、今回、早期是正措置導入に当たりましては、今まで確かにそこら辺の連携がやや不明確でありました引き当て、償却の会計基準やり方と、自己査定、それから検査分類額関係についても、公認会計士協会等皆さん協議をいたしまして、統一的にルールを定めるというふうなこともやっております。  それからまた、諸外国、いろんな例がございます。各国の成り立ち、いろんな相違はございますけれども、我々、今後金融検査あり方を見直す上で、やはり諸外国のいいところはどんどん取り入れたいと思いますし、きのうも総理からも御説明しましたように、例えば検査官人材交流というようなことも進めていきたいというふうに考えております。
  18. 若松謙維

    若松委員 検査部の方に聞きたいんですけれども、検査部一つの調査結果と、あと外部監査としての公認会計士の結果の、協議というんですかすり合わせというんですか、それは具体的にやるお考えはおありですか。
  19. 原口恒和

    原口政府委員 会計士方々とのいろんな意見交換はやっていきたいと思いますが、個別の銀行検査に当たっては、やはり今の流れでは、自己査定をまずやっていただく、それを公認会計士なりに外部監査をしていただく、最終的にはそれを事後的に検査チェックをするという形が一般的な形かなというふうに考えております。
  20. 若松謙維

    若松委員 大臣、これは実務の話でなかなかおわかりにくいと思うんですけれども、正直言って、検査部検査も今限界に来ているわけですよ。そこら辺はこれからもさらに浮き彫りに出ます。それで会計士も、大蔵省、どちらかというと証券局のかなりの縛りがありまして、不適正を出したくても出せないような、そういう圧力がある。  そういう状況だからこそ、これはともに協議をして、お互い情報不足を、しっかり徹底して、それをディスクロージャーに反映するという形をとらないと、これだけの金融激変、厳しい状況では間に合わないと私は思うんですけれども、大臣、御所見をいただければ。
  21. 松永光

    松永国務大臣 今の検査部長の話を聞いておりますと、公認会計士の方の銀行に対する検査の結果等を後で検査部の人が見てチェックするということを通じて、公認会計士検査とそして検査部検査とがある程度照合されるという結果になるような感じを私は持ちました。公認会計士検査、そして検査部検査、それをわざわざ突き合わせるということじゃなくして、公認会計士検査を拝見させてもらって、そしてそれを検査部の方がチェックするという形を先ほど検査部長は言ったような感じがするんですが、そこら等を通じて、委員指摘のようなことに徐々に近づいていくような感じを私は持ちました。
  22. 若松謙維

    若松委員 英国の場合には、先ほどの報告会計士が期中においてずっと当然不良債権も見て、期末時点も見て、その出た結果を英国銀行検査部とすり合わせるということなんで、非常にタイムリーなんですよ。  ところが、恐らく検査部お話は、とりあえずそれで公認会計士監査を終わらせておいて、後でチェックしょうというお考えだと思うんですね。それじゃこの時代には間に合わないんですよ。それをどうするんですかと聞いているんです。
  23. 原口恒和

    原口政府委員 御指摘のような英国的なやり方というのも一つの手法だと思いますが、英国の場合には、実地の検査というよりはむしろ制度そのもの外部検査ということを主体にしているという問題もございます。日本の場合、例えば、恐らく先ほど先生の御指摘にあったような人員等の問題で、すべての決算期にすべての検査官を割けないというような問題もございます。そういうところの問題等も考慮する必要があるのかなと思います。  ただ、いずれにしても、公認会計士皆さん方との検査体制連携ということは非常に大事な問題だというふうに認識をしております。
  24. 若松謙維

    若松委員 大臣大臣検事出身でそちらの方でしょうけれども、ぜひこれも関心を持っていただいて、前向きな、かつタイムリーな連携関係というものをおつくりいただきたいと念願する次第です。  それでは、先ほどの、同じ行政監察の結果報告書にこういうくだりがあるんです。同一銀行に対する示達が、いわゆる検査報告書ですね、示達前回示達事項同一種類のものがおおむね半分あり、中でも資産内容内部管理に関する重要事項改善が繰り返し指摘されている、こう記載されております。  要は、幾ら従来の蔵検チェックしてそれを指摘しても結果的に改善されていない、これはどういうことなのか。銀行から見れば、先ほどの天下り等も実際出ているわけですから、もうなあなあで、蔵検報告はわかりました、お聞きしておきます、それで終わっているのではないか。  例えば私も、先ほど昔の話をして恐縮ですけれども、銀行に対して監査して、いろいろな問題点指摘します。とにかく、可能な限り、もう翌年で改善になり、遅くて二年。ところが、今の蔵検は三、四年に一回ですよね。それでも半分は改善されていないということなんで、これが現在のいろいろな不祥事を起こしたなれ合い検査の実態だと思うんですけれども、大臣、どうお考えですか。
  25. 原口恒和

    原口政府委員 総務庁行政監察結果において、そういう御指摘は受けております。  このような指摘を受けた背景としましては、やはりバブル経済崩壊影響もございまして、ここ数年、前々回の検査に比べても、やはり前回検査において資産内容が急激に悪化しているケースが多いことは事実でございます。  そういう意味で、特に資産内容改善とか不良債権早期回収に努めることとかということが繰り返しの表現になっているというケースはかなり多いと思いますが、すべての銀行、一種のこれは総括的なまとめでございますから、前回に比べて全く改善がなされていなくてそういう指摘になったというケースもありますし、いろいろな意味で、償却なりそういうことに努めたけれども、さらに悪化をしてやはり同じことを言わざるを得なかったケースもありますので、行政監察結果に指摘されているような同じ項目を言ったから何も直っていないということばかりではないということも御理解をいただきたいと思います。
  26. 若松謙維

    若松委員 今、検査部の方がそうおっしゃいましたけれども、さらに先ほどの行政監察報告書の中にこういうくだりもあります。不祥事等にかかわる内部管理についての改善が繰り返し指摘されていると。これは大事な点だと思います。今まさに問題になっている不祥事にかかわる内部管理、これは蔵検としてもう何度も指摘しているわけですよ。改善が繰り返し指摘されている、裏を返せば、改善されていないのですよ。  行政監察、いらっしゃいますか。これは事実ですよね、この表現は。
  27. 伊藤孝雄

    伊藤説明員 お答えをさせていただきます。  文章表現としては先生指摘のとおりでございますが、私ども、特に大蔵省の本省なり財務局の検査の事例、四十八事例調べまして、その中で内容的に繰り返されている内容という意味では、資産内容内部管理収益力強化等ということでありますが、大蔵省の直接のあれについて、不祥事の例も確かにありますけれども、データ的には、全部が全部そうだということではございません。     〔委員長退席、浜田(靖)委員長代理着席〕
  28. 若松謙維

    若松委員 やはり官僚同士の皆さんだと、かばい合う答弁になってしまうのですよね。これはちょっとやらない方がよかったですね。でも、指摘はあったということは事実なわけですね、行政監察の方。あったということですね。  大臣、これはやはり重視していただきたいと思うのです。今回のこの不祥事等指摘に対して、かなり緊張したリアクションがそれぞれ検査部、さらに銀行になかったから、こういう金融危機を招いた大きな要因になっているのではないかと思いますけれども、大臣、どういうお考えですか。
  29. 原口恒和

    原口政府委員 先ほど、やや弁解めいた御説明だけをいたしましたが、特に内部管理の問題、これは銀行不祥事というのはどうしても、いろいろなチェック体制をしいていただいても、また別途それの裏をかくというようなケースが出てくることも事実でございます。  ただ、先生おっしゃるように、今回の監察結果の指摘も踏まえて、特にそういう点について、単に抽象的な指摘にとどまらず、一層掘り下げた実態の把握とか効率的な検査の実施ということに十分配慮していきたいというふうに考えております。
  30. 若松謙維

    若松委員 いずれにしても、これから金融監督庁は、たしか独立して大蔵とは別になるわけですね。この新しい体制の結果というのが非常に重視されますので、この指摘、ぜひ重く受けとめて、さらにこういう不祥事がないような厳正な検査体制改善していっていただきたいと思います。  それでは、今回の汚職問題に関しまして、特に現職職員のいわゆる逮捕という事実ですけれども、そして政府・与党も今、公務員倫理法の早期制定ということが議論されております。  この公務員倫理法、去年までは橋本総理大臣が一生懸命公務員の方をかばって、私は信じたい、そして法律ではなくて規程だけでいいんだともう何度も弁解していらっしゃいました。かばっていらっしゃいました。しかし、現実にこうなったわけでありまして、この公務員倫理法、これからそれぞれの事務次官レベルで集まって検討するわけですけれども、やはりこの問題の発生源が大蔵省でもありますので、ぜひこれは大臣にお伺いしたいのですけれども、どういつだところにポイントを定めて厳しくやっていくべきなのか、御所見をいただきたいと思います。
  31. 松永光

    松永国務大臣 お答えいたします。  公務員倫理規程、これはもう当たり前のことが書いてあったわけでありまして、それぐらいのところはきちっとみずからの良心に基づいて守られるはずだし、ぜひ守ってもらいたかったというのが私の偽らざる感想であります。  しかし、現実に守られなかったわけでありますから、そこで、制裁規定を伴った公務員倫理法をきちっと制定してもらって、やはり人間、制裁規定があるとより一層厳しくそれを守っていくようになると私は思います。ほとんど制裁がないという状態ならば、どうしても倫理規程の存在あるいは倫理法の存在を実は軽んじがちでございますから、きちっとした制裁規定の入った倫理法が制定さるべきだ、私はそういうふうに考えております。
  32. 若松謙維

    若松委員 やはり検事御出身ですので、大変鋭い観点からの答弁だと思います。  それでは、制裁というところですけれども、もうちょっと質問させてください。  この公務員倫理法ですけれども、大臣の御発言というのは与党内でも大変重要になると思います。今野党として、特に三会派ですけれども、今与党が考えている処罰、いわゆる懲戒処分にしろ、これは結局身内内処罰なんですよね。それだけでは結果的にはどうしても、日本のこの風土ですから、なかなか首を切るとか減給するとか、そういったところに至らない。日本人のよさでもあると思うし、また悪い面でもあると思うのです。だからこそ、省庁内処罰ではなくて、いわゆる外の、刑事罰というのですか、そういったものをこの倫理法に入れることによって、やはりしっかりと公務員に対して綱紀粛正の意識をさらに高めて、さらに実効性も、第三者からよどんだところを指摘してもらうという制度導入すべきだと思うのですけれども、大臣、お考えいかがですか。
  33. 松永光

    松永国務大臣 お答えいたします。  その問題は、まさに官房副長官を座長として、各省の次官さんたちが集まって検討会が盛んに行われているところでありますから、その検討の結果を私どもは重く受けとめてやるべきことだと思うのでありまして、大蔵大臣たる私が先にいろいろなことを言うのはいかがなものかなと。せっかく総理の指示によりまして、官房副長官が中心になって検討を進めていらっしゃるわけでありますから、その結果を私は待ちたい、こう思っております。  なお、その結果が出た後、何らかの機会に私に対して意見を求められたならば、そのときにそれを見た上で意見を申し上げたい、こう思っております。
  34. 若松謙維

    若松委員 大臣、すごくわかりますが、今の大蔵大臣立場というのは、こんなことを言ったら橋本総理に怒られるかもしらぬけれども、総理大臣より重要な立場だと思います。だからこそ、この公務員倫理法というのは大臣が発すべき問題だと私は思うのです。どうですか、厳しいですか。
  35. 松永光

    松永国務大臣 お答え申し上げます。  実際のところ、この公務員倫理法制定という機運になってきたのは、もともとは大蔵省の職員の不祥事が原因となってそういうことになってきたわけであります。しかし、全省庁の公務員に関する実は規定でございますから、したがって、官房副長官を取りまとめ役としての現在進められておる制定の動きと流れ、これを私どもはしっかり受けとめていくというのが私の立場でなければならぬ、こういうふうに思っております。
  36. 若松謙維

    若松委員 わかりました。ぜひこの面で大蔵省を所管する大臣の前向きなリーダーシップを求める次第でございます。  それでは、これも公務員倫理法の流れの中で、いわゆる政治家個人としてお伺いしたいのです。  公務員は選挙もやらないし、一度採用したらずっといってしまう、さらに天下りのルートまであるという、いわゆるぬるま湯というか綱紀が乱れる、そういったところが今問題として起きているわけで、それに対して罰則規定を設けるという話がありますけれども、マスコミの方々は恐らく、では政治家はどうなのだ。  実際に今政治家の、政治倫理の確立のための国会議員の資産等の公開等に関する法律、いわゆる私たちの資産、所得の報告があります。あれはたしか、報告をしていなくてもミスしても、いわゆるペナルティーはないのですね。これは私はおかしいと思います。少なくとも科料以上の罰則を設けるべきではないかと私個人としては思っておりますし、そのために同僚議員に理解を求めていこうと思っておりますけれども、大臣御自身としてはどういうお考えですか。
  37. 松永光

    松永国務大臣 政治家資産公開については私ども正直にやっているつもりでありますが、それについてはマスコミの方がちゃんと公表して、そして国民にそれが知らされておるわけであります。国民の方がよく見てくれているというふうに思います。  私は、委員御承知のとおり、埼玉県内の国会議員の中では二番か三番目、上の方でありますが、私はどこに行っても恥ずかしくない気持ちでおります。というのは、委員も同じでございましょうけれども、国会議員のほかに私は弁護士を、委員会計士の仕事をしていらっしゃいますか。(若松委員「一部しています」と呼ぶ)そうすると、当然プラスするものがあるわけでありますから、それを正直に出せば、それは収入等は多く出ますし、また私の場合はもうかれこれ四十六、七年、親の代からいえば埼玉県内でも一番古い、名の通った弁護士事務所でもありますから、その間に蓄積したものもありまするから財産はある。  かつて資産ゼロというふうにして随分失笑を買って損をした政治家もおりましたけれども、やはりこういつたものはまともにやった方が長い目で見れば国民信頼は得られるのではなかろうか、こういうふうに思います。
  38. 若松謙維

    若松委員 罰則規定はどうですか。
  39. 松永光

    松永国務大臣 これは、要するに国民に見てもらう。一番大事なのはどういうことでそういう資産が形成されたかというのが問題なのでありまして、それは政治家ですから、政治家の良心に基づいてやるはずだ。罰則がなければ政治家は正しいことを発表しないなんというようなことでは恥ずかしいと私は思います。
  40. 若松謙維

    若松委員 埼玉県内一また貧乏な私ですけれども、実際にそうじゃない方々、もう資産がいっぱいあり過ぎて書けない、そういう方も実際にいるわけなのですよ、私は直接聞きましたから。いや、うらやましいなと思ったのですけれども、それを今のまま罰則規定がないというのは、それは政治家立場として国民に伝えている、それはいいのですけれども、罰則というのは、それがあるからこそきちんとやるべきものだ、これは政治家だって同じだと思うのです。選挙があっても、国民に見られていても、それは同じだと思うのです。少なくとも公務員レベルの同じ罰則は設けるべきだと思うのですけれども、お考えは変わりませんか。
  41. 松永光

    松永国務大臣 私は、選挙によって選ばれる人は、当然のことながら、正直な行動をするのが当たり前、それをしているかしていないかは、これは国民が見て、選挙のときの票によって判定するということもあるでしょう。  いずれにしても、罰則がついていなければ政治家が定められた資産公開をまじめにやらぬということでは情けないという私は考え方でありまして、あえて現状においては罰則は要らぬのじゃなかろうか、こういうふうに思っております。
  42. 若松謙維

    若松委員 実際にいろいろと修正も、後でいろいろマスコミに言われてやったという例もありますし、政治家個人のいわゆる信念なり資質にゆだねるべき状況ではない、まだ足りないのではないか、私はそういうふうに認識しております。ぜひ前向きに引き続き考えていただきたいと思います。私は、公務員にそういう罰則規定があれば、少なくともそれ以上のものをやらなければいけない、それを主張して、さらに質問を続けさせていただきます。  それでは、これも倫理法制定を待つまでもな叩く、特に新事務次官の田波さんが、四日ですか、ですから三日ごろでしょうね、「所管業界と飲食全面禁止」、こういうお話をみずからされました。これは読売新聞との会談で次官の考え方が明らかになったわけですけれども、大臣としてはこの新次官の考え方に御同意されますか。
  43. 武藤敏郎

    ○武藤政府委員 今新聞記事も御指摘されながらの御質問がございましたが、この中で「所管業界と飲食全面禁止」というような見出しになっておるわけでございますけれども、田波次官の言いたかったことは、公務員が権限に関連して飲食するのは非常に厳しく律するべきである、こういうことのようでございます。その後で、「飲食を伴う情報交換についても禁止することで、」云々という指摘がございますけれども、権限がない場合の一般的な情報交換に関する会食というものを全面禁止するということを趣旨とするものではないということで、あくまでも、許認可や検査等の行政権限の行使に関連した飲食については、費用負担がどうだとか、あるいは金額の多寡を問わずに行うべきではないのではないかというようなことを申し述べたということでございます。
  44. 松永光

    松永国務大臣 お答えいたします。  新次官の考え方、これを発表していただいたわけでありますが、この時期でありますから、極めてきっちりとしたことを発表してくれてこれは非常によかった、こう思います。要するに、李下に冠を正さずでありまして、新次官の申していることは、許認可について言えば、許認可する側と許認可を受ける側が会食することは、費用負担の有無にかかわらず、李下に冠を正さずという考え方からいって、それはやめようじゃないか、あるいはまた監督する側と監督を受ける側との会食、これもやめようじゃないか、こういうことなのでありまして、これはいいことをやってくれたというふうに私は思います。
  45. 若松謙維

    若松委員 それでは、平成八年十二月二十六日に、大蔵省としての職員の倫理規程、さらに改正が出ました、ちょうど三塚大蔵大臣時代でしたけれども。これで通達ということは三度目なのですね。それ以降のキャリアに対する接待の有無というのですか、特に、今回の捕まりました二人よりも実質的にはキャリアの方がひどいというのが大方の認識です。  そういうキャリアに対する接待の有無、特に本省局長以上の高級官僚に対する接待の有無というのは非常に関心が高いわけでありまして、かつ、私はこれは簡単な調査で済むと思います。即刻これを実施して公表してもらいたいと思うのですけれども、大臣、いかがですか。
  46. 武藤敏郎

    ○武藤政府委員 現在、金融関連部局に在籍、在職していた者につきまして、過去五年間にさかのぼって調査をしているところであります。  この結果は、局長以上というような御指摘がございましたけれども、そのものについてまだまとまっておりません。五年さかのぼるというようなことでありますので、まだ相当の時間がかかる。できるだけ速やかに結果を取りまとめるようにという御指示を大臣からいただいておりますけれども、まだ取りまとめの時期は現段階では申し上げられる段階にございません。
  47. 若松謙維

    若松委員 大臣、事務方としてはこういう答弁なのですけれども、やはり長としては、いつごろまでにすべきだと当然現場に指示をされるわけですけれども、関心が高いので、ひとつもっと具体的に、できないから出せないのではなくて、いつまでにやるとか、やはりそういう期待にこたえるような答えをいただきたいと思います。
  48. 松永光

    松永国務大臣 お答えいたします。  実は、短期間に急げということを言えばいいという人もいるかもしれませんけれども、期間が短いと内容的にずさんなものになったりして、その後に、まだこういうのがあるのではないかと言われると、実際の話、ずさんなことをしてしまったという批判を受けかねません。  それからもう一つは、現在御審議願っている法案にしろ、それからこれから審議をしていただく平成十年度予算案にしろ、今てんてこ舞いしているような状況で対応しているわけでありますので、そういう点も考えますと、一カ月以内とか二カ月以内とは申し上げかねるわけでありますけれども、大体春と言われる時期の間に何とかまとめたいな、まとめてもらいたいというのが私の考え方でございます。
  49. 若松謙維

    若松委員 公務員倫理法を策定していますので、ぜひそれ以前に出してもらって事実を解明するというのが整合性のある話だと思うので、大臣、それは御了解いただけると私は理解しまずけれども、よろしいですね。
  50. 松永光

    松永国務大臣 先ほど申したとおり、急いでやりますと、金融関係部局に勤務しておった、五年前にさかのぼっての職員でありますから、五百五十名を超すそうです。したがって、これに対する内部調査というものは、実は、一日十人ずついろいろなことを聞いたりしたとしても、これは五十日かかってしまう話になってくるわけなんです。余り期間を短くしますと内容がずさんなものになる、私はそういう心配もしております。  しかし、さればといって、それは四カ月後だ、五カ月後だなどというのは許されることではありませんので、そこらのところで、しかも六月までには金融監督庁がスタートされるわけでありまして、その金融監督庁には大蔵省金融検査部の人を含めていろいろな部局から三百七、八十名行くわけでありまして、そこに行くまでの間には、当然のことながら身ぎれいな人を中心に選んでいかなければならぬという実際の問題もあります。  そういったことを加味いたしますと、急がせることにいたしますが、冬の間というわけにはいかぬでしょうね。春と言われる時期の間にはやらなければいかぬ。そしてまた、できたならば速やかに厳正な処置をすると同時に明らかにするという考え方でおるわけでございます。
  51. 若松謙維

    若松委員 私は、やはり国民立場から、当然いろいろありますけれども、とにかく早くやっていただきたい、それを繰り返し念願して、もう時間も残り少なくなってきましたので、ちょっと金融不安に関して一、二点聞きたいのです。  その前に、今回の金融法案のいわゆる三十兆円スキームというのは当然、自己資本規制、いわゆるBIS基準の八%ルールとかいったものが当面三月に待ち受けているわけですけれども、一方、これは大臣も知り得ることとは思いますけれども、先月末に、これは記事ですけれども、今バーゼル委員会でこのBISルールを、いわゆる自己資本比率を一〇%から一二%に規制強化を恐らく先進諸国は図っている。これは一月二十四日の毎日新聞ですけれども、やはりこういう動きがあるようです。かなり先進国が戦略的に、ジャパン・バッシングになるかわかりませんけれども、それが万が一現実に制度化されると、これは三十兆円では間に合わないと思うのです。  大臣、この一〇%から一二%というバーゼル委員会の規制強化に対する動き、それに対して大蔵省としてはどういう行動をとっていくのか、どういう認識をとっていくのか、さらには、これがまた実現した場合にどのように三十兆円スキームにインパクトを与えるのか、それについてお聞きしたいと思います。
  52. 山口公生

    ○山口政府委員 今先生一月二十四日の新聞を御引用されましたが、私ども、バーゼル委員会に出席している担当者がおりまして、その者からの報告によりますと、バーゼル委員会でこうした一定の方向性を持って議論されているわけではないということでございます。  いずれにせよ、銀行自己資本比率のあり方という点につきましては、大蔵省としては、やはり日本銀行の取引の実態を踏まえて、主張すべきは主張するという姿勢で議論に参画してきております。  では、しからばなぜこういう記事が出たのかということを推測しますに、リスクの高い環境下で業務を行っている新興市場国の監督当局からは最低自己資本比率をより高い水準に設定すべきという意見も出されたというような動きがありまして、それでこういつた記事になったと思いますが、先生、御専門の方ではございますが、こうした動きが現実にあるわけではございません。
  53. 若松謙維

    若松委員 では、その動き自体は否定されているわけですね。わかりました。  ですから、私の立場としては、そういう先進国の戦略に乗らないようにしっかりと監督当局として主張してもらいたいのです。そのためには、大臣もぜひバーゼルへ行って殴り込みをかけてもらいたい。それを要求します。  ではもう一つ、これはもう時間がないから大臣が答えてください。  今回の三十兆円スキーム、特にいわゆる新法というもの、受け皿の救済金融機関、受け皿のための整理回収銀行をつくるわけですけれども、そのために例えば優良銀行には優先株をやったりとか、こういうやり方というのは一九三〇年代のアメリカのRFCのやり方なんですね。いわゆる護送船団の名残です。ところが、八〇年代にアメリカがやったのはRTC。私たち野党はRTCのやり方を求めております。  私は、このRFCをまねたようなやり方は、このいわゆる自己責任、成熟社会、資本主義社会の時代には合わないのではないか、どうしてもこのスキームというのは時代の逆行だと思わざるを得ませんけれども、大臣、どのようにお考えですか。
  54. 松永光

    松永国務大臣 お答え申し上げます。  これはもう委員よく御承知のとおり、今回審議をお願いしているのは、預金者保護の徹底という分の十七兆とそれから資本注入のための十三兆、主としてその十三兆の分についてのお尋ねと思います。  これは、先ほど局長もしばしば申しておりますとおり、破綻した銀行は、これはもう破綻してもらうことにして、破綻していないけれども金融情勢その他によって市場での資金調達が難しくなっている、こういつたところに計画書を出させて、それを審査委員会が審査して、その上で資本注入をする、こういう仕組みなのであります。しかも、公正中立委員で構成される委員会でありますし、審議の経過は公表するし、それから議決は全会一致、それで閣議を経る、こういつたことでやるわけでありますから、これはある意味では護送船団方式とは異なる。  そういうことで日本金融システムが安定していくならば、これは日本経済の発展にとって大きく貢献するだろう、こういうことでありますので、私は、この仕組みについてぜひ御理解をいただきたい、こう思っているわけであります。
  55. 若松謙維

    若松委員 やはり私はそれでは、当面乗り切れるかもしれませんけれども、基本的に時代の逆行であることに間違いありませんから、根本的な解決にもならないし、ましてや、先進国のさまざまな機関投資家等の信頼は失っていくのではないかと思っております。  もう時間になりましたので、先ほどお配りしました資料をちょっと委員の方も目を通していただきまして、主張をさせていただき、質問を終わらせていただきます。  とにかく今回の銀行を中心としたさまざまな問題は、結局、円安、不良債権償却、そして株価下落、この三点がいわゆる自己資本下落という形で、いろいろな不祥事に対応できない、この不景気に対応できない。ところが、日本は大変巨額の個人資産もあります、一千二百兆円。ところが、その一割がいわゆる直接金融資産、株式等ですね。それで九割が、ほとんどが間接ということで、資本主義ですけれども、国民は、個人はその資本主義をサポートしていない。この構造的な現実が、こういう状況にあって全く機能できないという事実だと思うのです。  ですから、その個人資産の間接金融資産を直接金融資産に持ってくるような、受け皿の税制改革などをしなければだめだと思うのです。  具体的に、例えば、個人の株式投資を促進するには、今、配当源泉課税二〇%やっておりますけれども、今一部しか税額控除できませんけれどもそれを全額控除するとか、または個人みなし課税制度を廃止して、同時に納税者番号制度導入したりとか、また、総合課税制度によるキャピタルロスと他の所得との合算、いわゆるキャピタルロスも他の所得と相殺するアメリカ型の税制、さらには四〇一kみたいなものの早期導入、こういつたところをぜひやっていただいて、税制のトータルパッケージを今回時にやらないと、相変わらず国民はお金を日本経済の活性化のために使ってくれない。  ぜひそれを早急に検討していただくことを念願いたしまして、時間が過ぎましたので質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  56. 浜田靖一

    浜田(靖)委員長代理 次に、西川知雄君。
  57. 西川知雄

    西川(知)委員 西川知雄でございます。  きょうは、特に金融安定化システムにかかわる法律について、具体的にお尋ねをいたしたいというふうに思います。  大蔵大臣も弁護士でございますから、当然、法律案は全部何回もお読みになったことと思いますので、中身について御質問をいたします。  まず、大臣、この金融危機管理勘定というものは二〇〇一年三月末までの時限措置というふうな説明を受けておりますが、この意味というのは、この法案上どういうふうに書いておりますでしょうか。
  58. 松永光

    松永国務大臣 お答えいたします。  法案について読みました。二度三度読みましたけれども、なかなか難しい条文になっているなというのが率直な私の感じでありますが、要するに、二〇〇一年三月までの時限措置として金融危機管理勘定を設けるんだと。なぜ二〇〇一年三月末までになっているかというと、一千万までのいわゆるペイオフの制度が始まる、できるならばそのときまでの間にきちんと銀行の体質を強化してそれぞれ四%あるいは八%の基準がクリアできるようにする、それを通じて貸し渋りなどの解消に資すると同時に日本経済の安定的発展を図ろう、こういう考え方があるというふうに私は理解をしております。
  59. 西川知雄

    西川(知)委員 それはちょっと間違いでございまして、第四条をごらんになると、優先株等の引き受け、これをできるのが二〇〇一年の三月末までということになっておりまして、その後、引き受けた優先株等を例えば市場で開放して売るということについては期限が定められていないのですね。定められていないばかりではなくて、もっと正確に言いますと、第三十五条に、金融危機管理業務の終了の日として政令で定める日において、この勘定を廃止するわけですね。  ということはどういうことかというと、例えば二〇一〇年の二月ごろにこれを終了せしめましょうというふうに政令で決めるということになれば、そうすると、二〇〇一年三月末までに買った優先株を、例えばその二〇一〇年の二月末に売りました、そして非常に価格が下がりましたということになると、そのときに具体的な公的の資金を導入するわけなんですね。ですから、二〇〇一年三月末までの臨時の時限措置という意味は、お金を入れる、要するに優先株を買うというときが二〇〇一年三月末まででして、この措置というものがいつ終わるかというのは政府が決めるというふうに書いているのですね。  もう一つ大臣、この対象となるものは「優先株式等」というふうに書いていると思うのですが、優先株プラス劣後債プラス劣後ローン、この三つであると私は理解しているのですが、そのほかに何かございますでしょうか。
  60. 山口公生

    ○山口政府委員 優先出資というものが考えられます。協同組織の場合は出資でございますので、そういうことでございます。
  61. 西川知雄

    西川(知)委員 私は何を申し上げたいかと申しますと、法文には「優先株式等」こういうことについて公的資金導入すると。それで、その優先株を買ったときの価格が一〇〇であった、ところが売ったときにその価格が八〇でした、そうするとその二〇について公的資金を穴埋めに使う、そういうことでございますから、その「優先株式等」という、何が対象になるかということは、お金を、公的資金を使うわけですから、極めて重要な定義になるわけです。  ところが、この「優先株式等」というものの定義を見ますと、これは第二条の四項でございますが、「この法律において「優先株式等」とは、優先株式、劣後特約付社債その他これらに準ずるものとして主務省令で定めるものをいう。」ということはどういうことかというと、大蔵省の一存で、省令で公的資金導入することができる対象となるものについて決定をすることができる、そういうふうに書いているのですね。国民の税金を投入する、どういうものに投入するかということについて、大蔵省が決めることができる。しかも、先ほどの三十五条で申し上げましたように、具体的にいつまで公的資金導入することができるかということも、政府が決定することができる、国会で決定するわけではない、こういうことになっておるのですが、これは私は極めておかしいと思うのですね。  この間の予算委員会でしたか、橋本総理が、なるたけ通達行政をやめて全部法律に持っていく方向でやりたいと。通達を全部法律に持っていくのがどうかというのは、それはかなり議論があるところでございましょうけれども、そういう観点からしましても、この重要な対象となるものを省令で決める、大蔵省で決める、そしてまたいつまで公的資金導入するかも、国会で討議するわけじゃない、国会で決めないというのは、私、おかしいと思うのですが、大臣、どう思われますか。
  62. 山口公生

    ○山口政府委員 この法律に基づきまして、優先株等ということで、劣後債あるいは劣後ローンのような資本勘定にのるものを考えておるわけでございまして、そのほかに協同組織の場合、例えば農水省の場合もございますが、共同の省令で決めるということでございますが、考え方としては、そういった自己資本充実のためでございますので、おのずとそこは細かい規定のところまでは書かずに、それはもちろん通達ではありません、これは省令ということで明確にするということでございます。  それから、いつまでこの勘定を持つかということにつきましても、それは処分の時期にもかかわってまいります。その処分の時期というものを例えば何年後というふうにはっきり書いてしまいますと、市場がまたそれを今度はどういうふうにとるかというふうに考えますと、それはまたちょっと適切ではないのじゃないか。したがって、もちろん非常に長期にわたるものを想定するものではありませんけれども、そこはやはり状況に応じて決めていくべき性格のものではないだろうかなという感じがいたすわけでございます。それで、先生のおっしゃられるように、確かに引き受ける時期は二〇〇一年の三月まででございますが、後の処分の問題がありますから、それはマーケットの状況にもよるかと思います。
  63. 西川知雄

    西川(知)委員 そのほか第八条、これは補てんの金額の決定方法ということが、大臣、書いてあるわけです。これはお読みになったからわかると思うのですが、その決定の方法というのは政令で決めるのですね。政令でどういうふうに金額を計算するかということを決めるわけです。また第十一条では、預金保険機構が債券を発行することができるのですが、その債券の発行額というのは、政令で定める金額の範囲内において発行することができるというふうに書いてあるのですね。  それで、事務方は、今おっしゃったような説明で、いろいろと細かいことであるからこれについては任しておいてくれ、大蔵省に任してくれ、また政府に任してくれ、こういうお話でございますが、このお金は十三兆円というお金で、これを今までいろいろな不正事件があったりスキャンダルがあったりしている銀行、これに対して果たして入れてもいいものかどうか、貴重なお金を入れてもいいかどうかということで、大いに国民的な議論になっているわけです。  そういうときに、先ほど申しましたように一体何にこのお金が使われるのかということで、新聞等々では優先株と劣後債ということを主に言っていますが、例えば、この間私のところに来た大蔵省の役人に劣後ローンは入るのかと聞いたら、それは入りませんというような間違ったことを言っていたわけです。それで、本人たちも間違うわけでございますからこれはとてもややこしいわけですが、そういう重要なお金を何のために使うのかというようなことを一々そういう事務方に任しておいて、本当に国民的な合意が得られるのだろうかと私は疑問に思うのですが、大臣政治家としての御意見をお聞かせください。
  64. 松永光

    松永国務大臣 よく御存じのとおり、どういう銀行にどういう方式で資金を注入するか、これはまさに民間の三名の国会承認を受けて選ばれる人及び大蔵大臣、それから日銀総裁、それからこの機構の人、そういった審査委員会で定めた基準に基づいて審査をして、そして全会一致で決める、こういう方式でありますから、そしてまたその審査会の会議録は公表するし、閣議で決定をする、こういう仕組みになっておりますから、私は公正な方法で資本注入はなされるものだ、こういうふうに理解しております。     〔浜田(靖)委員長代理退席、委員長着席〕
  65. 西川知雄

    西川(知)委員 申しわけないですけれども、そのお答えはちょっとピントを外れておると思うのです。  なぜかと申しますと、対象となるのは、この第二条の四項で、優先株式等とはこれこれをいう、それで優先株式プラス、これらに準ずるものとして大蔵省令か主務省令で定めるものをいうと書いてあるわけですね。それの対象が初めにあって、その対象に基づいてある銀行が、こういうことで優先株を発行したいから買ってくれませんかと言ったときの基準とか、どういうふうにそこを選ぶかというのは、今おっしゃったとおりなんですね。  それで、私の質問というのは、こういうもともと基本となるべき、何に対してお金を使うのかということに対して、ちゃんとこれは国民的なコンセンサスが必要じゃないのですかということを申し上げているのですね。ところが、事務方の方は、それはいろいろとややこしいことがあるからおれたちに任せてくれというふうに今山日銀行局長はおっしゃったわけです。そこで、私はこれは任せられないのじゃないか、何に金を使うのか明確にわからないということではとても金を使えないということで、私の提案は、この「これらに準ずるものとして主務省令で定めるものをいう。」という言葉を消して、ほかにあるのならちゃんと法律に書け、こういうことなんです。  はっきりと物事を国会の場でさせないと、それこそ、今まで言っているように、官から民へなどというのはうそっぱちで、大枠のところは国会でやりますから、細かいところは全部任せてくれと言いますが、細かくなくて、非常に重要なことですから、それについて、事務方の意見は今そう一だったのですが、政治家としての大蔵大臣の御意見はどうですかということを僕は聞いているわけです。
  66. 松永光

    松永国務大臣 預金保険機構に対して、銀行等から申し出があるわけですね。何について資本注入をしてくれるかということで申し出があります。それで申し出に基づいて審査会の方で審査するわけでありますから、そこで十分チェックは働く。私は逆の方から申し上げたつもりであります。
  67. 西川知雄

    西川(知)委員 私が指摘しておきたいことは、こういう公的資金を十三兆円も導入しないといけなくなるかもしれないというときに、何に対して導入するのかということについて、国会の場で、法律で決めないで、一部については主務省令に、いわゆる所轄官庁の決定に任すということは大変問題であるということを私は申し上げたいと思います。  そこで、細かいところはちょっとその辺にいたしまして、もう少し大きなところを大臣にもお尋ねしたいと思うのですけれども、なぜこの金融二法が必要かということについて、いろいろな質疑がなされて、私も全部の答弁を何回も見させていただきましたが、いま一つよくわからないので、この点について、大蔵大臣局長の方からでも御答弁願いたいのです。  拓銀がこういう破綻状況になったときも、拓銀の業務純益というのは約四百から五百億円ぐらいあったわけです。北海道銀行との合併をやらないという発表、やらないというか彼らは延期と言っていますが、そうなったことによって株が下がってきた。そしてそのおかげでコール市場で資金が、通常あの銀行の場合ですと三千億円ぐらい必要だったわけですが、二千億円ぐらいしか取れなくなってきた。最後には、無担コールでは六十一億円ぐらいしか取れなくなってきた。預かっている手形は六千億円ぐらいあったとしても、二千億弱ぐらいしか有担でも取れない、こういう状況になったわけです。  したがいまして、金融機関というのはお金を一方から調達して片方に貸すということでございますから、幾ら黒字の会社でも、そこでぷっつりと間が切れれば、黒字でも大企業でも倒産をする、こういう危ない芽を持っているということは私も重々承知してございます。しかも、金融の不安ということが貸し渋りということにもつながっているということで、それも解消しないといけないということは、それは当たり前のことです。ですから、目的、結論というのに反対をするわけではございません。  しかしながら、この三十兆円というお金、特に金融危機に対する安定化策のための十三兆円というお金、これを導入することによって本当に今言ったような目的が達成できるのであれば、それは私はいいと思うのです。しかし、貴重なお金でございますから、そこには相当な因果関係がないといけないというふうに私は思います。これは大臣も弁護士をされておるわけですから、そういう相当因果関係を立証するということが、これを提案した政府の責任であると私は思います。  そこで、大臣市場でのこういうようなすくみ現象が今回の二法案で解消されるというふうなことについての具体的な相当因果関係を、大臣にぜひ簡単に証明をしていただきたいというふうに思います。
  68. 山口公生

    ○山口政府委員 お答えさせていただきます。  西川先生、かなり詰めた御議論をなさいまして、それに十分お答えできるかどうかの自信はありませんけれども、少なくともこれは二〇〇一年三月までの措置でございますが、直近の今度の三月期のことを例に挙げて御説明を申し上げたいと思うのでございますが、今いろいろな情報金融機関からとってみますと、やはり三月期の期末がどうなるかということに対してかなり不安感を持っておるということなのです。それは、これまで余り経験したことのないことかもしれませんが、昨年の暮れごろに経験したことの印象がまだ残っておりまして、三月期の決算をどうするか、そのときの株価がどうであろうか、円安か円高かというようなことが全部金融機関の頭に今いっぱいになっているということだと思うんです。  そうしますと、この措置は、つまり静態的に見たら一プラス一は二というような感じではなくて、先を考えたときにその行動が現在にはね返ってくるという、私ちょっと経済学は余り詳しくは知りませんけれども、期待値の逆期待値みたいな、将来の行動、将来の結論をどう見るか、将来の危険性、リスクをどの程度重大に見るかによって現在の行動が極めて限られてくる、制限されてくる。  そうしたときにどういう現象が起きてくるかといいますと、貸し渋りとかあるいは回収とかいうこともありましょうし、逆に今度は、先ほど先生おっしゃいました黒字倒産的なことにならないように自分の資金をなるべく確保しておく。本当は血流と同じですからどんどん回っていかなきゃいけないのに、自分のところだけ手厚く、プロがプロらしい行動をとらないということだと思うのですけれども、そういう現象が起きてくる可能性、危険性というのは、これはいつも私どもは念頭に置いておかなきゃいけない。それはマーケットが解決するというふうに言ってしまえば、そうかもしれません。しかし、現実にマーケットで解決し得ない現象、すくみ現象が起きたわけでございます。  そういったことを考えますと、なるべくこの法案を急いでお通しいただければ、もうそのこと自体が、いざとなったときは何か手があるというような気持ちにさせることができる、場合によっては、それを実行することによってそれが可能になるということ、これが大切だと思うのです。  じゃ、これだけでいいのかという西川先生の御指摘、それはほかにも貸し渋り対策で、ネッティングだとか株式の評価だとかあるいは国内基準については早期是正の弾力化とか、いろいろなことをやっております。それから党の方では土地の再評価の問題も御議論いただいております。あらゆる手だては用意しました。じゃ、それが使われるか使われないかは、それはもうマーケットあるいは自己責任だと思うのですけれども、不安が不安を呼ぶという現象を起こさないための手だてをそろえるということが今は一番大事なんじゃないかというふうに考えております。  だから、おまえ、絶対大丈夫だな、こう太鼓判を押せ、因果関係あるいは証明しろとおっしゃる気持ちはよくわかりますけれども、私どもとしては、環境を整備する、手段を与えるということが今は一番大切なのではないかというふうに考えておる次第でございます。
  69. 松永光

    松永国務大臣 お答えいたします。  今銀行局長が長くお答えしたことでありますけれども、私は、簡単に言えば、文字どおり金融危機が起こらぬようにする。そのためには、日本金融システムを強固なものにしなきやならぬ。そのために、政府保証十兆円で資金繰りができるようにすると同時に三兆円の国債を交付して、そして、資金を準備した上で金融システム安定のための資本注入をやっていく。これを通じて日本金融システム安定化させる。システムが安定化していけば、結果的に貸し渋り等々の好ましくない状況改善されていくであろう。それが日本経済の安定的発展につながる。簡単に言えば、私はそういうふうに理解をいたしております。
  70. 西川知雄

    西川(知)委員 さっき銀行局長が、これは銀行間のいろいろな取引についてプロの話とされましたが、私から言わせると、そんなにプロかなというような気も実はいたしておるのです。なぜかと申しますと、市場というものは、いっかの答弁でも、大臣でしたか局長でしたか、風評、風説でこれは影響されることもあると。銀行名は出されませんでしたけれども、ある銀行が一時千円ぐらいの株価をつけていたところが、急に何か物すごく五十円ぐらいまで下がって、さらに二百円には戻したものの、ある風説、風評でそういうふうになった、こういうことなわけです。  ところで、金融不安というのは、先ほどの拓銀の例でも申しましたが、大臣もよく御存じのように、これはインターバンクの、特にコールマーケットの市場によって非常にそれは変わってくるわけですね。  御存じのように、コールマーケットの資金の出し手というものは、主に信託銀行、これは例えば九七年の十一月の末ですけれども、残高ベースで四二・二%、そのほかは保険会社が一二・八、農林系金融機関が一二・一となっていまして、借り手の方、取り手の方は都市銀行が七六・四%ということになっているわけですね。そうすると、大ざっぱに言えば、信託銀行とかまたは保険会社、そういうところが短資会社を通じて要するに資金を出します。取るのは、借りたい方というのは都市銀行がほとんどです。そこで、これが市場市場国会うときに、ちょっとこの都市銀行が危ない、よくないというようなうわさがあったり、そういう情報が入った場合には、クレジットラインがありますから、都市銀行の方は出し手の資金を短資会社を通じて取れないということになるわけです。特に、御存じのように無担保の場合は直接の契約関係になって、有担と違って短資会社は入りませんから、そういうことが多くなる。  そうすると、金融不安とは一体何だろう、これを解消するのは一体何だろうと考えますと、出し手の銀行が安心して都市銀行に貸せるということなわけですね。ところが、そういうことが果たして三十兆円を入れることによってできるのだろうかということは、私かなり疑問に思っているのですね。ということは、先ほど若松委員の方からも指摘されましたように、要するに、その都市銀行不良債権が一体幾らあるのか、どんな銀行なのか、大体のことはわかるけれども、詳しいことはわからない。だから、うわさとかそういうものが出れば、これは危ないなと思って出さないということになるわけですね。だから、三十兆円のお金を幾ら入れたって、その不安が解消できなければ、このコールマーケットの、インターバンクの流れというのは、金融システムはとまってしまうわけですね。  だから、私は、さっきから申し上げているように、この都市銀行内容がはっきりわかって、本当にクレジットラインはどれぐらいなのかという正確な情報がわからない限り、三十兆円なり十三兆円を入れたとしても金融不安は全然解消されないのじゃないか。だから、そこには相当因果関係がないのじゃないかというふうに私は申し上げているのです。それについてのお答えは、大臣、どうですか。
  71. 山口公生

    ○山口政府委員 お答え申し上げます。  長期的に、あるいは中長期的に見たときは、私もそれは西川先生のおっしゃるとおりだと思います。その銀行の健全性というものが、その銀行の資金調達力、マネーマーケットでの評価ということになろうかと思いますね。ところが、市場がすくみ現象を起こした場合には、極めてそれが極端に、また不必要なまでにすくみを起こしてしまうということでございます。海外でも同じような現象が起きました。そうしますと、取り急ぎ現象も一方で今度は起きるわけです。  マーケット自身が非常に冷静に動いているうちは、それは先ほど先生がおっしゃった中長期的な問題としてとらえることはできると思います。しかし、こういったいろいろ不安定な状況のもとにおきまして、しかも昨年の状況は、期末、十二月末をどうしょうかというような話が主だったと思うのです。それで今度は三月末をどうしょうかということでありますけれども、やはりそこには不安が不安を呼ぶという心理状況というのは起きると思うのです。そのときにマーケットに外から、これもマーケットの参加者としてというわけではないとは思いますけれども、ちょっとやはり力をかしてあげることによって、そこが、本来流れるものが流れるということだと思うのですね。そういう時期にあるということを私どもは考えるわけです。  それで、本当に長期的に見たときにそういったことが正しいのか正しくないのかという議論はいろいろあろうかと思います。しかし、ひとり金融機関だけの問題ではなくて、経済全体がそのファンクションに寄りかかっている。あるいは中小企業の問題、あるいは雇用の問題にまでそれがはね返る。この間も東食の例をちょっと挙げさせていただきまして、そのアベイラビリティーの問題から多数の銀行が引き始めた、メーンバンクだけでは持ちこたえられなくなって破綻をしてしまったというような現象がある。そうしますと、市場のうわさが、じゃ、あそこもあそこもというように言い立てる現象が起きたわけですね。  そういった、ひとり金融機関をどう見るかの問題だけではない、これは大変重大な事態を引き起こすおそれがあるということでございますので、総合的な危機管理としてぜひこれはお認めいただきたいというふうに思っているわけです。
  72. 西川知雄

    西川(知)委員 大臣、今の答弁を聞かれてよくわかりましたか。というのは、私は全然わからないので、もしおわかりであれば、どういう理由でわかるかもつけ加えて御答弁願いたいのです。  そういうようなすくみ現象が起こっているということは、何で起こっているかということを解明しない限り、すくみ現象というのはなくならないわけですね。今おっしゃったように、すくみ現象がなければ三十兆円というものを導入する必要はない。今導入しないといけないのは、そういうすくみ現象があるから、だから三十兆円を導入しないといけないということですね。  そうすると、すくみ現象と三十兆円導入ということの因果関係がないといけないわけですよね。これは三十兆円導入したらすくみ現象がなくなるということをはっきりと証明できなければ、三十兆円ものお金をそんな導入するわけはできないわけです。その立証責任は、事務方の意見を踏まえて大臣が決められるわけですから、大臣は最近なられたばかりですけれども大臣という職柄はずっと継続しているわけですから、そこで、三十兆円を入れたらすくみ現象がなくなるのですねと私が尋ねたら、その答えはイエスのほかはないと思うのですが、そのお答えでよろしいですか、大臣
  73. 松永光

    松永国務大臣 先ほどからの委員お話のとおり、基本的にといいますか、中長期的に見れば、銀行が強い体質になって、リストラもやって、そしてどこから見ても安心できる金融機関だ、こうなることがコール市場で資金を手にするためには大事なことだと思いますよ。  しかしながら、日本金融機関について、例えば資本が十分でない、特に貸し出しに対する資本が不足しているということもあって、まあやっとこさ四%ないし八%のBIS基準を超えるか超えないか程度の、そういう十分な力を持っていない銀行等について風説その他によってコール市場で資金手当てができない、こうなってきますと、その銀行は、まだ力はあるのにコール市場での金が手に入らないから危なくなってくるという状態になるような状況考えられますね。  そういったことを考えて、二〇〇一年三月までの緊急的な措置として、いわゆるその危機を回避するための措置として、十三兆の公的資金を活用して、資本注入を審査委員会の審査をしていただいた上で決定をすることによってその銀行の体力が強化する、そうすることがいいんじゃなかろうかというふうに私は理解しました。
  74. 山口公生

    ○山口政府委員 少し補足をさせていただきます。  今先生の御疑問につきましては、例えば国際的な活動をやっている、BIS基準で行っている銀行の例を挙げるとおわかりいただけるかなと思うのですけれども、八%を割ってしまいますと、これはドル資金が取れなくなるということになるわけです。だから、そこについてはある国際社会の、まあルールとまでは言えませんけれども、事実上そういう形になっておりますので、これは相当重大なことだと思います。一般的に言えば、自己資本を上げることによって体力を増強して、それで安心感を与えてそういったすくみ現象を解消する、こういう図式だと思います。
  75. 西川知雄

    西川(知)委員 あと二、三ほかにも質問したいので、これはもう少しにしますけれども、要するに、大臣が、リストラなどを銀行がしっかりやる、そして市場からこの銀行は安心できるような銀行だなというふうにする、これが一番大きな、最大の、重大な課題であるということをおっしゃいましたが、それは当たり前のことで、三十兆円を導入しなくてもできるわけですよね、リストラと三十兆円とは関係ないわけですから。  ところが、問題なのは、そういうことを幾らやっても、マーケットというものにはちゃんとした情報公開がされていない。例えば格付機関の評価、これは格付機関がいろいろな評価をします。それによって銀行の、要するにこの銀行は本当は危ないんじゃないかとかいうふうに言われますが、格付機関だって情報を全部持っているわけじゃないわけです。だから、本当の情報というものを彼らが得た上で判断しているかどうかはわからない、個別の調査はしていると思いますが。ということになりますと、幾ら一生懸命やったとしても、ちゃんとしたとしても、風説、風評でその銀行に対してお金が貸し出されない、それによってパンクをしてしまうというようなことが起こるわけです。  そこで、私は、幾ら三十兆円を投入したって、例えば五十兆円を投入したってそんなことは起こり得るんだ、だから、そんなことをすることによって本当に金融不安が解消できるのですかと。その答えがイエスであれば、私は大賛成ですよ。ところが、どうもその辺がよくわからない。御答弁も、法律の一般のまとめをしていただく必要は何もないです。私は十二分に知っていますからそれは結構なのですが、本当にそのお金を入れることによって風説、風評というのはなくなって、金融システム安定化ができるのですかと聞いている。それを聞いて、それがそうですというお答えがあれば、それは、まあ理由はどうあれ、大臣意見としてはよくわかるのですが、そうですというお答えを聞いていないので、そうかどうかということをもう一回だけ、そうですがそうでないか。因果関係があると思うのですねという質問に対して、因果関係がありますということであれば、それはそれで一つ意見として拝聴しますので、もう一回それだけお答えください。
  76. 松永光

    松永国務大臣 先ほども言ったとおり、中長期的には、金融機関みずからの努力によってより強い体質の金融機関になるということ、これが基本的に大事なことでありますが、短期的に言うと、先ほど局長が繰り返し申し上げましたように、その銀行は実はぎちっとした銀行であるけれども、先ほどのお話のように、風評その他によってコール市場からの資金取りができないということのために苦境に立つおそれが出てくることもあるでしょう。風評による影響もあるでしょう。  そこで、短期的な、言うなれば緊急措置的に体力強化策、すなわち資本注入をしてやることによってその銀行の体質が強化されれば、私は、その銀行の体力が強化したよということが公表されれば、それによってその銀行がコールから金が取れなくなるなどという事態は避けられて、健全な経営ができるようになるであろう。もちろんのこと、その銀行のリストラその他、体力強化に努めておるという情報公開もきちっとやらなければならぬというふうに思います。そういう意味では、これをやることによって金融システムが非常に弱体化するということが防止できる、イエスというふうに申し上げる次第でございます。
  77. 西川知雄

    西川(知)委員 長く説明していただいたのですが、そうすると、答えはイエスということで、最後にイエスとおっしゃいましたので、私は理解をいたします。  ただ、大臣、ちょっと一つだけ間違っておられることがありまして、この資本注入をするのは、個々の当該金融機関の体力を回復するということじゃないのですね。それを通じてマーケット全体に対する信頼感というのを回復するということがここに書かれていることですから、そこは、私、そういうふうに御理解をしていただきたいというふうに思います。  そこで、先ほどから何回もディスクロージャー、要するに情報公開の話が出ました。今いろいろな動きがあって、例えば拓銀を含めて四行に対して行った検査結果、これについての示達書の閲覧というようなことも言われておりまして、これは、国会のきのうの大蔵大臣の答弁の中でもこの件について触れておられました。したがいまして、これは極めて重要な問題で、そのことについて公式的な御答弁というのは、いわゆる秘密保持義務の問題があります、相手方に対して不測の不利益をこうむらせることになるかもしれない、こういうような御意見があったわけで、そういう理論のもとにこれは公開することができない、こういう理論だったと思います。  そこで、私は建設的に申し上げたいのですが、じゃ、どういう条件が整えば、どういうことであれば公開できるのかということについてお答え願いたいと思います。
  78. 松永光

    松永国務大臣 お答え申し上げます。  先ほどお話しのとおり、守秘義務というのがありますね。しかしながら、一方においては、院には議院証言法の規定に基づく提出命令の申し立てというのがございますね。そういう法律の規定に基づいて申し立てをしていただくと同時に、我が方の側に守秘義務を解除するという手続をさせてもらった上で、かつそれは公開じゃなくて秘密にやっていただく、こういった条件を満たされる場合により限定的に対応できるのじゃなかろうかというふうに考えます。
  79. 西川知雄

    西川(知)委員 そうすると、今の条件が整えば、特に法律を改正することなく、例えば問題行の示達書の内容について公開理事会に見せるというのが非公開かどうかということは私はよくわからないのですけれども、そういう段階まで法律を改正しなくても見せることができる、そういうふうに理解してよろしいのですね。
  80. 原口恒和

    原口政府委員 検査報告書等の公開の問題について、一つは一般的にこれをどうするかという問題と、今回問題になっておりますように、いろいろ疑念を持たれているケースについて例外的にどのように扱うかということは、別の問題だと思います。  ただ、我々といたしましては、御指摘の件については今理事会で御議論をされているということも承知しておりますが、一般論として申し上げますと、やはりこういうものが公開されることによって金融機関あるいは取引先、そういうところに不測の損害を与える、あるいはプライバシー侵害の問題が起きるというようなことがないように配慮していくことが大事な問題だというふうに考えております。
  81. 西川知雄

    西川(知)委員 それで、公的なあれはわかりましたけれども、大臣示達書というのをごらんになったことはありますか。
  82. 松永光

    松永国務大臣 お答えします。  恐縮ですが、その示達書というのを見たことはございません。
  83. 西川知雄

    西川(知)委員 それで、示達書があって、例えば危機管理体制がちゃんとできていなかったらこうしなさいとか審査体制ができていなかったらこうしなさいとか、そういう内容が入っているわけですが、それに対して、こういうふうにしますとかこういうふうにしましたという回答書があるのですね。  これは、大臣ごらんになっていなかったら答えられないと思うので、事務方で結構ですけれども、その後、示達書の内容どおりの変更があったということについてのフォローアップというのは、いつごろ、どういうふうにされておるのでしょうか。
  84. 原口恒和

    原口政府委員 これは、示達ということで、銀行法二十五条に基づき実施しました金融検査によって把握した状況あるいは問題点を取りまとめて金融機関に通知をいたしております。  その場合に、状況によりまして、その後、そのフォローアップといいますか、改善状況を求める場合もございますし、問題がない場合には、あるいは軽微な問題点の場合はその指摘にとどめる場合もございます。  回答をもらう場合は、たしか三カ月以内に回答をいただくというのが原則になっております。
  85. 西川知雄

    西川(知)委員 この情報公開と今度の公的資金導入についてちょっと大臣政治家としての御答弁をいただきたいのですけれども、十三兆が全部使われるかどうか、これはその結果を見てみないとわからないわけなのですが、例えば優先株をその銀行が購入申請をしました、ところが非常にマーケットがどんと落ちた、その結果、例えば一〇〇で買ったところが六〇ぐらいになりました、そのおかげで、優先株を売ったときに時価が低ければ、その差額を補てんすることになっているのですね。  その補てんするようなとき、そういう補てんせざるを得ないような状態になったときに、その対象金融機関については一体どんな問題があったのか、その銀行が果たして問題のなかった銀行なのかどうか。例えば示達書でこういうことをやりなさいといったときに、改善命令が出されて改善したかどうか、そういうことはやはり秘密にしておくのでなくて、公的資金を使うわけですから、その金融機関内容についてちゃんと一般に公開すべきであるというふうに私は思うのですが、そのことについて、政治家として大臣はどういうふうに御答弁されるのでしょうか。
  86. 松永光

    松永国務大臣 まず、審査委員会に対してそもそも申し込みをしたときに改善計画を出しますね。それを審査委員会は審査委員会で定めた条件に基づいて、そして資本注入をするかどうかの議論をしていただいて、全会一致で決める、こういうことであります。そしてそれを通じてなされた資本注入でありますから、したがって、申し出たその計画がきちっと履行されておるかどうか、それは十分チェックをし、そしてその状況は明らかにさるべきものだ、こう思っております。
  87. 原口恒和

    原口政府委員 済みません、先ほど三カ月と申し上げたのは、原則は一カ月でございます。
  88. 西川知雄

    西川(知)委員 そうすると、大臣改善計画を出すということは、何かが悪かったからこういうふうに改善するということですね。そうすると、前のときに示達書でこういうふうに指摘されたからこういうふうに変わりますということを言う、それを明らかにする、そういうふうに理解してよろしいですね。
  89. 山口公生

    ○山口政府委員 お答え申し上げます。  優先株等の引き受けを申請するときに計画を出していただくわけでございます。それを公表するということですが、その後もいろいろフォローアップをしていくということを大臣は申し上げたわけでございまして、検査の方の関係で申し上げたわけではございません。
  90. 西川知雄

    西川(知)委員 ちょっとたくさんの方が聞いておられるようなので、質問というよりも、まとめに入ります。  まとめというのは、この公的資金導入するということは、公的資金というと国民のお金です。そのお金を大量に注入するときには、一体何に注入をして、何に使って、いつまでそれを使うかということを、私は国会の場で明確にしておかないとだめだというふうに思います。  したがいまして、今の法律案では、例えば対象のものについては主務省令で決めるとか、また、いつまで優先株を売っていいのかということについても政令で決めるとか、そういうような、まさに今言われている官僚支配からの脱却というものは逆にできていないという形になっています。それを私はぜひ直していただきたいというのが一番目です。  二番目は、三十兆円を投入するということの意味があれば、それは投入してよろしい。ただ、その三十兆円を投入したからといっても、風説、風評によってまたコールマーケット、そのマーケットの状態が多少はよくなるかもしれないけれども、しかし、それによって今金融不安が起きているということについて解消されるような具体的な、相当な因果関係は何も証明されていない。  三つ目は、一番の問題点というのは、やはり相手方の企業、都市銀行なら都市銀行経営状態、不良債権なら不良債権の額が幾らであるかということがはっきりしていない。これを明確にしなければならない。その方向で進まなければ、幾ら入れたってこの金融システムというものは安定化されませんよということを私は申し上げたいと思います。  時間が来ましたので私の質疑はこれで終わりますが、その辺のことをよく大臣も検討していただきたいというふうに思います。  もし何か最後にあれば、言ってください。
  91. 松永光

    松永国務大臣 お答えいたします。  公的資金を使っての資本注入でありますから、手続の透明性、これをきちっと確保していくということが大事なことの一つ、それから機動的な対応が一つ、そして情報公開、これが大事なことだ、私はそう思うわけでありまして、今委員の御意見を十分参考にして、今後とも勉強していきたい、こう思っています。
  92. 西川知雄

    西川(知)委員 では、これで終わります。
  93. 村上誠一郎

    村上委員長 次に、小池百合子君。
  94. 小池百合子

    ○小池委員 自由党の小池でございます。(発言する者あり)
  95. 村上誠一郎

    村上委員長 静粛に。
  96. 小池百合子

    ○小池委員 理事会の決定に従いまして、金融関連二法に関して質問をさせていただきます。  まず、昨今の大蔵省不祥事でございますけれども、やはりこういつた大きな重要な法案、国家予算の半分近い額をめぐりましての重要な法案について審議している最中に、ぼろぼろと不祥事大蔵省から噴き出てくる、そしてまた、その受け皿となる銀行金融機関から出てきているというような事態を見まして、本当に嘆かわしいと申しますか、国家の危急存亡のときに一体何なんだという気持ちは、多くの方が持っておられると思います。  それにつけましても、最近といいますか、戦後の日本人というのは、いろいろ物的なものには恵まれてきたけれども、どうも心が貧しくなったのではないかというようにも思うわけでございます。だんだん自腹を切るというような精神が失われてきて、どこかで役得であるとか、まあ税制の関係もありますでしょうけれども、フリンジベネフィットということを享楽するような、そういう精神風土もしくは日本的誤った文化というのができてしまったこと、また、これに対してみんながどこかで認めていたような、そういうことについて大変残念に思いますし、また一方で、だからこそ、今こそ改めていかなければならないというふうに思うわけでございます。自腹を切ることを忘れていた結果、追い込まれて詰め腹を切るというような状況になっているかと思います。  今大臣の方が席を離れておられますので、この綱紀粛正の問題につきまして、今も金融服務監査官室という形で調査もなさっておられますけれども、この流れについて、また実態について伺わせていただきたいと思っております。  まず、私どもの記憶にも新しいのは、前回の田谷さん、中島さんのときにも同じことを問題として取り上げたことが非常に鮮明な記憶として残っているわけでございますけれども、あの田谷さん、中島さんのときには紀律保持委員会というのをおつくりになったと思います。これはつくられてその後どうなったのか、今もずっと継続されてきたのかどうか、これについて伺わせてください。
  97. 武藤敏郎

    ○武藤政府委員 御指摘の田谷、中島事件を契機といたしまして、大蔵省内に紀律保持委員会というのを設けました。これは、綱紀の保持についての周知の徹底と何をなすべきかというようなことを検討するという委員会でございまして、今までに、平成七年の三月以来二十回余りにわたって開いてまいりました。  現在でもあるわけでございますけれども、今回のこの問題を契機といたしまして、ここをさらに強化するという観点から金融服務監査官室というのを設けまして、十人の人員を置きまして、この紀律保持委員会と監査官とが連携して、さらに徹底した調査に当たるという体制でやっておるわけでございます。
  98. 小池百合子

    ○小池委員 そうしますと、紀律保持委員会というのは今もあるわけでございますね。それと服務監査官室というのと一緒にコンバインしてやっておられるということですが、でも、少なくともこの田谷、中島事件の後、今回のような不祥事がまたいつ新たなものが出てくるかもしれないとも言われているわけでございますけれども、これは結局機能しなかったわけですね。
  99. 武藤敏郎

    ○武藤政府委員 御承知のように、七年三月の紀律保持委員会の設立の後におきましても、残念ながらいろいろな事件が起こりました。また、八年の十二月には、既に御承知のような倫理規程、現在適用されております倫理規程が設けられたわけでございます。この制度は、基本的に、一定の倫理規程に関係する行為をする場合には、みずから名乗り出て服務管理官の承認を受けるという、そういうシステムでございます。それが必ずしも十分機能しなかったという反省から、今回、金融服務監査制度というものを設けたわけでございます。
  100. 小池百合子

    ○小池委員 先ほど官房の方から調査表というのをちょうだいいたしました。綱紀関連調査表ということで、氏名、現在の所属部署等々あって、日時、区分、区分は例えばゴルフとか飲食接待とか何かそういうことを書く項目じゃないかと思います。相手方業者名、場所、当方の同席者、費用負担、備考という形で拝見させていただいているわけですが、多分、これは多い方だと一枚じゃ到底済まないのだと思います。コピーでもがんがんしなければ間に合わないのじゃないかと思いますけれども、この費用負担というのは、ここに費用を書くようなことになっているのでしょうか。
  101. 武藤敏郎

    ○武藤政府委員 この費用負担の欄には、当然幾らかかったかというその数字がわかれば記入されることになっておりますけれども、実際問題としては、その会食に一体幾らの費用がかかったのかというのはわからないことが間々あるといいますか、むしろそういう状態の方が一般的かという観点から、自己負担をした場合には幾らしたのか、それが幾らだったのかということを主に記入させることになっておりますけれども、わかる場合には、当然費用の総額が書かれることになっております。
  102. 小池百合子

    ○小池委員 皆さんの方は接待をされる側でいらっしゃって、大体幾らかかったのかというのは多分御存じないから書きようがないということではないかというふうに思います。まさに自腹を切ることを忘れたということではないかというふうに思います。  でも、そもそも、これでみんなが本当にきっちり正直に書くかどうかなんというと、私は極めて疑わしいと思うのですね。そのあたり、今回これもまとめられたら公表なさるということですけれども、どこからどこまで公表なさるのでしょうか。全部でしょうか。
  103. 武藤敏郎

    ○武藤政府委員 御指摘のとおり、これは任意の調査でございますので、捜査当局のような強制調査あるいは裏をとるような、証拠をきっちりとそろえるような調査ということは、これはできないわけでございます。そういう意味で限界はございますけれども、服務監査制度等を活用いたしまして、より正確な調査にしたいというふうに思っております。  結果は公表するということは、これは大臣からも御指示をいただいておりますけれども、現時点でどのような形の公表になるのかというのは、これから検討したいというふうに考えております。
  104. 小池百合子

    ○小池委員 これから検討するとか、大体そういう言葉ばかりで、そのうち、きょうあたり、あすからまたオリンピックがあったり何かと目がそれて、何か冷や冷やしている人にはオリンピックは大変待ち遠しいような状況かもしれませんが、これはまさに今日本金融システム、そして日本そのもののシステムをきっちりと立て直すためには極めて重要であるということを、この預金保険法の一番の担当である大蔵省そのものにかかっているということの認識を徹底させるべきだと思います。  そして、松永大臣お戻りになりましたところで伺いたいんですけれども、今回のこの金融服務監査官室、つまり何かが起これば紀律保持委員会をつくって、またそのうちおさまって、今度はまた服務監査官室をつくる。もういつものパターンで、私たちはというか、国民一般は、どうせできっこないやぐらいの気持ちだと思うんですね。でも、それじゃいけない。  そしてまた、松永大臣は、前回の総選挙のときの公約の二番目に挙げられた項目、覚えていらっしゃらないでしょうね。ここで改めて思い出していただきたいんですが、「政治家や官僚の腐敗を一掃し、公正で、きれいな政治を実現します。」これは大臣の議員としての公約なんですね。思い出していただけましたでしょうか。これを今こそお守りになる。  また、今回大臣として抜てきされたさまざまな理由があると思いますけれども、私は、本来はここはやはり日本の経済そのものを立て直すということも重要、最優先課題だというふうに思っておりますが、多分大臣に求められているのは綱紀粛正の部分が大ではないかと推測するわけでございますけれども、とにかくこの服務監査官室なるものがどのような効果を上げるのかというのは、大臣自身のお仕事、そして公約の実現にもつながるわけでございます。大体これまで同じ繰り返しで、そしてなあなあで済ませてきた、ここを本当の意味で改革するおつもりあるんでしょうか。
  105. 松永光

    松永国務大臣 私の前回選挙の公約の話でございますが、私は、前回選挙だけじゃなくて、毎回大事なことだと思って公約に掲げてきて、自分なりに努力をしてきたつもりでございます。  今こういう立場になりまして、特に、大蔵省の行政のみならず、日本の行政そのものに対する国民信頼が著しく傷つけられたという重大な事件でありますから、本当に重大な決意を持って、可能な限りの真相解明をして、そして関係者については厳しい処分をし、かつ適切な方法で公表する。それで、刑事事件として立件された人については、これは捜査当局の捜査の結果を見て法令に基づいて処置をするわけでありますが、刑事事件にならなかった者についても、金融関連の部局に勤務しておった者、過去五年間にさかのぼって、間違ったことをしていなかったかどうかということの内部調査をして、それに基づいて適切な処置をする、こういうことでございます。私は、これはぜひやらなければ実は大蔵省信頼が回復されない、非常に大事なこととして取り組んでいく所存でございます。  なお、これで本当のことがわかるのかという御批判もあろうかと思います、実際、強制捜査権はないわけでありますから。しかし、過去に、ほかの役所でありますけれども、それなりに効果を上げた例もあります。したがって、職員の良識に訴えて、とにかく間違ったことをしたという人があるならば正直に申告してもらいたい、それからまた関係者の申告を突き合わせをして、そしてより真実に迫るような、そういう調査の仕方もしたい、こう思っておるわけであります。これはやり抜かなければ大蔵省信頼は回復されない、そういう考え方でこの問題とは取り組んでまいる決意でございます。     〔委員長退席、井奥委員長代理着席〕
  106. 小池百合子

    ○小池委員 大臣の重大な決意はよくわかりました。ただ、これも毎回同じことで、重大な決意というのがなかなか実行されないというのがこれまでのサイクルとでも申しましょうか。しかし、もう私はやはり今国の危機であるということ一自腹を切ることを忘れた人たちが、感覚麻痺している人たちがどこまで本当に自主申告するのか、非常にいまだに疑問に思っております。  それで、この調査の方ですけれども、五年前にさかのぼってということでございますが、これは、今本省におられる方、地方に出ておられる方、海外に行っている方、海外も含まれるんでしょうか。
  107. 武藤敏郎

    ○武藤政府委員 海外も地方も含まれます。
  108. 小池百合子

    ○小池委員 海外と申しましたのは、国内で本省にいらっしゃるときもしくは地方におられるときに不祥事があった場合に、もうこれは一つ大蔵省のパターンと私は読むわけですけれども、証券の飛ばしが大変言われておりますけれども、人事の飛ばしが海外にまであるのではないかというふうに思います。  例えば、名前を挙げるとあれですけれども、興産信用金庫というのはたしか高杉さんの小説の題材にもなったと思うんですけれども、この場合も、官僚の方が大変接待で豪遊なさったというようなのがよく知られているわけでございます。こういうふうに、人事の海外債務といいましょうか、海外への飛ばしというのが現実に何件もあるわけですね。一つ一つ挙げろと言われれば挙げられるくらいきちっとあるわけですけれども、こういつたところもしっかりと確認をして、海外であろうが地方であろうが、これまでの問題点は一気にうみを出すということでしっかりとやっていただきたいと思います。この点いかがでしょうか。
  109. 武藤敏郎

    ○武藤政府委員 海外に派遣するかどうかは、これはもう全く人事の観点から、本人の適性を踏まえて行っておるわけでございますが、そういう者は、今言いましたような、過去五年間に金融部局に在籍して、過去五年間の調査が必要というものはすべて対象として調査をいたしたいと考えております。
  110. 小池百合子

    ○小池委員 さて、金融検査にまつわる接待問題、これで、本当に残念なことでございますけれども、関連して自殺者も出してきて、本当にこれもいつものパターンということで非常に残念なことでございます。  しかし、この金融検査のシステムそのものに問題があるんじゃないか、裁量行政というものが存在することに問題があるのではないかということで、個々の、自腹を切ることを忘れた人たちの存在もさることながら、やはり私は、大きく言えばシステムの問題であるというふうに思うわけでございます。  現在この金融検査に当たっておられるのは、本省で約百五十名の体制だと思います。全体でも約五百人ぐらいの体制ではないかと思うんですが、アメリカの場合ですと、これが八千人もの検査官がいて、そして予告をして、だけれどもその分きっちりと仕事をするということで、まさに本当の意味チェックがきくようになっているわけでございます。これから金融監督庁ということでございますけれども、この検査官の体制が、今後の話ではございますけれども、余りにも日本基本的に手薄じゃないか。  そして、実際に金融検査官の方々検査あり方などを見ると、いろいろな地方にいらして、大変安いビジネスホテルに泊まって、そしてそこでそういったお金はできるだけ安く上げるような努力をしている。一方では大変な豪遊というのもあるわけでございますけれども、でも私は、いわゆるノンキャリアの検査官方々の仕事ぶりというのは、これは評価すべきところはあると思うんですね。しかし、どこか上の方でがんとそれが飛ばされてしまうという、それも裁量行政の問題点であると思います。  いずれにいたしましても、日本検査官の人数からして、もう圧倒的に、すべての金融機関を網羅するようなチェック体制にはなかったのではないかというふうに思うんですが、御担当の方の御答弁をいただきます。
  111. 原口恒和

    原口政府委員 御指摘のように、特に最近は金融機関の業務も非常に複雑化、高度化しております。それから、いろいろ規制の緩和に伴いまして金融機関の数そのものが相当ふえてきている。こういう中で、限られた要員の中でやってまいったということで、そういう意味で非常に苦労もあったわけでございますが、一方で、厳しい財政事情のもと、いろいろな御理解を得まして、最近五年間で見ますと約五割ぐらいの増員も図られてきているということでございます。  我々としては、そういう中で、今御指摘のありましたように、いろいろ検査手法を見直していく。その中には、今までの事前的なチェックから事後的なチェックへという中で、例えば資産査定については、金融機関自己査定を前提としてそれを事後的にチェックしていくというところにウエートを置いていくとか、あるいは研修の強化等によって個々の検査官のマンパワーを高めていくというようなことを組み合わせながら、できるだけ実効性のある検査に努めていきたいというふうに考えております。
  112. 小池百合子

    ○小池委員 検査官の体制をもっとふやせなどと言うと、今いろいろな意味で人員削減であるとか行革とかと言われているのに私自身が逆行するような話をしているようではございますけれども、これまでずっと生糸の検査官であるとか、もう産業そのものが日本に存在しないに等しいようなことに対しても検査官をやたらたくさん置いていたわけですね。私は、今もう国の形そのものが変わっていると思うんです。  そこで、今日本とすれば、やはり金融、ある意味では一千二百兆といつもまくら言葉のように言われる個人資産でございますけれども、この日本の国の資産をどのようにして活用していくのかというのは、まさに生糸の時代から今度はお金、マネーの時代へともうとつくの昔に入っちゃっている、その意味で、どこを減らしてどこをふやすのかというようなまさに予算の配分と同じだと思うんですね。国家予算というのはそういった国の形を数字であらわしたものであると私は認識しているわけでございますので、ですから、日本は何を守らなければならないのかといったベースでもってめり張りをきかしていくということをしなければならないのではないかというふうに思うのが一点。  それから、アメリカの、これは証券の方ですけれども、SECがございますよね。職員が二千六百人いて、うち弁護士が二千人、そして会計士が百八十人ということで、まさに専門家集団でございます。片や日本の証券監視委員会、これもあのときの議論は、三条だ八条だと言ってその議論にばかり費やしていたんですけれども、職員は二百名。そのうちで、法曹資格、弁護士等の資格を持った人は、何と私の知っている限りでは約四人か五人じゃないか。全くその中身が違うわけですね、日米比較をやりますと。ですから今、この検査官の質の問題でございますけれども、これも見直した上で強化していく必要があるのではないかと思います。  それで、山一証券とか今金融関係方々で行き場のない方もたくさんおられるわけで、その意味では証券のプロの方々などは、金融破綻のために今回この預金保険法などを審議しているわけでございますが、これからもある意味では人材というのはそういったところがら結果的に出てくるという可能性だってあるわけでございます。ですから、この金融二法、金融安定化ということでマックスで三十兆円つぎ込むという話になっているわけですよね。そうしたら、この三十兆円、何度も申しますけれども、最大で三十兆円という話をしているのであるならば、社会的コストとしてこの検査官のシステムを根本的に、ほかの省庁とあそこが一人減って二人減ったというのが大体省庁間の、私も総務庁のときにいろいろと学ばせていただきましたけれども、この定員の問題というのは予算の分捕りと同じで何か非常に硬直化している。今回、これから行政改革が行われるのはまさにその絶好のチャンスであるというふうに思うわけでございますけれども、こういった考え方についてはどうお考えでしょうか。
  113. 原口恒和

    原口政府委員 まさに検査部を所管する立場からいえば、先生おっしゃるように、要員の確保というのは非常に関心事でございます。今後もいろいろ関係方面に働きかけて、できるだけ理解を得ていきたいというふうに思っております。  また、個々の人材についても、民間の方の登用を含めどういうふうに活用するかとか、あるいは海外の検査機関との交流とか、そういうことを工夫しながら向上に努めていきたいと考えております。
  114. 小池百合子

    ○小池委員 要は、金融というのはこれからますます専門化していくわけでございます。  私の友人で、外資に勤めていて、副社長、バイスプレジデントがたくさんいるわけですけれども、バイスプレジデントになった方が途中で、大変な高給取りだったんですけれども、ぼっとやめちゃったんですね。その理由は何かといったら、数学がわからないからついていけないというふうなことでございました。今、アメリカのデリバティブを含めた金融新商品というのは、まさにかつて軍事産業、防衛産業に従事していたような科学者が金融世界に入っている。別の意味の平和の配当なのかもしれません。大陸間弾道弾の計算をしていたような人たちが今金融世界に入って、外資ではそういうふうな形でやっている。日本はどうかというと、ある時期、理科系の人材をたくさん採りましたけれども、結局彼らは今何やっているかといったら、自転車こいで営業をやっているんですね。これは人材のミスマッチだと思います。  これはそれぞれの経営者が判断すべきことでありますが、同じように行政でも、今これだけの物すごいスピードで金融商品そのものが変わってきている。そして、かつてベアリング社というイギリスの女王陛下の資産を運用していたところが、若いおにいさんがそれこそデリバティブか何かで失敗したときも、何で失敗したかって経営者の方はよくわからなかったというぐらいの話がございます。ですから、金融検査は、事後チェックにしても、これはかなりのプロを入れていかないと、どこをチェックしていいかわからないというような検査官では私はやっていけないのではないかというふうに思います。  また、何か揚げ足をとるようで恐縮でございますが、先ほどは謙遜なさって銀行局長も、私は経済学は余りわかりませんというふうにおっしゃった。それから、思い出せばあの田谷さんも、国税局におられたのに、私は税のことはよくわからないと言って逃げられたわけでございます。じゃ一体、日本のこのどこにプロがいるのかと私は言いたい。そしてそれは人材登用の硬直化であるとか、時代に伴わないで年功序列をそのままやっているというようなこと、全部が今表に出てきているんじゃないかというふうに思うわけでございます。  この辺のところ、質問なのか意見を言ったのかよくわかりませんけれども、そちらでこれについてのお考えがありましたら、大臣、ちょっといかがでしょうか、今私が申し上げたようなこと。
  115. 松永光

    松永国務大臣 お答え申し上げます。  私は、能力的には大蔵省の職員、それなりに能力を持った人がそろっていらっしゃるというふうに思います。ただ、何といいましょうか、心構えの点でおごっている人もいたんじゃなかろうか。あるいはいるのかもしれません。それが不祥事の原因の一つ。  もう一つは、行政の仕組みとして、今までの行政は不明確なルールに基づく実は裁量行政であったと思う。これを直して明確なルールを示して透明な仕組みにして、そして事後にチェックする、こういう形に行政の仕組みを変えていかなきやならぬ。  実際、金融関係は、実は早期是正を実行するときから基本的にはそうなっていくわけであります。したがって、裁量行政というのは大幅になくなってくる、変わってくる。そして事後チェック型の行政になってくる、また、していかなきやならぬ、こういうふうに思っているわけでありまして、この四月以降の金融に関する行政が少なくともそういう仕組みになっていくわけであります。  そこへもってきて、六月までの間には大蔵省も相当な改革をすることになっておるわけでありまして、例えば銀行局と証券局、これは保険部も含めて証券局銀行局はなくなります。そして金融企画局という小ぶりの局になります。ちなみに証券局は八十七名、銀行局は百三十四名、合わせて二百二十一名でありますが、それが大体九十八名の金融企画局になる、こういうふうにリストラをするわけですね。同時にまた金融検査部門、これは大臣官房にあるわけでありますが、この金融検査部門とそれから証券取引等監視委員会、これらはすべて金融監督庁という総理府のもとに置かれる新しい機関に実は行ってしまうわけです。通産省の、失礼しました、大蔵省のその改革に伴って、大蔵省の方から総理府傘下の金融監督庁に約四百名近い人が行きます。そういうふうな改革をまず六月中にやるわけです。  その後は、今最終的な調整がなされておる行政改革会議の答申に基づく省庁再編基本法ですか、それに基づいて、金融に関する仕事のうち、危機管理ないし破綻処理に関する企画立案部門だけが大蔵省に残って、あとはすべてこれ金融監督庁に行く、こういう大改革がなされることになっておりますので、そうなされた後の姿を、私もそうでありますが委員も楽しみに見る、大蔵省の職員諸君もそれにしっかりこたえられる体制をぜひつくってもらいたい、私はそう期待をしておるわけであります。
  116. 小池百合子

    ○小池委員 大臣大蔵大臣なんですから、通産大臣は前のポスト。よろしくお願いいたします。  いずれにいたしましても、本当に金融世界はますます専門化していきますし、その移り変わりはめちゃくちゃ速い。私は、金融業というのは情報産業だと思って接するべきではないかというふうに思いますし、私、総理官邸とかいろいろな大臣室へ行きましても、最近は少し端末も入るようになってはいるのでしょうけれども、ほんの数年前までは、いろいろな情報端末が大臣室にあっても使わない。それで、為替の最新の情報が知りたいなんて総理大臣が言うと、大蔵省から出ている秘書官の方が国際金融局へ電話して、その国際金融局長がふろしき包みに最新の為替レートなるものを包んで、黒塗りの車で総理官邸に駆けつけてなんという話を聞いたこともあるのですが、そんなことでは到底この国の運営ということはやっていけない時代、つまり、大変なスピードで移り変わりがあるということをみんながもっともっと認識すべきではないかというふうに思っております。  この金融検査やり方というのを本当に抜本的に改めないと、かえってまた、その何人何人ということは目安じゃないと思うのですね。やはりそこでのプロフェッショナルか否かという質の問題を十分チェックをすべきではないかというふうに思います。またある意味では、そういった大変移り変わりが速いということから、いわゆるMOF担、MOF担は接待云々で検査の日にちを教えてもらうとかいろいろなこともあったでしょうけれども、逆に言えば、現場の情報などを行政の側も教えてもらうようなところもあったのじゃないかなというふうにも思うわけでございます。  いずれにいたしましても、この金融検査というのは極めて厳しく、特に、これから自己責任を個人の預貯金者に言うのであるならば、これはまた事後チェックもきっちりとやっていただかないと、既に金融破綻したところの方々などは、そんなの知らなかった、急に自己責任だと言われて、えっというのが、戸惑いを見せているのが今の状況だと思います。  次に、これは預金保険機構の方の問題ではございますけれども、預金者のお金が預金保険の方に流れるということを考えますと、今回の公的資金の関連でその預金保険の問題、それから安定化の問題、いずれにせよ納税者にかかってくることでございますので、あえて伺わせていただきたいと思います。  阪和銀行の問題でございます。  阪和銀行平成八年の十一月に突然の業務停止命令を受けたわけでございまして、そして一月二十六日に営業譲渡して解散ということでございますが、そこに勤めていた行員の方々の退職後の問題が出てきております。つまり、阪和銀行の行員の方々の退職金というのが、本来ですと勤続十五年で百五万円ぐらいのところを、労組の方がストの構えを見せていろいろな上乗せを要求したということで、結局、こういったやめられた方々、行員の皆さんに対しては当初予定が二十九億円だったのが、一気に百十四億円にふえたということがございます。  勤続十五年で百五万円のところ、上乗せ分が三百六十七万円、それから離職手当で六百四十六万円、合計すれば一千百十七万円。平均すれば、三百七十万円ぐらいの人が結局千五百万円の退職金と離職手当を手にされたというようなことでございます。つまり、規程の四倍近く退職金その他をもらってやめられたのがこの阪和銀行ケースでございます。  これからの金融機関の破綻などの際に、勤めていた行員の方々がやめられるときに、いろいろストを打ったりなんか、それはやめさせられるというか、突然勤めていた銀行金融機関がなくなるというのは、そのショックたるや大変なものがあるのはもちろん私もよぐわかります。しかし、ルールとしてこれまで決まっていたものが一気に四倍にふえる、それが結局預金保険の方から払われるということになりまして、これが前例になりますと、十三兆円だ十七兆円だと言っていますけれども、今後の、この預金保険のみならず、公的資金が結局つぶれる金融機関の退職金に払われるということになるのはちょっと解せないのじゃないかと思うのですが、事実関係はどうでしょうか。
  117. 山口公生

    ○山口政府委員 阪和銀行の破綻によりまして退職金の問題が生じたわけでございますが、退職金規程に自己都合の退職の場合しか規定がございませんでした。この場合は会社都合になりますので、その辺が労使で争いになったわけでございます。  労働組合の方は、スト権を確立しましてストを辞さないというようなことでございました。もしストライキになった場合に、今度は預金者への支払いができなくなってしまうとなりますと、これは、法律によるとペイオフに移行しなきゃいけないという規定になってしまいます。そういうことになりますと、せっかく金融三法でいろいろな手だてをお認めいただいている措置ができない。そうすると、また取りつけ騒ぎということになってしまいます。  そういうことを解決するために、労使間の交渉を引き続きやると同時に、これはやはり何か公平公正な判断をして決めてもらわなければいけないということで、裁判所の民事調停による解決という形に持っていかれたわけであります。  その成立した内容に従って労使問で退職金の支給について妥結したわけでございますが、こうした形での、裁判所の関与での公平公正な判断でもって預金保険法上の必要性の認定というのを行って、預金保険の運営委員会におきましてもそれはやむを得ないだろうということで、阪和銀行は一月二十六日にそれを受けて解散をいたしたというのが事実関係でございます。
  118. 小池百合子

    ○小池委員 ここに阪和銀行が三塚大蔵大臣に出された上申書があるわけでございますけれども、その中にも、貴省からの、つまり大蔵省からの頭取の派遣と日本銀行からの専務の派遣ということで、これだけの人物を受け入れたのだから大丈夫だろうというようなことなどの気持ちであるとか、事の経過がいろいろと切実に書いてあるわけでございます。  ですから、この阪和銀行ケースというのは、例えば自己都合しかなかったというような項目を、天下りの方がそれだけ行っておられながら、これまで金融機関は破綻させないということをずっと言ってこられた大蔵省ですからそのようなことは毛頭考えもしなかったのかもしれませんけれども、何ら指摘もせずに経営者としていらしたのでしょうか。
  119. 山口公生

    ○山口政府委員 確かに大蔵省や日銀から最後は頭取等で就任されておりましたけれども、そのかなり以前に、いろいろなことがあって財務状況は非常に悪くなった。しかも阪和銀行の場合は、もうかなり周知の事実になっているような、新聞に出るようないろいろな事件もございました。そういったようなのが背景でございます。  この方々、今御指摘になったような方々も一生懸命努力をされ、また破綻後も懸命な努力をされたわけでございますが、ただ、この労使関係の問題につきましては、一つ一つ私どもが立ち入ってやるというのもやや行き過ぎではないかと思います。  規定がそういうあらゆる場合に整備されておりますればもちろん規定でお支払いになると思いますし、それから破綻処理の場合において、人まで引き継がれるケースが多くございます。その場合にこういう問題は余り生じないということでございまして、阪和銀行の場合は全員が一応解雇になるということで、こういった取り扱いになったということでございます。
  120. 小池百合子

    ○小池委員 いずれにいたしましても、公的資金が今後金融機関の方に必要な分つぎ込まれるわけでございますが、この阪和銀行の例を前例としないということにしないと、一たん破綻したけれども、その後でまた次から次へといろいろなことが出てくるということになりますと、これは、勤めている方は大変きつい状況だということは重々認識いたしますけれども、納税者の側からは理解が得られないのではないかというふうに思うわけでございます。  これに対して、この阪和銀行は例外であるのでしょうか、それとも新しい何かルールをつくろうという動きはあるのでしょうか。
  121. 山口公生

    ○山口政府委員 先ほどお答えしましたように、規定が整備されている場合もございますし、そうでない場合もある、あるいは人が引き継がれる場合、引き継がれない場合、いろいろありますのでケースケースでの対応だと思いますが、一つだけ言えることは、公平公正、または客観的に、例えば裁判所あるいは労働委員会等の御判断等を仰ぎながら解決をしていくということが大切ではないかというふうに思っております。おっしゃるように、国民の皆様から理解の得られるような解決を図っていくということだろうと思います。
  122. 小池百合子

    ○小池委員 この件に関しましては、大蔵、日銀が余りにもすっと受けたことに、私は大変疑問を抱いている部分も多いわけでございます。そのことを指摘しておきたいと思います。  それで、いずれにせよ、こういう不透明な形では納得できないし、また、それぞれの個々の経営者がこういった面にもこれから最大限努力されることを期待しておきたいと思います。  それから、長野証券局長の方に、お越しいただいておりますので伺わせていただきます。  せんだって、松野元証券局長がこの大蔵委員会に参考人としてお越しになった際に、例の山一の飛ばしの件、九一年の末に三木前社長から相談があった云々のお話を事実としてお認めになったわけでございます。  しかし、そもそも、きのうも予算委員会の方でお答えにはなったかと思うのですけれども、やはり大蔵省の場合も非常に人事が頻繁に行われますね。そして証券局長になられた際に引き継ぎをしっかりなさらなければならないと思うのですが、この山一証券の飛ばしの問題というのは前任者からきちっと引き継ぎをされていたのでしょうか、されていなかったのでしょうか、確認させてください。
  123. 長野厖士

    ○長野政府委員 結果的に、今問題になっておる事柄だけを申し上げますと、引き継ぎが行われておらなかったと申し上げるほかございません。私と松野の間に二人証券局長が入っておりまずけれども、この二人にも確かめましたけれども、引き継ぎされておりません。  問題は、私は、今こういった案件を飛ばしと、それで今日の時点で飛ばしといえば簿外債務ということをどなたも連想なさいますけれども、平成三年の時点での飛ばしというのは、ほとんどイコール損失補てんでございました。そして損失補てんが現実にあった案件あるいはその予備軍になりかねない案件といったもの、損失補てんリストというのがあのころのもう一番中心テーマでございましたから、そういった対象の会社みたいなものが、今から申し上げるとあれですけれども山のようにあったその中の一つ、会社の名前を確かめて今日の目から見てフォローすればという御指摘を先日松野も当委員会でいただいておったようでございますけれども、たくさんある案件の中の一つのような位置づけだったのかなと想像いたしております。  そして別途、当時、そういった損失補てんにつながりかねないような現先取引というのは、私どもは山一証券につきましても把握しておりまして、それを先日この委員会で、二千五百八十億円のものがあって、フォローして、それがどういう処理になったかというのを確認して、それは損失補てんに当たらないという認定に最後は至ったわけでありますけれども、今から考えてみると、その案件の中の話なのか、その案件の外にまだ何かがあったのかというところの詰めが足りなかったということは、大蔵省も組織として御批判を浴びざるを得ないのかなとは思います。
  124. 小池百合子

    ○小池委員 飛ばしというのは、まさに技術的で、その最中というのは確かに非常にわかりにくいものがございます。  しかしながら、この飛ばしもしくは簿外債務という形でございますけれども、私、どうも納得できないのですけれども、その当時、山一証券もさることながら、同じような形で大和証券と例の東急百貨店との件があるわけですね。これは裁判にもなるわけですね。そして、それぞれのトップが辞任するということで、やはり証券史上でも大変大きな事件として残っているわけで、それとほぼ同じような形でこの山一証券の存在があった。つまり、証券局長とすれば、もちろん今おっしゃった件もわかりますけれども、しかし、この飛ばしの問題は、やはりそれだけ世の中も騒がせた大きな事件がそのまままたのど元過ぎればで、証券局長は忘れてはいけないと思うのですね。普通の人は忘れるかもしれないけれども、やはり証券局長は忘れちゃいけない。その引き継ぎがうまく行われていないというのはやはり非難されてしかるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
  125. 長野厖士

    ○長野政府委員 これは当時のことになりますので、私があれこれ推測で、私の立場で松野を弁護することも非難することも避けたいと存じます。そのときの事実というのは松野がここで参考人として申し上げておりますので、それに対しましてのあれは避けたいと思います。  御質問の中に、大和と東急百貨店とおっしゃったかと存じますけれども、これは個別の会社の名前でございますので、大和は、東急不動産でございます。  損失補てんと飛ばしがイコールだということを申し上げましたけれども、その次の段階で飛ばしが問題になりましたのは、飛ばしの定義が、今度は第二回目には少し変わってまいりまして、被用者が会社に無断で顧客同士の取引を仲介して、結局そのロスを会社が使用者責任として裁判上払わなければならなくなった、会社が使用者責任をとらざるを得なくなったというケースが出てきたのが、おっしゃるような大和、それからあと二つ三つの証券会社でございました。その段階でほかにも類似するものはないかということは私ども調べておりますけれども、この段階では山一につきましては発見するに至らなかったということでございまして、そういった調査が不十分でなかったかという御批判に対しましては、先日も松野がお答えしたとおりかと存じます。
  126. 小池百合子

    ○小池委員 今東急不動産とおっしゃいましたけれども、やはり東急百貨店じゃありませんか。
  127. 長野厖士

    ○長野政府委員 私どもで持っております資料、そうすると不動産に御迷惑かけるといけません、申し上げなかった方がいいのかもしれませんけれども、訴訟で解決しましたのは東急不動産となっておりますが、この引き継がれております資料が印刷ミスがあるといけませんので、これはもう一回確認いたします。  東急百貨店は、先日来の話で山一の問題として起こったやに今認識しております。
  128. 小池百合子

    ○小池委員 長野さん、申しわけない、証券局長としてしっかり引き継ぎされていないんじゃないでしょうか。これは明らかに東急百貨店は二つ抱えていたんですよ、大和と山一なんですよ。これはもう明らかなことなんです。だって、事実は一つなんです。じゃ、証券局長って一体何を引き継がれるんですか。
  129. 長野厖士

    ○長野政府委員 大変恐縮に存じます。当時訴訟で解決された案件というのを整理いたしましたのがその名前になっておりましたので、御紹介を申し上げました。  この個別の問題につきましては、引き継ぎという意味では、私ども、平成四年の七月にこういつた取引関係の案件の調査というものは証券取引監視委員会の方に移管することになりましたので、その後のフォローは証券取引監視委員会の方に移管しております。したがいまして、先ほど申しました二千五百八十億につきまして最終的にどうなったかのフォローアップをしたと申し上げましたけれども、その段階では証券取引等監視委員会にお願いしたということであります。
  130. 小池百合子

    ○小池委員 長野さん、逃げちゃいけませんよ、やはりここは。何を、どういうものを局長たる者は前任者から受け継ぐんですかということを伺っているんですね。やはり行政の継続性というのは大変重要なものだと思いますし、当然あるべきことだと思います。ただこの一つだけを取り上げて、私は、それを聞いていなかったのはおかしいんじゃないかというようなことを言っているのではない。私は、前の局長から次の局長へ、やはり重要な案件というのはもう少ししっかりと受け継がれなければ、それは前の担当者でしたからよくわかりませんというのは、これは通用しないというふうに思いますので、改めてその辺をしっかりと確認をお願いしたいと思います。  それから先ほどの件も、前回、松野元証券局長にお越しいただいたわけですが、あのときは山一側の三木前副社長、あの方もやはり同席していただかなければ、正確なことはわからなかったのではないかというふうに思います。四日の日はお風邪を召したということと伺っているんですが、これはお風邪が治られたらぜひともこの大蔵委員会にお越しいただきたいというのが、委員長、私の委員会に対する要望でございますので、よろしくお願いをいたします。  さもないと、二人、やはり双方を突き合わさないと、四大証券の一つの山一証券がつぶれるというのは、これは自主廃業か会社更生法か、なぜ自主廃業だったのかという大きな疑問もまだ残るわけでございます。そこはもっと明確にしていかなければ、この金融安定化という法律をつくっても、また基本的なそういった不透明さが残るというのは、これは将来に対して禍根を残すというふうに私は思うわけでございます。  時間もそろそろなくなってきたわけでございますけれども、この問題はまた改めて追及させていただきたいと思っております。  それから、株式の問題でございますけれども、このところは一進一退でとろとろと一万七千円台を確保しているような状況でございますが、いわゆるいろんな観測気球がぽんぽんと上がっていることに対して市場が期待感を、期待のシナリオを勝手に描いているということで、これはまだまだ非常にぬかるんだ状態での株価ではないかというふうに思うわけでございまして、その期待が裏切られますと、市場というのは極めて正直なところでございますので、これまた大変重要な問題になってくるわけでございます。  基本的に、やはりシステム的に日本の株式市場も、もちろん景気がよくて経済がよくて、また一つ一つの個々の会社の経営内容がよくて株価に反映されて、それが全体のTOPIXになり日経平均という形になって出てくるわけでございますけれども、もっと日本の株式市場そのものを下から、単に機関投資家であるとか超大金持ちであるとか、それから株大好きの人であるとか、そういった形じゃなくて、もっともっと国民的に支えていくということが必要ではないかと思います。  そこで、有価証券取引税、最後にちょこっと残っているようなそういうのは、市場に対してメッセージが半減どころか、もっともっと低くなっているという点も一つございますが、先ほども指摘があったと思いますが、日本版の四〇一kのようなシステムを導入すべきではないか。これはまさに自己責任の世界でございます。そしてまた、企業年金を自己責任でもって株式に充てるなどというのは危険だというような意見もございます。しかし一方で、ニューヨークの市場は、自己責任を持った形で、ベビーブーマーたちのこの四〇一kプランでもって今活況を呈しているわけでございます。  この日本版四〇TKプラン導入について、証券局長、どういうふうにお考えになっていますでしょうか。
  131. 長野厖士

    ○長野政府委員 四〇一k、確定拠出型の年金と定義されるのでございましょうか、それはすぐれて、年金制度を確定給付型で考えるか確定拠出型で考えるかというのは大変大きな問題であろうかと存じますけれども、これは私の立場というよりは、年金に関係する方々でこれから深く御検討が進められるだろうと存じます。  ただ、先生が御指摘のように、アメリカにおきましてその確定拠出型年金四〇一kプランというものが非常に幅広く利用されて、それで今日ダウが上がったことが、国民全体が幸せに感じておるとよく言われることの背景にはございます。株式投資になるたけ日本国民にすそ野広くなじんでいただきたい、そして株式投資の長期的な魅力というものを味わっていただきたいと考えます証券局長の立場からすれば、そういったアメリカの例というものには、大変興味を引かれて、関心を持っております。
  132. 小池百合子

    ○小池委員 それだけに株式市場、証券市場の体質の改善を、またディスクロージャーの徹底ということをやらなければならないというふうに思います。  最後に、せんだって予算委員会にお出しになりました「財政の中期展望」についてもお伺いしょうと思ったのでございますが、私は、中期展望を見ておりましても、これは目標の設定から逆算ということなんでしょうけれども、そもそも最初の前提からして余りにも甘過ぎて、それで一つ一つの数字を議論する気にもならないというようなことでございますが、やはり何といっても日本は経済に関して基本的に手順を間違っているということを最後に申し上げておきたいと思います。  やはりバブル崩壊、もしくはバブルの崩壊にしたって、またこれは手順を間違えているわけでございますが、もしくはタイミングを間違えていると思うのですが、徹底した情報開示を行う、そして責任を明確化する、そして不良債権を処理して新しいシステムを確立するというのが本来あるべき姿であった。しかし、これが非常にタイミングがずれにずれて、そして今こうやって景気が悪くなっているところに増税だ、医療費を上げるというのは、まさに私は、第三国の陰謀であるならばともかく、自国の政府がやるとはいまだに信じられないということを本会議場でも申し上げさせていただきました。やはり消費税アップも極めてタイミングが悪かったというふうに思わざるを得ません。  そして最後に、公約を引っ張り出させていただいたついでに松永大臣にお伺いしたいのですが、先ほどは政治家、官僚の腐敗を一掃するという二番目の項目を申し上げました。ちなみに一番目の項目は、「思いきった行政改革を断行します。」ただし、その次に「・」がついていて、「消費税率アップは、抜本的行政改革の道筋を決めてからとします。」ということなんですが、去年の四月の時点もしくはその閣議決定された時点には、抜本的行政改革の道筋は私は決まっていなかったと思います。やはりここで、党が訴えておられたところを、これでいいのかなと思ってわざわざ「こをつけてこの項目を設けられたというのは、実は、大臣はここで消費税率を上げるのはよろしくないというお気持ちがどこかにあったのじゃないですか。最後にそれを質問させていただきます。
  133. 松永光

    松永国務大臣 行政改革をしっかりやるということが大事だ、それを条件としてならばという気持ちでそう書いておったわけであります。時期は少しずれたかもしれませんけれども、大蔵省改革についても、先ほど言ったように第一段階の改革は六月までになされるということが、既に法律が通って実行に移されようとしておりますし、それから、今国会に提出される中央省庁再編基本法、これによって大幅な行政改革がなされる、こういうことでありますが、今後とも改革をなお一層進めていく必要がある、こういうふうに思っております。
  134. 小池百合子

    ○小池委員 ありがとうございました。
  135. 井奥貞雄

    ○井奥委員長代理 小池百合子君の質疑は終局いたしましたが、ここで、証券局長より補足説明を求められております。長野証券局長。
  136. 長野厖士

    ○長野政府委員 先ほど訴訟関係につきましてお答えしました点で、今確認できましたことがございます。  大和証券で訴訟案件として処理しました会社は、先ほど私が御答弁したとおりで間違いないのでございますけれども、その他、調停で処理した会社の中に東急百貨店の関連会社が二社入っておる。私は、その記録の名前が百貨店そのものでないものでございますからあのようにお答え申し上げましたけれども、大変失礼いたしました。
  137. 井奥貞雄

    ○井奥委員長代理 次に、西田猛君。
  138. 西田猛

    ○西田(猛)委員 自由党の西田猛でございます。  この法律は非常に重要な法律でありますので、私たちは慎重に審議をするべきだと考えております。そしてまた、この金融システム安定化ということが、日本経済、またひいては世界経済にとって非常に重要であり、我が国国民経済を守るために必要でございますから、私たちは、重々申し上げてまいりましたように、預金保険機構を充実せしめて、そして預金者保護に万全を期するということは必要でございます。しかも、可及的速やかに行わなければなりません。しかしながら、今回のいわゆる新法で、緊急措置に関する法律で新設されようとする金融危機管理勘定については、いまだ納得のいかないところでございます。  そこで、これは大蔵委員長にまず御確認したいのでありますけれども、昨日大蔵委員長から、大蔵委員会でこの二法案を本会議に緊急上程するという提案があったということは、それは誤りであるということの確認でよろしゅうございますね。     〔井奥委員長代理退席、委員長着席〕
  139. 村上誠一郎

    村上委員長 もう一回、申しわけございません、言ってください。
  140. 西田猛

    ○西田(猛)委員 昨日大蔵委員会で本二法案を本会議に緊急上程するという提案があったということはありませんね。
  141. 村上誠一郎

    村上委員長 ありませんねというのはどういうことですか。
  142. 西田猛

    ○西田(猛)委員 ないわけですね。そういう提案はなかったわけですね。
  143. 村上誠一郎

    村上委員長 与党からありました。
  144. 西田猛

    ○西田(猛)委員 大蔵委員会としては決まっていないわけですね。
  145. 村上誠一郎

    村上委員長 だから、その緊急上程するかどうかについての議論は、幹事長会談もあるから留保しておくということにしただけです。
  146. 西田猛

    ○西田(猛)委員 だから、今の時点ではまだ大蔵委員会としては意思を決定していないということでよろしいですね。
  147. 村上誠一郎

    村上委員長 そうそう、理事会としては、その問題についてね。
  148. 西田猛

    ○西田(猛)委員 よろしいですね。それは確認していただけますね。
  149. 村上誠一郎

    村上委員長 はい。
  150. 西田猛

    ○西田(猛)委員 わかりました。  それで、事ほどさように重要な法律案でございますから、この法律について、特に金融機能安定化のための緊急措置に関する法律案については、さらに私たちも理解を深めていきたい、これが国民の声であると思います。  それからまた、法律というものは、内閣が特にこの場合は提出しておるものでございますから、提出者は内閣であります。したがって、その内閣の一員である大蔵大臣がこの法律を提出されるわけでございまして、大蔵大臣がこの法律について知悉し尽くしておらなければ、この法律案国民にとっては本当に必要なものなのかどうかわからないわけでございます。したがって、大臣、ここはひとつしっかりと私どもの質問に対して御自身でお答えをいただきたいというふうに考えております。  まず、以前の大蔵委員会で、私が、銀行のいわゆる大競争時代が訪れたときに銀行が新しい市場の中でどういう様相を呈していくのかということをお聞きしたときに、前三塚大蔵大臣も、吸収合併、リストラというふうなことが必要となってくるだろう、今のままで弱い銀行が生き長らえる、そして預金者に危難を与えるということがあってはならないという御趣旨でございました。  それでありましたらば、金融機関の吸収合併、リストラ等の支援については、既に昨年の十二月の預金保険法の改正等によりまして、その支援策は万全にできておるわけでございます。これは、銀行の新設合併、特定合併に対する預金保険機構の資金援助という制度が新しく設けられたところであります。この支援策で、銀行の淘汰それからリストラ、ひいては預金者保護については万全と考えますけれども、いかがでしょうか。
  151. 松永光

    松永国務大臣 今回提案をして審議をお願いしておるのは、昨年の秋以降の日本金融システムについての信頼感が十分でなくなってきたということが、景気の動向等にも非常に悪い影響が出てきた。そこで、この機会に、まず預金者預金は確実に守られますよということを物的にも約束する必要があるということで、合計十七兆の資金を用意する。  一方、十三兆の方は、これは金融システムの全体としての安定化のために、新たな仕組みをつくって、そして希望する金融機関に対して、公正公平な審査委員会の議を経て、議の結果は公表をして、全会一致で決めて、閣議を経た上で資本注入等の支援をする。こういう仕組みをつくって日本金融システムをさらに安定させていこう、こういうことで提案をさせていただいたものと私は理解しております。
  152. 西田猛

    ○西田(猛)委員 今もおっしゃいましたけれども、金融システム全体の安定のために、ある意味では個々の金融機関に対して公的な資金を注入するわけでございます。  しかし、その後には、やはりそれでも成り立っていかない銀行が出てくるだろう、金融機関が出てくるだろう、そうしたら吸収合併等も行われますよという政府からの見解があるわけです。であれば、今の時点ででも、もう既に去年の十二月にそのシステムをつくっておるわけでありますから、預金保険機構としての資金援助方策ができています、今もうやっていいんじゃないでしょうか。そして、今おっしゃったような、資金注入をしなければいけないという十三兆円は、むしろそっくりそのまま特例業務勘定の方で力づけたらいいんじゃないでしょうか、預金者保護に万全を期するために。
  153. 山口公生

    ○山口政府委員 先生がおっしゃるような考え方というのもへそれはあると思います。それは、破綻すべきものを全部破綻させてしまうという考え方ということは、一つの筋論としてあると思います。  ただ、今の経済情勢をごらんになったときに、金融のいろいろな機能が産業界全体に、あるいはひいては雇用まで影響を及ぼしているわけです。それが非常に危機的な状況にあるというとき、債務超過ではないような状態の場合でも、資金繰りで破綻をするというようなケースがあるわけです。それから、海外でも、八%を割った途端に資金が取れない。すると、それに依存している産業界あるいは私どもの国民生活というものが毀損されるわけでございますので、先生のおっしゃる考え方というのは、私は間違いだと申し上げるつもりはもちろんありませんけれども、それはそれとして、やはり我が国金融システムを守って経済全体を守るということが大切だし、また、アジアの国々でも、日本国が金融がきっかけでがたがたになった状態になったら、これはもう大変な御迷惑をかけることになると思います。そういうことを防ぐということは、その破綻処理のものとはまた別の意味で大変大切なことではなかろうかということで御提案申し上げているということでございます。
  154. 西田猛

    ○西田(猛)委員 今銀行局長が言われた話になってきますと、いつもどおりのいわば神学論争になってくるわけなんですね。大臣と神学論争をしようかなと思っておったのですけれども、銀行局長の方が非常にその論議があるものですから。  しかし、要するに我々が考えているのは、ここで幾ら金融機関に公的な資本注入をしても、国際的なマーケットで日本自体のシステムに対する信頼が回復していない以上、それは自己資本比率が八から一三%ぐらいに上がったとしても、本当に資金が取れるのだろうかというところが問題なわけです。  これまでもいろいろな議員がるる質問してきたと思います。この十三兆円の資本注入をしたら、本当にそれで各金融機関は資金が取れて、もって我が国金融システムは万全の態勢がとれるのかなというところの説明がまだ国民皆さんには伝わっていないんだと思います。むしろ、そんなお金があるのならば、預金者保護の方に回していただいた方がいいのではないかということが巷間かまびすしく言われています。  しかも、じゃ、ここは当局からででも結構ですけれども、御確認しておきたいのは、今回の措置で、劣後債なり優先株を発行して、それを整理回収銀行が引き受けた、そのことに対して預金保険機構が資金を援助した個別の金融機関については、その後、リストラ、吸収合併ということはないということだと考えていいんでしょうか。
  155. 山口公生

    ○山口政府委員 それは、吸収合併される方の銀行のことをおっしゃっているわけでございますね。そういうことであれば、十三兆円の運用としては、破綻が見込まれるようなものは相手にはするべきではないという考え方で御提案申し上げているわけでございます。  ただ、じゃ、十年、二十年先どうかとおっしゃれば、それは状況によっていろいろあると思いますけれども、この法律の考え方としては、破綻が見込まれるようなところを救うための措置ではございませんということでございます。
  156. 西田猛

    ○西田(猛)委員 今の御答弁で少しだけはっきりしたのは、要するに、十年、二十年のタームで見るとわからないけれども、今回の公的な資金インジェクションを行った銀行については、早い段階で吸収される、あるいはリストラされて――リストラはありますね。ほかの形に形態を変えてしまうとかいうことはないということを確認されるわけですね。
  157. 山口公生

    ○山口政府委員 ちょっと正確に言わなきゃいけないと思いますけれども、合併をするとかいうこととは別に、破綻の形式として吸収合併というようなことをおっしゃっているというふうに私は理解しております。  つまり、破綻がすぐ見込まれるようなものは対象にしていないということでございますので、それは営業譲渡の場合もあるでしょうし、つまり、そういった個別金融機関が例えば債務超過状態にもうなりかけておって、それで破綻がすぐにでも見込まれるような場合には、それは単なる銀行救済になってしまう、こういうことでございます。
  158. 西田猛

    ○西田(猛)委員 二月四日、五日の大蔵委員会及び予算委員会で、参考人として出席された東京三菱、三和両銀行の頭取が、ある意味で、公的資金の受け入れには慎重な発言を繰り返しておられます。他方、今銀行局長も言われたように、破綻しているような銀行には公的資金を今回は注入するのではないということであれば、一体どういう金融機関に資金を注入するスキームだというふうに理解をすればいいんでしょうか。
  159. 山口公生

    ○山口政府委員 明らかに破綻を予想されるようなところに入れるわけではないわけですけれども、したがって、それ以外の銀行は対象になり得るわけでございます。  ただ、法律にも書いてございますように、システミックリスクが生じるような場合でございますので、特定の銀行を想定して考えているわけではないということでございます。
  160. 西田猛

    ○西田(猛)委員 先ほども申し上げましたが、平成九年の法改正で、いわゆる新設・特定合併に対しても預金保険機構の資金援助が可能になったと。それは、預金保険機構の中の一般金融機関特別勘定、これは平成八年度にはそういう資金援助するべき対象がなかったので、現在、責任準備金として一千九百一億円が残っているというふうに私は理解しておりますけれども、その一般金融機関特別勘定で資金援助するものだということでよろしいでしょうか。
  161. 山口公生

    ○山口政府委員 特定合併の場合は、ロスの穴埋めというよりは資産の時価での買い取り、不良資産の買い取りでございます。それで、保険料で賄うというのをまず第一順位にしておりますし、それから、資本が残っている場合はその資本の範囲でそれは対応するという考え方というのを貫きたいというふうに考えております。
  162. 西田猛

    ○西田(猛)委員 ちょっとわかりにくかったのでもう少し詳しく説明していただきたいのは、預金保険機構がその特定合併の際にはどういう勘定からどういう資金援助をすることになるんでしょうか。
  163. 山口公生

    ○山口政府委員 ペイオフコスト範囲内であれば一般勘定ですし、それを超える場合は特別勘定ということでございます。
  164. 西田猛

    ○西田(猛)委員 確かに、ペイオフコスト内であれば一般勘定で、それを超える部分については特別勘定だということだと思います。そういう別の勘定が、これは国民皆さんには本当にわかりにくいんだと思うのですけれども、別にあるわけですね。  他方、今度は金融危機管理勘定というものを設けて、十三兆円もの公的資金を準備したということなんですが、これはよく委員会などでも当局の御説明しておられる、企業の皆さんにとっては一番そこがうれしい、こうなるわけですが、貸し渋りを解消するためだという説明がいろいろなされているのですね。それはそういうことを目的としているのですか。ここではっきりしておきましょう。  自己資本比率を高めてもらって、もって日本金融は大丈夫なんだという金融安定、信頼回復のためである、それが第一義だというふうに言ってください。要するに、あいまいな答えはいけないと思うのです。それも貸し渋りを解消することにもつながるしというふうなことはつけないでいただきたい。どっちが本当の目的なのかを言っていただきたいと思います。
  165. 山口公生

    ○山口政府委員 一言で言えば、総合的な危機管理ですので、いざというときのため。それから三月期を例にとりますと、それを非常に過剰に心配して萎縮した行動をとるということを防ぐための備えというようなことであります。  例えば、自己資本比率との関係からいいますと、八%基準のBIS基準をとっている銀行が海外でもし活動しているとします。それがもし八%を切ってしまいますと、それこそ資金は取れなくなっていく可能性が高いわけです。そうしますと、貸し渋り現象どころか、相当資産を圧縮、その一カ月ぐらい前からやらないと、それは資金が全く取れないという黒字倒産の形になってしまいますので、したがって、自己資本比率と貸し渋り関係というのは、やはりそこではつながってくる点があります。  確かに、自己資本比率を上げるためだけにこれを使えば、それはおっしゃるとおり、資産の方の、分母の方の広がりにはなりませんから、それは先生のおっしゃるような御議論はあると思いますけれども、例えばその八%の基準とか四%の基準ということを心配して今貸し渋りを起こしているということになりますと、貸し渋り解消に大変資するということは言えると思うのですね。
  166. 西田猛

    ○西田(猛)委員 もちろん経済原則的なことを言えば、もしも自己資本比率を高めるためであれば、貸し渋りというよりも、むしろ融資を回収するということが行われていきます。  そこで、大臣、お聞きしたいのですけれども、貸し渋り対策ということも含まれているということであれば、民間金融機関公的資金を受け入れてもらうわけですから、その金融機関からの申請に対して審査機関で審査するというのはおかしいのではないですか。
  167. 松永光

    松永国務大臣 お答えいたします。  公的資金を注入するわけでありますから、定められた、この定められた条件というのは、法律に書いてあることと、それから審査委員会がみずからつくる基準がありますが、その基準に基づいて審査をして、その審査の会議の様子も公表をして、そして決めるということでありますが、その審査をするというのは、やはり公的資金を使う以上は、そういう透明性の高い審査をして、そしてやったということを国民に示さなければ、それは公的資金を使う以上そうすることが当たり前であるということで、審査会を設けて公正な審査を行う、こうなっておるものと私は理解をしております。
  168. 西田猛

    ○西田(猛)委員 大臣、申請する銀行は、現存しており、現に経営をしている金融機関なんです。そういう金融機関が申請をしてきたときに審査をする、それはいいでしょう。しかし、審査をすると申しましても、ちゃんと経営している銀行なんですよ。その中でもし貸せるところと貸せないところがあるとしたら、もしもそうだとしたら、貸せないところというのは存続せしめておくこと自体が問題なんじゃないですか。  だから、私、当初から申し上げた、もう今の時点で先々あるいは今現に問題が生じている銀行があるのであれば、それはちゃんと手当てするべき制度はもう去年からつくってありますから、それでやっていきましょう、預金者保護はこの特例業務勘定で万全を期しましょうということであれば、金融危機管理勘定は要らないのじゃないのですか。この金融危機管理勘定のお金をさらに特例業務勘定に持っていけますよ。今の大臣お話は矛盾に満ち満ちているのです。あるいは、このシステムそのものが矛盾に満ち満ちているのですよ。  今経営している銀行であるにもかかわらず、入れられるところと入れられないところがあるというのは、どういうことなんでしょうか。
  169. 山口公生

    ○山口政府委員 しばしば御説明申し上げて、くどくなって恐縮でございますが、昨年の十一月の事態をもう一回想定していただきたいと思います。あのときは株価の下落がきっかけでございましたが、格下げの動きもありました。危機の報道が物すごくありました。私どもははらはらしておりました。  そのとき三つぐらいの現象がありました。一つは、窓口に預金者の方が並ばれたのです。僕ら、大丈夫ですと言っていたのに並ばれました。  もう一つは、コール市場が急にすくみ現象が起きました。大丈夫だと言っている銀行保護しますと言っているのに貸さないのです。余っている銀行が金を出さないのです。いつ自分のところに来るかわからないと言う。マーケットが機能しなくなりました。  もう一つ、海外で、アジアの事情もありました、ドルの資金を調達するのが、何と一%上乗せしないとお金が取れないのです。これは日本金融システムがそういう評価しか受けなかったということで、これはある意味では大変な国損です。  そういう現象が現に起きました。それを過剰防衛だというふうに一言では済まされないと思います。それは、金融というのは不安が不安を生むという要素があって、ある意味では私どももちょっと初めて経験したような事態でございました。それでこういう御提案を申し上げているわけでございます。  したがって、個別金融機関で貸せるところ貸せないところ、選ばれるところ選ばれないところという御議論も、それはいろいろあるかもしれません。しかし、危機のときというのは、また一行だけの問題じゃないのです。東食の例で私申し上げたように、お互いにインターディペンデンスといいましょうか、日本金融システムは相互依存関係になっているのです。それに日本の産業界がまた依存しているのです。私どもの生活が依存しているのです。そこをやはり守らなければいけない。  それで、先生がおっしゃられるように、市場が正常に働き、正常に淘汰し、正常に伸びるものは伸びるという仕組みであれば、もちろんこれを全部預金者保護のためという議論もそれは成り立つかもしれません。しかし、今は、例えば三月期を控え、それからそれを越えてもそれは何が起きるかわかりません。アジアの情勢も気をつけなければいけません。ただただ私は危機をあおるつもりはございませんけれども、あらゆる危機管理をする、これからは危機管理をするということが非常に大切なんだと私は思うわけでございます。  そういう観点から見ていただきますと、この措置というものがある、存在するということが大変に金融機関のビヘービアを変えてくれる。変えると、それに頼っている企業がある意味では安心をするわけです。すると、私どもの生活も安心できるといういい循環に入るということでございまして、そういう意味で、わかりにくいというおしかりを受けますけれども、そういう危機管理の備えをさせていただきたいということでございまして、今の平常時でのいい銀行、悪い銀行、どこが対象だというような議論ではちょっとないというふうに御理解をぜひ賜りたいと思います。
  170. 西田猛

    ○西田(猛)委員 今は平常時じゃないですよ、局長。今全く平常時じゃないです。それは私どもはもう、また昔のことを言うのは恐縮ですけれども、新進党の時代から、去年からずっと言い続けてきたわけですね。経済の回復が第一、それが金融機関の救済にもつながる。株価、それから為替があります。一円上がれば幾ら、千円変わればどうという議論がありますから。  しかし、今ついに局長は言ってしまわれたわけです。この十三兆円というスキームを打ち出させていただくことで、国民皆さんに大丈夫ですよという気持ちを持ってもらうのだと。言うなれば、これはそういう打ち出しなんだということなんですね。具体に個々の金融機関ということではなくてという話でございます。.  であれば、もっと国民皆さんが安心するのは、預金は全額保護できますよという、だからいわゆる特例業務勘定の方なんです。預金保険機構には潤沢な保険金がございます、安心してくださいと。その中で、よく銀行を見てください、見ることによって銀行もリストラするでしょう、淘汰されていくでしょうと。そういうことの方が方策としては正しい方向だし、納得のいくことだと思うのですね。  この資本注入というのはいかにしても、これは機構が難しいと言っているのじゃないですよ、その思想がわからないというよりも、おかしいと私は思っているのです。むしろ整理回収銀行をより拡充して、そうやって破綻してしまうかもしれない銀行についてはこの整理回収銀行が引き受けて、そして粛々と整理する。他方、預金保険機構が万全の備えをして、預金者保護は万全を期するということの方が正しいスキームだと私どもは考えます。  局長は御意見があるでしょうけれども、簡単にしていただいて、大臣の御意見をお伺いしたいと思います。
  171. 山口公生

    ○山口政府委員 私は、そういう準備をするということ、また入れる場合があるということもつけ加えさせていただきたいと思います。  先生と私の申し上げている点、重点の置き方が少し違うのではないか。だから先生の御意見を私は否定するものではありません。しかし、今の時点で考えたとき、預金者は大事です、取引先も大事です。  この間、私は、予算委員会である先生がおっしゃっていたのを聞いていました。そうすると、あるところの試算によると、大手のある都銀が破綻したら九百万人ぐらいの雇用に影響が来るというお話をされていました。私、試算したわけじゃありませんけれども、そういうことがあるわけです。それは、仮に黒字で資金繰りで破綻したってそういうことが起きるわけです。  したがって、預金者保護も一番大切だと思います。しかし、取引先を保護するというところを考えていただいた方が、現在の日本経済にとってみると非常に大切なのじゃないか、それによって生活している人がたくさんいるということです。中小企業もたくさんおります。
  172. 西田猛

    ○西田(猛)委員 ちょっと大臣の御意見を賜る前に申し上げておきたいのは、今の大蔵省当局の考え方は、要するに経済政策と社会政策をごっちゃにしているのですよ。そこが我々は問題だと言っているわけです。  もちろん私たちは、会社がつぶれること、連鎖倒産すること、それはもう万全に防がなければいけない。しかも、労働者の方の雇用も確保していかなければならないのです。しかし、銀行当局の責任者の方からそういう議論が出てくると、これはもうややこしい問題です。それはまた違うことでちゃんと万全を図っていくのであって、それが、要すれば金融あるいは経済原則上生き長らえさせておかれた銀行がたくさんあったという不透明性そのものが日本の全体に対する信用を失わしめているのだということの根源であります。日本はそういう社会構造だということなんですね。  ですから、大臣どうでしょうか、この金融スキームについては、預金保険法の改正、これは私どもは、むしろ遅きに失したぐらいであり、さらに足らないと思います。しかし、この新法というものがよって立つ思想的な根拠を大臣はどのように理解しておられますか。
  173. 松永光

    松永国務大臣 お答え申し上げます。  十七兆の資金投入による預金者預金保護を極めて強固なものにするという点については御理解いただいたわけでございますが、問題は十三兆の金融危機管理勘定の方でございますな。  私は思いますのに、この条文に書いてありますように、「経営状況が著しく悪化している金融機関等でない金融機関等について、」なかなか読みにくい書き方になっております。私も若いときには六法全書を読んでおったのですけれども、このごろは余り読みませんが、そのかっては読んでおった人間にとっても読みにくい書き方になっておりますけれども、とにかく内容は悪くはない、ただしかし、コール市場状況その他からいって必要な資金が取れない、そのことで、当該金融機関が自分の資本を強化することによって金融活動をより着実にやっていくようにしよう、そういう金融機関が実は預金保険機構に申請するわけですね。その場合に、計画書を立てて、それによってそういう銀行に資本が注入されれば、その金融機関の力がつくことを通じて日本金融システムが安定してくる。そのことは日本の経済安定に大きく貢献する。それを通じて社会の安定にも貢献する。  先ほど申されましたように、社会政策か経済政策かという話でございますが、結果においては社会政策にもなる、こういうことだと私は理解しておるわけです。
  174. 西田猛

    ○西田(猛)委員 今おっしゃったことでは、要するに限られた資金ですから、これは今の政府・与党の政策であります財政構造改革という主義もあります。それも必要です。ただ私たちは、景気の回復、経済回復なくして財政再建は難しいよということを言い続けていますし、だんだんそうなってきております。したがって、限られた国民の税金でありますから、これをいかに有効に配分するか、これが財政の機能でありますね。  そんな中で、十三兆円、これは公的資金です。税金であります。どういうふうに使ったら一番有効なのかということを今私は申し上げたのでありまして、確かにこういうスキームでも、全く効果がゼロだとは言いません。しかし、それよりももっとわかりやすくすっきりと、しかも打ち出しのある、今おっしゃった十三兆円用意して資金注入しますから日本は大丈夫ですよということよりも、日本は大競争の時代に入って、銀行だって頑張らなきゃいけないんです、しかしそれによって生ずる預金者等の危機についてはこれだけ万全なセーフティーネットがございます、これは二〇〇〇年度までは万全にやりますからということを言っている方が、世界的なマーケットでの日本信用はさらに上がると私は思いますよ。そこの思想的な違いがあるのです。  そこで、具体的なことを一つ聞かせていただきましょう。  もしも申請した銀行が提出した経営健全性確保のための計画を適当と認めない委員があって議決に至らなかった場合、その銀行に対しては、政府としてその後、今の時点でどういう措置をとるのですか。
  175. 山口公生

    ○山口政府委員 そうした場合には、議決に至らない、それだけであります。
  176. 西田猛

    ○西田(猛)委員 議決にならなくてということは、健全性確保ができないということなんですね、健全性確保の計画が認められないということは。
  177. 山口公生

    ○山口政府委員 それは、計画自体についてこれを適当と認めない場合にはその議決をしないということですから、その銀行自体が今どういうことなのかということとは直接は関係ないと思います。
  178. 西田猛

    ○西田(猛)委員 最後に、じゃそういう銀行が存続しているということについて、その預金者とかそれとの取引先等の保護についてはそれこそどうなるのですか。
  179. 山口公生

    ○山口政府委員 今申し上げているのはその計画の中身の問題で、それが例えば不十分だとかいうことで認められない場合があるということでありまして、その銀行が、だからといって不健全であるとか債務超過に近いとかいうことを意味しているものではありません。
  180. 西田猛

    ○西田(猛)委員 時間が来ましたので終わりまずけれども、全く今の部分はさらに不透明ですので、またさらに質疑を続けたいと思います。  終わります。
  181. 村上誠一郎

    村上委員長 次に、佐々木憲昭君。
  182. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。  金融機関の大蔵官僚に対する過剰接待によって大蔵省金融検査がゆがめられ、また不良債権の償却証明に手心が加えられ、金融機関の抱える不良債権の処理がゆがめられた、不法、不当に処理されてきたという疑惑が浮かび上がってきております。このような状況のもとで、これを十分究明せずに公的資金三十兆円を投入する筋道をつくろうとしているけれども、私はこういうやり方は許すわけにはいきません。  まず初めに、検査の問題について質問をしたいと思います。  金融検査官が二名逮捕されたことで、第一勧銀、三和銀行、あさひ銀行、拓銀の検査がゆがめられたということが明らかになってきております。そこでお聞きをします。バブルが崩壊をして金融機関が多大の不良債権を抱えるに至った経過を見ますと、当然、検査というのは不良債権問題について大きな比重を占めるということになったと思いますけれども、まず、その点、現実的にはどうだったのかお聞きをしたいと思います。     〔委員長退席、浜田(靖)委員長代理着席〕
  183. 原口恒和

    原口政府委員 御指摘のとおり、バブル経済崩壊後におきましては、銀行の健全性を検査するという面におきましても、資産内容の悪化が金融機関経営に与える影響が極めて深刻であるということから、そういう資産の管理体制ですとか、資産の状況の把握ということに相当重点を置いております。もとより他にも、最近のいろいろな状況を見まして、例えばリスク管理体制ですとか内部管理体制、こういった問題も大きな問題になっておりますので、そういうものとあわせて、今申し上げたようなところに重点を置いた検査を行ってきているところでございます。
  184. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 今の答弁で、不良債権の問題についての検査が極めて重要な課題であったということが明らかになりました。  そうしますと、実地検査では資産内容チェックあるいは不良債権状況の把握に相当日時を費やすと思いますけれども、そして同時にまた、検査報告のまとめも大事になってくるわけであります。  検査報告というのは、金融検査部と銀行局で集団的に検討をされまして、それがまとまると金融検査部の審査課でまた集団的に審査され、金融検査部長銀行局長の名で検査報告書が作成され、両者の名によって示達書が出され、この示達書は検査報告書とともに検査対象となった金融機関に送付されるというふうにお聞きしていまずけれども、これはそのとおりでしょうか。
  185. 原口恒和

    原口政府委員 原則として、示達書は送付ということではなくて直接お渡しすることが多いと思いますけれども、事務の流れとしては、大要、今おっしゃったところだと思います。
  186. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 直接渡すかどうかというのはあるけれども、流れとしてはそういうことであると。  さて、そうしますと、金融検査部と銀行局の検討の段階で、例えば実地検査に不十分な点があった、再検査を要するような場合ということも起こり得ると思うわけであります。過去にそういう事例はあったでしょうか。
  187. 原口恒和

    原口政府委員 先ほど大要と申しましたが、銀行局の方と調整といいますか協議を行う場合、これは主として、例えば検査官が実地に把握してきた事項について、これは法令に照らしてどうであるかとかそういうことの、示達の前に行政との検討をすること等が中心でございまして、個別の資産査定の内容等は、一応検査部の方で責任を持って報告書までつくるということでございますから、途中でもって銀行局の方と相談してまた再検査ということは、私、今知っている限りにおいては余り例がないのではないかというふうに思います。
  188. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 余り例がないということは、あったということでしょうか。
  189. 原口恒和

    原口政府委員 ちょっと答弁が舌足らずで申しわけございません。私の知っている限りにおいては、ございません。
  190. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 ところが、現実には、宮川宏一金融検査室長と谷内敏美課長補佐の検査については、不良債権の粉飾を認めるとか、不良債権について償却証明で手心を加えるとか、そういう問題があったということが明らかになっているわけであります。  そうしますと、今まで問題になって再チェックをしたようなことはなかった、こうおっしゃったわけですから、金融検査部長銀行局長の名によってまとめられた検査報告あるいは検査示達というのは不適切なものであったという可能性が生じていると思うのです。可能性としては、この検査報告書あるいは検査示達書がゆがめられた、そういう疑惑でまさに司直の手が入っている。  そうしますと、実地に検査をした検査官が偽りの報告を行い、その際に真実が見抜かれないように報告をしたのか、それとも金融検査部や銀行局が誤りを見抜く力量がなかったのか、そのどちらかということになるわけですけれども、この点についてはどのように考えていますか。
  191. 原口恒和

    原口政府委員 両名の逮捕によりまして、被疑事実自身には検査日の漏えい等ということが記されておったと思います。そういうようなことから、検査全体の信頼性にいろいろ批判あるいは疑念を招くような事態になったということについては、まことに遺憾でございますし、申しわけなく思っております。  ただ、個々の検査の実態については、まだこれは捜査中のことでもございますし、今後の捜査の進展を待って、その結果、不適切な部分があるということであれば、厳正に対処する必要があると思っておりますが、我々が今までいろいろ調査したところでは、特に検査自体においてどういうことがあったかということについては、まだ把握するに至ってはいないわけでございます。
  192. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 極めてあいまいで苦しい答弁だと思うのです。  要するに、検査の中身がゆがめられた、ゆがんだ報告が出された、そして出された報告に対して審査を行ったけれども間違いはなかったというのを、今までずっとやってきたわけでしょう。チェックしなかった、問題にしたことは一度もなかった。ということは、そのチェックが正しく行われていなかったということになるわけであります。そのことを内部で十分に調査もまだしていないということになりますと、これは、一体何があったのかを、真実を究明するという立場に立っていないということになるのじゃありませんか。  それでは、具体的に聞きたいと思います。  宮川容疑者が、過去五年間に検査をした大手の金融機関名とその年月、谷内容疑者が検査をした大手金融機関の名前とその年月を示していただきたいと思います。
  193. 原口恒和

    原口政府委員 お答えします。  まず、宮川室長につきましては、古い順に申し上げますと、平成四年十月あさひ銀行平成六年一月に住友銀行、同年十月第一勧業銀行平成七年十一月に山一証券、平成八年四月に日本長期信用銀行、同年八月あさひ銀行、九年一月に三井信託銀行、同年四月に住友銀行、同年八月に東京三菱銀行、同年十月に安田信託銀行検査に従事をしております。  なお、谷内容疑者につきましては、過去五年間といいますか、大臣官房金融検査部発足以降、直接の金融・証券検査を行った実績はございません。
  194. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 今、宮川容疑者の場合の検査の対象になりました主な金融機関の名前が示されました。これは、今疑惑を持たれている以外の新しい金融機関の名前がここに出ております。谷内容疑者の場合には実績がないということでありますが、内勤が主だったからでありましょう。  それでは、谷内容疑者が不良債権について償却証明をした金融機関とその決算期について、過去五年間、示していただきたいと思います。
  195. 原口恒和

    原口政府委員 お答えします。  御指摘の点は、六年の九月期にさくら銀行、三菱銀行、七年の三月に三和銀行、第一勧業銀行、七年の九月に北海道拓殖銀行、八年の三月に大和銀行、九年の三月に北海道拓殖銀行でございます。
  196. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 今私が質問したことによって、宮川容疑者が過去五年間に金融検査をした金融機関が明らかになりました。  私の手元にあります資料によりますと、過去五年間で二十四回検査を行っております。つまり、二十四の金融機関に対して行っております。今報道で問題になっております第一勧銀、あさひ銀行だけでなく、ただいまの答弁によりますと、東京三菱銀行、住友銀行、それに九五年十一月に宮川容疑者が山一証券の検査もしていたということが明らかになりました。  山一証券の問題は、いわゆる飛ばし問題で簿外債務の問題が焦点になっておりまして、元証券局長の松野氏にも国会に来てもらったところであります。大蔵省が山一証券の飛ばしや簿外債務をいつの時点で知ったのか、そしてどのように指導したかが問われております。この山一証券の検査に宮川容疑者がかかわっていたことが明らかになったわけであります。  そこで、お聞きをしたいわけですけれども、この山一証券の検査で宮川容疑者は主任検査官務めたのではないでしょうか。その点と、一九九五年の山一証券の検査報告では山一証券の飛ばし、簿外債務の問題は指摘をしなかったのか。大蔵省内の金融検査部と銀行局の検討会議検査報告書の審査でこの点は問題にならなかったのか。これらの点について御答弁を願いたいと思います。
  197. 原口恒和

    原口政府委員 最初の点は、主任検査官でございました。  それから、次の点につきましては、山一証券の簿外債務の問題が発覚といいますか、発生した昨年の段階で国会でも御答弁いたしましたが、その時点におきましても、当時の事情、相当これはいろいろな角度から調べましたが、当時の検査においては、何度も御説明をいたしておりますが、当該簿外債務が帳簿に出ておらないということ、あ るいは非常に複雑な仕組みをとりまして、調査権の及ばない海外の会社の方で処理をされておったということがあって把握できなかった、その点は非常に反省はしておりますが、その時点では把握ができておらなかったということでございます。
  198. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 この九五年の山一の検査は、宮川容疑者が主任検査官務めていた。これは極めて重大な疑惑を抱かせるものであります。あの時点では簿外債務というのは既に存在をしていたはずでありまして、この問題を把握できなかった、検査に疑惑が持たれている。  この際、委員長にお願いをしたいと思いますが、この山一証券に対する検査報告書検査示達書、山一証券の示達回答書を本委員会に提出するように取り計らっていただきたいと思います。
  199. 浜田靖一

    浜田(靖)委員長代理 理事会で協議させていただきます。
  200. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 次に、谷内容疑者については、過去五年間、金融検査は行った実績がないということですけれども、先ほどの御答弁では、北海道拓殖銀行と三和銀行の二行のほかにさくら銀行、三菱銀行、第一勧銀、大和銀行不良債権償却証明にかかわっていたことが明らかになりました。  これは、これら金融機関金融検査や償却特別勘定への計上の問題でもやはり再調査の必要が生じていると思いますけれども、この点について、大蔵大臣、新しい金融機関の名前が出ていますので、再調査の必要があると思いますけれども、大臣はどのようにお考えでしょうか。
  201. 原口恒和

    原口政府委員 いろいろ谷内容疑者に関しまして報道されているということも承知をしております。基本的には、まず、捜査対象に当該本人がなっておりますので、今後の捜査の解明を待ちたいと思いますが、我々としても内部調査と並行といいますか、その過程の中で、御指摘のあったようなところに適正に行われたかどうか、並行して調査をやっていきたいと思っております。
  202. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 これはやはり徹底してやっていただかなければならないと思うのです。  といいますのは、先ほども明らかになりましたように、検査報告書検査示達書にサインをして判を押したということになりますと、当時の金融検査部長やあるいは銀行局長の責任も問われることになるわけであります。そういう点で、これは極めて重要な問題ですので、厳しく再調査を行うように要望したいと思うのです。  収賄容疑でこの二人が逮捕されているわけですけれども、金融機関の粉飾決算を容認した可能性あるいは不良債権の早期償却に不正なやり方も認めたという可能性、これが浮かび上がっているわけであります。そうしますと、これは贈収賄事件であり、かつ、同時に脱税幇助ということになるわけでありますが、それにとどまらないと思うのですね。  まず、それにかかわる金融機関銀行の決算自体が果たして正しいものであったのかどうか、金融機関は虚偽の報告を公表していた可能性はないのか、決算報告の見直しがさらに必要になるわけであります。金融機関の決算を監査した監査法人の責任も問われなければなりません。もちろん、二人の虚偽報告を見破り、是正できなかった大蔵省の幹部の責任も問われることになります。  こういう重大な問題をはらんでいるわけでありますけれども、この点について大蔵大臣の御見解を求めたいと思います。
  203. 松永光

    松永国務大臣 谷内容疑者関連でございますが、御案内のとおり、東京地検が逮捕して鋭意捜査を続けておるわけでありまして、その結果を見てからでないと何とも言えない、検察当局の捜査の結果を見て、その上でいろいろな点を判断したい、そういうふうに思っております。
  204. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 要望したいわけでありますけれども、検察の捜査はそれとして、今御答弁になったということだと思いますが、同時に、大蔵省検査あり方検査の過程、どこでどのような判断が下されたのか、誤りがなかったのか、あり方についての再検討、こういう点についてぜひやっていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
  205. 松永光

    松永国務大臣 繰り返し申し上げますけれども、一切の書類は検察庁が押収していますね。それからまた、強制捜査というのは、御案内のとおり、勾留期間十日、延長であと十日、再逮捕があればもう少し延びるかもしれませんけれども、私は、この谷内容疑者が担当した北拓とかそういったところの検査の実態というものは間もなく明らかにされる、こう思いますね。その結果を見ても、私は時期におくれることになりはせぬと思うのでありまして、より正確性を保つ上では、検察庁の捜査の結果を見て私自身判断していきたい、こう思っております。
  206. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 ぜひ厳しくやっていただきたいと思うのです。  さて、それでは次に、提案されている金融法案について具体的にお聞きをしたいと思うのです。  この法案がどれだけ国民の負担をふやすのか、このことが大変重要な関心事になっており、この法案そのものの持っている性格、大企業支援、国民収奪、こういう問題が大きな関心の的になっているわけであります。  そこでお聞きをしますが、昨年十二月二日のこの大蔵委員会で、預金保険機構の松田理事長は、十一月末現在の財務状況について報告をされました。その当時、一般勘定の残高一千百億円、特別勘定の残高が二千九百億円、信用組合特別勘定が六千百億円のマイナス、合わせまして合計マイナス二千百億円、このように答弁をされていましたけれども、この点は大体現在もこのように考えてよろしいでしょうか。
  207. 山口公生

    ○山口政府委員 お答え申し上げます。  資金贈与が若干それから出ておりますので、九年度の末の見込みで、約四千億円程度の赤字になるのではないかという推測をいたしております。
  208. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 では、具体的にお聞きをします。  現在二月までに資金援助をした銀行名とその金額、これを述べてください。
  209. 山口公生

    ○山口政府委員 お答え申し上げます。  阪和銀行が八百四十九億円の金銭贈与でございます。それから、土岐信用組合関係が四十三億円でございます。そういったところが最近の数字でございます。
  210. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 二月九日を予定にして資金贈与というのが、東海信用組合ありますね。
  211. 山口公生

    ○山口政府委員 まだこれは未定でございますが、東海信用組合関係が百五十五億円の金銭贈与の予定でございます。
  212. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 それを入れますと、三つの資金援助で一千四十七億円という計算になると思いますが、これを計算に入れますと、先ほど御答弁のありましたマイナス約四千億円ということになるのだろうと思います。  それでは、今後の、九八年の現時点から二〇〇一年三月までの保険料の収入の見通しは幾らか、それから、この赤字分を引くと、二〇〇一年三月時点での使用可能な資金というのは幾らになるのか、これをお聞かせいただきたいと思います。
  213. 山口公生

    ○山口政府委員 御説明としては二・七兆ベースの話の方がわかりやすいと思いますが、五年間で二・七兆円の財源があって、せんだってまでは、先国会までは一・四兆と申し上げておったのですが、今だと一・五兆。そうすると、一・二兆が残っておるという関係に今はなっている。それに信用組合への保証がついておる。この法律をお通しいただければもっと広がった政府保証になりますけれども、そういう形に今なっております。
  214. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 約一・二兆が使用可能金額ということでありますが、そうしますと、現時点で破綻が確定をしまして平成十年度で処理をするための資金、これは幾ら必要になると予想されていますか。
  215. 山口公生

    ○山口政府委員 まだやや未定の部分がありますので、それを御配慮いただきたいのですが、これまで破綻が表面化した金融機関で、今後処理を要する六つの金融機関の破綻時に公表された債務超過額を見ますと、約一兆一千五百億円ぐらいになります。いずれにせよ、清算検査というのがまた必要でございますので、確定としてはその後になりますが、それくらいのオーダーは出ていくということでございます。
  216. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 「財政法第二十八条による平成十年度予算参考書類」、ここに出ている金額は、金銭贈与の十年度見込み額として九千五百六十二億円という数字が挙がっておりますが、今のお話ですと見込みが一兆一千五百億ということですが、具体的に銀行名と金額を出していただけますか。
  217. 山口公生

    ○山口政府委員 あくまで数字は先ほど私が申し上げたような留保をつけさせていただきまして、田辺信用組合関係が七百億円、京都共栄銀行関係が三百十四億円、北海道拓殖銀行関係が八千四百億円、徳陽シティ銀行、これはまだ検査は終わっていませんで、ゼロと置いてあります。それから静岡商銀信用組合、これは五十億ということでございます。それを足し合わせられますれば先ほどの数字になると思います。
  218. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 徳陽シティがゼロと計算して、合わせて約一兆円前後ということだと思います。  そうしますと、先ほど一・二兆という使用可能金額というものが示されましたが、そのうちの約一兆円は平成十年度で消えてしまう。残りますのが約二千億円ということになりますが、それでよろしいですか。
  219. 山口公生

    ○山口政府委員 現行法上はそれに信用組合の保証がついておりますので、その点は一つの要素としてあるのでございますけれども、単純に資金の計算だけいきますと、先生のおっしゃるような感じだと思います。
  220. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 そうしますと、約二千億円という数字しか残らないわけであります。つまり、今まで破綻が確定した金融機関に対する資金贈与、資金援助、こういうものをこれから払っていくということになりますので。  さて、そうなりますと、二千億円を超える破綻が起きますと、つまり二千億円を食いつぶしてそれ以上の破綻が起きますと、今のこの提案されている法案、このスキームからいきますと、まず七兆円の交付国債から食いつぶしていくということになるわけであります。大きな破綻が起きた場合には真っ先に税金投入という形にならざるを得ない、そういう理解でよろしいですね。
  221. 山口公生

    ○山口政府委員 大きな破綻が生ずれば、預金者の皆様に預金の全額保護をお約束しておりますので、そういった交付公債の七兆円を使わせていただくということになろうかと思います。
  222. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 そうしますと、税金投入ということが最初からかなり必至のスキームである、買い取った資産の回収利益というのも多少はあるとしても、国民の負担は極めて大きなものになるというのがこの預金保険法の改正の内容だということになるわけでありまして、こういうことを、いきなり次の破綻から皆さんの負担ですよと、国民の負担ですよと、こういう状況というのは一体国民が納得するだろうか。銀行は一体どれだけ負担をしているんだろうかということになるわけですね。ですから、国民に負担をさせないためには、預金保険料それ自体を引き上げる方向に転換するということが当然必要だと私は思うのです。  そこで、預金保険料の問題についてお聞きをしたい。  銀行に負担能力がないのかという点でありますけれども、政府大蔵省の発表によりますと、九五年九月、不良債権額は三十八兆円、昨年九月期では二十八兆円でありますから、不良債権額はこの二年間で約十兆円減っております。それから、要処理額は十八・五兆円、これが同じ昨年九月には四・三兆円、十四・二兆円減ってきているわけですね。ですから、この不良債権というのは全体として処理が進んで、全銀協会長が言われるとおり、償却は終わりに近づいているということになるわけであります。  ですから、銀行の体力という点でいえば、預金保険料の引き上げの条件というのは次第に整いつつある。つまり、住専国会のときに公約をした、銀行破綻処理金融システムの中で行っていく、つまり必要であれば預金保険料の引き上げによってそれを賄う、こういう公約は次第に実現しやすくなってきている、こういうことになるんじゃありませんか。この点について大蔵大臣はどのようにお考えでしょうか。
  223. 山口公生

    ○山口政府委員 今先生の御指摘不良債権の推移は、確かに減ってきておりまして、不良債権の償却、引き当て、この努力は相当なスピードで進んでいると思います。ただ、これは全体の話でございまして、個々の金融機関にとってみますといろいろな問題があるということと、それからやはり、中小金融機関の置かれている立場等もございます。  各金融機関は、預金保険料につきましては一挙に七倍ということを負担しておるわけでございまして、この七倍の負担というのが、また金融機関それぞれにとりますと非常に重いものにもなっておるケースがございます。それから、国際的に見てもいろいろな問題がありますし、アメリカの場合はもう主要銀行はゼロという実態もあります。  そういうことを考え保険料考えなきゃいけないということですが、いずれにせよ、十年度末までに見直すという方針は立てておりまして、諸条件を勘案しながら検討してまいりたいというふうに思っております。
  224. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 今、中小金融機関の負担の重さについてお話がありました。  私が問題にしたいと思いますのは、大きな銀行と中小金融機関の間に実質的な保険料の負担率に差があるのではないか、地銀や信用金庫あるいは信用組合に比べまして、負担能力の高い都市銀行や長信銀といった大手銀行の方が軽い保険料の負担率になっているのではないかという問題であります。  まず、論議の前提として確認したいのですけれども、二〇〇一年三月までの特例措置の運用によって、預金保険法の本則に定める付保対象預金以外のもの、すなわち銀行間取引ですとか金融債なども、これを結果として全額保護するというのが大蔵省の方針だと思いますけれども、この点は間違いありませんね。
  225. 山口公生

    ○山口政府委員 しばしば申し上げておりますが、預金保険法の本則の保護対象というものは、預金、定期積み金、掛金、元本補てんつき金銭信託、こうなっております。附則でそうでないものを列挙してあるわけではありません。  附則でどうして救えるのかということは、特別資金援助という、今のこの状況から判断してぜひとも必要な、信用システムを守るための特別な資金援助の形式をとり得るというふうな規定になっております。したがって、それで結果として保護されますということを申し上げているわけでございます。
  226. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 一月二十九日の参議院の予算委員会で、我が党の筆坂議員が、金融機関の業態別に負債に占める付保対象預金の割合というのを指摘いたしました。そうしますと、都銀は五一・九%、長信銀が六・四%、地銀が七九・二%、信用金庫が八九・四%。  今、山日銀行局長が認めましたように、二〇〇一年三月までは、付保対象預金、すなわち定期預金や普通預金といったもの以外の譲渡性預金や外貨預金銀行間取引といったものも結果として保護される。都銀でいえば、付保対象が五一・九、残りは付保対象外だということでありますが、全額保護されるにもかかわらず、保険料がこの部分は支払われていない。いざ破綻となると、譲渡性預金なども含めて全額が保護される。  しかし、都銀ではそのうちの五一・九%しか保険料は払っていない。長信銀に至っては六・四%であります。他方で、地方銀行信用金庫では八割、九割というところまで保険料を払っている、こういうことになるわけですね。これは余りにも不平等ではありませんか。
  227. 山口公生

    ○山口政府委員 これは、二〇〇一年三月までの特別資金援助という措置が、現在の金融状況等から見て、あと三年の短期間でございますけれども、この措置をやらなければ金融システムが大変に不安定になってしまうということなんです。  したがって、そういう特例的な手段があります、必要なときには重大な事態に陥るのを避けるためにそういう手段がありますということでありますので、本来の預金保険の対象はこれこれ、それに対する保険料はこれこれという話とは別の、特例的な短期間の問題としてそこは御理解をいただきたいというふうに思います。
  228. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 特例的措置といいまずけれども、保護されることには変わりはないですね。保護されるのに保険料は払わない。つまり、保険料ゼロで保険金だけを受け取る、こういうことになるじゃありませんか。それは特例措置としてやるといっても、結果としてそれが保護されているわけでありますから、期間中の特別措置として保険料算定の基礎に譲渡性預金や外貨預金銀行間取引の額も含めるというのが当然じゃありませんか。どうですか。
  229. 山口公生

    ○山口政府委員 先生の御指摘の問題は、この特例的な期間の問題とは別に、基本的に、きのうも御質疑ございましたけれども、何をどれだけ保護するかという預金保険のこれから将来のあり方ということであれば、それは今後いろいろ議論をされるべきであろうと思います。  ただ、今、じゃ、すぐペイオフができる状況かといったときには、それは無理でしょうということで、そういう特例措置金融三法で、この国会でお認めいただいたのです。それをやっているのです。  したがいまして、今後、付保対象金融商品を何にするのか、その議論から始めませんと本当はこの議論はできないわけであります。大衆の預金だけでいいのか、そうでないのか、あるいは限度をいかに置けばいいのかというような議論なんです。その議論とこの議論とは分けて考えていただきたいというふうに思います。
  230. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 私が言っているのは、この特例期間中の特例措置の話についてであります。特例措置として、今保険料の算定基礎に入っていない譲渡性預金や外貨預金などが保護される。保護されるわけだから、当然、その保護される対象となるところの預金については算定の基礎に入れて保険料も払うというのが当たり前のことじゃないかと。  大体、預金保険法ではこう書いているのですよ。保険料率は「特定の金融機関に対し差別的取扱いをしないように定められなければならない。」この規定に照らせば、この状況というのは特定の業態に有利なものになっているのです。都市銀行やあるいは長信銀に特別有利になっている。つまり、この現行法の、平等のもとで行われなければならないという精神に反しているということを私は言っているのです。  週刊東洋経済一月三十一日号で、ある長信銀の幹部の発言としてこういう言葉が紹介されています。「金融機関の負債をベースに保険料を払ってはどうか。現在年間約五〇〇〇億円の保険料収入は約一兆二〇〇〇億円」となる、こう述べているわけです。そして、「金融機関に不平等な負担を強いておきながら、公的資金導入とはおかしな話である。まず民間の徹底した努力が前提である。」この指摘のとおりだと私は思うのですね。  ですから、税金投入という前に保険料負担の不平等を正す、平等にするということを私は主張しているわけでありまして、そういう点を是正しなければ、これは国民は納得しない。  自民党の加藤幹事長の発言がありました。二月一日の民放のテレビ討論で、特別保険料の期間を、二〇〇一年か、その後も続けて集めるようなことも考えるべきではないかと発言をしております。  財政資金投入策を提案している自民党の幹部の発言として、私は注目すべきだと思っております。特別保険料を二〇〇一年三月以後も延長して徴収できるというのであれば、何も二〇〇一年三月を区切りにして累積欠損を税金で穴埋めしなくても、その後の保険料収入で欠損を穴埋めしていけばいいということになるわけです。  大蔵大臣にこの点をお聞きしたいのですけれども、二〇〇一年三月以後も特別保険料を延長できない、そういう理由はないと思うのですけれども、いかがでしょうか。
  231. 山口公生

    ○山口政府委員 いろいろな方が御発言をなさっているという御紹介でございますけれども、今七倍に上げた保険料負担をお願いしておるわけでございますけれども、一方で、諸外国、特にアメリカ等は、逆に破綻する可能性の低いところは極端に保険料をも低くしているのです。そういうふうなことが逆に平等だという考え方だってあるわけなんでございます。それで、じゃ、何が公平かとなると、そこが非常に難しい問題であります。  それで、もう一つ今御指摘の、特別保険料をまた引き続きとおっしゃいましたけれども、それは、国際的な信認の問題とか国際的な競争力の問題とか日本全体の金融に対する信認の問題、そういうことをいろいろ考えながら対応をしていくべき問題だろうというふうに思うわけであります。  だれかの意見を私は間違っているとか正しいとか言う立場にはありません。しかし、私どもは、与えられた、これらのお認めいただいた金融三法で、粛々と預金者保護のために努力をさせていただいているということでございます。     〔浜田(靖)委員長代理退席、委員長着席〕
  232. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 今の答弁は私は納得できないのです。  これは、昨年の十二月三日に当大蔵委員会で私が質問をいたしましたときに、山日銀行局長はこのように答弁をしました。金融業界が保険料負担で相互の扶助を行っているものだ、そういう性格のものだ、こういうふうにおっしゃいました。ですから、相互扶助というならば、弱いところには一定の配慮をしながら、負担能力のあるところが金融システムの安定に責任を持てばいいわけであります。何も税金で国民が負担しなければならない道理はありません。  国際的な信認というお話がありましたが、そうしますと、加藤幹事長の発言は国際的な信認に水を差す発言だ、こういうことになるわけでありまして、ですからこれは非常に重大だと私は思います。  やはり、銀行金融機関というのが一定の役割を果たす。大体、今までバブルでめちゃくちゃなことをやってきた、そしてそのバブルの崩壊で不良債権のツケが回り、その結果、金融経営破綻が相次いでいる。そういう点でいいますと、金融機関金融業界というのは、現在の金融システムの問題について、やはりみずからがその原因をつくったという点で責任を負う必要がありますし、安定させるという点でいいますと、責任の上から一定の負担をするというのが本来のあり方だと思うのです。  改正法案の附則七条にはこのように書かれている。「特例業務勘定の資産及び負債の処理の在り方については、同勘定の廃止の時期を含め、」「特例業務の実施の状況金融機関の財務の状況等を勘案して検討を加え、必要があると認めるときは、平成十二年度末までに所要の措置を講ずるものとする。」と規定されております。  この検討をするということは、当然、金融機関保険料の負担のあり方、この検討も含まれると私は思うのです。特別保険料の延長なども含めてそういう検討も含まれると思いますけれども、これは排除されていないと思いますが、いかがでしょうか。
  233. 山口公生

    ○山口政府委員 検討条項でございますから、それはいろいろなことを検討していくということになろうと思いますが、ただ、一つ頭に置いておかなければならないと思いますのは、この特別保険料をお願いしているのは、特例業務といいましょうか、全額保護の業務があるからなんですね。それとの対応関係でこの負担があるわけなんです。したがって、先生がおっしゃるように負担だけ云々ということになりますと、それはまたなかなか難しい問題があるのではないかという気もいたします。ただ、見直し条項ですから、これを排除します、これを排除しますということは、それはないと思います。  それから、先ほどの御発言の中で、国際的信認に水を差すとか何かおっしゃいましたけれども、私はそういうことを言っているわけではありませんので、いろいろな御議論があることは、それは聞いておりますけれどもということで、私がそういうことを言ってはおらないということ。  それから、金融機関の間の相互扶助という考え方、じゃ、これが全く今ないのかということではないと思いますね。これは七倍に上げて今負担をし合っている、それで、自分のところはまさか、もうだれが見ても破綻はないだろうと思っているところも、それはきちんと保険料は払っているわけです。相互扶助の考え方は今でも存在しているわけでございますので、それはひとつ御理解を賜りたいと思います。
  234. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 相互扶助という性格は、今でもそういう性格を持っているというふうにおっしゃいました。  そうであれば、保険料負担のあり方もこれは検討する。つまり、平成十年度末までに保険料あり方については、当然引き上げの方向だと思いますが、検討をするというふうになっているわけですね。先ほども御答弁でおっしゃいました。つまり、保険料そのものの、一般保険料も含めて、将来、銀行お互いに相互扶助の機関の性格上負担をし合う保険料の引き上げも含めて検討をしていく。さらに、特別保険料の延長という発言が出ているわけですから、そういう問題についても当然可能性を追求する。そういう状況があるのであれば、保険料によって累積欠損を処理するという選択があり得るということを否定できないのではないかと思うんです。  それで、可能性の問題として、保険料の一定の見直しを行うということであれば、当然累積欠損についてもそれを処理していくという可能性が新たに出てくるということになると思いますが、それはいかがでしょうか。
  235. 山口公生

    ○山口政府委員 保険料負担については、遅くとも平成十年度末までに、預金保険機構の業務や金融機関の財務の状況等を勘案して検討を行うということにいたしております。そのときにいろいろ留意すべき点は繰り返しになりますのでもう省略させていただきますが、そういうことでございます。
  236. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 金融機関保険料による機構財源の穴埋めが可能であるということになっていけば、何も税金投入の必要性はなくなってくるわけであります。最初からすべて保険料負担で賄うということにすればいいわけでありまして、現行の預金保険法施行令は、特別保険料についても「遅くとも平成十年度末までに」と、今おっしゃったように附則第二条で規定をしているわけです。「遅くとも」というふうに書いているわけです。ですから、何も三月を待つ必要はないわけで、財源が足りないというのは先ほどの実態でも明確なわけでありますから、税金投入を提案する前に、この施行令の規定に従って、保険料の引き上げで賄うというのが筋ではありませんか。
  237. 山口公生

    ○山口政府委員 今その時期かとお尋ねになりますと、一方で、こういうシステム不安で法案をお願いしている状況でございます。そういうこともお考え賜れば幸いでございますし、それから、国民の皆様に預金等について安心をしていただきたいということで、こういつた措置国会にお願いを申し上げているということでございます。  これはひとり金融機関だけの話ではございません。繰り返して恐縮でございますけれども、これは国と経済全体がかかわっている問題だというふうに思っております。
  238. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 保険料の引き上げをやらないというのであれば、財源の二千億円がなくなった後は、銀行は一円も負担しないということになるわけであります。国民には負担だけ押しつける、これは絶対に私は納得できないと思うのです。  山口銀行局長は昨年十二月三日の大蔵委員会の答弁でこういうふうにおっしゃいました。「やはり公的支援の話が出ますと、保険料を一体どこまで上げられるのかという話は当然付随してくる問題であります。」「そういったことも含めてやりませんと、なかなか国民皆さんの御理解も得られない、」このように述べておられるわけですね。  そうしますと、あなたは国民理解を得られないようなことをやっている、こういうことになるわけでありまして、やはり国民理解を得ようとするならば、保険料の引き上げを前倒しして、そしてそれで賄うというのが筋だと思うのです。それをやらないで、最初から公的資金七兆円だ、これを通してしまえ、こうなりますと、もう七兆円があるんだから財源は十分だ、保険料なんか上げる必要はない、こういうことになってくるじゃありませんか。ですから、こういう点で、やはり規定どおり保険料の引き上げの検討を至急行うべきだ。  大蔵大臣にお聞きします。保険料の検討という方針に基づいて直ちにこれを実行するように、検討を直ちに行うようにお願いをしたいと思いますけれども、大蔵大臣の見解をお伺いしたいと思います。
  239. 松永光

    松永国務大臣 十年度末までに保険料の見直しを行うことになっていることは、委員指摘のとおりであります。  どういうふうな見直しをするかについては、まだ考え方は決めておりません。
  240. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 どういうふうな見直しをするかという点は、下げるはずはないわけで、当然上げるわけでありますね。ですから、そういう点も直ちにやっていただきたい。もしそれをやらないとなれば、国民には大負担を押しつける、銀行は負担はない、保険料を払わずに保険金だけ受け取るのが銀行だ、こういうことになると、これはだれも納得しません。  したがって、私は、このような法案は撤回すべきだということを最後に申し上げまして、質問を終わります。
  241. 村上誠一郎

    村上委員長 これより内閣総理大臣に対する質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。日野市朗君。
  242. 日野市朗

    ○日野委員 総理、御苦労さまでございます。  今、いわゆる金融二法についての審議をしているわけでありますが、公的資金を投入するということについて非常に深刻な議論がずっと続いております。私、この議論をするときに、あの住専問題についての激しい議論というものを思い出します。  これは、公的なシステムである金融秩序というものに対して、それを守っていこうという考え方というものについていろいろ議論があるのは、これは結構だと思います。中には、あの住専のとき以来、いろいろ問題のある議論もあるかなという感じはしたのでありますが、あのような議論をしておいてよかったと今思うのですね。あのような議論がないと、公的資金を入れる、そして金融秩序を守るという考え方について、これは考え方が甘くなっていきやしないかということを非常に、私、今になって振り返って考えるわけであります。  そういうことをやる以上は、そういう事態を招来した者の責任、これはきちんと追及をしていくということが前提にならなければならない、これは当然のことである、そういうふうに私思います。そういう考えなしに公的資金を投入するということはやはり考え直さなくてはいかぬのだろう、私こう思います。  そこで、この委員会での議論を聞いておりましても、責任をきちんと追及するのだということ、これは皆さんずっとおっしゃっておられます。私、聞いておりまして、それではどういうふうに具体的に追及していくのかというところに少し議論としては甘さがあるのかな、そのような感じを実は持っているわけでありまして、私は、この公的資金を投入する前段としての責任、それがどのようなものであるべきかということについて総理のお考えを伺いたい、そして総理はその責任の追及のために具体的に何をなさるのかということについてお話を伺いたい、このように思います。  金融機関の責任を追及していくということになりますと、大切なのは金融機関に対する検査であります。これ抜きにしては責任の追及ということは考えられない。  今ここで問題になっているのは、この検査について、それが厳密に行われていたかどうか、この点について多くの議論が出ております。公務員の責任を問う場合、ほかの人たちは一生懸命にやっているのだがこの不心得者がという言い方がよくなされるわけでありますが、予算委員会かどこかで私は総理にもお話ししたことがあるかと思います、私はもっと厳しく実は公務員の世界というものを見ておりますよと。私は、そういう前提を置かずに、公務員全体の組織、そしてその機能、こういったものを見るべきではなかろうかということを申し上げたことがあるのですが、特に金融機関に対する検査というものは峻厳なものでなければならない、私、このように思っております。  ところが、残念ながら、この大切なはずの検査について、大蔵省検査官が逮捕をされるという、非常にこれはふらちなと申しますか、不心得な検査官がいたことがはっきりしたわけでございますね。  私は従前から、大蔵省金融機関に対する検査、これは検査体制が弱いよということは指摘してまいったつもりであります。日銀の考査についてもやや似たようなことは言えるのでありますが、この体制の弱さ、これがある上に中身が腐っていたでは、これは大変憂うべき事態と言わざるを得ません。これについて総理は、大蔵大臣の辞職を受け入れられた、それから大蔵事務次官の辞職を受け入れられた。このことは私も承知しております。しかし、検査体制が弱い、そして腐っていた、この一番金融行政の中心になるべき事柄にこのような事態が起きた場合、大蔵大臣の辞職、それから事務次官の辞職、これだけで済まぬ、私は実はこう思うのです。  私もよく大蔵省の人たちも知っておりますから、その顔を見れば何となく心がなえるような感じもいたしますが、あえて私は申し上げる。この体制を直していかなくちゃいかぬのだ、この腐敗している部分、これを体制としてとらえて、それを正していかなければならぬと思っているのでありますが、いかがでございますか。
  243. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 今回の二名の職員の逮捕、また一名の自殺者を出しましたこの事態については、本会議でもおわびを申し上げました。同時に、今議員から御指摘をいただきましたように、三塚大蔵大臣、この責任をとって辞任をされ、小村前事務次官も辞任をいたしました。同時に、官房長に対し、私は、徹底的に調査をやり直せ、そしてその中から大蔵省再生の道を見出せ、率直に申し上げて、そういう思いで徹底的な調査を指示いたしました。今、過去五年にわたりまして、関係する部局におりました全員を対象にその努力はされておると私は思います。  その上で、なぜこうした問題が起きたのか。体制ということを議員からも御指摘がございましたけれども、私は、やはり検査というものに対してもう一度考え直してみるべき時期に既に来ているのだと思います。そして、従来の、既に私は大蔵省はその姿勢を捨てていると承知をしておりますけれども、いわゆる護送船団方式と言われた事前管理型の行政から、むしろ自己責任というものをきちんと明らかにしながら、事後チェックというもので総体をきちんと健全性をチェックしていく、そういう検査あり方に変わらなければならないと思います。  既に大蔵省自身が、金融検査基本的なあり方を転換し、厳正で実効性のある検査体制、手法を確立するために、今年四月一日以降の早期是正措置導入をきっかけとして、金融機関による自己査定公認会計士による監査などを前提にしながら、また事後的なルール遵守状況などの把握に重点を置いた新たな金融検査あり方の検討を進めております。また、検査目的に応じ、厳正で実効性のある検査を実施するために、きちんと予告をした上で検査を行う予告検査導入、活用、そして、グローバルスタンダードにのっとって、国際的な高度化の著しい金融取引などを的確に把握するために、民間の専門家の登用、研修の強化充実、主要国監督当局との人材交流などについて検討を進めると聞いております。  今後、私は、これらの点について早急に具体的な方策を取りまとめて実施を図っていくことになると思いますが、議員の御指摘はまさにそうした方向を示唆するもの、そのように伺わせていただきました。
  244. 日野市朗

    ○日野委員 この検査官二人の逮捕でございますね、この二人の逮捕というのは、まさに刑事事件の構成要件に触れたということでこれは捜査の対象になり、非常にわかりやすい形でその責任が今追及されようとしております。そして、大蔵省がそういう事態に遭遇して、そしてそれぞれの努力をやっておられること、これは私は疑いはしますまい。そして、私もその実がしっかりと結ぶこと、これを心から祈念をしております。  しかし、行政に当たる者は、単に、これは刑事事件の構成要件に触れるからということでその責任を負う、構成要件に触れなければその責任を免れるというものであっていいのであろうかというふうに実は私考えます。  というのは、実は私、そのことを強く感じましたのは大蔵省の元証券局長の松野さんでございますね。あの方は、大蔵委員会に参考人として出てこられて、多くの供述をされました。その中で、私はキーワードを二つ聞いたように思います。  一つは、株の仲介であるならば、これは問題はないんだということを言っておられた。それから、海外での取引であるならば、これは大蔵省がかかわらないということを言っておられたわけですね。  私は、これを聞いておりまして、これは株取引であります、また時期も時期でありますから、そのようなことを松野さんが言われるということが刑事上の構成要件に触れるかどうかという点については、これは私も非常に疑問があるというふうに思います。  しかし、彼は、これを行政上の指導として、いわゆる行政指導として、恐らく山一の前社長を務められた三木淳夫さんに言われたのであろう、こう思います。まさしくこれは行政指導の世界なのですね。こういう行政指導の世界にあっても、違法と適法との間には、相当であるか不相当であるかというような領域があるわけでありまして、私は、このような行政指導が相当なものであった、適当なものであったというふうには思わないのですね。  そして、結果的に言えることは、もし松野さんがここでそのような行政指導を山一証券に対して行い、さらにそれをきちんとフォローするような検査を山一に対して行い、そして厳密に山一の経営、それから資金の流れ、そういったものを検証していったならば、今度の山一の倒産は起こらなかったということは結果的に言えるのではないか、私はこう思うのです。  ここに一つの行政指導による不相当の、そういう領域があるのではないか。私す、こういう責任もやはり行政官たるもの負うべきが相当ではないか、こんなふうに考えているのでありますが、この点については、総理、どのようにお考えになりましょう。こういう行政指導による責任、こういう領域が私はあるように思いますが、いかがでしょうか。
  245. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 今、本年二月四日、大蔵委員会における松野参考人の発言要旨の、これは抜粋でありますので、目を通しながら改めて御質問を承り、同時に議員の御指摘のような視点を持ちながらこれを見ておりますが、御本人、相談があったという記憶があるということから、その相談に対していろいろと述べておられるやりとりがございます。  私自身、その場におりましたわけではございませんので、この要約だけで確たることを申し上げることは困難な部分があるかもしれませんが、いずれにいたしましても、違法な処理などを行政が指導したり、あるいは示唆したりすることがあってはならないということは当然のことだと思います。そして同時に、その山一証券の簿外債務には、その発生の過程も含めまして、関係部局による特別検査が行われておりますので、その結果をも見なければなりませんが、私が今申し上げられること、それは、いずれにしても違法な処理などを示唆したり、あるいは行政が指導したりすることがあってはならない、これは当然の御指摘である。  ただ、このやりとりを、発言要旨でありますので正確なやりとりではないのかもしれませんが、見てまいりますと、相談を受け、その相談に対して幾つかのお答えを申し上げている。確たる状況を十分存じませんので、少なくとも、違法な処理などを示唆する、あるいは指導する、そういうことがあってはならないことでありますし、そのようなことはないと思います。
  246. 日野市朗

    ○日野委員 その点についても、違法な処置、違法な指導があった場合は、これは言うまでもなく刑事問題または民事問題という形によって責任の追及がなされるわけでございますね。しかし、私が今申し上げたいのは、そのような刑事、民事の事件に問われるようなものでなくとも、行政指導として行われる場合、それは適切なものでなければならぬということなのでございますね。  私は、今ここで総理にさらにそこのところを問うことはいたしますまい。しかし、こういう事件が発生してきた地盤というものをしっかりと見据える必要があるということです。  かつては日本の行政指導というのは国際的にも随分問題になりまして、日本の行政指導というのはけしからぬという人もいれば、日本の行政指導こそ日本の経済を発展させてきたという、アメリカでもこれは両様あります。しかし、私は、この行政指導というもの、それが大蔵省なら大蔵省という土壌、これに深く根をおろして、それが大蔵省という基盤を弱体化させてきたという可能性は非常に強いと思うのですね。  私は、あえて申し上げます。  さっき挙げました検査官の話、それから松野さんの行政指導のありよう、これは決して褒められることではないというふうに私個人としては思っておりますから、そういうもの。それから、今まで大蔵省、何だ、また大蔵省かと言われるくらい、中島さんの脱税問題とかあっちこっちで汚職問題が起きる。あの大蔵省が一体何でこのようになったんだ、あの大蔵省、何でこんなに腐敗してきたんだと思う目は国民の目であろうと思いますね。こういうものを今きちんと正していかなければ、私は非常に日本の将来にとって大変な事態になると思います。  この間も私は大蔵大臣には申し上げました。大蔵省というのは、そういった大蔵省の立てていく政策に対する信頼感を今国民の中で失いつつあるのですよ。今毅然として、大蔵省は立ち直るのだ、大蔵省国民信頼にこたえられるような政策をこれからも進めていくし、国民皆さんにこたえられるような仕事をしていくのだということを天下に明瞭に示さなくちゃいかぬと私は思うのですよ。  何か大蔵省のことを書くと、新聞の種には随分なります。大蔵省の接待問題で昨年の夏の内部調査、大蔵省は全体を調査したと言っているけれども実際調査を受けたのは第一勧銀の検査担当に絞られているなんという話が大新聞の一面トップに出るような時代でありまして、これだけ大蔵省の威信といいますか、それが地に落ちてきているということなんでありましょう。  これを正す方法は何か。私はここで総理に申し上げたい。やはりここは毅然として、行政、大蔵省内部における関係者、これに対してきちんとした処分をしなければならない、私はこう思います。大蔵大臣がやめたではないか、それから事務次官もやめたではないか、官房長の辞表、これは総理の方から撤回するように勧められたということでありますし、局長も、名前を言うのはここで私はあえてはばかりますが、局長の中にも、この人については辞職させるべきではないかというようなことが今政治問題化しております。こういう問題に秋霜のような烈たる処分をすることが、将来の大蔵省、これがまた国民信頼を回復し、みんながきちんと仕事をやっていける、そういう環境をつくるためにいいのではないか、私はこう思いますが、総理のお考えはいかがでしょう。     〔委員長退席、井奥委員長代理着席〕
  247. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 議員の御指摘の中で、一点だけ事情を御説明させていただきたい部分がございます。  それは、第一勧銀の検査忌避事件を調べておりました過程で、平成六年に行われました検査の過程において金融検査官が同行から接待を受けていたという疑惑が生じたために、大蔵省は同行の検査に携わった検査官十七名に対して調査を行った、その上で処分を行ったと聞いております。そして、そのときに、その金融検査部職員全体を調査したというような説明はしていなかった。なぜならば、確かにその時点では第一勧銀だけが問題として取り上げられていた時期でありますから、そうしたことは一つ事実の問題として申し上げておきたいと思います。  そしてその上で、私は議員の御指摘を非常に真剣に聞かせていただきました。そして私自身、本質的に、大蔵省の行政の中で、先ほどから、事前管理型の行政から事後チェックに変わらなければいけないということを申し上げましたけれども、これはいわば通達による裁量行政というものから、法令に基づいた、ルールにのっとった行政に変わらなければならないということを申し上げたつもりであります。  そしてその上で、現在、私は大蔵省全力でこの汚名を晴らすべく調査をしていると考えておりますし、その調査が終了すれば、当然ながら私は処分というものは行われるであろうと思います。そしてそれは、直接の当事者だけではなく、監督責任の部分もありましょうし、幾つかの面の問題点によるものがあり得るわけでありますから、現に大蔵省自身の調査も進行中であり、また捜査当局による捜査も続いております状況の中でありますので、現時点においては、私は今の言葉をもってとめさせていただきたいと思います。  処分は必ず行われると私は信じておりますし、それはきちんと責任を明らかにするものであってほしいし、またあるべきだ、そう考えておりますことを申し上げ、捜査も進行中であり、大蔵省自身の調査も進行中の現時点におきましては、そこで言葉をとめさせていただきたいと存じます。
  248. 日野市朗

    ○日野委員 私は、非常に強い言葉で、きつい言葉でお話をしております。  この金融関係においての犯罪というものは、私は非常に重いものだと思うのですね。重罪と言われるものはありますよ。例えば殺人だとか強盗だとか、これはあります。重い犯罪はあります。しかし、これらは国を覆すことはないのです。しかし、こういうホワイトカラーの犯罪といいますか、金融関係の犯罪なんというのは、これは国を覆すのです。  そういう観点から見たとき、犯罪として構成要件に当たるもの、これは言うまでもないこと。しかし、そのほかに、行政指導として日々行われること、これについても、大蔵省はもっともっと我が身に省みて恥じないような行政指導でなければならないことを心がけるべきです。これはポリシーの違いだ、それは政策の違いなんだ、それは政策の誤りなんだというようなことがあり得るでしょう。しかし、そうではなくて、現実に個々の企業と接したりなんかする場合、先ほどの山一と松野さんの話、私は例として挙げましたが、そういう形での接触はしょっちゅうあるはずだ。そういうときに、いかに自己を規律しながら接していくかということは非常に大事なことなんです。  そういう点から、私は、今調査中である、捜査中である、それから、その結果、処分というものは必ずなされるであろう、こうおっしゃる、それはわかりますが、余りにも懐古的ではないかというふうな感じがするのですね。昔のことを振り返ってはかりいてはいけないのであって、現在何が進行しつつあるのかということも考えてみると、これは振り返って懐古的に処分を決めるということもさることながら、現在進行しつつある行政、それについても、きちんとみずからを正すという意味から、かつてそのポストにあった人たちは言うに及ばず、役所の仕事というのは、その人に属しているのではなくて、そのポストに属しているという面もあるのですよ。ですから、それはきちんと処分すべきものは処分する、厳しい処分を今できるものは行ってしまうということが必要ではないかと思います。重ねて聞きます。
  249. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 現に私は、大蔵大臣を兼務しております間に、官房長に対し、厳しく調査を指示するとともに、処分というものに対しても厳しくあれということを申しました。  そして私は、それだけの処分は、大蔵省の諸君、恥を知る限りにおいてきちんとしたものが行われると思います。しかし、それはやはり私は調査の時間は与えていただきたいと思います。そして同時に、現在その部署におりませんでも、過去の行政に責任を負わなければならない立場の者にもし責任を問わなければならないとすれば、そこもきちんといたさなければなりません。その調査の時間はいただきたい。  その上で、その処分というものが余りに世間を愚弄するようなものであれば、そうした方針が決められる前に大臣としても当然ながらそれを注意されるでしょうし、私もきちんと対処はさせたいと思います。しかし、調査をしないままに処分をする、これはおのずから私は、それぞれの役職にある者、その進退の折り目というものはあろうと存じます。  私は、議員が言われましたように、犯罪要件を構成していなければその人間は責任がないなどと申し上げているのではございません。先ほども申し上げましたように、監督責任もありましょう、いろいろな分野の責任がありましょうということを申し上げた。しかし、現に捜査は継続中であります。同時に、大蔵省の内部の調査も進行中であります。少なくとも、大蔵省自身が内部調査をする、私はその時間は与えていただきたいと思いますし、その方がよりきちんと世間に御納得のいただける処置を行えるのではないか、私はそう考えております。
  250. 日野市朗

    ○日野委員 では、質問を変えましょう。時間がなくなってきてしまいました。  現在審議をしておりますこの金融関係の二法、それからもう一つ私気になっているのは、自民党内で六兆円の景気対策を追加すべきという議論が今なされているやに聞いています。私、これを見ておりますと、これまで橋本総理が言ってこられた六つの構造改革、私はこれを是とするのです。誤解なさらないでくださいよ、私はこれを是としているのです。それが今変更されようとしているのではないかというような気がしてなりません。  しかも、一つ銀行でございましょう。それから六兆円の景気対策というようなことになりますと、これは恐らくまた公共事業というようなことで、ゼネコンを初めとする土建屋さんたちに仕事をつくり出してやるという方向に行くのではないかというような気がしてなりません。  私は、そういう構造改革をやっている間に今日のような事態が起こった場合、これは両立させざるを得ないという局面があることはわかります、これはやはり宿命的なものでございましょうから。ただ、私が気になって気になってしょうがないのは、銀行、それからゼネコンというと、いかにもこれは自民党のサポーターでございますな。ここらにそういった措置が行われるということに対しては、私は非常にこれは疑問がある。例えば、今景気がこのような事態だから景気立て直しのための仕事をするということになれば、では税金を減税するのか公共事業をやっていくのか、この減税と公共事業の乗数効果はどっちがすぐれているかといえば、これはもう結論が出ている問題だと思うのですね。  橋本総理としてはどうなんですか、財政構造改革それから金融構造改革、こういうものを進めようとしておられる、これについてその方針は変わるのですか、変わらないのですか。     〔井奥委員長代理退席、委員長着席〕
  251. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 まず第一に政府として申し上げること、これは、御提案を申し上げ、平成十年度予算を御審議願いたいと我々は院にお願いを申し上げております。そして、我々の与えられた条件の中でベストのものをつくったと考えておりますし、これが予算の切れ目を生じないように、年度内に成立するようぜひお力添えを願いたいと今全力を尽くしているところであります。  同時に、私は本当にたびたび申し上げているのですけれども、経済あるいは金融情勢の変化に対応して、あるいは国際的な状況に対応して必要な措置を臨機にとる、これは当然私は国としてやらなければならないことだと思っておりますし、今、財政構造改革というものあるいは金融システムの改革というものを変えたのかというお尋ねがございましたけれども、私は、議員も御賛成をいただきましたように、財政構造改革の必要性、金融制度改革というものの必要性は何ら減じてはおらないと思います。  その上で、タイムスパンの違う問題を同列で今対比されましたが、私は、今起きておりまして、こうして国会でもよくおしかりを受けておりますような金融あり方、そして国民の間に生じている不安を取り除いていきますためにも、いわゆる事前管理型の行政から事後チェック型の行政に行政も変わらなければならないと考えておりますし、金融機関自体もその体力をきちんとつけてくれる、国民の安心できるだけの体力をつけてもらわなければならない。同時に、我々は預金者保護全力を尽くさなければならない。これが全く二律背反のものではないと私は思います。この点はぜひ御理解をいただきたいと心から願います。
  252. 日野市朗

    ○日野委員 時間がなくなってまいりました。もうちょっと聞きたいこともあったのですが、まあ聞くのはよしましょう。  ただ、私気になっているのは、国際的な圧力というものを一つ気にしているわけですね。  総理、ジョーク好きのアメリカ人がフーバー橋本なんて言ったって気にすることはないのです。それは大きな構造の変革をやろうとすれば、非常に強い勇気を持って、強い精神力を持ってこれは取り組まなければならない。ルーズベルトが大統領に就任して、それまでの不況の中から大きな改革をやりましたね。改革というのは、そういう非常な痛みを伴いながら行われるものだ。  随分いろいろやっておりますよ。あの大恐慌の後で構造変革をやって、しかもその中で一番力を入れてやったのは、一つは責任の追及であったということは忘れないでいただきたい。彼は、モラトリアムをやって、そして責任者をどんどん摘発をして刑務所に優先入居させたわけですな。刑務所がいっぱいになっていても、もうこいつらだけは先に収監しろということで、非常に厳しい責任の追及をやった。  それは、痛みは伴ったと思いますが、そういう痛みを伴ったにしたって、きちっとした処分、きちんとした責任の追及、これをやっていくことは必要だと思います。政治がそのことをやることによって、橋本総理がただ単にきちっとやったというだけではなくて、政治自身もきちっとこういう事態には対処したのだということを示すことになると思います。ぜひ責任の追及それから構造の変革、これについては断固としておやりいただくように。  終わります。
  253. 村上誠一郎

    村上委員長 次に、石井啓一君。
  254. 石井啓一

    ○石井(啓)委員 平和・改革の石井啓一でございます。総理、大変御苦労さまでございます。  過日の本会議におきまして、私、金融不安を解消する抜本的な対策というのは景気対策にある、今回の金融二法は、これはあくまでも緊急といいますか危機管理的な対応なのだ、こういうふうに申し上げたところでございますが、その景気対策の一環として、公定歩合の引き上げについてお伺いをいたしたいと存じます。  当然これはプラス・マイナスの面がございますですね。もう総理に言うまでもございませんけれども、公定歩合を引き上げれば、負債を抱えた企業の資金繰りは苦しくなる。片や一方、プラス面においては、利子を受け取る預金者の方の収入がふえるわけでありますから、消費が喚起をされて経済が活性化をされる。試算によりますと、今の現在の低金利によりまして、年間四兆円ぐらい本来得べき利子収入がマイナスになっている、こういう試算もあるところでありますから、利上げというのは逆の意味で減税にも相当する、こういうことではなかろうかと存じます。  またもう一つ、外為法の関係でございまして、外為法施行を控えておりますけれども、今後、外国金融機関我が国金融機関が同じ条件で競争をするようになる。そういたしますと、今の我が国の低い金利状況では、これは直ちに大量に外国金融機関預金流れるということはないかもしれませんけれども、徐々に預金流出ということが懸念をされる。  こういうことを考えますと、公定歩合引き上げというのも私は真剣に考えていかなければならないのではないか、このように思います。総理の見解を伺いたいと思います。
  255. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 これは議員よく承知でお尋ねでありますけれども、公定歩合の操作など、金融政策というものは日本銀行の所管事項です。そして、殊に、改正されました日銀法で日銀の権限というものは当然ながら一層強くなっております。そして、大蔵大臣にしても私にしても、これは本来口に出すべきことではなく、日本銀行として景気の動向あるいは金融市場状況など内外の経済情勢を注視しながら適切な対応がなされている、そう考えておりますというのが模範解答だと思います。  その上で、あえて個人的な感想をつけ加えさせていただくなら、私は両面の議論がこれにはあり得ると思います。  当然ながら、今、家計あるいは企業の景況感の厳しさというものが個人消費あるいは設備投資に影響を及ぼしている。そういう状況の中で、低い金利が、民間の設備投資ばかりではなく、例えば住宅ローンを払っておられる方の負担を軽減しているといった面も当然のことながら考えられると思います。同時に、低金利のもとにおいて、貯蓄に対する利子が少なくなるわけですから、その影響を受けておられる方々には本当にお気の毒な面が、状況があるということ、どちらも私は真実だと思うのです。  ただ、そうした状況をなくしていきますためにも、特別減税など、これはおかげさまで成立をさせていただき、二月一日に間に合いましたけれども、引き続きましての十年度予算あるいは十年度税制改正、あるいは金融システム安定化を一日も早くできますように、御審議をいただいております二法が成立をいたしまして実行に移されるように、言いかえれば、そうした努力の中で景気の回復を図るということがまず考えられなければならない、私はそう考えております。
  256. 石井啓一

    ○石井(啓)委員 ある意味では、公定歩合も早く引き上げられるような、景気をよくしていく、そういう御努力を総理は一生懸命やられる、こういうふうに私は受け取りましたので、頑張っていただきたいと思います。  先日、この委員会でも私は大蔵大臣にお尋ねをいたしたわけでありますが、今回の大蔵不祥事に対する信頼の回復といたしまして、大蔵省に過大な権限が集中をしているというのがいわば腐敗の温床になっているといろいろな委員からも指摘をされているところであります。  その上で、今、財政と金融の分離について、与党の合意においては、当分の間とか、当面とか、こういうことで時期が明示をされていないわけでありますが、私は、これははっきりと時期を明示すべきである、こういうふうに思うわけであります。先日大蔵大臣は、それはもう与党の方の合意にのっとってやるしかない、こういうふうにおっしゃっておりましたので、この点について、総理、ぜひこれはおやりいただきたい。  こういうふうに思いますとともに、さらに、総理も一時意欲を示されたというふうに報じられておりますけれども、国税庁の分離ですね。これも言うまでもございませんが、強力な査察権、いわば経済警察とも言えるような権限を持っている。このことによって、有形無形の圧力といいますか、そういう力を持っている。こういうことでございますから、国税庁の分離というのも私は真剣に検討すべきではないかと思います。総理の御見解を伺いたいと思います。
  257. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 大変お答えのしにくい二つの問題を出されましたけれども、私自身が行政改革会議の結論をちょうだいし、その最終報告を忠実に法案化する作業のいわば責任者になるわけです。  そして、この間におきまして、財政と金融の分離の問題、これは与党三党の間で議論が尽くされましての合意というものがまとめられ、これが行政改革会議の最終報告になりました。  同時に、国税庁につきましても、行政改革会議最終報告において、財務省の外局と位置づけられると同時に、徴税の中立性、公正性の確保を図るという観点から税制の簡素化などに努めろという御指摘をいただいたところであります。  政府としては、こうした与党合意並びに行政改革会議最終報告に忠実に中央省庁再編などの実施に必要な基本的事項を定める、こうした方針のもとに、現在、基本法案の作成作業を鋭意進めております。  これは、行政改革会議の最終報告というものを、中には法律になじまない事項もございますからそういうものは別ですけれども、法律事項とすべきものについては忠実にこれを法文化しようといたしておる作業のさなかでありまして、そういう状況にあることを御報告することで答弁にかえさせていただきたいと思います。
  258. 石井啓一

    ○石井(啓)委員 ちょっとその国税庁の分離について、総理、もう一度、今後それは検討の余地があるのかどうか、その点についていかがですか。お答えをしにくいのかもしれませんが。
  259. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 今、私自身の立場として、行政改革会議が最終報告をまとめました時点で、個人的な意見は避けるべきだと思います。  その上で、議論の幾つかのポイント、それは徴収の一元化の是非、すなわち国税、地方税を通じた徴収の一元化の是非、これが地方分権に合うか合わないか、あるいは地方の課税自主権との関係をどうするか、こうした点が論点にありましたことを御紹介し、答弁にさせていただきます。
  260. 石井啓一

    ○石井(啓)委員 そういう論点があるということは、ある意味でまだ課題として残っているというふうに受け取らせていただきましたので、この問題もぜひ今後より議論を進めていただきたい、このように思います。  次に、金融二法の関係でございますけれども、今回、私どもは、基本的に一般金融機関からの優先株の購入は反対という立場ではございますが、仮に実施されるといたしましても、今回大蔵省の汚職事件の贈賄容疑で名前の挙がっている銀行、こういつたところの優先株購入というのは、私は、今の国民感情からするととても理解が得られないのではないか。三十兆円という多大な公的資金導入するに当たっては、国民理解というのがベースで、国民の納得というのが大前提でありますから、私は、その点について極めて慎重であるべきである、このように考えます。総理の見解を伺いたいと思います。
  261. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 これは具体的な案件としては、これは基本的に、公正中立な審査機関がつくられ、その審査機関が責任を持って審査されることでありまして、政府としてコメントは差し控えるべきだと思います。  しかし、いずれにいたしましても、具体的な引き受けの対象、それは、現在の金融情勢の中で、今回の対策の持っております緊要性あるいは公的資金を活用する今回の措置の目的などを総合勘案した上で、審査委員会が適切に判断される、そうしたものだと考えております。
  262. 石井啓一

    ○石井(啓)委員 確かに、今回の法律の構成を見ますと、審査基準あるいは具体的な審査というのはこの委員会が行うということでありますから、事前に総理があらかじめ予断を与えるようなことはおっしゃらない、それはよくわかりますけれども、少なくとも、やはりそういう国民感情というのが十分あるんだ、これはぜひ総理もよく御理解といいますか、念頭に置いておいていただきたいな、このように思いますし、また、これもいろいろなところで指摘をされていますけれども、今回、多額の公的資金導入するわけですが、銀行自身が果たしてどれだけの努力をしているのか、これについてはやはり厳しい目がございます。  依然として金融機関の、特に大手の銀行の職員の給与水準あるいは役員の報酬の水準は極めて高い、また厚生施設等も大変豪華な施設を持っている、そういう状況をそのままにしておいて多額の公的資金導入するのはどんなものか、こういう疑問といいますか、そういう納得できないという思いは私は率直に理解できるわけですね。そういった点につきまして、やはりより徹底したリストラというのを進めるべきである、このように思うわけであります。  特に、今回、優先株等を購入する銀行については、法律によりますと、経営の健全性確保のための計画を提出する、こういうふうになっているのですが、これは言葉じりをとらえるわけではありませんけれども、確保というのは、従来から健全だけれどもこれからも健全さを保つということですよね。だけれども、そうではなくて、もっと大胆にリストラを行って、より改善をする、そういうことでなければ、じゃ、安易に優先株等を資本注入していいのか、こういうことになるわけでありますから、私は、特に一般の金融機関全体がやはりリストラの努力をすべきであり、特に優先株等を購入する銀行については徹底したリストラをやるべきである、このように考えるわけでございます。総理の御見解をいただきたいと思います。
  263. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 今議員が指摘されましたような一般の感情というものがあることは、私も、お手紙を下さったり、あるいはインターネットを利用して下さる、そうした御意見の中に随分ありますだけに、そういう感情があることを十分承知しているつもりです。  その上で、私は、その金融機関、例えば優先株等を引き受ける場合に、その対象となります金融機関経営というものが将来に向けて責任のある体制で行われるように、審査委員会が議決の前提として、経営の合理化などを含む健全性確保のための計画を提出させる、そして基本的にこれを公表するということになっておるわけですが、議員が御指摘になりました金融機関のリストラに関することというものも、当然ながらこの計画に含まれる分野のものだ、そのように私は思っております。
  264. 石井啓一

    ○石井(啓)委員 もう少し具体的に言うと、恐らく国民感情からすれば、優先株を購入するような銀行であれば、例えば役員の報酬は考えるべきだとか、そういう議論はやはり私は起こってくるのだろうなと思うわけです。そういう点について、この委員会でも議論があったことをぜひ今後の参考にしていただきたい、このように思います。  時間がなくなってまいりましたが、私ども、今回、預金保険法の一部改正案については一定の評価をしているところでございます。従来から、国が預貯金等については全額これを保証すべきである、こういうふうに主張してきましたので、一定の評価をしているところでありますが、その前提といいますのは二つございまして、破綻した金融機関経営者の責任の追及というのは徹底的になされなければいけない、これが一つでございます。  もう一つは、情報公開をきちんとやるべきだ、こういうことでありまして、特に、従来の答弁ではこれはなかなか難しいようでありますけれども、破綻した金融機関だとか優先株等を購入する金融機関、こういう公的資金導入する金融機関については、大蔵省検査結果あるいはその示達書等を私はこの際オープンにしてもいいのではないか、こういうふうに思うわけでございます。あわせてこの点についてお伺いをしたいと思います。
  265. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 破綻処理という場合における経営者の退任、また法律に基づく民事上、刑事上の責任を厳格に追及していく、これは当然のことでありまして、債権回収のプロセスにおきまして不正とか法令違反が明らかになった場合には、今までも経営者や借り手の責任追及というものは厳正に行ってきたつもりでありますが、これからも当然のことながらこの考え方によって進めてまいります。  そして、今回預金保険機構につきまして罰則つき立入調査権を拡大する、あるいは組織、体制そのものの強化を図ることによってより強力な債権回収を行えるような体制をとっておりますし、その中で、不正が発見されればこれを追及していくことは当然のことだと思います。  また、金融機関ディスクロージャー、これは確かに議員が御指摘になりますように、内外の市場信頼性というものを回復していくためにも、国際的なレベルでの経営透明性を確保することは欠かせない重要なことだと思います。特に、不良債権につきまして、十年三月期から米国のSEC基準並みのディスクロージャーを各金融機関に対し鋭意促しておるところでございますし、先般も公表いたし、いろいろな御議論をいただきましたが、銀行自己査定結果の集計額というものを当局から発表をさせていただきました。国際的な水準に向けての努力というものは当然ながらしていかなければ、開かれた市場の中での競争においてもむしろ日本金融機関が不利になる、私はそう考えております。  ただ、その個別の金融機関について、例えば現在北拓の破綻の後に北海道内における営業譲渡を北洋銀行が受け、いろいろな作業が行われていると承知をしていますが、例えばその中で、何ら自分のところに欠点があるわけではないが、自分のところのメーンバンクを北拓にしておられたという方々は私は北海道の場合に非常にたくさんおられると思います。仮にそれが何らかの形でこの処理の途中に外部に漏れました場合、みずからのところに何ら責任がないにかかわらず、メーンバンクが北拓であったということだけで影響を受けるおそれなしとはいたしません。  北洋に営業譲渡がきちんと行われ、そしてそれに耐えられるだけの、まさに北洋は自己資本充実を図っていただかなければならないわけでありますが、そのプロセス等を考えましたときに、私は、既に金融機関破綻処理の際、一定の情報破綻処理に必要な範囲内で開示をいたしておりますし、今後優先株の引き受けの対象となります銀行の場合には、その検査結果を審査委員会の審査の材料として提出をするわけであります。公表されるかどうか、これは審査委員会が、今後法案が成立をし、スタートをした時点において適切に検討されるべきもの、そう考えております。
  266. 石井啓一

    ○石井(啓)委員 時間が来たので終了いたします。
  267. 村上誠一郎

    村上委員長 次に、谷口隆義君。
  268. 谷口隆義

    ○谷口委員 自由党の谷口隆義でございます。  質疑の前に、一言、委員長に申し上げたいと思います。  昨日、大蔵委員会理事会がございました。その折に、本日のこの審議しております二法案質疑終局、採決、あとは保留ということに決まったところでございます。一方議運においては、この法案、本日の本会議立てが行われておるというような状況でございますが、御存じのとおり、この二法につきましては極めて重要な法案でございます。緊急上程というような愚を行われないよう、まず初めに申し上げたいというように思います。  それで、初めに、今回、総理に来ていただいておりますので、総理を中心にお伺いいたしたいというように思いますが、御存じのとおり、今、経済政策の方向が一貫しておらないというような批判がございます。これは大蔵委員会の場でもそうでございましたし、本会議の場でもいろいろ御意見がございました。  額賀官房副長官の米国における、この四月に大型補正かというような問題、また加藤紘一自民党幹事長の二〇〇三年の財政構造改革法案の目標年次を繰り延べるというような発言、また先日の野中自民党幹事長代理の六兆円の大型補正かというような問題等々、今出てきておるわけでございます。一方、昨年、財政構造改革法案、これは私たちも十分審議をいたしまして成立した法案がございます。総理の御答弁、また大蔵大臣の御答弁を聞いておりますと、これは両方一緒にやるんだというようなことでございますが、これは極めて逆方向の経済政策でございまして、このあたりの一貫した政策が国民に求められておるところでございますし、株式市場の動向を見ておりましても、そういうような反応を示しておる、このように私は解釈しておるところでございます。  そのような状況の中で、この二月四日のウォールストリート・ジャーナルというマスコミ紙がございますが、ここで「日本の政策麻癖」という、このような題の社説がございました。若干この内容を御報告させていただきますと、日本政府橋本龍太郎首相のもとで政策麻痺に陥り、経済危機への対処を間違えている、このように論評いたしております。同社説は、日本の経済衰退をとめるには橋本総理が政策を逆転させ、恒久的な減税を実施する以外にないと述べる一方で、橋本政権は不良金融機関の救済を最緊急課題とみなし、経済回復策に関しては麻痺の状態になっておる、このように言っております。結論的に、日本にとっての時間は限られており、橋本総理がすぐに行動をとらなければ総理世界第二位の経済大国を台なしにした人物として歴史に残るだろう、大変厳しい論評がなされておるところでございます。  私も、このような現下の経済状態を大変憂えておるところでございます。私も、今論議しております金融システムの問題は大変重要である、このような金融システムをどんなことがあっても崩してはならないという思いは、総理とこれは一緒でございます。一方で、このような状況の中で景気がますます悪化してくるというようなことになってまいりますと、この悪化のスパイラルでどんどん悪化してくる、こういうような状況も見られるところでございまして、今、経済政策の転換を図っていかなければならないのではないか。  先日、大蔵大臣就任のごあいさつがございまして、その折にも申し上げました。今回の大蔵大臣の御就任は、今までの三塚前大蔵大臣のとってこられた経済政策が大きく変わられたのですか、このようにお聞きしたところでございますが、どうも、そのような明確な御答弁はございませんでした。そのような状況の中で、総理、今私が申し上げました、経済政策を最優先にする政策をおとりになろうとお考えなのか、また、先ほどのウォールストリート・ジャーナルの論評に対して、御自身の御見解をいただきたいというように思います。
  269. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 私は実は外国語は大変不得手でありまして、そのウォールストリート・ジャーナルの記事に目を通しておりません。恐らく議員が御紹介をいただきましたような内容のものなのだろうと思います。  その上で申し上げたいことは、これから先の日本の経済というものをきちんと回復軌道に乗せていくために今我々が必要とするもの、それは、まさに経済の動脈であります金融システムをいかにして安定させるかということであると思います。そして我が国金融に対する内外の信認低下という事態に対し、きちんとした対処ができますように、預金の全額保護、そして金融システム全体の危機管理のための施策というものを今行おうと、国会に御審議をお願いいたしております。そして、この安定化のシステムというもの、これに対する評価は、私は、ウォールストリート・ジャーナルの論説にどう触れられていたか知りませんけれども、むしろ公的資金がここに活用されるということをもって、日本金融システムの安定に向かった動き、そうとらえ、受けとめておられる方々があることも承知をいたしております。  同時に、信用縮小と言われるような状況を排除いたしますために、総額二十五兆円の資金を用意する、こうした貸し渋り対策も行っておりますし、景気回復のための規制緩和、これを初めとする緊急経済対策も行っております。税制面における、特別減税を初めとした次年度の税制改正の中に盛り込まれております政策減税も、議員よく御承知のとおりであります。そして先般御審議をいただきました九年度の補正予算におきまして、約一兆円規模の公共事業、また一兆五千億円規模の国庫債務負担行為というものも御承知のとおりであります。  一方で、昨年、公共事業というものがすべて大変厳しい御批判の対象になった時期もありました。必要なものはやはり必要なんだということを当時も申し上げてまいりましたけれども、次年度予算におきまして、そうした御意見も踏まえながら、同時に、景気に配慮した予算編成を行ってきているわけであります。今、経済の実態また金融システム状況、そしてアジアを初めとする世界経済状況等をにらみながら、その時々の実情に応じて臨機応変の措置をとっていかなければならないことも当然でありまして、私は、全力を挙げてこうした努力を積み重ねていくことでこの時期を乗り切っていきたいと考えております。
  270. 谷口隆義

    ○谷口委員 前回も私申し上げたんですが、経済政策の転換がもしあるならば、これは明確にやられた方がいいと思うんですね。と申しますのは、今私が申し上げた自民党の幹部の方の御発言がいわゆる政治家の口先介入と申しますか、この結果、株価が上がっておるということであって、これが仮に行われないということになれば、大変危機的な状況にかえってなるわけでございます。また逆に、これが現実のものとなれば、これは明確に経済政策の転換ということでございますので、これは株式市場もある程度の評価が出てくるのだろうというように私は思います。  いずれにしても、中途半端と申しますか、そういう明確な方向転換があれば、そういうようになさった方が株式市場の反応もより一層出てくるのではないか、このように思います。あえて申し上げたいというように思います。  それで、今回のこの金融二法について今度はお聞きいたしたいわけでございますが、今回、十七兆円の預金者保護公的資金の投入、また十三兆円の資本注入の法案、この二法案になっておるところでございます。  その中で、十三兆円の資本注入の法案でございますが、優先株の発行等が決められておるといいますか、規定されておるところでございます。この優先株の発行であるとか、また有償増資というのがございますが、このようなことは既存の株主の利益を侵害したり、例えば株主平等の原則というのがございますが、そういう状況の中で既存株主の利益を侵食したり、株式市場の需給バランスを崩すというようなことがございます。そういうこともございまして、この優先株発行企業については来期の収益見通しや財務内容をディスクローズする、こういうようになっておるところでございます。  今回のこの資本注入においては、先ほど申し上げましたマーケット撹乱要因、いわば優先株というのはそういう要因を持っておりまして、このような優先株を、収益が好転するというような明示をしないで、また七人委員会ですか、そういうような委員会で審査するということでございますが、いわゆる密室の審査によって公的資金で引き受けるということについては、今総理がおっしゃっていらっしゃいますビッグバンの方向とは全く反対の方向ではないか、このように思うわけでございます。  また、優良銀行から優先株を引き受けるというのは、経営不振銀行を救うために、マーケットから自力で調達できる優良銀行政府の庇護のもとに置くというようなことになりはしないか、いわば護送船団方式の再来ではないか、このようなことが言われております。また、そういう状況になれば、モラルハザードの問題が出てまいる、こういうようなことが言われておるところでございます。  先ほどの、私が申し上げました一連の状況の中で今回この十三兆円の資本注入のスキームが考えられておるところでございますが、今私が申し上げましたことに対しましてお考えをお述べいただきたいのと、またこれに対して、そのような問題があるという御認識でございましたら、どのような対策を講じられておるのか、御答弁をお願いいたしたいと思います。
  271. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 細部にわたります部分、場合によりましては政府委員からの補足をお許しいただきたいと思いますけれども、今回の自己資本充実策というものが、我が国金融システムに対する内外の信頼が大きく傷つき、信用秩序、経済に重大な影響が懸念される事態に対処するための緊急対策であるということは申し上げるまでもないと思います。  そして、優先株などの引き受けに当たりましたその審査基準の枠組みというものは法律に明記をいたしておりますし、またその審査委員会の議事録などについては公表する、そして優先株などの発行金融機関に対しまして、先ほども御論議のありました経営の健全性確保に関する計画の提出を義務づけて、基本的にこれを公表する、こうした点で十分な透明性は確保されておると思います。  また、個別の金融機関の救済になりませんように、法律上、金融機関の申請を前提にし、審査委員会が厳正な審査基準に基づいて審査の上これを決定するという仕組みをとっており、私は、護送船団あるいは方向に反するという御指摘にはこれは当たらないと思います。また、モラルハザードについても、今申し上げたような手続というものによって防止が図られていることは繰り返し申し上げてまいりました。  金融システム改革というものは、まさにフリー、フェア、グローバルという理念のもとに進めようと今日も考えておりますが、同時に、金融システムというものは信用を根幹とするものでありますし、時としてさまざまな理由により信用不安が広がるという危険性は本質的に内在しております。そのような例というのは歴史的に見ましてもございますし、近年におきましても、各国でシステム維持のためにさまざまな努力がされていることは御承知のとおりであります。  現在のような状況のもとにおいて、例外的な緊急措置ではありますけれども、金融システム安定化のためにこうした措置が必要だと判断をいたしました。そして、この対策によりまして、我が国金融システムの安定が図られ、金融システム改革を進めていく上での基盤をより強固なものにできる、そのように考えております。
  272. 谷口隆義

    ○谷口委員 時間が余りないものですから、まだ聞きたい項目が数点ございまして、羅列して質問させていただきますので、一括して御答弁をお願いいたしたいと思います。  この十三兆円の資本注入法案について、「信用秩序の維持と預金者等の保護を図り、もって国民経済の健全な発展に資することを目的とする。」このように書いてあるわけでございますが、この「預金者等」の「等」というのは何が入るのか。  二点目は、先ほど申し上げましたように、七人委員会という審査会がございます。この審査会で優先株を引き受けるかどうかを協議する、審査するということでございますが、ここで審査した結果、引き受けないというような判定を受けた金融機関は、その後、どのような取り扱いになるのか。  また、その次は、この優先株等ということには優先株、劣後債、劣後ローン、こういうようなものが入っておるようでございますが、御存じのとおり、自己資本比率は国際基準と国内基準がございます。国際基準の場合に、ティア1、ティア2、本来的に入るものと補足的に入るもの、このように分かれるところでございますが、どうも優先株と劣後債、劣後ローンの取り扱いが違う。こういう状況の中で、だから劣後債、劣後ローンは基本的に資本注入の効果が薄いのではないか、このように考えるところでございますが、これについての御答弁。  あともう一つは、かなり地域的な問題でございますが、私の地元大阪は信用組合の地盤が極めて悪化しておるところでございまして、このような信用組合の受け皿金融機関をつくる場合に、普通銀行であれば優先株を発行するということはできるわけでございますが、優先出資になるわけですね、このような優先出資が認められない理由。現行はどうも認められておらないようでございますが、認められない理由、このような点について御答弁をお願いいたしたいと思います。
  273. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 極めて専門的なお尋ねですので、政府委員をして答弁させます。
  274. 山口公生

    ○山口政府委員 お答え申し上げます。  最初の御質問の「預金者等」の「等」は何かという御質問でございますが、これは本法に定める預金以外の貯金や定期積み金の債権者のことでございます。  それから二つ目の、七人の審査会の審査で引き受けないとなった銀行についてというのは、それはそのままということでございまして、特段のペナルティーとかそういうものはございません。  それから三番目の優先株、劣後債、劣後ローンについての自己資本比率の算定でございますが、大きく言いますと、自己資本比率にはいわゆるティア1とティア2がございます。それで非累積配当型永久優先株、これはティア1になります。また、それ以外の累積配当型永久優先株や期限つき優先株は、ティア2になります。また、劣後債、劣後ローンといった負債性の資本調達手段については、ティア2に算入されることになります。  それから、四番目の御質問は、信用組合の場合、優先出資においての扱いがどうなるかという御質問でございますが、今回の措置は、既存の法制度のもとでの可能な手段によって各金融機関自己資本充実を図ることとしておりますので、信用組合の場合は、既存の法制度のもとでは優先出資は行い得ません。したがって、劣後ローンを取得することによって自己資本充実を図ることは可能でございます。  以上でございます。
  275. 谷口隆義

    ○谷口委員 もう時間が参りましたのでこれで終わりますが、先ほどちょっと私がお尋ねした中に、要するに審査を受けて優先株を引き受けられないというところは、それなりに業況、財務内容が悪化しておるというような、そういう金融機関は破綻の道筋をたどるのかということをお尋ねしたがったわけでございます。ですから、そういう意味もありますよと、審査ではねられた金融機関はそういう経営破綻の道を歩むだろう、そういうような金融機関もここでやるんですね、こういうことなんです。  時間が参りましたので、これで終わりたいと思います。
  276. 村上誠一郎

    村上委員長 次に、佐々木憲昭君。
  277. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。  預金保険料の問題について、総理基本的な認識をお聞きしたいと思います。  自民党の加藤幹事長は、先日、テレビ朝日系の番組で、銀行預金保険機構に払う保険料について、特別保険料の期間を、二〇〇一年か、その後も続けて集めるというようなこともこれから考えるべきではないかと述べました。  これは従来よりも踏み込んだ発言だと思いますけれども、橋本総理は同じような考え方でしょうか、それともこれと違う考えでしょうか、まずお伺いしたいと思います。
  278. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 今議員がお述べになりました言葉、多少ニュアンスを違えて加藤幹事長は話しておられるように思います。特別保険料の期間について、二〇〇一年からその後も続けて集めるのかどうかはこれから考えていくべきという発言が正確なようでありまして、多少のニュアンスの差があるように思います。  そして、もう既に同種の御質問に御党にもお答えをいたしたことがありますけれども、預金保険の保険料率、平成八年からそれまでの七倍に引き上げました。そして保険料負担につきましては、遅くとも平成十年度末までに機構の業務、金融機関の財務の状況などを勘案して検討を行うことになっております。我が国金融機関の置かれている状況、国際的な信認との関係などにも留意しながら検討していくべきものだと考えています。
  279. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 今、平成十年度末までに見直すということもこれまでの方針で述べているということでございました。  しかし、法案が通りますと、公的資金が入ってくるわけであります。そうなりますと、資金は潤沢にあるわけですから、預金保険の保険料の引き上げというようなことは必要がなくなるという事態になると思うんですけれども、その点はどのようにお考えでしょうか。
  280. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 わずかにいつも言いかえられるんですけれども、今私は、見直すと申さず、検討を行うと申し上げたはずであります。そして、まさに検討を行おうとしております。
  281. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 それでは、検討の内容ですが、それは引き下げという方向ではなくて、当然引き上げという方向での検討だと思いますが、いかがでしょうか。
  282. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 私は、検討というのは、両方、どちらに動く場合もありますし、検討の結果現状を続けるという選択肢もあるだろうと思います。その状況を十年度末までに十分検討するということを申し上げております。
  283. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 今度提案されている金融二法では、政府は三十兆円に上る国民負担の仕掛けを提案いたしました。  これに対して多くの国民は、本来預金者保護あるいは金融システムの安定に第一義的に責任を持つべき銀行が、なぜ一円も負担しないのかと。法案では保険料の引き上げは盛り込まれておりません。それなのに、国民は責任がないのに負担を押しつけられる、銀行は負担をしない、こういう法案になっておりますけれども、総理は、これは平等な提案だというふうにお考えでしょうか。
  284. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 ちょうど私が本委員会に参りましたとき、同様の御意見を述べておられるのを隣室で拝聴しておりました。そして、そのときの大蔵大臣大蔵省の答弁と同じことを多分申し上げることになると思いますが、今申し上げましたように、現行の保険料、これは平成八年度から従来の七倍に引き上げてまいりました。その上で、保険料というその性格から、法律上も特定の金融機関に対し差別的な取り扱いをしないこととされておりまして、一律の保険料とする必要があります。  中小金融機関の負担、今、利益に占める保険料負担が約九%台となっておりますけれども、これ以上引き上げることがなかなか難しいと思われること。国際基準行に関しまして、例えば米国の主要行の保険料率が、年間二千ドルの手数料のみで、ゼロとなっていること。現行以上の保険料率負担を邦銀に行わせた場合、国際的な信認の観点から慎重に判断すべきだと思われること。現在の金融情勢を考えますと、当てもなく将来の預金保険料での返済をさせる、これはかえって金融システムに対する不安を助長しかねないのではないか、こうした観点を十分踏まえながら保険料負担の議論をする必要があると考えていること。これが、今私どもが申し上げていることであります。  いずれにいたしましても、平成十年度末までに検討される保険料負担、我が国金融機関の置かれている状況、国際的信認との関係などにも配慮しながら検討していくべきものと考えております。
  285. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 公的資金を投入するということはこの法案の提案の中にはっきりと書き込まれていて、保険料の引き上げについては検討である、どのような結論が出るかはわからない。つまり、国民にはまず負担である、負担は決める、こういう仕掛けになっているというところにこの法案問題点があると私は思うんです。国民に負担はさせるが、銀行はこの法案の中では一円も負担をふやすという中身にはなっておりません。したがって、まさに不平等な中身になっていると言わざるを得ません。  もう一つお聞きしますけれども、この仕組みでは、二〇〇一年三月からは、逆に銀行負担の大幅軽減になると思いますけれども、その点はどのように御認識でしょうか。
  286. 山口公生

    ○山口政府委員 二〇〇一年の三月までが特例措置の期間でございますので、今の法律を見ますと、二〇〇一年の四月からはペイオフが原則といいましょうか、一定の額までの保証ということになるわけでございます。そうしますと、保険数理に基づいて、それに見合った保険料を徴収するという仕組みになっております。したがって、特別保険料という形での徴収は制度上はなくなる、こういうふうになっております。
  287. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 今の御説明でも明らかなように、二〇〇一年で特別保険料を打ち切るということになりますと、二〇〇一年四月からは、銀行の負担、つまり保険料が大幅に引き下がるわけであります。今は一般保険料が〇・〇四八%、特別保険料が〇・〇三六%、合わせて〇・〇八四%になっております。つまり、四対三の比率です。このうちの三の部分がなくなって、四の一般保険料だけになるわけですから、これは銀行の負担は大幅に減るわけであります。  つまり、国民の負担は大幅にふえる、三十兆円の仕掛けがつくられるけれども、銀行の側には負担の軽減が図られるという結果になってしまう。これが現実の姿だと思いますけれども、総理は、このような方式について、国民にどのように説明をされるおつもりでしょうか。
  288. 山口公生

    ○山口政府委員 繰り返し申し上げますが、ペイオフが原則になります二〇〇一年の四月からは、当然それに見合った保険料という形になるわけでございます。  それから、今回お願いしております公的な資金の法案も二〇〇一年までの措置でございまして、預金を全額保護するための措置でございます。
  289. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 結果的に、国民には負担増、銀行には負担減、これが現実の姿だということが明確になったと思います。私はこのような仕掛けは絶対に反対だという点を表明しまして、質問を終わります。
  290. 村上誠一郎

    村上委員長 次に、濱田健一君。
  291. 濱田健一

    ○濱田(健)委員 社会民主党は、金融安定化法案に賛成でございます。しかしながら、これまでの大蔵省職員、大蔵省OBのさまざまな不祥事に関しては不愉快でございます。  今回、社会民主党は、これらの問題について国民の声やいかにということで、「大蔵省腐敗に怒るホットライン」を開設いたしました。多くの怒り、憤り、提言などが寄せられております。その一部を紹介し、国民への心のひだに分け入るような総理自身の言葉での回答をいただきたいと思います。  東京の男性、六十代。  自分の勤めていた生保では、昭和四十六年から現在まで同じ構図で変わっていない。大蔵省から検査に来ると、まず自分で地図を広げて料亭などを探す。帰りは、有名な窯元などがあると二万円から四万という陶器を指定する。現在の建設会社でも全く同じ。検査などしない。  神奈川県、女性。  友人が大蔵省職員(三十代)に駐車場を貸したところ、サービス期間の二週間を過ぎても、無期限無料と受け取り、催促しても駐車場料金を払ってくれない。結果として半年も払ってもらえなかった。同様のトラブルの場合にはせいぜい二カ月程度で解決するのに、やはり大蔵省の役人だから横暴がまかり通るのか。  男性。  腐敗しているのは中央官庁だけではない。大蔵省の地方財務局・財務事務所は上級官庁(大蔵本省)を接待するために地方銀行にたかっている。地方銀行は頭取でも本省の課長補佐にすらなかなか会えない。都市銀行から地方銀行監査情報流れている。  神奈川、女性、七十代、元中央官庁勤務。  大蔵省腐敗は伝統的なもの。昔からずっとあった。今回のようなことは慣例になっていて、良心が全くない。逮捕者や自殺者まで出しており、この際、大蔵省に大なたを振るってほしい。官僚に良心を取り戻してほしい。  東京、男性、六十代、元某巨大特殊法人勤務。  総務、経理は皆天下り。本部の経理部長も大蔵からの天下り。天下りは民より官が偉いと思っているし、人を信用していない。部下を信用しておらず、部下の話は採用しない。第二の人生だから必死にやらない。責任をとらない。どうずれば責任をとらずに済むか本能的に知っている。しんどい仕事は逃げる。昔からやっているプロパーが苦労しているのに、その上のポストに座るため、若い人や中年がかわいそう。天下りしてくるときに給料を指定してくる。超過勤務をしなくても、その分請求してくる。特殊法人への天下りは廃止すべきだ。  兵庫県、男性、六十三歳、元信用金庫勤務。  在職中、三人の天下りがあった。課長クラスの人間が常務クラスの役職につき、年俸二千万ほどもらっている。退職時には五千万から六千万程度受け取る。最近では、検査に入る大蔵省だけでなく、考査に入る日本銀行も天下りを要請してくる。  ファクス、不明。  大蔵省公認会計士協会を完全に牛耳っている。金融機関自己査定に重要な役割を果たすことが期待されている公認会計士も、現在の大蔵の管理統制下では無理。実態を述べてみる。現事務総長(大蔵省出身)は、選挙で選ばれていないのに重要会議にすべて出席し、会長以上の権限を行使している。会長は徒歩で通勤、事務総長は黒塗りのハイヤーで送り迎え、秘書つき。高給、公表されず。大手監査法人五社の会長、理事長はすべて大蔵の天下り。等々、時間が来ましたので、あと一枚読み上げることができません。  嫌な中身だったかもしれませんが、総理、いかがでしょうか。私は、この寄せられたファクスは、うそをついたような、また脚色したような中身ではない、国民の生の声だと信じます。  国民の声が言っております、たかり、横暴な体質をどう変革されますか。天下りをやめ、待遇改善もしながら、公務員制度として六十歳まで働けるような制度にすることはできませんか。議運マターであると言われるでしょうが、国民の抱く疑惑にしっかりとこたえるため、政党の責任者として、疑惑を持たれている証人喚問など積極的に進めてはどうでしょうか。情報公開を精力的に進めつつ、ノウハウを持つ民間人を登用しての国民のお金、税金の監査制度をつくる気持ちはございませんか。  以上、四点質問申し上げて、私の質問を終わります。
  292. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 まず第一点としてお尋ねのありました、大蔵省の職員に対する世の中の厳しい声、これに一体どうこたえていくのか。  この御党の中に寄せられました御意見の一部は、先日、与党三党首が集まりましたときにも、土井党首からその一部の御紹介がございました。本日議員が述べられたほど多数の例示は挙げられませんでしたけれども、何とも情けない気持ちで、その投書を紹介されましたとき、それを伺っておりました。そして、今議員の紹介されました一般から寄せられている大蔵官僚並びにOBに対する声というものは、ここにおります大蔵省の幹部職員を含め全員が聞いていると思います。  今、大蔵省は、みずからの手で、改めて、過去五年間、関係の部局におりました者の調査を内部で進めておりますけれども、今御紹介がありましたような声を聞くことによって、私は、一層真剣に調査がされ、それを受けた対処がなされるであろうと思いますし、先刻、他の委員の御質問にもありましたけれども、それは法を犯したということだけでの処分ではないものになるであろう、それだけの廉恥心は持ってほしい、そう私は考えております。  その上で、議員から触れられました、天下りをしなくても定年まで働ける職場としての大蔵省にするためにという御指摘がありましたけれども、これは、私は大蔵省だけではなく公務員全体に通じることだと思います。現在の公務員の給与水準、その実質的に退官する年齢を考えましたとき、第二の人生を求めないで暮らしていける人はほとんどいないだろうと思いますし、そうしたことを含めた公務員制度全体をどうつくり上げていくか、今公務員制度調査会に御論議をいただいておりますけれども、一方では、そうしたことにも気を配りながら、公務員の姿勢というものをよりしっかりしたものにしてもらいたい、そう願います。  また、国民の抱く疑惑にこたえるためにも、政党の責任者として証人喚問などをというお話がございました。私は、法に違反するようなことがあれば当局が厳正な対応をするものと思いますけれども、証人喚問という問題は国会でお決めをいただくべきものだと考えておりますし、党は、それぞれの党においていろいろなことがありましょう。私どもの党におきまして、先般、幹事長から特定の方に対し、事実上の離党を勧めるといった対応をとってきておりますことも申し上げておきたいと思います。  その上で、議員からお触れになりましたことの中で非常に難しい問題点一つございます。それは、ノウハウを持つ民間人の登用という部分についてでありますが、これは会計検査院の検査官に、昨年、国会の御同意をいただきまして民間出身の方を任命させていただきました。今後ともに検査院には多くの努力を払っていただかなければなりません。同時に、兼職禁止の規定、守秘義務等々の中で、この民間から今回検査官を受けていただきました方の、その時点における職を辞して検査官になられたという事実を御紹介申し上げて、そうした点もぜひ考慮に入れていきながら、行政改革を進める中でより効果的な仕組みをつくっていきたい、そのような思いでおりますことを申し上げて御答弁とさせていただきます。
  293. 濱田健一

    ○濱田(健)委員 ありがとうございました。
  294. 村上誠一郎

    村上委員長 これにて内閣総理大臣に対する質疑は終了いたしました。本当に御苦労さまでした。     ―――――――――――――
  295. 村上誠一郎

    村上委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  両案審査のため、本日、参考人として日本銀行秘書村上堯君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  296. 村上誠一郎

    村上委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――
  297. 村上誠一郎

    村上委員長 再度、大蔵大臣に対する質疑を行います。北橋健治君。
  298. 北橋健治

    ○北橋委員 民友連の北橋健治であります。  いよいよ金融法案の審議も最終局面を迎えておりますが、この審議に入ります前に一言、重要なことでございますので委員長に申し上げたいと思っております。  私どもは、昨日の与野党の幹事長・国対委員長会談におきまして、この二法案の議了、採決には応ずるが、緊急上程は決して認めないという立場で結論を見たと幹部から聞きました。  大蔵委員会委員の一人といたしまして、この法案には重要な問題点がたくさん残されている、十分な審議も足りない中で議了、採決という形になることは断腸の思いでございましたが、これまで民友連を初め各野党が要求してきた資料等につきましても、精いっぱいの努力をされたということが一つあると聞きました。しかしながら、緊急上程だけは絶対に認めないということをいろいろな場で申し上げてきたわけであります。昨日、夜遅くの理事会におきまして、この法案の取り扱いをめぐりまして与野党が議論をいたしました。与党側は、議了、採決はもとより、本会議への緊急上程を要求されました。しかし、野党としては、採決には応ずるけれども緊急上程は絶対に認められない、そのことを強く主張したわけであります。結果として、村上委員長は、両者の考えに隔たりがあるということで、保留という結論を、裁定を下されたわけであります。  しかし、その直後、伝え聞くところによれば、議運の委員長に連絡をされて、その後の議院運営委員会の委員長の記者会見によると、大蔵委員長から緊急上程の提案がありましたと。このような会見を聞くに及びまして、これは野党理事に対する重大な背信行為ではないか、当委員会の今後のあり方考えるときにも、やはりこのぬぐい去れない不信感、責任の明確化をはっきりさせていただかなければ、将来のことを考えるならば、審議入りすることは中断もやむを得ないと思って、私どもはこの問与党や委員長とも折衝してきたところであります。  私が委員長に申し上げたいことは、議運委員長に対しまして、あなたは与党、野党の立場を公平に伝えたとおっしゃっておられますが、議運委員長が記者会見ではっきりと、大蔵委員長からそういう提案もありましたと言っているわけであります。そのような誤解が同じ自民党の首脳陣同士で起きているということは、私はやはり重大な瑕疵であると思います。今後の円満な委員会運営のためにも、今回のことにかんがみまして、今後二度と、このような審議のルールに当たる重要な案件につきましては、決して意思疎通を欠かないように万全の措置をとっていただきたいということをまず求めておきたいと思います。  さて、今回私どもは、重要な案件がかかるに当たりまして、幾つかの要求をさせていただきました。二月三日には、民友連、平和・改革、自由党日本共産党の四会派国対委員長の連名によりまして、四項目の申し入れをさせていただきました。そしてまた、野党理事連名によりまして政府に対しまして資料要求をしたところであります。私は、この中で、不満な点もありますけれども、これまでの大蔵行政の経緯を振り返りますと、与党としても精いっぱいの努力をされた点は率直に評価をさせていただく一人なのであります。したがいまして、現場としては断腸の思いでありますけれども、議了、採決に応ずることを私ども了としているわけであります。  しかしながら、これは昨日の与野党の首脳会議におきまして口頭で議論がされております。そういった意味で、今後、昨日の与野党の会談を受けまして、大蔵大臣そして大蔵省としてどのように措置をされるのか、確認をさせていただきたいと思っております。  まず第一に、私どもは、大臣に続きまして次官がおやめになられた、そして職員二人が逮捕され、一人がお気の毒に自殺をされた、こういう中にありまして、大蔵省幹部の責任というものはやはり重大ではないか。その意味で、大蔵行政の信頼を失墜させた大蔵省中核幹部の責任は極めて重大であり、単に大蔵省次官の交代で責任を回避することは許されない。したがって、大蔵省の武藤官房長、涌井主計局長、長野証券局長ら幹部らの責任を追及するとともに、真相の解明を要求したわけであります。  これに対して、与党の方から昨日回答がありました。大臣、この与野党の首脳会談を受けまして、この問題について基本的にどのように受けとめ、対処されるお考えでしょうか、まずお伺いいたします。
  299. 松永光

    松永国務大臣 お答えいたします。  大蔵省の職員が収賄被疑事件で二名も逮捕され、そして自殺者も出たということは、まことに遺憾であり、私は、この事態を厳粛に受けとめて、おわびを申し上げるものでございます。しかも、今度の事件が、信用秩序預金者保護というこの金融行政関係しておった人の不祥事でありますがゆえに、特に重大な事件であるというふうに受けとめております。  そこで、この被疑者に対する件は、これは検察当局で今真相解明をしておるわけでありますから、真相解明が終わった時点で、行政的な処分も法令に基づいて厳正にやっていきたい、実はこう考えております。また、その他これに関連する関係者につきましても、検察庁における真相解明との関連でいろんな事実を我々は把握することができるはずでありますが、同時に、内部的にも調査を進めてまいりまして、その結果を待って厳正に対処していきたい、こう考えておるわけであります。  前三塚大臣、そして前次官の退任ですべてが済んだとは毛頭思っておりません。事件が起こった当時の監督者等々の責任も我々は念頭に置いて対応しなければならぬ、こういうふうに思っておるところでございます。     〔委員長退席、井奥委員長代理着席〕
  300. 北橋健治

    ○北橋委員 今大臣のおっしゃった趣旨は、私どもも当然だと思っております。しかし、それだけでは、私は、十分ではない。我々が議了、採決に応ぜざるを得ないと判断をした一つの大きな理由は、この問題について、与党首脳が歩み寄ってきたからであります。その大事なポイントは一つ。この責任は重い、事務次官だけで解決とは思わないと幹事長は言われております。私は、その席に出ておりませんから、私どもの鳩山幹事長や玉置国対委員長から聞いているわけでございますが、大蔵省高官の責任のとり方について、事務次官だけで解決とは思っていないとまず言われました。そして官房長については、調査の取りまとめが済み次第けじめをつけると言われました。主計局長証券局長については、調査の結果、問題が明らかになれば処分を厳正に行う。この今申し上げた点について、大蔵大臣と私どもの認識は一致しているでしょうか。     〔井奥委員長代理退席、浜田(靖)委員長代理着席〕
  301. 松永光

    松永国務大臣 今回の不祥事により大蔵行政の信頼を失墜させた大蔵事務当局の責任は大きく受けとめておるという点、これは幹事長と私は認識が同じでございます。単に大蔵次官の交代で責任問題が終了したとは考えていません。これも、私、幹事長と同じ意見でございました。  武藤官房長については、内部調査の、責任ある調査をすべしという、総理大蔵大臣たる橋本大臣の強い指示で、現在内部調査を進めているところでありますので、その職務をしっかり遂行してもらった上で、問題ありという人について処分をするわけでありますが、それとほぼ同じ時期に、もう調査などという特に命じられた仕事が終わるわけでありますから、その時点で武藤官房長についても……(発言する者あり)責任をとるといいますか、厳正な処分を私は考えております。  それから、先ほど名前の出された大蔵省の上の方の幹部でございますが、具体的に問題が明らかになれば、これも、それに応じた処置をしたい、こう考えておるところでございます。  私が考えているのは、不祥事が起こった、犯罪行為が行われたときの上司はだれであったか、監督者はだれであったかというのが、責任を問う場合の非常に大事なポイントであろう、私はこう思っておるわけです。
  302. 北橋健治

    ○北橋委員 今、監督責任ということを明言されたことは、私は大変敬意を表したいと思っております。  主計局長は、平成七年五月から平成九年七月まで官房長であります。全省の服務規律の総括責任者であります。そして、今回逮捕された金融検査官二名が被疑事実となっている接待を受けていた時点で、直接、監督指導すべき立場にありました。野党からも疑惑の指摘を受けていたわけであります。しかし、適切な対処を怠り、十分な調査を行われなかった。行政官として責任は重いと思います。そのほか、報道されていることが幾つかございますけれども、これについても官房長と同様に考えていらっしゃると理解してよろしいのでしょうか。
  303. 松永光

    松永国務大臣 この事件が発覚したときの上司というよりも、事件が行われた当時の上司の方が、ある意味では監督責任者としての責任を負うべきものではないかな、こういうふうに思っております。
  304. 北橋健治

    ○北橋委員 幹事長も、調査の結果、問題が明らかになれば処分を厳正に行う、これは当然のことでございますが、そのように二人の局長についてはお答えになっておられます。  そこで、その調査でございますが、総理も、既に五百五十人ぐらいに上るという、膨大な数でございますが、大規模な金融、証券、両局に携わっていた職員についての調査をされると聞いておりますが、これは相当時間がかかると思うのであります。できることならば、大臣、事務次官というそのトップに加えて、高官の責任のとり方についても、五百五十人一緒に調査をするのではなくて、もう既に調査を終えて  これは大蔵省の高官の名誉回復のためかもしれない。  私は、名前は健治ですけれども、別に検察官のつもりで立っているのじゃない。いろいろと報道されて、言いたいこともいっぱいある、反論される方いっぱいあるだろうと思います。大蔵省で本当に頑張っていらっしゃる良識ある方も大変多いと思う。その人たちの士気を取り戻すためには、やはりこういう問題は、早く調査を完了して、シロならシロとはっきり自信を持って反論すべきだ。週刊誌がいろんなことを次から次に書いている。これは、三十兆円の公的資金を使うときに、国民の間にますます疑惑、疑念の思いが渦巻く大きな原因であります。  だから、政府高官については調査を、私は終えていることを期待しますし、当然だと思いますが、もし終えていないのであれば、それを速やかに完了する。例えば参議院でこの法案が上がるまでに完了して、シロならシロだとはっきり言ってあげていただきたい。もうもやもやした気持ちで、週刊誌にいろんなことを書かれて、信用性はどこまであるかわかりませんけれども、私はそういうことを放置すること自体が決していいことだとは思いません。その意味で、政府高官については、一般職員と同じようなレベルではなくて、速やかにシロかクロか結論をつけるのが大臣のお仕事ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  305. 松永光

    松永国務大臣 人様の、言うなれば非行に対する調査でありますから、しかも、その調査を結論を急ぐ余り雑にやれば、後でまた別のことが出てきた場合に、何というずさんな調査をしたんだという非難が出てくることを私は恐れます。したがいまして、多少の時間はかしていただきたいなというふうに思うわけでありまして、何も四カ月も五カ月も後だなんと言うつもりはございません。やはり何がしかの時間は与えていただかぬと、信感力のある調査ということにはならぬだろう、そういったことをぜひひとつ御了承願いたい、こういうふうに思います。
  306. 北橋健治

    ○北橋委員 できるだけ今後速やかにその結論が出るように努力をしていただきたいと思います。  実は、私もこの要求をした会派の一人なんですけれども、例えば豪邸購入というマスコミが大きく報道した一件です。これは私もいろいろといろんなルートで聞いているのですけれども、御本人の反論を聞くと、その点について果たして責任があるのかないのかということについては、私は、報道されている限りでは非常に不透明ではないか。結局、いろいろな情報が乱れ飛んでいる、そのために大蔵省全体の士気をどれだけ下げているか。日本の繁栄のためには、大蔵省はもう早く立ち直ってもらって、けじめをしっかりつけてもらって、速やかに再スタートをすることが大事だ。それは政治家の責任だと思うのですね。私どもは決して検察官の立場で申し上げているわけではありません。そういった意味からも、ぜひともその調査を速やかに終えられるように、けじめをつけられるように求めておきたいと思います。  もう一点、予算委員会の資料要求で、私どもは、今度逮捕された一件につきまして、贈賄四行について大蔵省検査報告書を出していただきたいということを申し上げました。実は、私もこれを要求するときにサインをした理事の一人でございますが、いろいろとこの問題を調べていきますと、非常に難しい問題も確かにある。やはり諸外国でも、特に米国でもこれは絶対に出せない種類のものであるし、出すことによって、プライバシーはもとより、いろいろと取引先の信用問題もありまして、これは取り扱いによってはもろ刃の剣、大変に扱いが難しい問題だ。私は、今回、幹事長、国対委員長が議了、採決を認めたというときに、この問題の条件、果たしてそれだけの値打ちがあるかどうかずっと見てみました。少なくとも、先ほどの政府高官のけじめの問題とこの銀行検査報告書、本来ならば、そのまま公になると非常に難しい問題が発生するというものもあえて、恐らくこれは与党の主導でやられたのではないかと思っているのですが、私は率直に、大きく前進をされたと評価をしたい。  と同時に、私どもは、これに基づいて、議院証言法に基づく手続を速やかに終えるように民友連としては求めてまいりますが、大蔵の理事会において閲覧をすることになっております。二信組のときに、これも同じように、都の調査した資料が秘密会という形で出されたそうなんですが、何でも、仄聞しますと、コピーが出回って随分問題があったということもあります。そういった意味では、閲覧をする側の我々にも初めての体験でありまして、新しい試みとして、野党の議員としても相当な注意が必要であることは承知をいたしております。  大蔵省として、この委員会においては、これはもう与野党合意しているわけでありますから、直近の委員会におきまして議院証言法に基づいて手続が進められると思いますけれども、そういった過去の二信組の問題や、この問題、開示することの難しい問題点も踏まえて、具体的な準備はもうできておりますか。
  307. 原口恒和

    原口政府委員 御指摘の点については、理事会の方で議論をされているということは十分承知をしております。ただ、資料等、これは申しわけない話ですが、相当部分検察の方に押収されているものもあるという事情についても御理解をいただきたいと思います。  また、今後御議論される話になると思いますが、例えば取引先の状況等、二信組の場合とまたかなり違っている要素もございます。そういうこと等も十分考慮の上、今議員がおっしゃいました不測の事態とか、そういうことがないように我々も配慮をお願いしたいというふうに考えております。
  308. 北橋健治

    ○北橋委員 この点については、じっくりとよく相談をして進めてまいりたいと思っております。  資料要求の二番目は、いわゆる大蔵省のOBの天下り先とその氏名ということで、役員についてはもうすぐにでも出せるようなお話を幹事長から聞いたということなんですけれども、問題は、キャリア、ノンキャリアを問わず、役員であろうが職員であろうが、やはり大蔵省のOBというのは相当権限があると思うのですね。そういった意味では、役員のみならず職員についても速やかに出してほしい。これについては、幹事長は、役員、とりわけ職員については時間がかかるけれども一切拒否はしませんと、前向きの回答を得ております。それを私どもは評価をします。できることならば、この衆議院の審査には間に合いませんでしたが、参議院の段階までに、参議院の良識あるところで、この資料を出されるように強く求めますけれども、やっていただけますか。
  309. 武藤敏郎

    ○武藤政府委員 大蔵省OBの再就職につきまして、現在、大蔵省として把握しておりますのは各金融機関の役員の情報でございまして、職員の情報は把握しておりません。  仮に、金融機関の職員まで公表しようといたしますれば、対象となるすべての金融機関に対しまして調査依頼を行う必要がございます。金融機関の管理職以上に再就職している者といったような線引きをいたしましても、かなりの日数を要するというふうに考えております。     〔浜田(靖)委員長代理退席、井奥委員長代理着席〕
  310. 北橋健治

    ○北橋委員 参議院審議時にできるだけ行政としても協力をしていただきたいと申し上げておきたいと思います。  時間はもう余りありませんが、要求した資料の申し入れの中に、大体四月の大型補正予算の話がばんばん出てきていることについて、これは国会を軽視するのも甚だしい問題でありまして、予算案の撤回しろという申し入れをしたところ、我々からするとこれは最善のものだという、決まり文句のお答えが返ってまいりました。これについては、きょうは時間がありませんから、別の機会に新大臣に対しましてよく方針を伺いたいと思います。  最後になりましたけれども、私は、今回、金融システム安定化というのはだれも反対しないと思うのです。ところが、三十兆円のお金を使うのですよ。銀行の役員、職員の給与レベル、あるいは民間の製造業のようなリストラをやっているだろうか。普通の会社がつぶれたときにはだれも助けてくれません。そういった意味で、経営者の経営責任というものもはっきりしていない、そういった問題。  あるいは、中小企業の人たち、みんな言っていますよ。金融システム安定化はわかるけれども、銀行の貸し渋りとか資金回収といって、おれたち庶民のことをどれだけ考えてくれるのだろうか、本当に三十兆円の国民の負担をしたところで、銀行の体質を変えなければ、やはり貸し渋りなどの問題はなくならないのじゃないか、こういった問題についても、私は解明は不十分だったと思います。  そういった意味で、時間が参りましたから終えますけれども、ぜひとも本日の緊急上程はやめていただきたい、そのことを強く申し上げまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
  311. 井奥貞雄

    ○井奥委員長代理 次に、岩國哲人君。
  312. 岩國哲人

    岩國委員 民友連を代表して質問させていただきます。  松永大臣、また政務次官、皆さん大変遅くまで御苦労さまでございます。  私も、村上委員長のこのようなトラブルさえなければ、昨年のリハーサル議決、そして今回のまたトラブル、このようなことさえなければ、私も今ごろは地元の世田谷へ帰って、町内会でおいしくお酒をいただけるのに、その点が大変残念でございます。今後とも、委員長の公平公正な委員会運営を希望いたしまして、質問に入らせていただきます。  まず最初に、公的資金、この問題につきましては、昨年十月に、三塚大蔵大臣が、金融システムの破綻、そしてその主たる原因としてのこうした不良債権の問題、これに関連して、石井一議員の質問に対して、こういうものは入れる考えは全くありませんとはっきり答弁していらっしゃいます。そして、国会が閉会されたのが十二月十二日。それからこの三十兆円の問題が出てきております。これは、そういう構想があったにもかかわらず、あえて虚偽の答弁をされたのか、わずか二カ月の間に何が三十兆円を必要とするような事態が起きてきているのか。  確かに、十一月には銀行、証券、保険と、このように三分野の代表が一つずつ破綻いたしました。世界先進国にも例のないことであります。しかし、十月末のそうした答弁、また議員から、金融システムの破綻、不良債権の問題と、そこまで焦点を合わせた質問に対して、全く公的資金考えておらない、このような答弁は私は大変残念に思います。まさにこれは虚偽の答弁であったのではないかと思います。  松永大臣の御答弁をお願いいたします。
  313. 山口公生

    ○山口政府委員 さきの臨時国会でもいろいろな御指摘を賜っておりましたが、十一月の金融不安が生じまして、大型の破綻等が発生いたしました。その際にいろいろ、あらゆる手段を使ってこれを安定させていく必要があるということは、三塚大臣の方からも申し上げて、私どもにも指示がおりておりました。  確かに、当時、具体的にそれを示しなさいという御指摘もるるございました。私ども、預金保険法の改正をお願いしておりまして、御審議を大変ありがたく思っておりますけれども、そのときにも、刻々事態が不安の度を増すという事態も招来しておりました。  そこで、そうした事態に対応するためのあらゆる手段というものの御指示を受けながら検討を始めておったところでございますけれども、その成案を得て審議をお願いしておりますのが今回の措置でございまして、年末年始を返上して御提案をさせていただいているというのが経緯でございます。
  314. 岩國哲人

    岩國委員 今の局長の御説明を伺っていますと、全くそうした、実質的に北拓あるいは証券会社の経営をしておられたのは大蔵省じゃありませんか、はしの上げ下げまで介入すると言われるぐらいに。自分が経営している銀行や証券会社の破綻というのは、十月末には当然わかっておられたはずではありませんか。このようなことに対して、国民に対する説明責任を果たしていない。アカウンタビリティーは全くゼロではありませんか。国民に対して、このような問題に対して、そういう必要があるということは、国会が開かれているときに説明すべきことではありませんか。国会の無視、そして国民に対する誠実さが全く欠けていると言わざるを得ません。  また、今回の三十兆円を急ぐいろいろな理由として、三月末を控えての貸し渋り、景気の悪化、このようなことを言われておりますけれども、銀行が貸し渋り、このような事態は現に各地で起きております。そして貸し渋りをすることによって借り手を人質にとって、そうすると政府は、銀行に体力をつけさせることによって貸し渋りを緩和させよう。これはまさに、中小企業を人質にとりながら、銀行のそういう脅迫に屈して体力をつけさせると。これは、凶悪犯人に例えて恐縮ですけれども、人質をとって取りこもっているその犯人に体力をつけさせて、そして三十兆円の身の代金を持ってくれば解放してやると、そのような脅迫の図を思い起こさせることになります。決してそのような脅迫に屈してはならないと私は思います。  現に起きていることは、貸し渋りよりも買い渋りが問題じゃないですか。買い渋りを起こしたのはだれですか。消費税を上げ、所得税を上げ、医療費を上げる。銀行ではなくて政府の経済政策が、貸し渋りではなくて買い渋りを起こさせた。銀行預金の利子を引き下げて銀行の払い渋りを起こさせたのもまた政府の政策であります。そういった根本的なことから目をそらして、貸し渋り、貸し渋りと、まるで身の代金を持っていけば銀行がどんどん貸し出しをしてくれるかのような、このような三十兆円の税金の使い方に私は反対であります。  次に、もう一問大臣にお伺いいたします。  住専六千八百五十億円のとき、私は国会の中にはおりませんでした。国会の外で、八割、九割の人は、ほとんどの人は、この住専六千八百五十億円、税金を投入することに反対したのです。  毎週毎週日曜日に行われた政治討論会その他の番組で、政府責任者あるいは一部の評論家も含めて何と言ったか。この六千八百五十億円の投入が認められれば株価が上がる、株価が上がれば景気が上がる。そのとおりになりましたか。六千八百五十億円を認めて、株価は下がったじゃありませんか。景気も下がったじゃありませんか。虚偽のことを言って人からお金を取る、これを日本では詐欺と言います。これは、六千八百五十億円を、まさに国会を舞台にした詐欺事件ではありませんか。松永大臣の御所見を伺います。
  315. 松永光

    松永国務大臣 私には詐欺事件とは思われないのですがね。私の所見はそうでございます。
  316. 岩國哲人

    岩國委員 検事の感覚を持っておられる大臣としては残念に思います。  こうした全く虚偽の事実を、六千八百五十億円で株価は上がります、株価が上がれば景気は上がります、だからこの六千八百五十億円は皆さんにとって大変な効果のあるものです、皆さんおっしゃっていたでしょう。にもかかわらず、それが現実には反対の方向へ出てしまったのです。六千八百五十億円は全くむだなことだったのではありませんか。  次にお伺いいたしますけれども、アメリカの大統領の前補佐官のローラ・タイソン、この人の意見が新聞にも紹介されておりますけれども、消費税を上げたことは間違いであった、アメリカの政権の中枢にいた経済の専門家はそのような評価をしております。また、先ほど谷口議員が引用されたウォールストリート・ジャーナル二月四日号でありますけれども、そこでも、日本はまさに政策麻痺状態、大蔵省は政策の間違いのシンボルである、そのような表現が使われております。節分のことですから、福は内、鬼は外、まさに鬼が外に出ていかなければ景気回復という福は入ってこられない、そんなことが書いてあるわけではありませんけれども、言ってみればそのような評価がなされております。  ウォール街の私の知人、友人も、こうした最近の一年間の橋本内閣の経済政策、そして今度の三十兆円のこのパッケージ、これについては非常に厳しい評価をしておりますということも申し添えます。  また、米国の下院の国際関係委員会のビーライター小委員長は、日本という国は外圧でしか物事を転換できない、外圧でしか物事を進める力がない、そういう先例が余りにも多過ぎる、そのようなコメントが出ております。その上、最近の外交専門雑誌のフォーリン・アフェアーズ、この中で、御承知のブレジンスキー氏は、日本はアメリカの実質的な保護国だ、こういう表現を使っております。  国連に一番たくさんのお金を、アメリカ以上のお金を出し、そしてODAでもお金を出し、金ばかり出しながら、そのアメリカから、自分たちの国の保護国だというような、このような表現に対して当然橋本総理も外務省も抗議を既にしておられることだと思いますけれども、私は国民の一人として、大変情けなく思います。これはまるでミツグ君国家扱いをされていることではありませんか。金は出してもそれだけの評価をされない。すべて外圧でしか動かない、そのような政府あり方を物語っているんではないかと思います。現に昨年末、橋本総理が、クリントン大統領あるいはルービン財務長官、サマーズ副長官、数々のプレッシャーを外国から受けてあの政策転換がなされた、国民の多くはそのように理解しております。  こういった自主性のなさ、そして外国からの厳しい評価について、大蔵大臣としてどのようにお考えになりますか。
  317. 松永光

    松永国務大臣 お答えいたします。  アメリカのブレジンスキーですか、日本に対して、日本はアメリカの保護国だという言い方、甚だ不愉快であります。しかし、世界の中で圧倒的な強さを経済的にも軍事的にも持っておるのがアメリカであるわけでありまして、そしてまた、日本は、アメリカとの間の安全保障条約で実は防衛の関係では相当な深い関係にありますので、なかなかアメリカに向かってけんかを吹っかけることはできないわけであります。しかし、今申したような不誠実な言葉というものは慎んでもらいたいと思いますし、また、外務省なりその他しかるべきところはブレジンスキー氏に抗議してもいいんじゃなかろうかというふうに私は思います。     〔井奥委員長代理退席、浜田(靖)委員長代理着席〕
  318. 岩國哲人

    岩國委員 そうした大臣として不愉快だということをはっきりおっしゃった以上、私はしかるべき方が公の席でこれをお述べになるべきではないかと思います。日本の活字でたくさん読まされている国民は、こういうことを言われてなおかつ何も言えないのかということになります。  これは、湾岸戦争のときにも同じようなことがありました。あのときも、顔を出せ、金を出せ、人を出せと言われ、ようやく金を出す約束をしたものの、国会が承認したころには既に自主決断能力を欠く日本に対する評価が円レートを押し下げてしまって、約束した九十億ドルが目減りして、そしてこの国会において五億ドルの損失補てんをされたでしょう。損失補てんの最大の金額は、大蔵省がアメリカ政府に対して行った損失補てんであります。湾岸戦争は終了しました。そして、解放されたクウェート政府は感謝の広告を、ニューヨーク・タイムズ初め一流新聞に全ページ広告を掲載しました。地球ファミリーとして三十カ国の名前が列挙され、そしてクウェート政府はその新聞を使って感謝の意を表したのであります。三十カ国の名前、私は探しました。ジャパンという名前はついに見当たらなかったのです。  こうして、初めは小出しの四十億ドル。そして、それが評判が悪いとなると、一挙に九十億ドルと積み増した。百三十億ドル。しかし、そのときに既に戦争は終わっておったのです。火事が消えてから駆けつけるような消防車にだれが感謝の目を向けますか。冷たい笑いを浮かべるだけです。  弱体な国家は常に優柔不断である。決断に手間取ることは有害である。この種の国家の打ち出す政策は、何かの圧力に屈したあげく、やむを得ずなされたものになる。現在の日本のために用意したとも思われるこの言葉は、今から五百年前にイタリアの政治学者マキャベリの言った言葉です。まさに今の日本を的確に表現しているではありませんか。国家にとって厳に警戒しなければならないことは、軽べつされたり見くびられたりすることである、マキャベリはそのようにも言っております。いつになったら日本はこのマキャベリの命題を克服できるのですか。最近の沖縄の問題にしても安保の問題にしてもそうです。そして、このような金融システムの破綻の問題、アジア経済危機に対する対処の問題。  私は年末年始をニューヨークで過ごしましたけれども、ニューヨークの新聞は日本のこういうアジアに対する対応をどう見ているか。アメリカの一流銀行は集まって、その席で、アジアに対して自分たちが積極的に主導権をとるということを決めております。なぜか。世界で最も健全な銀行である我々が動かなければならない、そのような意見が発表されていました。私はうらやましい言葉だと思いました。政府に言われたとかいうことではなくて、世界で一番健全な我々が動かなければどうなるんだ、これこそ私はよきバンカーの精神ではないかと思います。  今の日本銀行あり方と比べた場合に、そういう、預金利子をどんどん下げて、毎年毎年四兆円から二兆円の支払い利子をどんどん下げてきました、六年間にわたって。それだけの国民が得べかりし利子を纂奪しながら、なおかつ今度は税金を使わせてくれという日本銀行の姿勢と、世界で最も健全な我々がまず動くべきだというこのアメリカの銀行の精神とは、これほど大きく違っております。  大臣に御所感があればお伺いしたいと思います。
  319. 松永光

    松永国務大臣 先生の御高説、しかと承りました。
  320. 山口公生

    ○山口政府委員 いろいろなお話をいただきまして、聞き入っておったわけでございますけれども、米国の健全な銀行がそういう気持ちになっている、これは、願わくは我が国銀行もそうなってほしいと思います。  九〇年の初めごろは、アメリカも貸し渋り問題がありました。アメリカの銀行は、これはだめになるのではないかということが言われました。その後彼らはリストラをしましたけれども、もっとラッキーなことは、利ざやが相当な拡大をしました。金融機関はそこで息を継いだわけでございます。それで立ち直りました。一九三〇年代のRFCのような措置はとられませんでしたけれども、一方で、例のRTCのSアンドLへの相当な財政資金の投入がありました。一般の銀行は、その利ざやの大幅な拡大、たしか私の記憶では三%を超えていたと思います。日本は一%云々と言われております。そういったことに恵まれまして立ち直りました。それで彼らは今そういう気持ちになったと思います。日本も早くそういうふうな銀行になってほしいというふうに思っております。
  321. 岩國哲人

    岩國委員 山口局長の願いは、私も同感であります。  ただし、その願いは願いとして評価しながらも、利ざやの薄い銀行行政をしてこられたのは皆さんです。これはずっと日本銀行の特徴として外国からむしろ批判されておったことではありませんか。日本はそのローマージンでもってどんどんシェアを上げようとする、そういう体質を結局戦後五十年たっても改善することはできなかった。それは銀行の責任というよりも、むしろ実質的な銀行経営をしておられた大蔵省の責任であると私は言わざるを得ないと思います。  現に、九〇年代、シティバンクを初め多くのアメリカの銀行が貸し渋りその他の現象を来すぐらいに金融システムの苦難な時期を迎えたとき、アメリカ最大の銀行シティバンクは自分の本店を売ったではありませんか。私は、これはこの間予算委員会でも局長に申し上げました。日本銀行はどこの都市銀行が、市中銀行が本店を売りましたか。それに対して局長は、そういうことをすればあの銀行は危ないというので取りつけ騒ぎが起きると。  私は、同じ質問をJPモルガンの調査部の専門家にも聞いてみました。日本の三菱が、さくら銀行が、そういうところが本店を仮に売却するということが起きた場合に、このような答弁を私は聞かされているけれども、これについてどう思いますか。彼の答えは、ジャパン・プレミアムは上がるどころかむしろそれによって下がると。  日本のしっかりした銀行が本店を売ってまでリストラをする。アメリカのシティバンクは自分の本店を売り、そして今そこで家賃を払って仕事をしております。このような、自分の責任において自分の資産を活用し、リストラを図る、それを市場は評価するのです。私は、そのような行政こそこれからは必要ではないかと思います。  次に、質問を変えまして、先ほどほかの委員からも質問が出ましたけれども、最近は昨年やったことの反対の政策が次から次へと出てくる。極端に言えば、去年やったことを全部反対にやればことしの政策になると言わんばかりの勢いです。もっと我々が混乱しますのは、内閣がこの国会で説明されることと、与党の責任ある地位にいらっしゃる方が国会の外で話されることとは非常に乖離していることであります。  もともと、最近の経済不況は、私は、マクロにおいてブレーキをかげながら、そして一生懸命小さなアクセルを吹かせようとする、大きなブレーキ、小さなアクセル、これが今の本当の問題だと思います。  そして、先ほど松永大臣は、きょうの午後早い時間にある質問に答えて、いろいろな幹部の方がいろいろと構想を発表されるのは日本経済の前途を憂えてと、こう答弁されました。それは、日本経済の前途を憂えてではなくて、橋本内閣の前途を憂えて言っておられるだけではありませんか。日本経済の前途を憂えておられるのであれば、内閣と一体になって、同じことを、国会の中で、そして国会の外でされるべきではありませんか。閣内不統一ではなくて、内閣と党の不統一を私たちは今見せつけられているのです。  これについて、大臣の責任ある御答弁をお願いいたします。
  322. 松永光

    松永国務大臣 我が党の責任ある立場の人が内閣の方針と相反する言動をしているとは思いません。我が党の中の有力な議員が自分の個人的なアイデアをしゃべっていらっしゃるのだというふうに私は理解をしているのでありまして、その人のアイデアというものが党の正式の場で議論として取り上げられたという話は、まだ聞いておりません。
  323. 岩國哲人

    岩國委員 一部の国会議員のような評価をされましたけれども、実際にそういう方たちは非常に影響力の強いポストにおられ、そして、現に最近の自民党幹部の皆さんの発言を見ていますと、昨年末以来、政府の転換が始まる前に自民党の方が国会の外で発言されたことが、かなり影響力を持ってその後の政策にインパクトを与えておるという例が幾つか出ておるからこそ、新聞も注目し、そして国民もあるいはマーケットもそれを期待し、逆に言えば、期待させようという発言が多いからこそ、株式市場はそれに反応しているではありませんか。単に国会議員の一人のアイデアという程度では私は済まされないと思います。  内閣が国会に説明していることと違うことを党の責任ある地位にいらっしゃる幹部が次々と発言されるのは、これは個人ぐるみではなくて、組織ぐるみの二枚舌と私は言わざるを得ないわけです。そういう挙党態勢でもって風説の流布に努力しておられる。そして、いわゆる口先介入でもって株式市場をそれに反応させようと。  私は、政党内閣制というのは、政党の幹部がおっしゃることと内閣が国会の中でおっしゃることとは同じだというふうに教科書で教えられてきました。しかし、最近は、その乖離が、幅がどんどん大きくなっております。  大臣もお立場上いろいろと複雑な思いをしていらっしゃるのではないかと私は推測いたしますけれども、このようなことは国会の審議を形骸化することにつながる。だからこそ、私の前に何人もの委員がそれについて触れておられるわけです。そういったことはぜひやめていただきたいと思います。  預金保険料についてお伺いします。  預金保険料、アメリカの場合には、資本の充実度を三ランクに分けて、そして監査の結果を、健全、問題、かなり問題、そして縦横九つのグループに分けて料率を決めております。資本充実度が一番高くて、そして監査結果も一番健全、〇・二三%。一番高いところは〇・三一%。  確かに、だれにも公平であるべきか、あるいは内容に応じて料率を変えるべきか、これは局長も先ほど答弁しておられましたけれども、日本もそのような考え方に変えていくべきではないでしょうか。健全であり、そして資本充実もしっかりしているところが高い料率を払うことが、本当に協調の精神につながるものかどうか。  私は、ビッグバンを前にして、抜本的な改革、料率を七倍に上げられたということですけれども、さらに二倍、三倍引き上げて、このような預金保険機構の基金というものは、銀行銀行にお金を預けている預金者、その双方の負担において預金保険機構の基金は充実すべきものだと思います。  人から借りたお金をお返しする、当然のことです。銀行の最大の仕事は、預かったお金を返す、それが銀行の最大の義務であり、究極の仕事ではありませんか。それができないという銀行があるなら、むしろ退場していただく方が私はいいのではないかと思います。  そのような、公的資金を安易に投入するのではなくて、預金保険機構は、各銀行預金保険料、現在五千億円、あるいはそれを倍にすれば一兆円、十年分の預金保険料を前払いするのではなくて、十年分の預金保険料を見合いにした債務証書を発行させて十兆円の基金を預金保険機構に、債券を発行させ、それに政府保証をつけ、そのように市場で十兆円を調達する。第一義的には預金保険機構に加入している銀行が十年間の債務、オブリゲーション、それを担保とし、見合いとして、自力でそのような預金保険機構の充実を図らせる。ただし、政府保証債とすれば市場消化が容易になります。そのような形の、公的資金ではなくて、公的支援を考えるべきではありませんか。  預金保険料の件と、そして自分のことは自分でやらせる、自己責任の徹底と、この二点から局長に答弁をお願いします。
  324. 山口公生

    ○山口政府委員 今先生から興味ある御提言をいただきましたが、先ほどのお話もちょっとありましたように、アメリカの銀行等は既に世界を自分の活躍でもって救うというような気概を持ってやっております。今の御提案の中で、十年間こういった負担というものを、私が取り違えているとすればまた御訂正賜りたいのですが、負担を求めるということが果たしていいのかどうかという問題はあろうかと思います。  先ほど来のいろいろな御議論もありました。可変保険料という御提言もありますし、それと逆の御提言もございました。保険料あり方というのは大変難しいものでございますけれども、今七倍に上げて、均一でやっているというところで、こういった措置をお願いしているということでございます。
  325. 岩國哲人

    岩國委員 自己責任について、先ほども私はアメリカの銀行の例も引きましたけれども、そうした、大きな資産を持ち、株式も大量に持っている、そういう銀行の姿を国民は知っております。  こうした不良債権の問題が起きて、しかも、税金を投入してまでこの問題を処理しなければならないというときに、本店を売った銀行はどこかありますか。名前を挙げてください。支店さえも売っていないではありませんか。もちろん閉鎖するときには売るでしょう。リストラを目的にして本店を売却した銀行、支店を売却した銀行、どれぐらいありますか。
  326. 山口公生

    ○山口政府委員 本店を売却した銀行は都銀で二行ございます。  名前をあえて言わないのは、先生はそれがリストラとして専門家には評価されるとおっしゃいましたけれども、実は私が去年経験したのは、ある地方でそれがうわさになって取りつけ的な動きがあったわけでございます。人によっていろいろ受け取り方が違いがあるなというのを改めて私は感じたわけでございますけれども、そういった努力をやろうとしている銀行もございます。  それから、支店をまたできるだけ合理化していくと。ただ、これはまた別の観点からいいますと、これはまた他の方からの御指摘もあったのですが、支店をどんどん閉めていって、全部機械で置きかえればそれで済むのかというような問題ももう一つあります。  その辺の兼ね合いをどうするかというのは、銀行行政も、正直言って悩みに悩む部分でございまして、その辺の、社会的な責任を持っている機関というものと、やはり自己責任が追及される私的企業としての銀行あり方というものの調和点をどう求めていくかというのを、時代時代国民の支持を得ながらやっていくということでしかないのではないかという気がいたすわけでございます。  しかし、先生基本的におっしゃいます、自己責任が原則であり、また、大きなリストラをしてしっかりした銀行になっていくということは、私も全くそれは必要だと思いますし、そういうことを強く我々としても促していく必要があるというふうに思っております。
  327. 岩國哲人

    岩國委員 そういったリストラをすると逆に評価が下がって問題がさらに大きくなるという懸念に対しては、それでは大蔵省お得意の、まず優良銀行からというのを、そういうところをおやりになったらどうですか。全く問題のないようなところが本店を売ってリストラをする、いいお手本からお始めになれば、そのようなマイナスの風評というのは消えるのではないかと思います。それが一点。  もう一点。今度は、ビッグバンによって日本銀行外国の人の預金も預かるわけですけれども、そうした預金に対しても日本人の税金をなぜ使わなければならないんだと、私は予算委員会でも質問しました。フロリダに住んでる社長の預貯金を日本の私がなぜ払う、これに対して答弁してくださいと私は三塚大蔵大臣に答弁を求めました。答弁は返ってきませんでした。そして一週間後、退任されました。  松永大臣、これに対して御答弁いただけますか。世田谷の人たちが、フロリダに住んでる社長の預貯金を日本の私がなぜ払う、日本人の税金で、なぜ外国人の預金まで保護しなければならないんですか。
  328. 山口公生

    ○山口政府委員 二つ御質問がありまして、いいところがら本店等を売ったらという御指摘でございますが、先ほども、はしの上げ下げまで指導してはいけないという御指摘もございましたし、今そういうところは自主的にやっていただくように私どもとしては期待しておる次第であります。  それから、先ほどのフロリダのお話、確かに国民感情からいうとそういう議論は出てくるかと思いますが、より大切なことは、銀行が持っている機能、預金者保護、それに基づく決済機能を果たすということ、それから、資金の仲介機能としての資金供給の役割を果たすというようなことをやはり機能としてしっかり果たす、そのための仕組みとしてそういうことがあり得るということだろうと思うわけでございます。
  329. 岩國哲人

    岩國委員 住専の問題は、確かにいろいろな問題がありました。しかし、あれは国内のだれかがある意味ではメリットを受ける問題だったかもしれません。  しかし、四月一日以降、ビッグバンというのは、外国の人が日本銀行に預ける、日本の人が外国銀行に預ける、こういうことが自由にかつ大規模に行われる。そのようなときに、この預金保険機構に税金を、外国人の税金ではなくて日本人の税金を投入するということについては、もっと慎重であり、かつその意味合い、必要性というものを、もっと私は国民にわかりやすく説明する義務が政府にはあると思います。現に世田谷の方に住んでいる人たちはそういう質問を私にして、私は返答に困っております。  次に、大臣に、優先株についてお伺いします。  三菱とか三和、そういった優先株が、既に申請が来ておるということでありますけれども、住友銀行は、一方では、外国で優先株で資金を調達しようとしている。  この優先株というのは、日本でどれぐらい実例が最近はあるのですか。ごく簡単に、最近の発行件数、金額あるいは銘柄等、簡単に答えていただけますか。
  330. 山口公生

    ○山口政府委員 お答え申し上げます。  銀行における優先株の発行状況につきましては、これまで九件の発行が行われております。発行額は累計で九千百二十六億円でございます。
  331. 岩國哲人

    岩國委員 国内でそれだけもう既に発行されているようですし、また住友銀行は海外でも発行する。逆に言えば、そういういい銀行の優先株は、今、日本でも海外でも低金利、金余り、いい投資物件はみんな投資家が待っているわけです。国内の投資家も海外の投資家も、グローバルな投資家はそのような投資物件を歓迎します。それを、なぜわざわざ税金を使ってまでそういうものを買わなければならないのか。一般の投資家が欲しいものを横取りすることになるじゃないですか。一般の投資家が買いたいような条件でそれぞれの銀行が優先株を発行した実例もあるならば、国内で、海外で自由に発行してもらう。  局長は、一千億円と金額が少ないとか、私募債――私募債というのは、確かに五十人までという一つの制限もあります。私もそういう仕事をしておりました。しかし、私募債が発行できるということは、逆に言えば、公募債にかなり持っていけるだけの、目ききがそれを買うということです。  そのようなマーケットの選択にゆだねる。いい銀行か悪い銀行かを七人のメンバーが決めるのではなくて、マーケットに判断させる、それがビッグバンのねらいではありませんか。現に民間には格付機関というものもあります。なぜ大蔵省国会議員が、そのようないい銀行、悪い銀行を、このように優先株を投入するかしないかによって区別をしていく必要があるのでしょうか。マーケットの判断に任せるべきです。そして、現にマーケットはそれだけのものを受け入れる環境にあるではありませんか。大臣の御答弁をお願いします。
  332. 山口公生

    ○山口政府委員 専門家の岩國先生からの御指摘でございますので、私の方から反論するというわけじゃございませんけれども、私どもの印象では、マーケットがかなり今資金調達の場としては難しくなっているというような感じを受けます。確かに、今お挙げになった銀行が海外でも出すということを言っております。しかし、これはアメリカのごく限られた部分、しかも格付が結構高いものでなければいけません。それから、新聞報道によりますと、相当な利回り、利息を払わなければいけないということを言われております。  我が国でも、マーケットが選択し、必要なところに必要なお金が流れるのであれば、それは危機管理という必要はないのかもしれません。しかし、マーケットにすくみ現象が起きる、しかも三月を控えてまたラッシュが起きるということになりますと、マーケットがそれに対応できないということがあるわけでございます。  格付機関の格付も、各金融機関が償却を進めております。償却を進める、引き当てを進めるということは、今までの蓄積を使うということであります。したがって、自己資本の問題になるわけであります。また、それをやらないとますます格付が下がるという悪循環なのでございます。  この苦しい局面をひとつ乗り越えていく。乗り越えるときに、マーケットでできるものは、それは自助努力でやっていただく必要がもちろんあると思います。ただ、それがすべてのところをカバーできれば、それは問題ありません。その辺の問題をクリアするために、この措置をぜひお認めいただきたいと。これは未来永劫の措置ではありません。二〇〇一年三月までの措置としてお認めいただきたい、こういうことでございます。
  333. 岩國哲人

    岩國委員 最近、不良債権七十六兆円、これについてもそうでありますけれども、大蔵省が発表される、あるいは銀行自身が発表される数字に対する信頼がない。本当に徹底した検査信頼される検査が行われておったかということについて大きな疑問が出てきていることは、もう先ほどからも皆さんが触れていらっしゃるとおりであります。水心あれば手心あり、そういう手心を加えられたような数字をもとにしてこうした三十兆円のスキームをつくること。  それから、七人の審査委員会が、どういう数字をもとにしてされるのでしょうか。信頼できる数字を銀行は持ってくるのか、あるいは、その持ってきた数字が信頼できるものだということはだれが判断できるのでしょうか。そうした、大蔵省検査官によって、結果的に接待によって粉飾された数字に基づいて今まで有価証券が発行され、そして、恐らくこの七十六兆円もかなりそういった粉飾があるのではないかと思います。  一月十九日に大蔵大臣は予算委員会で、こうした不祥事についての徹底的な調査をされたかどうかという質問に対して、一昨年というのは平成八年のことでありますけれども、一昨年、平成八年の倫理規程以後、接待の事実は全くないということでした、また、調査をした結果そういう行き過ぎた事実は認められていませんでした、法に触れるようなことはないという報告であると明確に報告を受けておりますと。  どういう調査がされて、何が明確だったのですか。それから一週間後に二人が逮捕されているのです。大臣の御答弁をお願いいたします。この一月十九日の大蔵大臣の答弁、私は、先ほど申し上げましたように、これも虚偽答弁に属するものではないかと思います。御答弁をお願いします。
  334. 武藤敏郎

    ○武藤政府委員 平成八年の十二月の倫理規程におきましては、関係業者との会食等を原則として禁止するということでありまして、職務として必要な会議等において会食するような場合には、服務管理官に届け出て了承を得るというふうにされておるわけでございます。  服務管理官、これは各局の総務課長クラスでございますけれども、職員からの届け出内容チェックするわけでございまして、そういう服務管理官からのこの倫理規程の遵守状況報告というものは、今申し上げたように、届け出は多数あるわけでございますけれども、行き過ぎた事実というものはないという報告でございました。  そういうことで、それをもとにそういうお話があったわけでございますけれども、結果的に、今回逮捕されました職員は、その被疑事実に係ります会食その他の利益供与につきまして届け出を全く行っておらなかった、また、日常の行動からもこのようなことをしているということがわからなかったということでございまして、これが今申し上げましたような任意の調査の方法であったとはいうものの、これを見抜けなかったということについては、調査が結果として甘かったというふうに考え、おわびを申し上げる次第でございます。
  335. 岩國哲人

    岩國委員 それでは、逮捕されたお二人についてそれぞれ、実際に検査のために使われた時間と、それから、飲み食い、ゴルフ場、その往復時間も入れて、検査以外にその銀行とのつき合いで使われた時間との比率はどれぐらいでしたか。
  336. 原口恒和

    原口政府委員 今、逮捕された二人についてのお尋ねでございますが、一つは、我々被疑事実を細かく存じておるわけではございませんが、ゴルフ等は休日というふうに認識をしております。そういう意味で、検査の時間と接待の時間ということについては、まだ捜査中ということもあり、把握できておりません。
  337. 岩國哲人

    岩國委員 ぜひ、そういった点も必ず調査の対象に入れて、検査の時間が三十時間、そしてそれ以外のために、その銀行とのつき合いのために使われた時間が仮に百時間といったような実態を私は明らかにすべきだと思います。土曜日も日曜日も入れた上での計算。  次に、そうした接待ということが非常に問題になっておりますけれども、もう一つ、接待を受けるということ以外に、権限を持っている者、あるいはそのような地位にある者がえてしてやりがちなのが、自分の家族、親類、知人を就職させるということです。それは、監督している銀行、証券会社へ。そのような点についても調査は進んでおりますか。今まで、大蔵省の幹部だった人、その人たちの天下りではなくて、身がわり天下りというのはおかしいかもしれませんけれども、そういう自分の家族、親類、五親等以内の親類縁者をどれだけ銀行、証券に就職させているか、そのような調査をしておられるかどうか、まずお伺いいたします。
  338. 武藤敏郎

    ○武藤政府委員 今のお尋ねは、子弟の就職ということのようにお聞きいたしましたけれども、それぞれの状況の中で自主的に御判断されることでありまして、それは大蔵省として調査をするという立場にはないと考えておりまして、調査は一切いたしておりません。
  339. 岩國哲人

    岩國委員 李下に冠を正さずという言葉があります。大蔵省の主計局長だったとか、あるいは事務次官だったとか、あるいは銀行局長だったとか、そういう立場の方の近い親類の方が身近な検査対象の銀行に就職されるというような例があっては、世間の誤解を招くのではないでしょうか。そう思われませんか。私は、世間の常識はそうだと思います。霞が関の常識は違っているかもしれません。  例えば日銀総裁。事務次官もされました、主計局長もされました。例えば、こういう方が、そういった点も含めて身を律しておられたか、あるいは家族の方がどこかの銀行に就職しておられるか。その点について、日本銀行の方から答えていただけますか。
  340. 村上堯

    村上参考人 日本銀行秘書役の村上でございます。  お答え申し上げます。  お問い合わせの親族となるとかなり広範でございます。大急ぎで確認をし、また総裁にも確かめましたところ、日銀総裁就任以降、親族の方で銀行、証券等に就職した者はいないとのことでございました。また、総裁就任以前につきましては、大蔵省在職中におきまして、五十八年に総裁の長女の方が銀行に就職しております。ただ、就職期間は短期間だったというふうに聞いております。
  341. 岩國哲人

    岩國委員 松下総裁に限らず大蔵省の幹部の方が、自分の子弟、家族、縁者をどれだけたくさん銀行、証券会社に就職をさせておられるか。あるいは、無理に頼んだものではないと御本人はおっしゃると思います。また、松下総裁のお嬢さん、頭脳明断、立派な方だったと私はある友人からも聞いております。しかし、それはまた別のことです。大蔵省の幹部の人が、銀行や証券会社からお世話しましょうと言われて、ほいほいとそういうものに応じるというふうな姿勢があってはならないからです。これは、接待の四百万円の問題以上にもっと私は大きい問題ではないかと思います。  日本銀行に、現在、大蔵省の幹部であった人の五親等以内の縁者は何人ぐらいいらっしゃいますか。
  342. 村上堯

    村上参考人 お答え申し上げます。  まことに申しわけございませんが、現在、正確な数字は持ち合わせておりません。     〔浜田(靖)委員長代理退席、委員長着席〕
  343. 岩國哲人

    岩國委員 それは、日本銀行だけではなくて日本銀行界の名誉のためにも、そのような大蔵省幹部との癒着関係はそういう就職という面においてもないということを、はっきりと大蔵省も調査していただきたい。  現に、大蔵省の幹部だった方の子弟が野村証券にも就職しておられます。今度の道路公団の外債、野村証券、興業銀行の名前がよく出てきます。決して私はこの二社を特別な感情で見ているわけではありませんけれども、そのような就職という、人脈を形成していく、就職という便宜供与を通じて金銭以上の便宜供与がなされているということについて、大蔵省も、そして関係金融機関ももっと慎重であるべきではないか、私はそのように思います。  次に、官僚だけでなくて政治家についても、いろいろと最近は株式の取引について、新井将敬氏の株式取引が問題になっております。こうした忙しくあるべきはずの国会議員が、院内の電話を使ったり議員会館の電話を使ったりして、しかも現金ではなくて忙しい信用取引を、取引の回数を重ねておったということは私たちにとっても全く驚きであります。しかし、新井将敬氏が初めてではないと思います。ほかにもいらっしゃるでしょう。過去にもいらっしゃったでしょう。  きょうは二月六日、大臣は、きょう二月六日は何の日か御存じですか。大蔵省にとって恥辱の日であるはずです。十年前の二月六日、元主計局長、元事務次官の相沢代議士が衆議院の法務委員長辞任されたのが十年前の今月きょうです。きょうが十周年記念日です。  そういう政治家の株式取引というものについてもっと自粛すべきだということを、当時の自民党はアンケートで新聞に発表しました。自民党の国会議員八〇%は規制すべきだという御意見でした。松永大臣は、そのときどういう意見をアンケートに出されましたか。あるいは御記憶が定かでなければ、現在のお気持ちを聞かせてください。
  344. 松永光

    松永国務大臣 お答えいたします。  国会議員が株の取引をしてはいかぬということについて、そんなことをすると、株の取引は悪いことかみたいに世間に伝わって、それで証券市場が発展しないという意見を言う人もいます。  私は、疑われるような取引はやってはいかぬ、例えば先般衆議院の予算委員会で参考人に出た人がおりましたけれども、ああいう形の取引はいかぬなというふうに思います。そうでないものについて、株の取引は悪だというふうに決めてしまうような感じの仕方が果たしていいものか。  私はもともと、国会議員はやるなという立場を今まではとってきたのですけれども、株の取引は悪だというふうになってしまえば、日本の証券市場は決して発展しないぞという意見を言う人がおりましたので、なるほどそうかな、そういうふうに私は今のところは思っているところです。
  345. 岩國哲人

    岩國委員 大臣の御意見は御意見として承りましたけれども、私は、株式の取引は悪だからやめろということではなくて、国会議員とかあるいは大蔵省の幹部は普通の人以上にいろいろな情報に接する機会が多いから、李下に冠を正さずと。  どうしても国会議員の仕事よりも株式取引の方が好きであれば、私は、国会議員をおやめになって、それに専念された方がいいと思うのですよ。あるいは資産があって、時々遺産も、持ち株もどうしても売らなければいかぬ、それは信託という方法もあるわけですから、国会議員就任したと同時にそれはすべてどなたか第三者にお預けになる。信託という口座を使って、そういう疑いを持たれないようなどなたかに。  私は、そのような国会議員の自主ルールというか、あるいは今度の公務員倫理法の中にもそれを入れる。そして国会議員もそれに準じた取り決めをする。こういう疑いを持っている、不幸にして十年前も、そして今日の新井将敬さん、このような疑いを一掃するためには、それぐらいの徹底したことをやることが望ましいのではないか、私はそのように思っております。  次に、行政責任という観点から、山一証券と野村証券の問題についてお伺いします。  山一証券の会長は参考人質疑で、九一年に飛ばしということがあった、もうそのころから使われておったと。それは、松野前局長に相談された、そういう時期と奇妙に符合しております。そして、はしの上げ下げととかく言われる大蔵省の証券行政の中で、してはならないという一言が出なかった。つまり、相談に行って、そして結果的にはそれは黙認されたと相手は理解するでしょう。はっきりと、それはやってはいけない、違反だという言葉があればやめる。相談して、特に問題にされなかったような反応が返ってくれば、これは不作為の作為。このような密室行政あるいは窓口指導と言われる形においては、私は、こういうことは日常茶飯事にあると思います。  したがって、私は飛ばしをやっていいとは言わなかったということは、決してそれは無実の証明ではなくて、不作為の作為ということが常識である、そのような関係においては、はっきりとそのときに、知ったときに拒否すべき、禁止すべきだったのではないかと思います。  野村証券の田淵義久社長が、九一年、例の損失補てんのときに、これは大蔵省も了解しておったという発言をして大変な問題になった。そして、結果的に田淵社長は陳謝する、大蔵に対しておわびをするという一件がありました。私は、田淵社長は真実をあのとき語っていたと思います。  損失補てんについてあるいは山一の飛ばしについて大蔵に相談をし、そのような行政は、ほかの場合と違って、大蔵省日本の証券会社との関係においては禁止されなかった。つまり、不作為は明確に作為として責任を追及されなければならないと思います。  この点について、長野局長の御所見を、簡単で結構ですからお願いします。
  346. 長野厖士

    ○長野政府委員 ただいま御指摘の事柄につきましては、その当時の状況も含めまして、証券取引等監視委員会あるいは官房検査部等の検査も行われておることでございますし、今軽々に申し上げられませんが、関係者の言い分にすべてが一致しているわけではないと感じられる事柄でもございますので、軽々なコメントは差し控えたいと思います。  ただ、あのような報道があるということについて、おまえは今の時点で何か思うことがあるかとお尋ねになりましたら、民間の方がお見えになっていろいろなお話をなさるときに、おおむねあなたの考えでよろしいねというようなことを申し上げるときに、その裏にどういうことをお考えになって、御当局これでそんなに問題ありませんかというようなことが、裏に何があるかということを考えながら、慎重の上にも慎重でなければならないなと。報道などを見ますと、と言って、事実上了解を得たとか心証を得たとかいう言い方になっておりますけれども、こういうことがあるとすれば、後からさかのぼってみると、あのときあの人はこんな思惑で来ておったんだ、おまえ乗せられたんだというようなことがあり得るかもしれませんから、そういうのを、これから慎重の上にも慎重にしなければいけないなと思っております。
  347. 岩國哲人

    岩國委員 次に、道路公団債。  逮捕された井坂理事、この井坂理事就任以来の交際費はどれぐらい公団から支払われておったのか。交際費が余りにも少ないがゆえに、海外出張されると外部の方からの便宜供与を期待されたりということがあったとすれば、それは公団の経費合理化に大変貢献しておられたという評価の仕方と、しかし、野村証券、興銀が経費補てんをしておったという見方があります。そのデータを出していただきたいということ。  もう一件は、道路公団債が、日本銀行、証券会社を主幹事にして、いわゆるリードマネジャーとして、十回発行されております。発行されるたびに、十万ドル、十二万ドル、十五万ドル、それぞれ引受手数料と別個に、経費のリインバースメント、経費負担としてそれが支払われています。弁護士費用とか会計士費用に使われるのが通例ですけれども、その支払われたリインバースメントの金額の中にどれだけの会議費、飲み食い、交通費、いわゆる観光旅行に類するものがその中から支払われておったのか。つまり、公団の費用で業者に経費の枠を渡して、その財布を使って、結果的には自分の方に返ってくるということは、理事として背任行為ではないかとさえ私は思います。  この二点について御答弁をお願いします。
  348. 松井邦彦

    ○松井説明員 まず初めに、お話のありました井坂理事の件でございますが、本日、日本道路公団の総裁から建設省あてに、収賄容疑で逮捕されていた井坂武彦理事が起訴されたという報告が先ほどございまして、建設省といたしましては、この事態を厳しく受けとめておりまして、総裁から申し出のありました井坂理事の解任につきまして先ほど了承いたしたところでございます。まず、そのことを御報告いたします。  公団に対します社会的な不信を招き、関係の皆様に多大の御迷惑をおかけしたということについて、心からおわびを申し上げる次第でございます。  さて、御質問の交際費の点でございますが、井坂元理事につきましては交際費は予算措置はされておりません。ゼロでございます。  それから、諸費用でございますが、外債発行に関しましては、弁護士費用それから上場費用、券面、契約書類の印刷費あるいは通信費等のものが内訳として述べられておりますが、その詳細、用途につきましては、私ども現在把握しておりませんので、そういうことで御了承いただきたいと思います。
  349. 岩國哲人

    岩國委員 私は、そういった点までも徹底して精査すべきではないかと思います。  業者がどこからその費用を賄っておったか。それは野村証券、興銀自身のお金ではなくて、公団のお金であったという解釈も成り立つわけです。ですから、徹底してそれを調査していただきたいということを要望しておきます。  また、先ほど解任されたということでありますけれども、起訴されるまで解任しないという、私はそういう感覚がおかしいと思っています。なぜ起訴されるのを待って解任される必要があったのですか。みずから調査し、そして解任に相当するという判断を自主的にして解任すべきだったのではありませんか。それを、さも起訴されたら直ちに解任いたしましたということは立派なことであるような、私はそこに世間とそういう官僚の世界とのずれがもう既にあるような気がいたします。  次に、阪和銀行の件についてお伺いいたします。  阪和銀行の退職金が、そういう破綻のときの、伝えられた金額の三倍になって支払われた。その支払い原資は預金保険機構である。破綻をした銀行の行員の方には気の毒に思います。しかし、それは一般世間では、東京でも青森県でも島根県でも、倒産した会社の社員はみんな気の毒です。それが、なぜ銀行の場合だけ預金保険機構から湯気の出るように温かいお金が三倍となって支給されるんですか。この点について御所見をお願いします。
  350. 山口公生

    ○山口政府委員 御答弁を申し上げますが、その前に、一つ訂正とおわびを申し上げます。  先ほど、私、リストラの際に本店を売却したのは都銀で二行というふうに申し上げたかもしれません。それは誤りでございまして、大手二十行のうち二行、二十行というのは奇異に感じられるかもしれませんが……(岩國委員「要するに、それは都銀ではない、長期信用銀行だということですか」と呼ぶ)それと、それから一つは破綻したところということでございます。  阪和銀行の件でございますけれども、破綻のときに、退職金規程につきまして、自己都合の退職の場合しか規定されなかったという事態がございました。これは会社都合といいましょうか、破綻処理、業務停止命令がかかりましたので、そこは労使間での争いになりまして、スト権の確立も行われ、スト実行も辞さないというような労使紛争になったわけでございます。そこで、阪和銀行としては、客観性のある解決を図るということで裁判所に話を持っていきまして、そこで客観的な御判断をいただいて、それで退職金の支給を決めたということでございます。  預金保険機構の運営委員会でも、いろいろ問題はあるかもしれないけれども、そこでもしストライキにでもなったら、これはペイオフになってしまうということでございますので、そういう客観的な、あるいは公正な立場での御判断であればそれは認めるということで資金援助が行われ、一月二十六日に阪和銀行が解散した、こういう経緯でございます。
  351. 岩國哲人

    岩國委員 そういう泣く子と何とかには勝てないという、そのような図式を想像してしまうわけですけれども、こうした破綻銀行の退職金支払いに預金保険機構の金がこれからも使われる可能性があるかどうか、その一点をお願いいたします。
  352. 山口公生

    ○山口政府委員 今後、破綻のケースにおきまして、もし従業員の皆さんがもうかなり受け皿銀行に引き継がれるのであればそういう問題は余り起きないと思いますし、それから規定がかなり整備されておりますと、その規定でお支払いになると思います。もしそうでない場合には、やはり裁判所あるいは労働委員会等の公平な目で見ていただいて御判断を仰ぐということが至当な解決ではないかというふうに思うわけでございます。
  353. 岩國哲人

    岩國委員 これからも預金保険機構の大切なお金が、そういう破綻銀行の行員のための退職金の積み増しに使われる可能性がゼロでないというふうに私は理解せざるを得ません。  最後の質問に移りますけれども、この三十兆円のスキームそのものが、道路七十六兆円、そして治水計画二十四兆円……
  354. 村上誠一郎

    村上委員長 岩國君、時間でございますので、手短にお願いします。
  355. 岩國哲人

    岩國委員 こうした長期公共事業計画で、国会をバイパスするような、いわゆる箇所づけという形によって実際の膨大な金が使われていく。そういう公共事業のあり方が、諌早あるいは宍道湖・中海等で世間の批判を浴びております。  そうした財政改革、予算審議の面でも批判が多い中で、この三十兆円の金融システム安定化法案というのは、言ってみたら土建計画の金融版ではありませんか。三十兆円という枠を使って、そしてこれからは七人委員会等によって箇所づけしていく。そしてそれについて国会は一切の発言権を放棄させるつごうした発想と運用の仕方が、国会の外で膨大な税金を使おうという点でまことに類似しております。この点について大蔵大臣に所見を伺うとともに、この七人審査委員会に提出される情報はすべて開示されるかどうか、その確認をお願いします。  もし非公開であるならば、その優先株を市場で売却するときに、有価証券報告書を再度提出をさせて情報開示させることになるのかどうか。それもしないのか。銘柄も人任せ、買い付け値段も、売買の時期もお人任せ、そして十三兆円の口座をつくる。銘柄も価格も売買のタイミングもお任せするというのは、これは、今、証取法で禁止している一任勘定と全く同じじゃありませんか。十三兆円の、一任勘定を禁止しておきながら……
  356. 村上誠一郎

    村上委員長 岩國君に申し上げます。時間ですので、手短にお願いします。
  357. 岩國哲人

    岩國委員 はい。さらに、そうした政府自身が一任勘定を、禁止されているものを開くということになるのではありませんか。しかも、七人委員会、情報が開示されないとなると、これはまさにインサイダートレーディングの違反にもなります。この点について御答弁をお願いします。
  358. 村上誠一郎

    村上委員長 答弁は手短に。山日銀行局長
  359. 山口公生

    ○山口政府委員 法律をお読みいただきますとわかりますように、開示をするということになっております。
  360. 村上誠一郎

    村上委員長 次に、上田清司君。     〔委員長退席、井奥委員長代理着席〕
  361. 上田清司

    ○上田(清)委員 お疲れのところ恐縮ですが、ぜひ頑張っていただきたいと思います。  官房長、大変済みません、わずかで終わりますので。先ほど岩國議員の質疑に答えられて、なかなかわからなかったんだというようなことを言っておられますが、私の友達にもある省の官房総務審議官がおります。この間、ちょっと所用があって立ち寄りましたら、受付に二名の男女がいまして、いわば受付係をやっておられまして、割と悠長だなというふうに私は率直に思ったのですが、朝から夜までしっかり日程表を押さえていますよ、はっきり申し上げまして。私との日程調整で、しっかり私見ましたから。霞が関は大体同じ仕組みのはずですから。真剣に調査をすれば、いつの夜どこで遊んでいたかぐらいはわかるのですよ、だれの接待を受けていたかぐらいは。それでわからなかったという答弁を何度もあなた方は繰り返していますけれども、そのことをまず申し上げたい。どう思われますか。しっかり日程表とか見ましたか。
  362. 武藤敏郎

    ○武藤政府委員 金融検査部のこの職員につきましては、今お話のありますような、秘書がいるとか日程表が管理されているとかということは、まず基本的にないと思います。  私どもは、昨年来、この関係職員が金融機関の役職員から接待を受けているという報道がなされるようになりましたので、先ほど申し上げましたとおり、服務管理官という者を中心に職員からの会食等の届け出状況というものを把握いたしまして、それぞれの部局長報告をしてもらった上で、私どもにもその結果を報告してもらっているわけでございます。この調査では、こういうことが報告されなかったということでございます。  また、疑惑についての報道の内容もいろいろありましたけれども、接待者なり接待を受けた者等についての具体的なものはほとんどございませんで、それをもとに職員に何か事実を突きつけてただすというようなことができるような状況ではございませんでした。宮川など名前が特定できた者につきましては事情聴取をもちろん行いましたけれども、宮川みずからがその後被疑事実に明示されたような事実はまったく述べず、問題となる事実の解明には至らなかったわけでございます。  また一方、昨年七月の第一勧銀の調査のときにも、銀行側に問い合わせましたところ、帳簿その他関係資料が捜査当局に押収されておりまして、銀行には残っていないということでございました。また行員が捜査当局から事情聴取を受けているというような状況でございました。その他の金融機関につきましても、私どもなりにいろいろ情報を総合いたしますと、接待関係の資料が捜査当局に提出されておりまして、担当の行員が事情を聞かれているというような状況でございました。こういう状況の中で各金融機関に接待関係全般についての資料の提出や報告を求めても、恐らく金融機関としての対応は難しいであろうし、また、捜査当局の捜査に支障を与えかねないというふうに判断したわけでございます。  今申し上げましたような、任意調査ということでございましたが、いろいろやったわけではありますけれども、その限界もあって、結果として内部調査が不十分になってしまった。このことは大変申しわけないということで、おわびをしている次第でございます。
  363. 上田清司

    ○上田(清)委員 検査部の問題だけではなくて、官房長を初めとするあなた方高官の中身が一体どうだったのかということを、文字どおり日程表を見ればわかるはずですから、そちらの方で問題が起きないように、あるいは後でありましたというようなことがないように、何度でもきちっと公の場でしかるべきことを言っておかないと大変なことになりますよということをあらかじめ私は注意しておきます。  検査部で、相手側の銀行がどう接待したかを調べるよりは、自分たちがどう受けたかということをもっとしっかり調べてください。相手がどう接待したかというよりも、あなた方のを調べた方が早いではないですか、どれだけ接待を受けたのだということを。そのことだけ申し上げておきます。もう返事は要りません。  それでは、金融二法についてお願いをいたします。  大臣には、一昨日非常に率直な御意見をいただきまして、ありがとうございます。前大臣は形容詞が多くて、聞いているうちに私自身が何を聞いているかわからなくなるぐらいのところがありましたが、きょうもその調子でひとつ正義感と誠実さを持ってよろしくお願いしたいと思います。  早速、山日銀行局長、三十兆円の積算根拠並びに十三兆と十七兆の積算根拠を言ってください。一昨日の北脇議員との議事録をしっかり読ませていただきましたけれども、非常にずさんな答弁をされていますよ。どうぞお願いします。要点だけ。
  364. 山口公生

    ○山口政府委員 今回の金融安定化策におきましては、我が国金融システムに対する内外の信頼を確保するために万全の備えをするということで、十兆の国債と二十兆の政府保証、合わせて三十兆の公的資金を活用できるように措置しております。  この十兆円の国債のうち七兆円につきましては、要処理見込み額の数字、あるいはそれが破綻後にふえている傾向があるというようなこと、それからせんだってお示ししましたような三、四分類の数字等を勘案して、すべての銀行が破綻するわけではありませんから、それで七兆円というものを用意させていただければ、これは国民皆さんに安心していただけるのではないかということでございます。  それから、三兆円につきましては、十兆円の政府保証の借り入れと合わせまして優先株等の引き受けをやるわけでございますが、これはちょっと繰り返しになりますが、仮に主要行十九行の半分に入れたらこれぐらいという、:二%程度という御説明を、それくらいのボリュームを用意しておけばこれは十分な対応ができるのではないかということでございます。  手短に言いますとどうしてもそういうはしょった言い方になって、申しわけございません。
  365. 上田清司

    ○上田(清)委員 私が申し上げましょう。  要処理見込み額が四兆四千億、金融破綻後、今までの通例からいくと大体五〇%ぐらい上がってしまいますから、それが二兆二千億ぐらいふえるということを前提に六兆六千億、あと北拓の処理額で七兆と読んだのではないですか。はっきりそういうことをきちっと言っていかないと、国民は安心しないのですよ、特に国会議員は安心しません。いかがですか。
  366. 山口公生

    ○山口政府委員 数字としては先生のおっしゃる数字は正しいのでございますが、要処理見込み額というのは、これは生きている銀行の話でございますので、これは破綻処理になりますと、確かにおっしゃったうちの拓銀はそうでございますけれども、要処理見込み額というものは破綻そのものの数字ではございません。
  367. 上田清司

    ○上田(清)委員 ところで、大臣にお伺いしますが、確かに三十兆円という枠組みができて、株価が上がったことも事実だし、それなりに市場あるいは国民に対しても安心感を与えた、あるいは金融業界に対しても安心感を与えたということに関しては、私も率直に認めたい、評価するとは申し上げませんが。  事実として確認しておきたいと思いますが、十七兆に関して言えば、いわば破綻が仮に起きても必ず国民預金は守りますよという、必ずあなたの預金は戻ってきますという安心策ですか。確認のために御答弁を大臣にお願いします。
  368. 松永光

    松永国務大臣 お答えいたします。  お話しのとおり、預金者預金は守られますという安心感を与える、それによって金融システムの安定に寄与する、こういうことであろうと思います。
  369. 上田清司

    ○上田(清)委員 ありがとうございます。  そうすると、銀行局長お話しになられましたように、破綻を起こさないためにいわば十三兆を用意して、場合によっては先ほどの、欧米の優秀な銀行に負けない自己資本比率一二、三%まで上がる。今平均で九%ぐらいですから、そういう金額に相当する資本注入を可能にする金額だという意味で、破綻を起こさない、起こさせない、そういう決意ではないかというふうに私は思いますが、大臣、これも間違いありませんか。
  370. 松永光

    松永国務大臣 表現の仕方は、もう少し上手な表現の仕方が使われておるようであります。その金融機関内容的にはそれほど心配はないのであるけれども、市場の動向その他によってコール市場等からの資金の調達が難しくなるなどという事態が起こった場合には大変苦労するようなことになりかねない、そういう金融機関に対して資本を注入することによって金融システム全体を守っていくんだ、こういうふうな説明の仕方のようでございます。私もそう思います。
  371. 上田清司

    ○上田(清)委員 ありがとうございます。  内容的にはそれほど問題はないのですが、さまざまな情勢変化によっては手痛い痛手がある可能性もあるという、とにかく破綻を起こさないようなそういう仕組みをつくろう。そうすると、十七兆の方は破綻が相次いでも大丈夫ですという話でありましたね。破綻が相次いでも大丈夫ですからという話。こっちの方は絶対破綻を起こしませんからと、両方やっているのですね。両方必要なんでしょうね。どうも分裂症みたいに見えるのだけれども、山日銀行局長、何か感想ありませんか。よく冷静に考えると、おかしいね。こっちは破綻が起きても大丈夫です、こっちは破綻を起こさないようにいたします、何か改めて考えてみたら、これは分裂症的なシステムかななんと思っているのです。
  372. 山口公生

    ○山口政府委員 十七兆円の方は預金者保護ということはもう先生のおっしゃるとおりでございます。それは不幸にして破綻した場合、預金者は守らなければいけません。一方の十三兆円の方は、先生は破綻を起こさないためという言い方をされましたけれども、もう少し私どもとしては広い、先ほど大臣が申し上げたような要素があります。これは取引先等を通じて経済を守るということでございますので、そこは確かに先生がおっしゃるような、ちょっとどういう関係だという御疑問はあるかと思いますけれども、そこは矛盾しない形で御提案申し上げているつもりでございます。
  373. 上田清司

    ○上田(清)委員 この法案の説明を受けるとき、本番に入る前に積算根拠を聞かれるのが一番つらいんだと、実は本音でちらりと言われた方もおられまして、そういう性格を持ったものかもしれません。ただ、それでも、やはりこういう積算根拠に基づいてきちっとやっているのだということを、国民の前に我々は明らかにしていかなければ仕事にならないということをまず申し上げておきます。  この金融安定化法案についていえば、実はアメリカでは宮澤法案というふうなことも言われたりしておりまして、宮澤元総理からお話が出てきたという印象のせいかもしれませんが、別名ET法案とも言われているのですよ。映画で出てきましたあのETなのですが、なぜなのか私もよくわかりませんが、ややアンバランスな処理策、法案ではなかろうかというような印象かなというふうに思っております。  ついでに申し上げれば、こういう三月期だけを目当てにした仕掛けというのは、アメリカのいわば世界戦略や世界経済、あるいは国内経済、日本経済についていろいろまじめに心配している方々にとってみれば非常にはらはらするというのでしょうか、真剣にそういう心配をしていただいているのですが、こんなに見え見えの政策であれば、実は投資だけを目的にしている、いわばもうけだけを気にしているディーラーやプロの投資家は、日本の政策は見え見えだから三月期に合わせた政策展開だけをやっている、その後はまたさようならということで非常に喜んでいる、こういう話もある外国の証券会社の調査部長から聞いたことがあるのです。  何かそういうことを感じさせているということに関してだけでも、私は残念ですけれども、この法案のスタートにおける将来展望というのでしょうか、そういうことにやや欠けている嫌いがあるのではないか。ややではなくて正確に言えば欠けている嫌いがある、こんなふうに申し上げざるを得ないということを申し上げておきます。  それから、不良債権の金額について先般七十六兆という数字も出てまいりましたが、本当の本当、いわゆる最近出てきました分類方式でいくと、いわば引き当てが全く必要でない第一分類、この債権の自己査定額が例えば五百四十八兆というような数字があり、第二分類で六十五兆、これは引き当てが必要な割合が過去の実績からして一五%ぐらいだろう。それから第三分類で八兆七千二百四十億、これは過去の実績からして引き当てが必要なのは七五%ぐらいだろう。第四分類は二兆六千九百五十億、これは一〇〇%引き当てが必要だ。その金額が第二分類から第四分類までが七十六兆だ、こういう数字で、実際の不良債権をどう見るかということに関して、もう何度も何度も議論が出てきているのですが、実際のところ、大臣日本のこの不良債権というのは一体どのくらいあるのでしょうか、正確には。そして、その不良債権の中身というのは、必ず返して取り戻せる部分と、あるいは損失見込みも含めてこのくらいは実はだめかもしれぬ、そういう金額というものを大臣としてきちっと認識しておられるかどうか、あるいは大臣としてどういうお考えを持っておられるか、改めてお聞かせください。
  374. 山口公生

    ○山口政府委員 今回早期是正措置のための作業、それも試行でございますけれども、初めて各金融機関で統一的な考え方でもってこの分類をやっていただきましたので、これを集計したわけでございます。今先生が御披露いただきました数字のとおりでございますけれども、じゃ二が不良債権なのかどうかというようなことになりますと、それを不良債権と決めつけますと、そこにはもう貸せない、こういうことになりますので、私どもはそこは非常に気をつけながら、個別にリスク管理が必要な債権という言い方をしております。したがって、先生の御指摘不良債権が幾らあるかという御質問は大変私どもにとっても難しい質問でございまして、七十六兆がそうだと言うわけにはまいらないと思うわけでございます。  ただ、バブルの崩壊後、大きな不良債権が存在し、またそれが顕在化していくという時期をずっと続けてまいっております。各金融機関も必死でその償却をしているし、各企業もやっているんだと思います。そういった中で、この不良債権を早く脱却して明るい日本経済にしていきたいというふうに思っております。
  375. 上田清司

    ○上田(清)委員 今まで大蔵省は、いわゆる預金取扱金融機関不良債権の処理の状況としてずっと御発表されていて、九年九月末のいわゆる二十八兆七百八十億、そして先般、いわゆる分類債権、そういう名称のもとに七十七兆という数字を出されました。これをどういうふうに計算すれば一番いいのか。本当の回収不能額いわゆる本当の本当の真正不良債権というのでしょうか、勝手に私が今造語をつくりましたけれども、真正不良債権は、要するに今申し上げましたそれぞれの過去の回収、引き当てが必要な割合をずっと足し算していくと、きれいな数字が出ておりますが、先ほど第二分類は一五%、九兆、第三分類が七五%、六兆、そして第四分類が一〇〇%で二兆六千云々、合わせるとちょうど十九兆三百十、この金額が本当の回収不能な不良債権かな、こんなふうに読み取るのが比較的正確に近いんじゃないかなというふうに思うんですが、局長いかがでしょうか。  それから、大臣も、大まかな不良債権と本当に回収不能な不良債権という、これからのスキームをきちっと本当にできるかできないかも、この辺の読みというのもやはり深い意味を持たなくちゃいけないと思いますので、ぜひそのことについて局長大臣にお考えをお聞きしたいと思います。
  376. 山口公生

    ○山口政府委員 大変洞察の深い分析だとは思いますが、三分類、四分類は、私もやはり先生のおっしゃるような感じで見ておいた方がいいだろうと思います。  ただ、二分類になりますと、これは経済状況にかなり左右されるのではないかというふうに思うわけでございます。楽観的に見るのも間違いであるし、悲観的に見過ぎるのも間違いだと思いますけれども、そうなりますと、真正不良債権という新しい言葉をおっしゃいましたけれども、なかなかそこは、ちょっと難しいかなと。  それから、今申された数字のうちで、四分類は償却を今期でやらなきゃいけませんから、これはもう今期でゼロになってしまうわけでございます。そういった性格のものでございますので、いずれにせよ、こういつた不良債権というものを早く脱却していくという努力が大切だろうなというふうに思っております。
  377. 松永光

    松永国務大臣 私は、今委員のおっしゃった真正不良債権、最終的に言えば抵当権を実行してみて初めて確定するんじゃないかなというふうに思います。  そういう意味でいけば、例えば全銀協統一開示基準での各行が開示した破綻先債権、これは破綻先債権もこれ全体が真正不良債権とは言いがたい。抵当権がついているんでしょうから、抵当権を実行することによって、この中からある程度のものは回収できるんじゃなかろうか、こういうふうに思います。  それから、各行が自分の債権について回収可能性を自己査定した合計七十六・七兆、この中で回収不能というものは、これは恐らく真正不良債権でしょう。その他のものは、実は地価の変動とか、したがって抵当権を実行した場合にどういうことになるのかなということで、これは重大懸念となっているだけであって、うまくやっていけばこの中の相当なものが回収可能債権となるんじゃないか。  さようなわけで、豆腐をきちっと切るようには決まらぬなというふうに私は感じます。
  378. 上田清司

    ○上田(清)委員 ありがとうございます。  それでは、法案の中身にどんどん進ませていただきますが、山口局長、二〇〇一年三月末に両勘定の損失を確定して一般会計から補てんをするのか、あるいは毎年毎年ロスを勘定していくのか、どういう考え方で公的資金を投入していくんですか。
  379. 山口公生

    ○山口政府委員 基本的な考え方は、先送りしないで毎年毎年処理をするということでございます。
  380. 上田清司

    ○上田(清)委員 その方がわかりやすくていいかと思います。  それでは、何度もお話に出てきておりますが、やはり正式にどうもきようで委員会の審議が終わりだというふうなお話も残念ながらある。私は六時間ぐらいやりたかったので、まだきようで二時間半になるかなという感じですので、あと三時間半ぐらい時間が欲しかったんですが、預金者保護という形で十七兆のスキームをつくっておられますので、もう一回、預金保険の対象となる金融商品のすべてをちょっと列挙していただけますか。私、一応列記しておりますので、読み上げていただきたいと思います。私が書いている部分が全部入っているかどうか確認しなくちゃいけないもので、お願いいたします。
  381. 山口公生

    ○山口政府委員 預金保険の対象となる預金等の範囲、すなわちペイオフの際に保護されるものの範囲は、預金、定期積み金、掛金、元本補てん契約のある金銭信託となっております。
  382. 上田清司

    ○上田(清)委員 ぱっと大まかに約されたのであれですけれども、もうちょっと一つ一つ言えませんか。例えば外貨預金は入るのか入らないのかとか、そういう細かいものまで全部言っていただけませんか。きちっとした、何というんでしょうか、表記があるでしょう。
  383. 山口公生

    ○山口政府委員 対象は、本則になっておりますのが、預金、定期積み金、掛金それから元本補てん契約のある金銭信託でございます。それ以外のものは、入っていないもの、除かれる預金等として、外貨預金、譲渡性預金、特別国際金融取引勘定において経理された預金、これはオフショア預金でございます。それから、国もしくは地方公共団体または特別の法律により特別の設立行為をもって設立された法人から受け入れた預金、これは公金預金と通常言っております。それから、日本銀行または法三十五条第一項に規定する金融機関等から受け入れた預金等、あるいは預金保険機構から受け入れた預金等、それから預金等に係る証書が無記名式である預金等というふうになってございます。
  384. 上田清司

    ○上田(清)委員 確認ですが、外貨預金、譲渡性預金銀行間の取引に係る預金、これは守るべき金融商品の対象となっていますか。
  385. 山口公生

    ○山口政府委員 先生、守るべきとおっしゃいましたが、何度も何度も繰り返して恐縮ですけれども、守るとしているのは本則の方の先ほど何度も申し上げたものでありまして、元本が一千万までということでございます。附則の方で、しばしば申し上げておりますのは、それ以外にこういうものを守りますという規定にはなってございません。結局、信用システムを守るために二〇〇一年三月までの間、特別資金援助という形で、ペイオフコストを超えるもの、つまり金融機関の負債勘定のものを援助対象にできる仕組みがあるということでございまして、あくまで、できる規定でございます。そういうことによって、結果として守られている。  国民の皆様は非常にそこに御不満をお持ちでございますので、政府としては今、守りますというような言い方をさせていただいております。それによりまして、取りつけとかそういったことが起きていないわけでございます。もし一部でもそこをカットすると、例えば公金預金は守りませんよというようなことになりますと、これはもうその負担をだれがどう負うかという、それこそ裁判上の手続になりませんと公平な負担になりませんので、全部保護するという形で信用システムを守らせていただいている、こういうことでございます。
  386. 上田清司

    ○上田(清)委員 そういうことです。二〇〇一年までという一応限定つきでありますが。  ただ、先ほども佐々木憲昭さんからお話が出ていましたけれども、それはそれでいいだろうけれども、こういう外貨預金や譲渡性預金とか、いわゆる債券の金融債券だとか割引債だとか、そういうものについて、さっきから言っていましたように預金保険料を払っていない、その分に関しては。  だから、私も計算がわかりませんけれども、例えば信金なんかはそういう金融商品を余り扱っていないから、信金が抱えている預金額に関しては大半、ほとんどが預金保険料の対象になっているだろうというふうに私は想像していますし、例えば信託銀行や長銀関係は割引債だとかそういう金融商品がたくさんありますので、多分そういうものは預金保険の料率を掛けるときの対象外になっていますから、意外に払っていないのじゃないか。そういうふうに推測して資料もちょっと取り寄せさせていただいたのですが、確かに信託銀行や長期信用銀行が意外にやはり預金保険料を払っていない。パーセンテージがどのくらいになっているのか、資料を出してくださいと言ったのですけれども、結局間に合わなかったのですけれどもね。私の想像だと、多分信金なんか九〇%ぐらいはその対象になっていて、長期信用銀行関係とかあるいは信託銀行関係なんかというのは、預金額の総額の三〇%ぐらいしか多分対象物になっていないのじゃないか。  私はそういうふうに勝手に推察していますけれども、そうなってくると、預金保険料の物の考え方として、全部守りますと、とにかく二〇〇一年の三月までは。そうすると、払っていないものまで面倒見ているという話で、やはりさっきの議論というのは正しいと私は思いますよ。だから、その部分はちょっと考え直さなくちゃいけないのじゃないか、こういう議論を申し上げたいのですが、局長どうですか。
  387. 山口公生

    ○山口政府委員 その点につきましては、先ほども御答弁申し上げましたが、もともと守るべき対象としてどういつだ種類のものをどれだけ守るかという議論との兼ね合いで本来考えるべきことでございまして、この特例の期間中、あと三年でございますが、そういう特例の扱いの部分でございますので、基本的にどういうふうに考えていくかということは、先生せんだっても御指摘されましたように、それはペイオフが始まるということになりますと本当に考えていくべき話だと思いますけれども、今は、そういった特例措置の資金援助という形でのそういう可能性が担保されているというふうに御理解いただきたいというふうに思うわけでございます。
  388. 上田清司

    ○上田(清)委員 局長はずっとそう説明されていますけれども、その考え方は社会的な公正感がないですよ、今特別の時期だからといって。  例えば金融割引債なんというのは無記名のものなんか多いわけでしょう。だれが預けているかわからないじゃないですか。やくざだって預けているかもしれませんよ。やくざだって立派な商売だといえばそれまでのことですけれども。しかし、そうじゃないでしょう、大体。そういうお金まで同じように保護して国民の税金を使うというのは、論理として成り立たないですよ。それが当たり前の見方だと思いますけれども、なぜそんなにかばわなくちゃいけないのですか。何か特別の理由でもあるのですか、大蔵省OBがいるとか。
  389. 山口公生

    ○山口政府委員 そういうことはないと思います。  結局は、金融のシステムを守るということでございます。そういうことで、この特例期間中はそういった処理が可能なように担保されているということでございますので、ぜひそこは御理解賜りたいというふうに思います。
  390. 上田清司

    ○上田(清)委員 それは理解できませんよ。例えば興銀なんかは立派な銀行で、多分成績もいい。細かい数字は私はわかりませんよ、資料が届きませんでしたから、最終的に。けさ頼んだから悪いといえば悪いのですが、とにかく、例えば興銀なんか、全預金額の七〇%ぐらいがいわば従来であれば預金保険の対象にならない。したがって、三一割の部分だけに、三〇%の部分だけに保険料を払っている。しかし、もし何かあって、緊急事態になって、たまたま破綻しそうになったときに、あるいは破綻したときに、いざというときには全額を保証してあげるというのは、だれがどこを見ても通じませんよ。普通の国民に通じるような考え方にならなきゃいかぬですよ、物事は。  これで違う意見を言っていただくのだったら立っても結構ですが、さっきと同じ答弁だったらもう立たなくても結構です。  松永大臣、私は日ごろから尊敬しておりますし、きちっと物を言っていただきますので、今の考え方は、私はやはり山日銀行局長考え方であれば不公平だと言わざるを得ませんので、御答弁をお願いしたいと思います。
  391. 松永光

    松永国務大臣 特例期間中について、金融システム信頼を強固なものにするための特例措置だというふうに私は理解しておるわけでございます。
  392. 上田清司

    ○上田(清)委員 名答弁といえば名答弁ですが、特例中だから許されるというふうに私は考えたくない。やはり応分の負担をする能力のあるグループだというふうに私は思っております。そういう点においても、これは禍根を残す話になるかなというふうに思います。公平感に欠けた形をとっているということに関して、これはまた改めて次なる機会のときにしっかり論争させていただきたいと思います。  時間にも限りがありますので次に移りますが、いわゆる公的資金による資本の注入について、考えられる想定として、まあ北洋銀行と北拓の例、これはいいだろう。小が大をのむ、当然自己資本比率が落ちる、そういうものに対してきちっと資本注入していく。特定合併、昨年の預金保険法の改正でやりました、これについてはどういう考え方に立つのですか。
  393. 山口公生

    ○山口政府委員 特定合併は、当事者の銀行が消滅しまして新しい銀行にリストラした形で生まれ変わるわけでございます。そうした場合、その銀行というのはこの十三兆円の対象にはもちろんなり得るわけです。実際にそこに入れる入れないは別として、排除されるものではございません。――済みません。特定合併をした後の銀行の話でございますので、御理解賜りたいと思います。
  394. 上田清司

    ○上田(清)委員 趣旨はわかりましたので、細かいことは申し上げません。  しかし、これも注意をしなければならないのは、いわばだめ同士を早目に片づけて、リニューアルしてきちっとした銀行になったからという形でありますが、これも実はそれだけの内容がその時点であるかどうかなかなかわからない部分があると思いますので、相当慎重にやっていく必要があるのではないかというふうに思います。むしろ、その新設された新しい銀行の方が将来も展望があるぞというような見方で市場に任せる考え方の方が私は正しいのじゃないか。そういう意味で、これは慎重に取り扱っていただきたいと思います。  それで、一般の金融機関ですが、これが難しい。おとといもあんなに俊邁なる北脇議員にしてようわからぬ、ようわからぬとこの議事録を読んでいると何回も出てきていまして、言っていることがなかなかわからない。どういう基準で本当に優先株の発行について受け入れられるのか、その基準について書いてありますよね。これは、松永大臣は非常に言い得て妙な表現をされておられましたけれども、何かわけがわからないですね。  もう一回簡潔に、これも法案に書いてあるような文言は大体法律になじまないんだよね、こういうのは本当は。大蔵省皆さんは法学部が多いけれども、本当は法律文というのはこんなにややこしいのは書かないでしょう。珍しい条文なんですよ。端的に言ったら、どういう基準だったら受け入れるんですか。再度お聞きしたいと思います。
  395. 山口公生

    ○山口政府委員 お答え申し上げます。  基準自体は審査機関がつくられるわけでございますが、その際の前提として、手短に申せば、一つは受け皿金融機関の場合でございます。その必要な限度においてということだと思います。  それからもう一つ、一般の金融機関の場合ですが、システミックリスクという言葉で表現した方がいいかと思いますけれども、そういう状況のもとで、その引き受け自体が、経営の再建を目的としたものじゃない、あるいは破綻する蓋然性が高いという場合にはないというようなことを含んだ審査基準をつくられて、それで適用されるということでございます。  これまでも、いろいろ大蔵省が細かい基準をつくってといういろいろな御批判もありました。今回は、審査機関が、学識経験者三名の国会承認を得られた方々も入られて、全会一致でそういう基準をおつくりになるということでございます。
  396. 上田清司

    ○上田(清)委員 先ほど松永大臣が言われたせりふが比較的わかりやすかったかなと思うんですが、通常なら問題のない金融機関であるけれども、さまざまな条件が重なって、時と場合によってはちょっとすってんころりとなる可能性もある、こういう理解でよろしいんですか。政治家国民にわかりやすく説明しなくちゃいけないもので。
  397. 山口公生

    ○山口政府委員 今先生お話、非常にわかりやすいんでございますけれども、債務超過の場合のこと、あるいは破綻ということをイメージされておりますと、それだけではないと思うんですね。例えばBIS基準とか国内基準とかいうことで急激に資金回収等を行わざるを得ないというようなことになりますと、それはまた別の意味で大変な問題になりますし、それから資金調達の面でのお話もるるありました。そういった危機的な状況に対して、マーケットでは解決できない部分を手助けして、結果として我が国経済全体を救う、こういうことだろうと思います。
  398. 上田清司

    ○上田(清)委員 債務超過の銀行には資本注入はしないということでよろしいですね。
  399. 山口公生

    ○山口政府委員 お答え申し上げます。  そのとおりでございます。
  400. 上田清司

    ○上田(清)委員 この優先株発行について各行がいろいろな形で反応していると思いますけれども、銀行局の方で把握されておりますか。十九行に関してどういう反応をされておられるのか、新聞報道なんかでいろいろな議論がございますけれども、あくまで新聞報道ですので、当局としてどの程度把握されているか。
  401. 山口公生

    ○山口政府委員 当局としましては、この法律を一日も早く通していただきたいということで、各行についてそういった状況は把握しておりません。
  402. 上田清司

    ○上田(清)委員 それはうそでしょう。だって、早急に上げたいんだったら、事前にいろいろなことをやっていかなきゃ間に合わないじゃないですか。そういう見え透いたうそをつくから信用がなくなるんですよ。  じゃ、そこの審査会の話に話を持っていきましょう、スピード感を持って。  審査会で基準をつくったり判断をしていくという議論になりますが、参議院通過後に、つまり法案成立を前提にしておりますが、必ずしも私は好むところではあ珍ませんけれども、しかし数の原理もありますから、通るということを前提に、参議院通過後に実際機能するのはいつから機能しますか。どのくらいで、例えば一週間日から機能しますとか二週間日から機能しますとか。
  403. 山口公生

    ○山口政府委員 法律を成立させていただきますとできるだけ早く公布、施行をさせていただく。官報等の関係もあります。数日はかかります。それで、また、できるだけ早くその委員国会の御承認を得て選んでいただく必要がある。これは内閣の人事の方でございますけれども、選んでいただいてその組織をしなきゃいけないということでございます。それで、その組織された委員会が基準をおつくりになるということでございますので、そういった手順をできるだけ早くやっていただければありがたいというふうに思っている次第でございます。
  404. 上田清司

    ○上田(清)委員 まあできるだけ早くということで、本当はそのスケジュールもできているんでしょうね。そうじゃないと間に合わないから。  四日の日に北脇議員との質疑の中で、委員として特定の利害のある人を除かなければならないだろうと。しかし、もう既に決まっている大蔵大臣、日銀総裁、金融監督庁はまだでき上がっておりませんが、それから預金保険機構の理事長、みんな利害関係者じゃないんですか。
  405. 山口公生

    ○山口政府委員 私が申し上げましたのは、新たに任命されます有識者の方の人選の話でお聞きになりましたので、そうお答え申し上げたわけでございます。
  406. 上田清司

    ○上田(清)委員 じゃ、前者の四人に関しては利害関係者じゃありませんか。
  407. 山口公生

    ○山口政府委員 法律上も「それぞれ独立して」という規定を設けておりますが、それは、それぞれの職務上そういった責任を持つという意味での立場でございまして、利害関係とおっしゃる趣旨が、私が申し上げているのは、その判断を誤る可能性があるとの懸念を持たれるような利害関係という意味で申し上げたわけでございます。
  408. 上田清司

    ○上田(清)委員 日銀総裁も大変なそれぞれの日銀という枠の中での政策を遂行しなくちゃいけない、そしてもちろん大蔵大臣も所管の大臣としての政策を遂行しなきやならない、預金保険機構の理事長としても収支も含めてさまざまな形で基本的な認識、政策あると思いますし、それぞれのまさに利害を抱えて、そしてこの優先株購入の基準をつくったりする人たちにふさわしいかなと思うと、私は全然ふさわしくない人ばかりじゃないかなと思いますよ。しかも失敗ばかりしている人たちで、日銀総裁は利上げ失敗しちゃっていつまでも低金利やっていますし、公定歩合低いままでいるし、大蔵大臣はずっと失敗していたし、誤ってはかりいたでしょう。金融監督庁長官なんてどこにいるかまだわからないじゃないですか。これどうするんですか、金融監督庁長官は。いないのに審議委員になっているんですか。
  409. 山口公生

    ○山口政府委員 金融監督庁が設置の前は法律にも六名というようになっておりまして、設置後は七名ということでございます。
  410. 上田清司

    ○上田(清)委員 わかりました。  民間人のメンバーが利害関係者じゃないようにということですが、私は、今の前者の四人に関しては相当疑問を持っておりますことを申し上げたい。  それはそれとして、全会一致で決めていくという形で、本会議でもちょっと申し上げましたが、四人以上の出席をもって全会一致と。もし民間人の三人が来られなくて四人だけで、今言った大蔵大臣、日銀総裁、預金保険機構理事長、金融監督庁長官、この四人だけで決めたりすることというのはあり得るんですか。
  411. 山口公生

    ○山口政府委員 お答え申し上げます。  第十九条で「委員長のほか、委員のうち四人以上が出席しなければ、会議を開き、議決をすることができない。」ということで五名でございまして、それから「全員一致」でございますので、仮に何かの都合でお出にならないときも、その意思はきちっと確認した上で御賛成をいただくということにしてございます。
  412. 上田清司

    ○上田(清)委員 済みません。四人と五人、間違えました。率直に謝ります。  それで、局長、この審査会では絶対ノーは出ないんじゃないですか。わかりますか、どういう意味か。わかりますよね、聡明な山日銀行局長は。ノーが出たらアウトだものね、その銀行は。だから、絶対的にこれは事前審査なり談合をしなければ、とてもじゃないですけれども、資本注入はできませんし、銀行だってアウトですよ。もし、お願いしますと言ってだめだと言われたら、要は不良銀行だ、そういう認定を受けにわざわざ行くばかはいませんよ。そういう意味で、絶対ノーはあり得ない。あなた、これは重大な欠陥があるんじゃないですか。審査会とそれからこの審査会にかけなければならないとかという、この議論自体が基本的に矛盾しているんじゃないかなというふうに私は思いますよ。どうですか。
  413. 山口公生

    ○山口政府委員 まず、審査会で審査基準を公表していただきます。各銀行はそれをまずよく見て判断されるでしょう。それから計画を出していただきます。その計画が十分かどうかというのは、議決に諮る前に各人が御判断されるわけでございます。いろいろそういった仕組みになってございます。
  414. 上田清司

    ○上田(清)委員 仕組みは私もわかっておるつもりですけれども、もしノーが出たらその銀行はどうなると思います。
  415. 山口公生

    ○山口政府委員 先ほど白々しいという御批判を受けましたけれども、私の立場からいってイエスとかノーとか、そういうのがどうなるということは何とも申し上げられないということでございます。
  416. 上田清司

    ○上田(清)委員 これは重大な欠陥だと思いますね。もしこの議決で、公表されるわけですから、公表されてノーだという話であれば、これはもうその銀行にとって、つぶれるかどうかわかりませんが、相当ダメージがある。だからうっかり出せないから、結局は事前相談をしながら、大体オーケーですという下の方からサインでも出ないと行かないですよ。これは私は当たり前の話じゃないかな。私が銀行の頭取だったらそうしますようっかり真っ正面からやってノーなんか言われたら、このばかと言って株主から怒られますよ。だから事前に相談もしなければならないし、根回しも必要でしょうし、そうすると何かまたMOF担の話になっちゃいますよ。いかがですか。
  417. 山口公生

    ○山口政府委員 それは私にお聞きになりましてもなかなかお答えしづらい話でございまして、審査委員会がその辺を公正中立立場から御審査になるというふうに思うわけでございます。それが、先生の御指摘のようないわゆるMOF担、癒着のような問題になるということがもちろんあってはならないし、また、そうならないというふうに私は信じるわけでございます。
  418. 上田清司

    ○上田(清)委員 確かに、お立場の中で今の答弁しかできないということも私もわかります。そういう可能性がありますので、勢い、優先株の引き受けあるいは資本注入、いずれもそれぞれの銀行は管理される、いわば全面的な国営管理銀行的な色彩を持たざるを得なくなってくる可能性もあるなと私は思わざるを得ません。  それから、審査会の基準基準と言われますけれども、後からできる審査会の基準を我々認めるというわけにはなかなかいかないですよ。どういう基準がつくられるかもわからないのに、法案通せと。しかも、銀行を含めた日本金融システムの生命線はその審査会が、審査委員が握っている。それはだれがなるかもまだわからない、法案だけが先に通っちゃう、こんなばかなことはできませんよ。  総理も言っておられますね。参議院の二日の予算委員会で、審査基準国会での議論を踏まえて策定する、こう言っておられます。松永大蔵大臣は審査委員会の判断に任せると言っておられますが、総理のニュアンスの方が前向きだというふうに、このことに関しては、申しわけありません松永大臣、前向きだなと私は思っておりますので、委員長にお願いを申し上げますが、この審査基準について国会論議のメモを委員会でまとめて、できたときのために、審査委員会できる可能性が高いと私もう思いますが、できたときに、国会でこういう論議が出てきてこういう意見がしっかりあったということをきちっと踏まえさせなくちゃいけないというふうに思いますので、理事会を通じて、委員会で取りまとめるべきだという御提案を申し上げますが、取り扱いのほどお願いします。
  419. 井奥貞雄

    ○井奥委員長代理 理事会に諮らせていただきます。
  420. 上田清司

    ○上田(清)委員 ありがとうございます。  ぜひ、この国会での論議、相当私はまだ短いと思っておりますが、もう本当にこれ重要な法案なんですよ。与党の皆さん、お立場の中で賛成が前提で、それはそれでいいのですが、しかし、審査委員も決まらない、しかも基準も決まらないままに十三兆のお金の使い道をそこにお任せする、そしてまた審査基準によって銀行のこれからの運営を含めた生命線もその委員皆さん、なかんずく、そういう委員皆さんだけじゃなくて専門委員を初めとする事務局の皆さんにも握られるという部分がありますから、これは大変重要な問題だ。  それで、ちょっと忘れておりましたけれども、専門委員のメンバーや構成というのはどういうふうに考えておられるのですか。
  421. 山口公生

    ○山口政府委員 専門委員は、審査委員の方がいろいろお手伝いをあるいは学識経験の方にお聞きになる、そういうイメージでございまして、場合によっては委員の方がお選びになるということもあろうかと思います。
  422. 上田清司

    ○上田(清)委員 そういってもまだあやふやでございますね。  それで、時間も遅くになりましたので、できるだけ早く終わるようにと、義理と人情に私も弱いもので、野党側の理事から怒られそうですけれども、できるだけ手短に終わらす予定でありますが、第一勧銀の事件で、大蔵省からこの告発は一件だけだったという話を四日の日も私やりましたね。  しかし、さっきもちょっと話が出てきましたけれども、銀行が破綻していろいろなことがあって、一つ銀行法に違反がなかったとか、一つも商法上問題がなかったというのは、あなた方が監督して、そしていろいろな調査をして一つも出てこないというのは異常ですよ、本当に。これだけのさまざまな事件が起きていて、それだけでもあるはずだというふうに思うのが普通なんですよ。何であなたたちは本当に司法当局に対して告発をしないのですか、さまざまな役員やあるいは銀行に対して。私は重大なそこにあなた方の、綱紀粛正と言葉では言いながら、そして何度も何度も大蔵大臣が、地獄の底まで追い詰めるとか、貸し手も借り手も全部やっつける、そう言っておられるし、今回の法案に関しても、橋本総理も、経営者の退任は当然、そして経営責任を追及する、そういうことをずっと言っておられた。そして今も言っておられる。過去にやっていなければ、これからでもやらないだろうとしか思わないですよ。お金だけが取られてしまう、そういうイメージがあるのです。  大臣に聞いてみたかったのですが、中村次官、今の意見ですが、ぜひ、これは局長の判断ではないと思いますので、総括的にお願いいたします。――わかりました。大臣おられませんでしたから。  なかなか告発をしていないのですよ、大蔵省としては。大蔵省としては、破綻銀行の役員、経営者に対して告発をしていないのですよ。私はおかしいと思うのですよ。これだけ多くの銀行が破綻して、さまざまな調査が入って、しかもMOF担を初めとするさまざまな不祥事件があって、そしてだれ一人と言っていいでしょう、告発されていない。これはおかしいではないか。せめて、先日は大臣が言われまして私もほっとしました。銀行法上とか商法上何かあるのじゃないか、そう思っても普通だと。その普通がなかなか出てこないということに対して、これは何かおかしいのじゃないか。  私は、もうこの間の繰り返しになって恐縮なのですけれども、この点を明らかにしていかないと、橋本総理も今度の法案の説明の中で、破綻をするようなところはきちっと経営責任の追及はする、役員には退任してもらう、そんなことを言っておられますので、その点をぜひお聞きしたい、このように思います。
  423. 松永光

    松永国務大臣 銀行金融機関が破綻した場合に、経営者の責任をきちっと追及していないではないかという御指摘だと思うのですが、その御指摘はごもっともだと思います。銀行法その他の法令違反がある場合には、きちっとその責任の追及をすべきだと思います。故意または過失があった場合には、もちろん損害賠償の請求、それをきちっとやるべきであると思います。  しかし、一つ難しい点は、よくあることは、オーナー金融機関の場合には、その大将が自分で勝手にやってしまうからそれに責任があるということは明白になってくるのですけれども、これは実際問題の話ですが、株式会社等の場合、取締役会で決めた、それを執行しただけだ、こういうふうな逃げ道を使うおそれはあるような気がいたします。いずれにせよ、問題がある場合にはきちっと告発をして、民事、刑事両面からの責任追及をするということは、これは当然やるべきことだというふうに私は思います。
  424. 上田清司

    ○上田(清)委員 大臣の力強い答弁を聞いて安心したと言ってしまうとちょっとおかしいですから、ぜひ再度調査するようなつもりで、とにかく平成五年から二十五件、木津信以来十八件、そして本当に弱小の、もう明らかな導入資金を使った木津信だとかそういうところ以外は全部告発されておりませんので、これはだれが考えてもおかしいと私は思っております。とりわけ、告発されていないのは大蔵省OBのおられるところばかりですから、世の中の人はOBがいるから告発しないのだと思っておりますし、私も思っております。  最後になります。資料を配付していただけますか。六というナンバーのついた資料でございます。  実は、大臣も山口局長ももう十分御承知のことでございますが、与党・政府案は一九三二年に設立されたRFC、アメリカの金融復興公社をモデルにしているのではなかろうか、こういうお話が多いわけでありまして、野党が提案しているのが九〇年前後のRTC型だ、こんな認識を持っているのです。  この表にありますように、アメリカの銀行閉鎖の、銀行が破綻した、俗に言うつぶれたという言い方でいいのでしょうが、年度別の数字がずっと載っているのですが、三二年にRFCがつくられたのですが、実は銀行は次の年に三倍ぐらい膨らんだ破綻をいたしまして、金融機関に融資をしても、一時小康状態であったけれども、なかなか金融不安はおさまらなかった、こういうお話日本経済・債券市場ウイークリー、本年度の一月十九日号に載っておりましたので、そっくりそのまま持ってまいりました。それから上の資料は、吉富勝先生の「アメリカの大恐慌」の数字をとらせてもらっております。  こういう認識で、例えば参考人でおいでいただいた岸全銀協会長は、逆にこれを評価するような形で、古い例で恐縮ですけれどもと、そのまま読み上げさせてもらいますが、「一九三〇年代のアメリカにおきまして、復興金融公庫が公的資金を利用した優先株等を購入した事例がございました。このとき、十五年間でございますけれども、政府の得た配当収入や金利収入は、政府が投じた株式投資の償却や資金コストを大幅に上回ったと報告されております。つまり、当時の国民の税金は損失に充てられたのではなく、最終的に政府に戻ってきた」という非常に都合のいいことを言われましたけれども、このころは現在の市場と違って、まだまだ民間の方々が購入できるほどの大きなものはなかったというので、私はちょっと認識が違うのじゃないかなというふうに思っております。  この政府案でいきますと、必ずしも銀行に資本注入をしても救えないのじゃないか、本来的に弱い体質に幾ら注射を打ち込んでも、やはり違う形で鍛え直さないとだめじゃないか、そういう意味でこの資料を出させていただきました。  銀行局長、御見解についてお伺いしますが、いかがですか。
  425. 山口公生

    ○山口政府委員 先生のこのお示しされた資料では「所期の目的を達成するにはほど遠く、」というふうに書いてあります。ただ、私がいろいろ聞いたところによりますと、当時預金保険制度もなかった時代にこれで食いとめたへ二割が破綻して、それで約五割に入れて、それで立ち直ったという説もありました。それから、おつりが来たという話もあります。それから、これと似たような例を実は北欧の三国でやっております。だから、あれは一九三〇年代の手法だというふうに決めつけるには、やはりこれも一つのマーケットの、そういうすくみ現象を正すという意味では有効ではないかというふうに考えるわけでございますが、どうぞよろしく御理解のほどをお願いします。     〔井奥委員長代理退席、委員長着席〕
  426. 上田清司

    ○上田(清)委員 大変ありがとうございました。  ただ、北欧の事例もやはりそうした役員とかの告発がむちゃくちゃあったということだけは御記憶にとどめておいていただきたいということを申し上げまして、終わります。ありがとうございました。
  427. 村上誠一郎

    村上委員長 次に、日野市朗君。
  428. 日野市朗

    ○日野委員 後にもっと質問者がいるかと思ったら、どうやら最後の質問者になったようでありますね。そう思って、つらつらといろいろこの両法案を見てみますと、ああ随分不勉強だったなと思うところがいっぱいあるのでございます。それで、いろいろ教えていただきたいということで、まず、いろいろと質問をしてまいりたいと思います。  時間が三十分しかございませんので、私の方も簡潔に伺いたいと思いますから、どうぞ簡潔にひとつお答えをいただければと思います。  要するに、公的資金をこれは銀行に投入するわけでございますね。銀行としては、みずからリストラをやって、そして自分たちの収益性を上げるという努力が当然必要になってまいります。先ほど岩國委員が、いろいろ本店の売却とか何か聞いておられました。まあ要は余りやっていないんですな。伺っておりますと、破綻した銀行であるとか、そんなところが、傾きかけたところが売ったとか、そういう話でございました。  私は、この銀行のリストラというのは、もっと変わった側面を今持たなくちゃいけないと思うのですよ。昔は間接金融中心というようなことがございまして、もう各地に支店網を張りめぐらしまして、そして預金を集めるというところに重点があった。そして、そうやって預金をできるだけ集めたところがいい銀行だ、こうされてきたのですが、最近はそうじゃないようですね。預金を幾ら集めるというよりはいかに運用をしていくか、それから、いかにマネー戦争といいますか、そういう中で勝ち抜くために経営をやっていくかということですね。  そういう観点から見た場合、現在の日本における銀行のリストラというものはどういうぐあいでございますか。私は、到底新しい銀行経営の形態にふさわしいようなリストラはできていないな、私は余りお金がないものですから余りそっちこっちの銀行に行ったことないんでございますが、私の感想としてそう思うんですが、いかがでございますか、局長
  429. 山口公生

    ○山口政府委員 銀行にもいろいろなタイプがございまして、ホールセール型もありますし、リテール型もございます。先生のイメージでの御質問は、一般の、預金を大量に集めてそれを運用するという形のものだと思います。  私は、ある銀行の若手の人たちに、何でこう新規参入が余りないんだと聞きましたら、実は、預金を集めて支店を張って、それを運用してもうけるという昔のパターンの業務はもうなかなかもうからない、人手はかかるし大変コストが高くつくというようなことを言っておりました。そういう意識を彼らが既に持ち始めております。  そうすると、できるだけそのコストを安くしながら、また、先生も御指摘のように運用力、これをつけていく。また、そのお金を動かすだけではなくて、いろいろな手数料収入で稼ぐ。これは手数料といっても、単に送金の手数料とかいうことだけじゃありません。あるお客の、ある中堅企業があるとします。その中堅企業が、こういうキャッシュフローがあります、この期間最高の運用をしたい、こういう期間にはこういう調達をしたいというときに、どういう商品でやったらいいかという例えばアドバイスをする、あるいはそういうのを仕組んであげる。こういうつまりマネジメントをやるという形でのフィーを取る。実は欧米の最高クラスの銀行には、もうそれで食っていく、つまり資産をどんどんふやしていくという経営戦略ではなくて、一言で言えば頭で勝負をするというような銀行も出てきております。  しかし、そういう銀行ばかりですと、私ども非常に困ってしまいます。私ども大衆の預金も受けていただかなければいけません。だから、そういう私どもに密着する、庶民の金融というのも必要だと思います。だから、中小金融機関もそれなりの役割を十分果たしていっていただきたいというふうに期待しております。  そうしますと、それぞれの立場立場での銀行がそれぞれのリストラをして、そのお客に一番いい商品を提供する、いいサービスを提供するということだと思います。それで、これまで十分だったかということになりますと、率直に言ってメーカーに比べていかがかなという議論が多いこともよく聞いております。しかし、最近は銀行も、私は本当に本気になってきているんではないかというふうに思っております。
  430. 日野市朗

    ○日野委員 これからの銀行業務というのは、確かにホールセール業務をやるものとリテール、リテーラーの方とで大きく分かれていくんでございましょうね。また、投資顧問であるとかそういったマネジメント、それから商品の開発能力、そういった結局人材をうまく使いこなしていくということがこれからの銀行にとって非常に大事なことになるんだろうというふうに思うわけであります。  そういう点で私は、この日本銀行のリストラということを考えるとき、人材をいかにうまく組織をして、そして海外の銀行なんかにも負けないような営業展開をするかということが大事なんだろうと思います。私は、決して本店をたたき売ったからいいとかなんとかいうことではないわけでありますが、それにしても、やはり銀行というものがもっと自分たちの収益が上がるような構造をつくっていくということの必要性というものは、強く私も感じているわけでございます。  ところで、今度はこの銀行業務をやっていくについて、早期是正措置をおやりになるわけでございますね。この早期是正措置というもの、これは八、四、こういう数字が提示されてございますね。まず八の方についていかがでしょう。海外に業務展開をやる場合ですね。これができなかった場合、八%を達成できなかった場合、どのような措置をなさいます。
  431. 山口公生

    ○山口政府委員 まず八%基準の場合でございますが、八%未満で四%までの間でございますと、経営改善計画を作成及びその実施の命令が出ます。四%を切って〇%までですと、具体的に増資計画の策定とか総資産の増加の抑制、圧縮、新規業務への進出禁止など、幾つか具体的な命令が出ます。それは、その銀行に一番必要な内容を具体的に命令という形で出すということになります。そういう形での、省令に基づいて明確な形で行政命令を出していくというものでございます。  ただ、国際的な基準としての八%、これはBIS基準ですから、国際的な活動をしている人の、言ってみればクラブに入れるか入れないかという問題でございますから、これはこれでもう一つの問題としてあるわけでございますが、今私どもの行政手法としての早期是正措置ということでありますれば、そういうことでございます。
  432. 日野市朗

    ○日野委員 まず、BIS基準を満たさないということになれば、それは国際的なクラブに入れない、こうおつしゃいました。それはいいわけですが、今日本銀行は、もう海外展開を物すごくやっていますね。何しろ日本はいまだに世界最大の債権国でございますから、それなりの非常なもろさというものも不安ではございますが、やはり一応これは日本にとって非常に財産なのでございましょう。海外的に展開をしておりますね。それでどうしても八%を満たすことができなかった、そうすると改善命令が出る、その改善命令に従うことができなかった、こういう場合、どうなります。
  433. 山口公生

    ○山口政府委員 その場合は、再度命令が出るということでございます。
  434. 日野市朗

    ○日野委員 再度これは命令といっても、そうすると、その命令に反した場合、命令の言うところが達成できなかった場合、それに対する行政処分というものがこれは下されるわけですか。行政処分が行われるわけですか。その命令が守られなかった場合の行政処分はいかがですか。
  435. 山口公生

    ○山口政府委員 その場合には、第二十七条で「大蔵大臣の処分に違反したとき」は云々ということで、命令をさらに打ったり、あるいはその業務の一部の停止とか、取締役もしくは監査役の解任とか、そういった規定がございます。しかも、これは罰則の適用もあるわけでございます。それは非常に極端な場合でございまして、いつもそうだというわけではありません。それはそれぞれの事情があって、またもう一回命令を打って、それですぐ直るという場合もあるでしょう。ただ、規定としてはそういう規定も用意されているということでございます。
  436. 日野市朗

    ○日野委員 国際的に見ると、日本金融機関というのは、非常に地位そのものがもろいといいますか、どちらかといえば基盤が弱いという金融機関が多いわけでございますが、こういう場合、その金融機関の活動の停止とか何かということがやはり金融秩序に影響を与えるということは非常に多いわけですね。こういう場合にも公的資金導入ということは考えるわけですか。
  437. 山口公生

    ○山口政府委員 公的資金導入する前提として、いろいろな、システミックリスクとかその銀行が破綻しそうではないとかいう要件がありますので、どういう場合でなければいけないということはありません。  ただ、今、日野先生がおっしゃったケース考えてみますと、一番あり得る姿は、もし国際的な活動をしている八%の銀行がどうしてもそれをクリアできないとなりますと、海外からは撤退ということになると思います。そうすると、四%銀行になります。つまり、国内基準銀行になってまいるわけでございます。そうすると、そこには少しバーが下がるという面がございます。そのかわり、海外からはみんな撤退しなければいけない。  ただ、撤退は、じゃ、あしたからすぐ撤退というわけになかなかいかないのがこの金融世界でございまして、お客様がその銀行から借りているわけでございます。だれかが、あるいは外国銀行がかわりに貸してくれれば、ずっと取引を継続してくれれば、それは問題ありません。あるいは別の邦銀が、わかりました、私がドルを調達してお貸ししましょうというふうにして日本から出ている企業に貸してあげれば、問題はないです。ただ、そういうことができない場合は、やはりそこはきちっとした始末をつけてからでないと、簡単には国内基準にはなれない。  したがって、半年とか一年とかかかるわけですけれども、現実問題として、そういう場合には、もう海外からは撤退するというような動きになるのが一番可能性としては高いのだろうという感じがいたすわけでございます。
  438. 日野市朗

    ○日野委員 そうですね。ほかの銀行に海外業務を譲渡するとか、それから場合によっては海外業務を展開している銀行と合併をするとか、そういう場合もあるでしょうけれども、そうすると、私が先ほど指摘したようなケースについては、この公的資金の投入はあるのですか、ないのですか。
  439. 山口公生

    ○山口政府委員 排除されておりますのは破綻をするおそれのあるところでございますので、それ以外のところは、可能性としてはあると思います。ただ、そこに私が入れるべきだとか入れるべきでないということを言っているわけではございません。
  440. 日野市朗

    ○日野委員 私、そこで非常に疑問に思うのは、実は山一なんですよ、山一証券。あれは自主廃業をしているわけですが、海外では非常にいい仕事をやっていたわけですね。そして、私も余り詳しく存じませんけれども、これは、富士銀行が融資ストップしたのでございますよ、運転資金がなくてバンザイしたのですよと言ってしまえば、そうです、確かにそのとおりです。しかし、預かり資産としては約二十四兆円を運用していたわけですね。それで簿外債務、これは褒められたことじゃない、これは非難されるべきことですが、大体二千六百億。そうすると、大体一%とちょっとぐらいということですね。これだけの活動をしていた日本の証券会社、何でこれを救済できなかったのかなという、証券局長が今はおいでになりませんから、私の感想を述べるだけにしておきましょう。  私は、日本で今海外に展開している会社、金融機関、これは率直に言って非常にいい仕事をしていると思います。これは日本の宝だな、こうも思っておるわけですね。これは銀行においてもしかりであります。こういうところはつぶしてもらいたくないなということでございますな。ぜひこれは、私自身、そういった銀行なんかの海外展開、こういったものにこれからも積極的な支援はされるべきであろうと思うし、この法律ができ上がって、私はこの法律には反対でありますけれども、できたら、そういうツールを多様に使って日本の企業がこれから海外展開するということをすべきだと思いますが、いかがなんでしょう。これは大臣に伺った方がよろしいかな。突然の問題提起だから、局長でよろしゅうございます。
  441. 山口公生

    ○山口政府委員 日本金融機関日本経済全体のためにいかに寄与できるかということは、一番最初に先生が御指摘になったリストラとともに、やはり自助努力、それから私どもの務めとしてはいろいろな環境整備、そういったことをもってそれを実現していきたいというふうに考えておる次第でございます。
  442. 日野市朗

    ○日野委員 次に、この法律は三月期ということを非常に意識された法律でございますね。これはもう法律的には書いてなくたって、この委員会のやりとりを聞いていれば、これはおのずと明らかです。  そこで、この三月を越えた段階で、ことしの三月期をうまくパスした、クリアした、そういう段階で何が起きますか。漠然としておりますか。よろしいですか。
  443. 山口公生

    ○山口政府委員 昨年の十一月ごろの金融不安は、年末資金、年末を越えられるかというようなことが、大型の金融破綻が起きた中で心配されたわけでございます。今は、三月期のことを非常に心配していろいろな現象が起きておる、好ましくない現象も起きているということでございます。三月を無事過ぎた場合には、おのずとそこの不安感はなくなる可能性が高いのではないかと思いますが、私自身、先のことをどうこうとなかなか予見はし得ないのでございますけれども、やはり一つ一つのクリアすべきポイントみたいなものがありまして、どうしてもそれを見て現在の行動を決めるというところがありますので、この三月期がどうしても意識に上った議論をさせていただいているということでございます。  ただ、この法律は二〇〇一年三月まででございますので、その期間あらゆる手だてが用意されているということで、ぜひ先生の御指摘のように我が国金融機関が、昔は物すごく高い評価を受けたのです。トリプルAがもうきら星のごとく我が国金融機関についたわけです。今は、大変残念なことですけれども、評価の高い銀行が少ないということでございますので、ぜひその点を頑張ってもらわなければいかぬというふうに思っておるわけでございます。
  444. 日野市朗

    ○日野委員 いや、全く数年前とは昔日の感でございますよ。もう銀行トップから十何位まで全部日本銀行が占めている。農林中金あたりが世界第七位の銀行だなんて言っていたのですから、農林中金あたりが。おまえさんのところがどうしてと言っても、それはそういう評価なのだからと、みんなで肩で風を切っていたものでございますが、現在、残念ながら、こういう状態になっております。これはちょっと考え過ぎもあると私は思っておりますけれども。  それはそれとして、貸し渋りという現象、これはこの三月期を越えたらよくなるとお考えになりますか。
  445. 山口公生

    ○山口政府委員 貸し渋りという現象も多くは三月期末を心配しての行動だというふうに言われております。したがいまして、この法律を早くお一通しいただけますれば、その辺が解決されるのではないか。いろいろなほかの貸し渋り対策も用意をいたしております。また、党の方でも、例えば土地の問題とかいうことで御議論をいただいております。そういった手だてを用意することによって、好ましくない現象をなくすことができるのではないかというふうに思っておりますし、四月以降、いつまでもそういった現象が起きないように努めていきたいというふうに思っております。
  446. 日野市朗

    ○日野委員 先ほど総理がおいでになったときに聞こうかと思ったのですが、時間の関係で聞けませんでしたが、景気対策ということで二兆円の減税を打たれる、それからこの二法案を提出される、そして日本発の恐慌は絶対に起こさない、こう総理が本会議場で演説をされた。私はそれを聞いていて、いささかこれは力み過ぎではないかな、こんな力んでいると、かえって世界金融機関が心配するのではないかななんという心配を実は僕はしたのです。  現在の国際金融流れというものは、そう簡単にデフォルトなんか起こさせるような状況ではありませんね。例えば韓国だってデフォルトを起こしてしまうのではないかと言っていたが、ああやってIMFなんかが中心になって積極的に支援をしていく。それからインドネシアだってそうだ。その前からだってメキシコとかいろいろの例がありまして、一遍でがたんといく、そういうようなことは今起こりにくい状況になっているのだと思うのですね。私、この法案を見て、言いたいことはわかりますよ。このようなでき上がってきている金融秩序などというものはきちんと守っていかなければいかぬ、おっしゃることはよくわかるのです。しかし、ここまで心配する必要があるのかどうかということについては、私は神経質過ぎやしないか。  確かに、去年の十一月、本当にそれまで七月-九月期なんか結構いい成長を上げて、前期比一・六%ぐらいプラスになっているわけですね。それがどうもまずくなっていったというのは、やはりアジアの問題もあるでしょうし、それから特に山一の自主廃業なんか大きいでしょうね。それから株価が非常に投機的な売りなんかが入って低迷をした、こういう状況があって、非常にみんな神経質になった。しかし、この年末を過ぎて、そして貸し渋りなどという状態が起きて、景気自体がずっと、何ですか、きょうあたりは後退ということになったのかな、後退までは行っていないのですか、しかし、少し心配のし過ぎではないかという感じを実は私は持つのですね。  私のこういう考え方というのは、こういうことをずっと繰り返して続けていくと、ますます銀行そのものが神経質になり過ぎて、もちろん早期是正措置や何かもあります。この貸し渋りというのは非常に大きい影響を景気に及ぼしていると私は思うのですよ。特に、担保を十分にとらなければ貸せないとか、そういうことになったら、我々はベンチャーだ、ベンチャーだ、こう言うが、ベンチャー企業なんというのは成り立たなくなってくるわけですね。  ちなみに、アメリカなんかのベンチャーキャピタルの動きを見ると、非常に積極的に動いていくわけですね。そういったベンチャービジネス、実はベンチャービジネスというのは日本語なのでして、英語にはないのだそうですな。ベンチャーキャピタルという言葉はあるが、ベンチャービジネスというのはない。アメリカで使われているのはスモールカンパニーですよ、あくまでも。そういったスモールカンパニーのやっている仕事をきちんと銀行が見て、それに対して金も出しましょう、それから経営面のいろいろなお手伝いもしましょう、それから人も場合によっては送り込みましょう、こういうベンチャーなんかを育てていく基盤というのは、日本と比べると非常に強力だ。しかも、銀行あたりがそういうものに対して積極的に乗り出していく。  昔は、銀行家というのはまず相手の目を見て貸したのだそうですな。相手の目を見て貸した。今は目を見て貸すような人はいませんよ。担保はどうですか、保証人はだれですか、こんなことで貸しているわけですな。むしろ、こういうのは少し神経質過ぎないか。これはもう、大蔵省、責任はどうだというようなことを言われると、それは大蔵省としては困るでしょうから、いろいろなこういう安全装置をつくりたい、その気持ちは私としてはわからないのではないのだ。ただ、このことによって、かえって銀行や何かを萎縮させてしまうということがありゃしないか、このことを私は心配します。  この点について、大臣、いかがですか。
  447. 松永光

    松永国務大臣 お答え申し上げます。  従来から三月危機などという言葉が新聞や雑誌等に躍っておりまして、やや言い過ぎではないかというふうに私は感じておったわけでありますが、しかし、いずれにせよ、三月になっても心配は要らないという状態をつくり上げることが、これが政治の務めだろうというふうに思います。  おかげさまで二兆円の特別減税、いよいよ二月、三月に重点的に減税が実施されます。補正予算の公共事業追加分二兆五千億もいよいよ実行に移されます。そういうような状況が出てまいりますと、私は三月は十分乗り切れるというふうに思いますし、日本人にはそれだけの活力がある、こういうふうに思うわけでありまして、いわゆる三月危機などということが絶対に起こらぬようにしていかなければならぬ、またしていける、こういうふうに思っているところでございます。
  448. 日野市朗

    ○日野委員 みんなでおおらかに日本の景気を回復していけるように、これは大蔵大臣、ひとつあなたの責任です。よろしくお願いします。
  449. 村上誠一郎

    村上委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。     ―――――――――――――
  450. 村上誠一郎

    村上委員長 この際、ただいま議題となっております両案中、預金保険法の一部を改正する法律案に対し、池田元久君外一名から修正案が提出されております。  提出者から趣旨の説明を聴取いたします。池田元久君。     ―――――――――――――  預金保険法の一部を改正する法律案に対する修   正案     〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――
  451. 池田元久

    ○池田(元)委員 池田でございます。  この金融関連二法、大変重要な法案でございます。政府案が提出されましたのは一月十九日、我々はその前後、精力的に検討し、修正案を提出いたしましたのが、二十八日にまとめ、二十九日。しかし、二十時間で、今や採決ということになっております。ドラマが始まり、役者がそろって口上を述べ、突然閉幕する、観客からはブーイング、こういう図式でございまして、大変遺憾に思っております。  さて、民友連提出の預金保険法の一部を改正する法律案に対する修正案の概要とその趣旨について、御説明をいたします。  現在の景気悪化の背景にある金融システムの不安を取り除くことは、我が国経済の回復に向けた緊急の課題となっております。私たち民友連は、金融システム不安の解消のためには、預金者保護を図りながら、より効率的で公的負担が少なくて済む形で、金融破綻による混乱を生じさせない仕組みを確立することが極めて重要であると考えております。同時に、金融不安の原因であります金融機関経営者のいわゆるモラルハザードの拡大を招かないためにも、不健全な銀行の救済に公的資金を使うべきではないと考えております。  こうした観点から、政府提出の金融システム安定化関連二法案全体に対する対案として、この修正案を提出するものです。  内閣提出預金保険法改正案は、破綻金融機関の処理に際して、不良債権の回収を民間銀行である整理回収銀行に委託するというスキームになっております。しかし、これまで回収を続けてきた大手の民間銀行でもなかなか回収できない不良債権を、民間銀行である整理回収銀行に任せても、その回収がおぼつかないことは、本委員会でも指摘された整理回収銀行の回収実績の低さから見ても明らかです。回収できない損失のツケをすべて国民に回す政府案では、国民の負担の増加に歯どめをかけることはできないと思います。  政府案で預金保険機構に与えている調査権限は、協定に基づいて整理回収銀行に委託された債権の回収に関連する事項に限られ、その権限も貸し手には及ばないなどの不十分なものです。整理回収銀行のトップは、過去の不透明で無責任な行政の責任を今問われております大蔵省のOBであり、公的資金導入の前提となる金融機関関係者の責任追及が公正な立場でできるとは到底考えられません。いわば、政府案は、穴のあいたバケツに国民の税金を注ぎ込むようなものです。国民の負担が膨大になってしまうおそれがあります。  そこで、民友連の修正案では、整理回収銀行預金保険機構が全額出資する「整理回収機構」に改組し、破産法上の更生管財人等の機能を与えるとともに、貸し手も含めた関係者に対する帳簿の閲覧請求などの罰則つきの立入調査権を持たせて、強力に債権回収を行うことができるようにしております。  また、整理回収銀行の営業の全部譲渡を受けることにより、整理回収機構自身が、破綻処理に際して一時的に営業を管理する、いわゆるブリッジバンクの機能を有することになります。  同時に、みなし公務員とする債権回収機構の職員には、不法行為に関する刑事上の告発義務や、債権回収に伴う関係者の民事上の責任追及に関する責務を負わせることとしております。責任追及の公正さを保つために、整理回収機構の責任者である理事長、副理事長には、大蔵省、日銀、金融関係者はつけない旨の欠格事由を規定し、役員はすべて国会の同意人事としております。  また、預金保険機構に、破綻処理に際してのブリッジバンクの設立を含めて、受け皿となる金融機関への出資機能を与えております。従来の資金援助と出資を併用することにより、破綻処理の方法を多様化し、あらゆる金融機関の破綻に柔軟に対応できるようにしております。これにより、政府提案の金融安定化緊急措置法案のように、金融機関全般に資本注入をするのではなく、破綻処理に限定して資本を注入する方策を確保できます。  さらに、金融監督当局に対して、公的な負担が最小になる破綻処理スキームを策定するよう求める最小費用原則を定め、破綻処理状況について、国会に、年に二度の定期報告と求めに応じた報告をするよう義務づけております。  ペイオフ実施までに金融機関破綻処理によって発生した預金保険機構の損失については、特例業務が終了する平成十三年三月末時点で集計し、まず特別保険料金融機関に一定の負担を求めた上で、なお残る損失について一般会計予算に計上し、年度を定めて補てんしていくこととしております。政府案のように、根拠もなく七兆円の交付国債の形で負担の上限をあらかじめ決めるのではなく、かかった費用を予算編成で優先的に措置する方針を定めることで、市場の不安を取り除こうとするものであります。  同時に、市場におけるいわゆる残存者メリット、残存者の利益を考慮して、金融機関に一定の負担を義務づけることで、金融機関経営努力を促し、政府案よりも国民負担を少なくすることができるものと考えております。  最後に、政府案のように、預金保険機構に債券を発行させたり、交付国債を市場で売却することは、民間の資金を公的に吸い上げることになりまして、政府が推進している貸し渋り対策とも逆行する政策です。債券の発行コス十分だけ公的資金が余計にかかります。また、不健全な銀行同士を大蔵大臣のあっせんで合併させる、前国会で問題となりました特定合併のケースは、明らかに破綻金融機関の救済になりますので、特例業務の対象から外しました。  以上が、民友連が提案しております修正案の概要であります。  我々の提案によって、明確なルールと、必要とするだけ資金を投入するという確固たる姿勢を示すことが可能になり、金融システム安定化を図れるものと確信しております。しかも、不良債権の徹底した回収と将来の銀行負担によって、政府案よりも国民の負担を少なぐすることができます。金融システムの再生を図るために、政府案より少なくとも数段すぐれたものであると強調したいと思います。  各党派の賛同を心からお願いし、趣旨説明といたします。
  452. 村上誠一郎

    村上委員長 これにて修正案についての趣旨の説明は終わりました。     ―――――――――――――
  453. 村上誠一郎

    村上委員長 これより内閣提出預金保険法の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案並びに金融機能安定化のための緊急措置に関する法律案の両案を一括して討論に入ります。  討論の申し出がありますので、順次これを許します。末松義規君。
  454. 末松義規

    ○末松委員 民主党の末松義規でございます。  私は、民友連を代表し、内閣提出預金保険法の一部を改正する法律案及び金融機能安定化のための緊急措置に関する法律案に反対し、民友連提出の預金保険法の一部を改正する法律案に対する修正案及び修正後の預金保険法の一部を改正する法律案に賛成する立場から討論を行います。  私たち民友連は、金融システム安定化のための公的資金投入については、金融機関経営者や行政の責任追及情報公開を徹底した上で、金融機関破綻処理に伴う預金者保護に限定して行うべきであると考えます。公的資金による優先株等の引き受けについては、破綻処理に伴う受け皿銀行や新銀行への適用は破綻銀行預金者保護という観点からやむを得ないと考えますが、一般金融機関への適用には反対です。  というのは、金融機能安定化のための緊急措置に関する法律案は、破綻処理の受け皿銀行にとどまらず、一般金融機関の優先株等の引き受けをも認めるもので、信用秩序の維持という美名のもとに、公的資金預金者保護を超えた金融機関の救済を行うことになるおそれが極めて大きいと言わざるを得ないからでございます。  また、政府預金保険法改正案による整理回収銀行の機能強化は、債務者の担保不動産等への立入調査権にとどまり、関係金融機関やその経営者に対する調査については何の強制権限も設けられておりません。これでは、無理な追い貸しや系列ノンバンクへの乱脈融資を行った金融機関経営者の責任を十分に追及することはできません。そうすると、債権の回収が十分に行われないことから、結局、国民に負担をお願いする金額は膨れ上がってしまいます。  さらに、政府提出の両法案は、公的資金の投入についての有効な歯どめを持っておりません。つまり、政府案は、当事者である銀行の負担をはっきりさせないで、金融機関を甘やかし、安易な国民負担の増加を招く可能性が非常に大きいと言えます。  これに対しまして、民友連提出の預金保険法改正案に関する修正案は、破綻処理時の受け皿銀行への出資等は可能にしながら、公的資金による一般金融機関の優先株等の引き受けは行いません。一方で、預金者保護には公的資金を投入してでも万全を尽くしております。こうすることによって国民の負担を最小限にすることができるのです。  次に、民友連の修正案は、整理回収銀行の業務を引き継ぐ形で公的債権回収機関である整理回収機構を創設し、これに管財人機能や強制立入調査権を持たせます。整理回収機構には、悪質な借り手のみならず、関係する銀行経営者の不正の告発義務を負わせ、債権回収を強力に進めるとともに、責任追及を徹底的に行うことができます。  また、民友連案では、破綻処理に要する金額を最小限にするという方法をとることを預金保険機構に義務づけ、二〇〇一年三月時点で預金保険機構特例業務勘定に累積欠損金があるときには、特別預金保険料の形で一定の銀行業界による負担を求め、さらには、整理回収機構によって債権の回収も政府案よりもはるかに強力に行うことによって、公的資金の投入額を最小にできるようにしてあります。  以上述べました理由から、私ども民友連としては、内閣提出預金保険法の一部を改正する法律案及び金融機能安定化のための緊急措置に関する法律案に反対し、民友連提出の預金保険法の一部を改正する法律案に対する修正案に賛成し、修正後の預金保険法の一部を改正する法律案に賛成することを強く申し上げ、各党の皆様の御賢明な御判断を期待し、私の討論を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
  455. 村上誠一郎

    村上委員長 次に、石井啓一君。
  456. 石井啓一

    ○石井(啓)委員 私は、平和・改革を代表し、ただいま議題となりました金融機能安定化のための緊急措置に関する法律案に反対し、また、民友連提出の預金保険法の一部を改正する法律案に対する修正案に賛成する立場から討論を行います。  このたびの一連の大蔵省不祥事は、国民大蔵省に対する信頼を完全に失墜させ、金融機関大蔵省幹部とのなれ合い、癒着の実態に国民の怒りは頂点に達しております。業界からの接待漬けにおぼれ、あろうことか、強大な権力を背景にして、大蔵省検査に手心を加えたり、検査報告書金融機関に横流ししたり、さらには、いかがわしい飲食店への接待を要求するといった、耳を疑いたくなるような事件、実態が明らかになっております。  私は、大蔵省をめぐる一連の不祥事をかんがみれば、金融機関の救済を目的とした公的資金導入など到底容認できません。そもそも、金融機関と癒着した大蔵省が提出した法律案に対し、深い疑念を抱かざるを得ないというのが偽らざる心情であります。  今、政府が最優先で取り組むべき課題は、大蔵省内に蔓延した業界との接待汚染などの実態を徹底して調査し、その全容を国民の前に明らかにすること、さらには、緩み切った官僚、公務員の綱紀粛正を徹底させ、再発防止に全力を挙げることであると考えます。  以下、順次、二法案、修正案についての見解を申し上げます。  まず第一に、今回の金融システム安定化対策のスキームである総計三十兆円の公的資金導入のうち、金融安定化法案に基づく十三兆円は、金融システム安定化と称した金融機関の救済にほかならないという点であります。  公的資金導入の原則は、預金者保護のためであり、金融機関の救済であってはなりません。金融ビッグバンを目前に控え、むしろ破綻すべき金融機関は早急にまとめて整理すべきであります。病巣を切除せずして、危ないからといってやみくもに公的資金導入することは、結局のところはむだ金になってしまうことになりかねません。法案の中の民間金融機関の優先株や劣後債などの引き受けは、経営者のモラルハザードを引き起こすことは必至であると言わざるを得ません。  第二に、政府案では、護送船団方式という裁量行政の仕組みを温存するのみならず、むしろ拡大する方向にあるということであります。  その典型は、金融安定化法案では、優先株等を購入する対象金融機関をどこにするかを審査するのは、大蔵大臣金融監督庁長官、日銀総裁を含めた審査機関となっております。これは、事実上、大蔵省影響を隠然と残す制度となっており、裁量行政の拡大でしかありません。また、既に東京三菱銀行など優良銀行と言われるところが優先株の発行の意思を表明しなければ制度として成り立ち得ない、成り立ちにくいことから考えれば、まさに護送船団の仕組みそのものであると言わざるを得ません。  第三には、預金者保護のための公的資金導入に当たっては、日本版RTCを創設すべきであります。また、政府が言うような中小企業者への貸し渋り対策には決定的な効果がないということであります。  今日の金融不安を招くまで放漫経営を続けてきた金融機関経営者や、護送船団方式という裁量行政で問題を隠ぺい、先送りしてきた大蔵・金融行政の責任を徹底究明すると同時に、不良債権を強力に回収し、公的資金導入するに当たっても、その最小化を図ることが重要であります。  その意味においても、預金者保護のための公的資金導入に当たっては、徹底した情報開示と同時に、不公正な取引が破綻の原因となった場合の経営者の刑事、民事責任の明確化及び強力な不良債権の回収が必要であり、日本版RTCを創設するべきであります。  また、今緊急の国民的課題である貸し渋り対策でも、原案のようなやり方では、優先株引き受けなどによる自己資本増強の目的が不明瞭な分だけ、金融機関不良債権処理に回す可能性も高く、貸し渋り対策としての実効性は薄いと言わざるを得ません。  なお、預金保険法の一部を改正する法律案につきましては、かねてより私どもが主張してきた預金者保護のための公的資金導入であり、おおむね評価できますが、民友連提出の預金保険法の一部を改正する法律案に対する修正案は、日本版RTCである整理回収機構を創設していることなど、さらに前進した内容となっていることなどから、賛成をいたします。  最後に指摘しなければならないことは、そもそも今日の金融システムの不安を招来させたのは、橋本内閣の経済失政であるということであります。総理は、今日の金融不安を招いた根源的原因に触れず、金融機関の相次ぐ破綻により預金者に不安と動揺が広がるとともに、我が国金融システムに対する内外の信頼が大きく揺らぎかねない状況にあるとし、危機管理として、今回の二法案の成立を一刻も早くお願いしたいと言い続けてきました。しかし、こうした事態を招いたのは、政府のバブル崩壊以来の経済政策の不手際であり、膨大なる不良債権を生み出してきた金融機関そのものの責任を不問に付すという金融政策の失敗にあるのであります。  また、橋本内閣は、従来から、特別減税はやらない、銀行救済のために税金を投入しないと再三言ってきたにもかかわらず、その変更をいとも簡単にしておきながら、今までの判断の間違いと、その結果、政策不況をもたらしたことについても、国民に何らの反省の言葉がないことは極めて遺憾であります。  橋本内閣の退陣こそが最大の金融経済対策であることを最後に指摘して、私の討論を終わります。(拍手)
  457. 村上誠一郎

    村上委員長 次に、一川保夫君。
  458. 一川保夫

    一川委員 私は、自由党を代表して、政府提出の預金保険法の一部を改正する法律案及び民友連提出の預金保険法の一部を改正する法律案に対する修正案に賛成し、政府提出の金融機能安定化のための緊急措置に関する法律案に反対する立場から討論いたします。  今や、日本金融システムは崩壊寸前であり、信用収縮が倒産の多発を招くなど、恐慌寸前とも言える経済状況であります。これらはすべて不良債権処理の見通しを誤り、景気判断を間違い続けた橋本内閣の失政の結果にほかなりません。  政府は、一昨年の住専国会の際には、我が国金融機関不良債権の総額は約三十八兆円であり、公的資金は住専と信用組合の破綻処理にしか使わない、また、昨年末には、金融機関経営状況改善しているとしていたのであります。  また、大蔵省金融検査部の不祥事は、まさに政官業癒着の典型であり、護送船団行政のなれの果てであります。今や金融行政銀行業界への信頼など一かけらもありません。大蔵大臣辞任は当然であり、遅きに失しておりますが、大蔵大臣辞任では行政への信頼回復などあり得ません。金融システムへの不安を解消するための第一歩は、事前指導型の裁量行政から事後チェック型のルール行政へと改革し、透明さを増して市場信頼を取り戻すことであります。  橋本内閣の金融政策は、隠ぺい、場当たり、先送りの連続でありました。  昨年末預金保険法の改正があったにもかかわらず、またもや預金保険法を改正するなど、相次ぐ金融機関の破綻とそれを後追いする制度の朝令暮改が、預金者に不安を与え、金融危機を助長しているのは間違いありません。抜本的改革が行えないのは、政府の危機的状況への認識の甘さと怠慢であります。  公的資金を大規模に投入する前提として、金融機関救済に使用せず預金者保護に限定するためには、破綻金融機関を整理する場合に、解散するか、継承するかの決定を厳格なコストテストにより行う必要があります。受け皿銀行大蔵省が強制的に名乗りを上げさせ、経営者は辞任して終わりでは、公的資金導入に対する国民理解は得られません。  優先株等の公的資金による引き受けは、金融機関救済であり、護送船団行政を強化し、真っ向から金融ビッグバンに逆行するものであります。市場原理という理念は看板倒れに終わり、国際世論からも理解が得られるはずがないのは当然であります。健全銀行は優先株を発行する必要などもとよりありません。また不健全な金融機関は、優先株の買い入れを断られた場合、死刑判決と同じ意味を持ち、即座に取りつけ騒ぎに発展するおそれも生まれてまいります。審査委員会は購入を断れないため、結局、事前審査、行政指導による優先株の強制発行が行われるのは目に見えております。これこそが官が民を指導、誘導する護送船団行政の拡充強化であります。  安易な救済は金融機関経営努力を怠らせるのみであり、他産業に比べて高い給与の是正など、まだまだ大胆なリストラの余地があるはずであります。また一般企業に比べ余りにも不公平であり、モラルハザードは銀行だけではなく日本全土に蔓延するに違いありません。  この法改正は、破綻金融機関、放漫金融機関を護送船団により二十一世紀まで生き延びさせるためのびほう策であり、過保護にされた金融機関は、金融ビッグバンを迎え厳しい国際競争にさらされたときに、再度深刻な危機に直面するに違いありません。十三兆円の公的資金はすべて財政赤字となる可能性も秘めております。また法案審議の前提となるべき不良債権の額は、高級料亭や風俗店での談合と贈収賄検査によりねじ曲げられており、まさに言語道断でございます。政官業の癒着、護送船団行政が改まらない限り、公的資金による金融機関救済は、まさに盗人に追い銭であります。  以上、政府提出の預金保険法の一部を改正する法律案及び民友連提出の預金保険法の一部を改正する法律案に対する修正案に賛成し、政府提出の金融機能安定化のための緊急措置に関する法律案に反対する理由を申し述べ、討論を終わります。(拍手)
  459. 村上誠一郎

    村上委員長 次に、佐々木陸海君。
  460. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 私は、日本共産党を代表して、政府提出の預金保険法一部改正案並びに金融機能安定化緊急措置法案の両案に対し、反対の討論を行います。  政府は、この二法案について、北海道拓殖銀行や山一証券の破綻によって金融不安が起こった、だから三十兆円が必要だと説明してきました。しかし、一連の大蔵汚職事件をきっかけに、三十兆円投入計画の引き金となっているこの二つの破綻への大蔵省の関与が焦点となり、疑惑の解明が法案質疑の前提として求められております。  疑惑解明のために不可欠な要求資料もまだ提出されず、責任の徹底究明もなされていません。法案質疑の前提を全く満たさないまま、法案の採決をひたすら急ぎ、強行するやり方は、到底国民の納得を得られるものではありません。  反対する理由の第一は、預金者保護を名目とする金融機関破綻処理への十七兆円投入策が、住専国会以来の政府公約、すなわち信用組合以外の金融機関破綻処理金融システム内の負担で行うという政府公約に反するものだからであります。  預金者保護することは、そもそも銀行業界の責任であり、預金保険機構の財源が不足しているなら、これまでの政府の言明どおり、預金保険料の引き上げで対応すればよいのであります。銀行業界全体にはそのための十分な体力があることも、これまでの質疑政府自身が認めています。しかも大手の都市銀行などまともな保険料を払っていないことも、我が党が指摘してきたところであります。税金で賄う理由は全くありません。  第二に、金融機関自己資本増強のための十三兆円投入策についてであります。  政府は、これを金融システム安定化のためのものだとしていますが、これは個々の銀行への支援そのものであり、国民の税金で個別銀行の体力増強を図ろうというものにほかなりません。大手優良銀行をさらに支援するなど、言語道断であります。  反対する第三の理由は、今日の金融破綻に対する大銀行金融業界の責任を不問にする一方で、そのツケを国民に負わせようとするものであるからであります。  今日の金融機関の破綻は、バブル時代からの乱脈経営による不始末の結果であり、その責任が破綻金融機関経営者と関係金融機関、バブルに踊った金融業界、そして、その乱脈を推奨し放置してきた歴代政府大蔵省にあることは明白であります。国民はその被害者でこそあれ、何の責任もないのであって、その負担を強要されるいわれは全くありません。  この間の質疑の中で、政府は、銀行の国際競争力強化のために今回の支援策が必要だと認めました。結局、金融ビッグバンの本格実施を前に、二法案を車の両輪として、一方で大銀行に国際競争力をつけてやり、他方で競争に敗れた中小金融機関の整理、淘汰を進める、その費用を税金で賄おうというのが二法案であり、このような大銀行支援の法案は断じて認められません。  最後に、民友連提出の預金保険法案に対する修正案について、一言申し上げます。  同修正案は、特別保険料の徴収による特例業務勘定の累積欠損金の補てん等、金融機関に一定の負担をさせることを盛り込んでいるなど注目すべき面がありますが、政府保証の履行による公的資金の投入が前提とされている点で我が党と見解を異にしており、賛成できないことを申し添えておきます。  以上で、日本共産党を代表しての反対討論といたします。(拍手)
  461. 村上誠一郎

    村上委員長 これにて討論は終局いたしました。     ―――――――――――――
  462. 村上誠一郎

    村上委員長 これより採決に入ります。  預金保険法の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。  まず、池田元久君外一名提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  463. 村上誠一郎

    村上委員長 起立少数。よって、本修正案は否決いたしました。  次に、原案について採決いたします。  原案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  464. 村上誠一郎

    村上委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  次に、金融機能安定化のための緊急措置に関する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  465. 村上誠一郎

    村上委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました両法律案に関する委員報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  466. 村上誠一郎

    村上委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――     〔報告書は附録に掲載〕     ―――――――――――――
  467. 村上誠一郎

    村上委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後十時五十一分散会      ――――◇―――――