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1998-05-15 第142回国会 衆議院 消費者問題等に関する特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十年五月十五日(金曜日)委員会において、 次のとおり小委員及び小委員長選任した。  遺伝子組換え食品表示問題等に関する小委員       大村 秀章君    岸田 文雄君       河野 太郎君    鈴木 恒夫君       石毛 鍈子君    樽床 伸二君       青山 二三君    佐藤 茂樹君       藤田 スミ君    中川 智子君  遺伝子組換え食品表示問題等に関する小委員  長              岸田 文雄君 ――――――――――――――――――――― 平成十年五月十五日(金曜日)     午前九時四分開議 出席委員   委員長 前田  正君    理事 小野 晋也君 理事 岸田 文雄君    理事 河本 三郎君 理事 佐藤 剛男君    理事 石毛 鍈子君 理事 樽床 伸二君    理事 青山 二三君 理事 松浪健四郎君       飯島 忠義君    小此木八郎君       大村 秀章君    小林 多門君       河野 太郎君    桜田 義孝君       鈴木 恒夫君    能勢 和子君       渡辺 具能君    木幡 弘道君       城島 正光君    肥田美代子君       丸谷 佳織君    佐藤 茂樹君       藤田 スミ君    中川 智子君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      尾身 幸次君           出席政府委員         公正取引委員会         委員長     根來 泰周君         公正取引委員会         事務総局経済取         引局取引部長  上杉 秋則君         公正取引委員会         事務総局審査局         長       山田 昭雄君         経済企画庁調整         局審議官    小林 勇造君         経済企画庁国民         生活局長    井出 亜夫君         経済企画庁物価         局長      金子 孝文君         経済企画庁総合         計画局長    中名生 隆君         経済企画庁調査         局長      新保 生二君  委員外出席者         厚生省生活衛生         局水道環境部環         境整備課長   入江登志男君         運輸省運輸政策         局観光部企画課         長       本保 芳明君         衆議院調査局第         二特別調査室長 田中 宗孝君     ――――――――――――― 委員の異動 四月二十二日  辞任         補欠選任   伊藤 達也君     木幡 弘道君     ――――――――――――― 四月三日  遺伝子組換え食品表示に関する請願平賀高  成君紹介)(第一一三〇号)  同(吉井英勝紹介)(第一一三一号)  遺伝子組換え食品表示義務化に関する請願  (保坂展人君紹介)(第一二二六号) 五月十五日  遺伝子組換え食品表示に関する請願中島武  敏君紹介)(第二六六一号)  同(中林よし子紹介)(第二六六二号)  同(春名直章紹介)(第二六六三号)  同(東中光雄紹介)(第二六六四号)  同(平賀高成君紹介)(第二六六五号)  同(藤木洋子紹介)(第二六六六号)  同(藤田スミ紹介)(第二六六七号)  同(古堅実吉紹介)(第二六六八号)  同(不破哲三紹介)(第二六六九号)  同(松本善明紹介)(第二六七〇号)  同(矢島恒夫紹介)(第二六七一号)  同(山原健二郎紹介)(第二六七二号)  同(吉井英勝紹介)(第二六七三号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 五月十三日  遺伝子組換え食品表示義務化に関する陳情  書外九件  (第三〇九号)  は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  小委員会設置並びに小委員及び小委員長選任の  件  参考人出頭要求に関する件  小委員会における参考人出頭要求に関する件  物価問題等国民消費生活に関する件      ――――◇―――――
  2. 前田正

    前田委員長 これより会議を開きます。  小委員会設置に関する件についてお諮りいたします。  遺伝子組換え食品表示問題等調査するため小委員十名よりなる遺伝子組換え食品表示問題等に関する小委員会を設置いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 前田正

    前田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  小委員及び小委員長選任につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 前田正

    前田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  それでは、小委員に       大村 秀章君    岸田 文雄君       河野 太郎君    鈴木 恒夫君       石毛 鍈子君    樽床 伸二君       青山 二三君    佐藤 茂樹君       藤田 スミ君    中川 智子君 以上十名の方々を指名し、小委員長には岸田文雄君を指名いたします。  なお、小委員及び小委員長辞任の許可並びに補欠選任につきましては、委員長にあらかじめ御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 前田正

    前田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  次に、小委員会におきまして、参考人出席を求め、意見を聴取する必要が生じました場合には、参考人出席を求めることとし、その日時、人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 前田正

    前田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。      ――――◇―――――
  7. 前田正

    前田委員長 物価問題等国民消費生活に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小野晋也君
  8. 小野晋也

    小野委員 ただいま日本経済は本当に困難な中に置かれているわけでございますが、この経済困難を考えております中に、石油ショックの後の福田内閣のもとで、果断なるいろいろな政策が打ち出されながら日本経済体質転換が行われた、こういうことを思い出すわけでございますけれども、そのときに、もう亡くなられました福田先生が言われたのは、働こう内閣ということでありました。  私は、経済企画庁職員の方からお話を承っておりますと、尾身長官におかれましては、毎晩十一時過ぎまで長官室の方におられて、仕事にいそしんでおられる。国難のこういう事態の中で、身も心もその中に投じていただいて、この困難を乗り切るために御努力いただいているお姿にます敬意を表し、これからの御活躍を御期待したいと思います。  きのうも緊急経済対策特別委員会が開催されておりまして、尾身長官の登場される場面も非常に多くあったわけでございますが、その御答弁をお伺いする中で、一つ耳に残る言葉というのが、経済生き物という表現でございました。  この表現は本会議の中でも御答弁の中で使っておられた言葉でございますが、この言葉をお伺いしながら、私はふと一つ言葉思い浮かんだわけでございます。それは何かというと、やはり混乱期でありました幕末の時代でございますが、長州の志士でありました吉田松陰先生言葉であります。二十のころに、世間を知らずして世の中を語ることはできないと言って九州の方へ旅立たれるわけでありますが、その旅立ちのときにこんなことを書き残しておられるのですね。  心はもともと生き物生き物には必ず機がある。機というのは機会の機、チャンスの機ですね。機は触れるに従って発し、感にあって動く。感は感動するというときの感であります。こういう言葉を語って、先ほど申しましたとおり、旅立っていき、志士としての見識を広められ、日本の国のあり方を考えていったわけであります。  そのことを思い浮かべましたときに、私は、日本経済という、ちょっと次元の違う話ではありますけれども、この日本の大きな経済も今まさに旅をしている段階ではなかろうかという気持ちがしてならないのであります。新しい時代経済の姿を求めての旅、この旅の中でいろいろなことに我が経済が出会いながら、自分自身をその中から脱皮をさせていくという意味合いを持つ旅なのだろうという気持ちがいたします。  そういうことを考えますと、私は今、日本経済、またその経済を構成するところのさまざまな企業というようなものが、いろいろなものにどんどん出会いながら、その出会いの中に、みずからを打ち破っていくような取り組みをやっていくべきときであるという思いを日々深めているわけであります。  しかしながら、そういう意識を持ちましたときに、同時に現実の問題というのも目の前に見えてくるわけでありまして、日本経済社会を見ておりますと、やはり今まで指摘がされてまいりましたように、非常に閉鎖性が強いということを御指摘を申し上げなくてはならない気持ちがいたします。みずから新しい可能性を求め、そしてそこに挑戦をしていこうという姿勢が弱いということが、この日本の国の活力を弱めているということになっているのではなかろうかという思いを持つわけであります。  この点は、考えてみますと、日本列島の中で長い年月にわたって、一民族とは申しませんけれども、ほとんど同質の方々がここに長い間住まわれ、同じ言葉を語り、同じよう文化の中に生きてきたわけでありますから、自然のうちに連帯感が生まれているわけでありますし、そういう社会でありますと、逆に異質のものを積極的に、意識的に求めて、そこに新しいものを生み出していこうという力がよほど危機感が生まれないと出てこないということを考えねばならないと思うわけであります。  そこで、先ほど吉田松陰先生のお言葉を引用させていただきましたけれども、二つの点の問題が出てくるのだろうと思うわけであります。  最初は、その周遊の中で出会い、機に触れて初めて新しいものへの目が開けるんだというよう指摘がありましたが、異質のものを積極的にみずから求める個々人意識が必ずしも日本の国は高くないという問題であります。  それから、もう一つ問題点というのは、社会的に見ました場合に、相互に多様なものが交流しながら新しいものを生み出していくというシステムが必ずしもこの国の社会の中で育っていない。これが育っていないがゆえに、感にあって動くという表現が先ほどありましたが、共感しながら新しいものに向かって動いていこうというパワーがなかなか出にくいということなのだろうと思います。  不況になると私たちがよく使う言葉は、活性化という言葉であります。この言葉は、もともとは化学用語、ケミカルの用語でありまして、分子が、それぞれのエネルギーレベルが高くなり、そしていろいろな分子がぶつかり合う頻度が高くなるよう状況になってぐると、お互いぶつかった分子が反応を起こして新しい物質を生成しやすくなる、だから活性化という言葉はもともと一つ一つのもののエネルギーレベルが高まってくるというようなことにあることを考えますと、今申しましたように、日本社会活性化していこうということを言うならば、より個々人が、また個々企業エネルギーレベルを高める、それでそれらが相互にぶつかり合っていけるよう仕組みをうまく整えていくというようなことに取り組んでいくことが、現在の日本社会についての一つのヒントになるのではなかろうかという気持ちがいたします。  本会議答弁等でも、皆さんが言われておりましたのは、日本の国はまだまだ底力があるのだ。千二百兆円の個人的資産、また勤労精神、また優秀な企業、さまざまな科学技術、こういうものを総力を合わせてやっていくならばこの国はこの困難を乗り越えられるのだというふうなお話でございましたが、その前提としての我々の持つべき意識の問題、また社会仕組みの問題等々もこれから考えながら活性化した社会をつくり上げていかねばならない、こんな思いでございます。  ちょっと前段が長くなりましたけれども長官にお尋ねをさせていただきたいと思いますのは、このよう状況の中にありて、日本経済ないし日本企業体質的なところにおける問題点というものをどういうふうに把握されながら経済運営に臨んでおられるのかという点が一点でございます。  それから、もう一点は、活力ある経済を生み出すために必要なこの国の羅針盤、これは、最近内閣等経済改革プランが打ち出されたりしまして、新規十六分野を育てますというよう議論ですとか税制だとか、きのうも土地の証券化問題だとか、現実政策レベル議論というのは随分いろいろとなされてきているわけでございますが、その現実制約を少し離れていただいて、長官自身が持っておられる未来の日本経済に対するイメージまたビジョン、こういうものをちょっと自由奔放に語っていただけたらありがたいなというふうに思います。どうかよろしくお願いいたします。
  9. 尾身幸次

    尾身国務大臣 大変に難しい問題といいますか、大きな課題についての御質問をいただきました。  私自身も、今小野委員の言われたように、日本経済を一体、あるいはもっと言えば、日本社会をどういうふうな社会に二十一世紀に向かって持っていくか、持っていくかというよりも、そういう国を構築するかということについて日夜考えているところでございます。  基本的には、やはりこれからの社会は、自己責任原則に基づいて、個々人々自由裁量あるいは判断、そういうものを基本にしながら、民間活力を中心として活性化していく、個々人創意工夫を生かしていくということが基本ではないかというふうに考えている次第でございます。  そういう中で、日本という国が、大きく言いまして、例外は多少ありますけれども原則一国家一民族といいますか一人種であるという、そういうことから非常に同質的な社会になっているわけでございまして、多様化あるいは異質化ということがしにくい社会になっております。世論が片方に傾きますと全部の国民がその方向に行ってしまう、また反対に振れると反対に全部行ってしまうという意味で、大変にほかの国とは違った社会文化を持っているように感じている次第でございます。  私も一時期アメリカ生活をしたことがございますが、ああいう多様な社会では、一つ一つの問題について全く異なった意見をいろいろな人がオープンに語り合い、その中から一つ社会形成をしていくという多様社会でございまして、そういう点、日本という国が全体の社会あるいは国際社会の中でやはり一味違った体質を持っているということを十分に認識していかなければならないと考えている次第でございます。  いずれにいたしましても、このグローバル化する社会経済の中で、これからしっかりと国をつくり上げていかなければならない立場から見ますと、多様化社会のいいところを取り入れて、オープンな形でいろいろな議論をし、あるいは競争をし、その中からまさに活力のある社会をつくり上げていくということが大変大事だというふうに考えております。  そういう方向を考えますと、やはり規制を緩和し、できるだけ個々人々あるいは個々企業活力を十二分に生かせるような伸び伸びとしたオープンな社会をつくっていくことが大事ではないか、今小野委員お話を聞きましてそのような感想を持った次第でございます。
  10. 小野晋也

    小野委員 日本経済はこれまでも、戦後五十数年間、成長路線を歩み続けてきたと総括的には言われますけれども、その時々を見れば、やはり好景気のときもあれば不景気のときもある。しかし、これまでの時代のことを語るならば、不景気のときも日本人は何らかの希望を失わずにやってこれたという気がするわけでございます。  その原点は何だろうかと考えましたときに、ある一つの業態、また企業、また商品、こういうものが最もよく売れる、経済に貢献するという時代を過ぎて凋落するよう状況が生まれたときに、必ず次なるものが目の前に見えてきたという部分があったような気がしてならないのですね。石炭産業が衰えてき始めると次は鉄鋼産業ようなものが見えてくる、鉄鋼産業というものが最盛期になってそろそろこれ以上成長可能性はどうだろうなという気分が生まれてくるころになると自動車産業だとか電機産業だとか次の時代をリードするようなものが見えてくるというようなことを繰り返しながら、日本経済は、その体質も転換しつつ、成長路線を歩んでこれたような気がします。  それに対して、今の時代の、閉塞感ということを皆さん言われますが、何かしらどうしようもないような、動かしようのないよう雰囲気というものは、新しいものが生まれてくる気風に少し乏しいのではないだろうかというよう部分を実は感じております。  私どももちょっと今青年問題に力を入れながら取り組ませていただいているのですが、こういう時代になれば若い人たちがもっと元気を出さなければだめではないか。今明治維新の吉田松陰先生の話を申し上げたわけでございますが、混迷の時代になると、若い人たちが次の時代ビジョンを打ち出して、そして世の中を闘いながら切り開いていくという、この日本社会のこれまでの歩みを見てまいりましたときに、やはり経済の中に新しい勢力を育てていく、そういうふうな気力のある、また力のある人たちが伸びられる社会をつくっていくということが何より大事な課題よう気持ちがいたしております。  ぜひ、経済企画庁皆さんにおかれましては、そんな意味合いも込めて、経済のかじ取りをよろしくお願い申し上げたいと思う次第でございます。  それから、次の質問に移らせていただこうと思うわけでございますけれども、私は、この経済対策、十六兆円に及ぶものを橋本内閣が打ち出していただいて、恐らくこれからだんだんと明るい兆しが見えてくるだろうと思います。しかしながら、その一方で、もう少しやれることがあるのではないかなという気持ちが胸の中にあるのもまた事実でございまして、それは何かといいますと、この経済対策は、国が主導をして大規模に大きくその網をこの日本列島全体にかけるよう政策になっているわけでございますが、もう一方で、草の根の動きというものを育てていく必要もあるのではないかという考え方でございます。  例として適当でないのかもしれませんが、私は、やはり青年期というとベトナム戦争というような中に過ごしましたものですから、どうしてもそういうときの印象があるわけでございますが、アメリカ軍がB52戦略爆撃機をどんどん投入して、大型爆弾をどんどんベトナムのジャングルに落としていく。その近代兵器の力をもってベトナム戦争はすぐに解決するだろうというよう気持ちがしておりましたところが、あに図らんや、ゲリラの勢力の方が結局時間がたつに従ってまさってきて、サイゴンの陥落、そしてアメリカ軍の撤退というふうな事態になりました。  それを見ながら、上から空爆をするようなものだけではやはり本当の戦いというのはできないのだなということを胸に感じたわけであります。つまり、空からの、大づかみな形のダメージを与えるよう戦略と同時に、地上戦を展開しながらその地域の特性をよく周知し、個々の小さな戦いをきちんと押さえていくというようなものが両々相まって戦いというのはうまく進行するのだなというよう印象を持ちました。  私たちがこの経済社会の中でやっているものも、ある意味ではこれは戦いであり、それには戦略が求められるということを考えてまいりました場合に、国が打ち出す大きな目からの経済対策と同時に、各地域における経済活性化という問題を組み合わせていかねばならない、そんな思いを強く持っているわけでございます。  そこで、地域の側でその役割を担えるものは何かということになりますと、やはり地方自治体ということになってくるであろうと思います。  これはもう大臣もよく御存じのとおり、地方自治体がみずからの事業を誘致するという場合に、私どももよく経験があるわけでありますが、事業が決定する段階まで、国が予算をつけるというよう段階までは、市長さんやその地域の議員の皆さん方や役所の皆さん方は非常に熱心に御説明にもお見えになるし、また、その予算をいただきたいということで陳情活動も一生懸命やられる。ところが、事業が決まってしまうと、何かこれで終わったのだというよう雰囲気が流れるのですね。それで後、その誘致したものがうまく利用されているかされていないかということがあいまいになるような傾向が少しあります。  それと同時に、市役所職員立場から考えてまいりました場合も、その事業に対して非常に情熱を持って、必要性を感じて取り組もうという人間が出て、ばりばり仕事をし始めると、おまえは何でそんな目立つことをやりたがるのだ、おまえがそこまで仕事をやったら周りの人間が迷惑なんだということで、どうも横並び意識というのですか。それからもう一つは、そんなに一生懸命やったって、失敗したらどうせおまえの減点になるだけだから、余り熱を入れてやらずに、ほどほどの仕事でまあまあうまくいっているように見せかけていればいいんだよというよう雰囲気も、地方において行われる事業の中に私はあるような気がしてならないのです。  これを打ち破って、市役所職員が本当に心から一生懸命地域のために仕事をする、その仕事成果評価をされて、そしてその地域がよりよくなってくるというよう仕組みをそろそろ導入したらどうだろうという気持ちかいたしております。  よく、公共セクター競争がないから安易になるのだ、ぬるま湯になるのだというよう指摘もあることを考えましたときに、私は、やはり地方公共団体仕事においてもストックオプション的な要素を入れてみたらどうだろうというのが今回の提案でございます。  より具体的に申し上げますならば、補助金をとった段階で国の補助金額が決まるのではなくて、事業が決まった段階でその補助金額が決まるのではなくて、事業が完成して、それでしばらく運用した後にその成果評価をして、その評価が十分その事業成功意味するレベルまでのものになっているとするならば、補助率を一気に上げてそれを補うというよう考え方であります。  ちょうど、ベンチャー企業が、最初仕事を始めるときにはお金もないものですから高い給料でいい人を雇えない、しかし、その事業成功した暁にはその成功に報いるために高額の株の運用益が入る、これがストックオプション制度という制度でありますが、地方自治体も、その仕事がうまく進行したということになると高率補助金で報いるのだというような発想を入れていくならば、地方自治体事業自身にもっと熱心になられるだろうと思います。  それから、地方自治体職員皆さんが一生懸命仕事をすることに対して多少の批判が来たって、それに対して、おまえ、もっと働かないと、もっといい仕事をしないと後で高率補助金をもらえないのだから、もっとやれ、批判なんか恐れるな、市長自分がちゃんと後の責任はとるから、おまえはもっと仕事をしろ、こういうふうな雰囲気を生み出していくということが地方活力を生む上に非常に大事なポイントだろうというよう気持ちがいたします。  実は、自治省とも少しこのあたりの話をいたしましたところ、当初低率の補助金でやっておいて後で高率にする手法としては、最初地方債を発行した上で、その地方債償還時に、その成果を見ながら、償還は必要でないというふうなテクニックだとか、いろいろテクニック的には可能でありましょうというようお話もございました。  唐突なお話になってしまったわけでありますが、日本列島全体に活力を与えるためには、国の経済対策と、もう一つ地方自治体自身活性化、この両輪を準備をしていくという意味合いでこの着想を受けとめていただいて、尾身長官がどのようにお感じになられるのか、御感想をお伺いしたいと思います。  それからなお、経済企画庁として、これから自治省等とこういう問題について共同で御検討をいただくことは可能かどうか、この点についての御答弁をお願い申し上げたいと思います。
  11. 尾身幸次

    尾身国務大臣 大変に斬新なアイデアでございまして、簡単に言うと、低率の補助金地方公共団体事業をしていただいて、事業が終わって運用をして、その成果が出てきた段階でそれを評価して、その評価の結果に基づいて補助率を上げるなり、あるいは交付税の償還をしなくてもいいというようなことであるということでございまして、大変に私は意欲的な御提案だというふうに考えております。  さはさりながら、それだけのリスクをとって新規事業をやってくれるような意欲ある地方公共団体が出てくるかどうか、役所的に考えますとかなり難しい問題があると考えております。  しかし、基本的には、地方分権、地方自治というのは、地方自治体創意工夫を生かしながら、その地域特有の地域の発展を実現していく、地域社会をつくり上げていくということが基本でありますから、基本的な方向として、やはり今よりももっと地方自治体の意思なりあるいは能力を評価、尊重しながら進めていくということが大きな方向であるというふうに考えている次第でございまして、私ども、具体的な対応としてどういうふうにするかということを今申し上げられる段階ではございませんが、今のような御趣旨も踏まえて今後いろいろと対応してまいりたいと考えております。
  12. 小野晋也

    小野委員 今長官が御指摘になられました点につきましては、私は並立制で対応されたらいいと思います。通常補助金事業を遂行されるというならばそれを選択するもよし、もう一方、リスクはあるけれども、当初低率、しかし成功をおさめた場合には高率補助金が来る。これを地方自治体に両方提示をして地方自治体自身がどちらを選択するかというふうな形にすれば、意欲のある自治体は高率補助金が後にいただける方を選択する可能性が高いと思いますから、こういうところを導入部にして振興するというアイデアもあるのではないかと思いますので、一言つけ加えさせていただきたいと思います。  続きまして、公正取引委員会の方の質問に移らせていただきたいと思います。きょう御質問させていただきたい問題は、石油流通の問題とそれからソフトウエアの市場独占問題の二点でございます。  ます、石油流通の問題でございますが、これは我が党の佐藤剛男議員がこれまでも当委員会で取り上げられて非常に御熱心な議論をされている部分でございますが、私の実家自身がガソリンスタンドで、その惨状を身にしみて感じている立場でございますので、この場で少し質問させていただきたいと存じます。  実は、この問題、先ほど佐藤剛男議員の活動として御紹介をさせていただきましたが、自民党の中におきましても、公正取引委員会皆さん方御存じのとおり随分活発な議論を行ってきております。そんな中で、さまざまな課題が取り上げられながら議論されてきているわけでありますが、私は、差別対価の問題に絞ってきょうは少し御質問したいと思っているわけでございます。  先日の党内の議論の中において上杉取引部長さんがお見えになっていただいてお話をいただいているものを利用させていただくような形になるわけでございますが、その中で、卸値が同じ地域のスタンドの中でも随分違う、意図的に何か他のスタンドをつぶすための目的で仕切り値を違えさせているようなケースもあるような気がするというようなことが、これは上杉さんの発言だったかほかの方の発言だったかわかりませんが、出されておりまして、独禁法上において問題がある事案についてはきちんと対応していきたいというような御答弁をいただいていたと思います。  ここで、独禁法上問題がある事案というのが少しあいまいな気持ちがいたしているわけでございますが、これは具体的にどういう事案を指して述べておられるのか、ますお尋ねしたいと思います。
  13. 上杉秋則

    ○上杉政府委員 独占禁止法上、不公正な取引方法の一つとして差別対価の規定がございまして、その規定は、不当に地域または相手方によって差別的な対価をもって商品等を供給するという場合を言うわけでございます。したがいまして、私どもの解釈としては、独禁法上、単にある事業者の販売価格に地域あるいは相手方によって差が存在するというだけで直ちに不当な差別対価となるものではなくて、競争といいますか、公正な競争を阻害するという部分が伴う必要があるということでございます。  私ども、昭和五十九年に不当廉売に関する考え方を公表した際に、差別対価といたしまして、独禁法上問題となり得る場合というので二つの例を示しておりまして、一つ、有力な事業者が、競争者を排除するために、その競争者と競合する販売地に限って廉売を行う、あるいは、その競争者の取引先に対してのみ廉売を行うなどをしまして、競争者の顧客を奪取するような場合というのを例示しているわけでございます。  もちろん、これは非常に典型的ないわゆる差別対価として、独禁法の用語ですと略奪的というような言い方をしておりますけれども、そういう典型的な場合を言うものでございまして、私が今説明いたしました不公正な取引方法に該当するかどうかということは、これは個別具体的な事案につきまして、各種の要素を総合的に勘案して、競争に与える影響を十分に把握した上で判断する必要があるということでございます。  なお、先ほど御指摘の点につきましては、私ども、業界の実態を必ずしも十分存じているわけではございませんけれども、今話題になっているような差別対価だけではなくていろいろな独禁法の規定がありますので、実態をいろいろお聞きして、どういう問題があるかということがわかれば、独禁法の適用、運用ができる場合もあるのではないかという趣旨で申し上げたつもりでございます。
  14. 小野晋也

    小野委員 この点については、まだ公正取引委員会としては、これからいろいろと検討しながら方針をつけていくというよう状況でございますし、また、来週、佐藤剛男議員の方から御質問があるようでございますから、要望だけあと申し上げておきたいと思います。  今お話ございましたとおり、その実態自身が必ずしもまだ公正取引委員会の中でつかみ切れていない。例えば仕切り価格調査等の話をなさっておられますけれども、じゃ、どういうふうな形の状況になれば排除するために差をつけているということで問題として取り上げるのかというあたりもまだきちんとした仕切りがなされていなかったり、また、取り締まり体制の問題、これは佐藤先生が随分今まで取り上げてまいりましたが、これについてもまた、体制がこれでいいのかという問題もある、法的な部分で、じゃ、法的な問題をどう整備すればこういう問題についてのいろいろな弊害を除けるかということもまだ明らかでないというようないろいろな問題があるようでございますから、これはもう指摘だけにとどめさせていただきまして、また今後の議論にまたせていただきたいと思います。  最後に、先ほど申しましたソフトウェアの市場独占問題についての御質問をさせていただきたいと思います。  これはもう特定の会社の名前は挙げませんけれども、パソコンのオペレーションシステムの部分において、現在もう皆さん御存じのとおり市場がほぼ独占されているという状況が生まれているところでございます。その独占をもとにして、そのオペレーションシステムがなければユーティリティーソフトという応用ソフトが動かないということになってくるわけでございますが、そのユーティリティーソフト会社に対してそのオペレーションシステムの情報提供が、例えば自社内で同種のソフトを開発するグループには早い時点で渡されたり、非常に友好的な関係にあるソフト会社にはその情報が早い時点で渡されるのに、そうでないソフト会社には非常に遅い段階でしか渡されないというような形で、不当な競争条件が強いられている可能性が出ているようでございます。また、アメリカの方におきましても、最近、司法省が、インターネットの閲覧ソフトをバンドリングするかどうかという問題で議論が行われているという問題があります。  この問題は、今まで恐らく公正取引委員会が取り扱ってきた単なる市場独占の問題と異なる要素をはらんでいる問題だと私は思います。何かというと、ソふトウエアというもの自身が知的財産権によって守られる性質のものであって、その創意工夫されたものが単に、鉄なら鉄だとか、紙なら紙というよう意味で、同じものにおける市場シェアがどうだこうだという議論が非常に困難な問題であるということでございまして、アメリカにおきましても、知的財産権保護の方を優先する時代もあれば、市場シェアがどういう形になっているかということをむしろ重視する時代があったりして、こう揺れながらやってきているというのが実態のようでございます。  ただ、これから知的財産権の問題というのは、市場の問題を考える場合、非常に大事になる時代を前にしていることを考えました場合に、今後、公正取引委員会として、この知的財産権に絡む問題についてどのように対応するおつもりなのか。そして、この問題については、基本的な考え方を整理するための取り組みというのも必要でありましょうし、また、具体的に問題が起こった場合に、調査ないしその審判をどういうふうに下すかというふうなことについての問題が出てくるわけでありますが、この体制について、どういう体制をもって臨んでいかれようとしておられるのか。導入的な部分質問になりますが、よろしくお願いしたいと思います。
  15. 根來泰周

    根來政府委員 ただいま御指摘のありました知的財産権の保護ということは、ある意味では競争社会を生み出すということでもありますし、また、そういう競争を活発にするということでもあって、非常に結構なことだと思うのでありますが、反面、権利の乱用といいますか、知的財産権に認められた保護の権利の逸脱のようなところがあるわけでございまして、その逸脱をどういうふうに処理していくかというところに尽きると思います。  でありますから、その点については、既に私どもの方で特許・ノウハウライセンス契約における不公正な取引方法の規制に関する運用基準というのをつくりまして、それに基づいてやっているわけでございますが、御指摘ように、そういう技術というのは日進月歩ということでございまして、この運用基準が果たして万全を期しているかどうかということについては疑問がございます。そういう点については、有識者の御意見も聞き、また専門家の御意見も聞いて、適切に対応していきたい、こういうふうに思っております。  なお、審査の場面でそういう問題が起こりますれば、鑑定人制度等を活用いたしまして適正な結果を得たい、こういうふうに思っております。
  16. 小野晋也

    小野委員 以上で質問を終わります。
  17. 前田正

  18. 岸田文雄

    岸田委員 おはようございます。自由民主党の岸田文雄でございます。  本日は、尾身大臣、そして公取の根來委員長初め皆様方、まことにありがとうございます。ますもって、日本経済、また景気につきましてひとつお伺いさせていただきたいと存じます。  日本経済が大変難しい事態に陥っているということ、これはだれもが今感じているところであります。実体経済の低迷に加えまして、金融の不安、さらにアジアの経済危機等々も絡み合いまして、複合不況と言ってもいいよう状況が、今、日本経済、そして日本の国の中に現出しているわけであります。特にこの金融不安というもの、戦後の歴史を振り返りましても、昨今の金融不安というものは我々日本国民にとりましても初めての経験でありますし、また、アジアの経済危機等も、数年前まではだれも考えてもみなかったようなことではないかというようなことを感じます。  こうしたことが国民の大きな不安のもとになっているがために、こうした大きな不安があるがために、個人預金一千二百兆円、あるいは世界第一位の外貨準備高あるいは世界第二位の海外資産、こういったものも活用されない、企業も個人も金を使わないというようなことが言われてみたり、さらには、景気が悪くなると企業収益が悪化し、それにつられて株価が下がる、しかし、株価がある水準を割ると銀行の自己資本を直撃するということになってしまい、自己資本の足りなくなった銀行は慌てて貸し出しを控える、しかし銀行がお金を貸せなくなると景気はさらに悪化して、それがまた株価を直撃するという、日本独特と言ってもいいような悪循環が、今、日本の国の中で起こっているというようなことがまた言われてみたり、さらには、戦後絶えずストックの充実に努めてきた日本経済が初めてフローにおいてつますいた不況であるというようなことが言われてみる等々、本当に今の日本経済そして不況に関しましては、論じても論じても切りがないというよう状況であります。まことに複雑な様相を呈しているわけであります。  こうした難しい状況におきまして、日本経済の行く末を見据え、そして論じなければならない尾身大臣、大変な御苦労であられると御推察申し上げますし、また、この御努力に対しまして心から敬意を表し申し上げる次第でございます、  そこで、きょうは、短い時間ではございますが、この大変なお仕事を務めておられます尾身大臣の経済に対する考え方の一端をお聞かせいただきまして、ぜひ参考にさせていただきたいと思うところでございます。どうぞよろしくお願いいたします。  ます、最初、話の取っかかりといたしまして、先般私も見せていただきました五月の経済企画庁の月例経済報告、ここから話を始めさせていただきたいと思うわけでありますが、この経済報告を拝見いたしますと、「景気は停滞し、一層厳しさを増している。」という厳しい判断をされておられるわけであります。  しかし、そういった厳しい判断の中にあっても、こうやって見ていきますと、「個人消費は、昨年末の落ち込みからは下げ止まる動きもみられる」というよう表現ですとか、さらには、「消費者物価は、安定している。」というよう表現がありまして、こういったあたりにぜひ明るい見通しを見出したいものだなと期待するところであります。  しかし、その一方で、例えば先般、日銀が国内卸売物価指数を発表しておりましたが、実に十年九カ月ぶりの下げ幅を記録したというようなことが大きく新聞等でも報じられておりました。要は、経済の停滞、そして物価の下落、これが同時進行するというデフレの心配が今高まっているというようなことが言われております。これをとらえまして、経済評論家等も、今デフレスパイラルの入り口に日本経済は入りつつあるとか、デフレが大変心配であるというような論調を掲げているわけであります。  ます第一に尾身大臣にお伺いしたいと存じますのは、ごうした最近特に高まっておりますデフレに対する国民あるいは日本経済の不安につきまして、尾身大臣のお考え方を、そして御所見をお伺いできればと存じます。よろしくお願いいたします。
  19. 尾身幸次

    尾身国務大臣 経済の現状、経済は停滞をし、厳しさを増しているという実態でございます。月例経済報告でもそのようなことにしているわけでございますが、昨年の秋のアジアの状況あるいは金融機関の相次ぐ破綻等によりまして、消費者や企業家のいわゆる経済の先行きに対するマインドが非常に大きく低下をし、そのことが消費あるいは設備投資にも悪影響を及ぼしてきているという状況でございます。そして、それが最近、三月時点になりまして生産あるいは失業率等にあらわれてきているというふうに理解をしておりまして、マインドの低下が実体経済の末端にまで、現場にまで来ている状況でございます。  しかし、逆に言いますと、消費性向は、実は三月の数字は七一・七%ということで、九月の七一・九%にやや近いところまで一挙に戻しております。これは、やや消費者マインドが春にもなって好転したかなと私ども期待感を持っているわけでございますが、これは四月、五月の動向を見なければわからないと思っております。  そういう中で、卸売物価の動向でございますが、四月が対前年同月比でマイナスニ・三%という数字になりました。これは、おっしゃるように、実体経済の面から需給バランスが緩んでいる、確かにそういうことも一つの原因でございますが、同時に、世界的な全体の流れの中で、原油価格が非常に大幅に低下をしておりまして、対前年同月比で三四%も低下しているという実態がございます。そういうことも大きな原因かなと思っております。  それからもう一つ、一般の経済評論家などが余り言っていないことなのでありますけれども、二、三年前から、経済構造改革を進めるということの中で、規制緩和をしたりいろいろなことをやりながら、高コスト構造の是正をしようではないか、つまり、簡単に言うと物価を下げようではないかということでやってきました結果がへ例えば電気通信の、電話料の引き下げとか、電力料金の引き下げとか、あるいは石油製品価格も競争激化の結果下がるというような、高コスト構造の是正が効果をあらわした点というのも、実を言うと私自身は半分以上そういうものがあるというふうに考えております。  ですから、これが、経済が悪くなって物価が下がったというだけに、後ろ向きといいますか、そういうふうにとらえないで、むしろ私どもがずっと規制緩和等で努力をしてまいりました高コスト構造の是正が進んで日本経済体質が強化される、その過程であるというふうにも理解できるわけでございまして、私自身は、卸売物価の低下というものが必ずしも悪いものではない、いい面もある、政策効果が出ている面もあるというふうに理解しているわけでございます。  そういうわけでありますから、需給バランスが緩んで、物価が低落してスパイラルになるというような、いわゆるデフレスパイラル的な現象ではなしに、むしろ経済が健全化するある種の過程であるというふうにも解釈できるわけでございまして、これからの推移を見ながらしっかりと対応していくことが必要かと考えております。
  20. 岸田文雄

    岸田委員 ありがとうございました。  同じく月例経済報告の中身でありますが、こうした厳しい状況に対する見方に続けまして、「このような厳しい経済の現況に対応し、政府は、四月二十四日、総事業費十六兆円超の過去最大規模の「総合経済対策」を決定したところであり、その着実な実施を図ることとする。」というふうに結んでおられます。  この総合経済対策でありますが、この対策につきまして、一部マスコミ等はさめた見方をし、そして効果に対して疑問視をする向きもあるのですが、しかし、今この厳しい経済にあえいでいる国民からしてみると、さめた見方をするどころじゃなくして、ぜひこの経済対策に効果を発揮してもらいたい、この経済対策にぜひすがりたいという思いでいっぱいだと思うわけであります。  多くの国民はこの総合経済対策にぜひ期待したいという気持ちを強く持っていると思うわけでありますが、こうした国民マインドにも働きかけるという意味から、この総合経済対策、額におきましても確かに史上最大規模であるのは間違いないわけでありますが、中身におきましても従来にない工夫が施されているというふうに聞いております。国民に訴える意味からも、尾身大臣のこの総合経済対策におきますセールスポイント、中身の御判断につきまして‘ぜひ御意見、御所見をお伺いできればと思います。
  21. 尾身幸次

    尾身国務大臣 大変大事な御質問をいただいて感謝をしております。  大きく分けて三つありまして、一つは、総額十六兆円に上るいわゆる需要喚起対策、財政出動をやっているということでございます。  真水十二兆円と言われておりますが、来年の減税二兆円を差し引きましても、ととして真水約十兆円というGDPの二%相当の国、地方を合わせての資金を現実経済に投入をするわけでございますから、これは大きな、実質的な経済に対するプラス効果がある、短期的に見ても非常に大きなプラス効果があるというふうに考えております。  それから二つ目が、経済構造改革の推進でございまして、このあたり、余りマスコミ等でプレーアップされておりませんが、規制緩和を進める、ベンチャーを育てる、技術開発を進める、さらに情報通信を育成するというよう民間活力を生かすような構造改革を進め、二十一世紀に向かって日本経済体質を改善強化するというところにかなり重点を置いております。  最初に述べましたこの総合経済対策の前の方の財政出動の面におきましても、いわゆる情報通信、科学技術あるいは物流などなど、そういう体質強化の方に重点的に資金を投入するということにしておりまして、そういう五年、十年後の日本経済体質強化ということにかなり意識を持った上で進めているわけでございまして、単に現在ただいま目先の景気を引き上げるということだけではない、五年、十年後にはこの経済対策が相当高く評価されるような内容も含んでいるということをぜひ御理解をいただきたいと思います。  それから三つ目でございますが、いわゆる不良債権処理のトータルプランを、これは自民党にも大変御苦労いただいて方向を出していただいたわけでありますが、これを中にしっかり盛り込んでおります。  例えば住宅・都市整備公団に公的資金を入れてそこを使うとか、あるいは土地問題の総合調整をする委員会をつくるとか、あるいは都市再開発等にPFIの手法を使うとか、あるいはSPC、土地資産の証券化をするとかいうようなことを、ずっといろいろな手法を使いまして、トータルとしての土地の不良債権の処理を進める、銀行の不良債権の処理を進めながら土地の有効利用を図って、経済の一番の足かせとなっておりますしこりを取り除くという作業をトータルプランとして始める、こういうことにしております。  実は、これは非常に大事な点でございまして、先日アメリカに参りましたときも、FRB議長のグリーンスパンさんから、とにかく不良債権処理を進めることが日本経済の問題が解決する最優先の課題であるという御指摘もいただいたところでありまして、このトータルプラン、一、ニカ月でできるわけではありませんが、二、三年の時限をとりましたら必ず効果をあらわして、不良債権処理が完了するというふうに私は考えておりまして、これも実を言いますと、日本経済の今後に対して非常に大きなプラスの効果を及ぼすものと考えております。  なお、これこれこれらの政策を推進するために、政府としては、官房長官をヘッドといたします特別の会合を持ちまして、随時フォローアップをして、一たん決めてほうり出すということではなしに、きちっと対策を推進していく体制をとっているわけでございまして、今申し上げました各般の三つの大きなポイントの施策が本当に現実に効果をあらわすような対応もしてまいりたい、そのことによって日本経済は確実に順調な回復軌道に乗ると考えている次第でございます。
  22. 岸田文雄

    岸田委員 ありがとうございました。この総合経済対策が大きな成果を上げることを期待申し上げます。  しかし、今回の日本経済の厳しい状況を分析するに、最初にもちょっと申し上げましたが、複合不況と言われるようなさまざまな要素が絡んでまいります。国内のこうした不況における要因につきましては、ぜひしっかりとした対応を政府におきましても、また我々も努力をしていかなければいけないわけでありますが、今回は、こうした国内の要因に加えまして、海外の要因、外部的な要素が絡んでいるということ、これが従来にない状況、さらに物事を難しくしている原因ではないかという気がしております。要は、アジアの経済危機というものが我が日本経済の不況にも大きくかかわっているのではないかなという気がします。  逆に、日本の不況がアジアの経済危機にも影響を及ぼしているという密接な関係にもなっていると思うわけでありますが、この日本経済状況と現在のアジアの経済危機との関係、これにつきましてどのように分析され、どのように考えておられ、また我々はどう行動すべきだとお考えか、大臣の御所見をお伺いしたいと存じます。
  23. 尾身幸次

    尾身国務大臣 アジアの問題は大変大事な問題でございまして、現象として見ると、アジアの不況ということから、日本のアジア向け輸出が伸び悩むあるいは減少する、それから、アジアに投資している、活動している日本企業が困難に陥る、あるいは、日本の銀行がアジアに融資している、そういう融資がいわゆる不良債権となって日本の銀行の経営にマイナスの効果を及ぼすなどなど、いろいろな効果が、影響が考えられるわけでございますが、やはり日本とアジア、アジア全体の中で日本自体が約六〇%の比率を占めるウエートを持っております。したがいまして、私どもとしては、日本経済を早急に立ち上がらせて、アジアからの輸入を増大し、またお互いに相互作用で事態を改善していくということが大変大事だというふうに考えております。  現在、アジアといいましても、非常に困難に陥っている国が幾つかありますが、韓国及びタイにつきましては、一般的な見方として、ある程度山を越えて立ち直りつつあるというふうに考えておりますが、インドネシアは、御存じのとおり、昨今の状況は大変に政治的にも社会的にも大きな困難に見舞われておりまして、私ども、重大な関心を持ちながら注目をしてまいりたい、そして必要な対策をできる限りとってまいりたいというふうに考えております。  インドネシアの問題は政治問題、社会問題にもなるわけでございまして、現在ただいまの邦人保護というような緊急対策をやるということも含めて、現在、午後もまた対策の会議をやるというようなことになっているわけでございますが、経済の面から見ても中長期的に大変大事な問題でございまして、関係者と相談をしながら必要な対策を全力でとっていきたいと考えております。
  24. 岸田文雄

    岸田委員 ありがとうございました。  もう一つ大臣に、我が日本経済にとりまして外部要因、海外の要因としましてお伺いしたいことがあるのです。  きょうから、十五日付で、バーミンガムではサミット、先進国首脳会議が始まるわけでありますが、この準備会合としまして、先般G7蔵相会議が開催されました。その様子は大きく報じられているところでありますが、その内容におきまして、日本の景気対策につきまして大きな議論が行われたということももちろんでありますが、あわせて、株価高騰などで景気過熱感が強まっているアメリカ経済状況を注視していくことで合意したというようなことが大きくつけ加えられております。日本経済とともに、アメリカ経済というものも今大きな注目を集めているわけであります。  そして、アメリカ経済日本経済、御案内のとおり、密接な関係にあるのも事実であります。そして、アメリカの政府関係者あるいは経済関係者からは、日本経済に対しましていろいろな注文だとか分析だとか、発言が非常ににぎやかなのでありますが、日本経済閣僚であられます尾身大臣は、日本からアメリカを見た場合、アメリカ経済をどのように見ておられるか、そして、どのように感じておられるか、御所見をお伺いできますでしょうか。
  25. 尾身幸次

    尾身国務大臣 アメリカ経済は、失業率の低下、生産の向上あるいは株価の高騰、ドル価格の価値といいますか、ほかの通貨との関係でドルが高い評価を得ているということ、見かけ、大変順調でございます。私自身は、アメリカ経済がバブルの状況に入ったとは認識をしておりませんが、しかし、現実問題といたしまして、アジアとかあるいは日本からマネーが向こうに流れている実態でありまして、資金の流れからいいますと、日本の個人金融資産あるいはその他のいろいろな形での日本の資金がアメリカに流れているという実態があり、その実態の上に立って好調さを維持しているという現状であるというふうに考えておりまして、そういう意味では、一部の評論家等でバブルのことが懸念されている向きもあるというふうに聞いております。  私どもとしては、とにかくアメリカ政策当局に対しましては、政策のよろしきを得て、これからも順調な経済発展をアメリカに続けていただきたい、そして、その間にできるだけ早く日本経済が立ち直っていくことが大事である。大ざっぱに言いまして、アメリカが世界経済の二五%、日本が一五%というふうに言われているわけでございまして、合計で四〇%でありますから、この二つの経済がしっかりと繁栄をして立ち上がっていくということが世界のためにもプラスである、そういうふうに感じている次第でございまして、アメリカの方にも頑張っていただきたいと思いますが、私自身は、とにかく日本経済をできるだけ早く順調な回復軌道に乗せるということに全力を注いでいるところでございます。
  26. 岸田文雄

    岸田委員 ありがとうございました。  まだまだ大臣のお話をお伺いさせていただきたいと存じますが、時間の方があともう数分ということになりましたので、きょうは本当に貴重なお時間を割いていただきまして、御所見の一端を聞かせていただきましたこと、心から感謝を申し上げます。  残り数分間、恐縮ですが、公取の方に一つお伺いさせていただきたいことがございます。  先ほども小野委員の方から、不当廉売問題、差別対価等の質問があったかと思います。これにつきましては、また二十日の委員会でも議論が行われると聞いておりますし、時間がありませんので、改めて私の方から細かいことはお伺いいたしませんが、一つお伺いさせていただきたいと存じますのが、不当廉売問題。石油ですとか酒ですとか家庭電器製品ですとか、商品によりましてさまざまな事情を抱えております。また、それぞれの背景もさまざまであるというふうに感じるわけであります。その中にあって、石油製品につきまして、先ほども小野委員の方から差別対価等の話があったかと思いますが、不当廉売問題は、もちろん一生懸命対応していただかなければならない、そして、差別対価の問題も、ひとつ問題意識を持って公取に対応していただかなければいけない、そのように思うわけでありますが、さりとて、この差別対価等々の話になりますと、非常に線引きが難しいというような御説明が、お伺いしても多分出てくるのだと思うのです。  そこで一つ、きょうはお願いも含めてお聞かせいただきたいと存じますのは、今、こうした石油製品の問題に関しまして、不当廉売の背景に、差別対価等の問題が取りざたされている。それに対して、問題意識は持っているけれども、公取としての取り組みは非常に難しい中にあって、ます基本的に関係者の意見をしっかり聞いて、そして事態を把握するということは公取として努めていただかなければいけないと思うのです。  この実態把握あるいは関係者からの意見の聴取、情報収集に関しまして、それをやらなければいけないというのは当然のことなんですが、では、具体的に、ます今どんなことが考えられるか、今どんなことを考えているか、その具体的な案、例示で結構ですから、それについてお聞かせをいただきたいと思います。
  27. 上杉秋則

    ○上杉政府委員 私ども、確かに差別対価の問題が背景にあるという指摘はいろいろ耳にしているわけですけれども、必ずしもどういう原因、どういう実態のもとでそうなっているかということについて承知しているわけではないというのは、確かにそのとおりでございます。したがいまして、関係業界から、不当廉売及び不当廉売の背景としての差別対価問題があるのではないか、あるいはそのほかにもいろいろ流通取引慣行上の問題があるのではないかという声が高まっているということでございますので、私どもとして、そのような取引の実情を確かに把握していくということが大切だと考えております。  現在、関係業界及び有識者の方からよく意見を聞いてみようということで、特に業界の方にますどういう取引実態になっていてどういう問題があると認識されているのか、こういうことをお聞きする場というものを設定しようと考えておりまして、現在、ちょっとお話し中でございます。私どもとして、そういった場を通じて、その実態についての私どもの認識が高まって、私どもの持っている知識を活用いたしまして、法適用ができる部分があるのかどうか、何かできるものがあるのかどうかということを検討させていただきたい、そういうふうに考えております。
  28. 岸田文雄

    岸田委員 ぜひ具体的な検討、そして努力を心からお願い申し上げます。  質問を終わります。ありがとうございました。
  29. 前田正

  30. 石毛えい子

    石毛委員 民主党の石毛鍈子でございます。  尾身長官におかれましては、連日息つくいとまもないようなお時間をお過ごしたと思います。ようやく本委員会長官をお迎えできまして、私どもはとても喜んでおります。どうぞよろしくお願いいたします。  長官にお尋ねさせていただきます前に、特定非営利活動促進法につきまして少しお伺いして、それから消費不況の問題、あるいは金融ビッグバンと消費者保護の問題について審議させていただきたいと思います。  ます最初に、特定非営利活動促進法案が成立いたしまして、今総理府令を策定中だというふうに思いますけれども、この法律の省令の施行はいつになりますか、そのことをちょっとお教えいただきたいと思います。
  31. 井出亜夫

    ○井出政府委員 お答えを申し上げます。  総理府令につきましては、市民活動団体などが早期に申請等の準備ができますよう、遅くとも夏までには公布をしたいというふうに考えております。
  32. 石毛えい子

    石毛委員 市民活動の皆さん、大変期待を寄せられて、熱心にロビー活動などもされて成立に至った法律でございます。省令の策定に当たりましては、自由な市民活動の妨げになるようなことがないように、最大限尊重する方向で、ます国会の審議を踏まえて、省令などをつくります際に、厳正に対処していただきたいということ、それから、都道府県と十分に調整を図っていただきたいということを、目下進行中だと思いますけれども要請させていただきたいと思いますが、これにつきまして尾身長官の御見解を一言お伺いできればと思います。
  33. 尾身幸次

    尾身国務大臣 この法案の審議のときにも申し上げましたが、やはり各団体の自主性を尊重するという考え方のもとに、国会での審議を十分踏まえて検討してまいりたいと考えております。  それから、都道府県との調整の問題でございますが、もとより石毛委員のおっしゃるとおりでございますが、ただ、国会での議論等の状況から見て、私どもの方が都道府県に対して余り明確なことを申し上げて指導をするというのはいかがかという御意見もかなりございましたので、そういうことも踏まえながら慎重に対応してまいりたいと考えております。
  34. 石毛えい子

    石毛委員 ただいまの長官答弁、大変ありがたいと思います。議員立法でございますので、やはり議事録に即して、地方の自主性そしてまた市民活動の活性化に有効に活用するよう方向で省令等が作成されればというふうに思いますので、大変ありがたい御答弁をいただいたと思います。ありがとうございます。  それでは、消費不況のことについて少しお尋ねさせていただきたいと思います。  私、昨年秋の財政構造改革法の審議に参加をさせていただいておりまして、その折に、ある雑誌の特集タイトルでございましたけれども、「消費氷河」というよう表現を使いまして、個人消費の状況が深刻であるがゆえに抜本的な対策を講じるべきであるということを申し上げてまいりました。その際、尾身長官は、消費者の皆様の懐の方はそこそこの状態にあると考えているというふうに、議事録をもう一回振り返りまして、お答えになられたと記憶をしております。  先ほど岸田委員の御質問に対しまして、五月の経企庁の月例経済報告で、個人消費性向の落ち込みどまりというような現象も起こっているというようなこと、あるいは、現在はデフレスパイラルという状況ではなくて調整過程だというふうに受けとめているという御答弁をなさっていたというふうにお聞きいたしましたけれども、今の状況をどう見るかということもとても大事なことでありますけれども、当時長官は、これはよく委員会等で発言されて、もう長官の方はまたかというお思いもあるかと思いますけれども、桜の咲くころには順調な軌道に乗ると御答弁されていらっしゃいました。  先ほどの御答弁とあわせまして、現在の時点から、昨年秋からことしの初めにかけての推移というものを振り返られて、どのような御見解をお持ちでいらっしゃいますかということを一言お尋ねさせていただきたいと思います。
  35. 尾身幸次

    尾身国務大臣 経済の現状を消費を中心として申し上げますと、実は数年前の総理府の調査によります消費性向というのは大体七五%でございました。それがここ数年の間に徐々に下がりまして、七二%前後に下がってまいりました。  その原因は、消費者の将来に対する先行き不安感というようなものが徐々に出てきたか、先行き不安感というよりもむしろ資産デフレ、株それから土地の価格が下がったことによりまして国民全体の資産が金額ベースで評価して少なくなりました。両方合わせて千兆円ぐらいになっていると思いますが、少なくなりましたことが一つ。  それからもう一つは、徐々にここ数年の間に、もともとといいますか、戦後ずっと二%前後で続いてきた失業率が多少上がってきておりまして、そういう二つの要因から消費性向が徐々に下がって、七二%前後になりました。  その水準がずっと去年の夏ごろまで続いておりまして、昨年の九月、七一・九%でございましたが、秋口からの金融機関の相次ぐ破綻あるいはアジアの状況等を反映して先行きの経済に対する不安感というものが非常に強くなってまいりまして、ことし二月の六八・四%まで、三・五%ポイント下がってしまったという状況でございます。  そういう状況を反映して、少し物の売れ行きが悪くなり、設備投資も停滞をする、そしてその結果として失業率三・九%、さらに生産も落ち込むというよう状況になってまいりまして、実体経済の末端までいわゆる心理面の悪影響が来ているというのが現在ただいまの状況であると考えている次第でございます。  しかし、私ども、桜の咲くころはよくなり始めると申し上げましたのは、平成十年度予算がちょっとおくれましたので、結果的におくれましたのですが、三月いっぱいに通って四月からお金が使えるようになること、さらに規制緩和等の法律、これもちょっとおくれまして、情報通信等は規制緩和の法律が通っておりますが、まだ提案されていないものもございまして、規制緩和もまだ思ったほど進んでいない状況でございます、そういうものが進むであろうと想定したこと、さらに貸し渋り現象、これも四月から幾分緩やかになるというふうに想定したことなどで回復軌道に乗り始めると申し上げたわけでございますが、実体経済の方は相変わらず厳しい状況でございます。  消費性向の方は、三月になりましてから、これは特別減税の影響もあるかなというふうに思っておりますが、心理面もやや好転したかなと思いますのは、消費性向が二月の六八・四%から三月には七一・七%と、九月の水準に近い状況まで戻っております。あと四月、五月と見てみなければわかりませんが、そういう状況で、マインドの方はある程度の回復の兆しが見られる。しかし、実体経済の方は非常に厳しい状況が続いているという状況でございます。  それに対しまして、私ども、総合経済対策をやって経済を順調な回復軌道に乗せたいということで、全力で取り組んでいるところでございます。
  36. 石毛えい子

    石毛委員 ただいま長官から、三月の消費性向が少し上向きになっているという御答弁にかかわりまして、特別減税の効果というものが出たのかというようお話でございました。  この件に関しまして、経企庁の方にお尋ねしたいのですけれども、全国勤労者世帯の実収入は前年比で名目一・一%、可処分所得は三・一%上昇しております。ところが消費支出は、名目では二・四%、実質で四・三%落ち込んでおります。要するに収入レベルではふえたけれども消費は落ち込んだという、今長官からは消費性向が上向いたという御答弁をいただきまして、そういう現象も出てはおりますけれども、もう少しトータルに見ますと、減税がありましたから当然収入はふえるわけですけれども、消費はそれに伴って増には向かわなかったというのが二月に行われた特別減税の家計収支にあらわれた実情だというふうに私の方は受けとめております。  これに関しましては、新聞等々でも、「特別減税効果出ず」ですとか「特別減税の効果限定的」というよう評価が多々見られましたけれども経済企画庁、担当とされましては、どのように分析をされておられますか。そこのあたりを少し御説明いただきたいと思います。
  37. 新保生二

    ○新保政府委員 お答えいたします。  消費の動向を見るに当たっては、御承知のように、前年の一-三月は駆け込み需要が非常に大きい時期でございました。したがって、前年同期比で見るとマイナス幅が非常に大きくなるということがあるわけでございます。先ほど引用されました三月の実質消費支出、前年比でマイナス五・七とかなり落ち込んでおりますが、実はこのところ、前月比ベースでは三カ月連続で増加しております。二月も一・五ふえておりますし、三月は特に前月比で三%ふえております。  ということで、足元の、直近の消費の動向を見る際には駆け込みファクターというのを除いて見るということで、前月比の動きにも非常に注目して見る必要がある。そういうふうに見ますと、三月に消費が少し出て消費性向が上がった背景としては二つありまして、一つは、一昨年末の極端な金融システム不安、やはり相当、大型金融機関がつぶれるわけですから、こういう倒産がどんどん広がるのではないかという、そういう大型金融機関の倒産に伴う不安、こういうものが少し落ちついてきたという背景が一つでございます。それからもう一つは、先ほど言及されました特別減税の効果。二月末に減税が実施されてそれが三月の消費を押し上げるという形で、二月には余り出ませんでしたけれども、三月にそれが響いてきておるという可能性があるというふうに見ております。
  38. 石毛えい子

    石毛委員 そういたしますと、この三カ月間、消費がふえているということですね。そして、先ほど長官は、その状況をよく受けとめながら今後の推移に対しても適切な対応をされていきたいというお考えをお述べいただいたと思いますけれども、少しその辺でもうちょっと私は御質問させていただきたいのですけれども、今起こっている明るいとも言える状況が今後どのように行くかということは少しおかせていただきまして、私は、消費ということに関しましてはもうちょっと問題が根深くあるのではないかというよう思いがございます。  それで、今調査局長お話は消費の話でした。私は、このところ少し家計調査などを拝見いたしておりまして、例えば高齢者の無職の方の平均消費性向といいますのは、九四年ですと二三・二、九五年で一二・五、それから九六年で一一〇・八というように、消費性向は落ちているわけですね。例えば高齢無職の方は、年金などの社会保障収入ないしは資産所得もおありになる方もいらっしゃると思いますけれども、いわば金融ストックを引き出しながら生活をされているという、そういうライフぱターンをお持ちの方だと思います。そうした方々の消費性向は、私が家計調査で拝見しておりますのは九六年までですので、直近の時点でどうなっているかというデータがまだ私はわかりませんけれども、まだ趨勢的にそういうことはとまってないのではないか。  それから、家計調査では、所得分位で五分位に分けて、あるいは十分位に分けて家計分析をされておりますけれども、消費性向の落ち込みはどの所得の階層でも一様に起こっておりますけれども、所得の低い方の第一階層、第二階層の落ち込みもずっとあるということで、いわば生計費論的に言いますと、所得の低い方の生計といいますのは、支出の種類からいけば比較的必需的な支出が多いわけですから、高額所得層の方の消費性向の落ち込みよりは景気循環に左右される影響が、タイムラグがあるか、あるいは下方硬直性があるかというようなことが言えると思いますけれども、そこのあたりでも落ちているということを思いますと、先ほど来の御説明ではございますけれども、なお私は、例えば、昨年、医療費の自己負担分の値上がりがあって、高齢者の方には負担が重くなっているというようなこと。  それから、年金に対しては財政再計算とともにこれから審議が始まっていくわけでございますけれども、今厚生省の方では五つの選択肢というようなものをアピールしながら国民皆さんに、保険料負担をふやすか、あるいは負担を抑制するんだったら給付額は下がるか。あるいは、公的年金を超えたところで四〇一Kというような民間の保険というような情報もどんどん出ている中で、確かに先ほどおっしゃられたように、金融不安については、不良債権はとにかくとして金融倒産というようなところでは多少安心感は戻ったのかもしれませんけれども生活者の視点から見ますと、将来的な年金のことですとか、社会保障のことですとか、それから、先ほど失業率のお話がございましたけれども、どちらかというと今雇用で動いているのはパート雇用の方だというふうに思いますから、そういう意味では雇用のいわば不安定感というようなものがあるというようなこと。  そういうようなことが重なり合いまして、まして金融機関の倒産はちょっと、これは消費者から見ましても一息ついたのかもしれませんけれども、依然として預金金利は低いという状況ですから、消費者の立場から見れば、消費を規定している要因が複合的にありまして、その複合的にある要因のほとんどがどちらかといえば安心感や安定感につながらないようなこととして動いている。  国民経済的に見た場合、政府はどの国民階層にウエートを置いて政策判断をなさるかということがおありになるんだと思いますけれども、私はやはり、第一所得分位、第二所得分位、ないしは高齢者、いわば市場経済の中で不利な状況に陥りやすいというよう状況の方たちがさまざまに不安要因を抱えていて、それが実は消費を安定させないでいるという大きな要因ではないかというふうに考えているのでございますけれども、その辺はいかがでございましょうか。長官にお尋ねしてよろしいでしょうか。
  39. 尾身幸次

    尾身国務大臣 大変に根本的な問題でもございまして、今のお話、まあ簡単に言いますと、社会保障、医療費等の改革の中で先行き不安で消費が控えられているという状況、あるいはパートで働いている人たちの収入が減っているというようなこともあるのではないかというようお話でございましたが、私は二つの要因があると思っております。今石毛委員のおっしゃいました、いわゆる福祉、それから医療、年金等の問題についての不安感というもの。それからもう一つは、パートの収入が減じているというような、つまり経済の先行きに対する不安感というもの。それから、先ほど言いました最初の分は、社会保障制度のあり方に対する不安感というもの。実は、二つのものがあるということは、おっしゃるとおりだと思っております。  私は、社会保障の問題、年金、医療、福祉、その他の問題につきましては、確かに少子・高齢化の中で支える人と支えられる人の比率が変わってくるわけでございますから、厚生大臣なども答弁をしていると思いますけれども、給付を節約するか、あるいは負担をふやすか、どちらかしか選択がない。もちろんいろいろな意味での制度の合理化等々はありますけれども、そういうことになろうかと思うわけでございます。これは、いろいろな政党がいろいろな考え方を持っておりますけれども、しかし、どちらかしか方法がないというその一点に関しては大体合っているのじゃないかなというふうに思っておりまして、私自身は、これから働き手が高齢者を支えていくというその中で、どのあたりにバランスをとって事を決めていくか、そういう基本的な問題について私ども意思決定をしなければならないと思っておりますが、いずれにしても、早くバランスのとれた意思決定をして、生活設計のめどが立つような、生涯設計のめどが立つような体制をつくることが実は大変大事である。どうも徐々に、なし崩し的に社会保障が削られていくのではないかというよう印象国民の皆様に持たれるということは、やはりこれはマイナスであって、全体として条件が悪くなるということは否定できない現実であると私は思っておりますけれども、しかし、そこを国民の皆様に率直、正直に状況を申し上げて、そこを決定して、それぞれの方がその枠組みの中で生活設計をきちっとしていくという体制をつくっていくことが実は大変大事だというふうに考えております。  それからもう一つは、先ほど言いました、これは私の方の仕事の分野でございますけれども、一日も早く民間活力中心に経済を立ち上げて、いわゆる経済に対する先行き不安というものをなくしていく、これも大変大事だと思っておりまして、そのためにも規制緩和等を進める必要がある。  それから、年金について言いますと、やはり労働移動というものをやっていかないといけない。規制緩和をして、リストラをして、経済構造改革をする中で、従来型の産業、従来型の企業の中でやはり人員整理というようなことが起こる可能性があるし、またそこをやっていかなければ生き残れないという可能性もあるわけでございまして、そうなる。しかし、他方で、規制緩和によるベンチャーを育てる、そういうところでアメリカように雇用を吸収して、全体としてプラスの方向、雇用拡大を図っていく、そういう方向性も大事であるというふうに考えておりまして、そういう政策を立体的にやることによって問題を解決していきたいと考えている次第でございます。
  40. 石毛えい子

    石毛委員 確かに、社会保障のあり方への不安感と、それから経済、景気に対する不安感と、両輪の中に消費者、国民は置かれていてというところは私もそうだと思います。  そして、長官は、社会保障のあり方は、結局、突き詰めれば給付と負担をどう考えるかということにポイントが絞られていくというふうにおっしゃられたと思います。小泉厚生大臣も、厚生委員会の御答弁で絶えずそのようにおっしゃっていますけれども、私は、そのことをはっきりさせていくということと同時に、年金ですとか医療ですとかの給付と負担のあり方を明確にしながら、年金生活者あるいは医療ニーズを持つ方々社会のトータルなシステムの中で安心感を持てるような、そのシステムが両方出てきたときに、例えば、多少社会保障の負担が上がっても給付を得ようとか、あるいは給付が多少下がったとしても、先ほどのNPO活動ですけれども、そういう活動によって周辺が支えられるというような、そうしたことが活性化していますとか、それから町が、弱い立場の方にとっても安心でさるような、そういう町づくりになっているとが、トータルな社会経済システムとしての安定感の中に給付と負担の問題が据えられて初めて、私は、給付と負担の問題がある意味国民に納得ができるのだと思うのですね。  それがなければ、やはり所得の不安定な方あるいは所得の低い方にとって、これ以上負担が上がるのは困るということが起こってくるのは当然でございまして、それが、よく指摘されます、消費税アップといろいろ重なれば、トリプルパンチになって消費需要を落ち込ませていくということだと思いますので、ぜひその二つおっしゃいましたことをどこかでリンク、つながっていくという、そこのところを政策的には御認識いただけたらというふうに、まあ御認識いただいているわけですけれども政策の中にのせていただけたらというふうに、要望も含めまして申し上げさせていただきたいと思います。  それで、もう一点、今の私の発言の続きで長官にぜひ御感想をお伺いしたいと思いますけれども、今回の十六兆円の補正予算に関しましても社会資本投資が大きな部分を占めておりますが、実は長官も既によく御存じのとおりでございますけれども、最近、公共事業の分野を見直していく、あるいはもっと広くとらえていく、あるいはいわば見方の転換をしていくことが必要じゃないかということで、研究者の方が、経済波及効果に関しまして、公共事業とそれからいわゆる福祉部門、これはソフトの部分も含むわけでございますけれども、この波及効果に関しまして計算されたものを発表しております。第一次波及効果でいいますと確かにこれまでの公共事業の方が高いわけですけれども、第二次波及効果、第三次波及効果になりますと、福祉部門は〇・二八五三の波及効果を持ち、道路とか橋をかけるとかといういわゆる公共事業は〇・一九八〇、そういう波及効果だということで、もっと福祉分野、社会保障分野のいわば経済波及効果という、今まで社会保障というのは再分配政策でしかとらえられてこなかったという嫌いがあったと思いますけれども、もう少しマクロ経済の中に据え直して、生産という位置づけから見直していく必要があるのではないか。そうしたことともかかわりまして、この福祉部門が持つ波及効果ということについて注目していただきたいという研究者の論文等が随分多くなってきていると思います。  これに関しまして、長官の御所見を伺わせていただきたいと思います。
  41. 尾身幸次

    尾身国務大臣 昨日の緊急経済対策特別委員会でもそのよう議論がございまして、福祉関係の事業の方が経済波及効果が高い、いわば乗数効果が高いじゃないかという議論がなされております。私は、需要創出効果という点では確かにそのとおりかなというふうに考えておりまして、例えば道路とか、そういう在来型の公共事業と比べて、例えば老人ホームとか福祉施設とか、そういうものの方が波及効果が高いという観点もあろうかと思っております。  ただしかし、いわゆる公共事業は、俗に言われております、ばらまきというよう言葉で言われている批判がありますけれども、しかし、日本経済社会インフラを整備して経済体質を強化するという面もかなりあるわけでございまして、つまり、サプライサイドヘの影響というのもあるわけでございまして、私自身は、むしろ今度の対策で、情報通信とか科学技術とか物流とかいうような、日本経済体質を強化するよう社会的インフラの整備という、そういう点も持ち、かつ、需要創出効果、今の話の波及効果的な、乗数効果的な、需要面での効果を持つ、同時に、さっき言いました生産力の強化拡充というようなサプライサイドの効果も持つ、両方の面が実はこの公共事業、インフラの整備にはあるというふうに考えております。需要面での創出効果という点から見ると、福祉施設、社会保障等についてはかなり高い効果があるというふうに理解をしておりますけれども、サプライサイドヘの効果という点から見ると、例えば情報通信とか科学技術とか物流整備とか、そういうものの効果というものも相当あるわけでございまして、やはり日本経済全体の体質を強化し、パイを大きくして、その分配を十分やれるような形にしていくという観点も大変大事な観点である。そのあたり、しかしながら福祉についても充実していくということは大変必要なことでありますが、その辺のバランスをどうとるかという問題になろうかと考えております。
  42. 石毛えい子

    石毛委員 最後に長官がバランスというふうにおっしゃいましたけれども、私も、そのあたりが非常に重要なポイントになるのかというふうに思います。中長期を展望すれば、確かに日本経済の新しい土台を、研究技術も含めましてどうつくっていくのかという大きな課題があると思いますけれども、ただ、現在時点で、消費マインドが冷え込んで消費不況というような様相が大きいというところ。それから、産業分類でいきますと、三次産業が今非常に多いという時代で、町の中の小さなサービス産業の方々は大変お困りでいらっしゃるというようなことを考えますと、やはり消費需要をどう喚起していくかということと、それからベーシックに日本の未来を考えつつどういう投資をしていくかという、その重層的な政策整理というのが必要なのだろう、若輩ながらそういう思いを持っております。  そして、それから、少子・高齢化の社会でございますし、高齢者の方々日本の中では非常に大きな消費部門に対するユーザーとしてもいらっしゃるわけですから、ぜひ安心できる経済社会システムをつくるという、そのことに対する信頼感の回復というのが大事じゃないかというふうに私は考えておりますということを申し述べさせてください。  残された時間、ほんの数分になってしまいましたけれども、金融ビッグバンと消費者保護という観点からお尋ねしたいと思います。  今ハイリスク・ハイリターンというよう言葉が大変流布されておりまして、あたかも金融商品に対する識別力、判断力を持たなければ、それは消費者の方が契約当事者として正当なポジションを得ていないからだというような空気があるよう思います。  それで、そういう空気がある中で、銀行に行きますと、最近、為替を送るのでも全部これでやってくださいというようなことで、私などでもおたおたするというよう時代が来ているわけですけれども、これから先、そのハイリスク・ハイリターンなどということをちょっと聞いただけで、ハイリスクの方はどこかに消えてしまって、ハイリターンの方だけ受けとめて自分の預貯金を変えていくか、いろいろな消費者の金融行動、動き始めると思うのです。  ちょっと質問をはしょりますけれども、イギリスでは金融サービス法というような法律が消費者保護の観点でできたというふうに聞いております。それから、日弁連でも、この三月十九日に「日本版ビッグバンに伴う消費者保護方策についての意見書」ということで、具体的に「責任規定」でございますとか、あるいは「行為規制のあり方」というようなことを提言されておられます。  それから、新聞報道を見ましても、全銀協などでもそういう政策をしていくということでございますけれども、証券業界、今度乗り入れになりますから、トータルに合わせて、特に金融に関連して消費者保護という観点で、どのようにお考えになっていらっしゃるかということを最後にお教えいただきまして、質問を終わらせていただきたいと思います。
  43. 尾身幸次

    尾身国務大臣 今の金融サービス法というような問題につきましては、大蔵省で新しい金融の流れに関する懇談会というのを設けておりまして、勉強中というふうに聞いております。  確かに、ビッグバンのもとで大変に複雑な経済社会になってまいりまして、消費者の皆さんがその辺を自己責任で判断をしなければならない部分というのがかなり大きくなってきたというふうに考えますが、そのことによって不当な不利益を受けることのないような対応は十分してまいりたいと思っております。  ただしかし、全体として見て、日本の金融資産の運用利回りは、実は外国と比べまして大変低いわけでございまして、ある意味でいいますと、日本の資産保有者が今の日本の金融システムがまだ効率的でないために不利益をこうむっているという実態にもあります。  それからまた、ビッグバンというのは、世界的な、グローバルな競争が行われるわけでありますから、同じお金を日本で運用するかアメリカで運用するか、あるいはどういう投資顧問に頼んで運用するかということによって結果が違ってくるわけでありまして、受けるべき機会利益を受けることができないというよう事態も生ずるわけでございまして、それぞれの個々の消費者というよりもむしろ資産保有者と言った方がいいと思いますけれども、そういう方々が相当に判断能力を持って、自分にとってベストミックスの資産運用をするという時代に入ってまいりました。  個々の資産保有者がそういう状況の中で適正な判断をするような情報を提供するのと同時に、それぞれの方々がベストな選択ができるような知識を身につけていただくことも、好むと好まざるとにかかわらず必要な時代になってきておりますので、私ども行政もできるだけの対応をいたしますけれども、そういう情報開示も含めまして、そういう対応をいたしますが、しかし、一般国民皆さんも、そういう時代に即した判断ができるような体制をとっていただくようなことが必要かというふうに考えております。  大変に大事な問題でありますので、いずれ機会を見て、また議論をさせていただければありがたいと思っております。
  44. 石毛えい子

    石毛委員 資産保有者と長官おっしゃられますと、一体幾らの資産を持っている方から資産保有者かなというふうに素朴に思うのが現在の消費者が持っている認識だと思います。  金融に関しまして消費者教育が大変重要なのは、私もそのように認識しておりますけれども、やはり消費者教育あるいは契約に対する企業責任というものはございますと思いますので、私もこの問題はこれからもぜひ勉強していきたいと思いますので、よろしく御論議のほどお願いいたします。本日はどうもありがとうございました。
  45. 前田正

    前田委員長 青山二三君。
  46. 青山二三

    青山(二)委員 青山二三でございます。本日は、長官の所信に対する質疑ということでございまして、平和・改革を代表いたしまして質問をさせていただきます。  大臣の所信が表明されましたのは四月二日、桜の花がそろそろ咲くころかな、こういうときでございましたが、季節は変わって、青葉若葉の大変美しい季節になっております。しかしながら、日本は今や深刻な不況に陥っております。戦後最も深刻で、そして悪質であるとも言われております。  総務庁がさきに発表いたしました一九九七年度の家計調査によりますと、年平均の全世帯の月額の消費は、一世帯当たり三十三万九百八十七円になっております。これは前年度と比べて二・一%の減少。六三年に調査を開始して以来初めて二%を超える大幅な縮小となっておりまして、景気の先行き不安から、消費者心理の冷え込みは一段と厳しさを増しているということがわかるわけでございます。  また、可処分所得に対する消費支出の割合を示す平均消費性向を見ますと、サラリーマン世帯では七一・二%と、前年度に比べて一・一ポイント低下しておりまして、多くの家庭で可処分所得が減った分以上に消費を切り詰めている傾向が鮮明になっております。  このように、勤労者世帯の多くは消費を控え、ボーナスをローンの返済や貯蓄に回したものと思われますが、国内総生産の約六割を占めるこの個人消費の停滞は、日本経済にとって大変に深刻な問題でございます。このような消費の支出の大幅な落ち込みを大臣はどのように考えておられますでしょうか。その辺から質問してまいりたいと思います。
  47. 尾身幸次

    尾身国務大臣 九七年度の消費性向は七一・二%というお話がございまして、今までの全体の傾向から見れば、大変に低い数字である、消費が落ち込んでいる実態であるというふうに考えております。  落ち込みが激しくなりましたのは、去年の秋口から、アジアの経済困難、あるいは日本における金融機関の相次ぐ破綻によりまして、先行きの経済に対する消費者のマインドが冷え込んできた。私自身は、全体として日本方々の資産の状況はそこそこあると思っておりますけれども、しかし、財布のひもがかたくなってきたというのが実情でございまして、これはやはり日本経済の将来に対する不安感、あるいは先ほどからお話に出ております社会保障制度等についての先行きの、どうなるのかなという感じ、そういうものが総合的に出てきたというふうに考えているところでございまして、やはり経済構造を改革をしながら、先行きに対する安心感を持っていただくような対策をしっかりと立てていくことが基本的に大事であるというふうに考えております。  このたびの総合経済対策につきましても、そういう意味で、短期的に需要を無理に押し上げるということだけではなしに、中長期的に日本経済体質を強化して、二十一世紀に向かって繁栄する日本経済をつくり上げていく。その方向をしっかりと打ち出すことによって、先行きの展望を持っていただき、消費を回復していただくということが大事であるというふうに感じている次第でございます。
  48. 青山二三

    青山(二)委員 私は、このように大きく消費が落ち込んだということは、この不況が本当に私たち生活を直撃しているからだと思っております。消費や設備投資が低迷するのは、消費税のアップ、そして医療費の個人負担のアップ、そして特別減税を打ち切った、こういうことで九兆円の国民負担増、こういうことがございました。これに加えて、昨年相次いだ金融機関の大型破綻により消費者の心理が冷え込み、さらに残業が少なくなった、こういうことで直接的には収入が落ち込んだためと考えております。  中長期的にも、超高齢社会、超少子社会の到来で国民負担はますます重くなることが予想されまして、多くの国民が、先ほど大臣がおっしゃいましたように、この日本の将来に明るい展望を描くことができずに、老後に備えた貯蓄重視の生活を送らざるを得ない、こういう現状があるわけでございます。  ですから、活力ある日本社会を築く将来像が示されない限り、国民の不安は解消されることはありません。そのために、国民生活を浮上するための方策、つまり経済を底から力強く持ち上げる政策が必要になってくるわけでございます。  おくれにおくれて政府は総合経済対策の具体的な検討にようやく入ったわけでございますが、遅過ぎた政策、小出しの政策との見方も多いわけでありまして、実際、景気浮揚にどれだけの効果を発揮するかはまだ明らかではございません。景気対策優先に踏み切ったのであるならば、大型の経済対策だけでなく、恒久減税を含む本格減税の早期実施を検討すべきであります。  これは大蔵大臣にお伺いしたいのでございますが、ここは消費特でございますので、経企庁長官の御見解を伺っておきたいと思います。
  49. 尾身幸次

    尾身国務大臣 恒久減税の話は私に聞いていただきたいと思っている次第でございまして、今から私の考え方を申し述べさせていただきます。  いろいろな意味で、消費を上げるために特別減税だけではまだ不足で恒久減税が必要であるというよう議論がなされているわけでございますが、では、その恒久減税というものが、私ども、所得税及び地方住民税のあり方につきましては公正透明で国民の意欲が引き出せるような税制を目指して幅広い観点から検討を行うということにしております。それはこのたびの総合経済対策で決定をしたところでございまして、そのことを前提としてお話を申し上げたいと思います。  恒久減税というと、一般的には税率構造も含めて税制全般を見直すという観点から議論がなされるわけでございますが、その税制全般を見直すときに、では、一体日本の税はほかの国の税体系と比べてどうなっているかということでございますが、大きく分けて、所得税につきましては、最高税率が六五%で、ほかの国、五〇%と比べて非常に高い。つまり、高額所得者の税率が非常に高いという特徴と、それから課税最低限が三百九十万円でございまして、これは特別減税実施後でございます。実施前は三百六十二万円ということでございますが、ほかの国と比べて実質世界一高い。つまり、低所得者に対して非常に低い税金になっている。むしろ所得税を払わない人がかなり多いという意味で、構造がそういう構造になっております。  したがいまして、グローバルスタンダードで恒久減税をするということになりますと、やはり高額所得者の最高税率を下げていく、課税最低限も下げていくというようなことでの税制改正になろうかというふうに考えているわけでございますが、しかし全体として見て、日本の所得税は全体の国民所得に対して七%程度でございまして、アメリカあたりの一五%と比べると約半分になっているという、所得税全体が非常に低いという実態になっております。  そういう中で、本当に所得税の減税をできるのか、財源はどうするのかという問題を考えましたときに、なかなか難しい問題があるということをぜひ御理解をいただきたいと思います。  これは、先ほど来お話に出ております社会保障制度をどうするかという、つまり高福祉高負担の国にするのか、低福祉低負担といいますとおかしいのですが、そこそこの負担の国にするのかという、大きな政府か小さな政府かという基本論にもかかわってくるわけでございます。  ちなみに、日本全体のことを申し上げますと、国民負担率という概念がございまして、国民の所得に対する税金と社会保障の負担の比率でございますが、日本は三八%であります。アメリカが三六%、イギリスが四七%、ドイツ五七%、フランス六二%ということで、イギリス、ドイツ、フランスあたりのヨーロッパの国々は日本から比べるとかなり高負担の国になっているわけでございます。  日本の三八%はアメリカの三六%に次いで低いわけでありますが、アメリカは実はその裏側には国民皆保険制度がございません。病気になったら、全額お医者さんにお金を払わなければいけない。したがいまして、そのかわりに私的保険で、医療保険を自分で掛けておきまして、それから払っているという実態でございまして、それを考えると、アメリカもかなり高い負担になっているわけであります。そういう状況の中で一体どう考えるのか。  他方、日本は消費税五%でございます。先ほどのお話のとおりで、消費税を下げたらいいのではないかという議論もありますが、アメリカがいわゆる小売売上税が八%、それからイギリスが付加価値税という、名前は変わりますが、一七%、ドイツが一六%、フランス二〇%ということで、全体として高い税負担の中の内訳は、ヨーロッパ諸国、欧米諸国は、いわゆる消費税、間接税が高いということによりまして日本と違った税構造になっているということでございまして、その辺のことも十分考えた上で中長期的な税体系を考えていかなければならないというふうに考えております。  したがいまして、財源の問題も含めて、この問題は、慎重に検討していかなければならない、日本経済社会基本論にかかわる問題であると考えている次第でございます。
  50. 青山二三

    青山(二)委員 長官、大変るる説明いただきまして、外国の状況も、また長期的に考えなければならないこともわかるのでございますけれども、今病人が死にかけている、それを助けないで長期的なことと言われましても、なかなか国民は納得をしないわけでございます。  そういうことで、この迷走する日本経済国民は大変敏感に反応いたしております。二日に発表されました総理府の世論調査によりますと、国民の七割を超える人が「悪い方向に向かっている」と答えておりまして、日本の先行きに対する悲観的な見方が強まっております。  その実態を裏づけるように、総務庁の三月の労働力調査では完全失業率は過去最悪の三・九%、そして九七年度の家計調査結果では消費支出が大幅に落ち込んでいるということは、先ほども指摘したとおりでございます。そして先日、これは十二日でございますか、日本銀行が発表いたしました四月の卸売物価指数は、ことしに入って四カ月連続の下落となり、景気が加速度的に悪化するデフレスパイラル、先ほどもお話が少し出ておりましたけれども、これに日本経済が入ったのではないかとの懸念が現実味を帯びてきているのでございます。  また、消費税を五%に上げれば確実に日本経済は失速するという多くの国民反対の声、また野党の声を無視して強行したこの内閣責任は大変重大であると思っております。日本経済体質強化とその活力を回復させるためには、国民の声に誠実に耳を傾け、経済の実情を正しくとらえた上で、その構造を新しい時代に向けて変えていくという明確なビジョンが必要であると考えます。  今、日本経済は正念場を迎えております。そこで、常に消費者の味方となるべき経企庁長官としては、国民の将来に対する不安感を払拭させるために、景気回復への実行の道筋を明確に示すべきであると思いますけれども、御所見をお伺いいたします。
  51. 尾身幸次

    尾身国務大臣 全体として、実体経済、例えば生産とか失業率とか、そういうものが大変厳しい状況にあることはよく認識しているところでございます。  そういう中で、経済を順調な回復軌道に乗せるために、先ほど来申し上げております総合経済対策を四月二十四日に取りまとめたところでありまして、今週の初めに、補正予算及び関連法案、それから財政改革の法律の改正というものも提案をしているところでございます。  私どもの総合経済対策の骨子は三つでございまして、一つは、新社会資本の整備を中心とする対策、あるいは特別減税等思い切った措置をとりまして、いわゆる財政出動といいますか、需要拡大効果を経済に与える。そして、特に真水でいいましても十兆円の規模の支出、日本経済始まって以来の大きな規模でございまして、GDP対比で二%を超える数字の真水を出しておりまして、それによって日本経済を立ち上がらせていきたい、それが一つであります。  それからもう一つは、規制緩和、あるいはベンチャーを育てる、あるいはビッグバンによりまして金融システムの効率化を図るなどによりまして、経済体質を強化して民間活力中心で経済を立ち上がらせていくという二つ目の政策をとっております。  それから三つ目は、先ほど来申し上げております、土地の不良債権の処理を進めて銀行を身軽にして、金融システムを健全化し、それによって貸し渋り現象をなくす、そしてまた、同時に資金供給が順調にいくような体制を整える。  そういう総合的な対策をとりまして、それによって日本経済が短期的にもあるいは中長期的にも順調な回復軌道に乗るという姿を今お示しをし、そして国会に御提案を申し上げているところでございまして、この関係法案及び予算が通りまして、それが実施に移された場合におきましては、必ず日本経済は順調な回復軌道に乗っていく、そういうふうに確信をしている次第でございます。     〔委員長退席、佐藤(剛)委員長代理着席〕
  52. 青山二三

    青山(二)委員 大臣の御所見はよくわかりましたけれども、経企庁が月々に出す月例報告についてちょっとお伺いをしてみたいと思います。  経企庁は、二月の月例報告の総括判断で、景気への見方を「足踏み」から「停滞」へと、このよう表現で一歩厳しく変えております。  しかし、このとき既に景気は後退しているという見方が圧倒的に多い民間に比べまして、政府の景気診断は極めて甘いものであったと思うわけでございます。経企庁内で「停滞」の表現をめぐる議論が不十分であったことが四月の予算委員会の集中審議で明らかになっておりますが、このずさんさが国民を惑わせ、政府への信頼感を損なう結果になったことは間違いないと思います。  さらに、三月の月例経済報告におきましても、「景気は引き続き停滞している。」として、後退宣言は出しておりません。  これは、明らかに政治判断を優先しているとしか考えられません。この時点でも、消費の落ち込みなど実体経済の低迷は予想以上に深刻でございまして、景気を下支えしてきた民間設備投資にも黄信号がともっていたわけでございます。景気指標がいずれも一段と悪化している現状を考えますと、経企庁長官の景気認識は甘く、実態と乖離しているということは明らかでございます。  そして、四月の月例経済報告における総括判断は、二月から示してきた「停滞」という表現に「一層厳しさを増している。」などの文言を追加いたしまして、景気認識を大幅に後退させておりまして、事実上景気は後退局面に入ったという経済界や民間エコノミストの多くの見方を追認したものと言える内容になっておりまして、五月の現状認識も同じであります。  今経企庁に求められておりますのは、表現を工夫することではなくて、実体経済を反映した景気判断を示すことでありまして、確固たる経済対策を先手先手に打ち出すことではないかと思うのでございます。それでも今回景気低迷の深刻さを訴えているのは、橋本総理が打ち出しました総合経済対策を、経済運営路線転換に理由をつけるため側面から支援したものであるという、そんな厳しい指摘もございます。ですから、まさに処方せんに合わせて診断書をつくったようなものでございまして、月例報告のあり方に多くの国民が疑問を持っていると言っても過言ではありません。  大臣は、こうした経企庁の甘い認識について、今後の経済運営を誤ることのないように、実体経済を反映した判断が必要であると思うのでございますが、御所見をお伺いします。     〔佐藤(剛)委員長代理退席、委員長着席〕
  53. 尾身幸次

    尾身国務大臣 実体経済についての判断につきましては、月例経済報告で、「景気は停滞し、一層厳しさを増している。」という表現にしております。もとより、私ども、入手可能な最新の統計データ等を分析いたしますと同時に、各種のチャネルを通じましていろいろな方々の御意見も直接伺いながら、経済の実態把握に努めているところでございます。  そういう状況の中で、生産あるいは雇用等の現場の実体経済の数字に非常に厳しいものがございますが、他方、消費動向等でやや明るさが見えかかってきたかなというものもございます。それらを総合的に考えて、正しい客観的な分析をし、政策判断のベースにしているところでございます。  経済企画庁は、いわゆる経済の実態を把握するという仕事と同時に、それに対応する経済政策を総合調整するという役割も果たしているわけでございまして、このたびの総合経済対策につきましても、私ども政府の中で全力で努力をしてまとめ上げたところでございまして、今のよう経済状況の判断のもとに、先ほど御説明を申し上げました内容の総合経済対策を決定をし、国会に提案をしているところでございます。  したがいまして、この対策をできるだけ早期に実施することが現在何よりも大事な景気対策であるというふうに考えております。
  54. 青山二三

    青山(二)委員 景気が大変低迷しております中で、昨年、一九九七年の自己破産の申し立て件数が七万一千二百九十九件と、九六年の五万六千四百九十四件を一万五千近くも上回っておりまして二年連続で史上最悪を更新しております。自己破産は近年増加傾向にありまして、特に最近は、多額のローンを組んで住宅を購入したが、不況によってリストラや倒産に遭いまして、行き詰まって破産に至るという例がふえてきております。  しかし、こうした自己破産の激増とは裏腹に、消費者金融、クレジット各社はいずれも好調な業績を上げておりまして、消費者金融の貸出残高も七兆五千八百億円と史上最高記録を出しております。  消費者金融問題につきましては、取り締まりの強化と早急な取り締まりを求めてまいりましたけれども、過剰融資の加速が懸念される無人契約機も大手六社を中心にいたしまして四千五百台にふえておりまして、消費者金融の金利も高どまりしたままという無策の状況になっております。さらに、銀行の貸し渋りの増加によって消費者ローンの需要は一層高まっております。  不況の影は過去最高の自己破産という形であらわれているものと思われます。しかも、破産予備軍が百万人以上と言われておりますけれども、こうした自己破産の悲劇を防ぐためにどのような対策を考えておられるのか、お伺いをしたいと思います。
  55. 井出亜夫

    ○井出政府委員 お答えを申し上げます。  先生御指摘ように、近年、自己破産の申し立て件数というのが増加をしておりまして、平成九年におきましては七万件を確かに超えた数になっております。  消費者の多重債務問題につきましては、一つは、消費者自身が消費者信用を利用するに当たりまして返済可能な範囲内でこれを利用する、そういった債務を常に正常に把握するといった自己管理が必要でございますけれども、政府といたしましても、本件につきましては、昨年の十一月に開催をされました第三十回の消費者保護会議におきまして、当面の重要施策の一つとしまして、個人信用情報の利用等のあり方について検討を行い適切な対応を図るということを決めたところでございます。  それからまた同時に、これにおける消費者教育の重要性というのは常日ごろ大変指摘されるところでございまして、この消費者教育の充実もあわせ図ることを決定したところでございます。  特に、消費者教育問題につきましては、経済企画庁といたしまして、文部省と協力をいたしまして、消費者教育支援センター等を通じまして、消費者が消費者信用に関しまして適切な知識を身につけるための消費者教育を推進するといったこと、さらには、国民生活センターを通じまして、多重債務者をねらった悪質商法や、適切な相談窓口に関する情報提供というものを推進してまいりたいと考えております。  もとより、もろもろの法律に違反する悪質商法というものにつきましては、この厳正な運用というものを図っていくよう徹底をしております。
  56. 青山二三

    青山(二)委員 それでは、時間も残り少なくなってしまいましたので、最後の質問、まとめてお伺いしたいと思います。  こういう不況のときに、一方ではマルチ商法やマルチまがい商法による被害がふえております。国民生活センターによりますと、一九九七年のマルチあるいはマルチまがい取引の相談件数は一万二百四十八件となり、過去最高でありました九六年度の七千三十四件を突破するという最悪の状況になっております。中でも、前回の委員会でも指摘しました会社は、改善を要求しても依然として苦情や相談件数が減らないということであります。  この背景には、不況が長引く中で、手軽な副業として安易に飛びつく傾向があると考えられます。深刻な不況の根はマルチ商法被害の増加という形であらわれておりまして、これを早急に断ち切らなければならないと思います。  前回も指摘いたしましたところでございますが、マルチ商法による被害の特徴としては、その被害が経済的被害にとどまるだけではなくて、被害者が加害者となるということでございます。それまで培ってきた友人関係を知らず知らずのうちに破壊してしまうという、お金では換算できない重大な被害をこうむるということであります。だまされる方も悪い、このようなことも言われる昨今でございますので、何としても甘言に乗らないような消費者教育を急ぐべきである、これが一点。  それから、被害者の発生を根絶するためには、悪質な手口の先手を打つ対応が求められております。ですから、その都度その都度法制定がなされますけれども、このたび大臣も所信の中でおっしゃっておられましたけれども、消費者契約の適正化のために包括的な民事ル←ル立法化の検討を行っているということを述べられまして、消費者契約法を制定する、このよう段階になったようでございまして、やっとの思いでここまで来たかという、そんな思いがするわけでございます。  何としても消費者を保護するという立場でこの法律の制定を急いでいただきたいと思うわけでございますが、そのスケジュールもあわせて質問をさせていただきまして、時間も来たようでございますので質問を終わらせていただきたいと思います。
  57. 尾身幸次

    尾身国務大臣 ただいま委員のおっしゃいましたように、新しい時代の潮流に対応して消費者保護を進めていくことは大変大事だと思っている次第でございます。  先ほどの消費者契約法等につきましても、関係各方面と調整の上、来年の通常国会への法案提出を目指して努力をしてまいりたいと考えている次第でございます。
  58. 青山二三

    青山(二)委員 大変ありがとうございました。これで終わらせていただきます。
  59. 前田正

  60. 松浪健四郎

    ○松浪委員 自由党の松浪健四郎でございます。  尾身経済企画庁長官におかれましては、連日会議漬けで、大変御苦労を賜っておりますことに心から敬意を表したいと思います。そしてまた、昨日からは緊急経済対策特別委員会が開催され、長官答弁に立たれ、その苦しい表情をブラウン管を通じて見させていただいたところでございますけれども、大変な任にあられることを同情しながら拝見させていただきましたが、ます最初に、ここ一年ほど前から、橋本総理が発言されてまいりましたことを抜粋させていただきました。これを長官に聞いていただいて、そしてます感想をお尋ねしたい、このよう思います。  昨年の一月二十日の施政方針演説におきましては、平成九年度を財政構造改革元年と位置づける。  昨年の十月一日。衆議院の本会議におきましては、景気の動向は確かに厳しい状況にあるが、今年度後半に景気の回復傾向が見られると誓える。  そして、十月二日の同じ衆議院の本会議におきましては、財政構造改革は短期的には痛みを伴うが、中長期的には経済活性化に資する。昨年の十月十三日。衆議院予算委員会におきまして、所得減税をする大きな財源を持っているわけではない。赤字国債の発行はあってはならない。  昨年十二月十七日。二兆円の特別減税実施の表明時には、財政構造改革は今後も見据えていかなければならないが、経済の現状を踏まえ、思い切った施策を考えた。財政構造改革が極めて重要な位置づけであることは変わらない。批判が出ることを覚悟で決断した。  ことしの一月十二日の衆議院本会議では、補正予算と金融システム安定化対策などと相乗的な効果を発揮し、我が国経済の力強い回復をもたらすものと確信している。  翌日の衆議院の本会議では、景気対策と財政構造改革はタイムスパンの異なる問題だ。  翌日の参議院本会議におきましては、特別減税を含む補正予算や三十兆円の公的資金の活用などが相乗効果を持って、我が国経済の回復をもたらすものと考えている。実質経済成長率は、政府見通しの一・九%程度の達成は可能だ。  そして、四月八日の参議院予算委員会。これは予算成立の間際までおっしゃっておったのですが、九八年度予算案は最善のもの。一日も早く予算を通していただきたい。  二月十九日の衆議院本会議では、補正予算の取り扱いは財政法二十九条の趣旨を厳正に判断し、適切に対処していきたい。  二月十六日の衆議院本会議の施政方針演説の中では、財政構造改革の必要性は何ら変わっていない。経済金融情勢の変化に応じて臨機応変の措置を講じ、景気の回復を図ることもまた当然だ。  四月三日。ロンドンでの記者会見におきましては、景気は第二次世界大戦後初めてと言っていいほど悪循環が重なり、極めて厳しい状況にある。これまでも臨機応変の措置をとると明言してきた。  同じくロンドンの記者懇では、内外の危機的な経済状況を踏まえ、やらなければならないことは大胆に行う。与党総合経済対策にも財政構造改革の基本精神堅持との文言がある。  四月九日。予算成立後の記者会見では、予算を通してほしいとは言ってきたが、それ以降のことには何も申し上げていない。  このように総理は発言されてまいりました。この感想を長官からお尋ねしたいと思います。
  61. 尾身幸次

    尾身国務大臣 激動する経済社会の中で、率直に申し上げまして、経済生き物だなという感じを強く持っている次第でございます。  それからもう一つは、やはり私ども日本経済の運営の責任者として、経済の実情に応じて臨機応変の対策をとり、政策をしっかりとして、日本経済を順調な回復軌道に乗せることが我々の責任であるというふうに感じている次第でございます。
  62. 松浪健四郎

    ○松浪委員 経済生き物である、それは昨日の特別委員会でも長官の口から発せられた言葉でありますけれども、しかしながら、経済企画庁経済見通しというものを、いろいろな視点から調査され、分析され、立てられておるのでしょうけれども、おおよそのことがわかっているわけであります。ところが、生き物だからそうばならない。そして、臨機応変に―――――臨機応変にという言葉は、事が起こったらそれに対応する言葉でありまして、積極果敢にこのような形でやっていくという姿勢が私たちに伝わってまいりませんし、視点を変えて言うならば、かなり無責任言葉ではないのか、こういうふうに私は思います。  昨日のニューヨークの株式市場は九千二百ドルを突破した。我が国の株価は一万五千円をちょっと超えたころである。アメリカ経済はこれはバブルではないのか、そういうふうに伝えられるところもございますけれども日本アメリカ経済は一体になっておる、日米経済なんだという認識を私は持っておりますけれども長官の認識としては、アメリカ経済は今バブルだというふうな認識はお持ちですか。
  63. 尾身幸次

    尾身国務大臣 アメリカ経済、生産、雇用あるいはGDPの伸び、最近の数字では年率四・二%というような数字になっているわけでございます。  そういう状況の中において実体経済が順調に伸びているという印象を持っております。よ過ぎるくらいいいとは思っておりますが、これがバブルであるというふうに私自身は感じておりません。
  64. 松浪健四郎

    ○松浪委員 いずれにいたしましても、我が国の経済を立て直すためには、内需主導の形で経済政策を立案していかなければならない、そういうふうに思いますけれども長官が所信表明演説をされたのは四月二日でありました。その長官の演説を聞いて家に帰って夕刊を見ますと、各紙は、一面トップで日銀の短観三月調査について報道しております。「業況判断マイナス三一 前回比二〇ポイント低下」「景況感急速に悪化貸し渋り影響」「日銀短観、大幅に悪化」。  長官の所信表明演説では、それほど悲観する内容ではございませんでした。昨年末、名文句、国民のすべてが知っている、桜の花が咲くころには景気が回復するそしてその延長線上にあるような所信表明演説を聞いて、帰って新聞を広げればこのよう状況でありました。  そして、きのうの新聞を見ますれば、これは日銀が発表した四月の貸し出し・資金吸収動向でございますけれども、新年度に入っても貸し渋りが続いているというような報道であります。所信表明演説の中で、長官は、「貸し渋りの問題に対しても、総額約二十五兆円の資金を用意するなどの措置を講じてまいります。」こういうふうに述べられたわけでございますけれども印象として、まだまだ貸し渋りが続いている。長官はどのように思われておりますか。
  65. 尾身幸次

    尾身国務大臣 貸し渋りの問題でございますが、三月の末、四月の初めの早期是正措置を控えて、三月までかなり厳しい貸し渋り現象があったというふうに理解をしております。  私ども、四月に入りましてから、貸し渋りは相当大幅に緩和されるのではないかというふうに見ておりましたが、現在ただいまのところ、どうも実感として、多少は貸し渋り緩和現象が見られておりますけれども、まだ貸し渋りが残っているという感じでございます。  経済の発展に対する必要な資金が必要なところに流れないということになりますと、これは大変大きな問題でございますので、私ども状況をよく注視しながら、必要な対策をとってまいりたいと考えている次第でございます。
  66. 松浪健四郎

    ○松浪委員 私の手元に「平成十年度の経済見通しと経済運営基本的態度」、一月十九日に閣議決定されたものでありますけれども、「平成十年度の経済見通し」を見ますと、個人消費は「雇用者所得の回復などから、回復していくものと見込まれる。」民間設備投資は「製造業を中心に緩やかな増加が見込まれる。」住宅投資につきましては「住宅取得環境が改善されることなどから、回復するとみられる。」このように書かれてあります。しかし、本当にこの見通しは正しいのかどうか、我々は、相当甘いのではないのか、そういうふうな印象を持っているわけであります。  所信表明演説の中でも、平成十年度経済の見通しについて「次第に順調な回復軌道に復帰してくると考えております。」このよう長官は述べられました。一体いつごろから本当に順調な回復軌道が見られるのか、来年の桜の花が咲くころなのか、いつごろなのか、その見通しについて長官にお尋ねしたいと思います。
  67. 尾身幸次

    尾身国務大臣 先ほど来申し上げておりますとおり、生産、雇用等の実体経済の面では非常に厳しい状況が続いているわけでございます。他方、消費性向等につきましては、やや改善の兆しが見られているかなというふうに感じております。  そういう状況の中で、私ども、この経済を一日も早く順調な回復軌道に乗せたいということで、総合経済対策を取りまとめた次第でございます。これを現在、国会で審議していただいているところでございますが、財政構造改革法案の改正、それから減税関係の法案あるいは補正予算がいつ国会を通していただくかという時期にもよるわけでございますが、国会で通していただいた後、一、二カ月のタイムラグをもってこの総合経済対策は効果をあらわしてくるというふうに考えております。  そしてさらに、それ以前におきましても、この対策を政府として提案をした、そのことによります消費者あるいは企業方々へのマインドに対するプラスの影響ということを考えますと、それ以前にでも効果が出てほしいと願っている次第でございます。  そして、今までの、戦後初めてと言ってもいいくらいの大規模な財政出動、真水で一年間十兆円という、GDP対比二%もの真水を含めた対策をしておりますので、経済の実体の面におきまして、先はどのようなタイミングで必ず効果が出てきて、経済は順調な回復軌道に乗るものと考えております。
  68. 松浪健四郎

    ○松浪委員 長官答弁をお聞きしておりますと、何となく秋口にはよくなるのかなという印象を受けました。  話をがらっと変えますけれども、経企庁の建物に大きな布の垂れ幕が下がっております。その垂れ幕には「五月は消費者月間です」と書かれてありますが、これは長官、一体何なのですか。  ―――――長官にお尋ねしているのです。
  69. 尾身幸次

    尾身国務大臣 五月は消費者月間であるという意味でございます。
  70. 井出亜夫

    ○井出政府委員 若干事務的な問題になりますので、補足をさせていただきます。  消費者月間と申しますのは、三十年前に消費者保護基本法が五月三十日にできました。これを記念をいたしまして、何年か、五月三十日を消費者の日というふうに定めておりまして、いろいろな事業をその日に行ったわけでございますけれども、一日だけを消費者の日というよりは、もう少し、月を定めて消費者の月ということで、もろもろのイベントでございますとか啓発事業でございますとかシンポジウムでございますとかいうふうなものをまとめてやるようになりまして、これを称して消費者月間というふうに言っております。
  71. 松浪健四郎

    ○松浪委員 消費者に消費者保護基本法を理解してもらう、そして、消費者にいろいろな認識を持ってもらいたいということなんでしょうけれども、私は、そのことを長官が知っている、知らないということでどうのこうのじゃなくて、経済企画庁は、消費者、つまり国民にもうちょっとお金を使ってもらう、しかも、アイデアでこの国の景気回復を考えるという策があってもいいのではないのか、そういう思い質問をさせていただいたわけでございます。  今私どもは、祝日を月曜日に持ってきて三連休をつくろうではないかという法案を提出させていただいております。このことは、国民が豊かな生活をする、そのことは長官が演説の中でも触れられました「豊かで安心できる国民生活の実現」「経済活性化成果生活に反映され」「真に豊かさを実感できる経済社会の形成に向けてなお一層の努力が必要であります。」この一環から、私たちはやはり心の豊かさというものを取り戻さなければならない。  中曽根内閣当時、教育はます個性の重視だ、そしてゆとりを実感できるように、ゆとりある教育、情報化社会、国際化社会に対応できる教育が必要だというような形で進んでまいり、そして、この前の中央教育審議会の中間報告によれば、偏差値教育から豊かな心を持った子供をつくろうという発想に変わってまいりました。私は、このことが大切だと思います。  その意味において、我々はまとまった時間というものを本当に持っているのだろうか。私は、三連休をつくることによって経済的波及効果もある、そして、押しなべて国民が豊かな心を持つ、時間的余裕を持つことによっておのれの趣味を豊かにすることができる、そのような考えを持っておりますけれども、どの程度の経済的波及効果があるのか、運輸省にお尋ねしたいと思います。
  72. 本保芳明

    ○本保説明員 ただいまの先生の御質問にお答えをしたいと思います。  御案内のとおり、祝日三連休化に関する法案につきましては、いわゆる与党案としては一日、それから野党案としては四日を対象とする案が出ておりますが、これにつきまして、産業連関分析に基づきました試算を行いました結果を申し上げたいと思います。  季節によって効果が違ってまいりますので、日によって異なりますが、成人の日につきましては二千六百六十億円、海の日につきましては三千五百八十六億円、敬老の日につきましては三千四百十二億円、それから、体育の日につきましては五千四百九十四億円程度の効果があるのではないかという試算を行っております。
  73. 松浪健四郎

    ○松浪委員 お聞きしましたならば、長官も既にこの法案については十分御理解していただいているということでございました。  一日だけふやすというのではなくて、豊かさという面から見ましたときには、私は、成人の日、海の日、敬老の日、体育の日、これを月曜日に移動するということを長官からも積極的に推薦していただきたい。そのことがアイデアで経済効果をもたらす、そしてそのことが消費者保護にも、つまり精神的な面ではありますけれども保護につながる、そういうふうに私は認識しております。  長官に、この祝日三連休の法案に御賛同いただけるようお願い申し上げまして、時間が参りましたので質問を終わります。ありがとうございました。
  74. 前田正

  75. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 ことし一月に国民生活審議会の消費者政策部会から中間報告「消費者契約法の具体的内容について」が出されておりまして、先ほどから長官は、通常国会の成立に向けて努力をしたいという御答弁もいただいておりますし、所信表明でも同様に、早期立法化に向けて努力するというふうに述べていらっしゃいます。  消費者の権利保護が進んでいる欧米では既に、法律や判例を積み重ねて、この種の包括的な消費者取引のルールは確立されているわけでありますから、これまで被害救済に当たってこられた関係者からも当然早期に成立を求める声が上がっております。しかし一方では、業界からは反発の声もありまして、消費者からは骨抜きを警戒する声も出てきております。  私は、消費者契約法を、真に消費者の利益を擁護し、権利を拡大するものにしていく必要があり、その立場から幾つかの点について質問をしたいというふうに思います。  中間報告では、規制緩和推進が既成事実にされ、そして「消費者と事業者が自己責任に基づいて行動できる環境整備が必要不可欠」である、そのための対応として消費者契約法が提案されているわけでありますが、問題は、規制緩和を一気に進め、消費者の自己責任を強調していけばいくほど消費者保護がないがしろにされ、消費者の利益が脅かされる事態を生みかねないというふうに思うわけであります。  その象徴的なのが現在進められている金融ビッグバンだと思います。ビッグバンで金融機関の生き残りをかけた競争が激化し、そして金融商品の自由化が進められておりますが、銀行では元本保証のない投資信託が買えるようになるほか、さまざまなリスクを伴う新投資商品が出回ることになってまいります。しかし、これらが消費者保護の施策が全く欠落したままで進められているわけであります。その根幹にあるのが自己責任論なのであるというふうに考えます。  このままでは従来以上に深刻な消費者被害が発生することは火を見るよりも明らかではないかと思いますが、この点では、消費者保護を所管する大臣として大変重大な責任があるというふうに私は思うのです。消費者保護の施策を欠落したまま進められているということについて、どのように大臣はお考えか、まずお聞かせください。
  76. 尾身幸次

    尾身国務大臣 金融ビッグバンに対応して金融商品の自由化が進むという状況でございまして、ある意味でいいますと、消費者の選択の幅を広げるような規制緩和を進める、そして消費者利益に資するものであるというふうに認識をしているところでございます。  しかしながら、他方、消費者が自己責任に基づいて行動することが求められるようになるためにも環境整備は必要であるという考え方もあるわけでございまして、そういう意味におきまして、最近は、大蔵省におきまして、新しい金融の流れに関する懇談会が設置されて、新しい金融サービスに対応した消費者保護を目的とした立法措置などが検討されているというふうに聞いている次第でございます。  この問題はなかなか難しい問題でありまして、元本保証をするかしないか、元本保証がなければいけないということであればそれなりの金融商品がありますし、元本保証がなくてもいいからハイリターンが欲しいという消費者にとってはそれに対応した商品が設定されるということでございまして、要は、消費者がその条件をよく理解し、適切な対応をしていただくことによりまして、選択の自由を持つということになろうかと思っている次第でございます。  しかしながら、そういう状況のもとにおいて、やはり情報格差等の問題もありますから、情報の提供等、不当な不利益をこうむることのないような対応というものは十分にしていかなければならないと考えている次第でございます。
  77. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 私は、大臣のお考えは、消費者の選択なんだということで自己責任というものを強調されているというふうに思います。  さっきも言いましたが、金融機関は、激しい競争に生き残るために既に必死になっているのです。ちょっとペーパー、資料をお願いしておりますのでごらんいただけたらと思いますが、投資信託を扱うようになる銀行は、株価が下がれば数百万円出したものが数十万円に減ってしまうということもありますし、投資信託会社の倒産などがあればゼロになる可能性もあるわけであります。しかし、元本保証がないなどと言ったらそれこそ商品が売れなくなるではないかということで、私は今、大臣のお手元にお示しをしております、委員長にもごらんいただいておりますが、それは証券会社の大きな広告です。これなんです。広告に見えないような、いきな広告を出しております。  この広告の中に、元本の保証はないよということは確かに書かれておりますが、私はあえて、大臣にこの中で探していただくのは大変だろうなと思って、赤で印をつけました。こんな小さな字で書いているわけです。元本保証されていないという言葉がこんなに、虫眼鏡で探してもう必死にならなければ、それは同様に、こういう本、これは専ら新しい金融商品を売り込むために、同時に消費者の選択に知恵を与えるという目的でこういう専門雑誌も出ております。ここで出されている広告も、みんなこの手の文字は本当に小さい、わからないのです。そして銀行員の中には、リスクの説明はバランスが大事なんだ、高利回りが期待できることとリスクを上手に絡めて勧めるように、そういう指導が徹底されてきているというふうに聞いております。金融に関しては全く素人である人たちが今日の超低金利政策のもとで、情報も知識も集中して握っているプロである銀行員の勧誘、それも高利回りを強調して、リスクについてはオブラートをかけた勧誘にさらされていくわけであります。  収益アップが迫られる中で、過剰勧誘も当然起こってくるわけでありまして、現状では、説明をしたよ、情報は伝えたから責任は消費者にあるということになるわけでありますが、私はこれは、まさに消費者保護が欠落したままのビッグバンを進めていけば、かつて見たこともないような消費者被害を再現することになりかねないというふうに危惧いたしますが、もう一度この点についての大臣の御認識を聞きたいと思います。
  78. 尾身幸次

    尾身国務大臣 この問題は、基本的には、自由経済における自己責任原則と、情報格差といいますか、交渉力の格差といいますか、そういうことについての消費者保護という問題との接点になる問題であるというふうに私は考えております。  そういう中で、日本全体のいわゆる資産運用のパフォーマンスといいますか、率が今まで諸外国の実例と比べて低いということも事実でございまして、そういうことについて機会利益を得るべきものを失っているという実態にもあるわけでございます。したがいまして、ハイリスク・ハイリターン、あるいはローリスク・ローリターンの商品を、消費者が判断をいたしまして選択をするという状況に今後なっていくと考えておりまして、これは、好むと好まざるとにかかわらず、自由経済原則のもとでそういう方向になっていくだろうというふうに考えております。  ですから、そういう状況のもとで、やはり消費者の皆様にもできるだけ勉強をしていただかなければなりません。同時に、情報が不当に、正しく伝えられないというよう事態は回避しなければなりませんし、その契約の過程でいろいろな意味でのハンディキャップを、必要な対策を使ってハンディキャップをなくしていくということも必要であろうかと思います。  そういうことも含めまして、先ほどの金融問題についての消費者保護に関する法案等も今検討をされているわけでございまして、私どもも、そういう新しい状況の中でしっかりとした対応をしていきたいと考えている次第でございます。
  79. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 金融商品の自由化の進展は、消費者に提供される商品をますます複雑かつリスクの高いものにして、消費者の理解をはるかに超えたものにしていくのではないかと思うのです。そして、結局千二百兆円に上る個人金融資産の運用を、リスクの高い金融商品などで危険なマネーゲームに巻き込んでいくのではないかというふうに考えます。その点では、私はへ我が国が遅れているこの消費者保護の対策というものについて、また、金融商品について厳格な審査を行うなど、そのルールの確立ということに本当に取り組んでいかなければいけない。  日弁連は、イギリスはビッグバンと同時に金融サービス法を制定して高度な規制を行ったが、それでも百万人の被害を生む事件を発生した、日本は消費者保護の法規制なしにビッグバンに突入しようとしていると批判をしました。ある消費者のリーダーは、消費者はあたかも救命器具を支給されずに大海にほうり出された難破船の乗客のようなものだ、幾ら教育したって、これでは本当にのみ込まれてしまうのだということを既に指摘をしております。  私は、時間がきょう限られておりますので、もうこれ以上申し上げることはできませんけれども、あくまでも規制緩和万能、自己責任論貫徹ということではなしに、消費者行政の立場から、国民の財産を守るために必要な規制を強化していただきたいということを求めておきたいと思います。  中間報告では、不当条項リストについては、当然に無効とされるブラック・リストと、不相当と評価される場合にのみ無効とされるグレイ・リスト、二本立てになっているわけですが、いわゆるグレイリストに該当する契約かどうかということの争いになった場合には、その立証責任をだれが負うのかということが問題であります。  短期間で不当に高く値上げをしたとか、不当に長い期間消費者を契約に拘束するとかいうよう評価を伴う事項については、これは当然業界の適正な取引慣行や実情を詳細に知っている事業者の方にあるのであって、消費者の方は情報力が乏しくて、とても立証責任を負わせていくというのは無理な存在であるわけであります。  したがって、私は、消費者に立証責任を負わせたのでは、せっかく規定したグレイ・リストが実効性を伴わないものになりかねないという立場からも、消費者の利益を確保するという精神に立って、消費者に負担を負わせない立法が必要ではないかというふうに考えるわけです。  この点、簡単にお答えください。
  80. 井出亜夫

    ○井出政府委員 先生御指摘の不当条項リストにつきましては、当然に無効とされるブラック・リスト、それから不相当と評価された場合にのみ無効とされるグレイ・リスト、この二つのカテゴリーがあるわけでございますが、グレイ・リストにつきましては、事業者と消費者のどちらが不相当かという立証の問題という問題が生じます。  この点につきましては、ブラック・リストが一体何か、またグレーのリストが何かという振り分けをさらに詳細に検討していかなければなりませんものですから、現段階ではなお検討が必要であろうかと思います。  今後、グレイ・リストの立証責任問題につきましては、最終報告に向けましてさらに詳細な御審議をいただいて、それを踏まえた対応を考えてまいりたいというふうに思っております。
  81. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 もう一点お伺いしたいのです。  消費者契約法において、不当な条項が含まれる約款が使用された場合に、消費者は裁判による救済を求めることができるわけですが、しかし、それだけでは、同じような約款がさらに使われ、そして新たに多くの被害者を生むという可能性が残るわけてあります。したがって、この法を絵にかいたもちにしないというためにも、実効性のあるものにしていくための措置というものが求められております。  しかし、中間報告では、十月と違って、並行して検討するというだけで、具体的な方向性、論点も示されておりませんし、今の御答弁でも、まだ検討ということでございます。  法曹界や消費者団体などからも、消費者及び消費者団体による差しとめ請求権、消費者団体の団体訴権、公正取引委員会による是正措置などとあわせて消費生活センターの苦情処理体制の拡充というような具体的な提起がどんどんされているわけですが、そういうものを十分酌み取って、将来にわたって消費者被害を発生させない、消費者の権利が実質的に確保できる実効性確保措置を検討する、そういう点ではそれを強化していくということが必要だと思いますが、その点について。
  82. 井出亜夫

    ○井出政府委員 御指摘ように、今年一月の中間報告につきましては、実効性の確保の問題というのが今後の検討にゆだねられております。  今後、諸外国における団体訴訟の制度でございますとか、あるいは裁判制度のあり方でございますとか、それから裁判外の紛争処理機関の充実、さらには消費者教育でございますとか、消費者への情報の提供というふうなもののあり方を含めまして、民事ルールがどうしたら実効性が確保されるかという問題につきまして御審議をいただくことになっております。  私どもといたしましては、最終報告を踏まえまして、実効性を確保する方策について具体的な対応を考えてまいりたいと考えております。
  83. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 私、きのう、消団連の集会に参りました。消団連は、きのうようやく消費者のための契約法を考える会というのを発足させたということであります。私は、立法化に当たっては、特に広く消費者や消費者団体、また被害者救済に当たってこられた関係者の意見を十分に聞いていただきたい、そのことを強く求めておきたいと思います‘  最後になりますが、この消費者特別委員会は、昨年の通常国会で遺伝子組み換え食品の表示問題を検討する小委員会というのをつくりました。そして、昨年七月から十二月まで調査検討を行いまして報告書をまとめていることは大臣も御承知だと思います。遺伝子組み換え食品の表示そのものにつきましては、消費者の権利を守るために、可能な限りにおいてきちんと表示すべきであることで一致を見たという報告であります。これは、消費者の強い要求がある消費者行政の所管大臣としても、重く受けとめていただきたい。なぜならば、この小委員会の報告は、やはりその背景に消費者の熱い期待、そして一日も早くという願いが込められていたからであります。  私は、第三十回の消費者保護会議も見せていただきましたが、その中でも、重点施策として「食品の安全性確保・適正な表示の推進」というものを挙げておりまして、遺伝子組み換え農産物の表示問題について適正な対応を図ることというふうに明記しております。  消費者行政の所管大臣として、この点でも、関係省庁に早急に消費者の声が実現できるような取り組みを求めたいわけでございますが、いかがでございましょうか。
  84. 尾身幸次

    尾身国務大臣 ただいまの消費者保護会議におきましてそのような決定がなされたというふうに承知をしております。  私どもといたしましても、遺伝子組み換え食品に対する問題につきましては、関係省庁で専門的な検討をしておりますが、経済企画庁といたしましても、これら関係省庁と連絡をとりつつ、必要に応じて適切に対応してまいりたいと考えておる次第でございます。
  85. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 私は、去年、藤本孝雄農林水産大臣に質問をいたしました。このとき、藤本農林水産大臣は極めて御自身の御意見として、「消費者の側から見れば、そういうものであるということを承知の上で」というのは、遺伝子組み換え食品であるということを承知の上で「食するとか食しないとかそういう判断の材料にしたいという御意見については、私ももっともな御意見だと思っております。」ということで、十分な検討を約束されて、今大臣のおっしゃった検討委員会が発足する運びになりました。  大臣御自身としては、それを食するとか食しないとかそういう判断の材料にしたいという御意見について、どういうふうに受けとめられますか。
  86. 尾身幸次

    尾身国務大臣 私自身、この遺伝子組み換え食品の問題については素人でございますので、関係方面の意見を聞いた上で適切に対応してまいりたいと考えております。
  87. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 これで終わりますが、消費者保護行政の長たる大臣が、どうぞ、遺伝子組み換え問題で素人などというようなことはもう再びおっしゃらないように。遺伝子組み換え食品に対する表示、これは厚生省、農水省に寄せられた地方自治体からの意見書、決議も合わせたら二千に上ってきています。署名の数は本当に莫大なものに広がっているわけでありますから、どうぞぜひ消費者が今何を願っているかということを十分勉強していただいて、そして、この問題に、もっともっと消費者の立場に立った、視点に立ったお取り組みをお願いしまして、終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
  88. 前田正

  89. 中川智子

    中川(智)委員 社会民主党・市民連合の中川智子でございます。  きょうは、ダイオキシンについて厚生省の方にお伺いいたします。  大阪府の能勢町で国内史上最悪の二万三千ピコグラムが周辺土壌から検出されまして、私は能勢町にこの間三回行ってまいりまして、住民の方々のそれはそれはパニック状態という不安の声を受けて、先日も厚生委員会で若干質問いたしましたけれども、これは今や、大阪府の能勢町の問題だけではなくて、国民すべてがこのダイオキシンに対しては非常な不安を抱き、今後この国のあり方 を問われる大問題だと思いますので、十分間でございますけれども、厚生省に質問いたします。  一九九〇年の十二月に厚生省はガイドライン、いわゆる旧ガイドラインと言われているガイドラインを出しました。既設炉の運転方法、燃焼温度が八百度以上、そして電気集じん器入り口の温度が二百度に、そのような形で努力すべきというガイドラインを出しましたが、ガイドラインというのはそれが周知徹底されてこそ初めて意味をなすものであり、その時点でもっと厚生省の取り組みが積極的であれば、この八年後にこれだけ大きな問題に、また不安をあおり立てることはなかったと思います。それでも今なお、この能勢町の問題が出ましても、厚生省の取り組む姿勢に対しては私自身も非常な不安をこの間覚えております。  それで、この九〇年に出されたガイドラインのその後の適正な運転管理が行われているかどうかということを厚生省は調査したのかどうか、これをお聞きしたいと思います。したのかどうかということで結構ですから。
  90. 入江登志男

    ○入江説明員 お答えいたします。  厚生省におきましては、平成二年の旧ガイドライン策定後、全国の都道府県担当部局長会議におきまして、旧ガイドラインに基づきます対策の実施について市町村を指導するよう指示してきたところでございます。また、平成四年には、廃棄物処理法に基づく施設の構造・維持管理基準におきまして、燃焼温度をおおむね八百度C以上とする規制強化も行っております。  この旧ガイドラインに示しました対策とか、廃棄物処理法に基づきます構造・維持管理基準の遵守につきましては、ごみ処理に責任を有します市町村が、固有事務としてみずから適切に実施すべきものでございまして、厚生省といたしましては各市町村において適切に実施すべきものと考えております。今回の事例を教訓といたしまして、都道府県を通じまして、規制基準の遵守状況を適切に把握するよう努めるとともに、市町村に対します指導や技術的支援等の強化に努めてまいる所存でございます。
  91. 中川智子

    中川(智)委員 その指導をしたということで、指導したかどうかの確認、そしてまた、それに基づく調査そのものをしたのならばデータをいただきたいと思いますが、そのデータはおありですか。
  92. 入江登志男

    ○入江説明員 ただいま申しましたように、一応部局長会議で、徹底を図るということで指導をしております。そういうことでございます。
  93. 中川智子

    中川(智)委員 その指導に忠実ならば、このような形で異常値、いわゆる高濃度のダイオキシンが発生することはないわけでありまして、その調査に関しまして、今この時点で緊急にしていただきたいという要望なんですが、それに対してはどうでしょうか。
  94. 入江登志男

    ○入江説明員 それにつきましても、先ほどの回答といいますかお答えの中で申し上げましたように、今回の事例を教訓といたしまして、今後はきちっと市町村に対する指導または技術的支援の強化に努めてまいりたいというふうに考えてございます。
  95. 中川智子

    中川(智)委員 そして、そのデータの開示、情報公開をよろしくお願いいたします。  そしてまた、ガイドラインの中で設置すべきだと明示された計測器の一酸化炭素連続分析計の設置に対して、まだ未設置の施設の数は把握していらっしゃいますでしょうか。
  96. 入江登志男

    ○入江説明員 その実態については把握してございません。  ただ、ダイオキシン対策ということで、改造事業について補助事業を実施しておりますので、そういったことで、この五年間の間にできるだけ早急に整備するようにということで指導をしているところでございます。
  97. 中川智子

    中川(智)委員 指導というのはだれにでもできると思うのですが、指導した後が問題だと思うのです。指導したことが実際になされているかどうかということで初めてその指導が生きるわけでありますが、その未設置の部分の早急な調査と、していないところにはもう一つ強い形で設置することを指導すべきだと思いますが、いかがでしょう。
  98. 入江登志男

    ○入江説明員 先生御指摘のとおりでございまして、先ほどの答弁の中で少し順番が前後したわけでございますが、昨年八月の廃棄物処理法に基づきます政省令の改正によりましてCO連続分析計の設置は義務づけになってございますので、この構造・維持管理基準の、そういう義務づけということで強化がなされるというふうに思っております。その中で、さらに、補助事業の推進ということで、できるだけ早く整備するようにという指導を行っていきたいというふうに思っております。
  99. 中川智子

    中川(智)委員 COも不完全燃焼により発生するわけですから、炉から出るCO濃度が高くなれば当然ダイオキシンが発生しているということですので、抑えられるわけなんですね。計測器さえも設置していなければ、濃度をはかるということはもう不可能なわけですから、これが未設置のところが何カ所あって、どこなのかということをお知らせいただきたいのですが、それについてはどれぐらいの期間でお知らせいただけますでしょうか。
  100. 入江登志男

    ○入江説明員 COの測定そのものにつきましては、きちっとしたそういう計測計、自動計測計だけではなくて、簡易な計測計によりましても計測できるわけでございますので、燃焼管理をする際には、そういったものも使いながら見ていくというようなことで自治体はやっていると思います。  それから今の先生の御指摘でございますが、私どもも、こういう実態についてはできるだけ早急に把握して、把握した情報につきましてはできるだけ公開していくように努めてまいりたいと思っております。
  101. 中川智子

    中川(智)委員 できるだけ早くお願いいたします。  それと、今、環境整備課の入江課長なんですけれども、ダイオキシン自体を、厚生省の、所轄官庁の部署として今人員はどれぐらいいらっしゃいますか。
  102. 入江登志男

    ○入江説明員 環境整備課の職員は約十五名ぐらいでございます。  補足して申し上げますが、その中でダイオキシン対策を中心にやっております技術系の職員は、私も含めますと五人ぐらいでございます。
  103. 中川智子

    中川(智)委員 五人で。焼却炉だけでも全国に千六百四十一ありまして、ただいまのお願いなんかもとても四人では不可能で、この間、ダイオキシンで、私がかなりいろいろぎゃあぎゃあ言いましたら、本当に徹夜に近い状況だということでございまして、非常におやつれの御様子も見られますので、これはぜひとも、ます。そのスタッフを強化していくということで、厚生省の方にもお願いいたしますが、尾身長官、こういう事態はどのようにお考えですか。ぜひとも長官からも、ダイオキシン対策、厚生省の方にしっかりと、ます人をふやして強化すべきと当然思われますよね、いかがでしょう。
  104. 尾身幸次

    尾身国務大臣 行政は国民のニーズにこたえて対応するのが当然であると思っておりますので、必要があればまたそのように手当てをいたします。
  105. 中川智子

    中川(智)委員 必要だというのが国民の声ですので、では、いろいろなところで、尾身長官からも小泉大臣の方に言ってくださるような御様子ですので、安心いたしました。  それと、全国の焼却炉、ただいま申しましたように、千六百四十一カ所あるのですが、ダイオキシン濃度の総点検を厚生省が指示いたしまして三回にわたって実施されましたが、こちらで把握している限りでは、五十四施設に関しましてはいまだに報告が上がっていないのですが、その事実に間違いはありませんでしょうか。
  106. 入江登志男

    ○入江説明員 先生の御指摘でございますが、厚生省といたしましては、平成九年十月の公表時点が一番最終時点でございますけれども、その時点では、九十八施設についてまだ報告がなかったということでございます。現在は、そういった残りの未報告の施設につきましても引き続き測定を指導し、早急に結果を取りまとめていきたいというふうに思っております。
  107. 中川智子

    中川(智)委員 それは出さないでほっぽってたら、これから次、そういう検査をしろと言っても、一切その後、きっちり出しなさいということがなければ出さない施設がふえていく、それを放置することになると思いますので、何月何日までに出せと言うならば、出していないところに関しては、しっかりと出すように図るというのが当然だと思います。これは要望です。  もう質問時間が終わりましたが、最後一点だけ。  これは厚生省の中間的な報告で結構ですが、今回の能勢町、そして高濃度のダイオキシンを出したメーカーの問題で、企業責任に対してどのように考えていらっしゃるか、現在的な議論の報告をお願いいたします。
  108. 入江登志男

    ○入江説明員 問題の豊能郡の美化センターの周辺土壌におきまして高濃度のダイオキシン類が検出されたことについて、現在、その原因の解明ということ、これが一番重要であると考えておりまして、それに全力を傾けているところでございます。  そのため、施設の設置者でございます豊能郡の環境施設組合からヒアリングを行いますとともに、製造事業者であります三井造船に対しましても、必要な情報の提供を文書により求めているところでございまして、引き続き事実関係の把握に努めてまいる所存でございます。
  109. 中川智子

    中川(智)委員 もう終わりますが、三井造船は一切データの公表もいたしませんし、行政の方も出しません。そのことによる住民の不安が高まっているということで、三井造船との話し合いの中、また管理組合との話の情報開示をこの際はっきりとお願いしたいと思います。よろしくお願いします。  では、最後に一言お願いします。
  110. 入江登志男

    ○入江説明員 ただいま先生の御指摘ありましたように、現在原区の解明ということに努力してございますので、その時点で、いろいろ情報が入りましたものにつきましてはできるだけ公表し、そのために必要な情報も提供してもらうようにということで、三井造船にも協力を求めているところでございますので、そういったことでしっかりやっていきたいと思っております。
  111. 中川智子

    中川(智)委員 よろしくお願いします。延びまして申しわけありませんでした。よろしくどうぞ。     ―――――――――――――
  112. 前田正

    前田委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  物価問題等国民消費生活に関する件について調査のため、参考人出席を求め、意見を聴取することとし、その日時、人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  113. 前田正

    前田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  次回は、来る二十日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。午後零時十八分散会