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1998-05-14 第142回国会 衆議院 災害対策特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十年五月十四日(木曜日)     午後四時三十分開議 出席委員   委員長 西村 章三君    理事 稲葉 大和君 理事 植竹 繁雄君    理事 栗原 博久君 理事 砂田 圭佑君    理事 大畠 章宏君 理事 山本 孝史君    理事 福留 泰蔵君 理事 達増 拓也君       今村 雅弘君    小野寺五典君       大石 秀政君    大村 秀章君       佐藤 静雄君    阪上 善秀君       田中 和徳君    田村 憲久君       竹本 直一君    戸井田 徹君       桧田  仁君    平沢 勝栄君       堀之内久男君    松下 忠洋君      三ッ林弥太郎君    宮路 和明君       目片  信君    望月 義夫君       矢上 雅義君    石橋 大吉君       川内 博史君    北橋 健治君       土肥 隆一君    藤村  修君       松沢 成文君    赤羽 一嘉君       木村 太郎君    旭道山和泰君       一川 保夫君    三沢  淳君       平賀 高成君    藤木 洋子君       中川 智子君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (国土庁長官) 亀井 久興君  出席政府委員         阪神淡路復興         対策本部事務局 田中 正章君         次長         国土庁防災局長 山本 正堯君  委員外出席者         参議院議員   清水 達雄君         参議院議員   芦尾 長司君         参議院議員   前川 忠夫君         参議院議員   但馬 久美君         参議院議員   及川 一夫君         参議院議員   都築  譲君         参議院議員   奥村 展三君         大蔵省銀行局保         険部保険第二課         長       藤塚  明君         厚生省社会・援         護局保護課長  田中 敏雄君         衆議院調査局第         一特別調査室長 清水 紀洋君     ――――――――――――― 委員の異動 五月十四日  辞任         補欠選任   桧田  仁君     戸井田 徹君   松岡 利勝君     宮路 和明君  吉田左エ門君     大石 秀政君   石井  一君     松沢 成文君   神田  厚君     北橋 健治君   辻  一彦君     川内 博史君   北沢 清功君     中川 智子君 同日  辞任         補欠選任   大石 秀政君    吉田左エ門君   戸井田 徹君     大村 秀章君   宮路 和明君     松岡 利勝君   川内 博史君     辻  一彦君   北橋 健治君     神田  厚君   松沢 成文君     石井  一君   中川 智子君     北沢 清功君 同日  辞任         補欠選任   大村 秀章君     桧田  仁君     ――――――――――――― 四月二十四日  被災者生活再建支援法案参議院提出参法第  三号) 同月十日  災害被災者等支援する法律の速やかな成立  に関する請願中川智子紹介)(第一四二九  号) 同月十六日  災害被災者等支援する法律の速やかな成立  に関する請願藤木洋子紹介)(第一五一七  号)  同(穀田恵二紹介)(第一六六九号) 同月二十一日  災害被災者等支援する法律の速やかな成立  に関する請願石井郁子紹介)(第一七〇一  号)  同(藤木洋子紹介)(第一七〇二号) 同月二十四日  災害被災者等支援する法律の速やかな成立  に関する請願矢島恒夫紹介)(第一九八五  号) 同月三十日  災害被災者等支援する法律の速やかな成立  に関する請願藤木洋子紹介)(第二〇八六  号) 五月八日  災害被災者等支援する法律の速やかな成立  に関する請願平賀高成紹介)(第二二九三  号)  同(藤木洋子紹介)(第二二九四号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  被災者生活再建支援法案参議院提出参法第  三号)      ――――◇―――――
  2. 西村章三

    西村委員長 これより会議を開きます。  参議院提出被災者生活再建支援法案議題といたします。  発議者から趣旨説明を聴取いたします。参議院議員清水達雄君。  被災者生活再建支援法案     〔本号末尾に掲載〕
  3. 清水達雄

    清水(達)参議院議員 ただいま議題となりました被災者生活再建支援法案につきまして、その提案趣旨及び主な内容を御説明申し上げます。  我が国は、気象的、地形的要因により災害を受けやすく、毎年のように風水害、地震火山災害などさまざまな自然災害が多発し、甚大な人的、物的被害が生じております。  これらの災害に適切に対処するため、災害予防災害応急対策から復旧、復興に至る各段階を通じて、これまで各般にわたる災害対策に関する制度の整備が図られてきたところであります。  自然災害により被害を受けた個人に対しましても、応急的対策としての災害救助法に基づく救助災害弔慰金支給等に関する法律に基づく災害弔慰金災害障害見舞金支給、あるいは各種資金貸し付け等、多様な支援が講じられております。  しかしながら、二十一世紀を目前に控えた現在、国民の生活水準が著しく向上し、成熟化する一方で、本格的な高齢化社会が到来するなど、自然災害被災者を取り巻く社会経済情勢もこれまでとは大きく変化しております。  かかる状況のもと平成七年一月発生した阪神淡路大震災は、大都市直下型の災害であったため、その居住する住宅が全半壊した被災者が約四十六万世帯に上るなど、戦後未曾有の大災害となりましたが、被災地におきましては、生活基盤を破壊された高齢等被災者方々の中には、自力のみでは自立した生活を開始することが極めて困難である方が少なくない現状となっております。  そのため、阪神淡路大震災被災者に対する生活再建支援対策あるいは住宅対策として、国及び地元地方公共団体被災者向け公営住宅の確保、公営住宅家賃負担軽減等の公的な施策を行うとともに、兵庫県及び神戸市によって設立された財団法人阪神淡路大震災復興基金が、被災高齢者世帯等への生活再建支援金支給被災中高年齢世帯等への中高年自立支援金支給等各種事業を行うなど、行政措置として多くの施策が現在講じられているところであります。  この阪神淡路大震災教訓にかんがみれば、現在の社会経済情勢もとで、被災者生活を、その被災実態に応じ迅速かつ弾力的に支援することにより、一日も早い被災者生活の立ち上がりを図ることが極めて重要な課題となっており、このための法制度の充実が求められております。  一方、阪神淡路大震災後、内閣総理大臣により設置された防災問題懇談会は、平成七年九月、全国地方公共団体一定額を拠出して被災地支援を行う基金制度を創設することについての検討必要性を提言しております。また、全国知事会におきましても、昨年七月、地震等自然災害による被災者自立再建支援する災害相互支援基金の創設に関する決議が行われたところであります。  これらのことを踏まえたとき、現行制度運用では対応が困難な分野を補完し、被災者が自立した生活を開始できるよう、今後の自然災害対象として、被災者生活再建を公的に支援するための恒久的な法制度を確立することが今何よりも肝要であると考えます。  本法律案は、以上のような観点に立って、自然災害により生活基盤に著しい被害を受け、経済的理由等により自立して生活再建することが困難な被災者に対し、その自立した生活の開始を支援するため、都道府県相互扶助観点から拠出した基金を活用して被災者生活再建支援金支給する制度を創設しようとするものであります。  次に、本法律案の主な内容につきまして御説明申し上げます。  第一に、この法律における自然災害等の定義についてでありますが、自然災害とは、暴風、豪雨、豪雪、洪水、高潮、地震、津波、噴火その他の異常な自然現象により生ずる被害をいうことといたしております。また、支援対象となる被災世帯とは、政令で定める自然災害により、その居住する住宅が全壊した世帯、その他これと同等の被害を受けたと認められる世帯として政令で定めるものをいうことといたしております。  第二に、被災者生活再建支援金支給についてでありますが、都道府県は、自立した生活を開始するために必要な経費として政令で定めるものに充てるものとして、その区域内で被災世帯となった世帯のうち、当該世帯に属する者の総理府令で定めるところにより算定した収入合計額が五百万円以下である世帯世帯主に対しては百万円を、また、収入合計額が五百万円を超え七百万円以下である世帯であってその世帯主年齢が四十五歳以上であるもの、収入合計額が七百万円を超え八百万円以下である世帯であってその世帯主年齢が六十歳以上であるもの、または収入合計額が五百万円を超え八百万円以下である世帯であって総理府令で定める要援護世帯であるものの世帯主に対しては五十万円を、それぞれ超えない額の被災者生活再建支援金支給するものといたしております。  また、都道府県は、議会の議決を経て、被災者生活再建支援金支給に関する事務の全部を被災者生活再建支援基金に委託することができることといたしております。なお、被災者生活再建支援金の額の算定基準その他この支援金支給に関し必要な事項は、政令で定めることといたしております。  第三に、被災者生活再建支援基金についてでありますが、同基金は、被災者生活再建支援金支給する都道府県に対するその支給額に相当する額の交付都道府県の委託による被災者生活再建支援金支給等支援業務を行うものとすることといたしております。  また、同基金は、支援業務運営に必要な経費の財源をその運用によって得るために運用資金を設けるものとし、都道府県は、同基金に対し、この運用資金に充てるために必要な資金を、相互扶助観点を踏まえ、世帯数その他の地域の事情を考慮して拠出するものとするほか、必要に応じて資金を拠出することができることといたしております。さらに、同基金運営委員会を置くものとする等、同基金の指定、運営等に関し所要の規定を設けることといたしております。  第四に、被災者生活再建支援基金に対する国の補助等についてでありますが、国は、同基金に対し、都道府県に対する交付金の額及び同基金支給する被災者生活再建支援金の額の二分の一に相当する額を補助することといたしております。  第五に、この法律は、公布の日から起算して六カ月を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとし、また、被災者生活再建支援金支給に関する規定は、この法律の施行の日の属する年度の翌年度以降の年度において、都道府県被災者生活再建支援基金に対する資金の拠出があった日として内閣総理大臣が告示する日以後に生じた自然災害被災世帯について適用することといたしております。  第六に、自然災害により住宅が全半壊した世帯に対する住宅再建支援のあり方につきまして、総合的な見地から検討を行うものとし、そのために必要な措置が講ぜられるものとする旨をこの法律の附則において規定することといたしております。  以上が、この法律案提案趣旨及び主な内容であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同いただきますようお願い申し上げます。
  4. 西村章三

    西村委員長 これにて趣旨説明は終わりました。     ―――――――――――――
  5. 西村章三

    西村委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。川内博史君。
  6. 川内博史

    川内委員 民主党の川内博史と申します。  参議院発議者先生方には大変な御苦労をいただきまして、今般、参議院におきまして被災者生活再建支援法案が可決をされて私ども衆議院の方に回ってきたわけでございますが、自然災害被災者に対する公的な支援の第一歩としては、私は前進を見たのだろうというふうに評価をしております。  ただ、しかし阪神淡路被災が契機となってこの問題が議論をされ始めてから既に三年四カ月が経過をしておりまして、昨年、ことしに入ってからですか、金融機関が大変危ないというときには、金融システムを守るためということでは、あっという間に法案ができて、十三兆円が金融機関支援措置として入れられるということは、政府から提案があってすぐ可決した。  しかし、金融システムが崩壊しても人が亡くなることは恐らくないと思うのですが、阪神淡路地震で六千有余名がお亡くなりになられて、その被災地復興被災者生活支援するための法律が三年四カ月を経過した今やっと日の目を見ようとしているということに関しては、私は、前進を見たとはいうものの、若干残念な思いもなくはないというところであります。  そこで、発議者先生方にまずお伺いをさせていただきたいのは、今の趣旨説明の中にもありましたが、恒久法をつくることが大事なことであるという考えもとでこの法律をつくりましたという一文があったわけでありますが、しかし、その前提となっている阪神淡路大震災があったからこそこの法律ができるわけですけれども、阪神淡路のことが参議院において附帯決議の中でしか触れられていない。その大もと原因である阪神淡路被災者附帯決議の中でしか触れられていないということに私は若干の疑問を持っているわけでありますが、それはなぜなのかということを御説明をいただきたいと思います。
  7. 清水達雄

    清水(達)参議院議員 お話の中にありましたように、阪神淡路大震災があってから相当の期間を過ぎているわけでございますけれども、阪神淡路大震災につきましては、御承知のように、各般にわたるいろいろな施策を講じてきておりまして、金額でいうと四兆円を超えるというふうなことをやってきたわけでございます。中でも、阪神淡路復興基金というふうなものをつくりまして、ニーズに応じていろいろな支援ができるというふうな仕組みもつくり、その中で生活再建支援金交付というふうなことも行われているわけでございます。  したがって、そういった阪神淡路のような大震災教訓といいますか、そういうものを生かして、今後起きる災害に対してどういう支援策を講じたらいいのかということがこの法案をつくろうとしてきた趣旨でございます。  そしてしかも、これは金をたくさんだめなきゃいけませんので、その金をどうするかということで、やはり防災問題懇談会の提言でありますとか、知事会考え方というのは、基金をつくって、その運用益支援をするというふうなことにしなきゃならないのじゃないかということがございまして、したがって、この法案もそれを骨子としてできているわけでございます。  したがって、先ほどの趣旨説明でも申し上げましたように、基金一定の額がたまってそこから支援ができるという体制になるまでは動かないわけですね、この制度は。ということから、遡及適用はできないということになったわけでございます。  ところが、阪神淡路については、現在も一万八千世帯というふうな仮設住宅居住者もいるわけで、やはり生活再建が非常に難しいという実態もあることにかんがみまして、この法案が予定しているのと同じような支援が、今までやっている基金のものも含めましてそれと同程度のものができるような、そういう行政措置を一方で講じてやる、それについて国が必要なことはちゃんとやるんだという附帯決議がついたという経緯でございます。
  8. 川内博史

    川内委員 私は、神戸仮設住宅に真冬の大変寒い中泊めていただいたこともありまして、その生活の厳しさというものを実際に自分で体験もしてまいりました。  今、清水先生の方から、阪神淡路については既に何兆円ものお金が使われているし、また生活再建についても措置をしている部分はあるという御答弁であったわけでありますが、私はそれも十分よく承知をしているわけであります。しかし、この問題が根本的に議論をされてきた原因というのは、阪神淡路被災者生活再建が不十分であるという問題意識からこの問題がずっとこの間議論をされてきたのだろうというふうに思うわけでありますし、実際に阪神淡路被災地生活御苦労をいただいている、生活基盤が破壊をされて大変に苦しんでいらっしゃる方々をどうやって救うかというところからすべての問題が出発しているとすれば、次にお伺いをさせていただくことは、実は巷間、この法律ができると、家が全壊もしくはそれに類する方、世帯には百万円という金額支給をされるということがひとり歩きをしておりまして、実際に今まで阪神淡路地域人々については生活再建支援金として月々支給されていたものが差し引かれるということが伝わっていないような側面もございます。  ですから、この法律規定をしている、発議者先生方がお考えになられた、実際にどういう場合にどの金額が出るのか、そして阪神淡路地域人々についてはこうなりますということを具体的に御説明をいただければというふうに思います。
  9. 芦尾長司

    芦尾参議院議員 今お話がございました本法案生活再建支援金ですけれども、阪神淡路大震災教訓として将来の災害に対して適用されるということでありますが、阪神淡路大震災では、今お話がございましたが、復興基金を活用いたしまして、従来の災害救助法を一歩前進した、そういう生活再建支援金制度が講じられたわけです。そういうものを教訓にして、それを先導的な事例といたしまして、それを取り入れてこの法律ができたというふうに御理解いただきたいわけでございます。そういうことの中で、今回の法律と今現実に阪神淡路大震災で実施されておりますシステムとを比較していただきますと、例えば対象世帯というものが広がって適用されていくだろう、こういうことになるわけでございます。  御案内のとおり、今もお話がございましたけれども、五月一日時点で、仮設住宅入居者は少し減少いたしまして今一万八千世帯、こういうことになっておるわけでございますけれども、被災者に一日も早く恒久住宅に移っていただいて生活再建を図っていただく、こういうことが残された課題になっております。  そういうことから、今もお話がございましたけれども、この法律遡及はしない、遡及はしないけれども、附帯決議参議院でもつけられておりますように、本法の生活支援金に相当する程度支援措置を国としても考えていくべきではないか、こういう附帯決議がつけられたわけでございます。  そういう意味で、現在復興基金において講じられておる措置というものを念頭に置いて、今、地元の県や市の主体性や独自性ということも当然生かしていくことにはなろうと思いますけれども、要するに、本法案との比較において足らざる部分といいますか不足しておる部分についてこれから補っていくような、そういう措置が講じられるべきであるというふうに考えておるわけでございます。
  10. 川内博史

    川内委員 私の認識発議者先生方認識と若干違う部分が今明らかになったわけですが、私は、あくまでも阪神淡路地域被災者皆様方生活再建に大変御苦労されているというところがこの法律出発点であるというふうに思っていたのですが、今の御答弁を承っておりますと、阪神淡路地域で行われてきた被災者に対する支援策をたたき台にしてこの案ができたと。  不十分であるからこの案ができたという考え方と、十分であることをさらに膨らませてこの案にしたというのでは、認識大分差があるわけでございまして、私は、それではちょっと被災地方々が余りにもかわいそうというか、実際に、私などは、苦労されていらっしゃる方々からたくさんのお話を聞いておりますと、まだまだ政府としてサポートをしていかなければならない、あるいは私たち政治の側がサポートをしていかなければならない部分がたくさんあると考えていたものですから、若干残念な気がするのです。  そこで、阪神淡路地域人々については今までの部分を差し引いて支援をすることになるということですけれども、私は、それで果たして本当にいいのかという気がするのです。せっかくこのすばらしい法律ができるわけでありますから、どのみち阪神淡路地域人々については附帯決議措置をするわけでありますから、すべての被災者に今まで支給したものを差し引くというようなことはせずに、特例的に全額支給したらいいじゃないかというふうに考えるのですけれども、発議者方々の御意見というのを改めてお伺いをさせていただきたいと思います。
  11. 芦尾長司

    芦尾参議院議員 御理解いただきたいのでございますが、この生活再建支援金だけで被災者生活再建を図っていくということにはならないと思うわけです。これまでもいろいろな措置が講じられてきております。先ほど清水議員の方からもお話がありましたように、避難所から仮設住宅をつくり、それから災害復興住宅をつくり、そしてその災害復興住宅に対する、公営住宅入居料の減免も行っていくといったような一連の中でこの生活再建というのを進めていこうではないか。  そうしたことの中で、今までの災害救助法等で認められていなかったような、いわば今までは倒れた人を起こすぐらいのところまで行っていなかったのが、一歩か二歩か進めるような、そういうシステムというものが今回阪神淡路で講じら れた、それを全国的に普及していこうではないか、こういうことでこの制度が進められておるわけです。  そういうことの中で、確かにどの程度支援をしたらいいかということが議論になるわけでございます。そこで、阪神淡路大震災で行われている事業が、これが一つ先導的なものとしてこれからやっていくべき見本にすべきであろう、そういうことで新しいこの法案ができておるというふうに御理解いただければ幸いだと思います。
  12. 川内博史

    川内委員 私も、今御答弁ありました、一歩か二歩か前進したということに関してはよく理解をさせていただいておりますし、冒頭も申し上げたように、大変に発議者先生方に敬意を表するものであります。  ただ、こだわるようですけれども、政治というのは、枠組みとか制度をつくることが政治ではなくて、実際に今苦労されていらっしゃる、今苦しんでいらっしゃる方々をどう救うのかということが政治の大事な仕事であるというふうに考えておりますものですから、今阪神淡路地域で苦しんでいらっしゃる方々に対してどう措置するかということに議論が及ぶとするならば、今まで支給してきた支援金を差し引いて支給するというのは余りにも酷な話なのではないのかなという疑問を素朴に述べさせていただきました。  視点を変えさせていただきますが、次に、政府に対してお話をさせていただきますけれども、参議院の四月二十二日の災害対策特別委員会の中で、亀井国土庁長官が、附帯決議に関して政府として配慮するとおっしゃっていらっしゃるわけであります。きょうは緊急経済特国土庁長官まだいらしていただけていないわけですが、国土庁として、阪神大震災被災者に対する支援に関して、この附帯決議を受けてどんな準備に入っているのか。  また、この同日の災害対策特別委員会の中で長官は、委員長の発言を兵庫県、神戸市に伝え、遺漏なきを期する所存でありますというふうに述べられているわけです。いつ、どのような形で、兵庫県、神戸市に何をお伝えになられたのか、どういう御指示を出されたのかということをお聞かせいただきたいと思います。
  13. 田中正章

    田中(正)政府委員 お答え申し上げます。  本法案については御案内のように参議院で御審議の後、本日この衆議院において御審議をいただいているところでございますが、しかしながら、今御案内もございましたように、既に参議院において阪神淡路に関します附帯決議がなされております。このことから、四月中に私ども復興本部の事務局の方から兵庫県及び神戸市に対しまして、参議院におきまして決議がなされました附帯決議委員長発言をお渡ししたところでございます。  なお、阪神淡路被災者に対する生活支援などについては、これまで与党の復興プロジェクトチームにおいて検討の上方針を決定していただきまして、政府としてはこれに従いまして措置を講じてきたところでございます。したがって、今回の附帯決議を踏まえました措置につきましても、本法の制定に伴い地元県、市が具体的にどのような措置を要望されるのかを踏まえまして、先ほど申し上げました与党の復興対策プロジェクトチームにおいて検討がなされるものと受けとめておるところでございます。政府としては、これを受けまして、今後の被災者対策に配慮してまいりたい、このように考えております。
  14. 川内博史

    川内委員 今の復興本部次長の御答弁だと、阪神淡路地域については、支援するのかどうかまたこれから与党プロの中で検討するということですか。
  15. 田中正章

    田中(正)政府委員 お答え申し上げます。  私の方から今、これまで阪神淡路に対する被災者支援というのはどういう経過で行われてきたかということを御説明申し上げました。  それで、参議院の方で今附帯決議がつけられたところでございます。附帯決議をつけられた法案が制定後に、これは当然のことですが、先ほど発議者の先生の方から御発言がございましたが、地元の県、市で現在講じられている、実施されている生活再建支援金、それから中高年の支援金、こういったものとのバランスを考えながら具体的な措置検討される、それを踏まえまして与党の復興プロジェクトチーム、こういうところでもって御論議をいただき、それで政府として決めていく、このような手続で今までやってきている、そういう手続を申し上げたわけでございます。
  16. 川内博史

    川内委員 何を言っているかさっぱりわからないですよ。やるのかやらぬのか、一言で答えてください。これからの話ですよ。
  17. 田中正章

    田中(正)政府委員 お答え申し上げます。  これからの話でございますが、これからの話について参議院附帯決議をいただいたところでございますから、それを地元県、市にお渡し申し上げたというところは申し上げたところでございます。その後の手続については、この法案成立後に、地元の県、市がこれまで講じている施策とのバランスをとりながら具体的な措置考えていかなければならぬ。それに基づきまして、与党の方でも御検討をいただいた上で政府として措置を講じていく、こういうふうになるということを申し上げています。
  18. 川内博史

    川内委員 何か人ごとのように発言をされても大変困るわけですよ。大体、国土庁長官委員長発言を兵庫県、神戸市に伝えというふうに言っているのに、国土庁長官自身は兵庫県とも神戸市ともこの件に関しては話していないということでしょう。国土庁の態度というのが、阪神淡路地域被災者に対しては今までずっとそういうことだったということなのではないですか。  私の時間が余りないので、この件に関してはもう一度聞きますけれども、阪神淡路地域人々に対しては、この附帯決議の中で要求をされている支援措置をきっちりやるのかやらないのかということを、やる、やらないと一言で答えてください。みんなにわかるように言ってください。
  19. 田中正章

    田中(正)政府委員 この法案成立に伴いまして、地元県、市の方から具体的な措置が出てまいりました段階におきまして、与党の復興プロジェクトチームにおいても御検討いただいた上、この結果を受けまして政府として配慮してまいりたい、このように考えているところでございます。(発言する者あり)
  20. 川内博史

    川内委員 議員立法であるとかなんとかそこで言っていますけれども、議員立法で出てきた法律に対して附帯決議が院の意思として示されているわけですから、県や市がどうたらこうたらとか言わずに、国会で決めたことを行政はきちんと履行するというのが行政の役目でしょうから、余り木で鼻をくくったようなことをおっしゃらない方がいいと思います。  それからもう一つ、最後に発議者の方にお伺いをしたいのですが、阪神淡路大震災以降も自然災害というのはいろいろなところで起きていまして、家が壊れた方とかたくさんいらっしゃるわけであります。実際に、私の地元の鹿児島県の出水市というようなところでは、土石流災害でたくさんの方が亡くなられ、また、家を失われた方もいらっしゃるわけであります。この法律ができて、附帯決議の中で阪神淡路だけは何とか担保をされているわけでありますが、この間の自然災害について触れられていないわけでありまして、このあたりについて、発議者先生方の見解というものを最後にお伺いをしたいと思います。
  21. 清水達雄

    清水(達)参議院議員 こういう法律ができて実際に動くのは、基金に少なくとも第一回目の拠出がなされたときと、それ以後の災害に適用されるということになりますから、おっしゃいますように阪神淡路以外にも、出水の災害なんかももちろんありますけれども、これからそれまでに至る間において、例えばことしの梅雨期にまたあるかもしらぬというようなことがあるわけですね。でございますから、こういう制度ができますと、制度に沿ったような措置がとられないと困るのではないかなという議論は当然起こってくると思います。  今、附帯決議阪神淡路のことだけをやりましたのは、阪神淡路実態が、まだ一万八千世帯、当時は二万世帯ぐらいいたわけですが、そういう方々がまだ本格的な住宅に移っていない、そういう意味で生活再建ができていないという実態を踏まえて、これを早くやはり本格的な生活再建の道に乗っけていかなければならぬ、そういう社会的課題があるということでこれを出したわけでございまして、あとの問題については、その必要があるのかないのかということがやはり十分議論されて、必要なら適切な措置が講じられなければならぬというふうに思っているわけでございます。
  22. 川内博史

    川内委員 残念ながら時間が来ました。終わります。
  23. 西村章三

    西村委員長 土肥隆一君。
  24. 土肥隆一

    ○土肥委員 民主党の土肥隆一でございます。  今回の被災者生活再建支援法、私も今から質疑をいたしますけれども、その内容が私の思うとおりであれば、ある意味で画期的な法案であった、しかし額は評価できないというのが私の率直な感想でございます。そして、阪神淡路遡及はしないが、附帯決議遡及条項を参議院委員会でつけられたということであります。  まず、ちょっと質問を外れますが、我々が普通附帯決議といいますのは、ほとんど金目のものを伴わない、そして一種の院の決意みたいなもので、拘束力がございませんね。しかし、附帯決議にはっきりと、阪神淡路復興基金を名指しして、名前を挙げて、その制度に見合うような形、そして本法案趣旨に合うような形で支給をするというふうに言っておりますが、この附帯決議というものは発議者の間ではどういうふうに認識していらっしゃるのですか。これは非常に強い拘束力があるのかないのかをお答えいただきたいと思います。
  25. 清水達雄

    清水(達)参議院議員 附帯決議で言っておりますのは、阪神淡路被災者に対しても、要するに復興基金で現にやっているものも含めまして、この法案とおおむね同等の支援が行われるように、そのために国がやるべきことをきちんとやりなさい、やってくださいという附帯決議になっているわけですね。  そういう意味におきまして、院として、これは今度衆議院でも審議されているわけでございますけれども、やはり立法府の国に対する要請ということでやるわけでございまして、しかも、それについて担当大臣が、それはちゃんとやりますというふうなお答えをするわけでございますから、当然、国としてやってくれるものというふうに思っているわけでございます。
  26. 土肥隆一

    ○土肥委員 やってくれるものと思うということですね。やるという約束ではございませんね。それはできないわけですからね。  しかし、実際は、これを現地に適用した場合には、予算の調整があって、お金は後でつぎ込まなければいけないかもわからないですね。そういうこともあり得るわけで、後で質問の中で確認いたしますけれども、そうすると、相当強制力のある附帯決議、従来我々が国会議員として附帯決議で上げるよりは、もっと強制力があるというふうに理解していいのでしょうか。
  27. 清水達雄

    清水(達)参議院議員 具体の話をいたしますと、当然、同じ程度支援措置をやるというのは、恐らく復興基金で今やっていることをさらに拡充をしてやるということになるのではないかと思います。  そうなりますと、今九千億円のお金が復興基金にあるわけでございますが、例えば三千億円の部分は五年間運用するというようなことになっておりますけれども、この期間を延ばすとかいうふうな形で恐らく措置がなされるのではないかと我々は想像しているわけでございます。そういうことはやはり地方財政措置でございまして、自治省がそれをやるということにならなければならぬわけでございますから、この法律成立をし、附帯決議が動いてくると、当然、そういう議論が県と自治省との間とか、あるいは与党の復興プロジェクトチームとか、そういうところで行われていくだろうというふうに思っているわけでございます。
  28. 土肥隆一

    ○土肥委員 大臣に後で確認しようと思いましたが、おいでになったばかりでございますから、もう少し時間を置いて、質問を進めていきたいと思います。  要するに、今、例えば後で追加された三千億が延長されるなどというようなことを答弁していらっしゃるわけですから、これは相当な国会答弁だというふうに思うわけであります。ですから、事務方はぜひともこれはしっかりと認識していただいて、後で大臣に確認させていただきたい、このように思います。  きょうは芦尾先生がおいでになっているわけですが、震災時は兵庫県の副知事であられたということであります。そして、震災復興の第一線で大混乱期の中を行政のナンバーツーとして仕事をしてこられたというわけでございますから、少しそのときの経験も含めてお聞きしておきたいと思うのであります。  今回の阪神淡路大震災で、この復興基金に関して三つの条件がありまして、罹災証明というものと所得と年齢、こういうふうな制約のもと復興基金から二つの生活再建支援金が支出されているわけでございます。  それで、一番大事なのは罹災証明でありますけれども、私は、その後いろいろと聞いておりますと、一番早いときで二月の六日に、震災後から二十日しかたっていない二月六日から証明書が発行されるわけでありますが、相当混乱しておりました。そのときに、三十万、四十万世帯被災を受けたわけでございますが、その罹災証明というのは、災害救助法あるいは昭和四十三年六月十四日の内閣総理大臣官房審議室長通達などを見ますと、「災害被害認定基準の統一について」という文書がありまして、いろいろ詳しく言っておりますが、恐らく、私の判断としては、そういうことを一々やってこれなかったのじゃないかということであります。罹災証明発行のあり方について芦尾先生はどういうふうにお考えでしょうか。
  29. 芦尾長司

    芦尾参議院議員 確かに、今回の阪神淡路大震災は未曾有の大災害でございまして、従来の罹災証明を出した件数とはけた違いに大きな数の件数が出されておりまして、神戸市だけでも五十万件ぐらい出たのじゃないかというふうに推定しています。そういうことの中で、市町村において、被災状況の現地調査等によって事実の確認を行ってやっていくというのはなかなか大変な作業があったというふうに拝察しています。  特に、最初の場合の罹災証明は外形判断だけでやらなければならない。そして、ある程度時間がたって今度は危険度がなくなったというときに、内部に入っていって本当に住めるかどうかという判断もしなければならない。そういう意味で、最初一部損壊だというふうに認定されたものが半壊になったり全壊になったケースもあったかとも思いますけれども、そういうようなことがあったということは事実でございます。  もちろん、この災害被害の認定につきましては、今お話がありました「災害被害認定基準の統一について」、この通達によって行われ、また市町村に対してもそういう指導がなされたことになります。  そこで、これからのあり方ということになるわけですが、従来の罹災証明ということになりますと、これはある意味では統計上の数値を把握するだけだといったようなことでの全壊、半壊の認定が行われておったということともつながってくるわけですけれども、これからの罹災証明ということになりますと、一つの経済効果が発生するといったようなことになり、それで公平性というものも非常に重要になってまいります。  そういう意味では、ある意味ではこれからの罹災証明の発行につきましては、職員の資質の向上といったようなことも必要になってまいりましょうし、また、これに対する大規模災害が起こったときの支援体制というようなことも非常に重要になってくるのではないか、そうしたシステムというものもこれから考えていかなければならないの ではないかというふうに思いますし、政府に対してもそうした要請をしていかなければならないのではないかなというふうに思います。
  30. 土肥隆一

    ○土肥委員 ところが、その四十万、五十万件の罹災証明、特に全壊、半壊の証明書をもらった人がそれを持っていかないと、いわゆる今回の本法案に対する裏づけとしての新しい生活支援金というのは出てこないわけでありまして、私は、これをどうするのかと思うのであります。  私の事務所の近所のおうちですけれども、もう本当に柱だけ残ったのですね。これは全く全壊なんですよ。全壊証明も出ているわけです。だけれども、この方は仕事が終わると夕方から電気をつけましてこつこつ修理に入るわけです。自分で修理なさるのです。今きれいな家が、きれいというか昔のままの家がきれいにでき上がったわけですね。だけれども、よく考えると更地にしておった方が、これはどうなんでしょうか、半壊の判定だったって更地にしていなきゃ出ないというようなことであるし、家がきれいに建ち上がりましたが、全壊の認定だったらそれは出るのか出ないのか、認定書が全壊となっていれば、その場所でそのままつくりかえても出るのかどうかというような話。  これはちょっと細かい話で、いろいろと問題があるということを委員の皆さんにも御認識いただいて、大都市の地震というのは、判定のことについてはよほどの用意を常にしておかないと大変なことになる。したがって、そのペーパーを持っていって、半壊だ、全壊だという問答が窓口で起こるのじゃないかということを心配しております。  ですから、この判定基準をそのまま利用なさるのだろうと思いますが、御苦労が多いことだな、こう思うわけであります。果たして被災市民の皆さんが納得して、五十万、百万というお金をお受け取りになるかどうか、その辺を私は危惧しております。  きょうは復興基金のことについて発議者の皆さんにお聞きしたいのでありますけれども、復興基金を積み上げるときに、最初は六千億出ました。その次に三千億出ました。六千億のとき、私は与党プロジェクトにおりましたからその経過は存じておりますが、なぜ六千億だったのか、そしてその後三千億積み上げられるわけでありますけれども、なぜ三千億増額したのかというようなこと、その辺の経緯について芦尾先生から御説明をいただきたい。  それから、これは全体で、三千億、六千億、合計して十年後には三千百五十億の果実が出るわけでありまして、それを使って震災復興をする。参議院災害対策特別委員会四月二十二日のときに、芦尾先生は、今提案されております本法案阪神淡路に適用したら千二百五十億円ぐらいの費用になります、既に二つの支援金で七百億円支出しておりますから残りは五百四十億円程度であります、こうおつしゃいました。  今申し上げましたように、基金が積み上げられる経過と、そして、この合計三千百五十億円の中に、今回の法案趣旨を現地に適用するとお金は足りるのかどうか、その辺の推計を教えていただきたいと思います。
  31. 芦尾長司

    芦尾参議院議員 まず、この基金の設立の経緯でございますけれども、土肥委員復興プロジェクトにおられたわけですからよく御存じとは思いますけれども、阪神淡路地域の復旧、復興に関するいろいろな行政施策をやっていかなければならない、これを一々ある意味では行政の予算を通していたのでは迅速性に欠けるし、さらにはまたいろいろな補完的なこともやっていかなければならない、そういったことも含め、機動的な、弾力的な自立支援策というものができるようにということで設けられたところでございます。  その規模につきましては、当初、地元において各種施策を実施するために特に住宅対策が非常に重要だった、あのときには非常に重要なポイントになったというふうに記憶をいたしておりますけれども、特に住宅対策、利子補給なんかが大きな課題になったと思いますけれども、そういったようなことを勘案いたしまして、必要額を六千億円というふうに判断をしたわけでございます。  その後、この基金を活用いたしました生活再建支援金の給付ということが次の課題となってまいりまして、そこで、与党の復興プロジェクトにも御議論をいただいて、三千億円の積み増しが行われたということになるわけでございます。  なお、現在さらに行われております中高年の自立支援金につきましては、この積み増し分ではなくて、当初の六千億、これの中で、その予定した額の中で、既存の施策を見直す中で実施をいたしておるということでございます。  そしてさらに、新しく被災者生活再建支援法が成立をいたしまして、これを阪神淡路大震災の今の被災者方々に適用をいたしてまいりますと、これはまだ概算で、当時、法案を作成するための一つのデータとして兵庫県から数値をとりまして一応計算をいたしましたら、大体千二百五十億程度の費用がかかる。そして、現在既に実施しております部分が大体七百億くらいあるといったようなことから、五百四十億くらいさらに追加して経費が必要になってくるだろう、所要額が必要になってくるだろうというふうに試算をされたわけでございます。  これは、これから精査されていくことになると思いますけれども、この部分については、もちろん、ある意味では今現在の基金の予算の中にはカウントされていない額ということになります。これは、もちろん今までの既存の実施してきております制度の見直し等も行っていかなければならないと思いますけれども、その額だけで十分であるというふうには思いませんが、これから県、市の方で検証をしていただくということになろうかと思います。そして、その不足分が生じた場合に、この施策が、この法律と同等程度できるような措置が講じられなければならないというのが先ほどの附帯決議につながっていくだろうということになろうかと思います。
  32. 土肥隆一

    ○土肥委員 そうすると、足りるか足りないかは、元兵庫県におられた方としてはどういう予測を持っていらっしゃるのでしょうか。そして、もし足りなければ、先ほど清水先生がおっしゃいましたように、三千億の期間を延ばすというような話もございましたけれども、そういう方策も議論した上でこういう額を先生はおっしゃっているのかどうか、お答えいただきたいと思います。
  33. 芦尾長司

    芦尾参議院議員 これは今申し上げましたように、精査した額ではございませんけれども、この復興基金、現行の制度の中で何も手当てをせずに十分賄えるというような額にはならないだろう、やはり何らかの措置が講じられなければ不足するだろうというふうに現時点で私自身は判断しています。
  34. 土肥隆一

    ○土肥委員 そういうことも含んで御提案なさったと理解しておきますので、行政の方、よくお聞きいただきたいというふうに思う次第でございます。  さて、この六千億の積み上げ金のときには高齢者への生活再建支援金が給付されたけれども、中高年を取り入れるとどうしても足りなくなったから三千億積み上げた、こう理解いたします。そうしますと、この二つの支援金というのは何なのかということが最大のかぎだというふうに私は思うわけであります。それで、復興基金による二つの種類の支援金、これは被災者個人への公的現金給付と考えていいかどうか、発議者答弁をお願い申し上げます。
  35. 清水達雄

    清水(達)参議院議員 阪神復興基金について、あるいはこの新しい提案しております法律に基づく生活再建支援金、これは従来なかった新しい公的支援であることは間違いないと思います。ただ、従来いろいろ議論がされておりました、補償であるかどうかとかいうこと等の関係をお尋ねになっているのかどうかわかりませんが、新しい公的支援というものであることは間違いないというように思います。
  36. 土肥隆一

    ○土肥委員 新しい公的支援、それは中身は現金給付なのですね。現金給付が公的支援の中に入っ たと御理解なさるのでしょうか。
  37. 清水達雄

    清水(達)参議院議員 もちろん、これは現金給付でありますから、新しい生活再建支援という形の現金を給付する新しい公的支援というふうに考えております。
  38. 土肥隆一

    ○土肥委員 従来、政府答弁は、一切この辺には触れてこなかったわけなのです。したがいまして、これから大臣にお聞きいたしますけれども、これが新しい公的な給付であって現金給付である、公的支援には現金給付が入るということの突破口になったのが今回提案された本法案趣旨だと理解いたします。そうすると、これが個人の財産形成に寄与するかしないか、百万、五十万が寄与するとはとても思えませんけれども、そうではなくて、現金給付が現実に行われるようになった、これがこの法案の特徴であろうというふうに思うのです。  そして、実は阪神淡路では復興基金をつくって、現実には現金給付が行われておる。そのために六千億、九千億のお金を基金として積んだ。それは現金給付をするためでもあったわけです。だから、公的支援というのはいろいろあるでしょうけれども、その中に初めて個人に現金が給付される法案である。そして、今度の法案ができたのですから、現地の阪神淡路に対しても、それを堂々と現金給付をおやりなさいということになろうかというふうに思うのですが、大臣のお考えをお聞きしたいと思います。従来の表明とどう変わったのかもお聞きしたいと思います。
  39. 亀井久興

    亀井国務大臣 ただいま発議者への御質問にもあったわけでございますが、公的支援として現金給付を被災市民に行うということについてどう考えるのかというお尋ねだと思います。  今度の仕組みでございますが、都道府県相互扶助という基本的な考え方から拠出をされました基金を活用して行うといった一つのスキームでございまして、それに対して国が財政支援を行うという考え方に立っているわけでございます。  したがいまして、個人の財産に対して、その財産の損害を国が補償をするという考え方には基本的に立っていないわけでございまして、その点は従来と全く変わることはないというように理解をいたしております。あくまでも生活再建をされる方々に対する支援ということで、基金を通じて国が御支援を申し上げるという考え方に変わりはないというように理解をしております。
  40. 土肥隆一

    ○土肥委員 もう一遍確認します、大臣。  公的、つまり公金というのは税金ですね。今行われている復興基金であれ、税金が払われるわけですが、それは公的に行われていることですが、公的に個人に現金が支給される道を開いた法案ですかということです。お聞きします。
  41. 亀井久興

    亀井国務大臣 間接的に基金を通じて国の資金が給付をされるという意味では確かに現金が渡るということだと思いますが、あくまでもその基本的な考え方といたしましては、個人の財産を補償するという考え方ではなく、生活再建をされる方、しかも力の弱い方、足りない方、そういう方々に対しての支援基金がされる、そのことに対して国が御支援申し上げるという、そうした考え方でございます。
  42. 土肥隆一

    ○土肥委員 なかなか微妙な発言でございまして、気持ちはわからぬでもないのですが、やはりここで、この震災復興自然災害に対する支援の方法が大きく変わったんだ、新しい時代に入ったんだということをおっしゃったらどうですか。基金だって何だってみんな税金ですよ。税金を使うのですから。この法案がきょう通ると思いますが、通れば、もうそういう道を開いたのです。それはどうですか、お答えいただけますか。新しい道を開いた法案だ、現金給付ができるようになったという法案なんだということは、どうお考えですか。
  43. 亀井久興

    亀井国務大臣 間接的ということではありますけれども、今御指摘になりましたように、新しい仕組みをおつくりをいただいた、新しい道を開いていただいたということについては、確かにそのとおりだと受けとめております。
  44. 土肥隆一

    ○土肥委員 新しい道を開いたということでございます。これは災害対策特別委員会委員の皆さんも御確認いただきたい、このように思うわけでございます。  今回のこの法案の性格はわかりました。これから、課題として、災害対策特別委員会の我々の使命は、やはり個人的な支援をどうするかということを考えないで本当の意味での震災復興はあり得ないということで、私は、国が、こういう形で、議員立法とはいえこの法案が通った後は、そういう新しい道に入ったんだということを十分に御認識いただきたい、このように思う次第でございます。  本法案の中身を見ますといろいろと言いたいことがあるのですが、きょうはもう、公的支援が始まった、個人給付が始まったというところに強調点を置きましたので、あとは省かせていただきます。  このスキームを見ますと、やはり私は問題だと思うのですね。先ほどの、全壊、半壊という認定も非常に根拠が脆弱であるということもさることながら、年齢で切る、それから所得で切る、つまり三種類の条件をクリアしないと百万、五十万が当たらないという、非常に難しい。だから、もう単純に上限を、所得が八百万とか一千万とか、もうあとは言わない、そして四十五歳以上で、全壊したあるいはそれに相当の被災者には、全壊は百万、半壊は五十万とか、そういうふうなわかりやすいスキームにしませんと、今度、復興基金から支援を受けよう、援助を受けようと思う市民の皆さんが相当窓口で、年齢だって、震災時の年齢でいくんでしょうが、それが一是りなければ四十五歳というのは当たらないわけですね、あるいは六十歳にしてもそうであります、年収にしたって、八百万一円、それだったらだめになるわけでありまして、そこは何とかいろいろな工夫をしてやるべきだ。ですから、これから先、どういう決議がここで行われるか知りませんけれども、やはり見直しをしていただいて、そしてわかりやすい、納得しやすいスキームをつくるべきだと私は思う次第でございます。  最後に、私、皆さんに申し上げたいのは、やっと現金給付を認めた、そして地元におります私どもは、復興基金というのが一種の迂回的な仕様で、迂回的ではあるけれども、基金という名前のもとで市民に二つの支援金が支払われるようになった、そして今回の法律で新たな補強ができて、これからは、基金という枠があろうとも、個人にお金が渡っていくという道が開かれたということは、やはりこれは多としなければならないというふうに思うのであります。  だけれども、いかにも百万、五十万というのが、基金という中に押し込めたとして、これは実際は役に立たないのです。例えば、今度の阪神淡路が十兆円の損害を出しました。そして四兆数千億の国費を国が出しました。だけれども、これが二十兆の被害だったら、三十兆の被害だったらどうするのですか。国の方で、そういう阪神淡路の経験をして、では、東京都にどかんと地震が来て三十兆円からの損害が出たというときに、一体何をしているのでしょうか。  それからもう一つは、住宅です。住宅がどうスムーズに再建されるか、これも全く手つかずですね。だから、安心システムとかいって千円ずつみんなで出して、千五百万か千七百万円の住宅再建の共済制度をつくろうではないか、これは津々浦々千円ずつ取るのはなかなか大変ですよ。では地震保険はどうか、これももうほとんど価値のないものでございます。  大臣、どうでしょう。現時点で、震災対策というのは、やっとここで現金給付が出たけれども、家を建てかえようとしてもなかなか建てられない。あるいは、大規模なものが起きたときに、今回は四兆円だったけれども、次は八兆円国が出すとか十兆円国が出すというようなことが果たして可能かどうか、その辺の国土庁としてのお考え、あるいは復興本部の本部長としてのお考えをお聞きしたいと思うのです。
  45. 亀井久興

    亀井国務大臣 住宅の問題が何よりも重要であ るということは十分承知をしておるわけでございます。公営住宅を建設いたしましたり、あるいはまた住宅金融公庫の災害復興住宅の融資を行ったり、さまざまな住宅に対する対策は今日までも講じてきておるところでございますし、また、特に阪神淡路大震災被災者につきまして、もう今さら申し上げるまでもございませんけれども、約三万九千戸の公営住宅を供給することにいたしまして、本年二月末現在で約二万戸が既に完成をしておること、御承知だと思います。さらに、残る公営住宅の建設も現在鋭意急いでおるところでございますし、またその家賃につきましても大幅に引き下げる措置を講じておるところでございます。  こうした従来とっております措置をさらに徹底して進めてまいりたい、このように考えておるところでございまして、住宅対策が重要であるということについては十分に認識はいたしておるつもりでございます。
  46. 土肥隆一

    ○土肥委員 いや、大臣、そんなことでは困るのですね。では二十兆円の損害のときに阪神淡路の倍の公営住宅を建てるのかということです。東京都のどこに建ちますか。建ちつこないのですよ。だから住宅対策をちゃんとしなければいけない。  時間が来ましたので申し上げますが、今回の百万、五十万というのは、公金を出すということでは意味があっても、私に言わせれば、引っ越し代か家具、調度品を準備する支援金にすぎないということで、やはりこの基金のあり方、そして基金をどう大きくしてもっと実態に応じた支援をすべきかということも含めて、これからも我々は議論していかなければならない、このように思っております。  発議者の皆さん、本当にありがとうございました。失礼します。
  47. 西村章三

    西村委員長 土肥君の質疑は終了いたしました。  赤羽一嘉君。
  48. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 新党平和の赤羽一嘉でございます。  悪夢のようなあの阪神淡路大震災から三年と四カ月の月日が経過したわけでございます。私自身も、震災当日は、神戸市の東灘区の浜側の、まさに震度七の激震地で被災をいたしました。当日から瓦れきの山の中を駆けめぐり、そして一月十七日の朝に家を出たきりの格好のまま車を乗り継いで一月二十五日に国会に出て来、そして一月二十六日の震災の集中審議、予算委員会の質問に立ったことを、昨日のように思い返すわけでございます。  以来、災害対策特別委員会、予算委員会、厚生委員会、労働委員会、運輸委員会等々といった各種委員会の質問に立ち続けまして、従来の施策ではとても対応できない未曾有の大災害であるということを訴えながら、公的支援必要性を訴えてきたわけでございます。  結果として、この三年間の間にもう四本の議員立法を提出いたしました。昨年の、旧新進、民主、太陽三党で、計二百名を超える衆議院議員の賛同を得た被災者支援法案、今参議院審議未了の状態になっております。同時に、二重ローンを抜本的に改正するという公的支援法案、また兵庫県からの当初からの提案がございました地震共済保険制度に関する法案、また特別見舞金の法案、計四本の法案を提出したわけでございます。しかし残念ながら、衆議院では、この三年四カ月、政府・与党の反対に遭い、全く実質的な審議をされないまま本日に至ったわけでございます。  その中で、良識の府参議院の場で、政府・与党の中でも党派を超えて、良識ある議員の方たちの議員立法という形で、本日、ここに、まさに戦後の日本の災害救助政策を大転換する、先ほどいろいろやりとりがありましたが、現実に、初めて現金支給を行う制度を導入するということが明日の本会議成立をすることは、大変大きな評価を与えるものであるということをはっきり申し上げておきたいと思います。  しかし、三年四カ月前の阪神淡路大震災災害は過去のものではございません。よく御承知のように、まだまだ震災の影響は引きずっておるわけでございまして、残念ながら、今回の法案阪神淡路大震災の数十万にも及ぶ被災者の真の復興をかち取ることはまだまだ不十分であるということをまずはっきりと意見表明をさせていただきたいと思います。  そしてその上に立ちまして、これから起こる自然災害に対する恒久的な制度としてのあり方について、若干わからない点がございますので、この法案もとに、発議者の皆さんまた担当の大臣に御質問させていただきたいと思いますので、どうかよろしくお願いを申し上げます。  まず、被災者生活再建支援金支給の理念について確認をしておきたいと思います。  この法案の「目的」の中に「自然災害によりその生活基盤に著しい被害を受けた者であって経済的理由等によって自立して生活再建することが困難なものに対し、」「自立した生活の開始を支援することを目的とする。」これが被災者生活再建支援金支給をする理念だと。非常に難しい話になりますが、先日の参議院の議事録を読んでおりますと、発議者の御答弁では、本当に支援が必要な被災者生活の立ち上がりを支援するのだという答弁があったと思いますが、まず、こういった解釈でよろしいのでしょうか。
  49. 清水達雄

    清水(達)参議院議員 今回、この法案がねらっておりますのは、今先生もおっしゃったわけですが、生活基盤というのは、住まいと生活必需品だと思うのです。それで、住まいにつきましては、これは住宅復興、復旧のための資金貸し付け等々の施策が別途行われているわけですが、住宅が全壊したなんというときには生活必需品が一挙になくなってしまうわけで、これに対する支援措置というのは今までなかった。そこで、その点について支援をしていこうということが大体主たるねらいなんですね。  ということでございますので、この法律がねらっております支援というのは、そういうものでございます。
  50. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 生活基盤とは、住宅並びに必要な家財道具とおっしゃられましたか、必需品というふうに言われた。  政府のいろいろな書類とかを見ておりますと、家を失った人がいる、それで、とにかく災害公営住宅をつくらなければいけない、仮設にまだまだいる、だから、阪神淡路大震災復興は終わっていない、こういう話り口が数多く聞かれますが、私はこれは間違いなく事実であると思います。しかし、三年四カ月たった今なお二方世帯の仮設入居者がいること自体も大変異常な出来事でありますが、仮設入居者以外に実は大変な苦労を引きずっている被災者が数多くいるということをはっきりと確認しなければいけないというふうに思います。  生活基盤住宅、もちろんでございます。しかし、家が被害がなかった、しかし実はお店をやっている人がいて、店舗がつぶれてしまった。家が助かったら、その人は被災者じゃないのですか。仮に家がつぶれたとして、仮設住宅にいながら会社に通う、会社で収入は保障されている、こういった人に比べ、仮に家が一部損壊であったとしても、店がつぶれ、収入の道が断たれてしまっている、こういう人の方が困窮度は高いというのが実態だというふうに私は思います。  ですから、これまでの日本の災害救助対策の概念というものは、生活基盤を失うということは、住んでいる家から焼け出される、そして避難所災害救助法にのっとったお弁当をもらう、毛布をもらう、こういった発想であったと思うのですが、今回の阪神淡路大震災というのは、そういう概念からはみ出した未曾有の大災害だったということを教訓に生かさなければ、今後類似した災害にはまだまだ不十分であるというふうに私は思うわけでございます。  我々は、生活基盤住宅及び経済基盤であるということをかねてから主張もし、野党三党案の中に、収入が激減した世帯に対しても何らかの措置、特別支援金という現金給付をするべきだというこ とを訴えてまいりました。しかし、恐らくこれについては、今発議者の皆さんの答弁を聞いても、これまでの議事録を見ても、生活基盤住宅生活必需品という話だと思いますが、そこについて、私の今御提示した例示を見ていただいて、生活基盤住宅生活必需品以外にもやはり今後考慮していかなければいけないなと思われたかどうか、御答弁をお願いします。
  51. 清水達雄

    清水(達)参議院議員 人間が生活をやっていくためには収入も得なければならない、そういう意味では、広い意味で確かに生業をやっていれば、そういったものが被害を受けたら、それが復旧、復興されなければならぬということは当然だと思います。  ただ、この法律生活基盤云々と言っております意味は、主として、私がさっき申し上げましたが、生活必需品みたいなものについての支援施策がないから、そこを埋めようという考え方でございます。例えば、今先生がおっしゃいました店舗とかそういう生業的な施設につきましては、既存の制度として政府金融機関からの災害復旧貸付とか中小企業信用保証制度等がありますし、今度の阪神淡路大震災の際にはこれらの制度を拡充いたしまして、貸付限度額の拡充とか利子補給だとか貸付期間の延長とか、いろいろなことをやっているわけでございます。  ですから、何もこの法案ですべてをカバーしてやろうなんという考えは全くないわけでございまして、災害救助法であるとかあるいはそういった災害援護資金を貸し付ける法律だとか、いろいろあるわけでございまして、全部をトータルとしてやる一つの部分であるというふうにお考えいただきたいと思います。
  52. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 この法案ですべてをカバーすることではないんだということが確認されれば、それで結構です。  しかし、私は、産業対策として特例融資制度とか今るる御紹介がありましたが、役に立った中小企業の皆さんもいるかもしれないが、芦尾先生の実家の長田区やら兵庫区の下町の商店街、人口が十二万から八万になってしまったようなところの、お父さんとお母さんでやっているような商店街でそんな貸し付けなんかできないのですよ。そういった実態があるということを、お互いに国会議員として、今後の審議課題として残しておいていただきたいというふうにまず思います。  それと、住宅が全壊した人は、家財道具、生活必需品は全部破損しているんだというお話がございました。ちょっとここで確認をしておきたいと思います。  今回の法案は、全壊及び半壊の解体のみを対象としたということでございますが、まず、全壊の人だけが家財道具を失ったというような認識というのは、ちょっと甘いのじゃないかと思います。砂田先生もそうでしょうし、私もそうです。住んでいた家の家財道具なんか、全部壊れました。土肥先生もそうだと思います。全壊の罹災証明者十九万の家だけが家財道具が壊れて、半壊、一部損壊の家財道具は壊れないなんという事実はないのですよ。一部損壊だって、ほとんど家財道具なんか壊れているのですよ。電化製品も壊れました。私は、買いかえた領収書を持ってきてもいいですよ。そういう実態をまずよく見てから反映しないと、すごく間違いが起こってしまう。  ですから私は、全壊及び半壊の解体のみを対象としたことをちょっと確認したいのですが、これを読むと、震災によって住む空間を失ってしまって引っ越しを余儀なくされてしまった被災者に対して支援対象とする、こういう読み方でよろしいのですか、どうですか。
  53. 芦尾長司

    芦尾参議院議員 おっしゃいましたように、家財道具が被害を受けるというところは、建物がしっかりしておっても受けておるところは受けておる、我が家なんかもそうでございました。  ただ、この場合に、この法律考えておりますのは、こういう制度をつくる場合、要するに、その被害程度、どの程度被害を受けた方々に対して支援をしていくのか、そのけじめをつけなければならない。そのときに、全壊したところとか、半壊だけれどもやはり撤去しなければならなかった、そういう方々に対して着目してやっていこうというのがこの法律制度ですから、そこはよく御理解いただきたいと思います。
  54. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 それでは、芦尾さん、半壊の罹災証明を持っていて、解体したところと解体していないところでは、そのダメージが必ず解体したところの方が大きいというふうに考えますか。半壊というのは幅がございますよね。その認定のときに、解体したところは非常にダメージが高いところだ、解体しないところは解体に及ばないんだと、ダメージ度の違いとしてはっきりと認定されるという御認識ですか。
  55. 芦尾長司

    芦尾参議院議員 この法律では、そこはそういうけじめをつける必要があるだろうということで、そういうふうに考えて仕組んでおるということを御理解いただきたいと思います。
  56. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 けじめをつけるというのはよくわかるのですよ、無制限に出すわけにいかない。  しかし、こういう例がたくさんあるのですよ。自分の家ではない、大家さんの、関西では文化住宅、こちらではアパートに住んでいる。半壊だった、ぐちゃぐちゃだ。それで、大家さんが資金がないから建てかえはできませんよと、ほったらかしになって住めないから仮設住宅に行った人。もしくは、修繕で何とかしますよ、嫌なら出ていってください、だけれども、修繕したら家賃が一・五倍ですよと、八万円が十二万円になって、とても住めなくて出ていった私の知り合いはいっぱいいますよ。  ですから、私が言いたいのは、解体するかしないかというのは、ダメージに比例しているというよりも、その持ち主の財政状況に、持ち主の大家さんの都合によって、解体したところ、解体しないところというのが多いのが実態じゃないでしょうか。ですから、そういう実態考えると、解体要件というのは、財源の問題があって出てきたのだと思いますけれども、今後の課題として外すということをやはり検討しなければ、非常に僕は毎理が出てくるというふうに思いますが、いかがですか。
  57. 芦尾長司

    芦尾参議院議員 一つの制度運用していく場合に、公平性という観点からも、一つの基準というものを設けていかなければこういう制度運用できません。そういうことからすれば、現在、これからスタートする制度としては、この全壊及び半壊だけれども撤去したということでスタートすることが今の時点では妥当ではないかなというふうに思います。
  58. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 あくまで解体にこだわられているようですからちょっと確認しますけれども、全壊世帯十九万世帯のうち、解体した世帯は何軒あるのですか。
  59. 田中正章

    田中(正)政府委員 阪神淡路に関するお問い合わせで、数字の問題ですので、私どもの方からお答え申し上げます。  地元の県の方に今お申し越しの数字について照会したところでございますけれども、御指摘のような数字については把握されていないという返事が県の方からも返ってまいりました。
  60. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 わからないのだったら出てこないでくださいよ。何で復興本部はこんな数字もわからないのですか、おかしいよ、三年もたっていて。だから、いいかげんみんな怒っているのでしょう。よくしゃあしゃあと出てきて、この最後の、一日しかない災害対策特別委員会の場で、答えを用意していないなんてふざけたことが言えますね。  僕は市消防署で調べましたよ。全壊の十九万世帯のうち、六五%しか解体していないのですよ、消防局の数字で。こんなのはすぐわかるでしょう。芦尾さん、三五%に当たる七万世帯は、十九万のうち七万は全壊でも解体しないのですよ。全壊でも十二万は壊しましたよ。そうすると、これは全壊はすべて対象になるわけですよ。全壊で解体していない家、住み続けている家には支給される。しかし、半壊では解体した世帯にしか支給されない、これはやはり本質的な矛盾だと思いますよ。  今ここで、こうして机をひっくり返して、反対するということは愚かだし、やる気はないけれども、今後、被災者の         ―――――芦尾さんは副知事で一番御苦労をされたはずですよ、被災者の間に不公平感を出さないようにということに大変な苦労をされたはずなのだ。避難所にいろいろな救援物資が来ましたね。あのときに、一千人いたら、一千個パンが来なければ配れなかったでしょう。四百個しか到着しなかったら、それは地元自治体の発想として、そんな四百人にだけ上げて六百人に上げられないなんということはできない。それで、芦尾さん自身、涙を流しながらパンを配らなかったわけですよ。それだけ、あの被災者の中で不公平感を出さないということは僕は大事だと思いますよ。それが地元自治体の兵庫県、神戸市、ほかの市の皆さんが一番御苦労され、被災者の人たちにそこにパンがあるのに何で出さないんやと言われながら、殴られた職員もいながら、しかし不公平感を出さないということで、頑張ってきたわけでしょう。  ですから、こういった法案は、全壊、半壊という中での認定基準、解体要件は、やはり将来的に削除する対象だというふうに僕はお訴えをしておきたいと思います。  ちょっと時間も限られておりますので、次に、年齢、年収別に非常に複雑になっている。これは僕は、今不公平感を生じさせてはいけないということから考えますと、あなたは四十四歳、だめです、あなたは四十五歳、セーフです、あなたは年収、残念ですね、七百万円より超えていますからだめです、こういったことは当然物すごく出てくるのじゃありませんか、どう確認するかはもちろん問題ですけれども。  ですから、私は、今回は阪神淡路大震災のことがあり、具体的な世帯数も出てしまって、そこに大蔵当局の財源の問題があって、まさに発議者の皆さんの苦肉の策で出てきた形だとは思いますけれども、こういう震災の中で、年収を確認することだって大変だと思うし、年齢で、四十五歳で分けたという根拠も、わかるような、わからないような、こういった複雑なことはやめて、先ほど土肥さんも言っておりましたが、震災の直後、一月後ぐらいに、避難所で少し落ちついた中で、これからどうしようかといったときに、一時金としてはんと百万円、五十万を罹災証明に基づいて出すということ、それは地元被災地の自治体の職員の煩雑な仕事をつくらないということもあり、また被災者にとって非常に不公平感を生じないという意味ではそういうシンプルな形に変えるべきだというふうに思いますが、その点はどうですか。
  61. 清水達雄

    清水(達)参議院議員 この支援必要性というのは、経済的理由等によって自力により生活再建することが困難であるものについて支援をするということを言っているわけでございまして、現金による個人給付云々という話もあったわけですが、生活再建支援を必要とする程度に応じて支援をしようという、かなり厳しい対応なのですよ、この法案のやり方が。  したがって、例えば所得が高い人よりも低い人の方が生活再建は困難であろうということから収入の問題が出てきておりますし、それから、例えば、若い人と年をとった人を比べてみたら、やはり若い人の方が活力があって、自力によって生活再建をする力も強いだろうというふうなことから、高齢者に対してはかなりの程度支援対象を広げるとか、あるいは要援護世帯についても同じような考え方をやるということでございますので、その点はやはり必要に応じた支援というふうに御理解をいただきたいと思います。
  62. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 きょう、事前にお配りしたこの一枚紙が、今回の法案の内訳でございます。こういうふうな区分で線をされた、こうでこぼこになっている、間違いない表だと思います。  ここで、今年齢、年収を考慮してより困窮度の高いところに支援をするというふうにおっしゃられましたが、僕はちょっとお伺いしたいのですが、この①、年収七百万から八百万の世帯主六十歳以上、この世帯に五十万円支給することになっております。しかし、六十歳以上の世帯主と言いますと、もう子供もほとんど独立しておりますね。六十歳以上と言いますと、定年を過ぎている人です。定年を過ぎて年収が八百万ある夫婦二人世帯と比べて、対象に入っておりませんが、五百万から七百万の年収の世帯世帯主が四十五歳以下、子供が中学校、高校、大学と、まだ独立していない、一番お金のかかる時期です。何でこっちが入らないで、前者の方が入るのですか。どういう御判断で前者の方が困窮度が高いということになったのですか。率直によくわからないのですが。
  63. 清水達雄

    清水(達)参議院議員 これは、やはり年をとった人というのはそれなりに生活再建に立ち上がっていくのが大変じゃないかなという判断なのですね。その五百万から七百万ぐらいの層については、確かにこれは四十五歳以上ということになっているわけでございますが、言うならば中堅層としていろいろ金もかかる、そういう年代だからというようなことで、五百万以上についても支援対象にしようということをやっていますし、それから五百万以下の人については、年齢制限なしで支援をしようというふうな、いわば収入年齢等の組み合わせをかなり、そういう意味ではちょっときめ細か過ぎるかなという議論もあるかと思いますけれども、そういうふうなことで、できるだけ公平に、ある意味ではちょっと厳しいかもしれませんけれども、そういう支援をしていこうという考え方でございます。
  64. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 年収八百万の六十歳以上の夫婦世帯と、世帯主が四十五歳以下の子供が独立していない年収五百万円の世帯では、困窮度が八百万の人の方が高い、そう判断されるのは非常に僕はよくわからないのです。そこを御質問したのです。何か、こうなんだと、こちらの方が困窮度が高いんだということは何かありますか。
  65. 清水達雄

    清水(達)参議院議員 確かに、年収が高いという点について、おっしゃるようなこともわかりますけれども、六十以上ぐらいになってしまった年とった方というのは、いろいろな精神的な意味も含めて、立ち上がっていくということがなかなか難しいんじゃないかなという判断が入っているということでございます。
  66. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 やはり苦しい答弁だな。  これは嫌らしい質問なんですけれども、こういう被災者に線を引いた瞬間に、線の内側と外側で不公平感は絶対出てくるのですよ。私も三年四カ月、何かきめの細かいいい線の引き方はないかと試行錯誤して、所得の震災前と後の減少ぶりということで出したのですけれども、私は、よくよく考えて、それ以外に客観的な公平性を保つことはほとんど難しいというふうに思うわけなんです。  ですから、罹災証明で全壊と半壊というのは、これは国がオーソライズしている罹災証明なわけですから、その罹災証明で全壊とされた人には百万円、半壊とした人には五十万円、これも随分丸い数字かもしれませんよ。だけれども、それは統計的に出されたって、全国の国民が税金のむだ遣いをするなと言われるような、そんな範囲ではないというふうに私は思います。ですから、この点は指摘をしておきたいと思います。  これは、はっきりしないのが、法案には書かれてないと思うのですが、上限百万円という表記でしたよね。私は単身世帯が減じられるのかなというふうに思ったのですが。ひとり住まいは七五%とかという案も最初はありました。そうすれば、大学生のひとりの下宿生なんかも、百万じゃなくて七十五万と、ある程度は不公平感が少し是正されるかなと思っていたのですが、説明を、議事録なんかを読んでおりますと、どうもそうじゃない。単身世帯、複数世帯で差をつけるというのではなくて、これは定額と実費に分けるということなんですね。  定額と実費に分けるとすると、僕はびっくりしたのですが、実費について、当然領収書を求めるということですよね。これは、支払いの時期はいつごろの予想というか、想定をされているんですか。領収書を集めて、年齢と年収も証明してというと、かなり被災地が落ちついてから支払うとい うような感覚であると思います。だから、例えば今回も、避難所にまず行った、その後仮設住宅に移った、そして今まさに恒久住宅に移ろうとしている、この段階でいくと、大体どの段階での支払いを考えられているんですか。
  67. 芦尾長司

    芦尾参議院議員 その前に、今の単身世帯の問題ですか、それはまたこれからの検討課題だと思います。  いずれにいたしましても、まず支払いの時期ということになるわけですけれども、今回のこの法案考え方としては、基本的には、先ほど来出ておりますけれども、個々の被災者の具体的なニーズに応じた積み上げによって経費を定めていこう、基本的にはそういう考え方でこの法律はつくり上げられた。しかし、今おっしゃったような被災者の便宜の問題でございますとか、また事務処理に当たる担当者の簡素化というものもやはり考えていかなければいかぬだろう。  そういう意味で、少なくとも、まず必要となるような基礎的な部分といいますか、そういう部分、例えば定型的な経費になります部分生活必需品の最低部分でございますとか、引っ越し費用でございますとか、そういったようなものについては、定額支給という部分を設けて、そういうことで簡便性を図っていこうではないか、そういうふうに考えてやっておる。  さらに、実費の部分につきましても、できるだけそうした弾力的な運用が図られるようなことをこれから考えていかなければならないだろうということを前提にいたしまして、これから、支援金支給時期とか額の確定方法ということにつきましても、いろいろな考え方の中で、実務面も含めまして、いかに弾力的にやっていくかということが一つこれからの検討課題になると思います。  いずれにいたしましても、これらの点につきましては、関係省庁、また、現在実際にその担当の衝に当たる全国知事会等と相談の上で検討していきたいなというふうに考えております。
  68. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 支払い時期は、まだこれからの検討課題だと、しかし、実費と定額は分けるということですか。  そうしますと、恐らく、新しい恒久住宅、民間賃貸住宅に仮設から移るといったときの最初に支払う金額なんかが対象になってくる、実費部分金額で入ってくるんでしょうけれども。  そうしますと、これは芦尾さんの方がよくわかっているんだろうけれども、例えば一月十七日当日、六百カ所に、二十四万人が避難所に行きました。八月に百六十カ所で四千人ということですから、三カ月から半年で避難所の人数はどんどんピークアウトして少なくなってきた。恐らくその中には、自宅に戻った人もいるでしょうし、仮設に移った人もいるでしょうし、民間賃貸住宅に移った人もいるでしょう。仮設はその年の三月から入居が始まっているのです。でも、わずか二千戸です。四月に一万三千戸、五月、六月が五千戸ずつで、八月にまた一万戸。要するに、一月十七日に震災が起こって、避難所から仮設に移るこのタイミングが半年後ぐらいまでかかっている。  その仮設から恒久住宅に移るのを見ていますと、仮設から千世帯以上恒久住宅に移ったのは、平成七年の十二月末、その年の年内には、仮設の入居率九五%なんです。ほとんど恒久住宅には行っていないということです。それで、二年後です。平成八年は余り動いていないのですね、公営住宅はつくっていませんから。平成九年の夏に千世帯以上の本格的な動きが始まった。そして、三年後のこの一二月末にも、同じように千世帯。  ですから、二年半目の夏からようやく本格的な恒久住宅への移動が始まった。先ほどの実費の部分となりますと、二年半後、まだ仮設にいる人はもらえないというような話になると、かなり支払い時期がおくれるということが想定されますよね。それはどうですか。
  69. 芦尾長司

    芦尾参議院議員 だから、阪神淡路大震災がすべての災害だということにはならないと思いまして、ある意味では、それはレアケースということになろうかと思います。  しかし、いずれにいたしましても、仮にそういう避難所をつくり、仮設住宅をつくり、恒久住宅をつくる、そういう大災害の場合と、そうでない場合とに災害の対応を分けて考えていかなければならないなということが一つあろうかと思います。  それから、大災害の場合に、避難所におる間、ある意味では災害救助法の実質的な救助は適用されておる、その間は、なかなかこういう自立再建ということとつながっていかないのではないかな。だから、そこから離れるときからが一つの検討すべきスタートの地点になるのかな、そういうふうには思います。  ただ、今のように、これからの検討課題ということで、その辺はよく詰めていかなければならないかなというふうに考えております。私どもとしては、政府の方とよく協議していきたいと思います。
  70. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 これも検討課題だということです。  私はぜひ御提案をしたいのですが、二ケ月後には避難所にいらっしゃる被災者に対してアンケートをやっているのですね、それは当事者ですから覚えていらっしゃると思います。まあ二ケ月もたったら避難所なりに落ちついた、さてこれからどうするかということでのアンケートをとった。この段階で私は一時金として一括で出すことが一番効果的だと思います。そうすれば、その頭金があれば、民間賃貸住宅にも移ろう、家具を買って新しい生活を始めよう。しかし、そのまとまった金額がないから仮設に移らざるを得ない、公営住宅が当たらなくてずっとなる、そうこうしているうちに、ためていた少ない貯金も吐き出して大変な泥沼生活になっていく、こういうパターンが多いわけですよね。ですから、引っ越し代の実費なんて言って待っていますと、二年も三年もかかってまだ資格がないみたいな話になると、何のための新しい制度なのかということを僕は問われてしまうと思いますので、検討課題であるならば、災害発生後例えば一カ月をめどにとか、混乱期じゃありませんよ、一カ月だったら、整然とそれなりにしています、その一カ月をめどに支給をする。  これは一括で支給をするのか、また、生活再建支援金みたいに毎月二万円とかいって四年も五年もかけて支給するのか、それはどうなんですか。
  71. 芦尾長司

    芦尾参議院議員 これはこれから協議していかなければならないと思いますけれども、基本的には、原則としては一括支給ということがこの法律考え方からいえば妥当ではないかなというふうに思いますが、被災者生活再建にどうしたら一番つながるのかということを眼目として、基本として考えていかなければならないだろうというふうに考えます。
  72. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 これは阪神淡路大震災では、しかし、さはさりながら、生活再建支援金中高年自立支援金という毎月二万円という形のものが払われていますね。ここに今回、この法案と同程度措置がされる。行政措置をするときに、新たに支給対象となるところについては一括支給されるのですか、どうなんでしょうか。中高年のところの五百万円以下は差額が払われるということになるのだと思うのですが、その差額については、一括でどんと払うのか、毎月二万円の期間を延ばすと考えるのか、どちらなんですか。
  73. 芦尾長司

    芦尾参議院議員 これは基本的には、県なり市町でどういうふうに対応していくのかというお考えがあるべきだと思います。  ただ、いろんな考え方の中で、この復興基金制度というものを活用して今の被災者生活再建の給付金なり中高年の給付金が行われておるわけです。現実にそれが、今まあまあそういう意味では定着してきておる。そういうことの中で、今回この法案を適用した場合にどういうふうにしていくかということについては、やはりそれなりの、現在行われている制度との整合性というものは出てくるのではないかなというふうに私自身は思います。  さらにまた、この基金は毎年の利子でやっていくわけでございますから、財源的な問題も、当然、 阪神淡路の場合には出てくるということも御理解いただかなければならないと思います。
  74. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 財源の問題は、政治家ではよくわかりますけれども、被災者にはなかなか理解しにくいことでもありますし、あくまで被災者のためになる行政措置という視点で、知事の片腕なんですから、ぜひ検討していただきたい。  次に、まず最初に述べました、本当に支援が必要な被災者支援をするという御答弁があったということで最初僕の質問を始めました。本当に支援が必要な被災者というのはどんな人たちなのか。  阪神淡路大震災の例を思うとき、幾つか思い当たる節があるので、データを調べてくれと言いましたけれども、多分またわからなかったなんという話になってくると思うので自分できょうは調べてきましたけれども、被災地の商店街、市場で営業再開していない、二割もあるのです。二割が店じまいしちゃっている。売り上げは三、四割しか戻っていないというところも、これは一部の激震地域とか人口が減ったところだと思いますが、数多くあるということが一つあります。  もう一つは、被災地の自己破産を宣言した人の推移、これは平成七年で九百六十五件、平成八年で千二百二十二件、平成九年は調べておりませんが、毎年毎年自己破産を宣言している人が多くなっている。当然失業者の数も、これは前回この委員会長官の御発言の中にもありましたが、雇用の問題が出ているということを非常に心配をしておるということからも明らかなように、震災直後の需要で一時的な職につきながら、その建設が終わったからといってまた失職してしまっている例も数多くあるわけです。  そして、よくニュースになりますが、二百名を超えた孤独死、この中で、みんなお年寄りで老衰で亡くなっているかなと思いますと、そうじゃないのですね。男の場合は五十前後、人生に、先行きに希望を持てなくなり、再就職もできずに仮設で酒を飲んでいるうちに肝不全なりアルコール中毒で亡くなっているという例が一番多いのです、孤独死のデータで。  そしてまた、余り表には出ませんが、実は、伊藤前国土庁長官がこの私の質問に答えて問題視をしておりました二重ローン。ローンで建てた家がつぶれた、しかしその家を再建することはできないから二重ローンにはなっていない、ところが、住む家がないから賃貸住宅に行く、毎月家賃を払うから、実質的には二重ローンになっている、こういう人たちも含めますと、大変な数に上るはずです。  伊藤前長官は、「人間は突然災害に遭って、それでもゼロから立ち上がることは家族でできるだろう。しかし、大きなマイナスを抱えての立ち上がりというのは、例えばそれが定年であって退職金で住宅を建てた、その住宅が目の前でなくなったということになれば、まさにマイナスを抱えて、もう働く年齢でもないということになれば、それは多分絶望するであろう。」というふうに前長官みずから答弁されているわけです。それは、私もその当事者であれば、私も家がつぶれましたけれども、幸い資産を持っていなかったから、借りていた家でした。きょう来ている方の中では、そういったローンを抱えたまま、ローンの対価の家がなくなった、そういう方もたくさんいらっしゃると思うのですね。  ですから、先ほど答弁もありましたけれども、この本法案ですべてが支援できるわけではない。まさにその観点から、引き続きの、阪神淡路大震災に対する被災者支援というのは終わっていないんだということをぜひ国土庁長官にも御認識をいただきたいというふうに思うわけでございます。  せっかくさっきの資料を配りましたので、見ていただければと思いますが、今回、この法案をそのまま適用したとして、本来は、阪神淡路大震災に当てはめると一万七千七百世帯が五十万円を支給される。十一万六千四百五十二世帯が百万円を支給されるはずなんです。ところが、生活再建支援金とか被災中高年自立支援金とかで既に受けている人たちは、差額だけよとか、もう受けているから支給はなしよといった世帯が多くて、結局、五十万円の上限もらえる人たちは五万世帯強、そして百万円は二万七千世帯、こういう状況なんですね。だから、今回の法案阪神にがばっとやれれば実は十数万の世帯が現金を受け取れるけれども、実際の適用はこれだけ少なくなってしまう。  僕は、この法案成立するということで、地元では、百万円が来る、五十万円が来ると思っていらっしゃる方の中で、金額が自分の手元に入ってこないということで非常な混乱が起きるのじゃないかというふうに思うわけですが、それはその法案としてはしようがないのであれば、ぜひ長官に確認しておきたいのは、今回は、だから限られた支援であるということです。先ほど申し上げました商店街の被災者とか、家をつぶしてローンだけ残っている人とか、こういった被災者に対しても、これで終わりということではなくて、十分目配りのきく、これは復興基金事業をさらに利用するのかもしれませんが、知恵を出して当たっていくという御決意があるのかどうか、聞かせていただきたいと思います。
  75. 亀井久興

    亀井国務大臣 今やりとりをずっと伺っていたところでございますが、新しい仕組みを議員立法ということでおつくりをいただくその最後の御審議の場でございまして、私も、国会の場でこうした新しい仕組みをつくっていただけるということに対しまして、政府の立場といたしましても、大変感無量のものもあるわけでございますが、先ほど御答弁ございましたように、これはあくまでも一つの仕組みであって、そこでいわば対象になる方々がすべての被災者ではない、その一つの枠の中に入る方々に対する支援である、そのことはまさにそのとおりだと思っておりますので、このことによってすべて解決されるような単純なものではないということは、十二分に承知をしておるつもりでございます。  今御指摘になりました、二重ローンを抱えておられる方々生活の中でのさまざまな悩み、苦しみということについても、私なりには理解ができることでございますので、どういうことでそうした方々に対する支援をしていったらいいのかということにつきましては、今後に残された課題として、政府としてもいろいろ検討をいたしてまいりたい、かように考えております。
  76. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 今後の課題といっても、三年四カ月前の災害でありますから、本年度中にでも決着をつけるという具体的な意気込みでぜひ取り組んでいただきたいというふうに思います。  また、発議者の皆さんに最後の御質問として、今回の法案は、財政当局を相手に大変な御苦労があったというふうに、私はそう想像するものでございます。ですから、皆様の中でも、かなり無理をした形のでき上がりだな、よくできたけれども、百点満点ではないなというふうに思われているのが率直な御感想であろうというふうに信じておりますが、この法案、恐らく、五年後の見直し条項等々つくというふうに聞いておりますので、ぜひよりよい、次なる、起こってはなりませんが、次なる自然災害に十分適応するようなよりよいものをつくるように、私もぜひ努力をさせていただきたいと思いますので、この点、発議者の方の御決意を聞かせていただきたいと思います。
  77. 清水達雄

    清水(達)参議院議員 災害弔慰金法律がありますけれども、あれも当初、出だしは五万円だったそうです。それが、今五百万円になっている。やはり、いろいろな経験を積み重ねて、今先生おっしゃいましたような改善がなされていく、そういうふうに努力をしていかなければならぬというふうに思います。
  78. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 終わります。ありがとうございます。
  79. 西村章三

    西村委員長 一川保夫君。
  80. 一川保夫

    ○一川委員 私は、自由党の一川保夫といいます。  今回の法案につきまして、これまでのいろいろな質疑の中で、皆さん方の関心のあるような項目というのはだんだん絞られてきているような感じがいたしまして、そういう面では、私も、予定し ていた質問も大分重複してきておりますので、若干通告と離れた部分で質問させていただく部分があるかもしれませんけれども、そのあたりは御容赦願いたい、そのように思っております。  まず、この法案は、基本的には阪神淡路大震災をきっかけにしまして、発議者の皆さん方を中心に鋭意検討されて、今日のこの状態に持ってこられたのだろうというふうに思います。そういう面では、心から皆さん方に敬意を表したい、このように存じます。  さて、この法律ができ上がってまいりますと、今後、こういった自然災害によって発生したいろいろな現象に対してこの法律が適用になっていくというのは当然でございまして、そういう面では、阪神淡路大震災の問題についてはこれまでいろいろな議論もございましたので、私は、今後のことも含めてちょっと御質問をさせていただきたい、そのように思っております。  御案内のとおり、我が国日本列島というのは、従来から自然災害に大変恵まれたというとおかしいですけれども、毎年大変大きな災害が多発する、そういう国でございました。ある面では、四季の変化に非常に富んだ、美しい環境を備えた国であるというふうには言われておりますけれども、反面、時期によりましては大変大きな災害が発生するわけでございます。これは自然的な、また地形的な条件からやむを得ないといえばやむを得ないという状況にあろうかと思いますけれども、毎年各種の自然災害が発生してきておりまして、近年に至っては、そういう大きな地震も含めて、従来にない大規模な災害も発生してきておるのが最近の傾向ではなかろうか、そのようにも思っております。  そういったことが、当然ながら地域の社会のいろいろな経済なり、またひいては国民経済全体に大きな影響を与えてきているのは御存じのとおりでございまして、そういう面では、災害が発生しないように手当てをするというような施策が、防災的な観点でのいろいろな制度が拡充されてきているわけでございまして、しかし、いざ災害というものが発生すれば、そういった被災に対して迅速に、かつ適切に対応していくということが当然必要なわけでございまして、今回の法案は、そういう面では、先ほど国土庁長官も述べておられましたけれども、新しい仕組みといいますか、新しい道を開く一つのきっかけになるというふうに私も認識いたしております。  従来、政府の公式的な見解というのは、自然災害に起因するそういった個人的な被害に対しては、基本的には対応できないというのがこれまでの公式的な見解であったというふうに私は思います。そういう面では、今回、こういうふうな法律の中で、個人に対してそういう支給をしていくという道を開いたということは、本当に大転換であるし、画期的なことだというふうに思います。  そこで、発議者の方に基本的なところで見解を伺っておきたいわけですけれども、これまでのそういった政府の公式的な見解を、今回、皆さん方のこの法案の中で大きく転換させる、そういう認識もとでこういう検討に入られたというふうに私は思いますけれども、そのあたりの所見をここでもう一度確認しておきたい、そのように思います。
  81. 清水達雄

    清水(達)参議院議員 今回の法案は、生活再建支援という分野を新しく支援対象にしたというふうに思っておりまして、しかし、それだからといって、個人災害に対する補償をしているというふうには考えていないわけでございます。というのは、生活再建に対する支援ですから、生活再建にかかる金を全部これで賄うということではございません。ただ、災害に対する補償ということになると、起きた損害についてはすべて償ってやらなければならぬ。そういうものですよね、災害に対する補償というのは。ですから、そういう考え方ではない。  ですから、今先生が御質問なさったようなことを政府側に聞くと、従来と考え方は変わっておりませんというふうな答弁を恐らくするだろうと思います。  ただ、しかし、理論的にはそういうことかもしれませんが、生活再建というものに対して現金を支給するという新しい支援の道を開いた意義もまた大きいものというふうに思っているわけでございます。
  82. 一川保夫

    ○一川委員 私も、生活再建の立ち上がりに対して支給していくというのは、この法律の大きな一つの特色であろうというふうに思いまして、そういう面では、今おっしゃったとおりだというふうに思います。  しかし、ある面では、個人的なそういう被害といいますか、そういうことに対してしっかりと支給していくという一つの大きな道を開いたという面では画期的なものがあるというふうに思っております。  そこで、通常の災害制度という全体の枠組みの中でこの法律が今後どういうふうに位置づけされていくかというのは、ちょっと私自身もまだ整理できないわけですが、通常、自然災害による例えば公共的な施設の災害復旧制度といったものを見てきた場合に、当然ながら、自然災害なんだけれどもある一定の、例えば雨量であれば時間雨量、何ミリだったですかね、何か八十ミリ以上だとか、あるいは風速十五メーター以上だとかいう、そういった大きな自然現象に基づいての災害というものを対象にしているというふうに思います。また、同じ施設であっても、通常、善良な管理がされていない状況で放置されていたものは、どれだけ災害を受けても災害復旧の対象にしないというのが私は原則にあったというふうに思いますけれども、今回のこういうたぐいの、初めてのケースですからよくわかりませんけれども、そういう自然現象といいますか、例えば雨量なり風速なりといったものに何か一つの基準めいたものを設けようとしておられるのかどうか、そのあたりをお聞かせ願いたいと思います。
  83. 清水達雄

    清水(達)参議院議員 この法律自然災害につきましては、今先生がおっしゃいましたような雨量であるとか風速だとかいうふうな、そういう現象の面で何かを規定しようという考え方は持っておりませんで、被害程度ということを対象にしてこの法律対象にする自然災害というものを決めようとしているわけでございます。  今度の支援策は、例えば、具体的に言いますと、都道府県相互扶助観点から助け合いながらやろうということと、それから国が二分の一の補助をするということがありますから、やはりかなり大きな被害があるような災害というふうに思うわけでございまして、国が関与をするということからいいますと、災害救助法が適用される災害、これが基本である。しかし、住宅の全壊というふうなことに伴う生活再建考えておりますので、局地的に住宅の全壊が非常に多いというふうな場合も、これはやはり対象にすべきではないかというようなことで、都道府県単位で見て百戸以上、市町村単位で見て十戸以上全壊があるような災害については、この法律対象とする自然災害ということにしようということになっているわけでございます。
  84. 一川保夫

    ○一川委員 先ほど来のいろいろな質疑の中でも今後の検討課題的なものが幾つかあったように思いますけれども、今御説明があった部分、私は、ある面ではわかりますけれども、非常に危ない面があるような気がいたすわけですね。  通常の自然現象でも、被災を受けるということに対していろいろな手を差し伸べるということがどこまで許されるかということだと思うのですね。やはり、通常、そういう被災を受けないようにいろいろな面で努力されている方と余り努力されない方が、結果的に見ると何か同じような扱いをされてしまうというところは、やはり一定のところで自然現象というものに対して線引きをしておかないと、私は自然災害ということに対しては非常に甘い扱いになってしまうのではないかというふうに思うわけですけれども、そのあたり、もう一度、どうですか。
  85. 清水達雄

    清水(達)参議院議員 先生がおっしゃいました ような自然現象で何かを決めるということになると、これは非常に難しいのじゃないかなというふうに思います。  例えば、雨の降り方にしても、一定の期間内に非常に集中的に降るとか、長い間降っていて地盤が緩んでどうとか、いろいろなことがありますので、なかなか難しいのじゃないかなという感じがいたします。
  86. 一川保夫

    ○一川委員 通常のそういった公共的な災害復旧制度の世界では、自然現象自然災害というのは一定の定義づけがあるというふうに私は思いますので、そういったものとの、自然災害の定義づけの整合性みたいなところを一度整理していただきたいなというふうに私は思います。  それと、先ほどちょっと触れましたけれども、通常の公共的な施設の場合に、通常の管理をしていた段階で被災を受ければ、それは当然災害復旧という認定を受けるわけですけれども、余り善良な管理をされていないという中で、どこかに水が詰まったとかあふれたとかという現象で被災を受けるというケースがあるわけですけれども、こういう家屋の破壊といった場合に、その方の個人的な常日ごろの自分の家屋に対する管理の仕方のよしあしというのはどの程度影響するかというのはあろうかと思いますけれども、しかし、今回は地震だけじゃなくていろいろな風水害等につきましても対象にするということでございますので、その家屋の周辺に対してどの程度の常日ごろの管理をしているかということも含めて、私は非常にある面では大事な面があるのじゃないかと思うのですけれども、そのあたりのことについて何か御検討されたのでしょうか。
  87. 芦尾長司

    芦尾参議院議員 おっしゃるのは、それが自然災害に起因するとしたとして、それが個人の責任にかかわる部分があるのかどうか、こういう御質問だと思うわけでございます。  これは、その判断はなかなか難しい面があると思いますが、しかし、明らかに人災によるものであるなというような事故については、これはその責任者が加害者というか事故責任者ということも出てくるわけでございますから、それはやはり本法の適用の対象にはなっていかないだろうというふうには思いますが、しかし、個別具体のケースでこれは判断していかなければならない問題だろうとは思います。
  88. 一川保夫

    ○一川委員 では、先ほど来のいろいろな質疑の中で若干出てきた話題かもしれませんけれども、もう一度確認の意味でお尋ねしたいというふうに思います。  まず一つは、阪神淡路大震災災害についてはこの法律は基本的には適用しないで、附帯決議のところで対応されるということでございますけれども、先ほどちょっとやりとりがあったのかもしれませんけれども、これは附帯決議で確実にこういう法律と同じ扱いをされるというところは具体的にどういうふうに担保されていくのですか、そのあたりをちょっとお聞かせ願いたいと思うのですけれども。
  89. 清水達雄

    清水(達)参議院議員 法律に書かれていることと附帯決議で言っている中身というのはちょっと違うわけでございます。  阪神淡路の場合には既に支援の仕組みというものができておりまして、要するに復興基金というふうなものができて、そこでもう既に生活再建支援が行われているという実態があるわけでございます。  そういうことでございますので、法律ができて、おおむねそれと同程度支援が行われるように、そういうことにはしたい。したいのだけれども、やり方としては、これはもう既存の仕組みが動いているものですから、そこでやってもらわなければならない。そうすると、それができるように国として必要な措置をとるべきであるという附帯決議をつけているということでございます。  ですから、やる主体はやはり復興基金というか、兵庫県といいますか、やはり地元が中心になってどういうふうにするかということを考えてもらわなければならないということであるわけでございます。法律の方は、もうこういうふうにやるのがということを決めてあるということでございます。
  90. 一川保夫

    ○一川委員 それでは、この阪神淡路大震災以外で、これまで以前の何か大きな災害で、こういった法案と同じような扱いをしたらどうかという検討は何かされたのでしょうか。そこはどういうふうに線引きされたのか、ちょっとお聞かせ願いたいのですが。
  91. 清水達雄

    清水(達)参議院議員 阪神淡路の場合には、やはり本格的な生活再建ということが非常に難しい状況にもあるし、これはこれとしてやらなければいかぬということがあってこういう附帯決議がなされたわけでございますけれども、それ以外にも、もちろん考え方としてはあり得るわけでございますが、そういうものについての具体の検討というのは今の段階ではまだやっておりません。
  92. 一川保夫

    ○一川委員 それで、先ほどちょっと災害の規模の問題が出ましたけれども、これまで災害が発生した場合に、当然ながら全国のいろいろな方々から義援金、あるいは海外から来るというケースも当然あるわけですけれども、その義援金の大小ですね。それと今回のこの支給との関連というのですか、義援金が非常に多い場合に、その方々が相当優遇されるということが常識的に考えられるのですけれども、そのあたりはどういうふうなお考えでしょうか。
  93. 清水達雄

    清水(達)参議院議員 義援金というのはあくまでも国民の善意というようなことで集まってくるわけでございまして、そのことを当てにしてというか、前提にして法律をつくるというのは、なかなかそういうわけにもいきませんので、義援金は義援金としてもちろんあるわけでございましょうけれども、法律は、その義援金の額が多いとか少ないとかいうことにかかわらず、ここに上限百万円とか五十万円とか挙げてあるものを支給するというふうに決めているわけでございます。
  94. 一川保夫

    ○一川委員 そのあたりは考え方としてはわかりました。  それから、先ほど、一県百戸だったですか、市町村十戸だとかいう全壊の戸数の問題がちょっと御説明があったと思うのですけれども、そういう説明であると、それ以上のことを質問できなくなってしまうのですけれども、私は、災害を受けた家屋が一戸であっても、それが全壊すれば、この法律の適用になるのかなという感じをちょっと持っていたのですけれども、それはあり得ないのですか。
  95. 清水達雄

    清水(達)参議院議員 この法案は、私もさっき申し上げましたように、都道府県相互扶助観点から基金を積んでやるような、そういう災害対象考えているし、国の支援ということを考えても、やはり国の規模で対策を講じなければならぬといった、そういうものを対象にしているということでございますので、一戸とか二戸とかいうものについては、この法律では対象考えていないというわけでございます。
  96. 一川保夫

    ○一川委員 よく、台風が日本列島、九州方面に上陸した場合、必ずと言っていいほど、九州地方では、ああいう自然条件からいろいろながけ崩れ的な現象というものが頻発するわけですけれども、確かに、被災した戸数そのものはそんなに多くなくても、その被災した方にすれば、全く壊滅的にやられるというケースがよくあるわけです。そういう現象に対して、せっかくこういうたぐいの法律ができ上がっていった場合、そういった方々対象にならないというのは非常に残念に思うわけですけれども、それは今後の一つの検討課題としては残り得る課題なのか、それは全く別世界というふうに考えた方がいいのか、そのあたりはどういうふうにお考えでしょうか。
  97. 清水達雄

    清水(達)参議院議員 我々もそういう点をいろいろ公式に議論したことはないわけで、そういう意味では全く個人的な私の答弁ということになりますけれども、二戸や二戸の災害が、ほかの制度でこういった同じような生活支援が受けられる方途というのはないと思います。ですから、この辺の議論をするときには、必ず、二戸や二戸でも被 災者にとってみれば同じ苦しみじゃないかという議論が当然あるわけでございますけれども、そういう意味においては、やはり今後の検討すべき課題ではないかというふうに思います。
  98. 一川保夫

    ○一川委員 私も、この問題については、ぜひ今後の検討課題として御検討をお願いしたいというふうに思うわけです。  阪神淡路大震災という、ああいう本当に大変な災害は、当然しっかりとした対応はすべきでしょうけれども、毎年発生しているようなああいう自然災害の中で、やはりその人個人にとっては大変な被害を受けているわけでございますので、同じ日本の国土に住む国民として、そういう方々が、対象になる方々対象にならない方々がいるということは、私は、制度的には非常に欠陥があるのではないかなという感じもいたしますので、その点について、当然我々も知恵を出さなければならぬとは思いますけれども、今後の検討課題としてぜひお願いしたい、そのように思っております。  それから、最近、マンション等のああいう集合住宅が非常に多いわけですけれども、マンション等の集合住宅がこういう自然災害被害を受けたといったような場合、その建物の中にはいろいろな世帯がたくさんいらっしゃるわけですけれども、そのあたりの扱いというのは、何か特別な扱いというのはあるのでしょうか。
  99. 芦尾長司

    芦尾参議院議員 マンション等の集合住宅被災の問題についてですが、全体が全壊世帯ということになれば当然対象になりますが、半壊世帯で、周囲の状況からやむなく解体したといったような世帯、こうしたものにつきましても、当然支援金対象考えていかなければならないというふうには存じております。  個別には、具体的には、どういう被災の状態になっておるのかということでの判断がなされるべきだろうというふうに思います。
  100. 一川保夫

    ○一川委員 そこで、先ほどの質問の中でもいろいろ出ておりましたけれども、支援金百万円あるいは五十万円という額の問題がございました。これは、生活必需品等の、立ち上がるための必要最小限といったらいいでしょうか、そういうものに対する一つの目安としてこの額が恐らくはじかれたのだろうというふうに思いますけれども、これは、過去のいろいろな災害の事例等から、先ほど所得等のいろいろな基準もございましたけれども、この程度の額で大体立ち上がることが可能だというふうな、何か根拠みたいなものがあるのでしょうか。
  101. 清水達雄

    清水(達)参議院議員 百万円という額が設定されているわけですが、これが出てきたのは、一つには、阪神淡路大震災生活再建支援措置というのが、三百五十万円以下の低所得層について、ちょっと忘れましたけれども、九十何万から百五十万ぐらいの支援をやっている、中高年については四十八万か何かのことをやっているというような、そういった実態というか実績があるということと、それから知事会の方で検討した中で百万円というふうな数字が出てきておりまして、生活必需品の購入でありますとか、あるいは引っ越しの金だとか、あるいは民間賃貸住宅へ入るときの権利金だとか敷金だとかいったぐいのものとしては、百万円ぐらいの支援が大体妥当な線じゃないのかなということがありますし、それから、収入が多い層については、自力でもできる可能性もあるので、半分の五十万にしたということでございます。
  102. 一川保夫

    ○一川委員 こういう額を算定する一つの基準というか尺度の中に先ほどの収入というのがあるわけですけれども、ちょっとわからないのは、災害で財産等をすべて失ったような中で、何か収入めいたものだけの尺度で果たしていいのかなという感じもちょっと一方でするわけです。何かもう一つ、ほかの基準めいたものを入れていかないと、単なる所得だけで判断していいのかなという感じもするわけです。ほとんど財産等が壊滅しているというような事態の中で、そのあたりに若干疑問を持つ点もあるわけです。  そのことについて何か御検討というのがなされたのかどうか、そのあたり、ちょっとお聞かせ願いたいと思います。
  103. 芦尾長司

    芦尾参議院議員 今、これまでも御議論がありましたが、収入合計額だけではなくて、「自然災害によりその生活基盤に著しい被害を受けた者であって経済的理由等」ということになっておりまして、先ほど来御議論がありますが、世帝王の年齢をファクターに入れておる。さらにはまた、障害者の世帯や母子世帯、それから父子世帯、そういう援護を要するような世帯、それもやはり対象にしていこうではないかというような考え方で仕組んでおるということでございます。
  104. 一川保夫

    ○一川委員 今ほどの御説明によると、社会的に非常に立場の弱い方々に対する配慮ということも含めたそういう判断をしたいということなので、そのあたりは、大いにしっかりとした基準で判断をしていただきたい、そのように思っております。  では、最後の質問ということにさせていただきます。  せっかく国土庁長官も同席していらっしゃいますので、私が冒頭ちょっと御質問させていただいた中に、通常の公共施設等の災害復旧事業制度では、自然現象というのは、一定の規模以上のもの、そういうものの自然現象に基づく災害自然災害と定義づけをしているというふうに私は記憶しているわけです。今回は、そのあたりはまだ十分整理されていないということも含めて、実際の自然災害自然現象によって被災を受けるということに対する、災害制度全体の中で自然災害というものをどういうふうに定義づけしていくかというところが非常に大事なことではないかと思うのです。  私は、先ほど言いましたように、自然災害でも、通常の自然現象でも、例えば被災を受けたという場合にそれを自然災害と言っていいのかどうか、そういったところも若干疑問に思うところもあるわけです。今回、新しい一つの道を開くと言われておりますこの法案の、自然災害という一つの定義づけについて、何か長官の方で特に御所見ございますでしょうか。
  105. 亀井久興

    亀井国務大臣 先ほど発議者の方から御答弁をいただいておったことでございますけれども、自然災害ということをどう定義するか、そうしたこともあろうかと思うわけでございますが、今回、この新しい法案を御準備いただく中で、実際に自然災害によって被害を受け、被災をされたというその被災の状況というものに着目をして、新しい今回の法案をお考えをいただいたということのように私は理解をしておるところでございまして、先ほども御答弁ございましたけれども、地方公共団体が中心になりまして新しい基金をおつくりをいただく、そして、それに対して国が御支援を申し上げる、そういうことでございます。  その場合、国と地方公共団体が協力をしてそうした新しい仕組みをつくるということになってまいりますと、やはり一定規模以上の災害ということにならざるを得ないということでございましたので、災害救助法が適用される規模の災害というところに一つの基準を設けられたというように理解をしておりますし、またさらに、住宅が全壊をされた、その住宅の全壊世帯というものがどの程度出てくるかということにも着目をして、災害救助法の適用ということに加えて、市町村においては十以上、あるいは県においては百以上という一つの基準を設けて今回の法案をおつくりをいただいた、そのように受けとめております。
  106. 一川保夫

    ○一川委員 今回、発議者の皆さん方が中心になって、自然災害によって被害を受けた個人の方々に対する生活再建に対して手を差し伸べようというこの法案趣旨というのは、私は非常に大きな意義があるというふうに思います。  ただ一方では、先ほど来のいろいろな議論のように、まだまだ検討すべき課題も残されているというふうに思いますので、そういう面については、我々も含めてお互いに知恵を出し合いながら、この制度がさらに充実するように心からお祈りを申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。 ありがとうございました。
  107. 西村章三

    西村委員長 一回君の質疑は終了いたしました。  次に、藤木洋子君。
  108. 藤木洋子

    藤木委員 一九九五年一月十七日、阪神淡路大震災のあの日から、早くも三年四カ月もの月日がたとうとしています。仮設住宅で切り詰めて暮らしてきたけれども、仕事もなくて、蓄えも食いつぶしてしまった。公営住宅に当たったけれども、家賃補助がなくなる五年先のことが心配で、入居はあきらめた。やっとの思いで営業を再開したけれども、町に人が戻らず、売り上げが伸びなくて、借金の返済の期限が迫っているけれども、返すめどが全く立たないなど、こうした実態に置かれている被災者の皆さんは、公的支援の実現を今か今かと待ちわびています。私は、こうした被災者実態に即した、願いにこたえる公的支援法制度をつくり上げること、そのことこそが国会に身を置く者、とりわけ本委員会に課せられた重大な任務だと考えています。  被災者生活再建支援する法案について問われていることは、その内容が果たして被災者実態に即した、願いにこたえるものになっているのか、このことに尽きるのではないかと考えています。こうした観点から、一つ一つ伺ってまいります。  まず最初に、発議者にお聞きをいたします。  参議院災害特別委員会答弁でも、また本委員会の御答弁でも、本法案考え方について、現在、被災地で行われている支援を念頭に、所得制限、年齢制限などを組み立てていったら、結果としてこうなったとおっしゃいました。それでは、発議者は、現在、被災地で行われている施策生活再建が可能だ、このように認識をしておられるのでしょうか。お答えください。
  109. 清水達雄

    清水(達)参議院議員 阪神淡路で今復興基金で行われている生活再建支援施策と、この法律考えている生活再建支援措置との違いでございますけれども、支援対象の範囲がこの法律の方が広いというようなこともあるわけでございます。  これは概算の金額で言いますと、今、阪神淡路生活再建支援措置としてやられている金額が、大体七百十億円ぐらい。この法律に基づいて、この法律阪神淡路に適用したら幾らかかるかというのは、千二百五十億円ぐらいかかる。五百四十億円ぐらい、こっちの法案の方が支援措置が大きいということになるわけですね。そういうことでありますから、阪神淡路をそのままこの法律に移しかえるようなことをやっているということでは、もちろんないわけでございます。  そういうことがあるものでございますので、附帯決議をつけて、阪神淡路にも同程度のことが、支援が行われるようにしなければならぬという考え方を、また一方ではとっているというわけでございます。
  110. 藤木洋子

    藤木委員 現在行われている支援や、それにわずかばかりの上積みができたというようなことでは生活再建ができない。だから、被災地から、全国から、公的支援を求める運動が始まって、続いているのです。  現在被災地で行われている支援が不十分だ、そういう認識がおありであるにもかかわらず、被災者生活再建支援法は、今切実に公的支援を求めている阪神淡路大震災被災者対象から外しているではありませんか。この点は、本法案の重大な欠陥と言わざるを得ません。大規模災害においては自助努力のみでは生活再建は困難であるとの本法案出発点であるはずの阪神淡路大震災被災者への支援が抜け落ちているのです。被災地では、国は私たちを見捨てるのかとの怒りと悲しみの声が上がっています。阪神淡路大震災被災者は切り捨てる、そういうおつもりですか、お答えください。
  111. 清水達雄

    清水(達)参議院議員 もう今までの質疑でも何回も答弁をしているわけでございますが、この新しい法案は、都道府県相互扶助観点から基金をつくって、積み上げて、その運用によって支援をしよう、そういう仕組みなわけでございますので、そういう基金ができないと動かないわけですよ。ですから、これを遡及させるということはできないということでございます。  しかし、そうはいっても、おっしゃいましたように、阪神淡路の場合には、生活再建が非常に大変だということがありますから、別の仕組みの中で同じ程度のことが、支援が行われるようにしようということを言っているわけでございまして、今お話にあったようなおっしゃり方というのは、我々が考えていることと違ったことをおっしゃっているというふうに私は思います。
  112. 藤木洋子

    藤木委員 それはあくまでも行政措置でございまして、結局、発議者の皆さんが最後まで責任を持つというような法律そのものではないわけですね。国や自治体の努力だけでは限界がある、だから立案したはずの法案が、後は国や自治体の努力に期待する、こういうことじゃないんですか。これでは全く矛盾した話だと思うのです。なぜ法的拘束力のある法案に書き込まなかったのか、このことは非常に大きな問題であります。  この法制度の仕組みは阪神淡路大震災被災者に適用できない、こう言われましたけれども、そうではなくて、適用する法制度をつくる、そうすべきではなかったのでしょうか。要は、制度云々の問題ではなくて、阪神大震災被災者支援するかどうか、その根本的な姿勢が問われる問題だと思います。  先ほどの御答弁では、阪神淡路大震災被災者には法案と同程度行政措置政府に要望している、こういうことでお答えがありましたが、そもそもこの法案では、どの程度被災者支援する必要があるというふうに考えておられるのか、その考え方と、仮に阪神淡路大震災に適用した場合、全被災世帯のどの程度支援対象になるのか、お答えをいただきたいと思います。
  113. 芦尾長司

    芦尾参議院議員 本法案生活再建支援金ですけれども、生活の立ち上がりの難しさの程度に応じて支援することを基本といたしております。そして、ただいまも申し上げてきておりますが、阪神淡路大震災措置というものを基本としかがら、世帯の平均的な収入やほかの制度等も考慮して、世帯の年収とか世帯主年齢等を総合的に勘案いたしまして対象世帯を合理的に決めているものでございます。  仮に本法を阪神淡路被災者に当てはめてみたといたしまして、既に生活再建支援金等の支給対象である世帯も含めまして、これは地元兵庫から、今回の法律を作成するときに、必要があるということで説明を受けたわけでございますけれども、約十三万四千世帯、これが支給対象になるのではないかなというふうに見ておるところでございます。
  114. 藤木洋子

    藤木委員 それでは、実際に現在被災地で行われている支援策対象外になっている半壊世帯だとか中堅層について、支援の必要はない、もう既に自立している、このように考えていらっしゃるのでしょうか。発議者には、今もお答えいただきましたけれども、被災地出身の方がいらっしゃいますので、特に芦尾議員にお答えをいただきたいと思うのです。一般論ではなくて、被災地実態からどのようにお考えになっていらっしゃるか、お答えをいただきたいと思います。
  115. 芦尾長司

    芦尾参議院議員 現在の阪神淡路大震災の復旧、復興対策は、総額四兆円を超える国費が確保されておりますが、この中で、インフラ施設の復旧を除きますと、被災者支援策には一兆円を超える額が投じられておるということをまず御理解いただきたいわけでございます。具体的に、この一兆円をもって公営住宅の大量供給または家賃の大幅な引き下げも行われておるわけでございますし、住宅金融公庫の融資についての特別措置でございますとか、その前提となった、公費による瓦れき処理などの措置というものが、現実に従来まで措置されていなかったことが、この阪神淡路大震災では措置されてきたということになります。  こうしたことに加えまして、地元の地方公共団体が、今のこの阪神淡路大震災復興基金、こ ういうものを活用いたしまして、住宅とか産業とか生活とか教育とかさまざまな分野で、今百を超える支援事業を実施をしてきておるところでございます。最近も、公営住宅になかなか入れない方々にとりあえず民間の住宅に移っていただこうといったようなことでの家賃補助というものが講じられたということも御承知のとおりでございます。その一環といたしまして、平成九年八月から、生活再建支援金支給を開始しております。また、九年の十月に、被災中高年の自立支援金、この二つの制度が先導的に支援をされております。  こういう制度を通じて被災者皆様方生活の自立の道が、さまざまな道が開かれておるということは御理解をいただきたいと思うわけでございまして、決して切り捨てておるといったようなことにはならないと思います。
  116. 藤木洋子

    藤木委員 理解をするかしないかではないんです。この施策対象から外れている人たちが、もう既に自立しているというふうにお考えかどうかと伺ったんです。それがお答えになれないということは、自立てきていないということを暗にお認めになっていらっしゃるのではないでしょうか。  所得の低い人の方が困難度が大きい、それは当然のことであります。しかし、被災地実態はどうか。本法案では支給対象外になっております半壊の被害に遭われた方たちは、家の補修費用だけで二百万円、三百万円、こういったお金を使っていらっしゃいます。また、費用が捻出できない方は、つぶれかけの危険な家にそのまま今でも住んでいらっしゃるんです。  中堅層に当たる灘区の、Sさんとおっしゃる方ですが、この方は、被災当時、私と妻、娘が働き、年収一千二百万円ほどあったが、現在は私の月収手取り三十万円のみ、生活費はどう切り詰めても三十三万円必要で、毎月赤字だ。全壊認定を受けたけれども建て直すお金がなく、今も傾いた家に住んでいる。それでも補修費に三百六十万円もかかった。家財道具や当面の生活費などの借金の返済期限が迫っているけれども、返済の見通しは全く立っていない、このように話しておられます。この実態を見ても、自助努力で生活再建が可能だと言えるでしょうか。これこそ、自力で生活再建することが困難な実態ではありませんか。大災害では中堅層も大きなダメージを受け、生活再建が困難であることは、阪神大震災被災地実態が示しているとおりです。中堅層を含めた全被災者対象にする支援、そのことこそが、町に人が戻り、経済の活力も生まれ、公益につながる、つまり公共の事業と位置づけられるものではないのですか。支援内容についてはどうでしょうか。支援金について、百万円、五十万円が上限となっています。現在被災地で行われている支援策などを頭に置いて考えたと答弁されていますけれども、現在被災地で行われている生活再建支援金中高年自立支援金は、仮設住宅に入居している間は支給対象にはなりません。また、半壊世帯や所得の中堅層は全くの対象外であります。その支給対象は全被災世帯のごく限られた一部です。しかも、支給額は月一万五千円ないしは二万円で、被災者の方のお話では、毎日の生活に瞬く間に消えてしまう額なのです。この程度の水準の金額では生活再建支援になり得ず、窮乏生活を維持するのがやっとかどうか、そういうことだと思いますが、どのようにお考えでしょうか。
  117. 芦尾長司

    芦尾参議院議員 生活再建支援金で全部の生活を賄うということには確かにならないだろうと思います。しかし、生活再建支援金は、先ほど申し上げておりますように、いろいろな一連の被災者方々のための対策の中の一環として位置、つけられるべきであろうと思います。そういうことでこの生活再建支援金が仕組まれておるということをまず御理解をいただきたいと思います。
  118. 藤木洋子

    藤木委員 あれこれの施策があってもまだなお自立し得ない、これが被災地実態じゃありませんか。あなた御自身、被災地出身でよく御存じではないのですか。私は、あなたからそういうことを伺うとは、本当に胸の痛む思いがいたします。現在行われている施策を基準にして生活再建はされないということをもう一度強調したいと思います。被災者実態から出発することが基本じゃないのでしょうか。被害実態アンケートでは、全壊・全焼で既に支払った額は約九百万円弱となっています。あと必要な額は約一千六百万円。半壊・半焼では既に支払った額は約四百二十万円です。あと必要な額は八百万円となっています。また、必要な生活必需品、家財道具などをそろえると、中古品などで賄っても六十万円ほどはかかるのです。引っ越し代などを積み上げただけですぐに百万円を超してしまいます。こうした実態を見るならば、支援金の上限額を引き上げることなしには生活自立再建の開始ができないことは明らかではありませんか。先ほど、阪神大震災に適用した場合の見込みをおっしゃいましたけれども、その根拠について、参議院災害対策特別委員会での御答弁では兵庫県による試算とのことでしたけれども、その根拠はどうなっているのでしょうか。具体的にお調べにならないと出てこない数字だと思いますけれども、根拠はいかがですか。
  119. 芦尾長司

    芦尾参議院議員 兵庫県の方から一つの試算として、ヒアリングをした数字がその数字であるということでございますが、いずれにいたしましても、この新しい法律を制定するに際しまして、それでは阪神淡路大震災に適用された場合に仮にどういうことになるかなということで兵庫県の方に基礎的な数字をヒアリングをして聞いた数字だという、試算の数値であるというふうに御理解いただきたいと思います。
  120. 藤木洋子

    藤木委員 その数字が八万世帯ということなのでしょうか。
  121. 芦尾長司

    芦尾参議院議員 そのとおりです。
  122. 藤木洋子

    藤木委員 被災者の方たちは、自分たちにどのような支援が当たるんだろうかということが非常に切実な問題なんです。数を示しながらきちんと根拠を示せないというのでは全く無責任と言わなければならないというふうに思うのですが、それでは、その八万世帯には新たに上限百万円、五十万円、これが支給されますか。
  123. 芦尾長司

    芦尾参議院議員 先ほどもお話がございましたけれども、この試算でいきますと、既に、五十万円の支給予定の中高年恒久住宅自立支援金支給されておる方で、これから百万円として支給される方がざっと五万世帯、それから、新たに百万円が支給される世帯が約三万弱、それからさらに、七百万から八百万の年収の方が二千弱、それは五十万円支給世帯、そういうような数字が一応出ております。
  124. 藤木洋子

    藤木委員 そうしますと、その差額しか受け取れない世帯というのは今最後に言われた五万世帯、そういうことになりますか。
  125. 芦尾長司

    芦尾参議院議員 一応、試算の数字ではそういうことになっております。
  126. 藤木洋子

    藤木委員 それでは、現在被災地で行われている施策で本法案の上限金額まで受け取ってしまっている人たち、これは新たな支援は出ないのでしょうか。
  127. 芦尾長司

    芦尾参議院議員 上限金額といいますとちょっとわかりにくいのですけれども、例えば生活再建支援金でございますと、月額二万円から二万五千円の額を受け取っておる方がおられるわけです。そういう生活再建支援金方々はこれは百万円の支給額対象の中に入っておりますから、その方々は、むしろ百万よりは、これからの五年間で百万円をオーバーするという計算もできるわけですけれども、そういう方々には差額は行かない、こういうことになります。
  128. 藤木洋子

    藤木委員 差額は行かないというのは、結局、新たには何も出ないということですよね。新たには何も出ませんね。
  129. 芦尾長司

    芦尾参議院議員 既に、この法律対象になる数字と同等かそれ以上の支給を受けておられるというふうに解釈されます。
  130. 藤木洋子

    藤木委員 その人には出ないのですね。
  131. 芦尾長司

    芦尾参議院議員 それは、そういうことになり ます。
  132. 藤木洋子

    藤木委員 それは、そのようにはなるけれども、出ないとはおっしゃれない。なぜでしょうか。出ないのでしょう。出ないとおっしゃれませんか。
  133. 芦尾長司

    芦尾参議院議員 それは出すことは困難です。出ません。
  134. 藤木洋子

    藤木委員 困難ところか出ないのですよ。ですから結局、本法案では、全くその支援金を受け取れない人たちというのが圧倒的なんです。現在被災地で行われている施策のすき間を埋める程度支援にしかすぎないというのは、そのとおりであります。  本法案では、この本法案でですよ、支援金仮設住宅入居者からも受け取れるのでしょうか。本法案のベースになっている阪神淡路大震災復興基金事業施策では、仮設住宅に入居中は受け取れないことになっていますが、いかがですか。
  135. 芦尾長司

    芦尾参議院議員 この新しい法律でどの段階から支援金を出していくかということは、先ほど申し上げましたように、避難所から仮設住宅があり、恒久住宅があるというときに、仮設住宅から恒久住宅に行くときにはこれはもう完全に対象になるでしょうけれども、避難所から仮設住宅に行く場合のところの、そこの境目というのはこれから、災害の状況等に応じて、またその被災者の状態等に応じて考えていかなければならないだろうと思います。  それからまた、この差額が出るなり新しい措置阪神淡路大震災に適用された場合に、これからこれをどういうふうにしていくかというのは、基本的には県や市町村がお考えいただくことにはなろうかと思いますけれども、先ほども御答弁申し上げましたように、今現実の問題としてこの二つの制度が動いておる、また基金制度を活用してやっております観点からいえば、そういうものの制約があるということは御理解いただきたいということをさきに答弁いたしました。  なお、先ほどちょっと申し上げましたけれども、生活再建支援金を受けられておるのが今四万弱でございますから、新しく支援を、差額を受けられるのは八万世帯ぐらいあるということですから、生活支援金の差額を受けられない人が多いというのは、比較から見ていただいたら、差額を受け取られない方の方が少ないというふうには言えます。
  136. 藤木洋子

    藤木委員 そうではありません。四十六万世帯の方たちが家を失ったりつぶされたりしているのです。とんでもありません。今おっしゃいました法案考え方ですね。この法律では、支援金仮設住宅に入居していようといまいと、そのこととは関係なく受け取れることになっているわけです。その考え方は、ぜひ阪神大震災行政措置にも適用すべきだと思いますね。ぜひそのことは実行していただきたいと思います。今度は厚生省にお聞きいたします。本法案支援金を受け取った場合、収入認定がされるのかどうか。収入認定されますと、これは生活保護を打ち切られてしまうことになるのですが、いかがでしょうか。
  137. 田中敏雄

    田中説明員 生活保護制度では、一般的に被災したことによって臨時的に受ける給付金につきましては、自立更生のために充てられると認められるものについては収入として認定しない取り扱いとしているところでございます。今般の被災者生活再建支援法に基づく支援金につきましても、自立した生活のために必要な費用に充てられるものと認められる場合には、収入認定しない取り扱いになるものと考えております。
  138. 藤木洋子

    藤木委員 そうでなければなりません。兵庫県でも、収入認定は現在行っておりません。災害被災者支援という法の趣旨を踏まえてこの対応は貫いていただきたいと思います。これまで法案内容を聞いて率直に持ちました感想は、現在阪神大震災被災者に行われている施策を基準に支援対象支援額も決めたということでございますから、多少それに色はついたといたしましても、現在法制度がないもとでも復興基金事業として行われている施策の水準を超えない程度のものだということです。ですから、新たに法制度としてつくる意味が果たしてあるのだろうか、そういう疑問を持ちます。その点について、発議者はどのようにお考えですか。
  139. 清水達雄

    清水(達)参議院議員 阪神淡路大震災につきましては、被害が非常に大きかったということで、国の支援施策というのは相当なことをやったわけでございます。ところが、一般的にはああいうふうなことがやれるような支援施策の仕組みというのは今できていないわけでございまして、そういう意味で、阪神淡路のような実態というものが今後大きな災害が起きると当然発生するということを考えて、つまり阪神淡路教訓として新しいこういう法律提案しておるということでございます。
  140. 藤木洋子

    藤木委員 確かに、これまで個人補償は絶対にしないと言い張ってこられた自民党が、個人補償どは言わないまでも、少なくともその被災者への公的支援を現金給付で行うということに踏み切らざるを得なかった、そして提案してこなければならなかったというところに大きな変化があることは事実です。それは、被災地実態と、そして被災者の皆さんたちが、被災地を救えという声を全国的に上げてこられました。全国の公的支援の運動というのも、非常にかってない大きな高まりを示してまいりました。もちろん、党派を超えた議員の取り組みもあった。そういったことが確かにそのようなことを促した力になったのは事実であります。しかし、この法案阪神大震災被災者対象から外していますし、法案と同程度行政措置が行われたとしても、これまでの質疑で明らかなように、被災地で行われている支援策の枠を超えるものではないのです。では、今後の災害被災者に対して支援はどうかと。本法案阪神大震災世帯構成を参考にして考えてみますと、全半壊世帯のわずか二二%程度にしか適用されないのです。このような、支援対象もごく限られた、支援金額も低い水準の法制度をつくることは、将来の災害被災者に対しても、三年四カ月にわたって放置され続けてきた阪神淡路大震災被災者と同じ苦しみを強いることになるのではないかと思います。法案内容が詳しくわかるに従い、現地では牛望が広がっております。この連休中には、実に孤独死、自殺者が相次ぎました。今までにない急増であります。本法案が希望を与える内容であればこんなことは起こらなかったのではないかと胸が痛みます。また、私のところには、連日被災者方々、全国から、衆議院の段階で何とか生活再建の力になる内容にしてほしいと、公聴会や参考人の意見聴取を初めとして徹底した審議を求める強い要望が寄せられました。なぜこうした声に耳を傾けないで原案のまま押し切ろうとされるのか。なぜ押し切ろうとされるのですか、それは発議者伺います。
  141. 清水達雄

    清水(達)参議院議員 私どもは法案を提出している者として質疑で御答弁をしているわけでございまして、どういう審議をやるかというのはこの委員会の問題でございますから、私ども何か申し上げる立場にございません。
  142. 藤木洋子

    藤木委員 そうではありません。もっと早く法案が出てくる予定だったのです。それでは、国土庁長官にお伺いをいたします。附則の検討項目がございますけれども、住宅再建支援のあり方についてどういう検討を行うのでしょうか。どのような場所でどのような検討を行って、必ず制度ができるという保証があるのでしょうか。
  143. 亀井久興

    亀井国務大臣 附則の検討事項に住宅再建支援のことを書いていただいているわけでございますが、被災者住宅再建のあり方につきましては、これまでの経緯も踏まえながら既存の制度を含めたあらゆる支援の方途について検討すべきであるということを定めてあるように受けとめておるところでございます。検討の方法につきまして、特に今の段階で特定 の措置を念頭に置いたというようなものではないというように受けとめておりますので、本法の施行後に政府関係の部局におきまして適切に検討をしていきたい、そのように考えております。
  144. 藤木洋子

    藤木委員 要するに、今ははっきりしないということのようであります。  続いて、阪神大震災被災者が直接対象となる行政措置について政府にお伺いいたしますけれども、復興基金の財政状況を踏まえて、支援金被災者に一括支給できるというふうにお考えでしょうか。
  145. 田中正章

    田中(正)政府委員 お答えを申し上げます。  これまでたびたび御質問もいただいておりますが、阪神淡路被災者方々につきましては、地元復興基金により月額方式で生活再建支援金などの支給が始まっているところでございます。  地元の県、市におきまして、この支援金支給方法を決定するに当たりまして、基金の状況等検討した上で、一時的に支給するのではなくて、定期的に分割して支給することにより継続的に自立再建支援すべきである、このような考え方に基づいて地元県、市においてその支給方法を決定したというふうに承っております。
  146. 西村章三

    西村委員長 藤木君に申し上げます。  申し合わせの時間が経過をいたしておりますので、結論をお願いいたします。
  147. 藤木洋子

    藤木委員 しかし、もうこれが最後の委員会で、きょうが本当に最後なのです。先ほども私申し上げましたけれども、徹底審議を尽くさなければならないのに、たかだか三時間ぐらいで終わってしまうということは、極めて残念と言わなければなりません。  それでは、最後の質問に移りますけれども、本法案内容とは全く別に、被災自治体が新しい施策が必要だと判断をして復興基金を財源に新たな施策を行うということについて、国は当然お認めになるかどうか。また、行政措置を行う場合に、その内容は本法案の水準にどうしても合わせなくてはならないのかどうか、その点についてお答えをいただきたい。そして、本法案には必ずしも……
  148. 西村章三

    西村委員長 簡単に願います。
  149. 藤木洋子

    藤木委員 拘束されるものではないと思いますが、「国は必要な措置を講ずること。」となっておりますので、被災自治体が復興基金を財源とした新たな施策を今後行った場合、国は必要な財源措置を行うかどうか、その点についてお答えをお願いいたします。(発言する者あり)
  150. 西村章三

    西村委員長 傍聴人に申し上げます。御静粛に願います。
  151. 田中正章

    田中(正)政府委員 お答え申し上げます。  基金が行う具体的な事業につきましては、基金を設置されました兵庫県、神戸市におきまして、基金の設置の趣旨を踏まえまして、地元の実情に応じて実施されているものと受けとめております。  また、これに対しまして、現在検討されている本法案との水準の関係については、これまで発議者がるる御説明したとおりでございます。  以上でございます。
  152. 藤木洋子

    藤木委員 これで終わります。
  153. 西村章三

  154. 中川智子

    中川(智)委員 社会民主党・市民連合の中川智子でございます。  私は、きょう、ここに万感の思いを持って立たせていただいております。その思いの一端をまず最初に述べさせていただいて、質問に入らせていただきます。  三年前の一月十七日、私は、宝塚の自宅で被災いたしました。そして、三日後からリュックをしょいまして避難所を回り、被災者方々とともに、その痛み、そして私にできることは何なのかということを問い続けながら、被災地で生き続けてまいりました。今必要なものは何なのかということを聞きながら、一人の人間としてできることを一生懸命やってまいりましたが、それは、最初は防寒具であり、毛布であり、おにぎりであり、そのようなものでした。でも、避難所から仮設住宅に移る際、必要なものはお金でした。でも被災者は、頑張らなきゃ、天災はだれの責任でもないから自分たちで頑張って立ち上がっていかなければと思って、精いっぱい、頑張るだけ頑張ってきました。でも、物じゃなくてお金が本当に必要なそのときに、この国の仕組みは物で乗り切ろうとしましたし、お金に関しましては義援金だけで済ませようとしてきました。また、済ませてまいりました。  私は、この国のやり方がやはり間違っているということを、避難所をずっと歩きながら、そして被災地に生き続けながら痛切に感じました。私は、これは天災であって、その後に起きている今のこの悲惨な状況は人災だと思っております。この人災を、どうにかこの国が、新たな仕組みによって今後の災害において生み出さないために、この法律が第一歩になるという思いは持っておりますが、私は、あのとき宝塚でつくづく思いました。税金は何のために払っていたんだろうって。私たちの税金は、こんなときにこそ使ってもらうために、一生懸命一生懸命文句も言わずに払い続けてきた。なのに、日本の一つの県の中で起きたこととはいえ、日本人である私たちの税金の使われ方が、目に見えた形の、橋であり、道路であり、港である、そして一律に、仮設住宅ができたから入れ。そんな形で、物で済ませようとしてきたこの国の仕組みを変えたいと思って私は立候補いたしましたし、議員としてこの国会に参りました。そして、この国が変わる仕組みをつくりたいと思って、当選したすぐその後から、市民議員立法で頑張ってき続けたこの被災者の人たちと一緒に、市民とともに、市民議員立法というのをつくってまいりました。  私は、この国に民主主義が生きているのか、人間を置き去りにしない国であるのかということを確認するために、この一年余り走ってきたような気がいたします。でも、きょう審議するのは、市民議員立法ではなかった、そのことに対して私は心から残念だとは思いますけれども、でも、あの法律が、市民と議員で一生懸命頑張ってつくったあの法律が後押しをして、そしてこの本法に、不十分ながら、不十分ながら形となってきょう成案を迎えていると思っております。この場をかりて、自分の生活をなげうって、被災者でありながら困難な中をずっと運動し続けてくださり、そしてまた発議者となってくださった先生たちに心からお礼を申し上げて、そして質問に移りたいと思います。  まず、長官にお伺いいたします。  この百万円、五十万円、私は、市民議員立法の五百万円、二百五十万円でも少ない、立ち上がりにはまだまだ足りないと思っています。それが被災者の実感です。しかし、この百万、五十万が、災害を受けた直後に手にするならば、これは生きるものです、選択肢が広がる。改修をしたい、賃貸住宅に入りたい、そのときに現金が受け取れれば、選択肢が広がって、それは立ち直りのその瞬間にたくさんの人たちが生活再建に向けて努力できたと思いますが、阪神淡路は、附帯決議で書かれますけれども、三年以上経過しているわけです。この三年以上経過した阪神淡路被災地の惨状は、実に仮設住宅の孤独死が二百二十人を超えるという中で、この深刻さは百万、五十万ではもう救えないということは、ここに座っていらっしゃる方、皆さんもうよくわかっていらっしゃると思いますけれども、この附帯に書かれている行政措置を講ずるという認識は各党一致しての思いですが、長官はこれを、附帯決議をすぐに実行に移される御決意のほどをお聞かせいただきたい。  また、相当の措置というところで、三年以上たった実情にかんがみて、より以上のものをと私は被災地を代表してここに立っている議員として切にお願いしたいんですけれども、長官の御決意をお願いします。
  155. 亀井久興

    亀井国務大臣 ただいま、中川委員から、みずから被災をされたそのつらい思いの中から、さまざまな今日までのお考えを交えて御質問をいただいておるところでございます。その今日までの御 努力に対しましては、心から敬意を表する次第でございます。  今回、議員立法という形で御提案をいただいております本法案につきましては、これからの災害に、自然災害に備えた法案であるということでございますけれども、阪神淡路大震災教訓を踏まえて御提案をいただいた、おまとめをいただいた、そのように理解をしておるところでございまして、それだからこそ、附帯決議参議院で既につけていただいているということだと理解をいたしております。  生活再建支援をするというそのことは、国としても何らかの仕組みを考えなくてはいけないということは、本委員会におきましても、私自身もたびたび御答弁をいたしてきたところでございますが、今回、こうして新しい仕組みを将来の自然災害のためにおつくりいただくということは、大変私にとりましてもありがたいことでございます。  今日、阪神淡路大震災被災者に対します支援につきましては、地元の地方公共団体が中心になりまして復興基金をおつくりをいただき、その復興基金を活用してさまざまな事業を、支援措置をとっていただいておるところでございまして、その中の一つとして、生活再建資金を給付する、そうしたこともやっていただいているわけでございますが、それに対する、国としての地方財政措置を講じておることは申し上げるまでもないわけでございます。  今回、この法案成立をいたしました後の附帯決議の扱いにつきましては、当然のことながら、地元の地方公共団体を中心にして、地元皆様方がどのようなお考えを持ち、どのような御要望をされるかということを受けとめていかなくてはいけないのがまず第一でございますし、また、生活再建支援金を給付するその道を開くに当たりまして、与党の復興プロジェクトチームがお考えをいただいてさらなる措置をとったという経緯もございますので、また、地元の御要望を踏まえて与党の復興プロジェクトチームで十分に御検討をいただけるものというように理解をしておりますので、そうしたことを政府としても踏まえながら、十分に御相談をして適切な措置をとってまいりたかように考えております。
  156. 中川智子

    中川(智)委員 ぜひとも与党の復興プロジェクト、今私もメンバーですが、もう一度被災地に行き、そして実情をしっかり見て施策を十分なものにしていきたいと特に御要望申し上げます。  次は、提案者、発議者の先生に伺いますが、支援金支給方法について幾つか伺いたいと思います。まず最初に、在住外国人の方に対しては、本法は附帯決議の中での適用はあるかどうか、お伺いします。
  157. 芦尾長司

    芦尾参議院議員 在住の外国人についてでございますが、これは、外国人の登録がなされております方などについては適用対象にすべきではないかなというふうに考えておりますが、例えば一時的に滞在している方などは対象とはならないのではないかというふうに考えます。  いずれにしても、これから関係省庁や全国知事会と、これは十分相談してまいりたいと思います。
  158. 中川智子

    中川(智)委員 神戸などは特に外国の方が多いので、ぜひともよろしくお願いいたします。  それと、これは重複いたしますので要望を一つ申し添えますが、この時期に関しましては、赤羽議員も先ほどおっしゃっておりましたけれども、二、三カ月後、避難所に入った、そして避難所からの第一歩。実感したのですが、仮設住宅に入ったときから始まる、そこが出発でした。ですから、できるだけ早い時期に今後の災害においては出していただきたいということをお願いいたしますし、一括か分括かという話がありましたが、直後ですと一括というのが生きるということが実感でございます。この場合、今後の被災者の声をしっかり聞いて、希望に沿うような形をぜひとも御検討いただきたいと思います。  そして、全壊か、半壊でも取り壊し証明があればということなんですが、一部損壊の方でもこのたびは取り壊しした方が多かったのですが、確認なんですが、一部損壊の方でも取り壊し証明があれば適用するのかどうか、お伺いしたいと思います。
  159. 芦尾長司

    芦尾参議院議員 一部損壊ということになりますと、面積の二〇%未満とか住家の時価の二〇%未満の損害、こういうことになっておるわけでございます。そういったようなことから、一部損壊で解体証明があるのは、この法律からは対象にはできないというふうに御理解いただきたいと思います。
  160. 中川智子

    中川(智)委員 はい、わかりました。  でも、やはり阪神淡路附帯決議に関しましては、きめ細かなということをおっしゃいましたので、きめ細かな中に、半壊でも取り壊し         ―――――あのときは物すごい混乱状況の中で、全壊か半壊か一部損壊かは、かなり粗っぽい作業でございました。ですから、もう一度精査していただいて、何とぞ苦情処理という形で、そのような窓口を自治体に置いてやっていただきたいということを特に申し添えます。  次に、附則の第二条について伺いますけれども、私もあのとき地震保険というのに入っていたのです。兵庫県とかあの辺は、もう地震がないと言うから住んでいた人も多かったのです。でも、ある日突然災害はやってきた。本当に、あしたここ東京でも地震が起きるかもわからないと思うのですが、でも大抵人ごとなんですね。自分の身には降りかからないと思って生きているのですが、それは大変な間違いでございまして、私は地震保険に入っていたのですが、家屋だけ入っていて家財は入っていなかったのです。そうしたら、家屋は何ともなくて家財がめちゃくちゃだったのです。それで、とても高かったのですね、地震保険というのは。高くて高くて、払うことがとても苦しい。あのときに、やはり住宅再建をしていくための制度がもっとこの国でしっかりと整っていればということを痛感しました。  この三年余りの国会の議論の中でも、住宅が失われたことによってのさまざまな、共済制度であるとか地震保険であるとかいろいろなことが討議されましたが、それが立ち消えになっております。そこで、本法でも、附則第二条の中で、「総合的な見地から検討を行うものとし、そのために必要な措置が講ぜられるものとする。」というふうにうたってありますが、それは、いつごろどんなメンバーで、取りまとめる主管庁はどこに置いて進めていくのかを、まず国土庁の方にお伺いしたいと思います。
  161. 山本正堯

    山本(正)政府委員 お答えをさせていただきます。  住宅被害を受けた被災者に対する対策として、今先生おっしゃいましたように、地震保険でありますとか、あるいは税の減免でありますとか、公庫の融資制度でありますとか、いろいろな制度が存在いたしまして、阪神淡路震災以降も、地震保険の改正でありますとか、いろいろな充実を図ってきたところでございます。  しかし、附則二条におきまして、そういう住宅再建の重要性にかんがみまして、被災者住宅再建のあり方について、これまでの経緯をも踏まえまして、既存の制度を含めてあらゆる支援の方途について政府関係部局において検討すべきということを定められたというふうに承知をいたしておるところでございます。  また、その検討の方法は、特定の措置を具体的に念頭に置いておるというわけではございませんでして、本法施行後、それぞれの政府関係部局において適切に検討されていくものというふうに承知をいたしておるところでございます。
  162. 中川智子

    中川(智)委員 今回の地震の後でも痛感したのですけれども、縦割り行政の中であっちだこっちだと、それはそれは大変でした。そして、今回は国土庁が中心になってこの震災の復興に当たられたわけですが、ぜひとも、リーダーシップをどこでとるのかということぐらい、この場ではっきりしてもらいたいと思いますが、もう一度国土庁、同じ答弁でしょうか。
  163. 山本正堯

    山本(正)政府委員 お答えを申し上げます。  ただいま御答弁申し上げましたように、それぞれ大変難しい問題を抱えておるのじゃないかというふうに思っております。したがいまして、それぞれの関係部局で実施すべきところがいろいろな問題について、今後ともやり方について検討されるべき問題であるというふうに考えております。
  164. 中川智子

    中川(智)委員 国土庁、今回よく頑張って、ある意味ではハードの部分で頑張ったわけですから、頑張ってリーダーシップをとって、やっていっていただきたいと思います。  それで、大蔵省に今のと同じ質問をしたいのですが、答弁が長かったら困るのです、短くお願いしたいのと同時に、私は、今回の本法の議員立法をつくることで、これは素直な、素朴な質問なんですが、疑問に答えていただきたいと思います。  大蔵省は、議員立法をつくるときに、もうそれは困るとか、こうやつちゃいけないというのが今回かなり目ざわりだったのですけれども、いつもいつも、議員立法でも、やはり大蔵省というのがなぜ議員立法にそこまで口を挟むのかということをまず伺いたいし、預金者保護では三十兆、そういうことはぽんぽん、お願いも来ないのに出していく。なぜ被災者を救うのに文句ばかり言ったのかという素朴な質問に対して、ちょっとお答えください。
  165. 藤塚明

    ○藤塚説明員 お答えいたします。  まず、附則第二条につきましては、ただいま国土庁から答弁がございましたが、大蔵省といたしましても、同様の理解、受けとめ方をしているところでございます。  それから、議員立法に関しましては、私ども大蔵省の立場として、いろいろな所管なり法令等ございます、そういう立場からいろいろ御意見を申し上げている、こういうふうに御理解いただければということでございます。
  166. 中川智子

    中川(智)委員 大蔵省の御意見がうれしい御意見なら幾らでもよかったのですけれども、全然うれしくない御意見ばかりで、最初の自民党から出された所得一千万が、最初は三百万という形で、この間を高くするのにどれだけ苦労したか。やはり議員立法に関しては黙っていただきたいということを心からお願いしたいと思います。  それで、もうそろそろ最後なのですけれども、今大蔵省の方も、やはり、この間、聞いていますと、この附則第二条については国土庁だろう、国土庁は大蔵省じゃないかということで、責任をあちこちに振っていらっしゃいます。国土庁か大蔵省か、ぜひとも近いうちに話し合いをして、お返事ください。これは宿題です。よろしくお願いいたします。  もう一つ、最後に、基金の業務で、私は、この法律はスタートに立ったばかりだと思っております。この災害国日本で安心して住めるようにするには、この風穴をどんどんあけて、そして、私たち自身が、いつでも国が守ってくれる、そういう安心した国にしていくことが大事だろうと思いますし、それが立法府にいる私たちの責任であろうと痛感しております。この赤ん坊のような法律を成人させていくことこそが、阪神淡路大震災で亡くなっていった多くの人々の遺志、そして、仮設住宅でこの国を恨みながら死んでいった人の遺志だと私は心から思っています。この第七条の基金の業務で運営委員会を設置いたしますが、ここには市民や被災者、そして専門家を入れて、今後の災害救済システムをつくり上げていくような形での運営をぜひともお願いしたいのですが、提案者に最後にお伺いして、質問を終わります。
  167. 芦尾長司

    芦尾参議院議員 発議者といたしましては、この法律案成立後、速やかな制度の実施が図られまして、円滑な、かつ確実な支援金支給を行っていくことが重要だとまず考えます。その上で、今後のこの基金の業務の展開の中で、その他基金が行うことが適当な業務がまた出てくるかとも、それは考えられます。  そうしたことの中で、今回、この基金運営委員会を設置いたしまして、これは、委員は全国の知事会の知事さん方が充てられるということに法案上はなっておりまして、その知事さん方にこの支援業務運営に関して重要な事項というものを審議いただくことになりますから、とりあえず、当面は、そこでこの運営についての御審議をいただくということがまず第一かと思います。その上で、今御提案がありましたようなことにつきましても、これから検討課題としてしていかなければならないのではないかなというふうに思います。
  168. 中川智子

    中川(智)委員 本当にありがとうございました。産んで育てていく法律にしたいと思っております。  ありがとうございました。
  169. 西村章三

    西村委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     ―――――――――――――
  170. 西村章三

    西村委員長 この際、本案に対し、赤羽一嘉君外二名及び平賀高成君外一名から、それぞれ修正案が提出されております。  提出者から順次趣旨説明を求めます。赤羽一嘉君。     ―――――――――――――  被災者生活再建支援法案に対する修正案     〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――
  171. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 新党平和の赤羽一嘉でございます。  平和・改革が提出をいたしました、ただいま議題となりました被災者生活再建支援法案に対する修正案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  あの悪夢のような阪神淡路大震災は、死者六千四百有余名、全半壊世帯四十六万世帯、そして経済的被害額は約十兆円と言われる、まさしく未曾有の大災害でありました。もし震災発生時間が一時間おくれ、通勤時間そして朝食の時間にぶつかったとしたら、その被害は何十倍にもなったことと思われます。  その大震災から三年四カ月が経過した現在、いわゆるインフラ整備はほぼ回復したものの、多くの被災者は、一瞬にして吹き飛んでしまった生活経済基盤自立再建に当たって、多大な困難に直面しております。  これらの被災者に対して、災害救助法災害弔慰金支給、また災害公営住宅の建設などの施策が講じられてきましたが、今なお多くの方が仮設住宅に住み、また、全壊した住宅のローンを抱えながら新たな住宅を建設しなければならない方々、そして震災により職場を失ったままの方々、また、営業再開したものの売り上げが戻らない商店の方々など、本当に救わなければならない被災者支援にこれまでの災害救助施策では対応できないという大きな教訓が残されたわけでございます。  今回、その意味で、被災市民の真蟄な声が議会を動かし、そして公的支援に踏み込んだ新たな災害救助施策成立させることは評価されるべきものであると思います。しかしながら、私自身、自宅を失い、被災者の一人として、この間、被災地の思いが反映する真の復興の実現を使命として全力を尽くしてきた立場より、今回の法案には数々の修正を加えることが次なる大災害に十分対応できる制度となることを確信し、以下の修正案を提出いたします。  次に、その要旨について簡単に御説明をいたします。  第一に、支給対象を、住宅だけではなく、主たる収入が生ずる店舗も対象とすべきとしたことであります。生活基盤とは、住宅だけではなく、経済基盤も含まれるべきであります。住宅が助かったとしても、収入を生ずる店舗が全壊したために、極めて困窮度の高い被災者被災地には数多く存在をしているという今回の例を見れば、私たちの修正は妥当であるはずであります。  第二に、解体した半壊世帯だけを対象とすることから解体という要件を削除していることであります。本法案対象と想定したはずの、災害によって住む空間を失い、引っ越しを余儀なくされた被災者とは、必ずしも住宅が解体されているわけではありません。被災者の間に不公平感を生み、無 用な混乱を生じさせぬためにも、すべての全半壊世帯対象とするべきであると考えます。  第三に、所得合計額一千万円以下の被災者に対し、住宅または店舗が全壊した世帯に百万円、同じく半壊した世帯に五十万円の支援金災害後速やかに一時金として支給することとしております。原案のように、世帯主年齢、年収別に支給金額を、低額と実費部分に分けて支給することは、被災者間に不公平感を生じさせることになり、また、無用に支給時期をおくらせることは被災地復興に資するものとは必ずしもならないことを危惧いたします。  第四に、附則に盛られております検討事項に、災害によって所得が著しく減少した被災者に対して、その住宅が損壊していない該当する被災者に対しましても、私たちが現在参議院に提出しておりますいわゆる野党三党案に盛り込まれております所得激減世帯に対する特別支援金支給も含め、必要な措置を講ずることとしております。  以上の修正案の大半は、実は全国知事会政府に最初に求めた内容となっており、また、阪神淡路大震災被災地教訓も反映されたものとなっております。  何とぞ速やかに御賛同くださいますようお願いを申し上げます。
  172. 西村章三

    西村委員長 平賀高成君。     ―――――――――――――  被災者生活再建支援法案に対する修正案     〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――
  173. 平賀高成

    平賀委員 私は、日本共産党を代表して、被災者生活再建支援法案に対する修正案の趣旨説明を行います。  我が党は、阪神淡路大震災の直後から、個人補償による被災者生活再建を行うことを強く求めてきました。震災後三年を経た今日、阪神淡路大震災教訓被災者実態を踏まえ、今日までの政府の対策では生活再建が望めないことから、被災者に対する新たな公的支援を求める声がますます強まっております。  この間、我が党は、こうした被災者、国民の声にこたえるための各党との共同を進め、公的支援は、これからの災害被災者のみでなく、阪神淡路大震災被災者にも適用すること、支給対象は低所得者層、要援護世帯だけでなく、中堅層を含めた広範な被災者対象とすること、支給額生活基盤再建に足る額とすることの三つの内容を各党、各議員との共同で実現するために全力を尽くしてきました。  提案されている被災者生活再建支援法案は、被災者の声にこたえるものではありません。阪神淡路大震災被災者には適用されず、支給対象を全壊に限り、支給額も最高百万円、五十万円という低い水準であり、阪神被災者実態からいっても、これではとても生活再建できる内容とは言えないものです。  我が党は、阪神大震災被災者の声にこたえるためには、共同で進めてきた三つの内容を盛り込叫んだ支援法が必要であると考えます。  以下、修正案の内容について御説明いたします。  第一に、阪神淡路大震災以降の災害について遡及適用することといたしております。  第二に、支給対象を半壊世帯まで広げることとしております。  第三に、支給要件、支給額生活再建に足るものにするために、所得の合計を二千万円以下に広げ、支給額は、全壊で最高五百万円、半壊で最高二百五十万円に引き上げることにいたしております。  以上が、修正案の内容であります。  我が党は、被災者の声にこたえるために、修正案の共同提出の申し入れを行ってきました。議員各位の御賛同を心からお願いを申し上げまして、趣旨説明を終わります。
  174. 西村章三

    西村委員長 以上で両修正案の趣旨説明は終わりました。  この際、両修正案について、国会法第五十七条の三の規定により、内閣において御意見があればお述べいただきたいと存じます。亀井国土庁長官
  175. 亀井久興

    亀井国務大臣 赤羽君外二名提出の被災者生活再建支援法案に対する修正案及び平賀君外一名提出の被災者生活再建支援法案に対する修正案につきましては、政府としては、両案について反対でございます。     ―――――――――――――
  176. 西村章三

    西村委員長 これより原案及びこれに対する両修正案を一括して討論に入ります。  討論の申し出がありますので、順次これを許します。赤羽一嘉君。
  177. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 本法案は、未曾有の大災害であります阪神淡路大震災のとうとい犠牲の上に、そして被災市民の皆様の真心からの要請活動の結晶として、今回、日本の災害救助政策の大転換となる公的支援としての現金給付政策がとられますことは評価されるものであります。  しかしながら、法案内容は、財源問題の制約等々により、合理性を欠いていたり、修正を求められる点がありますことは、先ほどの私の質問で指摘したとおりでございます。  今後の自然災害において、住宅を失った被災者だけでなく、経済基盤の店舗に被害を受けた被災者に対しても、公平に、そして速やかに自立再建に資する支援金が一括に支給されるように、ぜひとも私たちの修正を取り入れていただかれることを望みます。  党派を超えて御賛同いただけますことを確信しております。  なお、原案につきましては、史上初の公的支援としての現金給付の制度が創設される点を評価し、その内容については、私たちの指摘した課題が今後検討されることを期待して、賛成といたします。  なお、共産党提案の修正案は、例えば、住宅は一部損壊、店舗は全壊の被災商店主を救済できない点から、反対といたします。  以上でございます。
  178. 西村章三

    西村委員長 次に、藤木洋子君。
  179. 藤木洋子

    藤木委員 日本共産党を代表し、被災者生活再建支援法案に反対の討論を行います。  阪神淡路大震災教訓被災者被災地実態を踏まえ、今日までの政府の対策では生活再建はできない、これが公的支援法をめぐる出発点であり、その実現に向けた運動にかかわったすべての人々の共通の思いです。この思いにこたえることこそが、国会の各党、各議員に課せられた責務であったはずです。  ところが、本案が四月二十四日に参院で可決されて以来、阪神淡路被災地では、怒りと失望の声とともに、衆議院での改善を求める声が日ごとに広がっています。  去る七日には、神戸弁護士会が、阪神淡路大震災への適用と、より実効性あるものに充実させることを求める要望書を採択したほか、兵庫県の自民党県会議員団も、支援措置の拡充を衆参両院議長らに要望しています。なぜでしょうか。  第一は、阪神淡路大震災被災者には適用しないとしているからです。仮設住宅のみならず、恒久住宅である災害復興住宅でも、孤独死、自殺者が相次いでいます。借金の返済期限が迫っているのにそのめどが全く立たない中小商工業者、二重ローンに苦しむ中堅層など、こうした被災地実態と、国は私たちを見捨てるのかとの悲痛な叫びに背を向けるものではないでしょうか。  なお、附帯決議による行政措置も、国と自治体の努力に期待するものであり、その対象もほとんどが従来の事業との差額支給にならざるを得ないものであります。  第二は、将来の災害被災者に対しても、阪神淡路以上の支援は行わないとしているからです。三年四カ月もの間、生活、営業の再建ができず放置され続けてきた苦しみを繰り返すことになりかねません。  阪神淡路大震災被災者に適用すること、生活基盤の回復を支援するに足る支給額とすること、中堅層も含む広範な被災者対象とすること、超党派の議員の会で確認したこの三つの基本点を 踏まえた支援法をつくり上げることが、被災者、国民の思いにこたえるものであり、衆議院では、何よりも十分な審議を行い、よりよいものに仕上げる、そのことに誠実な努力が求められていました。  地方公聴会や、参院でも実施した参考人質疑を行うべきとの私どもの提案に対して、時間がない、間に合わないなどの理由でわずか三時間の質疑で採決するというやり方は、被災者の思いにこたえる態度とは決して言えません。  被災者生活と営業の再建なくして、被災地復興はありません。従来の支援策では生活再建はできない、公的支援法をめぐるこの出発点に照らして、平和・改革が提出をしている修正案は、原案の基本を変えるものとは言えず、賛成できません。  私ども日本共産党は、被災地、国民の思いに誠実にこたえるため、今後とも全力を尽くすことを表明し、反対討論を終わります。
  180. 西村章三

    西村委員長 これにて討論は終局いたしました。     ―――――――――――――
  181. 西村章三

    西村委員長 これより採決に入ります。  参議院提出被災者生活再建支援法案及びこれに対する両修正案について採決いたします。  まず、平賀高成君外一名提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  182. 西村章三

    西村委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。  次に、赤羽一嘉君外二名提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  183. 西村章三

    西村委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。  次に、原案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  184. 西村章三

    西村委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     ―――――――――――――
  185. 西村章三

    西村委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、稲葉大和君外四名から、自由民主党、民主党、平和・改革、自由党及び社会民主党・市民連合の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨説明を求めます。大畠章宏君。
  186. 大畠章宏

    ○大畠委員 提出者を代表いたしまして、本動議につきまして御説明申し上げます。  案文を朗読して、趣旨説明にかえさせていただきます。     被災者生活再建支援法案に対する附帯決議(案)   本法施行に当たり、次の事項について適切な措置を講じ、その運用に遺憾なきを期すべきである。  一 阪神淡路大震災から三年あまりが経過したが、被災者の多くは崩壊した生活基盤が回復できず、生活の自立に苦しんでいる。この阪神淡路大震災被災者の実情に鑑み、一日も早く生活再建ができるよう被災地復興基金事業として実施されている生活再建支援金などを含めて、本法の生活支援金に相当する程度支援措置が講じられるよう国は必要な措置を講ずること。  二 この法律の施行後五年を目途として、この法律の施行状況を勘案し、総合的な検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずること。   右決議する。 以上であります。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
  187. 西村章三

    西村委員長 これにて趣旨説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  188. 西村章三

    西村委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。  この際、委員長として一言申し上げます。  阪神淡路大震災被災者に対しましては、現在、地元県、市の阪神淡路大震災復興基金により、生活再建支援金及び中高年自立支援金が月額方式で支給されているところであります。  本法の制定に当たり、回復興基金により実施されている生活再建支援金等の拡充など、地元の主体性、独自性を生かした適切な措置について、地元県、市において検討されるよう期待するものであります。  この際、ただいまの附帯決議につきまして、国土庁長官から発言を求められておりますので、これを許します。亀井国土庁長官
  189. 亀井久興

    亀井国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても、御趣旨を踏まえまして配慮してまいりたいと存じます。  また、委員長からありました御発言につきましては、地元兵庫県、神戸市にお伝えし、遺漏なきを期する所存でございます。     ―――――――――――――
  190. 西村章三

    西村委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  191. 西村章三

    西村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――〔報告書は附録に掲載〕     ―――――――――――――
  192. 西村章三

    西村委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後八時十三分散会      ――――◇―――――