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1998-05-11 第142回国会 衆議院 行政改革に関する特別委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十年五月十一日(月曜日)     午前十時開議  出席委員   委員長 高鳥  修君    理事 虎島 和夫君 理事 野呂田芳成君    理事 二田 孝治君 理事 山口 俊一君    理事 伊藤 忠治君 理事 北脇 保之君    理事 若松 謙維君 理事 中井  洽君       石崎  岳君    今井  宏君       小野寺五典君    大野 松茂君       岡部 英男君    金田 英行君       熊谷 市雄君    倉成 正和君       実川 幸夫君    砂田 圭佑君       谷  洋一君    戸井田 徹君       西川 公也君    牧野 隆守君       松本 和那君    宮島 大典君       宮本 一三君    池田 元久君       石井 紘基君    岩國 哲人君       上田 清司君    枝野 幸男君       田中 慶秋君    平野 博文君       古川 元久君    大口 善徳君       冨沢 篤紘君    福島  豊君       東  祥三君    石垣 一夫君       佐々木洋平君    佐藤 茂樹君       平賀 高成君    松本 善明君       深田  肇君  出席国務大臣         内閣総理大臣  橋本龍太郎君         法 務 大 臣 下稲葉耕吉君         外 務 大 臣 小渕 恵三君         大 蔵 大 臣 松永  光君         文 部 大 臣 町村 信孝君         厚 生 大 臣 小泉純一郎君         農林水産大臣  島村 宜伸君         通商産業大臣  堀内 光雄君         運 輸 大 臣 藤井 孝男君         郵 政 大 臣 自見庄三郎君         労 働 大 臣 伊吹 文明君         建 設 大 臣 瓦   力君         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長     上杉 光弘君         国 務 大 臣        (内閣官房長官) 村岡 兼造君         国 務 大 臣 小里 貞利君         (総務庁長官)         国 務 大 臣         (北海道開発庁         長官)         (沖縄開発庁長         官)      鈴木 宗男君         国 務 大 臣 久間 章生君         (防衛庁長官)         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      尾身 幸次君         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      谷垣 禎一君         国 務 大 臣         (環境庁長官) 大木  浩君         国 務 大 臣         (国土庁長官) 亀井 久興君  出席政府委員         首席内閣参事官         兼内閣総理大臣         官房総務課長  江利川 毅君         内閣官房内閣内         政審議室長         兼内閣総理大臣         官房内政審議室         長       竹島 一彦君         内閣審議官   畠中誠二郎君         内閣審議官   坂野 泰治君         内閣官房内閣安         全保障危機管         理室長         兼内閣総理大臣         官房安全保障・         危機管理室長  江間 清二君         内閣法制局長官 大森 政輔君         内閣法制局第二          部長      宮崎 礼壹君         地方分権推進委         員会事務局長  東田 親司君         総務庁官官房  菊池 光興君         長         総務庁長官官房 西村 正紀君         審議官         総務庁人事局長 中川 良一君         総務庁行政管理         局長      河野  昭君         防衛庁防衛局長 佐藤  謙君         科学技術庁長官         官房長     沖村 憲樹君         外務省アジア局         長       阿南 惟茂君         外務省条約局長 竹内 行夫君         大蔵大臣官房総         務審議官    溝口善兵衛君         大蔵省銀行局長 山口 公生君         文部大臣官房長 小野 元之君         厚生省生活衛生         局長      小野 昭雄君         社会保険庁運営         部長      真野  章君         農林水産大臣官         房長      堤  英隆君         郵政大臣官房総         務審議官    濱田 弘二君         郵政省貯金局長 安岡 裕幸君         郵政省放送行政         局長      品川 萬里君         労働大臣官房長 渡邊  信君         建設大臣官房長 小野 邦久君         自治大臣官房長 嶋津  昭君         自治大臣官房総         務審議官    香山 充弘君         自治省行政局長 鈴木 正明君 委員外出席者         議     員 伊藤 忠治君         議     員 枝野 幸男君         議     員 北脇 保之君         参  考  人         (日本銀行総裁)速水  優君         衆議院調査局第         三特別調査室長 田中 達郎君     ――――――――――――― 委員の異動 五月十一日  辞任         補欠選任   岩永 峯一君     西川 公也君   池田 元久君     枝野 幸男君   田中 慶秋君     石井 紘基君   佐々木洋平君     佐藤 茂樹君 同日  辞任         補欠選任   西川 公也君     岡部 英男君   石井 紘基君     田中 慶秋君   枝野 幸男君     池田 元久君   佐藤 茂樹君     佐々木洋平君 同日  辞任         補欠選任   岡部 英男君     岩永 峯一君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  行政改革基本法案伊藤英成君外三名提出、衆  法第一六号)  中央省庁等改革基本法案内閣提出第四一号)      ――――◇―――――
  2. 高鳥修

    高鳥委員長 これより会議を開きます。  内閣提出中央省庁等改革基本法案及び伊藤英成君外三名提出行政改革基本法案の両案を一括して議題といたします。  この際、伊藤英成君外三名提出行政改革基本法案について質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山口俊一君。
  3. 山口俊一

    山口(俊)委員 おはようございます。  このたび、民主党さんの方から行政改革基本法案対案ということで御提案をいただきました。せっかくの御提案でありますので、自民党を代表して、それでは若干の質疑を行わせていただきたいと思います。  御承知のとおり、去る七日に御提案をいただいたわけでありますが、早速読ませていただきました。私も委員会中にいろいろと質問まとめをさせていただいたわけでありますが、正直申し上げて、これまで随分の時間をかけてこの委員会行政改革、なかんずく政府案について質疑が行われてきたわけであります。特に民主党さんのそれぞれの質問者皆さん方、それこそなかなか充実をした質問を、質疑をなさりておられたわけでありますが、そうした議論のこれまでの経過中身を振り返ったときに、いかにもこの基本法案というものが空虚なんじゃないかと実は若干驚かされたわけであります。これまでの議論は非常に中身充実をしておってよかったと思うわけでありますが、どうも、何とも寂しい限りというふうな思いがいたすわけでありまして、抽象論というか建前論、これに終始をしておるのではないか。  提案理由の説明で、政府案に関して、伊藤先生の方からは、「必要な改革への道筋が全く見えません。」というふうなお話をなさっておられましたけれども、これは、そのまま今回の基本法案民主党案にお返しをした方がいいのではないかな、それほと思うわけでありまして、いわゆる具体的な痛みを伴うものが欠落をしておるのではないか。要するに、総論は賛成だ、しかし各論はどうもというふうなのがほの見えてくるわけでありますが、やる気があるとはなかなか思えない。  そうしたことに対して、提案者の御見解をお伺いいたしたいと思います。
  4. 伊藤忠治

    伊藤(忠)議員 おはようございます。  お答えをさせていただきます。  山口先生におかれましては、日ごろ御高説を賜っておりまして、感謝をいたしておるわけでございます。  御指摘の点について、私ども考えでおりますことを述べさせていただきますが、今の御質問がございましたけれども、つまり全体像をどう描くかということなんでございますが、政府案そのものプログラム法でございますから、どうしても、それの対案ということになれば、国の仕組みを、国家像をどう描くかという基本的なフレームワークの問題に中心を置いて私ども対案提起させていただいておるというのが真意でございます。  何としても改革を行う場合に避けて通れない基本的な問題は、御案内のとおり、国の権限地方に移す、あるいは市場に移していく、市民の活動分野にもこれを振り分けていくということが基本だと考えているわけでございまして、そのように肥大化した今日の行政権限を、国民が主役の、あるいは国民行政最大限参画をしていけるという形に改革をすることが必要だ、このように私ども考えておるわけでございます。  そういう意味では、今日の行政の実態が、先生も恐らく御同意いただけると思いますが、事実上官僚支配行政であることは間違いございませんから、それを文字どおり国民主権行政へと転換を図っていくという、一番基本的な考え方に立っているわけでございます。  そのために民主党案は、まず、中央政府役割限定することが大切でございますし、国民代表者である政治家が実質的に官僚をコントロールできるように、副大臣制度の導入についても我が党としては積極的に提起をしているわけでございまして、御党のサイドでも、副大臣制度の新設については、これはやはり検討が必要なのではないか、昨今そういう議論があることも耳にしているような次第でございます。  さらに、行政改革官僚にゆだねるということであってはいけないのでございまして、立法府が責任を持って行うということでございますから、先生もおっしゃいましたように、道筋が見えない、あるいは腰を引いているのではないのかという御懸念でございますが、例えば行革に積極的に取り組むというのは国会基本的な役割でございますし、私ども国会議員としては、それに対する重大な使命を負っているのではないか、このように考えているわけでございます、したがいまして、むしろ国会責任を持って、あるいは国会がむしろ痛み感じるようなそういう努力というものをやっていく必要があるのではないか。こんな立場で対案提起をさせていただいておりますので、その点についてもぜひとも御理解を賜りたい、こう思っております。  以上でございます。
  5. 山口俊一

    山口(俊)委員 お話のとおりであろうかと思いますが、政府案につきましても、確かにプログラム法案というふうなことでありますが、いわゆる基本的な考え方も実は昨年私ども非常にいろいろ議論をさせていただいて、さらに踏み込んだのが今回の政府案というふうなことであろうと私は理解をいたしておるわけであります。  逐条的に若干質問を続けさせていただきたいと思います。  第一条、第二条、第三条、これはもう基本的な考え方であります。特に第二条の、行政の公正の確保、透明性簡素化効率化、これは政府案とほとんど同じような中身になりておるわけであります。  第四条についてであります。これは今伊藤先生の御答弁の中にも若干ありましたが、民主党案では、中央政府役割をこの四条に書いておりますように、「国際社会における国家としての存立にかかわる事務」、二に「全国的に統一して定めることが望ましい国民の諸活動又は地方自治に関する基本的な準則に関する事務」、三として「全国的な規模で又は全国的な視点に立って行わなければならない施策及び事業の実施に関する事務」というふうなことになっておるわけでありますが、これはまさに総論でしかない。どうもよく中身が見えてこないわけでございます。  実は政府案に関しては、若干これ、具体的に踏み込んでおるわけでありますが、結局何が含まれて何が含まれておらないのかというふうなことで政府案との差異を明らかにしていただきたいと思うわけであります。  質問抽象論ではいけませんので具体的に申し上げますが、例えば教育、青少年問題あるいは科学技術、学術、文化振興について、あるいは雇用の安定、健全な社会福祉制度運営、あるいは食糧 エネルギー、または健全な財政運営と安定的な経済運営、さらには環境保全に関する基準の設定以外の諸施策、こういったものがあるわけでありますが、これらは先生方の案の中にどこに含まれるわけでありますか。
  6. 枝野幸男

    枝野議員 お答えをさせていただきます。  今のような御指摘の出るところが若干私どもの案の御理解をいただいていない部分かなと思いながら質問を聞かせていただいておりますが、私どもは、第四条に掲げました三つの項目、これはかなり具体的な基準を、しかも明確に、この手の法律ができますときには必ず、原則としてとか、努めるものとするとかというふうな書き方をしてあるわけでありますが、私どもは明確にこの三つ限定をするという書き方をさせていただいております。  そして、具体的に御質問がありました、例えば教育、青少年問題ということを取り上げましたときに、これが国の事務なのか地方自治体事務なのかというような分け方自体が私ども発想として基本的にはございません。教育関連の問題のうち、これは特に第二号にかかわると思いますが、全国的に統一して定めることが望ましい準則に関する部分については国の事務だと思っておりますし、それ以外の部分はすべて地方自治体に任せるべきである。  つまり、例えば今六・三・三制がしかれています。これがいいかどうかという議論は別といたしまして、この六・三・三制が、地域に任せて、あるところでは五・四・四とかというようなことになれば、日本全国で、人口の移動も激しいものでありますから、これは混乱等が生じます。あるいは、例えば義務教育修了時点でどの程度の学力が必要なのかというような最低基準、これは国の方で定めておくというようなことが必要になるでありましょう。しかし、教育といっても、それ以外の部分は、例えば、具体的に学校の建物のつくり方はどうするのか、一クラスの人数をどうするのか、そういったことなどについては地域の特性に応じてお任せをしていいのではないか。  同じようなことは、例えば科学技術等の御質問もありました。科学技術について、これは全国的な規模で行わなければならないような、例えば宇宙開発のような話は、これは市町村に宇宙開発についての仕事をしろということ自体が無理でございます。こういった、全国規模でないと不可能な仕事は国でやる、しかしそれ以外の、科学技術といっても具体的な産業振興にかかわっていくような、具体策のようなところについては地域にお任せをしていく。  雇用の安定や社会保障についても、全国統一基準をつくらなければならない、それに基づいて動かさなければならない部分がございます。年金を幾らぐらい掛けて幾らぐらい受け取れるのかという、ミニマムスタンダードというような部分については国が決めるべきでありましょうが、例えば介護のサービス、どんなものを提供するのか、老人ホーム基準はどんな基準なのか、こんなことは国がかかわることなく全部自治体に任せていく。  こういったことで、それぞれ御指摘をいただきました具体的な例示の中身の、その仕事内容ごとにこの第四条の三つ事務に当てはまるか当てはまらないかで分けていく、その上で中央省庁などについて見ていく、こういう段取りでなければ中央省庁仕事を減らしていくことはできないというふうな考え方から、私どもはこういった提案をさせていただいております。
  7. 山口俊一

    山口(俊)委員 お話はわかるわけでありますが、結局当たり前のことをおっしゃっておるのではないかとしか思えません。実は、その次の段階、今御答弁がありましたように、じゃこれはこうでこれは地方なんだというふうな、いわゆる線引きというか、より具体的なところへ踏み込むことが一番大変なわけでありまして、そこら辺を若干お逃げになっておられるのかなというふうな感じが否めないわけでありますが、次に進ませていただきます。  最初に通告させていただいておった順番を若干変えさせていただきまして、逐条的にちょっと申し上げた方がいいかなというふうなことで申し上げたいと思います。  通告では九番目に予定をしておりましたけれども、実は第六条であります。この第六条は、「国と民間とが分担すべき役割の見直し」というふうなことになっておりますが、「民間事業への転換民間への事務の移譲」というふうなことをお書きになっておられるわけでありますが、これは、じゃ具体的に何を想定なさっておられるのか。  これは中身が見えてきませんと論評の仕方もないわけでありまして、そこで、具体的にお伺いをするわけでありますが、先般、御党の某議員さんの御質疑の中で、堂々と郵政事業民営化をおっしゃっておられた方がおいでになるわけでありまして、相当厳しく主張しておられたわけでありますが、例えばこの件に関して、これはもう、いわゆる民営化どうだということで昨年大変な議論を呼んだわけでありますので、当然民主党さんとしてもそこら辺は頭の中に置かれてのお話であろうと思うわけであります。そこで、果たして郵政事業あるいは林野の事業、造幣とか印刷の事業改革についてどういうふうにお考えになっておられるのか、お伺いをいたします。
  8. 枝野幸男

    枝野議員 この仕分けについても、基本的には、先ほど御質問をいただき、御答弁させていただいた第四条の基準で、国が関与すべきかどうかというところで決めていく必要があるだろうと思っております。  なお、先ほど、私の答弁に対しまして、それに対するさらに踏み込みがということを御指摘いただきましたが、御承知のとおり、政府案におきましても、各省庁が持つ具体的な仕事事務あるいはその権限については、これから省庁設置法を改正をしていくという作業の中で具体化をしていく。この省庁設置法そのものを私どもも可能であるならばさわっていきたいというふうに考えておりましたが、御承知のとおり、膨大な量の仕事を一個一個検証していかなければなりません。具体的に国会審議が進行している中で、私どもは選択肢として政府案に対する対案をきちんと示さなければならないという中で、現段階で明確な基準を示させていただいて、これに基づいて私ども省庁設置法などの所掌事務権限について大幅に削っていくというような考え方をしているということで御理解をいただきたいと思っております。  そして、御指摘をいただきました第六条でございますが、今具体的にお示しになられました幾つかの現在国が行っております事業、これらについても今の基準仕分けをしていくということになるというふうに考えております。  例えば今郵政事業ということで御指摘をいただきましたが、これらについても、基本的には、郵政事業という大くくりのくくり方を現段階で一気にしてしまっていいのかどうかというところがまず一つはございます。郵政も、三事業貯金保険それから郵便事業、この三つを同じ次元で考えていいのかどうか。そして、例えば郵便貯金あるいは簡保事業について、これを民間転換をしていく、民間に移譲していくというようなことを仮に考えた場合でありましても、まずはやらなければならないのは、その貯金を集めていく、保険を集めていくという事業と、それを運用していくという事業、機能というものをしっかりと分けて、あるいは能力考えていかなければ、現実的な対応にはなってまいりません。  これは、私ども、それから政府の方の方向性としても、現段階で、まずは郵便貯金で集めたお金簡保で集めたお金を自主運用していく、つまり政府、公の管理から外した、独立した形で運営をしていく、運営をすることがまず可能であるのかどうか、そしてその能力はしっかりと備えることができるのかどうか。そのことがなければ、その上で、貯金を集めること自体について全体として民営化できるのかどうかということの議論にはなっていかないだろうというふうに思っております。  そうした意味では、まずは、例えば郵便貯金については、この貯金で集めたお金を自主運用していくということについての改革を具体的に、しかも早期にきちんと進めた上で、さらにその状況を見据えながら対応をしていくというような現実的なステップが必要ではないか。そして、最終的には、四条の基準の中で、例えば郵便などの話については、全国的な視点に立って行わなければならない施策事業に当たるのかどうかということで判断をしていくということになろうかと思っています。
  9. 山口俊一

    山口(俊)委員 さきの件に関しては、時間的というか、審議状況に配慮して設置法まで踏み込まずに基本法を出されたというふうなことでございまして、審議経過に御協力をいただいておるやの、配慮をいただいておるやのお話、ありがたくお伺いをしたわけでありますが、ただ、どうしても、今申し上げた郵政事業云々につきましては、やはりどうも民主党さんもお考え方がまとまっておられないのではないかなというような感じがするわけであります。  私どもは、この件に関しては、昨年の九月の行政改革会議中間報告が出て以来、大変な議論を積み重ねてまいりました。それこそ血のにじむような議論をしてまいったわけでありまして、その結果がああいうふうな形でおさまったわけでありまして、これからの課題というのも大変残っておるわけでありますが、やはりそうした御議論というのを、党内の議論というのを十分やっていただいて、お考え方をこれまた早急におまとめをいただきたいな、そんなふうにも思うわけであります。  続きまして、第七条にはいわゆる非営利団体のことが書かれておるわけでありますが、これとNPO法との関連はどうなのか。同時に、国として支援をする以上はやはり何らかのチェックというものがなくてはならないであろう、それこそ暴力団まがいのものに対して税制上の優遇措置云々、これはNPO法案のときにも大変な議論になったわけでありますが、そこら辺についてのお考えをお伺いいたしたいと思います。
  10. 枝野幸男

    枝野議員 まず、NPO法案と私どもが七条で示しております非営利法人一般法との関係でございますが、残念ながらへ今回できましたNPO法は、大きな前進ではございますが、法人となる要件について少なくとも形式的には限定列挙となっております。その列挙に当たらなければ法人格を得られないという形になっております。  御承知のとおり、営利法人については、つまり株式会社、有限会社等については、これは政府等認可等なく、単に営利登記所登記をすれば法人格を受けられることになっております。営利でさえそういった形で基本的には何の制限もなく、法務局に届け出れば法人格を得られるのに、非営利法人について、今は役所の関与がなければ法人格が得られない、あるいは列挙事項に該当しなければ法人格を得られないというのはアンバランスであるというふうに考えております。  したがいまして、株式会社、有限会社並みに届け出等によって法人格を非営利法人が得られる、もちろん構成員の数とかあるいは基本財産の額とかというような制限はその場合にもつくかもしれませんが、基本的には、活動の目的その他についてはかかわりなく法人格を得たとしても、営利法人との関係で何ら問題はないというふうに考えております。  さらにその上で、その優遇措置、支援措置等との関係でございますが、これは七条の条文もきちんとお読みをいただけると御理解をいただけると思いますが、法人格を付与するという話と税制上の措置等の話、必ずしも全部合致をしなければならないというふうには考えておりません。法人格は一般的に基本的には営利法人並みに無条件で与えていく。しかし、さらにそれについて支援措置を加えるに当たっては、これについては、もちろん当然のことでございますが、税金を使うあるいは税金を優遇するという形で他と差がつくわけでありますから、ここに一定の行政の関与があり得るということは私ども理解をしております。  ただ、法人格の話と支援の話というのは分けて考えるべきだという考え方から、まずは非営利法人の一般法をつくり、さらにその一般的に与えられた法人格のもとで必要な範囲で税制上の措置を含む諸制度の措置を講じて支援をしていく、こういう二段階考えております。
  11. 山口俊一

    山口(俊)委員 お話をお伺いをいたしましたが、若干危ういものがあるのかなというふうな感じがいたします。同時に、NPO法案のいろいろな審議のときに、ある意味で各党それぞれ納得がいく形に果たしてなったのかどうかというふうな嫌いが実はあの法案はあるわけでありまして、そこら辺の思い入れというのがおありになるのかな、そんな感じがいたしたわけでありますが、これは時間の関係もありますので、次に、第八条と第九条についてまとめてお伺いをいたします。  第八条につきましては、これは公共事業について自治体に大幅ないわゆる自主決定権を与えるというふうなお話でありますが、現時点で考えた場合に、これは下手をしますとますます地方エゴというか、あるいはまた、実は私もかつて県議会議員を四期やっておりましたので大体地方議会の実情というのは知っておるつもりでありますが、いわゆる地方議員の利益誘導というものがさらに激化をしてしまうんではないか、そんな感じがいたすわけであります。やはりここら辺はもう少し慎重に一いわゆる地方分権の議論の中で消化をしていった方がいいんではないかというふうな思いがするわけでありますので、そこら辺に対するお考え。  さらには、第九条のいわゆる副大臣でありますが、これも先ほどの伊藤先生の御答弁の中にありましたけれども、実は確かに私どもも、いわゆる政治が、国会が内閣をコントロールするというか、そこら辺に関してなかなかおもしろい考えかなというふうな感じも持っておるわけでありますが、そうなりますと、現行の政務次官、これはもう廃止をすることになるんじゃないか。結局そうしますと、看板のかけかえだけじゃないか。あるいは、むしろ何人かの方々をそれぞれ各役所に送り込むというふうなお話でありますので、逆に国民サイドから見た場合に、結局は国会議員が役職欲しさあるいはポストをつくっただけじゃないかというふうな御批判もあろうかと思います。そこら辺、二点についてお伺いをします。
  12. 北脇保之

    北脇議員 まず、公共事業の問題についてお答えをいたします。  公共事業の見直しが行政改革の重要なポイントであるということは言うまでもないことだと思います。そして、そのときに地方エゴや地方議員の利益誘導の激化を招いてはならない、これもまた言うまでもないことだと思います。その点について、私どもは三点においてこれを担保していくことができると考えております。  まず第一点は、私ども考えでは、公共事業について、財源まで含めて地方自治体の自己責任を貫くような、そういう仕組みにしていきたいということでございます。今は、ともすると補助金とが地方債の許可とかで国頼りというところがあるものですから、財源は後からついてくるというような形で、いろいろなエゴが出てくる部分がございます。これを改革をして、財源も自分たちの自治体の中で配分をしていくしかないんだということがはっきりすれば、こうしたエゴを抑えていくことができると思います。  また、二番目には、身近な自治体で公共事業をやることによりまして、情報公開等と相まってそこの住民の監視を強めていく、このことによってチェックをしていく必要がある、このことでございます。  そして、三点目は、私ども提案にございますように、公共事業の国全体の計画について、国会の承認を求めるという形でチェックをしていく。この三点によって今先生指摘のような問題を克服していける、このように考えているところでございます。
  13. 枝野幸男

    枝野議員 副大臣の御質問についてお答えをさせていただきます。  まず、御指摘のとおり、この制度によりまして、政務次官の制度は廃止をいたします。問題は、この副大臣や政務補佐官としての立場から、どういった機能を与えていくかということが重要であるというふうに考えております。私どもは、従来の政務次官の役割以上に、副大臣や政務補佐官がきちんと役所の機構の中に入り込んで、大臣をトップにしながら事務方をしっかりとコントロールできている、こういった仕組みをこの制度のもとでつくろうと思っております。  こうしたことによって、その場合も名前は政務次官でも構わないわけでありますが、その機能、役割権限というものが従来と変わるということで名前も同時に変える。当然のことながら、人数も一人では到底足りないあるいは二人では到底足りないということで、合わせて八人ということを考えております。  もちろん、これが単なるポストをふやすだけということでの御批判をいただくことになるかどうかは、まさにこの制度が機能をするかどうか、つまり、この制度をつくった上で、副大臣や政務補佐官として官庁に入った人間がしっかりと国民の代表として行政をコントロールできるかどうかということにかかわっておりまして、これがもちろんできなければ、ポストをふやしただけという御批判は甘んじて受けなければならないと思っておりますが、私どもは当然のことながら、私どもがいずれ政権をとりました暁には、この制度のもとで行政をしっかりコントロールしていきたいというふうに考えております。
  14. 山口俊一

    山口(俊)委員 時間がなくなってまいりました。十二条その他いろいろもっとお伺いをする予定でありましたが、もう最後の質問にさせていただきたいと思います。  十二条の行政改革調査会というのも、果たしてどうなのかな、今のいろいろな国会委員会で十分対応できるのじゃないかなと。先般も、いわゆる決算委員会を改組したところでありますし、そういった思いがあります。これを見てみますと、行政改革調査会はこの法律の施行後二年以内に勧告を行う、余りに悠長じゃないかなというふうな感じもいたすわけでありまして、先般も党首の菅先生がこの委員会において、政府は悠長だというふうなお話がありましたが、むしろ悠長じゃないかなというふうな感じがいたしたわけでございます。  いろいろと、短い時間でありましたけれども、御議論をさせていただきました。総論としてはいいわけでありますが、各論に入りますと、さまざまな問題、悩みがあるわけでありまして、この件に関して、実は私どもも昨年来、もうそれこそ大変な議論をしてまいりました。しかも、族議員というふうな汚名まで着せられまして、大変な苦労をしましたけれども、ただ、やはり十分な議論をする。私ども国民の代表でありますので、そうした立場から十二分な議論をしなければいけないというふうなことでやってまいったわけであります。  御党の案では、抽象的な部分というのは政府案と余り大差ないなというような感じがいたしました。また、省庁の再編とか郵政事業、悩み多い部分はほとんど触れられておらないというふうなことであります。反対のための反対、いわゆる反対のための対案じゃないのかなというような感じが若干するわけでありますが、中には傾聴に値するというふうな部分もあろうかと思いまして、どうかまた、設置法に向けてさまざまな御議論を十二分に賜りますように、心から念ずる次第でございます。  もう時間が参りましたので、感想があればと思いますが、恐らくないと思いますので、以上で質疑を終わらせていただきたいと思います。
  15. 伊藤忠治

    伊藤(忠)議員 感想ではなくて、先生おっしゃいました点について、行政改革調査会というのを私ども対案の中に十二条に据えているわけでございますが、これはつまり、地方制度調査会などがございますが、それはやはり内閣の中の一つの諮問機関なのでありまして、ここで私たちが提起しておりますのは、国会責任でもって行政改革の具体的な立法作業をやっていこうという趣旨でございますから、全然違うと思うのですね。  だから、今回のこの一連の政府提案の法案にしましても、委員会にはかけられます。議論はやります。しかし、最終的には附帯決議ということになるのでしょうか、附帯決議で注文をつけまして、それを受けて、政府がこれから執行いたします。具体的な作業は官僚のお役人の皆さんがやられます。それが限度だと思うのですね。  そうではなくて、これから政治主導というのですか、政治が行政責任を持って具体的に注文をつけていく形をつくっていくという責任がございますから、それをまさに決めるところは行政改革調査会、国会の中に置かれたその機関でもって立法作業を行う。具体的にはもちろんお役人の皆さんに、仕事のやり方ですからやっていただくにしましても、基本部分はやはり国会の場で、法律としてこれをつくっていくという場でございますから、私は全然次元が違うように考えております。  これが我が党の一番基本的な部分でございまして、二年以内にやるということでございますから、でき次第、勧告を議長さんにしまして、それで、具体的な立法として、あとはお役人の皆さんに仕事のやり方を決めていただくというシステムをここできちっと整理をしておるのが私たちの立法の趣旨でございますので、ぜひとも御理解をいただきたいと思います。ありがとうございました。
  16. 山口俊一

    山口(俊)委員 終わります。
  17. 高鳥修

    高鳥委員長 次に、平野博文君の質疑に入ります。
  18. 平野博文

    ○平野委員 民主党の平野博文でございます。  我が党から行政改革基本法案対案として提出いたしました。その件について、数点にわたって御質問をしてまいりたいと思います。  私自身も提案者に対する賛同者でございますから、十分中身承知しておるつもりでございますが、先ほど山口議員の方から、中身政府提案と同じじゃないか、よくわからない、こういうことが御質問の中にあったわけでございます。私はよく理解をしておるつもりでございますが、民主党案についても、抽象的でないか、こういう意見もあるように思いますので、私は、ここで改めて、国民の皆さんの批判に対して、そういう批判があるとするならば御見解を賜りたい、このように思うところであります。
  19. 伊藤忠治

    伊藤(忠)議員 お答えをいたします。  御指摘の点について、私どもは、この法案の中ではっきりさせておりますことは、まず地方分権をきちっと整理しなければいけないでしようと。あるいは規制緩和を、あるいは民間にアウトソーシングすることによって中央政府としてやらなければいけない仕事というのは一体何が残るだろうか。これは、政府としての機能を強化する立場に立って全国的な視野で政府がやらなければいけないという統一的な問題が残るわけでございまして、結果的にそのことが限定的な政府役割として、私は結論として出ると思うのです。そのことが前提になって国家の枠組みをつくっていかないことには、本来の行政改革は進まないというのが私どもの認識でございます。  政府案を見ますと、議員議論の中で御指摘なさっておりましたとおり、結局は今の省庁の統廃合、余り廃止するところはないのですが、組み合わせをやる。そして、それではよくない。なぜかといいますと、肥大化をしておりますから、地方分権も考えようか、あるいは官から民間に移転をしていく事務だって考えようかという発想がもちろんあるわけでございますが、しかし、これは、地方分権にしましても、推進委員会の勧告は四次で終わっておりますし、政府自身がこれじゃいかぬという気持ちを今非常に強めておりまして、今国会中に分権の推進計画を出さなければいけないというところに来ているというのは非常におくれておりますし、何が地方分権としてこれから移譲されていくのかという中身が極めて抽象的であるし、不透明だと私は思っておるのです。  片方、規制緩和については一応きちっとしております。三カ年計画は出されました。しかし、この中身も、本来省庁が、国民からしますと、この部分を一番規制緩和してほしいという肝心なところは果たしてどうなのか。各省庁指摘をされました、提出をされましたリストアップを積み上げたことによって、私は、全体の規制緩和計画が組まれているような気がしてなりません。立場が違えばその見方は変わるかもわかりませんが、少なくとも、私はそのように感じているわけでございます。  これらの問題はむしろ前提条件として先行させなければいけないわけでございまして、そのことが後追いになっておりますから、結局、省庁の再編成という域を出ないのではないか。それで、問題なのは、今政治主導になっていないからというので、内閣機能の強化を目玉に据えておられるというのが政府原案の実態ではなかろうか、このように考えているわけでございます。  その点を対比いたしますとへ私どもの法案で言っておりますことは非常にオーソドックスであるし、国の形をつくっていく具体的な手法を各条文できちっと押さえている、このように考えておりますので、ぜひとも御理解を賜りたいと思います。  以上でございます。
  20. 平野博文

    ○平野委員 今、具体的な、明確なお答えをちょうだいしたわけでありますが、改めまして、それでは、民主党案政府提案との差異というのでしょうか、先ほども質問がありましたがここが違うということを端的に言っていただけましたらよりわかりやすいと思うのでありますが、その点についてはいかがでございましょうか。
  21. 伊藤忠治

    伊藤(忠)議員 お答えをいたします。  先ほども私の方から申し述べさせていただきましたが、いずれにしても、抜本的にメスを入れないと、二十一世紀に対応できる我が国の、文字どおり真の行政改革を達成することは不可能ではないのか、このように考えている。わけでございます。  そして、具体的に申し上げますならば、つまり、中央の権限あるいは財源を地方に、あるいは仕事を市場に、あるいは市民の皆さんに協力いただいて根づいた地域行政サービスとしてやっていけるようにこれから転換を図らなければいけないと思いますし、そのことは、事実上官僚の皆さんが握ってきた現在の行政そのものを、国民が主役になって担えるような国の形に転換を行っていくということを私たちは目標に据えているわけでございまして、そのことができなければ、二十一世紀に向けて対応できる、あるいは社会の仕組みを変えていけるような行政組織は達成できないであろうと考えているわけであります。  この基本的な理念、立場に立ちまして、国対地方の財源割合の逆転や規制のサンセット化などが具体化していくならば、これは今の行政組織、仕組みそのものを大きく変えていくことができると考えているわけでございます。  そういう重要な行政改革の時点に今立りているわけでございますから、私たちは、大いなるプライドと責任感を持ってこの改革に取り組んでまいりたいと思うわけでございますから、少なくとも二年以内にその作業を国会責任においてやっていけるような仕組みを提供いたしておりますので、御理解を賜りたいと思います。
  22. 平野博文

    ○平野委員 今の民主党案の法案の中身にもありますが、やはり地方分権、非常に大事でございます。まず中央の再編ありきということよりも、やはりいかに国民のニーズに合った行政組織をつくっていこうか、このことを考えていきますならば、まず国全体の行政の仕組みというのは一体これからどうあるべきなのか、こういう視点から見た場合に、先ほどのお答えの中にもありましたが、やはり地方分権ということが非常に大事な行政の仕組みだ、このように思っております。  我が民主党も従来から重ねて主張してまいっておるところでございますし、私も分権主義を唱えて国会に参った一人でございます。そこで、改めて地方分権の必要性を国民の皆さんに御説明を賜りたい、特にこの民主党案の中においての地方分権の重要性についての説明をお願いしたいと思います。
  23. 北脇保之

    北脇議員 地方分権が、ただいまの我が国の置かれた状況に照らして、行政改革の重要な柱であるということは委員指摘のとおりでございます。  と申しますのも、戦後、我が国は、経済成長などを目的としたキャッチアップ型の社会を築いてきたわけでございますが、ただいまの段階は、そういうキャッチアップ型の社会から、むしろ、もっと自由で安心できる社会を目指していこう、こういう転換点に来ているということだと思います。  そこで、やはり何といっても、身近なことは身近なところで決める、そして自分たちのことは自分たちで決める、そういう意味の、国民が統治の主体であるという本来の民主主義をもっと発展させていく、こういうことが必要になってきているわけでございまして、その点で、地方分権が非常に重要な意義を持っているというふうに思います。  それに加えて.行政改革の具体的な目標である総合性とか透明性の確保、効率性、こういった点かち見ても、県、自治体はその地域における総合的な行政の主体でございますから、国はどうしても各省縦割りになりがちでございますが、それを自治体において総合化していく。そしてまた、何をやるべきか、何をやるべきでないかという判断も総合的に判断をし、また効率的に進めていく、そういう力を持っているものが自治体である、そのように考えます。そういう意味で、自治体を重視した地方分権推進を進めていきたいということでございます。  そこで、この法案の中では、私どもは、国の役割限定する、そして地方分権については、財源も含めてきちんと分権を進めていくんだということを盛り込んでおりまして、これが私どもの法案の特徴であるというふうに考えております。
  24. 平野博文

    ○平野委員 今お答えをいただいたわけでありますが、私も同感でございます。  ただ、地方自治体、このまま分権をしていっても今の自治体に重なってくるわけでございますし、やはり地方自治体行政改革を進めていく必要があると思うのであります。特に、今全国では三千三百という自治体がある。そのままの状態で分権をしていきますと、基礎自治体としての能力が十分あるところとないところと非常にアンバランスが起こってくるわけでございます。そういう意味で、地方自治体自身の行革が必要である、こういう意見も多いわけでございますが、この点についての御見解はいかがなものでしょうか。
  25. 北脇保之

    北脇議員 地方公務員の数が三百万を超える、そして国家公務員に比べて三倍程度の数を持っているというような点を見ても、地方自治体行政改革、これが重要だということは言うまでもないと思います。また、国民から見ても、身近に行政がどんなものかと実感するのは、市役所の窓口とかそういったところで接したときに感じているということも大変多いと思いますので、その意味からも、地方自治体行政改革は大変重要だと思います。  ただ、その場合、一つ注意しておかなければいけないことは、今の仕組みでは、国の地方自治体に対するいろいろな縛りといいますか、そういうものが非常に大きい。例えば職員の必置規制があるとか、また事務事業についても、地方自治体の裁量ではやるやらないということを決めにくい部分とか、たくさんございます。ですから、地方分権を進めて国の役割地方役割というものをできるだけはっきり区分けしていく、そういうことが地方行革の推進の環境づくり、前提になってくる、そういう意味でも地方分権の推進が重要だと考えております。  そして、具体的な進め方については、私どもは行革調査会を国会に設定するということを提案しておりますので、今までの、まさに戦後のシャウプ勧告や神戸委員会の勧告から始まっているたくさんの議論を、この際、国会という場でもう一気に集大成をして、立法についての勧告をし、それをもう二年以内の間に実行していこうというのが私ども提案でございますので、国会という場で強力に進めていきたい、そういうふうに考えております。
  26. 平野博文

    ○平野委員 それでは、次に参りたいと思いますが、この委員会議論の中にも、多くの議員の皆さんの質問にあったわけであります。特に、定数削減という視点では、十年間で一割強云々、こういうことの議論がこの委員会で相当あったように思いますが、今回の民主党の案の中には、具体的に数字は触れておられませんし、そういう意味合いのことも言葉の中に入っておりませんが、この点をどのように考えておられるのかお聞きしたいと思います。
  27. 枝野幸男

    枝野議員 まず、私どもは、政府案にありますような十年間で一割削減などという程度のものは行政改革であるというふうには全く思っておりません。そして、私ども、まず発想として定数を削減するというのがベースではない。そもそも、国の役割限定してしまう、列挙事項三項目に限定をしてしまうわけでありまして、この仕事をするのにどれぐらい必要なのかということで物事を組み立てていくべきだろう。今何人いるから何人減らしますというような発想自体がそもそも違っているのではないかというふうに思っております。  しかも、私どもの四条五項にありますとおり、財源の配分を、今中央が二地方が一、この二対一をひっくり返そうというようなことを言っています。少なくとも、国の予算のうちの半分を地方に分配する機能、これにかかわる人員は大幅に減るということもはっきりしております。  例えば数を、今そういったところから概算をして、当然のことながら三割四割減るでしょうね、という前提ですということを申し上げるのは簡単でございますが、我々はもっと、より大胆なことを考えております。それからある意味では、従来の行政改革議論の中でもごまかしが実はずっと来ておりまして、中央省庁の定員をふやせなくなったら、今度は特殊法人をたくさんつくってそこに人を乗っけていった、特殊法人がつくれなくなったら、今度は公益法人のところに天下りをしていったりして人を出していった、こういった形でごまかしがなされています。今回の政府案の中でも、いろいろな仕組みをつくって、それは総定員法の枠外にするような話でごまかしをしようとしています。  こうしたごまかしの、そして目標数値を出すよりは、私ども中身を見ていただければ、大胆に三割四割は当然の前提ということは御理解いただけると思います。
  28. 平野博文

    ○平野委員 今枝野議員お話は、非常に大胆にやっていこう、まず削減数字ありきではない、結果としてそういうことになっていくんだ、こういうことでございますから、プロセスとしては本来はそのとおりでなければならない、このように思っております。そういう意味では、非常に大胆に切り込んでいく、こういうことだろうと思いますし、結果的にはそうなっていくんだ、こういうことだと私、理解をいたします。  さて、先ほどもお話ございましたが、この法案の中にもありますが、民主党案では二年以内に行政改革を実行する、こういうふうにしておるわけでございます。政府提案から見ますと、二年という非常に短い期間にやり遂げようということでございますが、これは、対案を出すがゆえに二年ということで余りにも短く限定したのではないのか、こういうふうな声もあります。この点については、どんな意気込みで二年というふうに提案されたのか、お答えいただきたいと思います。
  29. 枝野幸男

    枝野議員 御承知のとおり、現在の社会の変化のスピードというものを考えれば一いろいろなことの改革をちゅうちょして進めることはできません。そして、特に大きな改革ほど実は一気に物事を進めないと進んでいかないというのは、歴史がさまざま物語っていることだというふうに思っております。  そうした意味で、私どもは、政府案の五年後に移行を開始するというようなやり方では十分ではない、できるところから始めていって、遅くとも二年後には最終的なでき上がりの絵というものが国民の前にすべて明らかになっているというスパンというのは決して早過ぎるものではない、むしろ、これでももっと早くできないだろうかというぐらいに考えております。  しかも一私どもの案では、行革調査会を立法府に置いて、ここでさまざまな法案づくりというもの自体を進めてまいります。これによりまして、従来の、政府が法律を提出していくという過程の中で要していた時間とエネルギー、つまり省庁間の利害の対立、これを下の方から積み重ねていって、積み上げていって物を決めていくというやり方では大変時間がかかってしまいますが、政治が大胆な決断をしながら法案づくりを進めていくというやり方であれば、二年という時間は十分に可能であるというふうに思っております。  さらに言えば、この法案の中にあります、例えば公共事業に対する国会の関与、あるいは副大臣制度の導入というようなものについては一御承知のとおり、既に法案が国会議論をされている、中身、具体的なものを持っておりますので、これは国会で採決をしていただければすぐにでも着手ができるというような中身も幾つも含まれておりますので、二年間というのは決して短過ぎる期間ではないというふうに考えております。
  30. 平野博文

    ○平野委員 では、その行政改革調査会、これは法案の中にありますが、いま一つこの調査会の中身についてお聞きしたいと思うのです。  どのような構成で、どのように運営をして、どのように立法化をしていくのか、この辺が、調査会というものを国会の中につくっていくんだという、このことについて記載はされておりますが、具体的中身について、ここが一番大事なところでございますから、もう少し詳しく御説明を賜りたいと思います。
  31. 枝野幸男

    枝野議員 お答えをさせていただきます。  まず、行政改革調査会本体そのものは、衆参両院の議員の中から一定数の議員を互選していただきまして、この皆さんを委員として構成をしたいというふうに考えております。  そして、この調査会では、私どもの法律案に示された方針、これは先ほど来御答弁申し上げておりますとおり、原則としてとかできる限りとかというような言葉を徹底的に排除しておりますので、明確な方針でございますので、この方針に基づいて、順次具体的な法律案、特に具体的に一番多くなるのは省庁設置法や内閣法、国家行政組織法などの改正案ということになろうかと思いますが、こうしたものを、これも二年間待って答申を出すのではなくて、まとまったものから両院の議長にその案を勧告して、そして国会での審議を経てすぐに法律にしていくというプロセスをとっていくことになります。  基本的には、勧告を受けた議長が関連する委員会等に付託をして、審議をしていただくということになりますが、調査会の中で、各党からの選ばれた人間が一致をする案件、一致をしない案件あろうかと思います。それぞれによって、そこから先の審議の仕方は若干違うかと思いますが、それぞれの争点が明確になった上で国会での審議が行われるということには最低限なりますので、具体的かつスピードを持った審議が可能であるというふうに思っております。  その上でさらに重要なのは、この調査会のもとに置かれるスタッフ機能が私ども重要であると思っております。現実的に法律案をつくっていくという場合には、現在の議員立法もそうでございますが、衆議院の法制局など議会の事務方、スタッフの皆さんの協力、力をいただきながら進めております。こうした機能を持ったスタッフを行革調査会のもとに置かなければならない。そして、ここで、現在の国会事務局、法制局あるいは調査室などのスタッフの皆さん等、それから民間からここに事務方としてお加わりいただくということが重要であると思っております。  そして、いわゆる霞が関からは人を入れない。まないたの上のコイそのものには入っていただかないということで、法律の条文を書いていくというようなテクニカルな部分については国会のスタッフの皆さんに御協力をいただき、そして民間から事務方に入っていただいて、民間の知恵を生かしながら、具体的な省庁設置法やあるいは国家行政組織法などの改正案をつくっていただく。  そしてそれを、国会の調査会での議論あるいはそのスタッフの議論ということでございますので、当然のことながら、その過程そのものを国民の皆さんにオープンに見ていただきながら進めていくということによって、初めて中央省庁権限あるいは事務を制限していくという法律案がつくられていく。  政府が、つまり当事者であるお役人の皆さんが、自分たちの権限事務を縮小していく法律案の原案をつくるという政府のプロセスでは、みずから包丁を持ってみずからの体を切り刻むということでございますので、残念ながら、その中身が大胆なものになるとは期待できない。民間国会事務局の皆さんにお手伝いをいただくというところがある意味ではこの法案のポイントであるというふうに思っております。
  32. 平野博文

    ○平野委員 時間が参っておりますが、今、枝野議員の方から御説明ありましたように、国民の意見をより反映するために民間のスタッフを入れていくのだ、これは非常に大事なところだと思います。官主導の行政改革というよりも国民本位の行政にしていくために、国民のスタッフ、民間のスタッフを入れてそこに反映をしていくということは非常に大事な視点だと思いますので、ぜひこういう考え方でお進めをいただきたいと思うのであります。  何をしても、真に政治がリーダーシップをとって行政改革をなし遂げていく、政治がリーダーシップをとるということはやはりその中に国民の声がより反映される、こういうことになるわけでございまして、私も賛成者の一人として、この対案が成就することを心よりお祈りをし、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  33. 高鳥修

    高鳥委員長 次に、若松謙維君質疑に入ります。
  34. 若松謙維

    ○若松委員 新党平和を代表して質問させていただきます。  今回の中央省庁等改革基本法案審議に際しまして、きょうで四週目になりました。民主党理事両方にはずっと一緒に考えさせていただき、いろいろと議論もいたし、そして、本来ですとこの民主党提案基本法案に対して一緒に議論させていただきたかったわけですけれども、なかなかお互いに時間がとれず、こういう形になってしまいました。しかし、この行政改革基本法案中身は、我が会派としての考え方基本的に大変一致しております。その御努力に対してまず敬意を表する次第でございます。  そして、具体的にこの法案についてですけれども、まずどのくらいの期間、議員先生方議論を重ねてこの法案ができたという、そこら辺の審議過程を、作成過程というのでしょうか、それをちょっと御説明いただければと思います。
  35. 伊藤忠治

    伊藤(忠)議員 お答えいたします。  若松先生には、いろいろな場面で御指導いただいておりまして、心からお礼を申し上げます。  党内で法案を練り上げる、仕上げるまでには相当時間をかけました。まずプロジェクトチームを立ち上げまして、そこでメンバーをお決めいただいて、多くの皆さんの参加をいただきまして、メンバーを中心に十数回、もちろん、学者の皆さんあるいはそのほかの各層を代表なさいます識者の皆さんにも参加をいただきまして、議論を積み上げてまいりました。さらにそれを、私どもの党では部会と言っておりますが、部会の場に持ち込みまして、専門家の皆さんの集まりでございますから、部会の場でもいろいろな角度から議論を深めまして、最終的には、拡大部会も開きまして、そこに全議員の皆さんを対象に参加をいただいて、言いかえれば全党的な議論を積み上げることができたかな、こんな気がしておりまして、かつてない取り組みをいたしましてこの法案をつくり上げてまいった、こういう経過でございます。
  36. 若松謙維

    ○若松委員 大変な御議論、御苦労さまでございました。我が党もやはり中央のいわゆる裁量行政を何とか排除できないかというところを特に中心にやった次第ですけれども、そのお考えは当然この基本法に盛り込まれております。  それでは、この基本法に基づいて、いわゆる今後のあるべき行革の姿ですか、それが具体化するまでに何年ぐらいかかるのか。そして、今回のこの中央省庁再編というのは当然かかわってきますので、今回のこの法案の、特に行政改革調査会ですか、それが中心となってさまざまな行政改革の作業をするわけですけれども、どのくらいのスパンを考えてあるべき行革が達成されるのか。かつ、その中で中央省庁再編はどういう位置づけになっているのか。それについてお答えいただきたいと思います。
  37. 枝野幸男

    枝野議員 お答えをさせていただきます。  時間的な問題というのは、どういった見方をしていくかによって切り口が変わってくるかと思っておりますが、私どもは、例えば副大臣の設置でありますとか、それから国会の公共事業に対するコントロール、とうしたものについては、今すぐにでも国会で御可決をいただける状況になれば、法案成立から半年もあれば施行できるというふうに考えております。  さらに、今特に御指摘がございました中央省庁の再編のような議論につきましては、私ども基本原則に基づいて、中央省庁役割仕事限定した上で中央省庁設置法を書きかえていく。この作業は調査会において二年以内に行っていくということでございますので、結論として、その遅くとも二年後までに中央省庁設置法ができ上がり、そしてそれから施行までに、これは事務の移管等の時間は一カ月や二カ月というわけにはいかないでしょうが、目標としては、法律を二年前後でつくって、そしてその次ぐらいには実行していくということになろうと思います。  ただ、さらに言えば、全体としての行政改革の構造ができ上がっていくためには、地方分権が必ずセットになっております。地方分権における具体的な、最終的な行き着く局面、場面というのは、例えば今三千三百ある地方自治体の数をどうしていくのかということを、上から勝手にくっつけとか離れろとかいう形で集約していくというわけにいく仕事ではないと思いますし、また、そうすべきでもないと思っておりますので、我々が目指す絵柄というものは、二年以内に最終ゴールを具体的に示した上で、実際に地方の現場の、例えば町村合併等ができ上がっていくのにはもうちょっとスパンが要るということは正直に申し上げた方がいいというふうに思っています。
  38. 若松謙維

    ○若松委員 今枝野先生から二年間ということで、その間に設置法等もつくられると。そうすると、与党案と同じかそれ以上早くなる、そんなふうに私は理解いたしました。  そうしますと、この行政改革調査会ですけれども、これも何人かの先生がもう既に触れられました。現在は、このまさに行政改革特別委員会、これがありまして、かつその委員会にも調査室がございます。  ちょっと今回、調査室に対して一言言いたいんですけれども、調査室はいろいろと大変すばらしい資料をつくりました。しかし、今回の審議の中で、調査室からのリアクションは何にもなかったですね。こっちから聞いて何か出るぐらいで、サラリーマンじゃないんだと、これははっきり言いたいですね。一緒に議論して、一緒に汗を流して、それで本当に国民のためのりい法案、修正案、附帯決議、そういった審議のために私はしてほしかった。それをちょっとつけ加えさしていただきます。  そういう中で、じゃ、民主党さんの志向される行政改革調査会、先ほど、いわゆる互選、スタッフの機能とか言われましたけれども、じゃ、この既存の行政改革委員会と比べましてどの程度違うのか。規模として、例えば百人とか二百人とか、どういう人材をそろえていくのか。例えば五百人委員会みたいなああいった人をどんどん採用していくのか。そこら辺、ちょっとこの言葉だけじゃ見えませんので、何かわかるような形でお答えいただければと思います。
  39. 北脇保之

    北脇議員 行政改革調査会の概要につきましては先ほど枝野議員の方から御説明したところでございますが、それにつけ加えて申し上げさせていただきますと、実は、国会に対するこういう立法の勧告機関としては、昭和二十二年に両院法規委員会というものが設けられた経緯がございます。今回の私どもの法案は、この両院法規委員会というものを一つの参考にしております。  ちなみに申し上げますと、この法規委員会の場合は、衆議院十名、参議院八名の計十八名、これが委員となっております。しかし今回の場合は、いわゆる「この国のかたち」をつくりかえるという大きな目標でございますので、具体化しているということで、この人数よりはもっと大きな規模委員構成になるというふうに考えております。  そして、スタッフのことについては、政府の方も推進本部百名以上というような規模を言っていらっしゃいますが、私どもの方のスタッフもそれに劣らない規模のものが必要になってくるだろう、そんなふうに考えております。
  40. 若松謙維

    ○若松委員 そうすると、今の行革特別委員会ですけれども、これは、いわゆる法案審査ということでこれは存続する、かつ、この調査会はまた別個恒常的な会として設置する、そういう理解でよろしいわけですか。
  41. 北脇保之

    北脇議員 今の行革特別委員会がどういうような位置づけになるかということについては、院で決めることでございますのでちょっとお答えしにくいとは思うんですが、私ども提案している行政改革調査会というのは、ただいま申し上げたように、行政改革に必要な立法に関する勧告を両院に対して行うという、特定された具体的な目標を持った委員会でございますので、この役割を果たしていくということで、勧告を受けた院としての扱い、これについては、院の方の検討に基づいて行われていく、そういうような考え方をとっております。
  42. 若松謙維

    ○若松委員 それで、内閣機能の強化について民主党案では第九条等に述べられておりますけれども、この点について触れさせていただきます。  先ほど山口委員の方から、政務次官から副大臣、名前の、単なる看板のかけかえじゃないか、そういう御指摘がされました。私もそうかなと思ったんですけれども、ただ、たしか菅代表もここでおっしゃいましたいわゆるイギリスの議院内閣制、そういった形で、実際あそこは、六百数十名の議員に対して百二、三十名内閣に入って、いわゆる閣外大臣という制度も設けて、政治主導の行政運営されております。ところが、私もイギリスに行ってわかったんですけれども、結局、議院内閣制というのは、別の面、議員官僚行政の癒着という面もあるわけなんですね。では、それをいかにイギリスのあの議会制民主主義の長い国として努力されたかというと、いわゆる政治家行政にいろいろ働きかけることができない、まさにあっせん利得罪、収賄罪というのですか、そういったことを廃止する、それを法律をつくっている。これはアメリカもつくっていると思います。さらに、それだけではなくて、行政側から国会に、議会に人を送らない、これもあそこの長年の経緯として実現した話だと思います。  我が党にも当然、官僚出身の議員もおります。それはどこもそうです。北脇委員質疑はもう非常にクリアで、私も非常に敬服しているのですけれども、これは一度本当に、政官財癒着のやはり根っこのところ、この議論をしっかり国会でしないと、私は、行革行革と言いながら結果的に大きなところで崩されてしまう、そういった危惧をしている一人です。それについては民主党さんとしてどんなお考えなのか、ちょっとこれについてお答えいただければと思います。
  43. 枝野幸男

    枝野議員 お答えをさせていただきます。  大変重要な御指摘だというふうに思っております。まさに、そこがある意味では行政改革のポイントであって、そうした視点から、私どもはあっせん利得にかかわります法律案を既につくっておりまして、平和・改革の皆さんを初めとして、皆さんに、一緒に提案をいたしませんかということでお呼びかけをさせていただいております。当然のことながら、政治資金規正法にのっとっていればいいなどというような抜け道をつくらない、徹底した形で行政と政治との癒着関係を断ち切っていくというようなことを考えております。  さらに言えば、やはり議会と行政行政から議会への働きかけという部分については、これは、あの段階では民主、新進、太陽の三党提案をさせていただいたと思いますが、既に一度国会に出しております副大臣等の設置法案の中には、副大臣を設置するだけではなくて、その結果として、副大臣や補佐官等が答弁をするということで、国会におけるいわゆる政治以外の、行政の皆さんの国会答弁、いわゆる政府委員を廃止するというような中身も同時に加えております。  こうした形で、議院内閣制でございますので、私は、議会の多数党が行政をしっかりコントロールするという意味では、政治と行政がある意味で結びつかなければならないと思っておりますが、行政のそういった意味でのゆがみというものが生じないような策というものは同時に提案をさせていただいているというふうなつもりでおりますし、さらに必要な方策等がございましたら、ぜひお知恵を拝借できればというふうに思っております。
  44. 若松謙維

    ○若松委員 今の、特に国会行政のいわゆる独立性というか、それぞれの立場のしっかりとした確保というのでしょうか、それぞれの役割の認識、その点について伊藤議員から、名指しで恐縮ですけれども、ちょっと議員のお考えも一度聞きたいと思っております。
  45. 伊藤忠治

    伊藤(忠)議員 お答えをいたします。  私は、一連の今回の行政改革議論に参加をさせていただいて痛感をしております一つは、やはり二十一世紀に向けて我が国の、国の形をどうつくるか、このことをきちっと目標に据えて全体の行政改革をどう進めるかということだと思うのですが、同時にそれは、行政組織を抜本的に改革をするということは、とりもなおさず我々自身の意識を変えていかなければいけない、こういうことがやはり同時に必要なんだろうと思うのです。私自身の頭の中にもやはり古いものがまだ残っておりまして、そういうものを今回の行政改革と一体になってこれを自己改革をしていきませんと、なかなか、入れ物だけつくったって、ちょんまげを結って背広を着ているような状態では、やはりだめだと思うんですね。だから、そういうことを私自身も痛感をいたしておりますので、国会議員全体に、あるいは政治の場にある皆さん全体が、やはり歴史的にもそのことを、自己変革が問われているのではなかろうか、このように厳しく受けとめさせていただきまして、頑張りたいな、こう思っております。
  46. 若松謙維

    ○若松委員 せっかくですから、残された時間、北脇議員にも同じ観点から質問させていただきたいと思っております。  特に、北脇議員につきましては、政策不況の脱出、共著ですが、いろいろと大変すばらしいお知恵もお持ちで、かつ非常に責任感を持って国会で作業をされております。ひとつよろしくお願いします。
  47. 北脇保之

    北脇議員 国会行政との関係ということでございますが、私は、やはり政治と行政というのをはっきり分けていく、このことが大事だというふうに思っております。そのときの政治というものの構成要素からいえば、国民がいて、そこから選ばれた議員がいて、それが国会を構成している。その国会から議院内閣制で内閣がつくられているわけでございますから、ここまでが政治の領域であって、これがしつかりとした役割を果たしていかなければいけない。  我が国の今までの問題点は、そこに入っていない、いわゆる官僚機構といいますか、それが政治の領域にまで進出してきて、政策の主導権を時には握る場合もあるというような形になってきている部分がある。その辺が非常に大きな問題だと思いますので、むしろ内閣機能の強化という中で、副大臣制度を導入するとか、そういう形で、国民国会、内閣、この結びつき、この連携を強化して、そのことによって行政をコントロールし、活用していく、こういう形に一日も早く持っていくべきだ、そんなふうに考えております。
  48. 若松謙維

    ○若松委員 非常に私もうれしい答えをいただいて、ありがとうございます。  そうしますと、やはりこの行革をやるに当たって、ある意味で行革をむしばむやからがいるわけです。その一つに国会がある。  そうすると、今の議論を通じて、私は非常に感じたのですけれども、今民主党さんがやっていらっしゃるあっせん収賄罪の防止の法案、そして我が党も、公共事業政治家関与に対して罰則を設ける、これは非常に大事で、かつこの成立なしに、幾ら行革と言っても実が上がらない。残念ながら与党三党さんは、社民、さきがけさんはしっかりこれをやってほしいということですけれども、自民党は全く乗らない、そんなのは自分で自分の牢屋を確保するようなものだ、そんなことじゃないかと思うのです。これについて、ひとついかがですか、御意見は。本当にこれは大事だと思うのです。
  49. 伊藤忠治

    伊藤(忠)議員 お答えいたします。  議員指摘のとおりでございまして、結局そこへ行くと思うのですね。自己改革ということを私は今申し上げたのですが、結局そこへ行ってしまうと思うのです。やはりみずからを厳しくするという、議員に望まれている倫理ですか、このこともきちっと確立をしなければ、一方で行政改革を何ぼ論じても、国民的な行政改革への支持というのは、本当の意味での支持というのは私は生まれないと思うのです。そういう意味から、政治家が襟を正すという意味からいくと、今そのことで、あっせん収賄罪が、抜け道がどうだというような議論でもめなほればいけないという体質が問われているのじゃなかろうか、こう思っております。
  50. 若松謙維

    ○若松委員 時間が来ましたので、これで終わりますけれども、いずれにしても、非常に貴重な御提言です。きょうの採択の結果に関係なく、今後とも引き続き、平和・改革としては、ともに議論をさせていただきたいと思っております。  以上で質問を終わります。ありがとうございました。
  51. 高鳥修

    高鳥委員長 次に、中井洽君の質疑に入ります。
  52. 中井洽

    ○中井委員 御苦労さまです。  御提出をいただきました法案あるいは概要等を、短期間で、熟読まではまいりませんが、部会も自由党は自由党なりに開かせていただきまして議論をさせていただきました。  結論から言いますと、残念ながらおつき合いできないかなというところでございますが、しかし、そこに盛られておる行政改革に対する基本的な理念、そういったものは私どもも大いに共感をするものであります。例えば、法律をつくった場合のサンセット方式あるいは副大臣制の導入等々は、サンセット方式というのは、私がかつて民社党におりましたころに初めて国会で唱えたことがございます。副大臣制の導入につきましては、これはもとより新進党時代に提案をいたしたものでありまして、制度的にも大いに賛成のものがたくさんございます。  そういう両方の意味から、二十分という範囲で幾つかの質問をさせていただきたいと思います。  私どもの党が残念ながらこの法案に賛成できないという一番大きなところは、やはり先ほど民主党の平野議員さんから御質疑ありました、二年間かかる、こういう時間の問題であります。枝野さんが御答弁をなすって、大きな改革というのは早い方がいい、早くやらなければだめだと言われました。私はそのとおりだろうと思います。政府案においても時間がかかる、また皆さんの案においても時間がかかる。今の日本の現状は、そんなに時間をかけて改革をやるほど余裕はないのじゃないか、こういう思いで、今私は、あるいは私の党は、国会の場ですべての面の改革について論議をいたしております。  お互い国会議員でありますし、政党でありますから、どの仕事地方へ回せばいいのか、どの省庁のどの仕事はもう要らないのじゃないか、こういったことはわかっておるわけであります。党としてそういったことを議論されて、その上で国会でやるということは大事なことでありますが、しかし、一定の方向を出されて、国民の皆さんにも、民主党さんは民主党さんなりの中央省庁あるいは中央と地方の関係は具体的にはこういうことだとお示しになる方が現行の政治状況における政党の役割ではないか、こんなふうに私は思いますが、いかがでしょうか。
  53. 枝野幸男

    枝野議員 御指摘いただきました点は私どもも大変考慮させていただいているつもりでおります。  ただ一私どもは一現実的にきちんとした行政改革、つまり、特に中央省庁役割限定ということを進めていきたいというふうに思っております。この場合に、抽象的にこの仕事は中央だ、この仕事地方だ、これはやめるんだということの段階では今はもう既にない、ここは先生指摘のとおりでございます。  具体的にやらなければならないのは、中央省庁のそれぞれの設置法、大蔵省設置法でありますとか通産省設置法でありますとか、その中にそれぞれの省庁仕事の範囲、そしてその書かれている仕事の範囲に基づいて行政指導などの権限行使が行われています。この省庁設置法に書かれております各役所の仕事の内容というのは、一つの役所で少なくとも大体百項目、多ければ二百項目ぐらいの項目が列挙されておりまして、それに基づいて中央省庁仕事がなされております。  何を残す、何をやめるという議論自体は既にかなり煮詰まっていると思いますが、その議論に基づいて具体的にこの省庁設置法を変えていく。この一つの役所ごとに百項目、二百項目ある項目を一個一個、削除してしまうのか、それとも書きかえるのか、それぞれ全部検討していって、法律の条文を書いていって、そして法律を変えなければ、行政は動かない。この法律をつくっていく作業というものの時間がある程度は必要だ。  もちろん、スタンドプレーでえいやあとやってしまうことは、やろうと思えばできないわけではないかもしれませんが、これに基づいて現実に行政を動かしていくという以上は、しかも中央省庁が肥大化しない、膨張しないというためには、その書き方も拡大解釈をされないような書き方をしていかないと、結果的にはまたでき上がった省庁設置法事務の配分規定に基づいて肥大化、拡大解釈をしてしまう、そういうことのないように精査をしながら条文をつくっていくという作業にやはり現実的には半年、一年という時間は必要なのではないかというふうに私ども考えております。
  54. 中井洽

    ○中井委員 中央省庁のことについては、民主党さんとしても、基本的にはどれがどうだということはほぼわかっておるが、理念あるいは基準というものをきちっとして、役人さんが勝手な解釈で設置法等をやらないようにしていく作業というのは時間がかかる、こういうお答えかなと思っております。  それはそれで結構なことでございますが、そうしますと、具体的にお尋ねをいたしますと、例えば国と地方との仕事の配分とか、あるいは国がやる仕事、やらない仕事という見直しをどこでやるのだと見ますと、第四条の基準でおやりになるのだろう。そうしますと、具体的にいきますと、この三つの項目で国がやるものを決めていくのだ。そうなりますと、例えば防衛庁、国防の仕事というのは、この三つの中でどれに当たるのでしょうか。
  55. 枝野幸男

    枝野議員 先ほど山口先生質問お答えしましたときに、抽象的にはなかなかそれが国なのか地方なのかは分け切れないという話を申し上げましたが、国防にかかわる基本的な仕事というのはこの第一号で「国際社会における国家としての存立にかかわる事務」という中に大部分が含まれるであろうというふうに判断しております。
  56. 中井洽

    ○中井委員 私どもは、国防ということと事務という言葉とはちょっと違うのではないかなという感じを持ってこの条文を見させていただいておる、このことだけを申し上げておきたいと思います。  それから、かつてないほどこの特別委員会質疑時間を確保して、各党それぞれ議論を深めてまいりました。民主党皆さん方議論も大変興味深く聞かせていただきました。山口さんのお話ではありませんが、感心することも多かったわけでありますが、幾つかの点でどういうふうに考えればいいのかなというところがございました。  それは、これまたお話の出ました人員の削減あるいは給料。猛烈に、削減あるいは給料が高いと言われる方がおられるかと思えば、労働組合、現状の公務員を守れという議論をなさる方もおられる。両方成立するのだといえばするのでありましょうけれども、なかなか御党としておまとめになっていらっしゃらないのかなという感じを強く感じさせていただきました。御提出の法案にもその点は余り触れられておりません。国民から見れば、行政改革というのは、そういったことが見えてこないと、行政改革の成果を上げた、こういう評価はなかなかいただけないのではないかと私は思っております。  この点につきまして、民主党さんとして、基本的にどういうところで党内が一致をされておられるのか、どこら辺が基準のラインなのか、お示しをいただければありがたいと思います。
  57. 枝野幸男

    枝野議員 公務員の皆さんの処遇ということにつきましては、先ほどもお答えをいたしましたとおり、まず中央政府役割というものを明確に、大幅に限定をする、その上でどれぐらいの数が必要なのかということをまず考えなければならない。  したがいまして、一割とかというベースは全然ないし、二割、三割、四割ぐらいまでは少なくともということは当然言えるというふうに私は思っておりますが、逆に私どもは、そうした初めに数字ありきで数字に合わせていくというやり方がまさに今回の橋本行革の失敗であるということを目の前で見ておりますので、むしろ我々は、我々に政権をゆだねていただければ、結果としてお示しをしたいというふうに思っておりますし、そのための方向性というものは明確にこの中に示されているというふうに思っております。
  58. 中井洽

    ○中井委員 お答えお答えでわからないわけではありませんが、仕事で中央の公務員が減るのだ、仕事を減らすから減るのだ、それでは仕事のふえる地方はふえるという理屈が成り立つわけだろうと私は思っています。そういう意味で、公務員のあり方についてかなり言われておりますし、論議も進めてまいりました。私どもは、行政改革という立場でいけば、もっときちっとした姿勢をやはり政党として持たざるを得ない、このことを申し上げておきたいと思います。  それから同時に、もう一つは、地方自治体の、三千数百ありますこの数の多さ、ここら辺を本当にほっておいていいのかどうかということを真剣に議論して、早期に結論を出していかなければならないと僕は思っています。  実は、本日、私の地元、伊賀の国と昔は言ったところでございますが、二市二郡、ここで、地方議員が二市五カ町村で百十五人ぐらいおりますが、約百人の地方議員に集まっていただいて、町村合併を促進する議員の勉強会をスタートさせます。これでようやく人口十八万ぐらいになるわけでございます。  今の日本の現状を考えたときに、地方自治の理念は理念、あるいは地方自治の守らなければならないことは守らなければならないことですが、三千四、五百の地方自治体というのは、はっきり言って多過ぎる。これを徹底的にやはり合併をしていっていただく、こういう体制をつくらないと、地方分権を幾らやってもなかなか行政改革という名にふさわしいものができ上がらない、私はこういうふうに感じておりますが、この点の御意見はいかがでしょうか。
  59. 北脇保之

    北脇議員 私どもも、市町村合併の促進の必要性については全く同感でございます。  特に今後の高齢社会を見通しますと、目前に迫っている介護保険の仕組みをどうやって担っていくか、これは今既に市町村の間では大変な重要事項になっているところでございますので、そうした一事をとってみても、市町村合併は非常に重要な課題であるというふうに考えております。
  60. 中井洽

    ○中井委員 最後に、もう一つお尋ねをいたします。  四条の五項に中央と地方の財源の配分について書かれております。ここには理念だけでありますが、お配りいただきました概要におきましては、地方と国との財源の配分を現行の一対二から二対一と逆転をさせる、こういうことが出ております。この二対一という発想は、どういう計算に基づいての二対一という発想なのか、今の逆転、こういうことだけで二対一とお書きになったのか、ここら辺をひとつお尋ねしたいということ。  同時に、実は私は、地方自治体が税務課として持っておるのは、要らないのではないか。地方の税務課、県、市町村、そこにおられる方々は、大体九万人ぐらいおられます。国税庁は五万五千。大体国税庁が五千人ふやせば、地方自治体地方税も国税庁で徴収できる。現実に、地方自治体で税の徴収をいたしますと、千円当たりのコストがかなり国税庁の徴収に比べて高いのであります。  地方税をどういう形でどういう率にしていくか、あるいは都市計画税をどうするかということ等は、もちろん地方自治体のお決めになることです。その決定を受けて、国税庁が委託を受けて徴収した方がはるかに効率的で能率的である、こう考えています。  この税の使い方の配分、徴収の仕方、二つの点で民主党さんのお考えをお聞かせいただいて、質問を終わります。
  61. 枝野幸男

    枝野議員 まず、税財源のお話について私の方からお答えをさせていただきます。  御承知のとおり、現在、例えば平成九年度の地方財政計画ですと、地方の支出が八十七兆円に対して、みずからの税収入が三十七兆円という関係になっております。つまり、収入面では国が二対一になっているのに対して、支出面では国が一に対して地方が二。これをひっくり返すというのは、まさに支出に合った収入にする、つまり地方が全体の三分の二を出しているということは、地方がその三分の二の収入をみずからの税財源で上げるべきであるという発想から出てきております。  ただ、これは、当面というか、出発点においてそうなるということだと思っておりまして、さらに地方分権が進んでいけば、さらに地方が自主財源で取っていく部分というのが当然多くなっていかなければならないだろうというふうに思っております。  なお、こうした場合においても、過疎地と過密地域、財政力の違いの部分のところについて、一定部分については調整財源というものは、必要なものは残る。ただ、この場合も、一定の明確なルールに基づかなければならないと思っております。  なお、先ほど、国の公務員の数が減っても、地方仕事がふえれば地方の公務員の数がふえるのではないかという御指摘をいただきましたが、必ずしも私はそうは思いません。  つまり、地方から国に対して、予算の分捕りのためにエネルギーを相当使っております。あるいは、国からいろいろおりてくる指示を受けて、それに対応するのに相当なエネルギーを割いています。地方自治体仕事はふえるかもしれませんが、そうしたむだな仕事は減るという部分もかなりあるので、一概に私は、地方で人をふやさなければならないことになるかどうかということは言えない、むしろそこは、今水準かあるいは減るということもあるのではないかというふうにぐらい思っています。  税の取り方については、北脇議員の方からお答えいたします。
  62. 北脇保之

    北脇議員 税務の執行体制のことについてお答えをいたします。  委員指摘のとおり、例えば個人の所得課税であれば、所得税と住民税が重なっている部分が多い。また、法人の所得課税についても、法人税と法人住民税や法人事業税の関係がある。そこを一本化していけば、効率化にもなるし、国民にとっても非常にある意味では事務のむだが省けて助かる。これはもう御指摘のとおりだと思います。  ただ、委員十分御承知とは思いますが、そこでやはり考えなくちゃいけない問題が二つあると思います。  一つは、地方税の中に、固定資産税であるとか、県税でいえば不動産取得税とか、そういった国税と別個の成り立ちを持った、基礎を持ったそういう税目があるので、それをどうしていくかということが一つと、もう一つは、理論の話になりますが、地方自治地方の財政自主権の観点からどう考えるか、こういう問題があります。  行革会議でもこの辺はちょっと結論が出ていないところですが、むしろこういう問題は、国会の、私ども提案している行革調査会、こういうような場で議論して結論を出すことが最もふさわしいテーマであろうか、そんなふうに考えております。
  63. 中井洽

    ○中井委員 御提案をなさったということについては敬意を表します。  民主党さんには、私どもと一緒に苦労されて、新進党で十一本の法案を具体的につくり、例えば特殊法人等は五年間、現在三年間と申しておりますが、原則すべて廃止だ、こういったことを含めた具体的な行政改革の法案を過去国会提出した仲間がたくさんいらっしゃるわけであります。どうぞ民主党さんも早く党内論議を深められて、具体案をひとつお出しいただいて、ともどもその実現に向かって頑張らせていただきたい、こんなことを申し上げて、質問を終わります。
  64. 高鳥修

    高鳥委員長 次に、平賀高成君の質疑に入ります。
  65. 平賀高成

    ○平賀委員 日本共産党の平賀高成でございます。きょうは、どうも御苦労さまです。  私たち日本共産党も、民主党さんの方から案をいただきまして、いろいろ検討もさせていただきました。その中から何点かについて質問をさせていただきます。  五月七日に、伊藤民主党政調会長が、「「行政改革基本法案提出について」の中で、「「中央省庁等改革基本法案」が単に橋本総理のメンツだけで成立するこの国の不幸を防ぎ、改めて国民各位において、行政改革についての議論が行われることを期待している。」ということを述べられています。この間の審議の中でも、二十一世紀にどういう日本をつくるのか、政府の方からは展望ある回答を聞くことができませんでした。私も、自民党が野党の反対を押し切って法案を通すのではなくて、行政改革について改めて国民的な議論が必要だと思います。  政府提出をしました中央省庁等改革基本法案は、橋本六大改革の一環として行われるものでありますが、橋本六大改革の一つである財政構造改革は、国民の批判が高まり、国会での批判によって、みずから大幅な修正をせざるを得なくなっています。このように、既に橋本内閣の財政構造改革は破綻をしています。その破綻をしている財政構造改革の推進を省庁編成方針に明記をした中央省庁等改革基本法案は成り立たないものであり、自民党は法案を取り下げて、国民が求めている行政改革はどういうものなのか、初めから議論をしっかりとやり直す必要があると思いますが、この点について御意見を伺いたいと思います。
  66. 伊藤忠治

    伊藤(忠)議員 お答えいたします。  私ども基本的な考え方はるる述べさせていただいておるわけでございますが、政府提出基本法案でございますが、このことの評価については、私どもは、これでは真の行政改革はやることはできないな、実現は難しい、こう考えているからこそ、今回、民主党としての対案提出をさせていただいたわけでございますから、私どものこの法案が成立てきますように御協力をお願いを申し上げたいと思います。
  67. 平賀高成

    ○平賀委員 そもそも行政改革がなぜ言われてきたのかといえば、それは、続発する政治家官僚の汚職腐敗事件が私は発端だと思います。最近でも、特に厚生省の特別養護老人ホームの建設をめぐるあのような汚職腐敗事件がありましたし、さらには、今、大蔵省の問題について言いますと、金融機関や証券業界と官僚などが癒着をしてさまざまな腐敗事件を起こしている、こういうふうな問題があると思います。  私も先日、ある雑誌を見ておりましたら、三十兆の税金を金融機関に支援をするというこの問題で、一万人の皆さんにアンケートをとって、七千四百名を超える回答があって、そのうちの八二%が三十兆の税金投入には反対だ、こういうふうな回答が雑誌の中にも出ていました。ですから、多くの皆さんの意思というのは、国民の声というのは、やはりこういう問題にしっかりとメスを入れてもらいたい、こういう声が私は多数を占めると思います。  この点では、私たち日本共産党は、一つは企業・団体献金の問題があると思いますし、さらには天下りの問題があると思います。そして、情報公開の問題もあると思います。こういうものをしっかりさせることが、私は、本来行政改革の一番の土台であるというふうに考えるわけですが、民主党案考え方として、国民行政改革に求めている政官財の癒着をなくすというこの問題については前提になっているのかどうなのか、私は、この点について少し詳しくお話をいただけたらと思います。
  68. 枝野幸男

    枝野議員 御指摘をいただきました行政改革は政官財の癒着構造をなくするということが大きな目的であるということは、私ども全く同意見であります。そうした見地でこの法律案もつくらせていただいているつもりでおります。また、御承知のとおり、情報公開につきましては、政府案の不十分な点を補った対案を既に提出をさせていただいているとおりでございます。私どもの法案が政官業癒着構造をなくするという内容になっているということを具体的に御説明させていただきますと、一つには、地方分権を徹底をするということ自体が、ある意味でこの政官業癒着構造をなくするためのシステムの変換であると思っております。  御承知のとおり、例えば、今御指摘もいただきました特養ホームをめぐる厚生省の汚職事件も、国から補助金が流れ、そして、それを県で動かしていく中での汚職が生まれております。つまり、決定権限と財源とが自分の責任なのか国の責任なのかわかりにくい中で汚職が生まれていく、むだ遣いが行われている。財源も含めて地方責任を持って物を決めていただく、そこでおかしなむだ遣いをしたらその地域が不利益を受けますという姿を明確にしていくということで、国と地方にまたがるような腐敗の構造がなくなっていくのではないかというふうに思っています。  そしてもう一つは、いわゆる規制撤廃、特に経済的規制の撤廃というものが政官業癒着の構造の背景を変えていくことになる。つまり、経済に対して特に裁量的な形で行政が絡んでいく中で、そこで大蔵省の不祥事などという汚職の構造が生まれていく。つまり、経済に対して役所が口を出すことに対し、うまい言い方で口を出してほしい、あるいは口を出さないでほしいというところにお金が流れていく、利権が流れていくという構造があって、そこを私どもは五条で国の規制の撤廃という形で、行政が口を出せなければ、そこに接待をしたりわいろを贈ったりする必要もなくなっていくと。  そして、公共事業の見直しという側面で、八条の二号で公共事業の決定過程の透明化やその事後あるいは事前の評価の適正化。これは、かつて旧民主党時代に公共事業コントロール法や財政透明化法を提出させていただいておりますが、その基本的な姿勢をここで示させていただいて、さらに具体的な法案を追加して提案をする準備も進めておりますが、こうした形で、一番利権腐敗構造の起こりやすい公共事業の過程について透明化というものを進めていくことで、私どもは、行政改革全体の構造で政官業の癒着をなくするということを考えております。  また、その上では、この法案にとどまらず、先ほどもお話ししましたあっせん利得罪にかかわるような法案の強化などもあわせて、全体として癒着構造をなくしていくための施策提案していきたいというふうに思っております。
  69. 平賀高成

    ○平賀委員 いろいろ詳しく述べていただきまして、日本共産党の共通するような部分もあるかもしれないということも思いながら聞いておりました。  さらに続いて伺いたいのは、政府案の国土交通省の問題についてです。  国土交通省については、建設や運輸や国土庁や北海道開発庁の四つが合体をして巨大利権官庁が出現をするという問題であるわけですが、私もこの委員会で橋本首相にもこの問題を伺いました。結局、国土交通省は一体どういう仕事をするのか。これは、破綻をした苫小牧東部開発でありますとか、むつ小川原の開発でありますとか、こういう国家的なプロジェクトを推進する巨大官庁だということも明らかになりました。しかも、阪神・淡路の震災を理由にして、複数の国土軸をつくらなければならないということで、東京湾口道路でありますとか伊勢湾口道路や、さらには関門海峡道路というような六つの大きな橋や道路をつくる、こういうこともこの審議の中で明らかになりました。  特に、この国土交通省の問題にかかわりまして民主党案では、苫小牧の東部開発や、さらにはむつ小川原開発、またさらには諌早干拓など、自民党政府が進めている従来型の公共事業の見直しについてどう考えてみえるのか、先ほどは公共事業のコントロール法案だとかそういうふうなお話もされましたけれども、この公共事業の問題についてどういう見解をお持ちなのか、この点についてお話伺いたいと思います。
  70. 北脇保之

    北脇議員 公共事業の見直しについては、私どもも行革を推進する上で非常に重要な観点であるというふうに考えております。そのためには、やはり公共事業についても、地方分権の推進、財源を含めて、そしてまた事業の実施をするかどうか、そういったことの決定を含めて地方に移譲していく、そういう地方分権が必要だというふうに考えております。  そして、ただいま委員が例に挙げられた、例えば苫東の開発とかこういった従来型の巨大事業、これはある面では財政投融資の焦げつきという、非常に今の日本の行政の仕組みの中の問題点が本当に典型的に出ている事例だというふうに思います。したがいまして、こういう巨大プロジェクトも含めて徹底的な見直しと国会の場での論議が必要である、私どもはそういうふうに考えております。
  71. 平賀高成

    ○平賀委員 民主党さんが提出をされましたこの行政改革基本法案の第一条の「目的」のところで、「国会行政改革調査会を置くものとする」ということになっています。そして、第十二条で、国会に「各議院においてその議員の中からそれぞれ選挙された委員をもって構成する行政改革調査会を置くものとする。」とあります。  行政改革のあり方について国会で大いに議論をする、このことについては、私は非常に積極的なものだと思います。本来、二十一世紀の日本はどうあるべきなのか、どういう行政のあり方がいいのか、行政改革はどうあるべきなのか、こういう問題は、行政改革会議のような密室ではなくて、開かれたところで、国民の代表である国会で十分議論を尽くすべきであると考えておりますが、この点についてはどうでしょうか。
  72. 北脇保之

    北脇議員 ただいまの点については、全く委員と同意見でございます。  行政改革会議の性質については、この委員会でも議論があって、政府の方からは、各界の人が参加しているし、いろいろな形でヒアリングをしたりしていろいろな意見を聞いているのだというお話がありましたが、しかし、それは、一般の人たちが委員にアクセスすることができるということとはちょっと違うというふうに私どもは受けとめております。  私ども国会議員というのは、国民から選挙によって選ばれて国民の声を代表する責務を負っているわけでございますから、国会こそが国民に開かれた議論の場だということで、やはり国会の場で、この非常に大きな二十一世紀の国の形を決める、そういう検討はまさに国会の場で徹底的に行っていくべきだ、そういうふうに考えております。
  73. 平賀高成

    ○平賀委員 それは大いにやっていただきたいと思います。  それで、民主党案では、国会行政改革調査会を設けて、行政改革の実施に必要な立法について二年以内に勧告をし、順次実施をしていくことにしております。国会で二年間の検討を行うようになっているわけでありますが、政府行政改革会議では、そもそもこの国をどうするべきかの本質的な議論はほとんどされていないものです。伊藤民主党政調会長が、「「行政改革基本法案提出について」の中で、国民各位の行政改革議論を期待すると述べていますが、法案によって設置される行政改革調査会に、広範な国民行政改革の声は一体どのようにして反映されていくようになるのか、この点について伺いたいと思います。
  74. 伊藤忠治

    伊藤(忠)議員 お答えいたします。  御指摘の点についてでございますが、私どもがこの行政改革調査会を設置をしますのは、単に国会が閣法の審議の場であるという範囲を超えまして、行政改革は政治の責任でやっていく、ですから、国の形をどうつくるのかということを目標に据えて、それにフィットする我が国の行政組織を新たにどうつくるかということは、国会議員国会の場で立法化するということでございます。そのために、検討する場として行政改革調査会を設置をしたい、こう思っているわけでございます。  行政改革調査会でもっていろいろ議論をやりまして、この分野については、この行政組織についてはこのように改革をすべきであるということを議長に勧告をいたしまして、国会の皆さんに立法化のための議論をいただくということでございますから、内閣が国会の意見を聞いて、あと具体的な肝心なところはお役人の皆さんに任せるというような今のやり方とは抜本的に違うという点を強調させていただきたいし、私どものその考え方につきましては、共産党さんも御賛成をいただけるのじゃないのか、このように思っております。  国民の意見の反映についてでございますが、国会の場でやるわけですから、もちろんこれはオープンでございますし、国民の皆さんの意見が具体的には陳情やあるいは参考人や公聴会の形でもって議会に反映できる、こう思っているわけでございますから、国会はより開かれたものに、透明なものにしなきゃいけませんので、国会議論の過程ではそのことに留意をしながら、国民の皆さんの各層の意見が反映できるように十分配慮していくということは当然でございますので、そういう考え方で対処してまいりたい、こう思っております。
  75. 平賀高成

    ○平賀委員 私は、この間の議論を通じまして、いろいろな問題点も明らかになってきていると思っています。  一つは、内閣機能の強化にかかわりまして、トップダウン的な政治を目指すというふうなこともありました。特にこの点について言いますと、周辺事態の中で、戦闘中のアメリカの空母に武器や弾薬を日本の自衛隊が公海上であっても輸送することも可能だ、こういうことが国会に諮られないで進められていく、こういうふうな非常に重大な問題も明らかになったと思います。  そして二つ目には、先ほどもお話しになりましたような国土交通省という巨大利権官庁が生まれてくる問題、さらにはまた、本来国がしっかりと責任を持たなければならない、そういう分野や事業地方にどんどんいわば権限移譲というような形で押しつけていく、こういうふうな問題もあったと思います。  それからさらに、今度の行革会議の中で政府自身が目玉としている独立行政法人、これは公務員の実に七五%が対象になる、こういうふうなことも議論の中で明らかになりました。特に、国立病院の統廃合の問題でありますとか、さらには国立の研究機関、それから検査機関、そういうふうなところをなぜ独立行政法人にしなければいけないのか。これは、行政改革会議の中でもほとんど審議の形跡さえもなかった、こういうふうな問題も私は明らかになったと思います。  この点について、民主党の皆さんはこれらの明らかになった問題をどのようにお考えになるのか、この点について伺いたいと思います。
  76. 枝野幸男

    枝野議員 今御指摘をいただきました問題点、かなりの部分、私どもと問題意識が同じであるもの、違うもの、両方ございますが、例えば政治の機能の強化、官邸機能の強化、今御指摘をいただきました具体的な案件と私ども考えでいる官邸機能の強化というのはちょっと意味が違っているかな。我々は、一むしろ政治がコントロールをする、国会と連携をしながら政治がコントロールしていくという意味で、政治が行政をしっかりとコントロールし、その政治の動き方は国会がしっかりチェックしていく、私どもはそういった方向から政府の案では不十分であるというふうな見方をしている部分もあります。  また、独立行政法人のあり方につきましては、それを独立行政法人にするのかしないのかという議論以前の問題として、今の特殊法人と本質的にどこがどう違うのか、あるいはむしろ独立行政法人という中途半端な形よりも民営化できる部分がもっとあるのではないか、その議論をかえって中途半端にするのではないかという側面もあるかと思っております。  ただ、いずれにいたしましても、この橋本行革の法案が、いわゆる行革は看板だけであってその中身は伴っていない、しかも、今御指摘をいただいた、あるいは私ども考えている問題点を含めて、特に国土交通省については、ここは意見が一致しているようでございますが、大変重大な問題をこういったところを初めとして抱えていて、むしろ後ろ向き、マイナス点をつけなければならない内容であって、成立をさせることはむしろ行革には逆行であるという考え方については、結論については一致をしているのではないかというふうに思っています。
  77. 平賀高成

    ○平賀委員 最後に一言だけ態度表明をしたいと思います。  国会の中に行政改革調査会を設置して二年間かけて行政改革議論することは、私は積極的なものだと思っています。ただ民主党案基本方針の中には、我が党の方針と基本方向が異なるものがあるということを一言述べて、質問を終わります。  ありがとうございました。
  78. 高鳥修

    ○高島委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時一分休憩      ――――◇―――――     午後一時二分開議
  79. 高鳥修

    高鳥委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  この際、内閣提出中央省庁等改革基本法案について、質疑の申し出がありますので、順次これを許します。牧野隆守君。
  80. 牧野隆守

    ○牧野委員 当委員会の締めくくり総括に際しまして、自民党を代表して、主要な点について質問をいたしたいと思います。  行政改革の推進は、今や世界的な潮流となっております。欧米は言うに及ばず、今やお隣の韓国、中国におきましても、大胆な中央省庁改革が実行に移されております。我が国におきましても、橋本内閣が、二十一世紀にふさわしい経済社会システムを創造するためには政府みずからの改革を率先すべきとの考え方のもとに、変革と創造をスローガンとしまして、行政改革を初めとする六大改革の実行を示されたところであり、これに基づき、規制緩和また地方分権などの諸政策が現実に着実に推進されております。  今回の中央省庁改革は、まさにこれらの改革推進のシンボル的な存在と位置づけられるものであります。その内容につきましては、これまで本委員会において詳細に審議されておりまして、今回の改革の方向につきましては、その本質的な問題として各党とも異論はない、このように私自身はこれまでの委員会におりまして認識をいたしております。  総理は間もなくサミットに出席されることになっておりますが、私どもとしては、国会において一つ一つ重要案件を処理し、安んじて重要な国際会議に臨んでいただきたいと心から念じておるところでございまして、本法案の早期成立をぜひとも期さなければなりませんし、そして改革の着実な推進について努力しなければなりません。  最初に、総理の御所感をお伺いさせていただきたいと思います。
  81. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 中央省庁等の改革につきまして、この基本法国会にお諮りをいたしましてから非常に真剣な御議論をいただきましたことに、まずお礼を申し上げます。そして、議員からもお触れをいただきましたように、法案そのものにつきましては賛否さまざまな御意見はありますけれども、こうした改革が必要だという点についてどなたからも御異論がなかったことを私は大変幸せに思っております。  そして、恐らくそう遠くないうちにこの中央省庁の土台になります地方分権推進計画をお目にかけることができるような状況まで政府部内の作業もようやくまとまってまいりました。また、規制緩和につきましては、四月一日から新たな三カ年計画を公表し、これに基づいて、私どもは、今まで国で抱えておりました業務を民に移しかえていく、こうした努力も並行して進めてまいります。  そうしたことを考えましたとき、行政改革会議長終報告におきまして、いわば行政改革を突破口としてこの国の社会経済システムの全面的な転換の端緒を開かなければならないとされております方向に向け、二十一世紀を目前に控えた我が国が改革具体化を図ることが急務である、そのような考え方のもとに、議員指摘の趣旨に沿いまして、今後、改革の一層の推進に邁進してまいりたい、今そのように思い定めております、
  82. 牧野隆守

    ○牧野委員 次に、官房長官にお願いいたしたいと思います。  中央省庁改革の内容は多岐に及んでおり、中でも内閣機能の強化が最大の眼目である、このように私は考えております。基本法案には、内閣そのものの機能強化、内閣総理大臣のリーダーシップの強化、それらを補佐支援する組織として総合戦略機能を果たす内閣官房の機能充実と総合戦略を具体化する内閣府の創設が盛り込まれております。当然のことだと考えております。  しかし、具体的にこれをどのように実行するかということになりますと種々問題がございまして、その中の一つとして、閣議と事務次官会議の関係、そして各省庁権限の調整の問題が実は中身として非常に大きい問題になる、こう考えております。  例えば新規の案件、施策については、事務次官会議に至るまでに、各省間の権限について膨大かつ詳細な調整が行われているのが現実の姿だろう、こう思います。これがすべてセットされて事務次官会議を通過しない限り閣議に付議することができないという慣行が今まであったわけでありますが、これらはぜひとも改めなければならないと考えております。それにより、閣議という最高の意思決定機関が速やかにかつ実質的に機能を果たすことができるようになるばかりでなく、刻々と変化する状況に的確に対応し得る体制が確立されるのではないか、こう思っておりまして、事務、裏方の大きな変更でありますが、官房長官はどのようにお考えでしょうか。御意見を賜りたいと思います。
  83. 村岡兼造

    ○村岡国務大臣 内閣機能の強化のために、事務次官会議において了解しない案件等は閣議にかけないという慣行は改めるべきでないか、こういう質問でございますが、一般的に、事務次官会議にそれがかけられて可決しないと出ないというのではなくて、ちょっと誤解があるように私は思っております。  法律案を例にとって申し上げれば、法律案は、担当大臣の指示等を踏まえて担当省庁で原案を作成し、各省庁の法律等との整合性を図る観点から、各省庁間で協議を行い、担当省庁の法律案がまとめられます。案件によっては、その途中段階で関係大臣間で調整が行われたり、総理大臣の指示を仰いだりして作業が進められます。法律案は、さらに与党調整手続にかけられ、場合によっては与党の意見に基づいて手直しを行い、与党各党の了承を得ております。与党の了承を得た上で、事務次官等会議にかけられ、閣議案件として、閣議に付議されているのであります。  特に、日本国憲法においては、議院内閣制を採用しており、「内閣は、行政権の行使について、国会に対し連帯して責任を負ふ。」こととされておりますから、内閣は一体として統一的な行動をとることが要請をされております。  事務次官等会議は、閣議の前段階で開催され、事務的な最終確認を行っているものでありまして、したがって、事務次官会議が閣議の議事を拘束するものではありません。また、閣議付議事案等については、その事案の性格や状況に応じて、事務次官等会議を経ずに、または先行して付議されていることもございます。  閣議のみという例を申し上げますと、国会の召集、衆議院の解散、予算、国会同意大事など、閣議が先行するものは、総理演説案、総理談話、予算の概算、行政改革会議の最終報告に対する対処方針など、こうなっております。  法案の流れでございますが、各党国対、政調との相談、各省協議、これが第一回の法案討論、各党の党内手続、そして第二回には法案了承、与党の責任会議等を経まして、事務次官等に事務的な協議ということになっております。なお、事務次官会議については、法令にその設置、運営の根拠があるわけではないのでございます。事務的に落ち度がないかということで、事務次官会議にかけなければ閣議にかけないというものではないわけでございます。  官が政治を主導しているではないかというような誤解もマスコミ等であろうかと思いますが、今までそんなつもりは、全然私ども思っておりません。各省とも、こういう法案が出ますよ、いろいろ法制局その他も出ますけれども、そういうところを点検してという状況になっておりまして、私は、今現在、これを何か官僚の官主導というのには当たらないのではないかな、こう思っておりますが、なおかつ検討もしていかなければならぬ、こう思っております。
  84. 牧野隆守

    ○牧野委員 今の官房長官の御返事、おっしゃるとおりだと思います。手続をそれぞれ検討すれば、今おっしゃったとおりの御返事になろうかと思いますが、現実には、実は重要問題を検討する場合に、隔靴掻痒の感じを持つことが非常に多いわけです。  例えば通産省と環境庁の間でどうしても調整がつかない、その裏には権限問題が絡んでいる。なぜもう少し大乗的な結論が出せないのか、常日ごろそれを痛感しておるものですから、リーダーシップの確立ということで、実は裏の方からの質問を申し上げた次第でございまして、恐らく官房長官も今までいろいろなお仕事をなさっておられて、なぜあそこでいつまでもけんかしているのかいな、どうしてひじを張っているのかいなというような隔靴掻痒の感を持たれたことは何回もおありだろうと思います。そういう意味において、ぜひそういうことのないように、具体的に一つ一つの案件の処理の際に気をつけていただきたい、こう思います。  次に、小里長官に御質問したいのですが、実は、今このことと関連しているわけでございますが、現実には、各省庁権限の行使に関しまして多数の覚書が交わされております。事務次官同士の覚書、官房長の覚書、局長の覚書、それぞれ法律等の実施に関しまして。その中には、こういうポストは我が省のポストだぞ、こういうところまで覚書がなされているのが実情ではないか、こう思っております。  実は私自身もそういうことをやった記憶があるものですから、恐らくみんなやっているのだろう。ところが、一たん政治家になってみますと、それは全くふだん表に出てこなくてわからないわけなんですね。そして、でき上がったものは、これできちっとでき上がりましたよと成算を得た上で各省の省議にかかり、あるいは法律的に必要なものは次官会議にかかり、閣議にかかる。こういうことでございまして、こういう覚書という非常に大きな行政の現実的な実施方法でありますが、これをぜひチェックしていただきたい。これはリーダーシップの一環として当然だろうと思いますが、ぜひお願いをいたしたいと思います。  実は私自身、党の行革本部で特殊法人の整理統合に参画したわけですが、このとき一つの例として、JICAの件が問題になりました。例えばインドネシアに対して一つの鋳物工場をつくる、これは通産省の権限になっているわけなんですね。小さな予算を通産省は予算要求する、それを全体をまとめて外務省で運用する、これが現実の姿であるわけです。これは各省権限に基づく業務内容という形で、全省庁にわたるような事項は全部各省庁が一応権限を持つ、その覚書に基づいて了解をとらなければそれは実行に移すことができないというのが現実の姿であります。  そういう観点から先ほども官房長官に御質問をさせていただいたわけでありますが、この法案ができ上がりまして、内閣のリーダーシップを確保するというときには、例えば来年、各省庁設置法等を通じましていっぱい権限調整が出てくるわけでありますが、当然その裏に各省間の覚書というものが出てくるわけでありまして、新たな出発をするわけでありますから、ぜひ内閣として十二分にこれをチェックしていただきたい、こういう気持ちから担当大臣の御意見もお伺いしたいと思います。
  85. 村岡兼造

    ○村岡国務大臣 後ほどこの問題については小里総務庁長官からお答え願いますけれども、牧野先生、政務副長官をやった経験からの御質問であろう、こう思っております。  八カ月ぐらいやっておりますけれども、私の場合は、各省庁との権限調整の状況というのは、一、二度ございましたけれども、私が中に入りまして調整をとってできるようにもいたしました。特に、予算委員会でございましたか、私に今言われました覚書の問題でございます。これについては相当数出ているわけですね、各省庁の課長さんの間、審議官の間とか局長の間だとか。私は、そういう質問で、あったら出せ、また、出しましょう、こういうことを言いまして、なかなか出さなくておしかりを受けて、また、出したこともございます。  実は、国民もわからないような覚書はやめなさい。そんな、課長同士がひそかに持っておって、五年も十年も持って、今度決めるとき、こうであったと。これでは、国民も何もわからない。覚書という私的な状況で、これを盾にとってやるなんということはだめだ。こんなことで、今調査検討をいたしておりまして、世間に出していいような覚書であれば、これはまた別問題。内部だけの、外部に出して困るような覚書は出すべきでない、こういうような考え方で、今検討をさせておりまして、確かに御指摘のようにその弊害もあるわけでございまして、検討させていただきたい。  また、小里長官から別問題についてはお答えを願いたい、こう思っております。
  86. 小里貞利

    ○小里国務大臣 官房長官から大筋お答えいただきましたとおりでございます。  特に、御指摘のように、各省庁間のいわばそれらの問題につきましては、御承知のとおり、縦割り行政に由来する省庁間の権限争い、あるいはまた、不透明で、しかも閉鎖的で、何となく政策調整などをしているんじゃないか、そういうお話のとおりでございまして、現在の行政システムが抱える問題点を象徴するような感じがいたします。お話しのとおり、この機会に厳粛にきちんと審査をいたしまして、御指摘のとおり十分留意してまいりたいと思っております。  なおまた、これらの基本に立っての再検討作業は、お話しのとおり、政治がリーダーシップをきちんと発揮をいたしまして、御指摘の趣旨にこたえなければならぬ。それからまた、官房長官も今お話がありましたように、もしそのようなことがあったにしても、それは文書できちんと国民の前に透明にするということが必要ではなかろうか、さように思っております。
  87. 牧野隆守

    ○牧野委員 今回の中央省庁等の改革関連いたしまして、行政のスリム化、効率化、透明化、これらは中央省庁の再編と当然あわせて推進されるべきものでございます。基本法案には、このスリム化、効率化、透明化を具体化していくために、独立行政法人制度の創設、公共事業の見直し、国民に対する説明責任の明確化など、さまざまな方策が盛り込まれております。そして、組織・定員の削減についても、具体的な数量目標も書き込まれておりまして、これを今後確実に具体化していかなければならないわけであります。  実は、これらの一つとして規制緩和の問題が大きく取り上げられております。実は先週、我が党の中山団長を中心とするミッションの一員としまして、ワシントンに参上させていただきました。政府首脳部並びに、特に上院、下院の有力議員の皆さんと会合をさせていただいたわけでありますが、そこでは、規制緩和は本当に進むのか、今度のサミットに際し、例えば通商代表部等は四項目要求いたしますよと、非常に個別案件については具体化しており、かつ、トータルの問題としては本当に規制緩和を進めるんですか、こういう声が非常に強うございました。  私どもとしては、内閣を中心に党も挙げて全力投球しているところであり、十二分に説明させていただき了承を得た、日本は一生懸命やっているなということはわかってもらえたな、こう思うわけでありますが、しかしながら、なおかつ彼らは具体的な成果を求める、こういう言い方をいたしているわけであります。  そういう点で、規制緩和につきまして、内閣でも既に閣議決定され、それぞれ進めていただいておるわけでありますが、これらの作業に参画して痛感することは、やはり非常に抵抗が多いということであります。その抵抗の多い理由は、そういういろいろな制度等の設立の経過がありますから十二分に理由はわかるわけでありますが、情勢が変化した、したがって、こう直すべきだという正論があったとしても、なかなかそれが受け取っていただけないというのがまだ現状であるわけであります。  こういうことは、実際に個々の案件を見ておりますと、今度の省庁再編によりまして一緒になったということによって、いわゆる権限の調整等も含めまして解決する分野が相当あるなというのが、実際にそのような作業、検討に入らせていただいておりまして痛感いたしているところでございます。  そういう点で、こういうスリム化、効率化、透明化、特殊法人等、今後具体化する場合にいろいろ問題があり、論議を重ねなければなりませんが、これらの今後の方向と処理ぶりについて小里長官の御意見を賜りたいと思います。
  88. 小里貞利

    ○小里国務大臣 率直に申し上げまして、私ども政府側におきましても、橋本総理に先頭に立っていただきまして、必死に中央省庁再編を初め行政改革にある意味では挑戦し、そして取り組んでまいりました。  また、それに劣らず与党の立場におきまして大変長きにわたりまして汗を流していただきました牧野代議士のお話でございますが、その意味におきまして、深く響きも感じますし、感激もいたしておるところでございます。  特にお尋ねがございましたように、行政改革中央省庁再編を実行するに当たりまして、今御指摘のスリム化あるいは透明化あるいは効率化こそ最大の柱であり要請だよ、この点をひとつ徹底してやってみろ、やらなければいかぬぞという警鐘とともに、おれの経験からしても、しかし大変な痛みがあるよ、厳しい抵抗もあるよという御指摘でございますが、まさにそのとおりでございます。  私どもは、今次の国会におきまして、先ほど総理もお話がございましたように、与野党のいかんを問わず、各界から率直にいろいろな御指摘やあるいは御提言などをいただきました。これらを大きな参考にしながら、ただいまお話しいただきましたような心得で、これから国会の意思を決定いただきました暁におきましては、きちんと実行していかなければならぬ、さように思っております。  なおまた、規制緩和等々、御力説をいただきましたが、まさにそのとおりでございます。
  89. 牧野隆守

    ○牧野委員 時間が来そうでありますが、あと一つだけ質問をさせていただきたいと思います。  それは、このたびの省庁再編に関連いたしまして、非常に大きい問題が地方分権の問題であります。内閣におかれましても、それぞれ検討されて、決定され、実行に移されておりますが、実は、この地方分権に関連いたしまして、党においても並行して論議をさせていただいておりますが、非常に大きい問題でまだ結論を得ておりませんが、市町村の合併問題であるわけです。  どのように権限を移譲しても、お金をつけても、果たしてそれはうまいこといくかな。それを受け入れる受け皿が基本的に必要じゃないか。したがって、市町村の合併について、例えば五十万、百万、三十万、二十万、十万といろいろな意見が出てきているわけでありますが、どう考えても、市町村の合併ができませんと地方分権というのはなかなか十二分にいかないのじゃないか、こういう疑問をほとんどの方が持っておられるのが実情でございます。  まだ、これは非常に難しい問題でございまして、そう簡単に結論が出る問題ではありませんが、しかし、いずれにしても、市町村の合併問題は避けて通れない基本的な条件ではなかろうか、こう考えておりまして、今後、この法案が成立後、具体的に論議がなされるわけでありますが、これらの方向について、地方分権と市町村の合併問題について、方向としてどういうようにお考えであるか、小里長官、御意見を賜りたいと思います。
  90. 小里貞利

    ○小里国務大臣 国の行政体制の簡素化効率化という大きな趣旨が一つあります。同時にまた、ただいまお触れになりましたように、住民に身近な行政は住民に身近な団体が関係するということも非常に大きな要請でございます。私どもは、そういう趣旨かちも今次の地方分権については大きな関心を持ちますと同時に、また、分権委員会に御答申をいただきました四次にわたる中身につきましても、政府を挙げまして、行革本部も一緒になり、具体的対策を目下検討中でございますが、御承知のとおり、近々これらの具体的対策、計画も出てまいる予定でございます。  それらの分権推進作業あるいは検討の中におきまして、受け皿として地方自治体のあり方を考えますときに、お話がございましたように、その自治体の規模の問題も影響力を持つ意味におきまして大変大きな位置を占めてくるということは、私どもも大きな関心を払っておりますが、ただ、いわば地方自治の問題であり、また、自治大臣を初め自治省におきましても深い関心のもとにいろいろ所見などもせっかくお聞かせをいただいておるところでございまして、これらの筋の具体的御所見などが、今次の省庁再編作業に並行して大きな参考になることを、あるいはまた注目点になりますことを期待をいたしておるところでございます。
  91. 牧野隆守

    ○牧野委員 この法案の成立後、中央省庁改革はいよいよその実施の段階に入ります。大きな痛みと困難を伴うものであることは、もう十二分に承知いたしております。しかし、国民の皆さんは、これを平成の大改革ととらえ、次の世紀の未来に新たな日本の姿を創造し、明るい期待と希望が持てるものと大きな期待を寄せております。基本法案の早期成立とその後の改革の実行について、橋本総理を中心とする内閣の不退転の決意とその実施を求めて、私の質問を終わらせていただきます。  どうもありがとうございました。     ―――――――――――――
  92. 高鳥修

    高鳥委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  ただいま議題となっております本案審査のため、本日、参考人として日本銀行総裁速水優君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  93. 高鳥修

    高鳥委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
  94. 高鳥修

    高鳥委員長 次に、伊藤忠治君の質疑に入ります。
  95. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 民主党伊藤忠治でございます。総理を初め閣僚の皆さん、御苦労さまでございます。総括質問をさせていただきますが、まず第一点として、行政改革基本的な認識について総理にお伺いしたいと思っております。  これまで随分と審議過程を通じまして議論も戦わされまして、総理のお考えも聞いてまいりましたが、次のように私は受けとめておりますので、整理をさせていただきたいと思うのです。  まず、今日の行政の問題点でございますが、分ければ三つあるのかな。  その一つは、行政組織が肥大化している。なぜ肥大化したのか。これは、行政権限が年とともに拡大化したと思うのですが、これがまず第一点。第二点は、経済活動国民生活の分野に行政が過剰に介入してきたということでございます。第三点は、官僚統治の行政組織。これが現状ではなかろうかと思っているわけです。当然、これは社会を硬直化させます。国際化が進みまして、とりわけ厳しい状況に我が国もあるわけですが、これから二十一世紀に向けて乗り越えていかなければいけない、社会もそれに適応したものに発展をさせていかなければならぬわけですが、それを阻む要因になっているのではないのかという問題点でございます。  こういう状況を生み出したその原因といいますか要因について考えますときに、私流に言わせていただければ、まず第一点でございますが、明治憲法体制下におきますお上意識、これがやはり民主化されたとはいえ我が国の社会全体にまだ意識として残っているのではないのか。表現をかえれば、国民の統治客体意識、依存意識、これがやはり払拭し切れていない。  私自身もそうでございます。背広を着ていますが、頭の中はひょっとしたら部分的にはちょんまげを結っているかわからない。それをやはり克服しなければ、全体として社会の仕組みを変えていく国民の意識というものがなかなか確立てきないのではないのか、こう日ごろも思っているわけでございます。  そういう意味では、行政改革といいますのは、時代の変化に対応した国の行政組織、形をつくると同じように、それにかかわる我々一人一人の意識の改革が伴わなければ、結局またこれは成就できないのかな、こんな感じがいたします。  二点目としては、政治、国会のリーダーシップが、過去を振り返りましたときに、やはりこれは欠如していたのかなということでございます。政治がリーダーシップを発揮して行政そのものをきちっと指導し切れるという体制を含めて、この辺が不十分であったという点を私は反省をしたいと思っているわけでございまして、言いかえれば、政と官と業の癒着体質・構造をつくり出してきた、だからこれを変えなければいけないという問題意識を強く持っているわけでございます。     〔委員長退席、二田委員長代理着席〕  さて、大きな三点目でございますが、行政改革は避けて通れない、そういう状況に今私たちは立っているわけでございまして、その中身考えますときに、まず第一点としては、民間の力が、社会の中で産業の力が非常に発展をしました、強くなった。同時に、国民の意識も向上した。意識が多様化していますし、あるいは、国民の自律性、国際性、こういうものが今どんどんと変化をしてきていると思うのです、高まっていると思うのです。これが一つじゃないでしょうか。  二つ目には、二十一世紀に向けた社会経済構造の転換を図らなければ、国内外の構造的変化に対応できないところまで今日来ているという危機感を私自身も持っております。  三つ目は、行政サービスに対するコスト意識、あるいは、不祥事件がさまざま起こっておりますが、公務員の倫理性が問われている。これは、国民の目から見て、そのことに対する不信感というのが非常に強まっていることも事実でございます。  以上のように考えますときに、まさに「この国のかたち」、これは行政改革会議でも一番の基本的な理念の部分として挙げられているわけでございますが、私、賛成でございます。「この国のかたち」の再構築を図るためには、まず何よりも肥大化し硬直化した政府組織を改革をしなければいけない。重要な国家機能を有効に遂行するにふさわしく、簡素、効率、透明な政府をつくらなければいかぬ。  官僚統治型行政から国民主権型の行政を実現するところに私たちの目指すものはあると思うわけでございますが、この基本的な理念、認識について総理のお考えをまずお聞かせをいただきたい、こう思います。
  96. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 今議員がそれぞれの項目を要約をされましたものを私なりにとらえてみますと、現状の行政、これを簡単に要約すれば、肥大化、過剰介入、そして官僚統治の機能、そのような要約をされました。そして、むしろそれは明治以来の意識の変革を、どこか変え切れない部分を残していたのではないか、そのような御指摘であります。  私は、必ずしも明治以来とは申しません。むしろ敗戦後の混乱期におきまして、資源も資金も、また海外に多くの同胞を抑留された状況の中で人材も厳しい中で、やはり中央政府というものが全国を一体的にとらえて、産業政策一つをとりましても、資金、資源の重点配分をし、それによって国を興そうとしてきた。私は、そうした過去の先輩方の御努力というものは全く否定すべきものではないと考えております。  そして、それが次第次第に民間の経済が安定し、活力を持つ状態になりましても変わらなかったところに、その行政の姿勢が本質的に変化をしなかったところに、後に過剰介入と言われるような、あるいは事前管理型の行政が今日まで継続してくる要因はあった。  私は、その功罪を唱えるとき、やはり敗戦後から日本が復興するまでの間のそのシステムの功というものは功として評価すべきもの、そのように感じております。  そうした中で、議員がお触れになりませんでした一つのポイント、私が行政改革というものに関心を持ち出しましたのは、実は人口構造の変化、高齢化というものでありました。ただ、今振り返りまして非常に恥ずかしいことでありますけれども、その高齢化の問題に取り組みながら、少子化がこれほど加速化するという視点は実は私には随分長い間欠落しておりまして、高齢化社会というものを少子社会とあわせて考えるという発想は残念ながら私にはございませんでした。今その点を悔いております。     〔二田委員長代理退席、委員長着席〕  しかし同時に、それでも行政改革というものは私は必要ではないかと思い出したのは、人生五十年時代に向けて設計された仕組みを手直しをしながら今日まで使ってきたら、それには限界が来たのではないかという思いでありました。  そうした中から、委員は、意識改革、政治のリーダーシップ、そして構造改革、コスト意識、公務員の倫理性といったものを問題として提起をされたわけであります。  この基本法におきましては、既に、申し上げるまでもなく、官から民、国から地方へという基本的な考え方のもとに、国の行政役割を、官民の役割分担、規制の撤廃・緩和、地方分権という観点から徹底して見直して、国の行政組織及び事務事業のスリム化、効率化を図る、こうしたことを改革の大きな柱として位置づけてまいりました。そうした考え方につきましては、多少表現の違いはございますけれども、ここまでの部分において、私は、本質的に食い違うものはないように思います。問題意識における濃淡あるいはウエート、これは、あるいは論議を進めていく上でおのずから出てくることかもしれません。  しかし、ここまでの御論議の中におきまして、もし私の方からつけ加えさせていただくとするならば、私自身は、実は高齢化ということが行政改革に関心を持ち出した初めでありましただけに、人口構造の変化というものもその中に織り込まれるべきではないかと思います。
  97. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 続いて質問をいたします。  政府案では、第四条に、これは改革基本方針でございますが、その中で内閣機能の強化を打ち出されております。これは第一号でございます。第三号で、官と民との役割、国と地方役割行政組織の減量化、効率化、重点化を掲げられております。  実は、過ぐる五月六日に、参考人の皆さんにお出ましをいただきまして意見陳述をいただき、私たちも議論をさせていただきました。参考人諸氏全員が言われるのは、共通点は、この政府案に対する評価についてでございます。聞かせていただきました。政府案に対する評価について、政府案行政改革案は問題点が多い、不十分に思うという点が共通して指摘をされたところでございます。私はこれは非常に特徴的なことだと考えております。  もちろん、当委員会審議を通じましてさまざまな批判や注文が相次ぎましたことは、総理自身も御承知のとおりでございます。  この政府案基本的な問題点は、第四条第三号で役割分担の見直しが言われているわけですが、私はこう受けとめているわけです、まず初めに政府の既得権ありきと。どうしてもそう受け取ってしまいます。つまり、一府二十一省庁の箱物から一府十二省に詰めかえる、まずこれが前提なんです。その上で、規制緩和や地方分権や独立行政法人化を引き続き、つまり、今後あるいは同時並行の部分もございますが、検討しながら進めていこうということに手順がなっているわけでございます。  この理解が間違っておれば私は御指摘いただきたいと思っておりますが、これまでの議論を通じて私はそのように理解をさせていただいているわけでございます。これでは行政改革基本的な進め方が逆ではないか、私はこう思っておるわけです。基本的な認識は、総理おっしゃいましたように、お互い違わないな、そこはそういうふうに押さえましょう。ところが、この基本的な進め方が、今申し上げましたように、私は逆だと思っておるわけです。  つまり、中央省庁の再編成問題といいますのは、国から地方に、役割分担、どのように分権を進めていくのか。あるいは官から民へどのように役割分担を見直して、規制緩和やアウトソーシングを具体的にどう進めていくのか。これらの役割分担の具体的な見直しをまず先行させるべきではないのか。同時にやっても結構ですが、まず先行させていくべきではないのか。それをやることによって国の役割として浮かび上がってくる、もちろんこれは限定的なものになるでしょう、残る権限事務限定的なものとしてこれを確定をしまして、それを機能させるために中央省庁の再編はいかにあるべきかということの答えを出すのが私は行政改革道筋ではないか、こう考えているわけでございます。  えらい宣伝するようですが、私たち民主党としてはそういう考え方に立って対案提起させていただきました。この点が政府案基本的に違う点でございまして、お考えがございましたらぜひともお聞かせをいただきたい、こう思います。
  98. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 確かに違うのかもしれません、議員がおっしゃるのとは違った意味でであります。  というのは、既に去る三月三十一日をもって規制緩和の三カ年計画は終了をいたしました。そして、その上で、三月末、本年の四月一日からスタートいたします規制緩和推進基本計画、これからの三カ年の計画、この中には情報通信や運輸、エネルギーなど、十五分野、六百二十四事項にわたる規制緩和の項目が含まれております。こういうものを既にこれまでの実績の上に積み重ねておりまして、規制緩和はどんどん進行しておるという事実がまずございます。  また、地方分権も同様のことでありまして、例えば工場の新増設に関する届け出の受理といった話、これを都道府県知事に移譲するなど、もう実行に移してしまったものもありますけれども、近々、今月中にも地方分権推進委員会の四次にわたる勧告を踏まえた地方分権推進計画を公表させていただく、ようやく政府部内の作業もそこまで参りました。  この中には、例えば機関委任事務の中で、国にその権限を移すもの二十、同時に、国も地方も必要がない、根こそぎ廃止だというもの十一といったように膨大な量の計画になりますが、これをお示しをし、総合的、具体的にこの計画を進めていく体制に既に入っております。そして、そういうものが先行しておることを御承知おきをいただくならば、ここも御党と合っているのか違っているのかわかりません。  ただ、そこで、先般、菅議員が本委員会で御論議をいただきまして私と意見が食い違いました部分、それは、もし御党のお考えというものが、本委員会の総括質疑で菅議員が紹介されましたように、国の役割というものを非常に限定的にとらえられる、教育でありますとか青少年の問題、科学技術文化振興雇用の安定といったものすら国の主要機能に含まないということでありますなら、これは我々とは違います。私は賛同いたしかねるということを先日申し上げました。そして、それに対して菅議員からは、他国の例を挙げて、地方だというような御意見もいただきましたが、私はやはり教育というものの責任は国だと思うの  で、この辺は確かに違うなと思っております。
  99. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 国の限定的な役割といいますのは、私たちの考え方を持っておりますが、問題なのは、それは、私たちが法案の中で言っておりますのは、行政改革調査会というのを国会につくらせていただいて、そこでもって、言うならば政治主導で議論をやっていこうということですから、これは横に置くとしまして、午前中の審議でもって議論をいただいておりますからそれは横に置くとしますが、限定的な役割をどういう内容でイメージをするかというのは私は結果として出てくるのだと思います。結果だけじゃなくて、もちろん国家役割というのは頭脳め役割でございますから、そこで一定のものを私たちは持っておりますが、そう違わないではないかと私は思っているのです。  詰めた議論というのは残念ながらできませんが、教育の関係でも、これは国の役割は全然なくなるというわけにいきませんよね。それは私たちも、どうしても国としてやらなければならない、最低限のものが要るのじゃないでしょうか、全国的な関係であと具体的な執行業務としては地方に任せていけばいいということになると思いますが、一言ではなかなか言い切れない難しい部分を持っていますよね。  さて、次に移りますが、それじゃ地方分権と規制緩和の問題について、今も総理がお触れになりましたから具体的に質問をさせていただきますが、これは総務庁長官になるのでしょうか、規制緩和でございます。  総理もお触れになりましたが、三月三十一日に閣議決定で規制緩和推進三カ年計画が決まりました。このことについては私たちも具体的に評価したいと思っております。非常にはっきりしています。三カ年で何をやるのか、いつの通常国会でどの問題を法案化するのかということまできちっと決められているわけでございます。ただ、これ以外に、廃止をする、廃止したというような問題、あるいはさらに緩和しなければいけないような規制、そういう今日の規制事項という項目が多く残っているじゃないですか。まだ残っていますよ。  そこで、総務庁長官に聞くのですが、この向こう三カ年間に取り組む政府としての規制緩和事項は、この推進計画に載っている数というか事項だけなんでしょうか。これらの推進と並行して取り組む事項は他にお考えなんでしょうかという点について、一点質問いたします。
  100. 小里貞利

    ○小里国務大臣 議員承知いただいておりまするように、まず先発として二千八百前後の規制緩和計画は、立案、決定をいたしまして、執行中であります。その中で、三百余りが再検証の結果なかなか不徹底じゃないかな、これはさらに重きをなして推進するべきであるというものを抽出をいたしました。それが三百数十項目。さらに、ただいまお話がありましたような、その後の新たな規制緩和計画というものにおきまして三百前後出てまいりました。合計六百三十前後を、ただいまお話のとおり計画を立てまして先刻公表いたしましたこと、御承知のとおりでございます。  さらにまた、ただいまこのほかにもまだあるのではないかというお話でございますが、まさに今日の激動の経済社会の状況でございますから、私どもは不断の見直しを行う、注目を行うということが極めて大事であると思っておるところでございます。
  101. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 このことに関して一言申し上げたいのですが、これからに対する要望になりますが、歯にきぬを着せずに言わせていただきますならば、各省庁から規制項目が出されますよね。それはやはりうまみのあるものはなかなか出てこない。私はそういう表現をとりあえず使わせていただきますが、これはなかなか首を出さないと私は思うのです。それは、本丸に迫るようなものは何とか権益でもって処理をしたいという、これはどうしてもそういう気持ちが働くのだろうと私は思っているわけです。それはどうなるかといいますと、これからは政府として特殊法人をどんどんふやしていくというような方針じゃありません。これはメスを入れていくということなんですが、従来はそういうものが特殊法人として、言うならば市場原理に任されるのではなくて核の傘でそれが何とか処理をされてきた。あるいは研究所をつくって、結局これは天下り先の受け皿になっていった。こういう問題を持っているわけですから、そういうことにならないように、特殊法人に対しても一連の行政改革の流れを踏まえられてきちっと整理をしていただきたい、このことをお願いを申し上げたいと思います。  そして、さらに加えますが、私たちは三点セットの確保で言っておるわけですが、規制問題のこれからのルール化については、五年後をめどに残る規制を半減させること、さらに残る規制はすべて時限制にしてほしいということ、明確にそのことをルール化をしていただければ非常にわかりいいし、これから着実に規制緩和が進んでいくのではないのか、このように考えておりますから、私たちのそういう考え方も踏まえてお考えを聞かせていただければありがたい、こう思います。
  102. 小里貞利

    ○小里国務大臣 では、まず私の方から担当として申し上げますが、お話にありましたように、いたずらに既得権益に固執する、えてしてそういうような傾向がないとも言えませんから、お話のとおり、これは政治が再々注意しながら、しかも不断の注意を払って進めるべきことである、さように思っております。まさに議員指摘のとおりであります。  あるいはまた、特殊法人に対しても一大注目を払う必要があるのじゃないかというお話でございますが、しばしば申し上げておりまするように、このたびの制度設計等におきまして、もし国会の意思として御決定をいただきまするなれば、これらを大きな一つの根幹として、特殊法人にも勇気を出してきちんと節度あるその中身の判断を下しまして、場合によっては独立行政法人化を積極的に促進するものもあり得べし、さように考えております。  あるいはまた、独立行政法人化すべからざるものであっても、整理合理化をするべきものも多々あるわけでございまして、十分それらのことの実行についても留意していかなければならないと思っております。     〔委員長退席、山口(俊)委員長代理着席〕
  103. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 最後に私が申し上げた五年後に半減をするということ、その点はどうですか。すべて時限制にして、いつまでこれをやりまして、それを延長する場合にはなぜ延長が必要なのかという理由を述べていくということであれば非常にはっきりするじゃないかという、規制緩和の手法なんですが、ルール化についてはどうお考えでしょうか。
  104. 小里貞利

    ○小里国務大臣 ここできちんと即答申し上げるわけにはいかないかと思うのでございますが、非常に参考にするべき御提言であると重要に受けとめさせていただきたいと思います。
  105. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 次に、規制強化の問題について私は提起させていただきます。緩和の問題は随分議論になりましたが、規制の強化については余り議論になっていません。  これは厚生大臣にかかわるのですが、豊島産廃事件でございます。これは例の香川県の……(発言する者あり)そうです、どちらかといえば環境の方になりますよね。きょうは環境庁呼んでなかったかな。お見えになりますよね、全大臣ですから。  それで、この豊島問題なんですが、これは私は関係の本も読ませていただきました。それから、中坊先生からも直接そのときのお話伺いまして、今の世の中でこういうことが起こるのかなと、大変これは悲惨な事件だ、こういうふうに私は感じたわけでございます。もう既に御承知だろうと思いますが、結局五十万トンにも上る産業廃棄物が違法投棄された、そういう事件でございます。御承知のとおりです。十二年間捨て続けられました。  この産廃業者の許可申請、これは結局、業者にも下心があったのでしょうか、名目を途中で変えまして、ミミズの養殖場をつくるとして申請変更いたしまして、県はこれを許可したわけでございます。数年もしない間に養殖をやめまして、もとの産業廃棄物の投棄を再開いたしました。住民は何度も何度も県当局に対して苦情を申し立てたのですが、県はなかなか動かなかった、これは事実でございます。ここから悲劇が始まります。  それで、兵庫県警、香川県警じゃないのです、兵庫県警が摘発をしまして、その後でやっと重い腰を香川県が上げまして、調査に入ったのです。それで、これは大変だと。現状を見まして、大変な、ダイオキシンも含めまして、それこそ有毒な産廃が山と積まれているわけですから、十六万トンの量の産業廃棄物をとりあえず島の外へ運ばせた。その段階では県がかなり指導に当たっているわけですね。  それで、県はその段階で安全宣言を出した。ところが、実態はそうじやありませんから、全然片づいていませんので、まだ産廃は残っているじゃないかというので、これの調査を専門家がやりました。何と猛毒のダイオキシンやPCBが大量に検出をされまして、総量五十万トンですよ。五十万トン残土として残っているわけですね。これをきれいに運び出そうと思いますと、何と二百億円経費がかかって、十年かかるというのです。全部燃やそうと思うと、十年燃やさなければいけないというわけであります。  これは島民の責任ではありません。持ってこられたわけです。県が許可したから、その犠牲に島民がなったのだ。島民は、全部これを持っていってくれ、普通ならそう言いますよね、ところが、島民の皆さんはそこが謙虚で、私はここが本当に助けたいと思うのですが、それではまた我々が何か利害に絡んで騒いでいるだけだと思われたらいかぬ、全国の皆さんに実態を知ってほしい、そういう謙虚な立場に立たれて、島内で焼却をしょうじゃないかと。自分たちは皆煙をかぶるわけですよ。その方法を選ばれた。わざと選ばれた。だから、今後十年間、島民の皆さんは、その産廃物を燃やしますから、大気汚染の犠牲になるのです。  そこで、島民の皆さんは、知事にだけは、一連の経過を見ますと適切な指導をしてくれなかった、処置をしてくれなかったから、せめて謝ってくれ、このことを知事に一生懸命に言うのですけれども、知事は最後まで謝らなかった。  私は、行政というのは、行政サービスというのは、これは中央だけではなくて、住民の一番近いところで評価される部分が多いと思うのですね。これぐらい行政サービスが住民から乖離した例はなかったと思うのですよ、最近の例としては。これはだれも責任をとっていないのです。いわゆる行政の無謬性というもの。そのことが全然きちっと法的に決められていなかったら、それの責任というのはとらなくていいわけですから、知事は謝らなかった。どこにも持っていくことができない。全部島民がそれをかぶってしまったのです。  私は、この一連の事件をずっとつぶさに見まして、平成の黄門さんはいなかったのかと。平成の黄門はいなかったのです、中坊さんしかいなかった。本来ならば、これは環境庁の長官が見ていて、これは大変だと乗り出して、県は何やっているんだ、住民を助けぬかということで、住民サイドに立って処理をするというのが行政のあり方じゃないですか。これは一番気の毒な例ですよ。  それで、いまだにこれは住民が、毎日毎日、このたまった産廃物を十年間ぼんぼんたかれるのですよ、外に出さないわけですから、出すためにはお金が要るから。それだったら、長官、どうですか、政府責任を持って、二百億金がかかるのですが、二百億出せば、そのごみはどこかで処理できるのです、島からは運ぶことができるのですが、今さらなかなかそのこともできないでしょう、簡単には。これは私、見ていまして、これは大変な悲劇だし、こんなことを二度と起こしたらいけない。行政の信頼はもとから崩れますよね、私はそう思っておるのです。  そこでお願いなのですが、こういう産業廃棄物に対する規制は強化してほしい、国民の権利や安全やそういうものを守る問題はむしろ強化をしてほしいと思うのです。その点について長官のお考え伺いたいと思います。
  106. 大木浩

    ○大木国務大臣 きょうはちょっと具体的な御質問ということは私は用意しておりませんでしたので、一言だけ、一般的な感触と申しますか、気持ちを申し上げますけれども、確かに、今ごみの処理問題というのは、お互いに、例えば国、県あるいは市町村の関係が非常に不明確で、今おっしゃいましたけれども、一体だれが責任を持つんだというようなところが非常にはっきりしていない問題がございます。また、国の中におきましても、いろいろな省庁の中ではっきりしていない問題もございます。  今問題になっております豊島は、確かにこれは最も、そういった法令の空白地帯ということで、その結果、一体どうするのだという問題になったところでございますので、規制の強化ということ、これは当然でございます。  今いろいろなところで、実態を私どもも調べさせていただきましたし、これをどうやって法令で、あるいは実質的にいろいろな違反事件が起こったときにそれを是正することができるか、いろいろ検討しておりますので、強化しろというお話につきましては、当然私どもも非常に重大にとらえておりまして、これから精力的に、しかも迅速に勉強してまいりたいと考えております。
  107. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 そういう隘路があるのです。ですから、その辺はぜひともきちっと、これも行政改革の一環でございますから、強化について政府の方で対処をいただきたいと思います。  次に、時間の関係もございますので急ぎますが、地方分権にかかわって、これも具体的な問題を提起させていただきますが、社会保険関係の事務の扱いの問題でございます。これは厚生大臣でしょうか、ちょっとお聞きください。  分権推進委員会では、第五次勧告を待たずに政府が推進計画を出されますが、第三次勧告で、国民年金法に基づいて市町村長に機関委任事務をされていましたことが、次のように実は整理をされたわけであります。  一つは、国民年金印紙の検認事務保険料の納付案内書の送付事務、二つ目が年金手帳、証書の交付事務三つ目が市町村におきます生存証明事務、四つ目が未適用者に対する市町村における適用促進事務、これは廃止をいたします、その他の事務については市町村の法定受託事務にする、こういう結論に第三次勧告でなったわけでございます。つまり、五十年間にわたりまして機関委任事務として地方で完結的に執行されてきた事務でございますが、それをこの際国の直接執行事務に切りかえるというわけであります。  ところが、事務の大半は法定受託事務として地方に残されるわけでして、職員の身分は、この切りかえに伴って国家公務員として、社会保険庁ですか、そちらに所属がえになるということであります。そうしますと、窓口を通じて市民と一番接していたサービス、それらの仕事はやってはいかぬということに、一口で言えばそういうことです。  なぜ廃止になったのかといいますと、三次勧告の理由は、つまり国民年金というのは、逆にだんだん未加入者がふえているわけです、加入者が減って未加入者がふえている。それは、年金の金額よりも実際に支払う保険料がどんどん上がるものですから、これは確かに厳しい。だんだんそうなっていきますから、余計そうなるわけです。そういう皆さんに一人でも多く加入していただこうというので汗をかいて頑張っていたのが市町村でございまして、それに携わっていた職員というのは、これは三次勧告でも出ておりますが、全国で約一万二千名、それから専任徴収員が、未納の皆さん、掛金を納めてくださいよと走り回ってくださる皆さんが約二千人。そういうふうに多くの人件費を支出しながらやるような仕事はもうやってもらわなくてよろしいと、カットすることになりました、そのかわりに、直接国が執行する事務なんだから、職員も国の所属にしまして、そして、あと大半のこれまでやっていた仕事は法定受託事務としてやっていくのですよ、こういう結論なのでございます。  そうすると、実際に窓口を通じたりマンツーマンでサービスを受けていた住民は、そのことがカットをされる上に、相談に行く場合には、全国で社会保険事務所というのはわずか三百九カ所しかございませんから、三千三百と比べれば、県庁を抜けばもっと減りますが、三百九カ所しかない社会保険事務所に一元化されるわけですから、何か相談があればそこへ行かなければいかぬということになる。一元的にコンピューターを導入していろいろなデータなり給付事務がやられるということになりますと、これは行政サービスをよくしていこうという行政改革の流れに全く逆行するのではなかろうか、こういうことでございます。  逆立ちしたような結論がどうしてこの三次勧告で出されてきたのかな。それだったら、中央の直接執行事務にするのじゃなくて、全部これは地方に分権をするべきじゃないのか。全くおかしな結論だと思うのですが、大臣、どうでございますか。
  108. 真野章

    ○真野政府委員 国民年金、それから健康保険、政管健保、厚生年金、こういう事務は国が保険者としてその事務を行うということでございまして、地方分権委員会での地方事務官の取り扱いについては、国が保険者としてきちっとした執行体制を完結するようにということで、現在の国家公務員でありながら都道府県知事の指揮監督を受けるという折衷的な仕掛けを国の一元的なもとで行うということで整理をしていただいているものでございます。  今先生指摘の市町村の国民年金の窓口事務、これにつきましては、地方分権委員会の方からも、住民の利便性その他を勘案して法定受託とするように、ただ、市町村が現在大変負担の多い事務を行っていただいておりますのでその負担軽減を考えるように、こういう御指摘でございまし て、私ども、この勧告の線に沿って検討を進めているわけでございます。
  109. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 今おっしゃいましたけれども、全くこれは実態を見ていないと思うのですよね。  それで、そういう市町村の言うならば自発的な部分もございますし、人もつぎ込み、予算もつぎ込んでやってきて、どうにか今の国民年金の受給者の皆さんをフォローしたし、あるいは未納の皆さんにも通知を差し上げてやってきたと思うのですよね。  それが、今おっしゃったように全部国がやるというのだったら、これはできっこないでしょう、そうでなくても、全体でやっていて市町村に依存している部分は物すごく多いわけですから。だから、これは社会保険庁がやるというのだったら、政策の企画立案の部分だけをやればいいじゃないですか。あとは全部下におろせばいいじゃないですか。  何でそのいいところだけをとっていって、あとの部分は経費がかかるから、人がかかるから仕事はカットせいなんて、大半はまだやるのですよ、法定受託事務で。そうでしょう。何でこんなわけのわからぬことをやるのか。これは実態を精査すればするほど全くおかしい。  これは引き続き私たちも議論しなければいかぬと思っておりますので、時間の関係がありますからそれ以上のことは言いませんが、これは本当に理不尽だ、はっきり申し上げたいと思うのです。  こんなことは本当に下におろせばいいのですよ。分権すればいいのですよ。コンピューターへほうり込んだらいいのですよ。どこだってやれるじゃないですか。何で保険庁でなければできないのですか、コンピューターは。そこにセンターがなければ回っていかないのですか。私もその専門家の一人ですが、どこだってできるじゃないですか、コンピューターへほうり込んだら。ネットワークはそういうものですよ。全然話にならぬと思います。  最後に、これは総務庁長官だと思いますが、質問申し上げたいのは、四十九条で、中央人事行政機関である人事院と内閣総理大臣の機能分担を見直す、こういう表現がございますね。  それで、この見直しについては、行革会議から検討をゆだねられた公務員制度調査会から、昨年の十一月に具体的な意見が実は出されているわけですね。その意見に従って見直す、このように私は理解しておるのですが、それでよろしゅうございますか。     〔山口(俊)委員長代理退席、委員長着席〕
  110. 中川良一

    ○中川(良)政府委員 お答え申し上げます。  四十九条第一項の趣旨でございますけれども、中央人事行政機関の機能分担の見直しについての基本的な方針を規定したものでございまして、具体的には、昨年十一月に出されました公務員制度調査会意見においていろいろ指摘、提言されております点について具体的な検討を進めていくという趣旨でございます。
  111. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 最後になると思います。これは総務庁長官にお伺いしたいのですが、定員管理についてでございます。  定員というのは毎年度改定をされると思うのですが、定員の算出根拠というのは存在をしているのでございましょうか、どうでしょうか。
  112. 河野昭

    ○河野政府委員 総務庁は定員管理をしているわけでございます。それで、毎年度、概算要求に合わせまして、各省庁から削減要求と増員要求が出てまいります。それを私ども審査しているわけでございます。  まず、削減要求につきましては、いろいろと既存の業務につきまして、その業務の範囲が的確なのか、あるいは、その業務についてさらなる効率化を図れないかという観点から精査するわけでございます。片や、増員要求につきましても、その必要性あるいは緊急性ということに着目して審査をするわけでございます。その結果が毎年度の各省庁別の定数ということになっていまして、結果として、各省庁の業務を適正に執行する上での必要最低限の数字となっているわけでございます。
  113. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 算出根拠があるのでしょうか、ないのでしょうかと聞いておるのです。
  114. 河野昭

    ○河野政府委員 算出根拠というのは、一般的には共通のものはございません。各行政需要におきまして、例えば巡視船を一隻つくるとすれば、それに必要な乗組員は何人要るかとか、そういうことの積み上げで、それぞれの行政需要に応じた積み上げで全体を計算しているわけでございます。
  115. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 あなたの答弁でしたら、いいかげんだということですよ。現業なんかは、これは例えば特殊法人政府関係の現業関係があるじゃないですか、ああいうところはちゃんと算定基準もありますよ。それで、人を一人ふやすか減らさないかというときには、方式がございまして、それによってちゃんと、その要素に何を見込むかということまでたしか決まっていたと思うのです。でなければ現場は動きませんよ。事務部門だったら、これはなかなかそうはいきません。もちろん、それはソフト部分も入りますので判断要素が加わりますが、知的な労働の部分ですからなかなかそうはいかないと思いますが、しかし、今のようなラフなことで公務員の数は決まっているのですか。
  116. 河野昭

    ○河野政府委員 大変失礼いたしました。  先生から、現業の職員あるいは現場の職員というお言葉があったわけでございますが、例えば郵政の現場職員等につきましては、郵便でいえば、取り扱う物数が幾らか、あるいは、その配達につきましては、その一件当たりの配達の時間がどのぐらいかかるか、そういうような積算根拠を持って、それについて各省と協議しながら具体的な定数を決めているわけでございます。
  117. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 だから、当然、事務部門は事務部門にふさわしいものがあるのじゃないですか。別になくてもいいのですよ。それはありませんという答えだったら、総理に聞いておいてほしいのです。事務部門は要員算定基準というのですか根拠がないという、そんないいかげんな、人のはじき方は僕はできないと思いますよ。あるはずです。だから、私は聞いているのですよ。  いずれにしましても、時間が来ましたので、最後に、これは長官でも結構ですが、確認の意味質問いたします。今のこともずっと頭に含んで私は聞いているのです。  政府案に言います十年間に一〇%純減計画といいますのは、一連の行革でスリム化した結果の定員数が確保される、その数字をベースにして削減計画を立てるんだ、このように理解をさせていただいてよろしゅうございますか。
  118. 小里貞利

    ○小里国務大臣 原則、そのとおりでございます。  もっと言葉を加えて言いますと、二〇〇一年一月一日まで、先ほど先生がお述べになったような、そういう一つの基準によりまして削減を極力努力してまいります。
  119. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 人の数といいますのは、仕事の量によって増減いたします。ふえればふえます、減れば減ります。仕事は必ずスリム化されていくのが行政改革の流れだと私は思っております。ですから、今の基礎の定数が、今私が質問を申し上げて、長官もそのとおりと言われましたように、このベースが決まるのは、全体の行政改革がやられまして一定の結論が出たところでベースが決まるわけですから、それから十年一〇%、こういう考え方に立つんですねと質問しましたら、そのとおりと言われましたから、いいですね。
  120. 小里貞利

    ○小里国務大臣 本来の計画で二〇〇一年一月一日まではまいります。二〇〇一年一月一日からは、先生がおっしゃったとおりであります。
  121. 伊藤忠治

    伊藤(忠)委員 質問を終わります。
  122. 高鳥修

    高鳥委員長 この際、池田元久君から関連質疑の申し出があります。伊藤君の持ち時間の範囲内においてこれを許します。池田元久君。
  123. 池田元久

    池田(元)委員 民主党池田元久でございます。  残り三十分足らずでございまして、極めて限られた時間ですので、簡にして要を得た答弁もお願いしまして、御協力をいただきたいと思います。  行政改革の大きなテーマであります財政と金融の分離を中心にお尋ねをしていきたいと思います。  初めに、この問題につきまして、事実関係と見通しについて若干確認したいことがございます。  昨年成立した法律によって、金融監督庁が六月までに発足することになっています。松永大蔵大臣、海外出張、御苦労さまでございました。松永大蔵大臣は、この二月一日、NHKの番組で、発足はできるだけ早い方がよい、六月と言わずに、五月中にやれないかと官房長に指示したとおっしゃったようですが、具体的にいつ発足するのか、お尋ねをしたいと思います。
  124. 松永光

    ○松永国務大臣 お答えいたします。  実は、あの当時は、そう詳しいことを知らずにしゃべってしまったわけでありますが、実際を言いますというと、金融監督庁の設立準備室、これは大蔵省にあるのじゃなくして、ほかの方にあるものですから、私の方のあれはちょっとミスでございました。おわびいたします。  いろいろな準備を進めまして、六月中には設立されるもの、こういうふうに理解をいたしております。
  125. 池田元久

    池田(元)委員 松永大蔵大臣のお気持ちはわかります。できるだけ早く発足させたいということですから、それはそうだと思います。  監督庁が設立された時点で、大蔵省には国内金融の企画立案を担当する金融企画局ができますね。金融企画局という名称でよいのか、また、四課九十七人という体制で発足すると理解してよいのか、確認だけしたいと思います。
  126. 溝口善兵衛

    ○溝口政府委員 局の名前は政令で決まりますが、今のところ、金融企画局という名称を考えているわけでございます。それから、課も政令で決まりますけれども、四課を考えておりまして、九十七人という数字がありましたが、九十八人でございます。
  127. 池田元久

    池田(元)委員 次に、この法案によりますと、二〇〇一年一月を目標に、大蔵省が財務省になり、大蔵省からは国内金融の企画立案が金融庁に移行することになっています。ところが、金融の破綻処理と危機管理の企画立案については、当分の間、財務省が引き続き担当することになっております。  そうすると、財務省に当分の間置かれる破綻処理と危機管理を担当する組織はどのような形になるか、お答えいただきたいと思います。
  128. 松永光

    ○松永国務大臣 その点につきましては、今御審議を願っている法案の第二十条八号に書いてあるとおりでございまして、必要最小限のものにするというのが考え方基本でございまして、政府部内でその点は調整が進められるもの、こういうふうに理解をいたしております。
  129. 池田元久

    池田(元)委員 これからちょっと橋本総理大臣にお尋ねをさせていただきたいと思うのですが、今答弁にあったように、財務省ができた時点でも、当分の間、破綻処理と危機管理の仕事をする組織ができるということです。金融監督庁がこれから六月にできるわけです。さらにそれが金融庁になる。それでも、金融の破綻処理と危機管理の立案を財務省に残す理由についてお尋ねをしたいと思います。  この問題につきましては、私も質問いたしました、西川知雄委員、海江田万里委員も取り上げましたが、三党合意を中心にした経過説明が多かったように思います。橋本総理御自身の見解をお伺いしたいと思います。
  130. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 今、この法案の審議の最後の段階で、私は個人的な見解を述べることが的確だとは思いません。その上で、行政改革会議あるいは与党間で行われました議論の中で、主なポイントを挙げてみたいと思います。  その中におきましては、金融システムの安定は通貨、国庫、さらには財政と深い関連を有しており、特に危機管理の際には財政とともに迅速な対応が必要となる、あるいは、通貨、為替の安定など国際金融と国内金融は密接な関連を有しており、国際的な政策協調への対応の必要性から、主要諸外国と同様、財政担当大臣が金融システムの安定にも責任を負う体制とする必要がある、さらに、金融システム改革によって金融をめぐる環境は大きく変わるから、その進捗状況を見きわめてからでどうだ、そうした御意見もございました。  いろいろな御意見がございましたものを、論議の最終、「金融破綻処理制度ないし金融危機管理への対応に限って大蔵省に担当させるという措置は、金融システム改革の進捗状況等を勘案し、当分の間とする。」といった合意が行われ、行政改革会議に報告をされ、行政改革会議としては、これを受けとめて最終報告をまとめた。政府としては、財政と金融に関する国家行政組織のあり方についてさまざまな観点から議論し尽くされた結果としてこれを重く受けとめて、忠実に盛り込んで法案として御審議を願っているということであります。
  131. 池田元久

    池田(元)委員 今、橋本総理大臣、財政出動ということも、全部ではありませんが、お述べになりました。  昨年十月八日の行革会議で、橋本総理は、この議事録によりますと、「大蔵省の権限として「市場信用秩序の維持」を入れることを提案したが、これは、個別金融機関の破綻の処理の問題を念頭に、場合によっては財政出動も含めた弾力的な措置が必要であって、財政当局との連携が是非とも必要であるので、通貨・為替に重大な影響を与える破綻の処理の枠組み作りは大蔵省に置きたいという趣旨で発言をした」こういうふうにお述べになっております。昨年十月八日の行革会議の議事録です。  そして、当委員会でも、小里総務庁長官、松永大蔵大臣、いろいろ問い詰められて、最後に、破綻処理の場合は財政出動を要するようなことがないとは言えないから、大蔵省、財務省に残すんだ、こういう趣旨の答弁もされております。  つまり、いずれも、破綻処理や危機管理の企画立案を財務省に残す大きな理由として、財政出動があり得るからだと言っているわけです。そう理解してよろしいでしょうか。
  132. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 小里さんの発言は小里さんにお聞きをいただきたいのですが、ちょっと私の部分は、今引用された部分だけだと非常に不正確だと思います。  もともと私は、市場信用秩序という言葉を使いました。そして、その市場信用秩序という言葉が世の中に大変妙な誤解を生みまして、全く大蔵省の財政金融のあり方についての機能を変えないがごときイメージで喧伝をされました。そして、私はその言葉を正式に取り消しをし、金融の破綻処理あるいは危機管理という言葉に置きかえました。  それが今議事録を読まれた日取りかどうか、私は今ちょっと自分は持っておりませんので確認ができませんが、私が金融の危機管理または破綻処理という言葉に置きかえたのは、今申し上げたような、言いかえれば、現在の大蔵省の行っているものをそのまま引き継がせるということではない、市場信用秩序という言葉を全面的に取り消して、より事態を正確に表現するものにかえるということでありました。
  133. 池田元久

    池田(元)委員 市場信用秩序の維持を破綻処理と危機管理に置きかえた、そういう発言は、それは橋本総理大臣の考えですから、考えとして理解はいたします。  私が申し上げたいのは、要するに、金融破綻処理と危機管理の企画立案をなぜ財務省に残すか、そこを中心に今お尋ねをしているわけでありまして、財政出動、これは理由の全部じゃないですが、大きな理由として、財政出動があり得るから財務省に破綻処理と危機管理を残す、こういうふうにおっしゃっているわけですね。(橋本内閣総理大臣「だれが」と呼ぶ)いや、橋本総理大臣が。ここでおっしゃっていますね、「場合によっては財政出動も含めた弾力的な措置が必要であって、財政当局との連携が是非とも必要である」と。こういうことを、あながちこれは全く間違いじゃありませんね。
  134. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 今議事録と言われましたが、逐語的な議事録ではございませんね、それは。整理されて幾つかの発言を一つにまとめられているように思います。ですから、事務局の諸君がそういうふうに整理をするような議論はしたんだと思いますけれども、少なくとも逐語的に正確なものではないように私は今思いました。
  135. 池田元久

    池田(元)委員 議事録の云々は別としまして、財務省に金融の破綻処理と危機管理を残す一つの理由として、財政出動があり得るからだ、こういうことはお認めにならないのですか。
  136. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 ですから、私、そういう角度からの議論をしたという記憶がないのです。  ただ、むしろ私が議論をいたしました中に、これは個人的な見解をここで述べるのは本当にいいかどうかわかりませんけれども、私自身がいわゆる七カ国中央銀行・大蔵大臣会合等に出まして、そういう場合に、まず第一に、出席できないと発言権が、これはかわりが出られませんから全く欠如してしまうということとともに、各国の場合に、財政と金融と両面の議論を行う役割が必ず大蔵大臣に来る。ちょうどブンデスバンクとドイツの大蔵大臣のようにその辺が非常にはっきりと分かれてしまって、金融になりますと完全に大蔵大臣の発言権がなくなるという国もございます。これは完全にドイツ連銀が一切を話すという、そういう国もあります。しかし、そういう意味ではアメリカの財務省も、必ずしも日本の権限と、連銀との間が整理されているわけではありませんが、少なくとも国際会議においては財政、金融の両面についての発言権を持っております。  そうした意味では、私はやはり発言権が持てる仕組みにはしておいた方がいいということは考えておりましたし、そういう意見は言いました。
  137. 池田元久

    池田(元)委員 G7等の議論は去年の金融監督庁のときにたしか論議したと思うのですが、これは先進七カ国蔵相・中央銀行総裁会議でございまして、さらに、昨年八月の集中審議では、たしか塩野谷教授がこの点について論じられて、橋本総理大臣も発言された由を聞いております。  私が今申し上げたいのは、いずれにしても財政出動の可能性があるんだということを、これは二回もおっしゃっているんですから、この前提をぜひ認めていただかないと、これは審議が進みませんよ。
  138. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 ですから、私は先ほども申し上げましたように、個人としての意見を云々ということではなく、行革会議の中においてありました議論として、金融システムの安定は通貨、国庫、さらには財政と深い関連を有しており、特に危機管理の際には財政とともに迅速な対応が必要であるという考え方もありました。通貨、為替の安定など国際金融と国内金融は密接な関連を有しており、国際的な政策協調への対応の必要性から、主要諸外国と同様、財政担当大臣が金融システムの安定にも責任を負う体制とする必要があるという考え方、さらには、金融システム改革によって金融をめぐる環境は大きく変化するのでその進捗状況を見きわめてはどうか、こういった主要な論点がありましたということを申し上げております。  そして、議員が今言われておりますようなこと、ある意味では、最初に申し上げております、特に危機管理の際には財政とともに迅速な対応が必要であるという大きな一つの有力な御意見のあった部分関連する部分だと思いながら、私は承っております。
  139. 池田元久

    池田(元)委員 財政出動があり得るから財務省に危機管理業務を残す、そういう趣旨のことは、今の最後の方は余り明確ではなかったのですが、大蔵大臣や総務庁長官もお述べになっております。  時間がありませんのでちょっと話を進めたいと思うのですが、財政出動、つまり財政資金の投入は大蔵省の主計局の仕事ですね。それで、金融機関の経営内容を把握している金融庁、担当大臣もいる金融庁がそういう場合には破綻処理と危機管理のスキームをつくって、財政当局である財務省、つまり財務省主計局と協議すればよいわけですね。財務省に主計局とは別に新たな組織をつくる必要はないのじゃないですか。財務省に破綻処理と危機管理の企画立案を残す理由として、財政出動があり得るからだというのは私は理解できないと思うし、多くの人も理解できないと思います。財政出動は理由にならないと私は考えるのです。  橋本総理大臣は、行革会議等で、大蔵省と金融監督庁の共同省令の廃止、また検査の一元化などに大変前向きに取り組んでこられました。しかし、この点はどうも納得できない。総理、いかがでしょうか。
  140. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 ですから、私は、議長としての立場において、御審議の今の段階になって個人的見解を蒸し返すことがよいと思いませんので、会議全体の中で主要な御意見にこのようなものがございましたということを申し上げ、議員が先ほどから執拗にこだわられております部分はこの部分として、まとめて申し上げておることでございますということも申し上げております。
  141. 池田元久

    池田(元)委員 財務省にそれら二つの企画立案を残すことになれば、住専問題の反省は、私としてはどこへ行ったのかという感じもいたします。住専問題のようなことが起これば再び密室の裁量行政に逆戻りするのではないか。  一方、民間金融機関にとって、金融庁と財務省を両方相手にしなければならないわけです。二元行政的になるおそれがあると私は思います。その点いかがでしょうか。
  142. 松永光

    ○松永国務大臣 民間金融機関等に対する監督あるいは検査、これはもう六月から金融監督庁に移りますから、我が大蔵省とは関係なくなるわけでありまして、その意味で、民間金融機関は両方に行かにやならぬということは原則としてはないものというふうに私は理解するのです。
  143. 池田元久

    池田(元)委員 破綻処理とか危機管理の面は財務省に残るわけですから、当分の間。その間、それに限ってはやはり二元的な行政になる、私はそういう危惧を申し上げているわけです。  いずれにしても、私は、財務省になおも当分の間破綻処理と危機管理を残す理由はほとんど見当たらないと思うのですよ。いかがでしょうか。
  144. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 先ほど来繰り返し申し上げているわけですけれども、まず金融監督庁が設置をされました後に、大蔵省の企画局が担うことになります国内金融に関する企画立案というものも、中央省庁再編の段階においては、破綻処理制度あるいは危機管理に関するものを除いて金融庁に移管されるわけであります。正常な業務が続いている限りにおいて、二元行政という問題はございません。  また、その破綻処理あるいは危機管理を必要とするような金融機関の場合には、これは監督庁ではなく、まさにその破綻処理制度か危機管理に関する部分に移るわけでありますかち、その場合には、むしろ金融監督庁は、あるいは金融庁は、その経営がいかに問題であるのかを、その危機管理あるいは破綻処理を行う責任部署に対してデータとして提供をするという役割になるのではないでしょうか。
  145. 池田元久

    池田(元)委員 別の面からこの問題を取り上げたいのですが、大蔵省の護送船団行政や裁量行政、またそれによる金融業界との癒着構造が厳しく批判を受けております。また、大蔵省には財政赤字と金融システムの不安を招いた責任もあると指摘されているわけです。  こうした中で、職員百十二人が金融機関からの過剰接待で処分を受け、そのうち戒告以上の処分を受けた職員三十二人は、去年まで五年間に合わせて二千二百回以上、これは自己申告で、会食やゴルフの接待を受けていたことが判明をしたわけです。ことしの一月二十六日、大蔵省職員二人が逮捕されまして、大蔵省本庁舎に地検の手が伸び、家宅捜索を受けました。  その翌日の閣議で橋本総理大臣は、「制度面、組織面を含め、心を新たに精査していく必要がある」と述べ、与党合意の実施時期の明確化を視野に、財政と金融の分離の徹底を検討する考えを示したと各紙は伝えております。  橋本総理大臣、財政と金融の完全分離に向けて与党合意の実施時期をさらに明確にする考えはないのかどうか、一端的にお尋ねをしたいと思います。
  146. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 大変恐縮ですが、報ずるといって、どういうふうな報道をされていたのでしょうか。恐れ入ります。
  147. 池田元久

    池田(元)委員 幾つも新聞記事はあります。要するに、橋本総理が、財政と金融の分離について再検討かと、再検討を示唆する考えを示したという記事はたくさんございます。何なら示してもいいです。
  148. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 新聞記事より、私の言うことなんですから私の方を信じていただきたい。  まさに大蔵省から逮捕者を出しました次の閣議の席上におきまして、私は、その大蔵省に起こっている事態を厳しく調査し、それに対しての措置を考えなければならないということは申しました。そして、大蔵大臣はまさにそういう調査をし、措置をとったと思っております。
  149. 池田元久

    池田(元)委員 新聞報道と違うのですが、それは本人が言うことだとおっしゃっていますので、私はそれをお聞きをいたします。  時間があと五分しかありませんので、もうちょっと橋本総理大臣にお尋ねをしたいのです。(橋本内閣総理大臣「確かにそれ言われたと言っている」と呼ぶ)  私たちは、昨年の当委員会に、金融監督庁法案に対して、財政と金融を完全に分離する対案をこの場で出しました。しかし、今度の法案では、金融監督庁がさらに金融庁に移行しても、今申し上げたように財務省に当分の間、破綻処理と危機管理を残そうとしているわけです。この当分の間につきましては、真実に当分の間であるとか不確定期限であるとか答弁がございましたが、そうであれば橋本総理大臣、この不確定期限を明確にして、当分の間を限りなくゼロに近づけ、財政と金融の完全分離を早める考えはないかどうか、お尋ねをしたいと思います。
  150. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 何度も繰り返して申し上げてまいりましたように、この問題につきましては、与党三党間の合意というものを受けて、行政改革会議にそれが報告をされ、その内容を重く受けとめて、中央省庁等改革基本法案の中に忠実に盛り込んでまいりました。私どもは、こうした状況の中で、むしろ議員が述べられましたように、破綻処理あるいは危機管理といったものに意を用いないで済む状態が一刻も早く来ることを願っておりますし、そのような状態になれば当然状況は変化するでありましょう。
  151. 池田元久

    池田(元)委員 今、お言葉ですが、金融システムの改革がはかどれば完全分離をするというふうに理解してよろしいでしょうか。
  152. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 私の言葉はそう申しておりません。議員がお述べになりましたことに対し、そのような心配をしないで済む状況になればということを申し上げました。
  153. 池田元久

    池田(元)委員 速水日銀総裁、いらっしゃいますか。時間ももうありませんが、きょうは財政と金融の分離を今論じておりますが、金融政策の責任者である総裁は、財政と金融の分離についてどう考えているのか。  ちょっと調べてみましたら、つい最近といいますか一月十一日、財政と金融の分離は必要だと大変立派な意見をお述べになっております。しかも、政府のこの行革の動きについても批判的なことを言っていらっしゃいます。そこは橋本総理大臣にぜひ読んでいただくことにして、もう時間がありませんから速水日銀総裁に申し上げますが、速水さんは、私自身の過去半世紀にわたる体験から自然に身についた確信をもって財政と金融の分離は必要だと強調されているわけです。ぜひ、中央銀行総裁として、この立派な考えを貫徹していただきたいということを申し上げたいと思います。  時間がもう本当にわずかになりました。総理と通信放送委員会について少し議論をしたがったのです。橋本総理は、去年八月十九日、「情報・通信・放送を截然と区分するのが適当かどうか疑問であり、共通点としてある電波監理・監視等の機能は行政の恣意的取扱いを避けるため、三条委員会が適当ではないか」と発言したと。また会議録に疑問を持たれると困るのですが、私は、別に橋本総理大臣の考えに異論を唱えるものではございません。大変立派な考えでありたと思います。  これは、放送・通信メディアは、憲法の定める表現の自由の一つとして、放送の自由に基づいて公正公平の原則の上に立って国民、利用者に情報、ニュース、問題点を知らせる、提供するという重要な役割を担っているわけです。その意味で、先進各国では情報、通信、放送については独立行政委員会あるいは政治権力から離れた第三者機関が担当をしております。それがいわばデファクトスタンダード、国際標準だと私は思います。  そういった意味から、橋本総理大臣の提起を高く評価したいと思います。実現すれば、日本のメディア史上画期的なことになったと思うのですが、残念ながら与党の協議を受けて見送ることになりました。しかし、橋本総理大臣に申し上げたいのですが、この通信放送委員会提起、これは大変重要な提起でございまして、この重要性をよく認識されていると思うのですが、中長期的にぜひ取り組んでいただきたいという要望を申し上げまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。
  154. 高鳥修

    高鳥委員長 次に、若松謙維君質疑に入ります。
  155. 若松謙維

    ○若松委員 新党平和を代表して、私並びに同僚議員の冨沢委員とあわせて締めくくり総括質問をさせていただきます。  私は、まず各省設置法、いわゆる今後設置法改正が成るわけですけれども、その中に含まれる、現在含まれております権限規定、これについて質問させていただきます。  特にこの審議中にも、五巨人委員会の例えば加藤寛教授とか転法輪会長等からもお話、御要望もございました。たしか堺屋太一先生も参考人質疑お話をされました。また、この委員会の参考人質疑でも加藤秀樹慶応大教授もお述べになりまして、いわゆる設置法の改正の際にはこの裁量権限を排除する方向で、設置法にはぜひ権限規定を入れてほしくない、削除してほしい、そういう要請がかなりございました。これは私だけではなくて、他の党の委員お話がありました。それに対して総理は、私と四月二十二日のこの場での議論におきましてちょっとこういうふうにおっしゃっておりますけれども、根拠法をすべて必要とすることは実際上、非常に面倒くさくなりはしないか、このようにも、非常に長い政治の経験者ですので、そういう御答弁をされました。  しかし、やはり日本は法治国家でありますので、基本的に一つ一つしっかりと根拠法に基づいて権限がつくられ、それを執行するのが行政であると思いますので、ぜひその点も配慮して、今後検討される設置法の改正につきまして総理として権限規定の削除について前向きのお考えかどうか、ぜひそれについてお聞きしたいと思います。
  156. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 たしかあのとき、議員は、四角と丸と、言いかえれば全く余裕のない全部の権限が隅々まで行き渡っている図面とそして空白を残しつつ円が随所に散っている二つの図を見せられながら御議論をいただいた、私もそれに、むしろイギリスの御研究をされたと聞いて納得がいきましたという御答弁を申し上げた、そのように思うのです。  そして私は、やはり白地に空白が残るあの図面を頭に描きましても、各省設置法においてその所掌事務の規定というものが行政領域の幅を規定すると同時に、権限規定が、その所掌事務の範囲内で各省の大臣が行使し得る権限、いわゆるその深さを規定する。所掌事務とやはり権限というものを一体的、有機的にとらえて規定することによって行政機関の行為の範囲の限界というものが明確になると思うのです。  他方、法律の根拠に基づかない行政指導など、民間への関与をできる限り縮小すべき、これは行政改革会議の最終報告にも言及されておりますし、議員もあのとき非常にそこを強調され、だからこの空白の場所が要るんだということを言われました。この趣旨は、私は、基本法におきましても、規制のあり方について、事前の規制から民間の自由な意思に基づく活動を重視したものに変える、そして、規制行政における国民に対する説明の責任というものを明らかにする、こうした規定にあらわれていると考えております。  この法案が成立をいたしますと、中央省庁改革推進本部で、新たな各省の任務、機能などを適切に規定する設置法、その他関係法律の立案が進められていくことになるわけですが、その立案に当たりまして、行政指導の乱用や裁量による恣意的な行政を排除するという観点、同時に行政機関の行為の範囲の限界を明らかにしながら、臨機の、かつ複雑多岐にわたる行政活動の柔軟性を損なわない、そうした観点に立って、各省設置法権限規定のあり方を含めて、関係法律のあり方を検討していきたいと考えております。  私は、議員の、権限規定はいかがかと言われる部分についてはなかなか同意しがたいものを持っておりますが、それは逆に、議員の描かれた権限というもの、丸で示され、空白の場所を残しておられたあの図面をむしろ実施していくためにも、ああいう姿にしていくためにも、私は、やはり行政領域の幅としての所掌事務、そして深さとしての権限、これはやはり明らかにしておくことが自由な活動の範囲を広げるという意味でも大事なのではないだろうか、そのように考えております。
  157. 若松謙維

    ○若松委員 非常に微妙な御答弁で、趣旨の方向性は一致していると思うのですけれども、なかなか二枚にわたる原稿を読まれると、非常に私の頭では把握しにくいと思います。  そんなことで、与党さんの合意もいただいて、今回の基本法案の採決に当たりまして、附帯決議が今理事間で協議されております。そこで、特にこの一つに、これは私ども提案させていただいたわけですけれども、「各省の裁量による恣意的行政を排除し、行政指導の濫用を招くことのないよう、設置法権限規定等の在り方について検討を行うこと。」本当は、設置法は排除ということをはっきり言いたかったわけですけれども、さまざまな諸事情でこういう形になりました。  いずれにしても、この権限規定、これが設置法にあることによっていろいろな問題がある。ですから、幅としての所掌事務、そして深さというか、具体的な固めとしてのこの権限規定ですか、これを明確に立て分けられて、私は、これは要望ですけれども、可能な限り、この権限規定はぜひ設置法から排除して、それぞれの個々の法律で深みをつくってほしい、ぜひそれを要望したいと思います。何かありますか、総理。
  158. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 私は本当に、二枚出されました図面の白地に幾つかの円が空き地を残して存在をしたという、あの書き方に非常に私は感激をしました。そして、私自身がイギリスの法制を調べるのにさんざんてこずりましたので、逆に御説明を受けて、なるほどという感じを持ちました。  その上で、やはり私は、慣習法のイギリス、成文法の日本、慣習法の国のルールをそのままに移すにはやはり無理があると思います。そして、そこがどうしても議員と合わないのですけれども、やはり所掌事務権限は、両方をきちんと法律の上で書くことは、むしろそれ以上の範囲に出ていくことを制限する、白地の部分を残すという意味でも私は大事だと考えておりまして、目指す方向はどうやら違っていないようなんですが、そこに至る道に違いがあるのかな。その御注意は御注意として私は真剣に受けとめながら、今後の作業の中で生かしていきたいと思います。
  159. 若松謙維

    ○若松委員 ぜひこの附帯決議がまず採択されることを望んで、時間もありませんから、次の確認したい点に移らせていただきます。  これも附帯決議が今議論されておりますけれども、特に今回、民主党さん提案基本法案ですけれども、特に行政改革調査会の国会設置という御意見がございました。非常に貴重な提言として、我が会派もこれからも一緒に議論をしていきたいと思っております。  それで、この改革推進本部に対します第三者機関設置、これにつきましては、総理も、民間人の登用とか、また非常にこの第三者機関に対して前向きの答弁もいただいております。さらに、私への答弁の中でも、事務局への民間人登用ということもおっしゃっておりまして、再度確認させていただきたいのですけれども、今後の第三者機関ですか、この位置づけ、もしくは権限ですか、私どもは、当然、事務局がいろいろつくってくる、それぞれのいわゆる行政官僚のさまざまな反発がある、そういったものに対して、本当はこの第三者機関がこれはだめだという拒否権を持てるようなものをしたいというわけですけれども、それも憲法上の問題がある。そういったことで、この第三者機関の位置づけと権限というのは、非常にセンシティブなんですけれども、重要な観点だと思います。  その点及び民間人による中立公正な人選の方法、いわゆる国会の同意人事も含めてですね、この第三者機関設置についての総理の前向きの答弁を期待いたします。
  160. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 二つの点の御指摘をいただいたと思いますが、まず第一に、推進本部をつくりました場合、当然ながら事務局が必要になります。そして、その事務局には民間人の協力が得られなければ基本的にはこれはできることではありませんので、むしろ私ども民間からぜひ人をいただきたい。既にさまざまなところにお願いを申し上げておりまして、よい人をいただけることを心から願っております。  それから、間違いなしに、私は、機動的、弾力的な対応を必要とするのですけれども、第三者的機関、第三者的な立場からきちんと物を言っていただける機関というものは必要だと思っておりますし、本部にこれをきちんと設けるつもりで今検討を進めております。  ただ、今拒否権というような話をされました。しかし、私は、その推進本部というものは全閣僚で構成され、内閣の責任運営されるものですから、意思決定の責任、これは拒否権も含めてです、これはあくまでも推進本部が持つべきもの、そして第三者機関、それはまさにきちんと閣僚から成る推進本部に対して助言もできる、あるいは必要と思った場合に事務局に対して指導助言、あるいは資料を欲しいと言われる、いろいろな形のことがあろうと思います。そして、そういう役割を担っていただかなければならないと思いますし、第三者機関としては、まさに、機構図としてかきづらいのですけれども、推進本部そのもの、言いかえれば全閣僚が集まる推進本部そのものにも物を言っていただける、しかし、それが点線か破線か実線になるのかよくわからないのですが、事務局に対しても御相談相手をしていただけるような、そんな立場を考えなければならない。  今、組織図づくりの一番いい工夫は何か、二転三転させながら、よりよいものをつくろうとしていますが、第三者機関、民間人の方々にお願いをしたいという気持ちに変わりはありません。
  161. 若松謙維

    ○若松委員 第三者機関に対して民間の方に対する協力依頼の意思は変わりないという明言をいただきました。  ぜひ、先ほど言った第三者機関、単なる意見具申し立てたけじゃなくて、どちらかというと監視ですね、やはり国民の期待するところのさまざまな国会議論等をしっかり具体的に反映するような監視、そういったところをぜひ今後も強調して、第三者監視機関、しっかりしたものをつくっていただきたいと思っております。  次、三点目ですけれども、これも、今回かなり、六十時間にわたる審議があったわけですけれども委員長、御苦労さまでした。スリム化効果の目標値の明示、これも各党からかなりいろいろな議員指摘されました。  それで、実際に、本当にこの行革がやる気なのかというのは、やはり国民の側からすれば、金額で示してほしい、幾ら私たちにとって税金がセーブできるのか、そういったところだと思うのですよ。ところが、結論は、皆さんの御答弁は、やってみないとわからないと。恐らく国民の皆さんはそういうふうに理解しているのじゃないかと思うのですね。  それは、段取りは必要ですよ。ところが、やはり民間の立場ですと、経営計画をつくるには、幾ら売り上げを伸ばすか、幾ら経常利益を出すか、数字が出ないと次のアクションというのはとれないのですよ。これは今後の行政も同じなんですよ、成熟社会ですから。  私、そういう感じですので、最終の局面ですから、ぜひ総理から、本当に独立行政法人でどのぐらいスリム化するのか、また、公務員の一割削減は当然純減とかという議論がありました。本当にどのくらい税金をセーブしようとしていくのか、そういったところをやはり明言を期待しているのが私の後ろにいる国民じゃないかと思うのですけれども、いかがですか、総理。
  162. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 私も、これは前に御答弁したときと基本的に変わりようがないのです。  というのは、間違いなしに、例えば定員が、あるいはその局が、これは数量的に目標を法文上明示しておるわけですけれども、二〇〇一年一月一日までの時点で、なおかつ、現在の例えば定員管理のもとで定員を減らそうとしております。そして、そこまでの間には、独立行政法人化するものあるいはその他のものがある程度もちろん確定してもらわなければなりません。その時点になれば、定員という部分からの量的な縮減の数字というものは出てきますけれども、現時点において、これを定量的に歳出額としての減として出すというのは、これは本当に無理なんです。  また、独立行政法人の設置数あるいは個別の改革事項についても、計画的に行っていくということはもちろん申し上げておりますけれども、定量的にこれを示すということは非常に困難だということは御理解をいただきたい。  そういうものができるような状況になれば、少なくとも定員の目標についてお示しをできる時期は来ると思いますけれども、それは二〇〇一年一月一日の時点から後の問題でありまして、その点はぜひ御理解をいただきたいと思います。しかし、そういう数字を示せる状況になったとき、少しでも大きなものがきちんと国民にお目にかけられるように努力をしてまいりたい、そのように思います。
  163. 若松謙維

    ○若松委員 私も、かなり大きな、全国で十万人以上を超える企業ですか、当然売り上げが兆単位ですね、そういったところを監査して、本当に、部、課、係、しっかり予算管理して、それでしっかり数字を詰めるわけですよ。それはシステムとしてできているわけですね。  日本は今まで、予算どりの審議だけで、あとは、どちらかというと決算がおろそかだった。そんなところから、今の議論をしていても、現実には恐らくデータがないと思うのです。そういった議論も実は小里長官お話しさせていただきました。でも、やはり国民は本当は、行革をやって、総理が期待されるところの新しい行革の姿、それによってこれだけ支出が削減される、よってこれだけ税金を国民に還元するとか、また減税するとか、そういったところの行革収支予算書というのですか、本当はこういうものを出していただくのが総理の使命だと私は思うのです。首を振っていますから答弁は期待できませんので、次の冨沢委員に移ります。ありがとうございました。
  164. 高鳥修

    高鳥委員長 この際、冨沢篤紘君から関連質疑の申し出があります。若松君の持ち時間の範囲内においてこれを許します。冨沢篤紘君。
  165. 冨沢篤紘

    ○冨沢委員 冨沢篤紘でございます。  まず、平和・改革は、本委員会質疑終結次第、中央省庁等改革基本法案の一部修正案を提出することを表明いたします。  さて、行革征伐田舎芝居が展開をされ、内容の大幅後退、換骨奪胎の基本法案提出をされて、四週六十時間に余る審議が続いております。特別委員会委員質疑でも参考人の御意見でも、法案の内容は不十分であるという多くの意見が出されました。不十分であっても間もなく採決になる。その前にきちっと申し上げておいて、改善をしなければ子や孫の世に悔いを残すことになる、こんな点を幾つか申し上げながら、総理の御見解を求めるところであります。  私は、神奈川県で市会議員、県会議員をやっておりました。地方分権についてまずお尋ねをいたしますけれども、国には地方分権推進委員会があります。きょうの神奈川新聞では、推進計画最終案が今月の二十六日閣議決定の運びになる、こう出ておりまして、計画の中身を一日も早く知りたい気持ちであります。  地方の側にみずからの分権や行政改革を検討する公式機関がないことであります。地方分権というのは地方自身の問題であることから、政府地方分権推進委員会あるいは政府機関だけが決定したことを地方に押しつけていく、こういう形ですと、当然、地方としては、私も地方議員として経験があるのですが、地方の反発が出てくる。反発ばかりが目立ってしまう。審議の過程でも、小里長官、何度も御発言のとおりでありまして、まともな議論が交わされない可能性が大変大きい。  実は、けさも私、田園都市線の中央林間の駅頭で、私の選挙区の四つの市を大合併をして、九十三平方キロメートル、五十二万人で、神奈川県で第三番目の政令都市をつくりましょうよという訴えを一時間やってまいりました。一般市民、住民には大拍手の政策でも、四市の市長が一人になる、百十名の市会議員が五十名に減る、こういうことで、そんな発言は、市長は、国会議員の押しつけではないかとよい顔をされないのであります。     〔委員長退席、虎島委員長代理着席〕  問題は、少子・高齢社会に向けて、自治体の規模はどのくらいが適正かという重大な問題でありますけれども、まともな議論がされないわけです。押しつけと反発の関係になってしまう。これでは制度改善が望めないわけでございます。  そこで、総理にお伺いしますが、地方自治体の首長や議員あるいは有識者などを委員とする地方版の地方分権推進委員会を常設して、地方行政改革の方針をみずから問題として検討、決定をする、こういう制度改正が必要であると考えますが、いかがでございますか。
  166. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 地方のお考え、これは、議員は今分権推進委のみを挙げられましたが、地方制度調査会等、長い歴史の中で今までにも随分熱心な議論がなされてまいりました。また、いわゆる地方六団体と言われます全国知事会、都道府県議長会、市長会、市議会議長会、町村長会、町村議長会、これらの中においても非常に真剣な議論がなされておることを承知いたしております。  そして、議員は、その方々だけのという意味なのか、あるいはその方々を中核とした審議会という意味なのか、言いかえれば、学識経験者を交えたような形を御想定なのか、六団体を構成するそれぞれの代表者のみをグルービングすることをお考えなのか、正確にわかりませんけれども、今一つの御構想を提起されました。私は、それは一つの考え方だと存じます。  しかし、今まで、全くこれは内閣総理大臣という立場ではなく、例えば国民健康保険制度を議論いたしましたり、ある種の社会福祉関係補助金を一般財源化しようといたしましたり、そうした経験の中で、都道府県と市町村の意見のぶつかり合い、あるいは富裕団体と非常に財政力指数の弱い、例えば市という名前においては共通でありましても、豊かなところと貧しいところ、さまざまな角度で意見が非常にまとまらないという経験を、私は率直に申し上げて何回かいたしました。  そして今回の地方分権推進計画、第四次の答申をいただきました後にも、分権推進委に、例えば、市長会の共通の御意見としては出てこなくても、政令指定都市としてのあるいは中核市としての、いろいろな角度から違った御意見というものが六団体の中にも存在するはずなので、そうした意見をちょうだいすることはできないか、そうした部分に対しての勧告もまたいただけないかというお願いを申し上げておりますが、やはりそういう角度で議論提起しますと大変御苦労が多いようであります。  それだけに、議員の御提起、私は一つの考え方として否定をいたしませんけれども、例えば市なら市、町村なら町村の代表を選ぶこと自体から非常な困難に逢着するのではなかろうか、それは相当言うべくして難しいのではないかという思いを率直に今いたしております。
  167. 冨沢篤紘

    ○冨沢委員 新しい制度に踏み込むことの難しさ、これは確かにあると思います。しかし、現実に介護制度を間もなく発足させなければいけない。十万人単位の自治体がこの制度を単独で導入することの難しさを、私は地方議員として十分勉強をしたつもりでございます。  そういう意味で、一定規模の自治体に編成をし直さなければいけない。これは、やはり地方議員も我々国会議員もともに取り組んでいく大きな問題であろうかと思います。とすると、現場の市町村のベースでこういう地方ベースの、国ベースの地方分権推進委員会のような、こういう組織が必要だな、現場で運動しておりましてそんな実感を得たもので、これから私自身の研究課題にもしてまいりたいと存じます。  話を進めます。  官は民の仕事をしない、これは原則でございますが、金融、保険基本的に民間仕事承知をしております。基本法は、しかし、こうはならない。国営の郵政公社は、貯金保険業を営むことになります。お国が民業を圧迫する最悪の制度が温存をされてしまう。  総理、三百三十兆円というこの金を市場から集めて国が運用している、これが民間金融機関を弱めていることにお気づきだろうと思います。ここのところを正して、日本の金融市場の育成、発展につなげていく、これが改革のスタートになりませんか。いかがですか。
  168. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 この問題は、行政改革会議の中でも大変大きな論議を呼んだ部分でございました。そして、中間報告を出しました後にも、なお真剣な論議が続けられ、また、世間でもさまざまな角度から御論議がございました。そして、私がよく申し上げておりますこと、預託制度を廃止したということを、ひとつ見ていただきたい。これだけでどれだけ大きな変化を生じるか御理解をいただきたい。  同時に、率直に物を言わせていただきますならば、民営化しろしろという声があると聞きながらも、どこの党からも、郵政事業を、三事業民営化しろという正式のお申し入れをいただくところは、残念ながらございませんでした。  さまざまな御意見があることは承知をいたしておりましたが、行革会議は、その意味では、それぞれが自由な立場で御論議をいただきますから、民営化も含めてさまざまな観点の御論議もございました。しかし最終的には、マスメディアによる世論調査等の中に出てくる国民のお感じというものもまた一体どういうものなのか、利用者の利便性、国民が真に今望んでおられること、そうしたことも十分に検討した結果、郵政事業の実施部門を郵政事業庁、さらにこれを国営の新たな公社に、そして民営化等のことは行わないというルールを決めました。  議員の御指摘のような御意見があることは私も承知をいたします。しかし、この事業運営に当たり、限度額を設ける、市場金利に即した金利設定を行うといったような措置をとっている、預託を廃止する、郵便事業民間参入のチャンスが生まれる、こうした努力が払われていることも公平に御評価を願いたいと存じます。
  169. 冨沢篤紘

    ○冨沢委員 お考えはお変わりにならないようなので申し上げますが、国が積極的に民営化に打って出る、その試算がございます。慶応義塾大学の加藤寛前教授の研究グループの試算、総理も御存じだろうと思いますが、郵貯、日本開発銀行など財政投融資関連の主要十二機関を民営化すれば、株式売却収入として国に約二十三兆七千億円が入る、こういう試算があります。国民に新たな負担を求める前にこれら一連の民営化をする、行財政改革の切り札になるという提言がありますが、政治家に必要な要件は、先を見通す判断とそれを実行する勇気、私はこう思いますが、いかがですか。
  170. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 それがもし私の承知しております加藤寛先生のグループからの試算でありますならば、その対象としておられます特殊法人等の中に、東証の上場基準をクリアしておりますものが幾つあるかもお調べをいただきたいと存じます。  東証の上場基準に合わないものまでが計算の中にあったものが発表されたことがありまして、私どもそれをめぐって議論をいたしたこともございますので、その上で、議員は恐らく私より極めて先見性をお持ちの方だろうと敬意を表しますけれども、私は、今まで皆さんがいろいろなことをおっしゃりながら、本当に中央省庁を根こそぎ変えよう、あるいはそのベースに分権を進め、規制緩和を進めというものを少なくとも国会で御審議をいただき、あなたは笑い物のような言い方を冒頭にされましたけれども、そうした法律案を御審議をいただき、成立をさせていただくならば、その中央省庁の統廃合というものが本物になるというところまでようやく参った。自分なりに私は、ここまで来てようやく御論議をいただける、そしてトータルとしてのお示しをした考えに、賛否は別として議論をしていただける、そう感じております。
  171. 冨沢篤紘

    ○冨沢委員 金融、財政が分離をしない財務省が誕生いたします。池田委員がいろいろ御質問をされておりましたが、産経新聞の本年一月十一日の記事に、日銀の総裁におなりになりました速水優さんが寄稿をされております。「財政と金融の分離は必要」という立場で寄稿文が書いてございますが、一部読ませていただきますと、これで財政と金融との行政上の分担は明確になるのかと思った、行政改革案の最終段階で大蔵サイドや族議員の巻き返しがあったためか、当初の改革案が逆戻りしかねない情勢を見て、橋本政権の構造改革の熱意は一体どこへ行ったのかと思わざるを得ない。速水優さんの御意見でございます。  こういう御意見の速水氏を日銀総裁に任命された総理の御感想を伺わせてください。
  172. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 速水さんは今までにも大変ユニークな御意見を恐れず発表される方でありました。野党になりました当時の我々にも一番厳しい御発言をしてこられた方であります。そうした方であればこそ、私は、今の日銀を立て直し、国際的な信頼を日本の中央銀行にもう一度取り戻していく上で大切な方である、そのように考え、お願いをいたしました。
  173. 冨沢篤紘

    ○冨沢委員 速水氏のこの論点に総理は御賛成をされるのですか。
  174. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 この国のために必要として日本銀行の総裁をお願いをした方であります。当然ながら、それだけ私は尊敬もし、その過去の経歴、学んでこられた学識にも敬意を表します。しかし、それは、速水さんの述べられるすべてのことに私が賛成するということではございません。
  175. 冨沢篤紘

    ○冨沢委員 日銀総裁と内閣総理大臣、お考えが違うということは当然あり得ることでございますが、国家経営の根本、大蔵省の財政と金融分離問題について全く意見が異なっている、これは異なことだ。ひとつ、これからどちらが日本の二十一世紀の「この国のかたち」であるのか。私は、財政と金融は分離をきちっとする、そしてでき上がる財務省は主計と主税の二局に限定をして仕事をしてもらう、これが「この国のかたち」だ、こう信じておることを申し添えます。  最後に、行革に魂を入れる倫理問題への早急な対策が必要と考えます。大蔵省不祥事が国民の前にあからさまになった、国民はみんな腹を立てている、これを通り越して今はあきれ果てている、信頼を取り戻すスタートに何としてもこの国会国家公務員倫理法と情報公開法を成立させなければいけない、私はこう思って取り組んでおるところですが、総理の御所見を伺いたい。
  176. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 情報公開法をぜひ今国会において成立をさせていただきたい。私どもにとりまして大切な法案であります。また、公務員倫理法につきましても、同様の重みを持つものであることは申し添えるまでもありません。  その上で、現在御審議をいただいておりますこの基本法案、私どもとしては、議員のお考えとはちょっと反しておるようですが、ぜひ成立をさせていただき、議員は疑問符を呈しておられますが、必ず行政改革を進めていかなければならないというその基礎づくりをぜひ御協力を賜りたい。心から願っております。     〔虎島委員長代理退席、委員長着席〕
  177. 冨沢篤紘

    ○冨沢委員 御答弁ありがとうございました。
  178. 高鳥修

    高鳥委員長 次に、佐藤茂樹君の質疑に入ります。
  179. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 自由党の佐藤茂樹でございます。  きょうは、三十五分間という時間をちょうだいしておりますので、なるべく橋本総理と二十一世紀のこの国のあるべき形というものについて議論をさせていただければ、そのように思います。  それで、二十一世紀の「この国のかたち」を考えるに際しまして、私どもも、行政改革というのは最も重要な政治課題でありまして、行革に対する国民の関心も並々ならぬものもありますし、また、国へ地方を通ずる極めて厳しい財政状況から見ましても、まさにこの行政改革というのは喫緊の課題である、その認識は多分今の政府と変わらないであろう、そのように思うわけでございます。ですから、いい改革案が出されてくれば我々も当然賛成する余地もあるわけですけれども、今回の基本法案はやはり何点か問題があるのではないのか、そういう認識の上から以下質問をさせていただきたいと思います。  最初にまず、総理は、今までの当委員会の中でもこの法案はプログラム法だと言われました。何ゆえ、プログラム法なら、もう少し行政改革というものを大きくとらえてトータルなプログラム法にされないのかということを最初にお尋ねしたい。  というのは、行政改革というのは、今回のこの法案が対象としておりますいわゆる省庁再編問題というようなそういう小さな視点だけでとらえるのではなくて、地方分権の推進であるとか、また行政民間役割分担の明確化、そして規制緩和というような、そういう、またさらには、先ほど最後に答弁ありました情報公開法であるとか、また行政手続法、また公務員倫理法の問題なども含めて、少なくとも幾つかのものを同時並行で同じ方向に向かって推進されなければならないのではないかという意識を私自身は持っております。  それで、そういうさまざまな小さな部分も含めますが、特に、柱となる地方分権の推進と規制緩和、また撤廃というものは、よく言われますけれども行政システムの変革のための車の両輪である、そういうように言われておりまして、国の行政の範囲を明確にするためにもこの車の両輪と言われる二つの改革というものをきちっとしていかなければいけない、そういうふうに私自身は認識しております。  今回の改革というものを一言で言わせてもらうならば、例えが間違っているかもわかりませんが、車に例えると、中央省庁という車体を模様がえしたけれども、車の両輪が果たしてついていっているのかどうかわからない、そういう状況ではないかなと。だから、本体、車の本体である中央省庁、それを本体としたならば、車の両輪である地方分権と規制緩和も、セットで一体性を持って同じ方向を向いているというプログラム法をつくるべきではなかったのかな、そういう認識を私自身は持っているのですが、まず橋本総理の御所見を伺いたいと思います。
  180. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 私は、あなたがおっしゃっていることを否定するのじゃありません。その上で、何回も御答弁を申し上げてきておりますように、本年の三月三十一日で規制緩和の三カ年計画は終了いたしました。三月末。今度は、四月一日以降の三カ年計画を既にスタートさせ、現にこれが動いております。本当に、今月の末になってしまうそうですけれども、四次にわたる地方分権推進委員会、そこでまとめられました勧告というものも、非常に膨大な地方分権推進計画として公表することになります。これらはそれぞれが、国会がお認めになったそれぞれの組織の中で別個に論議をされ動いておりました。行政改革会議考えました時点で議員のような考え方を持ちましたからこそ^両方の作業というものがむだにならないように、その中核の方々に行革会議にお入りをいただき、その御意見を踏まえて中央省庁の再編を取りまとめてきた次第です。  そういう意味では、議員が、全く私どもが分権あるいは規制緩和等の努力を怠り、中央省庁の看板のかけかえという言葉までお使いになりましたけれども、そういう中身のものではございません。分権されて地方に移るもの、規制の緩和・撤廃、見直しという中で国の役割の減少するもの、両審議会で論議をされてまいったものを土台にした上でこの中央省庁議論をしてきております。さらに、お触れになりましたが、情報公開もまた別の角度で論議をされてまいりましたが、今回、並行して国会で御審議をいただいております。  私どもは、観念論を申すのではなく、現実に進行しておりましたものはそれなりに踏まえ、これを生かし、その上で今回の基本法を御審議を願っているということは御理解をいただきたいと存じます。
  181. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 今の総理の御答弁で、看板の立てかえという言葉は私使っていないのです。車体の模様がえという話をしたのですが、まあ、それは同じようなことだと思いますが。  それは別として、それで、要するにこの規制緩和、規制緩和で、平成七年から九年まで二千八百二十三項目ですか、これをずっとされてきた。今回、四月の一日から六百二十四項目、こういうものをされるというふうにお聞きしています。今総理の御答弁にありましたように、間もなく地方分権推進計画を、一次から四次の勧告に基づいてこの計画を立てられる。そういう規制緩和であるとか、また、特に地方分権の方は後でお聞きしたいのですけれども地方分権推進計画のこれからの計画の内容というものがこの中央省庁再編の改革基本法案のどういう部分にきちっと生かされているのだ。行政改革会議会議の中にそれぞれの代表の方が来られてきた、これは議論の中で当然大事だと思うのですけれども、でき上がったこの改革基本法案の中にそういう地方分権推進計画、また委員会などで議論されてきたものがどういうように生かされているのか、簡単に答弁伺いたいと思います。
  182. 小里貞利

    ○小里国務大臣 大筋は総理の方からお話ございましたが、先ほどお話がございますように、ただいま御相談申し上げておりまする中央省庁再編が本体であるとすると、やはり分権と規制緩和というのは両輪だ、まさにそのとおりだと思うのです。私どもは、そういう原則をきちんと認識をいたした上で、先ほど総理が答弁申し上げましたように、実質それらの作業におのおの取りかかっております、もう既に原案として、あるいは具体化し実施中のものもあります。  議員お話がありましたように、二千八百数十項目の規制緩和の実行を今いたしつつありますが、それでもなおかつ、この中央省庁再編という焦眉の急の根本問題も抱えておるから、その中もひとつ検証してみようということで検証をいたしました。その二千八百の中で三百数十項目はどうもまだ徹底していないようだ、しかも重要な課題だというのをさらにその中から抽出をいたしました。そして、先ほど先生お話しになった六百数十項目の中に打ち込んで、そしてこの前、公表いたしたことは御承知のとおりであります。  さらにまた、今後の問題につきましても、まだ課題、たくさんあるぞ、前向きで、ひとつ不断の見直しをということでやっておるということを先ほど申し上げた次第でございます。  なおまた、お話がありました地方分権計画につきましても、四次にわたる間において、相当基本的な一つの考え方というものはきちんと一応出されておりましたから、御承知のとおり、機関委任事務はこうだよと、国と地方団体とのかかわり方、あり方というものはこういうものだよと、上下主従の問題じゃないよと、いろいろそういう基本的なところを踏まえまして答申いただいておりましたから、その後、政府の関係筋におきまして、それらを基本にして集中的に議論をしてきました。そしてそれが、先ほど総理から話がありましたように、近々、その具体的答申に基づく実行計画、実施計画というものが整理がつくものですから、御説明を近々申し上げます、御報告を申し上げますと申し上げておる次第です。  なおまた、これは余談でございますが、一体その後の検討状況というものはどういうものかというのを、私は私なりに責任ある立場でありますから、中間報告も毎日のごとくとっております。そしてここに、いろいろ、地方事務官制度の廃止とか権限移譲の推進とか必置規制の見直しとかに非常に具体的に手をつけていてくれてはおるなという感じを私は持っておりまして、御指摘のような、そういう合理的な、しかもパンチのきいた地方分権計画というものをできるだけひとつ求めたい、さように思っておるところであります。
  183. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 私は、先ほどの民主党伊藤委員でしたかと同じような話になるかもわかりませんが、今回、やはりやり方の手順、改革を進める手順が、我々野党側が考えているのと少し違うのではないのかな、それは後でちょっと見解をお伺いしたいのですけれども。  我々、特に私自身の考えでは、やはり行政改革基本というのは、まず肥大化し硬直化した行政の守備範囲を明確にする。それで、政府でよく使われている簡素で効率的な、そういう行政システムにしていかなければいけない。そのためには、やはり行政民間役割分担をまず明確にする。民間にゆだねるべき事務というのは、また事業民間にゆだねましょう。その民間事務事業というのは規制の撤廃・緩和を進めていきましょう、これは規制緩和になると思うのですけれども。  あわせて、こっちの行政でやるべき部分というのが、国と地方公共団体の役割分担というのを今度は明確化を図りましようと。その中で、そういう地方公共団体に事務事業を移譲することによって、特に住民に身近な事務については地方公共団体がやりましょう、そして国のやるべきものは国がやりましょう、これが地方分権ということだと思うのですけれども、こういうことがセットにならなければいけない。  だから、まずそういう作業の中で何が一番の主眼かというと、行政の守備範囲をやはり明確化しなければいけない、そういうところだと思うのですけれども、今回の中央省庁等改革基本法案は、とりあえず今のまま、まず省庁を大くくりして、その後一年ぐらいかかって、これは総務庁長官がよく答弁されておりますけれども、今度新しくできる改革推進本部を中心に、設置法とか内閣法とか、そういうものもいろいろチェックしながら、行政の守備範囲を明確化してスリム化しましようという、やはり一年後になるのですね、今回の法案では。それは我々の考えでいるのとは順序が逆ではないのか。  やはりまず、国のやるべき行政の守備範囲というものはこうですよということを地方分権と規制緩和とセットにして考えて、それによって行政の、国のやる部分というものは、ある程度きちっと決めた上で、その後それによって、省庁の再編というのは、その中で、この仕事はどこがやるのかというのを決めていくのが行政改革の手順ではないのか、そういうふうに我々は考えているのです。  今回の基本法案のプログラムによると、まず中央省庁を大ぐくりしましょう、その中で、あと業務については内閣法とか設置法とかいろいろ見ながら、一年間という目標を総務庁長官は言われていますが、一年間かけて改革推進本部で一生懸命、事務局も設けながらしっかりとやっていきましようと。これは要するに、形を先につくっておいて後で行政のスリム化について検討しましょう、そういう、手順として逆ではないのかなという感想を私は持っているのですけれども、そのことに対して御見解があればお答え願いたい。
  184. 小里貞利

    ○小里国務大臣 私は、佐藤議員お話をお伺いいたしておりまして、私ども考え方それから手順等々、また現実にやっておること、御相談しておることは、大体概観して佐藤議員がおっしゃるとおりやってきているのではないかな、そういう気がしてならないのですよ。決して佐藤議員考え方を否定するものではございません。  まず、佐藤議員、手順をおっしゃる。それはもう手順はまさにおっしゃるとおりであって、私どもも、箱も中身も二〇〇一年一月一日を目標にしております。そのための前段の前段の基礎的な作業は大体来年の春ごろまでに一応成案を得ることを目標にいたしておりまして、その過程におきまして、例えば先生お話しになった官民の責任区分、業務区分もきちんとしなさいよ、これも今既に御相談を申し上げておるところであり、そのための具体的な作業を進めるための根幹になる手順も、きちんといろいろと制度設計等を示して御相談を申し上げておるわけでございますから、官民の具体的区分について、官民だけのことに機能する手順ではありませんけれども、きちんと御相談を申し上げておる。  あるいは仕事、組織の組み立てにおいても、根幹に関することは、例えば事前管理から事後チェックはこうですな、あるいは機能分担もこうしなければいけませんな、あるいは地方出先はこういうふうに整理統合しますよ、あるいは公共事業もこう打ちますよ、そういう基礎的な考え方は先刻来御説明を申し上げておるところであります。  あるいはまた、ただいまおっしゃったように、分権作業も車の両輪だとおっしゃるから、そのとおりでありますと。分権についても、御承知のとおり、はっきり申し上げますと、もう既に二、三年前から御相談をして、今日に段取りは政府はしてきておられたな、私はそういう判断をいたしておるわけでございまして、先ほど申し上げたように、近いうちに分権についても具体的に計画は出てまいります。  決して、これらをもって十分とは思っておりませんけれども、精力的に前向きで検討しておる。そういうものがセットされたものでなければだめだよというお話でございまして、まさにそのとおりだと思う次第です。  それからもう一つ、最後に守備範囲のお話をなさったのでございますが、これも本当に耳しげく申し上げておるように、今の政府が果たすべき役割とは何ぞやということをこの際私どもは勇気を出して具体的に切り込んでいくのですよということも申し上げておりますし、またそのための具体的な手続、進め方についても、もう耳しげく申し上げてまいったつもりでございまして、大体、先生、立場こそ違え、考えていることあるいは進める手順は、大まかにおいて、私は同じ一つの考え方に立っておるのだなという気持ちを持つ次第です。
  185. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 私は、総務庁長官が何をもって一緒だと言われるのかわからないのですが。  要するに、我々の言っているのは、中央省庁の再編と地方分権と規制緩和は同時にやりなさいと。ところが、中央省庁の再編の中身、これは一年かけて後でやりますということを今回の基本法案は言われている。特に、何で中身が大事かというと、これは地方分権推進法の第四条にもきちっと言われておりますし、また地方分権推進委員会の第一次勧告、これは分権型社会の創造というところで、地方分権推進委員会というのは本当にいろいろと大変な作業をされてきて、よく総理が答弁で言われていますが、五百六十一の機関委任事務をそれぞれ分けられて、十一は事務自体を廃止すべきだ、二十は国の直接執行事務にするのだ、あと残りの五百三十を、たしか三百九十八ですか、自治事務にして、二百七十五を法定受託事務にするのだというような作業をもうされてきた。  その前にきちっと提言されていることとして、もう当たり前のように提言されていることとして第一次勧告の冒頭にどう書いてあるか。それは、「国と地方役割分担の基本考え方」「国と地方役割分担の原則」、ちょっと長くなりますが読ませていただきます。   地方分権を推進し、国と地方の新しい関係を確立するため、国と地方公共団体とは一次の原則に従い、役割を分担することを旨とするものとする。  (1)国が担うべき事務   国は、   ①国際社会における国家としての存立にかかわる事務   ②全国的に統一して定めることが望ましい国民の諸活動又は地方自治に関する基本的な準則に関する事務   ③全国規模視点で行われなければならない施策及び事業などを重点的に担う。  (2)地方公共団体の担う事務   地方公共団体は、地域における行政を自主的かつ総合的に広く担う。こういうように第一次勧告、これはもうその前の中間報告から一貫してですけれども、まず大事なのは国と地方役割分担の原則ですよと。そういう原則、推進委員会で勧告されてきた内容、今回の法案のところどころを見ると、それを尊重してという部分は一生懸命出ていますが、一番尊重しなければいけない国と地方役割分担の原則ということが今回の法案の中でどこまで反映されているのですか。  国と地方役割分担ということをこの法案をつくる段階では明確にせずに、これからその部分については、一年間かけて細々とした仕事の内容一事務の内容については見ていきましようというのが今回の基本法案なのではないですかということが私の先ほどからお聞きしたいことなんです。
  186. 小里貞利

    ○小里国務大臣 率直に申し上げまして、議員は一府十二省庁体制という概念が非常に頭におありのようでございますが、それはそれといたしまして、私どもは、一府十二省庁体制というのは行政目的別にくくりましたということを最初から申し上げておるわけです。その中におきまして、例えば今お話がある国と地方との役割分担についていろいろ基礎的な一つの考え方というものは申し上げておるわけでありまして、それも今お話があったとおり。  例えば、住民に近い行政は住民に近い機関、団体でやるべきですな、そういう大事な基礎的なところを述べておることも御案内のとおりでありまして、そういうような基本的な国と地方役割責任分担の数多くの要素と申し上げますか、原則に立ちながら、今からまたひとつ具体的に掘り下げて議論をいたしましょう、また広く国会国民の意見をお聞かせください、こう申し上げておるわけであります。そして、その中の具体的な一つの対応として地方分権計画というものが、先ほど申し上げましたように、大きな柱の一つとしてまた出てくるのであります。  そういう進め方でございますから、したがって、箱も中身も言うなれば明年の春ごろにきちんと整えて御相談するものでありますという、これからの改革日程を説明いたしておりますこと、御承知のとおりであります。
  187. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 私は、確かに総務庁長官の決意は大体わかりました。しかし、一番の、これから中央省庁改革推進本部ですか、これが御苦労される、これは本部長はもちろん総理ですけれども中身として、今回最終報告でも言われていますけれども、「時間的制約があったことにもよるが、」と、中は中略しますが、「各省の内部組織の在り方については、今回の報告の全体を踏まえ、今後、政府において、精査を行うべきである。」という最終報告のとおり、これから特に今の地方分権推進計画を尊重すると言われました。それに基づいてどれだけ実際の内部部局、局とか課ですね、そういうところの仕事を減らしていくのかという判断の根拠を、もう一回総務庁長官にお聞きしますけれども、その基準はこの地方分権推進計画に置かれるというように考えてよろしいですか、一つの判断の根拠。
  188. 小里貞利

    ○小里国務大臣 地方分権計画については、地方分権の今次実行計画をお示しすると申し上げておりますことが大きな要素の一つになることは間違いありません。  それからまた、お話がございました行政組織の組み立てにつきましては、例えば地方分権計画については現在の自治省、自治大臣等々の御意見なども重要な参考にしながら検討を進めるべきである、さように思っております。
  189. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 それで、私は、この法案を見て少し単純な疑問を持った部分。  その作業をこれから精力的に中央省庁改革推進本部でされていくわけですね。ところが、附則の一項ですか、「この法律は、公布の日から施行する。ただし、第六章の規定」、これは中央省庁改革推進本部の規定ですけれども、これについては「公布の日から起算して四月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。」  私は、先ほど来やりとりする中で共通した認識に立っているのは、これからの中央省庁改革推進本部の作業は膨大なものになって大変なものになるな、そういう認識は多分共通して持てたと思うのです。ところが、なぜそれをすぐ公布の日から、公布の日といっても物理的には二、三日おくれるかもわかりませんけれども、そういう具体的に設置する動きになさらずに、「四月を超えない範囲内に」というような時間的余裕を持たれるのか、単純な質問ですが、わかちないのですけれども
  190. 坂野泰治

    ○坂野(泰)政府委員 この推進本部は組織でございます。その組織の発足については、その職員の任免、あるいはその組織の事務室の確保その他の準備に必要な期間を確保するという趣旨でございます。可能な限り早期に設置をし、業務を開始する必要があることは御指摘のとおりでございますが、その準備に関する期間をある程度確保する必要があるという趣旨から置いておるものでございます。
  191. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 いや、それはそんな四カ月もかかるのですか。長官、総理でも結構ですが。
  192. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 これは、率直に申して四カ月もかかるとは思っていません。  ただ、例えば各省の中からも優秀な諸君をもらわなければいけませんが、これは、我々あてがいぶちをもらおうとは思っていません。やはりこういう仕事を本当にやろうという気持ちを持っている人たちを選びたいと思います。  しかし、民間から来ていただこうとする方々は実はもっと大変です。これは、実はもう既にお願いを始めている場所はございますけれども、まだ具体的にどういう方をという提示をいただいているところはありません。  言いかえるなら、その方が、何歳ぐらいの方を出していただけるのか。そして、その民間企業の中で特にどういう分野を主として経験してこられたのか。それによって、その方に働いていただける場所も変わります。また、ある程度エージェンシー化とかいうものを考える場所には、これは民間から、本当に経験を持って心配をしないで移行できるようにする、その仕組みを考えてもらうようなノウハウを持った方も欲しいわけです。そういう方がどこにおられるか。そして、この方がいいと思った方でも、本当に来ていただけるかどうか。これはある程度の時間がかかります。なかなかそう簡単に、お人の人生を狂わせる話ですから、特に民間からの協力を得るというのはそんなに簡単にはできません。  かつて国鉄改革の際に、JR各社のある程度の方向が定まる段階で、それぞれのJR各社に民間からお人をいただこうと思いましたときに、当時私は運輸大臣でしたが、それぞれの地域に、あるいは鉄道に関係する企業にぜひこういう方をいただきたいと言って、なかなかいただけませんでした。  そうすると、ある程度の時間がかかるということだけは、真剣になればなるほど必要なものだと  いうことは御理解をいただきたいと思います。
  193. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 今、推進本部の人選について等、総理から大変丁寧な説明をいただきましたけれども、ということになればなるほど、この委員会でも、総務庁長官が、来年の今ごろにはそういう各省設置法等を出すというような話をされていましたけれども一やはり最初のスタートがおくれると非常に現実問題として難しくなるのではないのか。  というのは、先ほど来地方分権推進委員会の話をさせていただきましたが、あれは平成七年の七月に委員会が始まったと思うのですけれども、それから、冒頭申し上げたように、例えば五百六十一項目の機関委任事務をどうするのかとか、あと国の関与をどうするのかとか、また地方の自主財源をどうするのかとか、そういうような議論をずっとされてきて、具体的にこの計画の段階に持ってくるまでに、やはり三年かかっているのですね。  そういうことを考えると、総務庁長官が言われたように、来年の今ごろには各省の設置法を、改正したものを出せますというようなことが果たして本当にできるのか、このことを最後にちょっとお聞きしたいと思います。
  194. 小里貞利

    ○小里国務大臣 これは仮定の仮定でございましてまずお許しをいただきたいのでございますが、衆議院、参議院……(発言する者あり)いやいや、これは非常に大事な話ですから申し上げます。国会の意思を決定していただきますと、仮定の話ですが、御承知のとおり、まずこれは公布される。公布までを一般的に申し上げますと、恐らく三、四日というのが一般的な一つの期間でございましょうから、そういうようなことなどを想定しながら、そして先ほど総理の方から御説明申し上げましたように、大変さまざまな高度な人選なり組織づくりをいたさなければなりませんので、余裕を持ってと申し上げますとどうかと思いますが、とにかくとりあえず四カ月という幅を置いた。  しかしながら、議員指摘のように、大変国民的大きな要請のある問題でありますから、せっかく国会で御決定いただきました以上は、あとう限り早期に機敏に、かつまた適切に対応することが非常に必要である、さように思っておる次第でございます。  なおまた、来年の今ごろと申し上げたようでございますが、遅くとも来年の今ごろまでには、国会の御都合もおありでありましょうから、提案しなければならない問題だな、さように私どもは判断をいたしております。
  195. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 それで、話は変わりまして、地方分権の話だけ、一点だけお聞きしたいのですけれども、これは推進法をつくるときにいろいろ議論をしました。我々、当時新進党案では、あえて五年という時限を決めないでおこうということで提案をした覚えがございます。ところが、当時、村山総理のもとで総務庁長官をされておりました山口鶴男総務庁長官は、とにかくだらだらしないで集中的かつ精力的にやるのだ、そういうようなことで、とにかく五年の前半分で地方分権推進計画をつくってしまって出すのだ、そういうようなことまで私の質問に対して答弁されていた覚えがあるのですね。それに対して、推進委員会の機能というのは、一つは勧告という機能があります。もう一つは、計画に基づいた地方分権の推進状況、実施状況をきちっとチェックして総理に意見を述べる、総理はその意見も尊重しなければいけないという、そういう二つ目の機能があるのですね。  そのことを考えますと、地方分権推進計画がまだ明らかにされていませんので、何カ年ぐらいの計画を考えておられるのかわかりませんが、やはりそういう地方分権推進委員会のような、第三者がきちっとチェックして総理にきちっとした意見を述べるというような委員会というのは、何らかの法改正するなり、あるいは今回の規制緩和の事務室をつくられたような、ああいうチェック機関を設けるとか、また今回先ほどから話題になっている中央省庁改革のための第三者機関を設けるとか、そういう観点からしても、地方分権推進委員会を法改正してその委員会だけもう少し長く延ばすとか、さらには違う法体系のもとでそういうチェック機関を存続させるということは必要ではないかと思いますが、できましたら総理の見解を伺いたいと思います。
  196. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 先ほど来、他の委員にも申し上げましたけれども地方分権推進計画、今国会の終了するまでのできるだけ早くに作成を終わり、確実に実施するということを申し上げてまいりました。現在作成中のこの計画、私が中間時点で報告を受けました中でも法律の整備を要するものは相当数に上りますけれども、これらについて、原則として十一年の通常国会に所要の法律案を提出するということで作業を進めております。  地方分権推進法によりまして設けられている地方分権推進委員会、これはその任期が平成十二年の七月までございます。そして、その存置期間中は、政府地方分権の推進状況、まさに今議員が触れられましたように、監視する、その役割を果たしていかれるわけでありますから、これが健全に存在している間、その後の姿をどうこうということを議論するのはむしろ私はちょっと失礼ではないかと思いますし、むしろ、逆に言えば、この権限の行使される期間において、私どもは、少なくとも今ちょうだいしておりますものについてきちんとした終止符を打たなければいけないのじゃないだろうか、そのように考えております。
  197. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 時間が参りましたので、質問を終わります。ありがとうございました。
  198. 高鳥修

    高鳥委員長 次に、松本善明君の質疑に入ります。
  199. 松本善明

    松本(善)委員 きょうは、締めくくり総括でございますので、今までの本委員会での審議経過を踏まえまして、総理に主として御質問をしたいと思います。といいますのは、やはり国の形といいますか、そして国家百年の大計ということも言われておるこの法案でありますので、行政改革会議の議長以来ずっとかかわってこられた総理に主としてお聞きしたいと思います。  その前提として、最初に、小里長官に一問お聞きしようと思います。これは、総理に御質問する前提にもなるものでございますので、総理もお聞きいただきたいと思います。     〔委員長退席、野呂田委員長代理着席〕  最終報告は、申し上げるまでもなく、国づくりを強調し、国家百年の大計などと言っておりますけれども、二十一世紀を展望した国づくり計画と言うには、私は、かなりほど遠いものがあるのではないかと思います。  審議の中で、各党推薦の大学教授の参考人の意見をお聞きをいたしましたが、自民党推薦の佐々木毅東大教授でさえ、二十一世紀を展望するというけれども、なかなかそこまでは行き切っていない、ベースキャンプをつくるようなものだと述べて、それでさえも、参考人質疑質問攻めといいましょうか集中的に質問をされて、みずから評判が悪いと認めざるを得ないような状態でございました。ほかの参考人の御意見も、この法案は非常にいいものだから急いで通した方がいいというような御意見は全くありませんでした。  それで、小里長官は、いろいろ質問をされて熱心に答弁はされましたが、いろいろ欠陥はあるけれども、とにかく通してくれという言葉を私は何回もお聞きをいたしました。  これは、私はベースキャンプ論とよく似ているように思うのですが、この法案によりまして、通れば、内閣機能強化を前提に推進本部をつくって、そしてこれは行革についての方向は、行政改革という言葉は各党みんなそれは必要だと考えていても、方向が全く違う。私どもからいえば、新ガイドライン対応、腐敗利権構造の温存、国民生活総切り捨て、これはもう審議の中で細かくいろいろやりました。しかも、今マスコミでも破綻をしているということが指摘をされております橋本六大改革を推進する、そういう国家機構づくりを、国民的合意のないまま、国会でも与党だけが賛成するというような状況で強権的に進める、それがいわゆる佐々木氏も言いますようなベースキャンプ論ではないか。中身はいろいろ、小里長官も欠陥がある、とにかくしかし通してくれ、それからいろいろやるのだからという趣旨のことを私は言われたように思います。そういうことではないでしょうか。
  200. 小里貞利

    ○小里国務大臣 ただいま御発言の中で、基本法案につきまして、欠陥もありますがというがごとき発言をしたと、欠陥という言葉を使って松本議員お話してございます。私は、欠陥という言葉を直接使った記憶はちょっとないのでございますが、申し上げるまでもなく、私どもも、完全無欠でありますなどという気負ったものは決してございませんでして、そういう一つの感覚であるいは何らかの表現をとったかと思いますが、欠陥という言葉だけは使っていない、こういうふうに御確認をいただきたいと思います。  それから、佐々木教授云々のお話でございますが、これは、国会がお決めになりまして国会の立場でお聞きになった一つの所見でございますから、私どもも参考までにお聞きした、そういう所感以外にございません。
  201. 松本善明

    松本(善)委員 私が申しましたのは、この審議全体を、ずっとやってまいりました審議経過といわば感想のようなものを述べて、総理に御質問をしようというふうに思ったわけでございます。  私は、「この国のかたち」ということが最終報告で言われて、その中では、唯一具体的な解決の必要な問題として提起をされているのは、いわゆる五百兆円の負の遺産の解決ということになっているかと思います。  しかし、もう申し上げるまでもありませんが、政府の公共事業中心の景気対策一財政構造改革法の改定で公共事業のキャップが外れるということははっきりいたしました。財政構造改革路線はここで崩れた。小泉厚生大臣などが主張されて来年度は社会保障についてはキャップを外すという。しかし、これでは済まないだろう。我が党はこれは廃止すべきだと主張していますが、野党は少なくとも二年凍結ということで足並みをそろえようとしている。私どもも接点があると思っております。自民党の総務会でも、有力な財革法凍結論を押し切って、やっと決めたということが報道をされております。  恒久減税が必要になれば、財政構造改革路線は完全に破綻をする、そういう状況で一方ありながら、片っ方では、日本列島に六つも膨大な資金の必要な橋をかけるという五全総をやるという、これは本委員会で再々論議をされました。五百兆の負の遺産をこれではふやすだけじゃないのか。どうやってこの負の遺産をなくしていくのか。また、この省庁再編の法律はそこにどう役に立つのか。私は、大きな展望として、総理、この今の現状、そして今橋本内閣が考えている公共事業などを踏まえますと、この省庁再編は一体何のためにやるのだ、負の遺産の解決に役立つのか、そういうような諸点について総理の所見を伺いたいと思います。
  202. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 今、議員お話を承りながら、どこから論点が違うのかな、とにかく、私ども考えでいる思考のメカニズム、その中から出てまいりますものと基本的に同じデータを共有しておるはずにもかかわらず、これだけ大きく考えが変化するのだろうか、率直にそんな感じがいたしました。  私は、財政構造改革の必要性というものを、これは御党も否定はなされていないと思います。その上で、経済の状況、今の景気の現況の中で、緊急に景気を回復させていくための対応策を考えるべきときであることも、私は御否定にならないと思います。  そして、この問題はまた別に御論議をさせていただく場があるでありましょうが、同時に、もう議員もよく御承知のように、地方分権推進委員会が過去二年以上御論議をされて四次の勧告を提出されました。これは、間もなく地方分権推進計画として世に問うことになります。また、行政改革委員会の中で論議をされてきたものが引き写され、規制緩和というものにつきましても、過去三カ年の計画が一応終了をし、この四月一日から規制緩和というもの、新たな三カ年計画が動き始めております。  そうした中において、そうした先行している地方分権あるいは規制緩和というものを土台にあるべき将来の姿を想定しながら行政改革を進めていく、その中において、当然ながら、それだけスリム化していく中央省庁のあり方を検討し、一府十二省体制というものにこれを集約化していこうとする、そうした方向が、議員の御論議からいくと大変よくないことをしているような感じがいたしますけれども、私どもはよくないことをしているとは思っておりません。  また、新たな全総につきましても、私どもは、阪神・淡路大震災という悲惨な体験の中において、国土軸一本という国の弱さというものを痛感いたしました。そうした深い悲しみと反省の上に、複数の国土軸を持ち、それを地域軸で連携させていくことの必要性を痛感しながら計画はまとめております。
  203. 松本善明

    松本(善)委員 総理の今の長い御答弁をお聞きしましても、私は、やはり二十一世紀、輝かしい展望が語られたとは思わないのです。五百兆の負の遺産を解決をするという展望が総理の口から国民の前に明らかになったとも到底思わないのです。それを私はこの委員会での審議全体の中で感じているということを申し上げた、今の御答弁からもそのように思いました。  私どもは、財政再建十カ年計画というのをこの間の総選挙のときにも提起をして、国民に問うております。それは総理も御存じのとおりであろうかと思いますけれども、私は、今の総理のお話から、やはりこれは国の形とか国家百年の大計というのはまくら言葉にすぎないんじゃないかということを痛切に感じました。  この委員会で、私ども国民生活とのかかわりの問題についてはいろいろ論議をいたしました。参考人で地方自治体の長がお見えになりました。みんな地方財政のことを心配していらっしゃる。もちろん私どもとは立場がかなり違う方々でありますけれども、みんな心配している。そして、介護の状況が将来一体どうなるんだろうとみんなその懸念を述べておられました。私は、この省庁再編の法案が何らそれに解決の方向を示していないということをこの参考人の陳述の中から感じました。  私は、農業の問題でも農水大臣といろいろ議論をしましたが、これはもうそこで農水大臣と繰り返して議論をしようと思いませんが’総理にお聞きしたいのは一二十一世紀を展望した場合には、イタリアで食料サミットも行われました、世界的な食料危機が来るということはもう常識であります。それに対して、食料の自給率の向上はこの法案に一言もないのですね。それから農業関係の研究機関、これが農業総合研究所以外は全部独立行政法人の対象になっている。もし国家百年の大計ということであるならば、一体これから百年先に向かって何を国家として研究しなければならないのか、やはりそういうような論議をして、そして行政改革の方向を決めなければならぬ。行政改革会議ではそんな議論はほとんど皆無です。  私は、それは小里長官とも議論をしましたが、二十一世紀を展望してやはり国民に安全な食料を安定的に供給をする。これは細かい農業関係の議論をしようとは思いません。そういうことがこの中にはないじゃないか。二十一世紀を展望してそういうようなことを本来論議をしなければならぬ。そういう形でこの行政改革が論じられる必要がある。総理はそれについてどうお考えになりますか。
  204. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 行政改革会議の最終報告におきまして、二十一世紀の主要行政課題の一つの中に「食料の安定供給の確保」というのはきちんと位置づけられておりまして、これは「食料の安定供給の確保、農村・中山間地域等の振興、森林の保護及び育成等」を主要な任務とする農林水産省の設置というものがまさにこれにこたえるものになっております。また、その農林水産省の編成方針として掲げられている内容も議員は御承知のことと存じまして、そういう大事な問題を考えていないという御批判は私どもとしてはうなずけません。  「食料の安定供給の確保」ということは、まさに自給率の維持、向上も含まれるでありましょうし、より良質な食料をどう入手するかということでもありましょう。もともと食糧安全保障というものの必要性は、私どもが野党のときにも、当時の政府がウルグアイ・ラウンドの農業交渉、最終に行動をどうされるかというとき、私どもは食糧の安全保障というものの重要性を訴え続けておりました。そして、APECの議長国としての日本が、非公式首脳会合において二十一世紀のアジアの成長制約要因としてこの問題を取り上げたことも御記憶のとおりであります。  私どもは、その問題を忘れておるわけではございませんし、そういう視点がないと仰せになられることには、私は納得のいかない思いがいたします。
  205. 松本善明

    松本(善)委員 総理はそういうふうにお答えになりましたが、自給率の向上が必要だ、含まれていると言われます。これは私は注目すべき答弁だと思います。今までそのようなことが入らなかったのです。それで、この法案の中にも入っておりません。私はそのことを指摘をしております。  研究機関の問題についてはお答えになりませんでしたが、全体として、特に独立行政法人の対象になる試験研究機関の問題については、小里長官とも別個によく議論をいたしました。それから国立病院その他の論議も、独立行政法人については各党いろいろ議論がありました。この対象について深い論議が行政改革会議でやられた形跡は全くありません。     〔野呂田委員長代理退席、委員長着席〕  私は、委員会審議で、総理はおいでにならなかったから繰り返すのですが、長官は御存じでありますけれども、独立行政法人の対象になるのは最終報告の別表一、二だけにとどまらない、それよりふえることもあるという答弁でありました。行政組織の減量、効率化基本方針を決めております三十二条は、政策実施に係るものは独立行政法人の対象になるとしている。今回だけでなく、今回は先送りになっていても将来にわたって対象になり得る施設等機関と、それから実施庁と位置づけられた官庁の定員を合計いたしますと、公務員の総定員の約七五%になります。何と四人に三人の国家規模の大リストラ計画だ。これは、今回の対象には入れていませんよ。入れていませんけれども、将来そうなり得るということが答弁で明らかになりました。あるいは、その答弁では、それ以上にも広がり得るという答弁にもなりました。  私は、これは国家公務員にとって大問題なだけではなく、国の仕事、公務員の仕事の公共性の放棄ということにつながるのではないか。こんなことがわずかの期間の審議国会を通過をするということになれば、これはもう重大なことになるのではないか。国会で時間をかけて出てきた問題をやはり国民の前で十分に論議をする。それで、国民的な合意を得て、二十一世紀、国家百年の大計ということですから、野党が全部反対するというようなことで国家百年の大計を決めるというようなことは、やはり我が国のあり方として決してよくない。  そういう、十分に国会主導で、私は最初に総理に御質問したときも、これは、今度が初めて国会で論議になる、やはり国会で、行政改革会議でやったと同じぐらいの、あるいはそれ以上の論議をしなければならぬということを申し上げました。審議をやってみて、そのようにまた深く感じておるわけでございますけれども、いかがでしょう。
  206. 小里貞利

    ○小里国務大臣 賢明なる松本議員お話でございますが、この前も議論を申し上げましたように、今の一連のお話をお伺いいたしておりますと、独立行政法人という制度設計をいたします、そして、それを国会で御了解いただいた、では、具体的にどういう客体団体がありますか、施設、機関がありますか、大変なものがありますねと。しかも、その大変なものを独立行政法人化でのみ込んでいくのですな、そして、その数字は七十万、八十万あるのではないのというような先生お話に聞こえるわけでございますが、決してそういう、何と申し上げますか、私どもは無原則に話をいたしておることはございません。  この前も議論申し上げましたように、私は、事実ここにたくさん、先生がおっしゃるその団体、機関、施設を書いたのを持っておりますが、これは、行政改革会議の論議で取り上げられたものをとりあえず参考として整理をしましたと申し上げたとおり、そういう一つの基準のものでありますということを御認識をいただきとう存ずるわけです。  しかしながら、野党の他の議員先生方も力説をいただきましたように、今度の簡素化効率化という国の中央省庁再編においては、独立行政法人化というのは重要な本質を持っているなということは、私どもは決して否定はしてはならぬと思うのです。それはもう具体的に国会の皆さんにも相談するし、既存の関係省庁にも相談するし、国民にも十分相談しながらこれを進めます、独断専行はいたしませんということをこの前も申し上げたとおりでございまして、そういう原則を御理解いただきたいと思います。  なおまた、具体的公務員数などを先生、強いて挙げられましたけれども、あえてそこを申し上げる必要はどうかと思うのでありますが、必要があれば政府委員の方から説明をさせます。
  207. 松本善明

    松本(善)委員 総理が答弁されるならば、その前にちょっと言っておきますが、私は、全部法律に基づいてきちっと、先ほど来の話は繰り返しませんけれども委員会でやったものでございます。それに基づいて総理がお答えになることがあればお答えいただく、なければ結構です。
  208. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 強いてお答えをすべきことかどうかわかりません。しかし、全野党が反対と先ほど言われました。確かに、その賛否ということになるとそのようであります。しかし、御党のように、防衛ということに大変なアレルギーを示されます方々もおられますが、今回、なぜ、千載一遇のチャンスなのに防衛庁を省に昇格させなかったか、だから反対だとおっしゃる方もおられます。反対という言葉にくくれば、それも同じことでありましょう。  ただ、いろいろな角度から議論をいただける、それは大事なことでありますし、その上で行政改革というものは粛々と進めていかなければなりません。
  209. 松本善明

    松本(善)委員 もちろん野党の中でもいろいろ方向は違います。その議論、防衛問題でも独立行政法人でも意見の違う点もあります。あるいは自民党の、与党の方と例えば意見の一致する部分もないとは言えないのですよ。例えば郵政事業民営化問題なんかもっと私ども徹底して反対であります。小泉さんの言うことにもうんと反対です。そういうようないろいろな違いがあるのです。あるのですけれども、野党がみんな反対している、これは簡単に通すようなものではないよと。これはもっと徹底して審議をすべきものだということが一致をしているのですよ。  それで私は最後に伺いたいと思うのでありますが、総理、二十一世紀を展望するということになりますと、私はどうしても聞いておきたいと思いますのは、国家百年の大計、二十一世紀に日本に米軍の基地はずっとあるのでしょうか。私は、これは日本の国家百年の大計ということを考える上で非常に大事なこと、あなたの展望の中には基地がずっとあるままの二十一世紀でしょうか、伺っておきたいと思います。
  210. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 二十一世紀がカレンダーを二十二世紀に変えようとする時点まで私は想定する能力はございません。  しかし、二十一世紀を迎える時点において、私は日米安全保障条約というものを我々は必要としておると考えておりますし、また日米安全保障条約というものが確固として存在することがアジア太平洋地域における安定を大きく助けておる、そういう状況は継続しておると考えております。
  211. 松本善明

    松本(善)委員 時間が来ましたので終わろうと思いますが、私は、イラク問題を見ましても、軍事力万能の時代は終わった、アメリカの一国覇権主義が通用する時代も終わろうとしている、これはもう世界や日本のマスコミを見ても明らかであります。二十一世紀までずっと続くということになりますと、戦後百五十年、一世紀半にわたって日本がアメリカに従属をしていく。今、後藤田さんを初めとして私たちと全く違った立場の方が同じような発言をしておられます。  私は今、橋本内閣については、橋本退陣というのは、もう野党だけでなくて自民党の中からも財界からも公然と語られている。このような橋本内閣に国家百年の大計を任せることができないのは当然だと思います。国会主導で行革会議以上に時間をかけて国家百年の大計を論すべきだ、橋本内閣に行政改革提起する資格はないんだ、やはり撤回して退陣すべきだし、国民主権の常道に従って衆議院を解散して総選挙を行う、国民の信頼のもとにやり直すべきだということを主張して、質問を終わります。
  212. 高鳥修

    高鳥委員長 次に、深田肇君の質疑に入ります。
  213. 深田肇

    ○深田委員 総理、御苦労さまです。最後の一人でございますので、よろしくお願い申し上げたいと存じます。  締めくくりの総括ということでございますから、いろいろな印象を含めながら少しお話をしてみたいと思います。  総務庁長官、御案内のとおりこの委員会でも、先ほどからお話がありますとおり、参考人ということで労働界のメンバーや学識経験者の諸先生の方々もお出かけいただきまして、意見を拝聴することができました。同時にまた、もう今の今まで同僚議員のいろいろな与党、野党を含めての政府とのやりとりも聞かせていただきまして、大変新しい認識もできたわけでありますけれども、ただ問題は、国民の側が今回の、いうところの行革についてどういう印象を持っているかというところが一番ポイントだというふうに思います。  ただ、はっきり申し上げて、今回の行革基本法の方については、なかなか世論の支持といいますか理解が高まっているようには思えません。  これは誤解があってはいけませんから正確に申し上げておきますが、行政改革そのものは、国民は大変期待をしたり大いに進めるべきだという声が多数あるようにこれは見受けることができます。それだけに、この基本法の方に対して、国民の方から大きな拍手が起きたり、どんどんやれよという推進の激励が余り届かないことについて、いかがなものかなというふうに思いながらきょうまで討論に参加をさせていただいたことを率直に、総理の前ですけれども申し上げておきたい思います。  幾つか意見があるようでありますけれども、やはり今回の基本法については、まだよくわからない、見えないとか、それからまた一方では、一府十二省というこの枠組みづくりだけが大きく宣伝されて、これはマスメディアの影響もあると思いますが、そこだけ大きく宣伝されることによっていかがなものかなというのがあるんだろうというふうに思います。  その意味合いからいたしますと、長官にくれぐれも、私どもメンバーとしても協力する立場から申し上げるのでありますが、この法案が成立いたしましたら徹底的に国民に対してよく説明をする、わかりやすく説明をする、具体的な例を挙げながら説明をする、そして、野党の方から多く出てまいりました、もう政府答弁は何遍もあったわけでありますけれども、いわゆる地方分権との絡みだとか、同時にまた、いわゆる規制緩和の問題などを並行してどんどんやるんだということなどを寄り寄り説明することが、本格的な新しい日本をつくるための行革のために今大事なことだと思っておることを一つ申し上げておきたいというふうに思います。  そういうふうに申し上げた上で、長官に再度またお願いいたしておきたいなと思いますことは、この行革基本法をつくり上げて本格的な新しい日本をつくるためには、やはり戦後五十数年間官公庁の現場で頑張ってきてくれた働く者といいますか、公務員の方々の立場を大事にしてやる。その人たちの財産もあってここまで来たわけでありますし、同時にまた、その公務員の方々の御家族たちが不安感を持ったりすることがないように、極力配慮することが大切なんだろうと思います。  まずそこから理解も得てきて、そこの、あえて言いますが職員団体や労働組合が、今の時点でこういったことについては、いわゆる労使間で協議した結果、事前協議も含めてその点はこういうふうにわかってきたんだ、したがってこれはやろうぜというような格好になることが全国民的な、いわゆる全体の足並みをそろえるためにはまず最初にやるべきことではないかと思う立場から、長官に一つだけお願いを含めて提起をさせていただきたいと思います。  この討論の中でも出ましたが、私どもが関係諸団体等や個人とお話をいたしましてやはりみんなが一番わからないといいますか不安感を持っていますのは、独立行政法人の制度が今回でき上がるということであります。この移行の過程において、このいわゆる独立行政法人制度のありようについては、いろんな意味の誤解もありましょうし、知らないところから来た話もありましょうし、一部の方の見解が流れることによってのこともございましょうから、その点では、この場でひとつ確認の意味できちんとしておいていただきたいなと思いますことは、法律四十一条にあります労働問題への配慮のところでございます。これは何としても、このいわゆる独立行政法人制度を具体的に適用するに当たっては、職員団体といいますか、私どもではこれはあえて労働組合と言いたいのでありますが、労働組合と事前の打ち合わせや協議をしっかりされて、そこでの理解ができて、それで一緒になって、これからの日本のためになすべき課題はこれなんだというふうに足並みをそろえる行動ができますことが大変大切だと思いますので、配慮のほどを改めてもう一度お願いをいたしておきたいというふうに思います。  いま一つは、法律の四十七条のところであります。もう御案内のとおり、国の行政組織の整理及び簡素化のところでありますが、ここのところでも雇用問題は、まあ削減という言葉を否定しません、流れでございますからそのことを否定するわけではありませんが、言われるところの削減のために何をなすかということじゃなくて、きょうあたりは大分鮮明に出てまいりましたけれども、これからどういうふうな機構図ができてくるか、どういう業務をやるかということによって、おのずから減るところも出てきましょうし、同時にまた新しくふやさなければならぬところもできるかもわかりませんから、そういったものがトータルに調整されることが大切なんだと思いますから、この項目でも、あえて雇用問題につきましては寄り寄りの御配慮をいただくことが大切なんではないかというふうに思っている次第でございます。  特に、この機会に長官の中にぜひひとつ記憶として入れていただきたいなと思いますことは、私どもの知る限り、国民の七〇%は、政府に対して期待しているものは幾つかあると思いますけれども、やはり医療問題であったり、福祉の問題であったり、年金の充実であったり、高齢者や障害者の介護に対する充実の問題であったり、環境保全の問題などについて大変なこれから希望があるわけでありますから、そういうものの期待に沿って、これは結果としては、業務が簡素化できると思ったら新しくやらなきゃいかぬことがあったり、いろいろなことがあると思いますから、プラスマイナスは全体として御調整いただくように、そういった配慮、そういうことを考慮した上でのいわゆる雇用問題等々が、いわゆる定員、定数の問題として計算ができ上がってくる、こういうことが必要なのではないかと思いますので、その点をひとつ長官に、まずはお願いをしながら提起しておきたいと思います。いかがでございましょうか。
  214. 小里貞利

    ○小里国務大臣 大変御丁重な、前段で御注意もいただきました。やはり国民にわかりやすく、しかもこの世紀の大事業と言われる行政改革、殊に当面の中央省庁再編成等が、わかりやすく、しかもその目的、役割、意義等が納得いただけるように懸命に努めよというお話でございますが、まさにそのとおりであります。  昨年末の行政改革会議まとめるに当たりましても、会長でありました橋本総理を初め私どもは、良好な労使関係というものを念頭に入れながら、あの作業にもいろいろと配慮をいたしたつもりでございます。  いわんや、仮に国会の意思が御決定いただけまして、これが、中央省庁再編が具体的に動き出してまいりますと、その中において、いろいろな方面に配慮しなければならないことがたくさん政府としてあろうかと思うのでございますが、殊に、お話の中にありましたように、独立行政法人化の作業のごときにおきましては大変な、郵政公社も含めまして、大きな一つの組織、部隊が移行をするわけでございますから、御注意がありましたような健全な、良好な労使関係は堅持することに意を用いなければならないと思います。  いやしくも、強制解雇なりあるいは強制配転なり、あるいは雇用の問題等を乱すがごときことは十分注意をしながら、関係者の理解と納得の上で、円滑に、かつまたたくましく進めていくべきである、さように思う次第でございます。
  215. 深田肇

    ○深田委員 岡山県に総理がお帰りになったら、あんなにもう駅前に人は集まるし、倉敷の町なんか歩けないほど、激励と激励で集まって大変な人気があって、その総理が提起されているこの行政改革が何で全国的に大きな拍手が盛り上がらないのかなというふうに実は心配している一人です。私も岡山県出身ですから、そういうことを思うのでありますが。  そこであれなんですが、お話がありますとおり行政改革そのものに対しての支持なり期待感はある。しかし、今度のいわゆる基本法については、わからないことを含めてのいろいろな不満があるということでありますけれども、いま一つは、やはり我々政界の側の中でも、時間がありませんから二君で申し上げますけれども政治家次元における不祥事があってみたり、それからまた、あえて使いますけれども高級の官僚の方々のところでもいわゆる不祥事があったり、そういったことが政治不信として出てくる。そのところで大胆な決断をされて、次々と減税を打ち出されるのでありますが、そのこと自体がいい意味ではね返ってこないというこの状況は何としても、国民的な理解を求める中で、全体の盛り上がりをつくることが大変必要なのではないかというふうに思っているわけでございます。  その意味においては、先ほど来総務庁長官の方にも労働慣行や労使間についてのお話をいたしましたので、その点はもう私の方から総理にもう一度申し上げることでございませんから、そういったことを含めながら、いま一つ私が総理に一つだけお願いをして、できれば決断をいただきたいなと思いますことは、先般からお話し申し上げていることでありますけれども、いわゆる大きな官庁ができる、巨大官庁ができることの関係の中で、そこに物すごい権力が集中する、物すごい予算ができる。  そこへ今度、公共事業というのは今日の日本をつくったものでありますから大きな評価をお互い持ちながらも、その中でいろいろな、いわゆる不祥事があったりむだ遣いと言われるものがあってみたりしておるわけでありますから、公共事業のあり方についての見直し論というのは、これまた国民の多数意見としてあるのだろうと思います。  その意味においては、公共事業の見直しについては、総理は答弁の中でも何遍もおっしゃっていますからそのことは十分お考えなんだと思いますが、私、あえてこの中でいま一つお願いいたしたいなと思いますことは、地方分権との関係で、先般もこれらしきことを申し上げたのでありますが、財源も含めて、いわゆる自治体への権限の移譲問題を決断いただいて、そのことの総理の決断が第五次の分権推進委員会にも反映していく、こういう形にすることがこれからの日本のために大変いいことなのではないかというふうに思うわけでございます。  私から多く申し上げることはないと思いますが、国が補助する公共事業を、自治体が主体性を持って、地方の単独事業に移してもらって、自治体がやりたい事業を自主的に決めて自主的に行うことができるというふうになりますと、これは地方と中央の関係も、そして地域における現場との関係も、まさに現場から、いわゆる地域から民主化といいますか近代化がどんどん進むためのいいきっかけになるだろうと思いますので、できれば、この地方分権の推進という言葉の中の具体化の一つとして、いわゆる巨大官庁のところに当然集結されましょうその権限を、できる限り自治体への権限移譲の問題として取り上げてもらう。そのことができれば、今度の省庁改編に基づいて巨大なものができてしまってどうなるかなという不安もおのずから消えるでありましょうし、地方分権もまた具体的に進む、こういうことになりますから、私どもは、これは一石二鳥ではないかと思ったりしていることを申し上げた上で、できれば総理の御見解をいただければいいと思います。
  216. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 今も、平成十年度予算における補助事業の整理合理化の例、その建設省の部分でのものを、現実に執行し始めたものを見ております。そして、公共事業につきまして、国と地方が適切な役割分担のもとに協力、協調して事務を進めていく、これは当然のことでありますし、そうした観点のもとに、議員からも今お勧めがありましたような地方への権限移譲、あるいは補助金などの整理合理化を進めてきました。  この基本法におきまして、そうした視点も踏まえて、国が直接行うものは、全国的な政策及び計画の企画立案並びに全国的な見地から必要とされる基礎的または広域的な事業の実施に限定をして。その他の事業については地方公共団体にゆだねていくことを基本とする、こうした見直しを行っておるわけであります。いわば議員の御主張を受けた形でこうした方向を示唆いたしておりますので、ぜひこの実現方に御協力を賜りますように、心からお願いを申し上げます。
  217. 深田肇

    ○深田委員 ありがとうございました。以上で終わります。
  218. 高鳥修

    高鳥委員長 これにて内閣提出中央省庁等改革基本法案及び伊藤英成君外三名提出行政改革基本法案に対する質疑は終局いたしました。     ―――――――――――――
  219. 高鳥修

    高鳥委員長 この際、内閣提出中央省庁等改革基本法案に対し、若松謙維君外一名から修正案が提出されております。  提出者より趣旨の説明を求めます。大口善徳君。     ―――――――――――――  中央省庁等改革基本法案に対する修正案     〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――
  220. 大口善徳

    ○大口委員 ただいま議題となりました中央省庁等改革基本法案に対する修正案について、提案の趣旨と概要について説明いたします。  中央省庁等の再編成に当たっては、言うまでもなく、権力を中央から地方へ、そして官から民へと分権化していく理念が不可欠であります。また、その上で、中央省庁の再編を行う場合、これまでの各省庁間において存在してきた権力のアンバランスを修正することが求められております。  言うまでもなく既存の中央省庁において強大な権力を保持してきたのが、官庁の中の官庁とも言われる大蔵省であります。戦後の内務省解体の際にも大蔵省だけが無傷で生き残り、予算編成、徴税、財政、金融という枢要な権限を有し、大きな影響力を行使してきたのであります。  ここ数年を振り返るとき、バブルの発生とその崩壊、住専問題、北海道拓殖銀行や山一証券など大手金融機関の相次ぐ破綻、そして構造的とも言える大蔵官僚の汚職問題など、政治の重要課題として浮上した問題群はいずれもが大蔵省に深いかかわりを持ち、あるいは大蔵省に端を発したものであります。  であるならば、金という強大な権力を背景に中央省庁に君臨してきた大蔵省の改革こそが行政改革における焦点とならざるを得ません。大蔵省を中央省庁の中でどのように位置づけ、改革していくかは、時の政権が大蔵省をどのように認識し、行政改革にどのような姿勢で臨んでいるかを象徴しているのであります。  その視点から今回の基本法案を見たとき、大きな問題として残されるのが、金融と財政の分離が不徹底に終わっている点であります。新たに内閣府に金融庁が設置され、金融に関する企画立案は金融庁が担当することにされるのにもかかわらず、別表第二の備考において「財務省において金融破綻処理制度ないし金融危機管理に関する企画立案の任務及び機能を担うのは、金融システム改革の進捗状況等を勘案し、当分の間とする」とされているのであります。  金融破綻処理と金融危機管理の機能を何ゆえに財務省に残さなければならないのか、また「当分の間」とは具体的にはどの程度なのか、この二点については本委員会でもたびたび取り上げられ、政府は具体的な説明を求められたにもかかわらず、政府は、与党三党の合意だからであるという答弁にならない答弁を繰り返すのみで、何ら合理性のある説明を行うことができなかったのは委員の皆様御承知のとおりであります。  本法案に「当分の間」といういかようにも解釈できる文言を残したままで、金融と財政という大蔵省改革の大きな柱は骨抜きにされ、市場原理がゆがめられ、大蔵省の強権体質が温存される可能性があります。  そこで、以下、法案の修正について御説明いたします。  この際、「当分の間」というあいまいな表現を削除し、期限を明らかにする必要があります。今回の法案で、新たに編成される各省の新体制への移行期日を平成十三年一月一日を目標としております。よって「当分の間」は新しい金融庁がスタートする平成十三年までとすべきであります。  なお、さきに成立した預金保険法の一部改正並びに金融システム安定化法において、特例業務勘定及び金融危機管理勘定が平成十三年三月末日の時限措置としている点をかんがみ、修正案では「金融システム改革の進捗状況等を勘案し、当分の間」を「平成十三年三月三十一日まで」に改めるものであります。  また、この修正に伴い、財務省の編成方針を規定した第二十条八号の「金融破綻処理制度」を「平成十三年三月三十一日まで財務省が担う金融破綻処理制度」に改めるものであります。  以上が、修正案の提案理由及び内容であります。  委員各位におかれましては、本修正案に対する御理解を賜り一御賛同くださることをお願い申し上げ、提案理由の説明とさせていただきます。
  221. 高鳥修

    高鳥委員長 これにて修正案についての趣旨の説明は終わりました。     ―――――――――――――
  222. 高鳥修

    高鳥委員長 これより討論に入ります。  内閣提出中央省庁等改革基本法案及び本案に対する若松謙維君外一名提出の修正案並びに伊藤英成君外三名提出行政改革基本法案の各案を一括して討論に付します。  討論の申し出がありますので、順次これを許します。虎島和夫君。
  223. 虎島和夫

    ○虎島委員 私は、自由民主党及び社会民主党・市民連合を代表して、内閣提出中央省庁等改革基本法案に賛成、民主党提出行政改革基本法案及び平和・改革提出の修正案に反対の討論を行います。  今日、地球社会は、有史以来人類が経験する三つの大変革と位置づけられるほどの激動の中にあります。このとき、我が国の政治が大胆に発想を転換し、行政もまた、組織、運営とともに速やかに変革に対応することは当然であり、改革をためらうことなく実現することにより、国民の期待に沿い、その幸せを現実のものとする国家が創造されることを確信するものであります。  このときに当たり、橋本総理は、行政改革が一内閣の命運を超える課題であるとの認識と気概を持って広く意見を求め、その具体化に努め、その成果を本国会中央省庁等改革基本法案として提案したことを高く評価するものであります。  政府基本法案は、このような問題意識から、行政のあり方全般にわたる改革基本方針とその道筋を明確かつ具体的に定めたものであり、行政の抜本的改革を求める国民の声にもこたえるものと考えます。  それでは、具体的に賛成する理由を申し述べます。  まず第一に、内外の情勢変化に機動的に対応し、政府の中枢として総合的、戦略的な政策決定ができるようにするため、内閣の機能を高度化し、総理の指導性が明確化されます。  第二に、行政の減量、効率化のための基本方針を定めるだけでなく、郵政事業の公社化や独立行政法人制度の創設、公共事業の見直しなど画期的な改革が盛り込まれるとともに、新たな省ごとにきめ細かく見直し事項が列挙されております。  第三に、新たな行政課題に対応した中央省庁の再編であります。中央省庁の機能を政策の企画立案に重点化し、縦割りを排した新たな政策調整システムが考案され、政策評価機能の確立や情報公開の徹底など行政の透明化に資する措置も盛り込まれております。  最後に、改革の実施体制やスケジュールについては、新体制への移行のための具体的作業の中核となる組織として、政府内に推進本部を設置することとし、二〇〇一年一月一日に新体制への移行を目指すこととされております。  これに対し、民主党行政改革基本法案では、内容は抽象的であり、改革の具体案づくりは、今後設置される行政改革調査会での検討にすべてゆだねられております。このように、民主党案の内容は、実質的に改革の先送りと言わざるを得ないものであり、反対であります。  また、平和・改革提出の修正案についても、見解を異にするので反対であります。  今次改革道筋を展望すると、この政府基本法案改革の出発点であり、引き続き改革の道はたゆみなく進められなければなりません。本委員会運営に関する理事会では一再ならず激しい議論を重ねましたが、今日採決するに至った経緯を見ても、改革にかける当委員大方の積極的な意思は了察できるところであり、今日を逸すると我が国における政治主導の行革は成らないとの思いさえ持つものであります。  政府は、困難に屈することなく、来るべき二十一世紀へ向けて、確固たる意思と高い理想を抱きつつ、中央省庁改革を着実に推進していかれることを期待いたしまして、私の討論を終わります。  以上であります。(拍手)
  224. 高鳥修

    ○高島委員長 次に、北脇保之君。
  225. 北脇保之

    北脇委員 私は、民主党を代表して、政府提出中央省庁等改革基本法案に反対、民主党提出行政改革基本法案に賛成の立場から討論を行います。  今回の行政改革においては、中央政府のスリム化は大前提であり、不可欠です。しかし、総理も担当大臣である総務庁長官も、この最も重要な点について、国会議論では何ら具体的な方向性を示すことができませんでした。中央政府のスリム化を進めるためには、地方分権と規制緩和が両輪であることは議論の余地のないところだと考えます。しかし、この法案には、その中身について何ら示されていません。  地方分権に関しては五十一条で触れられています。しかし、その内容は、地方分権推進委員会の勧告を着実に実施することという当たり前のことでございます。しかも、問題はこの地方分権推進委員会の勧告の中身です。地方分権推進委員会の活動については、私は敬意を表します。しかし、総理も御承知のことと思いますが、地方分権推進委員会の勧告では、実際の事務事業の移譲は全くと言ってよいほどありません。昨年十月に提出された第四次勧告にわずかに盛り込まれただけです。地方分権推進委員会の中心となるテーマは、機関委任事務の廃止とこれに伴う事務の新たな振り分けです。しかし、機関委任事務を新たに自治事務に振り分けたからといって、その事務は以前から自治体が行っていた事務であり、その点においては何ら変わるところがありません。法律は従来と同じように自治体の事務を細部まで縛っています。さらに、地方分権推進委員会の勧告では、自治体が最も望んでいた地方財源の拡充について、何ら期待にこたえる勧告は行えませんでした。  このように、実際に国から地方への事務も財源も移譲していない地方分権推進委員会の勧告を着実に実施したところで、中央政府のスリム化が進むはずはありません。唯一、公共事業については国の事業限定するとしていますが、その移譲先が地方支分部局では、全く地方分権とは言えません。  規制緩和についても同様です。規制緩和は、ゆっくりですが、それなりに近年進んでまいりました。細川政権が行った携帯電話に関する規制緩和ほど大きな効果は見られませんが、セルフガソリンスタンドの解禁や割安タクシーの導入などはその成果だと評価します。しかし、この規制緩和の推進を担っていた行政改革委員会は、昨年十二月をもって設置期限が切れております。行政改革委員会が言うように、規制緩和は本格的に始まったばかりであり、法令の改正など具体的措置はこれからであります。この大事な時期に肝心の行政改革委員会が廃止されてしまったのですから、後は官僚任せと言わざるを得ません。  このように、現在の政府の取り組みでは、中央政府のスリム化を進める両輪が今後回転していくことを期待することはできません。必然的に、今回の中央省庁改革基本法による省庁再編は、巨大な看板のかけかえに終わることは明白であります。  これに対し、民主党提案行政改革基本法案は、中央政府役割限定を明らかにしています。そのために、地方財源の拡充の方針を明らかにしており、また規制のサンセット化を盛り込んでいます。この法案が成立し、これらが実現した暁には、中央政府のスリム化が大幅に進展することは明白であります。  何よりも重要なことは、これらの改革を立法府が責任を持って二年以内に行うという点であります。地方分権も規制緩和もそして省庁再編も、政府案では官僚に依存しています。これではいつまでたっても、制度疲労を起こしている現在の行政を抜本的に改革することは不可能であります。政治が責任を持って二十一世紀の「この国のかたち」を描き、そのために必要な行政改革を断行することによって初めて、この国を覆う行き詰まり感を払拭できるのです。  以上のように、政府案官僚による単なる看板のかけかえであるという問題点から反対を、民主党案こそが二十一世紀の「この国のかたち」を再構築する真の行革であるという観点から賛成を表明いたしまして、私の討論を終了させていただきます。(拍手)
  226. 高鳥修

    高鳥委員長 次に、若松謙維君
  227. 若松謙維

    ○若松委員 私は、平和・改革を代表して、ただいま議題となりました政府提出の原案並びに民主党提出行政改革基本法案に反対、平和・改革提出の修正案に賛成する立場から討論を行います。  本法案の第一の問題点は、行政改革の手法として中央からの一点突破という観点からは評価できるものの、中央省庁の再編にエネルギーを費やした結果、中央から地方へ、官から民へという分権の視点が非常に弱いものになっていることであります。  地方分権と規制緩和という二つの柱は、理念としては本法案に盛り込まれているものの、具体的な分権の仕組みやスケジュールが盛り込まれていないため、二つの分権が単なる精神規定に終わるおそれがあります。中央官庁に過度に集中した権限地方民間に移譲することこそが行革の星であり、かなめであります。例えば法案の三十二条には、地方民間への業務の移譲及び廃止が規定されておりますが、これらの見直しはいつまでにやるのか、どの程度の減量化の目標を置いているのか、委員会質疑の中でもこの点はたびたび取り上げられたにもかかわらず、政府は明確な答弁を行うことができませんでした。  第二点は、設置法行政のあり方の見直しについてであります。  基本法案成立後には、新たな各省設置法が作成されることになるわけですが、その際に、各省の設置法から権限規定を削除することが不可欠と考えます。現行の設置法には、所掌事務とほぼ対応する形で権限規定が書かれており、これがいわゆる役所の裁量行政の根拠となってきたのであります。裁量行政は、官民のもたれ合いを生み、また近年相次いだ官僚汚職の温床となります。各省設置法を新たに制定するという千載一遇のチャンスをとらえ、この際、設置法から権限規定を削除すべきであります。  この設置法からの権限規定削除は、我々が委員会質疑でもたびたび指摘し、参考人質疑でも有識者から提言された点であります。政府は十分にこの指摘を受けとめ、省庁再編を行う以上は具体化に努力すべきであります。  第三点目は、今回の行革によってどれだけ行政のスリム化が可能か明らかにされなかった点であります。  国民にとって最大の関心事は、今回の行革によってどれだけ行政経費の削減が進むのかであります。公務員の不祥事が相次ぎ、今や行政への信頼は極度に低下する中で、国民は我々の納めた税金が本当にむだなく有効に使われているのかに大きな疑問を持っております。  民間が血を流すような思いでリストラを進める中で、政府行政改革を掲げる以上、行政経費の削減に思い切って取り組むことなしに、到底国民理解が得られるものではありません。しかしながら、この点についても、委員会審議では政府は目標値すら明らかにすることができませんでした。  第四の問題点は、省庁再編に戦略的視点がないということであります。  郵政事業の一体国営による郵政公社化、総務省への電気通信・放送行政の帰属、農業人口の大幅な減少にもかかわらずほぼ現状維持となった農林水産省など、今回の省庁再編には戦略的視点が欠如しております。二十一世紀の世界を見据えながら、削るべきところは削り重点化すべきところは重点化するという柔軟な戦略的思考なくしては、大競争時代と言われる国際競争の中で日本は埋没していく運命をたどらなければなりません。  特に、問題点として指摘しておきたいのが、金融と財政の分離が貫徹されず、金融破綻処理及び金融危機管理が「当分の間」という極めてあいまいな表現で財務省に残された点であります。各省庁の中でもずば抜けた権力を保持してきた大蔵省の改革に禍根を残すことは、改革全体の成否を象徴するものであり、先ほどの修正案の提案理由説明でも指摘されたとおりであります。「当分の間」といういかようにでも解釈できる文言をやめ、期限を明確にしなければなりません。  このほかにも、対象となる独立行政法人が明らかにされず政治的決着の要素を残したことや、今後の改革を推進、監視する第三者的機関の設置が盛り込まれていないことなどが委員会審議で主要な論点として指摘されたにもかかわらず、政府は明確な対処方針を示しておりません。  我々としては、以上指摘したような問題点を残したままでの政府原案は、このままでは到底賛成することができません。  一方、民主党提案行政改革基本法案中央政府役割限定し、そのほかはすべて地方民間へゆだねること、地方税財源の大幅拡充などを掲げ、理念としては我々と立場を同じくするものであります。しかしながら、省庁等の具体的な改革像が法案では明らかになっておらず、かえって改革が数年先に先送りされるおそれが払拭できず、残念ながら賛成を控えさせていただきます。  最後に、我々平和・改革は、本法案が与党多数の数の力によって可決されたとしても、以上指摘した問題点の改善を今後とも粘り強く主張し、真の行政改革に全力を尽くすことを明言し、討論といたします。(拍手)
  228. 高鳥修

    高鳥委員長 次に、佐々木洋平君。
  229. 佐々木洋平

    ○佐々木(洋)委員 私は、自由党を代表し、政府提出中央省庁改革基本法について、反対の立場から討論をいたします。  二十一世紀を目の前にして、今我が国は、政治、行政、経済、社会のすべてにわたり構造改革を断行しなければなりません。行政改革の必要性については今さら言うまでもありません。  我々は、かつて三度にわたり特殊法人の全廃を含んだ中央省庁統廃合のための法律案を提出いたしましたが、政府・与党はこれを廃案といたしました。今になって単なる機構いじり、省庁半減の数合わせの基本法ではなく、直接各省庁設置法の改正案を提出すべきであります。この中央省庁改革基本法行政改革ではありません。  また、橋本総理は、昨年末みずから強引に成立させた財政構造改革法の改正案を提出されますが、橋本内閣はわずか半年先のことも見通せないありさまであります。このような橋本内閣に、国家百年の大計に立って国の仕組みの基本考え、既得権の強力なしがらみを打破しなければならない行政改革など、行う資格も能力もあるはずはありません。橋本内閣ではこの中央省庁改革基本法も実際に実行するかどうか、甚だ疑問であります。  以下、法案に反対する主な理由を申し上げます。  反対する第一の理由は、この中央省庁改革基本法は肝心な中身の見直しを伴っていないことであります。  国、地方民間役割分担を見直し、官から民へ、中央から地方への考えに基づき、規制の撤廃、緩和、地方分権、官業の民間への移管など、民間経済に活力を与え、地方の活性化を図り、もって中央省庁仕事を減らす行政改革を断行しなければならないにもかかわらず、その視点が欠落しております。この法案は、中央省庁改革基本法ではなく、省庁数合わせ法案であります。  反対する第二の理由は、陳情政治や利権政治の温床となり、与党の集票システムの一環と化している現在の裁量行政の仕組みや、一連の官僚による不祥事を初め政治腐敗を生む元凶になっている仕組みを全廃するという視点がないことであります。  そして、反対する最大の理由は、公務員制度、政策の立案執行体制、財政投融資、公共事業のあり方、そして統治機構のあり方など、機構改革に一切メスが入っていない点であります。国と地方でどのように役割分担をするのか、そして権限を移譲する自治体がどうあるべきかという視点も欠落しております。  公共事業は、国が責任を持って行う大規模事業とそれ以外に峻別するべきであります。国の直轄事業以外の公共事業の補助金制度を廃止して、地方自治体に一括交付金として交付をし、自治体の裁量によって自治体が真に必要とする事業が自由に行えるようにしなければなりません。これによって初めて、国、地方役割分担、効率よい社会資本の整備が可能となります。中央省庁権限の縮小は、政官業癒着の構図を断ち切るのみでなく、経済政策においても市場原理の尊重ということであります。  また、中央省庁改革基本法については、役所の数以外は数値目標がありません。行政改革においても歳出削減目標をはっきりと定めるべきであります。橋本総理の六つの改革は、日本の抱える課題を単に羅列したにすぎず、相互にリンクしない点があります。行政、財政一体の見直しを行い、歳出削減を行うべきであります。  今我が国は、少子・高齢化社会を目の前にして、また、グローバル化、ボーダーレス化する経済に対応するために、政治、行政、経済、社会のすべてにわたる構造改革を断行しなければなりません。また、行政改革を成功させるためには、経済の環境の整備も必要であります。財政デフレで経済を失速させ続けている橋本内閣の行政改革は、成功するはずはありません。  今取り組むべきは、大型減税の実現などを柱とした、我が国の経済を自律的に成長の軌道に乗せる経済構造改革を推進すると同時に、官から民へ、中央から地方への考えに基づき、規制の撤廃、緩和、地方分権、官業の民間への移管など民間経済に活力を与え、地方の活性化を図る行政改革を断行することであります。  改革はすべて一つのパッケージとして取り組まなければなりません。行政改革は、機構をいじることや看板をかけかえる、あるいは役所の名前が長いとか短いとかという話ではございません。中央省庁改革基本法は、構造改革を妨げるのみであり、廃案とするべきであります。  以上、反対の理由を申し述べましたが、なお、民主党提出行政改革基本法については、一部賛成できる点はありますが反対し、また、平和・改革提出の修正案についても反対します。  討論を終わります。(拍手)
  230. 高鳥修

    高鳥委員長 次に、平賀高成君。
  231. 平賀高成

    ○平賀委員 私は、日本共産党を代表して、中央省庁等改革基本法案に対する反対討論を行います。  今国民が求めている行政改革は、政財官の癒着構造を抜本的に打ち破り、行政のゆがみを正すことです。ところが、本法案は、政財官の癒着をなくすることは完全に欠落しています。既に破綻した財政構造改革の推進を盛り込んだ本法案は成り立たないものです一橋本行革は国民が求めている行政改革とは無縁のものであり、史上最悪の経済状況国民生活を追い込んでいる橋本内閣に二十一世紀を語る資格はありません。  以下、具体的に反対の理由を述べます。  反対の第一の理由は、本法案は首相権限を強化し、トップダウン的な政策を実行するものであり、新ガイドライン推進のために内閣機能の強化を進めようとしているからです。トップダウン政治は、九兆円の国民負担の押しつけ、贈賄銀行に三十兆円もの税金投入を行うなど、文字どおり国民を欺く悪政の連続です。トップダウン政治は民意の無視であり、行政に対する国会のコントロール強化に逆行するものです。  内閣機能の強化は、新ガイドラインに沿った有事に即応できる軍事優先の強権的国家体制をつくる一環であり、到底認められるものではありません。  第二の理由は、公共事業の七割を占める巨大利権官庁を出現させ、破綻した苫小牧東部開発やむつ小川原開発など、ゼネコン浪費型の国家的プロジェクトを進めるものであるからです。ゼネコン型の大規模公共事業の浪費とむだをなくし、公共事業の見直しを行わなければ財政再建はできません。国土交通省をつくり、従来型のゼネコン浪費型公共事業を推進し、利権と腐敗構造を二十一世紀まで温存させるものです。  第三の理由は、本来、国の責任で行うべき公共分野を放棄し、国民生活に密着した部門を縮小しているからです。  財務省の編成方針に財政構造改革の推進が明記され、労働福祉省の編成方針では社会保障制度の構造改革を推進するとしています。財政構造改革は、社会保障や医療、教育、中小企業、農業予算を容赦なく削減するものであり、社会保障制度の構造改革は、保険あって介護なしの介護保険、医療保険制度、年金制度の全般的改悪など、社会保障制度の連続切り捨てをねらったものであります。  農水省の編成方針は、食料自給率の向上に一言も触れられていないばかりか、大規模農家に農業政策を絞り込む新政策を推進することにしています。これは、家族経営中心の日本農業を崩壊させ、ひいては食料自給率を引き下げることになります。  さらに、法案は郵政事業民営化にレールを敷くものであるからです。  第四の理由は、独立行政法人制度を導入し、国民生活にかかわる公共の分野を減量という名で徹底的に切り捨てる仕組みづくりを目指しているからです。  独立行政法人の対象は、国立試験研究機関、検査検定、作業施設、国立大学など、公務員全体の七五%にも及ぶものです。基礎研究や公共的、長期的視野に立った研究は、どれをとっても、独立行政法人における三年から五年で結果が出るような単純なものではありません。このように、国の責任を放棄し、公務員に雇用不安を引き起こすものであります。  そもそも国の行政とは、憲法でも明確なように、国民の福利と基本的人権の保障を実現するために存在するものであり、行政改革は、その目的の実現を図るために行政を見直すことにあります。行政のゆがみに指一本触れない橋本行革は、「この国のかたち」を一層いびつにするだけであります。このゆがんだ国の形を正常な形にするためには、まず国づくりに失敗した自民党橋本内閣が退陣することであります。  日本共産党は、二十一世紀に向け、取り返しのつかない破局に国民を導く本法案を廃案に追い込むまで、全力で奮闘する決意を表明いたします。  なお、民主党案、平和・改革修正案、いずれも見解を異にするので賛成できないことを述べて、反対討論を終わります。(拍手)
  232. 高鳥修

    高鳥委員長 これにて討論は終局いたしました。     ―――――――――――――
  233. 高鳥修

    高鳥委員長 これより採決に入ります。  まず、伊藤英成君外三名提出行政改革基本法案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  234. 高鳥修

    高鳥委員長 起立少数。よって、伊藤英成君外三名提出行政改革基本法案は否決されました。  次に、内閣提出中央省庁等改革基本法案及び若松謙維君外一名提出の修正案について採決いたします。  まず、若松謙維君外一名提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  235. 高鳥修

    高鳥委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。  次に、内閣提出中央省庁等改革基本法案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  236. 高鳥修

    高鳥委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     ―――――――――――――
  237. 高鳥修

    高鳥委員長 この際、ただいま議決いたしました内閣提出中央省庁等改革基本法案に関し、野呂田芳成君外三名から、附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者より趣旨の説明を求めます。福島豊君。
  238. 福島豊

    ○福島委員 私は、自由民主党民主党、平和・改革及び社会民主党・市民連合を代表して、中央省庁等改革基本法案に対する附帯決議案の趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     中央省庁等改革基本法案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点に留意し、その運用に遺憾なきを期すべきである。  一 政府は、内外の社会経済情勢の変化を踏まえ、我が国の社会経済構造の転換を促進し、より自由かつ公正な社会の形成に資するため、中央省庁改革による新たな体制の実現に向けて、不退転の決意で取り組むこと。  一 国民負担の軽減を図るため、政府は、行政のスリム化、特に国の事務事業の廃止等を含む見直し、公務員数の削減、府省の局・課・室数の削減を着実に実行すること。  一 政府は、中央省庁等改革基本法案に基づく国の行政機関再編成の大前提となる、規制撤廃・緩和、地方分権の推進、公務員制度改革等について速やかに具体策を策定し、国会審議に供すること。  一 行政機関の編成は本来柔軟であるべきこと等から、政府は、今後再編成の具体化に当たっては、社会情勢の変化等を踏まえて柔軟に対応すること。  一 各省設置法その他関係法律の立案に当たっては、事前裁量型の行政から明確なルールに基づいた行政への転換を目指して、各省の裁量による恣意的行政を排除し、行政指導の濫用を招くことのないよう、設置法権限規定等の在り方について検討を行うこと。  一 今後の中央省庁改革の推進に当たって、中央省庁改革推進本部に第三者的機関を設置する方向で積極的に検討すること。また、同機関は、中央省庁等改革基本法案に関する国会審議を踏まえ、中立・公正な立場から審議するものとすること。  一 中央省庁改革推進本部は同機関の意見を尊重するとともに、国会に対して適宜、報告を行うこと。  一 同機関の人選に当たっては、国会における論議を踏まえ、広く有識者や国民の意見を反映できるよう留意すること。  一 独立行政法人制度の適用に当たっては、職員団体等、各方面の十分な理解を求めつつ行うこと。  一 公務員の定員削減については、雇用問題に十分配慮して対応すること。  以上の附帯決議案の趣旨につきましては、質疑の過程を通じて各委員承知のことと思いますので、説明は省略させていただきます。  何とぞ委員各位の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。(拍手)
  239. 高鳥修

    高鳥委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  野呂田芳成君外三名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  240. 高鳥修

    高鳥委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。  この際、ただいまの附帯決議につきまして、総務庁長官から発言を求められておりますので、これを許します。小里総務庁長官
  241. 小里貞利

    ○小里国務大臣 ただいま議決のありました事項につきましては、政府といたしましても、御趣旨を踏まえまして配慮してまいりたいと存じます。     ―――――――――――――
  242. 高鳥修

    高鳥委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました両法律案の委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  243. 高鳥修

    高鳥委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――     〔報告書は附録に掲載〕     ―――――――――――――
  244. 高鳥修

    高鳥委員長 本日は、これにて散会いたします。     午後五時二十九分散会      ――――◇―――――