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中桐委員 行政監察の機能というのは、文字どおり、決められた法律の範囲内において予算がきちんと執行されているかどうかというチェックだと私は
理解するわけですね。そういう意味においては、
政策決定のプロセスまで含めたいわゆる
政策評価機能というふうなものは、そういうところには余り期待できない。したがって、そういうシステムをこれから同時に考えていかなければならない。
アメリカの経験を参考にしても、
省庁の箱物の再
編成というよりは、それはプログラムの中にあるけれ
ども、むしろそれは、
政策評価のシステムをきちんと機能させる中で
省庁というものをどういうふうに再編すればいいのかという形でプログラム化されているというふうに私は
理解している。
例えば、今のGPRA法という
行政改革の
政策評価の法律ですね、この法律のプログラムは、大体十年ぐらいの単位で
政策評価の機能を全
省庁に貫徹をする、こういうプログラムになっているわけです。つまり、
政策評価というものを確定していくためには相当時間がかかるわけですよね。
その理由としては、特に国の行っている
行政というのは、自治体の
行政の
サービスに比べても、数値目標を設定するとか、あるいは
国民にわかりやすい形で、アウトカムといいますが、いわゆる成果を、きちんと目標を立てて、その目標に従って成果を評価する。あるいは、その前提として、
行政サービスというものの消費者というものは
国民なんだ、
国民を顧客として、そして
国民に対してどういう
行政サービスが役に立ったのかということを、つまり成果主義に変えるという問題があると思うのですね。
特に例として挙げるならば、私が
関係している労働
委員会、労働基準監督官が配置されておりまして、労働基準法
行政をチェックする、そういう
役割を持っているわけです。労働基準法に決められだミニマムスタンダードをきちんと守っているかどうかを
事業所に行ってチェックをして、毎年そのチェックの結果を報告するわけです。つまり、法律違反があるかどうかということも含めて報告をするわけです。
従来型の
行政というのは、アメリカでも、つまり、
行政マンが活動した結果というのは、自分の
行政官としての、今の例でいえば労働基準監督官としてのデューティーを行った結果を、何
事業所回りました、その結果、違反率はこのぐらいでした、こういう評価というシステムが従来型の
行政評価システムだったわけです。これはアメリカもそうだ。日本はまだまだ圧倒的にそうなっているわけですね。そういうものを変えなければいけない。
つまり、労働時間の問題でチェックをするのであれば、労働
行政が労働時間の短縮という目標を立てて、そして何年までに総労働時間を何時間までに削減しまし
ようというふうな目標を立てて、労働時間の場合には数値目標を立てやすいですから、そしてその目標が何%実現できたのかとか、そういう形に変えましょう、これがつまり
行政改革なんです。その
行政改革のツールとして最も重要なのが、つまり、それは幾らかけ声でやってもいけないわけですから、ツールが要るわけで、そのツールが
行政評価という
制度なわけです。そういうふうに私は
理解している。
そのことをきちんとやるのに、アメリカで十年がかりでやろうとしているわけです。一九九三年に法律を決めて、それから幾つかの
省庁でパイロットプロジェクトをつくって、それで試しながら、最終的には全
省庁に十年間ぐらいで達成し
ようじゃないか、そういうプログラムをつくっているわけですね。そういうプログラムからいうと、今回の
省庁再編のプログラムは、
政策評価の機能を強化するとは書いてあるけれ
ども、見えてこないわけですよ。そこら辺はどうなんですか。