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1998-05-07 第142回国会 衆議院 行政改革に関する特別委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十年五月七日(木曜日)     午前九時一分開議  出席委員   委員長 高鳥  修君    理事 虎島 和夫君 理事 野呂田芳成君    理事 二田 孝治君 理事 山口 俊一君    理事 伊藤 忠治君 理事 北脇 保之君    理事 若松 謙維君 理事 中井  洽君       石崎  岳君    今井  宏君       今村 雅弘君    岩永 峯一君       小野寺五典君    大石 秀政君       大野 松茂君    金田 英行君       熊谷 市雄君    倉成 正和君       実川 幸夫君    砂田 圭佑君      田野瀬良太郎君    谷  洋一君       戸井田 徹君    松本 和那君       宮島 大典君    池田 元久君       上田 清司君    鍵田 節哉君       島津 尚純君    土肥 隆一君       中川 正春君    中桐 伸五君       葉山  峻君    平野 博文君       古川 元久君    上田  勇君       冨沢 篤紘君    福島  豊君       東  祥三君    石垣 一夫君       佐々木洋平君    西川太一郎君       中島 武敏君    平賀 高成君       松本 善明君    矢島 恒夫君       深田  肇君  出席国務大臣         厚 生 大 臣 小泉純一郎君         農林水産大臣  島村 宜伸君         運 輸 大 臣 藤井 孝男君         郵 政 大 臣 自見庄三郎君         建 設 大 臣 瓦   力君         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長     上杉 光弘君         国 務 大 臣         (総務庁長官) 小里 貞利君         国 務 大 臣         (北海道開発庁         長官)     鈴木 宗男君         国 務 大 臣         (国土庁長官) 亀井 久興君  出席政府委員         内閣審議官   坂野 泰治君         地方分権推進委         員会事務局長  東田 親司君         警察庁交通局長 玉造 敏夫君         総務庁長官官房         長       菊池 光興君         総務庁長官官房         審議官     西村 正紀君         総務庁人事局長 中川 良一君         北海道開発庁総         務管理官    小野  薫君         科学技術庁科学         技術政策局長事         務代理     間宮  馨君         環境庁自然保護         局長      丸山 晴男君         国土庁長官官房         長       久保田勇夫君         国土庁計画・調         整局長     河出 英治君         文部大臣官房長 小野 元之君         文部省教育助成         局長      御手洗 康君         文部省高等教育         局長      佐々木正峰君         厚生大臣官房長 近藤純五郎君         厚生省保健医療         局長      小林 秀資君         厚生省医薬安全         局長      中西 明典君         農林水産大臣官         房長      堤  英隆君         農林水産省構造         改善局長    山本  徹君         林野庁長官   高橋  勲君         水産庁長官   嶌田 道夫君         運輸大臣官房長 梅崎  壽君         運輸省運輸政策         局長      土井 勝二君         運輸省航空局長 楠木 行雄君         郵政大臣官房長 天野 定功君         郵政大臣官房総         務審議官    濱田 弘二君         郵政省郵務局長 長谷川憲正君         郵政省貯金局長 安岡 裕幸君         郵政省簡易保険         局長      金澤  薫君         建設大臣官房長 小野 邦久君         建設省道路局長 佐藤 信彦君         自治大臣官房長 嶋津  昭君         自治大臣官房総         務審議官    香山 充弘君         自治省行政局公         務員部長    芳山 達郎君         自治省財政局長 二橋 正弘君  委員外出席者         衆議院調査局第         三特別調査室長 田中 達郎君     ――――――――――――― 委員の異動 五月七日  辞任         補欠選任   熊谷 市雄君     今村 雅弘君   牧野 隆守君     大石 秀政君   宮本 一三君    田野瀬良太郎君   岩國 哲人君     中川 正春君   上田 清司君     島津 尚純君   田中 慶秋君     土肥 隆一君   古川 元久君     中桐 伸五君   大口 善徳君     上田  勇君   佐々木洋平君     西川太一郎君   平賀 高成君     中島 武敏君 同日  辞任         補欠選任   今村 雅弘君     熊谷 市雄君   大石 秀政君     牧野 隆守君  田野瀬良太郎君     宮本 一三君   島津 尚純君     上田 清司君   土肥 隆一君     鍵田 節哉君   中川 正春君     岩國 哲人君   中桐 伸五君     古川 元久君   上田  勇君     大口 善徳君   西川太一郎君     佐々木洋平君   中島 武敏君     矢島 恒夫君 同日  辞任         補欠選任   鍵田 節哉君     葉山  峻君   矢島 恒夫君     平賀 高成君 同日  辞任         補欠選任   葉山  峻君     田中 慶秋君     ――――――――――――― 五月七日  行政改革基本法案伊藤英成君外三名提出、衆  法第一六号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  中央省庁等改革基本法案内閣提出第四一号)
  2. 高鳥修

    高鳥委員長 これより会議を開きます。  内閣提出中央省庁等改革基本法案を議題といたします。  本日は、まず、建設省運輸省国土庁及び北海道開発庁を中心として審査を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。西川太一郎君。
  3. 西川太一郎

    西川(太)委員 自由党の西川太一郎でございます。  私は、まず、行政改革として国民皆さんが求めておられるのは、単なる省庁の再編成よりも、まず行政目的明確化政府全体のスリム化、すなわち徹底した規制緩和地方分権が求められているのではないかという立場から質問をさせていただきたいと思います。  早速、総務庁長官お尋ねを申し上げるわけでありますが、このたびの基本法案で、建設省運輸省国土庁北海道開発庁という四つの官庁一つにまとめて国土交通省を創設することになっておることは言うまでもありません。  この法案によれば、国土交通省任務は、「国土の総合的、体系的な開発及び利用、そのための社会資本の整合的な整備、」というものを挙げておられます。要するに、従来、建設省運輸省が所管していた公共事業一つにまとめようとするものではないかと理解できます。今まで同じよう行政分野の中で幾つもの役所が細切れに、いわゆる縦割り行政でやってきたことを統合しようという発想は、基本的に理解できるものでございます。  特に、建設省運輸省関係している交通行政分野は、従来から、航空、海運、鉄道運輸省道路建設省と分かれており、さらに言えば、道路でも、道路をつくるのは建設省ですが、その上を走る車両の安全性トラック輸送やそうしたものは運輸省。失礼ながら、縦割り行政の見本のようなものがあったわけであります。したがって、これを解消して、一元的な、しかも総合的な交通行政を行うという趣旨で新しい行政機関をつくるということは大変望ましいことだというふうに思います。  しかしながら、このたびの法案を拝見する限り、そうした行政理念が必ずしも明確でないというふうに思います。  ただいま申し上げましたとおり、法案国土交通省任務部分を見ますと、「国土の総合的、体系的な開発及び利用、そのための社会資本の整合的な整備、」ということが挙げられておりまして、名前は大変立派であります。しかしこれは、ずっと読んでまいりますと、単に公共事業を寄せ集めて、言葉は悪いのですが、下手をすると巨大な利権官庁をつくるということになりはしないかという心配があります。もっと高い理念というものに裏打ちされた行革でなければいけないのじゃないか。  私は、公共事業あり方については、いろいろな角度から問題が指摘されて、政府も検討をされていることはよく承知をしております。しかし、依然として単に役所を寄せ集めるだけでこうした問題が解決できるとは必ずしも思わないわけでありまして、理念なしに単に公共事業官庁をまとめるということであってはならない、こう思うわけでございますが、この点を、一元的、総合的に本当に交通行政等を行うことができるのか、国土交通省行政理念はいかなるものであるかということを総務庁長官お尋ねをさせていただきます。
  4. 小里貞利

    小里国務大臣 お話にございましたように、今次の中央省庁再編は、高い視点から、しかも広い視野で、しかもそれはいわゆる政策立案機能確立、いわゆる政策立案機能を主体的に発揮できる組織体制、そしてまた、ただいま議員お話がございましたように、縦割り行政の弊害を徹底的にこの際排除する、整理をするという大きなものが一つ念頭にあります。同時にまた、省庁行政目的別に大くくりをする、そして前段で申し上げました、いわゆる重複した、あるいはまた縦割り行政と言われてきたところなどを是正をいたそう、そういうよう一つ基本に立って省庁再編を行ったところであります。  その結果として、議員お話がありましたように、国土の総合的、体系的な開発利用、そしてまた、そのための社会資本の整合的な整備交通政策確立推進しなければいかぬ、そういうことを主要な任務とする国土交通省設置することといたしたものでありまして、御指摘がありましたように、また強く要請されておりまするように、ただ単純に公共事業一元化、そういう形に終わってはならない、さように思っておるところでございまして、あわせまして公共事業の執行のあり方、そしてまたその具体的な整理合理化、特に国と地方との役割分担等もこの機会に厳粛に見直そう。しかも、それは長い慣行と制度の積み上げでありまして、大変な一つの摩擦もあろうかと思っておりますけれども、これもこの機会にきちんと進めるべきことである、さように思っておる次第でございます。  最後に、国土交通省設置趣旨を可能な限り生かしまして、先ほど先生からも若干触れていただきましたが、そのよう基本的な法の趣旨に照らしまして、社会資本の整合的な整備交通政策推進の実を上げてまいらなければならぬと思っております。  それから、若干お触れになったかと思うのでございますが、組織整理等も、地方支分部局等についても徹底的にこの際見直しを行う、そして効率化を急ぐ、そういう方針でございます。
  5. 西川太一郎

    西川(太)委員 地方支分部局については後ほどお尋ねをいたします。  次に、運輸大臣建設大臣お尋ねをするわけでありますが、ただいまの総務庁長官の御答弁国土交通省行政理念として総合的な交通行政があるといっても、現実にそれが実現できるかどうかというのは具体的な行政内容によるわけでございます。従来の縦割り体制でも省庁間の連携や調整が必要だ、こういうことは盛んに言われてきたわけでありますけれども、失礼ながら、現実には交通行政はばらばらではないか、こういうふうに私どもは思います。  したがって、新省ができたとしても、単なる形式的な統合では、くどいようでありますが、何も変わらないわけであります。建設省道路局運輸省が一緒になっても、恐らく各分野ごと縦割りという今までの姿はそう簡単に変わらないのではないかというふうに思うのは懐疑的に過ぎるかというと、私は必ずしもそうではない、こう思うわけであります。  そこで、形式的な整合性を求められるということだけではなくて、もっと実質的な行革国民は期待しているわけであります。両省が一体となつて国民が真に望む行政確保される、そういうことが大事だと思いますけれども、例えば総合的な交通行政について両大臣はどんな御見解をお持ちか、この際、伺っておきたいと思います。
  6. 瓦力

    瓦国務大臣 委員から御質問は、総合的な交通行政の展開についていかに考えるかということでございます。  先ほど総務庁長官から答弁になりましたが、国土交通省設置される、このことは私どもとして真剣に考えてまいらなければならない今大事な課題でございまして、我が国は厳しい国土条件のもとにございますから、国土整備管理を適切かつ戦略的に行う、このことが重要な課題である、こういう認識のもとに、総合的な国土計画のもとでの計画的な土地利用インフラ整備など総合的な国土行政が実現される、そういう方向に向かって努力をしてまいりたいと考えておるわけでございます。  もとより、交通体系基本的に受益者負担原則に基づくわけでございますから、各交通機関競争、また個々の利用者の自由な選択、そういったものを反映して形成されていくべきものと考えておるわけでございまして、重要なことは、複数の交通機関を組み合わせた輸送効率よく行われるよう相互連携確保改善することでございまして、これまでも関係省庁と協力しながら、例えば空港、港湾などの交通拠点へのアクセス整備、さらには駅前広場など交通結節点整備等を行ってきておるところでございまして、今後とも利用者にとって効率的であり利便性の高い交通体系整備に努めてまいる、そういうことにつきましては手を携えて努力して、この問題に臨んでいかなければならない、こういうぐあいに考えておるところでございます。
  7. 藤井孝男

    藤井国務大臣 お答えいたします。  西川委員は、今度の国土交通省が、合併することによっての、いろいろな視点から御質問がありました。大変重要な御指摘であった、私はそういう認識に立っておるところであります。委員おっしゃられたとおり、これが単なる合併であって、そこで行われる行政というものがばらばらであってはならない、これは当然のことであります。  基本理念等々につきましてはもう御案内のとおりでありますけれども、今度のこの国土交通省におきまする役割というものは、非常に各界各層の皆様あるいは地方自治体の皆さんからも注目を持って見られているところであります。  先ほど小里総務庁長官、また、ただいま瓦建設大臣が御答弁申し上げましたように、まさにこれからの高齢化、少子化あるいは地方分権化、そういった視点で、総合的な交通体系というのを効率的に、効果的に行わなければならない、これは口では簡単でありますが、実際は本当に難しい問題があろうと思います。  しかし、今度の省庁再編によりまして、陸海空、とりわけ私どもは総合的に、これまで運輸省といたしましては行政を一体的に所轄してまいりましたけれども、今後とも、道路行政を含めますと、さらに大きな範囲におきまする交通網整備というのが必要であろうかと思います。  そういう意味におきましては、私どもは、まさに委員指摘のとおり、例えば物流コストの低減であるとか、海上、航空あるいは鉄道におきまする、あるいは道路におきまする、そうした総合的な施策が、より効率的な交通体系整備、来るべき高齢化社会に対しても、また環境に対しても優しく、そして利用者にとりましても非常に利便性の高い、そういった交通網体系を今後ともしっかりと踏まえて推進すべきものと考えておるところでございます。
  8. 西川太一郎

    西川(太)委員 総合的な交通行政を目指されるという姿勢は、ただいま両大臣の御答弁理解ができるわけでございます。  しかしながら、あえて申し上げれば、今度できるこの国土交通省なる組織を見る限り、どうも公共事業一元化といいますか、インフラ整備ハード面に比重が偏っている気がいたすわけでございまして、むしろこれから大事になってくる生活者観点を重視する交通サービスというソフトの面は、この組織からはなかなか生まれてこないような気がしてならないわけでございますけれども、この両者のバランスをとるという観点をこの組織で果たして確保できるのか。  したがって、私、先ほどちょっと嫌らしい言葉でございましたけれども、巨大な利権官庁を生むのではないか、こういうふうに申し上げたゆえんのものは、ハードに偏り過ぎる、もっとソフトサービスを提供できる、そういう行政確保できる行政体が必要じゃないか、こういうことでお尋ねしているわけでありますが、もう一度、これはひとつ総務庁長官に代表してお答えをいただきます。
  9. 小里貞利

    小里国務大臣 先生も御承知いただいておるわけでございますが、今お話しのハードソフト両面からの総合的な交通体系整備というのは、去る十二月三日の行革会議最終報告でも大変入念に踏まえられたところでございまして、私どもは、本基本法案におきましても、施設整備はもとより、管理運輸事業者による安全かつ効率的な輸送サービスの提供の確保その他の施策によるいわば総合的な交通体系整備を行うことを規定をいたしたところでございます。  また、従来も関係省庁間で連携を密にいたしまして進めてまいっておるところでございますが、このたび、御指摘ようなこういう統括という、非常に組織の大きい、変化を持つものでありますから、さらに総合交通体系については留意をしてまいらなければならぬと思っております。  ハードソフト両面からの交通体系整備について、より総合的かつ一貫した政策形成、先ほど両大臣からもお話をいただきましたようなことなどを基調にしながら、可能なものはできるだけこの機会にきちんと整理をしてかかるべきであると思っておる次第でございます。
  10. 西川太一郎

    西川(太)委員 今、総務庁長官から、行革会議議論経緯を踏まえてと、こういうお話があったわけでありますが、私が承知している限り、このたびは国土計画を担う国土庁公共事業実施省庁を統合する国土整備省なるものをまずつくろうという構想があり、それでは少し巨大化に過ぎるのではないかという理由で国土開発省になり、国土保全省を経て、二省分割案をさらに経由して、最終的にはただいま議論になっております四省庁を統合するという現在の形に落ちついたと聞いております。こういう紆余曲折を経た議論経緯から見て、先ほど私がお尋ねしたような疑義も生じてくるということもひとつこの際意見として申し上げておきたい、こう思うわけでございます。  せっかくの機会でございますので、運輸建設、両大臣にぜひ伺いたいことは、従来から特定財源制度というのがあるわけでございますが、これを大胆に見直して総合交通会計制度なるものをつくったらどうかという意見もあります。こういうようなことをこういう機会にやるということは大変大きな行革のメリットになるのじゃないか、福音になるのじゃないか、こう思いますが、この特定財源制度見直し、それにかわるシステムの開発、こういうことについてお考えを伺わせていただきたいと思います。
  11. 瓦力

    瓦国務大臣 委員から特定財源制度についてのお尋ねでございますが、基本的には、先ほども申し上げましたように、受益者負担原則に基づきまして、各交通機関競争、また利用者の自由な選択を反映して形成されるべきものと考えておるわけでございまして、道路特定財源につきましては、我が国の立ちおくれた道路整備を緊急かつ計画的に進める、こういったことをたびたび申し上げておるわけでございますが、受益者負担原因者負担の考え方に基づきまして道路利用者負担を求めているものでございます。  他の交通機関への安易な転用、こう申し上げていかがかと思うわけでございますが、受益負担原則、この関係を崩すことになりまして納税者理解が得られない、こういうぐあいなこともたびたび申し上げておるところでございます。  効率的な交通体系形成に当たりましては、各交通機関相互連携確保改善することが重要でございまして、道路は、これまた先ほど申し上げました、各交通機関へのアクセスでありますとか駅前広場等結節機能におきましてそれぞれの役割を果たしてきておるわけであります。今後も、円滑な交通体系形成に向けて一層の連携確保に努める、こういうことを改めて申し上げておかなければならぬ、こう思っております。
  12. 藤井孝男

    藤井国務大臣 お答えいたします。  ただいま瓦建設大臣からも御答弁申し上げましたけれども特定財源の問題、これは言ってみれば総合交通特別会計制度というふうに言ってもいいのではないかなと思いますが、施設ごと受益負担とのバランス、私はかつて党の方の建設部会長もやっておりまして、この道路特定財源等々を含めまして、この問題は党内でもいろいろ議論がされております。今後、省庁が再編されるに当たりましてこうした特定財源等をどう扱っていくのか、それはやはり総合的に判断しなければなりませんけれども、今申し上げましたとおり、受益負担とのバランス、あるいはある施設利用者負担で別の施設整備を図るということが実際御理解が得られるかどうか、それが適当かどうか、あるいはそうしたことに対する国民理解が得られるかといった点を踏まえて、この点は今後慎重に検討していかなければなりません。  しかしながら、総合的な一貫性を持った総合交通体系に取り組んでいくに当たりまして、こういった問題につきましても、これから今申し上げたことを十分踏まえながら、我々はより効率的な、効果的な総合交通体系整備していかなければならない、このように考えておるところでございます。
  13. 西川太一郎

    西川(太)委員 総務庁長官に、次は構造改善事業について伺いたいと思います。  今度の基本法では、公共事業に関しては、農林水産省構造改善事業は現行のまま農水省において行う、こういうふうになっております。公共事業の予算の二割を占めるこの事業は、農水大臣がいらっしゃるところで恐縮でございますが、むだが多いという指摘がかなりなされてきておりますが、改善の余地は多分にあると思います。しかし、それを改善するという一つの時期としては、このたびの省庁合併の中でこの国土交通省公共事業全般を負わせるという形にしていけば、これを機に整理統合できるということも考えられるわけでありますが、なぜ構造改善事業については農水省に残しておくのか。  つまり、農水省が本来行うべき農業生産高度化に資するよう事業については当然でございますけれども、そうでない部分について、この範疇を厳しく分けて統合するべきじゃないかと思いますが、いかがでございましょうか。
  14. 坂野泰治

    坂野(泰)政府委員 御指摘農業構造改善に係る公共事業に関してでございますが、新しく設置をする農林水産省編成方針におきましても既に述べておりますとおり、食料安定供給確保観点から、国、地方生産者役割分担明確化すること、あるいは高生産性農業実現のための農業構造改善推進することなどなどを編成方針として掲げ、かつ、農業関係公共事業事業内容重点化効率化のための方針ども公共事業見直しの一環として明記をしておることでございます。  このような文脈を受けまして、また、この基本法におきまして、先生先ほど御指摘のとおり、真に食料の安定供給の確保に資するものに限り、必要やむを得ず整備するものについては、国土交通省との相互協議を通じ、国土交通省が所管する公共事業との整合的な実施を図るという方針を示しておるわけでございます。  このような考え方のもとに、農業構造改善に係る公共事業については、その本来の目的の達成に資するように、重点的、効率的な実施と他の社会資本整備との整合性確保を図っていけるものと考えておるところでございます。
  15. 西川太一郎

    西川(太)委員 時間の関係で少し先へ進ませていただきますが、次は、亀井長官もお見えでありますから、国土庁の取り扱いについてお尋ねをしたいと思います。  今回の基本法案で、現行の建設省運輸省国土庁及び北海道開発庁を母体とするという、いかようにもとれる分厚い表現になっているわけでありますけれども、特に国土庁の扱いにつきましては、現在の国土庁から一部を国土交通省以外の省にも持っていくこともあり得る、こういうふうに考えられなくもないわけでございます。  つまり、行政目的による大くくりをすることによって重複を排除したり、いろいろなことを目的とする省庁の再編を行うのであれば、国土に関する行政はやはり一元化するべきだ。特に、国土庁が生まれた昭和四十九年の議論をいろいろ振り返って私なりに研究をしてみたわけでありますけれども、言うまでもなく、それまで首都圏整備、近畿圏、中部圏や、または経済企画庁にまで及ぶいろいろな機能を一元化して国土庁を生んだことは御承知のとおりでございますけれども、総合的な調整権を持つ強力なものを生んだ。国土庁は一体として国土交通省に統合されるという形が自然ではないか、こう思いますけれども国土庁の扱い、これについて総務庁長官及び亀井大臣お尋ねをしたいと思います。
  16. 小里貞利

    小里国務大臣 ざっくばらんに申し上げまして、中央防災会議を内閣府に設置することにしたといういきさつも横にらみしながら、先生お話しになったかと思うのでございますが、文字どおり、国土交通省は現行の国土庁をその母体の一つとして設置することとされております。あくまで一つの大きな母体というその概念そのままでございまして、これを踏まえまして、新たな国土交通省の所掌事務を具体的に検討していく上で、関係各府省との関係についてもあわせて具体的な検討を行う必要がある。  そして、本基本法案におきまして、各府省の主要な任務あるいは主要な行政機能等を踏まえまして、今後、推進本部におきまして、先生方のお話どもいろいろ参考にさせていただきながら、各省庁設置法のいわゆる所掌事務等々が整理されていくものである、さように思っております。
  17. 亀井久興

    ○亀井国務大臣 ただいま総務庁長官から御答弁があったところでございますが、国土庁が母体の一つであることは申し上げるまでもないわけでございまして、そうした中で、大くくりという御指摘でございますが、私どもも、大体国土庁を大くくりとして、一体として国土交通省に組み込まれる、そういう認識をしておるところでございます。今総務庁長官がお触れになりました中央防災会議、これとの関係等についてはまだ若干未調整なところもあるように思っておりますが、全体としては国土庁国土交通省一つの母体になっているということでございます。  特に、全国総合開発計画を初めといたします国土開発利用のための総合的な計画等につきましては、今日までも国土庁が担当してまいったわけでございますが、この全国総合開発計画を初めとするさまざまな計画につきましては、引き続き国土交通省が担当をするというように考えておるところでございますし、また、今度はその計画を実施する事業政策の実施を同じ国土交通省が担当するということでございますので、今まで以上に、計画を立てる官庁とそれを実施に移す官庁とが一体であるということから、その計画についての実効性はむしろ上がってくるのではないか、そのように受けとめておるところでございます。  国土庁の今日まで果たしてまいりました機能は十分に国土交通省の上で生かされていくだろう、国土行政そのものにつきましても今まで以上にうまく機能していくのではないか、そのように受けとめておるところでございます。
  18. 西川太一郎

    西川(太)委員 イギリスの例などを見ると、一九七〇年代から省庁の再編が進められながら、試行錯誤を繰り返して、一度合併したものを離してみたり、機能的にも随分問題がある、そういうようにどこの国でもなかなかこの行革というのは大変であることはよくわかります。しかし、国土庁が生まれた経緯というもの、四十九年のあの原点に返って、この際、失礼な言い方ですけれども小さい省庁だからといってつけ足しで扱われるということであってはならぬ、むしろ企画調整機能というものは国土庁はしっかり持っていかなければいけないと私は意見として申し上げたいと思います。  運輸大臣おいででございますので、ちょっと行革から離れますが、三つほどお尋ねしたいことがあるのです。  先ほど、ソフト交通サービス行政が必要だということを申し上げました。その一つに、運輸省の年々の御努力で、首都圏を中心とする大都市圏における通勤の混雑緩和というのは進んでまいりました。しかし、さらにこれを、二〇〇%を切る、もっと楽に新聞や雑誌が読める、また二階建ての電車や折り畳み式の新車両を使わなくてもゆっくりできる、これは労基法の改正ともつながりますが、フレックスタイムとか裁量労働時間制とかいろいろ工夫があると思いますが、快適通勤という一つの概念がありますが、この快適通勤をいかに確保していくか一これについて運輸省の御努力をぜひお願いしたい。これが一点。  それから、ついでと言っては恐縮でございますが、今問題になっているハッピーマンデー、四つの休日を月曜日に振りかえることによって三連休。これによって単純計算でも一兆五千億円の経済効果が生まれる。仮にこれが今できたとしても、一九九九年はカレンダーの都合で四回というわけにいかない。しかし、それでも七千五百億円の経済効果が生まれる。政府が金を出さなくても、そういうことで大いに経済効果が上がる。これをどうお考えか。  そしてもう一点は、これは環境庁の方にもあわせて伺うわけでございますが、これはちょっと後にしておきましょう。この二つをまず伺いたいと思います。
  19. 藤井孝男

    藤井国務大臣 お答えいたします。  まず快適通勤の件でございますが、個人的で恐縮ですが、私もかつて十二年間サラリーマンでおりましたので、通勤におけるラッシュというものを嫌というほど体験した一人でございます。  そういった意味から、この快適通勤、二〇〇%というような大変な苦痛以外の何物でもないこういった通勤をいかに緩和するか、それぞれの鉄道事業者も努力をしてこられておりますし、また、企業の側におきましても、今御指摘のありましたような時差出勤、いわゆるフレックスタイム制というものも大分普及して御努力をいただいております。  しかしながら、まだまだこの通勤に対する混雑というのは決して緩和されたわけではありません。そのために、運輸省といたしましても、複々線化等々につきまして整備推進をしてまいったところでありますが、今後とも、より一層通勤混雑の緩和に向けて私どもは最善の努力をしていかなければならないと思っております。  ただ、一点申し上げておきたいことは、これは、複々線化一つとりましても大変な事業費がかかります。それと同時に、将来の高齢化、少子化という問題、この点について鉄道関係事業者も非常に採算の面、投資事業費のいわゆる回収ができるのかどうか、営利企業でありますから、そういった点につきましても、今後、ここら辺も踏まえながらいかなる施策が必要であるかどうかということも、ぜひこの点また御理解をいただきたいところだと思いますし、検討課題としてこれはしっかり踏まえていかなければならないと思っております。  それから祝日法に関しましては、私ども運輸省といたしましては、基本的にこれは評価をいたしておるところであります。  いわゆるゆとりある生活、あるいは家族との触れ合い、また旅行等々、そういったことを考えますと、今御質問にもありましたように、大変な経済効果を生む、いわゆる行政という立場からそれほどお金をかけなくても非常に経済効果があるということであります。  今般、この国会におきましても、与党案また野党案、議員立法の形で国会に提出をされているというふうに聞いておりますけれども、この点につきましては私どもは前向きに評価いたしておりますので、これに向けた祝日法の改正の動きにつきましては、運輸省としては大変注目をいたしておるところでございます。
  20. 西川太一郎

    西川(太)委員 ぜひ強力に両案については進めていただきたいと思います。  あと七分ぐらいしか時間がありませんので、二問お尋ねをしていきたいと思います。  まず、環境庁にお尋ねをいたすわけでありますけれども、今度この法案が通れば省に昇格される、国際的にも環境問題が大変重要性を増している今日、結構なことだと思いますが、国際社会においてどういう貢献ができるのか、この機会に伺っておきたいと思います。きょうは環境庁中心でないことは承知しております。  それから、運輸大臣、実は小笠原空港の問題なのでございますけれども、これは、島村先生おいででございますが、私は東京都選出でございまして、この空港は悲願ですね、一言で言えば。今度父島の方に、兄島をあきらめて建設予定地を移す。  そこで、希少植物があったり、いろいろな環境の問題で、どうもこれの進捗がおくれている。こういうことで、東京都としてもいろいろな関係の方々にお願いをして今日まで来ているわけでございますけれども、小笠原空港の建設は、村民の生活の安定はもとよりでございますが、広く国民のレジャーの施設としても国家経済に大きな影響が出る、そういうことでございます。環境庁もぜひこれに積極的に協力をしていただきたい、こういうふうに思うわけでございます。  かつて、梶木又三先生を長とされる、そうそうたる方々によって東京都小笠原諸島二十一世紀ビジョン懇談会というものが結成をされまして、これは平成二年のことでございますけれども、その後随分時間は経過したのでございますが、環境庁からは別の考え方が示されたりして――東京から千キロも離れて、私も何回も参りましたけれども、船の中で寝泊まりしなければならない、こういうところでございます。これから二百海里問題もあったりいろいろして、島嶼は非常に重要でございます。  このことについて、早くこの小笠原空港の建設が可能になるように、運輸大臣並びに環境庁にお尋ねをしたい、御決意を聞かせていただきたい。時間の都合で、答弁は要点のみをお願いしたいと思います。もう一問お尋ねしたいことがあるものですから、よろしくお願いいたします。
  21. 藤井孝男

    藤井国務大臣 お答えいたします。  小笠原空港の建設につきましては、地元の小笠原村の強い要望があることは十分承知をいたしております。  今、これまでの経緯につきましての御指摘がありましたが、運輸省といたしましては、環境を踏まえた開発計画の策定と、同計画に基づく航空需要の見通し、自然環境に配慮した空港計画の策定、建設費の費用負担等の課題についての東京都の検討状況を見守ってまいりたいと思っています。  関係省庁との連携を図りつつ適切に対処する所存でございますけれども、この問題は、これからの生活路線、それから小笠原の観光開発、そういったこと等々を考えますと、今委員の御指摘は十分踏まえながら、また、東京都そして関係省庁連携をとりつつ、期待にこたえるべく我々としても努力をしていかなければならない、このように考えておるところでございます。
  22. 丸山晴男

    ○丸山政府委員 お答え申し上げます。  冒頭の国際貢献につきましては、先般も地球温暖化防止の京都会議、環境庁長官が議長を務めまして、温暖化防止について二〇一〇年ごろまでの目標についてのコンセンサスを取りまとめたということで、地球規模の環境問題への国際貢献についてさらに積極的に進めてまいりたいと考えております。  二点目の小笠原空港問題につきましては、小笠原諸島といいますのは、日本列島の成立過程から見ますと大変特異でありまして、唯一大陸とくっついたことのない島々でございまして、特異な生態系が全島に残されておりますけれども、とりわけ兄島につきましてはその貴重な生態系が一番残されているところでございまして、そこが予定地となったところでございます。  環境庁の意見等を踏まえて、東京都におかれましても、近く自然環境保全を配慮した候補地を最終決定するというふうに聞いておりますので、さらに自然環境の保全とも両立を図りながら、環境庁としても対応してまいりたいと考えております。
  23. 西川太一郎

    西川(太)委員 ぜひひとつお願いをいたしたいと思います。  もう時間がありません。最後のお尋ねでありますが、実は、こうした諸課題を実行するについても、強力にしてかつ機動性の高い組織を持たなければなりません。これは、単に国土交通省のみならず、我が国政府全体がスリム化していくことは、この法案基本理念であります。  かつて、私は東京都議の際に、東京都の行政改革議員としてかかわってまいりました。そういう中で、アトリッション方式というのが当時採用されまして、これは土光さんからも、東京都にその手法についてぜひ聞かせてほしい、こういう依頼があったくらいであります。つまり、不補充主義というやり方であります。  私は、補助金の整理規制緩和や、そういう手段をいろいろ明確にされることによってスリム化をぜひしなければならぬと思いますが、総務庁長官の御決意を伺い、最後に、お忙しい中せっかくお出まし願ったのでございますので、島村農水大臣から補助金の整理の点についての代表的な御見解を承って、質問を終わりたいと思います。よろしくお願いいたします。
  24. 小里貞利

    小里国務大臣 お話のとおり、改革はまさに世紀の大事業でございます。大施策でございます。大なり小なり幅広くいろいろと研究し、知恵を絞らなければならない課題がたくさんございます。皆さんの御意見を参考にさせていただきながら、国会の意思が決まったなれば、不退転の決心で政府は挙げて対応しなければならぬと厳粛に決意をいたしております。
  25. 島村宜伸

    ○島村国務大臣 農業に関するいろいろな施策については、先ほど二割のむだがあるというお話があったように、誤解を受けやすいものが多々ありますが、最近ではすっかりさま変わりをいたしておりまして、関係省庁との密接な連絡調整を既にいろいろ進めているところでございますので、その点については御懸念に及ばないとまず申し上げておきたいと思います。  また、我が省のいろいろな施策につきましては、お互い都会出身でございますが、やはり都会に比べて大きく立ちおくれている農村の実態に照らしまして、同じ日本人が、同じいわば公益的なサトビスを受けられるというような配慮を十分にしていかないことには、ますます過疎化はエスカレートいたしますし、特に高齢化あるいは嫁問題等、我々には予測もできないような問題も背景にあることでございますから、これらを十分配慮しながら、補助金その他についても一切のむだを生じないように今鋭意検討しているところでございます。
  26. 西川太一郎

    西川(太)委員 どうもありがとうございました。
  27. 高鳥修

    高鳥委員長 次に、中島武敏君の質疑に入ります。
  28. 中島武敏

    中島(武)委員 私は、きょうは中央省庁改革基本法案、特に公共事業関係についてお伺いをしたいと思っております。  中央省庁改革基本法案によって、国の公共事業費の約七割を占める国土交通省という一大公共事業官庁ができることになります。国民の立場から見ますと、この官庁によって本当に国民の望む公共事業が実施されるのかどうか、これが最も重要な試金石であると考えます。  今、公共事業がもたらす最大の問題点は、今日の国、地方を通じての財政破綻に導いた最大の原因になっているということではないでしょうか。そのことは、財政構造改革の審議会が一九九六年の十二月に出した最終報告で、「これまで景気対策のための公共投資の大幅な追加が行われてきたが、欧米諸国の経験にも照らし、こうした過度に財政に依存した経済運営について見直すべき時期にきている。」こういうふうに述べていることからも、非常にはっきりしていると思うわけです。  また、公共事業をめぐるむだと浪費の発生という問題もあります。さらに、自動車等道路交通によって、道路公害が地球的規模で環境を悪化させる原因になっていることも指摘されております。  そこで、私は総務庁長官に伺いたいと思うのですけれども、第四十六条で、国が直接行うのは基礎的または広域的事業に限定し、その他の事業については地方公共団体にゆだねるというふうにしておることは私はよく承知いたしておりますが、この巨大官庁の出現によって、今問題になっている公共事業のむだや浪費を排除することはできるのかどうか、法案内容で御説明をいただきたいと思うのです。
  29. 小里貞利

    小里国務大臣 お話もございましたように、今回の省庁再編は、高い視点から、広い視野に立ちまして、できるだけ効率性の高い簡素な行政体系をつくるということが根本でございます。省庁行政目的別に、それは当然でございますが、大くくりに編成をいたしました。その一環として、国土の総合的、体系的な開発及び利用社会資本の総合的な整備などを進めてまいりますよ、そういう一つの点に立っておるわけでございます。  お尋ね公共事業効率性、そして、これを効率的に執行するための体制はどうか、そういう意味のお話であろうかと思うのでございますが、何といったってこの際、せっかくの改革のいわば千載一遇のチャンスでありますから、非常に厳しい課題ではありますけれども公共事業は一段と検討をさせていただかなければならない。申し上げまするなれば、国と地方との役割というものをこの際きちんとする、しかも、国の事業として残すものであってもその中身の検討をいたさなければならぬ。そしてまた、法に書いてあるといっただいま議員お話でございましたが、そのとおり、国として広い視点から基本的にやらなければならない企画立案等を実施すると同時に、あるいはまた、数県にまたがる広域的な基本事業については政府がやらざるを得ないだろうけれども、やらなければならぬが、そのほかのことはできるだけ地方にお任せいたしますよ、そういう姿勢が最も根本であろう、こう私は思っております。  それから、これは間接的にお触れになったかと思うのでございますが、巨大官庁になる、これは、公共事業費という視点からのみでなくて、御指摘はやはり組織、機構の面にも触れておいでになると思う次第でございまして、支分部局等はこの機会に徹底的に見直しをさせていただく。現在の関係省庁大臣を初め各省庁によく御相談を申し上げながら、そして、それらの改革を本文の趣旨に照らしましてこれを進捗せしめなければならぬ、さように思っておる次第でございます。
  30. 中島武敏

    中島(武)委員 今総務庁長官からの御答弁を伺いましたが、私が尋ねたい一番の肝心な点、つまり、このことによって公共事業のむだや浪費がなくなるのかということについて、お触れになられたような、なられないような感じの答弁でございました。私は、これではどうも公共事業のむだや浪費はなくならないなということを感じた次第でありますけれども、もうちょっと具体的にひとつ尋ねたいと思うのです。  公共事業見直しというのは一体やるのですか、これは建設大臣。それから、見直しの結果、この事業は中止をする、あるいは休止をする、そういう結論を下すこともあるのですか。例えば、過日我が党の平賀議員が追及しましたけれども、北海道の苫小牧東部開発ですね。その北海道の苫小牧東部開発については破綻が明白になっております。北海道開発庁が中心になって見直しをしているようなんですけれども北海道開発庁長官に、どんなふうに見直しをしようとしているのか伺いたいと思うのです。建設大臣と、それから開発長官
  31. 瓦力

    瓦国務大臣 中島委員にお答えをいたします。  公共事業見直しでございますが、類似事業間の調整及び公共事業の再評価の観点から見直しをいたしておるところでございまして、類似事業間の調整につきましては、公共事業関係省庁で、事務次官をメンバーとする公共事業の実施に関する連絡会議を開催いたして調整を図っておりますほかに、道路と農道でありますとか、あるいは汚水処理施設整備に関しまして、個別に関係省庁と連絡会議を開催して調整を図っております。  また、公共事業の再評価につきましては、昨年十二月の総理大臣指示を受けまして新たな再評価システムを導入することといたしまして、建設省を初めとする公共事業関係省庁では、本年三月二十七日に公共事業再評価実施要領を策定し、公表したところでございます。また、事業採択後五年間経過後で未着工の事業や十年間たって継続中の事業等を対象に再評価を行いまして、必要な見直し、また継続が適当と認められない場合は休止または中止することといたしておるわけでございまして、これからも、ただいま申し述べましたように、連絡会議や再評価システムの活用により不断の見直しを行いまして、一層適切な事業の執行に当たりたい、こう思っております。  なお、大くくりをした今回の行革の一環として、私どもは、その目的を遂行するために、効率的、効果的実施が不可欠である、こういう認識のもとにさらに努力を重ねてまいる、こういうことでございます。
  32. 鈴木宗男

    ○鈴木国務大臣 お尋ねの苫小牧東部開発見直しでありますけれども、予算委員会等でも私は、六月末までには明確な結論を出したい、こういう答弁をしております。特に、何をするかといいますと、借入金残高をふやさないための方策だとか、あるいは用地分譲促進のための方策だとか、さらには苫東会社自身のリストラだとか、また重点的に開発推進する区域の想定及びその他の区域の取り扱いをどうするかということをしっかりと明確にしたい、こう思っています。  それと同時に、中島先生にも御理解いただきたいのですけれども、これは昭和四十六年にスタートした計画であります。閣議決定して工事を進めてきたわけでありますけれども、四十六年、先生御案内のとおり、高度成長の流れによって日本は華麗な発展を遂げておったときでありますから、発想はよかったのです。その結果として、今もあの苫東には十分の一の石油備蓄基地なんかもあって国家には貢献しているわけですね。しかし、その後二度のオイルショック等があって、これまたやはり社会情勢の変化によって今厳しい状況にあるかなということを痛感しております。同時に、四十六年の計画でありますから、時間もたっておりますから、私はやはり時代に合った検討というのはしなくてはいけない、こんなふうに考えております。
  33. 中島武敏

    中島(武)委員 北海道開発庁長官からお答えがありましたが、今検討をいろいろやっている、時代に合った見直しをしなければいかぬ、これが御答弁だったかと思うのです。  私は、どんなふうにやるんだというので事前に資料を求めましたところが、「苫小牧東部開発について」という資料を、これですけれどもいただいておりまして、これが時代に合った開発見直しの方向かなと思うのですけれども、新しい計画として、「基幹資源型工業を中心とした基本方針を改め、生産機能、研究開発機能、居住・生活機能を一体的に展開する複合的な開発推進する」、こういう考えのようですね。  私は、率直に言いますけれども、これでは、あれだけ破綻が明確なのに、まだやはり形を変えて開発を続けていくということになってしまうのではないか、これではしょうがない、こういうのこそ見直しとかきちっとした中止とかいうことが必要なんじゃないかなというふうに思うのですよ。  それから、建設大臣からもいろいろ、連絡会議を設けてやる、こういう話がありました、鋭意やっていくと。私は、過去、建設省がダムについての見直しなんかをやったことも承知いたしております。ただ、しかし、中止とかあるいは休止というようなことを打ち出したのは小さなダムだけなんですよね、あれは。実際に、社会問題になっておりましたようなそういうダムだって実はゴーサインを出している。細川内ダムだってそうでしょう。これはまだ何も結論がついていない、結論を出していない。それから、徳山ダムも社会問題になる。これもゴーサインでしょう。それから川辺川ダム、これも住民運動が、このダムはつくらぬでくれという物すごい住民運動が起きている。にもかかわらず、これもゴーサインでしょう。  だから、私は、連絡会議をやることは結構だと思いますよ、北海道開発、苫小牧東部開発を含めて結構だと思いますけれども、だけれども、過去のこのやり方を見ておりますと、こんな程度じゃしょうがない、もっと本格的な見直し、徹底的に根本から見直しをして、一からあり方を抜本的に見直す、こういう見直しをやらなければいかぬということを申し上げたいのですね。  この点で、特に具体的な点でいいますと、どうですか、開発長官
  34. 鈴木宗男

    ○鈴木国務大臣 私は、基本的に、二十年前あるいは三十年前に計画を策定したそのときと全く社会情勢は変わっておりますから、やはり時代に合ったという観点に立ってやっていきたいと思うのです。  同時に、この苫小牧東部につきましては、三月三十一日に閣議決定しております全国総合開発計画、さらには四月の二十一日閣議決定の第六期北海道総合開発計画において、「開発方策等の検討を行いつつ、それに基づき推進する。」ということを明確にうたっておりますので、その中で明確な答えを出していきたい、こう思っております。
  35. 中島武敏

    中島(武)委員 だんだん時間が過ぎておりますので、次に移らせてもらいたいと思うのです。  今度新しい官庁が行う公共事業というのは、さっきも言いましたけれども、基礎的または広域的事業ということになっておりますよね。そうすると、具体的に言いますけれども、高規格幹線道路等、それから拠点空港、中枢・中核港湾、市街地整備、これが例えばその具体的な中身だと思うのですね。新しい全総がつくられまして、ここに東京湾口道路、それから伊勢湾口道路、それから紀淡連絡道路、豊予海峡道路、それから関門海峡道路、島原・天草・長島架橋、六つの海峡それから湾口道路プロジェクト、こういうものも重要な一つだと思うのですね。  ところで、ことしは、東京湾横断道路が開通いたしまして、先日は本州四国連絡橋の明石海峡大橋が開通いたしましたが、東京湾横断道路及び本州四国連絡橋の児島-坂出ルートなど、これらの予測交通量とそれから実績交通量は一体どうなっているのか。それから、さらに地方自治体の出資金がどうなっているのか、これについてお尋ねしたいと思うのです。私、資料もらっておりますから、簡潔にひとつお答えをください。
  36. 佐藤信彦

    ○佐藤(信彦)政府委員 お答えいたします。  東京湾アクアラインでございますが、計画交通量は一日当たり二万五千台。これまでの平均でございますが、今回の五月五日までを平均しますと一万二千二百台ということでございます。現在集計中でございますが、ゴールデンウイークの中での交通量は、おおむね一日当たり二万五千、日によっては三万五千といったこともございますが、そんな状況でございます。  それから本四連絡道路でございますが、これは明石のお話がございましたが、明石について五月五日までの数字は、実績が三万六千二百八十八台、計画交通量は三万三十台ということになっております。  それから、地方公共団体からの本四公団への出資額ということでございますが、国と地方公共団体が二対一で出資しておりまして、地方公共団体につきましては、これまでの出資の総額でございますが、千九百五十三億円でございます。  以上でございます。
  37. 中島武敏

    中島(武)委員 実は私、建設省に、一番当初の予測交通量、計画交通量ですね、これをお尋ねしたのです。そうしましたら、今もお話がありましたように、実は計画交通量は平成九年八月の料金認可申請時のものを下さったのです。これは私は、言葉は悪いけれども、インチキとは言いませんよ、だけれども、私の要求したものじゃないものが出てきてしまって、これを見ますと、計画交通量と実績交通量が大体つじつまが合っているというような、そういうものが出てきたのです。  それで、私、おかしいと思っていろいろ尋ねてみましたら、従来は三十三年償還だった、それを五十年償還に改めるということがやられました。それに応じて計画交通量を引き下げる、下方修正するということがやられたわけですよね。だから、当初の計画交通量ははるかに大きなものだったのです。  例えば瀬戸大橋は二万五千台、それが今どうかといったら一万七千三百九十台、こういうふうに下方修正されてしまっているんですね。大分つじつまを合わせているのですけれども、それでもこれは足りないのです。それで、どうするか。地方自治体に毎年毎年、出資金を出させるということをやっているわけですね。総額の話は今言いました。私がいただいた資料で計算してみますと、何のことはありません、岡山県だけでも二百八十八億円を超える出資をこの二十九年間の間にやっているわけですね。これがまた地方財政を大変圧迫をする、そういう結果になっているのじゃありませんか。  だから、私は、それにもかかわらずその六つの湾口、湾岸道路というのをまださらに続けるのか、こういうふうに言いたいんですね。それについて、簡潔なる御答弁をいただきたい。
  38. 瓦力

    瓦国務大臣 今、六つの海峡、湾口プロジェクトについてお尋ねでございますが、海峡横断道路プロジェクトにつきましては、平成六年度より新交通軸調査といたしまして調査を進めてきたところでございまして、コスト縮減を含め技術開発を」層推進するとともに、環境への影響でありますとか、交流、連携に向けた取り組み等を勘案いたしまして、費用対効果、費用負担あり方を検討してまいる所存でございます。これらの実現のためには国民のコンセンサスが最も重要でございますし、また、具体化、実施に当たりましては、費用対効果分析、環境影響評価等の実施を踏まえまして、総合的に検討していく必要がある、かように考えております。  いずれにいたしましても、国土整備、それらにつきましては、いろいろな可能性を求め、加えて申し上げれば、費用対効果、世論をもよく勘案しながら進めてまいるものでございます。  委員がいろいろ、先般、ダムについての御発言もございましたが、やはりこれは国民生活を守る意味におきましても、下水道の整備はできてもダムができていない、また首都におきましても、常に国民生活の上で水が必要でございますから、いかに住民の方々、この国土の中で稠密な人口を有しておるわけでありますから、協力をいただかなければいずれもできないわけでありますので、日夜これらの努力をして、国民の生活に不便を来さぬよう、また国土が一層魅力あるものになるようどもは努力していることを御理解を賜りたいと思うわけであります。
  39. 中島武敏

    中島(武)委員 時間の関係もありますので、国土庁長官にもと思ったのですけれども、ちょっと割愛させてください。  それで、次の問題に移りたいと思うのですが、橋本総理は、行政改革会議集中審議終了後の記者会見で、一大利権官庁ができ、大き過ぎて利権が発生するという批判があった、ブロック分割によって、予算一括計上、公共事業の執行権をゆだねていくことによって、全体のそうした利権官庁と言われるような、あるいは巨大官庁と言われるような弊害は除去できる、こういうふうに述べておられます。  この意味は、大くくりの弊害はあるが、各ブロックごとにつくられた地方支分部局が現在の北海道開発局のような機能を持つ、だから利権巨大官庁の弊害は除去されるという意味ではないかなと思うのですが、行革担当の総務庁長官、そうでしょうね。
  40. 小里貞利

    小里国務大臣 公共事業のいわば巨大化によりましての弊害、北海道の例をとってお話しになったわけでございますが、実は先ほども、ちょっと申し落としましたけれども、この機会に並列して申し上げますと、いわゆる本省が政策、計画の立案機能をいたしますよ。それを重点化するのが本庁だ。そして同時に、地域の実情に応じた機動的、弾力的な事業の実施が可能となりますから、言うなれば実施機能を支分部局に持っていきますよと。したがって、ブロック別の地方支分部局事業の実施について実質的な決定あるいは執行権を有する仕組みを確立ようといたしておるわけです。  具体的には、公共事業の決定及び執行に関する大臣の権限をその地方支分部局の長に対してできる限り委任するとともに、各地方支分部局ごとに所要の予算を一括して配分をする。こういう一つの仕組みに根幹から変わってまいりますから、まずその点を御認識をいただきたいと思う次第です。  なおまた、公共事業のいわゆる見直しということについても一言申し上げたいのでございますが、時間の関係もございましょうから、省略をいたします。
  41. 中島武敏

    中島(武)委員 私も、総理の会見、なぜ地方支分部局に分割をしたら弊害が救えるのかということを、何回も繰り返し総理は言っていますからよく勉強してみますし、また、そのことについて、今別に否定の発言があったのではないと思います。  それで、私は、模範とされた北海道開発局というのは一体何なんだろうということで、いろいろと調べてみました。法案でも、現在の北海道開発庁任務及び行政機能を引き継ぐというふうにされております。そして、北海道開発局についていろいろ調べてみましたら、この開発局は、開発計画の調査、道路、河川、農業農村整備、港湾、それから漁港、空港等の国の直轄公共事業の総括的な実施を行っている、こういうものですね。本州だったら建設、農林水産、運輸三省の出先機関が個別に実施していることを、全部一くくりにしてやっているわけですね。職員はどうかと思ったら、八千人を擁する巨大官庁だということがわかりました。  ところが、この巨大官庁の北海道開発局では、公共事業をめぐる利権構造がつくられているということがわかりました。それはなぜかというと、開発局のOBが北海道開発協会を初めとする公益法人に再就職をして、そして地元ゼネコンやコンサル会社に大量に天下っているのですね。最近では、開発局発注の公共事業受注上位百社に三百四十四人の開発局OBが天下りしていることが明らかになっています。それで、今度設ける地方支分部局はどうなんだということになりますと、このよう利権官庁にならない保証は、法律の上でどこかにあるのだろうかということを思います。  さらに、時間もないから申し上げますと、しかも開発庁の事業内容というのは、高速道路とか、さっきから問題になっております苫小牧東部開発に代表されるような大規模な産業基盤投資、それからダム、港湾、空港に優先的に投資されているのですね。そのために、生活基盤投資は非常に抑えられている。社会福祉、それから教育施設、それから建設関係でも例えば市町村道、そういう施設整備というのは非常におくれております。  これは総務庁が発行している「統計でみる県のすがた」なんですけれども、これを見ますと、学校のプールに関して言えば、公立小学校のプールは四十七位なんです、都道府県で。それから、公立中学のプールは四十七位、それから高等学校は四十二位と非常に低い。それから、ホームヘルパーなんかも三十九位というふうにこれには載っております。それから、さらに特別養護老人ホームをいろいろ調べてみました。そうしましたら、待機者が六千人いるのですよ、六千人。ところが、あとどれだけベッドをふやすか。四百五十六ということになっているのですね。これじゃ、もうどうにもならない。市町村道の舗装率も全国最低、こういう実態なんですね。  結局総理が何かモデルとされている、模範とされたその開発局の実態というものは一体何なんだというと、今申し上げたような利権構造をはびこらせている。それから同時に、それだけじゃない、大変ゆがんだ公共事業がやられている。一大臣利権官庁は、だから、これをモデルとして分割をしても、結局のところその中身は残ってしまうのじゃないかということを、北海道開発局を調べれば調べるほど私は思うのですね。  時間がありませんから、最後に運輸大臣お尋ねしたいのです。  最後に非常に重要な問題、運輸大臣お尋ねしたいのは何かというと、法の第二十二条の四号では、「運輸事業について、需給調整のための規制の撤廃等を通じて市場原理にゆだねることを徹底し、行政の関与を大幅に縮小すること。」とあります。既に運輸省は一昨年、九六年の十二月に、原則として目標期限を定めて需給調整規制を廃止する方針を発表し、それに続いて九七年の三月、それから九八年の三月に規制緩和推進計画を閣議決定していることは、私は承知いたしております。新しい国土交通省は需給調整規制を行わないということなんですか。そうすると、不採算路線を抱える地域、離島、僻地では、運輸事業の撤退や休止、廃止になる。そうなった場合に、制度的に国民の足を守る、充実させる、またそのための体制はどうなるのか、運輸省としての責任と行政の対応はどうするのか。こういう点について、運輸大臣にお伺いをいたしたい、時間の関係で二つ一遍に質問いたしましたけれども
  42. 高鳥修

    高鳥委員長 予定の時間が来ておりますので、簡潔に答弁願います。
  43. 鈴木宗男

    ○鈴木国務大臣 中島先生、プールだとか福祉の方のお話もありましたけれども、プール等はこれは文部省の管轄でありますし、ホームヘルパー等はあるいは老人福祉関係はこれは厚生省でありまして、北海道開発庁は国の直轄公共事業を一元的にやるところでありますから、この点はぜひとも御理解をいただきたい、こう思います。  同時に先生、先ほど、北海道がなぜ農林水産省運輸省建設省一括して開発局が仕事をやっているかということは、先生自身もおわかりだったと思いますけれども、やはり今回の行政改革の一面として縦割り行政の排除というのがあったと思うのです。その縦割り行政の排除をしているのが北海道開発局だ、運輸省建設省農林水産省事業を一括してやっている、その点を総理は改めて明示した、こう思うのであります。この点、私は誇り得る組織だ、こう思っていますから、これは継続してやっていきたい、こう思っております。
  44. 藤井孝男

    藤井国務大臣 お答えいたします。  中島委員指摘のとおり、我が省といたしましては、一昨年の十二月に、人の流れ、物の流れの全運輸分野における需給調整規制の廃止を、原則として三年あるいは五年という目標期限を定めて廃止することといたしたところであります。  これは運輸政策の一大転換でありますけれども、一方、やはりその前提といたしましては、生活の交通の維持、安全の確保、消費者の保護等の諸問題に関する環境整備方策の確立が大変重要な課題でございますので、運輸省におきましては、昨年の四月に運輸政策審議会に諮問いたしまして、鉄道あるいは自動車交通あるいは航空、各モード別部会におきまする事業特性に応じた検討課題について御審議をいただいているところであります。四月九日には、航空部会については答申がなされたところであります。  いずれにしましても、需給調整規制廃止に向けて必要となる環境整備方策等につきましては、今後、運輸政策審議会の答申を踏まえ、十分検討いたしまして、引き続き所要の法制度整備するなど、必要な措置を講じた上で適切に対処していく所存でございます。
  45. 中島武敏

    中島(武)委員 終わります。
  46. 高鳥修

    高鳥委員長 次に、自治省、国家公安委員会、郵政省及び総務庁を中心として審査を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。上田勇君。
  47. 上田勇

    上田(勇)委員 平和・改革の上田でございます。きょうは、中央省庁再編法案の中身につきまして何点か質問をさせていただきたいというふうに思います。  初めに、先ほどからの質疑の中でも言及されてきましたけれども、この法案の四十五条にもあります地方支分部局整理合理化の問題についてお伺いをしたいというふうに思います。  国家公務員の定員は約八十五万人でありますけれども、うち内部部局、霞が関の本省における定員というのは約四万人で、実に残りは地方支分部局施設等機関、この法案で言う分類でいきますとそういうところに所属しているわけであります。もちろんこれには現業部門が入っていますので、必ずしもそういう数字が正しいとは限りませんが、非現業部門に限ってみましても、実は、地方支分部局の定員が四割、施設等機関が五割というような形でありまして、行政全体の簡素化、スリム化という観点から見ていくためには、この地方支分部局施設等機関の改革が必要不可欠なことであるというふうに思うわけであります。  このうち、特に地方支分部局の改革につきましては、もう一つ重要な課題であります地方分権推進とも深くかかわっていることでございますので、この点について幾つか質問をさせていただきたいというふうに思います。  法案の第四十五条には地方支分部局あり方についていろいろとかなり難解な書き方で書かれておるのですけれども、これは、要は再編後の新しい府省の地方支分部局、それぞれの今の省庁が持っている地方局ということだと思うのですが、原則として、ブロック単位のもの、これは一種類のものに整理していくし、現にブロック単位のものがなくて都道府県単位のものしかない場合には都道府県単位の一種類にまとめるというようなことだというふうに思います。  そうなると、例えば新しい総務省の場合には、これは郵政省、総務庁、公正取引委員会一つになるので、地方支分部局という意味でいえば、郵政省の郵政監察局、地方郵政局、これらは公社の方に移行するのかもしれません、そのほか、郵政省の電気通信監理局、総務庁の管区行政監察局、公正取引委員会地方事務所、これらを一つにまとめていくということになります。  また、先ほどからずっと話題になっておりました国土交通省の場合には、建設省地方建設局、それと運輸省の港湾建設局、地方運輸局、これをまとめていくということになるのだというふうに思います。労働福祉省なんかの場合には、ブロック単位と都道府県単位の両方の地方支分部局があるので、もっと複雑になるのでしょうけれども、いずれにしても、統合していくということであるというふうに思います。  ちょっと基本的なことで恐縮なんですが、今の私が述べたよう理解でよろしいのでしょうか。総務庁長官、ひとつ。
  48. 坂野泰治

    坂野(泰)政府委員 行革会議最終報告及びこれを受けました基本法におきまして、基本的な方針として、同一の省におきます地方支分部局は可能な限りこれを総合化するという方針が示されていることは御指摘のとおりでございます。  ただ、この場合におきましても、それぞれの機関が実施しております業務の性質や内容、そういうものを考慮するということは当然必要なことでございまして、具体的には、そういう業務の内容を精査しつつ、今後、新たな省の地方支分部局組織あり方として検討されるものであると考えております。
  49. 上田勇

    上田(勇)委員 内容を検討しつつということであったのですが、各省の業務内容というのは十分検討した上で上を統合整理したわけですよね。なのに下の方は業務の内容がよくわからないというのは、ちょっと私はよくわからないのですけれども、その辺はいかがなんでしょうか。
  50. 小里貞利

    小里国務大臣 今坂野政府委員が申し上げたのが大筋でございますが、再度お尋ねでございますから、第二十二条の六号、これに該当する現在の機関はと、これを説明いたしますと、例えばでございますが、運輸省の港湾建設局が五カ所あります。そして建設省地方建設局が八カ所あります。これらは原則として恐らく統合の対象だろう。  あるいはまた第四十五条で申し上げますと、運輸省関係の出先機関、施設が相当数ございます。中身は省略いたしますが、五十九カ所ぐらいございます。しかも、その中には大変技術的、専門的、個性の強い施設、機関もございますし、他と統合可能なりかどうか、可能性があるかどうか、なかなか問題がある箇所もあるな、あるいはまた統括できる施設もあるなということでありまして、これが五十九カ所。そういうふうに、大体分類はできているかと。ただし、その具体的統合についてはこの次の省庁再編で吟味を重ねていく、こういう仕組みでございます。
  51. 上田勇

    上田(勇)委員 同じくこの四十五条の第六号に、先ほどもちょっとお話があったのですけれども、いわゆる中央の省庁の権限を地方支分部局の方に、許認可、補助金等の交付、そうした権限について思い切って移譲していくということがこの第六号に書いてあるのですけれども、これはもちろん、それぞれのブロック単位、都道府県単位両方ありますが、基本的にブロック単位と考えましても、これは全国的な視点での調整がこの場合必要でないものについては移譲していくということであるというふうに考えます。  そうでありますと、地方分権推進という点から見れば、中途半端な、中二階的なブロック単位の地方支分部局というよりも、思い切って、ちゃんと法律で明記された行政単位であります都道府県に権限を移譲するということが適当ではないかというふうに思いますが、なぜここで、二段階というのでしょうか、途中段階を置いたのか、その辺のお考えを例えればというふうに思います。
  52. 小里貞利

    小里国務大臣 ちょっと基礎的な、一つの感覚といいますか、姿勢を申し上げたいと思うのでございますが、御承知のとおり、地方分権、これはこの際もうためらうものはただ一つもないぞ、積極的に国と地方との役割分担を前提にして、地方分権を促進するべきものは必ずその中に入れ込んで積極的に行うんだ。残ったものを国がやります。しかも、どうしても国が手をつけなければならない公共性あるいは広域性等々を持ったものを国の一つ任務として残す。しかも、地方支分部局において整理統合をして、そこでより簡素に、効率的にこれを消化していく、行政を進めていく。そういう基本は非常に厳しく私どもは履行しなければならない基本だ、こう思っております。
  53. 上田勇

    上田(勇)委員 今のお話で、いわゆる国としてどうしてもやらなければいけない最低限のものというのはどういうことかといえば、これはやはり、全国的な視野での調整が必要なものであるとか、非常に広域的なものであるだとか、そういうようなことだと思うのです。そうすると、その地方支分部局の長というよりもむしろ中央省庁大臣にその権限があるのではないか。じゃなくて、それ以外のものはどんどん地方におろしていくということであれば、真ん中は何か置いても意味があるのかどうかということなんですけれども、むしろその辺はこれから話を詰められていくことなのかと思うのですが。  なぜこういう話をするかといいますと、新しい府省の長、これは大臣が長でありますので、基本的には国民に選ばれた国会議員が大臣に就任するのでしょうし、同時に、国会に対して責任を負っているわけであります。また、都道府県、地方公共団体の首長さんも、これも住民によって選ばれている方でありますし、それぞれ議会のチェックを受けています。しかし、この地方支分部局の長というのは、選挙という意味でのチェックもなければ議会もないわけでありますね。  地方支分部局で完結した場合には、だれが、あるいはどういう機関がそういったチェック機能を担っていくのか。また、これは国の機関でありますので大臣ということなのかもしれませんが、今のあれでいうと完結するわけですから、その意思決定に直接関与しない大臣が責任をとるということになるのか。むしろ、こういった制度をとると、かえっていわゆる官僚制度の権限を増大させることにはならないのか。しかもそれをチェックする機能が十分備わっているという保証がどうもわからないのですけれども、その辺についてのお考えがあれば伺いたいというふうに思います。
  54. 小里貞利

    小里国務大臣 議員お話がありましたように、地方支分部局、これも国の行政機関一つであることは間違いないわけでございますから、また、先ほど申し上げましたように、地方支分部局施設、機関は相当数ございますから、私が先ほど申し上げました第二十二条あるいは四十五条関係だけでも約七十前後あるわけでございまして、それらを従来はそういう一つ行政組織でやってきましたが、今次は、これを簡素に、効率的に統合しますよ。この一つだけでも私は相当な一つの進歩である、そしてこれは改革である、そう思っております。  殊に、議員の方から指摘がありましたように、主なる任務なり、あるいはその行政機能と申し上げますか、所掌事務などもこの際できるだけ簡素化いたしまして、そして民間に近い行政はできるだけ民間に近い行政団体に移譲を大前提としていたしておりますから、相当その意味におきましても、支分部局の事業、事務量というものは削減をされてくる、また削減されなければいかぬわけでございますから、いろいろ痛みもありましょうけれども、そこを断行してやりますよ。  それから、最後にお尋ねの、責任はということでございますが、責任は、あくまでこれは、行政は一体でございますから、政府は一体でございますから、それぞれの各省庁の系統・原則に従って、最終的には大臣が責任を持って執行せられるべきものである、そのように思っております。したがいまして、公共事業等の執行におきましても大臣が委任を申し上げますよ、そういう表現をとっておるところでございます。
  55. 上田勇

    上田(勇)委員 今長官からも、かなり地方支分部局というのは簡素化、スリム化されていくんだというお話がありました。  また、この同じ法案の四十六条では公共事業見直しについて触れられているのですが、この中の第一号でも、これは先ほどの話にも出ましたけれども公共事業について、国でやるものは非常に限定していくんだ、基本的には地方公共団体にゆだねていくんだという趣旨であるというふうに思います。これはかねてから私もそういうふうに考えていることでありまして、これは大変評価できるのですけれども、さらにその第四号でも、かなりそういう意味で、事業計画の決定等に重点化し、その他の業務は施工監理も含め民間委託を徹底するということで、公共事業の実施においても、この地方支分部局が、今の地方建設局等でありますけれども、かなり軽くなる、簡素化されるということであります。  先ほどから、事務量についてもそうでありますし、公共事業についてもこういうことでありますけれども、そうなると、特にこの地方支分部局の中で、人員的にも予算的にも大きいのが公共事業を実施する地方支分部局でありますけれども、これは具体的にどのぐらいというとなかなかお答えはないかもしれませんが、相当縮減されるというふうに考えてよろしいのでしょうか。
  56. 小里貞利

    小里国務大臣 先ほど申し上げましたように、ブロック別の地方支分部局が、事業の実施につきまして実質的な決定、執行機能を有するような仕組みに持っていこう。そしてそれは、効率的な事業執行がより身近なところで把握できるという一つの特徴も出てくるわけでございましょうから。したがいまして、国の直轄事業は徹底的に限定しなければいかぬ。  お話もありましたように、これに当たっては、まず国と地方役割分担を徹底して行い、国の実施事務の可能な限りの見直しあるいは限定を行うことが当然の前提となる。二つ目には、地方支分部局の簡素化、効率化、これは先ほど申し上げましたから省略を申し上げますけれども、そのあり方についても、例えばちょっとお触れになりましたように、民間委託の徹底等もありましょうし、あるいはまた公共事業の実施業務の効率化や、地方支分部局を含めた組織の簡素化、効率化観点等を十分踏まえて徹底的に踏み込んだものでなければならぬ。  そういう一つの前提に立ちまして、必要な組織あるいは体制あり方について今後検討を進めることは当然でありますが、その具体的あり方についても、大いにひとつ前向きで、国会で今次意思を決定いたしましたなれば即座にそれらの作業に取りかからなければならない。
  57. 上田勇

    上田(勇)委員 さらに、この同じ四十六条の第二号には、補助金の問題についてこういうふうに書かれています。「できる限り、個別の補助金等に代えて、適切な目的を付した統合的な補助金等を交付し、地方公共団体に裁量的に施行させること。」ということであります。  これは、今の公共投資のさまざまなむだというのが、地方は補助金でもらうので、やらなくていいものまでやってもその負担がある一定程度しか地方負担にはならないので、実は若干むだなものまで含めてやりがちだ。それを防ぐには、一番地元のニーズがわかっている、あるいは地元をこれからどういうふうに発展させていこうかというビジョンに基づいて地方公共団体が主体的に取り組むことが一つの方法であるということは、これはいろいろなところで各方面からもよく言われておりますし、そういう意味で基本的な考え方は評価するものであります。  この統合的な補助金について若干お伺いしたいのですけれども、もちろん、これは公共事業全体の見直しということでありますので、国土交通省所掌の事業に限らずいろいろな省庁所管のすべての公共事業が対象になると思うのですが、この補助金の交付はどの機関を通じて行うお考えなのか。また、先ほどから述べさせていただいています地方支分部局については、これにどのような形で関与していく計画なのか。その辺のお考えを伺いたいというふうに思います。     〔委員長退席、二田委員長代理着席〕
  58. 坂野泰治

    坂野(泰)政府委員 統合的な補助金の交付につきましては、基本的には、国が地方公共団体、したがって都道府県や市町村に交付をするということになるだけでございますが、その交付決定なり交付に関係する手続事務を具体的にどこで行うかということについてのお尋ねだと考えております。  基本的な考え方は、先ほどもお触れになりましたが、公共事業関係地方支分部局に対してできるだけ実施権限を移していくという方針を示しております関係上、この補助金の交付決定なり交付手続に関する事務も、可能な限り地方支分部局の長に委任をしていくことが必要であると考えております。したがって、この統合的な補助金もその補助金の対象として例外ではないというふうに考えております。  具体的な手続のあり方なりその内容については、これから具体的な検討が進められるものと考えております。
  59. 上田勇

    上田(勇)委員 私は、この統合的な補助金という基本的な方向については賛成なのですけれども、今のお話だと、新しい省庁で多少枠組みが変わってきますけれども、結局は今のそれぞれの事業区分ごとに目的限定的に補助金がおりていくという形だというふうに理解しました。  むしろこれは、公共事業というのは、ある県はもっと道路整備が優先かもしれません。ある県では、そうではなくて農業基盤の方が優先なのかもしれません。空港が今最重要だという県もあると思います。むしろそうしたものを一括して、地方が主体的にどのメニューを選ぶかということまで含めた統合補助金にしないと、基本的には今の縦割りの、個別の、地区ごと、事業ごとの補助金と何ら性質が変わらないかと思うのですけれども、その辺はいかがでしょうか。
  60. 小里貞利

    小里国務大臣 全くおっしゃるとおりでございまして、行革会議においてもその点が指摘をされました。それぞれの地方あるいはそれぞれの自治団体ごとに同じ補助金であってもいろいろ異なっているではないか、それらについて弾力的に対応するために、いわゆるブロック別にその辺の希望なり是非なり必要性というものを検討する、把握をする一つのチャンスとして機能しなければいかぬ、そういうことだと思います。
  61. 上田勇

    上田(勇)委員 先ほどの御答弁では、それぞれ事業区分ごとに、例えば国土交通省が行う治水事業であれば治水事業で幾ら、運輸省が行う港湾事業であれば港湾事業で幾らという形で、地区ごとの張りつけまではしないけれども、目的については限定的に、それぞれの省、あるいは新しい国土交通省になれば国土交通省所管のものは全部一つなのかもしれませんが、厚生省所管のものもある、農水省所管のものもある、そうしたものはそれぞれ別々に補助金がおりるというふうな御説明に理解したのですけれども、今の大臣の御答弁とは若干違うのではないでしょうか。
  62. 坂野泰治

    坂野(泰)政府委員 先生指摘の統合的な補助金についてでございますが、この基本法で、適切な目的を付与した統合的な補助金ということにいたしておるわけでございます。したがって、目的のいかんを問わず自由に使用できる一般的な財源、そういうものではないということはこれで示しておることになるわけでございます。したがって、この目的を、どのような範囲でどのよう内容で設定するかということが今後の検討課題になるということでございます。
  63. 上田勇

    上田(勇)委員 今後の課題ということでありますけれども、私は、それぞれの地方公共団体が、それぞれの将来計画に基づいてどういうところに重点的に投資していくのかということにできる限り自由な裁量がある方が効率的な執行になるのではないかというふうに思います。  その意味では、できる限り、今の地方交付税の制度がありますけれども地方交付税は一般財源であります。もちろんここは公共事業というふうに言っておりますので、その範囲はそれよりは限定的なのかもしれませんが、事業区分ごとに限定するのではなくて、公共事業であればどういう分野に重点的な投資を行うのか、それは地方公共団体の裁量をもっと広げる、なるべく広げていくというような方向でしていただいて、できる限り公共事業版の地方交付税に近いような形を考えていっていただきたい、このことをお願いしたいというふうに思います。  この点についてはちょっとこのぐらいにさせていただくのですが、先ほど来の議論の中で、国土交通省というのは巨大な権限と予算を持った官庁ができ上がるのだという質問もありますし、またこのことを危惧するいろいろな声もあります。これは、この法律の中では、公共事業見直し、それから思い切った地方への権限移譲、こうしたことが行われなければ、まさに現実のものになってしまうというふうに思うわけであります。その意味でも、統合的な補助金というのは、極力その地域地域の個性を生かして発展に役立てられるような予算組みをしていただきたい、このことをお願いしたいというふうに思います。  次に、中央省庁再編、今回この法案で出ているその目的の一つは、これまでいろいろなところで指摘されていました、各省にまたがる類似した業務であるとか重複した業務についてその所管を整理するということも当初一つの目的であったというふうに思うわけであります。  よく新聞等では、公共事業に関する例が取りざたされます。先ほども質問で出ましたが、汚水処理について、いわゆる下水関係事業について言えば建設省農水省、厚生省三省で共管しているし、水利事業も、水源は建設省、上水道は厚生、工業用水は通産、農業用水は農水。道路も目的や地域によって各省で実施している。砂防事業建設省。治山事業は林野庁。それぞれこうした縦割りがそれぞれの省庁で今行われているわけであります。  このことによって、これだけではないし、このことが全面的に悪いということではないのかもしれませんけれども、よく各方面から指摘されていることについては、各種事業整合性がとれないような事態が生じたり、非効率な面が生じてきているということが言われております。  行政改革会議議論の中でも、終わりの方でありますが、一時建設省の河川局を農水省と統合するというような案もあったというふうに聞いております。これにはいろいろと意見がありましょうし、私もすぐ断定することはできないのですが、現在の縦割りを破っていくという意味では注目していたことでありました。  今回の法案は、こうしたいろいろな議論の結果なのかもということは承知しておりますが、基本的にはこうした縦割りは現状のまま残されておりまして、単に省庁合併したということになっているのではないか、もっと業務内容に注目した整理、再編を行って、類似した業務の所掌を整理したり統合したり、そうしたことも必要ではなかったかというふうに思いますけれども、その辺についてお考えを伺いたいというふうに思います。
  64. 坂野泰治

    坂野(泰)政府委員 小里大臣からたびたび申し上げておりますとおり、今回の再編というものは、行政目的別に大くくりに再編成をするということでございまして、縦割り行政の弊害除去について、この観点から取り組もうとするものでございます。したがいまして、類似したり重複した事務についても、その大くくりの中でできる限り整理をしていく必要があることは御指摘のとおりだというふうに考えております。  この基本法におきましては、そういう観点に立って、各省、新たな省の主な任務、主な機能というものをまず別表の形で整理をして、大きな輪郭を示しておるわけでございます。したがって、その輪郭のもとに、これから個々の詳細な所掌事務についての整理が始まるわけでございます。その中で、御指摘ような類似、重複事務の整理もできる限りやっていかなければならないというふうに考えております。  なお、公共事業関係でございますが、別の質問者の方に建設大臣が先ほどお答えもしておられましたけれども公共事業すべてということになりますと、例えば厚生省の事業なり、まだいろいろな事業があるわけでございますけれども、やはりそれぞれの行政目的からそれぞれの省が所管をする必要がある、そういうことにならざるを得ないことであったとしましても、その間の類似、重複の関係整理なり連携なりということについては各省間でできる限り調整をして進める、そういう形にしたい、あるいは現在進めつつあるということでございます。  なお、基本法におきましては、このような省間の調整についても、インターエージェンシーというよう言葉で巷間言われておりますが、できるだけ省間で濃密な調整を行わせるような仕組みを新たに設けるようにということも示しておりますので、そういうものも今後十分活用していくことになるのではないかと思っております。
  65. 上田勇

    上田(勇)委員 もちろん、この公共事業関係というのは、国土の面的な開発ということでありますので、やはりそれぞれ独立した省庁で計画を立てて実施していく。やはりそれは、その目的がもともとそれぞれ違うわけでありまして、必ずしも整合性はとりにくいというのは、これはもういたし方のないことだと思うのですね。ですから、私も行革会議議論をいろいろ拝見する中では、であるからこそ、一つのところに、なるべく同じ面を使う事業についてはまとめていくというような方向での議論があったのではないかというふうに思います。細かいところはこれから実際詰めていくという話でありますが、現実には大まかにはもう分かれてしまって、基本的には今の縦割りは直らないというふうに私は思います。  なお、これまで、そうした各省庁間でのいろいろな事業計画の調整あるいは実施段階での調整についても、国土庁みたいな省庁があって、これは調整官庁というふうに言われていたわけですが、国土庁だとか環境庁だとかあったのですが、今回統合することによってそういう機能を担うところがなくなったのですけれども、今省庁間の調整ということになったのですが、これは省庁間の何か特別な部局を設けて行うおつもりなんでしょうか。それとも、その最終的な調整を行うような、内閣官房なりその辺にそういう業務を、そういう仕事をやってもらうおつもりなのか。その辺、ちょっとお考えをもう少し御説明いただければと思います。
  66. 坂野泰治

    坂野(泰)政府委員 省間の調整の問題は、問題の次元がいろいろあろうかと考えます。  例えば、公共事業の実施に非常に近い段階の調整でありますれば、まさに各省、それぞれを所管する省の間で十分な調整を行えば足りるものも多いかと考えます。ただ、非常に大きなプランに近いようなレベルの調整でありますと、これはなかなか省間だけでということにもまいらないというふうなことも考えられます。この次元に応じて、政府全体の調整の仕組みをこの基本法でも一応イメージとしてあるいは方針として出しておりますが、内閣官房が最終的には政府全体の調整を行う、内閣官房が乗り出す必要があると考えるものは内閣官房において処理をする、そういうことにいたしております。  ただ、すべてを、何でもかんでも内閣官房に持ってくるということは、逆に内閣官房の機能を麻痺させる、そういう可能性もあるわけでございまして、そういう意味でいきますと、今後はできる限り省間の調整で円滑な処理を行う、そういう仕組みに持っていく必要がある。そのためには、各省がそれぞれの行政目的の遂行に必要な範囲においては他省との調整を積極的に行うべし、そういう仕組みを今後つくるということで、この基本法にも省間の調整システムの規定を置いているわけでございます。  現在いわゆる総合調整官庁が果たしております機能のうちの一部は、そういう、各省がそれぞれ他省との調整を行うという機能に吸収されるということになろうかと思いますが、なお残るものについては内閣官房あるいは内閣府にその機能が移されるものもあると考えております。
  67. 上田勇

    上田(勇)委員 今まで非常に難しかったことがにわかにそう省庁間の調整がうまくいくものとはなかなか考えにくいのですけれども、まあ今は基本法の段階であるので、これ以上御質問してもなかなかお答えがいただけないことかというふうに思いますけれども、ちょっと次の項目に移らせていただきたいと思います。  この法案の第三十二条に、アウトソーシングですね、「国の行政組織等の減量、効率化等の推進方針」というのがございます。この中に、第三号に「国の事務及び事業であっても、国が自ら実施する必要性に乏しく、民間に委託して実施する方が効率的であるものについては、民間への委託を進めること。」まさにこのとおりだというふうに思いますが、ちょっとここで確認させていただきたいのですが、ここで言う民間というのは何を指すのか。官以外であれば、もちろん特殊法人とか、ここで言う独立行政法人とかは含まれないのでしょうけれども、各府省が所管することになる財団、社団等の公益法人はこの民間に含まれるのかどうか、その辺の御見解を伺いたいと思います。
  68. 坂野泰治

    坂野(泰)政府委員 この民間の意味でございますが、御指摘ように、独立行政法人あるいは特殊法人というものは想定をいたしておりません。  ただ、御指摘の公益法人につきましては、従来も民間ということでその範疇に入れられてきておるものでございまして、この法案におきましても、公益法人は民間の範疇に入るものという理解をいたしております。
  69. 上田勇

    上田(勇)委員 もちろん公益法人は民法法人でありますので、そういう意味では定義の上からは民間ということなんでしょうけれども、この公益法人の中には純粋に民間の中から出てきた法人もあれば、法人の設立時から官庁がかなり深く関与して、実質的には行政機関の延長みたいな性格を持っておるものまであるというふうに私は理解しております。  そうした公益法人の例えば役員には、省庁のOBがいわゆる天下りをしておりますし、中には、財団法人なんかでは研究するような法人、幾つかあるのですけれども、いわゆる一般の主要ポストにも省庁の職員が出向して、人事ローテーションの中に組み込まれておるような財団なんかも実はあります。そうした公益法人に委託したとしても、これはむしろアウトソーシングになるよりも、国の行政組織の減量ではなくて、実質的な行政権限の拡大になってしまうのではないかというふうに思います。  また、こうした公益法人というのは、今おっしゃったように、民間団体であるということから、いろいろな面での規制が官庁に比べれば緩やかな面もございますし、いろいろ昨年来の報道の中では、私が目についたもの幾つかでも、例えば建設省所管のダム水源地環境整備センター、ダム技術センターとか、そういった報道もありました。これはどういう報道かといえば、中央省庁の官僚の飲食費やタクシー代を出していたという例であります。  実際、こうしたセンターは、その運営について、基本財産は国や地方公共団体が出している、それで、その主な事業というのは国からの補助金などが主な財源になっている。つまり、これはどう見ても今のこの定義でいえばアウトソーシングに当たりながら、実は行政機関が延長しているだけだというふうに、むしろ拡大しているんだというふうに考えられるのですけれども、さらに悪いことに、不正の温床にもなっている、そういう報道があるわけであります。  やはり、この民間の解釈というのは、そういう意味では、このいかんによっては、こうした中央省庁の権益の実質的な拡大につながるということもあるので、民間にアウトソーシングするという場合には、特に公益法人等については、その性格、性質等についてよく見きわめていただいて、むしろ実質的な拡大になる部分というのは、やはりこれは、幾ら定義上は民間であったとしても、そこはよく線引きをしていただきたいというふうに思いますけれども、その辺について、お考えを伺いたいと思います。
  70. 坂野泰治

    坂野(泰)政府委員 民間委託という形で行われるものが、アウトソーシングの大きな、代表的な例だというふうに考えられるわけでございますが、民間委託を進めていくこの考え方については、行革会議長終報告においても、基本的に進めるべきだという考え方をしております。  ただ、その場合の留意点というものをこの行革会議長終報告が指摘をいたしております。それがまさに委員指摘の点にも当たるのではないかと思いますので、若干御紹介をさせていただきますと、まず、民間委託を実施することによって、総体として効率性が拡大化する、効率性が高まるかどうかの検証をしなさい、例えばサービスの質なりコストの比較分析、ほかのと比べてどうかということもしなさい、あるいは合理的な理由もなく委託組織を同一のところに長期固定化をしない、あるいは委託先の独占が生まれるようなことをしない、そういうような透明な手続をとれ、あるいは委託先について定期的な見直しを実施しろ、そのようなことをこの行革会議長終報告で指摘をいたしております。  したがって、今後この民間委託を推進するに当たっては、このような点について十分留意していくことは当然に必要になると私ども考えておるわけでございます。  なお、いろいろ先ほど御指摘の、特殊法人の設立てございますとか、運営に関する指導監督でございますとか、あるいはこういう委託ではない補助なり交付金の問題、そういう問題については、それぞれの立場からそれぞれの所管省が指導監督基準等を設けて、またその他の改革を現在進めておるところでございますので、そちらの方からまたいろいろお聞き取りをいただいたらありがたいと思っております。
  71. 上田勇

    上田(勇)委員 この点についてはもうちょっと伺いたいと思ったのですが、時間でありますので、質疑を終わらせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
  72. 二田孝治

    ○二田委員長代理 次に、石垣一夫君。
  73. 石垣一夫

    ○石垣委員 自由党の石垣一夫でございます。  今日までの論議の中で、国土交通省設置をめぐって、総合交通体系推進ということについてはいろいろ論議が重ねてこられました。  それに関連いたしまして、私は、交通安全対策について若干お伺いしたいと思うのですけれども政府は、平成八年に立てた交通安全基本計画の中で、平成十二年までに交通事故における死者を九千人以下とするという目標を立ててこられたのですが、データを見ますと、昨年は、事故の発生件数が七十八万三千九百九十九件、負傷者数が九十五万八千九百二十五人、死者数が九千六百四十人、こういう数字が挙がっております。こういう多くの方が交通事故で亡くなっているということですね。  こういうことについて、データを見ますと、依然として交通事故をめぐる情勢は非常に厳しい状況にある。交通安全対策は、政府全体として取り組むべき重要な政策一つである、このように考えるのですけれども総務庁長官国家公安委員会委員長に、この認識をお伺いしたいと思います。
  74. 上杉光弘

    ○上杉国務大臣 お答えをいたします。  毎年交通事故によりまして一万人ものとうとい人命が失われておる、また、百万人近くの国民が負傷しておるということは、国民生活の安全という観点から大変ゆゆしい状況であると考えております。  平成八年度に入りましてからの死者数で申し上げますと、平成年度に入ってだけでいいましても、平成元年、二年、三年、四年が一万一千台でございます。そして、五年度が一万台、六年度一万台、七年度一万台で、八年度から九千名台になっておるわけでございまして、このような数字から見ても、交通安全対策の、ある意味では徐々にではございますが死者数は少なくなっておる。  政府といたしましても、交通安全対策につきましては、従来から政府全体の重要課題として取り組んできたところでございまして、御指摘ように、今後とも政府を挙げて積極的に取り組むべき重要課題であると認識をいたしておるわけで、さらに努力をしてまいりたいと考えております。     〔二田委員長代理退席、委員長着席〕
  75. 石垣一夫

    ○石垣委員 今、公安委員長よりいろいろと厳しさについて説明がございました。  ようやく、それぞれ関係者の努力が実って一万人を割ってきたということで、一面ではこれはその成果をたたえたいのですけれども、しかし、現実にやはり一万人近くの人が亡くなっているというこの現実。  昨年、総理としては歴代初めて橋本総理が秋の交通安全運動に参加をされて、交通安全対策に関して政府を挙げて取り組んでおる、こういう姿勢を示されたのですけれども、今後もやはり総理を先頭に強力に取り組んでいく必要があるのではないか、このように考えております。  そこで、今回の省庁再編に伴って、この交通安全対策を推進する行政組織としてどのように考えておられるのか、この点、総務庁長官と国家公安委員長にお願いしたいと思うのです。
  76. 上杉光弘

    ○上杉国務大臣 お答えいたします。  警察といたしましては、交通事故を減少させるために、交通安全施設整備、交通安全教育の推進、高齢者の交通事故防止対策の施策など積極的に、啓蒙、啓発も含めまして取り組んでおるところでございますが、交通安全対策につきましては、その重要性にかんがみまして、従来から、内閣総理大臣を会長とする交通安全対策会議を中心に、政府全体で取り組んでおるところでございます。  御指摘ように、今後とも内閣総理大臣を先頭に、国民運動として、政府を挙げ積極的に取り組んでいく必要があろうかと思います。  昨年、交通安全運動の期間中に行事がございました折、総理とともに私も出ましたが、大変よかったと思っております。
  77. 石垣一夫

    ○石垣委員 従来、総務庁の中に交通安全対策室があった。今度の省庁再編に伴って、今回は、国家公安委員会が独立していわゆる内閣府の直轄ということになってまいりました。こういう中で、交通安全対策室の行政組織あり方についてはどのようにお考えですか。
  78. 上杉光弘

    ○上杉国務大臣 行政としてのあり方でございますが、設置法の段階におきまして具体的に検討されるものと承知をいたしておるわけでございます。  交通安全対策につきましては、引き続き政府全体の重要な課題として、国を挙げて積極的に推進することのできるよう行政組織の中に組み込まれる必要がある、またそのような対応をして国全体で取り組む必要がある、私はそのように考えております。
  79. 石垣一夫

    ○石垣委員 新しい組織の中で、交通安全対策として十分機能の発揮できる、そういう組織として今後存続されることを希望しておきます。  次に、総務省に関連してお伺いしたいと思うんですけれども、十七条の四号のハ、いわゆる「地方公共団体の歳入及び歳出に関する個別の関与については、財政収支が著しく不均衡な状況にある団体等に関するものを除き、地方公共団体の自主性を尊重したものとする」、こう書かれております。この中で、「財政収支が著しく不均衡な状況にある」場合は関与する、逆に読めば。この「財政収支が著しく不均衡な状況にある」という判断はどういう基準でもって判断をされるわけですか。
  80. 上杉光弘

    ○上杉国務大臣 財政収支が著しく不均衡な状況にある地方団体の歳入及び歳出に関する個別の関与といたしまして、現行制度上は、一つ地方財政再建促進特別措置法に基づく、一定規模以上の赤字を生じた地方団体に対する財政再建計画の承認と起債の制限がございます。それから二つ目には、地方債許可方針に基づきます、一定水準以上の起債制限比率となった地方団体に対する起債の制限でございまして、ともに一、最初の方はこれは一つの町、そして地方債の許可方針に基づくものはこれは一市がございます。  こういう一つの考え方があるわけでございますが、地方団体に対する国の関与は、その目的を達成するため必要最小限のものであるべきと考えております。現行制度における関与の趣旨地方分権推進委員会等の勧告も踏まえまして、地方団体の住民に対する基礎的行政サービス確保するなどの観点から、財政運営上問題があると認められる地方団体に対しましては、今後とも適切に対処してまいる所存であります。
  81. 石垣一夫

    ○石垣委員 今の答弁では、いわゆる赤字再建団体に匹敵する財政の悪化、こういうことなんですね。それに至る以前のいわゆるチェックはやらないんですか。例えば経常収支比率とか公債費率とかあるいは財政力指数とか、これは一つの、客観的な地方財政をはかる基準がありますね。こういうものを参考にして、問題と思われるそういう地方自治体財政についてやはり注目していく、こういう事前の、再建団体に陥るまでの事前のチェック制度として、一つのそういう基準はないわけですか。
  82. 二橋正弘

    ○二橋政府委員 ただいま自治大臣から、財政収支が著しく不均衡ということの、現行制度一つの例として申し上げました。  今委員が御指摘になりましたような経常収支比率でありますとかあるいは公債費負担比率でありますとかいった、いろいろな財政運営上のガイドラインといいますか、そういう指標はいろいろございます。そのことで個別の関与をいたしているということはございませんが、極端な赤字になる以前にやはり財政運営に警鐘を鳴らすといいますか、そういう意味では、私ども、例えば公債費負担比率が一五%以上になるとこれはいわゆる警戒ラインだ、二〇%以上になると危険ラインだということで注意喚起をいたしておるということはございます。
  83. 石垣一夫

    ○石垣委員 そこで、当然これは地方財政との関連で、ラスパイの問題が大きく私は関連してくると思うんです。  先般発表されました数字を見ますと、かなりラスパイにつきましては、自治省の指導助言の努力もあっていわゆる大きく改正されてきつつある、こういうことなんですけれども、現在の全地方公共団体の平均は、平成九年四月一日現在で一〇一・五、それから都道府県の平均は一〇三・四、指定都市では一〇四・八、市では一〇二・四、町村では九六・二、特別区で一〇三・四、こういう数字が出ておるんですけれども、あるべきラスパイの基準としてはどのようにお考えですか。
  84. 芳山達郎

    ○芳山政府委員 お答えいたします。  地方公務員の適正な給与の水準についてのお尋ねでございますけれども、我々、やはり地方公務員法第二十四条の根本基準に照らしてその水準は判断されるものというぐあいに思っておりまして、具体的には、国家公務員の給与を基準としながら、当該団体の組織、規模、また地域民間の賃金水準、生計費を考慮したものとすべきであり、また議会の審議を経て住民の納得と支持が得られるものでなければならないというぐあいに考えております。  したがいまして、御指摘のありましたように、毎年の次官通知において、現に国家公務員の給与水準や地域民間の水準を上回っている団体にあっては漫然と国の給与改定に準ずることなく、給与制度及びその運用の全般的な見直しを要請しているところでございます。
  85. 石垣一夫

    ○石垣委員 そこで、これを見ますと、都道府県では東京都がやはり一〇五・二、指定都市では大阪市が一〇七・四、市町村では一〇七・九。具体的にラスパイのこういう数値が出ているわけなんです。  こういうことに関連いたしまして、自治省としては、この数字をごらんになってどのようにお考えですか。
  86. 芳山達郎

    ○芳山政府委員 平成九年四月一日現在の地方公務員の給与水準でございますけれども「先ほど御指摘がありましたように、全地方団体平均では一〇一・五というぐあいになっておりまして、調査をしました四十九年一一〇・六から引き続き減少、低下してきて、適正化が進んでいるというぐあいに思っておりますけれども、今、団体区分別の御指摘がございましたように、都道府県、指定都市等々、まだ全体の給与制度運用の面から見て問題がある団体もあるというぐあいに認識してございまして、毎年の地方公務員の給与改定に関する取扱通知ないしは昨年十一月に出しました新たな行革指針の中で、当該団体における制度運用についての見直しを強く要請しております。今後とも、必要な、適切な助言を行ってまいりたいというぐあいに考えております。
  87. 石垣一夫

    ○石垣委員 それぞれの地域の住民が納得するいわゆる給与水準、これはラスパイであらわされるのですけれども、自分たちが納めた税金が還元される、やはりこういうことが一番望ましいわけでありますから、そういうふうに自治省としても十分ひとつ今後とも気を緩めずに指導助言をしていただきたい、私はこのことを希望しておきます。  そこで、先日の委員会でも私は通達の問題でいろいろ御質問申し上げたのですけれども、この二十条の五号では、財務省関係では、徴税に関して通達の依存を縮減するということが書かれておるわけです。これはどこの項目を見てもここだけしか書かれていないのです。わざわざ総理はこの質問に対して答弁されたのですけれども、この通達の問題につきましては、自治省としてこの五年間でどれほどの通達を出されましたか。
  88. 嶋津昭

    ○嶋津政府委員 お答えいたします。  大体一年で三百前後の通達を出しておりまして、ここ五年間で約千六百件の通達を出しております。
  89. 石垣一夫

    ○石垣委員 約千六百件の通達を出されたということなのですね。  関連して、郵政大臣もおられますからこちらから申し上げますけれども、郵政省も千五百件の通達を出されておるわけです。  この中で現在有効なものはどれだけありますか。
  90. 嶋津昭

    ○嶋津政府委員 毎年三百本ほどの通達が出ておりますが、その中には、何年度の財政運営についてとか、そういうふうに年度を限った通達もございまして、そういうようなものを勘案いたしますと、現在、五年間に出したもので有効と考えられますものは約千百件ぐらいでございます。
  91. 石垣一夫

    ○石垣委員 このデータから見ますと、平成五年に二百八十八件の通達を出しておる、ところがそのうち現在有効なものは百五十七件、平成六年度では二百九十三件で二百件、平成七年度では三百九十七件で二百五十四件、平成八年度では三百三十二件で二百三十五件、平成九年度では二百九十八件で二百六十七件、合計いたしますと千六百八件で千百十三件、約三分の一近くが既にもう効力を失っているわけでありますね。恐らくこの実態は各省とも大同小異だと私は思うのです。  自治省の例を端的に挙げましたけれども、こういう現在もう効力を失った、これは五年間ですよ。これをさかのぼって、自治省が始まって以来の通達の数というのは掌握していますか。
  92. 嶋津昭

    ○嶋津政府委員 委員の御質問の通告に従いまして過去五年間調べてみたわけでございますが、大体毎年三百本程度ということでございますので、そういう業務に関連してその程度の通達が過去も出されていたのではないかと考えております。
  93. 石垣一夫

    ○石垣委員 私は五年間の資料を請求したのですけれども、自治省としては、省庁再編をめぐって、この際徹底的に洗い直すという観点に立って、やはりきちっと掌握して、そしていわゆる効力を失ったものについてはこれを直ちに処理をするということにすべきだと私は思うのですけれども、いかがですか。
  94. 嶋津昭

    ○嶋津政府委員 今御指摘の五百件、効力がないものというものは、先ほどもちょっと御説明いたしましたが、毎年度の財政運営通達とかそういう形で各年度の事務の取り扱い等について出したものが、現在は効力がなくなっているということでございます。  ただ、今委員から御指摘ございましたように、現在効果がある通達あるいは法令等につきましても、行財政改革あるいは地方分権推進という観点から、いろいろな視点からも随時見直しをしていかなければならないと考えております。
  95. 石垣一夫

    ○石垣委員 随時見直しじゃなくして、現実にこれは五年間で五百本近くがもう効力を失っているわけですから、これは存在価値ないわけですよ。それをなぜそんなにのんきなことを言っているのですか。もう一遍答弁してください。
  96. 嶋津昭

    ○嶋津政府委員 現在、いわば法律の施行とかあるいは各事務に従いまして通達を適宜出しております。これは、地方団体を拘束するというよりも、地方団体に対する情報提供というよう趣旨の通達の数が多いわけでございます。  したがいまして、そういう法令に基づいて通達を出しているわけでございますが、そういうようなものにつきましては、行政改革観点とかあるいは事務の簡素化というようなことも踏まえまして、御指摘ようにこれからも極力見直しをしてまいりたいと考えております。
  97. 石垣一夫

    ○石垣委員 次に、郵政事業に関連してお伺いしたいと思うのですけれども、三十三条の六号、「民営化等の見直しは行わないものとする」、こういうことなのですけれども、この「等」という意味は、これはどういうことなのですか。
  98. 坂野泰治

    坂野(泰)政府委員 行革会議最終報告に至ります過程で、与党の協議結果を踏まえてこれを最終報告とし、そのまま基本法に盛り込んだものということでございます。  それで、この与党協議を通じまして今御指摘の事項が盛り込まれたわけでございますけれども、これは、今回の新たな公社への移行をもって民営化を含むその他の組織形態へ移行すべく見直しを行わない、そういう意味だと私ども理解をいたしております。
  99. 石垣一夫

    ○石垣委員 いや、だからこれは民営化等、いろいろの形の民営化はやらない、はっきりこれは民営化断念ということを意味しているわけですね。
  100. 小里貞利

    小里国務大臣 裏の方から申し上げますと、公社への移行を確実なものにするためにその前段として郵政事業庁というものがあるわけでございますから、したがいまして、これは民営化を行うものではありません。したがって、同法におきましても三十三条の一項の六号できちんとそれを記したものである、こういうことでございます。
  101. 石垣一夫

    ○石垣委員 では次に、第八号の「国家公務員としての身分を特別に付与し、」この「特別に付与し、」というのはどういう意味なのですか。
  102. 小里貞利

    小里国務大臣 いわゆる想定されます郵政公社法によりまして特別に国家公務員として身分を付与いたします、そういう意味でございます。
  103. 石垣一夫

    ○石垣委員 では、この八号のロに「一般職の国家公務員と同様の身分保障を行うこと。」これは重複しておるんですね、意味が。何でわざわざこういうことを入れるんですか。
  104. 小里貞利

    小里国務大臣 具体的なことはまた事務方の方から、当局から補足説明を必要があったらさせますが、その意味は、国の行政機関から外に出しまして、別法人格を有する郵政公社、この基本があるわけでございます。  したがいまして、今お尋ねの身分につきましても、国家行政組織法の対象外に置きますよ、いわゆる総定員法の対象外でありますと、これは行政職機関に関する職員の身分に関する法律でございますか、いわゆる総定員法と言っておりますが、この両法の対象外に置くものでありますという基本がございます。ただ、今先生お尋ねの、例えば身分の中におきまして国家公務員と何も変わりはないのじゃないかというお話でございますが、新しい国家公務員としての概念を、先ほど申し上げましたように、郵政公社法によって特別に付与するというところに一つの根拠を置いたものであるからでございます。
  105. 石垣一夫

    ○石垣委員 これ、いろいろと公社化について、職員の身分等についても御苦労なさっているなと表現からうかがえるのですけれども、非常にまどろっこしい感じを私たちは受けるわけです。身分は国家公務員とする、これではっきりするんですけれども、そこはいろいろと駆け引きがあったと思うんですけれども、非常にそういう点は紛らわしいという感じがいたします。  それから、次の三十三条の三項ですね。「政府は、郵便事業への民間事業者の参入について、その具体的条件の検討に入るものとする。」この「具体的条件の検討に入るものとする。」ということは、これは何を意味するわけですか。
  106. 坂野泰治

    坂野(泰)政府委員 今回の郵政事業改革の一環として、民間参入を認めるべくその具体的な条件について政府として今後検討を進める、その方針を明示したものでございます。
  107. 石垣一夫

    ○石垣委員 いやいや、この項目は、郵便事業へのいわゆる民営化の突破口を開いた、こういうふうに世間では評価をする人もおるわけです。こういう意見に対してどのよう認識されておりますか。
  108. 自見庄三郎

    ○自見国務大臣 石垣委員にお答えをさせていただきます。  郵便サービスというのは、もう先生御存じのように、国民基本的通信手段としての、全国津々浦々まであまねく公平に、なるべく安い全国均一の料金によりサービスを提供することが必要であり、今後とも国のサービスを提供することが必要だというふうに思っております。  先生御存じのように、ユニバーサルサービスでございまして、国内同一料金ですね、それから、ポスト投函制というのが大変国の近代郵便制度の大きな特徴であるということは先生御存じでございまして、その中で郵便事業への民間事業者の参入の具体的条件については、各界各方面の御意見も賜りながら、今後とも検討していくことにいたしておりますが、その際大事なことは、国の郵便事業によるユニバーサルサービス確保されることが私は大前提だというふうに考えております。  そういった中で、中央省庁等改革基本法案では、民営化等の見直しは行わないこととしており、民営化への突破口ということは当たらないというふうに私は考えております。
  109. 石垣一夫

    ○石垣委員 ユニバーサルサービス確保されれば、逆に民間業者の参入についても検討されるわけですか。
  110. 自見庄三郎

    ○自見国務大臣 お答えをいたします。  今国の郵便事業によるユニバーサルサービス確保されることが私は大前提だというふうに思っております。今国による郵便事業をやっています。このユニバーサルサービス確保されることが大前提だというふうに考えております。
  111. 石垣一夫

    ○石垣委員 したがって、国のユニバーサルサービス確保されることが大前提だ、その大前提を踏まえて、いわゆる民間業者の参入について、これは当然民営化につながっていくわけですから、検討されるのですかと聞いているわけですよ。突破口を開いたわけですね。
  112. 自見庄三郎

    ○自見国務大臣 お答えをいたします。  国の郵便事業に対して、民間事業の郵便事業に対する参入の条件について検討するということでございますから、私、先生の御指摘ように、民営化の突破口ではなくて、まさに民間事業者がどういう形でこの郵便事業に参入できるのか、そういったことを今実は検討会をつくって検討いたしておりまして、海外の事情等々も今調査をいたしております。  いずれにいたしましても、ちょっとしつこいようでございますが、国の郵便事業によるユニバーサルサービス確保が大前提だ、そういったもとで、要するに民間事業者の参入の具体的条件について今検討させていただいている、こういうことで御理解をいただければというふうに思っております。
  113. 石垣一夫

    ○石垣委員 言葉じりをとらえるようですけれども、海外の事情も研究しているというのですが、海外は民営化の方へ行っているのですよ、どこを研究されているか知りませんけれども。そういうことで、ちょっと今の答弁について私は理解をしにくいのですけれども、とにかく、結論としてはやはり国のユニバーサルサービス確保されるという大前提を踏まえて今後協議する、こういうことなんですね。
  114. 小里貞利

    小里国務大臣 先ほど自見郵政大臣がお答えいただきましたことと大筋同じでございますけれども先生非常にここを重視してお話しのようでございますから、また大事なお話でございますからあえて申し上げるわけでございますが、今お話がありましたように、郵便事業、他の二事業もさることながら、これはもうきちんと整理をしてありますから、もうあえて申し上げません。  それから、ただいまの先生お話しの言葉によりますと、郵便事業そのものを民営化するごとくイメージしておいでになるのかなと思ったのでございますが、およそ郵便事業は民間参入もあっていいんじゃないか、そういう話がございましたから、これは各界かなりあったわけでございまして、ですから、郵便事業は民間参入ということを一応考えよう、そしてその具体的方策なりそのあり方等については今後検討しましょう、こういうようなことが一つの確認事項といいますか、いきさつとしてあるわけでございます。  そして、今郵政大臣からお話しがあったように、その検討に当たってはユニバーサルサービス確保されることが大前提ですよ、こういうふうになっておるわけでございまして、私が前段で申し上げましたように、民営化等の見直しは行わないこととしており、民営化への突破口ということは当たらないものと考えます、こういうことでございまして、御理解いただきたいと思います。
  115. 石垣一夫

    ○石垣委員 終わります。
  116. 高鳥修

    高鳥委員長 次に、矢島恒夫君の質疑に入ります。
  117. 矢島恒夫

    矢島委員 行革会議の中間報告あるいは最終報告、さらに基本法案そのもの、いろいろ読んでみました。また、本委員会でもいろいろと論議されてきたわけですけれども、どうも中身がはっきりしない部分が多い、姿が見えてこないといいますか。  そういう観点から、きょうは、時間の関係もありますので、郵政三事業、今も質問がなされておりましたけれども、とりわけ郵便への民間参入という問題に絞って質問したいと思います。  昨年九月の段階で中間報告が出されました。郵貯と簡保についてはこれを民営化していくという方向が出されましたけれども、その直後から国民を初めとして各界からの猛反発がありました。最終報告を見ますと、中間報告にあった郵貯、簡保についての民営という言葉はなくなりました。国営という文字が入ってきたわけであります。ところが一方、逆に中間報告にはなかった郵便事業への民間参入、これがつけ加わったことになるわけであります。行革会議の集中審議第五日目、十一月二十一日の議事概要を見ますと、「郵便事業への民間参入について、会長より、具体的条件の検討に入るとの合意は、民間参入を認めるとの合意である旨が確認されているとの発言があった。」こういう記録がございます。  そこで総務庁長官お尋ねしたいのですが、行革会議の中で、こういう条件なら民間参入を認めたらいいのじゃないかとか、こういう条件が満たされなければ参入はだめだとか、あるいは具体的条件について何か取り決めたことがあるのか、その点についてまずお聞きしたいと思います。
  118. 坂野泰治

    坂野(泰)政府委員 行革会議におきましては、民間参入に関する問題意識を各委員がお持ちであったこと、その点は事実でございますけれども、御指摘ように、具体的な条件について合意を見たとか取り決めを見たとか、そういうレベルまでは論議は至っておりません。
  119. 矢島恒夫

    矢島委員 そうしますと、論議の中で、こういう条件ならいいだろうとか、こういう条件ではだめだどか、そういうのもなかった、このよう理解してよろしいですね。
  120. 坂野泰治

    坂野(泰)政府委員 おおよそそうだと思います。
  121. 矢島恒夫

    矢島委員 具体的条件については白紙で、これからだということだろうと思います。  そこで、長官、今度の出されております基本法、先ほども出ました三十三条の三項にも、「政府は、郵便事業への民間事業者の参入について、その具体的条件の検討に入るものとする。」という文言が書かれております。郵便事業に民間が参入するということになれば、自動的に、郵便事業の独占を決めたところの郵便法の第五条とのかかわりが問題になってくると思うのです。この第五条を変える必要があると思うのです。こういうことは郵便事業原則にかかわる重大な問題だと思いますが、この郵便法の改正が必要になるのか、総務庁長官として、これが論議されているときに、民間参入と郵便法第五条との関係、これについてどうお考えか。
  122. 小里貞利

    小里国務大臣 基本法案におきましては、郵便事業への民間事業者の参入について、お話しのとおり、その具体的条件の検討に入る旨規定しておるわけでございますが、お尋ねの郵便法第五条の規定をどのように取り扱うかという点を含め、具体的な方向については今後政府部内において検討しょう、そういう形になっております。
  123. 矢島恒夫

    矢島委員 具体的にはこれからだ、先ほどの具体的条件もこれからしていく、法律を変えなければならない部分が出てくるかどうかについてもこれからだと。  私、この問題では、第五条の問題だけじゃなくて、郵便事業、あるいは郵政事業という範囲に広げたとしても、この基本法が成立すれば、そういう事業の根幹にかかわるような問題での法律の改正というのが次々と必要になってくるだろう、これは極めて重大な問題だと思うのです。しかも、例えば郵政分野だけをとりましても、郵便法第五条の問題にしましてもまだこれからだ、ほかにもたくさんいろいろな分野で、細かい字句的な問題はともかくも、中身にかかわるよう基本的な問題での法律の改正をせざるを得ないという状況が出てくるだろう。  そこで、今この基本法を論議しているのだけれども、そういうところが皆目出されてきていないのですね。成立すればこういうところがこう変わるのだよというような中で論議することが、行革基本法について中身を論議する上で非常に重要だと思うのですね。そういう意味で、例えば郵政事業にかかわる法律では、基本法が成立したらこういう部分が変えていかなければならないんだというような点についてこの委員会に示してもらいたいと思うのです。そうしませんと、具体的な論議というのは非常にやりにくい、姿が見えないという国民の声がそのとおりなんですが、郵政省はどうお考えですか。
  124. 長谷川憲正

    ○長谷川政府委員 委員指摘の民間参入を郵便の分野に認めた場合の法の手当てでございますが、おっしゃいますように、郵便法五条との関係も出てこようというふうに思っておりますし、同時に、郵便法の各般にわたりまして検討が必要であろうというふうに思っております。  この点に関しましては、既に諸外国で一定の範囲ではございますけれども民間の参入を認めている例がございます。そして、それらの国いずれもそうでございますが、国または国に準ずる事業体がユニバーサルサービスの義務を負っておりまして、このユニバーサルサービス国民確保していくためにどのようにしていったらいいのかということを絶えず研究をしておられるように存じております。  そこで、現在、私どもは法律あるいは経済の専門家にお願いをいたしまして、まずこういった外国の事情をしっかり調べて、どういう考え方で、どういう措置によってユニバーサルサービス確保し、今後とも確保ようとしているのか、それを調査していただいているところでございます。その上に立ちまして法令全般の検討をしていきたい、このように思っているところでございます。
  125. 矢島恒夫

    矢島委員 いずれにしても、この特別委員会にそういうものを出すだけの時間的なあれがないと言うのだろうと思うのですが、これから検討だと。  本来ならば、もし基本法ができたら郵便法のこういうところがこう変わってくるのだ、そういうものを提示しながらいろいろと論議していくことが必要で、まだまだこれからだこれからだと言いながら、基本法だけは通してくれ通してくれと。これでは、基本法が通ったら、それこそそういうところがどんどん出てくるのですよ、たくさんの部分が。言葉はあれですが、基本法だけ通せというのは、ファッショ的な法案だと私は思うのですけれども。  そこで、ユニバーサルサービスという言葉が出てきましたのでちょっとお聞きしたいのですが、今も郵政大臣の御答弁がありました。三月十九日の予算委員会でも、我が党の松本議員質問にも同じように答えておるわけですが、具体的な検討に当たって、国の事業によるユニバーサルサービス確保されることが大前提になるというふうに考えておりますと。郵政省も、行革会議最終報告が発表されてから、郵便事業への民間参入というのはユニバーサルサービス確保が大前提だと繰り返し述べてきている。  ところで、このユニバーサルサービスという定義なんですが、法律で明確にあるわけではありませんから、まず、私、その問題で少し論議していきたいのですけれども、共通の土台にするためにもその点を少し明確にしておきたいと思うのですが、ユニバーサルサービス確保というこの場合は、この郵便事業だけに限っていきましょう、郵便事業においては具体的に何を指すのかという点についてお答えいただきたいと思います。
  126. 長谷川憲正

    ○長谷川政府委員 お答え申し上げます。  御指摘ように、日本におきまして郵便のユニバーサルサービスが明確に何を指すのかといったような定義は、現在のところきちっとしたものはございません。  したがいまして、外国の例を参考にしながら今調査を進めているわけでございますが、一般的に、私どもがユニバーサルサービスという言葉で意識しておりますのは、郵便が国民基本的通信手段でございますので、今後とも、不採算地域を含めて日本全国あまねく均一料金で郵便のサービスを提供していく、そのことを念頭に置いて考えているわけでございます。
  127. 矢島恒夫

    矢島委員 郵政省は、これまで民間参入というのは、ユニバーサルサービス、つまり、今言いました全国均一料金だとか、前にも答弁がありましたポスト投函制だとか、そういうものを崩し、ひいては郵便ネットワーク自体の崩壊を招くと主張されております。行政改革会議ヒアリング資料の中にも、郵政省は資料を含めて非常に克明にその部分について書かれているわけであります。  今度、基本法にのっとって民間参入の具体化というものを、具体的条件を検討する、こういうことになるわけですが、民間参入とユニバーサルサービスが、今までの考え方だと両立しないという方向でこのヒアリングやそのほかの文書はなっていると私は思うのですよ。ところが、それは両立するというふうに、つまり、ユニバーサルサービスというのと民間参入というのは両立する、このように考え方が変わったのか。もし両立するということならば、その根拠を示していただきたい。
  128. 長谷川憲正

    ○長谷川政府委員 ユニバーサルサービス確保の問題につきましては、御指摘のとおり、郵便事業の場合には大変困難な問題を伴うというふうに私どもも考えております。  何しろ安い料金で、かつ不採算地域も含めて均一料金でサービスを提供する、あまねく公平にサービスを提供するということでございますので、例えば都市部におきまして民間企業が参入をしてサービスを提供するということになりますと、不採算地域を除きます地域だけのサービスでございますので、これは郵政審議会の試算があるのでございますけれども、現在の郵便料金のおよそ半額程度で参入ができるのではないか。そうなりますと、逆に、地方の郵便料金は三倍程度に上がるであろうという試算がございます。  そういった点から申しまして、郵便事業は、このユニバーサルサービス確保するということと御指摘ような民間参入、両者を両立させていくというのは非常に難しい課題であるというふうに思っております。  しかしながら、各国の事情を見ますと、国によって事情はいろいろ、国情が違うのは当然でございますけれども、その中でも、過去にストライキが多発をしたというようなこと、あるいは大きな財政赤字を抱えたというようなことから、部分を限って民間に参入を認めているという例がございますので、そういった例を参考にしながら、私どもとして、今後どのような条件が考えられるのか、検討してまいりたいということでございます。
  129. 矢島恒夫

    矢島委員 同じユニバーサルサービス確保というこの言葉の意味するところは、中心的には、全国均一料金でポスト投函制、これらを中心にして考えられていると思うのですが、このユニバーサルサービス確保したとしても、国民へのサービスの点で、現行よりサービスの低下はあり得るのだと。  つまり、全国均一料金でも、その均一料金が上がるということになれば、それだけ国民に対するサービスは低下することになるし、また、コスト削減だということで、競争の中で、民間が参入する中で、例えばポスト制は維持しているとしても郵便局の統廃合が起こるとか、そんなことになつたら、これは現行より国民へのサービスは低下することになるわけです。  そういう意味では、このユニバーサルサービス確保という言い方、これは郵政大臣もちょくちょく使われているわけですけれども、この全国均一料金だとかあるいはポスト投函制、これはもちろんですけれども、それ以外の現行サービスの低下はしないという方向での検討がなされるべきだと思うのですが、郵政大臣、この辺についてはどういうお考えでしょうか。
  130. 自見庄三郎

    ○自見国務大臣 矢島委員にお答えをさせていただきます。  コストを含めたサービスの低下を来さないようにということでございまして、我々も常々、大変大事なことでございますから、そのことを深く胸にきちっと刻ませていただいております。  一例を挙げますと、先生御存じのように、ことしの二月から郵便番号七けた化を実施させていただいたわけでございます。いろいろな御協力をいただいておりますが、これによりまして、御存じのように、将来的には約八千人近い人員が削減できるのではないか、あるいは将来的には二千億円ぐらいの経費が要するに節減できるのではないか、こういった試算も出させていただいているわけでございます、向こう十年の推計でやったと思いますけれども。  そういったことを通じてできるだけ、ユニバーサルサービスというのは必要でございますし、また、同一料金、ポスト投函制は、先生が今言われましたように、近代郵便制度基本でございます。同時にまた、先生御存じのように、郵便事業というのは人件費が大体六割から八割ぐらいでございまして、そういった状況にもあるわけでございますけれども、そういった中でコストの低減に努めまして、サービスが低下しないように、できるだけ最大限の努力をさせていただきたいというふうに思っております。
  131. 矢島恒夫

    矢島委員 大臣の後半の人員削減、コスト問題、これについても、私、時間があれば質問したいと思っているわけです。  一言だけ言っておきますと、今の状況の中でも、いわゆる正規の職員というのは、十年前と変わらないような人員の中で一生懸命頑張っている。もちろん、臨時的な職員はふえているかと思います。しかし、そういう状況の中で、今過労死の問題や、いろいろ起きております、ニュー夜勤制度の問題もあります。そういう問題について後でお聞きしようと思ったのですが、まだユニバーサルサービスの途中ですので、その続きをまず先にやらせていただきます。  私、先ほど言いましたように、ユニバーサルサービス確保という言い方には問題があるという考え方でお聞きしたわけであります。つまり、民間が参入してもサービス低下はしませんよ、このことが前提だ。同じ前提でも、そちらの方の大前提をぜひとるべきだということなんです。それは、料金が上がるとか、あるいはポストの数が減るとか、あるいは郵便局の統廃合が起こるとか、そういうことがあってはならないという意味でお聞きしたわけです。  先ほど答弁の中にもありましたけれども、郵政審議会の「郵便局ビジョン二〇一〇」の中に、確かに、「ユニバーサルサービスの提供と民間との関係」ということで、もし民間が参入したらという特別の補講があるわけですね。その補論の中の概要については、先ほどの答弁の中身と同じよう内容が書かれているわけです。民間が参入したら政令指定都市以外の地域にあっては一般の料金は大体こうなりますよというので、三倍ですね、手紙は八十円が二百四十円に、はがきは五十円が百五十円に。「さらに政令指定都市以外あての一般郵便物などにも民間が参入すれば、地方あての郵便料金は一層高騰する。」と、資料も含めてこの最終答申がなされているわけです。  そこで郵政大臣にお聞きしたいのですよ。  だから、これまでの郵政省のこういう主張から考えますと、これから具体的な条件を検討する上で、郵便料金の値上げにつながるようないわゆる民間のいいとこ取り参入、こういう民間参入は認めないということになるだろうと思うのですけれども、この辺、どうお考えでしょうか。
  132. 自見庄三郎

    ○自見国務大臣 矢島委員にお答えをいたします。  郵便事業への民間事業者の参入について、その具体的条件の検討に入るということでございまして、今検討中でございますから、将来に対して予断を許すよう答弁は差し控えたいと思いますが、ただし、原則は、今私が申し上げましたように、もし民間事業者がある一定の条件のもとで参入してきても、国の郵政事業によるユニバーサルサービス確保されることが私は大前提だと思っております。  先生御存じのように、今局長からも答弁がございましたように、郵便事業というのは、東京あるいは関東、それから名古屋・東海と申しますか、それから大阪・近畿、この三地域だけが実は黒字でございまして、私の出身の九州も、ほかの北海道も東北も全部実は赤字でございます。それはやはり国家が国営三事業一体ということでやらせていただいているから、ユニバーサルサービス確保し、料金についても大体ヨーロッパ並みの郵便料金が確保できている、こう私は思うわけでございます。  どんな地域におっても国内同一料金で郵便事業利用できるということは、やはり近代国家の最も大事な機能の一つだ、こう私は思うわけでございますから、将来その中へ民間事業者が参入してきても、国が大前提であるユニバーサルサービスが壊れないように、そして今先生の御指摘にもございました、料金ができるだけ上がらないように、そういった知恵をしっかり今後絞っていきたい。諸外国等の例もございますから、そういったことも参考にしながら具体的条件の検討をさせていただきたいというふうに思っております。
  133. 矢島恒夫

    矢島委員 先ほどの私の質問に対して、総務庁長官は、法案が成立してから郵便法の第五条についてどうするか、これも考えていくのだという答弁がございました。また、具体的な条件につきましても今後どうするかということを考えていく、だから、郵便法でいえば、五条が残ることもあるかもしれないし、これをなくさなければならないことが起こるかもしれないという状況が今の状況だろうと思うのです。行革会議の中では、この具体的条件というものについてとりわけ前提を何も置かなかったというのも先ほどの答弁でわかりました。どのような条件を設定するかというのは、今後の郵政省の検討にかかっているということになるわけであります。  郵政大臣も今御答弁いただいたわけですが、私の危惧するのは、できるだけ料金値上げの、そのできるだけがどうなるのかな。「郵便局ビジョン二〇一〇」でいうと、三倍にも料金がはね上がることが書いてあるわけですから。  ですから、これは民間がどういうふうに参入するか、どういう形で参入するかによって違ってもきますけれども、しかし、そういう採算の合わないところへ民間がどんどん進出していくということは考えられないわけですから、先ほど大臣答弁されたように、東京、首都圏だとか近畿圏だとかそういう採算の合うところには入ってくるだろう。それで、料金が半額ぐらいの郵便料金でやれば、それと競争するためには今度はほかの方を上げていかなければならなくなるというような事態が起こるから三倍だ、こういうことがこの最終答申にも書かれているわけです。  そこで、最後になりますけれども、具体的な条件の検討はこれからだというわけですけれども、先ほど来何回も申しましたが、ユニバーサルサービス確保が大前提だというだけでは私は不十分だと思うのですよ。均一料金、ポスト制が維持されたとしても、サービスダウンというのが起こる可能性があるというのは、先ほど、料金が値上がりしたりあるいは郵便局が統廃合されたりという事態が起こっては何にもならない。行政改革というのは、国民サービス確保をしていかなかったら国民の支持を得られないわけですから、やはりそこが大前提だと思うのです。  具体的な条件の検討は、現行サービスを低下させない、このことが前提だと私は思うのですが、最後に郵政大臣の決意をお聞きして、終わりにしたいと思います。
  134. 自見庄三郎

    ○自見国務大臣 今の委員の御指摘のとおり、やはり国の郵便事業によるユニバーサルサービス確保が大前提だ、私はこう思っておるわけでございまして、その中に立って今回郵便事業への民間事業者の参入についてその具体的条件を考えるということでございます。国の郵便事業によるユニバーサルサービスということが大前提だ、そのことを踏まえてこの参入条件について考えさせていただきたいというふうに思っております。
  135. 矢島恒夫

    矢島委員 ユニバーサルサービス確保はわかったのです。ですから、ほかの、現行の国民に対するサービスを低下させない、そういう意気込みでぜひ検討していただきたい、このことを申し上げて、終わりたいと思います。
  136. 高鳥修

    高鳥員長 この際、暫時休憩いたします。     午後零時五分休憩      ――――◇―――――     午後三時五十五分開議
  137. 高鳥修

    高鳥委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。島津尚純君。
  138. 島津尚純

    島津委員 民主党の島津尚純でございます。  橋本行革に対する基本的な問題点、疑問につきまして質問をさせていただきたいと存じます。  行政改革にはおよそ三つの性格、目的があると存じます。一つは、新たな行政需要に対応する行政機構の改革であります。これは新機構の設立や省庁再編で対応されると思われます。二つ目は、効率的な政府の実現のための改革であります。これには人員削減、権限の縮小、民営化、地方分権規制緩和などが必要なのであります。三つ目は、行政の民主的なコントロールのための改革であります。これには情報公開、政治任用制度の拡大、あるいは公務員倫理の確立などが不可欠になってまいるわけであります。  この三つはそれぞれつながっておるわけでありますが、いずれに重点を置くかということで行革の成果は大きく変わってくるというふうに思うわけであります。  一に重点を置いて、それを入り口として行革を進めますと、今申し上げましたような二と三の成果は乏しくなってまいるわけであります。政治と行政関係で見たときに、この二と三は行政が大きく身を削ることになるわけでありますので、行政への外部からの強制力、すなわち政治の指導力がなければなかなか実現できないという本質を持っておるわけであります。  それで、一につきましては、政治と行政の妥協と協力が可能となってくるわけであります。すなわち、一の行革を進めますと、二と三の行革を伴うことなく実現することができるわけでありまして、また、むしろその過程で、効率的な政府の実現あるいは行政の民主的なコントロールということ三の行革は回避をされてくる。そして、そこに行政が介入をすることになり、言うならば行政主導の行革ということになってくるわけであります。  今回の橋本行革は、まさにこの問題が露呈をしておるというふうに私は考えております。一府十二省への再編は、二と三の行革に全く逆行した結果を生じかねない案であるというふうに思うわけであります。  長官におかれましては、この点につきまして果たしてどのようにお考えになられるか、率直なところをお聞かせいただきたいと思います。
  139. 小里貞利

    小里国務大臣 お話にもございましたように今次の改革は、簡素で効率的な行政、そして機動的で効果的な政策遂行能力のまず体制整備をやることだ。その前提といたしまして、ただいまお話がありましたように、政府として今日果たすべき役割とは何ぞや、これが大きな一つの大幅に見直すべき原点であるだろう、私どもはそういう前提に立っておりまして、したがって、国の権限やあるいは仕事の減量を進めながら、二十一世紀に機能するべき国の組織あるいは体制とはどういうものでなければならないのか、いわゆる国家が担うべき機能や課題に的確に対処するための再編を行うものである、さように私どもはまとめた次第であります。  なおまた、御指摘ように、お話がございましたように、行政改革には、政府効率化や新たな行政需要への対応、あるいは行政の民主的なコントロールの強化といったさまざまな側面があると考えられるわけでございまして、これはまた先生からも後ほどお話があろうかと思いますが、例えば規制緩和やあるいは地方分権、あるいは官民分担を徹底して行政の減量あるいは効率化を図る、そういうことを大きな一つの要請とするものであり、また議員もお触れがありましたように、例えば情報公開一つをとってみましても、これは、その意味におきまして、行政の透明化とともに、公正で民主的な行政を構築する大前提である、さように思っておる次第でございます。  特に、お話がありました、この種の際立った大変革を段取りをする、あるいはこれを推進をする、決断をする、その最も大きな根本は政治の力である、御力説のとおりでありまして、むしろ政治がこの際、いろいろ厳しいこともありますけれども、大決断をしなければ進まない、私はさように思っております。
  140. 島津尚純

    島津委員 今回の基本法を見てみますと、総務省であるとか、あるいは国土交通省といったような巨大な官庁というものが出現をするというようなことであります。今でも政治家が官庁をコントロールできないのに、さらにこのような巨大な官庁が出現したならば、二人や三人のいわゆる大臣や政務次官という政治家の方々で、今よりも大きくなった省庁をどうやってコントロールすることができるのかということを私たちは率直に疑問を持つわけでありまして、確かな情報公開制度やあるいは監視制度なくしてどうやって行政の透明性や公正さというものを確保するのか。民営化、地方分権、情報公開、行政監視機関、政治任用及び政治家による人事管理などを伴わないこの省庁再編は単なる官庁の肥大化にすぎないというふうに、普通に考えて思われるわけであります。そのような手当てというものはどうされるというお考えでございましょうか。
  141. 小里貞利

    小里国務大臣 今回の改革における省庁のいわば大くくりとは、単なる既存の行政機構をドッキングさせる、そして、言うなれば、統合による再編では決してございませんでして、先ほどもお話があり、また私も申し上げましたように、その前提として、あるいはまた並行して省庁再編作業に取り組む具体的な姿として、規制の撤廃あるいは緩和、あるいは地方分権等を推進し、あるいはまた各省庁行政スリム化を徹底して行い、効率化を進めまして、これを踏まえて簡素で効率的な組織編成することによるわけでございますから、大臣やあるいは政務次官等のリーダーシップのもとに適切な行政運営ができないというわけではない、私はさように思います。  また、一つ組織体でありますから、これは申し上げるまでもなく最も合理的に、そして最も効率的に組織そのものも先ほど申し上げましたよう組織されるものでございますし、また、その業務の組み立て方自体が、これからもまた議論がありましょうけれども、できるだけ簡素で、そして効率的な、そしてまた事前管理型でなくて事後チェック型等々、いろいろな能率化を、透明化を進めるための根幹にかかわることも御相談申し上げておりますから、それらを総合的に実施することによって解決できる、私はさように思っております。
  142. 島津尚純

    島津委員 効率的な政府の実現のためには、分権あるいは規制緩和、民営化と同時に、人員削減も避けて通れない課題であると思います。行革をやり遂げなければならない大きな理由の一つ課題一つに、肥大化した行政機構をスリム化し、人員を削減することによって行政経費を大幅に削減し、そして中央、地方を合わせて五百兆を超える我が国の財政赤字という、我が国の危機的財政状況を再建しなければならないというよう観点視点もあるわけであります。  日本の財政が危機的な状況に陥っている背景の一つは、公的な部門が、民間部門に比べるとむだを省き効率性を高めるという、そのような経営意識が乏しいということにあるわけであります。ある学者グループの研究によりますと、国、地方を合わせて歳出の削減を二割ぐらい、試算によれば削減できるといったような研究成果もあるわけであります。  そこでお尋ねをしたいわけでありますが、政府が進めようとしている行革によって中央、地方を合わせてどのくらいの、行政経費を含む歳出削減を目標にされているのか、これが第一点であります。  そしてまた、行政経費の削減と当然連動してまいります人員削減でありますが、基本法によりますと十年間で一割ぐらいというふうに言われておるわけでありまして、これは、火だるまになってやるというような目標からいったら余りにも小さな数字ではないかというふうに私は思うわけであります。もちろん雇用問題は大事でありますから、別途、雇用対策に対しては方策を立てるとしましても、明治維新に匹敵するような改革であるというならば、もっと意欲的な、高い目標というものを掲げて当然である、私はこのように思います。この二点についてお尋ねをさせていただきたいと思う。
  143. 小里貞利

    小里国務大臣 まず、定員削減の方から申し上げたいと思うのでございますが、御承知のとおり、またお話がありましたように、権限あるいは仕事の縮小をやりますよ、そして簡素で効率的な行政形態をつくりますよ、これが大前提になってまいるわけでございますが、同時にまた、ただいまお話がありましたように、このような大改革を行うわけでございますから、すなわち国家公務員の定員については、従来の発想を超え、大幅な削減を実現すべきであることは御指摘のとおりであると思っております。新たな体制に移行するまでの間にあっても、引き続き、新規増員の抑制、削減の上積みによりまして純減の確保に努力をしてまいらなければならない、こう思っております。  国会の意思を決定していただきますと二〇〇一年に移行いたしますから、それまでの間にも、従来の削減計画の延長線上で努力する必要があります。あわせまして、また新たな体制へ移行いたしましたときに、すなわち二〇〇一年には総定員法を改正いたしまして、新たな公社、独立行政法人への移行などによる枠組みの変化もこれを視野に入れまして、定員総数及び定員管理の新たな枠組みを設定いたしまして、大幅な定員の削減に向かって縮減の道筋をはっきりとするべきであると思っております。  また、今お話がありましたように、新たな体制への移行後、十年間について策定する新たな定員削減計画は少なくとも一〇%ですよ。少なくとも一〇%という私どもは一応目標を設定をいたしておりまして、これを可能な限り大きく純減を積み上げていかなければならないと思っておるわけでございまして、さらにこれを相当上回る削減の実現を具体化するためのもろもろの今御相談も申し上げ、また御説明申し上げてまいっておるところでございます。  さらにまた、その後におきましても、新たな公社あるいは独立行政法人への移行などによりまして、これにかかわる定員は総定員の枠外に置くことによりまして極めて大きな総定員数の削減を実現することができるもの、こう思っております。  それから、お尋ねがございました行革による行政経費の節減の話でございますが、スリム化はもちろん申し上げましたとおり重要な課題であり、省庁改革におきましてもこれを着実に実行する段取りを立てなければなりません。財政的な効果も当然期待できる、さように思っておる次第です。しかしながら、省庁改革の主目的は、一番最初にお話がありましたように、肥大化あるいは硬直化した戦後型行政システムを改め、簡素にして効率的な総合性、機動性、透明性を持つ政府を実現いたしまして、もって自由かつ公正な社会の形成に資するものでありまして、このような質的な行革の重要性から見て、金額の目標を定めて行政経費の節減を目指すことには必ずしもなじまないのではないか、さよう認識をいたしております。  また、最後に、その経費節減効果は個々の措置の結果として生み出されるものであるため、あらかじめこれを定量的にお示しすることは困難ではないか、さように思っております。
  144. 島津尚純

    島津委員 そういうことが火だるまになって改革することだろうかというふうに私は思いながら、申しわけありませんが聞かせていただいておったのですね。  例えば、民間企業が不況に陥りますと、やはり大変な、身を削ってぜい肉を減らしていく、そのような血みどろの改革をやるということは御承知のとおりですね。そういう民間に対して我々が新たな負担をお願いしていくわけですが、しかし民間から見て、それから国民から見まして、政府も自分たちと同じようにやはり血を流してくれているというような共感があったときに初めて国民というものは新たな負の負担に対して応じてくれるという、私たちの行動、我々の血の出るような行動というものが国民の皆様にとって説得力になってくる、このように思うわけですね。  そのときに、行革は進めます、スリムな体制をとります、それはよろしいと思いますよ。しかしながら、行き着いたところで、結果的に、このくらい銭が余ったよということでは、今の五百兆というような大変な赤字の削減というものはできない。これが削減できないならば、結局国民皆さん方にツケを回してしまうというようなことになってくるというふうに私は思うわけであります。  私は、行革をやり遂げることができるかどうかということは、我が国が二十一世紀において衰退の道を歩むのか、あるいは再生、発展の道をたどるのか、これは大きな分岐点になってくるというふうに思うわけであります。  先ほど申し上げた五百兆の、言うならば財政赤字というものを国民に増税というような形で負担をさせていくのか、あるいは、今議論をしておりますよう行政改革を通じて歳出の削減を図っていき、財政を再建していくのかということが大きな問題になってきておりまして、もし増税というような形で国民皆さん方に負担をツケ回していくとするならば、私は、これは国民負担率は限りなく上昇していきますね、購買力は低下をして、日本は立ち枯れのような状態で衰退の道を歩む以外にないのではないか、このような危惧を持っておるわけであります。  そこで、先ほど申し上げましたように、十年間で一割という人員削減目標というものは、余りにも国民皆さん方に訴えるのに力のなさ過ぎる数字ではないのかというふうに思っておるわけであります。  ちょうど長官が所管をされております総務庁の統計局で、こういう数字があるのです。これは労働力推計ということでありますが、二〇一〇年までに労働力人口が五%自然減少するというような数字を長官の総務庁においてこれは作成されておられるわけであります。これを勘案してまいりますと、相対的といいましょうか実質的といいましょうか、五%の削減の目標にしかなってこないというようなことになってまいるわけであります。  ですから、ひとつ長官長官の大変な熱意というものは私も感じることはできるわけでありますから、ひとつこの辺の見直し、先ほども、いや、一〇%を限りなく努力として持っていきますよというようお話もいただいた。それは長官の立場からいったらなかなか言えないことだろうけれども、そういう御発言をされるということは私は立派な姿勢であるというふうに感じさせていただきます。  そういうことで、人員削減の目標について、見直しをぜひ検討されるお考えはないかどうか、お聞かせいただきたいと思います。     〔委員長退席、二田委員長代理着席〕
  145. 小里貞利

    小里国務大臣 先生の御発言の趣旨は本当に明瞭に、しかも手がたくわかる次第でございます。  くどいようでございますが、一〇%以上と申し上げておりますものも、いわば、せっかく今行政改革を御相談しよう政府も決断をいたしました、しかもその手続の第一歩として、基本法でございますという極めて重要な、重い法案を御相談を申し上げておる、そのやさきでございますので、決して単純に、数値などについて皆さんに御披瀝するわけにもいきませんし、手がたく、手がたく考えまして、私どもは一〇%以上というのを一応文字にした、印刷にしたということでありまして、心情的にも、また具体的なもろもろの諸方策による簡素効率化という一つの前途に対しても、相当私どもは迫力のあるものを期しておるということだけは御理解をいただけると思う次第でございます。  したがいまして、二〇〇一年の移行までにも相当な削減あるいは純減を図ってまいらなければなりませんが、この移行が実現いたしました段階において、お話し申し上げておりまするように、例えば独立行政法人あるいは郵政公社、そのほかのもろもろのそういう根幹にかかわる組織、あるいは定員の削減計画というものが実際に軌道として乗ってまいりますから、私は相当なものが出てくるということだけはここにかたくお誓いができるのではないか、さように思っておる次第です。
  146. 島津尚純

    島津委員 私は、この困難な行革を完遂するためには、いわゆる政治家主導型の行革でなければならない、このように思っております。  先ほども長官はそれに類したような発言をされましたが、そのことについてお聞きをしたいわけでありますが、このまま行けば、困難を回避した行政主導型の行革となることは明らかであろう、私はこのように心配をしておるわけであります。  しかしながら、現在、大蔵省や通産省や厚生省など、残念なことでありますが官僚汚職がかつてない規模で起こり、その状況は目を覆うべきものがあるのであります。国民行政への不信はまさに頂点に達しておると言わざるを得ないような状況であります。このようなときこそ、行政の介入を許さず、政治主導型の、先ほど私が申し上げましたよう効率的な政府とか行政の民主的なコントロールだとか、そのような二と三の行革を実現するまたとない機会ではないか、このように思うわけであります。  それで、第三次行革審が平成五年十月に提出をいたしました最終答申の最後に「政治への期待」という章をわざわざ設けて、行政の大きなかじ取りを行うことは政治家の責任である、このように述べておるわけであります。この意味するところは、抜本的な改革を進めるためには政治家や政党がみずから改革案をつくり出さなければならないという政治主導の行政改革の必要性というものを強調し、またそれを期待をしておるわけであります。  そこで、この行革基本的な問題についての最後の質問をさせていただきたいわけでありますが、先ほども長官答弁の中で類したことをお述べになりましたけれども、政治家主導型の行革に対する国民そして識者の期待に対して長官はどういうふうにおこたえになろうとされているか、質問します。
  147. 小里貞利

    小里国務大臣 お話がございましたように、行政改革推進するに当たりましては政治のリーダーシップが重要であることは、もう御指摘のとおりであります。  率直に申し上げまして、昨年の十二月三日でございましたが、行政改革最終報告をまとめる前後に至るまでの経緯におきましても、私どもは貴重なある意味の経験をさせてもらったと思っております。いろいろな団体あるいはいろいろな業界、あるいはまた先生は官僚という意味でお話があったようでございますが、いろいろな試みが私どもの目前にありました。それは、あるときには痛みであり、またあるときには大きな摩擦となるし、大きな障害ともなってまいりました。これを国会等の御協力もいただきながら、とにかく最終報告をまとめ得られたということは一応の貴重な経験であった、こう思っております。  いわんや、今次いよいよ基本法なるものを国会でお決めいただくといたしますと、本格的土俵に上がるわけでございますから、これは大変な一つの向かい風と申し上げましょうか、あるときには横風も吹きまくってくるだろう、さように考えられます。政治がまさにいろいろな情報を集め、そしてまた知恵を絞って、そして勇気を出して決断をしなければならぬと思っております。  はばかりがあるかもしれませんが、我々政治、政治家がいたずらに周囲と妥協することもはばかること大きいことであるわけでございまして、先ほど御発言がありました、十分そのよう趣旨、あるいは昂然と不退転の決意を持って行政改革に立ち向かっていかなければならない、さように思っております。  また、そのよう一つの姿勢を堅持して、国民を裏切らないようにするためにも、推進本部なども、まさに行政に通ずるということも大事でありますが、厳正、公平な、かつまた内外の圧力に屈しないような人材あるいは組織体制というものをつくらなければならない、さように思っております。
  148. 島津尚純

    島津委員 小里長官は薩摩隼人として調整の名人だというふうにお聞きしておりますが、調整を超えた政治力を、政治的指導力をぜひ発揮していただきますことを期待させていただきまして、次に進ませていただきたいと思います。  次は、地方分権の問題であります。  橋本行革の最大の課題はこの中央省庁の再編というふうになっておりますが、まず行わなければならないのは徹底した地方分権規制緩和である、私はこのように思っております。  地方分権規制緩和により中央省庁の権限を分散させていけば、省庁の権限や役割は自動的に縮小していき、現在の二十二省庁体制は不要となることは当然のことであります。省庁再編は、これらを実現した後、残った事務をその目的別に大くくりをすることでなければ、時代が要請する本当の意味の行革は実現をしていかない、このように思うところであります。  政府も、当然のことながらこの地方分権を重視し、平成七年七月には地方分権推進委員会を発足させ、地方分権推進計画の策定方針の検討を依頼しておるわけであります。平成八年に当委員会が中間報告をまとめておりますが、その中で次のように述べておるわけであります。「国の関係省庁においては、地方分権推進法制定の趣旨に鑑み、時代の流れを先取りして、この機会地方公共団体に対する「指揮監督と保護後見の意識」を払拭し、国と地方公共団体の間に対等・協力の新しい関係を構築するという建設的な方向に、その広い視野と深い見識を生かしてほしい。しということが書かれておるわけでありまして、このよう関係省庁皆さん方に訴え、要請をしているのであります。  その後、この委員会は、第一次から第四次までの勧告を昨年十月までに提出をしたわけでありますが、第一次から第四次までの経過を見て、私は、今申し上げた当委員会の訴えを各省庁関係者が理解をして当委員会の要請にこたえたとはどうしても思えないのであります。  そこで、長官もこの経過をつぶさにごらんになってきたと思いますけれども長官はどのような印象、感想を持っておられるか、お聞きいたしたいと思います。     〔二田委員長代理退席、委員長着席〕
  149. 小里貞利

    小里国務大臣 議員も御承知のとおり、四次にわたる地方分権委員会のいろいろな御意見などをお聞かせいただきました。機関委任事務の廃止、あるいはまた国と地方団体とのかかわりのあり方、あるいはまた国と地方団体は上下主従の関係ではないんだよ、これはまさに対等だ、そういうことなどを前提にして地方分権というものを具体的に進めなければならない。そしてまた、それなりの御意見どもお聞かせをしてまいったわけでございますが、時あたかも、私ども行政改革をこのよう中央省庁再編を中心にして今進めつつあるわけでございます。  中央省庁再編計画を、検討を進めれば進めるほど、今お話がありました地方分権推進が世紀転換の大事業であり、そしてまた一朝一夕にできるものでもないこともわかりますけれども、とりあえず、基礎的にこの際、道筋だけはきちんとつけてもらわなければいかぬ、またつけなければいかぬ、そういうような気持ちで現在、具体的な一つの、これから中央省庁再編を進めるについて必要なものを御相談をしながら、また期待も申し上げてまいっておるところでございます。  たまたまきのうでございますが、今せっかく政府でこの地方分権計画を調整作業中でございまして、もう大詰めに参りましたので、大ざっぱに一応の概要を、その報告を私は求めたところでございますが、要旨を申し上げまして、大体、当面私どもが今この基本法を策定するについて必要なものほかくかく、一応輪郭だけでもお出しいただけるのかな。しかも、その時期は今月末ごろにはいただけるのではないか。しかも、それぞれ自治省なり大蔵省なりあるいは総務庁等が当たってまいりました具体的な分権推進計画というものが出てくる。そういう状況に至っておりまして、ある意味では貴重な資料が出てくるなということで、ひとまずほっといたしておるところでございますが、これらも国会に出てまいりましたなれば早目に報告をいたしまして、本法案の促進に資したい、さように思っておる次第でございます。
  150. 島津尚純

    島津委員 長官はそのようにおっしゃるわけですけれども、私は、一次から四次までの経過を見ておりまして、省庁関係者が、当委員会の先ほど申し上げたような切なる訴えを聞いて建設的な方向にその深い見識を生かしたとはとても思えず、相変わらず既得権益擁護のために強い抵抗をしたという跡がまざまざと、生々と残っておるということが言えるのではないか、このように思っております。  例えば、第一次勧告で、国と地方の公共団体を上下主従関係に置いてきた機関委任事務制度、これを廃止するということになったわけでありますが、この従来の機関委任事務を原則として自治事務とするというようなことになっておって、諸井委員長も最初、この区分けをするときは八対二ぐらいにしたい、そのような具体的な発言もあるわけです。しかしながら、その間で猛烈な官僚の抵抗があって、結果的には六対四まで押し戻されてしまった。そして、言うならば、機関委任事務の四割というものは相変わらず国が関与するというような状況をつくってしまったということが一点。  さらには、もっとあるわけですね。今度は、国がやっておった事務を地方に渡すというような権限の移譲、これも大変な抵抗に遭って、結果的には、わずか十二件しか国から地方へ、都道府県に権限の移譲がなされていないという状態。これも、その間に大変な抵抗があった。諸井委員長言葉をかりますと、省庁との間に相当の攻防があった、このようなことをはっきりと発言をされておるわけであります。  そういうことに対して、私は、政治の指導力によってそういう介入というものをどうして阻止できないんだということをお伺いしております。お願いします。
  151. 小里貞利

    小里国務大臣 ただいまの先生お話をお伺いいたしまして、それらが事実であるとすれば大変ざんきにたえないな、そういう感じがいたします。十分私どもはそのよう経緯を再度分析をいたしまして、そして、いわんや今次この基本法を御採択いただきました後の作業におきましては、まさに不退転の信念、そして決意を持って対処しなければいかぬと思っております。  また、率直に申し上げまして、基本法を国会の意思で御決定をいただくということは、政府行革に対して、法律として、また国会として責任を重大に求められるわけでございますから、その意味におきまして、行革推進するいわゆる政府組織もそれだけ責任が重大になると同時に、また腹を据えて、言うなれば、堂々とただいま御指摘があるような姿勢によって事に対処できる、一つの腰が据わってくる、そういう感じも私は持つわけでございますが、ただいまお話がありましたようなことは大きな教訓にいたして、腹を据えてかからなければいかぬ、さように思っております。
  152. 島津尚純

    島津委員 小里長官の大変誠意ある答弁をいただきましてありがたく思っておるのですが、最後に質問をさせていただきたいと思います。  長年にわたって形成され、定着してきた現在の中央集権型行政システムを変革をして、これにかわる地方分権型の行政システムを新たに構築して定着させるということは本当に大変な事業である、このように思っております。地方分権規制緩和はこの改革を推進する車の両輪である、この双方が徹底されたときに初めて、明治維新、そして戦後改革に次ぐ第三の改革が成就をするものであるというふうに思うわけであります。  それで、きょう、私どもの民主党も、地方分権を積極的に推進するというようなことを柱にした政府に対する対案というものを提出をさせていただいたわけでありますが、ひとつ、最後に長官に、行革の中心的な課題である地方分権に対する今後の取り組みについて熱情あるお答えをいただきたい、このように思います。
  153. 小里貞利

    小里国務大臣 先ほども若干申し上げたところでございますが、国会におきましても、ただいまの御発言に象徴せられるように、分権と規制緩和というものは非常に重大な役割、意義を持っておるわけでございまして、拳々服膺、ただいまお話がありましたような気持ちを大事にしながら、地方分権にも最も努力を傾注してまいらなければならないと思っております。  なおまた、くどいようでありますが、先ほど申し上げましたように、政府関係筋におきましても近々まとめていただくということでございますから、それらを大きなまた一つの材料にしながら具体的に切り込んでいかなければならぬと思っております。
  154. 島津尚純

    島津委員 大変ありがとうございました。これで質問を終わらせていただきます。
  155. 高鳥修

    高鳥委員長 この際、中桐伸五君から関連質疑の申し出があります。島津君の持ち時間の範囲内においてこれを許します。中桐伸五君。
  156. 中桐伸五

    中桐委員 民主党の中桐でございます。  私は、行政改革にとって非常に重要だと思います政策評価の問題について中心的に質疑を行いたいというふうに思います。  その冒頭でありますけれども、既に一九八〇年代の後半から地方及び中央政府において行政改革が進んでおりますアメリカの経験とか、あるいは、同じようにそれよりも少し前から自治体の改革から始まって中央政府の改革まで含めたイギリスの経験、こういったものから少し、省庁再編という中心的な行革課題政策評価という課題について、まず最初にその意義について質疑をしたいと思うのです。  アメリカの一九九三年のGPRA法、いわゆるガバメント・パフォーマンス・アンド・リザルト・アクトという、あのクリントン、ゴアの体制の中でつくられた法律の内容を見てみますと、確かにプログラムの中には省庁再編というプログラムも組まれておりますが、しかし、むしろアメリカの行政改革政策評価というところに重点が置かれているという、これは研究者などの報告で明らかにされているわけでありまして、そういう意味からいいましても、なぜ省庁再編というところから行政改革の第一着手を行ってきたのかというところからまず長官の御意見を伺いたいと思います。
  157. 小里貞利

    小里国務大臣 政策評価を中心にしてお答え申し上げなければならぬかと思うのでございますが、率直に言いまして、従来、各種の施策の新設、導入におきまして、国民視点に立った政策の効果分析や見直しの機能が軽視されがちであった従来の行政慣行をこの際根本的に改めなければならぬ、私どもはそういう判断に率直に立った次第であります。  国民本位の政策運営を図る観点から、政策の効果を厳正かつ客観的に点検をするということが、いわばただいまお話がありました政策評価の制度そのものである、さように思う次第です。  具体的には、府省における政策評価部門をきちんと確立をする、これがまず基本であろうと思って、そのよう趣旨で立法もいたしました。あるいはまた、府省の枠を超えた政策評価機能も大事である。それからまた、政策評価に関する情報などの公開なども必要ではなかろうか、そのよう基本的な枠組みについて規定をいたしておるところでございます。
  158. 中桐伸五

    中桐委員 行政改革会議議論をされた焦点といいますか、この中心が省庁再編のいわゆる業務の見直しというところにあったように思うのですね。もちろん、アメリカとかイギリスと日本ではややシステムが、歴史的に行政のシステムが違うところがある。アメリカの場合には連邦国家になっていますが、イギリスの場合には、いわゆる連邦国家がこれから何かブレアの政権の中で着手が始まっているように思うのですけれども。  そういう意味においては、確かに日本の場合は、分権型の仕組みにどう変えるかというふうな議論とか、あるいは民営化の問題であるとか、そういう機能、いわゆる業務をどういうふうに割り振っていくか、中央政府の機能をどういうふうに再編成するかということは、これはこれで非常に重要な議論だと思うのです。  しかし、先ほどもちょっと言いましたけれども、例えば要員を削減するプログラムにしろ、業務の見直しのプログラムにしろ、この法案の中に書かれている政策評価の機能を強化するというところが、省庁の中だけの、及び先ほどの省庁間の、つまり行政機関の中における政策評価の機能を強化するという形に見えるわけでありますけれども、その点については、それ以外の評価のシステムというのはお考えになっていないのですか。
  159. 坂野泰治

    坂野(泰)政府委員 御指摘行政評価、あるいは行政の達成度の評価等については、既に委員御承知のとおり、基本法の中におきまして、ただいま大臣から御答弁もありましたように、省庁それぞれに置き、あるいは省庁の枠を超えて全政府的な取り組みを行うべき仕組みを確立する方針を示しておるわけでございます。そして、これは御指摘のとおり政府の内部におきます評価であるということでございます。  現在、政府の外にあります評価の機関としましては、国会による観点検はもとよりといたしまして、そのほかには会計検査院の機能があるわけでございます。この会計検査院は、いわば政府の外にある機関として外部的な評価を行う役割を現在果たしておるわけでございますが、行政改革会議最終報告におきましても、その機能の充実強化についてもいわば政府側から期待あるいは要請を行う、そういう方針を示しておるところでございます。
  160. 中桐伸五

    中桐委員 アメリカの経験を見てみましても、会計検査院という同じアメリカにあるシステムも、当初はいわゆる財源をどういうふうに使った、その使ったものが立法的な枠内で使われているのかどうか、そういうチェックに最初は重点を置いてやっていた。しかし、だんだんとその会計検査院の機能が拡大をして、政策プログラムを作成する過程で常に会計検査院の役割がかなり重要な役割を果たすようになったというふうに聞いているわけです。  そういうふうに考えてみますと、つまり政策を行った後の結果からチェックをするという仕組みをもっと前に進めて、政策決定をするプロセスを含めて、会計検査院というものが発展していったGAOという機構が非常に大きな役割を果たしているというふうに聞いているわけですね。  そういう意味において、今この省庁再編の中で政策機能を強化するというものと、会計検査院の機能の位置づけというのをもう少し聞かせていただきたいというふうに思うのです。
  161. 坂野泰治

    坂野(泰)政府委員 行革会議最終報告及び基本法案に盛り込んでおります方針は、先ほども申し上げましたとおり、政府部内におきます政策評価のシステムを確立するということでございます。  委員指摘のとおり、この政策評価のシステムを確立することの意味は、まさにその評価結果をその後におきます政策形成過程に十分生かしていく、そのことに一つの眼目があるというふうに考えておりまして、この基本法法案の中にも「評価の結果が政策に適切に反映されるようにすること。」という規定を置いておるという考え方でございます。当然、この政策形成過程というのは、予算の編成過程も含めて、それぞれきちっと評価の結果が反映されるというようにすべきだという方針としてこの規定を置いておるわけでございます。  なお、会計検査院の検査結果については、検査院から検査結果が政府及び国会に報告をされ、そしてそれを政府及び国会がそれぞれ、国会が活用され政府も活用していくというプロセスの中で生かされていくということになると思いますし、政府としては、これまでもさまざまな形によって予算編成などの過程に生かしてきたというふうに聞いております。  なお、政府部内の評価の仕事を現在やっております行政監察というのが総務庁にございますけれども、この行政監察の結果も、予算編成を含めて、その後の政策形成過程にはできるだけ活用していただくように総務庁としてもさまざまな努力を払っていることを申し添えさせていただきます。
  162. 中桐伸五

    中桐委員 行政監察の機能というのは、文字どおり、決められた法律の範囲内において予算がきちんと執行されているかどうかというチェックだと私は理解するわけですね。そういう意味においては、政策決定のプロセスまで含めたいわゆる政策評価機能というふうなものは、そういうところには余り期待できない。したがって、そういうシステムをこれから同時に考えていかなければならない。  アメリカの経験を参考にしても、省庁の箱物の再編成というよりは、それはプログラムの中にあるけれども、むしろそれは、政策評価のシステムをきちんと機能させる中で省庁というものをどういうふうに再編すればいいのかという形でプログラム化されているというふうに私は理解している。  例えば、今のGPRA法という行政改革政策評価の法律ですね、この法律のプログラムは、大体十年ぐらいの単位で政策評価の機能を全省庁に貫徹をする、こういうプログラムになっているわけです。つまり、政策評価というものを確定していくためには相当時間がかかるわけですよね。  その理由としては、特に国の行っている行政というのは、自治体の行政サービスに比べても、数値目標を設定するとか、あるいは国民にわかりやすい形で、アウトカムといいますが、いわゆる成果を、きちんと目標を立てて、その目標に従って成果を評価する。あるいは、その前提として、行政サービスというものの消費者というものは国民なんだ、国民を顧客として、そして国民に対してどういう行政サービスが役に立ったのかということを、つまり成果主義に変えるという問題があると思うのですね。  特に例として挙げるならば、私が関係している労働委員会、労働基準監督官が配置されておりまして、労働基準法行政をチェックする、そういう役割を持っているわけです。労働基準法に決められだミニマムスタンダードをきちんと守っているかどうかを事業所に行ってチェックをして、毎年そのチェックの結果を報告するわけです。つまり、法律違反があるかどうかということも含めて報告をするわけです。  従来型の行政というのは、アメリカでも、つまり、行政マンが活動した結果というのは、自分の行政官としての、今の例でいえば労働基準監督官としてのデューティーを行った結果を、何事業所回りました、その結果、違反率はこのぐらいでした、こういう評価というシステムが従来型の行政評価システムだったわけです。これはアメリカもそうだ。日本はまだまだ圧倒的にそうなっているわけですね。そういうものを変えなければいけない。  つまり、労働時間の問題でチェックをするのであれば、労働行政が労働時間の短縮という目標を立てて、そして何年までに総労働時間を何時間までに削減しましようというふうな目標を立てて、労働時間の場合には数値目標を立てやすいですから、そしてその目標が何%実現できたのかとか、そういう形に変えましょう、これがつまり行政改革なんです。その行政改革のツールとして最も重要なのが、つまり、それは幾らかけ声でやってもいけないわけですから、ツールが要るわけで、そのツールが行政評価という制度なわけです。そういうふうに私は理解している。  そのことをきちんとやるのに、アメリカで十年がかりでやろうとしているわけです。一九九三年に法律を決めて、それから幾つかの省庁でパイロットプロジェクトをつくって、それで試しながら、最終的には全省庁に十年間ぐらいで達成しようじゃないか、そういうプログラムをつくっているわけですね。そういうプログラムからいうと、今回の省庁再編のプログラムは、政策評価の機能を強化するとは書いてあるけれども、見えてこないわけですよ。そこら辺はどうなんですか。
  163. 坂野泰治

    坂野(泰)政府委員 行革会議長終報告及び基本法におきましては、政策評価の機能の強化あるいはシステムの構築について、その基本的な方針を示しておる、そういう性格のものでございます。したがって、ただいまいろいろ御指摘がございましたような評価の基準なり評価の手法なり、そういうものについても、今後、このシステムを確立していく上で、各省及び政府全体を通ずる評価を担う機関において具体的な検討をしていかなければなりませんし、それに当たっては、これまでの蓄積や、あるいは先進的な事例なども十分参照をしていく必要があると考えております。  確かに、御指摘ように、政策の評価を行うということについては、その目的の達成状況を客観的に評価するということが重要であることはそのとおりであると考えておりますし、また、その目的の達成状況のほかに、さまざまな波及効果などについてもできるだけ分析をしていく必要があると考えるわけでございます。  ただ、各種施策の目的の達成状況をどのような指標あるいは手法によって把握し評価をするか、そういう点については、これまでもいろいろな努力が重ねられてきておりますけれども、なおさまざまな今後の研究なり検討を必要とする面もいろいろ多々あろうかと思っております。  ただいまのいろいろな御指摘も踏まえて、今後、政府内において、この政策評価のシステムについて具体的な努力が進められていくものと考えております。
  164. 中桐伸五

    中桐委員 全然わからないわけですね。  つまり、アメリカの経験からいってもイギリスの経験からいっても、行政の各単位の改革の中で行政評価というものを徹底的にやるときに、一番重要なまず第一のポイントは、トップが決断をして率いていくということなんですね。そのトップというのは、つまり政治家ですよ。リーダー、政治家のリーダーですね。アメリカの場合には、ゴアがタスクフォースというのをつくって、もちろんクリントンが提唱してですよ。副大統領のゴアのもとにタスクフォースをつくって、そして政策評価のシステムを法律に基づいて遂行していくということをやったわけであり、イギリスでも、サッチャーが先頭を切ってやったわけです。そういう意味からいうと、先ほどの話からは見えてこない。つまり、確かに、政策の評価ということからいうと、省庁の内部にも要るでしょう、それから省庁間の相互評価というものもあってもいいでしょう。しかし、省庁間の相互評価というのは一体何なのか。  それは私に言わせれば、例えば子供の安全とかいうことを考えたときに、各省庁がそれぞれ関連した業務をやっているわけです。子供にとって交通事故を少なくする、子供の事故を減らすというプロジェクトは、必ずしも一つ省庁がやるわけではないわけです。つまり、横断的にそのプログラムに関係する行政官のチームがあって、そこが何かやるというプログラムをつくらないといけないわけであって、それを先ほどの説明だと、省庁間の調整機能とかいうのでは全然わからないわけですよ。  つまり、そういうことを考えているのかどうかということも含めて、もうちょっとそこらあたりを詰めていかないと、政策評価の機能なんか強化できないというふうに思うのですけれども
  165. 小里貞利

    小里国務大臣 先生お話は、一つ政策を立案、そして施策を決定して執行にかかる。そして、従来は、私も前段で申し上げましたように、えてして、中間で反省、総括というものはどちらかといえば無視しがちであったのではないですかなという一つの反省も申し上げたわけでございますが、今次の改革におきましては、お話しのとおり、特段そのことは施策推進していく上におきまして大変大きな要素でありますよということを、今次の改革は私は重要と気づいておると思うのです。  ですから、法律にもそのことをきちんと明記をするし、かつまた、ただいま具体的にお話がありましたように、例えば、それは政治がやるんだよ、もっとトップがきちんとその辺の所掌事務なり行政目的というものを再確認しながら、そしてその中でトップそのものが反省、総括をするし、あるときには政策評価を義務的にしなければならないよう一つ制度も必要なのではなかろうかという私は呼びかけであるだろうと思うのでございますが、そのようなことは、これから省庁再編の具体的な作業を進めていく上におきまして肝に銘じてやるべきことだな、そういうことを感じておる次第でございます。
  166. 中桐伸五

    中桐委員 ということは、つまり、各省庁は法律に基づいて仕事をしているわけですね。その法律に基づく、その根拠になる、つまり義務化するというふうなことも含めてとおっしゃったわけで、ということは、この法律の中に、各省庁は、政策評価の部局をただつくるだけじゃなくて、どういう評価の、つまり成果主義であり、かつ、先ほど言いましたように、監督官が回っている自分の任務の報告をするだけじゃだめなので、つまり何のために回っているのか、労働者のため、会社の全体のために回るわけですから、そこにこの労働時間こういうふうにするんだという目標を決めて仕事をするんだ、そういう評価基準も含めて、じゃ、法律で各省庁にこれは義務づけするわけですね、そういうふうに理解していいわけですか。
  167. 小里貞利

    小里国務大臣 確たることを申し上げるわけでもございませんけれども、今先生が言わんとしておいでになることは、今のこの基本法では主なる任務あるいは主なる行政機能が整理してありますが、これは各役所一つのするべきこと、哲学を整理してうたってあるというふうに一つの解釈をできるのじゃないかと私は思うのです。  今度は、先ほど申し上げましたように、省庁再編に入ったら、今お話があるように、各省庁とのいわば所掌事務等を具体的に整理していきますから、同時にまた権限というものも出てくるわけでございますが、それらの中におきまして、いわゆる施策を主力にして進めるものの、それ自体を今度は、一体どの程度の政策的功罪があるのか、成果を上げ得られたのであるか、あるいは国民の期待するものにその政策が符合しておるのか、その辺を反省をする、そしてまた評価をする、そういうものは当然私は、その所掌事務なりあるいは任務の規定の中で、責任分野の中できちんとこれは整理されるべきものではなかろうか。そういうことがあってこそ初めて政策は前進するんだ、さように思いますが。
  168. 中桐伸五

    中桐委員 いや、それでは私は遅過ぎると思うのですよ。例えば、今の大蔵省の不祥事とか、あるいはそのもっと前にもいろいろありましたね、薬害エイズの問題でもあったし、いろいろあった。つまり、国民行政にまでもう不信を、政治不信はもうずっと前から起こっているわけだけれども行政に対する不信も高まってきているわけですね、そうでしょう。それはアメリカでも同じ状況だったわけですよ。そのことから、アメリカは、省庁の機能をあっちへっけたりこっちへっけたりじゃなくて、まず自分たちの省庁が、つまり行政官がどういう仕事の改善をするのかということから始めているということなんですよ。いいですか。そのシステムが、しかし、アメリカのプログラムでも、まだわかりませんよね、二〇〇一年ぐらいまでのプログラムですから。そのぐらいかかって全部の省庁にそういう仕事の改善をやろうとしているわけです。そのぐらいかかるわけですよ。  なぜかというと、先ほど言いましたように、国の行政というのは、行政一般についても言えると思いますけれども、しかし、特に福祉のサービスだとか清掃のサービスだとか給食のサービスだとか、そういうふうないわゆる現業的なサービスの評価というのは比較的民間の経営評価システムの中でできている面があるけれども、いわゆる国のやるサービスということの中には、なかなか国民に見えやすい、国民へのサービスがよくなったかどうかということを評価する物差しがつくりにくいということがあるわけですよ。だから時間がかかるわけじゃないですか。しかし、その中でできる限りのことをしていっているわけですよ。そのことはおわかりになりますよね。つまり、そのことをやるのに時間がかかるわけですから。  それで、それをやることが、つまり、どこそこに、どの省庁には何人の人数でいいんだとか、この省庁とこの省庁が分かれているのはよくないとか、そういうことが評価できていくわけですよ。そうじゃないですか。だから、省庁再編のところから入らずに機能から、評価から入っているということだと私は理解しているわけです。  それともう一つは、日本の問題は、もちろんこれは、きょうはこの議論はしませんけれども地方分権だとか民営化の問題だとか、あるいはNPOに中央政府の仕事を移譲できるものは移譲していくとか、そういうことは非常に大きな仕事としてあると思うのです。しかし、この法律のメーンは、どちらかというと省庁の仕事の再編成じゃないですか。しかしそれは手順が間違っているんじゃないですかと言っているわけです、私は。つまり、政策の評価をきちんとやる仕組みをつくりながらその中で――省庁再編のプログラムがナンセンスだと言っているわけじゃないんだ、私は。それはあっていいわけだけれども、まずその行政改革基本である仕事の改善をするプログラムがきちんとできてからやらないといけないんじゃないかと言っているわけです。
  169. 小里貞利

    小里国務大臣 決して議員がおっしゃることを否定する気持ちは毛頭ありません。だからこそ、私どもは、不断の見直しが必要だ、不断の見直しが必要だということを今度の最終報告でも絶えず言っておりますし、書いておりますし、また、そういう意識が必要なのではなかろうか。  お話がございましたように、再評価システムなんてそんなに単純なものじゃないんだよ、相当重いものであって、また、その再評価システムそのものを一定のものまで仕上げるためにも相当時間がかかるんだよというお話はよくわかるわけでございまして、さらばとて、ではそういうものが制度として一応のものが構築できるまで省庁再編を待とうというわけにはいかぬわけでございますから、省庁再編も、同時にまた中身もこの際簡素化して、そして効率的なものを、そして今の政府が果たさなければならない、いわゆる戦後型のシステムを根本的に切りかえて、二十一世紀に対応できるものを少しでも早くあとう限りスタートさせなければいかぬな、そういうような気持ちで取り組んでおるわけでございまして、今重ね重ね御指摘しておられることは非常に私は大事なことである、さように思っております。
  170. 中桐伸五

    中桐委員 どうもすれ違っているのですね、まだ。つまり、省庁再編というのは政府のプログラムなんですよ。政府政策決定なんですよ。それはおわかりになりますよね。つまり、政治判断したわけですよ、ここからだという。私はそこが、確かに分権だとか今言ったようなことはやらなければいけませんよ。しかし、そのことと、いわゆる何々省庁と何々省庁をひっつけてとか、そういう話とはまた別の話なんで、つまり、一番そこに焦点が行ったような気がするから、何を考えているんだと思っているわけです。つまり、本当に従来型の行政を変えていくためには、例えば規制緩和のことを一つとっても、規制緩和によってどういう経済的効果と、どういう今度はデメリットが起こるのかということを評価しなければいけないじゃないですか。つまりそういうことなんですよ。  だから、私が言っていることは、基本的な行政改革原則というのは一体何なんだということを言っているわけで、それはアメリカでもイギリスでも共通しているのは、つまり顧客主義だ。国民がどういうサービスを望んでいるのかということに対して、それをきちんとプロフェッショナルが、行政のプロあるいは政治家を含めて評価をする。場合によっては、会計検査院とか、あるいはGAOという私どもが今提案しているようなものを導入して評価しなければ、非常に専門性の高い大規模なプロジェクトをそう簡単に評価できないじゃないですかと。  だから、我が民主党が提案しているGAOというふうな専門評価機関も、国会の直下のもとに、単に何か国会議員が委員会みたいな形でつくったって、本当にこの規制緩和やこの公共事業の大規模プロジェクトが何年後にどういうメリットとデメリットをもたらすのかというふうな評価は難しいから、そういうことを言っているわけで、そういうシステムを整備しましようと言っているわけです。  だから、そういう意味においては、大体、基本的に時代認識がというか、プライオリティーといいますか、これが私はずれているというふうに思うのですけれども
  171. 小里貞利

    小里国務大臣 私は今先生お話を聞いておりまして、例えば縦割り行政というのは、これは弊害があるよというのはもうどこでも国民各界各層言っておられる話ですね。あるいはまた、今、戦後型の行政システムというものは、これは肥大化しておるよ、硬直化しておるよ、しかも、縦割りの弊害など非常に顕著に出てきておるから、こういう世論に非常に大きく支えられながら、与野党の問題でなくて、もちろん言うまでもないことでございますが、言うなれば、国民全体の政府としてあるいは国会として、そういう要請に対応するのがもう必然の一つの時期であったし、そしてまたそういう用意があったのではないか、私はさように思っておるわけでございます。  どちらが先かということよりも、議員が御指摘になりますことも一大変効率的で、そしてかつまた簡素な、国民が要求する行政体系をつくるためには必要なお話でございますから、そういうこともあわせて考究しながら対応していけば、私は大体調和のとれたものが出てくるのではないかな、そういう感じを持ちますが。
  172. 中桐伸五

    中桐委員 長官が、国民世論という問題があって、今やるチャンスだと。これは私もそう思いますよ。だからこそ言っているわけですが、ただ決意でやってもいけないわけで、ツールが要るのです。ツールまで考えないと幾ら決意をしてもうまくいかないということなんですよ。これは、アメリカの行政改革の歴史を、簡単にしか私は調べていないけれども、非常に長い自治体における行政改革の歴史の中で到達しているのですよ。  ですから、そういう意味でいうと、これを参考にするべきじゃないですかと思うのです。アメリカ流に全部を何から何までまねる必要はないけれども基本的なところが、要するに原則とそれからツールですね、そしてそれを支えるためのシステムですね。これをきちんと出さないと、この今の法案ではほとんどわからない。やると言っているだけなんです、政策評価。それは幾ら百万回言ってもうまくいかない。それはもう経験でわかっておるわけです。行政の評価というのは非常に難しいということからスタートしなければいけないということなんです。しかし、それはできるということはわかっておるわけです。できるということはわかっておるわけですから、我々は、非常にいろいろな経験を、諸外国の経験を踏まえて、短い期間でやれる状況はあるわけですよ、一からやらなくてもいいわけだから。  だから、何でそれをきちんと取り入れないのかということと、先ほどの話でいうと、縦割り行政といったって、今の省庁を再編したって、縦割り行政は残るわけですよ。  つまり、縦割り行政の弊害をなくすためには、事業別予算をきちんとつくるとか、業績予算ともいうのですが、つまり評価ができる予算をつくるわけですよ。そうすると、例えば地域の子供の安全ということを考えても省庁がまたがるわけですよ。幾らこれを幾つかにあわせてもまたがるわけだし、一つのパフォーマンスから見た場合は。一つサービスというところから見るのがこの新しい行政改革なんですよ。  そうすると、省庁を幾らいじり回しても出てくるわけですよ、省庁間の協力というのは。それはマトリックスだから、そのマトリックスを、つまり横断的にどうこれを、つまり子供の交通安全ということから見たら、どういう行政官がどういうふうなチームワークで効率よく、しかも透明性を高くやるかということをやらなければだめだということなんですよ。そういうことを言っておるわけです。そうすると、これでは何にもわからないわけです。  要するに、全部の省庁を一、二、三で、ではその評価はやれるのですか。時間がかかると言っているじゃないですか、今までの経験からいうと。そうすると、プログラムを出してください。プログラムはどこにあるのですか。それが聞きたいのですよ。
  173. 坂野泰治

    坂野(泰)政府委員 基本法におきます規定の趣旨は、先ほど申し上げたところでございます。  この政策評価あるいは施策評価のレベルは、具体的な窓口レベルにおきますサービスの問題から、省の垣根を超えた、先生指摘の交通安全などの問題のような非常に大きな広がりを持った政策の評価まで、さまざまな次元があるわけでございます。この基本法の規定はそういうさまざまな次元の評価のレベルがある、そういうことも念頭に置きまして、各省レベルそれから全政府レベル、そういう形で評価の仕組みなり評価の体制を整えていくという方針を示しておるわけでございます。  したがいまして、この基本法の成立後におきましては、各省及び推進本部におきまして全体的なシステムづくりに入っていくということでございます。ただ、その場合におきましても、先ほども申し上げましたように、現在ございます行政監察なりあるいは各省がやっておりますさまざまの、例えば公共事業におきます評価なり、そういうものの実績なり経験の上に立って必要な仕組みを講じていく必要があると考えておるわけでございます。
  174. 中桐伸五

    中桐委員 私は、省庁の中にそういう評価部門をつくるということについて反対ではありませんから、それはそれでつくってください。しかし、やはり行政官というのは法律に基づいて仕事をしていますから。それで、長い伝統があるわけですよ。労働基準監督官は、自分の業務はこれとこれとこれ、それを報告書を書いて、これは伝統的に定着しておるわけでしょう。ここから評価基準というものをつくり出すだけでは非常に難しい面があるし、ノウハウが非常に古いシステムの中で固定しているわけです。だから、新しい評価システムというものをつくるためにはもう一つ外に評価をする、アウトプットを前提にしたプロセス、私はそこまで議論する組織が要ると思う、機関が要ると思う。  それは、特に、法律は詳しくないかもしれないけれども、企業経営とかそういうマネジメント、つまり、自分が何か商品をつくる、そうすると、これは顧客調査をして、そしてしっかり調べて、マーケットリサーチをして戦略を立てる、プログラムをつくる、そういう経験を持った、ノウハウを持った人、そういう人を投入してやらなければ私はうまくいかないと思う。そのために、イギリスだっていろいろな中立的な委員会をつくって、そこがリーダーシップをとっている。その先頭に首相だとかあるいはそこの自治体の首長さんだとか、そういう人たちが音頭をとっているわけですよ。そういう仕組みが全然見えないわけですね。  それからもう一つは、公共事業の問題は非常に大規模なプロジェクトですよね。これについては、もう一つ専門的な評価のシステムをつくらないとだめだと思う。会計検査院もそれから行政監察局も行政の中の長い仕事を蓄積してきているから、この人たちに依存するだけでは、新しい、今言ったルールに基づく顧客と成果の考え方から行政を見てみるという、それは行政のプロの意見も当然ディスカッションの中で入れればいいけれども、そういうことはなかなか難しいというのが私は外国の経験から出ていると思う。  だから例えばGAOみたいなものをつくりなさいと言っているわけだし、しかも国会に直結するシステムとしてつくればいいじゃないですかと言っているわけだし、つまり、国会というのは国民にとってダイレクトにつながっている機関なんだから、専門評価システムだとかそういうものをつくる、あるいは、だれがリーダーシップをとるのが一番いいのかな、大臣じゃなくてもうちょっとスーパーバイズできる、アメリカだったら副大統領がタスクフォースチームをつくってやっているように、そういう極めてリーダーシップの持てる、政治的にリーダーシップがとれる人が中心になって、そしてそういう民間のノウハウを入れ込んで、これは民間はやっているわけですから、企業経営の中で。その方法論というのを短時間に行政というものの中に、行政というサービスの中で評価したらどうなるのだということをやるということは必要だと私は思う。そういうプログラムを何でつくらないのですか。
  175. 小里貞利

    小里国務大臣 先生からお聞かせいただいておることは、もう非常に明快にわかります。  前段で言われるように、長い制度の中で積み上げられてきたある意味では誇りと伝統、そしてそこにまた大きな既成概念もありますから、そういう陋習というものがまず出てくるよ、それらを君らは警戒せよ、こう先生は呼びかけておられますが、まさにそのとおりであります。  いわんや、これからの省庁再編等におきましては、これはもう本当に大きな決意で対応しなければ、私は、新鮮なものもあるいは国民が求めるものもあるいは簡素効率的なものもなかなか生みがたいな、そう申し上げても過言ではないのじゃないか、そう思う次第です。したがいまして、そういう一つの大きな含みを持ってそれぞれこれが仕事に当たる人々は対処しなければいかぬな、そう思う次第です。  それから、二つ目で先生がおっしゃるお話でありますが、行政改革会議におきましても、あるいはまた今次の法案提出するについても、やはり透明化、あるいは利権化等を抑止をする、あるいは効率化という面から、事業の計画あるいはまた決定から事業実施後の評価に至るまでの一連の過程を透明化する、適正化する、そして行政一つの功罪を見通す、効率を含めまして、そういう一つの対応も必要だなということはきちんと私ども整理をいたしておるところでございまして、加えまして、先ほどお話をいただきましたよう一つの幅広い御意見ども参考にいたさなければならぬな、さように思っておるところでございます。
  176. 中桐伸五

    中桐委員 時間がなくなってしまいましたので多くは議論できないのですが、もう一つ問題なのは、行政官というのは、まじめな行政官ほど、先ほど言ったように、非常に厳格に自分の役割分担というものを守ってきているわけですから、例えば省庁の中に行政評価部門をつくってそのリーダーシップを発揮するとしたら、これはとりあえず大臣及び政治家のグループがなければ私はできないと思う。  そのためには、大臣と今の政務次官という形では弱いと思う。だから、政治のリーダーシップを強化する必要があると思う。これは副大臣制だとかなんとかという話がありますが、そういうことと、それからもう一つは、選挙で政権を選んだら、そのときの大臣は次の選挙まで大臣をやればいいのですよ。それで、副大臣がまあ何人かかわることはあるかもしれません。しかし、政治家がリーダーでやるという仕組みがないと、いわゆる本当に国民に役に立つ行政改革というのは、私は非常に難しいと思いますよ。  今までの自民党さんが中心になった政権というのは、一定の期間が来ると内閣改造をするわけですよ。短過ぎるわけですよ。だから、私は、これから選挙で政権を選んだら、そのときに主な大臣の名前を出して選挙をやればいいじゃないですか。それで、その選ばれた政権はしっかりと政治責任を、政治がリーダーシップをとって、この行政改革というのは政治が決断してリーダーシップをとらなければ成功していないんだかち、どこも。  だから、省庁行政評価をきちんとやろうと思ったら、大臣及びその政治のグループがリーダーシップを持ってやるようにしなければいけない。そのためには、大臣のポストはできるだけたくさんの人に経験させたいということはあるかもしれないけれども、中心になる大臣がころころかわるのはよくない。行政改革なんてできっこないと思いますよ。  だから、そういう意味において、そういうことも含めて、先ほど言いましたいわゆる行政以外の人たちも含めた評価委員会なり推進委員会なりそういうものを、あの行革会議ような、何か実際の、今言ったようなことができる人とは思わないから、実際にできる人を配置したシステムをつくるとか、あるいは専門的な評価をやるためのGAOみたいなものを、監視委員会みたいな形でごまかさないで、そういうものを本気で取り組んでもらうことを要望して、私の質問を終わります。
  177. 高鳥修

    高鳥委員長 次に、福島豊君の質疑に入ります。
  178. 福島豊

    ○福島委員 大臣、私も政策評価につきまして、今、中桐委員の方から御質問がございましたが、お聞かせいただきたいと思っております。  政策評価というのは、先ほども指摘ありましたけれども、アメリカそしてまたイギリスで行政改革の手法として取り入れられた。基本的には自治体レベルからこの行政評価という手法を用いて行政改革を行って、そしてその上で中央省庁の改革に取り組んだ。イギリスの話に先ほど触れられませんでしたが、イギリスは、八〇年代にサッチャーさんがやりましたのはこの自治体を中心とした行政評価による行政改革、そして九〇年代に入ってメージャーさんが中央省庁に手をつけられた。ある人は、橋本行革の場合には、地方から攻めていっていないので、むしろやりにくいのじゃないかというような評価もいたしております。  政策評価ということは、基本的に行政に企業的な経営感覚を持ち込むということだというふうに思います。そして、それによって行政がどういう成果を上げるのか。その成果を評価することによって、それに至るプロセスというのが果たして効率的だったのか、機能的だったのかということでフィードバックを常にかけ続けるという形になるわけでして、これからの行政改革ということを考えるときに、まず全体としての体制をどうするのかという議論も大切ですけれども、それ以上に、継続的に行政あり方を変えていくような仕組み、これをきちっとすることが大切だと思います。  そういう意味では、二十九条で政策評価ということが盛り込まれて、大臣も先ほどからるる答弁になっておられますけれども、しっかりと取り組んでいただくという姿勢を示していただいたということは非常に力強いことであるというふうに思っております。  アメリカの例ですと、どの程度の効果があるのかということですが、これは自治体の話ですけれども、サニーべール市というのがありまして、行政評価を導入して十年間で何が起こったか。十年間で労働生産性が四四%向上した、市の行政サービスのコストが三三%低下した、行政サービスの水準を維持したままで五年間で一四%の減税も実現した。要するに、こういう継続的な効率性の改善を行うことによって四割も、実質的には人を減らすこともできるのだという話なのだろうというふうに思います。  ただ、もちろん自治体レベルのサービスというのは非常に市民に密着したわかりやすい話ですから評価がしやすいわけですが、中央省庁の場合には、政策的には非常に大きなものが多いわけです。ですから、評価そのものもそれに従って難しくなるということも事実だと思います。そういうことを前提といたしまして、この二十九条のそれぞれについて、一つ一つ確認をさせていただきたいと思います。  まず、二十九条の第一号ですけれども、府省において「評価部門を確立する」、そして、その部門において「厳正かつ客観的な評価を行う」というふうに書かれているわけでございますが、この府省における評価部門というのは、例えばアメリカでしたらインスペクタージェネラルというような仕組みが置かれております。どのようなものを設置するのか。そしてまた、内部評価といいますと大体内輪ですから、なれ合いになりがちだ、そこのところをどのように克服するのか。そして、まず評価をするといいましても、何を評価するのか。一つ一つきちっと行政の目標というものを定めて、それに対して評価をしなければいかぬわけですね。そこのところについての考え方をお聞きしたいと思います。
  179. 坂野泰治

    坂野(泰)政府委員 府省におきます評価部門の組織的な、具体的な姿ということの御質問だと思いますけれども、これにつきましては、行革会議最終報告の時点におきましても、なお今も御指摘ようなどういうランクのどういうもの、そこまでの具体的な結論が得られておりません。この政策評価システムというものを、その省においてそれなりの権威を持って十分担うことができる組織にする必要があるとは考えられますけれども、なお今後具体的な検討にゆだねられるところがあると考えております。  また、どういうものを対象に評価をするかということでございますけれども、その施策の単位をどのようにとらえるかということから、これはいろいろ検討する必要があると考えております。例えば、省ごとの評価ではございませんけれども、現在総務庁がやっております行政監察というものを考えてみました場合でも、小さい施策一つだけを評価の単位にする場合と、各省を通じてある一つの視角から全体を取り上げた一つのまとまりとして取り上げて評価をする場合、さまざまなやり方がございます。それぞれの省の政策の評価をする場合にありましても、その評価を必要とするニーズなども勘案して、それぞれまた具体的に設定をしていく必要があるのではないかと考えておりますが、これも、このシステムをつくり、そういう部門の人たちが具体的に活動を開始する、その中で詰めていく必要がある課題だと考えておるわけでございます。
  180. 福島豊

    ○福島委員 これからの課題だということで注目をしてまいりたいと思いますが、次の第二号の、「府省の枠を超えて政策評価を行う機能を強化する」ということについてのお尋ねでございますけれども、これについてはどこでやるのかということで、内閣府という考え方もあるかもしれませんし、また総務省という考え方もあろうかと思いますが、どこにおいてこれをやるのかということがまず第一点。  そして第二点目は、先ほども質問ございましたが、会計検査院とおのずと機能が違うとは考えられますけれども、この関係をこれからどう考えていくのかということについてお尋ねをしたいと思います。
  181. 小里貞利

    小里国務大臣 前段の方は私の方からお答えいたしますが、率直に申し上げまして、本法、国会で御決定いただきました後、政府全体の政策評価制度を具体化する中で、これはきょうもいろいろお話をお聞かせいただいておりますが、非常に重要な一つのテーマだなということを感じながら今答弁申し上げておるところでございますが、そういう具体化をする中でさらに検討を進めるべきものである、こう思っております。  また、従来総務庁が行ってきた行政監察の機能を継承する総務省の役割も重視する必要があるな、こう思っておりますけれども、しかしながら、これに対しまして、例えば会計検査院等が行っておりますが、憲法上政府から独立した機関として、いわば政府の外からの評価を行う機関でもありますけれども、独自の立場からその任務を果たされるものとも考えられますが、行政改革会議最終報告においても、その機能の充実強化を、先ほど申し上げましたように、期待いたしておるところでありますから、政府における評価部門との可能な限りの協力が行われるよう求める必要もありましょうし、もっと政府全体としてと申し上げましょうか、主体的に、評価を重視した、しかもその評価結果というものをきちんと整理できるようなことを工夫する必要があるなというようなことを感じながらお答えを申し上げております。
  182. 福島豊

    ○福島委員 大臣、先ほど中桐委員からの御質問ですけれども、会計検査院というのは、要するに既に執行してしまった事柄について評価をするわけです。アメリカのGAOの話が出ましたけれども、やってしまった後で、この政策はどうだったのかと。その評価も大切で、その次に結びつくという話もあるわけですけれども、まだやる前に評価するということも極めて大切なわけです。府省を超えて政策評価をするというのは、内閣府には政策調整ということで調整機能も与えられるわけで、そういう意味では、上からのリーダーシップでそれぞれの省が取り組むことについてコントロールしていこうということがこの中には盛り込まれているわけですね。ですから、この政策評価というのも、やってしまったということではなくて、今検討している最中の事柄、そういうことについても評価をすべきだというふうに私は思いますが、大臣はどのようにお考えでしょうか。
  183. 小里貞利

    小里国務大臣 先生も御承知のとおり、申し上げるのは、若干幅を広げて飛躍した話になるかもしれませんけれども、例えば、今次私どもは、行政組織の組み立てとして、業務形態のあり方として、いわゆる事前管理から事後評価ということをよく言っておりますが、こういう事後評価におきまする一つのルール行政、しかもそれは気まま勝手に任務の中でやるのでなくて、きちんと具体的に、明確に、しかも可能な限り裁量の余地を少なくしたきちんとしたものをやる一つの組み立ての根幹を今提唱、御相談申し上げておるところでございますが、このよう政策制度というものが具体的に出てきますと、私は、今議員お話しになったような、済んだ後のことを言うのでなくて、済んだことも一つの参考にしながら新たな施策の展開、あるいは新年度に向かっての予算立案等において、いわゆる政策の立案機能というものもへその辺を実施ときちんと区分をしてやりましょう、こう言っておるやさきでございますから、おのずからその辺も、今おっしゃるようなこともおもんばかる一つのチャンスと申し上げますか、あるいは検討を含めるチャンス、雰囲気というものが相当出てくるのではないかな、そういう気もするのでございます。しかし、こんなことを言うと、いや、その程度のことで評価というものはできるものじゃないよとあるいはおしかりをいただくかもしれませんけれども、そういうことを今感じましたので、率直に申し上げでおるわけです。
  184. 福島豊

    ○福島委員 それで、三号のところに、政策評価に関する情報の公開を進め、また国民に説明するということが書かれているわけでして、この点についても、政策評価の極めて重要なポイントだというふうに私も思います。この点についても今後の課題ということになるのかもしれませんけれども、先ほどの、どういう項目を評価するのか、どういう評価項目をつくるのかということとリンクするわけですね。国民にとって非常にわかりやすい評価項目で評価してもらわないと、これはわからない。  例えばこういうことを申し上げますと農水省さんには大変私は恐縮なんですけれども農水省さんの政策目標というのは、例えば日本の農業の生産性を向上させるとか、そしてまた就農人口をふやすとか、そういうことなんだと思います、最終的には。だけれども、この何十年間の間、実際にどうだったかというと、たくさんお金は使ったんだけれども全然生産性は向上しない。それは、政策そのものが、間違っているとは言いませんけれども十分な機能を果たしていないということになるわけですね。そのくらいわかりやすい指標で評価をしてもらわないと、国民はわからないというふうに思います。  この評価に関して情報の公開を進める、先ほどの話と重複しますけれども、具体的にどのようにお考えか、お聞かせください。
  185. 坂野泰治

    坂野(泰)政府委員 評価の結果を公表あるいは公開するということについては、評価を行った者と同時に、その評価結果を受け取って、それを政策形成過程に反映していく責任にある者、双方が、やはりこの政策評価についてどういう態度をとったかということについて説明責任を負うということになると考えられます。  したがって、その双方がそれぞれ公表の方法を確立する、あるいは制度的な基準をつくって公表をする、そのようなやり方によって公表をしていくことになると考えております。
  186. 福島豊

    ○福島委員 双方といいますと、両方がともに行政ということになるわけでして、お互いがやりとりしていることが国民にとってわかりにくい、何をやっているのかよくわからない。国民行政を評価するに当たって役に立つものでなければ意味がないわけでして、そこのところは今後の検討の中でしっかりと詰めていっていただきたいというふうに思います。  そしてまた、先ほど中桐先生もおっしゃられましたけれども政策評価というのは行政の中だけでやっていてはいけないというのは、まさにそのとおりだというふうに思います。企業的な経営の概念を持ち込むということですから、例えば、公認会計士でありますとか、そしてまた経営コンサルタントであるとか、有識者、学者、金融機関の審査関係者等も幅広くその中に参画するような仕組みをつくるべきだ、広く官民から人材を求めてそういう仕組みをつくるべきだというふうに私は思いますけれども大臣はどのようにお考えでしょうか。
  187. 小里貞利

    小里国務大臣 もうお話のとおりでございまして、政策評価の有効性、あるいは適当性と申し上げましょうか、適切性とこの原稿には書いてありますが、そういうものを確保するためには非常に大事なことでありまして、いわゆるお話にありましたように、評価が関係者の視点に立って行われたり、ましてや、その利害に絡めて行われてはならないことは言うまでもなく、客観性をきちんと担保するべきである、こう思っております。  では、その担保というのをどうして行うかということは、一味、二味、知恵をうんと絞らなければいかぬな、そう思います。
  188. 福島豊

    ○福島委員 これは質問を通告しておりませんけれども貧要するに、今後の検討にまっという御答弁が余りにも多かったものですから、私は、先ほども、アメリカでもうガバメント・パフォーマンスーアンド・リザルト・アクトというのをつくったということですから、ここの二十九条の部分というのはどうやってやっていくのか、そういうことを含めて、僕は自治体についても適用してもいいと思いますけれども、独立した一つ行政評価法、こういうものを政府は考えるべきじゃないかというふうに思います。大臣はだんだんそんな雰囲気が盛り上がってくるのじゃないかというお話でございましたけれども大臣の御所見をお聞かせください。
  189. 小里貞利

    小里国務大臣 この問題については、旺盛な意欲を持って、しかも、先ほどの先生も含めてですが、お聞かせいただきました。大事な参考にして、検討をさせていただきたいと思います。
  190. 福島豊

    ○福島委員 では、次に、厚生大臣おいででございますので、厚生省の関係のことについてお聞きをしたいと思います。  労働省との統合により労働福祉省、名前はどうなるかわかりませんが、編成されるわけですけれども、現在、厚生省に技官と事務官と二つの立場の公務員の方がおられるわけでございます。これは厚生省だけに限ったことではございませんが、科学技術庁にしましても、また建設省にしましても、それぞれ技官と事務官の方がおられる。そしてまた、今までの長い歴史の中で、技官の方と事務官の方、それぞれの専門を生かして、一定の人事の形式というのが成立してぎているわけでございます。  これがこうした形の大くくりの統合の中でどうなっていくのだろうかということは、だれしも、心配といいますか考えることでございまして、この点については、私は、一律同じということではなくて、公務員としてのそれぞれの専門性にのっとったような今後の人事のあり方というものを考えていくべきであるというふうに思いますが、大臣の御所見をお聞きしたいと思います。
  191. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 現在の厚生省におきましても、医師の資格を有する技官、それぞれの重要な役割を担っているわけであります。労働省と厚生省が一緒になったとしても、その役割の重要性は変わらない、引き続き大事な役割を担っていただく、適切な配置をするという前提で取り組んでおります。
  192. 福島豊

    ○福島委員 そして、総務庁長官にお聞きしたいのですけれども、人事管理ということで、公務員の一括管理というようなことも言われているわけでございますけれども、その中にありましても、今、厚生大臣から御答弁いただきましたように、技官と事務官の問題というのは、やはり一括といいましても、一律というわけにはいかぬだろうというふうに思うわけでございまして、この点について御所見をお聞きできればと思います。
  193. 中川良一

    中川(良)政府委員 行政改革会議最終報告におきまして、事務系、技術系を問わず、一定の職以上にある者については、政府全体として人材の一括管理を行うべきという提言がございまして、また、あわせまして、当面の課題といたしまして、人材情報の総合的管理でありますとか人事交流の推進等について触れられておるところでございます。  これと並行いたしまして、実は、公務員制度調査会におきましてもこの問題を議論していただきまして、その中で一番の問題は、一括管理という問題が出てくる背景には、いわゆる縦割り行政の弊害是正のためにはそういう制度を考えるべきではないかという議論が片方であるわけでございますが、もう一方では、行政がこれだけ複雑また専門化してまいりますと、専門性に裏打ちをされました高度の技能を持つ人材をどうやって確保していくかというのもまた非常に大事な課題でございまして、この両者をどう調和させていくのがいいのかという問題になるわけでございます。そういう意味で、公務員制度調査会の「意見」の中では、いきなり任命権を一カ所に集めるような人材の一括管理よりは、むしろ広い意味で一括的な管理ができる方策を探求していったら、当面そういうことを考えたらどうかという御提言もございました。  したがいまして、技術系の場合はもちろんでございますが、事務系も含めまして、こういった専門性を持った人材をどう確保していくかということにも十分配慮を払いながら、この問題は検討していく必要があるのではないかというふうに考えておるところでございます。
  194. 福島豊

    ○福島委員 ぜひ適切な対応をお願いしたいというふうに思います。  そして、二点目でございますが、国立病院・療養所の問題でございます。  第四十三条に、国立病院、国立療養所に関して、「高度かつ専門的な医療センター、ハンセン病療養所等特に必要があるものを除き、独立行政法人に移行すべく具体的な検討を行う」というふうに書かれているわけでございます。その前段としましては、民間もしくは地方公共団体への移譲、統合または廃止をまず推進するということが書かれております。  これは、以前この委員会でも質疑がございましたけれども地方自治体の財政状況も大変厳しい中で、もちろん民間への移譲というのは大変厳しいことも同様でございますけれども、今まで取り組んできてもなかなか進んでいない、若干進みましたけれども、目指すところまではなかなか及んでいないというのが現状ではないかというふうに思います。この四十三条に定められておりますけれども、今後の見通しというものは一体いかがなものなのか、この点についてお尋ねをしたいと思います。
  195. 小林秀資

    ○小林(秀)政府委員 お答えを申し上げます。  国立病院・療養所の再編成につきましては、平成八年に国立病院等の再編成に伴う特別措置に関する法律というのを改正させていただきまして、地方公共団体が管理委託を行う場合の減額措置の拡大をしたこととか、地方公共団体などの譲り渡し先に対する補助金を充実したことなどによりまして、地方財政が厳しい中ではありますが、近年、再編成施設の数は加速度的に増加をいたしております。  もう少し詳しく言いますと、この再編成は、昭和六十一年から平成九年までの十二年間を前半六年と後半六年に分けてみますと、前半の六年は、各地方自治体側の様子見というのでしょうか、そういうものもあったのでしょうか、最初の六年間では二施設しか再編成ができなかった。後半の六年では、これが十九施設できました。そしてさらに、現在、具体的に調整中のものが二十から三十施設ありますということで、加速度的にふえている。特に平成八年度の法改正で、従来ば大体多くても四施設まで、大体一とか二とか三とかというところですが、平成九年度は六施設の再編成ができたというわけでございます。  中央省庁等の改革基本法案におきましても、再編成を一層促進することとされているとともに、平成八年十二月に閣議決定された行政改革プログラムでも、平成十二年度末までに施設の廃止を含む対処方策を決定した上、速やかに再編成を実施するとされているところでございます。  今後とも再編成推進に一層の努力をしてまいりたい、このように思っております。
  196. 福島豊

    ○福島委員 廃止というところに何か力を込めて御答弁があったような気がいたしましたが、独立行政法人というのが最後の、最後といいますか、なかなか統合も再編も移譲もできなかった場合の手段になるのかなというふうに思います。  ただ、独立行政法人にしたからといって採算性が改善されるのだろうか、これはだれしも思うわけでございまして、例えば三十八条の六号では、職員の給与等についても裁量権がかなり大幅に変わるというようなことを盛り込まれておりますけれども、採算性が改善される見通しがあるのかどうか。  そしてまた、同じく三十八条の四号では、独立行政法人になったとしても所要の財源措置を行うということが書いてありまして、独立行政法人になっても、採算が改善されなければ国は同じように支援を続けていくのか。  そうすると、今までと同じではないかという疑問も出てくるわけでございまして、この点についてのお考えをお聞きしたいと思います。
  197. 小林秀資

    ○小林(秀)政府委員 お答えを申し上げます。  国立病院・療養所につきましては、これまで種々の経営改善方策に取り組んでまいりました。近年、経営収支率は顕著な改善傾向にございまして、一般会計からの繰入額も大幅に減少してきているところでございます。最近でいきますと、平成六年には二千五百八十八億円の繰り入れをしていたものが、平成十年度予算では千四百六十八億というふうで、著しい改善をしてきているところでございます。  独立行政法人に移行した場合、独立行政法人に付与することとされている業務運営上の裁量、自律性の積極的な活用などによりまして、弾力的、効果的な業務運営を行うことができることとされていることから、そうした中で一層の経営改善に努めていくことになると考えております。
  198. 福島豊

    ○福島委員 よくわかりませんが、しっかりと頑張っていただきたいと思います。  厚生省に関してはもう一点疑問がありまして、この法案の中では、医薬品についての安全性等の審査及び製造等の承認について、透明性、客観性及び中立性を一層高めるために体制見直しを行うということが書かれているわけでございます。現在のこの医薬品の審査体制については、厚生白書によりますと、国立医薬品食品衛生研究所、これは仮称となっておりますけれども体制が変わったというふうに書かれております。  イギリスの行政改革の中では、この審査体制につきましてはエージェンシー化ということも行われております。医薬品規制庁ということで、これはエージェンシーになっている。同じようなことを我が国においても考えていいのではないかというふうに思いますが、この点についての御見解をお聞きしたいと思います。
  199. 中西明典

    ○中西政府委員 薬事行政につきましては、医薬品の承認審査体制を強化してその専門性、透明性を高めていくという見地から、委員先ほど御指摘ございましたように、昨年七月に医薬品医療機器審査センターというものを新設いたしまして、その組織見直しを図り、かつ、昨年度、今年度そして来年度と、私どもとしましては三カ年で組織体制整備、定員の充実も含めて強化を図っていきたいというふうに考えております。  ただ、エージェンシーといいますか独立行政法人化という話になりますと、これは本法案の三十六条に書いてございますように、独立行政法人というのは国がみずから主体となって直接実施しなければならない事務事業ではないというのが一つの要件でございまして、他方、この医薬品の承認審査、これにつきましては、まさに私人の権利義務を制限するといいますか、そういった公権力の行使にかかわるものであり、また国民の生命、健康にかかわる仕事でございますので、やはり国みずからが責任を持って対応していくということが適当ではないか、かように考えております。
  200. 福島豊

    ○福島委員 私も独立行政法人でなければならぬというふうにまでは思っておりませんが、国として今後ともしっかりとこの薬事行政に取り組むということであれば頑張っていただきたい、そのように思います。  最後に、文部省並びに科技庁さんにお尋ねをしたいわけでございます。  この二十六条「教育科学技術省の編成方針」ということでございますが、まず第一点目はこれは文部省さんでございますけれども、初等中等教育行政の改革ということが述べられております。「個性に応じた教育の多様化、地方の自主性の尊重等の観点から、」と、多様な教育ということと地方の自主性ということがこの条文の中には盛り込まれております。  教育の地方分権ということが今強く言われております。中央集権的な教育のあり方を見直すべきではないか、私もそのとおりだというふうに思います。この中央省庁の再編に伴って大胆な教育の地方分権ということを進めてはどうか、この点についてお聞きをいたします。  科技庁さんには、第二十六条で「学術及び科学技術行政に関し、」云々と書いてありまして「学術及び科学技術研究の調和及び総合性の確保を図る」これに続きまして四十三条の方では、研究機関の再編ということが独立行政法人化ということも含めて語られているわけでございますけれども、最終的にどういう研究体制我が国はなるのか、どういう研究体制を目指して再編を進めていくのか。調和なり総合性ということを図った上でビジョンを示すべきだというふうに私は思いますが、この点についてお答えをいただければと思います。  時間ですので、以上二問お答えをいただければ、私の質問は終わります。
  201. 御手洗康

    ○御手洗政府委員 お答えを申し上げます。  初等中等教育につきましては、基本的に公立の小中高等学校はそれぞれ市町村または都道府県が設置管理をするということでございまして、それぞれの地域における具体的な教育に関する施策の実施主体といたしまして、地方自治の原則にのっとって地方公共団体が責任を持って運営するという現行の仕組みがございます。  これに対しまして国は、初等中等教育におきまして全国的な教育の機会均等と教育の水準の維持向上を図るという観点から、都道府県あるいは市町村と連携協力をしつつ、例えば学校教育法におきます学校教育制度の制定、あるいは教育課程の基準の設定などの全国的な基準の設定、さらには教職員の給与の国庫負担などの地方公共団体におきます教育条件整備のための支援、あるいは教育事業等の適切な実施のための指導助言等の支援措置を行っているわけでございます。  御案内のとおりに、今後、教育改革を推進し個性を尊重したきめ細かい教育を行っていくためには、このような国と地方基本的な教育に対します役割分担を踏まえつつ、教育における地方分権を一層推進するという観点からの施策が極めて大事であると私ども認識しておるところでございます。  現在、今後の地方教育行政あり方について審議を行っております中央教育審議会におきましても、去る三月二十七日に、中間報告におきまして、さらに今後の地方分権推進し、より地域に根差した地方教育行政を展開するという観点から、例えば教育課程の基準の大綱化、弾力化、あるいは国と地方の指導助言のあり方見直し、さらには教職員研修等の国が直接行う役割見直しなど、具体的な事務内容につきまして見直しが提言されているところでございますので、今後とも、本法案の規定や中教審におきます審議等の結果を踏まえながら、さらに各地方が責任を持って主体的かつ積極的な取り組みが促進されますよう地方分権推進にさらに一層努めてまいりたいと考えております。
  202. 間宮馨

    ○間宮政府委員 お答えいたします。  国の研究機関につきましては、特定の行政目的関係した業務を行う場合というのはございますけれども、本来、大学とか民間企業では取り組みがたいような国家的な戦略的な研究開発を行うというのが任務であろうと思っておりまして、研究者は、その戦略の中で、大きな裁量を持って自由に研究を行っていくべきものと考えております。  現在、各省庁が所管しております国立研究機関の中には、類似の研究機関、あるいは必要以上に細分化されたようなものもございますので、行革会議でも指摘されておりますように、国立試験研究機関全体にわたる、省庁の壁を超えた統廃合を行うことが必要と考えております。  これとあわせまして、国として総合的に取り組む必要がある研究分野、あるいは広範な行政目的関係する横断的研究分野を担う中核的な研究機関を育成していくことが特に重要でございます。そのような中核的研究機関の育成に当たりましては、各研究機関の自律性、柔軟性、競争性を高めていくために、管理運営システムあるいは評価システムの改革を図っていくことが必要であろうと思っております。  行革会議最終報告におきましては、独立行政法人の基本概念、制度設計等につきまして述べられてございますが、国立試験研究機関の独立行政法人化の検討におきましては、研究者の創造性が十分に発揮されるとともに、競争的な研究が可能となるよう制度設計が行われることが重要と認識しております。  また、国研の将来の研究開発システムのあり方につきましては、学識経験者による検討が昨年三月から行われ、本年三月には報告書がまとめられて公表されてございます。科学技術庁といたしましては、国立試験研究機関の統廃合、中核的研究機関の育成を我が国の科学技術創造立国に向けた最重要課題一つととらえておりまして、この検討会の報告も参考にしつつ、関係方面の御理解を得ながら、その検討に努めてまいりたいと考えております。
  203. 福島豊

    ○福島委員 どうもありがとうございました。
  204. 高鳥修

    高鳥委員長 次回は、明八日金曜日午前九時委員会、正午理事会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時三分散会