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1998-04-28 第142回国会 衆議院 行政改革に関する特別委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十年四月二十八日(火曜日)     午前九時開議  出席委員   委員長 高鳥  修君    理事 虎島 和夫君 理事 野呂田芳成君    理事 二田 孝治君 理事 山口 俊一君    理事 伊藤 忠治君 理事 北脇 保之君    理事 若松 謙維君 理事 中井  洽君       石崎  岳君    今井  宏君       岩永 峯一君    小野寺五典君       大野 松茂君    金田 英行君       熊谷 市雄君    倉成 正和君       小林 多門君    桜井 郁三君       実川 幸夫君    砂田 圭佑君       谷  洋一君    戸井田 徹君       能勢 和子君    平沢 勝栄君       牧野 隆守君    松本 和那君       宮島 大典君    宮本 一三君       矢上 雅義君    山口 泰明君       渡辺 博道君    石井 紘基君       池田 元久君    岩國 哲人君       上田 清司君    桑原  豊君       高木 義明君    平野 博文君       古川 元久君    松沢 成文君       大口 善徳君    冨沢 篤紘君       福島  豊君    東  祥三君       石垣 一夫君    佐々木洋平君       木島日出夫君    平賀 高成君       松本 善明君    深田  肇君  出席国務大臣         内閣総理大臣  橋本龍太郎君         郵 政 大 臣 自見庄三郎君         自治 大 臣         国家公安委員会         委員長     上杉 光弘君         国 務 大 臣         (内閣官房長官)村岡 兼造君         国 務 大 臣         (総務庁長官) 小里 貞利君         国 務 大 臣         (沖縄開発庁長         官)      鈴木 宗男君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 久間 章生君         国 務 大 臣         (国土庁長官)         (経済企画庁長         官事務代理)  亀井 久興君  出席政府委員         内閣参事官   洞   駿君         内閣審議官   坂野 泰治君         内閣官房内閣安         全保障・危機管         理室長     江間 清二君         内閣官房内閣情         報調査室長   杉田 和博君         内閣法制局長官 大森 政輔君         内閣法制局第二         部長      宮崎 礼壹君         内閣総理大臣官         房管理室長   佐藤 正紀君         警察庁長官官房         総務審議官   金重 凱之君         総務庁長官官房         審議官     大坪 正彦君         総務庁長官官房         審議官     西村 正紀君         総務庁人事局長 中川 良一君         防衛庁防衛局長 佐藤  謙君         防衛庁運用局長 太田 洋次君         経済企画政務次         官       栗本慎一郎君         経済企画庁調整         局長      塩谷 隆英君         経済企画庁調整         局審議官    小林 勇造君         経済企画庁調査         局長      新保 生二君         沖縄開発庁総務         局長      玉城 一夫君         外務省条約局長 竹内 行夫君         大蔵大臣官房総         務審議官    溝口善兵衛君         大蔵大臣官房審         議官      中井  省君         大蔵省主計局次         長       寺澤 辰麿君         農林水産大臣官         房長      堤  英隆君         通商産業大臣官         房総務審議官  及川 耕造君         海上保安庁次長 長光 正純君         郵政大臣官房長 天野 定功君         郵政大臣官房総         務審議官    濱田 弘二君         郵政省郵務局長 長谷川憲正君         郵政省貯金局長 安岡 裕幸君         建設省河川局長 尾田 栄章君         自治大臣官房長 嶋津  昭君         自治省行政局選         挙部長     牧之内隆久君         自治省税務局長 成瀬 宣孝君         消防庁長官   谷合 靖夫君 委員外出席者         参  考  人         (日本銀行総裁速水  優君         参  考  人         (日本銀行副総         裁)      山口  泰君         参  考  人         (日本銀行理事鴨志田孝之君         衆議院調査局第         三特別調査室長 田中 達郎君     ————————————— 委員の異動 四月二十八日  辞任         補欠選任   大野 松茂君     山口 泰明君   金田 英行君     矢上 雅義君   熊谷 市雄君     能勢 和子君   松本 和那君     渡辺 博道君   池田 元久君     石井 紘基君   田中 慶秋君     桑原  豊君   平賀 高成君     木島日出夫君 同日  辞任         補欠選任   能勢 和子君     熊谷 市雄君   矢上 雅義君     金田 英行君   山口 泰明君     平沢 勝栄君   渡辺 博道君     松本 和那君   石井 紘基君     松沢 成文君   桑原  豊君     高木 義明君   木島日出夫君     平賀 高成君 同日  辞任         補欠選任   平沢 勝栄君     桜井 郁三君   高木 義明君     田中 慶秋君   松沢 成文君     池田 元久君 同日  辞任         補欠選任   桜井 郁三君     小林 多門君 同日  辞任         補欠選任   小林 多門君     大野 松茂君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  中央省庁等改革基本法案内閣提出第四一号)      ————◇—————
  2. 高鳥修

    高鳥委員長 これより会議を開きます。  内閣提出中央省庁等改革基本法案を議題といたします。  本日、午前は沖縄開発庁総理府本府、内閣官房防衛庁及び経済企画庁中心として、午後は自治省国家公安委員会郵政省及び総務庁中心として審査を行います。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本案審査のため、本日、参考人として日本銀行総裁速水優君、同副総裁山口泰君及び同理事鴨志田孝之君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 高鳥修

    高鳥委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  4. 高鳥修

    高鳥委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石井紘基君。
  5. 石井紘基

    石井(紘)委員 おはようございます。  きのう民主党結成大会がございました。民主党を代表して、質問させていただきます。  行政改革ということのその意味は、何といっても、この肥大化した行政機構、そしてその行政機構民間、市民の事業を奪っている、それによって経済が停滞しているとかあるいは大変なコストを国民に強いているとか、それを改革しなきゃならぬというところに行政改革の最大の目的があるだろうと私は思うわけであります。  そういう観点から、私は、この省庁のあるいは行政機構肥大化の一つとして、公益法人やら特殊法人やら認可法人やら、そしてまた、もろもろの行政の周りにくっついているそうした構造の中でどういうことが行われているのか、もしそこに大きな問題があるのであれば、それにまさに手を入れていくということが行政改革にとって極めて重要な問題であろうというふうに思います。  そこで、具体的には今回の省庁の再編について取り上げたいわけですが、きょうは日銀さんにいらしていただいておりまして、何やらいろいろ都合があるというので、先に日銀の問題、日銀は言うまでもなく政府認可法人でありまして、この問題を取り上げてまいりたいと思います。  先日、私は決算行政監視委員会日銀の財務、予算決算状況、これがおかしい、あるいはまたこのチェックの機能というものが極めて不十分にしか働いていないという点を取り上げました。なかんずく、日銀給与関係の問題につきましては、この質問の中でも非常に不透明であるということが明らかになったわけであります。  つまり、日銀予算というものは大蔵省認可を受けて決められる、その認可の過程というものが非常にやみに包まれている、こういう状態でありますので、引き続きこの問題を明らかにしていかなければならないのが国民の望むところであろうというふうに思います。  さて、そこで私は、日銀予算決算に関する資料、特に給与の問題について、それを大蔵省認可申請をする際にどういう進め方で行われているのかということをもう一度明らかにしたいわけですが、日銀に伺います。大蔵省にも同時に伺いたいと思います。  私は、その予算認可するための基礎になるさまざまなデータ、資料というものを全部出してくれ、今ここで何と何と何ということを繰り返しませんが、全部出してくれということを十一日前にお願いをして、出しましようと一たんは言われたわけでありますが、先日の決算行政監視委員会のときには一切出てこなかった。それによって、日銀速水総裁委員会でもって謝罪をされたという経過があるわけであります。  そこで一時審議がとまって、お待ちしておりましたところが、出てきましたのが、ただ単なる、極めて大ざっぱな、七項目しかないこの半期ごと予算書なるものであります。これは、半期ごとで十年間ありますからこれだけの枚数がありますけれども、実はこれ一枚だけなんですね。半期でこれ一枚だけというもので、「給料」というところの欄を見ますと、「委員役員」というのが一項目、「職員」というのが一項目、立っているだけであります。これだけが大蔵省提出をしたすべての書類だと言うのです。それで、大蔵省はこのまま何も見ずに判を押して認可をしたというのが先日のやりとりでありました。  この点について、もう一回確認をしなければなりません。果たしてこんなもので大蔵省が国の予算に関する事項を認可できるのかどうなのか。これしか本当に日銀は出さなかったのか、そして、大蔵省はこれだけをもって認可をしたのか。お答えください。
  6. 中井省

    中井政府委員 お答えいたします。  日銀経費予算につきましては、これは旧日銀法のもとの話だと思いますが、旧日銀法におきましては、政策委員会議決を経て、給与等認可対象科目ごとに区分されて申請がされております。当該区分ごと経費総額の積算について説明を受け、給与等の各項目総額の伸びが過大でないか等、効率的な業務運営確保等観点から認可してきている次第でございます。  先ほど先生、何も見ずに判を押すというお話がございましたけれども、特に給与につきましては、先般の委員会でも御説明申し上げましたけれども、給与支給基準自体については、大蔵省についてこれをチェックする権限がございません。  唯一、昭和三十四年の日銀法改正の論議の際、金融制度調査会におきまして給与の問題が討論されまして、「常識的な見解としては、将来あるべき市中大銀行水準並みというのが妥当なところであろう。」こういう御答申をいただいております。それから、なおかつ「しかしその場合においても、」「機構簡素化合理化を徹底し、給与財源全体としては、可及的にその膨脹を抑制することが望ましい。」ということでございますので、大蔵省チェックといたしましては、あくまでも給与支給基準については日銀労使交渉等にお任せし、全体の総額が例えばベアでふえてまいりましたようなときには、総額が膨らむような場合には、例えば定員削減総額を抑制することはできないかというようなことを日銀当局お願いをしてきているということでございます。  また、その実施の状況でございますが、日銀の財務諸表の承認につきましては、政策委員会議決を経まして日銀監事の監査を受けて作成されたものについて、経費予算総額との関連で問題がなかったかどうかということ、それから経理の処理手続に瑕疵がないかなどを主眼として、説明を受けて、承認してきているところでございます。
  7. 鴨志田孝之

    鴨志田参考人 その経費予算書をもちろん提出しているわけでございますが、そのほか、大蔵省の求めに応じまして、適宜、計数等を作成して説明はしております。
  8. 石井紘基

    石井(紘)委員 それは文書の形で提出をしているんですか、それとも口頭やりとりをしているんですか。
  9. 鴨志田孝之

    鴨志田参考人 計数等文書提出しているものもあると思いますが、口頭でやる場合もあると思います。
  10. 石井紘基

    石井(紘)委員 そうすると、これ以外の資料もあるわけですか。もう一回はっきり言ってください。これがすべてだということでこの間出してきたんですから。
  11. 鴨志田孝之

    鴨志田参考人 それがすべてということじゃございません。ただ、正式な提出書類はそれがすべてでございます。
  12. 石井紘基

    石井(紘)委員 それでは、これだけじゃ給与がなぜこれだけの数字になってくるのかということは全くわからないわけであります。今の大蔵省答弁を聞いても、簡単に言ってしまえば、いろいろと政策委員会であれこれしておるからそれをそのとおり認めておるんだということでありますから、実際問題としてはもう目をつぶって判を押しているようなものなんですね。  そうしますと、それ以外の資料を出してくれと言って、出すというやりとりがあったのが十一日前ですが、それは出すんですか、出さないんですか。  例えば俸給表だとか、あるいは局長とか次長とか審議役とか、そうしたいわゆる参事クラスと言われる部分の人数だとか給与額だとか、あるいは職員勤続年数別だとかあるいは男女別だとか、いろいろな基準になる資料というものがなければ予算はできないわけでありますから、そういうものを出すんですか。  私はもう十一日前から要求して、出すと言っているんですから、当然それをお出しいただきたいと思います。どうぞ。
  13. 鴨志田孝之

    鴨志田参考人 お答えいたします。  私どもとしましては、本委員会のほか国会の要請に関しましては誠実に対応していくというつもりでおります。  お尋ね資料等につきましては、非公表のものもかなり含まれておりますが、可能な範囲でできるだけ早急に対応したいというふうに思っておりますので、何とぞ御理解を賜りたいと思います。
  14. 石井紘基

    石井(紘)委員 私はこれで、前回の行政監視委員会での質問の際にも、その資料が出てこなかったために質問が半ばできなくなりまして、今回もまた、それ、資料が出てこないというのであればこれは議論ができないわけであります。  じゃ、職員給与表あるいは参事クラス給与に関する規定、当然これは認可法人でありますし、国の機関でありますし、あなた方は銀行の中の銀行、日本の中央銀行でありますから、当然給与規定というものはあるんでしょう。給与規定俸給表あるいは退職金規定。  じゃ、給与規定退職金規定だけ、これもずっと毎日のように言っているわけですから、お出しください。どうですか。
  15. 鴨志田孝之

    鴨志田参考人 お答えいたします。  今御指摘のあった資料等も含めまして、可能な限り早急に対応させていただきたいと思っております。
  16. 石井紘基

    石井(紘)委員 これはもう非常におかしい話ですね。大蔵省資料を出したと言うのだったら、これは十年分ですから、何も先のこと言っているんじゃないんです、過去のことを言っているんですから。それを、出したままをお出しくださいと言っているのが、それが、十一日間たっても、準備しているとか少し待ってくださいとか。  給与規定とか退職金規定というのはないんですか、あるんですか。
  17. 鴨志田孝之

    鴨志田参考人 もちろんございます。
  18. 石井紘基

    石井(紘)委員 それはどういうわけで出せないんですか、どういうわけで出せないんですか。
  19. 鴨志田孝之

    鴨志田参考人 先ほどもちょっと申し上げましたけれども、これまで非公表の扱いでやってきておりますので、その点も含めて、できるだけ早急に、可能な限り早急に対応させていただきますので、何とぞ御理解をいただきたいと思います。一刻も早く対応させていただきます。
  20. 石井紘基

    石井(紘)委員 これまで出ていないから、出ていればわかっているんですよ。出さなきゃならないものを出していないから。それがないと、今、行政改革審議やら、あるいは国の予算がどう使われているかということがわからないじゃないですか、議論できないじゃないですか。そんなものを何で秘密にしておくんですか、給与規定とか退職金規定とか。  それじゃ、委員長、ちょっと。そういう答弁では、これは問題ですよ。
  21. 高鳥修

    高鳥委員長 石井君に申し上げますが、当委員会において既にこの問題については取り上げられておりまして、日本銀行に対して資料要求理事会として要求するということにいたしております。ただいまお取り上げになりましたような問題を全部含んでいると思いますので、理事会において、早急に提出してもらうように手配をいたします。
  22. 石井紘基

    石井(紘)委員 私もそれは知っておりますが、私は十一日前からこれを要求して、出すと言ってきているわけでありまして、現にあるものが、しかもこれは機密でも何でもないものが出せないということは、これは日銀というものは、一体これはどういう悪いことやっているのかということになりますよね。恐ろしい話だと思います。  職員は後でやりますが、じゃ、まず、この十年間に役員に対して支払った退職金一覧表を、これもまたさんざん私は、十日間かかってようやくきのうの晩、出してもらいました。これ、皆さんにお配りしてもいいんですが。そうですね、これ、どのぐらいいますかね、三十人余りおりますか、十年間で退職した役員の方。  例えば、この中で、三重野総裁は、理事、副総裁分を含んで総裁退職時の退職金が一億八千二百二十一万円であった。それから吉本元副総裁、やはり三重野さんと同じく平成六年十二月に退任をされておられますが、副総裁退職金が五千三百八十五万円であった。  この吉本元副総裁は、就任前は国民金融公庫総裁をやっておられまして、その前は大蔵省局長、次官であったと思います。大蔵省は、大蔵省吉本さんが退職をされたときに退職金幾ら支払いになったか。それから、大蔵省の所管である国民金融公庫総裁をおやめになったときに退職金幾ら支払いになったか、大蔵省にお伺いしたいと思います。
  23. 溝口善兵衛

    溝口政府委員 お答えいたします。  吉本日銀総裁は、五十七年六月に大蔵省退職されております。そのとき同氏に支払いました退職金の額でございますが、四千四百五十八万円でございます。  なお、国民金融公庫をおやめになるときにいかがであったかという御質問がございましたが、これは今手元にございませんので、後で調べまして御報告を申し上げたいと思います。
  24. 石井紘基

    石井(紘)委員 それは結構でございます。私、きのう国民金融公庫に伺いましたら、千九百七十三万円であったということでありまして、これをすべて足しますと、一億二千八百六十万円ということにこれだけでなるわけであります。  それから、前の松下総裁、これはやはり大蔵省からさくら銀行へ行かれて日銀総裁をされた。日銀総裁退職時には三千四百五万円、それから、大蔵省退職時にはこれは幾らであったか、ちょっと大蔵省に伺いたいと思います。
  25. 溝口善兵衛

    溝口政府委員 お尋ねの額は、五千八百五十六万円でございます。
  26. 石井紘基

    石井(紘)委員 それから、さくら銀行やめたときには、これは民間銀行でありますけれども、これは一億五千万円余り退職金が出ていると言われております。そうすると、合わせて大体二億五千万円ぐらいであります。  その他、これは次々に言いますと大変なものであります。例えば、米澤さんという理事は、これはやはり大蔵省から六千万円余りもらっておる。現在、理事をやっておられる。理事やめるときにはまた何千万かの退職金を得ることになるのでしょう。  そして、こうやって約三十名余りの十年間に退職をされた理事監事、それから政策委員、こういう役員皆さん方の得た役員としての退職金だけの部分ですね、この総額は約九億円になるわけです。この中の大部分方々日銀出身者でありまして、日銀局長をおやめになるときに日銀から退職金をさらに得ているわけであります。これをどうしても日銀はひた隠しに隠しているわけなのであります。  したがって、日銀のこの退職金規定等についても、この参事クラス退職金を言えないからこれを出さない。それからまた、職員退職金あるいは給与につきましてもこれが言えない。これを表に出せない、どうしても。何か非常に困った事情があるらしい。だから出せない。  もう一回この場で要求してみましょうか。局長退職金というもの、理事役員、役職についた方々だけで結構です、全部で二十名余りいると思います。二十三、四人いるかもしれませんが、この方々が、その後役員としての退職金は得ている、あるいは今役員になっているわけですが、それ以前に大蔵省退職するときに得た退職金というものを聞いてみましょう。いかがですか。
  27. 鴨志田孝之

    鴨志田参考人 お答えいたします。  その点も含めまして早急に対応をさせていただきますので、いましばらくお待ちいただきたいと思います。
  28. 石井紘基

    石井(紘)委員 鴨志田さん、あなたまだ眠っているんじゃないですか。  それじゃ、いいです。一人一人の名前を出さなくても、今に限っていいことにしましょう。それじゃ、総額でどのぐらいになりますか。それだったら言えますか。具体的に言いますと、参事クラスのこの十年間の退職金というものは総額でどのぐらいになりますか。
  29. 鴨志田孝之

    鴨志田参考人 今手元にあります数字は五年度から九年度の累計という数字でございますが、局店長級の五年度から九年度の累計退職一時金総額は、二十八億六千五百万円でございます。
  30. 石井紘基

    石井(紘)委員 五年から九年までの局店長級と言われました。そうしますと、これは次長とか審議役が含まれますか。どこまで入るのですか。
  31. 鴨志田孝之

    鴨志田参考人 局店長級というのは、いわゆる資格でいいますと参事ということなのですが、もうちょっと具体的なあれでいいますと、局長、それから、部屋という場合もございますので室長、それから研究所の所長、それから次長というのは今考査局にしか置いておりませんが、あとは審議役、それからいわゆる局付参事、それから支店長というクラスでございます。
  32. 石井紘基

    石井(紘)委員 そうすると、それだけで五年から九年までの間に何人いますか、それからその内訳を教えてください。
  33. 鴨志田孝之

    鴨志田参考人 申し上げます。  今申し上げた期間の局店長級退職者は六十一名でございます。
  34. 石井紘基

    石井(紘)委員 内訳はありませんか。
  35. 鴨志田孝之

    鴨志田参考人 内訳は、ちょっと今手元にございません。
  36. 石井紘基

    石井(紘)委員 では、その中の局長支店長だけ、何人おりますか。
  37. 鴨志田孝之

    鴨志田参考人 まことに申しわけありませんが、今手持ちがございませんので御了承ください。
  38. 石井紘基

    石井(紘)委員 これはざっと、この六十一名に二十八億六千五百万といいますと、大体一人平均にすると四千五百万円ぐらいになりますかね。四千五百万前後でしょう。しかも、この中には局付参事とか次長とかいうものも、あるいは室長とかというものも入っておる。そうすると、これは、年限やなんかは違うけれども、理事クラスよりも高いんじゃないですか。理事クラス退職金よりも、これは金額だけでいえば高い。  これは何か基準があって当然決めていることでしょうね。もう一回、これはっきり確認しておきますよ。
  39. 鴨志田孝之

    鴨志田参考人 お答えいたします。  基準を定めて支給をしております。
  40. 石井紘基

    石井(紘)委員 そうすると、この退職金規定とぴったり照合されますね。退職金規定に従って計算をして算出していけば、こういう数字が出てきますね。そこのところをはっきり言っておいてください。
  41. 鴨志田孝之

    鴨志田参考人 お答えいたします。  そういうことでございます。
  42. 石井紘基

    石井(紘)委員 この二十八億六千五百万の払った退職金の中で、最も高く受け取った金額は、この六十一人のうちのだれということは聞いても言わないでしょうから、幾らですか。同時に、最も安く払った人も言ってください。
  43. 鴨志田孝之

    鴨志田参考人 お答えいたします。  最高に払った者は五千九百万円でございます。
  44. 石井紘基

    石井(紘)委員 これは多分局長だと思いますが、局長退職時に五千九百万円払った。そうすると、日銀局長をやって、理事等の役員に就任したという方が少なくとも大体六千万以上の退職金を取っているわけでしょう。そして、さらにそこから政策委員なり理事なり、あるいはさらに上がって副総裁なり総裁ということになっていきますと、これは途方もない莫大な退職金を得ることになるわけですね。  この五千九百万円、一人の局長退職者に払ったということは、これは当然最終時点での給与の月額を基準にして算出をしているんだろう。それが常識ですが、そうしますと、五千九百万円というと最終の給与額幾らになりますか。
  45. 鴨志田孝之

    鴨志田参考人 お答えいたします。  それに該当する人の当時の最終の月給がどうだったかということは、今ちょっと手持ちがございませんので、申しわけございませんが……。
  46. 石井紘基

    石井(紘)委員 非常に不透明、疑惑に満ちている実態があって、これ以上もう困るんだというようなことだと思います。  そこで、日銀というのは国家公務員に準ずる身分ということになっていますよね。一方では、身分は国家公務員に準じておる。そうすると、身分が準じておるということは、これは待遇とかあるいは給与とか、そういうものは全然別でいいのでしょうか。総理、総理の見解も後でお伺いしますので。
  47. 中井省

    中井政府委員 お答えいたします。  これまでの日銀職員給与水準の問題につきましては、先ほど御説明いたしましたように、昭和三十四年の金融制度調査会の報告、それに基づきまして、市中大銀行並みということで推移してきたわけでございますけれども、昨年の日銀法の改正論議の際に、総理の御諮問の鳥居先生の研究会、それから金融制度調査会、それから法令案の改正の国会審議の過程におきまして、日銀給与水準の問題が大変議論されまして、結局、新しい日銀法のもとにおきましては、役職員給与等の支給の基準を社会一般の情勢に適合したものとなるよう定め、これを公表することとされております。  この規定に基づきまして、役員給与等支給基準については、本年三月に既に日銀当局から公表されたところであります。  職員についても、本年九月末までに政策委員会において議決公表される計画となっている次第でございます。
  48. 石井紘基

    石井(紘)委員 これは身分が公務員並みということになっているわけですから、今のようなことを聞いているわけじゃないんで、給与が全然別で、都銀上位行並み、こういうことは全くおかしな話なんですね。  日銀のこれまでの給与の経過を見てまいりますと、非常に、いわゆるバブル期はどんどんどんどん上昇している、総額だけ見ますとね。中身は明らかにしないわけですから、内容はわからないわけですが、総額はどんどんどんどん上がっておる。それで、平成の四年から五年にかけて、あるいは六年から七年にかけてということになりますと、今度は急激にぎゅっと総額が落ちているわけです。決算ベースでですよ。これは、この給与の上げ方というものが非常におかしかった。  日銀総裁は、先日の決算行政監視委員会の御答弁の中で、私が、やましいところはなかったんでしょうか、過去のこの給与関係の政策でもって、あるいは運営でもって、おかしいことはなかったんですかと言いましたら、私自身に関してはやましいところはございませんというふうにお答えになられた。  そこでもう一度私は質問をして、あなた自身のことを聞いているんじゃありませんよと申し上げましたら、日銀総裁日銀におられた一九八一年まではおかしいことはなかったと思いますという御答弁でありました。  繰り返し私は念を押しながら聞きましたのに対してそういう御答弁でありましたので、最後の、要するに結論は、八二年以降、日銀速水総裁になられるまでの間は、この給与予算についておかしいところがあったということをお認めになったわけですね。  そこで、もう少し具体的に聞きますと、平成四年から五年の間に約十億円減っている、総額が。それから、六年から七年にかけて二十億円減っている。二十億円といいますと、これは給与ですから莫大な金額なんですね。二百人分ぐらいの給与に相当する金額であります。  普通だったら上昇していくのが当たり前ですけ れども、こういうふうにがくっと減るというのは、これは、いろいろな国際的なディスクロージャーに関するプレッシャーだとか、あるいは日銀法をそういう中で変えて、透明化していかなきゃいけない、いろいろなことで後ろ指さされるといいますか追及をされる。現に大量の内部処分を発表されたわけですが、そういう中で、やはり疑惑そのものを是正していかなきゃいけないという意識が働かれたのは当然かと思うのですが、こういうふうになっている。だから、このころのことをやはりそれは明らかにする必要があるのですよ、日銀は。  それで、それによって、現在も完全には改まっていないのですよ。非常におかしいのですね。ですから、そういうことを、これはぜひ今後とも明らかにさせなきゃならないのが私どもの使命だと思いますので、誠意を持って対応してもらいたいということを申し上げます。  そして、もう一つ指摘しておきたいのはチェック機能という問題ですね。先ほどの答弁にもありますように、日銀というのは、政策委員会で何か検討して、そして大蔵省予算案を持っていくのだというのですけれども、政策委員というのは日銀役員でありまして、みんな何千万も給料もらっている人たちがメンバーなんですね。それは全然チェックの機能でも何でもないのですよ。それで、持っていく。  大蔵省日銀といろいろなつかず離れずの関係がありますから、兄弟以上の、何か夫婦以上のそういう関係があるのですから、日々の市中銀行の生殺与奪の権限を日銀は握っていると言ってもいいわけですから、先日発表されたのは、大銀行役員だけで九十六人の天下りがある、さらに金融機関全体でいえば五百人にも上る天下りがあるのでしょう。  そういう日銀大蔵省の癒着の関係の中で、切っても切れない、お互いに傷をなめ合っているような関係の中で、ああ予算、何百億、何千億、はい、オーケー、こういうようなことになっている。  ちなみに、ちょっと伺いますが、きのう大蔵省の処分が発表されましたけれども、日銀大蔵省との接待関係はどういうふうになっているのですか。日銀大蔵省を接待したのはどのぐらいあるのですか、年間で。
  49. 溝口善兵衛

    溝口政府委員 突然の質問で、私も詳細存じてはいないわけでございますけれども、日銀との関係については適正な関係を続けておったというふうに理解をしております。
  50. 石井紘基

    石井(紘)委員 日銀大蔵省の接待というものを調査して出せますか。——答弁できませんか。日銀に聞いているのです。鴨志田さん、どうですか。
  51. 鴨志田孝之

    鴨志田参考人 今度の内部調査の対象にはしておりません。
  52. 石井紘基

    石井(紘)委員 都合の悪いことは調査しないということですかね。調査して表に出すつもりはあるのですかと、私聞いたのですよ。答弁できないですか、答弁できないそうです。  それでは、チェック機能という点でいきますと、大体会計検査院の院長をやった人が日銀監事に座っているわけでありまして、そうなってくると、先ほど言ったこととあわせて、全然、日銀予算というものについては野放しになっているということですよね。これは総理、こういうやりとりを聞いていただいて、何か日銀というものに対する、もう少し透明度を高めるというか、透明性が全然ない、もっと透明にするとかあるいはチェック機能を考え直すとか、そういう必要はないのでしょうか。
  53. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 先般の新たな日銀法の施行に伴いまして、日銀政府からの独立性は一層強まっておることは議員御承知のとおりであります。その上でのお尋ねでありまして、政府としてどこまでお答えをすべきことなのか、率直に、その限界を求めるのに多少苦慮いたしますが、先般来の御論議を聞いておりまして、私もなかなか実はすっきりしない思いを持ちながら伺っている部分がございました。  私は、新総裁、新副総裁等の人選の中で、民間の考え方を理解しておられる、そしてより透明性のある日銀に変えていっていただける、当然ながら、中央銀行のヘッドとしてその業務に対して精通し、国際金融の世界において我が国の中央銀行としての発言権を弱めないという判断はありましたが、その上に、今申し上げたような思いを持つて人選に当たったつもりであります。  そして、新しい日銀法という、法そのものの内容が変化した時点において、今議員からは給与等についての、また先般は社宅関係についての、いずれも日銀に対する御論議というものが、拝聴しております私にも、何とも歯切れの悪い感じでございました。  私は、日銀の体制、今独立性をより強めておる中央銀行として我々が言えることには限界があろうと思いますが、総裁、副総裁、今のやりとりを聞いておられるわけでありますから、当然ながら、日銀自身としてより透明性を高めるための努力はしていただけるものと存じます。  同時に、大蔵大臣は、新法の権限に基づいて一定の問題に対して報告を求めていると承知をいたしておりまして、その報告がどのようなものであるのか、その内容等にも十分留意していかなければならないのではなかろうか、そのような思いでおります。
  54. 石井紘基

    石井(紘)委員 きょうも、まだ日銀の問題についてはほんの入り口しか議論ができませんでしたが、引き続きやってまいります。  速水総裁、ひとつ決意だけ述べてもらいたいと思うのですが、こうした不透明な部分給与の面でたくさんある。御自身も問題があるということを言っていられるわけでありますから、ひとつ徹底的に調査をして、今後そうした資料も全面的に出す、そして日銀の改革を進めるということを言っていただきたいと思います。
  55. 速水優

    速水参考人 石井委員には、いろいろ御注文を受けながら回答がおくれまして、本当に申しわけないと思っておりますが、私どもとしましては、本委員会のほか国会の要請に関しまして誠実に対応していかなければならないと考えております。お尋ね給与等資料につきましても、可能な範囲でできるだけ早急に対応したいと考えております。その点はひとつ御理解をいただきたいと思います。  それから、今後の給与退職金基準、これはおっしゃるように公表し、透明性の高いものにしていきたいというふうに思っております。透明性というのは、ただ、どこから見てもはっきり見えるというのでなくて、アカウンタビリティーということはだれにでも申し開きができるという意味でございますから、そういうものにしてまいりたいと思います。  日本銀行は、役員及び職員給与等の支給の基準については、今般改正されました日本銀行法の三十一条で、社会一般の情勢に適合したものとなるよう定めて、公表しなければならない旨定められております。  このうち、役員給与等につきましては、先ほどもお話が出ましたが、支給の基準については三月六日に政策委員会で決定し、これは特に総理の御配慮で外部の委員会をつくって決めていただいたことでございますし、公表はしてございます。  それから、職員給与等の支給につきましては、本年九月末までに政策委員会で十分議論をした上決定して、これを公表することによって透明性の高い運営に努めてまいりたいと考えておりますので、どうぞ御理解いただきたいと思います。  以上でございます。
  56. 石井紘基

    石井(紘)委員 ほかの質問ができなくなってしまいましたが、独立行政法人について一言だけ最後にちょっと言っておきたいのです。  これは、今までの議論の経過を聞いていましても、何だかさっぱりわからないわけでありまして、結局は定員管理の外に置くというわけですから、これは従来の特殊法人と名前だけが違う、それから設立の法律の関係も違う。今までの特殊法 人というのは、特別の法律によって特別の設立行為をもって設立すべきものだと総務庁設置法に書いてあるということと、それから今度は、独立行政法人というのは、通則法でどうこうして、そして設置法をつくってやろうというわけなのでしょうけれども、しかし実態、中身は、幾ら違いめいたことをおっしゃっても全然わからないわけですよ。  特殊法人ということで肥大化している、要するに、定員の枠外に今までだって肥大化しているのです。そこが問題なのですよね。そういうのを、同じように定員の枠外で、独立行政法人だ、こう言っている。特殊法人には風当たりが強くなってしまった、特殊法人はもう民間の事業分野を侵してしまって、社会主義みたいに国がみんな商売をやってしまっている、それを今度は、評判の悪くなったものをこっちへ入れることだってできるのじゃないのですか、そのまま独立行政法人だなんて言って。  だから、その辺のところはやはりもっとはっきりと、独立行政法人というものはこういうものなんだと。私はそんなものをやらない方がいいと思いますが、こういうものなんだということをはっきりさせなければ、今回の改革というのはいいかげんな、これまでとちっとも変わらない、あるいはこれまでの特殊法人をさらにもう一つ枠を広げるような、そんなことになりかねないというふうに思いますので、そのことだけ指摘をして、御見解があれば総理の答弁を求めたいと思います。
  57. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 今議員が述べられましたような御議論が、確かに独立行政法人について存在をしております。  同時に、それが、他の国々で同様の制度を採用するときに、必ずしも今議員の指摘をされたような論議を呼ばずにエージェンシー化というものが進められた。それには、日本のような特殊法人といった形のものがほとんど存在していなかった。その中で、国が現実に行っている業務の中で、一定のものについての業務の効率性とか、あるいは質の向上という視点もありましたでしょう。あるいは透明性を確保するということもあったでしょう。あるいは民間のノウハウを、国の業務であるけれども民間の業務を入れる、それによって効率化を図っていく。いろいろな目的はそれぞれの国においてあったと私は思いますけれども、形として、俗にエージェンシーと呼ばれるような事業形態というものが他の国々において採用されてきました。  そして、日本においても同じように、国が現に実施している事務、その中から国とは別の法人格を付与して新たな組織形態を設けようとする。それにつきましては、組織運営の共通原則をルール化、制度化する、あるいは目的、責任を明確にして、その上でそれぞれの独立行政法人に自主的な、また自律的な運営を行わせしめる。その中には、企業会計原則を導入すること、あるいは弾力的な財務運営、これは同時に現場の皆さんのやる気を引き出す仕組みを工夫するということにもなります。同時に、経営情報を徹底して公開して、事業に対する定期的な見直しを行う、こうしたものを土台にこの独立行政法人というものは設計したいと考えております。  そして、議員の言葉をそのままかりますと、これは実は今の特殊法人にも求められているポイントなのですが、そしてその意味で、議員が言われるように、似てくる部分があるというのも私は否定しません。しかし、特殊法人というものは、そういう意味では共通の原則というものはなく、それぞれの必要性ということから設置をされてまいりましたから、相当ばらばらです。ですから、これはあり方を徹底して見直していく必要がある。  それと、今国が実施している業務の中からそうした形態をとっていこうというものは、おのずから違いがあると私は思っておりますし、国会の御審議の中においてそうした点をより明確にしていく、これは私どもとしても当然のことでありますが、御論議においてもより積極的に、他の国々が行政の効率化として採用しておりますエージェンシーというものに当たる適当な訳語が見つかりませんでして、独立行政法人という言葉を最終的に選びましたけれども、こうした考え方というものをぜひ御理解をいただき、これに沿った国の現に実施している事務を移しかえていくことができますように、御協力を心からお願いを申し上げます。
  58. 石井紘基

    石井(紘)委員 大変これは問題があるということで、後に残ることになると思います。  日銀の問題については今後も引き続き追及をさせていただくということを申し上げまして、終わらせていただきます。  どうもありがとうございました。
  59. 高鳥修

    ○高島委員長 この際、桑原豊君から関連質疑の申し出があります。石井君の持ち時間の範囲内においてこれを許します。桑原豊君。
  60. 桑原豊

    桑原委員 昨日新しく誕生いたしました民主党桑原でございます。  きょうは、そういう清新な気持ちも含めまして、総理にお尋ねを申し上げたいと思います。  まず、内閣機能の強化、今回の法案におきましては、その目的の第一に挙げられておるわけでございますが、そのことについてお尋ねを申し上げます。  いわゆる閣議における内閣総理大臣の発議権が明記をされるということなど、総理大臣の権限の強化、明記化といいますか、そういうものはわかるわけでございますが、それを補佐する機関としての内閣府あるいは内閣官房、この機関の役割といいますか、そういうことについてちょっとお聞きをしたいと思うのです。  まず、内閣と内閣総理大臣を補佐するものとして内閣官房がございます。また、内閣総理大臣を長として、国政の重要事項を企画立案、総合調整し、総理大臣が担当するにふさわしい事務を処理するということで、行政機関として内閣府があるということでございまして、その上に立って、内閣府は内閣官房を助ける、こういうふうになっております。  内閣総理大臣が長となっている機関である内閣府がその内閣総理大臣を補佐する機関である内閣官房を助けるというところにちょっと何かちぐはぐな、矛盾したようなものを感じるわけですけれども、この両者の役割と相互関係といいますか、そういうものをもう少しわかりやすく説明をしていただきたいと思います。  それからもう一つ、いわゆる内閣総理大臣を中央人事行政機関として補佐するものとして総務省がございます。そういう意味では、その機能強化の一環をまた総務省も担うということになるのかなと思うのですが、内閣機能の強化にとって総務省がどんな役割を果たしているのかということもあわせてお尋ねを申し上げたいと思います。
  61. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 内閣官房、これは申し上げるまでもなく、内閣及び内閣総理大臣を直接補佐する機関、そして国政の基本方針に関する企画立案その他内閣総理大臣のリーダーシップというものを補佐するための機能を担う、まずこの位置づけを申し上げたいと思うのです。  そして、内閣府というものは、その機能として内閣官房が持っております企画立案に関する国政の基本方針を受けながらこれを具体化する、これを中心とするものでありまして、経済財政政策あるいは総合科学技術といったものを例示に挙げることができるかもしれません。国政上重要な具体的事項に関する企画立案と同時に総合調整を担う役割を持ちます。  内閣官房が総合戦略の企画組織としての機動的、弾力的な活動を行う、内閣府はいわば知恵の場所、知恵の場として内閣官房を助ける、両者がそれぞれの任務を達成する上において、お互いの機能が組織的に分担されることが一番適切ではないか、そのような考え方を持った次第でありました。  そして、そうした内閣府の任務、さらに内閣総理大臣が担当することがふさわしい行政事務というものを処理すると同時に、内閣総理大臣を主任の大臣とする外局、ここにこれを設置をいたす、 こうした点においても内閣官房と異なった機能を内閣府は有することになります。  そして、総務省は、主として各省行政に広くかかわる制度の管理運営、また政府全体の観点から行われる事務で社会経済的にも重要な機能を果たす、そうしたものを担当するわけでありまして、人事管理機能について、中央人事行政機関としての内閣総理大臣を補佐する機能を果たす、これは行政の基本的な制度の管理運営などを通じて政府全体としての一体性とか整合性を確保する、そうしたことに資するという役割を持つことになります。  非常にわかりにくいとしかられそうなのですが、事実、行革会議の議論を整理し、整理といいますか整序し、こういう形に整とんをしたというのが実態であります。
  62. 桑原豊

    桑原委員 少し整理はされましたが、そうしますと、いわゆる内閣官房というものが国のそういう基本的な事項、重要方針、そういうものを決定をしていく、その際の知恵の場と今総理はおっしゃいましたけれども、ある意味では事務局的な機能も含めて、そうした知恵を結集していく、そういう場として内閣府があるのだ、そういう位置づけで理解をしてよろしいわけですか。
  63. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 今申し上げましたように、内閣官房、ここにおいて基本的な政策の方針を立案する、内閣府はこれを受けまして、例えば経済財政政策など政策課題に即して、より具体的にしていくための必要な業務を行う、同時に経済財政諮問会議の活動などを通じまして、ここには民間の知恵も吸収できる仕掛けになるわけでありますから、内閣官房を助けて内閣の基本政策の総合性を確保する、これに資するということが言えると思います。
  64. 桑原豊

    桑原委員 具体化の機関であると同時に、そういう知恵を結集していく機関でもある、そういう位置づけだというふうに理解してよろしいわけですね。  それでは、その上に立ってお聞きをいたします。  まず、災害対策ということなのですが、八条の二項で、内閣官房危機管理の機能を担う、こういうことになっております。一方、内閣府は、防災に関する企画立案及び総合調整の任務を担うことになっており、その中に中央防災会議という合議体を設置して対応することになっております。  そこで、お尋ねをしたいのですが、実際の災害対策は、どこがどんなふうに遂行していくことになるのか。災害対策に係るこれまでの国土庁の役割は国土交通省には引き継がれないというふうに理解をしているわけですけれども、その上で、従来の国土庁の災害対策に果たしてきた役割を考えますと、災害発生時の総合調整でありますとか、あるいはリーダーシップの機能なども含めて、かなり私は不十分なものがあったのではないかというふうに思うのですが、今度はそういった災害対策はどこが担当して、そしてその機能は現状に比べてどう強化をされていくのか、そのことについてお伺いしたいと思います。
  65. 小里貞利

    ○小里国務大臣 まず、防災に関する企画立案、総合調整は内閣府でやるとなっているが、本当に災害対策はどうなるのか、そういうお話であると思うのでございますが、具体的に申し上げまして、災害対策については現行どおり、言いかえますと、関係各省庁が担当するものであります。例えば警察庁がやります、あるいは消防庁などがやります今持っておりまするあの分野であります。  また、防災行政は各省の行政に関連することから、基本法案におきましても、お話しのとおり、内閣府に中央防災会議を設置いたしまして、そして内閣府の任務として防災に関する企画立案及び総合調整を規定いたしておるところであります。  このような一つの基本法の規定を踏まえまして、今お尋ねの国土庁が所掌している防災行政の事務はどうなるか、こういうお話でございますが、お話にありましたように、その組織的位置づけ及び事務の帰属については、今後推進本部において具体的な検討を行いたい。すなわち、次の省庁設置法までにきちんとその辺の具体的任務というものも整理しなければいかぬという一つの規定を設けておるところであります。  それから、中央防災会議は、防災に関する行政の内外の知見を集約いたしまして、災害発生時において、内閣官房危機管理機能を助けることを任務といたしております。臨機応変に、重大な災害だ、危機だという場合に、災害発生時において、内閣官房危機管理機能を助けることを任務としておりまして、また、その会議の事務局については、先ほど総理もお話がちょっとあったようでございますが、各分野の専門家、学界や民間の人材を活用することが予定されておりまして、内閣府は、同会議の活動等を通じまして、内閣官房危機管理機能を助ける機能を果たすものであります。  それから、先ほどお認めいただいたのでございますが、以上のほか、さきに内閣危機管理監の新設も御決定いただきましたが、内閣官房危機管理に関する体制強化等と相まって、いわゆる災害対策が強化される、そういう判断でございます。
  66. 桑原豊

    桑原委員 従来から、国土庁が調整をして、それぞれの担当といいますか専門の省庁に振り分けをして、そこが事務局になって対応していくというやり方ですけれども、やはりこの際、もっとそういった対応については、その他の省にある意味では優位をして、かなり強力に機敏な対応ができるような、そういう意味で私は内閣府と内閣官房がこの問題に深くかかわっていく必要があるというふうに思うのですが、そういう方向で推進本部の中でも検討されていくというふうに理解をしてよろしいわけですか。
  67. 小里貞利

    ○小里国務大臣 まさに御指摘のとおり、その目的、趣旨に沿って、こういう体制強化をしょう。政府全体として、なかんずく内閣として、災害が発生した、立案機能、総合調整、これを機敏にやろう、そして関係省の協力をもらって統括してやる、総力体制を機敏につくる、そういう趣旨からこういう組織機構を判断したものでございます。
  68. 桑原豊

    桑原委員 次に、男女共同参画についてお尋ねをします。  この法案では、内閣府に置かれる四つの合議体の一つとして、男女共同参画会議が設置をされることになっております。その主要な任務は、男女共同参画に関する基本方針等の審議、関係大臣に意見を述べることや、施策の実施に関する調査や監視、そういったことが行われるというふうに定められておるわけですが、男女共同参画の実現については、本当に国民皆さん政府等による多年の努力を重ねてはきておるわけですけれども、残念ながら、世界の趨勢、水準、そういったものから見ると、おくれをとっている。同じようなレベルの先進国間での比較をしても、必ずしもいいとは言えないというふうに思うのですが、現在、この行政を所管している総理府にあっては、関係省庁との調整機能なども私は必ずしも十分に果たせていないというふうに認識をいたしております。  やはりこの課題も、さらに推進をしていくためには、他省庁より優位にあって、企画立案、調整し、実行することが可能な力を持った行政機関が必要だ、こういうふうに思うわけですけれども、こういう趣旨から、この男女共同参画会議が内閣府のもとに、総理の直属に位置づけをされて、そういう機能を発揮していく、そういう力を与えていく、そういう方向でこういう位置づけがされているというふうに思うのですが、そのことについて、改めて見解をお伺いしたいと思います。
  69. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 まさに御指摘のとおりであります。そして、男女共同参画社会というものを実現していくための行政のあり方として、いろいろな議論が当初はございました。例えば、雇用という面からその機能を考えるべき、あるいは教育という面からその機能を考えるべき、さまざまな御意見がプロセスとしてはあったことは事実です。  しかし、結局、内閣府というものが、内閣官房を助けて国政上重要な具体的事項に関する企画立 案そして総合調整を行うなどの機関として、各省とは異なる特別な位置づけを与えられる、そうした形を決定いたしました瞬間から、この内閣府の位置づけというものを前提とした上で、男女共同参画というものにつきましても、各省の事務に広範に関係する国策上、国政上重要な事項、そういう位置づけをいたしまして、これに関する企画立案、総合調整を内閣府の事務といたしました。  同時に、合議制の機関としての男女共同参画会議を内閣府に設置する。そして、ここには、既に議員御承知のように、男女共同参画の視点から、それが反映されるように、関係大臣に対して必要な意見を述べる、あるいはその男女共同参画に関し講じられる施策の実施状況を調査、監視する、こうしたことを含めた任務として位置づけております。  その意味では、議員の御指摘どおり、より強化された仕組みということを御評価いただけるのではないかと考えております。
  70. 桑原豊

    桑原委員 単なる合議体に終わらずに、総理の強力なリーダーシップのもとに、ぜひこの課題の推進を図っていただきたいと思います。女性はもちろん、相当多くの国民は、内閣府に位置づけをきちっとされるということに大変な期待をしておりますし、必ず前進があるだろう、そういうふうに見ておるわけですから、ぜひそういった方向で具体化をしていただきたいとお願いを申し上げておきます。  次に、予算の編成についてなのですが、第六条では、内閣総理大臣が、国政に関する基本方針として予算の編成方針について、閣議にかけることができるということを法制上明らかにするということになりました。そして、八条の二項では、内閣官房は、国政に関する基本方針の企画立案の機能を担う。  こうして、予算編成の基本方針は内閣官房が担い、内閣総理大臣が閣議にかけることはわかるわけですけれども、肝心なその具体的な予算編成でございますが、これはどこが行うのか。財務省の編成方針にはそうした規定はございません。予算編成は、その性格上からいいましても、内閣官房あるいは内閣府が行うべきなのかというふうに思うわけですけれども、予算編成についてはどうされるのかということについて、お尋ねをいたします。
  71. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 予算を作成し国会に提出することを内閣の権限としている憲法のもとで、内閣は現在でも、概算要求に当たっての基本方針の策定、あるいは経済見通し、予算編成方針、税制改正の要綱といったものによって基本方針を策定してまいりました。  その上で、この法律案におきましては、国政運営に対する内閣総理大臣の指導性を強化するという観点から、内閣官房の総合戦略機能を助ける、先ほど知恵の場という言葉を使わせていただきましたけれども、その知恵の場として新たに設置されます内閣府に、経済財政政策に関して国務大臣、学識経験者などの合議によって審議し、必要な意見を述べるための合議制の機関として経済財政諮問会議を置きました。そして、その任務の中に、予算編成の基本方針など経済財政政策に関する重要事項について審議することを加えております。  当然ながら、予算の編成そのものはこれは内閣の権限でありますから、経済財政諮問会議で御論議をいただきましたものを生かしながら、基本法案におきましては、内閣総理大臣が、内閣の首長として、予算編成の基本方針を含む国政に関する基本方針について、閣議にかけることができる、これを法制上明らかにすることによりまして、内閣総理大臣の国政運営における指導性をより十分に発揮できるような仕組みを整えますと同時に、経済財政諮問会議予算編成の基本方針等を御論議いただきます中で、民間あるいは学識経験者の方々の御意見をも弾力的に吸い上げて、吸い上げてという言い方が適切か、参考にさせていただきながら、内閣は予算編成の基本方針を決めていくということになります。  具体的な編成そのものの作業ということになりますと、個別詳細の作業まで内閣総理大臣が担当するというのは、これは現実的にも困難でありますし、適当でもない。そうした考え方から、これを内閣の所管とするというような意見集約はございませんでした。まさに、基本法案におきましても、具体的な編成作業、その実務というものは財務省が担う、これを前提とし、財務省の主な機能として、予算決算を明記をさせていただいたということでございます。
  72. 桑原豊

    桑原委員 そうしますと、従来の予算編成の基本方針を確定していく作業、そして具体的な予算編成を行う作業、そういうものと、今回の改革によって新たに、その両者について考えていく、やろうとすること、そこにどんな違いがあるのか。そこら辺がもう一つ明確ではないのですが、それはどうでしょうか。
  73. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 一番基本的に大きく違うこと、それは、内閣の当然の任務でありますけれども、予算編成についてその基本方針を定める。現在の仕組みでは、政党政治でありますから当然政党の意見、与党の意見も反映いたしますけれども、相当部分行政府内部における論議の中からその基本方針に影響を与える部分が出てまいります。  経済財政諮問会議というものは、今私どもが考えておりますような方策で国政の中に位置づけますことを国会がお認めいただきました場合、ここには、学識経験者、民間、こうした方々の御意見を構成する構成員、すなわち閣僚等と同等の発言権を持ちました構成員として御論議をいただく基本方針というものが出てまいります。おのずからそこには従来と全く異質のものが加わってくるわけであります。  同時に、その基本方針によって行われる実際の実務に対しましても、この経済財政諮問会議は、当然ながらそれを見守っていかれるでありましょう。私は、実態的には大変大きな違いを持ってくると存じますけれども、その上で、計算的な、あるいはまさに実務的な編成の作業というものまで内閣府が受け持たなければならないもの、そうは考えておりません。
  74. 桑原豊

    桑原委員 政治主導といいますか、従来の編成に当たっての方針を決定していく、そういう中にそれを色濃く、強く盛り込んでいく、その機関として経済財政諮問会議が位置づけをされているのだ、強化をされているのだ、そういうふうに理解をして、いわゆる編成作業というのは、まさにそれに基づいた実務的なものにすぎないのだ、こういう位置づけだというふうに理解をしてよろしいわけですね。  それでは次に、省庁等改革の基本方針に関連をして幾つかお尋ねをしたいと思います。  まず、この法案においては、中央省庁等改革の前提として、国が果たす役割を重点化していくのだということを明記いたしまして、国と民間、国と地方との役割分担を明確にする、こういうふうにしております。すなわち、規制緩和や地方分権を前提として省庁の改革をやるんだ、こういうことを表明されているということだと思うのですが、このうち私は地方分権に関連をして幾つかお尋ねをしたいと思います。  まず第一点は、地方分権の現状についての総理の御認識をお伺いしたいわけですけれども、四次にわたって分権推進委員会の勧告が行われました。近く五次の勧告もあるようです。しかし、まだ地方分権推進計画というのはできておりません。もちろん、国会の議論もまさにこれからだということでございまして、今回の一連の勧告では機関委任事務の廃止が中心でありまして、国と地方公共団体との対等協力の関係の推進にかなりの前進が見られる、こういうことになっております。  しかし、それを本当に土台から支えていくためには、やはり国の権限の移譲をさらに推し進めなければならない、あるいはまさにその土台になる税財源に係る制度の根本的な改革、そういったものが必要だと思いますし、それはまさにこれから の課題だ、こういうふうに思います。  地方分権の現段階は、そういう将来的な到達点から見ますとまだまだ不徹底だ、私はこういうふうに思うわけですけれども、総理は、その中央省庁改革の前提としての地方分権が現段階で調っていると思われるのか、どういう御認識に今あるのか、地方分権の現状についての認識をまずお尋ねしたいと思います。
  75. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 今議員が触れられました財源という点からいきますと、第二次勧告、今そのうちの「国庫補助負担金の整理合理化」と「地方税財源の充実確保」という答申の一ページを手元に持っております。  そして、この中におきましても、基本的に地方における歳出規模と地方税収入の乖離をできるだけ縮小するという観点に立って課税自主権を尊重していくこと、あるいは、国と地方公共団体の役割分担を踏まえながら中長期的に税源配分のあり方について検討していく、さまざまな視点から問題が提起をされております。そして、これを前提にこれから考えていく部分を持っておることは、議員の御指摘のとおりであります。  一方、今、地方分権推進計画、今国会終了までのできるだけ早い時間にということで作業を急いでおりますけれども、これは私は、これなりに非常に大きな前進につながるものだと理解をいたしております。  そして、これは機関委任事務を中心としたものになりますが、この中には、従来機関委任事務の中にありましたものの中で、改めて検討した場合、国自身の責任できちんと処理をしていくべき事業、たしか二十ぐらいあったと思います。同時に、そもそも国も地方もこんな仕事やめろ、廃止だという結論を出されたものもたしか十一ぐらいあったと思います。その上で、地方に約六割を、国が約四割を共管の形でまとめていくといった形になっていた、ちょっと細かい数字の点はあいまいですけれども、方向が出ておったと思いますが、これは私はまず一つの成果だと思います。  その上で、分権という意味からいきますならば、機関委任事務という切り口から、いわゆる六団体と言われる都道府県から市町村までのそれぞれの共通した意見について、機関委任事務という共通のテーマに答えを出したものであります。  その上で、本日の閣議だったと思いますが、市町村合併の自主的な推進について地方制度調査会から御意見をいただいておりますけれども、この中でも、行政単位としての三千三百に余る市町村のできるだけ自主的な、強制は絶対に排除すべきであって、自主的な統合を進めていくことが望ましいという方向が打ち出され、その場合に、その自治体のスケールによって受け持てる事務というものにも差があるのではないだろうか。例えば、数十万の都市でできること、人口五万の都市でできること、おのずからそういう意味では差異があるのではないか、そんな御指摘もありました。  そして、まさに今、分権推進委員会に私の方からお願いを申しておりますのも、共通項ではなくて、例えば、政令都市特有の国とのかかわり、中核市におけるかかわり、同時に、国から地方にお渡しする権限でも、どこまでを都道府県にとどめずに市町村にその権限を渡していくか。こうした問題を考えますと、まだ分権の問題も緒についたところでありまして、これから受け手となっていただきます市町村レベルにおける自主的な統合というものも、あるいはその統合が難しければ広域連合を活用していただく等の受け皿としての御努力もいただきながら、分権はこれからも一層進めていかなければならない、現状認識と言われますなら、そのような考え方を持っております。
  76. 桑原豊

    桑原委員 将来的にはさらに分権を進めていく必要がある。それぞれ政令都市は政令都市、市町村は市町村、あるいはそういう連合的なものに対してどう分権をしていくか、いろいろな具体的なさまざまなケースがあると思いますけれども、まだまだ分権を進めていかなければならない、こういう点ではもうまさにそういう認識に立っておられるのだろうと思うのです。  第五十一条で、地方分権の推進について、推進委員会の勧告を尊重し、地方行財政制度の改革についてさらに本格的な検討を進めるというふうにうたっております。  そこで、問題は、こういった分権推進の積極的な役割というものをどこが担うのかということでございます。  自治省の機能を受け継ぐという総務省の編成方針では、既に出されている分権推進委員会の勧告に沿って、国の関与を最小限にする、こういうような機能をうたっておるようですけれども、これは私は当然のことだと思うのですが、それだけで終わっているのではないかというふうな心配もいたします。  地方の立場からいいますと、今ほどの総理の御認識もありましたように、この先さらに積極的な分権を進めていく、担っていくということが必要だ。従来、総務庁自治省が担ってきました地方分権の推進は、この先どこがそういった積極的な役割を担っていくのか。また、自治省設置法第四条四号や五号の自治省自治体のために行うさまざまな助言とか援助、あるいは必要な意見の申し出のようなものもあるわけですけれども、そういった地方の立場に立って分権を進めていくとか、地方の立場に立って国に対して物を申していくというような中央の役所の役割というのをどこが担っていくのか。また、受け継ぐというその総務省の中にそういう役割をちゃんと込めることが想定されているのかどうかというところをまずお伺いしたいと思います。
  77. 小里貞利

    ○小里国務大臣 地方分権の重要な役割、意義は、議員も御指摘のとおりであります。そしてまた、総理の方からもその基本のところをお話があったところでございますが、そのような地方分権の重要な推進は、全政府的に各省挙げて取り組むべき課題でもあります。新たな体制のもとにありましても、このような地方自治制度の管理運営を担う総務省は、その推進に当たり重要な機能を持つものであります。  御指摘の自治省設置法による助言や意見の申し出の権限につきましては、今後、新たな体制のもとにおける具体的な各省の設置法の立案過程におきましても重く注意をしながら作業を進めなければならない、さように存じております。
  78. 桑原豊

    桑原委員 そういう重要な位置づけである地方自治、分権の課題がどうも今度の改革の中では表に見えてこない、私はそんな思いがしてなりません。  このことに関連をしてお尋ねをしたいのですが、今、総務省の中に従来の自治省の地方自治行政の所管したものを基本的には受け継いでいくということだということなんですけれども、総務省というのは、中央人事行政機関としての内閣総理大臣を補佐する機能でありますとか、行政の評価や監視、いわゆる行政監察などを中心任務として、統計、郵政、消防、公正取引委員会、公害等調整委員会というようなものを所管しておりまして、どちらかといいますと行政機構の管理であるとかあるいは統治的な国の行政機関、そういう性格の強い省ではないかな、私はこういうふうに思うのです。  しかし、地方自治ということになりますと、それはまさに国に対して自立を前提にして地方が対等協力の関係をつくっていく、あるいはそういうありようを追求していくという、そういう目的を持った行政の分野であろうというふうに思うわけですけれども、どうも総務省の中に自治省を、自治省というか、そういうものを位置づけをしていくことに非常に矛盾を私は覚えるわけです。  この法案の四条で定める省の編成方針では、その中に「基本的な政策目的又は価値体系の対立する行政機能は、できる限り異なる省が担うこと。」になっている。それから、この考え方も最終報告の「利益相反性への考慮」という考えから出てきたものであって、「基本的な政策目的や価値体系の対立は、極力同一省庁内にもち込まず外部化し、政策立案が恣意的となったり、大きな価値対立の調整が内部化し不透明に行われることを防止 する。」そういう必要から考えられたということでございますけれども、私は、総務省の中に、ある意味では価値体系やそういう行政目的に必ずしもそぐわない自治省が入り込むことについて、自治分野が入り込むことについてどうも矛盾を感ずるわけです。  また一方では、これからの行政改革のある意味では大きな前提になるところの地方分権や自治、そういうものを重要だと考えるならば、それをもう少し明確に位置づけをしていく、そんな配置の仕方というものが考えられてしかるべきではなかろうか、こういうふうに思うのです。総務省の中の何局、そんな軽い位置づけであってはならないのではないかというふうに思うのですが、その点について。
  79. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 これは、ちょっと私、議員と考え方が違うような気がするのです。というのは、私、地方分権は本当に大事だ、推進は大事だということを申し上げました。そして、まさに地方分権を進めていこうとするとき、これは国と地方を通じる行政の制度運営全体を視野に入れて取り組まなければならない、私はそういう業務だと思うのです。  そう考えましたときに、この総務省というのが、主として各省行政に広くかかわる制度の管理運営、あるいは政府全体の観点から行われる事務で社会的、経済的にも重要な機能を担当する組織、そうした位置づけを総務省に与えているわけです。  そうすると、地方分権の推進というのは、国、地方を通じて行政の制度運営全体を視野に置いて取り組むという観点から、総務省の中に位置づけることをむしろ積極的に私自身は考えておりました。今、同じ考え方から、逆に委員は総務省に置くことに消極的な意味を置かれたように思います。  私は、本当に国、地方を通じる行政の制度運営全体を視野に置くという視点からいけば、総務省という役所がこの仕組みの中で持つ機能、これはまさに国と地方を通じる制度の管理運営を全体としてその任務とする、地方分権を推進していくにも重要な役割を果たす組織として、むしろ積極的な位置づけをこの中に考えておりました。  そういう点で、私は、議員とこの点につきましては、発想の原点は同じだと思うのですが、総務省における地方自治の推進あるいは分権の推進という位置づけには、より積極的な意味を持たせて御審議をいただいておるつもりでございます。
  80. 桑原豊

    桑原委員 その総務省なるものがどういう性格のものなのかというところにも関連をしてくると思うのですが、どうも種々雑多、雑多というのはおかしいのですが、いろいろな異質のものをそこに他に属さないということで込めていくというような、ある意味では雑居的な感じが私はするわけです。そういうものの中に地方分権や自治というようなものも一緒に入っていく、そういうことではやはりこれから重要な課題として位置づけをしていくに当たっては少し軽い位置づけではなかろうかというふうに私は思うわけです。  確かに分権、自治という課題は、本来なら、国の行政機関の中にこういうものがなくても、もう地方がちゃんとそれを自立してやっていくということに将来的にはつながる、私はつながっていくべきだというふうには思うのです。ただ、今の段階では、まさにそれにつなげていくために、最後のいろいろな意味でのきちっとした仕上げをしていかなければいけない大変重要な時期をこれから迎えていくということであるがために、この分権や自治という行政課題を一つの明確な位置づけをして機構の中にもあらわしていく、私は、そういうことが必要ではなかろうかというふうに思いますので、そういう総務省の中での位置づけについて非常に疑問を感ずるというふうに思います。  そういう意味だということで、もう一度、何かございましたらお願いしたいと思います。
  81. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 議員がお述べになりました趣旨も私なりに理解をいたします。しかし、その上で、地方分権を進めていくということが国、地方を通じる行政の制度運営を視野に置いて取り組まなければならないテーマであるということは、私、議員と考え方は違わないと思うのです。  その場合に、やはり各省行政に広くかかわる制度の管理運営、そして政府全体の観点から行われる事務で社会経済的にも重要な機能を果たす、そうしたものを担当する組織として総務省を位置づける、私はそういうふうに総務省というものを考えております。  だからこそ、一見すると非常に相異なる性格を持つ、それも、そういう御指摘は私は一つの議論としてあると思いますけれども、人事管理あるいは組織管理、行政監察といった機能と、あるいは電気通信、郵政事業に関する行政と、そして地方自治制度の管理運営、これらは実は皆各省行政に広くかかわる制度の管理運営であると同時に、政府全体の観点から行われる事務で社会経済的にも重要な機能を果たすもの、そういう位置づけで私どもは議論を整理してまいりました。  ここのところはどうもちょっと議員と平行線になりそうなんですが、私は、少なくとも、地方分権を進めていくということが国、地方を通ずる行政の制度運営を視野に置いて取り組むべきものであるという視点については議員と共通しておると思いますし、そうした視点を持った上でこの位置づけを考えているということは、そしてそれを積極的なものとして私どもはとらえてきているということについては、賛否は別として、考え方としては御理解を賜りたいと存じます。
  82. 桑原豊

    桑原委員 時間も少し迫ってきましたので次の問題に移ります。  同じような内容で、関連をしていると思いますが、もう一点、沖縄対策というのが内閣府に置かれて、国務大臣が担当する、こういうことになっております。  米軍基地が集中をして、安保、防衛、外交、そういった非常に重要な地域であるということで内閣府が直轄をするということは、これは一面やむを得ないというふうに思います。しかし、外交、安保の分野を除きますと、沖縄の地域振興、県民生活あるいは社会資本の整備などは、ほかの都道府県と同じように、県民のために、県の振興のために何をなすべきなのかというまさに課題でございます。  そういったことも含めて、内閣府が直轄をしていくということは、基地を大前提として、その枠の中で沖縄対策というものを考えていくという発想かち出発をしているのではないかというふうに思うわけでございますけれども、そういったことの一つのあらわれとして、この間、普天間基地の移転問題やその県内の受け入れ、そういったことなどに絡めて、沖縄の振興策をどうするのか、沖縄の振興の帰趨をどうするのかというようなことが取りざたをされてきたという経緯があろうかというふうに思います。  そういう意味では、私は、地域振興が基地問題と絡められて、そういった意味でのいろいろな取引材料というのはおかしいですけれども、そういうことにならないようにするためにも、また、沖縄の振興というものがそういう課題とはきちっと切り離されて、沖縄県のために、県民のためにどうあるべきかということで、そういう立場から議論をされていくような、そういうことからしても、基地以外の分野はこの内閣府から外していくといいますか、そういう考え方が必要なのではないかと思うのですけれども、この点についてお伺いをしたいと思います。
  83. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 今、行政改革会議省庁ヒアリングの資料を改めて目を通し直しております。そして、その上で、むしろ沖縄というものに対して担当の部局を欲しい、また担当の閣僚も欲しいということは、県を含めました強い御要請でありました。  そして、行政改革会議におきまして、歴史的な経緯、あるいは地理的要件、また米軍基地の存在などの特殊事情があること、それを踏まえまして、地域の発展のためのさまざまな課題に対応しようとするとき、殊に県民が求めておられるよう なきめ細かな施策を総合的、一体的に推進することが国政上の重要な課題である、こうした議論の中から、最終報告及び基本法案におきまして、その声にこたえて、内閣府の中に沖縄対策担当部局というものを設置し、担当大臣を置くことといたしました。  言いかえれば、沖縄対策の総合的、一体的推進が国政上の重要課題だという認識に立って、これを内閣府の任務とし、また担当大臣を置くこととしたものでありまして、今ヒアリング等の記録に目を通し直してみましても、内閣府にこれを設置することを、沖縄の問題、これを外交や安全保障といった枠の中でのみ考えようとしているというような御意見はその当時全く出ていなかった。私どもとしても大変それは心外な御意見だという感じが率直にいたします。  むしろ、関係者の声を伺った上で、関係者が内閣府の中に沖縄担当部局というものが設置されること、また担当大臣が置かれることを強く要望しておられ、その声におこたえをしたというのがプロセスであり、また結論であります。
  84. 桑原豊

    桑原委員 私も、沖縄の問題が、そういう意味では、基地を抱えながらも、そういう枠の中でどうその地域の振興を図っていくのか、そういうことは非常に大事であるということはもう間違いございません。  ただ、それをやっていくときに、基地を維持をしていくということと、そして振興を図っていくということが常にある意味では対立をしていく。利害の面でもそうですし、そういった具体的な施策の中でもなかなか調整が難しい、そういう課題でもあろうと思います。  そういう意味では、基地を維持していくという観点と、そして沖縄の振興を図っていくという観点を分けて、それはそれでどうしていくのかということを別個のところできちっとやっていく。それは、担当大臣をそういう部門においても置くぐらいの気持ちで沖縄の地域振興は一方では図っていかなければいかぬ。そういうあり方の方がむしろ、先ほどのその基本方針の原則にもございましたけれども、価値体系の問題ですとか、あるいは政策目的の問題で対立をするようなものが不透明な解決にならないためにも、そんな配慮というのはひとつあってしかるべきではないか。  沖縄の問題を一体的に、もう本当に県民の意向に沿うように解決をしていこうというやり方としてそういうあり方があるのではないかというふうに私は思いますので、そういう意味で、強力にそういうものを一体的にやるというものが不必要なんだというそんな立場ではなしに、それを強力にやっていくためのあり方としてそういうあり方があるのではないか、こういうふうに思うわけでして……
  85. 高鳥修

    ○高島委員長 時間が来ておりますので、御協力願います。
  86. 桑原豊

    桑原委員 はい。その点についてお伺いをして、私のあれを終わりたいと思います。
  87. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 今、行革会議における、沖縄県の抱える課題に対して真剣な議論が行われたその一端を御紹介をしながら、その結論について御報告を申し上げました。  私どもは、現地の皆さんの、あるいは知事さん等が来られましたときにいろいろお話をしたこともございますけれども、そうした中からの御要望を踏まえてこの考え方をまとめ、関係者はこのことについては喜んでいただいたと理解をいたしております。  ただ、議員が述べられましたように、沖縄県の抱える問題には、我々が日米安全保障体制というものを必要とし、これに基づく義務を実行していく中で日本として負わなければならない責任の、相当というか、圧倒的に多くの部分を沖縄県にゆだねているという状況も一方にあることは御指摘のとおりでありまして、そうした面を含めながらの解決策に努力をしていく、当然のことでありますが、そうした思いを持ってなお、こういう組織が、関係される方々の、また県の皆さんの御要望を酌んだ形として私どもは望ましいものと考えております。
  88. 高鳥修

    高鳥委員長 次に、福島豊君の質疑に入ります。
  89. 福島豊

    ○福島委員 総理並びに小里長官、長時間にわたりまして本当に御苦労さまでございます。審議も長時間にわたりますので、今までの質問と重複する点もあろうかと思いますが、その点につきましてはお許しをいただきたいというふうに思います。  本日、私は、内閣府の問題につきまして、細かな点も含めてお尋ねをしようと思っております。  この中央省庁等改革基本法案の中で、内閣府の提案というのは一つの非常に重要なポイントであるというふうに思います。政治のリーダーシップ、そしてまた総理のリーダーシップを発揮するために大切な改革である。その意味で、具体的にしなければならない課題もいろいろとあるというふうに考えております。  まず、私の手元に、この内閣府の課題につきまして一つの意見書がございます。これは、中央省庁再編等準備委員会の参与の何名かの方が出された意見書でございます。その意見書の中には、こ  のように述べられております。内閣府については、「内閣機能強化に係る諸提案の中でも最も新鮮味を感じさせるものであり、最終報告の要請をなすものである。」これは高く評価をしているということでございますが、しかし、内閣府の位置づけについて重大な疑問が残っている、この位置づけをより明確にするということが必要なのではないか、そのような意見でございます。  まず、その第一点目としまして、極めて基本的な問題でございますが、この内閣府というのは、内閣法によって設置される、他の省庁の上に立つ組織なのか、それとも国家行政組織法によって設置される、他の省庁と同格の組織なのか、この点について、再度確認的に総理大臣の御認識をお聞きしたいと思います。
  90. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 基本法におきまして、内閣府は、内閣及び内閣総理大臣の補佐、支援体制の整備の一環として内閣に置かれる機関、内閣の統括のもとに置かれる各省とは組織の位置づけが異なるということをまず申し上げております。  同時に、その機能の面におきましても、先ほど来の御論議にもお答えを申し上げておりましたように、内閣府は内閣の補佐機関、そうした立場から、国政上の重要事項に関する企画立案及び総合調整を中心とするものという位置づけを持っております。
  91. 福島豊

    ○福島委員 総理大臣、その趣旨を御説明いただきましたが、結論としまして、内閣法の中で新たにそれが書き込まれることであるというふうに理解してよろしいわけですね。
  92. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 御指摘のとおりと申し上げてよいと思うのです。というのは、内閣府、これは、今申し上げてまいりましたような、国政上重要な具体的事項に関する企画立案及び総合調整を行う、もう一つの柱として、内閣総理大臣が担当するにふさわしい行政事務、例えば栄典など、こうした処理、同時に、内閣総理大臣を主任の大臣として設置される外局、これを設置する機関、言いかえますと、ここには防衛庁あるいは国家公安委員会、金融監督庁というものが想定されるわけでありますが、このような形になります。  そして、内閣総理大臣が担当することがふさわしい行政事務、あるいは内閣総理大臣を主任の大臣とする外局に係る事務、これにつきましては、内閣総理大臣の責任のもとに置く必要があるということから内閣府の事務とされましたが、この事務の位置づけというものは今後内閣府を設置する法形式についての検討の過程であわせて検討することになる、そのようにお答えを申し上げたいと思います。
  93. 福島豊

    ○福島委員 今後の検討の中で内閣府の他省に優位する違いというものが明確にわかるような形での法整備を進めていただきたい、そのように再度要望をさせていただきたいと思います。  そしてまた、この意見書の中には法文上の取り扱いの問題についての指摘もございます。各省と 横並びの機関ではないということを法文上でも明確にすべきである。  例えば本法案の第十六条でございます。内部部局及び外局についての条文でございますけれども、「内閣府及び新たな省(以下「府省」という。)」と略されるわけでございますが、一括して同様に取り扱われている、これは不適切なのではないのかというような指摘があるわけでございます。府省というふうに一括して呼ぶのではなくて、内閣府及び省と略さずにきちんと立て分けて呼ぶべきである。  もっとさらに言うのであれば、内部部局及び外局についての課題にしましても、第十六条で内閣府とその他の省を一括して扱うのではなくて、別々に扱った方がいいのではないか、そのような御指摘であろうかというふうに思います。  この点については、内閣府におきまして事務を総括する立場になられます官房長官に、一括した扱いでいいのかどうか、一括される側の立場としまして御意見をお聞きしたいと思います。     〔委員長退席、野呂田委員長代理着席〕
  94. 村岡兼造

    ○村岡国務大臣 今委員の言われました府省という表現でございますが、第十六条において明確に定義をした上で、あくまで内閣府及び新たに編成される省を同一条文上で扱う際の法文上の略称として使用しているものでありまして、この表現のいかんによって内閣府の内容に変化が生ずるものではない、こういうふうに考えているところでございます。
  95. 福島豊

    ○福島委員 今の御説明理解いたしました。  次に、内閣府の総合調整機能、内閣府だけではございませんが、最終報告では、内閣官房による総合調整、内閣府による総合調整、さらに省間の相互調整という三類型の調整の組み合わせということで、総合調整を今まで以上に強力なものに整備していこうということが書き込まれているわけでございます。  ただ、いろいろと私も読ませていただきまして、この三つの類型が総合調整にあるわけでございますが、どういう行政課題がどの類型の調整の対象となるのか、その基準ということについて必ずしも明確ではないのではないか、そのような印象を持っておるわけでございます。この点につきまして総務庁長官の御意見、御理解をお聞きしたいと思います。
  96. 小里貞利

    ○小里国務大臣 いわゆる三類型についての調整権といいますか、調整の役割についてのお話でございますが、まず一つは、内閣官房は、国政上の重要課題につきまして内閣による最終的な総合調整、もっと言葉をかえて申し上げますと、高度な政府全体の課題、これを調整しますよ。二つ目に、内閣府は、内閣官房を助け、全政府的課題の総合調整の具体化、言葉をかえて言えば、各省庁に幅広く関係する課題。三つ目には、各省は、その行政目的の実現の観点からの横断的調整。それぞれそういう一つの機能を果たすことになります。  ただ、具体的な行政課題の適応についてというお話でございますが、もろもろの情勢の中で政府としていかなる課題が国政上の重要事項であり、また全政府的な観点からの調整が必要である事項かという判断を行って決定すべき課題であるということであります。  また、各省が相互調整を行い、なお対立が残る場合には、内閣の総合調整で最終判断を行うというように、複数類型の調整が行われる場合も考えられることから、これをあらかじめ画一的に、形式的に定めることはいかがであろうか、かなり困難性があります。  そういう判断で、逆に行政の硬直化を招かないためにも、その時々の内閣の判断を周到に察知し、また把握をいたしまして、そして即座にゆだねることが適切ではなかろうか、さような判断でございます。
  97. 福島豊

    ○福島委員 事前にどの課題についてはどれというふうに定めることはできないというのはまことにそのとおりかなというふうには思います。ただ、調整の権限の強さ、そしてまたどこが優位するのかという点についてだけは明確にしておかなければいかぬということなのだろうというふうに思います。  内閣府に関しましては、担当大臣の調整の権限ということで、これは法文上は第十一条でございますか、「内閣府の任務のうち国政上重要な特定の事項に関する企画立案及び総合調整について、国務大臣に、これを担当させることができるものとする。この場合において、当該国務大臣に強力な調整のための権限を付与する」。  この点についても今まで何回か質問がされている点だと思いますけれども、この強力な調整のための権限というものの具体的な中身でございますけれども、最終報告では、拒否、指示、提案へ資料・報告の徴収というふうに掲げられております。このすべてがこの権限の中に含まれる、その理解でよろしいわけでございましょうか。
  98. 坂野泰治

    ○坂野(泰)政府委員 御指摘の事柄については、行革会議の最終報告におきまして、省庁間の調整のシステムの説明の中で総合調整の具体的な態様の例示として書かれておるものでございます。したがって、基本的にはこの総合調整の中に入っておるもの、それが具体的な行使の態様としてそういう形であらわれてくる、そういうふうに説明をしておるものでございます。  したがって、先般も別の機会に申し上げましたが、概念としてその中に入るということは私どもそのとおりに考えております。ただ、具体的に今後、設置法なりその他の法律でどういうふうに規定していくかということについては、それぞれの事務に即してまた具体的に検討していく必要があるのではないかと思っております。
  99. 福島豊

    ○福島委員 今の御答弁にはなかなか理解しかねるところがありまして、これは基本的な事柄なんです。基本的な事柄ですから、それは設置法の検討の過程でどうしていくのか考えるという話ではないのではないか。  むしろ、リーダーシップをどうやって発揮させるのかということで新たにこういう仕組みを盛り込んだわけですから、ここまでできます、させますという認識をお示しいただいた方がいいのではないかというふうに思うわけでございますが、長官、改めてよろしくお願いいたします。
  100. 小里貞利

    ○小里国務大臣 先ほど政府委員は概念としてという言葉を使ったようでございますが、実質相当な権限を持たなければいけませんよということは申し上げたとおりでございまして、お話しのとおり、そのような一つの手続をもちましてきちんと機敏に責任ある対応ができるように今後これからの作業で構築をしていくべきである、さように思います。
  101. 福島豊

    ○福島委員 今の御質問と重なりますけれども、先ほどの意見書の引き続きの御紹介でございますが、この中で改めて指摘されておりますのは、今の指示ということもしっかりと内容として含めなさいということが一点目でございます。  二点目は、このようなことが述べられております。「内閣官房による、調整の中核となる省(調整省一の指定権が」、内閣官房の指定権が、「一定分野について特定省に認められる中核的調整機能に優越する」。これはすなわち、内閣が各省の立場よりも優越するということの言いかえでございますけれども、この点について明確に示すことが必要であろうという御意見でございます。この点についても、再度大臣の御見解をお聞きしたいと思いま丈
  102. 小里貞利

    ○小里国務大臣 今回の改革の基本的な考え方は、縦割り行政の弊害を省きますよ、御承知のとおりでございます。それともう一つは、行政目的別にくくっていきます。  そういう前提があるわけでございますが、それぞれの行政目的を達成するために、他省庁との横断的な調整は先ほど申し上げたとおりでありまして、内閣府におきましても、このような考え方を前提とした上で、各省の事務に広範に関係するいわゆる企画立案及び総合調整を任務としておりますから、いろいろな会議におきまする、例えば経済政策あるいは総合科学技術政策、防災、男女共 同参画等に関する企画立案、総合調整も内閣府の任務としてきちんと本文に記述してあることはお話のとおりでございますが、具体的な任務につきましては、今後、内閣府の設置に関する法律等で立案作業を進めてまいります。さよう御理解をいただきたいわけでございまして、その中で、お話のことは十分趣旨として打ち込んでいくべきである、そう思います。
  103. 福島豊

    ○福島委員 なかなか十分理解できたというわけではございませんが、今後の作業を見守らせていただきたい、そのように申し上げさせていただきます。  今大臣から、内閣府の任務について具体的な例示をいただきましたけれども、この点につきまして御質問をいたします。  時間がちょっと迫っておりますので、質問の順番を少し変えまして、現在問題になっております青少年の健全育成行政、これについて先に御質問をさせていただこうというふうに思います。  青少年の犯罪の凶悪化ですとか、そしてまた薬物乱用問題とか、青少年の健全育成というのは二十一世紀に向かって極めて大切な課題である。総理大臣がこの課題について極めて積極的に取り組んでおられるということは、私も日ごろ敬意を払わせていただいておりますし、そしてまた、先日、薬物乱用問題について私どもの申し入れにお時間を割いていただきましたことに、この場をおかりしまして改めてお礼を申し上げたいというふうに思います。  ただ、この青少年の健全育成行政につきましてこの法案ではどのように書かれているのかということでございますけれども、これは第十条の二項六号ですか、「青少年健全育成行政に関する総合調整」というふうな書き方だけがされているわけでございます。  これは、総務庁の設置法におきましてはどう書いてあるかといいますと、「青少年の指導、育成、保護及び矯正に関する基本的かつ総合的な施策の樹立」、そしてまた引き続いて「関係行政機関の施策及び事務の総合調整」、要するに、企画という話と総合調整という話が設置法の方では両方とも書いてあるわけでございます。  この基本法におきましては、その企画の方が実は抜け落ちているわけでございまして、この点について、単なる総合調整なのかという意見があるわけでございますが、大臣のこの点についての御認識を改めて御確認させていただきたいと思います。     〔野呂田委員長代理退席、委員長着席〕
  104. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 青少年の健全育成というものが全政府的に取り組まなければならない重要な行政課題であることは、もう申し上げるまでもありません。  その上で、行革会議でこの問題を議論しましたとき、二つの流れがございました。一つは、まさに総合調整的な機能というものに司法、警察的な目をあわせ持つような考え方、もう一方は、教育という分野から非常に限定した立場を考えられる議論。  しかし、そういう当初の議論から論議を進めてまいりますうちに、全政府的な取り組みが必要な課題であるということと同時に、やはり総合調整以外の事務、これは教育、科学技術を担う省が担う。同時に、国家公安委員会でありますとか、薬物でありますと他の省庁も関連するわけでありますけれども、こうした関係省庁が緊密な連携をとることによって青少年健全育成というものに対する行政をつくり上げていく、形づくっていく。  その意味では、全政府的に取り組み得る体制をつくるということで、基本法案におきましても、「青少年健全育成行政に関する総合調整」を内閣府の任務と位置づけました。そして、総務庁の事務のうち内閣府に移管する総合調整以外の事務は、先ほど申し上げたような整理をつけてまいりました。  ただ、この場合の内閣府の総合調整というのは、もとより受け身の調整だけを意味するものではございません。むしろ積極的な調整を行い得るものでありますし、その積極的な調整の中で、そのために必要な企画、これは総合調整の一環として行い得るものだ、そのように私は理解をしております。  言いかえれば、議員の先ほどの御指摘に対して、必要な企画は総合調整の機能の一環として実施し得るもの、そのように私は理解をいたしております。
  105. 福島豊

    ○福島委員 総理から大変明確な御答弁をいただきまして、感謝をいたしております。内閣府が中核となって、この青少年の健全育成行政政府全体を引っ張っていっていただきたい、そのように思います。  次に、内閣府の任務の問題につきまして、先ほども指摘をしましたが、この第十条の二項一号ですか、「経済財政政策、総合科学技術政策、防災、男女共同参画その他」、これは内閣府に置かれる会議に対応した形で述べられているわけでございますが、この四つの行政課題、これを特に取り上げた理由は一体何か。といいましても、これはなかなか答えにくいわけでございますが。  私が申し上げたいのは、例えば少子・高齢社会対策、これは社会保障制度改革ということで、橋本政権の六大改革の一つにも位置づけられているわけでございます。この課題というのは、今例示されておりました四つの行政課題と比較して、決して引けをとるものではないといいますか、同じぐらい重要なものであるとだれもが認めるところではないかというふうに思います。しかし、先日からの審議の中では、この少子・高齢社会対策というのは、これは労働福祉省にゆだねられて、省間調整ということで進めていく、そのような御説明があったかというふうに私は理解をいたしております。  なぜこの課題が取り上げられなかったのか、なぜこの四つの課題に収れんしたのか、これは行革会議の検討の中でそうなったのだとは思いますけれども、その点についての大臣の御認識をお聞きしたいと思います。
  106. 坂野泰治

    ○坂野(泰)政府委員 先生御承知のとおり、今回の最終報告では、各省にまたがる調整の仕組みについて、内閣官房あるいは内閣府あるいは省間の仕組み、こういうものを提案いたしております。  それで、この省間の仕組みを考えましたのは、今回の中央省庁の編成に当たっては、各省の行政目的というものを中心に大ぐくりに再編をする、そして、その行政目的を達成するために他省との横断的な調整もその省が積極的に行い得る仕組みとする、そういうためにこの仕組みを提案し、かつまた、各省の編成方針の中で、調整の中核という規定も置かせていただいたところでございます。  先生御指摘のとおり、行革会議の最終報告で、経済財政政策や科学技術政策や防災など、あるいは男女共同参画などについて具体的に掲げておりますけれども、これは先ほどの御指摘のとおり、行革会議の論議を踏まえてそういうものを掲げたわけでございまして、それを基本法に映しております。したがって、こういうもの以外にもまだいろいろなものが内閣府の調整課題としてあり得るし、どういうものがあるかということは今後具体的に検討しなきゃならぬと思います。  なお、その上で申し上げますと、先ほど御指摘の少子・高齢化社会の問題も、まず基本的に、省間の調整というレベルにおいては確かに中核的な役割を労働福祉省が担うということでございますけれども、しかし、これは、すべてを省間の調整にゆだねて内閣官房が一切この調整を行わない、そういうものではないというふうに考えております。  それは、その問題の次元に応じて内閣官房あるいは省間調整、そういうシステムにそれぞれゆだねられていくのだというふうに考えております。
  107. 福島豊

    ○福島委員 これも今後の対応ということになるのかなというふうに伺いましたが、社会保障制度審議会というのがあるわけでございます。その位置づけということを考えますと、この社会保障制度の問題というのは、まさに、個々の省に省間調 整によってゆだねるべき課題ではなくて、政府全体としてどう考えていくのか。これはある意味では、二十一世紀においては経済財政政策の裏側というか、反対側の仕組みということになるわけでして、それと切り離して考えることは私はできないのだろうというふうに思っております。  そういう意味では、今後の検討の中で、「その他」というところがございますので、しっかりとその仕組みをつくっていただきたいというふうに私は要望させていただきます。  次に、防災の問題につきまして一点お聞きしたいというふうに思っております。先ほどの御説明では、内閣府が、内閣官房をバックアップするインフラといいますか、政府の中におけるインフラをつくっていくんだというような大臣の御説明であったかというふうに思います。そして、危機管理に際しての指揮というのはまさにその内閣官房が中核になって行っていくということなのかなと思いました。  ただ、内閣府には担当大臣というのが置かれるわけでございまして、小里大臣は阪神・淡路大震災のときには担当の特命大臣に就任されたわけでございますが、阪神・淡路大震災のような大きな自然災害が起こった場合に、この内閣府に担当大臣を置くというようなことも当然考えられるのかなと思いますけれども、この点について御確認をしたいと思います。
  108. 小里貞利

    ○小里国務大臣 最後の方のその一点のみをお答え申し上げればいいかと思いますが、特命大臣は必要に応じ置くことができる、その原則でございます。
  109. 福島豊

    ○福島委員 これは通告しておりませんので大変恐縮なんですが、その場合に、先ほどの質疑をお聞きしておりまして気になったものですから御確認をしたいわけですが、内閣官房危機管理監というのが置かれますね。そしてまた、大震災のときにこれはやはり大臣を置かなきゃいかぬということで、内閣府に大臣が置かれる。その大臣が置かれた場合に、危機管理監との関係というのがどうなるのだろうか。このあたりのことも本来は整理しておかれるべきことなのかなというふうに、私は先ほどの大臣の御答弁をお聞きしながら感じました。  この点については、突然のことでございますが、大臣の御認識をお聞かせいただければと思います。
  110. 小里貞利

    ○小里国務大臣 危機管理といわゆる内閣府の担う防災との関連だろうと思うのでございますが、御承知のとおり、危機管理につきましては、行政改革会議の意見を踏まえまして、その趣旨を踏まえ、内閣がいわゆる政府全体の指令塔としての役割をより効果的に果たせるようにする等の観点から、内閣官房の重要な機能の一つとして位置づけられたこと、御承知のとおりでございます。  これに対しまして内閣府は、内閣官房危機管理に関しまして政府全体の指令塔としての機能を効果的に発揮できるよう、これを助けるため、国政上重要な具体的な政策課題である防災に関しまして、先ほど申し上げたところでございますが、企画立案、総合調整を担う機関であり、このような必要な合議制の機関として、内閣府に中央防災会議を置きました。  ここで一つのけじめがつけられると思うのでございますが、したがいまして、中央防災会議は、防災に関する行政の内外の知見を集約し、災害発生時において内閣官房危機管理機能を助けることを主なる任務といたしますということでございます。
  111. 福島豊

    ○福島委員 余り直接的にお答えをいただけなかったように思います。危機管理監というのも大切だと思うのですが、大きな災害の場合には、やはり大臣でなければ調整がうまくいかないという話に恐らくなるのだろうというふうに私は思っておりまして、そこのところがある意味で逆転してしまうような形になるのかな、やはり大臣が優位するべきだというふうに私は思うのです。
  112. 小里貞利

    ○小里国務大臣 前の前の答弁でちょっと言葉不足でございまして、失礼いたしました。  おっしゃるとおり、私は、原則として特命大臣を置くことができますと申し上げましたが、今御指摘のとおり、緊急災害発生時などきちんと特命大臣を設置して、そして言うなれば全省庁横断的な調整、そして総合的な対策が打てるような一つの仕組みを考えている、こういうことでございます。
  113. 福島豊

    ○福島委員 次に、消費者行政の話について、これも内閣府の仕事ということになっているわけでございます。「消費者行政、物価行政及び市民活動を行う団体一般に関する行政」というふうにくくられております。  この点についての議論というのは、今までの議論の中では、国民生活に関するということで、むしろ労働福祉省の方に置いたらどうかというような意見もあったかというふうに私は思うのですけれども、なぜ、なぜどいいますか、最終的にこのように内閣府に置かれるようになった経緯について、理由について御説明いただければと思います。
  114. 坂野泰治

    ○坂野(泰)政府委員 行政改革会議の最終報告に至りますまでの議論におきましては、消費者行政、これはそれ自体が重要なものであるという認識のほかに、この行政が産業あるいは医療、福祉、食品などの個別分野行政に広くかかわる、場合によっては利益相反の関係にも置かれる可能性がある、そういう性質の行政ではないかという御議論がございまして、消費者一般を保護することを目的とする行政事務ということについては、内閣府でできる限りこれを所掌することが適当だという形の結論となったものでございます。
  115. 福島豊

    ○福島委員 次に、金融関係の問題について御確認をさせていただきたいというふうに思います。  法文の中の第十二条でございますか、第十二条には、金融機関等の大規模かつ連鎖的な破綻等の金融危機への対応に関する重要事項を審議するための会議を置くことができるということが述べられているわけでございます。金融安全保障会議というふうに伺っておりますが、この会議と金融庁との関係、この関係について基本的な考え方というものを教えていただきたいと思います。
  116. 坂野泰治

    ○坂野(泰)政府委員 御指摘の金融安全保障会議及び金融庁に関しますこの基本法案の規定は、行革会議の最終報告の論議及びその後の与党三党におきます合意を受けて、これを規定に盛り込んだというものでございます。  そういう経緯を踏まえて現在の規定の姿になっておるわけでございますが、金融庁というものは、現在の金融監督庁を改組して、金融破綻処理ないし金融危機管理に関する企画立案を除く国内金融に関する企画立案の業務などを新たに加えて設置されるもの、それに対して金融安全保障会議というのは、金融危機への対応に関する重要事項を審議するための合議制の機関とされるもの、それぞれの役割があるということでございます。  したがって、このそれぞれの役割に応じて任務を果たしていかれるということになるわけでございますが、特にこの金融安全保障会議が任務を果たしていかれるに際しましては、当然のことながら、この金融庁のほかにも、なお当分の間とされます任務を持ちます財務省などとの関係も確保しつつ、活動を行っていくということになるのではないかと考えております。
  117. 福島豊

    ○福島委員 言いかえますと、金融安全保障会議で決定されたことに金融庁は従わなければならないというふうに考えていいのですか。
  118. 坂野泰治

    ○坂野(泰)政府委員 この金融安全保障会議というのは、政府の意思を最終的に決定する、そういうものではなくて、合議制の機関としてその意思を定め、この意思をいわばまた内閣あるいは関係機関というものに示すということに基本的な役割があるわけでございます。  内閣あるいは各省が行政責任を最終的に負うという事態は基本的に変わらない。ただ、それをやる、その最終的な責任を負って活動するに際して、調整でありますとか、あるいは大きな方向づけでありますとか、そういうものについてはこの会議で十分論議をし定めていく、それが必要だろ うという趣旨として私ども理解をいたしております。
  119. 福島豊

    ○福島委員 といいますと、具体的には、この金融安全保障会議での審議、また結論を踏まえて、担当大臣が、この金融庁の長官ですか、に指示を出す、仕組みとしてはそうなるという理解でいいわけですね。
  120. 坂野泰治

    ○坂野(泰)政府委員 そのとおり、各省の大臣あるいは各庁の長官が、みずからの権限をみずからの責任で行使する、これが最終的な事態だと思っております。
  121. 福島豊

    ○福島委員 この金融安全保障会議ですが、今であればこそこういったものも非常に大切だとは思いますが、今後十年、二十年先のことを考えますと、こういう仕組みというのが常設である必要性があるのかどうかということについては、必ずしもそうではないという意見もあろうかと思うわけでございまして、この会議は要するに必要に応じて開くことができるということなのか、そのあたりについてお聞きをさせていただきたいと思います。
  122. 小里貞利

    ○小里国務大臣 率直に申し上げまして、与党三党の合意では、これを常設の機関として置くこととしているものでありますが、こうした金融危機は、我が国の社会経済国民生活の危機につながる重大事態であることでございまして、これに迅速的確に対応するためには、その都度改めて設置の手続を踏み、会議を発足させるのは実際的ではないのではないか、そういうような話が行革会議におきましても相当述べられたものでございます。そういう延長線上でこういう措置をとってあるということです。
  123. 福島豊

    ○福島委員 そして、もう一点お聞きしたいことは、財務省と金融庁の担う行政の範囲ということが極めて不透明、不明確だなというふうに私はこの法案を読みまして感じました。  例えば、別表の第二において、財務省について書かれているところでは、「財務省において金融破綻処理制度ないし金融危機管理に関する企画立案の任務及び機能を担うのは、金融システム改革の進捗状況等を勘案し、当分の間とするものとする。」ということで、具体的なスケジュールというのがよくわからないわけでございます。  そしてまた、第十条の金融庁にかかわる部分では、「関係法律に基づく命令の立案に関する事務で金融監督庁と大蔵省等とが共同で所管しているものについては、できる限り単独で所管すること。」この「できる限り単独で」ということで、ここもセパレーションがいま一つよくわからないということでございます。  この具体的な対応というのは、今後検討するという話になろうかというふうに思いますけれども、その行政範囲の分担を一体どうしていくのかということについての検討過程、これは、今までさまざまなことがあったわけでございますから、国民にオープンな形で、その議論がよく見えるような形で進めていただく必要があるというふうに私は思いますが、この点についての御認識をお聞きしたいと思います。
  124. 坂野泰治

    ○坂野(泰)政府委員 まず最初に、金融破綻処理制度ないし金融危機管理に関する企画立案、この所掌事務について当分の間とされておりますのは、御承知のとおり、与党三党におきます合意、これをそのまま受けてしておるものでございます。したがって、これについては、この合意を踏まえたこの基本法の規定を受けた各省設置法が策定される、そういうことになろうと思います。  それからまた、共同省令のできる限り単独省令化、これにつきましては、今後推進本部等において新たな財務省の設置が行われます。その作業と並行して、具体的にそれぞれ関係省において作業が進められる、そのように考えております。
  125. 福島豊

    ○福島委員 最後に、内閣府の公務員の採用について、官房長官、長いことお待ちいただきましたが、お聞きしたいと思います。  広く行政組織の内外から人材を登用するということが、内閣府については官房と同じように書かれているわけでございまして、この点についてはどのような仕組みになるのか。その具体的なイメージについてお聞かせをいただきたいと思います。
  126. 村岡兼造

    ○村岡国務大臣 内閣府につきましては、その任務の十分な発揮のために、行政改革会議の最終報告において、「企画・調整部門には、民間や学界を含め広く行政の内外から優秀な人材を登用する人事ルールを確立する。」こととされております。  その具体化については、最終報告の趣旨を踏まえ、内閣府の設置にあわせて今後検討していきたい、こう思っているところでございます。
  127. 福島豊

    ○福島委員 また小里大臣に、これは内閣府また内閣官房に限らず、全体として各省に同じような仕組みを導入する。そのための国家公務員法の見直しもするわけでございますので、そういう方向での御検討をされてはいかがかというふうに思うわけでございますが、この点についての御認識だけ最後にお聞きしたいと思います。
  128. 小里貞利

    ○小里国務大臣 私どもも、今おっしゃることは大きな関心を持っておりまする、今日の行政改革の前後におきまして留意いたしておるところでございますが、全体をというお話でございますから、極めて重要なお話でもございますし、よくその趣旨を吟味しながら検討させていただきたいと思います。
  129. 福島豊

    ○福島委員 以上で通告をいたしました質問が終わりましたので、終了させていただきます。  どうもありがとうございました。
  130. 高鳥修

    高鳥委員長 どうも御協力ありがとうございました。  次に、東祥三君の質疑に入ります。
  131. 東祥三

    ○東(祥)委員 総理、おはようございます。  行政改革会議は、政府危機管理体制、とりわけ内閣機能の強化に関して九六年十一月から議論を重ねてまいりました。去年の十二月に最終報告を発表しました。  本日は、最終報告の提言は今回提出された基本法案にどのように反映されたか、また、阪神・淡路大震災を初め、過去三年の事故、事件と日本の危機管理体制に対する挑戦で学んだ教訓は今回の法案にどう生かされたか、危機管理の観点から見た行革について、総理は日本国民の生命財産を守る責任を負わされておりますので、総理大臣を中心にしてお伺いしたいと思います。  それではまず第一に、過去三年間振り返ってみますと、日本は、阪神・淡路大震災、サリン事件、豊浜、動燃、米軍による爆弾投棄事件、ペルー大使公邸人質事件、ナホトカ号やあるいはダイヤモンド・グレース号等油流出事故、カンボジア内紛などといったような危機管理の悪夢に見舞われてまいりました。  これらの事故あるいは事件に対する日本政府の、私は無策だと申し上げておりますけれども、失策が目立ちました。対応のおくれなどで政府は内外から批判を浴びた。政府として、いろいろなつらい教訓を学んだと思いますけれども、私は、総理がこれらの種々の事件、事故を経験されておられまして、その上で、何が足りなかったのか、何をこの事件を通して学ばなければならなかったのか、日本の行政システムの中で何が不備だったのか、こういう点について、まず総理自身の率直なお考えを聞かせていただきたいと思います。
  132. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 今議員から、ここ数年の間に我が国を襲いましたさまざまな事象、人為的なもの、自然現象によるもの、あるいは国の外におけるもの、さまざまなテーマについてお触れをいただきました。  そして、この中から学びましたものは、実はそれぞれ別種の問題ではありますけれども、つまるところは、情報の収集、そして分析、そしてこれが危機であるのかないのかを判定するメカニズム、そしてそれが危機であるとした場合にどういう初動をとっていくか。問題点として整理していけば、共通項としては今申し上げたようなものが挙げられると思います。  その上で、阪神・淡路大震災、あるいは在ペルー日本大使公邸占拠事件、ナホトカ号油流出事故等、災害、事故、事件、こうした突発事態に対 する危機管理の強化というものにつきましては、それぞれ個別の違いはありますけれども、要約していくならば、そうした突発事態に、どうやれば行政の総合力が早期に発揮できるかということにかかってきたかと思います。  そして、行政改革会議の中間整理におきましても、そうした事態の中において、内閣が政府の全体の指令塔としての役割をより効果的に果たせるように、そのためにも内閣の危機管理機能の強化という点についての提言が行われました。  そして、この提言に沿いまして内閣法が改正されて、この四月七日に、内閣官房に内閣危機管理監が新たに任命をされることになりました。これは、今申し上げました、情報の集約、分析、危機であるかどうかの判定という部分に係る非常に大きな変化であります。  さらに、その行政改革会議の最終報告におきまして、内閣安全保障室を改組して、国防に関する事項や大規模自然災害を含むすべての危機管理というものについて、内閣総理大臣を適切かつ有効に補佐できる体制を整備するとなっておりました。これを踏まえまして、内閣官房組織令の改正によりまして、この四月九日、内閣安全保障室を内閣安全保障・危機管理室に改組いたしました。  こうした経過を踏まえた上で、この基本法におきましては、総理の職務を直接に補佐する機能を担う内閣官房の機能として、危機管理を明記する、そしてその機能を強化するための必要な措置をとる。そして、防災に関してはそれぞれの省庁に広範に関係する国政上重要な事項と位置づけて、総理を長とする内閣府において企画立案、総合調整を行ってまいります。  細かく申し上げていきますなら、まだ広範にわたる問題でありますが、大きく整理をいたしますと、情報の早期収集、分析、危機であるかないかの判定、そしてその判定に基づく初動体制、このようなものにポイントを絞れるかと思います。
  133. 東祥三

    ○東(祥)委員 さすが最高責任者として、現在の日本の危機管理体制の問題の所在の本質をつかまれていると、僭越にも思います。その上で、すべて網羅的にすぐ総理がしゃべってくれてしまうんですけれども、一つ一つ具体的に詰めていきたい、このように思います。  まず、政府は、さまざまな事件、事故を通じて浮き彫りになりました危機管理体制の不備を埋めるのに、今回の基本法案、もう既にいろいろなところで御報告してくださり説明してくださっておりますが、今回のこの基本法案で十分だと思っているのかどうなのか。この点についていかがですか。
  134. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 今申し上げたような視点からのみシステムを考えました場合に、まだ問題はございます。  まず第一に、海外の情報収集。これは、大使公邸がたまたまその襲撃の舞台となりましたペルー事件は別といたしましても、在留邦人の安全確保という視点から、それぞれの国における情報収集というものは一層これからも強化をしていかなければなりません。あるいは、テロというものに対し、これに対抗し得る能力をどこにどのような形でどの程度の規模を想定して整備をすればよいかということもあります。  さらに、国内におきましても、それぞれの事象についての情報が現場においてどう収集され、それが的確に送り届けられるようにできるか。こうした意味でのシステムの点検というものは、常に欠くことはできません。
  135. 東祥三

    ○東(祥)委員 率直に、まだ不十分であるという御指摘をしていただきました。  法案を見る限りにおきまして、とりわけ第二章の内閣機能の強化のところを見る限り、私には政府は何をやろうとしているのか全くわかりませんでした。  そこではどういうことが書かれているかというと、何々をするため必要な措置を講ずる、柔軟かつ弾力的な運営が可能な仕組みとするものとする、運営の改善を図るものとするといった抽象的な、あいまいな条項にとどまっております。そういう意味では、具体的なことは一切盛り込まれていない。  今までだって内閣官房は、必要な措置をとっていたつもりではなかったのかと思いますし、運営の改善を図っていたのではないかとも思います。問題は、事件、事故が起こったときに一生懸命やってきたけれども、それでもだめだった、思いどおりに機能しなかったということなのではないのか。それを踏まえた上で、先ほど総理から、まさに今の現体制下においてできる範囲における問題点、そしてまた、その問題解決に向かっての方向性を指示したということなんだろうと思います。  ただ、私は、本質的な問題が論じられていないのではないのか。つまり、本質的な問題は何かといえば、まさに行政改革会議の会長として、ずっと皆様方の議論あるいは提言を聞かれてきたと思います。そこでは幾つかの重要な論点が提示されていました。  一つは、閣議決定のあり方、あるいはまた緊急事態における総理の権限、そしてまた官僚依存、情報の流れの体制といった本質的な問題について、いろいろと行政改革会議では提言してまいりました。しかし残念ながら、基本法を見る限りにおいては、結論を先送りした形に終わってしまっているのではないのか。その意味で、私は個別に聞いていきたいと思います。  総理、まず、閣議決定というのは、今は全会一致方式ですけれども、これで十分におのおのの危機に対応できると思われるのか。逆に言えば、危機に対し必要とする迅速な対応を妨げることもあり得ると思われるのかどうなのか。この点についていかがでしょうか。
  136. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 行革会議における「内閣の危機管理機能の強化に関する意見集約」の中には、総理大臣が迅速に行政各部を指揮監督できるようにするために、突発的事態の態様に応じて、あらかじめ所要の閣議決定を行うという提言がございます。この中には実は、危機管理監の設置あるいは安全保障室を安全保障・危機管理室に改組するといった内容も含まれていたわけでありますが、この提言を受けまして、重大テロ事件等発生時の政府の初動措置については、閣議決定などの手当ては既に先行させて終わりました。そして、そういう意味では、閣議によって与えられた内閣総理大臣の権限というものは拡大をいたしております。  その上で、日本国憲法において議院内閣制を採用し、内閣は、行政権の行使について、国会に連帯をして責任を負うとされておりますことから、内閣構成員すべてが一体として統一的な行動をとることが要請されており、閣議では全会一致による議決を行うべきものだと思っております。  行政改革会議におきまして、最終報告の中で、多数決制についての提言がされました。これは、閣議の議論を活性化するため、必要であれば合意形成に至る運用上の工夫として多数決の採用も考慮すべしという御指摘をいただいたものでございます。  やはり憲法の範囲内において、内閣の自律に……(発言する者あり)ずるいよ、難しい問題を聞いておいて、簡単に答えろなんて、もう一点……(東(祥)委員「総理が言われていることは後で詰めていきますから。それは全部入っている問題ですから」と呼ぶ)じゃ、一応言わせてください。内閣の自律にゆだねられるもの、そして、閣議の意思決定のあり方では、やはり憲法で規定されている内閣の連帯責任の根本の問題、そうした考え方から、基本法におきましてはこれに関する規定は盛り込みませんでした。
  137. 東祥三

    ○東(祥)委員 私が質問しているのは、総理は、全会一致方式で十分におのおのの危機に対応できると思うのか思わないのかということです。総理が言われているその事前の閣議決定についてはまた後で言及します。そういう質問をしているんじゃないのです。全会一致方式で対応できるのか対応できないのかという極めて簡単な質問をしているのです。イエスかノーかです。
  138. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 重大事態に対する事前決定方式を前提として、全会一致で私は問題はないと考えております。
  139. 東祥三

    ○東(祥)委員 あらかじめ所要の閣議決定をしておけば、全会一致方式で問題がない、このように総理は言われました。これは留保しておきます。  次に、緊急事態における総理大臣に明確な指揮監督権があった方がいいと思いますか、いかがですか。
  140. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 これもまた長く答えちゃいけないのですか。(東(祥)委員「長く答えちゃいけません」と呼ぶ)だとすれば、それは明確な指揮権はあるにこしたことはありませんが、私どもとして、今も申し上げたように、内閣法六条の運用についての弾力性の中でいろいろな対応もまた可能になろうかと思います。
  141. 東祥三

    ○東(祥)委員 今回の体制で、官僚依存、危機管理における縦割り行政の弊害を克服できると思いますか。
  142. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 今回の体制というのは、危機管理監の設置並びに室を変えたということについてですか。(東(祥)委員「はい」と呼ぶ)情報収集という点において官僚組織に依存せざるを得ないことは、これは否定できません。  その上で、情報が一元的に集中し、分析をし、判断を下すというプロセスも、危機管理監も官僚と言ってしまえば官僚かもしれませんが、私はこれにふさわしい人材を得たと思っております。当然ながら、そうした事態における判断、これはあらゆる面から判断を下されるでありましょうし、危機の可能性ありという時点で報告を受けた瞬間から内閣総理大臣は行動を開始できるという意味では、私はそれだけの機能は大きくなったと思います。
  143. 東祥三

    ○東(祥)委員 縦割り行政の弊害を克服することができたかどうなのかという質問です。官僚に依存する依存しない、そういう問題を聞いているのじゃありません。
  144. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 私は、縦割り行政を克服するためにこの危機管理監のシステムはつくられたと考えております。  そしてその上で、私は、各閣僚を通じて一元的に情報が危機管理監のもとに集中されるよう各省の協力を要請し、今その方向に向かっておると思いますけれども、そういう意味では、縦割りの弊害は除去されると思っております。
  145. 東祥三

    ○東(祥)委員 それでは質問いたします。  内閣危機管理監についてでございますが、内閣機能の強化の一環として、今総理から御説明ありましたとおり、今回の閣議で元警視総監の安藤忠夫さんが初代の内閣危機管理監に任命されました。このポストの新設の目的は、大規模な災害やテロなどに対する初動体制を整えることと理解しております。その任務を遂行するための権限についてですが、危機管理監に与えられている権限というのは一体何ですか。
  146. 村岡兼造

    ○村岡国務大臣 内閣危機管理監は、御承知のとおり、国民の生命、身体または財産に重大な被害が生じ、または生じるおそれがある緊急の事態への対処及びその発生の防止について、内閣官房長官及び内閣官房副長官を助け、内閣官房室長等を指揮するとともに、みずから関係省庁の総合調整に当たるものであり、内閣官房副長官に準ずる職として危機管理に関する事務を担当するものと思っております。
  147. 東祥三

    ○東(祥)委員 私が聞いているのは、権限を聞いているのです。権限はどういう権限があるのですか。
  148. 村岡兼造

    ○村岡国務大臣 権限は、内閣官房長官、副長官を助け、そしてみずから関係省庁の総合調整に当たるのが権限だと思っております。
  149. 東祥三

    ○東(祥)委員 過去の緊急事態において、省庁から情報が上がってこなかったことが大きな問題でございました。  元安保室長がこのように言っています。高度の情報は省庁が握っていてこちらには来ない。また、後藤田正晴元官房長官は、各省庁ともちょっと心配だと思う情報はまず総理官邸に上げてこない、役人の習性だと指摘したことがあります。またさらに、安保室勤務経験を持つ防衛庁幹部はこう話っています。各省に対して指示する権限がないために、絶対に嫌だと言われたら何もできないのです、官邸の威光をかりつつひたすら説得するしかない、実際、各省の権益に触れてくると調整に応じないことが何回もあった。  私がお聞きしている権限というのは、新しく設置された危機管理監に与えられている権限は、今までの安保室長とどう違うのか。つまり、新体制で、従来の情報漏れ、また情報は流したくありませんよというふうにいったときに、各省庁危機管理監はこういう情報を出しなさいという指令をする権限があるのですか、どうなんですか、このことをお聞きしているのです。いかがですか。
  150. 村岡兼造

    ○村岡国務大臣 もちろん事件に対して権限もあるでしょうし、それからまた、総理から各省庁に対して、そういう事件があった場合には、この危機管理監に情報を教えるということも指示をしているところであります。
  151. 東祥三

    ○東(祥)委員 今官房長官、重要なことを言われていると思うのですが、情報を強制的に提供させる権限が危機管理監にあるということですね。
  152. 村岡兼造

    ○村岡国務大臣 どうも表現が、強制的にというあれが気になるのですが、安全に関する情報は、いろいろなものは、これはもし不確かなものであれば、危機管理監はもう少し詳しく調べよとかなんとか、そういうことはあると思いますよ。
  153. 東祥三

    ○東(祥)委員 そうしますと、今回の危機管理監を設置することによって、今までのような情報漏れあるいはまた情報の詰まり、こういった問題は起きない、このように期待されているということですね。
  154. 村岡兼造

    ○村岡国務大臣 いろいろ前の例をとって、なかなか情報が集まらなかったとか縦割りだとかそういうようなことを指摘されました。過去の例によりまして、こういう危機管理監をつくりまして、また各省庁からも優秀な方々を管理室に集めまして、これはそういうようなことはないのかという質問でございますが、ないようにしていかなければならない、こういうふうに思っております。
  155. 東祥三

    ○東(祥)委員 危機管理監の人選の基準について御質問させていただきます。  十二月の行政改革会議の最終報告では、行政の内外からのすぐれた人材の登用を促しております。この新ポストには、大森前内閣情報室長や西元徹也元統幕議長等の名前が取りざたされていたと伺っております。安藤さんのほかにどういう人、例えばだれが考慮されたのでしょうか。あるいはまた、どういう基準に基づいて、何を考慮して危機管理監をお選びになったのでしょうか。  総理は、安藤さんはこのポストに最も適当な人物だと思って任命したと推察いたします。初代の危機管理監を安藤さんにしたのはどういう資格、どういう経験が決め手だったのでしょうか。危機管理のトップに最もふさわしいと考えたのはどういう判断だったのかについてお聞かせ願いたいと思います。
  156. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 議員の御質問でありますけれども、どのような方を他の候補として考えたかという点については、個人にかかわることでありますので、お許しをいただきたいと思います。  その上で、災害、事故、犯罪、さまざまな問題での危機というものにどういう形で遭遇されたことがあるか、あるいはその周辺で仕事をされたことがあるかとか、あるいは指揮能力の経験に対する客観的な評価を第三者がどのように持っておられるかとか、いろいろな要素を考えました結果、安藤さんにお願いをしたいと思いました。
  157. 東祥三

    ○東(祥)委員 次に、安保室、危機管理室というのですか、このスタッフについてお聞かせ願いたいと思います。危機管理監の手足となるスタッフについてでございます。  まず、スタッフの規模ですけれども、内閣官房のスタッフは百八十人余りいると聞いております。内閣安全保障・危機管理室のスタッフは総勢三十人前後、このたび、危機管理を専門的に扱うためにスタッフは五人増員されて三十三人ぐらい の体制になると伺っています。しかし、三十三人といっても、そのうち運転手は三人、庶務担当は五人、実動わずか二十五人にすぎないと思います。その中で危機管理担当職員は十一人だけだと聞いております。安保室のスタッフの構成、任務の具体的な割り当て、この点に関して、私が今述べたことで間違いがないのかどうか、まずこの点についてお聞きしたいと思います。  その上で、運転手、庶務担当、出向者以外のスタッフ、真の安保室スタッフはトータルで何人いるのか。十一人の危機管理担当職員は核心的な役割を果たさなければならないと思います。実際に危機が発生した際に、他のどこから補充されることになると理解していいのか。  かつて、元安保室長の坪井さんは次のように述べています。安保室がすべてをやる必要はなく、大事件や大災害のときは一気に大きくできる柔軟な組織の核になればいいのだと思うが、それにしても、自然災害にも対処するのであればもっと拡充しないといけないのではないのか、このように言われています。  三番目の質問に対しては、総理、どのようにお考えになるか、お聞かせ願いたいと思います。
  158. 江間清二

    ○江間政府委員 お答えをいたします。  内閣安全保障・危機管理室でございますけれども、ただいま先生お話にございましたように、今般危機管理に関する関係の……(東(祥)委員「間違いないかどうかですよ、私の質問しているのは。間違っていたら訂正してください」と呼ぶ)はい。増員がなされまして、現在二十四名ぐらいの体制でおります。  そのうち、直接危機管理の分野を担当するのは確かに十一名ということでございますけれども、これは平素いろいろな教訓の整理でありますとか、あるいはマニュアルの作成でありますとか、そういうような業務については危機管理班の中で対応しておりますけれども、一たん事が起きますと、これは十一名程度の人数ではもちろん対応できるわけはございませんので、安保・危機管理室全体の中でまずは対応する。さらには、内閣官房の初動マニュアルというようなものもつくってございまして、内閣官房各室の室員の中にもあらかじめ指定をした人員も置いておりまして、それらが官邸の危機管理センターの方に集まるというような形でまず立ち上がりは対応をするという体制をとっておるところでございます。  それから、今お話にありましたように、三十四名の中にどの程度のドライバーとかあるいは庶務がいるのかというような点でございますけれども、これはドライバー、庶務、女性を合わせて五人ぐらいはその任に当たっているということでございます。
  159. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 危機管理監の創設を認めていただきます前、こうした分野に当たる職員が一班五名しかおらなかったものが、おかげさまで三班十一名という体制をとらせていただけることになりました。その上で、私どもはそういう事態が起こることを決して望みませんけれども、起こりました事態の態様によりまして、ある場合は警察を中心とした協力、ある場合は防衛を中心とした協力、あるいは消防を中心とした協力、さらに国土防災という観点からの協力、事件の態様に応じて必要な応援体制を組むというのが基本でございます。
  160. 東祥三

    ○東(祥)委員 危機管理担当スタッフの構成についてですが、現在安保室における危機管理担当職員の構成ですが、総理府、警察庁、外務省、海上保安庁、郵政省、建設省、自治省防衛庁長官、済みません、防衛庁からはここには出ていませんか、安保室には。
  161. 久間章生

    ○久間国務大臣 室長以下十二名、合計十三名が出向しております。
  162. 東祥三

    ○東(祥)委員 そうすると、防衛庁も含むと。それぞれ出身省庁から出向、派遣された形で配属されておられるわけです。また、派遣されている出向者の任期期間は平均二年、長くて二年半と聞いております。  行政改革会議では、十二月の最終報告で、「情報機能、危機管理機能等の専門性の高い分野に関する人材については、在任期間の長期化を図る。」「また、各省庁からの派遣・出向についても、派遣・出向元の固定化や各省の定例的人事への依存を排除する。」との任期問題や官僚への依存の問題の改善を促しました。  先ほど御紹介させていただきましたが、後藤田元官房長官の言葉からも見られるように、現在のある意味で寄り合い世帯、そしてまた回転ドア式雇用制度は、危機の際に不可欠な情報の流れの妨げにもなりかねないというふうに言われる点がまさにここにあるわけでございます。  スタッフが省庁出身ということ自体がいけないと私は言っておりません。先ほど総理が言われたとおり、それぞれの省庁から得られる専門知識の面から、それはそれとして重要な情報が入ってくると思います。もしくはまた必要かもしれないと思います。  問題なのは、官僚の縦割り行政がそのまま安保室に持ち込まれているのではないのかどうなのか、この点だと思います。安保室が省庁の出向組の寄り合い世帯になっていて、出身省庁に対する忠誠というのは克服することができるのか、また独立性があるのかどうかが問題なんだろうと思います。行政改革会議の会長であります橋本総理もこの問題を認めているはずだと思います。  しかし、基本法ではこの問題には触れませんでした。強いて言えば、「内閣官房は、」略「総合調整、情報の収集及び分析、危機管理並びに広報に関する機能を担うものとし、これらの機能を強化するため必要な措置を講ずるものとする。」また「内閣官房は、」中略「行政組織の内外から人材を機動的に登用することができるよう、必要な措置を講ずるものとする。」と二つの条項はありますけれども、この問題にどう対処するかということは極めてあいまいだというふうに思います。一年以上もかけて練ってきた法案なのに、具体性に欠けている、このように言わざるを得ません。  基本法に手段まで盛り込まなくてもいいという考えもあると思います。しかし、基本法の目的を達成するための手段、具体的な措置がなくてはならないのではないのか、このように思います。その意味で、法案と別の、取り組み方に関する何らかの形でプランはあるのかどうなのか、この点についてお伺いさせていただきたいと思います。
  163. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 私、今議員の言われます意味が、非常に大きな問題の中の一部を答弁を求められましたので、全体をつかみかねております。というのは、こういう分野に対する人事管理という意味でとらえてよろしゅうございますか。(東(祥)委員「情報ですね」と呼ぶ)情報管理という視点ですか。情報管理あるいは情報の収集という点になりますなら、先ほど私は、情報収集、分析、その一元化といった点でなお努力する余地ありということを既に率直に申し上げております。  その上で、情報というものを生かしていきますためにも、ある意味での分析の継続性というものが求められることになります。我が国の公務員制度が同一の職に長くいることをもってその功績を評価するというシステムには必ずしもなっておりません点に私自身は問題意識を持っておりますし、行革会議の中でもそうした意味での議論をいたしてまいりました。  ただ、これは行革基本法の世界ではなく、むしろ公務員制度の分野において、あるいは人事院との論議の中において処理すべき課題、そのように考え、人事院総裁等にも問題を提起いたしております。
  164. 東祥三

    ○東(祥)委員 果たしてそういう形で対処できるのでしょうか。例えば、まずい情報は上に上げない省庁の保身主義と言っていいのでしょうか、言葉を僕はよく知りませんので失礼だったらおわびさせていただきたいのですが「保身主義が前からあります。大臣は、情報がスムーズに行くように体制をとっているとどこかで、総理大臣じゃありませんが、言われていたと思いますけれども、縦割り行政の弊害はなくなるだろうとも別のところで言っております。  しかし、例えば去年の例ですけれども、東京湾油流出事故の際、海上保安庁は流出量の修正に関する情報を八時間もホールドしたじゃありませんか。また、動燃事故もそうではないですか。都合の悪い情報を通報しなかっただけではなくて、隠ぺい工作までやったのではないのか。つまり、大臣の指示などに逆らったことに対して今度はどういうふうに対処したかといえば、「もんじゅ」の場合、動燃は二十万円、あるいはまた工作にかかわった二人はそれぞれ十万円の罰金、そういう懲罰で終わってしまった。  私が申し上げたいのは、先ほどの危機管理担当官、それぞれのところから出向されております。そしてまた、危機管理監という専門官が副長官レベルで配置された、それはそれとして、僕は一歩改善していると思います。まさに総理大臣が一番初めにお認めになったとおり、重要な核は何かといえば情報だ。その情報をどのように収集し分析し、そしてまたそれに基づいて、どのように危機なのか危機でないのかを判断するか。全く私は同意見でございます。  しかし、それを担わなければならない新たに設置された危機管理担当官が、このような具体的な今までの経験を踏まえた上での問題を総ざらいしていく上での権限がちゃんと与えられているのかどうか。  そこで、各大臣にお聞かせ願いたいと思うのですけれども、安全保障・危機管理室に出向させている方々に、各出向している本省の大臣としてどういう措置をされているのかどうかについてお聞かせ願いたいと思います。それぞれの大臣、お願いします。
  165. 久間章生

    ○久間国務大臣 防衛庁の場合は、三軍のトップは総理大臣でございますから、絶えず防衛上のいろいろな情報等については総理大臣の方に入ることになっておりますし、ましてや危機管理のときの問題については、絶えず安保室と連絡調整をとりながら情報は今までも上げてきたつもりでございます。これから先もそのようにやっていきます。
  166. 長光正純

    ○長光政府委員 政府委員として出ておりましたのでお答えを申し上げますけれども、私どもの方では、大災害等が起きました場合の内閣の方への情報の伝達につきましては、内閣情報集約センターを通じて、事故が起こりました際には、その事故の概要等々につきまして速報体制に努めておるところでございまして、今後ともその体制をとっていきたいというふうに思っています。
  167. 東祥三

    ○東(祥)委員 時間が限られてしまっているので、先ほど総理が言われました全会一致方式のこの点、事前にあらかじめ基本方針を決めておけば全会一致方式で構わないのではないのか、このような発言をされました。それに関連して質問させていただきます。  九四年四月の北朝鮮の核開発疑惑の際、半島有事の際の米軍への協力問題をめぐって、内閣の方針として決まっていないため官邸から防衛庁などに指示はできず注意喚起したと、当時の石原官房副長官は語っております。  この例から、全会一致で閣議決定ができない可能性があり、それゆえに政府として十分に対応できないリスクがあることを認めざるを得ないと思います。  行政改革会議は、この可能性を踏まえた上で、去年の五月にまとめた「内閣の危機管理機能の強化に関する意見集約」において、「突発的な事態の態様に応じた対処の基本方針についてあらかじめ所要の閣議決定をしておき、総理大臣が迅速に行政各部を指揮監督できるようにすること。」を政府に提言しました。それを受けて先ほど総理はおっしゃったのだろうと思います。突発的な危機の際に閣議を開かなくても首相が各閣僚を指揮監督できる事態と対処方針をあらかじめ閣議決定することで解決しようということだと思います。  しかし、私は、このアプローチは法的制約の中でぎりぎり可能な苦肉の策なのではないのか。想定した事態と異なる危機には役に立たないのではないでしょうか。総理大臣、いかがですか。例えば対米協力に関して、せっかくあらかじめつくっておいて対処方針だとしても、条件が違ってくるとそのまま使えなくなる可能性が出てきませんか。いかがですか。
  168. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 私は、それはある意味では閣議決定の包括的なくくり方いかん、同時に行政府内における内閣総理大臣と他閣僚あるいは国会等との関係において、いろいろな考え方はなし得るものだと思います。  あらかじめ所要の閣議決定を行っておく、そしてその突発的な事態の態様というものを包括的にとらえていけば、そういう危険性は減ります。しかし、余り包括的にとらえることによって、かえって内閣総理大臣の権限が広くなり過ぎて危険だという御意見も当然想定のされることであります。  今議員が指摘をされましたような場合、例えば重大テロ事件などの初動対処に係る重要事項で閣議に付議する必要があるものにつきまして、迅速な閣議決定の手続についても規定をいたしておりまして、事前の閣議決定という仕組み以外にも、迅速な閣議決定の手続というものも決めておることもあわせて申し上げたいと思います。
  169. 東祥三

    ○東(祥)委員 行政改革会議の最終報告でも、この点について事前閣議決定の限界を暗に認めております。  十二月の提案では、「これを超え、事後の閣議承認を条件に事前の閣議によらずに指揮監督できるようにすることについては、単なる行政上の意思決定手続を超え、幅広い検討が必要である。」と、今までの全会一致の閣議決定のやり方を再考する必要性を示唆した。  それから見るならば一歩前進なのかもわかりませんけれども、先ほど申し上げましたとおり、事前に全会一致を踏まえた上での閣議決定をしていたとしても、そのとき考えられている条件とは全く違うことが起こり得る可能性がある。そのときには、今のアプローチというものが通用しなくなってしまうのではないのか。  その点について、橋本総理、橋本総理はまさに中枢にいらっしゃるわけですから、危機管理という極めて難しい、自分自身にいろいろな責任がかかってくる、それに対して、最高責任者として責任が伴う以上、ちゃんと権限も明確にしなくてはいけない。そういう意味では、時間がないので詳しくは言及することができないわけですけれども、内閣法の六条とのかかわり合いの中で、総理の権限というものをもっと明確にし、また強化していくということが必要なのではないのかと思いますが、内閣法六条とのかかわり合いで総理の御意見があれば、お聞かせ願いたいと思います。
  170. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 私の意見と申しますよりも、現在、内閣法六条の規定により、閣議にかけ決定した方針に基づいて行うとされている内閣総理大臣行政各部に関する指揮監督のあり方につきまして、行政改革会議の最終報告におきまして、憲法の趣旨との関係もありまして、今後の幅広い検討にこれはゆだねられたものでございます。  そしてその上で、一方では、行政の統括、総合調整の任務というものを適切に果たすという観点から、例えば危機管理関係につきまして、先ほど来論議を申し上げております突発的な事態の態様に応じた対処の基本方針、あらかじめ所要の閣議決定をして、総理大臣が迅速に行政各部を指揮監督できるようにすることを求めるなど、六条そのものの運用について弾力的に行うように、これを求めております。そして、これを受けまして、重大テロ事件等発生時の政府の初動措置についても閣議決定をいたしました。こういう仕組みがあります。  その上で、議員が言われたような、限界という言葉を使われましたが、私はこういう権限を行使するにおのずから一定ののりはあってしかるべきものだと考えております。
  171. 東祥三

    ○東(祥)委員 時間が来ましたので、最後に次のことを言わせていただいて、僕の質問を終わります。  基本法は大きなチャンスを見逃そうとしてしまっているのではないのかと私は率直に思います。長い時間をかけて検討し、作成したものですけれども、改革というほどのものには値しないのではないのか、現行の法律の中での最小限のいじり程度ではないのかと思います。本質的な問題を避けてしまっている。  最小限の措置で万全な体制はつくれると本当に総理は思っているのか。僕は今までのいろいろなことを学ばせていただいておりますので、総理は本当は違うんじゃないのかというふうに考えていらっしゃるのではないかと思います。  政府は、政治的な理由で、法体系、憲法とは申し上げませんけれども、法を改正するに当たって、そこで逡巡してしまう。しかし、政府の使命は、現法体系の中でできるだけいい体制をつくることではないのじゃないでしょうか。可能な限り、最もいい、必要なときに機能する体制をつくることだと思います。日本人の命を守るためであれば、憲法を含めて、法改正を必要とすれば、政府、政治家は責任を持ってやるべきだと私は思っています。  ドイツの著名な憲法学者コンラート・ヘッセの言葉をかります。憲法は、平常時においてだけでなく、緊急時及び危機的状況にあっても真価を発揮しなければならない。  総理、どうなんでしょうか。ベストな対応がとれるため最もいい体制は、現法体系で整えられると思えるのかどうなのか、この点について本当は聞きたいところですけれども、時間が来てしまいました。  今後、総理、日本人の、また日本の国民の生命と財産を守るためにベストな形をつくっていかなければならないのが政治家、また政府の役割だということを申し上げて、質問にかえさせていただきます。  ありがとうございました。
  172. 高鳥修

    ○高島委員長 次に、木島日出夫君の質疑に入ります。
  173. 木島日出夫

    ○木島委員 日本共産党の木島日出夫でございます。  内閣機能の強化について質問をしたいと思います。  法案の目的の第一に、内閣機能の強化が挙げられております。法案四条一号に、その基本方針として、総理の指導性の明確化、これへの補佐、支援体制の整備がうたわれております。これは、本法案が基本とした行政改革会議の最終報告、「内閣機能強化の必要性」の次の部分の指摘を受けての立法化のことと思われます。  そこにこう記されております。読んでみます。いまや、国政全体を見渡した総合的、戦略的な政策判断と機動的な意思決定をなし得る行政システムが求められている。  これを実現するためには、内閣が、日本国憲法上「国務を総理する」という高度の統治・政治作用、すなわち、行政各部からの情報を考慮した上での国家の総合的・戦略的方向付けを行うべき地位にあることを重く受け止め、内閣機能の強化を図る必要がある。 これであります。  しかし、まず総理にお聞きしたいのですが、日本国憲法の上で国家の総合的、戦略的方向づけを行うべき地位にあるのは、憲法四十一条の趣旨からして、これは内閣ではなくて、国権の最高機関であり、しかも三権の中で唯一国民の代表機関としての性格を持つ国会ではないのか。まず、その基本的な問題についての総理の認識をお伺いしたい。
  174. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 今議員が読み上げられましたように行政改革会議長終報告、「内閣機能の強化」の中には、  国政全体を見渡した総合的、戦略的な政策判断と機動的な意思決定をなし得る行政システムが求められている。  これを実現するためには、内閣が、日本国憲法上「国務を総理する」という高度の統治・政治作用、すなわち、行政各部からの情報を考慮した上での国家の総合的・戦略的方向付けを行うべき地位にあることを重く受け止め、内閣機能の強化を図る必要がある。 そのように記されておりますことは、事実そのとおりであります。  同時に、議員は憲法四十一条の条文そのまま、国会は、国権の最高機関であり、国の唯一の立法機関であるということをお読み上げになりました。憲法四十一条はそのとおりに規定をいたしておる、これはそのとおりに書いてあります。
  175. 木島日出夫

    ○木島委員 どうも答弁になっておりません。  行革会議は、二十一世紀における国家機能のあり方などを主要な検討課題として、総理が主宰したものであります。  行革会議で、とりわけ内閣機能の強化の部分の論議をリードした一人に、佐藤幸治京都大学教授がおります。その著書「現代法律学講座憲法第三版」では、次のように述べられております。  「行政府や司法府の組織や機能は憲法の枠内で法律によって具体化され、これらの機関の行為は一般に法律に準拠して行われるのであるから、国会は国政全般がうまく機能するよう絶えず配慮すべき立場にあり」、一文飛ばしますが、「その意味で、国会が国政全般について最高の責任を負う地位にあることを、憲法は「最高機関」という言葉で表現したものと考えられる。」こういう記述であります。  本法案で目指している内閣機能の強化というのがこうした国会の最高機関としての機能を低めるものだとすれば、これは憲法の基本原則に反することになり、問題だと考えるわけですが、その心配がないのかどうか、そこを問うているわけであります。
  176. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 ですから、先ほど私は正確に議員のおっしゃったことを繰り返したのでありまして、多分そういう議論を展開されるのだろうと思っておりました。  この法律案によります内閣機能の強化、これは、内閣が国務を総理するという任務を十分に発揮する、緊急事態に対しては機敏に行動し、多様な政策課題に対して戦略的な判断を下せるような体制を構築する、国政の運営の上で、国会で指名されました内閣の首長である内閣総理大臣がよりリーダーシップを発揮しやすい仕組みを整えるということであります。  内閣の機能の強化は国会と内閣の関係に影響を与えるものではございません。ですから私は、国会の機能にはいささかの変化もないと思います。
  177. 木島日出夫

    ○木島委員 内閣機能の強化は国会の機能にいささかの変化を与えるものではないと思いますと答弁されました。しかし、実際はそういう心配があるということを、私はこの行革会議の報告みずからが認めているのではないかと思われます。そう読み取れる部分があるからであります。  行革会議報告書の、先ほど私が指摘した、「内閣機能の強化」の「基本的な考え方」の次に「内閣機能強化に当たっての留意事項」という部分があるわけであります。読んでみます。「内閣機能の強化は、日本国憲法のよって立つ権力分立ないし抑制・均衡のシステムに対する適正な配慮を伴わなければならない。」こういう指摘であります。ここはもっともな指摘だと思うのです。  それで、地方自治体との関係を述べた後、報告書はこう述べております。「次に、国のレベルでは、国会と政府との関係において、国会のチェック機能の一層の充実が求められ、国会の改革が期待されるところである。」こうであります。これは言外に、内閣機能が強化されることによって相対的に国会の機能が小さくなるおそれを指摘しているのではないのでしょうか。  こういう指摘がこの中央省庁等改革基本法案にはどのように生かされているのでしょうか、総理。
  178. 坂野泰治

    ○坂野(泰)政府委員 御指摘の留意事項の国会と政府との関係に関する記述でございますが、これは、国会が国会としての機能を十分に果たされるよう国会の改革が期待されるという趣旨を述べているところでございます。  なお、基本法案におきましては、今回の基本法案は行政改革に関する基本的な方針を定めるものでございまして、国会の改革に関する事項は一切盛り込んでおりません。
  179. 木島日出夫

    ○木島委員 本法に、国会の機能あるいはその中の重要な部分であるチェック機能を強めようという方向は全く見出すことができません。政府や総理は、それは別のことなんだとおっしゃるのかもしらぬですが、現実はむしろ逆の方向に向かって、いろんな面で事態が動いているのではないかということを私はこの場で指摘をして、これからの議論をしていきたいと思います。  橋本内閣は、国権の最高機関としての国会の機能をますます失墜させるような仕組みをいろんな部分でつくり出しているのではないか、それが問題ではないかということであります。その最大の問題の一つとして、きょう閣議決定をされたようでありますが、日米防衛協力指針、新ガイドラインを法制化した周辺事態措置法案についてお伺いをいたします。  これは、周辺事態に際して、我が国が軍事行動をしている米軍に対して後方地域支援等を行うための、その仕組みづくりのための法律であります。日本が何らの武力攻撃を受けていないにもかかわらず、アメリカが軍事行動を起こしたらこれに参戦していく。これが、日本国憲法に反するのみならず、日米安保条約の取り決めにも、また国際法にも根拠を持たない無法の体制をつくり出すものであることは明らかであります。断じて許すわけにはいきません。  たくさんの論点がありますが、きょうは行革特の質疑であり、内閣機能の強化とのかかわりについての質疑をやろうと私は思いますので、そこに絞って聞きます。  この法案は、自衛隊が後方地域支援をなすについて、国会はどのようなかかわりを持つこととされているのでしょうか。
  180. 久間章生

    ○久間国務大臣 そもそも内閣は、御承知のとおり、我が国は議院内閣制でございまして、国会によって行政府がつくられておるわけでございます。  周辺事態の場合に、特に我が国の平和と安全に重要な影響を及ぼすような事態が発生したときに、政府は、国会から選ばれて行政を行っているわけでございますから、国民の生命財産をとにかく守っていく、そういう責務があるわけでございます。そういう意味では、適切迅速に対応してまいらなければなりません。その一環として後方地域支援もあるわけでございまして、これは決して自動的に参戦するというものではございません。あくまで、政府が責任を持って、自主的に判断しながら対応をするわけでございます。  ただ、そのときに、周辺事態の対応が武力行使を含むものではありませんし、また国民の権利義務に直接関係するものでもございません。また、先ほど言いましたように、迅速な決定を行う必要性がある等、これらのことを総合的に考えますと、やはり内閣として基本計画を決定して適切に対処する、そして遅滞なく国会に報告して、国会のいろんな御論議も出していただく、そういうスタイルが一番いいのではないかということで案をまとめた次第でございます。
  181. 木島日出夫

    ○木島委員 たくさんのことをお述べになりました。もうほとんどすべて反論しなければならない問題でありますが、時間の制約もあり、委員会の性格から、絞りたいと思うのです。  防衛庁長官が答えられましたね、周辺事態に対して対応措置、要するに、後方地域支援をやる、その基本計画を閣議決定する、その内容を遅滞なく国会に報告しなければならない、こうなっておるんだ、そこが国会とのかかわりだと。唯一のかかわりですね。それだけですね、国会とのかかわりは。  そこで、私は法案要綱しか現時点では手に入っていないわけでありますので、法案要綱に即して聞きますが、それでは、閣議決定された基本計画を遅滞なく国会に報告すると言うのですが、遅滞なくというのはいつまででしょうか。  この計画が閣議決定されると、総理は、法律の言葉で言えば対応措置を行政各部に指揮する、いわゆる後方支援を自衛隊各部に命令するわけでありますが、その前、自衛隊の出動の前に国会に報告しなければならない、そういう制約が法案の中にありますか。
  182. 久間章生

    ○久間国務大臣 遅滞なくというのは、普通、法律をつくる場合によく使われますけれども、これは時間的即時性ということでございますが、一般に、事情の許す限り最も早くということでございまして、直ちにというような言葉よりは、若干そこで、合理的な事情等が許せばそれよりも少しは時間的なタイムラグがあっていい、そういうような言葉の使い方でございますから、そういう意味でも、遅滞なくということは、国会に対してできるだけ速やかに出す、そういうようなことになろうかと思います。  一般に速やかにというときには、これは訓示的な用語でございますから、義務規定ということにはなりませんけれども、遅滞なくといっている場合には、それに違反して非常に時間をかけて出すようなことになりますと、政府としては義務違反だと言われかねないわけでございますから、そういう意味でも、いつまでにということはございませんけれども、言葉どおり遅滞なく、とにかく国会へ報告をすることになろうかと思います。
  183. 木島日出夫

    ○木島委員 防衛庁長官は法律の言葉をかなり厳密に使われまして、そのとおりです。  遅滞なくという言葉は、直ちにという言葉と比較して、時間的即時性は弱い。これは「法令の用語」、参議院の法制局の第二部長の田島さんが編著の文章にあるのですが、そう書かれて、しかも、正当な、合理的な理由があれば、その限りでの遅滞は許されていると解されている、こうまで書かれているのですよ。  直ちにという言葉は、もうこれは即時に、間を置かずにといった意味の時間的即時性が最も強い場合に用いられる。このため、直ちにという場合は一切の遅滞は許されないのが通例である、ここまで記載されています。  要するに、政府は、遅滞なくという言葉と直ちにという言葉は全然意味が違うということを承知の上で、遅滞なくという言葉を選んでこの法案に盛り込もうとしている。  そこで、質問に答えていないのですよ。総理が自衛隊に出ていけと後方支援を命ずる前に国会に報告しなければいかぬという、これは報告だけで、承認じゃないので、後で問題にしますが、少なくともその報告の時期は総理が部隊に命ずる前にしなければならぬという制約はあるのかという、そういう質問なんですよ。
  184. 久間章生

    ○久間国務大臣 それはいろいろな状況によって異なろうかと思います。  やはり、例えば非常に危ない、機雷等がもうとにかく我が国の沿岸に押し寄せてきて、我が国の船舶等に非常に危ないというときには、もうそれこそ間髪を入れずそういうような作業に取りかからざるを得ないようなケースだってあろうかと思います。しかし、そういうような場合でない場合には、とにかく時間的な余裕もあろうかと思います。  そういう意味で、国会にはやはり遅滞なく報告するわけでございますけれども、部隊の発動を総理自身がどうするかは、そのときの状況が起きてみないことには、それはもう直ちにしなければならないようなケースもあろうかと思いますので、その辺についてはどちらが早いか遅いかというような、そういうような議論にはならないのじゃないか、そういうふうに思っております。
  185. 木島日出夫

    ○木島委員 明確に御答弁になりました。  遅滞なく国会への報告というのは、総理が自衛隊に指揮を発動する後になることもあり得るということを今言っているわけであります。これは重大な問題ですね。国会の知らないうちに自衛隊による米軍に対する後方支援が行われるということを想定もされていることになります。  戦闘行動をしている米軍に対して、補給とか輸送とかいろいろありますが、後方支援をすれば、 これは明確に相手国に対する参戦行動にほかなりません。しかも重大なことに、この周辺事態措置法案は、基本計画を国会に対して、報告だけでいいとしているのですね。国会の承認を必要としていないわけであります。驚くべきことだと私は思います。  そこで、総理に聞きます。なぜ、こんな重大なことを国会承認事項としなかったのか、その理由を説明いただきたい。
  186. 久間章生

    ○久間国務大臣 先ほども述べましたように、今度のこの法律に基づく周辺事態に対応する措置というのは、防衛出動をするわけではございませんし、また直接国民の権利義務に関係する問題でもございませんから、やはり国会に対しては、報告はいたしますけれども、承認というのにはなじまないのじゃないか、そういうふうに考えた次第でございます。
  187. 木島日出夫

    ○木島委員 防衛出動ではないから、国民の権利に直接かかわらないから国会の承認を求めなくていい、とんでもない理屈だと思うのですね。  自衛隊法にはっきりしておりますが、防衛出動というのは日本が侵略されたときに出ていくことですよ。今度の法案は、そういう場合じゃない、日本が侵略された場合じゃないのにもかかわらず、実力部隊である自衛隊が米軍支援のために日本の領域から出ていくことを認めているわけでしょう。公海公空へ出ていくことを認めているわけです、後方支援という形で。  こんな重大なことを、実力部隊が米軍の、これは戦争をやっている米軍ですよ、有事ですよ、その米軍の後方支援のために領海を越えて出ていく。これは防衛出動ではないから国会の承認を求めないのだ、逆さまな論理じゃないのですか。全然理屈に合っていないでしょう。
  188. 久間章生

    ○久間国務大臣 防衛出動という言葉がちょっともしきつければ、要するに武力の行使を伴うものじゃございませんので、したがいまして、私どもとしては、いわゆる後方地域支援をするからといってこれは武力の行使を伴うものでもないし、また戦闘行為に巻き込まれるものでもない、そういう理解をしているわけでございますから、その辺については理解していただきたいと思います。
  189. 木島日出夫

    ○木島委員 結局、武力の行使ではないんだということが国会の承認を求めない最大の理由づけに、防衛庁長官はしております。  こういう国際司法裁判所の判決があるのを政府は御存じのことと思うのです。  一九八六年のニカラグア反政府勢力軍事支援の問題で、これが国際司法裁判所に提訴され、それが国際法に違反する侵略行為として非難されたわけでありますが、その一九八六年の国際司法裁判所の判決によりますと、後方支援や武器の援助も武力の行使とみなし得ると明確に認定しているわけであります。前提が国際司法裁判所の判決と百八十度違う、どうですか。
  190. 久間章生

    ○久間国務大臣 先般、中間報告もさせていただきましたし、また、まとまりました新指針のガイドラインを見ましても、私ども、はっきり言っておるわけでございます。  今回、国が行うこのような活動が国際法の基本原則や国連憲章を含む関連する国際約束に合致するものである、そういうことを本文でもちゃんとうたっておるわけでございまして、そういう趣旨からいきましても、私どもが今度行う、この法律で想定しております行動はすべてこういうようなものでございますから、今委員が御指摘になるような、そういうものとははっきりと区別されるのじゃないか、そういうふうに理解しております。
  191. 木島日出夫

    ○木島委員 私が言っているのは、有事、戦争に従事している軍一米軍のために後方支援を行うこと、武器の援助を行うことは、これは武力の行使とみなし得るんだという判決を国際司法裁判所がしているではないか。どうですか、そういう判決があるのじゃないですか。
  192. 竹内行夫

    ○竹内政府委員 いわゆるニカラグア判決に関しますICJの態度についてのお尋ねでございます。突然のお尋ねでございますが、私の記憶から申しますと、ICJの判断といいますのは、武器等のプロビジョン、サプライといいますか、それを提供するということは武力攻撃にはむしろ当たらないということがICJの判断であったと記憶しております。  その上で申し上げさせていただきますが、先ほど来先生がお述べになっておられますが、周辺事態と申しますのは、常々政府側から申し上げておりますとおり、日本の平和と安全に重要な影響を及ぼす事態というものが起こっている、現に発生している、または発生が迫っている、そういう事態でございまして、そういう事態に対応いたしまして米国が、国連憲章と両立する範囲ということを前提といたしまして、その紛争の抑止とか紛争の拡大の防止ということに努めているのが周辺事態という状況でございます。  そういう状況におきまして、我が国が武力の行使に至らない、または武力の行使と一体化はしないというような態様におきまして、これに協力を行うということは、これは国際法上も何ら問題なく、国家として当然のことであろう、こういうふうに理解しております。
  193. 木島日出夫

    ○木島委員 国際司法裁判所での判決の趣旨をねじ曲げた答弁だ、とんでもないと思うのです。  これは、戦争をやっている米軍に対する後方支援が武力行使に当たらないなんという理屈でこの法案を出そうとすれば、大変な問題だ。これは政府の恐るべき対米従属の姿勢のあらわれだと思います。  米軍の一方的な軍事行動によって周辺事態が発生する、これはもう国会の答弁でも、あり得るということは述べられているわけです。そのようなときに、論議をもとに戻しますが、国民を代表する最高機関である国会に何らの関与も許さない、報告するだけ、それが後になってもいいということ。そういう軍事にかかわる国家行動を内閣の一存だけでとり得るなんということは、どこから見ても許されるものじゃありません。  武力行使に当たらない、盛んに言いますが、とんでもないこと。例えば輸送はどうでしょうか。領海外、公海上にある米空母に対して、日本国内にある米軍基地の弾薬庫から弾薬や弾丸を自衛隊が輸送して空母まで届けてやる。確かに、その空母は戦闘行動を直接やっているかどうか、中止しているのでしょう。そういう空母に、日本の米軍基地の弾薬庫から武器、弾薬、弾丸を自衛隊が輸送してやる。そして、その弾薬を受け取った空母の艦載機が相手国に対して爆撃行動に入る。その繰り返しをやるわけですね。  まさにこれは、そういう事態を想定しますと、自衛隊の後方支援なしに米空母の機能はないと言ってもいい、そういう後方支援であります。兵たんであります。まさに兵たんであります。米軍と自衛隊、一体としての武力行使そのものじゃないのですか。こういうことがこの法案ではやれる  ことになるのでしょう。
  194. 久間章生

    ○久間国務大臣 後方地域で、後方地域というのは、従来からの言い方で言いますと戦闘区域と一線を画する区域、今度の場合では、戦闘が行われていない、あるいはまた、その活動中に継続して行われない、そういう地域を指すわけでございますけれども、その地域においてそういう輸送を、これは自衛隊に限らず民間の船会社でも結構でございますけれども、行うことは、これはいわゆる戦闘行動に巻き込まれない、そういう判断のもとで行われるということで、これは可能であるというふうにしているわけでございます。
  195. 木島日出夫

    ○木島委員 これまた一線を画せるかどうか、たくさんの論点がありますが、時間がありません。きょう私は、それはやりません。そうではないのです、私の質問は。  空母に弾薬がなくなった、もう空母の機能はなくなるわけですね。そうすれば空母は一たん下がるわけですよ。そして補給を受けるわけでしょう。そして補給を受けて、また出ていって、低空飛行をやるのでしょう。そして爆弾を落とすのでしょう。それはやれるわけでしょう。空母が、弾薬がなくなって一たん下がってきて、そこは公海上でしょう。しかし、そこではもう戦闘行動はな いでしょう、空母の周りは。そういう空母に対して、自衛隊は米軍基地から米軍の武器、弾薬、弾丸を運ぶことは可能なのでしようということなのです。
  196. 久間章生

    ○久間国務大臣 輸送は可能でございます。
  197. 木島日出夫

    ○木島委員 まさにこれは、そのピストン活動をやるわけでしょう。それは大変な、これはもう一体としての武力行使そのものであります。  これはノーマン・フリードマンが書いた「湾岸戦争 砂漠の勝利」の記述でありますが、そこでこう書いてあるのですよ。「空母は、個有の偵察機をもって移動中のイラク軍の地上部隊を標定し、一−二時間以内に完全無欠の航空攻撃をかけることができるが、短期間に成果を期待することはできない。各空母が手持ちの約二千トンの弾量を消費すれば、一時的ながら持ち場を離れて補給を受けなければならないからである。」「航空母艦の搭載機種は多様だが機数に限度があり、しかも燃料・弾薬の総量から戦闘行動の期間は五日ないし七日に限られる。」そして、「兵站と作戦期間の関係に意を用いるべきである。兵力の限られた部隊でも長期間の継続的な作戦には膨大な物資を消耗する。それ故に事前集積品とその使用後の追送と充足が欠かせない。」まさにここなんですよ。  兵たんがなければ空母は役に立たない。その兵たん、武器の兵たんですね、これを日本の自衛隊が担う。戦闘行動をやっている、そしてやり終えた、これからまたやる空母ですよ。まさに一体としての武力行使そのものじゃないのですか。これがやれると防衛庁長官は今明確に答弁をいたしました。  これはもう憲法の禁ずる武力行使そのものじゃないですか。こんなことをやれる法案をつくり出すことは全く許されないということは、もう明らかじゃないのでしょうか。総理、どうですか。
  198. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 議員は許されないと仰せられましたけれども、私どもは許されることだと思っておりますから、立法措置をいたしております。
  199. 木島日出夫

    ○木島委員 何の説得的な理論も述べずに、そう思っているだけだ。こんな危険なことはない、本当にこんな危険なことはないのです。法を無視しても、国際司法裁判所での判決も無視しても、国際法や安保条約の解釈をも無視してもやれることはやるんだ、やれると思うからやれるんだ、こんな危険なことはない。  そして、こういう人が内閣総理大臣になって、内閣機能が強化されて、国会の意思を無視してどんどんと後方支援をやれる国になったら、こんな恐るべきことはないと言わざるを得ません。米軍支援のための出動について国会の一切の関与を認めない、これは、憲法の平和主義はもとより、近代憲法原則をもじゅうりんする、私は無法の戦時立法であると思うわけであります。  そして、最後になりますが、この基本法案、中央省庁等改革基本法案の内閣機能の強化で、内閣総理大臣の閣議への発議権を法制上明らかにしようとしたり、内閣官房内閣総理大臣の職務を直接に補佐する機能を持たせたり、内閣官房に、国政に関する基本方針の企画立案や情報収集や分析、危機管理に関する機能を担うものとして、これらの機能を強化するために必要な措置を講ずる。  私は、この全体的な内閣機能の強化の中心的なねらいが、この周辺事態措置法に見られるような、米国と一体となって軍事行動ができる、そういう強権的な軍事国家となることを二十一世紀の日本の国の形として想定されているからではないかと指摘せざるを得ません。それは、憲法の示している平和主義の原則ともう百八十度、全く方向が違う、許されない道だということを強く指摘して、時間ですから、私の質問を終わらせていただきます。
  200. 高鳥修

    高鳥委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後零時五十七分休憩      ————◇—————     午後三時四十三分開議
  201. 高鳥修

    高鳥委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  ただいま議題となっております本案審査のため、来る四月三十日木曜日午前九時から、また、五月六日水曜日午前十時から、参考人出席を求め、意見を聴取することにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  202. 高鳥修

    高鳥委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  なお、参考人の人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  203. 高鳥修

    高鳥委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  204. 高鳥修

    高鳥委員長 質疑を続行いたします。古川元久君。
  205. 古川元久

    ○古川委員 民主党の古川元久でございます。  私の方から三十分質問させていただきまして、その後、同僚議員の松沢議員に引き継ぎたいと思います。  私は、現在審議されている基本法案につきまして、これは総理もこの行革の基本方針を定めるいわゆるプログラム法だという認識でおられるというふうに聞いておりますけれども、これまでのこの委員会での論議を聞いておりましても、地方や民間への権限移譲であるとか、あるいは規制緩和であるとか、そういった事柄は、すべてはこれからの作業の中で行われる。本来は、我々はこうした部分が見えてこないとこの中央省庁の再編についての議論などもできないという立場をとってはいるわけなのでありますが、そういうことを言っていても議論がかみ合わないわけでありますから、百歩譲りまして、今後、同時並行的にそうした改革が進んでいくということにいたしますと、そうすると今後の取り組み方というのが極めて重要になってくるのではないかというふうに思っております。  そこで、きょうは、この法案に基づきまして設置される予定になっております中央省庁等改革推進本部のあり方について、どのような陣容で、どのようなことをやるのかについてお尋ねをさせていただきたいと思います。  まず、この中央省庁等改革推進本部についてでありますが、これは事務局を含め一体どれくらいの人数を全体で予定しておられるのかを教えていただけますでしょうか。
  206. 小里貞利

    ○小里国務大臣 お触れいただきましたように、まず、ただいま御相談申し上げておりまする中央省庁等改革基本法、これが国会の意思を決定いただいたということを前提にして、まあ仮定ではございますが申し上げますと、本法案を決定いただきますと直ちに公布をいたします。そして、その公布を待ちまして、ただいまお話がございました推進本部を設置をいたします。本部長は総理大臣で、構成メンバーは各閣僚。  それから、お尋ねがございました事務局の体制でございますが、これも今次御相談を予算案の中で申し上げておるところでございましたが、陣容といたしましては、大ざっぱでございますが、約百名前後で推進本部を構成するか、こういう段取りでございます。  それから、成案作業等のことについてはよろしゅうございますか。
  207. 古川元久

    ○古川委員 また聞きますから、いいです。  今、百名前後というお話がございましたけれども、では、ここの推進本部で、この中央省庁の再編について当然各省設置法をつくらなきゃいけないと思うのですが、そうすると設置法の作成まで行うことになるのですか。
  208. 小里貞利

    ○小里国務大臣 各省庁設置法はもちろんのこと、あるいは内閣法、あるいは国家行政組織法等、関連法の整備作業に入ります。
  209. 古川元久

    ○古川委員 それだけでも相当膨大な作業になる と思うのですけれども、そうした設置法であれば、これはいつまでにつくる予定というか、めどで考えておられるのですか。
  210. 小里貞利

    ○小里国務大臣 国会の意思を、今次の国会で基本法を決定いただきますと、それから順次これからの作業日程等をいろいろ勘案いたしますときに、まず、御相談申し上げておりまするように、五年以内に移行を実施をいたしたい。でき得れば二〇〇一年一月一日をめどにいたしておりますから、二〇〇一年一月一日から言うなれば逆算してまいりまして、もろもろの準備がございます。それを、申し上げまするなれば、先ほど申し上げました各省庁設置法等を明年の遅くとも今ごろまでには決定をいたしまして、国会に再度お諮り申し上げなけりゃならない、さように思っております。  そして、その各省庁設置法等を国会で決定いただきました後、それに関連する予算措置、及び具体的に各省庁の発足に備えましての組織体制あるいは中身の体制等をもろもろ多彩にわたって準備をいたさなければなりません。  同時に、二〇〇一年一月一日に移行するといたしますと、それに関連する予算も必要でございますので、二〇〇一年度の予算には必ずそれらの関連経費を計上しなければならない。と同時に、先ほど申し上げました組織、あるいはそのほかの一切の準備を整えなければならない、さようになるかと思っております。
  211. 古川元久

    ○古川委員 今の長官のお話で、来年の今ごろまでには設置法が出てくるというお話をされましたけれども、果たして本当にそういう膨大な作業をこれから一年足らずでできるのか、しかも百人足らずという人数ですね。  これは、先ほどおっしゃっただけの作業をやるというのは、私も役所の中にいて、そういう法律改正とかやったことがありますけれども、大変に手間もかかりますし、しかも今度の場合、ゼロから書かなきゃいけないわけですから、相当に膨大な作業になってくる。法制局の作業とかも含めると、本当にこの百人でできるのかどうかというのは、来年までという期限の中でできるのかについては、これはお考えとして、それでできるというふうに思っていらっしゃるのか。  あるいは、やはりこれは、今ある各省庁にそうしたところの応援をもらうような形にするのか、その辺の各省庁との関係はどうなるのか、各省庁がこの設置法の作成に関与してくるのかどうか、その点について教えていただけますか。
  212. 小里貞利

    ○小里国務大臣 あっさり申し上げまして、まだこの基本法案を御審議をいただいておりまする真っ最中でございますので、なかなかこれが、国会意思が決定したということを前提にしての話は申し上げにくいのでございますが、せっかくのお話でございますから大ざっぱに申し上げますと、御指摘になりましたように大変な作業でございます。膨大なる検討を要する案件でございまして、私どもも、内々、今の準備室を中心にいたしまして、その周辺で御指摘の点をいろいろと心づもりをいたしつつあるところでございます。  同時にまた、関係省庁の協力体制はどうかという話でございますが、私は、すこぶる、本当に協力をいただいておりまして、その意味におきましては、それぞれの省庁が私心、省益をなくして大きな立場から御協力をいただいておる、さように高く評価をいたしておるところであります。  御案内のとおり、もう既に、そういう省庁統合、国会の意思が決定したときに備えまして、関係省庁で人事のやりくりなどもやって、そしてお互いに気持ちの交歓あるいは雰囲気づくり、あるいはまた業務上の合理的な組み合わせ等をもくろんでいくべきではないかという意味におきまして、そういう作業も御承知のとおり始まっておるところでございます。一つの検討が始まっておるところでございます。  今日のこういう状況でございますから、余りそれを顕在化して申し上げることはどうかと思いますが、私は、そういう意味におきましては、この基本法案を決定いただきました事後の作業におきましては、ますます各省庁が連携をとりまして、その基本法の精神に沿って、また基本法が求める責任を、結果を求めてこたえていけるだけの省庁間の連携はあり得る、かように確信をいたしております。
  213. 古川元久

    ○古川委員 時間が余りありませんから、簡潔にお答えをいただきたいと思うのですが、要は関与するというわけですよね、これに各省庁。  そうしますと、今長官は大変に役所に対して好意的な感じを持っておられるようですが、私なんかが見ている範囲内で、あと聞いている範囲内でですと、今ある省庁は、まさにこれからが本番だと。つまり、設置法をつくるところでどれだけ自分たちの権限であったりあるいは縄張りを温存できるか、維持できるか、やはりそういうところに関心が行っている。むしろ、今長官がおっしゃったみたいに、省益とかそういうものをなくして、もりと大局的な見地に立っているとはとても言えない状況に逆に私はあると思うのですね。それにもかかわらず、今の各省庁がこの設置法の作成に関与するということは、これは極めて大きな問題じゃないかと私は思うのです。  役所にとりまして、今の広範な、一般のこの日本社会の行政の介入を可能としているのは、これは個別の法律というよりも、むしろ個々の設置法に根拠があることが多いわけですよね。この設置法の規定する所掌事務には、それにほぼ対応するような権限の規定があって、それに基づいて行政指導であったりとかいろいろな行政の作用が行われているケースが多いわけです。  例えば農水省が減反割り当てを行うことができるのは、これは農水省設置法が規定する所掌事務の範囲内の措置であるからというふうにされているわけですけれども、しかしながら、この減反割り当ては法的強制力はないといっても、事実上はほとんど強制力を持つに等しくなっているわけですよね。  そういうことからすれば、この設置法をどう書かれるか、これはとりもなおさずその役所の権限を規定することにもなっていく、そういうわけですから、結局、設置法の書き方一つで今回の省庁再編、この大くくり自体にも私は問題があると思っていますけれども、それはおいておくにしても、少なくとも、行政を減量、効率化していこうという、そういう再編のその部分が実はこの設置法改正の中で、役所の数は減っても中身は変わらないというふうになってしまうのじゃないか。  各省庁が関与してきて設置法がつくられるのでは、結局、各省庁は今ある権限をなるだけ温存するような形で設置法改正の方に行く。先ほど長官もいみじくもおっしゃいましたように膨大な作業があるわけですから、それを百人前後の人間でやろうというのは極めて困難であって、そうなれば、結局この推進本部はただ全体の調整をするだけで、事実上設置法づくりはほとんど各省庁に任されるような形になってしまうのじゃないかと思いますが、いかがですか。
  214. 小里貞利

    ○小里国務大臣 私がおよそ百名程度と申し上げましたのは、大ざっぱにとお断りして申し上げましたが、これは、必要があらば百五十名でも二百名でも、まさに集中的に取りかかってしかるべき話でございますから、そういう一つの状況であるということを御了承いただきたいと思います。  それから、一つは、主なる任務あるいは主なる行政機能等は、議員も御承知のとおり、既に基本法を整理するまでの間に相当関係省と議論をいたしました。これは決して今御指摘になったことを単純に申し上げるわけではないのでございますが、大変厳しい、幅広い話であることは覚悟をいたしておりますけれども、とりあえず、今次の基本法を作成するまでの過程におきまして、関係省庁と準備室において相当詰めた話し合いをいたしましたという一つの経緯はございます。  しかしながら、今最後の方で指摘がありましたように、それぞれの事業あるいは業務あるいは組織を、これをスリム化をしなければ全く意味がないわけでございますから、それらの中身についての事実上の業務体制あるいは事務原則、事務実 態、事務事業というものをスリム化をするための作業については、ただいま御指摘がありましたように、なお相当な時間と相当なエネルギーを要する話であることもおっしゃるとおりであります。  そのときに、果たして既存の一府二十一省庁体制にある皆さんが本当に協力するのかという、一般的には素朴な疑問もあるようであります。しかしながら、ここは私は先ほども申し上げましたように、今日のこのような中央省庁改革という大改革をやるわけでありますから、やはり大きな見地に立って御協力をいただける、そしてまた、今までの経験におきましては、さすがは公務員は公務員で、役所は役所としての寛大な理解をいただいておるな、そういう感じを私は持っておるわけでございます。  同時にまた、推進本部は、これは第三者も入れまして、客観的にきちんとこれを厳粛に見詰めていただきながら、あるときにはまた小言もいただきながら、あるときには、評価と申し上げましょうか、監視もいただきながら、厳粛な気持ちで私ども推進本部、準備室あるいはまた政治が大胆に良識を持って当たるべきではなかろうか、さように思っております。
  215. 古川元久

    ○古川委員 私は、この改革がまさに大改革であるからこそ、国民から見て、今現存する官庁の省益だとかそういったものが表に出ないように、むしろこの推進本部できっちりやるならやり切る、やはりそこを約束してもらいたいと思うのですね。今の、大改革なんだから今のお役所もみんな含めてやりましようというのでは、やはりそれは、外から見ていて、結局今の役所のそのままの権限を温存してしまうのじゃないか、そういう危惧感というのですか、そういったものを払拭することはできないと思うのです。  やはりここは、ぜひとも推進本部でやり切るということを長官にはお約束していただきたいと思いますし、そのためにかかる人数であれば、これは別に、むしろまさにこういう大改革なのですから、予算の関係で百人しかつけられませんでしたというわけじゃなくて、これはこれから何十年ともつようなものじゃなきゃいけないわけですから、そういうことを考えれば、ここの人員をそれに、ちゃんとそこだけでやり切れる人員を使うぐらいの、それだけの予算をつけるぐらいの、やはりそうした決意を持ってやっていただきたいと思いますが、そこの点を長官、約束していただけませんか。
  216. 小里貞利

    ○小里国務大臣 まさに御指摘のとおりでございまして、私は先ほど本当にもう一言半句で表現申し上げましたけれども、ここぞというところは政治が厳粛に勇断を持って対処しなければならぬということを申し上げました。  しかしながら、そういう一つの全体の節度ある検討、そしてまた節度ある、しかも行政改革の本来の精神が求めるものをきちんと履行していくために、実はその推進本部におきまして、準備室におきましていろいろな情報も集めなければいけません。そして、いろいろな皆さんから知識も今導入しつつあるところであります。  例えば、事前管理から事後チェック、こう言いますけれども、経験者であられますから、これはもう御承知のとおり、行政組織の改革の根幹に触れる要素の一つであるのですが、あるいは政策の立案、計画の機能と実施機能を分けるよなんて私ども本当に申し上げてまいりました。  これも事業、組織、業務の体制を改革をする根本にかかわってくる話でございますが、そういう基準を幾つも私どもは要素にしながら、メスを加えて、そして一府十二省庁体制のスリム化した、本当に体制も組織も、あるいは定員もと申し上げていいでしょう、一切が期待に沿うものをつくり上げなければいけないわけでございますから、これは大変な仕事であると同時に、また、お話がありましたように、この機会に私どもが、政治がきちんとその辺を整理をいたしまして対処しなければいかぬ。  そして、そういう目的と趣旨を達成するために、準備委員会、これから推進本部になりますが、総理大臣を中心にして、総理大臣が毅然と国民の前にお約束をしたことを実行するべく決意をいたしております、こういうことを申し上げる次第でございます。
  217. 古川元久

    ○古川委員 再三になりますけれども、短く簡潔にお答えいただきたいのです。  私が聞きたいのは、要は推進本部だけでやり切るのかどうか。政治のリーダーシップは、これは当たり前の話です。しかも総理はいつまでやっているかもわからないわけですし、そういった意味では、もうこれが完璧だとは言いませんよ、いろいろ問題がありますけれども、それさえも、今のままだとこの法案が通ったらあとはもう骨抜きにされてしまうのじゃないか、そんなふうに見えますから、そこのところはやはり担保してほしいと言ったわけです。  これについて回答をしていただくとまた時間がかかりますから次のことに行きますが、今度の推進本部の中では幹事を置くという規定がありますよね。これは簡単にお答えくださいね。もう事務方でもいいです。これは現在ある中央省庁再編等準備委員会の幹事とほぼ同じというふうに考えてよろしいのですか。
  218. 坂野泰治

    ○坂野(泰)政府委員 基本法上は、関係行政機関の職員のうちから内閣総理大臣が任命するとなっておりますので、具体的に、この法案が通った後、施行されまして、内閣総理大臣が任命されることとなりますので、今確定的なことを申し上げるのはいかがかと思いますが、これまでの各種本部の例から見ますと、現在の準備委員会の幹事会のメンバーというものも一つの当然想定され得るケースかと思っております。
  219. 古川元久

    ○古川委員 そうすると、要するにお役人ということになるわけですよね、これは。この辺の話、先ほどの長官の話もそうですけれども、すべてこの法案が通ってからだ、それからだと言われるのですけれども、この法案を審議するに当たっては、当然、その後どういうものを想定しておられるかということがはっきりわからなければ、任せられるかどうか、総理がどういう人を任命するかもわからないようでは、逆にこれは話ができませんから、そこははっきりしていただきたいと思うのです。  要するに各役所の事務次官等という形になるかと思うのですが、そうなると、今の委員会では参与というのを置いていますよね。参与については、行政、法学等に精通した学識経験者の中から委員長が選任して、基本法案について審議し、意見を述べることができるというふうになっているのですが、今度の推進本部の中ではこうした参与の制度というのは入っていませんね、この法案には。先ほども長官は、第三者を入れるというような話をされていましたけれども、どんな形でどういうところに入れるわけですか。
  220. 小里貞利

    ○小里国務大臣 私ども提案者の政府の立場はひとつ御理解いただきたいと思うのでございますが、法案がこういう状況でありますから、まだ国会の意思が確定していないので、その辺は謙虚にというか控え目に申し上げなければならぬという気持ちがあるのですが、せっかくのお話でありますから申し上げますことを御理解いただきまして、今お話しの参与であります。  これは、参与を置くという方針であります。本部長が総理大臣、そして推進本部のメンバーは閣僚が構成メンバーになりますが、組織といたしましては、本部長、副本部長、そして参与が十人前後構成メンバーとしてなるか。これはもちろんのこと、民間がお入りをいただかなければならない、そういう考え方でございます。  そして、事務局長も必要でありますから、事務局長はまず、ついでに申し上げますが、先ほどのお話と関連するのでありますけれども、中央行政機構に関し造詣があること、あるいは中立厳正であること、あるいは内外の圧力に屈しないこと、こういうこと等が大きな要件だろう、私はそう思っております。
  221. 古川元久

    ○古川委員 そうしますと、事務局長内閣審議官を充てるというふうになっていますが、これは お役人じゃなくて民間人だというふうに考えてよろしいということですか。
  222. 坂野泰治

    ○坂野(泰)政府委員 基本法案では、御指摘のとおり内閣審議官をもって充てるということになっておるわけでございます。この規定は、事務局長に充てられる人は、内閣官房内閣審議官と兼務した、あわせ持った身分の人になりますということを意味しておるということでございます。具体的にどのような方を事務局長に任命するかということは、任命権者において判断をされることになります。
  223. 古川元久

    ○古川委員 最終報告では、「内閣官房は、内閣総理大臣により直接選ばれた(政治的任用)スタッフによって基本的に運営されるべきもの」であるというような記述がありますよね。それであれば、そこを選ぶ、これは総理が最終的に選ぶのかもしれませんが、長官のお考えとしては、この場合の事務局長というのはそうした政治的任用スタッフであって、いわゆる官僚の、事務方の中から選ぶということではないというふうに理解をしておいてよろしいですか。
  224. 小里貞利

    ○小里国務大臣 今日の段階では、そこまで私は言い切ったお答えはできかねる、こういう感じがいたします。  ただ、どういう人を置くかというのは、先ほど申し上げたように、きちんと厳正な人、行政にもこれは通じておいでになる方、そして第三者の圧力などには断固屈しない、そういう一つの信念的な姿勢を持った人でなければならぬ、そう思っております。
  225. 古川元久

    ○古川委員 そういうことであれば、やはり今どこかの役所に属している人じゃないというふうに考えるのが普通ですよね。そのようにとらせていただきたいと思います。  それで、ちょっと時間がなくなってきましたので、もう少し先の話に進ませていただきますが、今、中央省庁の改革基本法案、この法案をつくる準備室には各省庁からいろいろな人たちが、前の行革会議の事務局からそのまま流れているという話を聞いていますが、この人たちはそのまま今度の推進本部の方に移っていくことになるのでしょうか。
  226. 坂野泰治

    ○坂野(泰)政府委員 この準備委員会の作業が終わり、その使命を終えれば準備室が解散をいたします。したがって、現在の準備室の職員は、それぞれ現在派遣を受けている派遣元に復帰する、これが建前でございます。その後その方々がどうされるかということは、それぞれの任命権者の御判断による。それからまた、推進本部の事務局の職員をどのような方にするかということについては、これまた別に推進本部の本部長において具体的な人事が行われる。  私が申し上げられるのはここまででございます。
  227. 古川元久

    ○古川委員 長官は、先ほどの御答弁の中で、これからどんな設置法ができていくかというのはかなり細かい話まで、今までの各省庁との協議とかなんかそういう中で出てきたというお話をされましたよね。そうなりますと、今準備室にいる人たちというのは、まさにこれまでの、ずっと行革会議からの経過、流れというものを全部理解している人たちなわけですよ。今度の推進本部ができたときにそういう人たちを全くかえてしまったら、結局、そうした流れ、そこの中でどういう議論が行われてきたかということを踏まえない人たちでやっちゃうことになる。  まさにこの基本法案というのはプログラム法案みたいなもので、中身がそんなにあるわけじゃないですよね。そうなれば、ここまでの流れというものをちゃんと把握している人間がやはり入ってこないとできないと思うのですよ。ですから、今の御答弁だと、一度戻しちゃう、後はまた任命権者の判断だという話ですけれども、これは、この具体化の作業をする中では、今までここで働いてきた人をやはりそのまま使っていくべきなんじゃないですか。  ちょっと時間がなくなりますから、もう少し続けていきます。  またもう一つ、私は、こういう大きなことをやるときには、どういう人がどういう立場でやるかという、やはり人が物すごく問題だと思うのですね。幾ら立派なことを言ったって、人によっては、この法案というのは、これからのやり方によっては、本当にもう中身のない、意味のないものになりてしまうかもしれない。長官や総理もここの場でおっしゃっておられるように、いや、これからのやり方次第だと。それは、やり方次第の部分は当然あります。でも、そこがちゃんとできるかどうかという我々の疑問の部分があって、やはりその部分をしっかりと担保してほしいと思うわけなんです。  そういうことから考えると、この推進本部なんかで作業した者については、作業終了後どうするのか。これをまた今の役所に戻しますという話になると、結局親元の方を見てしまう。やはりこれは、ここの推進本部に来た人間はもうノーリターンルールみたいな形をつくって、この推進本部でやったら、作業をしたら、その後は例えば内閣官房あるいは内閣府の職員として使うだとか、やはりそうした明確な意思。  つまり、彼らはもう別に親元の方を見なくてもいいんだ。自分たちはもうここでつくったもので、むしろ自分たちが今度の新しい中央省庁の中での中核として働いていくんだといった、そういった、今度の推進本部に来る人間たち、事務方、一番末端で作業する人たちが後ろを振り向かないで、前だけを見ていけるような環境をやはりつくっていかなきゃいけないと思うのですが、その点については長官はどうお考えになっていらっしゃいますか。
  228. 小里貞利

    ○小里国務大臣 ざっくばらんに申し上げまして、私は、大変有力な御提言をお聞かせいただいたと思っております。  通常の公務あるいは施策を遂行する仕事とはこの改革の仕事は違うと思うのですね。ですから、通常の仕事も汗をかく、そして前向きで積極的にやられる人々が大方なのでありますが、もちろん今度の今までの準備作業におきましても、本当に汗をかいていただいた、そして前向きでやっていただいたと私は感謝を申し上げております。いよいよこれから実行する計画をつくるとなりますと、今お話がございましたように、今までの経験も大事にしたいし、そしてまた、ひたむきに情熱を傾けていただいた人々の経験もお聞かせいただく必要があるだろうと思っております。  それから話の中で御指摘いただきましたように、この行革一筋に打ち込んでくれた人々に、これを一つの人事という観点から報いてやる必要があるのじゃないか。そういうことも必要だということでありまして、たしか昨年の十月でありましたか、私どもは、この行革に奔走していただいた職員には他日きちんと考えなければいけないなといういわば閣議もいたしまして、その方向で考えているところでございます。
  229. 古川元久

    ○古川委員 時間が来ましたので終わりますけれども、ぜひともこれは、人の問題というのは大きな問題でありますから、長官におかれましても真剣に考えていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  230. 高鳥修

    高鳥委員長 この際、松沢成文君から関連質疑の申し出があります。古川君の持ち時間の範囲内においてこれを許します。松沢成文君。
  231. 松沢成文

    松沢委員 大臣の皆さんにおかれましては、本会議から大変お疲れさまでございます。  私は、今回の行政改革の中で、特に政府がやらなくてもいい仕事あるいは民間でもできる仕事はできる限り民間に移していく、あるいは民営化していく、あるいは政府からアウトソーシングをしていく、これが行政改革の中で最も重要な方向性だという観点から、特に、総務庁から総務省になるわけで、その下にまた郵政事業庁というのが入ります。郵政三事業の問題を中心に、総務庁長官並びに郵政大臣に御質問をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。  まず、今回の省庁の統廃合で、総務庁自治省を加えて総務省となるわけですね。これは昔の内 務省の復活だとも言われますが、そこの方向は理解ができます。ただ、理解できないのは、なぜここに、事業官庁であります郵政事業庁という現業分野を加えてこの総務省のもとに置くかというのが理解できないわけであります。  郵政事業という現業は、他の現業を統括するような、産業を統括するような経済産業省みたいなところに逆に置くべきではないのかなという議論はあったのかどうか。また、行革会議では、郵政三事業の民営化の方向もかなり議論をされました。情報通信産業にかかわることは郵政省から経済産業省の所轄に移すという案も中間報告されましたけれども、結局もとの郵政省の方にまとめられたということであります。  例えば、電波監理等、通信放送委員会みたいな、こういう市場を管理する委員会的なものは総務省に置くということはまだ理解できるのですが、市場とかあるいは現業の分野、こういう分野はむしろ経済官庁に置くべきであって、総務庁というのは行政を監察するような立場もあるわけで、この監督しているところにまた現業をくっつけるというのは再編の方向としては極めて理解ができないわけでありますけれども、このあたりについて、総務庁長官はいかがお考えでしょうか。
  232. 坂野泰治

    ○坂野(泰)政府委員 総務省は、各省行政に広くかかわる制度の管理運営や政府全体の観点から行われる事務で、社会経済的にも重要な機能を果たすものを主として担当する省として設置されるものでございます。  郵政事業につきましては、この事業それみずからの意義を有するものであるほかに、金融をも含みます広く国民一般に密着した国民サービスを提供する、かつ社会経済的にも重要な位置づけを持つ事業と考えております。また、国の責任のもとに運営されるものということでございまして、民間産業と同列に置くということにはなじまないのじゃないかと考えるわけでございます。  こういうことから、郵政事業に関する事務は、特定の行政の立場からではなく、政府全体の観点から行われる必要がある、かつまた、財務省あるいは経済産業省等、他の特定の省に置くことは適当としない、こういうことも考え合わせまして、総務省に事業庁を置くこととしたわけでございます。
  233. 松沢成文

    松沢委員 民間産業と一緒にすることは好ましくないということでありますけれども、もう既に、郵貯というのは、預貯金の市場では民間産業と競争しているわけでありまして、あるいは郵便事業についても、今後は民間参入を検討されると答申ではなっているのですね。そういう意味では、あくまでも民間産業と一緒の市場でやる事業じゃないのでしょうか。それを、民間産業と一緒にするのはつじつまが合わないから、国特有のサービスだからという言い方をされたと思うのですけれども、総務省に置くと。ちょっと理解ができないわけですが、ちょっと論を進めていきたいと思います。  そうしますと、総務省の下に郵政事業庁を置くということでありますけれども、この郵政三事業の監督権限は、総務省の大臣は将来、総務大臣というのでしょうかね、総務大臣が持つのか、それとも、郵政事業庁の長官という呼び名になると思うのですが、長官が持つのか、それはどちらなのでしょうか。どうぞ。
  234. 小里貞利

    ○小里国務大臣 二〇〇一年一月一日の移行のときには、郵政企画管理局を総務省の内局に置きますから、これはきちんとここで、言うなれば企画立案機能を十分果たしていける。そしてそれから、今お話がございましたように、郵政事業庁という、いわば実施機能として外に下げられる。そして、それからおおむね二年たちましたときにこれを公社化をいたしますから、そういう体系でお考えいただけばと思います。
  235. 坂野泰治

    ○坂野(泰)政府委員 大臣のお答えいただいたものに若干補足を申し上げさせていただきます。  御指摘の郵政事業庁に対する監督の問題でございますけれども、総務省の、これまででいえば外局、この基本法でいえば実施庁の位置づけとしてこの事業庁が置かれるということでございます。したがいまして、総務大臣がこの実施庁に対する監督責任を負うということになるわけでございます。事業庁長官は、まさに事業の実施そのものについて責任を負うということになると思います。
  236. 松沢成文

    松沢委員 今度の省庁の統廃合で、金融監督庁というのもできるのですね。  さて、郵貯、簡保というのは公的金融と言われています。この公的金融の監督権、これは金融なのですから、金融監督庁に置くべきじゃないですか。こういう議論はあったのでしょうか。もしそれは違うというのであれば、なぜ違うのか御説明いただきたいと思います。
  237. 坂野泰治

    ○坂野(泰)政府委員 現在の郵便貯金事業あるいは簡易保険事業は、国の責任で、国がみずから直接に運営をしておる事業。他方、金融監督庁の役割というのは、あくまで民間の金融システムの秩序維持その他の目的のために民間の金融機関等を監督する。おのずから役割が異なる、あるいは役割を担う次元を異にするということになっておると思います。  このような制度的、あるいは監督の枠組みというのは、今後、郵政事業が郵政事業庁を経て新たな公社に移行したという場合にありましても、この新たな公社というものは、国が最終的に責任を負う国営として運営される事業でございますから、国がみずからの責任のもとで運営し、みずから律するということになると考えられますし、また、金融監督庁が金融庁に改組されるということがございましても、この金融監督庁が従来から担っていた事務が仮にそのまま引き継がれるとすれば、民間に対する監督という責任については、やはりこの金融庁がその任に当たるということだと考えております。  このような仕組みのもとに、国は、全体としてその責任を果たしていくということになるのではないかと考えております。
  238. 松沢成文

    松沢委員 国営と民営は監督も分けるべきだという議論なのでしょうが、ただ、これは国民から見ますと、郵貯も民間銀行も、預貯金という市場では完全に一緒にやっているのですね。お互いに預金者を探して、金利をつけて返すわけです。  それで、この金利というのも、民間金利に連動していろいろシステムをつくっているわけですね。ですから、これはもう金融の分野として一緒に競合しているわけですよ、郵貯も民間金融機関も。(発言する者あり)それで、市場は一つになっているわけですね、今、後ろからお話がありましたけれども。  銀行の、民間金融の監督者は大蔵省なのです。今度それが新しく金融監督庁になるというのですね。郵貯の監督者は今まで郵政省、これが今度、郵政事業庁になっていくわけです。同じ市場に監督者が二人いるのですよ。土俵が一つで行司が二人いるわけです。これじゃ、健全な市場、公正な市場と言えるのでしょうか。  もう一つ例を出しますけれども、郵便小包ですね。この郵便小包も、民間会社がやっている宅配便と同じ市場で争っています。全く同じ市場であります。お互いに競争しているのです。それで、郵便小包の方は、今は郵政省が監督しているのですね。民間の小包、宅配便の方は、これは貨物自動車運送事業法という法律によって運輸省が管轄をしているのです。同じ市場にこちらも行司が二人いるわけなのです。これじゃ公正な市場、開かれた市場、透明な規制などというのはできないのですね。  この市場をしっかり統一すること、一生懸命、事前の調整型から事後チェック型にすると言っているのでしょう。そうしたら、この監督者を一つにまとめることをやらなければ行政改革にならないのじゃないでしょうか。一つの市場には監督者が一人いてこそ、そこで初めて公正な競争が保証されるのですね、大臣。  一つの土俵に行司が二人になっている。郵貯というのは世界最大の金融機関です。これが、金融行政を担っているはずの大蔵省、将来は金融監督庁は、この郵貯には全く手が出せないわけであり ます。行司が二人いるために、公正な市場、行政の整合性がとれていない、このことについて大臣はいかがお考えでしょうか。
  239. 自見庄三郎

    ○自見国務大臣 松沢委員にお答えをさせていただきます。  今さっきの監督の話、また具体例を出されたわけでございますが、御存じのように、国営の郵政事業については郵政大臣がみずからの責任で運営いたしておりますし、民間金融機関あるいは宅配便の例を出されたわけでございますけれども、こういった民間企業の提供するサービスについては、それぞれ関係省庁が監督を行っているわけでございます。そして、引き続き省庁再編後も、総務大臣が国営郵政事業全体の責任を負っていくことにごれは変わりはないわけでございますし、今その答弁もあったわけでございます。  今後とも、こうした基本的枠組みに沿って、国が果たすべき責任を関係省庁が分担する中で、郵政事業については、総務大臣の責任のもとで適切な運営に努めてまいりたいというふうに思っております。  なお、民間金融機関等との競合についてでございますが、郵政事業は国営として、いろいろな御意見があったと思うわけでございますけれども、やはりユニバーサルサービスと申しまして、約三千三百の市町村すべてに郵便局があるわけでございますし、過疎地あるいは有人離島にもあるわけでございます。また、高度の公共性からくる制約として、ユニバーサルサービスへ不採算地域を含む全国サービスの提供義務、特に小口、個人という限定したサービス上の制約も、これは法律上公益性がある、公共性があるということで負担しておるわけでございます。  そういった中でも、同時にやはり、民間市場とのバランスに配意することも大事でございますし、今委員御指摘のとおり、郵便貯金の金利につきましても、実は、三年物の民間の金融機関の定期預金の〇・九五、こういうふうに連動しておりますし、出口の部分も、御存じのように、十年物の国債の表面金利に連動している、こういったことをさせていただいておるわけでございます。  いずれにいたしましても、国民生活に不可欠な今申し上げましたユニバーサルサービスということを通じて、やはりひとしく、あまねく国民利用者の立場に立ってその利益の向上を図るということが民間事業とは異なる国営事業ならではの基本的責務だというふうに我々は考えておりますから、そういったことを理解をしていただきたいというふうに思っております。     〔委員長退席、野呂田委員長代理着席〕
  240. 松沢成文

    松沢委員 今、一つの土俵に行司が二人いる、これは極めておかしな状況だというお話をしましたけれども、郵便事業がさらに問題なのは、国営であるがゆえにですけれども、郵政省が規制者で、郵政省が事業者になっている。規制をしながら事業をしているということなのですね。市場というのは、規制をする、監督をする人がいる、それはある意味で行政の役目なのでしょう。ただ、プレーヤーは別の人ですね、それで初めて市場というのは成り立つと思うのです。  要するに、行司が二人いるだけじゃなくて、一人の方の行司は力士も兼ねてしまっているわけです。これじゃ公正な市場とはとても言えないと思うのですね。公正な市場と競争をつくるためには、監督者と事業者は絶対に分離されるべきなのです。国営だから、国営だからとおっしゃいますけれども、今後、郵政事業庁が総務省の下にできたとしても、その監督権限は、先ほどおっしゃいましたように、総務大臣がやるわけですから、同じ市場の中で行司と力士が一緒のところで管轄しているわけですね。これじゃ市場として機能しないと思います。  したがって、郵貯、簡保は、しばらく国営であるといっても、それは政府の方の方針でありますから、私は民営化すべきだと思いますが、少なくとも金融監督庁の中に入れて、やはり国営であっても金融機関として扱うべきなんです。イギリスは、郵貯の改革のときに大蔵省のもとに郵便貯金の事業を移しているのです。それで事業者と規制者は分けているわけなんです。  この点については大臣、いかがお考えですか。
  241. 自見庄三郎

    ○自見国務大臣 今さっき私、答弁の中でも申し上げましたけれども、基本的に言えば、郵政事業については、やはり監督者と事業者が区別される民間事業の場合と同列に論じるのは適当でないというふうに思っております。  その理由は、今さっき申し上げましたように、やはり国営でございますから、国営でないとできないというふうなまさにユニバーサルサービスの問題があるわけでございますし、あるいは民間事業と異なる目的、行動原理の下で運営されているということもございますし、そういったことを踏まえてやはり民間事業者の場合と同列に論ずることは適当でないというふうに私は思っております。
  242. 松沢成文

    松沢委員 私は、郵政三事業は国営でなければ絶対できないとは全然思っていないわけで、この基本認識が違うから多分議論がかみ合わないのだと思います。  それではちょっと話を進めますが、郵政事業庁はその後、新型公社に移行するということですけれども、二〇〇一年に郵政事業庁ができ上がります、先ほど総務庁長官がおっしゃいましたように、その二年後の二〇〇三年には公社化かということですが、これははっきりしないのです。我が党の池田委員が先日質問させていただいたときに、二〇〇三年なのか二〇〇五年なのか、これは最終答申を決める中でも相当議論があったと思うのですが、郵政公社が立ち上がるのは、郵政事業庁ができて二年後の二〇〇三年なのか、それとも二〇〇五年なのか、ここをはっきりしていただきたいと思うのです。
  243. 小里貞利

    ○小里国務大臣 これは郵政大臣の方からお答えいただくのが本当かと思いますが、御指名でございますから申し上げます。  私どもは、願ってかなって二〇〇一年一月一日移行、これを心から期待をいたしております。しかも、今郵政大臣のお話にも感じられまするように、郵政省も、郵政事業庁等のことを含めまして、これが改革には積極的に御協力をいただいております。  そこで、二〇〇一年一月一日移行ができましたと仮定いたしますと、二年間かけて公社化への作業をいたしたい。しかも、これは申し上げるまでもなく三十万人という大部隊の移行でございますから、それぞれ業務上の内外にわたる整備、あるいは公社化のための準備が必要であるわけでございまして、言いかえますと、郵政事業庁の手によってその膨大なる一つの公社化作業もしていただかなければなりませんし、また、その旺盛な意欲もありますから、それから計算をいたしまして二年後、こういう一つの原則があります。  ただし、これは言いたくもありませんけれども、二〇〇一年一月一日の移行は、もしそこに例えば六カ月ずれたといたしますと、それなりにまた二十四カ月間の準備期間というものが六カ月間短縮されることは郵政事業庁にとってもこれは都合の悪いことだろう、そういう配慮から、もしずれたときには、ずれた分だけそれに順応して延期しますよ、こういう一つの配慮でございまして、決して最初から二年以上のものであるというわけではございません。
  244. 松沢成文

    松沢委員 二〇〇一年にできれば郵政事業庁は立ち上げていただいて、できればその二年後を目標にやりたいということですね。目標年次は、そうすると二〇〇三年が目標年次になる、わかりました。  そこで、今回の行革案の中で独立行政法人というのが出てきました。政府のやっている仕事の中で独立採算で民間の経営手法も利用してやれるところはできるだけそちらに移していこう、ただその対象はまだ決めていない、これからだということなんですね。  さて、郵政事業庁を将来、新型公社にするということなんですが、なぜ独立行政法人じゃいけないのか、独立行政法人と、郵政事業庁が将来目指 している新型公社というのはどこがどう違うのか、これを御説明いただきたいと思います。
  245. 小里貞利

    ○小里国務大臣 郵政公社は、先生もお触れになりましたように、事前管理から事後評価への転換を通じまして、自律的な、弾力性のある運営の確保を図る、ここに大きな経営の根幹がありますが、そういう基本的な方向性は独立行政法人とさほど変わりはない、そう思います。  しかしながら、郵政事業は企業性を有することから、先ほどお話がありましたように、独立採算を前提とする企業的な経営組織とするため新たな公社の仕組みを適用することといたしたわけでございまして、他方、独立行政法人については、企業性や独立採算制を前提とせず、必要に応じては財政措置を講ずることも想定しておりまして、企業的な新たな公社とは性格を異にするもの、そういう判断でございます。
  246. 松沢成文

    松沢委員 としますと、独立行政法人よりも公社の方がより政府から独立して企業的な運営を目指す、一歩民間に近いというか、より独立しているわけですね。  大きな矛盾があるのは、ではなぜその職員は、より民間の方にいっている新型公社でまた新しい新型公務員という形をつくって公務員を残すのか。逆に独立行政法人の方は、新型公社よりも企業性はちょっとないのだけれども、その職員については国家公務員ではない方向に今後考えるというふうに私は聞いているのですけれども、この職員体制のあり方は今の長官の説明からすると全く矛盾するのじゃないでしょうか。
  247. 小里貞利

    ○小里国務大臣 独立行政法人の一つの取り扱いにおきまして、本当に団体、たくさんありますね、その対象が。その団体ごとに、いろいろ性格の異なる、あるいはまた業態の異なるものが多様にわたっております。  その中で、いろいろ議論をいたしまして、いや、私なんかはやはり国営の方がいいんだ、国家公務員がいい、そうおっしゃる一つの施設、機関、団体も多々あるだろう。あるいはまた、中にはそうでないことを希望せられる施設、団体等もあり得るのじゃないか。あるいはまた、国家公務員という格好で発足をいたしましても、他日、いや実は民営化を、ここでひとつ国営の域を脱したいということもあり得るかもしれない。そういうようなさまざまな議論の過程がありまして、独立行政法人の場合には両方にかけたといういきさつがあります。  それから、郵政公社の場合でございますが、まず基本的に御理解いただきたいのは、本当に郵便貯金そして郵便事業にかける大変長い沿革がありますし、そしてまた今日の組織規模も三十数万という膨大なる一つの組織でございます。これをこの際改革でございますが、いかがいたしますかと、いろいろな議論がありました。過程におきましては、もう御承知のとおりでありますから省略をいたします。  そういう一つの現状に照らしまして、そしてでき得る限りこの際、先ほど申し上げましたように自主性のある、弾力性のある、独立採算制で、そしてできるだけ業務や組織の改善が限りなく可能性に近い方向の仕組みをつくらなければいかぬ、そういう視点から考えてまいりましていろいろ検討を進めてまいりましたが、その過程におきまして、いや実はやはり国家公務員がいいんだ、国家公務員を維持する形ではどうだろうかという世論と申し上げましょうか、相当なものもありました。  そういう一つの話もありましたが、同じ国家公務員という身分を保障するにしても、それは従来の国家行政機関の中における国家公務員とは多少考え方を変えて、新しい理念に基づくと申し上げましょうか、新しい概念に基づく、言いかえますと、先ほどお話がありましたように、公社法によって特別に付与せられる国家公務員という形を形成することが妥当なのではなかろうか。  しかして、先ほど申し上げました、弾力性のある、企業性に富んだ、そして生産性を高める、そして組織もそこで働く人たちも、汗をかいて一生懸命働けば働くほどその成果というものは何らかの形で還元せられる、言いかえますと、国営の本来の国家公務員の形においてはなしがたき一つの組織というものがっくれるのではないか、私は、そういう一つの知恵であったのではないか、さように思います。  もう一つ整理して申し上げますと、国家行政組織法あるいは総定員の対象に置かない、新しい国家公務員の概念に基づく国家公務員である、そういう一つの認識でございます。
  248. 松沢成文

    松沢委員 橋本総理も、郵政の三十万の方々は新たに総定員法の中の国家公務員じゃなくなって、そんなに減るんですよ、あと、その残りの一般職の中からも一〇%減らしますよ、これは大分減らすのですよと言うのですが、今長官の話を聞いていると、郵政三事業は国営維持で、その職員も国家公務員なんですよ。新しい、新型公務員といっても、国家公務員なんですよ。そういう意味では、これでは国家公務員の数はほとんど減らないんじゃないですか。これで果たして行政改革と言えるのかどうかも、私は大きな疑問が残ります。  ちょっと論を進めますけれども、そうしますと、新型公社というのは、企業会計原則だとか中期の経営計画だとか、民間の経営手法を導入して自主的な経営を目指すとされている。  そこで、私この前の予算委員会でもお聞きしたんですが、この新型公社というのは、小泉厚生大臣は、こういう体系にしたら将来必ず民営化につながっていくんだ、だから私は賛成したんだと言うのですね。ところが、自見郵政大臣は、これは絶対、将来民営化するものではありません、国営でずっと維持するんですと言うのですね。私は、これは内閣の中でお二つ考えがあって、内閣不一致にも受け取れるんです。  さて、総務庁長官は、これは自見郵政大臣も大体意見はそうですね、民営化しないという方ですね。どちらなんでしょうか。小泉厚生大臣は民営化につながるとはっきり言っているんですよ。ここはやはりはっきりしてもらわないと、将来どちらの方向に行くかわからないものに対して私たちは賛成も反対もできないですから、ぜひともよろしくお願いします。
  249. 小里貞利

    ○小里国務大臣 これは、ざっくばらんに申し上げまして、小泉大臣のお話が出ておりますが、小泉大臣も御承知いただいておると思いますけれども、例えば、今次の法案の大前提となりました行政改革会議の最終報告も御了承いただきましたし、あるいはまた、今次の内閣が基本法案を国会に提出するについても閣議で御賛成をいただきました、その公的基本があることをまず御理解いただきたいと思います。  それから、そのほか、造詣の深い小泉さんですから、一つの政治家としての志をお述べになったかとも思うのでございますが、それはそれとして、一体これは民営化というのがいろいろちまたで云々されておるがというお話だと思うのでございますが、私の立場から申し上げますと、これは、今次の公社化を図るについて、政府といたしましても、いろいろな角度から関係者と丹精込めて議論をいたしました結果が今次の法案でございます。  しかも、これはもう釈迦に説法でございますが、今次の法案の中におきましても、第三十三条一項の六号に、きちんと改革はやりますよ、しかしながら、精神として申し上げまするなれば、こういう大きな仕事を決めて、そして法案を諮っているんだから、これはこの形態でいきますよという精神をきちんと明記しておりますから、私は、あの精神を大事にするべきである、それがまた政治としても信義だ、そう思っております。
  250. 自見庄三郎

    ○自見国務大臣 松沢委員の御質問でございますが、先生御存じのように、中央省庁等改革基本法案、この法律でございますが、三十三条において、国営の新たな公社については、今先生述べられましたように、独立採算のもと自律的かつ弾力的な経営を可能とする、それから予算及び決算は企業会計原則に基づき処理するものとし、予算に ついては毎年度ごとの国会の議決は要しない、また、経営に関する具体的な目標の設定、中期経営計画の策定及びこれに基づく業績評価を実施する等の措置が法律に書いてあるわけでございまして、なおかつ、民営化等の見直しを行わないものとすることというふうに、これはもうはっきり法律に明記してあるわけでございますから、民営化の方向を目指すものじゃないというふうに私は思っております。  それから、一点、公務員の話でございますが、国営の新たな公社の職員の身分でございますが、一般職の国家公務員と同様に保障されるものと理解をいたしておりまして、なお、詳細については今後政府部内において検討されるものであるというふうに私は認識を持っております。
  251. 松沢成文

    松沢委員 では、自見大臣、確認したいんですが、この法案を見る限り、小泉厚生大臣の言っている意見は間違いですね。それだけ確認させてください。はっきり言ってください。
  252. 自見庄三郎

    ○自見国務大臣 この法律の持っている基本的性格から考えて、私の言っていることがこの法律の基本的精神を体しているというふうに私は思っております。
  253. 松沢成文

    松沢委員 小泉大臣が言っていることが間違いだったということだと思います。  さて、次に、もうちょっと基本的なところから両大臣の御意見をお伺いしていきたいのですが、郵政三事業はどうしても国営でなければできないとおっしゃるわけですが、その理由をわかりやすく御説明いただきたいと思います、なぜ国営でなければできないのか。
  254. 小里貞利

    ○小里国務大臣 行政改革会議におきまする審議で、相当な時間をかけて議論をいたしました焦点であったこと、御承知のとおりであります。  九月三日の中間報告も、先生あるいは言われるかもしれませんが、その前後から十二月三日の最終報告をまとめるまでの間、この郵政三事業というのは一体どういうふうに取り扱ったらいいんだろうか、改革という唯一の目標だけは尊厳なるものだ、これは乱してはいかぬが、その手段としてはどういう方向があるのか、大分私どもも悩まされた事項の一つであることだけは率直に申し上げます。  その間、静かに、一体国民皆さんはどういう方向を志向しておいでになるんだろうか、あるいはまた、国会内外の各政党の皆さんはどうなんだろうか、本当に私は、耳をそばだててと申し上げておりましたが、まさに耳をそばだてて、三歩下がって世論の動き方を本当に注目を申し上げておりました。全国三千数百自治団体、三千を超える団体の皆さんが、これは民営化じゃいかぬよ、あまねく全国津々浦々まで、百二十年前後、国家の発展に貢献してきたこの実態というものは大事にするべきだ、そして、これは今日においても本当にすばらしい機能を果たしておるよ、大変な機能を持っている、今次の改革においてもこのことだけは大事にせよ、そういう声であったことだけは私は否めないと思うのですね。  ですから、一つの利便性、いわゆる国民の利便性というものも考えなければならぬし、国民世論がどの方向を求めているかということも注目をいたさなければならなかった。少なくとも私のところには、政治家の皆さんも、これは民営化でやるべきだよという声はほとんどなかった。(発言する者あり)私は聞かされなかった。本当に、これは全体的にと言っていいぐらい、やはり三事業一体で国営でして、そして中身を実質的に改革をするべしと。  そして、先ほどもいろいろお話を申し上げましたように、例えば、国家予算統制もやめなさいよ、預託もやめなさいよ、独立採算ですよ、民間企業に近いような、お互いに組織と従業員が汗をかけばきちんと生産性が上がる、そしてメリットがあったらそれを組織にも還元できるような形にしたらどうか。今四現業だけれども、先に民営化していったあの現業の皆さんたちをよく判断しながら検討しなさい。  したがって、例えば単年度主義でなくて多年度主義で、繰り越しもあるいは移流用も、あるいはその剰余金などの留保等も認めていいよ、そこまで胸ぐらを開いて合理化、近代化した企業形態にしようということに関係省の皆さんも決断をしてもらったし、また、大体がその方向で意見がそろってきましたから、この際、ひとつそういう方向で決断しようということにいたした一つの経緯を御理解いただきたいと思います。
  255. 自見庄三郎

    ○自見国務大臣 郵政事業は、もう先生御存じのように、独立採算制でございます。また、今さっきから申し上げておりますように、全国津々浦々、二万四千六百、明治四年創業以来百二十七年かかって全国のすべての市町村に郵便局の国民の財産としてのネットワークが今ございます。また、郵便、貯金、保険のみならず、国の窓口機関として、年金の支払いは、実に三分の一近い方は年金を郵便局の窓口で受給しておられるという現実もございます。そういった中、やはり国民生活に欠くことのできないサービスを全国あまねく公平にユニバーサルサービスを提供し、国民からおかげさまで高い評価を受けているというふうに認識をいたしております。  そういった中で、今、小里総務庁長官が言われたわけでございますけれども、中間報告以来いろいろな論議があったわけでございますが、私は、行政改革というのは、簡素、効率、国民のためにというのがやはり行政改革の基本的な精神だ、こう思うわけでございます。国民方々の御意見、いろいろな各種世論調査がございましたが、大体六割から七割の方が国営、三事業一体でいいんじゃないか。また、全国に三千三百二の地方議会がございますが、実に九八・七%において郵政事業の国営支持を決議をされたというふうに聞いております。  こういったことを踏まえて、やはりそういったことを取りまとめて今回の最終報告あるいはこの基本法になったのではないかというふうに思うわけでございますから、やはり利用者の立場に立つて、国民の立場に立って、郵政事業が国営事業として果たしてきた基本的な役割は今後とも維持すべきであるというふうに私は思っております。
  256. 松沢成文

    松沢委員 国民にアンケートをすると、半分以上の方が国営化維持の方がいいとおっしゃるんですが、どこまで国民皆さんが今の郵政事業の実態にりいての情報を知った上でアンケートがなされているか、これはやはり疑問なところがあるんですね。例えば民営化すると田舎の方の郵便局は全部つぶれるんだ、こんな宣伝がされてしまった後にアンケートされれば、それは困ると言うに決まっているんですね。なぜ国営でなければ、絶対に田舎の郵便局がつぶれるかというのも極めて極論でありまして、これはもう諸外国でいろいろな改革をやっておりますけれども、そうなっていないところもたくさんあるんですよ。  例えば、今先進国で郵政三事業を国直轄で、独立採算制だけれども、国が直営してやっているのは日本だけですよね、御承知のとおりだと思いますけれども。もう欧米の先進国では郵政三事業、どんどん改革に入っています。民営化どころじゃない、民間参入も認めているところがある。  例えばオランダなんかでも、一九八九年にPTTポストですかあるいはテレコムが、電気通信も一緒にやっていますから、分割・民営化している。政府の四五%出資の持ち株会社のもと株式会社となっている。郵貯はもう一九八六年に民営化、ポストバンクというふうになっています。  ドイツでも、一九八九年に郵便の方は公社となって、その後株式会社になっている。ドイツでは、憲法で郵便と国鉄は国営でなければいけないという規定があったのに、何と憲法改正までして民営化しているんですね、株式会社化している。そして、ことしからいよいよ民間参入も認めようということであります。郵貯もポストバンクというふうにこれは完全民営化になっていきます。ニュージーランドの例はしかりですね。  諸外国にも日本と同じような郵便の制度があったわけです。諸外国にも過疎地には郵便局があって、そこでいろいろなサービスをしているわけで す。  なぜ日本だけ国営にしがみついて、民営化の発想で改革ができないのか。この諸外国との比較においてここは郵政大臣、どう説明なさいますか。日本だけの特殊事情だとおっしゃるんですか。それじゃインターナショナルスタンダードに沿った改革は全然できないと思いますが、いかがでしょうか。     〔野呂田委員長代理退席、委員長着席〕
  257. 自見庄三郎

    ○自見国務大臣 私は郵政事業の国営、三事業一体というのは、基本的にイギリスという国で十九世紀の中ごろからちょっと前ごろ始まったというふうに思っております。明治時代、明治四年に郵便制度ができたわけでございますが、日本も当然そのことを私は制度として取り入れたと思っております。  私は、日本の郵便局の二万四千六百のネットワークというのは三つの特徴があるというふうに思っております。それは一つ目、独立採算制、二つ目は特定郵便局長制、三つ目が国営、三事業一体。これは、特に特定郵便局制度というのはほかの国にない、非常にある意味で明治時代から民活を取り入れた部分がある。  御存じのように、特定郵便局というのは、基本的には局舎あるいは土地は局長さんの私有財産でございますけれども、それを郵便局長さんに任命をさせていただく、こういった制度で初期の時代から成り立っているわけでございます。この特徴があったから、あの第一次世界大戦の激動期でも、第二次世界大戦の激動期でも、この郵便局の二万四千六百を基本とするネットワークは、やはり国民にサービスを提供しつつ成り立ったというふうに私は思っております。  その中で、ドイツ、ニュージーランドとかいろいろ例を挙げましたが、ほかの国はほかの国でいろいろな事情があったようでございまして、特にドイツの場合は、もう先生よく御存じだと思いますが、東西ドイツが統一いたしまして西と東の郵便局が一緒になる、大変設備投資が要る、そういった事情もこれあり、ほかの事業はストライキがドイツでは大変頻発いたしまして、国民から、こんなにストライキが起きるような郵便局であれば国民のサービスたり得ない、こういった批判も出てきまして民営化をしたということでございます。  これは株式会社になりましたけれども、一〇〇%国家が株式を持っているということでございまして、民営化というのは、株式会社という論点に立てばそうでございますけれども、やはり特殊会社になっても一〇〇%国家が実は株式を持っているということでございます。ユニバーサルサービスをこれは外したわけでございまして、ほかのところは民間委託をするということでございますが、しかしながら、御存じのようにポストの数、これはもう委託を合わせて減少いたしております。  これは御存じのように、郵便制度というのは国内同一料金そしてポスト投函制というのが近代郵便制度の大原則でございますが、そういった中、ニュージーランドもやはりドイツも、改革だ、こう言われますけれども、その一面、ポスト数も減る、過疎地は郵便事業のサービスを受けられない、こういった現象も起きているわけでございますから、やはり今回の改革はそういったことをトータルに判断、日本国の改革もトータルで判断をしていただきたい、私はこういうふうに思っております。
  258. 天野定功

    ○天野政府委員 先生の方から諸外国の例を挙げられまして日本の国営はどうかということでございますので、若干事実に即して大臣の答弁を補足させていただきます。  まず、自由主義の最も進んだアメリカでございますが、アメリカはこれは完全に国営でございます。USPSという国の機関が直接郵便事業をやっておるところでございます。  それからまた、最も世界の郵便のベースとなっている、日本もその国をまねたのですが、イギリスでございますが、イギリスはいわゆる国営ではございませんけれども、パブリックコーポレーション、国に近い機関になっておりまして、これは依然としてまだ民間化されていないということでございます。  それからまた、先生が挙げられたオランダとかニュージーランドでございますけれども、これらは確かに特殊会社ということで国が株式を持っておるわけでありますが、しかし、やはりこれは国が全額まだ保有しておりまして、そしてそういう中で、郵便サービスについては自由な形で民間が参入できる状況ではございません。やはりここは郵便のサービスは特殊会社という非常に特殊な形態のもとに一元的になされているという事情がございます。  そういった形で、必ずしも先進国が一律に民営化しているというのは多少事実としては適切じゃないように思っております。
  259. 松沢成文

    松沢委員 ちょっと時間がないので論を先に進めますが、今回の最終答申、この法律の中に郵便事業の民間参入についてその具体的条件の検討に入るというふうになっていますけれども、郵政大臣、この民間参入については、いつまでに、どのように実行をしたいと考えているのでしょうか。この五年後の公社設立までには準備を整えなければいけないと思うのですけれども、どうでしょうか。
  260. 自見庄三郎

    ○自見国務大臣 郵便事業に対して民間参入の条件を考える、そういったことに今回の法律もなっているわけでございますが、基本はやはり、今は国による郵便事業をやっておりますが、このユニバーサルサービスが確保できるということは大前提だ、私はこういうふうに思っております。  そういった中で、実はことしの二月に、郵便のユニバーサルサービスの在り方に関する調査研究会というのをつくりまして、座長に神戸大学の教授の佐々木教授になっていただいたわけでございます。そういった方々に集まっていただきまして、今海外の事情を中心にユニバーサルサービスの確保についていろいろ研究会を開催をしておるところでございまして、なおかつ、これには法律、経済の専門家も入っていただきまして、幅広い観点から各界各層の意見を聞いてまいりたいというふうに思っております。  いずれにいたしましても、今の段階では具体的な条件について結論を得る段階にはないわけでございますけれども、郵便事業につきまして民間参入の可能性あるいは条件について検討するということでございますから、そのことについてまだ具体論は得ておりませんけれども、調査研究会をつくって鋭意検討しているということを御理解をしていただきたいというふうに思っております。
  261. 松沢成文

    松沢委員 郵便事業の民間参入について、郵政省は、安易に民間参入を認めればクリームスキミング、要するにいいとこ取りですね、いいとこ取りが発生して、全国一律料金制やあるいはポスト投函制が崩壊するというふうに述べています。  しかし、同じユニバーサルサービスが必要なガスや電気というのは、全国あまねく地域に民間によって提供されているわけですね。不採算地域から撤退していいとこ取りは起きていないわけであります。そこは市場をどう規制していくかの問題でありまして、法律で、例えば全国のサービスを義務づける、あるいは一律料金制のもとであれば市場参入を認めるとか、いろいろな条件をつくれば、これはクリームスキミングが起きないことは幾らでもできると思うのですね。  例えば、一つ例を出しますけれども、一九八五年に電気通信事業、要するに電電公社がNTTになって、民営化されただけじゃなくてほかの会社の、民間の参入も認められたわけです。このときの議論が全く今と同じなんです。  民間の参入を認めれば、東京と大阪の間とか、一番もうかる通信の電話、ここで全部民間、新しく入ったところがいいとこ取りをするんじゃないか、こう言われたんですね。ところが、やってみた結果は、そんなことは全くない。ネットワーク産業ですから、全国にネットワークを張らなければ勝負にならないということで、そういうことは 全く起きなかったわけでありまして、今また郵政省がこの論理を持ち出しているというのは、非常に私は疑問に思うのですね。  したがって、今後、電気通信事業でも、民営化、民間参入によって料金は安くなる、サービスはよくなる。また、民営化ですから、それで利潤が上がれば国庫に税金も納める、そして民営化によって株を売却すれば、そこで十兆円近い売却代金が上がって国庫に貢献をする、こういう形になっているわけでありまして、この電気通信事業と比べても、郵政三事業の民営化というのは私は可能だと思っております。  それで、先ほど大臣が民営化されてポストが減ったというようなお話をされたと思うのですが、確かにニュージーランドでは、民営化されて郵便局の数は減っているんですね。ただ、民営化されて、ポストがいろいろなところに置けるようになりましたから、オフィスのビルディングの中にもポストは置ける。ポストの数は、私はふえていると思うのですよ。ですから、一般国民のポストまでの距離というのは逆に民営化されて便利になった。あるいは、民営化されて事業が自由になりますから、コンビニエンスストアと併設したり、コーヒーショップと併設したり、文房具をそこで売ったり、さまざまな、それこそワンストップサービスができるようになって、むしろ民営化されることによって、過疎の郵便局であってもいろいろな事業を組み合わせることによって便利になっている、こういう見方もできるわけでありまして、民営化されると郵便局が減るとかポストの数が減るとか不便になるとか、地方の人が困るというのは、極めて一面的な議論であって、私は、国民へのサービスというのを考えたら、むしろ民営化すべきだというふうに思っているところでございます。  もう時間が過ぎておりますので、きょうはこのあたりで終わりますけれども、行政改革というのは民間でできるものは民間でやるということですから、今後ともぜひともその視点で政府に対して要求を続けていきたいと思いますので、御指導をよろしくお願いします。  以上でございます。
  262. 高鳥修

    高鳥委員長 次回は、来る三十日木曜日午前九時委員会、午後零時三十分理事会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時六分散会