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1998-04-20 第142回国会 衆議院 行政改革に関する特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十年四月二十日(月曜日)     午前九時開議 出席委員   委員長 高鳥  修君    理事 虎島 和夫君 理事 野呂田芳成君    理事 二田 孝治君 理事 山口 俊一君    理事 伊藤 忠治君 理事 北脇 保之君    理事 若松 謙維君 理事 中井  洽君       今井  宏君    岩永 峯一君       小野寺五典君    大石 秀政君       大野 松茂君    岡部 英男君       金田 英行君    熊谷 市雄君       小杉  隆君    坂井 隆憲君       実川 幸夫君    下村 博文君       砂田 圭佑君    田中 和徳君       谷  洋一君    戸井田 徹君       林  幹雄君    牧野 隆守君       松本 和那君    宮島 大典君       宮本 一三君    渡辺 博道君       池田 元久君    石毛 鍈子君       石橋 大吉君    岩國 哲人君       上田 清司君    生方 幸夫君       菅  直人君    佐々木秀典君       坂上 富男君    田中 慶秋君       高木 義明君    平野 博文君       古川 元久君    石田幸四郎君       大口 善徳君    冨沢 篤紘君       東  祥三君    石垣 一夫君       佐々木洋平君    平賀 高成君       松本 善明君    深田  肇君  出席国務大臣         内閣総理大臣  橋本龍太郎君         法 務 大 臣 下稲葉耕吉君         外 務 大 臣 小渕 恵三君         大 蔵 大 臣 松永  光君         文 部 大 臣 町村 信孝君         厚 生 大 臣 小泉純一郎君         農林水産大臣  島村 宣伸君         通商産業大臣  堀内 光雄君         運 輸 大 臣 藤井 孝男君         郵 政 大 臣 自見庄三郎君         労 働 大 臣 伊吹 文明君         建 設 大 臣 瓦   力君         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長     上杉 光弘君         国 務 大 臣         (内閣官房長官)村岡 兼造君         国 務 大 臣         (総務庁長官) 小里 貞利君         国 務 大 臣         (北海道開発庁         長官)         (沖縄開発庁長         官)      鈴木 宗男君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 久間 章生君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      尾身 幸次君         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      谷垣 禎一君         国 務 大 臣         (環境庁長官) 大木  浩君         国 務 大 臣         (国土庁長官) 亀井 久興君  出席政府委員         主席内閣参事官         兼内閣総理大臣         官房総務課長  江利川 毅君         内閣審議官   坂野 泰治君         内閣官房内閣安         全保障危機管         理室長         兼内閣総理大臣         官房安全保障・         危機管理室長  江間 清二君         内閣法制局長官 大森 政輔君         内閣法制局第二         部長      宮崎 礼壹君         地方分権推進委         員会事務局長  東田 親司君         総務庁長官官房         審議官     西村 正紀君         総務庁人事局長 中川 良一君         総務庁行政管理         局長      河野  昭君         総務庁行政監察         局長      土屋  勲君         経済企画庁調整         局審議官    小林 勇造君         経済企画庁調査         局長      新保 生二君         科学技術庁長官         官房長     沖村 憲樹君         環境庁長官官房         長       太田 義武君         国土庁大都市圏         整備局長         圏国会等移転審         議会事務局次長 林  桂一君         法務大臣官房長 但木 敬一君         外務大臣官房長 浦部 和好君         外務省欧亜局長 西村 六善君         外務省条約局長 竹内 行夫君         大蔵大臣官房金         融検査部長   原口 恒和君         大蔵大臣官房総         務審議官    溝口善兵衛君         大蔵省主計局次         長       寺澤 竜麿君         大蔵省主税局長 尾原 榮夫君         大蔵省理財局長 伏屋 和彦君         大蔵省銀行局長 山口 公生君         大蔵省国際金融         局長      黒田 東彦君         国税庁次長   船橋 晴雄君         文部大臣官房長 小野 元之君         文部省初等中等         教育局長    辻村 哲夫君         厚生大臣官房総         務審議官    田中 泰弘君         厚生省保健医療         局長      小林 秀資君         厚生省児童家庭         局長      横田 吉男君         農林水産大臣官         房長      堤  英隆君         農林水産省構造         改善局長    山本  徹君         林野庁長官   高橋  勲君         通商産業省機械         情報産業局長  広瀬 勝貞君         中小企業庁長官 林  康夫君         運輸大臣官房長 梅崎  壽君         郵政大臣官房長 天野 定功君         郵政大臣官房総         務審議官    濱田 弘二君         労働大臣官房長 渡邊  信君         建設大臣官房長 小野 邦久君         建設大臣官房総         務審議官    小鷲  茂君         自治大臣官房長 嶋津  昭君         自治大臣官房総         務審議官    香山 充弘君         自治省行政局長 鈴木 正明君         自治省財政局長 二橋 正弘君         自治省税務局長 成瀬 宣孝委員外出席者         衆議院調査局第         三特別調査室長 田中 達郎君     ――――――――――――― 委員の移動 四月二十日  辞任         補欠選任   熊谷 市雄君     田中 和徳君   小杉  隆君     大石 秀政君   松本 和那君     渡辺 博道君   宮島 大典君     岡部 英男君   池田 元久君     生方 幸夫君   田中 慶秋君     佐々木秀典君   古川 元久君     石毛 鍈子君   福島  豊君    石田幸四郎君 同日  辞任         補欠選任   大石 秀政君     小杉  隆君   岡部 英男君     宮島 大典君   田中 和徳君     下村 博文君   渡辺 博道君     林  幹雄君   石毛 鍈子君     古川 元久君   生方 幸夫君     菅  直人君   佐々木秀典君     石橋 大吉君   石田幸四郎君     福島  豊君 同日  辞任         補欠選任   下村 博文君     熊谷 市雄君   林  幹雄君     松本 和那君   石橋 大吉君     坂上 富男君   菅  直人君     池田 元久君 同日  辞任         補欠選任   坂上 富男君     高木 義明君 同日  辞任         補欠選任   高木義明君      田中 慶秋君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  中央省庁等改革基本法案内閣提出第四一号)      ――――◇―――――
  2. 高鳥修

    高鳥委員長 これより会議を開きます。  内閣提出中央省庁等改革基本法案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。野呂田芳成君
  3. 野呂田芳成

    野呂田委員 明治十八年の十二月に太政官達によって日本内閣制度が誕生してから、今日まで百十三年をけみしました。私は、この百十三年間の歴史の中で、日本に三大行政改革があったと思います。  一つは、何といっても明治十八年に誕生した、何しろ日本で初めて内閣が誕生したわけでありますから、これはもう画期的なことであります。第二は、終戦によって新しい憲法が昭和二十二年の五月三日に誕生したその翌年に、第二次吉田内閣が誕生いたしました。これは、それまでの戦時中の内閣体制を換骨奪胎する大変な行政改革であったと思います。そして、今度、橋本内閣による行政改革、これは平成改革と言ってもいいほど大きな改革であった。だから、私は、今度の改革は、日本の百十三年に及ぶ内閣歴史の中で三つの大きな改革であったと、まず申し上げてよいのじゃないかと思います。  とりわけ今度の改革は、戦後五十年間日本が営々として築いてきたいろいろな経済、社会行政システムが激しい内外の環境変化に対応できなくなってしまった、来るべき二十一世紀を迎えて全面的にこのシステムを改めて、新しい日本を築き上げていくための制度を再構築しなければいけない、こういうところに今度の行政改革の意義があると思うのであります。  特に、今度の改革は、一府十二省に役所をまとめたという、これまでの一府二十一省の約半分になったわけでありますが、それだけではなくて、これから、国の事務民営化あるいは国の事務地方分権化、あるいは内閣権限強化、あるいは役人の定数行政組織スリム化、こういう問題を今からやっていこうとするわけでありますから、これは大いに私は評価すべきことだと思います。この改革によってようやく一府十二省になりまして、昭和二十三年の第二次吉田内閣が誕生した、これは一府十一省と国務大臣五人でありましたから、ややそれに並ぶ大改革に五十年ぶりでなった、こういうふうに思います。  しかし、これから総理の御見解をお伺いしたいと思いますが、光があれば必ず影ができる、これは当然のことであります。だから、今まで一府二十一省あった役所を半分にして大くくりをした、その結果、大変巨大な役所ができた、こういうことで本当に問題がないかという懸念が出てくるのは当然であります。  私は、昨年、イギリス、カナダ、ニュージーランド、行政改革先進国と言われる国を三つつぶさに回ってまいりました。そこで、行政改革の四大目的というものが、共通項がございます。  一つは、行政スリム化そして効率化透明化の問題であります。もう一つは、国民に対する行政サービス向上であります。そして三番目は、民営化エージェンシーを促進するということであります。そして四番目は、公務員定数役所のむだを削減するという問題であります。  したがって、こういう先進国行政改革共通目標から見ますと、このように巨大化してしまった役所がこういう四つの要請に果たしてこたえることがうまくいくだろうか、こういう素朴な疑問がわいてまいります。  例えば、労働省厚生省を合併しまして労働福祉省をつくるわけでありますが、この両方の役所を合併しますと、非現業職員だけで十万を超えます。予算の面で見ますと、一般会計国費で十五兆五千億であります。特別会計を見ますと五十四兆六千五百億円であります。両方足しますと七十兆一千五百億であります。こういう巨大な人員と予算を抱えた役所ができるわけであります。また、建設省や運輸省や国土庁北海道開発庁や、こういうものを合併して国土交通省をつくりますが、この場合も、非現業職員が七万人であります。扱う一般会計国費ベース予算で十一兆円を超えるという過大な大きさであります。  こういう巨大な役所が、行政改革で求められる役所スリム化効率化透明化を本当にうまく果たすことができるだろうか、あるいは国民に対する行政サービス向上に本当に役立つのだろうかという素朴な疑問が国民にあるだろうと私は思います。  そういう意味で、ひとつこれらの点について、まず総理の御所見をお伺いしたいと思います。
  4. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 今、幾つかの視点から議員から提起をされた問題点、私は、それぞれに非常に大事なことであり、また、国民に御説明をしていかなければならないことだと思います。  そして、議員の提起されましたその前提に、私は一つつけ加えさせていただきたいと思うのでありますが、ここしばらくの間、現内閣だけではなく、先行する内閣におかれましても、例えば規制緩和というテーマに対しては非常に積極的に取り組んでこられました。これはまさに官から民へという動きであり、その動きは、既に三カ年計画が終了し、本年三月三十一日新たな規制緩和推進計画をスタートさせ、これからもそうした動きを継続していく、こうした分野でまず一つ先行している部分がございます。  ここに例示を幾つか持っていますけれども、例えば情報通信分野で、それこそ過剰設備防止条項をやめる。あるいは、外資規制撤廃といった実務的なもの、これはNTTを除いていますけれども。そして、NTT再編法成立をし、NTTを、純粋持ち株会社の下に東西二つ地域会社長距離会社に再編成をする。そして、長距離会社は、再編された後国際通信へも進出ができる。こうした変化は、既に随分たくさんの分野で起きております。そういう意味では、金融分野で外為法を改正したことなども、そういう分野として数えていけるでしょう。言いかえれば、既に官から民へという動きは定着化し、そしてこの四月一日から新たな規制緩和三カ年計画が動いております。  同時に、地方分権につきましても、地方分権推進委員会から既に四次にわたる勧告をちょうだいいたしました。そして、この勧告を受けて、地方分権推進計画を今国会中のできるだけ早い時期に政府としては決定をし、実行に移そうといたしております。  当然ながら、分権が進むこと、また規制緩和が進むこと、それは、地方へまた民間へ国の仕事を移していくわけでありますから、それだけ行政スリム化いたします。そして、今回の改革は、そうした土壌を踏まえた上で、従来の縦割り行政というものに対する批判、その弊害にかんがみて、省庁行政目的別に大ぐくりをする、そして行政総合性向上させることを大きなねらいといたしております。  同時に、今回の改革は、単なる既存行政機構再編によるものではない、あるいは既存行政機構をただ単に統合するだけではない。今申し上げましたような規制撤廃緩和分権推進といったことで各省の行政を徹底的にスリム化効率化を進めていくと同時に、企画実施の分離、あるいは客観的政策評価制度の確立などによって行政透明性を図っていく、そうした考え方を持っております。  当然ながら、この法案に基づきまして、今後、成立の暁には省庁再編などを具体化していくわけでありますけれども、その中においても、行政スリム化効率化透明化というものに十分留意をしていかなければなりません。  さらに、これを補完するものとして、今、情報公開法国会にお願いを申し上げているところですが、こうした分野での制度改正というものもございます。  そして、今議員は、巨大官庁という視点から二つ分野を取り上げられました。しかし、例えば厚生省労働省仕事一つになっていく。これは、ある意味では人の一生を抱えた仕組み、すなわち、子供の時代から社会人となって働き出す、ここには当然ながら雇用あるいは失業、労働安全、そうしたものがあるわけです。そして、その上に、今度はその人たちの健康をいかに管理するか、維持していくかというような問題があります。そして、退職後、生活の柱の一つとしての年金の仕組み、こうしたものが存在をします。こうした行政が一貫して行われることを、私は間違った方向だとは考えておりません。  さらに、もう一つ視点で、国土交通というくくり方、ここには確かに、今の仕組みをそのまま、あるいは予算執行のやり方をそのままに持っていけば、当然ながらそういう御批判は出てきます。だからこそ、本省が持つ機能、これは企画立案というものを重点にする。そして、ここが実施をするものも、本当に全国的な視野を持って、相当幅広い仕事、大きな仕事に限定をし、あるいはそれに関連する部分で直接行う仕事は切ってしまう。そして、それぞれのブロックに実質的な予算、これは執行までを含めまして集約をする。  言いかえれば、実施部分企画立案部分を分けてしまう、そういう考え方をとっていくことで、今議員が述べられたような、そうした問題に私たちはこたえていきたい。そこにその情報公開が入り、さらに客観的政策評価制度を確立するといったことをきちんと位置づけることによって透明性も確保されるわけであり、今議員から述べられたような問題点は我々は対応していきたいと思います。  さらに、独立行政法人の問題にも触れられました。こうした考え方をとることを国会にお許しをいただいた段階で、我々はこれを具体的にどの分野で進めていくかを当然考えていくわけですから、そうした方向づけをお認めいただけるかどうかがこの法案にかけられた一つの私どもの大きな願いでもあります。  そして、当然ながら、そういう努力をしていく中、現在も総定員法のもとで国家公務員の縮減を図りつつありますけれども、新しい体制になるときに大きく定員の姿は変わるでしょう。その上で、十年間で一〇%以上の削減を図っていきたい、そうした考え方をこの中に述べており、全体的なプログラム法としての性格の中で、国会の御同意を得られるなら、我々は進めていきたい、その方向をこの中に盛り込んでおります。
  5. 野呂田芳成

    野呂田委員 総務庁長官がおいででございますから、総務庁長官お尋ねいたします。  この改革案で新たに総務省が誕生することになっておりますが、これは総務庁郵政省自治省公正取引委員会等が、考えてみますと余り脈絡のない所掌事務を扱うところが一括して総務省になるような印象を受けるわけでありますが、これで本当にうまくいくのかどうかという点と、役所に対しまして、これまで行政の不透明さというのが大変国民から声があります。その公平さや客観性をもう少し維持するために情報を大幅に公開しろという意見もあります。この法律では情報公開についても規定しておりますけれども、そのあたりについて所管大臣としての御所見を承りたいと思います。
  6. 小里貞利

    小里国務大臣 まず、先ほどのお尋ね総理の方からお答えがございましたが、その中におきまして、ただいままた改めてお尋ねがございました総務省関係でございます。  なるほど先生前段お話がございましたように、今度の一府十二省庁体制というのは、大変長所もあるけれども、一面においては巨大官庁をつくるという傾向にあるのではないか、新省庁の中において総務省こそその典型的な巨大官庁ではないか、こういうような指摘が一部なされておるところでございます。  先ほど、それらの新省庁編成におきまする、簡素で、そしてまた効率的で、しかも透明性があって、きちんと新しい時代要請にこたえるべくいろいろなことを工夫しておりますよというお話がございました。そういう基準に立って申し上げますと、今お尋ねの新しい総務省こそ、私は外から見たときに、形の上におきましてはなるほど巨大官庁だなという、新しい陣容、体制一つの感じを与えておるかなと思う次第です。  詳しいことは申し上げませんが、御承知のとおり、現在の総務庁が三千六百人、あるいはそれに一緒になってくる自治省が六百人、そしてまた郵政省非現業を入れまして恐らく三十万四千人ぐらい、合計で何と三十万八千人余りの巨大な一つの姿に見えるものですから、それをして、巨大官庁ではないか、こう言われておるのでありますけれども、実は、そのまま数を足してドッキングするのではなくて、足すけれどもその中身においては、先ほど総理大臣の方からお話がありましたように、本来の行政そのもの大改革をいたしますよ。  その改革をする具体的な手段は、例えば地方分権もやる、あるいは官民の分担もやる、規制緩和もやりますよ、あるいは従来事前管理型だったのを、そういう裁量行政から改めまして事後チェックルール行政ルール業態に変えますよ、しかも、そのルールのごときは、具体的に、明確に、かつ可能な限りその裁量の余地を少なくしますよ、こういうお話がありましたが、今お話がありました総務省の新編成こそ「今次の改革が具体的に実質なり得るかなり得ないか最も典型的な新省庁編成作業になる。それだけにまた抵抗あるいは摩擦もありますけれども、そこを断固実践をするところに私は本当の意味のいわゆる改革というものが完成していくものであると思う次第です。  ここは時間の関係もありますから細やかに申し上げませんけれども、新しい郵政省郵政事業庁こそ、今度は新総務庁の外局につくり、そしてその移行後、少なくともこの法律国会で意思を決定せられて、公布せられてから、言うなれば施行五年以内に、五年たったら公社にいたしますから、その公社とは一体どういうものであるかというのはこの後いろいろ議論があると思うのでございますが、現在の国家公務員法対象には置きませんよ、国家行政組織法対象には置きませんよ、あるいは総定員法対象に置きませんよというような基本的なところをきちんと整えてまいりますから、私はこれが巨大官庁ということに当たらないと思う次第であります。  なおまた、今次国会で御相談を申し上げておりまする情報公開法こそ、今次の中央省庁再編成を可能たらしめる最も有力な手続の一つである、私どもはさように認識をいたしておる次第でございます。
  7. 野呂田芳成

    野呂田委員 一問で二十分たってしまいました。私の質問の何倍も答弁される必要はありませんので、ひとつ答弁は整理してお願いしたいと思います。このままだと三問で終わってしまいますから、ひとつよろしく協力していただきたいと思います。  今、総理総務庁長官もおっしゃいましたが、やはり大くくりにしたアフターケアが大事だと思うのですね。だから、両者がおっしゃったように、これから公務員定員削減をどうするか、あるいは補助金の見直しをどうするか、あるいは地方分権をどうするか、その受け皿としての地方行政改革をどうするか、あるいは民営化エージェンシーの問題、こういう問題に早速メスを入れて強力にこれは進めないと、やはり国民の皆さんは、大きな役所をつくっただけではないかと心配になってまいりますので、私はそのことを御指摘しておきたいと思います。  次に、公務員定数削減の問題でございますが、中央省庁改革基本法は、四十七条にも、役所事業事務の縮減問題、あるいは公務員定数削減問題等を明記してございます。それを受けて、これから十年間かけて公務員の数を十分の一に削減するように計画をつくって努力していきたい、またエージェンシー等の問題もやっていくということのようでございますが、私は、この問題についてひとつ考えていただかなければいけない問題は、例えば私はイギリスへ行って、実際サッチャー時代の副首相にお会いして聞いてまいりました。イギリスでは、一九七八年に七十三万六千人いた公務員が一九九七年四月現在で四十七万六千人、約二十六万人、三割強の削減実施しております。  また、ニュージーランドでは、一九八五年、八万五千人だった国家公務員が、九五年までに五万一千人削減して現在三万四千人、十年間で六割強の削減率であります。カナダでも、九五年八月から九八年の七月までの三年間で、三十二万人いた職員を四万五千人削減して、その削減率は一四%であります。アメリカでも、軍隊を除いた公務員、二百八十六万人いた国家公務員が、九三年から九六年までの三年間で二十三万人、八%削減。そしてまた九三年から九九年までに二十七万三千人、これは六年間で九・五四%の削減をしようとしております。  こういうものに比べて、今総務庁が考慮している削減とこういう問題を照らし合わせてどのようにお考えか、ちょっとお考え方を聞いておきたいと思います。
  8. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 今、総務庁長官からも、例えば郵政事業がどう変わるか、そして独立行政法人制度の創設というものを含めて御案内をいたしました。郵政公社ができる、そして独立行政法人が創設をされる、これはいずれも総定員法の外にこの定数を位置づけることになります。  例えば、今冒頭触れられましたイギリス等でも、従来、国家公務員でありましたものが、エージェンシーになりました途端に、その公務員定数の外に置いておりますから、日本の場合に、これは郵政事業公社化されれば、それだけでも約三十万人、総定員数の減においても相当大きなものがあります。その後、独立行政法人がどの程度加えられていくか、その上で中央省庁として考えておりますものが、今総定員法を改正して総数の上限を見直す、そして十年間で最低一〇%の新たな定員削減計画をつくる。これは郵政公社あるいは独立行政法人に移行する定員を除いた部分での議論でありますから、私は相当なこれは減量になると考えております。  行政機能を減量させていく上でも、効率化を図る上でも、この定員削減は御指摘のように大事なことであり、総定員の抜本的な削減に向けて、こうした手法を用いながら、その上で一層の努力をしていきたい、政府は今そのように考えております。
  9. 野呂田芳成

    野呂田委員 行政改革というものは、総論は賛成いたします。しかし、各論になって、実施することになると相当な痛みを伴うのが世界の行政改革の通例であります。  例えば、中国の朱鎔基首相は三月十九日の内外記者会見で、重要課題であります行政改革を当初説明よりずっと前倒しをしまして、年内に人員削減を五割削減を終える方針だというのを発表いたしました。これは、羅幹国務院前秘書長が、国家公務員の五割削減定数改変を年内に進める一方、再就職は向こう三年程度かけると言っていたものを、朱首相が改めてこれを断固として断行することを発表したものであります。  こういう観点から見て、日本のこれからの進め方をどうするのか、もう一度、ひとつこういった各国の首相らの決断等を考えて、総理の御所見を承っておきたいと思います。
  10. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私は恐らく、今日までを振り返りましても、日本国家公務員総定員法というものは、施行されましてからこれは相当効果を発揮した法律であったと思っております。そして、国家公務員国民に対する比率からいきますと、決して日本は多い国ではありません。  その上で、今申し上げましたように、郵政公社の話が触れましたが、国が行っております実施に係る事務事業のうち一定のものに、今度は国とは違った法人格を有する独立行政法人という新たな枠組みを採用させていただきたい、そうした考え方を盛り込んでおります。  当然ながら、これは国家公務員定員からは外れていくわけであります。そして、これは、行政改革を進めていく上でも、この独立行政法人制度を十分に活用できるかどうかというのは非常に大事なことでありますけれども、そうした努力をまず国会にもこの法律を通じてお認めをいただきますと同時に、当然ながら、地方分権により減少する業務、規制緩和撤廃により減少する業務、こうしたものをあわせ、新たにこの一府十二省体制でスタートをいたしますときには、総定員そのものが大きく減っているわけであります。その上に一〇%を減らしていく。当然ながら、そのスタートまでの間も現行の総定員法によりましてできるだけの人数を減らしていく努力は当然していくわけでありますから、私は、この法律案をお認めをいただいた後と現時点における定員管理は全く違う様相になる、そして、それだけ国家公務員というものの数は縮減、各国が言われる以上のものになる、そのように考えております。
  11. 野呂田芳成

    野呂田委員 私は、公務員定員削減する場合に、やはり削減される公務員の生活保障、そういう問題については、必要かつ十分な温かい配慮を政府が責任を持って講じなければいかぬ、こういうふうに思います。  そこで、サッチャー政権の場合の例を少し申し上げておきたいと思いますが、サッチャー政権は、役所仕事民営化エージェンシー化というものを大変積極的に断行いたしました。特に、企業色の強い部門の民営化を強力に進め、あるいは民間の組織運営手法や市場原理の導入を行政に積極的に図っております。業務の民間委託の拡大とかエージェンシー化の導入とか、あるいは人事管理の改革を断行して上級管理職へ民間人を登用する問題とか、あるいは公務員の給与に業績給与を導入する等の問題をやっております。  そういうことをやる一方、エージェンシー化の問題には大変積極的でありまして、一九九七年四月一日現在、イギリスの国家公務員四十七万六千人中三十六万四千人、約七七%がエージェンシーに所属している。こういうことで、イギリスは、行政機構スリム化効率化、サービスの向上を図る一方で、公務員が生活に窮しないような手厚い配慮をやって、この問題を解決している。  日本は、さっきも言ったとおり、大きな官庁をたくさんつくって、いろいろスリム化効率化を図るだけではなくて、こういう先進国の例に倣ってこの問題を考えていくということが必要だと思いますが、それについてのお考え方をお伺いしたいと思います。
  12. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 当然ながら、独立行政法人、これは現在の公務員システムをそのまま採用するものではございません。その運営は、その責任者のもとで弾力化をされ、人件費等につきましても、それだけの採算が上がり、収入が大きくなれば、それだけ手厚いものをする余力も生まれます。そして、効率化を図ることにより、それだけの評価を得れば、それだけの処遇が得られる仕組みであります。  その点は、他国においてエージェンシーと呼ばれております存在と我が国が今これから採用しようとしております独立行政法人は本質的な差異がありませんので、それだけの業績を上げていただければ、それだけの待遇が保証される。そういう意味では、議員の御指摘は、私は前向きなものとして受けとめたいと思います。
  13. 野呂田芳成

    野呂田委員 今、イギリスでは、エージェンシーの数が一九九七年三月末現在で百三十二機関ございます。職員の数も三十八万六千四百七十三人おります。こういうことで、職務実施を独立の機関にゆだね、自律的あるいは弾力的な職務の運営が可能になった、また、統一的な評価の実施を行ったことによりまして、業務の効率化やサービスの向上に格段の飛躍があった、こう報じられております。  また、カナダでもエージェンシーは盛んでございまして、例えば、食品部門の検査部門だけでも七つのエージェンシーがございます。スウェーデンでも、法令の枠組みの中で、各大臣の監督を受けない独立の行政機関が多数存在して、その職員数は、一九九五年九月の調査で、二十二万人に上っております。ニュージーランドも、中央省庁と国営企業の中間的な公的機関が数多く存在して、公的活動を行っている。  こういう実例を見ても、やはり私は、こういう問題は、どうしても役所スリム化効率化、そういうものを実施していく場合に必然的にその裏打ちが必要だとすれば、もう少しこういうものを積極的にやるべきである。こういう中央省庁基本法が出されたときには、少なくともそういうものが幾つかできておって、公務員の皆さんにも生活保障ができるという安心感を与えるものをつくるべきじゃないかと思うのであります。そういう意味では大変おくれている。  私は、エージェンシーというのは、勉強したところによりますと、企業経営の実現を導入できる、そして独立採算で運用しているという点で、国への負担もずっと軽くなるわけでありますから、そういう問題について、総務庁長官、火の玉になってやる意思があるかどうか、伺っておきたいと思います。
  14. 小里貞利

    小里国務大臣 まさに大事な点を二つ三つ御指摘いただいたと思っております。  まず最初に、お話がありましたように、このような本当に画期的な制度の移行あるいは新設をやる前提として、善良なる労使関係等が大事であるよという先ほどの御注意でございますが、まさにそのとおりでございます。  私ども、去る十二月三日、行政改革会議の最終報告をまとめました、そして今次の法案化の作業を急ぎました、そして法案国会にお願いをしてまいりましたが、その過程におきましても最も留意をいたした点でございます。  それから、ただいまお話しの点は、特に郵政公社を初め、特に独立行政法人化等を促進することは、今次の中央省庁再編一つの基準において最も重点的に努力をするべきことではないかというお話でございますが、まさにそのとおりでございます。  現在、皆様方の御理解をいただきまして、特殊法人等も相当切り込んでまいりましたけれども、現在時におきましても八十四ございます。あるいはまた、独立行政法人化への対象機関として、国立の施設、機関等が大、ざっぱに申し上げましておよそ百数十機関にわたる。そのように非常に多くの機関が多岐にわたっておりますから、私どもは、今次この法律国会の意思として決定をいただきました暁には、直ちにそれらの具体的な作業に取りかからなければならない、さように認識をいたしておる次第でございます。
  15. 野呂田芳成

    野呂田委員 総務長官にちょっと注意しておきますが、発言の中に、二つ三つ参考になったことがあったというのは、これはけしからぬ話じゃないですか。こっちは真剣になってやっているんですから、もう少し緊張して、慎重な発言をお願いしたい。そういう言い方じゃ、それは満足しませんよ。  そこで、次に及びますが、去年の三月二十四日のアメリカの経済誌、ビジネス・ウイークにこういうのが載っております。日本は、金融不正が物すごい多発している、これはもう日本の風土病だ、こういう市場の不正というものは改革なんかじゃ直らない、革命が必要だ、この外国の有名な経済誌がこういう指摘をしております。さらに、連邦最高裁判所の判事でありましたブランダイスは、腐敗に対する特効薬は日光である、患部を徹底的に日光にさらす、情報開示こそ企業の病巣をさらけ出し、浄化するであろう、こう述べております。  日本の金融腐敗というものを直視した場合、総理はこれらの指摘をどのように受けとめられているか、御所見をまず伺っておきたいと思います。
  16. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 金融腐敗防止の問題というのは、今議員が触れられましたように、二つの攻め口があると思います。  一つは、まさに自己責任原則を徹底する、市場規律を基軸とした透明性の高い金融行政を進めるという言葉に代表されるやり方、これは、早期是正措置、そしてまた金融検査監督というものに対する信頼を取り戻すだけの検査体制、手法に対する抜本的な見直しという努力であります。しかし、もう一つ必要なものは、まさに今お触れになりました情報開示という視点であると思います。  今国会政府情報公開法案を国会に御提案をいたしておりますけれども、これ以外に、政策などの決定の過程に対して、国民の声あるいは行政部外の専門家の御意見を反映させる場である審議会などの公開を進めること、また、規制の制定や改廃に当たって、広く一般国民事業者の意見を反映させる仕組みとしてのいわゆるパブリック・コメント手続の検討に着手する、規制緩和、許認可などの審査基準の見直しを先般の規制緩和推進三カ年計画の中にも取り込んでまいりました。  こうした個々の行政、あるいはその処分の透明性向上を図るということ、同時にやはり、新たな検査方式というものをきちんと位置づけて効果のあるものにしていく、地道ではありますけれども、この二つの努力が欠かせないものと思います。
  17. 野呂田芳成

    野呂田委員 私は、かつて金融不正問題を何とか防止して、これ以上拡大したくないということで、政調会長の命令を受けまして、党内に金融不正再発防止対策特別調査会をつくって、その調査会長をやり、答申をして、それが商法や銀行法の改正になって実を結んでおります。あるいは組織犯罪対策法になって、それが国会に出てまいっております。そういう経験からいきますと、この腐敗を断ち切る最大の要請は企業倫理の確立、企業の自浄作用がまず何よりも大事なことだと思います。  私は、日本の金融機関を考える場合に、余りにも監査制度が緊張感がないということが指摘できると思います。  アメリカでもイギリスでも大変厳しい監査をやっております。なかんずくドイツでは極めて厳格で、銀行は監査人を選任して届け出る、監査人が不適当と判断される場合は連邦銀行監督局が別の監査人を裁判所に選任させることができる、あるいは連邦銀行監督局は、必要があればみずから監査人を任命し、金融機関の監査を行わせることができる。こういうふうに、世界の先進国は極めて厳正な観点に立って監査を実施しております。  ところが日本の場合は、かつて正しい監査報告を出した公認会計士を首にした機関もあります。こういうことでは監査の公正は期せられません。監査を受けなければならない金融機関が契約によって監査人を雇うことができるという安易なシステムに私は問題があると思います。株主総会に諮って決めるということになっているとはいえ、しょせんは監査を受ける側が監査をする人を自由に選べるという点に問題があるわけでありまして、ある金融専門家は、これは被告に雇われた裁判官が監査人である、こういうふうに断言しております。  こんなことでは厳正な監査を受けることはできません。外部監査人のあり方を厳正に改めるべきじゃないかと思いますが、この点についての総理の御見解を伺っておきたいと思います。
  18. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私は、監査役制度、あるいは議員が言われました外部からの監査人制度、こうしたものをより強いものにしていく、これは当然必要なことだと思いますし、新たな検査方式として今、金融機関などの自己査定及びその公認会計士による監査を前提としながら資産内容の健全性についての実態把握、同時に、いわゆる事前管理ではなく、ルールを明確化した後のルールの遵守状況についての事後的な実態把握、こうした視点に立って、問題が発見された場合には法令などにより厳正な対応をしていくというシステムに変えようとしているわけであります。  こうしたことによりましても私は当然ながら大きな変化が生じると思いますけれども、銀行ばかりではなく、企業に対する監査のあり方という点で提起をされました問題は非常に大きな問題点も含んでおります。私ども、真剣な御提言としてこれを受けとめていきたいと思います。
  19. 野呂田芳成

    野呂田委員 今までは監査の問題でございますが、今度は、現在大蔵省、七月一日以降は金融監督庁が実施することになります検査の問題でございますが、現在の金融検査制度を見ますと、最大の問題は検査官の絶対数が余りにも少ないということであります。  いろいろなデータがありまして必ずしもぴったりしませんが、一番正しそうなのをいただきましたが、この詳細は別として、一検査員当たりの銀行数、アメリカでは一・一行、それからイギリスでは一・三行、日本は三・七行でありまして、ほぼ四倍の銀行を日本の検査員は担当しているということになりますから、これではなかなか厳正な検査を実施することは難しい、こういうことになります。  ですから、検査員の数をふやすことが絶対必要であります。特に、デリバティブ等の新金融技術への対応が大変最近は難しくなってきておりまして、こういうことに対処して、私は金融検査士といったような専門知識を十分に備えた新しい資格制度が必要と考えますが、この点はいかがでしょうか。
  20. 松永光

    ○松永国務大臣 お答え申し上げます。  長くならぬように注意いたしますけれども委員が先ほど御指摘になりましたように、去年の秋から暮れにかけての金融機関の大型倒産等、これはやはり金融機関に対する検査が万全であったかどうか、私は、胸を張って万全であったとは言いがたい、そう反省をしておるところであります。  委員もよく御承知のとおり、この四月一日から自己査定、早期是正措置が適用されることになりまして、金融機関がみずから資産内容その他について自己査定をし、公認会計士等、外部監査をきちっと受けておかなきゃならぬということになっております。それを前提にして、大蔵省の金融機関に対する検査は、そうした自己査定が適正であるかどうか、商法、銀行法あるいは企業会計原則に基づいて適正になされているかどうか、それを厳正にチェックするという仕組みで検査をしていくということになりまして、その旨通知をしておるわけでありますが、今後とも、そういった検査を厳正に行って不正の未然防止に徹底して努めてまいりたい、こう考えているところであります。  なお、六月になりますと、御承知のとおり金融監督庁にこの業務は移りますが、金融監督庁におきましても、今申したような方式で厳正になされて、そして不正防止がなされていくものと期待いたしておりますけれども、人員の点については、委員の御意見、ごもっともと思われる点がありますので、大いに参考にさせていただきたい、こう思っております。
  21. 野呂田芳成

    野呂田委員 私は金融検査士というものを提案しましたが、これは資格要件が伴うので、少し時間がかかると思います。  そこで、現下のこの大変な金融腐敗に対処していくためには、とりあえずプロ集団というものをつくりまして、これは、公認会計士さんとかあるいは私どもの特別調査会でお呼びした何人かの先生方が共通しておっしゃったことは、銀行にかつて勤めておってその経理を担当していた方で、どこに問題があるかということを自分でもみずから体験した人がたくさんいますから、そういう人が実は一番有能な知識人だ、そういう者を契約で今度発足する金融監督庁が雇いまして、仕事が終われば契約を解除するということでやった方が当面は実効性が上がるじゃないか。  あるいは、もう一つは、金融監督庁に附属してエージェンシーをつくりまして、そこで同じような形でそういう者を雇いまして、エージェンシーでやっていく。欧米の場合も、エージェンシーを雇って、全部経費は監査を受ける銀行が負担をしているというのが常識でありますから、日本でもそういう制度が必要だと思います。  この点について、これは将来の金融問題を解決する大変大事な役割でありますから、大蔵大臣に再度お尋ねをしておきたいと思います。
  22. 松永光

    ○松永国務大臣 委員の提案、大変参考になる話だと思いますので、大いにひとつ勉強させていただいて、実現に向けて努力をしたいと考えております。
  23. 野呂田芳成

    野呂田委員 今は亡くなられた司馬遼太郎さんがその書物の中で、「日本歴史は何回か首都を移してきましたが、移転することによってプラスばかり、つまり大変めでたい結果ばかりであったと思います。」こう書かれております。  例えば、平城京から平安京へ都を移転したのをてこにしまして、当時大変な勢いだった仏教のイデオロギーから政治を脱却できたという事実があります。あるいは、鎌倉での政権樹立を機に、争いの絶えなかった荘園制度について、土地の私有制度を確立てきたという事実があります。  司馬さんは、こういった政権、都の所在地を移転させて日本は新たな発展を続けてきた、まさに首都移転こそは社会変革の大変な功績を持っている、こういう御意見を出しております。  この司馬さんの御見識に対しまして、総理はどのようにお考えになられるか、ちょっと聞いておきたいと思います。
  24. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 司馬遼太郎さんの作品は、これに限らず私の拝読するものの多い作家であります。そしてこの議論も、当時も大変私は興味深く拝見をいたしました。  その上で、首都機能移転につきまして現在どのような角度から議論されているか。それは、一つは東京一極集中の是正という観点であり、同時にもう一つは、東京に生活空間を取り戻すための試みの一つとしての位置づけであり、同時に、国土の災害対応力の強化に寄与する、そして国政全般の改革と深くかかわる非常に意義深いもの、このような位置づけでございます。そして、国会等移転調査会に、現在、移転先候補地の選定などについて調査審議をお願いしております土台も、今申し上げたような思いからであります。  そして、首都機能移転というのは、内閣としてやはり極めて重要な課題であると同時に、解決していくべき問題も多々含んでいる、そのような大きな課題だと認識しておりまして、具体化に向けた検討に一層これからも取り組んでいかなければなりません。  物理的に首都機能を移転する、これは政経分離を図ることによりまして、現在進められているさまざまな改革がより一層加速される、また定着されていく、そうした考え方の中で、行政制度及び運営の改善など、行財政の抜本的な改革と的確に関連づけながら進めていかなければならないもの、そのように考えております。
  25. 野呂田芳成

    野呂田委員 司馬さんは、首都機能の移転を行うことによって、新たな発展の基礎となる社会システムの変革が初めてなされるんだ、それが「この国のかたち」の再構築のために必要なんだと訴えてこの世を去られました。このような先達の言葉を我々はかみしめなければいけないと思います。国会の総意として決議した首都機能の移転に、私は、これからも首相は断固として本腰を入れていただきたいということを要請しておきたいと思います。  それから、ちょっと立場を変えますが、最近、十六兆円の景気対策問題で公共事業の問題が大変クローズアップされております。私は、公共事業は景気浮揚に効果が薄いというような意見が大変最近出てくることを残念に思います。そしてこれは、ある程度思想的な、表面だけを見た偏見ではないかなとさえ思います。  なぜならば、去年の暮れの党の税制調査会に、大蔵省が、公共事業の効果を所得税減税と比べて出してきました。あれによりますと、細かい額はやめますけれども、同じ国費を投資した場合に、公共事業の方が所得減税よりも三割も景気浮揚効果は高いという数字であります。  であるならば、そういう意見に対して、これまで十四兆、十五兆という景気対策をやってきたけれども、効果はなかったのではないかという意見がすぐ出てまいります。これは理由ははっきりしておりまして、真水が、本当の国費が三分の一もなかったということに起因します。だから、景気は額の大きさに比べて浮揚しなかっただけの話であります。それでも、真水の三分の一に相当するものは、日本の景気をもっと早くもっと深刻にすることを私は防いできたという気がいたします。  もう一つあります議論は、いつも公共事業批判する場合に、アメリカに比べて公共事業のコストが三、四割高いという御意見であります。これも私は一方的な見方だと思います。  アメリカと日本の物価を対比してみますと、三割から六割日本の方が高いのであります。しかも日本は、世界一の地震多発国家であり、国土の中央に脊梁山脈が、険峻な山脈が走っておりまして、しかも世界一の多雨国家であります。これがみんな洪水になって国土を荒廃させる。それで、暴風常襲地帯で世界有数であります。こういうものを考えた場合に、地震にも強く洪水にも強いものをつくるという意味では、耐久力を考えればコストが高くなるのは当たり前であります。  こういう物価の要素やそういう国土の特殊事情を勘案しないで、単にアメリカと日本の公共事業コストを比較すれば三、四割高いというのは、私は大変問題が多過ぎる意見だと思います。  今、新しい形や古い形ということで公共事業を分けようとしておりますが、私はこれも間違いだと思います。今度の公共事業は、やはり最大の問題は即効性のある公共事業を選ぶことだ、こういうふうに思いますから、これは大蔵大臣にも総理にも心からその点を申し上げておきたいと思います。  そして、ぜひひとつアメリカのクリントン大統領のお言葉をよく知っていただきたいと思います。  それは、アメリカの大統領が年頭教書や包括経済計画、あるいは年次経済報告で力説していることであります。特に一九九七年度の年次経済報告二十八ページから三十一ページに載っておりますが、アメリカは、過去四年間米国の生産性を向上させる課題に取り組んできた、社会資本の投資、中でも道路、学校、空港は特に重要であり、財政が厳しいからといってこれを削減したり他の目的に使用することは誤りである、大統領はこう言っております。経済界の投資家たちは、道路や橋とのリンクが不十分であれば新たに工場やオフィス、学校、住宅に投資はしないのである、財政赤字を削減する際、やってはならないのが社会資本投資を削減し、いわば社会資本の赤字をつくることである、こう警告しております。これはクリントンの言葉であります。  また、一九九八年から二〇〇三年までの次期道路六カ年計画を決める際のネクスティー法案を議会に提出したときのクリントン大統領の演説は、過去四年間で赤字を六三%改善した今まさにこのときに公共交通の社会基盤整備に対しての連邦の投資を増大できたことを誇りに思う、文字どおり二十一世紀への橋として超党的な支持を得てアメリカ合衆国を強化したい、こういうふうに力説しておられます。  総理は、財政再建という立場から、公共事業についてかなり厳しい態度をお持ちの時期があったと思うのでありますが、こういったアメリカの大統領の姿勢と比べて、一度、総理所見をただしておきたいと思います。
  26. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 ここしばらくの間、国会におきましても公共投資に対して大変厳しい御議論があったことはよく御承知のとおりです。そして、私は、それに対して、公共投資イコール悪という議論にはくみしないということを申し上げてまいりました。  その上で、公共事業のあり方について反省すべき点も我々はあると思います。だからこそ、時のアセスを取り入れる必要ということを私は各閣僚にも指示をいたし、またそういう方向に全体に動いてまいりました。  同時に、先ほど言われた物価の要因を認めた上で、しかしやはり公共工事にかかるコストというものは縮減の努力ができる部分を持っておりますし、それは制度全体の中で我々は縮減していく努力はすべきだと思います。  そして、公共事業というものが有効需要を創出する効果を持っていることを私は全く否定しておりません。その上で、今私たちは、例えば今国会で議論になりましたものを例にとるなら、ダイオキシン対策でありますとか地球環境という視点からいろいろな提言をなされました。こうしたものを踏まえながら、本当に必要な社会資本というものを重点的に整備していく、そして、その中でもコストの縮減や費用対効果分析の活用あるいは再評価システムの導入などを通じて、効率的、効果的な実施をしていくべきものだと私は思っております。
  27. 野呂田芳成

    野呂田委員 最後に申し上げますが、今日、行政改革の重要性に異議を唱える者は一人もおりません。しかし、行政改革には、先ほどから言ったように必然的に痛みを伴うことも否定できません。総論は賛成でも、いざ各論に入ってくるといろいろな反対論が起こってくるというのが通例であります。  私は、イギリス、ニュージーランド、カナダと回りまして、イギリスもニュージーランドも行政改革を断行して政権がかわったと言われております。カナダもそうなるかもしれないという話を向こうの幹部にお伺いしました。政権がかわるにはいろいろな要因があると思いますけれども行政改革の断行というのも一つの要因じゃないかなとすら思われます。行革というのは、こういう大変な痛みを伴うものであります。そして、その試練を乗り越えて初めて断行できるというのは、私ども歴史でも明らかであります。  総理は、かつて火の玉になって改革を断行すると言いましたが、大きな転換期を必要とする二十一世紀に向けて、「この国のかたち」を再構築するために一層の努力をお願いしたいということをつけ加えまして、私の質問を終わります。
  28. 高鳥修

    高鳥委員長 これにて野呂田君の質疑は終了いたしました。次に、菅直人君の質疑に入ります。
  29. 菅直人

    ○菅(直)委員 先週、予算委員会で総理と財政再建あるいは改革法について議論させていただきました。  私も一昨年、イギリスに行ってまいりまして、イギリスの議会やエージェンシーの問題をずっと見てまいりました。大変特徴的だった一つは、私が二階の傍聴席から見ておりましたら、当時のメージャー首相と当時のブレア労働党党首が週一回必ず本会議の席で直接に議論をする。それがテレビによって全国に放送される。慣例となっているわけであります。  私は、国会を活性化し、ある意味では内閣というものが国会に対して責任を持っているわけですから、そのことを明らかにする意味では、そういうあり方も日本国会においてもあっていいのではないか、このように思いますが、総理、その点についての見解を伺いたいと思います。
  30. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 英国の首相、まさに週一回、国会で議論をしておられます。恐らく日本の首相の国会出席の何分の一か、十何分の一かの出席で、それ以外は他の国政の衝に当たっておられる。その意味では、日本国会はより首相に責任を負わせておる、開かれた制度ではないかと思います。
  31. 菅直人

    ○菅(直)委員 いつもの総理の言い方なんですね。どうも真正面から答えない。  つまりは、私は、日本の場合、野党がたくさんあるわけですが、あるルール総理と野党党首がやることがいいのではないかということを申し上げたのですが、そのことについては答えないで、質疑時間が長いからだと。それなら大いに、それをどういうふうにするか、後ほど申し上げる内閣改革について、そういうことに対応できるような改革をすればいいのであって、できるだけ真正面から答えるようにお願いをいたしたいと思います。  先週の質疑、これは財政改革でありましたが、きょうの質疑行政改革とはまさに表裏一体であります。あのときの私の質問に対して、総理は、幾つか財政構造改革会議にゆだねたという趣旨の答弁をされました。四月十六日に、この財政構造会議から、逆に幾つかの問題での判断を総理自身に一任されたと聞いております。  例えば平成十五年を期限として赤字国債をゼロにする、あるいは国、地方の赤字を、負債をGDP三%以内に抑える、これらについてまだ見解をお伺いしておりません。一任された総理でありますから、きょうはきちんとした返事が聞かれるのではないかと思いますが、この点についてお聞きしたいと思います。
  32. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 四月十日、そして四月十六日と財政構造改革会議を開催いたしまして、その中で事務当局から提出をされました財政構造改革法の見直し案についての率直な議論をいたしました。そして、今議員からもお話がありましたが、私に幾つかの部分についてお任せをいただいております。  そして、私自身、その判断を近いうちに決めていかなければなりませんけれども、きょう、どこかで大蔵大臣と相談をする時間を初めて持てるというのが実態でありまして、まだ最終的な考え方、取りまとめをいたしている状況ではございません。  骨格維持ということを申し上げてまいりましたけれども、量的縮減目標あるいは財政健全化目標といった基本を変更しないで、どういうふうにできるかということを今考えているところであります。
  33. 菅直人

    ○菅(直)委員 これは、あと日にちもないことですから、そろそろ結論が出ているのかなと思ってお聞きしたのですが、まだということですので、それは仕方がないと思います。  あえて申し上げますと、前回も申し上げましたが、弾力条項だけではいわゆる恒久減税、制度的な減税はできない、これが国内でも国際的にも中心的な景気対策の課題になっている、このことは改めて念を押して申し上げておきたいと思います。  そこで、本題に移りたいと思います。  きょうは行政改革の議論が中心であります。まず、我が党としての行政改革考え方を基本理念だけ簡単にまとめてみました。皆さんのところにはこういう形でお示しをしたものと全く同じ、パネルでありますけれども、「民主党の行政改革の基本理念」という形でお示しをいたした、それであります。  つまり、私たちは、行政改革の一番の基本は、国が持っている多くの権限を地方、市場、あるいはNPO、つまりは市民活動へ移していって、そして残ったものを効果的にやっていくことだ、このように基本的に考えているわけであります。  そして、その考え方に立って、二番目に、国の権限を限定するという考え方がいいのではないか。つまりは、外交、防衛、通貨、物価、あるいは環境、福祉などの基準設定、こういうものに限定して、他の問題はすべて自治体にお任せをする。現在、イタリアでもそういう趣旨の憲法改正案が議論されていると聞いております。  そして、三番目が非常に重要であります。幾ら形式上の権限を地方に移しても、財源が移らなければ何も動きません。地方分権推進会議でも、財源問題はすべて後送りとなっております。  大枠でいって、現在の財源、国民の皆さんからいただいた税収のうちの七割近くが一たん国に入って、そして交付税や補助金という形で地方に流される、そのときに、いわゆる中央の役所仕事を押しつけていく、むだな補助金がたくさんあるという構造が生まれるわけであります。  そこで、国と地方の財源配分を、基本的に、現在の二対一から逆に一対二、つまり三割程度を国に残して、七割の財源はすべて最初から地方に移していく、こういう考え方が基本になるのではないか、このように考えているところであります。(発言する者あり)そうですが、自民党の持っているのと一緒なら、ぜひやっていただきたいですね。  そして、きょうはパネルはこれしか持っておりませんが、そういう改革を進める考え方として、現在の民主党あるいは民主党に集まってきている幾つかの党は、次のような法律をこれまで出してまいりました。  第一に副大臣制の制定、設置であります。第二に行政監視院。今野呂田さんが言われていましたね、今の監視制度では全然だめだと。行政監視院法も出しました。第三に公共事業のコントロール法、後ほど議論になりますが、この法律も出しました。第四に財政透明化法、これも出したわけであります。  しかし、これらの四本の法律すべて自民党が反対をして、国会において現在廃案になっております。すべて与党が反対をして、これらの法律成立をしておりません。  そういった意味で、これから話をしますけれども、自民党が行政改革をしようとしているのか、それとも私たち民主党が行政改革を進めようとしているのか、これまでの国会における法律の審議をきちんと国民の皆さんに理解していただいて、その評価を、その判断をしていただきたいと思っております。  そしてもう一つ情報公開法についても、私たちは既に提案をしております。政府もその後、提案されました。これは、詳しく述べればいろいろありますけれども、政策決定プロセスについて、果たして今の政府案で公開できるのか、あの薬害エイズのときの郡司ファイルが政府案では公開されないのではないか、大変危惧を持っておりますが、この点はこれからの議論に係る問題であります。  こういう考え方を申し上げて、まず一点、官房長官にちょっと問いただしたいことがあるわけであります。  四月十七日の自民党の役員会でいろいろ議論があった。朝日新聞や読売新聞にいろいろ書かれております。もちろん、この記事を直接官房長官にお聞きしても、これは意味がないでしょう。そこで、官房長官の方に事前にお願いをしておきました。  何かこの記事を見ると、お役人とか労働組合の幹部とかが私のところに来て、今政府が出している法案をつぶしてくれ、そういうふうにどんどん陳情に来ていて、それに乗って私が動いているかのような発言があります。私が知る限り、この法案に関して私のところに来たお役人は、この一カ月、二カ月、一二カ月ぐらいを思い出してみても、一人もいません。  官房長官に、そういう官僚がいたかどうか調査をしてくれということを事前にお願いしておきましたが、結果はいかがでしたでしょうか。
  34. 村岡兼造

    ○村岡国務大臣 まず、私も自民党の役員会に出席した経験がございます。週二回でございましょうか、役員会もあり、与党責任者会議もあり、そして総務会もあり、また緊急、臨時もございます。十五分で終わる場合もある、三十分で終わる場合もある。――いや、詳しく説明を申し上げないと。党首、私の説明も聞いてください、国民も聞いているのですから。  おたくが私の方を責めているような感じでございますが、そういう状況でございまして、そして、決まったことは私どもの方へ報告もありますが、報告がないものがほとんどであります。選挙の状況がどうであったか、法案をどうしていくか、いや、政府はこうやってくださいと。そして、そういうものが週に一回か二回、こういう方針を決めたよ、こういうこともあります。それから、何にも連絡のないものもございます。  さて、今のお尋ねでございますが、四月の十八日に、自民党の役員連絡会で、中央省庁改革基本案をめぐって、民主党の菅直人代表、官僚が行革つぶしに動いているとの批判が続出をしたと。これは、しかし、私もしょっちゅういろいろなところでやりますと、推測で新聞社が書く。しかも、自民党の党内の役員連絡会ですよ。野中さんでございますが、「省庁再編に抵抗する役人が民主党の議員に接触して廃案を画策していると聞く。」と。菅党首のことを言ってはいないのではないですかね、野中さんの場合。  これは詳しく聞くけれども、党内のいろいろな役員会のことまで言われますと私もどうしていいかわからぬですが。その前後にこんな質問が出たそうです、「鳩山民主党幹事長「だれ一人喜んでいない政党が誕生するかもしれない。民主党の地方組織は拡大する政党の姿を喜んでいない。喜んでいるとすれば菅さんだけかな。裸の王様にならないように」」。  びっくりしたという話が、一体民主党さんはどうなっているんだろう、こういう話も役員会で出たと私は聞いておりますが、きのう……(発言する者あり)いや、きのう、おとといの、金曜日のことでございますから、聞いております。
  35. 高鳥修

    高鳥委員長 簡潔にお願いします。
  36. 村岡兼造

    ○村岡国務大臣 はい、わかりました。  それで、だれ一人とは聞いて……
  37. 高鳥修

    高鳥委員長 簡潔にお願いします。
  38. 村岡兼造

    ○村岡国務大臣 はい。それでは……(発言する者あり)いやいや、役人が調べると言いましたけれども、金曜日の夕刻お聞きをいたしましたので、そういうことは調べておりません。
  39. 菅直人

    ○菅(直)委員 金曜日の夕刻というのは、新聞記事が出たのが金曜日の朝ですから、一番早く調べるようにお願いしてもそうなったということであります。今の村岡さんは、まさに語るに落ちたという感じがしておりますね。  いいですか、中間報告から最終報告に至るこの行政改革会議のときに、自民党の役員会がどういう役割を果たしたか、皆さんよく覚えているでしょう。  あのときの武藤長官総務庁長官をやめて自民党の行革本部に戻ったわけですよ。どれだけここに発言があります、野中さんがどういう発言をしています、武藤さんがどういう発言をしています、何であの中間報告がこんな最終報告に大きく変わったんですか。  まさに、そのことについて行政改革会議のメンバーであった藤田教授がどう言っているか。こうなったことは  私はそれが必ずしも国民にとってマイナス面ばかりだったと思いません。   族議員や役人が演じたドタバタ騒ぎは逐一マスコミによって報道され、誰が誰のために何をしているのかという詳細が非常によくわかったからです。これまで、政治家や官僚がいったい誰のために働いているのかということがわからないケースがままありました。それが、今回の騒動のなかで白日の下に晒されたわけです。国民は決して今回の彼らの動きを忘れることはない。国民が今後、様々な政治的な審判を下す場合に今回のことは大いに参考になるでしょう。 こう藤田教授がちゃんと言っているんですよ。  そのどたばた劇の中心が自民党の役員会であったということをあえて申し上げておきたい。我が党でいろいろ議論があることを紹介されるのはどうぞ御自由です。しかし、私もそういう自民党の実態があることをこの場で明確に申し上げておきたいと思います。  そこで……(発言する者あり)党内のことは関係ないと言ったって、官房長官が党内のことを言っているんじゃないか、民主党のことを。
  40. 高鳥修

    高鳥委員長 静粛に願います。
  41. 菅直人

    ○菅(直)委員 そこで、いよいよ本論に入りたいと思います。  この中央省庁改革基本法という法律ですが、せっかくこれだけの中間報告から最終報告をされたのに、中身の賛成、反対はいろいろあります、しかし、ここまで詳しく書かれた最終報告があるのに、もう一度基本法をつくって、そして推進本部をつくって、そしてあと五年以内に、できれば三年以内にこの改革をやりましようと法律は書いてありますが、なぜ、これまで二年近く議論をしてここまでまとめたものを、もう一回この法律をつくって、そして改めて現在の準備室をやめて推進本部をつくって、五年かけてやるのか。  どうも総理は、私ではなくて総理の方が霞が関に乗せられているのじゃないですか。  イギリスもイタリアも、橋本政権ができた後にブレア政権ができ、あるいはプロディ政権ができて、二年足らずでやることはどんどん具体的にやっています。北アイルランドのことも進みました。イタリアでは憲法改正案が出ています、この分権について。  この法律は、法律そのものを読みますと、具体的に動くのは推進本部をつくるということだけで、あとは、こういうふうに将来法律をつくってください、ああいうふうに法律をつくってください、それしか書いてないわけであります。 そこで、私、調べてみました。行政改革会議の中で基本法をつくるということを……(発言する者あり)ちょっと黙って聞いていなさい。  行政改革会議の中で基本法をつくることを言っているのかどうか調べてみたんですよ。どこにも書いてないんですね、基本法をつくることについて。じゃ、どこで基本法の議論がされているか。改革会議の最終報告の翌日の閣議で、するつと基本法のことが閣議決定に入っているんです。後ほど閣議決定の話はしましょう。多分、前の日の事務次官会議で決めたんでしょう。当日ですよ、事務次官会議の。  つまり、今申し上げたのは、この基本法というのは、なぜ基本法という形でわざわざ五年後という期限を切って、五年間もかけるということの余裕を持ってやるのか。もしこの最終報告がこれでいいというものであれば、できるところから具体的にやっていけばいいじゃないですか。内閣法の改正、国家行政組織法の改正、全部一遍にできなければ、できる段階を追ってやればいいじゃないですか。  すべて五年間という間にしたのは、霞が関に乗せられてこの改革を先延ばしし、そのうちに元も子もなくなってしまうということをねらっているそういうグループに乗せられたんじゃないですか。総理の見解を聞きたいと思います。
  42. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 先ほど来、議員は御自分の主張を述べられながら、なかなか発言の機会を与えていただけなかったので、民主党の行政改革の基本理念も含めて私なりに感じていることを申し上げたいと思います。  議員が提起をされました最初のお話、それは、国の権限を地方公共団体あるいは民間、そしてNPOに移していく、これについて我々はこう思うということを言われました。私は、まさに行政改革を進めていく、この中において規制緩和地方分権あるいは官民の役割の見直しが非常に重要なその土台にありますということを先ほどの答弁でも申し上げてきました。  こうしたことを徹底することによって、国の権限や仕事についても必要に応じて地方自治体あるいはNPOを含めた民間に移譲していく、そしてNPOの役割もふえていくだろう、そしてNPO法の制定もこれに資するものだと思っています。その意味では、余り違いは大きくないのかもしれません。  ただ、議員が国の役割として限定をされました部分について、これはどれも私は大事な部分だと思います。しかし、私はこれだけに国の機能あるいは権限が限定されるとは思いません。例えば、最近、問題として我々は真剣に悩んでおります教育あるいは青少年対策に国の権限は及ばないのか、科学技術や学術文化の振興というものはどうなるのだろう、あるいは雇用の安定や健全な社会福祉制度を運営していく、これは一体どうなるのだろう。  さらに、食糧やエネルギーの安定供給を確保していく、あるいは健全な財政の確保と安定的な経済運営、これは議員のおっしゃり方からいえば、通貨、物価の安定というところで全部入るのだと。あるいは環境、福祉などの基準設定、基準設定だけが国の責任なのかどうか、私は必ずしもそうは思いません。  こうやって探していきますと、限定をされました国の役割以外にも私は国が責任を負わなければならないことはあると思います。  行政改革会議におきまして議論されました中には、国が担うべき任務あるいは機能、さまざまな議論がありました。そうした御議論を踏まえて、この法案においても内閣及び各省が担うべき主要な任務や役割というものを書いております。そして、そういう業務の中から国、地方の財源配分が決まっていくべきものであって、その辺は私は多少議員のお考えと考え方を異にする部分があるな、これは率直にそう思いました。  その上で、この法律案は、お目通しをいただいてよくわかりますように、内閣機能の強化や国の行政機関の再編成、国の行政組織事務事業の減量、効率化などを内容とする、そうした中央省庁改革について基本的な理念や方針、その他の基本となる事項を定める、そして、まさに中央省庁改革推進本部を設置するということになっています。非常に広範な内容の改革について、各省設置法や内閣法などの改正、あるいは、現在は認められていない独立行政法人についての法律の制定、そうしたものだけにとどまるものではなく、これに関連するさまざまな作用法の改正や行政運用上の改善を総合的に進めていこうとしているわけです。  議員は、その中でできるものからやれと言われました。しかし、こうした改革をする、それはただ単に政府が個々別々に法案を作成する、そうではないと私は思うのです。基本方針や政策の全貌というものを一体として示して、国会の意思を確定していただいた上で、政府において個別の法律案作成などの改革作業を進めていくことが適当だ、こうした考え方のもとにプログラム法としての本法案を御提案をいたしました。  こうした改革を総合的に実施しようとするなら、各省設置法、内閣法ばかりではありません、各種の作用法改正には膨大な作業が必要となります。これに必要な時間を確保しながら、できるだけ早く新体制に変えていきたい、そういう考え方で目標を設定している。  基本法という法形式については、政府部内で検討を進めて、最終的には昨年十二月四日の閣議で政府としての意思決定を行ったわけでありますが、この中央省庁を変えていこうという意思、これを確認した行政改革会議が官僚の諸君の指揮下にあったような感じを与える御発言は、構成メンバーから考えても違うということだけは申し上げておきたいと思います。
  43. 菅直人

    ○菅(直)委員 国の権限をどの範囲にするか、これは例示的に申し上げたことですから。教育の問題は、ドイツでは文部省はなくて州がやっております。いろいろな考え方はあります。ですから、今総理が言われたことも含めて、私が一番重要だと思うのは、国の権限を限定するという考え方に立つのか、今の大蔵省設置法やいろいろな法律みたいに、無限に膨らんでもうどこが限界かわからないというような形でいくのか、そういうことのまさに理念が重要だということで例示を申し上げたわけであります。  そして、業務の中からお金の配分を考えていく、これも一つ考え方だと思います。しかし、それを言っている限り、霞が関は業務をいつものようにどんどん膨らましてくるわけですから、三分の一は国に、三分の二は地方にと財源を逆に確定することから業務のあり方を見直していく、本当に改革をやろうとすればそのことの方が効果的だ、私はこのように考えていることを申し上げておきます。  そして、今まさに総理プログラム法という言葉を使われました。そうなんですよ、この基本法は内容があるわけではなくてプログラムがあるだけなんですよ。プログラム法と言われたのは総理ですからね。(橋本内閣総理大臣「プログラムが大事なんだ」と呼ぶ)後で聞きますから。そして、一体としてやることの方がいいと言われました。  例えば、これは総理と一緒にやったことかもしれません、つまり総理大臣補佐官制度。なかなか霞が関は抵抗しました。しかし、私がさきがけにいたころに自社さ政権のもとで三名の補佐官制度をつくって、第一次橋本内閣では任命されなかったけれども、第二次内閣では、まさにこの行革の中心であった水野さんや岡本さんを任命されましたつまさにこれは、行政改革を進める上でそれが  少なくとも役に立ったわけでありますよ。私たちが提案している副大臣制度は、それをさらに進めるものです。同時に、政府委員制度の廃止も私たちは提案しました。  なぜ、こんなことを一体で五年間かけてやらなきゃいけないのですか、逐次やれるじゃないですか、現実に。官房副長官を二名にしようとしているじゃないですか、逐次やれるじゃないですか、なぜできないのですか。  そういう意味で、逐次やれることをやらないで、全部、五年間かけると言っているところに、この問題を先延ばし先延ばしにする、決して、総理が五年間総理をやりたいから五年先にやると言っているとは言いません、そんなことは言いませんけれども、時間がかかるからという言い方は、改革を本当に進める場合には、必ずそのことがいつの間にかぐちゃぐちゃになってきているというのを私は何回も見ていますからね。  そういう点で、まさにこれがプログラム法であるということを総理自身が認められたわけですから、あとは、具体的な中身でいかに中身が空っぽなプログラム法かということを申し上げていきたいのですが、総理が何か答弁されたいようですから、どうぞ。
  44. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 今議員から御指摘がありましたが、内閣補佐官、これは確かに私は今非常に助けられておりますし、その意味では、危機管理監、官房副長官の増員、こうして他制度に波及のない部分で今新たな協力をいただいております。  しかし、中央省庁全部を変えていこうとするときに、それが個々ばらばらに動いて、関連する法律その他の連係プレーをとらなければならないものをばらばらで本当にやれるでしょうか。私は、それはむしろ非常に国民の暮らしの上に影響を起こしかねない混乱を招くと思います。  ですから、この事務局において統一的に全体をきちんとフォローする、そして二〇〇一年一月一日からスタートできるところはしたい、五年以内に終わりたい、そういうプログラムというのはむしろ現実性のあるものであって、ばらばらに、気の向いたところだけ拾い上げれば行政改革ができるというものではないと私は思います。
  45. 菅直人

    ○菅(直)委員 今ここに、今回の基本法の概要という、これはお役所がつくられたものですよね。この中に、この法律の概要が出ています。第一が、政治のリーダーシップと書いて、内閣機能の強化。ここは他の部分と十分分離してできるし、まさに総理も認められたとおり、総理大臣補佐官というのは内閣機能の強化になっている。副大臣制も、もしやるとすればこの部分です。  だから、これは五年かけなくても、三年かけなくても、相当議論は詰まっているわけですから、部分的に現実にやろうとされているじゃないですか、官房副長官を二名にされるんでしょう、そういうことは十分やれるじゃないかということを申し上げているんです。  あるいは、一府十二省庁、この中身のいい悪いは後ほど申し上げます。それから独立行政法人、これらだって、全部が五年間で終わることになっていないじゃないですか。受け皿をつくって、それから具体的にどの法人をどうしてどうするか。残るものは、実際に終わるのは――五年たった後も残るかもしれない。  ですから、やれるところからやったらどうですかということを申し上げたのですが、どうも総理は、何か……。そうすると、官房副長官を二人にするのだって五年間のこれと一括で出さなきゃいけなくなりますよ。論理矛盾になりますよ。  そこで申し上げたいと思います。内閣機能の強化ということです。  これは、官房長官や法制局長官もよくお聞きいただきたいと思います。たしか一昨年の十二月六日でしたか、予算委員会で、私は、憲法六十五条「行政権は、内閣に属する。」という問題についてこの場で議論を申し上げました。  今の内閣制度の問題、内閣の最大の問題は何でしょうか。現在の内閣は官僚内閣制になっている。国会から指名された総理がつくる、本来なら国会内閣制でなければいけないのに、官僚内閣制になっているところに最大の問題があるのではないでしょうか。この最終報告の基本的な議論もそこにあるのですよ。  官邸機能の強化というときに、官邸の官僚機能を強化するのか、官邸の政治機能を強化するのかという、この区分がなければ何をやっているか全くわからない。  かつて、内政審議室、外政審議室の室長を事務次官待遇にしろ、官邸機能の強化といって出されたことがあったじゃないですか、議論として。そんなことはおかしいといって、まさに総理大臣補佐官を逆提案をしたわけであります。  いいですか、現在、その官僚内閣制に実質的になっている象徴的な出来事を幾つか言ってみましょう。  たしか、その予算委員会でも申し上げました。今、内閣というのはだれで構成されているか。憲法に書いてありますよ、総理大臣国務大臣事務次官以下はあくまで補佐機能であって、内閣そのものでは全くありません。内閣の最高決定機関はどこか。閣議です。私も閣議に同席させていただきましたが、閣議で実質的な議論があって、そこで物事が決まっているという感じは、残念ながら、私自身の反省を含めて、いたしませんでした。前の日の事務次官会議で事実上決まったものをいわば追認している。  聞いたことがあります。事務次官会議を通らないで閣議に出るものがあるんですかと聞いたら、ありますと言うのです。何ですかと聞いたら、例えば衆議院の解散の件ですと。当たり前ですよね。解散の件を事務次官会議で決められちゃかなわない。法律案について一件でもあるんですかと聞きましたら、たしか、同じ大森法制局長官が、(発言する者あり)違いましたか、戦後一件も事務次官会議を通さないで閣議に上がったものはありませんという答弁をいただきました、どなたかに。  そういう意味で、内閣というのは国務大臣のチームとして議論をして決めていくのに、各役所の代表選手という位置づけにいつの間にか、当事者を含めて、私自身も大分そうなっていました、私は厚生大臣だから厚生省の代表として閣議に出ているんだという気分になっていました。しかし、明治憲法では役職ごとに大臣が任命されているけれども日本の憲法では総理大臣国務大臣を任命して、その上で分担をしている。ですから、国務大臣は別に各役所の代表として閣議に出ているわけじゃない。  しかし、事務次官会議はどうですか。事務次官会議は代表じゃないですか。厚生省事務次官が大蔵省のことを言えますか。言えないでしょう。つまり閣議とは全く性格が違うのですよ、本来。その本来性格が違うものをベースにしながら、事務次官会議を通さない法案は一件も閣議に上がってこないなんということが慣例になっている。ここが最も内閣機能を阻害している原因だと私は思います。もうちょっと待ってください。  そこで、私は単に批判しているだけじゃない。では、大臣一人一人が全部の法案に目を通せるか。確かに、そう簡単にできません。ですから、まず、せめて各役所に副大臣を三名から五名置いて、例えば、私が厚生大臣のときでいえば、医療問題担当、年金問題担当、あるいは何々担当の副大臣を置いたらどうか。あるいは補佐官制度を設けて、関連した役所の問題も把握できるようにしたらどうか。  そういうことをやっていけば、事務次官会議に頼らないでも、つまりは、政務次官、副大臣会議をつくってもいいですよ、そういう中で政治が行政を、つまり官僚組織をコントロールできる、そこが一番の官邸機能の強化のポイントだと私は思いますが、いかがお考えですか、総理大臣
  46. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 まず第一に、副大臣、政務次官と分けて役割が大変大きく違うように言われます。ただ、私は、本当に副大臣制、しかも相当の人数を置くと言われる場合、これは立法府と行政府の関係、あるいは政治と行政関係行政の中立性についての問題、あるいは組織の簡素化、効率化といういろいろな視点から議論のあるところだと思います。  その上で、私自身は厚生省の政務次官を体験いたしましたけれども、当時は政務次官が国会で答弁をすることが必ずしも異例のことではございませんでした。各政務次官、誇りを持って国会で論議に対し答弁をさせていただいておりました。いつからそういうことがなかなかお認めをいただけなくなったのか。今振り返りますと、私は政務次官がもっと積極的に国会の中でも働かせていただけることを認めていただきたい、そのような思いがいたします。  そして、そういうことをも意識しながら、閣僚経験のある方を政務次官に起用するあるいは重要事項の決定に政務次官に参画をしていただく、こうした取り組みを既にいたしておりますし、より一層の政務次官の機能の活用の見地から、具体的な方策を今検討しています。  また、内閣を構成するのは各大臣、それはそのとおりであります。同時に、事務次官はそれぞれの省庁事務方の責任者であります。  そして、事務次官会議あるいは閣議、いろいろな御意見をちょうだいいたしましたが、今回の基本法案、これは、内閣機能の強化につきまして、行政全体の戦略性、総合性を確保していく、機動的で迅速な意思決定を可能とするために、国政運営の上で内閣の首長である内閣総理大臣がリーダーシップをより発揮しやすい仕組みを整えることが必要である。行政改革会議の最終報告の趣旨にはそのようなものがございました。これを最大限盛り込む。そして、内閣総理大臣の基本方針発議権の明確化、国務大臣の数の削減内閣官房の企画立案機能の明確化とその組織及び人事の柔軟化、内閣府の創設といった所要の措置を講ずべきことを盛り込んでいます。  今申し上げましたような中で、内閣総理大臣の基本方針発議権の明確化あるいは内閣官房の企画立案機能の明確化、これは確かに現行法の中でも可能なことではあります。しかし、国務大臣の数の削減でありますとか内閣府の創設を初めとするそのほかの規定、これは関連法令の改正を必要とするか、あるいはまた改正の必要性について検討する、そういう必要のあるものです。  そして、現行法令で可能なものでも、むしろ行政改革会議の最終報告におきましては、内閣総理大臣内閣の首長として国政運営における指導性を十分に発揮するためにも、こうした機能を明確化することが必要とされている、私はここに重要な意味があると思っております。
  47. 菅直人

    ○菅(直)委員 総理は気がついておられるかどうかわかりませんが、やはり霞が関流の理念が入っているなと思いましたね。例えば立法と行政関係とか、行政の中立性とか。  つまり、議院内閣制というのは、中立という意味内容にもよりますけれども、多数党に政権を任せるというルールですよ。中立であるかないかというのは、国民が多数党がいいと思えば多数党に任せるという意味で、与党と野党の中間で中立ということなんか何も憲法は書いていないのですよ。  ですから、中立性などということを言って霞が関がすぐ行政国会を切り離そうとするのですよ。常にそれに遭っている。憲法六十五条、行政権は内閣に属するから、霞が関のことに口を出さないでくれ、それが間違いだという議論を一昨年の予算委員会でやったわけです。  つまりは、国会内閣に対して総理大臣を選ぶ権利があり、内閣国会に連帯責任を負い、当然のこととして、それらからして、国会内閣がやることに対して監視をしたり注文をつけたりすることは当然できる。もちろん役所そのものは、決定権はそれぞれ閣僚にあるけれども。しかし、それに対して、予算や、どうしてもおかしかったら設置法を変えればいいのだから。大蔵省けしからぬというのだったら、大蔵省設置法で大蔵省を廃止すると書けばいいのだから。それが国会の機能なのですよ。  ですから、そういう意味で、国会行政が中立であるとか遮断されているというような発想で、私は、総理の発言の中にそういう言葉が少しずつ浮き上がるものですから、そこはちょっと違いますよというふうに申し上げたのです。  そして、先ほど来申し上げているように、私が申し上げたことに対して、総理は半分認められました。つまり、できるところはやっていきましようと。内閣機能なんというのは幾らでもできるわけですよ。いいですか。  そこで、少し具体的に話に入っていきます。私が質問をする前に二つ三つのことを答えていただきました。今回の基本法の中の六条、八条、十一条。つまり、六条は内閣総理大臣の発議権。今、総理がもう答弁されましたが、現在この発議権があるのかないのかと聞きましたら、ありますと。現在こういうことはやっていないのか、国政に関する基本方針を閣議にかけることは。所信表明演説とか政府声明の場合には閣議にかけておりますと。つまりは、今やっていることをもう一回書きましようという程度のことなのですよ、この六条は。  八条、内閣官房の基本的性格と任務、なかなか仰々しいです、この中で「国政に関する基本方針の企画立案を行う」と。今行っていないのか。行っていますど。これを明記しようと。明記するのは結構ですよ、今行っていることを明記するのだから、別に特に変わりはない。  そして特命大臣。確かに特命大臣は、役所の数が変わってくるのだから、それに合わせて変えなければ、それは数の問題はあるかもしれません。それは、そのときやればいいことです。  そういう意味では、六条も八条も、やってもいいけれども、やらなくても何も変わりない。  この六条、八条、十一条が、今回出されているこの内閣機能強化の目玉なのですよ。あと何があるのですか、あと何が。  ということは、内閣機能強化といったって、今やっていることを五年かけてもう一回議論して追認するために明記するだけという話じゃないですか。  ですから、私は先ほど申し上げたように、それじゃだめだ、まさに、内閣機能を強化するには、内閣の政治機能を強化することだ、副大臣制をつくってそのことを実行することだ、このように提案を申し上げているわけですが、総理は、半分は認めて、しかし半分は認められないわけであります。  いいですけれども、なるべく短く答弁してくださいよ、大臣。
  48. 小里貞利

    小里国務大臣 せっかくのいろいろ貴重な御意見をお聞かせいただいておりますが、私はただいまの質疑応答をお伺いいたしまして、一府十二省庁体制を私どもは目標にしておるのでありまして、何も内閣機能のみを当面の課題にしておるわけではないのであります。  なおまた、内閣機能強化のためにいろいろこのような新しい改革あるいは方向を持っていますよということは、重複いたしますから申し上げませんが。  そのような意味におきまして、ぜひひとつ全体として、州府十二省庁体制をつくるために、同時に、いろいろな抵抗や障害もあるけれども、この際一挙に勇断を振るって改革を進めなければ後悔をいたしますよ、私どもはそういう前提に立っておりますから、御理解いただきたいと思います。
  49. 菅直人

    ○菅(直)委員 ですから、今順番に言いますからといって、内閣機能のところを申し上げているわけですよ。しかも、一括でと言われるから、一括ではない方がいいのではないですか、内閣機能の部分をきちんとやった方がいいのではないですかと。私は本当にそう思っているのですよ。  ですから、先ほど実際に行われた例、総理大臣補佐官というのは、これは明らかな内閣機能の強化、これで指名された水野さんが行革本部の事務局長をやられたではないですか。官房副長官をふやして、副大臣をふやして、そして場合によっては大臣の補佐官をふやせば、それだけで実質的には内閣機能は極めて強化されますよ。  ですから、そういう意味で、まず内閣機能について、今出されている法案の六条、八条、十一条。特に、六条と八条は、今やっていることを追認するだけだ。十一条は役所の数ですから、今から言いますから。  そこで、新しい省庁体制という、まさに小里大臣が言われた一府十二省庁についてであります。  私は、あえて言えば、先ほどパネルでお見せしたように、こういう改革をやれば、最後のところに申し上げておきました、この結果何が起きるか。その結果、国の仕事は半減するでしょう。だって税金が、財源が半分になるのだから。  今までは補助金を出すからいろいろやっている、いろいろ注文もつける、そういうことが半減するでしょう。そして、公共事業仕事地方の自主決定になっていく。諌早湾に埋立地をするかどうか、まだ農水省がやめないやめないと言っている、そんなことは長崎県が自分で決めればいいわけですけれども、国の直轄事業として国会予算が出ている。そういうことになるということを基本的に申し上げているのです。  その上で役所の形をどうするかという議論になることが大事であって、仕事の中身を全く変えないで……(発言する者あり)静かにしなさいよ。
  50. 高鳥修

    高鳥委員長 静粛に願います。
  51. 菅直人

    ○菅(直)委員 仕事の中身を全く減らさないで二十何省庁を十二省庁にしてもだめだというのは、この行革会議の最終報告の初めのところに全部書いてありますよ、大くくりとか何とかとか。  しかし、残念ながらそういう体制になっているのかなということを、一番象徴的な事例で申し上げてみたいと思います。それは、先ほども議論になっておりました国土交通省という役所、二十二条であります。  先日も引用させていただきましたが、「国土交通省は、公共事業を一手に握る巨大な行政官庁となる。この新しい官庁が、これまでのような予算の無駄遣いを放置していては、それこそ日本は沈没してしまうおそれが出てくる。そうなっては、何のために行政改革をやったのかわからなくなる。」先日も引用いたしました。元運輸省事務次官の住田さんの書かれた本であります。まさにそういう危惧を多くの国民が持っているのですよ。  せっかくですから、運輸大臣、一度これの感想を聞きましょうか。運輸大臣、このことについての御感想をお聞かせいただきたいと思います。
  52. 藤井裕久

    ○藤井国務大臣 お答えいたします。  運輸省OBであられた住田氏の本の中で、これは率直に申し上げますが、具体的港湾の事例を引きつつ、港湾の整備がむだであるかのような批判をされておられますけれども、その内容や論旨は、誤ったデータに基づくものや、また社会資本の性格や役割など、視点を欠いたものとなっておるように見受けられる、私はそう思っております。
  53. 菅直人

    ○菅(直)委員 今の答弁を聞いていて、大臣が自分で判断した答弁とは、聞いている人はだれも思わないでしょうね。  現在のお役人が書かれた、そうでないですか。根拠は言えるのですか、中身のことを詰めていって。私が聞いたのは、そんなことは聞いていませんよ、言っておきますが。私はそんなことは今一言も聞いていませんよ。先ほど引用したところの感想を聞いたのですよ。今までと同じような予算の使い方をしていたら国が沈没する、そういうふうに言っているけれども、それに対する感想をお聞きしたのですよ。
  54. 藤井裕久

    ○藤井国務大臣 お答えいたします。  今、委員から住田氏の本に対する御感想ということでありましたので、誤ったデータ等々に基づいて書かれたところが多く見られるということを率直に申し上げました。  ただ、今の御質問ですと、これから、これまでもそうでありますが、これは運輸省に限らず、公共事業の遂行に当たっては極力効率的な、効果的な効果をあらわすために、事前の調査、あるいは時の評価と申しましょうか事後の評価、こういうものは当然やっていかなければならない。  それにつきましては、運輸省といたしましても、港湾にいたしましても、空港整備にいたしましても、あるいは鉄道整備にいたしましても、あらゆる公共事業に関連しましては常に平素から厳しくチェックをし、そしてむだのないように、そしてその整備によって地域の方々が、あるいはそれが国家的にも非常に、また後世にも評価されるべく、その点はこれからも十分気をつけて遂行してまいりたいと考えております。
  55. 菅直人

    ○菅(直)委員 そこで、これと関連しているのが今回の法律の四十六条、公共事業の見直しというこの規定であります。いろいろ書かれています。  そこで、まず私の方から、先ほど述べましたが、新しい民主党に加わる各政党の中で、これまで出された法案に公共事業コントロール法というのがあります。つまりは、十六本の長期計画について、閣議決定ではなくて国会承認事項にすべきだ、ばらばらな年次を合わせるべきだ、五年おきに見直すべきだ、この法律も出しました。しかし、自民党の反対で廃案になっております。  また、財政透明化法、これも出しました。まさにこれらの積算基準をもっとはっきりしろ、透明にしろ。これも自民党の反対で廃案になりました。  行政監視院法。さっき野呂田さんも言っておられたですね、行政監視が十分でない。私たちは、行政監視院というものをアメリカのゼネラル・アカウンティング・オフィスに学んで国会に設けたらどうか、こういう法案を出しましたが、これもまた与党の反対で廃案になりました。  つまり、この公共事業見直しでいろいろ言われていることは、私たちが提案したことを薄めたことがたくさん書いてあります。例えばこの四十六条の五号のところに「公共事業の決定過程の透明化及び評価の適正化を図るしとか、いろいろ書いてあります、立派なことが。ちゃんとこれらの法律に賛成していればいいじゃないですか。これらをやるのだったら、これらの法律をもう一回出しますから、与党の皆さん賛成していただきたい。  総理、どう思われますか。
  56. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私ども議員立法について、今政府の籍にある者がこれを云々すべきではない、基本的にそう思います。  その上で、先ほど行政監視院構想についてもお触れになりました。私ども国会行政監視機能をどうなさるかについて云々する立場ではありません。政府政府自身として、行政監視を一層強化していく必要性を感じ、その方向に努力をしたいと考えているところです。
  57. 菅直人

    ○菅(直)委員 どうも総理は、内閣というものの性格と議院内閣制というものの本質を少し間違われているのじゃないですか。  総理大臣は、今自民党総裁じゃないのですか。必要なときには、調子のいいときには、与党・政府一体だ一体だと言って、我々が出した法案に対しては、大体の場合は、政府案が出てくるから野党案は待ってくれ、つるして廃案に追い込むのじゃないですか。政府・与党一体にやっているのじゃないですか。一番知っているでしょう、与党の人は。それなのに今度は、いや、そんなことは国会におる人が決めるべきだ。まさにそうですよ。自民党総裁として総裁室に乗り込んで、いいものだったらいいものだというふうに決めればいいじゃないですか。  そういうふうな逃げ口上を言っていただくと、議論がわからなくなる。せっかく政策の中身をやろうとしているのですから。例えば公共事業コントロール法はあるいは財政透明化法は、この政府が出された基本法の先ほどの部分と共通する、もっと明確に書いてある。これは今からつくりましようという法律ですからね。それを、我々はつくって法律を出した。中身についていかが思われますかと聞いたのですよ。中身について、総理に。
  58. 小里貞利

    小里国務大臣 菅さんなどが御提唱いただいておりまする大体のアウトラインは、私どもも理解をいたしております。  そこで、先ほどからお話をお伺いいたしておりますと、おれたち法案を出したものを下敷きにして、あるいは薄めて出したのが今日の法案じゃないかというお話でもあるように聞こえるのでございますが、私は、結果としてそれは非常に結構なことだと思うんです。行政改革というのは、まさに超党派で、国民視点に立って、大局的にきちんと、この際、五十年、百年に一回の大改革事業でありますから、そうあってこそ私はいいのではないか、さように思う次第でございます。  それからもう一点、先ほど、中身がなくて、内閣府の改正だけをあなた方は今注目しておるんじゃないかというがごとく言われましたけれども、まさに、ただいま具体的に、おれたちが出している法案はこうだよ、あるいはまた中身においてこういう方式が大事ではないかという御提案をいただいておるようなことを私どもも今次の中央省庁再編の基本に置きまして、とりあえずこの機会にお尋ねをしておかなければならない、あるいは国会の意思を確定していただいて、そして私どもはそういう国会政府が一体となった形で議論をして、そして、他日、一年間かけまして各省庁の、先ほどもお話があるような設置目的、あるいは任務、あるいは所掌事務等を決め込んでいこうという段取りをいたしておりまするのが今日の基本法でありまして、そういう総体的なこれからの流れを先ほど総理が御説明を申し上げたわけでございまして、御理解をいただきたいと思います。
  59. 菅直人

    ○菅(直)委員 ですから、十分理解をしたから、なぜこんなまどろっこしいことをやるんですかと聞いているんじゃないですか。  今申し上げたように、まさに総務庁長官自身が、公共事業コントロール法の考え方がもしかしたらこれと共通していろんなら結構なことじゃないかと言われた。まさにそうですよ。結構なことなら早くやりましょうよ。公共事業コントロール法に賛成してくださいよ。私たちの方が先に出したんですからね。公共事業コントロール法を廃案にしないで、賛成してくださいよ。(発言する者あり)何を後ろでやじを飛ばしているんだよ。後ろでやじを飛ばすんなら、ちゃんと向こうへ出ていってやってみろ。公共事業コントロール法にあなたも賛成するんなら賛成しろよ。私たち議員提案で出しているんですからね。それを賛成しておかないで、自分の方だけ賛成しろというのはどういうことですか。  いいですか、私は、それは共通なら共通でいいんです。ですから、私たちが少なくともきちんとした案を出してこの問題に対して取り組んでいるにもかかわらず、自民党が反対をしてきているということをきちんと申し上げて、自民党に聞きたいけれども、やじは飛ぶけれども、自民党に聞けないから、自民党から出ておられる皆さんに、自民党の役員も兼任されている総理お尋ねをしたわけですよ。  もし総理、お答えがあったらどうぞ。
  60. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 お答えという性格ではありませんが、私は、それぞれの議員立法に対して、それぞれの政党政派が、その内容を拝見した上で賛否をみずからの主張として持つことがいけないとは思いません。  結果として賛成できない場合もありましょう。こういうふうに直していただけば議論ができるというケースもあるでありましょう。神聖不可侵なものとして一歩も譲らないというお話になりますと難しくなる話でありましても、話し合いを進めていく、そうした努力まで自民党は放てきしているとは私は考えておりません。
  61. 菅直人

    ○菅(直)委員 非常にそういう意味では柔軟な答弁をされましたので、これからは、私たち法案を出したら、つるしなんという、つまりは各委員会の議論をさせないなんというやり方をしないで、今総理が言われたように、大いに議論をして、修正すべきところは大いに与党からも修正案を出されて議論できるようにお願いをしておきたいと思います。  そこで、次の問題、行政情報公開について政府法案を出されております。また、この最終報告の中にも、あちらこちらに透明性という言葉や説明責任という言葉が入っております。特に、この最終報告の一ページの中には、大きく一、二、三とありますが、二番目には、行政情報公開国民への説明責任の徹底、こういうことを実現することが重要だということを冒頭の中にも触れられているわけであります。私は、総理情報公開というのは二つあると思うんですよ。  一つは、今私どもも出しました、政府も出しました、法律に基づいて国民が請求をしたときに、あるルール公開するという情報公開と、もう一つは、行政がまさにアカウンタビリティー、行政として国民に説明する、こんな法案を出す、こんな予算を出すのなら、なぜこんな予算を出すのか、そのことを説明する、これだけのお金を使ったらどれだけの効果があるのか説明する、そういう意味で、行政みずからが公開をしていくという情報公開がある。これは、私の理解では、もちろんプライバシーとかなんとかはちゃんとやらなければいけませんが、大臣が各部局に命じれば、これは公開してもいい、そういうふうに公開しろ、自分で公開する、できるはずです。私もそう考えて、私なりに判断をしてやりました。  どうでしょうか、各大臣おられますが、みずからの判断で、こんなところまで隠さなくたって、もっと公開しよう、そういう考え方に立って、まず行政の側から、大臣の側から、内閣の側から、最低ここまでは公開するという考え方を出されるおつもりはないでしょうか、総理
  62. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 政策の決定プロセスなどを公開していく、これはまさに行政の公正性や透明性を確保していく、そうした視点から、国民に開かれた、信頼される行政を実現していくために非常に重要なことだと思います。だからこそ、今国会情報公開法案を提出させていただいています。  そのほか、政策決定などの決定の過程につきましても、国民の声や行政部外の専門家の意見を反映させる場である審議会などの公開を進めていく、あるいは規制の制定、改廃に当たりまして、広く一般国民事業者の意見を反映させる仕組みとして、いわゆるパブリック・コメント手続の検討に着手すること、あるいは許認可等の審査基準の見直しを先般の規制緩和推進三カ年計画において決定するなどの取り組みを実施してきました。個々の行政処分の透明性向上を図る上でも、行政手続法において許認可などの申請を審査する際の審査基準を公開しておくこと、こうしたことも定められておりまして、着実にその実施が図られております。  また、今もう一つの側面からと言われたその努力、例えば、今回の動燃の改革国会にお諮りする以前に、原子力行政というものに対する国民の信頼を取り戻す努力として円卓会議等で払ってまいりました科技庁の努力というのは、まさにそういう努力に政府も動いている、そうした方向を既に進めているという一つの例証として私はお聞きをいただきたいと思います。
  63. 菅直人

    ○菅(直)委員 最後のところは、もう一つ私が申し上げたことについて定かな答弁はいただけなかった。つまり、アカウンタビリティーとして公開をしていくという発想でやられたらどうでしょうかと申し上げたのですが、一つの事例を申し上げられたのかもしれません。  そこで、ちょっと話を戻しますが、先ほどの、この法律の四十六条一号に「公共事業に関し、国が直接行うものは、」云々と書いて、限定してやるけれども、それ以外は、「その他の事業については、地方公共団体にゆだねていくことを基本とする」と。つまりは、やりようによれば、私どもが申し上げたように、公共事業地方の自主決定になるとも読める規定が入っております。  建設大臣、こういう方針でやるのですか。
  64. 瓦力

    ○瓦国務大臣 菅委員にお答えいたします。  国と地方が適切な役割分担のもとで協調、協力して事務を進めることは必要でございまして、このような観点から、地方への権限移譲、補助金等の整理合理化などを進めてきているところでございます。  今委員から御指摘のように、公共事業の見直しについて、第四十六条におきましては、「政府は、次に掲げる方針に従い、公共事業の見直しを行うものとする。」「公共事業に関し、国が直接行うものは、全国的な政策及び計画企画立案並びに全国的な見地から必要とされる基礎的又は広域的事業実施に限定し、その他の事業については、地方公共団体にゆだねていくことを基本とする」、かようにうたっておるところでございまして、地方公共団体にゆだねていくという基本方針、基本とすること等の見直しを行うことといたしておるわけでございます。
  65. 菅直人

    ○菅(直)委員 一応この方針に沿うと。法律ですから、それは沿うのでしょうね。  農水大臣、どうですか。また長崎のせいにするのじゃないでしょうね。長崎のせいにするのだったら、直轄事業をやめて長崎に移すべきですよ、諌早湾の事業も。それを含めて答えてください。
  66. 島村宜伸

    ○島村国務大臣 私どもの公共事業に関しましてもこれは言えることでありますが、すべては地元の申請や要望を基本といたしまして、他の農業の施策との兼ね合いをよく配慮しながら、国、都道府県あるいは市町村、土地改良区などが、かんがい排水あるいは圃場整備等の各種事業を規模に応じた役割分担をして実施するものでありまして、これによっていわば事業効果が発揮されているところであります。  そういう意味では、直轄事業実施等につきましても、中央省庁等改革基本法案に示された方針に従って、あくまで全国的見地から必要とされる基礎的または広域的事業に限定することとしておるところであります。
  67. 菅直人

    ○菅(直)委員 きょうはこれ以上は聞きませんけれども、今言われていることは全く矛盾しているじゃないですか。  地方から上がってくるというのと、それから、地方については地方公共団体にゆだねる、地方から上がってくる地方に関することは公共団体にゆだねるというのが趣旨じゃないですか。それを、いまだに国営干拓事業でやっているのはあそこだけですよ。もういいかげんあきらめたらいいのに、そこだけをメンツにこだわっているから、こんな公共事業を見直すと言ったって、あのケース一つ見直せないで何が見直されるんだということで、だれも信用しないということですよ。  農水大臣、反論があるなら言ってみてください。
  68. 島村宜伸

    ○島村国務大臣 諌早湾の干拓事業に、まさにメンツにこだわっていろいろ御指摘があるようでございますが、これはもともと、平たんな農地、優良な農地を持たない長崎県の要請に基づいて実施したことが一つ。いま一つは、御承知のように、台風の常襲地帯でありまして、高潮とかあるいは大雨の災害が毎年際限がない。こういう事々に対する防災機能の強化の目的を含めて実施したのが諌早湾干拓の事業であります。  特に、昨年一年間は大変な大雨がありました。しかしながら、今回のこの潮受け堤防により防災効果が発揮されて、地元自治体や住民の方々から、あるいは農業関係者から、私どもに再三いわば感謝状が寄せられているという事実をよく御認識いただきたいと思います。
  69. 菅直人

    ○菅(直)委員 農水大臣は、私が以前現地に行ってみてくださいと言ったら、答弁されませんでしたよね。そして、今二つのことを言われました。  防災効果については、いろいろ議論がありますが、ある程度あったのかもしれません。ただ、最初のことは、平たんな農地と言われますが、すぐそばに平たんな農地がたくさんありますけれども、減反で草ぼうぼうになっています。ですから、このことは国民の皆さんに判断をいただくとして、もう一つ総理にお聞しておきたいと思います。  これは先週にも少しお聞きしたのですが、こういう公共事業に関連してよく言われるのは、仕事を持ってきて、自分の後援会に絡む業者がそれに入る、そしてその後は、選挙の応援と称していろいろと便宜供与を受ける、あっせんして利得を受けるということがよく聞かれております。あっせん利得罪を含むきちっとした腐敗防止法を与党として出されるおつもりがあるのか。何か、骨抜きという話もありますね。自分がこれは政治資金という扱いだけすればあらゆるものが免責されるなどというようなことも聞かれておりますが、それについて、骨抜きをしないでこの国会に出される予定が与党としてあるのか。党首会談をやられるそうですから、意見をお聞かせいただきたいと思います。
  70. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 まず、公共事業について国民に大変誤解を与えかねない御意見がございましたけれども、当然ながら、国と地方が適切な役割分担のもとで協力、協調しながらこれを進めていくことの必要性は、議員はよく御承知の上で議論をしておられると思います。  そして、これまでも地方への権限移譲や補助金などの整理合理化が進めてこられたことも御承知でありまして、その上で、今回の基本法において、こうした視点も踏まえて、国が直接行うものは、全国的な政策及び計画企画立案、並びに全国的な見地から必要とされる基礎的あるいは広域的事業実施に限定し、その他の事業については地方公共団体にゆだねていくことを基本とするといった見直しをする、これに情報公開あるいは行政手続法等々が相まって、今と大きく変わっていくであろうことは御理解の上で、御意見を述べておられると思います。  次に、政治腐敗の防止と政治倫理の確立に関する立法措置、これは、与党三党間において議論をされております。そして、多分本日の委員会が終了した後、時間を持っていただくと思いますが、幹事長等も交えながら三党首会談を行い、議論をしてまいります。自民党案に対する社民、さきがけのお考えを伺うことになるでありましょう。その上で取りまとめに努めていきたいと考えております。
  71. 菅直人

    ○菅(直)委員 ちょっと小さいことを一つお聞きしますが、中央省庁再編等基本法案準備室、今、この準備室のメンバーに民間人が残っていますか。どうですか。(橋本内閣総理大臣「残っているよ」と呼ぶ)現在ですよ、きょう現在。
  72. 坂野泰治

    ○坂野(泰)政府委員 準備室は、基本的には行革会議事務局をそのまま移行させたものでございまして、その発足におきましては、かなりの数の民間からの出向者を置いておりました。  この法律案を閣議決定いたしましたのが二月半ば過ぎでございまして、その後、その法案国会審議に必要な資料等の作業を逐次進め、各派遣元の企業の御要請もございまして、順次お帰りをいただきまして、現在は、民間からの出向者はすべてお帰りをいただいた状態になっております。
  73. 菅直人

    ○菅(直)委員 もうちょっとはっきり言ってください。いないんですね、一人も。はっきり言ってください。総理はいるんじゃないかと言われていますよ。いないんですか。
  74. 坂野泰治

    ○坂野(泰)政府委員 三月末日で、すべて派遣元にお帰りをいただいております。
  75. 菅直人

    ○菅(直)委員 この一言をもって見ても、総理でさえ、この行政改革会議は民間人もたくさん入ってやっているんだから、構成メンバーを見てもらえばわかる、そして、民間人が事務局にも入っている、それを引き継いだ準備室――これからつくろうとされている推進本部のことがあるから言っているんですよ。  まあ、これからつくられることですから、もちろん、総理も十分されるでしょうが、これから設置法をつくったりいろいろな法律をつくるときに、そういうお役所のベースに全部乗せられてしまっているのじゃないかと先ほど来申し上げていて、現在この準備室に民間人がおられますかと私も聞いてみたら、いや、もう全部お帰りをいただきましたということでしたから、確認をさせていただいたのです。  どうか総理、これから進めるに当たって、すべてが官僚の皆さんの中で議論がされて、外にそれが説明されないことがないように、まして、総務庁長官総理のところにまでそういう構成がきちっと伝わっていないというようなことがないように十分注意されることをお願いして、あとは、関連質問は同僚議員に任せたいと思います。
  76. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 三月三十一日、新年度の発足に当たりまして、民間の方がすべて帰られたという報告は、私、聞いておりませんでした。この点はおわびをいたします。  その上で、三月三十一日まで民間の方々が作業しておられたという事実をもう一度申し上げ、新たな事務局をスタートさせるときに、民間からの協力なしにこの仕事ができるとは私は考えておりませんので、既にさまざまなところでそういうお願いを申し上げておりますし、必ず民間からの御協力をいただく、またいただけると信じております。
  77. 高鳥修

    高鳥委員長 この際、北脇保之君から関連質疑の申し出があります。菅君の持ち時間の範囲内においてこれを許します。北脇保之君。
  78. 北脇保之

    ○北脇委員 民主党の北脇保之でございます。私は、ただいまの菅委員の質問に関連して、特に中央省庁等改革基本法案の基本的な問題点を中心に質問をいたします。  まず最初に申し上げたいことは、橋本総理が進められているこの行政改革、これが、国民が期待する行政改革ではなくて、官僚による官僚のための行革になってしまうのではないか、こういう強い疑問を感じるということを申し上げさせていただきます。  私が思うに、国民が期待する行革、これは何よりも、役所の機構や人員を減らして納税者の負担を減らすこと、そして、必要のない公共事業など予算のむだ遣いをやめさせること、これがまさに国民が期待する行革である、このように思います。  その点で、現状がどうかということを、少し国民の皆さんにも知っていただくためにお話ししたいと思いますが、会計検査院がまとめました平成八年度の決算報告を見ますと、計三百五十件、二百二十一億一千六百万円にも上る税金のむだ遣いが並んでおります。会計検査院の報告というのは、指摘事項に至らないものもありますのでまさに氷山の一角である、こういうふうな受けとめ方をしなければいけないと思います。  指摘事項の一つの例を挙げれば、全国に多目的ダムという治水と利水両方を兼ねたダムがありますが、治水の目的のためには、洪水の危険があるときには放水をしなければいけません。しかし、これを、洪水の危険が迫っていないにもかかわらず機械的に一定の時期に水を流してしまって、結果として、本来ならば渇水対策などに使える、水道用の水として使えるものをむだに流してしまっている、こういう指摘がございます。会計検査院の報告によれば、全国十一の多目的ダムで、水道水八百万立方メートル、水道料金にして十一億円相当をむだに流している、こういうことが平成八年度の会計検査院の報告で指摘をされています。これはまさに一例なのですが、こういったむだ遣い、これをなくしていくということが国民の願い、期待であると思います。  この点について行革会議の報告を見ますと、そうした具体的な問題点、その洗い出し、そしてそれをどうしていくかということの議論が非常に乏しいように思われます。そこで、行革会議でこういった具体的な問題点の洗い出し、そしてその対策ということについてどのような議論がなされたのか、この点について総理にお聞きをいたします。
  79. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 今、たまたま会計検査院検査報告を例示でとられましたが、行政改革会議におきましては、例えば会計検査院の検査報告、あるいは地方分権推進委員会における、あの時点におきましては第四次の勧告まで最終的には準備をされた、あるいは規制緩和推進計画、それぞれを所掌して進めていただいている方々の御努力の上に立って作業を進めてまいりました。  ですから、それぞれの作業を洗い直すというのではなく、こうしたところを留意していくべきという指摘はそれを受け、公共事業等につきましても、今、先ほど来菅議員にもお答えを申し上げていたような大きな考え方を整理してまいりました。分権推進計画につきましても規制緩和計画につきましても、それぞれ先行して専門的に議論をしてこられた皆さんの御意見を踏まえて、もう一度なぞり直しの議論に時間をそんなに費やしてはおりません。
  80. 北脇保之

    ○北脇委員 私は、やはり国民の期待というのは、行政のむだをなくして税負担を減らすということだろうと思いますので、そのためには、現状把握、これがどうなんだということ、そこから出発をして、次に全体的な行革の方針を立てていく必要がある、こういうことを申し上げているわけでございます。
  81. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 ですから、それは当然のことながら、検査院の報告も行政監察の監察結果も、行政改革会議が論議を進める上の土台として活用させていただいております。地方分権推進委員会における分権の御議論も、行政改革委員会における規制緩和の、あるいは撤廃、見直しの御議論も、それを踏まえて進められて、当然ながらむだを減らして行政スリム化する、そうした視点で努力をしてまいりました。
  82. 北脇保之

    ○北脇委員 それでは、基本法案の条文に則してお尋ねをいたしますが、法案の三十二条には、今の点の方針として、「国の事務及び事業の見直しを行い、国の事務及び事業とする必要性が失われ、又は減少しているものについては、民間事業への転換、民間若しくは地方公共団体への移譲又は廃止を進めること。」つまり、もう国の事務事業で不要になったようなものはやめる、民間や地方へ移せるものは移すということが法案の三十二条に書いてあります。  しかし、ではこの必要性が失われた事業とか民間や地方に移せる事業、これは何なのかということ、これをだれが特定するのかということが問題になってきます。法案を出す以上はこれを法律の中で特定できなければいけない、私はそう思います。それをすべて行政府に任せてしまう、こういうことであったら、結局はまた膨大な官僚機構の中で各省庁の官僚が出てきてやるということになってしまって、まさに、例えで言えばまないたの鯉であるべき官僚機構が包丁を握る、こういうことになってしまうのではないか、こう思います。いかがでしょう。
  83. 小里貞利

    小里国務大臣 まさに先生が御指摘になりましたとおりでございまして、ではそれを具体的にその中身はどうかというお話であろうと思うのでございますが、まさに今日の基本法を国会の意思で決定をしていただきます、そして直ちに中央省庁再編推進本部をつくりますから、その推進本部が一応軸になりまして、これから具体的に各省庁の設置法の中において、ただいまおっしゃったように、従来、実績としてこれはむだであったよ、あるいは効率が低かったよ、もっと簡素化するべきだ、あるいは分担を地方にするべきだ、あるいは官民分担をするべきだ、いろいろな基準を、先ほどから議論いたしておりまするように重要な条件がありますから、それらの上に立ちまして作業を進めてまいります。そして、来年の今ごろは、再び国会にその具体的なるものを、ただいま先生が御指摘になったようなものをそれぞれ多彩にわたって整理をして、国会の意思を再度お聞かせをいただきたいという段取りでございますので、その一つ計画を御理解いただきたいと思います。
  84. 北脇保之

    ○北脇委員 事柄は、この法案の基本的な性格にかかわると思います。先ほど総理は、この法案プログラム法だというふうにおっしゃいました。私の理解では、国会は国権の最高機関でございますからここでこの行革についても法律を定めて、その法律行政府を拘束する拘束力、規制する力を持つ、そういう法律をつくって、その法律のもとで行政府が行革を進める、これを一定範囲でゆだねる、こういうことだと思うのです。  ですから、この法案の中で、例えば先ほどから言っています不要な事業とかもうやめるべき事業、それから民間や地方に移すべき事業、これが何を指すのか。例えば要件といいますか、どういったような事業はもうそういうやめた方がいい事業であるとかというようなこととか、もしくはそれを例示で、例えばこういうものはもうやめるべきだと思ってこういう法案を提案している、そういったことが明らかにならなければ、この法律でもって行政府を一定の方向づけをして行革を進めていく、そういうことにならないんではないかと思います。この点、いかがでしょうか。
  85. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 例えば、規制緩和という分野で例示を少し挙げさせていただきたいと思いますが、情報通信分野で既に事項を撤廃いたしましたもの、過剰設備防止条項あるいはNTTを除く外資規制撤廃、こうしたものは既に終わりました。あるいは、NTT再編法が国会成立させていただきまして、NTTを、純粋持ち株会社のもとに東西二社の地域会社、そして長距離会社に再編成をし、その長距離会社国際通信へも進出ができる、こういうものを既に認めていただいております。あるいは、外為法の改正によりまして、内外の資本取引の事前許可でありますとか届け出制を原則廃止することになり、外国為替業務の完全自由化が今進んでおります。あるいは、特定石油製品輸入暫定措置法が廃止され、石油製品の輸入が自由化されました。こういうふうに法律に基づきますもの、それぞれ法律で、この形で国会に御意見をいただき、その御了承を得て進めています。それは、例えば今国会法案提出を予定しております労働者派遣事業対象業務範囲をネガリスト化する、こういったものもございましょう。  あるいは、全く違った地方分権という視点からいきますと、例えば昨年秋の臨時国会で、工場立地法で、通産大臣などが処理しておりました工場の新増設に関する届け出、一定以下の要件のものを都道府県知事にお渡しをする、こうしたものが既に法律改正として成立をいたしました。今国会におきましては、同様の観点から農地法の改正、あるいは都市計画法において、あるいは森林法において都道府県知事が持っておられる仕事を市町村に移していく、こうしたものもございます。  あるいは、分権推進計画を今国会終了までのできるだけ早い機会にと申し上げておりますけれども、従来五百六十一の機関委任事務がありました中で、二十は国の直接執行事務にする。事務自体をやめてしまうものが十一。存続する事務の五百三十のうちで、自治事務となっていくものが三百九十八、約六割。法定受託事務として残るものは二百七十五、約四割。こうした法律あるいは法律に基づいて政府執行しております機能の中で、こうしたものを今進めております。  今、なかなか、類型的にとおっしゃいますけれども、こうした多様な業務を類型で例示をすることの難しさはおわかりをいただけると思いますけれども、それぞれの必要な法律案の改正は、国会において御審議をいただいた上で私どもが進めている、今申し上げたような例示が現実のもの、ぜひそれは御理解をいただきたいと思います。
  86. 北脇保之

    ○北脇委員 ただいまの御答弁は、既に改正が成立しているもの、そして予定がはっきりしているもの、そういうものだったと思います。  私が期待するものは、まだこれからという部分についで思い切ってやるんだ、このことを国民の前にはっきりとわかるようにお話しいただければという思いでお聞きをいたしたことをつけ加えたいと思います。
  87. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 規制緩和でありますならば、三月三十一日、この四月一日から新たにスタートをいたします規制緩和推進三カ年計画の中に、私どもがやろうとしておることを皆列記をいたしております。こうした点、あわせてお答えを申すべきであったかもしれません。その点、言葉の足りなかったところはおわびをして補足をいたしますが、今、規制緩和につきましては、規制緩和推進三カ年計画を、既に三月三十一日に新三カ年計画を公表しておることを申し添えます。
  88. 北脇保之

    ○北脇委員 ただいまの点は、今後も法案の審議の中で深めていきたいというふうに思います。  次に、今の国民の負担を減らすということでのこの法案による行政府に対する縛り、もう一点あると思われるのは、法案の四十七条で「行政組織の整理及び簡素化等」の規定がございます。  一つは、局等及び課等の数を縮小していくということでございます。局の数でいえば、平成九年度百二十八あるものを、省庁再編の時期にできる限り九十に近い数にする。また、課の数についても、平成九年度千百七十三あるものを、同じく省庁再編の時期に千程度にしていく、こういうことが書いてございます。  そこで、非常に当たり前の疑問といえば当たり前の疑問なんですが、幾ら局の数とか課の数を減らすといっても、局の規模、課の規模が大きくなってしまったら、実質的な意味スリム化にはならないと思うのです。この点についてはどのようにお考えなのか、お聞きいたします。
  89. 小里貞利

    小里国務大臣 今日の段階で数値を特定して申し上げることは困難な事情であることを御承知いただけると思います。  それこそこれから、いわゆる規制緩和も徹底してやってまいりましたし、さらにこれからもやりますよ、あるいは地方分権もやりますよ、あるいは官民の負担も区分をきちんとこれから積極的にやりますよ、そのための、先ほど議論がありましたように、独立行政法人化も図りますし、あるいは外局にも引き出しますし、あるいは民間にゆだねるべきものは徹底してゆだねていきますよ、あるいはまた、事前管理のいわゆる裁量行政から事後チェックルール行政に切りかえていきます、そういうふうに徹底した改革作業がこれから進んでまいりますから、その結果を見て、それと同時に、いわゆる私どもが言っておりまする州府十二省庁というその組織の体制もだんだん整備されてまいりますから、そして、その中に、今お話がございます新省庁の新たな任務あるいは全体としての行政機能、あるいは所掌事務等が整理されてまいりますから、その段階にこそ、今御指摘がありました、一体、結果として一府十二省庁の傘下のもとに局数は幾らになったか、あるいはその課数は幾らになったかということが出てまいるわけであろう、こう思っております。大胆にその辺を、まさに正面から切り込んで、国会やあるいは国民の力をおかりしながら集中的に議論を進めていく、検討を進めていく、そういう段階をひとつ見詰めていただきたいと思う次第です。
  90. 北脇保之

    ○北脇委員 私のお尋ねしていることとちょっと御答弁が食い違っていると思うのです。というのは、数のことは、局の数はできる限り九十に近い数にすると言っていますから、これを八十九にするのか八十八にするのかと、そういうことをお答えいただきたいということで聞いたわけじゃないんです。  ですから、もうちょっと違う聞き方をしますと、じゃ例えば、例えばじゃないんですが、今現在、現行の局は、中央省庁で平均して局の平均的な人数は何人なのか、また、平均して課の人数は何人なのか。これ、突然の質問ですから、それはまあお答えできなくても無理もないと思いますが、そういうことをベースにして、じゃそれを、この省庁再編の暁に、その平均的な局の人数、人員、課の人数、人員を変えない、少なくともふやさないということを明言できますか。
  91. 小里貞利

    小里国務大臣 御承知のとおり、現在の一府二十一省庁体制、お互いにこれはもう概要、中身もつかんでおりますから、私どもは、この段階におきまして、一体国の果たすべき本来の役割というものは今日の時点においてどういうことなんだろうか、この辺を厳粛に分析、検討しなければならぬと思います。その上に立ちまして、では、ひとつ地方分権や、先ほど申し上げましたようにもろもろの改革一つの柱あるいは方式が整理されてまいりますから、それらと一緒に作業を進めてまいりまして、結果としていろいろな、先ほど申し上げましたように数値が出てくる。  殊に、最後の方で今お尋ねになりましたように、事務事業削減するけれども一体その組織・定員はどうなるのか、ここを今お尋ねになったのではないかと思うのでございますが、とりあえず今次の基本法におきましては最低一〇%以上のものを目標にいたしておりますというものの、先ほど総理もお答え申し上げましたように、もろもろの改革を、縦横から切り込んで、これを断行していかなければなりませんから、その結果は、私どもは、相当さま変わりな結果を期待できる、確信できる、さように思っておる次第であります。
  92. 北脇保之

    ○北脇委員 私は、省庁再編後、局の人員的な規模、それから課の人員的な規模が拡大することはないのかということを、ないというふうに明言できるかということをお聞きしたんですが、それ、明言できるというお答えはありませんでしたので、それはそういうものとして私は受けとめさせていただきます。
  93. 小里貞利

    小里国務大臣 では、もう具体的に申し上げますが、例えば国家公務員と称せられる者は、御承知のとおり全体で百十五万人前後だろうと思います、防衛庁関係を除きましても八十二、三万人ありますから。私は来年の今ごろ、今次の基本法を国会の意思で決定をいただきまして、先ほど申し上げまするようなもろもろの手続、制度を断行して、そして来年、各省庁の設置法を御相談いたしますが、そのときには、その八十二、三万人という数字は、大変活気立った一つスリム化を皆様方の前に審判を受けることができると確信をいたしております。
  94. 北脇保之

    ○北脇委員 今長官のお答えは、定員といいますか、公務員数のことに広がってお答えがありましたけれども、そのことについてもお聞きをしたいと思います。  先ほども野呂田委員の質問の中で、十年間で一割削減というのは、英国の三割とかそういった例に比べるとちょっと少ないのじゃないかという、私の受けとめ方が間違っていなければ、そんなふうな御質問がありました。それは私も同感に思います。  それともう一つ、これは質問としてお聞きしたいのは、予算委員会で我が党の岡田克也議員が質問したのですが、この一割削減という意味が、現行から減らす方だけを見て一割削減と言っているのか。もしそういうことであって、片方で社会の変遷に伴って新規事業が出てくるからそこでの定員増は別だよととうと、そうすると、差し引きした結果の総体的な公務員数は一割減るというふうな保証はない。場合によったらふえたとしてもこの法案に反することにならない、こういう意味合いになってしまうが、そういうことなのかということを質問しておりました。そのときには、そうだという答弁だったように私は理解しましたが、もう一度この点を確認いたします。
  95. 小里貞利

    小里国務大臣 まず、現在国家公務員定数というのはどうなっているか、そしてまた歴年ふえているのか減っているのか、その辺を申し上げた方がいいと思うので。  これは、もう御承知のとおり、例えばこの平成十年度におきましても、純減が三千七百人でありますから、これは平成九年度の二千二百二十数名であった数値から見ますと、相当切り込んだ一つの純減であります。  この一つの延長線上で考えているのか、あるいは今次の新しいこの抜本的な改革を根拠に置いて、加味して考えているのかというお尋ねであったと思うのでございますが、私どもは、現在やっておりまするこの基準もそのまま延長に置きますけれども、さらに新しい改革のその結果による効果というものを顕著に期待をしておる。そしてまた、その数値は減りませんということを確信を持って申し上げますと先ほどお答え申し上げた次第でございます。
  96. 北脇保之

    ○北脇委員 そうしますと、今の答弁では、全体の定員計画の管理の中で国家公務員定員を十年間で一割削減する、だから例えば新しい事務事業が生じてきたとしても、それは一割削減の中で人員の配属を変えていくことで、そういうことで対応していく、こういう理解でよろしいでしょうか。
  97. 小里貞利

    小里国務大臣 率直にはっきり申し上げますが、私どもが今次の改革で考えておりまする定数問題は、御承知のとおり、国家行政組織法の現在対象に置いておるものであっても今度は明らかに外に出しますよ、言うなれば国の現在の行政機関の外に別法人をつくりまして、そして新しい業務組織のもとに行うものもございますから、あるいはまた総定員法対象にも置きません、こういうような前提からいいますと、大変その辺が際立って一つ削減というものが期待をできます、さように申し上げております。
  98. 北脇保之

    ○北脇委員 じゃ、もう一度本当に確認をいたしますが、定数を減らす、一割減らすということで間違いないでしょうか。
  99. 小里貞利

    小里国務大臣 国家行政組織法あるいは総定員法対象の外に置きますよということはこの法律にも明記してございますし、また行政改革会議の経緯等からも御理解をいただけるものと思っております。
  100. 北脇保之

    ○北脇委員 今の点なんですが、法案を読むと、今の点に関しては、郵政公社をつくるとかそういうことで当初つくった計画よりもさらに国家公務員の、中央省庁の中にいる人を減らすというふうに書いてありますから、郵政公社化とかそういうことは別として、一割は定員削減していく、こういうふうに読めるのですが、この理解でよろしいでしょうか。
  101. 高鳥修

    高鳥委員長 質問に的確に答えてください。
  102. 小里貞利

    小里国務大臣 私どもは、今おっしゃったとおり、そのような新しい画期的な制度のもとに移行する以外で一〇%以上、これを期さなければならぬ、さように思っております。
  103. 北脇保之

    ○北脇委員 今一〇%以上と。今のお答えはわかりましたが、もう一つ確認しておきますと、さっきから言っている純減で一〇%以上なのかということ、これも今の延長で明確にお答えいただきたいと思います。
  104. 小里貞利

    小里国務大臣 議員は本当に細やかに精査をして今お尋ねになったと思っております。  法律上、一〇%と活字になっておるのは片道であります。ふえた、減った、その差はどうかということでありますが、私どもが言っている純減というのは、先生も御承知のとおり、きちんと、どうしてもふやさなければならぬものがありますね。例えば外務省もそのとおりです。あるいは、ことしだって文部省などもふやしております。それから、削減できる省庁、部局もありますから、個々のいわゆるプラスマイナスを私どもは純減と言っておりまして、今年度の場合、三千七百人という数字が出ましたということを申し上げておる次第でございます。
  105. 北脇保之

    ○北脇委員 今の御答弁でますますちょっと話が見えなくなったと思うのですが、法案は片道だと今長官はおっしゃいました。ということは純減じゃない。しかし、長官のお気持ちは純減だというようなことで、何か法案意味するところと長官の気持ちは違うということをおっしゃったような気がしますが、どうでしょうか。
  106. 小里貞利

    小里国務大臣 法律上は削減という活字を使っております。また、私はその概念も、ただいまおっしゃるとおり理解をいたします。  私は純減という言葉で先ほどは申し上げました。純減となりますと片道じゃありませんから、そのふやすところ、減らすところの数値を基礎に置いて判断を申し上げたわけでございます。
  107. 北脇保之

    ○北脇委員 いや、私は純減ということを明確にするべきだと思いますので、それでしたら法案そのものをそういうふうに書けばいいのじゃないでしょうか。これはどうなんでしょう。
  108. 高鳥修

    高鳥委員長 坂野審議官。きちんと説明してください。
  109. 坂野泰治

    ○坂野(泰)政府委員 基本法案の条文の内容でございますので、事務的に改めて御説明をさせていただきます。  基本法案で十年一〇%という数字であらわしております削減意味でございますが、これは各省から定員の枠として定員管理当局に供出をさせる、いわば片道の意味としてこの条文は書いておるわけでございます。  なお、先生御指摘の純減とすべきではないかという御主張についても、私ども考え方を整理をいたしておりますところを申し上げさせていただきますと、純減というものをあらかじめかたい目標の形で計画とするということになりますと、削減と対応します新規増員というものについても、これをあらかじめかたく見込む必要があるわけでございます。ただ、この新規増員につきましては、これまでもそうでございますけれども毎年度の行政需要、そのさまざまな要因におきましていろいろな数がそのときそのときで定まってくるものでございます。したがいまして、将来的にこれをあらかじめ確定しておくことは困難ではないかということで、この法律上におきましては削減という形で表記をいたしておるところでございます。
  110. 北脇保之

    ○北脇委員 今の答弁を聞けば、官僚というものがいかに抜け道をつくるのにたけているかということがはっきりしたと思うのです。  本来は、民間でもリストラをして人員削減をするといえば、それは民間企業だって経済社会の進展に合わせて新しい事業は出てきますよ。しかし、それを純減で削減するというのを計画として定めるのが世の中の常識だと思います。しかし、今のお話では、新しい事業が出てきたらふえるかもしれないと。これでは何らこの法律によって行政機構を縛ったことにならないのではないかと思います。いかがでしょうか。
  111. 小里貞利

    小里国務大臣 私は、議員がおっしゃる意味はよくわかるのです。今も政府委員が答弁しておりましたように、この基本法に純減という活字を盛り込みたい気持ちはやまやまあるのです。しかしながら、実際のところ、純減といきますと、それなら今度のもろもろの改革作業を終わったときに、一年後、一体増員という一つの部署が出てくるだろうか。あるいは、建設省、農水省のごとく、今でさえも相当切り込みをさせていただいておりまするが、そういうような一つの形でいわゆる改革の次元に基づく思い切った削減というものが相当出てくることははっきりいたしておりますけれども、その対比におけるふえるという、先ほど申し上げましたところが不確定であるので、そもそも国会法律を出す以上は削減という言葉を使い、そして正確にその数字を出した、私は妥当に出したと思っております。  私どもは、今次の改革をやる以上は、少なくともこういうもろもろの国会の意思を決定いただいて思い切った改革をやる以上は、一〇%以上というものを純減で必ず目標として、むしろ率直に言わせていただくなれば、もろもろの改革制度がたくさん打ち込んでありますから、これから議論があると思うのでございますが、それらをトータルのものとして期待を申し上げますときには、先ほど申し上げましたように、これは自信を持ってやらなければいけません、かように申し上げた次第であります。
  112. 北脇保之

    ○北脇委員 法案で例えば行政スリム化とか地方分権とか民間への移転とか、そういうことを抽象論で言ってもこれがどうなるかということはわからないのですね。そこで、やはり本当の意味で、数字で、逃れようのない形で枠をはめていくということが行革の基本法として私は非常に重要だと思うのです。  その点を考えた場合、一割純減ということが、スリム化も進める、それから地方分権も進める、そして独立行政法人とかそういうものもつくる、規制緩和もやる、これだけのことをやると言っているのですから、いろいろな新規事業の要因があったって、一割純減ぐらいやれるということでなかったら……(小里国務大臣「だから、できると言っているのですよ」と呼ぶ)ええ、ですから、それを法律に書くべきだと申し上げているのです。
  113. 小里貞利

    小里国務大臣 行政改革会議の最終報告をまとめる過程において、非常に私どもがいろいろな視点から苦労をいたしました問題点一つでございます。しかも、一〇%という数値を出すか出さないか、正直に申し上げますと、その辺も含めて議論をいたしました。  しかしながら、行革会議の最終報告として、各委員の意見が、最小限これは前進をするんだよと、前向きの姿勢で、そして言うなれば積極的な、国民として一つの期待の持てる最小限のものはきちんとしておいた方がいいだろう、そういうような感覚も手伝って一〇%という数値が定められた。しかも一〇%以上と。以上ということを加えること自体、相当議論された経緯もございます。  そういう一つのいきさつでありますことを御理解いただきたいし、さらに、繰り返すようでございますが、先ほどいわゆる独立行政法人あるいはその他の公社等、郵政公社等もこれから、また議論もいただいておりますし、これらもまた具体的吟味が出てまいりますから、それらをいろいろ議論して整理していただけば、少なくとも、先ほど申し上げましたように、国家行政組織法対象にもなりません、あるいは総定員法対象にもなりません、その結果としての数値を八十数万の中から見ていきますと際立ったさま変わりの期待ができるのです、ぜひひとつ御理解いただきたい、こう申し上げておるわけでございまして、私が申し上げておることは、決して混乱したことを言っておるつもりではありません。
  114. 北脇保之

    ○北脇委員 私は、長官の熱意ということはよくわかりました。  ただ、問題は、私ども国会議員という立場ですから共通点が多いわけですが、この行革の問題というのはまさに行政改革ですから、相手は官僚機構なんですよ。政治家が国民の負託を受けてどういうリーダーシップで官僚機構を変えていくかということがポイントなので、そういう意味では、官僚機構が抜け道を探っていくような、そういうことは穴をふさいでいかなければいけない、そういう点では国会議員という立場では同じだと思うのですよ。そこのところをやはりしっかり取り組んでいかなければいけないのではないか、そんなふうに思います。
  115. 小里貞利

    小里国務大臣 決してこれは、議員、私は反論申し上げるわけでもないし、また反論申し上げるべきことを言っていらっしゃるわけではないのです。まさに結果としては同感です。  今度の改革こそ官僚主導でなくて政治主導でやらなければいかぬ、だから政治が本当に国民的、客観的立場に立ってきちんと整理をして、そして勇気を出して国会にお諮りをするし、国民の前に明らかにしていかなければならない、そう思っておりまするがゆえに、私が先ほど申し上げておりまするように、先生があえて、国家行政組織法総定員法を基準にして考えるときには一体どれぐらいの言うなれば削減スリム化というものが期待できるかとおっしゃるから、できますよ、それは際立ったさま変わりの結果を私どもは確信を持っております、こう申し上げておるわけでございます。しかも、今申し上げておることは法律にも明記してございますから、御理解いただきたいと思います。
  116. 高鳥修

    高鳥委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午前十一時五十二分休憩      ――――◇―――――     午後一時開議
  117. 高鳥修

    高鳥委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。北脇保之君。
  118. 北脇保之

    ○北脇委員 午前に引き続き質問をいたします。  午後の私の持ち時間は十分ちょっとでございますので、一点に絞って御質問をいたします。  それは、中央省庁等改革基本法案実施による新体制への移行の時期のことでございますが、法案の五条を読みますと、「遅くともこの法律の施行後五年以内に、できれば平成十三年一月一日を目標として、中央省庁改革による新たな体制への移行を開始するものとする。」こういうふうな案文になっております。  そこで、ちょっと私が疑問に思うのは、「できれば平成十三年一月一日を目標として、」この言い方でございます。それは、「できれば」ということであればできない場合もあるということが裏返しにあると思うのですが、それは何を想定して「できれば」という言い方をしているのか。言いかえれば、こういう規定をするのだったら、むしろ、先に平成十三年一月一日を、その日を特定した期日にして、その日に新体制に移行するんだということを書いて、その上で、これこれしかじかのこういう特別な事由のある場合は施行後五年以内まで猶予を認める、こんなふうな案文にするのが通常の書きぶりだと思うのです。この点についてお答えをいただきたいと思います。
  119. 小里貞利

    小里国務大臣 率直に申し上げまして、大変旺盛な前向きの意欲をお示しいただきまして、大変ありがたく思っております。  ただいまお話がございましたように、五年以内と、いわゆる向こう向こうの限りを、一つの限定を置きまして、そしてでき得れば二〇〇一年の一月一日ですよ、こういうふうに記してありますこと、お話しのとおりであります。  手がたく国会の意思もお聞きしなければならない基本的な要件もたくさんありますな、非常に広範で基礎的に大事な事項がたくさんあるという判断が一つございました。  それからもう一つは、作業そのものが、組織、事務事業、そして定員問題等に至るまでいろいろと具体的に多岐広範にわたっておりますこともありまして、まず中央省庁再編成についての基礎的なところを整理をして、国会の意思決定を含めて決定をさせていただきまして、そして一年間相当と私どもは思っておりますが、大変な改革のもろもろの作業がございますから、その期間内にじっくりその検討、整理をして、そして国会に再び各省庁設置法あるいは内閣法あるいは行政組織法等を御相談する。そして国会で議論いただき、その結果をもって実施に移る。  そういたしますと、実施というのはせいぜい二〇〇一年一月一日が一つの物理的に計算をいたしましていっぱいいっぱいだな、そういう感じを持った次第であります。なお、これが可能なれば、二〇〇一年一月一日を完全実施に持っていかせていただきたくという念願を私どもは持っております。
  120. 北脇保之

    ○北脇委員 今の長官の答弁にございましたような、今後、具体的な法案を作成した場合には国会の審議が必要であるとか、また事柄が非常に多岐多様にわたるのでその改革案をつくるのに時間がかかる、こういったことはわかります。  しかし、そのことは一つの与えられた条件でございますから、その中で、いつまでに新しい体制に移行するのか、これをはっきり決めてこれに取りかかるのが本来の筋道だと思います。そこで、「できれば」と言ってしまうと、つまり、取りかかって、動き出してみたけれども、作業が思うように進捗しない、その場合には二〇〇一年が無理になることもあるかもしれない。「できれば」という意味は、そんなふうにしか受け取れないわけなんです。としますと、.私は、いつまでにやるかということをまたしても官僚機構の作業に任せてしまっている、こういうふうに思うのです。それではいけない。  そういう意味で、官僚機構の作業に時間がかかるからできない場合もあるということではなくて、それ以外にもっと違う要因があって「できればしという言い方しかできないということであれば、そこのところを明確に御説明いただきたいと思います。
  121. 小里貞利

    小里国務大臣 限りなく二〇〇一年一月一日実施に近い形で、もう限りなく実施ということを、その意味をもちまして私どもは念願を申し上げておる。しかも、申し上げておりまするように、大変複雑にして大変膨大なる検討を要する案件でございますから、精いっぱい頑張ってみて、そして二〇〇一年一月一日が事実上可能となれば大変これは結構なことでございますし、また、それを悲願といたしております、こういうことでございます。
  122. 北脇保之

    ○北脇委員 今の答弁では、私が指摘しました、結局官僚のやり方にゆだねられてしまうのではないかということに対する反論という形にはなっていないのじゃないかというふうに私は受けとめました。  もう一つ総務庁長官お尋ねしたいのは、「新たな体制への移行を開始する」と言っているのですが、「新たな体制」ということ自体もどこまでのことを言うのかはっきりしませんし、「移行」ということ自体も幅のあること。しかも、それを「開始する」と言ったら、三段構えに、じゃ、その法律施行後五年の時点もしくは二〇〇一年一月一日の時点で何が実現するのかということが非常にあいまいであると思います。  ですから、例えばここで言っている「中央省庁改革」という言葉、この言葉は、法案の一条に定義がありますが、結局、省庁再編とか地方分権とか公共事業改革独立行政法人の設置、そういった法案でやろうとしていることすべてを指して「中央省庁改革」という言葉を使っているわけなんです。  したがいまして、平成十三年一月一日の時点で新たな体制への移行を開始すると言うならば、そこで言っている「新たな体制」というのはどこまでのことを言って、「開始する」というのはどういう状態が実現されれば開始したと言えるというのか。これをお答えいただきたいと思います。
  123. 小里貞利

    小里国務大臣 通常の行政におきましても、これは政治主導でなければいかぬよ、こういう厳しい警鐘をいただいておるところでございます。  お互いに、国会もあるいは内閣もその方向で可能な限り頑張っておるし、また、官僚を過大に介入させることは、きちんと排除するべきはしてまいっておるつもりでございますが、いわんや今次の世紀の中央省庁改革行政改革等に臨むその基本的な決意、姿勢におきましては、具体的にもきちんとそのことは今御指摘のとおり心得てまいるべきでございますし、過日の行政改革最終報告をまとめるにおいても、私どもは、総理大臣を本部長として、会長として、きちんとその姿勢は貫いてまいったつもりであります。  しかしながら、今次の改革は、さらにまた多大な御忠告をいただきましたように、もろもろの抵抗もあります。あるいはまた、そのほかいろいろなこれに対する摩擦もありますことは私どもも十分心得ておりますが、国会の意思を決めていただきました暁におきましては、きちんと推進本部を、総理大臣を本部長にして、そして各大臣そのメンバーとなりまして、まさに国民的視野に立ちまして、公正にしてかつまた立派なこの基本法に背くことがないような省庁再編に努めなければならぬ、さように思っておるところでございます。  それから、今お話がございましたように、二〇〇一年一月一日分移行の話でございますが、これは一府十二省庁完全なるスタートが最も理想であり、またそれを念願と申し上げておるということでございます。しかしながら、中においては、事柄によっては二〇〇一年に完全に実施できないものもあります。  例えて申し上げますと、三十二、三万人に及ぶ郵政事業庁関係公社への移行などは五年というきちんとした目標時期が定めてありまして、それまでは、御承知のとおりの郵政事業庁などで二〇〇一年でとりあえずスタートして、そしてこの施行後の五年というその時限におきまして公社化をする、こういうようなものなどもあるものですから、一応そういうことも背景にあるということを御理解をいただきたいと思います。
  124. 北脇保之

    ○北脇委員 具体的に答弁をぜひお願いしたいと思います。どういうふうな形で移行するのかということをお聞きしているわけですから。  例えば、じゃ今お話にありました省庁再編については、二〇〇一年一月一日の段階では一府十二省はもうでき上がって、それでもう各省設置法に基づいてそういう体制になるということを目指すのかということを確認させていただきたい。それが一つ。  もう一つは、例えば公共事業改革で、直轄事業とかそういう重要な事業だけ国でやる、あとは地方に任せる、地方に対しては包括的な補助金を交付していくような形にするという改革案が書いてあります。これも、二〇〇一年一月一日の段階にはこうなるということを目指すというのか。この二点についてお答えいただきたいと思います。
  125. 小里貞利

    小里国務大臣 二〇〇一年一月一日、名実ともに一府十二省庁体制をスタートさせなければならない。  それから、公共事業等云々についてのお話でございますが、お話しのとおり、法律を御採決いただければ、それを基本にしてこれが具体化のための作業を向こう一年間かかって行います。
  126. 北脇保之

    ○北脇委員 質問時間が参りましたので、一つだけ最後に総理お尋ねをしたいと思うのです。  移行時期について「施行後五年以内」、こういうことが書いてあるわけなんですが、今非常に内外ともに、特に金融システムそれから経済、こういうことを含めて大変多端な時期であり、また大変な変革期でございます。そのときに、五年間も中央の省庁の官僚を一カ所に集中してこの省庁再編ということにエネルギーを注ぎ込んでいくということは、私はちょっと時間をかけ過ぎになるのじゃないかというふうに思います。ですから、五年以内ということではなくて、必ず二〇〇一年一月一日にはむしろここで提起されているプログラムについては全部実行するんだというぐらいでやらなければ、今の時勢には間に合わないと思います。この点について、総理のお考えを伺いたいと思います。
  127. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 気持ちは恐らく、私は議員と余り変わりはないと思います。  その上で、関連する法律案、運用法等を全部整備し、そして完全に、建物も含め整備を終わり完了するまでの時間というものは、まず法律関係を全部整理していくだけでも相当な時間が必要になります。国会の御審議も当然十分な時間をおかけいただくでありましょう。そうしたことを考えていけば、時間が、議員から見ると長いと言われますけれども、本当は私はそれほどの時間の余裕のあるスケジュールではないと思います。  しかし、全力を尽くしてやっていきたいと思いますので、ぜひ御協力をいただきたいと思います。
  128. 北脇保之

    ○北脇委員 どうもありがとうございました。
  129. 高鳥修

    高鳥委員長 この際、池田元久君から関連質疑の申し出があります。菅君の持ち時間の範囲内においてこれを許します。池田元久君。
  130. 池田元久

    池田(元)委員 民主党の池田元久でございます。  行政改革、大変重要なテーマです。国民から見ると、この行政改革というのは何か。平たく言えば、政府仕事を見直して不要な仕事を減らす、また、行政の内容、サービスを国民の要求、ニーズに合わせていくということだと思います。国民の方々から見ますと、行政改革によって高齢化社会等を間近にして税金などの負担を抑えることができるかどうか、また、行政改革によって国民の皆様が必要とする行政サービスが質量ともに向上する、新たなサービスが受けられるかどうかだと思います。  今度の橋本行革と言われるこの中央省庁再編法案を見ても、国民の負担増の抑制、また行政サービス向上という保証はないと思います。国民、市民の望んでいる行政改革とはほど遠いと言わざるを得ません。  私は、国民、市民、納税者の立場に立った行政改革というのは大変重要だと考えております。しかし、組織いじりに終始した、それが前面に出たこの中央省庁再編法案をなぜ急ぐのか、端的にお尋ねをしたいと思います。  対ロシア外交等、大変御苦労さまでした。端的にお尋ねをしたいと思います。
  131. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 今議員は、この法律案そのものだけで御議論をされました。  私は、その前提に、既に私の前任時代から始まっておりました規制緩和、そしてその規制緩和が進み、本年の三月三十一日をもって計画が終了した後も、四月一日から新たな規制緩和の三カ年計画がスタートしている。規制緩和あるいは撤廃、見直しという行為は、官から民への、スリム化意味することであることは申し上げるまでもないと思います。  また、地方分権推進委員会、私の就任以前から仕事をしてきていただき、地方分権推進委員会の四次にわたる勧告というものをいただきました。そして、この勧告に基づいて、今国会中のできるだけ早い時期に地方分権推進計画を策定すると申し上げ、今鋭意その作業を進めております。さらに、その上一層の分権推進委への御勉強をお願いをしておりまして、地方分権も動いております。これは、当然ながら中央政府の業務の減につながることであります。  そうしたものを下敷きにし、よりスリムでより効率的な、そしてより透明性の高い政府をつくっていく。そのためには、従来からさまざま受けてきた指摘にこたえていくためにも大ぐくりの行政組織を目指していく。それは、分権規制緩和等による官から民への業務の移しかえを土台に敷きながら中央省庁行政を大ぐくりにしていく。そのための手順あるいはその方向性というものを、これで御決定をいただきたい。  さらに、この中には、従来の我が国では採用しておりませんでした独立行政法人といった新たな概念に基づく、今の国家行政の見直しにその根拠を与えていただく方向性も含まれております。こうしたものを御論議をいただくことが間違っている方向であり単なる再編とおっしゃるのは、少し私は方向が違うのではないかと思います。
  132. 池田元久

    池田(元)委員 今のお話でも国民の負担増の抑制等というのは出てこないわけですね。  先に進みたいと思うんですが、橋本内閣に対しましては、信頼できないとかそういう声が多く出ております。今の言葉で言えばコンフィデンス、信認が問われております。政府がお金を使って何をやろうが市場が反応しないという傾向が強くなっております。昨年秋こだわった財政構造改革法を、九八年度予算成立したら一転して修正しようとしております。経済政策を転換したのに、あいまいにごまかし、責任をとろうとしないと言ってよいのではないかと思います。  総理には残念ながら申し上げますが、こういう信頼、信任を失った橋本総理大臣にこの国の再構築をするという中央省庁再編を進める資格が果たしてあるかどうか、お尋ねしたいと思います。
  133. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 議員は、あるいは疑念をお持ちかもしれません。しかし、行政改革がまさか必要でないとおっしゃるのではないと思います。必要であるとするならば、それを確実に仕上げていくために全力を尽くすのは当然ながら私が負わなければならない役割だと思います。  そして、さらに触れられましたが、私は、行政改革の結果として、当然ながら国民の御負担がより緩やかになる方向に行くだろうと思います。しかし、それは、例えば先ほど来の御論議の中でも、総務庁長官から、郵政事業庁、さらに公社化、あるいは独立行政法人による国家公務員の減といったことも申し上げてまいりました。そうしたことを国会がお認めをいただければ、そうした方向国家公務員の総数は大きく減る、減少するわけであります。そうしたことをお認めいただけるかどうかもこの法律にかかっておるということを申し添えます。
  134. 池田元久

    池田(元)委員 端的にお答え願いたいと思います。  また、別の角度からいいますと、現在の自社さ政権は、参議院選挙後まで続くのかどうかわからないと言われております。その上、行政改革では、財政と金融の分離問題のように、連立を組んでいるのが大変不思議な印象を与えております。  このように、不安定で参議院選挙後にどうなるかわからない自社さ連立政権ということからいっても、長期的に中央政府の形を縛る省庁再編法案を出す資格はないと私は思います。これは政治的に言っているわけです。国民や市場の信認を失い、参議院選挙後にどうなるかわからない政権に、長期的に政府の形を定める、固定する省庁再編法案を進める資格はないと私は改めて申し上げたいと思います。  次に、今、政治家、政府がやることは何か、お尋ねしたいと思います。  今、国民の皆さんは何を望んでいらっしゃるか。雇用不安などで消費が衰えております。中小企業は、金融機関の貸し渋り、貸し絞り、そういう現象に悲鳴を上げております。橋本内閣と大蔵省は、デフレ的政策と不良債権の隠ぺいと処理の先送りで、深刻な政策不況を招いております。  今、政府が真っ先にやるべきことは何か、橋本総理大臣に端的にお尋ねをしたいと思います。
  135. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 まず第一に……(発言する者あり)いや、議員の御質問に答えようとしているのですから、どうぞ、やじに答えずに、私の答えを聞いていただきたい。まず第一に、自社さ政権で行革を議論する資格があるかと言われました。  私どもは、当然ながら、政府・与党としてこの中央省庁について議論を重ねた上で、この基本法を、党の了承も得て国会に提出をし、その上で、党派の別なく御議論をいただいております。  私は、国会が御論議をいただくということは非常に大事なことであり、自社さ政権であれば行革をやってはいけないとおっしゃるような言い方は、私は、ちょっと不穏当なお話だな、我々が必ずやっていこうとしていることについて国会国会としてのお立場で御議論をいただく、そのようなことだと思います。  そして、それぞれの改革は皆、私は、進めていかなければならない大事なもの。その上で、当面、議員がおっしゃりたいのは、多分、景気の回復にもっと努力せよということでありましょう。全力を挙げてまいります。
  136. 池田元久

    池田(元)委員 G7では、先日、日本の経済の状況はこの数カ月でより深刻になった、重要なのは、効果的な財政措置と構造改革を迅速に実施することだと声明を出しています。  一方、IMFの暫定委員会は、十六日、日本の信頼回復には金融分野での早急かつ断固たる行動が重要である、金融システムの支援は中期的かつ一貫した政策的枠組みの一環として、銀行閉鎖、業界再編を伴って実施されるべきだという声明も採択いたしました。銀行の閉鎖や再編まで言及したわけです。日本政府の早急な対応を迫っております。  今、政府がやるべきことは何か。それは、デフレを食いとめ、金融システムを再生するための強力な経済対策にほかなりません。それが、国民、中小企業者の声であります。アジアを初め国際社会の世論でもあります。政策の優先順位は明らかです。常識ある政府であれば、強力な経済政策のための補正予算編成とそのための必要な法整備が緊急の課題だと私は思います。  しかし、橋本内閣は、中央省庁再編内閣の金看板、シンボルだとこだわり、法案審議を急がせております。特に、法案審議のためにG7への松永大蔵大臣の出席を一たん取りやめようとした、これは信じられないことです。日本問題が議題の中心になるG7への出席を取りやめようとしたわけでして、国益と政権の利益とどちらが大事なのか、お考えをいただきたいと思います。
  137. 松永光

    ○松永国務大臣 お答えいたします。  私は、G7という大変大事な会合に出席する予定でおったわけでありますが、いずれにせよ、国会の承認が必要であるものですから、承認をいただいて行ってまいりました。ゼロ泊三日で行ってまいりました。  G7の会合では、御指摘のように、日本の経済の現況が厳しいという指摘もございましたが、私は、これに対して、我が国は橋本総理のリーダーシップのもとに、十六兆という……(池田(元)委員「内容は聞いていない」と呼ぶ)はい、そうですが。大型な補正、新たな経済対策をやることを決定し、そしてそれが実行に向けて着実に進んでおりますということを申し上げましたら、そのことについてはG7参加国の人は理解を示して、そして、速やかにそれをやってもらいたいということでございました。  なお、金融システムの不安の問題につきましては、去年の暮れ以降の大きな問題であったわけでありますが、国会の承認をいただいて金融安定化緊急措置法が成立を見ましたので、直ちにその法律執行を行ったのでありまして、まだ貸し渋り等の現象があることは残念なことでありますけれども、一時のような金融システムについての不安感は解消されてきたというふうに思っているところでございます。
  138. 池田元久

    池田(元)委員 G7への出席を私はすべきと言っているんですからね、誤解のないように。それの出席問題でぐらつくようではやはり政府に対する信頼もぐらつく、こう言っているわけです。  自民党にも、今は行革よりも景気対策を優先すべきだという声があります。加藤幹事長は、党の国対関係者には、基本法案は二〇〇一年を目指したものだから緊急性が少ない、他の法案を先に処理すべきだという気持ちが強いと指摘したと報道されております。私は、橋本内閣の皆さんに申し上げたい。政策の優先順位を間違えないようにしていただきたいと思います。  さて、今度の基本法案は大変問題点が多い。多過ぎると思います。この委員会の審議で逐次取り上げられると思いますが、行政改革はまず大蔵省の改革からとよく言われております。戦後、軍と旧内務省が解体され、大蔵省だけが無傷のままに生き残りました。狂乱インフレ、バブルの発生、住専問題、大手銀行、証券の破綻、それに構造的と言われる汚職、いずれも大蔵省に大きな責任があります。  私は、大蔵省にある財政とか金融とか、機能は機能として大変重く見ておりますが、大蔵省の組織、役割を根底から見直していかなければならないと思います。その視点から基本法案を若干見ていきたいと思います。  まず、基本法案では、国の予算編成はどこで行うことになるのか、端的にお答えいただきたいと思います。
  139. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 これは今さら申し上げるまでもなく、予算編成権は、憲法上、内閣の権限であります。そして、その予算を作成して国会に提出することを内閣の権限としている憲法のもとで、内閣が、現在でも、概算要求に当たっての基本方針の設定、あるいは経済見通し、予算編成方針、税制改正の要綱によりまして基本方針を決定してまいりました。  この法律案におきましては、国政運営に対する内閣総理大臣の指導性を強化するという観点から、内閣官房の総合戦略機能を助ける知恵の場として新たに設置される内閣府に、経済財政政策に関して国務大臣あるいは学識経験者などの合議によって審議し、必要な意見を述べるための合議制の機関としての経済財政諮問会議を置くことになっております。そして、その任務、予算編成の基本方針など経済政策に関する重要事項について審議する、こうして規定をいたしております。  経済財政諮問会議は、予算編成の基本方針を作成する過程で重要な位置づけを持ってまいります。そして、予算編成の基本方針そのものはあくまで閣議によって最終的に決定されるものでありますが、従来と大きく異なりますのは、この経済財政諮問会議に民間の学識経験者の方々にお入りをいただくことによって、そうした声を十分に反映した予算編成基本方針をつくっていくことができる、そのような仕組みになっているということであります。
  140. 池田元久

    池田(元)委員 今総理もおっしゃったように、憲法七十三条は、内閣の職務として第五号で「予算を作成して国会に提出すること。」ということを規定しております。また、憲法八十六条では、「内閣は、毎会計年度の予算を作成し、国会に提出して、」としております。予算編成権は内閣にあることは明らかです。この基本法案を見ますと、予算についてほとんど触れられていません。一つは別表ですね、別表の第二の財務省の主要な行政機能の真っ先に「予算・決算」を挙げております。  もう一つは別表第一、経済財政諮問会議の項目に任務の一つとして「予算編成の基本方針について審議する」とあるだけで、これではほとんど従来どおり財務省、つまり大蔵省に事実上予算編成権があるのではないかと私は思います。これは憲法の趣旨には合わない、憲法の規定に違反するのではないかと私は思います。  実はといいますか、戦後、昭和二十五年財政制度審議会、三十一年の行政審議会、いろいろと改革を提言しております。特に昭和三十九年の第一次臨時行政調査会は次のように答申しているわけです。予算編成は事実上の政策の決定であり、内閣の重要な任務であるにもかかわらず、内閣にしかるべき補佐機関が欠けているために、実際は大蔵省が予算編成のすべての事務を担当している、そして、内閣の決定は形式に堕している、このように第一次臨調はこの問題を真剣に検討して、内閣補佐官の設置を提言しているわけです。これは御存じだと思います。  今総理がおっしゃいました、わずかに予算のことが出ているその中の一つ経済財政諮問会議は、任務の一つとして予算編成の基本方針を審議するというが、予算編成全体ではなく基本方針、それも審議のみするというのはどういうことか、お尋ねをしたいと思います。
  141. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 これは一つの例として、本年度の予算編成におきまして、環境、科学技術、情報通信等経済構造改革特別調整措置、また公共事業関係におきまして物流効率化による経済構造改革特別枠、これは私自身の手元で、内政審議室にバックアップしてもらいながら、所管を超えた総合調整、具体的な指示を行って編成をしてまいりました。  経済財政諮問会議がまさに重要事項について審議する、そのとおり書いてあることを今私も答弁で申し上げましたけれども内閣が基本方針の作成の責任を負う、決定をする。これは憲法上の規定でも我々が内閣として責任を持っていくべきことであり、その中に審議された成果というものを十分生かしていく、そのために民間の学識経験者の方々の知恵を今までちょうだいをする仕組みがなかった、経済財政諮問会議がそうした役割を果たしていただけるという意味で大きな変化を生じる。その上で、事務的に数字を整理していく。それがどこになるかということと、基本方針の中に、民間の声、学識経験者の知恵というものを生かしていけるという仕組みの差は、大変大きなものであります。
  142. 池田元久

    池田(元)委員 では、基本方針を決定するのはどこなんですか。「審議する」とはなっていますが。一言で、余り答弁資料を見ないでお答えいただきたいと思います。
  143. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 先ほどから何回も申し上げております。もう一度私、正確に読みます。(池田(元)委員「読まなくていいです。自分の言葉で言ってください。明確ではない」と呼ぶ)いや、自分の言葉で申し上げたのに、聞いておられなかったのでしょうか。  予算編成の基本方針自体は、あくまで閣議によって最終的に決定されるものでありますということは、先ほどももうお答えを申し上げております。
  144. 池田元久

    池田(元)委員 それだったら、文書といいますか、内閣予算編成の基本方針を決定すると明記すればいいじゃないですか。
  145. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 今ちょっと確認しましたけれども、ちゃんと六条に書いてあるはずですが。
  146. 池田元久

    池田(元)委員 経済財政諮問会議は、審議をする、審議のみするというから、私はお尋ねをしているわけです。(橋本内閣総理大臣予算編成を」と呼ぶ)予算編成は、これは今、憲法上の話もいたしました。実態の話もいたしました。  今度の行政改革会議でどれだけ取り上げられたか、私も調べてみたのですね。そうしたら、わずかこれだけですね。四回の審議で触れられて、ちょっとボリュームがあるのは一回のみ。あとは簡単にしか触れられておりません。  行政改革会議は当初、この問題に正面から取り組もうとし、昨年三月、四月ごろに、事務局案には、予算編成の主導権を握る首相直属の経済諮問会議構想が盛り込まれていたと言われております。ところが、六月二十五日に発表された事務局案では、この構想は消えていた。  きょう、水野事務局長はいらっしゃらないですね。行革会議の水野清事務局長は、月刊文春「「行革会議」官僚との攻防」の中で、経済諮問会議の設置は、事務局の第二次案以降そっくり抜け落ちていた。そして、こうも言っています。「内閣機能の強化について検討しようとしている時に、検討資料から強化すべき大事なポイントが、まるで魚の小骨を抜くように次々と外されていく。これでは内閣機能強化ではなく、弱体化ではないか。」こう事務局長は言っているわけです。  まあ、官僚たちの隠微な抵抗に遭ったとされておりますが、重要な予算編成権の問題は、行革会議では余り検討されなかった。これは、私は、大変重要な改革のテーマが抜けたと言わなければならないと思います。  さて、時間がありませんので、次に参りますが、財政、金融の分離についてお尋ねをしたいと思います。  財政と金融の分離というのは、制度的な、抽象的な論議ではありません。田中内閣のときの狂乱インフレ、そしてバブルの発生、バブルの崩壊、それが国民生活に大きなマイナスを与えました。これは、財政が金融を従属させ、金融政策にしわ寄せ、ツケを回したことによるものだとされております。私もそう思います。私たちは、国民生活にマイナスを与えないように、大蔵省改革の一環として財政と金融の完全分離を主張しております。  この問題について、一点評価したい点が私はあります。昨年五月の当委員会で、私は、大蔵省が金融庁と共同の省令にして、支店の設置など細かな点までくちばしを挟めることについて指摘をいたしました。その結果、行革会議総理も発言されて、共同省令が廃止をされることになりました。それとあわせて、金融の検査監督の一元化も実現をするということです。私は、これは評価したいと思います。その点で、橋本総理大臣に敬意を表したいと思います。  しかし、財政と金融の分離は徹底しておりません。基本法案は、与党の合意に基づいて、財務省、つまり大蔵省の後身ですが、当分の間、金融の破綻処理制度と金融危機管理の企画立案を行うとなっていますが、この破綻処理、金融危機管理を、国内金融の企画立案を担う金融庁ではなくなぜ財務省で行うのか、端的に理由をお尋ねしたいと思います。
  147. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 その御質問の前に、改めてもう一度私は申し上げますけれども、第六条、ここの中には内閣総理大臣の発議権を決めているわけでありますけれども、その中で、当然ながら、国政に関する基本方針として、予算編成の基本方針、閣議にかけることができることを法制上に明らかにする、内閣の権限としてこれを明示しております。その上で、経済財政諮問会議において、「予算編成の基本方針等経済財政政策に関する重要な事項について審議する」と特記をしております。その重みは御理解をいただきたいと私は思います。従来全くなかったこうした考え方で、民間等学識経験者の意見も予算編成の中に生かしていけるこの差というものは大変大きいと私は思っております。  また、財政と金融の分離問題につきましては、大変いろいろ、行政改革会議でも、また与党間でも議論が尽くされました。そして、その結果、与党三党間におきまして、「金融破綻処理制度ないし金融危機管理への対応に限って大蔵省に担当させる」、これは後に財務省に変わるわけでありますけれども、こういう合意が取りまとめられました。また、与党合意におきましては、この措置は、金融システム改革の進捗状況などを勘案して当分の間ということにされておりますが、さまざまな意見集約の結果として当分の間という期間を設定されたものと思います。  政府としては、この与党合意の内容を中央省庁等改革基本法案の中に忠実に盛り込み、国会において御審議をいただく、今御審議をまさにいただいているわけであります。  評価をしていただきました点についてお礼を申し上げながら、その経緯を御説明申し上げました。
  148. 池田元久

    池田(元)委員 いずれにせよ、橋本行革は、私は重要なテーマが抜け落ちている、重要な大蔵省改革が九六年の与党合意より後退している。  ここに一部ですが、中間報告と最終報告、それに基本法案を対比したパネルをつくってみました。ペーパーとしてもお手元にお配りしております。これを見れば、橋本内閣の行革、橋本行革の後退は僕は明らかだと思います。  内閣機能を対比しました。大蔵省は今言ったとおり。国税庁の分離は、総理自身が真剣に検討すると言いながら、当面現行どおり。さらに、郵政三事業についてはごらんのとおりです。そして、通信放送委員会、これは提起されたのは多としますが、内部部局になってしまった。地方の出先機関については、予算の一括計上が一括配分のみになってしまいました。省庁議員の抵抗で骨抜きにされ、後退したことは明らかです。  行革会議委員の藤田宙靖委員は、最終報告がまとまったときに、「首相がこだわったものがことごとく覆されている」と言っております。橋本総理大臣は、予算委員会で、現状と比べてほしいとおっしゃっておりますが、改革であれば現状から改善するのは当たり前なんです。  橋本総理大臣は、おととしの十一月、スタート時点で、火だるまになっても行革を断行すると強い意気込みを示しました。それが中間報告以降は、省庁と党の抵抗で手も足も出ないだるまになり、ついには核心部分も抜け落ちてひなたの雪だるまになったのではないか、解けていくひなたの雪だるまになったのではないか。火だるまが手も足も出ないだるまになり、さらにひなたの雪だるまになったと言われてもやむを得ないのではないかと私は思います。  橋本総理大臣、一言、反論がありましたらお答えをしてください。
  149. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 別に反論する気もいたしません、それはあなたの感想でありますから。  ただ、現実に、それならなぜ、抵抗があるあるいは妨害があるといったような言葉を今あなたもお使いになるのでしょう。今から大きく変えていこうとしている。その変えていくことに御異論がないのであれば、方向性に御異論がないのであれば、その内容について御議論をいただくことは私は大変ありがたいと思いますけれども、せっかくの御評価でありますからちょうだいはしておきます。しかし、そういうことに感想を求められるより、むしろ前進のための議論をいただければなと私は内心思っていることだけは申し上げます。
  150. 池田元久

    池田(元)委員 議会の役割は、こういうものをチェックする、そういうことですから、当然、橋本行革の中間報告、そして最終報告、そして基本法案、対比するのは当たり前じゃないですか。  それで、郵政三事業について、もう時間がありませんが、これは核心ですからお尋ねをしたいと思います。  この問題については、担当は自見郵政大臣ですが、それよりも小泉厚生大臣、国務大臣の方が積極的に発言されております。  まず、小泉大臣からお聞きしますが、中間報告にうたっております郵政三事業民営化について基本的にどう考えるか、それが一つ。また、新設される国営の郵政公社は、企業会計原則を取り入れています。また、郵便貯金資金などを全額自主運用するということになっておりまして、いずれ民営化方向へ行かざるを得ないと思いますが、その点もお尋ねをしたいと思います。
  151. 高鳥修

    高鳥委員長 先ほど御発言がありましたので、小里君の発言を許します。
  152. 小里貞利

    小里国務大臣 先ほど総理の方から話がありましたけれども郵政事業庁の問題で、あなたの方では「七年後までに移行」と書いてありますが、これは正確に申し上げますと、二〇〇一年の一月一日に郵政事業庁に移行をいたします。それから二年間以内、すなわち、今度の法律が通りまして施行後五年後には公社に移行しますよというのは決まっておりますから、それから逆算いたしますと、二〇〇一年一月一日に移行するといたしますと、きちんと五年後には郵政公社に移行をしますということになっておるわけでありまして、御理解いただきたいと思います。
  153. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 私は郵政三事業民営化論者ですから、それに比べれば、現実に郵政民営化成らなかったわけですから、その方向に行っていないじゃないかという批判は当たるかもしれませんが、現状から比べれば、郵貯の資金運用部への預託も廃止された、企業会計原則にのっとって自主運用する、なおかつ、封書、はがきの郵便事業、これは民間参入を認めた、大きく前進した。そして、将来、どの政党も官から民へと言っているわけです。民間でできることは民間に任せようじゃないか。すべて民間ができるようになるということを見れば、なぜ役所がやらなければならないという理由を見つけるのが将来難しくなるんじゃないかということで、私は、民営化に向けて大きく前進したと思います。  大事なことは、民主党さえも郵政民営化を提案しなかった、なおかつ民間参入さえも提案しなかった。これはどういうことか。官から民へと口だけじゃないか。私は、政党のそういう責任が問われるんじゃないかと思います。
  154. 池田元久

    池田(元)委員 私個人としては明確な考えはありますが、この際は、今の私の質問に沿ってお聞きしたいと思います。(発言する者あり)
  155. 高鳥修

    高鳥委員長 静粛に願います。
  156. 池田元久

    池田(元)委員 自見郵政大臣、今の点ですが、郵政三事業民営化論について、また、民営化方向に行かざるを得ないのではないか、その二点について、郵政大臣にお答えをいただきたいと思います。
  157. 自見庄三郎

    ○自見国務大臣 池田委員にお答えをさせていただきます。  先生御指摘のように、行政改革の最終報告は中間報告を受けて、中間報告はございましたが、その後いろいろ論議があって、御存じのように、結果として国営、三事業一体というふうになったわけでございまして、また、今いろいろな論議があったわけでございますが、やはり私は、大事な点は、これはユニバーサルサービスと申しまして、三千三百の市町村全部で実はこのサービスは受けられます。簡易保険あるいは郵貯それから郵便、これは私は大変大事なことだと思う。あまねく広く、全国どの国民でもひとしく受けられるということが基本だ、私はこういうふうに思っております。  その中で、中間報告でいろいろ論議がございましたが、世論調査をいたしましても、六割から七割の方が国営、三事業一体でいいんじゃないかと。また、約三千三百の市町村の議会がございますが、その議会の九八・五%が、やはり国営、三事業一体でいいんじゃないか、こういった意思表示をしていただいたわけでございます。  そういった中で、こういった大きな行革の中で、時代もあるわけでございますから、今申されましたように、そういった中でまず預託義務を廃止する、これも大きな改革だ、私はこう思っておりますし、また、この郵便事業、信書につきまして、まさに明治以来ずっと信書は国家が独占をさせていただいたわけでございますが、これに関しましても、やはり民間企業等の参入の条件を考えるということを明記をさせていただいたわけでございますし……(池田(元)委員民営化方向」と呼ぶ)民営化というよりも、郵便事業につきまして民間企業の参入の条件を考える、こういうふうにはっきり法律にも、そういった決着がついたわけでございます。  また、そういった中で、そういったことを踏まえて、最初は、これは御存じのように、二〇〇一年一月一日が目標でございますが、この中で郵政事業庁になる、その後二年間の期間を置いて、いずれこれは新たな公社になるということでございます。これはもう御存じのように、郵政三事業のいわゆる企画立案部門と実施部門を分けるという大変大きな仕事でございますが、そういったことまで踏み切ったわけでございますから、現状を踏まえ、なおかつ改革でございますから、やはり国民が望み、残すべきところはきちっと残していく、国家の骨格でございますから。しかし、新しい時代に即応して、変えていくところは変えていく。そういった基本的精神というのは貫けたものだというふうに、私自身はそういうふうに認識をいたしております。
  158. 池田元久

    池田(元)委員 自見さん、一言、民営化方向へ向かうんですか。その点だけ端的に答えてください。
  159. 自見庄三郎

    ○自見国務大臣 これは法律の中でもはっきり、これらのように民営化等の見直しを行わない、こう書いておりますから、私はこのことを言葉どおりに受け取っております。
  160. 池田元久

    池田(元)委員 もう一点、自見郵政大臣にお尋ねしますが、公社への移行後も郵貯の元利金の返済を国が保証することになるんでしょうか。端的にお答えください。
  161. 自見庄三郎

    ○自見国務大臣 これは先般も橋本総理が本会議でもお答えをしたように、これは国家の、国の事業でございますから、元利をきちっと国が保証していくというのは当然のことだというふうに私は認識をいたしております。
  162. 池田元久

    池田(元)委員 小泉国務大臣に端的にお尋ねしますが、今の点、郵貯の元利金の返済を国が保証することになるということについて、あなたの意見はどうですか。
  163. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 民間でも一千万円までは保証するとなっております。郵貯は一千万円以上預ける、ことができないんです。何ら問題ないと。
  164. 池田元久

    池田(元)委員 小泉さんは、補助金などの税金を投入しないと言われたわけですね。今、皆さんはもう聞いてわかるとおり、まず民営化方向ということについて言うと、明らかに小泉国務大臣と自見郵政大臣は違いがある。これは今まで、法案をまとめるまでに、自民党内や我々もそうですが、党内で論議があるのは当たり前です。それはいいんです。しかし、法案提出段階でこういう不一致は困る。(発言する者あり)不一致じゃないですか。不一致です。  それで、この民営化論、民営化の見通し等聞いてきましたが、少なくともこの民営化の見通しについては、小泉さんと自見さんは違います。意見の違いがある。これは今まではいい。しかし、法案が提出された現在、この違いを私は問題としないわけにはいかないんです。それはそうでしょう。内閣は、国会に対して連帯して責任を負うと。これはイロハでしょう。中央省庁再編基本法という橋本内閣の重要法案について、橋本内閣は一体これで法案提出者として責任を負えるんですか。  私は、その点を強く申し上げて、時間が参りましたので、これで終わりたいと思います。
  165. 高鳥修

    高鳥委員長 これにて菅君並びに関連質問は終了いたしました。  次に、石田幸四郎君の質疑に入ります。
  166. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 石田でございます。平和・改革を代表して、質問をさせていただきます。  まず最初に、この中央省庁等の改革基本法の中で、先ほども問題になっておりましたけれどもそのスタートの時期の問題でございます。  第五条には、中央省庁改革の緊急性にかんがみて、「遅くともこの法律の施行後五年以内に」というふうになっております。そして「できれば」ということで、平成十三年の一月一日を目標にするというふうに、法律上はそうなっておるわけでございます。  この規定を見たときに、私は、明らかに省庁再編のスタートの時期がダブって見えているなというふうに思えてならなかったわけで、今までの橋本総理省庁再編に対するさまざまな発言というものを若干振り返ってみました。そうしましたらば、第二次橋本内閣の組閣後の記者会見で、この政権が、私が真っ先に取り組みたいと考えているのは行政改革だ、このように内閣の基本的な取り組み方を規定をしていらっしゃるわけですが、この記者会見の中にも、省庁再編統合というのは法案制定後五年以内に実施すると申し上げたけれども、例えば二十一世紀のスタートする西暦二〇〇一年の一月一日までに、その新体制への移行を開始することができれば大変すばらしいと思っていますというふうにおっしゃっております。また、平成八年の十一月の二十九日、百三十九国会においても同じ趣旨を述べられておるわけでございます。  また、百四十二国会、いわゆる平成十年の二月の十六日の施政方針演説の中には、いろいろ前段があるのでございますけれども、時期の問題については、二〇〇一年一月には一府十二省庁体制への移行を開始することを目指したいと。開始するとおっしゃっていないことは事実。この文言がそのまま法案に盛られてきたわけでございますけれども、先ほど来議論もありますように、いわゆる希望的なスタートの目標と、それから五年以内にという法的制限がある。そういうような法案というのは余り私も拝見したことはない。  先ほど来、例えば郵政事業の問題も、公社に移行するのを二〇〇一年からスタートして、それから五年後ということをおっしゃっているわけで……(橋本内閣総理大臣「二年後」と呼ぶ)二年後、失礼。果たして本当に二〇〇一年スタートを目指しているのか、その後の二〇〇三年を目指している法案なのか、この法案の趣旨がはっきりしないのですね。私はそう思えてならないのですけれども、いま一度総理の見解を承りたいと思います。
  167. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 今回の中央省庁改革、これは二十一世紀において我が国が担うべき、あるいは国が担うべきその機能というものを十分発揮できる、そして課題に十分に対応していける、そういうために行うものでありますから、できるだけ早く新体制に移行することが望ましい、そして、そのために力を尽くすべきであるということは言うまでもないことですし、私は、議員の御指摘を全く否定するものではありません。  そして、この体制への移行のスケジュールは、御指摘のように第五条で、遅くとも法律の施行後五年以内に、できれば二〇〇一年一月一日を目標として新たな体制への移行を開始するものと規定をいたしております。これはできるだけ早く移行を図りたい。  そして同時に、中央省庁改革を実行に移していく場合、新たな中央省庁の組織の設置に必要な、内閣法あるいは国家行政組織法、各省設置法等の改正案、さらに、独立行政法人制度の構築、その具体化、こうした非常に膨大な作業が必要になります。  そうした中で、政府として責任の持てるぎりぎりの期間、そして遅くとも五年以内という期間を設定いたしました。
  168. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 その後の作業が大変だということは私もいろいろ伺ってはいるんですけれども、それならばやはり、二〇〇一年と言わずに、正確を期して二〇〇三年から全面的にスタートさせるというふうに書くべきではないのですか。スタートの希望値を法律に盛り込むというのは、どうも私は納得がいかないわけなんです。  この問題を考えてみまするに、そうすると、二〇〇一年というのは非常に格好のいい言葉ではあったんだけれども、言葉だけなのかな、二〇〇一年の決意というのはないのかな、こういうふうにどうしても感ぜざるを得ないのです。さまざまな作業で困難なことは私も伺っておるわけでございます。しかし、少なくとも二〇〇一年というふうにおっしゃった以上は、そういうような困難な作業があるということは前提の上でおっしゃったというふうにこれは受けとめざるを得ないのでございますけれども、もう一度御所見を承りたいと存じます。
  169. 小里貞利

    小里国務大臣 基本的な経緯なり姿勢は総理の方からお話があったとおりでございますが、私は一つの大臣ですから率直に申し上げますが、今先生が御指摘になりました二〇〇一年一月一日を整理するときに、でき得ればという一つの言葉、概念を使うか使わないか、率直に申し上げまして大変議論がございました。  そして、その背景には、先ほど総理の方から申し上げましたように、これがスタートについては、重要なる一つ政府としての多彩にわたった決意とそしてまた各位の意見を聞かなければならないという要素があるものですから、途中におきまして、与党三党はもちろんのこと、そしてまた野党の皆様方の御意見なども可能な限り注目したがら最終報告をまとめてきましたものの、それでも、事の重大さ、本質的な一つの持つ意味というものを考えましたときに、やはり二〇〇一年一月一日完全実施というのはなかなか負担が重いのじゃなかろうか、あるいは、国会の意思を聞いてみようじゃないか、そういうような手がたい一つの構えもあったということは、私は率直に申し上げていいのじゃないかと思うのです。  段々、先ほど先生からお聞かせいただいておるように、これはもっと繰り上げてやる必要はないのか、あるいはやれるのではないか、その辺の可能性も探求しながらやってみろという話もあったようでございますが、その前向きの積極的な激励に対しましては、極めて今も注目しながらいろいろ知恵を絞らせていただいておるところでございます。
  170. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 しかし、どう伺ってみても、総務庁長官、これはもう二〇〇三年スタートの方が強いという印象を受けることになりますね。しかし、言葉としては二〇〇一年スタートというふうにおっしゃる。これはもう少し物事を整理していただかなければならぬのじゃないかと思うのですね。  これだけやっているわけにいきませんから郵政大臣にちょっとお伺いをしますが、これは法律施行後五年に公社に移行するというふうにおっしゃっていますね。郵政事業庁から公社へ移行するわけですが、なぜ五年という年数をお考えになったのか。ちょっと長過ぎるんじゃないでしょうかね。  これは、国鉄や何かから考えてみると、国鉄は要するに国の事業から民営化という、また分割という大変大きな作業がありました。それから比べてみると、今現在やっている郵政事業とそれが公社化になる郵政事業との問題の中で何がどれだけ改革をされていかなければならないのか、なぜその改革にそれだけ時間を必要とするのか、全然見えてこないのですね。ひとつ御答弁をいただきたいと思います。
  171. 自見庄三郎

    ○自見国務大臣 石田委員にお答えをさせていただきます。  今先生の質問の中で、五年では遅過ぎるのではないか、こういった御意見だった、こう思うわけでございますが、先生御存じのように、今回の郵政事業についてはいろいろな論議があったわけでございます。  行政機能を、御存じのように企画部門と実施部門に分離するとの基本に立ちまして、この法律の中にも書いてありますように、総務省の中に郵政事業に係る企画を行う内部部局を置き、実施部門は総務省の外局である郵政事業庁の所掌とされる。内局と外局と、御存じのように、企画立案を内局に、そして実施するところを郵政事業庁、こうさせていただいたわけでございます。国営三事業一体、そして国家公務員の身分を維持しつつ国営の新たな公社に移るわけでございますが、この郵政事業庁の設立から国営の新たな公社への準備期間として二年を確保するというふうにさせていただいたわけでございます。  この二年が、先生、少し長いのではないかという御意見だった、こう思うわけでございますが、この実施部門として、やはり今三十万人の職員がおりますし、やはり三つ事業があるわけでございますし、今の法律体系の中では企画立案等と分けていないわけでございますが、これをまず企画立案実施部門に分けるということが必要でございますから、実施部門としてまず郵政事業庁に移行させた上で二年間時間をいただきまして、その間の具体的な経験と準備を踏まえて、郵政事業庁という形態の中で、実施状況を踏まえて国営の新たな公社制度を設計をし、しかる後に国営の新たな公社に移行するという二段階方式でございます。一番最初、郵政事業庁をつくって、その後二年間の時間をいただいて新たな公社に移行する、こういったことを考えさせていただいたわけでございます。
  172. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 今のは全然答弁になっていないわけですよ。  郵政事業庁へ移行をさせて、さらに公社へ移行するわけでしょう。それが通算して五年もかかるなんというのは、私は、素人かもしれませんけれども考えられませんよ。今の形態とどれだけ違う、どこを改革する、そのためにどれだけの時間がかかるのかというのは全然明確にされていないじゃないですか。内局と外局に分けることがそんなに時間がかかる仕事ですか。そうじゃないでしょう。この点は御返事ができないでしょうから、これ以上の質問はやめておきましょう。  しかし、少なくとも国鉄は、いわゆる国鉄監理委員会が五十八年の六月に発足をして、そして具体的に民営・分割に取り組んできたわけです。そして、JRがスタートをしたのは六十二年の四月一日、実質的にこれはもうスタートしたわけです。その間の時間を考えてみても、議論が始まって約三年十カ月で実質的にスタートしている。こういう国鉄の民営化問題から考えてみても、いかにも五年というのは時間がかかり過ぎる、このことを私は指摘をしておきたいと思います。  まだ何か御答弁ございますか。
  173. 高鳥修

    高鳥委員長 自見郵政大臣。明快に御答弁願います。
  174. 自見庄三郎

    ○自見国務大臣 明快に答弁をさせていただきたいと思っています。  やはり、いまさっきからちょっと答弁させていただきましたが、企画立案と管理事務実施事務の分離、あるいは職員に国家公務員の身分を付与する国営の新たな公社への移行、事前チェックから事後評価への転換という過去に例のない運営の基本に関する改革を行うということでございます。なおかつ郵政事業は、いまさっきも言いました三千三百、二万四千六百の全国津々浦々にネットワークがあるわけでございますから、国民生活に即与える影響も大きいわけでございます。  そういったことにかんがみ、前例のないこの改革をできるだけ円滑に進めるためにそういった時間、あるいは、やはりこれはもう当然でございますが、国民一人一人の生活に関することでございますから、何かそごがあったらこれはもう本当にゆゆしきことになりますから、そういったことを踏まえ、慎重かつ大胆にやらせていただきたいというふうに思っております。
  175. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 大胆な方だけやってもらいたいですね。余りにも慎重になり過ぎて時間がかかるのでは、私は改革にならないと思います。  スタートの問題はそのぐらいにしまして、総理、先ほどちょっと私、総理の発言に触れさせていただいたわけでございますが、百四十二国会の施政方針演説では、ちょっと読ませていただきますと、こういうふうにおっしゃっているのです。   行政改革目的は、国の権限と仕事を減量し、簡素で効率的な行政、機動的で効果的な政策遂行を実現すること、国民の皆様から信頼される開かれた行政を実現することであります。これは、同時に、住民に身近な行政をできる限り身近な地方公共団体が担えるようにすることであります。   地方分権に関しては、今国会中に政府推進計画を作成し、確実に実施するとともに、市町村へのさらなる権限などの移譲、市町村の自主的な合併の積極的な支援、国と地方の役割分担に応じた地方税財源の充実確保、地方の課税自主権の拡大を図ります。 こういうふうにおっしゃっております。要するに、行政改革で非常に必要なのはまず地方分権だ、こうおっしゃっている。  さらに、規制緩和の問題に触れられて、この推進三カ年計画を作成をして、一層の規制撤廃緩和を進めます。その後、これらの取り組みにより国の権限と仕事を絞り込み、そして省庁再編、一府十二省体制へ移行することを目指しますとおっしゃっているわけです。  ですから、この行政改革というのは、いわゆる省庁再編問題だけではなくて、地方分権推進規制緩和、あるいはその他の個別の今問題になっている改革すべき行政上の諸問題、そういったものが少なくとも同時並行でなければならないのではないかというふうに思われてならないわけなのです。ところが、これだけ出てきてしまった。地方分権推進十カ年計画というのですか、これは一体いつ出るのですか。この姿が見えることが私は非常に大事だ。  もう少し聞いていただきたいのですが、いわゆる中央省庁再編というものは簡単に言えば業務のスリム化ですよ。そのためには、民間との関係を官主導から民主導に移さなければならない、地方へも移さなければならない。これが相まって行政改革の実が上がるわけであります。  規制緩和の方は、これはおくれているとも言われるし、また量的にもまだ少ないのではないかと言われる。外国からも、さらなる規制緩和要請されておる。三カ年計画を発表しても、なおアメリカあたりからも規制緩和要請がある。しかし、これは私は率直に申し上げて、前の村山政権から比べるとかなり橋本政権も取り組んでいるなというふうに思っております。しかし、地方分権の方は全然進まない。その姿が全然見えていない。中央と地方との関係は、省庁再編されてどういうような関係になるのかな、どこが整理されて行政経費の節減につながっていくのかな、こういう問題が見えていないのですね。  まず自治大臣にお伺いしますけれども、この地方分権推進計画なるものはいつお出しになりますか。その中身について、今ここである程度言うことができるでしょうか。量的には、電話帳ぐらいの膨大な計画になるだろうというようなことは聞いておるのですけれども、それだけに、何がそこへ織り込まれていくのかというのが見えないと、本質的に行政はここが変わるんだな、ここも変わるんだなということは見えてこないと思うのですよ。それらの問題について、自治大臣の所見を伺っておきたいと思います。
  176. 上杉光弘

    ○上杉国務大臣 お答えをいたします。  政府といたしましては、地方分権推進委員会の四次にわたる勧告を最大限に尊重して取り組んでおることはもう御承知のとおりでございますが、自治省といたしましては、ただいまの御質問でございますが、今国会が終了するまでのできるだけ早い時期に地方分権推進計画を作成いたしまして、国会に御報告を申し上げたいと考えております。  昨年末に、機関委任事務を廃止いたした後の地方自治制度のあり方等について大綱を取りまとめいたしました。現在は、各省庁とも相協力をいたしまして、実効ある地方分権推進計画を作成をいたしますように、今全力を挙げて取り組んでおるところでございます。  中身でございますが、地方分権推進委員会からは、地方分権推進計画の作成のための具体的な指針として幾つかあるわけでございますが、極めて広いものでございまして、委員御指摘のとおりでございます。  一つには、機関委任事務制度の廃止及び自治事務及び法定受託事務という新たな事務区分のもとでの地方自治の制度がございます。二つ目には、各行政分野ごとの機関委任事務制度の廃止に伴う事務の整理及び国の関与の見直しでございます。さらに三つ目には、地方公共団体への権限の移譲がございます。そして四つ目に、国庫補助負担金の整理合理化と地方税財源の充実確保の問題がございます。五つ目には、必置規制の見直し及び国の出先機関のあり方の問題がございます。そしてもう一つは、地方公共団体の行政体制の整備、確立という問題等があるわけでございまして、このように極めて多岐にわたる内容の勧告をいただいておるわけでございます。  地方分権推進計画は、これらのものを受けまして、この地方分権推進委員会の四次にわたる勧告を最大限に尊重して作成することといたしておるわけでございまして、これらの内容を盛り込んだものになると御理解をいただきたいと思います。
  177. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 しかし、この地方分権推進をしなければならないという取り組み方、これも非常におくれているわけですね。  仮にこの省庁再編が行われます。そして地方との関係は、今、県それから市町村というふうになって、国、県、市町村という三層制ですか、そういうことになっておりますけれども、この間からのいろいろな政府側の話を聞いていますと、地方の局に対しても相当な権限を、財源をそちらに振り向けるとなってきますと、四層制ということにもなりかねない。  四層制の基本というのは、そもそもこれは道州制論議を呼ぶ大きな問題点なんですが、それはさておいても、この分権推進計画なるものが、そういった地方との関連で、機関委任事務を中心とした改革案だけでも膨大なものになるわけですけれども、本当にここで、地方の課税自主権の拡大とか総理がおっしゃっている地方税財源の充実確保というような問題が、この中で具体的になってくるでしょうかね。そこら辺がはっきりしなければ、私は、非常にこの行政改革意味が薄れてくるのではないか。  地方の県知事さんや市長さんの話を聞いても、どうしても「やはり独自財源もしくは補助金等の一括交付といいますか、そういうような要望が訴えられるわけでございますが、そこら辺までやはり見えてこないと、例えば補助金の問題を取り上げましても、これは大変な金額になりますね。平成九年度でいえば、一般会計で十九兆七千八百四十二億、特別会計から七兆四千九百三十二億、約二十七兆補助金地方へ出ているわけです。これは法的に措置しなければならない補助金ももちろん含まれていますから、対象が全体ではないとは思いますけれども、この補助金が本当に、省庁再編に伴ってあるいは地方分権推進計画と相まって、どんな考え方でどの程度整理されるのか。そういったものが見えてこなければならない。それがまた一つの、行政改革省庁再編にとっても大きな影響を与える。  要するに、補助金が一括交付されるなんということになりますと、中央と地方との事務量というのはもう愕然と減るわけですね。これは、地方公務員の数にもかかわってきます。そういう問題をやはり整理されていかないと、本当の実は上がらないんじゃないかと思いますので、そこら辺の問題が具体的に入ってくるのかどうか、お伺いをいたしたいわけです。
  178. 松永光

    ○松永国務大臣 私からお答えするのが適当かどうかわかりませんが、私から先生に大蔵省としての考え方を申し上げたいと思います。  先生御存じのとおり、補助金というのは例えば生活保護あるいは義務教育、こういったものは一定の行政水準が全国津々浦々まで実施されなければならぬわけでありまして、そういう必要性のある補助金、あるいはまた特定の政策を推進するための補助金等々があるわけであります。  問題は、県、市町村、それぞれ財政力といいますか、それがばらばらに違っておりまして、東京のように豊かなところならばもういろいろな施策を自主的にやれるでしょうけれども、貧しい県、貧しい市町村、これについては、やはり補助金等を使って一定の行政水準が維持されるという状態を保っていぐことも大切なことではないか、こう思うわけであります。  ただ、しかし、地方行政の自主性の尊重あるいは財政資金の効率的な使用等の観点から絶えず見直しをする必要がある、見直ししつつ、適切な行政水準というものが維持されるようにやっていかなければならぬ、大蔵省としてはこう考えているところでございます。
  179. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 基本的な考え方は大蔵大臣がおっしゃったとおりだと思いますけれども、やはり行政改革という角度で見ますと、ここら辺のところはもう少し精査をしていただいて――何か御答弁ございますか。
  180. 小里貞利

    小里国務大臣 財政一般からは、今大蔵大臣の方からお話があったとおりでございましょう。  私どもの今次の基本法の視点から若干申し上げますと、先ほどの先生のお話の中にも含まれていたと思うのでございますが、補助金等の見直しの一つ視点でございますが、これは御承知のとおり、あるいはまた大蔵大臣からお話がありましたように、法定補助金ということに何にもこの際限定する必要はないのではなかろうか。申し上げまするなれば、本基本法案において規定する補助金とは、すなわち補助金であり負担金でありあるいは補給金でありあるいは交付金、委託費等の名称やその性格にかかわらず、広く、この際、言うなれば精査をしてみて、そして合理的に整理をする必要があろう、こう思っております。  なおまた、御承知のとおり、財政構造改革推進法におきましても、この考え方というものはきちんと整理されておるものと理解をいたしております。
  181. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 この省庁等の改革基本法案の概要の中にも、補助行政の見直しという問題が掲げられているわけで、今後、本格的に改革推進本部の中で検討されていくのだと思うのでございますけれども、これはもう、相当前から補助金行政問題点は指摘をされているわけでございますので、ここではしっかりした成果が得られるように、ぜひとも考えてほしいというふうに思います。  例えば、この行政改革推進本部のさまざまな検討の中で、一年ぐらいたてば、おおよそ補助行政のあり方が、新しいやり方が見えてくる、こういうふうに受けとめてよろしゅうございますか。
  182. 小里貞利

    小里国務大臣 まさにそのとおりでございます。  一年間ぐらいというお話でございますが、その間に厳正に精査をして、きちんと法律を通じ、あるいはまた国民の前に明示するべき事柄の大きなものの一つである、さように思っております。
  183. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 建設大臣、公共事業は別に建設省だけではないのでございますけれども、基本的な問題として、一つぜひ伺っておきたいわけです。  この改革基本法にも、公共事業の見直しを行うということで書かれていますね。そのことは、それなりの一つの方針転換というふうに受けとめていいと思うのでございますが、さらに、最近、何か自民党内でもいろいろ新しい検討がなされているということを新聞の社説で拝見しました。  これは、四月十五日の社説でございますから極めて新しいのですけれども、その表題は「PFIを「小さな政府」の先導役に」という社説でございまして、いわゆるプライベート・ファイナンス・イニシアチブという内容なんだそうです。そこの考え方は、今まで国や自治体など公共部門が担当してきた社会資本の建設や運営を、民間事業者の主導で進める、そういう考え方だというのですね。そして、自治体の中でも約七十ぐらいがこの新エネルギー・リサイクル等PFI推進協議会というものをつくっているということが言われております。  具体的には、社説では、建設省はこの方式を採用して、JR東日本と共同で東京の新宿駅南口の再開発に乗り出す計画であるというふうに書かれています。そして、そういうような民間の力を社会資本整備にも使おう、こういう法律を自民党でも検討している、こういうことが社説の中に出てきているわけです。  これは、公共事業のあり方に非常に大きな影響を与えるわけですね。いろいろな利点がありましょう。民間サイドで厳しくチェックすれば、事業単価の切り込みなんかも相当強く行われるというようなことが期待されるわけでございますし、いわゆる談合というようなことも、民間主体でやればそういうような弊害もあるいはなくなるかもしれない、そういうことが社説の中にあらわれてきているのですけれども、このぐらいの覚悟で公共事業の見直しを進めていかなければならないと私は思うのでございますけれども、建設大臣の所見を承りたいと思います。
  184. 瓦力

    ○瓦国務大臣 お答えいたします。  石田委員からPFIについてのお尋ねがございました。まず、PFIについてお答えをいたしますが、社会資本整備に当たりまして、民間活力、これを存分に活用してまいる、そういったことがこれから重要である、こう認識をいたしておるわけでありまして、近年、イギリスにおきましても、さような社会資本の整備を行う、こういう試みが行われておることに注目をいたしまして、昨年十一月以来、各分野の専門家の方々による新しい社会資本整備検討委員会を設置いたしまして、御研究をいただいておるところでございます。今月中には報告という形で出てまいろうかと思いますが、これらのことも踏まえて、我が国にいかにすればなじんでいくかということもよく検討してまいりたいと思っております。  なお、触れられておりますが、与党内にも法案の検討が行われておるということ、さように私も伺っております。これから、さような形での社会資本整備に積極的に取り組んでまいりたい。  なお、公共事業のあり方がそういう中で変わっていくであろう、こういう御指摘もございますので、そうあらねばならぬわけでありますから、今行革につきましての御審議をいただいておるわけでございますが、国と地方公共団体の適切な役割分担、こういったことも含めまして、今後、地方への権限移譲、補助金の整理合理化を積極的にとり進めてまいりたい、かように考えております。  類似事業間の調整でありますとか、コスト縮減とか、費用対効果分析、こういったことにも取り組んできておるわけでございますが、御指摘のような財政事情もございますし、また、効率的な事の運び方というようなことに着目をいたしまして、既に取り組みをさせていただいておるところであります。
  185. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 もう一度地方分権の方に戻るのでございますが、自治大臣、今度の地方分権推進計画というのは現在の省庁体制の中でさまざまな検討が進んでいるのだと思うのですが、一府十二省庁にしたときに、そこの整合性には何らの問題はありませんか。簡単にひとつ御答弁ください。
  186. 上杉光弘

    ○上杉国務大臣 お答えいたします。  地方分権推進委員会の四次にわたります勧告は、一府二十一省庁体制を恒久的な枠組みととらえて勧告されたものではなく、今後、中央省庁再編が行われましても、勧告内容を実現し地方分権推進していきます上で、問題が生ずるものではないと考えております。  政府といたしましては、まずは地方分権推進委員会の四次にわたります勧告を最大限に尊重いたしまして、先ほどお答えいたしましたように、今国会が終了するまでのできるだけ早い時期にその計画国会にお示しをいたしたいと考えておるわけでございますが、その基本的なものは問題はないという認識に立っております。     〔委員長退席、野呂田委員長代理着席〕
  187. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 ちょっとくどいようですが、総務庁長官にお願いしたいのですけれども、今度の省庁再編の問題を議論をするに当たって、なぜこの地方分権推進計画が同時に提出できなかったのか、そちらの方の姿がないままに省庁再編だけを議論するというのはちょっと乱暴じゃないでしょうかね。どうでしょうか。
  188. 小里貞利

    小里国務大臣 結論から申し上げますと、先ほどから行政改革地方分権の作業との関連におきまする石田先生のお話は、私は非常に注意深く傾聴申し上げております。行政改革、中でも中央省庁再編を進める上におきまして大変重要な要素を持つものであります。  したがいまして、地方分権計画、先ほど自治大臣の方からも一生懸命御努力いただいておりまする状況の説明もございましたが、さらにさらに、私ども行政改革推進機関としての立場から申し上げますと、強く御相談申し上げなければいけないな、そういう感じを持つところであります。  なぜ若干、何と申し上げましょうか、おくれているかという先生のお話でございますが、それぞれ、先ほど自治大臣の方からもお話しいただきましたように、機関委任事務の問題とか、あるいは国が地方公共団体等にかかわるそのあり方の問題とか、あるいは上下、主従の関係を払拭して、この際対等な立場でひとつ地方分権推進も議論しようじゃないかとか、そういう基礎的なところは整理されておりますけれどもお話がありましたように、行、財、税源等についての基本的なところが、まだ若干、私どもの感じからいいますと、先生御指摘のとおり整わざるところがあるな、こう思っておりまして、一段と私どもも、自治大臣初め自治省関係者、あるいは地方団体等にも御相談を申し上げまして、一年後のこの各省庁設置の具体的な一つの成案を得なければならぬ、さように思っておる次第でございます。
  189. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 自治大臣にもう少し伺いたいのでございますが、この地方分権推進委員会、第五次の答申をこれから用意されるのでしょうけれども、しかし地方分権の問題で、先ほど来議論にもなっておりますように、本当に地方公共団体の財源のあり方というのが基本的に重要なわけですよね。  それから受け皿論ですね。現在、三千二百ぐらいの地方自治体、こういったものを統合すべきだという議論がある。将来の地方行政のそういった改革を考えてみますと、私は避けては通れない議論だと思うのでございますけれども、しかし、今後どういう形でこれらの問題を自治省推進しようとしているのですか。恐らく地方分権推進委員会というのは、第五次の答申を出せば終わりでしょう。その後どういうふうに進めるおつもりでございますか。
  190. 上杉光弘

    ○上杉国務大臣 お答えいたします。  恐らく私の判断では、地方分権推進計画の方が第五次よりも早くなるかもしれない、そういうふうに考えております。そうしますと、後に第五次答申が出されれば、その整合性というものが求められてくるのは当然のことでございます。当然、我々が地方分権推進計画というものを策定しました後に第五次の勧告が出てまいりますれば、そこに補うものがあれば補い、またその勧告を受けたものは、さらに受けとめました計画というものの整合性を持つことにならなければならないと考えておるわけでございます。それから、財源の問題が当然伴うわけでございますし、ただいま御指摘になりましたように、それを受ける受け皿の地方行政体制の整備がございます。  財源の問題につきましては、委員御案内のとおり、第二次勧告におきまして、地方税財源の充実確保につきましては、「地方における歳出規模と地方税収入との乖離をできるだけ縮小するという観点に立って、その充実確保を図っていくべきである。」とされておるわけでございます。また、さらに、「国と地方公共団体との役割分担を踏まえつつ、中長期的に、国と地方の税源配分のあり方についても検討しながら、地方税の充実確保を図っていく必要がある。」とされて、その方向性が示されておるわけでございます。私といたしましては、地方分権推進委員会のこの勧告というものを十分踏まえまして、地方税財源の充実確保に努めてまいりたいと考えております。それから、これを受ける地方行政の整備でございますが、受け皿は二つあると思います。非常に人口が少ない、財政の弱い地方団体もございます。また、行政的には広域化で受けとめなければならないものもあるわけでございます。さような意味で、一つは広域行政で受けるというものがあると思います。もう一つは市町村の合併という問題があろうかと思いますが、これは、自主的、自律的な地方団体の判断によるものではありますけれども、私は、広域行政で受けるよりも市町村合併の方が、将来を見通すとするなれば極めて効率的であるという考え方を持っておるわけでございますが、しかし、いずれにいたしましても、地方団体が判断をして、その受け皿をこれは決断をしていただかなければならない。  またさらに、今までは、市町村合併といいましても地方分権がこのような形ではございませんでした。新たな事態として地方分権というものが課題としてあるわけでございますから、市町村と国との中にあります県の役割というものは、市町村の行政体制をよく御理解いただいておるだけに大変大切な役割になろう、このように考えております。
  191. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 総理にちょっと伺いたいんですが、今自治大臣、いろいろおっしゃいました。その基本的な考え方というのは、私たちはもう何度も聞かされておりますし文章でも読んでいるわけですが、しかし、どう見ても、これからの行政改革を進める上において一つの問題はやはり地方行政なんですね。それと中央の行政との関係を整理していかなければならないわけで、こちらも力を入れていかなければいけない、論議を進めていかなければならないと私は思うんです。  ところが、政府部内でも、地方行政改革を進める上の体制づくりというのは、私は相当おくれていると思うんですね。相当拍車をかけてやっていかないと、私は、省庁再編にも間に合わない、かみ合わないところが出てくるんじゃないかと思って心配しておるんですけれども総理のひとつ所見を承っておきたいのです。
  192. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 先ほど来の御論議を拝聴していて、一つ共通項として考えておかなければならないこと、それは分権推進委の第一次から第四次までの報告、これは非常に貴重なものでありますし、数を調べましても従来の機関委任事務は五百六十一もあった、これを整理し、廃止をするものを含めて整序していただいたんですから、これは大変な作業だったと思います。  同時に、これは、実は地方六団体から共通した意見として提出をされていたものであった。言いかえれば、例えば政令指定都市だけとか中核市だけとかいう形の御意見というものは、六団体の意見を整序していく中でこの中に加わっていないという問題点です。  そして、今、実は第五次以降の御意見をいただくのが分権推進計画よりもあるいはおくれるかもしれません、そしてその場合には当然、分権推進計画に追加すべきものは追加をする、別途の対応を必要とするものはそれなりに対応するということを自治大臣から御答弁を申し上げましたが、今まさに分権推進委が御議論をいただこうとしている、あるいは既に議論をしていただいている、これは、国から地方というだけではなく都道府県から市町村とか、あるいは国からでありましても中核市に対してとか政令市に対してとか、従来の六団体レベルでそろってきたものではないところに手をつけていただきつつあります。  そうしますと、これは確かに、より今まで以上に分権推進委としても困難なテーマに挑戦をしていただくわけですし、関係する中央省庁と必ずしも合意に達して勧告をいただけるということばかりではないと思わなければなりません。これを政府の立場においてどう受けとめるか、これが私どもに対しての一つの課題だと思います。  同時に、先ほど自治大臣から、自治大臣としては、むしろ、広域行政で対応するよりも本当は自主的な合併というもので受けとめていただく方がいいと思うけれども、いずれにしても地方行政改革を進めていかなければならない、議員の御指摘に対してそうした決意が述べられました。私どもも、そういう意味で必ずしも万全の対応だと胸を張れる、そんな状況ではないと思います。同時に、地方自治の本旨を考えますときに、国が地方自治体に対して一定の方向を強制することはできません。いかにして、ある程度自主的な合併という方向に向けてインセンティブを示していけるのか。同時に、それがうまく機能しない場合においても、広域行政の中でどれだけを、例えば広域連合でありますとか一部事務組合でありますとか、さらに新しい制度もつくる必要があるかもしれません。国から地方にお渡しをしようとする権限を正確に受けとめていただく、そしてそれが住民にプラスになるように活用される、そうした努力はこれからより積極的に果たしてまいりたいと思います。
  193. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 これは総務庁長官なのか自治大臣なのかわかりませんが、この分権推進計画は今国会末近く提出ということになっていますね。といいますのは、衆議院の方にこれは出てくるのでしょうから、とても参議院の方まで回る余地はないのですけれども、会期終了後、いわゆる来国会にもう継続審議を期待しているのですか。その点はどちらが御答弁いただけますか。国会で審議する時間がありませんね、会期末に出されたのでは。
  194. 小里貞利

    小里国務大臣 もし多少間違ったことを申し上げたら訂正させていただきたいと思うのでございますが、先ほど、私の方からもでしたが自治大臣の方からもお話しいただきました地方分権推進計画は、計画を決定して国民の前に公表をいただく、そういう筋合いのものなのかな、私はそう思っております。なおまた、私ども行政改革推進の機関の立場からいいますと、名実ともに非常に重要視を申し上げておりますことは御案内のとおりでございます。  なおまた、一言申し添えさせていただきますと、私どもは小さな政府をつくって大きなサービスをいたしたい、それからまた、住民に身近な行政はひとつ住民に身近な団体でという大きな目標もありますから、非常にきょうのお話は大事にお聞かせをいただいておるということでもございます。
  195. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 では、地方分権の方はその程度にしまして、規制緩和の問題について若干討議をいたしたいというふうに思っております。  この規制緩和なんですけれども、最近のデータを見ると、また規制そのものはふえているのですね。これはこの前の、去年ですか、委員会でも議論をいたしましたけれども、毎年毎年法律がふえるわけでございますから、規制の数字というのは、規制そのものはふえてくるわけなんですね。さりとて、ふえっ放しじゃ困る。  一つの事例を挙げますと、最近スタートしたガソリンスタンドのセルフサービスの問題ですね。これを調べてみますと、従来ガソリンスタンドを規制していた規制というのはそのまま残っているわけです。新しいシステムを導入するわけですから、これを検討して、いわゆる安全のための規制というのが新たにふえて、七つぐらいふえているのですよ。ですから、規制緩和をやっても規制の数はふえるという大変矛盾した、そういう実態なわけですね。  私が細川政権のときに総務庁長官をやらせていただいたときに、そのときの総務庁の姿勢というのは、規制の数を減らす、一割削減ということを目標に頑張っておられたのですけれども、私は、規制緩和というのはそういうものなのかなというふうに思いました。しかし、方針がそうなっていたわけですから、それを継続して討議をしていました。  そこでできたのは、許可、認可の問題の中で、届け出とか報告とか割と軽い規制がありますね、そういうものは削れたら削れるのじゃないかというのでやってもらいました。そうしたら、五百近いものはそういう規制がなくなったわけですね。しかし、それは限度だそうだ、そこら辺は。しかし、法律はどんどん出てくるわけですから、どうしても規制というのはふえてくるわけですね。  一体、じゃ規制緩和の問題というのは何なんだ。やはり官から民への、あるいは民間の自主性を育てるための法律改正なわけでございますから、私はそこのところを、もう少し政府として基本方針というものを明確にすべきではないのかというふうに申し上げたいわけなんです。  今みたいな数を追うやつはもうやめる。そうじゃなくて、どんな経済効果が出てくるか、あるいは逆効果もあるかもしれません、そこのところを克明にやはり国民の皆さんの前に明らかにしていく、そして理解を求めていく、そしてまたそこから新しい経済需要も出てくるというような、そういう確固たる方針で私は規制緩和というのをもう一遍見直すべきではないのかというふうに思うのですけれども長官、いかがですか。     〔野呂田委員長代理退席、委員長着席〕
  196. 小里貞利

    小里国務大臣 御指摘がございましたように、最近の数字を拾ってみますと、許認可等の総数の増減でございますが、四十九件の増加となっておるようでございます。  その背景、理由を見てみますと、例えば国際条約等に基づきまして新たな規制が設けられた、あるいはまた一定の制限あるいは規制緩和を行ったがゆえにまた新たな許認可等が設けられた、そういうようなやむを得ざる事情等によりまして、先生お話しのようにそういう傾向にあるかと思う次第でございます。  したがいまして、後の方でお話がございましたように、同じ規制緩和といっても性質上削減できない許認可等もあるということも事実でございまして、要するに、経済効果、あるいは国民負担あるいは国民手数などをできるだけ削減することを主眼に置きながらこれからの規制緩和というものは考えなければならない、新たな要素も出てきたな、そういう感じを持っております。
  197. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 それから、これは総理にお伺いした方がいいのではないかと思うのですが、現在の規制緩和委員会ですね、行革推進本部の諮問機関として設置されておる。閣議決定がなされてそういう体制がとられたのですけれども、私は、この規制緩和委員会は今後、そういった規制緩和の効果といいますか、そういったものをするためにも、監視という役割を持つというふうに伺っております。  そういうことから見ますと、私は、体制が非常に弱いのではないですかと申し上げたいのですね。これは事務局がないでしょう。事務局は、今の総務庁行政監察局がお手伝いをしているというような程度です。しかし、三年計画を発表されて、さらに本格的に取り組まなきゃならない、外国からもそういったことが強く要請されておるというようなことを考えますと、事務局を置いた本格的な行政改革委員会みたいな、例えばこれは八条委員会として位置づけられたわけですが、そういうような確たる規制緩和委員会のシフトが必要だろうというふうに私は考えるわけなのですけれども、これはもう基本的な問題ですから、総理にひとつ伺っておきたいと思います。
  198. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 今議員の御意見、御自分の体験に照らされて述べられたものに総務庁長官からも意見がありました。  私、一つ補足をしたいと思いますのは、今までいわゆる裁量行政、通達で行われていた仕事ルールを明確化して事後チェック型に切りかえていくプロセスでは、従来が指導とか通達で行われていたものをきちんとしていくプロセスで、やはり私は、規制というのが表面的にはふえるという場合があり得ると思います。そしてこれは、かつて証券不祥事のとき、通達行政を直すということで、通達で処理しておりましたものを整とんさせた結果として目に見える形の規制がふえたという体験を持っておりますので、こうしたことも一つ考慮に入れたいと思います。  そして、これから先、先ほどの御指摘に対して答えますと、私は、事業参入規制、いわゆる需給調整規制を含んだ事業参入規制というものはやはり撤廃方向で見直していかなきゃいけないのだと思います。そして、許認可などにおける審査期間あるいは処理期間をいかにして縮めていくかということは非常に大事になると思います。  そして、いわゆるパブリック・コメント手続のあり方、これは規制の制定、改廃についてのパブリック・コメント手続のあり方ですが、こうしたものに対しても急いで方向をつけなければならない。これが将来の方向ではないかと思うのです。この点については年度内に結論を出したいと思っておりますし、許認可などの審査、処理期間を短くしていくという、この点については本年の九月ごろにはお答えをいただきたいと考えております。  そうした意味で、規制緩和仕事に対してのバックアップ体制としての事務局、これを整とんしろという御指摘は、私は非常に大事な御指摘としてちょうだいをしたい、そのように思います。
  199. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 もう大分時間がなくなりましたけれども、ちょっと各大臣にお伺いをしてみたいのですが、今回の行政改革の基本的な理念というのは四つ挙げられております。一つはより自由かつ公正な社会の形成、二つ目には簡素効率的、透明な政府の実現、それから三番目として国際社会の一員としての主体的役割の発揮、四番目として社会経済システムの全面転換ということです。  この中で、一般の国民から考えれば、やはりこの省庁再編によって簡素効率的な政府を実現してほしい、ここにかなり注目をすると思います。そういった意味におきまして、今回の省庁再編の中でそれがどんなふうに実現をされるのかなと。役所として余り変わりのないのは法務省あるいは外務省でございますが、しかし、この簡素効率化という理念は、やはり何らかの形でそこの省庁においても積極的に取り組んでもらわなきゃならない。  法務省の方は、裁判の迅速化あるいは犯罪の多様化等の社会要請があって、むしろ拡大充実をしなきゃならぬ。外務省も、そういう国際化、非常に多様な国際化でございますから、むしろ充実をしなきゃならぬというような全体の要請かなと私は思うのですけれども、そういうような中にあって、どのように簡素効率的な省をつくっていくのか、時間が余りありませんので、ごく簡単に、何かの事例を挙げてひとつお答えをいただきたいと存じます。
  200. 下稲葉耕吉

    ○下稲葉国務大臣 お答えいたします。  今委員御指摘のとおり、中央省庁改革の基本理念をお示しになりました。法務省といたしましても、この基本理念を尊重してまいることは当然でございます。  法務省は、申すまでもなく、法秩序の維持と国民の権利の保全という仕事を基礎にやっておるわけでございまして、政治、経済等あらゆる活動の基礎になっていると思いますし、それだけに、私ども責任の重大さを感ずるわけでございます。  お話がございましたように、犯罪は多発化し、凶悪化いたしております。それから経済問題等々をとりましても、るるお話がございますように、事後チェック型、自己責任型の方向変化しつつございます。そういうふうな中で、例えば司法の問題を取り上げてみましても、三千三百の市町村のうち弁護士さんが一人もいないところが二千八百余もある、そういうふうな状態でございまして、私どもは、何とかこの体制の整備、強化を図らなければならないということも考えているわけでございます。しかし、そういうふうな中で、今委員御指摘のように、何とか法務省としても組織の合理化、効率化ということはできないだろうかというふうなことで、るる検討いたしております。  このような見地から私どもといたしましては、例えば、これまでも進めてまいりましたけれども、法務局の出先、大体登記所という名前で呼ばれているわけでございますけれども、これの整理統合を進めております。他面、コンピューター化等々を進めまして業務全般の効率化を図りつつ、行政サービス向上も図らなければならない。  そういうふうなことで、省を挙げまして体制を整備、強化しなければならぬ側面は、これは十分御理解いただきながら進めてまいりたいと思いますが、今申し上げましたような点について、組織的に、行政サービスを下げないで何とか工夫してやってまいりたい、このように考えております。
  201. 小渕恵三

    ○小渕国務大臣 外務省といたしましても、本法の理念であります簡素効率化につきまして十分検討していかなければならぬ、こう考えておりますが、委員御指摘のように、これから全世界にわたりまして外務省として活動をいたしていくためには、実はG7の中で最も在外公館の数また人員も少のうございまして、そういった意味で大変厳しい状況ではありますけれども、今後とも、その理念に基づいて努力を傾注することによりまして、この法律の理念を達成してまいりたいと思っております。
  202. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 大分時間がなくなりましたのですけれども総理に決意のほどを伺っておきたいのです。  この省庁再編の基本法の中で一番の欠陥というのは、省庁再編をして本当に行政経費が削減されるのかどうか、節減されるのかどうか、これが全く、どの条文を読んでみてもそういう理念もありませんし、あるいは財政改革の方にこの点は委譲しているといいますか、そういう考え方もできないことはありませんけれども、やはり省庁再編をするについては、まさに簡素効率化ですから、これによって行政経費の例えば五%ぐらいは節減できるんだ、あるいはやるべきだという理念がなければならぬと私は思うんですね。  私たちも新進党の時代、この行政経費の問題についていろいろ議論をしていましたけれども公務員削減の問題にしましても、これは、例えば一人六百万として一年に八千人というようなことになれば、それなりの数字が出てくるわけです。トータルで見れば、やはりかなりの大きな額になるわけですね。  そういうことまで一応考えながら進まれようとしているのだけれども、全体像の中では、行政経費は削減されるあるいは節約できるというような概念は全くありませんね。これは、総理としてそこのところに切り込んでいくだけの姿勢が必要なんじゃないか。例えば、補助金を整理していけば、必ずその間の行政経費というものの節減は可能なわけですから。  これだけ赤字国債を出して、やはり行政としては非常に今困った立場にあるわけです。そういった意味からも、省庁再編成には、行政経費の削減目標あるいはそういう考え方、そういうものが明確でなければ国民の皆さんの納得を得られないのではないかと思いますが、総理、これに対してどういうふうに反論されましょうか。
  203. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 別に私反論しません。規制緩和を進めていくあるいは地方分権を進めていく、そういうことは、当然ながら国の仕事の量を減らすわけですから、また権限を減らすわけですから、財政的な面で効果も出てくる、理論的にそのとおりです。  ただ問題は、私は、省庁再編というものを通じてその歳出削減効果を定量的にとらえるとなると非常に困難だということは率直に思います。  ですから、例えば今回の法案考え方の中で、国の行政組織あるいは定員削減についての数量目標、これをまずこのプロセスの中で、独立行政法人あるいは公社化ということで国家公務員定数から外れていく部分、そして除く部分に対しての一〇%以上の削減という目標を立てているわけですから、こうした部分をこの基本法案のように法律の形で明示したこと自体、私は非常に思い切って数字を入れてきたもの、そのように考えております。そして、組織、定員の見直しとあわせて事務事業を見直していく、減量化を具体的に進めていく上でも、局の数あるいは定員の減量目標というものを数量的に提示したこと、それ自体が私は大きな前進につながる、そう期待をいたしております。  定量的にこれをとらえる、そしてそれを削減目標と立てる、これは、補助金が例えば一般財源化していく、あるいは大きくまとめられた一般的な補助金に変わる、そういう中で当然ながら変化をしていく部分もありましょう。今それを定量的に、これだけ無理やり何でもという格好でするというのはなかなか難しいと率直に思います。
  204. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 総理お話もわからぬではないのですよ。だけれども、この省庁再編をするに当たっては、局をこれだけ減らしますよ、課をこれだけ減らしますよ、公務員をこれだけ減らしますよと目標値をつくられましたね。いろいろ考えてみれば、省庁の機能を減らすという考え方、数をこれだけ圧縮するんだというのは、私はやはり単なる目標値だろうというふうに思うのですよ。どこかに根拠があってそこまで減らせるというふうに出した数字ではないと思うのですね。そうして見ると、やはり省庁再編一つの理念として簡素効率化がうたわれた以上は、そこに向かってさらなる切り込みの姿勢が私は絶対に必要だ、これは私の意見として申し上げておきます。  余り時間がなくなってきたのですけれども一つだけ独立行政法人問題で伺っておきたいのですけれども、これは今、どんなところが議論の対象になるかといってその機関が並べられているにすぎない。どれがいわゆる民営化になるんだろう、あるいはどれが独立行政法人になるんだろう、これはわからないですね。一年後検討するというような形になっているんだそうですが、同時にまた、特殊法人の問題もこの中に入ってくるのかどうかですね。  自民党も、党として特殊法人問題というものの整理を主張して、そしてそれが閣議決定されたような状況がございます。しかし、この特殊法人そのものにしても、そういうつまみ食いの形で改革がなされるのでは、これは私は本当の意味改革にならないと思います。そういうようなつまみ食いではなくて、本当に特殊法人全体をもう一遍見直しをして、政府として必要なものは必要と主張なさるならば、それはそれなりに評価はできますよ。それをつまみ食いで改革して、それが行政改革行政改革だと言われたんじゃ、これは私は行政改革の名に値しないと思うのですけれども、そこら辺の問題を含めて簡単にひとつ御答弁をください。
  205. 小里貞利

    小里国務大臣 特殊法人の整理合理化は、御案内のとおり目下進んでおります。きょう現在で八十四前後あるわけでございますが、これをさらに、今までの改革が決まっておりまする部門もございますけれどもお話しのとおり不断の見直しが必要であると私どもは指摘をいたしております。さらにまた、この特殊法人を、前段でお話がありましたように独立行政法人制度をたまたま今次の創設をいたしますから、これを基軸にいたしまして大胆に合理化に向かってメスを入れていかなければならない、その独立行政法人対象にも十分あり得ますということを明言申し上げなければならないと思う次第でございます。  のみならず、独立行政法人は、その他の国営あるいは国立、公的施設等にも、その客体としてたくさんありますことを午前中にも申し上げたとおりでございます。
  206. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 もう余り時間がありません。これは総理とのやりとりにしたいと思うのでございますが、この前から大蔵官僚の汚職問題、大変大きな話題になっていたわけですね。そこから、要するに大蔵省から金融機関に天下っている人たちが何人おるかというようなリストも上がってきました。この天下り問題というのは、恐らくこれは総理議員になられたころからずっと……(橋本内閣総理大臣「もっと前からです」と呼ぶ)もっと前から。確かにもっと前から、ずっとこれは議論がなされておった、その弊害が言われておったのでございますけれども、今日に至るまで解決しないわけですね。  今、公務員全体の問題で、総務庁でいろいろと検討がなされていることは私も承知をいたしておりますけれども、しかし、これは基本的には、やはり一国の最高責任者である総理が基本はこうしろというふうに言わない限りは、幾つかの案をつくって、これでどうですかというようなことになる、それじゃ本当の成果は上がらないんじゃないかというふうに私は思うのです。私たちは私たちとしてこの問題についてもさまざま検討し、提案もしておりますけれども、本当に総理、これ、何か総理として知恵はありませんか。
  207. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 この前、議員とこの問題で議論をしたときの議事録を、今もう一度目を通し直しております。  そして、あのときも私は、実はこの問題を本当に解決していこうとすると、公務員制度全体、特に定年制との関連、そして現在の定年制がありながらその定年前に、特に上級職と言われる諸君がお互いの中で肩をたたき合いながら早期に退職していくという仕組みの中で、これは本当に人生設計からいくと、ここに一つポイントを合わせなければならないということを申し上げてまいりました。議員からも御指摘がありましたように、いろいろな問題が起き、国民の信頼を傷つけておりますだけに、この問題は、私どもとしても本当に真剣に考えなければならないと思い、同時に検討を進めさせている話です。  そして、やはり私は、公務員制度調査会で今、公務員制度全体の見直しの一環として、平成十年度内の基本答申に向けて重点的に調査審議をいただいておりますが、一つは、公務員全体が、例えば同期生が次官になれば全員やめろとか、あるいは非常に一定の期間でどんどん変わらなきゃいけないとかいう考え方を捨てた人事というものになじんでいくこと。同時に、一定数どうしても新しく若い血を入れていかなければやはり全体が停滞してしまいます。そうすると、一定の退職者は出ていく。そうすると、一つは、天下りと言われるような形でなく、公務員としての人生から第二の人生に移られる時点で、今でも人事院のチェックはあるわけですがより有効なシステムをもって、これはただ単に天下りという一言で言われるには余りに気の毒な、本当にその第二の職場で一生懸命に仕事をしている諸君もいるわけです。それだけに、その人事院の仕組みとあわせて、よりよい方法をなお模索したいと思っております。
  208. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 これは千葉県の柏市で起こった問題なんですけれども、要するに、天下り職員に支払う退職金をやめてしまう、退職金の支払いをやめるように文書で指導したというふうに言われておるわけです。地方自治体でも、そういう官僚が天下ってそこでまた退職金をもらう、退職金の二重払いというようなことになっておりますね、国民的に見れば。これはいろいろな議論はあるにしても、それはやはりまずい、やめようというような動きも出てきているわけですよ。また、この間、四月の半ばぐらいの新聞には、いわゆる警察OBを受け入れている会社が脱税をしたというのでこれも摘発をされましたね。  各省庁の、要するに省庁から民間へ移る人たちの数というのはもう何千人ということですよね。トータルでいけば何万人になるかもしれませんね、何年間かでプールして見れば。そういうふうに考えますと、どうしてもこれはもう早急に、一時的な措置であっても私は何らかの措置を講ずるべきだということを申し上げまして、私の持ち時間が終わりましたので、終わりといたします。
  209. 高鳥修

    高鳥委員長 これにて石田幸四郎君の質疑は終了いたしました。  次に、東祥三君の質疑に入ります。
  210. 東祥三

    ○東(祥)委員 自由党の東祥三でございます。  橋本総理大臣、そしてまた全国務大臣の皆さん、本日の午前中から午後にかけての質疑を、そしてまたその答弁を聞いておりまして、若いからかもしれませんけれども、何とも言えない怒りが込み上げてまいりました。  今、日本が直面している問題というのは、まさに橋本総理がなさんとしている行政改革の中にその解決の方途が見えなければならないのではないのか、このように私は思います。  例えば、もう大分年月がたってしまいましたけれども平成七年度に、国松長官という、日本国民の安全を守らなければならないその最高責任者が襲撃事件に遭っているわけでございます。あの一事を通したとしても、日本は何かおかしくなってしまったのではないのか、このように多くの国民は考えたはずでございます。まさに国民の生命を守らなければならないその最高責任者が朝堂々とねらわれてしまうわけですから、ここにまさに日本行政システムに大きな欠落ができてしまったのではないのか。  あるいはまた、その同じ年、阪神・淡路大震災も起こった。サリン事件も起こった。阪神・淡路大震災のときは、もう言うまでもなく、何回も本会議あるいは委員会において議論されてまいりました。行政における初動システムがうまく反応しない、機能しない。これもまた、日本の今日の行政システムが機能していないということのあらわれではなかったのか。サリン事件しかりです。  さらにまた、一昨年のペルー人質事件。今、年約一千万人以上の方々が外国旅行されると言われております。いつ同じような状況になるかもわからない。そのときに、日本は本当に邦人を保護してくれるのかどうなのか、そのメッセージも明確でない。これも、とりもなおさず日本行政システムに大きな欠落があるのではないのか。  中央省庁再編の基本法案であります、この趣旨説明を読ませていただければ、いいことが書いてある。戦後五十年たった今日、時代に合わなくなってしまったこのシステムを、より自由で公平な社会を形成するために二十一世紀型の行政システムをつくろう、それが目的なわけです。  しかし、本当にこの改編を行うことによってそのような問題を解決することができるのか、中身を読めば読むほど、全くずさんなものであり、その課題にこたえることはできない、このように思われます。  まして、本日の午前、そして午後の質疑並びにその答弁を聞いていると、本当に総理大臣は一億二千六百万人の国民の命のことを考えているのだろう、毎晩眠れないのじゃないのか、同じく各大臣にあっても、今日本が直面している大きな問題を考えれば考えるほど眠られないのではないのかと、政治家の一人として私は思います。  そういう意味で、本日は、久しぶりでございますが、総理大臣並びに各大臣に直接お話しさせていただく機会を得させていただきました。まだ私は三期生でございますが、そういう意味で、諸先輩に対して厳しい言葉になるかわかりませんけれども、お許し願いたい、このように思います。  この基本法案に入る前に、まず初めに、日本が直面している問題、とりわけ、大きな動きが起こっている国際社会、G7にも大蔵大臣が出席された。さらにまた、昨日、一昨日とエリツィン大統領が来た。さらにまた、景気対策の問題はどうなっているのか、毎日毎日多くの方々から連絡があります。お金が何ともならない、明日倒産してしまう、手形を払えない、そういう方々が日増しにふえてきているわけでございます。そういうことをできるだけ短い時間で質問させていただき、その後、基本法案の問題に入らせていただきたいと思います。 まず初めに、昨日のエリツィン大統領訪日に関連しまして、これは報道によりますと、総理大臣とエリツィン大統領が極めて友好裏な会談を行うことができた。それはそれとして、私は高く評価したいと思います。さらにまた、懸案の北方領土問題に関しては、その見通しが確たるものになったかということに関しては疑問が残ります。しかし、二十一世紀になったときに、この橋本総理とエリツィン大統領のいわゆる川奈会談が、今後の日ロ関係における大きな節目になったと言われるようになることを私は心から期待いたしております。  しかし、現実には、エリツィン大統領が抱えるロシアの国内情勢、政局も決して安心できるような状況ではない。まさに、第三回目の首相指名をされているキリエンコ高官自体が、長い期間にわたって懸案であった北方領土問題であるがゆえにそう簡単にはいかないだろう、高官自体がそのように言われているわけでございます。  私は、この点について、今後の北方領土問題に対しての見通し、さらにまた、日本の外務省として、行政のまさに外交をつかさどる、日本の外交のトップであります総理大臣がどのようにそれをうまい方向に持っていくために取り組みを図られるのか、この二点について橋本総理に御質問したいと思います。
  211. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 大変広範な問題の中から今の御議論を組み立てられましたので、ちょっと正確を期しますために、昨日私が記者会見で使いました言葉をチェックしながら申し上げたいと思います。  北方領土問題に今限定してのお尋ねなのでありますけれども、私が誤解を生じないよう正確に申し上げたことは、これからボリスとまとめていく平和条約は、東京宣言第二項に基づく四島の帰属の問題の解決を内容とする、さらに、二十一世紀に向けた日ロの友好協力に関する原則も盛り込まれるべきと、私はそう申し上げました。まず事実問題として、このような表現を用いました。  そして、少なくとも、エリツィン大統領は非常に真剣に、私も真剣に論議をいたしました。ある意味では、私は、友人同士というものは、意見が食い違って議論をしても、それはそれで、ほかの問題に響かないというだけの自信が持てることだと存じますけれども、そういう意味では、まさに真剣な議論を交わしました、すべての問題に関して。  そして、その中で、平和条約交渉というものについて、今次の首脳会談において、平和条約に関するクラスノヤルスク合意を実現するため首脳間で真剣な話し合いを行った結果、先ほど申し上げましたような原則を申し上げ、さらに、クラスノヤルスク合意の実質的前進及びそのための作業の加速化を図るとの決意を新たにし、次の次官級分科会を近く開催することとした。これは、二人とも合意をし、公表したことでございます。  こうした内容を公表いたしまして、交渉の実質的な前進と加速化を図っていくことにいたしております。  これが、正確に申し上げ、自己的な評価等は加えませんそのままの報告であります。
  212. 東祥三

    ○東(祥)委員 ぜひ総理、頑張っていただきたいと思いますが、先ほど申し上げましたとおり、ロシア国内には、領土返還に対する反対を叫ぶ勢力が相当大きいというふうに理解しておりますが、日本政府として、このような動きに対し何らかの働きかけを行っていこうとする考えはございますか。
  213. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 むしろ議員は外交のベテランとしてよく御存じのことでありますが、五十年以上全く動かなかったものが、急速にいろいろな分野において日ロ関係というものが変わり始めました。そして、その中においてきしみを立てる部分は当然あるでありましょう。  しかし、私ども、双方が前に向いて進もうということで問題解決に知恵を絞っていく、その中において勝者、敗者をつくらないということをお互いに考えていかなければ、私はこうした問題の解決はないと思うのです。同時に、これをやってくれなければ、おれはこれはやらないよということを繰り返していっても、私はこうした問題の前進はないと思います。我々は事態改善のためにこうする、あなたの方もこうしてほしい、そしてプラスの関係を積み上げていこうという姿勢にならなければ、私はこうした長年にわたり動かなかった問題を動かすことはできないと思っています。  そういった意味で、双方が全力を尽くしていきます間に、例えば水産加工の問題のように、エリツィンさんから提起をされ、平和条約交渉と並行して議論しましようという、まさにこれは平和条約交渉との並行の中で議論をしていく、こういう答えをしているテーマというものはありますし、逆に私の方から提案をするもの、いろいろな角度のものが当然あるのです。  ですから、ぜひそうした不協和音が少しでも解消されますように、御協力を心から願う次第であります。
  214. 東祥三

    ○東(祥)委員 それでは次に、大蔵大臣、G7についてお伺いいたします。まず、大蔵大臣、どうしてG7蔵相会議が終わった後、記者会見を受けられなかったのでしょうか。二つ目の問題として、大蔵省の榊原財務官は、G7の会合の後、G7が円安防止の協調介入の可能性を示唆した、そのような発言をされているという報道があるのですけれども、まずこの二点について。  一点目は、なぜ記者会見を受けなかったのか。G7の最大のテーマは何であったかといえば、日本経済とアジア経済についてです。それについて、大蔵大臣がなぜ記者会見をして、今の状況について多くのマスコミの人々に説明しなかったのか。二点目は、本当に協調介入あるいは協調というものがG7において話し合われたのかどうなのか。
  215. 松永光

    ○松永国務大臣 お答えいたします。  まず第一点でございますが、私は、十五日の朝ワシントンに着きまして、G7の会合が始まる前の約四十分程度を使ってルービン米財務長官と会談をいたしました。それが終わってすぐG7の会合に入ったわけでありますが、かれこれ五時近くまでかかったと思います。そして、会議を出てから、記者団の人が数十名、あれは何というのでしょうかね、立ったままで数十名の記者団の質問にはお答えいたしました。あれはぶら下がりとかいう言葉を使うのかな、そういう記者会見を十数分にわたっていたしました。  そして、急いで飛行場に向かわぬというと、金曜日の朝十時から参議院の予算委員会があるものですから、それに間に合うように飛行場に行ったわけです。そして、日本行きの飛行機はないものですから、パリに回って、パリで飛行機を乗り継いで金曜日の参議院の予算委員会に間に合うように帰ってきた、こういういきさつでございます。あとのことは日銀総裁と榊原財務官に任せて帰ってきたということでございます。  二番目、為替の問題でございますか、為替の問題につきましては、私とルービン長官との会談の中で、我が国が行き過ぎた円安を是正するための措置をとったときに、ルービン氏の方がそれに対する理解する旨の発言をしてくれたものですから、そのことについてのお礼を申し上げるとともに、今後とも行き過ぎた円安等々は世界経済にとってプラスにならないし、また経常収支の問題からいってもいいことではないということを話し合いまして、そのことについてはルービン長官も理解を示されたところであります。G7の会合でもそれに類する話題があったと思いますが、先ほど申したような意味で私は発言をした記憶があるのでございますが、そういうところでございました。
  216. 東祥三

    ○東(祥)委員 それを大蔵大臣は、日本を除く六カ国が、円安が過度に進めば協調介入してくれる、そういうメッセージとして受け取ったのですか。
  217. 松永光

    ○松永国務大臣 為替の動向については、引き続き我が国も、そしてまた米国の方もその動向を監視していこう、そのことについて協力していこう、話としてはこういうことになったというふうに私は思います。
  218. 東祥三

    ○東(祥)委員 報道によれば、ルービン財務長官は、ドル高は米国の利益にかなうと発言している。フランスのトリシェ中央銀行総裁、イングランド銀行のジョージ総裁は、G7では協調介入の議論はなかった、このように言っているわけです。大蔵大臣が思っていることと現場の他の人々の反応というのは全然違うのではないですか。とりわけ、フランスのストラスカーン蔵相によれば、日本以外の六カ国は、日本に対して、まずやるべきは、恒久減税を行うよう要求した、このように言われておりますけれども、大蔵大臣、どうですか。
  219. 松永光

    ○松永国務大臣 まず、ルービン長官の、ドル高は米国の利益にかなう云々という発言でございますが、実は、我が国が行き過ぎた円安を是正するための措置をとった、そのときには、その直後には、日本の措置についての理解を示すコメントが出されたわけであります。その後、別の機会に、ドル高は米国の利益だというふうな発言をされたものですから、結果においては、行き過ぎた円安是正の効果が少し減殺されたような感じがあるわけであります。  しかし、そのことについて、私がルービンさんと会談しているときに、あれはけしからぬと言うのもちょっと失礼ではないかと思って、今後とも、行き過ぎた円安の是正措置については御理解と御協力を願いたい、こういう程度の発言をしてきたつもりであります。
  220. 東祥三

    ○東(祥)委員 そうしますと、G7の会合では、基調としては、円安というのは、それは極端に振れたときは別として、介入によって是正するのではなくて、あくまでも減税を中心とした内需拡大によって円安を是正しろ、これがG7のメッセージだったのではないですか。それに対して、大蔵大臣は何か反論あるいは注文をしたのかどうなのか、この点についてはどうですか。
  221. 松永光

    ○松永国務大臣 フランスの大蔵大臣がどういういきさつでそういう記者会見をなさったのか私にはよくわかりませんけれども、少なくともG7の会合の席では、行き過ぎた円安、ある国の通貨だけが特に強くなってほかの国が特に弱くなるなどという状況は、これは、それぞれの国にとって、世界の経済にとっても望ましいことではない、その意味で、お互いに為替の安定のためには協力し合っていきましょう、こういう話が実はあったわけであります。  それについて、引き続き為替市場の動向を監視し、適切に協力していこう、こういう話になったのでありまして、日本の円安について放置するとか、あるいはドル高を支持するとか、そういう趣旨の発言はございませんでした。
  222. 東祥三

    ○東(祥)委員 大蔵大臣、同時並行的にあったのか。ワシントンで十六日に国際通貨基金の暫定委員会が開かれております。この暫定委員会において共同声明が発表されて、その共同声明においてまさに日本問題が取り上げられているのですね。世界の経済見通しについて、楽観的な見方がある一方で下振れリスクもあるとして、そのリスクの一つとして日本問題を取り上げている。  そこで言っていることは何かといえば、まず、素早く息の長い回復のため財政措置と構造改革が必要である、つまり恒久減税ですね、そしてまた行政改革が必要である、このように言われているのですけれども、大蔵大臣、この点についていかがですか。
  223. 松永光

    ○松永国務大臣 このIMFの暫定委員会の方は、先ほど申し上げたような日程になっておったものですから私は出席しなかったわけでありますけれども、榊原財務官が出たはずでございます。  G7の会合で、実は私の方から積極的に、四兆円を超える特別減税をやるということ、それから良質な社会資本整備をやること、それらを総合して十六兆円規模の史上最大の景気対策をやりますということを説明したわけです。  その中で、恒久減税でなければならないなどということはその会議ではございませんでしたが、私の方から申し上げたことは、実は最も消費性向の強い層に対して集中的に減税効果を及ぼすことが消費拡大につながるということを私は説明いたしました。  御存じのとおり、通常の減税、恒久減税というのですか、あれは毎月、給与所得者の場合には十二分の一ずつ減税効果がいくわけですね。特別減税は、ある時期に、私はどんという言葉を使いましたけれども、どんと減税するのだ、その方が消費拡大に大いに寄与するものだ、そういう形の特別減税を、実は現在もやっておるわけでありますけれども総理の決断によってさらに本年中に二兆円追加をし、そして来年も二兆円やる。これは消費拡大に大きく貢献するものだという説明を私の方からしたわけです。
  224. 東祥三

    ○東(祥)委員 きょうは予算委員会ではありませんのでそこに突っ込みたくないですけれども、基本的に、大蔵大臣、恒久減税というのは制度的な改革を踏まえた上での減税ですよ。特別減税というのは、特別減税がなくなってしまえば増税が待ち構えているのではないですか。
  225. 松永光

    ○松永国務大臣 そういう心配があるので、総理は、来年も二兆円特別減税をやるということをお決めになったものと思います。  なお、制度減税となりますというと、要するに所得税の体系そのものの問題になってまいりますから、そういたしますと、委員もよく御承知のとおり、我が国の所得税負担というものはアメリカに比べればはるかに低いという状態になっております。  現在、課税最低限は、既に行った特別減税の結果、標準世帯では四百二十三万になっていますね。四百二十三万以下は所得税がかからぬ、こういう仕組みになっておりますし、それからまた、七百万程度の所得者の場合にはアメリカの税負担に比べて半分以下になっているという状況であります。しかも、これから恒久減税をやろうとすれば、恒久財源が必要。数兆円規模の公債を発行しての減税というものが果たしてどうなるかということを考えますというと、これは、財政を預かる私の立場からすれば極めて慎重に考えざるを得ない、こういうことでございます。
  226. 東祥三

    ○東(祥)委員 もうちょっとその点について言及しますけれども総理大臣、これを見られたことがありますか、先週号のエコノミストです。  これは「もし日本が崩壊すれば」。これは何を意味しているのかわかりませんけれども、多分、日本の国旗にも見られますし、あるいは、旭日ではない、夕日ですね。そこに枝が張ってきて、三羽のハゲタカが見ているのです。もう死に体であるということですね。  このとおり、大蔵大臣、世界は、また国民も、まさに先ほど申し上げましたとおり、日に日にいろいろな経済の実態が悪くなってきている、仕事がなくなってきている、さらにまた、明日の手形をどのように返したらいいのか、切ったらいいのか、そういうものがどんどん深刻の度合いを増してきているわけです。  大蔵大臣、今回の十六兆円で本当に景気はよくなると思っているのですか。もし思っているとするならば、それはいつごろから景気がよくなると思うのですか。まさに経済政策の担当大臣であり、それは究極総理にいくのかわかりませんけれども、この点について聞いておきたいと思います。
  227. 松永光

    ○松永国務大臣 現在の我が国の経済状態、景気の状況は大変厳しい、その点は私もよく認識いたしております。  それだからこそ、総理は、実は四兆円の減税の実施、あるいは質のいい公共投資の思い切った実施等々を含めた十六兆の経済対策を打ち出されたものというふうに私は理解をしておるわけであります。そうして、これを実行することによって、私は、この厳しい状況を克服して、そして日本の経済が安定に向かうものというふうに実は期待をしておるわけであります。
  228. 東祥三

    ○東(祥)委員 いつごろですか。
  229. 松永光

    ○松永国務大臣 委員もよく御承知と思いますが、既に実行しておる特別減税は二月、三月で給与所得者の分が実施されました。六月には六千億の住民税減税が一遍になされます。そして、来年の申告期に申告納税者についての減税が行われます。  それに加えて、二兆円の特別減税を本年中に行うことに総理の決断でなったわけでありますが、それがいつ行われるかということは、現在事務的な問題があるものですから、できるだけ早くやってもらいたいということで私どもは督促しておるところでありますけれども事務的にいっになるのか、七月ごろやれるのかあるいは九月になるのか、これは事務的に非常に難しい問題があるそうでありますが、それがなされる。そして、公共投資等、これは今週中に大体の規模が決められまして、いずれ補正予算をお願いするということになると思うのでありますが、それを通していただいたならば、直ちにそれが執行に移される。  こういったものが相乗効果を持って景気回復に力を発揮してくるものというふうに私は考えております。
  230. 東祥三

    ○東(祥)委員 大蔵大臣、総理にお答え願った方がいいかわかりませんが、二兆円の特別減税というのは平成八年度まで行われていたのですね。しかも、九四年から行われていたのです。三年間続ければ、特別でも何でもないわけですね。大層に言うほどのことでもないのではないですか。  九八年分の今行われている特別減税など、これはまさに昨年末の二兆円特別減税の復活だったじゃないですか。その直前までは、赤字国債財源の減税はできないと言い続けてきた、九八年度予算案が最善であると。十六兆円の経済対策を発表するまではそういうことを言っていた。そして、今大蔵大臣が、G7でもそのような話をした、そのように言っておられましたけれども、特別でも何でもないので、もうそれはビルトインされてしまっていて、逆を言えば、また来年もやりますよ、そういうことがあるから来年も二兆円特別減税をやりますよと。じゃ、結局九九年までは増税をしないということでしかないんじゃないですか。いかがですか。
  231. 松永光

    ○松永国務大臣 恒久減税あるいは制度減税ということになってまいりますというと、所得税そのものの体系を考えた上での制度改正をしないとならぬわけですね。  先ほども申し上げましたとおり、我が国の所得税負担というものは、アメリカその他に比べれば非常に低いのですよ。課税最低限が、実は十年度改正の結果、標準世帯では四百万ぐらいになっているんですね。ところが、アメリカは二百何十万から所得税がかかるという仕組み。それからまた、もう一つは、七百万程度の収入のある人にとってみれば、日本の場合には三十九万四千円、アメリカの場合には九十四万、そういう税の負担の形になっております。  したがいまして、国や地方の公的に必要な資金を国民で少しずつ負担し合って国も地方も運営されておるわけでありまして、その負担をどの程度にするのが妥当かという問題。外国との比較をした場合においては、日本の所得課税というものは高いものじゃない。高いのは、実は三千万とか四千万という所得の多い人にとっては高いんですよ。これは是正すべしという意見が相当ありますけれども、その人たちは、納税者の中の〇・四%しかないわけですね。やりたくとも、現在の政治情勢ではそれはできない。  こう考えますというと、特別に景気を何とかするために減税をせざるを得ないというわけで、決断をされて特別減税の実施となったものと私は思います。
  232. 東祥三

    ○東(祥)委員 大蔵大臣が言われていることはよくわかっていることで、私たちは体系を変えなさいと言っているんですよ。変えるか変えないかは、それは政治家が判断しなくちゃいけないんですよ。  そのことを理解しないで、それは体系を変えなくちゃいけないから。じゃ、何もしないのか、特別減税だけでいいのか。特別減税というのは、まさに先ほど大蔵大臣が言われたとおり、来年もやりますと。じゃ、来年終わったならば、増税が今度来るんですね。それは、もう既に数年前から私たちが言っていることではありませんか。  総理、お答えしていただきたいのですが、二兆円を今回また上積みするというんですけれども、これは来年もやられると言った。じゃ、再来年になれば、減税がなくなって、増税になるんですね。増税予告つきで効果など期待すること自体がおかしなことになるのではないのか、いかがですか。
  233. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 先ほども大蔵大臣が御答弁を申し上げましたけれども、現在、所得税は、我が国におきましては二度にわたる抜本的な税制改革で、大半のサラリーマンが生涯一〇ないし二〇%の税率が適用される。最高税率などの問題を除きますと、フラット化が進んでいることはよく御承知のとおりです。そして、累次にわたる減税の結果、課税最低限が諸外国に比して高い。結果として、所得税の負担全体としては主要先進国中最低となりました。  そして、個人所得課税を考えますときに、御承知のように、資産性所得課税適正化の問題あるいは年金課税の問題など、個人所得課税についてはさまざまな議論があります。だから、こうしたさまざまな課題について幅広くきちんとした検討を行って、公正、透明で、国民の意欲を引き出せるような制度改正を目指していきたいということを私は記者会見でも申してまいりました。  そうした議論の中から、私は、将来の所得課税のあるべき姿というものをきちんと導き出していきたいと考えておりますし、政府税制調査会、党税制調査会にも早速要請したいと記者会見でも申しましたが、そのとおり要請をし、検討を始めていただこうとしております。
  234. 東祥三

    ○東(祥)委員 橋本総理は、この間、G7終了後、日本経済は戦後最大の経済危機に陥っていろことを認めました、言われました。  日本経済は最悪だと総理本人が言っているわけですけれども、これは大変失礼なことかもわかりませんが、総理自身は、今の経済危機、数年前から続いている景気低迷というのをどういうところで実感されていますか。また、御自分の生活の中でどういうところでその部分を感じられていますか。
  235. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 まず第一に、私個人の生活ということでありますなら、国会総理官邸と公邸を行き来する以外の行動を許されておりませんので、残念ながら、警護官の見守り、秘書官の見守る中で、また国会の御審議の中での御議論をちょうだいする中から承知している。  それ以外に、私自身の個人的な学生時代の友人、あるいは、前から私は大田区の中小企業の方々、いろいろな意見を伺う場として大事にしてきました。先日、久しぶりにその方々から御自身の話を伺う機会がありました。その前に伺ったときは、円高の急速な進行の中で伺いました。同じように非常に厳しいお話でありましたけれども、その内容については大きく差異のある厳しい話を伺ってまいりました。  ですから、国会で皆さんから充電をしていただくお話、報道を通じる話、それに時として得られる、今大田区の中小企業の現場の方々からの話、あるいは私の個人的な友人である学生時代の仲間、そろそろ定年を皆迎える年代であります、そうした諸君から勤労者としての話、いろいろなことを聞いております。
  236. 東祥三

    ○東(祥)委員 今、失業率が三・六%になっていると言われております。総理の周りの方で失職されてしまっているという方はいらっしゃいますか。
  237. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 通常の定年による者がまずあります。また、定年が間近にあります中で退職をした者もございます。
  238. 東祥三

    ○東(祥)委員 私は、今やらなければならないことは、一番初めに申し上げました、いろいろな経済、政治、行政社会、そして教育、ありとあらゆる面において今抜本的な構造改革をしなければならないのだろう。一見、経済の問題について聞いていて、直接この基本法案関係ないように伺う方もいらっしゃるかもわかりませんけれども、僕は、根っこは基本的に同じなのだという視点でもって申し上げています。  経済構造改革を本当に断行しようとするならば、まさに太ってしまったこの行政システムをそぎ落としていかなくてはいけない。ただ単にそぎ落としていくのではなくて、まさにこの趣旨説明に書いてあるとおり、戦後五十年たった今日、時代にそぐわなくなってしまったと皆さん方も認識されているわけですから、では、それをどのようにそぎ落としていくのか、そういうことは一切この法案には書かれていないわけです。  ただ単に一府十二省庁ということだけを言っていて、一番初めに総理はこれはプログラム法案だと言ったわけです。プログラム法案であるとするならば、あの山に登ろう、あの山に登るにはどのルートをたどっていくのかというのがプログラム法案ですね。アクションプランがついていない限りプログラム法案なんというのはあり得ないわけです。  しかし、先ほどから質疑に対しての御答弁を聞いている限り、地方分権はまだ今やっている最中だ、規制緩和はあと三年計画か何かでやっている、中身が全然ないではありませんか。それでもってプログラム法案だと言える根拠というのはどこにあるのか。
  239. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 たびたび同じことを申し上げるようで恐縮でありますけれども、まず第一に、規制緩和の世界は、私がバトンをちょうだいする前から、政府はさまざまな努力を重ねてまいりました。  そして、その中から、もう既に規制緩和の行われている幾つかの例も申し上げてまいりましたけれども、先ほど来申し上げていない一つの例を申し上げるならば、例えば通信衛星を介した予備校授業の配信の通信サービスとしての明確化といったもの、あるいは有料職業紹介事業の取扱職業のネガリスト化。あるいは、いろいろなものがありますけれども、今国会に御審議をいただこうとして法律案を提出いたしておりますのが、金融システム改革のさまざまな規制緩和についての法律案もございます。あるいは労働者派遣事業対象業務範囲のネガリスト化、これも国会に御審議を願おうとしております。そして、これから取り組んでいく規制緩和について、先ほどいろいろな御論議がありましたけれども、例えば建築基準法に定める基準の性能規定化、これは今国会法案を提出中であります。  そのほかにも、むしろこれから先を考えましたとき、事業参入規制を、これには需給調整規制を含みますけれども撤廃方向で見直していくことが必要だと考えておりますと申し上げました。あるいは許認可等の審査や処理期間の半減化について、九月には結論をいただこうとしているということも申し上げました。あるいは規制の制定、改廃に係るパブリック・コメント手続のあり方を、年度内にめどを出そうとしている、こうしたものが大きな、大事なポイントだということも申し上げてまいりました。  また、地方分権にいたしましても、既に昨年秋の臨時国会で例えば工場立地法を成立させていただいております。既に分権は進んでおります。今国会に提出をしております中にも、農地法、都市計画法、森林法、都道府県レベルから市町村レベルへの権限移譲も含めて現実に進んでいるんです。そして、それに加えて、従来の五百六十一の機関委任事務、国の直接執行に移すもの二十、事務自体は廃止するもの十一を含めて、全体計画を先ほども自治大臣から細かく申し上げました。  そうした努力を現実に進めながら行政改革を行おうとしていることだけはぜひ御理解をいただきたい、この点は誤解のないようにしていただきたいと思うんです。
  240. 東祥三

    ○東(祥)委員 先ほどちらっと申し上げましたけれども、橋本総理、これは逆に教えていただきたいんですが、橋本総理のアプローチの仕方というのは、まず行政改革をやるに当たって、本質的に、基本的な、例えば官と民の役割ということを考えていったときに、官の役割はこうです、民の役割はこうですと、この仕分けをしないで、民ができるところは小出しに出していく、こういうやり方ではないんですか。  私が申し上げているのは、そうじゃないんじゃないですかということを申し上げているわけです。あくまでも、官がやらなければならないことと民間がやらなければならないことを明確に役割分担して規定する、それがまず初めにあってよろしいのではないですか。  さらにまた、地方分権の話でいくならば、基本的に、中央集権、国が担わなければならない役割と、そして地方が担わなければならない役割はまずどうなんだ、その上で、どのようにそこにちゃんとランディングさせていくのか、こういうことなのではないですか。  しかし、総理が言われている話を聞いている限り、例えば規制緩和の問題一つ取り上げたとしても、通信の分野においてはこれだけ進んでいます、それは個別の業法ではありませんか。そうではなくて、全体像としてどういう形で規制緩和がされていくのかということがわからない限り、それは今までのやり方と何ら変わりないのではありませんか。
  241. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 まず第一に申し上げたいことは、私がバトンを受け継ぐ前に、既に地方分権推進委員会は作業を開始しておられ、その勧告をちょうだいをしながら今日に参りました。あるいは行政改革委員会で規制緩和の御論議が始まりましたのは、私はどちらが先かわかりませんけれども、いずれにしても作業が進んでまいりました。ですから、その作業を行政改革会議は受けとめながら、同時に将来を見通しつつこの議論を進めてまいりました。  そして私は、将来、これから先、例えば規制緩和というものを考えていく場合の将来的な方向として、今委員にお答えをいたしましたように、各分野に共通するものとして、事業参入規制、これには需給調整規制も含んでいるんですけれども撤廃方向で見直すことが必要ではないかと考えておりますという、あるいは、許認可などの審査あるいは処理の期間を縮めること、そしてパブリック・コメント手続のあり方というものをきちんと位置づけていくことが大事だと思うという、その規制緩和にこれから取り組む方向性も共通のものを申し上げました。  その上で、共通を強化する、既に動いている中から、例示で、今国会で御審議をいただいているものも、既に進行中のものがありますということで申し上げております。現実に、私は議員が言われるお考えを否定するものではありません、バトンを受け継いだときに既に動いているものがあるなら、それを土台にしながら物を進めていくというやり方が悪いと私は思っておりません。
  242. 東祥三

    ○東(祥)委員 総理は小さな政府を求められているのでしょうか。効率的な政府という言葉と言いかえてもいいのかもしれませんけれども。もしそうであるとするならば、小さな政府あるいは効率的な政府というのはどのようなものをいうのでしょう。
  243. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私は、前から余り、小さい大きいという言い方でこの問題への私の考え方を申し上げてまいりませんでした。より効率的で、よりスリムなというような言い方、簡素にして効率的なという申し上げ方をしてまいったと思います。  それは、現実に行政というものは理屈ではなくて動いていく部分があります。地方分権の問題をとりましても、それこそ三千三百の市町村、大から小までさまざまの規模があります。二十万の都市であるなら受け取って自分たちのところで実行できる、そうしたものでありましても、十万の都市、五万の都市では単独では実行ができないかもしれません。市町村レベルになれば、そうした大小で、あるいは非常に交通状態の整っているところで、あるいは過疎のところで、受け取れる行政、自分のところで実施できる行政というものには自治体には差異があるでありましょう。  そうした実態を踏まえながら、地方分権推進委が、まずいわゆる地方六団体共通のテーマとして問題提起をされた中から、第四次までの勧告を我々はちょうだいすることができました。そして、先ほども御答弁したことですけれども、同じ地方分権という言葉の中でも、今度は政令指定都市なら、あるいは中核市ならといった視点での問題の検討を今お願いをいたしております。  これは、中央省庁に対して厳しいお答えが出てくるかもしれません。あるいは、同一な政令指定都市の中でも、自分のところはこれは受け切れないとかおっしゃるところが出てくるのかもしれません。共通のテーマではありませんからそうした問題を抱えていますけれども、まさに、今、分権推進委の皆さんに続けて御議論を願っているのはそうしたものであります。  そして、これから出てくるものを地方分権推進計画の中にあるいは取り込む、単独で処理をする、それぞれの手法で対応しようといたしております。  私は、簡素で効率的という言葉を使いながら今まで申し上げてまいりました。
  244. 東祥三

    ○東(祥)委員 総理が言われているのは、簡素で効率、あるいは効率的な政府と言ったとしても、それは、自分自身の頭で描いているのではなくて諮問委員会等の答申の中にあらわれてくるものだ、自分自身では何も描いていないということですか。効率的なものあるいは簡素というのはどういうことを意味するのですか。
  245. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 何遍申し上げたらいいのでしょう。私なりに想定し、この中央省庁の統廃合を考えていく中でも、行革会議の中で私自身の意見もしてまいりました。具体的な過去の体験を踏まえながら、例示を挙げて議論をしてまいりました。  そして、国と地方という関係の中で、都道府県レベルまでの議論は比較的楽でありますが、市町村レベルになると、その規模によって受けとめ得る権限というものに差異があり、そしてこれからその議論に分権推進委が入っていただくということを申し上げております。
  246. 東祥三

    ○東(祥)委員 僕は頭が悪いのかわかりませんが、総理が言われていることがよくわからないのです。  地方分権というのは、官の権限を地方に移すということでしょう。また、規制緩和といえば、基本的には官の持っている権限を民間に移すということじゃないのですか。その視点に立って橋本総理は言っているのですか、別の言葉でしゃべっているのですか。
  247. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 規制緩和、すなわち、官から民にということも先ほど申し上げたつもりでありますけれども規制緩和撤廃ということの中で、民にも何も残さないで自由な市場のできる部分だってあるはずです。  そして、地方分権といいますけれども、今回の機関委任事務の中でも、先ほど十一と申し上げたとたしか記憶していますが、そういう仕事自体を消滅させてしまう、地方に渡すのではない、仕事自体を消滅させてしまうものも機関委任事務の中にあると申し上げています。ですから、国の仕事を見直していきましたときに、地方分権という、地方にお渡しをする以前に、むしろ行政がしなくてもよかったという仕事が機関委任事務の見直しの中から出てきている、これは一つの例でありますけれども。  官から民へ、民が自主的なルールをつくる。そのルールをつくる必要もないものもあるのかもしれません。今現実に議論が進められている一つのポイント、私は議員と違っている言葉を使っているつもりはないのですけれども、御理解がいただけないとすれば大変残念です。  国が持っている権限を地方に移しかえる、分権であることは間違いありませんが、それ以前に、見直していくうちに、そもそも官が、それは国であろうが地方であろうが、官がやらないでもいいことをしていたというケースが機関委任事務の中には出てまいりました。規制の問題についても同じようなものが出てこないことを、出てくればそれはその方がいいのかもしれませんけれども、こういうものをやはりきちんととらえていくことは私は大事だと思うのです。
  248. 東祥三

    ○東(祥)委員 ちょこっとかみ合ってきているのかな。  要するに、総理、素朴な人はこういうふうに見ているわけです、日本というのは、水戸黄門に代表されますけれども、お上のやることはすべて最終的に正しいことをやってくれると。でも、現実にはそうでなくなってきている。  したがって、民間の活動というのは、基本的には性悪説じゃないのか。民間はすべて悪いことをやる、したがって、それを官がちゃんと規制しておかなくてはいけない、許認可で与えておかなくてはいけない、しょっちゅう小里総務長官が言われる事前型システムですよ。そうではなくて、他方、外交、防衛に関しては何かというと、必ず国というのは悪いことをする、したがって、これは地方に全部移しておいた方がいいのではないのか、こういうとらえ方、印象を持つ方々もいらっしゃいます。それが多分先ほど橋本総理が言われている機関委任事務のうちの一つなのでしょう。  国家安全保障という問題を一つ一つ詰めていったときに、最終的に橋本総理が決断してちゃんと裁量できなければならない問題が、いろいろな足かせがあって、そこで決断することができなくなっている。そうすると、普通の国と完全にあべこべになっているのですね。つまり、アメリカやあるいはまたイギリスといった国々が一九八〇年代に志向した部分というのは、まさにその点なのですね。  そういう意味では、国が抱えている権限の中でも、地方に譲ることのできるものというのはどういうものがあるのかという形でアプローチしてくれれば、みんなわかると僕は思うのです。テレビを見ていらっしゃる皆さん方もよくわかるのだろうと思うのです。さらにまた、官から民へ権限を移譲させるといったことも、明確にそういう意味ではわかるのではないのか。  さらにまた、中央から地方という問題を考えた場合でも、中央が担わなければならない役割、そのうち地方で十分担えるものというのは一体どういうふうにしたらいいのか、そういうことを明確にしていけば、多くの方々は理解してくれるんだろうと思うんですが、どうも橋本総理が説明してくれるのは、ありとあらゆることを考えながら、結局何を言っているかわからなくなってきてしまっている。  地方分権は今地方分権推進委員会でやっています、さらにまた、規制緩和規制緩和委員会の方で何かやっています。では、中央省庁再編とこれがどういうふうにリンクしていったらいいのか、全く見えなくなってきてしまう。結局、なし崩し的、先ほど僕が申し上げましたけれども、今までのやり方と同じ手法をやられようとしているのではないのか。総理ですよ、橋本総理。  橋本総理は僕の大先輩の政治家ですよ。何十年間にわたって、総理になる、総理になったときに何をやるかということを間違いなく考えてきた方なんだろうと僕は推察します。そういう意味では、総理、結局のところ、何をやろうとされているんですか、中央省庁再編で。ただ単に数合わせ、一府十二省庁の数合わせ法案になっているのではありませんか。  きょうはもう時間がなくなってしまいますが、次のときに、この中央省庁再編一つの重要なポイントである内閣の機能強化、いかにこの中央省庁再編基本法案に基づいて内閣の機能を強化しようとしたとしても機能できないかということをぜひ証明させていただきたいというふうに思いますが、究極のところ、総理、中央省庁再編で何をやろうとしているのか、もう一度ぜひ皆さん方にわかるように説明していただきたいのです。
  249. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 何回も同じことを申し上げるようで恐縮ですが、お尋ねがありますのでもう一度申し上げます。  何を目指すかと言われるならば、二十一世紀になっても通用する行政システムを中央にきちんとつくっておきたいということであります。そして、その目指すものは何かというならば、簡素で効率的な政府であり、同時に、内外のさまざまな状況に対して機敏に対応できるような、国際的にも国内的にもそうした機能性を持った政府をつくっておくべきだと考えております。  そして、そのために、地方分権を一方で進め、これによりスリム化を図る。また、官から民への規制緩和、これは今進めております規制緩和というものと同時に、今、日本行政そのものが、事前管理型の裁量行政から、あらかじめルールを明確に示した上で事後チェック型の行政に変わっていかなければなりません。そうした中で、官から民への移しかえというもの、ここでも行政スリム化する素地があります。  こうしたものを踏まえて、一府十二省という大ぐくりの仕組みにこれをまとめ上げていく。同時に、その際の組織は、局の数にいたしましても、今より減らしていくことを考える。  同時に、独立行政法人といった新しい手法をこの法律で認めていただきたいと申し上げている。そして、認めていただいて、国の今抱えております行政の中から、独立行政法人化すべきもの、あるいは郵政事業のように中間段階を通って公社化していくもの、そうしたものを外していき、その上で総定員を減少させていく。これは一〇%以上という目標を示していますけれども。そういう形で、よりスリムな政府をつくっていこうとしている。  まさにこうした内容を持ったものであり、その中で、内閣あるいは内閣総理大臣の機能というものを強化するという方向もこの中に位置づけられておりますということを改めて申し上げます。
  250. 東祥三

    ○東(祥)委員 橋本総理、もう既に、私たちは前に、一昨年ですけれども、五つの契約というのを言ったんです。これを後追いして、六つの改革なるものを橋本総理は掲げてきたんです。明確にこの五つの契約というのは全部リンクしています。  先ほど、橋本総理は、行政改革と経済構造改革、あるいはまた財政改革法案について、リンクしているのかリンクしていないのかよくわかりませんけれども、多分リンクしているという意味で僕は使われているんだろうというふうに思っているんですけれども、基本的には六つの改革というのはみんなばらばらになっているんじゃないですか。  一つは、財政構造改革について言わせていただければ、財政の目先の帳じり合わせを国民負担によって行おうとするものであって、制度の見直しというのは一切行っていません。歳出を一律に削減していくだけです。これも構造改革に値しません。  社会保障改革に至っては、これから何か出てくるのかわかりませんけれども社会保険制度の維持のみに主眼を置いて、国民にツケ回しをするのみであって、ナショナルミニマムの確保という視点は一切なく、消費マインド冷え込みの大きな一因になってしまっている。  三番目は、金融システム改革です。不良債権を一掃して健全金融機関だけを残し、金融ビッグバンを迎えなければならないところを、不良債権処理の見通しを誤った上、早期是正措置をビッグバンと同時並行させたために信用収縮を招いてしまった。その結果として、経済は大混乱に陥った。さらに、公的資金による資本注入や株価操縦によってビッグバンを乗り切ろうなどと考えているのじゃないのか。いずれも、フェア、フリー、グローバル、こういう視点とは全く該当しない、護送船団方式をそのまま踏襲しようとしているではありませんか。  教育改革に当たっては、総理、その姿は全く見えてきません。教育の基本である、何を教えるべきかというその基本哲学も不明確のままでございます。  経済構造改革。これはもう何度も何度も議論されていることですけれども、超少子・高齢化社会を目前に控えて、また、グローバル化、あるいはまたボーダーレス化する経済に対応するため、抜本的な構造改革というのは何一つやろうとしていません。にもかかわらず、橋本内閣は、目先の景気状況、財政状況にとらわれて特別減税。特別減税が切れれば増税が来るんですから。橋本内閣では、従来型のばらまき型景気対策と財政帳じり合わせを交互に行うのみではありませんか。  そして、究極の行政改革。まさにあの趣旨説明に言われているとおり、戦後五十年たった今日、時代に合わなくなってきたというふうに言っているにもかかわらず、その二十一世紀型の行政システムにどのように変えていくのか、何をどのようにルートをつくっていくのか、先ほどから聞いていても全くわからない。この行政改革というのは、基本的には、日本の国家の統治機構がどうあるべきなのか、そのグランドデザインを全国民に示さない限り、わかるはずないではありませんか。そういうものがないままに、橋本内閣はこの行革をやろうとしている。したがって、日本を根本から立て直すという哲学も戦略も全くないではありませんか。結局、対処療法に追われてしまっている。  橋本総理、結局、構造改革というのは痛むんですよ。すべての人々が、嫌な、逃げたい、そういう問題ですよ。まして、行政改革を本当にやろうとするならば、これはだれが困るんですか、橋本総理。僕が先ほど言っているとおり、既得権益を持っている人々というのは、行政改革を断行すれば、まさに翌日の生活が大変になってしまう。そういう人々にとって苦痛になるのが行政改革ですよ。  これを見ている限りにおいて、まさに橋本総理がやられようとしているのは、具体的にどこをそぎ取って、そして中身をどのようにやっていくかということが全然見えないから、ただ単に一府十二省庁を数合わせでもって頼む、そういうことしか聞こえてこないではありませんか。  ぜひ私は、また……(発言する者あり)何を言いたいか。六つの構造改革を橋本総理は出しているけれども、全部ばらばらでしようということを申し上げている。
  251. 高鳥修

    高鳥委員長 静粛に願います。
  252. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私は、議員のように明敏な方に御理解がいただけないというのは大変残念だと思いますけれども、それぞれが密接に連係をしておりますものであることは、議員よく御理解のとおりです。  ただ、その中で、教育改革の中の心の部分に対しては、これは確かに、法律仕組みとかそういう種類の話ではありません。むしろ、家庭と教育、学校、地域社会、この部分はむしろお互いが考えていかなければならないことでありまして、仕組みの問題で必ずしも議論をすることが適当なものだとは私は考えておりません。ここだけは一つはっきりさせておいていただきたい。  そして、例えば金融システム改革、外為法は既に改正外為法が施行され、全く違った環境で現に動いております。社会保障構造改革にいたしましても、少子・高齢化社会というものを見据えながら、セーフティーネットワークとして将来もあり続けるためにどういう姿をとればいいかを、例えば年金等につきましても、現在考えられる選択肢を国民に提示し、その御意見をいただきながら、将来に向けての作業をいたそうとしております。あるいは、経済構造等につきましても、先ほど来申し上げてきた、あなたは個別のものをとおっしゃいます、その個別のものの積み上げの中から経済構造は変わっていきますし、また、新しい産業もそこから芽吹いてこなければなりません。そうした意味では、これらは皆連動しております。  一つずつを挙げて私は議員の御意見に反論しようとは思いませんけれども一つずつがそういうふうに動いてきている。そして、その中で行政改革が、逆に、ここまで皆さんに内容を提示させていただき、そして国会において、従来我が国にはなかった独立行政法人という仕組みを認めていただくことによって新たな方向をつくり上げていこうとしていることをぜひ御理解を願わなければなりません。  同時に……(発言する者あり)せっかく御答弁申し上げているので、お聞きいただけませんか、質問者にお答えしているのですから。  例えば郵政事業改革の中で、預託廃止というものがあります。これは、資金運用部に皆さんからお預かりした預貯金を預かってもらうのではない、これが財投として特殊法人等にさまざまな問題を国民から議論としてちょうだいする、そうしたポイントになっているならば、財政投融資はこれからも必要ですけれども、それをむしろ財投債等で調達する。お預かりしたものを資金運用部に入れてそのまま使うというようなことは認めない、これは自主運用していく。全体に大きなスケッチを国民の前にお示しをしました。それが、私はむしろ将来に対して方向づけをする大事なポイントだと思っております。  その部分で、もし議員と論議がかみ合わないとすれば、どこか私の申し上げ方にも問題があるのかもしれません。しかし、私は、誠心誠意皆さんに御理解を願うべく話を申し上げていることは、御理解をいただきたいと思います。
  253. 東祥三

    ○東(祥)委員 具体的な中身については、私は、次回に譲って質問させていただきたいと思います。  最後に、総理それから総務長官、なぜこの程度の省庁再編基本法をつくるに当たって、基本法、プログラム法案にしなければならないのですか。この程度の数合わせ、言葉はきついかわかりませんけれども、実態的に数合わせになっていますから、各省の設置法を書き直せばよいのではないのか、このように私は思います。  二つの点ですけれども、なぜ基本法、プログラム法案が必要なのか。二番目は、これぐらいの省庁再編、その基本法案であるとするならば、設置法を書き直せば済むことではないのか。これについてお答えいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
  254. 小里貞利

    小里国務大臣 ただいまのお話は、私ども政府の立場から申し上げますと、明快に、そして不動の方針で、私や総理はしばしば、まさに耳しげく今説明をいただいた、こう思っております。  先生自身が最初にはっきり言われたことは、今日の行政体系というものは、中身を含めて、これは肥大化しておるよ、硬直化しておるよ、戦後五十年、まさに戦後型の行政システムじゃないかと。これをこの際きちんと現状を把握して、そして国がやるべきものをきちんと分析をして、そして簡素にして効率的な、しかも先生のお話をおかりして申し上げますと、言うなれば総合性を持って、機動性を持って、きちんと二十一世紀型の行政システムをつくらなければいかぬよということを議員自身も先ほどおっしゃった。  これは決して反発して申し上げるわけじゃないのでありますが……
  255. 高鳥修

    高鳥委員長 時間が来ておりますので、簡潔に願います。
  256. 小里貞利

    小里国務大臣 私も今ここに、あなた方が主張なさった新構築宣言も読ませていただいておる、最大公約数において、同じ目標で、同じ道筋を行っているのですね。同じ目標に向かって道筋を明快にせよとおっしゃるけれども、先ほどの総理大臣の説明で極めて明快であり、そして方針はきちんといたしておる、私はさように強く認識するものであります。
  257. 東祥三

    ○東(祥)委員 前に、一九九五年から三回にわたって……
  258. 高鳥修

    高鳥委員長 東君、時間が来ておりますので、御協力願います。
  259. 東祥三

    ○東(祥)委員 行革法案を提出させていただいている。にもかかわらず、それを全部否決されているではありませんか。それを言って、終わりにさせていただきます。
  260. 高鳥修

    高鳥委員長 これにて東祥三君の質疑は終わりました。  次に、松本善明君の質疑に入ります。
  261. 松本善明

    松本(善)委員 端的に総理に質問をしたいと思います。  この中央省庁再編に関する法案の内容といいますのは、行政改革会議の最終報告を受けて、二十一世紀での行政機構をどうするか、さらに根本的には国づくりをどうするかという建前のものであります。同時に、法案には財政構造改革推進とか社会保障制度の構造改革推進というようなことが明記をされておりまして、橋本内閣の六大改革推進する機構づくりにもなっております。  今も六大改革についての同僚委員批判もありましたが、けさの新聞では、政府・与党にかなり理解のある新聞ですが、「迷走、首相「6大改革」」こういう見出しの報道もございます。この国会で、すべての野党のみならず、今自民党内からも橋本総理は退陣を迫られる、そういうことが起こっております。  私は、橋本内閣のこの方針、一内閣の方針ですね、六大改革推進ということが、しかもそのようないろいろな批判にさらされている内閣の方針が、二十一世紀を展望する国家百年の大計になるということを果たして国民が理解するだろうか。総理はどうお考えになりますか。
  262. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私は議員がどちらの方向に議論を持っていかれようとしているのかわかりませんけれども、私なりにもしお答えをさせていただくなら、国民は本質的に、今我々、この日本という国が大きく変わらなければいけない、そうしたところに来ているということは理解をしておられると思います。  そして、それはそれぞれの分野で起きております事象、例えば教育の場合に、なぜ子供たちが、いわゆるマスコミ的に言いますと、切れてしまうというような状況になるのだろう、学校と家庭と地域社会の中でどうすればそういうものに対応できるのだろう、これは一つの例です。そして、そういう問題意識は私は国民は皆お持ちだと思います。  その上で、どういう方向にということになりましたときには、それぞれ御意見がありますから、その方向は必ずしも一つではありません。殊に、今国民の御要望というものも非常に多様化しているど言われる時代であります。問題認識においては、国民は非常に賢明に問題認識をしておられる、その上で、解決の方法あるいは方向というものについてはそれぞれの御意見を持っておられると私は思っております。
  263. 松本善明

    松本(善)委員 私が最初に問題にしたのは、一内閣の方針が国づくりという国家百年の大計になるか、そのことを国民は理解をするかということをお聞きをしたのですが、総理は真正面からお答えにはならなかった。  確かに今、大きな国の変わり目です。行政改革を行う、言葉の上では行政改革をやる必要があるということをみんな各党とも言います。そのことを否定する人はいない。しかし、おっしゃるとおり、方向は、考えていることがかなり違うというのが現状でしょう。  行政改革を行う場合に最も大事な問題は何か。それは私は、憲法が示す国民主権の立場からの検討だろうと思います。この国民と国の行政関係について、憲法前文は、「そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであって、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。」と述べております。  この国民主権の立場から行政改革を考えますならば、国民行政に対して何を求めているか、そのためにとるべき改革は何か、こういう視点からの検討が必要だろうと思います。行政改革会議の最終報告や法案作成に当たって、総理は、国民行政に何を求めているというふうに考えて対処をされましたか、伺いたいと思います。
  264. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 これは最終報告全体を流れている精神だと思いますけれども、二十一世紀に我が国が対応していくため、今抱えているさまざまな問題の中から、簡素でできるだけ効率的な政府というものを、この中央省庁の中では考えてまいったと思います。  それは、ただ単にそれだけが理由ではありません。むしろ、これから先、国民の暮らしにより身近な自治体が対応していく必要が生じていくであろう。  少子・高齢社会というものを考えるとき、かつて御党から従属人口論が唱えられ、私自身も論戦をしたことがありますけれども、当時、従属人口論で言われたお考え、今とは随分異なる感じを社会保障等にもお持ちではないかと思っておりますが、こうした問題にこたえていき、それぞれの仕組みが、二十一世紀になりましても、例えば社会保障はまさに国民の暮らしのセーフティーネットとして存在し続けられるようにするためには、どういう姿が、また内容が、そして実際上の仕組みとしてどこがといった問題も含めて答えを出していかなければならない。  いろいろな問題要素を含めた上で、国民の暮らしの安定と発展というものに焦点を当てながら視野を広くまとめてきたものが私は行革会議の論議であったと思いますし、そうした土台の上に今法案を、基本法を提出し、御審議を願っております。
  265. 松本善明

    松本(善)委員 私も行政改革会議の中間報告から最終報告、法案、子細に検討させていただきました。しかし、何を国民行政に求めているか、どういう改革を求めているかということについての検討は、私はそういう検討が深くなされたという形跡はないように思います。  今総理の言われたのは簡素で効率的な政府ということでありますけれども、本当に何を求めているのだろうか、二十一世紀に国民は何を求めることになるのだろうか、そういうような検討が私はないように思います。もし本当にそのことについての真剣な追求があるならば、私は、まず国権の最高機関であり、国民の代表である国会行政改革会議の設置法案をかけて討議を求めるのが当然だったろうと思います。  ところが、国の行政を見直す基本方針を決めるという重要な法案にもかかわらず、法案のもとをつくった行政改革会議は、法律によらず政令で設置をいたしました。あの臨調でも設置法を国会にかけたのでありますが、行革会議はそれもせず、しかも会長に総理自身が就任をされました。戦後、幾度か行革での提起はありましたが、総理みずから会長になったのは今回が初めてであります。言葉がいいかどうかはともかくとして、自作自演の法案策定経過ではないだろうか。  私は、国民行政需要といいますか、そういうものを知るならば、やはり国会にどういう行政改革をするかということをかけてやるのが当然であったのではないかと思いますが、その点について、総理は最初からかかわっておられます、どういうふうにお考えになったのですか、お聞きしたいと思います。
  266. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 なるほど、議員のようなお考えもあろうと存じます。  しかし同時に、行政改革会議の皆さんに、御論議をむだなものにしないようにする、そう願う私自身の気持ちを御理解いただいて、真剣な議論をしていただく上で、私は、私がとりました手法もあながち間違いではないと思っております。  そして、その御論議を受けました基本法を国会に御審議をいただくことによって、行政改革会議の出しました最終報告というもの、国会の御審議を通じ、国民の御意見を反映するものになろう、そのように思います。
  267. 松本善明

    松本(善)委員 先ほど総理御自身もお認めになりましたように、行政改革方向ということについてはいろいろの考えがある。それならば、やはり国会でいろいろな多様な意見を聞いてその方向を見定めるべきではなかったかと私は思います。  そこで、今私は中身をちょっと申し上げますけれども国民はどういう行政改革を求めているのだろうか、これがやはり行政改革の出発点でなければならない。それは行政関係企業との癒着の問題、これを最も求めているのです。先ほども、午前中も、与党議員もそれに触れて質問をされました。今でも大蔵省と金融機関の癒着の報道が後を絶ちません。氷山の一角があらわれたにすぎない大蔵汚職を初め、相次ぐ政官財癒着事件をなくしてほしいというのが国民の要求であります。  いろいろな世論調査にそのことがあらわれております。その中の一つを紹介いたします。一昨年五月、ある全国紙が「官僚」というテーマで行ったものであります。「中央省庁の高級官僚で特に問題と思うことはという設問に、一番多い回答は、政界、業界との癒着、これが三六%であります。次に、中央省庁の不祥事を防止したり責任体制を明確にするためにどうすればよいかの問いには、天下りを厳しく規制する、これが一番多くて四八%でありました。こうした傾向は、かなり以前から現在まで各種世論調査で見られます。  国民の要望は、天下りに対する厳しい規制を含めた政官財の癒着構造をなくしてほしいということなんです。この法案は、こうした国民の要望にこたえて政官財の癒着をなくすことができますか。総理、お答えいただきたいと思います。――簡単にしてください。
  268. 小里貞利

    小里国務大臣 今そういうような、先生がおっしゃるような、簡単「簡単とおっしゃるけれども、なかなかこういう大きな問題だけに、しかも大事なことを指摘しておられるからそう簡単にできないのですよ。  例えば、規制緩和にしても情報公開法、ただいま相談しておる問題にしても、先生がおっしゃるような改革を実現するためにこそ今御相談をしておるわけなんです。情報公開法もしかり、あるいは規制緩和もしかり、あるいは、先ほど言っておられるように、一府十二省庁政府の新しい組織体制はこういうものですよと説明いたしておりますが、まさに今お話しのとおり、国民は何を期待しておるのかな、一体それを正確に我々は把握しなければならぬということは大いに努力をしてまいったつもりです。  例えば、行政改革会議におきましても、一日五時間、六時間、延々と五十数回やってきましたが、総理もそれを終始務めてまいられました。あるいはきょうだって、きょうは松本善明先輩がどういう話をしてくれるだろうか、あるいは何か新しい有効な、いわゆる効率を上げるための提言をしてくれるのではないか、そういうふうに耳をそばだてながら本当にお聞きを申し上げておるわけであります。  お互いに、先ほどお話があるように、いや、行政改革というのはもう全野党を通じてみんな賛成するのだ、求めているのだ、ただ若干その手法が違うのだとおっしゃったが、まさに私は正解だと思う次第でございまして、そのような大きな視野で、ぜひ今次のこの歴史改革というものを、先生のようなそういう前向きの御意見できちんと仕上げていただくよう期待を申し上げる次第です。
  269. 松本善明

    松本(善)委員 多少ではなくて、相当大きく方法は違うのです。  そして、私は、やはり質問に答えてもらうということが、私の質問は何かといえば、この法案が、国民が要望していると私が思う政官財の癒着をなくすということにどう役立つのか、これは役立ちますかと。あなたの言われたのは別のことですよ。それはだって、もういいですよ、あなた。質問とかちっとかみ合わないんだよ、答弁が。  だから、総理に聞きたいです。ほかでやるならほかでやる、この法案が役立つかという質問にお答えいただきたい。
  270. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 当然のことながら、この法律案も私は役立つと考えております。  同時に、この法律案だけではなく、議員国家公務員を含めました公務員の第二の人生を天下りと一括されましたけれども、その天下りというだけではない再就職の部分というものを私は否定はできないと思います。これは、公務員の人生設計という意味公務員制度調査会で今議論をいただいておりますけれども、こうしたものも当然必要になります。  そして、その中で、定年の問題等とあわせながら、同時に、人事院の機能の中で、みずからの経験、技能を買われて民間に請われる方だって将来だってあるでしょう。そういう方が、あえて天下りという一言で片づけられるのではないような、そうしたルールというものもつくっていってもらわなければなりません。  それぞれが相まって、私は、今の御批判のようなことに答えをきちんと出していく、その中のもちろん大きな役割を果たすと思っています。
  271. 松本善明

    松本(善)委員 わかりましたことは、総理の今の御答弁でも、天下りの問題はほかで検討していく。この法案にはありません。(橋本内閣総理大臣行政改革全体の中で役に立っていくことは事実です」と呼ぶ)この法案について聞いています。これから聞きますから、後から御答弁ください。  それで、この法案については天下りもありません、情報公開もありません。そして……(発言する者あり)それはわかっていますよ。だから、総理、この法案にはないと言っているのです。これから聞くのですから、ちゃんと聞いてください。
  272. 高鳥修

    高鳥委員長 政府側も静かにしていてください。
  273. 松本善明

    松本(善)委員 天下りは、戦後の疑獄事件を振り返ってみますと、皆行政と深くかかわっております。古くはロッキード事件、ダグラス・グラマン事件、鉄建公団事件、国際電電、KDD事件、リクルート事件、近年ではゼネコン汚職、証券会社損失補てん事件、薬害エイズ事件、さらに最近の道路公団汚職、大蔵省汚職、皆そうです。  しかも、このほとんどの事件に天下り官僚が絡んでおります。ロッキード事件では、運輸省次官から天下った全日空社長、ダグラス・グラマン事件では、自衛隊の空将補から日商岩井に天下った人物がかかわりました。薬害エイズでは、ミドリ十字に厚生省薬務局長が天下っておりました。道路公団汚職では、大蔵からの天下り官僚が逮捕をされている。大蔵省汚職では、天下り官僚が銀行の接待の側に回っておりました。今また、多数の警察OBが天下っている会社が摘発されております。  法案は、戦後の行政を見直すことがその目的になっている。そうだとすれば、戦後の行政を点検すれば、必然的に政官財癒着構造問題は行政見直しの中心テーマになるのが当然だと思う。ところが、なぜ行政改革会議の課題にならなかったのか。なぜこの法案の中にあなたは入れなかったのか。私は、その総理考え方が、方向が間違っているんじゃないかというので聞いているのです。  これは総理が最初から――総務庁長官三人目なんだよ、かわったのは、この担当大臣として。やはり総理が行革会議をつくられて、そして行革会議の議論をリードをされてここへ持ってきたのです。そのあなたのお考えの中はどうなっていたのかということを聞きたいのです。
  274. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 時にリードをしたと言われ、リードをしたというのは主導権を発揮したということだと思うのですが、時に全然何もしてないとしかられ、複雑な感じで今御質問を伺っていました。  ただ、その上で、まず私は、議員がこの基本法の中に何でもかんでも詰め込むようなお考えで議論をされるのはちょっと違うと思うのです。それは、情報公開については情報公開法国会に提出し、御審議をいただこうとしておりますし、公務員制度、定年制あるいは再就職、こうした問題を公務員制度調査会で議論をしていただくというのは、私は何ら間違った話ではないと思うのです。  同時に、汚職事件等に対しては司法当局、捜査当局がきちんと対応をすべきことであって、それ自体が中央省庁改革のテーマでは私はないと思います。事件があるなら、それは捜査当局、司法当局が厳正に法に基づいて処分をすればよいことである。そのための法律をつくっているわけではありません。二十一世紀にあるべき日本政府、その姿を考えようとしているものであるということを申し上げておきたいと思います。
  275. 松本善明

    松本(善)委員 総理、あなたは行革会議を牛耳ったことはないと言うけれども、ちょうどそういうふうに書かれているのですよ、新聞に。行革会議を牛耳った四人組の筆頭にあなたは書かれて、ほかの委員が不満を持っているということも報道されております。  それで、私が問題にしたのは、ほかでいろいろやっている、それはもう十分承知しています。ただ、問題は、戦後行政を見直す中で中心問題にしなければならないであろう問題が行政改革会議で議論をされない、そして真っ正面からの基本法と言われているこの法案の中に入ってこない、そこに私どもは問題を感じているんです。それは、行政改革方向についていろいろ議論があるという、私どもの考えでいる基本的な方向との違いなんです。  そして、総理の頭の中にそれがなかったということの最大の証拠は、私は、佐藤孝行総務庁長官の任命と辞任の経過が、これはもう百方言を費やすよりも明らかに、総理の頭にはそういうことをなくしていくんだという頭が、この行政改革会議を組織をし、そこで議論をしていく中でなかったんだと思います。  私は、もうこれについては方向が違いますから、これ以上議論してもしようがないと思う。以下、法案に沿って質問をいたします。  この法案の特徴の第一は、内閣機能の強化をトップダウン方式によって行うということであります。これまでと違って、首相の内閣での発議権の法制化、内閣の補助機関で専ら各省庁の調整役であった内閣官房に、総理大臣の職務を直接補佐する機能、国政の基本方針の企画立案の機能、危機管理の機能などを与えました。内閣官房の組織は、直接任用、定数も柔軟、弾力的で、他の官庁と違う特別扱いになっております。さらに、内閣府と総務省ども内閣の補佐、支援組織と位置づけました。その必要性について、最終報告は、国政全体を見渡した総合的、戦略的な政策判断と機動的な意思決定をするためとしております。そして、内閣がトップダウン的な政策形成、遂行の担い手となるとしております。  法案を一々読むと時間がかかりますので、私なりの要約ですが、総理は最初からかかわって、これには非常に強い関心を持っておられる。これで間違いないかどうか。何か補足するなり、足らないということがあればお答えいただきたい。
  276. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 先ほどは、この内閣機能の強化というけれども全く強化になってないじゃないかという角度からの御意見をいただきました。本当に、私は同じものを見ても随分違って見えるんだなという感じがあります。  そして、私は、大したことないよとおっしゃる意見にも議員の御意見にも賛成はいたしません。むしろ、大変バランスのとれた内容の答申をいただいたと考えておりますし、法律用語でお答えするよりも、緊急事態に対応して機敏な行動ができるように工夫をしていただく、あるいはさまざまな政策課題に対して戦略的な判断を下せるような体制を構築していただく、そして国政運営の上で、国会で指名された内閣の首長である内閣総理大臣がリーダーシップをよりしやすい仕組みを整えていただいています。  そして、政策の立案、形成に際して国民の意見を十分吸収したり反映していくことは当然のことでありますけれども、例えば経済財政諮問会議といったものは従来の中にはきちんと位置づけられておりませんでした。こうしたものが今度新たに中に設置を認められ、民間学識経験者等、閣僚とともに有機的に意見を伺い、それを国政に生かしていけるような仕組みというものも認めていただいて、私は、非常にバランスのとれた仕組み、そして、その中で内閣機能がより発揮しやすい形を工夫をしていただいたと考えております。
  277. 松本善明

    松本(善)委員 このトップダウン方式というのは、私の言ったことを御否定にはならなかった、法案の紹介については。これは、結局そういうことであったろうと思いますが、判断をされたわけですが、私は、このトップダウン方式という、この法案で規定されているような方向で行った場合に一体どういうことになっていくだろうかということがやはり大きな問題だろうと思う。それぞれの見方はあると思いますが。  ここで言われております戦略的、機動的と言いますならば、例えば三十兆円の大銀行への支援はまさに戦略的、機動的におやりになりましたよ。それから、今回の総理の総合経済対策のやり方もトップダウンの典型であります。自民党指導部も大蔵大臣も知らないところで総理が決めて、それぞれ手続はされたようでありますけれども、異論を押し切っても強行をされた。国民の代表機関で最も大事な国会には、総理が記者会見で発表した後、しかも野党が強く要求してやっと応じたという経過でございます。まさに、国会を無視して政治を強行するやり方だということです。総合経済政策の発表の結果は既に明らかだ。景気回復どころか、総理退陣の大合唱を引き起こす。  トップダウンというのは、こういう非民主的なやり方にさらに輪をかけて悪政を強権的に推進する仕組みではありませんか。
  278. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 まず第一に、本日報道を通じてこの審議が中継されておりますだけに、三十兆円の金融システム安定化と言われました。正確を欠くといけませんので、十七兆円は国民の……(松本(善)委員「わかっております」と呼ぶ)いや、あなたがおわかりでも、見ておられる国民がおわかりにならないといけませんから、念を押してもう一度申し上げますが、十七兆円の預金保護のための資金、保証枠、同時に、まさに経営をより強く、自己資本注入のための、これはしかも破綻しそうな銀行には使わないという前提をつけての一三兆円のお金、こういう性格のものであることをまず申し上げておきたいと思います。  そして、これも国会で御審議をいただきました法律に基づいて私ども仕事をいたしております。国会が健全なチェック機能を果たしておられる、そして予算であれ法律案であれ、今の金融システム安定化策につきましても御審議をいただいておる、それが我が国の健全な姿ではないでしょうか。
  279. 松本善明

    松本(善)委員 総理、今おっしゃったけれども、これはもう既にテレビの入る予算委員会その他の論議で国民も十分知っていますよ。今金融機関の問題は、体力の問題ではなくて体質の問題だ、腐敗体質の問題だ、アメリカでも金融機関が責任持ってやっているし、それから体力も十分ある、もう十分論議したことです。私が聞いていることは、このシステムが、やはり悪政を強権的に推進するということが最近の事例の中でも明らかではないかということ。その点についてはよくお答えになりませんでした。  私は、この仕組みは、新ガイドラインに沿ってアメリカから周辺事態ということで支援を求められたときに、国会にも諮らず、閣内でも反対が起こらないように進めるのに最も都合のよいシステムではないかと思います。  私は、この内閣企画立案機能が非常に重視をされて、先ほど来も議論をされておりました。だけれども企画立案というのは今までもやっていたことです。先ほど答弁のあったとおりです。しかし、制度として企画立案機能が大きく重視をされて言われ出すということに、私は非常にきな臭いものを感ずるのです。  私が思い出したのは、戦前の内閣企画院のことです。一九三七年、日中全面戦争の開始に伴って創設をされた内閣直属の総合国策立案機関でありました。事実上、総動員関係事務機関でございます。前身は、陸軍から重要産業五カ年計画要綱案の提示を受けてその検討に着手をした企画庁であります。  新ガイドラインは自動参戦体制をつくるものだ。これは私たちだけではなくて、マスコミでも盛んに言われております。これと結びつく内閣機能の強化は、私は、アメリカに従属をしながら軍事機能を強化をしていく過程だということを強く懸念をしております。国がそういうことを強調をしていくということになると、私はそういう方向に行く心配が非常にあります。  これは指摘にとどめて、私は、法案の第二の特徴について移ろうと思います。  これは、運輸省、建設省、国土庁などを合体させて、公共予算規模の七割から八割を占める国土交通省というゼネコン奉仕の利権大官庁をつくる一方、国民生活部門を徹底的に縮小しているということであります。総理は、五百兆円の膨大な財政赤字、負の遺産について本会議で答弁をされました。公共事業のむだ遣いについての反省は全くなくて、破綻した財政構造改革を進めるとしかお述べになりませんでした。  国土交通省は、法案の二十二条の一号に「総合的な国土の形成に向けた体系的な取組を推進すること。」とあり、二号に「社会資本の整備を整合的かつ効率的に推進すること。」とあります。これは、五全総に沿って推進するというようなことも意味しているのでしょうか。お答えいただきたいと思います。
  280. 瓦力

    ○瓦国務大臣 松本委員にお答えをいたします。  今回の省庁再編におきまして、高い視点といいますか、また広い視野から政策立案機能の発揮、また縦割り行政の弊害から、ひとつ省庁を、大ぐくりでございますが編成をして取り組もうということでございまして、国土の総合的、体系的な開発及び利用、そのための社会資本の整合的な整備、交通政策の推進等を主要な任務とする国土交通省というのが設置される、こういう方向で今努力をしておるわけでございます。  公共事業につきましては、国と地方の適切な役割分担のもとに、事業の決定過程の透明化、評価の適正化等の見直しを図ることといたしておるわけでございます。さらに、財政構造の改革推進する見地からも、公共事業の重点的、効率的な実施を図ることとしているところでございます。  今日まで、我が国の国土整備につきましては、振り返って半世紀を経るわけでございますが、極めて軟弱な国土でございますから、安心、安全な整備をするためにはその時代時代に努力をしてまいったわけでございまして、御指摘のようなことは当たらない。これからもなお一層効率化、さらに努力をしてまいらなきゃならぬ課題は時代とともにあることを踏まえまして、今検討を加えておるところでございます。
  281. 松本善明

    松本(善)委員 瓦さん、やはり質問を聞いておってもらって、私の質問は、この国土交通省の、法案に書いてあることは、新全総、五全総などを推進することも含まれるのかと、それだけですよ。指摘が当たるか当たらないかではなくて、これやるんでしようということを聞いているんですよ。
  282. 瓦力

    ○瓦国務大臣 松本委員の御質問につきましては、もちろん当然でございますが、むだであるとか、さような御意見も質問の中にございましたからあえて……(松本(善)委員「そんなこと言ってない」と呼ぶ)いやいや、松本委員の質問の中にさような発言がございましたから。それはもう当然でございます。
  283. 松本善明

    松本(善)委員 質問はそういうことです。  この五全総の大きな特徴といいますのは、やはり大型プロジェクト中心であります。その中には、予算委員会などでもうちの党が指摘をしましたけれども日本列島に六つも橋をかけることがある。本四架橋の公団は大赤字ですし、一兆五千億くらいかかった東京湾横断道路も採算の見通しありません。その外側にもう一つ橋をかけるわけですから、もっと金がかかります、深いところ。明石海峡の大橋は一キロ千二百億円余りかかったという計算になるでしょう。地元負担の増大で関係自治体は頭を悩ましております。批判の多い新幹線の敷設費用でも一キロ五億円足らずでありますから、明石海峡大橋の費用はその二百倍を大きく上回ります。五全総が国民にどんな負担をもたらすか明白です。  我々は、公共事業、何でも反対ではありません。生活道路、下水道を初め国民生活に役立つ、いわゆる生活密着型の公共事業は積極的に推進すべきであります。問題は、むだな公共事業、不要不急の公共事業にメスを入れるということであります。  私は、こういうものをやっていく、これをやるのが国土交通省ということになりますと、浪費型腐敗温存の構造を二十一世紀に引き継ぐということになるのではないかと思いますが、いかがでしょう、総理
  284. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 今議員議員視点からいろいろ御論議をいただきましたけれども、先ほど来何回かこの問題お答えしてきておりますように、高い視点、広い視野からの政策立案機能の発揮のために、また縦割り行政の弊害除去のために省庁の大ぐくり化をしていく中において、まさに国土の総合的、体系的な開発及び利用、そしてそのための社会資本の総合的な整備、交通政策の推進といった視点を持ちながらこういう構想をまとめてきました。公共事業についていろいろな御意見があることも承知をしております。  そして、国と地方の適切な役割分担の中で、事業の決定及び執行に関する本省の権限をいかにして地方支分部局に委譲させていくか、事業の決定過程の透明化や評価の適正化などの見直しを図ることによって、今まさに議員から言われたような、非効率だったり効果に疑問のある事業が不透明な、裁量的な格好で決定されたり実施されたりすることがないようにしていく、これが非常に大事なことです。そして、そういう方向でこの基本法に基づく国土交通省というものを設計し、あわせて、地方への補助金等についても整理を図っていこうとしている。議員が御指摘になるような御心配のないようにしていきたいと努めていこうとしている方向であります。
  285. 松本善明

    松本(善)委員 私はおもしろいものを発見しまして、それは、水野清さんの、九五年十二月十七日に産経新聞に語られたものです。当時、水野さんは、自民党行政改革推進部長で、その後行政改革会議事務局長になられました。  ここに、私の言っているのと同じようなことを言っている。これは、むつ小川原の開発、苫小牧の開発、これがもうむだだ。それから、本四架橋も、これもむだだ、マイナス五兆円の借金ができる。大体、四国に橋を三本もかける必要はないんだ。それから、紀淡海峡にまたかけようとしている、そういうむだ遣いはこれからやめましょう。東京湾の横断道路だって、これもだめだと。  この行革会議のできる前でしょう。これは、何か、行革会議というのがこういうものをなくすためにやるんだというふうにマスコミでは言われたんだと思います。しかし、結果は、五全総、この水野さんがむだだと当時言われたことが全部入っているんです。私は、時間がもうかなり迫ってきておりますので、総理にまとめて伺おうと思うんです。これについての反論があれば、私は、もう決定的だと思いますよ。それはもう一度んなに言っても、やろうとしていることがむだ遣い。苫小牧とか、それからむつ小川原が入っているということ自体が最大の証拠ですよ。それをやっていこうとする。  片っ方では、社会保障関係でいいますならば、財政構造改革推進が財務省の編成方針には明記をされています。財政構造改革推進というのは、昨年の六月三日、閣議決定がある。これには、社会保障の改悪も、財政構造改革法で怨嗟の的になっている医療の連続改悪から、中小企業、農業、そして地方財政の削減、教育費の削減、全部入っています。これを推進していくというのがここに明記をされております。  これはもう、小泉厚生大臣もキャップは外せという議論をされているということでありますけれども、この仕組みができていきますならば、これは財政構造改革と相まって、国民生活は徹底的に切り捨てられていく、こういうことになるのではありませんか。  先ほどの水野さんのことについての反論もあれば、あわせてお答えいただきたいと思います。
  286. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 先ほどはそれぞれの改革が連動していないというおしかりを受けたんですが、今度は連動しているといって御注意を受けるという、これも大変、やはり同じことが物事によって随分違うという感じを持ちながら拝聴をしておりました。  その上で、私は、新しい全総の中において、議員が述べられたような部分を強調されるより、阪神・淡路大震災という我々がかつて経験したことのない大きな災害の反省の上に立って、複数の国土軸を整備しておくことの必要性を、都市を初めとしたお互いの生活環境の安全、防災というものに力を入れていくこととともに取り上げている点に御注目をいただきたいと思います。  我々は、より安全な生活空間を維持し、守っていくために、防災というものを今まで以上に強く意識をしております。同時に、その震災の経験の中から、私どもは、国土軸の複数の存在というものが、こうした場合に非常に大きな必要のあることという手痛い教訓も受けました。こうした反省もその中に含まれていることを、ぜひ御理解をいただきたいと存じます。  そして、いろいろな毎度から御議論をいただきますけれども、要は、行政改革というもの、これは将来を見据え、我々が今本当に我が国の行政というものを思い切って変えていかなければならない、それは分権あるいは規制緩和等々と並行して行うことは当然でありますが、その中で進めていこうとしている改革を、何かガイドラインに関連をし、特定の思惑を持って組み立てるかのごとき御想像をいただきますことは大変残念でありますし、むしろ将来を考え、必要な改革に御協力を賜りたい、心から願います。
  287. 松本善明

    松本(善)委員 最後でまとめますが、幾ら言われましても、やはりこういうものが残っていますとこれは通らないです。これは五全総です。  それで、私は、総理が最善の予算と強調してきた予算成立した後の総合経済対策、これを見て……(発言する者あり)いや、関係があるのです、これは。それで、これについては野党がもう総反発をして、そして退陣を求めました。一日前に言ったことを平然と覆す、一年はおろか四カ月先も見通せない橋本内閣に国家百年の大計という行政改革を提起する資格があるだろうか、先ほどもちょっと問題になりました。橋本内閣の退陣はすべての野党が要求している。世論調査でも圧倒的であります。自民党内にもそういう声があると報道されています。
  288. 高鳥修

    高鳥委員長 時間が来ておりますので、御協力をお願いします。
  289. 松本善明

    松本(善)委員 二十一世紀の国づくりというような大問題を提起する資格は橋本内閣に全くない。参議院選挙を待たずに、直ちに解散・総選挙で信を問うことを主張して、質問を終わります。
  290. 高鳥修

    高鳥委員長 これにて松本善明君の質疑は終了いたしました。  次に、深田肇君の質疑に入ります。
  291. 深田肇

    ○深田委員 社民党の深田肇でございます。  総理、朝から大変お疲れと存じますが、いま少しよろしくお願いいたしたいと思います。  実は、私どもは、御案内のとおり閣外協力という形で与党でございますから、この法案を十分審議した上、何としても成立をさすというのが任務としてあるのでありますが、それだけに、内部的にいろいろと学習会などやらせてもらいますと、国民の御意見を伺ったりいたしますと、たくさんの疑問が出たり、わからないこともたくさん出てきていますので、そこらを含めながら、ほんの短い持ち時間でございますけれども、二、三問に集中して御質問いたしたいと存じますので、よろしくお願いをいたしたいと存じます。  さて、朝からの審議を拝聴しておりまして、行政改革の意義につきましては、まさに明治以来の中央集権、官主導型の国家を、国民に開かれた、主権在民の憲法の理念に沿うような、ふさわしいものにすることがこの大きな目的だろうということは理解できるわけでございます。  そのことを踏まえた上で、実は、この法案のここに、提案理由の説明というのがあるのであります。先般も拝聴したのでありますが、先ほどは同僚議員の方から「時代に合わなくなってきたこのシステムを」というのが出ましたが、私は、その前にある文章についてちょっと率直に伺って、総理の口からですか、それとも長官でも結構でありますが、わかりやすく少し御説明いただくことが今必要だろうと思いますので、率直な質問をしてみたいと思います。  と申しますのは、「近年、複雑多岐にわたる行政課題に直面し、限界を見せつつあります。」こういうふうにみずからが現在のシステムそのものについての限界を自覚されて、提案の理由の中に前書きとして入れられたということにつきまして、これは大変勇気のある決断だろうと思いますが、しからば私ども一般市民、国民の側になりますと、総理大臣を初めとする内閣では何が限界であって、どこが限界であって、なぜこうなったのかということについて、少し、国民にわかりやすいように、簡単で結構でございますから、御説明いただければいいのではないかと思います。
  292. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 今とっさに議員の御質問を受けながら、このテレビを通じて国民の皆様にわかっていただきやすい一番いい適切な例示は何だろうと思いました。なかなか今とっさにいいものが浮かびません。  しかし、例えば、割方間近なものを選びますと、昨年、京都でCOP3と言われる地球環境問題についての会議がございました。日本自身が議長国です。そして、日本自身が地球温暖化防止のために貢献すべくこれからのエネルギーというものを見直し、その中でCO2削減の努力をしなければなりませんでしたが、この案をまとめていきます上でも調整のメカニズムというものはなかなかうまくワークをいたしませんでした。  これは、それぞれの立場から、理想を追う、現実をベースにする、そして法制度の上からといろいろな切り口からの調整が、結局最終的には内閣にゆだねられましたけれどもワークするまでに時間がかかったということもありましょう。これは一つの現実的な非常にわかりやすいケースでありますけれども、今までの我が国の調整のメカニズムというのはまさにそうした形で動いてきたわけです。しかし、非常に短い時間でさまざまな問題に対応しなければならなくなった今日、従来型のやり方が、必ずしもそれだけの時間を我々に与えてくれるとは限らないときに、十分に機能をしないということもあります。  これは一つの例です。しかし、その文章の中には、私たち、さまざまな角度からいろいろな思いを込めて表現をした文章であることは御理解をいただきたいと思うのです。
  293. 深田肇

    ○深田委員 さて、今のお話を聞いた国民が、今度の行革方針、また、俗っぽく言いますと一府十二省の組み合わせの変化ということが話題になるのでありますけれども、それはそれといたしまして、皆さんが御指摘されるように、私ども社民党も先般の本会議場では中西議員も質問いたしましたように、やはり地方分権推進がどんどん進められる、そしてまた情報公開も徹底的に行われる、もう法案が出ておる話は何遍もけさから出ておりますけれども、まだまだ情報公開法の討論に行くところまで行っておりません。そういう状況の中でこういったものがどんどん進んでくる。  同時にまた、与党間で調整ができて進むと思いますけれども公務員の倫理の問題に関するいわゆる決め事もどんどん進んでいく。こういったことと並行しながら、我が社民党が特に強調しているということではないのでありますが、全国民的な関心の一つと思えますのは、政治家自身の側のいわゆる倫理問題、やはりこういった問題もどんどんとみずからが解決していくといいますか、みずからがきちんと将来に向けてルールをつくっていく。  そのためのお互いの反省課題があるべきだろうということも含めながら、そういった流れがずうっとどんどん、まあ、やっておられる、やっておられるとおっしゃるし、お話の中では、前任者のことを受けてやっているんだとお話しされましたけれども、そういう流れがどんどんある中で、中央の省庁についてどういうことが問題があるかということが我々の側に示されて、お互い討論する形の中でいわゆる行政自体の見直しを行い、国の行政全体の、スリム化という話が出ましたから、そのスリム化を図る。  同時に、今お話が出ましたとおり、対外調整や対内調整、同時に国民の生活権の保障などを機能的にどう対応するかということが、並行して進むというよりは、むしろ積極的にそちらがあって今度の一府十二省というところへ行った方がいいのではないかというふうに思います。  私どもの先輩の中西議員によりますと、手順が少し違うのじゃないかというところまで言われるのでありますが、そこら率直なところを申し上げた上で、具体的に地方分権の確立などについて積極的にこれから進めていくことが大事だと思いますし、特に社会的な弱者の方々に対する配慮をしていくような意味を持った規制緩和がどんどん進められる、こういうふうな政府の役割がこれからあるだろうと思っておる次第でございます。  そういうふうに考えました上で、地方分権についてこれから政府がどういう役割をしてもらうかにつきましては、今までの討論の中で大変なことが随分出てまいりまして、お互いに確認できることもあると思いますし、総理の決意は十分理解をできるわけでありますから、そのことを踏まえた上で、言われるところの地方分権推進委員会の論議というものは、この省庁再編に当たってどのようにこれから生かされるのでしょうかということをひとつ具体的に伺っておきたいというふうに思います。  時間の関係がありますから、その次の問題も言いますが、いま一つ、やはり今度の提案でお互い関心を持っておりますことは、一府十二省という名前のもとで結果として有力な官庁が他の省庁を、これは言ったら言葉が過ぎるかもしれませんが、解体したり吸収してしまうように見えると思います。その上で今以上に強大な官僚機構が生まれるとするならば、大変これは心配なことだと私どもは思います。それは誤解であるという御指摘があるかもしれませんが、私たちにとっては、それがいわゆる省庁統合に伴うところの弊害であったりお互いの懸念であることは間違いないわけでありますから、これをどのように取り除いてもらうかについても御意見をいただきたいというふうに思うわけでございます。  その立場を申し上げた上で、極めて事務的な質問で申しわけないのでありますが、巨大な公共事業官庁がこれからできるという批判があるわけでありますから、それにこたえる意味で、まさに地方分権推進委員会に対して、具体的に、例えば公共事業の権限などは移譲するという問題を、総理みずからいい意味で積極的な働きかけをしてもらう、そういう形の中で分権がどんどん進んでいくよというふうにすることができないものかなということを思いながら、御質問をいたしたいと思います。
  294. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 今議員から、一つ公務員制度改革に関連し、あるいはもう一つ情報公開とか地方分権を組み合わせながら、こうしたさまざまな分野が中央省庁再編に関連する制度として十分に考慮されたのか、されたとすれば、特に地方分権においてこれが一体どこまで生かされるのか、同時にそれは、大ぐくりされた巨大官庁という問題に対してどうこたえるものになるのかという概略御質問をいただきました。  私は、もう同じことを繰り返して申し上げるつもりはありません。そして、まさに公務員制度改革というのは、公務員制度調査会に御苦労をかけておりますけれども、非常に大事な問題を持っております。定年制を初め再就職といった問題全部がここには入ってまいりますし、同時に、異動のシステム、これが、どうすれば省庁の壁を超えた人事交流が行えるかといった問題も当然考えなければならないと思います。  同時に、分権推進につきましては先ほど来申し上げてきましたけれども、特に公共事業関係が巨大化するということに対しましては、それぞれのブロック、地方支分部局をブロックで束ねながら、直轄で行うべきもの以外はほとんどここに集約してしまう。同時に、地方にお渡しすべきものはお渡ししてしまう。中央の機能としては企画立案に重点化していく。もちろん、当然国家的事業として直接関与する部分がゼロだとは申しません。圧倒的にまず出先であるブロックに、そしてそれをできるだけまとめた形で地方自治体に渡していく。その仕組みと、行政情報公開あるいはそのさまざまな手続等に対する透明性、時のアセスといったものを組み合わせることによって議員の御心配にこたえていきたい、そのように考えております。
  295. 深田肇

    ○深田委員 ありがとうございます。ぜひひとつ、地方分権の具体化の一つとして、大変話題の豊富な公共事業について分権の形で移譲ができますように働きかけをいただきますことを、もう一度お願いをしておきたいというふうに思います。  次に、長官。やはりもう一つ国民といいますか働いているメンバーとして気になるというか、気になるよりむしろよくわからないとあえて率直に言った方がいいかもしれません。独立行政法人のことです。  この独立行政法人というのは、町の声からいえば、これはもう先ほども同僚議員何人か質問されて、総理に対してどの程度体験的なものがあるかという他の問題について質問もありましたが、どこまで耳に届いているかわかりませんけれども、今までの特殊法人とどう違うかについてはまずわからないですね。一般国民は、それはこれからだよと言われればそれまででありますが、わからぬだろうと思います。そのことが、まず、いわゆる独立行政法人をつくることは今度の法案として認めてくれ、それについてはつくるときにいろいろなことをやりましようというので、三年、五年、七年とか十年とか、いろいろなことが出てくるわけでありますが、なぜ今回特殊法人ではなくて独立行政法人をつくるということを国民にわかりやすく御説明いただくとするならば、どういうことになるのでしょうかね。世間では第二特殊法人じゃないかなんということを簡単に言っておりますから、これはそうでないんだよということを御説明をいただきたいと思います。  いま一つは、この際関連して申し上げておきますが、いわゆる行革会議の中で議論があった上で、きょうも総理、何遍も言葉が出ましたけれども、いわゆる企画立案機能という問題と実施機能の分離というのも出ますが、これはちょっと私どもが専門的に内輪での意見交換をいたしますと、こんなに簡単にそれが分離できるんだろうか、どういうふうにそれが本当に分離できて、どういうふうなことが今後考えられ、具体的にどういうことがあるんだろうかという具体的な例を挙げてお互いが理解をしないと、これは消化不良の問題として残るのではないかという感じを大変持っていることを申し上げておきたいというふうに思います。  同時に、この独立の行政法人についての問題については、その適用に当たって、職員団体や各方面と十分な理解を求めながら、一方的な適用を行わないということの確認を我々は持っているわけでありますが、そういう意味合い等含めながら、今度の法案でも、法律の四十一条には「労働関係への配慮」という項目もございますけれども、どうぞひとつ職員団体との事前協議をしっかり行って、トラブルが起きないように、いわゆる誠実に合意に努めることが必要だし、そのことがこの中に含まれているというふうに考えたりしておりますが、この点は長官のお言葉をいただければありがたいと思っています。
  296. 小里貞利

    小里国務大臣 まず、特殊法人と独立行政法人制度との違い、これのお話がございましたが、御承知のとおり、今日の特殊法人は多種多様でございまして、言うなれば共通の業務運営上の原則がありません。それから、主務大臣の強い事前規制を受けておる、事前統制を受けておるけれども、どうも業務機関自体としては責任体制が不明確である、あるいはまた、運営が極めて非効率的で硬直的でありますね、あるいはまた、経営内容が極めて不透明だ、そういうことが指摘をされてきたところでございます。今次のいわゆる独立行政法人は、それらの今まで指摘をされてまいりました要項等をきちんと裏返しに、もっと明朗に、そしてまた国民にわかるようにいたそうじゃないか、そういうようなねらいから、組織運営の、いわば共通運営のルールをつくりました。あるいはまた、明確な目的と責任のもとに、自主的な自律的な業務の運営ができるようにいたしました。そういうところが大きな特徴じゃないかと思うのでございますが、あるいは企業会計の導入など弾力的な財務運営も行うことができます。  したがいまして、午前中も話が出ておりましたが、職員のやる気も旺盛に出てくるのではなかろうか、あるいはまた、申し上げるまでもなく、徹底した情報公開を期待ができます、あるいはまた定期的な見直しも結構ですよ、そういう一つの特徴を持ったのが今次の独立行政法人でございます。  それからさらに、いわゆる政策の企画立案機能と実施機能というものを分離するというが、それは一体どういうことなのか一つの実例をもって説明せいという話でございますが、私は、三郵政事業など、まさに典型的な、そういう一つの機能分担を実施をする象徴的なものではなかろうか、こう思います。  御案内のとおり、現在の郵政省総務省と一緒になります。その中に郵政企画管理局という一つ企画立案局を置きます。今度はその外に実施部門として郵政事業庁を置きます。ここで機能分担がきちんと整理されるわけです。そしてまた、それから二年たったときには公社化を行いますよというのでございますから、なおその機能分担というものが極めて明確に区分されてくる、こういう一つの例になろうかと思う次第でございます。  それから、最後のお話は、今次の特殊法人の整理合理化あるいは独立行政法人制度等を実施する場合に、いわば雇用不安があってはいかぬよ、労使関係よろしく話し合ってやれよという先生のお話であろうかと思うのでございますが、至極当然なことでございまして、先ほどの最終報告をまとめる際も、私どもが最も注意をいたしたところでございます。あるいは、今次上程いたしておりまする基本法案の中にもそのことは明記をいたしております。  去る平成七年の二月でございますか、特殊法人の合理化を行うときには、特に良好な労使関係というものあるいは労使の自主性、独立性というものはきちんとしなさいよということを閣議決定を行った経緯等から考えましても、御理解いただけると思う次第でございます。
  297. 深田肇

    ○深田委員 時間が来ましたからこれで終わるわけでありますが、総理、何といいましても、いろいろな諸条件があって、これだけ大きな大事業をやることになるんだと思いますが、もう一方はやはり、現場で働いている職員といいますか、働く者という言葉を使わせてもらいますが、そういうところがしっかりと安心をして、お互いに信頼し合って、今の新しい日本をつくるために憲法の精神を生かしながら頑張ろうぜ、こういうふうになることが大切だというふうに思います。そのためには、時間がありませんからもう言いませんが、四十五条にもしっかりそのことがうたい込んでありますし、四十七条にもそこをうたい込んであるのです。  そのことを承知の上で最後に総理一つお願いと提案をするのでありますが、総理の方から一遍、職員団体のメンバーを呼んで、こういう状況だからこういうことをやろうと思うんだよということで直接話しかけられて、それで彼らの言い分があれば言い分を聞いてもらう。総理のきょう一日やられたあの討論を、現場のそういうメンバーなり職員組合ともやってみるというようなことを、いかがなものかなと、やってもらえば、恐らくやお互いの理解が深まってきて大変いいのではないかと思いますが、一言申し上げて、最後に総理の一言をいただければありがたいと思う次第でございます。
  298. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 そういう思いで今日まで小里長官も私も取り組んできたつもりでありますし、一応、省庁の論議の中にそれぞれの職場からの声というのはさまざまな角度で届いておりまして、労働界代表の方がその声を取り次ぐ努力をされたことも御承知のとおりであります。  お気持ちをよく体しながら、働く方々が、心配をするよりも、むしろ将来に新たな望み、新たな展望を描けるような、そうした姿に持っていくように努力をしたいと思います。
  299. 深田肇

    ○深田委員 どうもありがとうございました。終わります。
  300. 高鳥修

    高鳥委員長 次回は、明二十一日火曜日午前十時委員会、正午理事会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時四十一分散会