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矢野(朝)
政府委員 まず、アメリカとの
交渉の経緯でございますけれども、アメリカは在留邦人が圧倒的に多いということで、
日本の国益を守るためにはできるだけ早くアメリカと
通算協定を結ぶ必要がある、これは言うまでもないわけでございます。アメリカとの間では
昭和五十年代から話し合いを行ってきておるわけでございますけれども、特に
昭和五十八年でございますけれども、アメリカ側から、
交渉を打ち切りたい、こういう話が実は来たわけでございます。
といいますのは、
日本人でアメリカにいらっしゃる方、アメリカ在留の
日本人と、
日本にいるアメリカの方、在日のアメリカの方、これを比べますと、圧倒的に在留邦人の方が多いわけですね。したがって、現在二重加入で
保険料が掛け捨てになっているわけですけれども、端的に言いますと、アメリカの方がもうかっている、こういうことなわけなんです。したがいまして、二重加入を排除しますともうけが減るわけでございますので、もうやめたい、
交渉は打ち切りたい、こういう話が実はございまして、中断になったわけでございます。
ところが、その後、円高でございますとか、
日本の
年金保険料もだんだん上がってきた、こういうことで、よくよく考えてみるとそんなにアメリカが一方的に得をしているわけでもない、こういうことでございまして、それでまた
交渉をしましょう、こういう話が参りまして、実はアメリカとの間で今、具体的な日取りですとか、それから特にこれからの
交渉に向けての進め方、こういった問題について協議を行っているところでございます。
それから、イギリスでございますけれども、イギリスは実は特殊な事情がございまして、
平成六年までは、イギリスが外国企業を誘致する、こういう政策があったわけでございまして、そういう中で、
年金保険料につきましては事業主負担分は免除する、こういう取り扱いをしておったわけです。ところが、
平成六年にイギリスのこういった方針が変わりまして、事業主負担分もちゃんと
保険料を納めてもらう、こういうふうに政策が変わりまして、それでイギリスの
日本商工
会議所の方々は、いきなり事業主負担をぽんと求められるということになりまして、これは大変だということで大きな騒ぎになったわけです。
それで、これについて早く
通算協定を結んでほしい、二重適用の排除だけでもいいから早くやってくれ、こういう声もございまして、イギリスにおきましては、
日本から出かけていきまして
平成七年と九年の二回、
年金当局者間で協議を行いました。その結果、できるだけ早くイギリスともやろうということになりまして、ことしの二月でございますけれども、政府間の最初の協議を行ったわけでございます。
そういうことで、このイギリス、アメリカ、イギリスは在留
日本人の方も五万人近くいらっしゃるわけでして、アメリカに並んで
日本にとって大変大きな利害が絡んでおるわけでございますので、このアメリカとイギリスについてできるだけ早く
交渉を取りまとめたいということで、今後進めてまいりたいと思っております。