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1998-05-15 第142回国会 衆議院 建設委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十年五月十五日(金曜日)     午前九時三十分開議  出席委員   委員長 遠藤 乙彦君    理事 遠藤 利明君 理事 佐田玄一郎君   理事 田野瀬良太郎君 理事 谷畑  孝君    理事 鉢呂 吉雄君 理事 吉田 公一君    理事 井上 義久君 理事 青木 宏之君       安倍 晋三君    赤城 徳彦君       飯島 忠義君    岩永 峯一君       小林 多門君    桜田 義孝君       田中 和徳君    高市 早苗君       玉沢徳一郎君    西川 公也君       松本 和那君    目片  信君       山本 幸三君    石井 紘基君       川内 博史君    樽床 伸二君       平野 博文君    山本 譲司君       大口 善徳君    斉藤 鉄夫君       西野  陽君    辻  第一君       中島 武敏君    中西 績介君  出席国務大臣         建 設 大 臣 瓦   力君  出席政府委員         国土庁長官官房         水資源部長   齋藤  博君         国土庁大都市圏         整備局長          兼国会等移転審         議会事務局次長 林  桂一君         議会事務局次長         建設大臣官房長 小野 邦久君         建設省建設経済         局長      五十嵐健之君         建設省都市局長 木下 博夫君         建設省河川局長 尾田 栄章君         建設省住宅局長 小川 忠男君  委員外出席者         法務省民事局第         三課長     倉吉  敬君         会計検査院事務         総局第三局建設         検査第一課長  大濱 正俊君         参  考  人         (住宅都市整         備公団理事)  梅野捷一郎君         建設委員会専門         員       白兼 保彦君     ――――――――――――― 委員の異動 五月十五日  辞任         補欠選任   岩永 峯一君     桜田 義孝君   畑 英次郎君     川内 博史君   山本 譲司君     石井 紘基君   市川 雄一君     大口 善徳君 同日  辞任         補欠選任   桜田 義孝君     岩永 峯一君   石井 紘基君     山本 譲司君   川内 博史君     畑 英次郎君   大口 善徳君     斉藤 鉄夫君 同日  辞任         補欠選任   斉藤 鉄夫君     市川 雄一君     ――――――――――――― 五月十三日  国民本位公共事業建設行政充実等に関す  る陳情書  (第二五九号)  建築確認検査民間開放及び中間検査制度の  特例導入見直しに関する陳情書  (第三〇五号)  高速道路等通勤割引に関する陳情書外十二件  (第三〇六号  )  一般国道二〇五号の早期整備に関する陳情書  (第三〇七号)  九州西岸軸構想とその中心となる島原・天草・  長島架橋構想推進に関する陳情書  (第三〇八  号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  建築基準法の一部を改正する法律案内閣提出  第九九号)      ――――◇―――――
  2. 遠藤乙彦

    遠藤委員長 これより会議を開きます。  内閣提出建築基準法の一部を改正する法律案を議題といたします。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本案審査のため、本日、参考人として住宅都市整備公団理事梅野捷一郎君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 遠藤乙彦

    遠藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  また、本案審査のため、来る二十日水曜日、参考人として芝浦工業大学教授岡田恒男君、弁護士新里宏二君、柏市長本多晃君及び社団法人日本建築士会連合会制度委員会委員長藤本昌也君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 遠藤乙彦

    遠藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  5. 遠藤乙彦

    遠藤委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。高市早苗君。
  6. 高市早苗

    高市委員 おはようございます。自由民主党の高市早苗でございます。  まず、建築確認検査民間開放についてお伺いをいたします。  最初に確認しておきたいのは、今回の確認検査民間開放というのは、それによって行政職員の削減といった行財政改革を目指すのではなく一行政で十分な実施体制がとれないということを民間で補完することが目的だと理解しておるのですが、それでよろしゅうございますでしょうか。
  7. 小川忠男

    小川政府委員 お答えいたします。  今回お願いいたしております建築基準法改正は、御指摘になりました建築確認検査民間開放以外にも、性能規定化でございますとか、あるいは中間検査導入等多方面に及んでおります。全体としては、二十一世紀に向けた大きな基準法体系の再構築をしたいというふうなことでございますし、例えば広い意味での規制緩和でございますとか、国際調和だと思います。  ただ、御指摘開放に関連していいますと、現在の行政執行体制が極めて不十分である、それは仮に努力をしたとしても満足すべき水準に到達するのは難しいというふうなことを出発点にして、ならば民間開放することによって全体としての執行体制を強化したいというふうなことでございますので、ありていに言わせていただきますと、決して行政職員を削減するというふうなことではなくて、むしろ、開放したにしても、より強力な体制と拡充は必要であると思っております。
  8. 高市早苗

    高市委員 建築主事一人当たり年間六百件もの着工件数を抱えるといりた現状ですから、確かに十分な検査体制は今の状況では無理だと思うのです。  現場建築士事務所サイドからは、単に人数不足だけの問題ではないだろう、仕事手順や役所の組織上の問題、たらい回しとか横の連絡が悪いとか、こういった点等ほかに改善すべき点もあるのではないかといりた声も出ておりますので、ぜひ大臣におかれましては、今後とも行財政改革行政システム改革、主に仕事手順といったことに対して不断の努力お願いしたいと思います。  次に、建築確認の問題でございますけれども、これは、指定確認検査機関公平性確保ということから、ここに所属する役職員は本業であった設計施工業務と兼業できないということですけれども、そうすると、民間確認検査能力を有する者は既に設計事務所ゼネコンに所属しておられるわけで、その人材確保一体どうするんだという疑問がございます。十分な人材確保ということになると、どうしても天下りを前提にしなければ組織ができにくいのではないか。  そしてまた、さらに民間から、複数の企業もしくは複数建築関係団体から組織をつくっていくことになりましても、それぞれ出元があるわけですから、本当に公正、中立、誠実であり得るのか。あくまで民間ですので、これはどうなのだろうという点もございます。  あと特定行政庁確認検査機関関係で、特定行政庁確認等の取り消しを行えるということもありますけれども民間がやった確認検査行政が再チェックするのだったら、かえって確認検査に時間がかかり過ぎて行政仕事もそう減らないのではないかという気もします。  建築基準法、そして建築士法、これを両方ずっと読んでいきますと、違反建築に対して処分がきちっと規定されていて、建築士に対して罰則もありますので、確認民間移行をするのだったら、いっそ建築士事務所自主確認を認めて、責任をより明確に負わせるという考えはないでしょうか。屋上屋を重ねて時間がかかったり、責任が不明確になるよりは、直接責任を果たす方がいいのではないかという気もするのです。  以上、いかがでしょうか。
  9. 小川忠男

    小川政府委員 幾つかの基本的な論点での問題提起かと思います。  一つは、今まで行政が専管的にやっていた建築確認検査民間開放するというふうなことでございますので、やはり制度をつくる場合には客観性といいますか公平性、これはやはり基本にならざるを得ないと思います。その意味合いでは、当面における人材確保との兼ね合いがなかなか難しい問題があるというのは御指摘のとおりでございます。  いずれにいたしましても、その意味では、制度発足後しばらくは、やはり過渡的には地方行政経験者退職者あたりが主たる戦力になるというのはある程度やむを得ないというふうな感じかと思います。  現在、建築主事というふうな人間は全国で千八百人でございますが、民間に既に行っていらっしゃる方々を含めますと、建築主事の有資格者は一万七、八千人おります。そういうふうな方々が、当面の人材供給源になってくるのではないかと思います。  ただ、いずれにしましても、御指摘のように、制度立ち上がりしばらくは、やはり制度客観性を確保するというふうな要請と、人材をかき集めることの難しさというふうな現実上の問題はあろうかと思います。しばらくは、やはり悩みの問題状況が続くのは御指摘のとおりだと思います。  それからもう一つ建築士事務所自主管理というふうなことをおっしゃいました。実は、これについては、日本設計工事施工というのは設計施工一貫方式といいますか、国によっては設計をする主体とそれを受けて事業を行う施工が完全に分離している国もございます。ただ、日本的行政といいますか業務慣行では、総体的にやはり設計施工一体になっているケースが非常に多い。そういうふうなことから、外部の確認あるいは民間機関による検査よりは、設計施工ワンパッケージであるならばその設計をした人がもう少し責任を持って内部監査なり内部検査をしっかりしたらどうだというふうな意味合いでの御指摘だと思います。  私どもも、内部議論するときにはそういうふうな議論がございました。現在でも、設計施工一貫方式前提とした上での内部監査体制それなりにきちっとした形で徹底すべきだと思います。思いますが、やはり今までの第三者による、今までは行政でございますが、行政による検査確認というふうな体系枠組み前提にいたしますと、当事者に、内部監査に一〇〇%お任せするのではなくて、それはそれとして強化しつつ、やはり第三者による検査体制というふうなことから、行政だけから行政プラス民間というふうな体制にさせていただきたいと思います。
  10. 高市早苗

    高市委員 建築確認民間開放で最も期待されるのは、やはり確認期間の短縮だと思うのですけれども、本当にそれが可能かどうかの見通しを伺っていきたいのです。  現状では、基本設計段階で、行政法令解釈行政指導内容について幾度も協議を重ねていって実施に結びつけております。この事前協議確認期間に非常に大きなウエートを占めておるのですけれども、私は民間組織行政指導にかかわる資格というのはないと思うのですけれども、こういった事前協議でこれまでやってきたような内容についても今後民間検査機関対応するのか。それとも、これまでどおり行政サイドがその段階対応するのか。  もし民間対応するとしたら、これは大変な費用を払っていかなければとてもだれもやらないことですし、これまでどおり行政でやっていくと言うのだったら、事前相談確認受け付けで見解の違いが発生するような可能性もあるのではないか。それをどう調整していくのか。そして、果たしてそれで確認期間が短くなるのかどうか。  それから、確認対象法令に合っておりましたら民間はどんどん確認をおろしていくと思うのですけれども事業によっては周辺住民反対運動も起こってくると思います。私の地元奈良市でもマンション建設とか葬儀場建設反対運動が起こっているのですが、現在は確認をおろす立場ですから、もちろん市長さんや市役所の皆さん対応を続けておられます。こういったことを事前協議でキャッチし切れなかった事例もあるようでございますので、今後、民間がおろした確認を受けて行政反対運動対応しなければいけないのか。また、強引な事業主でしたら、わざと確認には民間機関を利用しまして、周辺の環境に配慮しないといった危惧も出てくると思うのです。  以上、いかがお考えですか。
  11. 小川忠男

    小川政府委員 結論から申し上げますと、私は、民間により行う確認検査行政がやっているよりも格段にスピードが速くなると思います。  ただ、従来、行政がやっていた確認業務に付随して、いわゆる行政指導というふうな形でいろいろな作業が行われていた、これは事実でございます。ただ、民間にお任せした場合には、確認対象法令に合致しているか否かという、ただその一点を事務的、機械的に淡々とさばくというふうなことが業務になります。したがいまして、いわゆる行政指導と言われる分野に属するたぐいの調整、これについては民間ではなくて依然として行政に残ります。したがいまして、その限りでは、今まで行政ワンパッケージでやっていたものが行政民間に分かれることになろうと思います。  ただ、その場合に、一言敷衍させていただきますと、建築確認ワンパッケージで行われていたわけですが、やはり行政指導的なものについては、手続、根拠、内容というふうなものは今まで以上に明確にすべきであろうと思います。その意味合いスピードは格段に速くなると思います。
  12. 高市早苗

    高市委員 次に、中間検査導入について伺います。  これは、より安全にということでの中間検査導入かと思うのですけれども阪神淡路大震災による木造建築倒壊について建設省として調査をされたと思うのですが、現行基準法のもとで建てられたものについて倒壊件数が多かったのか、現行基準法以前のものと比較して倒壊件数を伺いたいと思います。
  13. 小川忠男

    小川政府委員 阪神淡路大震災では五十万棟を超える倒壊が発生いたしました。  ただ、その詳細を見ますと、御指摘のように、五十六年に建築基準法耐震性が抜本的に強化されております。倒壊した建物の、特に大破した建物の圧倒的大多数は基準強化が行われる以前の建物でございます。三宮あたりで悉皆調査した結果がございますが、それでも九十数%は基準法改正以前の建物でございます。
  14. 高市早苗

    高市委員 この法案では、戸建て住宅については、工事監理が適正になされているものについては特例として実地検査を省略するようですので、新しい基準法のもとで建てられたものの安全性がかなり確保されている状況でしたら、私は基本的にこれでいいと考えております。特に日本伝統的建築現場では、建築主大工さん、工務店信頼関係のもとで施工管理一貫体制が築かれておりますので、こうしたよき住宅文化には今後も配慮願いたいと思います。  それから、中間検査導入ということで少々心配なのは、やはり本当にちゃんとやり切れるのかということなんです。今でも、確認申請をして、建築工事をして、完了検査を受けずに建物の使用をしているケースが非常に多いです。過半数がそうだという話も聞きます。マンションなど不特定多数の人間が出入りする建物でもそれが現状なので、中間検査導入安全性の面ではいいのかもしれませんが、まず現行検査をしっかり徹底するのが先じゃないかと思います。  さらに、中間完了検査を受けずに建物を使用した場合の罰則規定といったものも考えていくべきだと思いますが、その点について短くいかがでしょうか。
  15. 小川忠男

    小川政府委員 完了検査が現在三五%というのは御指摘のとおりでございます。ただ、完了検査はでき上がった検査というふうなことで、施工途上の、例えば鉄筋がいかに入っているかというふうな実態についてはやはり完了検査ではカバーし切れない。その意味では、中間検査は必要だと思います。  ただ、御指摘のように、戸建て住宅について、在来工法につきましては設計施工一貫方式、先ほどの議論でございますが、こういうふうな一つ枠組みもございます。そうなりますと、そういうふうなもので行われることの徹底というふうなものを片方前提にしながら、片方中間検査というふうなものとをうまく制度上組み合わせるというふうなことで、きちっと行われているものについては現場検査を省略するというふうな形で体系的に構築したいというふうなことでございます。  また、中間検査をサボってというふうなことについては、それなり罰則も用意させていただいております。
  16. 高市早苗

    高市委員 次に、一番皆さんが興味をお持ちだと思うのですけれども手数料の問題を伺います。  現在は、現行法施行令十条、確認申請をする者が床面積に応じて政令に定める手数料を都道府県や市町村に納めるということでございますけれども、果たして現在の行政側手数料が実際のコストに見合った金額に設定されているのかどうかというのが疑問です。  現在、手数料は五万平米を超えるものでしたら七十一万円、これが上限でございますが、大手ゼネコン設計責任者に聞いてみますと、民間では実際にその規模、仮に五万平米としましょう、その規模建築確認中間検査完了検査ということで責任を持たされるとしたら、十倍もらっても合わない、七百万円の手数料でも責任は持てないなと。実際、外国ではもっともっと、その方に言わせると、イギリスだと日本の二十倍ぐらいじゃないかというような話をされていましたけれども一体、現在行政はどのような計算式手数料を設定されているのか。  それから、安い手数料責任をとらされるのでしたら民間は当然手を挙げないと思うのですが、恐らくこの手数料指定確認検査機関が自由に設定できるんだと私は文章を読んで解釈したのです。そうしますと、行政確認手数料に比べて民間では手数料が高くつくということで民間に依頼する人が少なくなるのじゃないか反対に、今度民間育成立場から行政の方の手数料も徐々に引き上げようということになると建築主負担がふえるのじゃないか、そんなことを思いますので、今伺いました手数料行政計算式と、あとの点についてお伺いいたします。
  17. 小川忠男

    小川政府委員 まず、行政確認手数料でございますが、基本的には実費を勘案して政令で定める、こうなっておりまして、具体的には、書類審査に要する手間暇でございますとか、現場審査に要する手間賃、交通費あるいはその人件費、旅費あるいは消耗品費、こういうふうなものを積み上げて計算するという形にはなっております。  ただ、現実で定められている価格というのは、ただいまおっしゃいましたように、小さいものは八千円から大きいものは七十一万円というふうなことでございますが、基本的には私どもこれは相当やはり安い水準だと思っています。いかほどが適正かという議論はいろいろございます。ございますが、幾つかの特定行政庁にアンケート調査した結果がございますが、規模によってばらつきがございますけれども行政としても、総じてやはり三倍から四倍くらいの水準でないとというふうな議論がございます。  ただ、いずれにせよ、中長期的には受益者負担考えを徹底したいとは思いますが、激変緩和ということもございますので、直ちに云々というのはなかなか。ただ、基本的には、今申し上げたようなことで、コストはきちっとした形で受益者負担的な体系を徹底するというふうなことを基本にさせていただきたいと思います。  民間との関係でございますが、確かに御指摘のように、基本的には民間手数料はマーケットによって決まるというふうなことだと思います。思いますが、立ち上がりしばらくは、それなり行政上のチェックというふうなものも過渡的には必要になると思います。したがいまして、いろいろなサービスを速くするとか、いろいろなサービスを付加するというふうなことで、必ずしも行政価格とは一致させる必要はないのかもしれませんが、やはりそれなりに両にらみの構えでしばらくは進んでいかざるを得ないというふうなことは思っております。  ただ、いずれにいたしましても、現段階で申し上げますと、御指摘のような非常に難しい問題があるというのは実は私どもも十分認識しております。
  18. 高市早苗

    高市委員 さっき御答弁いただきました計算式という形で、きちっと計算式にはならないのかもしれませんけれども、ある程度の算定の資料を後ほどいただけたらと思います。  次に、大臣お願いしたいのですけれども建築基準性能規定化の問題でございます。  この性能規定化で、海外建築材料部材輸入というのは一層進むと考えられます。私の地元奈良県の方は林業県なのでございますけれども我が国木材関連産業育成を図るためにどういった対応策をお考えでしょうか。
  19. 瓦力

    瓦国務大臣 今回の本法の改正は、戦後二十五年以来の大改正でございますし、高市委員にとりましては一まさに銘木の産地でございますから、いろいろ御心配の点もあろうかと思います。  今の御質問に対しましてお答えをいたしますが、建築基準性能規定化によりまして、委員指摘のとおり、海外建築材料部材我が国への市場参入、これが円滑化される、かように考えられます。また、住宅につきましても、木造軸組み住宅と、海外資材を活用するいわゆる輸入住宅との間で競争が増加する可能性がある、かように認識をいたしております。  どのような住宅を建てるかという判断は、基本的には消費者が自由に行うわけでございますが、木造軸組み住宅については、建設省といたしましてもその生産体制近代化促進等に目下取り組んでおるところでございます。今後とも、国内の大工でありますとか工務店、さらに林業林産業が担っていらっしゃる木造軸組み住宅の振興につきましては、積極的に取り組んでまいらなければならぬと思っておるわけでございます。  具体的には、木造住宅総合対策事業推進平成九年度から行われておるわけでございますが、もろもろの政策と相まって、ただいま申し上げましたように積極的に取り組んでまいりたい、こういう気持ちでございます。
  20. 高市早苗

    高市委員 どうもありがとうございます。よろしくお願いいたします。  林業の話を出してしまったので、ちょっと話が飛ぶのですが、地元陳情を一件。林業周辺地域の話でございます。  きょう、尾田河川局長がおいでですのでぜひお願いをしたいのですが、ダム水源地域対策として昭和四十八年の水特法がございますし、四十九年の発電用施設周辺地域整備法といったことで周辺対策は進められているのですが、ただ、水特法対象になるのは水没家屋が二十戸以上また水没農地面積二十ヘクタール以上のダム、こういったことから小規模水没ダムでは適用されませんし、水特法以前に水没移転が完了したダムについては適用されていないわけでございます。発電目的ではないダムでは、先ほど申し上げました発電用施設周辺整備法も適用されないということで、ダムによってかなり地域整備に差が出てきている。具体的には奈良県月ケ瀬村の高山ダムなのですが、まさに昭和四十年代、日本経済発展の犠牲になった地域だと思います。  こういったところに対して、今建設省の方でも国土庁の方でも、健全な水循環の保全と言っておられますけれども、これはやはり水源地域が健全な状態であり、また、業としての林業が結果的に水源地域を保全するメカニズムということにもなっておりますし、ぜひそこで皆さんがお暮らしになって地域が発展していくということが何よりだと思うのですが、こういった四十年代の古いダムを支援する国の体制について、お願いをいたします。
  21. 尾田栄章

    尾田政府委員 ただいま先生から御指摘をいただきました高山ダムでございますが、昭和四十四年に竣工いたしたダムでございまして、そういう意味では、ただいま御指摘水源地域対策と直接かかわらずに竣工いたしたダムでございます。  このダム自体は、大阪府等々の水資源供給あるいは下流の洪水調節、そういう目的を持った多目的ダムでございますが、こういうダムをつくりますに際しまして、何と申しましても一水没地の皆さん方の御理解をいただくとともに、地域に開かれた地域皆さん方に愛されるダム、そういうダムとしてつくるということを私どもとしても目指しておるところでございます。  この高山ダムにつきましても、昭和六十年前後にいわゆるアオコの発生と水質問題が発生をしたということもございまして、昭和六十一年度から平成七年度にかけましてダム湖活用環境整備事業を整備をいたしまして、貯水池周辺の運動広場、展望広場の整備に関する基盤整備を実施してきたところでございます。そしてまた、今年度から新たに貯水池水質保全事業というものを行おうということで、貯水池の水質保全対策に全力を挙げたいと考えておるところでございます。浅層の水あるいは深いところの水、こういうものを撹拌をすることによって水質保全を図っていきたいというふうに考えております。  御指摘のとおり、月ケ瀬の梅林等々非常に景勝の地でございます。そういうところにふさわしい、地域皆さん方に愛されるダムになるよう、私どもとしても今後とも全力を尽くしてまいりたいと考えております。
  22. 高市早苗

    高市委員 どうもありがとうございました。それでは、具体的なお願いに改めてまた上がりたいと思います。  それでは、大臣にもう一つお願いをしたいのですが、連担建築物設計制度というのを取り入れられました。土地の有効利用を目指すものですから、この制度の趣旨には大いに賛同するのでありますけれども、本当に土地の有効利用を考えるのでしたら、もうちょっと早急に各地方に目配りをいただきたい点があるのです。  私の地元でも、幹線道路の沿道で、とても閑静な住宅地とは言えない状態になった場所が一種住専のままずっと放置されていて、有効な経済活動に使えなかったり、それから、何十年間、いつ実現するかもわからない都市計画道路予定地という状態になったままのところがあって、建てられる建築物についても規制がかかっている場所が多いのですが、こういった問題についてまず対処するのが先ではないか考えるのですが、いかがでしょうか。
  23. 木下博夫

    ○木下政府委員 若干、実務的なことになりますので、私の方からお答えした後、大臣からまたお答えいただきたいと思います。  都市計画については、道路などの公共施設の整備とか土地利用の現状から用途地域を決めさせていただいております。先生お話があったようなことで、確かに沿道の周辺に一種住専があるという現実もあろうかと思いますが、全国的に見ますと、幹線道路の周辺は第一種の住居地域とかあるいは準住居になっておりますが、それぞれの地域の方の御要望を入れながら、この辺については適時の見直しをしていくのが適切だと思っております。硬直的でない方がいいと思っております。  それから、都市計画道路につきましては、確かに、私たちも整備が大変おくれていることについては残念でございますが、今回、全国的に私どもは都市構造再編プログラムというのをつくりまして、事業のこれからの見通し、あるいはそれによって周辺の土地利用がどう変化するかということについて各都市に検討を命じておりまして、東京都などは既にそういうプログラムができておりますので、ぜひ、地元についてもそういう方向で、我々はこれから御相談したいと思っております。
  24. 瓦力

    瓦国務大臣 ただいまの都市局長からの答弁で尽きるわけでございますが、都市計画道路も、都市のあるべき姿として必要なものが総合的かつ計画的に定められているところでございます。  今私どもも、さらに都市整備、また街路の整備につきまして、やはり一定期間に整備をしていくような取り組みでなければならぬということで、整備プログラムの策定、公表によりまして計画的かつ効率的な事業実施に努める必要がある、こういうことで取り組んでおるわけでございまして、建設省も必要な事業費の確保を図りまして支援を強めてまいりたい、かように考えております。
  25. 高市早苗

    高市委員 ありがとうございます。  では、最後に、建築基準法とその他の関係法令の調整について少しわからないことがあるのです。  例えば、民法二百二十四条の外壁後退五十センチというのが建築基準法では規定がないですし、あと建築基準法だけ仕様基準から性能基準になっても、消防法がそのままだと、例えばスプリンクラーヘッド一つでも厳しい基準があるので、そんなに自由な設計はできないのじゃないかなと思ってみたり、都計法の開発許可が必要な物件で、第二十九条の中で擁壁のチェックがなされているにもかかわらず、今度工作物の確認申請をするときに再提出を要求される。ほかの法令で審査されているものについては省略すべきじゃないか。そういったことで、関係法令との調整について簡単にお願いします。
  26. 小川忠男

    小川政府委員 関係法令との調整、私どもも今までいろいろな努力をしてまいりました。その中で、基準法は先駆けて新しい体系に切りかえるというふうなことでございますので、新しい建築基準法体系の運用とほかの法体糸との突合といいますか調整の問題、やはり新しい角度からもう一回光を当てて点検をしてきちっとした体制を準備したいと思います。努力させていただきたいと思います。
  27. 高市早苗

    高市委員 これで質問を終わります。どうもありがとうございました。
  28. 遠藤乙彦

    遠藤委員長 吉田公一君。
  29. 吉田公一

    ○吉田(公)委員 このたび建築基準法が五十年ぶりに見直されて、大変画期的なことでございます。規制緩和が言われておりまして、今国会でもそれぞれ規制緩和改正が行われる法律もたくさんありますが、その中で、この建築基準法改正が一番大きな規制緩和で、もともと各省は、どちらかというとできるだけ規制緩和をしないようにやってきたのだけれども、この建築基準法だけは大したものだと思っているのですよ。  しかも、民間確認をさせるということは、私ども、地方議会を長くやってきた者にとっては、特に大都市の建築行政というのは非常に複雑でありまして、そういう意味では、判こ一つ足りないから一週間や十日平気で延ばしてしまうというようなことがざらにある。今後、建築確認機関が二つあるということは、地方自治体の建築行政をやる人たちにとっても行政促進に大変つながっていくのではないか、そういうふうに思っているわけで、この民間指定機関というのは一体どのぐらいの数をつくっていくのか、人口によるのか、それともどういう基準で指定確認機関を全国につくっていくのか、その目安、そういうものを教えてもらいたいと思うのです。
  30. 小川忠男

    小川政府委員 お答えいたします。  民間の建築確認検査機関でございますが、必要な技術的な審査能力ですとか、あるいはきちっとした公正中立な組織体制さえあれば、公益法人あるいは株式会社を問わず広く指定をいたしたいと思います。  ただ、どのくらいがいいのかというふうなことにつきましては、申請を待ってというふうなことでございますが、なかなか現段階でこのくらい欲しい、あらまほしいと言いにくいのでございますが、ただやはり、一般的には、建築活動の状況に応じて、それなりの適正な競争がマーケットにおいて行われるという程度の数と質は欲しいと思っております。ちょっと現段階では抽象的でございますが、お許しいただきたいと思います。
  31. 吉田公一

    ○吉田(公)委員 それから、指定確認検査機関をつくる以上は、できるだけ行政がこの中へ入ってチェックしないように、民間指定機関の責任で建築完了検査までやるということで初めて緩和になるわけであります。  そういう意味では、今までも、要するに建築主事による裁量権というのを、これは建設省の方は建設省の方で法律をつくってやるのだけれども、末端の自治体の窓口へ行くと、裁量権を与えるものだから厳しく厳しくやっていくわけですね。そういう傾向があるのです。しかも、とんでもない判断をするのもある。常識では考えられない判断をすることもある。  だから、できるだけその裁量権というのを、あやふやな法律や政令を指定しないで、だれが考えてもこれはこうだというようなものをちゃんとつくっておかないと、今度は民間指定確認機関に移るわけですから、これはどういうふうにしたらいいのかな、法律の趣旨に乗っかっていればこういう判断かなとかなんとかということのないように、できるだけ裁量権が伴わないような法律、特に政令だとか、それから規則だとか、閣議決定だとか、しまいに何にもなくなると今度は行政指導とかいって、もうありとあらゆることでがんじがらめになっている。だから、そういうことを出さないようにするためにはきちっとつくっておく。  特に、これは建設委員会だけじゃないのだけれども、一番肝心な政令だとか規則だとか、そういうものがここで、国会の中で審議できないようになっているのだよ。後で本法律案に基づいて政令でいたしますと全部書いてある。建築基準法の赤本というのがあるのですが、その赤本なんかを見たって、大事なところは全部政令だよ。それは国会の審議にならないのだ。法律の改正だけやるのだけれども、後の一番肝心かなめの方は、国会の審議が終わってから、我々に知らされないところでじっくり政令だと。だから、後で法律を見て一番大事なところが出てこない。それは何かというと、政令だとか規則でやっているもの。これはもう各省庁に言えることなんだな。だから、ぜひそういう政令だとか規則については、これは後で定めるに決まっているのだから、できるだけそういうのを内定のときにやはり委員会にちゃんと事前に報告をするということが私は大事ではないか、そう思っているわけです。  それで、木造の二階建てだとか一階建ての住宅については、これはまた中間検査などというとまた経費もかかるし期間もかかるということもありますから、きちっとやっている従来の木造の一階建て、二階建てについては中間検査というのはいかがなものか、そう思っておりますが、見解はいかがですか。
  32. 小川忠男

    小川政府委員 非常に基本的な御指摘、三点ございました。  一つは、裁量といいますか確認の性格に絡む議論でございますが、従来ややもすれば、確認というふうな行政の名においていろいろな意味の裁量的行政指導が併存していたというのは、私もそのとおりだと思います。ただ、今回民間開放するというふうなことから、民間でも判断が可能なような基準として一方においては明確化する、一方において、そうはいっても行政の判断にゆだねざるを得ない分野というのも残ります。残った分野については、裁量というよりはむしろ行政責任で、基準と責任をはっきりした上で許可体系に移行するというふうな形ではっきりさせたいと思います。  その場合でも、なおかついろいろな意味での行政指導的なことがあろうかと思います。あろうかと思いますが、それは建築確認行政そのものではないというふうな性格がはっきりするわけでございますので、公共団体においても漫然と従来どおりするのではなくて、そういうふうな行政指導が必要ならば、手続、根拠、基準はやはりより一層明確にする必要性に迫られるのではないかと思います。  それから、基本的な枠組みと政省令の関係でございますが、できるだけ基準行政の統一的な運用というふうな面からは、いろいろな解釈が出ないような体制は私も必要だと思います。できるならば、やはり政令なり省令の基本的な枠組みを御審議にあわせて御提示したいと思います。思いますが、ただ、弁解ではございませんが、技術的な法体系というふうなこともございますので、基本的な枠組みが設定されたのを受けて、やはりそれなりの検討時間はいただきたいと思います。  ただ、いずれにいたしましても、政令なり省令なり、非常に影響力が大きいわけでございますので、いろいろな意見なり、意見の集約手続を検討しながら、こそこそと隠れてやるようなことはいたしません、いろいろな意見を聴取いたしながら政省令は決めさせていただきたいと思います。  それからもう一つ木造戸建て住宅に対する中間検査でございますが、非常に難しい点がございます。  中間検査そのものは、日本の従来の建築基準法に完全に欠落していた、実物をチェックするというふうなところに大きく一歩を踏み出す。つまり、完了検査というのはでき上がりでございますので、例えばこの建物の構造について鉄筋が本当にきちっと入っているかどうかは実はわからないわけです。こういう中間検査導入したいと思いますが、戸建ての住宅について、では本当に全部例外なく現地に踏み込んで調査をするのかというふうなことになりますと、幾つかの点で制約があると思います。  一つには、残念ながらと言うと語弊がございますが、行政にそれだけの執行能力は現段階ではございません。  それからもう一つは、従来の設計工事ワンパッケージで行われているという日本の今までの慣行を前提にすれば、外部の中間検査によるという面もさりながら、やはりそういうふうな体系の中で設計士、建築士がきちっとした工事監理を行う、そういうふうな方向で、むしろそちらの体制を充実させて、その両方相まってというのもやはり行政上の選択肢の一つではないかというふうなことから、中間検査対象にする一方で、建築士がきちっと工事監理を行う場合には現場検査は省略をするというふうな形で、両方の兼ね合いをとらせていただいております。  よろしくお願いいたします。
  33. 吉田公一

    ○吉田(公)委員 次に、家の確認をとろうと思っても、前面道路でなかなか確認がとれないところが大都市ではたくさんあります。  特に昔は、田んぼや畑で水路や畦畔というのがありまして、当時は水路が流れておって田んぼに水を引いたりしておりました。ところが、都市化が進んでくると、水路がどぶ川になって、それが暗渠になって、そして舗装されて通路になるという例がたくさんあります。  ところが、それはあくまでも水路になっているのですよ。道路じゃなくて水路になっている。その隣に例えば狭い道路がついているというときに、その水路を含めて、既存の通路を含めて、幅員が四メートル以上あるのだけれども、なかなか建築確認をおろしてくれない。建築基準法には、特定行政庁の長が広い空地があるからいいと認めた場合には確認をおろすことができると書いてあるのだけれども、実際には水路と通路と合わせれば四メーター以上あるのだから、要するに広い空間があればというのだから、おろしてもいいのだけれども、なかなかおろさない。したがって、そういうものもぜひ明文化しておいてもらいたいのですよ。空間なんて書いてあるから、建築基準法では、空間とは何かなんていうのから始まってしまってなかなか確認がおろせないということなんです。  それから、経済対策住宅からやるというので、例えば住宅戸数をふやそうというので、住宅金融公庫が融資枠の拡大、金利を安くするということで、要するに住宅産業を活発化しよう、こう言っているのだけれども、実際は完了検査証なんかとれる戸数は三割ぐらいしかないのだ。あとの七割は完了検査証がもらえないから、住宅産業を活性化して景気対策を図るなんということはまさに全然役に立っていないのだ、確認がとれないのだから。  例えば一つの例で言うと、道路法の道路なんかはいいのだけれども、建築認定道路というのがあります。これは行きどまりもあるし、公道から公道へつながっているのもある。その間が、要するに接道していなければならない幅員というのは四メーターなんだ。四メーターあれば確認がとれるのだけれども、たまたま四メーターないのです。  当時、大都市なんかでは、昭和三十年代後半からどんどんどんどん建て売りがふえて、隅切りをちゃんと二メーターとればいいものを一メーター八十しかとっていないとか、道路の幅員を四メーターとればいいものを一メーター五十しかとっていないとか、そういうところがたくさんあるのだ。ちょうど昭和三十年代の後半の建物だから、もう三十年たっているから建てかえなければいけないのだけれども住宅金融公庫の融資を受けてやろうと思った、ところが前面道路が幅員が四メーターないものだから、しかも隅切りが二メーターないものだから、確認がとれない。その人たちはいつまでたっても公的資金の活用ができないでいるわけだ。実態は、そういうものが七割もあるのだ。  だから、自分の敷地を中心線からセットバックして提供すればその人には確認をとらせてやるというような、きちっとした規則でもつくってもらわない限りは、幾らやったって半永久的にこの人は無届け建築だ。  建築課へ出すでしょう。出したって、これはもう確認がとれない建築物だってわかっているから、取り下げてくださいよという話になってしまう。要するに、そこで家が建つのはわかっているんだけれども、建築課としてはそんな書類をいつまでも抱えたってしょうがないから、取り下げてくださいよと。要するに、無届け建築がどんどん建って一しかも公的融資は受けられない、こういうことです。  これは本当は黒板か何かあってちゃんとかけばいいのだけれども委員会というのは黒板はだめなんでしょう。だから文句で言うと、これで三十分ぐらいかかってしまう。そうすると、私の持ち時間は三十分しかないから、それだけの説明をしているだけで、一問で終わってしまうよ。  だから、大体言っていることはわかってくれるだろうと思いますが、どうぞその辺もきちっとしていただければありがたいなと思うのです。その辺は今度の改正いかがですか、特例かなんか、政令かなんかで。
  34. 小川忠男

    小川政府委員 御指摘のように、建築基準法を運用する場合に、やはり一番難しいのは接道義務の特例の扱いだと思います。  今先生御指摘になりましたように、日本の市街地の現状を見ますと、例えば四メートル未満の道路に接している住宅というのは全国で三割近くあります。御指摘のとおりです。これを六メートルにまで広げても、やはり相当程度が六メートルをというふうな状況でございます。  したがいまして、一方できちっとした住宅というふうなことになれば、やはりそれなりの道路にそれなりの割合で接しているというのは制度としてはやむを得ないと思います。ただ、そのときに、現実にこれだけ膨大な量が四メートル未満の道路でしかないという客観的な現実を念頭に置き、それもそれなりに更新は必要だという現実がございます。  一方で、何となく行政の判断がいま一つ根拠がはっきりしない、基準がはっきりしないというふうな側面があったのも御指摘のとおりだと思います。今回の改正ではそちらを、行政の裁量というよりは、きちっとした特定行政庁責任をバックにした許可体系に切りかえたいと思います。  現在検討中ではございますが、いろいろ水路の例なんかもお引きになりました。そういうふうなことにつきましては、例えばでございますが、建築基準法上の道路ではないが同等の機能を有する空地と接するような場合、これは許可にするというふうなことで、従来のふわっとした運用準則に比べますと、やはり現実問題状況を念頭に置いた上で、もう少しわかりやすい基準というふうなものをつくりたいと思いますし、あるいは新しい基準法の運用の一番難しいかなめであるというふうなこともございますので、今いろいろ御指摘になった点も踏まえまして、少し全国の公共団体と意思統一をしながら運用をさせていただきたいと思います。
  35. 吉田公一

    ○吉田(公)委員 今度は、それを民間指定確認機関というのに提出するときに、まずこれで引っかかってしまう。幾らすばらしい図面をかいても、接道で引っかかってしまう。  そうすると、今までは各地方自治体で、これは確認をおろしませんよと言っているのだけれども民間企業で最初から、接道を見て、うちで建築確認を申請しても、これは民間でやっても通りませんと言って、もうすぐ断らなければいけない。だから、そういう難点が一つある。そのときに、今までやっているように黙認してしまうのかどうか。民間企業に建築確認申請を出すということになると、請け負ったはいいけれども、この接道で最後は確認がとれないという問題が一つ出てきてしまう。  地方公共団体で、もう今から一番問題になっているのはこの問題なんですよ。この問題をどう整理するかということで、結局、建築審査会にかけなければしょうがない。建築審査会はある意味では建築基準法を超えた判断をする場合があるわけですね。つまり、ここにうちを建てた場合に別に何ら影響はありませんというものを建築審査会で判断をして、建築課へ戻すわけだ。  その建築審査会というのは確かに各公共団体にありますよ。ところが、三年に一遍とか四年に一遍しか建築審査会など開かれないのです。これは、審査会にかけるなどというようなことになると容易なことではない。だから、今度は建築審査会というのが非常に重きをなしてくるんだけれども、それだけの陣容も整っていないし、建築審査会係というのが一人かそこらいるだけ。なかなか受け付けないようにさせているわけだよ、自分たちが負けてしまうから。  同じ建築課に建築審査会係というのがあって、隣でもって確認をおろしているわけだよ。だから、建築審査会係に持ち込まれるということは、今度はその審査会のメンバーによって判断を下されると、建築主事はだめだと言ったものが仮にいいとなれば、建築課のメンツというのはなくなるから、できるだけ審査会に上げないようにしているわけだ。そういう問題が出てくるわけですよ。  だから、今から特定行政庁心配していることは、つまり、民間の指定確認機関はいいのだけれども、北側斜線が違反しているとか容積とか建ぺい率が違反しているというのではないのだから、最初から道路を見ればわかるのだから、そういうときに民間委託した場合にはどうするのかということがこれからの大きな課題だと思うのですね。  それで、今度は建築基準法ではないのだけれども、建築をする場合に関連してくる日影規制というのがあります。  これは、各都道府県で条例でやっていると思うのです。つまり、日影条例を何でつくったかというと、大都市に住む人間でもやはり太陽の光というのは平等にもらわなければいかぬ。そうかといって、大自然の中に住んでいる人たちみたいに全部太陽や自然を享受するわけにはいかない。お互いに受忍義務というのはある。そうすると、用途地域によっては三〇%、二〇%、時間にしても同じだ、二時間、一時間、三時間となっている。  ところが、建築確認をするときに、人間に対して日影というのがあるのだけれども、駅のホームやお地蔵さんにまでその日影の影響がある、そんなことを言っているのもいるのだよ。だから、駅の改札口にまで日影がかかってしまうと、これはもうだめです、階数を減らしなさいという話になってしまう。向こうが変電所であっても、これはもう日影規制でだめです、変電所に日影がかからないようにしなさい。そんなのはおかしいじゃないか。あくまで人間に対して日影というのがあるので、何でそんな変電所やお地蔵様、駅の改札口に日影条例などを適用するんだ、おかしな話だ、こう思っているのだけれども、それをまだやっていてなかなか許可しないのがあるのです。  だから、今度は、民間確認機関に移管するときはそういう問題も含めてきちっとしておかないと、つまり、それでは民間指定確認機関が困ってしまうわけですよ。いろいろな制約があって、せっかく委託したけれどもできないということになりますから、そういう問題もぜひきちっと検討しておいていただきたい、そう思うのですね。  それから、もう時間がないから全部続けて言ってしまいます。  建築物を建築する際に、もう一つ規制があるのです。それは、風致地区というのがある。風致地区というのは、できるだけ都市の周りにグリーンベルト状態に緑を残しておこうということで、大都市周辺にあるんだろうと思うのだけれども、風致地区というのがある。それは条例で決めなさい、こういうことになっている。ところが、都市が発達をしてしまって、バス道路ではんばんバスが通るのに風致地区になっている。高速道路の取り入れ口になっているのに風致地区になっている。もう実態に合っていない。だから、風致地区は、残すところは残す、バス道路みたいなところはもう外さないと。  建築確認をするときに、三つやっているのですよ。一つは、指導要綱とかなんとかいって指導要綱でチェックを受ける。指導要綱がパスすれば、建築課へ回って建築主事がオーケーを出す。それで、例えば建築基準法や東京都の安全条例や県の安全条例ではいい、ところが、風致地区内の建物については、もう一回今度は緑地事務所というところに建築確認申請書を持っていって三つ目の判こを押してもらわなければうちは建てられない。建築基準法では合っているのですよ。ところが、前面から三メーター引っ込めとか、隣地から普通は五十センチ離せばいいものを一メーター以上離せとか、当然そういう規制がかかってくる。  そういう問題も、大都市化してくると、いつまでたっても風致地区みたいなものを残しておいて、バス道路なんか改正したらいいじゃないかと言っているのだけれども、なかなかやらない。条例ですから、これは各都道府県の自主性によるということがあるのですけれども、要するに条例でこれをやれと言っているのだから、やはり建設省が主導権を握らないとできない話なのです。だから、風致地区条例についても、建築基準法改正に伴って関連してくるわけですから、ぜひこのこともあわせて検討してもらいたい、そう思います。  それから、今度は指導要綱というのがありますよ。これがまた、各市町村、都道府県にこの指導要綱というのがめったやたらにあるのです。その建築指導要綱というのが、実は経済効果をマイナスにしてみたり、それから効率を悪くしている一つの原因でもある。確かに、指導要綱をつくることによって乱開発を防ごう、ミニ乱開発を防ごうということはあるのだけれども、しかし、それをやると非常に経済効果が悪い。しかし、指導要綱をつくっているわけだ。指導要綱って何だと言うと、いやこれは規制ではありません、お願いをする、それから町や市の姿勢をこれであらわしているのです、こう言うのだけれども、しかし、実際は規制になっているわけです。  だから、せっかく民間確認機関を指定しても、指導要綱を温存している以上は、要するに指導要綱に合っていなければ建築は認めないよということになるのです。  それはどういうことかというと、各区、市町村によって違うけれども、つまり、四百平米以上のところを開発する場合には、道路が四メーターあるのだけれども、まだセットバックしろ、こう言ってくるわけだ、一メーターセットバックしろと。それで塀でも何でも直さなければいけない。すばらしい塀があったって、中心からセットバックしろと言うのだから、セットバックしなければ建築課へは回してくれないのです。みすみす塀をぶち壊したり何かしなければいけない。面積によって、セットバックするかしないか決まっているのだから。隣の面積は四百平米以上あってセットバックさせて、片っ方は百三十平米しかないからセットバックしなくていいというのだから、道路が幅が広がったり狭くなったりする。こういう一貫性のないことをやっているわけですね。  本当は、そんなに大事なら条例にしろと言うのだけれども、条例にはできないのですよ。人の所有権の土地を、要するに条例程度でセットバックしろなんということは、私有権の侵害になるからできないのだ。だから条例にならないのです。では、そんなに大事なものなら法律につくったらいいじゃないかと。ところが、それは法律につくれないのだ、憲法違反の疑いがあるから。だから、指導要綱なんというわけのわからないことを言って指導しているわけです。  だから、そんなに大事なら条例や法律にしたらいいじゃないかと。だけれども、人の私有地を簡単に、おまえセットバックして一メートル出せなんということはできないですよ。要するに、公共用地の協力をするためには、正式には土地収用委員会にかけなければできないのだから。それを指導要綱でやっているのだから。まずそこが一つはおかしなところです。  だから、これはもう指導要綱をきちっとしないと、せっかく建築基準法改正しても、要綱が存在をしている以上はなかなか難しいと実は私は思っているわけですよ。ぜひその点を、要綱について今度の改正とあわせてどういうふうにお考えをされているのか、教えていただきたいと思います。
  36. 小川忠男

    小川政府委員 幾つかの論点がございました。  一つは、今まで行政が裁量でやっていたものは、行政責任を明確化した上で許可体制に移行させたいと思います。したがって、許可を欲しい場合には、民間に行く前にまず許可をとって、それから許可証を添付して民間に行く、こういう手順になると思います。  その際に、先ほどの接道義務が典型例でございますが、やはり許可体系にするときには、水面下に潜って違法が横行するという状況よりは、仮に現実判断を踏まえて許可基準を六十点満点でいい、そのかわりしっかり守ってもらうというふうなことを念頭に置いて、やはり現実をにらみながら、現実にたえ得る許可基準をできるだけ具体的につくりたいと思います。  また、建築審査会についても、年に一回、二回ではなくて、やはり制度の変革に応じた機動的な運用というのは当然必要になってくると思います。  それから、日影規制でございますが、御指摘のように、隣が空き地であるのにもかかわらずというふうな御疑念があるのは承知いたしております。ただ、市街地なり町はそれなりに変わっていくものだというふうな前提に立てば、今は空き地でもいずれ住宅が建つかもしれないというふうなことで、現状だけを判断してというわけにはなかなかいかない面があろうかと思います。  ただ、御指摘のように、横が高圧線の変電所だったとか変電所そのものだとか、あるいは駅の構内そのものだというふうな、中長期にわたって用途利用が変わる可能性がほとんどないという場合には、もう少し機動的な対応というふうなのは本来必要だと思いますし、やはりそれは許可制のきちっとした運用が必要になってくると思います。私どももそのとおりだと思います。  それから、指導要綱でございますが、今まで建築確認と指導要綱が法律に基づくのか基づかないのかわからないような形で行われているというのが実態だと思います。  ただ、いずれにいたしましても、建築基準法を今回抜本的に改正して、民間に任せる、行政の判断に残るものは許可というふうな形で根拠を明確にするというふうに抜本的に切りかえます。したがいまして、今までおやりになっていました根拠の必ずしもはっきりしない指導要綱も、勢いやはり時の流れとして、根拠、手続、基準、これは明確にする必要性が強まってくると思いますし、私どもとしても、そういうふうなことを公共団体に要請する立場にあろうかと思います。御指摘のとおりだと思います。  それから、風致地区については都市局長からお答えいたします。
  37. 木下博夫

    ○木下政府委員 時間も余りないようですから手短に申し上げますが、お話ございましたように、大正十四年でございますから風致地区は大変歴史がございます。先生、むしろ現場を私よりは十分御承知いただいているわけでございますが、基本的にはやはり、道路沿いであっても樹林地を残しながら、あるいは緑を残しながら建築していくということでございます。  御指摘は、恐らく基準法改正に絡んで、建築規制、いろいろ整合性のとれた措置をしろということだと思います。基本的にその点については私も全く同感でございますし、去る平成七年に既にこの風致地区の運用についても通達を出しておりますが、今回のこういうことをきっかけにいたしまして、さらにこの風致地区がむしろいい都市景観に生かされるという姿勢で、我々、風致地区について再度いろいろ検討させていただきたいと思っております。
  38. 吉田公一

    ○吉田(公)委員 終わります。どうもありがとうございました。
  39. 遠藤乙彦

  40. 石井紘基

    石井(紘)委員 建築基準法の問題に入る前に、我が国としての住宅建設の中で、住都公団というのが大変膨大なシェアを占めているわけであります。  そもそも住都公団については随分これまでもいろいろな指摘をしてまいりましたけれども、この住都公団というのは、もう皆さんの想像以上に、全国に支店やら営業所を持ちながら大規模住宅建設というものを展開している。しかも、その建設を行うに当たってのさまざまな工事関係、修繕関係、その他関連事業というものをその系列でもって独占をしておる。こういうことによりまして、我が国住宅建設事業民間の市場における事業というものが大きくシェアを奪われておって、そして、ひいては経済のあり方あるいは景気の動向にも大きなデメリットといいますかマイナス要因をもたらしているというのが実態であります。  ですから私は、この住都公団が、極力国の政策としてしなければならないことに限定して、その事業をといいますか、政策の遂行を行うべきであるということをかねがね主張してきたわけであります。  そこで、建築基準法の問題とも当然建設事業ということで関連をしてまいりますので、まず、この住都公団の問題を幾つか最初に取り上げさせていただきたいと思うわけであります。  大体今から一年、二年ぐらい前には、住都公団の分譲部門におけるところの空き家、売れ残り、あるいは工事を途中でストップしているもの、そうしたものが相当膨大な数あったわけですね。七千、八千、見方によっては一万。それからまた、計画中、建設中というものを含めると何万という数になっておって、これが国の予算にも重い負担としてはね返っているし、公団自体の経営にとってもその利子負担等々でもって大変重い存在になっていたわけでありますが、現状におけるところの分譲住宅の空き状況、それからまた建設途上の戸数、計画中の戸数等について、まず最初に伺いたいと思います。
  41. 梅野捷一郎

    ○梅野参考人 御説明申し上げます。  工事中の分譲住宅等の現在の状況でございますが、おおむね完成済みまたは工事中断中で募集時期を調整しているというもの、この三月時点で二千五百十戸ございますが、それを含めまして、いわゆる工事中の住宅が八千二百四十三戸でございます。それから、いわゆる未入居と言われる、まだ御利用いただいていない住宅が五百三十九戸という状況でございます。
  42. 石井紘基

    石井(紘)委員 未入居が三十九戸……。
  43. 梅野捷一郎

    ○梅野参考人 五百三十九戸でございます。
  44. 石井紘基

    石井(紘)委員 そこで、これは昨年、一昨年の状況と大きく変わってはいないわけでありますが、実は私は、昨年の二月でしたか、当委員会におきまして、あいちゃって売るに売れない、そもそも非常に民間と比べてみても分譲価格が高いし、余り便のいいところにつくられていないというようないろいろな要素があって売れない、こういうものをそのままにしておくと、管理する負担だけでも大変なことであるし、利子負担も大変である、したがって、民間のディベロッパーか何かに払い下げるということを考えるべきだというふうなことを申し上げたのです。  それに対する当時の建設大臣の御答弁は、たたき売りするわけにはいかない。要するに、大幅に値引きをして売るというわけにもいかないのだ。個々に売るという場合には、当然大幅な値引きをして売るというのは、それは根拠がはっきりしませんし、できないでしょう。それからまた、そういうような政策を変更する場合には、当然既に高い値段で買ってもらっている方々の理解というものも必要だというような答弁を建設省大臣初めされておったわけであります。  ところが、その舌の根も乾かないうちにというか、それから約半年後、昨年の八月に、約二割という大幅な値下げをあえて断行したわけです。二十九カ所の団地でもってそれを実行した。  そうなりますと、その数カ月前に、大体一千万円もそれより高い値段で買わされておった、それ以上の高い値段で買わされておった、そういう人たちは、そうした国会の答弁もあるし、あるいはまた、個々に当たってみても将来値下げなんということはしませんということでもってずっと確約をとってきている。そういう約束をしているわけでありますし、また、それは国の住宅ですから、政策ということでもって進められてきているものですから、民間の市場におけるところの価格の変動とはこれは全然違うものでありまして、民間だったら、売れないから安くする、それは自由でありますけれども、国が政策でやっている場合にはそれなりのきちっとした根拠が必要であって、購入者あるいは国民に対する説得力のある説明というものが必要なわけですね。  そうしたものが一切なしに、突然値下げをそうして行った。例えば千葉のニュータウンにしても、浦安のマリナイースト21にしても、あるいは多摩の団地、南大沢等にしても、ともかく高い建物が、十何階建ての大きな建物が建って、売り出してから一年たっても二年たってもその中の三戸か四戸しか売れているところがないというような状態できていたわけでありまして、これを、いろいろなところで非難が巻き起こっておりましたから、何とかしなければならないというところにあったのだと思うのですね。だから、私は、それだったら、既に高い値段で買わせた人にも納得がいただけるようなことをやらなければいけませんよ、こう当時言ってきたわけですね。にもかかわらず、そうしたことについては全然無視して、一方的にそうやって値下げを行った。値下げ自体をいい、悪いと言っているわけじゃないのですが。  同時に、その値下げをする前にどういうことをやっていたかといいますと、実はやみ値引きというのをやっていたのですね。約一年余りの間ですよ。これは私は相当調べてあります。どういうやり方をしていたかということを申し上げて、これはどうなんだという見解をいただきたいわけなんですが、ちょっと申し上げます。  これはどういう方法をとっているかというと、名称は現状有姿という言葉をつくり出してあるのですね。これは、モデルルームに使ったということにして、実際には使っていないのですよ、使っていないのだけれども、モデルルームに使ったということにして、したがって完全に真っさらの新品ではないというようなニュアンスにして、そして大幅な、五百万円から一千万円近い金額をやみで値引きをしてきた。そのやり方が、これはもちろん省令で決めたわけでもなければ何で決めたわけでもなくて、ただ内々で、購入者に対してはないしょにしてください、ないしょにしてください、こう一々やりながらやってきたために、非常につじつまの合わないおかしなことになったわけであります。  そういう形で買われた方々何人かの資料を私はいただいておりますので、どういう形かということを申し上げたいと思います。  例えば、四千六百万円の住宅価格だとします。そうしますと、このうちで九十万円が消費税と書かれているわけですね。消費税というのは建物部分だけにかかるわけであります。したがって、四千六百万円の価格ですが、九十万円ですね。そのうちの一時金、これはいわゆる頭金ですが、七百三十万円としましょう。そうすると、この七百三十万円から五百万円を値引きする。そしてそのために、わざわざもっともらしい文書、確認書というものをつくる。  この確認書というのはどういうことが書いてあるかといいますと、これは、モデルルームとして使用されたことにより、貴公団が提示する金額五百万円について、私はこれを異議なく受領し、この金額を貴公団が定める方法により一時金にこれを充当する。  つまり、本来だったらば購入する人が書くべき文書を、公団がこうやって印刷してあって、これはマニュアルで全部共通しています。東京支社でも関東支社でもほかの支社でもみんな同じであります。この文章は、一から三まで、それに前文のようなものが書いてあるのも、各支社全部一字一句、値段だけを書き込むようになっておりまして、値引きする値段、それから住宅価格の値段、それから購入者の住所、氏名、これが違うだけでありまして、あと全部共通のマニュアルでやっているわけですね。  どれくらいこういう形で販売をされたかといいますと、わかっただけですが、全部はもちろんわかりません、東京近辺の一部分だけであります。例えば、多摩ニュータウン南大沢学園三番街という団地があります。ここは約二百戸、総戸数百九十九戸のところであります。このうちの四十戸について、こういう形でやみ値引きでもって売られた。四十戸モデルルームがあるか。これは全くの捏造といいますかうそであります。  あるいは、それ以外にもたくさんずらっとあるわけですが、例えば、先ほど言いました浦安のマリナイースト21、この中には夢海の街とか潮音の街とかありますが、私も行ってきました。夢海の街、ここは五百四十八戸が総戸数でありますが、このうちの五十四戸がこういう形で売られたということ、これは私どもの調査によるものでありますから、ひょっとすると数字が一つ二つ間違っていることもあるかもしれませんが、およそこういうことだろうと思います。東京近辺だけで、わかっただけでも一千戸ぐらいがこういうふうにして売られているわけです。これが、大体平成七年から八年にかけての一年余りの間にこういう形で売られました。  先ほど、四千六百万円の住宅についての例を申し上げました。この一時金が、頭金が七百三十万円。そうすると、この七百三十万円から五百万円を値引きすると、実際に払った金額は、頭金の部分は二百三十万円というふうになるわけです。買われた方は二百三十万円を払っているのです。  これに対する消費税を見てみますと、非常に奇怪なことになるのです。土地はかかりませんから、住宅部分だけ消費税ということになりますと、二百三十万円に対する割合でもって消費税ということで割り出しますと、消費税の金額が五万円弱になるのですね。しかし、実際に公団が購入者から頭金から受け取った消費税の額は、これは領収書もあるのですけれども、十五万円。それで、どうしてこれは十五万円なのかと調べてみますと、この金額は、もともと値引きする前の四千六百万円にかかる消費税額なのですね。それとぴったり合うのですよ。私、今十五万円と言っていますけれども、これは端数を省いて言っております。どこのだれだれさんということは、これはプライバシーの問題もありますので、どこの団地ということも今ここでは申し上げません。そういうことで、この金額は、公団としてはもともとの売り値に消費税をかけている。  そこでさらにどういうことをやっているかといいますと、公団は購入者に対して書類を渡しております。この書類はどういう書類かというと、これです。分譲住宅譲渡決定証明書。これは税務署へ持っていくものです。これには数字がどういうふうに記載されているかというと、購入価格四千六百万円、内訳として、もともとの一時金が七百三十万円、払った額じゃない額に対して消費税が書いてある。買った方はこれを税務署へ持っていくわけです。そうするとどうなるか。脱税ということになるわけですね。  購入者は、こんなことは細かい数字がいろいろ出てきてわかりませんよ。もともと、おまけしてあげます、ないしょにしてくださいと言って、では、このぐらいと言ったら、もう一声なんて言うと、もうちょっとまたまけたりするわけですよ。そうすると、そういう中で、支払うときにいろいろな項目の数字がある中で、消費税が十五万円になっているというのはこれはわからない。どれに対してかかっているかということは一々わからない。それよりも、五百万円もまけてもらったんだから、さっと払うというような心理になるわけですね。こういう文書まで、本来購入者が書くべきものを公団がつくって、そしてサインをさせている、これは虚偽の文書の作成ということになるのだというのが専門家の話であります。  そうすると、今度は公団の方はどうか。これが事実なら、公団の方はどういうふうな会計処理をしているかということですね。もともとの四千六百万円で売ったことにしてあるのか、あるいはそれより五百万円少ない会計処理にしてあるのか。もともとの数字にしてあれば、つじつまは合うのでしょう、消費税の領収金額については符合しているということになるのでしょう。しかし、四千百万円で売ったということになっている場合には、消費税の領収金額が合わないはずですね。  それから、税務署の方から、公団としても四千六百万円の売り上げということに対して課税通知が、課税通知というのは買った方の人に来るわけですが、公団の方も四千六百万円で売ったということで、税の処理ということになってくるのでしょう。というのは、購入者の方がその金額で申告しますからね。そうすると、それは公団の方にも四千六百万円ということで来るのじゃないですか。  非常にこれは重大なことをやってきたなというふうに思いますけれども、何か見解はありますか。
  45. 梅野捷一郎

    ○梅野参考人 御説明申し上げます。  幾つかの点について御指摘があったように思うわけでございますが、先ほど御指摘がございましたように、現在あるがままの姿で販売するという意味から現状有姿販売と申し上げているわけでございます。  モデルルームとして使用いたしました住宅につきましては、公開をするわけでございますから、当然、いろいろな汚れでありますとか、さまざまな方々がその住宅の中にお入りになるというようなことがございますので、実際にお買い求めいただく際には、それをもとの状態に戻すためのさまざまな手入れをして、その上でお渡しをするということが通常のやり方でございます。その場合には、当然私どもの方に費用はかかるわけでございますけれども、それを現在のこのままで結構である、必要なところは自分の方でやりますというお客様の御了解がある場合には、それにかかるであろう費用を相殺する、調整するという形でやっているということでございまして、特段の問題はないというふうに考えております。  それで、そのことについてもまた、そこらじゆうで全部モデルルームでないものも有姿販売したのではないかという御指摘もございましたが、そんなことはございませんで、比率がだんだん高くなって全部そうなっていたのではないかということも御指摘ございましたけれども、残った住宅がだんだん少なくなってまいりますと当然ながらモデルルームの比率が高くなりますし、それから、長い年月売れていないというものについては、できるだけ実際に多くの方に見ていただいて御判断いただこうということで、通常の場合よりもモデルルームを比較的ふやして販売活動をするということも御理解をいただきたいというふうに思います。  それから、先ほど、契約といいますか書類のこと、確認書のことを御指摘ございました。  今のようなことで、譲り受け人と私ども関係がその後、いろいろなことをどういう形でやったのか、費用はどういう関係になるのかということを文書の上で確認しておくことが後々のトラブルを未然に防止するということからやっているわけでございまして、御指摘のとおり確認書というものをつけておるわけでございます。  それは、相殺の金額がどうなのか、あるいは、その費用は補修その他の費用に相当するものでありますよということをお互いに確認しましようということも確認しているわけでございますし、隠れた瑕疵があればもちろん私どもが当然責任を負いますということも内容にしているわけでございまして、この確認書は、特別裏取引的なものを確認するためにやっているということではなくて、売り主である我々と譲り受け人の間の関係を明確にするためにそういうものを取り交わしておるということでございまして、御理解をいただきたいと思います。  それから、消費税の関係のことを御指摘ございましたけれども、譲渡契約上の建物価格とそれに対応する消費税相当額、これは先ほど四千六百万というケースをおっしゃいましたけれども、それに相当する額と、補修費等の相当額とその費用に対応する消費税とは相殺をされておるわけでございますので、譲り受け人が公団に対して消費税を支払い過ぎているということは、まずそこでないわけでございます。  それから、私どもが税を納めるということについては、契約上の最初の四千六百万がベースでございますが、それに対する建物価格相当の消費税を納付させていただいているということでございますので、その面からも特段の問題はございません。
  46. 石井紘基

    石井(紘)委員 本当のことを言わないと、これは後でまた大変なことになりますよ。あなた、こういう委員会の場でそういう答弁をしているんだから。いいんですか、それで。  一つの団地で百九十九戸しかないのに、四十戸モデルルームを使って五百万円ずつ、あるいはもっとそれ以上安くしているのもあるのですよ。そういう経営がありますか。そういううそを言うんじゃない。それはうそだ。こっちはちゃんと調べてあるのだ。どうしてそういううそを言うのですか、あなたは。  それから、今の消費税だけじゃないんだ。どういう税務申告をしているかという問題なんだ。買った人は補修費の分も消費税を払っている。それでは、補修していないのに補修費を払わせているのか。頭金は七百三十万円とする。そうすると、補修の分だとして五百万円分をあなたたちはまけてやったと言うのでしょう。そうすると、その五百万円分は、もし買った人が、修理なんかしませんよ、一点のしみもないのだから、しないのだけれども、もしあなたたちがそういう理屈でもって言って修理をしたとしても、何であなたたちにその消費税を払うのですか。  今の確認書でも、公団はそういうことには一切責任を負いません、だから直すにしろ直さないにしろ、あなたたち、勝手にやってください、ただ重大な瑕疵がある場合は別ですよ、それだけは書いてあるわけですね。これは、例えば違反建築だったり、あるいは欠陥住宅だったり、そういうような場合には別ですよ、それはもっともらしく書いてあるわけですよ。  ところが、そういう修理なんというのは、あなたたちはしていないわけだし、して売ったわけじゃないでしょう。それなのにどうして消費税をあなたたちに払うのですか。そういううそを言ってはだめでしょう。もう一回言い直しなさい。
  47. 梅野捷一郎

    ○梅野参考人 先ほど申し上げましたが、譲渡契約上の建物価格とそれに対応する消費税相当額、これと、補修等に相当する額とそれに対応する消費税の相当額というものは相殺をされているわけでございますから、譲り受け人は公団に対して消費税を払い過ぎているということはございません。
  48. 石井紘基

    石井(紘)委員 そのことばかりやっているわけにいかないけれども、あなたはそういうことでいいのか。それは問題が残りますね。  そうすると、公団の方の処理としては、この場合のケースとして、四千六百万円のものを実際には四千百万円で売ったのだけれども、どっちの数字で内部の処理をしているんですか。
  49. 梅野捷一郎

    ○梅野参考人 今のケースで申し上げれば、四千六百万円で処理をしていると思います。  消費税の納入についても、それをベースにやっておると。
  50. 石井紘基

    石井(紘)委員 そうすると、実際には四千百万円で売ったのだけれども、公団の経理では四千六百万円で売りましたということでずっとなっておるわけだ。まあ、それも大変な問題ですね。  そうすると、あなた方が経理をもしきちっとやっているとすれば、きちっとやっていないのだけれども、きちっとやっているとすれば、その穴埋めはどこから持ってくるのですか。当然穴埋めをしなければいかぬでしょう、それは。
  51. 梅野捷一郎

    ○梅野参考人 御指摘の計算がちょっと理解できない点もございますけれども、私どもの経理の中に、その点での穴が出てくることはございません。
  52. 石井紘基

    石井(紘)委員 例えばここにコップが二、四、六、八、十あって、だれかが二つ持っていっても、穴があいていません、減っていません、そういうような答弁だったんだろうと。そういう、全然説明も何もなしに、間違っていません、間違っていることを具体的にこっちが指摘しているのに、間違っていません、こういう答弁の仕方がありますか。  買った方々は、あなたたちの証明書類によって税務申告をする、そうすると、結果的に善意な、そして知らない間に脱税をさせられたということになるわけですが、あなたたちはそれに責任を負わなければならないと思うのですよ。あなたたちが売れなくて困っている、それを高い値段で、しかもまたその後下げたわけですから、それをせっかく買ってくれた、そういう人たちに脱税の罪を着せるということはできないでしょう。あなたたちは責任を負わなければならないでしょう。その点をきょうははっきり約束をしなさい。
  53. 梅野捷一郎

    ○梅野参考人 先ほど穴があかないと申し上げたのは、税のところで穴があくことはございません。補修をした部分の有姿販売で相殺した金額については、補修しているところにそれだけの費用がかかったというものは当然出てくるわけでございます。  それから、ただいま御指摘のございました点については、これまで税務の関係で問題が生じたことはないというふうに聞いております。
  54. 石井紘基

    石井(紘)委員 問題が生じたことはないというのは、たまたま見つかっていないということなのでしょう。だけれども、それは現にそういうやり方をやっていて、あなたたちはそれを認めているのだから、それは税の問題はあるのですよ。見つかったら大変なのですよ。そんなことでいいのですか。  私もこういう言い方はしたくないよ。だけれども、これはあなたたちはえらいことをやっているわけだから。だから、とにかくいずれにしても、そういう買ってくれた方々には迷惑かけませんということを一言言っておきなさいよ、ここで。
  55. 梅野捷一郎

    ○梅野参考人 私どもは、先ほど来御説明した形で処理をいたしておるわけでございますし、その処理に伴いまして特段の問題は生じていないということを申し上げたわけでございますし、今後、このことでお買いになった方々に御迷惑をかけることは当然あってはならないことだというふうに思っております。
  56. 石井紘基

    石井(紘)委員 お買いになった方々に御迷惑をかけることは、今のところはそういう問題は生じていないけれども、生じていないということは、表に出ていないけれども、しかし、将来御迷惑をかけないということは、公団が責任を持ちますということですね。責任持ちますね。
  57. 梅野捷一郎

    ○梅野参考人 お買いいただいた皆様方にそういうことで問題が起こるということについては、私ども責任を持ちたいというふうに思います。
  58. 石井紘基

    石井(紘)委員 では、きょうはそれで結構です。  そうすると今度は、そういうことをずっと一年余りやってきて、どうもそれが表にちらほら出てしまったのですね、この事実が。それで、やばいというのでやめた。現に、どなたとは言いませんが、公団の幹部の方はやばいからやめたということをささやいておったわけです。そうなのです。それは事実なのですが、その先のことを言いましょう。  そうして結局正式に値下げということを、今度は無理やりやることになった。以前は政策でもって、こうやって、こういう価格でといってやってきたのを、そしてその根拠も何も示さずに、値段はこれだけですよということで売ってきたわけですね。普通は、国でやっていることですから、土地代が幾らで、建設費が幾らで、そして何が幾らで、こうですということの一定の根拠が、せめてどこかに示されたり、報告されなければいけないのですけれども、そういうこと一切なしに、値段をこれだけですと、こうやってきたものですから、下げるときも、もともとの値段の理由がないから下げる理由もつけられないのだ。そこで、無理やりとにかく値下げ、こういうふうにやったわけですね。  そこで、そうしますと、その一月前とか半年前とか、ちょっとタッチの差で買った人は、買うときはああいう人たちだってみんな退職金はたいて、さらに先のローンまでつけて、あるいはまだ退職金までいっていない人たちは、月十二万払うか、十五万払えるか、細かい計算をしながら、そして二人で働けば何とかなるかなといって、こうやって慎重に慎重にそういう一世一代の買い物をするわけですから、だからあなたたちに、これは売れていないけれども、そしていろいろ言われているけれども、もうちょっと待てば値が下がるとか、そういうことないのでしょうかと聞くのですよ、大勢の皆さんが。そうすると、そういうことはありませんと国会でも答弁しているし、言っているわけですよ、言ってきたわけです。それで突然下げた。そうすると、そういう人たちはどういうふうにこれを納得することができるか。  しかも団地ですから、大きな団地をつくるわけですから、五百世帯もあるような、あるいは三百世帯。そうすると、小学校、中学校をつくりますという約束をちゃんとパンフレットにも書いているわけです。幼稚園ももちろんつくります、その他いろいろ便利になるという約束をパンフレット等でもってやってきているわけですよ。駐車場については自分で機械を設置してくださいと。そうすると、そのときは高い値段で設置をするわけですよ。ショッピングセンターができますよと。そうすると、いろいろなお店も入ってきます。郵便局や、あるいは銀行の支店も開設されますとか、便利になるはずだったのです。  ところが、そういう何百世帯もつくったけれども、十軒か二十軒しか入らない。そこにまさか小学校はできないですよ、それは自治体だって。中学校も。ショッピングセンターだって、そんな十人か二十人の人に売るために店を出しませんよ。あらゆることにあなたたちはそうやって結果的にうそをついたことになるわけです。  そういう高い値段で買わされた人たちが今怒って、全国でもって集まって、あなたたちにもひとつ話を聞いてもらいたいと言っているわけですね。私が一、二年前に指摘したとおりの事態になっているわけですよ。そのときは、あなたたちは、そんなことはありません、そのうち景気がよくなりますからどんどん売れるようになりますと言っていたわけでしょう。どうするのですか、そういう人たちに対してあなたたちは。国会答弁でもあるように、そういう方々に納得をしてもらわなければいけないと言っていたのですよ。どうするのですか。
  59. 梅野捷一郎

    ○梅野参考人 値下げ販売をいたしたわけでございますが、先生御指摘のように、国会でも先生から御指摘がありまして、大臣の方からお答えもございました。その当時、何とか当初の価格で販売をいたしたいということで努力をしていた最中の時期だったかと思います。  今回、昨年の八月に見直しをいたしまして、価格を引き下げて販売いたしたわけでございますが、これにつきましては、やはり二年以上というような長きにわたって、しかも少しずつという状況が続いておりまして、これ以上販売努力というだけでは解決がつかないという事態になったわけでございますし、ただいま先生から御指摘ございましたように、我々の住宅は全体がお住まいをいただくという形で初めてお客様に対する住宅の供給ということが完結をするわけでございますので、いつまでも販売努力によって売っていこうという、そこにも限界があるということから踏み切ったわけでございます。  その原因が周辺の経済状況との関連ということもやや決定的な環境の条件でもございますので、今申し上げたようなことで値下げに最終的には踏み切ったということでございますので、その点は御理解をいただきたいと思いますし、従前にお買いになった方々に対して、当然その間の我々の立場その他についてはできるだけ御理解をいただくように努力を続けてきたわけでございますし、今後も引き続き御理解を得られるように努力を続けたいというふうに考えているところでございます。
  60. 石井紘基

    石井(紘)委員 値下げしても、それでもまだ従来とほとんど変わっていないのですよ。  さっきの数字でいくと、相変わらずまだ三千以上の空き家があって、工事中が八千二百四十三と言うけれども、実際には工事にかかっているのは二万あるのですよ。それを途中で工事を中断した、あるいはそのまま雨ざらしにしてある、そういうのを除いて、順調に工事をやっているものだけで今八千二百四十三とさっき言われたのですよ。こういうことをいつまでもやっていて、値引きしても売れないじゃないですか。  だから、あなたたちが持っているこれだけの万を超える住宅をやはりまとめて処分する。それはどうせ損をしているのだけれども、これから将来にわたって何十年も利息が積み重なっていくというようなことを考えて、そして、今だって一日一日、だれも入っていないその団地をみんな手入れして管理してやっているわけですから、毎日何十億という利息がそれでかかっているわけですから、だから、そういうことを考えれば、まとめてそれを処分しなさい。そして、あなた方が持っている要らない土地が実勢価格で六兆以上あるわけですよ。そういうものを含めて、新宿やら中野やら至るところへつくっている都市開発ビルというもの、あれはテナントがなくて、みんな自分たちの子会社、孫会社を入れているじゃないですか。ああいうものをみんな処分してしまうのですよ。どれぐらいあなた、景気がよくなると思いますか。しかも、そういうのは子会社、天下り会社がやるのではなくて、民間の会社がみんなそれに伴う事業ができるのですよ。  そういうことで、私は、住都公団についてはそういう考えからいろいろなことを言っているわけでありまして、あなた方の個々の責任を別に追及しようというわけではないのです。誤解のないように。  さっき、高い値段で買わされた話を出しましたが、住都公団の事業というものは、例えば浦安なら浦安の団地をつくる、その団地について最初に計画があるわけです。どのくらいの土地に、どのくらいの造成をして、建設をして、何戸つくって、幾らで売って、どう採算をとるとかとらないとか、そういう収支の予算書というものがつくられなければならないわけですよ。  昨年の法律によって、特殊法人は事業、財務内容を公開ということになっている。その趣旨は何だと思いますか。あなた方が出しているような、こんなただまとめた数字だけを出して、この数字の中身は一体何に使ったんだと言っても、そういうことは一切秘密というような、こんな総額の数字だけなどというようなものを幾ら公開したって公開したことにはなりません。数字などというものは、さっきから言っているように適当に書けるわけですから。そうでしょう。その数字の根拠は何なのか。何と何と何と何を足してこういう数字になったのか、それがわからなければ公開したことにならないでしょう。  だから、私は再三要求しているのだけれども、あなたたちは絶対出さない。例えば浦安の団地の今言ったような予算の関係の詳しい資料を、浦安にしても多摩にしても出さないのです。そういうものをどうして出さないのですか。
  61. 梅野捷一郎

    ○梅野参考人 お答えいたします。  全体のディスクロージャーにつきましては、特殊法人の財務諸表等、あたかも数字を適当につくっているということは決してございませんで、定めに従ってきちんとした経理の上に立ってそれの数字を公表しているわけでございます。  また、先生からたびたび御指摘がございます、いわゆる分譲住宅の原価の問題を示せというお話かと思いますが、私どもがなぜそれを、単に秘密にしたいからということではございませんで、例えばでき上がった住宅が同様の質のものがあった場合に、例えば四千万の住宅内容的にも同じものがあった、しかし、実際に原価は、例えば公共団体や地元住民との対応に時間がかかったもの、五年かかったケースと一年で済むケースではそれで金利が違うわけでございますし、土地の条件によっては、大々的なくいを打たなければいけない場合もあるし、基礎は普通のことで済む場合もあるわけでございます。そういたしますと、ただいま申し上げたようなケースで比較いたしますと、お客様から見た場合には内容は全く同じような四千万円の住宅が、原価としては明らかに違うわけでございます。  したがって、いつも申し上げておりますように、四千万円という売り値の場合に、プラスの場合もマイナスの場合もございます。その原価をあわせて公表した上で四千万円を並べてお売りするということは、私ども事業としては、私どもも市場で売っているわけでございますから、それがどうしても公開ができないということで、お示しができないということを申し上げていることを御理解いただきたいと思います。
  62. 石井紘基

    石井(紘)委員 委員長、私は、これから売らなければならないようなものについて、原価が幾らでどうだこうだというようなことはなかなか、そうはいっても現実には、一々洗いざらい全部腹のうちを出して、そして買ってくださいというのも、こういうものは幾ら国がやっていることとはいえ売買ですから、それなりの作戦はあるのでしょうから、そういうことを言っているわけではないのです。  国の予算を使って国の機関としてやっているわけだから、その予算をどういうふうに使っているのか。大きな団地をつくる、そうすると、それは一体事業規模はどのくらいの規模考えられて、そしてそれに対する建設費とか、あるいはそういうものをどのくらい見込んで、そしてそれを幾らで売れるということでもって収支の見積もりを立てたんだということを、過去のことを出してくれ、こう言っているわけですよ。  これからやるものは、いろいろ土地の売買値段にもかかわってくるでしょうから、そういうものを一々これだけで買いたいなんてそんなことを言っているわけではないので、過去のことを言っているわけで、そんなものを出さないというのはおかしいので、それはひとつ委員長において、理事会でもって検討していただいて、委員会に提出を求めるようにぜひお願いをしたいと思うのですが、委員長いかがですか。
  63. 遠藤乙彦

    遠藤委員長 ただいまの申し出の件につきましては、理事会において協議いたします。
  64. 石井紘基

    石井(紘)委員 ありがとうございました。  では、最後に、会計検査院に来ていただいておりますので、先ほど来言ってまいりました、疑惑といいますか、大変疑惑に満ちた不明瞭な経理がこの分譲住宅の売買において行われてきたわけですね。ですから、この点、住都公団は必要的検査対象になっておりますので、会計検査院はぜひこの点に着目して検査をしていただきたいというふうに思うのですが、検査院はいかがでしょうか。
  65. 大濱正俊

    ○大濱会計検査院説明員 お答え申し上げます。  住宅都市整備公団の検査につきましては、ただいまお話がございましたように、必要的検査対象、重要な検査対象でございますので従来より検査をしているところでございまして、ただいま御議論のありました分譲住宅についても検査をしているところでございます。  ただいまの御議論の点につきまして、公団より事実関係確認するなどして検査に当たってまいりたいというふうに考えております。
  66. 石井紘基

    石井(紘)委員 ありがとうございました。では、ぜひひとつ今の点を念頭に置いて、十分な検査をやっていただきますようにお願いします。  まだ少々時間がございます。また来週もこの建築基準法については御質問させていただく時間がありますので、きょうは一つだけ。  いわゆる、これまで行政がやっておった確認検査の事務を今後は団体あるいは株式会社を含めた民間の団体等にもやらせるということであります。そうはいっても、これは信用も大事ですし、それから、検査ということになればそういう能力も大事だし、中立性というか、何はともあれ信頼できなければだめですね。というようなことだとか、それからまた全国、たくさん仕事があるわけですから、どのぐらいの規模のものをどのぐらいつくっていきたいというふうに考えているのか、ちょっとそこを伺いたいのです。
  67. 小川忠男

    小川政府委員 今回の大改正でかなり思い切って創設したわけでございまして、何分にも今まで経験のない領域でございます。したがいまして、現段階で、どのくらいの数かというふうなことを自信を持ってお答えできる状況にはございません。ございませんが、ただ基本型はやはり、民間として認知する以上は、民間企業が一つのマーケットを形成して相互に自由競争、適正な競争が働くというふうなことを一つのイメージとして持ちたいと思います。その意味では、それなりの数がそれなり地域ごとに創設されるというふうなことをやはり念頭に置いて制度は運用したいと思います。  それから、公平性とか効率性の話でございますけれども、当然でございまして、やはり役職員のあり方の問題、兼業禁止の問題それから、当然法制的には、役職員に対してはみなし公務員としてきちっとした守秘義務を規定しているとか、それなりの手だては講じたつもりでございます。
  68. 石井紘基

    石井(紘)委員 ではいつごろまでに、例えば二年先か三年先ぐらいまでに全国このぐらいそういうものをつくりたい、あるいはどのぐらいを指定したいとか、では十年先になったらもう十分需要に対応できるとか、そういうビジョンというものは何かないのですか。
  69. 小川忠男

    小川政府委員 ビジョンを持ってそのとおりに世の中を動かしたいと思いますが、こういうふうなものは申請を待ってというふうなことでございますし、ただ、気持ちとしては、きちっとしたマーケットの環境を行政としては整備することによって、いろいろな形で民間の機関が創設されるという機運を醸成したいというふうなことでございます。
  70. 石井紘基

    石井(紘)委員 気持ちだけでは大変困るわけでありまして、法律を一生懸命こうやってつくるわけですから、やはりそれが実効性あるものにならなければならないわけですね。それでまた、何かぼやっとさせておいて、一方では建設省が何か着々と公益法人みたいなものを地ならししていくというようなことでは、またそんなことをやられたのでは困るのですよ。  それは基本的にはやはり民間の、特に中小の建設業でもって圧倒的に建設事業が成り立っているわけですから、そういうところに十分な配慮をして、その活力を盛り上げていくということに最大の配慮をしながら、そうした建築確認検査というようなものを進めていくべきだということを強く申し上げるとともに、先ほど来、住都公団にいろいろやってきたことは、一番の責任建設省ですからね。建設省が指導監督権限を持っているわけですから、責任をとるとなったら、大臣の次には小川さん、住宅局長ですからね、しっかりやってくださいよ。きょうは小川さん、いいことしか答弁しないものだから、住都公団の方は答弁もらえなかったけれども、そういうことでございます。  ありがとうございました。
  71. 遠藤乙彦

    遠藤委員長 樽床伸二君。
  72. 樽床伸二

    樽床委員 民主党の樽床伸二でございます。  ただいま石井議員の方から、質問の最終盤におきまして、民間検査機関、そういったことについての質問があったわけでありますが、そういうようなものを引き継ぎながら質問させていただきたいと思います。  まず、本日は、いろいろ、前後におかれまして多くの先生方が質問される予定、またこれまでされたと思います。質問等々に若干重複がありましたらお許しをいただきたい、このように考えておりますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。  まず、私ども、御省からいただきました資料を見ておりますと、一番冒頭に、今回の民間開放に対する背景としまして、建築主事の方の数が非常に少ない、それに比べて着工件数が大変多い、こういう説明をいただいております。これは恐らく事実であろうと思います。主事の方は一人当たり年間六百件を見ておるのだ、こういう話であります。年間六百件といいますと、一年三百六十五日でありますから、一日一つ以上、しかもお休みがありますから、一日二つ以上、二つか三つをこなされておる、こういうことでありまして、これはかなりきついなというふうには思います。  あわせて、いただいておる資料で、人口十万人当たりの建築行政職員数、日本は五・八人、アメリカは二十四・三人、オーストラリアは二十三人、こういう例示をしていただいておるわけでありますが、これを書かれたということは、日本もアメリカ並みに近づけたい、しかし、公務員の数をふやして対応するにはこれはどうも限界がある、だから民間の方の力もいただきながら、民間の方の数も含めて、アメリカ並みまで追いついていこうというような意図があるのかないのか、まず冒頭にお聞かせいただきたいと思います。     〔委員長退席、井上(義)委員長代理着席〕
  73. 小川忠男

    小川政府委員 現在の建築主事の実力といいますか体制でございますが、今お話しになりましたように、いろいろな比べ方があろうかと私は思います。思いますが、やはり諸外国に比べて、現在の日本執行体制が極めて貧弱であるというのは、立場上言いにくいのですが、事実だろうと思います。  ただ、若干敷衍させていただきますと、建築物の生産形態というのですか、事業形態、各国によっていろいろな形態がございます。また建築確認、建築規制体系も国によって違います。例えばフランスあたりについていいますと、建築確認という概念そのものがございません。すべて民間が保険制度によって自律をしている。ところが一方で、例えばアメリカを見ますと、日本の実力に比べますと一けた多い体制検査体制をしいているという状況がございます。  それで、では私どもはどちらを選ぶのだというふうなことでございますが、一つには、当面の体制としては、今お話しになりましたように、建築主事体制は強化したいと思いますが、建築主事だけでというにはおのずから限界があることは認めざるを得ないと思います。したがいまして、民間というふうなものに着目をした上で、民間に機能の一部を担当していただいて、民間建築主事を合わせた総合的な執行体制として飛躍的な強化を図りたいというのが本音でございます。  ただ、飛躍的な強化を図るときのターゲットを、ではおまえらどの辺に置いているのかと言われますと、アメリカと言いたいのですが、残念ながらこれは一けたレベルが違います。したがいまして、アメリカには及ばないまでもが、とにかく体制の強化をできるだけ早くしたいというのが現段階での偽らざる気持ちでございます。
  74. 樽床伸二

    樽床委員 非常に率直な御意見であったようにお聞きをいたしました。  今局長の方からお話がありました中で、ヨーロッパとアメリカはもともとの発想が違う、こういう話でありましたが、我が国はアメリカみたいな広い国土があるという国ではありませんし、いろいろな国土の形態を見ておりますと、我が国としてはどうもヨーロッパに近い発想をした方がいいのではないかというふうに私は考えておるわけであります。今局長の答弁を聞いてさらにそれを思ったわけでありますが、ヨーロッパのような形態に根本の発想そのものを変えていくというようなことは、今回の改正において考えられたのか考えられなかったのか、経緯がもしおわかりでしたら教えていただきたいと思います。
  75. 小川忠男

    小川政府委員 率直に申し上げまして、現在、先ほど申し上げましたようなフランス的な形態を現実の政策の土俵、議論の爼上にのせたというふうな実績はございません。  といいますのは、客観的なマーケットといいますか市場環境の成熟度合い、風土が余りにも違い過ぎている。したがって、今直ちに検討の爼上にのせる枠組みではないというふうなことで、少なくとも現在の建築基準法確認という概念を前提とした上で、それを質的に補強するというふうな体制いかにあるべきかというふうな観点での検討を積み重ねました。
  76. 樽床伸二

    樽床委員 行政的な立場からいたしますと、やはり物事を変えていくときに、できるだけ混乱が少ないように、そういう配慮をしながら物事を変えていく、ソフトランディングをしながら制度を徐々に徐々に変えていこう、こういうふうにお考えになるのは至極ごもっともなことでありまして、それを何ら否定するものではありません。  しかし、本当にソフトランディングをすることによって物が変わっていくのかどうかということは、変わっていく場合もあるだろうが、変わっていかない。それは要するに、口だけで変わっていくと言っておりながら、結局は、ソフトランディングということを目指せば、物が変わるのはとまってしまうのじゃないかという気が私は大変強くしておるわけであります。  ちょっと話が飛んで恐縮でありますが、その一つのことが、性能基準を今度導入しよう、こういうことでありますね。これまでの仕様規定から性能規定に変えていく、これはかなり大きな転換でありますね。私は、これは決して間違った方向だとは思っておりません。  しかしながら、ソフトランディングをしなければいかぬというようなことから、仕様規定も残す、こういう御決定を御省の中では今されておられる。聞くところによると、これを永久に残していくようなことを聞いておるわけでありますが、これはちょっと中途半端ではないのかというふうに私は今考えておるわけですが、ちょっとそこら辺について御意見はございませんでしょうか。
  77. 小川忠男

    小川政府委員 仕様規定と性能規定の両者の関係でございますが、一つには、仕様規定というのは、制度運用が硬直的だという面はございますが、非常にわかりやすいというメリットが一方にございます。一方、性能規定というのは、技術的には相当程度難しい点があろうかと思いますが、日進月歩の技術革新には速やかに対応できるというメリットがございます。  両者の関係でございますが、両者並列制の形で制度を構築してございます。それは、一つには、性能規定を使いこなすのはそれなりの技術力があるところというふうな面があろうかと思いますし、例えば大工工務店さんが設計をされる、工事をされるというふうな場合には、性能規定でみずから技術を開発するというよりは、既に確立されている仕様を使って設計され工事をされるというのが現実的だという判断がございます。その意味では、当面の間はという要素は何分の一かはございます。  ただ、本来的に性能規定と仕様規定がどちらか一つに収れんすべきものなのかというふうなことを考えた場合に、私どもはやはり最後まで併存するものだと思っております。  といいますのは、性能規定を条項適用することによって新しい技術が日本建築基準法体系に受け入れられたとした場合に、第一歩を踏み出すときには性能規定が威力を発揮するわけです。ただ、第一歩を踏み出して、日本の法制下でオーケーだといって、それがあちらこちらで使われ、定型化し類型化し普及した場合には、ある種の仕様に転化すると思います。仕様に転化した場合には、それをもう一度法制的にも仕様規定として認知した上で、個々の認定とかなんとかではなくて、その仕様は類型的に認めるというふうな形で、もう一度位置づけ直すというふうなプロセスをたどると思います。  したがいまして、性能規定と仕様規定の関係については、過渡的には大工工務店対策という点は否定いたしませんが、ただ、構造的な問題としても、やはり新しい技術を生み出すプロセスを認知する性能規定の考え方と、それが定型化、定着した場合には仕様規定に実は質的転化を行うというふうな形で、その仕様さえ満たせば全国どこでも結構ですというものに切りかわっていくというふうなメカニズムがございますので、両方は併存するので、腰が引けているという感じとはちょっと違うと私は思います。
  78. 樽床伸二

    樽床委員 局長の答弁を聞くと、非常によく理解はできるのでありますけれども、どうも我が国のいろいろな法体系を見ておりますと、継ぎ足し継ぎ足しで物事をされているわけなんですよね。  一つの法体糸がある。新しいものを改正する。そうすると、それに屋上屋を重ねるとは言いませんけれども、継ぎ足しながら、もともとある法体系を何らつぶさないで、その上にプラスオン、プラスオンしていくわけですね。  そうすると、例えば新しくプラスオンした法体系をAという概念で考えたとしますと、Aという体系は、Aが完全に独立して更地の段階からその法体糸が機能したとすると十の効果を生み出すということがあったとしても、既存のところにプラスオンしたおかげで、十の効果が非常に減退されて、結局は一とか二とか三ぐらいの効果しか発生しない。逆に法体系がややこしくなってしまってようわけがわからぬ、こういうことになっていくのではないか。そういうことだらけではないかという気が私は大変強くしているのですね。  これは、理屈でいかにきちっと法体系を整合性をつけたとしても、あくまでも機械がやる仕事ではありませんで、人がやる仕事でありますから、コンピューターが我々の頭の中に、まあ人の頭というのはコンピューターよりも精巧かもわかりませんけれども、そういうことについては能力的にはちょっと違う能力でありますから、本当にそこまできちっとすっといくのかなということについて、一抹といいますか二抹というか、それぐらいの大変大きな感念を私は持っておるわけであります。  確かに、性能規定で安定したら仕様にすれば非常に単純じゃないかということですが、それが定着すれば別に仕様規定がなくてもそのままいくのじゃないんですか。性能規定で統一することによって、こういうものはこういう性能があるからいけるというふうに、私は別に仕様規定を残さなくても大丈夫だと思うのですね。  それをあえて残して仕様にしてしまうということが、逆に新たな技術革新を生む効果を減退させてしまうのではないかという懸念をどうしてもぬぐい切れないわけでありまして、もう少し納得できるような御答弁がいただけたらありがたいわけでありますが、いかがでございましょうか。
  79. 小川忠男

    小川政府委員 若干、私自身の頭の整理の中で、仕様規定と性能規定が併存というのを構造的に組み込んでインプットされ過ぎているからかもしれませんが、なかなかうまい御説明はしにくいのでございます。  性能規定を適用する場合の手続と仕様規定を現実の分野に当てはめる場合の手続というのは、それなりに違います。仕様規定の場合には類型的にはっきりしていますから、見ればすぐわかるという意味で非常に便利だというふうな点がございます。その意味ではやはり、ある程度普及をして類型的に熟度が高まれば、単なる性能規定の条項のままほうっておくよりは、きちっとした形で定型化し仕様規定化した方が普及スピードは速いし、現実行政実務もあるいは設計者の方もやり方は楽だという現実的な要素というのがつきまとっていると思います。
  80. 樽床伸二

    樽床委員 余りこればかり議論しておりますと、時間が経過しますので、このことについてはこの程度にいたしたいと思います。  その一番最初にある問題意識というのは、先ほど言いましたように、継ぎ足し継ぎ足しの法体系を続ける限りは、私は、かえって物事は混乱して、うまくいくものもうまくいかなくなってしまうということを大変強く懸念をしておるわけであります。非常に抽象的な意見で申しわけないのですけれども一つ新しい制度をつくったら、もう要らなくなった制度はやめてしまう。こういうふうに、すばっすばっと区切りを持ちながらやっていかないと、何かもう結局は重箱の隅をつっつかないとわからないようなことに今でもなっておるわけでありまして、さらになっていくことを大変強く懸念をしておるところでございます。  そういう前提を置きまして、連担建築物設計制度、仮称でありますが、このことについて若干今私が基本的に持っております問題意識から質問をさせていただきたいと思うのです。  聞くところによると、この連担制度というのは、全国どこでも構わない、要は、土地を持っておられる方がお隣同士で、うちはいいですよ、うちもいいですよと合意さえすれば、日本全国どこでもいい、駅前でもいいし山の奥でもいいという、まあはっきり言ったらそういうことだというふうに聞いております。  そういうことでいきますと、この連担制度というのは、私は、特例と位置づけるのはおかしいのではないかというふうに思うのですね。要は、これは土地それぞれに個別に対応するという発想を根本的に変えた、合意さえすればいいということにつながっていくのだろうというふうに思っておるわけでありまして、これを特例制度というふうに位置づける発想がちょっと問題ではないかというふうに私は思っておりますが、いかがでございましょうか。
  81. 小川忠男

    小川政府委員 特例という意味合いについても幾つかあるかと思います。地域的に極めて限られたところでしか適用されないという制度ではない、全国的に普遍的に使えるという意味では決して特例ではなくて本格的な制度でございます。ただ、特例という意味合いでございますが、実は連担建築物設計制度、今先生の御指摘、非常に建築基準法基本的な枠組みそのものにかかわる基本的な御指摘だと私は思います。  その意味で、ちょっと時間を拝借いたしたいのでございますが、日本建築基準法基本的な前提は、一建築物一敷地、一つの敷地に一つの建築物があるという形ですべての法制は構築してあります。ということはどういうことかといいますと、建築基準法でいろいろな規制、集団規制、単体規制を建築物にかけるときに、隣にどういう建物が建つかというふうなことを一切とにかく無視して、その敷地に合った規制さえ満たせば、隣がどういう建物であっても法制上はオーケーだ。  したがいまして、現実的にどういう事態が起きるかといいますと、例えば、隣にスーパーの駐車場がある。そうすると、その隣に家を建てたいというときに、隣は駐車場だから日陰になってもいいじゃないかというふうな発想というのは常識的にあり得ると思います。あり得ると思いますが、日本の法制は、隣がスーパーの駐車場でも新しい戸建て住宅が建ち得ることもあるわけですから、戸建ての住宅が建っても規制は変えませんということですから、したがって、戸建て住宅が建った場合も念頭に置いた上での規制になっているわけです。  その意味では両面ございまして、一つは、隣が何が建つかは別として、規制さえ守っていれば建築は自由にできるという意味で建築自由でございます。ただ、その意味で、もう一歩、裏返しますと、そのかわり隣に何が建っても大丈夫という枠組みで規制を構築しますという意味で、見方によってはやや負担の大きい規制体系として構築してあるという面が反射的に出てまいります。  したがって、今回の連担建築物設計制度というのは、隣に何が建ってもということではなくて、隣にこういう建築物がある、例えばスーパーの駐車場がある、あるならば日影とかほかの規制はいいじゃないかというふうな形で、隣に建物ありきを前提とした上で規制内容をチェックしますというふうな話でございます。その規制内容のあり方は、包括的、定型的に定められている基準法の規制を離れて、特定行政庁が、隣に何があるかということを前提にした上で規制内容を再編成しますというふうな形になっているわけでございまして、その意味で、一建築物一敷地、あるいは一敷地一建築物という基本的な法制に対する特例である、実はこういうふうに申したわけでございます。  法制的には特例でございますが、日本の建築物の現状、敷地の現状考えますと、これがどんどんと使われるというふうなことで活用をしてもらいたいという気持ちはございますが、制度の原理原則からすれば、今申し上げたような、くどくて恐縮でございましたが、日本基本法制に対する特例を構成しているという点は御理解いただきたいと思います。
  82. 樽床伸二

    樽床委員 いや、私は、この連担制度について、賛否両論、またいろいろな個々人の方の意見があるでしょうけれども、やってみないとわからないというところが人の世の常でありますから、こういう試みをやってみようというのは一つの試みであるというふうには思っております。  ただ、今申し上げましたように、局長もおっしゃいましたように、かなり発想の転換が行われているわけですよね。極論すれば、ここから東京駅までずっと、土地というのは必ずつながっていますから、隣接しているところがみんな合意すればこれは全部同じ発想でやってもいいという、そこまで極端にはいきませんけれども、それが可能な制度ですよね。特に、都市部の密集しているようなところであると、合意すればこれはかなり所有を離れて面的な整備ができるということに法的に完全になっていくわけですよね。そうすると、特例という形でこれを限定してしまうと、逆にこれが皆さん方が思っているような広がりを、制度そのものが理解してもらえる広がりを持たないのではないか。  だから、怒られるかもわからぬけれども、怒られるのを覚悟で、かなり発想を転換した制度ですよというふうに逆におっしゃった方が、この制度を生かすのだったらその方が、まあかなりの反対はあるかもわかりませんよ、でも物事を新しくしていくには必ず反対というのはあるわけですから、それを怖がれば何も物は変わらないということですから、こういう発想の転換をされたのだったらはっきりそれをおっしゃったらどうですかというふうな意識が私にはあるのですが、いかがでしょうか。
  83. 小川忠男

    小川政府委員 お答えいたします。  役人としては、基準法特例ではございますが、この制度日本の町並みをつくりかえていくための大きな道具としたいという意味で、今度は気持ちの問題としては、これが原理原則である、基本型であってほしいというくらいの思いで運用させていただきたいと思います。
  84. 樽床伸二

    樽床委員 かなり熱意を持ったお気持ちをお聞かせいただきました。  特に、地元の話を言うのもなんでありますが、過密住宅、特に木賃住宅等々が大変たくさんあるというのが私どもの住んでおります地域で、こういうところで考えていると、もう例えば極端なこと、五坪とか十坪とか、そういうふうに所有が分かれているような土地があるわけなんですよね。そこに人はちゃんと生活しているわけですから、物差しで引いたようにばさっとすべてをやりかえるということはできないかもわかりませんが、そういうところでいうと、点で土地を見ている発想から、点ではなくて線、それが面という見方で土地を見ていく、限られた資源を見ていくという発想は私は重要ではないかというふうに考えておるわけでありまして、こういうものをつくるという決意をされた以上は、本腰を入れてやっていただきたい、このように思うわけであります。反対があって、これをちょっと逃げながらやっていこうというのであるならば、初めからこういうことは提案されない方がよろしかろうというふうに私は考えるわけでありまして、一度提案された以上は、性根を入れてやっていただきたい、このように思う次第でございます。  残りがあと五分ということでございまして、五分ということになりますと、これからまた新たな質問をいたしましても時間が中途半端になります。今数点につきまして質問をさせていただきましたけれども、とにかく、今建設行政に対してさまざまな角度からいろいろな意見が寄せられておるわけでありまして、それが一つ一つその人なりの真実も含まれておりますでしょうし、何が全体から見て正解か間違いかということは一概には言えないだろうというふうに思います。しかし、そういう中であればあるほど、明確な方針を立てたならば、先ほどもこの連担制度でも申し上げましたように、とにかくひるまないという姿勢がなければ、常に途中でとんざしてしまうということになると、これは転換期の行政はもう何をやっておるのかよくわからぬ、こういうことになるわけでありまして、そこら辺のしっかりとした指針を持った、いろいろ風当たりが強ければ強いほど建設行政について性根を入れた行政の運営をしていただきたい。  大臣に対しましては特にその点を心よりお願いを申し上げる次第でございまして、もしよろしければ、一言決意のほどを聞かせていただきましたら質問を終わらせていただきたいと思います。
  85. 瓦力

    瓦国務大臣 樽床委員から激励もちょうだいいたしました。  我が国の経済社会は今大きな構造的変革をいたそうとしておるときでございますし、また、その分野で見まして、住宅も大きな変化の中にあるわけでございます。戦後五十年、昭和二十五年に法制定されて以来の抜本改正でございますが、この間に海外とのいろいろな障害を超えて取り組んでいく課題もありますし、我が国住宅阪神・淡路の災害によりましてさらに安心なものを得られるか、そういったことを目指してまいりますときに、このたびの建築基準法改正というのは時代を画する改正である、こう考えております。  全力を挙げて取り組んで、国民にもよく理解をしていただきたい、こう思っておるわけでございまして、民間の力も得ていくわけでございますから、本委員会を通じまして、委員の真摯な御議論、御質問をちょうだいしながらその方向に向かって努力をしてまいりたい。  樽床委員の御質問に対しまして感謝を申し上げて、所感の一端を申し述べることとさせていただきます。ありがとうございました。
  86. 樽床伸二

    樽床委員 以上で私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  87. 井上義久

    ○井上(義)委員長代理 川内博史君。
  88. 川内博史

    川内委員 民主党の川内でございます。  大臣が恐らく一時間半ぶりぐらいに御発言されたのだと思うのですが、私もまず最初に大臣にお伺いをさせていただこうと思っております。  と申しますのは、この建築基準法改正規制緩和の流れに沿って五つの大きな柱で構成をされておりますが、私は、制度とか枠組み規制緩和へ向けてつくっていくという上では大変にすばらしい改正考え方であろうというふうに感じております。  ただ、今大臣樽床委員への御答弁でもございましたけれども、経済的には大変に厳しい状況でありまして、五月十二日に経企庁の出された月例経済報告等でも、「住宅建設は、このところおおむね横ばいで推移しているものの、依然その水準は低い。」というふうに出ておりますし、建設業を取り巻く環境というものが、なかなかお金が流れ込んでこないという厳しい状況の中では、せっかくいい規制緩和で安全な、良質な建物をどんどん建ててくださいよという制度をつくっても、実際にそこに建物を建てるだけの経済の状況がなければ、制度自体が絵にかいたもちになってしまうことも考えられるわけでございます。  実は私は、建設委員会の常任のメンバーではなくて、きょうは、委員長あるいは理事皆さん委員皆さんにお許しをいただいて質問の機会をいただいたわけでありますが、昨年の十二月三日に開かれた当委員会でも私質問をさせていただきました。そのときに、当時成立いたしまして今般また改正されることになった財政構造改革法について、公共事業が七%削減されるということに関して大臣の御意見を伺ったわけであります。  そのときの大臣の御答弁が、財政がなかなかついてこないということについて賛成なのか反対なのかというようなことでありますが、「今申し上げましたとおり、私どもは、財政再建という喫緊の課題と、また景気を一方におきましてしっかりさせていかなきゃならぬということと両輪を持っておるわけでありますので、血を出し、苦労して、何とかこの窮地から脱却したい、」というふうに御答弁をされていらっしゃいまして、結局賛成とも反対ともおっしゃらなかったわけであります。  今般、財政構造改革法が改正されるということで、この機に乗じて、橋本総理は、まあ自分がこの財政再建というものをにしきの御旗にして法案をおつくりになられたわけですから、大枠は変えずにということを盛んに強調されていたわけでありまして、それは私は理解をするところであるわけですけれども建設大臣として、せっかくの改正のチャンスだから公共事業のキャップを外してしまえという、建設大臣としてこの財政構造改革法をなし崩しにしていくような動きをされるべきではなかったのかな、そういう意味では小泉厚生大臣は割と仕事をされたのかなというふうに私は見ているわけでございます。  まず、瓦建設大臣に、この改正について、公共事業のキャップを外すように積極的に対応するというお考えはなかったのか、また、いろいろ動いては見たけれどもだめだったのかということについてお伺いをさせていただきます。
  89. 瓦力

    瓦国務大臣 川内委員にお答えをいたします。  御案内のとおり、今般の財政構造改革法の改正は、中長期的に見まして我が国財政の構造を改革していくために、法の基本的な骨格であります主要な経費に係る量的縮減目標の仕組みと財政健全化目標は堅持しつつ、現下の厳しい経済情勢にかんがみ、必要最小限度の修正を行うものである、かように総理は答弁をしておられるわけでございまして、私は、基本的に財政構造改革というのは——今日まで右肩上がりに我が国の経済が伸長してまいりました。また、今日国際化を迎えて、いろいろ体質を変えていなければならぬ問題もありますし、少子・高齢化社会が急速な勢いで訪れるわけでございますから、いずれにいたしましても、財政の問題、基本は中長期的に見てしっかりしておくことが我々政治家の大事な役割だ、こう思っておるわけでございます。  しかし、こうした中で、御案内のとおり、停滞した経済を一日も早く軌道に乗せなければならぬ、こういう問題があるわけでございまして、去る四月二十四日に政府の総合経済対策がまとめられたわけでございますが、国全体で、国費ベースで二兆六千七百七十三億円の一般公共事業費、事業費ベースでは六兆四十七億円を補正予算において計上しているところでございます。  言ってみますると、景気も軌道に乗せなければならぬ、長期にわたる財政構造改革というものも視野に置いておかなければならぬ、こういうことで、大変回りくどいわけですが申し上げておるわけでございまして、まず今般の景気対策をもちまして、何とか景気を軌道に乗せて、日本の経済というものの基盤を確かなものにしていくように最善の努力をしていくことが大切、こういう視点で考えておるわけであります。
  90. 川内博史

    川内委員 大臣いかつい顔をしていらっしゃいますので、割と行け行けタイプの方かと私は思っていたのですが、非常にまじめに御答弁をいただきましてありがとうございます。  しかし、財政出動に関しては、私はこの十二月三日の委員会でも大臣に申し上げましたとおり、政治家の決断というものは大変に重要な局面というものも出てまいろうと思いますので、大臣にはぜひさらに一層の御活躍をしていただきたいというふうにお願いを申し上げておきたいと思います。  引き続き、もう一問大臣にお伺いをさせていただきたいのですが、今回の建築基準法の一部を改正する法律案で、性能規定化というものが導入をされるわけでございます。それで、この性能規定化により、新技術の導入が可能になり、設計施工、これがますます円滑に進んでいくであろうというふうに思われるわけでありますが、建築というのはシステマチックなものでありましょうから、いろいろな分野の専門家が一つのビルなり家なりを建てるわけでございまして、それぞれの専門技術者の役割というものが、この性能規定化が、導入されることにより、さらに一層その重要性を増すようになるだろうというふうに考えるわけでございます。  特に最近は、マルチメディア等の発展もあってインテリジェンスビルというようなものがふえておりますし、省エネルギーに対するニーズというものもふえているわけでございます。そういった非常に細かな専門分野を、今のところ設計監理においては、一級建築士というような方々が、監理は別な場合が多いわけですが、設計をされていることが多いわけでありますが、新技術、インテリジェンスビルや省エネなどに対応する建物の設備にかかわる部分については、実は建築設備士という方々がいらっしゃって、この方々の役割というものが私は非常に重要になってくると思うのですけれども、今回の法改正の調査室のつくった資料等を見ましても、一級建築士、二級建築士木造建築士というようなことで、建築士関係方々のことは出ているのですけれども、その建築設備士という、全体の建物の中でも非常に高いウエートを占めている、専門的な知識、技術を持った方々がどうも明確に位置づけられていないような気がするわけでございます。  それで、今申し上げましたように、設備の重要性というものが大変に増している中で、建築士皆さん方のように明確な位置づけを建築設備士の方々にも与えて、しっかりとしたお仕事をしていただくことが建物安全性の向上などにもつながっていくのだろうというふうに考えているのですけれども大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  91. 瓦力

    瓦国務大臣 委員指摘のように、従来の日本の住居、住まいの構造物が時代とともにどんどん変化をしてまいりました。また、今日におきましては、すばらしい設計技術者でありますとか、あるいはデザインでありますとか、加えて申し上げますと、資材も相当に変化をしてまいりました。また、暖房、冷房、あらゆる分野におきましての機材もそろってまいりまして、いよいよ我が国の住環境も大きく変化をするときでございますし、もちろん、オフィスビル等におきましても顕著な変化が見られるわけでございます。  今、委員指摘のように、性能規定化ということで、すぐれた技術と高い職能倫理をあわせ持った専門技術者の役割というのが今度の改正によりまして従来以上に重要なものと位置づけられてくると思うわけであります。建築設備士の活用に当たりましては、平成九年六月の建築士法改正において、設計等の委託を受けた建築士事務所建築主に対しまして業務内容を開示することとなったことを踏まえまして、建築設備につきましても、意見を聞く建築設備士名を開示させ、資格活用の適正化を図ることを検討していくことが大切だ、こう思っておるわけでございます。
  92. 川内博史

    川内委員 今、大臣から建築士法改正によって建築設備士の名前を開示してという御答弁があったわけですけれども、もうちょっと具体的に局長の方から御説明をいただけますか。
  93. 小川忠男

    小川政府委員 二、三、補足させていただきます。  大規模な建築物を建築士が受託したときに、建築設備、例えば空調設備ですとかいろいろな機械類については一応守備範囲ではございますけれども、より詳しい建築設備士という資格を持った専門家がいらっしゃるわけでございます。したがって、設計をする場合には、実際には建築設備士にいろいろな意見を聞いて設計をするというふうなことでございますが、今までその資格の活用が必ずしも明確でないと世上言われますのは、例えば、お客さんが設計図をもらった場合にも、建築士がだれであるかはわかるのですが、意見を聞かれて実際にセットした設備士がどなたであったかというのはわからないまま世の中が動いている、実はこういう現実がございました。  それに対して、大臣から御答弁を申し上げましたのは、建築士法が昨年改正されました。その中で、建築設備士に意見を求めた場合には、そういうふうなことをお客に対して、どこどこのだれだれに対してこの部分は意見を聞いて設計をしたのだというふうなことをはっきりと明示しなければならないというふうな改正を行ったわけでございます。  その改正について、若干事務的で恐縮でございますが、来月でございますか、六月には施行をするというふうな体制で今準備をしているというふうなことでございます。
  94. 川内博史

    川内委員 それは法律の中で建築設備士に意見を聞くことができる、建築設備士とは法律の条文の中に書いてないわけですけれども意見を聞くことができるというふうに書いてあるそのことですね。
  95. 小川忠男

    小川政府委員 若干正確に補足させていただきますが、法律そのものでは建築設備士の名前をはっきりさせるというふうな条項はございまぜん。業務内容を明示する、開示するということでございます。それを受けて、建築設備士に意見を聞いた場合には、その名称等々をきちっと開示しなさいというふうなことを建設省令ではっきりと位置づける。その作業を六月を念頭に置いて今進めているという状況だというふうにお答えをさせていただきます。
  96. 川内博史

    川内委員 それは私もよく存じ上げて、去年法律の改正があったわけですから、それを踏まえて質問をさせていただいたつもりなのです。  インテリジェンスビルなどでは、設備にかかわる費用が工事費の半分を占めるぐらいに、設備工事というものが大変に高いウエートを占めるわけであります。しかも、一級建築士で建築設備士の資格を持っていない人が設備設計をするということはほぼ実務の場合ではあり得ないわけですから、その建築設備士の位置づけというものをもっと明確にすべきではないですか。建築士法を去年改正されたわけですから、その改正された中で、実際の運用として、もっと何か突っ込んだ運用があるのかということをお聞きしたがったのですけれども
  97. 小川忠男

    小川政府委員 運用面につきましてはこれからいろいろなことが起こると思いますが、ただ建築士法改正と、それを踏まえて私どもが予定している建設省令、その二つを抱き合わせてみますと、法律では、建設大臣が定める資格を有する者の氏名、これを開示しなさいと書いてあるのを踏まえて、大臣が定める資格というのは何なのだというふうなことを、具体的に建設省令でその建築設備士が云々というふうなことをはっきりした上で位置づけをするというふうなことでございますので、御指摘になっている論点のうちの少なくとも制度的に手続面ではっきりさせなさい、明確にした方がいいというふうなことについては、それなりのお答えが出せたのかなと思いますが、後はこれがしつかり守られるように世の中を監視していきたいと思います。
  98. 川内博史

    川内委員 しっかりと運用されるように、ぜひ私の方からもお願いをしておきたいと思うのです。  大臣、答弁は求めませんけれども、ぜひ聞いていただきたいのですけれども、一級建築士というのは大臣の名前で免許をもらうのですよ。二級建築士木造建築士というのは自治体の長の知事さんの名前ですね。この建築設備士は、一級建築士と同じ何とかセンターというところが試験をするにもかかわらず、大臣の名前で免許をもらえない。法律を厳格に適用すれば大臣の名前でもらえないという理由もわからなくはないのですが、似たような試験、似たようなというか内容は全然違うのでしょうけれども、建築技術教育普及センターが一級建築士も設備の方々も同じ試験をしているのに、一方は大臣の名前で免許をもらって、一方はこの建築設備技術者協会の会長の名前の免許、建設大臣が定める資格を有する者というふうに法律の中で局長は明確に位置づけたつもりだというふうにおっしゃられたわけですから、大変細かいことですけれども、その辺についてもちょっとお考えをいただければありがたいなということを、これは要望でございます、申し上げておきたいと思います。  この法律の実際の内容に入らせていただきますけれども、現在我が国においては、内需拡大というか内需の柱として住宅産業というのが大きな柱を占めていることはもう言うまでもないことでありますが、消費者というか家を建てたいと思っているようなたくさんの方たちにとっては、輸入住宅というか、体裁のいいアメリカ型の家とか、あるいはヨーロッパの家とか、そういうものを建てたいと思っていても、現在建築基準法住宅金融公庫の建築基準というものが邪魔になってなかなか思うようにいかないということも聞いていたのですけれども、今回の改正というものは、こういう外国の住宅や建材をある程度自由に使えるようになる、そういう理解でいいのかどうかということを伺わせていただきたいと思います。
  99. 小川忠男

    小川政府委員 ある程度自由にといいますか、かなり自由になると思います。  ただ、言葉を厳密に申し上げますと、今回法制で準備いたします性能基準を満たす限りにおいては、アメリカ製品であれ、カナダであれ、ほかの国の製品であれ、今までよりははるかに日本に資材、技術あるいは住宅が入ってくると思います。その意味では、いろいろな意味で外国のものをもう少し自由に使いたいというふうな一般的環境は、今までにも増してはるかにきちっとした形で整備されると思います。
  100. 川内博史

    川内委員 実際にアメリカの在日公館が、今回の建築基準法改正について、建材トレードショーというところで、アメリカで流通しているものがそのまま使えるようになるというふうに期待をしているというコメントをしたというようなことも聞いておりますけれども、そのような理解でよろしいということですね。
  101. 小川忠男

    小川政府委員 アメリカに限らず、外国が日本の建築市場のマーケットの巨大さと今回の建築基準法改正を兼ね合わせて、極めて大きい関心を持っているのは事実でございます。  ただ、もう一度厳密な意味で役人的にお答えをさせていただきたいと思いますが、アメリカの製品が自由にストレートに国内に入ってくるということはございません。それはあくまでも、これからセットする日本の性能基準の体系を満たす限りにおいて自由にこれまで以上に入ってくるという一つ制度的な枠組みがあるというふうなことは御理解いただきたいと思います。
  102. 川内博史

    川内委員 実はそこのところが結構難しいというか、市場にフリーパスにならないのではないかなというふうに私は考えているところでございまして、今回の性能規定化というのは、日本農林規格がJグレードとして米国やカナダの製品についても相互に使えるようにしているのと同じ趣旨であろうというふうに思うのです。  しかし、米国の建築法であるUBC、ユニホーム・ビルディング・コード、あるいはナショナル・ビルディング・コードを日本でそのまま今度は施工できるかというと、そうは問屋は卸さないだろうというふうに思うわけでございまして、そこが今局長がおっしゃられた、そのまま完全に使えるということにはならない、性能規定、性能基準を満たさなければいけないという御答弁になるのかなというふうに思うのです。  私は、NBCについてはちょっとあれですけれども、UBCについては日本でも十分施工にたえ得るのではないかというふうに考えているのですけれどもいかがでしょうか。
  103. 小川忠男

    小川政府委員 性能規定化をいたしますと、基準そのものは最終的には数値基準でございますので、気候ですとか市街地の形状の特性といった要因を別にすれば、純粋に技術的な要因によって決まるような基準というのは、多少時間がかかるかもしれませんが、おのずから国際的に統一される方向に動いていくと思います。  ただ、今UBC、アメリカ西部地域のモデル基準でございますが、お話がございましたけれども、それぞれの基準の中には、やはり、市街地とかあるいは地震があるとかないとか、火災に対して神経を使わざるを得ないとか、あるいはそうではない、おおらかだとか、いろいろな意味での、市街地、風土、気候あるいは自然災害、相違がございます。その意味では、UBCの基準の中でも日本にそのまま当てはめた場合には多少問題ありと言わざるを得ない条項もございます。  その意味では、例えば一つだけ申し上げますと、火災に対する危険性の度合いというのはアメリカと日本ではまるっきり違います。例えばUBCの基準を日本に当てはめますと、例えば東京、大阪の既成市街地の連担地では住宅がほとんど建てられなくなる。隣地境界線から一メートル以内の場合には開口部を設けてはいかぬ、こうなっています。そうすると、日本ではほとんどだめ、こうなります。  その意味では、やはり各国それなりの基準というのはかなりの期間存在せざるを得ないと思いますし、恐らく相互の国でいろいろな制度調整が行われるのはあるとは思いますが、基準としては、やはり日本の基準に従っていただかねばならないという基本原則は崩すわけにはいかないと思います。
  104. 川内博史

    川内委員 休憩前の最後の質問にさせていただきたいと思います。  今局長、いろいろな問題があってUBCはそのまま使えない、例えば隣地境界線から一メートル云々という御答弁があったわけですけれども、ではその部分を若干変えてやればいいではないかというのが私の考え方でございまして、適合しないところは日本流にアレンジをすればいいということでございます。  今局長から、UBCというのはアメリカの西海岸のものであると御答弁の中にあったわけですけれども、アメリカの西海岸といえばこれはもう地震の大変多いところでありますし、UBCで施工された建物日本安全性よりも劣るということは言えないというふうに思うのですけれどもいかがでしょうか。
  105. 小川忠男

    小川政府委員 ただいまおっしゃいました、日本に当てはめても差し支えがないような分野というのは、結果としてUBCの基準と日本の基準がほぼ同じような基準になるというふうなことと実は同義ではないかと思います。  ただ、私がもう一つ申し上げたいのは、建設省の役人が言うのはいかがかとは思いますが、日本の法制度とアメリカその他の国の法制度があったときに、やはり日本日本の法制度である。ですから、アメリカの法制度日本にそのままということはあり得ない、日本の法制度がアメリカでそのまま適用になることがあり得ないのと同じ裏返しにおいて、それは絶対にあり得ないというふうなことを申し上げたわけでございます。  結果として双方が同じような基準になるというふうなことは、技術的なものであればあるほど大いにあり得ることだと思いますし、それはお互い努力して、時間はかかるかもしれませんが、国際規格の統一というふうなことは、恐らく時代の趨勢としてそういう方向に行くと思います。  ただ、その場合でも、やはり風土とか気候とかあるいは市街地の特性という固有の状況がございますので、それはそれぞれの国がそれぞれの責任対応すべきことであるというふうなことであろうかと思います。
  106. 井上義久

    ○井上(義)委員長代理 この際、休憩いたします。     午後零時三十四分休憩      ————◇—————     午後一時三十五分開議
  107. 遠藤乙彦

    遠藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。川内博史君。
  108. 川内博史

    川内委員 残りあと三十分でございますけれども、まず、ハーフタイムが入りましたから前半戦のおさらいをさせていただきたいのです。局長、済みません。  冒頭でお伺いした建築設備士について再度確認をさせていただきたいのですが、六月に省令をつくって、建築設備士については明確に位置づけが図れるように設計図書の中にその名前が明記されるように指導をしていくという御答弁であったということでよろしいでしょうか。もう一度お願いします。
  109. 小川忠男

    小川政府委員 最終的には契約書面ではっきりさせるというふうなことで結構でございます。
  110. 川内博史

    川内委員 ありがとうございます。よろしくお願いを申し上げます。  それから、前半の最後の部分で、UBCのことについて、日本建築基準法と最終的に似たようなもの、同じようになることは大いにあり得ることであるというふうに局長は御答弁されたわけでありますが、では建設省さんの方針として、結果として同じようなものになってしまうのか、それともなるべく世界の基準に合わせていこう、相互に乗り入れができるようにしていこうというふうに方向として持っていくのか。それは大きな差があると思うのですが、建設省さんの政策としては、同じようにしようというようなことは考えていない、しかし結果として同じようなことになることはあり得るということなのかということを御答弁をいただきたいと思います。
  111. 小川忠男

    小川政府委員 日本のいろいろな現実考えた場合に、最後まで日本国有の枠組みというふうなものは残ると思います。思いますが、それ以外の非常に技術的な分野についていいますと、よくグローバルスタンダードというふうなことが言われます。私どもも、政策努力の問題として、建築規制の分野において国際規格というふうなものとできるだけ整合性を図っていくというふうな方向で考えたいと思います。
  112. 川内博史

    川内委員 その辺についてもちょっと明確になったのかなという気がします。  続いて、建築基準法改正の趣旨の説明等でもあるわけですけれども阪神・淡路の大震災でたくさんの建物が全壊、半壊、一部損壊、被災をした、したがって安全基準を見直していかなければならないというようなことが理由として出ているわけです。  しかし、阪神・淡路の大震災でたくさんの建物倒壊した理由は何なのだろうかなということを考えると、我が国というのはもともと基準は大変厳しいというふうに私たちは素人としては聞いているわけでございまして、その厳しい建築基準で建てられた建物がたくさん倒壊をするということはちょっと矛盾しているな、もともと建築基準法で予定をされている建物安全性そのものに疑義があるのではないかということも感じるのですけれども、そのあたりについての御見解はいかがでしょうか。
  113. 小川忠男

    小川政府委員 阪神淡路大震災で五十万棟を超える建築物が被害を受けたというのは、まさにそのとおりでございます。ただ、基準法との関係について申し上げますと、二つの節目があろうかと思います。  一つは、倒壊した建物の相当程度が現在の建築基準法以前の古い建物であった。それが相当程度あるというのが一つございます。  それからもう一つは、建築基準法施行以降ではございますが、五十六年というのが基準法にとっては大きな節目の年になっております。新しい耐震基準が施行になったのが五十六年でございます。  それで、基準法の施行以前、それから五十六年の新しい耐震基準以降というふうに時期を分けますと、五十万棟の被害の分布状況は、新しい現在の耐震基準でつくられた建築物については、少なくとも大破をしたという建築物は極めてわずかでございます。  例えば、被害として激甚な被害を受けました三宮地区、先ほど申し上げたと思いますが、悉皆調査の結果がございます。大破した建物が二百数十棟ございます。それを時代別に分けますと、新しい建築基準ができた五十六年以前の建物が九十数%を占めております。新しい基準でつくられたものは数%ございますが、それは、今になって思えば、やはり余りにもバランスが悪過ぎるとか、あるいは、言いにくい話でございますが、施工不良があったというふうなもののたぐいでございます。  したがいまして、少なくとも現在の建築基準法を遵守していただいている限りには、基本的には、阪神・淡路級の大震災においても致命的な被害を受けることはないというふうに考えております。
  114. 川内博史

    川内委員 今の局長の御答弁で、この建築基準、新しい耐震基準にのっとった建物はほとんど倒壊をしていない。そういう意味では、法律に裏づけられた建物というのはある程度安全性というものが保証をされているのだなということを感じているのです。  そこで、もう一度UBCの話に戻るのですけれども、アメリカの耐震基準、アメリカの有数の地震地帯である西海岸地帯の規制をクリアしているこのUBCという基準を日本でも使えるようにすることが、私は、住宅コスト日本では家を建てるときに、もう一大決心をして何千万という借金をして皆さん家を建てるわけですけれども、そのコストを下げていく方向でも大変に有効なのじゃないかなということを感じているのですけれども、そのあたりの建設省さんの御見解というものについて、改めてもう一度お伺いをさせていただきたいと思います。
  115. 小川忠男

    小川政府委員 耐震基準が五十六年にできておりますが、今回の性能規定化によりまして、その耐震基準を満たす性能水準あるいは検証方法というふうなものが新たに体系化されるわけでございます。  これからつくろうとするいろいろな検証方法、基準と、現にUBCがどういうふうな基準を持っているか、詳しくは突合いたしておりませんので何とも申し上げにくいのでございますが、ただ、やはり日本状況を踏まえてそれなりの耐震関係の規制というふうなものを行うわけでございまして、私ども意識的にUBCの基準と違わせるつもりはさらさらございませんが、結果として同じような水準であるならば、それはUBCの基準に適合したからではなくて、くどいようでございますが、日本の性能基準に合致したから日本のマーケットに入ってこられるというメカニズムを通じて普及が図られる、こういうふうなことかと思います。
  116. 川内博史

    川内委員 消費者というか、家を建てる方々立場からすれば、どういう基準であろうが、安くてそして安全な、そして住みやすい、いいおうちに住めることが一番いいことでございますので、ぜひコストを下げるという意味でもいろいろな御研究を、今も大変な御努力をされていると思いますので、さらに一層の御努力をいただいて、安くていい建物が建てられるようにしていただきたい。この法改正もその一環であろうというふうに思うわけであります。  そこで、防火材料とか耐火構造というのは、現行でも性能規定というふうになっているわけですけれども、この防火材料とか耐火構造の試験の担当者によって、少なくとも私が聞く範囲ですが、合否にばらつきがある、試験の担当者によっていいとか悪いとかいう事例があるということを聞いているのですけれども、今回の改正によって、そのばらつきが出ないような、あるいはクリアな、これこれであればオーケーだよというふうにきちんとしていけるのかどうかということをお尋ねさせていただきます。
  117. 小川忠男

    小川政府委員 防火ですとか耐火の厳密な試験というのは、実は技術的には非常に難しいというふうに聞いております。  私ども性能規定化をするときに念頭に置いている防火あるいは耐火の試験のレベルでございますが、現段階では全国に十数機しかございません。それだけしか厳密な検証をする設備なり施設を持っている試験設備がないということでございますが、少なくとも、そういう設備を使って実験を行うというふうな状況においては、ばらつきということでございますが、エンジニアリングの問題でございますから、ある程度の確率でのばらつきは避けがたいと思います。避けがたいと思いますが、今申し上げているようなレベルでの設備を使った限りでは、少なくとも制度上許容し得る範囲内に入っていると思います。  したがいまして、今後制度を運用する場合の要求する精度、ばらつきの許容範囲というのも、今申し上げた範囲内におさめる形で運用いたしたいと思います。
  118. 川内博史

    川内委員 ぜひ、材料、構造で合否にばらつきがあったり、あるいは試験の担当者の性格によって変わってしまったりとか、あるいは試験体の作成のやり方とか指導の方法でまた変わってしまったりとかすることのないように、今局長が御答弁されたとおりに運用をされていかれますことを御要望申し上げておきたいというふうに思います。  続いてお伺いをさせていただきますのは、そもそも論になってしまうのですけれども、今回、規制緩和の一環として、性能規定とともに建築の確認検査民間開放していく、役所にも人は足りないし。しかし、そもそも、現在の建築主事制度というものが建物安全性の確保に役立っているのかどうか。先ほど、阪神・淡路の例で、建築基準法自体は役立っていると思うのですよ、法にのっとった建物はなかなか壊れにくい、大破する例は少なかったという実例があるわけですから。しかし、建築主事さんが果たしてきた役割というものが果たしてどうだったのだろうかなということを思うわけですね。その建築主事制度そのものについての御評価をちょっとお聞きをしておきたいと思います。
  119. 小川忠男

    小川政府委員 基準法の規制基準というふうなことと、それを担保し動かすための建築主事という、基準と担当している組織、システムというふうなのは恐らく不可分の関係にあろうかと思います。  したがいまして、先ほど申し上げました阪神・淡路の例を繰り返すのは恐縮でございますけれども、現在の基準を守っている限りはという場合に円建観念としての規制基準というふうなことだけではなくて、基準を守るべくチェックしている建築主事の役回りというのは、全国で千八百人しかおりませんが、やはり千八百人の割には普通言われている以上の機能を果たしていると私は思います。
  120. 川内博史

    川内委員 それでは、これからたくさんの民間の方たちも確認検査をするようになるわけですけれども、例えばその確認検査の仕方がまずかった、確認検査にふぐあいがあったということで建物が何らかの理由で倒壊をしたり被害を受けたりというような場合にはどのような責任を問われるのか、どのような責任の問い方があるのかということを御答弁をいただきたいと思います。
  121. 小川忠男

    小川政府委員 建築物が被害を受けた場合の原因については、設計に起因する場合、施工に起因する場合あるいはその後の保守管理に起因する場合、いろいろございます。したがって、原因を見きわめるのは非常に難しいという現実の問題はございますが、仮に明らかに確認あるいは検査のプロセスにおいてミスがあった、それが結果として直接的な引き金になって建築物に損害が生じたというふうな場合には、当然のことではございますが、建築確認検査を依頼した建築主と請け負ったところには契約関係があるわけでございますから、当然のことながら民事上の損害賠償責任は発生すると思います。
  122. 川内博史

    川内委員 今までの建築主事制度というのは、いわば大蔵省がやっている金融機関の検査のようなもので、銀行法に基づいて金融機関というものが経営をしている、恐らくきちんと経営されているのであろうが、金融検査部というものをつくり、検査官という人たちが、これも数少ないですね、十分な検査をするには非常に人数が少ないけれども、銀行の経営をある程度抑止しているというところがあった、最近はちょっと違ってきたというのが最近の状況でしょうけれども。  今までの建築主事制度というのも、建築基準法があって、恐らく設計する人もあるいは施工する人もその基準法にのっとってきちんとした家を建てているであろう、しかしそれだけでは心配だから建築主事という方々を置いて一応検査をさせる、それが抑止力になって、日本人はまじめだし一定の効果を上げてきた。ところが、冒頭で局長建築基準法の大改正だということもおっしゃっているわけですが、考え方として全く逆の発想にする。制度、ルールを決めて監視はします、それがちゃんと運用されているか大きな枠組みを監視はするけれども、実際にやるのはもう民間の人たちにお任せしますよというのが今回の趣旨であろうというふうに思うのですね。  そうすると、現場は哲学、理念が全く変わりますから、相当当初は混乱をするのではないか。さっき樽床さんの質問の中でもございましたけれども、混乱するのではないかというふうに思うのですけれども、そういうときにどういう対応をしていかれるのかということに大変私興味がございまして、現場方々がどういう仕事をしているのか、そして今後どうそれが変わっていくのかということについて、ある程度予測できる能力を持った方々建設省の建築指導課の企画立案をされる方々の中にいらっしゃらなければいけないと思うのですけれども、今建設省局長の配下の方々で、建築現場で実際に人夫を研修としてやったことがあるとか、あるいは建築主事として建物検査に一日、二日ではなく半年ぐらいかかわった人がいるとか、そういう現場を知る研修というものをおやりになっていらっしゃるのかどうかということをお尋ねさせていただきたいと思います。
  123. 小川忠男

    小川政府委員 私も詳しくは全員について知っているわけではございませんけれども、私どもの局の職員の中には建築主事資格を持っている者は何人かいると思います。その意味では、いつでも実務が担当可能なレベルの人間もおります。ただ、現場をどの程度かと言われますと、必ずしも現場に精通しているというわけではないと率直に言って私は思います。  ただ、いずれにいたしましても、職務として日常的に特定行政庁方々といろいろおつき合いをし、悩みも聞き、問題状況もお聞きしながらというふうなのが仕事でございますので、これからもいろいろなチャンネルを通じて、現場にできるだけ通じた制度運用を心がけたいと思います。
  124. 川内博史

    川内委員 私もいろいろな方々から話を聞くことは聞くのですが、やはり現場で自分で体験することと話を聞くことというのはこんなに落差がありますし、先進的なことをどんどんおやりになっていらっしゃる建設省さんですから、そういう実際の仕事をどんどん若い職員にさせてさしあげるとかやらせてさしあげるというようなことも改革一つかというふうに思いますので、大臣にぜひ御検討いただくように、これも御答弁は結構でございますが、お願いをしておきたいと思います。  あと残り十分ぐらいでございますのでもうあと少ししか聞けないわけですけれども、私、現場にこだわる人間として、現場で実際には建築主事さんたちが判断をし、行政指導をされていらっしゃるわけですけれども、これが割とルールが不明確でばらばらな対応が多いために、一つ一つ仕事について、設計する方や施工する方が大変戸惑うという話を聞くわけでございます。行政指導が法に基づいていることであればまだしも、法に根拠がないことまで、ああじゃないこうじゃないと言われる場合もあるやに聞いております。  そういう現場での一つ一つ対応についてもうちょっとルールを明確化した方がいいのではないかというふうに思うのですが、この点に関してはいかがでしょうか。
  125. 小川忠男

    小川政府委員 論点は恐らく二つあろうかと思います。  基準法という法律が非常に技術的、専門的な法律であるだけに体系が非常に複雑である、したがってもともとが本来わかりにくい。それを現地に当てはめたときには、現実が千差万別ですから、法律の解釈は仮に同じだとしても、当てはめについて判断のばらつきが生じ得るという確率が普通の法律よりは多いというふうな罷性憲はL否定できないと思います。  それからもう一つは、行政運用の実態として基準法の運用ではなくて、実際は基準法と同時に行われているので混線してしまうのですが、法律の根拠のない、確認とは全く異質のいわゆる行政指導確認のタイミングであわせて行われている。その行政指導が公共団体によってはばらつきがあり、また、いろいろいま一つよくわからないところがあるというふうなことかと思います。  前者の問題につきましては、やはり今度民間にお任せするわけですから、民間がばらばらというのは致命的でございますので、極力それは判断のそごが生じないような形で今まで以上に明確化する努力は続けたいと思います。  それから後者でございますが、基準法体系が、基準を明確化し、それから行政の判断に残さざるを得ないものは裁量性がないようにできるだけ許可制に切りかえるというふうなことを考えております。  ですから、基準法体系がそういうふうな形で明確な枠組みに再構築されたときに、今までワンパッケージで行われていた行政指導というふうなものも私はやはり基本的には変質を迫られてくるだろうと思います。もう少し、恣意的と言うと語弊がございますが、根拠がいま一つはっきりしないとか判断基準が不明確であるというふうなことではなくて、本当にそれが必要であるならばきちっとした根拠を明確にし、手続をはっきりし、基準を明らかにするというふうな形に行政指導のありようそのものもやはり再編成をいずれ迫られてくるだろうと私は思っております。また、そういうふうな方向で公共団体にはお願いしなければいか立場であると思います。
  126. 川内博史

    川内委員 ぜひよろしくお願いしたいと思います。  あと五分という紙が来ましたので、次に、連担建築物設計制度についてお伺いをさせていただきます。  実質的な容積率の移転というものが可能になるということは、容積率を売買できるようになるわけでございまして、余りこの制度について詳しくなかったりするとトラブルの発生が大変に考えられるわけでございます。それで、その実質的な容積率を移転をする、売買をすることによって、建てかえなどについて制約がかかるという敷地が出てきますね。その敷地について、善意の人が誤解をしないように、この制度については大変いい制度だと思います、町づくりの観点からいい制度だとは思いますが、逆にそのいい制度を使って悪いことをするやつというのは必ずいますから、その十分な周知措置というものをすべきであるというふうに思いますが、具体的に何か考えていらっしゃいますか。
  127. 小川忠男

    小川政府委員 連担建築物設計制度は、必ずしも容積率の移転を制度化したわけではもちろんございません。ただ、運用の結果として容積率を移転したと同等の効果が結果として生ずることはあり得る、また、その際にお金が動くこともあり得ることは否定できないというふうなことでございまして、制度運用をきちっとやるためには、御指摘のように、善意の方が何らかの形に巻き込まれて思ってもみなかった結果になるというのは断じて避けなければならないことだと思います。その意味では、通常の法律制度の周知徹底、PR以上にこの部分については周知徹底を図りたいと思います。  それからもう一つは、制度そのものの中に特定行政庁がそういうふうな連担設計内容をチェックするという手続が法制上入っております。入っておりますので、そういうふうな観点から、本当に制度を十分に理解した上で申請が上がってきたのかどうかというふうなことを受けて立つ特定行政庁がきちっと確認をするようにというふうなことは、制度が完全に定着するまでは、全国の公共団体に対して私どもから繰り返し繰り返しお願いしたいと思います。行政の審査のプロセスを経て、その過程において御指摘のような懸念というふうなものはきちっとチェックをするようにというふうな指示をしたいと思います。
  128. 川内博史

    川内委員 特定行政庁がしっかりそめ申請が来た段階でチェックする、くどいですけれども局長もしっかりとやっていくということでございますが、本当に間違いのないように、トラブルが起きないようにしっかり御指導をしていただきたいと思います。  さらに、今度は、容積率を移転して容積率がなくなった敷地を、これはしまった、容積率がない土地になってしまったということで、これは第三者に売ってしまえということになると、今度はその取引、容積率を移転する申請じゃなくて、その後の容積率がなくなってしまった敷地そのものを売買するときのその取引の安全性、この土地はもう容積率ないですよということをどう担保するのか、取引の安全性を確保するのかということについてお尋ねをさせていただきます。
  129. 小川忠男

    小川政府委員 この制度が適用された場合には、制約されている区域は一般に公告をするというふうなことになっております。また、その連担設計の中身はどういうふうなものであるかというふうなものについて、一定の書面を縦覧する、一般にオープンにするというふうな手続は準備しております。プラス、取引の場合でございますが、当然、そういう規定の適用のある建物であるというふうなことを、宅地建物取引業法に重要事項説明というのがございますが、重要事項説明の一つとしてきちっと位置づけたいと思います。  今申し上げるのはいいかどうかわかりませんが、最終的には不動産登記と連動するというのが一つの理念型だとは思います。思いますが、現状ではやはり両者の制度が違うというふうなこともこれあり、合意には至っておりませんけれども、いろいろな意味で検討は続けたいと思っております。
  130. 川内博史

    川内委員 質疑の時間がそろそろ終わりでありますが、ぜひ、今局長が御答弁された方向で、最終的には私も登記をすべき事項であろうというふうに思っておりますので、そういう方向に持っていっていただければ間違いがないのかなというふうに思うところであります。  最後に、図書の閲覧等について、建設省全体、建築確認等に限ってもいいですけれども、建築行政における情報化の進捗度、あるいはこれからの意気込み、やたら設計図書というのは分厚くなって、保管にも持ち運びにも大変苦労しますから、情報化というものについても熱心にお進めをいただきたい点でありますが、この点を最後にお尋ねをさせていただきたいと思います。
  131. 小川忠男

    小川政府委員 お尋ねの点は、できるだけスピードを上げて進めたいと思います。  現段階でも、建築確認申請については、フロッピーディスクでオーケーであるというふうにやっておりますし、恐らく民間開放した場合には、さらにそれを超えまして設計内容そのものをオンラインによって受け付ける、電子申請受け付け、というのでしょうか、恐らくその辺まで割合早いテンポで進んでいくというふうに期待しておりますし、当然のことながら、全体としての情報のデータベース化とかオンライン化というふうなことはやはりかなりのスピードで全力を挙げて進めたいと思っております。
  132. 川内博史

    川内委員 終わります。ありがとうございます。
  133. 遠藤乙彦

  134. 大口善徳

    大口委員 平和・改革大口でございます。きょうは、建築基準法改正につきまして質問をさせていただきたいと思います。  私も、平成七年一月十七日の阪神淡路大震災の発生いたしましたときに、その日の夕方現地に入りまして、そして被害の実態をつぶさに見てまいりました。対策本部を党としても立てまして、そして私も泊まりがけでいろいろと活動させていただきました。そういうことで、この阪神・淡路の大震災、三年以上たったわけでございますけれども、これの教訓について、大臣いかがお考えでしょうか。
  135. 瓦力

    瓦国務大臣 お答えします。  私も、大変な地震で、一人で出かけて、阪神・淡路の大震災を身をもって経験しておかなければならぬ、その収拾についてぜひこれは今後参考にしなければならぬという気持ちもございまして、当地へも行ってまいりました。  近代的な大都市が初めて経験した都市直下型の大地震でございまして、国の危機管理体制の充実強化が重要な課題であると改めて痛感をしたところでございます。  建築行政の観点からは、五十万棟を超える建築物に被害が生じたわけでございまして、大半は家屋や家具類の倒壊による圧死が原因である、こう思われるわけでございます。国民生活のいわゆる本拠である、基盤である住宅安全性の確保に全力を尽くすことが喫緊の政策課題であると認識をいたしております。  耐震改修法等に基づきまして、既存建築物の耐震診断、耐震改修の積極的な推進を図るとともに、検査充実等による建築物の的確な施工を確保するため、中間検査制度導入建築基準法改正を現在お願いしておるところでございまして、ぜひ委員のお力もちょうだいしたい、こう存じております。
  136. 大口善徳

    大口委員 今大臣から、教訓について、また建築行政の取り組み方についてお話がございました。  私も、平成七年の十月十九日、建設委員会におきまして質問をさせていただきました。そしてその中で、応急危険度判定制度、それから耐震改修制度の充実、今大臣も述べられましたが、そういうことを主張させていただきました。そしてまた、国民が安心して暮らせるように、良質な住宅、これが非常に重大だということで、中間検査導入をすべきであるということをこのときの委員会で申したわけでございます。  そこの部分を引用いたしますと、建築確認という制度、そもそもが書面審理に近いわけで、そして完成の終了時における検査というのは外観だけ見るだけである、中間的に検査をしたりというようなシステムがございません、基礎をきちっとやっているかという検査をやる体制もないわけで、そういうことで、やはり第三者による検査制度というものを真剣に考えいかなければならないと思うのですね。また、最近言われますように、耐震基準につきまして仕様から性能型、こうなっていきますと、ますます検査というものがバラエティーに富んでまいります。そういうことから考えましても、また規制緩和の流れからいきましても、民間による、参加した第三者による検査体制というもの、これを考えいかなければならない、そう思うわけです。こういうふうに、委員会で述べさせていただいたわけです。それに対しまして、建設省におきまして、それをしっかり受けとめていただきました。  そしてまた、平成七年六月、住宅宅地審議会、二十一世紀に向けた住宅・宅地政策の基本体系についてという答申、こういうものを踏まえ、そして七期の住宅五計、これがスタートしたわけでございます。  平成七年の十一月から一建築審議会に建築行政のあり方について諮問がなされて一年四カ月間、阪神・淡路の教訓というものを検討されて答申が出た。そういう中で、施工時の中間検査を強化する、こういうことが明記されたということは、私が三年前に御指摘をさせていただいたその視点というものを十分酌み取っていただいたのではないかな、建築規制の実効性、安全性を確保するという観点で私は評価をさせていただきたいと思います。  しかしながら、戸建て住宅等の一部簡略化について、これは、良質な住宅ストックの形成、これを目指す第七期住宅建設五カ年計画、それから二十一世紀初頭への住宅政策、こういうことからいきますと画竜点睛を欠くのではないか、こういうように思うわけでありますが、大臣、本会議でも答弁されておりますが、改めてここでお伺いしたいと思います。
  137. 瓦力

    瓦国務大臣 たびたび大口委員からの御指摘やらまた御指導を賜っておりますことを感謝いたすわけでございますが、このたびの法改正につきまして、やはり住宅安全性を確保するということは極めて重要な課題でございまして、今回お願いしております改正の大きな柱は、一つ民間機関による建築確認検査制度導入、さらに建築基準性能規定化、今委員も御指摘のように中間検査制度の創設の三つがございますが、その根底にある最大のねらいはやはり住宅などの安全性の確保である、かように考えております。  特に民間確認検査制度につきましては、全体として執行体制の充実強化を図るものでございます。また、中間検査制度につきましては、さまざまな議論があることは承知をいたしておりますが、施工を直接チェックする制度へと大きく踏み出したものでございまして、一歩前進した、かように御理解をいただきたいと存じます。
  138. 大口善徳

    大口委員 先ほども引用いたしました建築審議会の答申の一ページに、本来、国民の経済社会活動や家庭生活の基盤である建築物の安全性を確保することは、国民の生命、健康、財産を保護するために不可欠のものであると。また、三ページに、震災を踏まえた新たな視点からの安全性確保の要請、こういうことで、建築規制の実効性を確保することが強く求められている、そのためには、着工前に行われる建築確認のみならず施工時の中間検査完了検査を着実に実施すること、これが大事だと。また、九ページに、施工時の中間検査を強化する、こういうふうに答申で指摘されておるわけです。  阪神淡路大震災で亡くなった方、それの八九%が建物倒壊による圧死でございます。そういう点からいきまして、答申と今回の改正案が整合性に欠ける面があるのではないか、私はこういうふうに理解するわけでございますが、いかがでございましょうか。大臣お願いします。
  139. 小川忠男

    小川政府委員 お答えいたします。  建築審議会の答申、あるいはそれに至る議論の過程でもいろいろな議論がございました。いろいろな議論がございましたが、結果として、今先生が引用されましたように、工事監理を徹底するとか、あるいは検査体制をもう少し強化するとか、あるいは中間検査導入したらどうだ、いろいろな御提案がございました。そういうふうなものを踏まえながら、私どもとしては、気持ちの上では答申を真っ向から受けとめたというのが率直な気持ちでございます。  中間検査制度と一部小さな住宅等々について現場検査を簡略化するような手続との兼ね合いでございますけれども、これは基本的な議論をし出すとかなり難しい問題だと思います。  難しい問題といいますのは、一つには、やはり中間検査完了検査というふうな形で外部の第三者検査をするという体制制度というのは、極めて有力ではありますが、一つの手段としてあると思います。  ただ、もう一つあるのは、本来、では建築物の監理というのは一体だれがすべきなんだといえば、基本的にはみずからがやるべきだという基本哲学が一方でございます。  したがって、特に日本の建築物の生産工程のプロセスを見ますと、設計施工ワンパッケージで行われているというのが一般化している。これにはメリットもあればデメリットもあります。ありますが、事実として行われているというふうなことを前提にいたしますと、そこでやはり建築士がもう一踏ん張りをして、きちっと職責を全うしていただく、そういうふうなプロセスを通じて、施工安全性、きちっとした質の確保を図るというふうな体制を強化するというのも一つの方法だと思います。  それからもう一つは、やはりフランスのように、フランスのようにという引用はいいかどうかわかりませんが、やはり行政が規制するというよりは、マーケットが、民間の市場が自律的にいいもの悪いものを淘汰していくというメカニズムに期待するというのも一つの選択肢としてあると思います。  したがいまして、全体として二十一世紀の建築物の安全性を確保するための枠組み考えろと言われたときには、やはり三本柱だと思います。マーケットの自律性をもう少し強化するということと。建築物の施工プロセスにおいて、建築士が工程監理あるいは工事監理をきちっと責任を持って担当するという体制を強化するやり方が一つ。それから、今回御提案しておりますように、中間検査完了検査というふうな、行政あるいは確認機関による検査制度を充実するというふうなのも一つの方法。  したがいまして、現在御提案させていただいておりますのは、後退したというよりは、むしろやはり千八百人しかいない行政の現在の実力というふうなものを十二分にわきまえながら、そうはいっても、実物をチェックする体制は何としても導入すべきであるというふうなところから、言うなれば、非力であるという状況を一二〇%わきまえながら、将来に向けて思い切って中間検査導入した。一方で、工事監理という概念があるので、それとの現実的な調整を図ったということでございます。  やや長くなりましたけれども建築基準法をめぐって、建築審議会の答申からさらには今回の基準法改正まで担当させていただいた者として、今まで思っていることを率直にお答えさせていただいたわけでございます。
  140. 大口善徳

    大口委員 今、マーケットメカニズムとか自己責任、そういうことは非常に大事な視点だと思います。工事監理の問題も、今の業界の慣行ということとちょっとずれたりしておるわけでございますけれども、こういうこともきちっと確立していかなければいけないと思います。  いずれにしても、七期五計におきましても、良質なストックの形成、こういう重大な目標を掲げているわけですから、これに逆行しないようにやっていくべきである、こういうふうに思うのです。  そこで、欧米の住宅先進国におきましての検査制度の概要と導入の時期、そして、こういう中間検査等についての簡略化というような制度があるのか、これを確認させていただきたいと思います。
  141. 小川忠男

    小川政府委員 欧米の制度の例でございますが、先ほど言いましたように、フランスにつきましてはもともと確認という制度そのものがございません。したがいまして、行政がチェックをするという基本枠組みはもともと欠落しております。すべてマーケットが裁くという枠組みで構成されております。  それから、アメリカ、イギリスでございますが、これは昔から、昔からというのはどの程度の昔かはフォローしておりませんが、少なくとも戦前から、主要な建築物の主要な工程について建築主事検査を行う、途中段階検査を行うという制度がございます。特に戦後は、行政プラス行政に登録されている民間検査人といいますか、インスペクターと言っているようでございますが、あくまで行政に登録されている民間のインスペクターが中間検査を何回か行うというふうな形でイギリス、アメリカは制度化されております。
  142. 大口善徳

    大口委員 私も少し勉強させていただきましたが、イギリスやアメリカの先進国におきましては中間検査を含めた検査実施されていて、イギリスの検査建築主事によって最低五回、アメリカも検査官によって最低五回、追加検査もある、そういう状況であります。イギリス、アメリカ等の検査は最低五回実施しているということ、建築過程を通じて検査官が何回も来ているということ、延べ床面積が五百平米以下や階数が二階以下のところも簡略化することなく、すべての建築物を対象として安全性確保のための制度になっている。  そういうことで、海外制度と比較しまして、検査を簡略化するというのは日本だけではないか。グローバルスタンダードというような観点からいたしましてもいかがか。良質な住宅を提供できるシステムの構築が、建築行政の信頼の確保のために必要な条件であり、建築物の安全性を確保する観点から、今回の改正で十分なのか、お伺いしたいと思います。
  143. 小川忠男

    小川政府委員 十分かと言われますと、開き直るわけではございませんが、実は今までは完了検査すら三五%の実施率であったというふうな実態と、繰り返し申し上げておりますように、行政側建築主事が全国かき集めても千八百人しかいないという実態から出発をするというふうなことを考えますと、中間検査導入すること自体、踏み切ること自体がやはり大きな飛躍というか決断であったと私どもは思います。  ただ、それ以上に、簡略化している例があるのかというお尋ねが中にございましたけれども制度の詳細は承知いたしておりませんが、私どもが今回御提案しているような形での簡略化の例はないと思います。ないと思いますが、ただ、いずれにいたしましても、検査というものに対する受けとめ方、考え方が、各国、国民性、経済社会の状況等々があって、かなり基本的には違っています。それからまた、工事のやり方、これがまたそれなりの各国のやり方がございます。したがいまして、一律に、建築主事中間検査を行うこと自体を比較をするというのは私はいかがかと思います。  といいますのは、先ほど申し上げましたように、やはり建築士がきちっとした内部監査を行うというふうな体制を強化するというふうなことも、外部検査とは質は違いますが、大きなアプローチの一つだと思います。その意味では、私ども現実行政の力の限界というふうなものをわきまえた上で、中間検査内部での工事監理というふうなものの調整を図ったというふうなことで御理解いただければと思います。
  144. 大口善徳

    大口委員 私も弁護士でありましたものですから、欠陥住宅問題にもかかわってまいりました。とにかく、法律相談の中で欠陥住宅に関する相談というのはかなりございました。マスコミからも言われて、三十年ぐらいずっと問題化されているわけでございます。欠陥プレハブ住宅だとか欠陥マンションであるとか、いろいろ一般的に欠陥住宅だとかいうふうに言われておるわけでございます。法律的に言いますと、民法の瑕疵担保責任の問題とか、製造物責任の問題ですとか、あるいは契約違反ですとか、そういうようなことで欠陥住宅の定義自体、中身はいろいろあるわけでございますけれども建設省として、いわゆる欠陥住宅対策という中における欠陥住宅の定義、これはどういうふうに考えておりますか。
  145. 小川忠男

    小川政府委員 先生は専門家でございますので私が答弁するのはどうかとは思いますけれども、欠陥住宅の法律上の明確な定義はないというのは御指摘のとおりでございます。あえて欠陥住宅を私どもなりに言ってみろと言われれば、やはり基本的には、住宅基本的な性能、特に安全性ですとか構造について一般的に期待されるレベルを欠いている、欠落しているというふうなことが欠陥住宅という概念に一番近いのかなと思っております。建築基準法とのかかわりで申し上げますと、やはり基準法が想定している、前提としている構造安全性を欠いている場合には、当然のことながら、これは欠陥住宅の最たるものだと言わざるを得ないと私どもは思っております。
  146. 大口善徳

    大口委員 最近、私は映画を見ました。「大安に仏滅」という映画で、私の好きな橋爪功さんや吉行和子さんが演じておるわけでございます。これは、主人公がかなり年配になって、娘を嫁がせるというような年齢になってマイホームを買った。ところが、それが一年、ようやく一年ぐらいですが、雨漏りがしたり、ゴルフのボールが自然に移動したり、そういうことがいろいろ波紋を呼びまして、その中で奥さん役の方の、家は返品できないのよ、こういう言葉が非常に印象的だったわけです。そしてまた、この主人公は水準器を持ち歩くようになりまして、喫茶店へも水準器を持って回っている、ヒういうようなことで、ぜひとも大臣にも、この改正考えるに当たって非常に参考になりますので、見ていただければと思うのです。  このように、これは財産的な損害だけではなくて、精神的な損害、中には離婚にまでつながるという、これが欠陥住宅の非常に深刻なところでございまして、このような欠陥住宅がなぜ生まれるのかという原因についてお伺いしたいと思います。
  147. 小川忠男

    小川政府委員 住宅といいますのは、普通の商品以上に複雑なプロセスを経て供給されるわけでございます。したがいまして、契約の締結から始まりまして、設計工事、後々の住み方の問題、いろいろなプロセスがございます。ただ、いずれのプロセスにおいても、重大なミス、どちらであろうが重大なミスが一つでもあれば、最終的には欠陥住宅につながってくるというふうな可能性というのはあるわけでございまして、一般的にはどういう原因か、こう言われますと、一つには、残念ながら建築基準法が必ずしも十分に守られていなかったというふうなことがあり得るというのは指摘せざるを得ないと思います。  それから、これは若干日本に特有の問題かもしれませんが、発注者、設計者、それから工事施工者、三者の関係、相互の責任関係というのがいま一つ契約上もはっきりしていない、割合ごちゃごちゃしているというふうな極めて日本的取引慣行の一端から欠陥住宅が発生する、直接の原因とは言わないまでもが遠因になっている可能性というのはあろうかと思います。  それから、その延長線上で、発注者において工期を無理やり短縮させるとか、いろいろな事象があり得ると思います。ただ、一つあるのは、手抜きという意識的なものであるかないかは別として、基準法をきちっと守っていないというのがやはり原因の大きなウエートを占めているだろうと思います。
  148. 大口善徳

    大口委員 欠陥住宅の実態について、日弁連が平成八年と九年に欠陥住宅被害一一〇番というものを実施いたしました。平成八年、第一回目では一日だけやったのですが、七百二件相談件数があった。昨年六月も二回目をやりまして、二日間で九百六十六件相談があったわけでございます。  この分析結果によりますと、平成八年の第一回目は、総件数六百八十五件のうち、戸建て住宅四百七十件、六八%。平成九年、第二回目は、総件数九百五十七件のうち、戸建て住宅六百九十七件、七二%。圧倒的に戸建て住宅が占めております。工務店の方は皆さん一生懸命やっておられまして、悪質な方が一部いるためにこういう形で数字が出てくるのでしょう。私の知っている工務店の方は、皆さん一生懸命。こういう厳しい時代ですから、一生懸命やっておられると思うのですけれども、数字としてこういうものが出てきております。  欠陥住宅の原因として、今局長も答弁されましたように、建築基準法が遵守をされていないということが一番の問題であると思っておるわけでございますけれども、そういうことからいきまして、中間検査を厳格に行うということが欠陥住宅の発生を防止するということになる、こう思うわけでございます。  そこで、大臣もその中間検査の簡略化について、本会議で、真に必要なものから実施、こう答弁されているわけでございます。この弁護士会の結果から見ますと、この戸建て住宅が真に必要なものではないかな、こういう感じがいたします。  また、これは本法におきまして、附則第十条で、施行後十年を経過した場合において見直しをする、こういう規定もございます。今こういう形でスタートするわけでございますけれども、欠陥住宅の深刻さということを考えますと、この中間検査の簡略化については、これは十年というのは長過ぎるのじゃないかな、体制を整えるのに大変だと思うのですね。そういうことについてこれは前倒しを考えるべきではないか、こういうふうに考えております。  最近、工務店の方とお話ししていますと、今不景気ですし、住宅着工件数も非常に落ち込んでおります。だから、受けた方は一生懸命やるのじゃないか、こう思っておるのですけれども、逆に、もう相当コストをたたかれて厳しい形で受注せざるを得ないような状況になってきている。であるがゆえに、バブルのときもかなりいいかげんな工事があったけれども、逆にまた、こういう不景気なこういう状況のときも心配だ、こういう現場の声もございますので、この二点についてお伺いしたいと思います。
  149. 小川忠男

    小川政府委員 欠陥住宅問題の大宗は、今御指摘がございましたような戸建て住宅が中心だと私どもも思います。  まず中間検査そのものをやるかどうかというふうなことは、制度上は特定行政庁がいろいろな状況をにらみながら場所を指定し、建物を指定して行う、こうなっております。したがいまして、制度運用の基本的な考え方としましては、戸建て住宅につきましても、建築活動が過熱していて粗製乱造の懸念があるとか、あるいはある種の大規模開発で建築活動が活発化していて建て売りがラッシュだというふうな状況の場合には、私どもは、行政上のいろいろなしがらみがあるとは思いますが、万難を排して中間検査を行うというふうな形で公共団体には頑張ってもらいたいというふうに思っております。  それから、十年たったらというふうなことでございますが、これは最近の法制の仕組み方として、新しく規制を導入する場合には、とにかく十年たったら一回見直せというふうなことから書いてある規定でございます。  いずれにせよ、今回の中間検査導入というのは、実は率直に申し上げまして、私がこういう場でお答えするのはやや行き過ぎかもしれませんが、現実の力量を超えたところに踏み込んだという思いがございます。現在の建築行政の力量、体力からすれば、やや荷が重いというところに一気に踏み込んだという思いがございます。ただ、お認めいただければ、全力を挙げて運用させていただきたいと思いますが、その辺の運用をにらみながら、いずれにせよ、新しい制度でございますので、プラスもあればマイナスもあろうかと思います。その意味では、不断の点検をしながら、時間をかけて運用あるいは場合によっては制度も練り上げていきたいと思っております。
  150. 大口善徳

    大口委員 今の局長の話はよく理解できるわけでございますが、ただ、本当にこの欠陥住宅の問題は深刻でございます。もうそれこそ、サラリーマンにとって、男の生涯をかけた一つ仕事だ、そういうのが庶民の感覚なわけでございます。  そういう点で、最近も雨漏りの問題でマンションで二億円の賠償命令が出たというようなことが記事に載っておったりしておりますし、日弁連のこの被害実態の中にも、コンクリートが破損して鉄筋がむき出しになっておるとか、あるいは地震後新築した建物の筋交いの不良とか基礎不良があったということがわかったとか、あるいは地盤が弱くてくいで補強するが沈下するとか、こういうような相談も寄せられております。国民生活センターのPIO−NETというところでも、一九八八年以降、減少することなく苦情の相談件数がふえております。衆議院の決算行政監視委員会平成の目安箱の中にも、この四月三十日時点で建築に関する苦情が十六件ございます。  そういうことで、これは住宅安全性を確保するということは、国民の生命、健康、財産を保護するということにおいて不可欠のことであって、行政、建築の専門家による欠陥住宅の実態調査、これはやはり早急に実施して、まず欠陥住宅の実態というものを調査して現状を把握して、そして深刻な構造的な被害というものを解明すべきである、こういうふうに考えるわけですが、これにつきましていかがでございますか。
  151. 小川忠男

    小川政府委員 ただいま御指摘になりましたように、国民生活センターを初めいろいろなところで、欠陥住宅の問題というか分析はやっております。私どもといたしましても、これらの機関からいろいろな情報をちょうだいしながら、全体としての情報集約に努めてまいりたいと思います。
  152. 大口善徳

    大口委員 ほかの局のことを言いたくはないのですが、道路局のホームページに道路一一〇番というのがあります。私も役所のホームページをよく見ておりまして、それでよく決算行政監視委員会にも注文するわけでございます。道路局のことは余り言いたくないのですけれども、道路局は道路一一〇番というのを置いて国民の声を直接受け付けているのですね。ですから、インターネット時代ですから、住宅局におきましても、やはり欠陥住宅一一〇番とか住宅一一〇番とか、そういうコーナーを設けるべきではないか、私はこう考えますが、いかがでしょうか。
  153. 小川忠男

    小川政府委員 住宅局のホームページを活用するという御提案、ちょうだいいたしたいと思います。できるだけ早くやらせていただきたいと思います。ありがとうございます。
  154. 大口善徳

    大口委員 では、住宅局のホームページを楽しみに待っております。できるだけ早くお願いをしたいと思います。  欠陥住宅の予防と救済対策ということで、我が国においては、住宅建築の事前の予防と事後の対策、この二つの面においてまだ不十分ではないかと思うわけです。今消費者が最悪の状況に置かれている、住宅政策においては基本的人権がない、私はそう思っております。消費者は、安全で質の高い住宅を供給されることを強く願っております。欠陥住宅の発生を予防し、救済するシステムの確立が必要だと思います。  そこで、まず事前予防についてお伺いをしたいと思います。  まず、契約書というのは大事だと思います。マーケットにゆだねるということでございますが、その場合におきましても契約書というものは非常に大事でして、旧四会連合のものとか民間のものとか、大まかに分けて大体三つぐらいの約款がございます。中には片面的な、例えば支払い遅延のペナルティーは明記されているが工事遅延には触れていないとか、そういうようなこともあって、これはトラブルを起こさないために、事前に細かい仕様について明記するとか、設計図書が添付されている契約にするとか、数千万円もの高価な商品でありますから、こういうふうにやはり考えいかなければいけないと思うのですね。  そしてまた、設計監理ということとの関連でいえば、消費者建築士のそういう契約書をきちっとする。それから、消費者と業者間の請負契約書とか、建て売りの場合の売買契約書とか、これは対等な立場に立てるような形にしなければいけない。そういうことで、平成七年に公共工事標準請負契約約款というのを建設省で出されたということでございますが、民間に模範となるようなものをやはり推進していかなければいけないと思うのですね。  そういう点で、建設省の取り組みをお伺いしたいと思います。
  155. 小川忠男

    小川政府委員 御指摘のように、設計それから工事、引き渡しあるいは取引といういろいろな段階において契約関係がいま一つはっきりしない、したがって責任関係も必ずしも明確ではないというのは、やはり日本のいろいろな意味での取引あるいは建築請負の問題点の一つだろうと思います。  その意味では、昨年の六月でございますが、建築士法改正されまして、設計内容の説明努力義務が建築士に課されたとか、あるいはきちっと書面で、記載内容をはっきりして交付しなければならないというのも一つの前進だと思います。また、建築設計あるいは工事監理の業界において、それぞれの団体が現在標準約款を持っておりますが、関係団体が集まって統一約款をつくろうというふうなことで現在いろいろ努力されております。  私どもも、いろいろな意味で応援をしたいと思います。当面は、そういうふうな統一約款をどういう形でつくればいいのかというふうなことで、いろいろ協力しながら作業を進めていきたいと思っております。
  156. 大口善徳

    大口委員 それから、最近広告を見ていますと、高耐震とか高耐久とか、そういう表現が出ていますが、一般の方は、高耐震とか高耐久と言ってもなかなかわからないのですね。私も、言ってみろと言われたら、すぐには答えが出てこないわけです。  これから、建築基準法改正性能規定化がなされていくということで、消費者に性能をわかりやすく伝えていくということが住宅産業ビジョンで言われていますところの住宅性能表示制度の整備を図る、こういうことではないか、こう思うわけでございます。消費者にわかりやすい表示制度、こういうことで、今何でも格付と言われていますが、病院なんかも評価制度というのができております。  ですから、フランスの住宅性能表示制度というのがある。これは、キャリテル制度、こういうものでございまして、配管・電気設備、外装、屋根の維持費、暖房・給湯費、屋内の騒音の防音とか屋外の騒音の防音とかいろいろ、七つの項目について一定の水準に達した住宅について、施工者、ディベロッパーにキャリテルラベルというのを交付して消費者への情報提供をしている。こういうことで、三つ星とか四つ星とか、ミシュランのフランス料理ではありませんけれども、そういう形でわかりやすく表示をしている。これは大いに参考になると思うのですね。そういう点で、しっかりとしたところは三つ星とか四つ星とかやれば、いろいろな項目について星を見ればだれでもわかるというようなことが非常に大事じゃないか、こういうふうに思うわけでございます。  そしてまた、表示の項目としましては、阪神・淡路の教訓に立って、耐震性能、こういうのが項目に入るべきでしょうし、正確なものにすべきだ。また、遮音、耐震などの性能表示をきちっとすべきである、そう思います。そして、不動産取引の重要事項説明書にきちっとそういう欄を設けてやればもっといいのじゃないか、私はこう思うわけでございますが、対応について、取り組みについてお伺いしたいと思います。
  157. 小川忠男

    小川政府委員 現在の日本住宅の取引をめぐるマーケットというのは、いろいろな意味で極めて不十分だと思います。何回か先生もおっしゃいましたように、やはり一生に一遍の買い物というふうな物件が動いている割には、どれだけ正確な情報をお互いに掌握した上で値づけが行われ、取引が行われ、契約が行われているかというふうなことになれば、極めてお粗末だろうと思います。  その意味では、きちっとした物件の性能、いろいろな項目の性能がきちっとした、わかりやすい基準でそのレベルが表示されているというふうなことは、やはりすばらしいことだと私どもも思います。そういうふうな意味内容から、建築審議会においても、やはり何回か住宅性能表示というふうなことのありようについては検討も行われ答申もいただいております。  今、キャリテル制度についてお話がございました。私どもも、去年だったと思いますけれども、担当官をフランスに派遣して、少し勉強してこいというふうなこともやらせていただいております。また、今ここでいつまでに住宅性能表示を制度化して、いずれ御検討をお願いするというふうに言えればよろしいのですが、まだその状況ではございません。ただ、行政のターゲットとしては、住宅性能表示というものを制度化するというふうなことを現実行政のプログラムにもう既に組み込みつつございます。しばらく時間をおかしいただきたいと思います。
  158. 大口善徳

    大口委員 大臣、どうでしょうか。三つ星とか四つ星とか、ちょっと御感想をいただければと思います。
  159. 瓦力

    瓦国務大臣 先ほど以来、住宅局長の答弁、また、大口委員の質問等というよりは御意見を拝聴しておりまして、なるほどホームページというものも大事だなと。  加えて言えば、キャリテル協会が実施しておるこの制度も、方々住宅の展示なんかやっておりまして、私ものぞくことがあるのですが、昨今は大変目が肥えてきておるというか、一時、急造して住宅をつくらなければならぬという時代は、確かに欠陥住宅というものも追っかけ多くなった時代もあろうかと思うのですが、これからはやはり住まいというのは、一生に一回、そう買い物できるものではありませんし、住宅は健康にとりましても重要な拠点でございますから、そういう関心度が高まってきておるだけに、委員の御意見、私は興味深く拝聴しておるところでございます。  また、担当局を通じまして、私もいろいろ、元気を出してやれ、こうやって激励してまいりたい、こう思っているところであります。
  160. 大口善徳

    大口委員 大臣の前向きな答弁をいただきまして、ありがとうございます。  次に、完了検査の問題でございます。  今、年間約百万件、建築確認の件数がある。今局長は、完了検査実施率は三五%ということでございました。今度行政事務を民間開放するということで、検査体制の充実が図られる、こう期待しておるわけでございますが、中間検査の一部簡略化がされますので、施工の途中の検査実施されるのは年間百万件の確認件数についてどのぐらいが検査対象になるのか、これをお伺いします。
  161. 小川忠男

    小川政府委員 まことに恐縮でございますけれども、最大限の努力をさせていただきたいとは思います、思いますが、やはりまだ制度構成の途上でございまして、全国の特定行政庁との打ち合わせといいますか、施行方針の検討も進んでおりません。  したがいまして、このくらいというのはちょっと御勘弁いただきたいと思いますが、ただ、制度を提案させていただいた立場としては、先ほど来の議論もございます。やはり実力の許す限りで最大限の努力をさせていただきたいというふうなことで御勘弁いただきたいと思います。
  162. 大口善徳

    大口委員 大体全体の三割程度しか中間検査は見込めないのじゃないかなというふうなことを思っておるわけですけれども、そういうことからいきましても完了検査は一〇〇%完全に実施するということが非常に大事であろう、こう思うわけでございます。  そういう点で、建築基準法第一条、国民の生命、健康及び財産の保護を図るために不可欠なものとして、最低条件として完了検査を一〇〇%実施する、これにつきまして大臣の御決意をお伺いしたいと思います。
  163. 瓦力

    瓦国務大臣 建築規制の実効性を確保し、良質な建築ストックの形成を図るという観点に立ちますと、委員指摘のように、完了検査の受検を徹底することは不可欠である、かように認識をいたします。  建築規制制度そのものを抜本的に見直しまして、民間確認検査機関制度の創設によりその実施体制の充実強化を図る、また、検査の履歴等の情報開示、さらに住宅金融公庫融資等の他制度との連携などの措置を講ずることとしておるわけでございまして、これらの措置を講ずることによりまして、改正された建築基準法の厳正な執行を通じて、建築行政への信頼の確立に向けて最大限の努力をいたします。  大口委員から決意表明をしろということでございますので、さような努力をしてまいりたいと思っております。
  164. 大口善徳

    大口委員 今、住宅金融公庫の融資との連携ということがございました。そういう点では、この検査済み証というものをどういうふうに位置づけるかということが私は問題だと思います。  ですから、私は、検査済み証の交付、それと住宅金融公庫の残金を出すということ、これをリンクさせていくことが大事ではないか。だから、完了検査が迅速に行われないために最終の資金が交付されることがおくれるというようなことだと困るのですが、そういうことを速やかにしていただくとともに、完全な商品を消費者に提供するということからいきまして、検査済み証の交付と住宅金融公庫の残金を出すということとのリンク、これについてどう考えておられるか、お伺いしたいと思います。
  165. 小川忠男

    小川政府委員 現実的な金の流れと連動させますときには、余りざる的運用ですとなかなか難しいというのは率直な現実でございますが、完了検査実施率というふうなものがある種の水準を超えますと、やはり御提案のように、金融公庫の最終的なマネーフローときちっと連動させるというのも現実的なターゲットになってくると思います。  それから、一点だけ私の方からPRさせていただきたいのでございますが、今度、台帳をきちっと整備させていただきたいと思います。台帳を整備するといいますのは、一つ一つの建築物について、設計者がだれであって、工事監理を行った人がだれであって、例えば確認が何月何日に行われていて、完了検査が何月何日に出ているというのが、建物の経歴、履歴としてきちっとした台帳に整備され、登録され、保存され、それが一般の公衆の縦覧に供されるという体制が構築されます。  したがいまして、恐らくこれから取引をする場合には、登記簿を見るのと同じ意味で、市役所に備えつけてある建物の台帳を閲覧するというのが一般化すれば、自分が買おうとしている建物、これについては検査済み証が交付されていない、完了検査が行われていないというふうなことが明らかになるわけでございます。  その意味からもマーケットをきちっと整備するというふうな機運が増すと思いますので、行政の力不足を嘆くだけではなくて、そういう環境整備というふうなことからも、法律の実効性というのは格段に強化されるのではないかというふうに期待いたしております。  一言、余計なことですが、失礼いたしました。
  166. 大口善徳

    大口委員 次に、日弁連の一一〇番の契約年数別の集計結果というものを見ますと、新築からかなり経過して消費者住宅の欠陥に気づくというケースがあります。ところが、旧四会約款でも瑕疵担保期間は二年ということになっておりますし、そういう点で、瑕疵担保保証制度は、何年保証するか、ある程度適正な年数というのは確保しなければいけないな、こういうふうに考えてもおります。  それから、私もパンフレットをいただいて勉強させていただいたわけですけれども住宅の性能保証制度、これは余り知られていませんね。業者が住宅登録をして十年間保証する、こういう制度があるわけですね。今、平成九年度で七万二千四百五十六戸一全体の一割強ですか一この制度を使っているわけでございます。  一つはこれをもっと普及をして、欠陥の修補について長期間保証する体制をとっていく。戸建て住宅について中間検査が省略されているということも考えますと、むしろこの住宅性能保証制度というものを充実させていくということは非常に大事だと思うのですね。だから、それを皆さんに知らせていく。  それから、登録料が高いかいか、私もよくわかりませんが、できるだけ下げていく。これは財団法人で、財団法人はいろいろ問題はありますが、効率化をさせて経営をきちっとさせてもっと手数料を下げていくというようなことをして、利用しやすい制度にしていくべきではないか、私はこう思っておるわけでございますが、いかがでございましょうか。
  167. 小川忠男

    小川政府委員 旧四会約款の保証期間が二年間というふうなことでございますが、住宅前提にいたしますと、やはり一生に一遍、長期にわたる財産として使用しなければいかぬというふうな性格がございますし、また、一般的に住宅の購入者というのは専門的知識の少ない普通の消費者でございますし、それからまた入居時点に瑕疵を発見する、これは極めて至難のわざでございます。その意味では、二年というふうなことではなくて、短くても十年くらいの責任期間があるというふうな制度はぜひ欲しいと思います。  そういうふうなときに、やはり先ほど来いろいろな議論がございましたような中間検査というシステムで欠陥住宅を根絶するというのも一つのアプローチだと思いますし、それとは別に、今お話しにありましたような、財団ではございますけれども基本的には民民の関係をベースにしたような性能保証、そういうふうなシステムを通じてチェックが入っていく、それで契約が行われて十年間保証されるというふうなこともやはり一つの極めて有力な手段だと思います。私どももそのとおりだと思います。  私どもの先輩がかつてつくった制度だからという意味だけではなくて、やはりこれからもこういうふうな制度というのは大いに宣伝をして普及させていく必要があるというふうに私どもも思っております。頑張りたいと思います。
  168. 大口善徳

    大口委員 本当にこれは知られていないのですよね。だから、これをもっと大いに普及させていくべきではないか。真剣に考えていただきたいと思います。  また、こういう欠陥住宅の問題というのは、裁判による解決ということもあるのですが、裁判している途中で工務店が倒産したりとか、こんなこともございますし、費用もかかるということもございまして、裁判外の専門的な紛争処理の機関というものが今は十分ではないということが言えると思います。  そういう点で、この住宅専門の裁判外の紛争処理機関というものの設置ということに早急に取り組んでいかなければいけない、こう思いますが、それについての必要性、見通しについてお伺いしたいと思います。
  169. 小川忠男

    小川政府委員 住宅に関します紛争のうちで建設工事にかかわるものにつきましては、建設業法に基づく建設工事紛争審査会であっせん、調停、仲裁が行われております。  ただ、住宅に限ってこの制度を見ますと、必ずしも使い勝手がいいものではないというふうに思います。したがいまして、住宅を専門にした裁判外の紛争処理機関、これはやはりできるならばあった方がいいと思うし、必要だと思います。  ただ、つくるとなるといろいろな問題もあろうかと思います。したがいまして、当面は、弁護士さんとか建築士方々といろいろな御相談をしながら、可能性、見通しというふうなものを含めて少し勉強させていただきたいと思います。
  170. 大口善徳

    大口委員 欠陥住宅の根絶につきまして、るるいろいろな観点から質問させていただいたわけでございますが、この根絶について大臣の決意をお伺いいたします。
  171. 瓦力

    瓦国務大臣 本日は大口委員から決意を求められておりまして、いよいよ私の決意を申し上げさせていただくわけでございます。  本法の審議を今いただいておるわけでございますが、委員指摘のように、欠陥住宅が国民の健康、生活の基盤を脅かす重大な問題であるとの認識のもと、その発生を防止するための総合的な対策推進してまいる所存でございます。  こうした観点からも、今回の建築基準法改正による新たな建築規制制度の構築を進め、欠陥住宅の根絶に向け全力を挙げてまいります。
  172. 大口善徳

    大口委員 力強い決意をいただきましたので、しっかりお願いしたいと思います。  次に、連担建築物の設計制度につきまして各委員から質問がございました。  一つは、私が若干危惧をしているところは、確かにこういう土地の有効利用は基本的には大事だと思います。ただ、今の現状前提とした上での制度でございますので、この特例制度によって建物の階数の段差ができて、町並みの景観がふぞろいになるのではないか。ヨーロッパの方へ行きますと、みんなすうっと同じ高さで整っているわけですけれども、そういう都市景観との関係はどうなのか。  それから、そういうことでございますと、中心市街地など、老朽化した建物といいますか、それは現状のままで、その隣には容積率をアップしたものを建てる、そういうことについてどうなのか。この二点についてお伺いしたいと思います。
  173. 小川忠男

    小川政府委員 まず第一点の都市の景観、美観というふうなこととのかかわりでございますが、連担建築物設計制度自体は建築基準法の適用関係をある意味では合理化しようというふうなことでございまして、町並みがどうなるかというふうなこと自体には、プラスにもあるいはマイナスにも働かないといいますか、かなり中立的な制度だと思います。  したがいまして、もし町全体としての町並みというふうなことであるならば、地区計画でございますとか、あるいは別途建築協定ですとか、言うなればそういうものとの合わせわざというふうなことで担保していくということが現実的なのかなというふうに考えております。  それから、老朽化した建築物の問題でございますが、老朽化した建築物をワンパッケージにして連担建築物設計制度を適用するというふうなことは基本的にはないだろうと思います。  といいますのは、ワンパッケージにした上で防火上あるいは安全上のチェックを特定行政庁が行うというふうなことでございますので、建物それ自体が老朽化しているものをパートナーにした連担設計というのはやはり基本的にはないと思います。老朽建物の更新ですとか町並みのつくりかえというふうなものを阻害するような使われ方というのは、基本的にはないのではないかというふうに考えております。
  174. 大口善徳

    大口委員 川内議員が御指摘をされました空中権の売買みたいな形になると思うのですね。隣同士の契約でお金が行き来して、空中権を売り買いするというような感覚にもとらえられるのですね。  それで、不動産登記制度との関係が非常に大事になってくるのです。建設省としても、これは法務省と検討する、こうおっしゃっています。きょうは法務省に来ていただいておりますので、そのあたりの関係がどうなっているのか、お伺いしたいと思います。
  175. 倉吉敬

    ○倉吉説明員 ただいま委員から御指摘のあった点でございますが、委員も御承知のとおり、不動産登記制度は、不動産に関する民法百七十七条の規定を前提といたしまして、その物件の権利関係を公示する、そして取引の安全を守ろう、こういう制度でございます。そのためには、もちろん権利の客体である不動産、土地というものを特定しなければならない。その特定をするのに必要な限度で、登記簿の表題部に現在面積、地目等を記載しておる、こういうシステムになっているわけでございます。  一方、現在問題になっております連担建築物設計制度、これはもう純粋に建築基準法上の行政的な規制に関する事項、こういうことになります。  それからまた、別の視点から見てみますと、不動産登記制度は、一筆ごとの土地を対象にいたしまして、これに関する権利関係を公示している、こういうことになるわけですが、この連担建築物設計制度というのは、複数建物がありまして、その敷地というのを一団の土地といたしまして、いわば一筆ごとの土地とは関係なく一団の土地について特殊な行政上の規制をかける、こういうシステムになっているわけです。  このように、制度目的が違う、それから制度対象となっている土地のとらえ方が違うというところから、連担建築物設計制度に関する事項を不動産登記簿に直接載せてくるというのは、これは非常に難しい、こう考えているわけでございます。  ただ、委員ももう御承知のとおりと思いますが、現在、地理情報システム、地図情報を基盤にいたしまして、その上に地図情報に関連したさまざまな空間情報を載せてコンピューターで見せていく、こういうシステムの整備が推進されているところでございます。  この制度の中では、もちろん今問題になっております連担建築物設計制度だけではなく、土地の取引をする人が知りたいと思う土地に関する行政情報というのはたくさんあるわけでございますが、そういった行政的な規制の状況というのをコンピューターシステムを通じて国民にわかりやすい形で公示していく、これは非常に望ましいことであろう、我々としてもそう考えている、こういうところでございます。
  176. 大口善徳

    大口委員 斉藤委員に御了解を得まして、もう一問だけ質問させていただきます。  先月の十四日、埼玉の学校で、防火シャッターに小学校の三年生が挟まれてとうとい命を失いました。私も、本当にこれはショッキングな事件でございました。この死亡事故を重く受けとめて、二度とこのようなことがないようにしなければいけないと思います。これは学校でありましたけれども、百貨店ですとか不特定多数の人が出入りするところは全部こういう可能性があるわけでございます。  建築基準法上の問題もあります。そしてまた、ああいう重いものに挟まった場合、自動的に停止するというようなことは考えられないのか。あるいは、ああいう重いシャッターではなくて、今性能規定化ということになっておりますから、もっと別の材質で、やわらかいものでシャットアウトすることも考えられると思うわけですね。  そういう点で、二度とこういうことが起こらないようにするためにも、一つは全国の実態調査ということ、そしてこの防止策をどうするかということ、これをお伺いして、私の質問とさせていただきます。
  177. 小川忠男

    小川政府委員 先般の死亡事故、まことに残念な事件でございました。私どもといたしましても、直ちに防災の専門家、さらには自治省消防庁、あるいは文部省、関係業界集まりまして、その原因と対策について現在検討といいますか勉強しております。  成果が得られ次第、全国に対して周知徹底を図らせていただきたいと思います。
  178. 大口善徳

    大口委員 以上で終わります。ありがとうございました。
  179. 遠藤乙彦

  180. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 平和・改革斉藤鉄夫でございます。  私は、きょうは、行政が構造物に対して行う検査意味について質問をさせていただきたいと思います。  まず、議論に先立ちまして、議論対象なんですけれども、構造物といいましても建築構造物、土木構造物ございますが、きょうは建築基準法改正の審議でございますので、建築構造物に限って議論をさせていただきますj最後にちょっと土木構造物についても触れさせていただきたいと思います。  まず、構造物に対していろいろな検査が行われるわけでございます。施工者がみずから自分の行った施工がきちんとしているかどうかという施工検査一それから発注者が、施工者から受け入れる構造物がきちんとした性能を満たしているかどうか、品質があるのかどうかということを検査する受け入れ検査、そして行政が行う検査があるわけですが、このいろいろな種類がある検査の中で、行政が行う検査意味目的についてまずお伺いします。
  181. 小川忠男

    小川政府委員 一つには、建築物そのものが、物によっては単に個人の資産、財産というふうなレベルを超えて社会的な意味合いを持つというふうな性格がつきまとうと思います。その意味では、行政がある種の責任を持ってチェックをするというふうな役回りもその観点からは出てまいると思います。  また、検査をするというふうな場合にはいろいろなパターンがあると思いますが、一つは外部の検査というのも有効な抑止力、チェック手段であると思いますし、それから自主的に内部検査を充実するというのも一つの方法であろうと思います。  いずれにいたしましても、行政がというふうな場合には、外部の第三者立場で、社会的性格を帯びた建築物について基本的なところについてチェックをするというふうなのが行政の役回りとしてのチェックの意味内容だろうと思います。
  182. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 社会的意味合いを持って、その建物が持っている性能、かつ、それが社会の中である機能を果たさなければいけないわけですから、そのことをチェリクするということでございますが、今の答弁は非常によくわかりました。  では、具体的には何を見ているのでしょうか。例えば、建築基準法に合致しているということを見ているのか。目的はよくわかったのですが、具体的には行政検査が何を検査しているのかという質問をさせていただきます。
  183. 小川忠男

    小川政府委員 建築基準法でございますので、当然にチェックする尺度、これは建築基準法規というふうなことになりますし、恐らく、中間段階であるということからすれば、基準法全般というふうなことではございますが、やはり中心は構造とか安全性というふうなものが勢いメーンになってくると思います。
  184. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 建築基準法に照らして構造、安全というところを主に見ているという答弁でございました。  今までの検査ですと、着工前に建築確認があって最後に完了検査があるわけでございますが、果たしてそういう検査で構造、安全というものがチッツクできるのかという疑問を次にさせていただきたいと思います。  建築工事というのは、御存じのように多重構造になっております。孫請、下請、元請、それぞれの段階で他者がつくったものを自分が受け入れる、その施工がきちんとしているかどうか。それで、自分がつくったものをまたその上の構造に納めるわけですけれども、その段階でまたきちんとしたものをつくっているかどうか。各段階での施工検査があります。これは、ある意味では毎日毎日行っているようなものでございます。  そういう検査、特に、先ほど構造、安全というふうにおっしゃいましたけれども、構造ということでありますと、建物ができてからではわからない内部の、例えば鉄骨や鉄筋の接全部がきちんと接合されているのかどうか、コンクリートの強度はきちんと出ているのかどうか。そういう毎日毎日の検査の積み重ねを総合しなければある意味で安全のチェックというのはできないわけですけれども行政が行う検査はこれまで完了検査だけだったわけですが、安全、構造のチェックまでできないのではないか、こういう疑問があるのですが、いかがでございましょうか。
  185. 小川忠男

    小川政府委員 率直に申し上げましてある日突然一回限りの検査というふうなことについて申し上げますと限界があると思います。したがいまして、例えばアメリカのように、普通の住宅でも最小限五回は中間検査が入るというふうなことは一つ考え方としてございます。ただ、現実日本でそれだけの体制が直ちにできるかと言われますと、先ほど来るる申し上げておりますように、やはり中間検査制度に踏み切ったというのが現段階では体力の限界であろうかと思います。  ただ、もう一つ申し上げたいのは、中間検査という第三者的な機関が外部検査によってきちっとした品質を担保するというふうなメカニズムと同時に、やはりもう一つは、内部できちっとした工事監理が行われる、そちらの体制をむしろ徹底的に強化する、両方の合わせわざであるというふうなことを繰り返し繰り返し申し上げたいと思います。  それで、後者について申し上げますと、台帳を整備するというふうなことを申し上げました。建築物について、設計者はだれであって、確認した日付が、だれがいっ確認をしたのか、工事監理を担当した建築士はだれであるか、どういう検査をしたのか、あるいは完了検査は何月何日にだれだれがやったのかというふうなことを一般の閲覧に供する形で、建築物の台帳としてこれからはきちっと整備いたします。そうしますと、仮に何らかの不都合が発生した場合には、設計なのか、施工なのか、監理なのか、あるいは検査にミスがあったのか、これは天下周知の事実としてはっきりすると思います。  そういうふうな状況体制整備とあわせて、そういうふうなことの一環として一それを前提としながらの中間検査制度導入であるというふうに御理解いただければと思います。
  186. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 局長の御答弁を総合いたしますと、施工者が行っている検査がある、また、設計監理者が行っている検査もある、そういうものを総合して、日々の監理や検査がきちんと行われているかということを検査するのが行政検査だという理解でよろしいのでしょうか。     〔委員長退席、井上(義)委員長代理着席〕
  187. 小川忠男

    小川政府委員 制度そのものは、物がきちっとなっているかどうかを客観的にチェックするのが中間検査でございます。  ただ、現実の運用を考えますと、いろいろな協力を仰がなければいかぬわけです。したがいまして、ある日突然行っていろいろな検査といっても、やはり日々監理している方々からいろいろな情報を聞き、データをいただき、それで検査をするというふうなことになりますので、現実の運用としては、恐らく、物の検査とはいいながら、今先生がおっしゃったようなこともあわせて点検するという機能が結果としては付随してくると思います。
  188. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 その点、よくわかりました。  これは、民間建築も公共建築も基本的に同じ考え方、つまり今回の建築基準法という同じ土台に立っての扱いになる、こういう理解でよろしいのでしょうか。
  189. 小川忠男

    小川政府委員 中間検査対象としてのとらえ方あるいは検査の仕方は、民間、公共、全く同じに扱います。
  190. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 次の質問に移らせていただきますが、不良施工問題と今改正案の関係についてお伺いをさせていただきます。  多くの不良施工が見逃されているという報告がいろいろなところでされております。例えば、大変有名な事例では、千代田区の建築主事さんが非常に精力的にいろいろな実態調査をされました。最初のレポートは、これは昭和五十年代初めに出されたわけですけれども、業界に大変大きな波紋を呼んだレポートでございます。  普通の建築構造物で構造、安全上一番大きなポイントになるのは、鉄骨や鉄骨鉄筋コンクリート造では鉄骨の接全部でございます。溶接部でございます。それを、この建築主事さんはいろいろな方法を使って調べられた。そのうち、全部で四十三件調べたうちの四十二件が不良施工であった。これは昭和五十年代でございます。  それで、そのほとんどが、例えば二十ミリなら二十ミリの厚さの鉄骨を接合する、こういうときに、接合する溶接部は開先をとってその溶接部も全部溶接金属で埋めてあたかも一体の金属、二十ミリなら二十ミリの厚さの金属が連続している、こういうふうに施工して初めて設計どおりの施工、それで安全が保たれる、そういう設計になっているところを、現実に調べてみたら、開先をとらずに板と板の先端同士をくっつけてその表面だけ、いわゆる隅肉といっておりますが、外から見れば一見全部溶接してあるように見えるのですけれども現実にはその二つの鉄骨はつながっていない、表面だけ隅肉でつながっているというふうな事例が四十三件中三十七件。また、そのほかの加工不良が五件。  こういう現実があるというレポートが出されて、それ以降建設業界も、また建築学会や鋼構造協会、日本非破壊検査協会等努力を重ねられてきて、最近この方のレポートでは、不良率がかなり下がってはいるけれども、それでも、この方が見られる範囲でも、これは比較的大型の構造物ですけれども、最近の報告でも二〇%以上の不良がある、こういう多くの不良施工が見逃されているという報告がございます。  また、現実に、非常に大型工事であれば検査の手が入って品質管理がきちんとされているのですが、ほとんどの構造物、普通そこら辺でよく見るような七、八階建ての構造物にはほとんど検査の手が入っていない。これは施工検査もないし、受け入れ検査もないし、先ほどおっしゃいましたように行政による完了検査も非常にないがしろになっている。こういう現状現実にはあります。  この現実をどうとらえられて、そして今回の改正案ではこの点がどう改善されるのか、お伺いいたします。    〔井上(義)委員長代理退席、委員長着席〕
  191. 小川忠男

    小川政府委員 今御指摘になったような問題というのは、世界に例を見ないほど建築活動が旺盛な時期がしばらく続いたという日本状況と、それから極めて行政体制が不十分であったというふうな状況と、両方相まっての結果だろうと思います。  それに対して、特効薬は私はないと思います。ないと思いますが、一つには、先ほど言いましたように、外部からの中間検査制度導入する一方で、基本的にはやはり建築するときに、現在の建築士法でも建築士がきちっとした工事監理を行うというふうなことになっているわけでございまして、それがいま一つぴりっとしなかったというところにも相当程度原因があろうかと思います。したがいまして、中間検査導入しますが、すべてについて中間検査の手が及ぶというのは当面期待できない、これも事実でございます。したがいまして、今回、行政に提出する工事監理報告書の内容を格段に拡充強化いたしたいと思います。  したがいまして、今は鉄骨関係の溶接関係のお話もされました。通達でいろいろやってきておりましたけれども、今回は、通達でやっていたようなレベルの事柄は、むしろ工事監理報告書の拡充の中にきちっと位置づけた上で、例えば鉄骨の溶接のつなぎ目の部位ですとか鋼材の種類、あるいは作業方法といったようなものもきちっと工事監理報告書で提出していただくというふうな形で措置したいと思います。  その意味では、繰り返して恐縮でございますが、行政が行う検査ということだけではなくて、自主的な検査体制、これを質量ともに制度上も格段に強化するという中の一環として、御指摘のような問題については対応努力していきたいというふうに考えております。
  192. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 今回の改正で、少しでもそういう状況が改善されればと思うわけです。  先ほど局長、三つ挙げられましたけれども一つは、中間検査意味が非常に大きいなと私は思います。構造上安全なポイントというのは、先ほど申し上げましたように、鉄骨や鉄筋の接全部でありますとか、コンクリートの強度でありますとか、完了した後、施工が終わった後ではもう調べようのないものばかりでございますので、途中途中でそれをチェックするということは非常に大事です。それから、そのチェックをするのはこれまで建築主事さんだけだったわけですけれども、これに民間参入が認められたということも、現実問題としてこれまでほとんど手がついていなかった、特に中小のそういう建築構造物に対して現実にチェックの手が入るという意味では、非常に大きな前進ではないかと思います。.  その民間確認機関、法律では指定確認検査機関というふうに呼ばれておりますが、この指定確認検査機関への確認業務中間検査完了検査などの検査業務の依頼はだれがどのように行うのでしょうか。
  193. 小川忠男

    小川政府委員 建築主行政確認あるいは検査を選ぶか、あるいは民間の、民間といってもA社を選ぶのかB社を選ぶのか、これは基本的にはすべて建築主が選択するというふうなことでございます。
  194. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 その際、これまでは建築主事といういわゆるお役所が行っていた。第三者性はこれにまさるものはないと思います。ところが今回は、先ほど局長お述べになったように建築主が依頼をする。これは当然お金も払うわけでしょうけれども、その場合問題になってくるのは第三者性だと思います。その点はどう確保されるのでしょうか。
  195. 小川忠男

    小川政府委員 やはり、行政の機能を肩がわりするというふうな役回りを持つわけでございますので、御指摘のように、第三者性といいますかあるいは公正中立性といいますか、これが制度基本的な要件だと思います。  その意味では、一つには、やはり認可する際に、役職員の構成が特定の企業の影響力の関係でどういうふうなぐあいであるかとか、あるいは出資構成がどうなっているかというふうな状況はチェックさせていただきたいと思います。  また、当然のことかもしれませんが、役職員については、みなし公務員というふうなことで、守秘義務があると同時に、公務員と同じような罰則規定が適用になるというふうなことで、いろいろな意味で、組織構成の問題としての中立性、それから業務運営のありようとしての公平性というふうなものは制度上担保させていただきたいと思っております。
  196. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 今、建設会社は、景気が悪くて人余りで、中間管理職の大変なリストラをやっております。そういう中間管理職の方は、もちろん専門知識もある、経験もあるということで、ゼネコン住宅メーカーが、そういう社内で余っている人、余っていると言うとちょっと語弊がありますが、そういう人に新しい会社を起こさせて、いわゆるこの指定確認検査機関をつくるということも十分考えられます。  そうしますと、あるゼネコン施工した建築構造物を、そのゼネコン出身の人が現実的にやっている指定確認機関が検査をするというふうなことも当然考えられるわけで、その場合の第三者性というのは一体どうなるのだろうか、こう思うわけですが、この点についてはいかがでしょうか。
  197. 小川忠男

    小川政府委員 もともとあるゼネコンにお勤めになっていた方が完全に退職して建築確認事務所に勤めたからといって、そのもとのゼネコンとおまえは関係があると言われても若干せつないところがあろうかと思います。ただ、そこが資本構成において、役職員の構成において、特定の企業がある建築確認機関に対してどれだけの影響力を持っているのかというふうなことが恐らくチェックのポイントになると思います。  そういうふうなものについて、では何がどの程度ならば大丈夫なのかというふうなことは、基本的には運用準則というふうな形で判断基準は体系化したいと思います。いずれにせよ、最終的には個別具体の判断の問題に帰着する要素というのは残ると思います。  いずれにいたしましても、資本構成、役職員の構成、そういうふうなことを通じて公平性あるいは客観性、独立性というのは担保したいというふうに思っております。
  198. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 そうしますと、今運用準則と局長おっしゃいましたけれども、そこら辺の明確な基準といいましょうか線引きといいましょうか、そういうものは今後つくられるということでございましょうか。——わかりました。  それから、建築現場では日々検査なりチェックなりが行われている。それは、品質というのは各工程でつくり込むものでありますので、最後だけチェックすればいいというものではないということから当然です。その日々のチェックに、例えば溶接の検査でありますとかコンクリートの強度検査でありますとか、そういうものは比較的専門知識を要しますので、ゼネコンではない別の検査を専門とする会社が行っているということもあるわけですが、施工者から発注を受けて検査をしているそういう検査会社が、行政検査、つまり今までの建築主事がやっていた完了検査なり、今回は新しく中間検査が入るわけですが、そういう検査業務として行う、これは可能なのでしょうか。
  199. 小川忠男

    小川政府委員 実際問題として、ゼネコンがいろいろな仕事を行うときに、検査会社と業務提携を行って継続的にお願いしているケースというのはいろいろあるのだろうと思います。  したがいまして、その会社が建築確認業務あるいは検査業務を営業可能かどうかというふうなことでございますが、一般的には、その検査を請け負っている会社が、先ほど申し上げた意味で、資本関係なり役職員関係で単なる経常的な取引があるだけであって、資本関係役職員関係について特段の支配力がないというふうなことであれば、制度上は、従来の検査会社が資格を取った上で確認業務なり検査業務の兼業を行うというふうなことは差し支えないだろうと思います。  それで、今後の運用実態としても、資本関係なり役職員関係はないけれども、ある特定の企業と特定確認検査会社がいろいろな形で継続的な取引というか依頼を行う、要するに、極端に言えば電話一本ですぐ中間検査に来てもらえるような信頼関係とか取引関係というのは、恐らく通常の意味で構築されてくるだろうと思います。
  200. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 そうしますと、ある一つ建築工事に着目した場合、その建築工事で、施工者から発注を受けて例えば溶接の検査をやったりいろいろな検査をやっている会社が、その建築構造物に対して、今回のこの指定確認機関となって中間検査なり完了検査をやる、これも可能ということですか。
  201. 小川忠男

    小川政府委員 もちろん可能だと思いますし、指定確認検査機関の通常の営業形態として、建築基準法に基づく確認業務あるいは中間検査業務を行うだけではなくて、任意にいろいろな検査を受託して、中間検査と言わないまでも、いろいろな段階での検査を受託するというふうなことは今後の業態として大いにあり得ることだと思います。  例えば、今後の課題として、住宅の性能表示制度みたいなものを構築したときに、では、だれがその性能を評価するのかというふうなことになってきますと、今回の基準法でつくり出される建築確認機関がそういうふうな業態にまで守備範囲を広げていくというふうなことは、私どもとしても当然予想しておりますし、あるいは、今後の日本のマーケット、建築市場のありようを考えた場合には、そういうふうな業態が盛んになってくるというふうなこと自体は大いに結構だし、むしろ推奨すべきものじゃないかというふうに考えております。
  202. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 局長おっしゃるように一構造物の安全性というのはまさに細かいチェックの積み重ねでございますから、そういう意味では、日々それを見ている人が最終的な確認をする、完了検査をする、中間検査をするということで、より多くの情報を持っての検査、チェックということになるので、私もその方向は賛成でございますが、その際問題になるのは、第三者性でございます。第三者性がはっきり確保されなければならない、このように思うわけでございまして、最後に大臣に二つだけ質問をさせていただきます。  まず最初の質問は、指定確認検査機関の指定に当たっては、厳格な第三者性の確保を図り、公正中立な建築確認検査の実現を図るべきだと考えますけれども大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  203. 瓦力

    瓦国務大臣 斉藤プロフェッサーにお答えするわけでございますが、今ほどの住宅局長との質疑応答を伺いまして、非常に高度な、公正な第三者性というものを確保していくということは本法にとりましても大変重要なポイントになっていくのだろうと思っております。加えて申し上げれば、厳格な第三者性の確保、かようにおっしゃっておられるように、公正中立な審査体制を確保することが不可欠である、そういうものを目指してまいらなければならぬ、こう私は考えております。  よって、先ほど局長が答弁いたしましたように、資本関係でありますとか、役職員の兼職、兼業の状況について厳格な審査を行うこととしておるというような点も十分に御理解をいただきたいと思いますし、運用についての準則を定めることによりまして判断基準の明確化を図ります。運用、これは非常に重要なことでございますので、これからの運用につきまして特に意を用いていかなければならぬ、かように感じておるところでございます。また、さように指示をしてまいりたいと思っております。
  204. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 最後に一問だけ質問させていただきます。  これまでは建築構造物の議論でございましたが、いわゆる公共土木構造物について、第三者検査という考え方を土木構造物についても導入していかなければいけないのではないかなというふうに思います。  日本考え方は、土木については責任施工ということ、発注者がいて、その元請のゼネコン責任施工検査も含めてすべて責任を持って施工するというある意味では二者関係でございまして、これが土木の基本的な考え方でございます。  そういう中に、やはり施工検査については、建築基準法で建築については第三者チェックということが今回はっきりうたわれたわけでございまして、公共土木構造物についてもこういう考え方を敷衍していくべきだ、このように前の予算委員会で私が質問したところ、当時の亀井大臣が、そういう考え方も非常に重要だ、今後検討していく、こういうふうに御答弁をなさったわけでございます。平成九年三月四日です。  建設大臣、土木についても第三者性ということを考えていくべきではないかという私の意見に対して、大臣の率直な御見解をいただいて、質問を終わりたいと思います。
  205. 瓦力

    瓦国務大臣 公共工事に係る監督、検査は、会計法令の定めるところによりますと、原則として、発注者において実施する、こうされておるわけでございまして、一つに、責任施工の原則というのは、それは国でありましたりすれば国民の信頼、信用を失うわけでございますから、その責任を追及しながら遺漏なきを期していくという基本的なことであらねばならぬ、私はこう思っておるわけでございます。  しかし、高度な専門的能力を必要とする場合には外部機関の協力を必要とする場合もあるわけでございまして、検査補助業務の外注を行っておるところでございますが、今御指摘の問題につきましては、第三者性というものを、チェックをするという機能の中にどういうぐあいに織り込んでいくかということにつきましては、今後とも熱意を持って勉強したいと私は思っております。  先ほど委員から溶接の話がございまして、私がちょうど当選したころはオイルショックでございましたので、いわゆる原子力発電所の安全性の問題について、ど素人ながら、実は先生のまねごとで勉強に行ったことがあるのですが、日本の溶接部門が非常に高度な技術を持っておるというアメリカの評価でございまして、強固で安全な炉をつくるためにいかなる努力をしようかということで、研究所を訪ねたりいたしたことがございます。非常に高度な分野がありましても、さらにまた、これから、安全性の問題とかいろいろな分野でより高度な視点というものが必要でございますので、常に第三者の目というものが必要になってくるであろう。それにも増して、第三者がいるから安心だ、こうなっては困りますので、あくまでも第三者抜きでも責任を負う、やはりそういう原則は国としては持っておらなければならぬ点でもある、この両方を踏まえながらひとつ勉強してまいりたいと思います。  以上、拙劣でございますが、お答えとさせていただきます。
  206. 斉藤鉄夫

    斉藤(鉄)委員 ありがとうございました。終わります。
  207. 遠藤乙彦

    遠藤委員長 西野陽君。
  208. 西野陽

    ○西野委員 自由党の西野陽でございます。  当法案にかかわります質問も、九番バッターということに相なりますと、おおむね重複するお尋ねもあろうかというふうに思いますが、あえてお尋ねをいたしたいというふうに思いますので、よろしくお答えをいただきたいと思います。  まず、建築基準法が施行されたのが昭和二十五年。自来、ちょうど五十年という歳月になるわけであります。御案内のとおり、戦後の復興期、そして成長期、今大臣が初当選をしたときとおっしゃいましたが、オイルショックの時代、そしてバブル、バブルの崩壊、今日の不況、いわば戦後の日本経済の中を、二十五年の制定から今日まで続けてきたわけであります。当然、社会経済も大きな変化を来しておるわけであります。  そこで、この時点になりまして、今日の情勢に十分そぐわない、こういうことで、新たに民間開放という分野も踏まえて取り組みをされたように思うのでございますが、具体的に、取り組まれた背景というものについて、まず瓦大臣の方にお尋ねしたいと思います。
  209. 瓦力

    瓦国務大臣 西野委員のお尋ねは、建築基準法改正されるに当たりまして、その背景として何が要請されてこうなっておるのであろうかということに対する御質問でございます。  御案内のとおり、今委員からも前段にお話がありましたとおり、経済社会は構造的な変革、変化を求めておるわけでございまして、もちろんこういった大きな変化、変革を背景といたしまして、規制緩和でありますとか、あるいは官民の役割分担の見直しであるとか、加えて申し上げれば、建築市場の国際化を背景とした建築基準国際調和でございますとか、また、先般経験いたしました阪神淡路大震災の教訓を踏まえた安全性の一層の確保、いわゆるこういった要請に的確に対応してまいる、そういったことが今求められておるかと思うわけでございます。  お話しのとおり、昭和二十五年の法制定以来の抜本的改正でございまして、二十一世紀にふさわしい、また対応した新たな建築規制制度を構築するものである、かように考えております。  具体的には、建築確認等の民間開放でありますとか、また建築基準性能規定化中間検査制度導入、連担建築物設計制度導入等の措置を講ずるものでございます。
  210. 西野陽

    ○西野委員 そこで、この五十年間、基準法のもとで確認検査等がとり行われてきたわけでありますけれども、今日までの取り組みの状況についてまずお尋ねをしたいと思うのです。  建築確認の事務を執行するのは、主として地方公共団体であろうかというふうに思いますが、その公共団体の執行体制が今日まではどうであったのか。十分であったのか。具体的に、全国レベルになりますが、取り扱いをされました確認の件数、それに携わりました職員の稼働日数、さらには、規模にもよるのでしょうけれども、一件当たりの審査時間はどの程度かかっておるのか、どのような状況なのか、この際、建築確認を行う地方公共団体の業務の実態をお示しいただきたいと思います。
  211. 小川忠男

    小川政府委員 建築規制を担当しております公共団体の執行体制でございますが、一口に言って、もう少し体制強化が欲しいというのが率直な気持ちでございます。  それで現状でございますが、直近時点では、建築確認件数は全国合計で年間約百十万件でございます。それで職員の稼働日数でございますが、これはどの職員も同じだと思いますが、休暇を除けば、三百六十五日のうち約二百四十日ぐらいが建築確認に要する日数でございます。  したがいまして、いろいろな推計なり計算方法があろうかと思いますが、確認一件当たりの審査時間でございますが、通常の戸建て住宅で約二時間、それから二千平米くらいの中規模の事務所で約九時間というのが一応の推計として私ども持っております。  以上でございます。
  212. 西野陽

    ○西野委員 今百十万件という取扱件数と、規模によるけれども、通常のものと中規模のものとお示しがあったのですが、全国で建築主事と呼ばれる方、あるいはその確認等々に携わる職員の数はどれぐらいでございますか。
  213. 小川忠男

    小川政府委員 建築確認を担当しているいわゆる建築主事でございますが、全国かき集めまして千八百人でございます。
  214. 西野陽

    ○西野委員 そうしますと、私は大阪でございますので、ちょっと大阪府で調べたのですが、大阪府は専任でこの業務に携わっている者が四十四人、その中に、建築主事が九名、兼任をしている方が七名、締めて五十一人、こういうことになるわけでありまして、それでは過去ニカ年間、どの程度の取扱件数があるのかと調べましたら、一万六千前後ぐらいあります。  そうしますと、約五十名のその担当者が確認作業を行うということになりますと、割りましたら簡単でありますが、一人当たり一カ月で二十七件を取り扱っているという計算になるわけです。言いかえたら、休みも多少ありますから、大阪の場合は、一人が一日一件を平均して処理しておる、こういうことになるのですが、これは全国的な平均値から見ましたら、多い方なのでしょうか、少ない方なのでしょうか。
  215. 小川忠男

    小川政府委員 非常にざっとした概数の計算になりますが、全国を平均いたしますと、一日当たりの処理件数は〇・八五という数字が出ております。大阪府の場合には、〇・九五でございますから、約一でございますが、ややオーバーワークになっているというふうなことかなという感じがいたします。
  216. 西野陽

    ○西野委員 そういたしますと、物にもよるということですが、二時間ぐらいでできるものとさらには九時間ぐらいかかるものと、概しての話でございますが、それからしますと、申し上げましたとおり、〇・九というのは約一と考えますと、大阪の例をとれば、大体確認業務でその担当者は精いっぱいであるというのが実態と見ていいでしょうか、どうでしょうか。
  217. 小川忠男

    小川政府委員 公共団体内部の生活実感というのは、実は私余り詳しくはないのでございますが、恐らくいろいろな数字から見れば、確認業務だけで、しかも完璧じゃない状況で一日が忙殺されているというのが実態ではないかと思います。
  218. 西野陽

    ○西野委員 さらに、確認の申請をいたしまして、その確認の決定がされますまでの期間というものは約三週間と聞いておるのですが、これは法律で決められているのですか。
  219. 小川忠男

    小川政府委員 建築物の大きさによって異なっておりまして、小規模な建築物については、受理してから一週間で処理をするというふうな制度になっております。小規模なもの以外の普通の、あるいは中規模以上の建築物は三週間、二十一日以内に処理をする、こういうふうな法制の建前になっております。
  220. 西野陽

    ○西野委員 そういうことになっておるそうでございます。ところが、実際に尋ねてみますと、ほとんどが審査期間の三週間を実態は超えている。受け付けまでに実際に時間がかかる。  例えば、確認で出しましたら、図面上あるいはコード上なのかもしれませんが、これは不備だ、これは足らない、この辺をもう少し詳細に書いてくれ、いろいろなやりとりがあるようでございますね。したがって、そのやりとりだけでかなり時間がかかってしまう。ですから、提出側からすれば大体一カ月から一カ月半ぐらいはかかっているのが実態だ、こういうふうに聞いておるわけですね。  それでは、この三週間というものにオーバーするではないかといえば、それは受け付けの段階でまだ受け付け印を押しておりませんから、用意ドンになっていないわけでございます。さらに、そのおくれる理屈づけ、どうしてもマンパワーの限界というものもあるのでしょうが、どういう理由を言っておるかといいますと、消防の同意というのがあるそうでございますね。そうすると、消防関係に同意をとっている、今協議をしているということで、おおむねこれは一週間ぐらいかかってしまう。  ですから、処理日数の三週間、二十一日を超えたものの理由には、他のいわゆる所管、消防との協議に時間がかかっているというような言いわけをしているのが実態だ、このように言っておるわけでございますが、建設省の方は、こういうことは御認識はされておるのでしょうか。     〔委員長退席、谷畑委員長代理着席〕
  221. 小川忠男

    小川政府委員 私どもが調査をいたしますと、例えば大規模な建築物では平均は二十二日弱でやる、それから小さい建物は七日強でやるというふうな調査結果が実は上がってくるわけでございます。  ただ、では現実は、本当はどうなのだというふうなことでございますが、今いろいろな御議論をされましたけれども、二つあると思います。  一つは、建築確認申請書そのものが必ずしも十分ではなくて、あちらを直してください、こちらを直してくださいというふうに一たんお返ししてしまえばさわやかなものを、お返しをするともう一回手数料をいただくわけですから、お返ししないまま手直しをしていただくという、ある意味では非常にまじめな、事務的な対応で結構時間がかかっているというのも率直に言ってあるようでございます。  それからもう一つは、建築確認というよりは、やはり建築確認プラスアルファの行政指導とか調整というところでそれなりの時間を事前に費やしているというのもこれまた現実の問題としてあろうかと思います。  ですから、その辺のところは、建前として、受理してからほぼ法定期間内にということプラスの現実のいろいろなしがらみがあるだろうというふうなことはそれなりに理解しておりますし、また、これからの運用でございますけれども、やはりきちっとけじめをつけるところはっけるというふうな形で、すっきりした形にした方がいいだろうというふうな気持ちは持っております。
  222. 西野陽

    ○西野委員 ですから、実質、建築主事さんというのは技術屋でございますし、殊さらサボタージュしてそれをおくらすとか、そんな恣意的なことがあるわけがありませんから、精いっぱい取り組んでおるのだろうと思いますね。それでも、いわば確認業務だけでほとんど時間を費やされてしまうというのが実態ということが浮き彫りになったような気がいたします。  さて、確認が終わりまして施工されました。完了検査のことで、先ほどもどなたか御質問をされておったようでございますが、そこでは、何か確認を受理して竣工、完了検査を受けている率というのは三五%とおっしゃいましたか、私どもはもっと低いというふうにも聞いております。これは、いずれにしても、実際の確認申請をしたものが三〇%前後しか完了検査を受けておらないというのが実態だろうと思うのですね。  そこで、今回の法改正中間ないしは完了検査の問題がいろいろ義務づけられるわけですけれども、むしろ私は、確認を受けた工事が竣工と同時に完了検査を受けたということに対して何かメリットといいますか税制上の特典といいますか、そういうものを付与したらどうなんだろうかなというふうに思うのですね。  例えば、完了検査を受けた場合には、不動産の登録税というのがありますけれども、登録税ぐらいは減免をするということになれば、三〇%から一挙にもっとふえるのではないかなという気がいたすのですが、こういう考え方というのはどうなのでしょうか。
  223. 小川忠男

    小川政府委員 これは、どちらが鶏で卵かというのはよくわからないのでございますが、完了検査実施率が極めて低い状況のもとではなかなか思い切ったこともできない。例えば、金融公庫の融資と完全に連動させるというふうなことも、片や金融というマネーフローの現実の話でございますので、余りにも水準が低いときにはそれで思い切って結びつけるのもためらわれるというふうな話があるとか、なかなか難しい状況だと思います。  したがいまして、ある程度それなり水準になれば、残っているものは一気に、征伐という言葉は語弊がございますけれども、整理をするという意味で、いろいろな制度を直ちに連動させるというふうなことも現実のテーマになってくると思います。  したがいまして、ただ、今のタイミングでは、何回か話が出ましたように、三五%という状況でございますので、例えば台帳を整備することによって、だれが確認をしたのか、いつ中間検査が入ったのか、その中間検査をした担当者はだれだったのか、完了検査はいつ発行されていて、完了検査をした担当建築主事あるいは担当民間機関はだれだったのかというふうなことが台帳としてきちっと整備されるというふうな状況ども準備いたしますので、完了検査実施率というのはこれまでとはまた違った動きをするだろうと私どもは期待しております。  総力を挙げて実効性の確保というふうなことをやりますので、勢い完了検査実施率も上がってくることを期待しますし、そうすればまたいろいろな知恵も連動して出てくるだろうというふうに思っております。
  224. 西野陽

    ○西野委員 この完了検査というのは、義務づけておられるのでしょうけれども、受けましたら、メリットと私は言ったのですけれども、実質は施主側というか建築主側にはメリットがないのですね。  例えば、銀行融資を受けるという場合、完了検査がないものについては融資を完了さすとか何かあればいいのですけれども、これは全く関係がないのですね。確認だけあれば融資が出てしまうのですね。そしてまた登記も、別に完了検査がなくても登記できるのですね。何でここで登記するのに完了検査が必要だと言われれば、これは登記できないのですから、そこでちょっと歯どめをかけるとか。  実は私もささやかなものですけれども何軒か持っているのですが、設計をさせた者に聞きましたら、立場上しっかり完了検査を受けていますよと言うのです。おかげさまで、完了検査を受けたら三年に一回定期報告義務というのがあるのですね。出さなければ定期報告義務はないのですね。ですから、正直者は、完了届を出したために、ではこうなるというものがなくて、むしろ義務が付加されてくるのですね。どうも割り切れないですね。  ここらあたりを含めて、完了検査を受けた者は登録税でも何か考えたらどうだという発想。何かこの完了検査は、今局長がおっしゃったように、台帳に置いておきますよ。台帳といっても、ただ書庫の中に置いてあってそれはそれなりのものなんですね。それだったら、何か施主側に、建築する側に、台帳だとかそんなところは直さないで、むしろその建物のところに、適マークではありませんけれども表示してやる方が、完了検査済みでその方がまたわかるのですね。信用がおけるということもあります。  何か方策を考えられたらいかがかな、こう思うのですが、いかがでしょうか。
  225. 小川忠男

    小川政府委員 例えば、金融公庫の融資あたりは現実のテーマとして俎上にのり得ると思いますし、もう少し完了検査の体力が強化することを前提にしながらも、今先生御提案になった強化策、あめ玉と言うと語弊がございますけれども、そういうふうなものも検討させていただきたいと思います。  ただ、基本的には、日本の建築をめぐるマーケットが成熟をしてきて、極端に言えば、フランスと言うのは語弊がありますが、完了検査が終わっている、きちっとした建物であるというふうなオーソライズがなければマーケットそのものは相手にしないというふうになれば状況はまた別だとは思います。  基本的にはそういうマーケットの成熟を期待したいとは思いますが、当面の問題としましては、今先生御提案のような話についても、何ができるかというふうなことは一つの具体的な検討テーマとして考えさせていただきたいと思います。
  226. 西野陽

    ○西野委員 そういう意味では過渡期であるのかもしれませんから、マーケットの成熟度あるいは消費者といいますか建築主の方の社会的な問題、さらには施工する側もそういった信頼感といいますものも醸し出せるような、そういうすべての状態が整えばいいわけですけれども、現在のところは残念ながら必ずしもそこまでいっていないというところでありますから、あめとは言いませんけれども、何らかの方策を考えられたらと思っております。  さて、新たに指定確認検査機関を設置する、こういうことでありますが、具体的にどのような機関が設定をされやすいのでしょうか。先ほどの委員さんからも質問があったかもしれませんけれども、再度お答えをいただきたいと思います。
  227. 小川忠男

    小川政府委員 現実的には民間からの申請でございますので、現段階では何とも言いようがないのでございますが、一つには、建築関連業界が共同で何らかの検査会社をつくる。それは、特定の企業が支配力を及ぼさないようにというふうな配慮は当然必要ではございますが、そういうふうな形で関係業界団体というのは一つのイメージとしてあろうかと思います。  それからもう一つは、これは定かではないのですが、阪神‘淡路を契機にして民間検査会社の設立の動きがあるというふうな話も断片的に私ども聞いております。  それからもう一つは、私ども現実のテーマとして少し基本的に考えなければいかぬのかなと思うのは、過渡的な状況ではございますけれども確認検査員、民間機関確認業務を担当する専門職員については、実務経験が二年ないと受検資格がないというふうな制度にしてあります。  したがいまして、そうなりますと、現実には公共団体で確認行政を担当した職員ないしその経験者がとりあえずの第一次的供給母体になるわけですから、その意味では、純粋民間の方に対する研修というふうな意味合いも込めて、そういうふうな公共団体での確認行政の経験を持った人を抱えている公益法人がまず研修というふうなことも兼ねて確認業務体制、営業を開始する、そこに純粋民間の人に研修的な形で来ていただいて、実務経験を積んでいただいて、その方々が本当の民間企業をつくっていくというプロセスというふうなものも場合によっては現実的な対応として、過渡期における対策として、意識的に考えなければいかぬのかなというふうなことも頭の片隅にはございます。
  228. 西野陽

    ○西野委員 その機関の、公益法人等々の問題は後ほどさらにお尋ねしたいと思っているのです。  先ほどの委員の話とは私はちょっと観点が逆かもしれませんけれども、いわゆるゼネコン、総合建設会社、あるいは設計理事務所というのは数多くあるわけですね。一定の規模以上のものになりますと、相当のノウハウとキャリアを持っているのですね。そういう民間会社が、例えば別会社をつくる。A設計理事務所、A建設会社がそのために別会社をつくって検査業務等を中心に行う、こういう場合は大丈夫なのですか。機関として認められるのですか。
  229. 小川忠男

    小川政府委員 制度をつくる際のいろいろな議論のプロセスにおきましては、客観性公平性というふうな議論の流れと同時に、並行して、例えば自社物件以外だったらいいではないかというふうな議論片方の極論においては検討の俎上に実はあったわけです。ただ、結果として、でき上がった制度行政機能を肩がわりするのだということから、やはり客観性なり公平性、中立性というものは制度上必要だろうというふうな形で制度は構築されております。  したがいまして、今別会社というふうにおっしゃいましたが、別会社といってもいろいろな組織形態、出資形態というのはあり得るのだろうと思います。あり得るのだろうと思いますが、結局のところは、やはり建築確認検査を行う会社とある企業との影響力の問題だろうと思います。特定の企業が役員構成を通じて、あるいは出資の割合を通じて建築確認業務に対して決定的な支配力を及ぼすかどうかというふうなことが、やはり最終的には判断の材料になるのかなと思います。  したがいまして、極端に言えば、一〇〇%出資の子会社というふうなことだとすれば、ちょっと御勘弁をいただきたいというふうなことになるのだろうと思います。
  230. 西野陽

    ○西野委員 これはもう小川局長よく御存じだと思いますけれども、一般に民間の建築物、構造物、建物を建てる場合、それぞれやはり業とする本業は皆得意でしょうけれども、それ以外のことは不得意なのですね。  ですから、一般的な話をしますと、建てようとする民間企業があるとすれば、そこへ対してまず土地の紹介をする。将来的にこの場所はいい、我が社には適当だ、工場には適している、こう判断をしたところから、今度計画が入るわけですね。そして、これは一体採算がとれるのか、ペイはどれぐらいでするのか、償却はどのぐらいかかるのかとか、いろいろそれらの経営診断をやるわけですね。経営診断ができました時点で、お互いに、よし、これでかかろうという合意を得て、実施設計が入り、そして確認業務という問題、手続等が行われる。そして着手、竣工。  その間には、当然最近のことですから周辺に対する難しい問題もたくさんあるわけですから、その周辺対策という問題もすべて建設業者に一任をする。先ほどの委員さんのように、責任施工というのがここにあらわれているのだろうというふうに思いますね。すべて建設業者にお任せをいたします、設計事務所にお任せをいたしますというのが大体、ユーザーといいますか利用者側の、建築主、施主側の、やはりその件についてはお任せをする、ゆだねるというのが通常ではないかと思うのですね。そこに施主と施工業者との信頼関係というものも当然醸成されてくるわけです。  そういう中でもやはり確認という問題は、それはあくまでも施主と施工業者との関係だけであって、構造上がどうだ、安全性がどうだというような点については、これはやはり中間検査をし、別の機関でやらなければならぬということなのでしょうか、どうでしょうか。
  231. 小川忠男

    小川政府委員 日本的実態としまして、建設会社なり建築会社にすべてお任せをする、ワンパッケージですべてやってもらうというのが現実だというのは、私どももそういう実態は現実としてよく理解しております。  ただ、そういうふうな場合でも、例えば建設会社が別会社として確認検査機関を持っている、そこに構造的に発注をしてという形態というのは、別会社というふうな形ではないのですが、恐らく現実は提携会社が出るのだろうと思います。日常的に常に取引を行っているような、ある物件があれば常にある建築確認会社にお任せをするというのは、建設会社との間で恐らく提携関係が行われるのだろうと思います。その提携関係があるであろう会社が、役員構成なり出資関係でその建設会社が決定的な資本比率を占めるのかどうかということが最後の問題だろうと思います。  したがいまして、私が繰り返し御説明しておりますのは、建設会社が繰り返しいろいろな物件について確認なり中間検査が必要だというときに、ある特定の提携している建築確認会社にお願いをするというのは恐らく現実の動きとして出てくると思いますが、その提携する会社が一〇〇%の子会社であるとか、あるいは役員が全部兼務しているというふうなぐあいだとちょっといかがかということで、そこにはそれなりの一応の分離したけじめが要求されるというのが御提案している法制度の形というか建前でございます。
  232. 西野陽

    ○西野委員 私は、これは何も建設会社にすべて任せろと言っているわけではないのでして、こういう機関を設定される、いわゆるマンパワーの確保というのが大丈夫なのかなという思いがある中からそういう質問をいたしておるわけであります。  改めてお尋ねをいたしますが、今度は建築主事というのは建設基準適合判定資格者というのですか、ちょっと名称が間違っておったらあれですが、その従来のいわゆる建築主事になるためには、認定されるためには、条件をもう一度おっしゃってください。
  233. 小川忠男

    小川政府委員 なかなか難しい名前でございますが、建築基準適合判定資格者検定と申します。  この受検資格でございますが、一つには一級建築士試験の合格者であること、これが一つの条件でございます。それから二つ目の条件としまして、建築行政あるいは確認検査業務に二年以上の実務経験を有することという二つの条件がございます。
  234. 西野陽

    ○西野委員 ということは、民間にそういう機関を設定するということではあるけれども立ち上がりの当分の間は、建築確認検査業務に二年以上といえば、これは役所しかないですね、地方公共団体を含めて。では、要するに役人ですね。役人の二年以上の経験のあった方。  やめる方がたくさんあればいいのでしょうけれども現実にはそうもありませんし。一級建築士というのは、これはたくさんおられますが。ということになりますと、やはりこれは立ち上がりまでは大変でございますね。ここらあたりをどうなさるのですか。特殊法人といいますか外郭団体、そういうところからの方々を吸収するのでしょうか。手だては大丈夫ですか。
  235. 小川忠男

    小川政府委員 一つには、二年以上の実務経験、特に確認業務に関連して二年以上といいますのは、基本的にはやはり実務経験を通じてしか習得できないような基本的な資質なり要件というのは必要だろうというふうなことでございまして、その意味では、制度をつくった後、過渡的には、マンパワーを確保するのはしばらくの間は極めて難しいという現実の問題はあろうかと思います。  ただ、そのとき、先ほどちょっと私が申し上げましたのは、一つには、一級建築士そのものは二十七万人も全国でいらっしゃいます。建築主事資格を持っている人も、実は、従事しているのは千八百人でございますが、公共団体全体では三千三百人近く主事資格を持っている方が現実にいらっしゃいます。それで、世の中一般には、御高齢の方も含めますと一万七千人近く、実は建築主事資格者が全国にはいらっしゃいます。  ですから、そういうふうな方々が第一義的人材供給源ということだと思いますが、その場合に、過渡的な立ち上がりとして、ちょっと先ほど先走ったことを申し上げましたのは、幾つかの公益法人、県でもやはり建築センターみたいなのはございますから、そういうふうなところがまず第一号の建築確認検査機関になって、そこが、公益的な機能の一環として、これから民間での確認検査員を目指す一級建築士方々を実務研修員みたいな形で受け入れて、二年間の研さんを積んでいただいて、そういう方々が第二段の本来的な建築確認検査機関検査員として自立するような形で巣立っていくというふうな現実的なマンパワーの供給策というふうなこともやはり考えなければいかぬのかなというふうなことを実は申し上げたわけでございます。
  236. 西野陽

    ○西野委員 とにかく二年間は大変でございますね。言うならば、シルバー人材センターとは言いませんけれども、御卒業された方々の再就職を一つここで確保できるような気もいたします。嫌な言い方をしますと、OBの天下り先をつくった。まあ、そのためのものではありませんから、私はそのことについてはとやかく申し上げませんけれども、とにかく立ち上がりをしっかりしていただいて、民間のマンパワーが養成できるようにされるべきだというふうに思っております。  ところで、これも先ほど出ておったのかと思いますが、手数料なんですけれども、合計で結構でございますが、直近で年間百十万件ほどあるとおっしゃいましたけれども、金額、手数料でどれぐらいの収入になっておるのか、そこをちょっとお示しください。
  237. 小川忠男

    小川政府委員 まず一件当たりの手数料の額でございますが、これは面積の規模に応じてランクがございます。一番小さいのは一件当たり八千円でございます。一番大きな面積、五万平米以上でございますが、これは一件当たり七十一万円というふうな手数料をいただいております。これらを全部ひっくるめまして、全国で百十万件ございますが、その手数料の総合計でございますけれども、全国で二百十一億円というふうな金額になっております。
  238. 西野陽

    ○西野委員 全国で二百十一億ですか、百十万件。  また申しわけないのですが、もう少し小さくして大阪でこれをさらに見ますと、大阪で年間約三億なんですね。先ほど申し上げましたとき、担当職員が約五十人。そうしますと、これは一日一件ということですけれども、大体一人で年間約六百万の手数料を受けておる、こうなるのですね。  そうすると、これはお役所ですから六百万でもいけるのだと思いますが、民間の指定機関でしたら六百万では経営が成り立たないですね、経費その他要りますからね。よって、手数料は当然ながら高くなっていくのだということが想定をされます。  先ほど来の質問の中で、いや、それは民間でなかったらできない、時間も問わず、サービスが、まあいろいろおっしゃっていますから、確かにそうでしょう。これは、やはり手数料的なものについては、一つの枠がはめられるのでしょうか。あるいは、指導があるのでしょうか。その辺をお願いします。
  239. 小川忠男

    小川政府委員 制度が自律的に動き出した断面を想定した場合には、かなり遠い先というか、少し時間がたった後を念頭に置きますと、基本的には料金は自由にお決めいただきたい。きちっとした適正な競争とマーケットによって料金が決まるというふうなことを基本的な前提として念頭に置きたいと思います。  ただ、制度立ち上げのしばらくの間は、やはり料金のありようについても認可の対象にするというふうなことは現実的な問題としてあろうかと思います。  それから、行政手数料でございますが、先ほど言いましたように、一件当たり八千円から七十一万円というふうな形で分布いたしておりますが、私ども基本考え方は、中長期的に将来を展望した場合には、やはり必要な額については受益者負担的な考え方はきちっと貫くべきであるというふうに考えております。したがって、必要なコストについては必要な手数料としていずれいただくべき時期が来るはずであるというふうに私どもは思います。  ただ、制度立ち上げの直後において、経済状況があり、あるいは着工動態がいろいろある、あるいは、過渡的な問題として激変緩和は当然考えるべきであるとか、いろいろな現実上の問題があるのは百も承知いたしております。したがって、直ちにとはいかないのは十二分に承知しておりますが、基本的な物の考え方としては、やはり安全をきちっと買う、確認をするというふうなことにはそれなりコストがかかるということは基本的な問題意識として堅持したいと思います。
  240. 西野陽

    ○西野委員 受益者負担という性格のもの、安全を確保する、安全は買う、こういう御発言があったように思いますが、これも当然であろうかというふうに私は思っております。  ただ、重ねて聞きますことは、数の面での、いわゆるマンパワーも立ち上がりは少し不足するのではないか手数料的な、金額的な問題でも不安があるのではないかということから、せっかくでき上がった指定機関が、実際稼働し運営が十分いかなかったということになってもいかぬと思うので、まずそこらあたりから民間の機関に対して、設計事務所等々があると思いますが、施行されるまでしっかり建設省で存分なPRをしていただきたいと思いますが、そこらは大丈夫ですか。
  241. 小川忠男

    小川政府委員 全体にわたってかなり思い切った法改正お願いしております。したがいまして、性能規定化もそうでございますし、確認民間開放もそうでございますが、あるいは五年、十年、十五年たって制度が完熟したときの状況のイメージと立ち上がるときの苦労、問題状況というのは、かなり決定的に質的に違った問題を抱え込むと思います。  したがいまして、その意味では、理念型として制度議論するときには長い目でごらんいただきたいと思いますが、きょう、あすの問題としては、今先生御指摘になったような、マンパワーをどこから調達してくるかというふうな問題とか、あるいは営業が軌道に乗る前の経営状況というのは採算性はどうだろうか、いろいろな悩みというか問題はございます。  ございますが、いずれにいたしましても、関係業界、関係団体に対しては、徹底的なPRなり協力をお願いして、できるだけスムーズな立ち上げができるように最善の努力といいますか、営業活動をさせていただきたいと思います。
  242. 西野陽

    ○西野委員 それでは、ちょっと性能規定の問題についてお尋ねいたしますけれども、性能を規定化するというのですが、それはどのような効果があるのでしょうか、お示しをいただきたい。
  243. 小川忠男

    小川政府委員 まず、非常に抽象度の高いことから申し上げて恐縮でございますが、性能規定化というのは、特定の仕様、工法にかかわらず、ある製品、ある設計方法、工法が一定の法律の要求する水準を満たしさえずれば設計方法のいかんを問わない、仕様のいかんを問わないというふうなことでございますので、技術開発が日進月歩であるときに真っ向から新しい技術開発を受け入れる、したがって、結果的には技術開発を促すというふうな効果は第一義的にあろうかと思います。  それからもう一つは、性能規定化の性能というのは基本的には数字表示の基準でございますので、基本的にはやはりインターナショナルな面があると思います。したがいまして、外国の企業であっても、日本の性能規定の水準を見て商品開発を行って日本に売り込んでくるというふうなことは極めて簡単だ、簡単と言うと語弊がございますが、アプローチがしやすくなってくるという面がございます。  したがいまして、全体を総括的に申し上げますと、性能規定化のメリットといいますか、プラス面でございますが、一つは、技術開発を真っ向から促すという点がございます。それからもう一つは、国際化というか、インターナショナルな関係を促進するという点がございます。全体を通じて、結局技術開発と国際化を通じて、質がよくなる、価格が下がるというふうな効果が最終的には期待できるだろうと私どもは思っております。
  244. 西野陽

    ○西野委員 それは大変いいことだと思うのですね、そのお話。非常に抽象的なお話でしたけれども。仕様で決めるのではなくて性能でいく、こういうことですから、これは言葉でもわかり、理屈でもわかりますし、技術革新を促すということもよぐわかるのですが、これは局長、具体的な何かイメージになるようなものはないでしょうか。ありましたら、ちょっと。わかりにくいものですから。
  245. 小川忠男

    小川政府委員 例えば、先般長野でオリンピックがございました。あそこで、エムウェーブというのでしょうか、スケートを行ったリンクでございますが、あそこは大規模木造のドームだったわけです。あれはどうやってつくったかと申し上げますと、今はあの案件を建設省が直接一件審査をして、建築基準法の三十八条という規定がございまして、三十八条で検査をして、結構でしようというふうな形で認めて、ようやくあの建物ができたという経緯がございます。  それはどういうことかといいますと、現在の仕様規定でいきますと、木造については、例えば一定の高さ以上、一定の規模以上のものについては木造住宅は禁止する。これは仕様規定です。木造については、かくかくしかじかの高さ、大きさは以下のものでなければならぬという仕様規定になっているわけです。耐火建築物についてもかくかくしかじかの構造でなければいけない、実はこうなっているわけです。例えばエムウェーブ、長野のそのセンターでございますが、耐火試験をした結果、防火上は大丈夫だ、構造強度についても十二分に構造強度があるという検証が行われれば、ああいうふうなものは建設大臣の個別の認定がなくても自由につくることができるようになるというふうなことはございます。  それから、非常に卑近な例でいいますと、住宅があれば必ず屋根があるわけです。田舎へ行って屋根を見ますと、どこへ行ってもやはり金太郎あめみたいな形で、かわらの屋根であったり、あるいはちょっとあれですと銅板でふいてあるというふうなことです。何でそうなっているかというと、極めて簡単でございまして、現在の建築基準法では屋根についてはかわらか金属製の屋根にしなければいかぬとなっているからすべてそうなっているというふうなことでございます。  例えば、よく省エネというふうな形で太陽光発電みたいなことが言われます。それは今どうやっているかといったら、屋根の上にそういうふうな金属板を載せてやっているわけです。だけれども、本来ならば、太陽光発電のプレートといいますか、材料そのものが即屋根であってもおかしくないわけでして、屋根自体が太陽光発電の集光機能を持っているというふうな素材がもしあるならば、そういうふうなもので屋根をふければいいわけでございますが、今の仕様規定ではそれは禁止されているということでございます。性能規定、つまり一定の性能水準を持った屋根材であればオーケーだというふうなことになれば一太陽光の発電を行うような機能を持ち、かつ屋根としての機能を持った素材を開発すれば、それで足りるわけです。  その意味では、やはりいろいろな側面で、身近なところから、例えば一年に一件くらいしかないような、長野のエムウェーブの大規模木造のドームみたいなものに至るまで、現在の体系性能規定化した場合の体系というのは基本的なところで違ってくると思います。
  246. 西野陽

    ○西野委員 そう言われるとよくわかるのです。  さて実際に申請する側になりましたら、しかるべき規模の大手の機関、設計事務所あるいは建設業者さんならよくわかると思うのですよ。いわゆる中小零細業者というのが建設業は圧倒的に多いのですね。この方々には、性能規定化の基準というものが非常にわかりにくいのではないかな。これは私は業者でありませんからわかりませんが、そういう気がするのでございますが、こういうところは余り心配しなくていいのでしょうか。あるいは逆に、あるとするならば、それに対する対応建設省の方では考えておられるのでしょうか。
  247. 小川忠男

    小川政府委員 二つお答えさせていただきたいと思います。  一つは、制度として性能規定化導入いたしますが、性能規定化と同時に、従来の仕様規定の体系も併存させたいと思います。したがいまして、従来の仕様で建築をしたいと思う方は、今ある体系設計をし、工事をすれば、必要にして十分だというのが一つございます。  それからもう一つ、技術開発をして、従来の仕様に飽き足らないというふうな場合には、みずから性能水準を満たす製品を開発すればいいというふうなことになりますが、その基準というのは、私どもの専門家は難しくないのだと言うのですが、やはりかなり難しいと思います。それで、そういうふうなときに、新しく性能水準を満たす技術開発が行われて、それが商品としてマーケットに出るというふうなときには、やはりもう少しわかりやすい簡易な手法があった方がいいだろう、一件ごとに性能を立証して申請するというのは極めて不便でございますから。  その意味では、極めて高度な検証方法でチェックしなければいかぬような製品、計画、設計というふうなものについては、建設大臣の認定というシステムがございます。したがって、認定を一回とれば、認定書さえ添付すれば全国どこでも通用するというシステムは一つ用意したいと思います。  そして、そこまでいかないものであっても、例えば極めて類型化されたような、プレハブ住宅のようなものであれば、全体として型式適合認定という認定をとっておけば、その認定に適合しさえずればあちらこちらで自由に使って結構ですというふうなシステムも用意いたします。  それから、それが工場製品であるならば、工場そのものを認定して、その工場で生産された製品は基準法に合致していますというマークを張りたいと思います。したがって、それはマークさえ見れば自由に流通するという簡便な現実的なシステムは構築したいと思います。  それからもう一つ、中小との関係でいいますと、そういうふうな形で新しい技術体系が性能規定という制度を使って開発されたときに、みずからもそれをまねしたい、例えば特許で保護されれば別でございますが、そうでないものを自分たちもそれを習得して使いこなしたいというふうなときになかなか面倒だ、難しいというときにも、その性能規定化で開発された設計なり工法なり商品が定型化して普及してきますと、恐らくはそれは仕様に転化するのだと思います。それを仕様規定に切りかえて、もう一回位置づけ直すというふうな形で急速な普及を図る、だれが見てもわかるような形での仕様規定に切りかえていくというふうなシステムで普及を図っていくというふうなメカニズムだろうと思います。  若干長くなって恐縮でございますが、そういうふうな意味合いで、中小零細であっても、やはり性能規定のメリットというのは、間接的かもしれませんが享受できるような体制というのはとりたいと思います。
  248. 西野陽

    ○西野委員 さて、検査も終わったということで、その後の段階ですが、今日までは比較的完了検査も先ほど申し上げましたとおり少ないということでありますけれども、要するに違反建築が結構あるのでございますね。  この新しい改正されました基準法では、違反建築というのはどうなるのですか。なくなるのでしょうか。どうなのですか。
  249. 小川忠男

    小川政府委員 非常に難しいというか、厳しい御質問でございますが、やはり民間確認検査機関が私どもがイメージしているような状況であちらこちらに創設されたというふうな状況考えますと、行政だけが確認をやっている、検査をやっているという体制に比べれば、全体としての執行体制というのは格段に強化されるというふうなことは間違いないと思います。  その意味では、先ほど申し上げましたような、きちっとした建築物についての登録制度もつくりますとか、あるいは建築士に対する監督処分体系も格段に強化いたしますとか、いろいろなことの合わせわざがございますので、今までに比べればやはり違反建築物に対する目配りというのは格段に強化されるだろうというふうに確信いたしております。     〔谷畑委員長代理退席、委員長着席〕
  250. 西野陽

    ○西野委員 せっかくこの基準法で、こういう形で中間検査なり完了検査をやりやすいように、また徹底するようにという意味合いもあって、こういう制度化をされようとしているのですね。  ところが、一つには、建てる側の精神といいますか、それにもよるのでしょうけれども違反建築というのは結構あるのですね。例えば、竣工検査を受けましても、検査が終わりましたら、終わってから建て増しするのですね。そんなことやら、今度は大丈夫なのでしょうけれども木造は三階建てがいけるのでしょうから、従来でしたらほとんどの建て売りは、東京ではないのかもしれませんけれども、私の方なんかは、一階はコンクリートのガレージでございまして、車庫です。車庫ですから建ぺい率は関係ないのですね。その上に木造を二階建てるわけです。実質三階なのですね。検査が終わりましたら、車庫は車庫でなくて、店舗になったり事務所になったり。なかなか皆さんいろいろなことを考えるなと思うのですけれども、どうぞひとつ違反建築のないようにしてほしいと思うのです。  ちょっとこの違反建築の問題でさらに一つだけお尋ねしたいのですが、いっとき違反建築に対しては、行政が水道とか電気、ガスをとめる、供給拒否、こういう手だてをやって非常に効果が上がっておったということを聞いておったのですが、ただ、これは住む人の生活権を脅かす問題がある反面、また基準法というものに対する違反という、どうもその兼ね合いが非常に難しいと思うのですが、これらの供給拒否等を踏まえて、違反建築がなくなるように、これらの施策はどのようにお考えになっていますか。
  251. 小川忠男

    小川政府委員 違反建築物に対する水道あるいは電気、ガスの供給の保留でございますが、これは違反建築物がなし崩し的に放置されるというふうなことを防ぐ意味では非常に有効な手段だと思います。平成八年度の実績でございますが、水道についても全国で九十六件、あるいは電気については百件、ガスについても八十数件というふうな供給の停止といいますか保留が行われております。  ただ、現実には、例えばもう住んでしまったとなると人権問題が発生したりなんかいたしますので、やはりタイミングの問題がございますが、水道あるいは電気、ガスの供給保留の正当な事由として建築基準法の違反というのは位置づけておりますし、私どもは通産省なり厚生省とも、いろいろ折に触れてこの問題についてもお約束というか御相談をしております。これからもこういうふうな手段というのは有効であり得ると私どもは思っております。
  252. 西野陽

    ○西野委員 それは可能な範囲で他の省庁とも連携をされまして、そういうものが少なくなるようにひとつ努力していただきたいと思います。  時間の関係もあって、多くいただいている割にはどんどんたっていってしまうのですが、質問ができなかったら困りますので、ちょっと別の問題で。国土庁さん、きょうお越しをいただいていると思いますので、先にお尋ねをいたしたいと思います。  それは工場等制限法の問題でございます。  御案内のとおり、これは昭和三十九年、既成都市区域への産業及び人口の過度の集中を防止する、こういう目的で創設をされたわけであります。これの内容は、工場等の新増設、新たに建てる、増設は、千平米以上は府県知事もしくは政令指定市長の許可が必要だ、三千平米以上は国土庁長官の許可が必要だ、こういうことでありまして、過度に人口が集中しないようにという施策が昭和三十九年にとられたわけであります。本基準法は五十年はたっておりますが、それに近いぐらいこの法律も年限がたっておるわけであります。  ちなみに、私のおります東大阪の例をとりますと、工場、事業所数は、この制限法ができました翌年の昭和四十年には四千十一件ありました。そして、十五年経過しました昭和五十五年、何と九千四百五十件という工場、事業所数に倍増いたしました。しかしながら、その後翌年からどんどん減りまして、今日では、二年前のデータですが、平成八年には四千九百十五というふうに、いわば昭和四十年、この法律が施行されたぐらいにまた半減してきているのです。  そこで、ちょっと具体的にお尋ねをいたしたいのですけれども、この工場等制限法は、今申し上げました工場の設置の数から見ましても、一定の効果というものはもう既に上がってきたのです。この法律はその用を達したわけなんです。  ところで、今日のこの厳しい景況感の中にあって、一生懸命いろいろと努力をして頑張っている企業、事業者がたくさんあるわけですね。その中で、自分の敷地を持っているので新増設をしようとしますと、だめなんです。建てられないのですね。  それで、私は昨年の五月二十一日、ちょうど一年前です。この問題で質問をいたしました。そのときお答えになったのは、近畿圏整備基本計画の審議が目下始まっておるところでありまして、その結論を待って、こういうことでございますが、一年経過いたしましたので、どうなりましたのか、お尋ねいたします。
  253. 林桂一

    ○林(桂)政府委員 御指摘の工場等制限制度につきましては、御指摘のように、現在国土審議会で新しい近畿圏整備基本計画の策定の審議をいたしておりますが、その中であわせまして、この工場等制限制度のあり方につきまして審議をしていただいているところでございます。もう少し時間がかかりますが、それはそれとして、こういった審議も踏まえまして、当面の措置といたしまして、本年の一月三十日でございましたが、政令改正いたしまして、次の三点について当面の措置としての緊急緩和を講じておるところでございます。  第一番目が、例えば東大阪市などを初めとする、中小企業のネットワークが形成されてそれなりの効果を果たしているという地域がございますが、そういった中小企業のネットワークが形成されている地域の中におきます工場跡地について大幅に緩和をする措置を講じております。  また、大都市の中で最近生じておりますいろいろなリサイクル資源、PETボトルあるいはいろいろなプラスチック製品等ありますが、そういうものを処理いたしますリサイクル型の製造業、あるいは外食産業等に供給するような弁当製造業などの一定の産業につきましては、適用の除外ということで、工場等が建てられるように措置したところでございます。  さらにまた、研究開発型の、開発の試作工場などの緩和も行っておりまして、そのような点で、当面問題となるようなところにつきましての制限の緩和を実施いたしております。  さらに引き続き、国土審議会におきまして、工場等制限制度のあり方につきまして御審議いただきまして、ことしの夏ごろまでに一つの論点整理をしていきたいというふうに考えておりますので、よろしくお願い申し上げます。
  254. 西野陽

    ○西野委員 今、最後に、夏ごろまでに一定の論点整理を、そこが、論点整理がよくわからないのでございますけれども、夏ごろまでに一定の結論を出す、こういうことでございましたら非常に楽しみなのでございます。そう私は受けとめたいと思うのです。  要するに、何十年もその地域事業、工場展開をしておきながら、これ以上工場がふえては困る、これ以上人口が集中しては困るということで、今から何年前になるのですか、四十年前になるのですか、工場等制限法などというようなものを、法律で網をかぶせて、その結果工場が半減した。これは景気の影響もいろいろあったのです。そして、この厳しい中で、自分の土地、人様の土地ではないのです、自分の敷地内で工場を、頑張って新機軸のものをやろうとしましたら、建てられない。私は、これは本当に地元でしかられているのですよ、おまえは国会議員として何をやっているのだと。自分の敷地に新しい事業を展開しようとするのに建てられない、こんなことが現実に法律でまかり通っている。  今国土庁がおっしゃったのは、跡地とか弁当の製造とかリサイクル、こういうものについては緩和をしていますと。緩和じゃないですよ。もうそれは、こういう情勢なのですから、国土審議会委員さん、どなたか知りませんけれども、一遍現場を見させて、こういうことに対しては直ちに規制緩和をするというぐらいの積極姿勢をぜひ示していただきたい、再度私から熱望いたしまして、国土庁の御答弁をお願いします。
  255. 林桂一

    ○林(桂)政府委員 工場制限制度につきましては、先生御指摘のように、大都市地域においてもうそういう規制は緩めるべきではないかあるいは廃止するべきではないかというような御意見が一方で強くあることは重々承知しております。  ただ、もう一つ、やはり大都市地域におけるそういう工場なりあるいは雇用の場が集中し過ぎているというような現実もまだまだ、かなり解消の方向にはございますけれども、そのような集中の実態というのはあるわけでございまして、やはりそういうような余り集中をし過ぎているという状況については改善していかなければいけないということがあるわけでございます。一方で、地方におきます工場進出等についても、かなり現在の経済状況の中で厳しい状況もあるわけでございます。  そういう意味で、こういった規制の緩和の御意見、あるいは存続の御意見、いろいろある中で、全体の近畿圏の整備の姿を審議会で議論している中で、このような工場等制限制度のあり方についても抜本的な観点からいろいろ議論をしていただこうということで、今検討をしていただいているところでございます。よろしくお願い申し上げます。
  256. 西野陽

    ○西野委員 産業のあり方という問題、あるいは人口集中過度の問題、数々の問題はあろうかと思いますけれども、自己の所有地で自己がみずから業を拡大しようとして制限をされているなどというようなことは、もう時代が通り過ぎたことだろうと思います。どうぞ、ぜひ一日も早い緩和をされますことを改めて要望させていただいて、その問題は終わらせていただきたいと思います。  再度、休憩していただいたかと思いますので、申しわけないのでございますが、あと少しばかり時間がありますのでお尋ねを戻したいというふうに思います。  先般来の本委員会でも、国会で審議をされましたいわゆる密集市街地に関連する問題で、例えば、以前からあります総合設計制度、あるいは密集市街地整備促進法が可決されました。さらにまた、中心市街地の整備あるいは商業の活性化法、これらの法の中にはいわゆる容積率のアップという問題が包含されておったと思うのですね。  ですから、そういう市町村が指定をした中心市街地あるいは新たに指定をした密集市街地、総合設計制度に該当した建物、これはいいのでございます。実は、それにも該当しない、いわば中途半端なのでしょうか、しかし間違いなく密集しているのです。ですから、その木造密集地の中の、隣には接道というものはないのですけれども、例えば一軒、二軒離れたところにはしかるべく周囲には道路がある、こういう場合は、今申し上げた三つの法律にもなかなか該当しない場合があるのですね。  ですから、そういう地域、特に私のおります大阪とか、大阪の中でも東大阪は、今別の問題も出ていますけれども、そういうところが数カ所あるのです。今度密集市街地で、おかげさまで二カ所指定をいただきました。まだ三カ所残っているのです。漸次指定をされるのかと思いますが、要するに、それらの法律で網がかぶせてもらえないような地域で、せめて接道義務というものが緩和されたら、さらに建築物というか町づくりというものはよくなってくるというふうに思っているのです。  細かい話で恐縮なのでございますが、手の届いていない分野の、密集地に対する手だてあるいは検討というものについて、局長、何か考えていただけそうですが。
  257. 小川忠男

    小川政府委員 なかなかこれといった決め手はないと思うのですが、現実の土地柄にもよると思いますが、例えば近くに大きな道路がある。自分の建物は大きな道路に直接は面していないけれども、自分の家の前の道路は少し行ったら大きな道路につながるというふうな場合には、容積率を一定の算式で緩和する規定もございます。前面の道路は比較的狭いけれども、十何メートルか二十メートル行ったら大きな道路が走っているというふうな場合には、狭い道路で計算するよりは、こちらの大きな道路を念頭に置いて、若干こちらの容積率を緩和する規定もございます。  そういうふうなものをフルに援用するとか、あるいは、今回御提案しているような連担建築物設計制度だとか、あるいは協調建てかえみたいな実際上の協力関係で運用するとかいうふうな幾つかの知恵を重ね合わせれば、何か事態が好転するのかなというふうな感じも直感的には受けました。何か具体的な話として私どもも大いに勉強させていただきたいと思いますので、もう少し詳しい状況を教えていただければ、具体的な知恵も出せるものならば大いに出してみたいと思います。
  258. 西野陽

    ○西野委員 具体の例を申し上げませんとなかなかお答えもいただきにくいと思いますが、要は細街路ですね。建物の町並みの中の街路が、細かい、車が通れないような細街路、迷路みたいになっているのですね。こういったところ、それから決して広いものでもない、そういうものが点々とある。これらに対して、具体的にまた別途ひとつぜひ知恵をかしていただきたいというふうに思っております。  それでは、ちょっと最後の質問をさせていただきたいと思います。  今まさに、官だけの力ではなくて民の力ということで、特にこれは与党の皆さんの方で御検討されておるのかと思いますけれども民間活力を活用した公共施設の整備方策として、いわゆるPFIという問題が議論をされておる由でございます。このいわゆるPFIというものに対して、建設省として再開発を進める上でこの手法等については今どのようにお考えになっていますか。
  259. 小川忠男

    小川政府委員 建設省全体の事業について答える立場ではございませんけれども、私ども建設省としてやっております典型的な公共事業というのは、なかなか右から左にPFI的な発想が直ちになじむという事業というのは実はそれほど多くないとは思います。ただ、道路事業なんかの一部に、民間といろいろ協調しながらというふうなことでPFI的な発想が援用できるというものは、各局でそれなりに検討しているというふうに聞いております。  ただ、私ども住宅行政、建築行政の面から見ますと、例えば再開発、特に組合再開発みたいなものをとりますと、これはある意味ではPFIというまでもなく、極めて古典的な形で、民間の活力を最大限引っ張り出した、官と協調した事業でございますので、ある意味ではPFIというまでもない、古典的PFIの代表ではないかというふうな、自尊心といいますか自覚をしております。どんどんやるべきだと思います。
  260. 西野陽

    ○西野委員 ぜひこういうのは積極的にやるべきだと思うのですが、ただ、社会資本整備は今日まで官が中心で当然やってこられたわけです。ですから、民間の競争原理というのを導入するというのも、これは一つの大切なことであります。  一九九〇年の初頭にイギリスの方でこの方法を導入したようですけれども、何かそちらの方では一〇〇%、いわゆる民活である。したがって、官の方の例えば土地、国有財産を提供するとか、そこへ官が出資をするとか、さらには債務保証などという話が出ておるようでございますが、どうも日本版の今考えておられるのは、官がかなり介入をしているのですね。イギリスの方は、全くそういうことに関与しないで一〇〇%民間に任す。どうもこういうところが、与党さんで考えておられるのと、新聞にも出ておりますけれども、大分意味が違うな。現在のような方法で日本版の、今与党さんが考えておられる、新聞に出ておるようなことを仮にやるとすれば、また第二のJRみたいになるのではないか。ですから、結局、採算の合わないような公共事業、基盤整備がPFIの方に集中していくのではないかなと余計な心配をするのです。  やり方、手法としては非常に発想もいいと思いますし、やるべきだと思いますが、余り官が入り込むことによって、債務保証はしなければならぬ、最終的には国民の負担、こういうことになるのではないかなというふうな気がいたしてなりません。具体的に今法案が出ているわけでもありませんからお答えにくいというふうに思いますが、あるいは大臣でもこの話を聞いておられたらありがたいと思いますし、でなければ局長でも、PFIについてどの程度まで今検討なさっておるのか。
  261. 瓦力

    瓦国務大臣 PFIの研究につきましては、埼玉大学の西野教授を中心に、大阪ではなくて埼玉でございますが、今御検討いただいております。やがて方向づけにつきましてもいろいろお知恵を拝借できるかと思っておるわけでございます。  民間の資本、民間の技術をいかに生かして社会資本整備をするかという新しい方法を考えていくのも今は大切なときではないか。具体的に申し上げて、道路も高規格道路をつくりまして、高速有料道路もつくっておりますから、言ってみれば、日本もやっているわけでございますが、イギリスでは、病院をつくりましたり、構造物もいろいろつくっておるようでございます。  これから私どもは、いかにして社会資本整備の中に民間活力というエネルギーを取り込んでいくかというようなことを研究し、勉強していかなければならぬと思っておるわけであります。一つには、今、新宿の南口におきまして、ちょうどあそこの国道二十号線のところにブリッジがかかっておるわけでございますが、これに大正橋と昭和橋という大変窮屈な形で橋がかかっておりまして、これを新しい橋に取りかえなければならぬ時期に来ております。それをさらにデッキを出しまして、いわゆるJRとまた協力し合えば、都市部における遊休地が少ないわけでありますので、新たな魅力が出るかなというようなことに取り組んだりいたしておるわけでございまして、そういう発想がいろいろこれから出てくると思います。  採算性につきましては、委員心配のように、将来にわたって返済できる可能性というものをしかと持ってやらなければなりませんので、いろいろ我が国におきましては問題があるということを踏まえて検討しておる、こういうことでございます。
  262. 西野陽

    ○西野委員 民活の手法について、新たな方法だというふうに思いますし、ただ、そのことが最終的には、民間に頼ろう、民間の活力を活用して基盤整備ができればこれにこしたことはないのでございますが、つまるところ、そのツケは国民が負担をするという結末になることは大変残念なことでありますから、どうぞひとつ、新たな手法の検討の中ではそこらあたりを十分に建設省としてもお考えになりながら取り組みをしていただきたいというふうに思っております。  以上で質問を終わります。
  263. 遠藤乙彦

    遠藤委員長 中島武敏君。
  264. 中島武敏

    ○中島(武)委員 私は、まず最初に建設大臣に伺いたいと思っております。  建築基準法は、言うまでもなく、財産権の自由と公共の福祉との調和、共存を図るべく定められたものでありまして、同法第一条による建築物の敷地、構造、設備及び用途に関する技術基準は最低の基準であり、その目的は、国民の生命、健康及び財産の保護を図るとともに、もって公共の福祉の増進に資することを目的とする、このように規定されております。それだけに、建築に従事する関係者はもちろんのことですが、国民に広く情報を公開して、その合意を得るということが大切であると思います。  ところで、今度の改正案ですけれども、今度の改正案は、一九五〇年の法制定以来の最大の改正であります。ところが、九七年の三月の建築審議会答申に見られますように、政府は、国民の財産権のうちでも重要な住宅を初めとした建築物の安全性の確保を、自己責任原則なる概念を持ち出して、専ら個人の責任に帰そうとしているのではないかと思うのですね。  公共の福祉の増進のために建築物の最低基準を守るということは、公共の責任であることは言うまでもないと思うのですけれども、まず私は大臣にこのことを確認しておきたいと思います。
  265. 瓦力

    瓦国務大臣 中島委員にお答えをいたします。  今回の改正の基礎となりました建築審議会答申における自己責任の趣旨は、建築基準を遵守し建築物を適法なものとすることは、第一義的に建築主責任であることを述べたものでございます。建築物の安全性と良好な市街地環境の確保を図るため、行政が建築規制制度を的確に執行し、その実効性を確保する責任を有していることを大前提としていることは言うまでもないと考えております。  今回の改正によりまして、建築確認検査につきまして民間が行う道を開く一方で、行政違反建築対策等、本来行政でしかできない業務に重点を置くことといたしておりまして、これによりまして制度の実効性の確保に全力を挙げてまいりたい、こう考えておるわけでございます。
  266. 中島武敏

    ○中島(武)委員 今お答えがありましたけれども、今規制緩和をにしきの御旗にして、住宅や町づくり、これはどんどんいろいろな規制を緩和していくということをやっておりますけれども、私はこう思うのですね。阪神・淡路の大震災があった、これの教訓に照らしても、必要な規制は行うというふうにして国民の命と財産を守る、このことが国の重要な責任である、こう考えております。  このことを私は指摘をして、具体的な質問に入りたいと思うのです。質疑が長くなっておりますのでお疲れかと思いますけれども、ひとつ頑張ってお答えをいただきたいと思います。  まず最初に伺いたいのは、建築確認検査民間開放、この問題にかかわって指定確認検査機関についてなんです。  今度の改正案は、これまで地方公共団体の建築主事が行ってきた建築確認、それから完了検査、これを大臣または知事が指定する民間機関も行うことができるようにしよう、そういうものでありますね。それで、この民間機関の指定の基準は、この法律によりますと、確認検査員が一定数以上いること、それから業務実施計画が適切であること、そして業務を的確に実施する経理的基礎があること、それから役員、職員の構成や兼業が業務の公正な実施に支障を及ぼすおそれがないものであること、これらのことをうたっております。  ところで、このような基準で中立公正な民間機関となる保証というのはどこにあるのでしょうか。
  267. 小川忠男

    小川政府委員 一つは、基本的には建築確認というのはどういう性格かというふうなことが大前提にあると思いますが、基準法確認をするというふうなのは、一つには、建築の規制が客観的に明らかな基準があって、それに合致しているかいないかというふうなことを文字どおり確認するわけでございまして、その意味では、言うなれば行政が判断をして裁量するというよりは、白か黒か、イエスかノーかというふうな基準の適合性の判定というふうなことでございますので、それほど恣意性がどうこうという業務では本来ないと私どもは思います。  思いますが、ただ、制度をつくって民間機関開放する場合には、今まで行政がやってきたわけでございますから、行政の機能を肩がわりするというふうな意味合いがあるのは法制上間違いないわけでございますので、その意味合いで公正さ、中立さが必要である、こういうふうに制度上も言っているわけでございます。その場合の公正さ、中立さというのは、組織として特定の企業から支配力を及ぼされない、役員構成の面においてあるいは資本の出資関係において特定の企業の支配力が及ばないというふうなのがチェックポイントの一つだと思います。  それからもう一つは、そこに従事する職員がみなし公務員というふうな形で守秘義務があり、違反した場合には公務員並みの罰則があるというふうな形での制度を構築しております。  したがいまして、その意味で、これだけの準備をしたときに、なおかつ公正さがというふうなことは、私は、これ以上の制度上の担保措置というのは、制度として議論する限りは恐らくないのだろうと思っております。
  268. 中島武敏

    ○中島(武)委員 今の答弁は、結局、設計事務所とか建設業者とか、特定の業者の支配力が実質的にあるかないかということが基準とされている、そういうお考えのようですね。  これは何か判断基準というふうなものを政府の方では定めるのですか。
  269. 小川忠男

    小川政府委員 基本的には、判断基準の明確化を図るための運用準則というのをつくる必要はあるだろうというふうに思っております。
  270. 中島武敏

    ○中島(武)委員 今局長からお話のあった、判断基準の準則みたいなものをつくるというお話なのですが、支配力というのは率直に言いますと極めてあいまいな概念で、一体どこまでが支配力というふうに認めるのか認めないのか、こういう問題が出てくるので、なかなかこれは困難な問題じゃないかなということになるのです。  そうすると、今答弁がありましたような準則のようなものを政府の方でつくるということになりますと、その準則を形式的に満たしておればオーケー、行政としては認めざるを得ないということになるのじゃないですかね。これはどうなんですか。
  271. 小川忠男

    小川政府委員 恐らく、支配力というふうな概念の最終的なありようというのは、準則では数値的な基準で明示するというふうなことになると思います。ただ、それが今どのぐらいだというのは、もう少し検討する時間を与えていただきたいと思います。  したがいまして、運用の現場において認可をする、しないというふうな状況になったときには、やはりその数値基準を見ながらというふうなことになると思います。  それを超えた場合のなおかつの公正さ、中立さというのは、先ほど申しましたように、個別案件の処理におけるみなし公務員規定の適用であるとか、あるいは個別案件に対する行政庁からの監督、是正命令であるとかというふうな個別具体の行政処分なり刑事罰というものは別途担保されているということを先ほど申し上げたわけでございます。
  272. 中島武敏

    ○中島(武)委員 例えばこういう点はどうですか。ゼネコンやハウスメーカー数社が集まって指定確認検査機関をつくるということは可能なのじゃないかと思いますが、どうですか。もし可能だとすれば、その結果、自分の会社の建築物を自分の会社の確認検査員が確認検査するということになりはしませんか。そうすると、公正中立な機関ということが言えるでしょうかね。これはどうですか。
  273. 小川忠男

    小川政府委員 ゼネコンですとかあるいはゼネコン以外のメーカーあるいは建築設計事務所等々が共同で出資をして建築確認会社をつくるというふうなことは、一律に否定すべき性格のものではないだろうと思います。  ただ、今先生が、共同でつくったときにその会社の案件を担当したときにとおっしゃいましたが、組織として出資関係があるということと、具体の担当者が、確認検査員がどの案件を担当するかというふうなこと、組織として出資者の関係確認検査員とは全く別次元の問題でございます。  確認検査員というのは決して共同出資会社の職員ではないのであって、共同出資してつくられた確認検査会社の職員でございますから、決してゼネコンの共同出資のうちの一社の職員ではないというふうなことでございますから、そこはやはり議論は違ったベクトルの議論だろうと思います。
  274. 中島武敏

    ○中島(武)委員 今のお話だと、そこの社員は確認検査員になれないのですか。
  275. 小川忠男

    小川政府委員 そこの社員、職員という意味内容でございますが、例えば、もともとゼネコンに勤めていた人が退職をして、かつての職能なり経験を生かして建築確認会社をつくる、ないしはそこの職員として確認検査員を行うというのは、これは古典的な言い方でございますが、職業選択の自由の範疇だろうと思います。
  276. 中島武敏

    ○中島(武)委員 株式会社が出資したりなんなりで株式会社がつくられる。そこが確認検査機関になるという場合には、株式会社ですから、当然のことですけれども、営利を追求するということになりますね。そうしますと、どうなるのでしょうか。公正中立性ということとは矛盾をしてくるのじゃないかということが考えられるのですけれども、そこはどうですか。
  277. 小川忠男

    小川政府委員 法制上いろいろな手だてを講じて、職務が公正あるいは中立的に行い得るということと営利を追求するというふうなこととは、私どもは両立し得る概念だろうと思います。
  278. 中島武敏

    ○中島(武)委員 もう一つ具体的に聞きたいと思うのですけれども、さっきから議論されておりますように、当面、建築主事による確認検査と、それから民間指定確認検査機関との二本立てになるわけですね。それで、そうした場合に、この両者の間に申請料とかあるいは手数料で違いが出てくるのじゃないかというふうに思うのですけれども、これはどうですか。  それから、例えば、株式会社である指定確認検査機関、これは営利を目的とするというところからいえば、当然競争が激しくなってくるのじゃないかということが考えられるのですね。そうすると、競争が激しくなった結果、安かろう悪かろうという検査になりはしないか。極端な場合を言えば、手抜き検査ということが横行するのじゃないか。そうすると、これをそうさせない担保というのは一体何なのかという二つのことをお尋ねしたいのです。
  279. 小川忠男

    小川政府委員 行政が徴収する手数料民間の料金とは、基本的には別次元の問題だというふうに一応頭の整理はいたしております。ただ、現実問題、どちらを選ぶかというふうな判断のときに、行政の方は安い、民間の方はちょっと高いけれども二、三日で早くやってくれるとか、あるいは手続も膨大な書類じゃなくてフロッピー一つ持っていけば済むとかというふうなことで、多少高くても民間を選ぶというふうな選択が働くとか、いろいろな消費者の行動メカニズムというのはあるのだろうと思います。  それから、民間同士が安値競争でというふうな御懸念でございますが、実は私どもの現在考えております悩みというのは、いかにして立ち上げるかというふうな、マンパワーをどこから集め、どういった形で、第一義的な形で民間確認検査機関をつくり上げて育てていけばいいかというふうなことが頭の中の八割方、九割方を占めておりまして、先生おっしゃるような過当競争に近い状況が起こることがもしあるならば、過当競争じゃ困りますが、その一歩手前で適正な競争が行われることはすばらしいことだと思っております。
  280. 中島武敏

    ○中島(武)委員 今お答えがあったのだけれども、むしろ局長心配しておられることになると思うのですけれども、さっきも出ていたかと思いますけれども行政検査をするという場合と、それから民間が行う場合、私なんかの耳に入っているところからいうと十倍ぐらいの開きがあるのじゃないかということが言われているのですね。そうなりますと、手数料が安くないと検査を依頼されない、採算が成り立たないというところから、これも率直に言うけれども確認検査機関の引き受け手がないということも現実に起きてくるのじゃないのかなということを、局長心配しておる点だと思うのですけれども、その辺のところについては、立ち上がるというお話をされているのだけれども、どういうふうに考えるのですか。
  281. 小川忠男

    小川政府委員 民間の通常の常識的な動きとしますと、営業区域であれ営業の守備範囲、営業品目と言うと語弊がございますけれども確認検査を受ける建築物の属性、例えば、大規模なものしかしないとか、戸建て住宅しか担当しないとかという営業品目でございますね。そういうふうなものを、採算がとり得ると思われる区域において採算が成り立つと思われるような建物の種類を選んで営業を申請してくるというのが恐らく最も現実的な民間のビヘービアというか反応だろうと今は推測いたしております。
  282. 中島武敏

    ○中島(武)委員 その心配が克服されて立ち上がってからの話なのですけれども、私はその先を心配するのですよ。率直に言うと、民間に任せるとどうしても採算性を問題にせざるを得ないということになってくる。度が過ぎますと、言葉が悪いけれども、手抜き検査ということも考えられる。私は民間開放することを否定しているものでは決してありません。ありませんけれども、そういうことがいろいろ考えられる。  それで、私は、これも率直に言いますけれども我が国の場合には、建築士等のいわゆる専門職の独立した機能というのは厳密に保障されておりませんね。余りにも基本的な、そういう意味では体制が確立されていないというのが実態だと私は思うのですね。しかもこういう重大な問題。国民や関係団体、専門家の意見を聞いたとおっしゃるかもしれぬが、私に言わせれば、十分聞いたというふうには思えないままにその法案の成立を急ぐということですね。ここも問題なのですね。  それで、民間開放を行う場合には、さっきからの心配も含めてなのだけれども、私は、建築主事やその職員の増員、そういう体制を強化して十分なチェック体制というのを確立することが基本じゃないか、そっちの方に力を入れないでいろいろやるとなかなかうまくいかないということになるのじゃないかということを指摘したいのだけれども、どうですか。
  283. 小川忠男

    小川政府委員 行政としての建築行政の実力をもう少しぴしっとしたものにつくり上げていくというふうなことについては私も同感でございます。ただ、そういうふうな形で行政の執行力を高めることとあわせて、民間に対してもそれなり体制を構築し、あわせて全体として執行体制というふうなものを考えていくべきだというのが現在お願いしておる法案の中身だろうと思います。
  284. 中島武敏

    ○中島(武)委員 もう一つ、これにかかわって、別のことなのですけれども、お尋ねしたいことがあります。  それは、建築基準法上はその建物は適法なのですけれども、その建物が建つということによって地域の町づくりの上で大きな支障が起きるという場合があります。あるいは住民に生活上さまざまな被害を与えるということがある。それに対して、もう御存じのとおり、自治体の方ではどういうふうにやってきたかというと、独自に町づくり条例とかそれから開発指導要綱とかそういうものを定めて、その生活環境を守る措置を行ってきたのですね。それで、建築確認申請が出る、それで建築物の建築予定を事前にキャッチできる、そのことによってトラブルがありそうな場合はそれを未然に防ぐ、こういうのが自治体の要綱とか条例の一番基本的なところでありますし、事前協議制はそのことを最も端的にあらわしているものだと思いますし、役割を随分果たしていると思うのですね。  しかし、今度、建築確認検査民間開放されるということになりますと、事務的に単に建築基準法に準拠していれば、先ほどの話じゃないけれども、スピーディーに確認がおりるということになってくる。そうすると、住民が反対している、あるいは市がそれはちょっと困るというふうに思っているような建築であっても建築確認がおろされてしまう。そうすると、せっかくその市なり町なりが行おうとしておるところの、条例や要綱による良好な町づくり、この方向が非常に困難になってしまうのじゃないかということが考えられます。今政府は声を大にしていわゆる地方分権ということを強調いたしておりますが、このことにもこれは反するということになるのではないかというふうに随分心配する向きが一方にあるのです。どんなふうに思われますか。
  285. 小川忠男

    小川政府委員 すばらしい町をつくる、あるいは地域での紛争がなくなる、それ自体は大変すばらしいことだと私どもも思います。  ただ問題は、どういう手続で、どういう根拠をもって、何を基準にして町づくりあるいは紛争調整が行われるかということだろうと思います。それで、従来、ややもすれば建築確認ということといわゆる行政指導ということが混然一体となっていた。だから、それをすばらしいことと見るのか、それなりの問題が介在していたと見るのか、見方はいろいろあろうかと思います。  そういう状況のもとで、建築基準法については、基準をはっきりした上で、明確にした上で、民間が見ても白か黒かわかるような基準にした上で確認検査業務民間にお任せしますと。それで、お任せし切れないもの、これは確かに残ります。行政の判断を待つしかない問題というのは残ります。それについては、むしろ基準を明確にした上で、行政責任もはっきりした上で許可体系に移行をする、単なる裁量ではなくて、行政責任と権限で許可をしますという体系に峻別したわけです。  片や、建築基準法はそういうふうな体系に移行したわけですから、それとワンセットで運用上行われていた事実上の行政指導についても、恐らく世の中の流れからすれば、根拠と手続と基準を明確にすべきであるというふうな流れになるのがごくごく自然なことだろうと私どもは思います。したがいまして、それが、本当にすばらしい町をつくり、紛争調整に対してリーズナブルな形で、合理性を持った形の手続であるならば、公共団体が、責任のもとにおいて、きちっとした根拠と手続と基準を明確にした上で堂々と行政展開をされればよろしいのだろうと私どもは思います。そういうふうな限りでは応援したいと思います。
  286. 中島武敏

    ○中島(武)委員 これは具体的な話をちょっと今のことにかかわって一つしたいのですけれども、神奈川県真鶴町、ここは非常に水が少ないのですね。そのために、町づくり条例をつくって、建物、建築物をつくることを規制するという措置をとっているのです。だから、どういう建物が出てくるかということをチェックするわけですね。場合によっては階数をうんと下げることによって水の使用量を制限するとか、あるいは、さらに場合によっては建設そのものを許さない、そういう場合もあるわけです。  今の局長の話でいえば、そういう条例があるならば、それは町の行政責任において、片一方で、今の確認の問題でいえば、民間機関がやっている、通過するというところなのだけれども、やはり民間に全部任せ切ってしまうのではなくて、これは条例の観点からいってどうなのだということを、町が、市が判断をして、推進をする、それにストップをかけるというようなこともある、こういうことですね。
  287. 小川忠男

    小川政府委員 条例による手続、規制についても二通りに分かれると思います。一つは、建築確認対象に組み込まれる条例と、建築確認とは無縁の形で条例独自の機能をする条例と、二通りに分かれると思います。  それから、真鶴の状況について私は詳しくは存じ上げませんが、もし階数制限をするのであるならば、都市計画、建築基準法体系の問題としては、もともと規制をかけたような内容でのゾーニングをすべきであるというのが筋論だろうと思います。
  288. 中島武敏

    ○中島(武)委員 それでは、次の問題に関して伺ってまいりたいと思います。  改正案の七条の三、ここでこういうふうに言っております。特定行政庁は「区域、期間及び建築物の構造、用途又は規模を限り、建築物に関する工事の工程のうち当該工事施工中に建築主事建築基準関係規定に適合しているかどうかを検査することが必要なものを特定工程として指定するものとする。」こういうふうになっております。  特定行政庁が指定するということになりますと、地域によって指定の仕方がばらばらになってしまう、あるいはまた全国的な統一がとれないということが起きてくるのじゃないでしょうか。これについてはどうお考えでしょうか。
  289. 小川忠男

    小川政府委員 中間検査の指定の仕方でございますけれども、今御質問にございましたように、特定行政庁が指定をする、こういうふうなことでございますが、その基本的な考え方は、一つには、やはり建築物の着工動態ですとか違反状況というのは、案外思った以上に地域性がございます。時代によって、建築ラッシュが続いているような時期と、そうでないときによって、状況によっても違います。地域によっても違います。それから、もう一つ、ありていに言えば、行政の執行能力の体力にもそれなりの違いがございます。そういうふうなこともございまして、あれやこれやを念頭に置きながら特定行政庁が指定をするというふうな形で対応をしていくという制度にしてあるわけでございます。  ただ、一般論として申し上げますと、例えば住宅ラッシュがあって手抜き工事の危険性の蓋然性が高いような状況ですとか、そういう属性によって、こういうふうな場合には指定した方がいいだろうという統一的な物の考え方というのはあってしかるべきとは思います。それでは、具体的にどの場所はというふうなことは、やはり特定行政庁が先ほど申し上げましたような状況を念頭に置きながら判断をする、その限りでは、それなり地域性があらわれるというふうに、ばらばらとは思いませんが、それなりのばらつきがあり得るのは制度としては当然に予想しているということだろうと思います。
  290. 中島武敏

    ○中島(武)委員 これは、地域によっては、問題がないということで指定しないということもあり得るわけですね、そのことを含みますね。  それから、もしそうだとすれば、そういう裁量は特定行政庁にあるわけですから、特定行政庁がそう判断した場合にはそうなるということだと私は理解しているわけです。そうなりますと、多くの県が指定しないという場合にどうするのかという問題ですね。それでもそれはしようがないというか、特定行政庁に任せているのだというお話かなという気はするのですけれども特定行政庁は、先ほどからきょうばいろいろ随分議論になりましたけれども、いずれも体制がないわけですよね。その点では、完了検査も六割五分ですか七割ですかが完了済み証を出せないという状況にある。そういう状況にあるのに、ここで新たに中間検査をやる体制があるのだろうかと一方で行政の側のことを考えると疑問が出てくる。  それから、民間機関でどんどんやれば別ですけれども民間機関の場合にも、立ち上がりはどうなのだろうといって局長心配をしている。立ち上がった、立ち上がったけれども、ちょっと競争が激しくなってきた、それで安かろう、悪かろうになってしまったのでは、これは大変なことだ。この辺は一体どんなふうにお考えか、伺っておきたいと思うのです。
  291. 小川忠男

    小川政府委員 完了検査が十分に行われていないにもかかわらずというのは御指摘のとおりだと思います。  ただ、いずれにいたしましても、完了検査中間検査というのはチェックするポイントが違うという点は御理解いただけると思います。ですから、全体の行政の、民間も含めた能力ですけれども、全体の配分の問題として、実は、どちらにウエートを置く必要があるのかというふうなことの選択の問題だろうと思います。  それから、もう一つ言えることは、やはり建築確認あるいは検査というふうな第三者チェックというシステムではない形での、きちっとした質なり施工を確保するための施策というのもこれはあわせてやる必要があるだろう。その意味で、設計施工一貫体制というケース我が国の場合は比較的多いのですが、やはり建築士がきちっとした形で工事監理を行う、そのための体制片方で徹底的に強化をしていくというふうなアプローチというのも一つ現実的な政策としてあるだろうというふうなことを考えております。例えば、建築士がしっかりして責任を果たすというふうなことになるならば、行政がほうっておいても工事完了報告はふえてくると思います。  したがいまして、そういうふうな状況でございますので、やはり行政建築確認あるいは検査というふうなことできちっとした体制を構築するというふうなこととあわせて、今申し上げたようなことについても並行しながらやっていきたいというふうに考えております。
  292. 中島武敏

    ○中島(武)委員 お話を伺っているともっともなように聞こえるのですけれども、私は必ずしもそううまくいかないと思うのです。  というのは、建築士法十八条四項がありますね。「建築士は、工事監理を行う場合において、工事設計図書のとおりに実施されていないと認めるときは、直ちに、工事施工者に注意を与え、工事施工者がこれに従わないときは、その旨を建築主に報告しなければならない。」局長よく御存じのこういう規定があるわけです。  だけれども、さっきもちょっと私触れたのですけれども、今日の建築士というのは、施工業者と雇用関係にあったり、あるいは経済的従属関係にあったり、事実上一体関係にあったり、そういう関係にあるわけですね。だから、建築士法十八条四項の規定を実現するいわば土壌と申しますか、あるいは前提と申しますか、それ自身が、実態的に言いますと存在しないというのが現実じゃないだろうかなと思うのです。  局長、この規定は、例えば、雇われ人である建築士が自分の雇用主の手抜き工事を現認したら直ちに告発せよ、これはそういう趣旨ですね、ざつくり言ってしまうと。そういう義務を課するというものだと思うのです。また率直なことを言いますけれども、こういう規定が実情に合わないということは業界のだれしもが認めているのですよ。  それで、建設省も、こうした矛盾を見て見ぬふりをしてあたかも現在の建築士が資質向上し安心して監理を任せられる専門家であるということを非常に強調して、四号建築物の実地検査を免除する特例を設けている。仮に、適正な監理をしたかどうかの確認方法、これは幾ら厳格化するとしても、建築士のこういう状況を変えない限りは、私は、従来と同様に業者の施工をほぼ追認していく、こういう実態を是正することはできないのじゃないだろうかと思います。  建設省は、どのようにして適正な監理を確認するのかなということですね。ちょっと突っ込んだ質問なんだけれども、伺います。
  293. 小川忠男

    小川政府委員 繰り返し申し上げておりますように、一つのある事象を律するときに、第三者機関が外部検査をしてチェックをするという体制で臨むケースと、内部監査体制をきちっとやるというふうなアプローチと両方あり得るというのは、私は当然だろうと思います。したがって、内部監査内部検査というふうなものの実効性、効力というふうなものを否定するいわれはないだろうと私は思います。経営実態がそういうふうなものであるのならば、それはそれとして、内部の監査体制がきちっとしていて自己規律が機能するというのも一つの社会秩序であり、一つの国の法制度だろうと思います。  そういうふうなときに、建築士について申し上げれば、現実問題として、二級建築士事務所について言えば八割近く建設業と兼業している、一級建築士事務所でも四割以上が兼業というのは事実でございます。ただ、その場合でも、建築士建築士法上は独立して職権を行使しているわけでございますし、仮にそれが上司、あるいは自分の会社の組織であったにしても、恐らく建築士を処分するだけではなくて、属している組織そのものに対する両罰的規定、監督が働くと思います。私どもは、もし違反があるならば、その建築士だけではなくて、建築士が属している組織そのものに対して両罰的な監督規定は発動したいと思います。
  294. 中島武敏

    ○中島(武)委員 私、特に今社会問題になっている問題にかかわって、実はこのことを聞きたかったのですけれども住宅メーカーによる建て売り住宅の欠陥が非常に大きな問題になっています。  さきに日弁連が調査を行った。御存じかもしれませんけれども、相談件数を工法別に分けているのです。多い順に並べますと、在来工法建築が三百九十八件、それからRCづくり、SRCづくり建築が百四十三件、鉄骨づくり建築が百一件、プレハブ・パネル工法が六十七件、ツーバイフォー工法が六十五件、不明、無回答が百八十三件、こういう結果になっているのですね。  私が何を注目しているかといいますと、この中で注目すべきは、プレハブ・パネル工法、これが六十七件、八・八三%なんです。ツーバイフォー工法が六十五件あって、八・五七%に達しているわけです。これらの工法は、工場における厳密な品質管理、このことをセールスポイントにしていることは局長も御存じのとおりであります。ところが、これらの工法にも欠陥があるということをこの調査結果は示しているのじゃないかと思いますね。  さて、これらのハウスメーカーの住宅というのは、型式適合認定制度で型式認定を受ける、中間検査対象外になる、そういう可能性が大きいのじゃないでしょうか。そうなりますと、不良施工チェックができない、欠陥住宅が広がる、こういうことになりはしないか。そういうふうにならないという保証はどこにあるのかということについてお尋ねいたします。
  295. 小川忠男

    小川政府委員 今お伺いいたしておりまして、一点だけ、若干誤解がおありなのかなとちょっと思いましたのは、型式認定を受けただけでは手続の簡略化は行えません。工場での製造部品の認証をした場合には簡略化はいたしますが、型式認定だけですと、適用除外というか、簡略化は行えません。それはちょっと訂正させていただきたいと思います。  それから、プレハブのことをおっしゃいました。工場で規格を統一して品質を確保しながらというのがうたい文句じゃないかとおっしゃいました。ただ、プレハブの場合には、恐らく工場生産の過程において何らかのミスがあったのか、あるいはそうではなくて、現場での組み立て、施工、その段階において何らかのトラブルが介在したのかというふうなことが実は両方あり得るわけでございます。  先ほどお聞きしたアンケートの限りにおいてどちらがどちらなのかというふうなことはよくわかりませんが、ただ、現場での工程過程においてミスがあれば何らかの欠陥につながるというのは、在来であれプレハブであれ一般的にあり得ることであろうと思います。
  296. 中島武敏

    ○中島(武)委員 私は、ちょっと言葉足らずに言った向きがあったかな、余り誤解していないつもりでいるのです。  今、組み立てとか施工現場、ここがどうなのかということがかかわってくるからという局長のお話で、特に今回の改正によって、従来から、見える部分、それから使用して効果がわかる、そういう施設の工事は念入りにやるけれども、できてしまえば隠れて外からは見えにくい、こういう部分の構造というのはどうなんでしょうか、軽視されるおそれはないでしょうか。建築物の安全性を確保するためには、見えない部分をどう検査するか、これが非常に重要なかぎではないかと私どもは思っております。  欧米では建築行政の手法がいろいろ異なっているのだけれども、いずれも公共の福祉に適合する建築物を存立させるために中立公正な第三者による中間検査ということが確保されている、こういうふうに聞いております。改正案による中間検査導入は評価できるのですけれども、それが実際上骨抜きになるというようなことがあってはならないと思うのです。この点はどんなふうにお考えでしょう。
  297. 小川忠男

    小川政府委員 建築物を評価する場合に、見ばえ、できばえだけではなくて、やはり外からは見えない内部の構造なり骨組みがきちっと施工されているかどうかというのは非常に重要なポイントだと思います。その意味では、完了検査だけでは対応し切れない要素があるのは事実でございますし、そういうふうな事態に対応するために今回中間検査制度というふうなものを思い切って導入したというのも、実はその辺に背景があるわけでございます。  ただ、ではどの程度中間検査ができるかというふうなことでございますが、やはり民間が育ってくれて、行政民間をあわせた執行体制が格段に強化されるならば、やはりそれなりにきちっとした形で徹底的な中間検査というふうなのをやるのも一つの選択肢だろうと私は思います。  ただ、いずれにいたしましても、それなりの経費がかかるというふうなことをやはり国民の皆様が御理解いただくというのが大前提になるというふうなことは、念のためでございますが必要だろうと私どもは思います。
  298. 中島武敏

    ○中島(武)委員 最後に伺いたいと思っておりますのは、性能規定を導入したその結果についてなんです。  業界の方からいろいろな要望もたくさんこれあり、このたび性能規定制度導入した。それで性能基準を確認するための検証方法も緩和され、建築主事の審査も簡略化してコストダウンを図る。そうすると、自由度を増した商品が次々と打ち出されるようになる。こうなりますと、結局大手の住宅メーカーに建築市場を独占されるおそれはないのか。私は随分そのおそれが大きいのじゃないかなということを痛感しております。  それからまた、型式部材の認定制度によって、認定、認証を国内外の指定機関に行わせるということになりますと、この制度による認定を受けた、つまり型式部材等の製造業者とそうでない業者が差別をされる。そうなりますと、中小業者がますます建築市場から淘汰されることにつながるのじゃないだろうかなということも非常に恐れる点です。  それから、輸入業者によって海外部材が急増してくる、海外の業者の参入ということと相まって、結局我が国の中小業者に大きな打撃を与えることになるのじゃないかなということを非常に私は心配いたします。  この点は、局長としてはどうしていくつもりなのか、その辺のことについてお尋ねいたしたいと思うのです。
  299. 小川忠男

    小川政府委員 まず、冒頭ちょっと触れられました性能規定、それを支える検証方法でございますけれども、これは甘くする、しないという問題よりは国際的な整合性が問われるような分野でございますので、恐らく世界的に科学的に確立された知見というふうなものをバックにした検証システムというふうなことになると思いますので、御懸念の点はまずないだろうと思います。  それから、性能規定をフルに活用し得るのはそれなりの技術開発力がある企業、それはそのとおりだと思います。また、型式認定あるいは製造者の認定を取り得るというふうなもの、これは必ずしも大企業だけじゃなくて、独特のノウハウを持った中小企業であるならば、それはそれとしても一向に構いませんし、また、そういうふうなことも大いに期待いたしたいと思います。  ただ、私ども現場にいまして、輸入住宅とか、あるいは大手のプレハブメーカーとか、地場の木造軸組み住宅というふうなものを見ていますけれども消費者というのはどちらか一方に傾くというふうなことはなくて、やはりそれなりの選択をマーケットにおいてされているというのは事実だと思います。したがいまして、仮に今回基準法が成立して、性能規定化あるいはそれに伴ういろいろなシステムが動き出したときに、世の中全体がそういうふうな意味で大きく変わります。変わりますが、大企業対中小企業とか、あるいは輸入住宅在来工法というところに劇的な変化を基準法がもたらすというふうなことは基本的にはないだろうと私は思います。  ただ、むしろそれよりは、やはり基準法改正によって、性能規定化に伴って新しい技術開発が生み出され、安い資材が外国から入ってきて、それが大手に限らず日本国内のマーケットにきちっとした形で浸透し、安い資材が活用できるという大手、中小を問わないメリットの方がはるかに大きいだろうと私どもは思っております。
  300. 中島武敏

    ○中島(武)委員 今、局長は、中小でも独特なノウハウを持っているところもあるだろうし、あるいは現在持っていなくても、そういうところをどんどん中小だって開発をやっていけばいいのじゃないかという趣旨のことが幾つかの答弁の中にあったと思うのですね。私は、中小ではそういうノウハウあるいは新しい開発をやれないというようなことを言うのじゃないのです。しかし、やはり大きなところがやる率、可能性は非常に大きいのじゃないか。  そうすると、中小のところがもっとそういうものを開発できるように政府としては一体どういう支援をやるのか、そういう点ですね。その辺についても伺わないと、中小支援という問題、中小を守るという点からいってもちょっとすっきりしませんので、そこへもう一歩突っ込みます。
  301. 小川忠男

    小川政府委員 私ども行政考える場合には、大手、中小という座標軸が一つあることは否定いたしません。否定いたしませんが、やはりユーザー、消費者住宅を購入される方という座標軸が大前提になることは改めて申し上げておきたいと思います。ユーザーにとっては安くて質がよければいいわけでございますから、それを否定するような形での大企業対中小企業という座標軸については、私どもはそれは本来の姿ではないだろうと思います。  ただ、一般論として、中小企業対策についても、あるいは地場の在来の工法についても、近代化、合理化について財政的あるいは技術的な支援を惜しむつもりは全くございません。いろいろな意味で御協力も申し上げ、お手伝いもしたいと思いますが、住宅考える場合の座標軸の原点は消費者でありユーザーであるというふうなことは、やはり基本中の基本であろうかと思います。
  302. 中島武敏

    ○中島(武)委員 ユーザーであり消費者であるということは私も同感であります。それが一番の基礎になければならないし、またそのことが中心でなければならないというふうに考えます。だけれども、そのことを強調するがゆえに、中小はどうなってもいいということには、まあそこまで言っていないでしょうね。聞きようによってはそういうふうに聞こえないことはないのですよ。  ですから、建設省としては中小に対してどういう支援策を持っているのか、こういうところへぐっと踏み込んできているのですから、これは局長だけじゃない、瓦さん、建設大臣も大いにかかわるところなのです。別に私、このことを大臣に質問するとあらかじめは申しておりません。おりませんけれども、この議論になってくると、やはり局長の方からは具体的なことを聞きたいし、それから、瓦建設大臣からはそのスタンスをはっきりさせておいてもらいませんと、消費者が主人公、それはそのとおりなのです。そのとおりなのですけれども一その陰で中小が淘汰されていってしまうと、これは余りにもひどいじゃありませんか。だから、この辺をどうするのかというところを、まず局長にさらに伺います。そして、建設大臣からも伺いたいと思います。
  303. 小川忠男

    小川政府委員 中小企業は中小企業なりにきちっとした形で頑張るべきであると思いますし、それに対する応援は、私どもとしてできることはやるつもりでございます。
  304. 瓦力

    瓦国務大臣 大工、主務店の技術力の向上を図るため、建設省においても、一つに、生産性や性能のすぐれた新たな木造軸組み住宅工法の開発、普及でありますとか、あるいは大工工務店関連の団体等が実施する工法の開発や新技術の普及に対する支援、これらを推進しているところでございます。また、在来工法による大工工務店対応できるよう、従来の仕様規定を引き続き法令に位置づける、二つとして、新しい材料、構造方法を積極的に仕様規定に追加いたしまして、新技術の普及を図る、これらの措置を講ずることといたしておりまして、委員指摘のような御心配がないように我々は支援してまいりたい、こう思っております。
  305. 中島武敏

    ○中島(武)委員 私の心配がないというのは、ちょっと違うと思うな。  では、もう時間もありませんからこの問答は終わりにして、質問を終わりたいと思っているのですけれども、私、言いたいのは、あくまで消費者を一番の基礎に置きながら、そして、そのために何がいいのかということの基準をきちっとはっきりさせた上で、やはり中小の支援を具体的にどういうふうにやるのかということについて、大臣、ぜひひとつ、軸組み工法の話はいいのです、仕様規定の話は結構でございます。だけれども、同時に、それだけではなくて、やはりこの性能規定その他を導入してくるということになりますと、勢い私が今問題提起しているような問題が大問題になってくると思うのですね。だから、そういう点で、中小に対する支援というものを具体化していっていただきたい、そのことを建設大臣に特に要請をいたしまして、どうやら時間ですので、これで質問を終わります。
  306. 遠藤乙彦

    遠藤委員長 中西績介君。
  307. 中西績介

    ○中西(績)委員 遅くまで大変御苦労さまでございますが、いましばらく御辛抱いただきたいと思います。  今回の建築基準法改正は、我が国の建築規制の体系を抜本的に見直すものであるが、改正する最大の原因は、簡単に申し上げますと、阪神淡路大震災の結果、余りにも基準法が無視され、機能していなかったことがわかった、このことがまた大きな引き金にもなったと私は思うのです。これに加えまして、企業モラルの低下、災害復旧工事等でも手抜きが実際に行われておること等が判明をいたしました。こうしたこととあわせ、国際的な問題等もありますけれども、この反省からすると、先ほども論議されておりましたように、ユーザー、消費者保護、さらにまたモラルの確立を基本にしたものでなくてはならないと私は思うのですけれども、今回、改正の取り組みに当たられた皆さん基本理念は何であるかということをまずお聞きしたいと思います。
  308. 小川忠男

    小川政府委員 非常に難しい御質問だと思いますが、基本的には、私ども、戦後五十年間、建築基準法あるいは建築行政を展開してきて、二十一世紀を迎えたときに、やはり建築基準法というふうなものの体系をもう一度再編成し、根っこから洗い直すべきであろうというふうな問題意識を持っております。  その辺の基本的な認識の出発点というのは、やはり日本の建築のありようというふうなものについて、もう少し質のいいきちっとしたものが、ユーザーにとって満足できるものがきちっと満足される手続きを経て供給される建築体系、規制体系というのは一体どういう枠組みであるのかというふうなことを念頭に置いた上で、結果としてきちっとしたものが供給されるためには、手続においてあるいは基準のつくり方においてどういう形のものが一番好ましいのかというふうなことの検証プロセスの中から、やはり行政民間が協力をして検査確認をするというふうなポイントであるとか、あるいは、新しい技術が生み出された場合にはそれを真っ向から受けとめた上で、ユーザーにどういうふうな形で還元していくシステムをとればいいのかというふうなことを検証した結果として性能規定というふうなものに踏み切ったというふうなことで、基本的には、やはり安全性はどう確保するのか、あるいはユーザーの保護をどういうふうな形でするのかという幾つかのキーワードといいますか基本的な視点というのは原点としてございました。
  309. 中西績介

    ○中西(績)委員 きょう一日の論議の経過がございまして、それらの問題については大部分の人が具体的に触れていたと思うのです。  したがって、時間もないことだし、あわせまして、このことを本格的に私がやっていきますと、今言われておる行政改革行政のあり方が、例えば、地方分権あるいは民間への移行、開放などなどを挙げてまいりますと、こうした方向性を一つこれで打ち出すことができるのではないかという気がするのですね、これがうまくいけば。ただ、問題は、これがうまくいかないときには、またぞろいろいろ反省しなくちゃならぬ、引き延ばされていく、こういうことになっていくと思います。そうしたことから考えますと、今度の建築基準法の一部改正というものは、これから後の行政のあり方そのものが決定づけられる大きな内容を含んでおると私は見ておるわけですね。  そこで、今言われたような事柄とあわせて、先ほどからの論議もございますが、それでは今度、これをやる場合に、例えば、中間検査制度一つをとってみましても、我が国の場合、この中間はもちろん完了検査ですらも三〇%程度しかやっていなかったという具体的な事実が明らかになってきているわけですね。こうした状況の中で、中間検査制度導入というのは、これは私は評価できる中身だと思います。ただ問題は、この検査民間開放現状建築士の数などを考えますと、本当に実効性がここから生まれてくるか、このことがまた問われておると思うのです。  国民あるいは利用者保護のために、例えば、欧米の先進国がやっておる幾つかのタイプがございますね。そうしたときに、アメリカ型でいきますと、例えばロサンゼルスなんかの例が挙げられておりますように、行政の担当者の数、大変膨大なものになってくるわけですね。そうなると、今我が国におけるこの行政改革と財政問題とのかかわり等からすると、いろいろまた問題が出ることは事実です。先ほども出ておりましたように、百十万件で主事の数が千八百人しかいないということ。六百件も一人当たりやらなくちゃならぬ、扱わなくちゃならぬ。内容的なものでなしに、本当にただやったということだけ。こういう状況日本の場合今あるわけですから、これをそういう方向に持っていくべきなのか。それから、今度ヨーロッパの場合の例証などを考えてみますと、民間ということになっていく。  ですから、そういう問題等、やはり根本的に、日本における改革のあり方はいかにあるべきかということをある程度ここで論議をしておかないと、後になってまた反省しなくちゃならぬというようなことになりかねないので、この点についてどういうふうな考え方を持っておられるのか、触れてほしいと思います。
  310. 小川忠男

    小川政府委員 まず、冒頭触れられました、行政改革とのかかわりで現在の建築基準法をどう評価するか、いろいろ貴重な御意見を承りました。  今回の改正は、だれしもが行政の専管領域と思い、信じ込んで疑わなかった確認検査という分野を思い切って民間にお任せするというところに踏み込んだわけでございまして、それはやはり、新しい意味における官と民との役割分担、官と民とをあわせた全体としての制度の実効性のありようというものについて、新しい分野に踏み込んだというふうな自負心は私どもも持っております。  また、例えば中間検査でございますけれども、これについても、今回御提案しておりますやり方は、恐らくアメリカ的でもなければヨーロッパ的でもないと思います。  今おっしゃられましたように、アメリカの建築確認検査体制というのは、外部から第三者検査をする、チェックをするという体制で構築されています。それは、人数的にも恐らく日本検査体制を一けた上回る体制のマンパワーを投入しております。当然、それに対して国民はそれに見合ったコスト負担するというふうなことが裏腹として構築されております。  ただ、一方で、例えばフランスを見ますと、そもそも確認という概念すらない。これはどういうことかといいますと、基準はございます、基準はありますが、それを満たしているかどうかというのは、民間民間のマーケットにおいて自然淘汰されるというふうなことで、基準を満たしていないような建築物については、マーケットが相手にしない、保険すら付保されないということで、社会が自律的な機能を果たしているという役回りでございます。  そうした場合に、では、日本が、現状において二十一世紀を展望したときに、一体どちらを念頭に置いて、現状は極めて不十分だという出発点でございますけれども、どちらを向いて出発するのだというふうなことでございますけれども、私の感じは、日本的というふうなことしか言いようのないような、やはり日本独自の行政体系の確立を模索すべきであろうと思っております。  といいますのは、やはり日本の建築物の生産形態というのは、ドイツ型でもございませんし、日本的としか言いようがない枠組みでつくられております。建築、設計施工が一貫しているというふうな形態がかなり主流を占めているという事実がございます。そうなってきますと、外部から検査をするというふうな形でのアメリカ方式を貫徹するには余りにも体力の差があり過ぎるという現実論を別にいたしましても、もう一つは、内部的な監査体制、自主的な規律というふうなものを制度的にきちっとむしろ育てていくべきだというふうなのがやはり大きな柱の一つになると思います。したがいまして、それ自体は外部の検査体制を強化する一方で、内部の自主的な規律を高めるという方針というのは、やはり日本独特の組み合わせだろうと思います。  ただ、その延長線上で、内部の規律なり検査体制ということと民間確認体制ということは、やはりフランス的な、マーケットの自律的な機能を求めていくということも多少は念頭に置いて構築しているというふうな事実はございますが、いずれにいたしましても、基本類型としてどちらを選ぶのだと言われれば、あえて言えば、外部の第三者的チェック体制というものを整備する一方で、内部検査体制、自律的な機能というふうなものを強化していくということで、やはり日本的としか言いようがないような形での一つのシステムというものを構築すべきであろうというふうな一つの理念型を持っております。
  311. 中西績介

    ○中西(績)委員 私は、今言われましたように、外部に向けてのそうした展開をしながら一定の成果を上げるということを考えますと、結局、先ほど出ておりましたように、今度は我々側が、一般の国民あるいはユーザー側がいろいろあれするときに、アメリカ型でいきますと、例えば建築費用の二%あるいは四%だとかいうものをそういうものに振り向けるということがもう常識化されてきておるわけですね。  ですから、先ほどあなたが言っておったように、安全なものを買う、こういう価値観と申しますか、そういねものが成り立っておるわけですから、そういう長い間の成り立ちですね。それから、ヨーロッパ型のようなそういうやり方等、いろいろな形態があるわけでありますから、日本の場合には、我々の負担をできるだけ解消して、行政の無駄遣いをできるだけなくして、そういうものを今度充てることによって、こういう強化をすればするほど人員というのは要るわけですから、要員は要るわけですから、それをどこが負担をしていくか、こうしたものが国民の側でやはり本格的討論がなされておらないと、地方分権だって同じなんですね。地方分権の主体はやはりみずからなんだということの意識というものが持たれない限り、依然として依拠するという体制に入ったときには地方分権は成り立っていかないのですよ。  ですから、そこら辺の民主主義体制をどうつくり上げていくか。そして、私たちが安心して住める、あるいは生活できるという体制をどうすればできるかというところまでかかわる論議をしていかないと、なかなかみんな納得いただけないのじゃないかというような気がするものですから、あえてこういう問題を提起したのですね。  そこら辺とあわせて今もう一つあれしたいと思うのですけれども、例えば一番いい例が四号建築物の問題等であります。特例を認めるということになると手抜きになりはしないか、いろいろ先ほどの論議の過程にございましたように、多くの問題が出てくるわけですね。実地検査の省略だとか、いろいろな問題が出てくるわけです。  そうしたときに、それが形骸化するのではないかということになってくると、先ほど私が申し上げたように、設計施工管理一貫体制という、こうした日本における制度制度かどうかわかりませんけれども、今までのあり方、そのことがまた問われることになるわけですね。そこでは手抜きになるのかどうかという問題が出てくるわけでしょう。そうすると今度は、個々の人たちの自己責任なりモラルの問題がそこにまた出てくるわけですね。ですから、我々要求する側あるいは消費者側、手抜きされるのではないかという見方をする側と、直接担当しておる人たちとの関係が、お互い信頼関係がなければこれはもう成り立たない問題だと私は思っています。  ですから、こうした問題というのをどういうふうに我々はこれから理解をしたり、あるいは行政的に皆さんの論議を起こしていき、そしてみんなでそうした問題を共有できる。こうした問題がやはりある程度進展しないと、先ほどから申し上げるような日本行政のあり方そのものがなかなかそこには育たないのじゃないかというような感じがしてならぬのですね。  ですから、これらの問題について、どのように今度は皆さんが安心できるような体制というのをとろうとしておるのか、そうした問題にちょっと触れてお答えください。
  312. 小川忠男

    小川政府委員 これまた非常に基本的な議論でございます。  ただ、冒頭のお話を伺っておりまして、役人としてお答えするのは多少口幅つたいのですが、基本的な制度の切りかえを今回お願いしておりますが、基本的な制度の切りかえをお願いしたときに、やはり国民の価値観といいますか、社会的な受け入れ態勢というふうな点で、私は二つ基本的な点が必要だろうと思います。  一つは、例えば、アメリカがなぜ五回も六回も中間検査が入っていて、社会的にそれを受け入れているのか。日本円にすれば数十万円のコストがかかっているにもかかわらず、五回、六回と検査が入っていくのか、それがシステムとして動いているのかというふうなことを考えたときに、やはりこれはきちっとしたものをつくるためにはそれなりコストを払う、それが当然だという国民の価値観が恐らく支えになっていると思います。したがって、日本は今どういう状況かといえば、若干まだ距離があると思います。そういうふうな思いが一つ。  それからもう一つは、違反の対策はどうするのだという議論もきょうはたくさんございました。手抜きはどうするかという議論もございました。ただ、その議論を聞いていまして、やはり基本的には、質のいいものあるいはそうではないもの、これはマーケットが自律的に淘汰していくというシステムというのは究極の姿としてやはり念頭に置くべきなのだろうという感じがいたします。きちっとしたものでない限りマーケットが相手にしないというのがマーケットでのメカニズムそのものに組み込まれているような社会というのを、やはり一つは理念型として、将来展望の形で我々の頭に入れておく必要があるのだろうというふうな思いがございました。  それが、先生の冒頭のお話を聞いていての第一番目の印象というか、私の問題意識でございます。  それから、中間検査について、建築士がきちっとした工程監理を行った場合には現場検査を省略するというふうな極めて日本的な形での提案をさせていただきました。  それについて、いろいろな意味議論が分かれるのは、やはり今いろいろな御質問を受けまして感じましたのは、日本的なシステムを前提にして、それを信用するという前提でそれをきちっと育て上げていくという枠組みで改善を加え、よりすばらしいものにするのか、ないしは信用できないから別の体系でやるのかというふうなところが分かれ道だろうと思います。  それを聞いていて、私の基本的な感じというのは、やはり日本的なシステムとして定着しているならば、それを根こそぎ改正する、ひっくり返すというのができないならば、それが無理であるならば、それを事実として受けとめた上で、その前提の上で、その上にのせる制度をどうやってきちっとしたものに再編成し、てこ入れをしていくべきかという現実的なアプローチをすべきであろうというふうな感じを受けたわけでございます。  その意味では、やはり日本的なシステムというふうなものについて、だめだからこちらというふうにいく前に、やはりそれはそれとしてきちっとした形での再編成をすべきであるというふうなのが二番目の印象として受けた点でございます。  やや口幅つたいお答えになってまことに恐縮でございますけれども、率直に、原案作成の立場にあった人間として印象を述べさせていただきました。
  313. 中西績介

    ○中西(績)委員 だから、やはり今度消費者側から一番の問題になる情報公開なりが今まではほとんどなされておらなかったし、あったとしても皆さんが気づいていないようなところでしがなかった。ということになってくると、この情報公開のあり方等が、このあれを見ますと、例えば、図書の公開だとかいうようなことで閲覧ということが、皆さんが示しておるこの内容を見ますと出てきています。しかし、これを見ても、私は、一般の皆さんがこの程度で確認あるいは安心するだろうかということを危惧する一人ですね。  ですから、例えば、ここに閲覧事項としては、計画概要だとか確認中間、完了含めて検査履歴、許可の有無などを全部あれするということを言っていまして、これを要求すれば全部閲覧できるという仕組みになるようでありますけれども、これらの問題につきましても、このようにやったとしても違反をする人が依然としてある、それに対する処分はどうしていくのかとか、あるいは検査をするにしても、従来のようなものでなしに抜き打ち的なものだとか、やり方というのは多種多様だろうと思うのですね。  ですから、そうした問題をより具体的に、これからあと何年間かかかるわけですから、その間に皆さん方から言われておる、きょう言われたすべての問題を集約してどのようにすればということを、例えば一番いい例が、皆さんのあれを聞いておりますと、大改正であるので、具体的には多くの問題点を残しておるので、早急にこの内容をまとめて、必要な措置だとかあるいは周知徹底だとか指導だとかいろいろなことでこれから皆さんから要求出てくると思います。そうした問題等を含めまして、これからどのようにしてやっていくかというところあたりをひとつお述べいただければ、ある程度方向性が出てくれば、それに沿って今度は皆さんも、利用者あるいは施工を担当する者からすべての皆さんがそこに集中的に、消費者皆さんと一緒になってそうした体制をつくり上げる、こうしたことをやはり担っていかぬと、今お互いに不信感の方が、企業あるいは我々を含めて政治家も不信の念で見られているわけですから一そこら辺をやはりある程度提示をしていかなくちゃならぬだろうと思いますが、その点について何かあれば。
  314. 小川忠男

    小川政府委員 やはり、今回の改正といいますのは、どれ一つをとりましても、今までなれ親しんできた枠組みそのものを根こそぎ切りかえていくというふうな要素を含んでいるわけでございます。  したがって、新しいシステムがどういう価値観を志向しているのか、どういうことを念頭に置いているのかというふうなことについて、制度運用に携わる人間が共通の問題意識を持っているというふうなことはやはり非常に重要だろうと思います。しかも、今度は行政だけが制度を運用するのではなくて民間も参入してくるというふうなことでございますので、私どもとしては、新しい制度の運用の心構えとか問題意識、価値観というふうなものは、いろいろなチャンネルを通じて徹底的な形で、やはり共通の土俵が持てるように最大限の努力をさせていただきたいと思います。
  315. 中西績介

    ○中西(績)委員 ですから、例えばアメリカ型というものだけではというようなことを言われたのだけれども、しかし国民の皆さんが、あるいは消費者皆さんがそれだけのものを負担してでも安全なもの、安心できるものということになればそれでいいわけなんですから。だから、行政改革というのは数だけを減すものじゃない、まずそこら辺からある程度我々が共通の認識を持っていないと、そうした行政のあり方そのものがそこからまたゆがめられていくということになりかねないわけですから、むしろこういうことを我々がやっていくときにはそれだけのものが必要だし、そして行政の数だって何だって、コスト減ということだけで切り詰めていくということでなしに、むしろ拡大もしなければなりませんよということを皆さんに御理解いただかなくちゃならぬと思うのですね。  そういうようなことがございますので、最後に大臣に、私は、やはり半世紀にわたる建築基準、大改革ですから、これを今瓦大臣のときにやろうとしているわけですから、これを受けてこれから後どのようなお考えを持っておられるか、お答えをいただければと思います。
  316. 瓦力

    瓦国務大臣 今、中西先生と住宅局長質疑応答を伺いながら、やはり住宅というのは、言ってみれば家族が社会における一つの単位でございますので、これが安心して住める、そしてまた健康的な建築物でなければならぬというようなことを含めて、今度の大改革は、今中西先生からあったように、五十年の大改革でございますから、私もさることながら、当委員会に所属する者にとりまして、この改革はある面では我が国住宅文化、生活にかかわって大きく転換期を迎えた大作業だ、私はこういうような認識をするわけでございます。  消費者に、いかに良質なものが住宅の上でコストダウンを促せるか、また建築関連サービス民間市場がつくられていくか、そのための努力をしまして、これから進む国際的な技術並びに資材の流入というものを踏まえながら取り組んでいく、非常に大きな私は歴史的な仕事だ、こういう認識でありますので、さらに督励をいたしまして、よく国民の知るところとなるように努力をしていかなければならぬ、こう思っておるところでございます。
  317. 中西績介

    ○中西(績)委員 ありがとうございました。  ですから、やはり先ほどからたびたび皆さんが言われておりましたように、ユーザー、消費者保護が大原則、基本なんだ、ここに基本を置いていただいてこれからの行政のあり方というものを徹底追求しさえずれば私は間違いないと思います。そのための多様な方策というのはあるだろうが、この点について、これからも数年間かけて徹底して、省政令をつくるにしてもあるいは運用面におけるいろいろな問題を論議する際にもこの点をお忘れなくやっていただくようにお願いを申し上げて終わります。  遅くまで大変御苦労さまです。
  318. 遠藤乙彦

    遠藤委員長 次回は、来る二十日水曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時三十六分散会