運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1998-04-03 第142回国会 衆議院 建設委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十年四月三日(金曜日)     午前九時三十分開議  出席委員   委員長 遠藤 乙彦君    理事 遠藤 利明君 理事 佐田玄一郎君   理事 田野瀬良太郎君 理事 谷畑  孝君    理事 鉢呂 吉雄君 理事 吉田 公一君    理事 井上 義久君 理事 青木 宏之君       安倍 晋三君    赤城 徳彦君       飯島 忠義君    岩永 峯一君       小林 多門君    田中 和徳君       高市 早苗君    玉沢徳一郎君       中川 昭一君    西川 公也君       松本 和那君    目片  信君       山本 幸三君    上田 清司君       樽床 伸二君    平野 博文君       山本 譲司君    市川 雄一君       西野  陽君    辻  第一君       中島 武敏君    中西 績介君  出席国務大臣         建 設 大 臣 瓦   力君  出席政府委員         建設大臣官房長 小野 邦久君         建設省建設経済         局長     五十嵐 健之君         建設省河川局長 尾田 栄章君         建設省道路局長 佐藤 信彦君  委員外出席者         自治省財務政局地         法債務課長   岡本  保君         建設委員会専門         員       白兼 保彦君     ————————————— 委員の異動 四月三日  辞任         補欠選任   玉沢徳一郎君     中川 昭一君   畑 英次郎君     上田 清司君 同日  辞任         補欠選任   中川 昭一君     玉沢徳一郎君   上田 清司君     畑 英次郎君     ————————————— 本日の会議に付した案件  公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法の一部  を改正する法律案内閣提出第一五号)      ————◇—————
  2. 遠藤乙彦

    遠藤委員長 これより会議を開きます。  内閣提出公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。鉢呂吉雄君。
  3. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 おはようございます。  もう東京では桜が咲く時期になったのですけれども、本年は大きな災害も今のところないということで、少し寒いのですけれども建設大臣もほっとされておるのではないかというふうに思っておるところでございます。  そこできょうは、公共土木災害復旧にかかわる国庫負担に関する法案改正案ということで、一時間にわたって質問をさせていただきたいというふうに思っております。  おととい私札幌で、北海道経済が、拓銀の破綻に伴って、大変離職者も出るような倒産が相次いでおる。最近は一週間に一度ぐらいずつ倒産をしておる。先般も、総務庁から完全失業率、あるいは常用求人倍率、二月の分が公表されまして、完全失業率三・七というような状況を呈しておりまして、北海道もまだ春遠しという経済環境であるというふうに思っています。  そこで、まず第一に、先週末に発表されました新全総、これは国土庁の所管でありますけれども、この新全総に関して、建設大臣防災に対する考え方というものをお聞きいたしたいと思っております。  今回は、新・全国総合開発計画というふうに書いてありますけれども言葉では、二十一世紀国土グランドデザインをつくるということで、地域自立促進と美しい国土創造後段は美しい国土創造ということで、二十一世紀にどのように日本の国土をつくっていくのかという視点に立っておるというふうに思います。  もう大臣も御案内のとおり、阪神淡路大震災経験いたしました。国民の皆さんは、生活水準も大変高水準になっておるだけに、一度災害が起きますと大変経済的なあるいは生活的な損失をこうむるという時代に入っておるわけであります。  この新全総におきましても、国土をめぐる諸状況の大転換に伴って、国民意識も大転換を図る時代に来ておるというふうに述べておりまして、二十世紀型の経済発展を通じて経済の量的な拡大は遂げたのでありますけれども、一方では、価値観ですとか生活様式多様化は、効率性向上とあわせて人の活動と自然との調和を含めて質的な向上を目指す、そういう段階に入っておるのではないかというふうに新全総でも指摘をしておるところであります。  そういう観点からいきますと、同時に、克服すべき自然というのが一方にあるのですけれども、人と自然との新たな関係を模索する中で、自然災害への対応ということについても、災害未然に防止することはもちろんでありますが、そのことも強調しておりますけれども、それだけではなくて、その発生前提にいかに柔軟な対応災害に対して果たしていくか。  この後段の方は少しわかりにくいといいますか、発生前提にしてそれにいかに対応していくかということは国土庁の所管的な意味合いもあるのですけれども、この冒頭に書いております災害に対する国民意識転換ということについて、まあ個人的なお考えでもよろしいのですけれども建設大臣としてどのようにお考えなのか、そのあたりからお聞きをいたしたいと思っています。
  4. 瓦力

    瓦国務大臣 鉢呂委員から、負担法の御審議を賜る前に、大変厳しい景況であること、まだ春遠しということで御意見がございましたが、まさに私どもも全力を挙げて今日の景気対策に取り組んでいかなければならない。そのためには、本予算につきましても、御協力を賜り一日も早い成立を期して執行に取り組んでまいりたいと考えております。御地北海道におきましての厳しい経済情勢についてお触れになりましたが、私ども意識の中に置いて取り組んでいかなければならない問題だ、かように存じておるところでございます。  さて、新全総についての御質問でございますが、今委員からもお話がございましたが、二十一世紀国土グランドデザイン地域自立促進と美しい国土創造、こういう目標のもとに決定されたわけでございまして、美しい国土大前提として国土安全性向上、このことも大きく取り上げられておる、かように認識をいたしております。  私に対する所見を求められたわけでございますが、我が国土はある面では美しい国土でありますが、また、自然災害にいろいろ工夫をして強い国土、安心できる国土につくり上げていかなければならない諸般の問題がございますので、これから も本委員会を通じて各委員の御意見やら御質問に耳を傾けながら、二十一世紀は安心できる国土ということでつくり上げていくことが本委員会の大きな使命だと思っておるところでございます。  瑞穂の国、また河川の国、こうも言われて、我が国の国土保全管理という問題は広域的にも着目していかなければならぬ、かように思うわけでございまして、災害対策を進めていくことがこの安全な国土マネジメントの上には欠くことのできない要素でございますので、地域が単に災害を防止する、また災害を回避するということだけではなくて、これらの経験も踏まえて、新しい世紀には美しい国土として残していく、こういうことにも十分着目をしまして、これから災害対策諸般施策を進めてまいることが重要だ、かように認識をいたしておるところでございます。
  5. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 今大臣から基本的な考えを聞かせていただきました。  この新全総、まだ言葉だけが述べられておる嫌いがございます。  例えば、「国土保全管理に関する施策」というところで、「国土安全性向上」という中で、「減災対策の重視」という一項を設けております。  この文章からいきますと、「阪神淡路大震災のような大規模自然災害にも対応できるよう、防災対策を強化する。その際、災害発生未然に防止するという視点だけでなく、災害に対してしなやかに対応し、生じる被害を最小化するという視点に立った「減災対策」を重視する。」もちろん、これは災害が起きたときにどういう対応をするかという国土庁の所管的な意味合いもありますけれども、同時にやはり、一たん災害が起きたときに次の災害というものを当然想定されて、次の災害が起きたときに被害を最小化するためのさまざまな災害復旧事業という視点に立ってこの文章は述べられておるのではないかというふうに思っております。  ですから、この国庫負担法災害復旧事業定義法案第二条でしておるわけでありますけれども、この点についても後ほど大臣のお考えを聞かせていただきたいと思いますが、そういう新しい視点が今回の新全総には入っておるわけでありますけれども、これをどういうふうに具体化するか。  対応をしなやかに行う。災害でしなやかに対応するというのはどういうことなのだ、柔軟に対応するということなのかもわかりませんけれども。あるいはまた、被害を全くなくすということは難しいけれども、それを最小化するための方法というものを減災対策というふうに述べておるわけでありまして、この点について、大臣、まあ事務当局でもよろしいです、何か減災対策ということについてお考えがありましたら、お聞かせください。
  6. 尾田栄章

    尾田政府委員 今回の新しい全国総合開発計画におきまして、減災対策という言葉がある意味では初めて登場したのではないか、こう考えております。  これを河川の分野について具体的に申し述べさせていただきますと、一つは、スーパー堤防のようなもので、大洪水に対して堤防破壊というようなことによっての大災害、致命的な災害は避ける、それを超えるような水については、水が一部は入るにいたしましても、堤防破壊というようなことは避ける、こういう考え方。  あるいは、先生指摘阪神淡路事例で申し上げますと、グリーンベルト構想ということで、そういう大地震時におきまして、上流からの土砂の崩壊を森林、樹林帯でとめるとともに、都市の山に向かってのスプロール的な発展を事前に食いとめておくことによりましてある意味では未然災害を軽減する、そういう概念。  そういうのが減災対策という言葉で盛り込まれている内容だ、こういうふうに受けとめておるところでございます。
  7. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 今河川関係お話がありました。これについても、治水対策というところで新全総でも述べておりまして、今言われたような、「施設計画規模を超過する洪水等に対する減災性の確保」という形で述べております。これは、河川がはんらんした場合にも被害を最小限に食いとめるために、河川周辺樹林帯保全あるいは洪水土砂災害危険区域図みたいなものをつくって、それを公表して対策を推進するというようなことで述べておるわけであります。  後で事例も申し上げますけれども災害地帯というのは必ず繰り返すのですね。ですから、次の災害に備えた、次の災害を同じような規模での大災害になるのを食いとめる、いわゆる減災対策にのっとった災害復旧事業というのが大事になるのではないかというふうに思っておるわけであります。  ところで、今回の法律は、戦後間もなく、昭和二十六年にできた法律であります。先ほど言いましたように、災害定義は、いわゆる天然現象による災害ということで、暴風ですとか洪水ですとか地震その他ということになっております。「「災害復旧事業」とは、」ということで、「災害に因って必要を生じた事業で、災害にかかった施設原形復旧する」のだというふうに災害復旧事業を述べておるのですけれども括弧書きで「原形復旧することが不可能な場合において当該施設従前効用復旧するための施設をすることを含む。」あくまでも、当該施設従前効用復旧するための施設なのだというふうに言っています。  効用というのは、先ほど言ったように量的な効用というようなたぐいにとられるわけでありまして、この辺を建設省として、法自体災害復旧事業というものの定義について変える必要はないのかどうか、まず大前提をお聞かせ願いたいと思います。
  8. 尾田栄章

    尾田政府委員 災害復旧に際しましては、原形復旧というのがあくまでも大前提と申しますか、それを根拠にして成り立っておる体系でございます。そのときの原形という言葉をどう考えるのか、今先生指摘括弧書きの、従前効用というものをどう考えるのかというところが大きな議論だというふうに思っております。  その際、基本的な議論といたしましては、それぞれの施設の個別の管理法でございますそれぞれの法律、例えば河川でございますと河川法道路ですと道路法ということになるわけですが、そういうところでその効用がどういう形で定義されているかというのが、第一義的に法律的に、議論としてはそこが一番問題になろうかと思います。  そういう意味で申しますと、河川法におきましては、前回の河川法改正におきまして環境整備保全という言葉を入れていただいておりますので、まさに環境問題を効用としてしっかり明示的に意識できるわけでございますが、その他の今までの個別管理法におきましては、環境という言葉は必ずしも明示的には入っておらないというのが現状でございます。  ただ、いずれにしても、現在の状況のもとでは、環境への配慮あるいは環境そのものを内部目的化するということは基本的に大事なことでございますので、そういう点もひっくるめて、この災害復旧の進め方を考えるに際しては環境視点というのを大事にしてやっていく必要があるというふうに認識をいたしております。
  9. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 今局長も言われましたけれども河川法については昨年、河川環境整備保全という条項が入ったわけであります。他の各法、もとになる法の中にはこの環境が必ずしも入っておらないということで、今回の災害復旧法に関してはこの点についての法改正がありませんけれども、ぜひこの点を組み込んで、例えば、自然の有するさまざまな機能を含めて復旧するというような条文に変えることをぜひ検討していただきたいというふうに思います。  例えば、建設省は、美しい山河を守る災害復旧基本方針というものを策定しておりまして、治水機能のみを修復するのではなくて、従前持っているさまざまな機能を含めて復旧するのだ。その場 合は、自然が有している回復力により被災前と同様な生態系を復元するのだとか、あるいは自然の素材を使用するのだ。自然の素材ということですから、例えば樹木を植え込むとかということなのだと思います。それから、自然環境を大きく変えない。例えば、水際ですとか瀬、川の瀬、そういうものを保ちながら災害復旧をするというようなことも基本方針として出されておるわけでありますから、ほかの河川以外についてもそこをきちんと組み込む法律に変えておくということが必要でないかというふうに思います。この点についてもう一度。
  10. 尾田栄章

    尾田政府委員 負担法の中に環境というのをうたい込めないかということも私ども問題意識を持って取り組んだところでございますが、この法体系としては、先ほども申しましたが、それぞれの個別法道路法なら道路法河川法なら河川法、その法律に基づいてつくられた施設被災した場合にそれを復旧するということでございますので、そこをある意味では飛び越えた形でこの負担法に書くのはいかがなものか、こういう議論もございます。  そういう中で、先ほど申したように、それぞれの個別の法律の中で明示的にはうたわれておらないにしても、今の時代においては環境への配慮、それを踏み越えて環境そのものを内部目的化して取り組んでいるというのは建設省の、私どもの立場でもございますので、そういう中で、先生指摘いただきましたような内容を十分組み込んだ形で物を考えてまいりたい、こう考えておるところでございます。
  11. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 次に、今は地方分権時代ですから、災害復旧に関しても地方意向というものが十分反映される必要がある。原形復旧、そしてまた改良復旧ということも入っておるのですけれども、この法案自体は、国が国庫補助をするという視点に立って、国の意向が非常に強いという感が深いのであります。  私も南西沖地震が直撃した奥尻が地元でありますから、いろいろ経験があるのですけれども、国がやる事業は素早くできます。例えば、一級河川後志利別川という河川があるのですけれども、これは見た目にはわからないのですが、堤防がずたずたになっておるということで、被災後もう四、五十日で仮復旧をさせております。しかし、県道に値する道道ですとか地方自治体が所管する公共物については、申請に基づく事業ということでなかなかやれない形になっています。  ですから、今度の法案でも、むしろ地方自治体意向を柔軟に取り入れるという改正を、こういう地方時代でありますから、建設省もそういう意味では、さまざまな法案について地方分権なり規制緩和という方向に踏み出しておるわけでありますから、この点についてもさまざまな工夫ができないのか、その前提として法律条文改正しておくことがやはり必要ではなかったかというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
  12. 尾田栄章

    尾田政府委員 ただいま、直轄復旧事業補助復旧事業都道府県あるいは市町村で施行される復旧事業相当差があるのではないか、こういう御指摘をいただきました。  数字的に申しますと、災害復旧事業、過去五年間の平均で申しますと、これは一年当たりでございますが、直轄災害六百件に対しまして、補助災害が三万七千六百件、大変膨大な数があるわけでございます。  そういうように、補助災害が大変多いわけでございますが、災害査定そのものについて見ますと、災害発生からおおむね二カ月以内に実施をされておりまして、そういう意味では、直轄事業と同様に都道府県でも迅速に対応をされておられるというふうに考えております。  また、災害被害程度によりまして、程度が大変著しくて緊急に施行しなければならないような工事があるというような場合につきましては、災害査定前においても応急工事という形で、まずその担当のところで工事を実施していただいた上で、それもひっくるめて災害査定をするという体系もございます。  そういうものを組み合わせるといいますか、有効に地方公共団体の方でもお使いをいただく中で、より早い形で災害復旧が図られるように努めてまいりたいというふうに思っております。  また、災害査定事務そのもの簡素合理化といたしましては、今回、一カ所工事対象範囲を五十メートルから百メートルに広げていただくという形でお願いをいたしておりまして、これによりまして、相当事務簡素化が図られるというふうに考えておりますし、また、机上査定ということで現地に行かずに机の上だけで査定をする、これはもちろん軽微なものに限るわけでございますが、従前二百万円未満としておったものを三百万円未満という形で平成九年の災害から適用いたしておるところでございます。  三百万円未満ということになりますと、災害件数で申しますと五〇%でございます。約半分は机上査定で済ませられるということでもございまして、迅速に対応するというのが災害復旧事業一つ使命でもございますので、そういう点、これからも十分意を尽くしてまいりたいと考えております。
  13. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 災害復旧についてさまざまな簡素合理化をやっておるのだということを述べられたわけでありますけれども、しかし、その努力努力として、先ほど言いましたように、地方分権時代ですから、例えば市町村災害については都道府県査定をして、そこに国庫負担をするとかいうふうに根本的に仕組みを変えなかったら、幾ら現地に派遣しないとかあるいは応急的な措置もとれるとかいうことでも、行政的な裁量だけではやはり基本的にはスムーズにいかないのではないか。  二カ月以内に工事に着手しているとか査定をしているというふうに言われましたけれども、やはり、現実には国直轄とは相当の違いがあるというふうに思います。後で述べますけれども、もう毎年のように私の地元災害に直面しておりますから、私自身がよくわかるのでありますけれども、できるだけそこは仕組みを変えていただきたい。このことも、地方分権との絡みで再度御答弁いただけますか。
  14. 尾田栄章

    尾田政府委員 この負担法の基本的な枠組みは、災害復旧という大変重い財政負担を伴う事業に対して国が高額の負担をするというのが枠組みでございまして、そういう意味合いで、三分の二以上の、それぞれの財政力に応じて国が負担をしておるわけでございます。  そういう枠組みでございますので、これを都道府県でやっていただく、あるいは、機動的に対応できるということで、種目といいますか対象施設をもう少し柔軟度を持たせるということにつきましては、国が特別に高い負担をするというこの負担法の基本的な考え方、そこのところとの整合性がどうなるのかというふうに考えておるところでございます。  そういう意味合いで、今回も公園事業というものを新たにお加えをいただくということでこの国会の審議をいただいているわけでございますので、先生指摘迅速性を大事にするのだという災害の基本的な問題とその辺の整合性をどうとっていくのか、十分考えてまいりたいと思っております。
  15. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 河川局長、まだ頭半分が古い方のものを持っておるのか。時代地方分権という形で変えていこう、国が国庫負担を出すというそのこと自体も含めて見直しをして、地方が柔軟に適切に機動的に災害対応できる財政的な負担あり方財政の支出のあり方というものを考えるときに来たのではないかという視点でありますけれども、この法律を最も正しいのだというところからいけば、今、局長の御答弁のとおりだと思います、貴重な税金を使うわけでありますから。一つ一つ災害事業について国の国庫負担を行うということの是非について、御検討をいただきたいものだなというふうに思います。  最後に、今回の改正一つの大きな柱になって いますが、公園というものを対象施設に追加をしたわけでありますけれども南西沖地震阪神淡路大震災を見ても、公共土木というものに限らず見れば、さまざまなライフラインが一挙に損傷をして国民生活に大変大きな影響を与えた。例えば、長万部町というところが町でガスを供給しています。これが一挙にずたずたになったということで、大変復旧に手間取るわけでありまして、そういうものも私は見てきました。  また、今回は、下水道というのが入っておるのですけれども上水道が入っておりません。あるいはまた、公共土木に限らずに見れば、例えば建築物、これは公共建築物も含めてあるいは公営の住宅も含めて、災害復旧には大変大きな緊急性を要するものだというふうに思っておりまして、今回公園だけを対象にしたわけでありますけれども、その対象にする考えも、施設重要性ですとか、全国的な施設整備水準ですとか、災害復旧に係る経費の増大等を勘案して法で定めるというふうになっておるわけでありますけれども、それ以外に、先ほど言いましたガスですとか上水道あるいは公共的な建築物、そういったものについて対象にする考えはないのかどうか、お聞きをいたしたいと思います。
  16. 尾田栄章

    尾田政府委員 法律そのものの名称が公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法ということでございまして、その意味合いでは、公共土木施設に限られるというのはやむを得ざるところではないかというふうに考えております。  先生指摘のとおり、上水道をどうするか、産業廃棄物処理施設をどうするか、あるいは工業用水道、空港等いろいろな議論があるのは十分承知をいたしておるところでございます。そういう施設について今後どう考えるべきかということは、ある意味ではこの法律の基本的な枠組みにもかかわる話だというふうに受けとめております。そういう中で、関係省庁とも十分連携をとりながら、今御指摘をいただいたようなところに対してどう取り組んでいくのか考えてまいりたいと思っております。
  17. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 それでは、ぜひ具体的に検討をしていただきたい。公共土木に限らず、例えば上水道あたりは厚生省の所管だからということをちらっとお聞きをいたしましたから、もちろん漁港とか港湾も入っておるわけでありますけれども、そういう縦割りではなくて、もっとこういう大震災を経険したことを踏まえて、何が必要かということをぜひ検討していただきたい。今回は公園しか入っていないので残念でありますけれども検討をお願いいたしたいと思っています。  それでは、残り後半三十分で、北海道南西沖地震等を踏まえて、私の地元の課題について大臣にお聞きをいただきながら、さらに、全体的にどういう災害復旧事業というものをやっていく必要があるのか、その辺についてお聞きをいたしたいと思っております。  まず最初に、国道二百二十九号のあの豊浜トンネル、一昨年の二月十日に発生して、二十名の犠牲者を出したという大変悲惨な事故でありました。一年後の昨年の八月二十五日には、これは私の選挙区、地元にもなるのですけれども、同じ二百二十九号線の第二日糸トンネルが崩落をした。これは、崩落現場の土砂を全部取り除くことができない、多分人命が巻き添えになっていることはないだろうということを推定しながら今別の対応をしておるわけでありますけれども、そういう意味では連続して悲惨な事故が続いたということであります。全国にそういう危険地帯は多いのでありますけれども、連続して起きた、三度目起きないという保証はないというのが地元の皆さんの脳裏には入っておるわけです。しかしながら、日常生活に道路は欠かせませんから、毎日のように通っておるというのが実態ではないかというふうに思っております。  そういう意味で、この地域の生活の安全や安定を確保するためには次の事故はどうしても防がなければならないというふうに思っておりますので、二回の崩落事故を経験した中で、大臣として、この二百二十九号線関係を基本的にどういうふうに見ていくのか、お考えをお聞かせ願いたいと思います。
  18. 瓦力

    瓦国務大臣 鉢呂委員から第二日糸トンネル崩落事故以降の問題についてお尋ねでございますが、河川局長から答弁のありましたことにつきまして、先に一言所感を申し述べさせていただきます。  御案内のとおり、河川災害河川は水系一貫でありますので、それぞれ自治体がありますが、河川全体として考えてまいらなければならぬ問題もある。加えて、また、河川法の中で環境問題というのは今日大切な課題だと私ども認識いたしております。私も、在任中にできるだけ現場を見たいと思って出かけておるわけでございます。河川にはアシを残して鳥などが従前にも増して来るような環境にしなければならぬとか、従来のそっけのないような堤防ではいけませんから、スーパー堤防のようなもので自然を維持しつつ災害に強い河川をつくり上げておかなければならぬ。一たん災害が起こりますと重点的に手だてをしなければならぬわけでございますが、今委員指摘のライフラインという観点に立ちますと、建設省を超えて他の省庁とのかかわりが深くなってまいりますので、これも委員から、建設省だけよというのではなくて、政府で調整努力をしてライフラインの確保に努力をしろ、質問の中に今こういう御命令もちょうだいいたしておりますから、阪神淡路災害等を通じまして、私どもは、これほど高度の生活を営む国民の生活が後退することのないようにあらゆる方面で検討をしていかなければならぬ、かようにも考えておりますので、若干所見を申し述べさせていただいたところでございます。  さて、二百二十九号線の第二日糸トンネルの崩落でございますが、大変基盤が脆弱なまた急峻な地域がございまして、その間を道路が縫って走っておるわけでありますので、常に注意をいたしておるわけでございますが、大変大きな災害が起こりまして、私どもも緊張しながら、豊浜トンネル崩落であるとかあるいはただいまの第二日糸トンネルの崩落事故を踏まえまして、全国で緊急調査を実施いたしまして、平成九年度の補正予算も活用いたしながら、のり面の防災対策を進めておるところでございます。  また、委員から、同様の災害がこれからも起こる可能性があるのでさらなる努力をしろということ、ごもっともでございまして、安全で信頼性の高い道路空間を確保するため、のり面防護工等の施設対策だけではなくて点検パトロール、それから計測機器による監視の強化、こういった面におきますソフト面にも対応いたしまして、総合的に防災対策を進めてまいらなければならぬ。  いずれにいたしましても、また地域の方々の御協力も得て、危険箇所等については注意深く対応していかなければならぬ、こう考えております。北海道地域における大きな崩落事故が大変相次ぎましたので、危険箇所等も含めて鋭意調査に取り組み、手だてを講じたりいたしておるところでございます。
  19. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 事故発生後、全国の緊急調査をやっております。これは時間がありませんからお伺いしませんけれども、直接的に第二日糸トンネル等の崩落事故の原因究明ですね。私もずっとあそこに住んでおりまして見ておりますけれども、二年続けてあんなに大崩落をするというような、確かに地形は急峻で海にせり出す岩盤を縫ってトンネル等が走っておるというのは事実でありますけれども、こんなにもろい岩盤ではなかったのです。地元の皆さんは薄々、これは五年前の北海道南西沖地震のあの大震動がやはり岩石に大きな影響を与えて、それが年を経ると同時にもろくなって落ちたのではないかというふうに見ておるわけです。そういう意味では、全国相当の危険地域もある、危険箇所もあるというふうに出ておりますけれども、またそこと違って、第三の崩落事故があってもおかしくないようなおそれもあるわけでありまして、そういう安全パトロール等もやっていただいておりますから、そこは大変大事だとい うふうに思っております。同時に、ぜひ早急に、そのおそれのある岩、そういうものを取り除くとか別のルートを確保するとかいうことが大事になってくるだろうと思っています。  調査によれば、これは北海道に限定させていただきますけれども、今後新たに対策が必要な箇所は北海道全体で三百四十五カ所ということで、その大半が日本海側に集中をしておるのですけれども、今回、早期に岩盤等の除去をして安定を図る必要のある箇所というのは、二盲四十五カ所のうちちょうど百カ所あります。百カ所について、先ほど大臣言われましたけれども、二月の補正予算で、北海道全体では、国費で二百七十四億、事業費で四百二億という予算を投入していただいたところであります。  時間がありませんからこれはもう聞きませんけれども、この九年、十年で全部が完了する。これは本当の危険な箇所でありまして、岩が浮いているのがもうはっきり調査でわかっておって、これもボルトを注入して固定するとか、あるいは落とすとかということをやっておる地域でありますけれども、この四百二億では全部終了しないということは建設省等からも聞いておるところであります。したがって、ぜひここには最大の予算投入もしていただきたいものだなというふうに思っておりまして、これは大臣に今聞いても答弁はしていただけないと思いますけれども、自民党さん初め与党の三月二十六日の総合経済対策基本方針の中でも、緊急防災対策を重点的に行うという一項目が、北海道経済対策を含めてあるところであります。  したがって、想定されるというふうに言ってはちょっと早いのでありますけれども、次の予算措置が何らかの形であった場合においては、この関係については別途緊急防災対策という形で予算を組む御努力と御決意をぜひ大臣からお聞きいたしたいと思います。
  20. 瓦力

    瓦国務大臣 国土保全、また、災害に対する我々の対応とすれば、私も一政治家になって考えてみますと、ただいまの自由民主党がという枠を超えまして、与野党一緒になって取り組まなければならない課題が基本的にある、私はかように考えておるものでございます。  まず、国土保全につきましての考え方もいろいろ徴しながらやってまいりたいと思っておりますが、来るべきこの予算、景気対策におきまして、災害防災上の措置につきましても、十分とは言いがたくてもぎりぎりやはり私どもは追求をして、国土の安全を確保するためにも、危険箇所や災害に備えての予算措置におくれをとることのないように努力をしてまいりたいと思っております。  また、今、北海道の大きな災害を踏まえて御質問でございますが、本委員会の各委員からもそれらにつきましてのお考えをいろいろお聞かせをいただきまして、一緒になって、災害を除去し、また復旧を早め、安心できる国土にするように努めてまいる、そういう気持ちで、オープンマインドでおつき合いをいただきたいと思っております。予算につきましては、そういうことで関心を持ちながら努力をしてまいります。
  21. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 昨年崩落した第二日糸トンネルは、ここの現道を復旧することは難しいということで、第一日糸トンネルも含めて山側に迂回をする新しいルートで今トンネル建設に着工していただいております。私も、現地は見られなかったのですけれども、そこの所在する地方自治体にも行きまして、その状況についてお聞かせを願ってきたところであります。全長千七百二十五メーターの新トンネル、事業費四十億で来年の四月の完成を目途に今進んでおるというふうに聞いておりますけれども、そのとおりに進んでおるのかどうか、それが一点であります。  それから、二点目。したがって、現道も途絶をして通行どめということで、まさに全く迂回路がないわけでありまして、この周辺の住民の皆さんには大変生活の不便さを、あるいは地域経済も火の消えたようなものになっています。北海道は春から観光も含めて、あそこは非常にいそ釣りの本場でありまして、札幌付近から週末になりますと大型バスで三十台ぐらい入って釣りをするという地域なのですけれども、全く火の消えたような状態になっています。  そうはいってもやはり経済は自分でやらなければならないということで、島牧村、瀬棚町という両町村を初め道庁も国の北海道開発局も入りまして、協議会をつくってさまざまな取り組みをやっていることも事実でありまして、ぜひその支援をしていただきたい。  特に、工事請負業者についてはぜひ地元のいろいろな諸資材等を利用するように、これは発注者の北海道開発局がそのようなことを言うのは、入札制でやっておるわけでありますからなかなか表向きは難しいというような話も聞いておりますけれども、やはりそこは協力を願うということをぜひお伝えをしていただきたい。  同時に、開発局は入札を函館ですべて行っておるのですけれども北海道庁あたりは、通常行うところと違って瀬棚町で行うとかということをやっていただいております。例えば、瀬棚町で国の事業発注もやるとか、そういう入札の場所についても御配慮を願いたいし、あるいはまた、開発庁は、通行どめという表示もしたりリーフレットも発行することになっておりますけれども、それにもその周辺の観光等についてさりげなくPRをするとか、そういうことについても御配慮をいただきたい。  同時に、町村は大変努力をされておりまして、いろいろなイベントの企画をしたり、これはお金がかかるわけでありますけれども、そういうことに対する地方財政措置、きょうは自治省は呼んでおりませんからあれですけれども、地財措置についても特別の御配慮をいただきたい、これについてもぜひ一言御答弁いただきたいと思います。
  22. 佐藤信彦

    ○佐藤(信彦)政府委員 先生おっしゃられました第一点の方でございます。  迂回路のトンネルがそのとおりに進んでいるかという御質問でございますが、これは現道が現在通行どめになっている、そういう観点から、昨年の十一月に着工いたしまして、十八カ月ですから平成十一年の春の完成を目指しまして、工事については昼夜二十四時間体制を組みまして進めているところでございます。現在、三百メーター掘削が進んでおります。したがいまして、一応予定どおりに進むのではないかというふうに考えているところでございます。  それから、地元に、その間の通行どめによるいろいろな障害、先生がおっしゃられているそういういろいろな問題があるかと思います。したがいまして、私どもとしましては、開発局を通じまして、関係諸機関それから地元の皆様方の協力をいただきながら、そういう障害を少しでもなくすように努力していきたいというふうに思っております。
  23. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 それでは、それと同様に、国道ではないのですけれども、一般道路北海道道路、北桧山大成線というのがあります。ここは連年のように崩落あるいは土砂崩れのおそれがあるということで通行どめをしておりまして、平成八年度から九年度、これは実際には、平成九年の二月から四月にかけて九十五回通行どめをし、延べ日数で七十日にわたるというような、これも南西沖地震が直撃をしたような地帯で、被災も大変な犠牲者が出たところでありまして、ここも大変な状態になっております。これは道道ですから、当面は落石撤去、岩を切って今は通っております。基本的には、これも山側に新しいトンネルをつくるという決断を北海道庁はしておるのでありますけれども、まだ一向にこれに着手できないでおります。これは、第二日糸トンネルがもう一年半ぐらいで完成するのとは段違いでありまして、本当に毎日のようにいつ岩が落ちてくるかわからないということを不安に思いながら、どうなるのだろうということを住民の皆さんは恐れておりまして、ぜひこの新トンネル着手に向けて建設省としても特段の御配慮をいただきたい。  今の状況では、平成九年と十年に地質調査、実施設計をして、工事の着手は二、三年後、平成十一年度以降、事業費は八十億から九十億かかるということで、完成に至るまでには相当かかるのではないかというふうな感じもありまして、ぜひここは第二日糸トンネル並みの工事の着手、完成に向けて御努力を願いたいと思います。
  24. 佐藤信彦

    ○佐藤(信彦)政府委員 一般道路の北桧山大成線でございますが、部分的には開発道路で現在整備を進めているところでございますが、むしろ、開通している二十六キロの現道かと思います。その中で、通行規制区間になっておりますのが四・六キロございます。ここのところをトンネルで抜本的に抜くといった計画がございまして、現在、地質調査それから実施設計といったことを進めているところでございます。  建設省としましても、引き続き、早期に整備が図られるよう努力していきたいというふうに思っております。
  25. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 次に、国道二百七十七号線の状況であります。  北海道南西部を渡島半島と言うのですけれども、これはその中央部を日本海から太平洋に横断する国道でありまして、町村でいけば熊石町から八雲町という道路であります。これも毎年のように通行どめ。これは地盤が不安定だということもありますし、また、すぐそばを川が走っておるということで川がはんらんして、去年も私現地を見させていただきましたけれども、これはもう毎年のように通行どめ。冬は吹雪で通行どめ。とりわけ頂上付近が今の線形ではどうにもならないということで、道路改良を地元からも熱望していますし、北海道開発庁長官もあるいは建設省も、これは何としてもやらなければならないと。私も国会議員九年目に入りましたけれども、その当時から同じことが言われておりまして、いまだ改良の線形もきちっと定まらないという状況でありまして、きょうは、この建設委員会の正式の場をかりまして、やるというふうに結論を出していただきたい。手をかえ品をかえ北海道知事が、北海道開発庁長官も毎年のようにかわりますからと言ったらおかしいですけれども、毎度言うのですけれども、やるというふうに言っているけれどもやったためしがない、やる方向になっておりません。  これは極めて大事なところでありまして、いつ通行どめにするか、通行どめにすれば社会的な生活上の被害は大きいですから、とめるのをいつやるか。しかし、中に車が入ってそれで土砂にのみ込まれたら大変だと、これをとめるのにも実際の現場の工事責任者は大変な神経を使っておるようなのです。もちろん、途絶をして、通行どめになって、大変な被害をいつも繰り返し受けているのです。ここは道路局長もいろいろ聞いておると思いますから、まだ調査をしているというようなことでなくて、地盤が不安定、地層が動くようなところを避けてトンネルを掘らねばならないというのがもう既定のものだというふうに思いますけれども、そこに踏み出していただきたい。御答弁をお願いします。
  26. 佐藤信彦

    ○佐藤(信彦)政府委員 二百七十七号線でございますが、先生おっしゃられたとおり、この十年間に八回ほどの通行どめが行われております。  災害防止を行うために、現在、防災対策として、のり面防護二カ所、雪崩さく三カ所、それから南の方から雲石道路という形で三キロ区間ぐらいの整備を行っておりますが、やはり一番問題になりますのは雲石峠でございます。ここの急峻な地形、それから道立の自然公園、地すべり地域を通過するといったことで、ルートの確定に向けて鋭意調査しているところでございます。したがいまして、この調査が整い次第そこの整備に取りかかっていきたいというふうに思っているところでございます。
  27. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 次に、国道五号線、これは札幌から函館まで、一けた台の線でありますから、北海道でも主要な道路であります。昨年八月も野田追橋というところの橋脚が破損をして十一日間も通行どめということで、これは八月のお盆前でしたから、北海道民、経済に与えた損失も大変大きかったわけであります。この橋は、その四、五年前にも同じような形の事故がございまして、このときも何日かとまったというところであります。また、この周辺は駒ケ岳の火山灰が降灰したところでありまして、二十年、十年単位で見ても通行どめが繰り返されておるところであります。  抜本的な改良策は、今進められております北海道縦貫道、高速自動車道の早期完成ではないだろうかというふうに思っております、きょうは時間がなくなりましたから、この長万部−七飯間といいますか、一番最南端の最終ルートの高速道の整備について、進捗度合いといいますか今後の計画についてお聞かせ願いたいと思います。
  28. 佐藤信彦

    ○佐藤(信彦)政府委員 北海道縦貫道の長万部から函館に至る区間でございますが、長万部から七飯、これは八十九キロございますが、平成五年に施行命令が出されて現在事業が進んでいるところでございます。それから、七飯から函館、これは基本計画区間といったことでございます。  事業中の区間、これが先生おっしゃられている区間だと思いますが、このうち長万部−八雲間、これが三十三キロございます。これについては、現在用地買収及び工事を進めているところでございまして、今回の新たな五カ年計画の中での供用をできないだろうかといったことで、それを目指して行っているところでございます。それから、八雲から七飯の五十六キロ間でございますが、これについては、現在、地元設計協議、それからトンネル区間の詳細調査などを行いまして事業を推進しているところでございます。  基本計画区間につきましては、函館新道といった形で、国道の整備とあわせてやっていくといった方向で進めているところでございます。
  29. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 治水事業関係でありますけれども、先ほどもお話がありましたけれども、私の地元の厚沢部川というところは、ここ五年間で三回ほどはんらんを繰り返しておりまして、もう毎年のように同じところがいってしまう。これも実際には昭和三十年代からやっておるのですけれども、今回、厚沢部川広域河川改修事業Aという形に指定をいたしまして、新規採択をされて実施をすることになっております。ここも今の予算の状況からいけば二十年以上かかるというふうにもなりかねないわけでありまして、そこはやはり相当思い切った予算を投入していただきたい。  同時に、同じような地域にあります、これは普通河川でありますけれども、田沢川、これも平成七年、九年と豪雨災害で、もう連年同じようなところが家屋の床上浸水あるいは田畑の冠水という形になっております。ここは普通河川ということで、いまだどういう河川にしていくのか定まっておらない。調査が続行されておる。国道二百二十九号線という絡みもあるのですけれども、この普通河川の田沢川の改修計画について、建設省の強い御指導を願いたい、これだけで御答弁を願いたいと思います。
  30. 尾田栄章

    尾田政府委員 二級河川厚沢部川につきましては、これは先生指摘のとおり広域河川Aということで進めておりまして、大変厳しい予算の中ではございますが、繰り返し災害を受けているという実態にも十分配慮して、今後対応考えていきたいと思っております。  田沢川、これは普通河川でございまして、今まで災害を受けるたびに災害復旧事業対応しておりましたが、ここはやはり基本的には、恒久的な対策といいますか本格的な治水対策が必要だ、こう考えております。そのためには、まず二級河川に指定をするか準用河川に指定をするか。二級ですと道の知事さんのお考えですし、準用ですと地元の江差町町長さんのお考えということになるわけでございますが、私どもも十分御意見を伺いながら調整をして、洪水被害の軽減に努めてまいりたいと考えております。
  31. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 以上で終わります。ありがとうございました。
  32. 遠藤乙彦

    遠藤委員長 井上義久君。
  33. 井上義久

    ○井上(義)委員 新党平和の井上義久でございま す。  きょうは、公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法、これに関連いたしまして、我が国の防災対策について大臣の所見を承りたい、こう思います。  まず、我が国は、その地勢及び気象の特徴から、地震や台風、豪雨による自然災害が起きやすい国土環境にあるわけであります。こうした条件下にある我が国の施策としては、第一に考えなければならないことは、防災災害を最小限に食いとめる、これが国の最も重要な施策でなければならない。特にハード面、ソフト面含めて最低限、人的被害が出るような事態を回避する、これが国の施策の中心でなければならない、こう思うわけでございます。  そういう意味防災は国を挙げて取り組まなければならない課題でありますけれども建設省の果たす役割は極めて大きい。特に建設省の場合は道路河川管理というようなことで、自然の国土を開拓して国民の利便に供する、ある意味では国土加工を行うというのが建設省の仕事であるわけであります。したがって、一歩間違えると、先ほどからも出ておりますけれども、一昨年の豊浜トンネルの事故のように、いわゆる公共土木施設にかかわる災害というのは人災という非難を免れないケースが多々あるわけでございます。  そういう意味で、せっかくつくった公共土木施設、これが災害によって人的な被害を出して人災じゃないか、こういう指摘を受けないような建設行政、特に防災というものをやはり第一義に考えた建設行政というものをやっていかなければいけないのではないか、こう思うわけでございますけれども、まず大臣の所見を承っておきたいと思います。
  34. 瓦力

    瓦国務大臣 建設行政の基本的使命は、国土の根幹を形成し、国民生活に直結する住宅、社会資本の整備等を通じまして、安心さらに安全を備えた豊かな国民生活を実現することであると認識をいたしております。  特に、河川、海岸、砂防等の国土保全対策及び都市や道路防災対策国土管理の基本となるものでございまして、建設行政として最も重点的に進めているところでもございます。今後とも、安全で安心できる国土づくりのため、ハード、ソフトの両面から防災対策に積極的に取り組んでまいらなければならぬ、かように考えております。  委員指摘のように我が国の災害は避けがたい要件、条件があるわけでありますが、これを国土形成の上で克服できるような備えといいますか、万全を期す対策を私どもは講じてまいらなければならぬ。ましてや人災などというような汚名をこうむるようなことがあってはならない、こう考えますので、いろいろ地域に合った、また自然条件をよく踏まえた対策を進めつつ国土整備に取り組んでまいらなければならぬ、かように考えておるところであります。
  35. 井上義久

    ○井上(義)委員 そこで、道路における防災対策でありますけれども平成八年二月の豊浜トンネル事故では、先ほど鉢呂委員からも御指摘がございましたけれども、二十人ものとうとい人命が犠牲になったわけでございます。建設省では直後にトンネル坑口等緊急点検を実施した上で、平成八年から十年の三カ年で緊急措置を講じられたわけでございます。また、平成九年八月の第二日糸トンネル事故を契機にいたしまして、岩盤斜面千八百二十七カ所の緊急調査を実施した、このように伺っているわけでございます。  平成九年度、平成十年度に二百六十六カ所、さらに本年一月の九年度補正で二百七十一カ所について対策を講じている、こういうふうに聞いているわけでございますけれども道路における災害対策の取り組みについてお伺いしておきたいと思います。
  36. 佐藤信彦

    ○佐藤(信彦)政府委員 道路の場合でございますが、道路機能自体が非常に多様な目的がございます。したがいまして、防災対策そのもの以前に、その道路が閉ざされたことによって国民生活に及ぼす影響が非常に大きいといったことで、やはり幹線道路のネットワーク整備などが基本的なベースとしてまず大事ではないかというふうに考えております。  その次に、そこの地域におきます道路交通の安全性を確保し、災害に強い生活圏を形成するといったことを置いております。これを今回の五カ年計画の四番目の柱に取り上げまして、安心して住める国土の形成といった一つの柱としてこれを行っております。  それからさらに、その中での具体的な方法といたしまして、先ほども申しましたのり面の防災、それから場所によりましてはトンネルでもう直接抜いてしまうといったような方法、そういうハードな方法。それから、それだけでは不十分でございますので、むしろパトロール、点検。それから岩盤の場合でしたら、崩落してくるという前兆がなかなかつかまえにくいわけでございますが、それを何らかの形で事前にキャッチする方法。計測を進めることによってそれを行うといった、そういうソフト面。この両方をあわせてそこの地域道路交通を確保するための手段といったことで進めさせていただいております。
  37. 井上義久

    ○井上(義)委員 次に河川でありますけれども、昨年七月の梅雨前線、九月の台風十九号の出水等によって人命喪失を含む多大な水害、土砂災害があったわけでございます。建設省はこの三月九日に全国三十三万カ所の水害・土砂災害危険箇所の総点検を行うということをお聞きしているわけでございます。  三月中にも結果を取りまとめる、こういうお話も聞いているのですが、調査の進捗状況、それから、この調査の結果として相当な危険箇所というものが実際出てくるだろうと思うわけでございまして、そういう危険度の高い箇所についてどういう緊急措置を今後講じるのか、またその予算措置は大丈夫なのか、この辺についてお伺いしておきたいと思います。
  38. 尾田栄章

    尾田政府委員 先生指摘のとおり昨年大変長雨が続きましたが、幸い短い期間、あるいは洪水を形成をするという期間の降雨としては必ずしも大きくなかったということで、大河川の大堤防が破堤をするというような事態は何とか避けられたわけでありますが、各地、特に西日本を中心に非常に長期間にわたって高い水位が続くという事態が起こりました。  そういう事態を受けまして先ほど御指摘のとおり総点検、一斉点検を行っておるところでございます。その結果を早くまとめないと意味がございませんので今鋭意作業をしておるところでございまして、何とか今月、四月の中旬ごろまでにはまとめたいということで取り組んでおるところでございます。  その結果に対してどう対応するかという点でございますが、緊急的に対応しなければならない箇所がどのぐらい出てくるかというのは、これからまとめてみませんとわかりませんが、危険箇所として上がってくるのは全体三十三万カ所に対して数%程度ではないかな。そのうち要対策箇所が幾らになって、それに対してどういう形で予算措置できるか、この辺はこれから十分取り組んでまいりたいと考えております。  当面まず災害保留をしておるお金を充当するとか、維持費で対応できるものは維持費で対応するとか、あるいは当面対応がすぐできないというようなところについては避難体制を確立する等々、地元都道府県あるいは市町村とも十分連携をとってそういう危険なところを周知をさせていただいて、その上で対応策を考えていきたいと考えておるところでございます。
  39. 井上義久

    ○井上(義)委員 地元では、ここは次に台風が来ると崩れるんじゃないか、崩れれば国庫負担補助が出る、それまで待つしかないな、こういうようなことも聞くわけでございまして、せっかく総点検されるわけでございますから、やはり未然に防ぐということが一番大事だと思います。  大臣、これから補正予算、もうそろそろ補正予算の話をしてもいい時期ではないかと思いますので、特にこういう災害とかを未然に防ぐ、先ほど の道路の総点検も今回の河川の総点検もそうですけれども、やはりこういうところに金をしっかり使うということをぜひお考えいただいて、この補正予算に関しても十分な手当てができるように大臣の御決意を伺っておきたいと思います。
  40. 瓦力

    瓦国務大臣 井上委員から大変大きな声で補正予算における取り組み等につきまして、災害も含めたことでございますが、御質問がございました。  補正予算につきましては、今私の立場で大変申し上げにくいところでございますが、予算全般の中に私どもも十分これらのことを考えつつ、一日も早い成立を待って努力をいたしたいと思います。委員の示される方向は腹の中にずしりとありますので、答弁はこのあたりでお許しをいただきたいと存ずる次第であります。
  41. 井上義久

    ○井上(義)委員 次に、今回の国庫負担法改正について若干お伺いしておきたいと思います。  この法律の目的、第一条に「この法律は、公共土木施設災害復旧事業費について、地方公共団体財政力に適応するように国の負担を定めて、災害の速やかな復旧を図り、もって公共の福祉を確保することを目的とする。」というふうになっておりまして、地方自治体財政負担の緩和ということが最大の目的なのだろう、こう思うわけでございます。  今回、負担法適用になる一カ所工事費用の採択限度額が、都道府県・政令指定都市では六十万から百二十万、市町村では三十万から六十万、それぞれ二倍に引き上げられたわけでございます。この引き上げによって地方財政負担額はおよそ十三・八億円増が見込まれているわけでございます。  一方、今回、対象施設公園が追加になりまして、これで国の負担が六・三九億円ふえる。さらに、一カ所工事範囲の拡大が五十メーターから百メーターになされて、これで一・六五億円、合計八億円程度国の負担がふえる。それから、法改正ではないのですけれども、特殊工法等の設計費用補助制度、この創設によって事業費ベースで約九億円ほど国庫補助がふえる。  こういうようなことで、お伺いしている範囲では地方財政への影響はそれほどないのではないか、こんなふうに思うわけでございますが、確認のために本当に地方財政負担が大きくなることはないのかどうか、建設省としてのお考えをお伺いしておきたいと思います。
  42. 尾田栄章

    尾田政府委員 地方負担がどうかというお尋ねでございますが、今先生指摘のとおりの数字でございまして、対象外となります災害への交付金、これは交付金充当率によってそれぞれ異なるわけでございますが、地方公共団体財政力によって決まってまいりまして、四七・五%から八五・五%までそれぞればらつきがございます。  一番地方にとって厳しい四七・五%という数字で見ましても、市町村では今回の措置によって軽減をされ、都道府県では増加をいたしますが、ほぼとんとん、ほぼ同じ数字になります。また充当率を八五・五%で見れば都道府県あるいは市町村どちらも軽減されるということになりますので、今回の措置によりまして地方負担がふえるということにはならない。そういう意味では、まさに負担法の基本的な考え方の精神が生きているというふうに考えております。
  43. 井上義久

    ○井上(義)委員 きょうは自治省の方にもおいでいただいていますので、地方財政負担はふえることはないという建設省の御見解でございますけれども、この法案の成立にかかわって起債についてもちょっとお伺いしておきたいと思います。  今回の採択限度額の引き上げに伴って地方公共団体の単独災害復旧事業債の採択限度額、これは現行、都道府県・指定都市で二十万、市町村十万になっているわけですけれども、これを引き上げるのかどうかというのが第一点。それから、引き上げた場合に地方財政への影響はどうなのかということ。  それから、もし財政負担増を訴えるような自治体が出てきた場合に、災害復旧事業債の採択限度額の設定を柔軟に対応する等、負担にならないような対応を自治省としてお考えなのかどうか。これを確認しておきたいと思います。
  44. 岡本保

    ○岡本説明員 お答えいたします。  単独災害復旧事業債の採択基準につきましては、ただいま先生指摘のとおり、都道府県・指定都市で二十万円以上、市町村にあっては十万円以上と現在いたしているところでございます。  それで、現在、公共土木に係ります国庫負担について御審議をいただいているわけでございますが、単独災害復旧事業債の場合は、公共土木のほかに農業施設、それから公立学校施設、公営住宅、都市施設など極めて幅広い施設対象といたしておりますので、公共土木施設はもとよりそれ以外の施設に係ります限度額の引き上げの動向も見きわめまして判断をいたしたいと思っております。  その場合に何よりも大事なのは、先ほど御指摘のように各地方団体で災害復旧事業の円滑な実施に支障が生じないようにするということが肝心でございますので、そういう観点を十分踏まえて検討してまいりたいと思っております。
  45. 井上義久

    ○井上(義)委員 負担増にならないようにぜひ御配慮をよろしくお願いしたいと思います。  それから、今回、負担法対象施設公園を追加したわけですけれども、この追加の理由についてお伺いしておきたいと思います。  さらに、その公園について、その種類、それから該当する公園の箇所数、面積、それから対象となる公園施設の範囲ですね、どの範囲まで対象になるのか、それから対象施設の指定の方法についてお伺いしておきたいと思います。
  46. 尾田栄章

    尾田政府委員 今回公園の追加をお願いをいたしておる理由でございますが、阪神淡路大震災に際しましても、公園が避難地、避難路、広域防災拠点として大変重要だということが広く認識されたところでございますし、また国民生活にとって大変必要不可欠な施設であるという国民認識がございます。それに伴いまして公園自体整備が進みまして、災害復旧のための地方公共団体負担が増加しているということ、その両点にかんがみまして今回追加をお願いをいたしておる次第でございます。  それで、追加となります公園対象でございますが、これは今後政令で決めることになりますが、予定をいたしておりますものとしては、都市公園法上の都市公園、それと都市公園に準じる公園として都市公園整備緊急措置法において位置づけられております特定地区公園、いわゆるカントリーパークと言われるものでございまして、平成八年度末時点で申しまして全国で約七万二千カ所、その面積の総計は八万四千六百ヘクタールでございます。  そして、その対象となる公園施設がどうか、その特定方法はどうかということでございます。まず特定方法につきましては、この内容について政令で定めることといたしておりますので、その具体的なものは明定をされるということになります。現在予定しておりますところとしては、都市公園法施行令第二十五条に掲げられております園路、広場等というような施設で、自然現象によって被害を受けたものを予定をいたしております。  公園施設としてはゴルフ場のようなものも含まれておるわけでございますが、こういうものについては対象としないという方向で考えておるところでございます。
  47. 井上義久

    ○井上(義)委員 それでは、災害復旧事業の進め方の問題について。  昨年河川法改正されて、従来の河川行政がいわゆる治水、利水ということから、環境生態系視点を踏まえて大きく転換をすることになったわけでございます。それで、河川における災害復旧事業についても、この河川法改正の趣旨を踏まえて、被災河川環境に十分配慮した環境保全型の復旧事業がなされるということをお伺いしておるわけでございます。従来極めて批判の強かったコンクリート一辺倒のこういう河川災害復旧が質的に大きく転換されるということは大変歓迎すべきことだ、こう思うわけでございます。  そのことについて、この災害復旧事業、今回国庫負担法審議をしているわけでありますけれども、この国庫負担法によると、第二条の二に規定されていますように原形復旧原則というのがあるわけで、原形復旧するというのが原則としてあるわけでございまして、もしこの環境保全災害復旧事業ということをやはり本格的にやる、それがまた国庫負担対象になるということであれば、この原形復旧原則に加えて改良復旧を認めるような条項をきちっとやはり法律に明示することがこの河川法改正の趣旨にかなうのではないか。  これは河川だけじゃないと思いますけれども、少なくともせっかくそういうふうに河川法改正されて大きく転換するわけでありますから、国庫負担法の方にも明確にそういうことをうたって今後の災害復旧対策に資していってはどうか、これは本来正しいやり方じゃないか、こう思うわけでありますが、その辺について。
  48. 瓦力

    瓦国務大臣 委員環境についての配慮について私一点述べさせていただきましてから局長に具体的な答弁をいたさせますが、御指摘のとおり昨年河川法改正をされまして、美しい山河を守る災害復旧基本方針を策定をし、環境と調和のとれた災害復旧に本格的に取り組むことといたしておるわけであります。  今後とも、改良復旧事業の推進にまずは取り組むといたしまして、環境にも十分配慮をした災害復旧、このことは念頭に置きながら進めさせていただきたい。  環境についての御質問について私から一言御答弁させていただきました。
  49. 尾田栄章

    尾田政府委員 負担法の中に環境という言葉、概念を明確に入れるべきだ、こういう御指摘でございますが、負担法そのものは個別のそれぞれの公物管理法を受けてつくられた施設復旧ということでございますので、それぞれの施設の根拠法で原形というものをどう考えているかというのがやはり一番基本になろうかというふうに考えております。  そういう意味合いで、河川につきましては、河川法河川環境整備保全というのが明示、明定されましたので、これははっきり、今大臣から御答弁ございましたとおり取り組んでおるところでございます。そして、そのほかの施設につきましても、根拠法の中では明定されていないにしても自然環境を無視してそういう施設整備はできない現況でございますので、そういう事態を受けて個別のいろいろな災害復旧事業の実施に際してそういう環境への配慮環境を内部目的化するという建設省としての取り組みをそのまま生かしていきたいと考えております。
  50. 井上義久

    ○井上(義)委員 根拠法があるからいいというお話なのですけれども、これは後でちょっと質問しますけれども地方自治体によってはこの環境への配慮ということでノウハウとかコスト面とかなかなか困難なものがあるわけでございまして、原形復旧だから、少なくとも国に負担を請求する際に原形復旧ということでやっちゃえばいいじゃないかという懸念があるわけでございます。  この復旧事業国庫負担法そのものにやはり法律としてきちっと、第二条の二項に災害復旧事業というのは原形復旧するというのが原則になっているわけでございますから、一回つくったものをもとに戻すんだという発想になりかねないわけでございまして、そういう意味でやはり明確にした方がこれからの災害復旧あり方としては正しい行き方じゃないか。  法律を出しておいて、法律を変えますとは言えないというのはよくわかりますけれども、この辺はこれからの検討の中で、せっかく河川法を変えたのですからそれに関連する法律もそこは変えるようにした方がいいのじゃないか、こう思いますので、ぜひ検討していただきたいと思います。  それから、美しい山河を守る災害復旧基本方針ということで建設省が今検討されているようでありますけれども、このことに関して、これは大変いいことなのでぜひ建設省一生懸命やっていただきたいと思います。特に、実際にやるのは地方自治体が多いわけでありますから、地方自治体とのコンセンサスをぜひつくるように努力していただきたい。  その意味で問題点が幾つかあるのじゃないか。一つは自治体によって技術力やスタッフが不十分。今までやはりコンクリートで護岸をつくるということにもうなれてきているものですから、これをもう何十年もやってきたものですから、事実上そういうスタッフしかなかなかいない。それから二番目は環境保全型工法の蓄積が少ない。それから三番目は設計法等の基準が標準化してない。それから四番目に施工業者の技術レベルが未知数である。こういうように、せっかくのアイデアなのですけれども極めて問題が多いわけでございます。  この新事業を軌道に乗せるためには相当な努力が必要なのじゃないか、こう思うわけでございますけれども、具体的に軌道に乗せていく上で建設省、どういうふうにお考えになっているか、これを最後にお聞きしたいと思います。
  51. 尾田栄章

    尾田政府委員 先生指摘のとおり、従前から私ども自身が、天然護岸が壊れますとワンランクアップということでブロック張りに変える、そしてブロック張りが壊れますとコンクリート張りに変える、それをワンランクアップという言葉で呼んでおった次第でございまして、そういう意味合いではまず私ども自身の意識変革が要ることだというふうに考えております。そういう中で、災害復旧事業は一方では早急に復旧をするということも大事でございますので、その兼ね合いをどうとるかというところが一番難しいところだというふうに思っております。  そういう中で、今御指摘をいただきました美しい山河を守る災害復旧基本方針や、査定方針というものを決めておるわけでございます。この中に明示をいたしますとともに、具体的にどういう形で進めるか、これは川の流速との関係等いろいろあるわけでございますが、査定官申合事項というような中にも盛り込みまして周知徹底を図ります。  それから、御指摘のとおり担当者一人一人の意識が大事でございますので地区別の講習会等も開催をする。あるいは各自治体で独自のいろいろな研修にお取り組みいただくというようなことをあわせるとともに、民間の方でも技術開発、そだ沈床なんかはもうある意味では技術が廃れかかっている分野でもございます、そういうところについて民間の方の新たな取り組みもお願いをいたしたい、一緒になって進めてまいりたいと考えております。
  52. 井上義久

    ○井上(義)委員 以上で終わります。
  53. 遠藤乙彦

    遠藤委員長 西野陽君。
  54. 西野陽

    ○西野委員 自由党の西野陽でございます。  このたび、ただいま提案になっております公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法の一部を改正する法律案につきまして、先ほど来からの委員質問と若干重複するところもあるかもしれませんが、改めて確認をさせていただく意味も踏まえ何点か質問をいたしたいというふうに思います。さらに、それらに関連をいたします事項についても瓦大臣並びに河川局長にお尋ねをいたしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  まず最初、本負担法対象となる公共土木施設は、昭和五十九年の法改正で地すべり防止施設、急傾斜地崩壊防止施設、さらには下水道を追加されたわけでありまして、今回これに加えて公園を追加しようということでありますが、本改正負担法対象とすべき施設は、この公共土木施設はこれですべてが対象になっているのか、あるいは、なっていないとするならば今後それらの追加については考えておられるのかどうか、まずこの点をお尋ねいたします。
  55. 尾田栄章

    尾田政府委員 今回の改正におきまして公園事業をお加えをいただきますと建設省で所管をいたしております施設につきましてはすべて対象となるということになるわけでございますが、先ほど来議論が出ております上水道あるいは産業廃棄物処理施設工業用水道、空港等々の扱いについて は、これを公共土木施設と見るのかどうか、そういう基本的なところの議論もございます。  また、こういう施設災害復旧地方財政に与える影響、この負担法そのものはシャウプ勧告によりまして地方の過大な財政負担を軽減をするという目的でつぐられている法律でございますので、そういうところに与える影響がどうか。あるいは当該施設被災国民経済や生活に及ぼす影響というような問題についての検討をする必要があるわけでございます。  そういう意味合いで、私ども建設省が所管する施設についてはすべて対象になったわけでございますが、先ほど申しましたようなそういう施設についてどう考えるべきか、必要性もひっくるめましてこれから関係の省庁とも十分協議を進めてまいりたいと考えております。
  56. 西野陽

    ○西野委員 災害公共土木施設だけに到来をいたしまして他の施設被災しないということはないのです、災害は相手を選んでくれませんからね。ですから、先ほど来もお話が出ておりますとおり、水道、上水道ですか、さらには環境等についても、これは建設省の所管外であるのかもしれませんが、各省庁とよく連携をとってとおっしゃっていますが、文字どおりこういう災害に対する、縦割りでなくて省庁間の常日ごろからのそういう万が一のときに対応できる組織というかシステムといいますか、そういうものを当然構築されるべきだというふうに思いますので、ぜひそうありますことを、言葉だけでなくて、そう取り組んでいただきますように要望しておきたいというふうに思います。  ところで、この採択の限度額は、都道府県、指定都市で六十万円でありましたものを百二十万円に、市町村は三十万円のものを六十万円に。さらに一カ所の工事とみなす被災箇所間の距離を従来の五十メートルから百メートルに拡大をされた。要するに、簡単に言えば二倍に引き上げられたことになりますね。そこで、この負担法対象外となる事業、言いかえたら足切りと申し上げますか、その件数とか金額につきまして改めてお示しをいただきたいと思います。
  57. 尾田栄章

    尾田政府委員 ただいま御指摘の採択限度額の引き上げによりまして新たに対象外となる事業の件数と金額でございますが、件数で申しますと全体の約五%に相当いたします千八百件ぐらい。これは都道府県事業が約千件、市町村事業が約八百件ぐらいと考えております。そしてまた、金額で申しますと全体の約〇・四%に相当いたします約十四億円。都道府県が十億、市町村が四億という形で見込んでおるところでございます。  今回のこの採択限度額の引き上げは、もともとこの限度額が決まりました昭和五十七年度当時と平成八年の対象工事ごとに仮想積算をしてみましたところ、大体当時の二倍ぐらいかかる。これはコンクリートブロック積みの護岸を対象検討したわけでございます。そういう意味合いでこの限度額が決められたときの工種の数量といいますか、そちらではほぼ同じものを今回対象とする、こういうことでございます。
  58. 西野陽

    ○西野委員 今、数値、件数でお示しをいただいたのですが、これらの対象外となる災害復旧事業につきましては結果は地方公共団体負担になると考えられるのですね。金額的に、ボリューム的には限られておるだろう、こういうことでありますけれども、やはりそれらについても、いわゆる足切りをされた分についても国の支援を含めて地方公共団体負担軽減策というものを考えてやるべきだと思いますが、その辺はどうでございましょうか。
  59. 尾田栄章

    尾田政府委員 今回の措置によりまして、確かに採択限度額の引き上げによっての負担増、それに対しまして、公園を追加することによる負担減、そしてまた一連区間と考える延長を五十メートルから百メートルに引き上げるということによります負担減、そしてまた、これは今回の法改正と直接は関係をいたしてはおりませんが、災害査定設計委託費に対しての負担対象拡大をいたしておりまして、これらの措置によりましてはぼ地方負担の増が避けられるという形で推移できると考えておるところでございます。
  60. 西野陽

    ○西野委員 ぜひ足切り部分の地方公共団体負担軽減措置についてさらにひとつ徹底を期していただきますようにお願いを申し上げておきます。  ところで、このようにおおむね倍の措置を講じるということでありましょうが、これはいわゆる補助金でございますね。先ほども少し出ておったようでございますけれども、ここに、補助制度という制度自身にやはり問題があるような気がいたしてなりません。例えば災害でいいましたら、対象事業はどれにするのか、その規模はどうだろうとか、さらには補助率がどうだろうとか、何か制度的な、補助制度というものにやはり問題があります。  私どもがかねてから申し上げておりますのは、災害規模程度にもよるでしょうけれども、例えば何らかのランクづけといいますか、この災害ならば第一級とか第二級とか第三級とか、そういう枠組みを事前に設定しておいて、直ちに交付金で地方公共団体に支給をして、あとは、災害規模状況等については現場が一番よく知っているわけですからその地方公共団体考え対応していくという制度の方が合理的なのかなという気がいたすのでございます。  これは根本的な、補助がいいのか交付金がいいのかという問題点だと思いますが、その辺の何か感想がありましたら。
  61. 尾田栄章

    尾田政府委員 この法律制度は国庫負担法でございまして、昭和二十五年だったと思いますが、シャウプ勧告という形で、従前市町村あるいは都道府県災害対応負担が大変厳しいという中で、災害対応というのはある意味では国としての責務だ、そういう理解が背景にあるのだと思いますけれども、そういうもとで国が特別に高い負担をすべきだ、こういう勧告が出されまして、それを受けて大きく改定といいますか、設けられた制度でございます。  そういうことですから、三分の二を超える国庫の負担を求めておる、そういう法律体系でございますので、本当の意味国民生活上大きな影響を与える施設に限るべきだというのがこの法律の背景にございます。そういうことで、どういう施設対象にするかということも、すべて一件一件国会の審議をいただいた上で取り上げるということでございまして、今回、公園の追加について審議をお願いいたしておるところでございます。  そういう枠組みでございますので、今先生指摘のような体系というのは今の法体系とは全く別の体系になるわけでございまして、こういう問題をどう考えるべきかというのは、これは基本的な災害対策あり方に絡んでの議論、そういうところもひっくるめての議論が出てこようかというふうに考える次第でございます。
  62. 西野陽

    ○西野委員 今お答えありましたとおり補助がいいのか交付がいいのかという法体系自身の問題、さらには、災害は相手を選んでくれません、土木施設だけではありませんで広範にわたって影響を及ぼすわけでありますから、そういう意味での、非常に幅のあるといいますか柔軟に対応ができるといいますか、そういうこともまたあわせて検討、取り組みをなさるべきではないかな、このように思いますので、ひとつよろしくお願いしたいと思います。  ところで、瓦大臣にお尋ねをいたしたいところでございますけれども、これらの災害によりまして公共土木施設被災をいたしました場合は、国民の生活に多大なる影響を与えることは当然のことであります。したがって、そういうことのないように、できるだけ早く原形といいますか復旧を図る必要があるのだろうと思います。  ところが、復旧という性質上、それを急ぐ余りに、先ほど来からも少しお話が出ておりますけれども、周辺との調和というものをむしろないがしろにいたしまして、ただひたすらに当面の復旧に全力を挙げるというようなことで、本当にコンクリートだらけの施工を行っているというようなことがあると思うのです。  先ほどもお答えになっているかもしれませんが、大臣のそこらについての御認識をお示しいただきたいと思います。
  63. 瓦力

    瓦国務大臣 西野委員から、災害復旧は急ぐが、急ぐ余り、色気のないと言いませんけれども、コンクリートずくめのものではどうかな、こういう御指摘でございます。  今日までの復旧事業は、材料の入手あるいは設計施工が比較的容易であるというようなことから、コンクリートブロック積みの護岸が主体になってきたわけでございますが、まさに委員指摘のとおり環境保全への配慮が十分ではなかった、こう思うわけでございます。  昨年河川法改正されました。河川環境整備保全がされるように河川管理を行うこととされたわけでありまして、自然の生態系、水と緑の景観、人と川の触れ合い等、環境配慮することが委員指摘のとおり重要なことだと考えるわけであります。  よって、自然の材料である木や石の使用、また覆土による植生の確保、加えてコスト縮減も考えておかなければなりませんが、自然の回復力によって自然環境保全が可能となるような工法を選択をしつつ、美しい山河を守る災害復旧基本方針、ガイドラインを作成をいたしまして災害復旧を目指す、そういう方向で努力をしていかなきゃならぬ。委員指摘のとおりに受けとめておるわけであります。
  64. 西野陽

    ○西野委員 その認識をお示しをいただいておりますが、申し上げておりますとおり、環境保全型の災害復旧事業を推進するために、河川法改正、さらには、先ほど来も話が出ておりますが、美しい山河を守る災害復旧基本方針を策定するということでありますけれども、これは現時点でどの程度まで具体的に進んでおるのでしょうか。
  65. 尾田栄章

    尾田政府委員 先生指摘の美しい山河を守る災害復旧基本方針、私どもガイドラインと呼んでおりますが、この基本方針につきましては、現在、内容そのものは固まっておりまして、関係部局、特に財政当局との調整を行っておるというのが現段階で、ほぼ最終段階まで来ておるというふうに考えておるところでございます。  御指摘のとおり、治水機能のみを修復するのではなしに、河川そのものが現状として持っておる自然環境等、そういういろいろな機能を含めた従前効用復旧を図るということを基本にしておるところでございます。  そして、具体的にどういうことを考えておるかということで申しますと、まず表土等によります覆土をする。あるいは植生、寄せ石、木材等のそういう多孔質な材料を使うことによりまして、そういうものを水際に並べることによりまして、今までのようにコンクリート張りですとかつて持っておった自然の力を回復するということがなかなか難しいわけでありますが、そういう多孔質な水際処理を行うということによりまして被災前と同じような生態系の復元をできないか、何とか進めたいと考えております。また、できるだけ自然の素材を使うということによりまして山林の保全やCO2の削減というようなことにも寄与をしたいというふうに考えております。  そしてまた、ともすれば、被災した河川復旧に際して直線化をするという、そういう単純化を図る場合が従前は大変多かったわけでありますが、できる限り変化に富んだ水際、瀬やふちを残す、多様な河川形状や生態系保全する、こういうことを考えまして、被災前に持っておった自然環境を大きく改変しないということを進めたいというふうに考えております。  ただ、一方、どうしても災害復旧という事業の性格上、早く災害復旧をして周辺の住民の皆さん方の不安を解消するということも大変大事なことでございまして、その兼ね合いをどうするのか、そしてもう一点、コスト面の問題もひっくるめまして、そのあり方について今最終的なまとめをしておる段階でございます。
  66. 西野陽

    ○西野委員 この美しい山河を守る災害復旧基本方針、これもそういう考え方に基づいて行われる、地理的といいますか物理的といいますか、そういう状況がある場合と、そうでない場合といろいろあると思うのですね。多面的にそういうものが作用するように、ぜひひとつ御検討いただきたいというふうに思うのです。  ちょっと具体のことで申しわけないのですが、大阪のことで申しわけありませんけれども、大阪で今、総合治水対策整備をこの十数年来、これは高潮対策だとか浸水対策を踏まえまして、むしろ他県に先んじて大がかりの治水対策をやっていただいておるのです。  その中で、具体的に申し上げますと大阪の第二寝屋川それから恩智川というのがございまして、現在もなお、その地帯は、東大阪の市民あるいは大東市民が住まいするところはゼロメートル地帯と言われまして、東京にも若干そういうところがあるかもしれませんけれども、そういう地理的な条件の厳しいところでもあるのです。  この治水対策というのはこれからもなお引き続いて精力的に取り組んでほしいというふうに思っておりますが、残念ながら、先ほど来おっしゃっております、あるいは私ども考えております美しい山河、まあ山は遠いですけれども、川を守るという観点からいたしますと、必ずしもその配慮が十分されていないように思われるのでございます。これらの点について、河川環境向上、調和という問題について取り組みはいかがでございますか、お示しをいただきたいと思います。
  67. 尾田栄章

    尾田政府委員 ただいま御指摘をいただきました第二寝屋川あるいは恩智川、まさに平地河川、ゼロメートル地帯を流れる、ほとんど勾配のない川でございまして、なおかつ海からの高潮、そして淀川の左岸堤防という、水の壁に囲まれた地域での治水対策をどうするかというところでございまして、ある意味では日本でも一番難しい地域治水対策を実施しておる地域だというふうに考えております。  そういう中でございますので、はっきりはおっしゃいませんでしたが、町の中に高さ二メートルに及ぶような、パラペット堤防と申しますかコンクリートの壁がずっと立ち並んでおるというような状況でございまして、そういう河川環境、あるいは川の中すら見られないというところをどういう形で今後考えていけばいいのかというのは私どもにとって大変大きな課題でございます。  とりあえず、ある意味では小手先ではございますが、コンクリートの今申したようなパラペット堤防の緑化をするとか、あるいは川沿いに遊歩道を整備をして、より住民の皆さん方に近づいてもらえるような、そういうことを考える、あるいは、できるだけ水を遊ばせるという、遊水地事業を進める、あるいは地下河川でそういう洪水処理をするという、そういう対策を、今それぞれ計画を立て、現に遊水地あるいは地下河川を鋭意進めておるところでございます。  そういう治水事業を進める中でああいう非常に難しい地域における治水、特にその中で環境をどう考えるか、我々にとっても大命題だ、こういうふうに考えておるところでございます。
  68. 西野陽

    ○西野委員 今河川局長がコンクリートのパラペット壁というふうに表現をされました。しかしながら、他方では、のり面をもって水のせせらぎに親しむというような意味のこともおっしゃいました。前段と後段とは全く違うのでございます。ちょっと具体的にお示しをしたいと思うのですが、大臣河川局長にこの写真をちょっと見てほしいのです。  これは私の地元なのですけれども、この壁、何に見えますか。大臣、これは刑務所ではないのですよ。刑務所という表現がどうかと思いますが、壁だけでありまして、これはまあ当時の高潮対策あるいは災害という——これはいい、別物であります。今大臣、見たいと言いましたが、あと撮ってきていますのは、これは先ほど来局長が言われた、いい方なのです。やろうと思えばこういう緑や自然との調和のとれたものができる。かと思うと、先ほどそちらにお示ししましたように、もう本当に拘置所、刑務所、だれが見たって、あれ、 人間の住む近くの川だとは思えないのでございますよね。高さ二メートルとおっしゃいましたけれども、三メートル以上あるのですよ。コンクリだけでございます。  当時はそれで一つ災害あるいは高潮対策ということで目的は達したのでございますけれども、今ここに住んでいる人に私も会うたびに言われるのでございますよ。あなたが国会議員になって、これ、何とかなりませんかと言うのです。  きょうはいい機会でございましたので、この写真をお示しをいたしましたけれども、これらの問題について、幅もございませんし、直ちに垂直緑化をするといいましても、コンクリートで、道路が狭うございますし、バンクでやるわけにもいきませんし、非常に難しい地理的な要件もあるのですけれども、こういう点については大阪府と建設省で何かいろいろな協議を進めておられますか。今後何か、少し潤いのある方向というものは模索できるのでしょうか。
  69. 尾田栄章

    尾田政府委員 問題意識としては、先生指摘のとおり、私どもも同じ思いでございます。  ただ、あのパラペット堤防がかつていろいろな高潮被害を受けた大阪の治水対策としてそれなりの効果を果たしてきたことも事実でございます。そういう中でその高潮対策機能を減ずることなく何かもっとうまい方法がないかというのは、特に大阪府あるいは大阪市は常にこういう治水の問題に一番先進的に取り組んでおられるところでございまして、一緒になって私ども考えておりますが、なかなかよい知恵がない。高潮対策としてどうしても高さが要りますので、そういう中で本当に苦慮しておりますが、泣き言ばかり言っておってもしようがありませんので、これからどういう対応がとれるのか、さらに十分検討させていただきたいと思います。
  70. 西野陽

    ○西野委員 河川局長、他面でこういうところもあるわけでございまして、何かいい知恵を絞っていただいて、大臣も含めてぜひ方策を御検討いただくように強く要請をしておきたいというふうに思います。  最後になりますけれども、かつての阪神淡路大震災、それから北海道を初めとする各地で起こります土石流の災害など、あの教訓を私どもはしっかりと踏まえながら、文字どおり災害に強い国土づくりというものが建設省としても取り組まれるべき課題であるというふうに思いますので、これらの防災対策への取り組みについてのお考え大臣に最後にお尋ねしたいと思います。
  71. 瓦力

    瓦国務大臣 防災施設の計画的整備を進めるということは、平成七年四月に策定した震災に強いまちづくり構想に基づく都市の防災構造化等、地震対策の観点でこれの推進を図っておるところでございます。  またソフト対策として、危険箇所の周知、ハザードマップの作成、公表、警報システムの整備等を講じておるわけでございまして、ハード、ソフト両面から取り組んでいかなければならぬ、こう思っております。  平成九年六月の防災基本計画の修正を踏まえまして、本年三月、新たに建設省防災業務計画に水質事故災害対策道路災害対策等の事故災害対策編を追加いたしました。防災対策の一層の推進に努めてまいりたい、こう考えております。  また、西野委員から写真等を今提示を受けました。私は、河川局長も、川に背を向けてはならぬ、川に目を向けて前へ進めということで河川局の職員を激励をいたしております。今まで河川から遠ざかろうとしておったのを、前へ出て、スーパー堤防であれ、川と親しみを持つような川づくりをしなければならぬ、安心できるような河川にしなければならぬ、こういうことで鋭意取り組んでおりますので、期待を寄せていただくと同時に予算等にも激励をいただく、また支援を賜りたいと私からもお願いを申し上げておきたいと思います。
  72. 西野陽

    ○西野委員 以上で終わります。よろしくお願いします。
  73. 遠藤乙彦

    遠藤委員長 中島武敏君。
  74. 中島武敏

    ○中島(武)委員 私は公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法の一部を改正する法律案について質問いたします。  私がこの改正案で最も危惧する点は何かというと、採択限度額の引き上げによって住民生活に最も関連の深い小規模災害復旧工事がこのたびこの法律による補助対象から除かれるのではないかという、この問題なんです。改正によって小規模工事補助対象外となって地方自治体の単独事業になってしまう、その結果として地方自治体財政負担が増加することになりませんか。また、災害復旧事業全体に占める小規模工事費の割合はどうなっておりますか。
  75. 尾田栄章

    尾田政府委員 まず数字関係を先に御答弁をさせていただきますが、今回の採択限度額の引き上げによりまして新たに対象外となります事業の件数でございますが、件数で申しますと全体の約五%、千八百件ぐらいと考えております。これを金額で申しますと全体の〇・四%でございまして、お金で十四億円程度というふうに考えております。  そういうことで、新たにこの十四億円が対象外になるわけでございますけれども、これがすべて国庫の負担がないかということになりますと、別途地方交付金からの繰り入れ等々の措置がございます。あわせまして今回、査定に要します経費、橋梁等の調査に必要となります経費が非常にかかるものにつきましては、これを新たに負担対象に繰り入れるということを考えております。  そしてまた、公園事業を新たに加えたということもございまして、こういう全体の一連の措置によりまして、大体、地方の新たな負担増につながることはないというふうに考えております。
  76. 中島武敏

    ○中島(武)委員 建設省はことし三月九日に「土砂災害危険箇所総点検について」というのを出して、洪水土砂災害の起こる可能性がある危険箇所を緊急に全国一斉点検することを明らかにいたしております。新聞報道によりますと三十三万カ所だそうでして、土砂関係が十七万、河川関係十六万、これを対象に一斉点検するということですけれども、この調査のねらいですね。これは一体どこにねらいがあるのか、これをまず第一に伺いたい。  それから、その調査の結果、危険箇所の補強工事についてどういうふうに対処されるおつもりであるかということを伺いたい。具体的なことを言いますけれども、計画的整備が必要だと思うのですね。それはどういうふうに考えておられるか。  それからまた、保育所とかあるいは教育施設、保育所だけに限りません、社会福祉施設とかあるいはいわゆる社会的弱者施設とかというものが、危険箇所の中でもそれが近くにあるというような場合には、重点的にやはりこういうところの整備を急ぐということが必要だと思うのですけれども、そういう箇所は一体どれぐらいあるものなのか。また、そういうふうにやろうというお気持ちを持っていらっしゃるのか、この点。  調査の結果、危険箇所というふうに思われるところは年限を切って計画的にやらなければいかぬと思うのですけれども建設省としてはどんな計画なのか。また、計画を具体化するという場合にどんなふうに具体化しようとしているのか。  以上お尋ねしたいと思います。
  77. 尾田栄章

    尾田政府委員 今回行いました水害・土砂災害危険箇所の一斉点検のねらいでございますが、これは、ことしに入ってから申しましても一月、二月で、今まで対応が必要だと考えているところ以外で既に四十件に近い土砂災害が起こりました。また、昨年一年を考えてみますと、大変長雨、洪水ピークは形成しませんでしたが、非常に長雨もございました。台風が連続三回も上陸するというふうなこともございました。また地震も相当揺っておりました。そういう中でやはりもう一度この災害危険箇所の一斉点検をそういう視点でやっておこうということで行いました。  その結果は今ちょうど取りまとめ中でございまして、今月中旬、四月中旬ぐらいにはその結果をまとめたいと考えておりますが、その結果がまと まりますと、それに応じて先ほど先生から御指摘ございましたように計画的に整備を進めていく必要がある、こう考えております。  そしてまた、当面急いでやらなければならない、そういう危険箇所につきましては、今年度の維持修繕費を充当するとか、そういういろいろな応急的な操作もひっくるめて緊急的な対応策を考えたいというふうに思っております。  そしてなおかつ、そういうところで緊急的なハード面での対応ができないところにつきましてはソフト面での対応をぜひやる必要がある。危険箇所の周辺の皆さん方への周知徹底をひっくるめて、関係都道府県あるいは市町村と一緒になってそういう対策を進める必要があると考えております。  そして、三点目の災害弱者対策の問題でございます。  これは、土砂害で申しますと、平成五年の土砂害によります六十五歳以上の高齢者の死者・行方不明の割合というのは四二%でございます。それに対して高齢者は国民全体の人口構成の一二%でございまして、まさに先生指摘のとおり、高齢者あるいは身体障害をお持ちの方、そういう災害弱者と俗に呼ばれている、そういうところに一番打撃を与えるわけでございます。そういう視点も十分生かしながらこの対応策を考えていきたいと考えております。
  78. 中島武敏

    ○中島(武)委員 今局長から答弁がありましたけれども、社会的な弱者の人たち、お年寄りの人、また年の小さい人、あるいは障害のある方、そういう方々を本当に重点的にやっていただきたいと思います。  それから、昨年は九州で集中豪雨による災害が大変多発いたしました。とりわけ、七月十日鹿児島県出水市の針原地区で起きた局地的な豪雨で山が崩れて、そして十五万立米もの土石が集落を襲って、二十一名ものとうとい人命が失われるという災害になりました。それで、実際、復興はどうかと思って私どもも気にしておったり、また調べてみているのですけれども、どうも復興は決して順調とは言えないと思います。  まず第一に復旧工事がおくれております。本日審議しておりますこの法律の目的についてこんなふうに書いてあります。「目的」、第一条「この法律は、公共土木施設災害復旧事業費について、地方公共団体財政力に適応するように国の負担を定めて、災害の速やかな復旧を図り、もって公共の福祉を確保することを目的とする。」こういうふうに非常にはっきり目的の条項で速やかなる復旧ということをうたっているわけですね。  そういう点でいいますと、また雨季の六月が迫ってくる、一体ことし間に合うのか、こういう心配が被災を受けた人たちの間からは起きているのです。これは雨季に間に合いますか。あそこは雨の多いところで、ふだんからもう雨が多くて、しかも雨季に入るということになったら仕事も何もできぬのじゃないかという心配もしているのですけれども、ちゃんと間に合うでしょうか。
  79. 尾田栄章

    尾田政府委員 昨年の出水市の針原川の災害復旧がどうか、おくれているのではないか、こういう御指摘でございますが、災害関連緊急砂防事業といたしまして約三十六億円をもちまして既にすべての発注を終わって、現在現地工事を行っておるところでございます。  工事としては大きく三つございます。まず最初、既設砂防ダム、この砂防ダムがちょうど完成したところでこのことが昨年起こりました。これが完成して、この砂防ダムによりまして下流の被害を軽減できたところでありますが、この砂防ダムにたまった砂を取り除くという除石工事を行いました。約五万立方メートルにつきまして緊急に実施をいたしまして、既に昨年の十一月に完成をいたしておるところでございます。  そして、二番目の工事といたしましては、この既設の砂防ダムの上流に新たに砂防ダムを建設をするということでございます。昨年の十二月に着手をいたしまして、本年の八月に完成をする予定にいたしております。台風期前には完成ができるものと考えております。そしてまた、梅雨期の六月前までには河床から三メートルぐらいは上まで立ち上げたいというふうに考え現地鹿児島県において鋭意事業を進めておるところでございます。  また、三番目の工事でございます崩壊をしたところの崩壊をとめる山腹工でございますが、アンカーつきののり枠工ということでございまして、この三月に着手をいたしたところでございます。  ただ、これは崩壊をしたところで行います工事でございまして、ある意味では大変危険を伴う工事でございます。私ども残念ながら蒲原沢での体験もいたしております。災害復旧のための工事において犠牲者を出すことがないように、そこのところにつきましても十分注意を払いつつ、地元の皆さん方の御期待に沿うべく最大限努力をいたしたいと考えておるところでございます。
  80. 中島武敏

    ○中島(武)委員 ダムの発注が十二月でしたね。それから山腹工、堆積工は三月の発注、着手、こういう答弁だったかと思うのですが、七月の大雨が降る時期までには何とか完成したいというお話なんですけれども、その前にもう梅雨に入ってしまうのですよね。この七月までに本当にできるのですか。地元が一番心配しているのは、これはなかなかできないんじゃないかというのが一番の心配なんです。  それからもう一つは、山腹工なんですけれども、これは今局長言われたように三月の発注、着手なんですよ。三月といったら先月なんですね。私は、これから雨の降る時期に発注をしているじゃないか、妙な話だなという感じが素人ですけれどもするのです。十二月、一月、二月、こういう時期は雨が割合少ないわけですから、どうしてそういう時期に仕事ができるように発注をしなかったのかなと。  率直に言って、私は、これは県の対応にも問題があったのかなという感じはするのですけれども建設省が積極的に乗り出して、さっきの第一条の目的にありましたように速やかなる復旧です。来年になってしまうのでは翌年どころかもう一つ年を越してしまう、まごまごしておったらまた災害が起きる、こういうことになったら速やかなる復旧にはならなくなります。そういう点からいうと、私は、こういうときにはやはり建設省が積極的に乗り出す、そして雨季にならないうちにちゃんとやる、こういうことが必要なのではないかと思う。  局長は鋭意努力していると言いましたけれども、どうですか、大臣、そう思いませんか。やはりこういうときは大臣が乗り出さなければ、建設省が乗り出さなければいかぬと思うのですけれども
  81. 尾田栄章

    尾田政府委員 こういう土砂災害対応するのにまず何が一番大事かということから申しますと、上から流れてきた土砂をまずとめるということでございます。そして、その観点に立って、既設の砂防ダムはこの前の災害で埋まってしまったわけでありますからこれを掘削をするということで、この五万立方メートルについては昨年の七月に着手をして昨年の十一月に完成をしておるところであります。ですから、これはもう迅速にまず対応をしたところであります。  そしてその次には、その上流に砂防ダムをつくる必要があるということで、これにつきましてもことしの八月には完成をしたい、台風期の前には完成をしたいということでございまして、そういう意味合いでは進めるべき工事を順次進めてきておるというふうに考えております。  そして、こういうハードの対策にあわせまして、ある意味では一番人命にかかわります対策として警戒避難体制の確立を図っておるところでございます。現地に伸縮計、雨量計あるいは監視カメラというものを設置をいたしまして、これらの情報がすべて出水市の消防本部に入り、災害対策本部長であります市長さんの指示のもと関係住民の方そしてまた工事関係者の方も危険があれば区域外に退去をする、こういうソフト面の対策も講じておるところでございます。
  82. 中島武敏

    ○中島(武)委員 ソフト面の対策も積極的に講じておられると。結局完成すればいいです、もう皆さん一生懸命努力してもらって。だけれども間に合わないというときには、やはり避難体制、それに必要ないろいろな機材、これをしっかり整えるということをやっていただきたいと思うのですね。  最後に大臣に伺いたいのですけれども被災者の方々の生活再建の第一歩になるのは何か。住宅の確保だと私は思いますね。ところが、被災した十七世帯のうち自宅再建のめどが立っているのは七戸だけなんですよ、七戸だけ。  市は当初、自宅を失った世帯に集団移転を打診したのです。ところが、これは国土庁の制度なんですけれども防災のための集団移転促進事業は要件が厳しいのです。被災者はミカン園をやっておられる農家が多いのです。そうすると、家屋のほかに選果場とか駐車場だとかいろいろな施設が必要なのですね。そのためにある程度の、一定の広さを必要とするわけですけれども補助基準の移転先の面積が小さいのです。それから移転家屋も十軒以上まとまらないと対象にならないのです。こういう制約があるために結局、結果として言えば合意が成り立たなかった。市が打診したのだけれども合意は成り立たなかった、こういうことになったのです。  それで、結局残された十軒はどうなっているかというと、自宅再建というのは個人任せということになってしまいます。実際にどうしているかといったら、七戸は公共住宅に入居いたしております。それから、あとの三戸は親戚の家に間借りをしております。非常に不自由な生活を強いられているということであります。  土砂災害で家族を亡くしたりあるいは家や財産を失った被災者が自力で生活ができる、住宅も持つことができる、そういう再建ができるような個人補償制度、これを創設することがどうしても必要ではないかと私は思うのです。  そういう点で、最後に大臣の見解をこの点について伺って質問を終わりにしようと思います。
  83. 瓦力

    瓦国務大臣 被災者支援の新しい枠組みでございますが、現在、議員立法として二法案が継続審議となっておるわけでございまして、私どもも、直接の所管ではございませんが、これらの議論が進められる、そのことをよく徴してまいりたいと思っております。  また、委員からいろいろお話がございましたが、被災地域の民生の安定という観点からやはり二次災害を防止するということは重要なことでございます。  まだ我が国の国土は、一〇%の脆弱な沖積層に五〇%の人間が住んで、七五%の経済活動をやっておる。先ほど質問がありましたように大阪でも東京でもゼロメーターというような地域も実はあるわけでありまして、やはり強い国土にしていかなければならぬ。そして、災害弱者という言葉が出ましたが、やはり水が来ますとほとんど全員が被害災害を受けるわけでありまして、その中の弱者の方々に対する手だてもありますが、やはり強い国土にしてまいりたい。  お優しき中島委員には、公共事業、なかんずく災害につきまして大変御理解をいただいておりますことを感謝して、答弁にかえさせていただきます。
  84. 遠藤乙彦

    遠藤委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  85. 遠藤乙彦

    遠藤委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  86. 遠藤乙彦

    遠藤委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました本法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  87. 遠藤乙彦

    遠藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  88. 遠藤乙彦

    遠藤委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午前十一時五十五分散会