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1998-03-18 第142回国会 衆議院 建設委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十年三月十八日(水曜日)     午前十時五分開議  出席委員   委員長 遠藤 乙彦君    理事 遠藤 利明君 理事 佐田玄一郎君   理事 田野瀬良太郎君 理事 谷畑  孝君    理事 鉢呂 吉雄君 理事 吉田 公一君    理事 井上 義久君 理事 青木 宏之君       赤城 徳彦君    飯島 忠義君       岩永 峯一君    小林 多門君       田中 和徳君    高市 早苗君       玉沢徳一郎君    西川 公也君       蓮実  進君    松本 和那君       目片  信君    山本 幸三君       石井 紘基君    樽床 伸二君       畑 英次郎君    平野 博文君       渡辺  周君    市川 雄一君       大口 善徳君    武山百合子君       西野  陽君    辻  第一君       中島 武敏君    中西 績介君  出席国務大臣         建 設 大 臣 瓦   力君  出席政府委員         建設政務次官  蓮実  進君         建設大臣官房長 小野 邦久君         建設省建設経済         局長     五十嵐 健之君         建設省都市局長 木下 博夫君         建設省道路局長 佐藤 信彦君  委員外出席者         議     員 樽床 伸二君         議     員 平野 博文君         議     員 松崎 公昭君         議     員 鉢呂 吉雄君         総務庁行政監察         局監察官    本間 勝己君         参  考  人         (首都高速道路         公団理事)   原  隆之君         参  考  人         (日本道路公団         総裁)     鈴木 道雄君         建設委員会専門         員       白兼 保彦君     ————————————— 委員の異動 三月十八日  辞任         補欠選任   平野 博文君     石井 紘基君   山本 譲司君     渡辺  周君   市川 雄一君     大口 善徳君   西野  陽君     武山百合子君 同日  辞任         補欠選任   石井 紘基君     平野 博文君   渡辺  周君     山本 譲司君   大口 善徳君     市川 雄一君   武山百合子君     西野  陽君 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  道路整備緊急措置法及び奥地等産業開発道路整  備臨時措置法の一部を改正する法律案内閣提  出第一四号)  道路整備緊急措置法及び奥地等産業開発道路整  備臨時措置法の一部を改正する法律案鉢呂吉  雄君外三名提出衆法第八号)      ————◇—————
  2. 遠藤乙彦

    遠藤委員長 これより会議を開きます。  内閣提出道路整備緊急措置法及び奥地等産業開発道路整備臨時措置法の一部を改正する法律案及び鉢呂吉雄君外三名提出道路整備緊急措置法  及び奥地等産業開発道路整備臨時措置法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  両法律案審査のため、本日、参考人として日本道路公団総裁鈴木道雄君及び首都高速道路公団理事原隆之君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 遠藤乙彦

    遠藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  4. 遠藤乙彦

    遠藤委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石井紘基君。
  5. 石井紘基

    石井(紘)委員 石井紘基でございます。  まず、道路公団並びに首都高速道路公団にお伺いをしたいと思います。  首都高速道路公団たくさんのファミリー企業ないしファミリー団体というものを抱えておるようでありますけれども、直接出資では子会社はつくれないことになっておりますのでどういう形をとっているかというと、日本道路公団のように財団法人をつくって、その財団法人を通して孫会社をずらっとつくるという形をとっている。その孫会社あるいは関連企業に対して、さまざまな道路関連事業発注している。  こういう形になっているわけでありますけれども首都高速道路公団がどんな財団法人あるいは関連団体を持っているのかということを報告していただきたいと思います。
  6. 原隆之

    原参考人 お答えを申し上げます。  私ども公団に関連する公益法人といたしましては、首都高速道路協会首都高速道路技術センター首都高速道路補償センター、そして、社団法人でございますが首都高速サービス推進協会という四法人がございまして、それぞれ私ども管理をいたしております首都高速道路に関連する公益的な事業を行ってございます。  それから、お尋ねのファミリー会社でございますが、御指摘報道がございましたので、公団管理関係業務取引関係にあって、なおかつ代表者公団OBである、こういう前提条件をつけまして私どもが調べたところによりますると、報道のとおり二十六社ということになっておるわけでございます。  業務別に分類をいたしますと、料金収受関係が十二社でございます。料金収受をいたしております企業は、首都高速道路全体で十九社ございますが、そのうち十二社が、今申し上げた、代表者が私ども公団OBであるというものであるわけでございます。それから、交通管理業務と申しまして、高速道路、さまざまな落下物とか、交通事故が起きた場合あるいは故障した場合の故障車事故車の安全な場所への除去というような事柄を任務といたします道路パトロールというのをいたしております。この関連会社が三社。それから、道路を清掃しなければなりませんので、清掃を含むところの維持修繕業務関係が十一社というふうになっております。この二十六社のうち十五社が、財団法人首都高速道路協会から株式という形で出資をいたしているところでございます。  昨年来さまざまな報道、御批料をいただきまして、私ども関係いたします道路管理業務につきましては、平成八年度以来、逐次競争原理を導入することによりまして、透明性競争性確保を図ることといたしておりまして、維持修繕関係はほとんど全部が既に平成九年度から競争入札に付されております。それから、料金収受関係につきましても、現在お金をいただいております会社をすぐに入札に切りかえるというわけにはまいりませんので、新規供用開始をする部分、ことしの春以降私ども埼玉県の大宮線というのを供用開始いたしますが、そこでは料金収受業務につきましても競争入札に付したわけでございます。  そういう形で、競争性透明性確保に、これまでも努めてまいりましたし、今後も一層努力をしてまいりたいと考えております。  以上でございます。
  7. 石井紘基

    石井(紘)委員 今言われましたが、首都高速道路公団が事実上持っているところの財団法人、そのうちの首都高速道路協会、これは基本財産一億二千万でもってできた協会で、このうちの一千万首都高速道路厚生会という財団法人が出しておる団体、そして五十四億の売り上げを持っておる。それから、首都高速道路技術センターという財団法人は同じく一億二千万円の出捐で、これに対しては、今申し上げた別の財団法人である首都高速道路協会が三千万出捐しておる、そして売上高は八十億。それから首都高速道路補償センターという財団法人、これも同じく一億二千万基本財産、そのうちの三千五百万を今出ました首都高速道路協会が出し、一千五百万を同じく今申し上げた首都高速道路技術センターが出しておる、そして二十九億ぐらいの売り上げである。もう一つ最後四つ目財団法人は、首都高速サービス推進協会というものでありますが、公団が直接出捐はもちろんしていないわけですね。  しかし、こうしてお互いに出し合って、会社でいえば資本金を持ち合って、言い方は悪いかもしれないけれども、いわばぐるになって、まさにファミリーでありますね、そういう形で財団を持っている。そして、それらが今報告があったような形で営利企業を多数持っておる。社長さんはもちろん、全部にいわゆる天下りといいますかOBが就任をしているということであります。  このうち、ちょっと取り上げたいのは、とりあえず首都高速道路技術センターという財団法人、これは高速道路工事監督代行業務を主として担当させている。これは、直接公団ができるはずなのだけれども、わざわざこういう財団法人設立してやっている。そこに事業発注する。昨年の事業収入は七十六億六千万、このうちの九九%は公団からの仕事であったというものであります。ここが仕事を受けるとどうやるかというと、これをほとんど全部といっていいぐらい、いわゆる丸投げといいますかまた孫請に出す。その孫請はまたさらにひ孫請に出したりもしている。こういう実態が、これは総務庁においても行政監察をされて、総務庁がそこまで具体的に指摘をしていないかもしれませんが、これがある部分明らかになっているわけであります。  ここで、総務庁調査についてちょっと総務庁に伺いたいと思いますが、総務庁は、これはいつごろどのような監察、検査をされたのか、ちょっとお伺いしたいと思います。
  8. 本間勝己

    本間説明員 行政監察におきまして、平成七年一月から公共工事発注事務に関する調査を行い、この調査結果に基づきまして、平成八年の三月に関係省庁勧告を行ったところでございます。  この中で、首都高速道路公団設計コンサルティング業務につきまして、平成五年度及び六年度に合わせて百二十七件の随意契約が行われております。このうち七十六件が一財団法人との契約となっており、偏りがあるというふうに見られました。  このため、建設省に対し、随意契約を行う場合には、その相手方として、技術的な特性などを勘案しつつ、特定の業者への偏りが生じないよう的確に選定するよう指導することと勧告をいたしたところでございます。
  9. 石井紘基

    石井(紘)委員 こういうのはコンサルティング業務あるいは設計業務でありますから、ほかの民間業者もそういうのはたくさんありますし、そういうところでも十分受注が可能なのだ。にもかかわらず、そういうOBがやっているような公益法人の傘下にある企業発注を今の報告のとおり六〇%。今のはコンサルティング業務全体のことですから六〇%ですけれども、このセンター、この財団法人に限っていえば九九%ですが、そんなに発注するのは異常である、情実発注となっておる、競争原理が働かなくなったりするということと、あるいはこれは税金のむだ遣いにつながるというような見解が総務庁にあるやに聞いておるのですが、そのとおりでよろしいですか。
  10. 本間勝己

    本間説明員 契約につきましては、できるだけ透明な形で行われることが望ましいというふうに考えておりまして、先般の勧告のような形になったものでございます。
  11. 石井紘基

    石井(紘)委員 首都高公団に伺いますが、この首都高速道路技術センターに対しての発注状況、それからその発注した仕事が、どこへ行ってだれによって実際に遂行されたか、そのあたりをもしお答えできればお願いしたいと思います。
  12. 原隆之

    原参考人 お答え申し上げます。  財団法人首都高速道路技術センターは、首都高速道路建設管理に関する技術につきまして総合的な調査研究及び開発を行うということのほかに、技術者の養成とか、それから私ども仕事への協力ということを公益目的として設立されたものでございます。  先生も御案内のとおり、私ども管理をしております首都高速道路は、全長で二百四十八キロほどございます。そのうちの約八割、八〇%が高架道路でございまして、普通の道路とは違う大変構造物の多い道路でございます。おまけに、一日平均百十六万台の車が御利用いただいておりまして、人数にいたしますとおおよそ二百万人の方が毎日お使いをいただいている、大変重荷を背負った道路でございます。大変密度の濃い交通を受け持っているというふうに申し上げてよいかと存じます。  そういう、高架構造物が多い、たくさんの方が御利用いただくということ、それから非常に稠密な東京という市街地の中で道路建設管理していく、こういう非常な制約条件がございます。そういう中で、私ども建設管理に当たりましては、例えば構造物を常時点検しなければなりませんし、それから周辺に御迷惑をかけないような工事施行管理もいたしていかなければなりません。そういったことから、大変総合的かつ専門的な技術力を必要とするわけでございます。そういう事柄から、かねてから設立目的に沿って、この財団法人技術センターに対して施行管理等々の業務随意契約によって発注をしてまいりました。  発注金額は、平成七年度で全体で九十億円、平成八年度に、ただいまお話のございました総務庁からの勧告がございました。随意契約をなるべく減らしていけよ、民間企業でもできる部分は切り離して発注をしていけよということでございまして、例えば、さっき申し上げましたように、高架構造物に直接関係のないようなメンテナンス関係、例えば緑地帯でございますとか、そういった関係点検でございますとか、それからコンサルタント業務と申しますか、工事資料の作成などにつきましては、構造物数量の取りまとめというような簡易な、どなたでもできるようなものは切り離して民間発注するというような努力を重ねてまいりまして、平成八年度は、主として構造物点検が七割方落ちまして、全体で九十億円の私どもからの発注が七十六億円にまで減少してまいったわけでございます。  今後とも、私どもといたしましては、技術センターでしかできないような技術力に着目をした仕事発注の仕方をしていきたいというふうに考えているところでございます。
  13. 石井紘基

    石井(紘)委員 質問にだけ答えていただければ結構でございますので。  それでは、この財団法人というのはファミリー企業にそうやって仕事発注して、しかし、仕事をこなす職員人数がいない、このセンターには十人しかいないので、仕事下請に回すようになっているのだ。この下請業者の中には、さらにこれを孫請に回す者がある。孫ということになると、この財団から見て孫ですが、例えばケンテックという会社があって、これは従業員八人だ。役員は三人いるのだけれども、その三人のうち二人は元公団の幹部だ。こうした工事監督代行耐震構造診断業務というのは、六、七割はこうやって外注した、こう言っている人がいるようですが、大体このことは事実なのですか。  ケンテックという会社があって、それはOB役員のうち二人がやっていて、そしてこういうふうに下請に回される。この件については、公団発注してさらにカンテックに行ったわけですが、幾ら発注したものが幾らになって、そしてさらに幾らカンテックに行った、こういうことは今御答弁できませんでしょうか。
  14. 原隆之

    原参考人 お答え申し上げます。  個別の道路技術センターから外部企業への発注状況につきましては、私どもつまびらかにいたしておりません。  ただ、一般論として申しますると、先ほど申し上げましたように、高速道路技術センターは、総合的、専門的な技術能力を持っているわけでございますので、それにかかわる限りにおいての高度な技術的な業務というものはみずから実施をしているわけでございます。  高速道路技術センターは、今申し上げましたように、その持っております総合的、専門的な技術能力をもって、みずからがなすべき仕事は自分で実施をする、そのほかの簡易な調査資料整理等単純業務につきましては下請に回すという形で、これを指導監督しながらやっておるというふうに私ども承知をいたしておりまして、これ自身丸投げということにはならないのではないか。  さらに、その下と申しますか、今おっしゃられたカンテックに対しまして、どういう個々の業務について発注をしたのか、金額が何ぼかということについては今持ち合わせておりませんが、全体といたしまして、平成八年度につきましては、技術センターが当公団から受注しましたものの八割ほどを外注といいますか、外部の者に作業をさせるという形で注文を出しているというふうに承知をいたしております。  なお、技術センター職員数につきましては、八十四名の職員をもってその業務実施しておることをつけ加えさせていただきます。  ありがとうございます。
  15. 石井紘基

    石井(紘)委員 おっしゃるように、例えば八割を全部孫請に出すというようなことで、この技術センターの役割というのはどこにあるのか。そこに八十数名も社員がおる。役員たくさんおる。孫請だけでなくてひ孫まで行っている。これは首都高のいろいろな工事にかかわっている人からも私は話を聞いているのですが、非常に抑えに抑えられて、最後ひ孫の直接現場の仕事をやるところへ行きますと、もう本当に安い値段でひどい仕事のさせられ方をしておるという実態があるわけですね。  こういう技術センターみたいなものは、一体何をやるためにつくっているのか。そういう下請孫請に出すような仕事、つまり、これは八割とおっしゃいますけれども、それだったら八割の仕事はおたくがとらなくてもいい。これは直接民間仕事をやりなさいよ。技術センターは何のためにあるのですか。
  16. 原隆之

    原参考人 技術センター実施をするまでもなく、民間企業の方に私どもから直接発注をすることができるものにつきましては、先ほどの行政監察勧告等も踏まえまして、直接民間企業発注をするようにいたしておりまして、その数字の経緯は先ほど御説明をしたとおりでございます。  そして、今御指摘の、技術センターに私どもが出さざるを得ない、出すことが適当である仕事のうち、八〇%が外部化外部企業に再度回されているということを申し上げたわけでございますが、その部分技術センター指導監督を受けながら民間の方々でやっていただくというのが適当な事柄であろう。ただ、先生の御指摘のような批判をも踏まえまして、できるだけその外注率を低めるようにということは私どもも考えておりまして、平成九年度、まだ途中でございますが、平成九年度の改築工事につきましては、この技術センターから外へお願いするという部分につきましては、八〇%が六五%にまで低下をいたしております。  建設工事施行管理というのは、わかりやすく申し上げますと、現在、橋脚の耐震補強工事というのをやってございます。これにつきましては大変技術的なチェックが必要でございますので、これを技術センターの方に私ども施行管理をお願いしているわけでございますが、年がら年じゅう高度に専門的な技術を持つ技術センター職員が張りついている必要はございません。定期的にこれを監督し指導する、教育するという役目を果たせばよいものというふうに考えておりまして、その工事施行の結果を取りまとめて私どもの方にきちっと、高度に技術的な観点から報告をしていただくという限りにおいて必要な作業をやっていただくということにいたしておるわけでございます。
  17. 石井紘基

    石井(紘)委員 とにかくそういう外注でやるような仕事は、技術センターという財団法人、これは要りませんので、そういうふうにしてください。これは引き続き、私はこのことを求めてまいりたいと思います。  もう一つ財団法人首都高速道路協会、これは主として高速道路のチケットを委託販売するためにあるような財団法人、これも要らないわけですけれども、これは首都高速道路回数券販売を一手に引き受けて、そして三十五億円の手数料を取っている。要するに、首都高速を通るには一回七百円の通行料を払って一般の市民はこれを使っているわけですけれども、この回数券販売することによってこの協会手数料三十五億円を取っているというわけですね。このうち二億四千万円がユーザーへの直接販売手数料だ、残る三十二億円余が業者を通じて間接販売したことに伴うものだというわけで、実際に経費はほとんどかからなくても、金額にして少なくとも六億円を超える手数料が残る、そういう計算になるではないかと思いますが、私が今申し上げたことについて、このとおりであろうかと思いますが、公団の方はこれでいいのだというふうにお考えですか。     〔委員長退席佐田委員長代理着席
  18. 原隆之

    原参考人 首都高速道路を御利用いただく場合、回数券というものをお使いいただいておりますが、先ほど申し上げましたように、毎日百十六万台御利用いただくわけでございますが、その約四割が回数通行券で御利用をいただいております。  回数割引券の趣旨は、申し上げるまでもなく、反復利用者に対する割引制度という側面がございますが、料金所を通過する際の時間短縮で料金所の渋滞が緩和される、あるいはブースを余分に設けなくても済むというようなことで、建設費のあるいは管理費の節減ということにも結びつくわけでございます。  そういったことから、私どもといたしましては、できる限り回数券の御利用利用者お客様方にお願いしたいというふうに考えているわけでございまして、首都高速道路協会に対しましても、できるだけ回数券の販路を拡大していただくようにお願いをしてこれまでまいってきたわけでございます。  先生の御指摘の、協会平成八年度の事業収入五十五億円のうち、回数券事業収入は三十六億円を占めておりますが、これには小売業者小売店への手数料が二十六億円含まれているわけでございます。いわば道路協会回数券問屋さんをやっていただいておる、こういう感じになるわけでございます。  それで、問屋さんの収入が、回数券販売数量が多くなると手数料収入がふえるというのはおかしいではないかという御批判がございました。そこで、私どもといたしましては、このやり方を変えまして、問屋さんという形ではなくて、小売店への販売公団から直接契約で委託をいたします。その事務代行をしていただくという形に協会業務を切りかえようということにいたしておりまして、平成十年度からそれを実施いたしますと、手数料収入は先ほどの金額の約半分になるということになろうかと考えております。     〔佐田委員長代理退席委員長着席
  19. 石井紘基

    石井(紘)委員 原理事さん、回数券販売代行、あるいはその前は何とおっしゃいましたか。今代行にした。その前は販売問屋問屋とか代理店などというものは、要するに市場経済の中では一般民間人たちがやる事業なのです。お役所がいわば問屋などというものをやるものじゃない。そこのところをよく理解をしてもらわないと困るのですね。これをみんな役所がやり出しているために、今景気がこういう状態になっているのです。  これは橋本総理もだれもおっしゃらないけれども、実はこれはおたくだけのことを言っているのじゃないですよ。道路公団は百何十社というファミリー企業を持っている、住都公団も同じだ、どこの特殊法人もみんなそうだ、こういうことになっているわけで、それを問屋なんという商売をあなた方がやるなんというのはとんでもない話。あそこの通行料は七百円ということになっているわけですから、回数券をつくるのはいいと思いますよ。それは何も協会をつくらなくたって、その料金所で売ればいいじゃないですか。あるいは、どこでも首都高速公団事務所で販売していますよと言っておけば、欲しい人は買いに来ますよ。だからそんな協会は要らない。  そこで、何ゆえにこの協会はほかの財団法人に金を出しているのですか。出捐しているのですか。首都高速道路技術センターにこの設立基本財産を出していますね。それから首都高速道路補償センターにも基本財産を出しておる。これは何をやっているのですか、この協会は。
  20. 原隆之

    原参考人 ただいま問屋と申し上げましたのは、いわばという冠詞をつけて申し上げました。御理解いただきやすいように申し上げたわけでございます。回数券は私ども公団が印刷をして発行しているものでございまして、これを道路協会に第一次の取次店として販売をお願いしているわけでございまして、首都圏内で千百店舗の小売店舗で販売をしていただいているわけでございます。そういった意味で、いわば問屋というふうに申し上げたわけでございます。  それで、この仕組み、今先生指摘のような問題点もございました。したがいまして、私ども事務委託というやり方に切りかえようというふうにしたわけでございます。  それから、各公益法人に対しまして道路協会は確かに出捐をいたしております。その当時、設立当時に出捐者として適当な方が恐らく他におられなかったということ、それから公益法人として収益を上げる、利益を上げることが目的でない法人でございますので、そういったところに出資をしていただくということがなかなか難しいという側面があったからではないか、これは私の想像でございますが、そのように考えております。
  21. 石井紘基

    石井(紘)委員 つくる必要がないものをつくって出資を集めるのが難しかったなんて、そんなことを言わないようにしてもらいたい。それからさらに、いいですか、今私は、首都高速道路協会はこういう別の二つの財団法人に出していると言った。そして出されている首都高速道路補償センターというのは、この首都高速道路技術センター、そこからまた出捐を受けている。  要するに、何かこっちからこっちへ回して、またこっちへ回して、こう回っている。お互いにこれじゃぐるじゃないですか。そして、やらなくてもいいことを、民間でみんなやりたい人がたくさんいる中で、あなたたちがこういう仕事をとって、しかもここにみんな役員がついているじゃないですか。先ほど言われた三十数社の社長、代表者は全部公団から行った人、それから役員も圧倒的多数が公団から行った人。何のためにこういうことをやっているのですか。  この財団法人それぞれ四つが出資している企業というものは、これは日本道路公団がやっている道路施設協会の場合もそうですけれども、きちっと整理しなければなりませんね。これはもう閣議決定でこういうものは整理すべきだということになったわけです。  そこで、こうやって皆さんがたくさん仕事を与えてきているために、たくさんの資産がこういう会社にできた。これを整理するときに、何千万かの出資金だけを取り上げたのではこれは国民は黙っていないし、これは大変犯罪的なことを皆さんは後づけすることになるわけでありますよ。ですから、このそれぞれの会社の純資産をきちっと評価して、そして一たん解散して整理してあなた方の割合だけとってくるか、あるいは純資産の評価でもって株価を割り出して、そして五割出しているところは五割、七割出しているところは七割というふうにとってくるか、そういうやり方をしなければいけません。  そうして、その上で、これらの財団法人は要らないのですからこれを解消する。解消すると、同種の財団法人がどうしてもそれを合併することが必要であるという場合以外は、これは国庫に納まってくるということになるわけでありますから、解散をして税務署と国庫にこのたまりにたまった資産を持ってくる、こういうふうにどうしてもしてもらわなければなりません。原さん、そんなことを言うと、あなたは今これから公団に帰って役員会を開かれてやめさせられるかもしれないので言えないでしょうから、そのことは答弁を求めませんけれども、そういうことをよく理解をしていただかないと困るということでございます。  それから、今度は本題に入ることにいたしまして、提案者の方にちょっと伺いたいと思います。五カ年計画というものは、これまでのやり方でいきますと、道路審議会の答申を得て、あるいは国幹審等の決定を得て、そして整備計画がつくられる。この整備計画はもう国幹審で決まってしまう。だから国会にはこの間全然相談も何もない。そこから二年ぐらいすると、大臣のところで今度は路線ごとの、あるいは区間ごとの施行命令を出すということでありますので、この計画の決定について全然私どもは関与する余地がないというのが現行だと思うわけであります。そういうふうに言いますと、恐らく政府の方は、いやいや、そうじゃないのだ、これは国幹法でもって決めてあることであるので、あとはもう手続の問題だ、こういうふうに言われるのかもしれないのですが、この対案の提案者の方はこういうあり方で果たしていいのか。  法律で決めた以降何年も何年もたって、要するに施行命令が出てくるわけですね。それまでには相当の時間がかかっている。そして、施行命令が出てもなお、着工するまでには一年も二年もかかる、こういうことでありますので、情勢の大きな変化があるわけです。それからまた、住民のその道路近辺の居住の状況とか、そういうことの変化もあるわけであります。環境変化もあるわけであります。  そういう中で、果たして国会の議論を、審議を経ないで、こういう手続だけで進められていいものかどうか。そのあたりのお考えを伺いたいと思います。
  22. 樽床伸二

    樽床議員 お答えをいたします。  今、石井委員の方からお話がありましたような問題点を解決するために、一連のいろいろな決定過程をオープンにしていかなければならない、こういう発想で対案を出させていただいた次第でございます。  特に、今申されましたように、時の流れの変化の中で、かつては必要であったものがどんどんその必要度が薄まっていく、そういったものもあるでありましょう。また逆に言うと、必要度が高まっていくものもあるわけでありまして、昨今、時代の変化が非常に早いわけでありますから、そういう早い変化に合わせて多額の税金を使っていく道路整備を多くの方とともにやっていかなければならない、このような趣旨でございますので、御理解をいただきたいと思います。
  23. 石井紘基

    石井(紘)委員 なかなかいい考え方だと思います。  予算の面でも、予算の決定の方式についても、現行では個々の路線ごとの予算決定というのはない。公共事業の場合は、これは複雑な面もあるわけであります。つまり、あらかじめ道路買収費だとか補償費だとか、そういうものが具体的なところまで幾らになるか、それはわからない面も当然あるわけであります。しかし、何らかの方法で予算の具体的な枠を年度ごとに、どこの路線に幾ら、あるいはその年度末にこれは実際のかかった価格で調整することもできるわけでありますから、いずれにしても、国会の審議というものは予算を伴ったものでなければならないというふうに思うわけでありますが、その点についてはいかが一ですか。
  24. 樽床伸二

    樽床議員 平たく言うと、個別の箇所づけ等々も国会で、平場で審議をすべきという発想はどうだ、このような質問だというふうに解釈をいたしましたが、正直申し上げまして、非常にたくさんの個別的なことを一つ一つ、このような委員会でどこまで詰められるかということにつきましては、私どもも果たして可能なのかなという気はいたしております。  しかしながら、そういったものをオープンにしていくということは必要でありまして、オープンにしていく中でやはり、これはよかったとか悪かったとかという評価が出てくるわけでありますから、オープンにしなければ結局はブラックボックスのままで先へ先へ進んでいく、こういうことになりますので、常にオープンにしていくという何らかのやり方をしていかなければならない、このように考えております。
  25. 石井紘基

    石井(紘)委員 一緒に並んで座っておられる大臣に余り遠慮しないで答弁していただけるといいと思いますが。  そうすると、もしこの対案が通ったら、予算の決定過程あるいは道路建設の計画の決定過程がオープンになって、そして市民の声も大いに入れられる、そういうふうになるのでしょうか。
  26. 樽床伸二

    樽床議員 そのような第一歩にしていかなければならない、このように思っております。  予算というのは、最終的な国の施策の一つの数字としての結果でございますので、大変重要なものであろうと思っております。ひとり歩きするのではなくて、その施策の結果としての予算、それに反映されるそれぞれの施策について多くの方の意見が入っていく、その第一歩に、着実な一歩にできるのではないか、このような思いで提出をした次第でございます。
  27. 石井紘基

    石井(紘)委員 道路工事工事費について会計検査院が指摘をしております。どうもむだが多いのじゃないか。これは昨年末に報道があったのですが、検査院が実地調査をした結果では、十一県の道路工事を例に挙げてやりましたところ、ざっと十億円ぐらいの建設費が節約できる、こういうような報告のようであります。  道路公団の方に、これについてはどういうお考えか聞きたい。  それからまた、今の対案の提案者に対しても、対案が通ればオープンになるから、こういう建設費等についても十分なチェックの機能が果たせるのかどうなのかという点について伺いたいと思います。
  28. 鈴木道雄

    鈴木参考人 お答えいたします。  道路公団におきましても、高速道路を含めた道路建設費をいかに節減するかということが一番の眼目になっておりまして、現在の施行命令を受けている区間におきましても、一〇%の建設費を削減するということが前提条件となって事業を進めているところでございます。  したがいまして、先生指摘のような、余分な工事費がかかるというようなことはもとより許されることではございませんし、むしろ今までと同じような工法ではなくて新しい工法を入れる、それから工期を短縮するとか、いろいろな面で工夫をしながら建設費のうちの工事費を安くする、用地についても、買収のやり方について、金利もかかる経費でございますから、手順を含めてやるというふうに、道路公団といたしましても、経費の全体削減を目標に現在全体の事業を進めているところでございます。
  29. 樽床伸二

    樽床議員 すべては人がやることでありますので、いかに努力をしますと言いましても、チェックが働かなければついついやすきに流れるのが人の常であると思います。  そういう点でいきまして、チェック機能が働き始めるということで、そのようなコストダウンも進んでいくとにかくチェック機能をつくるということが大変重要である、このように考えております。
  30. 石井紘基

    石井(紘)委員 最近瓦建設大臣は、高速道路の建設計画を早めて、そして景気対策に寄与しようじゃないか、前倒しの提案をされているわけでありますが、この前倒しによって総事業費が二兆四千五百億円ぐらい先行してくるということだと思います。  これについての意図を簡単に御説明いただきたいと思います。
  31. 佐藤信彦

    ○佐藤(信彦)政府委員 先生今おっしゃられておりますのは施行命令の話かと思いますが、これは昨年の十二月に、従来整備計画の出ている区間、ほぼ一千キロぐらいでございましたが、三百三十キロほど施行命令を出させていただいたところでございます。これは、整備計画の中で、環境の問題とかそれから地元の問題、そういったものが十分に確保できたものを早期に出していくといったことで進めさせていただいております。  道路公団高速道路、現在まだ五〇%ぐらいの整備状況でございます。整備計画を出したときに、この中で早期に施行命令を出して工事を進めたい、進めることを審議会から了承いただいているところでございます。  そういったことで、今回の施行命令、最近の経済状況もございますので、こういったものを早期に出すべきではないかといったこともありまして、出させていただいたところでございます。
  32. 石井紘基

    石井(紘)委員 この整備計画の中から施行命令を早めていく、これは景気対策の一環という思いがあるようですので、そういう点では理解できるわけであります。整備計画から施行命令まで、従来ですと、大体一年ぐらいかかっていたのでしょうか、二年ぐらいかかっていたのですか、どのぐらいかかっていたのか。そうすると、それを縮めることになると思うのですね。それは今後とも、整備計画から施行命令までの調査期間といいますか、これを短縮していくということにつながっていくのじゃないかと思うのですが、その点はいかがですか。
  33. 佐藤信彦

    ○佐藤(信彦)政府委員 整備計画から施行命令が出るまでの期間の話でございますが、従来、すべての区間これを出すということになりますとかなりの期間がかかります。といいますのは、なかなか調査関係で、一年弱で地元の状況等が煮詰まってくるものもありますし、それから二年、三年とかかるものもございます。したがいまして、平均的には二年ぐらいといった感じでございますが、その中でも今回一年未満のものが、特に今回につきましては都市計画決定等を行っていた経緯もございまして、そういったものについて早期に出させていただく、こういった経済状況でございますので、出させていただくといったことでやらせていただいております。
  34. 石井紘基

    石井(紘)委員 やはり整備計画から施行命令の間の調査期間というのは、従来二年ぐらいかかっておったということですが、それを余り早めるというのもいかがなものかという気がするのですね。ですから、今回は、これで三百三十三キロですか、施行命令を急いで出した。これはともかくとして、今後ともそういうことでやっていくということはどうかなという気がするわけであります。  それからまた、施行命令が出てから着工までの間の期間でありますけれども、これは測量したり用地買収をしたり、あるいは実施計画の認可をとったり手続とかをやるわけです。これもまた相当時間がかかるのじゃないですか。これは大体どのぐらいかかるのですか。
  35. 佐藤信彦

    ○佐藤(信彦)政府委員 施行命令が出てから設計並びに用地測量、用地買収という段階へ進んでいくことになりますが、設計そのものは比較的早くできるわけでございますが、用地測量、これは地元の皆様方の御協力を得なくてはなかなか進まない問題でございます。さらに用地買収になりますと、国民の財産をお譲りいただくといった問題でございますので、かなりの年数がかかるかと思います。ですが、我々としましては、用地の買収と工事といった問題、そこら辺を合わせまして何とか施行命令の出たところについては十年ぐらいででき上がっていくようにしていきたいというふうに思っております。  といいますのは、高速道路の一万一千キロを計画として持っておりますが、その中のまだ半分しかできておりません。残りの半分の区間はいまだにできていないわけでございます。そういったところからの、やはり早く自分たちのところも、既にできている区間の皆さんはそれほど感じてはおられないと思いますが、そういったところについてもやってほしいという要望もございますので、十年ぐらいをめどといったことで進めさせていただいております。
  36. 石井紘基

    石井(紘)委員 それだけ時間がかかるのに景気対策というわけですが、用地買収や何かは施行命令の以前にもやるところはやっているわけでしょうね。施行命令が出てからやることというのは、設計だとかやることもあるだろうと思いますが、どの程度の景気対策になるだろう。漠然とで結構ですから、景気対策との関連ではどんなふうに思われているか。  工事が着工されてどんどん進むのはまだ十年かかるわけですね。そうすると、その間に契約して契約金の一部を払うとかなんとかというようなことは元請ぐらいにはあるのかもしれませんが、その辺はどんな感じなのですか。
  37. 佐藤信彦

    ○佐藤(信彦)政府委員 十年というのはちょっとあれですが、私の方からちょっと説明を加えますと、供用まででございます。用地買収に十年ということではございません。  ですから、今回施行命令が出た区間などは、既に都市計画決定等がされている区間とかそういうのはございます。そういったところが主になるかと思いますが、やはり地元に用地測量それから用地買収というのは比較的早く入っていくことができるかと思います。そういった意味では、まとまった用地の取得が行われれば、それにさらに工事発注されていくといったことで、全部ができないと次の段階には進めないという問題ではございませんので、そういった意味ではそれなりの効果があるというふうに思っております。
  38. 石井紘基

    石井(紘)委員 そういう現実の物理的な効果以外に精神的な効果もあるのかもしれないとは思いますが、一方、財投からの借り入れをふやすわけですから、この利息もあるわけですから、そのあたりは慎重にやはり御検討いただいた方がいいのではないかなというふうに思います。  きょうは、同僚議員の渡辺周さんが次に質問をさせていただくことになっているわけなのですが、ちょっと御了解をいただきましたので、もう一つだけ質問をさせていただきたいと思うのです。  先般、道路公団発注汚職というのがありまして、水越さんという東京第一管理技術部の課長、これがメーカーから、入札の予定価格をばらしたということで収賄を行ったということでありますが、これについては、内部の調査とかあるいは対応というのはどのようになっているのか、今後の防止策も含めてお伺いをしたいと思います。
  39. 鈴木道雄

    鈴木参考人 お答えいたします。  ただいまの件は、当公団東京第一管理局の施設第二課長の水越が、平成八年四月から九年十二月までの間に東京第一管理局が行った東名高速道路道路情報板の施設改良工事や路車間情報設備工事発注に絡んで便宜を図った見返りとして、オムロン及び小糸工業の二社の社員からわいろを収受した容疑で三月二日に逮捕された件でございます。  これに対しまして、まず、公団内部におきまして事実関係の確認を進め、今後の捜査結果も踏まえて、本人を含む関係者に対して厳正な措置をとることとしたいと考えております。  また、綱紀の一層の徹底を図るために、逮捕直後の三月三日に、副総裁及び全国の副支社長、次長等で構成いたします全国総括服務管理担当者会議を開催して綱紀の徹底化を図るとともに、三月五日から九日までの間に、役員みずからが手分けをいたしまして支社、局等に出向き、各職員に直接綱紀の徹底を図ったところでございます。  さらに、今回逮捕容疑となりました電気・通信工事につきましては、全国的に、発注状況及び手続がどうなっていたかということにつきまして、現在緊急点検を行っているところであります。それらの結果を踏まえまして、積算価格等の守秘情報管理の厳格化、競争性の拡大、さらにチェック機能の強化等の改善策を早急に取りまとめて再発防止に努めたいと考えて今いろいろ準備をしているところでございます。
  40. 石井紘基

    石井(紘)委員 これで終わりますが、くどいようですけれども、先ほどの首都高速道路公団ファミリー企業の問題、それから道路施設協会ファミリーの問題、ちょっと参考までに、きょうは総裁もいらっしゃっていますし、大臣もいらっしゃるので、こういうことをお知らせしておいた方がいいかなと思うのです。  例えば、財団法人道路施設協会、このつながりというのは私がこういうふうに表を書いておりますように、もう孫からひ孫ひ孫からやしゃ孫、やしゃ孫からさらにこういうふうに、しかも兄弟同士、孫同士、ひ孫同士がだっと金を出し合って、出資し合って、そしてもたれ合っているわけですね。  例えば、名古屋道路エンジニア株式会社というのがありますが、一つだけ、単純にここが目についたのでこれを言うだけの話なのですが、これは道路施設協会からかなりの出資でもってできている会社です。  では、この会社がどこへ出資しているかというと、また道路関連の幾つもの会社出資をしていまして、そのうちの札幌道路エンジニア株式会社、広島道路エンジニア株式会社、北陸道路エンジニア株式会社、これらにそれぞれ八分の三とか八分の二ずつ出資しているのです。そして、この出資されている今言った三つの会社というのは、もともとの道路施設協会の子会社なんですよ。だから、兄弟が兄弟に出資している。  そして、その中の一つの、例えば広島道路エンジニアという会社をとってみますと、これは四国道路エンジニア株式会社というところへ出資をしている。この四国道路エンジニア株式会社道路施設協会出資会社。だから、これはもともとの兄弟。だから、親と兄弟と子と孫が何か混然一体となって近親結婚みたいなことをやっているわけですね。  こういう中には、さらには、金沢道路だとか大阪道路だとかというように、天下り役員だけが行っているところで道路施設協会の直接の出資会社ではないところ、そういう会社、そういうものがある。役員がずらっとやしゃ孫までずっと行っている。全体がほとんどそういう構造。  こういうことでは、民間企業仕事が行きません。これは、ある意味では非常に重要な問題であります。私は、施設協会というのをぜひ瓦大臣在任中に解散をさせてもらいたい、それから、首都高においても四つの財団法人はきちっと整理をしてもらいたい、そのことを最後に申し上げまして、質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
  41. 遠藤乙彦

    遠藤委員長 渡辺周君。
  42. 渡辺周

    渡辺(周)委員 民友連の渡辺周でございます。  本日、この法案に対しまして、建設大臣、政府並びに提案者であります民友連の方々にそれぞれ御質問をさせていただきたいと思います。  まず、この道路整備緊急措置法、そもそもでありますけれども、昭和三十三年に制定された法律でございました。この道路整備五カ年計画、今回が第十二次ということになりますけれども、緊急措置法の制定される以前に、昭和二十九年にもう既に第一次計画がつくられております。どちらも既に四十年という歳月がたっております。  昨日、本会議におきまして民友連の山本譲司議員からも指摘がありましたように、戦後の復興、まずは港から港へ結ぶ輸送手段あるいは都市基盤を整備することによって産業基盤を整備し、我が国の経済発展に寄与してきたわけであります。ただ、この時点に来てまだ緊急措置法、欧米の社会資本に比較して、この緊急という言葉、キャッチアップ、追いつき追い越せから、今私どもの認識としては、日本全国大方において社会資本は、特に道路においてはもう既にかなり整備されているのではないか。しかし、そこでまだ緊急という言葉が使われていることに若干の疑問を感じるのは私だけではないと思いますし、この法律の名前を知った多くの識者の方からもそのような指摘がされているわけであります。  この緊急整備ということに対して、大臣はこの言葉についてどう御認識をお持ちか、いつの時点になりましたら、どの目標を達成した時点で緊急が外れることになるのか、どんな御見解をお持ちか、まずお尋ねをしたいと思います。
  43. 瓦力

    ○瓦国務大臣 渡辺委員からの私に対する御質問は、このたび道路整備緊急措置法をお願い申し上げておるわけでございますが、この緊急の意味をどう考えておるか、こういうことでございます。  御案内のとおり、我が国の高規格道路網の整備は、先ほど以来答弁もあり、委員承知のとおり、まだその道半ば、こう申し上げざるを得ません。社会資本整備は、我が国の国土の有効利用の面からもこれから鋭意取り組んでいかなければならない根幹的な事業だ、こう思っておるわけでございます。  道路につきましては、欧米諸国に比べまして、欧米諸国では既に電線類の地中化等も相当進んでおるわけでありますし、また市街地の道路体系、歩道体系にいたしましても相当に進んでおるわけでありますが、我が国の道路整備につきましてはまだ質、量ともに不十分、こう言わざるを得ないわけであります。  毎日毎日が重要なことでございますが、今申し上げて、道半ばに立ちますと、これらの整備は国土全体を見渡しまして緊急に取り組んでいかなければならない、整備しなければいけない課題である、こういう認識に立ちまして、私どもは緊急という考え方でこの作業に取り組んでおる、かように理解していただきたいと思います。
  44. 渡辺周

    渡辺(周)委員 そうしますと、どの時点で緊急が外れることになるのかという私の質問は、結果的にも——例えば欧米と比較しますと、高速道路の整備率というものがございます。これは高速道路の概念が、例えば欧米と日本とまず一つ違う。そしてまた、都市計画道路、地方道においても日本ほど本当に整備されているところはない。あるいは可住面積当たりでも、こうした地方道あるいは国道、都道府県道含めても非常に整備をされている。そこは、何をもって基準にするかは、道路整備がどこまで行き届くかという一概に比較しようがない問題とは思います。  そういう意味では、今おっしゃったような、例えば電線の地中化、これは地方自治体においても大変な問題となっていまして、最近では景観という問題も含めて、ある電力会社の方に聞きましたら、地中化すると百メートル当たり大体一億円かかると。地域によってそのくらいのコストがかかる。ですから、整備をしていこうと思ってもなかなか遅々として進まない。  一方で、これだけ電柱があちこちに立っている。阪神大震災のときにあれだけ大きな被害を起こした、あるいは緊急車両が通れなかった、こういう問題は、ある意味では今後ぜひとも重点的に取り組んでいっていただきたい課題だと思います。どことは言いませんが、一時間の間に車が十数台しか通らないところに大変な立派な道路をつくる。その反面で、ああいった密集地あるいは狭隘な市街化区域の中にそうしたまだまだ整備がおくれている部分があるということで、今大臣のお話がありましたが、それこそ重点的に緊急にぜひともやっていただきたいというふうなことでございます。  次に、ちょっと質問をさせていただきますが、この五カ年計画、そうした意味で大変身近な道路の整備、もっと言えば、例えばその利便性あるいはもっと快適さといいますかアメニティーを最も身近なところで実感をするというのは、私は数ある社会資本の中でも道路整備かなと思っております。  しかし、この道路という問題について、決定システムが、特に国民から離れた場所で議論をされておりまして、道路整備五カ年計画、例えば道路整備緊急措置法では関係大臣の意見を聞くことになっておりますけれども、その他の意見を聞く規定がない。一方、道路法においても七十九条で、道路審議会の所掌事務として、道路整備計画等を調査し、また審議させるとあります。これが道路整備五カ年計画にある意味では民意が反映する唯一の法的根拠かなと。これはやはり道路整備にかかるコストを将来的に利用者が負担をする、あるいは有料道路であれば大変高いお金を払って利用する、それによって我々がひとしく負担をするわけでありますから、本来ならば民意をもっと反映していかなければいけない。  しかし、残念ながら、唯一の民意が反映すると言われる道路審議会においても、いつ、どこで、どんな議論がされているのか。平成七年九月の閣議で審議会の原則公開ということが決定されておりますけれども、審議会の公開という点についてはまだ依然として実現していない。  これは昨年七月のある新聞でありますけれども、九五年に閣議決定した審議会の原則公開は依然実現していない。これは政府主催で開かれた百七十六の審議会、二百五十一の懇談会を対象に調べたところ、会合や議事録を公開しているのは百十八。これは審議会ですね。前回よりは上回っているとはいえ六七%。より本音の議論が多いと言われている懇談会、こちらでは全体の二五・五%。依然として低い。審議会でいえば三分の一が公開されていない。  こういう、建設省道路局がつくっているホームページに「審議会報告」というのがありますけれども報告等の内容は幾つかリンクすれば読めるようになっている。しかし、道路審議会の幾つかのこうした、環境部会、基本政策部会、あるいは有料道路部会ですとかが開催がされていても、一体ここで何がどう開かれたかということについては、一般のユーザー、これからコストを負担するという方々にはまだ十分とは言えないわけでありますけれども、その点について政府側に、まずはこの状況はどうなのか。  そしてまた、こうした審議会のメンバー、各界の方々、そうそうたる方が選ばれているわけでありますけれども、こうした人選の根拠、それからこの内容についてもっともっと情報公開をする必要があると考えますが、今どのようになっているのか、また今後どうしていかれるのかお尋ねをしたいと思います。
  45. 佐藤信彦

    ○佐藤(信彦)政府委員 道路の整備につきましては、五カ年計画が一つの区切りでいろいろ利用者の方々の御意見を伺うというのをまとめてやっておりますが、それと別に、年々道路利用者会議とか、それから利用者関係者、そういった方々の御意見を伺う場というのを各地域でいろいろやっているようでございます。かなり任意なパターンかと思いますが、そういったことでいろいろ事業の進め方、それは地域に即したやり方をやってきております。  そういったこともベースには考えておりますが、道路審議会、これはどういったメンバーがというお話がございましたが、委員の選定は、一応総合的な観点からの道路行政を推進していくということで、専門知識を有する方とか、それから道路に関し広い視野から検討していただける方一それから、地方公共団体等地域の幅広い分野の方々といったことで各分野からいろいろな先生方に参加していただいております。  そういったことで進めているところでございますが、今回それとあわせまして、パブリック・インボルプメントという方式で、最近の状況としましては、やはりインターネットを活用した広範囲の方々からの御意見を伺うといったことも国民参加型の新しい方法として今回取り上げさせていただいております。これは、インターネットなどを含めまして、国民の各層、それから年齢層もそうでございますが、老人から高校生に至るまで、今回につきましても十三万人の方々からの御意見などを伺っております。そういったものを踏まえまして、道路審議会の中の基本政策部会で建議をまとめていただいております。それをもとに審議会答申、審議会の御意思を受けまして今回の道路整備五カ年計画の新しい計画の概算要求の段階での取りまとめといったことになってきております。  そういったことで私どもも、国民の方々、利用者の方々の御意思をベースとしてやっていきたいといったことで進めているところでございますので、またいろいろそういった点での御指導等よろしくお願いいたします。
  46. 渡辺周

    渡辺(周)委員 その道路審議会の答申といいますか、建議書が平成九年六月三十日に出されております。これは次の質問でちょっと触れさせていただきたいと思います。  そうした中で、その審議会でやはりどういう方がどういう意見を言った、例えばそれは道路利用される産業の方もいるでしょうし、またそこで、道路というよりももっと人、歩道、歩行者あるいは弱者、そういうものに対して視点を持って物をおっしゃった方もいるはずでしょう。もっと言えば、景観ですとか災害対策ですとか、そういった意味から道路のあり方について触れられた方もいる。私どもとしては、どういう方がどういうことをおっしゃっているか、また、できれば私どもその人たちに直接意見を申し上げたい、それで、こういうことをぜひ発言してほしいというような情報が公開されれば、その中でそうした方々にまたアプローチも生まれてくると私は思うわけであります。  そういったことで、民友連の方に今度お尋ねをしたいのです。今回の対案においては、道路審議会全面公開、そして、審議に使われた資料も公開をするという意味で非常に時宜にかなったものとは思いますけれども、この道路整備五カ年計画審議の公開という具体的な部分に限って言えば、特に何を主眼としてこのように法案に触れられたのかということをお尋ねをしたいと思います。
  47. 平野博文

    平野議員 渡辺議員の御質問にお答えいたします。  議員もお触れいただきましたように、現在の道路整備五カ年計画は非常に抽象的である、その内容が、意味するところが非常に不明確である、こういう視点でございまして、閣議決定の対象となっている計画を見てみますと、この計画によって何が達成されるのかがいまいちよくわからない、また、突然七十兆円にも及ぶ巨大な事業量が登場する、その根拠もよくわからない。これでは、委員も先ほど御指摘されましたように、国民にとって、私たちのどういうところにこれがきいてくるのか、あるいは我々国会議員にとっても判断のしようがない、このように考えるわけでございます。  そういう意味では、国民にとって極めて身近な社会資本の整備の方向性を示す重要な計画にもかかわらず、一部の人しかわからず、ほとんどの人がその関心を持っていない、こういう現状だと思います。したがいまして、このような現状をやはり改善をしていくためにも、その第一歩としてこの計画を審議する審議会を公開したい、これが本旨でございます。  この計画が抽象的になるというのは、その規模が巨大であるため一面仕方のないところもあるわけでありますが、そういう意味では、全く不透明となっているこういうところについては段階的にでも公開をしていきたい、こういうストーリーのもとに、この五カ年計画を審議する審議会の公開をこの法案で義務づけたのでございます。  この審議会が公開されますれば、計画の抽象的な文章がより具体的に何を意味するのかが判明し、また、巨額な事業規模をどのような積み上げ方をしたのかも判明する可能性があると信じております。  こうして、道路五カ年計画を国民にとってわかりやすいものとし、国民議論の対象とすることがこの審議会を公開する目的でございます。  以上でございます。
  48. 渡辺周

    渡辺(周)委員 今情報公開ということがしきりに言われております。もちろん私は、国家の安全保障であるとか、あるいは国防、治安維持という部分、あるいはもちろんプライバシーという部分に関しては情報公開というのは大変に気をつけていかなければならないわけであります。その反面で、そういうことをこれ以上言うと時間がなくなりますけれども、情報公開という中で、一つには、公的な機関においてそこに触れない部分においては私どもはもう全面的に原則なしにやるべきではないかというふうに考えております。  時間の関係上、ちょっと次の質問に行かせていただきます。  今回のこの法案の政府案と民友連案、両者を比較した場合に最も大きい部分は、国会承認ということが民友連のには触れられているわけですけれども、政府が策定している公共事業関係の長期計画十六本、一つを除いて閣議決定されている。唯一、漁港整備長期計画、これが閣議決定を経た上で国会承認となるわけでありますけれども一般的に考えてみまして、こういう言い方はどうかと思いますけれども、漁港よりも道路の方が先ほど申し上げたようなその利便性を非常に実感できる社会資本であり、最も身近な社会資本であるにもかかわらず、漁港は国会承認、それ以外は道路整備計画も含めて国会承認ではない。衆議院、参議院合わせた七百五十人の国会議員、我々はひとしく納税者の代弁者として何らかの形で関与するべきと思うのですけれども、その点につきまして、その国会議員の一人でもある瓦建設大臣にお尋ねをしたい。  そしてもう一つ、民友連には、この国会承認を義務づけたということがある意味ではブレーキになるのかアクセルになるのか、その点については運用次第だと思いますし、時の考え方あるいは社会経済情勢、それ次第だとは思うのですけれども、そうした中で恣意的にふえたり減ったりすることがあるのかないのか、その点につきまして提出者はどのようにお考えなのか。双方から御答弁をいただきたいと思います。
  49. 瓦力

    ○瓦国務大臣 委員からは私に、国会議員の一員として道路整備五カ年計画は国会承認がないのか、こういうことの御質問でございます。  道路整備五カ年計画は、委員承知のとおり、計画的な事業実施のいわば目安といたしておりまして、直ちに毎年度の具体の歳出を伴うものではございませんで、具体の歳出につきましては、毎年度の予算で国会の御審議をお願いする、そういうことにいたしておるわけでございます。よって、この国会承認ということになりますと、計画の性格にそぐわないものがあろうと思います。むしろ財政や事業実施の機動性、弾力性を阻害するおそれがある、かように考えておるわけであります。  漁港整備計画についての御意見もございましたが、この漁港整備計画は、昭和二十五年の立法当時のいわゆる食糧難というような事情を背景にしてできておる計画でもございますし、また、これにつきましては、漁港の名称及び施設を定める、これを国会承認の対象としているということ、それらの背景を踏まえて農林大臣の答弁もございまして、今目安として五カ年計画について取り組んでおるというようなことを申し上げさせていただきたいと思います。  先ほどブラックボックスという話がありましたが、これまた道路局長から冒頭に答弁がありましたが、審議会等は自由に意見を述べてもらう、学者であるとか先生方十七名にそれぞれ各界を代表して出ていただいておりまして、その場で自由に御意見は拝聴する、しかしそれは審議の後公開もするような手だてを講じまして、できるだけ審議会の透明化、これらについては閣議決定に基づきまして議事録等を公開をし努めておるわけでございますので、一言付言させていただきます。
  50. 松崎公昭

    ○松崎議員 渡辺議員の御質問にお答えをいたします。  今回の改正案では、三つの大きな点があるわけでありますけれども、その一番大きなのが国会承認であります。これは今大臣、弾力性を損なうというお話もございましたが、やはり今の時代の公開性、国民参加、そういう点では、これだけ大きな計画をしっかり国民の前に明らかにしていく、つまり、国民の前に明らかにするということは、国会議員が国民の代弁者でもありますので、この国会ではっきりと情報公開をしていく、まして、道路審議会の情報公開も含めてその計画そのものを明らかにしていく、これは当然の流れであろう。  ただ、漁港計画だけが今まで国会承認を受けているということを私ども大変疑問に思っておりますので、特にこの道路の計画は大きな予算でもありますので、しっかりと公開すべきであろう、そんなふうに思っております。  それから、多分恣意的なということは、国会議員の活動によってはばらまきになってしまうおそれもあるということがあるのではないかと思いますが、細かい道路の問題は、分権の時代でもありますので、これはある程度地域にお任せし、そして総体が上がってきたときにチェックする、あとは、大きな幹線等の審議は国会でもこれをチェックするということは必要だろう、そんなふうに私は思っております。私たちは、やはり国民の代弁者として責任を持ってこの大きな計画を国会の承認を得ながらチェックをしていく、その中でお互いのバランスによってそれぞれの国会議員の恣意的なものは排除できるのではないか、そんなふうに思っております。  以上です。
  51. 渡辺周

    渡辺(周)委員 双方からお答えをいただいたわけでありますけれども、目安とは言いながら五カ年七十八兆円ですか、これだけの大きな規模を先に決めてしまう。これについて、この負担をする我々納税者、あるいは納税者の代弁者がここに関与できないという問題についてはどうしても理解しがたいわけでありまして、これはどうしても国会承認の中でやはり審議をしながら進めていく。個別具体的な問題につきましてはちょっと次に触れますけれども、いろいろな地方で、オンブズマンでありますとかいろいろな市民団体でありますとか、あるいは、行政が最近では時のアセスメントという言葉を使って、これが今の時代に、ニーズに合っているものかどうなのかということについて、今いろいろと審査をするように、厳しくチェックをするようになってきたということで、ぜひともこの民友連案を通したいわけであります。これは決して国民にとっても、どなたにとっても不都合なことではない。道路に関しては国会の承認がなく、漁港に関してはあるというようなことは甚だ疑問であります。  そうした中で、今触れましたような公共事業のあり方、財政難の折からいろいろな指摘がされます。私どもも常にそれを言ってきたわけでありますけれども、昨年の十二月に、物流効率化による経済構造改革特別枠に関する関係閣僚会合、総理の発言がございました。その中で、総理からは、事業採択後、一定期間経過後で、未着工の事業や長期にわたる事業等を対象に再評価を行い、継続が適当と認められない場合は休止または中止とするということが指示されたわけですね。ここで、この際だから触れたいというようなことでつけ加えられました。  ある意味では、実際幾つかそうした具体的なダムの休止、中止というものがもう出てきました。道路の場合は、ここまでつくったけれども、ここから先は利益が見込めないからやめようとか、暫定的に供用してそれっきりというような形になる、これはなかなか難しいとは思うのですけれども、例えば、こうした時代の中で再評価されるようになってきた、再評価システムという新しい言葉が出てきた中で、今後この道路整備五カ年計画、どのようにして生かしていくのか。そういう意味では、まだ未着工のものが、身近な例の中でも道路に関してもあるのではないか。そうした中で、具体的事例があるのかないのか、あるとしたらどういった理由なのか、そしてまた、この道路整備五カ年計画に関してこうした再評価システムということがどのように生かされるのかということを政府側にお尋ねをしたいと思います。実は民友連の方の案は、この個別事業の見直しには踏み込んでいないように見受けるわけですけれども、こうしたものに対してはどうお考えかということを双方からお答えをいただきたいと思います。
  52. 小野邦久

    ○小野(邦)政府委員 お答えを申し上げます。  先生指摘の、昨年十二月五日の総理大臣の御指示に基づく再評価システムの導入の問題でございますけれども、これにつきましては、現在、私どもは、大臣の指示を受けまして、省内に検討委員会を設けまして、対象とする事業あるいは再評価の実施方法など具体的内容について検討を行っているところでございます。  具体的にどういう事例があるのかということでございますが、平成七年にも大規模な事業につきましては私ども再評価システムを既に持っておりました。これをどういう事業により以上に広げていくかという検討の過程でございまして、具体的な事業、あるいは見直しの対象の事業というものを念頭に置いてこういうシステムをつくるということでございませんで、一般的なシステムとしてどういうような形で客観性あるいは透明性確保するような事業の見直しを構築できるか、こういうことを政府としては考えているところでございます。
  53. 瓦力

    ○瓦国務大臣 官房長から今答えがございましたが、総理指示もございますが、今建設省といたしましても、不断の見直しを行い、真に必要な事業というものを追求していかなければならぬわけでありますので、技監を委員長といたしまして、これらの検討を今鋭意進めておるわけであります。  委員のおっしゃるように、これらを大切な一つのシステムとして定着をせしめるように努力をしたいと思っております。三月末をめどにこの適正なシステム構築をつくり上げたい、導入を図りたい、こういうようなことで取り組んでおるところであります。
  54. 松崎公昭

    ○松崎議員 お答えを申し上げます。  今御指摘のように、行政というのはどちらかというと計画、実行に重点がありまして、事後評価は今までの日本の行政の中で非常に遅かったというか欠落していたことが多い。  そこで、最近の動きは、地方では、特に北海道の時のアセスメントのように、既に五道府県で導入をしている。それから、あるいは三重県の事務事業評価システムでありますとか、いろいろその事業がどこまで効果があったか、これは極めて大事でありますので、今回の法案の中にも我々は特に盛り込んだわけであります。  特に、これは報告書という形で、事業が終わりましてから一年後に報告書を作成して、そして国会に提出しろと。ここで二つのチェックがあると思うのです。報告書をつくる段階で既に、この事業はどうであったかということがチェックされる。そしてまた、国会に提出されましてそこでまたチェックされる。しかし、道路の問題というのは、一年、二年では本当の評価がどこまでかということもありますので、私見では、もう少しその後も、三年、五年、そのくらいのチェックをしっかりとしていく必要があるのではないか。  そんなことで、御指摘の個別事業の見直しということは、そういう報告書等を使いながらチェックができるのではないか、そんなふうに考えております。  以上です。
  55. 渡辺周

    渡辺(周)委員 時間もありませんので、この事後評価、再評価をするというのは、前任の、今までの行政の継続性というものをある意味では否定をする。皆さん方現在執行される方々が、当時の計画をした責任者の方々の判断に対して、違う、これはもう今見直すべきだということで否定につながる。よく言えば名誉ある撤退。そういうことで、やはりこれは進めるべきだろうと思いますし、これは本当に地方で今始まっております。それだけに、ぜひとも積極的な英断を、勇断をしていただきたいというふうに思います。  大変なこの財政難の折に、公共事業のあり方に対する国民それぞれの意識というのは、かつてのような打ち出の小づちのように振ってくれてお願いをすれば何でもできるという時代から、そうではない、質を向上させながら重点的にやっていく、そういうふうな状況に今なっている中で、政府側にあと二つお尋ねをしたいと思うのです。  一つは、そうしたことがこの昨年の六月の道路審議会の建議の中に触れられています。一つには、国民参加型、もう一つは、供給量から社会的価値への転換、もう一つは、評価システムの導入等による効率的で透明な政策の進め方を提示した、この三つを柱にして建議をされているわけでありまして、そこの「はじめに」のところでは、「今までの道路政策では、国民のニーズに対して十分に応えることは難しい。」そしてもう一つは、「道路政策を原点から見直すこと」とするといったようなことが触れられておるわけでありますけれども、これについて今後どのようにこの五カ年計画に生かしていかれるのか。この建議書の内容は、民友連案に盛り込まれている方がどちらかといいますと非常にかなっていると思うのですけれども、民友連の側はこうしたことをどうお考えかということをそれぞれお尋ねをしたいと思います。  そして、最後一つ、時間内に言っておきたいのですけれども、これまでの行政の二重投資といいましょうか、よく言われますのは、愛知県の名古屋から知多半島を結ぶ広域農道と県の道路公社がつくっている有料道路が五百メーターぐらい離れたところに二本走っている、もう既に広域農道が走っているのにその横に有料道路をつくる、果たして本当に利用者がそれだけいるだろうかというようなことが指摘をされるわけであります。今、全国に農道があって、林道があって、当然建設省が所管する道路があり、運輸省が所管する港湾道路がある。一般の方々からしますと、どこの省庁、官庁がどう所管していようと、タイヤのついた車や歩行者やオートバイや自転車が走るその道路、どこがしていようと構わないわけであります。こうしたものを今後なくすためにどういうことをしていくのか、そして、こうした省庁の連携がどのように密になっていくのか、縦割りと言われる批判を解消するために、二重投資を防ぐためにどのようにされていくかということを最後に政府側にはお尋ねをして、私の質問時間が終了となると思います。
  56. 佐藤信彦

    ○佐藤(信彦)政府委員 二つの御指摘があったかと思います。最初の方の建議の絡みでございますが、これは厳しい財政事情のもとで、やはり限られた財源を有効に使っていくといったこと、道路事業を効果的かつ効率的に実施していくといった観点から非常に大事なことだと思っております。  そういったことで、この建議に基づきまして、道路政策、いろいろ挙がっておりますが、社会的価値に立脚したわかりやすいサービス目標などを提示するとか、それから、その目標を効率的に実現するための、先ほど評価システムの問題もございましたが、こういったものについてさらに客観性が見られるようなそういったことも今後検討していかなくてはならないというふうに思っております。  それから、もう一つの、公共事業の二重投資の御指摘がございましたが、新たな五カ年計画の実施に当たりましては、地域の活性化、それから福祉の向上、それから地域的な問題を解決するために、他省庁といろいろな施策で連携を図っているところでございます。特に農道と林道の御指摘がございましたが、これにつきましては、建設省、農水省、林野庁の間におきまして三者の連絡調整会議を設けまして、その中で調整を図っているところでございます。  また、ことしの一月三十日のこの五カ年計画の閣議了解におきましても、本計画の実施に当たって、財政の健全性の確保に留意しつつ、各種事業との整合性の確保を図ることとしておりますので、今後も他省庁との連携に積極的に取り組んでまいりたいというふうに思っております。
  57. 平野博文

    平野議員 お答えをいたします。  我々の提案では、まさに道路審議会の建議に沿った考え方を提出しております。この建議の中に「より高い社会的価値をめざして」となっていますが、私たちも、道路を単なる国民の移動経路としてではなく、より幅の広い価値が生じるような道路整備を目指すものと考えております。  東名とか名神高速のように、国民全体に利便をもたらす道路の整備はもう既に終わりつつあるのではないか、このように思っておりますし、今後は議員御指摘の、まさに地域の事情に合った、生活者のニーズに対応した道路整備が中心になってこようと思っております。  そのためには、道路整備に関する情報をより国民に提供し、また、これに関する議論を広く国民に公開された場で行っていくことが必要であります。こうして、道路整備に関して国民とともに考え、国民のニーズを的確に掌握することによって、より豊かさを実感できる、社会に適応した道路整備が可能になると考えておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
  58. 渡辺周

    渡辺(周)委員 終わります。
  59. 遠藤乙彦

    遠藤委員長 この際、暫時休憩いたします。     正午休憩      ————◇—————     午後零時十三分開議
  60. 遠藤乙彦

    遠藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。井上義久君。
  61. 井上義久

    ○井上(義)委員 新党平和の井上義久でございます。  先ほどからも出ておりますけれども道路整備緊急措置法、昭和三十三年に道路整備緊急対策の時限立法として制定された法律でございます。いわゆる緊急対策の時限立法ということでスタートしたわけでありますけれども道路整備五カ年計画も今回で十二次になりますし、投資規模につきましても、二千六百億から七十八兆に誉で膨れ上がっているわけでございまして、「道路を緊急かつ計画的に整備する」という目的条項があるわけでございますけれども道路整備計画というのは半世紀にわたってこれまで続けられてきましたし、緊急事業というよりは一大国家事業という位置づけにもう今やなっているわけでございます。  公共事業の長期計画、十六本ございますけれども、昨今、その必要性を問う論議もありますし、また、事業執行やその透明性、効率性、いろいろな角度から問題になっているわけでございます。しかも、道路整備緊急措置法の方は特定財源が定められておりまして、暫定税率という形で国民にかなりの負担をお願いしているわけでございます。暫定税率という形で、これが事実上の恒久税率になっているわけでございます。  そういう意味で、この法の位置づけでございますけれども道路整備というものに関して、緊急措置の時限立法で暫定税率でこれまで来ているわけですけれども、これが五年後に終わるとは到底思えないわけでございますし、やはり道路整備というものに対して国の基本的な姿勢をきちっと示す上でも、こういう法律の立て方、仕組み、これはちょっと問題があるのじゃないか。  今後、道路整備計画というものをどのようにしていこうというふうにお考えになっているのか、まず、大臣の基本的な考え方をお伺いしておきたいと思います。
  62. 瓦力

    ○瓦国務大臣 井上委員にお答えをいたします。  委員から御指摘がございましたように、第一次道路整備五カ年計画から今日に至る、十一次にわたる五カ年計画を経まして着実に社会資本整備に今日までたどり着いたわけでありますが、なお、高規格幹線道路網の整備は計画の半分に達した、こういうような状態でございますし、これからまだ、国民のニーズ、また我が国の経済社会を支える大きな動脈としてこれらの目的達成に取り組んでいかなければならぬ。加えてまた、電線類の地中化の問題も、諸外国に比べましてまだ低いわけでありますし、また歩道等を見ましても四分の一程度しか整備されていない。加えて申し上げれば、バリアフリーとかいろいろ地域社会のニーズにもこたえるということになりますと、質、量ともにまだ不十分である、こう言わざるを得ないわけであります。  加えて今日の、国境を越えて大競争時代に対応する国土整備、こういったことを考えますと、私どもは、道路整備を急いでこれからも取り組んでまいりたい、こういうようなことで緊急な整備が望まれる、こういう観点に立っておるわけであります。よって、今後も、道路整備五カ年計画を定めまして計画的に道路整備を推進してまいりたい、こういうことで取り組みをさせていただいていることを御理解賜りたいと思います。
  63. 井上義久

    ○井上(義)委員 質問に直接お答えいただいていないようなのですけれども、要するに暫定税率という形で、国民に当分の間お願いしますよ、この法律はこういうふうにお願いしているわけです。特に、特定財源のある一部については、当分の間お願いしますよという形でこれまでずっとやってきて、今の大臣のお話を聞くと、とてもこの五年、十年で終わるような計画ではないわけでありますし、この辺は国民に財源措置も含めてやはりきちっと考え方を示しておく必要があるのじゃないか。暫定という形で、何となく国民に本当のことをきちっと言っていないのじゃないか、こういう感じがするわけでございます。道路整備が必要だ、これからも今以上に必要だという前提の上で、こういう物の考え方をもうちょっときちっとした方がいいのじゃないか、こういうことで御質問しているわけでございます。
  64. 瓦力

    ○瓦国務大臣 これらの計画を進めるに当たりましては、財源を確保してまいらなければなりません。暫定税率をもちましていろいろガソリン税等によりまして、国民の負担という面におきましては御協力をいただいておるわけでありますが、今申し上げたような社会整備の必要性とまた国民の協力と両方相まちまして、これらの整備計画を国民のニーズに合わせて達成をしてまいりたい、こう思っております。国民への理解を求めるという委員指摘の分野におきましても、さらに私どもも理解を求めるべく努力は重ねていかなければならぬ、こう思っております。
  65. 井上義久

    ○井上(義)委員 それで、この法律が成立をいたしますと、国会が内閣に五カ年計画策定の権限を付与して、計画自体は閣議決定の形で行われるわけでございます。  先ほどからも議論が出ていますけれども、この五カ年計画自体を国会承認にすべきではないか、国民の代表である国会がこれに関与しないのはおかしい。もちろん議院内閣制でありますから、内閣それ自体がある意味で国会の過半数の意思を体している、こういうふうに解釈すれば閣議決定ということになるのでしょうけれども、やはり幅広い国民のコンセンサスをつくるという意味で、国会がこれに関与すべきではないか、こういう議論があるわけでございます。この国会承認について、大臣、どのようにお考えになるのか。また、確認の意味で、国会承認が難しいということであるならばその根拠というものを明確にお示しいただければと思います。
  66. 瓦力

    ○瓦国務大臣 国会承認を受けるということにつきましては、委員も今お触れになりましたように、財政であるとかあるいは事業実施の機動性、弾力性を阻害するおそれがあります。また、立法府と行政のかかわりにおきましても、私どもは常に意見を徴しておるわけでございますが、一義的には、政府におきまして、審議会で自由闊達な御議論をいただいて、会議録、議事録等を通じて国民に知っていただくとか、あるいは国民のニーズ、声を道路行政に生かしていく、五カ年計画に生かしていく、そういう努力を怠りなくやっていくことが必要だと思います。  また、立法府におきまして、それぞれ世論を代表する議員の方々から厳しくチェックを受け意見を聞く、このことが行政府にとって極めて重要なことでありますので、議会、委員会を通じてこれらの意見を大切にしてまいりたい。  最終的に、やはり行政府が責任を果たすというようなことが最も重要でありますので、それらを含めて私どもは今度の五カ年計画につきまして目安としてまた議論に供させていただいておる、こういうことでございます。よろしく御審議を賜りたい、こう思っております。
  67. 井上義久

    ○井上(義)委員 道路五カ年計画の場合は、いわゆる特定財源ということで財源がセットになっているというところが一番のポイントなのだろう、こう思うわけです。  お金は用意しましたよ、計画はあと自由につくりなさい、白紙委任ですよ、こういうことは現実の社会ではあり得ないわけでございます。これは道路財源すべてではありません。もちろん財政投融資もありますし、一般財源もありますけれども、少なくとも道路特定財源ということで財源をセットで五カ年計画をつくりなさい、こういうわけでありますから、国民の税金をこれだけ使っていいよという形で法案が成立するわけですから、やはりこの五カ年計画についても何らかの形で国会がきちっと関与すべきだ、こんなふうに思うわけでございます。  これは委員長にもぜひお願いしておきたいと思いますけれども、閣議決定に至る過程で、例えばキックオフの段階、あるいは道路審議会の建議の段階、あるいは概算要求のときに予算規模を決める、いろいろな段階で、やはり国会の中でも委員会の中でも、一般質疑という形ででもきちっと議論すべきだということを私としてはぜひお願いしたい、こう思うわけでございます。そのためには、やはり行政府として、いろいろな段階で積極的に国会に資料を出す。そして、やはり国会が国民的なコンセンサスをつくっていく上で大きな役割を果たすわけでございますから、国会の審議を積極的にサポートするということを行政当局としてはぜひやってもらいたいと思います。  それから、特に大きなプロジェクトについては、やはり国民的な関心もあるわけでございますし、大枠だけ決めればいいよという話ではなくて、今度の五カ年計画、また全総も今策定中でございますけれども、また相当大きなプロジェクトがその中に盛り込まれているようでございますし、そういう一つ一つについても国会で本当に必要なのかということも含めてきちっと議論をする、そのための資料をやはり行政府としても積極的に出すということをぜひお考えいただきたい。  こういう点についてどのようにお考えか、ぜひ御意見賜りたいと思います。
  68. 佐藤信彦

    ○佐藤(信彦)政府委員 先生おっしゃられておられますのは、国会での議論を含めてでございますが、国民議論、そういった中でやはりより積極的な情報提供が必要ではないかというお話だと思います。  建設省といたしましては、道路行政への幅広い議論をお願いするといった観点から、概算要求の段階におきましては、道路整備の現状及び今後の方向についての関係資料は公表しているところでございます。  また、道路審議会建議を踏まえるとともに、パブリック・インボルブメント、先ほど説明させていただきました国民参加方式でございますが、そういった方式とか、それから三十二の地域ブロックで地域経済界等が作成、公表したビジョンや提言、それから全都道府県及び四百三十七の地区において作成、公表された、地方版と言っておりますが、地域からの道路整備五カ年計画についての要望、これら各界各層の方々からの御意見をいただいております。  今後、そういったことで、国会におきましても今回の御審議それから一般質疑等を通じまして日ごろから御指導いただいておりますが、今後ともより一層の情報提供に努めてまいりたいというふうに思っているところでございます。
  69. 井上義久

    ○井上(義)委員 今局長にお答えいただきましたけれども建設省が今回の新五カ年計画を策定するに当たってこれまでにないさまざまな手法で国民の声を集約してこられた。特に、このPIの実施でありますとか、あるいはインターネットを使った情報公開でありますとか、あるいは道路審議会の資料を含めた公開でありますとか、自治体、各種団体の意見聴取でありますとか、そういうことを私は大変評価するものでございますし、これまでの五カ年計画とは随分違うなという評価をしておるわけでございます。  先ほどからもずっと議論に出ていますけれども、いわゆる情報公開、それからもう一つは政策決定過程における国民の参加ということがやはりこれからますます重要になってくると思いますし、建設省の皆さんがそういう形できちっと努力をしてこられたということは十分認めた上で、これが一種の行政の隠れみのになるのではないか、一方でそういうやはりおそれを抱く人もいるわけでございまして、そうならないために何らかの形の制度化というのは必要ではないか。  例えば道路審議会、これはかなり重要な役割を持つわけでございますけれども、これは民友連の案にもございますけれども、公聴会を義務づけるとか、あるいは道路審議会を公開してインターネットで流すとか、特に道路審議会を公開でやる。これまで出された資料を見ていますと、だれがどういう発言をしたかというのはわかりませんけれども、どういう発言があったかというところまで含めてかなり公開はされていますけれども、やはり国民注視の場できちっとした議論をする、審議会の皆さんには責任を持って議論していただくということがやはりこれからは必要なのではないか。  そういう意味で、公聴会を義務づけるなり、あるいは公開で行うなりということについて、やはりこれから改善していくべきだ、こう思うわけでありますけれども、この国民参加の手法ということも含めて今道路局ではどのようにお考えなのか伺っておきたいと思います。
  70. 佐藤信彦

    ○佐藤(信彦)政府委員 ただいま道路審議会の公開のお話がございました。  先ほど大臣の方からお答えさせていただいておりますが、平成七年九月の閣議決定に基づきまして、議事録及び会議資料を公開するといったことで、透明性確保に一応努めているところでございます。  ですが、ここの決定も審議会における決定でそうなったわけでございますが、やはり審議会の公開という面につきましては、委員の方々の意思にかかわらず一律に公開ということが義務づけられますと、審議会における自由濶達な議論が妨げられるのではないかといったようなことも伺っているところでございまして、これから審議会において決定されていくべき問題かと思っております。  それから、あと国民参加、そこら辺の問題につきましては先ほどもちょっと説明させていただきましたが、私どもといたしましては、五カ年計画だけではなくて、事業を毎年度毎年度進める中で、やはりそこら辺の対応をしていかなくてはならないというふうに考えているところでございます。
  71. 井上義久

    ○井上(義)委員 審議会の公開の問題でございますけれども、おっしゃるように、公開でやると自由に物が言えないという懸念というのは確かにあるのだろうと思います。ただ、それぞれ有識者であり、またそれぞれの利害関係を代表する人たちであり、やはりそういう方たちに責任を持って発言をしていただく。自由濶達な議論ができないのではないかということと社会的な情報公開の要請とどちらが重いかといえば、やはり時代は大きく変わってきている。情報公開をするという、また、どんな審議会でもオープンな場でやるという社会的な要請にこれからこたえていかないと、審議会そのものの存在、役割、これがある意味で否定されていくことになりかねないというわけでございまして、これは審議会の委員の皆さんの意向ということなのですけれども、逆に言うと、オープンでもいいよという方をやはり審議委員にこれからはすべきであるということだけ申し上げて、この問題についてはぜひそういう方向でやっていただきたい、こう思います。  それから次に、いわゆる公共事業に対する批判、公共事業はもう必要ないのではないかというような極論すら今あるわけでございまして、そういう議論をずっと聞いておりますと、少なくとも、公共事業、大半は国民の税金で行われているわけでございますから、むだが多いのではないかとか効率が悪いのではないかというのがこの根底にあって公共事業は必要ないのではないかという極論になっている、そういうふうに思うわけでございます。  したがって、まず、この公共事業に当たっては、一つは、費用対効果ですね。本当に必要な事業に適切な規模の投資が行われているのか、その投資効果は上がっているのか、そういう費用対効果。それからもう一つは、やはりコスト。税金が有効に使われているのか、適切なコストで本当に執行されているのかというようなことが具体的な事例を通してさまざまに指摘されているわけでございます。  特に、最初に申し上げました費用対効果という点について、いわゆる箇所づけ、いわゆる事業採択の透明性、客観性、公平性ということだと思うのですけれども、要するに、どこにどういう道路をつくるかとか、どこに新しい事業を採用するかとかといういわゆる箇所づけの透明性というものをどのように受益者なり納税者にわかるような客観的な基準でやるか。どうもそういうところに恣意が入り込んでいるのではないか、恣意的に行われているのではないかということが一番強いわけでございまして、その辺について、どういうふうに今後考えていくのかということをぜひ。
  72. 佐藤信彦

    ○佐藤(信彦)政府委員 お答えいたします。道路事業につきましては、費用、効果ということでございますが、まず、効果の認め方というのは、これは道路の目的自体が非常に多様なものでございますので、一つのものだけを取り上げてこれで効果とかそういう決め方はなかなか難しい問題がございます。  それから、その項目の中でも、客観的にすればするほど、中身とまた違う一部分だけをとらえる形になったりして、なかなかとらえ方は難しいわけでございますが、今回、道路事業につきましては、平成九年度から、費用便益比を含めました客観的評価指標、これを公表するとともに、これを用いまして評価を試行的でございますが実施いたしまして、これをまたさらにその結果について公表するということによりまして、透明性、客観性、公平性の確保に努めているところでございます。  したがいまして、ここら辺のところは、どちらかというとまだ試行的なある一部分をとっての話にどうしてもなってしまうわけでございますが、むしろ今後、こういったものを各界の皆様方の御意見等いろいろ伺いまして、少しでもそういった評価に近づくよう努力していきたいというふうに思っております。
  73. 井上義久

    ○井上(義)委員 ぜひ具体的な基準をつくっていただきたい。  素人的に簡単に言えば、ここからここにこういう道路をつくれば渋滞がこの程度解消されて、今−まで一時間かかっていたのが三十分になりますよ。ここにはこれだけの車が通っていて、その費用対効果というのはこれだけ上がりますよ。この箇所だったらこうですよ。とりあえず選択として、優先順位はこちらが高いですよ。そういう極めて具体的な、客観的な基準というものが現実的に可能なのかどうかということも含めて、もう一回ちょっと。
  74. 佐藤信彦

    ○佐藤(信彦)政府委員 先生おっしゃられた、ここからここまでどのくらいの時間で行けるようになるとか、こういったような比較的機械的に計算できるような効果というのは計算の上では出てくるわけでございます。ですが、そういったものもそうですし、事業を進めるに当たってはそういった時間的な経済効果、これだけではもちろんなかなか評価は一つでは決まらない要素がございます。御存じのように、環境の問題とか、それからさらにその地域の問題、シビルミニマムの問題とかいろいろな要素がありますので、客観的に選ばれる要因というのは比較的むしろ少ない感じでございます。  そういったことで、私どもも、時間でどのくらい経済便益があるというのは、これはわりかしとらえやすいので、今までそういう手法はかなりやってきております。ですが、それだけではちょっといかがなものかというふうに思っているところでございます。
  75. 井上義久

    ○井上(義)委員 社会的な評価も含めて、例えば今の環境とかそういうことも含めて、評価の基準は極めて難しいと思いますけれども、できるだけ客観的な評価基準というものをぜひつくっていただきたい、こう思います。  もう一つは、その評価に客観性を持たせるという意味で、第三者機関、これをやはりつくってそれを国民に開示してはどうか、第三者機関をつくってきちっと評価すべきではないか、こういう議論があるわけでございますけれども、それについてはどうでしょうか。
  76. 佐藤信彦

    ○佐藤(信彦)政府委員 この道路事業の評価に関してでございますが、そういったことで、どちらかというとまだ手探り段階で始めてきているといった状況でございまして、現在、道路事業の評価に関する懇談会というのを設置いたしまして、これは学校の先生方とかそれから有識者の方々が入りましてそういうものを設置して、その中で評価システムの基本的な方向等をいろいろ議論していただいているところでございます。そういった中で、またどういう検討機関とかどういう判断機関が必要になってくるかといったことも検討していきたいというふうに思っております。
  77. 井上義久

    ○井上(義)委員 それから、ちょっと戻ります。さっきの費用対効果という意味でコストの縮減ということが一つの大きな課題で、今建設業界をめぐる環境は極めて厳しいわけでありますけれども、その中でも、いわゆる完成工事利益率はどちらかというと土木が非常に高いということでかなり高コストなのじゃないか、こういう批判があるわけでございます。ただ、一方的に発注金額を下げればいいということだけじゃないと思いますし、いろいろな意味で業界の仕組みなんかも改革していかなければいけない、そういうこともあるのだろうと思いますけれども、このコストの縮減ということに関して、やはりこれは国民的なニーズだと思いますし、どのようにお考えなのか。
  78. 佐藤信彦

    ○佐藤(信彦)政府委員 コストの縮減についてでございますが、これは、昨年の四月に関係閣僚会議で決定されました公共工事コスト縮減対策に関する行動指針、これに基づきまして建設省におきましては行動計画を策定しております。  これは、いろいろな事業がございますが、道路については、この行動計画等を踏まえまして、施工技術の進歩、それから材料の高度化、施工機械の大型化などによります効率化等の要因を背景としまして、技術基準等の見直し、それから設計方法の見直し、それから技術開発の推進等の施策を道路分野の公共工事コスト縮減対策として取りまとめたところでございます。  これを具体的に進めていくといったことで、その効果によりまして一〇%以上ぐらいのコストが縮減できないかといったことを目指しているところでございます。
  79. 井上義久

    ○井上(義)委員 最後になりますけれども、新しい道路整備五カ年計画策定に当たって、都市部についてはやはり渋滞解消あるいは防災ということが主要テーマになると思いますし、それから地方を考えますと、やはり地域ブロックの自立的な発展とかあるいは広域物流の効率化というようなことで、どうしてもやはり高規格幹線道路あるいは地域高規格道路、この整備に対する要望が極めて強いわけでございます。私の地元の東北なんかも、縦断の高規格道路、これは東北道はまだ一本でございますし、中山間地あるいは日本海側はまだまだこれからということでございます。それから肋骨の部分、これもまだ磐越が一本通っただけでございまして、極めて要望が強いわけでございまして、これも、やはり一つの都市部の渋滞解消あるいはそういう防災ということに並んで要望が極めて強いわけでございます。それについて、策定に当たっての基本的な考え方をお伺いしておきたいと思います。
  80. 佐藤信彦

    ○佐藤(信彦)政府委員 先生指摘のとおり、高速道路ができたことによりまして都市内の交通が非常に渋滞がなくなるといったことは最近いろいろなところで耳にするところでございます。  そういったことで、高規格幹線道路、これは高速道路も含めてでございますが、二十一世紀初頭までに一万四千キロのネットワークを完成するといったことで進めております。現在、大体七千キロ強が供用開始されております。  これだけでは幹線のネットワークができるだけでございますので、むしろこれを補助する形、あるいは骨格から各地域の中心的な施設につながる道路、これを地域高規格道路と名前をつけておりますが、これの整備をあわせてやっていかなくてはならないといったことで、長期的には六千キロから八千キロぐらいを整備することにしております。こういった高規格道路、地域高規格道路あわせてのネットワーク整備によりまして、各地域の連携が強化され、それから、物流等いろいろな効果のある事業なんかも進んでいくのではないかというふうに思っております。  そういったことで、こういった道路の整備を重点的に進めていきたいというふうに思っております。
  81. 瓦力

    ○瓦国務大臣 道路局長から今答弁がありましたが、高規格幹線道路、地域高規格道路、今重点的に整備を進めていくことの必要性を答弁させていただきました。  御案内のとおり、宮城、茨城からいたしましても、関西圏へ通ずるということは、今まで東京の混雑の中を縫いながら東名を走るというのが一般的な考え方でありましたけれども、日本列島はやはり弓なりになっておるものですから、太平洋沿岸からは北陸道を通って大阪に入った方が五十キロ近いとか、時間にして相当短縮できるというようなことで、やはり高規格道路とか地域高規格の持ち味がこれから発揮されまして日本列島の交通体系が整備されていく、こういうことに着目をしながらまた重点的な整備で隘路を抜いていくというようなこともこれからは必要だというようなことを申し添えさせていただきたいと思います。  ありがとうございます。
  82. 井上義久

    ○井上(義)委員 以上で終わります。
  83. 遠藤乙彦

  84. 大口善徳

    大口委員 新党平和の大口でございます。  きょうは、この法案の審議におきまして非常に時間が短い。これはもう大変重要な問題でございますので、本来もっと審議時間をたくさんとってしっかりと議論をしていきたい、そういう点では、我が党は一時間しかないということで非常に残念に思っておるわけでございます。ですから、やはり五年間の方向性を決める、あるいは二十一世紀への交通一つの大きな柱を決める、こういう段階でございますので、これは本当にもっとしっかりと審議時間をとっていただきたい、そのことをまずお願いしておきたいと思います。  今回、公共事業の問題でいろいろと言われておりますが、では社会的な資本整備というものが十分かというとそうではない。まだまだこれから整備をしなければいけないことがたくさんあるわけであります。そういう中で、財源の問題があるわけでございますので、やはりより社会的価値の高い方向にこれは進んでいかなければいけない。また、その優先順位につきましていろいろと検討をし、その効率につきましてもチェックしていかなければいけない。  そういう点で、今回首相が、公共事業につきまして再評価システムというものを導入する、そしてまた、事業採択の段階においても費用対効果分析の活用をする、こういうふうに言われ、そして、建設大臣を初め公共事業関係の、建設、運輸、農林、そして国土庁の四省庁に対して指示をされた、こういうことでございます。そういう点で、私は建設省にリーダーシップを発揮してもらいたい。そしてその評価基準、システムというものを積極的にどんどん出していただきたい。そして、ほかの運輸あるいは農水、国土を引っ張っていくようにしていただきたい、そう思うわけです。  そういう点で、この評価システムの各省庁との整合性、これについてどうお考えになるかお伺いしたいと思います。
  85. 瓦力

    ○瓦国務大臣 今大口委員からの質問にございましたように、まず他省庁との評価手法をどう調整をしていくのか、あるいは評価実施方針はいかがか、こういうことでございまして、建設省がそのリーダーシップを発揮しろ、こういう力強い御支援でございます。  まさに建設省が先頭にやるべきことは多々ございますので、技監を中心にして、公共事業の再評価システムに関する検討委員会を年初早々に設置をいたしまして今取り組んでおるところでございます。それぞれ再評価システムの対象とする事業の範囲であるとか、あるいは実施する事業であるとか、実施方法であるとか、新規事業採択時の評価であるとか、これらのことにつきまして結論を急ぐべく今努力をいたしておるところでありますので、取りまとめ次第また御報告もさせていただきたい、かように存じております。  費用対効果分析手法につきましては、それぞれ事業の特性を踏まえて選択する必要がありますので、検討中ではございますが、対象とするそれぞれの問題につきまして省庁間で調整を進めていかなければならぬ。  また、再評価の実施に当たっては、透明性、客観性を確保することが重要でございまして、システムの中に、学識経験者等から成る委員会から意見を聞く、第三者の目を通す仕組みを導入することを検討いたしておるわけでございまして、三月末に何とか各省庁との整合性が図られ、これらの透明性、客観性を確保できるシステムを構築したい。さらに委員のお声にも配意して督励をしてまいりたい、こう考えております。
  86. 大口善徳

    大口委員 今お話がございました。平成九年度、そして十年度、この費用便益効果についての客観的な評価を実施されたということでございます。それこそ井上委員からもありましたように、第三者機関のことについても再評価のシステムの中に組み込んでいく、今大臣からこういうお話もございました。  そういう点で、これは決算のときにおいても、こういう基準がしっかりしておりますと、基準でもって、その基準自体がいいかどうかということの判断もありますが、きちっとした基準であれば、それに基づいて決算としても結構チェックもできる、こういうことでございますので、これはできるだけ早くどんどん進めていただきたい、こういうふうに思っておるわけでございます。  そういう中で、民友連の方から五カ年計画について、評価ということもやるべきではないか、事後評価もやるべきじゃないかという話がございます。これについていかがでございましょうか。
  87. 佐藤信彦

    ○佐藤(信彦)政府委員 新たな道路五計についての事後評価の実施はどうかという御質問かと思いますが、道路審議会の建議におきましては、今後の道路政策の基本的な考え方のみならず、これまでの道路政策の評価と課題が議論されまして、道路整備の実績、それから事業実施の効率性、透明性、それから事業展開の計画性、さらに道路整備に関する費用負担といった四つの点、この四つの点から評価いたしまして、その結果も含めて提言していただいているところでございます。  これまでも、第十一次道路整備五カ年計画の主要課題の整備目標の達成状況については、フォローアップして公表しているところでございますが、新たな五カ年計画につきましても、今回と同様にその達成状況についてフォローアップを行いまして、その後の政策展開に反映させるといった方向で考えていきたいというふうに思っております。
  88. 大口善徳

    大口委員 新しい全総計画におきましても、多自然居住地域の活性化ということで、中山間地と都市部の連絡ということも非常に大事である、こういうことでございます。  費用便益システムというもの、それでもって分析していく場合に、こういう中山間地と都市部の道路についてどのような評価がされるのか、お伺いしたいと思います。
  89. 佐藤信彦

    ○佐藤(信彦)政府委員 道路事業につきましては、平成九年度に引き続きまして十年度につきましても、新規着工準備それから新規事業採択の候補箇所について評価を試行的でございますが実施しているところでございます。  それで、昨年の十二月に既に内示された箇所については評価結果を発表しているところでございますが、評価の実施に際しては、やはり費用便益比がある一定値を超えるものが一つ前提条件になっております。特に、今回五計の中の四項目に挙がっております経済構造改革の支援とかそれから地域づくり、都市づくりの支援等々の四項目も踏まえた客観的な指標等を考えているところでございます。  具体的に、中山間地域それから観光地域等におきます地域等の活性化の指標としてはいろいろな指標があるわけでございますが、例えば拠点開発プロジェクト、地域連携プロジェクト等を支援するとか、地域振興を目的とする特別立法に基づく事業とか、それから生活中心都市と周辺市町村との所要時間を短縮するとか、そういったようないろいろな項目で指標を取り上げているところでございます。  そういったことで、こういった手探り的なものでございますが、今後とも、いろいろ関係の方々の御意見等を踏まえて、評価手法の改善それから適切な評価が実施されるよう努力していきたいというふうに思っております。
  90. 大口善徳

    大口委員 次に、道路というのは道路の空間というものが非常に大事なわけであります。そして、そういう空間に電柱等がありますと、空間を遮って、それがある意味では歩行者に対する障害ですとか自転車に対する大きな障害とかいう形になってくるわけです。  そういう点で、電線類の地中化ということは非常に大事だと私は思います。そういう観点から六十一年から推進しているようでございますが、静岡市、東京、大阪または我が国全体においての地中化延長また地中化率についてまず確認しておきたいということと、それから、道路整備五カ年計画の案において総道路延長における整備率というのはどれぐらいになるのかということ。  それから、パリやロンドンあるいはボンでは地中化は一〇〇%ということで、欧米の主要都市はこういう形で既に電柱がないということが常識になっているわけでありますけれども、これにつきまして、大規模な商業業務地ですとか文化施設の周辺地区、これは優先するということなわけでありますけれども、私は、ニーズの強い住宅地だとか小規模商店街なんかも含めるべきである、こういうふうに考えております。それに対する考え方がどうなのか。  そしてまた、進めるに当たっては電力あるいはNTTの協力も要るわけでございますけれども、よりコンパクトで経済的、効率的な構造、電線共同溝というのですか、こういうものをもっと活用していく、主にこれは整備状況を推進していくために活用すべきではないか、こういうことを実はお伺いしたいと思います。
  91. 佐藤信彦

    ○佐藤(信彦)政府委員 電線類の地中化でございますが、これは先ほどの、阪神・淡路大震災でもその効果を発揮しているところでございますが、昭和六十一年度以来三回にわたります電線類地中化五カ年計画に基づきまして整備を現在進めてきているところでございます。平成九年度末におきましては、静岡市では約二十キロ、東京で六百六十キロ、大阪府で百七十キロ、それらをひっくるめまして全国で三千キロの地中化が実施されたところでございます。  これによりまして、道路延長に対する地中化率でございますが、道路延長が非常に大きなものですので、地中化率ということになりますといささか少ない感じがいたします。静岡市の市街地部で約二%、それから東京都の二十三区で四%、大阪市で一%といったことになっております。全国の地中化率のデータはないものの、大体全体では地中化が一%未満かというふうに考えられております。  そういったことで、欧米では非常に長い年月をかけて現在の水準に達しておるわけでございますが、我が国におきましても、昭和六十一年から平成九年度まで十二年間でございますから、この中でこれだけの水準まで一応達したということで、今後の五カ年間でさらにこういった地下の整備率が大幅に進むのではないかというふうに考えているところでございます。  それから、整備の方でございますが、いろいろ電線類の地中化に関しましては、建設省としましては、共同溝整備、それからキャブシステム。先ほど先生から電線共同溝のお話がございましたが、特に電線共同溝は、電力線、通信線のみを地中化するといったことで、非常にコストが安いコンパクトなものでございます。我が国の場合、非常に歩道が狭いということもございますので、そういったことの意味からも、電線共同溝の整備というのを推進していきたいというふうに思っております。
  92. 大口善徳

    大口委員 大臣、これについて。
  93. 瓦力

    ○瓦国務大臣 犬も歩けば棒に当たり人が歩けば電信柱に当たる、こういうような狭い歩道では二十一世紀はいかがかと思いますし、高齢化社会、バリアフリー、こう考えてみますと、道路、歩道というものをきちんと整備していく。そういう過程で、景観をよくしなければなりませんから、言ってみれば電線類の地下化推進ということにつきまして、私も賛成でございまして、今後、都市景観の向上や災害に強い町づくり、情報通信の高度化、こういうことを考えてみますと、阪神・淡路は大変私どもに貴重な経験を与えておりますから、これらは鋭意これからも進めて、二十一世紀を迎えるにふさわしい国土整備にしなければならない、かように考えております。
  94. 大口善徳

    大口委員 次に、高度道路交通システムというもの、これを今世界が躍起になって競争をしておるわけでございます。このITSというもののシステムが、交通事故の削減だとかあるいは渋滞の緩和等に大きな効果をもたらすわけでございますし、また、日本のリーディング産業である自動車産業におきましても、この開発に乗りおくれてしまった場合大変なことになる、こう思うわけでございます。  そういう中で、ITSについて、日米欧三極の比較レポートというものを見てみますと、日本は、VICSとかあるいはカーナビ等の道路交通情報提供システム、これは進んでいる。また、交通管制システム、これは世界最先端であるということなわけであります。それに比べて、ETCという自動料金収受システムでありますとか、あるいは道路管理システム、あるいは商用車管理システムというのがおくれている。そしてまた、システムのアーキテクチャーといいますか全体像の構築だとか、あるいはそれに基づいていろいろと標準化をしていく、そういうことでプラットホームが十分構築されていないということでございます。プラットホームが構築されませんと、これは地域的な互換性もないし、あるいは九つのいろいろなシステムを考えておるわけですけれども、それとの互換性もない、他の情報システムとの互換性もない、こういうことなわけです。ですから、やはりアーキテクチャーをしっかりと構築し、プラットホームはしっかりと構築するということを推進していかなければいけない、こういうふうに考えておるわけです。  そういう点で、これにつきまして、ITS推進に関する全体構想というのがあるわけでありますけれども、もう少しシステムアーキテクチャーというものを構築して、そして九つの分野の目標年次をはっきりさせていくということが、またこれは民間企業の研究開発あるいは設備投資、生産活動というものの一つの目安になるわけでございますので、きちっとそれははっきりさせるべきであると思います。ITSの世界会議、今度またアジアに戻ってきまして、韓国であるわけでございます。十月にあるわけでございますけれども、そういう点からいきましても、それまでにきちっと明確にすべきである、こういうふうに思います。  また、ETC、これもおくれている、こういうことでございます。路側機の整備推進、まだ路側機が日本の道路には全然ついていないわけでございます。これにつきましてもしっかりやるべきだ。これについての考え方、これをお伺いしたいと思います。
  95. 佐藤信彦

    ○佐藤(信彦)政府委員 ETCの話が出ましたが、これはITSの中で、先ほどのVICSとか、それから自動運転システムといったものもあるわけでございます。このETC、これは有料道路料金所に設置した路側機器と利用者が車に搭載する車載器の間の無線通信で自動的に料金の支払いを行って、料金所で停止することなく通行するシステムでございます。これは、我が国の場合には、やはり有料道路のシステムが外国に比べて単一料金ではなくて対距離料金になっていますので、そんなこともありまして多少おくれぎみでございます。ですが、小田原厚木道路で試行を九年度から始めているところでございます。そういったことで、この五カ年の間にかなり実用化に向けて進んでいくのではないかというふうに思っております。  全体像の話でございますが、これにつきましても、五省庁でITSの推進計画である全体構想を策定いたしまして、同じように進めているところでございます。  そういった中で、やはり道路の施策、これから道路管理、それからそういったものを進める中で非常に大事なシステムでございますので、その中での各分野ごとの目標年次とかそういうものをもっとはっきりした形で進めていくといったことを、これからいろいろ検討していかなくてはならないというふうに思っているところでございます。
  96. 大口善徳

    大口委員 また、これはやはり国際標準にきちっと乗っからないと自動車ももう輸出できなくなるというようなことでありますので、やはりISOあるいはITU、こういうところに積極的に参加されていると思いますが、国際標準化への対応、これをしっかりとやっていくことが日本の将来を左右する重要課題であると思います。  というのは、景気対策といろいろ言われておりますけれども、五十兆円市場が創出されるということも言われております。これは二十一世紀の新しい産業になるわけです。これに乗りおくれていてはいけません。そういう点で、それに対する対応をお伺いしたいと思います。
  97. 佐藤信彦

    ○佐藤(信彦)政府委員 ITSに関する国際標準化の問題でございますが、これにつきましては、現在、国際標準化機構、ISO、それから国際電気通信連合、ITUの場でいろいろ議論されているところでございます。  その中で、我が国も加わって行っているわけでございますが、我が国としましては、日本で開発されたシステムを国際標準とするため、ISOそれからTC204の国内委員会等におきまして、国際標準化の活動に積極的に取り組んでいるところでございます。  建設省としましても、平成八年度以降、ISOへの提案書の作成など民間等の国際標準化活動を積極的に支援してきたところでございまして、引き続きITSに関する国際標準化活動を最重要課題の一つとして積極的に取り組んでまいりたいというふうに思っているところでございます。
  98. 大口善徳

    大口委員 最後になりますが、新しい全総計画がこの年度末に、私も審議委員になっておるわけでございますけれども、いまだにその案が私のところに来ないということで、何をやっているのかと思うわけでございます。  それはともかくといたしまして、その中に、道路のところ、広域的な連携の軸となる縦貫路線あるいは横断路線に重点を置いた整備の推進、こういうことでやはり高規格幹線道路網というもの、今も再々議論になっておりましたが、まだ半分しかできていない、こういうことでございます。  そういう中で、私どものところでいえば、中部横断自動車道というものがございます。これは、今回の新しい全総の中でも地域連携軸というものの展開、非常にこれがポイントとなっておりまして、それでいくならば、新国土軸である日本海国土軸と西日本国土軸を結びつける地域連携軸の展開ということでこの中部横断自動車道というのが非常に大事だ。  これにつきまして、大臣からその御認識あるいは御推進についての決意をお伺いしたいと思います。
  99. 瓦力

    ○瓦国務大臣 私も、中部横断自動車道は大変有効な道路だと考えておりますし、太平洋側、内陸部、日本海側の各地域を結ぶ一体的な交流発展に寄与する重要な路線である、こういう認識でございます。  中央道から南進する十六キロメートルの区間、現在、日本道路公団によりまして事業を進めているところでございまして、また、第二東名と中央道を結ぶ残りの区間五十七キロメートルにつきましては、平成八年末に整備計画を策定いたしております。自然環境調査やルート、構造の検討など所要の調査を進めているところでございまして、ここのところを何とか進める方法を非常に心配をしておるわけでございます。  非常に有効な道路でありますので調査の促進を図りたい、こう思っております。  以上、お答えをいたします。
  100. 大口善徳

    大口委員 どうもありがとうございました。
  101. 遠藤乙彦

  102. 武山百合子

    ○武山委員 武山百合子です。自由党を代表しまして質問をいたします。  早速ですけれども、今回の法案の中で「道路を緊急かつ計画的に整備して道路交通の安全の確保とその円滑化を図るとともに、」とまず一行目に出てくるのですけれども、「道路を緊急かつ計画的に」、この「緊急かつ計画的に」の二つの整合性はどうなっているのかなと思います。ところで、この法律はいつからできたのでしょうか。建設省にお聞きいたします。
  103. 佐藤信彦

    ○佐藤(信彦)政府委員 昭和三十三年に法律はできております。
  104. 武山百合子

    ○武山委員 それでは、その当時「緊急かつ計画的」というのはどういう意味で緊急かつ計画的だったのでしょうか。計画的というのでしたらまたわかりますし、緊急措置というのでしたらまたわかるのですけれども、この整合性はどういうふうになっているのでしょうか。当時の緊急かつ計画的なんでしょうか。「緊急」という字の持っている意味がどういうことなのかなと思います。ところで、緊急にやっていることはあるのでしょうか。
  105. 瓦力

    ○瓦国務大臣 武山先生にお答えをいたします。  今局長から話がありましたが、我が国の社会資本整備というのは欧米諸国に大変歴史的におくれをとりました。戦後、私どもも若干記憶しておるわけでありますが、それは砂利道であり、言ってみますれば馬車馬が通るという道であったわけでありますが、経済の伸展とともに我が国の社会資本整備は相当大きく発展をしてまいりまして、私はここ二、三十年来これほど大きく歴史を変えるほどに整備ができたかなと思うわけであります。なおかつ、今日は国境を越えて大競争時代ということでありますし、我が国も高齢化社会を迎えておるわけであります。  そういうことの必要性から考えますと、今高規格幹線道路網の整備は道半ば、九年度末で七千二百六十五キロにすぎないわけでありますので、これからも魅力的な国土というものをつくり上げていくためには一層努力しなければ欧米諸国に比べましてもその差があるな、こう考えるわけであります。  道路の整備にいたしましても、御不自由な方々には大変歩道が狭い、これは道路かね、こういうようなことでもございますので、質、量ともに十分に仕事というものは残っておるわけであります。歴史とともにその必要性もあるわけでありますから、これは緊急な整備が望まれるということは率直に申し上げて言えようかと思いますので、ここで緊急、こうなるわけでありますし、また道路は延々とつながっていかなければなりませんのでやはりそれぞれ計画に従ってきちんと進めていくということは大切だろう、私はこう思うわけであります。  よって、財源をいろいろ求めながら、五カ年計画を目安にしまして日本の幹線道路整備であるとかあるいは地方におきましての道路体系整備等につきまして計画的にこれを進めて効率あらしめたい。こういうことで緊急並びに計画的につきましての解説を終えさせていただきます。     〔委員長退席、井上(義)委員長代理着席〕
  106. 武山百合子

    ○武山委員 御丁寧な解説、ありがとうございます。実は大学の先輩で、私情を挟まずに質問をしたのですけれども先生などと言われまして大変ありがたいお言葉でした。  何か瓦大臣に言い含められてしまって手も足も出ないような今の御答弁でしたけれども、緊急は昭和三十三年当時からのいわゆる高度経済成長の中で確かに緊急という意味もあったと思いますけれども、ただいまは砂利道というのは本当に少なくなったと思うのです、国道、幹線道路というのは。それで、今はまさに恒久的措置を計画的につくって実行する段階じゃないかと思うのです。ですから、これが建設省がつくった緊急道路整備だということでその言葉に綿々とこだわらずに、実際に緊急でやっているものなんてほとんどないのではなかろうかと思うのです。  国民の目から見ても緊急でやるという場合は、例えば長野オリンピックがあるとか何か大きな大会があるために急速つくらなければいけないとか、そういう意味以外は緊急なんていうことはないと思うのですよね。道路なんていうのはやはり計画的にしていかないと、住民の賛成も取りつけなければいけませんし、それこそ恒久的措置の観点じゃないかと思うのです。  名称の問題でちょっとこだわって、いきなり緊急措置のままでよいのかという質問をしたわけですけれども、そういう昔の体制にこだわらずに言葉自体もぜひ検討していただきたいと思います。  緊急なんて実際に今あるのかなと思うのです。緊急ということであれば、道路はまだ十分整備されておりませんからいつも緊急だと思うのですよね、そういう意味でいえば。しかしやはり計画的に、一メートルや二メートルの道路をつくるわけじゃありませんからそれは恒久的だと思うのです。昭和三十三年当時はこれで十分だったと思いますけれども、社会、経済の状態も、また社会資本整備もだんだんに行われてきているわけですから、ぜひこの法案の名前自体も検討していただきたいと思います。
  107. 佐藤信彦

    ○佐藤(信彦)政府委員 言葉でこだわるわけではございませんが、昭和三十三年あるいは二十九年当時というのは恐らく我が国の中ではほとんどのところが、やはり砂利道もありますし、道路ですれ違いのできないところがかなり多かったんじゃないかと思うのです。ですがその後、五カ年計画を続ける中で整備されてきているところはきております。  ですが、やはり全国的な目で見ますと昔はそんなに差はなかったわけでございますが、むしろ現在の時点で見ると、道路が二車とか四車とかそういうふうにちゃんと整備されたところと、それからまだそれこそ国道でも不通区間のあるところがございます。そういった意味では三十三年当時よりも地方部とそういう整備されたところとの格差がかなりあるといったことかと思います。  地方部におきましてはそういう意味ではまだまだ緊急な事態でもございますし、それから都市部においても、では今の二車線とか四車の道路でそれで十分なのかという話になりますと、これは先生も御存じのように車の量が三十三年当時とでは全然違います。むしろ三十三年当時の方が恐らく車一台当たりの道路面積とかそういうのは大きいんじゃないかと思うぐらい現在車はふえてきております。都市部においてもそういう意味では緊急にやらなくてはならない課題の一つではないかと私ども思っておりますので、そういうことで緊急の言葉を御理解いただきたいと思います。
  108. 武山百合子

    ○武山委員 緊急というのは、体の血管でしたら、死んでしまうときにもうばっとやるということですよね。ですから、道路もそのようにやっていただければそれはそれでやはり緊急だなと思うわけですから、それでやっていただければ国民の信頼はあるわけですよ。ですから、緊急の意味をそのまま言葉どおりに実行していただきたいと思います。信じております。  それでは、その次に伺います。道路整備五カ年計画は建設大臣が策定して閣議決定のみで決定されているわけですけれども、これは閣議決定のみでどういうふうにして透明性確保されるのでしょうか。建設大臣の瓦大先輩、お願いいたします。
  109. 佐藤信彦

    ○佐藤(信彦)政府委員 五カ年計画でございますが、これは計画的な事業実施を行うための目安でございます。そういったことで、これをもって具体的な支出がどうということではないわけでございますが、一応国会での審議を受けた後、その審議の内容を踏まえまして閣議決定をするといった順序になっております。
  110. 武山百合子

    ○武山委員 それでしたら透明性確保するために国会で決定した方がいいんじゃないかと思うのですけれども、いかがでしょうか、瓦大臣。
  111. 瓦力

    ○瓦国務大臣 今ほどは大変失礼いたしました。実は武山先生から私に対しての要望がなかったものですから、冒頭にお答えして、ちょっとほかを見ておりまして、失礼したわけでござい.ます。  実は道路整備五カ年計画は目安として持っておりまして、計画的な事業実施に取り組むいわゆる目安である、こういうことでございまして、直ちに年度ごとの具体的な歳出を伴うわけではございませんで、毎年度の予算で国会の御審議を受けながらやってまいるわけであります。  一つの目安としてこの五カ年計画を提示をして、それで国会におきましてその時々、折々の予算に伴う問題として諸先生の御批判を受けながら、また御指摘も受けるわけでございますが、計画的に進めてまいるということの一つの目安としてこの五カ年計画を設定しておる、こういうことで御理解をいただきたいと思うわけであります。
  112. 武山百合子

    ○武山委員 これはたしか莫大な予算が伴うわけですよね。平成十年度から十四年度に至る五カ年計画におけるいわゆる財源、七十八兆円というのがたしか出ていますよね。ですから、これだけの中身が五年間に動くわけですけれども、これでしたらやはり透明性という意味で情報公開、すなわち何をやっているのかということを国民にわかりやすく、国民も知りたがっている、私も知りたい、そういう意味で透明性確保するために国会で決定すべきではないか。その辺莫大な財源をやはり使うわけですよね。この七十八兆円というのは五年間で使うわけですね。これは一年間で使うのじゃないですよね。五カ年計画というのは五年間で使うわけですよね。そうしますとこの辺の透明性は、だれでもその中身を見ることができるのでしょうか、佐藤局長
  113. 佐藤信彦

    ○佐藤(信彦)政府委員 透明性の話でございますが、これは先ほど来もちょっと議論があったわけでございますが、私ども道路事業を進めていくに当たって道路利用者の方々、国民の方々、いろいろな意味で道路の整備がどういうふうに行われているかということをお知らせしたりあるいは御意見をいただいたりといったことは進めてきているところでございます。  特にこの五カ年計画に際しましては道路審議会におきまして、その五カ年の中で進めてきたものにつきましてこれまでの問題それから今後の問題、そういったことをまとめていく場でございますが、そういった建議をまとめて今回の場合もしてきているわけでございます。  それをまとめるに当たりまして国民の皆さんの御意見を伺うといったことで、パブリック・インボルブメントという形でインターネットなどを活用しまして全国十三万人の方々の御意見を伺ってこういったものをまとめるとか、それから三十二の地域ブロックにおきまして地域の経済界が作成しましたあるいは公表しましたビジョンや提言をベースにしたり、あるいは都道府県とかそれから四百三十七の地区でいろいろ公表された提言等をベースにいたしまして、昨年の概算要求の段階で道路整備五カ年計画の案を作成したところでございます。  そういったことでこれを五カ年計画にまとめまして、今回こういった審議の場でいろいろ御指導いただいているところでございます。そういったことで情報の透明性につきましては従来から非常に気をつけて行っているところでございます。  それから、先ほど国会承認云々というお話がございまして大臣からお答えいただきましたが、そういった形での承認ということになりますと、もともと計画的な実施をするための目安の形でやっておりますので、これをそういう承認といった形にしますと年度につきましても財政や事業実施の機動性それから弾力性、そういったものをむしろ阻害するおそれがありまして、そういったことで現行の方でお願いしているところでございます。
  114. 武山百合子

    ○武山委員 今まで一回もやらなかったものを、まだやってもみないのに機動性がなくなるのではないかという発想はおかしいと思いますね。やってみて本当に動かなかったらやはり考えるということでしたらわかりますけれども、やってもみないで機動性がないというのはおかしいのじゃないかなと思うのです。やはり閣議決定をする項目というのはこれからどんどん少なくしていかなければいけないと思うのですよ、閣議決定ですべて決めるというのは。やはり民主主義の日本なわけですから民主、民がやはり主になっていく政治にシフトしていかなければいけないと思うのですね。  それから、いわゆる国民に公開し意見を取り入れていくというのはすごくいいことだと思います。それは言葉じりだけをつかまえますと確かにいいようですけれども、国会を飛び越えてばっと国民に行ってしまっているわけですよね。ですから、真ん中のやはり国民の代表である国会が決定すべきじゃないか、立法府が決定すべきじゃないかと思いますけれども、これでたくさん時間とりたくないものですから、また後日、佐藤局長とはやりたいと思います。もちろん瓦大臣ともやりますけれども。  それでは、今の中身の件でもう一つ聞きたいのです。この調整費というのは五兆円となっています。年間一兆円になりますけれども、この調整費というのは何なのでしょうか。
  115. 佐藤信彦

    ○佐藤(信彦)政府委員 これはかつて予備費とも言っておりましたが、計画の中で従来予測していたいろいろ、事業で一応決まっているものがあるわけでございますが、そういったものに合わないものあるいは緊急のものとかそういうものが出てきたときに対応するということで今回五兆円を一応計上しております。したがいまして、もともとその事業の中で、有料道路事業とか一般道路事業とかいろいろ区分して計上しているわけでございますが、そういった意味では緊急の際の対応ということになりますので予備費的なものでございます。
  116. 武山百合子

    ○武山委員 ちょっとよくわからないのですけれども、新たな道路整備五カ年計画の案、これは十一次と比較しますと調整費が三・五七倍と物すごく大きくなっているわけですね。その中から調整費を除きますと投資額は実際は減っているわけですね。そうすると調整費とはどんな性格のものかなと、もうちょっとわかりやすく説明していただけますか。
  117. 佐藤信彦

    ○佐藤(信彦)政府委員 調整費でございますが、これは今後の経済情勢とかそういう不測の事態に備えまして計画自体を弾力的に運用するといったことで計上しております。なお昨今の経済情勢の問題もございますが、特に自然災害、こういったものの頻発状況などを踏まえますと調整費を計上していかなくてはならないのではないかといったことで上げさせていただいております。
  118. 武山百合子

    ○武山委員 では、ぜひもう少し詳しく調べて、中身を知らせていただきたいと思います、細かく、どういうものに出ているかということで。  それから、次に入ります。  私は日本の道路整備状況というのは、確かに高速道路の料金や何かはもう料金所は多くて高い、本当に公共料金が高いという印象なんですけれども、実際はまだまだ、利便性を考えましたら便利かというと全然便利じゃないわけですよね。私は埼玉県の東部に位置している町に住んでおりますけれども、そこはもちろん高速道路もありませんし国道あるのみで、縦に高速道路は完備されましたけれども横にはほとんどないところなんですね。  それで、首都圏と言われながらも本当に交通の便の悪いところに住んでいますものですから、道路整備を進めるためには私は全体のチェックをして、むだはもちろんなくさなければいけないと思いますけれども、機会の平等であって結果の平等じゃないと思うのです。今結果の平等であらゆるところに高速道路ができているわけですよね。それで、先日九州に行きまして高速道路に乗りましたら、もう関東と比べたら比べ物にならないくらい車の数が少ないわけですよね。今の東京の一極集中である以上はやはり道路の整備というのはしていかなければいけないと思うのです。  それで、その財源の問題なんですけれども一般財源を多く投入すべきじゃないかなと私は思うのです。公共料金高いじゃないか、建設省はもう何しろ不透明で何しているかわからぬと一般の国民は思っているものですから、私は効率性とかいわゆる透明性とかそういうものをきちっと確保した上で足りないところは一般財源を投入しなければならない。まだまだ不便を来している、道路という意味の社会資本は整備されていないと思うのですけれども、その辺はどう思いますでしょうか。
  119. 佐藤信彦

    ○佐藤(信彦)政府委員 道路の整備並びに高速道路の趣旨かと思います。道路の整備につきまして、もちろんむだのないようにつくっていかなければならないのですが、ただ、整備していくときにバランスよくやっているつもりでございますが、道路なんかができてくる段階で幾つかの道路が重なるところでは必ずしもぴったり合わないといったところがあって、整備が一部おくれるところがあるとか、そういったことがやはり渋滞の原因になったりとかいうことがございます。そういった意味では整備に当たりましてバランスよく整備をやっていかなければならないと思っております。  特に、縦方向、横方向というお話がございました。埼玉県におきましては南北方向、放射状は高速道路の整備は済んでいるわけでございますが、横断方向、外環が一部できておりますが、国道十六号等の整備がまだ十分に進んでおりません。そういったことで、外環とかそういった意味ではこれからバランスをとった整備を進めていきたいというふうに考えております。  それからもう一つ、まあ料金の問題だと思いますが、一般財源を投入して高速道路の整備あるいは有料道路の整備ということでございますが、料金が高いというお話ももちろん私どももよく伺っているところでございます。  これは、我が国の場合、道路の整備を行い始めましたのは、先ほど話の出ています昭和二十九年から第一次の五計が始まっております。そういったことで、一般道路の整備が始まり出したときに、そのときにあわせてまた高速道路も整備しなくてはならない。これは先生よく御存じのように欧米ではむしろ一般道路については馬車交通の時代にもう整備はほとんど済んでいて、車の交通が入ってきたときには高速道路を整備できる状態にあった欧米と違いまして、我が国の場合には戦後ようやく、両方一度につくらなくてはならないといったことで両方の整備が同時に始まっております。そのときに高速道路、有料道路、これは有料道路制度でやはり利用者の方々の料金をいただいて整備していくということでやらせていただいているところでございます。  ですが、確かに料金が非常に高くなってきていることは、建設費自体がコスト削減を行っても用地の問題とかそれからもろもろの問題でやはり従来よりは高くなってきているといった状況でございますので、どうしても料金が高くなるといったことはございます。そういった中で少しでも一般財源を投入してということで、高速道路につきましても従来よりはかなりふやしてきているところでございます。そういったことで、料金をなるべく上げないようにといったことで今対応しているところでございます。
  120. 武山百合子

    ○武山委員 では、後ほどで結構ですので、去年、おととしあたりの、一般財源をどのくらい導入しているのか、額をぜひ教えていただきたいと思います。  それでは早速、この高速道路の実際の料金が高いとか出入り口がないとかという点でちょっと質問したいと思います。  私、実は首都高利用しまして、そして常磐道に入りまして、それで流山という何か新しい出入り口が実はできたのですね、それで流山でおりまして、そして千葉県の野田松戸有料道路というのを通りまして、野田橋というのを渡りまして、それで北上するのですね、そうすると私の町に入るわけなのですけれども、いつも腹が立つのですよ。なぜかといいますと、首都高でお金を払いますね、常磐道でお金を払いますね、それで今度松戸の有料道路に入りましたらまた料金所があるのです。これは帰りですね。今度は向こうから、地元から来るときもっと腹が立つのです。実は松戸の有料道路で一回取りまして、そして流山で高速道路に入らないのにまたもう一回取るのですよ、本当に短い間で。それで今度は三郷に入りまして取りまして、また八潮に行って取るのです。四カ所、本当に短い間に、五分か十分の間で取るのですよ。  もうちょこちょこちょこちょこ取ります。それでいわゆる日本道路公団首都高速道路公団、それから地方自治体などが管理主体になっているわけですね。それで料金所が多くて本当にいらいらすること。それから料金も足してみると、ちょぼちょぼしか取らないのですけれども合計、高いのですよね。もう出口だけで一括して徴収してくれないかと思うのですよ。何でできないのかなと思っているのです。私が大臣になったら絶対一つにしてしまうと思うのですけれども、例えばJR各社の運賃とか料金とかの計算と何か同じようなシステムがとれないのかどうか。買うときは切符は一枚であとは乗り継いでもできるわけですよね。それはもう国民はかんかんになって怒っているわけですよ。いつになっても料金所が多くて、もう本当にこの辺どう思いますでしょうか、瓦大臣。
  121. 佐藤信彦

    ○佐藤(信彦)政府委員 有料道路の場合に料金を払うといったところで渋滞を起こすということは非常に御不満というか、それを一身に公団関係者、我々も受けているわけでございます。本当に料金所一つにできれば一番いいという感じでございます。ですが、実際上は事業者が違うとかそれからあるいは道路公団の中でも均一料金でやっているところとそうじゃないところ、対距離といったようなところがございまして、そういったところはやはりそれなりのサービスを行うためにそうなっているもので、なかなかそういうぐあいにはいかない。できれば二つのものを一つに取るといった努力はまずさせております。  ですが、これでは十分に対応できないといったことで、先ほどもちょっと大口先生から御質問がございましたが、料金所でフリーに通れるETC、ノンストップ自動料金収受システムというのを現在検討し、かつ試行的に神奈川の小田原厚木道路でちょっとやっております。これはもちろん料金所の方にそれなりの装置をつけなければならないですし、車のフロントガラスのところにそれなりのものをつけてやるわけでございますが、こういったものを利用すれば恐らく料金所でとまらないでそのまま走っていけます。それから、そういうものをつけたことによって料金もカードとか銀行口座から引きおろすとかそういったことで、この料金所が三つあるとか二つあるとかそういったことについての対応としては恐らく十分できるのではないかというふうに考えております。できれば五カ年計画内にかなりのところで実施していきたいというふうに思っております。
  122. 武山百合子

    ○武山委員 これは全部建設省特殊法人ですよね。日本道路公団首都高速道路公団、阪神高速道路公団、これはたしか建設省特殊法人ですよね。それで、建設省特殊法人でいて何で建設省がリーダーシップをとってそれをできないのですか。いろいろなしがらみだなんだと言っていて、この道路ってだれのためにある道路なんでしょうか。
  123. 佐藤信彦

    ○佐藤(信彦)政府委員 四つの公団がございますが、それぞれ、それだけの中での独立採算制にもちろんなっております。それで、先ほどちょっと申しましたが、同じ道路公団の中でも均一料金で料金を取っているところとそうじゃないところとではやはり料金の取るところが違ってくるか、あるいは一カ所で処理できるところもあるのですけれども、そういったことでの対応になってしまうわけです。ですから、先ほど申しましたETC、これを使うことによって今の料金所でとまることも、恐らくとまらないで済むのではないかといったことで対応できるのではないかと思います。
  124. 武山百合子

    ○武山委員 ぜひ局長さん、一週間でも車を運転して毎日通ってみてください。本当に腹が立って嫌になりますよ。国民のためだと思いながら税金を投入してつくったわけですよね。それでいて現実問題として何か全然国民のためじゃないのですよ。高速なんて言いながら高速じゃないのですよ。実際にもう本当に渋滞なんですよね。それで、首都高なんというのは、箱崎なんというのはみんなあきれて自然渋滞だから、しょうがない、自然渋滞だからで片づけるよりほかないのですよね。日本人は優秀だと言いながら何にも知恵も出ない、お金だけは出すけれども。じゃ、何だろうというのですよね。  それで、何が根本にあるのか、収支報告だとか、実際に料金の高いという部分、実際にどう使われているのか、そういう収支報告をやはり国民の前に出すべきだと思うのですよ。それで、五カ年計画の中で今からやりますなんて、今まで考えなかったのでしょうか。
  125. 佐藤信彦

    ○佐藤(信彦)政府委員 ETCのシステムについては今五計の中でやっていきたいということでございます。  それから都市高速の料金、その中での使われ方とかそういったものについては公団からPRも兼ねましていろいろなところでパンフレット等を出しているところでございますが、そこら辺のところが必ずしも十分ではないのではないかというふうな感じがいたしております。  それから、首都高などの場合ですと、そこで徴収された料金というのは、借入金でやっていますのでそれを償還の方に回すといったこととか、それから金利、維持修繕費、管理費といったような、その中ではそういうものが主体になってきているかと思います。
  126. 武山百合子

    ○武山委員 そうしますと、局長さんのお話を聞きますと、現存するものはそのまま残して、相変わらずいわゆる料金所はそのまま使用して、なおかつ新しいシステムを導入していこうという考えですよね。そうしますと、現存しているものをそのまま残しておくということは、渋滞はほとんど変わらないのですよ。それで新しいシステムを導入していくというのは、それはもうほとんど微々たる、半歩か四分の一ぐらい、二五%程度ぽっと出たくらいなスピードなわけですよね。それでは二十一世紀だめだと思いますよ。  改革していくということは、古いものを壊していかなければいけないのですよ。古いものを壊して新しいものをつくっていかなければいけないのですよ。二十一世紀は日本はどうするのだ、意識の変革だ、改革だと言いながら、じゃ建設省はどういうふうにして意識を変革していこうというのですか。
  127. 瓦力

    ○瓦国務大臣 御指名ではございませんでしたが、武山先生がいわゆる利用者の立場に立って今料金所の幾つかの難問、関所を通らなければならない苦痛を率直にお述べいただきました。私も図面を見ながら、首都高速から常磐自動車道に入り、そして松戸野田有料道路に入るというところでございますので、あるいは料金所がいろいろ複雑になっておる箇所かな、こう思いまして、ETCという話はこういう隘路を抜くためにも必要だな、こう思うわけであります。  なお、率直な御意見は私ども謙虚に受けとめまして、どういう工夫ができるのか、このことにつきましては、可能かどうかはともかくとして、私は御指摘部分というのは考えてみなければならない問題があろうかと思いますので、私も研究をさせていただきたいと思いますが、今局長からそれぞれの分野のそれぞれの財政運営の問題にもかかわるというようなこともございましたので、むべなるかなと思いつつ、今先生の幾つかの御指摘を拝聴したところでありますので、少し私も研究させていただきたい、こう思います。
  128. 武山百合子

    ○武山委員 いや私は納得がいきませんけれども、これだけで議論したくないものですから、やはり建設省は非常にこちこちで、わからず屋の省だということを非常にきょう感じました。  局長さん、申しわけないですけれども局長さんの答弁を聞いていたら、とても日本は二十一世紀の道路、外国からも観光客が来て、一回来たら、日本は道路事情は悪い、公共料金は高い、物価は高い、もう二度と行きたくないよ、そういう国になってしまいますよ、そういう頭の中身でしたら。やはりもっと柔軟性を持って、世界じゅう見てきているわけですから、どういうふうにしたらもっと国民が便利で、そしてなおかつみんなが豊かだなと感じられる、そういう道路をつくってくれないと、私はもう本当に腹が立ちます。  それから、次に移りますけれども高速道路の出入り口について。実は首都高から東北自動車道に入りまして、私は岩槻でおりるのですけれども、次の高速道路の入り口、出口が久喜なのですよね。その間に町が幾つかあるのですけれども、欧米に比べまして日本は高速道路の出入り口が物すごく少ないのです。そして、出た道路は幹線道路につながっているものですから、交通がもう年がら年じゅう自然渋滞なのですよ。  ですから、高速道路一つの町に一つぐらいずつ出入り口を設ける。もっと簡単に出入り口がつくれるような−アメリカなんかは、南北に町が大きかった場合は一つの町に二つも三つも出入り口があるのですよ。それでやっと利便性を感じるわけですよね。岩槻と久喜の間で、もし久喜まで行ってしまいましたら、とんでもない時間も費やさなければいけないし、また戻ってこなければいけない。今度、出た道路はいつも自然渋滞で混雑している。やはり出入り口をもっともっと簡単につくらせるべきだと思うのです。それが国民のための利便性だと思うのですよね。そういうお気持ちがあるかどうか、そしてどういうふうにしたらできるのか、ぜひお話しいただきたい。地方がどのくらい負担をして国がどのくらい負担をしたらいいのか、その辺ぜひお聞かせいただきたいと思います。
  129. 佐藤信彦

    ○佐藤(信彦)政府委員 高速道路のインターの追加でございますが、高速道路につきましても採算性の確保とかそういう問題があるわけでございますが、地元のインターチェンジ設置に伴いますいろいろ要望等、そういうものが非常に出てきております。そういったものについて、特にインターチェンジに伴います開発利益をいただきましてそういったインターチェンジを進めていくという追加インターの開発インターチェンジ制度というのが従来進められてきております。  そういった進め方が一つございますし、それから今度、民活絡みの話でございますが、高速道路のサービスエリアとかパーキングエリア、そういうものへ、いろいろな施設からそういうところへ出入りできる取りつけの問題でございますが、そういう法改正を行う予定にしております。そういう中で簡易なインターチェンジができるかどうかといったことも検討課題にはなっております。  そういったことで、最初にできましたインターチェンジのときにはそれで十分だったわけでございますが、その後、利用の形態が進むに従って追加インターというのが必要になってきた場合にそういった形での対応等を現在やっているところでございます。開発インター制度でございます。     〔井上(義)委員長代理退席、委員長着席
  130. 武山百合子

    ○武山委員 では、その開発インターというのは門戸が広いのでしょうか。だれでもどの地区でも本当に利便性を考えてできるのでしょうか。簡単に申請して、そして地元負担とか——簡単というのはばかにした簡単という意味じゃないのですよ。資料を山積みにせずに、本当にここは正論で必要だというところをすっと通すような、そういうシステムにしていかなければいけないんです、行政というものは。一々箱に決めて、これだけ何か持ってこなければいけないなんという、正論の通らないような行政だったら国民のためと言えないんですよ。  みんな不便をして、仕方なく使っているんですよ。そういう不便というのは変えていかなければいけないんですよ。そのためにインターがもっと必要だということなんですね。結局幹線道路に出口をしてしまうものですからその幹線道路が大混雑なんですよ。もっとインターがふえれば交通量というのは緩和されるわけですよ。ですから、その出口の開設がどの地域にもオープンなのかどうか。  それから、経済性ばかりを強調しておりましたけれども道路というのは経済性ばかりを考えていたらできないんですよ。そのために税金を投入するわけですから。ですから、経済性ばかりを主張しておりましたけれども、やはり建設省は国民みんなに便利な高速道路ということで提供しなければいけないと思うんですよ。経済性ばかりで、これは採算がとれるかとれないか、とれないからここはつくらないというような考えではだめだと思うんですよ。ぜひ瓦大臣、お願いします。
  131. 佐藤信彦

    ○佐藤(信彦)政府委員 先ほど有料道路高速道路の採算性の話もさせていただきましたが、高速道路である以上やはりその経済性、そういったものがあるわけでございます。  インターチェンジをつくってほしいという要望は各地でそれは非常にあるわけでございます。ですが、これを全部つくっていくということになりますと、高速道路の整備は今はまだ途中の段階でございますが、それ以上進まない話になってしまいます。  先ほどの開発インターというのも、もちろん地元での負担、そういったものもその中には加わって、そういうものを設置してやっていくといった方式でございますが、もちろんその中では利用者もふえてくれば地元としてもいろいろな意味でのメリットがあるといったことで、やはりそこの地域におきますメリットと負担といったものはついてくるのではないかというふうに思っております。
  132. 武山百合子

    ○武山委員 何だか非常に納得しない答弁なんですけれども、要は経済性があるかどうかで判断するというわけですよね。しかし現実に首都圏はあるんですよ。みんな利用したいんですよ。ないから仕方なく幹線道路におりているんですよ。いらいらしながらみんな生活しているんですよ。それをつくれば必ずあるんですよ。地方分権にもなるんですよ、各市町村に一つずつでもあれば。もっともっと地域が発展しますよ。そういう新しい視点をやはり広く持っていかないとつくれないんですよ。  結局建設省は自分たちの省益だけ考えて、それで枠をつくっているんじゃないか、私は今の答弁を聞いてそう思いました。そういう省庁だったら絶対国民から信頼されないですよ。これはまたぜひ議論したいと思います。  それからもう一つ、それと似ているんですけれども道路標識についてです。日本の道路は非常にわかりにくいんです。子供から大人までわかるような道路標識が必要なんですね。例えば欧米の場合、偶数は道路の右側、左側は奇数とかもう決まっているんですね。それでどこへ行くにも、子供から大人まで道路の名前と番号さえあれば行けるというのが欧米の道路なんですね。  日本の道路は本当に袋小路でそこに住んでいる人じゃないとわからない。昔の隠密の時代のそのまま今もあるわけですよね。本当に江戸時代の隠密しかわからないような道路というんですか、それをそのまま江戸時代から引きずって今もそうなんですよ。それから番号が飛んでいたり大変わかりにくいんですね。私、地元を歩いてみても本当にわかりにくいんです、道路標識。  それで局長さん、最近タクシーに乗ったことはありますか。このごろタクシーの運転手さんが乗っている人に道を聞くんですよ。タクシーの運転手さんがわからないわけですよ。景気が悪いものですから地方から出てきてみんなタクシーの運転手さんになって、それで道がわからないで乗っている人に聞くのです。  私足が悪いものですからしょっちゅうタクシーを使うのですけれども、私が聞かれるんですよね。私全然わからないものですから、そのときに道路標識が出ていれば、ここはあそこ、ここはあそこと言って行けるわけですよ。それをやはり建設省は考えるべきだと思います。だれにでも、子供から大人までわかるわかりやすい名前で道路の角々には全部立てる。そういう社会がやはり透明でわかりやすい社会だということだと思いますけれども、その標識について瓦大先輩、どう思いますか。
  133. 佐藤信彦

    ○佐藤(信彦)政府委員 標識の問題もいろいろございまして、確かに私ども標識を整備するときに、道路をよくわかっている人たちがつけているケースも昔はございました。そうしますと標識自体が、つけられてはいるんですけれども、実際に遠くの方から来られた方には非常に使いにくいあるいは勘違いするような標識になるといったこともございまして、むしろ初めてのところを初めての目で見るといったような検討をさせたりした時代も本省の中ではございます。  そういったこともあるわけでございますので、むしろ道路利用者の皆さんからここの標識はおかしいといったことを伺わせていただくのがいいのではないかといったことで、全国で今二千カ所でございますか、標識ボックスというのを設置させていただいております。そういったものの中で御指摘をいただきましていろいろ直していくといったことをやってきております。  特にその中でやはり一番御指摘が多いのは交差点ですね。全国の都道府県道以上の交差点三万八千カ所の中の一万四千カ所について路線番号とか道路の名称などを標示したりしておりますが、そんなことをしながら少しでもわかりやすくといったことでやっております。そういったことで、交差点につきまして今度の五カ年間におきましては特に重点的にそういった標識の整備をまた進めていきたいというふうに思っております。
  134. 瓦力

    ○瓦国務大臣 きょうは武山委員の御質問で幾つか啓発されるところがありまして、インターの問題につきましてはいろいろ私も考えてみなければならぬところがあろうかと思いますが、一義的にはサービスエリアから通そうかなというやつも実はございますし、きょうは幾つかの指摘をいただいておりますから啓発された思いでございます。  道路標識につきましても私もかねてから、建設省独自でやれるものあるいはまた警察と協議、協調しなければならぬもの等々があるようでございますが、いずれにしろ国際社会を迎えて日本文字だけではわかりにくいところがありますし、数字で追いかけていけばそのままルートがはっきりするというような御指摘もよく理解できます。標識問題はいろいろ研究しなければならない課題だ、かように思っております。  答弁については御不満でしょうが、お許しをいただきたいと思います。
  135. 武山百合子

    ○武山委員 佐藤局長さんのお話を聞いていましたら非常に不満なんですよね。なぜかといいますと申請主義というわけですよね。地方から標識を変えてくれと言わないと変えないというわけですよね。もう地方の人は何を言っても国は何もしてくれないんだとあきらめているんですよ。  ですから国がリーダーシップをとって、皆さんもう何十回と外国に行っているわけですから、どんなふうな標識が一番見やすくていいのかというのはだれだって答えは一つなんですよ。大きく書いてあってわかりやすいところにあるということなんですよ。そんなの議論の余地なんか何にもないんですよ。それは子供から大人までだれもが希望していることなんですよ。そんなの議論して何か決めるなんて、だから遅いんですよ。すべて政策がそういうふうになって遅いんです。そんな消極的な姿勢で二十一世紀なんか本当に沈没してしまいますよ。  ですから私はやはり建設省自体が国土を沈没させてはいけないと思うんですよ。そんなの議論して何か決めるなんて、今から議論なんて本当に情けないと思いますよ。今まで議論してあったのならいいですけれども、でもそれも仕方ないですよね、今まで考えなかったというのですから。それはやはり女性の視点が政治の世界にないからなんですよね。  ですから、本当にこの五カ年計画の中に絶対入れてください。それで、首都圏からもう日本国じゅうに徐々に広げていって、見やすくて、わかりやすくて、だれにでもわかる、そういう道路標識をぜひともつくっていただきたいと思います。みんなそう思っているのです。もう飽き飽きして仕方なくあきらめているんです、ほうり投げているんです、もう何をしてもだめだというふうに。決意のほどを、瓦大臣。
  136. 佐藤信彦

    ○佐藤(信彦)政府委員 私どもも、標識をわかりやすくということは、そう思ってやっておりますので、いろいろな方法を加えながらやっておりますが、またいろいろ御指導方お願いいたしたいというふうに思っております。
  137. 武山百合子

    ○武山委員 言葉じりをつかまえるようですけれども、そう思ってやっておりますと。思っただけでは困るんです。実行していただかないと困るんです。それを政策として実行して、スピードをもって、実際にやはりそういう社会にならないと困るんです。ぜひ言葉を実行していただきたいと思います。  本当にありがとうございました。
  138. 遠藤乙彦

    遠藤委員長 辻第一君。
  139. 辻第一

    ○辻(第)委員 私は道路整備緊急措置法及び奥地等産業開発道路整備臨時措置法に関して質問をいたします。  この間、公共事業のむだや浪費が大きな問題となり、マスコミもたびたびこの問題を取り上げてまいりました。また来年度の公共事業予算は対前年度比七・八%減となっています。その投資効果の評価システムの導入なども言われています。  日本共産党は今の五十兆円という規模の公共事業は全体として大幅な縮減が必要だと考えています。しかもゼネコン型大型プロジェクト中心の公共事業から国民生活に関連した公共事業、防災や住宅、生活道路などに重点を移すべしと要求してまいりました。ところが、今回の法改正により策定される第十二次道路整備五カ年計画の総額は七十八兆円、対前計画比三%増となっています。明石海峡大橋や東京湾横断道路などビッグプロジェクトが終了した今、実質的にはもっと大きな伸びになっていると言って言い過ぎではないと思います。その一方で地方単独事業は大幅な増加となっています。地方財政が国以上に困難な中で地方単独事業を増加させることで道路五計の総事業量だけは確保する、そのようなやり方は問題であります。  そこで建設大臣にお尋ねをいたします。今必要なことは、事業の進め方、予算配分の問題で、高速道路優先ではなく地方道路の整備、豊浜トンネルの事故の例もありますが、地方の道路の整備、改良、安全対策の促進を重点にすべきではないでしょうか。また道路五計の透明化、これは目標と量を閣議決定するだけでなく主要な路線や箇所なども明示し、国会の承認を得るなどその透明化等を図るべきではありませんか。この二点についてお尋ねをいたします。
  140. 佐藤信彦

    ○佐藤(信彦)政府委員 お答えいたします。  先生おっしゃられた最初の方は地方の生活道路交通安全的な改良に重点を置くべきではないかといった御意見でございましたが、道路利用のされ方については極めて多様でございます。例えば日常生活に必要な食料品それから日用品等の輸送につきましても高規格幹線道路を主体とした自動車によって分担されているといったことでございまして、またライフラインの収容空間や都市の骨格形成など、地方、都市を問わず国民の生活上極めて重要な役割を道路は担っておりますので、地方の生活道路も大事でございますが、高規格幹線道路もそういった意味で大事だと思っております。そういったことで、そういったもののバランスをとりながら今後の整備を進めていきたいというふうに思っております。  それから五計の透明化のお話でございますが、これにつきましても私ども、これまで五計を進めるに当たって、国民の皆さんからいろいろな御意見を伺い、かつそれを道路審議会の中で取り上げさせていただきまして、五カ年計画の内容等、透明化を果たすためにいろいろやってきているところでございます。そういったことで、今後ともそういったことを進めていきたいというふうに思っております。  以上でございます。
  141. 辻第一

    ○辻(第)委員 大臣にお願いをしたのに局長が出てこられたわけでありますが、どう申しましても、今高速道路優先と言わざるを得ません。もっと地方道路の整備などに重点を移すべきだと重ねて要求をいたします。また透明化の問題、これはもう極めて不十分だと私は言わざるを得ないわけでありまして、今後十分検討していただきたいと要望をしておきます。  次に民友連提出の法案についてお尋ねをいたします。  民友連の法案では道路五計の決定の仕組みを大きく変えておられますが、この改正により新たに策定される道路五計がどう変わるのでしょうか、お尋ねをいたします。
  142. 樽床伸二

    樽床議員 お答えをいたします。  どう変わるかというのは、最終的な結果につきましては予測は現在の段階では困難でございます。我々は結果としての形を申し上げておるのではなくてその過程、要するにつくっていく過程の段階でもっとオープンな決定をしましょう、こういう趣旨で今回の改正案を提出をしておるわけでございまして、その結果、同じものになる場合もありますし違うものになる場合もある。それは、多くの皆さん方の御意見をお聞きして、その結果がどうなるかということについては今予測困難である、このように申し上げたいと思います。
  143. 辻第一

    ○辻(第)委員 道路特定財源については現在の仕組みをそのまま延長しておられます。昨年民友連を構成しておられます民主党が提案された公共事業の長期計画の透明化を図るための関係法律の整備に関する法律案、いわゆる公共事業コントロール法では道路特定財源を廃止されておりました。日本共産党は、公共事業の見直し、道路事業におけるむだや浪費をなくする上で道路特定財源の廃止は避けて通れないと考えております。民友連のお考えをお伺いいたします。
  144. 樽床伸二

    樽床議員 昨年の民主党が提出された法案についてでありますが、私どもは一切関知しておりませんので、その点から後退云々という話は一切我々は存じておりません。あくまでも民友連で提出をしたわけでもございますし、私も民主党には所属をいたしておりません。ですからそれは全く、後退云々という話は少し話がすれ違っておるのかな、このように考えております。  それから特定財源の問題についてでございますが、今回の政府が出されました法案に対する対案として我々出したわけでございまして、道路特定財源の問題につきましては今会派内でいろいろ議論をいたしておりますが、いまだ結論は出ておらない、こういうことをぜひとも御理解をいただきたいと思います。  とは申しましても、結局我々考えておりますのは、道路を整備していくに当たりまして、必要であるけれども進んでいないところもある、そして必要ないけれども進んでいる、こういういろいろな道路が、路線が混在をするわけでありますから、そういう問題について、なぜ進まないのか、そしてなぜこういう必要のないところに道路がついておるのか、こういうことをしっかりと評価をして、そしてそれを全体の公共投資、公共事業の中に生かしていきたい、このように考えておるわけでありまして、そういう全体のバランスの中で特定財源の問題も考えていきたい、今後鋭意いろいろ我々としましても検討をしていきたい、このように考えておるところでございます。
  145. 辻第一

    ○辻(第)委員 民友連の法案では法律の所要経費として二兆六千八百億円を掲げておられます。これは揮発油税と石油ガス税の道路特定財源分の額で、政府予算と同額でございます。これは、来年度予算の道路事業費は政府案どおりに実施していくとのお考えなのか。この法律による道路整備五カ年計画への自治体や住民の意見の反映の結果つくられた計画との関係をどのようにお考えになっているのか、お尋ねをいたします。
  146. 樽床伸二

    樽床議員 いろいろな方の御意見をお聞きして案をつくっていくにいたしましても、結局それは財源がなければ何にもならないわけでございますので、当然、いろいろな意見をお聞きすることは確かでありますが、財源の問題を全く無視して計画というのはっくれるはずがない、こういうふうに考えております。我々といたしましてはそのような観点で提出をいたしましたことをぜひとも御理解をいただきたいと思います。
  147. 辻第一

    ○辻(第)委員 次に、京都、奈良、和歌山を結ぶ高規格幹線自動車道、京奈和自動車道の問題についてお伺いをいたします。  昨年暮れの十二月二十五日に地元の新聞で大和北道路の地質調査実施するとの報道がありました。京奈和自動車道の大和北道路は京都府木津町と奈良市の府県境から奈良県大和郡山市の西名阪郡山インターチェンジまでの道路でありますが、現在ルートが確定していないこの大和北道路はいろいろな問題を抱えている区間であることから慎重に進められているのであると思います。これまで大和北道路に関して行った調査について御説明をいただきたい。
  148. 佐藤信彦

    ○佐藤(信彦)政府委員 京奈和自動車道でございますが、京都から奈良市を経まして和歌山市に至る延長百二十キロの高規格幹線道路でございます。  本道路は、関西の外郭環状道路の機能を有しておりまして、京都縦貫自動車道、第二名神高速道路、西名阪自動車道、近畿道紀勢線などと連携いたしまして有機的な自動車専用道路ネットワークを形成するとともに、関西文化学術研究都市などの開発計画を支援する重要な道路でございます。  高規格幹線道路に位置づけられました昭和六十三年より調査に着手しております。今まで行ってきたことでございますが、道路交通現況などの基礎調査に基づきます路線の性格の把握、それから沿道環境を考慮しました道路構造及び接続位置の検討、それから土地利用現況、土地利用計画、文化財分布などを勘案しながら、ルートの導入空間の検討、さらに概略的なルート比較案の検討などを行ってきております。  また、本年度におきましては、地下構造案も含めましたルート検討に必要な調査といたしまして、平城宮跡付近の六カ所につきまして、地質や地下水の状況を把握するためのボーリング調査実施しまして、現在そのデータをまとめているところでございます。  今後なるべく早く基本計画等を決定していくよう努めていきたいというふうに思っておるところでございます。
  149. 辻第一

    ○辻(第)委員 この大和北道路のルート確定の上で平城宮跡との関係が非常に重要でございます。昨年暮れの新聞報道もあり文化財関係者を初め多くの人々が大変心配をしておられます。  御存じのように平城宮跡は多くの方々の努力で国の史跡として保存されてきました。現在の国道二十四号は宮跡を大きく東へ迂回していますが、当初、一九六四年の計画では平城宮東院跡を通過する予定で既に事業決定し用地買収も終え着工の調査までしていたのを、平城宮跡を守れという全国的な運動や平城宮跡の保存の重要性から計画を変更したものであります。  また、一九七〇年九月に日本ユネスコ国内委員会と文化庁の主催、ユネスコの協賛で開かれた京都・奈良伝統文化保存シンポジウムでは、開発から世界の人類が共有する重要な文化財として奈良の歴史的な地域と景観を守ることの重要性が強調されています。さらに今世界文化遺産の登録へと大きく動いています。  現在の国道二十四号線は、世界文化遺産の範囲との関係でいいますと、推薦資産を取り囲む推薦資産緩衝地帯の東の端を通り、また東側は歴史的環境調整地域になっております。このように平城宮跡とその周辺は非常に重要な地域であり、開発に当たっては慎重の上にも慎重にしなければならない地域だということであります。この点についての御見解を伺います。
  150. 佐藤信彦

    ○佐藤(信彦)政府委員 大和北道路についてでございますが、奈良市の中心市街地を初め周辺に点在します平城宮町それからウワナベ古墳、コナベ古墳等極めて重要な文化財がありますとともに、法華寺集落などルート選定上配慮すべきことも非常に多い点がございます。そういったことで、これらの文化財保護それから景観の保全等そういったものに配慮しながら慎重に調査を進めていくということが必要であるというふうに考えております。
  151. 辻第一

    ○辻(第)委員 今の御答弁で奈良の古都保存、文化遺産や歴史的景観の保存などの必要性は十分認識をしていただいている、このように思うのですが、先ほど指摘しました埋蔵文化財や景観との関係からいろいろな意見が出ております用地下四十メートルのトンネルにとか、この部分は既存の一般国道でつなげばとか、現在の交通量から見て大和北道路は必要ないのではないかなどなどであります。  建設省としてはこの地下案や一般国道というようなことも選択肢として検討しておられるのかどうか、お尋ねをいたします。
  152. 佐藤信彦

    ○佐藤(信彦)政府委員 これまでの検討結果でございますが、大和北道路の比較ルートにつきましては、大まかに言いまして、奈良バイパスの西側を通過するルート、それから奈良バイパスに沿って特別史跡である平城宮跡付近を通過するルート、これが地下と言っているルートかと思いますがそういったルート、それから三番目には奈良バイパスの東側を通過するルート等の検討をしております。その中で地下のルートというのはいろいろ課題もありまして、今後慎重に調査検討を進めていく必要があると考えております。  いずれにしましても、文化財保護それから景観の保全等十分に配慮いたしまして、経済性や土地利用状況も考慮して調査を進めてまいりたいというふうに思っております。
  153. 辻第一

    ○辻(第)委員 文化財の保存にとって自動車の排ガス、窒素化合物やそれらがもたらす酸性雨も問題になります。既に被害が出ております。少し離れておりますが、東大寺大仏殿前の八角灯籠、これは大仏殿の象徴と言われ、国宝に指定されていますが、悪性のさびによる劣化が進み、現在解体修理をされております。東京国立文化財研究所の調査で、その原因が酸性雨などの環境汚染ということが確認をされました。こういう問題もあるわけでございます。  そこで、国道二十四号線の平城宮跡付近の現在の交通量はどれくらいですか。
  154. 佐藤信彦

    ○佐藤(信彦)政府委員 大和北道路のルート区間となります国道二十四号の京都府・奈良県境から西名阪自動車道の郡山インターチェンジの間でございますが、四車線の道路におきまして、平成六年度に調べたところによりますと、交通量は、一日ですけれども、二万一千台から六万六千台の範囲でございます。
  155. 辻第一

    ○辻(第)委員 最後に建設大臣にお伺いをいたします。  先ほども述べましたように、この地域はかけがえのない埋蔵遺跡や文化財や歴史的景観、あるいはまた地下水脈の関係など、さまざまな問題を抱えております。また、車の通行量が増加いたしますと窒素化合物の問題はますます深刻になるわけであります。この平城宮跡とその周辺は我が国のみならず世界的な文化遺産であるということを十二分に御認識をいただいて、慎重に取り組んでいただきたい、このように考えるわけです。建設大臣の御見解を伺います。
  156. 瓦力

    ○瓦国務大臣 辻第一先生にお答えをいたします。  大和北道路につきまして、先生指摘のように周辺に点在する平城宮跡の極めて重要な文化財、これら文化財の保護でありますとか景観の保全には十分配慮しながら進めてまいらなければならぬ、かように認識をいたしておりまして、奈良県等関係機関の協力をいただきながら慎重に、慎重第一に検討を進めてまいる、そういうつもりでございます。
  157. 辻第一

    ○辻(第)委員 ぜひ慎重に対応をしていただきたい、重ねてお願いをいたします。  次に道路公団の汚職の問題について質問をいたします。  三月二日、道路公団東京第一管理局の課長が逮捕されました。さきに道路公団の井坂理事逮捕という事態の後、日本道路公団は再発防止に全力を挙げるとして内部調査ども行われたはずでありますが、またこうしたことが明るみに出てまいりました。さきに行われた調査などの取り組みも限定的、形式的ではなかったのか、このようにも考えるわけであります。  今回問題となったオムロンと小糸工業に対するここ三年間の発注状況をいただいた資料で見ますと、オムロンが五十一件三十一億七千九百万円、小糸工業が八十一件百八億七千三百万円となっています。このうちオムロンで十七件、小糸工業は三十六件が随意契約となっています。このように随意契約が多い理由はなぜなのか。さらにその他の契約も指名競争入札であります。  さて、オムロンや小糸工業と類似の仕事を請け負っている会社は幾つあるのか、それらの会社の受注のうち随意契約はどのぐらいあるのか、お尋ねをいたします。
  158. 鈴木道雄

    鈴木参考人 お答えいたします。  平成七、八、九年度におきましてオムロン及び小糸工業に随意契約により発注した工事は、いずれも過去に両社が受注した道路情報板等の電気通信設備の改良、改造工事でありまして、これらの設備に関しソフト、ハード面で熟知するとともに、工事施行に当たって現場の状況等に精通した者に施行させることが効率的であり、また他社に発注するよりも一般に経済的に有利となることが期待されることから両社と随意契約を結んだものであります。  また、オムロン、小糸工業に発注した工事と同種の電気通信工事の受注者でございますが、オムロンと小糸工業が受注しておりますのは、通信工事のうち道路情報板、路車間設備等の交通情報設備でございます。これらと同種の工事公団から受注しておりますのは、シャープ、星和電機、東芝、名古屋電機工業、松下電器産業、三菱電機など、両社を含め平成九年度において十六社でございます。  なお、この十六社のうち各社がどれだけ随意契約になっているかというお尋ねでございますが、手元に各社ごとの金額はございますが、随意契約の件数が今手元にございませんので、後ほど資料を届けさせていただきたいと思います。
  159. 辻第一

    ○辻(第)委員 随意契約というのは一般競争入札の例外であり、限られた場合にのみ認められるものであります。今御説明をいただいたのですが、従前にそれぞれの社が行った設備などの改良などの事業である、あるいは精通をしているとか、こういうことで随意契約になったとのことでありますが、それだけに当初の発注が事実上それ以後の受注を保証することにつながる側面を持っております。受注側は一層当該事業を自社にとるために腐心することが考えられます。そこに腐敗につながる危険があるということではないかと思います。  とりわけ今日のように電子機器やコンピューター化の中でこうした事例の根絶は緊急の課題ではないかと思います。再発防止にどのように対処をされるつもりかお尋ねをいたします。
  160. 鈴木道雄

    鈴木参考人 まず随意契約の問題でございますが、今先生の御指摘随意契約でなくて後になっても競争性を導入しろという御指摘かと思いますけれども、現在公団では電気通信設備の新設に際して各種機器の仕様の標準化を極力図っておりまして、標準化を図ることによってその後の、今御説明いたしました改良、改造工事に当たっても競争入札が行えるように努めているところでございまして、今後とも機器の標準化を進めていくことにしたいと思っております。  それから、随契等におきまして業者とのつき合いが長くなるというようなこともございますので、人事面におきましても契約担当者及び工事等の現場責任者について長期在職を排除するよう努めているところでございます。  それからさらに、再発防止につきましては、綱紀の一層の徹底に努めるとともに、今回逮捕容疑となりました今御指摘の電気通信工事につきましては全国的に発注状況とか手続等につきまして現在緊急の総点検を行っているところでございます。その結果を踏まえて積算価格等の守秘情報管理の厳格化、さらには競争性を拡大する、あるいはチェック機能の強化等の改善策を早急に取りまとめて再発防止を図りたい、かように考えております。
  161. 辻第一

    ○辻(第)委員 ぜひ積極的に再発防止に取り組んでいただきたいとお願いをいたします。  最後に大臣にお尋ねをいたします。大分お疲れのようですが。  従来からシステム関係の受注などで極端に低い価格での受注などがマスコミをにぎわした例が少なくありません。一つの建物をつくるなどの仕事と違って、今回の道路公団の問題でも明らかなように、道路交通情報通信システム、いわゆるVICSなどのような事業についてとりわけ贈収賄など汚職の防止に力を注ぐべきではないかと思います。従来の対応では防ぎ切れなかったわけでありますので今後新しくどう対処されるのか、先ほど公団からの御答弁があったわけでありますけれども、瓦建設大臣の御見解を伺って質問を終わりたいと思います。
  162. 瓦力

    ○瓦国務大臣 辻先生からいろいろ思いやっていただいて恐縮いたします。  公団におきまして相次いで不祥事が起きましたことは極めて遺憾でございまして、重大なことと認識をいたしておるわけであります。ただいま総裁からもそれぞれ御報告がございました。私も再発防止を直接強く指示をいたしながら綱紀の粛正に取り組むことを申し上げてきたところでございます。  公団といたしましてはいろいろ、施設協会の改革の推進でありますとか、またそれぞれ改革をしなければならぬときでありますので、かような不祥事が起こらないように、さらに国民の信頼が回復されまして、いずれも事業が滞りなく今後進むように、与えられた使命が全うできるようにやってもらわなければならぬわけでありまして、改めて身を引き締めて強力に公団を指導してまいりたい、かような決意に立っておるわけであります。
  163. 辻第一

    ○辻(第)委員 これで終わります。ありがとうございました。
  164. 遠藤乙彦

    遠藤委員長 中西績介君。
  165. 中西績介

    ○中西(績)委員 道路整備緊急措置法制定以来約四十年間緊急措置法として推移してまいりましたけれども、その間累計二百二十五兆円を超える膨大な財政投資をしてまいっております。しかし、日本の現状というのは社会資本整備のおくれは顕著でありますし、この道路整備を見ても、高速道路あるいは都市の道路面積割合を国際比較の面から見ましても、さらにまた県庁所在地までの時間、高度医療機関までの時間、走行台キロ当たり死者数の倍率、これも先進国と比較をすると倍率は倍近くになっておる。また渋滞状況、歩道の整備あるいは大気汚染の問題と騒音基準達成状況道路災害の現状等をつぶさに検討をしてまいりますとまだまだ未達成あるいはおくれを指摘しなくてはならぬと思っています。  公共事業に対する見方が非常に厳しく、むしろ悪としてとらえるような風潮等もあるわけでありますけれども、私は道路整備の恒久的な計画と措置が今必要不可欠になっておると思います。したがってこの際、このように道路整備緊急措置法として短期間の計画を打ち出しておりますけれども、やはり国民の前に長期にわたるそうしたものを示した上で短期的にどうするかという、こうしたやり方を明確にしておく必要があろうと思うのですけれども、この点はどのようにお考えですか。
  166. 佐藤信彦

    ○佐藤(信彦)政府委員 長期構想をどうだろうかという御質問かと思いますが、これは現在の五カ年計画をつくる前段階で道路審議会の建議をいただいております。その段階でむしろ五年ではなくてもっと長いスパンの、おおむね二十年ぐらいでございますが、そういった中で、物によってはもっと長いのもございますが、そのぐらいのロングスパンでの道路の将来像、それを構想でまとめさせていただいております。逆に言いますと、それに基づいてそういう構想も一応まとめて、その中から今度の五カ年計画でやるものを絞ってきている、そういう計画の立て方を立ててきております。  ですが、どうしても五カ年で行うことは何かという話になってきますので、五カ年ではこういうことという説明を私どもさせていただいておりますが、もともと長期的に将来像をどういうふうに考えるかといったことも建議の中には含まれております。
  167. 中西績介

    ○中西(績)委員 私がこのことを申し上げるのは、道路整備のおくれというのを我々が認めるとするなら、国民的視野からいたしますと、まだまだ多くの道路政策の展開のあり方というものを皆さんと一緒にどうこれからつくり上げていくかということが極めて重要であるわけであります。  特に道路審からの建議書の中あたりを見ましてもそうした内容等が随所に見受けられるわけでありますから、したがって、従来行政一辺倒の道路計画的なものであったものをこれからは新たな道路計画を策定をするということになって、この審議会が二十一世紀に向けての道路政策のあり方として、より高い社会的価値を目指して戦略的施策展開を内容とする道路政策変革への提言を建議しておるわけですね。  こういうものが明らかに出されておるわけでありますから、今先ほど局長申されたように二十年なら二十年という一定の期間を目指してこのようにあるべきだということがみんなの前に明らかにされていって、何か道路建設というとむだ遣いだとかいろいろなことがささやかれるという、そうした誤った考え方をやはり国民の中で解消しておく必要があろうと思うのですね。したがって、こうした問題を考えますと、こうした道路変革への提言、その内容、こうしたものを十分国民の皆さんにわかるようにしていただいた上でこうした計画を持ちたいということを出していけばそんなに大きな問題はないんじゃないかという感じがしてなりません。  特にこの際は多くの国民の意見をあるいは声を入れる方法としてパブリック・インボルブメント方式を採用したと言われておりますけれども、この内容等について特に顕著な面について、こういう面で我々としては方針なりあるいは計画を立てるに当たって取り入れたんだというところあたりを強調しなければならぬと思うのですけれども、特に強調するところがあるといたしましたならばお答えください。
  168. 佐藤信彦

    ○佐藤(信彦)政府委員 建議の中にはいろいろなことが含まれているわけでございますが、特に私ども具体的に取り上げていきますと建議で八つの目標が挙げられております。この目標を中核に据えまして道路整備の主要な課題、これは四つの柱といったことになっておりますが、こういったものを体系的に整理していくといったこと。また五計の大きな柱としてもう一つ新たにその進め方の改革、今までは五計ではこういうことに触れていない傾向がございましたが、評価システムの導入、それから実際に利用される方々それから地元の方々、そういった方々とのパートナーシップの確立などがいろいろ挙げられておりますが、そういったものにも積極的に取り組んでいかなくてはならないというふうに思っているところでございます。
  169. 中西績介

    ○中西(績)委員 特に私が強調したいのは、今先ほども申し上げましたように八つの目標なりを設定をしてやったということでございますけれども、いずれにしましても私はこれに至る過程が物すごく大事だと思っているのですね。それが、先ほど言ったパブリック・インボルブメント方式をどのように取り入れて、国民の皆さんの意見なりあるいは希望なりをこの中に取り入れていったかということが大変重要だと思うからであります。  特にテーマを設定いたしまして、キックオフ・レポート五十三万部を配布をしていろいろな意見を募集した結果が、三万五千六百七十四名、意見としては十一万三千五百件に達するような状況になってきた。その上に立ってまたこの中間取りまとめなどをいたしまして、それを多くの皆さんにさらに配布をして意見を求めていくという、従来なかったこうした方式を取り入れてやったというところに私は今度の整備計画をつくるに当たっての大きな改革的な面があるんじゃないかという気がしてならないわけですね。  そうしたことが今行政にとってもまた大変重要でありますから、先ほど言われましたようにこうした社会的価値の転換によって三つの方針あるいは八つのサービス目標を設定をして、こうしてやったということでありますけれども、その過程を私は物すごく重要視しておるのであります。ここいらが、今まで建設省という省内における論議とそして審議会というわずかの枠の中でしか動いておらなかったところにこうした開かれた道が出てきたというところがいわゆる建設省行政あるいは道路行政の中において顕著であるということを私は指摘をしたいと思います。  したがって、こうした状況道路計画づくりをしていくに当たって、今先ほど局長が言われましたようにこの八つの目標等を設定をして皆さんにそれをお示しをする、こういうことになってきたと思うのです。したがって私は、初めて手がけてやってきたこの中身がどのような特徴点を持っておるかということがこれから後の事業評価の問題だとかいろいろな問題等と関連づけられていろいろ論議されていかなくちゃならぬものですから、先ほど申し上げたように特徴的なものをその中からどう生かしてきたかということを関連づけてお答えをいただければと思っておったわけであります。  そこいらの認識を統一をしておかないとこれから後の論議をするについても、そこいらの食い違いがあって、あなたたちはこっちの方にという主張をなさり、いや私はそれを評価をしてこうだと言った場合に一致する点が見失われるんじゃないか、こうした気がするものですから先ほどお聞きしたということであります。したがって私は、局長言われました三つの方針あるいは八つのサービス目標等を設定をして新たな視点からこの道路行政に向かっておるということを確認をしておきたいと思っております。  その上に立って、こうした新たな試みをした上で審議会建議によって新たな道路整備計画をつくったということになるわけでありますけれども、特に従来と異なって取り入れられた点があれば、主要な点があればその点についてお答えいただければ。具体的な問題について。
  170. 佐藤信彦

    ○佐藤(信彦)政府委員 先ほど四つの柱それから八つの目標といったことを説明させていただきました。この中にはいろいろな目標があるわけでございまして、今までもそういうことは手探り的にはやってきてはいるのでございますが、特に今回の五カ年計画でも取り入れてきておりますのは、進め方の改革、先ほどちょっと申しましたが、評価システムの導入それからパートナーシップの確立といったような、そういう進めていくに当たってのいろいろな対応、これがやはり道路施策としての新しい点かと思います。  そういったことで、事業評価のシステムなどにつきましても、これは九年度以来始めてきたことでございますが、今度の五カ年計画の中で客観的な評価指標を用いまして新しい事業箇所について評価を行っていくといったことも進めることとしております。  またパートナーシップの方につきましても、国民の声が道路管理者のもとに円滑に届くようにということで、その窓口としての道の相談室の設置とかそういったもろもろの仕組みなども検討させていただいております。  そういったことで道路利用者の方へのサービスの向上に今まで以上に努めていかなくてはならないというふうに考えている次第でございます。
  171. 中西績介

    ○中西(績)委員 今、新たな面としての幾つかの課題を言われておりますけれども、その中で、先ほどもちょっと出ましたけれども、主要な課題といたしまして、国民と行政、それから官と民、国と地方の適切な役割を分担した新しいパートナーシップの構築を図るとされております。私は、そうした意味で、ちょっと細かいのですけれども、国民と行政の関係についておわかりであれば具体的にどういうものを指して言っているのだ、あるいは官と民についてもこういう点を中心にしてやろうと思っておる、あるいは国と地方との関係等について具体的にあれば、お答えできればお答えいただきたいと思います。
  172. 佐藤信彦

    ○佐藤(信彦)政府委員 三つの点、御指摘ありましたが、国民と行政とのパートナーシップの確立に向けての今後の取り組み方でございます。先ほど少し申しましたが、複数の道路管理者が道路にかかわる意見、提案、相談等を総合的に受ける窓口、これを道の相談室と言っております。といいますのは、道路種別でどうこうというのは、管理者はよくわかっておりますが、御利用される方々に非常にわかりにくいといった趣旨のことを伺っております。そういったことで、そういった窓口の全国での展開を図るといったこと。それから一般市民の公募によりますモニター制度。今までもあるわけでございますが、もう少し改善した形で、国民の声が円滑に届き、国民のニーズが直接把握できるような仕組みを充実していかなくてはならないといったことで、そういったことを検討させていただいております。  それから官と民とのパートナーシップでございますが、これにつきましては、民間活力の活用を基本といたしまして、高速道路のアクセス制限の緩和とか、それから高速道路空間の合理的な利用などによります新たな民間事業の機会を創出したり、また民間事業者によりまして多様な利用者サービスが提供できるよう高速道路管理及び関連する日本道路公団業務にかかわる所要の制度の整備を行うこととしておりまして、本通常国会におきまして高速自動車国道法等の一部を改正する法律案提出したところでございます。  また、平成九年の十一月には、道路事業を含めました社会資本全体を対象として建設省民間投資を誘導する新しい社会資本整備検討委員会を設置し、海外の民活事例などを参考にしながら、民間活力を活用した新たな整備方策について導入が期待されている分野、官民の役割分担のあり方、整備すべき条件などの検討を行っており、早期にガイドラインをつくっていきたいというふうに思っております。  最後になりましたが、国と地方とのパートナーシップの確立てございます。今後の取り組みとしましては、国においては、地方公共団体では適切かつ効率的な対応が困難である広域的な幹線道路網の管理、整備を実施するとともに、全体のネットワークが効率的、効果的に機能するよう全国的、広域的な視点からの支援を行うということとしております。  また一方、地域に密着した道路に関しては地方公共団体が権限と責任を持って整備することを基本といたしまして、その際、国は特別立法等の法律による地域の支援、それから主な大規模プロジェクトの支援、あるいは特定の施策あるいは新技術の促進の観点から、国による支援が真に必要とされるものに限定して重点的あるいは機動的に支援を行う方向で検討させていただいております。  ちょっと長くなりましたが、そういった新しい観点からの取り組み等を検討させていただいてきております。中にはまだそのとば口に差しかかったという段階のものもありますので、まだ十分にできないことがあるかと思いますが、そういったことに前向きに取り組んでいきたいというふうに私ども思っている次第でございます。
  173. 中西績介

    ○中西(績)委員 私は、国民と行政の問題等についても、例えば情報公開等を含めてまだまだ多くの問題があると思うのですね。したがって、今検討されている分野における問題だけにとどまらず、そうした日本の行政の中で一番おくれておる分野をどのように開いていくかということが一番今重要ではないかと思いますので、そうした点をこれからもさらに追求していただきたいと思っております。  次に、新規事業採択に当たりまして、平成九年度、投資効果を点検する評価システムを導入するということが言われておりました。加えて新たな道路整備五カ年計画案の主要課題でもやはり評価システムを充実させるということが言われております。そこで、具体的にこのような事業の評価をだれがいかなる方法でいつ行うのか、また評価の結果をどのように反映させ、情報公開等をやっていくかということがまた大きな課題になるわけでありますけれども、まだ具体的に実施はしていないといたしましても一定のこうありたいというところあたりはあると思いますから、この点について明らかにしてください。
  174. 佐藤信彦

    ○佐藤(信彦)政府委員 事業評価システムの導入についてでございますが、事業評価システム自体につきましては、これの評価の仕方というのはいろいろな面がございまして、非常に難しい面があるかと思います。ですが、道路局としましては、その手がかりとしまして、平成九年度から費用便益分析を含めました客観的な評価指標というのを用いまして評価を行っております。新規に採択する箇所につきましてこの指標によってどういう評価が出るかといったことを評価を行いまして、それを発表させていただいております。平成十年度につきましても、昨年の十二月に大蔵省から内示された新規箇所についてはそういう評価を行ったところでございます。  今後さらに、こういった評価指標でございますがそれの充実とか、それから事業中あるいは事業後の評価等そういったものについてまた幅広く行っていきたいというふうに思っているところでございます。ですが、最初に申し上げましたように評価の指標の取り上げ方それから中身の評価、その中での評価でございますが、ここら辺がなかなか難しい面がございまして、今の段階ではまだ手探りの段階かと思っております。これからやっていくつもりでございますので、よろしく御指導方をお願いいたします。
  175. 中西績介

    ○中西(績)委員 私この評価システムというのはこれから極めて重要だと思っています。特に財政が厳しいだけにその中でこの目標に対しあるいは計画に対して実績がどうであったか、しかもその問題点がどこにあったかというものをみずからがやはり徹底した評価をしていくという習慣がこれから物すごく大事ではないかと思っています。結局この財源の少ない中で、しかもむだ遣いのないようにしていける体制というのはもう自己管理が一番私は大事ではないかと思っています。  したがって、ぜひそうした面における内容が明らかにできるようにしていただきたいと思うし、そしてそういうものを今度は全面的に国民の前にさらけ出して、そして国民と一緒にどうこの行政というのはあるべきかというものを追求するという、一つの今までなかったことを手がけてきておる道路局でありますから、これから後、多くの皆さんの期待にこたえるようにぜひしていただくようにお願いを申し上げておきたいと思います。  そのほか幾つかまだありますけれども、時間がもうありませんから最後に大臣にお聞きしたいと思うのです。この新たな道路整備計画づくりに見受けられますようにより高い社会的価値を目指した道路行政、大きくこれから変わっていこうとしておるわけでありますけれども最後に大臣のこの時期における決意をお聞かせいただければと思います。
  176. 瓦力

    ○瓦国務大臣 中西委員にお答えをいたします。  ただいま道路局長との質疑を拝聴いたしておりました。道路事業実施に当たりましては、先生から御指摘のとおり、国民のニーズに的確に対応すると同時に、透明性確保して、効果的、効率的に進める必要がございます。今後とも、新しいパートナーシップのもと、パブリック・インボルブメントや事業評価システムなど新しい手法の導入を図りましたり、またコスト縮減等に積極的に取り組んでいかなければなりません。効果的’効率的な道路事業の推進に努めてまいりたい、かように考えております。
  177. 中西績介

    ○中西(績)委員 終わります。
  178. 遠藤乙彦

    遠藤委員長 由中和徳君。
  179. 田中和徳

    ○田中(和)委員 自由民主党の田中和徳でございます。  各委員、大変長時間にわたりましての審議でありますのでお疲れだと思いますが、最後質疑者でございますので、よろしく御協力のほどをお願いいたします。また、既に各委員の皆さんから多方面にわたっての質疑がなされました。幾つか重複する部分もあろうかと思いますけれども、我が党の、自由民主党のたった一人の質問者でありますから、重複の部分は御理解をちょうだいしたいと思っております。  単なる国土建設から脱却し、国民の知恵を絞り、既存のストックを生かしながら限られた予算を効率的に活用していく国土マネジメントヘと建設行政を転換させなければならない、先日建設大臣が所信の中でこのように力強くお述べになりました。私も全く同感であります。その立場に立って今般で第十二次となります道路整備五カ年計画を中心に道路行政について質問をしてまいりますので、本日は蓮実副大臣、大臣になりかわっての御答弁をいただくことになっておりますけれども、また関係者の皆さんの明快な答弁をお願いをしておきたいと思います。  さて、現在の大不況とも言えるこの深刻な経済状況を速やかに克服することこそ政治に課せられた極めて重大な使命であると私は認識しております。公共投資、特に道路整備は大きな経済波及効果を持つものであり、建設業界はもとよりでありますが、各自治体やあらゆる業界からも大きな期待が寄せられております。また本格的な高齢化社会の到来に向けて社会資本整備の充実が急務であることも言うまでもありません。  今日の厳しい財政事情のもと他の長期計画が大幅に見直され、軒並み二年間の延長をされたにもかかわらず、この道路整備五カ年計画は七十八兆円に増額するという案が示されております。財政構造改革推進という大きな足かせが課せられた中このような前向きなプランにたどり着くには与党や政府内はもとより関係者のまさに命がけの攻防とぎりぎりの政治決断がなされたのであります。  また、グローバル化という経済環境の変化に対応するために、量的な問題のみならず質の面でもまたがってない改革が求められております。新たな道路整備五カ年計画には財政構造改革や経済構造改革の考え方を具体的にどのように反映させるのかまずお聞かせをいただきたいと思います。
  180. 蓮実進

    蓮実政府委員 田中委員にお答えを申し上げたいと思います。  新たな道路整備五カ年計画の投資規模につきましては、財政構造改革の趣旨を踏まえまして、実質的に縮減された公共投資基本計画を着実に実施、達成を図っていく観点から、延長された他の社会資本整備関係長期計画とも整合性を図りながら、第十一次道路整備五カ年計画とおおむね同等の規模とされたところであります。一方で、道路整備は移動時間の短縮、輸送コストの低減等によって地域経済の活性化などに寄与するものであることから、経済構造改革の趣旨を踏まえまして積極的な整備が求められているところであります。  今後、本改正案を成立させていただければ新たな道路整備五カ年計画の策定に当たっても、経済構造改革を支援する高規格幹線道路、地域高規格道路等の整備や中心市街地活性化のための道路整備等について積極的に推進するよう検討してまいりたいと存じます。
  181. 田中和徳

    ○田中(和)委員 答弁ありがとうございました。  次に、道路整備の経済効果についてお伺いをしてまいります。  先ほど私は道路整備は大きな経済波及効果を持つと言いました。しかし一方では、産業構造の変化に伴いハード部門での公共投資が以前ほどの経済波及効果を持ってなく、経済合理性を失っているのではないかという主張も聞こえてまいります。国がまさかむだ遣い承知で莫大な投資をするはずがありませんが、しかしながら念のため確認をしておかなければならないと思います。  本日、新聞にも報道されておりますけれども、今回の五カ年計画の中に我が神奈川県の東京湾の入り口を千葉と結ぶ東京湾口道路、あるいは伊勢湾口道路、紀淡連絡道路、関門海峡道路、豊予海峡道路、島原・天草・長島架橋の六つの大プロジェクトも盛り込まれておるわけであります。道路五カ年計画の経済波及効果についてはこの六つのプロジェクトについてどのようにとらえているのか。  また、こういうプロジェクトというのは大変国民的な要望が高い事業でありますし、大変地元でも期待、話題になる事業だろうと思います。計画とはいいながら絵にかいたもちになって、結果においては無責任なプランになってしまった、こういうことになっても実は重大な問題が残るわけでありますから、極めてこういう厳しい時代の中にこういうプロジェクトを盛り込んでいくという私は大変すばらしい計画だと思いますけれども、ここでしっかりと建設省のお考えを伺っておかなければならない。経済波及効果についてもあわせて全般的な御答弁をいただいておかなければならない、このように思いますのでお願いしたいと思います。
  182. 佐藤信彦

    ○佐藤(信彦)政府委員 道路整備五カ年計画の経済波及効果でございますが、道路の場合には、その財政支出が有効需要を創出しましてGDPの増加をもたらすというフロー効果、これは需要創出効果でございますが、これが今回の五カ年計画の実施によりまして平成十年から十九年までの十年間で百三十兆円のGDP増加が推計されます。そのほかに、道路の場合には、建設された後に輸送の条件の改善によりまして、生産、流通の合理化とか企業立地の増加、これらが社会全体の生産力を拡大するというストック効果、生産力拡大効果でございますが、これが同じように十年間に七十兆円増加が推計されております。合わせて二百兆円の、十年間でございますが、波及効果があるのではないかというふうに推計されているところでございます。そういったことで、七十八兆円の投資によりまして二百兆円のGDP増大効果があるということでございます。  それから、新しい五計におきます海峡横断のプロジェクトでございます。これは全総計画でも現在検討されているようでございますが、五カ年計画の中ではこのプロジェクトにつきまして、長大橋等にかかりますコストの縮減を含めました技術開発を一層推進するとともに、周辺環境への影響それから地域の交流、連携に向けました取り組み等勘案しながら、費用対効果等経済調査を推進してまいる所存でございます。  また、海峡横断プロジェクトの実現のためには今後地域の活性化施策とあわせて国民的なコンセンサスを得ることが重要ではないかというふうに思っているところでございます。したがいまして、新しい五計の中ではこれらのプロジェクトの調査を進めましてプロジェクトの具体化に向けて検討を推進してまいりたい、そういうふうに考えております。
  183. 田中和徳

    ○田中(和)委員 今もお話ありましたように金の卵を産む鶏といいますか、大変厳しい時代ではありますけれども、国民ひとしくすばらしい生活が営めるようにこの道路事業というのは大変重要な視点がございます。そして税収にもつながっていく。町づくりにもつながっていく。まさしく金の卵を産む鶏でありますからぜひひとつ努力をいただきたいと思いますし、ビッグプロジェクトは確かに国民的なコンセンサス、これは極めて重要な視点であろうと思います。夢の事業であるだけにひとつしっかりととらえていっていただきたいな、こう思うのでございます。  さてもう一点、先ほども質問が出ておりましたけれども、心配がありますのであえてお尋ねをしますが、調整費の五兆円のことでございます。確かに三%アップということで七十八兆円の数字は大変な御努力だと思いますが、これを差っ引きますと減額になるわけでございます。経済事情が悪いので、不透明だから、そういう部分でこの五兆円があるのかな。私は邪推であろうと思います、私自身の。でも何となく心配な部分でもあります。  先ほど事業内容の中身の調整部分だというお話がありましてやや安心はしておりますものの、本当にこれもやはり不透明な部分であろうと思っておりますが、そういういわばこの時代の特殊性のショックアブソーバーではないかと重ねて心配しておりますので、ぜひひとつその点についてお答えをしておいていただければと思っております。
  184. 佐藤信彦

    ○佐藤(信彦)政府委員 調整費につきましては、今後不測の事態に備えまして計画自体を弾力的に運用するといった観点から計上させていただいております。したがいまして、経済状況の不透明さ、それから道路の場合は一昨年もああいう岩盤崩れとかそれから地震もあるわけですけれども、そういった自然災害の頻発状況を踏まえまして計上させていただいております。また最近のPFI等の民間活力の活用を図る方策、そんなのもありますが、もろもろのそういうことも含めて調整費の計上もいろいろ今回させていただいているところでございます。
  185. 田中和徳

    ○田中(和)委員 我が国は自然災害の多い国でございます。地震といえどもいつ起こってくるかわからない。そんなことを考えると調整費はやはり必要であろうと思いますが、あくまでもそういう意味でのひとつ活用が図られるような調整費であることを私も念じたいと思いますし、また本当に何かあったときのためにということで理解をさせていただきたいと思いますので、財源確保あるいは事業推進、ひとつむだにならないようにお願いをしたいと思っております。  次に、経済効果の視点でもう一点お伺いをしておきたいと思います。  財政構造改革に伴う公共投資予算の削減に伴いまして従来にも増して都市部と地方の間での予算配分についての激しい議論が我が党内でも展開されております。双方ともそれぞれもっともな理由がありますし、そのことは承知しておりますが、あえてお伺いをいたしますけれども、都市部の道路整備を進め大都市や中核都市クラスの渋滞の解消を図れば経済が活性化し、それに伴って税収もふえるのではないか。土地買収のコスト高もわかります、しかしながら一方では地価も相当下がったわけでありますし、費用対効果を考えると過疎地へ重点投資するよりもやはり都市部への投資の方が効率的であり即効性も高い、このように申し上げるところであります。都市と地方への道路整備投資がもたらす効果の比較についてお聞かせをいただきたいと思います。  ただし、私は事前にちょっと聞いたのですが、費用対効果には余り差異がない、計算をしてみたら。これは私はちょっと納得いかないのじゃないかな、計算のやり方が間違っているのじゃないかな、何か違う方程式があるのじゃないかななんというようなことも実は考えておりますけれども、ひとつ答えられる範囲でお答えをいただきたいと思います。
  186. 佐藤信彦

    ○佐藤(信彦)政府委員 都市部の道路の整備状況を見ますと、環状道路の整備が、現在、整備率でございますが九%でございます。それから交通渋滞によります損失、全国ですが約十二兆円。それで都市内の道路整備も依然としておくれた状況でございます。それから一方、地方の自立的発展を支援する高規格幹線道路網、これもようやく計画の半分が整備されたにすぎない状況でございまして、都市部も地方部もそれぞれ緊急な道路整備が望まれているところでございます。  このような国民からの強いニーズのある中で効率的、効果的な事業実施を進める観点から、新規事業の採択に当たりまして、先ほど申しました費用対効果の分析を行い、かつこれだけの項目だけではなく、むしろ渋滞対策とか地域連携などの施策目的、こういったものも評価に入れて総合的に新規事業採択を決定しているところでございます。  そういったことで、むしろどちらがどちらというよりも、こういった厳しい財政状況の中でございますし、そこの各地域に抱えている課題、その中での対応になってくるかと思いますが、そういった地域に即した対応の仕方といったことを今後も考えていきたいというふうに思っております。
  187. 田中和徳

    ○田中(和)委員 そういう答弁ですとなかなか後を追っていくのが難しいのですが、お立場上もうかるかもうからぬかなんというような話はお答えづらいんだろうと思いますけれども、ぜひひとつ御努力いただきたいことがあります。  私は実は、都市部の川崎市の選挙区でありますけれども、もともとの出身は山口県の百姓屋の長男なんですよ。たまに山口県に墓参りもあれば親もおりますから行くわけであります。私は農地も持っておりますが、道路にとられたりいろいろありまして、もちろん公共事業に協力するのは当たり前でありますけれども、相当な過疎の地域の出身でありますから、そこにも道路がどんどんとできていまして本当にいいことでございます。地域の政治家が、県民の皆さんがやはり努力をしていらっしゃる姿を拝しまして大変すばらしいなとうらやましく思っておりますが、一方我が川崎市の道路のおくれたことは何たるか、こういう思いがあるわけでして時間がありましたら後ほどやります。  さて、そういうことで、都市部ではいろいろと議論があるわけでありますけれども道路整備に反対する声も実は多いのですね。仲間の代議士からも、特にここにいる代議士から、そんな地域に道路つくらなくたっていいじゃないか、もっとつくってほしい、つくってほしいというところがあるんじゃないか、そういう声が本当に伝わってくるわけであります。でも、だからといってそれではいけないわけでありまして、都市部にこそ真の道路を使ってすばらしい生活を営めるように、大変虐げられている状況もあるわけでありまして、都市部にこそ努力をして道路をつくっていかなければ建設省の発展もあり得ない、評価もない、このように私は思うわけであります。  そういうことで、市民に、国民に、特に都市部の人たち道路についてもっと評価がいただけるような、正しい評価がいただけるような、先ほども委員お話がありましたのと同様な趣旨になりますけれども、その視点からの努力が我々政治家も必要でありますけれども、もっと行政が踏み込んでやらなければならないだろう、このように私は思うわけでございまして、その点ちょっとお答えをいただきたいと思います。
  188. 佐藤信彦

    ○佐藤(信彦)政府委員 道路整備について都市部においての問題でございますが、これは確かに先生おっしゃられるように、地元に入っていっていろいろな、むしろ反対の声の起こるところもそれはございます。そういった中でございますが、地方部と都市部という分け方は余りよくはないのですけれども、そういったところにむしろある程度道路整備が行われてきているのですが、それ以上に車がやはりふえてきて渋滞が起こったりとか、それから生活環境が余りいい環境ではないといったところがふえてきているわけでございます。私どものそういったところへの対応というのは、むしろ、先ほどもちょっとお話しさせていただきました、やはり道路をどういうふうに地元に密着した道路としてつくっていくかということから始めていかなくてはならないのじゃないかというふうに感じております。  それはやはり、従来の車だけ通る道路とかバイパスだけとか、そういったような単発的な道路の整備をするといってもなかなか都市部では難しい状況でございます。むしろ人を中心にしたコミユニティーゾーン形成事業とか私どもやっておりますが、歩行者とかそれから生活に密着したような道路を中心に整備していくといったこととか、それから、先ほど申しました道の相談室、こういったところに上がってきますもろもろの要望等ございますが、こういったものについての対応とか、都市地域というのはまずそんなことから始めていかないといけないのではないかというふうな感じがいたしております。  それで、その次の段階としていろいろな事業といったことになるかと思いますが、そこら辺のところがなかなか統一したコンセンサスの得にくいところがございます。ですが、そういった中で今みたいな事業をきっかけとして道路の整備を進めていくといったことを考えているところでございます。
  189. 田中和徳

    ○田中(和)委員 阪神・淡路の大震災のときも道路に問題が起こったりした部分の被害が大変大きかったわけでありますし、私の川崎市のみならず、首都圏もそうでありますし、大都市は人口密度が大変高いわけであります。そういう意味での防災上の面からも、本当に何か事あったときには大変なことになるだろうと思うのですね。本当に人命のとうとさを考えるときにこれほど大切な公共事業はないわけでありますから、ひとつしっかりと考えて御努力をいただきたいと思います。  私は一つ提案をしたいと思っているんです。それはやはり人と道路というものがもっと心で通うものがなければならないなと思います。道路を愛する、こういうことだと思うんです。私の川崎でも道路フェアなんてやりまして、市民がいろいろと道路を理解をするための努力を行政と民間でやっているわけですが、どうもなかなかうまくいかないんですね。  先日、豪雨のときに私の事務所に電話がありまして、至急来てくれと言うんですよ。行ってみたんです。すると雨水で戸板が流れてきて道の真ん中にあるんですよ。商店街ですから、道路も車が通れないし邪魔になるからどけてほしいと役所に伝えてほしいと言うんです。私たった三秒でどけました、自分で。何ですか、こんなものぐらい自分でどければいいじゃないですか、だけども先生、これは公道ですよ。公道だって自分でどければいいんです。  また、あるおじいちゃんは盆栽の名手でございまして、自分のうちの前に植えてある低木を手入れをして、夏には水をやったり肥料をやってきれいな花を吹かせて管理しておられます。ところが、ある役所の担当者が行って、おじいちゃん、余計なものを植えられちゃ困りますよ、ここは公道ですから。こんな話を聞いたおじいちゃんが怒ってしまって、田中さん、これはおかしいんじゃねえか。こんな話もあったわけでございます。  確かに調べてみると、全国広いものですから自治体によっては、自分のうちの前は自分できれいにしましょう、管理もしましょう。また地方によっては、草木が伸びて道路に覆いかぶさってきたところを地域の人がみんなで協力し合って道あけをしたり、本当にすばらしい話も聞こえできますが、一般的に都市部の道路は汚いんですよ。平気で物を捨てる人もいますし、自分のうちの前にごみを平気でどんどん出しますしね。  そういうことからすると、安全性の確保できる道路はもっと国民の皆さんに御奉仕をいただく、御協力をいただく、道路を愛していただく。特に小学校の児童とか中学校の生徒なんかに授業の一環として、社会性を持たせるためにそういう活動をしてもらう。国会議員でぜひやるべきだという話も聞こえておりますけれども、いい話だと思います。とにかく業者にすべて何もかも出すんじゃなくて、私たちの大切な公共機関ですから、道路は私たちが管理するんだ、きれいにするんだ、守るんだ、こういう思想を国民運動として定着させるべきではないかと思いますけれども、お考えをお伺いいたします。
  190. 蓮実進

    蓮実政府委員 先ほど道路の問題がありましたが、今渋滞の問題で大体十二兆円ぐらいマイナスがあるというお話がありましたが、やはり都市部の道路も地方の道路も一体でなければならないので均衡を図ってやるべきだろうというふうに思っております。  それから、今田中委員からお話がありましたように、多分ケネディの言葉に、公共団体に要求があるなら、自分が一体公共団体に何をやっているかという、そんなような意味だろうと思っております、やはり自分自身が要求する前に自分が何をもって貢献するかということが大事だろうと思っております。
  191. 佐藤信彦

    ○佐藤(信彦)政府委員 政務次官から御答弁がありましたので私の方があれするのは非常に蛇足かと思いますが、私どもといたしましても、本当に道路を愛して、道路をきれいにするだけじゃなくていろいろな意味で使いやすいものにするといったような観点からも、応援していただく方々また場、そういったことについて一生懸命やっていきたいと思っておりますので、また御指導方よろしくお願いします。
  192. 田中和徳

    ○田中(和)委員 副大臣、ありがとうございました。ケネディ大統領の言葉を引用して、みずからの哲学をお述べをいただきました。ありがとうございました。  これはぜひやりましょうよ。本当にいいことだと思うのです。もちろん危険が伴うということはまずいものですから注意を払わなければなりませんし、自治体、国民挙げて御協力をいただかなければなりませんけれども、ぜひやって、道路を愛するという気持ちをみんなが持てるようにできればと思います。  済みません。政務次官。副大臣と言ってあれですけれども、同じ言葉と御理解をいただきたいと思います。  続きまして、都市、地方という大きなくくりで見れば、人口、産業の集中しているところに重点投資というような話も私しましたけれども、今回の法案は実は奥地等産業開発道路整備計画、こういうものも入っておりますし、積雪寒冷特別地域道路交通確保五カ年計画、この両事業が入っておるわけでございます。当然国全体のバランスを考えることは必要でありますし、風雪に耐えて、厳しい状況の中で、ハンディキャップがある中で社会のために大変貢献をしておられる地域の方々を考えるときにこの行政の視点も大切であろうと思いますが、この部分について真剣な取り組みを求めるものでありますけれども、行政側のお答えをいただきたいと思います。
  193. 佐藤信彦

    ○佐藤(信彦)政府委員 奥地等産業開発道路整備計画でございますが、これは、交通条件が極めて悪く、そういったことで森林資源の開発とかあるいは観光の振興、そういった産業が十分に行われないといった地域について道路整備を行っていくといった趣旨の計画でございます。  現在でもこの地域については道路整備がおくれておりまして、この計画におきましても、生活実態を把握しまして整備効果が大きい路線、そういったものを中心に整備を進めることといたしております。そして、平成十年度以降の五カ年計画の中では、現在投資規模三千四十億円をもって推進するよう進めているところでございます。  それから、積雪寒冷特別地域道路交通確保の五カ年計画でございます。これは、積雪寒冷特別地域におきまして、生活の安定の確保、地域の振興を図るとともに、国民に広く諸活動の場を提供するため、雪国社会の変化に対応しながら地域の特性に応じた適切な冬期道路交通対策を推進するといったことが目的でございます。そういったことで、この十年度を初年度としてやはり雪寒地域の交通計画を取り上げているところでございます。これにつきましては投資規模一兆四千三百億円をもって推進するよう策定を進めているところでございます。
  194. 田中和徳

    ○田中(和)委員 ぜひ御努力をいただきたいと思います。  次に、グローバルスタンダードであるかどうかということでお尋ねをいたします。  経済のグローバル化が進む中、物流コストの低減を初めとして国際競争力の確保がより一層重要な課題になってきております。道路は港湾や空港と都市を結ぶ役割を果たしておりまして、道路を整備することは物流コスト縮減のために非常に重要な条件でありますけれども、先ほどの議論もありますように日本の道路事情は国際水準に比べてまだまだ低いレベルにあると言わざるを得ないと思うのであります。  高規格幹線道路のインターチェンジから十分以内でアクセス可能な港湾が、アメリカやヨーロッパ主要国の平均では全体の九三%に達しておりますけれども、日本ではわずかの三三%であります。ほかに例を挙げれば切りがありません。先ほど電線の地中化の問題もありました。このような世界の状況と比較して、一生懸命取り組んできたけれども余りにもおくれた日本の道路整備の状況が大変私にも気になるところでありますけれども建設省はどのように考えているのか。  特に二十九年あるいは昭和三十三年からの緊急と銘打っての十一次に及ぶ道路事業でございまして、そういうことからすると、いろいろな事情があったことは承知しておりますけれども、今振り返ってみるときにまだまだおくれている。先進国の方が確かに取り組みの時期が早かったし、時間的な比較でも日本は短い期間でここまでやってきたということは評価できるけれども、経済規模、日本の国力からすれば見劣りがするというのはやはり重要な視点でございまして、今までの反省も含めこれからの決意をぜひ語っていただければと思っております。
  195. 佐藤信彦

    ○佐藤(信彦)政府委員 我が国の近代的な道路整備は先ほど申し上げましたように昭和二十九年から始まっておりますが、この時点で高速道路それから一般道路ももちろんでございますが、あわせて整備を行うといったことで欧米諸国とはもう比べ物にならないような状況からスタートしております。  その中で御指摘のようにやはり高速道路の整備が、空港、港湾などの拠点との連絡状況、そういった連絡がいかにうまくいくかによりまして物流の問題、経済の問題に影響してくるわけでございますが、こういったものにもこの影響が出てきておりまして、現在高速道路につきましても二分の一ぐらいの整備率でございますので、港湾に取りつくところも三割程度にすぎない。高速道路で港湾までぴったり取りつくところというのは、アメリカ等におきましては九割、これに対して三割といった状況ですし、それから一般の国道を取り上げましても、四車線以上でございますか、多車線の国道、これは四分の一程度の二五%ぐらいではないかといったことでまだまだ整備の状況はおくれております。  その中でやはり経済状況とあわせて車の量が物すごくふえてきているといった状況がございます。これからそういった意味で整備を進めると同時に、できた道路を車とあわせて有効な使い方をするといったハードに対してソフト部門、こういうものもあわせながら交通の対応、それから道路としての空間の機能の活用といったことを進めていきたいというふうに思っております。
  196. 田中和徳

    ○田中(和)委員 おくれを取り戻すということは、財政事情もある中でございますけれども、ぜひひとつ特段の御努力を願いたいと思います。  もう一点、グローバルスタンダードの視点からお尋ねをしたいと思います。  道路整備事業が公共事業として地域経済にも大変大きな役割を果たすということは私も発言しましたし、皆さんも当然のことと思っておられると思いますが、長期的に不況が継続する中、建設業界はかつてない深刻な経営環境にあります。特に中小零細業者についてはまさしく深刻な状況にございます。公共投資の受注機会に恵まれないことから立ち上がりのきっかけをつかめず瀕死の状態に陥っているというのが現実であります。  先日、大臣も所信表明の中で、建設業の経営改善に関する対策を策定し、中小・中堅業者の受注機会確保対策に一生懸命頑張る、こういうふうな決意を述べられておられます。とにかく建設省の皆さんにお尋ねをすると、努力をしておりますとすぐお返事は来ますが、現実には地方の中小規模の業者は国発注仕事にはほとんど指名参加できないし、またいろいろと厳しい状況があることが解決されないままになっているわけでございます。そこをどうやって分離発注していくのか、どうやってチャンスを与えてやるのかというのがまず一点あります。  続いてもう一つお話をしなければならないのは、日本のコストがグローバルスタンダードであるかどうかという問題であります。  アメリカからも大変厳しい注文も来ておりますし、金融のビッグバンの後はまさしく建設のビッグバンが起こるだろう、このように言われているわけであります。もちろん法律や条例等々ありまして日本の複雑な状況はございますけれども、安いものは高くではなくて、高いものは安くなるというのはやはり世の習いかもしれません。本当に日本の企業がそうなったときに諸外国の企業と日本という土俵の中で相撲がとれるのかどうか、ぜひ御見解をお示しをいただきたいのと、同時に育成策はどう考えているのか、ぜひお伺いをしておきたいと思います。  もう一点、先ほどとつながりますけれども、日本はやはり自然災害の国であります。安かろう悪かろうという建物をあるいは道路をつくっていったのではこれまた重大な問題になります。そういう安全基準というものがしつかり守られてグローバルスタンダードの価格なのかどうか、こういうことをぜひ考えていかなければならないわけでございますので、その点もあわせて御答弁を願いたいと思います。
  197. 五十嵐健之

    ○五十嵐政府委員 お答え申し上げます。  田中先生指摘のように現在建設業全体かなり深刻な状況にあるわけでございまして、特に中小建設業の経営問題というのはかなり大きな問題になっているというのは御案内のとおりでございます。特に、今までも中小建設業の問題というのがいろいろあったわけでありますけれども、最近は中小を超えまして中堅建設業と言われる方々の中から、昨年まあ上場企業の中からも倒産が出るというほどの状況になっているというのは御案内のとおりでございます。  このため昨年十一月、これは政府全体で二十一世紀を切りひらく緊急経済対策ということが取り上げられまして、従前行われておりました中小業者対策に加えて中堅建設業者に対する例えば資金供給の問題でありますとか、そういったような総合的な対策が打ち立てられたところでございます。それから、年が明けましてことしの一月三十日、建設業の経営改善に関する対策、これは先ほどのと違いまして建設業に特化した対策でございますが、八分野二十七項目全般にわたります対策を樹立し、それが二月早々より実施に移っているところでございます。  特にこの中小・中堅建設業者の受注機会の確保につきましては、これは先ほど十一月が最初と申し上げましたけれども、それよりもっと前から上位ランク工事にこの中小あるいは中堅建設業者の参入機会をふやすというような問題でありますとか、それから経常ジョイントベンチャー制度の活用を行うとか、あるいは分離・分割発注を推進するというような手を次々に打ってまいりまして現在に至っているという状況でございます。  それから、御質問の第二点で、国際化が進んだときに日本の建設業が成り立っていくかどうかという御質問でございます。  御案内のように、これは平成六年でございますけれども、公共事業入札契約手続の改善に関する行動計画というのが策定されました。そして、平成八年でありますけれども、WTO政府調達協定が発効いたしまして、大規模工事については内外無差別ということになったわけでございます。  コストの問題でまいりますと、委員指摘のように二割とか三割とか日本の方が建設コストが高いという問題があるわけでありますけれども、ただその背景といたしまして、例えば労務単価でいきますと、これはアメリカとの比較でありますが、日本は二割高いのであります。それから資材費は五割高い、機械損料は三割高い、そういう労務、資材、機械を使って物をつくっていくわけでありますからトータルとしては高いということにはなるわけでありますけれども、外国企業が日本に進出した場合にはやはりこの条件の中で同じような競争をしていくということになりますので、日本の企業が劣後的な地位に追い込まれることはないのではないかとは思っております。  この三年の間に三十件ほど外国企業公共工事入札に参加しておりますけれども、実際に受注に至りましたのはそのうちの四件というような状況でございまして、特に日本の建設業関係が劣後的地位に陥っているということではないと思います。  技術基準等につきましては当然、これは河川にいたしましても道路にいたしましても砂防にしてもダムにしましてもその技術基準が決まっておりまして、それに基づいてやらなければいけませんし、そしてその結果受注した業者仕事がちゃんとできたかどうかというのはそれぞれ発注者が事後的にチェックするということで、もちろん問題があれば補修していただかなければいけませんけれども、そういうことでやっています。その枠の中で価格競争にも日本の建設業は頑張っているという状況でございます。  今後とも中小建設業がさらに経営が安定いたしますように努力してまいりたいと思っております。
  198. 田中和徳

    ○田中(和)委員 日本の建設業の技術力というのは世界一だと私は思うのですね。でもやはりコストも世界一ではないかな、ここが実は気になるところでございまして、どうしてもいい技術を維持するということは事業が継続してなかったらできないわけでありますし、ぜひ業界の育成、特に中小零細と言われるすそ野の部分の育成をしっかりとやっていただきたい、このように申し上げておかなければならないと思います。  さて、ちょっと地元の話をさせていただきます。実は先日アクアラインが開通したのであります。アクアラインは本当に話題の事業でありましたし、私は県会議員の当時から通行料金が高過ぎるというのでさんざん言ってきたのですけれども、亀井建設大臣また建設省の皆さんの英断によって四千円、前売りを三千五百円ということに下げていただきました。  それだけに気になるのでございますけれども、やはりまだ六割七割の交通量の状態でして、海ほたるの満杯ぶりとは様子を異にしております。この原因はどこにあるか皆さんの方が御存じだと思います。簡単に言えば取りつけ道路が全く整備をされていないということなんです。千葉の方もそうおっしゃっていますし、私、川崎の者からすればひどい状態なのですね。あの道路の歴史というのは、御存じかもしれませんが、当時の建設大臣に神奈川県知事、横浜市長、川崎市長がそろって行って、開通までには東名高速道路までの縦貫道路を開通して、その後にアクアラインの開通があるのだ、どうぞ御心配ないようにというお話であったわけであります。  私はせんだって開通式のときに地元の代議士を代表してごあい.さつをさせていただいたのですが、大変ありがたい配慮であったわけでありますけれども、画竜点睛を欠くと言ってあいさつをしたことを御記憶しておられる方もあろうと思います。まさしく延びに延びた川崎縦貫道路のあの事業は実は私にとっても残念きわまりない状況にあるわけであります。そういう意味で取りつけ道路の整備というものを、周辺道路というものをもっと不退転の決意でやっていただく努力建設省に欠けているのではなかろうかな、私はこういう思いがありますのでお答えをいただきたいと思います。
  199. 佐藤信彦

    ○佐藤(信彦)政府委員 川崎縦貫道路でございますが、東京湾アクアラインと首都高速湾岸線に接続します浮島ジャンクションから十五号までの間、これを一期の区間というふうに呼んでおります。それから、さらに十五号から東名までの間十四キロ、これを二期の区間ということで、先ほど先生おっしゃられたようにアクアラインとあわせて整備する方向で進めてきたところでございます。  しかしながら、一期の区間につきましては平成二年に都市計画決定がされ、現在用地買収さらには工事といった状況で進んでおりますが、当該区間につきましてようやく八割程度の用地買収が進んだといった状況で、やはり用地の取得のおくれ、それからいろいろ地下埋設物件の移設などの工事のおくれといったことで完成の時期が大分おくれてきております。ですが、八割方いっている用地でございます。何とか用地買収を完了して工事もあわせて行う方向で今五計の中では何とか完成していきたいというふうに思っております。  二期の区間につきましては現在まだちょっと調査を進めている段階で、地元での都市計画決定とかそこら辺の合意にまだ至っていないところでございますが、我々としては一刻も早く進めていきたいというふうに思っております。
  200. 田中和徳

    ○田中(和)委員 御答弁いただいたのですけれども、実は二期工事が特に問題なんですよ。あれは、当時私は市会議員もやっておりまして、特別委員会のメンバーであったわけですが、建設省からも当然出向かれて何度にもわたって答弁があったわけでありますが、同時着工、同時完成という話だったわけであります。そういうことでここまでずれ込んでくるということはやはり指摘したとおりの問題があるわけでありますけれども、これは本当に頑張ってもらわないといけない。  政令指定都市で、あの多摩川に沿っている長い地形で、高速道路がないものですから川崎の南北を渡るのに東京を回っていく、横浜を大回りで第三や東名を使う、私もやっておるのですけれども。実に大変なことでありまして、臨海部ばかり、余り人のいないところばかり道路をつくったって、それはその効果は認めますけれども、まさしく画竜点睛を欠く、こういうことでありますのでお願いしたいと思います。  もう一点、多摩川が流れておるわけでございますが、東京と神奈川県、まさしく大変な人口を擁している地域を流れる川であります。どこの国に行っても大都市には大変な本数の橋がかかっているわけでございまして、この重大な地域に、ボトルネックというのかこれが原因になってしまって大変な交通渋滞、経済的な停滞を起こしておるわけでございますけれども建設省はどんな計画を持っておられるのか。また、しかかっている仕事もなかなか進みませんし、やっても渋滞が解決しない、こういう問題がございますけれども、あわせて御答弁を願いたいと思います。
  201. 佐藤信彦

    ○佐藤(信彦)政府委員 多摩川の橋梁部のボトルネックの解消ということでございますが、現在かかっております橋自体も大分老朽化も進んできておりまして、さらに幅員等の容量も不足しているといった状況でございますので、現行の橋をまずかけかえし、さらに拡幅するといったことが大事かと思っております。  そういった意味で多摩川の多摩水道橋それと大師橋、これにつきましては現在の橋を後からかけかえることになりますが、わきに新設の二車線の橋梁を現在かけておりまして、これが完了し次第現橋の方をまたかけかえるといったことで、二つの橋とも容量的には倍の容量になるといったことでそこの部分においての渋滞等は大分解消できるのではないかというふうに思っているところでございます。
  202. 田中和徳

    ○田中(和)委員 ぜひひとつ御努力いただきたいと思います。  川崎市は市民一人当たりの国税納付額、極めて高い地域なんですよ。どこが低いとは言いませんが、非常に高い地域なんです。ですから、税を納めたところだけ投資をすると言うんじゃないんですよ、税を納めているところにも投資をしてほしいと言うんです。これは、いつでしたか昨年でしたね、大臣とやりとりしましたけれども、公共投資の金額が政令指定都市で川崎市が最低ですよ。もう何だって大体最低は川崎市。調べてみなくてもわかるんですね。横浜の先生も今何か言っていますけれども、横浜と比べたってえらい差異があるんですよ。そんなことでやや政治家の力がないんじゃないかなというところもありますけれども、ひとつお助けをいただきたいと思います。  さて本論に戻ってまいりますけれども、国際的に見ても国内的に見ても整備がまだまだ不十分でございます。ということで、高齢化や情報化、環境問題、災害あるいは地域活性化への対応など道路の整備を取り巻くさまざまな状況の変化、社会ニーズに的確に対応する必要が今計画にはあるわけでありまして、この道路整備五カ年計画にどのような柱を大きく立てて国民的な理解を得ていくのか述べていただきたいと思います。
  203. 佐藤信彦

    ○佐藤(信彦)政府委員 五カ年計画の主要な柱として四つ考えております。新たな経済構造実現に向けた支援、これは高規格幹線道路とか幹線系の整備かと思います。それから活力ある地域づくり、都市づくり、これが第二でございます。三番目によりよい生活環境の確保。四番目に安心して住める国土の実現。この四つの施策を今回の五カ年計画の柱として重点的、計画的に事業を進めていきたいというふうに思っているところでございます。
  204. 田中和徳

    ○田中(和)委員 本当に厳しい財政の中でやるわけでありますから、本当に期待の事業にしていかなきゃいけない。  さて、先ほど来よりいろいろと議論がありましたけれども、私も実は国民の参加、道路の施策に対して国民が参加するという視点はこれは欠かすことができない、このように思っております。そして審議会がブラックボックスなんて言われることになってはまずいわけであります。当然建設省の方も、先ほど来より御答弁をいただいておりますように、パブリック・インボルブメント、国民参加という視点で十三万人もの方から意見が述べられて大変成果があった、今回はこれだけのものを織り込んだ計画ですよ、こういうお話であったと思うんです。  私はいいことであろうと思いますが、さっきの話とつながってきますけれども、やはり都市部の人たちに御理解がないままに、いろいろな反対があるままに、本当はまさしく国民のためにやる事業が何か違うような批判を受けたり報道を受けたり残念きわまりないことがあるわけであります。そういうふうに考えると、建設省はPRが下手なんじゃないか、やり方が何かどうも手ぬるいんじゃないかとかいろいろな話が伝わってくるわけであります。  そういうことからして私はこの際、こういう非常に新しい方式で新事業に踏み込んでいくわけでありますからPRの方も新しくやっていくべきだと思っているんです。ぜひその点について政務次官より御答弁をいただければと思います。
  205. 蓮実進

    蓮実政府委員 国民の意見を政策に反映をさせ、行政の取り組みに広く理解を求めるために建設省として今後どのように取り組んでいくかという御質問だと思います。  道路審議会は、平成九年六月三十日に出された建議「道路政策変革への提言〜より高い社会的価値をめざして〜」の策定に当たってパブリック・インボルブメント方式を採用し、道づくりに関するテーマを提示し、キックオフ・レポート等を通じて国民と対話を行い、その内容を提言に反映したところであります。この建議を踏まえて新たな道路整備五カ年計画案を作成しておるところであります。  今後の道路施策の推進に当たっては、道路利用者のニーズを的確に道路行政へ反映させるため、パブリック・インボルブメント方式を導入し、国民と対話を行いながら事業、施策の展開を図ることといたしております。  このような行政の取り組みについてプロセスやその結果を公表することにより広く国民に御理解をいただけるよう努めてまいるところであります。よろしくお願いいたします。
  206. 田中和徳

    ○田中(和)委員 大変英語に堪能な政務次官でございますので私と違ってさっと言えるわけでございまして、大変すばらしいなとうらやましく思っておるわけでございます。  最後一つだけお尋ねをして終わりたいと思いますけれども、実は私は国会で十分に審議することができると思っている者でございます。予算案は国会に提案される、そして審議をすることができますし、当然、終わったものについては決算の委員会もありますし、各常任委員会もあるわけでありますし、国会は大変開かれた議論ができる、私はこのように思っておるわけでございます。  その中で今日の五カ年計画、先ほど来より建設大臣からも、また昨日総理からもお話があったように目安である、こういうことであります。私は先ほど来のやりとりの中で、今の事業への取り組みというのは建設省も本当にこれまで以上に真剣に取り組んでいる、このように認識をさしていただいておりますし、なお私が幾つか申し上げて私の不満に思うところもあるわけでありますけれども、それはこれから御努力をいただく、こういうことで私はいいのではないかと思っております。  国会の中で、三権分立ということもありますし、日切れという問題もありますし、そういうことからすると今回の政府提案こそ的を得た法案ではないか、このように私は思うわけでありますけれども、その点について、大臣お見えになりましたので一言御答弁をいただいて私の質疑を終わります。よろしくお願いいたします。
  207. 瓦力

    ○瓦国務大臣 予算委員会とかけ持ちになりまして委員に大変御迷惑をおかけいたしました。  今御質問の件でございますが、道路整備五カ年計画は計画的な事業実施のための目安である、かように私も申し上げておるとおりでございまして、年々の具体歳出を伴うものを、それをまた国会におきまして御審議をいただくというようなことでございます。これは御案内のとおり、財政や事業実施の機動性や加えて弾力性を阻害するおそれがある、こういうようなことで、目安を持ちながら逐年積み上げてまいりたい、こう考えております。  ありがとうございました。
  208. 田中和徳

    ○田中(和)委員 終わります。  皆様の御協力、ありがとうございました。
  209. 遠藤乙彦

    遠藤委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  210. 遠藤乙彦

    遠藤委員長 この際、鉢呂吉雄君外三名提出道路整備緊急措置法及び奥地等産業開発道路整備臨時措置法の一部を改正する法律案について、国会法第五十七条の三の規定により、内閣の意見を聴取いたします。瓦建設大臣。
  211. 瓦力

    ○瓦国務大臣 鉢呂吉雄委員外三名から提出された道路整備緊急措置法及び奥地等産業開発道路整備臨時措置法の一部を改正する法律案につきましては、政府といたしまして反対でございます。     —————————————
  212. 遠藤乙彦

    遠藤委員長 これより両案を一括して討論に入ります。  討論の申し出がありますので、これを許します。中島武敏君。
  213. 中島武敏

    ○中島(武)委員 私は、日本共産党を代表して、内閣提出道路整備緊急措置法等の一部を改正する法律案及び鉢呂吉雄君外三名提出道路整備緊急措置法等の一部を改正する法律案に対し反対討論を行います。  今日、日本の道路投資について多くの問題点が指摘されています。それは、自動車産業の急速な発展を背景に巨額の道路投資が行われ、それが日本経済と社会にさまざまなひずみをもたらしていることです。新しい高速道路が開通してもすぐに自動車で埋まる、自動車はより多くのガソリンを消費し自動車関係税を増大させる、それらの財源は次の道路投資に向かうという、道路投資と自動車生産のイタチごっこの悪循環を生んでいます。  その結果、公共投資の中でも道路投資は常に増大し、まさに聖域扱いになっています。現に本法案成立後に閣議決定される道路整備五カ年計画の投資規模は、他の公共事業が削減されている中で前回計画の七十六兆円から七十八兆円と二兆円も増額されています。この道路投資の根本問題である道路特定財源制度を温存し、さらなる拡大を図ろうとしている、このことがこの法律案に反対する最大の理由です。  さらに、この五カ年計画は閣議で決定されるだけで国会での承認事項になっていません。特定財源や財政投融資を使う道路投資については、立派な国道があるのにそれに並行して、需要の見込みも望めない高規格幹線道路という自動車専用道路を建設するなどの問題点が指摘されています。道路投資の規模、事業内容、投資のあり方について、主なプロジェクトの資料も公開して国会で徹底して論議すべきであります。また国民に情報を公開し、住民参加の制度を拡充するなどの措置をとるべきであります。この問題にも政府案は手をつけていません。  一九四六年から九六年までの交通事故の死者は五十万人を上回り、一年に八十八万人が交通災害に遭っています。自動車によるNO2の排出は地球環境を悪化させ、高速道路沿いの住民は騒音、振動、大気汚染にさらされ、人体に多大の影響を受けています。これらの道路投資に伴うさまざまの問題解決にこたえていない政府案に反対の態度を表明します。  また、鉢呂吉雄君外三名提出の対案は、計画を国会承認事項にする、情報公開と住民参加、事業の見直し規定など評価すべき点がありますが、道路特定財源に手をつけず、それを容認しているものであり、賛成することはできません。  以上で両法律案についての反対討論を終わります。
  214. 遠藤乙彦

    遠藤委員長 これにて討論は終局いたしました。     —————————————
  215. 遠藤乙彦

    遠藤委員長 これより採決に入ります。まず、鉢呂吉雄君外三名提出道路整備緊急措置法及び奥地等産業開発道路整備臨時措置法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  216. 遠藤乙彦

    遠藤委員長 起立少数。よって、本案は否決すべきものと決しました。  次に、内閣提出道路整備緊急措置法及び奥地等産業開発道路整備臨時措置法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  217. 遠藤乙彦

    遠藤委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました両法律案に関する委員報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  218. 遠藤乙彦

    遠藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  219. 遠藤乙彦

    遠藤委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時二十六分散会