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1998-05-13 第142回国会 衆議院 決算行政監視委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十年五月十三日(水曜日)     午前九時二分開議 出席委員   委員長 原田昇左右君    理事 佐藤 静雄君 理事 高市 早苗君    理事 穂積 良行君 理事 村田 吉隆君    理事 上田 清司君 理事 海江田万里君    理事 大口 善徳君 理事 石垣 一夫君       臼井日出男君    大野 松茂君       岸田 文雄君    久野統一郎君       熊谷 市雄君    倉成 正和君       桜田 義孝君    田邉 國男君       滝   実君    東家 嘉幸君       萩山 教嚴君    堀之内久男君       矢上 雅義君    山口 泰明君       山本 公一君   吉田左エ門君       渡辺 博道君    石井 紘基君       古賀 一成君    島津 尚純君       末松 義規君    前田 武志君       山本 譲司君    田端 正広君       若松 謙維君    青木 宏之君       米津 等史君    佐々木憲昭君       中林よし子君    保坂 展人君  出席政府委員         内閣審議官   坂野 泰治君         人事院総裁   中島 忠能君         人事院事務総局         管理局長    尾木  雄君         人事院事務総局         任用局長    森田  衞君         人事院事務総局         職員局長    佐藤  信君         内閣総理大臣官         房審議官    榊   誠君         警察庁長官官房         長       野田  健君         警察庁交通局長 玉造 敏夫君         総務政務次官  熊代 昭彦君         総務長長官官房 審議官    大坪 正彦君         総務庁人事局長 中川 良一君         総務庁行政監察         局長      土屋  勲君         総務庁恩給局長 桑原  博君         法務政務次官  横内 正明君         公安調査庁長官 豊嶋 秀直君         大蔵政務次官  中村正三郎君         大蔵大臣官房長 武藤 敏郎君         大蔵大臣官房金         融検査部長   原口 恒和君         大蔵大臣官房審 議官  大武健一郎君         大蔵大臣官房審         議官      中井  省君         大蔵省関税局長 斎藤 徹郎君         厚生省社会・援         護局長     炭谷  茂君         社会保険庁運営         部長      真野  章君         資源エネルギー         庁石油部長   林  良造君         労働省職業安定         局長      征矢 紀臣君         労働省職業安定         局高齢障害者          対策部長    中野 秀世君 建設省経済局長 五十嵐健之君         建設省住宅局長 小川 忠男君  委員外出席者         総務庁長官官房         高齢社会対策室         調査官     長澤 孝治君         総務庁行政監察         局企画調整課長 熊谷  敏君         大蔵省主計局司         計課長     田頭 基典君         会計検査院長  疋田 周朗君         会計検査院事務         総局次長    森下 伸昭君         会計検査院事務         総長官房総務課         長       船渡 享向君         会計検査院事務         総局第一局長  深田 烝治君         会計検査院事務         総局第三局長  大和 顕治君         会計検査院事務 小川 光吉君         参  考  人         (住宅都市整 牧野  徹君         備公団総裁)         参  考  人         (住宅都市整         備公団理事)  梅野捷一郎君         参  考  人         (海外経済協力         基金理事)   清川 佑二君         参  考  人         (日本銀行総裁速水  優君         参  考  人         (日本銀行理事)引馬  滋君         参  考  人         (石油公団理事)新  欣樹君         決算行政監視委         員会専門員   天野  進君     ————————————— 委員の異動 五月七日  辞任         補欠選任   村山 富市君     畠山健治郎君 同日  辞任         補欠選任   畠山健治郎君     村山 富市君 同月八日  辞任         補欠選任   宮島 大典君     田中眞紀子君 同月十三日  辞任         補欠選任   粕谷  茂君     岸田 文雄君   三塚  博君    吉田左エ門君   山口 泰明君     渡辺 博道君   村山 富市君     保坂 展人君 同日  辞任         補欠選任   岸田 文雄君     山本 公一君  吉田左エ門君     大野 松茂君   渡辺 博道君     山口 泰明君   保坂 展人君     村山 富市君 同日  辞任         補欠選任   大野 松茂君     三塚  博君   山本 公一君     粕谷  茂君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  歳入歳出実況に関する件及び行政監視に関す  る件(公務員倫理その他)      ————◇—————
  2. 原田昇左右

    原田委員長 これより会議を開きます。  歳入歳出実況に関する件及び行政監視に関する件、特に公務員倫理その他について調査を進めます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本件調査のため、本日、参考人として住宅都市整備公団総裁牧野徹君、同理事梅野捷一郎君、海外経済協力基金理事情佑二君、日本銀行総裁速水優君、同理事引馬滋君及び石油公団理事欣樹君出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 原田昇左右

    原田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。     —————————————
  4. 原田昇左右

    原田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。高市早苗君。
  5. 高市早苗

    高市委員 おはようございます。自由民主党の高市早苗でございます。  二月にこの委員会平成目安箱を設置いたしましてから、ファクスを二月四日から受け付け、郵便は二月五日から受け付けを開始いたしましたが、本日までに千二百三十四件、納税者皆様から貴重な御意見をいただいております。これまで、それぞれの委員の他の委員会での質問で反映されたり、また、当委員会でも、特に御要望の多い点、御質問の多い点に関しましてはテーマ別に取り上げたりしまして、委員会審議に反映をしてきたと思います。また、それぞれの方に対してのお返事も、委員長の方からはがき等で、これは委員会で今後検討いたしますとか、これは国会で扱うテーマでないのでそれぞれ地方の役場もしくは弁護士に御相談くださいといった内容のものも、丁寧に送っておるわけでございます。  それにしましても、非常に貴重な納税者からの御意見に対して、数多くの具体的な回答が返っている現状とはまだ言えない状況にございますので、本日は、私にいただきました質問時間を利用いたしまして、納税者皆様から寄せられた質問に関して、もしくは私のところに直接来た要望をあわせまして、行政の方からの回答を具体的にいただいてまいりたいと思います。  まず、大蔵省の方に質問をさせていただきます。  本件は、二月に自民党財政部会の席上でも私から大蔵省指摘を申し上げた点ですが、改善されたかどうか、これを確認したいため質問いたします。  ことし一月二十四日の朝刊に全面広告で、大蔵省通産省自治省中小企業庁政府広報が掲載されました。これでございます。  内容は、三十兆円の金融安定化策、二十五兆円の貸し渋り対策、二兆円の特別減税、八千四百億円の税制改正などについて解説したものでございました。いずれもこれは政府にとって国民の正しい理解を求めることが必要な重要な内容でありましたから、かなりこれ、全面広告ですので費用はかかったかと思うのですけれども新聞広告を出したことの意義というのは大きかったと思います。  数日たちまして、私の地元の奈良県の方から電話がありました。この方は、この広告を非常に丁寧に読んでいただいて、理解をしたいと努めたのだけれども、どうしてもわからない点が一点出てきたので、さらに詳しく聞こうということで問い合わせをされたそうでございます。どこにかけていいのかわからないので、この広告主として書いてある大蔵省通産省自治省中小企業庁の順番に電話をかけられた。そうすると、その広告の件はうちではないと相手にされず、やっとこさ、最後にかけた中小企業庁さんだけが質問に答える努力をしてくださったと。せっかく政府政策を正しく理解しようとしてくれている国民に対して、非常に残念な対応だったと私は思います。  広告料を負担しているのは納税者でございますので、今後ぜひ誠実な対応を求めたいと思いますし、今後、政府広報を出す場合に、必ず内容についてのお問い合わせ先、これは名前だけで、電話番号、そしてどこが一番の窓口かということがどこにも出ておりませんので、お問い合わせ先電話番号を明記していただきたいのですけれども大蔵省におかれましては、その後改善をなされたのか、また、今申し上げましたことをお約束いただけますのかどうか、お答えをお願いします。
  6. 中村正三郎

    中村(正)政府委員 この問題については、高市議員財政部会で御発言になったことも私は聞いておりまして、大蔵省としては対応をしております。政府政策国民に正しく理解していただくということは、特に今みたいに景気対策等いろいろな政策が矢継ぎ早に出てくるときには、極めて重要なことだと思います。  そこで、例えば貸し渋り対策をPRいたしましたときには、各政府系金融機関相談窓口を、ここに御相談くださいということで電話番号を載せまして、書いてございます。また、世銀取り組みについてPRする、世銀に対する援助というのは、これは民間のいろいろなところも御興味あるところだと思いますので、それについても問い合わせ先を明記しております。また、財政構造改革への取り組みについてPRいたしましたときも、これは実はファクス番号を明示いたしまして、そこへ問い合わせていただくようにしております。  ただ、私、今御指摘いただいてちょっと感じましたのは、景気対策ということで各省庁にまたがったことなものですから、かえってこのお問い合わせ先が書きにくかったのではないかと想像するものですから、この問題は内閣全体の問題ですから、こうした各省にまたがるものについてはどういうところが相談受け付けをしたらいいか、大蔵省として問題を提起して、改善するように努力をしてみようと思います。
  7. 高市早苗

    高市委員 ぜひ、各省庁にまたがるものに関しまして、大蔵省から御提案、よろしくお願いをいたします。  次に、会計検査院の方にお伺いをしたいと思うのですが、マスコミや国民皆様から最も象徴的な税金むだ遣いとして指摘されるのは、年度末の予算使い切りのために道路を何度も掘り返しているのではないかといったもので、これを特集した週刊誌の記事などもございました。  道路予算につきましては、各地方自治体が苦労してとったものですから、余ったとしても国庫には返さず、変更をして延長で事業促進を図ったり、用地の未取得で使い切れないという場合では流用の手続をとって別の道路を手がけたりといった方法で、全く必要のない掘り返しをしているわけではないのだろうというように私も承知はいたしております。  また、平成九年四月三日の決算委員会でも、私の質問に対しまして会計検査院は、長期にわたる大型工事や何らかの事情で工期が延びざるを得ない場合に、国庫債務負担行為繰り越し制度で合法的に行われている、公共事業において使い切り目的としたむだな工事指摘した事例はない、こう答弁をされております。  それが事実でありますと、問題は、広報活動の不十分さということになるのじゃないかと思います、今まで年度予算使い切り目的としたむだ遣い指摘した事例がないということですから。しかし、国民の間には広くそういった認識が浸透いたしておりますし、実際にはちらほら、特に役所事務費関係などでその使い切りのためのむだがあるということは、現職の官僚の方からも聞いておりますので、一つ広報活動ということ、二つ目は、実際にこういった使い切りのむだは、事業事務両方の面にわたって、ないと会計検査院が考えているのか、まだ今後調査をする余地があると考えているのか、この辺を伺いたいと思います。  では、ちょっと具体的に会計検査院に、最初に、この道路の掘り返し疑惑についてどう感じておられるのか、誤解があるとすれば会計検査院が今後できることは何であるか、お伺いしたいと思います。
  8. 大和顕治

    大和会計検査院説明員 公共工事のことでございますので、担当している私の方からお答えさせていただきます。  まず、年度末の道路の掘り返しの批判についてどのように考えるかということでございます。年度末の道路の掘り返し工事についての御批判についてでございますけれども道路工事は、道路管理者のみならず、電気とかガスとかの事業者等が掘り返し工事を行うというのが実際は多数含まれておりまして、道路工事の掘り返し工事の大体七〇%以上がこういった工事であるというふうになっております。こういったことが、一般的に道路の掘り返しが多いとの印象を与えているのではないかというふうに認識しております。  こういった事業につきましては、建設省さんにおかれましても、道路管理者を含む各事業主体によりまして、道路の掘り返しを極力少なくするような調整する仕組みを設けられておるということでございまして、最近では、以前に比べまして、相当程度年度末の工事も減少しているという説明を受けているところでございます。本院といたしましては、こういった調整が十分に行われているかどうかという観点も踏まえまして、今後さらに検査してまいりたいと思っております。  もう一点御質問のありました年度末等予算使い切りの問題でございます。巷間いわゆる年度末の予算消化の問題が指摘されているわけでございますけれども検査院におきましては、御質問のような年度末の工事であるとか、例えば公務員出張であるとか物品購入であるとかというような問題につきましては、その必要性などを従来から十分に検査してまいってきたところでございます。その結果につきまして、工事に関しましては、使い切り目的としてむだな工事であるということで指摘した事例はございませんが、調達計画が適切を欠いて、不要不急な物品購入という事態があるということを指摘した例がございます。  いずれにしましても、国民の方からそういうふうな目で見られるというのは非常にいけないわけでございますので、今後ともそういった観点において重点的に検査してまいりたいと思っております。
  9. 高市早苗

    高市委員 今、道路工事に関してのむだの指摘はないけれども、年末の公務員出張とか文房具用品大量購入とか、こういった点については指摘事項があったということですね。それに関して改善は見られておりますでしょうか。
  10. 大和顕治

    大和会計検査院説明員 過去の検査報告指摘しておりますのは、物品等調達計画が適切でなくて結果的には過大調達となっているというふうな指摘でございまして、必ずしも年度末の調達に係るという指摘ではございませんけれども、いずれにいたしましても、その物品トータル、全体の調達の不要不急なものがあったという指摘を過去にした例がございます。
  11. 高市早苗

    高市委員 いずれにしましても、会計検査院の方でも調査結果の、特に国民の興味の高い分野に関しましての広報活動等、少し検討願いたいと思います。  会計検査院からことしの初めにいただきました資料の中で、毎年小冊子を広く配布と書いてあったのですけれども、私はこの委員会に入るまでは、余り外会計検査院の小冊子というのを見たことがなかったのですが、どの程度広く配布されていて、どういった目的のものであるのか、お伺いしたいと思います。
  12. 疋田周朗

    疋田会計検査院長 お答え申し上げます。  私ども検査活動は、一口で申し上げますと、納税者であります国民にかわって税金の使い道を監視するという非常に重い役割を担っておるわけでございますが、一方、私どもの直接の検査対象となります機関は、おおむね公的な機関が多いわけでございまして、一般国民方々と直接接触するという機会が非常に少ないということもございまして、私ども検査活動をできるだけ多くの国民の方により正確に理解していただく必要があると、従来から考えているところでございます。  また、近年、税金の使途に対する国民の関心も年々一層高まってきているところでございますので、私どもといたしましては、十年ちょっと前になりますけれども、昭和六十二年に官房総務課渉外広報室というようなものを設けまして、広報活動の充実を図ってきているところでございます。  ただいま委員から具体的に御質問のありました広報誌とかパンフレットの件でございますけれども、まず、私どもが年間の検査活動の結果を取りまとめまして内閣を通じまして国会に提出しております決算検査報告、これにつきましては、記者発表あるいは論説委員方々への説明会などを通じて、その内容の周知に努めているところであります。  それからまた、検査報告は非常に長文にわたりまして、なかなか全部読み通していただく機会が少ないということで、その内容をわかりやすく要約いたしました小冊子会計検査で分かったこと」というような、わかりやすい形でのパンフレットをつくりまして配布いたしましたり、あるいは会計検査院の組織、権限、業務内容活動等を紹介しました。パンフレットをつくりまして、できるだけ広く配布するというようなこともやっておりますし、さらに、広報誌も毎年出しているところでございます。  それから、昨年の七月にインターネットに会計検査院ホームページというものを開設いたしまして、会計検査院活動検査結果の概要等について閲覧できるようにしたりしているところでございます。  具体的な配布方法につきましては、事務総局の方からお答えをさせていただきたいと思います。
  13. 森下伸昭

    森下会計検査院説明員 お答え申し上げます。  ただいまの、各種多様なあるいは広範な広報活動を行っているわけでございますが、その中の幾つかの小冊子につきまして、例えば検査報告をわかりやすく解説いたしました「会計検査のあらまし」というものにつきましては、一万三千冊毎年作成をいたしております。そして、国会関係者先生方に対しましては千冊以上、それから各省庁会計課経理課等会計経理関係される部局の方に約四千冊、それから都道府県に対しまして約千冊、それから、各国民の方にも内容を知っていただくというねらいのために、公共図書館でありますとか学校図書館に対しまして約二千冊配布をいたしたりしているところでございます。  それから、その他、一般的な検査院業務内容図解入りでお示しをしておりますパンフレットのようなものも一万八千冊作成をし、それぞれ関係の方面に配布をさせていただいているところでございます。  それから、毎年一回発行しております広報誌につきましても、一万部つくっております。  それから、「会計検査でわかったこと」という、これも検査報告をわかりやすくビジュアルに御理解をいただくという目的作成しているものでございますが、これも一万五千部ばかり作成をし、先ほど申し上げましたような関係方々配布をさせていただいて、御理解をいただこうと努力しているところでございます。
  14. 高市早苗

    高市委員 どうもありがとうございました。  それでは、ファクスで寄せられた御要望質問に移ります。  まず一件目は、千葉市の女性の方なんですけれども、この方は、昨年四月に転職したため、以前の勤務先での厚生年金がちゃんと新しい勤務先に引き継がれているかどうか確認したくて、社会保険庁社会保険業務センター中央年金相談室電話した。そうすると、電話に出た人が、それは新しい勤務先を所管している社会保険事務所に聞いてくれと言われて、勤務先住所を言ったところ、多分日本橋になると思うが京橋かもしれないと言われた。次に日本橋事務所電話すると、所管はここでいいが電話での問い合わせには答えられないと言われて、では何時に行けばいいのかと聞きますと、朝の九時半から十一時まで、午後一時半から四時ごろまで、そのように言われた。この人は働いているものですから朝一番か昼休みに行きたかったのですが、どうしてそれができないのかと聞きますと、コンピューターの都合だと言われたというような話です。  この方からの御要望なんですけれども一つは、年金番号がちゃんとわかっている人、要は本人だと思える方からの簡単な質問は、社会保険庁社会保険業務センター中央年金相談室、そこに電話することで調べてもらうことはできないんでしょうか、その所轄のところにわざわざ行ってくれというのが大変な手間であるのでということでございます。  それからもう一つは、日本橋京橋かもしれないというような答え方をされたので、この中央年金相談室では各事務所管轄区域を正確に把握できないんでしょうかと。  最後に、各社会保険事務所勤務時間を朝八時半からにして、もしくは昼休みも含むような形にして、働いている人が職場を休んだり遅刻したりして調べなきゃならない現行の体制を見直してくれないでしょうか。  以上三点の御質問、御要望が来ております。  役所勤務時間というのは非常に難しいと思うのですが、民間でも、出勤時間を早出の人、遅出の人、昼休みなんかも交代でというような対応が可能でございますので、以上、この方からの三点について、回答をお願いいたします。
  15. 真野章

    真野政府委員 お答えをいたします。  電話による相談によるいわば利便性と、年金の場合には大変いろいろなデータを持っておりますので、プライバシー保護、この二つの兼ね合いであろうかというふうに思っております。  ただ、御提案、御投書のありましたように、基礎年金番号がわかっておられる被保険者からの電話による資格の照会に対しましては、住所、氏名、生年月日、就業の経歴などから御本人であるということが確認できました場合には、業務センター中央年金相談室においても記録を調べることは当然可能でございまして、現に回答させていただいているというふうに思います。  ただ、そういう電話利便性プライバシー保護ということでございますので、一番確実だということであれば、お近くの社会保険事務所に行っていただきまして確認をしていただければ、当然のことながら、その場では御本人確認というのがきちんとできるわけでありますので、対応も一番確実ではないかというふうに考えております。  二つ目の、管轄を聞いたところ二つも言うというのはきちっと把握していないのではないかということでございますが、これは当然、中央年金相談室におきましても、各社会保険事務所管轄区域ははっきり把握をいたしております。ただ、事業所の名称、投書では住所も言って問い合わせたということでございますが、住所も地番までわかりません場合には、管轄社会保険事務所の区域が行政区域の中を割っているという場合もございますので、所管の社会保険事務所を特定することが難しい場合もございます。  それからまた、複数申し上げたというのは、現在、社会保険事務所業務センターがオンラインでつながっておりますので、どの社会保険事務所にお問い合わせをいただきましても記録の確認はできるということで、どちらへ行っていただいても対応が可能だという意味で複数申し上げたのではないかというふうに思います。  それから、勤務時間の関係でございますが、社会保険事務所の職員の勤務時間につきましては、各都道府県が条例などで定める勤務時間が適用されることになっております。各県の条例に基づきまして、多くの県は朝八時半からの勤務というふうに承知をいたしておりますが、一部のところでは九時からというところもあるというふうに承知をいたしております。これを一律八時半というのはなかなか難しい面もございますけれども、御指摘の点も踏まえまして、朝の始業時間、また昼休み窓口対応ということにつきましては、各都道府県に対しまして、来訪者が利用しやすい工夫をお願いをしたいというふうに考えております。
  16. 高市早苗

    高市委員 ありがとうございます。勤務時間についても改善の検討をしていただけるということでございますし、また、本人である確認ができれば電話で、中央の相談室で問い合わせ可能ということでございますので、ぜひこれを、職場での徹底をよろしくお願いしたいと思います。  同様に、行政窓口のサービスのあり方ということで数件来ていたのですけれども、この方は千葉県の社会保険労務士の方です。公共職業安定所の執務時間、窓口業務時間についてでございます。これは、数件来ていた全国各地の例は大方一緒だったのですが、午後四時以降は受け付けしてくれない、理由はコンピューターがとまる。さっきと同じなんですが、そういうことで事実上午後四時で終わっているんじゃないかと。  この人は、昭和二十五年二月二十五日の総理府令をつけてきていらっしゃるのですが、官庁の執務時間は日曜日及び休日を除き午前八時半より午後五時までとすると書いてあるのを持ってこられまして、一体どこのだれが四時でコンピューターをとめるのかと聞いても回答がない、日本全国どこの職安でも四時以降受け付けしてもらえないということが白昼堂々行われているじゃないか、多くの国民が困っているというようなことでございますけれども、先ほどの社会保険庁への質問にも関連しますけれども、こういった窓口の時間の改善というのは、時間差等で可能なのかどうか、お伺いをしたいと思います。
  17. 征矢紀臣

    ○征矢政府委員 お尋ねの点でございますが、公共職業安定所におきます受け付け時間につきましては、職員の勤務時間が午前八時半から、御指摘のように午後五時までとされている中で、原則的にはその勤務時間内に来所された方々へのサービス提供が終了するように、各所の実情に応じて設定しておりまして、窓口の混雑ぐあい等に応じて弾力的な運用に努めているところでございます。  松戸公共職業安定所等におきましては、人口急増地帯でありまして、非常に厳しい雇用、失業情勢の中でなかなか対応が大変な状況、そういうことも背景にあるわけでございますが、御指摘の点を踏まえまして、現下の非常に厳しい雇用情勢の中で、来所者の方の便宜に重点を置いた対応、これを早急に工夫してまいりたいというふうに考えております。
  18. 高市早苗

    高市委員 松戸だけじゃなくて、二月から来ました千二百三十四件のファクスのうち、何件とは覚えていないのですが、ずっと見ていますと、結構よその地域でも全く同じ問題がありましたので、ぜひよろしくお願いをしたいと思います。  次に、この方は横浜の高齢者の方なんですけれども、男性です。  所得税法第二百三条の三、第三号の改正をしてほしいということなんですが、具体的には、一度扶養親族なしという申告をしても毎年申告書が送られてきて、なしという申告を繰り返すのは事務のむだだ、扶養親族が生じたときはこちらから申告いたしますと書いてあるのです。実際に、これから超高齢化社会に入り、ひとり者が多くなってくる、ひとりで暮らすという寂しさの中で、これらの者に一々申告書、要はひとり者だという申告書を提出せしめるのは酷でもあると書いてあるのですが、これに関して政府の見解を伺いたいと思います。
  19. 大武健一郎

    ○大武政府委員 お答えさせていただきます。  御存じのとおり、源泉徴収する場合、これは社会保険庁がこの方の場合には源泉徴収の事務をやっていただいているわけでございますが、その源泉徴収税額はやはり扶養親族の状況等を加味して算定されるということになっておりますことから、支払い者であります社会保険庁におきまして、その受給者の扶養親族の状況を把握すること自体はどうしても必要であるということは御理解いただきたいと思います。  そこで、今御質問にありましたとおり、公的年金等の受給者に対しましても、毎年一回、扶養親族等の状況の申告をお願いしているわけでございますが、この制度自体は、税というものの性格にかんがみまして、やはり適正な源泉徴収を行うためには必要な仕組みであるということだけは御理解いただきたいと思います。  ただ、今先生が言われましたとおり、そうした公的年金の特殊性にかんがみまして、実は公的年金の受給者が御高齢であるとか、それから今言われたように新たに扶養親族が増加するといった異動が少ない、ただ実態は、最近は御高齢でも結婚されたりいろいろ状況はあるわけでございますので全く異動がないというわけでは当然ございませんが、いずれにしましても、そうした公的年金等の受給者の申告書の作成手続あるいは誤謬記載の防止というようなものに配慮いたしまして、実は所得税法の二百三条の五という方で簡易な公的年金等の受給者の扶養親族等申告書というものができることになっておりまして、実務上は一般、我々サラリーマン等がやっているものよりはかなり簡易な、社会保険庁あてのはがきの、今言われたチェック欄にチェックするというだけで実は済ませるという形にさせていただいているという状況があることも御理解いただきたいと思います。
  20. 高市早苗

    高市委員 今の問題だけじゃなくて、割と高齢者の方からのファクスが多かったのですね。  行政サービスのあり方ということで、いろいろな事務手続が高齢の方にとってしんどいものになっている。  あと、やはり昔から、特に日本の戦後の復興期に苦労されてきたような方などは、もったいないという気持ちが多うございますから、自分たちの税金でこんな高価なはがきを何通も送ってきてというようなことの御指摘もありました。  例えば、和歌山市のこの方も高齢者、男性の方なんですけれども、この人は厚生年金の受給者なんですが、毎年誕生日になると生存のあかしとして現況届を提出していますけれども、日本のような立派な行政組織があれば、受給者が死亡したときに死亡届を市町村役場に出すわけですから、年金の事務局にそちらから回してもらうような、コンピューターのオンラインでそういう処理は可能じゃないでしょうか。特に寝たきりの高齢者等はこの届けの提出が大変で困っているし、事務コストの削減にもなるのではないでしょうかと。  また、横浜の高齢者の方からも、公的年金現況届の提出方法改善提案が来ております。  社会保険庁は該当者のリストを一括して市区町村役場に送付し、年金受給権者は現に住民基本台帳に記載されているという旨の連絡を受けるようにしたらいいのじゃないか、書面または電子式で行えばいいのじゃないか。  あと、法律上必要なら、受給権者より上記の手続を社会保険庁及び市町村役場に委任するという委任状をとればいいのじゃないか。  住民基本台帳をデータベース化して社会保険庁の受給権者データベースと結び、リアルタイムで記載状況を把握する、幽霊受給者の排除にもつながるのじゃないか、こういったことでございます。  それで、この方も、今の方式というのは寝たきり、ひとり暮らしの者には投函する苦痛を甘受させねばならないのでいけないのじゃないかと。  続けて申し上げますが、これは二通ありましたけれども年金をもらって年に六回も年金支払い通知書というのが届く、これは不要なので、年一回、受給月と振り込み予定日、振込金について通知してもらえれば十分だ、もったいない、もったいないという高齢者のお声もありました。  以上の点について御回答をお願いします。
  21. 真野章

    真野政府委員 お答えをいたします。  現在、年金の受給者の方に年一回現況届を提出していただいておりますが、これは、今お話がありました生存の確認のほかに、現在働いておられるかどうか、加給年金の対象になっておられる家族の状況がどうか、それから障害年金の場合には障害の状況がどうかということを、年金の支払いを適正に行うために年一回提出をしていただいておりますもので、大変重要なものだということで、私どもとしてはなかなか、この現況届を今のような、御提案のような方法で代替するというのは非常に難しいというふうに思っております。  ただ、これまで、現況届に関しましては、実は生存の証明のために市町村長の証明を受けてほしいということを申しておりました。これは、高齢の受給者の方には一々、年一回ではありますけれども、市町村役場の窓口へ行って証明を受けてもらわなければならない。時期になりますと窓口が大変錯綜いたしまして、市町村の窓口としても大変だという御指摘がございました。これにつきましては、昨年九月の地方分権委員会からの御指摘もございまして、ことしの一月から、この市町村長の生存の証明というのは必要がないということで、御本人の自署でかえるということで、今まで現況届につきまして大変負担が大きいという御指摘を受けていた部分につきましては、私ども大幅な改善をしたというふうに考えております。  ただ、先ほども申し上げましたように、生存の状況だけではございませんので、それ以外の状況を把握させていただくためには御提案のような方法はなかなか難しいのではないか。また、先ほど寝たきりの方というようなお話もございました。御本人が自署ができないという場合には代理の方が署名をしていただいて申し出をしていただくということも可能といたしまして、そういう面についても、私どもできるだけ配慮したつもりでございます。  それから、年六回の支払い通知書を簡素化しろ、これは当決算委員会でも過去御指摘を受けたことがあろうかと思いますが、現在では、支払いの都度通知をするということが関係法令で求められておりますので、年六回、支払いの都度、受給者に送付をしておるわけでございますが、行政改革の一環、それから、おっしゃられますように、年六回毎回同じ金額を打ってくるのならもうやめろという高齢者の方の御指摘も受けまして、今年度分、四月はあれでございますが、今年度分ということで六月に一度通知をいたしまして、来年の四月の分まで、いわば一年間一枚だけ、一回だけお知らせをするという形の方向で簡素化をしたい、関係法令も改正をしていただきまして、現在年六回通知をいたしておりますが、年一回に簡素化をしたいというふうに考えております。  これにつきましては、年金の受給者の方々に、八月から通知は参りませんということで、ことしの額の改定通知書、それから六月の支払い通知書の際にも、八月から通知書は来ませんということを周知をしたいというふうに思っております。  ただ、当然のことながら、年金額が変更いたしました場合には、従来は幾らでしたが今回からは幾らになりますというのは当然お知らせをする必要があろうかと思っておりまして、額の改定の際には、当然別途御通知を申し上げるということを考えております。
  22. 高市早苗

    高市委員 ありがとうございます。  次に、厚生省にお伺いしたいと思います。  これは、奈良県の傷痍軍人会の方、そして傷痍軍人妻の会の方から直接来たものなんですけれども、戦傷病者乗車券引換証というものが都道府県知事により交付されております。これの趣旨と、それから、いただきました御要望は、この乗車券への援助にとても自分たちは感謝している、主に援護法関係とかで厚生省に陳情に行くのに上京するときに利用するのですが、病気や後遺症で上京もかなわなくなった夫の代理で妻が上京するケースがふえてきた、代理のときに限ってでよいので、何とかこの乗車券引換証を妻も使えるようにしてもらえないかというようなことなんです。国家のために犠牲に耐えてこられた方たちのために、この要望を受け入れていただきたいと思うのですが、いかがなものでございましょう。
  23. 炭谷茂

    ○炭谷政府委員 まず、戦傷病者乗車券の引換証の趣旨でございます。これは、法律に基づいてやっているものでございますが、戦傷病者の方が、その傷病により、障害を克服され社会経済活動への参加を進めていただくため、旅客会社の鉄道の乗車等に際し無賃取り扱いを受けるということに当たり、毎年度、障害の程度に応じまして一定枚数が交付されるものでございます。  そこで、ただいま、奈良県の方の御要望の件でございます。戦傷病者の奥様が夫の代理で陳情等をされるという場合の利用でございますけれども、ただいま申しました趣旨から考えますと、なかなか難しい問題だろうというふうに思っております。  しかし、この要望につきましては、日本傷痍軍人会、また日本傷痍軍人妻の会からもたびたび御要望をいただいている件でございます。戦傷病者の奥様方が介護で一緒に行動される場合は、障害の程度が重い場合はこの乗車券が利用できるわけでございますが、単独の場合の利用について、例えば戦傷病者の方が入院をされる、そして病院まで付き添われて、その帰りについては単独にどうしてもなるわけですね。また、お迎えに行く、退院の迎えに行くという場合も単独になる。このような場合は何か単独利用でも社会的な理解が得られるのではないかというふうなことを考えまして、その実現について関係省庁と、いろいろとお願いをし、かねてから御要請をしてきたわけでございますけれども、残念ながら現在のところ実現いたしておりません。しかし、今後さらに関係省庁と、お願いをいたしましてその実現につきまして努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  24. 高市早苗

    高市委員 どうもありがとうございました。ぜひよろしくお願いをいたします。  ちょっともう時間がなくなってきましたので、最後に、国家試験の受験資格についての御要望が何通か来ておりましたので、これに関してでございます。  この方は、富山県の男性の方でございますが、まず、社会保険労務士の受験資格を改善してほしいと。具体的には、前年の受験票を添付すればよいということにしてほしいということなんですが、この方は高卒で、労働組合専従役員による実務経験五年以上という受験資格に該当されます。  この、高卒で労働組合専従役員による実務経験五年以上というもので見ますと、受験をするときに、実務証明者二名のほか実務証明書類の添付が必要となっていまして、昨年もこの人はこの資格で受験したのですが、だめで、ことしまた受験をしたいのだけれども、特殊な事情がある。この人がいた労働組合は、旧国鉄の鉄道労働組合、鉄労で、国鉄の分割・民営化の時点でもう鉄労は解散をしてしまった。このため、いろいろな証明書類、証明者を確保しようにも、当時の役員も、もう物故者であったり、高齢者、病気などで安否や所在すら知るのが難しくなってきていて、前回は何とか実務経験の証明者二名もお願いできたのだけれども、今回はその確保が困難だ。このような事例は、経済不況による会社倒産で会社がなくなってしまったというような場合にも相当するのじゃないでしょうか。  行政書士なんかの場合は、これは可能だと。前年度の受験票を添付するだけでよいわけです。これは都道府県ごとの運用レベルで可能になっているということですが、何とかこの方のようなケースのために、単に受験をする、前年度にもう既に以前の職務に関しては証明書が出ているわけですから、新たにもう一度受験をするときにも、前年度の受験票の添付ということでお願いができないだろうかという内容でございます。  以上です。
  25. 征矢紀臣

    ○征矢政府委員 社会保険労務士試験につきまして、御質問のように、前年度の受験票を証明書にかわるものとして取り扱うためには、受験申込書等の書類を保存いたしまして随時参照可能なものとすることが必要でございます。現状におきまして、この試験は国が直接実施いたしておりまして、その受験者数も年々ふえており、現在約三万六千人に達しております。そういう中で、これらに係る膨大な書類の保存が難しくて、現状では、先生御指摘のように、再度受験される方については改めて必要書類の提出をお願いしている、こういうのが実情でございますが、今国会におきまして社会保険労務士法が改正され、社会保険労務士試験の試験事務を全国社会保険労務士会連合会に委託することができることとされております。この委託後におきましては、例えば受験者の記録をコンピューター管理して照会、検索することができるような、そういうシステムを検討することによって対処する、そういう点について、厚生省あるいは社会保険労務士会連合会とも協議しながら、検討してまいりたいと思います。  なお、個別の、その方の事実の確認につきまして、これは事実確認ができれば実務経験証明書等がなくても受験資格は認めている、そういう措置もいたしておりますので、その点については具体的に御検討可能かと思います。
  26. 高市早苗

    高市委員 それでは、社会保険労務士会の方に委託された後に、ぜひこういう便宜を図っていただけるように、よろしく国からもお口添えをお願いしたいと思います。  それから、同じく国家試験の問題なんですが、この方は、四十一歳、茨城県男性ということなんですが、国家試験の受験資格から学歴差別を撤廃してほしいということです。  もう御存じのとおり、昭和六十二年八月の臨時教育審議会の教育改革に関する最終答申で、生涯学習体系の整備という観点から「公的職業資格制度の見直し」、つまり「資格の受験等に必要な要件を見直し、原則として学歴要件を除去する。」というのがあるにもかかわらず、次の資格試験は、高卒者は幾ら実務経験を積んでも直接受験できない。  この方が挙げているのは、一級建築士、一級建設機械施工技士、一級土木施工管理技士、一級管工事施工管理技士、一級造園施工管理技士、一級建築施工管理技士、一級電気工事施工管理技士、これは全部建設省のですね。こういったものは、二級の資格を取って実務経験を積んだ後でないと、高校卒業者は受験できない。だから、最低二回受験料を払う。でも、一級と二級では試験問題に格段の難易差があるとも自分は思わないということです。  最近でも、宅建の取引主任者試験は平成年度の試験より受験資格の制限がなくなりましたし、このほかにも、司法試験、公認会計士試験、不動産鑑定士試験、技術士試験、電気通信主任技術者、電気主任技術者、放射線取扱主任者、かなり困難な、難しいレベルの国家試験であっても、一次試験で学歴による受験制限というのはない。一刻も早く、先ほど申し上げたようなものでも学歴制限を撤廃してほしいという御要望ですが、これに関して、いかがでございましょうか。  具体的に学歴制限を設けている理由が何かということと、今後、臨教審答申の方向で見直される可能性はあるかないかということをお伺いしたいと思います。
  27. 五十嵐健之

    ○五十嵐政府委員 お答え申し上げます。  現在の試験制度で一定の資格といいますか学歴等を求めております基本的な考え方は、まず、学校におきまして、その分野におきます高度かつ広い知識を得ていただきたい。それから、その後、現場で実務を積んでいただきたい。この二つに加えまして、試験で、特に、例えば建設機械でありますとか、あるいは土木施工管理でありますとか、その特定分野についての専門の知識を一定以上持っているかどうか。この三面からチェックといいますか、それらを合格した方が一級土木施工管理技士等々と名乗るというようにしているわけであります。  特に、土木施工管理技士の関係で申し上げますと、いわゆる現場監督というような方々のための資格制度ということになります。大変大規模な工事、特に下請をたくさん使うような工事というようなことから、例えばそういう大規模な下請を使うような工事につきましては一級の人でなければいけないというような、資格と連動しているところでございます。  先ほど、高校卒業の方々についてという御指摘があったわけでございます。高校を出た後、大学で関係いたします学科を出ていただいて、そして実務経験三年をやっていただく。つまり、大学で四年それから実務経験三年、合計七年たってこの受験資格が得られるということになります。それから、もう一つのコースは、高校を出まして実務経験三年を積んでいただきますと、二級の土木施工管理技士の受験資格が得られます。それから、その後五年間の実務経験をお持ちになりますと、一級の受験資格を得るということになります。つまり、高校を出た後、大学を経由した場合には七年、それから、実務の方でまいりますと、二級の資格を取得していただきますと最短で八年ということになっておりますので、どちらかの道を選んでいただくというような仕組みになっているところでございます。
  28. 高市早苗

    高市委員 今後できるだけ学歴制限撤廃の方向で検討を、再度お願いしたいと思います。  もう質問時間が終わりましたので、これで質問を終了いたします。どうもありがとうございました。
  29. 原田昇左右

    原田委員長 次に、倉成正和君。
  30. 倉成正和

    ○倉成委員 自由民主党の倉成正和です。  本日は、本委員会に寄せられている国民皆様の御意見から二件ほど御質問いたします。その後で、公務員制度改革についても、また別途御質問をさせていただきたいと思っております。  まず御意見の一件目でございますけれども、公安調査庁における会計帳簿の操作に関する苦情の件でございます。  平成十年三月二十三日、公安調査庁は設立以来一貫して会計帳簿を操作して、巨額の調査活動費を詐取し、不正に支出している旨の苦情が郵便にて寄せられました。これに対しましては、既に公安調査庁に照会をし、平成十年四月二十三日付で、不正支出は行っておらず、苦情に記載されているような事実関係はないとの回答を得ております。しかし、ここでまた改めて、この委員会の場でこの辺の事実関係を明らかにしていただければと思います。  昨今、公務員倫理が問われておりまして、綱紀粛正は喫緊の課題となっております。既に公安調査庁から事実無根との回答は得ておりますけれども、この場で事実関係を明らかにお願いします。
  31. 豊嶋秀直

    ○豊嶋政府委員 お答え申し上げます。  ただいま委員から御指摘の苦情の内容につきましては、四月十五日付で、当委員会から事実関係調査をするようにとの御照会を受けました。急遽、全国の、八ブロックの局がございますが、調査活動費の取扱者として指名されております総務部長を招集するなどして、本庁及びブロック局、全国の各事務所調査活動費の使途を調査いたしました。  私は、苦情の内容のようなことはあり得ないことだとは思っておりましたが、当時長官に着任して四カ月目ぐらいでございまして、全国の予算の執行状況の実態を私自身が把握するのにちょうどいい機会でもあるというふうに考えまして、会計担当部門の者に厳密な調査を実施するように指示をいたしました。  十日後ぐらいの間に回答せよという御指摘でございましたが、一週間後の四月二十三日付で調査結果を御報告申し上げた次第でございます。  調査の結果は、苦情に書かれているような不正な支出、会計帳簿の操作等は一切なかったということでございまして、私も安心をした次第でございますが、今後とも適正な予算の執行に努めてまいりたいというふうに思っております。
  32. 倉成正和

    ○倉成委員 今御答弁いただきましたけれども、会計処理におきまして不正が生じるおそれはないのか、具体的手続等、会計処理の現状について、もう少し詳しくお答えいただきたいと思います。
  33. 豊嶋秀直

    ○豊嶋政府委員 お答え申し上げます。  公安調査庁におきましては、調査活動費というものの重要性にかんがみまして、厳格にその取り扱いの規定が定められております。  本庁におきましては次長、公安調査局それから公安調査局の管轄下にあります地方の事務所、これはすべて公安調査局長が取扱責任者と定められておりまして、調査活動費を支出する場合には、この取扱責任者の査定を行って、適正な支払いかどうかを確定した上で支出するようにしております。  それから、調査活動費を取り扱う、現実にお金を調査官等に手渡すという者も一定の幹部職員が特定されておりまして、それ以外の者は扱えないことになっております。そして具体的に、調査官が調査活動費を現実に支出した場合には、その結果を取扱者に報告し、領収書等の定められた書類を添付いたしまして、適正な支払いであったかどうかを確認するということになっております。  また、調査活動費の適正かつ有効な使用を厳密に行うために、取扱責任者は随時、現金を取り扱っております特定の職員に対しその内容説明を求めることができる定めになっておりますし、本庁の次長は、地方の事務所、局の会計処理につきまして随時監査を行うという定めになっておりまして、毎年、数庁を特定して内部監査を現実に行っているところでございます。
  34. 倉成正和

    ○倉成委員 今、会計処理の具体的な手続等をお伺いいたしましたけれども、この調査活動費の額と、法令に基づいた使途というのはどういうふうになっているんでしょうか。  また、過去五年間の調査活動費の推移、これについて詳しくお答えいただければと思います。
  35. 豊嶋秀直

    ○豊嶋政府委員 お答え申し上げます。  調査活動費というものは、公安調査庁の場合には、破防法の団体調査に必要な経費として予算が認められているものでございますが、予算の性格上、厳密に、間違いのない会計処理をしなければならないということで厳密な内部規定が設けられておりまして、調査活動費として使える使途の内容は、公安調査官がみずから行う調査活動に必要な経費、情報提供者に対する報酬、情報提供者を獲得するために必要な経費それから、関係機関その他いろいろな、情報の提供を受ける場合に連絡する必要があるわけでございますが、その情報連絡に要する費用ということに分類されております。これに基づいて予算の執行を行っているわけでございます。  二番目の、過去における調査活動費の推移ということでございますが、毎年、当初予算として予算が認められますけれども、毎年大体七・五%ぐらいの節約の要求が参りますので、実際に調査活動費として予算を執行した額を申し上げますと、平成年度は約十七億円、平成年度も約十七億円、平成年度は十九億円、平成年度は十八億円、平成年度は十九億円ということになっております。これが、実際に調査活動費として執行した金額でございます。
  36. 倉成正和

    ○倉成委員 先ほどの話でもございましたけれども、獲得工作費という項目があります。これが非常に範囲が広くて、内容が把握しにくいものじゃないだろうかと思われますけれども、この獲得工作費を中心に、調査活動費についての厳正な予算執行をするためにどのような手だてを講じているのか、この辺を詳しくお答えいただければと思います。
  37. 豊嶋秀直

    ○豊嶋政府委員 お答え申し上げます。  調査活動費というのは、確かに、名目によってルーズな予算の執行になるおそれが全くないものではありませんので、先ほども申し上げましたとおり、厳重な内部の規定に従って、間違いのない執行をするように努めているところでございます。  具体的に申し上げますと、調査官が個々の具体的調査活動に際しまして調査活動費の支出をしようとする場合には、その都度、具体的な使用目的内容、所要経費を明記した書類をつくりまして、それを取扱者に申請、提出いたしまして、その中身を厳格に査定を受けた後に支払うという手続になっております。そして、現実に特定の調査官が調査活動費を支出した場合には、速やかに、その使途の内容、必要な領収書等の書類を添付いたしまして、取扱者に対して報告を行うという厳密な手続で執行しているところでございます。
  38. 倉成正和

    ○倉成委員 このような苦情が、たとえ事実無根であるとしましても、率先して襟を正さなければならない公安調査庁に寄せられたということは甚だ遺憾であります。公務員に対して世間の厳しい目が注がれているときに、なお一層心がけるべきであると考えます。  この点につきまして、今後の対応につきまして、公安調査庁の決意について明らかにしていただきたいと思います。
  39. 豊嶋秀直

    ○豊嶋政府委員 お答え申し上げます。  今回の当委員会に寄せられました苦情の投書というものが、どのような人物によって、どのような意図のもとに行われたのかはわかりませんけれども、いずれにいたしましても、このような疑いを持たれた投書が行われたということを私どもは厳粛に受けとめております。  調査活動費は、公安調査庁の年間の業務を遂行するためにかけがえのない予算をいただいているわけでございまして、その執行には厳正に対処してきたつもりではございますけれども委員指摘のとおり、昨今の情勢にもかんがみまして、厳正な執行につきましては関係職員に一層趣旨を徹底させ、有効、適切な予算の執行に今後とも努めてまいりたいというふうに考えております。
  40. 倉成正和

    ○倉成委員 今お答えいただきましたけれども行政改革の法案が衆議院を通過しておりますけれども、また、これから参議院の審議を経るわけであります。具体的な中身の議論になっていくときには、設置法の話が出てくるわけでございまして、具体的に、公安調査庁が今後さらに存続をしていく、そしてその意義を明らかにしていくというのが非常に重要なことでないかと思っております。今後とも、その辺の、国民理解が得られるような内容を提示していく、設置法の中身につきましても今後御検討をいただくことになると思いますので、その点をよろしくお願いいたします。  引き続きまして、今の苦情につきまして、会計検査院の方にお尋ねをしたいと思います。  会計検査院は、公安調査庁の調査活動費についてどのような検査を行っているのか、これまでの検査の結果、指摘すべき事項はあったのか、明らかにされたいと思います。  また、かかる苦情が寄せられていることに対して、会計検査院としての見解を伺いたいと思います。
  41. 深田烝治

    ○深田会計検査院説明員 お答え申し上げます。  公安調査庁の調査活動費につきましては、私どもの方に計算証明として提出されております支払い手続書等の書類を在庁いたしまして検査いたしますほか、公安調査庁の本庁については毎年、それから、地方の公安調査局につきましては二、三カ所を選定いたしまして、実地検査を実施しております。  実地検査の際には、現地に保管されております情報提供者等の領収証書などの証拠書類の提示を受けまして、支出目的等について適正に使用されたという心証が得られるまで、関係書類の提示や説明の聴取を受けているところでございます。  現在までのところ、検査の結果、指摘するような事態は見受けられておりません。  会計検査院では、寄せられる情報の収集、活用には従来より配慮してきているところでございますが、今回、先生の御指摘もございますので、今後の検査では、この点も踏まえまして一層力を入れて検査を実施してまいりたい、かように思っております。
  42. 倉成正和

    ○倉成委員 今会計検査院の方からお答えいただきましたけれども、今後とも、公安調査庁の調査活動費についてこういう疑義が出ないような厳正な検査を行っていただきたいと思います。  次に、引き続きまして、熊本県警における不正経理の新聞報道についてお尋ねをしたいと思います。  先日来、新聞各紙によりますと、熊本県警において長期間にわたり裏帳簿による不正経理が組織ぐるみで行われてきたとの報道がなされております。退職した元幹部が保管していると言われる裏帳簿によれば、空出張や捜査費の流用でいわゆる裏金を捻出し、それをせんべつや慶弔費その他に充ててきたとされております。公務員等による不祥事が昨今相次いで発覚し、国民から厳しい批判の声が上がっている今日、またこのような報道を目の当たりにしまして、まことに憂慮にたえないところでございます。  この点につきまして、以下の点につきまして御質問をしたいと思います。  まず、警察庁の方でございますけれども、今回の一連の報道に対して、当局はその事実関係についてどのように把握しているのかを伺います。あわせまして、このようないわば内部告発なるものが報道をされたことについて見解を伺いたいと思います。
  43. 野田健

    ○野田(健)政府委員 御指摘の件につきましては、報道されている範囲内について報道内容を承知しておりますけれども、それぞれの報道されている内容の事実関係というものについて確信的な証拠を得ているということではございません。  熊本県警察からは、従来から会計検査の適正について万全を期しているところである、現在はもちろん、過去においても指摘されているようなことはないという報告を受けております。  このような報道も行われておりますので、警察庁といたしましては、熊本県警察に対し、過去に何度も監査を実施して指導もしてきているところでありますけれども、また今後、監査等の徹底に努めていきたい。  ただ、今まで監査等をしたところで、報道されているような事実はないというふうに考えているところでございます。
  44. 倉成正和

    ○倉成委員 過去、平成八年にも長崎県警、愛知県警の不正経理問題が取りざたされておりますけれども国民生活の安全確保という極めて重要な役割を担っている警察行政への信頼を失わないためにも、確固たる姿勢が望まれると思います。この点につきまして、基本的な見解をお伺いしたいと思います。
  45. 野田健

    ○野田(健)政府委員 各都道府県警察に対しまして、計画的にあるいは随時、諸種の監査を実施するなど、予算の適正な執行に万全を期しているところでございますが、過去にも、御指摘のように、いろいろ指摘がされているというようなこともございます。  警察ということでこのようなことがあってはならないわけでありまして、今後、さらに内部監査を徹底するなどして、一層適正な予算の執行を指導してまいりたいと考えております。
  46. 倉成正和

    ○倉成委員 次に、会計検査院の方にお答えをいただきたいと思っておりますけれども、今回取りざたされております熊本県警の不正経理問題に対して、会計検査院として検査をすべきではないかと思います。また、これまでの会計検査院による警察関係検査はどのように行われていたかを御説明願いたいと思います。
  47. 深田烝治

    ○深田会計検査院説明員 お答え申し上げます。  警察庁に対する会計実地検査につきましては、毎年二回、本庁について行いますほか、管区警察局それから都道府県警察本部につきましては、毎年十カ所ほど選びまして、国費で支弁されているものを中心に行っております。  実地検査の際には、旅費、捜査費等の経理についても検査を実施しておりまして、検査方法といたしましては、支出額が多額な課を抽出いたしまして、関係書類を精査するなどして実施しているところでございます。  熊本県警の通常の実地検査につきましては、今後行うことを予定しておりますので、その際には、今回報道されている点も踏まえまして、旅費、捜査費の検査を実施することといたしたい、そのように思っております。
  48. 倉成正和

    ○倉成委員 過去にも長崎、愛知両県警の不正経理問題が取りざたされておりまして、また今回熊本県警についても新聞報道がなされたということについて、会計検査院としてどうお考えになっているか、また、今後の熊本県警を含めた警察関係会計検査の方針についてお伺いしたいと思います。
  49. 深田烝治

    ○深田会計検査院説明員 お答えいたします。  長崎県警の実地検査につきましては平成八年一月に、それから愛知県警につきましては同年の八月にそれぞれ会計実地検査を実施したわけでございますが、不正経理の事態につきましては、私ども検査いたしました範囲では見当たらなかった次第でございます。  今回、熊本県警の問題が報道されたこともございますので、警察庁の旅費等の経理につきましては従来にも増して力を入れて検査を実施してまいりたい、そのように思っております。
  50. 倉成正和

    ○倉成委員 今お答えいただきましたけれども、特に国民の安全、先ほども申し上げましたけれども、安全確保という極めて重要な役割を担っているこの警察行政につきまして、警察庁はもとより、会計検査院の方でも厳正な検査を行って、そういう疑義が起こってこないような体制にぜひ取り組んでいただきたいと思います。  引き続きまして、公務員制度改革について何点か御質問をさせていただきたいと思っております。  まず、行政改革のスタートとなります中央省庁等改革基本法は、慎重な審議を経まして、昨五月十二日、衆議院を通過し、今後は、参議院での審議にまつことになっております。私自身、行政改革に関する特別委員としてこの審議に参加した立場から、この法案が今後の行政改革を進める上での第一歩として高く評価されるものであると確信をしております。  行政改革についての基本認識は、戦後五十年続いてきた行政システムについて抜本的な改革が必要であるということだと考えます。また、この法案の附帯決議として、「政府は、中央省庁等改革基本法案に基づく国の行政機関再編成の大前提となる、規制撤廃・緩和、地方分権の推進、公務員制度改革等について速やかに具体策を策定し、国会の審議に供すること。」という項目がつけ加えられております。  そこで、そのような観点から、人事院と総務庁にお尋ねしたいというふうに思います。  まず、最近、人事院の新たな時代の公務員人事管理を考える研究会におきまして、「公務員人事管理の改革 柔軟で開放的なシステムを目指して」という研究会の報告が出されておりますので、この内容についてお尋ねしたいと思います。  まず、非常に一般的な議論になるかと思いますけれども、この中でいろいろ指摘をされておりますけれども公務員民間との差といいますか、これはどのような位置づけをされているのか、どのような問題意識で臨まれているのか、そしてまた、この報告書を人事院でこれからどのように取り扱われていくのか、その点につきましてお答えをいただきたいと思います。
  51. 尾木雄

    尾木政府委員 新たな時代の公務員人事管理を考える研究会、これは、人事行政をめぐる諸情勢の変化を踏まえまして、公務員制度全般について見直しを図るという視点から、人事院事務総長の私的研究会として各界の有識者にお願いをして検討を進めてきたものでございまして、お話ございましたように、去る三月に報告書が提出されたということでございます。  この報告書の中身につきましては、各界有識者のいろいろな提言をいただいておりますので、人事院としましても、関係方面の御意見等もさらに踏まえながら、実施に向けて検討をさらに進めていきたいというふうに考えているところでございます。  今倉成先生が御指摘になったのは、その研究会の過程の中で、公務員民間との差をどのようなものとして認識してこの研究会報告がなされているかということであったかと思います。  公務員人事管理の改革に当たっては、表題にも副題として載せておりますように、「柔軟で開放的なシステムを目指して」という副題がつけられておりますが、これまでの公務員人事管理の閉鎖性あるいはやや硬直的な面をもう少し広げていくために、官と民との関係をもう少し流動性を高めていくという方向に向けて考えていくべきではないか、あるいは、組織の中でも採用年次に基づく固定的な人事管理をもう少し弾力的にするべきではないか、複線的なものにするべきではないかという方向での問題意識のもとに、さまざまな提言がなされているということでございます。
  52. 倉成正和

    ○倉成委員 今お答えいただきましたように、この研究会の報告というのが、人事院におきまして今後の公務員制度を考える上で、これからの政策をつくっていく上で非常に重要な役割を果たすというふうな位置づけだと聞きましたけれども、そういう観点でこの中をちょっと読ませていただきまして、そういう観点で見ますと幾つか気になるといいますか、お尋ねしたいことがあるわけです。一つは、報告書要旨に「これからの行政サービスと公務員の役割」というところがございます。そこで、ちょっと読み上げますと、政治との関係において、「今後、公務員政策決定過程への参画の仕方に変化があるとしても、」公務員は専門的な知識、能力を基礎に「時代を先取りした政策を企画していく「シンクタンク」として積極的に役割を果たしていくことが期待される。」という項目がございます。  これについて、公務員の役割というのは「時代を先取りした政策を企画していく「シンクタンク」」であるという位置づけにされているのですけれども、これについてどうお考えでしょうか、お答えをいただければと思います。
  53. 尾木雄

    尾木政府委員 公務員と政治との関係につきましては、この研究会においても議論がなされたところでございます。基本的には、この報告書の中でも書いておりますように、政策決定についての公務員と政治との関係につきましては、公務員政策についての選択肢を提供し、政治がそれを決定し、公務員が執行するというのが民主政治の基本である、そういう基本前提を置いた上で、しかしながら、公務員政策決定へのかかわりについては、国によっていろいろと異なり得るけれども、最終的には主権者である国民が選択すべきである、そんな基本認識のもとで、公務員が全体の奉仕者として積極的に国家のために貢献する、特に専門性を発揮して知的能力で十分に国家のために寄与すべきである、そういう趣旨でこの提言をいただいているというふうに考えております。
  54. 倉成正和

    ○倉成委員 今この項目について特に気になるということを申し上げたのは、実は、「時代を先取りした政策を企画していく「シンクタンク」」という位置づけでございますけれども、これまでも、ある意味では公務員あるいは官庁全体が大きなシンクタンクであるという指摘がなされてきたわけです。これは、ある意味では確かに今までの役割はそのとおりかもしれませんけれども、これからもシンクタンクというような役割は公務員あるいは官庁のみで済むのかという問題を含んでいると思います。  つまり、一つの組織、大きな行政組織、国家の中央官庁という組織だけがシンクタンクとしての役割を果たしてそれにかわるものがないというのが、今我が国の現状を考えると、そこがやはり非常な大きな問題点ではないかなと。この点は、この研究会の範囲では次のそのところまでは触れるところではないかもしれませんけれども、このような、中央官庁がシンクタンクであるというのはある意味では正しい認識かもしれませんけれども、それは、そういう中央官庁というシンクタンクが一つあればすべてそれで済むのだという発想につながらないだろうか、その点で少し危惧の念を持つわけでございます。  この点についてお考えをお尋ねしたいと思います。
  55. 中島忠能

    ○中島政府委員 よくわかります。日本における政策提言集団というのが、いろいろな集団の成長が未成熟であったということで、今まで中央官庁が非常に重要な役割を果たしてきたという歴史がある。その歴史の上に立ってそういう提言が出てきたというふうに御理解いただいたらいいと思いますけれども、最近、政治というものの動きを見ておりますと、官庁だけが政策についての提言をしているわけではないというのがわかります。  例えて言いますと、最近よく議論されます税制のあり方とかあるいは農業の自由化のあり方というものを見ておりますと、官庁だけではなくしてそれ以外のいろいろな集団、あるいはまたそれ以外の民間のシンクタンクというものが提言をするようになってきております。そういういろいろな団体の提言というものを踏まえて政治が最終的に決定していただく、その過程に今あるのだろうというふうに思います。  これから情報公開が恐らく進んでいくでしょうから、そういう情報公開というものを通じて、いろいろな団体がいろいろな情報を入手されまして政治に役に立つ提言をしていただけるようになるのではないか。また、官庁側としてもそういう機運というものを育てていくように努力していかなければならないというふうに思います。  非常にいい側面からの御質問をいただいたというふうに思います。
  56. 倉成正和

    ○倉成委員 今のお答えを聞きまして、少し安心をした次第でございますけれども、このような公務員の役割について、中央官庁全体の役割について、「時代を先取りした政策を企画していく「シンクタンク」」であると位置づけて、あたかもこれがあればほかは要らないというふうな発想につながらないような今後の御検討をぜひお願いしたいというふうに思います。  引き続きまして、この行政改革法案の中にも盛り込まれておりますけれども、この研究会の報告書の中にもございます項目として、一括管理の仕組みについてお尋ねをしたいと思います。  まず、その一括管理の仕組みにつきましては、行政改革法案の四十八条になりますか、「国家公務員制度の改革」についてのところに、「人材の一括管理のための仕組みの導入、」「多様な人材の確保及び能力、実績等に応じた処遇の徹底並びに退職管理の適正化について、」「引き続き検討を行う」と。引き続き検討を行うということで、これからの具体的な内容は書いていないわけでございますけれども、ここは、先ほどの附帯決議にもありましたように、今後の中央官庁等の再編成の具体的な各省の設置法をつくっていく上でも非常に重要な事柄だと思っておりますので、特にここに「人材の一括管理」という言葉が明記されておりまして、この点につきまして、若干雑駁ではございますけれども、一括管理の仕組みについて導入というのはぜひ必要なのではないかなというふうに私なりに考えております。  理想的には、各省庁間において自由に異動ができるような仕組みというのができればいいのではないかなと。今後の規制緩和とか、あるいは業態の変更などによって人員を削減すべき部門が出てさましたり、あるいは増強すべき部門が出てきた場合、省庁内だけの人事異動ではなくて、省庁間の人事異動ができれば人材の有効活用につながるのではないかと思います。  それからまた、一括管理に関しまして、今度の省庁再編では大くくりの再編が言われておりまして、例えば今までの文部省と科学技術庁が教育科学技術省という名前になりますと、これまで別々だった省庁が一括して、その人事は当然一括して管理をされるわけですので、その機会で考えますと、一括管理についてはある一部はもう既に導入をしていく方向にあると思います。これをさらに広げて、すべての省庁間にまたがった一括管理の導入が望ましいというふうに考えております。  そこで、この研究会の報告の中で指摘されているところを申し上げますと、  当研究会では、セクショナリズムの弊害を是正  し国の一体的な施策の実施に資すること、幅広  い範囲から能力・適性に応じて適材適所で人材  活用ができるといった一括採用や一括管理の利  点についての意見も出されたが、特定の行政分  野を希望する公務志望者の意向に反し有為な人  材の確保に支障を生ずるおそれがある、膨大な  数の職員を一括して管理することにより形式的  な人事管理に陥るおそれがある、省庁間の競争  が無くなって行政の活力が失われる等の問題が  指摘され、というふうに書いてあります。どちらかといいますと、これを、研究会の報告を読む限りは、否定的なニュアンスの書き方でございます。  これを具体的に見ますと、「省庁間の競争が無くなって行政の活力が失われる」という指摘があるのですけれども、この辺のところをどういうふうにお考えなのか、お尋ねしたいと思います。
  57. 森田衞

    ○森田政府委員 お答えいたします。  一括管理を推進すべきであるという観点からの御質問でございますが、私どもといたしましては、政府職員の一括管理につきましては、御指摘のように、セクショナリズムの弊害の是正とか、広く人材を選抜いたしまして活用していくという観点から確かに大きなメリットがあるというふうには考えておりますが、他方、今研究会の御報告を先生挙げられましたところにもございましたように、一つは、大きな問題といたしまして、行政執行責任と人事権の問題がございます。それからもう一つは、専門能力の育成という点からもやはり検討すべき点があるのではないか。  それからさらには、私ども、1種試験の新規採用者につきまして、いろいろとアンケートをとりまして聞いてみますと、特定の仕事をしたい、こういう仕事をしたい、こういう仕事ができなければ別段役人にならなくてもいいというふうな、割合に、何といいますか、特定の公務の仕事をしたいという希望者が多うございます。そういう観点からいたしますと、一括管理という観点から見ますと、どうかな、人材確保の観点からもう少し検討すべき点があるのではないかなというふうなことも考えておりまして、さらに慎重な検討が必要ではないかと考えております。  したがいまして、人事院といたしましては、当面のところ、省庁内の配置異動はもちろんでございますが、御指摘のような省庁間の人事交流とか、さらには官と民の交流等々を通じましての人材の育成、さらには研修の充実という観点から考えていきたいと思っておるところでございます。
  58. 倉成正和

    ○倉成委員 今お答えをいただきましたけれども、その一括管理につきましてどうしても——今回の行政改革法案では「引き続き検討を行う」という項目が入っているのに、三月に出たこの報告書ではかなり否定的なニュアンスが出てしまっている。そして、今、特定の行政分野を志向する公務員志望者が多いという御指摘もありましたけれども、今後、戦後五十年続いたシステムを改革して大きな改革をしていかなければいけないというときに、この制度ができますと、この制度がやはり、この二、三年の間あるいは五年、十年ではなくて、三十年、四十年、五十年と続いていくのを想定して考えなければならないと思います。そこまでのことを考えますと、二十年先、三十年先の業務の形態、いろいろな行政の役割というのは当然変化があるわけですので、そこまで見越して、今度つくった官庁の中にくくってそれ以外のところには人が出られないというのは、何かおかしいような感じがいたします。  それから、先ほどちょっとお答えがなかったのですが、「省庁間の競争が無くなって行政の活力が失われる」という御指摘は、何か意味が不明なんですけれども、この点はいかがでしょうか。もう一度お答えをいただければと思います。
  59. 中川良一

    ○中川(良)政府委員 人材の一括管理についての行政改革会議あるいは公務員制度調査会における議論等につきましては、後ほどもし御質問がございましたら私の方からお答えさせていただきたいと思いますが、ただいまは人事院の研究会の報告書についてのお尋ねでございますので、とりあえず人事院の方からお答えいただいたらいかがかというふうに思っております。
  60. 森田衞

    ○森田政府委員 お答え申し上げます。  こういう意見があったことは事実でございますが、察するところ、例えばセクショナリズムの弊害と言われておりますが、やはり自分の所属しておる省庁のために自分の立案した政策を実現したいという観点から、やはり主張すべきものは主張するというようなことがかなり現在行われております。そういうことは、デメリットもございますが、逆にまた、しのぎを削っていい立案ができていくというようなメリットもございます。  そういう観点から、ある一つ省庁に所属しないということになりますと、忠誠心と申しますか、そういうところがなくなりまして、いい意味での各省庁間の、しのぎを削る、政策の優位性を検討していくというような観点から若干マイナス面があるのではないかというような御意見ではなかったかと推察いたすわけでございます。
  61. 倉成正和

    ○倉成委員 この辺の議論をさらに進めたいところでございますけれども、時間がなくなってまいりました。  私が申し上げている一括管理といいますのは、すべての職員がすべてどんどん動いていくということでなくて、もちろん本人の希望その他も勘案して、そこである程度省庁間で異動ができるような形にしておく必要があるのではないかという御指摘をしている次第でございます。  若手の官僚の方にいろいろ話を聞きますと、例えば大蔵省に入省したての方に、大蔵省に本当にずっと定年まで勤めるつもりですかと聞いてみますと、いや、ほかのところに行けるような制度があればいいですねという答えも返ってきておりまして、この辺のところは運用の仕方で随分、全職員を動かすというのはもちろん難しいことでございますけれども、一部ある程度の柔軟性を持った、この研究会の報告にもありましたように、柔軟性を持ったシステムの構築というのがこれから問われているのではないかと思っております。  引き続きまして、この一括採用、一括管理の問題とも絡む問題でございますけれども、政治任用、いわゆるポリティカルアポインティーについてお尋ねしたいと思います。  行政改革法案の第九条に、内閣官房は、「行政組織の内外から人材を機動的に登用することができるよう、必要な措置を講ずるものとする。」という条文があります。第九条でございます。  例えば米国におきましては、大統領制のもとでございますけれども、約三千名と言われる方々が政治任用になっております。このような制度が広く導入されるということになると、民間政府との間の人的交流が活発になるということが考えられまして、今の米国の活力の源泉の一つとも考えられるわけです。  ちょうど一番最初に御質問をした問いに戻るわけでございますけれども、この報告書の要旨の中で、公務員の役割として、「時代を先取りした政策を企画していく「シンクタンク」として積極的役割を果たしていくことが期待される。」というのがます。あるわけですけれども、これをさらに言いますと、民間のそういうシンクタンクあるいは大学、民間の研究機関、それらとの間に自由な行き来ができることになれば、さらに活力が生まれてくるのではないか。  今、公務員制度を改革するというのは、単に細かいところを手直しするというのではなくて、これまで戦後の五十年続いてきたシステムがどうもうまくいかない、大きな、抜本的な改革が必要であるということで公務員制度についても検討が行われているわけでありますので、思い切った制度の導入というのをやはり検討してみる価値があるのではないかと思っております。  そこにつきましてこの報告書の中にも触れられておりますけれども、この政治任用につきまして、内閣官房だけでなくて一般的にも政治任用の拡大をするということについていかがお考えか、この点をお尋ねしたいと思います。
  62. 中川良一

    ○中川(良)政府委員 お答えを申し上げます。  国家公務員の任用につきましては、公務能率の向上を図るとともに人事の公正性を確保するという観点から、いわゆる成績主義の原則、メリットシステムでございますが、この原則に基づいて運用をするということが基本になっておるわけでございまして、そういうことからいいますと、現行制度のもとで直ちに中央省庁の幹部に政治的な任用制を広く採用するというのは、なかなか難しいのではないかというふうに考えております。  ただ、組織の特性によりましては、必要に応じていろいろ、政治的任用制というものの定義はございますけれども、そういった政治的な任用の側面を持つようなやり方による幹部の登用というものも当然あり得るのではないか。今回、行革会議の最終報告では、省庁再編後の内閣官房における任用につきまして、「内閣総理大臣により直接選ばれたスタッフによって基本的に運営されるべき」だというふうに指摘してございますが、例えば同様の考え方で任用を考えるような組織というものが考えられれば、そこはそこでいろいろ工夫する余地があるのではないかというふうに考えております。
  63. 倉成正和

    ○倉成委員 今まさにおっしゃったとおりで、現行の制度のもとでは、確かに非常に限られたことになると思います。しかし、今回の行政改革のそもそもの出発点は何だったかといいますと、戦後五十年のシステムがどうもこのままでは立ち行かない、大きな、抜本的な改革をしていかなければならないという原点に、基本認識に立ち返って考えますと、現行の制度ではできないということでなくて、さらに大きくステップを考える必要があるのではないかと思います。  それからまた、内閣官房でできることがほかの部門ではできないというのが、私にはちょっとなかなかわかりづらいわけですけれども、この点についてどういうふうにお考えなのか、再度お答えをいただければと思います。
  64. 熊代昭彦

    熊代政府委員 内閣官房でできてほかのところでできないという話の前に、先生御指摘の点は、やはり政治と行政関係でございますので、人事局長が今お答えしたのは御指摘のように法の枠組みでございますので、これをどう変えていくかというのはいろいろな考え方があると思います。  日本は極めて厳しいメリットシステムをとって、アメリカはある意味ではスポイルズシステムというふうに言われている、獲物は勝者に属するんだとか、こういうことと専門性をどう調和させるかという話でございます。先生の御指摘は、ひとえに政治がどのように判断するかということでございまして、そして、政治と現在の政府の検討はどのようにするかということでございます。私どもは、いろいろな問題点を十二分に検討いたしまして、御提案のところは、どこまでやった方が日本の将来のためにいいのかということを考えてまいることだというふうに思っております。  戦後、五十年たっております。昭和三十五年前の日本は、現代よりも徳川時代に近いという説もあるぐらいでございますが、それからもう三十七年も八年もたっておりますから、新しい時代にふさわしい行政をつくっていくということは、先生の御指摘は十分踏まえまして、中央そして各省庁についても検討させていただきたいと思います。
  65. 倉成正和

    ○倉成委員 今、政務次官から力強い御答弁をいただきまして、本当にありがとうございます。  いろいろタブーをつくらずに、今回の行政改革法案、衆議院を通過いたしましたけれども、さらに参議院の御審議を経て早急に、可決といいますか、速やかな審議を経て、この法案がさらに次のステップ、具体的な各省庁の設置法の中身の方に移りますように、そしてその過程におきまして、非常に重要な公務員制度の問題につきまして、今また総務庁の方にも来ていただいておりますけれども、今、公務員制度調査会でいろんな御検討をされて、途中経過その他もいただいておりますけれども、今後の検討をされるときにも、今までこうだったから、日本はこうだからと、あるいは日本が特殊なところだからどうしてもこうでなければいけないというような、そういう前提を持ったものではなくて、二十一世紀、これからさらに日本が輝かしい国であるためにはどういう制度を導入したらいいか、そういう観点でぜひ御検討をいただきたいと思っております。質問の時間が参りましたので、これで終了させていただきますけれども、今後とも、人事院、総務庁におかれましては、この公務員制度につきまして、広範な御検討、そしてそれが国会で審議できるような形での御提案をぜひお願いいたしたいと思います。どうもありがとうございました。
  66. 熊代昭彦

    熊代政府委員 倉成先生、本当に、広い識見に基づいたすばらしい御質問をいただきまして、まことにありがとうございました。私どもは、先生の御指摘の趣旨を十二分に体して、従来の考え方にとらわれることなく、前向きに行政を進めてまいるということをしてまいりたいと思います。どうもありがとうございました。
  67. 原田昇左右

    原田委員長 次に、石井紘基君。
  68. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 石井紘基でございます。  最初に、総務庁に質問をさせていただきます。  先日、三月二十五日の当委員会における私の質問は、交通遺児育英会という総務庁主管の財団法人への総務庁からの天下りの問題を取り上げさせていただいたわけでございます。その際に、私は、交通遺児育英会という、民間の多くの方々の善意の寄附によって三百六十億もの資産ができて、そしてこれによって不幸な青少年の教育の援助をしようという、大変社会的な価値のある事業をしているそういう団体に対して、総務庁が、平成六年に元総理府総務副長官を送り込んで、そればかりではなくて、さらにスタッフを送り込み、また、内部の運営に対しても過度の干渉をして、混乱を巻き起こしておる。その結果、交通遺児育英会というものは、従来の、盛り上がった、多くの国民に支持をされていた、そうした運動から、今や、活動領域も非常に狭く、そして必ずしもイメージのよくないものに変質しつつあるということで、大きく問題を取り上げさせていただいたわけであります。  その際に、総務庁長官の御答弁は、こうした天下りということに関して、総務庁長官としても厳しく対処をしていくという決意が披瀝されたわけであります。  議事録によりますと、このように書いてございます。  私は私としてこれを、いろいろ事情を聞かせていただきまして、そして再検証の上、きちんと節度ある対応をしなければならぬ、さように思っておる次第でございます。とか、あるいは、三歩下がってひとつこれを再検証してみますと、そして、天下りの問題を含めまして、あるいはその団体の姿勢を整理をしてもらう問題も含めましてきちんと対応しますことをという意味その前にもそのような趣旨のことを言われましたので、という意味で先ほどお答えを申し上げたわけでございますから、ということを言われている。さらに、私が答弁の演説をして一抹終わるものでは決してありませんから、きちんと私も含んで帰りたいと思っております。三月二十五日にこのような御答弁をいただいたわけでありますが、その後の経緯は、必ずしもそのような方向でもって長官の決意が履行されているというふうには言えないと思います。  その個々の問題はさておきまして、私は、この二十五日の質問の際に総務庁から説明があったことは、一部間違っているのじゃないか、事実に反するあるいは欺瞞であったのではないかということを、今、きょうの問題として取り上げていきたいと思うわけであります。  といいますのは、総務庁は、この財団に対する指導監督権限を持っている主務官庁であります。その指導監督権限を持っている官庁がそこの責任者に天下っていたのでは指導監督ができないじゃないかという点で、総務庁はいろいろなことをるる説明をされました。しかし、ここに私は本日、総務庁がそうした善意によってこれまで天下りを入れてきたということでは決してないのだ、いろいろな画策をしてきたということの証拠をお出しして、それに対する見解を求めていきたいと思うわけでございます。  去る今月の十一日に、今行われております民事裁判に提出をされました、証拠文書があるわけであります。これは、総務庁から、長年にわたって着々と人事の乗っ取りを目指していた、画策していたということを裏づける証拠であります。  先日、平成三年に宮崎さんという総務副長官が常任理事に就任をした、その人はその後、六年、理事長に昇格したわけでありますということを申し上げましたけれども、私が今から申し上げますこの文書によりますと、平成二年から既に、いわば乗っ取りといいますか、天下りを押し込む、この工作が行われていたというわけであります。  この内容を具体的に申し上げる前に、総務庁にお伺いしたいのは、財団法人交通遺児育英会に総務庁から天下りを入れるに当たって、橋本現総理が関与していたということがないのかどうなのか。当時、橋本現総理は大蔵大臣をやっておられました。そういう橋本当時大蔵大臣の関与について何らかの話を聞いたことがあるか。あるいは直接、間接にこの動きに触れたことがあるかどうか。そういうことを、今の総務庁の局長やらあるいは長官やらは直接これに関与したということはないでしょうが、そういう話を聞いたことがあるかどうかという点について伺ってみたいと思いますが、きょうは長官いらっしゃいませんので、局長の方から。
  69. 大坪正彦

    ○大坪政府委員 ただいま先生の方から交通遺児育英会の過去の経緯について御質問があったわけでございますが、過去の経緯につきましては、先日、先生から御質問の際にも、私の方からるる説明させていただいたわけでございます。  問題といたしましては、昭和五十年後半から、災害遺児あるいは交通遺児、こういうような方々にも奨学金制度の手を差し伸べるべきではないかというような考え方が出てまいりました。それにつきまして、交通遺児育英会としてやるのかどうかという議論が昭和五十年代後半にあったわけでございますが、その当時……(石井(紘)委員「申しわけないのですけれども、時間が非常に私は少ないのです。聞いたことだけに、今後ともそういう答弁の仕方をお願いします」と呼ぶ)はい。わかりました。  その当時、そういう災害遺児、病気遺児の問題につきまして、そういう大きい問題となりまして、当時の         —————今の内閣内政審議室、ここで調整をしていたというような経緯はあるようでございます。  その関係の中で、私ども実態はよくわかりませんが、当時、橋本総理は自民党の幹事長か何かやっておられたというふうに思うのですが、その辺との連絡があったような話はうわさとしては聞いております。事実関係はちょっと私ども詳しくは承知をしておりません。     〔委員長退席、佐藤(静)委員長代理着席〕
  70. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 今大坪審議官の方から、橋本総理の関与についてうわさとしては聞いておるという答弁をいただきました。  さて、そこで、この裁判所に提出をされました証拠の書類というものは、育英会理事の改選の経緯についてどなたかが、当時の総務庁の方が書かれたメモであります。それで、このメモを提出された方が現在の交通遺児育英会の専務理事をされている穴吹俊士さんという方でございます。常任理事兼事務局長の久木義雄さんの「上申書」というものもここにあるわけであります。  まず、メモの方から申し上げますと、メモといいますか、これは記録ですね。記録の方から申し上げますと、いろいろ日時を追って経緯が書かれてあるわけでありますが、その中でそれを幾つかピックアップして申し上げますと、例えば平成三年一月、「会長の交替」、要するに育英会の「会長の交替が見込まれるので「理事長も併せて若返りを図ることとし、総務庁からも理事を送り、」云々という「ことが必要である」というふうに書いてございます。あるいは「平成三年二月運輸省から災害遺児の経緯にかんがみ、常任理事の交替には、的場次官(元内政審議室長)、橋本大蔵大臣の了解が必要とのことであった。」  さらに、例えば「平成三年三月六日公文室長より交対室長」交通安全対策室長ですかね。「に電話があった。公文室長が橋本大臣に呼ばれ、手紙を見ながら、「これでは生ぬるい。玉井を更えるべきである。」」玉井というのは、当時交通遺児育英会の専務理事をされていた、後で追い出された方であります。「「玉井を更えるべきである。」との話があったとのこと。」というふうに記されているわけであります。  それで、ここで、この証拠を提出した現事務局長の久木常任理事兼事務局長、久木義雄さんの「上申書」というものがまたございます。一部紹介いたしますと、これにはこのように書いてあります。今のこの証拠物件ですね。この証拠について、  「平成三年三月六日公文室長より交対室長に電話があった。公文室長が橋本大臣に呼ばれ、手紙を見ながら、「これでは生ぬるい。玉井を更えるべきである。」との話があったとのこと。」とあるが、私、久木は、「橋本大蔵大臣が玉井専務理事を辞めさせろ」と言った話は、平成三年四月頃、徳宿恭男総務庁交通安全対策室  室長から確かに聞きました。また、「次期理事長  含みで、宮崎清文氏を送り込むということで、  今回は了承を得た」という意味のことも、交通  安全対策室幹部から聞きました。さらには……(発言する者あり)いらいらされるのだったら、耳をふさいでいただければいいかなというふうに思います。  そこで、この文書を書かれたのは、どうもいろいろな状況からいきますと、長澤さんという、当時の交通安全室におられた方ではないかと推察されるわけでありますが、きょうはその長澤さんにおみえいただいておりますので、このメモを書かれたのは長澤さんであるかどうかということを御本人に確かめさせていただきたいと思います。
  71. 長澤孝治

    ○長澤説明員 お答えいたします。  交通安全対策室におりました当時、私が見聞きして知り得たものをメモったものでございます。  内容についてはよく理解というか、どういういきさつなのかよくわかりませんですが、そういうものでございます。
  72. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 そうしますと、このメモは長澤さんがお書きになったもので、事実であるということでございますね。お書きになったということは事実ですか。
  73. 長澤孝治

    ○長澤説明員 はい。私が書きましたものでございます。
  74. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 それでは、この中に、「橋本大蔵大臣の了解が必要」とか、あるいは、橋本氏が「「これでは生ぬるい。玉井を更えるべきである。」との話があったとのこと。」と書いてありますが、これらのことは、どなたからこれは聞いてこういうふうなメモを書かれたのでしょうか。
  75. 長澤孝治

    ○長澤説明員 先生のお手持ちのメモには字が二種類あるのだろうと思いますが、今の部分については私は一切存じておりません。前半の部分については、メモは私のものでございます。後半のものについては、それをコピーをとったものをだれかが持ったのかは知りませんが、私ではないと思います。  以上でございます。
  76. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 恐れ入ります、それでは前段の部分だけといたしまして、今伺いましたのは、この平成三年二月に「常任理事の交替には、的場次官、橋本大蔵大臣の了解が必要とのことであった。」というふうに書かれているわけでありますが、これはどなたから聞いてこのように書かれたのでしょうか。
  77. 大坪正彦

    ○大坪政府委員 先ほど長澤調査官の方から、二つの字があるという話があったわけでございますが、この資料そのものも、実は私ども、きのう手に入ったものでございます。このメモがどういう経緯で、どういう流れで出てきたのかもちょっと、十分よくわかっていないわけでございますが、今長澤が言いましたように、長澤の関与した部分は前段部分と、そこまでは私どもも言えるわけでございますが、その後はだれがこれを追記したのかということについては、ちょっと情報がございません。
  78. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 今、長澤さんにそのことを聞かれると困るので大坪さんが出てきてそういう答弁をされたのだろうと思いますが、私も、そんなに個人的に追い詰めようというつもりはございませんから。  それでは、今長澤さんが、後段の部分は私が書いたものではないというふうに言われた。その点について、この久木さんというのは、裁判所へ上申書を、公文書を提出をして、そして、この中ではっきりと書いているわけですね。  「公文室長が橋本大臣に呼ばれ、手紙を見ながら、「これでは生ぬるい。玉井を更えるべきである。」との話があったとのこと。」とあるが、私、久木は、「橋本大蔵大臣が玉井専務理事を辞めさせろ」と言った話は、平成三年四月頃、徳宿恭男総務庁交通安全対策室室長から確かに聞きました。というふうに書いているわけであります。  それでは、大坪さん、これは事実なんでしょうか、そうじゃないのでしょうか。
  79. 大坪正彦

    ○大坪政府委員 ただいまの証拠資料の話につきましては、これは民事裁判でございまして、交通遺児育英会の内部の方々の内紛の中から出てきている民事裁判でございます。久木氏がその上申書を出したということは、実は私ども承知しておりません。先生、上申書をお手持ちのようでございますが、私ども、その現物も見ておりませんので、詳細についてはちょっとコメントをいたしかねます。
  80. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 これはきちっとした裁判所の書類があるわけでありますので……。  いいです、まだ見たことがないとおっしゃるのであれば。きょうは別に何もこれを決着をつけなければいけないというわけではありませんので。  それでは、大坪さん、事実関係だけ。先ほど、そういううわさを聞いたことはあるとおっしゃいましたけれども、そのうわさの内容というのはこういうことでしょうか。
  81. 大坪正彦

    ○大坪政府委員 先ほど、ちょっと過去の経緯を御説明する途中であったわけでございますが、その段階で、当時、たしか橋本総理は幹事長代理か何かだったのではないかというふうに思うのですが、そういうことで関係があったような話としては聞いておりますが、具体的なこういう中身については、私どもちょっと承知しておりません。
  82. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 これをお書きになったのは事実であるということでございました。これは何の目的でつくられたものなのか。そして、これは長澤さんがどなたにお渡しになって、どういうふうなその後の扱いになったのでしょうか。お答えできる範囲でお答えいただきたいと思います。
  83. 長澤孝治

    ○長澤説明員 お答えいたします。  前半の部分でございますが、私がいろいろ見聞きしたものを、大変重要な事項でございましたので書きとめておいたものでございまして、何の目的というか、私も時期が来れば人事等があるものですから、時系列的にずっとつながっているようなものでございましたから、私のメモとして書いたものでございます。
  84. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 これは、長澤さんが書かれて、そしてどなたかにお渡しになったのではないですか。  これは、総務庁の恩給局の総務課長をやっておられた鳥山郁男さんという方が交通遺児育英会に行かれた、就職をされた。そのときに、交対室の担当者から渡されたものを、だから、あなたがお書きになって、そしてそれを交対室の担当者が、それはあなたかもしれません、それを育英会の穴吹現専務理事に渡したというふうに、これは穴吹さん自身が証言をされているようであります。  こういうことで、この文書がなぜ法廷に出されたかということはまた別の機会に解明していかなければならないと思いますが、この中に書かれている事実関係というものは平成三年の話であります。そしてその平成三年には、橋本さんが、今の専務理事をやめさせろと。そして、かわりに総務庁から今の、副長官をやった宮崎さんが常任理事として行くわけでありますけれども、これを、交代を一気にやらせたかった。しかし、会長もいるし、専務理事も一気にがらっとかえてしまうということは幾ら何でも荒っぽ過ぎるということで、このときには一応、総理府副長官をやっていた宮崎さんを常任理事として送り込むに済ませた。  そして、次の平成六年のときに、宮崎さんがそれまでいた玉井専務理事を首尾よく追い出して理事長に就任をした。その間に、心労もあってか、石井さんという、私とは関係ありませんが、会長さんがお亡くなりになった。その結果、今の会長不在の宮崎理事長体制、総務庁の侵略体制とでもいうようなものが確立しつつあるというのが現状かなと思うわけでございます。  そこで、こういうふうにしゃにむに—————健全にやっている、そしてみんなが、国民の多くの人たちがそれを支えて、交通遺児の皆さんの教育に支援をしよう、こうやっているのを、そこに三百六十億ものカンパが集まって、資産がある、これはおいしいぞというようなことで、総務庁だけじゃありませんけれども役所が次々に天下りを送り込む。そして、従来いた人たちを排除していく。この結果、せっかくのものが、民間のボランティアの皆さんがっくり上げたこうした団体が台なしになってしまっているということは大変憂うべきことだろうと思うわけですね。そういう意味で、このことは非常に重要な問題であります。  せんだっての答弁とも、大きく矛盾をする。つまり、監督官庁はみずから身をもってそうした乗っ取りのようなことを図っていくということでありますから、とんでもない話であろうと思うわけでございます。  そこで、きょうはこの問題はこの程度にさせていただきたいと思いますが、一つお伺いしておきたいのですが、この交通遺児育英会の人事というものに対して、あるいはその他の運営に関して、総務庁はちょっと過度の介入をし過ぎているのじゃないのか。総務庁はこの役員、今会長はいないのです、総務庁から行ったその理事長も、もう半年ほども病気で出てこれないというようなことで、ある意味では運営がお手上げ状態だと言ってもいいような状態にあるわけですね。どうなんでしょうか、これはすっきりもとの状態に戻して、この民間のボランティアの皆さんの—————目安箱にそういう深刻な手紙が届いているわけですよ。もとのそうした活力ある状態に戻したらいかがですか。総務庁、いかがですか。
  85. 大坪正彦

    ○大坪政府委員 ただいま先生から現状の問題について御指摘があったわけでございますが、一点お話をさせていただきたいのは、先ほど宮崎前副長官の理事あるいは理事長選任についてのお話があったわけでございますが、先生御承知のとおり、寄附行為によりまして、理事につきましては評議会での選任、理事長につきましては理事会での選任というような手続を踏む必要があるわけでございまして、宮崎副長官のケースにつきましても、その辺は手続を踏んでやっているわけでございます。理事方々の多数の理解のもとに理事長に就任されているという事実があるわけでございます。  それから、今回の御指摘でございますが、現状についてというお話がございました。これにつきましては、先ほども申し上げましたように、過去からの長い経緯の中での今の現状でございます。私どもも大変憂えている状況ではございますが、今の現状の中で適正な運営を行っていただくということが特に大事だと私どもは思っております。  過日も交通安全対策室におきまして、意見の異なる方に、両者に集まっていただきまして、今後の業務の見通し、あるいはそれに伴うリストラについて、適切な対応をするように要請し、指導を今している最中でございます。
  86. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 私は、総務庁がそういう大事について過度の干渉をするべきでない、まさにそういう趣旨でもってもとへ戻したらいかがかと言っているわけですから、今人事を、だれをやめさせてだれを就任させる、そういうふうなことを総務庁がやれと言っているわけじゃないのですよ。そこは誤解をしないようにしていただきたい。総務庁がやらない方がいいから、もとへ戻した方がいいというふうに言っているわけであります。  この問題はきょうはここまでにしておきますが、しかし、これは官庁と、それから政治家も密接にかかわっているかもしれない、こういう天下りの、あるいは民間支配の重大な問題でありますので、今後また解明をさせていただくことにしたいと思います。  さて、別の問題に移りますが、住都公団に来ていただいております。  住都公団は、かつてのいろいろな委員会のやりとり等におきまして私が幾つか指摘しておいた点の一つは、分譲住宅をつくり過ぎて、今、もう大体七千戸、少なくとも七千戸以上あいてしまっている。完成したのだけれども、ふすまや畳を入れないで、完成したという状態にしないとか、あるいは工事も、今工事中のものなんというのも大体二万戸ぐらいあるわけですが、その二万戸も、途中で取りやめたり、ほったらかしたり、もうめちゃくちゃな状態なんですね。  そういう状況にあるから、私はこれを何とかするためには、それは安くなるでしょうけれども、もう民間のディベロッパーか何かに一気に買い取ってもらうなりなんなりしなければどうにもならないということを、これは昨年二月二十日の委員会で申し上げた。それに対して、亀井建設大臣の御答弁は、たたき売りをするわけにはまいりませんということでありました。  たたき売りというのは、そういうふうにディベロッパーに安く売ったらどうかというのに対する言い方でありますし、またあるいは、いろいろなことを今悩んで考えておりますと。例えば、賃貸住宅への一部切りかえとか、あるいは丸々譲渡するのではなくて定期借地権つきの分譲に切りかえられるのではないかというふうな工夫などを含めまして考えている、ただ、これにつきましても既に入居している方々とのある程度の御了解というふうな点もございますというふうなことで、こうやって、昨年の八月に大幅な値下げをしたわけですよ。もうたたき売りに近い値下げをしたわけです、二割も下げたわけですから。二十九の団地でもってこういうことをやったというわけですから。  そうすると、その半年前に同じ値段で買った、半年あるいは一カ月の違いでも、一千万円ぐらい高く買わされた人と安く買われた人が出てきている。こうなりますと、既に高い値段で買っていた人たちは、政府を信用して買ったわけですね。これは民間の売買とは違うのです。これは政府政策として売買価格を決めて、そしてそれでやっている。しかも、国会答弁においても、直接のやりとりにおいても、値下げはしませんということを言ってきているわけですね。だから、それは待っていたら値が下がるのじゃないかというような民間の感覚でもっての売り買いとは全然違うのですよ。  そういう意味においては、やはりうそをついたことになるわけです、値下げをしないとか、いろいろ住民の理解を得なければいけないとか言いながら。今全国に、一カ月前あるいは半年前にそういうふうに買わされた人たちが、一体どうやってこの価格というものを決めているのかということで不信を募らせているわけでありますから、住都公団は、この問題はこのままにしておくわけにはいかないだろうと思うのですね。  もう時間が少なくなってまいりましたから、それはまた別の委員会等でもって具体的なやりとりをさせていただきますけれども一つだけ。  住都公団は困り果ててやみ値引きをして売っていた、そういうのが事実あるわけであります。これは大変な問題です。私は、そういうやみで、安い値段で買われた、こういう証拠の書類を幾つか持っておりますが、非常に手の込んだ、そして、ないしょにしてください、ないしょにしてくださいということで、ごちゃごちゃ         —————要するに前渡金というか一時金、最初に渡す金額ですね、それを幾らまける、幾らまける。それで、払ったことにして、しかも領収証等についてもいろいろな策をめぐらせてやっている。これは脱税の疑い、法律家に聞きましても、にせの公文書を作成したという罪で一年から十年以下の懲役という、刑法にも重い規定がある問題なんですね。  こういうやみ値引きをしておったというようなことにつきましても、今住都公団に来てもらっておりますけれども、住都公団の皆さんにひとつ、こういったことをやっていたということが事実なのかどうなのか。これは公団でちゃんと言っていることですから事実だと思うのです、証拠もあるのですから。  それからまた、高い値段で買わされた、そういう人たちは、何を根拠にそんな高い値段で買わされて、何を根拠に買った途端値下げをしたのかというようなことがわからないと言っているわけですから、改めてまた値段の決め方等を聞きますけれども、今の、突然下げたという問題について、訴訟事件やいろいろな問題が起こっておりますので、そうしたことに対してきちっと対処をしていくつもりがあるのかないのかという点と、二つをちょっと答弁をしていただきたいと思います。     〔佐藤(静)委員長代理退席、委員長着席〕
  87. 原田昇左右

    原田委員長 時間がもう来ておりますので、簡単に要点だけ答えてください。
  88. 梅野捷一郎

    ○梅野参考人 最初に御指摘ございました、価格の引き下げに絡む、不正なことをやっておるのではないかというお話は、恐らく私どもが実施をいたしました現状有姿販売ということでやった件についてのことだろうと思っております。  これにつきましては、私どもは、モデルルームとして使用した住宅につきまして、汚れとかいろいろなことがモデル住宅として使用した場合に出るわけでございますから、それを完全な形で譲り受け人に引き渡す際には、それなりの手当てを後からする必要がございます。それにかかる費用という問題を、我々の方で実施をするか、お買いになった方々がおやりになるかという関係をやるために、自分でおやりになる場合にはその分を価格から調整をいたしますということをやっているわけでございまして、決してやみで値引きをしているというようなことでもございません。  また、文書その他につきましても、私どもは内部の規定に基づきましてきちんと処理をしていると考えておるところでございます。  それから、値下げをしたことにつきましての御指摘がございましたけれども、いろいろな状況の変化によって値下げをしたわけでございまして、そのことについては、前にお買いになった方、後からお買いになった方の関係につきましても、そういう経済状況が変わったというような背景の中で実施したということをぜひとも御理解いただきたいということで、その点についても努力を現在も続けているところでございます。
  89. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 終わります。
  90. 原田昇左右

    原田委員長 次に、上田清司君。
  91. 上田清司

    ○上田(清)委員 同僚議員、同会派でございますので、もし時間が厳しければ、一、二分、私の分を差し引いて結構でございます。  清川理事参考人として御出頭、どうもありがとうございます。時間がありませんので、端的に確認だけさせていただきますので、手短にお答えをいただけると大変ありがたいと思います。  まず、先般の予算委員会分科会での私の質疑の続きでございます。  海外経済協力基金の十億五千万の貸し付けが現地に一円も届かなかったという事件のお話であります。  私はこれは事実上だまし取られたものだというふうな考え方を持っておりますが、なぜ、だまし取ったと思われる張本人であるところの日盛産業の小嶺氏や葉山氏を告発しないで、中国の現地の方を告発されているのか。この点についてますお伺いしたい。
  92. 清川佑二

    ○清川参考人 お答え申し上げます。  今委員指摘の問題は、当基金が恵州柏塘有限公司、これは中国の広東省の恵州市で養鰻場を建設するものでございますが、これにつきまして九四年三月に十億五千万円の融資を行いました。その際、まことに遺憾でございますが、融資の際に、資金貸し付けの実行部門におきまして、内規に反して中国銀行からの保証状を取得しないままに貸し付けを実行したために、債権保全に問題が生じる事態となっているわけでございまして、これにつきましてはまことに遺憾なことでございます。  本件につきまして、今御指摘の告発の問題でございますが、私ども、内部的な懲戒処分を行いましたけれども、さらに昨年九月十八日に、中国恵州市公安局に対しまして、関係者を告発いたしたわけでございます。  そしてまた、日本の警察にも事情説明いたしまして相談をいたしているところでございますし、さらに民事的には、この日本側の推進者であり保証人である日盛産業の破産の申し立ても行って破産宣告を得るというようなことも行っているわけでございます。  その中で、今御指摘の日本で告発をしていないという点でございますが、日本で告発するために、警察当局に対しまして一本件の事実関係をるる御説明申し上げておるところでございます。  具体的には、既に数カ月になりますけれども、日本の警察当局に対しまして、当時の関係職員が任意に出頭をいたしまして、参考人として数十回にわたって事情を御説明し、また関連する資料を提出させていただいております。現在、警察におきまして、当基金からのこのような説明などに基づきまして、刑罰、法令に触れる行為があったか否か、調査を進めている段階にあると私どもは承っております。  当基金といたしましては、引き続き積極的に警察に協力いたしまして、どのような刑罰、法令に触れるかについて警察が嫌疑を固められた段階におきましては、直ちに正式に告訴、告発をさせていただきたいと思っております。  しかし、いずれにいたしましても、このような問題が起こったもとは、銀行保証をとらないままに貸し付けを実行した、こういう債権保全措置を十分にとるべき金融機関の基本原則にもとるようなことで、まことに遺憾なことでございますので、今後とも気をつけてまいりたいと思います。
  93. 上田清司

    ○上田(清)委員 日本の警察当局とはしばしば相談されている。しかし、中国の方では、ほとんど相談もしないままにいきなり刑事告発をされたではないですか。  では、中国に対する、公安に対する告発をもって何か得られるようなことがあるのでしょうか。あるいは、既に得たことがあるのでしょうか。
  94. 清川佑二

    ○清川参考人 中国に対する告発でございますけれども、これは、中国にあります中国の法律事務所相談いたしまして、恵州市公安局に私どもの職員を弁護士とともに派遣をいたしまして、そこで中国の弁護士も付き添っての話でございますが、中国の方ではそのまま文書を受け付けてくださった、このように受けとめております。  その効果でございますが、先日も中国の恵州市公安局の方にも私自身お目にかかったのですけれども、まだ進展がございません。私自身、恵州市の公安担当の副市長さんにも本件の解明をお願いしてまいったところでございます。
  95. 上田清司

    ○上田(清)委員 あなた方は、間違っているのですよ。  これは委員全体に聞いていただきたいのですが、盗み取ったのは日本人なんですよ。日本を舞台にお金を振り込まれ、それが本来なら中国の事業につき込まれなければいけないのに、中国には一円も入っていない。なぜ日本の方を告発しないで中国側を告発するのですか。間違っているではないですか、基本的に。ポーズではないですか。中国側ではこの問題に関しては何の進展もありませんよ。一、二回相談しただけではないですか。ほとんどポーズですよ、私に言わせると。これは回答は要りません、大した回答は出ませんから。  それよりも大事なのは、もともと日盛産業に融資するだけの意味があったのかどうかという問題も、私はしばしば申し上げておりました。しかし、総裁は融資には全く問題はなかったと言っていますけれども、融資にも問題があったことを申し上げたい。審査ミッションを出して、現地の見積もりと実態の把握について皆さんは把握し切れなかったというふうに私は理解しております。  例えば土地の使用料が、四億六千万の見積もりが出ております。審査ミッションはそれについてどういう判断をしたのでしょうか。実際は三千万ですね。お答えください。
  96. 清川佑二

    ○清川参考人 中国の現地での評価の問題のお尋ねでございます。  中国でこの事業を行うに当たりまして、三十・五ヘクタールの養鰻池をつくるということで、その土地の代金についてのお尋ねでございますけれども、この土地の価格につきましては、柏塘公司と兄弟関係にあります東昇公司がこの事業に先立ちましてこの土地を管理組合から取得する契約を結んでおられます。これが四億六千万円で締結しておりまして、この契約につきましてはその地方政府の認証も得られているわけでございます。そのため、基金といたしましては、この契約額は審査の際の積算資料として適切なものとして考えているわけでございます。  なお、この土地契約は東昇公司の総経理がサインをしているわけでございますけれども、この方は恵州市の水産局副局長の公職も兼ねている方でございまして、この方の署名をしているものでもございますし、地方政府の認証もありますので、適切なものと考えた次第でございます。
  97. 上田清司

    ○上田(清)委員 今申し上げましたように、実際は三千万なんですよ。現地の総経理からもそういう書状が送られてきております。  水産局の副局長の話もされましたけれども、あなた方は、海外との取引、事業契約等を結ばれて知ってのとおり、中国の地方政府の何とか局長といっても官と民がごちゃまぜになって信用できないことぐらいはわかっているでしょう、はっきり申し上げて。だから、それをもって信用するというのはナンセンスな話。基金としての認識が問われますよ。地方政府のそれぞれの官職といっても、わけがわからないのですよ。アルバイトもたくさんやっていらっしゃる、官と民の区別もよくつかない、それぞれが何か事業を怪しげにやっておられる、そのくらいわかっているではないですか。  私も大都市の名誉理事をやっておりますけれども、ああいう大きな大都市においてもそういう部分があるのですよ。そういうことは理解されているはずなんです、プロなんですから。  それから、養鰻業に関しては、上海周辺からあの南の部分に関しては、そういう工場や養鰻業が山とあります、有限公司も含めて。そういうところから比較すれば、どのくらいの土地の値段だということはわかるはずなんです。それを、継続事業の前の部分の契約があった、あるいは水産局副局長の信任があったということだけでもって適切だと言ったのでは何の審査にもなりません、あなた方自身の目で見ていないということですから。  そういう意味で、この審査そのものにも問題があったということで、内部でもう一回処分についても検討してください。  それからこれは、あちらの方にも控えておられますから、経企庁の方でももう一回、この審査に関しても、審査し直してください。  それから、十億五千万、あさひ銀行に振り込まれた部分についてのその後の出入りの経緯について、どのくらい調べがつきましたか。それをお答えください。
  98. 清川佑二

    ○清川参考人 お答えいたします。  当基金からあさひ銀行に振り込んだ十億五千万円、これは柏塘有限公司の口座に振り込まれたわけでございますけれども、九五年十二月に日盛産業から当基金が入手いたしました直接の送金先に関する資料がありましたのですが、この日盛産業からの説明によりますと、基金の貸付金は、兄弟事業の恵州東昇養鰻公司等に充当されたものの、そういった先行投資の清算に充てられたというような説明を受けております。  基金は、この資金の流れに関しまして、九五年十一月に日盛産業が和議開始を申し立てて以来、基金の資金の資料提出を求め続けております。求め続けておりますけれども、この部分につきましては必ずしも、明快な資料をいただけておりません。私どもが十二月に日盛産業からいただきました資料は、直接その銀行の口座から送金先に対する資料はありましたけれども、しかしながら、それ以降の送金先についての資料が提出されておりません。そのようなことから、私どもは引き続きエビデンスの提出を求め続けてまいっているわけでございます。  このようなエビデンスの提出を求め続けてまいりましたけれども、誠実な対応が得られないというようなこともありまして、私どもは、資金の使用が適切であったか疑いを持ち、告発に至ったものでございます。
  99. 上田清司

    ○上田(清)委員 全然答えていないではないですか。あさひ銀行室町支店からどう流れたかをずっと聞いているではないですか、私は。その日に既に一億四千万ぐらい、ある蒲田支店に振り込まれて、手形の決済に十万円使われているのですよ。
  100. 清川佑二

    ○清川参考人 当基金が入手いたしました直接の送金先に対する資料は提出されたわけでございますが、今申し上げましたように、どうも再三の求めにもかかわらずそれ以降の送金先がはっきりしません。  このようなことで、私ども、この資金の流れを把握するために銀行口座の取引記録など丹念に追跡していく必要はありますけれども、金融機関の守秘義務という壁に突き当たっておりまして、捜査機関でない当基金の任意の調査では、入手が困難になっております。  したがいまして、私ども基金といたしましては、貸付金の流れを解明できておりませんけれども、入手いたしました資料はすべて警察に提供して、警察の捜査に役立てていただくようにしているところでございます。
  101. 上田清司

    ○上田(清)委員 清川理事、不誠実なことを答弁されていますよ。  要するに、これは、平成六年の三月三十一日に十億五千万振り込まれて、その六十日後に中国銀行を通じて振り込まれない限り保証を持たないという通告があったので、慌てて資金の回収をして、もう一回この十億五千万を中国銀行に入れなくてはいけないのです。  したがって、日盛産業に対してきちんと中国銀行に入れなさいという要求をあなた方はしなくてはいけなかったし、していたはずですけれども、今日に至ってまだしていないわけですよ。もう何年たっているのですか。私が言い始めてからだけで一年たっていますよ。  そして、守秘義務云々と言っておられますが、西垣総裁の名前で千葉銀行にはきちっと出して、千葉銀行からは来ているじゃないですか。あさひ銀行室町支店の方に、あるいは本店の方に要求を本当にしたのですか。
  102. 清川佑二

    ○清川参考人 あさひ銀行の本店の方に私どもも要求いたしまして、先ほど申し上げましたけれども、資料を一部いただいております。いただいておりますが、そこから先の金の流れというものがわかりません。  そのような状態でございますが、私どもが入手いたしました資料は、警察にすべて提供させていただいているわけでございます。
  103. 上田清司

    ○上田(清)委員 後でその日付やら全部教えてください、いっその資料をいただいたか。  それから、その資料次第によっては、早い時期からこの日盛産業のお金の動きがおかしいということをわかっていた上で、日盛産業の経理内容とかについては過去において非常によかったと。しかし、決算に関しても改ざんされていたおそれがあります。  それから、こういう、なかなかお金を中国銀行に振り込まないという事態があっても、皆さん方はなぜかずっとこの日盛産業の肩を持ち、再建のための力を貸し、そういうこともあった。内々に、どのぐらい接待があったかということは、礼儀の範囲内で接待があったし、お返しもしたということも聞いておりますが、これはもう本当に異常ですから。それに対してのきちんとした         —————調査もまた異常です。あなた方が、お返しさせていただいて、私どもに対して、わからない、やっているを何年続けているのですか。振り込まれたのは六年の三月三十一日ですよ。そしてその二カ月後には、そこではだめだという通告をいただいているのですよ。いまだにそれが解明されないなんというのはおかしな話でしょう。  そのことだけを申し上げて、議事録にきょう残すことに意味がありましたので、また改めて丁寧に調査をさせていただきます。  以上です。ありがとうございました。
  104. 原田昇左右

    原田委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午前十一時五十三分休憩      ————◇—————     午後一時一分開議
  105. 原田昇左右

    原田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。田端正広君。
  106. 田端正広

    ○田端委員 新党平和の田端正広でございます。きょうは、速水日銀総裁にお越しいただきましたので、最初に質問させていただきたいと思います。  新しい日銀法がスタートして、日銀の透明性あるいは独立性、そういったことが期待されているわけでございますけれども、特に、政策委員会の設置というのは大変大きな意味を持っているのだろう、こう思っております。  先日、私たち決算行政委員会のメンバーも、日銀本店を視察させていただきまして、総裁室に初めて入れていただいたり、政策委員会室も見学させていただきました。その際に、山口副総裁の発言が、その後大変大きな、予想以上の反響を呼んだ。利下げはプラス面とマイナス面、両面があって、トータル的にはプラスだと思うというその一言が株価にも影響するようなことにもなったわけでありますけれども、私、今から考えてみますと、この問題が、意図があったのだろうか、あるいは全くそういうことがなかったのか、どうなんだろうということを感じるわけでありまして、そういう意味では、金融政策に対する慎重な発言というものが要求されるだろう、こう思います。  実は、きょうの新聞にもまだ尾を引いていまして、デフレの「悪循環に歯止めをかけるには「市場の金利水準をさらに下げる必要がある」との見方が一般的で、市場が利下げを催促する形で長期金利の低迷が続いているわけだ。最近では日銀の山口泰副総裁が「金利引き下げのメリットは大きい」と発言したとき、長期金利は過去最低を更新した。」こう報道されているわけでありますが、この問題について、総裁の方から一度きちっとここでしていただいた方がいいのじゃないか、こう思いますので、御見解をお伺いしたいと思います。
  107. 速水優

    速水参考人 先日は、委員長を初め、御多忙の中を御視察いただきまして、ありがとうございました。  あいにく、あのとき、私は御質疑にも立ち会えなかったのですけれども皆様、御質問が、現在の厳しい経済情勢のもとで、金融面から追加的な措置をとることについてどう考えるかという委員長の御質問だったと聞いております。  それに対しまして、山口副総裁から、金利は既に極めて低い水準にあって、これを踏まえると、一段の金融緩和については、金融経済の動向やその効果を慎重に検討する必要があること、総合経済対策が発表され、その効果が必ず出てくるものであるので、その出方を見きわめることも大切である、こういうことを最初に申した上で、すなわち、金融緩和というのは、一方で企業収益とか設備投資などにはそれなりのプラスの効果は期待できる反面、現在の家計を取り巻く環境のもとでは、家計の支生活動をむしろ防衛的にさせかねないといった、いわば副作用のようなものがあって、この両者をトータルして差し引けば、何がしかのプラスの効果は残ると思うけれども、金利水準は既に低いところにあるのだから、副作用がどのような強さを持ってあらわれるかは見逃せない点である。そのほかのさまざまな側面にも慎重に留意しながら、現在は、総合経済対策の効果の出方を含めて、情勢の展開を見きわめているところである。  以上が、私ども皆様方にお答えした内容であり、先般の政策委員会政策決定審議でもこのような結論を持って今日まで来ておるわけでございまして、引き続き、政策委員会は、十分な討議を尽くして政策の運営に誤りなきを期したいというふうに考えております。
  108. 田端正広

    ○田端委員 十九日に次の政策委員会ということを伺っておりますけれども、そういった意味で、ぜひ、日本のこの経済の動向を誤らないように、慎重な判断をお願いしたいと思いますし、今後もまた、それぞれの発言については、いろいろな意味で影響があると思いますので、その辺のところについても慎重にしていただきたいな、こんな思いもいたします。  日銀の今回の接待あるいはその他もろもろの事件について、いろいろなことで、国民皆様も新しい日銀がどうなのかということで非常に注目しているだけに、これからの日銀の改革に対してより積極的にひとつ取り組んでいただきたい、そう思うわけであります。  中でも、職員の給与の問題について大変御批判があるようでございますから、この点については、国民にも理解していただけるような、そういう意味でのけじめというものをしっかりとおつけいただきたい。  先般、この委員会でもそのことについては問題になり、また、理事会の方には御報告があったようでございますけれども、しかし、新聞報道を見てみましても、局長級で年収がまだ二千四百二十六万とか、こういった数字を見ますと、大変高いなと。退職金にしても三千七百五十八万とか、こういう数字が出ているわけでありまして、そういう意味では、高い給料をもらっている職員が情報を与えることによって接待を受けるみたいな、そういうことのないように、ひとつよろしくお願いしたいと思うわけであります。  日銀のこの改革の問題の中で一つ問題になっているのが、給与の水増しの問題であります。実際の職員数に水増しをして、そして大蔵省に報告をした数と違うという意味で、やみ給与という形で支給しているのじゃないかという疑惑はまだ解消されていないわけでありまして、そういう点について、ひとつ御報告願いたい。  それから、日銀OBの民間金融機関への天下りの問題についても、九十六人ですか、そういう数字が出ていますけれども、今後この問題に対してどうしていくのか、このことについても御報告願いたい。  それから、例えば日銀の理事、副総裁、総裁、こういうふうに生え抜きで務められた場合には、退職金は一億数千万、こういうことになるわけでありまして、社会通念からしてそれでいいのだろうか、こういうことも感じるわけであります。  新聞、雑誌等でさまざま批判等が出ているわけでありますが、国民の信頼をどうかち取るか、そういう一点に絞って、総裁のこれらの問題に対する御決意をお聞かせ願いたいと思います。
  109. 速水優

    速水参考人 お答え申し上げます。  一部の報道で私どもの給与の問題が取りざたされまして、私ども予算要求に際して人員を多く報告している、そうして予算を獲得してその分を水増し給与として支給しているというようなことが書かれておりますけれども、そうした事実は、私ども調べたところ、ございません。事実はございません。ただ、給与につきましてこのような誤解を受けることになりましたのは、私どもの情報開示のこれまで必ずしも十分でなかったということが原因になっているのではないかということを深く反省しております。  私どもでは、これを機に、現在内部で改めて人件費全体について点検を行っております。その結果はしかるべき形で公にさせていただきたいと考えております。また、役員の給与の支給の基準につきましては、これは先般既に公表をいたしております。職員の給与等につきましては、本年の九月までに、社会一般の情勢に適合する水準に政策委員会で決定の上、公表する所存でおります。  それから、おっしゃいました天下りの件でございますけれども、日本銀行の場合、民間への再就職につきましては、これまでも、個人の識見、能力を期待して外部から人材を求めてこられた場合に限って慎重に対応してきたところでございます。この点、新日銀法では、日本銀行役職員の職務の公正性を確保するという観点から、再就職に関するルールを含む服務の準則を決めて、それを大蔵大臣に届け出て、公表することになっております。これはもう届け出て、公表されております。四月一日から施行されております。  私どもでは、こうした新法の規定に基づいて、日本銀行役職員の職務の性格に即して再就職の自粛期間を具体的に定めて、今般、服務に関する準則の中に再就職の自粛ルールというものを決めた次第でございます。今回の準則を徹底することによって、新日銀法で求められております職務の公正性というのは十分確保されるものと考えております。また、運用につきましても、役職員の再就職について世間から誤解を招くことのないように慎重な対応を図ってまいりたいと思っております。  それから、おっしゃいました、職員から理事、副総裁、総裁と上がっていった場合に退職金が二回払われているではないかという御質問でございますけれども、この点につきましては、まず、退職金自体も、役員の退職金につきましては、先般、従来の基準に比べて約三割の減額をしたわけでございますが、職員についても、本年九月までに基準を定めて公表する予定にしております。  職員から役員になって、あるいは総裁、副総裁になって、通して四十数年勤めていった人の例が挙がっておりますけれども、私どもでは、職員から役員に任命された人につきましては、職員分と役員分の退職金をそれぞれ別に支払っております。このことは、民間の企業では一般的に行われている方式であると思います。社会通念上もこの点は問題がないというふうに思っております。  以上でございます。
  110. 田端正広

    ○田端委員 ともあれ、新しい日銀法に基づいて、日銀がより独立性を持った活動をされることを期待しておきたいと思います。  本日は、どうもありがとうございました。  大蔵省の方にお伺いいたしますが、先般の大蔵省の不祥事に対する処分、四月の二十七日でしたか、ございました。その後初めての本委員会でございますが、この百十二名の大蔵省の処分の問題について、まだすっきりしていないのじゃないかという思いもするわけでございます。  例えば、戒告以上の処分を受けた職員、三十二名、この接待回数だけを見ても、五年間で二千二百回。これはもう大変なことだと思います、三十二名で二千二百回ですから。そして、五年間、一九九三年一月からにさかのぼって調査されているわけでありますが、この間に二回歯どめをかけられるチャンスがあったと思います。  一回は、一九九五年五月の元東京税関長らに対する過剰接待が明るみに出て、ここで綱紀保持の通達を出された、これが一つのチャンスであったと思います。それまでの二十九カ月、二千二百回の内訳でいきますと千六百九十七回あったわけですが、ここで歯どめがかかっていればこういうことにならなかったのだろうと思いますが、一九九五年五月にそういう通達を出しながら、その後もやはり接待は続いている。  二回目の事件は、元厚生事務次官の汚職事件が発覚して、職員倫理規程が制定された。これが一九九六年十二月ですから、この間に四百四十九回の接待がある。そして、職員倫理規程が制定されて、それでもまだとまらなくて、その後、昨年暮れまで八十二回続いている。  少なくはなってきているのですけれども、しかし、トータルとして見た場合、この限定された三十二名の人を見ても、依然そういう形で接待が続いていたというところに問題がある。だから、今回処分をした、処分を発表した、だからこれで終わりじゃなくて、少なくはなるかしらないけれどもまだ続くのじゃないか、それは過去の二回が証明している、こう思うわけであります。  そういう意味で、本当に今回のこの処分で綱紀が保持されるのかどうか、政務次官、お見えでございますので、よろしくお願いしたいと思います。
  111. 武藤敏郎

    ○武藤政府委員 ただいま御指摘がありましたとおり、平成七年五月と八年十二月にそれぞれ自粛通達、倫理規程が制定されたにもかかわらず、その後においても接待があったということはまことに遺憾なことだと私どもも思っております。今御指摘がありましたとおり、回数が多少減ってはきておりますけれども、しかし接待の事実が依然としてあったということは、これは明らかになったわけでございます。  どうしてこういうことになったのかということにつきまして、いろいろ原因があるかと思いますけれども一つには本人の倫理観というものが最終的には問題になるわけでございますけれども、もう一つは、自主申告というやり方で綱紀の保持を図るという仕組みそのものが、実効性を担保するという仕組みとして必ずしも十分効果を上げていなかったということにもあるのではないかというふうに思っているわけでございます。  そこで、これは金融服務監査官という体制をことしの初めに、逮捕者が出た後ではありましたけれども、省内に設けました。さらには、今回のこの処分というものを大蔵省職員一同が厳粛に受けとめまして、綱紀の厳正な確保にさらに十分に思いをいたして、新しい時代の要請を踏まえまして、真に国民の負託にこたえられるようなそういう大蔵省になるために全力を尽くしてまいる決意でございます。
  112. 田端正広

    ○田端委員 いろいろそういう決意はされるが、それが本当に大丈夫かということを聞いているわけであります。  例えば、今回は金融部門を中心に本人の自己申告、そういう形で調査された。しかし、職場である以上、これは異動が伴うわけでありまして、そういう意味では、今回の処分者の中にも、例えば銀行、証券の接待じゃなくて生保の各社から大変な接待を受けていたという幹部が四人リストアップされているようでありますが、例えばこの四人の中を見てみますと、保険部長をやっていたとか課長、保険第一課長、二課長とか、こういう補佐であったとかという方ですが、飲食十数回、ゴルフ三回、飲食七十回、ゴルフ二十回とか、こういうのがずっと続いているわけです。だから、銀行、証券以外の、例えば生保からの接待についてもこれは検査する必要がある、調査する必要があるとこの事例を見てもそう感じるのですが、官房長は、その辺のところまで踏み込んで綱紀粛正に取り組むのかどうか、その辺のところはどうでしょう。
  113. 武藤敏郎

    ○武藤政府委員 銀行及び証券に加えまして、生保、損保につきましても今回の調査の対象といたしたところでございます。ここには金融部局という言葉で申し上げておりますが、この場合の金融部局と申しますのは一番広い意味で、保険も含まれるわけでございます。  ただいま何名かの保険の、現在その職にある者の人数がお示しされました。この中に、ちょっと今手元に直ちにはどれこれということをお示しするだけの用意がございませんけれども、いわゆる金融検査部の者、これは銀行、証券ばかりでなくて保険もその職務の対象としておりますし、そのほか、かつて保険部に在職したという形で処分を受けておる者もございますので、私どもといたしましては、保険も含めまして広く金融全般についての調査をいたしたというふうに考えております。
  114. 田端正広

    ○田端委員 どちらにしても、この問題についてはさらに引き続いて大蔵省の中でしっかりと調査をしていただきたい。そして、国民の信頼をかち得ないことには、国民の中では、今日の不況を招いたのは大蔵省だ、大蔵省の役人がこういういいかげんなことをやっているから日本の経済がおかしくなったんだ、ここまで言う人がいるわけですから、そういう意味の不信感を回復できるようにしっかりと努力していただきたいと思います。  政務次官お見えですから、政務次官、きょうは大臣お見えではないので、この問題についてぜひ御決意のほどをお願いしたいと思います。
  115. 中村正三郎

    中村(正)政府委員 全般の問題については、官房長がお答えさせていただいたとおりであります。  ただ、ここで一つ、今政務次官の改革で取り組んでいることがございますので、申し上げさせてほしいのです。  なぜこれを申し上げるかといいますと、国家公務員というのは国家公務員法で非常に身分が守られているわけであります。この前この委員会でも答弁させていただいたのですが、国家公務員法、それに基づく人事院規則、内容は労働協約みたいなところがありまして、当人がよしとしない限り処分をすることができないという、簡単に言いますとそういう法律になっておりまして、今現に逮捕されている人でも処分を拒否して認めていないという人がいる、そういう者は処分できない。処分する場合には極めて厳密な証拠を出さなければいけないし、それに対する公務員の抗弁権もあるという中で厳密な法律的な行動が必要だと思うから申し上げるのですが、今の国家行政組織法において、服務に関することは大臣の事項になっておりまして、政務次官は政務を処理することしかできません。ですから、政務次官が大臣に意見を申し上げることはできますけれども、それに関与することは極めて限界があるような国家行政組織法になっております。  ですから、私は今度の問題が起こりまして、これは、大蔵省に限らずひとつ政府全体としてしっかりと綱紀を粛正して取り組まなければ国家の行政組織全体が信頼を失うことだということで、大臣に対しまして、厳正にやろうということで申し上げ、いろいろな御意見も申し上げてまいりました。しかし、これを処理する段階になると、政務次官には権限がございません。そういう意味で責任ある御答弁はできないと思いますが、私は、こうした段階を経た綱紀粛正策が重ねられたのに、回数は減ってきたけれどもなおかつ接待が行われていた、これ以上接待が行われたら、それも手続を経ずに行われたら、それはもう厳正な処分がされるべきであると私は思っております。  こういうことを大臣にも申し上げている次第でございます。
  116. 田端正広

    ○田端委員 ぜひその決意でお願いしたいと思います。  本委員会委員長のもとに行政改革に関する苦情等がたくさん寄せられておりますが、これを拝見してみますと、この中にもいろいろ、行政にかかわる問題に怒りの声が届いております。例えば天下りに対して、  五十五才以前に高額退職金を得て退官し、二−三年毎に新しい職場に数度移転して、その都度高額退職金を得るとは、庶民にとってはありえない話です。小生友人にもそのような厚かましい高級官僚がいましたが、全ては税金の無駄使いと確信します。 云々、こういったことがずっと寄せられています。  この天下りの問題というのは大変難しい問題だとは思いますが、しかし、国民の気持ちからすると今の声にあるような怒りの気持ちが一般だろう、こう思うわけでありまして、私は、天下りはやはり原則やめるべきだ、こう思います。そうしないことにはこういう不信感というのはいつまでたってもぬぐい切れない、そういう原則禁止という方向でどうあるべきかということを議論すべきではないか、こう思います。総務庁のOBの増島俊之中央大学教授も、数日前ですか、御意見を述べられておりますが、ポイントは二つある、一つ役所があっせんをやめることだ、もう一つは定年を六十五歳にすることだ、こうおつしゃつております。そういった意味でこの問題を少し御議論させていただきたいと思います。  人事院総裁もお見えでございますので、この天下りの問題に対してどういうふうに自粛の方向をお考えなのか、それともう一つは、公務員の倫理の問題、これについて立法化すべきかどうか、その辺、御意見あったらおっしゃっていただきたいと思います。
  117. 中島忠能

    ○中島政府委員 いろいろこれから御議論いただくそうでございますから、基本的なところをまず最初に申し上げてみたいと思います。  幹部公務員というのが現在情勢が変わりつつあるということをまず認識する必要があるだろうというふうに思います。と申しますのは、情報公開というのがこれから進んでいくだろう、今までのように官が情報を独占して保有するという時代ではなくなっていくだろう。また、規制緩和というのが行われますから許認可の件数というものも少なくなっていくだろう、したがってそういう強い行政権限を持って官が民間に臨むということも徐々に是正していくだろう。あるいはまた、補助金とか融資というものをてこにして民間を支配するということもなくなっていくだろう。そういうふうに、官を取り巻く情勢というのが変わりつつあるということを、まず幹部公務員というのは十分認識する必要があるだろうというふうに思います。  それから、当委員会を初めいろいろな委員会で議論されましたけれども、やはり今までの公務員制というのが、ピラミッド組織というものを前提にいたしまして、そして、年次主義に基づく固定的な人事管理を行っておった。したがいまして、一人が同期の中で事務次官になりますと、それ以前にすべての同期の人間が退職する。局長の段階においても同様なことが行われるわけです。  そういうような人事管理というものではなくして、やはり公務員になった人間には、それぞれ専門的な知識と能力というものがございますし、得意の分野があるわけですから、ラインの中で仕事をせずにスタッフとして仕事をできるようなポジションもあるだろうということで、公務組織の中でどのようにしてスタッフ職として、あるいは専門知識、能力を生かしながら貢献できるかということも考えながら、もう少し長く公務組織の中で仕事をする、そして公務というものをライフワークとして生活ができるということにしていかなければならないだろう、そういう方向に向かっての努力というものが必要ではないかというふうに思います。  そういうことを考えておりますけれども、これから先生がいろいろ御議論いただきますので、そういうことで順次お答えを申し上げたいというふうに思います。
  118. 田端正広

    ○田端委員 先般、大蔵幹部が逮捕された直後のこの委員会で、私は、大蔵省幹部の天下りの一覧を当委員会に提出するように要求いたしました。それはその後、少し時間はかかりましたが、五百十四人の大蔵幹部の天下り先一覧というのが提出されました。  それを私、詳細に分析してみましたら、その中に九十七人が、金融機関の会長、頭取、理事長、社長という、金融・証券の代表役員についているわけであります。つまり、国家公務員法百三条で、私企業への、民間への再就職に際しては二年間は直接行ってはならない、こういう二年間の禁止条項があるわけです。しかし、驚いたことに、そういうことが現実になっているわけであります。  つまり、五人に一人がそういう状況の中で代表役員になっている。これは私が見ても驚きますが、信用金庫の理事長などというのもほとんど大蔵省の天下り、こういうことがあれば、国民から見れば、もう本当に大蔵省と金融関係は表裏一体としか映らない、代表権を持っているトップですから。そういうことがまかり通っているというこの現実に対して、これは大蔵省当局はもちろん答えていただかなければなりませんが、人事院総裁としてもこれは無視できない問題だと思います。その辺、どうでしょう。二年間どこか迂回して特殊法人かどこかに行っておいて、そして過去自分のかかわった業界に、離職前五年間にかかわったところに行ってはならないということになっていますが、二年間どこかに迂回すれば行けるわけですから、しかも、代表権を持って重要な立場に立っているというこの現実に対して、どういう感触をお持ちでしょうか。あるいは、これをどう変えていくべきだとお思いでしょうか。     〔委員長退席、高市委員長代理着席〕
  119. 中島忠能

    ○中島政府委員 地方の金融機関の頭取というのですか、社長というのですか、理事長というのですか、そういうところに大蔵省のOBの方がたくさん就職しておるという話は、前々からそういう新聞記事も読んで承知いたしております。  その場合に、私たちが考えますのは、大蔵省というのは金融機関に対して強い行政権限を持っておる、その強い行政権限というものを背景にしてそういうところに無理に押し込んでおる、そしてその結果、大蔵省の金融行政というものがゆがめられておる、こういうことならば、これは大蔵当局においてぜひとも是正してもらわなければならないというふうに思います。ただ、そういう人の中には、専門的な知識というものをそういうところで生かすという意味において招聘されている人間もおるのじゃないかというふうに思います。  私も、かつて地方で勤務したことがございますが、そのとき、二人の幹部職員をその地方の金融機関にあっせんしたことがございますけれども、それは金融機関の方から特に名指しで要請されたことがございます。そういうこともあるのじゃないかというふうに思いますけれども、そこらというものを区別して議論していただく方がいいのじゃないかというふうに思います。  ただ、私が申し上げましたように、強い行政権限というものを背景にして、そういうふうに地方の金融機関に無理に押し込んでおるということならば、そしてその結果、大蔵省の金融行政というものがゆがめられておるということならば、これはぜひとも直していただく必要があるだろうというふうに思います。
  120. 田端正広

    ○田端委員 ぜひ、これは問題提起として出しておきますから、今後も御検討願いたいと思います。  ゆがめられたら問題だと言いますが、しかし、もう総体として、そういう現実は国民から見ればゆがんでいるとしか映らないわけですから。個々はわかりませんよ。個々は、それはそういう人は適材適所かもわかりません。しかし、全体として見た場合おかしいというのが、これはもうだれが見たってそう思うわけですから、ぜひこの問題については今後取り組んでいただきたい、こう思います。  それから、天下りの問題で、こういうふうに民間への天下りに対して、冒頭申し上げましたが、役所があっせんするということが果たしてどうなのかという感じが私はします。ある雑誌の中には、「大蔵省は金融界への天下りを当面、諦めたかわりに、産業界への天下りを模索している」、そして総理が、「大蔵省通産省との間に入って、産業界への天下り問題で通産側の了解も取り付けたようだ」、こういう記事もあります。  つまり、どういうことかというと、天下り先を役所で確保する、それを大蔵と通産でバーターする。大蔵が、二年間行けないというそこの規定を飛び越して行くわけにいかないから、通産の人に行ってもらって、通産の確保したところへ大蔵が行く、こういう手の込んだことをやろうと思えばできるのじゃないかということを指摘している記事があるのです。  それで、例えば一九九七年、九六年、九五年とこの三年間、それに基づいて私は調べてみました。人事院から出ている年次報告を調べてみました。そうすると、それに匹敵する人がそれぞれ三、四名ずついるのです、これが。そういう意味で考えると、余り疑いたくはないのですが、これはなるほどなということを感じざるを得ません。そういう意味では、二人、三人とか、三人、四人とか、それぞれバーターしています。例えば、大蔵省が三菱商事とか富士通とかへ行って、通産省から三和銀行とか日本長期信用銀行とか、こういうところに行く、こういうことでそういう天下り先を確保しているようなことがあるとすれば、これは問題だ。  この年次報告によると、だんだん控え目になってきているということは報告されていますが、しかし、中身が問題だ、私はそう思うわけで、そういった意味で、この民間への天下りについてのあり方、これについて総裁はどういうふうに今後お考えですか。
  121. 中島忠能

    ○中島政府委員 私がお答えするのが適当かどうか少し迷いますけれども、今先生がおっしゃるように、大蔵省通産省が、いわゆる天下り先ですか、それをバーターして就職をあっせんするというようなことはないのじゃないかというふうに思いますけれども、また、それを受け入れるほど民間会社は甘くないのじゃないかというふうに思いますが、大蔵省の政務次官もいらっしゃいますし、官房長もおりますから、ひとつそちらの方にお聞きいただいたらどうだろうというふうに思います。
  122. 武藤敏郎

    ○武藤政府委員 ただいま委員が御指摘になりましたような、いわば取引というのでしょうか、そういう実態は、これは全くございません。その報道がどういうことに基づくものか、私どもちょっとはかり知れませんけれども、そういう事実は全くないということでございます。
  123. 田端正広

    ○田端委員 いや、それは、そうおっしゃることは当然だと思いますが、しかし、推測すればそういうことが年々行われているということであれば、これは、実際調べてください、そういうことは現実にありますから。バーターしているかどうか知りませんよ。しているかどうか知りませんが、結果的にはそういうふうになっている嫌いがある。  もう一つ大蔵省の天下りの問題についてお伺いいたしますが、特殊法人等に対しての天下り、これがまた大きな国民的不信の原因にもなっている、私はこう思います。例えば住宅金融公庫とか石油公団とか国民金融公庫とか、いろいろなものがありますが、それぞれの各省庁の事務次官あるいは長官がこちらに天下っていく。その場合に、何かどうも四つか五つかぐらいのランクに分かれているような気がしてならないのです。例えば月収が百六十何万とか百五十万ランクとか百三十万とか、こう幾つかのランクがあるようであります。それは国家公務員法に基づいたあれだと思いますけれども、そういう意味で、適材適所じゃなくて、どこどこの長官をやれば、どこどこの事務次官をやればここ、そういうケースがもうでき上がってしまっている、そこが国民的には非常に大きな不信感の原因になっているのだろう、こう思うわけです。  そういう意味で、こういう特殊法人、認可法人への再就職、これについてもひとつ見直す必要があると思いますが、これはまた総裁は、私の所管じゃないとおっしゃるかもわかりませんが、しかし、役所全体の問題ですから、全体として考えていただきたい。御所見をお願いしたいと思います。
  124. 中島忠能

    ○中島政府委員 先生よく御存じのように、公庫公団というのは公共的な政策の一環を担うということで設置されまして、現在公庫公団が行っている仕事の大半は、やはりそういうものだと思います。したがいまして、民間企業と競合関係に立つということは原則的にないのじゃないかというふうに思いますが、ただ、一部の報道等によりますと少しその機能は変わりつつあるということでもございますので、そういう状況とか、あるいはまた国会における議論というもの、そういうものをよく見ながら、やはり政府部内でよく検討する機会があるのではないかというふうに思います。  現在のところは、やはりそこまでの機能変化というものがないのではないかというふうに私は受け取っておりますが、もし間違っておりましたらお教えいただきたいというふうに思います。
  125. 田端正広

    ○田端委員 以上で終わります。
  126. 高市早苗

    高市委員長代理 次に、石垣一夫君の質疑に移ります。
  127. 石垣一夫

    ○石垣委員 自由党の石垣一夫でございます。  本委員会に寄せられました四月三十日現在の苦情の分類について見ますと千七百十件の中で、公務員制度・倫理に関する問題が百八十七件、政治・国会百七十六件、行政行政改革百十余件、実に四百八十二件、二八%を超える国民の声がこの問題に集中をしております。したがって、当委員会としてこの問題について最重点の問題として取り上げるのは国民の期待にこたえる運営として当然だ、私はこのように考えております。  その過程に立って、公務員の倫理問題に関連して、大蔵省のいわゆる人事及び倫理問題についてお伺いしたいと思います。  大蔵省説明によりますと、大蔵省の職員の中で出向それから再出向されている職員が十一名、その出向先は、日本開発銀行四名、日本輸出入銀行七名、計十一名である、このように報告がございました。そこで、この両銀行から再出向している法人名及び業務目的、また、日本輸出入銀行から海外に派遣されている国名と目的についてお伺いしたいと思います。
  128. 武藤敏郎

    ○武藤政府委員 まず、開発銀行及び輸出入銀行から公益法人に再出向しているケースでございますけれども、五名、五件ございまして、公益法人名を順番に挙げさせていただきますが、日本証券経済研究所、金融情報システムセンター、研究情報基金、日本銀行及び国際金融情報センターでございます。  それから、日本輸出入銀行から海外の支店に勤務している者でございますけれども、ロンドンが二名、それからワシントンが二名、それからベルギーのブラッセルが一名、シンガポールが一名でございます。
  129. 石垣一夫

    ○石垣委員 そこで、再出向された先の業務内容を聞きますと、いわゆる認可法人である日銀、国際金融情報センターの職員が、再出向先の日銀やあるいはまた国際金融情報センターのために働いているのではないこういうふうなことを聞いておるのですけれども、普通は、出向であれ再出向であれ、派遣先で働いて派遣先で給与をもらうのが常識だ、こう思うのですけれども、こういう疑問点に対して答弁してください。
  130. 武藤敏郎

    ○武藤政府委員 開銀、輸銀からこのような公益法人に再出向するに当たりましては、やはりそのもとであります開発銀行なり輸銀なりの業務にそれが有用であるということが前提になっておるわけでございます。  一つ一つは申し上げませんけれども、国際金融情報センターという御指摘がございましたのでこのケースで見ますと、国際的なネットワークといいますかそういうもの、あるいは経験というものを、大蔵省の人材を充てることによって、派遣者は、輸銀業務へ寄与すると同時に、いろいろな観点から輸銀の業務遂行に資する提言を行うといったようなことを考えた上でこのようなことが行われているというわけでございます。確かに公益法人で働くわけでございますけれども、そのもとであります輸銀なり開銀なりの業務に貢献するという形で再出向が行われているというふうに理解をする次第でございます。     〔高市委員長代理退席、委員長着席〕
  131. 石垣一夫

    ○石垣委員 例えば、今、輸銀から国際金融情報センターの問題が例として挙がりましたけれども、これは押しなべて、日本開発銀行から日本証券経済研究所、一名、同じく開発銀行から金融情報システムセンター、研究情報基金、それから日本銀行営業局市場課、それで、今話がございました、国際金融情報センターのいわゆる特別研究員という形で再出向されておるのですけれども、当然再出向されたところから給与をいただくべきだ、私はこう思うのですけれども、給与の実態は、それぞれ出向先の開発銀行であるとかあるいは輸銀から給与が出ている、ちょっとこれはおかしいのじゃないですか。
  132. 武藤敏郎

    ○武藤政府委員 給与の支払われる場所が輸銀なり開銀なりということについてのお尋ねでございますけれども、これは、この出向した者がどういう形で働いているかということによって決められる事柄かというふうに理解をいたします。ただいま申し上げましたとおり、それぞれその公益法人という場所で働くわけではございますけれども、それが開銀なり輸銀なりの業務と非常に密接に関連して、開銀なり輸銀なりの業務に貢献するということでありますので、開銀なり輸銀なりが給与を支払うという形になっておるというふうに理解をしております。
  133. 石垣一夫

    ○石垣委員 それでは、国家公務員退職手当法第七条の二「公庫等から復帰した職員等に対する退職手当に係る特例」、この第七条の二は再出向を想定した法律であるのかないのか、これはどうですか。
  134. 中川良一

    ○中川(良)政府委員 ただいま御指摘ございましたとおり、国家公務員退職手当法では、職員を公務に密接に関連する公庫等に退職出向させる場合には、例外的に、その出向期間も退職手当の算定の基礎となる期間に通算するということにいたしております。  実は、昭和五十八年でございますが、その当時、人事局の方から各省庁に通知を発しまして、この退職手当法の趣旨からいいまして、公庫等に出向させた職員を、さらに公庫等以外の法人等に休職あるいはこれに類する措置により再出向させるという人事運用は厳に慎んでほしいということをお願いしているところでございます。  この通知の趣旨でございますけれども、これは必ずしも、退職出向先の公庫等の業務上の必要からその業務の一環としてほかの法人で勤務することを一切排除するというものではございませんけれども、一般論として申し上げますと、いわば退職出向先の公庫等からほかの法人に休職等の措置によりまして再出向させることを前提とした上で職員を公庫等に出向させるという人事運用は、法律の趣旨に沿わないものであるということを明らかにしたものでございます。
  135. 石垣一夫

    ○石垣委員 今の御説明のように、昭和五十八年の十二月二十三日に総理府の人事局長から、再出向については「厳に慎むこととされたい。」、こういう通達が出ているわけなんですね。この通達に対して、現在大蔵省がとっておられるこの再出向の形については、この通達をどのように理解、認識されているのですか。
  136. 武藤敏郎

    ○武藤政府委員 この通達につきましては、私どもも十分承知しておるところでございます。  先ほどもちょっとお答え申し上げましたけれども、それぞれ輸銀、開銀の業務のために公益法人に派遣されるということとこのケースが理解されるものと私どもは考えておりまして、そういう意味では、そのようなケースまでこの通達が禁止をするといいますか、厳に慎むということではないというふうに私ども理解をいたしておるわけでございます。  ただ、恐らく、特定のポストに常に大蔵省から出向職員ということではおかしいではないかというような御批判があることは我々も重々承知しております。この運用につきましては、輸銀、開銀とも、この人事のあり方についてよく相談してまいりたいというふうに考えております。
  137. 石垣一夫

    ○石垣委員 総務庁関係、この今の大蔵省の認識でいいのですか。
  138. 中川良一

    ○中川(良)政府委員 先ほども申し上げましたとおり、この通知は、退職出向先の公庫等の業務上の必要からほかの法人で勤務するということを一切排除するという趣旨ではございませんで、その趣旨とするところは、ほかの法人に再出向させるということを前提にした上で公庫等に出向させるのは法の趣旨に沿わないということを申しておるわけでございます。  実際の運用につきましては、この制度の趣旨に沿いまして、各省庁それぞれの責任において御判断いただいておるというふうに私ども承知しておりますけれども、総務庁としても、今後とも、適切な人事運用がなされるよう、この退職出向制度の趣旨の徹底に十分努めてまいりたいというふうに思っております。
  139. 石垣一夫

    ○石垣委員 各省庁において適切な理解をし出向しておると言って、こんないいかげんなことありますか、これ。厳に慎めと言っているのでしょう。慎めということはやめろということなのですよ、これ。違いますか。確認
  140. 中川良一

    ○中川(良)政府委員 いわば、ほかの公益法人等に出向させることを前提にした公庫への出向、そういった人事運用は厳に慎んでもらいたいということを各省にお願いしているわけでございます。その実際の形態が果たしてそういうようなものに該当するかどうか、そこは個別の、それぞれの出向について各省庁が適正に判断していただくべき問題であろうというふうに思っておりますが、その扱いがまちまちになるというようなことのないように、これから、各省庁に対して、十分趣旨の徹底に努めていきたいということを申し上げておるわけでございます。
  141. 石垣一夫

    ○石垣委員 では、この五十八年十二月二十三日の通知についてはさらに徹底できるように、どういう手段をとりますか。
  142. 中川良一

    ○中川(良)政府委員 今後とも、いろいろな場をとらえまして、各省庁に対しまして私どもの考え方を十分周知してまいりたいと思っておりますし、また、必要に応じまして、実態等について各省庁からお聞きした上で、十分意見交換に努めまして、私どもの趣旨が徹底されるよう努めてまいりたいというふうに思っております。
  143. 石垣一夫

    ○石垣委員 そこで、国家公務員退職手当法施行令第八条「勤続期間の計算の特例」、第九条の二「国の事務と密接な関連を有する業務を行う特別法人」の条文では、この輸銀と開銀には出向できるということで、年金や退職手当継続の特例が設けられている、こうなっておるわけですね。  しかし、例えば日銀、それから国際金融情報センター、研究情報基金、先ほどの金融情報システムセンターあるいはまた日本証券経済研究所に再出向しておる人は本来は年金や退職金が継続されない、これは対象になっていませんから。法律で保障されてない、担保されてない。そこで、巧妙に出向先の機関でもって給与を支払う、これは当然退職金の継続の対象になりますから。  こういうふうに、非常に巧妙に再出向の形をとっておるのですけれども、こういうシステムは、先ほども話がございましたように、大蔵省として、今後やはり改めるべきではないか、こう思うのです。
  144. 武藤敏郎

    ○武藤政府委員 私どもといたしましては、輸開銀に出向した者が、その輸開銀の業務必要性から公益法人に派遣されるというふうなケースというふうに思っておるわけでございますけれども、御指摘のように、いろいろ御批判があるというのも、私どもよく理解しておるところでございます。  そういうことでありますので、そういう批判を受けることのないように、今後、それぞれの人事のあり方と関連いたしまして、関係省庁とも十分に相談をしまして、さらに輸開銀とも相談した上で人事を行ってまいりたい、このように考えております。
  145. 石垣一夫

    ○石垣委員 そこで、お伺いしたいのですけれども、こういう出向、再出向の人事が行われる背景には、大蔵省のいわゆる人事管理の構造に問題があるのではないか、こう言われておるのです。結局、外郭団体に二、三年行ってもらう、その間に順次ポストを確保する、大蔵省の内部事情によってこういう人事のシステムをとられているのだ、こういうことが言われているのですけれども、こういう点はどうなんですか。
  146. 武藤敏郎

    ○武藤政府委員 ただいまの御質問が、こういう形で派遣することが何か大蔵省の省内の人事の都合上を考えておるのではないかという御趣旨であるのでございますれば、私どもは、そういう観点に立ってやっているわけでは全くございません。
  147. 石垣一夫

    ○石垣委員 では次に、先ほども話がございましたように、日本輸出入銀行から派遣されております大蔵省のメンバーについて、六名派遣されておるのですけれども、それぞれの派遣先で、先ほど話がございましたように、海外に研修に行っておられますね。この実態について説明してください。
  148. 武藤敏郎

    ○武藤政府委員 大蔵省から日本輸出入銀行に出向いたしまして、その日本輸出入銀行自身の海外投資研究所の主任研究員という身分で海外で勤務しておる者が六名おります。  輸銀におきましては、最近におきます融資目的の多様化あるいは海外貸し付けの増加といったことに伴いまして、広範な情報収集、分析が必要となっているのが現実、現状でございます。このような情報収集を行う場合には、やはり人材、そういう情報収集の適性、資質を十分備えている人材が必要だということでございまして、輸銀から大蔵省に対しましてそのような人材の出向要請があったということでございます。そういう要請にこたえまして、大蔵省から出向をさせておるわけでございます。  したがいまして、これらの者は、輸銀の業務といたしまして、輸銀の必要とする海外情報の収集、分析に当たっておるということでございます。
  149. 石垣一夫

    ○石垣委員 そこで、お伺いしたいのですけれども、六名の方が輸銀からそれぞれ海外出張されておる、目的は今おっしゃった目的だ、こういうことなんですけれども、例えば国税庁の長官官房総務課長補佐というこのA氏は、平成三年の七月二十三日に大蔵省を辞職していますね。それで、その翌日、平成三年七月二十四日に輸銀に採用されている。その当日に、七月二十四日から平成七年六月十九日まで四年間海外に派遣されている。ところが、その派遣が終わった日に、今度は輸銀を辞職されておりますね。平成七年の六月十九日辞職しております。その明くる日に、七年六月二十日に大蔵省に復帰している。  次のワシントンに行っておられる方、この方は、これはB氏としておきましょうか。平成三年の五月二十日に大蔵省を辞職されて、同じ五月二十一日に輸銀に就職、その五月二十一日に海外派遣、そして平成六年の七月十八日に戻ってこられた。その日に輸銀を辞職されている。その明くる日の七月十九日に大蔵省に復帰されている。  次の、シンガポールに行かれた、C氏としておきましょうか、これも同じようなケースなんですね。平成七年の六月二十七日に大蔵省を辞職、翌日の六月二十八日輸銀採用。それで、この方は若干時間を置いておりますけれども平成七年の十月一日から九年の七月十一日まで海外派遣。帰ってきたその日に辞職して、明くる日の七月十二日に大蔵省復帰。  これ、六名とも全部同じケースなんですね、全部。大蔵省を辞職したその明くる日に輸銀に採用されて、その日に海外へ行っている。海外から戻ってきたその日に輸銀を辞職して、その明くる日に大蔵省に復帰している。こういうケースなんですね。  海外に派遣、研究されているこの費用はどこから出ているんですか、これは。
  150. 武藤敏郎

    ○武藤政府委員 御承知のこととは思いますけれども、海外と申しますのは、輸銀の海外の研究所の出先でございますので、当然輸銀が給与を支払っておる、こういうことでございます。
  151. 石垣一夫

    ○石垣委員 じゃ、一人当たりの派遣費は幾らになりますか。
  152. 武藤敏郎

    ○武藤政府委員 平均でございますけれども、給与が約一千六百万円程度、そのほか現地の滞在費等が数十万円、百万までいきませんけれども、必要だというふうに聞いております。
  153. 石垣一夫

    ○石垣委員 そうすると、輸銀から年間千六百八十万円、そういうお金をいただきながら、そして少なくとも、海外の派遣から帰ってくれば、通常言う、いわゆるお礼奉公といいますか、当然、私は輸銀のためにある程度、例えば半年、一年、二年なり、これは働かねばならぬのと違いますか。これは、形を変えれば、大蔵省は輸銀を通じて、肩がわりをさせて、海外へ派遣させている。丸々海外派遣ただ乗り、言葉悪いですけれども、こういう表現を用いてもいいようなシステムだと私は思うんですよ、これは。帰ってきた職員が輸銀のために、せっかく勉強したわけでありますから、なぜこれは半年、一年働かないんですか、これ。明くる日に全部大蔵省に引き揚げる。これは納得できませんな。
  154. 武藤敏郎

    ○武藤政府委員 今話題になっておりますこの六名の者の輸銀出向の目的は、海外におきまして輸銀のために情報を収集、分析を行うということでございます。したがって、海外にいる期間、輸銀のために働いておるわけでございまして、またそのような人材を輸銀の方から大蔵省に求められているということでございますので、御指摘のとおり、輸銀に行くと同時に、それが海外という場所でございますけれども、輸銀のために働くということから、直ちに海外に派遣し、帰ってきたらその仕事が終了したということで大蔵省に復帰するということでございます。もちろん、海外から帰ってきた後輸銀でまた働くという選択がないというふうには私ども思いませんけれども、しかし、この者たちの今与えられている仕事の中身というのは、海外で一定期間、輸銀のために情報収集に従事するということで行っておるわけでございます。
  155. 石垣一夫

    ○石垣委員 それだったら、大蔵省は直接海外派遣したらいいじゃないですか、何も輸銀を通してやらなくても。  では、今日までそういうシステムでいわゆる海外研修に費やした費用は幾らになっていますか、これ。
  156. 武藤敏郎

    ○武藤政府委員 今、海外研修というお話がございましたけれども、これらの者は、まあ全員が全員ではございませんけれども、例えば現在六人行っておりますうちの四人は、既に在外公館あるいはその他国際的な機関に派遣された経験のある者でございまして、この派遣が研修ということで行っているという実態ではございません。繰り返しになって恐縮でございますけれども、輸銀のために海外で働くということでございます。  ただいま、その費用総額が幾らになるかというお尋ねでございますけれども、一人の派遣費用、先ほど申し上げたとおりでございまして、それが総額でどうなるかというのはちょっと今手元に数字がございません。
  157. 石垣一夫

    ○石垣委員 どうも私は今の答弁は納得いかないんです。  では、今まで輸銀で海外へ派遣されたそういうメンバーの、いわゆる調査研究に行かれたわけですから、やはりそれなりの私は成果があったと思うのですね。したがって、そういう報告書をぜひ出していただきたい。私は、今日までのそういう輸銀を経由して海外に行かれた方全員の報告を出してほしい、どういう中身であったのか。  委員長、これはちょっと資料請求したいんですけれども
  158. 武藤敏郎

    ○武藤政府委員 ただいまのお尋ねは、輸銀出向者の仕事について輸銀の中でどのような報告をしているかということでございますので、これは私どもではなくて、輸出入銀行が、どのような報告を受け、それを出せるのかどうかということでございますので、私どもの立場としてはそういうものについてこの場でコメントすることは差し控えさせていただきたいと思います。
  159. 石垣一夫

    ○石垣委員 いや、大蔵省が出向させた職員でしょう。当然、大蔵省から輸銀に対して、こういう問題があったから出してくれと請求できないんですか、これ。大蔵省の権限はないわけですか。
  160. 武藤敏郎

    ○武藤政府委員 出向と申しますのは、もう輸銀の職員になって輸銀の中で働くわけでございますから、もちろん輸銀に対する一般的な大蔵省の監督権限というものはあるわけでございますけれども、こういう、仕事の中身について具体的にどうしろという指示をするようなことは私どもは差し控えさせていただきたいというふうに思っております。
  161. 石垣一夫

    ○石垣委員 いやいや、その職員は現在もう既に大蔵省に戻っているわけでしょう。そうすると、君は海外へ行ったけれども、三年か四年行ったけれども、どういうことを勉強してきたのだ、そういう報告書を当然輸銀に出しておると私は思うのですよ。それをひとつ出しなさい、こう言わないのですか。
  162. 武藤敏郎

    ○武藤政府委員 ただいま御指摘のその報告書というものがどのようなものであるか私ども存じませんけれども、輸銀の中で、海外に駐在した者が輸銀のどこかしかるべきポジションにどのような報告をするかというのは、これはもちろん情報収集でございますからいろいろ報告があろうかと思いますけれども、これは、日々のその者の海外活動そのものでございます。そういう意味で、私どもは、出向中のことでございますから、さらに輸銀の業務でございますので、そういうものについて私どもの方からこの場で具体的にコメントをすることは差し控えさせていただきたいということを申し上げているわけでございます。
  163. 石垣一夫

    ○石垣委員 では、当決算行政監視委員会として、当委員会として、今大蔵省は出せないと言うから、この輸銀の海外派遣メンバーの、三年、四年行っておるわけですから、それなりの勉強をし、報告をできる内容を持っていると私は思うのですね、その資料をひとつ請求したいと思うのですけれども、よろしくお取り計らい願いたいと思うのです。
  164. 原田昇左右

    原田委員長 理事会に諮りまして、協議いたします。
  165. 石垣一夫

    ○石垣委員 では次に、公務員としての倫理の問題について、国家公務員法十七条、これの関連についてお伺いしたいと思うのです。  不祥事が発生した場合には、一義的にはいわゆる人事権を持つ各省庁が懲戒を律することになっておりますけれども、国家公務員法十七条は、公務員不祥事の場合に、どのような場合があったら発動されるのか。これまで、不服審査でなくしてこの十七条を発動した事例がありますか。具体的におっしゃってください。
  166. 中島忠能

    ○中島政府委員 少しさかのぼって考えてみますと、公務員の不祥事というのは、ごく最近まで比較的下位の職位の不祥事がほとんどでございまして、したがいまして、そういう段階におきましては、それぞれの省内における調査、そして懲戒処分ということでおおむね皆さん方の納得をいただいておったということがございます。  ごく最近のことになりまして、幹部公務員というものが不祥事を起こすようになりまして、今先生がお話しになりました十七条とか八十四条という規定が注目されるようになったわけです。この十七条、八十四条というものを発動するときに、今先生がお話しになりましたように、主務大臣というのがもともと第一義的に調査権、懲戒権を持っておる、そして、その主務大臣がそれぞれの職員の職務の内容について日常監督しているわけですから一番詳しい、しかも人間とその人間にかかわる書類というものを管理しておるということでございますので、どうしても第一義的に主務大臣の方に優先権があるわけでございますけれども、最近のようになってきますと、国会における議論でも、人事院の方で調査したらどうだというような話がございました。  そこで、私たちの方でいろいろ考えてみますと、どういう場合に任命権者が調査をして、そしてその調査にかかったときにどういうふうに人事院の方に連絡が来るのか、その連絡を受けて、人事院との間でどういう協議を経て人事院が調査にかかるのかというところの、権限の分担といいますか、その役割分担というのがもう一つ明確でございません。そしてまた、仮に人事院が調査にかかった場合に、任命権者の調査権、懲戒権というのが停止するのかというところもはっきりいたしておりませんので、その辺のところについてはっきりさせていただく必要があるだろうということを、私たちは昨年の段階から国会で答弁申し上げておりました。  今回、議員の皆さん方が公務員倫理法というものを議員提案されるということで、いろいろ作業がございまして、政党によりましては私たちに意見を求めるというような政党もございましたので、求められたときには、必ず私たちは今申し上げたようなことをお話しいたしまして、せっかくの機会でございますので、その点をはっきり規定してくださいというお願いを申し上げてきたところでございます。いつの日かこの倫理法案というのが国会で議論されるでしょうから、その議論の過程でも私たちは意見を申し上げたいというふうに思います。
  167. 石垣一夫

    ○石垣委員 三月二十六日に出されました「公務員人事管理の改革」という中で、二十二ページから二十三ページにわたってこの問題が取り上げられております。そういう八十四条のいわゆる不備な面については今後検討していくという問題点が取り上げられておりますけれども、この十七条、八十四条あるいはまた百十条、これに関連して、人事院としては今後遺漏なきように、私は、今度の倫理法の制定に際して、ひとつ万端の手を打たれたいと思うのです。もう一度お伺いいたしますけれども、どのように考えておられますか。
  168. 中島忠能

    ○中島政府委員 先生を初めいろいろな国会議員さんからそういうような叱咤激励を受けております。それをよく踏まえまして、努力してまいりたいというふうに思います。
  169. 原田昇左右

    原田委員長 次に、中林よし子君。
  170. 中林よし子

    ○中林委員 私は、大蔵省接待汚職事件の問題で、大蔵省が四月二十七日に内部調査に基づいて百十二人の処分を発表されたことについて質問をさせていただきます。  この処分で戒告以上の処分を受けた職員三十二名について、接待の回数などを記載した資料を衆議院大蔵委員会に提出されました。中身は、先ほどから言われていますように、会食が約二千回近く、それからゴルフが三百六十回、それでもこれは腐敗の一部だ、こういうふうに国民やマスコミからは調査の不十分な点を厳しく指摘をされているところです。  三十日に大蔵委員会に提出された資料を見ますと、接待を受けた金融機関数だとか、それから会食、ゴルフの回数だけで、しかも、少なくとも何回、何回程度という非常にあいまいなものが大部分です。  翌二十八日の毎日新聞の社説では、「どんな相手にどんな理由で接待されたのか、節度を越えたのは回数だけか。基準もいまひとつはっきりしないもどかしさが残る。」このように指摘をしております。また、中国新聞でも、「腐敗構造の解明という肝心な部分に踏み込まなかった」「辞任した長野証券局長が官民癒着の構図の中にいた昨年十二月。証券関係者局長室を訪れ、本来は公正な審査で決めるはずの政府保有株式売却の引き受け幹事について「引き受けたいと思ってるんですが」などと陳情していた。調査結果は、対象者がなぜ接待を受けていたのか、また大蔵省幹部と民間とのこうした不透明な関係と接待との関連性について説明していない。」こういう新聞での指摘がございます。  そこでお聞きするわけですけれども、今回調査をされて公表されたこの中身で、どんな相手にどんな理由で接待されたのか、それから節度を超えたとはどういうことなのか、回数だけなのか、この基準を明確にしていただきたい。そして、こうした事実関係も含めてですけれども、戒告以上の処分を受けた三十二人以外についても、内部調査の全容を公表すべきだ、このように思いますけれども、いかがでしょうか。
  171. 武藤敏郎

    ○武藤政府委員 いろいろ広範な御質問がございましたので、できる限りお答えをしたいと思います。  まず、接待の全容ということで、相手方の金融機関名でありますとか、さらに接待の目的でありますとか、趣旨でありますとか、そういういろいろなことについてどうであったのかということでございます。  私どもは、今回の調査は、過去五年にさかのぼりまして、さらには約一千五十名の者を対象に行ってまいりました。そういうことでございますので、人によりましては記憶に相当な差がございますし、資料も、残っているものもありますけれども、残っていない者もいる。一般的には、過去にさかのぼるにつれまして、一件一件の事実関係を正確に調べるということは非常に困難でございます。  そこで、私どもの今回の調査の主眼をどこに置くかということでいろいろ検討したわけでございますけれども、私どもはまず、職員の行為が適切であったのかなかったのかということでございますので、その職員一人一人につきまして、調査期間中の行為全体を総合的に考えてみて行き過ぎがあったかどうかという判断にその対象を絞ったわけでございます。したがいまして、すべてにわたりまして一件一件詳細に、網羅的に明らかにするということは、任意調査の限界もございまして、把握できているわけではございません。  それで、その際に、私ども本人の申告というものをもとにいたしましたが、その客観性というものを確認するために、相手方の金融機関に対していろいろお願いをいたしました。そういうことでありますから、相手方の任意の御協力を得るということでございますから、一つ一つの金融機関名というものを明らかにするわけにはまいらないわけでございますけれども、そういう形で、既に公表しましたような件数につきまして、どのような期間、どういう業務上の関連のある者とない者に分けまして、詳しいデータを提出させていただいたということでございます。  さらに、その際、接待をした側がどのような理由で行ったのかということでございますけれども、私ども一つ一つの会食の目的というものを把握するということはいたしておりません。ただ、一般的に、それぞれの金融機関に背景事情としてどういう趣旨であったかということをお尋ねはしておるわけでございますけれども、その場合の大体の御返事は、顔合わせでありますとか意見交換を行うということでございました。いろいろお尋ねはいたしましたけれども、職務に関する依頼があったとか、あるいは何らかの便宜的な取り計らいを要請したとかいったような事例があったという確認は得られなかったわけでございます。  そういうことでありますけれども、しかし、節度を超えたというのは一体どのように考えるべきなのかということでございます。  私どもは、一つは職務上の関係者であるか否かということを重要視いたしました。さらには、御承知のとおり、平成八年十二月に大蔵省職員の倫理規程という厳しい規定ができておりますので、それ以降につきまして、了承を得ることなく行った会食、ゴルフ等があったかどうかということを、これは相当厳正に調査したわけでございます。  それから、七年五月の通達も出されたわけでございますので、それ以降におきましてもいろいろ調査したわけでございますけれども、さかのぼるにつれて資料や記憶の制約がありますものですから、私どもといたしましては、同一の者との反復継続して行ったということが節度を欠いておるということではないかということで、問題の多いという意味で、その反復継続性というものを重点的に調査したわけでございます。  それから、平成七年五月以前におきましては、これはもうさらに前のことでありますのでいろいろ確認に手間取るわけでございますけれども、基本的には特定の者との間の反復継続といったものを判断の対象といたしました。  それから、職務上の関係者以外の者とについて節度を超えるというのはどのようなものかということも検討いたしましたけれども、本来、職務上の関係者以外ということになりますと私的な関係ということでございますから、職員個人がみずからの良識において判断するべきであるわけでございますけれども、やはりそこは職務上の関係者と同じようにある程度注意が必要であるということから、特定の者と反復継続して行われたかどうかということを判断の対象としたわけでございます。  いろいろございますので、要するにそれぞれの、今申し上げました通達との関係で、接待が行われた時期、それから職務上の関係の有無、それから特定の者と反復継続したかどうか、さらには管理監督の地位にあったか否かということ等、全体の回数に加えて、今申し上げたようなことを総合勘案いたしまして、行き過ぎたものであるかどうかの判断をした次第でございます。
  172. 中林よし子

    ○中林委員 私がたくさん聞きましたので非常に長い答弁になったわけですけれども、行き過ぎたということの処分の判断基準の問題なのですけれども、公表されたものを私も自分なりにいろいろとまとめてみたのですね。職務上の関係があったのか、それから、要するに規程が出された、通達が出された、三段階に分けてやっていらっしゃるというようなことなのですけれども、どうもやはり判別しにくいようなことが起きているということなのですね。  ある方は職務上の関係があって会食を六回やっているのだけれども、ある方は職務上の関係がなくて会食三回なんだけれども関係のない人が減給二〇%の一カ月、しかし、関係があって会食の回数が多いにもかかわらず減給が一〇%で一カ月というように、処分の中身が軽いのですよ。たくさんやっている方が軽いというようなのも、ずっと全部三十二名について比べてみたのです。おおむね今説明があったような処分ではあったのだろうというふうに思うのですけれども、かなり主観もあるのではないかというふうに考えたわけです。  同時に、三十二名以外の処分者、それについては一切明らかになっておりません、数は何人、何人というのは出ておりますけれども。だから、その辺も含めてやはり全容の公表というのが必要なのではないかということを私は思いました。  ただ、これは要求をして、少し中身について、もう一つ次に移らせていただくのですが、相手側の金融機関の名前の公表の問題です。  これはどういう理由で接待したのかということは、お聞きしたら、顔合わせ程度だとか、こういうような意見だったと、善意の情報提供者であるかのように相手金融機関のことを今おっしゃったようにお伺いしたわけですね。  でも、相手側の金融機関というのは、そもそも自分のポケットマネーで接待したわけではなくて、もとをただせば、異常な超低金利政策によって家計からいわば利息を所得移転をさせて国民から吸い上げた巨額の資金から出ているとも、このようにも言えるものだというふうに思うわけですね。  ですから、そういう意味では、接待による大蔵省や日銀と金融関係の癒着の最大の被害者は国民だと言えると思います。当該金融機関は当然、みずから事実関係とその社会的責任を、進んで国民の前に公表すべきだというふうに私は思うのですね。  これは新聞紙上だったのですけれども、ヤマト運輸の元会長の小倉さんがこういうことをおっしゃっているのですね。「役人に対する民間の接待は、利権の獲得なり受注なり、何らかの下心があるのはわかりきったことだ。 接待を一切断るのが当然だ。」大蔵官僚のモラルの低下、腐敗ぶりは余りにもひどい、こういうふうに新聞紙上で述べておられるわけです。だから、大蔵省は、接待を受けた当事者としても、また金融機関に対する監督官庁としても、当然、金融機関について全容を、名前も含めて明らかにすべきだというふうに思うのです。  報道を見ますと、一連の汚職事件をめぐって、贈賄側の金融機関などに対して銀行法に基づく行政処分を行う方針だ、こういう報道もされておりました。ただ、これは事件になったものだけが公表されるのであって、事件にならないものも、これだけ、二千回を超える接待ということが公表になった金融機関も、私は、事件にはならないとしても当然公表すべきだ、このように思うわけですけれども、この点についてはいかがでしょうか。
  173. 武藤敏郎

    ○武藤政府委員 接待をした側の名前も公表すべきではないかという御指摘でございますけれども、先ほども申し上げましたが、接待をした側の任意の御協力を得ながら、あの調査の結果の提出させていただきました資料をつくったわけでございます。相手方があるわけでございますので、これは公表は困難でございます。ぜひ御理解を賜りたいというふうに思います。  それから、そういう金融機関というものに対しても、何か行政上の処分といいますか、そういうものが必要ではないかという御趣旨のお話がございましたけれども、私どもの認識は、過剰接待の問題は、基本的には接待を受ける側の公務員の綱紀の問題というふうに理解をしております。そういう観点で我々は先般の処分を行ったわけでございます。  これはまた、銀行局等の立場からのお話になるわけでございますので、私は担当でございませんけれども、銀行法等の行政処分というものを検討するということになりますと、これは、刑事事件というものにかかわった金融機関について、その組織の関与でありますとか内部管理体制上の問題点について報告を求めるという考え方で今対応をしているというふうに理解しております。  それから、先ほどちょっとお答え申し上げることができませんでしたけれども、国家公務員法上の処分を受けた三十二名以外の、八十名の訓告処分以下の者についても公表すべきではないかということがございますけれども、この国家公務員法上の処分というものといわゆる内規による処分というのは全然目的が違います。内規によります処分というのは、一つの矯正措置でございまして、本人たちのいわば反省を求めて、今後しっかり仕事をしていただきたいという趣旨でございますから、これは、名前はもちろん、文書厳重注意以上の者は公表させていただいたわけでございますけれども、その中身につきましては、これはぜひとも公表を差し控えさせていただきたいと思いますので、この点もよろしく御理解をお願いいたします。
  174. 中林よし子

    ○中林委員 公表は三十二人に限定するし、相手の金融機関の名前も、刑事事件になればそうなるのだけれども、それ以外はできない、こういうことが結局腐敗を防止できない原因になっていくのではないかと私は思えてならないわけです。  五月七日に参議院の予算委員会でこの問題での集中審議があったわけですけれども、そのときに、大臣が、平成八年十二月に職員倫理規程が出されて以降はほとんどなく、綱紀粛正の効果があった、このように自賛された答弁をしているわけです。しかし、平成八年、一九九六年十二月に倫理規程を決めた以降にも、倫理規程に基づく手続を無視した無届け接待が、処分者の半数以上の十七名で、会食八十回、ゴルフ二回、しかもこれは、少なくともとか、以上とか、程度がついた数字の合計です。実際はもっと多かった可能性もあるというふうに思って、この大臣の答弁のように、規程が出された以降はほとんどなくということにはとても当たらない、それよりも、倫理規程以降にもこういうことが継続していたのだということについての、むしろ反省の弁があるべきではなかったのか、こういうふうに思うのですけれども、政務次官、いかがでしょうか。
  175. 武藤敏郎

    ○武藤政府委員 松永大臣が、去る五月七日の参議院の予算委員会におきましてそういう御趣旨の答弁をされたときに、私もそばで聞いておりましたので、はっきり覚えているわけでございます。  ただ、これは、その日にいろいろな委員の方から同様の御質問がありまして、三回ばかりそめようなことをお答えになっているわけでございますけれども、その中では、八年十二月以降は接待を受けた者の数あるいは回数というのは実は相当減っているわけですということを言った上で、そういう意味では八年十二月の倫理規程というのは効き目があるということだという趣旨を述べておられますけれども、それでもなお弁解のできない接待を受けた者がその八年十二月以降もおりました、したがってその者については特に重い処分になっているわけでございますといったようなことも、これは一回だけで、ある委員に対する答弁でございましたけれども、そういう趣旨のことを述べておられます。  私どもは、まさにそういうことでございまして、八年十二月以降になお会食、接待を受けていたといったような場合には、それは相当厳正に処分を行わなければならないというふうに考えておりまして、回数が多少減ったといっても、なおあったという御指摘については、私どもも同様に考えておる次第でございます。
  176. 中林よし子

    ○中林委員 減ったから効果があったというのは、効果があったのでしょう。ただ、私は、やはり根絶すべきだ、一件もないのが当たり前だというふうに思うのですよ。これまで、通達が二回、そして規程が出された。にもかかわらず、これだけの接待漬けになっているということ自体、それから、通達を出した御本人が以後も接待を受け続けていたというこの問題、一体それはどこに原因があるとお考えでしょうか。
  177. 武藤敏郎

    ○武藤政府委員 私どもも、この八年十二月の倫理規程以後も引き続き会食、ゴルフ等があったということにつきましては、本当に遺憾なことだというふうに思っております。  なかなかこういうことが根絶されない理由がどこにあるかということでございますけれども一つには、何といいましても最終的には本人の倫理観ということになるわけでございます。もう一つは、自主申告ということによりまして綱紀の保持を図るという倫理規程の仕組みが、その実効性を十分担保することになっていなかったということかと思うわけでございます。倫理規程後、きちんと事前の届け出を行い、上司の了解を得た上で会食行っているという例も相当あるわけでございますけれども、そういうことが必ずしも十分行われていなかった、そういう反省もありまして、この服務監査官という新たな仕組みを省内に設けたわけでありますけれども、やはりそういう仕組みをきちんとするということが大事だと思うわけでございます。  これはまた、公務員倫理法という議論にもなろうかと思いますが、この点は、私どもはその動きを見守らせていただきたいというふうに思う次第でございます。
  178. 中林よし子

    ○中林委員 日銀の方に来ていただいていると思うので、一点だけ質問させていただきます。  去る四月二十二日の当委員会で、我が党の佐々木憲昭議員が、日銀の内部調査の問題で、「節度を越えていたと認められる者が少なからず存在した。」という、この節度を超えたという節度についての質問を重ねて言ったのですけれども、その節度についての説明がとても不十分だったというふうに思うのですけれども、この節度とはいかなるものか。  それから、考査についても、考査だけ担当していたのではなくて、ほかのも複合的な役割を果たしていたのでその人数は言えないということで考査の処分の人数は公表されていないのですけれども、それ以後、どのように検討されましたでしょうか。
  179. 引馬滋

    ○引馬参考人 お答えいたします。  私どもでは、ことしの三月までは、接待に応ずるということにつきましてはこれを明確に禁止するというルールを定めてこなかったわけでございます。そうした中で、職員に対しましては常々、金融機関等との交際に際しては自己規律を持った行動をとるように、こういうぐあいに指導をしてまいったところでございます。  今回の処分に当たりましては、こうした自己規律というものに問題がなかったかどうかということを処分の基本的な基準というぐあいに据えたところでございます。  そこで、お尋ねの、節度を超えた接待かどうかの判断の基準ということに関してでございますが、この点につきましては、接待の頻度、内容あるいは接待を受けた者の立場、そういうものを総合的に勘案しまして、処分の軽重を決めたということでございます。  具体的には、調査をいたしました五年間における接待の頻度というものを一つの尺度としながら、同一の取引先からの接待の状況が多かったのかどうか、年間複数回の接待に及んでいたのかどうかということでございます。また、その接待の内容でございますけれども、いわゆるビジネスランチのようなものが多かったのかどうか、あるいはそうではなくして夜の会食が多かったのかどうか等々をしんしゃくしながら判断したところでございます。また、考査局幹部としてその在任中に考査対象先から接待を受けた者は、その立場を加味して処分を行ったということでございます。  そこで、その考査先から接待を受けた問題で、処分をされた者の人数云々という御質問がございましたが、確かに、今回の内部調査において、考査局の幹部としてその在任中に考査対象先から接待を受けたと自己申告をしてきた者がいたのは事実でございます。考査局幹部が考査の対象先から接待を受けるということは、たとえそれが儀礼的なものであったといたしましても、世間から見れば大いなる疑義を招きかねないものでありますだけに、内部調査において状況をしっかり吟味した上で処分を行ったところでございます。  ただ、該当者が何名であるかといった処分の具体的な内容にかかわる事項につきましては、今回の私どもの内部調査及び処分の経緯とか趣旨、これは対外的には公表しないという前提で、ヒアリング方式でいろいろ調査を行ったわけでございますが、そういう経緯や趣旨等々に照らして公表は差し控えさせていただいておりまして、この点、ぜひ御理解を賜りたいというぐあいに考えております。
  180. 中林よし子

    ○中林委員 時間が来ましたので終わりますが、考査の問題は理事会協議預かりにもなっておりますので、引き続きお願いし、それから、大蔵の問題は、やはり全容解明を私は求めたいということを最後に申し上げまして、終わります。
  181. 原田昇左右

  182. 保坂展人

    保坂委員 社会民主党の保坂展人です。  まず、冒頭に、先日の当委員会お答えをいただきました、日銀の参考人として来られた鴨志田理事が亡くなられたことに対して、お悔やみの気持ちを申し上げたいと思います。  さて、きょうは、大蔵省の疑惑についてかねて、質問主意書を五月の頭に提出させていただきました。そして、そのお答えが昨日戻ってきたわけですけれども、この答えを見ますと、幾多の疑問がさらに浮かび上がってまいります。  そこで、武藤官房長に伺いたいのですが、この調査対象者は千人を超える職員と聞いております。一体何人の方が調査をされて、具体的にその調査をした、つまり職員の方の個別面談、諸資料間の相互確認、相手側金融機関に対する問い合わせ等を並行的に進められたわけですね、その際に、その調査の記録を残さなかったのか、あるいは手控え程度のものは記したのか、この点から伺っていきたいと思います。
  183. 武藤敏郎

    ○武藤政府委員 調査対象者は千五十名でございますけれども調査をした側の人数についてのお尋ねでございます。  これは、まず各局の服務管理官、これは本省ばかりではございませんで、地方支分部局等も含まれるわけでございますが、これが約五十名でございます。それから、金融服務監査官室というのがことしの一月につくられましたけれども、それが十名。合計六十名程度のものに加えまして、秘書課の職員、これは何名というよりも、秘書課の職員がいろいろな形で参加したということでございますけれども、その程度の人数でございました。  それから、対象者との個別面談、それからいろいろなデータを相互に確認する、あるいは相手方の民間金融機関に対して問い合わせるといったようなことを並行的に行ったわけでございますが、結局、諸資料の相互確認という意味は、服務管理官の場合には調査対象者と行った個別面談の結果、それから金融服務監査官室が行いました個別面談の結果、あるいは相手方金融機関問い合わせたその問い合わせの結果といったようなものがデータの中心でございます。それをいろいろ相互に見比べることによって、できる限り事実を把握したということでございます。  それから、調査の記録についてのお尋ねがございましたけれども、私ども調査のやり方は、まず各人にメモを、自分自身記憶をたどって、必ずしも全員が綿密なる記録を残しているわけではありませんので、記憶をもとにいろいろメモをつくっていただくということでございます。それを個別面談の際に私ども見せていただいたわけでございますけれども最後に事実関係確認を行いまして、その各人がつくりましたメモは、調査が終了した段階で各人にお返しをしております。そういうことでございますので、私どもが公表させていただいたものがその調査の記録ということになるわけでございます。
  184. 保坂展人

    保坂委員 つまり、今それぞれのデータという形でおっしゃった、「諸資料」というふうに書かれているのですが、そういうデータは存在したというふうに理解してよろしいわけですね。  そして、各自が手控えのメモをつくったというふうにおっしゃっているのですが、千人を超える人のこれだけの大処分を出すのに、全然記録も何も残さずに、手控えのメモを、各人がつくったメモをその人に返して、全く頭の中だけで、全く資料は残さず、文字も記さずにやったんでしょうか、この処分。簡潔にお願いします。
  185. 原田昇左右

    原田委員長 簡潔に答弁してください。
  186. 武藤敏郎

    ○武藤政府委員 担当者の段階でどのような担当者用のメモをつくったか、それは私ども、必ずしも十分把握はしておりませんけれども、要するに、処分事由書というものを提出しておりますけれども、ああいうものを取りまとめた上で、後、各人が持ってきたものは、それは各人にお返しした、こういうことでございます。
  187. 保坂展人

    保坂委員 大蔵省からの答弁書に、後ろの方に処分の事由が極めて細かく記載をされております。これだけのことを本当に、手控えのメモを、各人が持ってきたものをまたその各人に返してという形で行ったというふうに主張されているんです。  そこで、この委員会で再三お聞きしていますけれども、私は何も議事録という言葉にこだわって言っているわけではないわけです。例えば紀律保持委員会というのがあって、今後とも綱紀粛正のために機能させていくというために開催されるわけですね。最近開催されたのかどうか。  そして、その場合に、つまりこういう大きな問題を将来また生まないために、例えば十五年後に、この問題はどうだったのだろうかということを大蔵省を引き継ぐ役所の方たちが照会をしようとしたときに、やはり困るわけですね、何の記録もないと。こういう事案に関してはこう対応したんだという記録があってしかるべきで、なぜ記録をつくらないのかということについて全然説明がなされていないので、あえて規律保持については記録を公的につくらない理由と、それが相当の確信に基づいた行為なのかということについてお尋ねします。
  188. 武藤敏郎

    ○武藤政府委員 まず、紀律保持委員会についてのお尋ねでございますけれども、最近におきましては、今回の調査を開始するに当たりまして、二月二日に、この調査についてこういう形でやるので協力を求めるという趣旨の紀律保持委員会を行いました。さらに、四月になりまして三度、事実確認の段取りでありますとか最終的な報告、あるいは判断基準についての打ち合わせ等を行ったところでございます。  議事録というお話ございましたが、これは前回もお答えをいたしまして、繰り返しで恐縮でございますけれども、私どもは、一般的に内部のこういう会合の内容を議事録でとどめるということはいたしておりません。別に紀律保持委員会だから議事録をつくらないということでは決してございません。一般にあらゆる会議につきまして、いろいろな資料が出されますけれども、議事録というものはっくつていないということでございます。
  189. 保坂展人

    保坂委員 それでは、委員の皆さんに配付をしていただいた資料で、磐梯リゾートというところの経理内容の資料があると思います。  これは、実は先々月衆議院の予算委員会でもお示しをしたものなんですが、これは大リゾートなんですけれども大蔵省のOBの方たちが、名だたる方たちが名前を連ねて開発をされていった、こういういわくつきのリゾートなんですね。  そして、この借入金のところを見ていくと、どんどんどんどんふえていく。主に住友信託銀行からの借り入れなんです。そして、負債のところもどんどんふえていく。これに関して、一般論として、予算委員会では原口政府委員が、こういった経理内容大蔵省が見たときには適切な管理あるいは早期回収などについて指摘をするというふうに答えられていたんですが、実は先ほど御答弁いただいた武藤官房長にも、あるいはその予算委員会の席でも、こういう問題があるんだということを再三指摘をしています。そして、これは重大ではないかということも提起していますが、その後調査をされたかどうかということについて伺いたいと思います。
  190. 武藤敏郎

    ○武藤政府委員 徳田さんという方の、磐梯リゾートですか、それに関与がどうであったかということについて調査をしたのかという御趣旨でございますれば、これは前回もお答えさせていただきましたけれども大蔵省を退官した者の退官後の行為でございますので、私どもとしてはこれを調査する立場にはないというふうに考えておるわけでございます。  また、金融制度調査会の話もございましたけれども、あのときにも申し上げましたとおり、その委員辞任をされておられますので、現時点では、いずれにいたしましても、徳田氏を私どもの方から調査をしなければならない、そういう立場にはないというふうに考えておるわけでございます。
  191. 保坂展人

    保坂委員 金融制度調査会という設置法に基づく審議会の委員で、これは刑事局長にその後確認したところ、公務員に間違いないです。また、その釈明の、未公開株受領問題で、辞任したというふうに官房長おっしゃいましたけれども、当時の新聞記事には大蔵大臣が解任をしたというふうに出ております。ですから、この時期に         —————元銀行局長をされた方でしょう。しかも、銀行局長だけじゃなくて、吉瀬元事務次官、この方は二千五百万円、年俸にして二千五百万ですね、かなり多い。小林政雄元広島国税局長、小林さんは三千万円。村山大臣官房審議官、この方は月三百五十万もらって三カ月で退任。そして、中尾元理財局長の名前もあります、九百六十万円で、これは顧問ということで、総計して試算してみると、大蔵OBだけで六億三千万という大変な額のいわば給料を受け取っているわけです。  そして、問題は、この経理内容を見て、これは銀行局にお尋ねしますけれども、大蔵検査というのは一体何をやっているんですか。大蔵検査でこういうものを発見したら、チェックして指摘しないんですか。あるいは、大蔵検査があったから安心してこういう貸し込みを続けたんですか。これははっきり答えていただきたいと思います。何分類にしたんですか、この検査は。三分類、四分類、どちらですか。
  192. 原口恒和

    ○原口政府委員 お答えをいたします。  先般も申し上げましたように、個別の金融機関から個別の会社に対する融資内容について個別にどういうふうに検査指摘をしたかということの詳細については、お答えを差し控えさせていただきたいと思います。  ただ、先般も申し上げましたように、各金融機関検査におきましては、その業務の健全かつ適切な運用を確保する観点から、的確な実態把握に努めるとともに、問題がある融資につきましては、その企業の状況あるいは再建の見通し、そういうことを勘案して分類をするとともに、適切な管理あるいは債権の早期回収ということを求めているところでございますし、住友信託銀行に対する検査においても、こういう観点から行ったところでございます。
  193. 保坂展人

    保坂委員 では、もう一度、一般論として聞きますけれども、この会社は担保がないんですよ。借地なんです。普通あり得ないことでしょう。  例えば、では一般論として、磐梯リゾートという会社は担保が全部借地で、これだけのうまくいかない事業、不良債権、これを大蔵検査は普通は指摘しないものなんですか。ブレーキかけないんですか。
  194. 原口恒和

    ○原口政府委員 あくまで一般論で申し上げることをお許しいただきたいと思いますが、担保のあるなし、あるいは担保が貸付金についてどれぐらいカバーをしておるかということは非常に重要な要素でございます。ただ、一方で、その事業の長期的な採算の状況ですとかそういうことによる資金の回収度合い、あるいはそれに対して、いろいろな状況下でございますが、融資機関がどういう長期的な計画を持ってどういう対応をしているかとか、そういうことを総合的に勘案をして分類をするということでございます。  いずれにしても、そういう状況、客観的な状況を見ながら、そういう回収の可能性なりそういうものが低いものについては非常に厳しく指摘をするというふうに御理解いただきたいと思います。
  195. 保坂展人

    保坂委員 武藤さんがほとんど意味がはっきり伝わらない調査のお言葉でありますから、あえて、今お答えいただいた         —————中井さんには個人的には全く何の感情もないのですが、しかし、公務員倫理ということで、やはり今回の処分の中に中井さん自身も入っていられますね。減給二〇%ですね。  それで、私が聞きたいのは二点です。一つは、倫理規程ということを、手続を踏まずに会食を少なくとも五回行われた。倫理規程というのはやはりどこか気にはなっていたけれども余りぴんとこなかったのかどうかということが一点。では、それからお答えいただきます。
  196. 中井省

    ○中井政府委員 御指摘のとおり、私大変、個人的に申し上げますと、甘い倫理観で対処してきたということが原因になりまして、今回処分を受けました。特に、今委員指摘のございましたおととしの十二月以降の通達でございますが、これにつきましては、我々の大変不注意でございますが、その通達の趣旨について十分私が理解をせずに、手続上、本来届け出をすべきものを怠った、自分なりの倫理観によりまして、この程度のことであれば社会常識上許されるだろうと。従前よりもはるかに、そういう意味ではいろいろなお誘いがございましたけれども、ほとんど断っておりました。  大変弁明になりますけれども、私、かなり長く金融行政に携わっているものでございますから、金融界におきまして、ある意味では信頼できる情報源と申しますか、友人というようなものが長い関係でできておりまして、そういう長いつき合いの中で、信頼できる人、それがまた金融におけるいろいろな諸情勢の情報をもたらしてくれる、そういう、半分仕事であるというような甘い意識のために、少し手続を怠って会食をしたものが幾つか残ってしまったということでございまして、それについては大変深く反省している次第でございます。
  197. 保坂展人

    保坂委員 お答えにくいことをありがとうございました。  官房長にもう一度伺いますけれども、要するに、大蔵省が大変な疑惑、不信を招いたということは、もうこれはだれも異論のないことだと思います。しかし、先ほど、時間がないので余り詳しく指摘できませんでしたけれども、磐梯リゾートの件にしても、本当に大蔵検査が行われたのか。金融関連の人たちだけでこれだけの、明かされているだけですごい接待ですよね、それが本当に公平になされたのかというのは、これはだれもが疑問に思うわけです。その疑問にこたえるのは、情報公開しかないのですよ。  大蔵省の内部で紀律保持委員会がつくられた。それから今度は、金融服務監査官制度ですか、こっちの方は今度は記録をつくられるのですか。つまり、そういうものを次の世代に、次に働く、ついてくる人たちにどんどん受け継いでいくのが官房長の仕事じゃないですか。そこのところを、本当に反省を込めて、前向きの答弁をお願いします。
  198. 武藤敏郎

    ○武藤政府委員 今回の調査というものが本当に公正であったかどうかということにつきましては、私どもは、いろいろな制約の中で、特に任意の調査ということでもありますので、限界があるわけでございますけれども、私どもとしては最善を尽くしたというつもりでございます。  そういうことで、今までの調査の結果を先ほどの、四月の二十七日の段階で、全体の姿がわかるような形で公表をさせていただきました。私どもは、倫理規程との関係、職務上の関係の有無、反復継続の度合いといったような幾つかの基準を立てまして、その基準に基づいてきちんと公表をさせていただいたつもりでございます。  それから、国家公務員法上の懲戒処分を受けた者につきましては、四月三十日にその処分事由と処分内容を衆議院の大蔵委員会に提出をさせていただきました。ということでございますので、私どもとしては、できる限りの公表をしたというつもりでございます。  なお、詳細なところをさらに詳しく公表すべきではないかということの御主張かと思いますけれども、それは調査の限界でありますとか、相手方のあることでありますとか、いろいろございますので、そこは私どものできる限りの公表をしたということで、ぜひ御理解を賜りたいと思う次第でございます。(保坂委員「金融服務監査官制度で記録をつくるかどうかを答えてないです」と呼ぶ)  それから、金融服務監査官制度でございますけれども、これは議事をするというようなための組織ではございません。要するに服務管理のことを行うということでございますので、一般的な大蔵省の仕事に準じましてそういうことについては対応していくことになろうかと思います。
  199. 保坂展人

    保坂委員 簡単に、一問で終わります。  武藤官房長、では、聞きますけれども、紀律保持委員会、金融服務監査官制度をつくったけれども、一切これからも公的な記録はつくらない、しかしちゃんとやりますから信じてくださいということですね。要するに、今指摘したように、これだけの接待があって、まだもやもやしているわけです。本当に公平に大蔵検査されたのだろうかと。もうそういう疑惑はないので信用してくださいということを言うのなら言ってください。
  200. 武藤敏郎

    ○武藤政府委員 私どもは、いろいろお尋ねがございますれば、誠心誠意お答えをしたいというふうに思っております
  201. 保坂展人

    保坂委員 いや、答えていないじゃないですか。大蔵検査で接待がこれだけあったのに、しかし公平になされたかどうかまだ疑念があると指摘しているわけですが、そういう心配はないというふうに言えるかどうか、答えてください。
  202. 武藤敏郎

    ○武藤政府委員 私どもは、この一月の末といいますか二月以来、ずっと調査をやってまいりました。我々が把握できたことにつきましては、ああいう形で公表をさせていただいたということでございます。  把握できないものがまだあるのではないかとか、今後どういうことが起こるのではないかとかということになりますと、私どもも、それは把握できた限りにおいてのことを申し上げ、現時点において把握できている限りのことを申し上げるというしか申し上げようがないということを御理解いただきたいと思います。
  203. 中村正三郎

    中村(正)政府委員 私、先ほど申し上げましたように、今の国家行政組織法で服務に関する権限がないのですけれども大蔵省に一緒にいて仕事をしている者として感想を述べさせていただきたいと思うのですが、実際のところ、自分たちと一緒に仕事をしている者を自分たちが調べるのですから、大変のようでございます。それで、メモを持っている人も、いない人もいる。しかも、非常に厳密につけている方もいるし、つけていられない方もいる。古いことですから忘れてしまっている人もいる。そういうことをいろいろ調べていって、そして裏づけをとるために業界にいろいろ伺う。  私ですから申し上げられると思いますが、業界によっては協力されないところもある。そうすると、この資料が完全なものかどうかということで、これを処分に使っていいかどうかという自信の持てないところも出てくるということで、検察がやるわけじゃありませんから、強制捜査権に基づいてやるわけじゃありませんから、完全なものができないという意味において、なかなか記録がとりにくい、私はこういうことだと思うのですね。  私は、今までこうしたことが起こってきて、ふたをあけてみたらこんなことになっていたということで、何をやっていたんだ、こんなばかばかしい話があるかと思うぐらいの回数、接待を受けている、ふんまんやる方ない、大蔵省としては申しわけない、こういうことであります。特に、その規律を保持しなければいけない担当者が、またその指示をした後に受けたというようなことですね。もうこういうことはあってはいけないと。だから大臣には、もう今後あったら厳正な処分をしなければいけない、こう申し上げているのです。  その処分をするためには、私、何度も申し上げますように、国家公務員法を改正しなければできないと思います。国家公務員法の改正ができないなら、国家公務員倫理法をつくらなければいけないと思います。そういう法的な対応をしなければいけない。国家公務員法には、国民の望むべき国家公務員像というのはこういうものだとか、だからこういう倫理規範が必要だとか行動規範が必要だということは、一つも書いてないのでありますね。法律に基づいて行政官は、政府行政を行うわけですから、法制度の整備というのも必要であると思います。  私は、そういうところで、一つ提言しているのですが、やはり議院内閣制を補強するために、政務次官の権限強化のために、国家行政組織法を改正することも今提言しております。そうしたことを立法府がいろいろやっていただくことによって、それに基づいて公務員が働くという整備をしていかなければいけないというような感想を持っております。
  204. 保坂展人

    保坂委員 ありがとうございました。終わります。
  205. 原田昇左右

    原田委員長 次回は、来る二十日水曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時二十一分散会