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1998-02-04 第142回国会 衆議院 決算行政監視委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十年二月四日(水曜日)     午前十時二分開議  出席委員   委員長 粕谷  茂君    理事 佐藤 静雄君 理事 高市 早苗君    理事 原田昇左右君 理事 穂積 良行君    理事 上田 清司君 理事 海江田万里君    理事 大口 善徳君 理事 石垣 一夫君       石崎  岳君    臼井日出男君       江渡 聡徳君    久野統一郎君       熊谷 市雄君    佐藤  勉君       桜田 義孝君    下地 幹郎君       田邉 國男君    滝   実君       萩山 教嚴君    堀之内久男君       村田 吉隆君    矢上 雅義君       山口 泰明君    井上 一成君       石井 紘基君    古賀 一成君       島津 尚純君    松崎 公昭君       山本 譲司君    田端 正広君       山中 燁子君    若松 謙維君       青木 宏之君    松浪健四郎君       米津 等史君    佐々木憲昭君       中林よし子君    畠山健治郎君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (国家公安委員         会委員長)   上杉 光弘君         国 務 大 臣         (総務庁長官) 小里 貞利君  出席政府委員         内閣審議官   坂野 泰治君         人事院総裁   中島 忠能君         人事院事務総局         職員局長    佐藤  信君         警察庁長官   関口 祐弘君         警察庁長官官房         長       野田  健君         警察庁刑事局長 佐藤 英彦君         警察庁警備局長 伊達 興治君         総務政務次官  熊代 昭彦君         総務庁人事局長 中川 良一君         総務庁行政監察         局長      土屋  勲君         大蔵政務次官  中村正三郎君         大蔵大臣官房長 武藤 敏郎君         大蔵大臣官房金         融検査部長   原口 恒和君         大蔵大臣官房総         務審議官    溝口善兵衛君         大蔵大臣官房審         議官      中井  省君         国税庁課税部長 乾  文男君         建設大臣官房長 小野 邦久君         建設省道路局長 佐藤 信彦君         自治省行政局選         挙部長     牧之内隆久君  委員外出席者         総務庁行政監察         局企画調整課長 熊谷  敏君         大蔵省主計局司         計課長     田頭 基典君         会計検査院事務         総局第一局長  深田 烝治君         参  考  人         (日本道路公団         総裁)     鈴木 道雄君         決算行政監視委         員会専門員   天野  進君 委員の異動 一月三十日  辞任         補欠選任   松浪健四郎君     西岡 武夫君 二月三日  委員西岡武夫君が退職された。 同月四日  辞任         補欠選任   山口 泰明君     江渡 聡徳君   前田 武志君     松崎 公昭君   米津 等史君     松浪健四郎君   村山 富市君     畠山健治郎君 同日  辞任         補欠選任   江渡 聡徳君     下地 幹郎君   松崎 公昭君     前田 武志君   松浪健四郎君     米津 等史君   畠山健治郎君     村山 富市君 同日  辞任         補欠選任   下地 幹郎君     山口 泰明君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  歳入歳出実況に関する件及び行政監視に関す  る件(行政監察状況及び最近の金融検査等に  おける公務員綱紀に関する問題)      ――――◇―――――
  2. 粕谷茂

    粕谷委員長 これより会議を開きます。  この際、委員長から一言申し上げます。  去る一月二十八日の理事会において、本委員会運営に関する申し合わせを決定いたしました。それを読み上げます。     決算行政監視委員会運営に関する申合せ  一、本委員会は、国民の期待とその果たす役割重要性に鑑み、積極的に活動し、決算行政監視に関して本委員会が中核となって国会の権威をさらに高めるよう努める。  二、本委員会は、本院における行政監視機能充実及び強化という設置の趣旨に鑑み、国会情勢等に関わりなく活動する慣行を確立するよう努める。  三、本委員会は、真に国民に開かれた国会実現するためにも、各界各層の多様なニーズを的確に把握し、これに対応するよう努める。 以上、御報告いたします。      ――――◇―――――
  3. 粕谷茂

    粕谷委員長 歳入歳出実況に関する件及び行政監視に関する件、特に、行政監察状況及び最近の金融検査等における公務員綱紀に関する問題について調査を進めます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本件調査のため、本日、参考人として日本道路公団総裁鈴木道雄君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 粕谷茂

    粕谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。
  5. 粕谷茂

    粕谷委員長 本日は、総務庁大蔵省及び警察庁より順次説明を聴取した後、質疑を行うことといたします。  それでは、総務庁より説明を聴取いたします熊代総務政務次官
  6. 熊代昭彦

    熊代政府委員 総務政務次官熊代昭彦でございます。御承知のように、きょうは大臣予算委員会出席しておりますので、代理を務めさせていただきます。  総務庁所掌事務につきまして常日ごろから御指導、御鞭撻を賜っておりますこと、心から感謝申し上げます。  財政状況の危機的な悪化、少子・高齢化の急速な進展、経済のグローバル化に伴う大競争時代への突入、さらにはたび重なる不祥事の発生などによりまして、行政を取り巻く環境が極めて厳しくなっている昨今でございますが、行政機能あり方を問い直し、二十一世紀にふさわしい行政シ  ステムをつくり上げていくことが喫緊の課題になっているところでございまして、こうした状況下に、新たに行政監察をその任務に加えられた貴委員会が設置されましたことは、まことに時宜を得た、大変意義の深いことと存じ上げます。貴委員会がその力を遺憾なく発揮されることを心からお祈り申し上げるところでございます。  次に、総務庁行政監察及び行政相談につきまして、その概要を御説明申し上げます。  第一に、行政監察は、政府部内の自己改善機能として、行政制度運営について実績調査、分析し一その結果に基づき改善方策関係行政機関勧告するものでございます。  第二に、行政相談は、国民行政に関する苦情意見、御要望を受け付け、関係行政機関あっせんを行うことにより、苦情解決意見要望実現を促進するものでございます。  詳細につきましては、後ほど行政監察局長から補足的に御説明申し上げます。  このような総務庁行政監察制度は、これまでも実績を上げてきたものと自負しておりますが、昨今の行政をめぐる大変厳しい状況を真摯に受けとめ、これまでにも増してその機能発揮に努めてまいる所存でございます。  本国会における行政監察機能政府における行政監察機能がそれぞれの役割を十分に果たし、相携えて行政改善に邁進することが求められていると存じます委員長を初め、理事委員皆様方格段の御指導、御鞭撻を心からお願い申し上げます。  最後に、国家公務員人事行政を所掌する立場から、今般の現職国家公務員不祥事について申し上げます。  現職国家公務員収賄容疑逮捕されるという事態が発生したことは、行政公務員に対する国民信頼を著しく傷つけるものであり、極めて遺憾であります。  政府においては、一昨年末に公務員倫理規程を設け、その厳格な遵守を図ることにより、公務員綱紀保持徹底を行ってきたところでございますが、今回の逮捕容疑の中にこの倫理規程制定以降のものが含まれていることは、まことに残念でなりません。  公務員不祥事を根絶するためにはさらに抜本的な対策を講ずる必要があることから、総理の官房長官への指示に基づき、公務員倫理に関し法制化を含めた対策を講ずるため、政府部内に検討委員会が設けられ、検討を開始しているところでございます。  二度とこのようなことが起こらないよう、全力を挙げて綱紀厳正保持に取り組んでまいりたいと考えておりますので、先生方の深い御理解と格段の御協力をお願い申し上げます。  ありがとうございました。
  7. 粕谷茂

  8. 土屋勲

    土屋政府委員 行政監察及び行政相談について、お手元の資料に即して御説明させていただきたいと存じます。  ます行政監察でありますが、説明資料の一ページにありますように、これは、政府部内の自己改善機能として、行政制度運営等の実態を調査分析しまして、その結果に基づき改善方策関係行政機関勧告するものであります。  行政監察は、その実施形態から、中央計画監察地方監察に大別されます。  中央計画監察は、総務庁本庁監察テーマ調査時期、調査対象調査方法などを決めまして、出先機関である管区行政監察局行政監察事務所を動員して実地調査実施するものでして、年間二十件程度実施をいたしております。  対象となる業務は、各省庁業務特殊法人業務地方公共団体が国から委任補助を受けて行う業務、いわゆる機関委任事務補助金関係であります。  対象となる事項は、行政制度施策、組織、運営と、行政全般にわたっておりまして、重要行政課題解決の促進、行政改革推進といった観点から実施しております。  次に、監察テーマの選定でありますが、平成八年十二月に閣議決定された行政改革プログラムに基づきまして、現業、特殊法人等事業見直し経営合理化並びに歳出削減、経費の効率的使用重点を置いて、向こう三年間に実施する予定の監察テーマを定めました行政監察プログラムというものを策定しております。  この行政監察プログラムにつきましては、行政を取り巻く情勢の変化を踏まえ、毎年度新たな三年間について策定するローリング方式により見直しを行うことといたしております。また、政府重要施策に係る緊急の諸課題にも機動的に対応すること等をいたしております。  次のページ、二ページをごらんください。最近の勧告実績を幾つか紹介をさせていただいております。  主なものを三つほど御説明させていただきたいと思います。  まず、①の「特殊法人に関する調査」であります。  これは、特殊法人財務内容等公開、いわゆるディスクロージャーが必ずしも十分に進展しておらず、また、特殊法人子会社等の全体像が不透明であるとの指摘がなされていた状況を踏まえまして、特殊法人に対する国民信頼の確保を図る観点から、特殊法人におけるディスクロージャーの現状と子会社等の全体像を明らかにするとともに、ディスクロージャーを一層推進することを目的として実施をしたものであります。  この勧告推進していく立場から、私ども行政監察局では、ディスクロージャー基本的枠組みを定める特殊法人財務諸表等の作成及び公開推進に関する法律案というものの取りまとめを行いまして、昨年六月、成立をさせていただいたところでございます。これにより、平成八年度決算から、各特殊法人の本社や支社等民間の水準以上に公開された財務諸表等を閲覧することができるようになっております。  また、次のページ、三ページの⑥をごらんください。  「国有林野事業に関する行政監察」でありますが、同事業は、五十三年以来累次にわたる経営改善に取り組まれているにもかかわらず、御案内のとおり、その財政状況悪化の一途をたどっております。この監察では、農林水産省の策定しました経営改善計画に掲げる改善目標平成八年度末における達成状況調査し、同事業抜本的改善に資することを目的として実施したものでございます。  次の⑦の「金融に関する行政監察」でありますが、金融を取り巻く環境が大きく変化し、金融行政改革が進められ、本年四月からは早期是正措置も導入されることから、ますます重要性を増します金融検査厳正かつ効果的、効率的な実施金融機関ディスクロージャー充実などを図る観点から実施したものであります。  これらの勧告具体的ポイントは、資料のとおりでございます。  それから、地方監察でございますが、地域に密接にかかわる行政上の問題を現地で具体的に改善することを主眼として、管区局事務所実施をいたしております。  次に、行政相談について御説明をいたします。  説明資料の四ページにございますように、当庁の行政相談、国の行政機関業務特殊法人業務、国の委任補助にかかわる業務に関する幅広い範囲の苦情意見要望を受け付けまして、公正中立立場から関係行政機関あっせんを行い、その解決実現を促進するとともに、国民の声を行政制度運営改善に生かすものでございます。  行政相談受け付け体制につきましては、国民皆様が身近な場所で気軽に相談できるように努めております。全国五十の管区局事務所のほか、各市町村単位に少なくとも一名、総務庁長官から民間人の方々に委嘱している行政相談員が受け付けております。  平成八年度における行政相談処理件数は、相談者が不利益の救済または行政制度運営改善を求めるという内容の、いわゆる行政苦情事案が約四万四千件となっております。  この苦情事案の中で、役所の知識、経験だけでは処理困難な問題につきましては、元内閣法制局長官を初めとする七名の有識者の方にメンバーとなっていただいております行政苦情救済推進会議にお諮りをし、そこで御議論をいただき、その結果を踏まえて関係省庁等あっせんをいたしております。  最後に、行政監察制度の今後の課題について申し上げますと、昨年十二月の行政改革会議長終報告の中で、新たに設けられる総務省において行政評価監視を担当することとされておりますが、そこでは、現在の行政監察機能を引き継ぎ、さらに充実を図ることとされ、客観的で公正な評価方法の確立、評価結果の政策立案部門への適切なフィードバックなど、評価監視機能の十分な発揮のための工夫を行うことが求められております。  また、総務省に置かれる独立行政法人評価委員会事務局行政評価監察担当部局とされておりまして、こうした課題に適切に対応できるよう準備を進めていかなければならないと考えております。  以上でございます
  9. 粕谷茂

    粕谷委員長 次に、大蔵省より説明を聴取いたします中村大蔵政務次官
  10. 中村正三郎

    中村(正)政府委員 大蔵政務次官中村でございます。  大蔵省金融検査に属する職員が引き起こした問題につきまして、御説明をさせていただきたいと思います。  初めに、事実関係を御説明いたします。  去る一月二十六日、大蔵省大臣官房金融検査部に所属する職員二名が収賄容疑逮捕され、大蔵省強制捜査が入りました。  逮捕されたのは、金融検査部管理課金融証券検査官室長官川宏一と、金融検査部管理課課長補佐谷内敏美であります。  逮捕の際の被疑事実は、概要以下のとおりであると聞いております。  宮川は、平成四年七月から七年七月までの間、金融検査部上席金融証券検査官として、平成七年八月から金融証券検査官室長として、金融機関検査等職務に従事してきたものでありますが、銀行に対する検査期日臨検店舗等事前漏えい等種々便宜な取り計らいを受けたい趣旨等のもとに行われるものであることを知りながら、あさひ銀行から、平成七年四月から九年五月までの間、前後十八回にわたり、合計約百八十万円相当飲食ゴルフ等接待等を受けたこと、同行の仲介により同行の実質的な子会社からマンションを購入した際に、販売価格から四百四十万円の値引きを受けたこと、第一勧業銀行から、平成五年三月から七年一月ごろまでの間、前後十七回にわたり、合計約七十九万円相当飲食ゴルフ等接待等を受けたことをもって、みずからの職務に関して収賄したものとされたところであります。  谷内については、平成六年七月から七年六月までの間、金融検査部審査課課長補佐金融証券検査官として、検査報告書審査等金融機関検査等職務に従事し、七年七月から八年六月までの間、同部管理課課長補佐金融証券検査官として、八年七月からは管理課課長補佐として、金融検査の方針及び実施計画樹立等、及び金融機関検査等職務に従事してきたところでありますが、銀行に対する検査期日及び臨検店舗等事前漏えい等種々便宜な取り計らいを受けたい趣旨等のもとで行われるものであることを知りながら、三和銀行から、平成六年七月から九年十月ごろまでの間、前後四十回にわたり、合計約百六十二万円相当飲食ゴルフ等接待等を受けたこと、自己飲食代金自己にかわって支払ってもらうため、平成八年八月から九年八月ごろまでの間、前後六回にわたり、合計約二十六万円を銀行口座に振り込んでもらったこと、北海道拓殖銀行から、平成六年八月から九年五月ごろまでの間、前後十二回にわたり合計約四十万円相当飲食ゴルフ等接待等を受けたことをもって、自己職務に関して収賄したものであるとされたところであります。  今回の事件は、大蔵省、ひいては公務員全体に対する信頼を著しく傷つけるものであり、痛恨のきわみであり、深くおわびを申し上げます捜査当局捜査状況も踏まえつつ、徹底的に事実関係を明らかにし、被疑者に対する行政処分はもちろんのこと、関係監督者に対する処分についても厳正に行う所存であります。  大蔵省では、平成七年五月の綱紀保持のための通達や平成八年十二月の職員倫理規程制定等を通じて、綱紀厳正保持に努めてきたところでありますが、第一勧業銀行に対する検査期間中の検査官の行為についての調査が結果として不十分であったこと等、こうした規程等遵守職員の自主的な申告によって担保しようとした仕組みが結果として機能しなかったことが明らかになりました。  このような反省を踏まえ、綱紀保持徹底するため、新たに金融服務監査官大臣官房に設置しました。  金融服務監査官は、民間金融機関等検査監督に従事する職員について、みずから積極的に情報の収集、分析等を行うことにより、綱紀保持状況監視非行事件調査等を行うほか、外部の意見も踏まえて厳正な活動を行うとの観点から、弁護士に顧問を委嘱し、助言を求めることとしております弁護士については現在選任中でございます金融服務監査官は、服務上の問題を把握した場合には、大蔵省全体の綱紀保持徹底を図るために設けられている紀律保持委員会の開催を求め、出席して意見を述べることができることとしております。  また、マスコミ等で取り上げられている金融関連部局職員金融機関等役職員との間の疑惑についても調査中であります金融検査部銀行局、証券局等金融関連部局に在籍していた職員について、過去五年にさかのぼって金融機関等との関係について調査中であります。速やかに結果を取りまとめ、問題のある者及び関係監督者については厳正処分を行うことといたします。  調査は、各部局人事担当者大蔵省服務管理のために従来から設置されている各部局服務管理官のほか、新たに設置した金融服務監査官も活用して行うこととしております。具体的には、職員に過去にさかのぼって金融機関との関係を自主申告させ、これをもとに申告内容の相互の突合や必要に応じて本人からの聴取等を行い、申告内容正確性をチェックすることにより行うこととしております。  調査対象者は五百五十名を上回り、現在地方や海外に勤務している者もおります。このような大規模な調査でありますので、相当期間を要することが予想されますが、できるだけ早期に結果を取りまとめるよう、全力で行う所存でございます。  さらに、この際、金融行政に対する信頼を回復するよう、検査体制行政手法などに関し抜本的な改革を進めてまいります。  金融検査部においては、検査基本的あり方を転換し、厳正実効性ある検査体制手法を確立するため、本年四月一日以降の早期是正措置の導入を契機として、金融機関による自己査定公認会計士による監査等前提としつつ、また、事後的なルール遵守状況等の把握に重点を置いた、厳正実効性のある新たな金融検査あり方検討を進めるとともに、グローバルスタンダードにのっとり、国際化高度化の著しい金融取引等を的確に把握するため、民間専門家の登用、研修の強化充実主要国監督当局との人材交流等について検討を進めてまいります。今後、これらの点について早急に具体策を取りまとめ、実施を図ってまいります。  金融行政は、自己責任原則市場規律にのっとった金融機関経営前提とし、明確なルールに沿った、透明性の高い手法に移行しつつあります。こうした中で、金融機関から意見を聴取したり、行政の考え方を説明するため、定例の金融連絡会を新たに設置することといたします。これにより、いわゆるMOF担の存在を必要としない行政に転換するとともに、行政透明性を確保してまいります。  大蔵省としては、綱紀保持徹底し、国民皆様から信頼される金融行政を再び確立するため、以上のような改革に真剣に取り組んでいく決意であります。  以上でございます
  11. 粕谷茂

    粕谷委員長 次に、警察庁より説明を聴取いたします関口警察庁長官
  12. 関口祐弘

    関口政府委員 警察庁長官関口でございます。元警視庁警部による証券会社幹部からの収賄事件概要につきまして御説明を申し上げます。  このたび、警視庁におきまして知能犯捜査を担当する警察官が収賄罪逮捕され、しかも取り調べ中に自殺を図るという不祥事案が発生し、国民の警察に対する信頼を損ねましたことをまことに遺憾に存ずるところでございます本件につきましては、現在、警視庁におきまして厳正捜査しているところでございますが、これまでの捜査状況等につきまして、以下御説明を申し上げます。  ます最初に、事案概要でございますが、被疑者は、元警視庁警部峠孝佳、四十四歳でございまして、本人につきましては、警視庁において一月十四日収賄容疑通常逮捕、同日懲戒免職処分とし、現在勾留の上鋭意取り調べ中でございます。  容疑事実は、なお捜査中であり、今後の捜査によりまして収賄金額等に若干の変更があろうかと存じますが、収賄被疑者は、警視庁刑事部捜査第二課に警部補として在任中であった平成五年二月ころから同年の九月ころまでの間、同課が捜査、検挙した大和証券国立支店長らによる詐欺業務横領事件捜査員として事件内偵被疑者取り調べ等に携わり、その内偵捜査の過程で贈賄被疑者である同社総務部担当者らと知り合い、当該事件捜査に関しまして同社が有利、便宜な取り計らいを受けたことの謝礼、並びに今後も同様の取り計らいを受けたい趣旨のもとに供与されるものであることを知りながら、平成五年四月ごろから平成九年二月ごろまでの間に都内の飲食店等での代金約百万円相当遊興飲食接待平成五年七月上旬ごろ五十万円相当旅行券平成五年十月ごろから平成九年二月ごろまでの間に、みずから遊興飲食した約二百九十万円相当分の現金を収受したというものであります。  ところで、この大和証券国立支店における詐欺業務横領事件捜査につきまして被疑者が手心を加えたのではないかとか、捜査がゆがめられたのではないか等の御指摘が一部に聞かれるところでありますが、これまでの捜査結果から見まして、被疑者立場は当時、警部補で、特定の事項についての捜査だけの担当をしていたものであり、捜査方針自体を左右することはあり得ないことから、当該職員により事件捜査がゆがめられたことはないと考えているところであります。  いずれにいたしましても、いやしくも贈収賄事件捜査する立場にある警察本部の捜査第二課員であった者が私利私欲に惑わされて引き起こした事案でありまして、まさに言語道断な行為であります。  今回の事案の動機や背景につきまして、現在までに判明したところでは、個人の資質にかかわる問題が大きいと思われますが、事案の未然防止のためには平素における幹部の指導監督の問題等もあるものと考えております。  次に、関係監督者等の処分について申し上げます。  本件に関する関係監督者処分につきましては、収賄被疑者の起訴の状況を見まして、本日中にも厳正に措置する方針であります。  なお、被疑者は、一月十七日午前の取り調べの途中、トイレ内で隠匿所持したカッターナイフで自殺未遂を図っておりますが、これは、被疑者の所持品等の取り扱いに関する手続が適正に行われておらず、また被疑者監視についても適切さを欠いたことから発生したものと考えられるところから、この件も含めて、関係者を厳正に措置することとしております。  次に、再発防止策について申し上げます。  警察庁といたしましては、昨年、警視庁の城東警察署で不祥事案が発生し、また大阪府警捜査二課でも収賄事件があるなど、重大な不祥事案が連続したことにかんがみ、通達を発出し、それぞれ都道府県において業務管理の適正を期するように、あるいは監察体制を強化するよう強く指示してきたところであります。  こうした中、ただいま申し上げた事件が検挙をされるに至ったのでありますが、今回の事件につきましては、警察本部における捜査幹部による部下の身上監督等が不十分であった、あるいは取り調べ中の被疑者に対する取り扱いに関して基本にのっとった職務執行が行われていなかったことが反省されるのであります。  そこで、一月二十二日付をもって重ねて官房長通達を発出をいたしまして、各都道府県警察等に対しまして、現在推進中の不祥事案防止の諸対策について再度点検し、職業倫理教養及び基本を遵守した職務執行の徹底捜査幹部による捜査管理の徹底、警察本部内の職員を含む全職員に対する身上監督の徹底を指示したところであります。  このほか、警察庁といたしましては、臨時に全国の都道府県警察総務・警務部長会議を開催し、規律の振粛について強い指示を行い、あるいは本年の教養の第一重点に職業倫理教養の推進ということを掲げまして、学校教養、職場教養において職業倫理の徹底を図る努力をしているところであります。  また、これらの指示事項等が全国の職員徹底し実践されるよう点検し、監察する方法を協議するため、臨時の管区警察局総務部長会議を開催したところであります。  今後とも、反省、教訓事項を踏まえた対策を第一線の警察職員に確実に浸透させ、この種事案の絶無を期して、国民信頼の回復に一層努めたいと考えております
  13. 粕谷茂

    粕谷委員長 これにて三省庁説明の聴取は終了いたしました。     ―――――――――――――
  14. 粕谷茂

    粕谷委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します原田昇左右君。
  15. 原田昇左右

    ○原田(昇)委員 私は、先ほど委員長が冒頭に述べられました申し合わせ、三項目あるんですが、これは極めて時宜に適した申し合わせだと思います決算行政監視委員会というのが新しくできまして、ぜひこういう精神で与野党とも審議に当たりたい、こういうように考えておりますので、まず最初にそのことを申し上げたいと思います。  そして、開かれた国会、開かれた委員会にしようじゃないかという、申し合わせの中の第三項にありますが、それに基づいて、最近のファクシミリによる苦情を受けつけようということを委員長が決断をされまして、きょうの新聞にもファクス番号が、三五八一-七七一三というので出ております。早速もうファクスが来ておるそうですが、ぜひこういうことで、国民に開かれた委員会として国民から直接苦情も受け取る。我々ももちろん選挙区へ行っていろいろ話を聞いてくるわけですが、そういう、まさに国民の議会としてのこの決算行政監視委員会をこれから、本当の意味で国家国民のためにこういう機構改革やってよかったなということにしなければならぬ、こういうように思っておりますので、どうかよろしくお願いしたいと思います。  さて、先ほど行政監察の御報告がありましたが、この中で、金融検査ということをおやりになったということで勧告が出ておりますね。その勧告について大蔵省はどういう答えをしておりますか。
  16. 原口恒和

    ○原口政府委員 お答えします。  金融に関する行政監察結果に基づく勧告におきましては、まず大蔵省の所管する金融検査に関しまして嘆改善すべき事項として「金融検査の効一果的・効率的な実施」の観点から、示達交付の早期処理、画一化、固定化されている検査周期の見直し検査マニュアル等の適時的確な改訂等の措置を講ずること、それから「金融検査官の効果的養成等」の観点から、金融検査官の養成の仕組みの充実について検討することという指摘がなされております。  申しおくれましたが、今回非常に申しわけない事態になりまして、そういうことも踏まえて、また一方で、金融検査あり方につきましては、四月から早期是正措置というものが導入されますので、そういうことの中でいろいろ今見直しを行っております。  そういう中で、総務庁勧告も踏まえながら、今後、透明性の高い金融行政という基本的な方向に即しながら、あり方について抜本的に見直していきたいというふうに考えております
  17. 原田昇左右

    ○原田(昇)委員 今のお話で内容として悪いわけじゃないんですけれども、勧告という制度があって、それに対してしっかりと文書か何かで答えるんでしょう。そういうことをやっておられるんですか。
  18. 土屋勲

    土屋政府委員 お答えいたします。  私ども、勧告をいたしましてからおおむね三カ月後をめどに第一回の回答をいただくことにいたしておりまして、その回答をいただいてからさらにおおむね一年後に二回目の回答をいただくということで、勧告の措置状況をフォローアップしているわけでございます。現在、お話しの金融に関する行政監察というのは昨年の十二月の末に勧告をいたしておりますので、この春に第一回目の回答をいただくという段取りになっております
  19. 原田昇左右

    ○原田(昇)委員 では、三カ月後だからまだ返事が来ていない、こういうことですか。  それから、もう一つ行監に伺いますが、何か、勧告するのに、される側と相談して、これでいいかといってやっておるという話が新聞に出ていましたが、そういうことはないでしょうね。
  20. 土屋勲

    土屋政府委員 調査の結果を踏まえまして、調査の具体的な事例の事実関係あるいはその評価をどういうふうに考えるかということについては、各省と徹底的な議論をいたしておりますが、その結果を踏まえました所見については、総務庁独自の判断で勧告をさせていただいておるところでございます
  21. 原田昇左右

    ○原田(昇)委員 金融検査について非常にいい勧告が出ているわけですから、ぜひこれを生かして、また、大蔵省自身もいろいろお考えになって、この金融ビッグバンを前にして、フリー、フェア、グローバルという原則でこれからやろうという、金融行政を転換していくというときであるし、今また、まさに東南アジアの通貨・金融情勢というのは大変なことになっております。どうしても、IMFを中心に、日本、アメリカが協調してバックアップをしなきゃならぬ。自分自身が多少病人なのに病人の見舞いに行くようなことにならないとも限らぬわけですが、とにかく、日本の病巣をますえぐり取って、そして、しかもアジアのことも踏まえてこれからやっていかなきゃならないわけですから、ぜひ頑張っていただきたい。  ところが、そういうやさきに今回の不祥事が起こってしまったわけです。  私が残念でしょうがないのは、昭和五十四年に大蔵省は通達で、先ほどのお話ですと、「職務上の関係者からの会食等への招待には、原則として応じない。」ということになっておるのですね。ところが、さらに事件が起こった。そこで、平成八年に訓令で、関係業者との間で接待を受ける行為を行ってはならないということを決めたわけです。平成八年ですよ。にもかかわらず、これが守られないで不祥事が起こってしまった。しかも不幸にして、今度捕まった人の一人は、昨年の七月に戒告を受けているのです、戒告を。戒告処分になっている。それでも改まらない。一体、これはどういうことになってしまっているのですかね。  私は、これは、幹部職員綱紀粛正に対する認識が低いのではないかと思うのですよ。これだけ訓令を決めてこういうようにやりますよということを言っておきながら、依然としてどこ吹く風で業者との癒着が行われておるということで金融検査をやるのだという。もう大変な話ですよ、これは。  それから、警察庁についても、職員服務に関する訓令というのが前からあったのですね。平成八年に、わざわざこの訓令の改正をやっている。さっきの警察庁資料によりますと、平成八年の十二月二十六日付で職員服務に関する訓令を一部改正する、そして利害関係者との接触についての規制を定めて全職員にその趣旨徹底させるというようなことをやっているわけですが、これが全然効果を生まないで、ひどいことになってきてしまっているということなんですね。  これはやはり、本人も悪いことは悪いけれども、全体としての規律が守られないというところは、どこか欠陥があるのじゃないかと私は思うのです。それで、我々も大変なショックを受けまして、ともかく与党としては公務員の倫理法をやろうじゃないか、こういう空気になってきてしまったのですね、倫理法を。法律でやらなきゃだめだよ、訓令ぐらいじゃだめだ、こういう認識になってきた。まことに情けない話だと思うのです。  私は、司馬遼太郎さんの書いた本でこういうことを見ましたよ。江戸時代の百数十万人の侍は侍としての気概を身につけていたと司馬さんは書いています。「彼らの多数を占める下級武士の平均的な経済生活は、中以上の農民や商人よりも貧しかった」「しかし、自分たちは公のために、或いは形而上的な価値のために生死すべきものだと思っていた」こういうことですよ。  これだけ志操堅固で資質が高い。これは、日本に来た外国人も、当時、日本の、志操堅固で節操が高く礼節を守る、日本人というのは大変なものだ、もしこれが近代技術を身につけたら大変な国になる、こういうようにみんな思っていた。それがですよ、今日の結果です。物は豊かになったけれども、心はどこへ行ってしまったのですか。  私は、公務員は、この当時からの日本の伝統として、一言で言えば、武士は食わねど高ようじというそういう気概があったと思うのですよ。それは一体どうなったか。私は残念でならないのですよ。倫理法をつくらなきやどうにもならない。こんなことでいいのですかね。これについて、ぜひ幹部の御所見をいただきたいと思います
  22. 熊代昭彦

    熊代政府委員 原田先生の御指摘のとおりでございます。武士の時代も、それから国家公務員という明治以降の時代も、我が国の公務員は倫理の高さということで評価を受けていたと思うわけでございますけれども、最近とみに不祥事が多くなったということでございまして、ぜひ、その綱紀粛正に、倫理の高揚に努めなければならないということでございます。  しかし、確信犯として、報告もせず、そして厳しい基準が定められた中でも平気でやっていくという者に対しては、これは厳重なる刑事罰で、一罰百戒ということでやっていかなければいけないと思いますけれども、御指摘のモラルの向上というのが本当に大切でございます公務員倫理法の制定、政府部内で二月二日に御承知のように検討委員会も設置いたしましたが、この中で徹底的に検討いたしまして、法規範としての厳しい法律、そして倫理の向上のための措置をあわせて検討して、先生の御指摘のような士気の高い公務員をつくり上げたいという決意でおるところでございます
  23. 中村正三郎

    中村(正)政府委員 原田先生御指摘のとおり、倫理観の問題志操の問題、大変重要なものだと思いますが、それはそのときの時代、時代、教育によって大きく左右されるものだと思っております。  大蔵省の今度の不祥事にいたしましても、先ほど御説明いたしましたとおり、また原田先生から御指摘ありましたように、綱紀保持のための通達を行い、職員の倫理規程を制定しているわけでございますけれども、その間でどうしても業者と会食等打ち合わせをしなければならないときは、服務管理官に届けて了承を得なければいけないということにしてあるわけであります。  ところが、その届け出はしない、後でそういった風聞があって聞いても、そういうことはないと言う。うそをつくわけでありますから、もうこれは何とも申し上げようのないようなことが起こるわけであります。そして、司法当局から指摘されて逮捕ということにまでなるというわけであります。  結果的には、内部調査というものがうまくいかない、そういう中で大変申しわけない事態が起こった。そこで大蔵省としては、金融服務監査官という制度をつくって内部調査充実しようということをやるわけであります。  ただ、全体のこととして考えますと、やはり私は、公務員というのは国家において一番重要な仕事を担う人でありますから、そういう公務員がどういう姿勢で仕事に臨まなければいけないかという規範のようなものが必要ではないかと思うわけであります。憲法七十三条でも、官吏に関することは法律によって掌理するということになっておりますので、法律の整備をするということが一つ大切だと思います。  今の国家公務員法には、公務員はかくあるべしとか、倫理の規定はございません。そして、公務員は守られるべきものだ、守られたらばそこでいい行政をやるであろうというような書き方になっております処分も、懲戒をする場合には職務上の義務違反だとか職務を怠った場合とか、免職をする場合も勤務実績がよくなかった場合とか、倫理という観点からの規定がございません。  私は、やはり法治国家であり憲法の規定がある以上、公務員はかくあるべしという規範をつくって、その上で、今までの法制度が不備であれば公務員倫理法をつくるべきである、そういうところまでやらなければきちっとした行政は行われないというところまで思い詰めなければならないほど、今の綱紀が乱れているということだと思います
  24. 関口祐弘

    関口政府委員 全国、二十六万余の警察職員がいるわけでございますが、その大多数の者は、誇りと使命感を持って国家と社会に奉仕するということを信条といたしまして、昼夜あるいは官私を問わず、それぞれの持ち場におきまして、時には身の危険も顧みず治安の維持に当たっているわけでございます。そうした中で、一部の者とはいえ不祥事案を起こすということ、まことに遺憾でございます。一つ一つの事案につきまして十分な反省、検討を加え、ただいま委員御指摘の点も含めまして、再発防止のための諸対策を強力に推進してまいりたいと存じます。  私は、長官就任に当たりまして、全国の警察職員に対しまして、国民のための警察という原点に思いをはせ、地道な努力をしていくことを基本方針として示したところであります国民信頼を得るためには、日々の事件、事故等の処理に当たりまして、国民の声を真摯に受けとめ、国民に目に見える形で結果を示すことが肝要であると思います。これが全国の一人一人の警察職員において実践をされるよう、さらに指導徹底してまいりたいと存じます
  25. 原田昇左右

    ○原田(昇)委員 時間ですから、これで。
  26. 粕谷茂

    粕谷委員長 これにて原田昇左右君の質疑は終わりました。  続いて、石井紘基君。
  27. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 総務庁の所管で特殊法人があるわけでありますが、その極めて大規模な特殊法人のうちの一つである道路公団の、井坂財務担当理事逮捕された。それに続いて、道路公団が、去る十九日でしたか、検察庁特捜部の捜索を受けた。同日、道路施設協会が同じく捜索を受け、さらにまた、道路施設協会の出資会社である幾つかの企業が捜索を受けたわけであります。  この道路施設協会の出資会社である、子会社である幾つかの企業が捜索を受けたのですが、そこのところがどことどこなのか、これ、ちょっと報道にもありませんので、お尋ねを先にしたいと思います
  28. 鈴木道雄

    鈴木参考人 まず、今般、当公団の経理担当役員が収賄容疑逮捕され、公団に対する大きな社会的不信を招くとともに、関係方面に多大な御迷惑をおかけしたことを、極めて重大なことと受けとめ、公団の責任者として深くおわび申し上げます。  委員今御指摘の、十九日の施設協会あるいは関係会社に捜査が及んだことについてどうかということでございますが、施設協会等への強制捜査の理由としては、経理担当理事収賄容疑に関するというふうに聞いております。  それで、その他どこに入ったというようなことにつきましては、捜査のことでございますので、御答弁は差し控えさせていただきたいと思います
  29. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 時間が短いんだから、私の質問をよく聞いておいてもらわなければ困るのだけれども、道路施設協会の子会社はどことどこに捜索が入ったのかということを聞いたんだから、それ、わかるんでしょう。
  30. 鈴木道雄

    鈴木参考人 捜査に差し支えあると思いますので、差し控えさせていただきたいと思います。(石井(紘)委員「捜索に入ったのが、どうして捜査に差し支えるんだ」と呼ぶ)
  31. 粕谷茂

    粕谷委員長 この時間はカウントしませんから、ちょっと待って。――鈴木総裁
  32. 鈴木道雄

    鈴木参考人 捜査を受けた会社の事実については承知しておりますので、御報告します。  日本道路サービス、新日本道路サービス、道路施設サービス、道路通信エンジニア、ハイウェイ・トール・システムでございます。  そこまで把握しております
  33. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 それで、この捜査の過程でもって、今言われた道路施設サービスの社長の吉田さんという方が、この人は私の地元であります世田谷区にお住まいなんですが、二十九日の朝、首をつってお亡くなりになったということであります。この方は、道路公団の元局長、東京第一管理局長というのをされておった方でございます。私はこの席で、こうした痛ましい事件が起こる、その過程で自殺者も出るということに対して、この吉田さんに対してこの場でもって御冥福をお祈りするとともに、一方ではまたこの方も、一連の、非常に疑惑に満ちた不透明な経理運営がされておる道路公団及びそれにまつわる周辺の事業体、団体の犠牲者の一人であるというふうに思うわけであります。  なぜ道路施設協会まで捜索を受けたのか。そしてその子会社まで捜索を受けたのか。井坂さんという人は、道路公団の財務担当理事で、外債のことでもって証券会社の接待を受けたりというようなことを行っていたということで逮捕されたわけですが、このこととどういう関係があるのか。道路公団、どういうふうに思っているのですか。
  34. 鈴木道雄

    鈴木参考人 先ほどもお答えいたしましたけれども、今回の家宅捜査は井坂理事収賄容疑に関するものというふうなことで入っておりますので、今先生御指摘のどういう理由で、そのほかにあるかどうかは私は承知しておりません。
  35. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 それはさっき聞いたのだけれども、それじゃ、その収賄容疑というものについての認識は、道路公団はどうなんですか。道路施設協会あるいはその関連企業の中で収賄容疑をかけられる覚えというものがあるのですか、ないのですか。
  36. 鈴木道雄

    鈴木参考人 それにつきましては、捜査上のことで、私はどうして結びつくかはわかりませんけれども、捜査上必要だということで家宅捜査に入ったのじゃないかというふうに理解しております
  37. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 当然捜索にどさどさと入られるわけですから、もしそれが不当であるというのであれば、それなりの対処をしなきゃいかぬわけでしょう、あなたたちは少なくとも国の機関ですから。道路公団やあるいは建設省に関連の資料が欲しいと言っても、捜索を受けて持っていかれたからないのだ。日々刻々道路事業というものは進められているわけですから、そこにそうした本体の事業に大きな影響を及ぼすという家宅捜索をされたというのだったら、それが何か身に覚えがあるか、あるいは不当なものだというふうに思うのだったら、それはそれなりの行動をとらなければいけないのじゃないですか。どうなんですか。
  38. 鈴木道雄

    鈴木参考人 それにつきましては、そのような疑義があるということで資料を押収されたわけでございます。実際に事業上必要なものについては、こちらの方から要請して書類を返してもらうような措置をもちろんとるわけでございますが、あるかないかということはまだ捜査中でございますから、私としても何ともお答えしょうがございません。
  39. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 私が聞いておることに答えてないんだな、身に覚えがあるのかないのかと。  では、別の聞き方をしますけれども、井坂さんが逮捕された、あるいは十九日に家宅捜索が入った。それ以降、総裁としては道路公団及びその関連の法人等に関する内部調査ということを行ったのですか。
  40. 鈴木道雄

    鈴木参考人 公団としては内部調査を行っておりません。
  41. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 なぜ家宅捜索を行われたかということは井坂さんの収賄容疑にかかわることであろう、そこまでであって、自分たちの方で何の認識もない、それでしかも内部調査も行っていないということは、これは一体どういうことですか。大蔵省は大体、事務次官もあるいは官房長も責任をとると言って表明された。道路公団、建設省道路局、どうなんですか。
  42. 佐藤信彦

    佐藤(信彦)政府委員 御質問の趣旨でございますが、施設協会とかそれから関連の会社に入ったことについてどうかというふうに伺っております。  これにつきましては、調査令状を持ってしかるべき方が入ってこられたわけでございます。それについて身に覚えがあるかどうかというのは、私どもそれについて井坂理事の関連でということで伺っておりますので、それ以上のことをうちの方がどうこうする立場にはないのではないかというふうに思っております
  43. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 国の事業に重大な影響を及ぼしておるわけですよ。そういう中で、井坂理事は外債の引受幹事の選定をめぐって疑惑がかけられているわけでしょう。それと、道路施設協会とかそのまた孫会社、国からいえばひ孫会社になるわけだけれども、こういうものが捜索を受けるというのとどういう関係があるかと言っているのに、あなたたちはその認識が全然ない。どうして捜索を受けたのか、じゃもう一回言ってみなさい。
  44. 佐藤信彦

    佐藤(信彦)政府委員 ちょっと私の言葉のあれが不十分であったかと思います。  井坂理事の関連につきましては、私ども建設省といたしましても、それから道路公団といたしましても、非常に国民に不安を与えた、そういった面で非常に申しわけないというふうに思っている次第でございます。  それから、そういうものがどうかというのは、これまでも道路公団においては、十月にそういった新聞に載ったときに、それについては本人を呼んで確認をしたり、それからそれによって厳重に注意を与えたりとかそういったこと、それからほかにもあるかといったことも、もちろん調査とかそういうのはされているのではないかと思っております。ですが、それが先ほどの関連の会社の方の話を……(石井(紘)委員「なぜそっちへ捜索が入ったのか」と呼ぶ)そこら辺については私どもも本当によくわからないところでございます
  45. 粕谷茂

    粕谷委員長 ちょっと石井委員に申し上げますが、予定の時間を大分オーバーしていますので、これで終わりにしていただきたいと思います
  46. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 答弁が的確に質問に答えてないから長くなるのですよ。  道路施設協会については午後の質問でもって行います。  一言。総裁は今、全然内部調査をされてないと言われたけれども、では、この施設協会の運営をめぐって司法の場でもって大きな、重大な問題が出てきた場合には、少なくとも総裁としてはどうするのですか。あるいは、今日の事態に対してどういう責任を感じているのかということを、さっきもおっしゃらなかったけれども、それも含めて言ってください。
  47. 粕谷茂

    粕谷委員長 私の方でちょっと議事を整理させていただきます。  石井委員から午後の質問で改めて聞くという前提がありましたので、鈴木総裁には、この際よく整理をしておいていただいて午後の質問に対処していただく、こういうことで進めたいと思います。御了承いただきます
  48. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 はい、結構です。  整理しておいてください。
  49. 粕谷茂

    粕谷委員長 これにて石井委員の質疑は終わりました。  次に、若松謙維君
  50. 若松謙維

    ○若松委員 平和・改革の若松謙維でございます。  十分の時間しかありませんので、行政監察局長にお伺いします。  まず、いわゆる行政監察立場ですけれども、あくまでも行政監察ということで、いわゆる身内監察であることは否めません。ですけれども、行政という立場をやはり徹底すれば、当然監察する相手側から接待を受けるということはあってはならないと思います。  そこで、局長にお伺いしますけれども、行政監察局として、以前、調査対象のところから接待を受けたことがあったのかどうか、それについてお答えいただきたいと思います
  51. 土屋勲

    土屋政府委員 そのような事実はないと信じております
  52. 若松謙維

    ○若松委員 局長はいかがですか、局長みずからの体験として。何か今、監督者としての立場でおっしゃったようですけれども、局長みずからはいかがですか。これは後で事実関係が出ますからね。
  53. 土屋勲

    土屋政府委員 私自身そういうことはないと思っております
  54. 若松謙維

    ○若松委員 これからが大事です。  いずれにしましてもこの接待という事実は、これも刑法を見ますと百九十七条でわいろに当たるわけでありまして、いわゆる収賄罪、特に公務員の場合には非常に厳格に適用されていまして、そして、いわゆる人の需要欲望を満たすに足りる一切の利益ということで、飲食の供応、価格不明の酒食の供応、そして供応接待、すべて入っておりまして、これはすべて贈収賄、刑法のいわゆる対象になります。そういった観点から、監察局が万が一あったという事実があれば、これは大変な責任になりますから、それはひとつよろしくお願いいたします。  それでは、今回のこの委員会対象となります金融に関する報告書、ここには金融検査官の今回の汚職について一切触れておりません。これは、いわゆる見逃していたのか、知っていながら見逃していたのか、それとも全く知らなかったのか。一方で、御存じのように、マスコミはどんどん報道しているわけです。そういう状況でなぜこれが触れられていないのか、それについて、局長、答弁願います
  55. 土屋勲

    土屋政府委員 私どもの実施している行政監察総務庁の設置法に基づいているわけでございますが、「各行政機関業務実施状況監察し、必要な勧告を行うこと。」ということにされているわけでございまして、政府部内の自己改善機能として、行政制度運営等の実態を調査、分析して、その結果に基づき改善方策関係行政機関勧告するということをやっているわけでございます。  行政監察そのものは、今申し上げましたように、個別の非違、不当事項を発見するということを直接の目的とするものではございませんが、調査の過程におきましてこれを発見した場合は、その是正措置をとるということは当然のことでございまして、今回の金融監察の過程においては、そういう事実は私たちは把握できなかったということでございます
  56. 若松謙維

    ○若松委員 把握できないといったって、これだけマスコミでかなり言われていたわけですよ。かつ、総理も何度も、いわゆる公務員倫理規程なりをつくって、法律ではなくてやると。そういう状況でこれを把握できないというのは、行政監察局の職務僻怠じゃないのですか。局長、どうですか。
  57. 土屋勲

    土屋政府委員 先ほど業務説明でも申し上げましたが、私たちは、いわゆる一般的な調査権というものを持っているわけでございますが、他の監察制度等に見られますように、司法警察職員としての権限、あるいはそういう任務というものを与えられているわけではないわけでございまして、その辺をぜひ御理解をいただきたいと思います
  58. 若松謙維

    ○若松委員 検察当局じゃないとおっしゃっていますけれども、監察は、行政あり方について問題があれば勧告しなくちゃいけないわけでしょう。それは答弁になっていないですよ、局長。ちゃんと答弁してください。
  59. 土屋勲

    土屋政府委員 私どもは、設置法で与えられた権限のもとで調査活動を行い、そこで把握された事実をもとに勧告というものをつくっているということでございまして、その事実関係の把握の過程において、先生のおっしゃるような事実は把握できなかったということでございます
  60. 若松謙維

    ○若松委員 では、その監察の手続ですけれども、これだけ日本国じゅうが騒いでいてなぜ発見できなかったのか。これは、言い方は悪いですけれども、小学生だって発見できますよ。局長、寝ながら仕事していたんじゃないですか。それじゃ説明がつかないんですよ、世の中に。少なくとも国民の税金をもらって給料をもらっているわけでしょう。ちゃんと答えてくださいよ。結局は手続はやらなかったんでしょう、身内監察だから。そういうことなんでしょう。どうなんですか。
  61. 土屋勲

    土屋政府委員 私ども、監察計画を定め、それにのっとって調査をしたわけでございますが、調査の過程において、我々の調査の中ではそういう事実は把握できなかったということでございます
  62. 若松謙維

    ○若松委員 じゃ、その把握できなかった事実に対して、その調査手続は妥当だったかどうか、十分だったかどうか、それについてはどうですか。
  63. 土屋勲

    土屋政府委員 私どもの調査体制というものを御説明させていただきたいと思いますが、この金融監察、本庁のレベルで、調査をし取りまとめをしている職員は専従が四名でございます。その中で、金融検査の問題、金融ディスクロージャーの問題、金融の規制緩和の問題等々の作業をしているわけでございまして、権限的にも先ほど申し上げたとおりでございまして、結果として把握できなかったというのが事実でございます
  64. 若松謙維

    ○若松委員 私も仕事は会計士をやっていますから、監査をする企業に対して当然関連新聞記事等を読んで、それで世の中の状況を把握して、それで重要項目については必ず調査するわけですよ。それすらもやらないということであれば、まさに仕事怠慢ですよ。反省の言葉はないんですか、局長
  65. 土屋勲

    土屋政府委員 現在、先生がおっしゃっていること、話題になっていることということは、公務員の犯罪問題として捜査当局があれだけの専門職員とスタッフを使いながら事実関係を詰めている話でございまして、我々に捜査機関と同じものをやれというふうな御期待をいただくというのは、少し期待が違うのではないのかなという気がいたしております
  66. 若松謙維

    ○若松委員 局長、あなた、行政監察でしょう。監察目的は何なんですか。国民の税金がきちんと使われているかを確かめるのが監察目的でしょう。あなたはその庁の局長でしょう。そんな答弁で国民説明がつきますか。どうなんですか。
  67. 土屋勲

    土屋政府委員 先ほど来繰り返しておりますが、私どもの仕事というのは、行政制度運営等の実態を調査、分析しまして、その結果に基づいた改善方策関係行政機関勧告するということを任務といたしておるわけでございまして、個別の不当事項を直接発見することを目的としているものではございません。
  68. 若松謙維

    ○若松委員 もうこれで時間が来ましたから、委員長、ぜひ検討してもらいたいのですけれども、こういう繰り返しでやったって、もう何にもならないですよ。この委員会自体の存在が問われているわけですから、もともと行政監察局の役割機能していないわけですから、ああいう答弁に対しては、それに対してはぜひ理事の間で、行政監察局のあり方、ぜひ局長あたりから、総務庁からしっかりと書面で、今後の対応、反省等も含めて入手してもらいたいのですよ。委員長、努力していただけますか。
  69. 粕谷茂

    粕谷委員長 若松委員のただいまの要請ですが、理事会に諮りまして、相談をいたしまして、後日御報告をいたします
  70. 若松謙維

    ○若松委員 時間が来ましたので終わりますけれども、ぜひ、同僚議員のさらなる追及を期待して、終わります
  71. 粕谷茂

    粕谷委員長 これにて若松謙維君の質疑は終了いたしました。  次に、石垣一夫君。
  72. 石垣一夫

    ○石垣委員 自由党の石垣一夫でございます。  きょうは大蔵大臣出席ではないので残念でございますけれども、二月一日の毎日新聞を見ますと、松永大蔵大臣の談話として、株取引による利益提供疑惑が持たれている自民党の新井将敬衆議院議員が、自分が大蔵省出身の政治家なので将来性を買われたと話していたことを明らかにしたと。そのときに大蔵大臣は、大蔵省出身という思い上がりだ、こういう指摘をしたんですね。  大蔵省出身だから利益をくれた、こういう発言なんですけれども、先般の参考人質疑の中でもいわゆる利益供与の問題がなかなか解明されなかったということで、この発言は利益供与につながる微妙な発言だと思うのですけれども、政務次官、どうですか。
  73. 中村正三郎

    中村(正)政府委員 それは、私に聞かれてもわかりません。
  74. 石垣一夫

    ○石垣委員 一般論として、どういう感覚を持っておられますか。
  75. 中村正三郎

    中村(正)政府委員 それは極めて個人的なことでありますから、私に聞かれても、それはちょっと無理だと思います
  76. 石垣一夫

    ○石垣委員 大臣がおられればいいんですけれども、大臣がおられないということで、一体ということでお聞きしたんですけれども、やむを得ないと思います。  そこで、明らかになったことは、新井議員が借名口座でもって日興証券を通じて四千百万の利益を得たということは、新井議員自体も、また日興証券側も明らかにしたわけですね。こういう場合は、借名口座で利益を隠した場合、いわゆる所得税法違反で脱税になるのか。さらにまた、借名口座の行為は国税通則法第六十八条、いわゆる隠ぺいし、仮装し、こういうことで六十八条には重加算税の規定があるんですけれども、これに抵触するのかしないのか。
  77. 乾文男

    ○乾政府委員 国税庁から答弁をさせていただきます。  ただいまのお尋ねの点につきましては、個別にわたる事柄でございますので、具体的な答弁をすることは差し控えをさせていただきたいと思います。  ただ、一般論として申し上げますと、納税者が国税の課税標準等または税額等の計算の基礎となるべき事実の全部または一部を隠ぺいまたは仮装し、またはその隠ぺいまたは仮装したところに基づきまして納付すべき税額を免れておりました場合には、行政上の制裁措置といたしましては重加算税が賦課されることとされているところでありまして、借名口座など他人名義の使用や二重帳簿の作成、架空経費の計上など一通常、重加算税の賦課要件とされておりますいわゆる仮装、隠ぺいに該当すると考えられます。  以上でございます
  78. 石垣一夫

    ○石垣委員 一般論として答弁があったんですけれども、これは一般論じゃなくして、事実関係ははっきりしてきたわけです。はっきりしておるわけです、国会で答弁しておるわけですから。この場合は当局として調査対象になっていますか。
  79. 乾文男

    ○乾政府委員 お尋ねは具体的な事柄にかかわるものでございますので、具体的な答弁を差し控えさせていただきたいと思いますが、一般論として申し上げますと、国税当局といたしましては、常に適正な課税を実現するという観点から、国会で御議論になりました事柄はもとより、新聞で報道されましたことを含めまして、あらゆる機会を通じまして課税上有効な資料の収集に努めているところでございまして、これらの資料と納税者から提出されております申告書等を総合検討いたしまして、課税上問題があると認められる場合には、実地調査を行うなどにより、適正な課税の実現に努めているところでございます。  今後とも、こうした考え方に基づきまして、適時適切に対処してまいりたいと考えております
  80. 石垣一夫

    ○石垣委員 一応あくまで一般論としての答弁ですけれども、法に照らして厳正に対処していかれることを要望しておきます。  次に、金融検査部の海外金融機関に対する調査の実態なんですけれども、これは資料請求したのです。過去五年間にさかのぼって、大蔵省の海外の金融機関に対する調査の実態についてきのう申し上げたのですけれども、全然返事がない。これは極めて不謹慎です。ますこれを冒頭に申し上げておきます委員長、後ほどこの資料を請求したいのですけれども、よろしくお願いします
  81. 粕谷茂

    粕谷委員長 理事会に諮って……。
  82. 石垣一夫

    ○石垣委員 はい。  そこで、大蔵省金融証券検査官が、平成六年五月八日から五月二十二日にわたって、大和銀行ニューヨーク支店、ロサンゼルス支店、サンフランシスコ支店の検査に赴きましたね。このときの日程を見ますと、五月八日から五月二十二日までで、この二週間で、検査をやったのは、九日のニューヨーク支店の午前中、十六日のロサンゼルスの同じく午前中、十八日のサンフランシスコ支店の同じく午前中。これは間違いありませんか。
  83. 原口恒和

    ○原口政府委員 ます、先生御指摘の資料の件については、届けがおくれたという結果についておわびを申し上げます。  なお、御請求のあった資料のうち、個別銀行の名前につきましては守秘義務等の関係もございますのであれですが、それ以外の、いろいろ件数等について今取りまとめをしておりますので、できるだけ早急にお届けをしたいと思っております。  それから、お尋ねの件でございますが、御指摘の平成六年の大和銀行の海外支店の検査に関しましては、平成六年五月八日から二十二日の間に、同行の在米支店の検査及び金融事情調査のために米国に出張をしております。  検査の実情については御指摘のとおりでございますが、それ以外にも、現地銀行監督当局との意見交換あるいは在米日本大使館、日本総領事館との意見交換、米国における金融事情調査のための取引所等への訪問等のためにも出張日程は割かれているところでございます
  84. 石垣一夫

    ○石垣委員 大蔵省金融検査は、銀行法二十五条に基づいて、金融機関経営の健全性、適切性を確保するためだ、こういうふうに指摘しておるのですけれども、恐らく海外検査もこれに基づいて行われたと思うのですね。  ところが、二週間滞在した中で銀行検査がたった午前中だけというのは――国内における検査、取り組みはどうやっているのですか、国内検査の体制は。大体午前中でいつも終わっているのですか、銀行検査は。どういう規模で銀行検査を行うのですか。これは、国内における検査体制に準じて、銀行法二十五条に基づいて厳正検査をやるのでしょう。それが、二週間の間に三日間、しかも、その中で午前中しかやっていないというこの事実。しかも、その間にラスベガスに行って一泊しておる、これ。これはひどいじゃないですか、実際。  だから、海外の金融機関に対する検査体制についても、私は五年間の資料を請求したわけですよ。一遍ずっと見直しをする必要があるんじゃないですか、これ。
  85. 原口恒和

    ○原口政府委員 御指摘の状況で、先ほど御説明しましたように、出張目的は二つございましたけれども、全体として非常に社会的に御批判をいただくような点についてはまことに遺憾であると思います。  このような事態を踏まえて、金融機関の支店等に対する金融検査あり方というのは基本的に見直すということで、平成七年十二月二十六日の「今後の金融検査・監督等のあり方と具体的改善策について」の中で、その充実強化ということに意を用いるように努めてきているところでございます
  86. 石垣一夫

    ○石垣委員 最後に一言。  したがって、平成九年の一月十七日、この三人は文書で厳重注意を受けておるじゃないですか。違いますか。この中身がおかしかったから厳重注意を受けたんでしょう、三人は。
  87. 原口恒和

    ○原口政府委員 御指摘の点については、検査期間中に出張日程と異なる行動をした検査官に対して、平成九年一月十七日付で文書厳重注意の処分実施されております
  88. 石垣一夫

    ○石垣委員 以上で終わります
  89. 粕谷茂

    粕谷委員長 これにて石垣一夫君の質疑は終了いたしました。  次に、中林よし子君。
  90. 中林よし子

    ○中林委員 日本共産党の中林よし子でございます。  まず端的にお伺いしますけれども、行政監察目的は何でしょうか。
  91. 土屋勲

    土屋政府委員 行政監察は、政府部内の自己改善機能として、行政の実態と問題点を把握し、その結果に基づき改善方策関係行政機関勧告することによって、制度施策、組織、運営の全般にわたって行政改革改善推進することを目的といたしております
  92. 中林よし子

    ○中林委員 今の目的に先般の大蔵の不祥事などが――実は昨年四月から五月にかけて、金融検査や監督の厳正実施などを目的にして金融に関する行政監察実施しております。ところが、昨年十二月の調査報告書に、今回の事件で明らかになった粉飾決算検査やそれから接待、癒着の問題、これらは一切触れられておりません。そういうことでは、私はやはり総務庁行政監察局としての責任が一端はあるのではないかと思うのですけれども、その点、いかがでしょうか。
  93. 土屋勲

    土屋政府委員 行政監察目的については先ほど御説明をしたとおりでございまして、その調査の過程におきまして個別の不正事案というものを発見した場合には、それの是正措置をとることは私たちとしても当然の任務と考えているところでございますが、金融検査の過程においてはそういう事実が発見されなかったということでございます
  94. 中林よし子

    ○中林委員 昨日の参議院の行政監視委員会では、長官が、そういうことに気がつかなかったのはやはり手落ちだったというふうにおっしゃっているので、今はただ検査はしたんだけれども見つからなかった事実だけお述べになりましたけれども、やはり本来の効率性や公正性を求める監察目的からすれば、ノーチェックだったということは反省していただかなければならないことだというふうに思います。  時間が短いので、さらに重ねて一つの問題についてお伺いしたいと思うのですけれども、昨年二月二十八日に勧告されました「大規模な農業基盤整備事業に関する行政監察結果」、この中身を見ても、実は行政監察目的実現されているとは思えないのです。この報告書が出たときに、各新聞が一斉にこういう大見出しで、「無策 「身内に甘い」証明 税金の無駄遣いを追認 「無用論」にはずみ」というような形で、幾つも社説並びに大見出しで新聞が取り上げております。  その中で、去年の三月三日付の日経の社説で、   総務庁が大規模な農業基盤整備事業対象に行った行政監察の報告書と勧告を読むと、農業関連公共事業の税金の無駄遣いは目に余る。   とりわけ、減反政策を進める一方で新しい農地を造成する干拓と農地開発は、事業そのものの必要性に大きな疑問符をつけざるを得ない。 こういう指摘をしております。  確かに、私もこの監察の報告を見させていただきましたけれども、この内容を見ると、むだ遣いだということが明らかな報告になっております。  この日経の社説はさらに続けて、   こうした行政監察結果をまとめながら総務庁が、例えば中海干拓に、明確な中止勧告を出さないのは理解に苦しむ。同庁の存在意義が問われているというべきだ。 ここまで指摘をしております。  そこでお伺いするわけですけれども、総務庁も当時は事業中止の方向で勧告をされる方向に傾いていたのではないかというふうに思うのですね。  それは、九六年十二月二十五日付の毎日報道なんですけれども、元総務庁長官、当時の総務庁長官の社民党の中西績介氏の話ということで紹介してありますけれども、「「中海」は中止勧告が妥当と思い、事務当局にもそう指示した。」「だが、総務庁も他の官庁と仲よく付き合おうという弱さがある。」こういうふうに語ったと報道されております。  こういう事実があったのかどうなのか、それをお伺いしたいと思います
  95. 土屋勲

    土屋政府委員 先生の取り上げておられます毎日新聞の記事については、そういう事実関係はございません。私たちとしては記事の内容について抗議を申し入れたという経緯のあるものでございます。  大規模農業基盤整備の勧告では、干拓事業あるいは農地開発事業など大規模な農業基盤整備事業の全体を通じまして、事業を取り巻く情勢の変化を踏まえた見直しということを指摘をいたしているわけでございますが、この勧告を受けて農林水産省において真摯な検討が行われ、改善が着実に進んでいるものと考えております
  96. 中林よし子

    ○中林委員 事実は否定されたわけですけれども、しかし、どう考えてみても農水省からの圧力があったのではないかと思われ、勧告の中身そのものを素直に読めば、当然、事業の中身にまで踏み込んで、税金のむだ遣いをこれ以上するなということが言われて当然だというふうに私どもは思うのです。  そこで、同じ島根県の中で国営農地開発事業として益田の農地開発事業がありますが、このことも実は、この大規模農業基盤整備事業に関する報告書に三年間作付をしていない土地があるということが報告されておりますけれども、その点はいかがでしょうか。
  97. 土屋勲

    土屋政府委員 島根県の益田地区、国営農地開発事業実施しているものでございますが、昭和六十三年度に農地の造成事業を完了しておりまして、平成七年四月から七月にかけて造成農地の利用状況調査したわけでございますが、造成、配分後三年以上一度も作付されていない農地が二十四三ヘクタールあるなど、営農可能面積の約一六%が未利用地等となっているという調査結果でございます。  この事実を踏まえまして、勧告といたしましては、他の国営農地開発事業が完了した地区においても同様な状況が見られることから、完了した農地開発事業地区に生じている未利用地または低利用地についての早期解消を促進するよう指摘をいたしたところでございます
  98. 中林よし子

    ○中林委員 同じ国の税金を使った農地開発事業、一つは干拓事業、一つは農地開発事業ということです。しかも、中海干拓地で、もう既に干陸されているところでまだ売れていない農地が相当分残っているということもあわせてこの中で報告されております。だから、この勧告の出し方が、適切に対処するとか、慎重に検討する、こういう抽象的な表現でなければ、この上に税金のむだ遣いを重ねることはないだろうというふうに思われます。  平成四年九月末で、これまで八百四十三億円が投じられて、この勧告が出された、これが完了したときには九百九十億円の総事業費だ、こういうふうになっているわけですよ。べらぼうな国費ないしは県費が投じられる、そういうものです。ですから、私どもは、やはり勧告対象省庁、農水省との間で行政の内部のなれ合いがあってはならないというふうに思います。  そこで、九六年の十一月に入閣されました武藤前長官が、監察あり方としてこういうことを確認しておられます。  監察対象省庁との間で慣習化している事前協議を原則廃止、二つ目に、従来匿名扱いだった勧告対象の自治体名を公表、三つ目に、行政監察事業の必要性の有無まで踏み込んで勧告すること、これを確認するということになっているのです。  今の事実を見ると、この確認事項は実現されなかったのではないかというふうに思うのですけれども、最後に政務次官に、総務庁としての、この武藤前長官改善策の確認事項を実施していく決意があるのかどうかお伺いしたいし、ぜひそれをやらなければ総務庁の存在意義はないのではないかというふうに思います
  99. 熊代昭彦

    熊代政府委員 御指摘の点につきましては行政監察局長からるるお答えしたところでございますけれども、事実の確認、それからその評価ということについては議論をいたしますけれども、いかなる勧告をするかということについて一切打ち合わせばいたしません。  事実の確認等については、やはり事実を確認する必要があるからやるわけでございまして、他省庁の圧力に負けて監察を曲げるというようなことは一切しないところでございます。  御指摘のような方向につきまして、監査業務運営方針等に明確に明記しているところでございまして、今後ともその徹底に努めてまいる所存でございます
  100. 中林よし子

    ○中林委員 終わります
  101. 粕谷茂

    粕谷委員長 これにて中林よし子君の質疑は終了いたしました。  次に、畠山健治郎君。
  102. 畠山健治郎

    ○畠山委員 公務員の倫理問題についてお尋ねをいたしたいと思います。  九六年十二月に定められました公務員の倫理規程と今回の大蔵省の汚職と照らした場合、倫理規程のどこに欠陥があったと考えますか。人事院総裁並びに総務庁からお尋ねいたしたいと思います
  103. 中島忠能

    ○中島政府委員 各省庁それぞれ倫理規程を設けて対応しているわけですが、その倫理規程というのを、私、昨年の六月の末に総裁に就任いたしましてからよく読んでみました。そしてまた、その直前に、彩福祉グループとかあるいは泉井石油商会関連で不祥事の問題を抱えた省庁がございました。そういう過程でいろいろ新聞等で報道されたものをよく読んでみますと、倫理規程について、欠陥と言えるのかどうか、少し考え直した方がいいなという点がやはり幾つかあると思います。  不祥事の発生の予防という観点から考えた場合に、倫理規程では服務監督者を各局の総務課長にしておる、総括服務管理者を官房長にしておるということでございますが、泉井石油商会の場合もあるいはまた彩福祉グループの場合もそうですが、不祥事というものの嫌疑をかけられた職員が、そういう職員よりも上位の職位の職員の場合があったということでございますので、そういう決め方が適当なのかどうかということが一つあろうかと思います。  それからもう一つ、不祥事が発生したというか、その疑いがかかった場合の調査あり方ですが、やはり当時の新聞にも盛んに書かれておりましたが、組織内調査というか自己調査というものに限界があるということが、今回もそういうことが言われておりますけれども、そういうことから考えた場合には、組織内調査自己調査というものでいいのかどうかということはやはりよく考えてみる必要があるだろうというふうに思います。  それから締めくくりとして、やはりその組織の長というのが、どういう事実があったのか、その事実に対してどういう処分をしたのかということを国民の前にはっきりと公表するという制度が必要じゃないかというふうに私は感じたわけでございます。新しい倫理法を制定する場合にも、そういうところがよく議論の対象にならなければならないというふうに考えております
  104. 畠山健治郎

    ○畠山委員 総務庁、いいです。時間がありませんから。  いずれにしても、今お話しのように、管理者の法的な調査の権限はない、それから処分の基準もない、あるいは裁量権任せ。言ってみれば、完全に現場に目が届かない等々の問題があり、結果的には本人の自主申告によらざるを得ない。ここに最大の弱さがあるというふうに言わざるを得ないと思うのです。いずれにしても、省庁内部の自己調査では自己浄化は不可能なことがはっきりしたというふうに言ってよろしいかと思うんです。  そうしますと、今後制定される倫理法の実効性を担保するためには、公正中立な審査機関を設置せざるを得ないのではないかと考えます。そのためには、公務員制度の根幹をゆだねる人事院を無視しては考えられないというふうに思うのです。これは、現行国家公務員法第十七条で人事院に証人喚問等強力な調査権が与えられております。そして百十条では、十七条に反した者については罰則権を保障しておるところでも明らかかと思います。  現行法の規定を倫理法にどのように生かすか、さらに検討すべき課題は多いと考えますが、いずれにしても、公務員倫理を確保するには、人事院に公正中立な審査機関を設ける必要があろうかと考えます人事院総裁の見解を承りたいと思います
  105. 中島忠能

    ○中島政府委員 人事院に非常に大きな期待をかけられていろいろお話しになりました。ごらんのとおり、私初め余り大した人間が集まっておりませんけれども、いずれにいたしましても、できるだけ一生懸命仕事をしなければならないというふうに思います。  そこで、十七条の話ですが、確かにそういう権限が規定されております。そして、それが今まで五十年間使われてこなかったわけですが、今回、ここ数年の不祥事というものを眺めてみますと、そういう世論というのが確かにあると私も幾人かの国会議員さんからそういうことを言われております。したがいまして、それを新しい倫理法の中でどのように位置づけていくかということも、政府部内でもよく議論しなければならないというふうに思いますし、各政党においてもそういう議論をしていただければというふうに思います。  いずれにいたしましても、貴重な御指摘だというふうに受けとめております
  106. 畠山健治郎

    ○畠山委員 先ほど、冒頭、大蔵省から初めて金融服務監査官の中身を聞かされました。中身といっても本当の概要でありまして、組織、人員、権限あるいは目的等の具体的な制度内容についてはまだ十分とは言えないというふうに受けとめておりました。  いずれにしても、先ほど来申し上げておりますように、せっかくでございますけれども、つくりましたけれども、内部監査の、内部チェックの限界というのはやはりあると思うのです。それをあえてまた金融服務監査官制度でできるというふうに思っておるとすれば、しっかりした反省の上に立っていないというふうに言わざるを得ないと思うのです。その辺のところ、率直にお聞かせをいただきたいというふうに思います
  107. 中村正三郎

    中村(正)政府委員 金融服務監査官制度は今兼務ということになっているということはよく批判されるのですが、これを新しい組織としてつくろうといたしますと、組織のための予算要求をしてきちっとつくらなければいけない、そういうことでは今とても間に合わないし理解も得られないだろうということで、兼務という形をとっておりますが、青山室長は既に課長席を離れて独立して動くということになっております。  我々は、今までの内部的な監査が不十分であったという反省に立って、この服務監査官制度がうまくいかなかったらこれは大変なことだぞという決意で臨んでおりますが、先生御指摘のように、内部監査には限界があるということは事実でありまして、さまざまな御指摘がございましたけれども、私個人としては、やはり一刻も早く公務員倫理法を制定するべきであろうと思っております
  108. 畠山健治郎

    ○畠山委員 次に、中央省庁再編等基本法案の概要では、国家公務員制度改革について、早期に具体的な成果を得るよう引き続き検討を行う旨規定をいたしておりますが、この具体的成案というときに、その内容には公務員の労働基本権が当然含まれると理解するが、どうだろうか。政府としては公務員制度調査会の審議を尊重すべきものと考えますが、いかがでしょうか。総務庁にお伺いをいたします
  109. 坂野泰治

    ○坂野(泰)政府委員 行政改革会議の最終報告におきましては、公務員制度改革に関連しましては、現在、政府において公務員制度調査会で具体的な検討が行われていることを前提といたしまして、制度各般にわたる改革の基本的な考え方を示しておるわけでございます。そういうことを受けて公務員制度調査会で今後御論議をいただける、そういう趣旨を踏まえて、現在政府検討しております中央省庁再編等の基本法案の中にも必要な規定を盛り込みたいと考えておる次第でございます
  110. 畠山健治郎

    ○畠山委員 もう時間になりましたが、もう一問だけお許しいただきたいと思います。  この法案の概要では、中央人事行政機関としての人事院と内閣総理大臣機能の分担のあり方について見直しの基本方針を規定するとしているが、この問題については、昨年十一月の公務員制度調査会「意見」で既に決着済みだというふうに私どもは受けとめておるのです。それを改めて規定するとなれば、先ほどの公務員制度調査会の審議を尊重するという答弁に反しているのではないかと思います。その見解をお伺いいたしたいと思います
  111. 坂野泰治

    ○坂野(泰)政府委員 公務員制度調査会が昨年の十一月に中間報告をお出しになって、その中で、機能分担について見直していくことが必要であるという御指摘をされておりますが、同時並行して、行政改革会議におきましても、機能分担の見直しを行う必要があるという御論議がございました。  そういう趣旨を踏まえて、基本法案に必要な規定を盛り込むことを考えておりますが、政府としては、この基本法案あるいはこれまでの各種答申等を踏まえてこれからも具体的な検討がされるのではないかと考えております
  112. 畠山健治郎

    ○畠山委員 終わります。ありがとうございました。
  113. 粕谷茂

    粕谷委員長 これにて畠山健治郎君の質疑は終わりました。  委員各位に申し上げます。  午前の予定表の時間よりも二十分余り延びておりまするけれども、質問者の用意もあろうかと思いますので、このまま続けさせていただきたい、こう思いますので、御了承をお願いします。  次に、佐藤静雄君。
  114. 佐藤静雄

    佐藤(静)委員 中央省庁の幹部が収賄容疑逮捕された、八〇年代に入ってからも随分あるのですね。KDD、撚糸工連、総理府の汚職事件、リクルートの労働省コース、文部省のコース、さらに岡光事件、そういうものを受けながら、こうして職員の倫理規程というものが一昨年の暮れにでき上がったわけですね。大蔵省警察庁も、それぞれ自分のところでつくったわけであります。  そういうのをやりながら、これを一年間やってみて、規程どおり職員の業者との会合の報告を何回ぐらい受けましたか。それぞれ答えてください。
  115. 武藤敏郎

    ○武藤政府委員 ただいまちょっと手元に数字がございませんけれども、八年の十二月以来、会食等につきましては、本省全体といたしましては何百回という単位で承認を求めてきております。ちょっと手元に数字がありませんので、また後ほどそれは御報告させていただきたいと思います
  116. 野田健

    ○野田(健)政府委員 警察庁服務管理官へ届け出が行われた件数は、平成九年中で六十七件でございます
  117. 佐藤静雄

    佐藤(静)委員 大蔵省官房長、私は通告したときに、何回か調べておけと言ったはずなんですよ。何回報告を受けたのか。ほとんどないんじゃないですか。  長い間にこういういろいろなことが起きて、今度の公務員の倫理規程がこうしてでき上がった。そうしたら、どういう報告があるのか、その報告を聞いてどうしたらいいのかと真剣にやらないと報告が本当に何にもならないことになってしまうのですね。  先ほど石垣委員から、ニューヨークでの大和銀行検査のことが言われました。二週間の検査の旅行、例えばこんなものだって、みずから本当に職員が何をしているかということを見ようと思ったならば、出張内容なんか見ればわかるんじゃないですか。上司の者がしっかりとしていれば、どういうことがあったのかとわかるんじゃないですか。それが、新聞か何かに出て初めてそういう処分をする、そういうことだからやはり何をつくってもだめなんだと思うのですよ。もっとたくさんの報告が上がるような工夫を今まで何かしたことはありますか。
  118. 武藤敏郎

    ○武藤政府委員 綱紀趣旨徹底するために、紀律保持委員会というのが大蔵省内に設けられました。そのもとで、これは各局長クラスあるいは総務課長クラスがその委員会に参加しているわけでございますけれども、いろいろな形でこの倫理規程の趣旨徹底し、会食等を行う場合には服務管理官に届け出るようにということでやってきておるわけでございます。届け出が出てきて、その承認を得てやっておるものもあるわけでございますけれども、確かに義務づけられている届け出をしないまま、今回逮捕された二人のケースの場合にはああいう被疑事実にあるようなことが行われていたことは事実でございまして、この仕組みが結果として十分に機能しなかったということはまことに残念だと思っております
  119. 佐藤静雄

    佐藤(静)委員 本当に倫理規程を守ろうとしたならば、やはり上司がそういうつもりでいつも見ていないとだめですね。私は後で質問しますけれども、上の者が本当に部下が何をしているかということをいつも見ている。服務管理官はみんな課長がやっておるわけですから、課長がしっかりしておれば大体わかるはずなんですね。ということは、わからないということは、なあなあでいつも行われている、それがもう普通になってしまっている、そういうふうにとられてもしようがないと思うのです。もう新聞なんかみんなそういう書き方をしているし、それだけに大蔵省全体の体質としてそういうことになってしまったのじゃないか、私はそう思っているのですよ。  きのうの大蔵委員会でもお話が出たと聞いていますけれども、アメリカや何かは内部告発者の保護法というのをつくって、内部からこういうことがあるんですよということを教えるようにする、そういうこともアメリカはやっておるのですね。やはりそんな工夫をする。そんなことを今まではやっていないわけですけれども、今度、しっかりとしてやる。先ほど政務次官も言っているわけですから、そういうことも考えていますか。     〔委員長退席、原田(昇)委員長代理着席〕
  120. 武藤敏郎

    ○武藤政府委員 ただいま御指摘の内部告発者の保護に関する何らかの法的な措置ということになりますと、これは公務員全体の話になりますので、大蔵省立場から特段これにコメントをするということは差し控えさせていただきたいと思います
  121. 佐藤静雄

    佐藤(静)委員 やはり一つには、守れないものをつくっているという面もあると思うのですよ。守れないものをつくってしまっている。倫理規程をつくるときに横並びでみんなつくっているわけだけれども、守れないものをつくってしまっている。  アメリカや何かは、例えば二十ドル以上の会食はさせないとか、贈り物を受けとらないとか、年に幾らまでと決まっているわけですね。やはり守れるものをつくらないからだめなんだと思うのですね。がんじがらめにつくってしまう。やはり倫理規程をつくるときにそういうような工夫が足りなかった、ただ横並びでつくってしまった、事務次官会議の申し合わせを受けてただ横並びにつくってしまっている。どうもそういう気がしてならないのです。やはりこれからこういうものをつくっていくときには、特に大蔵省なんかは検査部門とかいろいろなものがあるわけですし、しっかりとしなくちゃならぬ、そう思いますね。  それから、やはり何といったって最後職員の倫理の問題になると思うのです。どんなものをつくったって職員の倫理がしっかりしていなくてはだめだ。公務員とはいかにあるべきか、そんなような教育はしてきていますか。
  122. 武藤敏郎

    ○武藤政府委員 公務員大蔵省職員一人一人の倫理、倫理観というものがこの問題の非常に重要なことだというのは御指摘のとおりでございます。私どもは、先ほど申し上げました紀律保持委員会、これは節目,節目で開催しておるわけでございますけれども、そこでの周知徹底、さらには、人事異動が行われましたときに、服務管理官が引き継がれるときのその際の引き継ぎにおいて徹底してそれを周知すること、さらには、これは広い意味での研修でございますけれども、幹部に対します研修も定期的に行うことによりまして綱紀の粛正には十分留意しておるわけでございます。にもかかわらず、こういうことになったということについては深く反省をしているところでございます
  123. 佐藤静雄

    佐藤(静)委員 御承知のように、大蔵省の幹部は、相手の人柄をつかむには酒の席が一番いい、日本社会の長い慣習だろうからこういうものがないとなかなか仕事はできない、そんなような発言を新聞だとか本にしているのです。結局、そういうことが本に書かれたりなんかしていて、ただ通り一遍の研修をやったり引き継ぎをやったり、本当に形だけのことをやってきている、私はそういう気がしてならないのです。  具体的に、では、その研修はこの一年間に何回やりましたか。
  124. 武藤敏郎

    ○武藤政府委員 先ほど申し上げました紀律保持委員会は、これが平成七年に設けられましたが、それ以来二十二回、昨年末も開かれておりますけれども、二十二回開かれております。  それから、研修についてのお尋ねで、今手元にデータがございませんけれども、省内幹部のそういう研修は二、三カ月に一回ぐらいの割合で開かれていると承知しております。  それから、先ほど御報告できませんでしたが、この機会に御報告させていただきますけれども、平成八年十二月二十六日にこの倫理規程が制定されましてから昨年末までに、関係業者等との飲食を伴う会合につきまして服務管理官に届け出があった件数は七百七十四件でございます。これは過去にさかのぼって内部調査を現在やっておりますけれども、この件数につきましてもまた改めて調査を行っておるわけでございますが、ます届け出があった件数という意味で七百七十四件でございます
  125. 佐藤静雄

    佐藤(静)委員 七百七十四件あって、そのことも含めて今度また調査をするのですね。五百五十名の調査を始めるのですね。  この過剰接待調査を、今までのとおりただ聞いていたのでは、ただ聞いて終わりになってしまうと思うのですけれども、今度の調査はどんな方法でやろうとしているのですか、新しい調査の仕方は。
  126. 武藤敏郎

    ○武藤政府委員 まず基本的には、金融関連部局に現在おる者、過去五年間においてそこにいた者で現職の者につきまして自主的な申告を求める、これが基本でございます。人事担当及び服務管理官、それから今回新たに設けました金融服務監査官の三者の連携によりまして、さらに本人の事情聴取のほかに、状況に応じまして、例えば相手方の金融機関にも問い合わせる、あるいはいろいろな新聞等で報道されたような場合にはそのことについても調査をするというような形で調査を進めたい、今進めっっあるわけでございます。  ただ、確かにこれはあくまでも内部調査であり、基本的には任意調査ということでございますので、その意味で限界があるわけでございますけれども、この監査官制度を活用いたしまして、できる限り正確な調査をしたい、それに全力を尽くしたいというふうに考えております
  127. 佐藤静雄

    佐藤(静)委員 内部の者が責任者になって調査をするということはどうも限界がありますね。今言われたとおり、どうも限界があるように思うのです。今度も、室長を関税局管理課長がするということですし、今までの紀律保持委員会官房長がしている。  前に動燃の事件があったときに、動燃の総務部次長が「もんじゅ」の事故隠しの調査をしていて、自殺しましたね。この遺書の中に書いてあったことは、同僚を調べるのがつらかったと書いてあったのですね。同僚を調べる、確かにそうでしょう。やはり同僚を調べるということは本当につらいし、なかなかそれは本当の意味の突っ込んだことはできないでしょう。だから、責任者を外部から入れる、それから政務次官が中心になってやるとか、政治の場でやるとか、やはりそういう工夫をしないと今までと同じになってしまうような気がしているのですよ。  どうも、その金融服務監査官の名簿を見てみると、本当に内部だけ。確かに、相談をする顧問弁護士を置くなんということもあるけれども、結局は最後はなあなあのことになってしまうんだと私は思うのですね。どうですか、中村政務次官、やはり外部から入れる、そんな工夫をしたらどうですか。
  128. 中村正三郎

    中村(正)政府委員 今、佐藤委員から癒着のお話がございましたけれども、私は、業界の方から見れば、行政に働きかけて有利になろうというのは二つの問題があると思うのです。  一つは、政策の問題、企画立案。例えば金融であれば、新しい商品を出すときに、自分の商品が不利になりはしないか、有利になるように働きかけようと。  今度起こった事件というのは検査でありますから、これは全く性格が違う。調べて不正があればそれを摘発し、報告し、処分をするということでありますから、全く単純な事案であります。そういったものを調べるときに、いろいろな供応接待等があったということを、聞いても言わない。私どもは気になりますから、こんな新聞報道があった、こんな雑誌の報道があった、大丈夫かということをいろいろ、官房長その他聞くわけですけれども、これだけ調べてみて言わないのだからこれは大丈夫だと思いますというような答えがある場合もある。また、新聞報道や何かが全部真実を伝えるかというと、そうでない場合もあるという中で、内部調査というものは、先生おっしゃるとおり、大変限界があると思います。  今、内部調査をして処分をしようとした場合に、やはり内部調査をして何らかの処分、そこに罰則があるということが再発の防止ということにきっとつながるのだと思いますが、今の国家公務員法では、確たる証拠と本人の同意がなければ処分はできません。これは、風間ではやってはいけない、刑が確定してからでなければやってはいけないということが人事院規則の中に書いてあります。これは、国家公務員法を受けてのこんな大きな人事院規則がございますが、細かく定められている。  また、処分をする場合には、確たる証拠を文書をもって処分される人に示さなければいけない。そして、その示したものに対して反論権があるということでありまして、その証拠をだれがっかめるかといえば、今回の場合は検察当局が重なる強制捜査で得たものの中から出てきた、こういうことであると思いますから、極めて内部調査には限界がある。しかしながら、これを我々がやらなければ何にもならないという決意のもとに、今度の金融服務監査室をつくりまして、これで対応し、同時に、過去にこうした業務に携わった人も再調査して、その中で、ラスベガスの話もございましたけれども、処分をしていこうという決意のもとに立ち上がったわけであります。  ただ、私は、先ほども申し上げて、繰り返して恐縮ですが、根本的に直すためには、やはり公務員のあるべき姿、守るべき倫理、そういったものを法律に定め、違反した場合の罰則等を設けて法による対応をせざるを得ない、それには、繰り返して恐縮ですが、公務員倫理に関する法律の制定が一刻も早く望まれると思うわけでございます。     〔原田(昇)委員長代理退席、委員長着席〕
  129. 佐藤静雄

    佐藤(静)委員 それでは、今お話ありましたけれども、五百五十人の調査をしまして、いろいろな、倫理規程に違反があった場合はどうするつもりですか。処分できないというと、どうするつもりですか。
  130. 中村正三郎

    中村(正)政府委員 人事院総裁がいてお答えいただければいいのですが、確たる証拠があり、本人が認めなければ処分はできません。
  131. 佐藤静雄

    佐藤(静)委員 いや、ですから、処分は、ではどうします。いろいろなことがわかった、実態がわかった、それに対してどういう対応の仕方をするつもりですか。
  132. 武藤敏郎

    ○武藤政府委員 この調査結果は、本人に当然確認を最終的にいたしますので、本人に確認できた限りにおきまして事実を確定した上で、今度はその事実を踏まえて処分を行うことを考えております。  これは強制捜査でないものですから、御指摘のとおり、裏をとるといいますか、証拠を確実にすることはなかなか難しいわけでございますけれども、本人自身がそれを認めて、そういうことがあったということであれば、それは処分対象になりますし、十分処分が可能だというふうに考えております
  133. 中村正三郎

    中村(正)政府委員 今、処分ができませんと私が申し上げたのは、これは国家公務員法をよく読んでいただくとわかるのですが、本人の意に反した処分はできないのですね。ですから、本人処分すると言ってそれを認めれば、処分はできます。細かく規定がいっぱいあって、膨大な人事院規則がくっついておりますので、それを読んでみますと、処分するのが極めて難しいということがおわかりいただけると思います。ですから、私が一言で処分できませんと言ったのは誇張して申し上げたわけでありまして、そういった国家公務員法である以上公務員の倫理法の制定というのが急がれるということを申し上げたくて、申し上げた次第でございます
  134. 佐藤静雄

    佐藤(静)委員 五百五十名の調査をするわけですけれども、目下その金融部門だとか検査部門だけじゃなくて、やはり大蔵省の体質として、非常に世間の目が今ある、こういうことがずっと長い間行われていたのではないのかと、そう見られているのですね。私もそう思わざるを得ないのですね。だとしたら、大蔵省全体をやはりもう一遍見てみる、調べてみる。そして国民から見て、本当にこれからしっかりやってくれるんだな、そういう印象をやはりもう一回与え直さないと、これは私はだめなような気がしているのですよ。ですから、本当にこの機会にもう一回全部調べてみる、どうですか、そんなことをやったら。
  135. 中村正三郎

    中村(正)政府委員 私は、原田昇左右先生とともに自由民主党の中で行政改革をやってまいりました。そういう経験からすれば、あえて大蔵政務次官という立場を除いて言えば、これは官界全体で、行政全体で考えていかなければいけない問題だと思いますが、それは、今大蔵政務次官ですから申しません。  そこで、大蔵省信頼を回復するように、今、全省一丸となって努力をしてまいりたいと思う次第でございます
  136. 佐藤静雄

    佐藤(静)委員 今回のこういう不祥事は、先ほど原田委員からもお話があったとおり、公務員国民や国家のために奉仕するという前提を忘れたことがこうなってしまったのですね。やはりこれは大蔵省ばかりじゃなくして、公務員全体が、自分たちは何のために公務員になったかということをこの機会にもう一回みんなが繰り返してみる。ただ法律で縛っても、やはりなかなか解決できない。  例えば警察だったら、どんなことをしたって、取り締まる側として処分を受けるわけでしょう。ちょっとしたことでも処分を受けるのでしょう、警察は。そうしたら、あらゆることをしてはいけないのでしょう。  そのように、国家公務員全体がやはりもっと自分たちは何のために国家公務員になったかということをしっかりと見直さなくちゃならぬ、私はそう思うのですね。そして、大蔵省ばかりじゃなくて、すべての役所が、そうやってもう一回出直していく、国民信頼をかち取る。  そういう意味で、全力を挙げてひとつ、今までのような、ただ倫理規程をつくって、ただ何となく注意をした、研修会を開いた、引き継いだ、そんなんじゃなくて、本気になってやる姿勢がやはりないとだめです。ですから、特に幹部の人たち、上の人たちが、それは上の人たちが下を見ることをやるのはやっていたけれども、自分たちがやはりもっとしっかりしないとだめだと思います。ぜひとも、そういう面で全力を挙げて国民信頼を取り戻すためにやっていただきたい。それを申し上げて、終わりたいと思います
  137. 粕谷茂

    粕谷委員長 以上で佐藤静雄君の質疑は終わりました。  午後一時三十分から委員会を再開することとし、この際、暫時休憩をいたします。     午後零時二十一分休憩      ――――◇―――――     午後一時三十一分開議
  138. 粕谷茂

    粕谷委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。穂積良行君。
  139. 穂積良行

    ○穂積委員 私は、まず、行政監察制度の現状及び今後のあり方について、若干質問させていただきます。  政府部内において、自己改善機能として行政制度運営等の実態を調査して、そして適時適切に勧告を行う、そういう制度が本当に十分に機能しているならば、我が国の行政組織は、従来の世界に冠たる優秀なる官僚組織というものが機能して、国民の期待にさらにこたえていくであろう、こういうふうに思うわけでありますが、その大事な行政監察につきまして、実は、午前中の質疑におきまして、なれ合い的に、各省庁との関係において行政監察というものがしつかり行われていないということがあるんじゃないかという質問もございました。  その辺もありますので、まず、行政監察に当たりまして、当該省庁を外部から見て適正なる行政を行っているかということを客観的にきちんと監察するという姿勢が本当に必要なことだと思うわけでありますが、この辺につきまして、まずは、なれ合いの監察と言われるような、事例として自覚のあるようなことが過去にあったかどうか、いや、そんなことはないはずだ、私どもは一生懸命やっているというふうなことかどうか、この辺、ます行政監察局長、お答えください。
  140. 土屋勲

    土屋政府委員 先生のお尋ねの件につきましては、私ども従来からきちっとやってきたつもりでございますが、特に、前武藤大臣の御指示を受けまして、一層毅然たる態度で業務に努めているところでございます
  141. 穂積良行

    ○穂積委員 原田委員、中林委員、それから若松委員からもこれに関連した質問がございました。特に、若松委員からの質問をお聞きしておりまして、金融検査行政について、行監は、今大問題になっておりますような検査行政不祥事などについて、世評に多少流れている中で、その辺をきちっと監査できなかったのかという趣旨の話がございましたね。  再度この問題について、大蔵省の中の金融機関監督検査、そうしたことについての適切なる監察というものが今回の不祥事が明らかになる前に行われなかったことについての所見を、これは大臣行政監察局の業務も責任を負っておられる立場で、これについてちょっと所感をお伺いいたしたいと思います
  142. 小里貞利

    ○小里国務大臣 ただいまお話、御指摘ございましたように、昨年の十二月、大蔵省金融事務行政に関する近年の監察の結果を報告申し上げておったわけでございますが、残念ながら、その前後から今日に至るまでの間、極めて国民の批判を受けるに顕著な不祥事件が発生をいたしておりまして、私どもも大変残念に思いますと同時に、日ごろ行政監察の任に当たる機関として、大変ざんきにたえなく思っておるところでございます。  はっきり申し上げまして、今発生をいたしておりまする具体的一つの不祥事に対しまして、きちんと先ほどの行監結果を報告できなかったことは大変申しわけなかった、さように思っておる次第でございます
  143. 穂積良行

    ○穂積委員 こうしたことを質問しなければならないのも、いろいろ考えますと、行政監察というものと各省庁との関係に関しては、とにかく、自分は気がつかなくとも、なるほど外部から言われるとそうだなということを、適切な忠告として受けとめられるような監察を今後もやっていただきたい、こういう気持ちでお聞きするわけです。  そのときに、どんな省も庁も、ます、自分のところでは国民の期待にこたえた行政をしっかりとやっているというようなプライドを持ってやってほしいと思うのです。そのために、みずからをきちっと律する。常に私どものセクションは本当に国民の期待にこたえたような、与えられた職務を果たしているかということを、自己規制といいますか、そうしたことで内部的に常に反省を怠らずやっていくということと、自分では気がつかないようなことを人にも見てもらおうということ、制度がかみ合って適切な行政が今後行われるであろうという気がしますので、その点、行政監察機能発揮のために、いささかでもなれ合いと言われないような姿勢で取り組んでいただきたいということを、重ねて申し上げておきたいと思います。  さて、行政監察対象になじむかどうかということの一つは、やはり午前中の質問にもありました、公務員綱紀問題であります。  それこそ、公務員がまじめに職務に専念、励行するというようなことは、当然国民に期待される、そういう職業だと思うのでありますが、原田先生もおっしゃったように、昔、侍というのは、侍の職分を踏まえて、武士は食わねど高ようじということわざもあったではないかという話もあるわけであります。それが何でこんなふうに、今回の大蔵省関係不祥事のように、公務員というのは一体何をしているんだというようなことを言われるようになったのは一体どういうことなんだ、国民の皆さんもそう思っておられるわけであります。  そこで、この辺、先ほどのことわざで言いますが、武士は食わねどというと、まあ薄給、処遇が悪い、そういう中で、人並みの遊びもしたいみたいなことなどの、あるいは人並みの生活もしたいということなどの気持ちが出て、食わねど高ようじじゃなしに、多少つまんでみるかみたいなことになるようなことだとすれば、そうした公務員の処遇の問題等にもかかわる話だと私は思うわけであります。  そうしたことで、これは、人事院をお呼びしなかったのですけれども、人事院は、本当にまじめに公務を執行するような公務員を我が国が抱えていく、そのための処遇等について、十分これも人事院としての見識を示しながら仕事をし、勧告していただきたいと思うわけでございます。  そのような全般的な話とあわせまして、同じ官庁の中でも、いわゆるキャリア、ノンキャリアの問題が最近問題とされております。あの人は非常に特急あるいは超特急のように昇格の道をたどる、片方は下積みで苦労しているけれどもなかなか出世はしないというような、そのノンキャリア側がこうした省庁の中の問題で士気を阻喪するようなことがあるのかないのか、あるとすればそれは是正すべきではないかという問題があると思うわけでございます。  そこで、大蔵省は、ます上級職で採用された人が三十前後で税務署に派遣される、これを補佐する副署長、課長等が五十過ぎのような方で、もう老練の税務職員が署長を補佐して、大事にして、現場の税務を覚えさせて、本省にお帰りいただく。その人が、そういう現場の経験で、国全体の税務あるいは財政について仕事をしていくようにだんだん育っていくというようなことに、今、現になっているわけでしょう。  ところが、それがうまく幹部要員養成ということで機能しているならいいけれども、それが、現場のいわゆるたたき上げと言われるような職員や何やの士気の阻喪といいますか、そういうことになって、あるいはそれが影響しているかどうかですが、今回、本省でもノンキャリアの逮捕者を出したというようなことに関係するようなことでは甚だ問題ではないか、こんな気がするわけでございます。  同じような話で、警察関係のキャリア、ノンキャリアの問題でもそうしたマイナスの面が出るようなことがあっては困るじゃないかというような観点から、大蔵省及び警察庁からこの問題についての考え方を明らかにしていただきたいと思います
  144. 溝口善兵衛

    ○溝口政府委員 現在の公務員制度のもとにおきまして、Ⅰ種、Ⅱ種、Ⅲ種といったような、採用のための試験がございます。そういうことはございますけれども、職場で一緒に仕事をしているわけでございますから、どういう採用試験を受けているということに関係なく、みんなが士気高くやるように、仕事ができるように、私どもとして最善の努力を続けておるわけでございます。  今後とも、全体として組織が強く、それから職員の士気が上がり、そういうことをもちまして国民全体に奉仕するように心がけていかなければいかぬというふうに考えております
  145. 上杉光弘

    ○上杉国務大臣 お答えいたします。  警察におきましては、Ⅰ種採用者と都道府県警察採用の警察官とが、それぞれ役割を分担いたしまして、また、持ち味でありますとかそれぞれの長所を発揮して警察業務運営に当たっておるところでございます。現に、都道府県警察採用の職員の中にでも警察本部長として活躍をいたしておる者もございます。  今後とも、職員の士気を高揚し、公務の運営に当たりましては、活性化を図り、警察全体といたしましても、調和がとれ、しかも力強い組織となるようにしてまいりたいと考えております
  146. 穂積良行

    ○穂積委員 今両方からの御答弁がありましたけれども、いわゆるノンキャリア組の士気を高めるために、これまでキャリア組が占めていた枢要なポストで、この辺は本当に実力あるノンキャリアの人も登用する。ポストとして少し分けていこうじゃないかというようなことを、まじめにそれぞれの官庁で考えた方がいいんじゃないかと私は思うのです。もちろん、その昇進、選抜については、どういう客観的なルールで適正なものとするかということはありますが、その辺を本当に検討いただきたいと思います。  県警本部長にノンキャリアがもうついている例もあるということは大変結構なんですが、もう少しその辺、さらに前向きに、現場の警察官なども、なるほど、おれたちも、試験を何回か繰り返して選抜されるけれども、本当に立派な仕事をし優秀であればより大きな責任を持つポストにつけるんだというようなことで、士気を鼓舞していただきたい、これを要望しておきます。  大蔵省の場合は、もうそもそもから、大蔵省全体の組織のあり方等をいずれ検討されるでしょうから、これについては抜本的な反省のもとに取り組んでいただきたい。これについては、中村政務次官からお答えいただきます
  147. 中村正三郎

    中村(正)政府委員 今穂積委員から御指摘がありましたノンキャリア、キャリアの間の、何といいますか、断絶と申しますか、対立構造みたいなものがあったとすれば、それは極めて好ましいことではないわけであります。ただ、いろいろな、世間の話でありますとか、私ども国会議員をやっておりますと、そのような問題が全くないということではないというように認識をしております。  そこで、先ほど総務審議官がお答えいたしましたし、自治大臣もお答えになっておられましたように、やはり、行政が活性化して、皆が国民のために生き生きと働けるような職場にしていくにはどうやったらいいだろうという観点からこれから検討していかなければいけない課題だと思いますし、大蔵省もそういう方向でやってまいりたいと思いますが、実は大蔵省でも、地方の財務局等の局長、これはしばしばノンキャリアの方がなりますし、ノンキャリアの方の実力による登用というのは進めつつあるところでありまして、御指摘を重く受けとめて、職場の改善に努めてまいりたいと思います
  148. 穂積良行

    ○穂積委員 行政監察について一つ確かめておきたいのは、現在の行政監察は、それぞれの省庁の納得と協力によって、と言うと先ほどのなれ合いすれすれの話になるんですが、協力の中で、強制立ち入りとか強制的な資料提出命令とかなしの監察をやっているわけですね。これを今後、本当に行政監察を通じて立派な行政をやってもらうようにするという意味で、機能強化するかどうかについてはいろいろ問題がある。そうした強制権を付与することについてはこれこれの問題があるという話を聞いておるのですが、この辺について、法制上の問題をちょっと御説明いただけませんか。
  149. 土屋勲

    土屋政府委員 行政監察の権限につきましては、既に現行の設置法上、各行政機関に対する資料及び説明を要求すること、それから、特殊法人業務に、または補助に係る業務に対して実地に調査すること、これらの対象機関は調査を拒んではならないことなど、資料収集のために相当な権限が付与されているところでございます。  監察権限の強化に関しましては、例えば、勧告に強制権を持たせたらどうかとか、今先生おっしゃいましたような、資料提出要求権あるいは立入調査権を付与したらどうかというふうな御意見というのがあることは我々も承知しておりまして、いろいろな検討をいたしておりますが、ただ、現行の内閣制度の中で勧告に強制権を持たせるということは、内閣制度そのものの中でうまく整合性を持って説明できる話ではないのではないかというふうに考えておるところでございます
  150. 穂積良行

    ○穂積委員 この点については、内閣の中でそれぞれの国務大臣が統括する行政分野に対して、その大臣機能を越えて行政監察を強権的に行うということの是非という話だと思いますけれども、私の質問の趣旨は、そうした内閣制度の建前はある中ででも、見識を持って、なるほどいい行政監察をされ、勧告も受けて、気がつかなかったこともちゃんとやれるようになったみたいな、感謝されるような行政監察を見識を持ってやっていただきたいという励ましの質問として受けとめて、頑張っていただきたいと思います。  次に、きょう、警察庁長官以下おいでいただいたのは、申すまでもなく、例の本峠という人物の汚職問題絡みの話でおいでいただいたわけです。  贈収賄捜査すべき警察官が贈収賄事件にかかわったなど、とんでもない話です。しかし、要するに、泥棒を捕まえるべき警官が泥棒をしたなどというケースというのは、それは新聞には、そういうことがあれば、人が犬にかみつくというような話と同じように大きく報道されるのは当たり前でありますが、これは本当に、全体の警察官や何やの大勢の皆さんの中では、九九・九九くらいのまじめなはずの人たちに対する〇・〇〇何%かの特異事例だと思いたい。そういうようなこととして、しかし、これはゼロであるべき組織ということですから、あってはならないことは今後根絶するように努力いただきたいという気持ちなんです。  そうした警察で、私は、今、本当に真剣に努力しているかということについて、努力していただいているのは結構だけれども、国民に疑念を持たれるようなことがあってはならない重大問題として、例の國松元長官現職警察庁長官の狙撃事件について、いまだその結果が出ていないというようなことは、甚だこれは警察の面目ない話ではないかと思うのです。私どももいら立たしい気がいたします。  そこで、これについて、皆さんもお読みになつたかもしれませんが、週刊文春のことし一月十五日付の記事で、もしこんなことがあったらとんでもないというような記事がいろいろと出ました。  要するに、公安系統と刑事系統の警察の中で、縦割りの職分の絡みでどうもうまくいっていないようなことなどを問題とされているというか、結局は、関口長官がもう両系統の縄張り争いみたいなことはやめろというようなことで指示をしたとかどうとかという記事があって、これについてはどうも、警察庁からお聞きすると、とんでもないことを、いいかげんなことを書かれたのだということで抗議したそうですが、この辺についての経緯を明らかにしていただきたい。  それから、問題は、一体本当に國松長官を狙撃した犯人を真剣に追っているのか、捜査体制はどうなっているか。いや、やっていますというなら、その状況を多少御説明いただきたいということであります。  その問題ではいろいろ不思議なことがありまして、元巡査長の小杉というのが、マインドコントロールにかかったかどうか、妙な医者もどきのような人間が絡んで、テレビにも出ましたね。おれが撃ったという話があったけれども、どうも根拠がとれないということで、今もってはっきりしていない。どうなっているかということ。  それから、事件のかぎを握っていると思われるオウム真理教の幹部の平田被疑者なる者が今もって捕まっていない。それが捕まればこの問題の解明は大きく前進するのではないかと言われているのですが、我が日本警察の総力を挙げてこの平田を早く捕まえて、真相を明らかにするというようなことが必要ではないかと思うのですが、これについて一体どうなっているか。  以上、総括して、具体的にもお話ししましたが、これについての関係局長、それから全体としての警察庁長官の所見、国家公安委員長の所見をお伺いいたしたいと思います
  151. 上杉光弘

    ○上杉国務大臣 国家公安委員長としての責任のある立場でありますから、ます私から申し上げて、長官以下関係局長が来ておりますから、お答えをさせたいと思います。  警察庁長官の狙撃事件は、我が国警察の最高責任者である警察庁長官がけん銃で撃たれるという極めて重大な事件でございまして、現在、警視庁におきましては所要の捜査を鋭意進めておるところでございます。  また、一部、この事件について捜査打ち切りの指示を関口長官が出したという記事等がございましたが、私もこの点については長官みずからから報告も聞き、断じてそのような事実はございません。したがって、警察は、関係週刊誌の記事に対して正式に抗議をいたしておるところでございまして、警察の名誉と信頼にかけて、この点については私から申し上げておきたいと思います。  今後ともさらなる必要な捜査を進めまして、本事件あるいはオウム教に関する事件、これらを徹底的に解明するように督励をいたしておるところでございまして、御理解をいただきたいと思います
  152. 伊達興治

    ○伊達政府委員 ただいま国家公安委員長が申されましたとおり、警察庁長官狙撃事件につきましては、治安に対する重大な挑戦ともいうべき極めて遺憾な事件でありまして、何としても解決していかなければいけない、全力を挙げていきたいと思っておるところであります。  本事件につきましては、警視庁におきまして、従前よりさまざまな角度、観点から捜査を行ってきたところでありますが、犯行を自認している元警察官の供述の解明だけではなく、これまでの捜査資料見直しや新証拠の発見に向けた地道な努力も続けているところでございます。  また、全国警察におきましても、関連情報の収集に努めるとともに、現在逃走中のオウム真理教平田信ら三人の追跡捜査全力で取り組んでいるところでございます。  なお、元巡査長に係る捜査状況ということでありますが、警視庁のこれまでの捜査におきましては、当該元警察官が長官狙撃事件の実行犯であるか否かを断定できる段階にはないのでありますが、同人の供述につきましては、犯行現場の実際の状況とおおむね一致するというようなことがあったり、関係者、目撃者等に対するこれまでの捜査結果と一致する点もあるということなどから、事件に関与した疑いもあると見ているところであります。  先ほども申し上げましたとおり、当該警察官の供述の真偽の解明のみならず、これまでの捜査資料見直しや新証拠の発見に向けて地道な努力をさらに続けてまいる所存でございます
  153. 佐藤英彦

    佐藤(英)政府委員 オウム真理教関係被疑者につきましては、百八名を指名手配するなどいたしまして、延べ六百二十名余を逮捕いたしました。  同教団に係る組織犯罪の全容の解明に努めてまいったわけでありますけれども、平田信ほか、三名の指名手配被疑者が未検挙でございます。  平田信につきましては、警察庁指定特別手配被疑者に指定いたしまして、警察の総力を挙げて現在鋭意追跡捜査推進中でありますが、東京、中部地方、東北地方に立ち寄ったことを把握いたしておりますものの、いまだ検挙に至っておりません。  警察といたしましては、同被疑者早期発見、検挙が、一連のオウム真理教関係事件の全容を完全に解明する上で極めて重要であると認識いたしております。今後とも専従体制を堅持いたしまして、被疑者が潜伏していると見られるアパート、マンション等の捜査、積極的な広報活動等によりまして、国民各位の御協力を得ながら、追跡捜査を全国警察を挙げて推進してまいりたいと考えておりますので、御理解を賜りたいと存じます
  154. 関口祐弘

    関口政府委員 委員御指摘の國松前警察庁長官狙撃事件でございますが、この三月にはもう三年になるということでございますが、残念ながらいまだ被疑者の検挙に至っておりません。この事件、まさに私ども治安に対する挑戦ともいうべき重大な事案であると認識しているところでございます。したがいまして、決して事件を風化させてはならない、必ずや検挙、解決を図らなければならないと考えているところでございます。  現在、警視庁におきまして所要の捜査推進しております捜査は一つ一つの積み重ねであります。地道な努力を実らせまして、どうにか事件解決の糸口をつかんでまいりたい、かように考えているところでございます。  また、長官狙撃事件の解明を図るためにも、逃亡している残り三人のオウム真理教関係警察庁指定特別手配被疑者の検挙に全力を尽くしてまいりたいと存じます
  155. 穂積良行

    ○穂積委員 終わります
  156. 粕谷茂

    粕谷委員長 これにて穂積良行君の質疑は終了いたしました。  次に、石井紘基君の質疑に入ります
  157. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 午前中に引き続き、伺ってまいりたいと思います。  井坂前理事逮捕に関連して、東京地検特捜部は、これは多分二十日、大蔵省から来た道路公団の前資金課長と現課長の二名を家宅捜索をしたということは事実ですか。
  158. 鈴木道雄

    鈴木参考人 現資金課長が家宅捜査を受けたことは事実でございます。現及び前資金課長が家宅捜査を受けております
  159. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 道路公団の経理部長と資金課長というのは、歴代、大蔵省から出向で来ているというのですが、そうなんですか。
  160. 鈴木道雄

    鈴木参考人 御指摘のとおりでございます
  161. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 そして、前資金課長は、今は公団にはいなくて大蔵省へ戻った。  それで、現課長というのは、今まだその席にいらっしゃるのですか。
  162. 鈴木道雄

    鈴木参考人 現在、資金課長を務めております
  163. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 井坂前理事は、飲食接待だけで約四十数回接待を受けていた。その飲食接待のうち八割近くにはこの現課長も同席していたという報道があるわけですけれども、これは八割かどうかはともかくとして、相当回数同席していたということであれば、先ほど公団の総裁は、その捜索以降何の調査もしていない、こういうふうに言われたわけですが、この課長から何か聞いたことはないですか。
  164. 鈴木道雄

    鈴木参考人 先ほど内部調査をしていないと申し上げましたのは、私は施設協会に対しての御質問というふうに思いましてお答えしたわけでございまして、井坂理事の関連の内部調査については、引き続き現在までいろいろ聞いておるところでございます
  165. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 そうすると、現課長はこの飲食接待に同席していたと言っているのですか、どうなんですか。
  166. 鈴木道雄

    鈴木参考人 同席している場合も私どもは確かめております。すべてではございません。(「聞こえないので、はっきり言ってください」と呼ぶ者あり)  同席していたかどうかという御質問でございますが、同席していたこともあるということは、私ども、本人から聞いております。すべてではございません。
  167. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 その場合、やはり接待ですから、あれですか、全部向こう持ちということですか。
  168. 鈴木道雄

    鈴木参考人 そのような場合が多かったと思います
  169. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 そのことは、個人のことでもありますし、そのぐらいにしておきたいと思います。  先ほど来私が取り上げております道路施設協会というのは、これは従来からも私は随分何度も予算委員会、建設委員会の中で取り上げてまいりましたけれども、何しろ非常に不適当な存在だというわけなんです、私が言っているのは。  つまり、道路公団の事業を直接民間事業者に発注するのじゃなくて、その間に財団法人道路施設協会というようなものをつくって、その道路施設協会とは出資関係がない、そういうあいまいなものをつくって、そしてそこが出資をしているだけでも現在六十六社のひ孫会社に出資をして、そして全面的に事業を与えている。さらには、出資していない企業が相当たくさんありまして、これに随意契約でもって相当事業を与えているわけであります。  ですから、道路施設協会だけで年間事業量が五千七百億円とか言われますけれども、こうしたものを合わせると一兆円を超える、そういう大規模な事業を、これをみずからのファミリーグループでもって全部確保している。このファミリー企業群というのは、政治家や建設官僚への裏金を生み出すブラックボックスだ、こういうふうに言われてきているわけです。道路施設協会やファミリー企業というものは、道路公団や建設官僚の財布だ、こういうふうに言われてきているわけです。政治家への裏献金や接待費用を負担しているとの疑惑は以前からずっとつきまとってきたわけです。  そこで、総裁にもう一回伺いますが、道路施設協会並びにその関連というか、出資の会社を含めた関連企業は、官僚やあるいは政治家に対して資金提供とかそういうことをしていないか、献金等をしているかいないか、どうですか。
  170. 鈴木道雄

    鈴木参考人 施設協会や、その出資している民間会社がどの程度そういう政治献金をしているか、私どもの方は承知しておりません。
  171. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 どの程度しているか承知していないということは、しているということですか。はっきり言ってください。
  172. 鈴木道雄

    鈴木参考人 その点については把握をしていないということでございます民間会社がそのお立場でもって政治献金をなさることはあり得ると思いますけれども、それについては、私の方は正確な情報を持っていないということでございます
  173. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 あなたは先ほど、どうして施設協会に捜査の手が入ったのかということがわからないようなことをおっしゃいましたけれども、あなたは今民間会社とおっしゃいますけれども、道路公団が出資をしてつくって、そして仕事を与えて、そして役員等を天下りをさせている、そういう会社ばかりなんですよ。それをあなた、民間会社だから関知しないと言うのですか。同じ答弁をするのでしょうから、いいです。  そこで、それじゃ伺いますが、先ごろ、報道にも一部あったのですが、例えば、ある元建設省の事務次官をやられた参議院議員の政治団体に、この道路施設協会の、今回も手入れをされた株式会社日本道路サービスという会社がありまして、この会社からの献金が行っている。さらに、これは私が今初めて申し上げることですが、新日本ハイウェイパトロール株式会社という、これも同じく道路施設協会がつくった、出資をしている会社でありますけれども、これがふるさと・宮城・21というある参議院の方の政治団体に献金をしている等々、これらの会社が、きょうここには持ってきませんでしたけれども相当たくさんあるのです、政治献金団体と言ってもいいぐらいに。  そこで、株式会社ハイウェイサービスリサーチというのは、これはやはり道路施設協会の出資会社であります。このハイウェイサービスリサーチというのが、平成八年に十二万円、永友会という政治団体に献金をしている。あるいは、株式会社キョーエーという、これも道路公団の維持修繕の事業相当大規模に請け負っている会社でありますが、これがやはり同年度に四十八万円の政治献金を同じところにしている。  あるいは、株式会社ハイウェイエンジニアリングとか北陸ハイウェイ建設株式会社とか、あるいは日本ハイウェイサービス株式会社、こうしたところが、数字を申し上げますと、今キョーエーとハイウェイサービスリサーチについては申し上げました、ハイウェイサービスリサーチが十二万円、キョーエーが四十八万円ですね。それから、ハイウェイエンジニアリングが三十六万円。北陸ハイウェイ建設が十万円。さらに、日本ハイウェイサービス株式会社というのがございます。これも維持修繕の事業を受けている会社ですが、これが二十四万円の政治献金を同じくこの永友会という政治資金団体にしているというふうに思うのです。  自治省にお伺いしますが、これは事実でしょうか。
  174. 牧之内隆久

    ○牧之内政府委員 ただいまお話のございました政治団体、永友会につきまして、平成八年分の収支報告書で確認をいたしましたところ、御指摘のような会社から御指摘のような寄附の記載があったことを確認できております
  175. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 今、平成八年度について申し上げましたが、平成七年度も全く同じ会社から同じ金額でこの永友会に対して出ていると思います。それから、この永友会というのは、同じく国土事務次官をされていた参議院議員の政治団体だと思います。  それから、私は、たくさんある中の建設省や道路関係の団体、建設省から政治家になっている、そういう方だけを今一、二申し上げるわけです。  あるいはまた、地域経済研究会というのがありまして、これは奥羽ロードメンテナンス株式会社、これも維持修繕を随意契約でもって相当額受けている。北日本ハイウェイ株式会社、これも同じく、それぞれ二十四万円ずつということでありますが、これも建設省出身の議員の政治団体だと思います。  こういうふうに、建設省から出られて、そして建設事業、道路建設あるいは道路の維持修繕、メンテナンス等々に絡む事業を随意契約でもって、競争はないのですよ、随意契約でもって毎年ほぼ同じぐらいの量の事業を流している。そういうところから政治家に戻ってくる、あるいは役人の接待に使うという、そういう構図がここにあるわけですね。  ちなみに、お伺いしたいのですが、今申し上げました中の、例えば株式会社キョーエーあるいは株式会社ハイウェイエンジニアリング、北陸ハイウェイ建設、日本ハイウェイサービス、奥羽ロードメンテナンス、北日本ハイウェイ、こういうような会社に対しては、これはほとんど維持修繕の事業を出しているところだと思いますが、年間それぞれどのぐらいの量の事業を出しているのですか。
  176. 鈴木道雄

    鈴木参考人 今の御指摘は各会社に対する平成八年度の道路公団からの発注額だと思いますが、キョーエーにつきましては、八年度が維持修繕で十四億八千百万円、それからハイウエイ・リバーメンテナンスは一千九百万円、ハイウェイサービスリサーチは発注はございません。それからハイウェイエンジニアリング会社は、これは工事ではなくて調査、設計ということで四億三千八百万円、北陸ハイウェイ建設、これは維持修繕でございませんで、工事で千百万円、それから日本ハイウェイサービス、これは維持修繕で二十億三千百万円、それから北日本ハイウェイ、奥羽ロードメンテナンス、これは合併して一つの会社になっておりますが、維持修繕で二十億七千三百万円。  以上でございます
  177. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 奥羽ロードメンテナンスというのは抜けていませんでしたか。わかりませんか。
  178. 鈴木道雄

    鈴木参考人 北日本ハイウェイと奥羽ロードメンテナンスは平成八年九月に合併いたしまして、奥羽ロードメンテナンスとなっております
  179. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 奥羽ロードメンテナンスというのは、その後アイアックスというふうにまた名称が変わったんじゃないですか。
  180. 鈴木道雄

    鈴木参考人 御指摘のとおり、平成九年五月に名称を変更しております。  ただ、御質問が奥羽ロードということで、そのように答えました。
  181. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 今の中のハイウェイサービスリサーチというのは、ないと言いましたけれども、これは施設協会が出資してつくっている団体ですから、施設協会から仕事が行っているということでしょうね。  こういうふうな形での、要するに国が金も出し仕事も出しをやって育てている会社、こういうものが、政治家や官僚に資金も含めてそういうサービスをする、そういうことは一体どうなんですか。先ほど総裁は、そういう関係については知らないというようなことを言っていましたけれども、こういう点についてはどういうふうに思っているのですか。
  182. 鈴木道雄

    鈴木参考人 各会社が御自分の考え方でそういった政治献金をするのは、その会社の御判断によるものじゃないかと考えております
  183. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 少なくとも、道路施設協会というのは財団法人ですから、いろいろな面で不特定多数の人々の利益に供する、そういう公益の事業を行う、そういう団体ですよね。これは、税制等々の面においても非常な優遇を受けているわけですね。そういうものを何かもっともらしくつくって、それが、そういう天下りのための会社をたくさんつくって、そこに、事業を欲しい放題、やりたい放題出している。こういう関係で、いわばそれには間接的に税金が注がれている。しかも、随意契約が圧倒的なわけですから、圧倒的というか、全部と言ってもいいですね。随意契約ですから、そこから政治献金をしていくということは、それは形は株式会社の形をとっているからいいのだと総裁は言うわけですが、それはもう非常におかしい。答弁しろと言ってもまた同じことを言うのでしょうからいいですけれども、これは非常におかしい。  それで、なぜこういう施設協会やあるいは先ほど言われたその孫会社が手入れを受けたかということは、こうしたどろどろした非常に不透明な、閉ざされたやみの世界での金の動きがあるから、それで捜索を受けているわけですよ。そういうふうに思いませんか。どうですか。
  184. 鈴木道雄

    鈴木参考人 その点については、私は、因果関係はそうかどうかはわかりません。
  185. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 少なくともこの道路施設協会というのを、総裁、私はかつての予算委員会で前建設大臣と議論をしまして、その他もろもろの不明朗な実態を申し上げて、そして結局は亀井前建設大臣の、わかりました、見直しましようという発言になったと思っているわけです。  そのときは、こういう不明朗なものをなくさないと、要するに、道路をつくるだけつくって、そしてその道路の関連でもって利益の上がる仕事はみんな、財団法人をつくって、もうけはそこから上に、道路公団に上がらないようにしておいて、そしてその中で自分たちで勝手に自由にその利益を処分してしまう、こういうことをやっているから、道路公団の借金がどんどんどんどん雪だるま式にふえてきているわけです。そして、道路の使用料、通行料がどんどん上がってきているわけです。  だから、総裁、この道路施設協会というものを見直すと大臣が言ったのを受けて、どういうふうなことを決められたかというと、それでは建設省は道路施設協会を二つにしましようと。これは何ですか。そういう不透明なものを見直すという、それを逆手にとった。これはなくそうという意味でのやりとりから出てきた見直し論なんだ。それを、二つにしましょう。これは、それを逆手にとって、裏をかいて寝首をかいたような話じゃないですか。  道路施設協会を廃止すべきだと思いますけれども、これは建設省道路局、どうですか。
  186. 佐藤信彦

    佐藤(信彦)政府委員 道路施設協会でございますが、これは、高速道路の利用者利便の増進といったことで、昭和四十年に設立した法人でございます。そういったことで、休憩所の整備、管理運営とか、利用者へのサービスに努めているところでございますが、先生がおっしゃられたように、昨年三月に、協会の業務の一層の効率化を図るために、道路公団の改革とあわせまして、協会の改革についても基本方針を定めまして、その具体化を進めているところでございます。  その中には幾つかのことがございまして、一つは、サービスエリアでの独占占用を行わせておるのはやはり問題があるのじゃないかという御指摘もございまして、これについては、一般の公共団体が関与する、やはり公共性がございますので、そういった公共団体が関与する第三セクターもこれからは入れていく。  それからさらに、施設協会につきましても、一つだけではどうしても力が強くなりますので、そういったものを競わせて、単独の独占をなくすために二つに分けるといった方向で進めております。  それからさらに、地域に密着した経営を目指すといったことから、実業界からの人材の採用、それから今後持ち株等の処分とか、そういったことも進めていっております
  187. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 道路施設協会というのは、先ほど来言っているように、これは公的な団体なんだ。これは決して競争させるというような、そういうものじゃない、性格上。市場経済というものは、それぞれの私企業同士が競争するというのが、これは競争の原理なんだ。しかし、財団法人同士競争させるなんていうことは、そんなふざけた話は通用しないんだ。いいですか。道路公団の仕事をそういうなれ合いでもって自分たちの天下りの会社におろしていったのでは、どこかの国と同じであって、市場経済の原理とは相反するものなのです。  それぞれの民間企業に競争させる中で民間の活力を増進させる、そういうことを進めていかなければならないのに、あなたたちは、この縄張りを二つに分けようというだけのことを言っているのですよ。ですから、それは競争の論理にも何にもならない。この施設協会が非常に不透明な団体ですから、これはあくまで解散をさせるということでやらなければいけません。  そこで、先ほどの話にちょっと返りますが、こうした施設協会がつくっている、これらの会社は民間の会社とは言えない会社ですよ、そういう天下り会社から、これは公的な資金にも大いに直接間接にかかわってくる問題ですから、これからの政治家への献金というものはあるべきではないと私は思いますが、もう一回、では、自治省と建設省から答弁してください。
  188. 牧之内隆久

    ○牧之内政府委員 現在の政治資金規正法におきましては、国から補助金等を受けた団体から、交付決定後一年間は政治献金を受けてはならないという規定がございますが、間接的な補助金を受けた団体等については規制をされておりません。  団体献金等のあり方につきましては、各党各会派でもいろいろな御議論があるわけでございますので、私どもとしては、そういう議論の推移を見守りたいと考えております
  189. 佐藤信彦

    佐藤(信彦)政府委員 協会の出資会社でございますが、協会は財団法人でございますが、財団法人からの出資会社ということで、この出資会社については国や地方と出資関係は全くございません。  そういった民間会社でございますので、建設省としては、そういった会社の独自の社会的な活動というものについて、関与は難しいのではないかと思っております
  190. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 これは最近の政府の閣議での方針でも、こういう財団法人というものが出資をするもの、特殊法人も、そういうことについては厳しく規制をしていこうということにようやくなってきているわけですね。あなたは今、この財団法人に対しては、出資関係がないというようなことを言ったけれども、これはインチキでつくっているんですよ、この道路施設協会というのは。これはさっきも言ったように、公益法人でも何でもない。実態は営利企業団体ですよ。それをあなたたちは非常に大きくゆがめて、いわばごまかしの団体です、これは。だから、これは廃止をしなければ、ますます捜査の手は伸びるでしょう。そして、いろいろな問題が出てくるでしょう。そういうことを申し上げる。  それから、自治省が、間接的な補助金を受けている団体はと言われましたけれども、間接的に補助金を受けるというのはどういうことか、ここのところがいまいちはっきりしないわけであります。  実態としては、これは政府の系列の機関、広い意味では補助金あるいは予算を執行する出先の機関ですから、こういうものはやはり、あれは政治資金規正法の二十二条でしたか、その規定を当てはめて、こうした団体からの政治献金は、一年以内とかありますけれども、これは違法であると。その違法性についてぜひ真剣に検討してもらいたいということを申し上げまして、質問時間が終わりましたので、以上で終わらせていただきます
  191. 粕谷茂

    粕谷委員長 石井紘基君の質疑は終了いたしました。  次に、田端正広君。
  192. 田端正広

    ○田端委員 平和・改革の田端正広でございます。  今回の大蔵官僚による過剰な接待、贈収賄事件については、非常に国民の怒りが高まっているわけでありまして、五十年ぶりに大蔵省捜査の手が入ったということで、非常に関心も高いわけであります。また、連日マスコミ等でも盛んに報道されていますが、私は、少し確認も含めて、まず具体的なことで質問させていただきます。  今回逮捕された宮川宏一容疑者の場合、あさひ銀行から全国の温泉地等、接待ゴルフを受けて、十八回、百八十万相当である、あるいはマンションの購入に際して四百四十万円も値引きをさせたとか、こういう事実。しかもこれが、検査に際して、かかわりながらそういうことが行われていた、そこに問題がある、こう思います。  それからまた、第一勧銀については、けさ政務次官の報告書の中にも、十七回、七十九万円相当、こうありましたが、話題になっているのは、ノーパンしゃぶしゃぶの接待を受けて、それが検査日を示唆する一つの大きなきっかけになっている、こういうことが報道されているわけであります。  さらに、けさほども話題にもなりましたが、ニューヨークの大和銀行の支店の検査においてラスベガスにまで足を延ばしている、こういったことも指摘されているわけであります。  もう一人の谷内容疑者の場合も、九五年二月二十一日から二十四日までの三和銀行本店、大阪ですが、これの不良債権の検査に際して、三日連続接待を受け、そして四日目にはゴルフに連れていけ、こういうことを要求をしたということでもあります。  こういうことが連日いろいろな形で報道されているわけですが、何が問題かと言えば、金融検査部立場にある人がその立場を利用して要求をし、そういうことをねだっている、ここに大きな問題があり、国民の怒りがあるんだろうと思いますが、大臣がいらっしゃらないので、中村政務次官、大物政務次官でございますので、ぜひ大臣のつもりで御答弁お願いしたいと思います
  193. 中村正三郎

    中村(正)政府委員 午前中も答弁させていただいたところでありますが、この検査というのは極めて単純な業務であります検査をして不正を見つけて、その不正を指摘し報告をする、それに対応するということでありますから、普通よく行政と業界が情報交換が必要だとか、そういうことに籍口して接待を受けたということではなくて、その検査の日にちだとか、検査を受ける銀行であるとか、そういった情報を欲しいために業者が接待をして贈収賄になったということでありますから、まさにあるまじき行為であります。  そして、それを内部検査で、累次の倫理規程をつくったり内部で申告制度をしいたりして聞いてきたわけではありますが、はっきり言えば、当人が言わない。私どもも、何回もこんなことが出ては大変ですから、担当の局長なり課長にこれ以上ないのだろうなと言うと、何回聞いてもないと言うからないのでしようと。そのうち、いろいろな報道がなされる。こういう報道があるからと聞いても、ないと言う。いわばうそをついているわけでありまして、まさにあるまじき行為でありますから、大蔵省としては、金融行政にかかわった者を、五年間さかのぼりましてすべての方々を再検証いたしまして、問題があったならばこれを処分していこう、そしてまた、金融服務監査官制度もつくり、そこに専従の職員を置いて、みずから内部監査を充実させて、国民信頼を回復するように全省を挙げて努力をしよう、こうしているところでありますが、先ほどから何回も申し上げさせていただいておりますように、内部検査には限界があると思います。そういう意味で、公務員倫理法のような御検討をいただいていることが大変有効であろうというふうに考えている次第でございます
  194. 田端正広

    ○田端委員 ともかく内部の調査を一生懸命やりたい、こういうことでございますが、昨年七月二十九日に大蔵省は、第一勧銀による検査官接待の問題で処分を出しております。この処分の中に、今回逮捕された宮川宏一容疑者が入っておるわけであります。この処分対象となっている人は、今回辞任された小村武事務次官も文書による厳重注意を受けておられますが、このときの処分について御報告いただけますか。どういう中身であったか。
  195. 武藤敏郎

    ○武藤政府委員 昨年七月の第一勧銀の検査忌避事件というものを調べている過程で、平成六年に行われました検査の過程で金融検査官が第一勧銀から接待を受けていたという疑惑が生じましたために、検査期間中の日にちを中心に、第一勧銀から受けた接待等について事情を聞くと同時に、第一勧銀にも確認いたしました。既に第一勧銀におきましては、資料捜査当局によって押収されておりましたために、行員から事情聴取をしたわけでございます。  その結果、今回逮捕されました宮川につきましては、一回ゴルフを行った。さらに、検査期間中に工場見学に赴いた除に、車中で飲食の提供を受けたということが判明いたしました。それからもう一人の日下部管理課長、当時の管理課長につきましては、会食を二回行ったことが判明いたしましたために、この両名に対しまして戒告処分を行ったわけでございます。  なお、今回逮捕されました谷内は、このときの第一勧銀の検査に参加していなかったために調査対象にはなっておりませんでした。  今回の逮捕によりましてさらにいろいろなことが判明したわけでございますけれども、七月の調査でこのような事実の把握にとどまったのは、一つは、調査が第一勧銀の検査検査期間中を中心として行われましたことに加えまして、宮川が真実を述べず、また第一勧銀にも資料が残っていなかったといったようなことでございます。任意調査の限界があるとはいえ、結果として調査が甘かったということはおわびをする次第でございます。  日下部につきましては、現時点におきましては、その他の疑惑というものは今のところないというふうになっております
  196. 田端正広

    ○田端委員 当時の新聞にはこの処分の報道が大きく出ているわけでありますが、検査期間中に酒食の接待を受けたという、その検査に十七人のチームがいて、その責任者の方が、統括責任者の方が今話の出た日下部元雄という当時の管理課長。七〇年入省、東大卒のキャリアでございますが、この人は今どうなっているのですか。今、これ以外に別に疑わしいものはないという、何か調査したような言い方をされましたが、この事件が宮川逮捕にもなったのですから、そのときの責任者がどうだったのかということを再調査をすべきです。あるいは、したというのなら、実際アメリカまで行って調べたのですか。今、海外にいるのじゃないですか。  私の調査ではこれは非常に、この方だけはちょっと非常に例外扱いしているなと。この戒告処分のあったのが七月二十九日。たしか八月の八日だと思いますが、海外に出向させているように思いますが、本当に現地まで行って調査したのでしょうか。
  197. 武藤敏郎

    ○武藤政府委員 先ほど、今のところ調査結果を疑わせるようなものは報告されていないということを申し上げましたのは、この検査期間中についてということでございまして、現在、約五百五十名の者につきまして内部調査をやっておりますけれども、その中でこの件につきましても調査をしたいと思っております。  それから、確かに昨年八月に国際復興開発銀行の顧問として出向しておりますけれども、御承知のとおり、国際機関への出向は、相当前の段階でそういう人事が行われるわけでございまして、この問題と直接の関係は全くございません。
  198. 田端正広

    ○田端委員 直接関係ないといっても、戒告処分を出して十日後に、戒告というのは注意しているのでしょう、その注意された人を何で国際機関に派遣するのですか、出向するのですか。注意するような人物は、むしろそういうところへ出しちゃいけないんですよ。これが常識じゃないですか。だから、大蔵省は身内に甘い、キャリアに甘い、こういうことを言われるのですよ。  しかも、今、調査したというのはこの期間中のことだけしか調べていない。この期間中も含めて、このチームの中から逮捕者が出たのだから、そのときの責任者をしっかりと再調査するのは当たり前じゃないですか、そんなことは。これは身内に甘いという指摘がきのうの参議院でも相当言われたようでありますが、私は、もう全くそのとおりだと思いますよ。  例えば、このときの、昨年の七月の経過を日にちを追って見てみますと、全く矛盾を感じるのですが、七月の二十五日、大蔵省は第一勧銀を告発しているんですね。つまり、小池被告への融資実態、不良債権を報告していなかったというので、銀行法違反の検査忌避ということで告発しています。それが二十八日に、三日後に東京地検で起訴処分になっていますね。そして同日、東京簡易裁判所が五十万円の罰金命令を出している。その翌日に、だから慌ててこの十七名のうちの代表者を処分したのです。しかも、その翌日七月三十日、二十九日に処分を発表した翌日の三十日に、大蔵省はこの第一勧銀への行政処分を発表しております。  この行政処分の中身は、私は別に第一勧銀の肩を持つわけじゃありませんが、大変厳しい。営業所の新設一年間停止、そして新規の顧客の融資は年内やってはならない。これは、一部業務停止を含めた措置を大蔵省は第一勧銀に対してとっているわけです。第一勧銀の方にそんなに厳しくやっておきながら、自分の身内の最高責任者をワシントンに逃がしてしまう。これはちょっと話がおかしいとは思いませんか。もう一回答えてください。
  199. 武藤敏郎

    ○武藤政府委員 確かに日下部につきましては、二回の会食があったということで処分をいたしました。一方で、日下部の場合には、国際金融畑での経験が非常に長くございまして、ワシントンのIMFで三年間勤務し、その後ロンドンでも三年間勤務するというようなことで、国際機関での経験が非常に長くございまして、むしろこういう世銀への出向というのが人事の関係から望ましい状況でございまして、それが何カ月か前に世銀との間で取り運ばれたところでございます処分処分としてきっちりと行った上で、そういう人事が行われた。  もちろん、現時点におきましては、また調査対象として日下部を調査する予定でございます
  200. 田端正広

    ○田端委員 本気できちっとやっていただきたい、こう思います。  次に進みますが、もう一つ大きな問題は、この大蔵の金融検査部を中心に、銀行、証券会社への天下りが余りにも多過ぎる。きょうの新聞報道によっても、大蔵金融検査部のOB、何か霞桜会という名前のグループがあるようですが、ここからだけでも百四十九人が、約三割だそうですけれども、金融証券関係に天下っている。この問題は、国民から見て一番怒りの原因になっている、それがこの天下りなんです。したがって、この問題については、これはもう明確にきちっとしていかないと大蔵省に対する信頼回復というのはあり得ない、こう思います。  ここに私、週刊誌等を持ってきていますが、週刊朝日、これも名前入りでリストがずっと、天下りの名簿が出ています。これは週刊現代ですけれども、これも顔写真を入れて、こういうリストが出ています。こういう報道がどんどん世間では行われているわけであります。  大蔵省は一体どうなっているんだという一つの大きな不信の根っこにこの天下りの問題があるわけですから、これは今答弁してくれと言ってもなかなか答弁は出ないと思いますが、つまり金融検査部というのは、いわば裁判官のような役割を担って調査に当たる。その人が、自分の立場、職権を利用してそういうところに行くということは、つまり取り締まるべき警察官が取り締まられる側の、例えば暴力団、やくざ、こういうところに今度は雇われることになるような、こういう矛盾を感じるわけです。  だから、そういう意味でもこの天下りという問題は、例えばフランスなんかは、自分が関係した業界には離職後五年間かかわってはならない、ここまで厳しく外国ではやっている例があるわけですから、この問題に関してはぜひ徹底的に改革していかないと大蔵省信頼回復はあり得ない、こう思います。  委員長にお願いしたいのでございますが、せっかくこの委員会が初めてこういう新しい役割を担って、行政監視ということも含めて新たなスタートをしたわけですから、第一回のこの委員会の予備的調査のテーマとして、この大蔵省の天下りの実態を調査していただく、そしてそれを国民に公表する、大蔵省もそれを受けて改善に努める、こういうことを私は提言させていただきたい。ぜひ委員長の方でお取り計らいをよろしくお願いしたいと思います
  201. 粕谷茂

    粕谷委員長 理事会で協議いたします
  202. 田端正広

    ○田端委員 同時に、先ほどはっきりしたお答えがいただけなかったのですが、この日下部元雄という当時の第一勧銀検査グループの責任者であった方の調査についても、これはぜひ理事会で御協議いただいて、委員会としても、この問題は大変大きい問題だと思いますので、お取り計らいをお願いしたい、こう思いますので、この点についてもよろしくお願いします
  203. 粕谷茂

    粕谷委員長 同じく理事会で協議をいたします
  204. 田端正広

    ○田端委員 もう一点申し上げますが、谷内容疑者の便宜供与の問題ですけれども、三和銀行がどうも合併の意思があったやに言われております。そして、その相手として考えられていたのが東洋信託銀行のようでありますが、そういう意味で、この人が東洋信託銀行の、示達書を見せたか、あるいはそのコピーを差し出したのかどうかわかりませんが、そういう情報を三和側にもたらして、それによっていろいろな接待を受ける、こういうことだろうと推測するわけです。  この問題は本当に悪質だ、こう思いますが、この辺のことについて、現時点において大蔵省の方でわかっていることがあったら御報告していただきたい。そして、こういうことは、公務員としてあるまじきことをやっていたということになるわけですから、この辺についても大蔵省としての御所見を伺いたい、こう思います
  205. 原口恒和

    ○原口政府委員 御指摘の事項についてそういうような報道がなされているということは存じておりますが、我々の内部調査では、遺憾ながらまだ見出せなかったところでございます。  もし仮に事実だとすれば、まさに先生がおっしゃいますように、あってはならないといいますか、本当に遺憾なことだと思いますが、御指摘がありましたように今捜査対象になっている事項でもありますし、捜査当局による事実の解明等を踏まえて厳正に対処していきたいというふうに考えております
  206. 田端正広

    ○田端委員 終わります
  207. 粕谷茂

    粕谷委員長 以上をもちまして田端正広君の質疑は終了いたしました。  次に、松浪健四郎君の質疑に入ります
  208. 松浪健四郎

    ○松浪委員 自由党の松浪健四郎でございます。  昨今、新聞を読んでおりますと、大蔵汚職、これ一色で、公務員は大変だな、そういうふうな思いに駆られるわけでございますけれども、井坂道路公団理事逮捕されて以来、二人の犠牲者が出ました。  振り返ってみますと、昨年の秋、大変仲よくしておりました農水省の課長が自殺をされました。周辺の人たちに聞きましたけれども、思い当たることがない。国家公務員あるいはキャリア、高級官僚と言われる人たちは、なぜあんなに簡単におのれの命を捨てるのか。私の記憶では、昨年でも六、七名の高級官僚が自殺をしております。もしかしたならば、心の病のある人が、あるいは気の弱い人が、あるいは責任感の強い人がいるからこのような形になるのか。命を粗末にされることを大変残念に思います。  せっかく総務庁長官がいらっしゃいますのでお聞きしたいのですが、きのう、町村文部大臣は、中学生のナイフ事件に絡んで、中学生に命を大切にするように指導しろという通達を出されました。国家公務員や官僚の皆さんに対しても同じように命を大切にするように、そのような指導を行う必要があるのではないか、そういうふうに思うわけですが、長官の御意見を伺いたいと思います
  209. 小里貞利

    ○小里国務大臣 大きな志を持って、国家公務員としての職場を通じ国家社会に貢献しよう、せっかくその職域で、職分あるいは責任を遂行の途上にある、しかも今お話のとおり、比較的若い、しかも中堅幹部として将来が期待できると外観的には見られておりまする諸君がさような一つの状況にありますこと、本当にざんきにたえないところでございます。  あくまで本人の自覚あるいは公務員としての姿勢、あるいはまた昨今言われておりまする職場の仕組み等の問題等もあろうかと思いますけれども、このような一つの起伏が大蔵省を中心にいたしまして大変論じられておりますこの折しに、十分、ただいま御指摘がありましたようなことなども、不幸が発生しないように、頻発をしないように私どもは期待を申し上げる、あるいはお祈りを申し上げるような気持ちでお聞かせをいただいておるところであります
  210. 松浪健四郎

    ○松浪委員 いずれにいたしましても、公務員の教育、研修、これらについては今以上に一生懸命やらないと、このような事故、事件、これらが相次ぐのではないのかというふうな危惧を持つものであります。  私は、スポーツ人類学という学問をかつて教壇で講じておりました。この大蔵汚職の問題が続発して思い起こしましたことは、お釈迦様は相撲をとったり馬術に親しんだり弓道に打ち込んだりしました。つまり、肉体の訓練をしたわけであります。しかしながら、悟りを開くことはできませんでした。そこで、出家をし、菩提樹のもとで断食の修行に入り悟りを開いた、このことは皆さんも御存じのことだと思いますけれども、体を鍛えるだけでは心は磨かれない。  そこで思い起こしますのは、帝京大学と日本体育大学のレイプ事件でありますが、残念なことに、日本体育大学の卒業生が私でございます。世間を騒がせ、また女性を侮辱するような事件を引き起こしたことに対して、この場をおかりして陳謝させていただきたいと思います。  はっきりしておりますことは、公務員だから悪いことをしてはいけない、ならば民間の人は悪いことをしてもいいのか、このような議論が成り立つわけですし、しかも責任という問題についても、私は、民間企業であろうともあるいは公職についていようとも同じである、こういうふうに考えます。  そこで、警視庁や国税庁の汚職、トップは謝罪会見もしませんでしたし、厚生大臣辞任するということもございませんでした。ところが今回、私たちは大蔵大臣の不信任案を出したにもかかわらずやめることはなかったのですけれども、逮捕者が出た途端、今までの大臣と違って大蔵大臣だけがおやめになられました。なぜおやめになられたのか、政務次官から聞かせていただきたいと思います
  211. 中村正三郎

    中村(正)政府委員 それは、大変な責任の重い役所にあって、先ほどから申し上げておりますように、あるまじきことが起こった。そして、内部で調査をし、対応しようとしたことがうまくできなかった。結果として大変な混乱を招いたということに対する監督者責任がまず第一にあったと思います。  それからもう一つは、ちょうど、折しも今政府が一番やらなきゃいけない景気対策金融安定化、それに関する法律案国会で審議が佳境に入っていた。二兆円の減税法案、そして金融の安定化法案、それから、何よりも補正予算が審議をされておりました。そこで国会が空転した。そういった事態を打開するためと監督者責任と、この二つの面において責任をとられて辞任したのだと私は思っております
  212. 松浪健四郎

    ○松浪委員 つまり、大蔵大臣には責任感があられたというお話なんでしょうけれども、それならば、これだけ不景気な状況に追いやったわけですから、本当に責任感が強ければ、もう少しその責任感を国民の前に明確にしておくべきではなかったか、そういう印象を受けます。  橋本総理は、二十七日、公務員倫理法の制定の検討をするように指示されました。しかし、公務員倫理法は、一九九六年の厚生省汚職事件当時、現行法と整合性がとれないとして立ち消えになった経緯があります。にもかかわらず、今度これはやらなきゃいけないというふうになりました。我々は、今回の総理のこの発言は、後を絶たない公務員不祥事への批判をかわすための、慌てて打ち出した、言えば一つのガス抜きではないのかというふうな思いを持っておりますけれども、政務次官はどのようにお考えでしょうか。
  213. 中村正三郎

    中村(正)政府委員 この公務員倫理法を制定するかしないかということ自体は私の所掌事務でございませんので、国会議員として答えることをお許しいただければと思います。  先ほどから、午前中から御議論あります公務員たるもの、武士は食わねど高ようじというお話もありましたし、司馬遼太郎さんの話もございましたし、先ほどの総務庁長官のお話もいろいろございました。しかし、人間がどういう道徳観を持つべきか、何が必要な倫理観か、また、何が正義かということは、それぞれ人によってかなり違ったものであるかと思うわけであります。そのときそのときの社会情勢、教育によっても違ってくるでありましょう。  そういう中で、やはり国家における行政という極めて重要な職務を担ってくださる皆様方が、どういう心構えでどういう働きをしなきゃいけないのか、原点に返って考えますときに、日本は法治主義の憲法を持っているわけでありまして、七十三条に言うように、一般行政事務のほか、官吏は法律に基づいて行政を行い、その官吏に関することは法律をもって掌理するということになっております。  そこで、やはり国民の代表たる国会、立法府において、国民の望む公務員像というものはどういうものなんだ、何を国民は望んで、どういう倫理観を望んで、どういう規範で動いてもらいたいのだということを示すのは、私は立法府の責任ではないかと思っているわけであります。  そう考えてまいりますと、今の国家公務員法はそういう規定が全く欠落をしております公務員というのは特別な職で、この身分は守られるべきものだ、守るためにはこうしなきゃいけない、守ればいい行政ができるだろうというような書き方で載っております。  いろいろ御議論があったことでありますが、公務員が何か問題を起こしてそれを処分する場合に、懲戒処分というのがございますけれども、懲戒に関しても、極めて国家公務員法の中では大ざっぱな規定しかされていないわけでありまして、罪刑法定主義の観点からいっても、私は少し考えてみなきゃならないところがあるのじゃないかと思っているわけであります。  懲戒できる場合も、免職、停職、減給、戒告というのがあるのですが、先ほども御答弁させていただきましたように、本人の意に反した処分というのが非常にできないようになっている。人事院規則の中で懲戒をする場合をさらに細かく規定しておりますけれども、起訴されてもそれは処分ができない、刑が確定されなければできない、起訴された場合に、本人がその起訴事実を認めれば処分していいというようなことでありまして、非常に処分することが困難な法律になっているわけでございます。  そういう中で、やはり公務員倫理法のようなものを検討いただくことが私はぜひとも必要だと思っているわけでありまして、その中で、国民の望む公務員像、公務員の倫理規範、なすべき行動等を規定して、そしてどういう処分ができるのだということをきちっと決めていくことが私はぜひとも必要だ、このように思っておるわけでございます
  214. 松浪健四郎

    ○松浪委員 厚生省の汚職事件当時、これは世論に押されたという形になったのでしょうけれども、政府は、公務員だけに適用するのは法のもとの平等に反する、刑法を初め関連法との調整をどうするのかというような法制上の問題があってできない。しかし、法制上の問題は今も変わらないわけですから、今回ものど元過ぎればというふうなことになるのではないのかという疑念を持っておりますが、そんなことのないようにお願いしておきたいと思います。  そこで、昨日午前の衆議院大蔵委員会で松永大蔵大臣は、大蔵省職員への接待疑惑で新たな逮捕者が出た場合の対応として、いろいろ判断する、それで、接待疑惑に対する省内調査については、ますは過去五カ年の金融部局在籍者について始めるとした上で、他の部局にいた職員でも、新聞や雑誌で具体的な情報が出た者については内部調査はきちんとしなければならない、このように発言されております。  私の手元に、ある週刊誌がございます。そこには「「疑惑の大蔵官僚」十二人を全員直撃!」とあるわけでありますが、この週刊誌は井坂日本道路公団理事逮捕されてから出たものですが、この十二名の実名が挙がっているうちの一人は自殺をされ、二人は逮捕されるということになりました。しかし、もし私が大蔵当局の幹部であるとしたならば、おのれの部下が実名で週刊誌にこうして名前が出た、これは大変な人権問題ではないのか。出版社に抗議するのが筋であるし、私たちは人権というものをもっと重く見なければならない。これが出たときに大蔵省はどうされたのか、官房長にお尋ねしたいと思います
  215. 武藤敏郎

    ○武藤政府委員 その週刊誌の記事に対しまして、直接もちろん抗議を申し込むとかそういうことは私どもの立場からはやっておりません。それぞれ名前が出た者がどのような行動をとったかはそれぞれの判断があったろうかと思いますけれども、何かまとめてやったということはございません。  そのほかにもいろいろなところにいろいろな形で名前が出ておりますが、一つ一つについて当局としてまとめて何かやるというような行動はとっておりません。
  216. 松浪健四郎

    ○松浪委員 昨今のマスコミ報道は行き過ぎた面があります。そして、著しく人権というものを配慮する、この姿勢が希薄である、こういう一面を正す面からも大蔵省は厳重に抗議すべきであったけれども、抗議しなかった。私に言わせれば、できなかったのです。現に自殺者が出て、二人が逮捕されている。もしかしたならこの疑惑が、この報道が当たっているのではないのか、そういう気がするわけです。  そして、大蔵大臣がやめたのは、責任というだけではなくて、今回の汚職は大蔵省の構造的なもので根が深い、そのような認識があったからやめたのだというふうに私自身は受けとめております。  そこで、大蔵大臣がやめるときにも、最後っぺというふうな気がしますが(発言する者あり)最後っぺを上品に表現する能力は、私にはございません。金融関連部局職員民間金融機関の癒着防止を目指す金融服務監査官室を大臣官房内に新設し、職員に辞令を交付されました。職員十人で構成されているそうですね。何を基準にこんなにインスタントコーヒーより早く十人選ばれる、どういう選考でっくられたのか、官房長にお聞きします
  217. 武藤敏郎

    ○武藤政府委員 十名の者のトップに、監査官室長という立場で現在の関税局の管理課長を一なお、十名はすべて併任になっております。現在職を持っている者が併任されるという形になっております。なぜ併任でなければならないかというのは、これは法令に基づく、あるいは総務庁なりなんなりの予算要求のもとで正式にでき上がった恒久的な仕組みではございません。そういうことで併任なんでございますけれども、その現在の管理課長というものは、過去の経歴を見まして、つい二年ばかり前にある県の警察本部長に出向しておりましたとか税の査察の経験があるとか、そういうようなことを勘案いたしまして、この者を室長に任命をいたしました。  そのほかには、それぞれ今まで服務関係で経験のありそうな、そういう者から人選をしております。そういうことでございます
  218. 松浪健四郎

    ○松浪委員 聞くこと、これは続けてやりますけれども、たしか武藤官房長は辞表を出されたのですね。だけれども、総理は受け取らなかった。おまえ、もうちょっと残っとけ、おまえがやめたらややこしゅうなるからというようなことだったと思うのですが、小村次官だけ受理されて、あなたは受理されなかったのですね。そのときの心境を聞かせていただけますか。
  219. 武藤敏郎

    ○武藤政府委員 いろいろな報道がなされておりますけれども、小村次官は明確に辞意を表明されました。私は、進退を同時に伺わなければならないという趣旨のことを申し上げましたが、総理からは、最高責任者が一身にその責任をとるというのは、責任者というものはそういうものであろうか、自分もわかる、しかし君の場合には、引き続き大蔵省を生まれ変わらせるために努力すべきであるということでございました。  その上で、調査徹底的にしろということで、その場でそういうお話がございました。
  220. 松浪健四郎

    ○松浪委員 総理は、徹底的に調査しろと官房長におっしゃられた。ところが、あなたはきのうの衆議院大蔵委員会で、内部調査には限界がある、もう既に及び腰になっていて、真相究明はできないと言っておるわけでしょう。本気になって徹底究明、真相究明するために、総理に残れと言われた。そう言われたあなたが、もう既に及び腰で、腰が引けておる。これは柔道やレスリングではもう既に負けなんですよ。どないするんですか。本気でやる気がないということですか。聞かせてください。
  221. 武藤敏郎

    ○武藤政府委員 この監査官制度といいますのは、例えば現在国税にありますのは法律に基づく仕組みでございまして、刑事訴訟法上の調査権に類似の権限を持っております。そういうお話をした上で、この仕組みはそういう仕組みではないという意味で、あくまでも内部調査であります、そういう意味での限界はあるという事実を申し上げたわけでございます。しかし、私自身がこの五百五十名の調査に、これは断固としてやる、その気持ちは変わりません。
  222. 松浪健四郎

    ○松浪委員 これは、時間がおくれてきていつ終わったらいいかようわかりませんけれども、委員長にしかられるまでやります。  大蔵省で内部調査をする。きょうの新聞に、五百五十人を対象金融機関から接待を受けた実態を調べる具体的な内容、これが明らかになっているのですが、じゃ、一体どれぐらいのお金の接待を受けたのかというものを調べようとしていないのです、大蔵省は。ですから、お金を受け取ったから、また金のかかる接待を受けたから悪いどうのこうのというのではなくて、本気にやろうという姿勢が国民に伝わるように、とにかく不祥事があったからその易しのぎで国民を静めよう、怒りを静めようというようなことではなくて、国民から大蔵省はほんまに信用できる省やと言われるように、本腰を入れてやっていただくようお願い申し上げまして、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  223. 粕谷茂

    粕谷委員長 これをもちまして松浪健四郎君の質疑は終了いたしました。  次に、佐々木憲昭君。
  224. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。  一月十八日に、日本道路公団の理事に天下っていました元大蔵省造幣局長の井坂容疑者が逮捕されました。また、一月二十六日には、大蔵省金融検査部の幹部二名が同じく収賄容疑逮捕される。大蔵省幹部と業界の癒着問題というのが国民の間で大変な怒りを呼んでいるわけでございます。きょうは、この問題に絞って質問をしたいと思います。  まず、大蔵政務次官にお尋ねをいたしますけれども、振り返りますと、このところ、非常に大蔵省の幹部の汚職事件というのが相次いでおります。九五年三月の、中島、田谷両名が東京協和信用組合前理事長から過剰接待を受けたという問題、九六年八月、関東信越国税局査察部長、この人が生命保険会社から携帯電話を無料借用していたという問題、昨年一月、大蔵省官房長が、脱税、詐欺容疑逮捕された石油卸商泉井氏からの絵画を受けられていた問題、こういう問題が次々と続いているわけでございます。  私は、これは単に個別の、それぞれの問題があったという程度のものではなくて、やはりここには構造的な癒着の問題があるのではないかと思います。その構造的な問題にメスを入れる、その根を断ち切るということが必要だと思いますけれども、政務次官は、大蔵委員会、あるいは政務次官をされまして大蔵省とのかかわりが非常に深いというふうに思いますので、この点についてどのように考えておられるか、ますお伺いしたいと思います
  225. 中村正三郎

    中村(正)政府委員 確かに、委員御指摘のとおり、大蔵省でこうした不祥事が続いていることは、まことに遺憾であり、申しわけなく思っている事態であります。  この不祥事の起こる原因に構造的な問題がなかったかという御指摘でございますけれども、私は、午前中、午後、委員の中からも御議論がございましたように、公務員制度全体の中で考えるべき構造的な問題があると思います。  それは、大変迂遠なことかもしれませんけれども、今一年間にやめる国家公務員が約三万七千人、その中で、定年でやめるのは七千人で、あと三万人はやめていく。やめていった人がどこかで職につかなければいけないという現実の中でもって動いてきてしまったということの中で、特殊法人の問題認可法人の問題公益法人の問題、企業に対する天下り等が大変大きく起こってきた。こうしたことが、戦後、高度経済成長の中で、右肩上がりの中で惰性的にどんどんどんどん行われてきて、それが来るところまで来て、非常に大きな御批判をいただき、改革を必要としているのではないかと思うわけです。  ですから、この構造改革をやるのは一つ大蔵省だけではなくて、やはり国家公務員制度あり方、そして天下りのあり方、その天下りを必要とするような規制行政あり方、こういったものすべてについて行政改革、経済構造改革をやっていかなきゃいけない時期に差しかかっているのだと思っております
  226. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 今、天下りの規制というのが重要だというお話がありました。やはりこの問題が癒着と言われるものの一番の基本にあると思うのです。  今回、例えば収賄容疑逮捕された金融検査部課長補佐の谷内容疑者は、拓銀から過剰接待を受けたわけですけれども、この拓銀には、検査部から三人天下っております。そのうちの拓銀の顧問をしている一人が、接待の中心になっていた。非常に深くかかわっていた。つまり、接待をする側、接待を受ける側、これがいわば先輩と後輩の関係になっていた。こういう構図というのはあちこちで見受けられるわけでございます。  天下りを受ける企業の側からすると、監督官庁の大蔵省からの情報の収集、あるいは検査の際の寛大な措置、お目こぼし、あるいは疑惑の隠ぺい、そういうことを期待して天下りを受け入れているのではないか、そういうことがいろいろな事実によって明らかになりつつあると思うのです。私は、こういうあり方というのは、公正な行政の執行という面からいってやはり改めなければならない。  天下りについての規制というふうにおっしゃいましたけれども、具体的にどのようにこれを改めていくのか。その内容について具体的な提案がありましたら、どなたでも結構ですが、お答えを願いたいと思います
  227. 小里貞利

    ○小里国務大臣 御承知いただいておると思うのでございますが、去る一月十九日前後であったと思いますが、ただいま御指摘ございました、天下り問題に対する適正なる対応策というものをこの機会に検討するべきだと総理大臣の方から指示がございました。内閣官房、そして私ども総務庁あるいは人事院、そのような関係機関で早急にこれが対策検討しよう、こういうことになりまして、目下その作業中でございます。  今お話がございましたその具体的な基準等につきましても鋭意検討を急いでおるところでございまして、御指摘のように、できるだけ早目に、そしてこれが効果の上がる方策を検討いたさなければならぬと考えておるところでございます
  228. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 天下りの問題というのは、大蔵省関係業界、その間の問題でありますけれども、重要なのは、大蔵省の側がどのような対応を主体的に行うのか、この点が大変重要だと思うのです。  大蔵省の側で、再就職、つまり天下り先を確保するとか、あるいは大蔵省の内部で、退職者の役職に応じた金融機関の扱い、金融機関の受け入れ条件、そういうものをあらかじめ話をするとか、例えば証券業界、保険業界、金融機関全体ですけれども、順送りに就職ができるようにと担当部門を内部でつくって、紹介、あっせん、こういうことをやっているのではないか、そういう話を聞くわけであります。そういう調整をやっているからこそ、すべての金融機関、こういうところに満遍なく天下りが行き渡っていて、その一人がやめるとまた次がそこに行く、こういう順送りといいますか、そういうことが行われているのではないか。  この点が改善されない限り、つまり内部の、天下りのいわば調整といいますか、天下りの順送りの仕掛けといいますか、この点を改善しない限り、いつまでたっても直らない、こういうふうに思いますけれども、その点についての対応というのはどのように考えておられるでしょうか。
  229. 小里貞利

    ○小里国務大臣 去る一月二十日に行われました公務員制度調査会等におきましても、ただいま議員から御指摘になりましたような視点、感覚で議論されたかに承っております。  なかんずく、たくさん関係職員を抱えておりまする一つの官庁におきまして、退職あるいは再就職について、いろいろ長い間貢献してくれた職員だ、これからの人生なりあるいはその人の再就職の問題等についてひとつ手伝ってやろう、そういう一つの雰囲気というものは私は決して否定はできないと思うのであります。  しかしながら、ただいま御指摘がありましたように、なるがゆえに、その官庁で、一つの再就職あるいは退職等についての、その面倒見といいますかあるいは管理を、再就職先を探すための一つの段取りとして、しかも、その職域の系統団体あるいはまたそのたぐいの一つの企業等に対しましてそれを直線的に結びつけていくところに大きな問題があるのではないか、そういう御指摘に承ったところでございまして、傾聴に値する御意見だな、そういう感じを持った次第でございます
  230. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 時間が参りましたので、以上で終わります
  231. 粕谷茂

    粕谷委員長 以上をもちまして佐々木憲昭君の質疑は終了いたしました。  この際、委員各位にちょっと御報告をさせていただきます。  きょうの質疑の中で、各委員から御要望事項がありました。事務当局にまとめさせましたので、御参考までに御披露いたします。  若松委員からは、行政監察役割機能していないので、行政監察あり方、今後の対応、反省を総務庁から書面で入手してほしい。  石垣委員からは、金融検査部の海外金融機関に対する調査の実態に関する資料の要求がありました。  田端委員からは、大蔵省の天下りの実態調査、日下部元雄当時の第一勧銀検査グループの責任者の調査委員会の第一回の予備的調査のテーマとして取り上げ、国民に公表されたい。  以上の三点が御要望ありまして、理事会で協議するということで委員長の方で取り計らいました。これは、後日理事会を開きまして協議をさせていただきます。  答弁者の方、どうも御苦労さまでした。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時三十七分散会