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1998-05-21 第142回国会 衆議院 緊急経済対策に関する特別委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十年五月二十一日(木曜日)     午前九時開議  出席委員   委員長 中川 秀直君    理事 甘利  明君 理事 中山 成彬君    理事 村井  仁君 理事 村田 吉隆君    理事 上田 清司君 理事 岡田 克也君    理事 太田 昭宏君 理事 谷口 隆義君       浅野 勝人君    石崎  岳君       小野 晋也君    熊谷 市雄君       佐藤  勉君    桜井 郁三君       菅  義偉君    杉浦 正健君       園田 修光君    田中 和徳君       田村 憲久君    谷畑  孝君       西川 公也君    穂積 良行君       目片  信君    森  英介君       山口 泰明君    池田 元久君       石毛 鍈子君    生方 幸夫君       海江田万里君    金田 誠一君       北脇 保之君    島   聡君       石井 啓一君    西川 知雄君       桝屋 敬悟君    佐藤 茂樹君       鈴木 淑夫君    児玉 健次君       矢島 恒夫君    濱田 健一君       河村たかし出席国務大臣        内閣総理大臣   橋本龍太郎君        法 務 大 臣  下稲葉耕吉君        外 務 大 臣  小渕 恵三君        大 蔵 大 臣  松永  光君        文 部 大 臣  町村 信孝君        厚 生 大 臣  小泉純一郎君        農林水産大臣   島村 宜伸君        通商産業大臣   堀内 光雄君        運 輸 大 臣  藤井 孝男君        郵 政 大 臣  自見庄三郎君        労 働 大 臣  伊吹 文明君        建 設 大 臣  瓦   力君        自 治 大 臣        国家公安委員会        委員長      上杉 光弘君        国 務 大 臣        (内閣官房長官) 村岡 兼造君        国 務 大 臣        (総務庁長官)  小里 貞利君        国 務 大 臣        (北海道開発庁        長官)        (沖縄開発庁長        官)       鈴木 宗男君        国 務 大 臣        (防衛庁長官)  久間 章生君        国 務 大 臣        (経済企画庁長        官)       尾身 幸次君        国 務 大 臣        (科学技術庁長        官)       谷垣 禎一君        国 務 大 臣        (環境庁長官)  大木  浩君        国 務 大 臣        (国土庁長官)  亀井 久興出席政府委員         内閣法制局長官 大森 政輔君         総務庁統計局長 伊藤 彰彦君         経済企画庁調整         局長      塩谷 隆英君         経済企画庁総合         計画局長    中名生 隆君         経済企画庁調査         局長      新保 生二君         科学技術庁長官         官房長     沖村 憲樹君         外務省条約局長 竹内 行夫君         大蔵大臣官房金         融検査部長   原口 恒和君         大蔵大臣官房総         務審議官    武藤 敏郎君         大蔵省主計局長 涌井 洋治君         大蔵省主税局長 尾原 榮夫君         大蔵省銀行局長 山口 公生君         大蔵省銀行局保         険部長     福田  誠君         大蔵省国際金融 黒田 東彦君         文部大臣官房長 小野 元之君         厚生大臣官房総 田中 泰弘君         厚生省保険医療 小林 秀資君         厚生省社会・援         護局長     炭谷  茂君         厚生省老人保健 羽毛田信吾君         厚生省児童家庭 横田 吉男君         厚生省保険局長 高木 俊明君         厚生省年金局長 矢野 朝水君         農林水産大臣官         房長      堤  英隆君         中小企業庁長官 林  康夫君         労働大臣官房長 渡邊  信君         自治省財政局長 二橋 正弘君         自治省税務局長 成瀬 宣孝君  委員外出席者        参  考  人        (日本銀行総裁) 速水  優君        参  考  人        (日本銀行副総        裁)       山口  泰君        衆議院調査局緊        急経済対策に関        する特別調査室        長        大久保 晄君     ――――――――――――― 委員の異動 五月二十一日  辞任         補欠選任   杉浦 正健君     熊谷 市雄君   金田 誠一君     石毛 鍈子君 同日  辞任         補欠選任   熊谷 市雄君     杉浦 正健君   石毛 鍈子君     金田 誠一君     ――――――――――――― 五月二十一日  国民生活安定のための十兆円減税実施に関する  請願(遠藤和良君紹介)(第二七六〇号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  財政構造改革推進に関する特別措置法の一部  を改正する法律案内閣提出第一一二号)  平成十年分所得税特別減税のための臨時措置  法及び租税特別措置法の一部を改正する法律案  (内閣提出第一一三号)  中小企業信用保険法等の一部を改正する法律案  (内閣提出第一一四号)  地方税法及び地方財政法の一部を改正する法律  案(内閣提出第一一五号)  地方交付税法等の一部を改正する法律案内閣  提出第一一六号)  財政構造改革推進に関する特別措置法停止  に関する法律案伊藤英成君外八名提出衆法  第二五号)      ――――◇―――――
  2. 中川秀直

    中川委員長 これより会議を開きます。  内閣提出財政構造改革推進に関する特別措置法の一部を改正する法律案平成十年分所得税特別減税のための臨時措置法及び租税特別措置法の一部を改正する法律案中小企業信用保険法等の一部を改正する法律案地方税法及び地方財政法の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案並び伊藤英成君外八名提出財政構造改革推進に関する特別措置法停止に関する法律案の各案を一括して議題といたします。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  各案審査のため、本日、参考人として日本銀行総裁速水優君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 中川秀直

    中川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――
  4. 中川秀直

    中川委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。上田清司君。
  5. 上田清司

    上田(清)委員 おはようございます。民主党の上田でございます。総理以下閣僚の皆様方、日夜御精勤御苦労さまでございます。  それでは、早速ですが質疑をさせていただきます。  尾身経済企画庁長官、恐縮ですが、月例経済報告が毎月出ているわけでございますけれども、いわゆる景気リセッション、後退というのはいつだったのか、経企庁としてあるいは長官としてどのような御判断をされているか改めてお伺いしたいと思います。
  6. 尾身幸次

    尾身国務大臣 昨年度、九年度におきましては、三月末に消費税を見込んだ駆け込み需要がございまして、四月にその反動がございまして、四-六は大きくGDPも減ったわけでございます。その後、七月から九月にかけての四半期はやや回復方向に動いたというふうに考えておりますが、秋口から、御存じのアジアの経済金融の問題、それから金融機関の相次ぐ倒産等がございまして、そのころから消費者企業マインド低下をし、非常に厳しい状況になってきたと考えております。そして、それが実体経済にあらわれてきましたのは、むしろ一月-三月の期間かなというふうに考えております。  そういう状況のもとで、現在の経済停滞をし、厳しさが増しているというふうに理解をしております。
  7. 上田清司

    上田(清)委員 正確なお答えでなかったような気がいたします。いつだつたのでしょうか、リセッション判断は。秋口とか言っておられましたので、秋口といっても、桜だって沖縄から北海道まで大分違いますので、秋口といってもいろいろ違いますので、何月か正確にできないのですか。
  8. 尾身幸次

    尾身国務大臣 これにつきましては、いわゆる景気がどういう状況であったかということにつきましては、先ほどお話し申し上げたとおり、四月からは、消費税駆け込み需要に対する反動減がございまして大きく需要が下がったわけでございますが、七月-九月の年度第二・四半期は、それがやや持ち直して回復兆しが見えてきたというふうに考えております。その後、秋口といっても厳密に何月というふうにちょっと言うわけにまいらないと思いますが、十月、十一月、十二月ごろに、先ほど申しましたようなことでマインドが急速に低下をした。  このことは、例えば消費性向数字にもあらわれているわけでございまして、四月には七〇%程度にまで下がりました消費性向が徐々に持ち直して、九月には七一・九%になったわけでございますが、十月、十一月、十二月、一月、二月と連続で下がりまして、二月の消費性向は六八・四%となったわけでございます。しかしその後、三月に七一・七%という、九月の七一・九%にほぼ近い水準にまで戻しておるわけでございまして、今後、四月、五月の動向を見きわめながら現状の判断をしてまいりたいと思います。  いずれにいたしましても、消費性向等で見ますと、近時における一番高い水準は九月の七一・九%かなというふうに考えております。
  9. 上田清司

    上田(清)委員 長官のお言葉ですが、昨年の月例経済報告、一月からずっと確認しましたら、一月から十月までは、景気回復動きを続けている。十一月から、「景気はこのところ足踏み状態にある。」これが一月までございました。二月から、今度は「景気はこのところ停滞している。」。足踏み停滞というのはどう違うのかというのも難しいところですが、三月も同じであります。四月は、「景気停滞し、一層厳しさを増している。」。五月もそういうふうになっております。  これを判断すると、消費税導入以後の五、六、七はリセッションマイナスになっておりまして、しかし長官は、しばしばこの委員会でも、七月からリバウンドしているというような御判断をされて、景気が持ち直すかのごとく判断をされた、こういうお話に私は受けとめましたけれども、この考え方でよろしいのでしょうか。
  10. 尾身幸次

    尾身国務大臣 ただいまの表現のとおりでございまして、回復テンポが緩やかになっているというような表現を九月、十月には使っておりましたし、十一月には、景況感に厳しさが見られ、足踏み状態というような表現になっておりますし、二月からは停滞をしているという表現にしております。  足踏み状態停滞という言葉の違いでございますが、足踏み状態より停滞の方が厳しさが増しているというふうなつもりで使っておりまして、九月以降徐々に厳しさが増しているということを認識している表現になっていると思います。  現在、五月の表現は、生産あるいは雇用実体経済という面におきましては、停滞し、一層厳しさを増しているとしておりますが、なお五月には、経済先行きに対する不透明感にはやや落ちつき兆しが見られるということも表現をしておりまして、最終需要川上であり雇用生産が川下であるとすれば、いわば川上の方には、やや不透明感には落ちつき兆しが見られるというような表現で、状況が変わってきているかもしれないという含みを持たせております。  ただ、四月、五月の状況はもう少し統計数字その他を見てみないとはっきりした判断ができないわけでございまして、なお景気動向に一層注意して見守ってまいりたいと考えております。
  11. 上田清司

    上田(清)委員 リバウンドに関しての確認はいつなされたのですか、長官
  12. 尾身幸次

    尾身国務大臣 リバウンドについていっかということについての正式な確認をしておりませんが、私の実感としては、四月-六月に下がった経済が七月-九月にはやや持ち直し、その後、秋口にかけて、諸般の先ほど申しましたような事情で一層厳しいものになったというふうに実感をしております。
  13. 上田清司

    上田(清)委員 これは長官、また総理にもそうなのですが、消費税導入以降の、いわば前期比二・八のマイナスをその後持ち直すようなものであったのか、それともこの判断が、これは大変なことだぞということでその後の、補正も考える、あるいはまたその他の景気対策ももっと早く打ち出すべきではなかろうか、そういう判断の材料として、例えば平成元年消費税導入時期における、あるいはそれ以降の景気判断と照らし合わせて御判断などをなされたのかどうかについても、長官、どのような判断をそのときなされたのか、平成元年導入時あるいはそれ以降の経済動きども判断されましたかどうか、参考にされたかどうか。
  14. 尾身幸次

    尾身国務大臣 私自身は昨年の九月十一日に就任をしたわけでございまして、私自身平成元年のときの細かい数字を今回の景気を分析する上で特別にチェックしたわけではございませんが、なお詳細につきましては、必要があれば事務当局から回答させます。
  15. 上田清司

    上田(清)委員 今のはちょっと残念だなというような感じがいたします。  やはり消費税導入時における判断というのは、平成元年のと照らし合わせて考えていくとおのずからわかっていただけると思いますが、実は、平成元年消費税導入時、ちょっと小さな数字で恐縮ですが、四月―六月はGDP前期比マイナスの〇・三なんですね。これが昨年度マイナスの二・八。七-九月にはもう二・二にリバウンドしている。七月―九月は昨年度は〇・八だ。そして、十月から十二月にかけてマイナスの〇・二。元年度においては十月-十二月には一・四と、非常に、導入時だけマイナスポイントで、以降はしっかり、ある意味では必ずしもいいという判断かどうか、ちょっといろいろ判断はございますけれども、それなりにリバウンドしている。  そういうことから考えて、これは大変なことではないだろうかという判断もすべきだったのではなかろうかという、後知恵ですけれども、しかしそういう声が各界から多かったことも事実であります。今振り返ってみてそういう判断を、総理最高責任者として経済の、後知恵で、本当にだれでもそんなことができるのかどうかわかりませんが、私はもう少し丁寧な検証がそのとき必要だったのではなかろうかというふうに思います。元年時の消費税導入時期の検証と含めて、総理、当時この九月あるいは十月ごろの認識としてどのように思われていたか、改めてお伺いしたいと思います。
  16. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 元年消費税導入時と対比という発想は、私も必ずしも持っておったわけではございません。  ただ、私自身脳裏には、確かに消費税導入後の四-六の落ち込みと七-九の改善というものは何となくございました。そして、確かに、消費税率引き上げの直前における一-三月の駆け込み需要というものが、そしてその二%引き上げ後の四-六の落ち込みが、それぞれ予測から大きく両方に振れていた。そして、七-九はプラスに転じたということで、その意味では予測の範囲を、駆け込み需要もその反動減も、より超えているなという思いはございましたが、七-九の改善というもので、ある意味で傾向的に回復方向にあるという印象を持っておったことは事実でございます。
  17. 上田清司

    上田(清)委員 人間には、後知恵ということで、なかなか思い切れない部分がありますが、やはり歴史検証というのでしょうか、歴史というほど古い話でもありませんので、そういう検証というのを非常に大事にすべきではないかなということを改めて申し上げたいと思います。  そこでまた、尾身長官、恐縮ですが、いわゆるGDP年度伸び率で、何%をもって景気がいい、あるいは何%をもって不況だ、こういうふうな目安というのはつけておられるでしょうか。例えば、一%はまず不況だな、二%だったらまずまずだとか、三%だったら景気がいいとか、こういう御判断というのはありますか。
  18. 尾身幸次

    尾身国務大臣 何%が好況、あるいは中くらい、不況ということについて決めることはなかなか難しいと考えておりますが、日本経済構造改革が進んだ場合には実質三%、それが進まない場合には実質一・七五%というような中長期の考え方を私ども持っているわけでございまして、やはり三%程度実質成長率を実現することが、順調に経済が進んでいるというふうに言えるのではないかというふうに考えております。  したがいまして、十年度一・九%という見通しを立てておりますが、この十年度数字がそのまま、一・九%ないし二%くらいのところでいくことが理想的な姿かどうかということについては、もうちょっと高い、三%前後の数字でいくことが理想的なのかなというふうに私自身は感じている次第でございます。
  19. 上田清司

    上田(清)委員 私も、実は三%ぐらいをめどに持続的な成長を、現時点において、あるいは近い将来、五年そこらぐらいは必要だというふうに考える者の一人であります。そういう視点を念頭に置きながらも、この後ちょっと議論を続けさせていただきたいと思います。  ところで、総理、十六兆円を超える経済景気対策そのものも、なぜこう株価に十分反映しないのか。この点について、いろいろな批判もございますし、私ども批判をさせていただきました。総理として、なぜ反映しないのかということに関して御見解を承れればと思っております。
  20. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 基本的にとらえなければならないこと、これは必ずしも国内のみではございません。海外をも含めての問題意識でございますけれども基本的には、私はやはり、日本金融機関の抱える不良債権の問題というものに対する処理方向づけがなかなか一般に見えてこない、言いかえればバランスシートから落ちないという部分に対する先行きに対しての懸念というものがベースにあるように思います。  そして、その上で、現在私どもは既に国会で御審議をいただき始めておりますが、例えばバーミンガム・サミットの外相会談蔵相会談時点におきましては、まだこれは紙上の計画であり、その姿というものが、例えば国会に提案をされ、御審議をいただき、成立をするという状況ではございませんでした。そして今、国会で御審議をいただいているさなかでありますけれども、これがまだ成立という状況ではございません。言いかえますならば、計画に終わっておる、これが実行に移されるという状況になっていないという部分に、私はその市場の反応というものもあろうかと思います。  同時に、多少ずつ上向きかげんになりますと、今、企業の間における株式の持ち合いが徐々に減りつつありますが、その時点でまた売る、冷える。少し戻る、売る、冷える。そうした小刻みな動きというものもこれはあろうと思いますけれども基本的には、私はやはりこの経済対策というものは評価されると存じますし、そのポイントというものは、不良債権処理というものに本格的に取り組んだ姿がどこで見えるかということにかかっているのではないか、私としてはそのように考え、そうした努力を脳裏に置きながら、十年度補正予算及び関連法案の速やかなる成立に御協力を得たいものだと心から願っております。
  21. 上田清司

    上田(清)委員 お言葉ですが、総理与党総裁でもあり、また与党が多数党であるということも含めて、政府が出されました景気対策も、法案そのものも通ることが前提で株式市場も読んでいるというふうに私は思っております。内外の評論家の中には、これまでの政府経済景気対策効果がなかったと言う方もおられますが、いろいろ株価との関連だけで申し上げれば、相当効果があったということがあるいは検証できるのではないかというふうに私は思っております。  これは、九二年に底を打ちました株価一万四千三百九円以降の、その都度その都度の政府大型景気対策以降の株価動きでございます。九二年の八月二十八日に打ちました十・七兆円の景気対策以降、順調に株価上昇しております。もちろん、その後、冷夏があったり、いろいろな原因の中で少し下がり、また九四年の二月八日の十五兆からの景気対策以降、株価が順調に上がっております。  この後、阪神大震災やサリンだオウムだと、いろいろな要因があったかもしれませんが、ここでまた落ち込みまして、十四兆に上る九五年の九月二十日の景気対策以降、株価は順調に上昇した。ところが、消費税率の二%を閣議で決定した九六年の六月二十五日ごろから着実に株価下降過程に入っておりますし、九七年度消費税部分でますます株価が低迷していった。九八年以降も緊縮予算でそういう傾向が出てきております。  そして、本来ならば少しここらで上昇気流に乗らなくてはいけないというふうに考えるのですが、なぜ乗らないのかということに関しては、総理は、バランスシートの問題、確かに私もそう思います。何兆日本当にあるかわからないような銀行の持つ不良債権や、あるいはまた、ゼネコンあるいはノンバンク等不良債権の金額もよくわからない、そういう状態の中で、本当に日本経済が明るく見えるのかどうかということに関しては、総理と同じような認識を持っておりますが、ただ、まだ実行されない云々という話ではないのではなかろうか。  先ほど内閣と多数党との関係を申し上げました。むしろ、この株価の鈍さというのは、やはり政府の持つ景気対策そのものに対しても、あるいは予算に対しても、あるいはこれからの構造改革を求める政府の姿勢について、はっきりしないものを感じているのではないか。  例えば財革法も、基本は変えない、骨格は変えない。基本骨格は何かといえば、これはやはり何らかの形で枠をはめて、できるだけ財政が膨張しないようにという考え方であります。そういうことであれば、この大型景気対策の中身も、数字では先行していても、実際は真水の部分はどんどん少なくなっていくのではなかろうかというような懸念考え方がありますし、一方では、参議院選挙以降に恒久減税があるいはあるかもしれないとか、そういういろいろな要素がはっきりしないところに一番原因があるのではないか。  何よりも、これまでの政策についての清算、つまり責任を、同僚議員も言いましたが、はっきり明確に述べておられないのではないか。その上でこれからこうするのだというメッセージが、国民にも、あるいは企業家にも、あるいは世界の市場関係者にもお訴えをしていないのではないかというふうに私は思っておりますが、総理、この点についてはいかがでしょうか。
  22. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 これは、私は議員の見識としてそのまま素直に伺いたいと存じます。  ただ同時に、今私は、議員がお示しをいただきましたグラフを見まして、一つ感じておることがございます。それは、はしなくもこう大きく三つの山ができておりましたが、それはいわば財政の出動によってつくり上げられる株価上昇ということでありました。  しかし、その手法から民需中心日本経済に移らなければならないということが今まで言われながらも、結果としては、財政が出動しないときには日本経済はそのまま落ちていく、どんどん株価が落ちていく、そういう懸念というものもその中から読み取ることができるのではないでしょうか。そうなれば、ますます実は構造改革への努力というものは必要になるわけでありますし、私どもは、この総合経済対策の中における社会資本整備あるいは減税の効果を当然大きく期待いたしますけれども、並行して行う経済構造改革努力の中から、民の力を呼び起こすことを真剣に考えるべきではなかろうか、そのような思いを今持った次第であります。
  23. 上田清司

    上田(清)委員 経済企画庁はこの中でも、十六兆円の対策でGDPを二%押し上げる、このような考え方に立って一・九の成長率を予想されているところです。しかし今年度、九七年度あるいは九八年度の予想されるところのマイナスの基調からすると、そのマイナス分を引き算していけば、大体のところ民間の予測は一・二ぐらいしかいかないのじゃないか、そういうふうな問題がございます。  少なくとも、真水で六兆ぐらいのものがございますので、これだけでもGDPで一%押し上げる、これは間違いなく私もいくと思いますが、しかし、今申し上げました、政策転換の勢いというものがはっきりしない。それから特別減税も、九四年以降ずっと続いておりまして、一たん九七年度に打ち切ったわけでございますけれども、しかし復活して、その後も九九年までは予定されているわけですが、二〇〇〇年以降はまたここで二兆円の増税ということになります、そのまま打ち切るような形になりますと。  いずれにしても、国民に対する特別減税の中身も、年度年度の一回こっきりということになっております。結果として九四年から続いている形でありますから、もし二〇〇〇年にそれをやめれば、またここでマイナス効果を持ち出すということになりますので、むしろ、先ほど総理が言われましたように、民の力をしっかりさせてくる、構造改革をしっかりさせるという意味において恒久減税というのは避けられないのじゃないか。むしろ、恒久減税をすることによってこの構造改革をさらに早く進めていく、そういう仕掛けの方がもっと大事なことではないか、私はこんなことを考えているわけであります。  この恒久減税考え方に関しても、私は行政改革特別委員会の方でも申し上げました。  松下幸之助さんが、五%の合理化というのは非常に難しいんだ、けちけち大作戦という話になっていくので難しいんだ、しかし二〇%の合理化というのは意外に易しいんだと。易しいんだというのは語弊がありますが、発想を転換しなければならない、そうしなければ二〇%の合理化なんかできない、つまり、大胆な改革が必要だという話でございます。  そういう意味で、これこそ私は、総理も海江田議員なんかに言われましたように、特別減税の小出しは愚の骨頂、こんなお話もございました。まさしくこの愚の骨頂を繰り返すのではなくて、真剣に構造改革を進める意味でも、恒久減税をきちっと制度的に位置づけていく。  大蔵大臣も、特別減税は一度にどかっと、恒久減税は小刻みにというような御認識を示されましたけれども、それは逆でございまして、恒久減税の中身は、国民に対する所得税の減税だけではありません。企業には法人税もかかってきます。そういう点ではむしろ、どかっとくるのは恒久減税でありまして、特別減税で小出しに国民に出していくよりは、財政そのものあるいは構造そのものを変えていくような恒久減税のあり方の方がいいという判断を私はしております。  この委員会でも何度も総理に御確認をいたしましたが、少しずつ時間がたち、経済も生き物でございますので、総理にもう一度、恒久減税についてもっと踏み込んだメッセージを国民あるいは市場に与えることはできないものか、あしたの株価あるいはきょうの株価が今からぐんぐん上がることを期待しまして、総理に質問をさせていただきたいと思います。
  24. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 今まで国会の議論の中におきましても、現在実施をし、またしようとしております特別減税効果について、政府としては、この減税を含む財政金融両面にわたるさまざまな措置が相まって我が国経済回復に役立つものと考えているということを申し上げてまいりました。  同時に、今回の経済対策の中におきまして、所得税、個人住民税について、減税の追加、継続を行うということとともに、諸外国と比して低い個人所得課税負担の水準の問題、あるいは税率構造、さらに各種の控除のあり方や資産性所得課税、年金課税、こうした問題点を挙げながら、幅広くきちんとした検討を行って、公正、透明、国民の意欲を引き出せるような制度改正を目指して税制調査会における論議をお願いするということを申し上げてまいりました。  また、法人課税につきましても、三年以内に国際水準を目指して、できるだけ早く結論を出すようにいたしますということを申し上げてまいっております。法人課税の部分につきましても、法人事業税の問題等、これには外形標準課税の問題等いろいろな論議があり、しかも地方の財源ということを考えますときに、これは住民税でも同じでありますけれども、今後、地方が分担していく仕事との見合い、さまざまな角度の論議の存在することは、議員にも私は御理解のいただけるところだと考えております。  今責任を持って申し上げるべきこと、問題点を列挙しながら申し上げておりますことも、ぜひ御理解を賜りたいと思います。
  25. 上田清司

    上田(清)委員 なかなかそれでは株価上昇しないというふうに私は受けとめます。  それでは、貸し渋り対策について少しお伺いしたいと思います。  大蔵大臣はこの委員会で、三月がピークで幾らかよくなったと、通産大臣は少しよくなったと、そういうことをおっしゃっておられましたが、日銀総裁、十四日に四月の貸し出し・資金吸収動向についての発表がございましたけれども、この数字を見る限りでは、四月はむしろ悪くなったのではなかろうかというふうな判断を私はしているところでございますが、日銀として、この貸し渋り問題について、三月よりも四月がよくなったのかどうか、お答えをいただきたいと思います。
  26. 速水優

    速水参考人 お答えいたします。  私どもで公表しております四月の民間銀行の貸し出し動向調査、これは月中平均残高のベースでございますけれども、前年比二・五%落ち込んでおります。前に全銀協が出しました数字は、月末残高でマイナス〇・三ということで、前月よりも下がり幅が小さくなったということはあったのでございますが、海外店の対日融資も含めて、平残ベースでいきますと、四月は、前月のマイナス  一・六に対してマイナス二・五と下がり方が大きくなっておる数字が出てきております。  この辺は、確かに情勢がそうよくなっているとは思いません。前期末における貸出金の償却などの要因も影響していることと思いますけれども、貸し出しの基調自体はやはり弱い状態が続いていると受けとめざるを得ないというふうに思っております。  企業金融動向につきましては引き続き注意深く点検していく必要がございますし、市場への潤沢な資金供給についても、私どもは、CPオペの実行などで金融機関の資金繰りの緩和と企業の資金調達との円滑化に今後とも十分配慮してまいりたいというふうに考えております。
  27. 上田清司

    上田(清)委員 総理、今お話を聞いていただきましたように、大蔵大臣は、多分全銀協の資料だったのではなかろうかと私は推察しておりますが、三月がピークで四月はちょっとましだ。通産の調べでも、少しよくなったと。しかし、日銀では必ずしもそう思っていない。  これは、二兆円に上る国民のお金を銀行に注入するときの大義名分が、銀行の貸し渋りを防ぐということであって、顕著に形に見えない限り、あるのかなかったのかよくわからないような、それぞれ統計に責任を持つセクションが必ずしも一致しないような程度効果しかなかったのかと。  前官房長官の梶山先生も、文芸春秋の中の「日本興国論」の中で、「政府がこの間打ち出してきた対策は、」これは貸し渋り対策のことでありますが、「貸し渋りの解消には何の効果もない彌縫策に過ぎなかったことがわかります。」と明確に述べておられまして、あの資本注入の中身というのは一体何だったのかということが今国民の間で問われております。我々も問われております。  総理、いかがでございますか。貸し渋り対策としてよかったのかどうか。本当に政策として効果があったのか。
  28. 堀内光雄

    ○堀内国務大臣 私の方から、総理の前に一言、実態についての調査の結果を御報告申し上げます。  通産省におきましては、二月に一回調査をいたしておりまして、その調査の結果におきますと、五月は今調査暫定値ではございますが、一月の調査において、中小企業ではございません、中堅・大企業におきまして、一月の調査では四〇%が貸し渋りを受けているという報告でございましたが、聞き取り調査ではございますが、三月の調査ではそれが三一・九%になりまして、五月の調査においては一四・九%、約一五%に減ってきておりますので、まだまだ非常に厳しい状態ではございますが、効果が出てきているというふうに判断をいたしております。
  29. 松永光

    ○松永国務大臣 貸し渋りというのは、あってはならぬことなのでありまして、その意味でずっと私どもは注視してきております。  そういうことからこの間も、というのは四月二十七日でありましたが、銀行等の代表者に大蔵省に来てもらいまして、私から直接、国民から民間金融機関が貸し渋りをしているなどという批判を受けないようにきちっとやってもらいたいということを強く要請したところであります。  先ほどの数字でございますが、日銀総裁言葉にもありましたように、片方の資料は月中平均、片方の資料は月末平均でございますから、数字には差が出てきておるのであります。  全国銀行の月中平均、これは前年同月比で二・五%減少というふうに日銀の統計があることは承知しておりますけれども、それは、例えば債権の流動化、すなわち不良債権を売却した、それから直接償却をした、こういったことをすれば、それは月中の貸国債権の総額は実は減るわけですね。そういう要因がある。その要因を入れたまま貸し渋りが減っていないというふうに見るのは、やや正確さを欠いているんじゃなかろうか。そういう要因を差し引いて検討すれば、貸し出しは前に比べれば少しは緩和されてきている。これが全銀協の発表した資料に出ておるわけでありまして、特殊要因を排除すれば、前年同月比でプラス二・八になっておる。  理論上も、自己資本が充実したことによって、金融システムについての不安がなくなってきておるわけでありますから、かつてのように融資態度を萎縮させるような要件がなくなってきておるわけでありますから、私は、これから徐々に改善されていく、また改善させなきゃいかぬ、こう思っておるわけであります。
  30. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 今、日銀総裁、通産大臣、大蔵大臣、それぞれの立場からこの数字の解釈についての意見を述べられましたけれども、私は、今般の公的資金による自己資本増強策などによって金融システム不安が遠のいたこともあって、ですから、この貸し渋りの状況がより緩和されていくことを本当に期待いたします。  そして、その意味では、いずれにいたしましても、金融機関が健全な事業を営む事業者への貸し出しを圧縮する、これは極めて問題のあることだという感じを持っておりまして、融資動向について、引き続き注視していきたいと考えております。
  31. 上田清司

    上田(清)委員 必ずしも満足いたしませんが、山口銀行局長、おられますね。  東京三菱銀行がグループの企業に帳じり合わせのために一生懸命貸し付けをしたというような、確度の高い情報がございます。私のところに、そういう情報がかなり確度の高い形で出ておりますので、ぜひ調べていただきたいと思います。  東京三菱銀行がグループ企業に、貸し渋りをやっていないように見せかけるために、貸し渋りを緩和させるような形で、帳じりを合わせるような形をしているというお話がございます。もしそうだとすると、大変なことになります。そういう企業だということであると大変なことになりますので、ぜひ、たまには大蔵省もポイントを稼いでいただきたいと思います。しっかり摘発して、何のために国民の税金を使っているかということをしっかり理解していただくために、ぜひ調査していただきたいということをお願いしておきます。  それから、昨日、日本銀行が、いわゆるTBSで報道された中身について、日銀法五十八条に基づいての大蔵大臣からの求めに対して報告をなされました。  結論を言うと、いろいろ疑いを持たれるようなことがあったのは反省しなければならない、しかし事実関係は、指摘されるようなことは誤解に基づくものであって事実ではない、ずっと一貫してまともだというような報告でございます。  実のところ、私もいろいろ調査しまして、もう少し時間をかけないと本当に事実かどうかというのはわかりませんが、今お手元にペーパーを配らせていただいております。私は、日本銀行株式会社であるけれども株主総会がない、その株主総会はこの国会だ、国会こそが株主であり、あるいは株主総会の場だという認識のもとに、丁寧に調べさせていただきました。総裁もおられますが、私の方から、質問というよりは御指摘だけしっかりさせていただきます。  私どもの方に資料が出てきまして、例えば日本銀行の人員がどのくらいいるのかということに関しては、自民党に提出された人数と、大蔵省に提出された人数と、そして私ども提出された人数がずっと異なってまいりました。そして、私が、その異なった人数でそれぞれ給与総額等々から試算をして合わなくなってくると、新たにまた数字が出てきて、例えば年度中平均人員などという、聞いたこともないような概念の基準が出てまいりました。こういうことで、なかなか疑いを消すことはできなくなってくるような話でございます。  それから、日銀の給与総額の予算と決算及びその差額も見てまいりました。大変な差額が年度年度に出ております。こういうのも過去の慣例の中ではっかみ取りでよかったのかもしれませんが、こういうことはやはり是正しなければならない。予算と決算の総額に余りにも差が大き過ぎる、こういう問題がございます。  それから、これは国会で砂田議員の方からも質問がありまして、職員の年収二千万以上の人数について、私に言わせると、実質的に虚偽の答弁であったというふうに見ざるを得ない。昨年四月二十五日の大蔵委員会で、砂田議員の質問に対して、松下総裁は約八十人と答弁されましたけれども、先日の大蔵委員会で九十九人と修正をされました。そして、本来確定した八年度の決算をイメージすると、私から言わせると九十九人は超えています。事実、八年度は、課長級は約百人、局長級は約八十人の計百八十人になります。  調子のいいときだけ、九年度の先ぶれで、もうある程度確定していたからというようなことで、出したりはしません。金融機関経済統計機関は、確定するまでめったなことで数字を出したりしません。都合のいいときだけは出すというようなことではいけない、これを申し上げておきます。  それから、一人当たりの給与平均についても、私が求めたときには、三十四歳、勤続年数一三年で平均給与を出していただきましたけれども、これで私が計算していくと、給与総額で百億違ってきましたので、おかしいではないかと言ったら、実はこの中に一千三百人に支払っている職務手当分が入っていませんというお答えが返ってきます。これは民間企業における管理職手当でありますが、そういう規定をしている以上は、普通の平均の給与を出すときには管理職手当も中に入れるべきでありますが、何か、最初に数字を出してくるときには必ず数字が小さい。あくまで給与を小さく見せたいという意向があるように私は思えました。  そして、一人当たりの年収を平成七年の分で出しますと、九百二十四万。新卒者を除いていきますと高くなります。そして、女子職員を除いたら、結局一千万を超えてしまう。  私は、実は給与の高さを問題にしておりません。内容だと思います。給与が高いのは、中央銀行としての誇りと仕事の内容で勝負していただきたい、堂々と胸を張っていただきたいというふうに私は思っております。  そういう意味で、むしろ大事なのは、二兆円からにも上る通貨独占権を日銀が持っている、この通貨独占権によるところの所得を国民にどれだけ還元できるかというところが、ある一面、日銀の役割の一つだというふうに私は思っております。  そういう意味で、例えばアメリカの連銀などは、九五%は国庫に納入するような仕組みをつくっております。法律で改めて私どもの方でつくっていくか、あるいは慣例として、日銀として九五%を納付できるような慣例にしてしまうとか、そういう仕組みをつくって、おのずから内部の合理化あるいは内部の抑制をしていただきたい、こんなふうに思っております。  課長級の平均年収についても、三つの基準が出てきました。最初は、代表となる層の年収という数字が出てまいりました。これで計算していくと合わなかったのです。そうしたら、今度は平均年収が出てきました。これでも合いませんでした。そうすると、平均総年収という形で小さな手当を入れてきて、やっと合う。常に日銀から提出されてくる資料はこのような出し方であります。正確さに欠けている。  退職一時金についても、給与計算の中に、いわゆる厚生年金とは違う企業年金を給与の中に入れているということが後でわかって、改めて数字が出てくるという形になっております。  総裁は細かなことを知らなかったというふうに私は思っておりますが、この報告書を後でよく読んでいただきまして、極めて異常である、こういう異常があるゆえに、一部のマスコミである意味では誤解をされたり、あるいは、これはまだ検証が十分できておりませんから誤解でないかもしれませんけれども、いずれにしても、こういうことがあるということを含んで総裁として総括的な御判断をいただいて、質問を終わらせてもらいたいと思います。
  32. 中川秀直

    中川委員長 簡潔にお願いします。
  33. 速水優

    速水参考人 四月半ばのころから、一部マスコミの報道を契機にいたしまして、国会の場におきまして、上田委員初め先生方から私どもの給与をめぐっていろいろな御指摘を受けました。私どもとしましては、そうした御指摘に対して適切におこたえいたすべく、その時々において精いっぱい努力をしてきたつもりでございますけれども、現実には国会運営等の面で御迷惑をおかけいたしましたことを、この場をかりまして改めておわび申し上げます。  昨日大蔵大臣に提出いたしました日銀法五十八条に基づく報告書の中でも述べたことでございますが、今回の報道の背景には、人件費運営に関する私どもの情報開示が十分でなかったというふうに思っております。国会での対応にしても、そうした従来からの私どもの情報開示に対する姿勢が少なからず影響していたというふうに反省しております。  私どもとしては、こうした反省に立って、今後は、予算、決算を含め、人件費運営につきましては一段と透明性のある対応を図ってまいりたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
  34. 上田清司

    上田(清)委員 終わります。
  35. 中川秀直

    中川委員長 これにて上田君の質疑は終了いたしました。  次に、海江田万里君。
  36. 海江田万里

    ○海江田委員 民主党の海江田でございます。  財政構造改革法を初め、本委員会には大変多くの重要な法案がかかっているわけでございまして、議論もまだまだしたいところではございますが、本日が最後ということでありますので、私は、特に総理に幾つかお尋ねをしたいと思います。  現行の財政構造改革法でございますけれども、現行の財政構造改革法の三原則というもの、これは、ことしの二月二十六日の予算委員会で、この委員会委員でもあります太田委員から質問が極めて簡潔な形で出ております。  つまり、「財革法では三つの原則があります。この三つ、これは涌井さんでしょうか、言ってください。」ということで、涌井主計局長の答弁がございます。「財革法の中では、まず第一に、特例債につきましては毎年度減額していくこと、それから二〇〇三年度にはそれをゼロにしていくこと、それから、国、地方を通じた財政赤字を二〇〇三年度にはGDP比三%以下にすること、」「以上三点でございます。」というふうに書いてあるわけでございますが、この財政構造改革法の三原則と言われるものが以上であるということは、これは総理もお認めになりますね。
  37. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私は、あの当時、主計局長が御答弁を申し上げて要約をしたポイント、それはおおむねそのとおりであると思います。
  38. 海江田万里

    ○海江田委員 そうしますと、総理が今回の財政構造改革法の改正に当たりまして、これは四月の九日だと思いますが、平成年度予算成立に伴う総理記者会見を総理官邸で行っておりまして、この中で、「私は現在の財政構造改革基本的な骨格は維持しながら、緊急避難的にどのような対応を取るべきかを早急に検討すべきだと考えます。」という発言。  それから、当委員会の冒頭、たしか十四日だと思いますが、我が党の菅直人代表がこの席で質問をしまして、総理、この財革法の改正については骨格部分は改正をしないんですねというお尋ねをしましたところ、総理は、骨格部分は改正をしない、その骨格部分がどこに当たるというお話はなさりませんでしたけれども骨格部分の改正はないということを何度も繰り返し御答弁をなさっていたわけでございます。  その御答弁と、今お認めになったこの三点が財革法の三原則であるということ、このこととは矛盾をすると私は思うのですが、いかがでしょうか。全く矛盾はしないというお考えでしょうか。
  39. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 今の議員の御議論は、言いかえれば、この法律案の本来持つ要素、これが全面的に変わったのではないかということになるのだと思います。  これは、今まで繰り返してまいりましたような議論を私はまたもう一度申し上げるつもりはありませんけれども、繰り返し本委員会でも、財政構造改革法の基本的な骨格は維持すべきであると考えておりますということを申し上げてきました。そして、その基本的な骨格として、主要な経費に係る量的縮減目標の仕組み、財政健全化目標は堅持するとともに、まさに緊急避難的に適切な措置を講じ得る枠組みを整備するための修正にとどめた、そのように申し上げてきております。
  40. 海江田万里

    ○海江田委員 今のお話でございますが、例えば、私は今三原則を挙げましたけれども、中でも一番大事なのは、毎年毎年特例公債の発行額を縮減をしていくという点ですね。今回政府が定めました総合経済対策、その中で減税が入ってくるわけです。四兆円の減税が入ってくるわけですよ。これと、毎年毎年特例公債を縮減をしていくというところが、まさにここのところが正面からぶつかり合うわけですよ。  そこのところが、私は、今回の財政構造改革法の一番の中心的な、まさに骨格部分骨格部分であるという認識を持っておりまして、そしてそのことは、昨日大蔵大臣にお尋ねをしましたところ、最初に、財革法の要綱には書いてないけれども、だけれども、これはまさに骨格部分ではありますよということは、きのうお認めいただいたわけでございます。  そうしますと、片一方で大蔵大臣が、まさに赤字公債を削減をしていくというところが骨格部分であるということを認めて、そして総理は、骨格部分は違う部分だよということになりましたら、これは閣内不統一になるんじゃないですか。いかがですか。
  41. 松永光

    ○松永国務大臣 まず私から、委員、恐縮ですが、きのうのきようでありますので、答弁をさせていただきます。  きのう、そういう点について長々と議論をさせていただきました。議論の始まりは、財政構造改革法第四条の「縮減を図りつつ」という事項が、これは義務規定じゃなくして訓示規定ではないのかという委員の発言でございました。  私は、行政改革に熱心な民主党の論客である先生が、まさかこれを訓示規定というふうにおっしゃるとは思わなかったのです。そうですと言っちゃったらえらいことになるところだったなと。私は、その点は訓示規定ではありません、別に制裁がかかっておるわけではないけれども、やはり政府としては重大に受けとめて守らなきゃならぬ規定なんです、こう申し上げました。その流れの中で、ならば骨格ですかという話になってきたわけなんです。  私自身は今まで骨格という言葉は使っていなかったのですが、委員の方で背骨、骨髄というのまで出てきたのですが、そこで定義の論争をしてもいたし方ありませんので、私が最終的に申し上げたことは、一番大事なことは目標年次までに特例公債依存体質から脱却することだと思います、それを達成する方策として、主要項目ごとに上限を設けるという仕組み、あるいは毎年縮減するという仕組み、これも重要であるというふうに私は申し上げました。  今度の改正案につきましては、毎年縮減していくという原則は残っているのですよ。すなわち、「縮減を図りつつ」という文言は残っているのですね。したがって、基本は残っているのです。ただ、特別の事情がある場合に、厳しい条件をつけて、その場合には前の年の発行額を超えて発行することができるようにするという、いわゆる弾力条項を入れたということでありますので、骨格という言葉の使いようにもよりますけれども、原則は変わっていないというふうに私は申し上げたいわけであります。
  42. 海江田万里

    ○海江田委員 一つだけ大蔵大臣に言っておきますが、私は、別に何も大蔵大臣から骨格部分だということを聞きたくてその前にいろいろな話をしたんじゃありません。私はずっと財政構造改革委員会理事もやっておりましたので、政府側からもいろいろなお話を聞いておりますが、当初は、この縮減というのはそういう意味では訓示規定に近いものである、こういう話を聞いていたわけですよ。  それが、まさにどこかで、二月二十六日の時点では、先ほど太田委員の質問も引きましたけれども、この二月二十六日というのは実は私の誕生日でございまして、竹下元総理と、我が党では山花さんも同じ二十六日でございます、それでよく覚えているわけでございますが、このときに涌井主計局長は、非常にはっきりと、毎年縮減をしていくということはこれは義務規定である、これに背いたら法律違反になるということを言って、それから先ほど引用しましたように、太田委員が質問をしたところについても、やはりその三原則の中に、一つに入れているわけですよ。  そうすると、昨年末のまさに十月、十一月ぐらいの、現行の財革法が決まったときと、それから年が明けて経済事情が一段と悪化したとき、むしろその悪化したときに、ここのところで非常に厳しい言い方をしている。そこには何らかの路線の変更、方針の転換があったのではないだろうかというふうに私は考えているわけですよ。そして、この路線の転換、変更というのは、実はこれは総理官邸がかなり関与をしているのじゃないだろうかというふうに私は考えていますものですから、もしそのようなことがあったら、これは総理自身あるいは総理の周辺の方が一番よく御存じのはずですから、そこのところを私はぜひ総理にお尋ねをしておきたい。  毎年毎年縮減をしていくということは、もう最初からこの法案の、これ、もう言った言わないということはいいですよ、言った言わないということはいいですけれども、最初からそこのところを非常にきつく考えていたのか、最初はそれほどきつく考えていなくて、むしろ年が明けたあたりからそういうふうに非常に厳しくなったのか。これは実はこの経済の流れからすると逆行することなのですけれども、そういう判断をしたのかどうなのかということは、これは総理自身に伺っておきたいと思います。
  43. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 今議員から率直に、昨日のやりとりをも踏まえて御質問をいただきました。  私は、年々の縮減というものは相当重いものと考えておりました。それだけに、議員も御記憶と思いますけれども、本委員会におきまして複数の議員から弾力条項のお話が出ましたときに、私は立法政策上の判断として一定の理解を示しました。むしろ厳しく考えておりましただけに、こうした条項を必要とするケースはあり得る、言いかえるなら、予期せざるあるいは緊急やむを得ざる対応を必要とするときに、厳しく考えた上で、何らかの対応の余地を残す必要がある、そうした判断から、私は、立法政策上の判断として、弾力条項のお話が出たときに一定の理解を示しました。これは事実の問題として議員も御記憶だと思います。  その上で、今大蔵大臣からも申し上げましたように、特例公債を年々縮減するこの規定につきまして、原則は維持をいたしております、その上で、いわば条文からいいますなら、「著しく異常かつ激甚な非常災害の発生又は経済活動の著しい停滞が国民生活等に及ぼす重大な影響に対処するため」という形で、緊急避難的に縮減しないことも容認をする、そうした考え方をこの中に入れさせていただきたい、原則はこれを堅持するということであるということを申し上げております。
  44. 海江田万里

    ○海江田委員 私ども財革法を直したからいけないということを言っておるのではないのです。もちろん私どもは凍結という方針でございますけれども、むしろこの財革法の改正に当たっては、直すべきところを直していないということが私たちは問題だという認識を持っておるのですね。  例えば、直すべきところということでいえば、国債の区分の問題でありますとか、私どもは赤字とそれから建設の区分をなくせということを言っておりますが、総理は何度も答弁をしておりますように、それは建設公債の中の長期と短期、長期と短期といいますか、今は全部長期なわけですが、それをもう少し期間の短いものもつくれというようなことを、つくれということではございませんけれども、考えてみてはどうかというような発言もしているわけでございますが、そういう点が全然この改正の中からは見えてきませんね。  それから、その次に、そういうようなことをお考えになるつもりがあるのかどうなのか、そのあたりの御答弁をいただきたいことと、それから、これほど大きな路線の転換があるわけでございますから、それに対して非常に率直に、総理自身が、例えば記者会見のとき、骨格部分は手をつけないと言ったけれども、私はやはり骨格部分だという認識を持っております、これは私だけじゃありませんで、そういう認識を持っておる。これは野党だけじゃありませんで、新聞などでもそういうところがたくさんあるわけですから、それに対して、これはもう今回できるだけのことはやったんだと……
  45. 中川秀直

    中川委員長 海江田君、約束の時間が過ぎました。
  46. 海江田万里

    ○海江田委員 骨格部分に触れたかもしれないけれどもやったんだというようなことは、やはりお話しいただいていいのではないだろうか、そういうような認識を持っております。いかがでしょうか。
  47. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 議員のお考えはわかりました。というよりも、以前から拝聴しております。そして、国債の区分をなくすこと、これについての議員の御意見も伺い、私は、むしろ短期の国債という考え方を提示し、議論を深めていただきたい、またいきたいと申し上げておりますが、議論が深まっている状況でないこともまた御承知のとおりでございます。  実は、この弾力条項につきましても、私が立法政策上一つの判断という評価をいたしましてから必ずしも論議が深まったという状況ではございませんでした。また、深めることに対して御異論があったことも御承知のとおりであります。そうした中で、私は、やはりこういう問題、議員がはしなくも指摘されましたように、論議を深めるべき問題点だと考えております。  その上で、今私は、基本は変えていないという考え方を持っておりますので、私なりの考え方を御答弁申し上げました。
  48. 海江田万里

    ○海江田委員 ありがとうございました。
  49. 中川秀直

    中川委員長 これにて海江田君の質疑は終了いたしました。  次に、桝屋敬悟君。
  50. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 平和・改革の桝屋敬悟でございます。  財構法、衆議院では本日が最後でございまして、気がかりな点を再度確認をさせていただきたいと思います。  財構法の内容に入ります前に、冒頭でございますが、追加のお尋ね、お願いを申し上げたいと思います。  実は、旧兵庫銀行の問題、旧兵庫銀行が破綻をしまして、これを引き継いだみどり銀行が二年余りで行き詰まった、そして再び、平成十一年四月一日、阪神銀行に吸収合併されることに決定をしたということでございますが、その際、巨額の公的資金投入必至の状況にあることが明らかになっております。  したがいまして、我が会派は、こうした経緯に重大な関心を持っておりまして、昨日、平和・改革冬柴幹事長の名前で、松永大蔵大臣、日銀速水総裁あてに、とりあえず、私どもの検討に資するために九項目にわたります資料要求を行いました。  私どもは、会派の中に特別の調査委員会を発足をさせたいと思っておりますし、できれば院内に特別委員会も設置してもらいたい、こういう気持ちを持っておるわけでありますが、ちなみに、九つの項目は、今申し上げましたように、旧兵庫銀行が阪神銀行に吸収合併されるまでのその経緯、これについて明らかにしたいということで、みどり銀行と兵庫銀行の営業譲渡契約書及びこれに附属する協定書、覚書等の約定書、さらには兵庫銀行、みどり銀行の各期不良債権の分類、そうしたものについて、検査報告書あるいは示達書、示達回答書などなどの九項目の資料をとりあえず要求をいたしております。  これに対しまして、松永大蔵大臣、誠心誠意私どもの要求におこたえをいただきたい、このことを最初にお尋ねしたいと思います。
  51. 松永光

    ○松永国務大臣 旧兵庫銀行平成七年に破綻状態になり、しかし、その当時は、阪神・淡路大震災が起こって半年かそこらの時点でありましたので、そういう特殊事情から、地域の経済の混乱、社会の不安等を引き起こさないようにということで、知恵を絞って新しくできた銀行、みどり銀行、そこに引き継がせたという経緯があるわけでありますが、今そういった点も、むしろすべての経過を委員の御指摘のような形で御説明申し上げるというのは大切なことだ、こう思っております。  したがいまして、御要求の資料の中で、その銀行と取引のある民間企業等との関係、この関係等については、その民間企業に迷惑がかかるような事態もあり得ますので、そういうものは提出できないという制約がありますが、どういうことがそれに当たるかということもよく検討して、そして誠意を持って可能な限り対処したい、こう考えております。  ただ、その方法ですが、これは委員会か何かで決めていただいて、そちらに提出するというようなことでいいのか、あるいは委員の方にお渡しすればいいのか、その方法についてはよくひとつ検討していただきたいというふうに思います。
  52. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 私どもの要求につきましては、今の誠心誠意対応するというお答えをいただきましたので、今後の対応については、しっかり党内でも検討し、改めてお願いを申し上げたいと思います。  さて、実は今回の私のこの委員会でのテーマは、小泉大臣もいらっしゃいますけれども、やはり厚生省のキャップの問題、総理もいらっしゃいますから、これを改めて確認をさせていただきたいと思います。  いずれにしても、私は、今週、特別委員会を通してずっと後ろの方で見ておりまして、やはり現下の厳しい二つの課題、財政構造改革をしなきゃいかぬ、さらには経済対策をしなきゃいかぬというこの喫緊の二つの課題、この二つの課題に直面した我が国のとるべき道というのは極めて難しい状況にあるなということを、私自身も改めて厳しく感じております。しかし、どんなふうに言おうとも、今回の財構法の改正案、財構法そのものが、私どもは当初から反対をしておりますけれども、破綻をしたのではないか、こういう気持ちを持ちながら聞かせていただいておりました。  一番私どもが心配しておりますのは、厳しい経済状況の中で、政府の打ち出す政策が二転、三転をして、結局多くの国民が生活不安を感じる、不安を増幅させてしまうということが一番大きな問題ではないか、このように感じているわけであります。  そういう意味では、今回の財政構造改革における厚生省のキャップがいい例であります。私は、昨年、財政構造改革の話を初めて伺ったときに、一切の聖域なしという、五原則のこの言葉を聞いて、総理は果たしてどういうお気持ちで一切の聖域なしと。確かに決意は総理として大変かたい決意であったと思うのでありますが、私は大変驚きましたし、心配をしました。聖域なしという言葉は、結局は社会保障の経費を削らざるを得ない、そういうことになるのではないかと。聖域なしという言葉は福祉の切り捨てにつながるということを、大変に私自身は危惧をしたわけであります。  それが証拠に、前回の予算委員会でも議論いたしましたけれども、当初予算では、やはり小泉厚生大臣、ほかの予算よりも厚生の予算、社会保障費の予算の圧縮には殊のほか一生懸命されたのではないかという気が私はしているわけですね。事例としては、後ほども申し上げますけれども、福祉施設整備費などの圧縮というのは一般公共事業よりも大きかったということも、あのときに指摘をさせていただきました。  今回、この改正の中で社会保障関係費のキャップは外されたということでありまして、これも私は、どういうふうに理解するのだろう、やはりそうかという気持ちもありますし、非常に複雑な心境になるわけであります。  そこで、多くの国民がそこは大変に心配をしているわけでありますから、総理にお伺いをしたいのですが、ほかの省庁の予算もあります、社会保障費のみキャップを外されたその理由というのは一体どういう理由なのか、もう一度総理にお伺いをしたいと思います。
  53. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 少子・高齢社会という日本の現実の中で、特に社会保障関係費の場合には、高齢という問題が大きな要因になってまいります。すなわち、高齢者が年々増加をいたしますにつれて、年金の新たな受給権者が発生をいたします。当然ながらその期間も延びてまいります。また、高齢者医療の対象になっていく方々もふえていきます。  そして、従来よく従属人口という御議論が院内においてもなされましたけれども、これは要するに、高齢者の数と年少者の数を足せば、それは生産可能人口と余り大きな変化はないのだから、社会保障の財政負担というものを大きく説く必要はないという趣旨の御意見でありました。私どもは、従属人口は大きく変化をしなくても、高齢者の比率がふえることは社会保障費というものがふえていくという性格を持つもの、だからこそ、勤労世代が支え切れる仕組みを、同時に、将来にわたって公平な負担と給付の仕組みをつくらなければならないということを申し上げ続けてまいりました。  ですから、この財政構造改革法でも、御承知のように、平成年度につきましてプラスを認めた数少ない項目であります。確かに、八千億の当然増が必要であるというものを、制度改正を行うことによって、またその他の部分で努力をしていただくことによって、その増枠というものを三千億円程度におさめていただくという、そういう制限の仕方でありました。他のように現在よりも減らせという状況ではございません。  まずこの点を申し上げました上で、平成十一年度におきましても、社会保障関係費、当然ながら、毎年多額の当然増が見込まれる、そして縮減をしようとするとこれは制度改正を必要とするという社会保障関係費の特性があります。また、現下の経済情勢を踏まえましたときに、平成十一年度の社会保障関係費の歳出削減、そのために新たな負担を国民に求めることがないようにできる限りの配慮をする必要があると判断をし、緊急避難措置として平成十一年度に限っておおむね二%というキャップを停止する、そのかわり、それはむだにふやしていいということではございませんから、増加額は極力抑制するという考え方をとりました。  恐らく議員は、単年度かという御指摘もあろうかと思います。  平成十二年度になりますと、これはやはり財政構造改革の必要性は変わらないということをまず申し上げなければなりません。薬価制度あるいは診療報酬体系の見直しなどを内容とする医療保険制度の抜本的改革が平成十二年度を目途に実施されることなどによりまして、医療、福祉の分野における効率化が期待できるということから、現行の財政構造改革法の規定が適用される格好になっておるわけでございます。
  54. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 御丁寧に説明をいただいたわけでありますが、今の総理の御説明は理解できます。理解できますが、財構法の最初のときとどれほど説明に違いがあるのか。ちょっと前ですから、財構法をつくったのは。ちょっと前に今のような状況は恐らく十分総理も御認識されていたと私は思いますし、今総理がおっしゃったようなことは、多分、何カ月前の我が国の状況も全くそのとおりなわけです。にもかかわらずキャップをかぶせたわけですよ、一度は。そしてここへ来て、厚生省の社会保障関係のキャップだけ外すということは、どう考えても、やはり最初の目標そのものが大変に苦しい状況ではなかったのか、私はこう思うのであります。  もう一回総理確認をしたいのですが、私は最初に財構法の話を聞いたときに、聖域なしというのは無理だ、無理ですよと。今総理がおっしゃったとおりです。社会保障関係は、構造改革を、制度改革をしない限りできないわけでありますから、制度改革ができる見通しも、後ほどお話を聞きますけれども、簡単にはないわけであります。制度改革ができずにキャップがかかったということは、結局、必要な福祉の予算まで切り捨てられてしまう、そういうことになるのじゃないのかということを大変心配したわけであります。ある意味では、今総理がお答えになったことは、じゃ、財構法の最初のときはどうだったんだということを私は伺いたいわけでありますが、それは言っていてもしようがありません。  総理、今の総理の御説明は、我が国の現下の厳しい経済状況の中で、社会保障関係費だけはやはり特別の配慮を必要とする。言葉をかえますと、制度改革もしなければいかぬ、制度改革ができなくて下手にキャップをかぶせれば、きめ細かな社会保障の、福祉のお金が切り捨てられてしまう、そういうことになるわけですから、私は、社会保障については特別の配慮をしつつ、これからの財政構造改革を進めていかなければいかぬ、こういうことではないかというふうに理解をしております。したがって、ぜひ特別の配慮ということを考えていただきたいと思うのです。  そこで、実は、財構法とそれから補正予算関係で申し上げますと、これもまた、国民から見るとまことにわかりにくいことになっております。十年度予算は、キャップがかかって、総理から今御説明がありましたように、八千億必要なのを五千億圧縮をした。それで、今回はどうですか。補正予算でどれぐらい社会保障関係は積み増しをしたのか、ちょっと数字を御説明いただきたいと思います。
  55. 田中泰弘

    田中(泰)政府委員 お答え申し上げます。  今回、厚生省関係補正予算は、総合経済対策の一環として、総額五千七百五十三億円を計上いたしております。  以上でございます。
  56. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 今お答えがあったとおり、十年度当初予算ではキャップがかかって、五千億圧縮をしたと。実は、雇用保険の部分がありますから、私に言わせるとプラス一千億、六千億だと思っていますが、六千億圧縮した。それで、補正で、補正構造改革の対象になっていないという議論がこの委員会でも随分ありましたけれども、今回の大型経済対策で五千七百億積み増しをした。一体どういうことなのか、国民はよくわからぬわけであります。  しかし、これはどういうことかというと、五千億圧縮した中には、制度改革が伴わない、どうしても制度改革が間に合わない部分もあったわけでありますから、本当に必要な社会保障の経費も圧縮されています。この委員会でも議論になりました。多くの難病の方々が今回の圧縮について悩んでおられます。あるいは児童扶養手当、さらには、がん検診あたりの事業も国の責任を放棄したような形になっているわけであります。そういうものをきめ細かくある意味では切り捨てておいて、これで五千億あるいは六千億切り捨てておいて、今回補正で五千七百億積み上げる。  この五千七百億というのは一体何なのか。ここでも議論がありましたけれども、切り捨てたものをカムバックさせたものではない。今回の内容はどういう内容かというと、私も伺いましたけれども、さらに必要な少子化対策、障害者対策、ダイオキシン対策、厚生大臣も胸を張ってこの席でおっしゃった。そういう予算を積んだのだ、こうおっしゃった。  言葉をかえれば、財政構造改革がかかっているから、二十一世紀のためにみんなで我慢しなければいけない時代が来たから予算を圧縮しよう、これはもう我慢しなければならぬな、予算を圧縮されて削られた方は、そう思うでしょう。その結果、それで本当にそうなったかというと、補正予算で五千七百億。この中には真に必要な社会保障の経費が入っているということになりますと、きめ細かな福祉の予算を、私は実態をよく知っております、各福祉団体あたりは、一五%から一〇%、補助金は一律カットをされている。そういうものを全部切り捨てておいて、財政構造改革だ、こういう言葉で説明させておいて、そしてそのお金を、小泉厚生大臣の言われる、新たに必要な、本当に必要な社会保障の経費に回していると。  これは、国民から見てどう思うか。私は、まことにわかりにくい姿だ、こう思うのでありますが、小泉大臣の御見解をお伺いします。
  57. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 総論賛成、各論反対という言葉があります。去年は、財政再建をしなければいけない、歳出を削減しなければならないという大合唱だったと思います、与党、野党を問わず。そういう中で行財政改革をしなければいかぬということで、一切の聖域なしでやろうということで、私どもとしては、来年度予算、いわゆる十年度予算というのは前年度予算に比べてマイナス予算を組むという方針を立てましたけれども、福祉関係、社会保障関係に限っては、私は前年度マイナスは無理だと主張いたしました。  そういうところから、福祉関係に限っては、各省庁マイナスだけれども、三千億円増を認めてもらった。しかしながら、三千億円増を認めてもらっても、これは実際は、黙っておくと、制度改正しない限りは八千億円程度当然増ができるので、五千億程度削減しなければならないということで、ぎりぎりやったわけであります、御承知のとおり。  案の定、補助金なんか全部なくせと言った方々も、一〇%、二〇%削っただけで大変な反発ですよ。いかに歳出削減というのが苦しいものか、増税と同じような痛みを伴うかというのがようやくわかってきたのだと私は感じています。  必要だ、必要だと。全部必要があるから予算をつけているはずなんですよ。全部必要だったら財政構造改革なんかできません。それをやらなければならないのが歳出削減だと思うのです。ようやく、歳出削減というのは増税と同じように、あるいはそれ以上に苦しいということがわかってきた。しかし、これから増税できるほどの状況ではない、国債を増発できるような状況ではない、だから行財政改革をしようということで、みんなこれは四苦八苦しているんだと私は思います。  そこで、前提が、あのときの覚悟を持って私はやってきました。そこまでの覚悟があったらやりますよと。当時、私は、こういう話をしてはなんですけれども与党内でも、皆さんがやれと言うならやるけれども、もし皆さんの方針どおり私がやって悲鳴を上げるのは、野党よりも与党ではないかと言ったぐらいですよ。しかしながら、やれと言ったからやりました。  ところが、事情が変わって、財政構造改革法を変えるという話になってきた。となって、公共事業をふやすという話になってきたから、私は、去年の予算編成の前提が崩れているのではないのかと。各省庁マイナスだということで私はこれだけの、反発を覚悟で福祉予算を組んできた、だから、公共事業を兆円単位でふやすのだったらば、しかも国債を増発して減税をする、これも兆円単位でやるというのだったらば、社会保障関係も例外扱いしないと国民の理解を得られぬのじゃないかということで私は主張してきたわけであります。最終的に、私の主張を取り入れてくれて総理は決断をしてくれた。  今後、十一年度の上限枠は外しますけれども、十二年度には制度改正、構造改革をすることによってできるだけ効率化して、重点化して、社会保障関係を組まないと――今後、予算を考えれば一番ふえるところは社会保障関係費と公共事業費なんです。国全体の国庫負担を考えて、どの項目に一番税金を使っているかというと、社会保障関係と公共事業費。この二つの歳出構造に手を入れない限り、財政再建なんていうのはできるはずないのです。  一番国民の要望のあるところにどうやってメスを入れるかというのが、これからの政党の課題だと私は思っています。という意味において、今回特別な形で財構法を改正しまして、社会保障関係の例外枠を認めてもらいましたけれども、今後とも、根本的な制度改革に踏み込まない限り、ますます増税路線に行ってしまう、あるいは若い人に増税のツケを負わす国債増発になってしまう。それを避けなければならないから今後一生懸命やっていく。社会保障も例外ではありません。
  58. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 小泉大臣と話をしていると、いつもそうやって小泉大臣が苦しい状況をお話しになって、私には居直りのように見えるときもあるのでありますが、その思いはよく理解できます。  ただ、私が申し上げたかったのは、当初予算で削っておいて補正で積むなと。そういうやり方はある意味では詐欺みたいなものでありまして、圧縮のために影響を受けている人たちは本当にこれは納得できないということでありますから、十一年度はキャップは外れるわけですから、来年こういうことをしてはいかぬよ、来年もこんなことをしてはいけませんよということを申し上げたいわけです。
  59. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 それは、私も原則として補正がない方がいいにこしたことはありません。本来、全部当初予算でやるべきだと思っています。しかし、何が起こるかわからない。緊急避難的に、やむを得ざるときには補正予算を組まざるを得ない。委員の議論としては、望ましい姿としては、補正予算を組まずに当初予算で全部やるのが望ましいということには私は賛成であります。
  60. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 厚生大臣がおっしゃるとおりなのですよ。これは国民から見て、予算を圧縮しなければならぬという状況のときには、やはり全体を広げて、社会保障全体の枠の中でどこが圧縮をされ、どこが伸びるのかという姿が、全体像がわかるようにしないと、これは当初と補正なんかでやってしまったらだれもわからない、そういう思いがあるということを御指摘をさせていただきたいと思うのです。  時間もないので、もう一点、非常に市町村が関心を持っている問題をお尋ねしたい。  財構法との絡みで、社会保障関係予算の問題でありますが、現在、介護保険が十二年度からスタートするということで、まさにこの財構法の絡みもあり、もう市町村は大混乱の中で仕事をしております。介護保険の準備もしなければいかぬ、自治大臣もおられますけれども、減税もたび重なる減税が、二月や、また今回もある。市町村で一体どういう事務をしているのか、もう目を覆うような状況になっているのじゃないか、私はこう思うのであります。  さてそこで、十二年度から介護保険が始まりますが、十一年度までに各市町村は、今までのゴールドプラン、新ゴールドプランを整理しつつ、新しく十二年から始まる介護保険のために介護保険事業計画なるものをつくる。これは向こう五年間の介護保険のサービス量、自分たちの市町村の中でどういうふうに福祉サービスを提供するのか、福祉の基盤を整備するのか、この介護保険事業計画なるものをつくります。これを集計すると、言葉では新ゴールドプランからスーパーゴールドプランというふうに言われておりますけれども、恐らくそこを整理せざるを得なくなると思います。その時期は、十二年度スタートでありますから、十一年度の中でやらなければいかぬ。  私は財構法との絡みで心配しておりますのは、財構法の中で、経過期間については歳出を伴う新たな長期計画はつくらないという五原則もあった、この部分との絡みでどうなるのか、大変に心配しております。  最初にお伺いしたいのは、小泉大臣に、この介護保険事業計画、市町村、県がつくります、これがどういう形で国で整理されるのか、それは恐らく歳出増を伴うだろう、私はこう思っておりますが、そこのところをまずお伺いしたいと思います。
  61. 小泉純一郎

    ○小泉国務大臣 私も苦慮した案件の一つにその問題があったのです。十二年度介護保険導入を目指すために、これは保険あって介護なしの状況をつくってはいかぬ、どうやって介護基盤整備を進めていくか。介護基盤整備の予算をつくるためにも、あらゆる今までの社会保障関係を見直して、不必要なところあるいはむだなところというのは、皆さんないと言いますけれども、できるだけ必要度の高いところにやっていこうという形で切り詰めて、何とか介護基盤整備を図っていかなければならないということで、いろいろ予算のない中でやったために、確かに市町村も困った面もあったと思います。  しかし、ぎりぎりに見込んで介護基盤整備でやったということで、今回補正でふやす、委員が御指摘のとおり、混乱といいますか、戸惑っている面もあると思いますけれども、逆の面から見ると、ほっとしているという面もあるのですよ。これだけ切り詰めた中で新たな予算をやっていいという面も出てきたものですから……(桝屋委員「詐欺みたいなものだよ」と呼ぶ)これは詐欺というよりも、ああ、少し助かったと思っている市町村もあるはずです。  できるだけこういう状況をとらえて、補正予算を組む金があるのだったらば、介護基盤、これからの新しい時代に予算もつける必要があるということで、今回五千億円弱をつけたものですから、これで混乱というよりも、むしろ私は、ほっとしている市町村の方が多いのじゃないかというふうに考えております。
  62. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 今、ほっとしているというのは、もうそこは議論しません、時間がないので。  僕の質問に答えていないのですよ。どうするのですか。介護保険事業計画というのは歳出増になるのじゃないのか。そういうプラン、長期計画は必要になるのじゃないですか、少なくとも五年計画は。そこはどうなのですか、答えてください。
  63. 中川秀直

    中川委員長 簡潔にお願いします。
  64. 羽毛田信吾

    ○羽毛田政府委員 お答えを申し上げます。  介護保険法が施行になりまして、介護保険事業計画、確かに長期計画としてつくる必要はございます。しかし、財政構造改革法との関係をお尋ねでございました。  最終的に、いろいろ御議論がございまして、介護保険事業計画に基づく事業もこれは効率的にやっていくということは当然配慮をしなければなりませんが、いわゆる財政構造改革法の中で直接に縮減の対象になっております公共事業に関する計画とは、これは基本的な性格を異にする、いわゆる市町村がつくる介護保険事業運営のための計画ということでございますから、直接の財政構造改革法の縮減の対象ということには、直接の名あてにはなっておりません。  したがいまして、こうした状況を踏まえまして、平成十二年度から施行されます介護保険制度の円滑な実施ができるように、全体としてやはり効率的な施行ということは当然考えていかなければなりませんが、一面において必要な整備を図っていくということで対処してまいりたいということで、財政構造改革法によって直接的な、いわば矛盾をするというような位置づけになるものではないというふうに認識をしております。
  65. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 端的にお答えをいただきたいのですが、介護保険事業計画をつくるときには歳出増ということも考えられるのじゃないかということを私は伺っているのですが、そこのところをもう一度。それは財構法との絡みで、大丈夫だな、それは歳出増になっても計画はっくれるのかどうかという点を端的にお答えいただきたい。
  66. 羽毛田信吾

    ○羽毛田政府委員 歳出増加になるかどうかは、必要な整備を、各事業計画をつくり上げていただいたところで決まってくる要因だと思います。  その中で、歳出増になるかもわかりませんけれども、それは二つ側面があろうと思います。全体としていえば、社会保障予算の中でこれを賄わなければならないという意味では、その介護保険のための基盤整備だけではなく、全体の社会保障制度の中でいかに整備を図っていくかというその全体の問題と、それから、直接に財政構造改革法の中で縮減をしなければならないという、公共事業計画というふうに書いてあるものとの関係ということであれば、先ほど申し上げましたように、直接の関係は出てまいりません。
  67. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 時間もないのですが、これは大変気になるところなので。公共事業とは別だからとおっしゃったけれども、例えば特別養護老人ホームにしても老健施設にしてもいまだに数は足らぬわけでありまして、それは、マクロから見たらゴールドプランは進んでいますよ。しかし、実際に市町村、県の格差を見ると、全く足らないところもあるわけでありますから、当然ながら公共事業の積み増しも必要だろう、私はこう思っているのですが、財構法との絡みは本当にありませんか。もう一回答弁をお願いします。
  68. 羽毛田信吾

    ○羽毛田政府委員 社会保障予算全体を、いわば財構法によってどういうふうにその限度を設けるかという議論においては、それは当然関係がございます。公共事業計画あるいは公共事業に関する計画について縮減を図るという、具体的に申し上げれば、財構法の十五条との関係において先ほど端的に御答弁を申し上げた次第でございます。  したがいまして、社会保障全体の予算平成十二年度、例えばキャップがかかるということになりますれば、その中での話としていえば当然かかってまいりますけれども、その場合には、介護基盤整備だけではなくて、社会保障予算全体の中でどのようにめり張りをつけていくかということの中で対応する話になってくるというふうに考えます。
  69. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 お話を聞く限り、私もよくわからないのですが、今の局長さんの御答弁では、十二年から介護保険は始まる、介護保険事業計画、これは財構法との絡みで十分整理はできる、こういうふうにお答えをされたのかと思うのですが、現場の状況からしますと、まだ理解ができません。  時間もありませんから、最後に総理にお伺いしたいと思うのですが、総理、さっきおっしゃったとおり、これからはやはり社会保障の経費というのは、これからの財政構造改革の中でまことに厳しい道、端的に言うと、制度改革をやらなければいかぬ、恐らく財構法の精神からいくと年金と医療、なかんずく医療保険制度だろうと思うのです。  今回の十年度の当初予算でも、随分医師会との関係で苦労されました。大混乱があったというふうに私は理解しております。本当にこの国の二十一世紀の少子・高齢化社会のために制度改革をきちっとこの財構法の中でやり上げる、こういう御決意があるのかどうなのか、私はお伺いをしたいと思います。
  70. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私は、これは財革法があるなしにかかわらず、将来を考えるとき、社会保障制度というものは後代の勤労世代の負担に耐えられる範囲であり、しかもセーフティーネットとしての役割を果たし得る、そのぎりぎりを設計していかなければならないと考えてまいりました。  今議員から御指摘がありましたけれども、まさに医療保険制度におきましても、医療の提供体制と医療保険制度、その両面にわたる抜本的な改正というものをやり上げていかなければなりません。十二年度を目標に実施すべく全力を挙げて取り組んでまいります。
  71. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 最後になりますけれども、私どもは、やはり本当に福祉を大事にする、社会保障を大事にするのであれば、今は我が国は、中途半端なことをやめて、しっかりと景気対策をやるということが何よりも必要だ、ここの路線を間違うと、結局は、本当に多くの国民、庶民が苦しむ姿になるのではないか、こういうことを主張し、私の質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  72. 中川秀直

    中川委員長 これにて桝屋君の質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――
  73. 中川秀直

    中川委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  各案審査のため、本日、参考人として日本銀行総裁山口泰君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  74. 中川秀直

    中川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――
  75. 中川秀直

    中川委員長 次に、谷口隆義君。
  76. 谷口隆義

    ○谷口委員 自由党の谷口隆義でございます。  まず初めに、当委員会で現在審議をいたしておりますこの法案につきまして、本日、質疑終局、採決というように予定されておるところでございますが、質疑終局した段階で延べ五日間、三十時間にもまだ至っておらないわけでありまして、極めて審議時間が不足しておる、このように申し上げたいと思います。  地方税の減税案が五月末に施行されるということであれば、これを切り離して、これだけ先行処理することは可能であるわけでありますので、このような審議時間が極めて少ないというような状況につきまして、まず冒頭、委員長に厳重に抗議を申し上げたいというように思います。(発言する者あり)何ぼでもあるんだよ。幾らでもあるんだよ。  同僚議員から、この財革法改正案についていろいろ種々議論がございました。私が本日申し上げたいのは弾力条項の問題であります。  まず、この弾力条項はすべて政令事項ということになっておる。本来、当委員会でこのようなことについて議論をしなければいけないにもかかわらず、これらが政令事項になっておるということに対して、大変これは問題があるとまず申し上げたいというように私は思うところであります。  この内容に、著しく異常かつ激甚な非常災害の発生、または経済活動の著しい停滞が国民生活等に及ぼす重大な影響に対処するための施策の実施に重大な支障を生じるときを除き、このようになっておるところでございまして、これで、本年四月の財政構造改革会議での例の実質GDP成長率が一%未満の場合ということになるわけであります。  総理にまずお聞きしたいわけでございますが、実質成長率が一%を超えると財政構造改革案がかかってくる、また一%を下回ると特例公債の発行ができる、こういうことになりますと、まさに、経済成長のアクセルを踏んで、一%になるとまたブレーキをかける、また落ちてくるとアクセルを踏んで、一%に近づくとブレーキを踏む。政府は一%以上の成長率を望まないのですか。おかしいじゃないですか、こんなのは。総理の御見解をまずお聞きしたいというように思います。
  77. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 今回の法律案、そういう読み方もできるのかと、これは大変失礼な言い方かもしれませんけれども、今本当に私はそういう感じがいたしました。  そして、確かに本年四月二十四日の財政構造改革会議経済活動の著しい停滞に三つの基準を設けておりまして、直近の二四半期連続で実質GDP成長率、前期比年率が一%未満の場合、あるいは直近の一四半期実質GDP成長率が一%未満であり、かつ当該四半期後の消費、設備投資、雇用の指標が著しく低調な場合、これはまさに、いずれも、特例公債発行枠の弾力化をしなければ施策の実施に支障が生ずるかどうかを検討するためのトリガーであります。そして、財政政策によって経済成長を一%に収れんさせるようにコントロールするためのものではございません。  同時に、今の御議論は、特例公債発行額をふやせば経済成長率が上向く、減らせば低下するというお考えのように思いますけれども、我々は、先ほど上田議員がつくられた表を拝見しながらも申し上げましたように、民間活動が我が国経済の主体をなす、そういう状況をつくらなければならない。  そして、特例公債の発行に依存しなければ持続的な経済成長が達成できないということには私は問題があると考えておりますし、財政構造改革というものが中長期的に国民負担率の上昇を抑えること、あるいは公的部門の簡素合理化などによって経済の活性化に資する効果を持っていることも考えますと、私は、特例公債発行額と成長率をリンクさせて、その上でこの弾力条項が我が国の経済成長率を一%に収れんさせるためのものであるというお考えには納得しがたいものを感じております。
  78. 谷口隆義

    ○谷口委員 今回の経済対策、十六兆円を超える経済対策が予定されておるところでございます。先日の総括審議の折にも申し上げたところでございますが、政府は、昨年四月に九兆円の負担増を国民にもかぶせた。そのときに私は、景気見通しに誤りがあったのだろう。多分、政府与党は、小石にけつまずいてこけても、すぐに立ち上がるだろうと思っていたのが、立ち上がらない、ずっと悪くなる一方、そのときに初めて、我が国の体力がこんなに落ちておったのかとわかったのだろうと思うのです。そういうような状況の中で、今、大型経済対策をやらざるを得なくなったではありませんか。  今、我々が主張しておるのは、財政改革は当然必要であります。私はこれは否定するものではありません。それよりもまず、我が国の景気活性、経済再建を優先的にやらなければいけない、このように申し上げておるところでございまして、そういう状況の中で、一%を超える場合にこの財革法改正案がかかってくるということになりますと、またこのあたりで大変成長が厳しい状況になってこないかというように大変危惧しておるところでございまして、冒頭質問したところであります。  それで、この財政構造改革法案、財革法、従来、昨年十一月に財政構造改革審議をした折に、この法案が財政構造改革たり得るのかというような議論もございました。ですから、歳出の削減のみやっておるこのような法案は、財政構造改革とは言えないのではないか。歳入面の問題、税率構造に踏み込んで恒久減税をするというようなところまで踏み込んでおらないし、私が次に申し上げたいのは、我が国の財政構造の最大の特徴でございます特別会計制度、特会と言われるものですね、このようなところに全くメスを入れていないわけであります。  この特会は財政全体の透明性を極めて悪化させておると言われております。今特会が三十八あります。大蔵省では増加することを極力抑えておって、特会の下に勘定というのがありまして、こういう名称がある。独立経理を行って、実質的に特会を増加しておるところでございますが、これらの数は七十三に上がります、特会と勘定を合わせますと。それにプラスして政府関係機関が九十二あるわけでしょう。一般歳出の削減、抑制を行おうとすれば、このようなところに切り込んでいかなければいかぬ、一般歳出の九割近くはこのような特会への繰入額で占められておるわけでありますから。  集中期間というのがございました。この短期間の集中改革期間は、特会を利用して表面的に財政構造がよくなったようにすることは可能なんですよ、出ていないのだから。財政構造改革と言うならそのあたりまで切り込んでいかなければいかぬ、このように私は思うところでございます。  今、国民はもう全く今の財政状況がどうなっているのかわからないわけであります。私も全く全体像が見えてこない。このような状況の中で財政構造改革財政構造改革と言っても、全くわからないではないですか。氷山の一角だけ。  総理、このようなことについての御見解をお聞きいたしたいと思います。
  79. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 細かい数字など、もし必要でありますなら政府委員から補足をいたすことをお許しいただきますけれども、まず、今例示のようにして挙げられました特別会計、従来から毎年度予算編成過程で不断の見直しに努めてきたところでありますが、財政構造改革法六条におきまして、一般会計だけではなく特別会計を含むすべての歳出分野を対象とした改革を進めることを当面の方針とする旨を決めており、平成年度予算編成に当たりましては、この財政構造改革法の趣旨を踏まえて、特別会計につきましても、一般会計同様の歳出の抑制、見直しを行ってまいりました。  特に各特別会計予備費予算額についての見直しを具体的に申しますなら行いまして、二十六特別会計において平成年度当初予算に比べ減額を行っているという報告を受けております。  そしてまた、私は、確かに議員が御指摘になりましたように、歳入歳出両面の問題、さらに財政投融資というものも含めて考えていかなければならないと思っております。そして、財政投融資につきましては、別途国会で御論議をいただいております中央省庁等改革基本法の中において預託の廃止という方法に踏み切り、これによって大きな変化を生ずるその端緒を切る、そうした方向に向けております。  また、当然ながら、それは、今お触れをいただきました一般会計、特別会計、これはただ単なる財政収支の改善ということだけではなく、官民、また国と地方の役割分担等にも着目した改革が必要でありますし、歳入面の財政的な観点、公平、中立、簡素という幅広い観点にあって税負担のあり方を見直し、改革、検討していくことが重要であることは当然であります。  そして、その負担の水準につきましても、その時々の国民的な論議を必要とする検討すべき課題である、そのように思いますけれども、まず歳出の改革、縮減に最大限の努力を傾注すべきである。そして、国民の御理解を得る上でも、改革の実現にこの問題は必要な観点だと考えております。
  80. 谷口隆義

    ○谷口委員 今総理がおっしゃったように、財投の改革も必要でありますし、またこの特別会計の問題は極めて重要であります。このようなことにメスを入れないということであれば、本来の財政改革はできないというように申し上げたいと思います。  それで、私、特会の中の外為特会、外国為替特別会計についてお伺いいたしたいところでございまして、これも先日総理に、四月九日、十日の介入の件をお聞きいたしました。あのときの介入の金額が、大変驚くべき多額な金額が介入に使われたというようなことでございます。二百億ドルということでございました。  我が国の介入の金額のトレンドをずっと見てまいりますと、今私が聞いておりますのは九五年でございますが、九五年は年間を通じての介入金額は五百億ドルですよ。年間を通じて我が国が介入をしたのは五百億ドル。本年はもう二日で二百億ドルの介入をした。  このようなことで、私は前回も申し上げたのですが、この四月一日からグローバリゼーションがいよいよ本格的に始まった。どんどんどんどん我が国の経済を開放したわけであります。金融鎖国と言われるような状況がなくなったわけでございますので、そのような状況の中で、果たして従来の介入というものについてこれでいいのか、介入の効果があるのかないのか。  また、外貨準備政策でありますね。我が国の外貨準備は二千二百億ドル、世界一なんです。このような外貨準備政策が果たして従来のままでいいのかどうか。また、現行の介入の仕組みが果たしてこれで問題ないのかというようなことをここで考え直していかなければいけないのではないかというように思うところであります。  御存じのとおり、為替市場への介入は国の外国為替特別会計の枠内で行われて、介入の権限は大蔵大臣でございます。日銀は大蔵大臣からの委託で実際の介入を行っておる。介入資金は外国為替資金証券、いわゆる一般的に為券と言われるもので、日銀が引き受ける形で賄っておる。こういうようなやり方のようでございます。  従来も、九五年度年間を通じて五百億ドル、このように申し上げましたが、九三年、九四年、九五年のトレンドを見てまいりますと、我が国の介入額が、九三年は、アメリカを基準に比較してアメリカの十七倍、九四年は八・三倍、九五年は十七・三倍と、極めて多額な金額が介入をするのに使われておるというようなことで、我が国は突出しておるわけであります。  このような状況の中で何点かの問題点がございまして、会計上の損益を出す際に、外貨建て資産の円貨建てでの評価損が計上されていない、そういう意味で極めて不透明だということ。G7などの報告書が介入の効果は限定的としておる中で、巨額で、しかも断続的に行う介入の手法は果たしてこのままでいいのか、再検討する余地がないのかということが第二点目であります。第三点目は、先ほども申し上げたように、我が国の外貨準備は世界一でありまして、そのような状況の中で為替リスクのある外貨準備を一本調子でふやしていくことについての問題点はないのか。  また、きょうは日銀から副総裁が来ていただいておりますので後でお聞きしたいと思いますが、介入資金の引き取りを、日銀の方で主に引き受けられておるわけでありますが、これを増大させていく場合にインフレの懸念はないのかというような問題が多々あるわけでございます。  冒頭、総理に、先ほど申し上げました現在の介入の効果、外貨準備政策、また現行の介入の仕組みについて御見解をお聞きいたしたいというように思います。     〔委員長退席、甘利委員長代理着席〕
  81. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 議員から不透明というお話がございました。外為特会の情報公開ということでありましょう。これはまず、国会に対しては、予算書などにおきまして外為特会の損益計算書あるいは貸借対照表を開示いたしておりますし、外貨準備高等について定期的に公表を申し上げております。  その上で、私は、本来、介入のあるなし、あると想定されても、その規模、タイミング、場所等々について政府関係者として言及すべきことではないと考えてまいりました。そして、私自身はそういう方針をとってまいりました。しかし、その介入のタイミングあるいはその手法等については、その時点その時点におきまして、必要に応じ、例えばG7の関係当局間における連携等を含めまして、その時点に応じた場所、タイミングあるいは手法、金額等が定められておるものと考えております。
  82. 谷口隆義

    ○谷口委員 今の総理の答弁は、私が申し上げていることへの答弁にはなっていないのです。要するに、このような状況の中で介入そのものの見直しをしていく必要があるのではないかというように申し上げておるところでありまして、これ以外にいろいろな問題点があるのです。  日銀の山口総裁にお伺いしたいところでございますが、日銀が為券で資金調達するわけですね、外国為替資金証券。これは公定歩合より低い金利で、割り引いて調達しておるというようなことでございますが、この介入資金の為券の現行金利を教えていただきたい。
  83. 山口泰

    山口参考人 日本銀行は、為券のみならず、政府短期証券というものを引き受けておりますけれども、現在の金利は〇・三七五%でございます。
  84. 谷口隆義

    ○谷口委員 〇・三七五%ということで、現在の公定歩合が〇・五%でありますので、〇・一二五%低い。  それで、本来、この介入資金を通常の市場で、マーケットで調達しますと、このような安い金利では調達はできないわけでございます。これはちょっとお聞きしたいのですが、通常の金融市場で調達した場合に比べて、公定歩合より低い金利で調達しておるわけでございますから、九五年は五千四百億円の利ざやを失ったのじゃないか、このように言われておるところでございますが、日銀の方でそれ以外の資料がございましたら、御報告をお願いいたしたいというように思います。
  85. 山口泰

    山口参考人 日本銀行にとって、為券その他政府短期証券を引き受けた場合と、同じ金額をマーケットの金利で運用した場合の利息収入と、恐らくこの差額はどれぐらいに当たるかという御質問ではないかと存じますが、市場金利というものが当然変動しておりますので、どういう金利のどういう時期をとるかによって、計算結果は当然異なってまいります。  そこで、ごく単純な仮定を置きまして、例えば、日本銀行が為券で引き受けました金額を、そのかわりに手形市場でもって運用するというようなことを想定してみますと、ここ三年間の平均で申し上げますけれども、為券による収益と手形市場で運用したと仮定した場合の収益との差額は、年平均六百五十億円ほどになります。これはここ三年間の平均でございまして、一年ごとをとりますと少しずつ変動しております。  なお、一言付言させていただきますと、日本銀行はこういう収益の最終的なしりを国庫に対して納付金という形で納めさせていただいておりまして、収益が減少するという場合には、最終的には納付金の減少でもって調整されるという筋合いにございます。
  86. 谷口隆義

    ○谷口委員 先ほどこの介入が極めて透明性がないというように申し上げました。アメリカでは、協調介入かまた単独かを含めて、一日単位で介入額などが明らかにされておるようであります。またドイツにおいても、連邦銀行の年報で、アニュアルレポートで詳細を報告しておるようでございます。我が国は介入の実態について報告が現在行われておるのかどうか、御報告をお願いいたしたいと思います。
  87. 黒田東彦

    ○黒田政府委員 お答えいたします。  先ほど総理からもお答えの中で触れられておりましたように、外為特会がこの介入を行う資金を管理しているわけでございますが、その外為特会の状況につきましてはかなり詳しい形で、国会に損益計算書、貸借対照表等々を御提出して開示いたしておりますし、それから、何よりも、介入のもとになります、特に外貨の売り介入のもとになります外貨準備というものは、御承知のように、毎月、月末の値を翌月の一日に発表するというような形をいたしております。  そういう種々の形で、介入を行っております外為特会の状況は公開しておるわけでございますが、個々の介入につきましては、確かに、その時期、場所、金額等は公開をいたしておりません。これは多くの国がそうでございます。  なお、私ども承知しております限りでは、米国が四半期ごとに、四半期のネットアウトした金額を公表しているということは承知しておりますが、ほとんどの国、主要国では、介入については金額は公表しておらないというふうに承知をいたしております。
  88. 谷口隆義

    ○谷口委員 いずれにしても、この介入の公表が、私は大蔵省の担当の方にお聞きしたわけでありますが、全く不明瞭でありました。  大蔵大臣は、この介入の際、大蔵大臣の権限で行うことになっておるわけでありますが、この介入について、御自身判断で介入の指示を出されたというようになっておるはずでございますが、どのように現実やっていらっしゃるのか、御答弁をお願いいたしたいと思います。
  89. 松永光

    ○松永国務大臣 介入を実施するかどうかということは、文字どおり専門家の事柄でありますので、事前に担当者から市場動き等の説明はあります。そして、やることにしたいという話がありますので、それに対して普通、イエスという返事をし、それによって方針が決まる、こういうことになっておるわけであります。
  90. 谷口隆義

    ○谷口委員 要するに、事後報告ではなくて、事前に報告があり、大蔵大臣の権限で介入の指示を出すということですか。
  91. 松永光

    ○松永国務大臣 いつ、どういう市場で、どの規模でやるかというところまでは、これは専門家の、技術的なこともありますので、それに任せるわけでありますが、やるかどうかという点については、私が返事をすることになっております。
  92. 谷口隆義

    ○谷口委員 時間がないので、もう終わらなければいかぬのですが、要するに、為替の介入のタイミングを大蔵大臣が事前に知っていらっしゃるということは……(松永国務大臣「そういうことないんです」と呼ぶ)事前に報告があって、介入をする指示を出すわけでしょう。(松永国務大臣「細部はないです」と呼ぶ)いや、だから、そういうことなんですよ。
  93. 甘利明

    ○甘利委員長代理 個人的にちょっとやりとりしないで。
  94. 谷口隆義

    ○谷口委員 そういうことでないと、大蔵大臣は権限があるのだから。  だから、私が言っておるのは、事前に介入の事実はわかっておるといろいろな問題が生じやすいので、その細部について、私、本日質問したかったわけでありますが、また時を選んで、大蔵委員会等で質問いたしたいと思いますが、この介入そのものを見直していく必要がある、もっと大きく言えば、特会制度そのものを見直していく必要がある、これこそ財政構造改革なんだということを申し上げまして、質問を終わりたいと思います。
  95. 甘利明

    ○甘利委員長代理 これにて谷口君の質疑は終了いたしました。  次に、児玉健次君。
  96. 児玉健次

    ○児玉委員 日本共産党の児玉健次です。  総理が議長をなさっている財政構造改革会議、大蔵省からいただいた資料によりますれば、ことしの四月十日、四月十六日に、財政構造改革法の弾力条項、目標年次などについて説明と質疑が行われた。そして四月二十四日、私もちょっと驚いたのですが、総理が官邸にお入りになったのが朝の七時四十分前後、そこに政府与党の元首相や元大蔵大臣などを含むお歴々が参加されて、そして、現在私たちがこの特別委員会審議している財政構造改革法の手直しの最終取りまとめが行われ、その日のうちに総合経済対策も発表された、こういうことになっていますね。随分大変な会議だと思います。  昨年十月三十一日の特別委員会の締めくくり総括で、この点については若干総理と私は議論しましたが、そのとき総理は、「政府与党がそれぞれのテーマを選び、それぞれの会合を持つ」というふうに御説明になった。この会議はこの後どうなっていくのでしょうか、お聞かせいただきたい。
  97. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 御質問にお答えする前に、一点、お許しをいただいて発言をさせていただきます。  本日、日本時間の十一時、スハルト大統領が大統領を辞任し、憲法の規定に従い、ハビビ副大統領がインドネシア大統領に就任する旨の報道がございました。この点、冒頭に御報告を申し上げます。  その上で、今議員から財政構造改革会議についてのお尋ねをいただきましたが、財政構造改革会議は、今後とも、必要がありますならば、折に触れ、その時点における重要な課題を御相談申し上げる、そうした場として存在をいたしております。
  98. 児玉健次

    ○児玉委員 今、総理からニュースをお聞かせいただきましたが、私は、インドネシア国民の民主主義の大きな前進としてそれを高く評価したいし、心から、インドネシアの民主化を求める方々に対して私どもの連帯の意思表示をしたい、このように思います。  さて、本題に入りまして、財政構造改革法が現在どのような状況にあるか、このことを中心にして若干お尋ねをします。  昨年の秋、財政構造改革法の審議が行われたとき、一切の聖域なき歳出削減という言葉が皆さんから随分出されました。昨日この委員会で私どもの矢島議員の質問に対して大蔵省の主計局長が明らかにされた中身は、事態を非常に明快に示していると思います。  財革法の第十四条では、御承知のように、平成年度の当初予算は、平成年度の公共投資関係費の額に百分の九十三を乗じた額を上回らないようにする、このように明記されています。そういう中で、平成九年から平成年度予算に向けて八千二百十二億円の減があった。七・六%のマイナスですね。ところが、今回の補正の追加分で三兆四千九百二十七億円の増加が行われた結果、十三兆五千三百九十六億円、一挙に二四・六%増になった。この間の特別委員会の論議で、さまざまなことが議論されました。  財革法の十五条には、公共事業に関する計画について、「事業の量を変更することなく」とわ、ざわざ書かれている。この中には、総理もたびたび御答弁の中でお話しになった、例えばコストの削減の問題、費用対効果分析の活用の問題、それらを織り込んでいるから、七%減じても事業の量は変更することなくという言い方がされるんだ、私はそう理解しています。事の是非は、これはまた別です。  ところが、今の事態というのは、「事業の量を変更することなく」どころではない。率直に言って、時計の針が昔に戻って、歳出について巨大な聖域が今生まれつつあるのではないか。この点に絞って、総理のお考えを聞きたい。
  99. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 今回の総合経済対策並びに補正予算の第一の柱は、社会資本整備と減税による国内需要の拡大であります。また、その中におきましても、経済構造改革、社会保障構造改革、教育改革などを念頭に置きまして、二十一世紀を見据えた、我が国社会の発展にとって真に必要な社会資本を整備することとしております。  その際にも、特に緊急性の高いダイオキシンあるいは環境ホルモン対策、新エネルギー対策、将来の発展基盤となる科学技術の振興や情報通信の高度化への対応、少子・高齢化の進展への対応のための福祉、医療、教育などの、国民の暮らしに密着する分野に事業費を重点配分いたしております。  こうした社会資本の整備は、減税その他の措置と相まって、景気効果的な回復に向けての作用を果たすもの、そのように位置づけております。
  100. 児玉健次

    ○児玉委員 繰り返しお聞きをしたことです。もうはっきり言っておきますが、私どもは、例えば公園や……(橋本内閣総理大臣「繰り返して聞くんだもの、繰り返して答弁しますよ」と呼ぶ)私は初めてです、この質問は。  公園や公営住宅や学校の建てかえや、国民生活に密着した分野における公共事業は、私たちは力を入れなければいけないと思っていますよ。日本のインフラ整備はヨーロッパに比べておくれている。今はこの財政構造改革を中心にして議論をしているわけですから、私はそこに絞りたいわけだけれども、そういう中で、今度の二四・六%の公共事業の積み増し、これは明らかに日本財政再建を困難にする一つのおもしたと考えざるを得ません。  昨日、このことが議論されたとき、松永大蔵大臣は、これはまだ確定したものではありませんけれども、「一日も早くこの厳しい状況から脱出することができるようにという緊急的な措置として公共投資の追加をした、」こう申されながら、その後、「結果においては、財政構造改革推進していく上からすれば、形式的には、財革を進めていく上では将来が厳しいものになるということは想像できるわけです。」こうお答えになった。私は、これは非常に率直な御答弁だったと思います。これだけ一切聖域なき歳出構造の削減と言っておきながら、まだ五カ月足らずにして巨大な聖域を生み出されてしまう。これでは、私たちも今真剣に考えている日本経済の国民的な再建の道を遠ざけるだけですね。このような手法はとるべきでない、私はそう考えます。  その面であえて申したいのですが、去年の六月三日といえば忘れることができません。財政構造改革会議が最終報告をまとめ、そしてそれを閣議が決定をされた。その後の総理の記者会見、恐らく総理にとってはこれは重要なステップだったから御気分も高揚されていたと思うのだけれども、そのとき総理の記者会見は、これはマスメディアのものではありません、官邸からいただいた資料だけれども、「財政による景気刺激策ばかりをいつも使っているとか、体質が結果として活力がなくなってしまうとか、そういった御指摘も既にいただいています。」こう率直に述べられた上で、いわゆる景気対策大型補正予算、これによって景気のてこ入れをしてきたということは否定しません、そうお述べになりつつ、「公債残高は非常に増えて、財政状況は本当に危機的な状況にあります。」こう述べられた。  御自身が退けられた手法を今また採用されているのではないか。いかがでしょうか。     〔甘利委員長代理退席、委員長着席〕
  101. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 本日、一番最初に質問された上田議員が、過去の財政対策、そしてそれと株価を組み合わせたデータを見せてくださいました。そしてそれは、それなりの効果を上げつつも、その効果が切れたときにまた株価が落ちるという繰り返しであった。そして上田議員からは、そういう手法についての御論議をいただいたわけであります。議員の御質問も同趣旨でありながら、少し食い違う部分を持っておるように思います。  その上で、私は、財政構造改革の必要性というものを訴え続けながら、今、この景気回復のためにとるべき手法として御審議をいただきますような考え方を皆さんの前に御披露をいたしました。  同時に、この弾力条項の結果として一%程度成長に収れんするのではないかという先ほどの御議論に対しましても、まさに経済構造改革等を進めることによってむしろ民間主導の経済にいかなければならないものが、いつまでも財政によって支えられるという姿は望ましいものではないということを本日も申し上げております。
  102. 児玉健次

    ○児玉委員 緊急避難的な措置というのは、やはり歴史批判に耐えなければなりませんね。今皆さんがなさろうとしているやり方は、かつて御自身が退けた手法を繰り返されている。九二年の八月から九五年の九月にわたって六回、六十六兆六千億円の財政出動が行われて、その結果日本財政がどうなったか、そのことがこの議論の出発点なわけですから、この過ちは繰り返すべきではな  い、私は重ねてそのことは強く述べたい。  そして、もう一つ指摘しておきたいのは、総理がおっしゃる財政構造改革骨格は維持するということは、例えば社会保障、教育、中小企業など、国民生活に密着した分野の予算は抑え込む。言い直せば、財政構造改革法の最悪の部分はそのまま残すということにほかなりませんね。このやり方では、今多くの国民がひとしく願っている、国民生活を立て直し、そして景気回復させるという道からは遠ざかるばかりだと思うのです。  私は、総務庁に一つお聞きをしたいのです。雇用の厳しさが言われる。昨日、総務庁は、平成十年二月労働力調査特別調査を発表なさった。その中で、いわゆるディスカレッジドワーカー、求職意欲喪失者なんて言われることもありますが、この数がことしの二月に何人になったか、昨年との対比でお示しいただきたいと思います。
  103. 伊藤彰彦

    伊藤(彰)政府委員 今議員の言われたディスカレッジドワーカーズという定義は国際的には確立していないわけでございますが、私どもの調査で非労働力人口という、家事あるいは通学あるいは無職の高齢者、こういう人で就業を希望し、そして適当な仕事がありそうにもないために求職をしていない、しかし仕事があればすぐつける、こういう人ですと、ことしが百二十六万人、去年が百十一万人でございます。
  104. 児玉健次

    ○児玉委員 皆さん方の説明で、求職意欲喪失者、働きたいのだけれども仕事を求めても見つかりそうにないからそれで意欲を失ってしまった方、去年が百十一万人、ことしが百二十六万人。  総務庁、この方たちの数は、この三月の二百七十七万人、いわゆる完全失業者ですね、完全失業者の数にカウントされているかどうか、それを答えてください。
  105. 伊藤彰彦

    伊藤(彰)政府委員 私どもの完全失業者数というのは、ILOの国際基準に基づいて作成しております。先ほどの百二十六万人という方々は、調査期間中に求職をしなかったので完全失業者数には含まれておりませんが、それでは、この期間を一年間に延ばしましたらどうかといいますと、その間に実際に求職活動をした人は四十五万人になっております。
  106. 児玉健次

    ○児玉委員 要するに、日本の失業統計というのは、失業者の数自身が、その月に属する最後の一週間に求職活動をした人たちですね、これでさえ国際的に非常に狭いものです。  今の求職意欲喪失者が完全失業者にカウントされていないということは、ただいまの答弁からも明確です。三月の完全失業者は二百七十七万ですから、それらを足すと四百万を超して、日本の失業率は、過去最高の三・九%と言われているけれども、それよりぐっと高いところにいく。私のおります北海道は、総務庁の調査によっても四・七%の失業率です。  この状況をどうやって直していくか、そのことが今求められています。景気の後退、それが企業経営の困難を生み出し、そしてその基礎に個人消費の落ち込みがある。私は、端的に言いたいのですが、九兆円の負担増と財革法の強行、これは歴史に残る失政でした。今私たちに求められているのは、この状況を緊急に、確実に回復する減税手段を決断することです。  その意味で、消費税の減税。私たちは、当面、現在の五%を三%に戻す。これは第一に、消費を直接拡大するという点でストレートな効果があります。第二に、消費の落ち込みが激しい国民の部分の購買力を引き上げるという点で直接の効果があります。第三に、消費税を転嫁できないでいる中小業者の方々に大いに活力を与えるという点で、一石三鳥の役割がある、そう思っています。この点で、今こそ決断すべきではないか。総理、いかがでしょう。
  107. 松永光

    ○松永国務大臣 この委員会でしばしばその議論を、御党の人たちが繰り返しなさいました。まず問題になるのは、そのことによる歳入減をどこで補うのか、公債発行で補うのかという問題が一つあります。  それからもう一つは、今日の消費の盛り上がりが足りないというのは、消費税分だけ値が上がるわけですね、そのことによる消費低迷なのかと。――いや、物が高いから売れ行きが少ないと言うのだから。二%下げれば算術計算では二%だけ値段が下がることになる、それによっての消費拡大ということを主張していらっしゃると思うのでありますけれども、今日の消費がいま一つ伸びないというのは、むしろ、消費者が可処分所得の中で貯蓄に回す分が多い等々の理由だと思われるのでありまして、物が少し高いから消費が少なくなっているというものではないように思われます。  したがいまして、財源のことと消費が伸びないということの理由とを考えれば、二%下げれば少しは効果はありましょうけれども、その効果は限定的だというふうに考えざるを得ないのです。
  108. 中川秀直

    中川委員長 児玉君、約束の時間です。
  109. 児玉健次

    ○児玉委員 財源について提起をせずに私たちが問題を出したことはない、それが一つ。  そして、今このような重要な時期に景気回復の最も確実な道をとろうとしない内閣であれば、退陣をして解散・総選挙をすべきだ、そのことを述べて質問を終わります。
  110. 中川秀直

    中川委員長 これにて児玉君の質疑は終了いたしました。  次に、濱田健一君。
  111. 濱田健一

    ○濱田(健)委員 社民党の濱田健一でございます。  尾身長官にお尋ねをいたします。  先ほど上田委員の方から、昨年の一月から今月までの経企庁が出しました経済報告という資料が配られました。それぞれの時期に一定の景気動向の見解が述べられておりますけれども、意思表示されるときには少し実体経済は先に進んでいるという調査に基づき長官がお話しされるわけでございまして、進んでいるということが考えられるわけでございます。  先週の土曜日でしたか日曜日でしたか、テレビを見ておりましたら、長官自身が参議院選前後とか七月ごろとかにはいい傾向が出てくるというふうに述べておられたわけでございますが、その自信と実態的な裏づけといいますか、それらを国民の皆さん方に明らかにしていただいて希望を持たせていただきたいというふうに思うのですが、いかがでしょうか。
  112. 尾身幸次

    尾身国務大臣 経済の現状、特に生産雇用等の経済の現状は大変に停滞をし厳しい状況にあるわけでございます。  先日まとめました私どもの総合経済対策は、一年間に十兆円の真水の支出及び減税を行う等、一日も早くこの景気停滞から抜け出すことを目標にしておりますのと同時に、二十一世紀に向かいまして、活力ある我が国経済を民間の力を中心としていく、そういう意味で、経済の体質改善を目指したものであると考えております。  したがいまして、十六兆円を超える事業規模の財政出動を行うのと同時に、先ほど来総理が答弁をしておりますように、経済構造改革を進めて民間活力中心の立ち上がりをする、それからもう一つは、現在景気回復のしこりとなっております不良債権問題の抜本的処理を図る、そういうことによりまして、経済を中長期にも及ぶ順調な回復軌道に乗せていきたいというふうに考えているわけでございます。短期の経済効果GDP対比二%ということで見込んでいるわけでございます。  この効果がどのくらいのタイミングで出るかということでございますが、補正予算がいつ通るか、関係法案がいつ通るかということにもよりますが、早ければ一、二カ月、遅くとも三カ月前後でこの予算等が施行をされる、執行される、こういうことになるわけでございまして、私どもは、徐々に景気は順調な回復軌道に乗っていく。そしてその場合に、その後はまた民間活力中心の順調な回復軌道に乗ることを期待しているわけでございまして、今後とも経済状況を見守りながら必要な対応をしてまいりたいと考えている次第でございます。
  113. 濱田健一

    ○濱田(健)委員 国民は、これまでのさまざまな経済対策景気対策、それぞれ見てまいりまして、頑張っているとは評価しているわけでございますが、実態として自分たちの生活がなかなか回復しない、向上しないという中で、今度こそはという、今回のこの法律改正を含めた手当てに期待をしているわけでございますので、ぜひとも、この法案が成立いたしましても気を許すことなく頑張っていただきたいということを申し上げておきたいと思います。  もう一点は、大蔵大臣にお尋ねしたいわけでございますが、庶民の懐といいますか、自分たちが実際に使えるお金を少しずつためて何とかさまざまな形に使いたいという皆さんにとっては、公定歩合の引き続く低さというものについては、失望感というか将来の展望なしというようなところで嘆いているわけでございます。これは日銀に直接聞くべきだとは思うのですが、四月からの新生日銀、いわゆる政策委員会、独自性を持って国民の生活の実態を日本の中央銀行としてとらえていく立場では、そろそろ公定歩合についても若干の引き上げというものを考慮されるべきだと私は思うわけでございますが、大蔵大臣としてはその辺の部分についていかなる御見解をお持ちか、述べていただきたいと思います。
  114. 松永光

    ○松永国務大臣 それはもう委員よく御承知と思いますが、公定歩合というのは金融政策の一番の真髄を示すような部分でありまして、その部門は日銀のいわゆる専管事項でありますので、私の方でいろいろ申し上げることは差し控えさせていただきたい、お許し願いたいわけです。
  115. 濱田健一

    ○濱田(健)委員 そういう答弁が出るだろうとは思っておるわけでございますけれども、やはり大蔵省そして日本の中央銀行、緊密な関係というものが当然あるわけでございまして、独自性というものを強調される部分はもちろんそのとおりでございますけれども、現在の実態を含めていろいろと協議を強化されることを私は望みたいというふうに思っております。  最後に総理にお尋ねでございますが、世界の経済のグローバル化はさらに進展をしているというふうに思います。そして、アジアの混迷といいますか、これは一層深まっているようにも思います。さきのバーミンガム・サミットで、日本経済対策を各先進国によく理解していただいたというふうに、総理は評価をされておられます。そのことはそういうふうに私自身実感をしたいというふうに思うわけですが、いわゆる景気回復への道、それを見出せるのかどうかというのが、この委員会を通して、また国民の皆さん方の強い要望といいますか、見出さなくてはならないという要望が渦巻いているというふうに思うのですけれども総理の展望と決意をお聞かせいただきたいと思います。
  116. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 今長々と私は申し上げるつもりはありませんけれども、総合経済対策をまとめ、そして国会で御審議をいただくに当たり御協力を得てまいりました立場から、ここから先我々がどうしても進めていかなければならないこと、それは、今回の経済対策の中にも盛り込んでおりますけれども、何といいましても、日本金融機関の抱えている不良債権、これを処理していく、本当にバランスシートから落とすということに向けての努力であります。これは何としても我々はやっていかなければなりません。そして、構造改革を進めながら、全力を挙げて景気回復に向けての努力をしてまいることを改めて申し上げます。
  117. 濱田健一

    ○濱田(健)委員 ありがとうございました。
  118. 中川秀直

    中川委員長 これにて濱田君の質疑は終了いたしました。  次に、河村たかし君。
  119. 河村たかし

    ○河村(た)委員 無所属の会の河村たかしてございます。  最後でございますので、お疲れと思いますけれども、よろしくお願いしたいと思います。  いろいろ聞いておりまして、総理、まことに申しわけないんですが、この間も言いましたけれども、これは本当に議論が古いんですね、古くても守らねばいかぬものはありますけれども。本当に、二十年前の上級職の試験を受けた人たちがその議論をやっている。要するに、公共サービスのお金は全部役所が独占的にこれを措置する、民間だけ競争させる、こういう議論からこれは抜け出ていないんですよね。  減税政策の話はよく出ておりますけれども、今言っているのは減税政策とは言わないのではないか。一時貸国政策のようなもので、減税政策というのは政府に入るお金を少なくする、だから、使うお金を少なくしなきゃだめなんですね。総理に言わせれば、それは、おれ、苦労しているよ、そう言われるかわかりません、歳出カットは――行政改革を火だるまになってやるということで努力をされました。しかし、みずからが火だるまになられてしまって、本当は行政を火だるまにせねばいかぬのですけれども、ここはちょっとうまくいかなかった、なぜなんだろうか。  これは野党の皆さんにもぜひ訴えたいんですけれども、減税をしてただ待っておれば、景気がよくなって税収が回復するというものじゃないんですよ。そんな単純なものじゃない。  ここで、きょうはちょっと資料を用意しましたのでごらんになっていただきたいんですが、これは、時間がありませんからシンプルなやつにしましたけれども、よくアメリカのレーガンの話が出ますが、アメリカは、これは九六年度ですけれども、寄附が一千五百億ドルを超えているんですよね。一千五百億ドル。  そして、もう一枚見ていただけますか。「国税収入の税目別内訳の国際比較」、この「アメリカ」のところを見ていただきますと、個人所得税、法人所得税を足しますと七千四百七十二億四千七百万ドルということです。  どういうことかといいますと、アメリカというのは、七千四百億ドル個人所得税、法人所得税を払うところを、一千五百億ドル寄附しているんですよ、実は。二割ですね、これ。日本は大体五千億円ほどです。五千億円で全然だめです、これは。アメリカでいうと三%ほどで、全く話になっておりません。こういう国になって、非常に公共サービスの競争をしている。  ですから、総理、減税をする、国に入る金を少なくする、小さな政府にする、歳出カットをする。しかし、ここが文句が出てくるわけですよ、常に。そんなの、公共サービスはどうするんだということになっちゃうんです。それを、寄附に回していく、民間でなるべく競争していくんだ、こういう発想がない議論というのは、僕は、これだけの税金をかけて、これだけのすごい舞台をつくって景気回復の議論をやっているのに、やはり国民にとって非常に不幸じゃないかと。  税金の、一割でいいかもわかりませんけれども、二割からを寄附できる国をどうやつてつくっていくのか、僕はこの議論をぜひやっていただきたい、こんなふうに思っております。これをぜひ野党の、僕は源氏だと言っておりますが、団結のシンボルにしていこうと。もう自民党平家ができなければ――多分できないと思いますけれども。  こんなことでございまして、私は、日本全国を回ってこれを訴え続けております。国民一人一人に、皆さんが税金の使途の選択権を持つ国をつくろうじゃないかと。全部じゃないですよ、全部だったら大変ですから。全部じゃないです。そういう国をつくる、それが構造改革になって、減税政策なんである、これを訴え続けております。  これをぜひ総理、もう時間が五分でございます、ありませんので、国民に向けて、こういう道がある、こういう道をぜひ検討していくということを、強く決意をおっしゃっていただけませんでしょうか。
  120. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 これは議論を申し上げたいんですが、議員の時間は既になくなっております。  そして、日本におきましても、御承知のように、個人の所得税における寄附金控除、特定公益増進法人に対して行う寄附、こうしたものに関する制度を持っております。その上で、これは、国民全体のお考えの中でまたおのずから変化をすることでしょう。国に希望される分野と、議員が言われますような寄附によって賄われるべき民間分野、そういう点について必ずしも私は国民的な合意はないように思います。  今までさまざまなプロジェクトを眺めてまいりまして、あるいは地球環境に対する募金その他を見ておりましても、国民的な合意は、議員が言われるような意味での寄附金控除というものを育てるところまでは必ずしもいっていないように私は思いますが、一つの御見識だということは認めます。
  121. 中川秀直

    中川委員長 これにて河村君の質疑は終了いたしました。  以上で各案に対する質疑は終局いたしました。     ―――――――――――――
  122. 中川秀直

    中川委員長 この際、内閣提出中小企業信用保険法等の一部を改正する法律案に対し、児玉健次君外一名から修正案が提出されております。  提出者から趣旨の説明を求めます。児玉健次君。     ―――――――――――――  中小企業信用保険法等の一部を改正する法律案   に対する修正案     〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――
  123. 児玉健次

    ○児玉委員 私は、日本共産党を代表して、中小企業信用保険法等の一部改正案に関する日本共産党提出の修正案について、提案理由を述べます。  中小企業信用保険法は、中小業者が民間金融機関等から融資を受ける際に必要な保証を行っている都道府県等の信用保証協会が、代位弁済の発生などによるリスクをカバーするために、特別小口、無担保、普通などの種類ごとに国の中小企業信用保険公庫に保険を掛ける仕組みなどを定めた法律です。  特別小口保険は、地方自治体が実施している無担保無保証人融資の保証に関する保険ですが、中小企業信用保険法第三条の三において、特別小口保険が成立する要件として、「普通保険、無担保保険、」などが「成立している者を除く。」となっています。  そのために、資金繰りに困った中小企業者が最後の命綱として自治体の無担保無保証人融資を利用するための信用保証協会の保証を受けようとしても、無担保保証人つきの保証や担保保証人つきの保証を使って融資を受けていたり、保証残高、返済残高がある場合、保証が受けられないという事態が生じます。  中小業者対策を重視している都府県では、この問題点を独自に県の負担でカバーし、特別小口保険ではなく料率の高い無担保保険を使って保証し、無担保無保証人融資を実施しています。  貸し渋りが強められている現状のもとで、中小業者にとって、無担保無保証人融資制度とそのための保証を生きた制度として拡充することはまさに急務です。本改正案の提案の理由にある、「中小企業に対する事業資金の融通の円滑化を図る」、これにのっとり、この修正案を提出するものです。  修正案は、特別小口保険の成立要件として、「普通保険、無担保保険、」などが「成立している者を除く。」と定めている中小企業信用保険法第三条の三から、「普通保険、無担保保険、」を削除するものであります。  慎重審議の上、御賛同くださるよう要請して、提案理由の説明といたします。
  124. 中川秀直

    中川委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。     ―――――――――――――
  125. 中川秀直

    中川委員長 これより各案及び修正案を一括して討論に入ります。  討論の申し出がありますので、順次これを許します。中山成彬君。
  126. 中山成彬

    ○中山(成)委員 私は、自由民主党及び社会民主党・市民連合を代表して、ただいま議題となっております内閣提出の五法律案に賛成し、民主党、平和・改革及び自由党の三会派共同提出法律案並び日本共産党提出の修正案に反対の討論を行うものであります。  御承知のように、我が国経済状況を見ますと、バブル経済の崩壊により大きなダメージを受け、その後遺症からいまだ抜け切れておりません。特に、最近の経済金融情勢は、昨年末の大型金融機関の破綻やアジア諸国での金融経済の混乱に伴い家計や企業景況感が悪化したことを背景に、景気停滞、貸し渋りの問題など、一層厳しさを増しております。  二十一世紀に向けて財政構造改革の必要性はいささかも変わるものではありませんが、現下の極めて深刻な経済情勢にかんがみれば、我が国経済を一日も早く順調な回復軌道に乗せ、我が国経済に対する内外の信頼を回復するために、必要かつ十分な対策を緊急に講ずることが必要であります。  今回内閣から提出されております五法律案は、こうした状況を踏まえ、去る四月二十四日に決定された総合経済対策を実施するために必要な法的措置を講じようとするものであり、まことに時宜にかなったものであります。  また、景気をよくしてほしいという国民や企業の強い要請と期待にこたえるためには、これらの法律案を早期に成立せしめることが極めて重要であります。  以下、各法律案について、具体的に賛成する理由を申し上げます。  まず、財政構造改革推進に関する特別措置法の一部を改正する法律案は、現下の経済情勢等にかんがみ、財政構造改革推進しつつ、その時々の状況に応じ適切な財政措置を講ずることができるような枠組みを整備しようとするものであります。  我が国における高齢化の進展等、財政を取り巻く環境が大きく変容する中で、現在の財政状況にかんがみれば、財政構造改革の必要性はいささかも変わるものではありません。同時に、内外の経済金融情勢の変化に応じて臨機応変の措置をとることも当然であります。  二十一世紀を間近に控え、安心して暮らせる豊かな福祉社会や健全で活力ある経済の実現等に十分対応できる財政構造を構築することは喫緊の課題であり、財政構造改革法の基本骨格は維持すべきものであります。今回の改正は、現在の財政構造改革基本骨格を維持しつつ、緊急避難的な対応をとるための必要最小限の措置であり、妥当なものであります。  次に、平成十年分所得税特別減税のための臨時措置法及び租税特別措置法の一部を改正する法律案等減税関連法律案について申し述べます。  所得税、住民税の特別減税や住宅、投資促進についての政策減税は、消費者企業マインドを高め、景気効果的に作用するものであり、国民生活や経済活動にとって必要かつ有効な措置であります。また、特別減税等を実施するに当たって地方公共団体の財政運営に支障が生じないよう、地方交付税の増額等十分な地方財政措置を講じようとするものであり、地方公共団体の要請に沿うものであります。  最後に、中小企業信用保険法等の一部を改正する法律案は、民間のいわゆる貸し渋りが顕在化し、中小企業の資金調達が大変厳しい状況の中で、我が国経済の大宗を占める中小企業に対する必要な資金供給が妨げられることのないよう、中小企業信用保険法等に規定する中小企業者等の範囲を拡大するための措置を講ずるものであり、適切かつ妥当なものであります。  なお、三会派共同提出財政構造改革推進に関する特別措置法停止に関する法律案についてでありますが、我が国の財政状況にかんがみれば、財政構造改革法を二年間停止することは、問題の先送りであるとともに、財政構造改革の必要性等を軽視するものであり、反対であります。  また、日本共産党提出中小企業信用保険法等の一部を改正する法律案に対する修正案については、その必要性について意見を異にすることから、反対であります。  以上であります。(拍手)
  127. 中川秀直

    中川委員長 次に、金田誠一君。
  128. 金田誠一

    金田(誠)委員 私は、民主党を代表し、内閣提出財政構造改革法一部改正案外三件に反対、伊藤英成君外八名提出財政構造改革停止法案及び内閣提出中小企業信用保険法等一部改正案に賛成の立場で討論いたします。  財政構造改革法の欠陥は、もはやだれの目にも明らかになっています。昨年秋一金融機関の破綻が相次ぎ、アジアの金融危機が広がっていた時期に政府があえて強行したこの法律は、我が国経済に決定的なダメージを与え、財政構造の改革どころか、財政経済の両面にわたり、より深刻な事態を招きました。  今日、国民を塗炭の苦しみに陥れている未曾有の不況は、まさに財革法不況であり、財革法財政構造破壊法というべきものであります。本来であれば、本年度予算編成に当たっては景気対策として本格的財政出動を必要としていたにもかかわらず、財革法はそれを不可能にしました。一般歳出はことごとく圧縮され、当然のこととして市場はこれに敏感に反応し、各経済指標は悪化の一途をたどりました。  加えて、政府は、財革法路線に基づく年金の給付抑制と負担増を殊さらに喧伝し、医療保険の負担増と消費税率引き上げとも重なって、国民の自己防衛意識を促進し、消費マインドを決定的に後退させる結果を招きました。  橋本総理予算成立の翌日、四月九日に至ってようやく路線転換と緊急経済対策を表明せざるを得なかったのも、財革法の制約によるものです。しかし、時既に遅しであり、さらに、財革法骨格は変えないとしたことはアクセルとブレーキを同時に踏むものであり、市場が好転するわけがありませんでした。  このたび提案されている財革法の一部改正は、こうした政府の対応を追認し、補正予算特別減税を行う範囲での改正であり、財革法の根本的欠陥はそのまま残されています。緊急経済対策が当初予算において行われ、特別減税ではなく恒久減税であれば一定の効果は期待できたものを、補正予算特別減税にせざるを得なかったことは、財革法改正が意味をなさないことの何よりの証明です。  さらに、政府提出した「財政事情の試算」が根拠のないものであり、地方税減税は地方財政をより悪化させることも明白になりました。  以上のとおり、財革法一部改正は、景気対策としての財政措置を不可能にしている財革法の欠陥をそのままにするばかりか、時期を失った効果のない財政出動に道を開くことにより、より一層財政構造を悪化させるものであって、我が党は断固として反対の意思を表明いたします。  また、特別減税に係る三法案については、特別減税では景気回復効果は期待できず、我が党は恒久減税を強く求めるものであって、賛成することはできません。  ここに至っては、橋本総理は、まず第一にみずからの責任を明らかにし、その上で現行財革法の施行を一たん停止し、経済状況の変化に対応する理念をビルトインするとともに、財政構造改革財政再建を実現できるものとして抜本的な法の見直しを行う以外にありません。これが、伊藤英成君外八名提出財政構造改革停止法案の理念であり、多くの国民が待望していることでもあります。  今日の未曾有の不況を深刻に受けとめ、国民の苦しみを共有する議員各位の御賛同をお願いいたします。  なお、中小企業信用保険法等の一部を改正する法案につきましては、政府金融機関の今後のあり方に関し問題は残るものの、近時の民間金融機関の貸し渋りによる中堅、中小企業等の経営環境の著しい悪化という状況を踏まえた当面の対応策としてはおおむね妥当なものと判断し、賛成することとした次第であります。  最後に、共産党提出の修正案に対しては、内容において傾聴すべき点があると考えますが、まことに残念ながら賛成することはできません。  以上で私の討論を終わります。(拍手)
  129. 中川秀直

    中川委員長 次に、西川知雄君。
  130. 西川知雄

    西川(知)委員 私は、平和・改革を代表して、内閣提出財政構造改革法一部改正案及び平成十年分特別減税関連三法案に反対し、中小企業信用保険法等一部改正案に賛成するとともに、民主党、平和・改革、自由党三会派共同提案の財政構造改革法の停止に関する法律案に賛成する立場から討論を行います。  財政構造改革法改正案は、施行からわずか五カ月で改正案を提出されております。しかも、財構法自体、自社さの連立与党が強行採決によって成立させたものであります。  法案が審議された昨年暮れのころには、既に内外の金融不安を初めとして我が国の経済には暗い影が差していたのであります。その時点財革法の制定を見送るという判断はあり得たし、そうすべきが至極当然な選択でありました。しかし、政府与党は、我々野党の反対を押し切って強引に成立させたのであります。  総理は、財政構造改革を強力に推し進めるためとして、法改正は、湾岸戦争のように全く予見不可能な事態が発生した場合のみに行うと言明されておりました。すなわち、経済状態の変化に応じての法改正はしない、法改正をする必要が政府の責めに帰する場合には政治的責任をとると本委員会においても答弁されております。今、橋本内閣もみずから認めた政府の責めに帰する経済不況に対応して法改正をするということは、まさに総理が政治責任を明確にとるべき事態であります。  しかも、強く廃止や改正を求めている野党の指摘に対しては、これを退けてきたにもかかわらず、一たん改正の議論に入ると、目標年次、キャップ制など、総理の言われる基本的な骨格は維持されるどころか大きく失われております。まさに、橋本内閣の政策運営の朝令暮改体質を見事に象徴しているのであります。  以下、具体的に、政府案に反対し、三会派提出停止法案に賛成する主な理由を申し述べます。  反対する理由の第一は、政府提出の減税案で一は、効果は薄く、危機状態日本経済の打開策にはなり得ないということであります。  この実態は、平成十年においては二兆円が追加されるだけであり、残りの二兆円は、平成十一年のいつ行うかも不明確であります。このような小出しで、しかも実施時期もばらばら、特別減税が終われば次の年からは増税になるというのでは、消費マインドを高めることはほとんど不可能であります。  また、追加的な特別減税では、既に前回の特別減税で課税最低限が上がっており、その恩恵を受けられない世帯が出ること、所得税については減税が八月以降になることなどからも、その効果は極めて限定的と言わざるを得ません。  我々平和-改革は、財政構造改革の必要性は認めつつも、当面する経済不況を乗り切るためには、経済再建を最優先すべきであり、国民の将来不安を解消し、消費マインドを高めるのであれば、少子・高齢化社会の明確なビジョンとそのための構造改革の処方せんを示すとともに、思い切った税制改正、すなわち恒久減税に踏み込むべきであると考えます。  その点、財構法の施行を二年間停止し、その間に財政構造改革のあり方全般について見直し、法的整備を行うという三会派案は、恒久減税の道を、開くものとして高く評価するものであります。  政府案に反対する理由の第二は、政府提出の改正案によっても、その本質的な問題点が何ら変わっていないということであります。  いわゆる弾力条項の具体的な内容についても、政府提出の改正案は、我々が示したような客観的な数値や基準ではなく、国会のチェックもなく、時の内閣の裁量や恣意的な判断でいともたやすく弾力条項が適用となってしまいます。  また、補正予算、財投、特別会計の扱いについては、依然十分な対応が何らされておりません。  今回の改正は、依然量的に歳出を一律削減するだけで、何ら構造改革につながるものではなく、社会的な財政需要に対応しておらず、また公共事業の構造改革にもつながらないものであります。  社会保障関係費に限り平成十一年度だけ量的縮減目標を外すとされておりますが、社会保障に限らず、キャップ制全体のあり方を討議することが重要であると考えます。社会保障関係費については、その性格上、他の分野と一律に論ずることは困難であることから、キャップが外れることについては基本的に歓迎するものですが、しかし、例えば、介護の基盤整備、保育、子育て支援、難病対策などに優先順位をつけ、重点的に配分をするといったことを考えるべきであります。それらに関する道筋が全く見えないことは憂慮にたえません。  今最も重要なことは、時宜を得た財政経済を行うことにあることは論をまちません。我々、民主党、平和・改革、自由党三会派提出停止案こそ、こうした内外からの切望にこたえるものと考えます。  なお、我々が主張していた線に従って改正される、危機にあえぐ中小企業を対象とする信用保険法改正案は、必要だと認識しております。  最後に、橋本総理責任と、インドネシア・スハルト大統領のように出処進退のけじめを強く訴えつつ、三会派提出の法案に賛成し、政府案に反対する理由を申し述べ、私の討論とします。(拍手)
  131. 中川秀直

    中川委員長 次に、佐藤茂樹君。
  132. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 私は、自由党を代表いたしまして、政府提出財政構造改革推進に関する特別措置法の一部を改正する法律案平成十年分所得税特別減税のための臨時措置法及び租税特別措置法の一部を改正する法律案外、特別減税関係二法案並びに日本共産党提出中小企業信用保険法等の一部を改正する法律案に対する修正案に反対し、自由党、民主党、平和・改革提出財政構造改革推進に関する特別措置法停止に関する法律案及び政府提出中小企業信用保険法等の一部を改正する法律案に賛成する立場より討論をいたします。  そもそも財政構造改革法は、既に我が国経済が深刻な危機に陥っていたつい半年前に、橋本総理が我々の反対を押し切って強引に成立させた法案であります。橋本総理財革法改正を言う資格はありません。  その後、日本経済は、我々が指摘していたとおり一層厳しさを増し、倒産、失業、自殺の増加は目を覆うばかりでありますが、橋本内閣が見通しを誤りさえしなければ、倒産しなくてもいいはずの企業が倒産したり、失業しなくてもいいはずの人が失業していなかったはずであります。まさに橋本不況、人災であります。みずから招いた不況に、反省も謝罪もいまだなく、全く国民をばかにしているとしか言いようがありません。橋本総理は、まず責任を明確にしておやめになるべきであります。  次に、政府提出財政構造改革法改正案に反対する理由を申し述べます。  そもそも政府財政構造改革法は、目先の財政の帳じり合わせのみを主眼に置き、キャップ制によって歳出の一律削減を定めただけのものであり、構造改革という視点は一切なく、財政構造改革の名に値しません。かえって構造改革を妨げるのみであります。  今回の改正により、社会保障関係費のみ特別扱いしておりますが、高齢化が進展するのは、ことしや来年だけではありません。社会保障制度にせよ、公共事業にせよ、構造改革に切り込まないで歳出削減をするのであれば、取りやすいところがら、つまり国民から金を吸い上げて財政を帳じり合わせするだけの話であり、言語道断であります。橋本総理は、火だるまになっても改革をやり遂げると言われたが、火だるまになっているのは国民であります。  次に、特別減税関係法案に反対する理由を申し述べます。  政府与党は、いまだに特別減税でこの日本の危機的状況が救えると考えており、危機感の欠如は目に余ります。特別減税は、期間限定、減税が終われば増税が待ち構えている増税予告つき減税であり、内外からの我が国に対する先行き不安は特別減税では解消することはできません。むしろ、赤字国債を財源とする特別減税は、将来の大増税につながるという懸念から消費に回らず、景気浮揚効果もなければ、財政の悪化を招くのみであり、かえって先行き不安をあおっているのであります。何回延長しても景気浮揚効果はありません。ただ、財政の悪化を招くのみであります。  また、特別減税の方式を定額控除方式としたため、課税最低限が引き上げられ、非常に不公平な課税体系となっております。これは、すべての税率の緩和を中心とする抜本税制改革の阻害要因となるに違いあむません。  次に、野党三党提出財政構造改革停止法案に賛成する理由を申し述べます。  政府財政構造改革法は、根本の発想が間違っているのであり、目標年次を繰り延べても、特例公債発行枠を弾力化しても、財政再建など不可能であります。財政構造改革法は、執行を停止した上で、真の財政構造改革を断行するべきであります。  経済再建なくして財政再建はあり得ません。自由党は、今世紀残された三年間を、経済再建、経済構造改革のための集中改革期間とし、所得、法人課税の減税により、個人の可処分所得と企業の税引き後利益をふやし、国民の勤労意欲と企業の投資意欲を刺激して、サプライサイドから民力を回復するための抜本的な経済対策、税制改革を行い、財政再建は、行財政一体の徹底的な見直しによる歳出削減と、民力中心のたくましい経済からもたらされる租税増収によって行うべきであると考えます。  なお、政府提出中小企業信用保険法等の一部を改正する法律案には賛成し、日本共産党提出の同法に対する修正案には反対いたします。  以上、各法案に反対あるいは賛成する理由を申し述べ、私の討論を終わります。(拍手)
  133. 中川秀直

    中川委員長 次に、矢島恒夫君。
  134. 矢島恒夫

    ○矢島委員 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となりました政府提出財政構造改革法改正案外に反対、民主党、平和・改革、自由党提出財革法停止法案に賛成の討論を行います。  橋本内閣が本年度予算成立直後に決定した総合経済対策及び財政構造改革法の改定方針は、消費不況克服のための必要な対策はやらずに、公共事業費の積み増しや大銀行支援の対策など一やるべきでない対策を並べたものであり、景気対策にならないばかりか、橋本内閣が直接負うべき経済失政への責任を棚上げしようとするものであります。  経済対策の主要な柱とした公共事業費の積み増しは、住民生活に直結した真に必要な事業を下から積み上げた予算編成とは大きくかけ離れた、総額先にありきの従来型方式にほかなりません。国民の批判を浴びた事業のための事業が復活し、結局は大手ゼネコンと関連業界だけが潤うだけでは、バブル崩壊後から取り組まれ、財政赤字だけ残した公共事業偏重型対策の再現でしかありません。最大の目標とすべき消費拡大効果が期待できない点も実証済みではありませんか。しかも、財政危機に直面している地方自治体をも巻き込んだ単独事業押しつけのやり方まで、従来型であります。  二兆円特別減税の継続も、二年限りの時限措置では、期限が切れた後は実質増税となるなど、消費への拡大効果が期待できません。所得減税なら、消費性向の高い低所得者など、庶民に手厚い恒久的な所得減税こそ実施すべきであります。  国民の猛烈な反対を押し切って橋本内閣が強行した昨年の九兆円負担増政策こそ、今日に至る未曾有の消費不況を引き起こした元凶であることは既に明白です。にもかかわらず、この事実に目をつぶり、最も確実で有効な不況克服策である消費税減税を拒否し続ける橋本内閣経済失政は、二重、三重に罪深いものと言わなければなりません。  昨年秋の臨時国会で、我が党は、消費不況がますます進行する中での財政構造改革法案提案が、国民生活の将来不安を一層増幅させ、しかも景気回復財政再建にも逆行する悪法であることを指摘し、廃案の道しかないことを強調しました。法案成立からわずか五カ月後にして、橋本内閣は、聖域なき歳出削減目標や財政再建目標年次など、財革法案が目指した骨格部分総崩れという姿を露呈させました。社会保障は削減のまま、キャップ制を外すといっても九九年度だけ、二〇〇〇年には計画どおりの削減という道筋は変わりません。既に破綻がだれの目にも明らかな財革法は、改正ではなく、廃止こそ最善の道であります。  財政構造改革を言うなら、財政危機の真の原因である公共投資や軍事費の浪費に思い切ってメスを入れ、社会保障公費負担は二十兆円、公共投資は五十兆円という、欧米諸国には例のないゆがんだ財政構造を根本的に改めることによって、景気回復財政再建を進めることです。  なお、民主党、平和・改革、自由党三会派提出による財政改革法停止法案については、現行の財革法を二年間停止することと同様の効果を持ち、また、国民生活に直結する社会保障予算などを抑制する量的縮減目標等の見直しに例外はないとの意思が表明されていることから、賛成することを表明し、討論を終わります。(拍手)
  135. 中川秀直

    中川委員長 これにて討論は終局いたしました。     ―――――――――――――
  136. 中川秀直

    中川委員長 これより順次採決に入ります。  まず、伊藤英成君外八名提出財政構造改革推進に関する特別措置法停止に関する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  137. 中川秀直

    中川委員長 起立少数。よって、本案は否決すべきものと決しました。  次に、内閣提出財政構造改革推進に関する特別措置法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  138. 中川秀直

    中川委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  次に、平成十年分所得税特別減税のための臨時措置法及び租税特別措置法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  139. 中川秀直

    中川委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  次に、中小企業信用保険法等の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。  まず、児玉健次君外一名提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  140. 中川秀直

    中川委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。  次に、原案について採決いたします。  原案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  141. 中川秀直

    中川委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  次に、地方税法及び地方財政法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  142. 中川秀直

    中川委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  次に、地方交付税法等の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  143. 中川秀直

    中川委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました各法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。      〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  144. 中川秀直

    中川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――     〔報告書は附録に掲載〕     ―――――――――――――
  145. 中川秀直

    中川委員長 本日は、これにて散会いたします。     午後零時十八分散会      ――――◇―――――