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1998-04-01 第142回国会 衆議院 外務委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十年四月一日(水曜日)     午前十時四分開議  出席委員   委員長 中馬 弘毅君    理事 福田 康夫君 理事 牧野 隆守君    理事 茂木 敏充君 理事 森山 眞弓君    理事 玄葉光一郎君 理事 松沢 成文君    理事 坂口  力君 理事 東  祥三君       柿澤 弘治君    河野 太郎君       阪上 善秀君    櫻内 義雄君       下地 幹郎君    田中 昭一君       宮本 一三君    森  英介君       八代 英太君    末松 義規君       藤田 幸久君    赤松 正雄君       丸谷 佳織君    達増 拓也君       古堅 実吉君    松本 善明君       伊藤  茂君    井上 一成君  出席国務大臣         外 務 大 臣 小渕 恵三君  出席政府委員         防衛庁参事官  伊藤 康成君         外務大臣官房長 浦部 和好君         外務大臣官房審         議官      海老原 紳君         外務省総合外交         政策局軍備管         理・科学審議官 阿部 信泰君         外務省総合外交         政策局国際社会         協力部長    上田 秀明君         外務省欧亜局長 西村 六善君         外務省経済局長 大島正太郎君         外務省経済協力         局長      大島 賢三君         外務省条約局長 竹内 行夫君  委員外出席者         内閣官房内閣安         全保障室内閣審         議官      黒木 慶英君         化学技術庁原子         力局核燃料課長 土屋 定之君         科学技術庁原子         力局廃棄物政策         課長      有本 建男君         科学技術庁原子         力安全局核燃料         規制課核燃料物         質輸送対策室長 川井 啓裕君         外務省条約局条         約課長     杉山 晋輔君         資源エネルギー         庁長官官房原子         力産業課長   鈴木 正徳君         資源エネルギー         庁長官官房国際         原子力企画官  長谷川直之君         資源エネルギー         庁公益事業部開         発課長     勝野 龍平君         外務委員会専門         員       宮本 吉範君     ――――――――――――― 委員の異動 四月一日  辞任         補欠選任   島   聡君     末松 義規君   坂口  力君     東  順治君   山中 燁子君     赤松 正雄君   西田  猛君     達増 拓也君 同日  辞任         補欠選任   末松 義規君     島   聡君   赤松 正雄君     山中 燁子君   達増 拓也君     西田  猛君 同日             補欠選任              森田 健作君 同日  理事坂口力君同日委員辞任につき、その補欠と  して東順治君が理事に当選した。     ――――――――――――― 三月二十七日  原子力平和的利用における協力のための日本  国政府グレートブリテン及び北部アイルラ  ンド連合王国政府との間の協定締結について  承認を求めるの件(条約第五号) 四月一日  民生用国際宇宙基地のための協力に関するカナ  ダ政府欧州宇宙機関加盟国政府日本国政  府、ロシア連邦政府及びアメリカ合衆国政府の  間の協定締結について承認を求めるの件(条  約第七号) 三月十九日  日米防衛指針慎重審議、憲法の理念に基づ  く自主的な外交に関する請願土井たか子君紹  介)(第七三四号)  米軍基地の撤去に関する請願児玉健次君紹介  )(第七四七号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 三月三十日  国連海洋法条約発効に伴う新たな日中・日韓漁  業協定早期締結等に関する陳情書  (第  一三六号)  新たな日米防衛協力のための指針廃棄等に関  する陳情書外三件  (第一三  七号)  米軍機の超低空飛行訓練の自粛に関する陳情書  外一件  (第一三八号)  核兵器の廃絶、世界の恒久平和実現に関する陳  情書  (第一八一号)  米海兵隊岩国航空基地での空母艦載機による着  艦訓練に伴う騒音障害の防止に関する陳情書  (第一八二号)  日韓漁業協定に関する陳情書  (第一八三号)  岩国基地における着艦訓練に関する陳情書外一  件  (第二〇六号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  理事補欠選任  原子力平和的利用における協力のための日本  国政府グレートブリテン及び北部アイルラ  ンド連合王国政府との間の協定締結について  承認を求めるの件(条約第五号)  民生用国際宇宙基地のための協力に関するカナ  ダ政府欧州宇宙機関加盟国政府日本国政  府、ロシア連邦政府及びアメリカ合衆国政府の  間の協定締結について承認を求めるの件(条  約第七号)      ――――◇―――――
  2. 中馬弘毅

    中馬委員長 これより会議を開きます。  原子力平和的利用における協力のための日本国政府グレートブリテン及び北部アイルランド連合王国政府との間の協定締結について承認を求めるの件を議題といたします。  政府から提案理由説明を聴取いたします。外務大臣小渕恵三君。  原子力平和的利用における協力のための日本国政府グレートブリテン及び北部アイルランド連合王国政府との間の協定締結について承認を求めるの件     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  3. 小渕恵三

    小渕国務大臣 ただいま議題となりました原子力平和的利用における協力のための日本国政府グレートブリテン及び北部アイルランド連合王国政府との間の協定締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。  日英両国間には、昭和四十三年に、原子力平和的利用における協力のための現行協定締結されていますが、現行協定平成十年十月に終了いたしますので、現行協定に代替する原子力平和的利用における協力のための日本国政府グレートブリテン及び北部アイルランド連合王国政府との間の協定締結するため、政府英国政府との数次にわたる交渉を経て、平成十年二月二十五日に東京で、先方ライト駐日大使と私との間でこの協定に署名を行った次第であります。  この協定は、現行協定に引き続き、原子力平和的利用における日英間の協力のための法的枠組みを提供するものであり、核物質等の平和的非爆発目的使用核物質防護措置の実施、核物質等協定適用を受けるための要件としての事前通告等を新たに定めるものであります。  この協定締結は、我が国原子力利用にとって重要である長期的に安定した英国との協力を確保するためのものであり、今後の我が国原子力平和的利用維持及び促進並びに核不拡散への我が国の貢献に資するものと考えられます。また、日英間の友好協力関係のさらなる発展の観点からも、この協定締結は有意義なものと考えております。  よって、ここに、この協定締結について御承認を求める次第であります。  何とぞ御審議の上、本件につき速やかに御承認いただきますようお願いいたします。
  4. 中馬弘毅

    中馬委員長 これにて提案理由説明は終わりました。     —————————————
  5. 中馬弘毅

    中馬委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。河野太郎君。
  6. 河野太郎

    河野(太)委員 おはようございます。自由民主党の河野太郎でございます。  質問に先立ちまして、一言委員長におわびを申し上げますが、正月の雪で転んで、ちょっと腰を痛めまして、たびたび委員会を欠席いたしましたことをおわび申し上げます。  病院に入っておりまして、腰をずっと牽引されて、一月伏せっておりましたものですから、その時間を使いまして、かつてのアメリカ国務長官をやられましたジム・ベーカーさんの回顧録を読んでおりました。どなたか、きょう御出席外務省の方で、ベーカーさんの回顧録をお読みになった方はいらっしゃいますでしょうか。いたら一言御感想をお伺いをしたいと思いますが、いかがでございますか。どなたもいらっしゃらないようでございますが、別に外務省の方がこれを読んでいないからといって、恥じ入ることは全くないわけでございます。  なぜならば、ベーカー国務長官というのは、冷戦が終わりまして、ソビエトが崩壊をしてロシアになった、東西ドイツが統一をされた、あるいは天安門事件があった、そして湾岸戦争があった、そういう四年間、国務長官をやられたわけでございます。その四年間のことを書いた回顧録でございますが、日本語にしますと文庫本で千四百ページございます。この千四百ページを読みますが、日本のことについては全く何も書かれていないのですね。  かつて、マンスフィールド駐日米国大使が、日米関係ほど大事な二国間関係はないんだ、そのような発言をされておりましたが、そのカウンターパートであるアメリカ国務長官回顧録に、日本外務大臣も出てこなければ外務省のことも何も出ていないし、日米関係についても全く何もない。湾岸戦争あるいは冷戦の終結に当たって、どこどこと協議をした、ドイツの外務大臣とはこういう協議を何回やったとか、シェワルナゼとはこういう話をしたとか、いろいろ出ておりますが、日本とは何をやったという話は全く何もございません。湾岸戦争に当たっても、イエメンの外務大臣とこういうことを言ったとか、コートジボワールとこういう協議をやってアメリカに同調しろと言ったとか、そういう話はあるのですが、日本とこういう話をしたとか、何十億ドル出せと言ったというような話すら余り出ていないというわけでございます。それを読み終わりまして、日本外交というのはこの程度のことなのかなと非常に残念に思ったわけでございます。  それはどうでもいいのですが、まず、この日英原子力協定について、幾つ質問をさせていただきたいと思います。  この協定の中に、平和的非爆発目的利用に限定をする、そういう文言がございます。この平和的非爆発目的利用ということになりますと、例えば、臨界前の核実験というものはこれに含まれるのでございましょうか。お答えをいただきたいと思います。
  7. 阿部信泰

    阿部政府委員 お答え申し上げます。  この協定におきましては、第三条におきまして、協定適用対象である核物質については、平和的非爆発目的にのみ使用されるというふうに規定されております。したがいまして、現実に、この協定交渉過程では未臨界実験というものについて議論した経緯はございませんけれども、その使用目的が軍事的なものであれば、この協定上許されないということは当然でございます。  なお、未臨界実験というものにつきましては、必ずしも確定した概念というものはないと承知しておりますけれども、この協定との関係についてだけ申し上げれば、理論的には、平和的非爆発目的の未臨界実験というものが排除されるものではないというふうに理解しております。
  8. 河野太郎

    河野(太)委員 臨界前の核実験、未臨界核実験というのでしょうか、それが排除されるものではないということでございますが、なぜこれを排除しなかったのかということをお伺いしたいと思います。
  9. 阿部信泰

    阿部政府委員 お答えします。  ただいま申し上げましたとおり、協定交渉過程においては、未臨界実験というものについて議論をしておりません。  また、現実に、現在私どもが承知しております未臨界実験というのは、アメリカそれからロシアが行っているようでありますけれども、いずれも軍事用の核弾頭の安全性の検証のためなどに行っているということでございますので、現実には、平和目的の未臨界実験というのはだれもやっていないし、今のところまだそういうものは考えられていないということでございまして、そういうこともありまして、この協定においては、平和目的それから非爆発目的ということのみを規定しておるわけでございます。
  10. 河野太郎

    河野(太)委員 そうしますと、日本政府は、将来、平和的な未臨界実験があれば、やる可能性があると考えられているのでしょうか。
  11. 阿部信泰

    阿部政府委員 お答えします。  まことにそこは、現実の問題としては考えにくい問題でございます。平和目的であって、しかも非爆発性のものであって、なおかつ未臨界実験というものが現実にあるかどうかということは難しいところでございますけれども、協定との関係だけについて申し上げれば、理論的には可能性は排除されないということでございます。
  12. 河野太郎

    河野(太)委員 わかりました。  それでは、この協定に沿いますと、イギリスから核物質日本輸送されることもあり得るわけでございますが、その際の輸送に当たっては、だれが警備をするのだ、日本船核物質輸送する際には、自衛隊が行うのか、海上保安庁が行うのか、そのあたりはいかがでございましょうか。
  13. 阿部信泰

    阿部政府委員 お答え申し上げます。  イギリスから核物質日本に運ぶ場合ということでございますが、過去に幾つかの種類のものが運ばれておりまして、放射性廃棄物あるいはプルトニウムというものも運ばれたわけですが、基本的には、その運ぶ船の所属する国、いわゆる旗国といいますが、そこの国が公海上においてはその警護の第一義的な責任を負うということでございます。例えば、一番最近行われました高レベル放射性廃棄物輸送、これはフランスからイギリスの船で六ケ所村へ運んだわけですが、これについては、イギリスが第一義的に責任を負う、ただし、フランス領海を出るまではフランス政府日本領海へ入った後は日本政府警備責任を負うということになります。
  14. 河野太郎

    河野(太)委員 日本船イギリスからプルトニウム輸送する場合に、日本船警備するのは、それではだれになるのでしょうか。
  15. 阿部信泰

    阿部政府委員 お答えします。  これは、これから行うものにつきましては、その都度、いろいろな要素検討しまして決めることになると思いますが、過去に行われました例としては、あかつき丸プルトニウムを運びましたときには、記録によりますと、海上保安庁の「しきしま」が警備に当たったというふうに承知しております。
  16. 河野太郎

    河野(太)委員 プルトニウムというのは、悪用されると非常に重大な影響を及ぼす物質であると思います。そうした物質日本へ持ってくるに当たりまして、可能な限り最善の警備をする、将来テロリストにこうした物質が渡ることを防ぐためにも、最大限の警備をする必要があるのではないかと思います。自衛隊海上保安庁を比べた場合に、自衛隊の方がそうした防御能力は高いと思いますが、何ゆえ海上保安庁警備を担当するのでしょうか。
  17. 阿部信泰

    阿部政府委員 この過去の例におきまして海上保安庁の船を使いましたということにつきましては、当時、各般の要素検討しました結果、基本的には商業目的の船舶の公海上における警備ということで、海上保安庁任務がふさわしいということで、海上保安庁警備の船を使ったというふうに承知しております。
  18. 河野太郎

    河野(太)委員 今お答えの中にありました要素というのは、具体的に何を指すのでしょうか。
  19. 阿部信泰

    阿部政府委員 考えられました要素としましては、当然のことながら、海上保安庁職務権限、あるいは防衛庁職務権限、それから輸送に関します国際的な協定等枠組みということ、あるいは現実に考えられる脅威の度合い、種類といったものを含めて考えたものと考えております。
  20. 河野太郎

    河野(太)委員 商業的な輸出であるということもございましたが、プルトニウム輸送するのを、単に商業的な取引といいますか、輸送であるという位置づけを政府はされているわけでございましょうか。  本当に商業的なものであれば、それはその取引に従事している者が警備会社を雇って警備をするわけでございます。そうではなくて、日本政府がこれを警備するわけでございますから、それは実際にプルトニウムが使われるのは商業的な発電業務かもわかりませんが、少し認識が、国民一般認識と先ほどの御答弁とずれているような気がいたしますが、いかがでございますか。
  21. 阿部信泰

    阿部政府委員 お答えします。  まずプルトニウムの問題でございますが、プルトニウム、確かにおっしゃるように軍事利用可能性もありますし、またそのものの危険性についてもいろいろ議論はあるわけでございますが、基本的に、輸送の際に現在考えられております脅威と申しますのは、公海上、海上における犯罪、あるいはそれを奪取しようという試みということでございます。基本的には、そういった犯罪予防鎮圧ということが考えられるわけでございまして、その意味におきましては、海上保安庁が通常、海上におけるこの種の犯罪行為予防鎮圧という任務を第一任務としておりますので、そういった観点から、海上保安庁巡視船護衛船として派遣したというふうに承知しております。
  22. 河野太郎

    河野(太)委員 プルトニウムを手に入れようというテロリストの場合、一般海賊行為犯罪行為とは違った準備をする、それなりの意思を持っている集団であろうと思います。一般的に海上保安庁がそうした警備をしているわけであっても、こうした一たんテロリストの手にプルトニウムが落ちた場合には、大変重大な影響を及ぼすものであります。それでも、海上保安庁が担当だという、そういうしゃくし定規な縦割りの考えで本当によろしいのでしょうか。
  23. 阿部信泰

    阿部政府委員 お答え申し上げます。  もちろんこれは、現実にいろいろな国際情勢あるいはそのようなテロ、犯罪情勢を分析した上で、どの程度現実脅威があるかということを、分析を踏まえまして、それに応じて、その時々に最も適切と考えられる警備措置をとるということであろうかと思います。  したがいまして、過去のケースにつきまして申し上げれば、そのときの情勢判断として総合的に、海上保安庁巡視船で行ったということでございますが、将来のことにつきましては、これはまた将来の問題として検討を要するかと思います。
  24. 河野太郎

    河野(太)委員 そうしますと、自衛隊警備に当たることも将来的にはあり得るわけですね。
  25. 阿部信泰

    阿部政府委員 それはまさにそのときの、将来の情勢判断に係ることかと思います。
  26. 河野太郎

    河野(太)委員 そのときの行政の判断で、あり得るわけですね。
  27. 阿部信泰

    阿部政府委員 そこまで現在、あり得るということまで申し上げることは適切かどうか、まさにそのときの情勢によることかと思います。
  28. 河野太郎

    河野(太)委員 あり得なければ海上保安庁警備するしかないわけで、自衛隊警備をする可能性もあるから、いろいろなことを考慮するのではないですか。最初から自衛隊警備する可能性は全くないとおっしゃるわけですか。
  29. 阿部信泰

    阿部政府委員 全く将来の論理的可能性の問題でございますけれども、そのようにプルトニウム輸送船を武力によって襲う、それを奪い取ろうとする試み相手側軍事力の段階で行うということであれば、それなり対抗措置は必要になるということかと思いますので、それはそのときにおいて、現実に本当にそういう脅威があるかどうかということを判断した上で判断を、決定を下すということになるかと思います。
  30. 河野太郎

    河野(太)委員 済みません、もう一度明確にお願いします。脅威があれば、自衛隊警備する可能性もあるわけですね。
  31. 阿部信泰

    阿部政府委員 そこは、それに対応する措置としては、自衛隊によるのかほかによるのかということは、またそのときの判断検討の結果であろうかと思います。
  32. 河野太郎

    河野(太)委員 もう一度明快にお願いします。検討の結果として、自衛隊警備する可能性もあるのですか。
  33. 阿部信泰

    阿部政府委員 これは、またさっきの基本の原則に戻るわけでございますが、仮にイギリスの船であるとしますと、公海上において、もしそこに軍事的脅威があるとすれば、第一義的な警備護衛の義務はイギリス政府にあるわけでございまして、そこはイギリスが対応するということになるわけでございます。
  34. 河野太郎

    河野(太)委員 済みません、そうすると、日本海上保安庁警備をするか、イギリス海軍警備をするかの二者択一ということですか。
  35. 阿部信泰

    阿部政府委員 お答えします。  そこは、イギリスの船については、イギリス政府が第一義的に判断をして、イギリス海軍によるのが適切なのか、あるいはほかの方法によるのが適切なのかというのを判断して決めるということになるかと思います。  仮定の問題としまして、将来日本の船が運ぶということについて、脅威があるということで、御質問のように軍事的なレベル脅威があるということについては、それに対応するべき対応手段を必要とするわけですが、それが自衛隊ということになるのか、あるいはほかの方法を考えるのかということは、そのときに検討して判断決定することになるということかと思います。
  36. 河野太郎

    河野(太)委員 申しわけございません、外務大臣に御答弁をお願いいたします。  将来的に日本の船がプルトニウムを運ぶときに、自衛隊がこれを警備する可能性があるのでしょうか、明確にお願いいたします。  済みません、外務大臣にお願いいたします。外務大臣にお願いいたします。
  37. 小渕恵三

    小渕国務大臣 ちょっと事務当局から御答弁させます。
  38. 河野太郎

    河野(太)委員 事務当局答弁は結構でございます。  次の質問に移ります。
  39. 中馬弘毅

  40. 海老原紳

    海老原政府委員 失礼いたします。委員長の御指名でございますので、若干技術的な面を補足させていただきます。  自衛隊法の解釈の問題であると思われますが、基本的に外務省には自衛隊法を有権解釈できませんので、とりあえず私が認識しているところを申し上げますが、自衛隊法の八十二条におきまして「海上における警備行動」というのがございます。対象につきましては、「海上における人命若しくは財産の保護又は治安の維持のため特別の必要がある場合」ということで、警備行動ができることになっております。法的にこの条文で御指摘のようなケースにつきまして発動ができるかどうかということにつきましては、その個々のケースに沿って判断するということになると思いますので、ここで判断は差し控えさせていただきますけれども、この条文に従って行われる可能性はあるのではないか。あとは、ただ、先ほど阿部審議官から答弁申し上げましたように、その時々の政治情勢等の問題はあるというふうに認識しております。
  41. 河野太郎

    河野(太)委員 これは、改めて質問主意書を出させていただきます。  次の質問に移りたいと思います。  例えば、イギリスからこの協定基づいて高レベル放射性廃棄物が戻ってくる、あるいは何らかの核物質が戻ってきて、最終的にそれを日本国内処分しなければいかぬというときに、今問題になっております高レベル放射性廃棄物最終処分地日本国内でどこにするかということを決めなければいけないと思います。最終処分地をここにするよと決めるのは政府なんでしょうけれども、実際の決定に当たりましては、自治体同意を取りつけることになるのだろうと思いますが、それでは自治体同意というのは、一体だれの同意政府は想定しているのか、お答えをいただきたいと思います。
  42. 有本建男

    有本説明員 御説明申し上げます。  今先生御指摘の高レベル放射性廃棄物処分というものにつきましては、我が国原子力開発利用の中で避けて通れない非常に重要な課題というふうに認識をいたしてございまして、原子力委員会におきましては、この審議の体制の強化をいたしまして、現在、処分の技術、それから社会的、経済的な側面の審議を公開の場で加速をしているところでございます。  特に、先生御指摘のその処分の事業の実施をする体制、例えば実施の主体あるいは事業資金あるいは御指摘処分地の選定のプロセスというものにつきまして、具体策を昨年の七月に報告書案として取りまとめまして、この問題、全国国民レベルでいろいろ議論をする必要ありということで、ことしの一月まで、国民の方々の意見を聴取する、あるいは全国、地域に行きまして意見交換をするということでやってまいりまして、この報告書を早急に取りまとめるという予定になってございます。  この報告書案でございますけれども、その中に、先生御指摘処分地を選定するプロセスでございますけれども、これは、二〇三〇年代あるいは二〇四〇年代の半ばまでに最終的に実際上処分の埋設を開始するということでありまして、その間に最終処分地決定するということでございます。この報告書によりますと、海外の事例などを参照いたしまして、関係自治体あるいは関係の住民の方々の意見を十分反映するような検討する場というものを設けまして、理解と信頼を得ながらそういうものを確定していくということを報告書として提言をされているところでございます。  いずれにしましても、二〇〇〇年を目途といたしまして、処分の実施主体あるいは諸制度の整備をこういう報告書に基づきまして進めるということでございまして、着実にそういう準備作業を現在進めておるところでございます。  以上でございます。
  43. 河野太郎

    河野(太)委員 済みません。もう一度お願いいたします。地元のだれが同意をするという想定になっているのか。また、それすらも決まっていないということでございましょうか。
  44. 有本建男

    有本説明員 この原子力委員会審議の中で、地元自治体あるいは地元の住民の方々の意見を十分反映するということで提言をいただいているところでございまして、どういう形で、具体的に自治体のどういうレベルというところまでまだ具体化はされていないところでございます。
  45. 河野太郎

    河野(太)委員 ありがとうございました。  私の方から、御答弁いただいている政府委員の皆様におわびもしなければいかぬところは多々あると思います。質問通告が大幅におくれまして、質問通告が昨日になってしまったわけでございまして、適切な御準備ができなかったところはあるのだろう。それはひとえに私の責任ではございますが、いろいろ考えまするに、ちょっと原子力協定の話からはそれるかもわかりませんが、この外務委員会のあり方というものに多少私は疑問を持っております。  ことしに入りまして、例えばイラク危機ですとか日韓漁業協定の終了通告をした、あるいは日本ロシア関係が大変好転をしている、あるいは東南アジアの通貨危機が引き続き大きな影響を及ぼしている、その他外交案件はいろいろございます。  日本外交課題というのはかなりいろいろあるのではないかと思いますが、この外務委員会でやったことといえば、私欠席をしておりましたので余りでかいことば言えませんが、例えば在外公館名称位置給与法ですか、テロ三条約、それから国際情勢一般質疑というのは確かにございましたが、本当にそれでいいのだろうかと非常に疑問を持っております。  今後の審議日程を伺いましても、まだよく決まっておらぬと。先ほどの理事会で決まったかもわかりませんが、昨日の段階ではこの先の審議日程も決まっていなかったと思います。  そうすると、確かに外交というのは政府がやるべきものではございますが、政府が何を考え、どういうことをやっているのか、また、その政府がやろうとしていることが本当に正しいのかどうかということをいろいろ議論をする、そうしながら国民の皆様に日本外交は今こうなっているのだよということを知らせる、あるいはこれから先に上がってくるであろう外交案件についていろいろな議論をする、あるいは情報を収集する、そういうことをやるのがこの外務委員会ではないかと私は思っております。昨年一年間もこの外務委員会におりましたが、ほとんどの時間、上がってくる条約審議で終わりました。マグロがどうしたとかボンベイがムンバイになったとか、いろいろな条約がありましたが、それについて審議を一通りやって最後は採決をやって終わった。ことしもこのまま行くと、同じような状況になってしまうのではないかと思います。  いろいろ日本が抱える重要な課題について、全く立法府がそれに触れることなく、ただ政府から提案された法律あるいは政府締結した条約の批准をせいといって、ただ単にそれだけをやっている場で、本当にこの外務委員会がいいのかどうか。私は、この今のあり方というのは非常に問題があるのではないかと思っております。  この委員会を少なくとも定期的に御開催いただいて、条約審議だけではなく、外交案件についてもいろいろ物事を考えていかなければいけないのではないか。政府締結した条約承認する、あるいは政府が提案した法律を承認するに当たって、政府質問をして、政府の答えをいただくだけで本当にいいのか。  例えば、日韓漁業協定をどうするかという議論をするのであれば、日本政府のもちろん外務大臣を初めとするお答えをいただくのは当然でございますが、在日の韓国大使にお出かけをいただいて、韓国側はどう考えているのかということを参考人としておっしゃっていただく。あるいは、先般のイラク危機に当たれば、イラク側はどう考えてああいうことをやっているのか。あるいは査察の専門家に来ていただいて、現実的にイラクの国内にこういう疑惑があるのだということをやはり明確に意見を述べていただく。そういう場は、立法府の中ではこの外務委員会でなければいかぬのではないかと思います。  ぜひ、委員長を初め理事の皆様にそのあたりのことをお考えいただいて、どうやったらいいのかということを少し考えていただきたいと思います。  何も外務委員会全員が都度顔をそろえなくても、例えば小委員会をこの下に設けて、それぞれの分野にそれぞれの専門家が、専門家に我々がならなければいけないわけでございますが、柔軟に迅速に対応できるシステムをつくる。あるいは、条約の中には全会一致でこれは通すよと明らかにわかっているものもあるわけでございますから、そういうものに対しても外務委員会全員が集まって質疑をやるのではなくて、それは小委員会の中で、限られた時間、限られた人数で質疑をやって、本委員会ではそれを追認しようではないか、そういうこともできると思いますし、せっかく日本から海外に大使が大勢行っておられるわけでございますから、大使が日本へ帰国された場合には、その国、その地域の情勢はこうなっているよ、あるいは国際機関に出られている大使は、その機関についてはこういう問題を抱えているよというようなことをやはり立法府に多少報告をしていただいてもいいのではないか。  それから、本日外務大臣に御出席をいただいておりますが、政務次官が政府を代表して御出席をいただいて、政府に対する質問に答えるということでも私は一向に構わないと思っております。外務大臣は、ここ一番、本当にこれは重要だというときに出てきていただいて発言をする、あるいは意見を述べていただくというようなことでいいのではないか。  そのあたりのことを少し、引き続き委員長理事でお考えをいただくとともに、委員長も、ぜひ、たらい回しで一年、二年で終わる委員長ではなくて、五年、十年この委員会委員長をおれがしょって立つというぐらいの気構えでやっていただきたい。もちろん、大臣になることもあれかもわかりませんけれども、一年大臣をやるよりは外務委員会委員長を十年やる方が、私は、日本の国のためにより大きな貢献ができるのではないかとも思っております。そのあたりは私がとやかく言うことではございませんが、少しそういう外務委員会のあり方というのを、やはり外務委員会のメンバー、特に委員長理事ですが、我々委員も考えていかなければいけないのではないかと思います。  原子力協定につきましては、末松議員を初め専門家が後に控えておりますので、このあたりにさせていただきまして、幾つ質問をさせていただきたいと思います。  まず一つは、外交文書、外務省が作成する文書についてでございますが、現在、外務省の文書は、一般文書のほかに機密にしておかなければいかぬ文書というのがあると思いますが、外務省の文書は、機密保持の観点から幾つのランクに分けられておりますでしょうか。
  46. 浦部和好

    ○浦部政府委員 お答えいたします。  外務省においては、秘密文書の取り扱いについて、秘密保全に関する規則を定めております。実は、この規則は昭和四十年四月十五日の事務次官等会議申し合わせに基づいておりまして、秘密の区分としては、右申し合わせに従いまして極秘と秘の二区分を採用しております。
  47. 河野太郎

    河野(太)委員 それでは、極秘文書はどういうものを極秘と指定をするのか、その極秘に指定されるための要件は何でございますか。
  48. 浦部和好

    ○浦部政府委員 極秘につきましては、秘密保全の必要が高く、その漏えいが国の安全、利益に損害を与えるおそれのあるものにつき行われる秘密指定でございます。
  49. 河野太郎

    河野(太)委員 それでは、その次の、秘に指定されるための要件をお伺いするわけでございますが、これは、その規定が決まっているかどうかということもございますが、その規定を外務省の皆さんが御存じであるかどうかということも大事なことだと思います。  つきましては、委員長の御了解を得て、ここに御出席外務省の方一名を指名して、その方に答えていただきたいと思いますが、よろしゅうございますでしょうか。
  50. 中馬弘毅

    中馬委員長 一名を指名する。いいですよ。
  51. 河野太郎

    河野(太)委員 それでは、そこにいらっしゃいます杉山課長、マル秘指定の要件をお答えいただきたいと思います。済みません、文書を見ないでお答えいただきたいと思います。
  52. 杉山晋輔

    ○杉山説明員 指名でございますので、お答えいたします。  正確にその規定の中に書いてある文書、今ここで紙を見ずにそらんじて言うことはできません。ただ、今官房長がお答えしたように、極秘というのは非常に重大な秘密事項、それから秘というのは、そこまでは至らないけれどもそれに準ずる秘の事項、そういう内容だというふうに了解しております。
  53. 河野太郎

    河野(太)委員 官房長、正解をお答えいただきたいと思います。
  54. 浦部和好

    ○浦部政府委員 まさに今課長が申し上げましたように、極秘に次ぐ、準ずる秘密のものでございまして、関係者以外に知らせてはならない一こういうことになっております。
  55. 河野太郎

    河野(太)委員 大変に、その極秘、秘の指定のための要件があいまいであると思います。何をもってこの文書が極秘になるのか秘になるのか、それを判断するのは並大抵のことではないと思いますが、それではどなたがその判断をされているのでしょうか。
  56. 浦部和好

    ○浦部政府委員 先ほど申し上げました秘密保全に関する規則に基づきまして、極秘につきましては主管の局長、秘につきましては主管課長を秘密指定者としております。
  57. 河野太郎

    河野(太)委員 それが守られておりますでしょうか。
  58. 浦部和好

    ○浦部政府委員 守られておると思います。
  59. 河野太郎

    河野(太)委員 それでは、今回の日英原子力協定に関しまして、極秘文書は何通ございますか。
  60. 阿部信泰

    阿部政府委員 お答えします。  今度の日英原子力協定交渉におきましていろんな文書が作成されたわけですけれども、その秘密指定、極秘指定という事柄の性格上、その数を正確に幾つあるかということをお答えするのは適当ではないと思います。
  61. 河野太郎

    河野(太)委員 それは、わからないということを大変うまく隠した御答弁ではないかと私は思いますが、それでは、機密保持をどれだけやらなければいかぬという規定があると思いますが、機密保持期間というのは何種類に分かれて指定をされるものでしょうか。
  62. 浦部和好

    ○浦部政府委員 実は、例えばある国との間の共同声明というように、発表のタイミングが非常にはっきりしておる、そういうものにつきましては、秘密の指定期間をあらかじめ規定をしておくことは可能でございます。ただ、外交情報につきましては、もちろん我が国の安全であるとか他国との信頼関係であるとかあるいは交渉上の利益等々につきまして、個別具体的に検討した上で秘密指定を解除する、つまり期間はそこで決まるということになるわけでございまして、秘密指定期間を類型的に定めているわけではございません。
  63. 河野太郎

    河野(太)委員 情報公開法案がまさに審議されようという時期でございますが、私は、外務省の情報公開に対して大変強い不満を持っております。今お答えいただきました極秘あるいは秘の指定に関しましても、機密保持の期間に関しましても、非常にあいまいであるとともに、非常に恣意的に運用されている可能性が大でございます。  私は、この外務委員会の秘密会を開催し、外務省からある程度ランダムに、任意に文書の提出を求め、極秘指定あるいは秘の指定が本当に正しくなされているのか、むやみやたらと秘あるいは極秘の指定が行われていないかどうか、機密保持期間の指定が類型的にできないということでございますが、それぞれの文書が本当に必要に応じて機密保持期間の指定がなされているのか、確認をする必要があると思います。  委員長並びに理事会に、外務委員会の秘密会の開催並びに外務省の文書の機密指定のあり方についての、何といいますか審査をする秘密会の開催を求めたいと思います。  なお、極秘文書を外務委員全員に見せることはできぬということであれば、委員長並びに与野党の理事一名ずつが立ち会って、それが正しくされているか審査をし、当委員会に報告をしていただくということも可能でございますし、秘指定のものについてはぜひそういう審査をやらせていただきたい。これは委員長並びに理事会で御検討いただきたいと思います。
  64. 中馬弘毅

    中馬委員長 委員お申し出の件につきましては、理事会で別途協議させていただきます。
  65. 河野太郎

    河野(太)委員 よろしくお願いいたします。  次に移ります。  イラクの危機は、国連事務総長の御活躍によって回避をされましたが、アメリカの下院外交委員会において、イラク危機でアメリカ軍が出兵をした際にかかった経費の一部を日本に負担を求めようではないかというような提案が実施されているやに伺っておりますが、イラク危機に関しまして、アメリカから経費を一部日本が負担をしてくれ、あそこに軍隊を派遣したわけでございますから、あの出兵に際する経費を一部日本が負担をしてくれという要請がアメリカから来ておりますでしょうか。
  66. 小渕恵三

    小渕国務大臣 そのような事実はございません。
  67. 河野太郎

    河野(太)委員 経費負担に関しまして、何らかの事前に協議、申し入れ等がございましたでしょうか。
  68. 小渕恵三

    小渕国務大臣 そのこともございません。
  69. 河野太郎

    河野(太)委員 ありがとうございます。  それでは、これも委員長にお願いをいたします。  駐米大使が次回御帰国に当たりましては、アメリカの下院外交委員会でどのような議論が行われ、それが日本に対して経費負担を求めるような決議案が採択される可能性がどれほどあるのか、駐米大使のお考えを聞く、そういうような会をこの外務委員会で開催することを、委員長並びに理事の皆様に御検討いただきたいと思います。
  70. 中馬弘毅

    中馬委員長 さよう理事会で諮ります。
  71. 河野太郎

    河野(太)委員 ありがとうございます。  次に、ミャンマーに対します円借款再開に関しましてお伺いをいたします。  ヤンゴンの空港には数年前に私と家内で参りました。バンコクからミャンマーに入る際、あるいはミャンマーの国内を移動する際に空港を使用いたしましたが、とりたてて危険であるという認識はありませんでした。もちろん、私はパイロットでも何でもございませんから、空港の設備等がどれほど危ないものかというのはわかりません。  全日空あるいは海外の航空会社に、ヤンゴンの国際空港というのが今どれほど危ない状況にあるのかという問い合わせをいたしましたが、特に至急何かしなければいかぬような危険な状況ではないというお答えでございます。日本国内の旅行会社に、ヤンゴンの国際空港についてどう思っているのかということを聞きましたが、トイレあるいは食堂が汚いということは回答いただきましたが、それより突っ込んだ指摘というのはありませんでした。  一体、この円借款再開でヤンゴン空港の何をどう変えるのか、そしてまた、何ゆえそれを今やらなければいけないのかということをお聞かせいただきたいと思います。
  72. 大島賢三

    大島(賢)政府委員 ヤンゴンの国際空港の案件につきましては、このたび、委員御案内のとおり、凍結しておりましたプロジェクトの一部再開を決定したわけでございます。  飛行場が安全であるかどうかという安全認識につきましては、多少、主観的な要素も入る余地がある問題かと思いますけれども、私どもといたしましては、一つには、凍結をされまして十年間にヤンゴン空港の利用者の増加が大変に大きくなっておる、それから、施設の著しい老朽化も進んでおるということでございまして、例えば滑走路におきましては、傾斜が国際的に認容されているものに比べまして大き過ぎるとか、ひび、段差が多いとか、あるいは照明施設等が大変に老朽化しておるというようなことでございます。  そういう点に着目をいたしまして、安全維持のために緊急な対応をとる必要があると判断をいたしまして、今般の再開の決定に至った、こういうことでございます。
  73. 河野太郎

    河野(太)委員 そこに乗り入れている航空会社すべてに私は聞いたわけではございませんが、数社に伺いましたところ、別に危ないことはないというようなことでございましたが、外務省は、今お答えいただきました事実をどういう経路で、どなたからお聞きになったのでしょうか。
  74. 大島賢三

    大島(賢)政府委員 飛行機会社としましては、今、アジア系の飛行機会社を中心に十村以上乗り入れておりますけれども、恐らく、飛行機会社自身、乗り入れに際しまして、みずから乗り入れている飛行場の安全性について言い募るということは通常しないんだろうというふうに思いますが、政府当局としましては、海外経済協力基金が九五年の時点で現地調査をやっておりまして、別途、国際民間航空機構ICAOの安全基準等とも照らし合わせまして、安全性判断について、緊急に対応をとった方が望ましいということの判断は得ております。政府としてもそういう考え方で来たわけでございます。
  75. 河野太郎

    河野(太)委員 それでは、ヤンゴンの空港の安全性とその他の各国の空港の安全性を比較したデータを外務省はお持ちですね。
  76. 大島賢三

    大島(賢)政府委員 委員の御質問の趣旨が必ずしも明確でございませんけれども、私どもとしましては、この調査におきまして、滑走路、管制塔の高さ、通信設備、滑走路照明、電源設備等について、先ほど一部御説明申し上げましたけれども、こういう状況のままで、補修、改善等がなされない状況のもとでは、安全の問題について懸念すべき状況にあるということでございまして、そういう判断は、安全性に関する判断として、私どもとしてはこれは当然十分なる配慮を払う必要がある。  これは、日本が八八年以前の時点におきまして、この工事につきまして政府事業としてやるということを決定した案件でございます。そういうことで、一部の責任もあるわけではございまして、安全性に問題がある以上、何かが起きてから対応するということでは遅いわけでございますので、これはやはりそれなりの重要な考慮要因ということで対応していく必要があるという判断に至ったわけでございます。
  77. 河野太郎

    河野(太)委員 ヤンゴンの国際空港が安全であるかどうかというのは、一義的にはミャンマー政府の問題でございまして、日本政府責任を負うものではないと思います。  各国の国際空港を比較して、ヤンゴンの国際空港が極端に今危険な状況にあるのであれば、それは日本のお金を少し融資してでも直さなきゃいかぬということになるかもわかりませんが、ヤンゴン国際空港レベル安全性の空港は、まだまだほかにいろいろあるのではないでしょうか。
  78. 大島賢三

    大島(賢)政府委員 飛行場の安全のいろいろな状況がどうなっておるかということについては、今ちょっと手元に資料もございませんし、判断をすることはできませんけれども、先ほど来申し上げましたように、ヤンゴンの飛行場につきましては、空港の灯火設備等につきまして、ICAOで定められております一般的な基準に照らして、基準に達していないものも数点ございまして、これはやはり危険な状態になり得るという判断をしたわけでございます。
  79. 河野太郎

    河野(太)委員 質疑時間がなくなりましたので、最後に一つだけ、この円借款再開によりまして、ミャンマーの軍事政権に対して日本から間違ったメッセージが伝わることはないでしょうか。
  80. 大島賢三

    大島(賢)政府委員 今般の空港の一部再開につきましては、もちろんこれが間違った政治的なシグナルとならないように、すなわち、日本政府としては、ミャンマーにおきます民主化及び人権の状況に対して決して満足しているわけではない、状況の改善を強く従来から求めておりますけれども、今般の決定に際しましても、ミャンマー政府と国民民主連盟との間で意味のある対話が行われることが重要であるといった認識を、改めて外交ルートを通じまして強く申し入れて、今後とも、その進展については注意深く見守り、かつ、適宜必要な措置をとってまいりたいと思っております。
  81. 河野太郎

    河野(太)委員 ありがとうございます。  これで私の質問を終わりにいたしますが、委員長並びに理事の皆様に引き続き御努力を賜りたいと思います。よろしくお願いいたします。
  82. 中馬弘毅

    中馬委員長 河野委員の申し出の件につきましては、私も問題意識を共有いたしております。理事会におきましてもそういう発言もいたしておりますが、何分にも、これは各党各会派の代表であります理事会で協議し、具体的に物事を詰めていかなければなりません。そのことを今後とも進めていくことを申し上げまして、きょうの私の回答とさせていただきます。  次いで、末松義規君。
  83. 末松義規

    末松委員 民主党の末松義規でございます。民友連を代表しまして、日英原子力協定等に関しまして質問をさせていただきます。  質問の前に、今河野委員が言われた、この外務委員会としてのイニシアチブを発揮して、きちんと、政府のやってきている外交について、もっとこの調査あるいは審議促進のためにイニシアチブをとった活動が必要ではないかというお話がございまして、私も全くそのとおりだと思ったわけであります。今、委員長の方からこれを積極的に取り上げていただくということでございますから、理事の皆様方そして委員長、ぜひよろしくお願いしたい。  特に、私なんかは本当に、外務省にも奉職をしていた経験からしても、どうも外務委員会が一体何をやっているんだということがわからなかった、そういう経験を持っております。  したがいまして、例えばフォーリー駐日米大使が来られたら、フォーリー大使をここに呼んで、いろいろと委員各位、皆さんで御議論をいただくような、こういう場も設けていただきたいし、先ほど河野委員が言われたような、小委員会を開いてどんどんそれをやっていけばよろしいのではないかとも思います。また、この外務委員会で、河野委員が言われたように我が方大使を定期的に呼んで、いろいろな大使会議もありますから、そのときに大使を呼んで、それでいろいろな情勢を聞いていくことは非常に有意義だろうと思います。  また、大臣が外交日程ということで本当に重要な場合には、この委員会を抜けていただいて、政務次官にかわりにやっていただく、これも河野委員から言われましたけれども、全くそのとおりだと思うわけです。  そういったことをぜひ、政府の方はこの外務委員会が自分たちの下請とはまさか思ってはおられないと思いますが、どうも私は個人的に見ていて、外務委員会政府の下請をやっているのではないかというふうな感が強いものですから、ぜひその辺、この外務委員会としてのきちんとした対応を御検討いただきたいと思います。  ちょっと委員長、お言葉をいただきたいと思います。
  84. 中馬弘毅

    中馬委員長 先ほど河野委員のときに申し上げましたように、私自身も、こうして外務委員長になりまして半年を経過いたしました。前委員長からの引き継ぎも若干ございましたし、そういう問題意識は持っているつもりでございます。しかし、何分にもすぐそれが実現できるわけではありませんし、現実問題として、かなり我が委員会に付託されてくる条約等の数も多うございますから、これの処理ももちろんしなければなりません。そして、あと定例日といったこともございます。  そういったことをひとつ、皆様方の御同意を得ながら、今までの過去の前例にとらわれずに、もっともっと大胆に、そして、我が国外交方針が誤りなきように、ただ政府に任せるだけではなくて、国民の代表である我々がしっかりと討議した上で、そしてそれも政府の方針に反映させる、あるいはまた逆にこちらが主導権を持ってやっていく、そのぐらいの気構えがこの外務委員会には必要だと私は認識いたしております。
  85. 末松義規

    末松委員 今の委員長の前向きの御発言、ありがとうございます。  今おられる理事の方々も、今の委員長のお言葉は、この会だけに言ったのではなくて、国民の皆さんに言われた言葉だと思います。ぜひ理事の皆様方もそのお言葉を踏まえて対応していただければと強く強く思う次第であります。  では、私の方で、この日英原子力協定について質問をさせていただきます。  まず、第一条でございますが、この平和的非爆発目的利用の促進という言葉でございますが、アメリカが行った未臨界核実験というのですか、この位置づけが一体どういうふうになるのかということについて、私もやや疑問を持っている者の一人であります。  先ほど阿部審議官の方から、ぎりぎり言えば、例えばこういつた実験が軍事目的でないならば、それは日本でこういつた実験をやってもいい、その可能性は排除されないということを言われました。それはそのとおりですね。
  86. 阿部信泰

    阿部政府委員 お答え申し上げます。  こういった意味での未臨界実験をやっていいのかという御質問であります。こういった未臨界実験と申しますと、今までやっていますのはアメリカロシアでございますから、これは明らかにおのおのの核兵器の信頼性を確保するためにやっていると言っておりますので、そういうものは、これは明らかに平和目的に反しますのでできないということでございますが、全く論理的に申し上げれば、未臨界実験というものは、まさに核実験停止条約で爆発を伴わないものと規定しておりますので、日英協定に言うところの非爆発性に合致するわけでございます。  したがいまして、それがかつ平和目的であれば、論理的にはそれは考えられないことはないということでございます。
  87. 末松義規

    末松委員 その非爆発目的なんですけれども、アメリカの未臨界実験を見ていますと、地下でやっていまして、円のように大きなところが、ばあんと土砂が下に沈むわけですよ、爆発によって。あれはTNTの爆発で核爆発ではないと言われているのですけれども、爆発というのは、TNTの爆発とかそういうものは、核爆発でなければいいのだ、そういうことですか。
  88. 阿部信泰

    阿部政府委員 お答え申し上げます。  アメリカの実験は、確かに爆発を伴っております。ただし、これはおっしゃられるようにTNT火薬による化学的な爆発でございますので、例の包括的核実験禁止条約との関係では違反にはならないということでございます。  それから、日英原子力協力協定関係で申しますと、この協定対象になっております核物質、つまりプルトニウムとか濃縮ウランによって爆発的なものをやってはいかぬというのが協定の定めてございますので、その試験が核物質によらずにTNTなどの爆薬を使った化学的な爆発であるという場合には、日英協定に関する限りにはその問題にはならないということかと思います。
  89. 末松義規

    末松委員 先ほどから阿部審議官が、この協定だけに限ればという話を言っておられるわけですけれども、それの前提を外すという話になりますと、平和目的で、しかもTNTの化学的反応とかそういう形で、実際の核爆発という形を伴わないというのは、この協定以外も含めて考えれば、これは日本では許されない、許されないというところまで言えるのか、言えないのか。現時点ではやらないのだろうというふうに思うわけですが、この辺についてコメントはございますか。
  90. 阿部信泰

    阿部政府委員 未臨界実験と申しますか、そのようなものに関しまして、現在日本が拘束される国際的な約束としましては、包括的核実験禁止条約、それから今度の日英原子力協力協定というものがあるかと思います。  その関連で申し上げれば、非爆発的なものであって、しかも平和目的であるというものについては、論理的には、未臨界のものであれば、それはできなくはないということでございます。
  91. 末松義規

    末松委員 今、阿部審議官の方からもお話がありましたけれども、CTBTでの位置づけは、これは問題ないというはっきりとした結論は出ているのですか。
  92. 阿部信泰

    阿部政府委員 昨年でございましたか、アメリカが未臨界実験を行いましたときに、包括的核実験禁止条約の実施準備のための事務局が今できておりますが、そこが発表をしまして、これは条約との関係では違反とは言えないということを言っておりますので、国際的にも、こういう未臨界実験というのは、包括的核実験禁止条約、CTBTとの関係では違反とは言えないということが言えるかと思います。
  93. 末松義規

    末松委員 今、アメリカが言っているとおっしゃいましたか。オーソリティーのあるところが言っているのですか。
  94. 阿部信泰

    阿部政府委員 これは、もちろんアメリカ政府は違反しないという見解のもとにやったわけですが、この条約の実施の準備のための事務局が今ウィーンにできておりまして、そこの事務局の見解として、去年、これは条約に違反しないという見解が発表されております。
  95. 末松義規

    末松委員 事務局が言えば、これはオーソリティーになるんですか。全体としてきちんと加盟国が判断をするという判断はとらないんですか。アメリカの主張のほかに、何かインドやパキスタンがいろいろな、反対する立場をとっているみたいですけれども、その辺についてはいかがなんですか。
  96. 阿部信泰

    阿部政府委員 おっしゃられるとおり、条約の解釈でございますので、最終的には条約の加盟国が、その条約で定める手続に従って有権的な解釈を定めるということになりますが、条約自体、実はまだ発効しておりません。したがいまして、そのような最終的、有権的な解釈を定める段階には行っていないということでございます。  それから、インドなどが、未臨界実験が許されるのは問題だということは言っているようでございますが、残念ながら、インド自身がこの条約には当面入るつもりはないと言っておりますので、中に入ってインドが議論するということは、今のところは考えられないということかと思います。
  97. 末松義規

    末松委員 そうすると、我が国判断としては、だから国際的には有権的な解釈はないわけでしょう、今言われるように。ただアメリカがそう言っていて、事務局はそう言って、そうだという位置づけですね。そういったときは、今阿部審議官がおっしゃられたように、その判断が最終的判断ではないわけですよ、有権的な解釈。その中で日本政府はどう判断しているのですか。
  98. 阿部信泰

    阿部政府委員 この条約を作成する交渉の段階におきましていろいろな議論があったわけでございますが、その段階で、爆発に至らないものはこの条約では禁止されないというのが、議論の主な流れであったかと思います。逆に申し上げますと、アメリカその他の現在核兵器を持っている国は、そこまでは許されるのだなという了解のもとで条約に署名し、今、これから批准手続をとって締結することを考えておるわけでございまして、政府としましても、究極的に核を廃絶するという観点からは、それは究極的には、実験も、すべてのものがやめるべきでございますから、方向としてはそうなんでございますけれども、残念ながら、現在の条約交渉の経緯及びそのような事務局の解釈という観点からすれば、今のところ違反とは言えないというのが私どもの見解でございます。
  99. 末松義規

    末松委員 今、阿部審議官がくしくも言われましたけれども、我が国の方針として、究極的に核兵器を廃絶しようというのが我が国の国是ですね。大臣、そこは間違いありませんか。
  100. 小渕恵三

    小渕国務大臣 積極的に、我が国としては廃絶を目指して努力をいたしておるところでございます。
  101. 末松義規

    末松委員 そうしますと、ああいうふうな未臨界核実験というのは、確かに、核爆発を伴わないということからは一歩前進ではありますけれども、核兵器を、その中に入っておるプルトニウムとかウランの純度を保つ、そして兵器が機能するために使われるという説明がございますけれども、それをそのまま、維持管理のためにやらせるものに対して、我が国がなぜ本当に賛成をしなければいけないのか、そこの理由についてはいかがですか。
  102. 阿部信泰

    阿部政府委員 究極的に核を廃絶するということで、政府としてはいろいろな努力を続けているわけでございますが、核実験につきましては、歴史的に一歩一歩、今進んできたところでございまして、最初は、大気圏での実験をやめよう、あるいは宇宙での実験をやめよう、それから、ある程度規模以上のものはやめよう、部分核実験停止条約というようなことでだんだん進んでまいりまして、今度、少なくとも爆発性核実験は全部やめようということで、包括的核実験停止条約ができたわけでございます。  そのように一歩一歩進んでいるところでございまして、将来の核廃絶を目指して、これからの交渉の課題としてこれは取り組まなければならないものではないかと考えております。  そのような御意見は広島、長崎両市長などからもいただいておりますので、そういうことを踏まえて、これからの核問題の交渉で取り組んでいきたいと考えております。
  103. 末松義規

    末松委員 これを機会に大臣からも、核廃絶に向けた日本のイニシアチブ、決意をぜひお伺いしたいと思います。
  104. 小渕恵三

    小渕国務大臣 核兵器廃絶につきましては、核兵器のない世界を目指し、現実的な核軍縮措置を一歩一歩着実に積み重ねていくことが重要だと思っております。このような考え方に基づきまして、我が国は、核廃絶を訴える決議を国連総会で積極的に提案してきております。  また、包括的核実験禁止条約に続く、現実的かつ具体的措置であるカットオフ条約交渉を早期に開始するため、この条約の技術的側面に関する専門家会合を開催することを提案いたしておるところでございまして、先ほど申し上げましたように、我が国としては、全面的核廃絶に向かつて我が国の立場を強く主張いたしていきたいと思っております。
  105. 末松義規

    末松委員 私も、数年前タヒチに行きまして、それで、そのときにムルロアのフランス核実験があったわけですけれども、そこで反対してきたわけなんです。  そのときに、沿道に群衆といいますか人がたくさんいまして、そこで、日本人がかなり来ていたので、それに対して民衆の皆さんが拍手でもって迎えたんです。そのときに、それ自体はうれしかったのですけれども、そのうちの何人かが私のところにも寄ってきまして、日本人が来てくれるのはありがたいんだけれども、広島と長崎という悲惨な目に遭った、これもアメリカから原爆を落とされたんだろう、そのアメリカに対してこのことに触れずに、経済的な成功をから得た日本というのはそれは立派だと言うんですが、ただ、核廃絶に向けたイニシアチブについては、そういうふうな悲惨な体験を行った国がまず世界に向かって、ウォッチドッグというか、がんがんやっていかないと、そういうふうなのは変わるわけがないじゃないかということを言われました。実は、それに私は非常にショックを受けたというか、ある意味では感銘を受けたわけであります。  そういった意味で、日本がやらないのならば、じゃ、だれがやるんだ。むしろあの不幸な原爆は、日本人が核廃絶に向けた努力をするために負った日本の使命じゃないか、神様からそういった使命が与えられたというふうに私は感じているわけであります。  この話をすればこれまたいろいろと話が長くなりますから、これはまた別の機会にさせていただきますけれども、同じようなことで、この前のイラク問題で、イラクの核兵器が隠されているんじゃないかということで査察が行われていますけれども、よくよくイラク側もいろいろなことを言っていまして、湾岸危機もそうだったんですけれども、イラクとイスラエルがダブルスタンダードじゃないか、そういうことをよく言われてきたわけです。  イラクに対して、大量破壊兵器が何かあるんじゃないかという形で、戦争に負けたとはいえ、アメリカがむきになってどんどん査察を行っているわけですけれども、一方、イスラエルが核兵器を持っていないかというと、疑惑として大変いろいろなことを言われているわけです。  そういったことで、日本政府の立場からイスラエルに対して、あなたのところもおかしいじゃないか、どうだ、一緒にやってみないかと、やや暴論には見えますが、そういったことで、どうも核疑惑国に対して日本政府としてきちんとした申し入れを行ってきたのか、あるいはそういうふうな気があるのか、その辺について、これは大臣でしたか、お答えいただきたいと思うのです。
  106. 小渕恵三

    小渕国務大臣 日本として、先ほど申し上げましたように、核の被害を受けた、核爆発の被害を受けた唯一の国としての立場で、全世界に向かって強くアピールを行っていかなければならない責務を負っていると認識をいたしております。  そこで、今お尋ねの点について、一つは、イラクについて我が国が、この大量破壊兵器の廃棄と査察につきまして、我が国が、イラクに対する対応と、イスラエルに対しての対応に対してダブルスタンダードではないかという、そういったようなお尋ねかと認識をしておりますけれども、イスラエルにつきましても、従来から国連の活動の枠組みでNPTに参加するように常に呼びかけておるところでございまして、日本としては、イスラエルに対しましてもそのような適切な対応をとっておると認識をいたしております。
  107. 末松義規

    末松委員 政治的に非常に難しい話であることは重々承知はしておるわけですけれども、ただ、私もアラブの諸国で勤務した経験もございますし、そういった中で、要するにアメリカとかその辺を怒らせるから怖いというような形で、イスラエル問題についても不問に付すということ、これはやはり理屈としてはおかしい話だと思うのです。  ですから、確かにこれは総合的な外交政策になりますから、余りここで一方的な見方だけでやる気はございませんけれども、このダブルスタンダード論について、結局、日本政府としてはそういうことはあえて持ち出さないんだという姿勢なんですか。いかがですか。
  108. 阿部信泰

    阿部政府委員 基本的事実としましては、イラクの場合は、NPT条約に既に加入しておりまして、核兵器を持ってはいけないという義務を負っている。イスラエルの方は、NPTには加入していないということがあるわけですけれども、そのイスラエルに対しても、NPTに加盟して核兵器を持つべきじゃないということを働きかけております。  また、別に、これはやはり地域全体の政治的な問題として取り組む必要もありますので、中東の非核地帯というものを実現して、イスラエル及びその周辺諸国すべてが核を持たないということを明確に約束すべきだという構想、これについても我が国として積極的に推進、働きかけを行っております。
  109. 末松義規

    末松委員 今、その非核地帯構想について積極的に推進しているというのですけれども、実際にどういうふうなことをやられているのですか。おっしゃられたから、ちょっと聞きましょう。
  110. 阿部信泰

    阿部政府委員 一つは、国連の総会におきます決議がありまして、中東の非核地帯をつくるべく努力すべしというものがありまして、これを日本としても積極的に支持しているということがあります。また、あとはいろいろな二国間あるいは多数国間の会議の場において、そういうことを推進すべきではないかということを、外交努力を行っております。
  111. 末松義規

    末松委員 時間もありませんから、この場ではそれほどあれしませんが、ぜひそこは、金も出して人も出すくらいの決意でやっていただきたいと思います。  ちょっと条約に戻りますけれども、第一条の一の(b)というところで、公開の情報の相互交換というお話がございます。これは何かえらい難しい書き方になっているのですけれども、公開情報、先ほども河野委員の方から話もございましたけれども、公開の判断基準というと、第十二条に、公開の情報とは何かというと、政府が秘密として指定していない情報とありますけれども、この秘密とするかしないかの判断基準というのを私にも言っていただけますか。
  112. 阿部信泰

    阿部政府委員 御指摘のとおり、協定の第十二条で、公開の情報、あるいは公開されない情報というのは、いずれか一方の締約国政府が秘密として指定した情報ということでございますが、これは、現実には、政府が安全保障上の観点から秘密の指定を行った情報というふうに解釈しております。
  113. 末松義規

    末松委員 安全保障上の情報は秘に指定するが、安全保障上でない情報は公開だ、そういうことですね、今おっしゃったのは。
  114. 阿部信泰

    阿部政府委員 これは核関連物質ということですので、安全保障上の理由ということが中心になるわけでございますが、もちろんおのおのの政府がどのような情報を公開し、あるいは公開しないかということは、そのおのおのの政府の政策あるいは法制度にかかわることでございまして、我が国の場合においても、それはそのような制度がどうなっているかということに係ることかと思います。  情報公開法というのが現在審議中と承知していますので、その結果によってその辺は定まるものかと思います。
  115. 末松義規

    末松委員 とすると、情報公開法によってかなりこれは影響が出てくるという位置づけですか。
  116. 阿部信泰

    阿部政府委員 最終的には、法律に従ってすべてのものが決められ、なされるということだと思います。
  117. 末松義規

    末松委員 そうですが。ここの書き方は、何か、公開情報を政府間で相互に提供し、あとはその下の、多分事業者の方々を中心とするのでしょうけれども、その方々の間で公開の情報を交換するという話なんです。  ちょっと細かくて恐縮なんですけれども、この相互に情報を提供することとそれから交換すること、とれは何か言葉の、文言の違いがあるのですけれども、その辺は、例えば英語で言うと、「ザコントラクティング パーティーズシャル メーク アバイラブル」というのと、あと「ザ コントラクティング パーティーズ シャル ファシリテート エクスチェンジズ オブ アンクラシファイド インフォメーション」という話の、この言葉の違いがあるのですけれども、何かここに意味はありますか。
  118. 阿部信泰

    阿部政府委員 その点は基本的に、政府が持っている情報を公開されたものは提供する、自由に得られるようにするということと、もう一つは、政府以外の者が持っている、事業者などの持っているものについて、それが公開、提供されるようにするという、そういう具体的な事例の書き分けで、基本的には、公開されないもの以外の情報はすべて情報を提供し、あるいは入手可能にするということかと思います。
  119. 末松義規

    末松委員 そうすると、今のお言葉をそのまま言うと、情報を提供し、しかも入手可能にするということは、英語の方はこの「シャル」という言葉にもありますけれども、ここはある意味で義務的な規定なんですか。
  120. 阿部信泰

    阿部政府委員 公開された情報についてはそれを提供するということが協定上の義務になるということかと思います。また、政府が持っていないものについては、それが入手し得るように、政府として法令の許される範囲内において努力をする義務を負うということかと思います。
  121. 末松義規

    末松委員 そうしますと、この公開情報の提供義務規定によって、日本政府英国政府の間で、かなりの頻度でそういった情報の交換が実際になされてきたというふうに考えてよろしいのですね。
  122. 阿部信泰

    阿部政府委員 そのように情報の交換がなされ、また、これから新しい協定の規定に従ってさらにそのような情報の交換が続けられるということでございます。
  123. 末松義規

    末松委員 この情報化時代において、公開情報というのは、通常公開されているからある意味ではどんどん回り回っていくわけです。ある意味での秘密の情報を公開しろというのだったら、ある程度話はわかるのですけれども、公開された情報をあえて交換しなければいけない、そういったことというのはこの情報化社会のもとにおいて余り大きな意味がないように思うのですけれども、なぜこんな規定が一々改めて入らなければいけないのですか。
  124. 海老原紳

    海老原政府委員 ここに申します公開の情報は「いずれか一方の締約国政府が秘密として指定していない情報をいう。」というふうに定義されてございますけれども、ここで言う「秘密として指定していない」というものにつきましては、先ほど答弁がありましたように、政府が安全保障上の観点から秘密指定を行っていない情報ということでございます。  したがいまして、ここで申します公開の情報といいますものは、安全保障上の観点から秘密指定を行っている情報を除く情報という意味でございまして、通常の意味におきます公開というのとちょっと意味が違いまして、物によりましては安全保障上の理由ではない理由によって秘密になっているというような情報もあるわけでございます。  例えば企業秘密というようなものもございますし、あるいは核物質の防護というような観点、国家の安全保障という観点ではなくて、核物質の防護というような観点から秘密扱いになっている情報というものも協定上は公開の情報というのに入っているわけでございます。  したがいまして、必ずしも世間一般に公開になっているという情報ばかりではなくて、そのような情報につきましても、日英間で情報の交換を行うことによって、協力を促進しようという規定になっておるわけでございます。
  125. 末松義規

    末松委員 公開という文言が、一般の法律の定義と日英原子力協定の定義が違うというのは、私も初めて聞いて、やや驚いているのですけれども。  確かに海老原審議官が言われるように、企業秘密という話でそういうふうなことも、あるいはフィジカルプロテクションというのですか防護というのでしょうけれども、この防護というのは安全保障上全く関係がないと言えますか。
  126. 海老原紳

    海老原政府委員 先ほど申し上げましたように、安全保障上の観点から秘密指定がなされているという情報の範囲でございますけれども、これはこの協定交渉過程におきまして、いわば国防法の観点、安全保障上の観点という意味は、国家安全保障上の観点という観点から秘密指定がなされているものという了解が両国政府の間にございます。  また、これは現行の協定にもある文言でございまして、現行の協定においてもそういう解釈がなされております。  したがいまして、先ほど私が申し上げましたような防護の観点から秘密扱いになっているものについては、ここで言う公開の情報に当たるということにつきまして日英間で解釈の相違はないというふうに考えております。
  127. 末松義規

    末松委員 ただ、秘密であっても、いろいろな原子力の、核燃料物質の引き渡しとかあるいは防護関係、これは日英両国政府交渉を初め、秘密情報も含めていろいろと話し合っているのだろうと思うのですけれども、実際の日常のそういった情報交換、これはこの協定とは全く違うという位置づけですか。それとも、今この協定第一条に基づく情報交換に当たるということですか。
  128. 海老原紳

    海老原政府委員 現時点におきましては、まだ現行の日英協定が生きておるわけでございますけれども、現在の日英協定におきましてもこのような規定がございますので、今委員がおっしゃったような情報交換は、ここで言う公開の情報の交換というものに当たるというふうに解釈いたしております。  なお、一つ補足をさせていただきますと、一条の(b)のところで、「公開の情報を相互に提供し、」とある前に、「合意によって定める条件で」という言葉がございます。したがいまして、例えば防護に関する秘密の情報というようなものを提供する場合に、それがいわば世間には必ずしも公表されてほしくないというような場合には、ここに書いてございます「合意によって定める条件で」ということで、これによって、提供はするけれども、その取り扱いについては注意してほしいというようなことを条件づけるということは、この協定上も可能でございます。
  129. 末松義規

    末松委員 そうしますと、これは情報公開法が提出される中身にもよりますけれども、その場合には、そういった防護関係とかあるいは企業秘密とか、この辺については、国民の方にはいわゆる一般の意味で、海老原審議官の言われる一般の意味での公開には当たらないのだという位置づけですね。
  130. 海老原紳

    海老原政府委員 情報公開法との関係におきましては、先ほども答弁がありましたけれども、これはまだ御審議中の法案でございますので、それとの関係についてはコメントは差し控えさせていただきたいというふうに思っております。  ここで申します秘密の指定をどういう基準で行うかということにつきましては、それぞれの締約国政府の裁量に任されておるということになっておりますので、それぞれの締約国政府がどういう基準によって秘密の指定を行うのか行わないのかを決めるという形になっております。
  131. 末松義規

    末松委員 時間もなくなってきましたので、次に移らせていただきます。  原子力政策についてお伺いをいたします。  私は、原子力政策というのは何のために日本にとって必要かといいますと、まずはエネルギーが一番だろう。ただ、それを使うに当たって、非常に危ないものだから、第二番目の原則として安全性というものが一番重要でしょう。と同時に、核不拡散ということがやはり安全面から重要でしょうということで、三番目に核不拡散。四番目に、京都でCOP3というのが行われましたけれども、環境、つまりCO2の環境破壊を守るという意味からも原子力というのは役に立っているのだろうな。だから、エネルギーという要請と、それに安全性、不拡散、それから環境保護、この辺が相まったバランスの中で原子力政策が行われていくべきだろうと考えております。  ただ、この原子力というのは一たんやり出しますと、核燃料サイクルというのがございますが、これは一応完結しなければいけない。そうしないと、中途半端に終わらせるわけには、なかなかいかないのが現状であります。  そういった立場から、幾つ質問をさせていただきます。  まず、COP3において原子力というものが明確に位置づけられておりませんでした。原子力の役割、CO2のエミッションというか排出において非常に重要な役割を持っているのだろうということは事実だと思いますが、これはどうして原子力の役割は明記されなかったのか、これをお伺いいたします。
  132. 上田秀明

    ○上田政府委員 お答えいたします。  御指摘のように、二酸化炭素の排出量という観点から見ますれば原子力発電が有効といいますか、そういうことが認識されております。他方、御指摘のように、原子力をめぐりましては各国それぞれの事情が異なるというようなこともございまして、一様の対応ではないというような状況にございます。  しかしながら、京都議定書の第二条に、排出の抑制及び削減に関する数量化された約束の達成に当たって実施すべき政策及び措置の一つとして、環境上適正な技術の研究促進、開発及び利用の拡大ということが規定されております。この条項で原子力の促進等が規定されたというふうに認識しております。その認識につきましては、この京都議定書の作成過程におきまして、各国に共通の認識であったというふうに理解をしております。  先ほど申し上げましたように、原子力をめぐりましてはさまざまな意見があることもありまして、直接この京都会議の場におきまして原子力そのものを取り上げて議論が行われたということはございませんでした。
  133. 末松義規

    末松委員 原子力の役割、今御説明があった中で、各国とも一応そういった意味で理解はしているのだけれども、いろいろな原子力に対する風圧もあるから、その辺はうまく政治的な解決が図られたという位置づけというふうに私も考えさせていただいておりますが、その中で、日本がCO2の削減六%をやりましたが、その数字の前提として、通産省が明らかにしておりますが、原発約二十基がこれから必要だというふうなことが言われておりますけれども、それは、実際に原発これから二十基というのは本当にできるのかなという気がするのですが、それについてはいかがですか。
  134. 上田秀明

    ○上田政府委員 御指摘のように、日本の排出量の削減の問題に取り組むに当たっては原子力発電が非常に重要であるということは、昨年の秋の地球温暖化問題への国内対策に関する関係審議会合同会議から出されました報告にも、今御指摘のように、今後約二十基の原子力発電所の増設に相当するような原子力エネルギーを導入するというふうなことがうたわれておりまして、総理も国会でそのように答弁を繰り返されておられます。  今度、京都会議を踏まえまして新たに政府でつくられました地球温暖化対策推進本部、この本部の一月九日付の決定によりましても、「省エネルギー等二酸化炭素排出削減対策の推進」という項目におきまして「安全性の確保を前提とした原子力立地、新エネルギーの導入」ということがうたわれております。それに基づきまして、ただいま関係審議会の合同会議等が開催されまして、検討に入ったところでございます。  原子力発電の、そのものの今後の推進その他につきましては、所管ではございませんので、関係の方面にお尋ねいただきたいと思います。
  135. 勝野龍平

    ○勝野説明員 お答え申し上げます。  原子力発電所の今後の増設の見込みはどうかという御質問であろうかと思います。  現状をまず申し上げますと、現在運転中の原子力発電所、五十二基ございます。四千五百八万キロワットという設備能力でございます。  今後の計画といたしましては、本年三月に電気事業者から通産大臣に届け出が出されております電力供給計画によりますと、二〇〇七年までに運転を開始する発電所といたしまして九基、千百二十八万キロワットが計上されております。また、さらに二〇〇八年度以降につきましても、運転開始を予定している原子力発電所も相当数考えられます。  御指摘のとおり、二〇一〇年までに約二十基を増設する、全体で四千八百億キロワットアワーという目標を掲げているわけでございます。この実現は必ずしも容易ではないと思っておりますけれども、地球環境問題への対応が求められる中、原子力発電所に期待する部分も大変大きいものでございますので、その実現を目指して全力を挙げて取り組む所存でございます。
  136. 末松義規

    末松委員 では、通産省の説明員の勝野課長にお尋ね申し上げますけれども、そうすると、電気事業者等とのお話し合いの中で、ある程度トータルな原子力についての絵姿といいますか、原発の絵姿は実際にもう持っておられる、こういうことでよろしいですか。
  137. 勝野龍平

    ○勝野説明員 二〇一〇年に向けて四千八百億キロワットアワー、七千万キロワットという設備能力、それに向けた構想は、地元とのいろいろな交渉を行っているものとして具体的に計上されております。ただ、それが二〇一〇年までの間に確実に実現できるかどうか、これは今後、やはり地元の皆様方の御理解、地方公共団体の御理解、あるいは政府としてのいろいろな取り組みが必要かと思っておりますけれども、そういった取り組みを強化して、何とか二〇一〇年に目標を達成していきたい、こういう考え方でございます。
  138. 末松義規

    末松委員 ただ、民間の事業者だけがこれを原子力、その計画の達成というのは難しいのだろうということで、今、勝野課長からもお話がありました。政府としてもきちんと最大限の努力を行っていくんだという話でございますが、実際に活動計画なるもの、そういったものは具体的にございますか。
  139. 勝野龍平

    ○勝野説明員 原子力発電所を推進していくためには、各発電所の安全運転の実績を着実に積み上げていくということが第一であるという認識をしております。  これを前提にいたしまして、国としての取り組み、御質問でございますけれども、まず第一点は、原子力発電の必要性及び安全性に関する国民の理解、これを求めるための活動の強化、具体的には、マスメディア等を活用しました各種のツールを用いた広報活動の充実、これに取り組むという考え方がございます。二点目には、原子力発電の安全に係る各種の試験等を含めた技術開発、これも着実に実施しなければいけない。三点目には、原子力立地地域の振興対策、これを充実しなければいけない。  これにつきましては、従来、とかく道路、公民館等こういった基礎的な生活基盤の向上の施設建設に偏りがちというような御指摘もございます。地元の要請は、若者の雇用機会の創出、こういつたことを通じます立地地域の活性化に向けた産業支援、これについての要請も強うございます。こういった要請を十分踏まえながら、その施策の充実を図っていく必要があろう、こう考えているわけでございます。  また、政府全体としても、十二省庁が参画します電源開発調整審議会という場がございます。こういつたような場を活用しながら、政府一体となった取り組みを強化してまいりたいと思います。  具体的には、こういった特に原子力立地の推進のあり方につきましては、地球環境問題という新たな環境変化もございますので、電気事業審議会需給部会、ことしの一月から開催いたしまして、その具体的なあり方につきまして御審議をしていただいているということでございます。
  140. 末松義規

    末松委員 さまざまな活動をこれからまたなされるということで、ただ、これも安全上、ちょっとでも事故があると、その言葉、広報がすべて吹っ飛ぶという話でしょうから、安全面は本当に考慮に考慮に考慮を重ねて、とにかく絶対そこは死守していただきたいと思うわけでございます。  では、ちょっと話を変えまして、プルサーマル計画についてお話をさせていただきます。まずプルサーマルの民間事業者の計画、これはどういうふうになっておりますでしょうか。
  141. 鈴木正徳

    ○鈴木説明員 お答えいたします。  プルサーマル計画でございますけれども、昨年の二月二十一日に、電気事業連合会が電気事業者のプルサーマルの全体計画を発表しております。本計画によりますと、二〇〇〇年までに四基の原子力発電所で、それから二〇〇〇年代初頭までに累計で九基、二〇一〇年までに累計で十六基から十八基程度でプルサーマルを実施する予定ということになっております。  この計画の発表を受けまして、昨年の三月六日に、東京電力が福島県それから新潟県に、また昨年の三月二十八日でございますが、関西電力が福井県にプルサーマル計画の説明を行ったところでございます。その後、これら三県を中心に、私ども政府それから電気事業者ともども、プルサーマル計画につきまして地元住民の方々を初めとする国民の方々の御理解を得るために、説明会等を開催してまいりまして、ことしの二月二十三日でございますが、関西電力が、福井県それから地元の高浜町に対しまして、高浜の発電所の三号機、四号機に係りますプルサーマル計画の事前了解のお願いを申し入れたところであります。
  142. 末松義規

    末松委員 二〇〇〇年までにもう四基プルサーマルの稼働を行うという話であれば、来年ぐらいまでにはそれはもう一応燃料も装てんするという話でしょうから、ことしじゅうに何をしなければいけないか、そういうスケジュールがどんどん決まってきているのでしょう。  それをお聞きする前に、使用済み燃料の処理というのを核燃サイクル上、今の状況であれば、英仏へ移転するか、あるいは自分の原発のサイト内でとりあえず貯蔵するか、あるいは全国レベルでの一時貯蔵というものをどこかでやっていかなければいけない。これは六ケ所という話であるのでしょうけれども、その辺の使用済み燃料の貯蔵、これはどういうふうにやっていますか。
  143. 土屋定之

    ○土屋説明員 御説明申し上げます。  今先生の御質問使用済み燃料の再処理の部分につきまして、御説明申し上げたいと思います。  御存じのとおり、資源エネルギーに乏しい我が国におきましては、将来にわたるエネルギーの安定確保、また放射性廃棄物による環境への負荷の低減といった観点から、発生する使用済み燃料は再処理しまして、回収されるプルトニウム及び未利用のウランをリサイクルする核燃料サイクルの確立を原子力政策の基本としております。  このため、これまで動燃事業団の東海再処理工場におきまして、所要の研究開発を行いながら、再処理を実際に行ってまいりました。また現在、日本原燃という会社が青森県六ケ所村で商業用の再処理工場を建設中でございます。また、先ほど御指摘ありました英仏でございますが、電気事業者におきましては、当面の再処理需要を賄うために、イギリスフランスに再処理を委託しておるところでございます。  今後とも、使用済み燃料を再処理することを基本にいたしまして、安全性確保を大前提に、国民の理解を得ながら、六ケ所の再処理工場の着実な推進に努めてまいりたいというふうに思っております。
  144. 末松義規

    末松委員 端的に聞いて、使用済み燃料が満杯になっていないかということなのです。つまり、電力のサイトの中だけで、もう何か貯蔵する場所がないという声も聞くのですけれども、その辺についての手当てというのはきちんとできているのですか。
  145. 鈴木正徳

    ○鈴木説明員 お答えいたします。  現在、我が国原子力発電所からは、年平均でございますけれども、約九百トンの使用済み燃料が発生しております。二〇一〇年には原子力発電の規模を、私ども約七千万キロワットを想定しておりますけれども、その際には、約千四百トン程度使用済み燃料が毎年発生いたします。  現在、海外再処理のための使用済み燃料の搬出はおおむね終了しております。また、先ほど答弁いたしましたが、現在建設中の六ケ所の再処理施設の処理能力、これは年間約八百トンでございます。そうしますと、長期的には使用済み燃料の貯蔵量は増大していくという見込みでございます。  このため、今先生の方から御指摘ございましたけれども、各発電所ごとの貯蔵能力の増強も進めておりますけれども、二〇一〇年ごろには使用済み燃料の貯蔵につきまして、新たな対策が必要となるというふうに考えております。  私ども、このような状況を踏まえまして、二〇一〇年ごろを目途に、発電所のサイト外の貯蔵も可能となるように環境整備を行うことが必要と考えていまして、今後、最大限の努力をしていきたいと思っております。
  146. 末松義規

    末松委員 そうしますと、先ほどの話にちょっと戻りますけれども、プルサーマルの場合はMOX燃料を使うということでしょうから、そのときのMOXの輸送について、まず国と事業者の役割というのはどういうふうに考えておられますでしょうか。また、MOX燃料は大体いつごろからどのくらい運んでいくことになりますか。
  147. 長谷川直之

    ○長谷川説明員 お答えいたします。  MOX燃料の利用につきましては、昨年二月に国が示した核燃料サイクル政策に沿いまして、事業者が個々に軽水炉におけるMOX燃料の利用を計画しているところでございます。先ほど鈴木課長から御説明申し上げたとおりでございます。  実際に、MOX燃料の装荷に向けましては、事業者がMOX燃料の利用を予定しているそれぞれの発電所の地元の了解を得る一方で、所要の国の安全面の審査を受けていくことになります。  輸送自体につきましては、このようなMOX燃料の装荷の予定に向けまして、装荷に間に合うように、基本的には事業者が主体となり実施していくものでございますけれども、これに伴う関係国との調整などが必要となることもございまして、MOX燃料の適切な輸送に至るように国と事業者が協力していくことが必要だと考えております。
  148. 末松義規

    末松委員 今、MOX燃料の装てんについては地元との関係はどうなのでしょうか。地元の了解は得られているのですか。
  149. 鈴木正徳

    ○鈴木説明員 お答えいたします。  先ほど御説明いたしましたように、東京電力が福島県、新潟県に対しましてプルサーマル計画について御説明をしております。  それから、関西電力が福井県に対しましてプルサーマル計画を説明いたしまして、本年の二月二十三日でございますけれども、関西電力が、福井県及び高浜町に対しまして、プルサーマル計画の事前了解願を申し入れたという段階でございます。  関西電力がこのプルサーマル計画を実施するに当たりましては、原子炉等規制法に基づきまして、原子炉の設置変更許可申請を通産省に提出することが必要でございます。ただ、この提出に当たりましては、その事前段階で地元の福井県及び高浜町の了解を得るということに、関西電力と福井県、高浜町の間の安全協定上なっております。  現在、福井県及び高浜町におきまして、この事前了解を行うかどうか御検討中という段階と聞いております。
  150. 末松義規

    末松委員 このプルサーマルというのは、ある意味では、幾ら英仏に再処理をお願いしてもごみは持って帰らなければいけない。それと同時に、再処理されたものも引き取っていかないと、これは国際的に問題になるわけです。あとは、日本で再処理という話になるのでしょうが、今資源のリサイクルという話もありますから、そういった意味では、原子力というのは資源のリサイクルに非常に適しているところである、それが核不拡散と安全上問題ないという前提ではございますけれども。  そうしますと、今、地元の了解を得る途中になっているのだ、そこで政府も一生懸命努力しているのだということですね。うなずいておられるので、通産省ほかの皆さん、多分そうだろうと思います。そうしますと、先ほど河野委員の話にもありましたけれども、今度は防護の関係というのは当然出てくるわけです。  これはアメリカとの附属協定書か何かでやられていると思いますけれども、事業者とアメリカとの間、あるいは、これは多分政府レベルになるかと思うのですが、政府レベルでは、アメリカとのMOX輸送について、どういうふうな状況になっているのでしょうか。
  151. 阿部信泰

    阿部政府委員 おっしゃいますように、日米原子力協定基づく附属書に基づいてこの問題は日米政府間で話し合っておりまして、これからあり得べきMOX燃料の輸送について、現在、非公式に日米政府間で意見交換を行っているところでございます。
  152. 末松義規

    末松委員 今から数年前、その辺の話題がやはりいろいろなことで報じられてもいますけれども、MOX燃料については、日米の回収プルトニウムの国際輸送のための指針では、護衛船というものが規定もされていますけれども、そうでないやり方もできる、防護のレベルで同程度、代替できるような手段があればそれは護衛船でなくてもいいという話もあったかと思うのですけれども、日本側はどういう主張をしているのですか。あるいは、それは電気事業者との間でどういうふうな話し合いになっているのですか。
  153. 阿部信泰

    阿部政府委員 おっしゃいますように、前回一度例がありましたのは、プルトニウムを運んできたという例がありまして、そのときには御承知のような防護策をとったわけですが、これから考えられます今度はMOXという燃料形態のものでございますが、その輸送についてどのような方法をとるかということにつきましては、この取り決め附属書の指針を踏まえまして、実際にどういう方法が適当であるかということについて、これは非公式な意見交換を始めたところでございまして、まだその具体的な内容については申し上げる段階にはないということでございます。
  154. 末松義規

    末松委員 数年前からこの辺の話は出ているのです。そうすると、申し上げる段階にないというのはどういうことなのですか。そういったものはほとんど意見交換を行ってこなかったのか。あるいは、電力サイドとしてはどういうふうな希望を持っているのですか。
  155. 阿部信泰

    阿部政府委員 輸送そのものは、事業としては事業者の事業なわけですけれども、それに対して政府としてどのような防護措置をとるかということは、すぐれて政府の問題でございまして、これは日米政府間で話をしているということでございます。  どういう方法をやるかという御質問でございますが、現実のところなかなか、かつてもいろいろ議論をしたようでございますけれども、同じような方法にするのがいいのかあるいはほかの方法が考えられるのかということで、極めて非公式な議論を始めたところでございますので、まだ具体的にこういう方向ということを申し上げる段階にはないということでございます。
  156. 末松義規

    末松委員 さっき、電気事業者の計画というのがありましたね。これは通産省も承認しているのでしょうから、プルサーマル計画についてそれだけMOX燃料を持ってこなければいけない、これについてのスケジュールを外務省の方はどういうふうに考えていますか。それに向けたスケジュール的なものを頭に入れてやっておられると思うのですけれども、その辺はどういうふうに考えておられますか。
  157. 阿部信泰

    阿部政府委員 先ほど通産省の関係者から説明がありましたような事業計画は、私どもも聞いております。したがいまして、そこから論理的に引き出されるタイミングでMOX燃料の輸送の必要が生じてくるというふうには考えております。(末松委員「もうちょっと具体的に言ってください」と呼ぶ)  具体的には、私どもとしてはまだ明確に、いっその輸送を行うかということは聞いておりません。
  158. 末松義規

    末松委員 二〇〇〇年からプルサーマルを使うというのは、それまでに燃料で運んでこなければいけないのではないですか。運んでこなければいけない。二〇〇〇年というのは、今九八年ですから二年後ですよ。そんなにゆっくりで間に合うのですか。
  159. 阿部信泰

    阿部政府委員 御指摘のように二〇〇〇年から始めるということでございますので、それまでにもちろん必要になるわけですが、同時に、先ほどお話がありましたように、地元との了解というものも必要でございますので、それらのものが整わないと当然ながら輸送もできませんので、その点も全部踏まえて考えなければいけませんので、まだはっきりとしたタイミングは決まっていないというふうに理解しております。
  160. 末松義規

    末松委員 外務省の場合は、地元との了解がなければ全くアメリカ政府とは話せないというのはおかしいじゃないですか。さっき阿部審議官が、まさしくこれは電気事業者の話ではない、日米政府レベルの話ですよという話を防護レベルで言っているわけでしょう。既に、MOX燃料が輸送されるというのは、ある意味ではもう数年前からずっとやってきたことですよ。それを地元との話し合いがつかないからわかりませんという話ではないでしょう。  防護基準については、非公式な意見交換と呼ばれるけれども、全く内容については我々に明らかになっていないわけです。アメリカが何を言っているのか、その辺についてはいかがなんですか。
  161. 阿部信泰

    阿部政府委員 おっしゃるように、理論的には、早ければいつから輸送が始まるので、それを考えて対策を考えなければいけないということで非公式な話し合いを始めているわけですが、同時に、具体的にそれがいつの時点になるかということは、国内的に事業者と地元との話し合いの結果を見なければわからないということで、タイミングを見る必要があるということでございます。  したがいまして、これから出てくる可能性につきまして、政府としてアメリカ政府と話しておりますが、もちろんそれは先ほどのガイドラインの内容を踏まえてそれに合致する形で行うという形でございますが、それにはいろいろ知恵の出しようもあるということで、日米間で話し合っているということでございます。
  162. 末松義規

    末松委員 さっきから全く内容を言っていないのはわかるのです。  要するに、MOXは護衛船を使わなければだめだ、そういうふうな意見もアメリカの方で幾つかあると思うのです。そういうふうなことに対して、護衛船がつくのだったらまた護衛船の手配から何からいろいろと形をやるわけでしょう。それについて全く数年間何も議論してこなかったのか、それについてお聞きしているのです。
  163. 阿部信泰

    阿部政府委員 なかなかこの問題は難しい問題でございますだけに、前回の例以来いろいろ検討して、また最近米側と協議を始めたわけですけれども、例のあかつき丸のようなやり方をそのまま踏襲するのか、あるいはほかの方法があるのか。幾つかの方法がありますので一そういった問題を今いろいろ考え、検討し、米側と非公式に話し合っているという状況でございまして、残念ながらそこまで、正直申し上げてそれ以上現在固まったものはないということでございます。
  164. 末松義規

    末松委員 だから、本当に護衛船の準備から始めてどうこうとか、いろいろ国内的にも議論があるわけです。その辺は早く始めないと、政府が余りちゅうちょしているがゆえにそういうふうな計画全体が狂ってくるということは、それはもう政府の中でも外務省責任になりますよ。  そこら辺は十分認識してやっておられると思いますけれども、スケジュールについても、いつ、大体どのくらいまでにどうしなければいけないというようなスケジュールを区切って、それは通産省は通産省で地元のいろいろな方たちと一生懸命やるという話でしょう。そうしないと、核燃料サイクルは完結しないわけだから、どんどん計画はおくれてきて、これでまた大変ないろいろな変更を余儀なくされるわけでしょう。  その辺は、外務省の方がやはりきちんとアメリカサイドと話してやっていくべきと思います。阿部審議官の方から、アメリカが何を言ったか、その内容についても全く話がなかったですね。確かに、それは機微の話になるかもしれない。ただ、この数年間あったわけですよ。最後でまた日本の利益が損なわれるようなことがないように、ぜひお願いしたいのです。何かコメントございますか。
  165. 阿部信泰

    阿部政府委員 おっしゃるように、いずれ必要になるわけでございますから、どういうふうにするかということは考えなければいけません。ただ、なかなか難しい問題でありますだけに、人間の常としてだんだん先送りになるということはあるかと思います。  ただ、先生おっしゃるように、国内の方が準備が進んでいるのに外交的な調整が調わないためにおくれるということがあってはいけないと思いますので、それは十分肝に銘じて、十分必要な話し合いを進めていくというふうに考えております。
  166. 末松義規

    末松委員 難しい交渉ですけれども、ぜひ頑張ってやってください。  質問を終わります。どうもありがとうございました。
  167. 中馬弘毅

    中馬委員長 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時十一分休憩      ————◇—————     午後一時二分開議
  168. 中馬弘毅

    中馬委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。坂口力君。
  169. 坂口力

    坂口委員 平和・改革の坂口でございます。  私の用意いたしました質問に入ります前に、きょう、午前中の皆さんの議論を聞かせていただきまして、私も、一部ちょっと釈然としないところがありますので、その部分につきまして少しお聞きをして、私の本来用意いたしました質問に入らせていただきたいと思います。  河野議員もお聞きになりましたが、例の未臨界核実験についてでございます。この未臨界核実験につきまして、いろいろとお答えにもなりましたけれども、その内容は、どうもぴしっと心に落ちないところがございました。  一つは、未臨界核実験につきまして、これは、この協定の中でうたっておりますところの平和的非爆発目的利用、この言葉の中にどう位置づけられるのかということでございます。平和的という意味とそれから非爆発という意味と、二つあるわけです。きょうのお話を聞いておりますと、未臨界核実験というのは非爆発というのには当たらないというふうにおっしゃったように私には聞こえたわけでございますが、それはそういうふうに理解していいのか。
  170. 阿部信泰

    阿部政府委員 世界におきまして、核分裂による爆発というものにつきましては、歴史的に、爆発であるけれどもこれは平和目的だと言っている国もあるわけでございます。現に、インドがかつて一回だけ核爆発の実験をしたことがありますが、これは平和目的であるということを言って行ったわけです。また、早い段階では、核爆発をいろいろな平和目的の、大規模土木工事に使うとか、いろいろアイデアが検討された時代もありました。したがって、平和目的の核爆発というのは全く概念としてないわけではないわけでございます。  したがいまして、今度の新しい日英協定では、平和目的ということだけで縛ったのでは不十分だということで、かつ非爆発性ということまで縛りをかけたわけでございます。  そこで、先ほどの未臨界実験ということでございますが、これは、包括的核実験禁止条約におきまして、すべての核爆発は禁止するということになったわけでございますが、未臨界実験というのは、そういうわけで、核爆発に至らない実験である、こういうのが概念でございます。  ただ、アメリカがこの間行ったような実験は、核物質が急速に爆発状態に近い状態になったときにどういう変化が起こるかということを分析するために行ったようでございまして、その爆発を引き起こすためにはTNTの通常の化学火薬を使ったということでございます。したがって、条約で禁止されておりますのは核の爆発でございますので、アメリカがやった未臨界実験というのは、そういう意味で条約には違反しないということかと思います。
  171. 坂口力

    坂口委員 原子力を取り巻きます国際機関といたしましてはIAEAがありますし、またヨーロッパにおきましては欧州原子力共同体、ユーラトムがあります。IAEAにおきましては、原子力平和的利用促進、原子力軍事利用に転用されていないことを検認するための保護措置の実施というのが主目的になっているわけであります。この保護措置というのは、原子力平和的利用から核兵器その他の核爆発装置に転用されることを防止することを目的とした制度であることは言うまでもありません。  このIAEAの中に書かれておりますことをよく読みますと、軍事利用に転用されないということが書かれているわけで、この未臨界核実験というのは、いわゆる軍事利用ということとのかかわりはどのようにお考えになっているのか。
  172. 阿部信泰

    阿部政府委員 午前中の答弁で、全く理論的にはこの日英協定に違反しない未臨界実験というのも排除されないということを申し上げたわけですが、これはまさに全く理論的にはということでございまして、現実アメリカが行っている実験、あるいはロシアが行っていると言われている実験は、いずれも軍事用の核兵器の信頼性、安全性を確認するために行っているということでございますので、これは明らかに軍事用でございますので、そのような未臨界実験というのは軍事目的であり、日英協定上は全く許されないということでございます。
  173. 坂口力

    坂口委員 そういたしますと、その内容によって分けるという意味でございますか、今の御答弁は。
  174. 阿部信泰

    阿部政府委員 おっしゃるとおり、現実にはどこの国もそのようなものを具体的に行っておりませんし、また、私ども承知する限り、現在そういうものは計画もないと思いますけれども、全く理論的に、何らかの平和目的のために核爆発に至らない段階の未臨界の実験を行うということは、これは日英協定との関係においては違反するとは言えないということでございます。
  175. 坂口力

    坂口委員 くどいようですが、平和的という言葉を用いますと、平和という言葉の定義によりましてさまざま違ってくるというふうに思います。だから、軍事力としてこれを利用しようというふうに思っているかどうかということによって分ける以外にないと思いますが、平和的利用という言葉では、私はどうも、その定義によって大変複雑になってくる可能性があると思います。  そういう意味で、ここは軍事力として利用するという意味では、この未臨界核実験というのはこの協定の中に入るというふうに理解してよろしゅうございますか。
  176. 阿部信泰

    阿部政府委員 未臨界実験というものが軍事目的のものであるという場合には、明らかにこの日英協定上軍事目的のものは許されません、平和目的と限られておりますから。したがって、この協定上は許されないということでございます。
  177. 坂口力

    坂口委員 先ほど申しましたように、原子力を取り巻きます国際機関といたしましては、IAEA、そしてヨーロッパにおきますユーラトムがございます。今回の英国との協定の内容も、いろいろな内容がございますが、中心は平和的非爆発目的利用ということにあると思います。  二国間協定におきましては、英国のほか、日本カナダ、オーストラリア、中国、米国、フランスがあります。二国間の特殊性があれば話は別だというふうに思いますが、そうでなければ一つの国際条約でできるだけ多くの国が加盟する方が私は望ましいのではないかと思います。  これは外務大臣にお聞きしたいと思いますが、日本はこれからも二国間協定というのをさらにふやしていくというお考えなのか、それとも、IAEAのように世界全体に網のかかった形での条約をさらにその内容を強化し、あるいは内容を充実させていく、そしてそこに多くの国が入るということに向かっていかれるのか。そこはどのようにお考えになっておりますか。
  178. 小渕恵三

    小渕国務大臣 国際機関を通じて我が国の立場を明確にしていくということと、二国間でこの問題に取り組んでいくかということについては、双方といいますか、そういう形になるのではないかというふうに思います。  どこの国と新たに原子力協定を結ぶ必要があるかにつきましては、具体的な原子力協力可能性を見きわめて検討いたしていきたいと考えておりますが、相手国の中では二国間で日本協定を結びたいと言っておられる国もあるやに聞いておりますので、相手の国々と我が国との関係において、結ぶべき必要があれば結んでいかなければならない。  しかし一方、欧州原子力共同体との間では、原子力協定締結可能性につき非公式協議を行っているわけでございまして、そういった意味で、二国間で結んでまいるということとあわせて、国際的な諸機関の中で日本原子力の政策を明らかにしていくということと両立させていかなければならないのではないかと思っております。
  179. 坂口力

    坂口委員 内容を拝見いたしますと、かなり重なっている部分が多い。むしろ重なっている部分の方が多いというふうに思います。  個々のケースで、例えば英国日本の間で特殊な問題があって、そこを両国間で結ぶというのは、これは二国間で結ぶ以外にないのだろうと思います。しかし、米国に対しても、あるいは英国に対してもフランスに対しても、同じような重なりの部分がある。あるいはまた、それが非常に大きいということであれば、一方でIAEAという、多少目的は違うかもしれませんけれども、一つの条約がある。そうしたものとの大きな重なりがあるということであるならば、それは一つにくくった形で各国間の条約があって、そしてその部分から漏れた部分といいますか、その部分に入らない部分について二国間でいろいろやっていくというのは、私は一つの方法ではないだろうかというふうに思います。  しかし、歴史的経緯もあるのだというふうに思いますが、現状を見ますと必ずしもそうはなっていない。IAEAとユーラトムも非常に重なっておりますし、これはヨーロッパの話でございますけれども、重なっている。また、二国間協定の中身を見ましても、これも非常に重なっている。  これらのところは少し整理をする必要があるのではないかという気もいたしますし、そして、そうした方が、より多くの国がそこに入れるようにした方が、私は意味もまた大きいのではないか。二国間だけでやっておりますと、米国は米国として二国間でたくさんの国とやる、日本はまた日本でたくさんの国と協定なり条約なりを結ぶというようなことをやっていますと、非常にロスが多いような気もいたします。その辺のところをどうしたらいいのかということを今お聞きしたわけでございます。
  180. 阿部信泰

    阿部政府委員 お答え申し上げます。  先生がおっしゃいましたように、いろいろな歴史的な経緯もございまして、各国と二国間の協定を結んでおります。基本的な部分は、おっしゃるとおり、おおむね共通しておりますが、おのおのの国によりまして、平和目的の確保に関する関心の度合いあるいは具体的な要求の内容が変わりますし、また日本自身がそのような平和目的というものをだれにも劣らず確保したいという基本方針がありますので、それを取り入れる過程において、具体的にどのようなものについて相手の同意を必要とするか、あるいはどこまでの変更については連絡しなければいけないか、いろいろ細かいところの規定が変わってきているということでございます。  また、現実協定作成の作業におきましては、もう過去三十年、四十年の期間を経ていろいろな協定ができておりますので、だんだん最近できた新しいものを参考にして、それに近い形でまた次のものができるというものが進んでおりまして、例えばIAEAの核物質防護措置に関するガイドラインがございますけれども、そういったものを、できた後はだんだん中に取り入れて新しい協定ができていくということで、より新しい、より完璧なものが順次でき上がっていくという状況になりますので、そういう状況を踏まえますと、当面は二国間の協定と多数国間の協定との両方を活用していくということはやむを得ないのではないかと思います。
  181. 坂口力

    坂口委員 先ほど申しましたように、日本英国のほかに五カ国、ですから六カ国と二国間協定を結んでおりますが、英国日本との間の協定と他の協定との間の違いというのも見られるわけでございます。こうした違いがなぜ起こったのか。  今回、英国との間の問題は見直してございますから、今までの過去の協定につきましてはやむを得ない面もあったと思いますけれども、新しく今度見直しを行うときに、ほかの協定の中には含まれているのにこの英国との間の二国間には含まれていない部分がある。これはなぜそういうことが起きたのか。あるいはまた、起きたとすれば、その理由はどういうことでそれが起きたのか、その辺のところの説明を願いたいと思います。
  182. 阿部信泰

    阿部政府委員 基本的には、二国間協定というのは、各国とも平和的な目的の確保、国際原子力機関の保障措置適用核物質防護措置の実施、それから管轄外への移転の規制というような内容になっておりまして、この辺はすべて共摘要素と言えるかと思います。  ただ、例えば日米あるいは日加、日豪などの協定におきましては、核物質の再処理あるいは高濃度の濃縮といった個々の原子力活動についても、供給側の政府の事前の同意を必要とするというふうに規定が入っておりまして、そういうところにおいては、細かいところにおいて日英協定と違うところがあるということでございます。  これが入った経緯というのは、歴史的に、もともとの核物質を供給している国の側からそれだけの十分な加重的な保障を取りつけたいという希望があって、個々の協定に入ったものと承知しております。
  183. 坂口力

    坂口委員 ちょっとよくわかりませんでした。  我が国締結しておりますこの原子力協定、他の原子力協定と本協定との間には具体的に差異があります。平和的非爆発目的利用の確保、それから国際原子力機関、IAEAによる保護措置適用、それから核物質防護措置の実施、管轄外移転の規制、こういったものにつきましては同じでございますが、日米、日加、日豪原子力協定におきましては、核物質の再処理、高濃縮、この高濃縮の中には、日米、日加原子力協定におきましては核物質の貯蔵の規制、あるいは日米協定におきましてはさらに核物質の形状、内容の変更の規制も含んでおります。こういった個々の原子力活動につきまして、供給締約国政府の事前同意を必要とする旨定めておりますが、本件の協定におきましては、個々の原子力活動まで規定することはしていない、こういう違いがございます。  この違いを見ますと、例えば、日本と米国との間の協定はかなり具体的に突っ込んだ内容になっておりますけれども、英国との間の協定は非常に緩やかな協定になっているように思います。  これがなぜこういうことになったのか。今回初めて協定が結ばれたのでしたら、それはある程度やむを得ない面もあると思いますけれども、もう三十年の歴史を持ち、その間に他の国々との協定も生まれ、その他の国との間の協定はかなり厳しい内容になっているにもかかわらず、この見直しの時期に、さらに今までと同じように緩やかなものになぜなったのか。もう少しわかりやすい説明をお願いしたいと思います。
  184. 阿部信泰

    阿部政府委員 これは、例えばアメリカのような国は核協力をしておりますけれども、同時に、世界における核拡散問題に対する関心が政府の内外でも非常に強い国でございます。したがいまして、各国に対して、核物質を提供して利用を認めるからにはいろいろな厳しい条件を課すべきだという議論もありまして、そういったものが反映されて、日米協定などにおいてはそういうような状況が付加的に加えられているということかと思います。  日英については、第三国移転に対する規制が加えられれば、ほかの規定とあわせまして、それで平和目的が確保されるということで、現在のような規定になっておるということでございます。
  185. 坂口力

    坂口委員 よくわかりませんね。理解できませんね。今のお話でございますと、核拡散に対する認識というものが米国では非常に強い。そうしますと、英国日本では認識は弱いのですか。弱いからこうなったのですか。よく相談してから言ってください。
  186. 阿部信泰

    阿部政府委員 そこは、平和利用を確保しなければいけない、不拡散を担保しなければいけないということについては、日本もほかのどの国にも劣るところはないと思いますし、またイギリスもそういう目的には非常に強くコミットしているわけですが、それを具体的にどの規制措置まで、どのような細かい細目まで求めるかというところにおいて、若干の違いがあったということではないかと思います。
  187. 坂口力

    坂口委員 そうしますと、今のお話ですと、米国ですとかカナダあたりの協定に比べて非常に緩やかになったのは、これは、英国の側がそこまですることを拒否したといいますか、そこまで具体的なことを織り込むことには反対をしたということで、この現状にとどまったということでしょうか。それとも、日本の側がそこまでする必要はないということを言ったのでしょうか。
  188. 海老原紳

    海老原政府委員 若干補足して御説明をいたします。  日米協定もこの日英協定も、協定対象となります例えば核物質、ウランとかプルトニウムとかそういう物質でございますけれども、そういうものが平和的非爆発目的の利用に限られるという意味では同じでございます。  したがいまして、あとは、協定上どういう形でその目的というものを担保いたすかということになっておるわけでございますけれども、日英の場合には、例えばIAEAの保障措置がかかる、あるいは管轄外移転についての規制をするというような形でこの目的を担保しております。  他方、日米につきましては、これに加えまして、個々の原子力活動、例えば再処理、あるAという再処理、Bという再処理というふうな、個々の活動そのものについても事前の同意が要るという形をさらに加えた形でこれを担保しているというわけでございます。  それでは、どこからそこの差が出たかということでございますけれども、これは、米国におきましては米国核不拡散法という法律がございまして、これに基づきまして、他の国と原子力の平和利用の協力を行う場合には、そういう個々の活動についても規制をとらなければならないという法律の立て方になっておりますので、それに合わせた形で書き込んだということになっております。  日英の場合には、英国の方の国内法上、そういう要請は特にございませんでしたので、この協定のような書き方で、平和的非爆発目的という目的は十分に達成されるというふうに判断したわけでございます。したがいまして、日米に比べまして日英の方が緩くなっているというようなことはないということは、御理解いただきたいと思います。
  189. 坂口力

    坂口委員 今の説明でありますと、英国からの要請がなかった、こういうお話でございましたが、それでは、日本の側からはその要請はしなかったわけですか。差はないというふうにおっしゃいまずけれども、明らかに差があるわけで、大枠のくくりの話は同じでございますけれども、中の具体的なことはかなりな違いがあるわけであります。  米国のみならず、カナダに対しましても、あるいはオーストラリアに対しましても、これらの協定の内容を見ますと、核物質の再処理でありますとか高濃縮の問題でありますとか、あるいはまた供給締約国政府の事前同意の問題でありますとか、かなり具体的になっている。だけれども、米国は、かなり特殊な国と言ったらしかられますけれども、特別な国でありますから別にするといたしましても、例えばカナダですとかあるいはオーストラリアですとかというところと結ぶときにもあるのに、なぜ英国とないのかということを、これを決めます以上、そこがやはり明確にならないといけないと私は思うのです。そこがあいまいで、では、なぜ、三十年前につくった協定の後を引きずって今日まで来て、これから先もいくのか。ここはやはりきちっと皆さんの中も整理をしてもらって、そして、もしもそこに落ちているところがあるならば、今後努力をしてもらわなければならない、そう思います。
  190. 阿部信泰

    阿部政府委員 日本の核の平和利用につきまして、これを間違いなく平和目的に限るということにつきましては、日本政府あるいは関係機関が行っていることが何ら問題がないということ、また、それがすべて国際原子力機関の査察にも保障措置対象にもなっているということでありますが、基本的には、この二国間協定におきまして、どこまでそれを担保するために細かい同意条件などを求めるかということは、その放射性物質、早い話がウランをどちらが供給しているかということで要求側が決まりまして、オーストラリア、カナダという場合にはウランを供給する側でございますので、そちら側から、ウランは供給しますけれどもこれは平和目的に限りますよ、その先で、濃縮した、あるいは貯蔵する、再処理をする、全部すべて自分の了解を得てからやってくださいというのが実態でございます。  したがって、日本は、基本的にはそういう要求を受けて、二国間の協定基づいて同意を求める手続をするかどうかという立場にありまして、その意味においては、相手国政府から要請、要求のなかったものはあえて二国間の協定には入れなかったというのがこの日英協定の現在の姿でございます。
  191. 坂口力

    坂口委員 日本は、世界の中でただ一つの核の洗礼を受けた国であります。したがいまして、日本がこの原子力の問題を問題にしますときに、やはり日本の国としての考え方というものは当然あるべきでありますし、主張すべきことだというふうに思います。  英国との間のこの協定で、英国がもしそういう要請をしなかったとしても、日本の国から、やはりそこは厳しく、他の国との間にもこういう協定が結ばれている、したがって、皆さんのお国との間にもやはりそこまで書き込んだ協定をつくるべきではないか、やはりそこは私たちが、この日本が主張すべきことはしなければならないのだろうというふうに思います。  どうも今のお話を伺っておりますと、大変受け身な形でありまして、英国からそういう提案がなかったからそのままにしたという感じに聞こえるわけです。そういう感じに受け取っておりますが、それでいいのかどうか。いいのならそれどまりにして、きょうはそれまでにおいておきますけれども、これも議事録にも残ることでありますから、それでよろしいですか。
  192. 阿部信泰

    阿部政府委員 恐らく長い歴史の問題かと思いますが、戦後、日本原子力の平和利用を始め、進めるに当たって、諸外国から懸念がなかったわけではなかったわけでございます。  したがいまして、懸念を払拭するために、個々の協力協定を結んで、いろいろな活動を行う場合には事前の同意を取りつけます、その他の網をかぶせてきたわけでございます。基本的にこれは、日本はそういった要求を受けてそれに従うという立場でございまして、今現在問題にしております個々の活動に関する事前同意の取りつけというのも、基本的には、イギリス側から要求されて、日本がそれではその都度イギリス政府の了解を求めますという規定を設けるかどうかということでございますのでそこまで、別に先方から要請のなかったことについて、あえて私どもから持ち出して、こういう規定を入れたらどうでしょうかということは言わなかったということでございます。
  193. 坂口力

    坂口委員 もう一言だけ言っておきたいと思いますけれども、二国間協定あるいは二国間の条約というのは、相手から言われたとおりにするのが二国間協定ですか。違うでしょう。相手の国は相手の国としての意見があるでしょうし、日本日本としての意見があって、双方で意見を闘わせながら、その中で協定というのはでき上がるものだというふうに思います。  今のお話ですと、向こうからそういう話がなかったからあえてそこまでしなかったという話でございますが、それで日本外交というのはよろしいのでしょうかね。日本が言うべきことはもっと言わねばならない。特に、原子力の問題、核に関する問題は、先ほど申しましたように、日本が洗礼を受けたただ一つの国である。日本が世界に向かって言わねばならないことがある。その協定を結ぶときに、相手の国からこういう要請があったからそれまでにした、それ以上のことは相手が言わなかったからしなかったというのは、余りにも自主外交というには問題があり過ぎると私は指摘をしておきたいと思います。  指摘をしておいて、もう時間がなくなってまいりましたので、次の問題に移らせてもらいたいと思います。  核物質輸送について伺いたいと思いますが、放射性廃棄物は、核ジャックのおそれのありますプルトニウムなどと違いまして、輸送情報が非公開となります核物質防護の対象にはならないというふうに聞いております。  御承知のように、英国籍の船、パシフィック・スワン号、五千トンが、去る一月二十一日にフランスのシェルブール港を出発いたしまして、二月六日、パナマ運河を通過いたしました。そして、先日三月十日でありましたか、青森県の六ケ所村に到着をしたわけでございます。  今回のこの輸送の件でございますが、今回初めてパナマ運河を通過いたしました。国際法上は、船舶は、沿岸国の平和でありますとか秩序、安全を害しない限り、無害通航権が保障されておりますし、日本もそのことを念頭に描きながら今回の行動に移したのであろうというふうに思います。しかし、積み荷の内容が内容でありますから、周辺国にはこれは情報公開をする必要が私はあるというふうに思います。  しかし、今回の運航に際しまして、周辺国には具体的な通過の日時が明らかにされませんでした。いつ幾日出発をいたします、そしてパナマ運河を通過して、大体日本には三月の上旬に到着をします、これだけのことしか発表にならなかった。ですから、ドミニカ共和国を初めといたしまして、その沿岸の国々からは反対の表明や、あるいは懸念、あるいは中には中止を求める声明までが相次いだというふうに報道をされているところでございます。  船に積み込まれました内容は高レベル放射性廃棄物のガラス固化体六百本でありましたけれども、これは船が、例えば沈没をするとか、あるいは衝突をするとか、あるいは火災を起こすとかというようなことに、もしも万一の事故を起こしましたときには、周辺にこれは影響を及ぼすものなのか及ぼさないものなのか、お聞きをしたいと思います。
  194. 阿部信泰

    阿部政府委員 今回行われました高レベル放射性廃棄物輸送、ガラス固化体という形で輸送してまいったわけですが、その容器あるいは運びます船の安全性につきましては、幾つかの国際的な基準に合致する形でなされております。また、現実にその耐性につきましても十分な実験、試験を行っておりますので、私どもとしてはこの輸送は極めて安全な輸送であったというふうに考えております。  もちろん、天文学的に万が万が一のときに何も起こらないということは世の中恐らくあり得ないと思いますので、それは言えないかと思いますけれども、現在、なし得る限りの安全措置を講じた上での輸送であったと考えております。
  195. 坂口力

    坂口委員 非常に安定をした安全なものであれば、私はもっと情報公開をしてもいいと思うのです。どうしても、これは情報公開をしてはやはり危険を伴うということであるならば、それはそのようにまた対処しなければならないと思いますが、今御指摘のように非常に安全なものであるということであるならば、何も隠す必要はないと思います。なぜその辺がもっと情報公開をされないのか、お聞きしたいと思います。
  196. 阿部信泰

    阿部政府委員 放射性廃棄物その他の輸送につきましては、以前からもっと情報を公開すべきだといういろいろな議論もありまして、私どももいろいろ検討をし、対策を考えてまいったわけですが、今回、それから前回の輸送につきましては、その意味ではかなり情報の公開に改善が図られたというふうに考えております。  今回も出港の前に、出港の事実、船名などについて発表していますし、出港直後には日本到着の時期などについて発表していますので、かなりの情報提供はなされておると。通過します区域の関係国にも、同時に政府から政府に対しまして連絡をとっておりますけれども、いかんせん、おっしゃられるような、通過沿岸国の何らかの懸念が残り、表明されるという状況は事実でございまして、できるだけそのような不安が残らないように努力はしておりますけれども、なかなか完全にそれを払拭するという状況には至っていないと思います。  それでは、なぜ完璧に、完全に全部事前公表できないのかということでございますが、そこは輸送安全性と、またそれを円滑に進めるということとの兼ね合いの問題かと思いますが、現在、そこの許す範囲内において最大限の情報公開に努めているということでございまして、今後ともそのような努力を続けてまいりたいと考えております。
  197. 坂口力

    坂口委員 時間の配分が悪いものですから、時間が参ってしまいました。  最後に、大臣に、一言だけで結構でございますから、お答えをお願いしたいというふうに思います。  最初に申しましたように、二国間の協定の場合に、私はいろいろと考えていかなければならない点が多いと思っております。また、その内容につきましても、相手側の意見を尊重することも大事でございますが、日本側の意見も十分にその中に織り込めるようにすることもやはり大事ではないかと思っております。  先ほどからあのような議論をしたところでございますが、一言、大臣の御所見をお伺いして、終わりにさせていただきたいと思います。
  198. 小渕恵三

    小渕国務大臣 二国間が結ばれた経緯、歴史的な経過があるのだろうと思います。そういった点では、日本原子力の平和利用という面ではおくれをとったような点もあったのでありましょうけれども、今日においては互角の形でお互い協力し合えるということでございますので、日本として申し述べる点があれば申し述べて、了解のもとで二国間で協定をつくり上げることは望ましいことだと思っております。
  199. 坂口力

    坂口委員 ありがとうございました。
  200. 中馬弘毅

    中馬委員長 続いて、達増拓也君。
  201. 達増拓也

    達増委員 自由党の達増拓也でございます。  日英原子力協定というごとでございます。  原子力平和的利用、そして核不拡散という理念のもとに、日英両国原子力をめぐる協力について新しい協定締結するということで、日英両国、非常に長い交流の伝統と非常に幅広い協力の分野を誇っておりまして、そのようなイギリスが相手の協定でございます。  協定では、核物質の利用や第三国移転等についていろいろ定められているわけでありますが、日本自身にせよ、またイギリスにせよ、原子力の平和利用、また不拡散ということについては、国際社会でも非常にリーダーシップをとって責任ある取り組みをやっている国でありますから、それぞれの政府あるいはしかるべき事業者による核物質の利用、また第三国への移転については、それほど問題はないのかなというふうに思うわけであります。  しかし、一つ気になるといいますか、一番ここで考えなければならないと思うのは、不届き者と申しましょうか、言うなればテロリスト核物質を不法に奪ったり、奪った核物質を不法にどこかに持っていったり、あるいは日本の中、イギリスの中で爆発させたりと、そういった核テロリズム、核ジャック等への対処、これに両国できちっと対応する体制ができているのか、この点を中心に質問をさせていただきたいと思います。  この協定では、第五条で、核物質防護措置日英両国がとるようにというふうになっております。核物質の盗難、奪取等を防止するための対策ということでありますが、これについて、果たしてきちっと日英で約束することができるような、まず日本側に国内法制は整備されているのか、またイギリス側でもきちっと国内法制は整備されているのか、そこから伺いたいと思います。
  202. 阿部信泰

    阿部政府委員 この五条に定められるところの防護措置につきましては、日本では核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律におきましてその保護措置が規定されておりまして、確保されております。また、イギリスにおいては核物質防護違反法という法律があるそうでございまして、それによって担保されていると承知しております。  また、先生御指摘の、核によるテロの問題につきましては、現在ニューヨークで核テロ防止条約というものを締結しようということで交渉が進められておりますので、それができました暁には、またそれに従って我が国の必要な国内措置をとるということになると思います。
  203. 達増拓也

    達増委員 我が国核物質の管理体制について考えてみますときに、最近ありました動燃の一連の事故が思い起こされるわけであります。東海核処理施設の火災爆発事故、また「もんじゅ」や「ふげん」の事故等、そのような状況。日本核物質の管理体制について、日本国内で今一生懸命議論しているところなわけでありますが、本協定交渉過程で、イギリス側から、我が国核物質保護の体制について不安や懸念は表明されなかったのでしょうか。
  204. 阿部信泰

    阿部政府委員 御指摘のような事故が起こりましたことは残念なことでありますけれども、協定関係から申し上げますと、事故そのものが協定の義務に違反するということには直ちにならないわけでございます。もちろん、その経緯におきまして、協定の規定に違反するところがあれば、それは問題になるかと思います。  また、交渉過程におきまして、日本の事故に関して懸念が表明されたかというところでございますが、そのようなことはございませんでした。
  205. 達増拓也

    達増委員 東海核処理施設の火災爆発事故のようなケースは、本協定に定める防護措置の違反にはならないということでしたけれども、では、例えば、もうあからさまに、本協定基づいてイギリスから日本に入ってきた核物質日本国内で盗まれた場合、それは条約違反となるのでしょうか。また、条約違反となった場合には、この協定基づいて、その後どういうことになるのでしょうか。
  206. 阿部信泰

    阿部政府委員 仮定の問題としまして、イギリスから来た核物質が盗難に遭ったということでございますが、盗難の事実そのものは協定違反ということには即ならないと思いますが、その盗難が起きた原因、過程において、協定に定められたところの十分な防護措置がとられていなかったということになれば、これは協定上問題になるということかと思います。  それは、まず第一に、協定上の問題として日英両国間の協議対象となり、極端な場合においては、協定の最後の方に書いてありますところの違反した場合にはどうこうという措置対象になるかと思います。
  207. 達増拓也

    達増委員 そのような日本における防護措置を担保するための国内法として、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律というのがあるということですけれども、当該法律の中に、核物質の保管ですとか管理ですとかそういったものに対して規定を設けろとかこういう措置をとれとかいろいろ書いてあるわけですけれども、そのような中で、本協定に関連する防護措置に不備があった場合に、国内法上、当該事業者や直接の担当者等はどういう罰則を受けることになるのでしょうか。
  208. 川井啓裕

    ○川井説明員 お答えさせていただきます。  原子炉等規制法におきましては、事業所において特定核燃料物質を取り扱う場合のうち、一定の場合には、特定核燃料物質の防護のために必要な措置を講じることなどが定められております。  この事業者の講じます防護措置が法令の規定に違反していると主務大臣が認める場合には、主務大臣は事業者に対しまして是正措置などを命ずることができますが、事業者がこの命令に違反した場合には、原子炉等規制法第七十九条の規定によりまして、三十万円以下の罰金に処せられることになっております。  また、この違反につきましては、原子炉等規制法第八十一条の規定によりまして、法人に対しましても両罰規定が定められております。  以上でございます。
  209. 達増拓也

    達増委員 では、もう一度科学技術庁に確認したいのですけれども、今、国内法上、そういった罰則規定も含め、まず本協定締結することができるそういう国内法体制は整っているということでしょうか。これは外務省でも構いませんけれども、確認したいのでお願いいたします。
  210. 川井啓裕

    ○川井説明員 お答えさせていただきます。  先ほども外務省の方からも説明がございましたように、新日英原子力協定の第五条では、協定適用対象核物質が定められておりますが、それに対しまして、我が国は、これまで核物質の防護条約に加入するとともに、IAEAが定めた核物質の防護の基準を原子炉等規制法及び関係法令に取り入れまして、これらの法令により特定核燃料物質の防護のために必要な措置として具体的な基準を定めております。  今回の新日英原子力協定核物質防護の内容は、これまでのIAEAを中心としました国際的な核物質防護の規制動向に沿ったものでございまして、既に実質的に我が国の国内法令に取り入れられているものと考えられます。  以上でございます。
  211. 達増拓也

    達増委員 法律的な整合性についてはまずまず整備されているようではありますけれども、日本国内においてきちっと実態的に核物質を防護する体制ができているのか、また、そういう趣旨が反映された国内法体制になっているのかに関連して、もう少し質問を続けさせていただきます。  核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律では、核爆発を生じさせる等により人の生命等に危険を生じさせた者に対し、十年以下の懲役という規定がされているわけです。日本国内でそんな核爆発とかされてしまってはたまったものではないわけでありますけれども、刑法では、例えば、内乱罪については死刑または無期懲役、そして、外国によって武力行使をさせる外患に関する罪というところでもやはり死刑ないし無期懲役。  国内において核爆発を生じさせる等により人の生命等に危険を生じさせるということは、かなり重大な事態でありまして、原子力の平和利用または不拡散という観点からは、より厳しい量刑が適当ではないかという考え方もあるのですけれども、この点いかがでしょうか。
  212. 川井啓裕

    ○川井説明員 御説明させていただきます。  先生御指摘の原子炉等規制法第七十六条の二によりまして、特定核燃料物質をみだりに取り扱うことによりまして、核爆発を生じさせたり放射線を発生させまして、人の生命、身体または財産に危険を生じさせた者は、十年以下の懲役に処する旨の罰則が定められております。また、第七十六条の三には、脅迫についても罰則が定められております。  このような罰則の規定でございますが、これは、我が国における刑事法体系とのバランスを見つつ、昭和六十三年の核物質防護条約の加入に当たりまして原子炉等規制法を一部改正したものでございまして、核物質を用いた危険犯などを処罰する規定としては、量刑の点で相当なものと考えております。  以上でございます。
  213. 達増拓也

    達増委員 ちょっと質問の流れからすると前後する格好になりますが、日英原子力協定核物質防護措置、盗まれたり強奪されたりしないような措置をとるということにより密接に関連する問題として、国内で核物質を爆発させる云々の前に、国内で核物質を盗む、強奪することについてきちっと国内法体制が整備されているのかというところを考えなければならないと思うのです。  核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の中には、核爆発に関する規定はあるわけですけれども、核物質の窃盗ですとか強盗に関する規定はないわけです。核物質防護を徹底させる観点からいえば、同法律の中にやはり窃盗、強盗についても罰則を規定する必要があると思うのですけれども、この点はどうなんでしょうか。
  214. 川井啓裕

    ○川井説明員 御説明させていただきます。  核物質の盗取、強盗などに対しましては、基本的には、刑法に従いまして処罰することとされております。  原子炉等規制法におきましては、核物質防護条約が定める犯罪行為のうち刑法では十分に対応できないような、核物質を用いた危険犯などを処罰する規定が特別法として設けられております。  これらの規定でございますが、これらの規定は我が国における刑事法体系とのバランスを見つつ定められたものではございますが、科学技術庁といたしましては、原子力開発利用に当たりまして、原子炉等規制法に基づき適切な核物質の防護措置を講じつつ、平和利用及び安全確保を図ってまいりたいと考えております。  以上でございます。
  215. 達増拓也

    達増委員 立法論の話になってしまうわけでありますけれども、原子力平和的利用そして核不拡散という国際社会で、今世界全体として取り組んでいるそういう理念、また日本の、これはもうきょうの委員会でも最初の方からよく言われていることでありますけれども、唯一の被爆国であり、原子力、核兵器が戦争で使われた国である日本、その国民として原子力の平和利用、核不拡散というのを非常に強く願っている、そういう国民の意思を法体系にもきちっと反映させていくことを考えれば、核物質の窃盗、強盗等について、それを刑法の通常の窃盗、強盗で処理するだけではなく、やはり特別の刑罰というのを考える必要があるのではないかというふうに思います。  また、核爆発等により人の生命に危険を生じさせる、いわゆる核テロでありますけれども、これについても、内乱罪や外患に関する罪とイコールとは言えないのかもしれませんが、まず、国家に対する、それはもう国家安全保障の根幹を脅かす行為でありますし、国民に対しても非常に重大な罪である。また、原子力平和的利用を進め、核不拡散を徹底させようとする国際社会に対しても、核テロというのは重大な罪である。そういう観点からすれば、爆発等により生命等に危険を生じさせる、そういうことについても、もう少し厳しい量刑というのを考える余地もあるのではないかなというふうに思うわけであります。  地下鉄サリン事件のときに、日本は世界で初めて化学兵器による本格的なテロが実施されてしまったということが言われたわけでありますけれども、核兵器が使われたのも最初、化学兵器によるテロも使われたのが最初、そういういわば不名誉な記録を重ねてしまったわけですが、これにさらに核ジャックあるいは核テロの第一号とかそういうことになりますと、日本国民に対してそれは困った事態であるだけではなく、世界に対しても非常にこれは情けない事態になると思いますので、そういうことを断固日本国民は防ぐのだぞという観点からの立法、政策というのがあるのではないかと思います。  この点、本協定日英原子力協定締結相手国でありますイギリスの方では、そういう核ジャックですとか核テロに対してどういう国内法体制になっているのか、伺いたいと思います。
  216. 阿部信泰

    阿部政府委員 イギリスにおいては、核物質防護違反法という法律が一九八三年に制定されまして、それに基づいてこのような核物質に関する犯罪を取り締まる担保ができているというふうに承知しております。
  217. 達増拓也

    達増委員 日本も、特に唯一の被爆国ということで、世界各国よりもより積極的に原子力平和的利用や核不拡散に取り組むということであれば、諸外国以上の徹底した法体制を整備していく必要があると思います。橋本総理は、日本発の世界不況は絶対起こさせないと今おっしゃっているわけでありますけれども、日本の中で核ジャック、核テロは絶対起こさせない、そのくらいの法体制を整備していくことが、それは日本国民の利益でもありますし、世界に対する貢献でもあると考えます。  そのことに関連いたしまして、先ほども地下鉄サリン事件の件に言及いたしましたが、地下鉄サリン事件の際に、自衛隊の化学戦争班といいますか、化学兵器が日本国内で使われた場合、それに対応する部隊や装備がきちんと整っていて、その部隊が緊急に出動した結果、被害をかなり食いとどめることができたということがありました。  化学兵器によるテロに対して自衛隊が有効に機能した例だと思うのですけれども、核ジャックとか核テロが日本国内で起こった場合等を考えたときに、我が国領域内で核爆発や放射線の発散による攻撃が行われる事態に対し、自衛隊はそれに対応する部隊や装備を有しているのか。もし有しているのであれば、どういう体制になっているのかを教えてください。
  218. 伊藤康成

    伊藤(康)政府委員 御承知のとおり、我が国は非核三原則を堅持しておるわけでございまして、いわゆる核の脅威に対しましては、米国の核抑止力に依存するということでございます。したがいまして、防衛計画の大綱におきましても、この趣旨で「核兵器の脅威に対しては、核兵器のない世界を目指した現実的かつ着実な核軍縮の国際的努力の中で積極的な役割を果たしつつ、米国の核抑止力に依存するものとする。」こういうふうに書かれているわけでございます。  したがいまして、いわゆる核による攻撃、特に軍隊による攻撃というふうに御理解いただいてよろしいと思いますが、そういうものに対しての特別の部隊というようなものを持っているわけではございません。  ただ、先生先ほど御指摘のように、私どもの方では、化学防護隊あるいは化学防護小隊というものを陸上自衛隊の各師団等に置いてあるわけでございますが、そこの部隊におきましては、放射線の線量率計と申しますか、放射能に汚染されているかどうかを確認する機材は持っておりまして、何かがありましたときに、それをもって危険であるかどうかということのチェックはできるということでございます。
  219. 達増拓也

    達増委員 地下鉄サリン事件の例もあったわけでありまして、核ジャック、核テロ、そうそう起こる話でもないのでしょうけれども、やはり、万一のことに備えましてきちっと対応できる体制があればいいのだと思います。  自衛隊、本質的には外国からの侵略に対処するのが防衛の基本的な任務ではありましょうけれども、やはり近年、国際的にもそういうテロリズムへの対応ということがかなり重要な問題にもなってきておりますし、地下鉄サリン事件の例もありますから、我が国においてもそういった観点からも、自衛隊の部隊、装備について検討していく必要があると考えます。  地下鉄サリン事件のときに自衛隊が出動したのは、防衛出動とか治安出動とかといった枠組みとは全然関係なく、当初事件が起こったときに対応した関係省庁、関係当局からの協力要請に応じて出動した。それは、聞いた話では、阪神・淡路大震災のときに、内閣総理大臣あるいは内閣そのもの、そういう国のトップでの意思決定、決断が非常におくれ、自衛隊が的確に出動できなかった反省を踏まえ、本当であれば、政府あるいは国会のところで国全体の危機管理体制をきちっと整備し、内閣の権限の強化ですとか情報の収集の仕方、決断の仕方について改革するところが筋だったのでしょうが、とりあえず、自衛隊の現場の方で工夫をして、関係部局からの協力要請に基づいて出動という、そういうやり方を工夫して成功したケースというふうに聞いております。  ですから、核ジャック、核テロを考えた場合にも、本質的に非常に重要なのは、トップで、内閣総理大臣、内閣のレベルできちっとした情報の収集や関係省庁間の調整、そして内閣としての意思決定がきちっと行われる体制があるかどうか、これが重要であると考えます。  ペルーの日本大使公邸占拠事件の際、これは私は安全保障委員会質問したのですが、フジモリ大統領が、警察とか軍隊とかそういう実力部隊を公邸に入れる、それを事前の許可を日本に求めてきたとき、日本政府としてはだれがそれを決断し許可を出すのかと質問したとき、政府側からは、それは内閣が決める、そういう答えがありました。危機管理の最終的なよりどころであります内閣、それがこの核ジャック、核テロに対してどのような体制をとっているのか、これを内閣安全保障室の方に伺いたいと思います。     〔委員長退席、福田委員長代理着席〕
  220. 黒木慶英

    ○黒木説明員 核ジャック、核テロ等のいわゆる重大事件発生時におきましては、関係省庁から内閣総理大臣、内閣官房長官に対しまして直ちに連絡、報告が行われ、政府としての対処体制を直ちに確立することとなっております。  具体的に申し上げますならば、認知をした官庁から内閣情報調査室にあります内閣情報集約センターに速報がなされ、そこから内閣総理大臣、内閣官房長官、官房副長官等のいわゆる官邸の方に直ちに報告、連絡が行われると。それにあわせまして、内閣官房の方におきましてもいわゆる官邸対策室といった体制が立ち上がることとなっております。  そうした全般の中で、その際、内閣官房において関係省庁間の施策の調整を行うということが一番の任務になるわけでございますけれども、これは、事案の規模、性格に応じまして基本方針の決定及び調整の効率化を図るために、関係省庁連絡会議や、場合によっては対策本部といったものを立ち上げていくことになろうかと思います。  さらに、内閣としての重要事項を決定する際には、最終的には申すまでもなく閣議により決定されるものであります。  なお、今般の内閣法の一部改正によりまして内閣危機管理監が設置されることとなりました。内閣危機管理監は、核ジャック、核テロが発生した場合には、内閣としての措置について第一次的判断を行うとともに、初動措置について迅速に関係省庁と総合調整を行うこととしております。  以上でございます。
  221. 達増拓也

    達増委員 阪神・淡路大震災の際は、内閣としてはあれは黒星がついたんだと思います。ペルーの大使公邸人質事件の際は、最終的な決断についてはフジモリ大統領の方から事前の通告がなかったということで、日本自体としては重要な決断を迫られることなく問題解決に向かったということで、次、何か起こったときの日本の内閣の対応、これはよほど頑張らなければならないと思いますので、きちっとやっていただきたいと思いますし、またこれも立法論的な話になりますけれども、行政改革の一環として、内閣の権限強化、効率的な意思決定ができるような体制、それをまた中長期的には、まあ中長期的じゃ間に合わないわけで、これもできるだけ早くやっていかなければならないんだと思います。  では、日英原子力協定の各論については以上で終わらせていただきまして、このような原子力の分野でも日英間の協力は、長い歴史、そしてまた幅広い広がりを持っているわけでありますけれども、さらに広く日英間の科学技術協力が今どのような現状になっているのか、また、今後の見通しはどうなっているのか、これについて伺いたいと思います。
  222. 阿部信泰

    阿部政府委員 日英間の科学技術協力につきましては、材料化学、素粒子物理学、ライフサイエンス、道路科学技術、環境保全等の幅広い分野において着実に実績を重ねてきておりまして、現在百八十件以上の研究協力プロジェクトが実施されております。  我が国政府としましては、九四年六月にイギリス政府との間で科学技術協力協定を結びました。これに基づきまして、昨年十一月には第二回目の日英科学技術協力合同委員会をロンドンで開きまして、両国の科学技術政策につきまして情報を交換し、既存の協力活動や大規模な研究施設における国際協力などについて検討を行いました。  科学技術先進国であります日本イギリスの両国の協力というものは、両国の科学技術の向上と両国の関係の発展にとって非常に重要であるだけでなくて、世界の科学技術水準の向上に貢献する有意義なものと考えております。我が国としましては、この協力をさらに積極的に推進していきたいと考えております。  現在、日本では、英国祭98というものが行われておりますが、科学技術の関連の分野でもいろいろな行事が企画されていると聞いております。こうした行事が日英間の科学技術協力の促進にさらに寄与するものと確信しております。
  223. 達増拓也

    達増委員 イギリスはニュートンの国でもありますし、非常に古い科学技術の伝統を持っておりますし、また最先端の科学技術についても、イギリスならではのさまざまな世界のトップを行くものを持っていると思います。ことし英国祭ということで、科学技術分野についても英国祭でいろいろ行事があるということで、これはぜひ成功させていきたいと思います。  イギリスの世界最先端を行っている科学技術分野の一つに、今も、日英間の科学技術協力政府間でもライフサイエンスをやっているということでしたけれども、ライフサイエンスあるいはバイオテクノロジー、これはイギリスは非常に進んだものを持っていて、ドリーという名前のクローン羊など、世界的にも有名になっております。  バイオテクノロジー、ライフサイエンスに関して一つ問題なのは、科学者がどこまでやるのかと。生命の創造という神の領域に踏み込むことだというそういう宗教的な問題意識から、予想もつかない有害な生物が誕生したらどうするんだというリスクマネジメント的な、現実的な発想まで、広くそういう生命倫理の問題があると思います。  イギリスは、技術のみならず倫理の問題についても、また世界最先端を行っていると思うんですけれども、この点、日英間で何か議論のようなことは行われているんでしょうか。
  224. 阿部信泰

    阿部政府委員 御指摘のように、イギリスはバイオテクノロジーの面でも大変進んだものを持っているわけでございます。ただ、これについては、特に人間に応用する場合については倫理的な問題があるということで、去年のデンバー・サミットでも、G7諸国の首脳が人の個体の複製の禁止について決議をしたと承知しております。これを踏まえまして、各国ともおのおのクローン技術の研究と生命倫理の関係について検討していると承知しておりますが、日本におきましても、去年の九月に科学技術会議の下に生命倫理委員会が設置されまして、クローン技術を初めとする、科学と生命倫理の問題について検討を行っております。  こういった検討を踏まえまして、イギリス側の検討も踏まえて、日英間でこの協力のあり方について検討してまいりたいと考えております。
  225. 達増拓也

    達増委員 では、せっかく日英間の国際協力について取り上げられている機会ですから、広く世界を舞台にした日英間の協力というのは今どういうふうになっているのか、伺いたいと思います。  日本イギリスも、それぞれアジア、ヨーロッパと一定の関係にある島国で、貿易や金融などで世界的に活躍をしているというふうに、非常に似通った地政学的な状況にあると思います。  そういう日英両国が、今、地球規模のパートナーシップを発展させていくことは極めて重要だと思いますけれども、この点、最近いかなる発展がございますでしょうか。
  226. 小渕恵三

    小渕国務大臣 日英両国は、従来より、援助協調とPKOなどの分野で具体的な協力を行ってきておりまして、本年一月にブレア首相が訪日された際には、日英両首脳は二十一世紀に向けての日英共通ビジョンを発表いたしまして、グローバルな課題に関する日英協力の重要性を確認いたしました。  また、先般のイラクの大量破壊兵器の査察受け入れ問題に関しましては、日英が安保理決議の共同提案国となりまして、外交努力を通じた解決のため緊密に協力をいたしました。これも日英のグローバルパートナーシップのすばらしい一例であると考えております。私は、今晩英国に向かいましてクック外相とも会談する予定ですが、今後とも、英国とのパートナーシップを発展させていきたいと考えております。  日本英国との関係、近代史におきましては有名な日英同盟があったわけでありますが、これが結ばれておる段階におきましては日本としても世界の中で孤立せず存在できたわけでありますが、それが破棄されて以降の歴史は委員御承知のとおりでありまして、そういった観点からも、日英ともに島国であり、また歴史深い国であり、また政体も似通っておりますので、日英関係につきましてはますます緊密な連絡をとっていくべきだと考え、努力をいたしてまいりたいと思っております。
  227. 達増拓也

    達増委員 大臣からの答弁をいただいて、どうもありがとうございました。  日本イギリス、先ほども言及しましたように、それぞれアジア、ヨーロッパとの間の地域的な協力を進めていかなければならないと同時に、グローバルパワーであります。アメリカと特別な関係を持ちながら世界全体に働きかけていく、そういう非常に似通った外交環境にあるんだと思います。日本にとりましても、イギリスにとりましても、世界の平和と安全、そして自由貿易体制や、そのもとでの金融等も含めた経済活動、これを発展させていかなければならない、そういうところでも利益が共通し、それで、今回のイラク制裁問題に当たっても国連安全保障理事会での共同提案等、そういうグローバルな協力が行われているんだと思います。  こういう日英協力、発展させていくに当たっては、これは党派を超えた形で協力するにやぶさかではないわけでありまして、英国祭の成功については自由党としてもできるだけ貢献したいと考えているところでありますし、また自由党は、特にイギリスを議会制民主主義の元祖の国ということで、新進党時代以来、党首の訪問や若手議員の訪問等を通じて、日英関係の発展や協力の発展に力を注いでいるところでございます。  外交問題についてはバイパルチザンであるべしというのは国際的によく言われることで、党派を超えた協力が必要ということで、我々としても真剣に取り組んでいくに当たっては、もうこれは党派は関係ない。ただ、今政府・与党と野党の間で安全保障政策や外交について問題になるのは、政府・与党の方はまだまだ安全保障問題中心に外交問題について責任ある体制をとっていないじゃないか、真剣に取り組んでいないんじゃないか。  一たびこれが真剣に取り組み、また責任ある体制で取り組むということになればバイパルチザン、党派を超えた協力という余地が出てくるのでありましょうけれども、今そういう点について自由党として不満が多々あるところでございまして、その点については、また今後外務委員会あるいは安全保障委員会等々の場で、審議の中で議論していきたいと思っております。  以上、述べさせていただきまして、私からの質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
  228. 福田康夫

    ○福田委員長代理 松本善明君。
  229. 松本善明

    ○松本(善)委員 大臣にお伺いしますが、この協定基づきまして使用済み核燃料の海外処理を行っているわけですけれども、この協定の新たな調印ということは、この再処理を続けるということですが、今後も大量の高レベル廃棄物が発生をすると思います。  今後、海外再処理によって三千数百本のガラス固化体が返還されるということですし、高レベル放射性廃棄物処分懇談会の報告書によりますと、現在までに高レベル廃棄物の発生は、ガラス固化体に換算して一万二千本相当が既に発生をしているし、長期計画を推進した場合に、二〇三〇年までに五万八千本分が発生するということであります。科学技術庁に確かめましたら、それに間違いないということでございました。  私は、大臣に伺いたいのは、大臣がこの条約にサインをされるときに、当然この日本のエネルギー政策、特に高レベル放射性廃棄物の最終処分について国内でいろんな問題が起こっていることも御存じのとおりであります。そのことについてどのような思いをして、あるいはどのような展望を持って調印をされたか、伺いたいと思うのであります。
  230. 小渕恵三

    小渕国務大臣 高レベル放射性廃棄物処分につきましては、原子力委員会決定をいたしました原子力の研究、開発及び利用に関する長期計画のもとで、関係省庁において着実に検討が進められているものと認識をいたしております。  いずれにいたしましても、本件協定は、本年十月に失効する現行日英原子力協定にかわる日英間の原子力平和的利用のためのより整備された法的枠組みを提供するためのものであり、英国との長期的かつ安定的な協力の確保並びに国際的な核不拡散及び原子力の平和利用の強化に資するものであると考えております。  そこで、御指摘のようにこの廃棄物の処理につきましては、国内にもいろいろの御議論のあることも承知をいたしておりますし、先般は、青森県におきまして、この最終処分の問題についていろいろ知事の方からのお話もございまして、一時船が着くことができなかったというようなこともございました。しかし、これは政府と一体で一層取り組みを強化していくということで決着をしておりますが、いずれにしても、深い関心を寄せていかなきやならぬ問題だと理解しております。     〔福田委員長代理退席、委員長着席〕
  231. 松本善明

    ○松本(善)委員 これはよく便所のない建築物に例えて話がされるわけですけれども、どんどんどんどん廃棄物がふえていく、それでバックエンド対策、最終処分どうなるかということについての不安が非常に大きいと思います。  今、青森の話が出ましたけれども、知事の行動についてはいろんな評価がございますけれども、その背景には、やはり青森県民の根強い不信と不安があることはもう間違いないと思います。  青森県労連が青森県民三千百二十七人に行いました意識調査では、核燃に不安を感ずるという方が八二・三%、その理由として、不安に感じるという人の六八・二%が安全性に疑問がある、それから三一・七%が核のごみ捨て場を挙げております。問題解決の展望が示されていない状況では、当然の数字ではないかと思うのです。  北海道幌延での、動燃東海再処理工場から出てくる高レベル廃棄物の貯蔵のための貯蔵工学センターが、地元の強い反対で撤回をするということになりました。青森県は最終処分地にしない確約を国に迫っております。こういう状況で、私は、最終処分地を引き受けるところはないんじゃないか、小渕大臣の選挙区でも同様だと思います。日本じゅう、北海道が断って引き受けるところはない。  私は、きょうの質問は、やはり内閣にも影響を与える重要な閣僚の小渕大臣に、やはりこの問題の展望について、しっかりと、調印をされたわけですから、伺いたいと思っているわけです。こういう最終処分地について展望がないという状況だと思われませんか。  ちょっと待ってください。私、きょうのあれでは、科技庁と資源エネルギー庁は関係あると思うけれども、大臣が出てくるのならばこれは聞きます、だけど、これは国内の政治問題だ。だから、科技庁は私は呼んでないんです。勝手に出てきているんだけれども。私は大臣に、例えば青森県とか福島県とか原発を受け入れているところも全部問題になっているのです。こういう問題について内閣としてどういう方針でいるか、政治家としての態度を聞いているのでございます。
  232. 小渕恵三

    小渕国務大臣 先ほど申し上げました長期計画の中で、平成六年度の計画では、高レベル放射性廃棄物は、最終処理後三十年ないし五十年の間保存した後、二〇三〇年代から二〇四〇年代半ばまでに最終処分をすることといたしておりますが、私自身も、原子力の平和利用に基づきましての高レベル放射性廃棄物の処理の問題につきましては、極めて重要な問題だととらえておりますが、これは、それぞれの専門の立場で政府を挙げて検討し、そして、今申し上げたような、時間もかかる中ではありますけれども、そのめどをつけていかなければならない、このように考えております。
  233. 松本善明

    ○松本(善)委員 私もこの質問をする前には、もちろん科技庁も呼んでいろいろ聞いていますけれども、一生懸命やるという以外に何の展望もないのですよ。だから、何遍聞いたって同じことですよ。だから、今のお話も知っております。そういうことだけれども、しかし展望はないのですよね。一生懸命やると、そういう方針でやっているという。  だから、原発を既に受け入れている福島、新潟、福井、三県の知事が、高速増殖炉を中核とする核燃料リサイクル政策など原子力政策の進め方について、政府に提言を申し入れたでしょう。そこの中心は、やはりバックエンド対策を非常に重要な問題として取り上げているのです。青森での再処理が進みませんので、使用済み核燃料が貯蔵プールにどんどんたまるわけですよ。だから、三県の知事は、その三県が中間貯蔵地になるんじゃないかという心配をするわけです。当然のことです。  さっきお話が出ましたプルサーマル計画についても、バックエンド対策が先だといって受け付けないのですよ。まあ福島県知事、私とは政治的立場は違う方でありますけれども、しかし、今は、福島県を含めて県議会も、反対ないし慎重ですよ。そんな簡単にこんなものは受け入れるということにいかない。さっきは、二〇一〇年までにたしか科学技術庁は二十基増設する、それを受け入れないと思いますよ。現状ではそういう状態になってきている。  このままどんどん核のごみだけふえていくというのは極めて無責任なんじゃないか。やはりその展望が持てなければ、政策転換についての研究ぐらいは始めるべきじゃないか。大臣の見解を伺いたいと思います。
  234. 小渕恵三

    小渕国務大臣 高レベル放射性廃棄物処分対策は、原子力開発利用を進めていく上で早急に対応すべき重大な課題であることは、私も承知をいたしております。  今後、政府と一体となりまして、研究開発を加速するとともに、二〇〇〇年を目途に処分事業の実施主体を設立する等、処分事業の具体化に向けて強力に取り組んでまいりたいと思っております。
  235. 松本善明

    ○松本(善)委員 じゃ、これ外務省、大臣でなくても結構です、わかっていれば答えて。  この最終処分場問題というのは、どこの国もうまくいっていないのですよ。どこかうまいこといっているところがあったらどなたかお答えください。
  236. 阿部信泰

    阿部政府委員 今御指摘のように、最終処分地というのは大変難しい問題でございまして、アメリカでもなかなか選定が難航しているというふうに聞いております。各国でもなかなか悩んでいるところでありますが、それだけ処分が難しいだけに、今、世界での原則は、高レベル廃棄物は生み出した国が最終的に引き取るという原則になっておりまして、それだけに、今回の輸送日本が引き受けざるを得ない。フランスの国内法も、いつまでも置いておいてはいかぬということになっておりますものですから、そういう意味で日本としては責任を持って引き受けざるを得ないという立場にあるということも指摘申し上げたいと思います。
  237. 松本善明

    ○松本(善)委員 阿部審議官が認めるとおりですよ。アメリカもうまくいっていないのです。アメリカは、核廃棄物基金を電力会社から徴収をして、使用済み燃料のまま地中に保管することにしているけれども、立地場所が決まらないで、電力会社が約束どおり使用済み燃料を引き取れと国に求めて訴訟を起こすような状態、いわば泥沼状態ですよ。それはもう、各国が引き取らなくてはいかぬのは当たり前の話です。だけれども、世界じゅうがそういうふうに展望がないのにただ核のごみだけふやすというのは、本当に無責任じゃないかと思う。  ハンフォード核施設では、高レベル廃棄物が地下水を汚染したということも先日報道されています、エネルギー省の報告で知っているのですけれども。そういう状況で、現状は、今審議官が認めたとおりです。  大臣に伺いたいのですが、世界的に見て、核燃料リサイクル政策から撤退するのが趨勢になっているじゃないかと思う。昨年、フランスが高速増殖炉から撤退をして、G7の中で高速増殖炉開発を継続しているのは日本だけだ。最近まで高速増殖炉の開発を継続したイギリス、ドイツ、フランスが計画を中止した。フランスは、事故と修理が繰り返されてコストが肥大化していくのに実現の見通しがない、それからドイツは、原型炉を完成させたが、危険性と経済性の問題が浮上して一度も運転せず九一年に閉鎖、イギリスは、コスト高で今後百二十年間は不要、こういうことになっているのです。現状認識外務大臣いかがでしょうか、こういうふうに日本だけになっていると。
  238. 小渕恵三

    小渕国務大臣 私も、報道するところ等によりますれば、今松本委員が御指摘のような世界の趨勢になっていることは理解をいたしております。  ただ、日本としては、この高速増殖炉を含めまして、核サイクルによりまして、廃棄物が出ない形で、これを再利用することによってエネルギーを確保していこうという選択をしておるわけでございますので、そういった点についての専門的な知識を私、十分持ち合わせておりませんけれども、日本の持てる科学的力を発揮しまして、さらにこの問題が、日本が選択をしてきた路線というものがどこまで貫き通せるのか、日本の科学技術の粋を集めて努力するくらいの決意があってもいいのではないかという気はいたしております。  いずれ、それこそ夢のエネルギーと言われるような、核融合というような形のものが生まれてくればまた別でありましょうけれども、今日の状況の中で、日本として最終的な結論を出すということにつきましては、私自身はその判断は残念ながら持ち合わせておりませんが、今申し上げたように、日本が世界のそういう意味での本当のトップに立って努力をするというぐらいの気迫があってもいいと私は思っております。
  239. 松本善明

    ○松本(善)委員 科学は決意だけでは進まないのですよ。  九六年版の原子力白書は、高速増殖炉計画を終了、縮減する例も見られるが、これらの国々においては、すでに高速増殖炉技術の開発成果を蓄積しており、短期的なエネルギー事情、とくにウラン需給の緩和、財政事情などから高速増殖炉への更なる投資を控えているものである、というわけですが、日本より技術の点で先行しているフランスとかイギリスが、経済性や計画の見通しが立たないことを理由に撤退しているわけです。日本が決意さえあれば何とかなると考えているのは、私は、それはもう全く科学的な根拠のないことではないかと思います。  それで、日本原子力関係者は、高速増殖炉や再処理路線からアメリカやドイツが離脱したときに、資源のないフランスを引き合いに出したわけですよ。ところが、そのフランスがスーパーフェニックスを発電炉から研究実証炉に性格転換をした。私は、フランスはやはり研究やり直し、こういう方になったんだと思います。外務省の仕事としては、外務大臣、私は、各国やりかけたけれども全部撤退してきた、何で撤退したのか、そこはどこに原因があるのか、徹底的にやはり調べるべきだ。調べて、もし続けるというのならば、ここをこういうことだから日本は続けるのだということをちゃんと国会へ提出すべきだと思うのです。私は、外務大臣外務省のスタッフを使って、各国が撤退した理由は何なのか、それを詳細に調査をして国会に提出することを求めますが、やっていただけるでしょうか。
  240. 小渕恵三

    小渕国務大臣 これは日本のエネルギー政策の根幹にかかわることでございますから、資料をとるとかとらぬとかということは、それは外務省できるでありましょうけれども、日本政府としてどう考えていくかという基本的な考え方に基づいて対処すべきものだと考えておりますので、特にこの問題についての関係省庁とも十分相談をいたしたいと思います。
  241. 松本善明

    ○松本(善)委員 政府はそういう方針で来ているから、今ここで私が聞いたからといって、大臣がいかに重要閣僚とはいえ、方向転換ということを言えないこと、これはよくわかっています。わかっていますが、しかし、そういうことについて研究をしなければならぬということは当然だと思うのです。今お話、大体そういうお話だったと思いますが、関係閣僚とも相談をして検討するということと伺ってよろしいでしょうか。もう一度伺っておきたい。
  242. 小渕恵三

    小渕国務大臣 エネルギー政策の基本を政府の中で考えることについて私が提起すると申し上げておるのじゃありませんで、日本政府として、日本のエネルギーをいかにどこに求めていくかということについては、常々、日本の生存にかかわることですから、省庁挙げて今検討いたしておるわけでありまして、外務省としても看過できる問題ではないという認識はいたしております。
  243. 松本善明

    ○松本(善)委員 大臣、御存じのように、三月三十一日で東海原子力発電所が廃止になりましたですね。それで、マスコミで言われているのは、もう廃炉時代になってきた。そういう方向へ向けて第一歩を進み出した。日本は原発の耐用年数を決めていませんけれども、米国の基準は四十年、今後十年以内に原発廃炉の問題は確実にやってくるということがマスコミでも問題になっております。電力業界も石炭火力への回帰を目指す、これがいいかどうかは別として、そういうような方向も出てきておるわけです。やはりかなり大きな転換点だと私は思います。  私どもの党では、御存じかもしれませんが、九四年に「新日本経済への提言」、こういうものを出しまして、それで、私たち原子力の平和利用は否定していないのですよ、していないのですけれども、原子力に依存をしないで、地球温暖化を防ぐ視点で、日本のエネルギー政策に対する具体的な提起を行いました。  すべて紹介することはできません、できませんけれども、この点で注目すべきなのは、アメリカのカリフォルニアのサクラメント市の電力公社です。これは八九年、住民投票の結果、九十万キロワットの原子力発電所を閉鎖した。その減った電力をエネルギーの効率化によって補う計画を立てて、具体的には、冷蔵庫やエアコンなど電力製品を省電力型へ買いかえを進め、そのために報奨金を出す、住宅の遮熱・断熱対策に力を入れる、ヒートアイランド現象緩和のための五十万本の植林、太陽熱温水器・発電機の奨励を行いました。  これらのエネルギーの浪費削減、効率化の施策によって、九四年末までに、夏場ピーク電力三十五万キロワットの削減に成功したのであります。電力削減量に比例して、CO2の削減も行われました。こういう転換、こういう試みとか研究というのは、地球と人類を守る観点から、本格的にやはり進めるべきだと思います。  それで、私は、科学技術庁とそれから通産省の資源エネルギー庁に、原子力関係の研究開発費と技術開発費と、新エネルギー関連の技術開発費を出してくれと資料を求めました。いただきましたのは、資源エネルギー庁は、試算で、実証試験やフィールドテストを含んでいない等、取り急ぎ便宜的に計算したものだという注釈つきですが、それを計算いたしますと、科学技術庁関係では、新エネルギー関係約十六億円、原子力関係約二千七百六億円、それから通産省の資源エネルギー関係、新エネルギー関連は技術開発費二百三十一億円、原子力関連技術開発費二百三十八億円、合計しますと、新エネルギー関係が二百四十七億円、原子力関係二千九百四十四億円、新エネルギー関係はわずかに八・四%です。  私は、やはりこういう状況になってきますと、この研究という点でも新エネルギーの開発についてもっと大きく力を入れなければならぬ、そういう点について、大臣の御努力、御意見を承りたいと思います。
  244. 小渕恵三

    小渕国務大臣 エネルギーの研究開発につきましては、平成七年七月に内閣総理大臣決定されたエネルギー研究開発基本計画に基づきまして、関係省庁連携のもと進められていると承知をいたしております。化石エネルギーの大量消費国である我が国が、エネルギーの利用に際し、エネルギーの安定供給を確保しつつ、地球環境問題に対処していくことが何よりも必要であります。  このため、原子力開発利用安全性の確保を大前提に着実に推進するとともに、太陽エネルギー等新エネルギーの研究開発を推進し、エネルギーの多様化を図ることが重要であり、エネルギー研究開発基本計画に基づき、政府全体として、原子力のみならず、新エネルギーの分野でも所要の研究開発が進められておると承知をいたしております。  今委員が御指摘の、通産あるいは科学技術庁での予算につきましてお示しされましたけれども、さらにこうした新エネルギーの開発のためには努力をしていかなければならないと考えております。
  245. 松本善明

    ○松本(善)委員 時間がなくなりましたので、未臨界実験のことが先ほど来出ていますが、最後にこれを質問して終わります。  これも、同じく人類と地球を守るために必要なものであります。核兵器など大量破壊兵器をなくす、これは究極的にはそれを目指しているという御答弁もありました。  アメリカの未臨界実験に関しまして、クリントン大統領が、イラク情勢緊迫のときに、この実験をやりましたロスアラモス国立研究所を激励訪問した。その目的について記者会見で、ロバート・ベル国家安全保障会議上級部長、国防政策・軍備管理担当のロバート・ベル氏は、核実験全面禁止条約は、バンは禁ずるが、ボムを禁ずるものではない、要するに核爆発は禁止しているが、核兵器は禁じていないと述べて、条約の意味として、安全で信頼できる核抑止力を維持できる、他の核保有国の核兵器開発を抑えることができる、いわゆるならず者国家やその他の国が核兵器を持つのを妨げる、核拡散防止条約の無期限、無条件延長に役立つというような点を挙げました。まさにこれは、アメリカが核兵器独占体制を強化するためだということをいわば露骨に語ったものだと思います。  今後もクリントン政権は未臨界実験を続ける。ロシアは、同様の実験を昨年までに四回、毎年二回の割合でやる。先ほど来議論になっています、最近成立したインドの宗派主義的政党中心の新政府は、核兵器保有の選択肢を行使すると政策を公表しました。これに触発されて、隣国のパキスタン政府も核政策見直しを公言しておる。本当に深刻な状態になっていると思うのです。  イラクの問題のときに、私どもも、世界の世論はイラクに対して核兵器を含む大量破壊兵器をやめるようにということをやって、そういう方向へ行きました。しかし、そのときに、ここでも問題になりましたが、ダブルスタンダード、アラブ諸国が問題にしたのはこのダブルスタンダードですよ。アメリカロシアは別なんだ、イスラエルには緩やかに対処したらよろしい、これでは世界各国は納得しないと思うのですよ。やはり大量破壊兵器はどこの国が持ってもこれはやめるという方向に持っていかなくてはいかぬ。これが人類と地球を守るための課題だと思います。  大臣に伺いたいのは、一つは、アメリカに未臨界核実験をやめるよう申し入れる考えはないか。先ほど来の御答弁であれば、これは本来将来やめるべきだという趣旨の御答弁もありました。私は、直ちに申し入れるべきだ。もしやらないのなら、なぜということを伺いたい。それから、ダブルスタンダードについてどのようにお考えか伺いたい。これを質問して終わります。
  246. 阿部信泰

    阿部政府委員 未臨界実験につきまして、アメリカに申し入れるべきではないかという御質問でございますが、先ほど来申し上げておりますように、現在の包括的核実験禁止条約の上では、これは禁止されていないということが現在明らかになっておりますものですから、それについては、現在直ちに政府としてどうこうということはできないと考えております。  ただし、これは、全体の核の究極的廃絶を求めるという戦略の中で、これから次の課題として核軍縮の問題として取り上げていくべきものと考えております。(松本(善)委員「ダブルスタンダード、大臣でもいいです」と呼ぶ)  ダブルスタンダードの問題につきましては、これは恐らく、現実の問題としまして既に五つの大国が核兵器を持っているという状況において、どうやって世界を究極的核廃絶に近づけていくかという観点からは、まず、新たな核兵器国が出ないようにするということと、既に持っている国の核兵器をできるだけ早く減らしていくということで努力すべきということで、前者の努力がインド、パキスタンなどへの働きかけであり、後者については、現実アメリカロシアとの間で急速に核戦力の縮小が進んでいるということで努力がなされているということかと思います。
  247. 松本善明

    ○松本(善)委員 大臣何かありましたら。なければいいですが。
  248. 小渕恵三

    小渕国務大臣 今の時点では、アメリカ並びにロシアに対して、未臨界核実験について日本側から特に申し上げることはありません。
  249. 松本善明

    ○松本(善)委員 終わります。
  250. 中馬弘毅

    中馬委員長 続いて、伊藤茂君。
  251. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 三点につきまして意見を申し上げて、見解を伺いたいと思います。  一つは、原子力政策、エネルギー、こういう分野についてどのように世界とつき合う姿勢を持っていくのか。言いかえますと、我が国がこういう分野についていかなる先見性と積極性を持ってつき合うのかという気持ち、考え方を伺いたいということであります。  この間、いろいろな問題がありました。昨年暮れは京都におけるCOP3で大変な御苦労を外務省も環境庁もいたしまして、冷や汗をかいて見ていた面もあったわけでありますが、あのような形で一つの成果、収拾をすることができた。あの中でも環境温暖化防止と原発、原子力ということも話題がございました。もちろんですが、これについては賛否さまざまな議論もあったわけであります。  それから、本協定関係をいたしまして、最近のイギリスあるいはヨーロッパの動きを見ますと、スウェーデンでのさまざまのこの数年間かこの十年間か、経緯がございます。私どもも、国民投票があり、法律があり、さまざまな曲折を経て苦労しながら、何か次の社会目標をどうするのかという態度には敬意を表しながら注目をしているというわけであります。また、スーパーフェニックスのフランスにおけるところの態度決定など、一体日本はどう考えるべきなのか、広い意味での議論があるところであります。  私は、そういう中で、COP3の議論のときもそうでしたが、やはり我が国がどのようなイニシアチブを世界に示すような努力をするのかということが問われている。それは技術の先進国としての面についてもそうでありますし、原子力政策につきましても、例えば原子力発電がふえる地域と言われているアジアなどにおいても、日本が果たすべきさまざまの協力の役割もあるというわけであります。  やはりそういう中で、どのようなエネルギー、あるいはエネルギーは次の世代の新しい文化の時代をどうつくるのかの表現だとも言われておりますが、先日二十七日でしたか、経済関係閣僚会議がございました。与党で幹事長、政審会長など鋭意議論をいたしまして、一つの枠組みを報告させていただきました。政府・与党で議論をして、早く煮詰めようという取り扱いになっているわけであります。  その議論の中でも、このエネルギーの問題、あるいはまた次の社会の展望性と構造戦略を持った政策をとらなければならない。例えばソーラーシステムの問題、ソーラーハウスの問題などですね。もっと思い切った投資をすれば次の世代に向けて役に立つ、しかも新しいやはり経済活性化にも役に立つというふうな議論もいろいろと議論をいたしたわけであります。そんないろいろなことがございまして、原子力それからエネルギー効率化において、いかなるイニシアチブ、どういう日本としての積極性を持ちながら、これからの世界を考えますと大事な一つの柱でございますので、対応されるおつもりであるか、まず伺いたい。
  252. 小渕恵三

    小渕国務大臣 エネルギー問題は、我々人類が生存するための最大の基であるというふうに思っております。そのために種々のエネルギーが求められてきたわけですが、化石燃料に限界があるということもありまして、原子力平和利用という面で今日まで世界的にこの問題に取り組んでまいりましたが、一方、先ほど来お話があります廃棄物の問題等々の問題もございまして、新たなるクリーンエネルギーをいかに開発すべきかという問題等々、提起されておるわけでございます。  いずれにいたしましても、科学の進歩もあることではありますけれども、日本としてはこの一億の民が生きていくためにいかなるエネルギーを効率的に利用していかなければならないか、そして人類にとっても被害の出ない、すなわち、石炭を燃やしてCO2がたくさん出るというような形でない形でのエネルギーをいかに求めていくかということは、政府全体の大きな課題だというふうに一認識しております。
  253. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 私どもも、積極的なそういう提起を今後ともやっていきたいというふうに考えております。  二つ目に伺いたいのは、明日御出発のようですが、第二回のASEMの会議が開かれます。これは総理を初め外務省外務大臣、大変御苦労なさるわけでございますけれども、ぜひ意義あるものとして成功をするように、そう願っているわけであります。  実は、ついさっきまで外務省が招待されました韓国の与党の政治家の皆さんと懇談をいたしておりました。その中で、金大中新大統領と橋本総理との首脳会談、この間外務大臣もソウルでいろいろと親身にお話しなさったようでありますけれども、成功されるように、また意義ある首脳会談がなされるようにというようなこともお互いに会話がございました。  私は、特に今日の経済問題、金融問題の経過というものを見ますときに、先般は、総理も急速ジャカルタへ飛ばれるとかいうこともあったわけでありますが、私個人は、今テーマとして報道されておりますASEMの会議でのアジア信託基金の構想とかございますけれども、アジア通貨基金の構想もありましたが立ち消え状態になっておりますが、何かやはり積極的なアジアのそういう構想というものはあるべきだろうというふうに私は思っております。  数々の大きな苦難に、試練にぶつかっておりますけれども、中長期的に見て、やはりこの地域は、APECの発展その他にも見られますように、二十一世紀はアジアの時代と言われましたが、大きな成長と将来を持った地域であるということは変わらないと思います。そうなりますと、大胆にやはりそういうものを乗り越える、通貨につきましても、日本が構想を持って、積極的な努力をもっとすべきではないだろうかという気がいたしますが、外務省としてはどうお考えでしょうか。
  254. 小渕恵三

    小渕国務大臣 今次第二回のASEMの会合がロンドンで行われますが、第一回に比べまして、置かれた世界経済の環境というのは随分変化しておると思うのですね。  特にアジアだろうと思うのです。バンコクで開かれた時点では、隆々として発展するアジア経済という感じがいたしておりましたが、御案内のような経過で、タイに始まった通貨・金融危機が今日アジア全体に押し寄せてきているということでありまして、それに対する対応につきましては、IMF体制の中で我が国協力を申し上げて順次回復の兆しも見えておりますが、こういった時点で実はASEMが行われる。  特に、ASEMはアジアとヨーロッパの国、二十五プラスワンという形で行われますので、そういった意味では、アジア経済が極めて厳しい環境の中で、ヨーロッパの国々も含めてこの問題をどのように考えていくか。アジアはアジアだけの問題でないという観点で、この会議におきまして議論されるということは、新たなるアジアの経済復興のためにも極めて意義あることだという認識をいたしております。  そこで、今委員が御指摘のこのASEMの信託基金の問題等もございますが、恐らく首脳会談、閣僚会談におきましても、こういったアジア経済問題の大きな焦点の一つとしてこうした問題も取り上げられ、いろいろ議論をされるのではないかと思っておりますので、私自身も、ぜひこの会合におきまして、日本の立場、アジアの立場、そしてこのASEM全体の国々の協力関係につきまして議論もし、建設的な答えを出す努力をしてまいりたいと思っております。
  255. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 大きな将来性を持った地域というベースの確認の上に立って、苦難を、当面する試練を乗り越えるという努力を積極的に図られるように要望いたします。  もう一問お伺いしたいのですが、今大臣が第一回と第二回の違いということを申されました。私もそういう気持ちがいたします。と同時に、これまで、これからヨーロッパとアジアというものを考えますと、大変な大きな歴史が変動の時代に入っているというふうに思うわけでありまして、ヨーロッパの方でも、EUあるいは共通通貨の問題のスタートその他、まあ昔流に言えば、国家主権の一定の部分か相当の部分を共通にする、共有する、国家主権の相当の部分を共有するような新しい実験か、時代に入っている。  アジアは複雑であり、多様でありますから、なかなかそうはまいりませんし、また、残された冷戦の遺物とも言われている北東アジアにおいて、朝鮮半島問題などをどうするのかという課題もやらなければならない。日本の役割、日本のイニシアチブも非常に大事になっているというふうな今日の時期であろうと思います。  その中での一つなんですが、自民党の訪朝団、私どもも間もなくの時期にと、今計画をいたしているところでございますけれども、私は、大きな流れとしては、この前申し上げたのですが、やはり朝鮮半島問題の枠組みをどう解決をするのか。四者の会談が円滑に進むように、なかなか難しい曲折は当然ありますけれども、進むように、それと朝鮮の南北の交流、話し合いが進むように、これも恐らく展開は可能性が大分あり得るという判断をいたしております。そしてまた日朝の関係の推進、前後はいたしましても、そういうものが大局的には相伴って大きな新しい流れができるというのが安定した方向ではないだろうかという気持ちがいたします。  そういうことを考えますと、昨年暮れに与党の訪朝団で参りまして、私も御一緒させていただきましたが、まあ年末とは言わぬけれども正月は正式の国交正常化交渉が再開されるか、橋本内閣スタートに当たっての三党政策合意の合意事項にもあることでありますから、と思いましたが、三月から、もう四月となりましてもなかなかはっきりいたしません。相前後はいたしますけれども、何かそういう方向を持ちながら、たまにはこちらの方がちょっと先に立つという面があっても、一つ進展を図り得る、また図るべきと申しましょうか、そういう段階に来ているのではないかなという感じがいたしますし、また、日韓両国関係だけではなくて、そういう全体視点でのロンドンでの首脳会談が成功するようにというふうにも願っているというわけでありますが、そういう意味でのイニシアチブの発揮を強く私としては願っておりますが、いかがでしょう。
  256. 小渕恵三

    小渕国務大臣 北朝鮮との国交正常化につきましては、我が国として国交のないただ一つの国として一日も早く回復させなければならぬ、そのために正常化の努力をしておるわけで、伊藤委員も与党三党で行かれましたし、また今般、自民党の中山団長を初め参られておりますので、まだ帰国後、情勢についてお聞きをいたしておりませんが、そうした努力の中で、一つ一つでも前向きの話があれば、政府としてそれに真剣に取り組んでまいりたいというふうに思っております。
  257. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 終わります。ありがとうございました。
  258. 中馬弘毅

    中馬委員長 これにて本件に対する質疑は終局いたしました。      ————◇—————
  259. 中馬弘毅

    中馬委員長 次に、本日本委員会に付託になりました民生用国際宇宙基地のための協力に関するカナダ政府欧州宇宙機関加盟国政府日本国政府ロシア連邦政府及びアメリカ合衆国政府の間の協定締結について承認を求めるの件を議題といたします。  政府から提案理由説明を聴取いたします。外務大臣小渕恵三君。     —————————————  民生用国際宇宙基地のための協力に関するカナ   ダ政府欧州宇宙機関加盟国政府日本国   政府ロシア連邦政府及びアメリカ合衆国政   府の間の協定締結について承認を求めるの   件     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  260. 小渕恵三

    小渕国務大臣 ただいま議題となりました民生用国際宇宙基地のための協力に関するカナダ政府欧州宇宙機関加盟国政府日本国政府ロシア連邦政府及びアメリカ合衆国政府の間の協定締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。  この協定は、平成十年一月二十九日にワシントンで我が国を含む十五カ国によって署名されたものであります。  この協定は、宇宙基地協力に関し、千九百八十八年の常時有人の民生用宇宙基地の詳細設計、開発、運用及び利用における協力に関するアメリカ合衆国政府欧州宇宙機関加盟国政府日本国政府及びカナダ政府の間の協定にかわる新たな協定であります。この協定は、ロシアの参加に伴う所要の改正等を千九百八十八年の協定に加えたものであり、国際法に従って平和的目的のために民生用国際宇宙基地の詳細設計、開発、運用及び利用を行うために、参加主体間の協力枠組みを確立することを目的とするものであります。  我が国がこの協定締結することは、宇宙基地に係る国際協力を引き続き円滑に実施するとの見地から、また、我が国における宇宙科学技術の発展を促すとの見地から有意義であると認められます。  よって、ここに、この協定締結について御承認を求める次第であります。  何とぞ、御審議の上、速やかに御承認いただきますようお願いいたします。
  261. 中馬弘毅

    中馬委員長 これにて提案理由説明は終わりました。      ————◇—————
  262. 中馬弘毅

    中馬委員長 この際、理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員の異動に伴い、現在理事が一名欠員となっております。その補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名することに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  263. 中馬弘毅

    中馬委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  それでは、理事東順治君を指名いたします。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時九分散会      ————◇—————