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1998-03-11 第142回国会 衆議院 運輸委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十年三月十一日(水曜日)     午前十時開議 出席委員   委員長 大野 功統君    理事 衛藤 晟一君 理事 久野統一郎君    理事 実川 幸夫君 理事 林  幹雄君    理事 佐藤 敬夫君 理事 細川 律夫君    理事 赤羽 一嘉君 理事 江崎 鐵磨君       江口 一雄君    大島 理森君       木村 隆秀君    熊谷 市雄君       菅  義偉君    橘 康太郎君       中野 正志君    宮島 大典君       望月 義夫君    森田  一君       米田 建三君    渡辺 具能君       今田 保典君    田中  甲君       長内 順一君    福留 泰蔵君       久保 哲司君    松浪健四郎君       寺前  巖君    平賀 高成君       秋葉 忠利君    濱田 健一君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 藤井 孝男君  出席政府委員         運輸政務次官  江口 一雄君         運輸大臣官房長 梅崎  壽君         運輸大臣官房総         務審議官    和田 敬司君         運輸省運輸政策         局長      土井 勝二君         運輸省鉄道局長 小幡 政人君         運輸省自動車交         通局長     荒井 正吾君         運輸省海上交通         局長      岩村  敬君         運輸省海上技術         安全船員部長  土橋 正義君         運輸省港湾局長 木本 英明君         運輸省航空局長 楠木 行雄君         海上保安庁次長 田口 弘明君         気象庁長官   小野 俊行君  委員外出席者         警察庁交通局交         通規制課長   東川  一君         経済企画庁総合         計画局計画官  安井 誠人君         国土庁計画・調         整局総合交通課         長       小前  繁君         運輸省航空事故         調査委員会事務         局長      下出 敏幸君         建設省都市局下         水道部公共下水         道課長     村山 哲夫君         建設省道路局国         道課道路整備調         整室長     佐野 正道君         運輸委員会専門         員       長尾 正和君     ————————————— 委員の異動 三月十一日  辞任         補欠選任   細田 博之君     中野 正志君   久保 哲司君     松浪健四郎君   秋葉 忠利君     濱田 健一君 同日  辞任         補欠選任   中野 正志君     熊谷 市雄君   松浪健四郎君     久保 哲司君   濱田 健一君     秋葉 忠利君 同日  辞任         補欠選任   熊谷 市雄君     細田 博之君     ————————————— 本日の会議に付した案件  陸運海運及び航空に関する件等運輸行政の  基本施策)      ————◇—————
  2. 大野功統

    大野委員長 これより会議を開きます。  陸運海運及び航空に関する件等について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。渡辺具能君。
  3. 渡辺具能

    渡辺(具)委員 自民党の渡辺具能でございます。  藤井運輸大臣におかれましては、大変多くの課題が山積する中で運輸大臣に御就任されまして、大変でございますけれどもこれらの問題の解決に当たっていただきたいと思います。我々与党委員としても、できるだけの知恵を絞り、また協力をさせていただきたいというふうに思うわけでございます。  先般の大臣所信表明の中に、最後の方になりますけれども大臣が大変すばらしい決意をされております。そのまま読ませていただくと、「私といたしましては、長期的展望に立ち、また、国民行政に対する信頼を確保しつつ、機を失することなく果敢に諸問題の解決に取り組んでまいる所存でございます。」こういうことでございました。特に、この中の、長期的展望に立つということ、それから機を失することがなく、つまりタイムリーに、しかも果敢に、勇気を持って事の解決に当たりたい、こういう所信表明決意でありまして、大変感銘を受けたわけでございます。大変期待をしているところでございます。  ところで、運輸省の抱える課題の中にもいろいろな課題があるわけでございます。種類もいろいろな種類課題があろうかと思うわけでございます。今回の所信表明を見ますと、まず第一に出てくる課題が、国鉄長期債務処理に始まるわけでございますが、このように当面する課題は深刻でありまして、どちらかといえば過去の負の財産処理といいますか、そういうものが非常に山積みしておる。二番目の課題も、行政改革ということになっておりまして、こういった負の財産解決という意味課題が当面は多いような感じがいたすわけでございます。  ただ、総合交通行政を担当する運輸省としては、やはり総合交通体系創造していくということは運輸省として重要な、かっかなり基本的な部分課題ではないかというふうに思うわけでございます。総合交通体系創造ということは、これまで運輸省もたびあるごとに強調されてきたわけであります。私は、運輸省役割というのは、交通体系を俯瞰的に見るというか、各輸送機関全体にわたって、あるいは輸送機関関係について俯瞰的に見ていくというかとらえるというのが、総合交通体系の一番重要な点ではないかというふうに思うわけでございますが、今回の所信表明を見させていただく限りにおいては、その辺のことが余り書かれてないなという感じを正直に言いまして持ったわけでございます。それだけに、いろいろ深刻な問題が、当面の課題が大変山積しておるということもあろうかと思いますけれども、これまで運輸省が大変真剣に、かつ積極的に取り組んでおられた総合交通体系に関する取り組み方の基本的なあたりが余り書かれてなかったということを私は少し心配するわけでございまして、私の心配が杞憂だとすれば一安心するわけでございます。  まず、運輸大臣に、総合交通体系重要性についていかに考えておられるか、そのあたりのことをお伺いしたいと思います。
  4. 藤井孝男

    藤井国務大臣 ただいま渡辺委員の方から、私の昨日の所信表明に対しまする評価を含め一また今後の運輸行政に対する、さらには総合交通体系についての御指摘がございました。  今、委員おっしゃられましたように、運輸行政大変幅の広い行政を所管いたしておりまして、とりわけこれから二十一世紀に向けて運輸省行政がどうあるべきか、そして利用者皆さん方あるいは消費者皆さん方に対するサービス、安全、そして利便性効率性をどう求めていくかというのが大変重要な課題であります。その中で、過去の負の財産と申しましょうか、国鉄長期債務の問題を初めそうした問題も今般、抜本的な処理を講じていかなければならないことも大変重要な課題でありますけれども、二十一世紀に向けて大変な国際競争化時代の中で、総合交通体系はどうあるべきかというのは、委員おっしゃられるとおりであります。  とりわけ、国際化が進んでおりまして、また経済の構造が非常に急激に変化している。そうした改革にも、また変化にも対応するためには、やはり陸海空にわたりましての安定的で質の高い交通サービスの提供をいかに図っていくかということが大事ではなかろうかなと思います。そういう中で、各交通機関の特性を生かした、整合性のとれた総合的な交通体系を形成することが大変重要であります。  その中で、とりわけ競争という時代になりましたときの市場原理による競争、それを基本としつつも、一方では、規制緩和流れの中で、過疎地であるとかあるいは離島といった生活路線生活に要する交通確保というものも大変重要であります。ですから、市場原理基本としつつ、この競争化時代あるいは国際化時代に対応しなければなりませんけれども、一方では、そうした過疎離島といった生活路線確保も、我々は政策的に対応していかなければならないと思っています。  こうした観点から、これから行政改革省庁再編等々の中で、関係省庁とも緊密な連携をとりながら、国民生活の向上や国際化の進展を図るために、ハード面はもちろんでありますけれどもソフト面に係る施策を一体的に進めていくことが必要ではなかろうかな、そのように考えております。
  5. 渡辺具能

    渡辺(具)委員 今、大臣総合交通体系に対する考え方をお伺いいたしまして、これまでと変わらず総合交通体系に対して運輸省として真剣にいろいろな部門で、いろいろな局面で取り組んでいただくということが理解できまして、大変安心をいたしたわけでございます。  そこで、この総合交通体系について、政府としてどうかかわっていったらいいかといったあたりについて、少し私も考えを言わせていただき、また御意見を賜りたいというふうに思うわけでございます。  総合交通体系一言で言いますけれども、これに対してどうアプローチしていって、どう取り組んでいくか、あるいは政府としてどう関与していくか、どこに政府役割があるかというのは、大変実は難しい。運輸省も、長い間この問題について取り組んできた、頭を悩ませてきたというのが運輸省歴史でもあると言えるぐらい大変な問題であることを承知するわけでありますが、あえてまたお伺いするわけでございます。  総合交通体系と一口に言っても、大きく分けると陸海空に分かれるわけでございますけれども、それぞれ陸海空における環境条件といいますかパラダイムといいますか、いわゆる取り巻くインフラは、非常に陸海空にわたって異なっている。しかも、陸海空交通基盤なりあるいは交通手段が育ってきたといいますか、育成されてきた歴史も違う。長い間にいろいろな面で違ったものができ上がっているわけでございます。そして、陸海空にわたって、それぞれの部門運送事業を行う者がいるわけですけれども、その運送事業者の形態もまた違う。しかも、運送事業に対する役所のかかわり方といいますか許認可濃淡といいますか、そういったものも、大臣御承知のとおり、非常に複雑に違っておる。  しかも、そういった中で、そういう規制等々の権限に関するものが運輸省にすべて集中しているとは限らない。特に、言われておりますように、陸に関する部分は、運輸省としては手を出せない部分がかなりある。これは、今回国土庁それから建設省と一緒になって国土交通省ができるということは、こういったものに対する解決の手がかりを得るということになるわけでございますけれども、その辺を大変期待するものでありますが、要するに大変難しい問題であるわけであります。  もう一つ加えると、交通機関あるいは交通手段を形成する主体者民間であるわけですね。特に鉄道についてはそうだというふうに私は思うわけでございますが、濃淡はあっても、程度の差はあっても、こういった交通手段を提供する主体の者は民間であるというところに総合交通体系創造していく上での難しさが、本当は一番そこに問題があろうかと私は思うのです。  しかし、そう難しい、難しいと言っているだけではしょうがないので、そういう難しさの中で運輸省がどうかかわっていくか、どこに運輸省総合交通体系をつくっていく上で力を発揮しなければいけないか、総合交通体系における運輸省のかかわり方といいますか役目といいますか、取り組み方、基本的なところを、私は、今時代も変わってきているので、その辺についても恐らく変わってきているのではないかという思いもあって、お伺いをしたいと思います。大臣にお答えいただければと思います。
  6. 藤井孝男

    藤井国務大臣 委員はかつて運輸省に在籍されておられまして、その時代からの経験を踏まえての御指摘だと思います。一言でお答えするのはなかなか難しい御質問だと思います。  先ほども申し上げましたように、これからの国際化あるいは競争化の中で、総合的な交通体系に対して運輸省はどうかかわっていくべきかということでございます。一言で言いますと、これはいつも申し上げておりますけれども運輸行政を預かる立場といたしましては、いかに安全の確保を常に維持していくかということが、これは陸海空にわたりましても、すべてにおきましても、まず安全の確保を維持するかということが大事であろうと思います。  そこで、先ほども御答弁申し上げましたように、規制緩和という、我が省も一昨年ですか、平成八年に、需給調整規制を廃止という、目標年限を決めまして、一大政策転換をいたしまして、規制緩和という前提に立って、今着々と交通網整備あるいはこれからの国際競争化にどう対応していくかということで、今いろいろな対策を講じてきておるわけです。  今大変難しいと申し上げたのは、運輸省が積極的に介入していくということも必要でありますが、そうなりますと、またがっての運輸省許認可官庁というようなイメージを与えてはいけない、しかし、安全確保ということになれば、どこかで規制を、規制というかそういう面でのフォローアップを常に我々はしていかなければならないという両方の側面がございまして、そこの間での対応がいろいろ難しいと思います。  ですから、よく規制緩和規制緩和と言いますけれども、私は、これは個人的な考え方ですが、規制緩和を進めていく上においては、やはり一方では規制強化もしなければならない部分があるのだろうと思うのですね。ですから、先ほども申し上げましたように、生活路線確保するためには、国が積極的にそこで政策的な補助をし保護をするということは、ある面では規制と申しましょうか、制度的にその生活路線を、地域を守っていくということもしていかなければならない。しかしながら、先ほども申し上げましたように、やはり市場原理というものをしっかり基本としつつ、国際化競争化時代に対応すべき施策を私どもとしてはやはり推し進めていかなければならない。  具体的に言いますと、物流拠点、それは効率的な、効果的な物流システムを構築するということで、そのためには、鉄道あるいはハブ港湾ハブ空港、こうしたこともやはり重点的にこれから事業を進めていかなければならないということもございますし、また、一方では、いわゆる地方への権限移譲というものも考えていかなければならない。  そういったことで、お答えになったかどうかわかりませんが、ある面では常にバランス感覚というものを持ちながら、やはり業者ともあるいは利用者とも、そうした地域とも密接な連携を深め、あるいは関係省庁とも密接な連絡をとり合いながら推し進めていかなければならない、このように考えておるところでございます。
  7. 渡辺具能

    渡辺(具)委員 時代変化に対応した考え方をお伺いいたして、なるほどという感じがするわけでございます。私も、この総合交通体系に対する政府役割というのは、今、規制緩和、特に需給調整を外してしまおうということを決心された運輸省の中にあっては、しかしそうはいいながら、今大臣言われたように、安全等々の最低限のそういった社会的規制といいますか、経済的規制は外すかもしれないけれども社会的規制みたいなものをぜひ組み込んでいっていただきたいというふうに思うわけでございます。  それから、今のお話の中に、私はちょっと聞き漏らしたかもしれませんが、やはり昔からあった伝統的なといいますか、国土の上に社会資本をどう構築していくか、どういうふうな総合交通体系を我が国土の上に展開するか、そしてこの三十七万平方キロの上に展開された総合交通体系を使って激しい国際競争に勝っていくか、いかにこの三十七万平方キロの国土を有効に、武器というのは余り言葉が適当じゃないかもしれませんけれども手段として戦略的にしてグローバルな世界に勝ち抜いていくかというあたり総合交通体系考え方というのは、やはり必要ではないかというふうに私は思うわけでございます。  それから、かかわり方として、少し私も意見を言わせていただくと、いろいろな交通機関部門間の総合調整といいますか計画調整進度調整整合性というか、計画部門においてそういうことが必要ではないか。そうすることによって、今大臣がおっしゃった市場原理といいますか、フェアなコンペティション状態をつくっていくということが大切ではないか。あるいは、コンペティション条件だけではなくて、補完関係をつくりやすい条件をまたつくっていくかということもあろうかと思うのです。  それからもう一つは、今まさに大臣言葉の中にありましたが、ハードソフトをどうかみ合わせていくか。ハードサービス水準ソフトサービス水準が非常に食い違うと、交通基盤としては機能的に動かなくなってくるということがあって、やはり役所役割として、ハードレベルソフトレベルに目を見張って補完をしていくということが大切ではないかというふうに私も思うわけでございます。  そういったことを一言で言うと、やはりさすがにと言うとちょっと申しわけないのですが、改めて今思い出すと、所信表明の中に、一ページの最初にまとめて書いてあるなという感じがするわけです。それは、「陸海空にわたり整合性のとれた交通体系の形成」、こういうことで書いてあるのは、私はそういったもろもろの意味を含めて書かれたのではないかというふうに思うわけです。  それで、やはり一番大切なことは、紙幅に限度があるので非常に詰めた形で書かれている、この「整合性のとれた」というところが総合交通体系の一番ポイントではないかというふうに思うわけでございまして、その整合性に関して、今までやや抽象的な議論に過ぎたので、少し具体的に議論を進めていきたいというふうに思うわけです。  先ほど言いましたように、陸海空に分かれているわけでございますけれども、その中で、あえて取り出せば、空と海は陸に比べて案外似たところがあるのではないか、類似性が非常に高いのではないかと私は思うわけです。それは、まずインフラ整備ターミナル整備にほとんど集中している。鉄道なんかは、その間の整備そのもの整備みたいなところがあるわけですけれども港湾にしても、海運にしても、航空にしても、空港であり港であるところのいわゆるターミナルといいますかノード、そこを整備することによって、あとはかなり、その間のところはフリーな状態で使える、そういう意味で、大変共通性がある。言葉も、港というのがどちらにもついているわけですけれどもターミナル整備をすればいいということですね。  それから、もう一つ共通性があるのは、この二つの部門については権限運輸省にかなり帰結しているといいますか、ほとんど運輸省でやれる。私の認識不足で、そうではなくて、いろいろな問題でまだまだそうではないというところはあるかもしれませんが、しかし、概括的に言えば、かなりのものが運輸省で面倒を見られるというふうに思うのですね。  そこで、空港港湾計画論について、ここに書いてあるようないわゆる整合性のとれたものになっているかどうかという観点お尋ねをするわけでございます。  港湾空港のいわゆる長期計画みたいなことについて書かれている部分がこの所信表明の中にありました。それは、四ページだったですかね、「第三に」というところでその計画について書いてあるわけです。「港湾につきましては、物流コストの削減、港湾国際競争力強化を図るため、中枢中核国際港湾における国際海上コンテナターミナル整備」ということをやっていくということを明らかにしておられる。空港についてはどうかというと、五ページに、「空港につきましては、国際ハブ空港を初めとする大都市圏における拠点空港整備を最優先課題」とするというふうに書いてあるわけでございます。  これだけではなかなかわかりにくいので、もう少し詳しくお尋ねをするわけでございますが、港湾については、私も港湾局の方々から資料をいただいて、中身について詳しく勉強させていただくと、中枢中核港湾については、具体的にどこが中枢で、どの港が中核で、どういう場所において整備をしていくということが明らかにされている。つまり、その専門人たち言葉をそのまま言うとわかりにくいかもしれませんが、いわゆる中枢中核港湾配置論がはっきりしている、見通しをちゃんと持ってやっておられるというふうに思うわけでございます。これは、私が長い間港湾にいたということもあってそういうふうに身びいきになるのかもしれませんが、かなり一生懸命やっておられるのではないかというふうに思うわけでございます。  ところが、私も空港に携わってきた面もあるのですが、空港について、港湾との整合性という意味で今の計画論について見てみると、私は残念ながら余り勉強する機会がなかったのでわからないのですけれども、今私が申し上げた港湾配置論に相当する考え方について、空港についてはどういうふうになっているか、どういうふうに考えておられるか、これは少し専門的になりますので、航空局長にお願いをしたいと思うのです。
  8. 楠木行雄

    楠木政府委員 お答えいたします。  先生指摘のように、空港の場合も、インフラとその上で運航いたします航空機の運航事業者が異なったシステムで行っておるわけでございます。  そして、インフラにつきましては、空港整備特別会計一つの財源の根拠といたしまして、従来から空港整備五カ年計画という形で計画的に整備を進めてまいりました。それから、その上で運航いたします航空事業者につきましても、それぞれの会社が私ども規制の中で今までやってきたわけでございますけれども先生指摘のように、国内におきましては、先ほど大臣が答弁いたしましたような規制緩和流れの中で、例えば昨年の四月にはダブル・トリプルトラック規制を廃止するというようなことでいろいろな路線間への進出ということも行われてきておりますし、また、国際航空におきましては、一月の末に大筋合意いたしました日米航空交渉というものでこれから国際的な競争がさらに激化するというような事態になってきております。  こういうようなものを踏まえまして、いかに長期的な方針を立てていくかという点が非常に重要になってくるわけでございますが、我が国が今後とも安定した発展を持続いたしまして、国際社会に一定の地位を確保していくためには、何よりも航空需要の動向に対応して、航空ネットワーク拠点となる国際ハブ空港国内拠点空港整備を時期を失することなく進めることが不可欠でございます。  それで、平成八年の十二月に閣議決定をされまして、昨年の十二月に二年間計画期間が延長されました第七次空港整備七カ年計画におきましては、新東京国際空港、成田空港でございます、これと関西国際空港の二期事業、さらに中部国際空港等大都市圏における拠点空港整備を最優先課題として推進していく、こういった点が、まず非常に重要な長期的な整備方針になっておる。  以上でございます。
  9. 渡辺具能

    渡辺(具)委員 今の御説明は、内容は十分わかるわけでございますが、実はきょうばいよいよこのあたりをぜひお願いしたいというか、強調させてもらいたいということがあるわけです。  今航空局長は、いろいろな空港整備については時期を失することなく進めていかなければいけないということをおっしゃったわけでございまして、先行きについては五カ年計画の範囲の中で説明をいただきましたが、今聞いた説明は、我々も、もう既に整備が進んでいるわけですから、それは目に見えるものとしてわかるわけでございます。私は、総合交通体系創造ということを考えれば、もっとロングレンジで、日本の空港体系を将来どうしていくかということをもっと基本的に、もっと長期的に見据えてやっていく必要があるのではないかというふうに思うわけでございます。  ことし、中部国際空港が、着工準備がされて着工されるわけですね。それに続いて、今世間でいろいろ話が出ているのは、これは世間ではとしか私は言えないところに私の思いがあるというか、私の主張があるわけでございますけれども、世間では、九州国際空港あるいは、よく調べてみると、国際空港としては沖縄とか広島あたりでもいろいろ検討しておられるというふうに聞いております。それから、私にとっては、きょうは東京の方もあるいはおられるかもしれませんが、首都圏第三空港というのが、私は九州なものですから、かなり大きなライバルとして、こういうことを委員会で言うのはどうかと思いますが、そういう気がして注目をいたしておるわけでございます。  今私が言いましたように、中部空港がいよいよテークオフして、それから、その後に九州国際空港等々あるいは首都圏第三空港が控えている、こういう状況なわけであります。そういったことに対して航空局としてはどういうふうに考えているのかというあたりが、そういう長期的な見通しというものを航空局として、運輸省として勉強して、調査をして、ちゃんとした考え方をつくるべきではないかと私は思うのです。  私は中部国際空港が始まることについてもちろん大賛成なのですが、本当を言えば、中部国際空港の方がなぜ九州国際空港より先なのかとか、あるいは首都圏第三空港よりはなぜ先なのかとか、そういうことを検討する必要があると思うのです。  中部国際空港に着工するからには、そういったものを含めて偽厳した上で、今最初に取りかかるべきは中部であるというふうなことの検討がなされるべきではないか。そのためには九州国際空港についても勉強しなければその辺はわからないわけだし、首都圏第三空港についても、どこにつくれば幾らぐらいかかって、これはかなり高くつくから、効率が悪いから中部を先にやるんだとか、資本効率はこっちがいい、こっちが悪いとか、そういうことまで研究した上で中部国際空港の着工が決定されるべきであって、どういうところにどういう空港が将来必要になってくるけれども、どういうところから先にやるべきであるということの下敷きをきちっと運輸省ではつくっておくべきではないかというふうに私は思うわけです。  私は先ほど質問の導入のところで港湾配置論と言いましたけれども港湾についてはそういうものができ上がっている。では、空港についてもそういうものをつくっておくべきではないかということを言っているわけです。私は空と港湾では共通性が非常に高いと言いましたけれども、共通していないところがあるのですね。空港と港とで一番共通していないのは何かというと、オーナーが港湾は地方自治体、ところが空港は国なわけですよ、国が設置管理者になっている。港湾は地方のもので、空港は国のものであるが、地方のものである港湾についてそれだけ長期構想ができ上がっているのだけれども、なぜ国が持っている空港について、同じ運輸省の中にあって、そういうものができ上がっていないのだろうかということを私はかねがね疑問に思っておったわけでございます。これは私もかなり難しいとは思うのですけれども、今私が申し上げているようなことをやるべきではないかと思う。  ところが、今の状況は、私の選挙区には九州国際空港があるのですけれども、とにかく、地元のお金を使って、地元で調査して、地元でプロジェクトをつくって、地元をまとめて航空局の方にお願いに行かないと、陳情に行かないと動かないというシステムになってしまっておるわけであります。そこがやはりちょっとおかしいんじゃないか。地方の陳情もさることながら、国が、運輸省がやるべきであるとかやるべきでないということを、やるとしたら、さっき航空局長が言われておりましたように、時期を失することなくとおっしゃっているわけだから、それについての勉強はやっておくべきではないかと思うのです。  私は地方に帰ると言っているのですよ。とにかく地元が燃えないと、地元が勉強して、自分で計画をつくって、地元の経済界がまとまらないと運輸省に行けないでしょう、運輸省に陳情に行かないとこのプロジェクトは始まりませんよ、まず努力しなければいけないのは地元ですよということを私は盛んに口では言っているのだけれども、気持ちの中では、先ほど来長々と繰り返しながら述べてきたような思いがあるわけでございます。  まとめてもう一回言うと、いわゆる骨格づくりですから、今、香港あるいはシンガポールで、韓国もそうですが、国際ハブ空港ができようとしている、金融も経済もいろいろな問題で流動化して、フェアな、とにかく激しい競争状態において、たった三十七万平方キロしかない我が国土が勝ち残っていくためには、こういう長期的な見通しといいますか、戦略性というかそういうものがないと勝ち残っていくわけがないと私は思うのですね。  そういう面でいえば今航空局長からお答えをいただいたのですけれども、わずか五年以内の、五年以内といったらもうかかっているものができ上がるわけですから、わずか五年ぐらいの戦略ではとても日本は勝ち残っていけない。国際ハブ空港が立ちおくれているというふうに言われている原因もそこにあるのではないかというふうに私は思うわけでございまして、その辺のことを航空局長はどういうふうにお考えなのか、お伺いしたいと思うのです。
  10. 楠木行雄

    楠木政府委員 ただいま先生が大変専門的な観点から分析されたもの、私どもも十分参考にさせていただきたいと思いますが、五カ年を超える長期的な整備方針という点につきましては、私どもも実は、空港整備に関する長期計画の策定に当たりまして、その前提として、運輸省に置かれております航空審議会におきまして長期的な将来を見通した御審議をいただいております。現に、十年間の数値等の予測も需要についてやっておりますし、さらにその後、十年、二十年後の見通しというものも持ちながら今後の空港整備基本方針を示していただいているところでございます。  第七次五カ年計画を策定いたしましたときに、来るべき二十一世紀を展望した空港整備基本方針というものがやはり必要だということで、こういったものにつきまして、大都市圏における拠点空港整備を最優先課題として取り組むとともに、地域拠点空港、これはブロックの拠点空港でございますが、そういうものにつきまして、国際、国内ネットワークの形成及び強化を図るために、航空需要の動向等を勘案しながら所要の整備を推進するという方針が示されているところでございます。ですから、こういった大都市圏空港インフラ不足にいかに対処するかということをまず目標として計画を立ててきたということでございます。  いろいろ御指摘がございました大都市圏拠点空港等につきましてどのような考え方で進めていくかということでございますけれども、中部国際空港につきましては、他の地域と違いまして国際線の需要が非常に著しく伸びておる、三大都市圏一つでもある、こういったこともございますし、また、需要を予測いたしますと、二十一世紀初頭、二〇〇五年ぐらいには現在の名古屋空港処理能力が限界に達するということから、二十一世紀初頭の開港を目標にして、現在、御承知のとおり、平成十年度政府予算案においてその新規事業化のための予算が計上されているところでございます。  それから、首都圏空港でございますが、海上を中心とした新たな拠点空港の立地に関する調査検討を現在進めているところでございまして、空港に関する情報とか現状認識といったものにつきましてのギャップを埋める作業もございますので、一都三県、三政令市、こういった関係の地方公共団体の方々と協議会を持ち、意見交換を進めているという段階でございます。  それから、九州を初めといたします地域拠点空港の問題でございますが、現在、第七次空港整備七カ年計画の添付の運輸省資料におきまして、このように書いてあるわけでございます。「地域において多様化し、着実に増大すると見込まれる国際航空需要の動向等への対応について調査検討を行う。」ということで書かれておりまして、九州地域も含めまして、他の地域とあわせてこういう調査の中で検討が図られるということになっております。  私どもの方は、中部国際空港につきまして、現在の財政状況、民間の活力の活用、それから地元の連携、こういったものが評価されまして、平成十年度政府予算案に新規事業としての採択をされましたものですから、こういったことを参考にしながら、また、今後の空港整備等について基本的な考え方を進めていきたいと考えておる次第でございます。
  11. 渡辺具能

    渡辺(具)委員 命題としては、見事に整理してとらえてあるというような気がするわけです。  今、局長がおっしゃったように、二十年後の見通しを審議会でやっているということのようですけれども、二十年後ということになると、今私が申し上げたような、首都圏第三空港をどうするか、九州国際空港をどうするか、どっちを先に着工するかとかいうことはやはりもうわかってなければいかぬというか、結論が出てなければいけないんじゃないか、私はそう思うんです。そして、どこにつくった方がいいかというのは運輸省が決めること。国営空港と言ったら言葉が悪いのかもしれませんが、そういうわけですから、もう少し具体的な研究、検討が私はなされるべきじゃないか、そういうふうに思うわけです。  歴史的にちょっと思い返してみると、なぜ航空局がそれだけ将来の見通しについてはノンコメントなのかというあたりが、ノンコメントというと失礼なのかもしれませんが、余り具体的な見通しが出てこないのはなぜかなという感じがするわけですが、その一つ歴史的な経験として成田があったんじゃないかというふうに私は思うのですね。  成田については、私も若いころの話でありますけれども運輸省みずから調査をして、そして富里がいいとか成田がいいというようなことを千葉県と一緒になって主張して、みずから用地買収にも乗り出された。その結果、大変な目に遭われた、大変な苦労をされた、火の粉をかぶって大やけどをされた面があるわけでありまして、あれに懲りて多少そういう体質が出てきたんじゃないかなという、私の勘ぐりなんですが、そういう気がするわけです。  しかし、大変な問題が起きたけれども役所というか、運輸省のとるべき態度としては、あのときの方が正しかったんじゃないか。みずからどこが——それは、もちろん地元の意向を無視していいとかそういうことを言っているんじゃなくて、地元も一緒に国と勉強してもらうんだけれども、やはり国がかなり早い時期からいろいろ勉強をして、調査をして、どこがいいかというのは国が決める。国の空港ですから、福岡県とか福岡市が九州国際空港について考えて、あるいは九州の各県が考えて決める話じゃなくて、それは最後は運輸省がお決めになることかもしれないけれども、やはり勉強の段階から運輸省みずから乗り出して、地元と一緒になって、二十年後、まあ少なくともハブ空港をつくるんだったら二十年後の見通しを持っておかなければいかぬわけですから、みずから調査をし、勉強して、どこがいいか、そういう知見なり経験は航空局が一番持っておられるわけですから。  これを地方に任せている——いやいや任せていないというふうに航空局はおっしゃるかもしれないけれども、やはり今の状態を見ていると、地元から上がってきたものについてイエスかノーかを判断して、それをやられる。どうもこういう形になっているんじゃないかという気がして、その辺が非常に残念な気がして、残念だというか、本来、国が空港の配置についてはみずから勉強して、どこがいいかというようなことは勉強しておくべきではないかというふうな気がするわけでございますが、今そうしますというようなことはなかなか言えないんではないかというふうに思います。  それで、できたらもう少し教えていただければと思ってあえて聞くわけでございますが、さっきから言いましたように、今、九州国際空港の話がぼつぼつ出てきている。これは、今の五カ年計画の中に調査費が用意してあって、今の局長の御答弁を聞くと、調査検討するということだそうですから、いよいよ国がみずから乗り出していって検討をされて、どこの場所がいいかとか、そういうことが決まるんじゃないかと期待をするわけでございます。  今の状況で、首都圏第三空港の話も出ているわけでございますが、それから中部がある。これらの中では中部が一番先に行くことは確かなんだろうと思うんですが、我々九州としては、首都圏第三空港に先に行かれるんではないか。私は、地元では、あなた方のライバルは中部じゃない、首都圏第三空港ですよ、こう言っておるのです。よほど頑張らないと首都圏の第三空港を抜けませんよ、首都圏の第三空港なんていうのは、始まったらすぐあっちの方にみんな投資が傾斜配分されますよ、あんたらもっと頑張らないとだめだよというようなことを言っておるのです。首都圏第三空港と九州国際空港関係、もっと端的な質問をすれば、どちらが先に行くべきだというふうにお考えなんですか。
  12. 楠木行雄

    楠木政府委員 大変難しい御質問でございますが、首都圏空港につきましては、私どもは、まず羽田というのは、いつごろ現在の工事が終わって、処理限界がいつごろ来るだろうかということをまず第一に考えるわけでございます。  現在の羽田につきましては、平成九年度に新B滑走路の工事に着工いたしまして、十一年度末にはこれが完成をするということになっております。その後どれぐらいもっかというのは、今後十年ぐらいは国内線中心の基幹空港として処理能力がもっていくであろう、こう考えております。では、それに合わせて首都圏空港についても考えていかなければいけないということで、先ほども申し上げましたように、海上を中心とした新たな拠点空港の立地に関する調査検討を進めているという段階でございます。したがいまして、整備時期はいつかという点につきましては、現在のところ具体的な整備時期は未定というわけでございます。  それから、九州につきましては、いわゆる九州も含めた他の地域とあわせた全体的な国際航空需要の動向等の対応について調査検討を行うということにしておりますので、これまた具体的な整備時期は未定ということでございますけれども、中部国際空港なんかと比較いたしますと、第五次空港整備五カ年計画におきまして、中部国際空港の場合は、その欄外に、国際航空需要を調べると、その段階では中部と明記してなかったかもしれませんが、想定として中部というものを考えながらやった経緯もございますので、九州の場合はそういった点と割と似ているような感じであるなというような感じがしておるところでございます。
  13. 渡辺具能

    渡辺(具)委員 なかなか微妙な発言だったのですけれども、多少九州について悲観的かなという感じもするわけですが、しかしまだまだこれからだというふうに思いますので、ぜひ我々もこのプロジェクトについては地元をまとめて、と言うと私は運輸省がまずそれを決めるべきだと言ったことと多少矛盾するけれども、現実の問題としてはそれもやらないとなかなか前に行かないので、それをやるわけでございますが、ひとつよろしくお願い申し上げるわけでございます。  そこで、九州国際空港、せっかく質問の機会をいただきましたので、私も地元の空港についてもう少しお尋ねをしたいのです。  今、福岡空港がありまして、大変混雑をいたしているわけでございます。これは非常に専門的な話で難しいのかもしれませんが、福岡空港の離発着の回数が今もう年間十一万回を超している。平均すると、大体三分間に一回離着陸しているのですね。私は、よく細かなデータをいただくと、一時間で三十回入っているところがあるのです。だから、二分間に一回なんですね。二分間に一回離着陸しています。  皆さんも福岡に行かれるとよくわかりますけれども、あそこは非常に混雑しているから、上空で待たされるという状況が出てきているぐらいでございます。私も、よく調べてみると、専門家の話によると、二分間に一回というのはもう限界だ、もうこれ以上詰めることはできないというふうに聞いているわけでございます。一方、今十一万回を超しているけれども、限界は十三万回ぐらいではないかという専門家の意見があるようでございまして、そうなると、かなり、もうのど元まで来ている、もう限界いっぱい来ているというふうに思うわけです。  私は、これほど福岡空港がよく使われているというふうに思うのですが、こんなに使われている空港がほかにもあるのかどうか。あるいは、私、非常に関心があるのですけれども、特に国際的に見た場合に、そんなに使われている空港が今どきあるんだろうかというふうに思うわけでございます。そして、こんなに使われているわけですから、早晩パンクする。そのパンクする時期がいつごろだというふうに航空局は見ておられるんだろうかと思うわけです。特に、あれは福岡市内のど真ん中にあって、拡張も恐らくできないのではないかと私は思うし、ガルーダの事故だったですか、事故があったのですけれども、あれなんか本当は、もっと前後に余裕があれば、滑走路の長さがあれば、あそこは今、福岡空港は二千七百ですか八百ですか、もうちょっとあればそういった事故も避けられたのかもしれない。  そういうことを考えると、もう今限界に達しようとしている福岡空港の将来についてちゃんとした見通しを持っておくべきではないか、先ほど議論と脈絡があるわけでございますが、そういうふうに私は思うのですが、福岡空港の将来についていかがでしょうか。
  14. 楠木行雄

    楠木政府委員 空港処理能力は、滑走路とか誘導路、それからエプロン等の空港基本施設的なものと空域の条件、さらに環境問題等によりまして、一概に外国とかあるいは日本の国内でも比較できないところがございます。  先生指摘がございましたように、福岡空港は二千八百メーターの滑走路一本でございまして、今、十一・二万回に離着陸回数も達しておるところでございますので、かなり混雑をしてきているところではないかと考えておるところでございます。  なお、ちょっと数字を申し上げますと、平成八年度の実績で、国内旅客が千三百八十五万人、そして国際旅客が二百五十二万人、合計千六百三十七万人ということでございますので、例えば東京−福岡なんという路線は、世界でも二番目ぐらいの旅客の多い路線でございますし、有数の混雑空港であろうと考えておるところでございます。それで、現在、当面の需要の増加に対応するために、空港の西側に、主として国際線のためでございますが、ターミナル地域整備しておりまして、平成十年度末にはこのターミナルビルが完成する予定ということで、若干そういう意味での混雑の緩和にはなるのではないかと考えておる次第でございます。  また、御指摘がございました中長期の航空需要でございますが、この場合につきましては、福岡の場合は国内旅客が非常に多いということもございまして、福岡空港の能力増強のみならず、他の隣接空港につきましても考えてみなければいけない。  実はことしの七月に、佐賀空港、これは二千メーターの滑走路でございますが、開港予定となっておりますし、七年後の平成十七年には、二千五百メーターで新北九州空港が供用開始をするということになっております。こういったものも含めて、その対応につきまして検討をしてまいりたいと考えておるところでございます。
  15. 渡辺具能

    渡辺(具)委員 残念ながら、本当は、いつごろパンクするか、いつごろには必要だというふうなことを聞きたいわけですが、なかなかそういう答えがいただけない。いただけないというよりは、やはりまだ調査ができていないからだろうというふうに私は思うのです。しかし、佐賀とか新北九州で逃げられてはかなわないな、こういう気もするわけでございまして、新北九州のお客さんは新北九州だし、佐賀空港のお客さんは佐賀空港のお客さん、福岡市のお客さんが佐賀空港まで行って飛行機に乗って東京まで行くということは考えられないわけなので、やはり福岡空港にかわる、限界に達したらそれにかわる空港が要ることは確かなわけで、そういうことに対する確かな見通しを、そしてどこにつくったらいいかというようなことは、私が先ほど来何回も主張させていただいているように、これは運輸省本来の仕事であって、地方に任せる話では本当はないということを、私はきょうの主張として申し上げておきたいというふうに思います。  それから、時間も余りないわけなので、空港の話が出ましたので、話題を変えてお話をちょっとさせていただきます。  PFIのプロジェクトの話がたくさん出てきているわけでございまして、今度の中部国際空港もPFI方式でやるということであります。これは大変いいことだと思いますが、しかし、よく考えてみると、中部国際空港をPFIでやるといったって、これまでだってやってきているといえばやってきているわけで、国費の割合と民間の割合がどう変わるかというだけの話であって、基本的なアイデアというか、基本的な知恵が出ているというふうに私は余り思わないのです。本来はもっと、空港及びその周辺のことを考えると、今進めなければいかぬと言われておる民活、そのためのPFI方式のプロジェクトなんというのは、空港の周辺なんかではもっともっと出てきてもいいのではないかというふうに私は思うのです。例えば空港を見ていただくと、前後あいている。あいているといったら申しわけない、あれは必要な空地だと思うのですけれども、ああいうものを利用して、例えばいろいろな使い方があると思うのですね。駐車場にしてもいいし、倉庫にしてもいいし、そういうものを規制緩和して使わせることを考えたらどうかというふうに思う。  それから、これは実際ある人がかなり本気で研究しているのですけれども空港の地下というのはかなりいい空間なんですね。つまり、一人の所有者が持っている空間ですから、非常にまとまつて使いやすい。しかも、空港の下にはいろいろな施設が入っている。特に配水、水の配水関係の施設がかなり入っているのですね。空港というのは早く配水をしなければいかぬでしょう。ところが、なかなか配水しにくい。そういうことを考えて、あの地下に例えば水を入れるタンクをつくったらどうかというようなアイデアもあるのです。空港は水を物すごく使うわけだから、それだけでも福岡市にとって、水の需給にとってはプレッシャーになっているのですよね。  だから、そういうことを考えると、空港の下にダムまではいかないけれどもタンクぐらいはつくって、それを回転させれば、既に配水施設なんかはあるわけだから、かなり効率よく使えるのではないか、そういう話を研究している人があるのですけれども、それは単に私は一例を申し上げただけで、空港の周辺あるいは空港の中には、いろいろなPFIのプロジェクトは知恵を絞っていけば出てくるのではないかなという気がしています。  今回の政府の第何次ですか経済対策、景気対策のPFIの中でもそういうものがあるかなと思って見たのですけれども、高速道路のインターのところについてのいろいろなアイデアが出ていましたね。あれは私は新しいアイデアだと思うのですよ。中部みたいなアイデアは私は余り新しいとは思わないので、ああいう新しいアイデアを、港湾もそうですけれども空港なんかでも考えていけばかなり出てくるのではないかというふうに私は思うのですが、その辺、何か新しいPFIにのせるようなプロジェクトというのはないのでしょうか。
  16. 楠木行雄

    楠木政府委員 先生指摘のように、関西空港でも中部空港でも、例えば関連開発用地とか前島とか、そういう意味での関連する地域開発等がございますので、そういった点の研究、検討をすることは十分可能かと思います。これはやはり空港の立地条件、山地で切り開いてつくる、そうすると周りをいろいろ整備しなければいけない、そういった場合とか、今申し上げました中部とか関空のように海上でやります場合に、そういう周辺の地域整備を図る、こういったこととの関連でいろいろ出てくる問題ではないかと思います。  また、御指摘ございましたような、地下に水タンクをつくるといったようなことは大変おもしろいアングルの話かなと思いますし、例えば新しい空港でそういうことができないか、こういった点も含めて、これからの研究課題として考えてみたいと思います。
  17. 渡辺具能

    渡辺(具)委員 ありがとうございました。よろしくお願いいたします。  このアイデアは、さっきも言いましたように、港湾なんかでもいろいろなアイデアが考えられるのではないか。特に私が思っているのは、長年港湾局で研究してこられた静穏化海域なんかをうまく規制緩和して、民間に、例えばヨッテイングエリアだとか養魚場、そういうものに使うPFIプロジェクトが何かあってもいいのではないかなという感じがしていて、本当はその辺についても港湾局長にもいろいろお伺いしようと思っていたのですけれども、残念ながら時間がなくなりましたので、港湾局長にはまたの機会にお伺いさせていただきたいというふうに思います。  きょうは、特に総合交通体系という問題についていろいろお尋ねをさせていただいたわけでございます。総合交通体系重要性というのは時代が変わっても今も重要だという先ほど大臣の認識を基調にして、真剣に取り組んでいただきたい。特に、需給調整を外して、規制緩和のこの時代に、やはり国がどこにかかわっていかなければいけないかということをよく考えて、この総合交通体系に取り組んでいただきたい。限られた資源の中で、より競争力にすぐれた社会資本総合交通体系をつくっていただきたい。より戦略的に、より挑戦的にこの問題に取り組んでいただきますように心からお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  18. 大野功統

    大野委員長 次に、細川律夫君。
  19. 細川律夫

    ○細川(律)委員 民友連の細川でございます。  昨日、藤井運輸大臣の方から所信表明がございました。その所信表明につきまして、何点か御質問をいたしたいと思います。  今国会におきましては、省庁再編の法案も提案をされておりまして、その中で、現在の運輸省建設省などと一緒に国土交通省というものに統合されるということになっております。省庁再編につきましては、いろいろと異論もあるところでございますけれども交通につきまして政策官庁が統合をされる、あるいは統一されるという点につきましては、私はこれを十分評価したいというふうに思っているところでございます。そこで、昨日大臣所信表明の最初にお話をされました総合交通政策についてお聞きをいたしたいと思います。  先ほど委員の方からお話がありましたけれども大臣は、最初にこのように述べておられます。   折しも昨年末には、行政改革会議から、国土交通省の設置を初めとする中央省庁再編案等が報告されたところであり、運輸省としては、二十一世紀にふさわしい総合的な交通行政の実現に向け、安全の確保基本としつつ、陸海空にわたり整合性のとれた交通体系の形成と安定的で質の高い交通運輸サービスの提供を目指して 邁進してまいる所存でございます。 この中で、「陸海空にわたり整合性のとれた交通体系の形成」ということを言われております。これは、とりもなおさず総合交通体系の形成ということであろうと思います。  今、私の手元に、昭和四十六年十二月十七日付で、臨時総合交通問題閣僚協議会という名前のもとで、「総合交通体系について」という文書がございます。これはこの協議会で決定をいたしたものでありまして、当時の経済企画庁が事務調整をいたしまして、関係閣僚あるいは与党の三役らによってつくられたという文書でございます。  その後二十六年経過をいたしておりますけれども、これにかわるような総合交通体系が定められたということは私は聞いておらないところでございます。実際の交通政策というものは、例えば運輸省あるいは建設省とか国土庁、こういういろいろな省庁にまたがっておりまして、総合政策的な事業というのは、全国総合開発計画、その中にちらちらと散見をされるということで、はっきりと提示をされていないところでございます。  そこで、お聞きをいたしますけれども、総合交通対策の担当は経済企画庁長官であるというふうにも聞いております。今もそのように聞いてよろしいのか、そして、今政府に総合交通政策というものはあるのかどうなのか、先ほど私が申し上げましたこの四十六年のいわゆる四六方針、これが今でも我が国の総合交通体系と言われるものなのか、まずそれらについてお伺いをいたしたいと思います。
  20. 安井誠人

    ○安井説明員 お答えをいたします。  ただいま委員指摘のように、経済企画庁長官が総合交通担当大臣として任命されております。今ほど御紹介のありました総合交通体系、昭和四十六年のものでございますが、内閣官房、総理府、公安委員会、大蔵省、農水省、通産省、運輸省建設省、自治省、それから私ども等々、関係する閣僚等で構成されました臨時総合交通問題閣僚協議会におきまして、三点の基本的なところ、交通政策の総合化、体系化による柔軟な対応、それから受益者負担の原則、各種交通機関の適切な競争利用者の自由な選択による交通分担関係の確立等を内容とする政府基本的な方針が、当時、取りまとめられたところでございます。  なお、その後、昭和五十七年でございますが、総合交通担当官会議、これはちょうど十数年たっておりまして、その時点で、もう一度この総合交通政策体系というのを見直すべきや否やということで、担当官が集まりまして議論をいたしました。その結果、四十六年に定められましたこれらの方針につきましてはおおむね妥当である、今後ともその方針に基づき、各般の交通施策を進めるとされております。  したがいまして、現在もその四十六年の方針というのは政府基本的な方針となっております。経済企画庁としましては、その後も、この基本的な方針に示されました内容を、その時々の経済社会情勢に応じて経済計画等に反映させてきたところでございます。
  21. 細川律夫

    ○細川(律)委員 今経済企画庁の方から、この四十六年のいわゆる四六方針、これが現在の我が国の総合交通政策であるというようなお話がありました。そして、今でもこの総合交通政策、これらについては経済企画庁の方で担当をされている、こういうことであります。  しかし、私の仄聞するところでは、この間、それでは経済企画庁の方でいろいろな関係省庁と連絡をとり合って、交通政策についていろいろ議論なり、実務的な打ち合わせとかそういうものをしてきたのかどうか、この間、経済企画庁の方でどういうことをやってきたのか、これについてお聞きをしたいと思います。
  22. 安井誠人

    ○安井説明員 今ほどもお答え申し上げましたように、経済計画等に反映させてきたところということでございますが、例えば、現行の経済計画平成七年に策定されたものでございます。構造改革のための経済社会計画ということで銘打ってございますが、その中で、物流、旅客運送サービス等について高コスト構造是正、活性化のための行動計画を定めるなど、効率的、整合的な交通体系の形成に資する各種施策関係省庁とも御相談をしながらまとめたところでございます。  また、公共投資基本計画におきましても、「効率的・整合的な交通体系の形成を推進する。」こととしておりますが、先般の改定におきましては、さらに経済構造改革関連の社会資本について、物流効率化対策に資するものを中心として、優先的、重点的に整備したところであるということで、私どももこの総合交通体系につきまして現在もフォローをしているのが実情でございます。
  23. 細川律夫

    ○細川(律)委員 やはり経済企画庁らしいといいますか、専ら物流的なところが主な形でいろいろそろってきたのではないかというふうに思います。  そこで、私は、運輸大臣にお伺いをじたいと思います。先ほどもお話がありましたように、今の日本の国の総合的な交通政策はこの四六方針だということでありますけれども、これについて、もう一度総合的な交通体系を練り直す必要があるのではないかというふうに私は思いますけれども、その点についてお伺いをしたいと思います。この四六方針によりますと、今でも大変大事な課題、現在の課題に当てはまるような問題も多く指摘をされております。  例えば、大きな課題としては、大都市におきます交通渋滞と通勤、通学難、交通事故、交通公害の多発あるいは公共交通機関の経営難、これらが六〇年代からずっと引き継いだ課題であり、また七〇年代の課題としては、国内、国際を通じて人的、物的な交通の拡大化への対応とか公害、事故防止、自然環境の保全あるいは交通需要の増大と多様化、高度化への対応、日常生活に欠かせない公共交通サービス確保、こういうような、まさに現代にも重要な課題も挙げられております。  しかし一方では、当時予想もできなかったような、あるいはそれほど深刻でなかったような問題、例えば高齢化への対応とか情報化への取り組みあるいは地球環境問題、こういう新たな問題、取り組むべき課題もまたあるわけでございます。また交通事故なども、死亡者は若干減っておりますけれども、件数なんかは大変ふえておりますし、特にまた過疎地域の公共交通問題なんというものは大問題になっておるところでもございます。  そういう意味で、この総合的な交通政策体系をいま一度組み直してみる、練り直してみるというようなお考えはないのかどうか、大臣お尋ねしたいと思います。
  24. 藤井孝男

    藤井国務大臣 ただいま経済企画庁からお答えをいたしました昭和四十六年の総合交通政策のことに関しまして、私はそれを評価しておりますし、また今でもその基本的な政策について、重要な課題もたくさんあるのではないかなと思っております。  ただ、昭和四十六年という年代を今、私なりに思い返してみますと、ちょうど日本は高度成長期の真っただ中にあった時代でございます。そして、昭和四十八年に第一次オイルショックという我が国にとっては大変大きな課題が覆いかぶさったわけでありますし、その後、第二次オイルショック、ドルショック等々いろいろな変遷の中で、バブルの時期があり、また今日、二十一世紀を目前にいたしまして、戦後五十数年たって、構造的にもいろいろ改革をしていかなければならない。まさにそれぞれの政党を含めまして、改革時代というときを今迎えておるわけであります。そうした一環といたしまして、このたびの行政改革会議からの省庁再編ということで、運輸省建設省国土庁及び北海道開発庁を母体として国土交通省が設置される、そういうことに相なったわけでございます。  その上で、今後の総合交通体系というもののあり方、あるいは昭和四十六年の経済企画庁が取りまとめた総合交通政策等についての見直しということの御指摘でございますが、中央省庁等の改革基本法案では「国土交通省の編成方針」において、「施設の整備及び管理、運輸事業者による安全かつ効率的な輸送サービスの提供の確保その他の施策による総合的な交通体系整備を行うこと。」を規定いたしておるところであります。ですから、これから省庁再編をするに当たりまして、いま一度、私は、当然、引き継ぐべきところは引き継いでいかなければなりませんし、また、今先生指摘がありましたように、情報化時代あるいは地球環境を守る、そうした環境問題あるいは高齢化、少子化、昭和四十六年と今とは大きな時代の変革がありますから、やはりそうした時代変化に対応した総合交通政策というものはあるべきではないかなと思います。  さらに、当時から比べて一番大きく変わってきたのはまさにグローバル化であり、先ほど渡辺委員のときにもお答えいたしましたように、大競争化時代になってきている。  それからもう一つは、国際化といいますと、これはまさにボーダーレス化でありますから、今般の日米航空交渉、四十六年ぶりに新しい協定を結ぶことになりましたけれども、こうしたこと一つとりましても、航空業界にとりましても、大変な大きなリストラをしなければならないし、あるいは体力を増強しなければならない。しかし一方では競争していかなければなりませんし、また、今まで余り考えられなかった外国との、アメリカあるいはヨーロッパの航空会社との共国運航等、大変な激しい変化時代でありますから、そういう面からすれば、もちろん基本では、経済企画庁の言われた交通政策につきまして私は評価いたしますけれども時代に対応した改革もやはりしていかなければならない、そういう認識に立っておるところでございます。
  25. 細川律夫

    ○細川(律)委員 時代変化に対応した総合交通体系もまた練り直していかなければいけないという御認識をいただいたわけですけれども、省庁の再編も予定をされていることでありますし、総合的な交通政策の確立に向けてぜひひとつ頑張っていただきたいというふうに思います。  そこでもう一つ、総合交通の一例といたしまして、鉄軌道、いわゆる鉄道と道路の問題について取り上げてみたいというふうに思います。  昨年の十月、国土審議会の計画部会の方から計画部会審議経過報告というのが出されました。これは、次期の全国総合開発計画の中間案でございます。そこには、開発計画の立場での交通体系形成のための施策が描かれております。その中で、とりわけ高齢者あるいは障害者対策、地球環境も含めました環境対策などに大変評価すべき点も多いわけでございます。  しかし、その中で注目すべきは、道路についてははっきりと、一万四千キロメートルの高規格幹線道路網をつくる、そして、地域高規格道路を六千から八千キロメートルつくって交通網の形成を図る、こういうふうにうたわれているところでございます。道路は、このようにはっきり長さまで具体的に規定をいたして書かれてありますけれども、鉄軌道につきましては、幹線鉄道の高速化とかいうようなことで抽象的な言葉にとどまっております。  そこで、国土庁にお聞きをいたしますけれども、全国総合開発計画の発表そのものは予定よりおくれておりますけれども、この計画の中で、道路というものとそれから鉄道、これはどういうふうな関係で位置づけられるのか、そのことについてまずお伺いをいたします。
  26. 小前繁

    ○小前説明員 先生指摘のように、ただいま新しい全国総合開発計画の策定に取り組んでございまして、昨年十月に国土審議会計画部会におきまして新しい全総の骨格となります計画部会審議経過報告というものが取りまとめられたわけでございます。  この報告におきましては、交通体系整備基本目標として、次のようなことを掲げてございます。適切な競争利用者の自由な選択を通して、各交通機関連携し、それぞれの特性が生かされた交通体系を実現するということでございます。特に、鉄軌道と道路の連携を初めとする各交通機関相互の連携につきましては、各交通機関が総合的に組み合わされ、機能が高められるような施設整備重要性というものが示されておるところでございます。  また、鉄軌道、道路、それぞれの特性といたしましては、鉄軌道につきましては、高速性、大量性、確実性というようなものがございますし、道路につきましては、機動性というようなものがございますので、そういった特性に応じた分担関係というものが想定されるところでございまして、これに応じて交通施設の整備もなされるということであろうかと思うわけでございます。  これを受けまして、鉄軌道につきましては、幹線鉄道の高速化と大都市圏の都市鉄道の混雑緩和に重点を置きつつ、高速鉄道網の整備を推進するとしておりますし、また、道路につきましては、大都市圏の環状道路や地方圏等における縦貫路線、横断路線等に重点を置きつつ、御指摘のありましたような高規格幹線道路あるいは地域高規格道路の整備を図ることとされておるわけでございます。  国土庁といたしましては、この計画部会審議経過報告で示された方向性に沿いまして、新しい全国総合開発計画を本年度末を目途に策定していくことといたしておるわけでございます。
  27. 細川律夫

    ○細川(律)委員 今、お聞きをいたしておりましても、どうも道路の方に大変重点がかかっているように受け取られます。こういう政策が進んでいきますと、道路整備が進めば進むほどいわゆる鉄道の在来線の利用者というのは減るわけでありまして、鉄軌道の衰退には歯どめがかからなくなってしまうというふうに言えると思います。むしろ、私が考えるには、鉄軌道、鉄道と道路利用のすみ分けというものを十分考慮しながら道路と鉄道競争力を高めるような、そういう施策も必要ではないかというふうに思います。特に、昨年の十二月、京都でCOP3の会議がございまして、地球温暖化の対策が打ち出されたわけでございます。そういう地球温暖化対策、あるいはまた貨物輸送へのシフトというものを考えますと、むしろ、鉄軌道を縮小していくような、そういう現状というものは見直すべきではないかというふうにも思います。  財源的に見ましても、道路というものは特定財源がありまして、豊富な税金が投入をされております。そういう配分の見直しも含めて考えなければいけないんじゃないかというふうに思います。その四六方針、この中でも、交通社会資本整備について財政支出及び収入を区分経理する総合交通特別会計の創設についてもひとつ検討もしなければいけないような文面にもなっているように思いますけれども、これについて大臣の方はどういうふうにお考えなのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  28. 藤井孝男

    藤井国務大臣 鉄道につきましては、委員も十分御承知のことでありますけれども、高速性はもちろんでありますけれども、大量性あるいは定時性にすぐれているということ、まさに私どもはそういう認識の上に立って今後とも鉄道整備を着実に進めていかなければならないと思っております。  今、お触れになられましたように、昨年の京都会議におきましてのいわゆる環境問題、運輸省もかなりこれに関係するわけでありますが、そういうことを達成するためには、モーダルシフトはもちろんでありますけれども、よく言われますように、環境に優しいという面からしますと、やはり鉄道というものがそういった面では非常にすぐれているんではないか。また、エネルギー問題等の制約の中でも、そういった点で私は鉄道というのがこれからの時代に非常にマッチしたものであるというふうに考えております。  したがいまして、これからも整備新幹線の整備、あるいは幹線鉄道の高速化等を推進しなければなりませんし、また、都市部におきましては、通勤通学時の混雑緩和等の観点からこれまた整備を進めていかなければならないと思っております。さらに、地下鉄、ニュータウン鉄道整備事業というものもしっかりやっていかなければならないと思います。  そこで、財源の問題になりまして、今、特定財源が道路にはあって、鉄道にはそういったものがない。しかも、今後、そうした特定財源を確保するために、今の財源制度見直しについてどうかというお尋ねであります。  一つの例としましてよく挙げられるのが道路特定財源の問題でありますけれども、この道路特定財源を鉄道の方にも利用できないだろうか、活用できないだろうかという御指摘がございます。御承知のとおり、特定財源と申しますのは、受益者の負担で制度がなされるものでありますので、そうした受益者、ある施設の利用者の負担で別の施設を整備することが適当かどうか、また、そういったことについて国民の理解が得られるかどうかという点は十分踏まえなければなりませんし、慎重に検討していかなければならないと私も考えております。  ただ、委員指摘のとおり、やはり鉄道整備というのは私ども、これから着実に進めていかなければならない。財源ということに関しまして、その財源をどう確保していくかということについては、やはりいろいろな角度から真剣に検討をしていかなければ、お話しのとおり、言葉だけが先行し、鉄道整備がますますおくれてしまうことがあってはならない、そういうことで、私どもは真剣に、あらゆる角度からこうした財源問題等を含めて検討していかなければならないと考えておるところであります。
  29. 細川律夫

    ○細川(律)委員 総合的な交通体系をつくり上げていくためには、総合交通にどういうふうに金を使っていくか、配分をしていくかということで、そのための特別会計のようなものもやはり必要なのではないかというふうに私は思っております。そういうこともぜひ検討していただきたいというふうに思います。  そこで、総合交通政策の中で、交通安全の問題もあろうかと思いますので、この点についてもちょっとお伺いをいたしたいというふうに思います。  交通事故の問題はますます深刻であろうと思います。特に、死亡者は昨年は九千六百四十名ですか、一万人を割っておりますけれども、しかし一万人に近い数でございますし、交通事故の発生件数は七十七万九千五百九十件、負傷者の数は九十五万七千四百八十一人、これは年々確実にふえているところでございます。そういう意味で、交通安全対策ということも、交通政策のうちに大変重要な位置づけがなされなければいけないというふうに思います。  そこで、これまでの、その四十六年の方針の中でもこの点については指摘がされておりまして、交通空間と生活環境空間の分離、そして混合交通を排除する、車と人とが一緒に交通するというところは排除をする、そういう規制をしていかなければいけないということがこの四六方針でも出されているところでございます。こういう規制が徹底をしていないところに、交通事故の多発がずっと続いて現在に至っているというふうに考えられるところでございます。  これらの対策については、道路をよくする面、道路施設の面と道路の利用をどうするか、規制をしていくかという双方から考えていかなければいけないと思いますけれども、利用規制についてちょっとお伺いをしたいというふうに思います。  ヨーロッパなどでは、住居地域には車を入れない規制であるとか、地域全体を三十キロの制限にするいわゆるゾーン制とかいうものも実施をされておるところでありますけれども、日本でも、警察庁としてはいろいろ指導もされているようでありますが、この混合交通をどう排除していくか、これらについて警察庁の方はどう考え、今後どう政策を進めていくのか、この点についてお聞かせいただきたいと思います。
  30. 東川一

    ○東川説明員 先ほど先生の方から御指摘がありましたように、混合交通を分離して、あるいは生活区域における歩行者の通行を優先して通過交通を抑える、そして、すべての道路利用者にとって安全かつ快適な環境づくりを行うということは、非常に大切なことだというふうに考えております。  そのために、警察庁といたしましては、従来から、交通安全施設の整備とあわせまして、学校周辺などの地区におきましては、最高速度規制あるいは車両の進入規制、駐車禁止規制等の規制を組み合わせまして、スクールゾーンあるいはシルーバーゾーンといったようなゾーン規制を実施してきております。  また、規制だけではなかなかということもありますので、平成八年度から、交通安全施設整備の七カ年計画におきましては、新たに警察と道路管理者が協力しまして、警察の行う規制と道路管理者の行うハンプや狭窄等の道路整備を適切に組み合わせまして、コミュニティーゾーンの形成を重点とした施策を実施しているところであります。今後とも、そういう形で安全対策を徹底して実施していきたいというふうに考えております。
  31. 細川律夫

    ○細川(律)委員 交通事故の発生あるいは負傷者の数、毎年毎年最近ふえ続けております。強い規制をしていただきながら、これをよくしていただきたいというふうに思います。  それから次に、自動車、車がある地域には入っていけないような抑制措置、これをとっていかなければいけないのじゃないかというようなことについてお伺いをしたいと思います。  これは四六方針でも書かれておりまして、一部自動車交通に対する抑制措置を考える必要が示唆されております。これは単なる交通事故の対策だけではなくて、渋滞の緩和とか環境問題の、CO2の削減、こういうことにも資する、そういう観点から自動車の抑制措置、自動車交通の抑制、こういうことでございます。この四六方針には、緊急度とか必要度の低い自動車の交通を禁止する直接的方式と、賦課金等の特別な経済的負担を課して交通を間接的に抑制する方法とを示しておりまして、今後の課題として検討すべきだ、こういうふうになっております。  これらについて、前回もちょっと私、この点について質問をしたのですけれども、特にいわゆる都市部における自動車交通の抑制ということについて大臣はどうお考えになっているのか、これをより進めるべきだというふうに私は思っておりますけれども、この点についてお聞かせください。
  32. 藤井孝男

    藤井国務大臣 都市部における自動車の流入規制等のことでございますが、諸外国でも一部そうした規制を導入しているところもあると、私も承知をいたしております。  ただ、自動車の利便性というのも都市部においても大変高いものがございますし、また自動車の役割と申しましょうか、そういったことも大変重要である。これを規制するということが、果たして国民生活や産業活動に及ぼす影響がどれほどなのかなという、その辺も、私自身、影響がどの程度あるのかなという、むしろ今の時点では非常に影響が大きいというふうに見ております。  また、具体的に、それではどういう方法で規制するかということを考えてみました場合でも、民主主義社会あるいは自由経済社会、また競争社会、そういうことを考えますと、言葉では私ども規制しなければいけない、例えばそう思いましても、実施するとなると、なかなかそういった問題に対してどうかなという大変難しい実情にあるのではないかなと思っております。  ただ、やはり環境の面というようなことから考えまして、あるいはそれぞれの生活を守る産業活動というのも維持していかなければならない中で、できるだけそういった利便性確保しつつも、自動車の走行の総量としての抑制をする施策は、今後これは進めていかなければならないのだろうと思います。  例えば、また通勤通学等におきましても、やはりバスであるとか鉄道であるとか、そうした、車に頼らない交通機関利便性の向上をしなければなりませんし、また、パーク・アンド・バスライドの導入、これは都市部まで来る前に駐車場を設けていて、そこで車を駐車し、バスターミナルという形の中で、そこからバスで通学通勤するというようなパーク・アンド・バスライドの導入であるとか共同輸配送、共同の荷物を共同で配送する、そういったことも推進することによって、ヤイカーと公共交通機関のバランスのとれた交通体系を確立していかなければならないと考えておるところでございます。
  33. 細川律夫

    ○細川(律)委員 いろいろな問題が重なり合って難しい問題であろうと思いますけれども、ぜひ検討をしていただきたいというふうに思います。  それでは、総合交通政策につきましてはこれで一応終わりまして、次に、所信の中で「先送りの許されない最重要課題」という形で述べておられます国鉄の長期債務問題についてお伺いをしたいと思います。  これについては、法案が提案をされる予定になっておりますので、きょうは多くは申し上げませんけれども、この長期債務問題は大変大きな問題でございまして、これについては、そもそもこういうような、例えばJRに移換金の問題について負担をさせるというようなことが憲法上許されるのかどうかというようなことまで議論になるものと思います。また、なぜこういうような長期債務が肥大化してきたのか、そこには一体だれの責任、どこにその責任の所在があるのか、これらについても明らかにしていかなければいけないだろうというふうに思います。  また、民間の企業でありますJRにこれらを負担させますと、株主の代表訴訟の問題にならないのかとか、あるいはまた株価が下がるのではないか、そうすると、国際的ないろいろな面で評価が悪くなるのではないかとか、いろいろな大きな問題がありますけれども、きょうはそれらについては一切触れないことにいたしまして、一つだけ質問をしたいと思います。  それは、ちょうど二年前の平成八年三月八日、閣議決定がされておりまして、この移換金問題について決着をつけているところでございます。それによりますと、移換金債務についても国鉄の清算事業団の既存の債務と同様の扱いをする、つまり、最終的には国において処理をする、こういうことになっているところでございます。  その際、JRの負担の方については、約一千七百億円についてはJR側も了解をいたしまして、もう既にこれは支払ったと思いますけれども、この審議の中でもJR各社に追加負担をするというようなことは一切触れられていないし、またその追加負担の可能性のことについてもだれも言及をしていない。JRとしては、もうここで移換金の問題は決着済みであるというふうに考えるのが当然ではないかというふうに思います。  国において処理をするというようなことがJRにその負担をさせる可能性も残していたのだというようなことは、これはもう詭弁ではないかというふうに私は思います。この点だけ、もうほんの最近、二年前の閣議決定でありますから、これは一体どういうふうに説明をするのか、大臣にお伺いをいたします。
  34. 藤井孝男

    藤井国務大臣 この問題につきましては、いずれ法案を審議するに当たりまして、また今委員いろいろの点についてお触れになりましたけれども、二年前のJRと国鉄清算事業団との間で一たん仕切ったはずの移換金の負担を、また今になってさらにJRに負担させるのはおかしいではないかという御趣旨だと思います。  御承知のとおりと思いますが、移換金というのは共済年金の問題でございますから、それは、年金の基本的な考え方というのは、その負担は当事者である共済関係事業主、いわゆる身内で処理し、解決すべき性格のものであります。確かにへ二年前にJRと国鉄清算事業団のこの移換金の問題につきまして、これは分けたことは事実でございます。ただ、今般、この問題について、国鉄の長期債務の抜本的な処理に際しまして、「国において処理する」という言葉、これはもう簡潔に申し上げますけれども、これは、国において処理するということがイコール国民の負担、国民の税金で負担するということではございません。  私どもは、今般、国鉄清算事業団を廃止し、そして抜本的な処理をするに当たって、いろいろな御負担を、また国民の皆様方、いろいろな方々の御協力をいただかなければならない、そういう中で検討したところ、この国鉄清算事業団が負った移換金の七千七百億円、いよいよこれを抜本的に処理するためには、これは共済年金の問題であるから、JRのいわゆる社員の福利厚生のための負担金でありますので、これにつきましては、やはり共済年金の基本にのっとって御負担を願うのが合理的であるというふうに考えた次第でございます。  そこで、よく言われるのでございますが、「国において処理する」というのは、今先生も述べられましたけれども、このことが、何か昭和六十二年の改革のときに国鉄清算事業団が負った債務をまた押しつけているのではないかとか、一切そういうものではございません。そういった負担を一切求めているものではございません。まさに年金の問題でありますから、年金を、当事者が、事業主が負担するのか、あるいはそれを国民に負担願うのか、そういう判断の中で、私どもはやはりこの分についてはJRの負担とすることが合理的だというふうに判断をしたものでございます。  また、「国において処理する」との文言は、これをもって、事業団の債務を国において処理するという場合に、当然、すべて国庫負担とすることを意味するものではございません。国が事業団の債務を処理する場合には、あくまでも事業団の個々の債務の内容に応じて、一般国民の負担とすることが合理的かどうかを判断すべきでありまして、そのような判断をしないで、当然、もう仕切ったということで国民の負担とすることはできないと私は考えておるところでございます。
  35. 細川律夫

    ○細川(律)委員 今大臣からるる説明をお聞きをしましたが、どう聞いても、何かすとんと落ちない、納得できないものでございます。この点につきましては、法案が出ましてから委員各位からいろいろとまた御質問もあろうかと思いますので、私の方ではきょうはもうこれだけにしたいというふうに思います。  その次に、新幹線の問題や規制緩和の問題、特に私、タクシーの問題などについてもいろいろとお聞きをしたいというふうに思っておりましたけれども、時間がありませんのでまたの機会にするといたしまして、どうしてもちょっと私が気になって、これだけは質問をしたい、大臣の所信に対する質問ではありませんけれども、大変大事なというか、私一つ気になっていることがありまして、これについてお伺いをしておきます。  ことしの二月十六日、台湾の台北で、中華航空のエアバスが着陸に失敗、墜落をいたしまして、乗客ら全員、百九十六人が死亡する事故が起こりました。これは、ちょうど四年前、名古屋空港におきまして、やはり中華航空のエアバスが着陸に失敗して墜落をいたしまして、大変な数の死亡者が出た、この事故と機種が全く同じでございます。細かな事故原因の究明については時間がかかるとは思いますけれども、名古屋空港の事故と今回のこの台北での中華航空のエアバスの事故、これは本当に類似をしているところがございます。  そこで、私は昨年もこの委員会で質問をいたしましたけれども、名古屋空港での中華航空のエアバスの事故に対して、航空事故調査委員会の方で調査をし、台湾とフランスの当局に対して安全勧告をいたしました。しかし、その安全勧告に対して、台湾の方からもフランスの方からもいまだに回答がない、これは一体どういうことなのか。私が去年、二回もこの委員会で質問をして、これはもう国と国との関係で難しい問題はあるけれども、大変大事な問題であるから早く回答を寄せてもらい、今後、事故の再発がないようにということを再三申し上げたわけでありますけれども、いまだに台湾とフランス両方から回答も来ていない。一体どういうことなのか、お答え願います。
  36. 藤井孝男

    藤井国務大臣 中華航空機事故に関しまして、航空事故調査委員会事務局によりますれば、台湾民用航空当局に対しては、既に担当者との調整も終わっており、事務手続を残すのみと聞いておるところでございます。  一方、フランス当局に対しましては、航空事故調査委員会事務局からこれまで二回の要請文を送付したと聞いておりますが、回答がおくれているという事情を調査するよう、私から事務当局に指示をいたしているところでございます。
  37. 細川律夫

    ○細川(律)委員 これは本当に大事な勧告をしているわけでありまして、去年私が質問したときも、こういうふうに勧告しております。中華航空に対しては、主に乗務員の教育訓練の体制のあり方を改善をするように、こういう勧告なわけですね。それから、フランスのエアバスに対しては、自動飛行システムのあり方について改善を検討するように、大変大事な内容を含む勧告なわけなんですね。それに対してどうしたかもいまだに回答が来ないということは、どう考えてもおかしいと思いますよ。  これは私は、運輸省の中に航空事故調査委員会があり、権威のある委員会があって、その委員会が勧告して、これは国として勧告しているはずですから、こんな言い方はあれだと思いますが、なめられているような、大事な問題であるにもかかわらず、この日本国が大変なめられて、それでいいかげんに扱われている、そうとしか思えないのですよ。これはもっとちゃんとやってもらいたいですね。
  38. 下出敏幸

    ○下出説明員 台湾当局に関しましては、先ほど大臣が申し上げたとおりであります。近いうちに正式に回答があるものというふうに考えております。  フランスにつきましては、内容的に自動操縦装置の設計思想、そういうもので、根幹にかかわる、内容的に非常に難しい面もありまして時間がかかっているという点もあるかと思っております。しかし、その自動操縦装置の解除の条件が改修されるというような、安全勧告に沿う措置も部分的にとられておることも確認しておりますので、今後、そのような部分的な回答の可能性も含めて、さらに回答を求めてまいりたいというふうに考えております。
  39. 細川律夫

    ○細川(律)委員 日本で、名古屋で大変大きな事故があり、また今回、その名古屋の事故と全く同じような事故が同じ中華航空の、そして飛行機はフランスのエアバスの飛行機で、同じような形で落ちている。またこれは同じようなことが起こったら大変だと思うのですね。そういう意味で、この安全勧告は重要だというふうに思いますので、ぜひさらに強く回答を求めて、善処方をするようにお願いをいたしたいというふうに思います。  私の質問はこれで終わります。
  40. 大野功統

    大野委員長 次に、田中甲君。
  41. 田中甲

    ○田中(甲)委員 田中でございます。  まだ運輸委員会におきましては新参者でございまして、皆さん方のように詳しく内容を把握しておりません。その辺を私自身もわきまえておりますので、どうか御指導のほどを賜りたい、そんな気持ちで三十分間の質問をさせていただきます。  運輸行政というのは本当に幅広くて、大臣はさぞ大変な範囲というものを把握していかなければならない、こういう状況でおありになっているんだろうというふうに思っておりますが、私は、きょうの質問のコンセプトというものを環境と運輸行政というところに絞って、御質問をさせていただければと思います。  昨年の京都会議、京都にもちろん行ってまいりましたし、その前段に行われておりましたドイツのAGBM8に私は直接出向いて、会議には残念ながら出席はできませんでしたが、ロビーング活動その他NGO団体と話し合いをしてまいりました。  運輸行政がもっともっと環境に対する関心を持っていかなければいけないのではないかということを強く感じておりまして、京都会議というのは、正式名は気候変動枠組条約の締約国会議ということでありますから、まさに気候が変動することによって、作物にいたしましても、あるいは気候変動によって人が住めなくなるという環境難民が発生するなど、これは死活問題につながってくるということであります。もちろん、運輸行政を発展させていく、さらに充実させていくということは大事なんですけれども、しかし、人間が生活していくというその本質的な部分というものは、言うならば、さらに重要なプライオリティーというものが与えられてしかるべきなんだろうということを感じております。  私はドイツに行きまして、環境交通委員会という州の委員会がたくさん位置づけられていることを確認してまいりました。それほど環境と交通というものは一体化して考えていかなければならないということなのだろうと思います。後ほど紹介をさせていただきますが、フライブルクというところでは、環境のための定期券というものを発行しておりまして、地域環境定期券という名称で日本訳されていますけれども、非常に先進的な、環境に優しい地域づくりということを進めている、そんな例も挙げさせていただきたいと思います。  くどくどと環境のことを申し上げるつもりはありませんが、どうも頭の中で、例えば温暖化、今お話しした問題が波及して起こしている災害の問題ですとか、エルニーニョ現象というものの気象変動、異常気象というものが起きやすくなっている。その原因究明というものがなかなかできていないけれども、実はそこの背景には人的災害の要素というのが多分にあるんだろう。少しずつ解明がされておりまして、科学のデータと現象というものをつき合わせてまいりますと、やはり温暖化ということが引き金となってエルニーニョ現象というものが起きてきている。日本におきましても、冷夏でありますとか暖冬、梅雨明けの時期というものがおくれる、さらには、西日本においては雨量が大変に多くなってみたり、日照時間が少なくなっていくなど、不順な天候というものにつながってまいります。  日本だけではありません。インドネシア、ニューギニア、オーストラリアでは小雨あるいは高温ということで、カリマンタンを中心として森林火災というものが延々と続いている状態であります。なかなか消火機材の出動費用がないということで、ことしも雨を頼りとして森林火災の鎮火を待っているという状況であります。そろそろ運輸委員会に戻らなければいけないという感じでありまして、環境委員会で質問しているような質問になってしまいました。  そこで、今回大臣がお話しになられました、環境問題への対応方針としてはと項目別になっておりましたから、第四項目目の後段でありますけれども、七ページ目、「我が国全体の二酸化炭素排出量の約二割を占める運輸部門において」ということでございますが、ここで運輸大臣から、二酸化炭素の排出量の削減に向けての運輸大臣としての御決意のほど、またお考えのほどをお聞かせいただきたいと思います。
  42. 藤井孝男

    藤井国務大臣 田中委員が大変環境に熱心であることは、私もよくお聞きいたしております。  とりわけ、昨年十二月の京都における会議におきましての具体的な二酸化炭素を含めた削減目標、これに関しまして端的にお答えいたします。  今お話がありましたように、運輸部門からの二酸化炭素排出量は我が国全体の約二割を占めている、大変な、こういうのは自慢できるものではありませんけれども、これは事実でございますから、そして、この事実に対して私どもは、いかに締約国会議で提言されたことを守っていくか、これは本当に着実に目標達成のために努力していかなければならないと思っております。そして本年一月二十一日に運輸省地球温暖化対策推進本部を設置させていただきました。今後は、自動車燃費基準の強化など個別輸送機器のエネルギー消費効率の向上、低公害車の技術開発、普及促進、物流の効率化及び公共交通機関の利用促進等の対策をより強力に推進していくことといたしたところであります。  非常に官僚的な答弁でありますけれども、要するに、先ほどからも質問がございましたように、一方では、我が国は、大変な国際化の中、競争下の中で物をつくり、付加価値をつけて外国に輸出して、そして経済大国として維持していかなければならない、しかし一方では、それをすればするほど、日本はいわゆる資源のない国でありますから、化石燃料にいたしましても、ほとんどが輸入という中でそれを燃焼しますと、必ずそれは公害といいますか、そういったものにはね返ってくる、そこのところの、環境と日本の置かれている立場というものをどうバランスをとっていくか、大変難しい課題であります。  ただ、ドイツの例を委員は挙げられましたけれども、日本の交通、例えば車にいたしましても、環境に対する取り組み方というのは決しておくれていない、むしろ先んじているのだろうと私は思います。例えばハイブリッド自動車におきましても、先般ある企業におきましてはその生産、販売を開始いたしておりますし、そういった意味で、私は、今後ともこの削減の目標を達成するためにあらゆる努力をしていかなければならないというふうに考えておるところでございます。
  43. 田中甲

    ○田中(甲)委員 ありがとうございます。  AGBMあるいは京都会議に参りまして、私は、各国のマスコミ、NGO団体からの日本政府の消極的な姿勢に対する批判の声が多かったこど、そして、政治家のリーダーシップが全く見えないというような声が多く聞かれたものですから、冒頭に大臣にこのような質問をさせていただきました。口先だけではない、二酸化炭素削減に向けて運輸行政というものも積極的に取り組んでいかなければならない、そういう時期に入ってきているのだろうと思います。  二割を運輸部門が占めるという内容でありますけれども、さらにその細部にわたりまして調べてまいりますと、運輸部門に占める自動車の二酸化炭素排出量の割合というのは八八%でございます。つまり、圧倒的に自動車からの二酸化炭素の排出量が多いんだ、占める割合が多いんだということでありますから、ここで自動車台数というものを削減していくための方針というものをある程度政府が打ち出していかなければならないのだろう、そういういろいろな、税制その他の措置でインセンティブを与えていく。これ以上車社会という流れを進めていってはならないという思いを持っております。  そこで、具体的な数字も挙げておきたいと思いますけれども、現在我が国の車の保有台数は七千二百万台、なお成長を続けているということであります。七千二百万台のうち乗用車が四千六百八十七万台、五千万台に近づこうとしている。貨物の場合には、貨物用が二千二十二万台、約二千万台であります。そのほかの台数約五百万台を入れまして七千二百万台ということであります。  この台数を減らしていくために幾つかの方法があるかと思うのです。先ほど大臣の御答弁の中にも触れられておりましたけれども、再度、運輸省平成十一年に提出する予定である、自動車取得税を燃費によって軽減していく法案を準備しているそうでありますけれども、その概要というものをまずはお教えいただきたいと思います。
  44. 土井勝二

    ○土井政府委員 お答え申し上げます。  自動車にかかわる税制、それも、地球温暖化問題等に対応いたしまして燃費により軽減していく方法につきまして、運輸省として、最近かなり熱心に検討に取り組んでいるということでございます。  例えば、昨年四月に運輸政策審議会の総合部会で取りまとめたものにつきましては、いわゆる自動車関係税制のグリーン化、これは、低燃費車への経済的誘導というものにつきまして、こういう税制のグリーン化をすれば、経済的誘導施策として、自動車からのCO2排出削減についてはかの施策に比べ大きな効果が見込めるということの報告がなされております。  これを踏まえまして、先生今十一年度の検討とおっしゃったわけでございますが、平成十年度の税制改正の要求の中でも、先ほど大臣も触れましたけれども、いわゆるハイブリッド自動車について自動車取得税の軽減を要求をいたしまして、政府の中では認められているということがございます。この考え方は、運輸省でも検討しておりますが、政府全体の中でも、昨年秋のCOP3に向けた関係審議会の合同会議の報告書の中でも、低燃費車の普及促進のため税制上を含めた経済的誘導措置の強化について検討するということで、いわば政府の中でも一つのコンセンサスが形成されているわけでございます。  他方、十一年度についてのお尋ねでございますが、こういう一連の運輸省あるいは政府における検討を踏まえまして、平成十一年度でどういう要求をするのか、これについて、これは関係省庁もたくさんございますので、引き続き真剣に相談し、検討してまいりたいというふうに考えてございます。
  45. 田中甲

    ○田中(甲)委員 ありがとうございました。ぜひその検討というものをスピードを上げて進めていただきたい思います。  ハイブリッドカーあるいは低公害車というものがどんどん普及してくるということはとてもいいことだと思うのですけれども、しかし、車に対する消費感覚というのですか、最近は車の台数がふえると同時に、車を乗り捨ててしまうということが随分見受けられるようになっております。  私は、ここで運輸省を中心に自動車のデポジット制というものを考えてみる必要があるのではないか。つまり、車を消費して捨ててしまう。河川沿いですとか海岸沿いに車を捨ててある。ガラスが割られたり、もうぼろぼろになっているような、そんな状態ということは、やはり何らかの制度をもって改正していく、あるいは検討していくことが必要ではないかと思うのですけれども、自動車のデポジット制、この導入に向けてお考えをお持ちかどうか、お聞かせをいただければありがたいと思います。
  46. 荒井正吾

    ○荒井(正)政府委員 デポジット制というのは大変斬新なアイデアだと思っております。  車は、所有するだけではなしに、いい使用をされていい廃棄をしてもらわなければいけない、リサイクルの一環だと思います。どのようにリサイクルするかというのは大変難しい問題でございますが、環境の観点からは大変重要な課題だと思いますので、十分検討を深めていきたいと思います。
  47. 田中甲

    ○田中(甲)委員 私はこんな案を今つくっているのです。  債券、自動車債という、ほかの税制の整理あるいは見直しということが必要になるのですけれども消費者が自動車を購入する際には、何万円か、数万円かの債券を購入するということを義務づけていく。そして、自動車を廃車する際には廃車証明と引きかえにその債券を買い取るという制度。これは非常に単純な発想でありますけれども、そういうデポジット制というもの。そして、乗り継いでいく場合にはそれが継続できるということを考えれば、一度購入する際に債券を買えばそれが継続できるということであります。あるいは、廃車するときにはその債券の金額分が戻ってくる、場合によっては低利であるけれども、利息をつけて戻すということも考えることはできると思います。  このような制度というものを、ぜひ政府が、環境問題を重視する運輸省の動きとして検討していただく姿勢というものを持っていただきたい。そして、もしそれができない場合は、私たちもただ政府に任せておくということではなくて、自動車のデポジット制の導入を目指して、議員立法による立法化の作業ということもぜひ進めてみたいと思うのですが、これだけ車の台数がふえているということなどにかんがみ、ぜひ大臣の御答弁をいただきたいと思います。
  48. 藤井孝男

    藤井国務大臣 先ほどもお答え申し上げましたように、この削減目標を達成するためには、あらゆる観点から対応していかなければその目標を達成することはできないというふうに申し上げました。  そこで、今田中委員一つのアイデアといいますか、具体的な例としてデポジット制というものの趣旨を述べられました。私も今興味深く拝聴したところであります。そうしたことも含めまして、私どもは、環境をいかに守っていくか、そしてまた、先ほど触れましたように、一方では自動車を利用される皆さん方利便性というものをどう確保していくか、そこのところをよく踏まえながら、いろいろな角度から、今委員の御指摘のありましたデポジット制も含めて検討をしていきたい、いくべきだ、このように考えているところでございます。
  49. 田中甲

    ○田中(甲)委員 議員立法を進めるということに対しても御理解いただけますか。
  50. 藤井孝男

    藤井国務大臣 これはある大先輩の議員からよく聞かされたのですが、私自身余り政策マンでもございませんし、余り頭のいいものでもございませんが、政治家となった以上やはり自分で、議員が法律をつくるというのは非常に大事なことだ、藤井君、今後ともやはり閣法ではなくて議員立法、議員が率先して法律をつくることは非常に重要なことだということで、私はこれは大変、私自身政治家としてもその辺を踏まえてこれからも行動していかなければならないと考えておるところでございます。
  51. 田中甲

    ○田中(甲)委員 ありがとうございます。  土壌の汚染対策や、カーエアコンに使用されているフロンガスの回収などを考えてみましても、こういう制度をつくってしかるべきなのだろう。特に車の台数がふえている、世界で第二位の台数になっています。一人当たりでは、これはもう豊かさというものを通り越して、利便性と、個人の、自分が行いたいということをどこまで行っていいのか、自由というものの履き違えというところまでつながっていくような現在の車社会の蔓延化した状態というものは、改善をしていかなければならないと思っておりますので、ぜひ進めさせていただきたいと考えております。今後とも、御指導のほどをよろしくお願い申し上げます。  車の台数を減らすということに関連して、自動車から鉄道、公共交通機関へのモーダルシフト、前段の質問者もされていたところでありますけれども、ポイントは、貨物輸送の九割をトラックに頼っているというところだろうと思います。これがまた、二酸化炭素の排出量ということが大変に問題になってまいりますし、あるいは道路の混雑、その状況の悪化ということを生み出していく。また、一点に偏っておりますから、バランスのとれていない輸送状況という中で、トラック運輸業界の人手不足ということも相まって、これはぜひとも公共交通機関へのシフトということをもっともっと検討していかなければならないんだろうと思うわけでありますが、大臣はいかがお考えでありましょうか。
  52. 藤井孝男

    藤井国務大臣 先ほど細川委員の質問でも同趣旨の質問がございましたが、私は、そのときにも申し上げましたように、鉄道というものは、今の時代、あるいは環境に対しては環境に優しい公共交通機関であり、また大量性、高速性、定時性にもすぐれているというふうにお答えいたしました。したがいまして、これから環境を維持するためには、モーダルシフトというのは運輸行政の中で大変重要な課題だと私自身とらえておるところでございます。  したがいまして、これから運輸省といたしましては、港湾鉄道施設等のインフラ整備を初め、ハードソフト両面から総合的かつ積極的にモーダルシフトの推進に取り組んでまいる所存でございます。
  53. 田中甲

    ○田中(甲)委員 ありがとうございます。  関連して確認をさせていただきたいのですけれども整備新幹線の開業時には並行在来線の経営をJRと分離させるということでございますが、こういうことは、確かに厳しい財政的な制約を所信の中でも大臣指摘をされまして、赤字路線の見直しは必要ではありましょうけれども、モーダルシフトを進めていくというときに整備新幹線の開業時に並行在来線の経営というものをJRと分離させるということは、少し考えていかなければならない。すべてが財政の中でだめであるというふうに断ち切ってしまいますと、貨物輸送ルートの分断ということにつながってまいりますから、この辺はぜひとも再考をいただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  54. 藤井孝男

    藤井国務大臣 並行在来線のJRからの経営分離後における鉄道貨物輸送の維持は、これはもう大変重要な課題であります。  現在、平成八年十二月の政府・与党合意「整備新幹線の取扱いについて」及び、昨年五月の全国新幹線鉄道整備法の改正の際の当委員会の「JR貨物の輸送ネットワークが寸断されないよう、万全の措置を講ずること。」との附帯決議に基づきまして、鉄道貨物輸送の適切な輸送経路及び線路使用料のあり方について、関係JR旅客あるいはJR貨物と調整を続けているところでございます。引き続き、今委員が御指摘ありました点につきましては十分踏まえて、適切な解決をしていかなければならないと考えております。
  55. 田中甲

    ○田中(甲)委員 特定の団体の後押しをするつもりはあり住せん。ぜひ、モーダルシフトという考えの中でその協議というものを進めていただきたいと思います。  人の移動ということに関しましても、モーダルシフト、車から鉄道にということをもっともっと積極的に取り入れていく施策というものを打ち立てていかなければならないと思います。  先ほど少し触れましたけれども、ドイツの南部、フライブルグというところでは、環境定期券の導入を行っておりまして、非常に安い料金で、私が視察をしたときには、一日二ドイツ・マルクでありますから、百三十円ぐらいの料金でそれぞれの交通機関を乗り継いでいくことができるというものでありました。現地では、一カ月大体三千円ぐらいでこの定期券を購入することができまして、非常に世界じゅうから注目を集めているというところであります。日本では松山市と姉妹提携をしているということであります。  日本ではどういうようなことを考えているのかなということで調べてまいりますと、エコ定期券というものをもう既に神奈川県と岩手県の方で進めていらっしゃるということでありますが、この制度の導入に関してどのような協議というものを運輸省は行っているのか、ぜひ参考までに、時間の関係で簡潔で結構でありますが、お聞かせをいただきたいと思います。
  56. 荒井正吾

    ○荒井(正)政府委員 今、委員指摘のありましたエコ定期券は、ドイツのフライブルグと同種の定期券で、昨年の九月二十日から神奈川県の神奈川中央交通、その後、本年の三月から岩手県のジェイアールバス東北、さらに、この四月から東京都交通局で導入される予定と聞いております。  運輸省といたしましては、こういう、運賃を多様化して、特にお父さんを土、日曜日のドライブの運転から解放して、家族で公共交通機関を利用していただくというのは大変結構なことだ、望ましいことだと考えております。事業者の方と相談いたしまして、このようなことを奨励してきておりますが、今後とも、その姿勢で続けていきたいと思っております。
  57. 田中甲

    ○田中(甲)委員 ぜひ積極的に進めていただきたいと思いますし、全国規模でのモデル地域というものをさらにつくっていただければよろしいのではないかと思います。マイカーからバスへ誘導する、それから、マイカーから鉄道へのシフトも進めていくべきであろうというふうに考えております。  質問の内容が変わります。  昨年一月、ナホトカ号日本海重油流出事故がございました。七月は、ダイヤモンドグレース号がやはり流出事故というものを起こしまして、タンカーによる海洋汚染事故が相次いだという印象が昨年はございました。  対策として、あるいは処理方法として新たに運輸省がいろいろな検討をされているということは認識をしているところでありますけれども、どうも起こることがもう必然なんだというように受けとめられて仕方がないのであります。事故処理ということにその内容が偏っているんではないか。国内の企業が持っている日本国籍の船が四十三隻、これは二千トン以上の船でありますけれども、外国用船が二百隻ということでありますが、今後、これらの船舶がすべてダブルハルタンカーになるのはいつの時期なのかということを確認させていただきたいと思います。
  58. 土井勝二

    ○土井政府委員 お答えいたします。  タンカーの中で一重底のタンカーを、ただいま先生も御指摘になりましたように、日本の会社も運航している、世界の会社も運航しているということでございまして、これについては、ダブルハルタンカーにすれば、方一事故が起きても油が外に漏れにくいということで、海洋汚染ないし海上の安全上、大変すぐれているということでございます。これにつきましては、国際的にも、条約でダブルハルタンカーへの代替促進ということで義務化がされているところでございます。  ただ、この義務化によりましていつまでにタンカーがダブルハルタンカーに全部かわるかということにつきましては、それぞれの国のそれぞれの船の保有期間がどのぐらいか、船齢がどのぐらいかということにかかわっできますので、大変予測が難しいところでございます。特に、日本の場合は、比較的若い船齢の船が多いということがあって、直ちに、ここ数年以内にダブルハルタンカーへ全部かわるというところは予測できないということでございます。大体まだ十数年ぐらいはかかる可能性があるというふうに予測しているところでございます。
  59. 田中甲

    ○田中(甲)委員 まだ随分かかるということの答弁は予測をしておりました。東京湾がその中でもまたかなり交通量が多くて、事故の起きる可能性が高いんだということも調べて承知をしています。  その東京湾の内湾にこれから京葉港二期の埋め立てを行って、そこに港湾をつくろうという計画自体の再検討を私はお願いしたい。密集した航路の中でさらに船の台数をふやしていく、船舶の数をふやしていくということは果たしていかがなものか。水深航路というものが十五メートル以上必要な五万トン級が出入りするような状況が今後なければならない、浅瀬が大変に多い東京湾の中で、また船橋の沖合の港湾というものをつくることを軽々に決定してほしくないということを申し上げたいと思います。  時間の配分を間違えまして最後まで質問をできませんけれども、環境問題は気象が非常に重要でありまして、これから運輸省の中にあります気象庁というものが果たしてこのままの位置づけであっていいのかどうかということも、また次の質問の機会にぜひともお話し合いをさせていただきたいと思います。  最後になります。  この所信表明の中におきまして、冒頭書かれていることでありますけれども交通運輸サービスの提供を目指して邁進してまいりますということでありますが、「安定的で質の高い」というところに、効率よく質の高い交通運輸サービスの提供をと、そんな効率のよい運輸行政の充実ということを今後目指していただければ大変にありがたいと思います。  以上で質問を終わります。ありがとうございました。
  60. 大野功統

    大野委員長 次に、今田保典君。
  61. 今田保典

    ○今田委員 私は、民友連、新党友愛の今田保典でございます。  きのう大臣所信表明されました中で、行政改革会議から報告されました中央省庁等の改革基本案について、その中でもとりわけ国土交通省関係について御質問したい、このように思っておるところであります。  まず最初に、交通行政の現状について運輸大臣はどうお考えかということをお尋ねをしたい、このように思っております。  私は、我が国は運輸行政はあるが交通行政はないと言っても過言ではないというふうに思っております。運輸行政運輸省が所管でありますが、交通行政は責任を持った所管省庁が現在のところありません。その意味で、我が国には交通行政がないというふうに思っておる一人でもございます。  交通行政の現状は、運輸事業規制、監督は運輸省、総合的な交通政策は経済企画庁、交通安全対策は総務庁、交通規制並びに取り締まりについては警察庁、さらに道路などのインフラ整備については建設省と、全くばらばらな感じを持っておるわけであります。  特に、地方で、交通安全あるいは交通行政について、いろいろと関係するところにお願いをする際に非常に戸惑って今行動をしているというような状況を考えますと、まさしくそういった、目的に向かって機能を十分に発揮されていないのではないかというふうに思いますけれども、この現状について大臣はどのようにお考えなのか、お聞きをしたいと思います。
  62. 藤井孝男

    藤井国務大臣 今田委員交通行政に対する今の御意見でございますが、私もかなりの部分委員と同じ認識に立っております。  現在、運輸省建設省あるいは警察庁等の関係省庁が、この交通行政についてはそれぞれの任務を遂行しております。それが、今御指摘のような、地方において云々というお話がありましたように、一方でそういう御指摘は私も十分よくわかりますし、理解をするところでありますが、こうした関係各省庁が調整、連携をして総合的な交通行政交通安全行政等の各般の横断的施策に共同して取り組んできたところであり、大都市圏における交通混雑の緩和対策等のさまざまな施策において、一応私としては一定の成果は上がってきたと認識をいたしているところであります。  しかし、今田委員から質問がありましたように、これは、言ってみれば縦割り行政というものがあって、私の地元でもそうですけれども、やはり何か一つのイベントあるいは行事を行う場合でも、あちこちの関係省庁にお願いしなければ遂行できないという場面がある。私、よくその点はわかります。今回の省庁再編の中で、やはり縦割り行政というものの弊害を排除するという一つの大きな目的がございます。ですから、行政目的に照らして、可能な限り総合性、包括性を持ったまとまりとして大くくりの編成をする、この行革会議の最終報告にはそれが提示されておるところでございます。  そういう中で、今度国土交通省、四省庁が大くくりされて編成されるわけでありますから、交通政策の推進をその主要な任務とされることによりまして、従来にも増して総合的、横断的な交通行政の取り組みが可能となると認識をいたしておるところでございます。
  63. 今田保典

    ○今田委員 どうもありがとうございます。  認識は私と同じだなというふうに思いますので、これからもいろいろと御検討をいただきたい、このように思っております。  次に、中央省庁の改革基本法案に示されました国土交通省の編成方針についてお尋ねをしたいわけでありますが、別表第二に国土交通省の主要任務として「交通政策の推進等」とあります。このところが交通行政への転化を示していることだと私は理解をしているのですが、このことについてお伺いをしたいと思います。  しかし、その反面、本文第二十二条に、国土交通省の編成方針として十四項目が掲げられています。ここには、別表に示すように「交通政策の推進等」に見合う編成方針がありません。例えば、第三項にありますように、交通に関する総合かつ基本的な政策の企画立案とそれに基づく交通管理、調整、誘導等を推進することと明確に編成方針を記載すべきだというふうに思っておりますが、これについて運輸大臣はどのようにお考えなのか、お聞きをしたいと思います。
  64. 藤井孝男

    藤井国務大臣 今、今田委員の御質問は大変詳細にわたる部分がありますので、私がお答えするよりは、官房長の方から答弁させていただくことをお許しいただきたいと思います。
  65. 梅崎壽

    ○梅崎政府委員 先生既に十分御承知のことかと存じますが、昨年十二月の行政改革会議の最終報告におきましては、国土交通省交通行政につきまして、「ハードソフトの両面からの総合的な交通体系整備」、こういう業務を担うことが明らかに記述されております。  これを受けまして、中央省庁等改革基本法案におきまして、ただいま先生指摘のとおり、国土交通省の主要な任務として交通政策の推進というのを規定するとともに、第二十二条の国土交通省の編成方針におきまして「施設の整備及び管理、運輸事業者による安全かつ効率的な輸送サービスの提供の確保その他の施策による総合的な交通体系整備を行う」ということを規定しているわけでございます。  ここら辺のことを考えますと、確かに分限的にはただいま先生指摘のようなことはございませんけれども基本法案の規定全体から考えまして、私どもは、ハードソフト施策が一体的に行われ、かつ運輸事業というような視点を超えまして、交通政策という幅広い視点に立って総合的な行政に取り組む方針が示されている、このように受けとめております。
  66. 今田保典

    ○今田委員 若干私とニュアンスが違うのでありますが、それはそれとして、それぞれのニュアンスがあると思いますので。  次に、同じ角度からの質問でございますけれども、別表第二の上段において主要任務を「交通政策の推進等」としているにもかかわらず、その下段に、主要な行政機能の欄にそれに見合う行政機能が書かれていないというふうに私は思っております。そういった、矛盾しているというか理屈に合わないといいますか、そういったものが考えられます。  例えばですが、行政機能として「運輸事業」と「運輸安全」とありますが、これを私は交通政策と交通安全に置きかえるべきではないのかというふうに思っておるわけでありますが、この点についてどう思いますか。
  67. 梅崎壽

    ○梅崎政府委員 この点につきましてでございますが、ただいまの先生の御指摘一つのお考えであろうと確かに受けとめております。  ただ、行政改革会議の最終報告におきまして、先ほど申し上げましたとおり、ハードソフトの両面からの総合的な交通体系整備を担う、国土交通省交通行政につきましては、こういうことを明記した上で現在の基本法案になっておるわけでございます。最終報告書の記述あるいは基本法案に関します国土交通省の任務あるいは機能全体から見ますと、国土交通省につきまして、交通政策の推進をその主要な任務とするということによりまして、総合的な交通行政が展開できるということがまた国土交通省の大きな眼目でございますので、そのようなことが可能であると私ども受けとめている次第でございます。
  68. 今田保典

    ○今田委員 次に、経済企画庁にお尋ねをしたいと思います。  先ほど細川委員の方からも質問がありましたけれども、若干重複するかと思いますけれども、現在、総合的な交通政策は経済企画庁の所管であるわけであります。経済企画庁はこれまでに、昭和三十九年に総合的交通政策、そして昭和四十六年に「総合交通体系について」という二つの総合的な交通政策を発表されました。しかし、その後、昭和四十六年から今日まで二十七年間たつわけでありますけれども、総合的な交通政策については全くと言っていいほど動きが見えない、こういうふうに言われておるわけであります。  したがいまして、世間では、経済企画庁の総合交通政策は開店休業だといううわさも立っているような状況でございまして、このために予算や人員配置もなされているのだと思いますけれども、これは一体どういうふうに今なっているのか、具体的に御説明をいただきたいと思います。     〔委員長退席、林(幹)委員長代理着席〕
  69. 安井誠人

    ○安井説明員 委員御承知のように、経済企画庁と総合交通とのかかわり合いにつきましては、戦後の経済復興期あるいは経済発展を目指すために、私ども経済計画というものをそのころからつくっておりますが、その中で、とりわけ総合的な交通体系の確立というのは我が国の経済の発展に非常に重要であるということから、当時から経済計画で位置づけて、各省庁連携をして所要の施策をやるべきだということで打ち出しておりました。  委員指摘の四十六年の総合交通体系のいわゆる四六方針というものでございますが、これにつきましては、内閣の官房、総理府、公安委員会、大蔵省、農林省、通産省、運輸省建設省、自治省、経済企画庁等の関係機関の長等で構成されました臨時総合交通問題閣僚協議会におきまして、交通政策の総合化、体系化による柔軟な対応、受益者負担の原則、各種交通機関の適切な競争利用者の自由な選択による交通分担関係の確立ということを主な内容とする政府基本的な方針というのが、この時点で取りまとめられたわけでございます。  その後、昭和五十七年、約十一年後でございますが、総合交通担当官会議というのを設けまして、その時点においても、この基本方針を見直すのか、この基本方針でいくのが適当であるかどうかという会議を催したわけですが、この会議の結論は、この四六方針に示されました基本的な考え方を踏まえ、今後必要に応じ関係各省庁間で調整を行い、全体として整合性と調和のとれた施策体系が形成されるよう努めるということで、現在とも、この基本方針をもとに政府として運用されているわけでございます。  なお、くどくなりますが、総合交通体系の実現に向けての基本姿勢といたしましては、この四六方針基本方針にのっとりまして、関係各分野の行政がその時々の環境条件変化に柔軟、弾力的に対応しつつ、円滑に連携をとってなされることというふうに考えております。  経済企画庁といたしましては、先ほども申し上げましたが、経済計画をずっと策定しているわけですが、その中で、総合交通政策の充実強化を図る観点から、その時々の社会情勢の変化に応じて、この基本方針の内容につきましてどういうふうに具体的な施策に反映すべきかということで、例えば経済審議会の中に、経済審議会の中といいますか、私どもの研究会というのを設けて議論した結果を踏まえて、経済計画に反映すべく、各省ともよく御相談をして今までに至ったところでございます。  具体的に申し上げますと、現在の経済計画、これは平成七年に構造改革のための経済社会計画というのを設けております。その時点で、高コスト構造是正、活性化のための諸施策の中で、特に交通関係につきましても、物流、旅客運送サービス等についてそのような視点からの議論が必要だということで、そのような行動計画というのを打ち出しておるわけでございます。  また、公共投資基本計画につきましても、効率的、整合的な交通体系の形成を推進するというふうにしておるわけですが、先般の改定におきましても、経済構造改革関連の社会資本について、物流効率化対策に資するものを中心として、優先的、重点的に整備するということで位置づけております。
  70. 今田保典

    ○今田委員 そこで、運輸大臣お尋ねをしたいわけですけれども国土交通省の任務として、「交通政策の推進等」とされていますが、これは現在、経済企画庁が所管する総合交通政策機能を国土交通省に移管をするというふうに私は理解をしておるのですが、こういうことでよろしいのでしょうか。
  71. 藤井孝男

    藤井国務大臣 国土交通省が設置をされまして、交通政策の推進をその主要な任務とすることにより総合的な交通行政が展開できるということは、先ほど来申し上げているところでございます。  社会資本整備の整合的、効率的な推進と並んで、国土交通省を編成する大きな眼目の一つとして、今申し上げた総合的な交通行政が展開できるという認識でございますが、今御質問の、現在経済企画庁が担当している交通関係の調整機能と国土交通省の担う総合交通行政との関係につきましては、今後、新しい府省の設置法の段階において、関係省庁間で検討を行い、明確化を図る所存でございます。繰り返しますけれども、今後の府省の設置法の段階において、この点については明確化をしていかなければならないと思っておるところでございます。
  72. 今田保典

    ○今田委員 わかりました。どうもありがとうございます。  それで、交通安全行政機能についてお尋ねをしたいわけでありますが、先ほど言った中央省庁の再編の中で、本文第二十二条の第十二項において、「交通安全行政について、関係府省の間における調整の中核としての機能を担うこと。」こうあるわけであります。  国土交通省交通安全行政を担うものというふうに理解をしておったわけでありますけれども先ほどのお話では、今後いろいろ検討する、こういうことですが、もしそういうことであれば、もっと素直に、交通安全行政を担うというようなことにすべきではないのかというふうに思っております。本来的に、交通政策行政交通安全行政は一体的なものでなければならないというふうに思っておるわけであります。  そこで、現在、交通安全行政は総務庁の所管ですが、これが国土交通省に移管されるということになるのかならないのか、これについてお尋ねをしたいと思います。
  73. 梅崎壽

    ○梅崎政府委員 ただいま先生も御指摘ございましたように、国土交通省の編成方針におきまして、交通安全行政につきまして関係府省の間におきます調整の中核としての機能を担う、こうなっておりますので、当然のことながら、国土交通省は、交通安全行政に関しまして中核役割を期待されております。  このようなことからいたしますと、現在の総務庁が担っております交通安全に関する機能につきまして、相当程度のものが確かに国土交通省で担当することになろうかと存じますけれども、このすべてが国土交通省に行くかどうかは、例えば、警察庁におきまして交通の取り締まりの観点からの安全行政等々ございますので、この点も、先ほど大臣経済企画庁の総合交通担当省庁としての役割との関係でお答え申し上げましたとおり、今後、新しい府省の設置法の段階におきまして明確化を図っていくということになると私ども考えております。
  74. 今田保典

    ○今田委員 そこで、私はお願いをしたいのですが、地方で一生懸命交通安全について取り組んでいる母の会とかあるいはPTA会とか、いろいろやっているのですが、そこで、そういった方々が交通安全について、こういった施設が欲しいとかこういった道路が欲しいとか、こういったことを改善してほしいとかあるわけですけれども、そういった団体がどこにお願いをしたらいいのか、どこに改善の要求を出したらいいのかというようなことで、先ほど言ったように非常に迷っている。迷っているというか、わからない方が多いのですよね。地方で交通安全にかかわる方々に対して、やはりもう少し親切丁寧に、そういったものを理解してもらえるような行政にしなければ、先ほど細川委員からもありましたように、交通事故を減らすということはなかなかできないのではないかというふうに思うわけでありまして、この辺について、ぜひひとつ関係する省庁とも十分連携をとっていただいて、地方での現実というものをよくとらえて御検討いただきたい、このようにお願いを申し上げたいと思います。  そこで、新しい省庁、国土交通省、こういうことでありますけれども、名称についていろいろな意見があることについては私も十分承知をしておるわけであります。もっと簡単な名称にすべきではないかというようなことを言っておる大臣もおられるようでありますけれども、私もそのとおりでございまして、主たる行政目的が明確であるとすれば、国土交通省とちょっと国民にはなじみのない名前といいますか、省庁になるというふうに思いますので、あくまでも私の考え方ですが、単純に交通省、こういうふうに大臣として頑張ったらいいのじゃないかというふうに思いますが、どうですか。
  75. 藤井孝男

    藤井国務大臣 この新しい省の名称につきましては、それぞれの思いがあろうかと思います。ですから、運輸省という名前が消えること、なくなること自体、運輸省にかかわってこられた方々あるいは政治家もそうでありましょうし、運輸省に在籍した職員もそうでありましょう、そういうことからすれば、なるべくそういった名前が残ってもらえるのが一番いいのではないかな、そういうことは私も理解するところでございます。ただ、やはり先ほども申し上げましたように、四省庁が合体するわけでございますから、今申し上げたそれぞれの省庁の思いがありますので、どの名前が一番適当かというのはなかなか難しい問題であろうかと思います。  委員今御質問の、交通省にすればいいではないかということでありますが、それは一理あるとは思いますが、基本法案におきまして、国土の開発利用、そのための社会資本整備と並んで、交通政策の推進が国土交通省の主要な任務と規定されているわけですから、私どもとしては、国土交通省が妥当なものではないか、このように考えているところでございます。
  76. 今田保典

    ○今田委員 ぜひひとつ国民になじみの出るような省庁にしていただきたい、こういうふうに思っています。  私、質問する項目についてはすべてこれで終わったのですが、一つだけ最後にお願いといいますか、御要望申し上げたいわけです。  現在、バス、タクシー、ハイヤー関係規制緩和について運輸政策審議会の中で検討しているわけでありますけれども、さらに地方でミニ運審というようなことで開かれておるようであります。現在のところ北海道、九州と新潟ですか、で開かれておりますが、これはやはり、いろいろな意見を聞く意味で、あるいは意見を拝聴する意味で、いろいろなところでぜひこの運審を開いていただいて、それぞれが苦しんでいる実態をよくつかんでいただきたい、このようにお願いを申し上げたいわけであります。  そこで、若干、時間もないわけですが、現在の政策審議会の進行状況、さらに今後の日程、わかればちょっとお知らせをいただきたいと思います。
  77. 梅崎壽

    ○梅崎政府委員 ちょっと私、ただいま詳細を承知しておりませんので、あるいはお尋ねの件に正確にお答えすることができないかもしれませんが、タクシーの規制緩和の問題は確かにいろいろな問題を内蔵しておりますので、私どもの方でも慎重に取り扱わなければいけない、この問題は慎重に検討しなければいけない。運輸政策審議会におきましても、確かに業界あるいは労働組合からもいろいろな御意見をいただいておりまして、今後さらに意見の聴取に努めながらやっていかなければならないと思っております。  それで、私ども先生御承知のとおり、一昨年の暮れに、需給調整を原則として廃止するということを決めまして、今後の運輸事業規制のあり方、あるいは規制の変更に伴う諸問題に対する対処策に関しまして、運輸政策審議会で全般的に御審議をいただいておりますが、その中で、バス、タクシーの関係はいろいろな問題がありますので、時間をかけて審議をする方に入れております。実は、早目に意見を取りまとめる分と慎重審議をする分に分けますと、慎重審議をする方に入れております。具体的スケジュールは、一昨年決めました際に、三ないし五年という全体とのスケジュールで決めたわけでございまして、今申し上げましたように、時間がかかる方で整理をさせていただいております。  それから、御指摘ございました、地方の声と申しますか、いろいろな地方からの御意見でございますが、私どもも、できる限りそういう御意見を踏まえながらやっていかなければならないと思っております。具体的なやり方として、各地域で運輸審議会の地方版みたいなことをやる時間的余裕といいますか、あるいは物理的余裕というのは、あるいはないのかもしれませんけれども、できる限り業界あるいは労働組合からも御意見を拝しながら、聴取しながら、この問題につきまして検討を進めていく、こういう方向で今やっているところでございます。
  78. 今田保典

    ○今田委員 最後にお願いなのですけれども、特にトラックも含めまして、それぞれの企業の体力が非常に弱っております、こういう交通情勢でございますので。したがいまして、規制緩和については非常に神経質になっているということでございますので、ぜひその辺のところを御配慮の上、今後御検討いただきたい、このことをお願い申し上げまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
  79. 林幹雄

    ○林(幹)委員長代理 午後二時三十分から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後一時二分休憩      ————◇—————     午後二時三十分開議
  80. 大野功統

    大野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。赤羽一嘉君。
  81. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 平和・改革の赤羽一嘉でございます。  本日は、与えていただきました一時間の時間の中で、昨日の大臣所信表明演説に対する質疑をさせていただきたいと思います。  大変幅広い、運輸行政全般にわたる所信表明演説に対しまして、本来であれば大局的な立場から質問をすることがきょうの質疑にはふさわしいかと思いますが、先日予算委員会で通告をして質疑できなかった点もございますし、また、私の地元神戸は言わずと知れた港町でございますので、本日は、まず港湾行政、かなり細部にもわたることがあるかと思いますが、まず質問をさせていただきたいと思います。  神戸港は、今申し上げましたように、昨年で開港百三十年を迎えた港でございまして、アジアにおけるハブ港と言ってもいいような状況の中で、東アジアの貨物は神戸を経由して北米やら欧州に流れている、そういう意味では大変重要な拠点で、港町として栄えてきたわけでございます。その神戸が、三年前のあの阪神・淡路大震災で大変な被害を受けたわけでございますが、神戸経済といいますのは、言い方がいろいろあるのですが、神戸経済のうち、港に関連する、少なく見積もっても三五%、考え方によると、関連産業も入れると約六割が港による、神戸経済を支えているんだというような言い方もございました。三年前の政府も、大変な中、この神戸港の復興ということを最重点の項目としてやっていただいたわけでございます。  しかし、震災があったこの三年間、厳密に言うと、港の復興という意味では復興まで二年余りかもしれませんが、その間に、神戸に来ていた物流が大阪港に流れたり、例えば釜山港に流れたり、高雄に流れたり、香港に流れたりという形の状況があったと思います。この中で、震災以後、数字の上で回復しているというようなデータも出ておりますが、現場の神戸港関連の皆さんのところを歩いていると、震災前に比べるとやはり七割、八割という実感があるとの返事をしている人たちがたくさんいらっしゃるわけでございまして、この点につきまして、種々聞かせていただきたいと思います。  ちょっと順序が前後になりますが、なぜ今回、この大事な質問のときにこのテーマを扱うかといえば、この震災を機に、港湾行政のある意味では矛盾、それと同時に、オールジャパンとしての対東アジア、今申し上げましたような釜山港やら高雄やら香港やらシンガポールといった外国との比較という意味で、海洋国家日本という名のもとであったわけですけれども、大変に国際競争力を失っているという現実が浮き彫りになったのではないかという思いが私はあるわけで、この質問をさせていただきたいと思います。かなり具体的な数字を聞くこともあるかと思いますが、そのときは政府委員の皆さんで結構でございますので、よろしくお願いします。  まず、神戸港の震災前の平成六年と平成八年の一万トン未満の外航船の入港数というのは、今そちらでわかりますでしょうか。わかったらお答えしていただきたいと思います。
  82. 木本英明

    ○木本政府委員 ちょっと細かい数字を持ち合わせておりませんので、後ほどまたお知らせしたいと思います。
  83. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 大体でもいいのですけれども。——わかりました。余り政府委員の方に迷惑をかけてはいけないので、神戸港の一万トン未満の外航船の入港数というのは、私が調べた資料ですので、逆に、間違いがあれば正していただきたいのですが、平成六年度六千百三十七そうですが、平成八年度では四千八百五十六、七九%の回復率であるという数字が出ていると思います。  この中で、一万トン未満というのは、なぜそういうことを言ったかというと、先ほど言いました韓国やら台湾、中国、こういったところから神戸に来る、また神戸からそういったところに仕向け地として向かう船は一万トン未満の船が多いというような状況の中で、韓国、台湾、中国との外貿貨物の取扱量の増減についても、今お手持ちの数字はございますか、なければ……。
  84. 木本英明

    ○木本政府委員 コンテナ貨物量という、そういう視点で見てみますれば、例えば神戸港ですと、震災後の平成八年度で見ますれば、二百五万TEuを扱っている。これは二十フィート換算のコンテナ個数でございます。一方、シンガポールですと一千二百九十五万TEU、韓国の釜山ですと四百六十八万TEU、香港ですと一千三百二十八万TEU、こういった状態になっております。(赤羽委員「釜山はわかりますか」と呼ぶ)釜山は四百六十八万TEUでございます。
  85. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 私の質問はそのことも一緒に含めているのですけれども、中国や韓国や台湾から行き来している神戸の取扱数量自体も、私の調べた範囲では七割強の数量に落ち込んでいるということなのですね、震災前に比べると。今答弁いただきましたように、港と港の競争力を比べても、取扱数量についても、今御指摘のあったように、大変な差が開いているという事実ももちろんあるわけでございますが、まず私がお聞きしたいのは、その部分と、あと、神戸が取り扱っていた数量と、震災後、大阪が取り扱った数量の比較という数値は、何かお手元でお持ちですか。
  86. 藤井孝男

    藤井国務大臣 震災直後の神戸港で取り扱われる予定だったコンテナ貨物をとりますと、震災直後は、横浜港で五割近く、東京港と大阪港でそれぞれ二割程度、名古屋港と博多港で一割近くが代替された。釜山港に流れたのは三%であったと推定されております。その後、神戸港の復旧に伴いコンテナ取扱量も回復し、現在は震災前の七七%となっておるところであります。  大阪港につきましては、震災前に比べ、平成八年は一四八%となっており、神戸港の貨物が大阪港に流れたままとなっているものと推定されております。
  87. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 ありがとうございます。  御指摘のように、神戸港湾の関連の方にお話を伺いましても、やはり海外との競争もあるけれども、実は大阪湾、あの同じ湾の中で、神戸に来ていたものが大阪に流れた、まさに今大臣から御答弁いただいたような状況が続いているわけでございます。  なぜ物流が大阪に流れたまま回復しないのか、大阪港と神戸港の中で、競争力の点でどうなのかというお話がございまして、その中で、一つの大きな原因であると思われる強制水先制度のことについて、実は、これは私自身も一年半ぐらい前から運輸省の皆さんにお願いを申し上げながら、先日の、ちょうど一週間前の予算委員会でも質問通告させていただいたわけでございます。きょうもこの強制水先制度について、歴史の経緯を追ってお答えをいただきたいのですが、まず、強制水先制度の目的、なぜこういった強制水先制度ができたのか、そして、強制水先区が二種類あるかと思いますが、この二種類の現状をまずお知らせいただけますか。
  88. 土橋正義

    ○土橋政府委員 我が国における水先制度の変遷について御質問ということでございますので、簡単に触れさせていただきます。  我が国の港におきましては、あるいは水面におきましては、強制水先区をとっているところと、それから任意水先区をとっている水面、港湾と二つございます。全部合わせると、三十九港湾あるいは水面ございます。このうちの十一港湾あるいは水面につきまして強制水先区となっております。  この中で、実は先生指摘の神戸港につきましては昭和二十五年から強制水先区ということで、神戸港の港湾区域が指定されております。二十五年当時は、国際航路に就航する船すべてについて水先をつけなさいということだったのですが、これが二十八年に三百総トン以上の国際航海に従事する船については水先人をつけなさいというふうな若干の変遷はございますが、それ以来、今申し上げたような状況が続いております。  それからもう一つ、強制水先区につきましては、一万トン以上の船舶について強制的に水先人をつけなさいという、これは大体水面が中心でございますが、そういうところがございます、  このきっかけと申しますのは、実は昭和四十九年に東京湾で第十雄洋丸というLPGタンカーが衝突いたしまして、爆発、炎上、船員さんでたしか三十三名のとうとい犠牲者が出るという大事故がございまして、ごれを契機に、これまでの港だけではなくて、そういう東京湾ですとか伊勢三河湾あるいは大阪湾、こういった水面にも強制制度を入れるべきだということで、五十年代に入れられた区域がございます。こういった区域に分かれております。  以上でございます。
  89. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 昭和四十九年、一九七四年の事故を契機に新たな強制水先区が設定されたわけでございますが、そこで、一万トン以上が対象になったというのは、これまでは三百トン以上という規則がありながら、神戸もその三百トン以上の対象、今答弁があったとおりなのですが、それが一九七四年、実施はもうちょっと後かもしれませんが、この三百トンと一万トン以上というのはかなり差があると思うのですが、その設定基準になった経緯というのをちょっと教えていただけますか。
  90. 土橋正義

    ○土橋政府委員 昭和四十九年の大事故を契機に、東京湾とか大阪湾等に一万トンの強制水先区が導入されたわけですが、そのときに、運輸大臣の諮問機関でございます海上安全船員教育審議会というのがございます。この場で御講論いただいてトン数を決めたわけでございますが、何せ、例えば東京湾を強制化しようとする場合、非常に広い水面でございますので、いきなり対象を広げますと、水先人の養成が間に合わないというふうな、そちらの事情がございまして、とりあえず一万トン以上を、例えば東京湾について強制区にしようか、ただ四年後をめどにこれを三千トン以上に引き下げなさいというふうな答申もいただいておったわけでございますが、実はこの一万トンに入れたまま三千トンへの引き上げはなされないで今日まで来ている、こういう状況でございます。
  91. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 一万トン以上でやりましょう、四年目から三千トン程度をめどにという話であったが、そこに三千トンになるかならないかという審議があったのかないのか。なぜそのまま変更もなく、当初の答申では四年目に三千トン程度以上というような目安で始まった制度が現在まで来ているのか。そのことについての経緯を教えてください。
  92. 土橋正義

    ○土橋政府委員 一万トンの強制区のトン数の引き下げ問題については、ちょっと記憶があれかもしれません、その後、五十六年に先ほど申し上げました海上安全船員教育審議会で再度審議されております。そのときに議論として出ましたのは、東京湾を対象に五十二年に一万トンの強制水先を導入して以来、実は観音崎に海上保安庁の方が海上交通センターという航行管制センターを設けましてレーダーで巨大船の航行管制を始めたことですとか、あるいは海難事故等の推移を見てみますとその後減少傾向にあるとか、そういうことで、当面四年後と予定しておった三千トンの導入、規制強化でございますが、これは見送って、将来の検討課題としてさらに検討すべきであるということで残されておるということでございます。
  93. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 その点、もう一度確認しますが、それは先送りにしたのか、もしくはこの三年間の実施暫定期間の中で、今御指摘があった海上交通センターの設置とか水先の実施等々で海難事故が減少して安全性がある程度担保されたから四年目以後も一万トン以上でいこうとしたのか、どちらなのでしょうか。
  94. 土橋正義

    ○土橋政府委員 五十六年の安教審の答申をそのまま振り返りますと、当面は三千トンは見送るけれども、これは将来の検討課題ですよというふうな結び方になっております。
  95. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 当分の間とか将来というのも非常にあいまいな言葉で、その辺の解釈、認識というのはどうなのか。当事者ではなかったわけですけれども、一万トン以下でもそこそこ安全なのだ、ある程度の安全は担保できたのだ、そういう認識はあったのでしょうか。
  96. 土橋正義

    ○土橋政府委員 先生指摘のとおりでございまして、観音崎の海交センター、それから、もちろん東京湾の中のそれぞれの港でも航行管制の援助のための施設整備、こういうようなものもその間に進んでおります。あるいは、大事故がないというふうなことから、その三千トンへの引き下げは当面見送る、将来の検討課題として残すというふうになっております。
  97. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 繰り返しになって恐縮ですが、それは三年間の猶予期間、暫定期間を経過して、ある程度の安全は担保された。将来また新たに別の問題が発生したときに、この問題を再度検討しようというような理解でいいかと思います。  それで、昭和五十年、一九七五年の安教審の中間答申、今言われた一万トン以上でとりあえずというときのもう一つに、同じ湾内は一体でというような、そういう取り決めがあったかと思うのですが、どうなのでしょうか。
  98. 土橋正義

    ○土橋政府委員 まことに恐縮でございますが、その五十年の答申の原文を手元に持ち合わせておりませんので、具体的にそういう文言があったかどうか、ちょっと私はここで思い起こすことができません。済みません。
  99. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 もし確認できるようでしたら、お願いします。  その中で、今私が提示している大阪湾の中で、大阪港が一万トン以上、それで神戸港は三百トン以上という経緯でずっと来ているわけでございます。私の調べたのは、その中間答申では——中間答申でというより、この強制水先制度の基本的な考えでは同一湾内では同じ制度という了解でおりますし、それが正しいのだろうと思うのですが、大阪港と神戸港の厳然とした差があった。ここでは、まず危険度が、大阪港の危険度が低くて神戸港は危険度が高ければ、三百トンと一万トンの差があるというのは非常によくわかるのですが、その一万トンが設定されたときの危険度の二つの港に対する認識、そして現状、当時の認識と今の状況、随分変わるかと思います。コンテナが導入されて、はしけがいなくなったりとか、いろいろな状況の中で安全度も変わってくると思うのですが、この現状における神戸港と大阪港の安全面に対する認識の推移というのですか、その差というのはどんなものなのか教えていただきたいと思います。
  100. 土橋正義

    ○土橋政府委員 お答え申し上げます。  先ほど先生引用の昭和五十年の安教審の答申によりますと、強制水先制度の導入に当たっての尺度をどういうふうにすべきかというふうなことも審議会で答申いただいております。  それによりますと、それぞれの港湾ごとの、例えば混雑状況、入出港隻数ということだと思いますが、混雑状況ですとか海難の発生状況ですとか自然条件、自然条件は、これは先生今まさしく御指摘の、港そのものが危険かどうか、あるいは防波堤の構造がどうなのか、こういったことだと思います。あるいは港則法その他に基づくそれぞれの港ごとの入出港、着岸に当たってのいろいろなローカルルールがございます。こういう諸規制、こういったものを勘案しながら、強制制度を入れる必要があるのかどうか判断しなさいというふうなことになっております。  それで、神戸港については、先ほど説明しましたとおり、昭和二十五年当時強制化いたしまして、二十八年から三百トン以上の国際航海に従事する船舶について強制化ということになっておるわけです。御案内のとおり、神戸港は横浜と並びまして日本を代表する貿易港でございまして、特に水先というのは外国船が中心になるものですから、そういったことからいっても、いち早く神戸港について国際航海に従事する船を中心に強制化が図られた。  その後、先ほど申し上げましたような経緯で、大阪港につきましては、大阪湾全体の一万トンの強制水先の導入の過程で、昭和六十年でございますが、強制水先制度が入れられたということになっております。  それでは、危険度の認識がどうなのかという二点目の御質問でございますけれども、今回の神戸港のトン数の見直しに当たりまして、私ども、実は日本海難防止協会という公益法人に神戸港、大阪港の分析を依頼しております。その結果がこの二月十日に出てまいっておりますが、これによりますと、神戸港が大阪港に比べて危険度が高いとは言えない。つまり、より安全であるというふうな、結論ではございませんけれども、認識が出ておるというふうなことは言えようかと思います。
  101. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 その日海防というのですか、水先問題検討会でも、現地に来られて当事者の皆さんといろいろ質疑をされたり、現地調査をされていると思うのですが、船主協会というか船主の皆さんのコメントというのはどんなものが出ているのですか、大阪港と神戸港の危険度に関してのコメントについて。これは現状だけでも結構です。
  102. 土橋正義

    ○土橋政府委員 今回の日本海難防止協会の調査の中で、そういうアンケート調査、ヒアリング調査までやったかどうか、ちょっとこの場に持ち合わせておりませんので、これも後ほど先生に資料をお持ちして御説明させていただきたいと思いますが、よろしゅうございますでしょうか。
  103. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 そのことについては、大阪とあれの比較については通告はしていると思うのですが。  一般的に言いまして、非常に大阪の方が奥行きが深くて湾内の状況が非常にわかりにくい。水深も浅い。船主、船長の皆さんのお話なんか聞きますと、非常に大阪港に着けるときの方が緊張感が高くてフラストレーションを感じる。これは、大阪の所属の人たちも、神戸の所属の人たちも、一様にそういうコメントをされているというのは、多分その水先問題検討会では当然聴取されているはずです。  実態として、地図も持っておりますが、素人の私でも、神戸の港というのは、どちらかというと非常に人工的につくられた、非常にわかりやすい、また出入り口もはっきりしている港でございまして、大阪港の方が危険度が高いことはあっても、神戸の方が高いということは非常にあり得ないんじゃないか。これはもう、私の個人的な意見というよりも、業界関係者の定説ではないかと思いますし、運輸省の皆さんも多分そう認識されていると思いますが、その点についてはどうですか。
  104. 土橋正義

    ○土橋政府委員 先ほど引用いたしました今回の日本海難防止協会の調査の中で、実際に船を、まあこれはシミュレーションでございますが、操船させまして、それぞれ操船者が感じるストレス度合いを客観的に計測して、それの神戸港、大阪港の比較ができるような実験もやっておるわけでございます。これで見る限りは、先生指摘のとおり、確かに、大阪港へ入港する場合、これは大阪港の入り口九キロ手前ぐらいから岸壁に、二十八岸壁だったと思いますが、入るまでの航路でございますが、計測する限りは、そこのストレス度が大分神戸に比べて高いことが目立つポイントが多いというふうな結果になっております。
  105. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 神戸は、確かに貿易港ですけれども、逆に言うと、貿易港ですからタンカーとかの入港というのは極めて少ない港だと思うのですが、危険度の高いタンカーの入港が低いという認識はどうなんでしょうか、正しいのか、間違っているのか。
  106. 土橋正義

    ○土橋政府委員 お答え申し上げます。  先生の御指摘のとおりでございまして、神戸港は非常に計画的に築港されておりまして、そういう危険物につきましては、和田岬の裏側のところへ集中的に処理できるような施設が整備されております。  ただ、若干ながら、ちょうど中央部になりますが、第三航路を通ってMCターミナルというところが真ん中の部分にございます。この部分に、年間の隻数にいたしまして百隻ぐらいでございますけれども、出入港の回数でいうと二百回のそういう、LPG船ですとかケミカルタンカーですとか、入出港を繰り返している、こういうことを聞いております。
  107. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 私、今の質疑のやりとりをして改めて思ったのは、どうも横浜といい神戸といい、古くからあった港が、当時の港に強制水先制度というのが導入されたときに三百トン以上という制度がかかった。その後、昭和五十年から六十年にかけて、大阪港とか東京港とか、どちらかというと、その周辺の港に、当時の規制緩和ということもあったでしょうし、水先案内人の要員が足りないということもあったでしょうし、海難事故の件についてもいろいろデータがあったということで、一万トンということができたと。  だから、この一万トンという設定をしたときに三百トンの方に手をつけなかったというのは、やはりやり残したことであって、昭和二十八年、九年からの、政治としてと言っていいのかどうかわかりませんが、行政として放置してきた制度なんじゃないかというふうに僕は思うのですね。  今回、震災でたまたまこの三百トン以上の強制の神戸から一万トン以上の大阪に物流が流れた。ということは、さっき冒頭に聞きましたけれども、一万トン未満の船が神戸に着いていたのが大阪に着くと、水先人を乗せなくていいと。水先料というのは大変な金額、ポートチャージのかなりの部分を占める高い金額であって、それをするんだったら、大阪に着けて、そこから内陸で輸送した方がかなりコストが安くおさまるということが震災を機に改めて発見されて、今日に至っているのではないか。このことが、大阪に流れて、先ほど大臣、お答えいただきましたが、この差がなかなか回復しない大きな要因になっているのではないかと思うのです。  ちょっと、一点聞き忘れましたが、危険度の尺度として、コメントだけではなくて、海難事故の件数ですか、水先案内人を乗せていない海難事故、衝突事故のたぐい、この大阪港、過去どのぐらいあったのでしょうか。
  108. 土橋正義

    ○土橋政府委員 お答え申し上げます。  神戸港、大阪港における海難事故の件数でございますが、これは年によって凹凸がございますので、五年間の総計で申し述べさせていただきたいと思います。  平成五年から九年にかけての五年間でございますが、大阪港では二十七件、それから、神戸港についてもお尋ねでしょうか。(赤羽委員「いや、大阪だけでいいです」と呼ぶ)はい。二十七件ございます。これは海上保安庁の方に救助を要請した海難ということで、自力で何事もなく、一度事故といいますか故障があったけれども、そのまま出たというのは含んでおりません。そういうあれで二十七件でございます。
  109. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 私が聞いたいわゆる衝突とかというのは、二十七件ではなくて、そのうちの六件とかその程度の件数ではないですか。
  110. 土橋正義

    ○土橋政府委員 大阪港について申し上げますと、今の二十七件のうち、衝突は八件でございます。
  111. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 大阪港の衝突が、八件が多いのか少ないのか、安全度がどうなのかというのは議論の余地があるかと思いますが、私は……(発言する者あり)じゃ、別に対応するわけではありませんが、日本の水先案内人の平均年齢を教えていただけますか。
  112. 土橋正義

    ○土橋政府委員 お答え申し上げます。  平均年齢は六十三歳強でございます。
  113. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 それは諸外国、今言った香港とかに比べるとどうなのでしょうか。
  114. 土橋正義

    ○土橋政府委員 まことに恐縮でございます。ちょっと諸外国の水先人の年齢構成までは調べておりません。
  115. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 比較すると、二十歳ぐらい上なのじゃないかということを読んだ記憶がございます。  要するに、船長のOBの人たちが水先案内人になっているわけでして、何というか、悪く言うと、私は別に水先案内人の、その制度の安全性まで否定するつもりはございませんけれども、ある程度、三百トンを一万トンに引き上げるときに失われる雇用の場というのですか、そういったことというのも非常に制度を直すことに対する逆ベクトルの力として作用しているのじゃないかなという感想を持っておるのです。  しかし、今回は、話を本論に戻しますと、震災を機にこういった問題が実は神戸から、平成七年の九月に運輸省に対して要望し、それから、御説明がありましたように、日本海難防止協会の中で水先問題検討会が翌年の平成八年の五月に始まりまして、先ほどおっしゃられたように、何回か回を重ねて、ぎりぎりの段階まで来ているわけです。  ですから、この場で、大臣にもこの質疑を聞いていただいたと思いますが、ここは恐らくこの中間報告の中でも、答申としても煮詰まっておると思いますが、大阪港と神戸港の水準を合わせるということをぜひ大臣から御発言いただきたいと思います。
  116. 藤井孝男

    藤井国務大臣 午前中の質疑の中で運輸行政基本的な政策についての質疑がございましたときに、また私が運輸大臣に就任いたしましたときにも申し上げて、これはもう基本でありますけれども交通、それは鉄道であれ、また航空であれ、あるいは船舶であれ、まず我々が一番気をつけなければいけないことは、安全の確保ということでございます。そういう観点に立って、これからの運輸行政について、また御答弁もたびたび申し上げておるとおり、やはり国際化時代競争時代にふさわしいような対応もしなければならない。  大変お恥ずかしい話なのでございますが、私が運輸大臣の任に合うのかどうかというのは、いまだに私自身がその点については内心じくじたるものがあるわけであります。と申しますのは、私の出身は岐阜県でございまして、岐阜県は山の県でございまして、海に面しておりませんので、港というものがございません。また、飛行場にいたしましても、民間の飛行場は持っていないという県でございますので、私も、運輸大臣に就任をいたしまして、やはり自分が一番かかわりのなかった港湾空港、そういったところをまず真っ先にこの目で見て、どういうところに問題があるのか、どういう点が重要なのかということを知らなければいけないということで、時間をつくりまして、神戸港も視察をさせていただきました。横浜港、東京湾あるいは関西空港ですとか成田あるいは羽田空港等々を精力的に私も視察をしてまいりました。  そこで、今、先ほど来の赤羽委員政府委員とのやりとりを聞いておりまして、私自身も、正直、こういう水先案内人の強制案内の制度がどういう基準で決められたのかというのは、就任いたしまして初めて知ったわけでございます。  しかし、やはり安全の確保を重点に置きながら、しかし、それが今の大阪港あるいは神戸港、あるいは東京港と横浜港を含めまして、やはりそういった面につきましては、私は、今回、海上安全船員教育審議会水先部会で検討を重ねてまいりまして、神戸市の意向等も十分お聞きいたしております。そういう中で、大阪港と同一のトン数にする方向で今検討を行っており、今月中にも海上安全船員教育審議会の答申をいただいて結論を得たいと考えているところでございます。  しかし、毎回申し上げますけれども、当然のことながら、安全対策等に十分配慮しなければならないことも、これもぜひ御理解いただきたいと思っております。
  117. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 安全対策が最重要であるということは言うまでもございません。先ほどの東京の場合でも、観音崎のああいうセンターがあったということが、四年目の三千トンというものを先送りした理由になっていると思います。  しかし、大臣、この場は国会で、一番の、最高の議決機関というか、議会でございます。一万トンにするとかということよりも、同じレベルにするということをぜひ言い切っていただけないですか。
  118. 藤井孝男

    藤井国務大臣 先ほどもお答え申し上げましたように、安全対策等に十分配慮しつつ、神戸市の意向にこたえられるよう、大阪港と同一のトン数にする方向で検討させていただきたいということで御理解いただきたいと思います。
  119. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 実は、私は今、昼間会合から戻ってまいりまして、うちの秘書が地元の新聞を持ってまいりました。「一万総トンに緩和 競争力を回復へ」という決定が出ている。恐らくこれは、多分自民党のどこかの部会で出たのじゃないかなと勝手に想像もしておりますが、しかしそういうところで決まったことが地元で流されている。しかし、議会で私が、運輸委員会という場で大臣と一対一で質問しながら、大臣は、検討したいと。これは全くおかしな話で、どこで国の施策が決まっているのかという話になりませんでしょうか。  ですから、私は大臣をいじめるつもりはないのですが、これまで二年間精力的に水先部会ですか、でやっていただいたわけですし、どうか大臣には、もうこの国会という場で、ぜひこの前の予算委員会の答弁のときのように言い切っていただけたら、神戸の皆さんも、また横浜にも関連してくるかもしれませんが、非常な朗報として受けとめられることだろうと思うのですが、大臣、どうでしょうか。
  120. 藤井孝男

    藤井国務大臣 繰り返すようで恐縮でございますが、委員、ぜひ御理解いただきたいと思います。  与党の方あるいは自民党でどういう議論がなされてきたかは私は承知をいたしておりませんけれども、制度を決める場合に、あるいは規制を緩和する場合においても、先ほど申し上げた水先部会の場であるとか海難防止協会であるとか、そういう場を通じ専門家の意見も聞きながら、そして、決してそれが安全確保を損じてはいけないという観点から申し上げたつもりでありまして、先ほども御答弁申し上げましたように、今月中に海上安全船員教育審議会の答申が出る予定でございますから、それをいただいて結論を得たいというふうに申し上げました。  また繰り返しますけれども、神戸市の意向にこたえられるよう、大阪港と同一下ン数にする方向でということで御理解いただきたいと思います。
  121. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 私は政治家になって余り嫌みを言うつもりではありませんが、ちょっと運輸省の方に聞きたいのですが、この記事は、運輸省はこれこれこれこれ、一万トン以上に大幅に緩和することを決めたというふうな記事になっているのですけれども、これは間違いということですか。
  122. 土橋正義

    ○土橋政府委員 まことに恐縮でございますが、恐らく神戸新聞のきょうの朝刊の記事からの引用だと思いますが、これの出所等については、私ども、ちょっと承知しておりませんので、御答弁は差し控えさせていただきたいと思います。済みません。
  123. 藤井孝男

    藤井国務大臣 コピーがここにございまして、今見ましたのですが、この記事をそのとおり読みますけれども、これは運輸大臣が、私が「海上安全船員教育審議会に水先制度の見直しを諮問しているが、同審議会は、三月下旬の答申に神戸港の水先制度の緩和を盛り込み、同省も答申を受けて関係政令の改正作業に着手する。」これでぜひ御理解いただきたいと思います。
  124. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 こういった手続を踏むけれども大臣は内々としてもう決めている。この新聞のあれは、神戸新聞の話ですから、運輸省が決めたという主語述語になっているのは問題かもしれませんが、そういうふうに受けとめておきたいと思います。  ただ、私、旧国鉄の債務のときにも言いましたが、非常にわかりにくいことはよくないと思う。もうそういうことはやめたいなと、はっきりして別に平場で話をする、国会で率直に議論をする。こういう審議会があって答申を受けてという場は当然大事だと思いますが、我々も地元を代表し、地元の声を受けて、その使命を受けて出てきているわけでして、ここで質問する前に、例えば、地元の議会の代表が来て内諾を得て地元で発表しているようなことが、これがあったかどうかはわかりませんよ、そういったケースがもしあるとしたら、何かおかしな話だな、国会の権威というのはどこに行ったのかなというふうなことも思います。ですから、いろいろ事情はあるかと思いますが、大臣は大変率直に御答弁いただいていると思いますが、ぜひよろしくお願いを申し上げたいと思います。  若干、時間を食いましたが、次に、日本を代表したはずの神戸港が、先ほどお話がございました香港、一年間で千二百八十万個ですか、これは九六年ですか、シンガポール千二百九十五万個、香港千二百八十万個、高雄が四百八十六万個、釜山が四百六十八万個、神戸が二百五万個というか二百五万TEUですか——個数ですね。これはオールジャパン、日本全部合わせても多分一千万個ぐらいじゃないですか。日本の全部の港を集めてもシンガポール、香港には既にかなわない状況になっている。  これはしかし、十年前のデータはございますか。十年前、私が持っている数字で、正しくなければあれですが、神戸は世界で三位なんですね。香港は五位で、シンガポールは二十三位、高雄も二十二位、釜山は二十九位。シンガポールや高雄は神戸の約四分の一、釜山は五分の一というような状況でありました。ところが、二十年たった今は、我が神戸というか、日本を代表するという意味で神戸も横浜も似たようなあれだと思いますが、神戸の六倍以上の取り扱いをしているわけですね。どうしてこれだけ国際的な競争力が逆転してしまったのかと率直に思うわけですが、まず確認したいのは、例えば神戸港のバースの数とかガントリークレーンの数とか、あとは蔵置の能力とか面積、そういった面を香港やシンガポールや高雄や釜山と比較して劣っているような状況にあるのですか。
  125. 木本英明

    ○木本政府委員 コンテナターミナルという観点で見れば、昔は水深十メートルとか十二メートルといったものが標準でありましたけれども、最近のコンテナ船の大型化に対応いたしまして、いわゆる世界の基幹的な航路ネットワークを形成する主要港湾というのは、もう十五メートル級の大水深のコンテナターミナル整備しなければ十分な機能を発揮できないという状態になっております。  そういう大水深の、いわゆる最先端のコンテナ対応というターミナルも、そういう視点で見れば、神戸港はつい先月、十五メートルが二バース追加されまして、合計四バースになりました。横浜港にはまだ十五メートルバースがないということで、日本全体では神戸港の四バースだけが今稼働、機能しているということでございまして、例えば香港ですと既に四バース、シンガポールですと六バースが供用されているということで、さらに二〇〇〇年に向けて大変な数のコンテナバースが整備されていく、こういった状況で見れば、我が国のコンテナ港湾は大水深化に大変おくれているということが言えるかと思います。  現在、少しでも早くそういった整備を進めるべく、重点投資に努力いたしておるところでございます。
  126. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 オールジャパンとしてはおくれているという御答弁はいいのですが、単体の神戸港と香港の港、シンガポールの港との比較、今十五メーターバースの話もありましたが、例えばガントリークレーンの数なんかの比較ですと、設備的に劣っているのですか。
  127. 木本英明

    ○木本政府委員 全体の量的に見ればそう遜色ない状態にあるかと思いますけれども、いわゆるコンテナ船の大型化対応に大変おくれている状態でございまして、神戸港がその中で比較的早く整備を進めてきておりますから、先ほどお話しいたしましたように、コンテナ大水深ターミナルとしては四バースが整備されている。それに対応するガントリークレーンも整備されているという状態でございますが、今後まだ二〇〇〇年に向けてあと数バース整備していく需要があるということで私ども計画いたしておりますので、そういったことで今後とも進めていきたい、こういう考え方でございます。
  128. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 今の御答弁にもありますように、私の調べた部分でも、ガントリークレーンの数、バースの数、それは神戸の単体で考えれば、香港、シンガポール、高雄、釜山なんかよりはかなり、設備的には世界一のレベルにあるということは言ってもいいと思うのですね。ところが、例えばバース当たりの年間取扱個数でいいますと、神戸は八万四千個です。一バース当たりのコンテナ、四十フィートだと思いますけれども、香港は十倍なんですね。シンガポールも十倍です。高雄とか釜山については三倍、四倍の数です。これはガントリークレーンの一個当たりについても似たような数が出ておるのであって、要するに、施設は世界一流であるけれども、稼働の割合というのですか、遊んでいると言っていいのかどうかわかりませんが、十分に使われていないという状況が実態としてあるのではないか、それはいろいろな理由があると思います。  その中で、本船荷役の稼働状況について、日曜日荷役をしているのかどうか、それと二十四時間荷役、これは世界ではかなりやっているところが多い、常識とも言えると思いますが、日本のメーンポート、特に神戸ではどうなのか。また、先ほど言った香港、シンガポール、高雄、釜山ではどうなのかという状況を教えていただけますか。
  129. 岩村敬

    ○岩村政府委員 まず、日曜荷役の方でございますが、先生今御指摘のあったアジアの港、高雄、釜山、香港等アジアの主要港におきましては基本的に日曜日も荷役をしておるという状況にございます。  また、二十四時間荷役の方でございますが、これも今申し上げたアジアの主要港では二十四時間荷役をいたしております。一部の港では年末年始休んでいるところがございますが、基本的に、日曜も含め、荷役がされておるという状況でございます。  そして、日本の神戸の港の方でございますが、神戸の港につきましては、横浜、東京等の他の五大港と同様に、労使協定に基づきまして、船社の要望があれば、夜間荷役を実施しているところでございます。  ちなみに、神戸港におきまして調査をいたしましたところ、昨年の十一月までの一年間に二百六十三隻のコンテナ船の荷役がされておりますが、十八時以降の荷役が百十七隻、すなわち四四・五%は夕方六時以降まで荷役をしておりますし、深夜の二十四時以降に荷役をいたしましたのが四十四隻ということで、これまた全体の荷役をいたしました船の二八・七%が深夜にわたり荷役をされているということで、実績もそれなりに出ておるところでございます。  また、日曜荷役でございますが、神戸港を含みます日本の大きな港につきましては、労使協定に基づいて行われております。ただ、この労使協定が、つい先日でございますが、三月九日で期限が切れておりまして、そういう意味では、今鋭意労使で労使協定を改めて結ぶべく労使交渉を繰り返しておりますが、このまま労使協定が結ばれませんと、今度の日曜日から日曜の荷役が一時ストップすることになる状況にございます。  運輸省としては、やはり日曜荷役も大事ですし、また船社の要望によって二十四時間といいますか、夜間の荷役もこれまた大事なことでございます。そういうことをきちっとして、よりよい荷役サービスを提供できるようにすることが非常に日本の港にとって大事なことだと認識しております。この日曜荷役の問題についても、労使による積極的な取り組みが図られまして、早期に再び日曜荷役が行われるよう期待をしておるところでございます。  それから、先ほどデータの時点をちょっと言い間違えたようでございまして、一昨年の、平成八年の十一月でございます。失礼をいたしました。
  130. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 諸外国比ですと、稼働日数は比較でいけば少ない。多分港湾の利用料金も当然日本の方がチャージは高い。その中で、人件費が高いというのはどうしようもない部分があるのでしょうけれども、よく聞くのは、輸入の通関の事務の日数がかかる。  例えば、日本に食品類が入ってきますと、植物検疫をする、食品の衛生検査をする。関税、これは大蔵省、食品衛生検査は厚生省、検疫は農水省ですか、その後港湾管理手続というふうなことを、縦割りの中で、神戸では、たしか二十数種類の書類を持ってやらなければいけない。片や、今シンガポールの目標は二十八分で輸入通関を終わらせる。これは多分窓口の一元化とかコンピューターオンライン化とかあるのでしょうし、これはちょっと本当かどうかわかりませんが、航海中にも通関手続の申告ができるとか、そういった部分があるのだと思うのですが、日本の実態、平均値というのはどのぐらい、二十数種類の書類を持って駆けずり回って、何日ぐらい平均かかっているのでしょうか。
  131. 木本英明

    ○木本政府委員 船が、輸入の貨物が入ってきまして通関等の手続を経てコンテナターミナルから出ていくのに、日本では平均四、五日かかると言われております。一方、シンガポールとか欧米等の港では大体一日から三日ぐらいという状態になっております。
  132. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 一日から三日、そんなにかかっているのかなと、それは多分かなりのレアケースじゃないかと思うのですが。著しく人件費が高い上に日数がかかる。当然滞船チャージとかそこにもろもろにかかってくる費用が発生するということは考えれば当たり前のことですが、ここについて具体的な改善策も検討されているというふうに聞いておりますが、そのことを簡単にお知らせしていただければと思いますし、今運輸省さん、また大蔵なのかもしれません、考えられているシステムが、縦割りの日本の社会の中でシンガポール並みに効果を発揮する見込みがあるのかどうか、その答弁をいただけますか。
  133. 木本英明

    ○木本政府委員 先ほどの私のお答えで、いわゆる通関業務手続だけで見れば、確かに先生おっしゃるように、シンガポールではコンピューター手続をやっておられましてそんなに時間がかからないというふうに聞いております。ただ、通関手続その他いろいろな手続を経て、ターミナルから出ていくのに平均どれぐらいの日数ということでお答えをさせていただきました。  それから、ただいまのお尋ねですが、いわゆるいろいろな手続が各官庁にまたがっておる、いろいろな書類をたくさん各官庁に出さなければならないというのが日本の現状になっておりまして、例えば、シンガポールですとそういったいろいろな手続がすべてコンピューター処理をされるということになっております。いわゆるペーパーレス、ワンストップサービスが実現されているということになっております。  そこで、やはり日本の港も、現在そういうEDI化に大変おくれておりますので、大蔵省の税関初め関係官庁と一緒になりまして、いわゆるペーパーレス、ワンストップサービスの実現に向けて現在検討を進めております。来年には日本の主要港でペーパーレス、ワンストップサービスが実現できるように今準備を進めておりますので、神戸港や横浜港ではそういったことが実現できるのかな、こういうふうに考えております。
  134. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 何とかその時間の短縮化、また効率性を上げるという努力がされることを私は期待をしたいと思います。  最後に、大臣にお聞きしたいのです。  日本はこれまでどちらかというと、地方のローカルポートの整備を丹念にしてきた。その中で、それだけが原因ではないと思いますが、規制という壁もある中で、神戸港とか横浜港とか世界のトップランクにいた港が、今お示ししたように、相対的に国際競争力を失っているというのが実態であると思うのです。この中で、大臣として、また運輸省として、今後−神戸港がとは言いません、日本の中で本当に国際的競争力を持つ国際ハブ港を育成しようとする思いはあるのか。また、そういう予算づけをしていくのかどうか。このことについて大臣の答弁をお聞かせいただきたいと思います。
  135. 藤井孝男

    藤井国務大臣 先ほどもちょっと申し上げましたように、私も大臣に就任をいたしまして、積極的に港湾空港等視察してまいりました。先ほど来より委員政府委員とのやりとりをお聞きいたしておりまして改めて感じましたけれども、私も実際視察をして感じ、また説明を受け感じましたことは、委員のおっしゃられるとおり、我が国の港湾システムと申しましょうか、対応、整備というのは一言でいえば大変おくれているということは、事実だと思います。私もそういうふうに率直に思っているところであります。  これはいろいろな事情があったと思います。しかし、むしろ欧米あるいはシンガポール、香港等の方がコンテナの大型化に早く対応してきた。一方、日本の場合は、特にコンテナの面につきましての取り扱いが、対応がおくれてきたのだというふうな感じを持っております。  と同時に、先ほど来のお話にありましたように、荷役の問題、あるいはハードばかりでなくてソフトの面、EDI化のおくれ、今港湾局長が答弁いたしましたように、ペーパーレス、ワンストップ化も、ようやくと申しましょうか、我々は努力してきた、決して怠ってきたわけではありませんけれども、縦割りの行政とよく言われますけれども、そういった点で我々は反省をしなければならない点があります。  今後は、国際競争の激しくなるグローバル化あるいはボーダーレス化の中で、やはりこうしたハブ港湾ハブ空港ハードの面、ソフトの面で重点的に整備を進めていかなければならないというふうに考えておりますし、これからも最善の努力を図っていかなければならないと考えております。
  136. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 ありがとうございます。  あの後背地を持たないシンガポール港がこの二十年間でコンテナ取り扱いが六十倍にもふえ、世界で一番の拠点になったというのは、国策があったからだというふうに私は思っております。限られた運輸省の予算であると思いますが、それは中途半端な投入ではなくて、その視点を持って、国際ハブ空港と国際ハブ港を育成するために、ぜひ御尽力していただきたいと思います。  ありがとうございました。
  137. 大野功統

    大野委員長 次に、松浪健四郎君。
  138. 松浪健四郎

    ○松浪委員 自由党の松浪健四郎でございます。きょうこうして質問させていただけることを大変うれしく思います。  きのり、藤井運輸大臣の衆議院運輸委員会における運輸大臣所信表明をお聞きいたしました。大変よかったなというふうに思っておりますことは、予算委員会の質疑を聞いておりますと、官僚の汚職、そしてこれら高級官僚の人々の人格の問題にかかわるような議論が展開されていることを大変悲しく思うわけですけれども、それに比して、大臣所信表明の中にはそのようなことが一行もなくて、一言もなくて、そして、施策だけ、運輸行政だけに力点を置かれ述べられていた。これは本来あるべき姿であるわけですが、よかったというふうに私は思っております。  ところが、常日ごろからはつらつとされている運輸大臣であるにもかかわらず、きのうの表明はえらい元気がなかった。何でこんなに大臣が元気なく表明をされるのか、私自身理解に苦しみましたけれども、もしかしたならば、二十八兆円に上る旧国鉄債務のことが頭にあって、しんどいな、苦しいなというふうに思っているのか。あるいは、平成十年度予算案が通った後すぐさま補正予算を組む、しかし、そのことは口に出して言えない、橋本総理と同じである、良心の呵責に耐えかねて元気がなかったのか。私は個人的にそういうふうに思っておったのですが、大臣、まず、元気があるのかないのか、そこからお聞きしたいと思います。
  139. 藤井孝男

    藤井国務大臣 さすが松浪委員、スポーツを通じていろいろ活躍をされたことで、その眼力と申しましょうか、見抜かれてしまったかなというふうに私は率直に受けとめさせていただきます。  実を申しますと、今委員が御指摘された両方ともでもございません。単に私、大変申しわけなく、恥ずかしながら、風邪を引きまして、きのうは大変熱っぼく、そしてのども痛み、きょうも鼻声ですが、これはいかぬということで、昨日は私にしては珍しく十時前に床につきまして、きょうは体力十分で、風邪も回復いたしました。ただ、ちょっと先ほど来鼻声だけがまだ残っておりますが、大変元気でおりますので、ぜひともその点は御安心いただきたいと思います。
  140. 松浪健四郎

    ○松浪委員 ただの風邪ということで安心しましたけれども、口には出しては言えないけれども、やはり国鉄の問題、それから予算案の問題で頭がいっぱいであろうか、このように御推察申し上げます。  所信表明の中で、  行政改革会議から、国土交通省の設置を初めとする中央省庁再編案等が報告されたところであり、運輸省としては、二十一世紀にふさわしい総合的な交通行政の実現に向け、安全の確保基本としつつ、陸海空にわたり整合性のとれた交通体系の形成と安定的で質の高い交通運輸サービスの提供を目指して邁進してまいる所存でございます。 非常に結構な内容だと思うのですけれども、小泉厚生大臣が提起されましたが、省庁の名前のっけ方について、運輸省は、この行政改革会議から、国土交通省という名前にしようという案らしいのですけれども、なるほど非常にわかりやすい。けれども、ちょっと軽いのではないのか。そして、我が国の運輸行政歴史を踏まえてつけるとしたならば、もうちょっと何かふさわしい呼称、名称がなかったか。この国土交通省の名称について大臣がどのように考えられているか、お聞きしたいと思います。
  141. 藤井孝男

    藤井国務大臣 午前中にも同趣旨の御質問がございました。  確かに、今度の行政改革会議の最終報告において四省庁が合体をするわけでございます。運輸省にかかわりのある関係者の皆さん方、あるいは歴代運輸大臣の方々もそうでありましょうし、また建設省も同じことだろうと思いますけれども、できれば運輸省という名前が残れば一番よかったのではないかというふうに私も推察をいたします。  しかし、四省庁が一緒になりますから、やはりどこかでまとめなければいけないということになりますと、それぞれの省庁が、いや、自分のところの名前ということになりますと、収拾がつかなくなるということがありますし、やはり今度の行政改革会議の最終報告、そしてまた、これから基本法案等におきましては、交通政策の総合的な、一体的な政策を進めていく上において、よく言われるように国土の均衡ある発展、その中に交通総合政策をどう取り込んでいくかということでありますから、そういうことからすれば国土交通省というのは、今委員指摘の軽いか重いかということは別にいたしまして、国土交通省が妥当ではないかなというふうに感じておるところでございます。
  142. 松浪健四郎

    ○松浪委員 所信表明の中にいろいろなことが書かれてあるわけですけれども、中ごろに「空港につきましては、国際ハブ空港を初めとする大都市圏における拠点空港整備を最優先課題として推進いたします。」このように述べられました。そして、昨年末の概算要求では一千二十九億円を関西国際空港の二期工事のために要求され、そして平成十年度予算の中には九百十七億円を計上していただく。これは、運輸省の皆さん、それから運輸大臣に多大なる御尽力を賜ったたまものというふうに感謝を申し上げております。  そして、この関空の二期工事がうまいこといけばええな、ありがたいなというふうに思うわけですけれども、この関空の二期工事について幾つかの御質問をさせていただきたい、こういうふうに思います。  それで、関空の二期事業につきましては、平成十年度予算案に、先ほど申し上げましたように、現地着工準備事業費という費目で計上されておりますけれども、これで二〇〇七年に供用が開始できるそのスケジュールどおりいくだろうかという不安感を私自身持っておりますけれども、そのことについてお聞きしたいと思います。
  143. 藤井孝男

    藤井国務大臣 先ほども赤羽委員の質問にお答えいたしましたけれども、最後のところで、日本がハブ空港ハブ港湾等の対応がおくれているということを、率直に私はそういった状況にあるということを申し上げました。  空港につきましても、成田空港も今話し合いを前提に何とか二〇〇〇年度末までに平行滑走路二千五百メートルを整備したいということで、今懸命に関係者の皆さん方が、地権者の皆さん方と地主の皆さん方と話を続けておるところであります。関西空港につきましても、一期工事が済み、そして供用開始され、順調に需要も伸びて、いよいよ二期工事ということに相なっておるわけであります。  私は、まず結論を申し上げますと、二〇〇七年の平行滑走路の供用を開始するというスケジュールは達成可能であるだろうと思いますし、達成せねばならないと思っております。それにはやはり、委員御地元の御出身でございますから、また御地元のいろいろな御理解、御協力も得なければなりませんけれども運輸省といたしましては、最大限の努力を払い、二〇〇七年までに供用開始するように努力をすることをここに披瀝いたしたいと思います。
  144. 松浪健四郎

    ○松浪委員 大臣の強い決意に感謝を申し上げたいと思います。  ところが、ちょっと懸念している問題がありまして、これは大阪府が運輸省に質問をし、そして運輸省が答えられたことなんですが、ちょっと読ませていただきます。「関西国際空港の飛行経路等に係る諸問題に関する大阪府の見解」において、「この問題点の背景が、三点セット当時の予測技術の限界や予測の甘さに加え、わが国の航空政策において、全国的な航空交通容量の確保が十分になされなかったことにある」との認識に対する運輸省の見解を示してほしい、その答えが以下であります。  長いのですけれども、はっきり申しますと、開港がおくれたために当初決められていた飛行ルートだけでは十分でなくなってしまった。そこで、いわゆる陸上ルートと言われる、三点セットになかった飛行経路を必要とするようになってきた。この答えは、とにかく開港に四年おくれた、想定できなかったということであります。  そこで、私のお願いしたいことは、今大臣が言われましたように、二〇〇七年には供用を開始する。もしこれがおくれてしまうと、飛行ルートにまた大変難しい問題が生じるということを十分御理解しておいていただきたいというお願いでございます。  そこで、新しい飛行経路案については地元から環境面の特別な配慮が求められております。これに関して、運輸省はどのように対応していくのか、お尋ねしたいと思います。
  145. 楠木行雄

    楠木政府委員 新しい飛行経路案について地元から環境面の特別な配慮が求められているけれども、これに対する対応方針いかんという質問でございます。実は、昨年六月に地元に提案をさせていただきました新しい飛行経路案を含む「関西国際空港の飛行経路問題にかかわる総合的な取り組み」という問題につきましては、大阪府に設置されました関西国際空港の飛行経路等に係る専門会議におきまして、この三月二日に、環境影響をさらに軽減するための六項目の特別の配慮というものを運輸省に申し入れるべきであるという所見が表明されております。  その後、私どもの方はまだ大阪府からの申し入れというものを受けてはおりませんけれども運輸省といたしましては、このような申し入れがなされました場合には、航空交通の安全性の確保の必要性等を踏まえつつ、その内容について十分検討してまいりたいと考えております。
  146. 松浪健四郎

    ○松浪委員 この飛行ルートは三点セットで、努めて海上を航行し、低空では陸地を飛ばない、それが明記されていて、陸を飛ばないということで関空ができ上がりました。ところが、急に陸を飛ばなければいけなくなったというようなことになったわけですけれども運輸省は一生懸命地元の説得と理解のために東奔西走されていることは、私は十分に承知しております。  そこで、本当に地元の人たちが国を信用できるか。私は、地元と運輸省が信頼関係を構築して、そして関空ができ上がった、このように理解しておりますけれども、突如としてこの飛行経路が出てきたばかりに、二期工事に大きな障害になっておることは他言をまつまでもありませんけれども、とにかく地元の皆さん方は国の言うことは信用できない、この信頼回復のために全力を挙げて、解決していただけるよう要望しておきたいと思います。  そこで、先ほどお話がありましたように、環境面のことでございますけれども、これは特別に配慮をしていただかなければならない。それは、単に国の環境基準をクリアするにとどまらず、三点セットの基本的な考え方を堅持する観点から、環境影響をさらに軽減するためにお願いしたいということであります。  六項目あると言われましたけれども、何が六項目かさっぱりわかりませんから私の方から言わせていただきますけれども、大阪府南部の居住地域において騒音に関する苦情が生じている現状を踏まえ、将来予測をも考慮に入れた騒音影響を軽減するための措置、深夜用経路の運用時間帯をさらに拡大する措置、新経路案の具体的な運用について航空需要の動向、環境影響等を考慮した措置、飛行高度、飛行経路の遵守に関する明確な担保措置、これは後でお聞きしますけれども、苦情処理体制の強化措置、そして最後に環境監視体制の強化措置というものであります。  運輸省は、この新しい飛行経路案については、陸域上空に進入するときの高度は八千フィート、二千四百メートルですけれども、それ以上を確保するというふうに言われているわけですけれども、この高度の遵守についてはどのような形で担保するのか、できるのか、これをお聞きしたいと思います。
  147. 楠木行雄

    楠木政府委員 ただいまお尋ねがございました、関西国際空港の出発機が陸域の上空に入ります地点で八千フィート以上の高度を飛行することをどうやって担保するのかということでございますが、これは運輸大臣が発行しておりますAIP、エアロノーテイカル・インフォメーション・パブリケーションという航空路誌によりまして周知をすることにしておりまして、これによりまして担保できるものと考えております。
  148. 松浪健四郎

    ○松浪委員 そのAIPに記入しておれば、いろいろなところから騒音の問題あるいは苦情等が出てこないというふうに思いますけれども、飛行機は道を走るわけではないから、当然気象条件等によってずれることなどもあるわけですね。左右にずれることは理解できるのです。高度については、そのAIPに記載すれば確実に八千フィートを担保できるということなんですか。
  149. 楠木行雄

    楠木政府委員 AIPというものにつきましては、航空機のパイロット等に対して航空機の運航のために必要な情報を周知するものでございます。パイロットは、安全確保のために緊急やむを得ない場合などを除きましてこれに従って飛行するものでありますことから、出発機が陸域の上空に入ります地点で八千フィート以上の高度を飛行することは、AIPへの記載で十分担保できるものと考えております。     〔委員長退席、実川委員長代理着席〕
  150. 松浪健四郎

    ○松浪委員 そうであればありがたいのですけれども、もしそうでなかったとしたならば、これは運輸省航空会社に注意するわけですね。  それで、注意だけで済むのか、何かペナルティーがあるのか、その辺をちょっと聞かせていただけませんか。
  151. 楠木行雄

    楠木政府委員 まず、その前に、私どもの方で、管制塔におります管制官の方で出発機の上昇飛行を監視しておりますので、陸域の上空に入ります地点でこれはちょっとおかしいということになりますと、八千フィート以上の高度を確保させるように、その手前で確保の措置をとるということにしております。
  152. 松浪健四郎

    ○松浪委員 とにかく陸上ルートを、この問題を解決しなければ二期工事が前へ進まないというふうな大変な問題であり、そして、運輸省皆さん方はそのためにいろいろと御尽力されていることに敬意を表したいと思いますし、また、地元が受け入れるということになるまで一生懸命頑張っていただきたい、このようにお願いしておきたいと思います。  次に、先ほども申しましたけれども、環境面からの特別の配慮ということでお聞きしたいのです。  この前、実機飛行を行いました。この実機飛行は、二月九日、風の強い日であり、半分晴れて半分雲がある、そういう気象条件下のもとで実機飛行が行われました。私も早朝から貝塚市に参りましてそれを眺めてまいりました。どの程度環境に問題があるのか体験しておかなければならないだろう、こういうふうに思いましたし、たくさんの関係者もこのように実機飛行に注目をされておりました。  その感想がいろいろ言われておるわけでありますけれども、「わざわざ雲が出て風の強い日を選んだのと違うか。」と言う府議会議員もおれば、「音が小さくてよかった。ただ飛行コースを解析して報告をしてほしい。」「伊丹への到着機と重なって、ほとんど聞こえなかった。」こんなに「音が小さいのは飛行機が軽いのと違うか。」ある市長は、一回だけじゃわからぬ。「複数回やってみないと。」そして、最も騒音で苦しんでおられる岬町の町長は、「きょうはえらく上品に飛んでいる。いつもは、もっと低空でかなりうるさい。もっと沖合を飛ぶと思っていたのに、えらく近い。騒音で一番迷惑を被っているのは岬町。関空で潤っているのは二市一町。音聞き料をもらいたい。」というような感想を述べられたり、後に記者会見をされました地元の貝塚市長は、「今日のテスト一回でどうこういうことはない。今は、私は「否」の立場。今後、テストを重ね、そのあと住民合意としてどうまとまっていくかということ。」知事は、この陸上ルート問題は、地元地域、地元の皆さんの理解を得ることが大前提である、今後、複数のテストを重ね、地元にも騒音のデータを公開して、地元の理解を得ることが必要だ、こういうふうに述べられております。  そして、この第一回目の実機飛行は、おおむね運輸省が予測しておった範囲内で、それほどの狂いはありませんでした。わずかに岬町が七十デシベル、和歌山で七十一デシベルを記録したところがございましたけれども、おおむね予測の範囲内であった。そこで、再度の飛行調査を要望しているところでありますけれども、今のままでは、一回目の実機飛行だけでは、地元の貝塚市長は、これでいいだろう、陸上ルートを容認すべきだ、そして市民の皆さんの合意を得られたというふうにはならない、私はこういうふうに思うわけであります。いずれにいたしましても、環境面の特別の配慮という視点からしますと、この実機飛行は陸上ルート導入のためには極めて大切な問題であります。  そこで、エリアナビゲーションあるいは航空衛星システムの導入等、これらが必要になると言われておりますし、二十一世紀の初頭には導入できるのではないのか、こういうふうに言われております。  そこで、それらの状況についてお尋ねしたいということと同時に、私たちは若いときから飛行機に乗っておりますけれども、あくまでも体感ですが、技術の研究開発に伴って、騒音といいますか音がだんだん小さくなってきている。これは二十一世紀の初頭にはまだまだ小さくなっていくのか、そしてそれらの技術というのはどんどん研究開発されているのか、もしおわかりでしたらその辺のところもお聞きしたいと思います。     〔実川委員長代理退席、委員長着席〕
  153. 楠木行雄

    楠木政府委員 ただいま二点御質問がございました。全国的な航空交通容量の拡大を図るための、RNAVと私ども申しておりますが、エリアナビゲーションの略でございますが、これとか、航空衛星システムの導入についての最初の御質問につきまして、まずお答えをさせていただきたいと思います。  RNAVにつきましては、普通、航空機が現在の方式で飛んでおりますのは無線標識の直上をそのまま飛ぶという形でございますけれども、そういうことではなくて、さらに広い広域的な中で航路を設定することができるわけでございます。例えば直線的な航路の設定とか、あるいは航空路の複線化を可能とするということで、管制処理効率を格段に向上させることが期待されております。  ただ、現在、必要な国際的な基準策定のための作業が行われているところでもありまして、また、対応する航空機の装備も、FMS、フライトマネジメントシステムというものが、コンピューターのものでございますが、航空機の中に装備していなければいけないということで、こういった点がまだ十分には普及していない状況でございます。  そういうことで、運輸省といたしましては、二十一世紀初頭における航空交通量の増加に対応するため、このようなRNAVの国際基準の策定作業への働きかけを行ったり、あるいは一部の試験的な航路におきまして技術的な評価を行っているというところでありまして、国際的基準が策定される段階でその導入を進めてまいりたいと考えております。  一方、運輸省におきまして、平成十一年度にその一号機を打ち上げることとしております運輸多目的衛星、これを中核といたします航空衛星システムを構築することとしております。これによりまして、まず、現在の技術では管制上の制約が大きい洋上におきまして管制容量の増大を図ることとしておるわけであります。  したがいまして、まず、全体的な意味においては、こういった意味での進展というものを待ちたいというふうに考えております。  それから、第二点でございますが、これは私どもも、成田とかいろいろなところで、騒音の問題というのを航空の大きな問題としてとらえておるわけでございますが、やはり技術の開発によりましてだんだんとカテゴリーの進化が行われておりまして、そういった意味では、古いカテゴリーの航空機がだんだんと退役をしていくということを考えますと、先生の御指摘の点はもっともな点であろうかと考えております。
  154. 松浪健四郎

    ○松浪委員 一回目の実機飛行は、チャーター機で比較的軽かった、府議会議員の談話の中にもありましたけれども、軽かったから音が小さかったのではないのか。  そこで、運輸省は、各地域の自治体の皆さんと協力したりして、友ケ島の上空を通過する、大体八千フィートというふうに言われているわけですが、そこで調査されておって、どの程度の騒音であるのか十分研究されているというふうに私は思うわけですけれども、一回だけの実機飛行では、当然のことながら地域住民の皆さんの御理解を得るのは難しいだろう、ここは徹底的に地域の皆さんの御理解をいただくために、もう一回飛ばすべきだ、そういう要望が私の手元にもたくさん届いております。  そこで、近々やるだろう、近々飛ばすだろう、こういうふうにお聞きしておるのですが、私は、前回の実機飛行のときに思ったことは、市民の皆さんに興味がないのか、あるいはアナウンス効果がなくてそれを知らなかったのか、いずれにいたしましても、戸外に出て飛行機を見、その騒音について体験してみようという市民の皆さん方が非常に少のうございました。もちろん、寒いということもありました。早朝ということもありました。同時に、当日は月曜日でありました。したがって、二回目の実機飛行はできるだけ早くやっていただきたい。  そこで、運輸省は二回目の実機飛行を一体いつやるつもりであるのか、お尋ねしたいと思います。
  155. 楠木行雄

    楠木政府委員 先ほど先生のお話にございましたように、二月九日の一回目の実機飛行につきましては、大変地域の御協力を得て、スムーズに実施をさせていただいたと考えております。  二回目の実機飛行調査はいつごろ実施する予定なのかという点でございますが、ただいま申し上げました新しい飛行経路案の実際の騒音レベルや飛行高度を地元に検証していただくための実機飛行調査が二月九日に実施されたばかりでございますが、地元からは、さらに検証を行うため、再度実機飛行調査を実施することが求められております。先ほどお話しいたしました専門会議の御意見の中にも、それが取り入れられております。  そういたしますと、再度の実機飛行調査の実施時期が問題になるわけでございますが、現在、なるべく早期に実施できるように、地元と調整しているところでございます。
  156. 松浪健四郎

    ○松浪委員 早期にやらなければいけない、そして、このルート問題の結論を早く得なければならない。と申しますのは、平成十年度予算案は、現地着工準備事業費という名目であります。つまり、この飛行ルートがオーケーということにならなければ、この予算は使えないということですね。  ということは、逆算しますと、大臣は冒頭で、二〇〇七年に間に合わせるという強い決意で表明されておるわけです。となれば、当然のことながら、ことしの末から工事に入っていかなければならない。そんなにゆっくりと、二回目の実機飛行というわけにはまいらない。そして、先ほども申しましたように、地元の皆さんに体感してもらいたい。理解をしてもらうという努力を怠っては、三点セットをあたかも無視したかのように、運輸省はこのことで地元にわびを入れたわけですから、信頼を回復するためにも早くアナウンスをし、地元の関係の調整もあるでしょうけれども、大体いつごろを考えているのか、再度お聞きしたいと思います。
  157. 藤井孝男

    藤井国務大臣 先ほど冒頭に、二〇〇七年までに第二期の平行滑走路の達成をすべきであるという決意を私から披瀝させていただきました。そういった観点から、平成十年度の予算を獲得したとはいえ、今委員のお話のとおり、準備のための云々ということは、つまりそうした条件がそろわなければ執行できないということではないかという御指摘であります。  そういう中で、先ほど航空局長からも御答弁いたしましたけれども、それはいつまで、できるだけ早くという答弁をいたしましたけれども、しかしそれも何カ月後、何カ月後ということではいけませんので、もちろん今、アナウンスというか周知徹底も必要ですし、地元の調整も必要でありますから、おおむね一カ月後ぐらいには二回目の実機試験ができるよう私どもからもお願いし、そういうふうに調整しているところであると思います。
  158. 松浪健四郎

    ○松浪委員 大臣から明確な回答を賜りました。きょうは十一日、一カ月後と申しますと、私は、やはり休みがいい、そして、すべての地域皆さん方に体感していただければありがたい、その理解のもと、堂々と陸上ルートを導入される、これが最高のことだというふうに思います。大臣は、二カ月、三カ月先の話じゃなくて、大体一カ月後だと。と申しますと、私の予想では、カレンダーを見ますと、四日、五日では早過ぎる、となれば、土曜日の十一日あるいは日曜日の十二日、これぐらいの日にちであるというふうに私は理解しますが、それでよろしいでしょうか。
  159. 楠木行雄

    楠木政府委員 私ども先ほど先生おっしゃいましたように、地元への広報による周知とかそういう点もございます。また、さまざまな準備、パイロットとかそういった点もございますので、そういった意味での一定の期間を見たいということを考えておりまして、ただいま大臣が申し上げたような線を踏まえまして地元と調整をしたいと考えております。
  160. 松浪健四郎

    ○松浪委員 いずれにいたしましても、大臣の答弁にかわりがなかった。私は勝手に、四月の十一日あるいは十二日に行われるというふうに想像させていただきます。その想像でよろしいでしょうか。——答えは結構です。(発言する者あり)激励、ありがとうございます。  そこで、関空の三点セットの中に、地域整備について、運輸省としては今までにも取り組んでいただきました、これからももっと取り組んでいただきたい、こういうふうに思うわけですけれども、そのことについてお聞きできますか。
  161. 楠木行雄

    楠木政府委員 関西空港に関連いたします地域整備、これは関西国際空港と地元地域とのいわば共存共栄の一つのかぎになる問題であろうと私ども思っております。  最初に、関西国際空港が立地いたします際に、道路、鉄道等の関連施設の施設整備につきましては、昭和六十年十月に策定されました関西国際空港関連施設整備大綱、これに基づきまして、関係省庁関係地方公共団体と十分連絡調整を図り、整備を推進しているというものでございます。  また、新しい話といたしましては、今年度から国土庁、通産省、農水省、運輸省建設省の五省庁の共同調査をいたしておりまして、関西国際空港を活用した広域国際交流圏整備計画調査という名前でございますが、これが行われておるわけでございます。これは今後、整備が進展する関西国際空港を活用して、内外の交流を促進するための基盤の整備を図り、この圏域の総合的な発展を図るための整備計画を策定することを目的としております。  御指摘もございましたが、今後とも、関空と地元地域との共存共栄を図っていくために必要な地域整備に係ります所要の措置につきまして、関係省庁等に働きかけていく所存でございます。
  162. 松浪健四郎

    ○松浪委員 非常にありがたい答弁をいただいておるわけでありますが、先ほど述べられました、関西国際空港を活用した広域国際交流圏整備計画調査、これは、国土庁、農水省、通産省、運輸省建設省の共同調査であるわけですが、私の知る限り、全域にその調査をしておるかというと、まだやっていないのですね。例えば阪南市以南の地域には調査が行われたというような話も聞かないわけなんです。  ですから、この調査を行うときには、関空の対岸の全域にわたって満遍なく調査されることをお願いし、そして全体的な形でいろいろなアイデアを出していただければありがたいということを要望させていただきます。  そこで、関西国際空港は、世界に冠たる自慢のできる立派な近代的な空港であり、我が国が先進国であるという面目を保つに値する空港であります。ところが、五キロの橋を渡って陸地に着きますと、私の故郷があるところでございますが、決して先進国とは思えない。なぜならば、高速道路をおりますとバキュームカーが走っておる。我が国の下水道の普及率というのは、先進諸国の中でも非常に恥ずかしい数字であることは申すまでもございませんが、手元の資料を見ますと、ドイツの九〇%、イギリスの九六%、デンマークの九八%、スウェーデンの九五%、あの広大なアメリカでも七一%、我が国はわずか五四%であります。非常におくれておるわけです。  あの堺以南の九市四町、つまり空港を取り巻く沿岸の都市でありますが、非常に普及率の高いところもありますけれども、目の前の泉佐野市、泉南市は普及率わずか一一%であります。ただ、対岸にある田尻町だけは小さな町がまとまっているということもあって五四%という状況ですけれども、非常に普及率がひどいのです。  そこで、特別の起債の枠を認めるとか補助金を出すとかいろいろあろうかと思うのですけれども、三点セットの中に、共存共栄、地域整備、これらをかんがみたときに、どうも国として本腰が入っていないのではないか。下水道の普及について建設省は一体どのように考えているのかをお尋ねしたいと思います。
  163. 村山哲夫

    ○村山説明員 それでは、まず全国の下水道の整備状況、先生からお話もございましたように、鋭意努力しているわけでございますが、平成八年度末現在で約五五%ということで、先ほど挙げられた諸外国、特にヨーロッパに比べますと、格段におくれているということでございます。  これは歴史的な経緯がございまして、日本が下水道に着手するのが遅かったということがございましてこういうことになっておりますが、最近ではかなり整備を促進しているところでございます。  特にこの泉南地域につきましては、大阪府の中でも下水道に着手した時期が非常に遅くて、例えば空港の建設が始まった六十年代初めのころは二十数%のオーダーでございました。そのころの我が国の平均を見ますと三七、八%で、その時点で全国より一〇%ぐらい低かったわけでございますが、現在は大体全国平均の五五%近くに、泉州といいましょうか、この地域はほぼ全国平均と同じようになった。  ということで、建設省といたしましては、下水道は地方自治体がやる仕事でございますので、まず自治体がおやりいただく意思が問題になるわけでございますが、ほかの地域に比べましても、今申し上げましたように、伸び率は高い状況でございまして、建設省といたしましては、そういう形で支援してまいりました。これからも当然、五五%といいましてもまだまだ低い状況でございますので、全国の下水道はもとより、こういう大阪でもちょっとおくれている地域については引き続き応援をしてまいりたい、このように考えております。
  164. 松浪健四郎

    ○松浪委員 引き続き応援していくということですけれども空港と共存共栄を図る、これは三点セットの一つでありますから、特に応援をしていただかなければ困るということでございます。  そして、立派な空港ができ上がりまして、問題は、空港ができたがために混雑を来す、道路の整備が本当に十分なのだろうか。私は当委員会でも質問させていただきましたけれども、大阪から和歌山へ行く道は、高速道路を除いては、第二阪和国道、国道二十六号線一本でありますけれども、実はこの工事はなかなか前へ進まないのですね。地域人たちはどれだけ苦しんでいるか。先ほど岬町の町長の談話を申し述べましたけれども、大方やけくそになっているのです。うるさい騒音だけを岬町に落としてくれて、道一本つけてくれないじゃないか。そして、岬町にありました大きな企業も余りにも不便であるから他の町に移っていく、あるいはフェリーボートの港も泉佐野市に移っていくというふうな形で、空港ができたけれども共存共栄という視点からすればちっとも栄えようとはしていないわけであります。  国道二十六号線、第二阪和国道の延伸問題はちょっとずつ前へ進んでいるけれども空港との関連で重要な道路であるという視点からすれば、いち早く予算を講じていただいて、早くつけていただかなければ、岬町の住民のみならず和歌山県の皆さんも困られます。建設省、一体この道路について本気で延伸をしようとする気があるのかないのか、ちょっと聞かせてください。
  165. 佐野正道

    ○佐野説明員 御指摘の第二阪和国道の延伸の件でございますけれども、現在のところ、先生御案内のとおり、阪南市から泉南郡岬町の間約九キロメートルにつきまして、六十三年度に第二阪和国道の延伸ということで事業に着手しておりまして、平成五年度から用地買収を行っておるところでございます。  現在のところ、先生御案内かと思いますが、阪南スカイタウン、この団地のある付近までは優先区間ということで考えておりまして、当面、平成十四年度、二〇〇二年の供用を目途に、その区間について鋭意整備を急いでおるところでございます。それで、残ります阪南スカイタウンから岬町の淡輪ランプまでの区間でございますけれども、この区間につきましては、平成八年度までに既に岬町の一部区間、大体八百メーターぐらいの区間でございますが、そういったものを含む全体で四キロメーター区間にわたりまして路線測量というものは既に終えております。これから設計等を鋭意進めて、さらに、先ほど申し上げました阪南スカイタウンまでの優先区間、こういう区間に引き続きまして、そういったところも事業の促進に努めてまいりたいというふうに考えております。  それからさらに、先生は和歌山の方というふうにおっしゃいましたけれども、和歌山県境までの区間、淡輪からの区間は、まだ実は事業化しておりません。この区間につきましても、現在、今事業中のところ、あるいは先ほど申し上げました路線測量を終えて設計を進めておるようなところ、こういったところの進捗状況また現道の状況、大変込んでいるということは十分認識しておりますけれども、こういった状況を勘案しながら着手時期について見きわめて、鋭意検討を進めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  166. 松浪健四郎

    ○松浪委員 ついでに、国道の話が出ましたのでもう一本国道についてお尋ねしたいのですが、国道百七十号線、熊取町を通って河内長野に抜け、そして奈良からいらっしゃる人たちがこの国道を使われるのです。非常に便利になりました。  ところが、中途半端といいますか、道はついたけれども細過ぎて、恐らく、交通量を調査するのを間違えたのかどうか知りませんけれども、この熊取町付近では、特に大久保と呼ばれる地域での混雑、これが余りにもひど過ぎる。これを何とか拡幅してもらえないか。また、拡幅しないことには空港へのアクセスとして役目をなさぬという状況にあります。それらにも思い切り力を注いでいただきたいというお願いでございますが、いかがでしょうか。
  167. 佐野正道

    ○佐野説明員 御指摘の点でございますけれども、国道の百七十号につきましては、特に熊取町付近につきましては、これまで、貝塚市の三ツ松というところから熊取町の紺屋の都市計画道路の大阪岸和田南海線というものがございますが、その間の約三・六キロメートル区間は既に暫定二車線で供用をしておりまして、それから向こうが、熊取町の紺屋から国道の二十六号までの一・七キロ区間、ここが完成の二車線で供用を図っておりますが、この区間が非常に込んでいるというお話かと存じております。  特にこの区間につきましては、一応二車線で完成はしておるのでございますが、先生指摘のとおり、交差点等を中心に非常に込んでおります。それで、私ども、特に府道との交差点付近が渋滞のポイントになっているようなところがございまして、こういったところにつきましては、例えば右折車線のような付加車線をつくるとかいうような交差点の改良を緊急にやる必要があるだろうというふうに考えておりまして、現在そういった交差点改良、特に府道の泉佐野熊取線との交差点につきましては、交差点改良を今急いでおるところでございます。  さらに、こういった緊急的な対策のほかに抜本的な対策としましては、先ほど申し上げました都市計画道路の大阪岸和田南海線というのがございまして、この道路につきまして一応先ほどの二車線の区間のバイパス的な活用ができるだろうというふうに考えておりまして、鋭意これにつきましても平成九年度から大阪府において新規に事業着手したところでございまして、地域の皆様の御協力をいただきながら事業を推進しているというふうに聞いておりまして、当面の短期的な対策と中長期的な対策を適宜組み合わせながら、鋭意渋滞対策に取り組んで解決を図ってまいりたいというふうに考えております。
  168. 松浪健四郎

    ○松浪委員 いずれにいたしましても、空港ができて豊かになったのは泉佐野市と泉南市と田尻町だけだ、その周辺の町、市におきましては、迷惑ばかり受けて何のメリットもないじゃないか、おれたちは扇風機の裏側に暮らしているのかという批判がございます。先ほども申しましたように、熊取町の交通の渋滞、これらはやはり空港と深いかかわりがございます。少なくとも道路の整備、これらを重点的に急いでやっていただきたいということをお願いしておきます。  時間が余りございませんので、次の問題に移らせていただきます。  地域との共存共栄の観点から見ますと、関西国際空港と陸を結ぶ連絡橋、五キロあるわけですけれども、この通行料金は高過ぎるという質問をかつてやらせていただきました。千七百三十円であります。  どれだけの人がふえたか。この空港を使われる人は年間二千万人でありますけれども、車の台数はわずか六%ふえただけであります。やはり千七百三十円は高過ぎるのではないのか。地域の人々も、買い物に行く、あるいはホテルを利用するといっても、プラスその通行料を加算しなければいけない。高過ぎる。ちょこっとふえているじゃないか。実は、関空会社がサービスの日、無料の日、これらを設けて大体帳じりを合わせているというのが私は現実だというふうに認識しております。  十日付のワシントン・ポストは、我が国の経済低迷、不景気は消費税を五%にしたからだと社説に書いてあります。なぜ思い切って三%に下げようというように、議論もなければ、政府もしようとしないのかと書かれてありました。  私は、千七百三十円はやはり高過ぎる、思い切って下げて、空港が本当に地元と共存共栄の図れる連絡橋をつけるべきだ、こういうふうに思います。したがいまして、一体この通行料を下げる気があるのかどうか。阪神高速道路も値上げを見送ったという状況でありますから、空港のことを考えますと、私はこの通行料を下げるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
  169. 楠木行雄

    楠木政府委員 連絡橋の、これは普通車でございますが、往復で自動車の通行料金が千七百三十円している、高いではないかという御指摘かと思います。  もともと最初は千七百円ということで設定をいたしましたが、そのときは原価計算をいたしますと二千円ぐらいになる、これはやはり利用者利便、利用の増加、そういうことを考えますと、ちょっと難しいということで千七百円にしたという経緯があるわけでございます。  こういった連絡橋の通行料など一般の空港利用者を対象といたします諸料金につきましては、私ども運輸省といたしましても、関西国際空港を多くの利用者にできる限り便利に利用していただけるように、会社の経営の許す範囲内で料金等の面でも努力するよう会社を指導しているわけでございますけれども、御承知のとおり、関空会社は、平成六年九月に開港いたしましてまだ間もないということもございまして、平成八年度決算が約三百億円の経常損失を出すという厳しい経営状況下にあるわけでございます。  先生先ほどちょっとおっしゃいましたが、その中で少しでも地域の方々に関空に親しんでいただくために、九月四日の開港を記念した開港記念イベントとか、そのときには通行料金を無料化する。それから、クリスマスのイベントや七月のサマーフェスティバルにおきます料金の割引というのを実施しているところでございまして、実はこうした経験を重ねながら、今後の経営改善に生かすべく検討しているところでございます。  今後とも、空港地域の共存共栄に努めるように関空会社を指導監督してまいりたいと考えております。
  170. 松浪健四郎

    ○松浪委員 指導監督はわかるのですが、局長から、これはやはり下げた方がいいよと。  局長、高いと思いませんか。五キロですよ、五キロ。ちょっともう一回答弁してください。
  171. 楠木行雄

    楠木政府委員 もう一度申し上げますけれども、もともとは往復二千円を超える水準であるという原価であったわけでございますが、それを原価割れということで千七百円というようなことに設定したわけでございますし、関西国際空港の経営状況、経常損失で三百億の赤字になっているということを考えますと、直ちにはなかなか難しいと思いまして、現在、そういったいろいろな試みをしながら検討しているところでございます。
  172. 松浪健四郎

    ○松浪委員 こんなことを言いたくないのですけれども、やはり民間的発想を持って、あのホテルを、あるいは見学者をふやすたくさんのテナントが入っているわけです、それらを潤わすということをまず考えるべきでして、今のままでは、なかなか地元の人が空港にまで足を運ぼうとしない。私は、そういったお役人的発想ではなくて民間的発想をしていただいて、とにかく料金を下げるという方向で本気になって検討していただきたい、このことを要望しておきます。  時間がだんだんなくなってまいりましたので、たくさん質問できませんけれども、関空二期事業にかかわる、造成会社ができて埋め立てをする。それで、どこから土を持ってくるか。これは実は兵庫県、和歌山県、大阪府でやることになっているのですが、大阪府の岬町はなかなか前へ進まないのですね。難しい問題がいろいろありますけれども、岬町の皆さん方は、本当にとってくれるのか、とってくれないのか、とった後どのような形でこの地域を生かしていくのかというようなことで、非常に苦慮されております。  時間がございませんので深く聞きませんけれども運輸省としては可能な限りの御協力、御尽力をお願いしたいという要望をしておきたいと思います。  最後に、もう一回大臣所信表明に戻りますけれども、昨年末、我が国でCOP3が行われました。「環境問題への対応方策としては、まず、地球温暖化問題について、」云々とあるわけでございますが、三月九日、川崎市は公用車を低公害車に転換すると。私は、運輸省が、我が国全体の二酸化炭素排出量の約二割を占める部門、ということは、率先してこのように省から改めていく、低公害車を導入するという姿勢がなければいけないのではないのかという思いをしております。  しかしながら、公用車にふさわしいデザインの車があるのかどうか。それほど詳しくはありませんけれども、私の知る限り、七百五十二名の国会議員の中で石原議員だけが乗られていると私は思っておりますし、私も買いかえるときは低公害車でなければいけないと思っておりますが、運輸省としては公用車を、またすべての省庁も低公害車に切りかえていく、そういうつもりがあるかないか、大臣お尋ねしたいと思います。
  173. 藤井孝男

    藤井国務大臣 実は先日、売り出されましたプリウス、これを私、試乗いたしました。一台ですが運輸省が購入をいたしまして、私も試乗いたしまして、みずから運転をいたしました。短い時間でありましたけれども、大変静かで、なかなかいい車だなと思いましたけれども、ただ、今委員がおっしゃられましたように、公用車となりますと少し小さいかな、まあ大きければいいというものではありませんけれども、そんなこともありました。  いずれにしましても、やはりこれから、他の委員の質問にもございましたように、あの京都会議の削減目標を達成するためには、運輸省といたしましても率先してこういった低公害車のまさに開発、そしてまた、運輸省としましてもできる限り率先してこうした低公害車、ハイブリッドカーを購入する、そういうことは当然考えていかなければなりませんし、また税の面その他、低公害車を開発するに当たってそういった面での助成も考えていかなければならないと考えております。
  174. 松浪健四郎

    ○松浪委員 いろいろ質問させていただきました。そして誠意ある回答もいただきました。そのことに感謝を申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
  175. 大野功統

    大野委員長 次に、寺前巖君。
  176. 寺前巖

    ○寺前委員 大臣所信表明に対する質問をしたいと思います。  お話を聞いておりまして、今大きな話題になっております、「行政をめぐる厳しい情勢を真摯に受けとめ、」このことを最初におっしゃっていました。綱紀の厳正な保持を徹底することにより、運輸行政に対する信頼の確保に努めてまいりたい、きれいな表現ですらっと終わっているものだから、大丈夫かということを気にしたものですから、まずそのことを中心にしてきょうは聞いてみたいというふうに思います。  一月二十日に、大臣は閣議後に綱紀問題についての記者会見をおやりになっていました。明くる日の新聞を見ますと、それが報道されていました。藤井孝男運輸相は、接待汚職について「公務員の綱紀粛正規定を各省庁が設けているが、最終的に守るかどうかは個人の倫理に尽きる」と語るとともに、公務員接待の許容範囲については「どこまでが許される範囲かは(判断が)難しい。その辺をどこまで(線引き)できるか検討しないといけない」と述べられたと報道されているのです。また、「自分もサラリーマン時代に営業をし、(関係省庁への)接待の経験がある」とし、「ゴルフはいけないのか、具体的にどこまでいいのか。(ゴルフ接待の送迎の)電車はよくて、ハイヤーはよくないのか」などとも述べられておるわけです。  接待汚職について今随分話題になっておりますけれども、さて、この記者会見の記事は間違いないのでしょうか。
  177. 藤井孝男

    藤井国務大臣 一部報道された発言に関しまして趣旨が誤解されている点がございますので、その点だけ申し上げておきたいと思います。  関係業者等の接待を受けることが一昨年末に制定された職員倫理規程により禁止されていることは、私は承知をいたしております。しかしながら、公務員といえども外部との接触が避けられないものである以上、その接触に関し、どこまでが許容され、どこから先が許容されないかについては、一律の具体的な線引きはなかなか困難な面もありますので、その意味で、これを突き詰めていきますと、個々それぞれの個人の良識ある倫理観の醸成が不可欠である、そういう趣旨のことを申し上げました。したがって、公務員たるものは常日ごろからみずから置かれている立場を認識し、公正無私を旨としてみずからを厳しく律して行動しなければならないという趣旨を強調したかったわけであります。  いずれにいたしましても、接待容認を唱える意図は全くなく、引き続き私みずからが率先垂範の上、職員一人一人の倫理意識のさらなる向上に努め、公務員の信用維持を図ってまいる所存でございます。
  178. 寺前巖

    ○寺前委員 率先しておやりになることは非常に大事なことだと思いますので、ぜひお考えをいただきたいと思うのですが、同時に、これはだれの所管になるのでしょう、所管は官房長になるのですか、職員の倫理問題については。ちょっと聞きたいと思います。  私、この大臣の記事が載ったときに、気になったんだ、正直言うと。これでいったら、内部の職員の諸君は逆に惑わないのだろうかということが気になった。なぜかというと、運輸省の職員倫理規程というのがあるでしょう。これは、平成八年十二月二十六日に出されています、訓令として。その第三条を見ると、その二項に「職員は、関係業者等との間で、次に掲げる行為を行ってはならない。」スポーツを含むところの遊技、旅行をすることが規定されている。つまり関係業者等とのゴルフなどの遊技は行ってはならないと読めるのですが、そうすると、「ゴルフ(接待)はいけないのか、具体的にどこまでいいのか。」と大臣に言われてしまったら、書いてあることはそうじゃないじゃないか、そんなこと言ってもらったら、大臣、困りまっせ、官房長はそういうことは気になりませんでしたか。関係公益法人等との接触についても準用とこの規程の第四条に書いてあるから、大臣のこの発言は、素直なようで、実は内部の規定からいうと、訓令に基づくならば、これはちょっと困りますねということを、官房長、お気づきになりましたか。——いや、私は官房長にやってもらえれば……。
  179. 藤井孝男

    藤井国務大臣 私は、その記者会見でこういうことをまず申し上げておるわけです。これは、いかに厳しい規定をつくっても、それを遵守する、それぞれ個人の置かれている立場をみずから厳しく律して事に当たるということが一番大事なことであるということを申し上げておるわけであります。そういう前提に立って先ほどの趣旨を申し上げたわけでございます。
  180. 梅崎壽

    ○梅崎政府委員 大臣の御発言の趣旨に関しましては、今大臣御自身でその本意を述べられたところでございまして、大臣は常日ごろから、私ども公務に携わる者は、常にそういう立場を自覚し、広くいろいろな各界の方々と接触をすることはもちろん必要であるとしても、そういう立場を十分自覚した上でそのような行動をとるべきなので、その際、公務員として必要な節度を厳しく守るべきである、これは各個々人の自覚の問題であるということを厳しく大臣はおっしゃっておられまして、そういう点から考えまして、大臣の御趣旨は極めて明確でございまして、若干、報道におきまして、全体の趣旨ではなくて一部の部分を誇張してとられて書かれたものがあるのではないかというように私は思っております。
  181. 寺前巖

    ○寺前委員 私はそんなことを言ってないんだ。倫理規程があるでしようと。その倫理規程では、遊技、旅行をすること、これはならないと厳しく規定されているのと違いますか。大臣は、もっと広く接触して、いい役割をしてほしいな、これは優しい意味の、お愛想というのか、そういうことも含めた話をしておられるのだけれども時代時代だけに倫理規程についてはちゃんと守ってほしいなと思っておられるのは、これは大臣の気持ちだ。私は、あなたにその大臣の気持ちをここで語ってくれと言っているのと違うんだ。倫理規程に基づいてきちっとやっていこうと思ったら、実はこれはゴルフを含めて行ってはならないということになってますのや、あなたはそう言わなければいかぬのと違うかと言っている。どうですか、やっていいんですか。
  182. 梅崎壽

    ○梅崎政府委員 ただいま先生指摘のとおり、平成八年十二月二十六日に定めました運輸省の職員倫理規程によりますと、ゴルフ、遊技、スポーツを含むことあるいは旅行をすること、これに関しましては、行ってはならないということになっております。  ただ、これに関しまして、家族的関係であるとかあるいは個人的な友人関係などに基づきます私生活面におきます行為であって職務に関係のないもの、これにつきましては適用がない、こういうぐあいになっております。
  183. 寺前巖

    ○寺前委員 私はやはり気になるのだ。個人のつながりとか友人とか言い出したら、これは限界がなくなっていく。それは現に起こっている事実じゃありませんか。職員として一緒に働いた、働いた経過が、今日では実は接待係になってしまって、云々とあって、大蔵省問題で今話題になっているでしょうが。そこの基準をやはりきちっと、仕事についている以上はあきませんのやということをはっきりしないと、官房長、大臣に対するお手伝いできませんよ、あなた。大臣は本当に親切に言おうとしても、あなたがそうやって崩していく役割をしたら、やはり任務というのは、そういう任務をきっちり守らないとあかんと私は思う。  だから、あなた自身の態度が私、ちょっと気になるさかいに、さらに聞きますよ。二月二十一日の毎日新聞に、運輸省の職員が海外に出張した際、財団法人運輸経済研究センターに飲食費を負担させているという報道が出ていたのだ。これはまたどうなんだ。  そこで、運輸経済研究センターというのを調べてみたら、運輸省の委託調査費というのが二億八千百万円、船舶振興会の補助金が一億二千九百万円出て、助成金が十三億三千八百万円、合計十七億四千八百万円というお金が出ている。ここの全体の予算を見ると、二十六億二千六百九十八万円だから、したがって、結局これらのお金は六六・五%を占めるということになる。この組織の副会長や理事長、常務理事を見ると、全部運輸省のいわゆる天下りだ。理事十九名中四名と、監事二名のうち一人が運輸省からの天下りだ。さらに、管理職のうち、管理部長、資料・出版部長、資料課長、国際部長などが運輸省の天下りだ、そういう諸関係の組織がある。そこで、この財団が今面倒を見ている、飲食費を負担させているということが記事に載ったものだから、これは気になる。  その記事を読むと、こう書いてある。「同省から米国に出張者がある場合、ホテルの予約を同事務所が行っているほか、滞在中の出張者の昼食、夕食も、レストランなどの確保から代金支払いまで同センターが行っている。」との内容が書いてある。そんなことまでさせなければならぬのか、運輸省ともあろうものがというふうに思うのですが、これは調査してみましたか。
  184. 和田敬司

    ○和田政府委員 お答えいたします。  まず、運輸経済研究センターのワシントン事務所の性格でございますが、これは米国を中心といたしました諸外国の運輸政策や運輸産業の動向に関する情報収集、それに調査研究活動を実施してございます。  そこで、運輸省の職員が重要な協議等のためにワシントンに出張する際に、最新の米国の政策あるいは産業界の動向等に関する意見交換あるいは情報交換を行うために、研究センターと出張者との間で会合を持つことがございます。こうした会合は、協議等で有益な成果を得るために、出張者の職務上、大変有意義な会合であると考えておるところでございますが、大変タイトなスケジュールの中で、会合が食事時間に当たる場合には、研究センター主催の会食を伴うこともあると承知しているところでございます。
  185. 寺前巖

    ○寺前委員 ちっとも私に答えてない。調査したかと言ってんのや。  毎日新聞にこう載っているさかいに私は気になったと。私は気になるけれども、あなたは気にならないのかということを聞いているだけです。調査したのかと言っている、どうですか。
  186. 和田敬司

    ○和田政府委員 食事を伴う会合を持つこと自体は職務上必要となることもございますので、今回もそういう職務上必要となる会合と思われますので、特に問題とすべきこととは考えておりませんので、現時点で調査をしてございません。
  187. 藤井孝男

    藤井国務大臣 いずれにいたしましても、常識的な範囲内で行われたと私ども思っておりますが、やはり今後とも節度を持ったことでなければなりませんので、その辺は十分留意していかなければならないと考えております。
  188. 寺前巖

    ○寺前委員 ところが、これはさっきもちょっと言ったように、倫理規程という訓令を見ると、ちゃんと書いてあるんですよ。関係公益法人等との接触についても準用する、こう書いてある。  そうすると、有意義な会合で食事を一緒にすることはええこっちゃということでやっていると。新聞によると、食事代はそこが負担をしている、お役人の負担をしている。それは有意義なことで結構やという話なんでしょう。したがって、調べる気もないと。  少なくとも職員の倫理規程の第四条にはそういう規定があって、そしてさらにその倫理規程を見ていくと——食事を一緒にすることがあるが、お互いに出してやるというようなことも記事に書いてあったけれども、倫理規程を見ると事前事後の届け出が必要やと書いてある。気にならへんて、だったら、全部届け出があるさかい気になるようなことはございませんよとおっしゃるんですか。  全部あったんですね、届け出が。
  189. 和田敬司

    ○和田政府委員 そのようなケースにつきまして、職務上必要な会食を伴う会議ということでしたら、それに対する届け出がなされていると承知しているところでございます。
  190. 寺前巖

    ○寺前委員 必要上って、全部の届け出があったわけだね。  例えば、民間航空会社に対してガバメントオーダーという無償搭乗をしている問題を、私は昨年と一昨年の二回にわたって質問していますよ。  このとき運輸省が提出した資料を見ると、職員倫理規程が施行された平成八年十二月以降、平成九年一月から三月までのガバメントオーダーを使用した回数は四十九回、そのうちアメリカ出張に使用した回数は十八回です。また平成九年四月から十二月までの間の使用回数は約百五十件となってますよ。そのうち北米地域が約七十件になりますよ。そこにはカナダも含まれていますから、使用回数より少なくなるということになるでしょう。しかも一回だけじゃありませんから、どれだけの日数をそこにおられるかという問題にも関係してきますよ。それだけの日数の間にどういうふうに事前事後の届け出をなされたかという資料を提出していただけますか、そこまでおっしゃるのだったら。
  191. 梅崎壽

    ○梅崎政府委員 私どもの職員倫理規程によりますと、確かに御指摘のとおり、関係業者等との接触に関しまして、職務として必要な会議等において会食する場合などにつきまして、服務管理官に届けをして了承を得られれば、例外的な会食を行うことが認められております。また、事前に届け出をする余裕がないときは事後的な届け出も認められております。  私どもは、この倫理規程の遵守の徹底を図るために、運用に関しましてはできるだけ広く届け出を行うように常日ごろ指導しているところでございまして、個々の職員の倫理意識を高めまして省内の内部規律の徹底を図ること、これを目的として運用しているということでございます。  個別の届け出の内容につきまして公表するということは想定しないで運用をやっておりまして、具体的な内容についてコメントすることは差し控えさせていただきたいと思います。
  192. 寺前巖

    ○寺前委員 大臣、わし素直に聞いている。こういう訓令をつくったんだ。まだ訓令ができてから一年余りですよ。そうすると、その間にどうだったんやといって僕は内部の諸君に聞いたら、そんな訓令あったやろかという水準なんですよ。  僕は、今官房長が言っておるとおりだと思う。高めるために努力していますのやという水準と思う。素直に言うたらええと思う。それを、全部届けさせてますのやと言うたら、ちょっと待てよ、ほんまに届け出という制度を知っとんのかいと。知らへん言わはったわ、直接私が聞いてみたら。自覚がないんだから、そういうのに。長い習慣があるから、つくったが何も全体のものになってへんというぐらい、私は知っている。だけれども、答弁する人が居直ったら、やはり居直らざるを得ないんだ。そういうものなんですよ。  だから、大臣は努力をしようと言っておられるんだ。努力しようというその気分をあんたたち酌み取ったならば、職員が、実はこれまだ実行していませんのや、飲み食いは依然としてやってますのやと。そっちへ行ったときはあそこの世話になっていますけれども、こっちへ来られたときにはうちの方で面倒見ますのやと。しかし、訓令のこの規程からいったら、これは事前事後、一つずつきちんとせないかぬことになってますので、これから改善しますのや、こう言ってくれたら、そうかと、大体わかるがな、そんなもん。もっと素直にならないかぬと思うわ。  大臣、改めて、せっかくの訓令なんだから、その訓令をしっかりと身につけさせるために、これも訓令程度であかんということが今国会で問題になっているわけでしょう。それだけに、つくった訓令すらきちんと守れないようでは困るから、きちんとさせますということを、やむを得ない、大臣にお願いするより仕方がないので、大臣、どうでしょう。
  193. 藤井孝男

    藤井国務大臣 所信でも申し上げましたとおり、綱紀の厳正な保持を徹底することにより、運輸行政に対する信頼を確保することに努めてまいります。
  194. 寺前巖

    ○寺前委員 いや、私、その話聞いてへん。訓令について遵守させるようにちゃんとしてくださいますかと。担当の局長が答えへんのやもの。
  195. 藤井孝男

    藤井国務大臣 今委員指摘のとおり、私どもといたしましては、そういう倫理規程を設け、そしてそれを遵守していくことが大事でありますから、大臣といたしましても、それが職員一人一人に徹底できるように、私の方からさらに指導をしていきたい、こういうふうに思っております。
  196. 寺前巖

    ○寺前委員 この際、ついでにちょっと聞きますけれども、泉井石油商会代表の泉井純一という人の接待問題が運輸省関係でも起こっています。  昨年の十月二十四日に、関西国際空港をめぐる汚職の公判が東京地裁でなされておりました。マスコミの報道などを私は見ておって、やはり気になることが出てきたわけです。  それは、昨年の二月十八日の衆議院の予算委員会で、当時の古賀運輸大臣、「一部報道された者につきましては、直ちに官房長により事実関係を確認をいたしました。パーティーでは一回か二回会ったことがあるのではないか、しかしながら接待を受けるような交友関係にはないという報告を受けている」、こういう報告を昨年の二月十八日に、衆議院の予算委員会で答弁をしておられるわけなんです。  ところが、その後、そういう関係やと言っていたのに、その公判があって、こういう発言が出ているのですね。  泉井代表は、大蔵、通産、運輸各省の官僚三人の実名を挙げて、東京や大阪の料亭で接待したという証言をやっているわけです。大蔵省主計局総務課長や運輸省の当時の課長、現局長を招待して引き合わせたと述べているわけです。これは去年の十月二十四日のことです。そうしたら、新聞を見ていると、今度は、十月三十一日、この局長に対して、当時の課長に対して口頭で注意したという記事が載っている。  そうすると、本人を調べたときには、二月十八日のときには、パーティーで一回か二回会ったことがある程度で、交友関係にはないと言っておった。公判で言われてしまったら、今度は処分に値するというと、ばんと処分が出てくる。これは一体、運輸省の中の幹部の諸君たちの取り扱いについて、自浄能力というのがあるのかないのか疑問になってくるじゃないかということを私は感ずるのですよ。  そこで、その後、泉井被告なる人の備忘録というのが流れています。雑誌にも載りました。それを見ておると、こういうのが出てくるでしょう。  平成九年一月六日午後一時十分から四時、稲川検事というところを見ると、平成四年七月二十八日、向島料亭「さわ」で服部、田谷、荒井三氏、会食における服部さんへのお土産、商品券についての調書三枚サインと記しているわけです。また、二月三日の午後七時から十時の佐々木検事の方を見ると、平成六年四月十一日、服部、井上、一柳、荒井、荒井招待と出てくるわけですね。  あれを見ていると、運輸省の幹部の諸君の名前が次々出てくる。これは、こういうのをきちんと調査をして、しかるべき対応をやったのですか、やらなかったのですか。それはいろいろ一応話は出ますね。取り扱いはどうなっているのですか。
  197. 藤井孝男

    藤井国務大臣 今の十月二十四日の泉井証言にかかわる職員に対しての件ですが、これは、官房長より、泉井被告との接触に関する調査を実施をいたしたところであります。  かかる職員から、泉井被告とはパーティーや宴席で一、二回程度会ったことがあるが、いずれも大勢の会合であった、しかし、泉井証言にある平成四年七月ごろの宴席に出席した記憶はないとの報告があったところでございます。
  198. 寺前巖

    ○寺前委員 それで、報告があったということで終わりなのですか。
  199. 藤井孝男

    藤井国務大臣 私が大臣に就任いたしまして、この件が報道をされ、そのことで、調査結果を踏まえまして、私がかかる職員を呼びまして口頭で厳重注意をいたしたところでございます。
  200. 寺前巖

    ○寺前委員 僕は、やはり内部の規律を守るために的確におやりいただくことを要望しておきたいと思います。  この際、先ほど言いましたガバメントオーダー、無償搭乗問題についても、国内でも一年間に三千人余りの人が使っている、それから外国には三百五十人から出ていく。こういう問題について、必要だったら必要な経費を予算で組めばいいのであって、すかっとすべきだというふうに私は思うのです。それから、この間に、航空会社から不正に使われているという問題も提起されたりもしてきていますよ。そうすると、こういう問題についてきちんと有無の調査もやる必要がある。  だから、こういうことについて調査をおやりになったのか、やった結果はどういうふうな措置をとられたのか、御報告をいただきたいと私は思うのですよ。
  201. 楠木行雄

    楠木政府委員 先生指摘のように、ガバメントオーダーについては、これまでにも先生からいろいろ歴代の大臣に対して御指摘をいただいてきておりまして、また、このところ各方面から厳しい指摘がなされております。  ガバメントオーダーの制度は、申すまでもなく国際的に認められました慣行でありまして、これまでも、厳正な運用に努めながら件数の抑制に努力をしてまいりました。しかしながら、最近の航空会社を取り巻く厳しい経営環境に配慮することが必要になっておりまして、また、昨今の社会情勢に照らしますと、航空関係の公務の遂行に対していたずらな誤解を招かないようにすることも必要でございます。このため、ガバメントオーダーにつきましては、これを廃止する方向で、今後なお一層の縮減を図ってまいる所存でございます。  先生指摘の、一部不正使用があったのではないかという報道に関しましては、航空会社に現在聞いておるところでございます。
  202. 寺前巖

    ○寺前委員 えらい長いことかかるのですね、聞いておって。そんな、悪いことがありましたというのだったらさっと取り上げたらいい話であって、僕はけりというのは早くつけるべきだというふうに思いますよ。意見を言っておきます。  時間の都合もありますので次に行きますけれども、関西国際空港の問題について先ほどありました。それで、私、大臣所信表明を聞いておりまして、「西暦二〇〇七年の平行滑走路供用を目指して整備を推進してまいります。」先ほども質問がありました。  そこは省略しますけれども、運輸委員会で私が聞いている限りにおいては、こういう発言が、大阪の知事がこれをつくるときに言っていましたね。参考人意見として「三点セットの前提となっております海上五キロとなっております空港の位置、あるいは航空機の離発着に当たっての飛行経路等は今後変更しない、それが合意の前提になっておりますので、その前提を変えてもらっては困る」、大阪府知事がこの空港の法律をつくるときにその発言をしておられますよ。また、その後においても、例えば忠岡町からの質問に対して、運輸省自身が、大阪府下の陸域上空を飛行するものではありませんという答弁の文書も自治体に対して出ていますよ。  私たち国会が知っている限りでは、海上ルートを守ってもらわなければ困るのだという自治体の長の意見を受けて運輸省も立っておられた、これが原点だと思うのです。それは、そもそもの話が伊丹空港から出ているのだから。だから、そういうことを考えたときに、この原点を変える方向での二〇〇七年の平行滑走路供用をと提起されるのだったら、国会に言っておったことを改める方向で検討していますのやとか、改めますのやとか、何かここで改めて言わなければ、僕らの耳に残っているのは、困るよと。陸域上空を飛行するものではないと言明してきたという態度を堅持してもらわなかったら、これは困る。  変えるのだったら、変えますのや、その立場で調査しますのや、御意見はまだ地元ではまとまっておりませんけれどもと、何か率直に言ってくれなかったら、これに基づいて予算を組み、地元へ行ったら全然違うことをやっておる。運輸委員何しに来たんや、あんたら何にも知らへんのやなと言われるだけです。大臣、そういう事態になっているのですよ、私が置かれているのは。国権の最高機関の国会は、当時の大阪の知事から言われたこと、それを受けて立った運輸省の態度、それが前提で仕事をしてきておったのに、現地へ行ってみたらこれは違うじゃないかと、そういう位置に今私は置かれているのです。やはり約束したことは守らなかったら、一カ所崩し出したら次々と起こってくるんです。  運輸大臣、例えば、大阪でパークタウンという、八九年から分譲されているところがあるのです。住宅を大阪府がつくったんだ。そのリーフを見ると、上空には飛行機は飛びませんと。これではあっと家を売ったわけだ。それで、今になってきたら、飛ぶルートの中にそこが載っているのです。飛ぶルートの地図というのは、運輸省関係方面に出しておるのです。航空機の運航に伴う調査等に当たっては、運輸省平成九年六月十六日に大阪府に提示した「関西国際空港の飛行経路問題に係わる総合的な取り組みについて」に示された飛行経路を想定しています、それに基づいて調査をやりますと言って、関西国際空港株式会社と用地造成株式会社が現況調査地点というのを出しておる。これを見たら、もう地元では、陸上ルートの話で仕事を始めておるんです。これに基づいての調査がのしかかってくるのです。そんなの、むちゃくちゃな話ですよ。そもそもの公約を破るようなことを、もう一定の期間たったら、あのときとは事情変更が起こりましてとか、今度の国会で何か事情の変更というような話、よく聞きますけれども、これは関西空港も同じような取り扱いじゃないか。  やはり守ることは守る。ルートは、何も空の上のことじゃないですか、陸を通らぬコースを新たに開発したらいいでしょう。飛行の経路がいっぱいだというのだったら、いっぱいでないように整理し直したらいいでしょう。私は、原点は、やはりしっかり守るということが政治の信頼の上において避けて通れない大事な問題だと思うのですよ。大臣の見解を聞きたいと思います。
  203. 藤井孝男

    藤井国務大臣 運輸省といたしましては、騒音問題の生じない空港つくりという関西空港基本原則や、三点セットにおいて飛行経路を設定した際の要件である「努めて海上を飛行し、低高度では陸地上空を飛行しないこと。」という基本的な考え方は、将来にわたって堅持すべきものと考えております。
  204. 寺前巖

    ○寺前委員 将来にわたって堅持するということだったら、こんな文書を、去年の六月に大阪府に提示したというのは撤回してもらわないとあかん。原点というのは、堅持してもらわないと困ると知事が言ったぐらい、非常に明確に参考人として国会で述べているのだから。
  205. 藤井孝男

    藤井国務大臣 再び繰り返して申し上げます。  「努めて海上を飛行し、低高度では陸地上空を飛行しないこと。」という基本的な考え方は、将来にわたって堅持すべきものと考えております。  しかしながら、現行経路によっては、今後の増便等が困難になっている状況にかんがみ、一昨年七月より地元三府県に飛行経路の現状と問題点の説明を続けてきた結果、これについて一定の御理解をいただいたことを踏まえ、昨年六月に、新たな飛行経路の対応案を含む「関西国際空港の飛行経路問題に係わる総合的な取り組みについて」を提示をしたところでございます。  この対応案は、航空機が陸地上空を飛行する場合には十分な高度を確保しながら飛行する等、騒音問題の生じない空港つくりの原則を十分に踏まえて検討されたものでございます。
  206. 寺前巖

    ○寺前委員 そんなこと言ってないですよ、当時の国会では。低高度の問題なんて、そんなこと一言もないんだよ。陸上の話は一言も出なかったんだ。また、知事は堅持してもらいたいということを強調したんだから。それが原点だ。それを適当にごまかすことはやってはならないというのが一つ。  それから、地元の合意を得ましたとか、協議をしましたとかいうけれども、それでは、この泉南地域で、賛成だ、結構だ、陸上を飛ばそうじゃないか、方針変えようじゃないかと言った議会があるならば、どこの議会ですか。わかりますか。
  207. 楠木行雄

    楠木政府委員 私の方では承知しておりません。
  208. 寺前巖

    ○寺前委員 それが去年の六月に提示して以後の今日までの地元の具体的な姿じゃありませんか。  だから、私は、こういうことをやっている運輸省は、国会と住民に対して平気でうそを貫いていこうという態度であって、撤回してもらいたい。そういう性格なんだ。だから、国会にも、改めてここに報告が大臣所信表明の中に出てこないんじゃないですか。言えないんじゃないですか。確信を持って言えるような姿にないということを示しているんです。私は、そのことを要求して、もう一度反省してもらうことを心から希望します。  終わります。
  209. 大野功統

    大野委員長 次に、濱田健一君。
  210. 濱田健一

    濱田(健)委員 大臣の所信を受けまして、基本的なことについて三点、総合交通体系整備と特別会計の創設という部分と、町づくり、そして環境に優しい交通の実現ということで質問をさせていただきたいと思います。  一点目の総合交通体系整備と特別会計の創設という部分ですが、行政改革会議省庁再編案がまとまり、今国会に中央省庁改革基本法案として提案がなされております。その中で、運輸省は、建設省国土庁、北海道開発庁等々と統合され、国土交通省という名称に現在なろうとしております。  社会民主党は、今回の省庁再編に当たって、運輸省を総合交通省として充実強化することが時代の要請であるというふうに考え、その実現に取り組んでまいったところでございます。当初案はいわゆる国土開発省という名前も出てまいりましたが、いろいろの経緯を経て国土交通省となり、最後の段階で省名にやはり交通という文字が入ったことは評価をしたいというふうに思っております。  大臣の所信をお聞きいたしまして、その中でこういう言葉を述べておられます。「二十一世紀にふさわしい総合的な交通行政の実現に向け、安全の確保基本としつつ、陸海空にわたり整合性のとれた交通体系の形成と安定的で質の高い交通運輸サービスの提供を目指して邁進」するというふうに強い決意で言われております。  さて、今度の国土交通省においては、先ほど申し上げましたいろいろな省庁がいわゆる統合されるという意味において、道路行政、河川行政といった交通運輸行政とかかわりの深い行政分野と一緒になるわけです。単に役所同士をくっつけるというのではなく、総合的な交通体系整備の視点に立って新省庁の行政内容を当然検討していくべきであるというふうに私たちは考えます。そういうことをすることによって、鉄道、道路、航空海運といった各交通モードの本当の意味での総合調整が新たな国土交通省で果たされるべきものでありまして、それを国民も願っていると私たちは期待をしております。  そして、財源についても、新たな省となることをきっかけに、財源の重点的、効率的使用や総合交通体系確立の視点から、特定財源というものが今ございますが、特定財源制度を大胆に見直し、例えば総合交通会計制度というようなものとして一本化することで、縦割りの弊害を打破した予算配分の抜本改革を実現していくべきではないかというような思いも持っているところでございます。そういう観点から、大臣も述べられておりますけれども、新たに総合的な交通行政の実現に向けた決意を述べていただきたいと思いますし、法案が出ております基本法や省庁設置法等、これは来年の通常国会になると思いますが、建設省等々のある部分と一体となる新体制に向けた調整をこれからどういうふうにしていかれようとしておられるのか、その所見をお聞きしたいことと、先ほど申し上げました総合交通会計制度というようなものについてのお考えを聞かせていただけたら幸いだと思います。
  211. 藤井孝男

    藤井国務大臣 建設省運輸省国土庁並びに北海道開発庁が母体となって国土交通省が設置されるということにかんがみ、総合的な今後の交通行政がどういう展開をされるかという趣旨と、また交通の特別会計等々についての御指摘がございました。  他の委員からも同様の趣旨の御質問をいただいているところでございますけれども、何よりも私どもは、この省庁再編によりまして、委員のお話にもありましたように、やはり効率的、効果的な、また一体化された総合交通整備ということ、それが、省庁が単に合体したということでは意味がございませんので、そこにはやはりこれまでとかく言われた縦割り行政というものを極力排することにより、まさに国民の皆様方、利用される方々あるいは消費者の皆様方からも喜ばれる、そういう利便性のある交通網の体制をつくっていかなければならない。これは、単にハードばかりではなくて、ソフト部分も踏まえてこれからの交通体系整備を進めていかなければならないと思っております。  いずれにいたしましても、基本法案の趣旨を踏まえて、今後、建設省国土庁等の関係省庁との間で、総合交通行政の展開のあり方についてはこれから密接に検討を進めていかなければならないかと思います。  例えば、具体的に言いますと、今、効率化、効果的な整備といいますが、例えば物流の高コスト構造の是正のための道路輸送、海上輸送、鉄道輸送等を通じた総合的な施策や効率的な幹線交通体系整備、あるいは来るべき高齢化社会に対応した都市交通政策等をより的確に展開させなければならないと考えておるところでございます。  また、総合交通会計制度をつくっていくことにつきましては、いわゆる今ある特定財源制度を大胆に見直すということの中で、一つの例として総合交通会計制度をつくっていくについての私の見解いかんという御趣旨の御質問でありますが、二十一世紀に向けて、国際化の進展、経済構造改革等に対応するため、陸海空にわたる安定的で質の高い運輸サービスの提供を図っていくためには、各交通機関の特性を生かした、整合性のとれた総合的な交通体系の形成が肝要であります。  そこで、総合交通特別会計につきましては、いわゆる施設ごとに受益と負担とのバランスを考慮して利用者負担が設定されておりまして、これを別の施設の整備に充当することが適当かどうか、国民の理解が得られるかといった点を踏まえて、慎重に検討していくべきものと考えております。  いずれにいたしましても、運輸省といたしましては、関係各省庁と緊密な連携をとりながら、極めて必要性の高い分野、緊急性の高い分野に効率的、効果的に予算配分を行い、新幹線、港湾空港等の運輸関係社会資本整備に全力を挙げてまいらなければならないと思っておるところでございます。
  212. 濱田健一

    濱田(健)委員 新しい役所が発足するまで二年間ぐらい時間があるわけですが、これは二年しかないというふうに考えた方がいいと思うのです。  今ある役所のいろいろな機能を一つに合体して、国土交通省という名目の新しい役所ができるということですが、それぞれの権益を含めて、従来のものがただ一足す一足す一というふうになるようなことでは、これからの日本の交通を含めた、それに付随するいろいろな要素というものがやはりばらばらでしか機能し得ないという不安といいますか、期待感を失望させるようなことになりかねないというふうに思いますので、今の新しい会計制度等も含めて深い検討を急いでおやりいただきたいというふうに申し添えておきたいと思います。  二番目に、町づくりの観点ですが、今、運輸政策審議会で、各モードごとの部会に分かれて、需給調整規制の廃止後の運輸行政のあり方についての審議が行われております。特に地方のといいますか,各地の生活路線の維持方策と安全性の確保策がこれから本当に重要になってくるというふうに思います。  それで、私は、規制緩和の一方で、当然地方分権という視点で町づくりというものを考えることが非常に大事だというふうに思います。細川熊本県知事のときに、いわゆる地方分権ということで、バス停の移動というのを象徴的に規制をなくして取り上げた経過を覚えておるのですが、運輸交通関係運輸省の自治体への権限移譲は今どのように進められているのかということが一点目でございます。  いわゆる需給調整規制の廃止ということで、いろいろな業者が参入できて、いろいろな形で営業ができていくという方向性は、ある意味でプラスではございますが、いわゆる採算のとれないところ等については、特に地方、過疎部分等々は、今ある足が奪われてしまうというマイナスの面も当然考えるわけでございまして、そういう意味では、自治体が地域の足を維持するために、その持っている役割というのは今以上に大きくなってくると私は思います。  交通の視点を抜きにした町づくり、地域づくりは絶対にこれからはないというふうに言えるのではないかというふうに思います。例えば各省が連携して取り組んでまいりましたオムニバスタウン事業というのがございますが、これは、町づくりと交通ということを考える上で、高い評価ができるのではないかというふうに思います。これからもっともっと自治体中心に交通体系を考えた町づくりが促進できるよう、運輸省としてもさらなる権限の移譲と、マイナス面をどうつくり出さないかというような視点で環境整備を進めなければならないというふうに思いますが、御所見いかがでしょうか。
  213. 藤井孝男

    藤井国務大臣 先ほど一つの例としてバス停の話が出ましたけれども運輸省といたしましては、積極的に規制緩和というものに取り組んでまいりましたし、委員御案内のとおり、一昨年には一大政策転換をいたしまして、需給調整規制の廃止という政策転換を行ったところであります。  また、ちょっと余談になりますけれども、先日、行政改革規制緩和委員会の委員長であるオリックスの宮内社長にお目にかかりましたが、運輸省規制緩和に関して非常に積極的に前向きに取り組んで、大変評価しているというお言葉をいただきまして、私どももこれからも規制緩和を着実に進めていくべきであると思っております。  また、行政改革の一環といたしまして、地方分権というものも大事なこれからの行革のテーマの一つであります。とりわけ、地方都市のいわゆる公共交通サービスというものは極めて重要な役割を果たしておりますものですから、公共交通機関整備充実、中心市街地の活性化等について、関係地方団体との密接な連携を持ちながら、地方運輸局を通じ、地域の実情に対応した運輸行政を行ってまいりましたし、そして今後ともへこの点については、さらに積極的にそういった地域の実情を踏まえて対応していかなければならないと思います。  そして、地方分権ということで我々は積極的に取り組んでまいりますけれども、やはり一方、交通という面からとらえますと、空港あるいは鉄道など、ネットワークという広域的に広がっておる観点からしますと、こうした交通機関相互の連続性及び安全の確保を図る観点から、国が一元的に対応すべき面もある、この点はぜひ御理解をいただきたいと思っています。  また、二点目で、生活路線の維持等ということにつきましても、これは大変大事なことでありまして、規制緩和を進めることによりまして、強いものだけが生き残るということがあってはならないし、特に地方都市、山村における生活路線をいかに維持するか。それに自治体も現在でも相当な負担を負っておるわけでありますし、そうした規制緩和を、需給緩和をしていく上において、やはりその点は十分私どもは配慮をしなければならないと思っております。  また、地方分権の推進につきましては、地方分権推進委員会の勧告等を踏まえ、地方分権推進計画を策定し、着実に実施してまいりたいと考えているところでございます。
  214. 濱田健一

    濱田(健)委員 私の鹿児島でも、バスに絞って申し上げますと、同じ路線を空気を運んでいる。二社、三社走っているのですよね。ですから、私は、いろいろな自治体が自分たちのところでバスや運転手さんを雇って、自治体のバスを走らせているわけですが、人件費を含めた経費を考えたときに、そういうふうに空で走っているバスをもっと地域の中に、小さくてもいいから公共交通機関として導入すべきだというような話をしていまして、あるバスの労働組合の委員長さんなんかはマイタウン・マイバスという構想でいろいろなところで話をしていらっしゃる。ですから、そういう意味では、地域交通を守るという観点で、今大臣のおっしゃったように、国の施策としてもより細かいところを気をつけてやっていただきたいなというふうに申し上げておきたいと思います。  時間がなくなりましたけれども、もう一点、昨年の十二月にいわゆる京都で地球温暖化防止会議が開かれ、CO2対策を推進するためには、運輸交通部門がCO2の排出量の約二〇%を占めている、そのうちマイカーが約八割というような数字も出てきております。そういう観点からは、運輸交通部門が地球温暖化防止という観点で果たす役割、責任は非常に大きいというふうに思います。  特に、公共交通部門について、運輸省としても来年度予算及び税制改正、私たちも努力いたしましたが、いわゆる低公害車の普及のための税制への取り組み、モーダルシフトのためのさまざまな措置を講じていることは大変評価できるものでありますが、将来の社会を考えるならば、もっともっと力を入れるべきだというふうに考えます。ヨーロッパ等を見てみますと、町づくりとあわせて再び路面電車というものが復権を与えられておりまして、日本でもつぶれた路線を復興しようという話題等、実際にその動きが出てきているところでございます。いろいろなところでマイカー主義の交通体系というものがまだまだ強い、市街地に一極集中しているという状況の中で、決して車そのものをなくせということではなくて、その集中の仕方を規制するといいますか、一定の範囲でとめるというようなことなんかも、環境の部分からいいまして積極的に推進すべきではないか。  それで、環境に優しい交通の実現に向けた、運輸省としての、今も努力していただいておりますけれども、もっともっとリーダーシップを発揮しての取り組み、これらの御所見について、大臣いかがでしょうか。
  215. 藤井孝男

    藤井国務大臣 京都会議を踏まえまして、私どもといたしましては、他の委員からも濱田委員と同様に、運輸省がリーダーシップをもっと発揮せよ、率先せよという御意見がございました。  私どもも、運輸部門からの二酸化炭素の排出量が我が国全体の二割を占めるということにかんがみますと、やはりこのまま放置いたしておきますと、平成七年度は平成二年度に比較して一六%も排出量がふえておりますから、このことを考えましただけでも、今後このまま放置したら環境に対して大変な悪影響を与えるということであります。  そこで、今お話がありましたように、低公害車の開発であるとかモーダルシフトであるとか、そういったあらゆる観点から、環境に優しい、そして生活利便性、あるいは生産の、いわゆる交通手段と申しましょうか、そういったものも十分踏まえながら、これからさらに総量的な交通の抑制、とりわけマイカー等々を含めた抑制を含め、またさらには一層の物流の効率化を進めていかなければならないと思っております。  そこで、本年一月二十一日に運輸省地球温暖化対策推進本部を設置したところでございまして、今後、全力を挙げて運輸部門の地球温暖化対策を推進してまいる考えでおります。
  216. 濱田健一

    濱田(健)委員 ありがとうございました。
  217. 大野功統

    大野委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時三十八分散会