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1998-05-27 第142回国会 衆議院 安全保障委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十年五月二十七日(水曜日)     午前十時開議  出席委員   委員長 塩田  晋君    理事 浅野 勝人君 理事 石破  茂君    理事 中島洋次郎君 理事 浜田 靖一君    理事 石井 紘基君 理事 岡田 克也君    理事 赤松 正雄君 理事 西村 眞悟君       岩永 峯一君    臼井日出男君       大石 秀政君    古賀 正浩君       佐藤  勉君    田村 憲久君       滝   実君    中山 利生君       中山 正暉君    林  幹雄君       増田 敏男君    宮下 創平君       玉置 一弥君    前原 誠司君       横路 孝弘君    冨沢 篤紘君       佐藤 茂樹君    中路 雅弘君       東中 光雄君    上原 康助君       辻元 清美君  出席国務大臣        外 務 大 臣  小渕 恵三君        国 務 大 臣        (防衛庁長官)  久間 章生君  出席政府委員        防衛庁長官官房長 大越 康弘君        防衛庁防衛局長  佐藤  謙君        防衛庁運用局長  太田 洋次君        防衛庁人事教育        局長       坂野  興君        防衛庁装備局長  鴇田 勝彦君        防衛施設庁長官  萩  次郎君        防衛施設庁施設        部長       首藤 新悟君        外務省総合外交        政策局軍備管        理・科学審議官  阿部 信泰君        外務省アジア局        長        阿南 惟茂君        外務省北米局長  高野 紀元君        外務省欧亜局長        事務代理     飯村  豊君        外務省条約局長  竹内 行夫君  委員外出席者        外務大臣官房領        事移住部長    内藤 昌平君        会場保安庁総務        部政務課長    中島 憲司君        会計検査院事務        総局第二局防衛        検査第一課長   藤田 正二君        安全保障委員会        専門員      平川 日月君     ――――――――――――― 委員の異動五月二十七日  辞任         補欠選任   河井 克行君     滝   実君   阪上 善秀君     岩永 峯一君   仲村 正治君     古賀 正浩君   山崎  拓君     大石 秀政君   辻元 清美君     上原 康助君 同日  辞任         補欠選任   岩永 峯一君     阪上 善秀君   大石 秀政君     山崎  拓君   古賀 正浩君     仲村 正治君   滝   実君     河井 克行君   上原 康助君     辻元 清美君 五月十五日  有事法制化反対等に関する請願葉山峻紹介  )  (第二四五一号) 同月二十一日  有事法制化反対等に関する請願児玉健次君紹  介)(第二八三三号) 同月二十五日  周辺事態法案自衛隊法改悪反対に関する請  願(寺前巖紹介)(第三〇〇四号)  は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 五月二十七日  有事立法制定反対に関する陳情書外一件  (第三三  七号)  海外での武力行使を容認するPKO法改正案反  対に関する陳情書  (第三三八号)  米軍基地総合対策に関する陳情書  (第  三六八号)  は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  国の安全保障に関する件      ――――◇―――――
  2. 塩田晋

    塩田委員長 これより会議を開きます。  国の安全保障に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中島洋次郎君。
  3. 中島洋次郎

    中島(洋)委員 中島でございます。  本日は、両大臣、お忙しい中そろって御出席をいただきまして、まことに恐縮でございます。私も与党国防担当部会長でありますので、本来こういう場所で余り質問すべきではないのかもしれませんが、同僚議員の御配慮によりまして、きのう突然質問の機会を与えられましたので、国民各層国防政策理解を広めていただくという見地からも、あえて私からも何点か御質問をさせていただきたいと思います。  まず、ガイドライン関係についてお聞きをしたいと思いますが、これは防衛外務両省を初め、政府の役所も大変よく頑張られたと思っております。これは大変に私は緊急性のある問題であると思っておりますし、こうした平時のうちにきちんとつくっておくべき法制度であると思っております。  国会という国権の最高機関として、武力実力組織が超法規措置をとらないで済むように最大限の努力を常に怠ってはいけないと私は思っております。そういう観点から、ガイドラインの問題も急いで法整備をしなくてはいかぬと思っております。防衛外務を初め政府の各省庁も、二月の段階でまだ準備ができていないということを再三おっしゃっておりましたけれども、四月の閣議決定というところまで短期間に大変な努力をされた。私はそれを評価しつつ、一点あえて御質問したい。  我々与党立場として国会提出前にもこの立法に加わっておるわけでございますが、その段階におきましては、いわゆる周辺事態というものは地理的概念ではないんだ、地域を特定するものではないのであるという説明を受けて、与党我が党の部会総務会等もそれを了承して国会提出に至ったわけでございますが、その後、国会答弁あるいは記者会見等々の中で、どうも地理的概念であると思わせるような発言が相次いでいるというふうに新聞報道でも書かれております。  先ほど申し上げましたように、国会提出前の段階で、与党我が党では地理的概念ではないという説明を受けておりますが、それでいいのかどうか。国会提出後において、政府の中でその方針が変わったのか、変わっていないということであれば、きちんと今後も地理的概念ではないという方針を堅持されるのかどうか、その点をまずお伺いをしたいと思います。
  4. 久間章生

    久間国務大臣 これは、たびたび言っておりますように、地理的概念ではなくて、我が国周辺事態で、我が国の平和と安全に重要な影響があるような事態が発生した場合にどう対処するかということを念頭に置ぎながら取りまとめてきたものでございますから、あくまで地理的概念ではないという政府の従来からの考え方は変わっておりません。
  5. 中島洋次郎

    中島(洋)委員 ぜびとも、特定した地域の問題を周辺事態という言葉の定義の中で論じるものではないということを私は堅持をしていただきたいというふうに思っております。  このガイドライン関連の中で、自衛隊法百条の八の改正というものもあわせて国会提出をされております。  私は、これまでの航空機というものに加えて艦船を派遣するというのは大変に意義深いと思っております。国際法上へ自衛隊艦艇は、その内部は事実上国家主権が生じて、大使館の内部と事実上同じような扱いも受けるわけでございます。今回巡視艇というのが準備をされましたけれども巡視艇自衛隊艦艇国際法上大変な大きな扱いの違いがございます。そういった意味からも、邦人の保護という意味においてはやはり自衛隊艦艇であるということが求められると思っておりますし、今国会にその法案が提出されておるわけであります。  その中で、我々我が党としては、この自衛隊法百条の八の処理を急ぐべきであるという決議を行わせていただきました。これにつきまして、政府側としく、自衛隊艦艇航空機に比べていかなるメリットがあるのかということをもう一回あえて確認をさせていただくと同時に、我が党部会が行ったこの百条の八の改正を急いでいただきたいという決議に対して、どういった感想、思いをお持ちであるか、お聞きをしたいと思います。
  6. 久間章生

    久間国務大臣 飛行機の場合は、スピードは速いわけでございますけれども、どうしてもその使用が限定されるわけでございますし、また輸送する人員等も制限があるわけでございます。その分、船の場合、自衛艦も含めまして、速度においては遅いかもしれませんけれども、大量の方々を輸送することができるというメリットがあるわけでございまして、それで今回自衛隊法百条の八の改正をお願いしているわけでございます。  私どもとしては、周辺事態安全確保法と一緒にしまして閣議決定をいたしまして、国会に提出いたしておりますので、そのどれもが速やかに各委員会に付託されまして質疑をしていただきたい、審議をしていただきたいというふうに思っているわけでございまして、政府の私どもの方から、これは切り離して早くとか遅くとか、そういうことを言う立場にはございません。私どもとしては、どの法律あるいはどの条約にしましても、一日も早く御審議をしていただきたい、そういう気持ちでございます。
  7. 中島洋次郎

    中島(洋)委員 思いは私も同じでございます。  ちょっと先ほどの周辺事態関連防衛庁長官答弁で結構なわけでございますが、いろいろと外務省からもこれについての発言が相次いでおりますので、あえて外務省の方からも、周辺事態地理的概念であるという方針転換がどこかであったのかどうか、今後もきちんと従来の方針を維持するのか、外務省の方からの答弁もお願いをしたいと思います。
  8. 小渕恵三

    小渕国務大臣 先ほど防衛庁長官から御答弁申し上げましたけれども政府一体でございますので、同様の考え方であります。  周辺事態というのが発生し得る地域をあらかじめ特定し、あるいは地理的に一概に画することはできないという意味におきまして、周辺事態地理的概念ではありません。これは従来から繰り返し説明しておるところでございまして、そのような政府立場には何らの変更もございません。
  9. 中島洋次郎

    中島(洋)委員 これで両大臣からはっきりと御答弁をいただきましたので、私も我が党に対してきちんと説明ができるというふうに安心をしております。  次に、対人地雷全面禁止の問題もちょっとお聞きをしておきたいと思います。  これに対して我が党国防部会の中に懸念する声があるわけでありますが、これは部会の中でも再三申し上げてきたことでありますので、ここであえてそれを繰り返すことはいたしません。  ここで私が確認をしておきたいのは、我が党部会の場において、外務省防衛庁、それぞれが約束をしていただいたことがございます。それは、防衛庁の方は代替手段開発に全力を挙げるということをおっしゃっていただいておりますし、また、外務省の方におきましては、安全保障条約上の問題を含めて対米関係支障がないように外務省が全責任を負うのだということを約束していただいております。  これは、その約束から半年以上がたっておるわけでありますが、その後どういう対応進捗を見ておるのか、こうした公の場できちんと聞いておくべきではないかと思いますので、あえて質問をさせていただきます。  余り漠然とした質問でも恐縮ですから、具体的に質問いたします。  外務省は、去年十一月の段階で、アメリカ日本国内基地の中に対人地雷を貯蔵することはオーケーだけれども日本有事の際アメリカ地雷を使えるかどうか、これははっきりしない。それで、日本国内地雷アメリカ海外に運んでいく場合、自衛隊は協力できるか、できないとそのときおっしゃいました。最近の新聞報道では、できるかもしれないと外務省はおっしゃっているようでありますが。また、この輸送を自衛隊ができないとして、民間業者ができるのか、これもこれから詰めますとおっしゃってから半年がたっておりますが、この点についてその後どういう進捗を見ておられるのか、お聞かせを願いたいと思います。
  10. 阿部信泰

    阿部政府委員 お答え申し上げます。  この条約に署名しまして、条約に基づきまして、日本としましては、条約に定めるところの地雷使用開発、生産、取得、貯蔵、保有及び移譲、こういったものの行為を禁止することになるわけですが、これにつきまして、政府機関はもちろん、一般私人も含めまして、こういった行為を規制するということが条約の義務上必要になってまいります。  それにつきましてどのような規定を設けるべきか、また、詳細に条約をどのように解釈するのかということにつきまして、条約に署名しましたほかの国の動きも含めまして目下鋭意検討しているところでありまして、条約の批准を早期に行うという方向で鋭意検討を行っております。  御質問のありました諸点、米軍基地内に貯蔵できるか、日本有事の場合にどうするのか、海外に輸送する場合に日本としてどこまで協力が許されるのかといった問題も含めまして、まだ諸外国でもいろいろ議論があるようでございまして、そういった点も含めまして鋭意検討を進めておるところでありまして、できるだけ早く結論を出すように努力しておるところでございます。
  11. 中島洋次郎

    中島(洋)委員 これは私もこれ以上言いませんけれども、既に外務省に対して質問をして、検討します、検討がまとまり次第お答えしますと言われてから半年たっておるわけですからあえて聞いたわけでありますが、まだまとまっていない。そういった状態で、あえて言わせてもらえば、本当に我が国の安全、また日米安全保障条約上問題がないのかと言われると、問題がないと胸を張って言える状況では今のところないのではないかという懸念を持ちます。これは政府の側においてきちんとした対応を急いでいただきたいということを強く要望しまして、これ以上は質問しませんで、次の問題へ移ります。  行政改革の問題もちょっと御質問しておかなくてはいかぬのかなと思っております。  というのは、昨年秋の省庁再編問題の際に、防衛庁を省に移行するべきである、これは、郷友会隊友会、また自衛隊父兄会等々から、私初め与党自民党担当部会に大変強い陳情がございました。その陳情中身は、自衛隊員の現職、OB、家族を含めて、防衛庁国防省にしてもらいたいというのは悲願であると。それを受けまして、我々も部会として決議をし、当時、党の行革本部でも、党としての決定は、省へ移行するべきであるということを決定したわけであります。  ただ、その際、諸般事情があって、党の決定政府決定差異が生じた。このために、要らぬ誤解を生じている。ですから、ここでちょっとそういった誤解を解くためにもはっきりさせておいた方がいいと思うのであります。  当時、内局方々も、公の場では防衛庁のままで何の支障もないという発言をされて、それが新聞にも大きく報道されました。国防関係団体の方も、それに対して大変に心を痛めて心配をされておりました。現在もそうであります。  防衛庁内局制服自衛隊の中に意識の差があるのかないのか、私は実際にはないと思っていますが、あるのかないのか。当時、与党自民党行革方針政府方針に多少の差異が生じましたけれども、それは立法上さまざまな諸般事情があってのことであって、政府の側におかれても省への移行は当然望んでいらしたのだというふうに私は思っておりますが、そこら辺をこうした場できちんと言葉にして御説明をいただければと思います。
  12. 久間章生

    久間国務大臣 防衛庁内局制服の中で意見が違っておったわけでもございません。私も含めまして、やはり国の基本任務であります国防仕事をつかさどる防衛庁は省であってほしい、そういう気持ちはみんなが持っておりましたし、現在もまたそういう気持ちは持っております。  しかしながら、その一方、行政改革会議が開かれましたときに、両論併記でございまして、最終的には総理に一任されたわけでございます。それを受けまして、総理としては、現在、ガイドライン関連法律を初めとしまして、いろいろと進めなければならないような問題がございまして、最終的には、省に昇格しないで現在のままに置くことによって仕事ができなくなるわけではない、しかしながら、隊員の士気を初めとして、今みんなが、防衛庁自衛隊を取り巻く関係の諸団体も望んでおるのはわかりつつも、そういう人たちへの影響があることはわかりつつも、現在のいろいろな情勢の中でこれはそのまま残すという最終判断をされたわけでございます。それを受けまして、党の方も最終的にはそれで行くということになりまして、法案の取りまとめを政府としてはやったわけでございます。  そういうような背景、経緯等についてもぜひ御理解を賜りまして、それと同時に、これまでの間に、防衛庁を省として移行させようという形でいろいろと声援を送っていただきました方々にも、私からも心から御礼を申し上げると同時に、そういう諸般情勢の中でこういう結果になったということについての御理解を賜りたいと思うわけでございます。
  13. 中島洋次郎

    中島(洋)委員 大臣のお立場もわかりますのでこれ以上申しませんが、我が党としては、これは結党以来、防衛庁、その前身のときから、いっかはきちんとこれは省にするのだということが一種の党の公約にもなってきております。そして、これは、今長官もはっきりとはお述べになりませんでしたけれども政府与党の間で結論が出たということではないという扱いになっております。引き続き継続して検討していくという課題になっておりますので、その点を私の方から指摘をして、次の質問に移りたいと思います。  昨今、防衛庁内部不祥事新聞とかで報道されております。いわゆる四社事案調達実施本部内での不祥事事件というふうに言われております。  これは担当の部局の方で、ごうしたことが起こらないように、既に再発防止策をつくられて二月に発表されておるというふうに承知をしております。しかし、その再発防止策というのが全くつくられていないのだという報道もございます。これは、再発防止策をつくったということがPRをされていないのか、あるいはその再発防止策評価を全くされていないのか、私はそういった防止策をつくったということを知らない方が多いのではないかと思います。  この再発防止策の力点、重点はこにあるのか、また、このいわゆる四社事案と言われるものの問題の本質、原因というものはどこにあったとお考えなのか、お聞かせを願いたいと思います。
  14. 鴇田勝彦

    鴇田政府委員 お答えをいたします。  ただいま委員指摘のように、去る二月二十六日に、本件原価差異事案を契機といたしまして、調達実施本部防衛庁として、いかなる再発防止策を行うべきであるか、それまでの検討結果をまとめたところでございます。具体的には、調達実施本部長通達といたしまして、原価差異事案処理要綱大綱というのをその時点で発表をさせていただいております。  具体的な再発防止策中身でございますが、大きな柱といたしましては、こういった原価差異発見能力拡充強化がまず第一に必要であろう。この反省が一つございます。  それから、四社事案処理に当たりまして、いろいろ報道等、あるいは国会で御質問を受けておりますが、その処理方針について、統一的な処理がされていなかったのではないかという御指摘もございましたので、今後は、原価差異事案業務処理基準というものを画一的、統一的に定めまして、こういった事案が発生した場合の統一的な処理を行いたいという点が第二点でございます。  それから第三点が、最も本質的な部分になろうかと思いますが、原価計算あるいは原価監査に当たっての調達実施本部のそういった能力拡充。これは人的な面での配慮、あるいはシステム整備も含めまして、こういった点についても審査能力強化が必要であろうという三つの柱をこの大綱に定めてあるわけでございます。  細かく申し上げますと大変長くなりますので、要点だけ申し上げます。  第一の原価差異事案発見能力という観点につきましては、一般確定契約が大宗を占めておったわけですが、これらにつきまして、当該企業製造工程の中で原価の発生が原価元帳に適正に集計されるようなシステム調査をする。調本で言っております制度調査につきまして、これは大変時間も人手もかかるわけですが、一般確定契約を主体とする全社、約三百社弱ございますが、これら全社を対象として、一定期間内、我々は精いっぱい努力をして五年以内ぐらいにやりたいと思っていますが、こういった意味原価差異発見能力システム的に整備をしていきたいと考えております。  第二点の統一的な処理基準でございますが、具体的にどういった省内手続でこれを処理していくか。事案が発生したときに早速長官報告を申し上げて、対策委員会を設け、個別に部外の有識者も交えて透明、公正な処理をする。また、その場合の処理基準返納方法等についての統一的な処理基準についても定めていこうということで、処理基準を定めることにいたしております。  それから、本質的な問題でございます審査能力原価計算能力、これのアップにつきましては、見積もり審査チェックリストをつくって斉一的、統一的な精度の高い原価計算が行われるようにするとか、あるいは新しい見積もり分析評価手法を研究するとかいうことも考えておりますし、市場におけるさまざまな原材料等々の価格について、これもデータベースを活用するような原価計算支援システム整備する等々を考えてございます。  お答えといたしましては、こういった二月二十六日に出させていただいた大綱に基づいて、この処理基準制定について作業を精力的に進めておりますが、一部の問題については関係省庁等と協議をし、法的な部分の詰めもしなければならない点もございまして、最終的に処理基準については現在策定をされておりません。  ただ、他に申し上げました制度調査拡充とか、その他、人的面での整備とか、あるいは調本の中に調達情報センターというのをつくって調達情報を広く国民の皆様、企業関係者に公にするとか、物によっては既に実施済みでございます。  以上、実態でございます。
  15. 中島洋次郎

    中島(洋)委員 この問題の本質がどこにあるのか、今の御説明で大体理解はしたつもりでございますが、一般新聞報道におけるこの問題の伝えられ方がだんだん変化をしてきておって、一番新しい報道では、中途確定契約一般確定契約か、この問題が一番大きく報じられるようになっております。これについて、一部に長官答弁が不正確であったという指摘もございます。この点について、長官、御意見があればお聞かせを願いたいと思います。
  16. 久間章生

    久間国務大臣 昨年の九月に、調達実施本部の方に原価差異事案対策特別委員会というのをつくりまして、内部調査を進めると同時に、どういう問題点があったのか、そしてまたこれから先どういうふうにすればこういう問題が再発できないようになるのか、それについてその特別委員会でいろいろ調査と同時に対策を講じてきておったわけでございます。  たしか去年の十一月だったと思いますけれども決算委員会等に呼ばれまして、これまでのいろいろな経過、そういう問題についての質疑が行われたわけでございます。そのときに、御承知のとおり一これは四社事案としてかなり報道もされておりましたので、四竹についてのまとまった話でございました。  それについて、十一月の時点で私がそれまでの調査によって報告を受けておりましたのは、これは一般確定契約による契約が一応確定しているものであるから、過払いになっているものを取り返すについては、そこで一つの覚書といいますか、相手との了解に達して取り返さなければならない、これが言うなれば一種和解契約である、そういう説明を受けて、一種和解契約であるから、そこでどうもその当時非常に苦慮したのじゃないかという報告を受けておったわけでございます。  十一月の時点では、これは中途確定契約がその中に入っているということは聞いておりませんでしたが、絶対にないというような報告もまた実際はあっておりませんでした。そのために、私の方は、すべてが一般確定契約だということは言いませんでしたけれども一般確定契約であることを念頭に置きながら決算委員会で述べたものでございます。  その後、十二月になりまして、細かい報告、要するに全体の件数のうち九四%が一般確定契約で、いわゆる中途確定契約といいますか監査つき契約が六%あったということを後日聞いたわけでございます。だだ、事の本質はそれにょって変わるものではなくて、監査つき契約であっても、契約をして、しかもその後監査をして、そして金を払ってしまっているというものにつきまして、これを返してもらおうとするときには、その六%の分をひっくるめまして、新たな一種和解契約みたいなものでございますから、それに基づいてとにかく取り返すというのがなかなか大変だったのだろう、そういうふうに理解をしておったところでございます。  ただ、最近、報道等に非常に載っております東洋通信機という会社がございますけれども、これについて見ると、いわゆる全体では六%かもしれませんけれども、その監査つき契約が十何%ですか、かなりのウエートを占めておったというようなことになっておりまして、あの当時は四社を一からげにして決算委員会でも問題になりましたので、全体としていわゆる一般確定契約が大半であった、そういうようなことからそういうような報告を冒頭にさせていただいたという経緯がございます。  以上でございます。
  17. 中島洋次郎

    中島(洋)委員 伝えられるような、長官が不正確な答弁を意図的になさったのではないというのは、今のお答えでよくわかりました。  いずれにしましても、こういった事案国防政策全体についての信頼性を損なうことにもなりかねませんので、この件については我々与党も含めて、与党政府一体となって厳しく対応すべき問題であるという認識を持っております。ぜひともそういった方針対応されていただきたいと思います。  五分ちょっと時間が残っておりますが、以上で私の質問を終了させていただきます。  ありがとうございました。
  18. 塩田晋

    塩田委員長 石井紘基君。
  19. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 石井紘基でございます。  ただいま中島委員が最後に取り上げられました防衛庁の装備品契約についての過払いの問題から入ってまいりたいと思います。  今、防衛庁長官は、さきの十一月の決算委員会における長官御自身の答弁についてコメントをされたわけでありますけれども長官は、この中で、要するに中途確定契約の存在については聞いていなかったが絶対にないとも思っていなかった、こういうふうにおっしゃられたのですが、これはどうもよく把握しかねる表現でございまして、担当部局から聞いておられなかったのでしょうかあるいは聞いておられたけれども大したことじゃないというふうに理解されていたのでしょうか。
  20. 久間章生

    久間国務大臣 中途確定契約があるということは聞いておりませんでした。  ただ、一般確定契約なものだから、一般確定契約というのは、一たん見積もりその他をとって契約すると、そこで契約が成立してしまう、そして、それに基づいて払うと債権債務関係が終わってしまう、そういう説明を受けました。  ただ、そのときに、一般確定契約以外のものが入っているのかということを私も念を押しませんでしたし、そういうようなことについての報告がありませんでしたから、それに含まれていないということをはっきりそのとき聞いていなかったわけではないということを言ったのは、そういうことでございます。  そういうことで、中途確定契約があるということを聞いていなかったものですから、私は、大半というか、要するに一般確定契約だろうと思って.全部がという意味じゃございませんけれども、あのような報告をさせていただいたわけでございます。  そして、その後のいろいろな検討の中で、正確に話を受けましたのは、それから一カ月たった後で、いわゆる監査つき契約も実はこういうふうにあるんだということを聞きまして、それはあるだろうな、物の種類にょってはあるだろうなということは認識したわけでございますが、あのときはそういう報告を受けておりませんでした。  だから、一般的に、会計検査院を初めとして、ほかの省庁にも、具体的にこれとこれが一般確定契約で、これが中途契約だというような報告はしていなかったのじゃないかと思って、そういう意味ではほかの部署にも迷惑をかけたのではないかと思っております。
  21. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 防衛庁は、以前に会計検査院とやりとりがあったときに、会計検査院に対して中途確定契約というものがあるということは言わなかったのですか。
  22. 鴇田勝彦

    鴇田政府委員 お答えをいたします。  会計検査院との関係でございますが、平成五年から七年について、本件事案処理した段階におきまして、四社事案処理について逐次報告をさせていただいたところでございます。  日本工機については平成五年七月、東洋通信機についても平成六年六月、それからニコー電子、藤倉航装についてもそれぞれ報告を申し上げております。  なお、その際、監査つき契約が含まれているか、それについて具体的に会計検査院の方に説明し、御認識をいただいたかどうかについては、必ずしも定かではございません。
  23. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 よくわかりませんけれども、それは、言ったんだけれども会計検査院が理解したかしないかわからなかったという意味なんですか。
  24. 鴇田勝彦

    鴇田政府委員 当時、会計検査院の方に報告を申し上げた関係、どの資料でどういった内容を説明申し上げたかについて、定かに記録が残っておりません。
  25. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 防衛庁長官も聞いていなかった、問い返せばよかったのですが、問い返さなかったので確定契約だけだと思っておった、そちらの担当の方も定かに覚えていない、一体こういうことでいいのですか。
  26. 鴇田勝彦

    鴇田政府委員 先ほどの大臣の昨年十一月の決算委員会答弁でございますが、この時点で、我々といたしましては、九月十五日に設置をいたしました原価差異事案対策特別委員会で、逐次、過去の資料を当たったり、関係者を当たったり、調査を進めておりました。  これは先生も御理解いただけますように、過去に起こりました事案について、その真実といいますか事実関係をより正確に把握、確認することが必要でございまして、私も記憶がございますが、十一月時点までに大臣に御説明を申し上げましたのは、一般確定契約について当時大変な法的な問題がありまして、これをうまく、担当者がいろいろ議論を重ねた結果、私法上の一種和解契約として、先方から一般確定契約その他の契約も含めて包括的に返納させたというような事情大臣説明を申し上げております。  そのとき、具体的に中途確定契約について何件あるといった情報は手元にございませんでしたので、主に一般確定契約についてはこういう問題があって、これが大宗を占めている、そういった点を大臣に御説明申し上げまして、大臣から先ほど御答弁ございましたが、当然、大臣の頭の中には、一般確定契約が、主体といいますか中心といいますか、問題のあるものとして事務方から説明を受けられた、そういう御記憶だと思います。
  27. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 いろいろ長々答弁されますけれども、あなた方、非常に、それじゃ通らないような話をされているのですよ。一般確定契約よりも中途確定契約において過払いがあるわけでしょう。過払いの問題といえば、むしろ中途確定契約だと。  なかんずく、先ほども大臣言われましたけれども、東洋通信機あるいは日本工機なんかの場合には、東洋通信機は中途確定契約が約三五%、それから日本工機の場合が六%余り、何といっても、契約高においても圧倒的に群を抜いてといいますか、一番大きいのがこの二社なのですね。この二社の中で、東洋通信機の場合は三分の一以上が中途確定契約です。先ほど大臣は一〇%云々と言われましたけれども、三分の一以上です。ここから主としてこの過払いの問題が中途確定契約で起こっているわけですよ。  それで、この過払い問題をわざわざ決算委員会が一日特別審査日を設けて、昨年の十一月にこの問題を審査した。それに対して、この一番肝心なものを隠しておいた。そして、一般確定契約だけを言った。確かに、大臣が言われるように、一般確定契約は最初に値段を決めちゃうものですから、後の方でそんなに問題は起こりませんよ。そういう問題の起こらないものだけを国会委員会にかけたということは、これは大問題じゃないですか。もう一回答えてください。
  28. 久間章生

    久間国務大臣 先ほども言いましたように、あの当時はこの四社事案全体が問題になっておったわけでございます。それと、また申し上げますけれども、結果として、先ほど言われました件数でいきますと、東洋通信機の場合も一五・三%、金額にしたとき三四・八%でございます。ところが、これは今でも、その当時の処理の仕方としていわゆる監査つき契約から大半が生じたかどうか、そういうことではなくて、全部を込みにしてその当時決めているわけでございます。だから、そういうようなこともございまして、あの当時は四社事案全体としての話でございまして、そして、今言ったような何%かというのも内部調査で十二月になって初めてわかったわけでございます。  そういうような背景の事情等については、ぜひ御理解賜りたいと思うわけでございます。
  29. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 十二月になって初めてわかったというのは、去年の十二月ですか。過払いの返済というのはずっと前にやっているわけです、何年も前に。そうすると、それについては返済というものがなされてないということになるじゃないですか。
  30. 久間章生

    久間国務大臣 具体的には事務局から説明させますけれども、それまでの過払いについて、いわゆる和解契約みたいな形で一括返還させたりあるいはまた分割とかいろいろありますけれども、そういうものについてはどの分を返させたとか、そういうことをしてないわけなのです。そういうような状況でございます。  うちの方としても、この問題につきましては、昨年九月に対策委員会をつくりまして、とにかく内部調査と同時に、その当時どういうふうにやったのか、いろいろなことを今までも調資してやってきていました。そして、今後、こういうことが起こらないように対策もつくりまして公表したわけでございます。  とにかく過去のことでもあるし、そして相手がたくさんあるということと強制調査能力がないというようなことで、どこがどういう形でやったかというのは結局つまびらかにできてないというような形で、あの当時は、とにかくそれをいろいろな形でまとめてどうも返還をさせておる、そういう状況でございます。
  31. 鴇田勝彦

    鴇田政府委員 原価差異額について、当時、四社につきましてどういった算定方法で返納させたか、大臣答弁をちょっと補足させていただきます。  一音だけ申し上げますと……(石井(紘)委員「そのことを言っているのじゃないのだから」と呼ぶ)はい、わかりました。
  32. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 この問題は、莫大な税金の使途の問題ですよ。防衛庁は、防衛装備の予算がないと言って、足りない足りないと言って、我々も必死になって日本国防のためにむだなことはないか、そして、より多く装備の充実をその少ない予算の中でさせることができるかということをずっとやっているわけですよ。そういう中での莫大な金額のルーズな算定、支払い、それに対して戻させた、戻させたのがそれがまた極めてあいまい。  今大臣が言われるように、どこがどうやってやったかつまびらかにされてないとか、どの部分を返させたとか、そういうことではない。何か知らないけれども十把一からげに、どんぶり勘定で、大体このぐらい過払いがあったのだろう、では八億何千万返そうとか、二億何千万返そうとか、どうもそういうふうに聞こえてならない。  そのときに、この中途確定契約についてのことが取り上げられてなかったとすれば1問題は中途確定契約なのですから。中途確定契約というのは、最初に概算の予算を決めて、契約額を仮契約で決めてそれを今度は事業の進展の中でチェックをしていく、そしてその納入の一カ月前に契約をして取引がある、こういうことなわけですから、この過程の中で、この算定の基準、装備の原価計算等々というものがなされる中で問題が起こってくるわけですよ。工数、何人の人が何日働いたか、あるいは材料がどれぐらいかかるかとか、さまざまな原価計算の方式によってそれをきちっとチェックされることによって価格が決まってくる。それで、まさにこの中途確定契約が問題だったわけで、ここから過払いが起こってきたのでしょう。それがそういう御答弁では、これはとても納得されないと思いますよ。
  33. 久間章生

    久間国務大臣 中途確定契約からその差額ができたのじゃなくて、それよりもたくさんあります一般確定契約の中からもあるわけでございまして、それがこの四社全体でとにかく六百八十数億あるわけでございます。それは、監査つき契約の百二億についてもありますけれども、全体にもあるわけでございますから、この中途確定契約だけが問題だったのじゃないわけでございます。  先ほど言いましたように、藤倉航装とかニコー電子というのは中途確定契約はゼロですけれども、それでも一般確定契約の中にかなりの返還額があるわけでございますから、とにかく全体としてそういうようないわゆる過払いがあっておったということについての御理解をひとつ賜りたいと思います。
  34. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 それは、私の言い方が必ずしも十分じゃありませんでしたが、確かにおりしゃるとおりでしたが、しかし、この中途確定契約というものを全然無視して大臣は何とおっしゃっているか。  これは、昨年十一月十二日の決算委員会の議事録であります。ここにかかったのは、まさにこの過払いの問題がテーマとして特別審査ということでかかったわけであります。そこで、大臣は最初の説明聴取の中でこう言われています。「本件事案にかかわる企業との契約は、」中略で「一般確定契約であります。」一般確定契約でありますと、はっきりと一般確定契約だけしか言っていないのです。  一般確定契約で起こってきたいろいろな過払いについては、日本工機には幾ら、東洋通信機には幾ら、藤倉航装には幾ら、ニコー電子には幾らというふうに返還をさせましたということをおっしゃっているわけでありまして、肝心の−肝心のというのは、中途確定契約というのは比較的大きい装備や何かですから、それから長期間かかるものですから、例えばこの四社の中でも、日本工機のように火薬だとか爆薬だとかそういうものを製造しているとか、あるいは東洋通信機のように電気関係の機械とか味方識別装置だとか、そういうものをやっているところで比較的中途確定契約というものが多いわけです。何といったって、これだけの、三分の一以上の仕事をやっているこことの中途確定契約というものを言わなかった。特に、東洋通信機との関係は非常に深いわけですから。  これは、大臣、そこのところは率直にここは手落ちであったとお認めいただかないと、この問題での議論というものは少なくとも前に進まないのじゃないでしょうか。
  35. 久間章生

    久間国務大臣 あのときは、委員もたしか決算委員会でおられましたので御承知思いますけれども、この四社事案全体が問題になっておったわけでございます。そして、今おっしゃられますように、確かに、この東洋通信機だけを取り上げてみますと、東洋通信機はいわゆる中途確定契約が比較的高い会社でございます。  しかしながら、今言われました日本工機にしましても、四百九十一億のうち三十億、金額にしましても六・三%でございますし、監査つき契約比率も件数でいったら二・五%でございます。全体からいっても合計で五・七%でございまして、そういう意味では、一般確定契約の中に問題が非常に多かったわけでございます、件数として。  そういうような契約の性質からいいまして、あの当時、特に強調しましたのは、一たん確定してしまった契約について、これは監査つき契約もそうでございますけれども、そして、監査つき契約については確かに私もあの当時は説明を受けておりませんでしたので、ほとんど全部が一般確定契約だと思って言ったと思いますけれども、ただ、そういうふうに契約が確定してしまって、その後、金を返すというのは一種和解契約になりますので、それを強制的に取り上げるというのはできない、そういう趣旨のことを言ったわけでございます。  損害賠償を請求しても勝てるかどうかわからない、そういう形の中で取り返そうとすると、そこでその金額の合理的な算出方法を見つけ出して、相手から和解契約みたいな形で取り返すのだ、どうもその当時、みんなが一生懸命そういうことに精力を注いでおったのじゃないか。そういうふうなことについてうちの方も今から先まだ調査をしますけれども、そういう中で扱われた案件であるということを強調したわけでございます。  昨今の報道等で東洋通信機の問題が非常に表に出てきておりますけれども、もしこの問題が中心となれば、これだけに的を絞ってお答えしたと思いますけれども、四社事案全体としてあの当時お答えしておりますので、その一般確定契約に話が非常に移ってしまっておったということについてはぜひ御理解じていただきたいと思いますし、そして一般確定契約の中で返還させたものの方が金額的にもはるかに多い、そういうことについてもひとつ御理解いただきたいと思います。
  36. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 この点だけでいつまでも私は時間をとりたくないので、繰り返しみたいなことはおっしゃらないでいただきたいのです。  何といったって、東洋通信機と日本工機で契約が八十件もあるわけですね。これについて、これを落としておった。この中途確定契約については、そのころ大臣は知らなかった、あるいはそれを言わなかったということはどうなのですか。それは事実なのでしょう。
  37. 久間章生

    久間国務大臣 確かに、その中に含まれていたということは報告を受けておりませんでしたから、言わなかったのは事実でございます。
  38. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 言わないと国会審議ができないわけでしょう。一般確定契約のことだけで審議が行われたわけですよ。この決算委員会のときには、最初に大臣説明というものが行われた上で、それについて審議がなされたわけです。  ですから、それをこっちへ置いておいたということですと、その中途確定契約については——我々が全部防衛庁の装備品の発注についての原価計算等々について立ち入ってできるのだったらいいですが、それはできないわけでしょう。だから、そういうふうに提起がされたら、それについての審議ということになりますから、審査ということになりますから、その点は抜けておったのじゃないのですか。そこのところを率直にはっきり言ってください。
  39. 久間章生

    久間国務大臣 先ほど言ったような趣旨でございますけれども、そういうことで先生方に迷惑をかけたとすれば、それは私ども配慮が本当に足りなかったということだと思います。  ただし、その時点では、件数その他もはっきりしなかったというのは後になってわかったことでございますので、どうかひとつその背景については御理解賜りたいと思います。
  40. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 背景は理解したいので、事実、そうだと思うのです。ですから、そこが大変大きな問題だと思うのです。  会計検査院に対しても、そういう中途確定契約等々も含めて、その工数計算の仕方、原価計算の出し方、こうしたものがはっきり示されていない。会計検査院、どうですか、あなたたちはきちっとこれを調べられますか。この前の答弁でも、それはできないというような答弁でしたけれども、もう一回ここで言ってください。
  41. 藤田正二

    ○藤田会計検査院説明員 お答え申し上げます。  現時点では、原価関係の資料等の保存等が十分でないということで、事実の解明には困難な点がございます。したがって、数字の確認については難しい状況でございます。
  42. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 会計検査院は保存等が十分じゃないと言われましたけれども、そこの現場へ行けば、防衛庁から何か原価計算の基準になる資料を受け取って、それに基づいて見れば見られるというものですか。その工数というものは、何人の人が何時間働いたというようなことですけれども、そういうことまで十分検査ができますか。
  43. 藤田正二

    ○藤田会計検査院説明員 お答え申し上げます。  私どもの今までの認識では、確定契約ということを前提にやっておりまして、この契約の種類上、会社側にも原価等の資料の保存義務はないという前提でやっておりました。  ただ、契約の内容によりましては、過去のものについては私どもでまだ確認できるかどうかはわかりませんけれども、今後の新しい契約につきましては、先生御指摘のような確認できるものもあるいはあるかと思いますので、その点については今後の問題として検討はしたいと思います。
  44. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 防衛庁、この過払いの問題について、よそから情報が入ったといいますか指摘をされた、そこでそのことを認識したというのはいつか、調査を始めたというのはいつか。
  45. 鴇田勝彦

    鴇田政府委員 お答えをいたします。  原価差異について、例えば日本工機、これは最初の案件でありますが、情報を入手したのは平成五年五月という記録になっております。  具体的に特別調査を行いました時期につきましてでありますが、これにつきましては、特別調査を最終的に平成五年六月末に終えております。これが最初の調査になると思います。
  46. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 東洋通信機についてはいつですか。
  47. 鴇田勝彦

    鴇田政府委員 東洋通信機につきましては、平成六年二月に原価差異についての疑義を抱きまして調査をいたしまして、平成六年三月に原価差異が判明したところであります。  ただ、これは差異が判明したということで、原価差異額についての返納額をどういたすべきかについては、平成六年六月まで作業を必要といたしました。
  48. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 日本工機については平成五年、九三年。東洋通信機は六年、九四年。そうすると、そのすぐ前の年というと、年度で言えば九三年からさかのぼって、東洋通信機の場合は八九年までやった、日本工機については八八年までやった。どうして日本工機の場合は九三年からさかのぼって八八年までやったか。東洋通信機の場合は九三年から、要するにわかったのが一年ずれているのに、両方とも九三年から、片方は八八年までだけれども東洋通信機の方は八九年まででやめた。これはどういわけですか。
  49. 鴇田勝彦

    鴇田政府委員 先生は西暦でおっしゃったので、私の資料は平成になっておりますので、ひょっとすると答弁がずれるかもしれませんが、調査時期については、先ほど申し上げたように、日本工機については平成五年六月にやりまして、東洋通信機については六年二月に判明して、その結果、数カ月を要して実際の返納の査定に至っております。  質問を聞き漏らしたとすれば大変失礼なのでございますが、こういった形で、返納額については、過去三年、商事時効の五年間を踏まえて、合意を得た年度の前からさかのぼって五年間について計算をしております。
  50. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 今聞いたのは、片方は九三年からですから、三、二、一、それから九〇年、八九年、八八年だから、これは両方とも五年間ですか。私のメモではちょっと違うようになっているのです。では、そこを先に確認します。
  51. 鴇田勝彦

    鴇田政府委員 事実関係確認で申し上げますが、この四社とも、返納の合意ができた年度の前の年から機械的に五年間をとってございます。
  52. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 そうすると、八九年まで、つまり八九年というと平成元年じゃないでしょうか、そこまでの五年間ということなんですが、どうしてそこまででやめたんですか。それをちょっと答えてください。
  53. 鴇田勝彦

    鴇田政府委員 結論的に申し上げますと、商事の時効というのが五年間で消滅をしてしまいますので、先ほど来申し上げているように、一種和解契約的なものとして処理したこともございます。これが一番大きな理由でございます。
  54. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 東洋通信機も日本工機も八九年から九三年までですか、ちょっとそこのところを確認したいんだけれども
  55. 鴇田勝彦

    鴇田政府委員 確認をさせていただきますと、日本工機につきましては、昭和六十三年から平成四年までの五年間でございます。東洋通信機が平成元年から平成五年までの五年間になっております。  他の二社について申し上げますと、藤倉航装は平成二年から平成六年、ニコー電子は平成二年から平成六年の各五年間になっております。
  56. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 平成元年から五年というと、東洋通信機の場合はたしか八九年から九三年までですよね。結局、この間しかやらなかったというのは、時効の問題だというのが今の答弁ですね。それ以前の分はもう時効だからいいんだということなんですね。もう一回確認します。
  57. 鴇田勝彦

    鴇田政府委員 先ほども答弁申し上げましたように、商事の時効が五年間で切れてしまうものですから、その間の作業をしたということであります。
  58. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 そうすると、余分に払っていたのがあっても、それ以前のものについては追及しない、それっきり国の予算は上げっ放しということになるわけですね。そういうことになるわけです。  もう一つの問題は、だんだんと年を追うごとに発注金額というものは各社とも大体少なくなっているんですよ、これは予算の関係もあると思いますが。だから、さかのぼればさかのぼるほど契約金額が大きいんです。例えば東洋通信機なんかにしても平成元年までやっている、あるいは日本工機なんかにしても、その一年後ですか、二年までですか、やっているわけですね。ところが、以前の方が大体金額が大きいんですよ。これは商事の時効といっても、やはり国の予算を出したんですから、それでストップでいいんでしょうか。
  59. 鴇田勝彦

    鴇田政府委員 本件原価差異事案を返納させるに当たりまして、当時、担当者がいろいろ知恵を絞り、努力をしたところでございます。  最終的には、返納の法的根拠についても、確たるものが得られないという状況の中で、先方に対して一般確定契約も含めて包括的に返納させたという状況でございまして、法律上、時効制度というものがございます前提に立ちますと、それについてはそうせざるを得なかったと考えております。
  60. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 それも非常におかしい話ですね。その問題はちょっと残しておきましょう。  それから、東洋通信機が八億七千四百万、日本工機が五億八千五百万、返納金額がトータルで約二十一億、そういうことになっておるわけですが、なぜそうなのか。先ほどの大臣答弁からいっても、どうも過払い分というものがはっきりしないのじゃないかと思うのですね。報道なんかでは大体七十億と書いているんですよ。一社だけじゃないのです。幾つもの社で七十億と書いている。七十億、八十億という過払いが実際にはあったはずです。それは、私も内部の人から聞いているのです。それは、ただ単に推測じゃないのです。現実に、少なくともそのぐらいの金額はあったのです。それを二十億少々しか返還させなかった、これはどういうわけですか。
  61. 鴇田勝彦

    鴇田政府委員 結果的には四社トータルで二十一億円の返納金額になったわけでございますが、この原価差異の返納額の算定に当たっての手法でありますけれども、当時、我々といたしましては、個別原価資料というのは各企業の方にも残っておりません、我々がもらっておる見積資料あるいは原価検査のときの実際原価計算書については不適切なものがあるという前提の中で、どういった形で適切なコスト計算をやるべきかという観点から、簡単に申し上げますと、企業において最も信頼性の高いとされております公認会計士の監査も受け、株主総会の決議も得ております決算資料、損益計算書をもとに、対防衛庁向けの各年度の売り上げ、各年度の原価コスト、そういったものを包括的に計算をさせていただいて、各社ごとに計算をしたわけでございます。  その結果が、東洋通信機の場合でいいますと、先ほど申し上げた八億七千四百万円ということになっております。  以上、概略でありますが、御説明をさせていただきます。
  62. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 どうやってそれをやるんですか。損益計算書を全体を見て、その中から包括的に割合でもって割り出したということですか。
  63. 鴇田勝彦

    鴇田政府委員 各社ごとに、各年度の対防衛庁向けの売上高というのは、補助簿等を含めて見させていただきますと計上がされております。これにつきまして、適切な、例えば総括的な管理コストとかあるいは販売費とか、そういったものをいろいろな形で足し上げて計算ができたという事実にございます。
  64. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 その際に、今管理コストを一つ挙げられましたけれども、そのほかにはどういう項目があったのですか。
  65. 鴇田勝彦

    鴇田政府委員 当然、コストの中には、最初に原材料コストというのが出てまいります。それに加えまして、加工費といいますか、その人件費に当たるものが出てまいります。それから、若干マイナーにはなりますが、一般管理費関係のコストあるいは宣伝広告費的なコスト等々が出てまいります。
  66. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 企業の損益計算書というものはその年その年のものが載っているわけですから、防衛庁との実際のやりとりに基づいた金額が書いてあるわけでしょう。それを見て幾ら過払いだというのがどうしてわかるかというのが、私はわからないんだけれども。  そこで、今一つ言われた、例えば宣伝広告費というようなものも入れてある。これは、売上原価計算の中に宣伝広告費というのは入るんですか。
  67. 鴇田勝彦

    鴇田政府委員 今申し上げましたのは、一般管理費、あるいは金利とか利益、そういった意味一般管理費の中において一つの項目として申し上げたわけであります。
  68. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 宣伝広告費というのは、普通は規定では入らないんです。そういうものを入れている、あるいは交際費のようなものもやったはずです、あなた方は。それは後でもって……。  さっきから言われているのは、過払い分は本当は七十億あるんだけれども、それを二十一億に縮めるための工作としてやったんです。そうじゃないですか。
  69. 鴇田勝彦

    鴇田政府委員 もう一度申し上げさせていただきたいと思いますのは、基本的に、この四社事案というのは、調達のこれまでの歴史の中で初めて判明した案件でございまして、これをどういったルールでどう処理するかについては、訓令とか達とか統一的な基準ができておりませんでした。  本件事案処理に当たっては、最初に申し上げた法的根拠の観点から始まりまして、具体的に真正なコストというのはどうやったら確認できるだろうかということで当時整理をしたわけでございます。  今委員がおっしゃったような七十億とかいろいろ報道されておりますけれども、この処理に当たっていろいろな試案があったということは事実だと思いますが、ある金額があって、それをいかに減らしていくかというプロセスで試案が出てきたわけではありませんで、こういう考え方をとればこの程度、こういう考え方をとればそれよりも多くなる、そういった議論は当然のことながら当時関係者の間でされたと聞いております。
  70. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 そうすると、かなり悪意的な、自由な裁量に基づいてその二十一億という金額が調整金額として決められたということだろうというふうに私は理解します。  それで、なぜこの処分といいますかペナルティーについて、東洋通信機とニコー電子だけは、例えば金利の問題でいえば五%だ。ほかの社は八%だ。しかも、この二社だけは現金で受け取らないで翌年度以降の契約金額から適当に天引きするということになっている。あるいは、三社については停止処置といいますか、取引停止の処置がなされている。この中でも、今挙げた以外の二社については半年間の取引停止とかいうふうになっているけれども、一社は極めて軽い。それで、東洋通信機だけはその取引停止処置がない。これはどういうわけなんですか。東洋通信機だけを極めて優遇しておる。そして、ニコー電子もそれに次いで優遇しておる。  こういう中で、いろいろの報道等を見る、あるいは内部の方に聞いてみますと、こう言っているわけですよ、この過払いについての返還金額を決めるやりとりの経過の中で、東洋通信機に対しては天下りを受け入れてくれと。それで、東洋通信機は、これは時期もちょうど合っているわけですが、非常勤の顧問という形でもって一人受け入れたとか。あるいはその他さまざま——上野さんに絡む問題がまだたくさんありますが、これはまた申し上げますけれども、これは一体どういうわけで、そういうふうに優遇して目をつぶっているところと、そうでないところが出てきたのですか。
  71. 鴇田勝彦

    鴇田政府委員 ただいま委員指摘のように、返納に当たってそれまでの金利をどういった金利で取るかとか、返納の方式は先行きの契約から減額するとか、あるいは実際とった処分といたしまして、東洋通信機については実際の取引停止期間がないではないかという点についてでございますが、一つには、先ほど来申し上げております統一的な基準がなかったということで、今後、我々、二月二十六日の対策の一番大きな中身として、こういった処理基準はきちっと明定をしたいと思っております。  ただ、これらの事案のそれぞれにつきまして、やり方について幅が出てきたことについては、その時点時点担当者が相当苦労しながら相手との和解契約締結に向けて努力をした結果であり、ルールには反しはしていないと我々は思っております。
  72. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 言葉だけでルールには反していないと言ったって、これはルールも何もそんなことはあるわけないので、これは明らかに東洋通信機とか一部の企業の優遇である。  その裏にはいろいろなことがあったということの一つが、今の、人を受け入れるというようなことがあった。もう一つは、上野さんがいろいろなことを指示していた。人を受け入れるというようなことも、上野憲一さんという、調達実施本部の元副本部長、その後、防衛生産管理協会の専務理事になったこの人がいろいろと差配をしておった。大体、この上野さんという方は、そういう返還金額の大体の額を決めるに当たっていろいろ指示をしていた人なんですね。  ところが、その上野さんの上にまだ理事長もいるわけですよ。そうすると、こうした返還金額を決める際にはどういう決め方をしたのか。上野さんのところで大体まとめて、それを上司である理事等に説明をして、そして会議等で決めたんでしょう。そうすると、そのときの上司はだれなのか。その人もやはり——これだけのことを上野さん一人で私はできるとは思わない。上野さんも相当いろいろな悪いことをやっているけれども、一人でできるとは思わない。どうなんですか、その辺は。上司はだれだったんですか。
  73. 鴇田勝彦

    鴇田政府委員 原価差異額の算定に当たりましてどういった意思決定方式がなされたかという前半の点については、当然のことながら、通常の役所の業務のように、いろいろ案を詰めて、関係者と協議をし、上司に上げて決裁を仰ぐという形になっていたわけであります。  当時の上司というのは、副本部長の上ですから調達実施本部長ということでございまして、当時の調達実施本部長は、四件について申し上げますと、平成五年からは米山市郎さん、それから平成五年の六月から諸冨増夫さん、その後ずっと諸冨増夫さんで終始しております。
  74. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 原価計算の資料、原価計算のやり方を示す資料というものを防衛庁は持っているわけでしょう。
  75. 鴇田勝彦

    鴇田政府委員 原価計算というのは、一般確定契約でも、契約の当時、原価計算内部でいたしますので、企業から資料をもらって、そういった資料は中で検討しております。
  76. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 例えば市場にないものについての原価計算のやり方というのはあるわけで、こういうものは会計検査院にも出しているのですか。
  77. 鴇田勝彦

    鴇田政府委員 市場に価格のあるものについては、具体的に申し上げますと、経済調査会の発行している物価資料とか、建設物価調査会発行の物価貸料とか、公的な公刊資料を活用して、例えば原材料費についてはチェックをいたしております。全く特殊なスペックで何か部品段階でもつくり上げてもらうという場合には、その原材料費と加工費に立ち戻って積み上げていくということになると思います。  会計検査院との関係では、具体的な事案の審査の精粗さによって、求められれば、当然こちらとしてはお示しをしているところであります。
  78. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 五月の二十日、二十一日ごろ、東京地検の特捜部が強制捜査に入るということになっていたそうです。ところが、そのときの実行がストップした。これはどこか働きかけがあったのじゃないですか。あなた方に聞いてもしようがない。働きかけがあったようです。  例えば上野さんという人についてちょっと申し上げたいと思うのですが、この人は防衛生産管理協会に天下って、ここの専務理事をやりながら財団法人をまたもう一つつくったり。これも、この財団法人が出資している会社、シー・キューブド・アイ・システムズ、これは自動防空警戒管制組織をやっているところですね、これの非常勤顧問。あるいはジョイント・システムズ・サービス、これも陸上自衛隊基地の指揮統制情報通信システム用のハードウェアを防衛庁にレンタルしている会社、これの非常勤監査役。あるいはヒユウという会社の非常勤役員、藤倉航装のコンサルタント、それから日本工機のコンサルタント。いろいろなことをやって、あるいは藤倉航装の株を五万株取得していたり、四万八万に手を回してお金をいろいろなところから取っている。  そして、これは原価計算の方法についての講演と銘打って、何人か集めてしょっちゅう講演をやるらしいのです、防衛庁内部だとか、あるいはそういう財団法人だとか、いろいろな取引先の会社で。そうすると、大体、一回五百万円振り込まれる。これも私が知っている人からの話です。それから、大体五百万円という単位と五十万——五十万というのはコンサルタント料が主だと思うのですが、これが第一勧銀に振り込まれるのですね。  こういうことをたくさんやっておいて、そして、やめざるを得なくて、去年いろいろ問題になっておやめになったけれども、今でもいろいろな彼の部下たちに小遣いを振る舞っているんだということでございますよ。それは私は聞いた話ですが。  時間が参りましたので、きょうはここまでにしておきますけれども、装備品の発注についてのきちっとしたチェック体制というものを、長官も昨年の決算委員会でこれは研究しなければいけないとおっしゃっておりましたが、きょうはそれも聞きたかったのですが、防衛庁内部というよりは、一定の第三者の、外から見ても、ああ、これならと納得するような、そういうチェック体制というものをやはり早急に整備する必要があるというふうに思いますので、最後に御答弁をお願いします。
  79. 久間章生

    久間国務大臣 確かに、過去の問題を追及すると同時に、私ども立場としては、今後、こういうことが起こらないようにしなければならないわけでございます。そういう意味でもそういう委員会をつくりましたが、またそれを受けて、ことし三月には、それのための具体的な方策について今取り組んでおるところでございます。外部からのいろいろな意見を反映するような機関もつくりたいと思っております。
  80. 塩田晋

    塩田委員 長岡田克也君。
  81. 岡田克也

    ○岡田委員 私は、日米防衛協力のガイドライン関係について、非常に時間も限られておりますが、幾つか質問したいと思います。  まず、通告してありませんけれども、先ほど中島委員質問で、周辺事態というのは地理的概念ではない、こういうふうに両大臣お答えになったわけでありますけれども、私は、いつも説明が不親切で非常にわかりにくい、こういうふうに思うわけです。  私なりの理解では、周辺事態というのは、定義上、我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態ということでありますから、そこは確かに地理的概念とは違う要素が入っております。したがって、地理的に線を引いて、この線の中は周辺事態対象地域、この線の外は周辺事態対象地域ではない、そういう意味での線引きはできない、そういうあやふやさが残る、そういう意味地理的概念ではないということだと理解しますが、いかがでしょうか。
  82. 久間章生

    久間国務大臣 おっしゃるとおりでございます。
  83. 岡田克也

    ○岡田委員 その上で、次に、安保条約周辺事態法の関係でありますが、例えば先般の外務委員会におきまして、高野政府委員の方で、周辺事態法の三条の後方地域支援に言う安保条約の目的の達成というのは、これは安保条約六条の目的ということになる、こういうふうに答弁されているわけでございます。  しかし、私は、この三条の一号の後方地域支援だけではなくて、二号の後方地域捜索救助活動、三号の船舶検査活動、これはいずれも安保条約の中での話、つまり、そもそも周辺事態法というのは防衛協力のガイドラインの実施法でありまして、防衛協力のガイドラインというのは日米安保条約に基づく米軍に対する協力ということでありますから、一号だけじゃなくて、二号、三号も含めて、いずれも安保条約という枠の中での話だというふうに理解しますが、そういう理解で正しいでしょうか。
  84. 小渕恵三

    小渕国務大臣 二十二日の衆議院外務委員会におきます高野北米局長答弁は、周辺事態における米軍に対する協力は日米安保条約の枠内であることを踏まえ、周辺事態が生じ得る地域であり、我が国周辺地域について、従来の政府統一見解で明らかにしておる極東及び極東周辺との関係お答えしたものでございますが、そのときの答弁に対しまして、いろいろとメディア等でこれを取り上げられております。もしお許しいただければ、この場で北米局長から真意を御説明させていただければありがたいと思います。
  85. 岡田克也

    ○岡田委員 その御説明はしていただいて結構だと思いますが、その前に、一号、二号、三号とも安保条約の枠の中の話ですねという確認はよろしいですね。
  86. 佐藤謙

    佐藤(謙)政府委員 重複するかもしれませんけれども。  まず、周辺事態でございますけれども周辺事態は第一条に規定してございますように、「我が国周辺地域における我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態」ということであります。  それから、安保条約との関係でございますけれども、その点については、後方地域支援に、「周辺事態に際して日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約の目的の達成に寄与する活動を行っているアメリカ合衆国の軍隊」、こういう規定でございます。  それからさらに、後方地域捜索救助活動あるいは船舶検査活動に際しまして、米軍に対する後方地域支援が行われる場合、その対象となる合衆国軍隊は安保条約の目的達成に寄与する活動を行っている米軍である、こういう関係になろうかと思います。
  87. 岡田克也

    ○岡田委員 時間も非常に限られておりますので、聞かれた点だけ答えていただきたいと思うのです。  今、三条の一号、二号、三号、全部安保条約の枠の中である、こういうお話がございました。−違うのですか。
  88. 佐藤謙

    佐藤(謙)政府委員 私がお答えいたしましたのは、要するに、米軍との協力の関係で、対象となる米軍というのは安保条約の目的達成に寄与する活動を行っている米軍である、こういうことを申し上げているわけでございます。
  89. 岡田克也

    ○岡田委員 正確に言えばそういうことだと思います。  そこで、昨日、防衛庁長官が先般の北米局長答弁は不正確であるというふうに言われたと報道されているのですが、これは不正確と言うべきなのか、あるいはわかりにくいと言うべきなのか、そこはどうなのでしょうか。
  90. 久間章生

    久間国務大臣 不正確という言葉は適切でなかったかもしれません。誤解を与えるおそれがあるのではなかろうか、そういう趣旨でございます。  要するに、周辺事態と極東ないしは極東周辺という地理的概念とを比較して、パラレルで比べるということ自体が果たして適当なものであろうかどうか、そういう意味で言ったわけでございます。
  91. 岡田克也

    ○岡田委員 北米局長の御答弁は、周辺事態が生じたときに行う活動は極東ないし極東の周辺を概念的に超えることはない、そういう御趣旨の御答弁だったと思うのですが、先ほど来明らかなように、この周辺事態法で協力の対象たる米軍というのは、安保条約に基づいて活動している米軍ということでありますから、その範囲は極東及びその周辺に限られる。そういう意味では、確かに極東及びその周辺を超えることはないというのは、これはそういう言い方もできると私は思うわけですが、いかがでしょうか。
  92. 高野紀元

    ○高野政府委員 先般の外務委員会で御答弁申し上げたわけでございますが、まず、この大前提は、日米の防衛協力の指針に基づきます今回の周辺事態における協力でございますから、これは日米安保条約の枠の中の協力であるということでございます。  それを、あえて安保条約の六条あるいは極東の概念との関係あるいは極東の周辺との概念でどうなるかというお尋ねでございましたので、この前のような御答弁を申し上げたわけでございますが、それは先ほど来御説明がございましたように、そもそも極東の周辺あるいは極東、それから周辺事態というものが地理的概念そのものではないということとの関係で、地理的にどういう関係になるかというような意味でこの関係をきちっとしたんだというふうにとらえられる誤解を受けたということになると、それはそういう趣旨でございませんで、あくまで安保条約の枠の中である、それを安保条約六条あるいは極東、極東の周辺の考え方と照らし合わせて説明するとそういうことになろうかということを申し上げたわけでございます。
  93. 岡田克也

    ○岡田委員 ぱっと聞いて誤解を招きやすい、いろいろなことがあると思うのですが、そういう誤解を避けるためには、この周辺事態法の中に安保条約との関係というものを明文で入れるということをすればそういう誤解も生じないのじゃないか。  確かに、この条文だけを読むと、三条の一号は、安保条約の目的達成に寄与する活動を行っている米軍に対する云々という表現が出てくるのですが、後は出てまいりませんし、ガイドラインとのつながりで考えれば、確かに安保条約の枠の中の話である、こういう理解ができるわけですけれども、この法律の条文だけ読むと若干誤解を生じる由も確かにあるのだろうと思いますね。  したがって、この法律の中にそういう安保条約との関係をきちんと位置づけるべきじゃないか、書くべきじゃないか、それは私は前から主張しているわけですが、そういう考え方についてはいかがでしょうか。
  94. 佐藤謙

    佐藤(謙)政府委員 若干重複して恐縮でございますが、先と言われましたように、この周辺事態安全確保法の三条第一項におきまして、後方地域支援の定義といたしまして、この安保条約の目的達成に寄与する活動を行っている米軍、こう書いてございます。  それで、私、先ほど御説明しましたように、この第三条第三項におきまして、後方地域捜索救助活動及び船舶検査活動に際して「その実施に伴い、それぞれ当該活動に相当する活動を行う合衆国軍隊の部隊に対して後方地域支援として行う自衛隊に属する」云々、こうございますけれども、そこでこの三条第一項第一号で定義しております後方地域支援という概念を引用しているわけでございます。  したがいまして、この後方地域捜索救助活動及び船舶検査活動に際しまして行われる後方地域支援につきましても、その対象となる米軍は、安保条約の目的達成に寄与する活動を行っている米軍であるということは、法文上はそういう規定になっているわけでございます。
  95. 岡田克也

    ○岡田委員 法律というのは明確でなければいかぬと思うのですね。ですから、いろいろ裏でこう書いてあって、それをつなぎ合わせるとこうなるというようなことでは非常に誤解を招くと思うのですね。  私は、後で触れますが、中国が今回の発言をとらえて言ったのもそういう意味での誤解があるのじゃないかという感じがするわけです。あくまでも安保条約の枠の中の話であるということについても、誤解があるのじゃないかという気もするわけであります。  本来、これはどういうものについて適用するかという基本の話でありますから、私は、法律の第一条か第二条に安保条約との関係という項を起こしてきちんと書くというのが親切な普通のやり方じゃないか、そういうふうに思います。この点はなおガイドライン立法の議論のときに続けさせていただきたいと思いますが、私はそういうふうにしてわかりやすく書くということが必要であるという認識をしております。  そこで、次に参りますが、中国外務省報道局長が、先般の北米局長答弁に対して、周辺事態が起こり得る範囲に台湾が含まれるという見解を示したものとして内政干渉であると批判したというふうに報道されております。  まず確認でありますが、先般の外務委員会におきます玄葉委員とのやりとりの中で、私も速記録を読ませていただきましたが、その中では、中国とか台湾という表現は全く出てきていないというふうに理解をしておりますが、その点についてまず確認をしたいと思います。
  96. 高野紀元

    ○高野政府委員 お答え申し上げます。  先般の二十二日の外務委員会における御答弁は、先ほど申し上げましたように、周辺事態と安保条約関係、それからさらに、それに基づく極東との関係について申し上げたとおりで、それ以上のことは申し上げておりません。
  97. 岡田克也

    ○岡田委員 どこが入ってどこが入らないなどということは事前に言えない話でありまして、基準はあくまでも日本の平和と安全に重要な影響があるかどうかというところで切るわけでありますから、この中国外務省の反応はやや報道に引きずられた面もあると思いますね。  北米局長の御答弁が、台湾も含まれるというふうに直接言われたような、そういうふうに受け取られるような報道でもあったかと思いますが、いずれにしても、こういう誤解が生じるということは非常に望ましくない事態でありますので、外務省の方で中国に対してもきちんと説明をしていただきたい、こういうふうに思いますが、いかがでしょうか。
  98. 高野紀元

    ○高野政府委員 繰り返してございますが、先般の私の答弁の方から、台湾とか中国といった言葉を用いていないということは確認させていただきたいと思います。  それで、二十五日、中国外交部より在中国日本国大使館に対して、周辺事態及び我が国周辺地域に関する当方の説明について外交部発表がございましたが、あのような趣旨の申し入れがあったわけでございます。同時に、東京においても同日夕刻、在日本中国大使館に対して、我が方としてのこの問題に関する考え方説明したところでございます。  我が方からの中国に対する説明は、周辺事態に関しての基本的な考え方、これは先ほど来御答弁申し上げておりますように、あくまでもその事態の規模、態様等を総合的に勘案して判断する性格のものであるということ。それから、台湾をめぐる問題についての我が国の基本的立場、これは日中共同声明において表明しているとおり、中華人民共和国政府が中国の唯一の合法政府であることを承認した上で、台湾が中華人民共和国の領土の不可分の一部であるとの中華人民共和国政府立場を十分理解し尊重するものであり、我が国としては、中国政府が台湾をめぐる問題は中国人同士の問題として平和的解決を目指していると承知している。いずれにせよ、我が国としては、かかる基本的立場を堅持した上で、台湾をめぐる問題が関係当事者間の話し合いにより平和的に解決されることを強く希望しているということを含めまして、中国側に説明したところでございます。
  99. 岡田克也

    ○岡田委員 そこで、ちょっと追加的に幾つか確認したいと思います。  この周辺事態というのは、認定行為というのは法律上出てこなくて、基本計画を策定するということで周辺事態の認定もあわせ行うということになるのだと思いますが、その際に、これはアメリカアメリカで判断をする、日本日本で独自に判断するということでありますから、例えば米国が周辺事態であるということでいろいろな米軍の活動が始まった場合にも、日本としては、これは我が国の平和と安全に重要な影響があるとは言えないということで周辺事態に該当しない、したがって、米軍に対する後方地域支援その他の活動はやらない、頭の体操でありますけれども、こういうことはあり得る、こういう認識でよろしいですね。
  100. 高野紀元

    ○高野政府委員 ガイドラインにおける周辺事態において、日米両国は適切な措置をとり、協力を行うということになっております。日米両国は、このような事態の発生が予想される状況下、情報交換とか政策協議を強化するということになると考えられますので、周辺事態についての共通の認識が得られるようその過程で努力するということになると思います。そういうことから申し上げますと、実際上、その意味での認識の差が出てくるということは想定し得ないというふうに考えております。  いずれにいたしましても、我が国として、この周辺事態をどう考える、判断するかということは、今回、国会へ御提出した周辺事態に際して我が国の平和及び安全を確保するための措置に関する法律案にございますとおり、周辺事態が発生しているという判断のもとに、この法律案に基づき、特定の対応措置を実施する必要があると認められる場合には基本計画案を策定し、これを閣議決定するということで、これはあくまで自主的に我が国としてするということでございます。
  101. 岡田克也

    ○岡田委員 それから、この周辺事態に該当する場合に、二条では、政府周辺事態に際して適切かつ迅速に後方地域支援等を実施し、我が国の平和及び安全の確保に努めるものとする、こういう規定がありますが、当然を前提にしているのかどうかわかりませんが、私はここで抜けているなと思いますのは、この周辺事態に該当する、つまり我が国の平和と安全に重要な影響を与えるような事態が発生したとしても、それ自身は相対的な概念でありますから、一〇〇%ということはないわけで、程度の問題ですね。  したがって、それ以外に、短期的にはその周辺事態に対処した方がいいのだけれども、より中長期的な観点から考えたときに、例えば当該国との長期的な友好関係とかそういうものも含めて、場合によっては、形式的には周辺事態に当たるけれども我が国としてはそういった活動はしない、つまり計画はつくらない、こういうことも論理的にはあるのだ。つまり、国益という観点から見て、我が国に及ぼす平和及び安全の確保ということよりも重いような場合には基本計画はつくらないことはあり得るというふうに思うのですが、この点はいかがでしょうか。
  102. 佐藤謙

    佐藤(謙)政府委員 私ども考え方としては、やはり我が国周辺地域における我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態が発生している以上、それに対して必要な対応措置を講ずる必要があるということで、いわばそれは一体と申しましょうか、そういう考え方対応することが適当であろう、こういうふうに考えているわけでございます。
  103. 岡田克也

    ○岡田委員 これは政治家の判断の問題ですから、大臣に御答弁いただきたいと思うのですけれども、そういうものも含めて周辺事態という定義で読んでしまうという考え方もできますが、私は国益ということを考えたときに、多少我が国の平和及び安全に影響が及ぶとしても、我が国自衛隊その他が活動することによってより大きな国益が損なわれるような場合というのはある。したがって、そういう場合には、あえて行動をとらない、あるいは三つの類型の中の一定の部分はとらないということは十分あり得ることだと思うのですが、いかがでしょうか。
  104. 久間章生

    久間国務大臣 この法律あるいはその前のガイドラインもそうですけれども、キーワードとして我が国の平和と安全に重要な影響がある場合、そういうような表現をしているわけでございまして、この「重要な」というキーワードがありますので、いろいろなことを総合的に考えて、我が国の平和と安全に重要であるかどうかを判断して対処するということでございます。  安保条約の場合は、例えば極東の平和と安全に重要なという、重要という言葉は入っておりません。それに対してここは入っているわけでございますので、我が国が自主的にいろいろな判断も加え得るというようなことは、そこでやり得るのではないかと思っております。
  105. 岡田克也

    ○岡田委員 これもまた後ほどゆっくり議論したいと思います。  次に、自衛隊法改正でありますが、今回、船舶、艦船等も自衛隊法改正によって邦人救助に使うことができることになるということなのですが、現在の自衛隊法九十五条で「武器等の防護のための武器の使用」という規定がありますね。この規定は、その場合にも適用になるのでしょうか。  そして、もしなるとすれば、従来PKO関連法案審議の中で、政府が御答弁された自然権的な権利だから武器の使用武力行使にはならないという説明と整合性がとれなくなると私は思うのですが、いかがでしょうか。
  106. 太田洋次

    ○太田(洋)政府委員 お答え申し上げます。  現在、自衛隊法百条の八についての改正をお願いしております。今回、この点につきまして、自衛隊航空機だけが現行法では輸送に充てられることになっておりますけれども、この改正によりますと、自衛隊の船舶等もこれに充てることができるようになります。  その際、その船舶について、通常なかなか考えにくい事態でございますけれども、この船舶が航行しているような場合に、自衛隊法の九十五条、これは自衛隊の保有しております船舶、航空機その他の装備品に対する攻撃が万々が一ございました場合について、この警護に当たる自衛官がそれを守るために武器を使用することができるというような根拠でございまして、今回も、この艦船の問題につきましてそういう万々が一の事態がありました場合には、この九十五条の適用が排除されないというふうに考えております。
  107. 岡田克也

    ○岡田委員 私は理由を聞いているのです。つまり、自然権的権利という従来のPKOのときの御説明でいけば、自衛隊の装備を守るというのは自然権的権利なのかという、そこのところを聞いているわけです。いかがなのでしょうか。
  108. 太田洋次

    ○太田(洋)政府委員 端的に申し上げます。  PKO法の場合には、隊員個人の生命身体を防護するというためのものでございまして、これは一言で申し上げれば、自然権的な権利というふうに解しております。  一方、自衛隊法の九十五条は、自衛隊の持っております艦船、航空機等の装備品、これは我が国防衛するための重要な手段でございます。これを守るためということでございまして、おのずからちょっと違う法的な考え方から出ておることでございまして、別に考えていただきたいと思います。
  109. 岡田克也

    ○岡田委員 時間が参りましたので、終わりますが、私は国内でそういう装備品を守るために武器を使用するというのはいいと思いますが、九条は海外における武力行使を原則として禁じているという考え方に立てば、これは少しはみ出しているというふうに考えざるを得ないのじゃないかというふうに考えております。なお引き続き議論したいと思います。  終わります。
  110. 塩田晋

    塩田委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午前十一時五十七分休憩      ————◇—————     午後一時開議
  111. 塩田晋

    塩田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。赤松正雄君。
  112. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 新党平和の赤松でございます。  きょうは、私は、大別しまして、インドネシアにおける暴動事件に関連しての邦人救出の問題それから朝も議論されました防衛庁不祥事といいますか決算に関する問題について、この二点をお聞きしたいと思います。  まず最初に、インドネシアの事件に関連をいたしましての邦人救出の問題です。  まず、現在あります邦人救出に関する自衛隊法第百条の八、現行の法律ができたのが平成六年十月ということで、それから三年半がたったわけですけれども、去年の七月にカンボジアであのような事件があって、今回はインドネシア。  自衛隊法改正という問題が、これからというかこの国会で本来議論されるべきだったのですが、ちょっとおくれておりますけれども、この問題に至るまでの流れの中で、現行法ができるときの議論と、それから実際に直面したカンボジアでのケース、実はカンボジアの事件が起こった直後には国会が開かれていない状態だったので、たしか衆参両院でこの問題をめぐってきちっとした議論はされていなかったというふうに記憶しているのですが、それで今回のインドネシアのケース。うまり、現行法ができるとき、カンボジアのとき、そして今回と、三つに分けて、整理できるかどうかわかりませんがちょっと考えてみたい、こんなふうに思います。  現行法ができたとき、実は私はその当時当選したばかりで、安全保障委員会に所属をしていたわけですが、いろいろな議論がその場で展開をされた。もちろん、それまでにも長い年月をかけて、外国におけるいざという場合の日本人の救出のありようという問題については、長い間の経緯がありて、さまざまな議論があったということはそれなりに承知をしておるわけですけれども、でき上がる直前の委員会等における議論は、集約するとやはり安全ということ。  これは、現地においてそういう事件があった場合における日本人、邦人の皆さんの安全、安全に国外に救出する、その場所にどう輸送するか、お連れするかという点の安全、そこから日本あるいは近隣の国の安全な場所にいかにして輸送するか、大きく分けて二つの安全についてのとらえ方があろうかと思います。  その議論の中で、これは今日までに言われていることでありますけれども、要するに、あの法律の中に最終的に安全を確認をするということが、別に専門家を前にして改めて正確に言う必要はないわけですけれども外務大臣が安全を確認をするという行為の中で、行為の中でといいますより、「緊急事態に際して生命又は身体の保護を要する邦人の輸送の依頼があった場合において、当該輸送の安全について外務大臣と協議し、これが確保されていると認めるときは、」云々というふうに、安全の確認のくだりがこの百条の八の一項の中に書かれでいるわけであります。  そのことをめぐって、安全だったら別に政府専用機、自衛隊機が行かなくてもいいじゃないか、普通の民間機で十分足りるじゃないかという議論があった。たしか野党議員と、当時、一番最初のころの議論の場面は、細川非自民連立政権ということで中西防衛庁長官答弁に立っていますが、いわゆる安全に三つの区別というか基準、中西さん個人の独自の見解なんでしょうが、安全、薄目の安全、ぎりぎりの安全という、ある意味で三つの段階のようなものを設けた答弁をしておられて、そういう薄目の安全とぎりぎりの安全はどういうふうに違うのかというような議論が展開をされたりしておりました、  あるいは、当時の村田防衛局長が、先ほど言った国外に連れ出すまでの先方の地域における安全性確認については、要するに動かない方がいい場合だってある、やみくむに動かすという言葉を使われたかどうかは別にしまして、動かす、輸送するよりも動かない方が安全だというケースもあり得るというふうなことがあって、それはいささか無責任じゃないのかというような議論があったりしたように記憶をしております。  今申し上げたのは、大体現行法ができる平成六年十月二十七日、第百三十一国会、衆議院通過の時点までの話でありますが、その後、平成九年七月、去年、カンボジアにおける事件にあって、私は、そういう現行法ができるに当たって議論された幾つかの不安点というものがいわば的中した、そんなふうな印象を持っております。  まず冒頭そのことを申し上げた上で、去年のカンボジアのケースに限って、ことしじゃなくて去年のカンボジアの場合にあって、どういうふうな総括をされているか、そのことをまず冒頭にお聞きしたいと思います。
  113. 内藤昌平

    ○内藤説明員 昨年のカンボジアにおきましては、七月五日、六日とプノンペン市内で銃撃戦がありました。当時、私自身は現地で大使の任にございまして、その銃撃戦はこの二日間で終了いたしました。しかし、その後、市内での略奪行為が尾を引きました。  そういうことで、万一に備えてということで、自衛隊機が近隣のタイのウクパオ海軍基地に待機していたわけでございます。しかし、その後、万一の緊急事態の可能性はもはやないということで、そのまま邦人救出という作業はせずに日本へ帰ったわけでございます。
  114. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 当時のカンボジア大使が、今外務省で領事移住部長をされているということであります。  今非常に簡単におっしゃいましたけれども、当時、カンボジアの事件に関して、一般的に私たちが耳にしたり目にした、いわは政府のとった対応についての批判としては、非常に対応が遅かった、法的手続がないままにいわゆる準備行為として行ったらもう済んでいたというふうなことをめぐって、いわば安全性というものに固執する余り対応がおくれてしまったということ。あるいは、今申し上げたように、タイに行った準備行為というものが法的な根拠がないこと等が指摘された。私は、当時展開をされた、政府対応に対してそういう批判があったというふうに理解しておりますが、それはそれで何か反論というか言い分がございますか。
  115. 内藤昌平

    ○内藤説明員 当時、自衛隊機が準備行為という形でタイまで派遣されたのは、既に百条の八がございまして、この百条の八に規定されております邦人救出作業を行うことを可能たらしめるための待機という整理でタイに出発したわけでございます。  なお、現地におきましては、先ほど申し上げたように、銃撃戦は市内において局所的に行われました。しかし、問題は、その後の一時飛行場が閉鎖されたということからくる在留邦人及び観光客の出国の手段の問題でございまして、そういう方面について、自衛隊機も万一の事態という意味では十分意味があったと承知しております。
  116. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 今回のインドネシアにおける政府対応については、比較的、カンボジアの場合に比べて非常に対応はうまくいった。いわば遅いというふうな批判があちこちに見られるのですけれども、私はそういう理解はしておらなくて、インドネシアのケースは、カンボジアの当時の大使が今領事移住部長をしておられるわけですから、これはまさに幸いなことで、恐らくカンボジアのケースにかんがみて、当時の経験を生かして今度のインドネシアの場合は対応をされたのだろう。  このインドネシアの状況というものは、かなり早い時点で、きょう時点ではほとんど収束をしているようですけれども、ことしの初めから五月に至る経緯の中で、そういう変化を見つつ、相当な対応をされたのではないかなというふうな推測をしているわけです。  カンボジアの場合については、先ほど非常に木で鼻をくくったような言い方をされましたけれども、恐らくいろいろな反省が、ないわけじゃなくてあったと思うのですが、それを踏まえて、今回のインドネシアのケースにどういうふうにその経験が生かされたか、今回のインドネシアのケースについて、現時点における総括というものを聞かせていただきたいと思います。
  117. 内藤昌平

    ○内藤説明員 昨年のカンボジアの場合には、七月五日に、緊張感はありましたが、実際の銃撃事件は突然起こったという意味で予見可能性が低かったわけでございます。  今回のインドネシアにつきましては、五月二十日が国民覚せいの日ということで、緊張感がクライマックスに達するおそれがあるということがかねてから予見されていたわけでございます。それに向けて、次第にジャカルタ市内でのデモ及び騒乱が広がっているという緊張の高まりに即応しまして、その都度海外危険情報の危険度のレベルアップを図ったわけでございます。  そこで、いよいよ二十日が間近になって、スハルト大統領が帰国されてもまだ改善の見込みがないということで、二十日までに希望する邦人はできるだけ出国できるようにするという手段を御提供申し上げ、同時に、その危険が極めて高い、二十日の危険が高いということの警告を在留邦人にも出すということで、十七日に危険度四、海外危険情報の家族等退避勧告を出しました。また、二十日の日が危険ということですから、そこで万一の緊急事態が起こるかもしれないということで、外務大臣より防衛庁長官に対し、自衛隊機を十九日中に近隣に待機させていただくということをお願いしたわけでございます。
  118. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 今の御答弁の中で、外務大臣から防衛庁長官に依頼をした、こういう話がありましたが、当初、防衛庁長官はいわゆる待機出動はしない、こういうふうに言われておったという報道に接しております。十五日の時点で、待機出動はせず、そういうふうな発言をされておったと理解をしておりますが、その後、十七日に外相の要請があって受け入れられたということだろうと思うのです。  それは、十五日の時点では、要するに情勢を見てそういう必要はないと思われたのか、それとも、いわば準備行為としての待機出動そのものはどういう状況があってもしないというふうに思っておられたのか、その辺について。
  119. 久間章生

    久間国務大臣 私どもは依頼があれば待機もしておくわけでございますけれども、あの時点ではまだ危険な状態というのは何らございませんで、民間機が飛んでおりますだけではなくて、退避活動といいますか、危険度三とか二とか、そういうものもまだ出されていなかった状況でございましたので、そういう時点ではそういうことは考えていないということを言ったまででございます。
  120. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 今回は海上保安庁の巡視船が派遣されておりますけれども、これについてはどういうふうな経緯だったのでしょうか。
  121. 内藤昌平

    ○内藤説明員 海上保安庁に対しましても、防衛庁にお願いしたのと同じタイミングで、十八日に、ジャカルタ近傍の公海上への移動を依頼したわけでございます。
  122. 久間章生

    久間国務大臣 先ほどの私の考えはそのとおりでございますけれども、先ほど記者に言ったというふうにおっしゃられたのは、前回みたいに沖縄の那覇まで行って待機しておくかという質問に対して、そういうことは考えていないというようなことを言ったこtもございます。それから、今回の場合は、行くにしても、那覇に行っても中途半端だからということで言ったこともございますので、待機する必要がないと言ったのがどのときを指しておられるのか、私も今とっさにわからずに、ごちゃまぜになっておるかもしれません。
  123. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 それはありがとうございます。  海上保安庁の巡視船をこういったケースに派遣するというのは今回もちろん初めてなわけです−が、先ほど岡田委員からも指摘があった自衛隊法一部改正の中に自衛隊が所有する船舶の活用が入っておるわけですが、現在、それがまだ法的に成立していないということで海上保安庁が巡視船を派遣されたのかなというふうに思いますが、この海上保安庁所有の巡視船派遣の法的根拠ということについてはどういうふうに考えればいいのですか。
  124. 中島憲司

    中島説明員 巡視船の派遣につきましては、在外邦人の保護に関する事務を所掌している外務省からの要請を受けまして、基本的には、関係行政庁に対する協力を定める海上保安庁法第五条第十七号の規定に基づいて、海上保安庁の任務の範囲内で行うものでございます。
  125. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 今、海上保安庁法の話がありました。外務大臣の要請によりということですが、自衛隊法の百一条「海上保安庁等との関係」の中に、防衛庁長官は、「自衛隊の任務遂行上特に必要があると認める場合には、海上保安庁等に対し協力を求めることができる。」こういうくだりがありますが、これに従って防衛庁長官がそういう要請を海上保安庁にしたということはないわけですか。
  126. 久間章生

    久間国務大臣 そういうことはいたしておりません。  やはり在外邦人の保護というのは、外務省設置法上の外務大臣の職務であると思っております。
  127. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 今回のインドネシアにおける対応については、先ほど申し上げましたように、あずかって領事移住部長の力が大きかったのではないのかと私は申し上げておるわけです。  実は、このインドネシアのケースに限ってこういうふうなことがあった、これはまさに非常にレアケースで、前回のカンボジアの場合のさまざまなことを勘案して、いわば反省材料にして、先ほどおっしゃったように、前回に比べて少し時間の余裕があったから対応をする時間があった、その間にさまざまな準備ができたということかなという気がいたすのです。  私が聞くところによると、この五月の事態に至るまでの間にかなり周到な邦人救出のマニュアルを作成した、外務省の方でこの計画、シナリオ、プランニングを立てたのではないのかという話とか、あるいはまた、現地の日本人の皆さんの間に、正確な名前は知りませんが、在住の皆さんのいわば互助クラブ的なもの、JJCというのですか、そういうものがあって、そこにおけるいわば情報の交換あるいはいざという場合の対応、そういったことがあずかってかなり力があったのではないのかという指摘をする向きがありますけれども、この辺のことについて。
  128. 内藤昌平

    ○内藤説明員 インドネシアの問題につきましては、実は、まず一月三十日の時点で、海外危険情報の危険度一、注意喚起を出しまして、以来二月二十七日に、さらに現地の事件が起きていることを列挙しながら注意喚起を再発出いたしました。さらに五月八日にも、注意喚起の中で危険がさらに上がっているということを明示した注意喚起を再々発出しております。  こういう事情があります傍ら、私どもとしては、当時、一万三千人の在留邦人、加えて推定五千人の旅行者、観光客及び業務出張、合計一万八千人という膨大な邦人の安全ということにかんがみまして、何といっても連絡網の構築が急がれるということで、五月の冒頭には、私ども担当課長を、邦人保護課長でございますが、現地に派遣いたしまして、さらには領事移住部の専門家を追加要員として現地に応援で出張させました。そういうことで、実際、五月十四日以降、危険度二以上のレベルの際の連絡網の整備に努めた次第でございます。  加えて、その連絡網の整備に当たりましては、先生御指摘のとおり、現地におりますジャパン・クラブ、こちらの全面的な協力をいただきまして、今回の事件においてもその協力の姿勢は変わりませんで、現地の大使館からは既にお礼をそれぞれの方々にしてございます。そういう御協力を得ました。それに加えて、もちろんインターネットのホームページを通じる情報の伝播、さらに、大使館におきましてFM放送局を設置いたしまして、ここを通じて直接情報を流す。また、東京におきましては、ラジオ・ジャパンを通じて情報を流す。もちろん、このラジオ・ジャパンはぜひ聞いてくださいということを、かねてから現地のインドネシアにおいて安全の手引を配ってございまして、その中に明記してございます。  さらに、最近は海外では日本の衛星放送をテレビでごらんになっておられる方が多いわけでして、そこで、例えば臨時便が可能であります、チャーター便が用意されました、そういうニュースをテロップで流す、こういう手段を講じた次第でございます。
  129. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 インドネシアの場合はそういう経緯を踏まえて非常にうまくいった。いろいろ反省する材料はあるでしょうけれども対応がうまくいったのは、先ほど来申し上げたようなことがあずかって力があったのだろうと私は思います。ぜひとも、この経験を全体に敷衍させるというか、今回だけの特殊例に終わらせないで、これから起こり得るさまざまな場合に適用をさせていただきたい、こんなふうに思います。  ところで、今回提出されている自衛隊法一部改正案、これは実際にこれから議論が始まったら、いろいろなことがここで議論をされると思いますけれども、一つ、二つ確認をしておきたいことは、今回の法律はポイントは二つで、先ほど申し上げた船舶の使用という点と、あと武器の使用に関する項目が新たにつけ加わっている、こういうことです。  まず、船舶については、かつてこの安全保障委員会における議論の中で、なぜ船舶を入れないのかということに対して、一つは時間がかかる、もう一つは過去に緊急事態に際しての在外邦人の輸送のために我が国政府が船舶をチャーターした例がなかった、こういう二つの理由を挙げて船舶は入れないのだ、こういうふうなお話でございましたか、この問題をどうクリアされたのか。クリアされたというか、こういうことであったのを今回入れるのはどういう理由か、それをお聞きしたいと思います。
  130. 太田洋次

    ○太田(洋)政府委員 お答え申し上げます。  先生御指摘のとおり、現在の自衛隊法百条の八におきましては、輸送の手段として航空機が掲げられております、船舶は入ってございません。今回、御提出申し上げました改正案におきましては、新たに輸送の手段として船舶を加えさせていただいております。これは一般的に申し上げまして、先ほど先生からお話がありましたように、船舶の場合は一航空機に比べましてスピードが遅いということは言えます。一方、航空機に比べまして船舶の方は大量に輸送することができるという利点も持っております。  そこで、場合によりましては、近距離である等々の理由によって、また、大量に人員を輸送しなければいけないというような場合には、こういう手段を加えておくことがある意味で選択肢が広がるということもございまして、そういう理由も含めまして今回御提案させていただいているということでございます。
  131. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 もう一点、武器の使用について。百条の八の第三項に、外国における邦人を救出する際に、輸送の船舶の所在する場所あるいは航空機に乗る場所、そこに至るまでの経路において、いわば危険に際しての対応として武器の使用ということが挙げてあるわけです。  私が思いますのは、冒頭に申し上げましたように、この法律そのものにいわゆる安全の確認ということがある。安全の確認ということがあって、この武器の使用ということにつながっていくわけですから、いわゆる戦闘状態に巻き込まれるとか武力行使につながっていくとか、集団的自衛権の行使云々などということを心配する向きはない、通常どおり読む限りそういうことであろうとは思うのです。であるならば、ぜひこの法律は、周辺事態法というものと一緒に議論するのではなくて、要するに単独に議論をしていかないと。  午前中の質問の中で、大臣政府の側としては別に切り離せとも言えないしというお話をされておりましたけれども、これはどうしても一緒に出されて、いわば一般的には一括してというとらえられ方をしております。そうしますと、先ほど岡田委員からいろいろ質問がありましたように、周辺事態が起こったときというのは、これは平時じゃなくて緊急な事態であるわけです。そのときの、この自衛隊法一部改正案に言うところの邦人救出というのは、まさに安全云々なんという問題ではない事態が起こっているわけですから、少しその辺が混乱してしまう。  先ほど言ったように、安全についてはどういうものを指して安全というのかというのは、また、今回のケースあるいはカンボジアのようなケースでもなかなか認定が難しい部分があることはよくわかっておりますけれども周辺事態法と一緒に議論をするとより一層ややこしくなってしまう。  私どもの党首を初めとしてリーダーたちが、今回のインドネシアの問題が起こった十七日でしたか、まさに非常に厳しい状況にあるただ中に、総理にぜひ船舶派遣云々を盛り込んだ法案を早く引き離してするべきだという申し入れをしたわけですけれども、私が今申し上げたように、一般国民からも、その辺のことがごちゃまぜになると、より一層難しい、理解を得られないということが起こってくるのじゃないのか。その辺のことについて、大臣、ぜひ。
  132. 久間章生

    久間国務大臣 今回、ガイドラインの問題をいろいろ取りまとめておりまして、その実効性確保を図るための法律等、必要項目等の整理をしております段階で、周辺事態が起きて在外邦人を救出するようなケ−スも多々ある、それについてどうするかという話がだんだん煮詰まってまいりました。  ところが、周辺事態でなくてもそれは結構あるじゃないかというような議論になってまいりまして、この問題というのは周辺事態とも関係はあるけれども周辺事態のときにそういうことが発生した場合どうするかというのは、周辺事態法といいますか周辺事態安全確保法にも関係はあるけれども、むしろこれは一般法として自衛隊法改正でやるべきじゃないかということで、これは別建てで自衛隊法の一部改正ということで整理をさせてもらったわけでございます。  しかし、そうは言いながら、周辺事態安全確保法といいますか、同じようにほかのそういうような問題と一緒にずっと議論しておりまして、これだけ切り離して、あとの法律を引き離してまとめるというわけにもいきませんので、みんな一緒にして閣議決定をさせてもらったわけでございます。  ただ、国会審議に当たりましては、それをどうするかということにつきましては、私どもも、ある意味では柔軟に、もし早くできるものならというようなこともお願いしておりましたけれども、いろいろ国会の日程上なかなか都合がつかなかったのかは知りませんけれども、要するにまだ全部そろって委員会の方に付託されていないという状況でございまして、これはまた国会の方のことじゃないかと思っております。
  133. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 時間が少なくなってまいりましたので、二点目の防衛庁不祥事の問題についてお聞きしたいと思います。  午前の石井委員のお話、大臣とのやりとりを聞いておりまして、幾つか感じたことがございます。  まず、私が非常に思いますことは、一般確定契約、それから中途確定契約ですか、この二つをめぐってのお話でございましたけれども、私も去年の十一月の決算委員会の議事録をつぶさに読ませていただきまして、先ほどの石井委員指摘、むべなるかなと思うのです。石井さんがおっしゃっていたのは、中途確定の部分をいわば否定している、ネグって言っているからというニュアンスがかなり強くて、大臣は、そうじゃないんだ、むしろ大きい額は一般確定全体に及んでいるんだとおっしゃっていた。聞いていて、何か妙だな、変だなというふうに思ったのは、そういう過大請求というものがあって、小さい方を追及されて、よりたくさんのミス、もっと大きい方があるんだ、こういう言いわけも妙なものだなというふうに聞いておったわけです。  まず、私が思うのは、今回のこの一連の事件について、さっき局長答弁では平成五年云々という話がありましたけれども大臣は、大臣になられたのは平成八年、今から約一年八カ月ほど前ですね、前回の衆議院選挙の直後になられたわけですが、その時点で今回のこの事件は御存じだったのでしょう。
  134. 久間章生

    久間国務大臣 正直言いまして、その当時は、この問題については私は知りませんでした。正直言いまして、平成八年から九年の五月までは特措法の問題で、とにかく五月十四日をどうやって乗り切るか、そっちの方に防衛庁全体として、施設庁を中心に非常に力を注いでおりました。  たしかこの問題は、その後に新聞等で報道されるようになりましてから、六月ぐらいに具体的にどうなっているのかというようなことで話をしまして、そして、九月だったと思いますけれども、九月に、これはうちの方からむしろもう一回再調査をするべく特別委員会をつくった。二度とこういうことが起こらないよう、どういうところに問題があったのか、その当時どうだったのか、返還をさせたときのことがどうなのか、今後起こさないためにはどうしたらいいのかというようなことをこれからやるべきだということで、九月だったと思いますけれども対策委員会をつくりました。それからでございます。
  135. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 今正直におっしゃったと思うのですが、先ほどの一般確定契約中途確定契約の問題にしましても、私は、聞いておりましたり、あるいは決算委員会の議事録を見まして、ちょっと大臣らしからぬ、率直性がないなという感じがしたわけですよ。  やはり国民全体から見て、先ほどの話にもありましたように、なかなか装備に関する予算が確保できないという状況の中で、これだけ大きな、一般でなくても、普通からいっても大変な額ですから、そういったものがいいかげんな扱いをされているということについて、一般確定契約中途確定契約−恐らく先ほど少し認識の錯誤があってああいう言い方になったのでしょうけれども、それに対して、大臣がたしなめるような言い方というのはよくない、むしろ率直に申しわけありませんとおわびされた方がいい。さっき、何か無理やりに謝らされて、もしそういうことで迷惑をかけたならとおっしゃっていましたけれども、そういう言い方は私は非常に不適切だなという感じを抱きます。  同時に、この問題だけじゃなくて、時間がありませんので余り詳しく言えませんけれども、普通は、こういうことがあったら類似のこともあるというふうに想定するのが自然だと思うのですね。  長官が、さっき、私が知ったのは新聞報道によってからだとおっしゃっていました。まさにそうだろうと思うのです。やはりそこに、何となく外からメディアを通じて追及されて、初めて腰を上げるという部分が如実に出てしまっている。これだけの問題をどうするかというのは、平成五年あたりから防衛庁調達実施本部の皆さんはわかっておられたはずなのに、ようやくことしの二月になって再発防止の方針というものを出されているというのも非常に遅いなという感じがするわけです。  同時に、もう一つ、これも新聞報道ですが、四国の方で、隊員の皆さんがアムウェイの販売に従事しておられるという話があって、私は非常に寂しい思いがしました。私は大蔵委員会に所属していて、大蔵の不祥事もいろいろ追及をさせていただいたりしたのですけれども、大蔵に比べて防衛はちょっと寂しいな。寂しいなというのは、言ってみれば、調達実施本部の副本部長を経験されたような人がこういう過大請求をめぐる事件に絡まれている。また、現場の隊員は、いろいろな事情がおありなのでしょうけれども、言ってみれば、いわば副業的なことに従事しておられる。これは非常に残念なことだというふうに思います。  最後に大臣にぜひお聞きしたいのは、先ほども少し話が出ておりましたから要約して言いますけれども、天下り、これは大蔵大臣は天下りと言ってくれるな、再就職と言えというふうに——大臣も恐らくそうかもしれませんが。防衛庁の場合は、再就職に当たって、防衛庁長官が一つ一つ確認というか許可をするということがない限り行かせないというふうになっているようです。要するに、そういうことの確認をする。  それから、去年の十一月に決算委員会の場で、私どもの同僚の若松議員が、大臣に対して、防衛庁のいわゆる再就職について詳細なデータを出してほしいという要求をしておりましたね。それに対して、大臣はできる限り努力をしますと答弁されておるのですが、私がきょう質問するに当たって、昨日、資料要求したら、そういうものはないようですね。  昨年の十一月に若松議員が質問をした時点の資料、つまり上位二十社の制服あるいは内局方々の再就職についての簡単なメモはありますが、例えば今回の東洋通信機だとかあるいは日本工機だとかという種類の企業を含めた、つまり二十社よりもう少し拡大した形の、今回問題になったのは東洋通信機等でありますから、そういうところへの再就職に関するデータについては、彼が要求したにもかかわらず大臣は何も努力をされておらないというふうに感じておりますが、いかがでしょう。
  136. 久間章生

    久間国務大臣 東洋通信機の問題は別としまして、防衛庁の場合、特に自衛隊の就職の場合は、各部隊に至るまで、早く、若くしてやめるものですから、地連なんかを通じましてみんなが非常に努力して就職援護活動をやっておるわけでございますね。  だから、むしろそういう形で全国的にお願いをしているものですから、各企業等の名前を出すことによって、今後そういうような就職活動に支障を来すということになると、実は大変困るわけでございまして、定年が幾らか最近は延びてきておりますけれども、それでもやはり五十代の半ばでみんなやめていくことになるものですから、そういうこともございまして、資料が公表されることにつきましては非常に慎重を期しておるのも事実でございます。  そういう中で、できるだけ国会の資料要求等に対しては努力はいたしてまいるつもりでございますけれども、その辺の事情等についても、内部事情といいますか、こちら側の就職活動を続けなければならないという事情等についてもぜひ御理解賜りたいと思うわけでございます。
  137. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 この問題は、また改めて別の機会にさせていただきます。  以上で終わります。
  138. 塩田晋

    塩田委員長 西村眞悟君。
  139. 西村眞悟

    ○西村(眞)委員 天皇陛下御訪英の折ですから、まず外務大臣質問させていただきます。  既に御承知のとおり、あの彼らを許せるかという見出しのもとに犯罪者と天皇陛下の写真を並べて掲載されたインディペンデントという新聞に対して、外務省は抗議をされたということでございます。  世界じゅうで雑誌は自由に発行されておりますし、新聞も発行されております。その中で、原則は勝手に書かす、そして読者の批判にゆだねる、これは言論の原則だと思うのですが、抗議をされたのでお聞きしますが、抗議をされるということは、一定の基準を持っておられるのだろうと思います。まず、基準があるのかないのか、その基準はどういう基準であるか、抗議ということに至る基準はどういう内容であるのかということについて、大臣からちょっと御答弁いただきたいと存じます。
  140. 小渕恵三

    小渕国務大臣 五月三日付の英国インディペンデント・オン・サンデー紙の記事で、天皇陛下のお写真が三名の犯罪人と並んだ形で使用されたことは、まことに不適切きわまりなく、両陛下御訪英を前にしてこのようなことが起きたことは、まことに遺憾でございます。  したがいまして、本件につきましては、在英日本大使館を通七、同紙に強く抗議を行いました。これに対し、同紙編集長より駐英大使に対し、日本の人々が同紙が意図しなかった意味合いを読み取られたことにろうばいして、誤解を引き起こしたことはまことに申しわけないという趣旨の書簡を送付してまいりました。  英国政府も、英国での報道の自由が確保されているがこの記事は支持しない、また、両陛下が英国女王陛下の賓客として礼譲と威厳を持って迎えられるよう最大の努力を行うとの立場説明してきておりますので、政府としては、英国政府と緊密に連携し、現在行われている両陛下の御訪英の成功のために一層努力する方針でございます。  さて、お尋ねの点で、どういう基準でということでございますが、私も西村委員からの御指摘もあってでしょう、後ほど私が拝見した範囲でもまことに礼儀をわきまえないといいますか、英国のようないわば紳士の国と思われるような国の、しかも有力紙であり、かなりクオリティーペーパーと思われるこうした新聞が、このようなお写真を他の犯罪人とともに掲載することは、実はもってのほかだと私は思っておりまして、申し上げましたように、その抗議も行い、英国インディペンデント紙からも答弁申し上げたような趣旨の返事をちょうだいいたしておるところでございます。  お尋ねの、どういう基準でと言われますと、もう基準を超えたことじゃないかと私は思っております。
  141. 西村眞悟

    ○西村(眞)委員 御答弁の御趣旨はよくわかりました。  したがって、本件は、天皇陛下に関して礼儀をわきまえないことである、抗議するか否かの基準を超えた、我が国に対する非常な非礼があったというふうな認識だと思います。その認識で抗議されたわけですね。  次にお聞きしますが、在英日本国大使館はインディペンデント・オン・サンデーというこの新聞紙を購読しておるのか否か、ちょっとお聞きいたします。
  142. 飯村豊

    ○飯村政府委員 お答えいたします。購読いたしております。
  143. 西村眞悟

    ○西村(眞)委員 五月三日に大使館に届けられているという事実がこれで明らかになりました。  ところで、大臣は、今抗議するか否かの基準を超えた重大な問題であるというふうに述べられました。では、なぜこのことに気づかなかったのだろうか。そしてまた、気づかなかったことに対して、在英日本国大使館に対してどういうふうな評価を下されるのか、これをお聞きしなければなりません。お願いします。
  144. 小渕恵三

    小渕国務大臣 お尋ねに対して今御答弁申し上げましたような日にちで、時系列的にはそういう対応になっておるわけでございます。  弁解をすることになるのかもしれませんが、その資料をちょうだいをして、それが英国大使館から日本外務省に届き、かつまた私の目に触れるまでの時間帯の中で、まことにスムーズにかつ時間の限られた中での対応としては、大変残念なことでありますが、反省をしなければならないことだなと思っております。
  145. 西村眞悟

    ○西村(眞)委員 五月三日に大使館に届けられた、そして活字だけではない、このような写真入りであることを見てないはずがない。見れども見えずという言葉があります。大臣が言われたように、これは我が国に対する最大の非礼であるし、言論は自由ですけれども、その言論に対して抗議するか、いかなる対応をするかは我が国が留保していることでございます。そして、それは重大なことであるとするならば、この怠慢によって、みずからの目の前にあるのに、問題意識を持って見ないからそれに気づかなかったという在外公館は、我が国の国益を毀損しておるのだということになると私は思います。  ついでに申し上げますが、私がなぜ十九日にこの新聞を入手したか。イギリスに留学している日本人学生がこの新聞を見て、大使館に、これは何ぼ何でもひどいではないか、このようにして持ち込んで、門前払いを食わされた。そして、思い余って日本にファクス送信をしてきたということだけ指摘しておきます。  重大問題であるというならば、重大問題を見過ごしている在外公館とは何なんだということについて、外務大臣の善処をお願いしたい、このように思っております。これは御答弁をいただかなくても結構です。善処をお願いしたい。我が国の、日本国の象徴であり、日本国民統合の象徴である天皇陛下の御訪英に関してでありますから、どのようになさるか私は注目しておりますので、お願い申し上げます。
  146. 小渕恵三

    小渕国務大臣 そのような紙上での御写真の配列を拝見して、ごく常識的に考えれば、まことに遺憾のきわみだというふうに思います。  それに対して、この新聞は、その理由において、文章の方はいろいろな犯罪人もいつまでもそのような形で問うことはいかがかという、極めてシニカルというか、そういう論評を加えての紙面ですけれども、それにしてもということでございまして、我々としては、こうしたことに対して先ほど申し上げたような対応をいたしておりますが、現下、女王陛下の賓客として今温かく英国の中でお迎えし、御歓待をちょうだいしておるという立場でございますので、本件につきましては、今の段階で申し上げることは差し控えますが、いずれにしても、こうしたことが多くの誤解を与えるということであってはいかぬと思いますので、さらに考慮しなければならぬことだと思っております。  そこで、今委員指摘日本の留学生云々ということにつきましては、現在までの調査では、その形跡は見当たらないと私に報告が上がっておりますが、御指摘をいただきましたので、さらに再度調査をしてみたい、こう思っております。
  147. 西村眞悟

    ○西村(眞)委員 留学生云々の話はともかく、とっておっても、私が日本指摘するまで在外公館も含めてわからなかったという事態ですから、御考慮をいただくという御答弁をいただきましたので、それ以上申し上げません。  ただ、今大臣が、この記事の内容について、そういうふうに目くじらを立てる必要はないというふうな趣旨のことをちょっと言われたようですけれども、例えば日本の朝日新聞が、彼らを許せるかといって、大久保の写真、麻原彰晃の写真、そして少年Aの写真を載せて、ここにエリザベス女王の写真を載せればどうなるかということを考えていただきたい。細かい内容はともかく、彼らを許せるかと書いて、ここにエリザベス女王の写真を入れればどうなるかということをお考えいただきたい。  この質問はこれで終えて、大臣に、国益を守るべき在外公館が、今回のことについて、バーミンガム・サミットもあるにもかかわらず、一切のというか、気づかなかったということは非常に重大で残念なことだと私は思っております。  さて、在英日本国大使館は、サンという新聞をとっておるのですか否か、これをお聞きしたい。
  148. 飯村豊

    ○飯村政府委員 お答え申し上げます。とっております。
  149. 西村眞悟

    ○西村(眞)委員 このインディペンデントの記事で連想されるのは、ことしの一月に橋本総理のサンという新聞に対する謝罪文の掲載を私は連想をいたしました。  在英日本国大使館は、サンという新聞をとっておるので、サンという新聞がどういう新聞なのかわかっておられる。ブレア首相は勝手なんですよ。彼は、労働党のキャンペーンをしてくれたお礼であるし、また、今後もしてくれるであろうということでサンを大切にしておる。ということは、サンという新聞は、コンサバティブではなくて、労働党の支持、キャンペーンをする新聞である。  ところで、今回の起点が、サンという新聞に橋本総理の謝罪文が掲載されて、このインディペンデントはどういう評論をなしたかといえば、日本がサンに謝るということは、イギリスがブルドッグに謝るとかアメリカがハゲワシに謝るようなことだというふうに書いた新聞なんですね。  それで、外務大臣にお聞きしたい。我が国におけることはともかく、外国において、一党に偏った新聞に対して一国の総理大臣が国を代表して謝罪文を掲載するということは妥当なのかどうかということでございます。
  150. 小渕恵三

    小渕国務大臣 謝罪文と決めつけられると、ややニュアンスが違うような気がするのですが。我が国立場を明確に、総理としてのお考えを寄稿文として、できる限りみずからの気持ちをお伝えをしたいという趣旨で書かれたものと理解しております。
  151. 西村眞悟

    ○西村(眞)委員 それはよくわかっておるのですけれども、ジャパン・セイズ・ソーリー・ツー・ザ・サンという見出しで掲載されておる。それも一党に偏った新聞である。これは外交上妥当なのか否かということを聞いておる。橋本総理の個人的な動機がどうやこうやということを聞いておるのではありません。  外交上、我が国がこのインディペンデント・オン・サンデーに抗議したということは、我が国は、外国の日本に関する記事に対して抗議するか否かの中立性を保持しなければならない。一党に偏った外国のマスコミに一国の総理大臣が寄稿するということは、我が国は抗議するものの中立性を失うのではないか、こう思っておるわけでございます。だからお聞きしておるわけですよ。御答弁いただきたい。これは大臣の政治的な御答弁なんですよ。
  152. 小渕恵三

    小渕国務大臣 申し上げましたように、総理として今日の日本人の気持ちをぜひイギリスの国民にも知っていただきたい、そういう趣旨で、発行部数も非常に多いことですし、あるいは今御指摘のように、労働党の機関紙だとは私は思いませんけれども、そういう読者層がそこにかなり多いという理解はしておりますが、いずれの機関を通じてこれを発表するかということについては、考慮いたした結果、そこに掲載をお願いしたということでございます。他の方法ということをその時点で考えましても、それはなかなか——イギリスにも各紙があることは承知をいたしておりますが、あえてこれを取り上げていただいた。  それから、見出しの点については、恐らくこちらの考え方をそのとおり見出しにとったのではないかと思います。思いますが、そうした意味で、これを載せる新聞の品格といいますか、そういうものをやはり理解をし、その範囲の中で掲載をされるものだと考えておったことは事実でございます。
  153. 西村眞悟

    ○西村(眞)委員 今、大臣が掲載される新聞の品格を考慮しと言われた。日本国の大使館は、このサンという新聞を購読しておるから、この新聞がどういう性格の新聞であるかは知っておるわけです。この新聞は品格が高いのですか、サンは。
  154. 小渕恵三

    小渕国務大臣 新聞の批評をしておるのではありませんで、私が申し上げたように、見出しのっけ方というものについては、イギリスにおいてこういう新聞がそれなりの見出しをつけていただけるものと考えたことは事実でございます。
  155. 西村眞悟

    ○西村(眞)委員 今後、癖はとまりませんから、勧められれば書かれるかもわからぬ。そのときに、日本国の総理大臣としての文章なのですから、完璧に、見出しも含めて我が方の決定がそのまま載るようにしていただかなければ困ります。  それから、今、外務大臣日本国民気持ちを橋本総理が伝えたのだと言っておりますが、決して日本国民気持ちではありません。物言わない日本国民は、前に「アーロン収容所」を紹介したように、イギリスに五十年後に謝罪する必要はない、このように思っております。はっきり申し上げます。  質問を変えます。  四月三十日の衆議院本会議において、拉致された日本人の救出問題に関し、総理大臣が御答弁された。これは、この拉致の「問題の解決に向けて最大限の努力を払う決意であり、この場をかり、北朝鮮側、とりわけ最高指導者に対して、改めて問題解決に向けての真剣な対応を呼びかける次第であります。」異例の答弁答弁の場をかりた外国の最高指導者に対する呼びかけをされておる。何か返答は返ってきましたか。
  156. 小渕恵三

    小渕国務大臣 まことに残念ながら、今のところ納得できる返答は得られておりませんが、政府といたしましては、今後とも、我が国国民の生命と安全にかかわる重要な問題であるとの認識に立ちまして、本件について北朝鮮に対し真剣な対応を粘り強く求め、問題の解決に向けて最大限の努力を払ってまいるつもりでございます。  御指摘のように、総理がみずから本会議の場で北朝鮮の最高指導者に呼びかけるという異例のこととなりました。残念なことに、これも世界の中で国交を持たない国のある意味での悲劇でございまして、そういう意味で、総理としての真剣な気持ちを本会議で述べられたということに対して、願わくはこれを率直に受けとめられて、その総理の真意にこたえていただきたいと願う気持ちはひとしおでございます。
  157. 西村眞悟

    ○西村(眞)委員 今大臣は返答が返ってきていないと申されましたが、返答は返ってきています。拉致問題など存在しないという返答が返ってきておる。これは向こうの放送等々を聞いておればわかるのです。それ以外の反応はないのです。  さて、総理大臣が異例の呼びかけをされた、それに対してそういう問題は存在しないという向こうの応答があった。この前提で、問題解決に向けて、つまり、拉致された日本人を帰国さすという問題解決に向けての最大限の努力とは何か、このことをお聞きしなければなりません。  私は、再三、我が国の存在によって、北朝鮮という国家、政権の存在が成り立っておる、したがって、我が国から金及び物を運ぶ人と船の流れをとめる再入国の許可をしない、毎年一万人行って帰ってきているのです、そういう決断をなさるのが筋であろう、このように思います。日本人は向こうに何千人おりますか、こちらへ帰ってこれないのですから。広告塔みたいな人は帰ってきますよ、宣伝塔みたいな人は、五人とか十人とか。日本人はほとんど帰ってこれないでしょう。だから、同じことをやればいいのです。どうですか、大臣。  向こうからは、総理の異例の呼びかけに対しても、このように存在しないという応答しかないのです。この中で日本国が国民を守る責務を果たすための最大の努力とは何か、私が今申し上げた提案はいかがでございますか。
  158. 小渕恵三

    小渕国務大臣 イソップ物語に例をとるわけではありませんが、北風には北風ということで、すべからく一切の交渉、一切の人的交流もストップして相手の対応を待つというのも一つのお考えではあろうかと思いますが、政府といたしましては、大変細い道筋ではありますけれども、北朝鮮に渡られた日本人妻のふるさと訪問等を進めながら、人的な交流をさらに広げることによって、かの国が国際社会の中で一般的に理解されるような国をつくられるために日本としては努力をしていくというのも一つの考えで、その線に沿って今努力を傾注しているところでございます。
  159. 西村眞悟

    ○西村(眞)委員 北風と太陽のイソップの話はわかりますけれども、そんな生易しい相手ではないと私は思います。金正日がみずからの政権が倒れるという恐怖感を与えることによって初めて問題は解決する、このように思うわけでございます。  さて、インドネシアの情勢についてお伺いします。  インドネシアに二十三日まで行ってまいりました。この前、この委員会外務大臣にお尋ねしたと思うのですが、スハルト第七次内閣のできたてに、スハルトさんだけに橋本総理は会いに行ってはだめだと申し上げました。これは御質問ではなくて御報告ですけれども、やはり非常に不評であったと思いますね。  反スハルト暴動が起こったきっかけは、娘さんのトゥトゥットとか娘婿のプラボウォさんとか、ボブ・ハツサン、これは政商華僑の親玉ですが、こういう内閣ができて、日本で言うならば、職を失った方々があふれている町でホテル借り切りで大祝賀会をやったようですね。これはやはり口コミがすぐ伝わるインドネシア人の非常な反感を買っていたと思います。だから、橋本総理がさっと行かれたことに対しては、現地のインドネシア人は非常な失望を感じたと言っておりました。  ただ、ハビビ新内閣ができたときの橋本総理のコメントは注意深く見守るということでございまして、これは非常に歓迎されておりました。なぜなら、現地の張り紙を見ましたら、ハビビが終わって初めてスハルトが終わるのだという張り紙が、学生が占拠する国会の中に多くありました。  それで一これの本質は、三月に華僑の商店が襲撃されておる。ボブ・ハッサン政商華僑の親分がこの内閣に入っておる。ボブ・ハッサンは森林伐採王ですね。二十五年前、我が国の森林専門家、王子製紙社長が、このような伐採方法をすればいずれ消すことができない山火事が起こると警告しているのですね。しかし、ボブ・ハッサンはまさに二十五年間そのような伐採を続けて、いまだにインドネシアの底抜けに明るかるべし空は煙で覆われておるという、不吉な煙がある。こういう内閣でした。これは御報告です。  先ほども話がありました日本国大使館というものは、こういう時期になって、在留邦人が自由に訪ねて、そこに滞在するというか、いろいろ情報交換をしていくようにつくられていないのですか、建物がじゃないですよ、機能が。  つまり、私は、現地時間七時四十五分、日本時間九時四十五分に、多分忙しいだろうと思って、激励のためにへ歩いてタムリン通りを、兵隊のうろうろ立っているところを行きました。シャッターが閉まって入れない。パスポートを見せても、僕はインドネシア語なんてありがとうとかそんなことしかわかりませんから、海兵隊のマリーネが自動小銃を持って五人おりましたけれども、なかなか入れない。  その中で何か電話交換手みたいなことを二十四時間やっているのはわかるけれども、在外公館というものは、こういう時期に、ああ、日本大使館だ、行こうかということで、邦人が自由に入りやすくするものじゃないのですか。こういう疑問を持ちましたけれどもね、大臣。これも御報告としておきましょう。  それからもう一つ、九・三〇事件は、スカルノが政商華僑、容共華僑と結びついて、百万人近い死者を出しながらスハルトが政権をとっていくわけですが、そのときも華僑が襲撃の的なんです。今回も華僑が襲撃の的なんですね。  日本国大使館の大使の部屋に入りますと、「大道は長安に通ず」という漢字が書いてあるのですな、中国の大使館なら、「大道は長安に通ず」という漢詩を書いて結構ですよ。しかし、彼らインドネシア庶民は、三%の人口で富の九割ぐらいを握っている華僑、チーナ、シナ人、これが我々の敵なんだとはっきり言っていますわ。そういう国の大使の部屋に「大道は長安に通ず」という額があるのはいかがなものかなと私は思って帰ってまいりました。  これもまた御意見はお伺いせずに一防衛庁長官にお聞きしなければなりません。  今回の事態で、C130や巡視船、これは領海内でうろうろする船です。領海外仕事をする船は自衛艦ですね。どういう根拠か知りませんが、領海内でうろうろする巡視船を持っていかれた。いざとなったら、本当に助ける気だったのですか。いざとなったら、本当にC130と巡視船で邦人を乗せて助ける気だったのですか、今の法制で。
  160. 久間章生

    久間国務大臣 巡視船は海上保安庁でございますから、うちの巡視船ではございませんので、何とも私の方から答弁するわけにまいりませんが、C130は、民間機が飛べないような状況の中で、安全の確保という条件が満たされれば、それで可能な限り邦人の救出をしようと思っておりました。
  161. 西村眞悟

    ○西村(眞)委員 安全の確保という問題がありますが、あの現地の状況では安全は確保されませんわ。二十日に百万人デモがあって、軍隊と学生がどんとぶつかったら、安全の確保なんかされませんよ。だから、シンガポールまで巡視船を持っていっても、今の法律では行けなかったのですね。  どういう事態かと申しますと、国会の中のビラは、マリーネ、海兵隊は学生を守るというつりビラがあるのですよ。国会の周辺は、コストラード、戦略機甲兵団、プラボウォの軍隊が守っております。プラボウォの軍隊が守っている中に、海兵隊の、我々は学生を守るというつりビラがあるわけです。そして、眺めてみたら、向こうの方に戦車を持ってマリ−ネが来ているのです。それからジャカルタ市内に入りましたら、コストラードのいるところは、プラボウォの軍隊がいるところは、必ず同数のウィラントの指揮の軍隊がおって、対峙していたのですよ。だから、二十日にドンパチが起こるということは、学生と軍隊、そしてプラボウォとウィラントの軍隊の衝突が起こるということですよね。治安を最終的に維持すべき軍隊の内部分裂の抗争が起こりかねない事態だったのです。だから、いざとなったら救出なんかできなかった。  ただ、任務としてはこうなんじゃないですか。かわいそうに民間会社に臨時便を出せと要求して、ジャンボに乗って帰る人が一人だという事態が生じていたんでしょう。だから、ああいうときは、今の法律が、皆さんが出して審議するのかせえへんのかわからへんようにしているものですから、現実に安全を確保しなければ飛行機は出せない、邦人救出できないという法律なんですから、民間会社をいじめるように臨時便を出せと言うよりも、C130でただで送り迎えしたらどうですか。私は、それが今の法律のもとで一番いわゆる人助けになるんだ、このように思いますが、いかがですか。
  162. 久間章生

    久間国務大臣 しかし、民間機が定期便も飛んでおりますし、また臨時便にも応じてもらえたわけでございますから、そういう状況の中では努めてそういう形で、在外邦人といいますか、あそこでいいますと、ジャカルタ、インドネシアに在留しておられる邦人の方々がそれによって帰ってこられるというのが一番いい方法だというふうに思っておりました。  だから、私どもとしては、それができなくなった場合、そういう中で自衛隊機が利用できる場合があったならば、それによって最後の救出をしなければならない、そういうような気持ち対応しておったわけでございます。
  163. 西村眞悟

    ○西村(眞)委員 いや、私が申し上げておるのは、民間機が飛べなくなった時点というのは安全の確保はできませんよ、今回のジャカルタの事例ではできませんよということを申し上げておるのですね。  抽象的に、民間機が飛べなくなって、安全の確保ができてC130が行けるという事態が観念的にあって、その事態の中で救出します、その事態を超えて安全の確保ができなくなったらできまへんという法律の建前ですけれども、この中間点の安全の確保ができるという事態はないですよと言っておるのです、今回の事態は。それは、私は自分の目で見てきたわけですから。  そうではないという前提で、あると思って出されて、幸いそういう事態がなかったので、これは不幸中の幸いでよかったわけですが。やはり早く本当に変えなければ、いざとなったときに本当に助けられませんよ。  どういう御事情があるのか知りませんけれども、スハルト体制は国民のことよりも一族のことをおもんばかった。我が国内閣は、国民のことよりも与党内の力関係とか内部事情とかを思っている、スハルト内閣と同じじゃないですか。  それで、あと一分ぐらいお聞きしますが——いや、もうやめておこうか、長くなる。五分ぐらいになってしまいますから。これでやめます。  ありがとうございました。
  164. 塩田晋

    塩田委員長 東中光雄君。
  165. 東中光雄

    ○東中委員 私は、新ガイドラインに基づく周辺事態対処について質問をいたします。  政府が今回国会提出されました周辺事態措置法案の第三条によりますと、周辺事態に際して、自衛隊は後方地域支援として、日米安全保障条約の目的の達成に寄与する活動をしているアメリカ合衆国軍隊に対する支援を行う、定義でそう書いております。  周辺事態に際して、自衛隊が後方地域支援を行う相手方である米軍の、安保の目的達成に寄与する活動の活動範囲はどういうふうになるのか、外務省にお伺いしたいと思います。
  166. 高野紀元

    ○高野政府委員 周辺事態との関係で、周辺事態における米軍に対する協力でございますが、これは日米安保条約の枠内の活動ということになります。  今のお尋ねは、この法律との関係で、自衛隊が米軍に対して何らかの支援をするということとの関係でお尋ねでございますが、これも日米安保条約の枠内における米軍の活動に対する支援ということになると思います。
  167. 東中光雄

    ○東中委員 日米安保条約の枠内での活動というのは、どういう範囲かと聞いているのです。
  168. 高野紀元

    ○高野政府委員 日米安保条約の枠内と申し上げますのは、日米安保条約の目的の達成のために活動する米軍ということでございます。
  169. 東中光雄

    ○東中委員 ということは、日米安保条約の目的の達成に寄与する活動として米軍が安保条約六条の枠内で活動するということだから、六条に言う極東の範囲ということではないのですか。
  170. 高野紀元

    ○高野政府委員 極東についてのお尋ねでございますけれども、日米安保条約上の極東については、昭和三十五年の政府統一見解に示されたとおりでございまして、これに変更はございません。  いわゆる極東の周辺について、日米安保条約自身がこのような用語を用いているわけではございませんけれども、この政府統一見解に言うとおり、極東の区域に対する武力攻撃が行われ、あるいは極東の安全が周辺地域に起こった事情のために脅威されるような場合、米国がこれに対処するためにとることのある行動の範囲ということは、極東に局限されないということもこの統一見解の第二段で述べているとおりでございます。
  171. 東中光雄

    ○東中委員 周辺事態措置法三条で言っている米軍の活動の範囲は極東の範囲内だ、安保条約の枠内だ、安保条約六条で言っている極東の範囲内なんだ、そして、その極東について言えば、あなたは、極東だけではなくて極東周辺も含まれる、そういうふうに今答弁されたわけですね。私がまとめたように私には聞こえるのですが、違いますか。違うなら、どこがどう違うのですか。
  172. 高野紀元

    ○高野政府委員 日米安保条約上の極東との関係は、今御説明申し上げました米軍の行動範囲も含めまして、昭和三十五年の政府統一見解でございますが、これは現在も変更はございません。
  173. 東中光雄

    ○東中委員 そんなことは聞いていません。そんなことは何遍も国会答弁されているから。  だから、周辺事態法三条で言っている、日本が後方地域支援をする相手方である米軍の活動というのは、極東及び極東周辺の地域内の活動を行動範囲というふうに、局長は今そう答えたのですね。そうではないというんだったら、ないということをはっきり言いなさいよ。そうならそうだと言いなさいよ。三十五年の統一見解が何だというようなことは、だれもかれも知っていることですし、それを維持しているということも何遍も答弁があるから。だから、どうですか。  そんな、蓄音機みたいに決まったことだけ繰り返して、実際に質問していることに答えないというのはよくないですよ。ちゃんと答えなさい。壊れた蓄音機と言うのだよ。
  174. 高野紀元

    ○高野政府委員 繰り返してございますが、日米安保条約の目的達成のために活動している米軍というのは、先ほども申し上げました統一見解に示された行動範囲ということになると思います。
  175. 東中光雄

    ○東中委員 その統一見解で示された極東の範囲内とその周辺で活動するのだということを今認められたわけですが、その統一見解で言っている極東というのはどういうことか。これは統一見解をあなたが何回も言うから、しっかりと改めて私が言っておきますよ。   一般的な用語としてつかわれる「極東」は、別に地理学上正確に画定されたものではない。しかし、日米両国が、条約にいうとおり共通の関心をもっているのは、極東における国際の平和及び安全の維持ということである。この意味で実際問題として両国共通の関心の的となる極東の区域は、この条約に関する限り、在日米軍が日本の施設及び区域を使用して武力攻撃に対する防衛に寄与しうる区域である。かかる区域は、大体において、フィリピン以北並びに日本及びその周辺の地域であって、韓国及び中華民国の支配下にある地域もこれに含まれている。 統一見解の前半はそうですね。そして、そのことは今も維持しているという答弁が先ほどあった。そしてさらに、   新条約の基本的な考え方は、右のとおりであるが、この区域に対して武力攻撃が行われ、あるいは、この区域の安全が周辺地域に起こった事情のため脅威されるような場合、米国がこれに対処するため執ることのある行動の範囲は、その攻撃又は脅威の性質いかんにかかるのであって、必ずしも前記の区域に局限されるわけではない。 要するに、極東の区域に限定されるわけではない。周辺地域まで行く。その見解に立って、その範囲内において周辺事態における米軍の活動というのは行われるのだということをあなたは今答弁されたのですね。  私が今言ったことで違うところがあったら、違うと言ってください。
  176. 高野紀元

    ○高野政府委員 ガイドラインにおきます。辺事態というのは、安保条約の枠内における行動でございます。それを安保条約の枠内ということを申し上げましたのは、安保条約の目的達成でございますから、それを極東との関係で申し上げれば、今委員指摘のとおりでございます。
  177. 東中光雄

    ○東中委員 だから、周辺事態措置法で言う日本が支援する米軍というのは、極東−朝鮮、台湾地域を含むフィリピン以北の地域及びさらにその周辺地域まで行動する米軍に対して日本は後方地域支援をやるのだという枠組みになっているということであります。これは、最近、玄葉さんに対する答弁もそういう趣旨に私は理解したのですが、当然のことだと思うのです。  だから、極東−台湾地域も朝鮮地域も米軍が周辺事態だといって作戦行動する地域内に入るということを今言われたわけです。そうですね。違うところがあったら言ってください。
  178. 高野紀元

    ○高野政府委員 繰り返してございますが、その概念というのは、昭和三十五年に極東との関係で、先ほど御答弁申し上げているとおりでございます。それ以上についてここで申し上げることは差し控えたいと思います。
  179. 東中光雄

    ○東中委員 それは要するに、周辺事態措置法に言うアメリカ合衆国軍隊の行動範囲は、台湾海峡も入る、それから朝鮮も入る、それだけではなしにさらにもっと広くなるということ、極東周辺地域ということまで言われているということを認められたことになると思います。  それで、そういうことを言ったって、これは外務省が極東周辺について言ったことを私いろいろ調べてみたのですけれども、一九八〇年の国会で、八〇年四月十五日の衆議院決算委員会での論議で、当時の外務省の伊達条約局長が極東の周辺地域についていろいろ楢崎さんとやりとりして、非常にデリケートな話をされているわけです。   極東の周辺という概念は、  極東というものに対して脅威が加わってきたというときにとる米軍の行動範囲は極東に限られるものではなく、極東の周辺に及ぶことがあるということでございまして、これが具体的にどのような脅威がどこから及んでくるかということについては、これはすべて脅威の性質及び内容いかんによることでございまして、地域的に限定をいたしましてどこが極東の周辺に入るとか入らないとかということは、ここではっきりと明示することは困難なことでございます。 こう言っているのです。しかも、日本周辺地域について言っているのと同じことを言っているのです。しかし、日本周辺地域については極東は入る。極東周辺はどこまでかということになったら、これはわからないと。  だから、そういう趣旨の答弁をされてきたのだなと私は理解をしているのですが、外務省は、今まで周辺事態については地理的範囲は一切言えないのだという態度だったのが、安保条約との関係で極東及び極東周辺地域における活動ということを最近になって認められた。それに対して防衛庁長官が、きのうの新聞に見解が出ていましたね、周辺などといったってそれは結局わからぬではないか、だから、そんなことを言い改める必要はないという趣旨のことを言われましたね。ちょっとその真意をお聞かせ願いたい。
  180. 久間章生

    久間国務大臣 私が言いましたのは、安保条約の解釈といいますか安保条約考え方、これは昭和三十五年当時の考え方を踏襲しておるわけでございますから、それはわかります。  そして、今度の周辺事態の場合も、周辺事態というのは我が国の平和と安全に重要な影響を与える場合で、しかも、安保条約の範囲内で活動する米軍に対して後方地域支援をするのだとなっておりますけれども、そういう意味では、安保条約の方が枠が広いのではないかという考え方を持っておるわけです。  安保条約の場合は、いわゆる極東の平和と安全のために活動するわけです。ところが、今度のガイドラインの場合は、我が国の平和と安全に重要な影響を与える場合ということに絞っておりますから、そういう意味で、安保条約の極東の概念を持ってきて、あるいは極東の周辺という概念を持ってきて、それとパラレルに並べることが果たしていいものであろうか、そういう疑問を持っておりましたので、あのように率直に申し上げたわけでございます。
  181. 東中光雄

    ○東中委員 そんなことを言ったって、今度の周辺事態措置法で、周辺事態に際して日米安保条約の目的達成に寄与する活動をしているアメリカ軍、日米安保条約に寄与する活動をしている米軍に支援するのだから、安保条約抜きにやれないじゃないですか。
  182. 久間章生

    久間国務大臣 安保条約に寄与する、そのために活動する米軍でありますけれども周辺事態という場合で後方地域支援をするわけですから、周辺事態というのは我が国の平和と安全に重要な影響を与える事態が発生している場合でございますから、しかも、そういう場合における活動について後方地域支援をするということでございますのでぐっと絞られておる、そういうことについてひとつ理解していただきたいと思います。
  183. 東中光雄

    ○東中委員 ところが、その周辺事態がさっぱりわからぬのです。どういう事態周辺事態というのかということについて、これは三月十二日の当安保委員会で北米局長が、「周辺事態が仮に起きた場合には、その周辺事態についての判断はやはり日本が自主的に必要な国内手続を踏まえながら判断する、」二段階として「その上で支援するかどうかということも決めていく」という答弁をされております。この見解は高野北米局長答弁。  外務大臣、その見解は違うのだということではないでしょうね。ちょっと外務大臣確認していただきたいのです、会議録にそうなっています。
  184. 小渕恵三

    小渕国務大臣 北米局長がみずから答弁しておることでございますので、誤りなきを期して北米局長から答弁させます。
  185. 高野紀元

    ○高野政府委員 これも従来から御答弁申し上げているとおりでございますが、ある事態周辺事態に該当するか否かについては、日米両国がおのおの主体的に判断することになるわけでございます。その際、周辺事態においていかなる活動及び対米協力を行うかということは、我が国が国益確保の見地から主体的に判断を行う。  具体的には、今般国会に提出させていただいております、周辺事態に際して我が国の平和及び安全を確保するための措置に関する法律案において、この法律案に規定する周辺事態が発生していると判断し、この法律案に基づき特定の対応措置を実施する必要があると認められる場合には、基本計画の案を策定して閣議の決定を行うということになつております。
  186. 東中光雄

    ○東中委員 日本が自主的に必要な国内手続を踏まえながら周辺事態であるかないかということの判断をする。これは、日本がと書いてあるけれども日本といったって、それこそ防衛庁長官ではなかろうし……(久間国務大臣日本政府ですよ」と呼ぶ)それはどこに書いてあるのですか。国内手続を踏まえて、どこに書いてあるのですか。
  187. 久間章生

    久間国務大臣 日本がというのは、日本を代表する日本政府がという意味でございまして、行政権は憲法で内閣に帰属しております。
  188. 東中光雄

    ○東中委員 例えば防衛出動を命ずる場合、これはもちろん内閣で、国会の承認を得ますね。だから、周辺事態ということになったら行動を起こすわけですから、周辺事態を決めるのは、これが周辺事態なんだ、日本の平和と安全に重要な影響を及ぼす事態なんだ、何年何月何日のどの事態ということを決めるのは、どこで決めるのですか。
  189. 久間章生

    久間国務大臣 特別の法律がない限り、内閣が決めます。
  190. 東中光雄

    ○東中委員 内閣が決める。内閣は国内手続を踏まえながら判断する。内閣が、はい、今は周辺事態だぞというふうに決める。それは当たり前ですよ。行政の主体はそうだけれども、その行政の主体がどういう手続に従ってやるのか。待機命令を出すのでも、それぞれ違うわけだから。  それでは、これを言っておってもしようがないから、具体的な例で言いますよ。例えばアメリカの台湾関係法によりますと、西太平洋における平和、安全及び安定の維持に寄与する目的でこの法律はつくったと書いてある。  そして、「台湾の将来を、不買」ボイコットですね、「不買あるいは通商停止を含む非平和的手段により決定しようとするいかなる試みも、西太平洋地域の平和および安全に対する脅威であると見なし」、これは法文の規定ですね。西太平洋地域の平和及び安全に対する脅威であるとみなす、そういう場合に、第三条の(C)項で「大統領は台湾住民の安全あるいは社会、もしくは経済体制に対するいかなる脅威、およびそれから生じる米国の利益に対するいかなる危険についても、」大統領は憲法上の手続に従って適切な行動をとらなければならない、こうなっています。  だから、台湾海峡でアメリカが、そういう不買同盟とかあるいは通商停止というふうなことでも脅威だといって行動を起こす、西太平洋における軍事行動を含む憲法上の規定に従った措置をとる。これは、いわゆる周辺事態アメリカが認定することがあり得るという条文、現行の生きておる条文ですね。  そういうふうにアメリカが決めて、アメリカが行動を起こしたという場合に、日本はそれは違うということになるのか。極東の範囲内で米軍はそういう行動を起こしている、そういう場合に日本はどういうことになるのかということです。
  191. 久間章生

    久間国務大臣 米台関係がどうかというのは、それはアメリカ法律かもしれませんけれども、少なくとも今度のガイドラインに基づいて今進めようとしております。辺事態の場合は、そうではなくて、最終的にはおのおのの国が主体的に判断をする。主体的に判断をしながら一致する場合もあるかもしれませんが。そういう中で、我が国の平和と安全に重要な影響があるかどうか、そちらがやはり判断のキーワードになっておりますから、日本としては、我が国の平和と安全に重要な影響があるかどうか、それで判断するわけでございまして、アメリカだけの判断ですべてが決まるというわけにはまいりません。
  192. 東中光雄

    ○東中委員 だから、アメリカの判断だけでと言っているわけじゃないのだ。アメリカがそういう判断をした場合に、個別にアメリカが軍事行動を起こす、台湾海峡、極東地域で。日本の周辺地域ですよ。そして、西太平洋の平和と安全のために、それに対する脅威だといって行動を起こすことがあるとちゃんと書いて、中国が抗議しておるのにそういう法律をつくっているのですから。中国は一つだということを、三つの声明で同じことを言っておりながら、そういう態度をアメリカはとっている。  今度は、周辺事態ならば、日本はそのアメリカと十分協議をしていって、恐らく結論が別になるということはないだろうという、先ほどの答弁もありましたね。そういうことになるので、台湾地域周辺事態措置法の対象の範囲だということである以上は、アメリカがそういうことを判断したとしても、それは日本とは別だ、そういうものにはかかわりがないと……。不買同盟があったからといって、台湾の社会経済体制に脅威があるからといって、実力行使することがあると書いてあるのだから。そんなことやったって、日本はこの周辺事態法で発動する余地はないということを明言するなら明言しなさいよ。それは、防衛庁長官、どうですか。
  193. 久間章生

    久間国務大臣 たびたび言っておりますように、どこの地域、どこの国、そういうのを論議の対象にしているわけじゃございませんで、私どもは、我が国の平和と安全に重要な影響があるかどうか、ある場合には、それはそれに基づいていろいろな手続を経ながらきちんと対処するということでございます。
  194. 高野紀元

    ○高野政府委員 防衛庁長官から御答弁いただいたわけですが、台湾関係法について、先ほどの委員の御質問の前提が私ども理解と異なりますので、念のためそこだけ申し上げたいと思うのでございます。  確かに、台湾関係法に、台湾人民の安全、社会及び経済制度に対するいかなる脅威及びこれによって米国の利益に対して引き起こされるいかなる危険に対しても、武力行使を含む行動を自動的に起こさなければならないということには全くなっておりません。これは、あくまで米国政府が米国議会に通告し、政府と議会がこの種のいかなる危険にも対抗するためとるべき適切な行動を決定するという構成になっておりまして、いかなる行動を米国政府がするか、これはこの台湾関係法から自動的に出てくるわけではございません。
  195. 東中光雄

    ○東中委員 もう終わりますが、あなたはこの条文、三条の(C)を読んで、一番最後は、決定すると書いてあるのじゃない、決定しなければならないと書いてある。そこをわざわざ、前の方は正しく訳して、一番最後のところだけ別にする。アメリカはそういう体制できているのだということをなぜそんなに直視できないのか。そういうことを言ってごまかす、そういう姿勢が問題だということを申し上げておきます。  時間ですから、終わります。
  196. 塩田晋

  197. 上原康助

    上原委員 短い時間ですので、ちょっと政府確認というか見解を求めておきたい点がありますので、できるだけ簡潔にお答えを願いたいと存じます。  普天間飛行場の返還問題、移設問題が、御承知のように難渋いたしております。そのことも非常に重要な点で、政府がどういう打開策を講じようとしておられるのかも両大臣からお答えがあればいただきたいわけですが、私がきょうお尋ねしたいことは、政府の海上ヘリポート基本案という、普天間飛行場移設対策本部が昨年十一月に作成したものがあります。これは、公式というか正式に沖縄側に説明された、普天間飛行場を移設する場合の規模とかあるいはどういう施設を張りつけていくかという中身になっております。  私もいろいろ頭をひねって、何かいい打開策がないものかと考え通しているわけですが、そういう検討をやってみようというやさきに、実は沖縄の普天間海兵航空基地の移設に関する国防総省の機能分析と運用構想というものが最近明らかにされました。これはエグゼクティブレポート、実務者報告というのか、あるいは執行協議機関のレポートというのか、九七年九月三日付で出されております。  この内容と政府が沖縄側に説明した基本案の内容とでは、非常な違いがある。もし、この基本案ではなくして、日米間のどこかでこのエグゼクティブレポートの中身のように検討されているとするならば、これは一大問題と言っても言い過ぎではないと思うのですね。またまた沖縄をだましたのかということになりかねない。そのことについて、政府は、防衛庁なり外務省なり、一体わかっておられるかどうかというのが一点。  このエグゼクティブレポートの英文もようやく入手をいたしましたが、もう一つ、これは九七年九月二十九日付ですが、DOD、国防総省のオペレーショナル・リクワイアメンツ・アンド・コンセプト・オブ・オペレーションズ・フォー・MCAS・フテンマ・リロケーション・オキナワ・ジャパンという膨大な米側検討資料をきょう手に入れました。この内容とこれはほぼ共通いたしております。より詳しくDODのものは書いてある。二つともDOD関係ではありますが。  そこで、外務大臣でも結構です、防衛庁長官でもいいわけですが、米国政府国防総省が中心になって、アメリカの各軍、海兵隊を入れて、綿密にいろいろな角度から普天間飛行場の移設問題ということを検討している。これについて、一体日本政府はどうかかわってきたのか、どっちが本物なのか、お答え願いたい。
  198. 小渕恵三

    小渕国務大臣 政府といたしましては、米国政府から御指摘のような文書を提示されたことはなくしたがいまして、その内容についても承知をいたしておりません。  なお、御指摘の文書に関する米国政府説明によりますれば、同文書は米国政府部内の内部資料でございまして、運用所要の概要にかかわる調整を日本政府と行うに当たりまして、米国政府部内で検討を実施する過程で作成されたものであるということでございます。  いずれにいたしましても、昨年十一月に政府から地元に提示された海上ヘリポート基本案は、政府の現地調査の結果として、米軍の運用所要の概要について日米両国政府の調整の結果を踏まえて作成したものであり、その内容につきましては米国政府も了解しておるところでございます。  したがいまして、沖縄県民をだますとかだまさないとか、こういう御指摘は当たらないものと考えております。
  199. 上原康助

    上原委員 私もそう願いたい、そう期待をいたしますが、このエグゼクティブレポートの目的とか、時間がありませんから読めませんけれども、これはそう簡単なものじゃないですよ。日本政府にも協議を申し入れているとか、あるいは協議をしたとか、いろいろなことが書いてある。しかも、普天間飛行場移設先の施設の条件は、代替施設としての条件ではなく、その運用上の必要条件に基づくものである、新たな運用を求める施設なのだということをはっきり書いてあるのですね。  さらに、この基本レポートの中では、七年か八年かあるいは十年かというのは、それは、これだけの問題ですから、若干短縮されるあるいは延びるということはあると思うのですが、アメリカ側が検討している中では、撤去可能な基地などというのは一言もないですよ。皆さんは、海上基地は撤去可能だから、あるいはいろいろ理屈はつけておりますが、そういう基本的な面での食い違いがある。  もう一つ、私が大変重要視をしていることは、機能の問題です。  いわゆるSACOの最終報告にも、確かに普天間の現状の機能は維持するということは前提になっておりますから、それはいいとか悪いとかいうことではなくして、一応そういう前提で検討されているということは私も理解をいたします。  だが、航空機の機数等については、現在普天間航空基地にある程度のものをということになっているわけですが、アメリカ側のレポートではそうなっていないのですよ。MV22オスプレイの配備を前提としてやっているということ。また、滑走路の長さも、確かに千三百から千五百、両端に百メーターの余分を持つ、幅は六百ということになっているのですが、しかし、八百メーターから一千メーターと明確に書いてある。  どうしてこういう食い違いが出ているのですか。それははっきりしてもらわぬと。今外務大臣がおっしゃるような答弁ではちょっと。これはただでさえ難航、難渋しているのに、ある面では行き詰まっていると言ってもいいでしょう。  そういう状態で、こういう中身が次から次と、しかも、きょう私が入手したこのDODの資料というのは、これは英文だけですからまだよく検討してありませんけれども、何とこれには航空機の配備なんか、MV22オスプレイは三十六機配備すると書いてありますよ。トータル七十九機なのだよ、確保すべき機数というのは。しかも、ハリアーも活用できるようにするし、C130も離着陸できるような構造にしなさいと。  もし皆さんが、大臣クラスはおわかりないかもしらぬが、本当に実務者レベルでこういう検討がなされているとすれば、事は重大ですよ。そこは明確にしてもらわないと非常に困る。改めて御答弁ください。
  200. 久間章生

    久間国務大臣 先ほど外務大臣から答弁がありましたように、私どもは、とにかくアメリカから出てまいりましたいろいろな案を、その前にはいろいろあったと思いますけれども、その案をいろいろと議論しながら詰めまして、そしてその運用所要に基づいて最終的に基本案をつくったわけでございます。  その過程において、アメリカアメリカなりに、これ以上のものがあったらいいというような意見はいろいろあったかもしれませんけれども、私どもとしては、それを絞り込みながら、とにかく幅とか長さとかそういうことについてもあの基本計画でやるということで両方で調整したわけでございますから、最後に決まったものを沖縄に提示したということでございます。  沖縄県も日本政府を信用してもらわなければなりませんし、私どもも最終的に出てきたその運用所要を信ずる、そういう立場でございますから、どうか御理解いただきたいと思います。
  201. 上原康助

    上原委員 ですから、先ほど申し上げたように、それを期待したいし、そう信じたいわけなのですが、例えばエアクラフトタイプといって、きょう私が入手した資料によると、AHlW十八機、CH53E十六機、UHlN九機、MV22オスプレイは三十六機、トータルで七十九機、こういうことが、これは一カ所だけではない、あちこちの文脈にそういうのが流れている。本当にこういうことには日本政府は関知していないのですか。全く関係ないのですか。
  202. 佐藤謙

    佐藤(謙)政府委員 外務大臣、それからただいま防衛庁長官から御答弁があったとおりでございまして、私どもとしましては、今回の報告書につきまして、その内容を承知しているところではございません。  ただいま防衛庁長官からも御答弁いたしましたように、その時点で米軍の運用所要の概要につきまして両国政府で調整を行いました、その結果を踏まえましてこの基本案を策定したということでございます。
  203. 上原康助

    上原委員 もし、今私が指摘したことが事実であるとするならば、アメリカ側は恐らくいろいろ意見を言ってくるでしょう。また、いずれ明らかにされることだと思うのですが、今の御答弁ではなかなか納得しがたい面もあるのです。疑問を持たざるを得ない。  そこで、海上ヘリポート基本案について、これは和文しか皆さんは説明されていない。これは主に環境問題について重点的に取り上げている。これの英文はあるのですか。アメリカ側に日本政府として提示した英文のものを資料として出していただけますね。それはないとは言えないでしょう。
  204. 佐藤謙

    佐藤(謙)政府委員 具体的にどういう格好で米側に説明いたしましたのか、そこは今定かではございませんけれども。基本案の内容につきましては米側に説明しているところでございまして、ちょっとそのやり方につきましては具体的につまびらかでございません。
  205. 上原康助

    上原委員 そんな自信のない答弁ではいけませんよ、あなた。  これは、沖縄側にはこういう規模や内容でつくるという基本案を説明しておって、今両大臣から答弁があったように、当然アメリカ側もこれは了解して、日米政府はこれが基本案だということであるならば、まさかアメリカがこの日本文を読んで納得したわけではないでしょう。そのぐらいの資料も提示できぬのですか。ますますおかしいじゃないですか。
  206. 佐藤謙

    佐藤(謙)政府委員 私の説明の仕方が不十分だったかもしれませんけれども、この基本案の内容につきまして、米側にその内容をきちんと説明していることはそのとおりでございます。ただ、具体的にどういう形で説明したかということにつきまして、ちょっと今つまびらかではない、こういうふうに申し上げたところでございます。  内容につきまして、米側にその内容をきちんと説明していることはそのとおりでございます。
  207. 上原康助

    上原委員 防衛庁長官、さっきのGAOの報告といい、今私が持っている米側の二つの資料といい、あるいは皆さんのこの基本計画、これは大きな食い違いがありますよ、本当に。GAOの指摘は大体このDODのレポートと流れは同じなんですよ。  そうすると、アメリカの議会も政府も国務省も各軍も、こういうレポートに基づいて普天間基地の——新たな海上基地とかあるいはどういうタイプの基地にするかということは検討されていると思う。そこは日本政府として、アメリカのそういった検討事項についても十分に資料なりあるいは意見交換がなされずに進められているとすると、これは余計大きな問題になりますよ。その点は調べて、また次の機会にきちっと御報告いたしますね。  それと、さっきのこの基本レポートについて、アメリカ側にどういう内容で説明したか、資料として私に説明してください。いいですね。
  208. 久間章生

    久間国務大臣 沖縄に最終的に私ども立場で提示しているわけでございますが、その基本案をどういう形で米側に説明をしたか、その資料等については、私の方でも調べてみたいと思います。  そしてまた、私どもは、先ほど言いましたように、アメリカとのいろいろなやりとりはあったかもしれませんけれども、最終的には、アメリカから出てきた運用所要について両方が合意した上で、この案で沖縄に提示しますよということを確認して出しておりますから、それについては何らかの形で、そういう今出ました過程の話について、GAOなんかについても、国防省に聞きますと、自分たちの方もよくわからないというような返事をしているぐらいでございまして、あれは別の組織でつくられた案のようでございますから、その辺のいろいろな錯綜はあると思いますけれども、私たち政府と向こうの政府との意思の疎通だけはきちっとしておかなければいけないと思っております。
  209. 上原康助

    上原委員 私は、これは非常に重要な問題を含んでいると思いますし、また、ただでさえ基地問題の難しさ、基地の整理縮小を考える場合の県民の感情等、不満や反発がある中で、恐らくこういうものがどんどん出ますよ。きちっとしていただきたいと思います。  そこで、時間があとわずかしかありませんので、次にあと一点。  爆音防止協定、いわゆる嘉手納空軍基地と、今申し上げました普天間海兵隊基地の、航空基地の爆音防止協定が平成八年三月二十八日の日米合同委員会で締結をされております。  ついこの間、第三次の嘉手納基地騒音差しとめ請求訴訟の判決が出たところですが、その内容に触れることはできませんが、嘉手納町議会が決議をした意見書があります。これも時間がありませんから全部読むわけにはまいりませんが、ぜひやってもらいたいということに、  一 午後七時から翌朝七時までの航空機の離着陸を禁止すること。  二 「騒音防止協定」の夜間飛行規制を厳格に守り夜間、深夜の離着陸を禁止すること。  三 住民居住地域周辺でのエンジン調整の禁止。海軍駐機場を早期に撤去すること。  四 空軍・海兵隊ヘリコプター、セスナ機等の住民地域上空での飛行(低空飛行)、訓練を禁止すること。  五 爆音は環境基準のWECPNL七十以下にすること。  六 「ORI」、これは米軍の訓練です。  「ローリー」演習等、町民に被害を与える一切の演習を実施しないこと。  以上、地方自治法第九十九条第二項の規定によ  り意見書を提出する。これは、三月二十六日に決議をされて、防衛庁防衛施設庁や外務省等に行っていると思うのですね。  私は嘉手納町に住んでおってよくわかるわけですが、現在でも深夜の爆音というのは頻繁にありますよ。なぜこの協定さえもきちっと守ってもらえないのか。  このことについては、もう時間が来ましたから、御迷惑をかけてはいけませんから、問題を指摘をして、もう少し外務省防衛庁もきちっとアメリカに対して物を言って、何か異常事態が起きてどうしてもやむを得ないという場合は、これは軍隊ですから、私とてそこは理解しないわけでもない。だが、最近の状況というものはひど過ぎる。  きょうは外務大臣はいらっしゃらない、防衛庁長官ですが、きちっと米側と話し合って、日米間で合意したわけでしょう、それを最低守らせなさいよ。それはできますね。
  210. 高野紀元

    ○高野政府委員 御指摘の嘉手納町議会が採択しました意見書は、五月十二日に町議会の皆様が来られまして、私どももお受けしたということでございます。  嘉手納飛行場における米軍機の運用に伴う騒音については、周辺住民の方々に大変な御負担をおかけしていることは私ども十分に認識しておりまして、まさに今御指摘のSACOの過程で、騒音規制に関する合同委員会合意も日米間で合意したわけでございます。その合意に基づいて今のような活動があるという御指摘でございます。  そういう点に関しましては、今後とも、SACO最終報告の内容を着実に実施するということで、合同委員会の枠組み等を通じまして、私ども外務省としても努力してまいりたいと思います。
  211. 上原康助

    上原委員 もう終えますが、この爆音防止協定が締結されてから嘉手納町で、きょうは資料もいろいろ持っているんだが、時間がないから言えませんが、既に千百九十三回起きているのです。千百九十三回、深夜、この協定違反の爆音が。  萩長官、何か言いたそうなんだが、アメリカはそのぐらいは守ってもらわなきゃ困るんだよ。これは大臣かどっちか、もう少し歯切れのいい答弁をしてください。
  212. 久間章生

    久間国務大臣 外務省のマターかもしれませんけれども外務大臣ともどもに、私どもとしても、その協定ができておるわけでございますから、それの遵守についてこれからも努力してまいります。
  213. 上原康助

    上原委員 ありがとうございました。  終わります。
  214. 塩田晋

    塩田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時七分散会