運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1998-05-12 第142回国会 衆議院 安全保障委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十年五月十二日(火曜日)     午前九時五十三分開議  出席委員   委員長 塩田  晋君    理事 浅野 勝人君 理事 石破  茂君    理事 中島洋次郎君 理事 浜田 靖一君    理事 石井 紘基君 理事 岡田 克也君    理事 赤松 正雄君 理事 西村 眞悟君       麻生 太郎君    池田 行彦君       臼井日出男君    岡部 英男君       河井 克行君    佐藤  勉君       阪上 善秀君    実川 幸夫君       田中 和徳君    田村 憲久君       中山 正暉君    仲村 正治君       林  幹雄君    増田 敏男君       宮下 創平君    玉置 一弥君       横路 孝弘君    河上 覃雄君       冨沢 篤紘君    東  祥三君       佐藤 茂樹君    中路 雅弘君       東中 光雄君    辻元 清美君  出席国務大臣         国 務 大 臣        (内閣官房長官) 村岡 兼造君         国務大臣         (防衛庁長官) 久間 章生君  出席政府委員         国際平和協力本         部事務局長   茂田  宏君         防衛庁防衛局長 佐藤  謙君         防衛庁運用局長 太田 洋次君         外務省総合外交         政策局長    加藤 良三君         外務省北米局長 高野 紀元君  委員外出席者         安全保障委員会         専門員     平川 日月君     ————————————— 委員の異動 五月十二日  辞任         補欠選任   増田 敏男君     実川 幸夫君   山崎  拓君     田中 和徳君   佐藤 茂樹君     東  祥三君 同日  辞任         補欠選任   実川 幸夫君     増田 敏男君   田中 和徳君     山崎  拓君   東  祥三君     佐藤 茂樹君     ————————————— 本日の会議に付した案件  国際連合平和維持活動等に対する協力に関する  法律の一部を改正する法律案内閣提出第九〇  号)      ————◇—————
  2. 塩田晋

    塩田委員長 これより会議を開きます。  内閣提出国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石破茂君。
  3. 石破茂

    石破委員 報道によりますと、インドがまた核実験をやったという話であります。非常にゆゆしきことでありますが、実際問題、感情的に非難をすることは大変にやすいことでございますけれども、核兵器も持たず、軍事大国にもならず、日本地域平和達成のために何をすべきかということを改めて考えていかねばならないことだと思っております。  私ども、この法案につきましては賛成でございますが、今後の議論の糧のために若干整理しておきたい点が何点かございますので、質問させていただきたいと思います。官房長官、お時間があるようでございますから、お時間にはどうぞお立ちをいただきたいと存じます。  まず第一点、今回の法改正理論構成についてであります。  つまり、自己保存ということがあくまで強調されておられる。保存をするのはあくまで自己である、こういうような構成がされておるはずであります。自己保存でいう自己とはあくまで個人の単位であるということですね。そうなってきますと、個人防衛するために集団上官命令によって撃つというのは、どういう概念構成になるのだろうか。  部隊個人集合体であって、個々人が急迫不正を感じる、それを上官が束ねる、これは後でお尋ねしますが、束ねる形で認識をし、防衛行為を行うというふうにするのだろうか。仮に、目で見て、とてもじゃないけれども見えないよというようなところでそういうようなことがあった場合には一体どうなるか、そういうような理由によって上官自身がみずからに対する急迫不正の侵害ということを感じなかったらどうなっていくのだろうかということであります。  今回、法改正がなされるわけでありますが、二十四条には他人のためにする防衛ということが含まれておるわけで、他人のためにする防衛ではカバーできない、そして上官の指令によるのだ、原則として上官の命によるのだというふうにつけ加える積極的な根拠というものは何で、その理論構成というのはどのようなものか、もう一度お尋ねしたい。
  4. 太田洋次

    太田(洋)政府委員 お答え申し上げます。  現行PKO法を審議した当時は、政府としましては、国際平和協力法の上で、武器使用についてはいわば自己保存のための自然権的な権利という考え方法律を提案したわけであります。その武器使用についての判断は、個々隊員判断にゆだねれば足りるのだという考え方でございました。  しかし、その後、このPKO法成立後、この法に沿って実際にカンボジアザイール等への派遣を行いました。その経験から、武器使用について個々隊員ばらばら判断するのでは、部隊参加した自衛官による武器使用についてその統制を欠くことがある、そのことによってむしろ生命身体に対する危険あるいは全体の事態の混乱を招くおそれがあり得るという問題点が感得されました。そういうことで、国連平和維持活動への参加各国の事情をいろいろ調べてみまして、こういう点を確認したわけでございます。  そこで、今回、自己保存のための必要最小限度武器使用という点は、その考え方は維持した上で、武器使用についての一層の適正化を図るという観点から、これまでの個々隊員判断による使用から、原則として、具体的な状況に応じて最も適切なる判断をすることが期待できる者、すなわち、現場にある上官命令による使用ということにしたわけでございます。  この点は、付言しますれば、憲法との関係で問題が生じない範囲内で法律改正しようというふうに御提案した次第でございます。
  5. 石破茂

    石破委員 お尋ねをしましたのは、他人のためにする防衛でカバーできなくて、なお上官命令を必要とするというのはどういう場合なのかなということをお尋ねしたわけですが、御答弁は結構です。  そちらの方がより安全であるということは事実でありますので、よって、我々もこの法案には、当たり前のことであって賛成をせねばならないというふうに考えておるわけでありますが、そこの理屈をどのように使っていくのか、どのように組み立てるのかということを、今後の糧のためにさらに明らかにしていただきたいというふうに思ったわけです。  要するに、前回PKO法をつくりましたときに、束ねるという理論がありました。個人個人判断があって、それを束ねる形で行うのだ、そしてまた、それはネガティブな形で抑制的に、こういうような答弁があるわけであります。個々自衛官にとり武器使用が必然的かもしれないとの判断があった場合、上官がそれをネガティブに考え、情勢を見て、武器使用は少し待った方がいいというような場合にのみ束ねて行うという趣旨である、組織部隊としての武器使用はない、こういうようなお話になっているわけです。  今回変わるのはどこが変わるかというと、ネガティブというところはポジティブに変わる、少し待った方がいいというのが撃った方に変わる。それだけではないだろうというふうに思いますが、いかがですか。
  6. 太田洋次

    太田(洋)政府委員 今御質問の点につきまして、そのような面があることは否定できません。  実際に、この法の審議が国会において行われました際、束ねるという議論がございました。そのときは、御質問のとおり、実際には、現状に合わせて武器をその場では使用しない方がいいのではないかという判断があった場合に、それは全体としてそういう方向に持っていくためにその判断を示すということで、その意味で束ねるという言葉使用したというふうに記憶しております。  ただし、あくまでもそれは上官のいわば判断でございまして、今回考えております法案は、そういう意味で、実際にこの場は武器使用しない方がいいという判断に基づきまして命令するということになるわけでございます。  一方、そういうネガティブな場合だけではなくて、実際にこの場合は武器使用した方がよいということで、現場上官がある場合には、例えて言えば、その上官が撃てというような命令を下すということで、いわば積極的に武器使用するという意味で使う場合もございます。  いずれにしましても、今回の法律では、上官現場にある場合にはその命令に従わなければならないということでございまして、現行法で言う運用上の処置として判断を示すということと異なりまして、そこでは上官命令があるということが大変違った点であるというふうに考えております。
  7. 石破茂

    石破委員 この束ねるという理論は今回も踏襲されるのですか、されないのですか。  つまり、束ねるというのは、それぞれの判断がありまして、それぞれは別個独立なのでありますよ、それぞればらばらなんだけれどもそれを束ねる、こういうような理論が束ねる理論ですよね。  さて、今回の場合には、その上官指揮法律的な意味を持つことはよく理解できますが、束ねるという考え方、つまり、それぞれの個々判断は別々なんだという理論はそのまま踏襲されているのですか、されていないのですか。
  8. 太田洋次

    太田(洋)政府委員 お答え申し上げます。  今回は束ねるということはもちろん改正案の中に出てきませんけれども、実際には、今回の法改正が認められれば、そういう場合に上官命令によって複数でそれに対応するということになりますので、現象的に見れば束ねたと同じような様相になると思います。なると思いますが、ここでは、あくまでもそれが命令によって行われるということでございまして、その点は法律上は違うということを先ほどお答えしました。
  9. 石破茂

    石破委員 法律上はそうでしょう。法律的にそうなのですけれども、だから、それは束ねたのではなくて一本の判断なのですか、それともばらばらなのですか。ばらばらということで、ただそれを法律として権限を持たせたということなのか、そこの兼ね合いがよくわからないのです。
  10. 太田洋次

    太田(洋)政府委員 お答え申し上げます。  ここで、武器使用について上官が種々の情報を総合し最終的に判断を下しまして、命令として武器使用をやるということになりました場合には、そこでは個々判断というものはなくて、上官がそれを統制して武器使用するということでございますので、守るのは個人生命身体防護ということでありますけれども、実際の行動は、そこで上官命令による統制のとれた行動というふうに考えます。
  11. 石破茂

    石破委員 わかったような、わからないような話ですが、こういうような理論は何も本邦初演ではないですよね。治安出動においても武器防護においても、そういうような考え方がなされているわけですよ。  そうすると、この構成の仕方は、治安出動、すなわち八十九条二項によって用いられている理論と同一ですか。
  12. 太田洋次

    太田(洋)政府委員 お答えを申し上げます。お話しのとおり、治安出動を行いました場合に、武器使用が法的には二通り考えられております。そこでは、隊員個人生命身体防護するために武器使用する場合と、そうではなくて、そもそも治安出動を行った目的、例えば治安出動である者を警護するというような事態になった場合に、そのために武器使用するということがあるわけでございます。  基本的には、その武器使用の場合におきまして、個人生命身体防護というためには個人判断というのがあり得るわけでございますけれども、あと後半の、そもそもの治安出動目的、そのために武器使用するということは、これは部隊指揮官が命ずることになりまして、その点も法律上そういう仕組みをつくっております。
  13. 石破茂

    石破委員 今後、また議論をしていかねばならない点があろうかなと思います。まだ詰めねばならない点が多々あるような気がいたしておりますが、次のお話に参ります。  これから先の話でありますけれども、PKO法二十四条というのは、いわゆる武器使用において、aタイプは認めている、しかしbタイプは認めていないという形になっていますね。これはなぜですか。
  14. 茂田宏

    茂田政府委員 お答えいたします。  PKO法を準備する段階におきまして、日本PKO参加に関しては、参加に関する基本的な五原則というものをつくりまして、それに基づきまして現在のPKO法というのは成立しているわけでございます。  この基本的な五原則の中に、武器使用に関しては、自己または自己とともに現場に所在する隊員生命身体防護するための武器使用に限定するということになりまして、それに基づきまして法案が起案されたという経緯がございます。  それが経緯でございます。
  15. 石破茂

    石破委員 当時、内閣法制局が何と言っているかというと、bタイプ武器使用は、憲法九条が禁止する武力行使に該当する場合もあるというふうに言っていますよね。全部が全部該当するとは言っていない。  どういう場合に該当し、どういう場合に該当しないか。つまり、bタイプが全部憲法上だめだという話ではなくて、該当する場合もあると言っているわけですから、該当しない場合もあるわけですね。端的に、短く答えてください。どういう場合に該当しませんか。
  16. 茂田宏

    茂田政府委員 これは平成三年九月二十七日の政府統一見解で、憲法第九条第一項の武力行使というのは、我が国の人的、物的組織体による国際的な武力紛争の一環としての戦闘行為をいうものとされております。  bタイプ武器使用はどういう具体的な事例がこれに該当し、どういう具体的な事例がこれに該当しないかという点についてのお尋ねでございますけれども、これは具体的な個々事例に即して、ただいま申し上げた武力行使の定義に照らしてケース・バイ・ケース判断していくものだと考えております。
  17. 石破茂

    石破委員 当時、こういう見解もあるわけですよね。他国の同様に参加した部隊bタイプ武器使用を行った場合には、五原則は崩れたものとして任務中断し撤収する、こういうようなことになっているわけでしょう。違いますか。
  18. 茂田宏

    茂田政府委員 お答えいたします。  日本PKO参加した後、中断、撤収する場合ですけれども、これは停戦合意が崩れた場合、それから受け入れ同意がなくなった場合、それから中立性の要件が崩れた場合、そういう場合には中断、撤収してくるということでございます。
  19. 石破茂

    石破委員 ちょうど前の参議院選挙から六年たつわけですね。前回参議院選挙というのは、このPKO法というのが是か非かということで随分と議論になったし、私どもも有権者に随分訴えたことでございました。危ないところには行かないんだ、危なくなったら帰ってくるんだ、だから大丈夫なんだというようなお話もいたしましたし、いろいろなことを有権者に向かって訴えてきたが、自後六年たってみて、随分とPKOというのは風化してしまったような気がするのですよ。議論をもう一度きちんとし直すことが必要なのではないか、私はそのように思うのです。  冒頭申し上げたように、我が国核兵器を持てるわけでもないし、憲法に禁じられている武力行使ができるわけでもないし、その中で日本は何ができるのかということが問われていると思うのですね。  選挙の監視にしても、日本で言う選挙というのは、のどかな日曜日に時間があれば国民の義務として投票所に行って投票する、そういうような非常にのどかな光景を想像するわけですが、カンボジアにおける選挙というのは、本当にあれは実際は戦争だったわけですよね。ポル・ポトは、クメール・ルージュは負けることがわかっていたから、何が何でもこの選挙はぶっ壊さなければいけないということで、大変な武力闘争を挑んできたわけです。  PKOとしては、とにもかくにも、いかなる妨害があろうとも、公正で民主的な選挙というものをやらなければこのカンボジアに平和は訪れないんだということできちっとやったわけですよ。本当にPKOを達成するというのは、日本選挙のイメージじゃなくて、本当に命の危険も伴うような大変なことであって、それを多少の危険があろうとも遂行するんだというものがPKOである。  もう一度原点に戻れば、ピースキーピングではあるけれども、それは本当のピースじゃない。紛争は終わったけれども、戦闘はまだあるんだよ。確かに停戦合意はできたでしょう、しかしながら、まだ何があるかわからない状況なんですよ。それを、あるときは割って入って引き離し、これはできませんが、そしてまた停戦を監視し、そういうような非常に危険なことだけれどもやっていかねばならない、そういう業務なんだろうなというふうに思っております。  日本の場合には、とにかく他国bタイプ使用したら、もう五原則は崩れた、中断し撤収をする。しからば、そこにおいて行われる公正で民主的な選挙というものを実現するんだという利益と、日本武力行使を行わない——日本は行ったじゃないか、何じゃないか、そういうふうにだれから批判されるのか知りませんが、とにもかくにも日本武力行使をしたと言われないことを重要視するんだ。片一方で、大事だと言われておる公正で民主的な選挙の実現というものは、ほかの人がやってちょうだいというようにこれから先もなっていっていいのだろうか。これから先の議論によるところでございますけれども。  私が一つ思っておりますのは、武力行使に当たらない場合というのはどういうカテゴリーなんだろうかということなんです。  確かに、自衛隊法上は八十八条しか武力行使という言葉は認めていないですよね。八十八条にはもちろん該当はしません。そして、憲法で禁じられている武力行使にももちろんなりません。しかしながら、いわゆる武器使用、今考えている武器使用というよりもさらに出た概念、しかし憲法九条によって禁止されていない概念、そういうカテゴリーというものが理論的にはあり得るのではないか、いかがですか。
  20. 茂田宏

    茂田政府委員 お答えいたします。  先生の御指摘は、bタイプ武器使用であっても、憲法で言う武力行使に該当しないものが理論的にあり得るのではないかという御質問だと思いますけれども、それはあり得ると思います。
  21. 石破茂

    石破委員 結構です。  以上で終わりますが、とにかく刑法理論を援用するというお話をずっとしてこられました。確かにそうだろうと思います。そのままぴたっと当てはまるわけでもありませんがね。  ただ、警察官職務執行法にしても、そしてまた刑法理論にしても、国家的、社会的法益に対する正当防衛という概念もあるわけです。今回、これは使えないというお話なのかもしれませんが、その辺の整合性もあわせて、もう一度日本は何ができるかという議論をこれから先も国民に向けて地道にやっていきたい、かようにお願いをいたしまして、質問を終わります。  以上です。
  22. 塩田晋

  23. 石井紘基

    石井(紘)委員 PKO法案についてお聞きする前に、きのうから大きなニュースが飛び込んでまいりました。インド地下核実験を行ったということであります。これは包括的核実験禁止条約というものがまだ発効していないという状況の中において行われたものでありますが、これについて、官房長官お見えですから、我が国対応をまず伺いたいと思います。  ラジャスタン州というところで核実験が行われた、これに対して我が国政府対応について伺いたい。経済制裁をするというような考えがあるのか、あるいはどうするのか、最初に御答弁をお願いします。
  24. 村岡兼造

    村岡国務大臣 昨日、日本の夕刻でございますが、インド地下核実験を行った旨発表されました。これは、世界的核実験禁止の流れに完全に逆行する極めて遺憾なことと思っております。  かかる見地から、我が国は、本日の午前一時前、今回の核実験を極めて遺憾とし、インドが早急に核開発を停止することを強く求め、あわせて地域関係国に対する自制を求める官房長官のコメントを発出をいたしました。今朝九時半、小渕外務大臣シン在京インド大使を招致し、同様の趣旨を強く申し入れる予定であります。  なお、既に、昨日発表直後、ニューデリーにおいて、平林インド大使よりインド政府ハイレベルに対し我が国の立場の申し入れを行ったところであります。  経済制裁の部面のお尋ねもございました。  今回の核実験は、大量破壊兵器等開発・製造の動向にも十分注意するとしているODA大綱原則との関係で問題があると考えておりまして、具体的な対応に関しては、インド側への申し入れの結果等も踏まえ、早急に検討することといたしたい、こういうふうに考えているところであります。
  25. 石井紘基

    石井(紘)委員 ありがとうございました。  今回のPKO法案の中の武器使用の問題について何点か確認をさせていただきたい。  いろいろな議論がこの間行われてまいりましたけれども、きちっとした整理をもう一回やってみる必要があるという思いでもって質問をさせていただきたいと思います。  まず、今回の改正案におけるところの一つの大きな問題点というのは、PKO集団行動している場合の武器使用についての態様が変わった、変えられたというところにあるわけであります。  その点で、これまで政府は、武器使用というものの本質について、これはいわば自己保存のための自然権的権利というべきものという見解を示してきたわけであります。これは当然、個人権利についての概念であったわけであります。  しかし、今度、集団を前提としながらこの見解というものをそのまま踏襲していくというわけでありますが、そういうことができるのか。できるのだとすれば、このいわば自己保存というものは集団あるいは組織に対しても拡大されていくのではないかという懸念があるわけでありますが、この自己保存という概念について、集団あるいは組織には適用されない概念なんだということが言えるのでしょうか、どうなんでしょうか。
  26. 久間章生

    久間国務大臣 先ほどの石破委員の御質問の中でも、そのような集団的な自己保存のための自然権というのが確立されているのかというような趣旨の内容を含んでいたと思います。  御承知のとおり、個々人自己保存のための自然権的権利というのは、これは実定法上も確立されております。また、国としての自然権といいますか個別的な自衛権といいますか、この概念も、実定法上ははっきり明文化されているものはないかもしれませんが、国連憲章等には規定されているわけでございます。ところが、集団的なグループに対する自己保存権といいますか自己保存的な自然権というのは、実定法上、見ましてもそういうような概念はまだ確立されていないような気がいたします。  したがいまして、この二十四条をつくりましたときにも、そうじゃなくて、これは個々人自己保存のための自然権を確保するという趣旨から法律がつくられたわけでございまして、今回もその目的は変えずに、ただ、それをいわゆる統率することによってより効果的な成果を上げる、そういう観点から改正を行おうとしているわけでございます。だから、目的自体は従来と変わっていない、そういうふうにとらえていただいて結構だ上思います。  この武器使用につきましては、御承知のとおり、集団として、組織として、任務遂行のために武器使用をすることがございます。これは明らかに集団的ないわゆる武器使用になるわけでございますが、それは必ずしも武力行使にならないということはかねてから申し上げているとおりでございます。  そういうことを考えますと、今回、武器使用上官の命によってさせることにしましても、これは職務遂行のための武器使用ではなくて、あくまで個人個人隊員自己保存的な自然権を守るための武器使用をより効果的に、適正たらしめるためにこういう整理をした、そういうふうに理解していただければいいのではないかと思います。
  27. 石井紘基

    石井(紘)委員 職務遂行任務遂行のための武器使用ではない、自己保存という概念は、これは集団としての自己保存というものはないのだという御答弁だったと思います。  それでは、集団としての自己保存というものはないとしても、命令による武器使用というものはどうなるのか。命令によって武器使用統制をとっていくということになれば、改めてこれはまた集団武器使用ということにならざるを得ないのではないかという気がするわけですが、この点についてはどうなのかというのが一つ。  それからまた、集団武器使用ということになれば、それは、今度は組織としての武器使用任務遂行のためあるいは職務遂行のための部隊としての武器使用というものにつながっていくということになるのではないかという点の懸念に対して、見解を伺いたいわけであります。それがいわゆるbタイプ武器使用ということに限りなく近づいていくのではないかという懸念があるわけですから、そうではないならないという、その歯どめがどこにあるのかということも含めてお伺いしたいと思います。
  28. 久間章生

    久間国務大臣 今回の武器使用は、いわゆる職務遂行のための武器使用ではなくて、個人個人自然権としての武器使用であるということは、先ほど述べたとおりでございます。  しかしながら、組織としての武器使用になるのではないかということについては、これはやはり部隊として、そこにある上官が、まずおまえがここで威嚇射撃をしろというような命令をして、それでとどめる場合もあるでしょうし、その次の段階として、こちらからこれは危ないから撃てというようなことで命令を下す場合もあるわけですから、それは組織としての行動になろうと思います。  しかしながら、その目的というのは、この二十四条をつくりました当時から設けられておりますように、あくまでもそういう自己保存的な自然権を守るために使うという意味で、部隊任務遂行のためのbタイプ武器使用ではないということははっきりしているわけでございますから、それは、ぜひそういうふうなものとして理解していただきたいと思います。  限りなく組織体としてのいわゆるbタイプ武器使用になってくるのではないかということになろうかと思いますけれども、ぞこのところは今度の二十四条でも、上官が命を下すに当たってのいろいろな要件を規定しておりますのは、そういうふうにならないように、いわゆる武力行使といいますか、要するにbタイプ型の武器使用にならないように、そういうようなことを構成要件を非常に厳格にすることによって、いわゆる自己保存的な目的のために武器使用するのですよ、それを効果あらしめるために使うのですよということをはっきりさせるためにいろいろと判断要件等をつくっているのではないか、そういうふうに思うわけでございます。
  29. 石井紘基

    石井(紘)委員 官房長官に御見解を伺えますか。  命令による武器使用命令によって統制をとるということになれば、集団的な武器使用になる。そこで、集団的な武器使用というのは、組織としてあるいは部隊としての武器使用につながるのかつながらないのかという点はいかがですか。
  30. 村岡兼造

    村岡国務大臣 久間防衛庁長官の御答弁と同じでございますが、改正後の法第二十四条の武器使用が、自己または自己とともに現場に所在する我が国要員の生命身体防衛するためのものであることは法文上明記されており、これがいわゆるbタイプ、すなわち、平和維持隊の任務遂行を実力で妨害する企てに対して抵抗するための武器使用組織あるいは部隊として行うこととは異なるものであることは明白であると考えております。  そして、今般の改正案において武器使用現場にある上官命令にかからしめることにより、かかる武器使用統制がとれたものとなり、その限りにおいて、集団的に行われるものとなる場合があるとしても、その本質は、あくまでいわば自己保存のための自然権的権利というべきものであると考えております。
  31. 石井紘基

    石井(紘)委員 そうすると、命令によって行うものであるとしても、その本質は、あくまで自己保存という隊員個人を念頭に置いたものであるということですね。  それでは、この法案あるいは現行法においても、これは現行法から改正法案の中にもずっと引き継がれる概念として、武器使用の主体について、これは自衛官であると二十四条に述べられているわけでありますが、この場合、先ほどの答弁からして、この自衛官という概念はどういうものか。部隊としての意味における自衛官ではなくて、個々人という意味での自衛官というふうに理解してよいのかどうなのか、伺いたいと思います。
  32. 村岡兼造

    村岡国務大臣 今般の改正案は、法第二十四条に規定する武器使用の一層の適正を確保するため、個々隊員判断による使用から、原則として現場にある上官命令による使用へと改めるものであります。  この場合においても、いわば自己保存のための自然権的権利というべきものとして武器使用が認められる主体は、あくまでも個々自衛官等であることについては何ら変更はないと思っております。
  33. 石井紘基

    石井(紘)委員 そうすると、自衛官というのは、一つの部隊の中で、部隊のそれぞれパートパートの武器を配備されて存在する、そして隊としての行動をとる、それとは違うのだ、つまり一個人としての自衛官という意味を定めたものである、こういう御答弁だったと思いますが、防衛庁長官、それでよろしゅうございますか。
  34. 久間章生

    久間国務大臣 そのように理解しております。
  35. 石井紘基

    石井(紘)委員 ありがとうございました。そういたしますと、自己保存あるいは上官命令による武器使用あるいは自衛官というものの概念が大体今明確にされてきたと思いますが、こうした議論の上に立って、一方では平成三年九月の政府統一見解というものがあるわけであります。  そこで、組織としての武器使用ではないということ、さらには、命令によって行われる武器使用といえども、部隊として、組織としての武器使用ではない、あるいは任務遂行のためのものともなり得ないということが今明らかにされた。  そういう中で、もう一つは、この統一見解憲法九条との整合性というものがどういうふうにとれるのか。この統一見解が出されたときには、上官命令による武器使用というようなことはなかったわけでありますし、集団というようなことは余り想定されない、あるいは部隊行動としての武器使用ということについての懸念はないのだという政府答弁でずっときたわけで、今回もそのような答弁が聞かれたわけでありますが、その統一見解憲法九条との整合性という問題について、改めて見解を伺っておきたいと思います。
  36. 村岡兼造

    村岡国務大臣 国際平和協力法における武器使用武力行使関係について、政府は、これまでも  自己又は自己と共に現場に所在する我が国要員の生命又は身体防衛することは、いわば自己保存のための自然権的権利というべきものであるから、そのために必要な最小限の「武器使用」は、憲法第九条第一項で禁止された「武力行使」には当たらない。 といたしており、また、命令に基づく武器使用に関し、例えば生命身体防護するためにやむを得ない必要があるとき、集団的に行ったから憲法上問題があるということにはならない旨の答弁をいたしております。  今般の改正案は、自己または自己とともに現場に所在する我が国要員の生命または身体防衛という、いわば自己保存のための必要最小限の武器使用という点については、何ら変更を加えず、これを維持することとした上で、その一層の適正を確保するために、原則として現場にある上官命令によることとするものであり、これまでの憲法解釈及び平成三年九月二十七日の政府統一見解考え方を何ら変更するものではないと考えております。
  37. 石井紘基

    石井(紘)委員 それで大分はっきりいたしましたが、自己保存とか自然権的権利ということを言われますと、一つ懸念が残るのは、先ほどの答弁にあったからいいのですけれども、それがどこまで拡大するか、その歯どめがどうしても必要だということになるわけですね。  自然権的権利とか自己保存といえば、相手が対応してきた、それに対してさらに応酬していく、こういうことが拡大していく可能性があるわけですから、そこの歯どめというのは、要するに部隊としての行動には至らないのだ、そしてこのbタイプにはいかないのだというところで歯どめをかけているというふうに聞き取れるわけでありますが、そういう点を念のためにもう一度確認させていただきたいと思います。
  38. 久間章生

    久間国務大臣 がおっしゃられますように、自己保存的な権利であるからといって、どこまでもやるというわけにはいきませんので、必要最小限の範囲においてやるということははっきりしているわけでございます。  それと同時に、命令によって行うということにしますと、非常にその辺が、あいまいとは言いませんけれども、拡大されてはいけないということで、今度は二十四条第五項で、上官判断する基準等についても法文にわざわざ入れておりますのは、そういうような歯どめといいますか、そういうことについて要件をよりはっきりさせようということでしているわけでございますから、この二つの、ダブルの意味での規制によって今の目的は十分達せられるのではないか、そういうふうに思っているわけでございますから、御懸念のようなことにはならないのではないか、そういうふうに思っております。
  39. 石井紘基

    石井(紘)委員 いずれにしても、武器使用は必要最小限ということの規定は厳然と存在しているということです。  しかし、上官命令によって武器使用が行われるということになりますと、それに対しては何らかのチェックといいますか、現場でトラブルがいろいろな形で複雑に錯綜しながら拡大していった、そういう現場の現実の状況に直面しますと、上官判断命令というものも非常に複雑な状況を迎えることになると思うのですね。  そうした可能性を含む武器使用でありますから、これは国会への報告ということがありますけれども、特別にこの武器使用ということに関するチェックというものはどういうふうに考えているのか。もう一度改めて、何か特別に武器使用ということについては、やはり注意深く、厳重に、シビリアンコントロールといいますか、あるいは国会の機能といいますか、そうしたものを働かせなければならないなという思いがおありかどうかも含めて御見解を賜りたいと思います。
  40. 久間章生

    久間国務大臣 幸い、これまでPKOで行っておりましたときに、武器使用するようなことがございませんでした。これは本当によかったと思いますけれども、これから先、武器使用等が行われることはないとは言えないわけでございます。そのために、こういう必要な改正をするわけでございます。  その後、もし、そういうことがあった場合には、私どもとしてもその場におけるいろいろな状況等は後々のことに反映させなければなりません。また、国会等に対しても、そういう意味では大変議論をしてもらわなければならないわけでございますから、そういうことについては絶えずチェックといいますか、報告を求めて、どういう状況だったか、そういうものはつぶさに検証していかなければならないと思っております。  国会においても、従来もそうでございますけれども、この安保委員会なんかにおいても、そういうことについては、一々法文上あるいはまたいろいろな決議等でなされなくても、委員の皆さん方から問い合わせがあれば、あるいはない場合でも、こちらの方から御報告をさせていただいて、委員会といいますか、国会と政府ともに一体となって、初めてのケースでありますこのPKO等については、従来からも連絡をとり合いあるいはまた質疑をしながらやってきたと思っておりますので、そういうような中でこの問題については十分にこれから先も議論は続けていって、よりよき実りあるものにしていきたい、また行っている隊員等についても、不安のないように、また胸を張っていろいろな活動ができますようにやっていきたい、そういうふうに思っておるところでございます。
  41. 石井紘基

    石井(紘)委員 それでは、武器使用がなされた場合、遅滞なく国会の審議等を通して十分に検証していくということでよろしゅうございますか。
  42. 久間章生

    久間国務大臣 それは、今のシビリアンコントロールの建前でございますから、私どもも十分注意してやっていきたいと思っております。
  43. 石井紘基

    石井(紘)委員 ありがとうございました。  そろそろ時間も参りますが、最後にちょっと、別件でございますが、先日もこの委員会でインドネシアの情勢について議論をさせていただきました。あれからまた数日たっておりますが、日々大変厳しい混乱の情勢が進展しているわけであります。  インドネシアの内紛というものが激化してきますと、マラッカ海峡あたりはやはりPKOの実施の対象になる可能性が出てくるかなという気がするわけでありますけれども、マラッカ海峡を挟んで、あの近辺に米軍が出動してインドネシアの紛争の拡大を抑えるというような事態になった場合には、我が国として、アメリカからの要請があればガイドラインの実施として何らかの関与があり得るかどうか、あらかじめ何か考えておられることといいますか、そういう点について今御見解があれば伺っておきたいと思います。
  44. 久間章生

    久間国務大臣 かねてから申し上げておりますように、周辺事態というのは、我が国の平和と安全に重要な影響があるかどうか、それは総合的に見なければなりませんので、今あのような混乱がいろいろ起きておりますけれども、それをもってして周辺事態になるとはなかなか言いがたいと思いますし、また、これから先どうなるかわからない段階で今ここで申し上げるようなことではないのではないか、そういうように思っております。
  45. 石井紘基

    石井(紘)委員 アメリカの方はそういう検討もしているのではないかと思いますし、またそのような報道も耳にしているわけでありますが、我が国としても、そのときになってというのでは遅い場合もありますので、一言申し上げたわけでございます。  以上でもって終わらせていただきます。ありがとうございました。
  46. 塩田晋

    塩田委員長 横路孝弘君。
  47. 横路孝弘

    ○横路委員 私もこの提出法案に関連して、ちょっと確認を幾つかさせていただきたいと思っております。  自衛隊がPKOの活動とか人道支援活動というもので海外で活動するようになって六年たったわけでございますが、今日の複雑な国際社会の中で紛争もさまざまにあるわけでございますが、そういった紛争の再発防止とか平和の維持とか難民の救助とか、国連活動への日本協力という形でこれらの活動が行われるということは大変大事だと思っております。同時にまた、海外での武力行使を禁じている今の憲法のもとで、活動の範囲が広がれば広がるほど、PKO原則でありますとか憲法原則を踏まえた運用というものが必要になってくるだろうと思います。今日までの議論も、そういう観点からの議論が多かったわけでございます。  まず武器使用に関して、今回二十四条で「当該現場に在る上官は、」「当該小型武器又は武器使用がこれらの規定及び次項の規定に従いその目的の範囲内において適正に行われることを確保する見地から必要な命令をするものとする。」と規定されております。  上官命令についても一定の基準がここで示されているといえばそのとおりかと思うのですけれども、従来から正当防衛でありますとか自衛権の発動の要件というのがありまして、それは大変共通したものですが、具体的に侵害行為があったということ、そして他にとる手段がないということ、その場合に必要最小限度の力の行使ということが正当防衛の面でも自衛権の発動の要件としてもあるわけなんですが、この規定の解釈として、今回の場合の上官命令による武器使用というのも、私が今言ったこれらの三つの要件というものを大体踏まえておるのだ、そのように考えていいかどうか。
  48. 太田洋次

    太田(洋)政府委員 お答え申し上げます。  今回の改正案の要点は、繰り返しになりますけれども、武器使用につきまして、第四項から五項、六項というふうに、武器使用する目的、要件等々について、その法的な要件をかなり細かく規定しております。これは先ほど大臣からお答えしているとおりでございます。  それにつきましては、先生のお尋ね趣旨個人正当防衛もしくは緊急避難等に基づいてやるのかということでございますけれども、一般的に個人生命身体防衛するために武器使用するということは、個人生命身体を守るという自然権的な権利であるというふうに基本的には考えております。その場合に、具体的にどういうふうに武器使用をやるのかということについての法的な条件づけをここでやっているということでございます。  したがいまして、ここで言っております、正当防衛、緊急避難の条項を引いておりますけれども、これは、相手方に危害を加えないと自分の生命身体が守れないという場合にこの要件を定められたわけでございまして、これは法的に言いますれば通常危害要件と申しておりますけれども、そういう意味での規定でございまして、ここで言っている基本的な法的な考え方は、個人生命身体を守るという自然権的な権利ということでございます。
  49. 横路孝弘

    ○横路委員 守るためでも、過剰防衛とかということが刑法でも規定があるわけですね。  今私が申し上げた三つの要件というのが一つの考え方だというように言っていいのか悪いのか。つまり、現に侵害行為がある、それから同時に、それを排除するのにほかに適当な手段がない、そしてその手段は必要最小限度の実力の行使である、このように上官命令のいわば基準といいますか要件というか、極めて常識的な要件だろうと思うのですけれども、これでだめなんでしょうか。いいんですか。
  50. 茂田宏

    茂田政府委員 お答えいたします。  PKO法の二十四条の武器使用に関する条文ですけれども、ここに「自己又は自己と共に現場に所在する他の自衛隊員若しくは隊員生命又は身体防衛するためやむを得ない必要があると認める相当の理由がある場合には、その事態に応じ合理的に必要と判断される限度で、」「武器使用することができる。」と書いてございます。これが武器使用についての基本的な条文でございまして、その枠内で今回の改正案個人判断から上官命令に変更するものでございます。  要件については、この法文に書いてあるとおりでございます。
  51. 横路孝弘

    ○横路委員 つまり、そういう侵害行為があって、緊急を要する、ほかに手段がないということで多分上官命令を発するのですが、その場合に、必要最小限度の実力の行使であるというのもこれまた当然のことだと思うのですね。正当防衛ですと、それを超えるといわば過剰防衛になってしまうわけなのですけれども。  規定はありませんが、適正な何か指示をする、適正に行われることを確保する見地から必要な命令をするということなのですが、この中に私の指摘している点が含まれているというように解釈してよろしいですかということでございます。
  52. 太田洋次

    太田(洋)政府委員 お答え申し上げます。  法的な仕組みについては、先ほど御説明したとおりでございます。  それと、一つ、二つ加えさせていただきたいのですが、一つは、実際に平和維持活動に参加します場合には、先生御存じのとおり、政府としましては、実施計画をつくりまして、それは当然のことながら閣議決定を得るという手続を踏みます。  その中において、携行をする武器についてはその種類等について決められますし、実際に今度現地に行きました場合にさまざまな事態が考えられる、先ほど大臣が申し上げましたように、実際には武器使用するという場面には遭遇しなかったわけでございますけれども、万が一そういう事態になった場合にはどうするかということにつきましては、法的な枠組みは今回の改正しております二十四条に基づきますが、どういう場合にどうするという細部のことにつきましては、これは防衛庁長官が内部の規則でもって、こういうふうに使うのですよ、この法の枠内でどういうふうに、具体的にそれをやっていくのだ、適用していくのだという細部のことについて決めまして、それを実際には適用するということでございます。  具体的な内容は、先ほど先生のお話がございましたけれども、必要最小限度武器使用ということは当然のことですけれども、そこに書かれております、それ以上にわたります個々具体的な内容については、ちょっと説明は差し控えさせていただきたいと思いますが、そういう内部の規則は当然のことながらっくるということでございます。
  53. 横路孝弘

    ○横路委員 これからいろいろな地域へ出ていく紛争というのも、非常に態様も異なるわけですね。ですから、まず一般的な原則をしっかりしていくと同時に、やはりその事情、状況に応じた計画の作成ということも大変重要だと思うのです。例えばアジア地域とアフリカ地域といった場合に、日本人に対する感情というのはそれぞれの地域で違うわけですから、その辺のところの判断というのはこれから極めて重要になってくるだろうというように思っております。  今、当然のことですけれども、必要最小限度の実力行使であるということで了解をさせていただきたいと思います。  それから次に、ガイドラインと今回の法律との関係について何点か確認をさせてもらいたいと思います。  ガイドラインの「平素から行う協力」ということの中に、   日米いずれかの政府又は両国政府が国際連合平和維持活動又は人道的な国際救援活動に参加する場合には、日米両国政府は、必要に応じて、相互支援のために密接に協力する。 ということがあります。  国連のPKOの枠内で行われるものについては、今議論しているこの国際平和協力法を根拠として行われるのだというように理解してよろしゅうございますか。
  54. 久間章生

    久間国務大臣 そのとおりでございます。
  55. 横路孝弘

    ○横路委員 そうしますと、例えば停戦合意であるとか、受け入れ国の同意でありますとか、あるいは中立性でありますとか、いわゆるPKOの三原則あるいは五原則というのは当然守られるというように理解してよろしゅうございますか。
  56. 久間章生

    久間国務大臣 そのとおりでございます。
  57. 横路孝弘

    ○横路委員 次に、新ガイドラインの周辺事態の中でも国連PKOの枠組みの中で日本が活動することが想定されていると思うのですが、ガイドラインの別表に「避難民の救援及び輸送のための活動並びに避難民に対する応急物資の支給」と書いてあるのがそうだと思いますが、そのように考えてよろしゅうございますか。
  58. 久間章生

    久間国務大臣 PKO法が適用される事態については、そのとおりでございます。
  59. 横路孝弘

    ○横路委員 ですから、別表のこの場合にも、根拠法としては、国際平和協力法であるとかあるいは国際緊急救助隊法というのが根拠法になるというように受けとめてよろしゅうございますね。
  60. 加藤良三

    ○加藤(良)政府委員 そのとおりでございます。
  61. 横路孝弘

    ○横路委員 その場合に、そうした枠組みの中で自衛隊が活動する場合には、もちろんPKOの五原則が守られるということになりますね。これもよろしゅうございますか。
  62. 茂田宏

    茂田政府委員 お答えいたします。  先生、PKO法が適用される範囲というのは、PKO法で決まっている範囲でございます。そして、そのPKO法が適用される範囲に関しては、先生御指摘のとおり、PKO参加原則というのが適用になるということになろうかと思います。  周辺事態におきまして、そういう被災地における衛生、通信及び輸送というような必要が出てくる場合というのは、停戦合意があり、受け入れ国の同意があり、それがら中立性の保障があるような事態の場合もございますけれども、それ以外の場合もあるのだと思います。それ以外の場合については、PKO法はカバーしていません。
  63. 横路孝弘

    ○横路委員 今私が御質問しているのは、ガイドラインの別表のところ、被災地への支援と避難民に対する応急物資の支給ということです。  これについても、この別表で根拠法が必要かどうかということは、これは新たに周辺事態法を作成する過程の中でもいろいろ議論されたと思うのです。ここのところの基本法は、今のお話ですと、国際平和協力法や国際緊急援助隊法を基本として活動するということで整理されたのではないでしょうか。
  64. 加藤良三

    ○加藤(良)政府委員 若干重複する部分があろうかと思いますけれども、もう一度御説明申し上げたいと思います。  新ガイドラインにおいて、周辺事態に際して日米両国政府がおのおの主体的に行う活動として挙げられているものは、今先生が御指摘になりました救援活動及び避難民への対応のための措置ということなのでございますが、これは具体的には三つの要素がございます。  一つは被災地への人員及び補給品の輸送、二つ目は被災地における衛生、通信及び輸送、それから三番目に避難民の救援及び輸送のための活動並びに避難民に対する応急物資の支給というものでございまして、こういう活動が考えられているわけでございます。  こういうおのおのの活動について、いかなる法的根拠に基づいてそれらが行われるかということは、そのおのおのの活動によって異なり得るものでございます。  今申し上げました三つのうちの避難民の輸送ということに限定して申し上げれば、ここで言うところの避難民の輸送とは、避難民を海上から本邦へ、また本邦の中のある地点から適切な他の地点へ輸送するということを念頭に置いたものでございます。したがって、当該輸送活動については、我が方の関係機関が、それぞれの担当部分について関係省庁の協力も得ながら、関係の国内法令に基づいて活動を実施するということになるというのが我々の理解でございます。  このような避難民の輸送、今三つ申し上げたうちの避難民の輸送を国際平和協力法に基づいて実施するということは想定いたしておらないわけでございます。
  65. 横路孝弘

    ○横路委員 避難民の輸送というのも、その避難民がどういう経過で発生したのかということにも大分よるのだろうと思うのですね。  例えばある国の国内が飢餓状態で逃げ出してきたというような場合には、多分それは、その避難民が逃げてくる国といいますか、周辺の国と当該国、あるいは国連での議論になって、どうするかというような対応がまず先行するのじゃないかというように思いますし、あるいは、武力紛争を伴う国家間の紛争に伴って避難民が出てきたという事態ですと、また違うように考えなければいけないだろう。  そういう意味では、状況によって大分違ってくると思うのですが、少なくとも国連PKOの枠の中で活動するということを前提にしますと、それはPKO原則は適用されるというように考えてよろしゅうございますね。
  66. 茂田宏

    茂田政府委員 お答えいたします。  PKO法が適用されるような平和維持活動、それから人道的救援活動というのが行われる場合には、五原則は適用になります。
  67. 横路孝弘

    ○横路委員 その場合の武器使用も、やはりこのPKO法のもとで考えられるということに当然なりますね。
  68. 茂田宏

    茂田政府委員 PKO法の枠内での我が国の活動における武器使用については、PKO法の二十四条が適用になります。
  69. 横路孝弘

    ○横路委員 それで、一つ、これはガイドラインの方の関連の質問になるのかもしれませんけれども、PKO活動というのが世界のあちこちで行われているわけですが、国連が平和維持部隊を派遣するにいたしましても、やはり関係国合意が必要だという意味では、なかなかその合意形成に時間がかかるというのも事実なわけですね。要因は何かといいますと、ほとんどは国内要因、民族紛争であるとか宗教的な対立てあるとか貧困であるとか、その一国の中のさまざまな要因が紛争惹起の原因になっているわけです。  国連でいろいろと議論してみますと、例えばそういう合意を形成してやるという手続に時間がかかるものですから、アメリカなどは少しいらいらして、この辺のところを国連を通さないで日米両国でやろうじゃないかという議論もあるのですね。私は、ガイドラインの中の平素から行う協力の中にこういう活動が入ってきたということをやや危惧するわけでございます。  これはもちろんPKO法の前提にもなっているわけでございますが、人道的な支援活動を含めまして、国際的な協力活動というのは、ベースとしてはやはり国連がベースである、日米の二国間を優先させるのではなくて、国連をベースにして行うのだということがやはり基本だろうというように思いますけれども、これは外務省はどのようにお考えですか。
  70. 加藤良三

    ○加藤(良)政府委員 新指針というものの基本的な性格でございますけれども、これは国際平和協力法とある意味で切り口が違うということだろうと思います。  日米の安保条約のもとにおける防衛協力という切り口から規定されておりますのが新指針でございますし、それから国際連合等の活動に対する国際協力という側面から規定されているのが国際平和協力法であるということでございまして、その法律目的が基本的な意味においては違っていて、この二つが直接的に連関するということではないと思いますので、それぞれの文脈に従っていかなる行動がとられるかということになりますと、今の点を考慮して具体的に決定されることになるのだろうと思います。
  71. 横路孝弘

    ○横路委員 私は、そうではなくて、むしろ国際協力ということをベースにして、その国際協力を行う協力の仕方の中で日米の協力というのも一部分的に行われるにしても、基本はやはり国連への協力ということをベースにしてやるべきではないかというように思いますけれども、いかがですか。
  72. 加藤良三

    ○加藤(良)政府委員 どうも失礼いたしました。平素から行う協力ということについてのお話だったと思います。  平素から行う協力は、日本に対する武力攻撃がもちろん発生しておらず、それから周辺事態でもない状況において、日米安保体制に基づく日米相互の信頼関係に基づいて、日米が指針に示されたさまざまな分野で協力を行うことを意味しておりまして、このような活動は、日米双方がおのおのの判断に従って、おのおのの国内法令に基づいて実施するということは当然なのでございます。  ただ、御指摘の点でございますけれども、安保条約の第一条の中には、国連に対する協力ということがうたわれているということがございますわけで、そういう関係から、指針の中にある平素から行う協力の中に、そういう国際連合の平和維持活動、また、人道的な国際救援活動に日米がともに参加する場合というのが想定されているところで、そこが重なってくるところがあるのだろうと思います。
  73. 横路孝弘

    ○横路委員 なぜこういう議論をしているかといいますと、去年九月に、ハーバード大学のケネディ・スクールの総長のジョセフ・ナイさんにいろいろとお話をお伺いしたときに、それは彼個人の考えですけれども、期待しているのは、特に平素の協力というのは、地域的な限定がありませんから、やはり地球的な規模での日米協力なのだというわけですね。日本協力してもらいたいというわけです。アフリカヘのPKO活動もともかく日米両国でやろうじゃないかというようなお話でした。  そのとき、私は、そういう地域のさまざまな人道的な支援活動というのも、日本としてはできれば国連協力、国際協力の一環としてやりたいので、日米を優先させるという考え方には必ずしも賛成できない、部分的にガイドラインに基づいての協力というのはあり得るのでしょうけれども、ベースは、やはり国際協力というものを一つのベースにして人道的な支援活動とかPKO活動というのはやるべきじゃないだろうかということで、この平素から行う協力の中にこういう項目が入ったことの意味合いを、ちょっとどういう意味なのだろうかということが前から疑問だったものですからお尋ねをしたわけでございますが、長官、いかがでございますか。
  74. 久間章生

    久間国務大臣 平素からの協力は、いろいろな協力の仕方があろうかと思います。しかしながら、事自衛隊に関して言いますならば、これはやはり自衛隊法できっちり定めていなければならないわけでございまして、今のいわゆるPKO法はちゃんと受け皿としての規定がございます、しかし、自衛隊法ではそれ以外のことはないわけでございますから、平素からの協力においても、自衛隊が行動する場合にはどうしてもこのPKO法によらざるを得ない。  そういうようなことで、今委員御指摘のとおり、やはり国連を通じての平和維持活動あるいは人道支援活動というような格好になっていっているわけでございますから、体制がそういうふうに今はなっておりますので、それ以外のことを、例えば日米だけで国連を飛び越えてやろうと思っても、現在の仕組みではできない仕組みになっております。
  75. 横路孝弘

    ○横路委員 その点がとても大事なことだというように思っております。  ガイドラインとの関連のところは、そちらの法案が提出されたときにまた議論をいたしたいというように思います。  もう少し時間があるようでございますので、もう一度武器使用のところで、先ほどの石井さんの質問整理されましたが、かなり苦しい。私ども、それについて異論は申し上げませんが。  結局、今回の改正案は、今まで個々自衛官判断にゆだねるということが適切なのだとしてきた政府答弁を変えたわけですね。変える根拠というのは、個人に任すと、心理的な不安などもあって、むしろばらばらになって統制がとれないことになるかもしれないということで、そういう場面を経験したわけではないけれども、議論した結果としてそういう方向にします、しかし統一見解は変えません、こういうことになるわけなのですが、前回、あのような統一見解を出した背景はどういうところだったのでしょうか。
  76. 久間章生

    久間国務大臣 前回の統一見解がどういう理由で出したかと言われましても、ちょっと言いにくいのですけれども。  武器使用というのはいわゆる憲法上の武力行使とは違うんだ。しかも、海外に行くわけだけれども、海外に行った場合に、自己保存のための自然権的な、守らなければならない場合にどうするのかというと、やはり武器使用をせざるを得ない。それは個々自衛官自然権としての武器使用であるけれども、武力行使とははっきり区別できるというような意味であのような統一見解が出されたのだと思います。  しかしながら、今回、いわゆる上官の命によるということにしたけれども、その辺はどうかということを再度確認してみたら、目的のために武器使用するのでもないし、ただ混乱を招いて、かえって適切さを欠くということにもなりかねないからやるんだとなると、かつての統一見解といいますか考え方と基本的に何も変わらないではないかということで、変える必要はないという判断をしたわけでございます。
  77. 横路孝弘

    ○横路委員 結局、自衛隊というのはいつも憲法九条との関係議論されるわけで、それは自衛隊が日本の国土防衛ということをベースにしているから当然なわけですけれども、これからの国際協力ということになりますと、憲法九条だけの議論ですと、構成というのは実はいろいろなところでぶつかってくることになるのだろうと思うのですね。  将来的に憲法が想定したり、あるいは日米安保条約の十条でしたか、その中にも、国際社会において国連がしっかりそめ機能を持ったときには日米安保も解消されるというようなことが規定されていますけれども、そういう状態というのはいつやってくるかわかりませんが、今のさまざまな国際的な平和維持活動などが積み重なっていって国連軍というようなものができて、それがかなり国際的な警察としての作用を果たすようなことになれば、国際的な紛争も大分違ってくるのだろうと思うのですね。一度、宮澤総理でしたか、そういう感慨を述べられたことがありますけれども。  そうすると、自衛隊の隊員は、日本国民というよりは、地球市民というか国連の職員といいますか、そういう立場で対応すれば、また新しい憲法議論ができるのではないかということだったと思うのですけれども、今回、この法案の、解釈の変更というのもどうしてもかなり無理があるので、その辺のところをこれから将来の国際協力に向けてどうしていくのか。  そういう解釈をスムーズにする方法の一つとして、いわゆる別組織論というのが従来から議論されてきたのだろうと思うのですね。九条に基づくいわば国土防衛をベースとした自衛隊と、専ら国際協力だけをする、自衛隊の一部でもいいわけですが、別の原則に基づいた、自衛隊法とは違う別の根拠法に基づく組織というような議論があるのは、どうしても現行憲法の解釈の中でやろうとしますと、無理がそろそろ来ているというところではないかと思っております。  いずれにしても、今回のPKO法案については、先ほど来、石井議員の質問を含めて確認された方向で活動していただきたい、このように思います。  以上です。
  78. 塩田晋

    塩田委員長 赤松正雄君。
  79. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 私も、法案の審議あるいは法案周辺のお話の前に、質問通告していないのですけれども、きょうの朝のニュース報道を見て驚いたりしました、また、先ほど石井委員の方から官房長官質問があったようですけれども、冒頭、インド地下核実験という問題について、主に防衛庁長官に若干お聞きしたいのです。  先般、中国にいらして、中国とのお話の中で、中国とインド関係、中国周辺の国境におけるさまざまな問題について、そういうことは話題になりましたでしょうか。
  80. 久間章生

    久間国務大臣 それぞれの地域認識とか国際認識、いろいろなことを話したかったのですけれども、残念ながら時間がございませんで、ほとんどそういう話については触れることができませんでした。  北朝鮮についても、あるいはベトナムについても、インドについても、パキスタンについても、準備はしておったのですけれどもそこまで踏み込まないままに終わりました。
  81. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 私は、世界で唯一の被爆国の一員としまして、あらゆる国の核使用はもちろんのこと、核実験反対という立場を前提の上で若干防衛庁長官にお聞きしたいのです。  恐らく、詳しい内容は知りませんが、従来、日本の抗議に対して、日本の抗議を受けた場合に、中国なんかが言い返している論法が二つあって、一つは似ていて一つは違うのですが、要するに、核大国の核独占は許されない、インドなんかも、いわゆる自己保存のために核を持ち、実験をする権利はあるはずだ、こういう論法に対してどういうふうに反論されるかというのが一つ。  それからもう一つは、日本にその資格はあるのか、これは主に中国がよく言っていますけれども、アメリカの核の傘のもとにいて、いわゆる核抑止力の恩恵を受けている日本核実験をする国に対して言う資格があるのか、こういう反論について、防衛庁長官、どういうふうに考えられるか、お願いいたします。
  82. 久間章生

    久間国務大臣 私は特に長崎の出身でございますだけに、いろいろな話題の中で、あなたのところもある意味では被害者ですね、今度の戦争でも全く関係のない人たちが、一般市民が原爆で被害を受けられた、そういう意味では私たちと共通の部分がありますねというようなことを向こうが言ったことはございます。そういう意味では、やはり日本が被爆国であるということについての意識は結構あるのだと思います。  そういう意味で、かねてから我が国としては、とにかく核兵器はもうこの世からなくそうということで強く主張しておるわけでございますが、今おっしゃられましたように、自己防衛的に自分の核は持っているんだというような主張を絶えず向こうはしておるというのも承知しております。  とにかく国家というのは、お互いそうでございましょうけれども、自分のやっていることをどうしても相手に正当化させるという立場で物を言うわけですけれども、しかし、そうはいいながらも、世界の趨勢が核を廃絶する方向に向かっておるということについては、やはり徐々にといいますか、そういう方向に行かざるを得ないということから、現在、中国としても核実験はやめておるわけでございます。  だから、今までみたいに一方的に自分の核は正当なんだというようなことは、日本に対しても今余り言わなくなってきておる。そして、日本もアメリカの核の傘に入っているじゃないかというようなことも言わない。  というのは、日本が非核三原則を堅持しているということについては非常に高く評価しております。それは、私どもが向こうに行って専守防衛と同時に非核三原則軍事大国にならないというようなことを言いますときに、自分たちも決して外に向かっては侵略しないんだというようなことを盛んに言いますけれども、日本の非核三原則ということについては非常に高く評価はしているというふうに感じておりますから、今おっしゃいましたアメリカの核の傘の下に入っているじゃないかというような言い方でこちらの主張を非難するということではなくて、それは自分たちの自己防衛だという観点から反論をしておる。  そういうような意味では、我が国に対しても、アメリカの核の傘の下だから、あなたが持っているのと一緒だというような言い方は最近はしていないのじゃないかというふうに思います。
  83. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 これもちょっと関連でお聞きしたいのですが、ガイドラインにおける周辺事態、この周辺事態をめぐる議論は既にこの関連法が提出される前にもこの委員会あるいはいろいろな場面で議論されているのですが、今回、このインドという国の自己主張を聞いて改めて感じたのですが、仮にインドと中国の間で国境紛争が起こる、あるいはまたインドとパキスタンの間で今いわばおさまっているような状況が再発する、こういう事態が起こったときに、場所ではなくて事態なんだということからしますと、当然これは周辺事態法のいわゆるマターになってまいりますね、そういう理解でよろしいですね。
  84. 久間章生

    久間国務大臣 かねてから申しておりますように、その事態我が国の平和と安全に重要な影響を与えるかどうか、そういうような観点から判断しなければならないわけでございます。  ある国とある国で紛争が起こったからどうだというようなことを仮に言いましても、どういう規模、どういう態様で起きているか、それが我が国にどういうような影響を与えているか、それを総合的に判断しなければなりませんので、国を挙げて言うこと自体が問題でございますけれども、今言われたようなことが何かあったとしても、それは、その場合に総合的に判断せざるを得ないとしかお答えできないと思います。
  85. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 これは事務方、国際平和協力本部の方にお聞きしたいのですが、いわゆる中央アジアというのでしょうか、インド、パキスタン周辺において現在展開されているPKOはあるのでしょうか。
  86. 茂田宏

    茂田政府委員 お答えいたします。  インドとパキスタンの間に、インド、パキスタンの停戦合意を監視するための国連PKOがございます。
  87. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 インド、パキスタン停戦監視のためのPKOはある。これは現在もなお発動しているPKOですね、過去にあって終わったというのではなくて。
  88. 茂田宏

    茂田政府委員 お答えいたします。  現在も活動中のPKOでございます。
  89. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 そこに日本参加してほしいというふうな要請はかつて全くなかったのでしょうか。
  90. 茂田宏

    茂田政府委員 国連からどのPKO参加してほしいという打診があったかということについては、国連との関係もございまして、申し上げるのを差し控えたいと思います。  ただ、インド、パキスタンの関係については、最近ではそういう要請はございません。
  91. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 今のインド、パキスタンとの関係も含めまして、このPKO法そのものには直結はしないのですが、その周辺としてのPKO、現在世界に展開されている国連PKOをめぐる問題について若干質問をしたいと思います。  まず、PKOにつきましては、先週ですか、第一回目の質問でも申し上げましたけれども、従来型の二国間のPKOから、一国内紛争処理というか戦後処理のための一国内PKOが設置されるという状況の中で、従来にも増してPKOにかかわる経費の負担というものが増大している。  そんな中でさまざまな問題が引き起こされているということですけれども、まず最初にお聞きしたいのは、通常の国連分担金の分担率とPKOの分担率について、常任理事国五カ国と日本並びにドイツの七カ国について、現在その分担の比率がどういうふうになっているのか、それから、それは九〇年代に入る直前の十年ぐらい前と比較してどういう特徴があるのか、この点についてお聞きをしたいと思います。
  92. 加藤良三

    ○加藤(良)政府委員 まず、本年のPKOの分担率ということで申し上げたいと思いますが、便宜上、小数点第二位以下を四捨五入させていただきます。日本は一八・〇%、ドイツが九・六%、米国が三〇・五%、フランスは七・九%、イギリスが六・二%、ロシアが三・五%、中国が一・一%でございます。  それで、十年前、すなわち一九八八年におけるこれらの国のPKO分担率は、これまた小数点第二位以下を四捨五入させていただきますが、日本が一〇・八%、ドイツが九・六%、米国が三〇・六%、フランスは七・八%、英国が六・〇%、ソ連でございましたけれども、これが一二・五%、中国が一・〇%でございます。  国連主要加盟国の分担金額につきましては、御承知のとおり、これは経済指標GDPを基礎として、各国の分担率が算出されることになっていて、国連PKOの分担金も基本的にはそれに連動しております。  ただ、PKOの場合には、開発途上国に対する割引率というのが二〇%とか、非常に高くなっていると申しますか、そういうふうな割り当てになっております。そして、そこで不足になる部分というものを国連の常任理事国の間で経済指標を中心とした指標で割り振るという形になっておりますので、今申し上げましたのと大体同じような数値になるということだと思います。
  93. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 そうしますと、今言っていただいたPKO分担率の推移というのは、ソ連からロシアに際立って国家の形態が変わったロシアは別にしまして、日本を除くすべての国がほとんど横ばい状態というのはどういう理由だと認識しておられますか。
  94. 加藤良三

    ○加藤(良)政府委員 日本を除く国が横ばいかということでございますか。これは、今御答弁申し上げましたところと若干重複いたしまして恐縮でございますが、国連の分担金の決め方というもののベースになりますのが、各国のGDPでございます。これが一番主要な指標でございます。その過去の三年なら三年の平均値というものをとって、それで分担金を割って、その各国の割り当て分をはじき出すわけでございます。  まさに、そういう経済情勢と申しますか、各国の経済状況と申しますか、そういうことの反映として今のような姿が出てきているということだろうと思います。
  95. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 経済状態を反映しているということを言われますけれども、要するに、十年前の日本は、具体的に人的な部分のPKOの参画がほとんどなかったということは関係ないということですか。  中国もあるいはアメリカも、常任理事国の中でPKOに人的貢献をしている国というのは余りないというふうに思いますので、つまり、今度局長に答弁していただくときは、要するに、経済的な部分とは別に、人的な要素、PKO参加人員の数というものは、各国の人的貢献といいますか従来のPKOに参画している数の部分はどういうふうなかかわりをしているのかということを教えていただきたい。
  96. 加藤良三

    ○加藤(良)政府委員 結論を先に申し上げますと、そこはかかわっておりません。PKOに派遣している人数というものは、PKOの分担金をはじき出す基準としては考えられていないわけでございます。  基本的には、あくまでも国連本体における分担金というものをPKOの活動についてもスライドさせて、そして、開発途上国の割り当てというものが、その分PKOの場合には国連本体の分担金に比べて大きくなっている、そして、そこから出てきた不足分というものは常任理事国の間で案分的に追加負担するということになっているということでございまして、人数は関係ございません。
  97. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 それはわかりました。  ちなみに、その人数について、先ほど常任理事国並びに日本、ドイツという話をしましたが、この七カ国のPKOに対する参加人数、これは現時点で日本は四十五人ということですが、それ以外の国はどういうふうになっているのか、これはちょっと参考のために聞かせていただきたいと思います。
  98. 加藤良三

    ○加藤(良)政府委員 国連のPKO局が作成している資料でございますが、これによりますと、本年の三月末現在で、日本が四十五名、ドイツ百八十八名、米国六百三十七名、フランス五百十四名、英国四百五十三名、ロシア二百四十九名、中国三十二名と承知いたしております。
  99. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 そうしますと、先ほどのお話だと、日本のGDPの比率との関係でいきますと、これから日本がますまずふえるということもあるわけですね。
  100. 加藤良三

    ○加藤(良)政府委員 当面は、例えば二〇〇〇年に向けて考えますと、日本の分担金というものはふえる傾向にあると思います。  ただ、最近三年間の経済成長と申しますかGDPの趨勢というものが計算の根拠になりますので、これから中長期的にどういうふうになっていくかということになりますと、まさにそこは日本の経済の情勢いかんにかかるというところはあろうと思います。
  101. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 最近、滞納する国あるいは未払い国というものが非常にふえているということを聞きますけれども、その現状というのはどういうふうになっているのか。
  102. 加藤良三

    ○加藤(良)政府委員 今直ちにすべての国というリストを持ち合わせておりませんけれども、代表的なところでは米国とかロシアとかウクライナというのがあったと思います。
  103. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 私は、今お聞きした感じの中で、日本が国連の場において、もう既になされているとは思いますけれども、先ほど来の数字を見てもわかりますように、この十年の中で分担率の部分での貢献の度合いが非常に強い、これは経済的な背景があるわけですけれども、そういったこともしっかりと、あるいはまた日本の国内向けにもしっかりと表明していく、プレゼンテーションしていくということが大事である、こういうふうに申し上げておきたいと思います。  次に、PKOとガイドライン法の関係につきましては、今も横路議員からお話がございましたし、私も、これまでの間に何点か取り上げてお話をしたり、聞いたりしてまいりましたけれども、やはり別なものではあるのですけれども、この間、長官もおっしゃっておりましたように、幸か不幸か提出の時期が重なったということで、国民のサイドから見ると、武器使用という言葉であるとか、あるいはまた国会の承認、報告というふうな、言葉が非常にダブっていて非常に混乱しやすいということがありますので、このあたりを整理をする意味で少しお聞きをしたいと思います。  去る四月三十日の本会議質問で、私が、武器使用につきまして、PKO法案と周辺事態関連各法案の違いについて聞きましたところ、防衛庁長官からは、自己保存のための自然権的権利であるという点については同じなのだけれども、「極めて限定された職務を行う際に限られているため、武器使用に関する命令について自衛隊の通常の職務形態からあえて切り離す等の必要はなく、自衛隊法第五十七条の適用があることを前提として、上官命令については特に規定いたしておりません。」との答弁がありました。これは後半の部分はよくわかるのですが。ここでおっしゃっている「極めて限定された職務を行う際に限られている」という職務というのはどういうものを指すのでしょうか。
  104. 太田洋次

    太田(洋)政府委員 お答え申し上げます。  周辺事態確保法案関係職務ということでお答えしてよろしいですか。−この場合は、先生御案内のとおり、周辺事態におきましては、自衛隊の活動の中に、捜索・救難の場合と船舶検査とございます。  例えば船舶検査について申し上げますと、これは国連の安保理の決議に基づきましてその実効性を確保するという観点からのものでございまして、これは当方の海上自衛隊が主となりますけれども、いろいろな形態がございますけれども、その船でもって行きまして、その前に、実際には威嚇射撃等はやりませんけれども、相手方の同意等を求めて、実際に相手方の船舶に乗り込んでいって積み荷等の検査をするというようなことがございます。  その場合に、通常は相手が民間の商船でございますので不測の事態というのは考えられないのですけれども、これはあくまでも万々が一のときということでございまして、そういうときに自分の生命身体を守るために武器使用があり得るということで規定は設けられてございます。これは要するに、そういう場合ということで、時間的にまた場所的に非常に限られているという趣旨で大臣がお答えになったものと考えております。それを一言で言っていますのが、職務遂行するに際してという言葉でございます。  一方、PKO法の場合の考え方は、実際に武器使用する場面というのは、必ずしも場所的に、時間的に、総体的に限られません。半年、一年、二年というふうにわたる場合がございます。その場合に、その武器使用の形態と申しますか考え方がその点では違う。  ただ、基本的に同じと申し上げておりますのは、あくまでも、両方の場合、個人生命身体防衛をするという目的においては、その法的な考え方はいわゆる自然権的な権利であるという位置づけでございます。その点は、先ほど申し上げております。辺事態の場合における武器使用についての場面と、それからPKO法についての場面、その場合の目的はさつき言ったような自然権的な権利であるという考え方は同じということを申し上げたわけでございます。
  105. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 今、PKO法の場合と周辺事態法の場合とでは、自然権的権利行使するという意味では同じだとおっしゃいましたけれども、これは、船舶の検査に自衛隊員が行って職務を実行しようというその行為は個人だから同じでしょうけれども、明らかにPKO法のときと違って、船舶の検査に当たっては船舶そのものがそういう行動を行うわけですから、自衛隊法第九十五条に書かれている武器そのものの防護のためということとのかかわりからいきますと、要するに、船舶の検査に当たっている個人を守るというよりも船そのものを守るという行為の中でかなり拡大をされたというか、通常の武器使用概念を超えた形になっていくということが懸念される。  文字どおり、今、法案そのものの審議が始まっていない段階で、各マスコミでありますとかいろいろな場面で、この周辺事態法の持つ武器使用の拡大ということが非常に心配である、懸念されるという論調が多く見られるのですけれども、まさに私が今お聞きしたことに関係してくるのじゃないのかなという感じがするのです。  それで、船舶検査活動について、今お聞きしたことを踏まえて、実は今申し上げたようなことを感じているわけですけれども、先般、私がお聞きしたことに対しまして、長官が、「諸外国におけるこれまでの対象船舶への検査等の実績等にかんがみれば、自衛隊が行う措置による検査は、経済制裁の実効性を確保するための措置として実質的に有効に機能すると考えており、」こういうふうな答弁がありましたね。この諸外国の実績というのはどういう例を想定しておっしゃっているのでしょうか。
  106. 加藤良三

    ○加藤(良)政府委員 諸外国の例ということに関連いたしましては、例えばイラクでございますとかハイチのケースもあったと思います。これまでに相当程度例がございます。そういった多数の例、これは九二年の米国防総省報告によりますと、照会の対象というのは七千五百件ぐらいあったわけですけれども、そのうち警告射撃までいったケースが例えば十一件しかなかったというふうなことが記載されております。
  107. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 長官、それでいいですか。(久間国務大臣「はい」と呼ぶ)  先ほど言ったことに関係するのですが、同じく私が質問したときに、長官は実弾の使用を伴う措置は考えていないということをおっしゃいました。個人正当防衛と同様、船舶そのものに対する攻撃がなされた場合、万が一のケースなのですが、それがあった場合、当然自己防衛のための反撃をするのではないかというのが一点ですね。  もしそれが行えないというなら、検査を拒否する船舶が日本の海上自衛隊の担当する海域に集まってくるという極めて異常な事態になるのではないのかと私がこの間質問しましたら、防衛庁長官は、あっさりと「御指摘のような事態が起こるとは想定されません。」とおっしゃったのですが、この「想定されません。」というのは、想定しづらいとか想定していませんという答弁の間違いではないのかなと思うのですが、その二点についてお聞きしたいと思います。
  108. 久間章生

    久間国務大臣 まず委員に御理解賜りたいのですけれども、我が国は国連に加盟している重要な国でございます。その国連が経済制裁等を決めた場合は、それに従って一緒に協力をしなければならないわけでございます。  しかしながら、一方、我が国憲法九条というのがございまして、やれることとやれないことがあるわけでございます。そのはざまにあって、どれだけのことがやれるかということでいろいろ議論しましたけれども、この間述べましたように、現在、実弾は撃てないとか、そういうような制限がある、そういうような考え方で、その中で精いっぱいやれるのはどういうことかということであのように整理したわけでございます。  それでどうなのだ、実効性は上がるのかということになりますと、これとても、現在までの過去の実例からいったら、実効性は一〇〇%ではないにしても上がるのではないか、しかも相手は商船である、そういう商船を対象に、しかも戦闘行為のないところでそれをやることによって、そのときに戦闘に巻き込まれることはない、そういう状況の中でそれはできるのではないかというようなことで、今提案させていただいているような法案の中身で整理させていただいたわけでございます。  それは国連に加盟している一員としてもっと十分なことができればいいわけでございますけれども、憲法九条という制約もございますだけに、その枠内でどれだけのことがやれるかということで、私どもはやれる範囲で精いっぱい整理したつもりでございます。  これで漏れなくやれるかといいますと、あるいは場合によっては漏れが出てくる場合もあるかもしれません。しかしながら、今までのいろいろな状況を見ますと、海域を変えて我が国がやっている、こちらはまた違う海域でやっている、それを、例えば横だったら確かにそういうことですけれども、重層的にやっておる場合はそれで十分その効果は出るわけでございますから、そういうふうなことも考えながら、ぜひその背景等についても御理解賜りたいと思います。
  109. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 背景は何回か聞いているので、わかるのです。  要するに、最後に言いました「想定されません。」ではなくて、物の考え方として、そういう事態は起こり得るということは認められますね。想定されないと言うと、そういうことはおよそ考えられないことだということになりますが。
  110. 久間章生

    久間国務大臣 それはないわけではない、そういうことは十分考えておりますけれども、なかなかそういうふうにはならないのではないか、そういうふうに思っておるわけでございます。
  111. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 PKO法における国会の承認、報告の問題、これはもう時間もありませんので、既にこの法律の中に記されておりますので聞かなくてもいいですけれども、周辺事態法との関連というか、これも先ほど冒頭で申し上げましたように、全くわからない人間からして、いわゆるテクニカルタームとしての国会報告だとか国会承認という言葉が飛び交っていますので、そういう意味では、両者の相違、考え方の違いというのはどこに置いておられるのか、その辺について聞かせていただきたいと思います。
  112. 久間章生

    久間国務大臣 PKOの場合は、国連からの要請があって、それを受けて実施計画をつくって、それからやっていく、しかも、一定の機関等も国連等から指名されてやっていくわけでございます。しかしながら、周辺事態の場合は、事態の発生の仕方によっては非常に緊急を要する場合その他いろいろあるわけでございまして、周辺事態の発生、それに対して特に適切に迅速にやらなければならないという問題がございますから、そこでやはり緊急性の問題においてはかなり違うのではないか、そういう気がいたしております。  そこで、承認にするかしないか、あるいはまた報告にとどめるかどうか、その辺の差違もやはり出てくるのではないかと思います。
  113. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 これについての詳しい議論は、また本番のときにしますけれども。  ただ、この間、新聞報道を見て、おやと思ったのですが、長官が中国でこの周辺事態をめぐる国会報告を承認にするかどうかについて柔軟な対応があり得るというふうなことをおっしゃったかのごとき報道に接したのですが、それはどういう経緯でしょうか。
  114. 久間章生

    久間国務大臣 私どもは、先ほどから言っていますように、周辺事態の場合、やはり適切に迅速に対処しなければならないからということで法案をまとめましたし、今の時点でもそれが適切な法律であると思っております。  しかしながら、国会の御論議にはやはり耳を傾けていかなければならないわけでございますから、そういう意味では、これから先も国会での御議論については、慎重にといいますか、耳を傾けながら適正に対処していくという姿勢は絶えず持っておるということを申し上げたわけでございます。
  115. 赤松正雄

    ○赤松(正)委員 終わります。
  116. 塩田晋

    塩田委員長 東祥三君。
  117. 東祥三

    ○東(祥)委員 自由党の東祥三でございます。  久間防衛庁長官内閣官房長官PKO協力法改正について、まず初めにPKO参加のあり方、この点について再度質問させていただきたいというふうに思います。  去る三月十三日の予算委員会におきまして、PKO協力法の改正について若干質問させていただいたのですが、そのときはまだあいまいなお答えでしたので、そのときの御答弁を踏まえた上で、日本PKO参加のあり方に関する政府の責任者の認識についてお聞きしたい、このように思います。     〔委員長退席、浅野委員長代理着席〕  日本政府はさまざまな機会におきまして、内外に向かって繰り返し繰り返し国連のPKO活動に対する積極的な貢献を訴えている。しかしながら、現時点において、各地に展開されている国連PKO活動は十五件、合わせて一万八千人以上の参加者のうち、日本は一件だけ、そしてわずか四十五人の要員しか送っていません。また、財政的貢献が二位に達しているにもかかわらず、人的貢献を行っていると十が国、国連加盟国が百八十五カ国ですからその半分弱、七十カ国のうち、日本は四十六番目とかなり低いランキングに陥っているという実情を考えると、日本の現在のPKO活動への参加ぶり、参加レベルやあり方に対する評価、また改善の余地についてお聞きいたしました。  そのとき、小渕外務大臣は次のように述べられた。「結果についての御評価は、今委員が御指摘のように、必ずしも高いものでないことは承知をいたしております。」と、評価されていないことを認めました。その上で、「日本として、与えられた法律の中で精いっぱい努力をするとすれば、残念ながら今日の段階では、この努力を今いたしておる範囲にとどまっておるということでございます。」と、その限界を認めたわけでございます。  久間長官は、そのとき、「現在UNDOFに参加している隊への要員、みんな非常に立派にその職責を果たしておると思っております。」という、よくわからない御答弁をしてくださいました。  さらにまた、今回の法改正では、武器使用基準を隊員個人判断から上官命令に変更しましたが、ともに活動している他国隊員や、近くにいるボランティア活動中の邦人や、他国の民間人の防衛のためには使用できないことになっている。また、国連以外の地域的機関の選挙監視活動への参加や、停戦合意がなくても人道的な物資協力が行えるように法を改めているが、凍結されている本体業務は今回の改正では全くタッチされなかった。つまり、重要な問題は放置されたままである。  今回の改正によって多分予想されるのは、地域的機関の選挙監視活動への参加は今後増加すると思われますけれども、現在展開中の本体業務の活動を含めた国連平和維持活動への参加レベルには余り変化がないのではないのか、このように推察いたします。前進は前進だと認めます。しかし、本体業務の活動に参加しない限り、今まで日本が国際の平和、安全に対して積極的に頑張っていくという政府の表明とは、言うこととやることは全く別である、このように私は思わざるを得ません。  その上で、質問させていただきます。  PKO活動における現在の日本参加範囲は国際社会の評価を得るのに十分でないと私は思っているのですが、日本政府も認められるでしょうか。つまり、十五件のうちの一件にしか参加できないという程度、このような参加は積極的と評価されるわけはない。防衛庁長官、そしてまた内閣官房長官、いかがでしょうか。今の参加レベルでいいと思いますか、あるいはまた、日本PKOへの参加はどうあるべきだと思われますか。
  118. 久間章生

    久間国務大臣 官房長官も私も同じと思いますけれども。  今般、国際平和協力法の見直しを行った結果、国際連合を中心とした国際平和のための努力に対して適切かつ効果的に寄与するため所要の法改正を行うものでありますけれども、その内容は、現在の諸般の状況を踏まえた場合、適切なものと考えて、このような案を出しているわけでございます。政府としては、これまでの派遣の経験も踏まえて、今後とも国連平和維持活動等に積極的に参加していきたいとは考えております。  なお、政府としては、今後とも国会等の御議論を踏まえて、必要に応じて、憲法の枠内で本法のあり方について検討することはあり得るものと考えております。  結局、私にしましても官房長官にしても、このような答えになろうかと思います。といいますのは、先ほど委員が御指摘になりましたように、我が国の国際貢献のあり方としてはもっと幅広く貢献したいという気持ちで、平成三年に法案を出させていただきました。しかしながら、そのうち、国会の御議論の中で、参議院でまず修正され、それを受けて衆議院で修正されまして、PKF本体業務については当分の間やらないということで枠をはめられてしまっておるわけでございます。そういう中で私どもが活動をするということになりますと、やはり現在ののりを越えてはやれないということでございます。  しからば、この問題についてどうするかでございますけれども、やはり院として、衆議院、参議院の意思としてこれを決めておられますので、しかるべき方法、これは私どもが言うものではございませんけれども、委員会において小委員会をつくって検討するとか、そういうような御議論の中でこれは決めていただかないと、政府としては、一定の方針を出したにもかかわらず凍結をされたという経緯がございますだけに、これを私ども政府の方からどうこうというのはなかなかしにくいという、その辺の背景についても御理解賜りたいと思うわけでございます。
  119. 村岡兼造

    村岡国務大臣 防衛庁長官の今の答弁と同じでございますが、PKFの本体業務については憲法上の問題はないのでございますが、参議院、衆議院で「別に法律の定める日までの間は、これを実施しない。」ということでございます。  また、このPKF本体業務の凍結解除の問題については、さまざまな立場からの御意見もあるところでございますが、政府として、今後、国会等におけるこの問題の議論にも十分に耳を傾けつつ、検討していくべきものと考えているところであります。
  120. 東祥三

    ○東(祥)委員 官房長官並びに防衛庁長官の御答弁を聞いていて、私はすごく違和感を覚えます。  というのは、今も防衛庁長官がPKFという——PKOの中のPKFという使い方をするのは日本独特なわけですけれども、いわゆる本体業務を含めてさらなる貢献は望ましい、しかしながら、凍結については国会の意思である、このようにおっしゃっている。それはそれとして正しいのだと思うのです。しかし、防衛庁長官にしても、また内閣官房長官にしても、政治家ですよ。私たち自由党は、国際社会の平和と安全に関して日本というのはどのように貢献していったらいいのか、徹底的な議論をしています。  さらにまた、もう既にこのPKO協力法ができてから五年半たっているのですよ。当初多くの方々がまさに誤解していた。初めて海外に自衛隊を派遣するから、ひょっとして武力行使目的として派遣するのではないのかというような議論がまことしやかにあのときにされました。おかしなことを言っている政治家たちがたくさんいました。しかし、五年半たった今日、それが全くそうではないということはわかっているではありませんか。  そうであるとするならば、防衛庁長官また内閣官房長官は、国際の平和と安全に対して日本政府がどのように積極的に貢献していくのか。また、総理も含めてみんなが貢献すべきであるとおっしゃっているではありませんか。にもかかわらず、本体業務に関して、みずからの意思で、またみずからのイニシアチブで、どうしてそれを党内で提案されないのですか。私たちは邪魔したことは一度もありませんよ。  防衛庁長官お尋ねします。また、内閣官房長官にもお尋ねします。自民党内おいて、この問題について積極的に御提案されたことはありますか。
  121. 久間章生

    久間国務大臣 党内で一議員としての議論というのは、私どももいろいろとする場合もございます。しかし、この場では政府に対する質疑でございまして、一個人としての意見を述べるのではなくて、政府組織の長としての意見を述べなければならないわけでございます。  そうしますと、我が国の場合、憲法あるいはその他の法律によりまして、行政というのは法律に従って行動することになっているわけでございます。立法府でつくられた法律に従ってやる。その立法府に対して、政府はいわゆる閣法として政府提案でお願いをして、法律をつくっていただいてやることがございます。しかしながら、その政府が出しました法律に立法府としての意思が働いた場合は、政府としては、立法府の意思に対しては必要以上に束縛されるわけでございます。  したがいまして、これについていわゆる修正の提案が院でなされ、そこで決められますと、私どもは非常にこれに対しては束縛をされるわけでございますので、どうかそういう背景についてはぜひ御理解していただきたいと思います。  今までの慣例としましても、衆法で出た法律を閣法で修正で出したことはほとんどないと思います。衆法で出た法律については、やはり衆法として改正案を出していただいておる、そういう経緯もございます。その辺は、やはり立法府の意思というのは非常に尊重されておる、そういう背景ではないかと思います。
  122. 東祥三

    ○東(祥)委員 お話を聞いていて、やはり僕はすごく違和感を感じます。それは、与党ですよ、私は、政府見解を逸脱したから防衛庁長官をここでなじろうだとか、あるいはまたここで追い込めようだとか、そういうふうに思っていません。  五年半経過してきて、PKO活動に関しての国民の理解も相当得られてきている、さらにまた、政治家の間で、誤解されている政治家の方々も十分理解が進んできている。そういうときに、どうして与党が、まさに国際の平和と安全に対して日本政府は積極的に行っていかなくてはいけない、そういうふうに一方において書っておきながら、国連の総会であったり、あるいはまた小委員会であったり、皆さん方が行かれたときに一生懸命言われているじゃありませんか。しかし、言っていることとやっていることが全然違うということを僕は申し上げている。  したがって、今僕が質問しているのは、防衛庁長官として、政治家として、自民党内において、自分自身がPKO活動に対していつもいつも真剣にいろいろなことを考えている、したがって、もうそろそろこの本体業務の凍結を解除してもいいのではないのか、こういうイニシアチブを持って御提案をされたことがありますかと防衛庁長官個人に私は聞いているのです。それに対して答えてください。
  123. 久間章生

    久間国務大臣 だから、先ほどから言っておりますように、防衛庁長官として提言したことはございません。  個人としての判断を求められれば、それなりの意見は申し上げられるわけでございますけれども、この場は防衛庁長官としての立場で発言しているわけでございますから、個人としての考え方を述べる場じゃないわけでございます。だから、防衛庁長官がPKF解除を進めるというような、そういう場合と個人としての場合は別でございますから、どうかそういう意味でぜひ御理解を賜りたいと思います。
  124. 東祥三

    ○東(祥)委員 全くよくわからないですね。  一方においては、国際の平和と安全に関して、このPKO活動というのは重要な要素ですよ。また、防衛庁長官がこの重要性に対して深く認識していると僕は思います。しかし、だれかがイニシアチブをとらなくてはいけないわけです。普通ならば、与党が、まさに機が熟したか熟していないか、国民PKO活動に対しての理解が進んでいるのか進んでいないのか、こういうのを判断して、率先してそれなりの手続を経てやっていくのではないですか。  僕は行政府の人に言っているわけじゃありませんよ。附則の二条、三条における1二条においては政党間合意でそのPKOの本体業務が凍結されたわけですから、それに対してだれがイニシアチブをとるのですか。防衛庁長官が言わなかったら、外務大臣のイニシアチブを待っているのですか、総理大臣のまさに提案を待っているのですか、どうですか。    〔浅野委員長代理退席、委員長着席〕
  125. 久間章生

    久間国務大臣 各党が議論なさって、各党の意見が一致して修正をされたわけでございますから、各党が議論されてこの問題については解決すべき問題でございます。  そのときに、政府自体が求められれば、あの当時と現在の状況はこう違いますよ、行った経験からいってもこうですよ、背景はこうですよという御説明は政府としてはやれるわけでございます。  しかしながら、政府自身がこの問題を、要するに提案という形で出すかどうかになると、私はそれは別だと思います。それは、与党に限らず、あのときは与野党一緒になられて、院でお決めになったわけでございますから、この問題についてはどこが主導権をとるかは別として、それはどこでもいいと思うのです、そういうことについて議論を詰めていただいて、政府として発言を求められれば、その方向については何ら異存はないという発言はするわけでございますけれども、政府の方から積極的にはしづらいという状況について、ぜひそれは御理解賜りたいと思います。  私がこの場で、政府の長として、防衛庁長官として、そういうイニシアチブをとっていくということは、今までの過去の経緯からいってできない。これが閣法で、最初に提案したものが内容的に不備であるような法律を提案して、それがそのまま通ったのであるならば、その法案改正については、それは政府がしなければならないかもしれません。  しかしながら、本体業務について、これもやらせでもらいたいと出したものについて各党で御議論なさって、それは当分の間凍結する、法律で新しくするまでは別だということで立法府で決められたわけでございますから、立法府として、それにかわるべき、やってよろしいという新しいものがない限り、政府としては縛られるということになるのではないでしょうか。
  126. 東祥三

    ○東(祥)委員 防衛庁長官、あの当時は自公民三党の合意でまさにこの本体業務を凍結しました。今、公民という体制はなくなってしまいました、残っているのは自民党だけです。  私が申し上げているのは、長官は自民党の議員ですね、その議員でありながら、なおかつ防衛庁長官という極めて重要なポストにいらっしゃる。そして、このPKO活動に関して多くの方々よりも深い知識、認識、また自衛隊の方々がどのような活動をされているかということもよく存じ上げている。さらにまた、国際社会における日本の位置づけ、国際の平和と安全に対して日本がどのようなことをやっていかなければならないかということもよく知っている。  そういう状況の中で、私が再三再四聞いているのは、自民党の中でそろそろこのPKOの本体業務の部分に関して凍結解除をする議論をしてもいいのではないのか、それは自民党の国防部会でやるかもわかりませんよ、国防部会でこういうことをやったらどうなのだということをやられましたかと聞いているのですよ。いかがですか。
  127. 久間章生

    久間国務大臣 それはやっておりませんということを申し上げたわけでございます……(東(祥)委員「やっていない」と呼ぶ)そうです。  ただ、委員が今御指摘になられましたが、仮に、個人として、対談あるいは雑誌の取材という形で求められましたときに、肩書抜きで発言できる場ならともかくとして、この場におきましては、私は、防衛庁長官として、政府の一員として、政府の長としての立場でございますから、個人的な見解を述べる場ではないということを申し上げているわけです。  事実関係としてやったかやっていないかと言われますと、それはやっておりません。
  128. 東祥三

    ○東(祥)委員 まさに、日本の行政システムが硬直してきているという証左をお示ししてくださっているのではないのか。  きょうも多くの方々が来てくださっております。どうして防衛庁長官がそういうことを言ってはいけないのですか。行政の長であると同時に、まさに政治家ですよ、その人が何で言ってはいけないのですか。
  129. 久間章生

    久間国務大臣 やってはいけないといいますか、要するに、政府がイニシアチブをとるよりも、院として決めておられるわけでございますから院がイニシアチブをとる、そのために、防衛庁長官として、いろいろな現在の状況、これまでの実績、そういう背景からこれはやってもらいたいという気持ちを述べる、そういうのはいいわけでございますけれども、この凍結を解除するかどうかについてのイニシアチブは、院で決められたわけでございますから、政府がそれをすべきではないのじゃないかということを申し上げているわけでございます。  例えば、今正式の部会その他ではないにしても、いろいろな場で個々人としての発言は、それは今までも自由にやってきております。そういう意味では、今まで雰囲気としておわかりになったと思いますけれども、そういう内容等についてはありますけれども、要するに、防衛庁長官としての立場で、これは何も与党だけではなくて、各野党の皆さん方にこうしていただきたいと話をするということ自体は、それは事実関係としてはあるかもしれませんけれども、政府としての立場でお願いするということにはならないということでございます。
  130. 東祥三

    ○東(祥)委員 だから、私は硬直的だと言っている。  もし本体業務の凍結解除が必要であるとするならば、防衛庁長官が自民党の国防部会に行って、これをどうか検討してくれないか、そういう意見がもし出ていないとするならば、それを言うこと自体は、別に行政の長が政党の物の見方に介入して、それを断固やらなくてはいけないのだ、そういうことじゃないのじゃないですか。  自民党国防部会においては、ここに居並ぶ優秀な方々がいらっしゃるわけですから、僕は検討しているのだろうというふうに想像いたしますけれども、何らかの理由でそれが凍結解除には至らなかったというふうに想像しますが。それは事実を知りませんから。しかし、そのときに、防衛庁長官が一議員として自民党国防部会に行って、そういう議論がなされていないとするならば、そろそろ凍結解除に関して議論をやろうじゃないかというふうに言うことが、これはいけないことなのですか。  同じように、行政がおかしな動きをしていたときに、一政治家が、こういう動きをしているのはおかしいじゃないかと相互に言えるのじゃないですか。どうして、それを自分自身は防衛庁長官である、防衛庁の最高ポストだ、そういうことはイニシアチブを持って言えないなんて、イニシアチブを持ってそれを展開できるかどうかということは、自民党国防部会が、防衛庁長官が言われることに説得力があるとするならば、ぜひ防衛庁長官が言われるとおりいろいろ検討してみましょう、そういうふうになったときにイニシアチブが発揮されたのです。結果論じゃないですか。どうもすごい硬直していますね。
  131. 久間章生

    久間国務大臣 私は、確かに、そういう意味で硬直していると言われればそうかもしれませんが、やはり私は、例えば憲法改正にしても、これは院が発議するとなっておりますから、これについても政府はつくられた憲法の枠内で行動する、それを変えるというようなことは本来すべきでない、そういう考えも非常に強いわけです。  それで、法律にしましても、閣法については、内閣がつくった法律については内閣がイニシアチブを持ってやるけれども、衆議院、参議院がおつくりになった法律については、まずつくられたところで判断をして行うというのが一番いい方法だと思っております。そのために衆議院や参議院に対して政治家として行動する場合はいいわけですけれども、ただ、衆議院、参議院のお決めになられたことについて政府がイニシアチブをとるということは、正直言って私は非常に抵抗を感じます。
  132. 東祥三

    ○東(祥)委員 私は、政府がイニシアチブをとれなんて一言も言っていないではありませんか。  防衛庁長官は少なくとも政策遂行者ですよ、与党・自民党は政策遂行者ですよ、政策遂行能力を持っているのですよ。僕たちにやらせてくださいと言ったって、政策遂行能力はないのですよ。政策遂行能力があるところが、望ましい政策を推進するに当たってどういう政策を提示していかなければいけないのか、どういう政策を遂行していかなければいけないのか、そういうことが一番よくわかるのは政策遂行者の立場にいらっしゃる方ではありませんか。何か話が転倒していて、僕が与党で、そちらが野党のような感じがしてきました。  防衛庁長官、別に本体業務を解除することは憲法違反ではないでしょう。これは五年半前に憲法の範囲内でちゃんとおさまっている問題ですよ。凍結解除をするかどうかというイニシアチブをだれがとるか。「いや、私はとりたくないですよ、ちょっとだれかやってください。もしそういうものが出てきたら私がやりますよ」、これが政策遂行能力を持っている最高責任者の言う言葉ですか、僕は本当に唖然としてしまいますよ。
  133. 久間章生

    久間国務大臣 要するに、政策遂行能力というのは、与えられた法律の枠内での政策遂行能力しか行政府はないわけでございます。その与えられた法律が、内閣がお願いしてつくった法律ならば時代に合わないからということで提案できますけれども、これが提案したものに対して、そうではないという意思が衆議院、参議院で働いて制限された形になっておりますと、その法律が、この枠内でやってよろしいということを今度は立法府の方で言われないと行政府としては動きづらい。  絶対できないかというと、それは憲法上できないことはないです。ないけれども、立法府としてお互いの意思を固めた以上は立法府でその話についてはやっていただきたい。  だから、政治資金規正法等についても、必要な場合が出てきたときには、政府の提案ではなくて、それは各党各会派で話をしていただいて、そしてそっちの主導権のもとにやっていくとか、公職選挙法でもそうですけれども、今までだってそういうようなやり方でやっておられるわけでございます。  今度の場合は、最初の提案は政府でございましたけれども、いわゆるPKFの本体業務についてはやらないという意思を衆議院、参議院両方で修正をして加えられたわけでございますから、やはりそこについては院の方においてイニシアチブをとっていただきたい、そういうことをお願いしたわけでございます。
  134. 東祥三

    ○東(祥)委員 久問防衛庁長官が言われていることを僕は十分理解した上で、それをどのようにブレークスルーするかという話をしているのですよ。またもとのもくあみに戻ってきて、形式論ばかりお話をしている。  防衛庁長官は、国際の平和と安全に関して日本が積極的に貢献していこうということは余り考えられていないのですね。口で言っていることとやろうとしていることは違うのですかね。もしそうであるとするならば、別に防衛庁長官としてではなくて、政治家として自民党国防部会にお入りになられているのかどうかわかりませんけれども、そこで当然提案されるべき筋のものではないのですか。まだやるべき段階ではない、そういうふうに思っているのですか。先ほどは逆のことをおっしゃっているのですよ。だから、それをだれがやるかということですよ。  では、防衛庁長官、自由党がそういうものを提案したら乗ってきてくれますか。前向きになって一緒に考えようとしますか。
  135. 久間章生

    久間国務大臣 自由党の皆さん方がいろいろな判断をされるときに、そういうふうな問題も含めて、背景がどうなっているか、これで十分な国際貢献ができているかどうか、そういうことについての意見を求められたならば、それに対する意見は私どもとしても述べることはできます。また、自由党に限らず、ほかの政党の皆さん方でも一緒でございます。  しかしながら、事この問題については、とにかく院によって修正されて凍結されたという経過の中でございますので、どうかその背景については御理解を賜りたいと思います。
  136. 東祥三

    ○東(祥)委員 防衛庁長官、ありがとうございました。本当に残念でなりません。  一言だけ申し上げて、私の質問を終わります。
  137. 塩田晋

    塩田委員長 東中光雄君。
  138. 東中光雄

    ○東中委員 前回に引き続きまして、PKO協力法の二十四条の武器使用のことについてお聞きしたいと思います。  この規定というのは、考えれば考えるほどわけのわからぬ規定で、今度のは改正か改悪かは知りませんけれども、改定もいよいよわけがわからぬようにしてしまったというふうに思いますので、改めてお聞きしたいのです。  二十四条といいますのは、三項で、自衛官自己または現場にある自衛官等の生命身体防衛するために武器使用することができるとなっていますね。  それで四項で、武器使用は、当該現場上官があるときはその命令によらなければならないというふうになっています。しかし、生命身体に対する侵害または危害が切迫し、その命令を受けるいとまがないときはこの限りでない、上官命令は要らないと。  六項では、武器使用に際しては、刑法三十六条、二十七条の規定に該当する場合を除いては人に危害を与えてはならない、こういう構成になっているのですね。  そうしますと、正当防衛、緊急避難の場合に自衛官武器使用するときは、これは上官命令によらなければならないということはなくなります。そのときは相手方に危害を加えてもいいことになっているのです。それ以外のときは、正当防衛でも緊急避難でもない場合は、生命身体防衛するために上官の指示によって武器使用する。  緊急避難でも正当防衛でもないけれども、自衛官等の生命身体防衛するため、そのときは発砲する、武器使用するのは指揮官によらなければならないとなっているのですね。その場合には指揮官の命令によってやらなければならないことになっているのですが、それでやった場合には相手に危害を加えてはならないということになっているのです。だから、上官命令をして武器を発砲したときは、それは正当防衛、緊急避難ではないのだから相手に危害を加えてはならないという六項が生きてくるわけですね。そういうことになるのです。  では、上官はどういう場合に武器使用することをここで想定しているのか。相手に危害を加えないように武器使用する、だから、撃てと言ってはいけないのです。当たらないように撃てと言うか、あるいは空砲を撃つか。武器使用というのは発砲のことでしょう。その点をお聞きしたい。
  139. 久間章生

    久間国務大臣 今委員がずっと御指摘されてこられました前半の部分はそのとおりだと思いますけれども、一番最後の部分、三十六条、三十七条、要するに、それ以外の場合は上官は撃てと命令してはいかぬ、当たらないように撃てというような、今言われた一番最後のくだりのところは必ずしもそうではないのではないか。  やはり上官そのものがこれは危ないと判断したときには撃てと命ずることができるわけでございまして、それが危ないとか、いわゆる三十六条、三十七条の構成要件に該当したときには、それは傷つけてもやむを得ないわけでございます。だから、そういう意味では、上官命令したときに、絶対当たらぬように撃たなければならないということではないわけでございます。  それ以外の武器使用について言うならば、今度は逆に、いわゆる武器を構える、これも武器使用という一つの概念に入ると思います。そして、威嚇射撃をする、これも入ると思います。そういうものについても入るわけでございまして、その現場現場でいろいろこの武器使用についてはケースは考えられるかもしれません。  今一番最後のくだりで言われたことについては若干、あとの前半の三つぐらいは全部当たっておったわけですけれども、最後はちょっと違うのではないかなと思いましたけれども。
  140. 東中光雄

    ○東中委員 論理的に私の言っていることが、これは評価を入れたからあなたがそういうふうに思っているが……。  上官武器使用命令しなければならない、命令がなかったらやってはいけないということですけれども、命令がなくてもやれる場合というのがこのただし書きでありますね。身体に対する侵害または危難が切迫しておって、その命令を受けるいとまのない場合。だから、これは、正当防衛は急迫不正の侵害、緊急避難は現在する危難を避難する場合ですから、危難が現在している、あるいは急迫不正の侵害がある、このときは上官命令がなくてもやれるわけですね。そうでない場合は上官命令がなければやれない、こうなっているというのですよ。  だから、そうでない場合の武器使用上官命令というのは、私は武器使用命令というのは発砲のことを意味していると思っておったのですけれども、今あなたの言われるのでは、構えということとか空砲を撃てというふうなことも武器使用に入るので、そういうことならやっても危害を加えることにならないからいいのだ、結局あなたの言われていることはこういうことですね。
  141. 久間章生

    久間国務大臣 いや、それだけではなくて、上官の命を待ついとまが本当にない場合、そういう場合は本人の判断だけでやれる。しかしながら、いとまがあってやる場合は、上官命令とその行為が一体となって武器使用できる。それによって相手を傷つけることがあっても、それは三十六条、三十七条に該当した場合はいいというようなことでございますから、上官の命のときは必ず傷つけないというような場合だけだというふうに限定されることにはならないのではないか、そういうふうに思います。
  142. 東中光雄

    ○東中委員 観念的に後から考えれば緊急避難に該当しておったか、あるいは正当防衛に該当しておったかしていなかったか、そういう問題ではないのですよ。  では、別の聞き方をしましょう。  自衛隊法の八十九条は治安出動した自衛官武器使用が書かれていますね。その武器使用は「当該部隊指揮官命令によらなければならない。」となっています。ただし、刑法三十六条または三十七条に該当する場合を除いて指揮官の命令でやる。だから、その三十六条なり三十七条に該当するような場合に指揮官が命令するなどということはそもそもできないのだというのは、これはもう常識ですよ。  刑法三十六条なり三十七条などというのは、侵害を受ける者が自己防衛のためにやる。あるいは緊急避難の場合は——要するに急迫した侵害を排除するという要件が非常にはっきりしているわけですからね。ほかの指揮官とかなんとか、第三者がそんなことできるわけではないのです。だから八十九条は、三十六条、三十七条に該当する場合を除いて当該指揮官の命令によらなければならないとしているのです。  今度の場合も、だから、その場合を除くということを書いていないけれども、結局はそういう趣旨になるわけですよ。生命身体に対する侵害または危難が切迫している場合は命令によらなくてもいいんだと書いてあるというのは、結局、切迫しておらぬ緊急避難とか正当防衛というのはないのですから、その場合は命令によらなくてもいいということ。今度の二十四条にもそう書いてあるのですよ。だから、八十九条とその点では違わないのです。  そうすると、八十九条の場合は、正当防衛、緊急避難だけではなくて、武器使用するについてはもっとほかの目的のために武器使用できるのですね。例えば、人に対する危害ではなくて施設に対する侵害を受け、あるいは、受けていないけれども受けようとする明白な危険がある場合は武器使用してその危険を排除することができるというふうになっていますね。武器使用してですよ。そういうことをやるときは、正当防衛、緊急避難ではないけれども指揮官の命令によってやらなければいけないよというのが八十九条なのです。  ところが、本法の二十四条というのは、そういう身体防護以外に何もやったらいかぬことになっているのですよ。だって、武器使用するのは生命身体防衛するためやむを得ない必要があると認める相当の理由がある場合だけに限っているのですから。だから、身体に対する攻撃以外に施設に対する攻撃、侵害があるからといって、PKOの陣地に対して何か攻撃が来たからといって、あるいはやろうとしているからといって、撃てないのですよ。そういうふうにこのPKOはしたのです。  なぜしたのかといったら、あくまでも個人個人による正当防衛、緊急避難のときに武器使用して相手に危害を加えるということはあっても、それ以外は一切日本の自衛隊はPKOで出ていっても武器使用はしないのです、憲法上できないのですといって、こういう法律をつくったのですよ。  それを今度は指揮官の命令などというような格好で入れるから、八十九条と比較してみると明らかな矛盾が出てくるのですよ。八十九条なら、指揮官の命令によってああいうとんでもない治安出動武器使用ができるようになっているのですね。施設やら、あるいは危険があるというだけでできるようになっている。今度はPKOはできないのですね。  なぜそういうふうになったのかというのは——あのときの論議に私初めからしまいまで全部参加しましたから、海部さんのときから宮澤さんのときまで。  我が国憲法上そうせざるを得ないのだ、個人判断でやるので、しかも正当防衛、緊急避難のときだけなので、だから憲法違反にならないのです、武力行使ではない、個人的な武器使用なのです、こう言っていたのです。それを今度は変えることになるのだから、これは憲法上の問題があるのです。どうですか。
  143. 久間章生

    久間国務大臣 基本的には、今回の場合も自衛官自己生命身体に危害が迫っている場合に武器を使うわけでございまして、ただ、それを混乱を回避するために指揮官の命によってやるというふうにしたわけでございますから、憲法上もあるいはまた法理論上も、前回の問題と比べて今回がけしからぬ、憲法違反だということにはならないのではないかというふうに思うわけです。  だから、そこのところはいろいろ内部でも議論した結果、そういう混乱を避け、適切な武器使用をするためにこうしようということで法律改正をお願いすることになったわけですけれども、それをもってして、基本的には八十九条の問題とそう変わらないのではないでしょうか。むしろ、八十九条よりも武器使用については狭まっているというような感じすらするわけでございます。  武器を使う要件というのが非常に限定されておりますから、そういう意味では八十九条よりもむしろ狭いぐらいでございますから、憲法には抵触しないのではないかというふうに思います。
  144. 東中光雄

    ○東中委員 だから、そうなんですよ、八十九条のときはこれは国内でやるんだから憲法違反の問題がありますよ。私たちはそういう議論をしている、自衛隊自体が憲法違反だという考えですから。それとは別に、治安出動での武器使用については、こういう危険があるということだけで武器使用して人民に対して危害を加えることもできるなんて、こんなことは許されぬと言っていますよ。しかし、PKOの場合はそういうことはできないのだというのが、このPKO法をつくったときの政府の一貫した答弁なんですよ。個人でなければいかぬのだということなのです。  もう一つ、そのときに論議になった問題を一つ言いますと、私はあのときもやかましく何回も言った議論ですけれども、「国連キプロス平和維持軍の機能と作戦に関する若干の質問についての事務総長の覚書(国連文書S五六五三一九六四年四月十一日)」という国連事務総長の覚書があるのですが、これでPKOあるいはPKFの自衛の原則ということがいろいろ定義されているわけです。  これによりますと、国連キプロス平和維持軍は、「武力行使のイニシアチブをとってはならない。武力行使は自衛のためだけに許される。」自衛というのは、隊員のなにを守るということだけではなくて、次のことが含まれると書いてあるのです。武力攻撃のもとにある国連の駐屯部隊、建物及び車両の防衛、それから武力攻撃のもとにあるキプロス平和維持軍の要員の支援ということが書いてあります。国連はそういうふうにしてやるのだと。  そういう場合に、自衛の行動に当たっては、最小限の武力という原則が常に適用されねばならず、いつ武力行使してよいかの決定は現場指揮官の責任で下す。指揮官の主要な関心は、砲火を開く必要のない事件と部隊武力行使の権限を与える状況を区別することである。その権限を部隊に与えてよい例は次のとおりであるといって、いろいろ書いてあるのです。これは原文を私たちで訳したのですけれども。  政府がそれについて書いてきた訳文の文書があるのですよ。これでは武力行使と書いてあるところを武器使用と、ユース・フォースと書いてある部分を武器使用とわざわざ誤訳をしたのですよ。その言葉がこの法律にも出ているのですね。そういう経過のものです。  だから、ここで問題は、国連平和維持軍というのは、武器使用をするのは自衛のためだけれども、自衛というのは部隊の自衛なので、部隊に対する攻撃があるときは部隊としてそれをやっていくんだ。正当防衛とか緊急避難とかという市民刑法上の概念じゃないのです。そういうふうに指揮官の命令でやるのだということになっておるのだ。それなのに、なぜそれと違う二十四条をつくったのかということで、こういう条文をつくっておいても、結局自衛隊も国連の指揮の中へ入ってしまうのだからその枠で動かされるよと言って、私たちは議論したわけです。  そのときに宮澤さんは言ったのですよ、日本憲法があって、国連の平和維持軍がそうなっておろうと、日本の平和維持軍は違うのだ、指揮官の判断によるのではなくて、正当防衛正当防衛でないか、緊急避難かどうかということを個人個々にやるのだ、だから憲法違反ではないのだと。こんな矛盾したことがありますかと言って、私は議論したのですよ。  その問題で、国連の方向としては、指揮官の命令によってやる、発砲するかしないかの判断指揮官がやるのだ、部隊としてやるのだ、それは武力行使なのだ、こう言っているわけですよ。そこへ今度近づいていくわけです、上官命令によらなければならないということにして。  そういうものだから、あの当時の審議からいっても、これはやはり憲法違反がはっきりしてくる。体系的にいって八十九条に近くしているという感覚で、正当防衛以外にも武器使用する、武力行使をやるということになるのだ。そういう点で、私たちはこれは許されぬことだと思っています。所感があったら言ってください。
  145. 久間章生

    久間国務大臣 今のお話を聞きながら、私どもが考えております現在のこの法律、あるいはその前につくられました、今度改正する前の法律も、かなり武器使用については国連のいわゆるキプロスの例よりも狭められているな、それはやはり立法政策の問題としてそういうふうに……(東中委員憲法上の問題」と呼ぶ)憲法上は、必ずしもそれがクリアできるかどうか、これはまた法制局と論議しなければなりませんけれども。  私は、憲法上は可能であっても、そういうような事態が発生しないような状況のところでPKO活動をやるのだということでそういう活動をやっているわけでございますから、そこまでは必要ないという立法政策上の判断で加えられたのではないかというふうに思っておりますし、今回の改正でもその枠内でやるということでございますから、当然に憲法の問題は生じてこないというふうに確信しております。
  146. 東中光雄

    ○東中委員 質問を終わりますが、要するに、武器使用によりましてPKFの場合は武力行使になっていく可能性があるからというので、PKFは凍結になった。そういう論議があったから凍結になったということだけ申し上げておきます。  終わります。
  147. 塩田晋

    塩田委員長  辻元清美君。
  148. 辻元清美

    辻元委員 社会民主党の辻元清美です。  私は、まず物資協力についてきょうは質問したいと思います。  物資協力改正点、第三条第四号口の「人道的な国際救援活動」での物資協力は、別表第三に幾つか並んでいるのですけれども、その一に「国際連合の総会によって設立された機関又は国際連合の専門機関で、次に掲げるものその他政令で定めるもの」に対して行うとされています。ここで言う「その他政令で定めるもの」というのは、どのようなものを想定しているでしょうか。
  149. 茂田宏

    茂田政府委員 お答えいたします。  別表第三の一ですけれども、ここは「国際連合の総会によって設立された機関又は国際連合の専門機関で、」ということが書いてあります。  それで「次に掲げるものその他政令で定めるもの」ということでございますけれども、この「国際連合の総会によって設立された機関又は国際連合の専門機関」という要件は、「政令で定めるもの」にも係ります。新しい専門機関ができたというような場合には、政令によってその専門機関が定められるということになると思います。
  150. 辻元清美

    辻元委員 さて、この物資協力の対象物資なのですけれども、これには武器や弾薬は含まれないという解釈でよろしいのでしょうか。官房長官、お答えいただけますでしょうか。
  151. 村岡兼造

    村岡国務大臣 今般の改正によりまして、停戦合意が存在しない場合においても物資協力が可能となるのは、国連難民高等弁務官事務所と人道的国際救援活動に従事する一定の国際機関が相手方となる場合であります。  これらの国際機関から、そもそも我が国に対して、人を殺傷し、または武力闘争の手段として物を破壊することを目的とする武器弾薬の供与を要請されることは想定されておりません。したがって、譲渡される物資の中にそのような武器弾薬は含まれることはないと思っております。
  152. 辻元清美

    辻元委員 武器弾薬は含まれないということを確認させていただきました。  さて次に、ここにおける国際平和協力業務としての輸送は自衛隊ではできないというふうにされていますが、これは停戦合意がない場合ですけれども、それぞれの輸送の委託を受けた者たちに対して自衛隊が警護につくということも不可能と私は解釈しているのですけれども、それでよろしいでしょうか。
  153. 茂田宏

    茂田政府委員 お答えいたします。  物資協力の輸送の関係ですけれども、停戦合意がない場合に行われる物資協力、これは所有権の移転でございますので、輸送はその中には含まれないということでございます。  それから、警護の問題についてのお尋ねでございますけれども、現在のPKO法では警護任務は書かれておりません、三条に任務が列挙してありますけれども。したがって、警護は行えないということでございます。
  154. 辻元清美

    辻元委員 自衛隊による警護も行わないということを確認させていただきました。  さて、前回に引き続きまして、武器使用について何点かまたお聞きしたいと思います。  先ほどからも議論されておりますように、国連での武器使用の基準、aタイプbタイプがあるという議論が続いております。今回の場合はaタイプカテゴリーであるという解釈を政府はしているのでしょうか。
  155. 茂田宏

    茂田政府委員 お答えいたします。  そのとおりでございます。自己または自己とともに現場に所在する隊員生命身体防護ということに武器使用目的を限っております。
  156. 辻元清美

    辻元委員 aタイプの中には、個人で本人自身が身を守るための武器使用上官命令による武器使用の両方が含まれているという解釈でしょうか。
  157. 茂田宏

    茂田政府委員 お答えいたします。  そういうことだと思います。二つの対応があり得るということだと思います。
  158. 辻元清美

    辻元委員 さて、今回はこの法律改正ということで議論しておりますが、六年前にこのPKO法が成立した当時も、国連の武器使用の基準のaタイプbタイプカテゴリーの分類や解釈はその当時もあったと思います。  それに対して、今お答えいただきました、aタイプには上官命令による武器使用も、そういうやり方も含まれているという御答弁でしたけれども、当時もこれと同じだったと思います。にもかかわらず、日本だけ個人のみに限定しております。  前回の私の質疑で、諸外国の武器使用のあり方、形態等もかんがみてというところをかなり突っ込んで議論させていただきまして、一九九二年当時も諸外国は上官命令というのは認めておったじゃないかということで、それはそうだというふうに政府はお答えいただいているのですが、国連のこのカテゴリー、それからこの解釈も今政府がお答えいただいたのと当時も同じであったと思うのですが、そういう状況の中で、日本参加するに当たって個人のみに限った理由は何でしょうか。
  159. 茂田宏

    茂田政府委員 PKO法成立当時の考え方でございますけれども、その当時はPKO参加している国の事情も調査いたしました。それから、憲法との関係でのいろいろな議論というのもございましたけれども、そういう中において、個人個人判断武器使用して、自己または自己とともに現場に所在する隊員生命身体防衛するということで、このPKO業務をやっていけるという政策判断をしたということでございます。  ただ、その後経験を積んできますと、そういうばらばら武器使用というのはかえって危ない状況をもたらしかねないということが感じ取られたということで、今回の改正をお願いしているわけでございます。  当時の判断については、派遣の経験のない段階でございましたので、私はやむを得ない判断であったのではないかと思っております。
  160. 辻元清美

    辻元委員 今御答弁の中に、憲法との関係での議論もあったというお言葉がございました。  確かに、私は前回も紹介しましたが、衆議院予算委員会議事録第十六号で、梶山さんが、官房長官のときですけれども、PKO部隊を出す場合の宮澤四原則という原点に返ると、むしろそういうものを、これは指揮官の権限ですけれども、一切否定しておくことが日本の平和憲法ないしPKOを行う場合の原則である、そういう思いがあったからこそ、若干の苦痛あるいは不合理をこらえてもその分野にとどまることが大切ではないのかという答弁をされているのですけれども、実際に今憲法との関係議論という御発言がありましたが、これは憲法の解釈上、個人使用に限らないとなかなか乗り切れなかったという状況があったのじゃないでしょうか。率直にお答えいただきたいのです。
  161. 茂田宏

    茂田政府委員 お答えいたします。  憲法との関係につきましては、PKO法案を審議した段階でも、自己または自己とともに現場に所在する隊員生命身体防衛するためであれば、仮にそれが集団的であったとしても憲法上問題はないという答弁を明快にしております。ただ、審議の中で、政府側ではなくて野党の側からいろいろな問題提起があったということは事実でございます。  今回改正しようとしているのは、憲法との関係の問題ではありませんで、全体の状況として、個人判断武器使用することによってPKO参加を十分にできると考えていたのが、今から見ると若干不十分であった、その点を変えたいということでございます。
  162. 辻元清美

    辻元委員 さて、それでは防衛庁長官にお伺いしたいことがあります。  先ほどの御答弁の中で、aタイプbタイプ武器使用についてですが、こういうふうにおっしゃいました。bタイプ武器使用にならないように厳格に判断要件をつくっているんだというふうにお答えになったわけなんですけれども、このとおりでよろしいでしょうか。
  163. 久間章生

    久間国務大臣 二十四条の五項というのはそういう趣旨だと思っております。
  164. 辻元清美

    辻元委員 私が問題にしたいな、ちょっと突っ込んで聞いてみたいなと思っていますのは、このbタイプ武器使用にならないようにというところなんですね。これははっきりおっしゃったのですけれども。bタイプ武器使用にならないようにというふうにお答えになった根拠は何でしょうか。
  165. 久間章生

    久間国務大臣 PKO活動で活動しておられる隊員というのは、空間的にもまた時間的にも非常に幅広いわけでございます。そういう意味で危険にさらされる場合があるわけでございますけれども、絶対に任務中にそういう状態にならないかというと、任務中にあることだってあるわけでございます。  しかしながら、今回、任務遂行のために武器を使うのではないんだ、遂行目的のために使うのではなくて、あくまでその身体生命が危なくなったときに使うんだという限定した使い方にしておりますので、そういう意味bタイプではないというふうになっている、そういうふうに思っております。
  166. 辻元清美

    辻元委員 今の御答弁の中で、任務遂行のための武器使用ではないというところを強調されましたけれども、私は、現在の日本憲法を持っている限り、任務遂行のために武器使用することは不可能であるというふうに考えるわけですが、長官はいかがでしょうか。
  167. 久間章生

    久間国務大臣 それはそういうことはございません。自衛隊法の至るところにいろいろな規定がございますけれども、任務遂行のためにやむを得ず武器を使うということはあり得るわけでございまして、それは憲法の九条の問題とは別でございます。  憲法九条の武力行使というのは、何回も言っていますように、国際紛争の一環としての戦闘行為といいますか、そのために実力を行使するということでございまして、だから自衛隊が任務遂行武器使用するということは、それはあり得るわけでございます。  私がさっきもし武力行使と言っていたら、言葉が、誤解するかもしれませんから、自衛隊が武器使用をすることは任務遂行上あり得る、そういうふうに訂正しておきます。
  168. 辻元清美

    辻元委員 これは、私はPKOの活動に限っての質問でございます。ですから、自衛隊一般に対しての任務遂行というより、PKOの活動に。  さて、そういう御答弁でありますならば、例えば現場ではこういうことが起こると思います。停戦違反行為が発生した場合、これは応戦や強制措置を行う状況も容易に想定されるわけです。その場合、当然、部隊組織対応ということで、指揮官の命令による発砲、応戦が求められる場合も考えられるわけですが、これは任務遂行のための武器使用だと考えられますが、今、私たちには憲法がありますけれども、日本参加することができるのでしょうか。いかがでしょうか。
  169. 久間章生

    久間国務大臣 言っておられる状況がちょっと想像できないからお答えにならないかもしれませんけれども。  いずれにせよ、私どもは、先ほどから言っていますようないわゆる憲法上禁止された武力行使は、国内であろうと国外であろうと、それはできないということは言えるわけでございます。それに至らない範囲内でやる。もし憲法で禁止された武力行使に当たる場合には、それは法律上はできないというふうにしか言えないわけでございまして、そういうふうな状況だったらばPKO活動そのものをやめざるを得ないというような状況になろうと思います。
  170. 辻元清美

    辻元委員 今、こういう状況であるならばPKO活動を停止せざるを得ないという御答弁でした。私も同意見です。  そういう意味で申し上げますならば、先ほどからPKF解除の議論もされておりますけれども、こういう場合はPKFに当たるかと思いますが、はっきりと日本は停止しなければいけないというふうに思いますので、現在のこの改正が安易にPKF解除の議論につながっていくようなことがないように、私は意見として最後に申し添えておきたいと思います。  以上です。
  171. 塩田晋

    塩田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時五十二分散会