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1997-12-03 第141回国会 参議院 本会議 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年十二月三日(水曜日)    午前十時一分開議     —————————————議事日程 第八号   平成九年十二月三日    午前十時開議  第一 国務大臣報告に関する件(新たな「日   米防衛協力のための指針」の策定に関する報   告について)  第二 一般職職員給与に関する法律及び一   般職の任期付研究員の採用、給与及び勤務時   間の特例に関する法律の一部を改正する法律   案(内閣提出衆議院送付)  第三 特別職職員給与に関する法律の一部   を改正する法律案内閣提出衆議院送付)  第四 防衛庁職員給与等に関する法律の一   部を改正する法律案内閣提出衆議院送付   )  第五 裁判官の報酬等に関する法律の一部を改   正する法律案内閣提出衆議院送付)  第六 検察官の俸給等に関する法律の一部を改   正する法律案内閣提出衆議院送付)  第七介護保険法案(第百三十九回国会内閣提   出、第百四十回国会衆議院送付)  第八 介護保険法施行法案(第百三十九回国会   内閣提出、第百四十回国会衆議院送付)  第九 医療法の一部を改正する法律案(第百三   十九回国会内閣提出、第百四十回国会衆議院   送付)  第一〇 罰則の整備のための金融関係法律の一   部を改正する法律案内閣提出衆議院送付   )     ————————————— ○本日の会議に付した案件  一、日程第一  一、持株会社設立等禁止の解除に伴う金融   関係法律整備等に関する法律案及び銀行持   株会社の創設のための銀行等に係る合併手続   の特例等に関する法律案趣旨説明)  一、日程第二より日程第九まで  一、介護サービス基盤整備推進等に関する   決議案上野公成君外五名発議)(委員会審   査省略要求事件)  一、日程第一〇  一、国会議員の秘書の給与等に関する法律の一   部を改正する法律案衆議院提出)      —————・—————
  2. 斎藤十朗

    ○議長(斎藤十朗君) これより会議を開きます。  日程第一 国務大臣報告に関する件(新たな「日米防衛協力のための指針」の策定に関する報告について)  外務大臣から発言を求められております。発言を許します。小渕外務大臣。    〔国務大臣小渕恵三登壇拍手
  3. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 本年九月二十三日の日米安全保障協議委員会におきまして了承されました、新たな「日米防衛協力のための指針」につきましては、既に国会におきましても御議論いただいておりますが、ここで改めて基本的な考え方につきまして御報告申し上げます。  新たな指針におきましては、日米間における、「平素から行う協力」、「日本に対する武力攻撃に際しての対処行動等」及び「周辺事態」における協力、すなわち「日本周辺地域における事態日本の平和と安全に重要な影響を与える場合の協力」のあり方が示されております。  「平素から行う協力」におきましては、日米両国政府が、おのおの政策を基礎としつつ、日本防衛及びより安定した国際的な安全保障環境の構築のため、平素から密接な協力を維持することの重要性とそのための協力あり方について、まとめられております。  「日本に対する武力攻撃に際しての対処行動等」に関しては、まず、これが引き続き日米防衛協力中核的要素であることが確認されており、日本に対する武力攻撃が差し迫っている場合には、日米両国政府は、事態拡大を抑制するための措置をとるとともに、日本防衛のために必要な準備を行うことといたしております。  日本に対する武力攻撃がなされた場合には、基本的な考え方として、日本は、これに即応して主体的に行動し、極力早期にこれを排除し、その際、米国は、日本に対して適切に協力することといたしております。また、自衛隊及び米軍が、おのおの効果的な統合運用を行うこと等について言及しております。作戦構想については、統合運用重要性を踏まえ、各種作戦機能別に整理しており、新たな様相の脅威等への対応についても記述しております。  次に、「周辺事態」における協力については、まず、日米両国政府が、周辺事態発生防止のため、外交上のものを含め、あらゆる努力を行うこと、日米両国政府事態状況について共通認識に到達した場合に、おのおのの行う活動を効果的に調整すること、とられる措置情勢に応じて異なり得ること等を明記しております。周辺事態への対応については、日米両国政府が、おのおの判断に従って適切な措置をとり、適切な取り決めに従い、必要に応じて相互支援を行うことを明らかにしております。  これらの考え方を踏まえつつ、新たな指針は、周辺事態における協力を、日米両国政府おのおの主体的に行う活動における協力米軍活動に対する日本支援、及び運用面における日米協力に分類しております。さらに、これらの協力を行う可能性のある項目の例が四十項目にわたり別表に掲げられております。  以上のような内容の新たな指針におきましては、新たな指針及びそのもとでの取り組みが従うべき基本的な前提及び考え方として、日米安保条約及びその関連取り決めに基づく権利及び義務は変更されないこと、日本のすべての行為は、日本憲法上の制約の範囲内において行われるものであること、日米両国のすべての行為は、国際法基本原則及び国連憲章等に合致するものであること等がうたわれていることを改めて明確にしておきたいと思います。  新たな指針についての透明性確保することは、国内のみならず諸外国においても日米安保体制重要性に対する理解を深める上で重要であります。今後とも、中国韓国を初め関心を有する諸国に対しては、必要に応じ説明を行ってまいりたいと考えております。  日米間においては、新たな指針のもとでの日米間の共同作業を直ちに開始することで意見が一致しており、共同作戦計画及び相互協力計画についての検討等を進めてまいります。また、政府としては、新たな指針実効性確保することが我が国の平和と安全を確保するための態勢の充実を図る上で重要であるとの観点から、九月二十九日の閣議決定趣旨を踏まえ、関係省庁局長等会議場等を通じ、法的側面を含め、政府全体として具体的な施策について検討していくこととなります。  私は、新たな指針が、日米間の防衛協力をより一層効果的なものとし、日米安保体制信頼性をさらに向上させるものであると確信しております。  国民の皆様並びに議員各位の御支持と御協力を心からお願い申し上げます。(拍手)     —————————————
  4. 斎藤十朗

    ○議長(斎藤十朗君) ただいまの報告に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。板垣正君。    〔板垣正登壇拍手
  5. 板垣正

    板垣正君 私は、日米防衛協力のための指針について、自由民主党を代表して、総理初め関係大臣に若干の質問をいたします。  冷戦終結に伴う国際軍事情勢の変動、我が国国際社会における役割の増大といった諸状況の変化を踏まえて、昨年春に日米安保共同宣言が発表され、これを受けて、日米防衛協力のための指針、いわゆるガイドラインについて日米両国政府が一年以上集中的に真剣に取り組んだ成果について、冒頭、改めて評価の意を表したいと存じます。  しかしながら、ガイドライン具体化については、今スタート台に立ったばかりであり、国民を初め近隣諸国等、内外の理解を得ることから真剣に取り組んでいかなければならないことをまず強調いたします。  そのためには、第一に、二十一世紀における日本外交基本戦略アジア太平洋地域において平和と繁栄にいかに寄与していくかというグランドデザインを明確にし、積極的な対話を進めていかなければなりません。  総理は、日米安保体制意義の再確認作業に道筋をつけるとともに、新たにユーラシア外交を提唱し、ロシア中国との関係に新しい展開を見出したいと語っておられます。  中国との関係では、国交正常化二十五周年に当たり、相互理解対話強化協力関係拡大共通秩序形成の四原則を明らかにされ、交流強化の道を開き、対ロシア外交では、信頼相互利益長期的視点の三原則を掲げ、エリツィン大統領との会談で新たな日ロ関係展望を切り開く大きな一歩を踏み出されました。  また、総理は、さきには中東に飛び、また先日はAPEC出席など、今秋以来目覚ましい活動を展開してこられましたが、これらを踏まえて、現在の国際情勢をどのように認識し、いかなる新たな日本外交展望を持たれたのか、御所信をお伺いいたします。  次に、日米ガイドラインに関して申し上げます。  日米ガイドラインは、我が国有事対応について日米協力を確認するとともに、新たに我が国周辺事態における対米支援について合意を見たことは重要な意義を持つものであると考えます。それだけに論議の焦点となっているのは当然であります。  私は、日本が初めて米国同盟国として曲がりなりにも一つ独立性を持って米軍に対する支援協力を行うという意味で、まさに画期的な意義を強調したいと思います。  戦後、我が国は幸い平和に恵まれ、目覚ましい繁栄を遂げることができましたが、反面、自由と平和は水のごとく自然なものとする我が国独特の意識と風潮を生じ、国の防衛意識にも大きなゆがみが生まれたことは否めません。  しかし、いわゆる一国平和主義自国本位主義が通用しないことは、かっての湾岸戦争の経験や一九九四年の北朝鮮の核疑惑で緊迫した際、また、昨年春に中国台湾周辺海域において大規模な軍事演習を行ったときの我が国への影響が危惧された際にも、我が国として何の対応もなし得なかったことから深刻に体験したところであります。世界対話協調路線にあるとはいえ、特に東アジア情勢は依然不透明、不安定と申さねばなりません。  国際協調のキーワードは、第一に、一国の安全保障政策の原点は自国民安全確保に国が主体的に取り組むこと、第二に、冷戦後のグローバリゼーションのもとでは安全保障面でも国際社会で一定の役割を果たすことと考えます。日米安保体制アジア太平洋の安定のため不可欠であり、そのため、ガイドライン見直し周辺事態への対応は、我が国の平和への決意を具体的に表明するものとして位置づけられるものと考えます。  同盟関係の維持には、相互理解信頼が何よりも大切であります。米軍活動に対する日本支援、特に施設使用後方地域支援等関連して、戦争巻き込まれ論や日本の負担のみを強調する誤った論議も見られますが、ガイドライン日本安全保障上の国益にいかに寄与するか具体的に説明し、我が国もできるだけの協力を行う必要があることについて国民理解と幅広い支持を得るように努力せねばなりません。このことに関して、総理及び外務大臣の御見解をお願いいたします。  今後、最大の課題となる有事立法憲法関連についてお伺いいたします。  このガイドラインについては、個々協力項目について実効あらしめるために、共同作戦計画相互協力計画、新たな法整備検討が急がれるのであります。立法に当たっては、現行憲法の枠内で何ができるのか、十分検討する必要があることは当然であります。  例えば、日本周辺事態での後方地域支援における武器や弾薬の輸送について、政府は、戦闘地域一線を画した地域での協力であり、集団的自衛権行使には当たらないと述べています。この際、我が国協力するための条件としているいわゆる戦闘地域一線を画した地域を一体何を基準にだれが判断するのか。ハイテク作戦において戦況が急速に拡大するケースもあり得る中で、シビリアンコントロールを貫徹する必要がありますが、私は、これらのいわば机上プランが果たして現実作戦地域現実事態とそごを来すことがないか、憂慮するものであります。  軍事専門家見解によっても、例えば戦闘地域一線を画した地域といっても、千変万化の情勢において、現場の混乱は免れないということであります。政府として現行憲法なり従来の解釈を基準とすることは当然でありますが、今後の課題として、憲法そのもの論議を行う段階を迎えているのではないか。そのため、あえて率直に問題提起いたしたいと思います。  例えば、国際法によれば自国民保護のため自衛権行使が認められていますが、我が国憲法上認められません。また、集団的自衛権国連憲章にも安保条約でも確認されていますが、我が国は保有するが行使違憲とされていることは周知のとおりであります。集団的自衛権行使については改めて検討すべき問題であります。  また、憲法上、海外における武力行使武力威嚇禁止されていることは私も原則として認めるものであります。しかし、これに加えて、他への協力武力行使と一体であると客観的に認められるものは憲法上許されないとの平成二年の内閣法制局見解により、憲法武力行使武力威嚇ではない行為についても違憲判断される可能性があることになります。いずれにせよ、世界の常識に合致せず、我が国の平和と安全に影響を与える事態のもとで、かえって混乱被害をもたらすことが懸念されるのであります。  党派を超え、国会憲法調査委員会設置が推進されています。政府においても、将来を展望し、憲法調査会設置について検討すべきではないかと思いますが、総理見解をお伺いいたします。  有事法制の具体的な課題はいろいろありますが、その一つとして、民間空港、港湾の使用から保管施設確保等まで多岐に及ぶ米軍施設使用等に伴い、民間等協力を得るための法律も不可欠となるのであります。この場合、私権の制限にかかわる措置についてはその補償も十分に行うように配慮することが当然でありますが、米軍施設使用について地方公共団体民間協力がどうしても得られない場合、どのような対応考えられるのか。他にかわりになるものがない場合、単なる協力要請のみでは実効が担保されません。この点に関し、防衛庁長官方針を伺います。  先般、ガイドライン具体化について政府全体の取り組み体制閣議決定されましたが、法制化はどのようなスケジュールで進められるのか、防衛庁長官に伺います。  また、きょう、あしたの両日、カナダ首都オタワにおいて対人地雷全面禁止条約調印式が開かれ、外務大臣が出席されると伺っております。日本を含む百カ国以上が調印する見通しとなっていますが、主要国のうち米国中国、インド、パキスタンが参加せず、調印方針を表明したロシア調印の時期について明言を避けているなど、条約実効性に疑問も残るのではないかと懸念されます。世界世論が高まる中、条約実効性を高めるためイニシアチブを発揮すべきと考えますが、外務大臣決意を伺います。  さらに、在日米軍が貯蔵している地雷取り扱いについて方針がまだ決まっていないということでありますが、この問題を今後どのように処理されるのか、あわせて外務大臣にお伺いします。  また、自衛隊の保有する地雷処理に関して、我が国防衛への影響について懸念がありますが、防衛庁長官対処方針を伺います。  最後に、防衛庁の省への移行の問題についてお尋ねいたします。  この問題は、行革会議のテーマとして、また各党においてもそれぞれ検討されてきたところであります。国の防衛国家存立基本である以上、国家行政組織の上でふさわしい位置づけをすること、省への移行がこの機会に実現されることを強く期待いたします。  総理はこの問題についてぜひ御再考いただきたいと思います。または、安全保障会議において引き続き検討されるよう御高配をいただきたいと思います。このことについて改めてお願いし、総理の御見解を求めて私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣橋本龍太郎登壇拍手
  6. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 板垣議員にお答えを申し上げます。  まず第一に、国際情勢現状認識、また日本外交の今後の展望について所信を問われました。  私は、なお不安定要因を所々に残しながらも、相互依存が深まる現在の国際社会におきましては、自国の安全と繁栄世界全体の安定と繁栄に密接に結びついている、そのように考えております。そうした考え方のもとに、これまでの外交的な努力を踏まえながら、今後とも日米関係を基軸としながら、中国あるいはロシア韓国等との関係強化アジア太平洋地域における地域協力並び国連等の国際的な取り組みへの積極的な参画を進めてまいる考えであります。  殊に、今回のAPEC非公式首脳会合におきまして、ロシアがベトナム、ペルーと並び新たなメンバーとして明年からこれに加わることとなりました。これによりまして日米中ロといった国々殊さら肩ひじを張ることなく一堂に会する機会が持てるようになりますこと、これは将来に向けて大きな布石になると考えております。  次に、ガイドライン意義についてのお尋ねがございました。  この新しいガイドラインのもとでの作業、これはまさに新しい時代における効果的な日米防衛協力あり方を示し、日本の安全の確保及びアジア太平洋地域における平和と安定に貢献するものであります。今後とも、この点につきまして広く国民の御理解と御指示を得るよう努力をいたしてまいりたいと考えております。  次に、憲法調査会設置せよという御意見をいただきました。  憲法改正をめぐりましては、これまでも各方面からさまざまな御意見が出されておりますけれども、私は、憲法調査会といったものを内閣が組織いたしますには、少なくとも国民世論の成熟が必要であると思います。しかし、現在、国民の中で憲法改正について合意が形成されているとは考えておりません。したがって、現段階におきまして内閣として憲法調査会設置する考えは持っておりません。  最後に、防衛庁の省への昇格についてお尋ねがございました。  私としては、今回の中央省庁の再編に当たりましては、新たな業務の追加がないこと等から、防衛庁現状のまま庁としていきたいと判断をいたしました。  ただ、国を守るという任務の重要性を正しく認識すること、そしてそれに対してより大きな尊敬を払い、名誉をもって関係者を遇するという気持ちについては、私自身、人後に落ちるものではございません。ぜひ御理解をいただきたいと思います。  残余の質問につきましては、関係大臣から御答弁申し上げます。(拍手)    〔国務大臣小渕恵三登壇拍手
  7. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) お尋ねの第一点は、日米ガイドラインにつきまして国民理解と幅広い支持を得るべく努力すべきである、こういうことでございますが、まことにもっともなことだと思います。  現下、冷戦終結後もアジア太平洋地域には不安定要因が依然として存在をいたしておりまして、このため、この地域の平和と安全は日本の安全のために一層重要であることは申すまでもありません。このような新しい時代におけるより効果的な日米防衛協力関係を構築するために作成したのが今回の指針でございます。この指針につきまして、今後とも国民理解をより一層得られますように最善の努力を尽くしてまいりたいと思います。  第二の御質問は、対人地雷全面禁止条約実効性を高めるためのイニシアチブを発揮すべきだということでございます。  私、今日、カナダオタワに参りまして、この条約署名することとなりました。しかし、署名が終わったからすべてが終わるというものではありません。御指摘のように、まだこれに参加されない多くの国々もございますので、この点につきましては、普遍的かつ実効的な対人地雷禁止を目指して、今後ジュネーブ軍縮会議、ここにおきまして早期条約交渉を開始すべく関係各国に働きかけてまいりたいと思っております。  第三に、在日米軍の貯蔵している地雷取り扱いにつきましてお尋ねがございました。  対人地雷全面禁止条約の詳細につきましては、NATO諸国を含む各国考え方も踏まえつつ、今後検討していくことになりますが、実は在日米軍が保有している装備、物資につきましては、政府としてはこれをすべて承知いたしておるわけでございませんが、御質問の点につきましては、十分これを配慮し、いずれにしても種々の要素を勘案して適切に対処いたしてまいりたいと思っております。(拍手)    〔国務大臣久間章生登壇拍手
  8. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 板垣議員の御質問にお答え申し上げます。  まず、民間等協力を得るための法整備についてのお尋ねでございますが、新指針実効性確保するとの観点から、九月二十九日の閣議決定趣旨を踏まえ、現在、法的側面を含めて、具体的な施策につきまして検討しているところであり、地方公共団体民間事業者による協力をいかなる方法により確保していくかにつきましても検討していく考えでございます。  次に、法制化スケジュールについてのお尋ねでございますけれども、政府としては、法的側面を含めた新指針実効性確保のための検討作業を可能な限り速やかに取り進め、所要の措置を講ずることが重要であると考えております。しかしながら、かかる検討作業につきましては、その内容が極めて広範多岐なものとなることから、現時点において検討作業スケジュールを具体的に示すことは困難でございます。  次に、対人地雷全面禁止条約署名後の我が国防衛についてのお尋ねでございますけれども、防衛庁としては、対人地雷全面禁止条約への署名閣議決定されましたことを受けまして、条約上の対人地雷に該当せず、一般市民被害を与えるおそれのない対人地雷代替手段の導入が必要との観点から、かかる代替手段検討を早急に進めることにより、我が国防衛に万全を期すように努めていく考えでございます。  なお、代替手段装備化までの間におきましては、要員が目標を視認して作動するように設計されました指向性散弾使用すること等により、我が国防衛上必要な対応を行ってまいりたいと考えております。(拍手)     —————————————
  9. 斎藤十朗

    ○議長(斎藤十朗君) 山崎力君。    〔山崎力登壇拍手
  10. 山崎力

    山崎力君 私は、平成会を代表いたしまして、ただいま政府より報告のありました日米防衛協力の新たな指針、いわゆる新ガイドラインについて橋本総理見解を伺うものであります。  まず、今回の指針は、およそ二十年も前の昭和五十三年に策定された従来の指針のうち、その中で単なる検討項目だけ示されていた「日本以外の極東における事態日本の安全に重要な影響を与える場合の日米間の協力」、いわゆる第三項の具体化と言ってもよろしかろうと思うのであります。  そこで、この新ガイドラインヘの私の率直な第一印象を言わせていただきます。個々内容の是非はともかくとして、今後の防衛方針の重大な進路決定に関する今回の問題でありながらも、法治国家であるとされながら我が国の宿痾とも言うべき法に対する基本認識の欠如が見られると言わざるを得ないのであります。  さらに、現橋本政権さき村山政権で特に目立ってきた懸案先送りとせっぱ詰まってからの泥縄式対応との感がぬぐい切れません。本質論技術論へのすりかえも見られ、そうした結果、政策、理念、立法上の一貫性がここでも感じられないのであります。  もとより、日米防衛協力実効性を高めるために新指針が全く役立たないと言っているのではありません。むしろ、意義ある一歩前進とさえ思っております。とはいえ、この策定に関する関係者努力は多とするも、残念ながら本質的課題に目をつむったままの小手先の感がするのであります。  私がかって最も不得意とし、悪夢であった数学を例にとれば、曲面上の問題であるにもかかわらず、無理やり平面とみなしてユークリッド幾何学の定理をもって問題を解こうとするのに似て、その努力にもかかわらず解答につじつまの合わない部分が次々と出てくる、そうした感が否めないのであります。順次、総理の所見を伺ってまいります。  第一に、法体系上の問題であります。緊急は法を持たないとの法格言はありますが、予測し得る事態にはなるべく事前に法整備を行おうとするのが法治主義の一つ原則であります。同時に、法体系整備を通じてその一貫した理念を明らかにして、既成法規で対応できない事例に対し、新規立法や類推解釈をするのが近代法治国家運営の要請のはずであります。今回の新指針に関して言えば、可能な限り、関係者、特に自衛隊がいわゆる超法規的行動をとらなくてもよいようにする、そういった法整備をすることが必要なはずですが、その点がどうも見えてこないのであります。  一国の安全保障政策とそれを裏打ちする法体系整備は、法治国家としての義務だと思います。その手順は、まず、独立国家日本防衛安全保障あり方を法定すべきだと考えます。その点、国家の緊急時に対応する法体系は、政府自身が認めるがごとく整備されたものとはなっておりません。現実にも阪神・淡路大震災の混乱で証明されております。  そうした緊急事態対応法体系を整えた上で、次いでその理念に基づいて、我が国並びに世界現状から、他国、具体的に言えば米国との防衛関係はいかにあるべきか、あるいは国連との協力関係をどうするかといった法や条約整備に当たり、その次に初めて今回のいわゆる我が国の領土、領海外の周辺事態における協力をどうするかといった手順であるべきだと思うのであります。  ところが、政府自身が認めるように、旧ガイドラインから二十年近くたった現在も我が国一国で対応すべき法体系すらいまだ研究はしても未整備であり、懸案先送りの結果であります。その上、今回の新ガイドラインから、逆に国内法上の問題点を洗い出し、立法をしょうとしております。まさに作業手順が逆、本末転倒の立法作業と言わざるを得ません。悪く言えば、対米通商問題でよく言われた、いわゆる外圧を利用した立法作業とも言えると思うのですが、その点、総理の御認識を伺います。  第二に、単に立法作業の手順の問題だけではないという点です。最高法規としての憲法があり、それに違背した法律等は認められません。そしてその是非はともかく、我が日本憲法では、集団的自衛権はあるがその行使は認められない、事実上はないとの奇異な解釈を政府はしており、さらに国の交戦権は認めないと規定されている、世界的にも異質な内容となっております。  言うまでもなく、国家の自衛権、個人の正当防衛権は天賦の権利と言うべき生存権を担保する権利であり、何者も否定する性格のものではありません。そういえば、国家としての自衛権はあるがその具体的担保装置は認められない、事実上はないとの集団的自衛権に関する政府見解そっくりの学説が存在し、それを党是とした有力政党がつい先日まで存在し、それが何の論議説明もないまま一夜にして撤回、政権におさまるという事態があったことは記憶に新しいところであります。さらに、日米安保条約自体、前文で、国連憲章に定める「集団的自衛の固有の権利を有していることを確認し、」となっているなど、そもそも集団的自衛権の扱いは釈然としない内容になっております。  これらの点に関連して、まず、今回の指針による周辺地域における対米協力日米安保条約のどこに根拠を置く約束なのかという疑問があります。もし単に他の協定等も含めたいわば全体的文脈からというのであれば、事の性格上少しく拡張解釈に過ぎると思うのですが、総理見解はいかがでございましょうか。  日米安保条約を見るとき、政府見解は、大づかみに言えば、日本の義務は基地提供義務のみの片務性ゆえに集団的自衛権行使には当たらないとのことではありますが、安保条約のいわゆる六条事態における米軍の基地使用、特に当然事前協議の対象となるとは思いますが、直接出撃の基地使用を許すこと自体が集団的自衛権行使と受け取られることは国際的な常識と思うのですが、いかがでしょうか。  そして、我が国自体にいまだ攻撃のない状況下で、米軍の直接出撃を許す六条事態が、集団的自衛権を否定し、交戦権を否定する憲法解釈下で許される理由をあわせてお尋ねいたします。  この交戦権否定の件で言えば、今回の指針は明らかに従来の安保条約で約束していた義務をより一歩進めた、領土領海外の周辺地域での防衛協力を約束しております。いわゆる武力行使一体化論を絡めて、新ガイドライン協力内容憲法の許す範囲内にあるとはこの件に関する政府説明のいわば口癖でありますが、そもそも交戦権を否定した憲法下において、どの程度、領土領海外で軍事協力が可能なのか、軍事行動ができるかという、諸外国には例のない法的吟味が必要であり、その内容をまず国民に明らかにした上での範囲内であって、論の立て方がここでも逆であります。  この交戦権の初歩的問題として、我が国が不幸、交戦に至った場合、みずからの交戦権を否定している日本国が相手国の交戦権を認めるかどうかという問題があります。もし認めるなら、何ゆえみずから認めない権利をいわば敵国に認めるのかとの論拠を明らかにすべきだと思います。もし認めないとすれば、特に領土領海内に侵入した相手戦力は、国際法上無法の存在、制服は着ていても一国の兵士とは言えず、ジュネーブ条約の戦時捕虜に当たらない、いわば海賊、山賊のたぐいの犯罪者ということになります。そのように対応することが果たして適当かどうか、いかがでしょうか。言葉をかえれば、日本に侵入したいわゆる敵国兵に対する取り扱い法規があるかどうか。もしないならばその理由、どう対処するつもりなのかをお尋ねいたします。  第三に、国連との関係であります。日米安保条約自体、国連あるいは国連憲章の目的や原則を尊重することがまず前文でうたわれております。そして国連軍による戦闘行為が、まさにさきの大戦後我が国の周辺で発生し、しかもその戦争はいまだ休戦状態にあります。そしてその際に我が国は国連軍に対し協力する地位協定が策定され、現在も存続しているはずです。まただれもが、今回の指針が役立つ不幸な事態一つにその休戦協定が破られた事態を想定していると思うのであります。  その際、国連軍への協力をどうするか、国連の旗のもとの米軍に新ガイドライン協力ができるのかどうか、また米国と国連の二重の籍を持つ形となる米軍はともかく、他の国の国連軍に新ガイドラインはどう対応するのか。いわば一体となって行動する国連軍に、一方は米国兵だから救助等協力しまずけれども、他方は違うから救助できませんといった行為が許されるのかどうか。もし、国連軍対応を想定していない、休戦協定破棄の事態を想定していないというのであれば、それこそ国際常識から見て何のための今回の策定作業かと言うべきでありましょう。お考えを伺います。  第四に、今回の指針の具体例として、いわゆる臨検についてお伺いします。  これはまさに交戦権の一つとして国際法上認められている行為の典型例であり、政府がいかに弁明しようとも、我が国においては違憲の疑いの最も強い協力行為と言えます。だからこそ、この問題に関してのみ、国連との絡みの表現をとることによって、国の交戦権否定を国連の交戦権への参加というすりかえた形で切り抜けようとしているとしか思えないのでありますが、いかがでしょうか。  また、そこまで考えるなら、米軍への協力のみならず国連軍への協力、少なくとも新ガイドラインを準用するという考え方はないかどうか、お尋ねいたします。  いずれにしろ、今、新ガイドラインの賛否、是非はともかく、今回の指針が従来の日米安全保障条約上の確定解釈されていた義務から一歩踏み出した行動をとることを米国側に日本政府として約束したことは確かだと思います。であるとすれば、やはり今後の国内法整備の際にというこそくな方法ではなく、この新ガイドライン自体の国会での審議を深め、承認案件とすることの方が妥当であると考えます。憲法を初めとする関係法体系の再吟味とあわせ、その方がむしろ日本国の安全保障への考え方国民に、ひいては諸外国により理解してもらえると思うのでありますが、総理はこの点についてどのようにお考えでしょうか。  論は飛ぶようですが、橋本総理は後楽園と呼ばれる大名庭園が二カ所あることを御存じだと思います。一つは、総理の郷里岡山の烏城にある名園であり、もう一つは一般的には東京ドーム、後楽園球場の名で知られておりますが、これは隣接する旧水戸藩上屋敷の小石川後楽園の名をかりたものであります。いずれも中国の宋代の古典「岳陽楼記」の中にある為政者の心構えを示す言葉として名言とされる「先憂後楽」からとられたとされております。その「先憂後楽」の話を導く形での文節、「廟堂の高きに居ては、則ち其の民を憂え、江湖の遠きに処りては、則ち其の君を憂う。是れ進むも亦憂え、退くも亦憂う。」を思い出すのであります。  橋本総理、あなたはまさに今、廟堂の最も高みにおられます。今回の新ガイドライン関連で言えば、先日、総理みずから相模湾上で観閲した自衛隊員を初め、万一の際に命をかけて事に当たる江湖の人々に命を下す最高責任者であります。その万一の場合を憂えずしてよしとするならば、指針はもとより、日米安全保障条約自衛隊員の厳しい訓練も、自衛隊防衛庁自体必要ないわけであります。  失礼を承知の上でお尋ねします。総理にそうした立場にある自覚がおありでしょうか。もしあるとするならば、何ゆえ、今話題の、今後のあるべき行政を形で示すと意気込まれている省庁統合問題において防衛庁の省への昇格に関して否定的な態度をとられるのでしょうか。  その点に関して総理の存念をお伺いして、私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣橋本龍太郎登壇拍手
  11. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 山崎議員にお答えを申し上げます。  まず、安保政策法体系整備についてのお尋ねがございました。  この指針は、新たな時代日米防衛協力あり方の一般的な大枠や方向性を示すものであります。指針は、政府立法、予算、行政上の措置をとることを義務づけるものではございませんが、政府としては、緊急事態対応策の検討状況なども考慮しながら、今後、必要かっ適切と考え措置をとる考えでありまして、本末転倒あるいは外圧利用といった御批判は当たらないものと私は思います。  次に、周辺事態における協力の根拠についてお尋ねがありました。  日本の平和と安全に重要な影響を与える周辺事態対応する米軍への協力は、日米安保条約またはその関連取り決めの具体的な規定に直接の根拠を置くもの以外も含まれますが、日本と極東の平和及び安全の維持という同条約の目的に合致するものであります。  次に、安保条約集団的自衛権などの関係についてのお尋ねがございました。  日米安全保障条約及びその関連取り決めに基づく日本国から行われる米軍の戦闘作戦行動のための基地としての施設・区域の使用について応諾を与えることは、実力の行使には当たらず、我が国憲法の禁ずる集団的自衛権行使には当たりません。  また、交戦権、ジュネーブ条約等についてのお尋ねがございました。  国の交戦権については、我が国憲法はこれを認めない旨を規定いたしておりますが、我が国憲法の認める自衛権を行使するに当たりまして、ジュネーブ条約を含む国際法を遵守すべきことは当然でありますし、このことは自衛隊法にも規定されているとおりであります。  次に、国連軍に対する協力についてのお尋ねがございました。  御指摘のような休戦協定が破られたといった仮定の質問にはお答えをすべきではないと思います。指針は、国連軍に対して協力を行うことを想定して策定されたものではございませんけれども、国連の活動に対する協力にも配慮いたしております。いずれにせよ、我が国は国連に対する協力につきましても引き続き米国と密接に協議、協力してまいります。  次に、船舶の検査、国連軍への協力についてのお尋ねがございました。  我が国が行うことを想定している船舶の検査は、国連安保理決議に基づく集団安全保障措置でありまして、交戦国の国際法上の権利の行使ではございません。また、指針は、国連軍に対する協力を想定して策定されてはおりません。今申し上げたとおりであります。国連の活動への協力にも配慮しており、対国連協力につきましても引き続き、先ほども申し上げたとおり、米国と緊密に協議、協力をいたしてまいります。  次に、ガイドライン国会承認についてのお尋ねがございました。  指針に係る国会での御議論に政府協力していくことは当然であります。しかし、指針条約ではございませんので国会承認の対象にはなりません。他方、今後の作業を踏まえ、法律の制定、改定等が必要な場合、当然国会にお諮りをしなければなりません。指針については、内外に対し透明性確保することが重要であり、今後とも必要に応じ内外に御説明をいたしてまいります。  次に、防衛庁を省とする問題について、私の所見をお尋ねになりました。  先刻もお答えを申し上げましたけれども、私自身、国を守るという任務の重要性認識していること、より大きな尊敬を払い、名誉をもって関係者を遇するべきであるという気持ちは人後に落ちるつもりはありません。しかし、内閣総理大臣たる私が自衛隊の最高指揮監督権を有していることは法制上当然でありますが、私としては、今回の中央省庁の再編に当たりましては、新たな業務の追加がないこと等から防衛庁現状どおりの庁のままとしたいと、そう判断をいたしました。     —————————————
  12. 斎藤十朗

    ○議長(斎藤十朗君) 一井淳治君。    〔一井淳治君登壇拍手
  13. 一井淳治

    ○一井淳治君 私は、日米防衛協力のための指針策定に関する報告について、民主党・新緑風会を代表して質問いたします。  まず、指針は、アジアの平和に向けての我が国あり方憲法にかかわる重要なことでありますから、防衛協力小委員会での日米の官僚の作業にゆだねるのではなく、政治主導で、特に日本側の要求を積極的に盛り込むように、日本側の主体性を持って取り組むべきは当然であります。私たちは、中間報告の前の段階からこの点を非常に憂慮して、五月に発表した民主党の日米防衛協力指針の見直しに関する基本方針においても、ガイドラインは主体的に整理さるべきものであり、ただ単に米国からの要請にこたえるという受け身の姿勢で対応すべきでないということを強く主張してきました。  しかし、中間報告はもとより、最終報告の中身も日本が主体性を持って取り組んだ成果だとは到底言えません。防衛庁長官は、この報告書の取りまとめの要所要所の局面で日米防衛協力小委員会にどのような指示を出してこられたのでしょうか。  新ガイドラインは、一九七八年のガイドラインにない周辺事態日米防衛協力を四十項目挙げておりますが、例えば米軍将兵のための民間病院の使用と入院患者の転院などの可能性が排除できません。民間協力をも対象に含ませることによる市民生活の安全と安心への影響総理はどのように見てガイドライン見直しを進めてこられたのでしょうか。  また、外国で生活する邦人の救出という極めて重要な事項について、アメリカからの十分な取りつけが得られなかったと考えるのでありますが、これはどのように確保されているのでしょうか。総理並びに防衛庁長官にお伺いいたします。  日米防衛協力において、日本の主体性を確保する手段として極めて重要なのが日米安保条約第六条の実施に関する交換公文で確認された事前協議制であります。新ガイドライン周辺事態は、地理的なものではなく事態の性質に着目したものという極めてあいまいな概念になっております。だれが周辺事態と認定し、どんな事態となれば日米防衛協力が動き出すのでしょうか。日本はノーと言えますか。アメリカの戦争に日本が自動的に参戦する仕組みになってはなりません。しかし、事前協議が形骸化しているため、我々は大変不安に駆られてきた経験を持っております。  しかし、政府は、ガイドライン見直しにおいて事前協議制を検討の対象外といたしました。今回真っ先に取り組まなければならない事柄を、なぜ、そしてだれが、どのような理由のもとに今回のガイドライン見直しの対象外としたのでしょうか。そして、以上述べた国民の不安が現実に起きるのではないか。事前協議をどのようにして具体的に確保されるのか、外務大臣の御見解をお伺いいたします。  新ガイドラインは、冷戦後の新たな安全保障上の課題への対応の一環として着手されたわけでありますが、冷戦後のより安定した安全保障環境について、具体的にどのようなビジョンを総理はお持ちでありましょうか。  私たち、とりわけ民主党は、結党以来、歴史認識に基づいた積極的なアジア太平洋外交の展開を重視してまいりました。ガイドライン見直しに対し、韓国も懐疑的な見方をし、中国に至っては懸念を隠しません。近隣諸国理解を得るためにも、アジアの平和をどのようにして確立していくのでしょうか。そして、近隣諸国との間で平和、友好について、将来どのような状態をつくり上げようとされるのか。日本外交の目標や戦略、我が国と近隣諸国との未来像をお示しいただきたいと思いますが、外務大臣にお伺いいたします。  また、このガイドラインに周辺諸国が懸念を持ち、多くの人たちが不安を持つのも、日米安保条約の枠を超えているからであります。  最終報告は、ガイドライン基本的な前提及び考え方として、日米安保条約及びその関連取り決めに基づく権利及び義務並びに日米同盟関係基本的な枠組みは変更されないものであるとしています。しかし、安保条約のどの条項にも周辺事態協力する根拠はありません。四十項目周辺事態に及ぶ協力内容は、明らかに日米安保条約第六条やその他の条項に規定された枠組みを超えるものであります。憲法に照らしても、これまでできないとされていた後方支援に関して、このガイドラインはできる部分があるとの解釈をしたものです。国会の承認を要する安保条約に規定されていないところをガイドラインで決めるということはできないのではないでしょうか。なぜ正々堂々と安保条約の改定を国民の前に示されないのでしょうか。総理の明確な答弁をお願いいたします。  私たちは、以上述べたように、新ガイドラインは政治的にも非常に重要な内容でありますから、国会承認事項にすべきであると主張し政府に求めています。さらに、これに加えて、事態の発生のたびに周辺事態の決定などについては、事前、もし緊急を要する場合であれば事後の国会承認事項にする必要があると主張しています。  先ほど指摘いたしましたように、周辺事態の対米協力を、いつ、どの時点で、だれが決定するのかが明確にされていないことにかんがみますと、個別ケースの国会承認は事前協議制の拡充とあわせて行政の暴走を防ぐ有効なチェック機能となるのです。総理見解を伺います。  九月二十三日の日米安全保障協議委員会終了後に発表された共同声明で、「最終報告は、米軍駐留に伴う沖縄の人々の負担を軽減するために、沖縄における米軍施設・区域を整理、統合、縮小し、また、沖縄における米軍活動に係る手続きを調整することを目的とする計画及び措置を含むものである。」と指摘しております。  民主党は、日米防衛協力の見直し作業が、在日米軍、特に在沖縄海兵隊の後方配備を可能とするような日本側の各種協力措置を講じることをあわせて追求することによって、沖縄の米軍基地の整理縮小に資するものにすべきであるとの見解を五月に出しています。これを追求することによって、ガイドライン策定する真の意義日本にとって出てくるのだと考えます。  総理ガイドラインに関する国内体制を整備されるのとあわせて、沖縄の海兵隊の後方配備をも追求すべきであると考えますが、いかがでしょうか。  そして、国民が最も不安に思っている集団的自衛権行使についての憲法解釈に関し、今後とも政府は変更しないのか確認させていただきたく、総理の御見解をお伺いいたします。  最後に、国民に対し情報公開を進めるだけでなく、周辺諸国に対しても透明性確保すること、アジア太平洋の安定を確保するための戦略や未来像を内外にはっきりと示すこと、対米従属でなく主体的に多角的な安全保障信頼醸成を図っていくこと、さらには、軍備の近代化が進むアジアでの軍縮の達成に向け努力され、このガイドラインが結果として利用されることなく終わるよう、その方向での御努力を傾注されることを要望申し上げまして、私の代表質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣橋本龍太郎登壇拍手
  14. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 一井議員にお答えを申し上げます。  まず、ガイドライン見直し作業において、日本側の要求を盛り込んだのかというお尋ねがありました。  新指針協力項目は、より効果的な日米防衛協力のために必要かつ適切であると日米両国政府判断したものであります。具体的な協力あり方につきましては今後検討してまいりますが、民間からの協力を得るに際しましては、その与える影響等についても十分考慮してまいります。  次に、邦人救出についてのお尋ねがございました。  新たな指針におきましては、日米両国政府は、それぞれが適切であると判断する場合には、それぞれの非戦闘員の退避に関し、計画に際して調整し、実施に際して協力することが明記されました。今後は、日米が密接に協力しつつ実施することがこの活動実効性を高める、そうした観点から相互協力計画についての検討等の過程で議論をしてまいります。  次に、冷戦後のより安定した安全保障環境についてお尋ねがございました。  アジア太平洋地域には、冷戦後も依然として不安定性及び不確実性が存在しております。今後とも地域の安定を確保していくためには、日米安保体制を堅持し、その信頼性を高めるとともに、域内諸国間における信頼醸成を促進させることを通じまして、地域安全保障環境を向上させていくことが重要だと考えております。  今回、さまざまな意見がありましたが、APECの中にロシアを重要な役割を担うパートナーとして迎え入れましたのも、そうした判断がその中の一つのポイントであることを御理解いただきたいと存じます。  次に、新指針安保条約との関係についてお尋ねがございました。  周辺事態における種々の日米協力は、日本及び極東の平和と安全の維持という日米安保条約の目的に合致するものであります。また、新指針のもとにおきまして、日米安保条約及びその関連取り決めに基づく権利、義務並びに日米同盟関係基本的な枠組みが変更されないことは、新指針基本的な前提及び考え方で明確にお示しをしているとおりであります。  次に、国会承認についての御意見がございました。  指針は、政府立法、予算、行政上の措置をとることを義務づけるものではなく、国会の承認の対象となる文書ではありませんが、今後の作業を踏まえ、法律の制定、改正等が必要な場合には当然のことながら国会にお諮りをしなければなりません。また、周辺事態において我が国活動を行います場合にはしかるべき手続が必要だと考えますが、その時々の国内法令に従うことは当然であります。  次に、沖縄海兵隊の後方配備についての御意見がございました。  在沖縄の海兵隊を初めとする在日米軍につきましては、その存在自体が目に見える形での抑止機能を有していることにかんがみれば、現時点で在沖縄の海兵隊の我が国からの移駐を求めることは不適切だと考えております。同時に、在日米軍の兵力構成を含む軍事態勢や防衛政策につきましては、緊密な日米協議を継続いたします。  最後に、集団的自衛権についての憲法解釈についてお尋ねがありました。  政府は、従来から一貫して、集団的自衛権行使は、我が国防衛するための必要最小限度の範囲を超えるものとして憲法上許されないと解しており、このような政府見解に何ら変更はございません。  残ります問題につきましては、関係大臣から御答弁をいたします。(拍手)    〔国務大臣小渕恵三登壇拍手
  15. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 一井議員にお答え申し上げます。  いわゆる周辺事態をだれが認定し、どういう事態になれば日米防衛協力が動き出すか、こういう第一問であります。  ある事態周辺事態に当たるか否かは、日米おのおの主体的に判断いたします。他方、このような事態に際して、日米間で情報交換、政策協議を一層緊密に行いまして、日米共通認識に到達するための努力を払うことになっております。いかなる事態周辺事態に該当するかは、事態の態様、規模等を総合的に勘案して判断することとなると思います。  周辺事態におきまして、我が国後方地域支援等協力を行うか否か、また、いかなる協力を行うかは、我が国の国益確保の見地から主体的に判断いたしてまいりたいと思います。  第二のお尋ねは、ガイドライン見直しに際して事前協議制の検討対象外になぜしたか、こういうお尋ねでありますが、新たな指針及びそのもとでの作業は、日米安保条約及び関連取り決めに基づく権利及び義務は変更しないことを前提といたしておるものでありまして、政府といたしましては、日米安保条約第六条にいう事前協議に関する法的枠組みは変更することはないと考えております。  事前協議がこれまで一度も行われておりませんのは、安保条約締結以来、事前協議を行わなければならないような事態が今まで起こらなかったものでありまして、日米安保体制の抑止力が有効に機能してきた証左であると考えております。  第三のお尋ねは、このガイドラインの見直しにつきまして近隣諸国理解を得るためにアジアの平和をどのように確立していくかということでございますが、我が国は、アジア近隣諸国との友好関係の増進、各種の地域協力への参画を通じまして、この地域の平和と繁栄に積極的に役割を果たすことの必要性を考えておりまして、これまでもこのような方針で取り組んできております。  今後とも、日米安保体制を堅持しつつ、域内各国信頼感を高めるため、政治、安保分野での対話協力を推進するとの観点から、ASEAN地域フォーラムを初めとする各種の安全保障対話地域協力を引き続き推進していく考えでございます。(拍手)    〔国務大臣久間章生登壇拍手
  16. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 一井議員の御質問にお答え申し上げます。  新指針策定に至る経緯についてのお尋ねでございますが、指針見直しの作業は、新しい時代におけるより効果的な日米防衛協力関係を構築するとの観点から、私もメンバーとなっている日米安全保障協議委員会の指示のもとに、日米防衛協力小委員会等の場において検討を行ってきたものでございます。  本検討作業は、日米両国がそれぞれ主体性を持って行ってきた共同の作業であり、ただ単に米側からの要請にこたえるという受動的な立場で検討を行ってきたものではございません。  なお、指針策定に至るまでの日米協議の個々内容について、コメントすることは差し控えさせていただきたいと思います。  また、邦人救出についてのお尋ねでございましたが、これは先ほど総理から御答弁がありましたとおりでございます。(拍手)     —————————————
  17. 斎藤十朗

    ○議長(斎藤十朗君) 大脇雅子君。    〔大脇雅子君登壇拍手
  18. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 私は、社会民主党・護憲連合を代表して、ただいまの新たな日米防衛協力のための指針策定に関する報告関連して、総理並びに関係大臣に対し質問をいたします。  今回の新たなガイドラインは、冷戦時代にも増して日本の対米軍事コミットメントが深められております。しかし、この問題と国際連合平和維持活動や人道的国際救援活動、大規模災害の緊急救済活動は、本来、別枠で考えるべき問題ではないでしょうか。これを同一次元で議論することは、新たなガイドラインをめぐる論議混乱させ、ガイドラインの本質と危険性を見失わせることとなる点に注意を喚起したいと思います。  今回のガイドラインの特色の第一は、これまで日本に対する武力攻撃における対処行動を中心に、日本以外の極東における事態に際しての日米協力についての必要性を説いていた安保条約第五条、第六条の枠組みから、日本周辺地域における事態日本の平和と安全に重大な影響を与える場合、いわゆる周辺事態において日本米軍に対する積極的な協力取り決めたもので、その地域アジア太平洋地域へと拡大していることであります。その具体的範囲は極めてあいまいであり、安保条約の実質的改変とも言えるものであります。周辺地域安保条約の枠組み内であれば極東に限局すべきであります。  橋本首相は、中国訪問の際、二つの中国や台湾の独立を支持することは今後ともあり得ないと表明されていますが、なお中国やシンガポールなどは周辺事態に台湾の紛争を含むことに懸念を表明しております。一九七二年九月二十九日の日中共同声明及び一九七八年十月二十三日に効力が発生した日中平和友好条約を尊重する立場に立ては、日本は台湾関係法を持つ米国と根本的に立場を異にし、仮に台湾において紛争が起きたとしても、台湾における紛争は中国の国内問題として扱い、周辺地域には台湾を含めるべきではないと考えます。  また、新たなガイドラインが朝鮮有事を想定していると言われることと関連して、与党訪朝団の成果も踏まえて、朝鮮民主主義人民共和国との国交の正常化を年内にレールに乗せるべきであります。総理外務大臣の御見解を求めるものであります。  第二は、新たなガイドラインにおける周辺事態の発生の認定システムについてであります。認定は日米両国の主体的判断に基づくと強調されていますが、そのシステムが制度的に確立され、実際に日本がノーと言える選択が可能でなければなりません。米国地域戦略とアジアで生きる日本の国益が一致するとは限らないからです。米国は事前の協議に明らかにネガティブであります。包括システムや調整メカニズムとは別に、事前の協議を行う認定システムと国会の関与が必要だと考えます。こうした制度はどのように構築されますか。現在、いかなる機関で、どのように検討されているか、総理お尋ねいたします。  第三に、新たなガイドラインの四十項目の実施と運用についての国内法の整備は、一括立法として検討が開始されたと報道されています。いつまでに立法化が図られるのか、法形式は沖縄の特別措置法類似のものとなるのか、また、それ以上に罰則を持った強いものになるのか、総理お尋ねいたします。  具体的には、次の諸点が憲法とのかかわりで問題になると思います。  第一に、船舶の臨検は、憲法の範囲内であれば強制的には刑法上の現行犯を除き捜査令状なしにはできないのですから、原則としてできず、武器の携帯はできないと考えますが、いかがでしょうか。  第二に、武器・弾薬の補給は憲法上許されず、特に公海上における米艦船に対する武器・弾薬の海上輸送及び整備については、武力行使と一体化し、集団自衛権の行使とみなされると考えますが、いかがでしょうか。  第三に、公海上の機雷の除去や捜索・救難は戦闘地域一線を画する地域で行われるとされておりますが、戦闘地域の定義はどのようなものでしょうか。その判断者はだれでしょうか。また、一夜にして戦闘地域となった場合は撤収するのでしょうか。  第四に、周辺有事の際、米軍または自衛隊が空港、港湾、病院等の民間施設を利用することについて、憲法二十九条の財産権保障との関連をどう解するのか。いわゆる徴用は憲法上できないと考えますが、どのような立法を予定しているのでしょうか。総理防衛庁長官お尋ねいたします。  なお、外務大臣は国連平和維持軍、PKFへの参加凍結の解除をしていくべきだとテレビで語ったと報道されていますが、そのように発言されているのでしょうか。真意をお尋ねいたします。  最後に、冷戦終結し、世界史的に見ると、軍事を抑止力とした構造から、現実日本憲法の精神や理念、すなわち平和主義の方向に大きく近づきつつあります。アジア太平洋地域の平和と安定を守り、軍縮を推進し、周辺事態を発生させないためには、まず日本関係諸国との対話外交を積極的に展開し、ASEAN地域フォーラムの強化充実のみならず、東北アジアにおける日米中ロを加えた多国間の地域安全保障の枠組みづくりの具体化に取り組む必要があります。そこに韓国と朝鮮民主主義人民共和国を加えて枠組みづくりをする必要があります。  民間の有識者、報道関係者や文化、スポーツの交流など多層かつ多角的な交流を促進すること、人口、食糧、環境、経済、人権など、非軍事的な側面の協力関係を構築すること、軍縮に向けて核兵器の登録リストをつくるなど、軍備の透明化を図り、管理手段についての協議機関を設けることによって行うことを提案したいと思います。そうした信頼醸成措置のもとでこそ、アジアの不安定要因を取り除き、平和のための新しい秩序づくりに日本イニシアチブをとることができるのではないでしょうか。こうした東北アジアにおける地域安全保障機構を設立するお考えはありませんか。総理大臣に御所見を伺います。  また、中国米国がより協調関係を密にし、朝鮮半島が統一されたときには、日米安全保障条約の存在がアジアにおける反日ナショナリズムを台頭させる危惧を持つものであります。二国間軍事同盟は、これまでの長い歴史を見ると、常に時代の一時期に限局されてきました。そのことを踏まえれば、国境を越えた経済、文化の相互交流と依存がますます深まる中で、新しいガイドラインをめぐる再びの交渉が近い将来必ずや必要になるときが来ると思います。  総理に御見解を伺って、私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣橋本龍太郎登壇拍手
  19. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 大脇議員にお答えを申し上げます。  まず、周辺地域についてのお尋ねがございました。  繰り返し申し上げておりますように、指針は特定の国や地域における事態を議論して策定したものではなく、また日本周辺地域というものを地理的に一概に画することはできません。我が国は台湾をめぐる問題の関係当事者間の話し合いによる平和的解決を強く希望しておりますし、また日朝双方の政府間におきましては既に国交正常化交渉第九回本会議をできるだけ早期に開催することで意見が一致をいたしております。  また、周辺事態の認定についてのお尋ねがございました。  ある事態周辺事態に該当するかどうか、これは日米両国政府がそれぞれに主体的に判断するものであり、ある事態周辺事態であるかどうかの判断をどのような形で行うべきかにつきましては、政府部内で検討してまいる考えであります。  次に、国内法整備についてのお尋ねがございました。  政府としては、新指針実効性確保のために、現在法的側面を含めて政府全体で検討をいたしておりますが、現段階において法整備内容及び時期について具体的にお答えをすることは困難であります。なお、民間業者等の協力を罰則により強制することは現在検討をいたしておりません。  次に、船舶の検査と憲法についてのお尋ねがございました。  我が国としては商船の積み荷の検査、確認を行い、必要があれば進路変更を求める等の措置をとることを考えておりますが、その際、憲法が禁ずる武力の行使または武力による威嚇に当たる行為は行いません。安全確保のための武器の携帯を含む具体的な検査の実施の方法については現在検討をいたしておる最中であります。  次に、補給、輸送等と憲法に関するお尋ねがございました。  武器・弾薬の補給につきましては、現時点でその必要性が想定されず、協力の対象ではございません。武器・弾薬の海上輸送及び整備につきましては、それ自体としては武力の行使に該当せず、また戦闘地域一線を画する場所において行うという前提にかんがみれば、基本的には米軍の武力の行使との一体化の問題が生ずることは想定されておりません。次に、戦闘地域一線を画する地域についてお尋ねがございました。  戦闘行動が行われている地域一線を画された地域とは、戦闘に巻き込まれることが通常予想されない地域をいい、紛争及び戦闘の全般的状況、戦闘行為を行う主体の能力、その展開状況などを総合的に勘案して判断されるものと考えております。指針におきましては、後方地域支援、捜索・救難がこのような地域において実施されることを想定しており、これを確保するため、これらの活動に際して政府が行う判断の方法については今後さらに検討してまいります。  次に、民間施設使用についてのお尋ねがございました。  累次申し上げてまいりましたが、政府としては、新指針実効性確保のために、現在法的側面を含めて政府全体として検討をいたしております。その際、財産権との関係も含め、憲法を遵守することは当然であります。  次に、地域安全保障機構の設立に関する御意見をいただきました。  政府としては、地域の平和と安定を確保するためには、米国の存在と関与を維持しながら、域内諸国間で対話協力を促進することが重要であると考えております。そのような観点から、ASEAN地域フォーラム等の場におきまして種々の信頼醸成措置の促進に努めておりまして、今後ともこのような努力を継続してまいります。  最後に、指針の再交渉についてのお尋ねがございました。  指針を見直しますのは、この指針にありますとおり、日米安全保障関係関連する諸情勢に変化が生じ、そのときの状況に照らして必要と判断される場合でありまして、他方、現時点で見直しが必要となるような具体的な情勢の変化は見当たりません。  残余の質問につきましては、関係大臣から御答弁を申し上げます。(拍手)    〔国務大臣小渕恵三登壇拍手
  20. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 周辺事態と台湾の問題につきましては、ただいま総理から御答弁がございましたとおりでございます。  なお、日朝国交正常化問題でございますが、この問題につきましては、双方政府間で第九回目の本会議をできるだけ早く開催するということで意見の一致を見ております。大脇議員御自身も参加されました与党訪朝団は、これを歓迎し、支援することで北朝鮮と意見が一致したと承知いたしておりますが、具体的にはまだその時期は定まっておりませんが、九一年、九二年に一回から八回まで行われましたが、以降六年間開いておりません。国交正常化のために、可能な限り早く双方そのテーブルに着きたい、こう願っておる次第でございます。  第二のお尋ねは、PKFの凍結解除の問題についてでございますけれども、私が申し述べたのは、国連協力の立場から与党内にもこの凍結解除について強い意見があるということを御紹介したわけでございまして、政府といたしましては、これまでの派遣の貴重な経験を踏まえた上で、国会等における御議論にも十分耳を傾けつつ検討すべきものと考えております。いずれにいたしましても、現時点で平和維持隊本隊業務の凍結解除を予定いたしておるということではございません。(拍手)    〔国務大臣久間章生登壇拍手
  21. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 先ほど臨検、武器・弾薬の輸送、戦闘地域一線を画する区域、また民間施設使用の問題についてのお尋ねでございましたが、先ほど総理が答弁されたとおりでございます。(拍手)     —————————————
  22. 斎藤十朗

    ○議長(斎藤十朗君) 立木洋君。    〔立木洋君登壇拍手
  23. 立木洋

    ○立木洋君 私は、日本共産党を代表し、新ガイドライン報告について、総理並びに関係閣僚に質問をいたします。  この指針は、いわゆる周辺事態が発生し、アメリカが軍事介入したら、日本が何ら武力攻撃を受けていないにもかかわらず日本も自動的に参戦することを重要な柱とし、日米共同の軍事対処の内容取り決めたもので、日米安保体制拡大強化し、アジア太平洋地域での軍事的同盟とする大改悪にほかなりません。  このガイドラインでは、国際法基本原則並びに国連憲章など国際約束に合致するものと述べていますが、国連憲章では、自衛権は武力攻撃が発生した場合にのみ発動し得るものである、そのおそれや予防などでは発動することはできないことは明白です。しかるにアメリカは、自国の海戦法規を一九八七年に全面改訂した「指揮官のための海軍作戦法規ハンドブック」によると、武力攻撃が発生していなくても、必要がある場合にはいわゆる先制自衛と称し、自衛の口実による武力行使を含む先制攻撃を容認しているように、既に国際法基本原則に反する態度を明らかにしています。  それにもかかわらず、このような米軍との共同作戦行動をとることがどうして国際法基本原則に合致すると言えるのでしょうか。しかも、国連で、国際法諸国の独立、主権、領土保全への甚だしい侵害と非難されたアメリカのグレナダ、パナマなどへの侵略行為に対し日本政府は明確に抗議の意思の表明もできなくて、国際法基本原則に合致した態度をとるなどとどうして言えるのでしょうか。  小渕外相は、予算委員会での上田議員への答弁で、米軍の行動が国連憲章に反するものとなることは想定されていないと述べ、橋本総理もそういうケースはあり得ないと述べていますが、米軍の法規や侵略行為に照らしてこの発言はどう合理化されるのでしょうか。答弁を求めます。  また、この指針について日本憲法上の制約の範囲内においてと言いますが、憲法の枠という場合、武力行使と一体となるか否かだけが問題ではありません。日本憲法の立場から導かれる恒久平和という枠を真剣に踏まえる必要があります。そのためには、周辺事態の発生を見ても、あくまでも平和的解決に全力を尽くすことこそ日本のあるべき姿ではありませんか。  そもそも、周辺事態における米軍の戦闘行動に協力する根拠が現憲法のどの条項によって容認されるというのでしょうか。憲法前文の「政府行為によって再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、」たことでも、また憲法第九条に照らしても、重大な憲法違反であることは明白ではありませんか。  総理、まずこれらの基本問題について明確な答弁を求めます。  アメリカの「指揮官のための海軍作戦法規ハンドブック」第八章の合法的攻撃目標の諸原則項目では、軍事目標とは、その性質、位置、目的または使途により敵国の戦争遂行能力または継戦能力に効果的に貢献するものであって、しかもその全面的もしくは部分的破壊、拿捕または無力化がその攻撃時の状況下において攻撃者にとり明確な軍事的利益を構成するものと規定しています。  それによると、ガイドラインに示された周辺事態における四十項目米軍への協力は、米軍の交戦相手国に対する明らかな敵対行動で米国の明確な軍事的利益を構成するものであり、相手国から敵性行為とみなされ、その攻撃の目標となることは明白であります。  さらに同ハンドブックでは、紛争時における国家の立場について、国際紛争に参加している交戦国か、あるいは紛争に関し中立の地位を有している中立国のいずれかであると定めています。それによっても、ガイドラインによる日本米軍への協力国際法上明らかに交戦国とされるのではありませんか。あわせて明確に答弁を求めます。  日本政府は、周辺事態での米軍の行動への日米共同対処を行う臨検、情報提供、米軍武器・弾薬・燃料の輸送、機雷の除去等、まさしく戦争協力行為そのものであります。湾岸戦争は、ペルシャ湾内を航行した九百六十四隻もの船舶をアメリカ軍は臨検し、停船命令に従わなかった船舶十一隻には威嚇攻撃を行い、さらに他の十一隻にはヘリコプターを使って強制乗船しているのであります。  現に、マクデビット米元海軍大将は、自衛隊が臨検に参加するなら武力行使が前提となると明言しているではありませんか。また、自衛隊による米軍への武器・弾薬の提供は除くとしてもその輸送は、明らかに米軍と戦闘状態にある相手国に打撃を与え、その兵士、国民を殺傷するための軍事的協力であって、米軍の戦争遂行能力及び継戦能力と不可分のものであることは明白ではありませんか。  特に指摘したいことは、ガイドラインでは、周辺事態についても共同作戦計画相互協力計画など具体的な計画をつくり、さらに各段階での日米両国共通基準、実施要領など事実上の日米共同の交戦規則の作成まで盛り込んでいます。そのために、常設の日米共同調整所がつくられ、包括的メカニズムのもとに作成される共通基準や実施要領に反して、日本協力を拒否する権利は全く保障されていません。さらに、平時からこれら実施要領に基づく共同演習、訓練さえ強化されていることを見ても、これらは、アメリカ自身が国際法に違反している武力行使でも、その協力を公然と日本に要求し、米軍の戦争への自動参戦体制確立を図り、実質的な集団的自衛権行使となることははっきりしているではありませんか。あわせて明確にしていただきたい。  アメリカの実務レベル交渉の一人であるキャンベル国防次官補は、日本法整備の問題について、勢いを失わないことが重要だと有事立法を急ぐことを求めましたが、これこそ米軍自衛隊の軍事行動を最優先とし、民間港湾、空港の確保、交通網の保障、物資や土地施設の徴発、役務の提供など、日本国民米軍支援に強制的に総動員する、かつての戦時立法への逆行であり、国民基本的人権、財産権、言論、結社の自由などの制限につながるものではありませんか。  既に行われた実弾射撃訓練の本土移転については、キャンプ・ハンセンの訓練と同質同量の訓練とすると確約しながら、矢日別、王城寺原、北富士での砲撃数は合計して既に沖縄の一〇四号線越えの砲撃を大きく上回っています。  しかし、問題はその数だけではありません。訓練期間の延長や二十四時間体制の夜間訓練や通信訓練まで行い、自由外出を認めないとの約束までほごにすることを含め、これを同量同質の訓練のあり方であると平気で述べることは、米軍の言うがままの要求を受け入れる追随姿勢そのものではありませんか。  さらに、訓練海域を公表せず日米共同海上訓練が実施され、滋賀県饗庭野や北海道の旦局地方空域における日米共同訓練等は、漁船との接触事故や競走馬の流産、さらに住民を不安に陥れるもので、沖縄の基地、訓練の縮小、削減どころか、日本列島を要塞基地化する拡大強化そのものであります。  さらに、名護市沖への海上基地建設を最重要課題として、県民の反対の世論を振興策をてこに切り崩そうとしていますが、米軍基地と沖縄の繁栄は決して両立いたしません。しかも、海上基地は最新鋭の垂直離着陸機V22オスプレイが配備され、米海兵隊の一大拠点をつくるもので、県民の意向に真っ向から反するものであり、さきに述べた共同訓練の拡大ともあわせて完全に中止すべきであります。  これまで見たように、現行安保条約基本的枠組みを大幅に改変する新ガイドラインは、六〇年の日米安保条約改定以上の重大な問題であります。憲法第七十三条三号では、条約の締結について「国会の承認を経ることを必要とする。」と明記しているように、新ガイドラインについては当然国会の承認を必要とすべきであります。  最後に、ガイドラインに対する中国を初め東南アジア諸国の強い批判に示されているように、日本アジア太平洋の平和と安全のための日本の歩むべき道は、軍事力に依存するのではなく、日米軍事同盟を解消し、非同盟中立の道を選択して、アメリカとも友好条約を結び、諸外国との平和的外交政策を推し進めてこそ真の国際貢献となることを強調し、私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣橋本龍太郎登壇拍手
  24. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 立木議員にお答えを申し上げます。  まず、先制自衛の国際法上の性格についてお尋ねがございました。  我が国として、他国の国際法の解釈について評価をする立場にはないと思います。  なお、一般論を申し上げれば、国連憲章第五十一条、自衛権の発動が認められるのは武力攻撃が発生した場合であると規定しておりますが、武力攻撃以外の形の侵害に対して自衛権の行使を排除するという趣旨であるとは解しておりません。  次に、米国行為日本対応についてのお尋ねがございました。我が国は、国際法上違法な武力行使には一貫して反対の立場をとっております。いずれにせよ、新指針のもとでの日米両国行為国際法基本原則並びに国連憲章等の国際約束に合致するものであることは新たな指針においても明らかにしておるところであり、米国国際法上違法な武力行使を行うことは想定しておりません。  次に、周辺事態における協力憲法上の根拠についてのお尋ねがございました。  我が国自国の平和と安全を維持し、その存立を全うするために憲法第九条に違反しない範囲で必要な安全保障のための措置をとり得ることは、憲法第十三条及び前文の趣旨からいって当然のことと解されます。周辺事態における米軍への協力も、そのような考え方に従い、武力の行使等に当たらない限度内で行うものであります。  また、周辺事態における米国に対する協力についてのお尋ねがございました。  新たな指針周辺事態における協力項目に掲げられている行為は、我が国が行うことを想定している具体的な内容及び態様に関する限り、それ自体は武力の行使に該当せず、また米軍の武力の行使との一体化の問題が生ずることも想定されません。さらに、これらの協力国際法基本原則にも合致するものであります。  また、紛争時の国の立場についてお尋ねがございました。  武力行使原則的に禁止された国連憲章のもとにおきましては、戦争が違法でないことを前提とした交戦国、中立国の概念は、今日そのまま適用されないと思います。いずれにせよ、我が国国連憲章及び日米安保条約に従って行動する米軍に対して行う協力、これは国際法上適法な行為であり、我が国への武力攻撃を正当化させることはあり得ません。  共通基準等に関するお尋ねもございました。  これらは円滑な日米協力に必要な手続等をあらかじめ定めるものであり、日米協力を行うか否かは我が国が国益確保の見地から主体的に判断をいたします。指針のもとでの日本のすべての行為憲法上の制約の範囲内において行われ、憲法集団的自衛権行使は許されないとする政府見解に何ら変更はありません。  次に、国内法整備についてのお尋ねがございましたが、政府は、この新たな指針実効性確保するとの観点から、九月二十九日の閣議決定趣旨を踏まえ、法的側面も含め、具体的な施策について検討いたしております。その際、基本的人権の尊重などを定めた憲法を遵守することは当然であります。  最後に、普天間飛行場代替海上ヘリポートの建設についてのお尋ねがございました。  普天間飛行場の返還は県民の強い御要望を受けて米側との合意にこぎつけたものでありまして、引き続きその建設の実現のために最大限努力をしてまいります。他方、北部の振興につきましては、地元からも強い御要望があり、政府としても県土の均衡ある発展のため積極的に取り組むべき課題として真剣に検討を進めてまいります。  残余の質問につきましては、関係大臣から御答弁を申し上げます。(拍手)    〔国務大臣小渕恵三登壇拍手
  25. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 米軍の行動と国連憲章の問題についてお触れになられましたが、この問題につきましては総理からも御答弁ございましたが、いずれにいたしましても、新指針のもとでの日米両国行為国際法基本原則並びに国際連合憲章等の国際約束に合致することは新指針でも明らかにされております。  また、日米安保条約は、その第一条及び第七条に規定されているとおり、国連憲章に合致することを前提といたしております。したがいまして、米軍の行動が国連憲章に反するものとなることがそもそも想定されないことで、これは今までも申し上げておるとおりでございます。次に、米軍の実弾射撃訓練の問題についてでございますが、県道一〇四号線越え実弾射撃訓練の本土移転につきましては、訓練の日数や規模から判断して、沖縄で実施されている訓練と同質同量の訓練が本土で実施されたものと考えております。また、米軍は、訓練計画の策定に当たりましては、地元への影響に最大限配慮するとともに、訓練要員の外出等も含めて規律維持に努めてまいるものと思っております。(拍手)    〔国務大臣久間土星君登壇拍手
  26. 久間章生

    国務大臣久間章生君) 立木議員の質問にお答え申し上げます。  周辺事態における日米協力に関するお尋ねがございましたが、これは先ほど総理も述べられましたように、指針に記述されている日米協力項目は、経済制裁の実効性確保するための船舶の検査等の活動を含め、我が国が実施することを想定している具体的な内容及び態様に関する限り、それ自体は武力の行使に該当せず、また米軍武力行使との一体化の問題が生ずることも想定されません。  自衛隊による米軍への武器・弾薬の輸送などについてのお尋ねでございますが、周辺事態において日本は、日米安全保障条約の目的達成のため活動する米軍に対しまして、武器・弾薬の輸送を含む後方地域支援を行うことを想定いたしております。この後方地域支援は、米軍施設使用及び種々の活動を効果的に行うことを可能とするものでありますが、これらの支援は主として日本の領域もしくは戦闘行動が行われている地域とは一線を画される場所において行われるものであり、米軍の武力の行使と一体化の問題が生ずることは想定されません。  共同訓練等についてのお尋ねでございますが、自衛隊米軍と共同訓練を行うことは、それぞれの戦術技量の向上を図る上で有効であります。また、日米共同訓練は、我が国に対する武力攻撃に際して日米共同対処行動を円滑に行うために不可欠であり、日米安全保障体制の信頼性及び抑止効果の維持向上に資するものであります。  かかる観点から、従来より各種の日米共同訓練を実施してきているところでありまして、今後とも引き続き積極的にこれを行ってまいりたいと考えております。(拍手
  27. 斎藤十朗

    ○議長(斎藤十朗君) これにて質疑は終了いたしました。  これにて午後一時まで休憩いたします。    午前十一時四十九分休憩      —————・—————    午後一時一分開議
  28. 斎藤十朗

    ○議長(斎藤十朗君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。  この際、日程に追加して、  持株会社設立等禁止の解除に伴う金融関係法律整備等に関する法律案及び銀行持株会社の創設のための銀行等に係る合併手続特例等に関する法律案について、提出者の趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  29. 斎藤十朗

    ○議長(斎藤十朗君) 御異議ないと認めます。三塚大蔵大臣。    〔国務大臣三塚博君登壇拍手
  30. 三塚博

    国務大臣(三塚博君) ただいま議題となりました持株会社設立等禁止の解除に伴う金融関係法律整備等に関する法律案及び銀行持株会社の創設のための銀行等に係る合併手続特例等に関する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。  まず、持株会社設立等禁止の解除に伴う金融関係法律整備等に関する法律案につきまして御説明申し上げます。  本法律案は、持ち株会社設立等の解禁に伴い、銀行業、保険業または証券業を営む者を子会社とする持ち株会社について、銀行等の経営の健全性の確保、投資者保護等の観点から必要となる監督上の措置を講ずる必要性があること等にかんがみ、銀行法、保険業法、証券取引法その他の関係法律について所要の規定の整備を図った上、銀行持株会社等の設立等を可能とするものであります。  以下、その大要を申し上げます。  第一に、銀行持株会社について、銀行持株会社設立等に係る認可、銀行持株会社の子会社の範囲の制限、国内のいわゆる一般事業会社の株式等を銀行持株会社またはその子会社が合算して一定割合を超えて所有することの制限、銀行持株会社及びその子会社に対する報告徴求、立入検査等、所要の規定の整備を行うことといたしております。また、破綻金融機関の株式の取得を行う銀行持株会社等が預金保険機構に資金援助の申し込みを行うことができることといたしております。  第二に、保険持ち株会社について、保険持ち株会社設立等に係る認可、保険持ち株会社による子会社所有に係る承認、保険持ち株会社及びその子会社に対する報告徴求、立入検査等、所要の規定の整備を行うことといたしております。  第三に、証券持ち株会社について、証券持ち株会社に対する報告徴求、立入検査等、所要の規定の整備を行うこととしております。  その他、所要の措置を講ずることといたしておるところであります。  次に、銀行持株会社の創設のための銀行等に係る合併手続特例等に関する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。  本法律案は、銀行持株会社金融業務の効率的な運営に資するものであることにかんがみ、銀行等による銀行持株会社の創設を円滑にするための措置として銀行等合併手続特例その他の所要の措置を講ずるものであります。  具体的には、銀行等による銀行持株会社の創設のための合併手続について、合併の条件、合併契約書の承認等に係る特例を設ける等、所要の措置を講ずるものであります。  以上、提案の二法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げたどころでございます。(拍手)     —————————————
  31. 斎藤十朗

    ○議長(斎藤十朗君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。海野義孝君。    〔海野義孝君登壇拍手
  32. 海野義孝

    ○海野義孝君 平成会の海野義孝であります。  私は、平成会を代表して、ただいま議題となりました持株会社設立等禁止の解除に伴う金融関係法律整備等に関する法律案及び銀行持株会社の創設のための銀行等に係る合併手続特例等に関する法律案について、総理並びに関係大臣質問をいたします。  冒頭に、十一月の三洋証券、北海道拓殖銀行、山一証券など大手金融機関の経営破綻続出に対して、橋本総理日本国最高責任者としての責任を明らかにしていただきたい。  橋本総理は、財政構造改革法案の国会での審議がたけなわであった先月、一方では大手銀行、証券の相次ぐ経営破綻をどのような心境で受けとめられたのでしょうか。  私は、平成七年八月の兵庫銀行、木津信用組合の倒産から最近の山一証券の自主廃業に至る十指に余る金融機関の経営破綻の遠因は、一九八五年、昭和六十年のワシントンでのプラザ合意に対して、その後の政府及び大蔵省、日銀など金融当局が漸進主義を取り続けたことによる対応の稚拙さにあったと考えます。  このグローバルスタンダード、すなわち国際標準からかけ離れた金融行政は、その後のバブル発生による資産インフレと、その崩壊による資産デフレとなり、日本経済の激甚を引き起こしたことは、日本国民のだれしもが承知するところであります。つまり、現下の日本経済危機の源は、十二年前に始まり今日に至るまでも旧態依然とした金融行政と、それを黙視してきた政府の責任にあると考えますが、総理の明確なる答弁を願います。  次に、平成七年に発覚した大和銀行米国支店の不祥事と、それに対する我が国金融当局の対応、その苦い教訓がその後の金融行政にどのように生かされてきたかについて、総理の率直な意見を伺いたい。  大和銀行事件では、事件当事者の通知から実に四十二日後に日米金融当局に報告があった。このことが米国金融当局のげきりんに触れ、大和銀行米国関係者の有罪、敗訴による大和銀行の莫大な罰金、米国金融界からの大和銀行の追放という厳しい処置となったのであります。  このことを我が国政府金融当局はどのように受けとめたのでありましょうか。私の調査したところでは、この大和銀行事件が引き金となり、国際金融市場で生じた信用失墜を挽回するため、住宅金融専門会社の経営破綻処理を密室での談合による、法治国家にあるまじきスキームで突破するという拙速な道を選択したのであります。  昨年六月に金融システム安定化などを目途として金融三法が成立しました。しかし、住専処理で国民の反発を買ったため、政府金融機関の経営破綻に対する抜本的な金融行政改革をとれず、漸進主義的金融行政は一向に改められないと思いますが、いかがでしょうか。  大和銀行事件以降、政府金融行政をどのように変えたのか。また住専処理スキームの失敗がその後の金融行政の足かせとなり、金融機関の経営破綻による国民金融不安を加速させることになったと考えますが、総理の責任ある答弁を求めます。  次に、拙速な金融制度改革、すなわち日本版ビッグバンと、後追いの金融不安除去対策について総理にお伺いいたします。  現在の不安定な金融市場について、総理はどのような認識をお持ちでしょうか。また、どのようにしてこのイバラの道を切り抜けようとされているのか。私は、総理が五大改革の構想を発表した原点に立ち返ることが重要だと考えます。  総理は、一年前に金融制度改革、すなわち日本版ビッグバンを二〇〇一年三月までに実施すると発表されました。この目標に向かって来年四月から外国為替取引の完全自由化、金融機関の早期是正措置が実施されます。  しかしながら、日本金融機関は不良債権処理などで体力を消耗しており、この状態で金融制度の完全自由化に立ち向かっため、金融システムに種々のひずみが生じ始めています。早期是正措置対応する財務体質の強化、そのための融資態度の抜本的見直し、貸し渋り等による史上空前の倒産、金融機関、ゼネコンの経営破綻などであります。ビッグバンを三年余り後にして、既にビッグバンによる弱肉強食、自然淘汰のあらしが吹き荒れております。この状態を政府は許容してよいのでしょうか。  昨年以来の金融機関の経営破綻の続出、それに対応する金融行政は後追いであり、一貫したルールがありません。今回の深刻な事態を予測できなかったのでしょうか。フリー、フェア、グローバルを掲げる政府情勢判断の実際の甘さ、危機管理体制の不備をどう弁明されるのか、総理の責任ある答弁を求めます。  次に、金利、為替、株式のトリプル安と政府の市場に対する認識について総理に伺います。  政府及び金融当局は、金利、為替、株式など市場の動向につき、殊さら平静を装い、実体経済との関係を重視しなかったのであります。政府当局など関係者の不用意な発言が往々にして市場価格形成をもたらしていること、自由競争の市場原理に基づく金利、為替、株式などが政府の手の届かぬところにあるため、景気、金融などの判断材料として重用しなかったのでしょうか。  近時の金融機関の経営破綻には、著名な格付機関のレーティング、株価、債券市況の厳しい評価が先行しております。銀行株のストップ安、円の対米ドルレートの五年余ぶりの安値、ジャパン・プレミアムの拡大など市場の警戒信号は点滅し続けております。特に懸念されるのは東京株式市場の低迷状況であります。総理はこれらの市場動向をどのように認識され、金融システムの安定化、信用不安除去にどう取り組まれるのですか、具体策をお示しいただきたいのであります。  次に、今回の法案について大蔵大臣に伺います。  金融システム改革、すなわち日本版ビッグバンの重要な柱として、このたびの銀行持株会社の設立解禁が挙げられます。そこで、株主の権利行使についていかなる変化が生じるのか、お聞きいたします。これまで銀行の株主であった者が銀行持株会社の株主となった場合、銀行子会社の経営につき、従前と同等の発言権を行使することができるのでしょうか。銀行持株会社の主たる業務は、銀行子会社の経営管理であります。したがって、間接的ではあるがかなりの部分で適正な権利を行使することが可能とも思考されますが、いかがでしょうか、また、株式買い取り請求権は行使できるのでしょうか、あわせて御答弁ください。  次に、銀行持株会社に対する早期是正措置の適用について大蔵大臣にお聞きしたい。  昨年六月に成立した金融三法は、金融システム安定化のための預金者保護や、金融機関の財務体質強化のための措置であります。来年四月からその一つである早期是正措置が実施されますが、同時に銀行持株会社の解禁を行うというのが本法律案であります。その場合、早期是正措置銀行持株会社及びグループ各社に対しどのように適用されるのでしょうか。連結自己資本比率規制など基準を設けるべきだと考えます。また、単体会社と銀行持株会社及びグループ各社の自己資本充実改善措置についていかなるスキームを考えているのかもあわせて御答弁ください。  次に、APECでの金融不安に対する参加各国の反応、クリントン大統領からの厳しい要望に対する総理の釈明についてお伺いいたします。  今回のAPECの会議は、総理にとっては本来であれば胸を張り、リーダーシップを発揮すべき舞台でありました。しかるに、金融機関の経営破綻続出で、金融システムの安定化に追われているさなかの会議でありました。この厳しい試練に立って、総理は、国内、海外諸国の要望にこたえなくてはなりません。我々も政治家として金融市場の危機的状況を打開しなくてはなりませんが、そのためには総理国民協力を得るために日本経済を一刻も早く成長軌道に乗せる抜本的対策を打ち出すことであります。総理にこのお考えはありますか。  また、クリントン大統領に預金者保護や金融システムの安定に万全を期すと強調されたと聞きましたが、いかなる具体策があるのか、いつ実行するのか、お聞かせいただきたい。  次に、日本再構築の核は何であり、具体的施策に取り組む決意を伺います。政府は景気後退をしり目に、国民に負担をお願いする一方で諸改革の推進に注力しております。しかし、こうした諸改革をなぜ急いでしなくてはならないのか、改革は実現できるのかといえば、甚だ心もとないのであります。六年間に六次にわたり六十六兆円の経済対策を実施しながらも、日本経済は潜在成長力を取り戻せない状態にあります。東京市場の単純平均株価は、バブル崩壊後の最安値圏で低迷しております。  日本再構築の核といいますか、星といいますか、それをキャッチしない限り政府施策は対症療法にすぎません。バブル経済のピークからボトムの過程で、土地は五百九十八兆円、株式は三百七十八兆円、時価で減少しました。この過程での不良債権、不良資産の発生が重圧となって日本経済の活力を奪い取りました。現在、金融機関を初め、広範囲にわたる企業がリストラとスリム化に注力しておりますが、景気の低迷と不良資産が足かせとなって効果が顕在化しない状況にあります。  預金者保護と金融システムの安定化のために、国民負担である公的資金投入の声が各界から起こり始めました。  米国金融システムの安定化は、RTCによる金融機関の刑事罰を含む経営責任の徹底追及と、五年間という短期間の処理により公的資金投入の国民理解が得られたからであります。そして一方で、今日まで続く長期の経済成長、株式市場の活況があります。仮に、我が国が公的資金投入の道を選択したとしても金融システムの安定は確立てきません。  景気低迷の元凶である土地の流動化に国民の千二百兆円の金融資産を活用し、構造不況を脱却し、三%の潜在成長力をフル稼働することがビッグバンヘの万全の態勢にもなります。総理日本再構築への責任ある答弁を求めます。  以上申し上げたことから、私は、橋本内閣の退陣を要求いたします。  第一の理由は、日本経済の見通しを誤り、デフレ政策で景気を後退させたことであります。第二の理由、金融不安の深刻化を助長した危機管理体制の脆弱さであります。第三の理由、行財政改革に固執し、日本再構築の順序を誤ったことであります。第四は、ガバナビリティー、つまり統治能力の欠如と総理に対する希薄な国民信頼感であります。  速やかに総理の座をおり、閉塞感の漂う日本の政治、経済を一新する道を開くべきだと考えますが、総理の御決断をお聞かせいただき、私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣橋本龍太郎登壇拍手
  33. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 海野議員の御質問にお答えを申し上げます。  まず、金融機関の破綻と金融行政についてのお尋ねがございました。  金融は、申すまでもなく、経済活動全体に必要な資金を供給する動脈とも言うべき重要な役割を担っており、政府としては、預金者の保護、金融システムの安定確保に今後とも万全を期してまいります。また、金融行政につきましては、自己責任原則の徹底と市場規律の十分な発揮を基軸とする透明性の高い行政を行っていくことが重要であります。  大和銀行事件を契機とした金融行政の変化についてのお尋ねがありました。  我が国金融行政は、ただいま申し上げましたような行政への転換を図りながら、自由かつ公正な金融市場の構築に取り組んでいるところであります。  住専処理スキームの失敗が国民金融不安を加速させたという御意見をいただきましたが、住専をめぐる問題は、我が国不良債権問題の緊急かっ象徴的な課題でありました。我が国の経済の安定的な発展のためにはこの問題を早期に処理することが不可欠であるとの判断から処理策を決定いたしたものであります。  次に、現在の金融市場についての認識等の御質問がありました。  我が国の経済が今後安定的な成長を維持し、市場規律を十分に発揮しながら自己責任原則を確立するとともに、我が国金融市場を国際的に競争力あるものにするために、私は金融システム改革を進めることが必要不可欠だと考えております。そしてその金融システム改革は、護送船団方式を排するとともに、市場原理を導入し、金融機関間の競争を活発にすることにより、利用者利便の向上などに資するものであり、金融機関はその中で得意分野への重点化や、あるいは合併、リストラなど、おのおの努力をするものと期待いたしております。  他方、現下の金融情勢をかんがみるとき、個別金融機関の経営問題が金融システム全体に波及しないよう万全を尽くす必要があり、預金者保護とともに金融システムの安定性強化を図ることが必要であり、私自身も強い決意を持ってその安定性を確保するために全力を尽くしてまいります。  また、景気判断に際し、金融動向等を重要視していないのではないかというお尋ねがございました。  市場について我々が軽々に口を出すことは避けるべきですが、株式市場を初めとした金融資本市場及び外国為替市場の動向が実体経済に大きな影響を及ぼすものであることは十分承知しておるつもりであり、政府としても、こうした市場の動きには常に重大な関心を持って見ているところであります。今後とも、金融資本市場及び外国為替市場の動向を十分注視していくとともに、的確な景気判断に努めてまいります。  また、金融システム安定化などへの取り組みについて御質問をいただきました。  金融システムの安定性を確保し、内外のマーケットの信認を維持することは極めて重要であります。いわんや損失補てんあるいは総会屋への利益提供、飛ばしといった行為が許されるものでは全くありません。私としては、金融システムの安定については預金者保護を目的とし、公的支援を含めて今後具体案を早急に得て、金融システムの安定性確保に全力を挙げて取り組んでまいります。  また、APECにおける議論等を踏まえながら、日本経済をどうしていくのかというお尋ねがありました。  十一月十八日の経済対策閣僚会議におきまして、規制緩和を中心とした経済構造改革の大胆な断行など四つの点に重点を置きました経済対策を決定いたしました。思い切った規制緩和措置を含む充実した内容のものを取りまとめております。政府としては、企業や消費者の景気の先行きに関する不透明感を払拭し、我が国経済を民間需要中心の自律的な安定成長軌道に乗せていくためにこうした施策を強力に進めてまいりたいと考えております。  また、預金者保護や金融システムの安定のための具体策についてお尋ねがありました。  先ほども申し上げましたように、私は公的支援によってセーフティーネットを完備し、預金者を保護することが重要だと考えております。預金者保護を目的として公的支援を含めた具体案を早急に得、強い決意を持って金融システムの安定性確保に全力を挙げてまいります。  また、土地の流動化に対する御意見もいただきました。  十一月十八日に決定いたしました経済対策におきましては、土地の取引の活性化と有効活用を柱の一つとしております。政府としては、先ほども申し上げたとおりでありまして、今回の対策に盛り込まれた政策を強力に推進してまいりたいと考えておりますし、六つの改革を一体的に進めておりますが、これらの取り組みを初めとする改革の努力によって、我が国の潜在的な能力を生かし、中長期的に安定的な経済成長を実現してまいりたいと考えております。  今日、景気が非常に厳しい状況にあり、足踏み状態とよく申し上げておりますが、これはやはり構造的な問題ととらえなければならないと私は思います。そして、規制緩和など経済構造改革を推し進めていくことによって民間需要中心の自律的経済成長に持っていかなければなりません。  なお、財政構造改革や先般の税制改革は、我が国の危機的な財政状況や少子・高齢化といった我が国経済社会の構造変化に対応したものでありまして、どうしても必要な改革だったと思います。  金融に関する危機管理体制についても御意見をいただきましたが、金融は経済の動脈ともいうべき重要な役割を担っております。一たび金融システムの安定性が損なわれれば、広く国民生活や企業活動、さらに内外の経済に甚大な影響を与えかねません。政府としては、金融システムの安定性確保に最終的な責任を負う立場から、預金者保護、金融システムの安定性確保に最大限の努力を払い、引き続き金融危機の管理に万全を期してまいりたいと思います。  また、行財政改革についても御議論をいただきましたが、財政構造改革については、現在の財政構造をこのまま放置した場合、経済の活力が一層低下し、将来に背負い切れない負担を残すことは明らかでありまして、一刻の猶予も許されない課題であることから、これを進めていくことは必要だと私は思います。  また、行政改革につきましては、簡素にして効率的な行政、まさに内外の情勢変化や危機に対して弾力的に対応できる行政をつくり上げるために、これに取り組んでおります。  いずれにいたしましても、少子・高齢化と経済のグローバル化が進む中で、我が国の将来を見詰めながら全力を尽くしてまいります。  残余の質問につきましては、関係大臣から御答弁を申し上げます。(拍手)    〔国務大臣三塚博君登壇拍手
  34. 三塚博

    国務大臣(三塚博君) 私に対する質問は三問であります。  まず、銀行持株会社の株主の権利についてのお尋ねでございます。  この法案では、株主保護の観点から、通常の合併等の場合に比較いたしまして総会の決議要件を加重したほか、反対株主による株式買い取り請求権の行使が可能な仕組みといたしておるところであります。また、持ち株会社の株主となった者は、間接的ではありますが、銀行子会社の経営管理を主たる業務とする銀行持株会社の取締役や監査役に対する適正な株主権の行使等を通じまして、銀行子会社の経営に関与していくことが可能と考えられます。  次に、銀行持株会社に対する早期是正措置についてのお尋ねでございます。  法律案では、銀行持株会社グループの財務の状況が子銀行の経営に影響を及ぼす可能性にかんがみまして、銀行持株会社はグループの財務の健全性を通じ、子銀行の経営の健全性を確保するために、連結自己資本比率規制を課すこととしておりまして、グループ全体の連結自己資本比率が適正な水準を下回っております場合に、銀行持株会社に対し、グループの自己資本を充実させる方策を盛り込んだ改善計画を提出させる等の措置を命ずることを予定いたしております。  最後に、銀行持株会社グループの自己資本充実改善措置のスキームについてのお尋ねであります。  銀行持株会社グループの連結ベースでの自己資本の充実の状況に係る区分に応じまして、銀行持株会社に対し、グループ全体の自己資本を充実させる方策を盛り込んだ改善計画を提出させる等、銀行に対する早期是正措置と同様の趣旨措置を講ずることといたしております。なお、子銀行を除く子会社に対しては、個別に経営改善等を命ずることはありません。  以上でございます。(拍手)     —————————————
  35. 斎藤十朗

    ○議長(斎藤十朗君) 岡崎トミ子君。    〔岡崎トミ子君登壇拍手
  36. 岡崎トミ子

    ○岡崎トミ子君 このたびの参議院宮城選挙区補欠選挙で当選いたしました岡崎トミ子でございます。早速このような場で質問をさせていただきます機会をちょうだいいたしましたことに、深く感謝申し上げます。各党の皆様、会派の皆様、そして橋本総理を初め閣僚の皆様、どうぞよろしくお願いいたします。  それでは、民主党・新緑風会を代表いたしまして質問いたします。  まず、何はさておき、最近の金融不安と対応策について総理お尋ねいたします。  先月来、北海道拓殖銀行や山一証券などの大手金融機関の経営破綻が続き、国民は大変な不信感と不安感のただ中に置かれています。預金等は全額保護されるとわかってはいましても、老後の生活資金に蓄えたとらの子の預金や保険に何かあっては大変と、解約や預けかえに走る動きはなかなかおさまりそうにはありません。もう一つ、より深刻なのは貸し渋りで、中小企業の資金繰りが行き詰まり、倒産を余儀なくされるケースが増加しているということです。  国民の最大の不信感は、何といってもこのような事態を招いた金融行政当局に向けられているのではないでしょうか。今、金融システム安定化のための公的資金導入問題をめぐって総理周辺や国会でも議論が活発になっておりますが、このような国民の感情を読み誤りますと取り返しのつかない政治・行政不信を生むと思います。  総理は最近、山一証券の経営破綻に関連して、飛ばしや簿外債務を検査で発見できずに放置した大蔵省の責任は否定できないとおっしゃっておられますが、国民世論は、この件に限らず、そもそもバブルの発生とその崩壊時の処理を誤り、その後も金融機関の不良債権の公表について一貫して消極的な対応をとり続け、一部金融機関の破綻に際しても護送船団方式の延長上の糊塗策で済ませようとしてきた、一言で言えば臭い物にふた的な対応に終始してきた政府、大蔵省の責任を極めて重くとらえております。この上、大型金融機関の破綻と金融システム危機の表面化を防げないと見るや、みずからの責任回避に努めつつ公的資金導入の機会をうかがうというのでは、やはりだれも納得しないと言わざるを得ません。  私も、預金者保護等のために最終的に公的資金を投下せざるを得ないという局面では、これをためらってはならないということは頭では理解しているつもりです。しかし、その前提としては、何よりも破綻した金融機関の経営者や政府、大蔵省の犯した誤りとその責任を具体的に明確にし、厳格な刑事・民事責任追及のための法的環境整備、官職にあった者の出処進退を含む処置など、国民の納得できる措置総理のリーダーシップによって実行していただくことが不可欠と考えます。  少し具体的に申し上げますと、例えばバブル期以降の歴代大蔵事務次官、銀行局長、証券局長等の要職にあった方々については、結果的に見てその職責を果たさないまま、週刊誌などに接待漬けなどということを報じられている、あるいは退いた後は関係の特殊法人のトップ等を渡り歩いて私的な蓄財に励んでいるという、こうした方々については、正確に調べていただき、明確になれば直ちに現職から去っていただくのが筋ではないでしょうか。  また、破綻金融機関の処理に当たっては、当該金融機関の存続は許されず、店舗の売却や営業譲渡、清算によって消滅するという手法がとられていることからすれば、大蔵省もまた護送船団方式の業者行政の破綻という厳然たる事実を踏まえ、当然解体され、その施設関係機関等も売却して今後の処理費用の一部に充てるというような毅然たる処置がとられるべきと思います。  さらに、不良債権のディスクロージャーの徹底という観点からは、少なくとも破綻処理の対象となった金融機関については、保存されている過去の金融監督当局等の検査結果をすべて公表することとすべきです。  以上のような果断な措置をとることによって、国民金融不信、行政不信を払拭できるのは橋本総理のリーダーシップをおいてないと思います。ぜひ、政府の最高責任者たる総理御自身の発言で今の各点についてのお考えを明らかにしていただきたいと思います。  次に、いわゆる貸し渋り問題についての現状対応策を通産大臣にお尋ねいたします。  月曜日の新聞を見ておりましたら、全国銀行協会連合会の会長を務めておられる方がインタビューに答えて、貸し渋りのようなことはない、本来貸せないような赤字先に貸していたのを断っているだけというようなことを述べておられるのを拝見して唖然といたしました。今、歯を食いしばって頑張っておられる中小企業の経営者の皆さん、そこで働く皆さんは、ああそうだったのかと納得するでしょうか。通産大臣としては、貸し渋りや金融機関の破綻による中小企業の資金難の実態についてどのように見ておられるのでしょうか。また、これから年末にかけていよいよ資金繰り問題が焦眉の課題となってきます。  こうした事態に対して、少なくとも当面の措置としては政府系中小企業金融機関や信用保険制度を最大限に活用して中小企業の連鎖倒産というような事態だけは何としても防ぎ切ってほしいと切実に思います。この点についての通産大臣の御見解対応方策についてお聞かせください。  最後になりますが、金融持ち株会社関連二法案について触れたいと思います。  この法案の前提となっております独占禁止法の持ち株会社解禁問題が最初に与党内で議論になった際、相当に激しい論戦が闘わされた末に一年先送りになったことを私も当時の同僚議員から聞いておりました。その中でも、この金融持ち株会社の解禁に関してだけは、金融業法の改正等によって厳格な監督、規制が必要であるという点で珍しく意見の完全な一致を見たということでした。  金融ビッグバンの思った以上の急激な進展の中で、健全な体力を持つ金融機関が諸外国の金融機関と対等に競争していくためには、戦略的かつ効率的な経営組織形態を選択し得る法的環境の整備を行う必要があるということは、私自身も含めて当初の議論の時点よりも広く認識が共有されるようになったと思っております。  しかし、同時に、持ち株会社の形態を隠れみのとしてディスクロージャーが一層後退したり飛ばしが横行したりするようなことがあってはならないと思います。また、今後、金融機関の淘汰が進んだ際に、金融機関による産業支配という、昔から言われる懸念が新たに起こるようなことはないか、検討を欠くことはできないと思います。  こういった点につきまして、競争政策観点も含めて総理の御所見をお尋ねして、私の質問を締めくくります。(拍手)    〔国務大臣橋本龍太郎登壇拍手
  37. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 岡崎議員にお答えを申し上げます。  まず、公的支援の前提条件としての経営責任及び行政責任についてのお尋ねがありました。  公的支援問題のさまざまな議論の中には、当然のことでありますが、公的支援の前提として経営責任の明確化等を強調される御意見が存在いたします。こうした議論にも重大な関心を持ちながら、預金者保護を目的として公的支援を含めた今後具体案を早急に得て、強い決意を持って金融システムの安定確保に全力を尽くしてまいりたいと思います。  また、経営責任、行政責任のあり方関連して、特殊法人の役員についてのお話がございました。  これは、民間人であれ元公務員であれ、各界からふさわしい人材を幅広く集めていくべきものでありまして、私は、現在、任命されている者も、その識見、経験から見て適任と認められて選任されたものと思います。  また、護送船団行政などについての御指摘をもいただきました。  私は、批判をそらすための小手先の対応でこの状況をかわすのではなくて、むしろこうした御批判を真摯に受けとめながら金融行政のあり方を根本的に見直していく、そして自己責任原則の徹底と市場規律の十分な発揮を基軸とする透明性の高い行政を行っていくことが重要であると考えておりますし、既にそうした方向で努力をいたしております。今後におきましても、同様の考え方で全力を尽くしてまいります。  また、破綻金融機関の検査結果の公表につきましては、これまでも破綻処理を行う際、公表すべき事実は開示をいたしてまいりました。それ以上の検査結果を公表すること、これはその金融機関の取引先などに不測の損害を与えるおそれもありますし、また、プライバシーの侵害等の問題が生じる危険性もあります。しかし、金融機関を含め、情報の開示についてはこれからも積極的に取り組んでいきたいと考えております。  次に、持ち株会社のディスクロージャーあるいは飛ばしについてのお尋ねがありました。  これはもう、飛ばしは違法行為でありまして、もとよりこうした関係、ディスクロージャー等とのかかわりで問題になるだけのものではございません。証券取引法上の開示会社となる持ち株会社におきましては、連結ベースのディスクロージャーが求められており、また、銀行持株会社については預金者保護等の観点から連結ベースのディスクロージャー規定を設けております。いわゆる飛ばしのような違法行為が持ち株会社形態によって助長されることはないと考えております。  また、競争政策観点からのお尋ねもございました。  独占禁止法第九条では、金融持ち株会社についても事業支配力が過度に集中することとなるものの設立等禁止しておりまして、御懸念の点につきましては適切に対応できるものと思います。  残余の質問につきましては、関係大臣からお答えを申し上げます。(拍手)    〔国務大臣堀内光雄君登壇拍手
  38. 堀内光雄

    国務大臣(堀内光雄君) 岡崎先生の御質問にお答えを申し上げます。  先生から、中小企業の資金難の実態についてのお尋ねでございました。  先般、政府金融機関及び各都道府県に依頼をいたしまして、中小企業の資金調達に関する実態調査を実施いたしたところでございます。その結果、現在までに政府金融機関を通じて約四千三百の企業から、また都道府県を通じて約二千百の企業から回答が寄せられております。  これまでに集まった範囲で申し上げますれば、民間金融機関の貸し出し姿勢について、既に貸し渋りの動きを指摘する企業が約二割存在いたしておりますが、今後については、約五割から六割の中小企業が民間金融機関の貸し渋りを懸念しているという結果になっております。  業種別で申し上げますと、特に建設業、小売業、不動産業など、非製造業を中心に貸し渋りの動きが指摘をされ、また懸念する企業の割合が高くなっております。  また、地域別では、特に先般の北海道拓殖銀行の事態もあって、北海道において貸し渋りの動きを指摘する企業の割合が高くなっております。  これから年末にかけて中小企業の資金繰りへの対応についてのお尋ねではございますが、先般、政府といたしまして打ち出しました「二十一世紀を切りひらく緊急経済対策」の中で、中小企業のための金融対策については、政府金融機関の本店、支店及び信用保証協会に即時に特別な相談窓口を設置いたしまして、貸し出し・保証手続の迅速化、一定の条件のもとでの返済猶予など、既に貸した債務に対する返済などに対して適切な対応を図ること、また、金融機関との取引に著しい変化が生じて、資金繰りに支障を来すおそれのある中小企業者に対する別枠の融資の制度を創設すること、三つ目としまして、国民金融公庫の小企業等経営改善資金、いわゆるマル経資金でありますが、この融資について平成十年度末までの間、別枠措置を拡充いたしまして、貸付限度額を一千万円とすること、現在六百五十万円でございます。四番目といたしまして、中小企業信用保険法の特例保険に関しまして、小売関連業種、建設関連業種等低迷をしている業種については対象業種を拡大いたしまして、保険限度額を倍額にする、これらの措置を決定いたして、既に実施に移しているところでございます。  また、今般、北海道拓殖銀行が資金繰りに行き詰まり、今後の業務継続が困難になる事態に立ち至ったことによりまして、同銀行の取引先である健全な中小企業に支障が生じないよう、先般、中小企業金融公庫を初めとする政府系中小企業金融機関に対し、適切な支援協力を行うよう要請したところでございます。  さらに、北海道拓殖銀行及び徳陽シティ銀行の取引先の中小企業に対しましては、中小企業信用保険法に基づく保険限度額の倍額化等の特例措置を急いで整備いたしまして、本日から実施をいたしたところでございます。  このような中小企業への影響は、北海道、東北に限らずその他の地域でも生じていくことが懸念されますので、今後の動向を注視していくことが重要と認識をいたしております。  今後とも、政府金融機関及び信用保証協会とも連携をとりながら、中小企業の実情に十分配慮をし、いやしくも政府金融機関において貸し渋りがないよう万全の措置をとって、また注視をしてまいりまして、御期待にこたえるようにいたしてまいります。(拍手
  39. 斎藤十朗

    ○議長(斎藤十朗君) これにて質疑は終了いたしました。      —————・—————
  40. 斎藤十朗

    ○議長(斎藤十朗君) 日程第二 一般職職員給与に関する法律及び一般職任期付研究員の採用、給与及び勤務時間の特例に関する法律の一部を改正する法律案  日程第三 特別職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案  日程第四 防衛庁職員給与等に関する法律の一部を改正する法律案   (いずれも内閣提出衆議院送付)  以上三案を一括して議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。内閣委員長竹山裕君。     —————————————    〔審査報告書及び議案は本号(その二)に掲載〕     —————————————    〔竹山裕君登壇拍手
  41. 竹山裕

    ○竹山裕君 ただいま議題となりました給与関係法律案につきまして、御報告申し上げます。  まず、一般職職員給与に関する法律及び一般職任期付研究員の採用、給与及び勤務時間の特例に関する法律の一部を改正する法律案は、本年八月の給与についての人事院勧告を実施しようとするものであります。  その内容は、俸給月額、扶養手当、特地勤務手当に準ずる手当、期末手当及び勤勉手当等の額の改定、ハワイ観測所勤務手当の新設並びに指定職俸給表の適用を受ける職員についての期末特別手当の新設及び期末手当の廃止等を行おうとするものであります。  なお、指定職職員については、俸給表及び期末特別手当の支給割合の改定を一年延伸し、平成十年度から行うこととしております。  次に、特別職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案は、一般職職員給与改定に伴い、特別職職員給与の額を改定しようとするものでありますが、内閣総理大臣等並びに大使及び公使に関しては、俸給表及び期末手当の支給割合の改定を平成十年度から行うこととしております。  次に、防衛庁職員給与等に関する法律の一部を改正する法律案は、一般職職員の例に準じて、防衛庁職員の俸給月額等の改定、期末特別手当の新設等を行うとともに、自衛官俸給表の将の欄または将補の(一)欄の適用を受ける自衛官以外の自衛官に係る調整手当の支給割合の改定等を行おうとするものであります。  内閣委員会におきましては、三法律案を一括して議題とし、今回の給与改定の考え方及び指定職職員の改定を一年延伸する理由、今後の行政経費縮減への取り組み等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。  質疑を終わり、討論に入りましたところ、日本共産党を代表して吉川委員から、一般職職員給与法等改正案に賛成、他の二法律案に反対の意見が述べられました。  次いで、順次採決の結果、一般職職員給与法等改正案については全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定し、また、特別職職員給与法改正案及び防衛庁職員給与法改正案は、いずれも多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、一般職職員給与法等改正案に対し、附帯決議を行いました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  42. 斎藤十朗

    ○議長(斎藤十朗君) これより採決をいたします。  まず、一般職職員給与に関する法律及び一般職任期付研究員の採用、給与及び勤務時間の特例に関する法律の一部を改正する法律案の採決をいたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  43. 斎藤十朗

    ○議長(斎藤十朗君) 総員起立と認めます。  よって、本案は全会一致をもって可決されました。  次に、特別職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案及び防衛庁職員給与等に関する法律の一部を改正する法律案を一括して採決いたします。両案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  44. 斎藤十朗

    ○議長(斎藤十朗君) 過半数と認めます。  よって、両案は可決されました。      —————・—————
  45. 斎藤十朗

    ○議長(斎藤十朗君) 日程第五 裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案  日程第六 検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案   (いずれも内閣提出衆議院送付)  以上両案を一括して議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。法務委員長風間昶君。     —————————————    〔審査報告書及び議案は本号(その二)に掲載〕     —————————————    〔風間昶君登壇拍手
  46. 風間昶

    ○風間昶君 ただいま議題となりました両法律案につきまして、法務委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。  両法律案は、一般の政府職員給与改定に伴い、この例に準じて裁判官及び検察官の給与の改定等をしょうとするものであります。  委員会におきましては、両法律案を一括して議題とし、裁判官の報酬と検察官の俸給を独自に規定している趣旨給与改定の実施時期を延伸される裁判官、検察官の割合及び延伸の妥当性等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録により御承知願います。  質疑を終わり、順次採決の結果、両法律案はいずれも全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  47. 斎藤十朗

    ○議長(斎藤十朗君) これより両案を一括して採決いたします。  両案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  48. 斎藤十朗

    ○議長(斎藤十朗君) 総員起立と認めます。  よって、両案は全会一致をもって可決されました。      —————・—————
  49. 斎藤十朗

    ○議長(斎藤十朗君) 日程第七 介護保険法案  日程第八 介護保険法施行法案  日程第九 医療法の一部を改正する法律案   (いずれも第百三十九回国会内閣提出、第百   四十回国会衆議院送付)  以上三案を一括して議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。厚生委員長山本正和君。     —————————————    〔審査報告書及び議案は本号(その二)に掲載〕     —————————————    〔山本正和君登壇拍手
  50. 山本正和

    ○山本正和君 ただいま議題となりました三法律案につきまして、委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。  これらの法律案は、第百三十九回国会に提出され、同国会では衆議院において、また、第百四十回国会では本院において継続審査となっていたものであります。  まず、介護保険法案は、本格的な高齢社会の到来に対応して、国民の共同連帯の理念に基づき、要介護状態にある者等がその有する能力に応じ自立した日常生活を営むために必要な保健医療サービス及び福祉サービスが総合的に提供されるよう、介護保険制度を創設しようとするものであります。  次に、介護保険法施行法案は、介護保険法の施行に必要な経過措置を定めるとともに、関係法律整備を行おうとするものであります。  次に、医療法の一部を改正する法律案は、要介護者の増大に対応し、国民に良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の整備を図るため、療養型病床群制度の診療所への拡大地域医療支援病院の創設その他所要の措置を講じようとするものであります。  委員会におきましては、三案を一括議題として審査を進め、公的介護保障を社会保険方式によることの是非、介護サービス基盤の早急な整備の必要性、要介護認定のあり方、介護報酬の設定のあり方、加齢疾病条項の取り扱い及び若年障害者に対する介護施策あり方、保険料及びサービス利用料に係る低所得者対策、市町村に対する財政支援等の必要性、地域医療支援病院のあり方等の諸問題について質疑が行われたほか、参考人からの意見聴取、高知県、山梨県、愛知県及び大分県での地方公聴会へさらに中央公聴会を行いましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。  採決により質疑を終局することを決定した後、今井委員より、自由民主党、民主党・新緑風会、社会民主党・護憲連合及び太陽の共同提出に係る介護保険法案に対する修正案及び介護保険法施行法案に対する修正案が提出されました。  介護保険法案に対する修正案は、介護保険事業の運営が健全かつ円滑に行われるよう国が講すべき必要な各般の措置として、保健医療サービス及び福祉サービスを提供する体制の確保に関する施策を明記することを内容とするものであります。  介護保険法施行法案に対する修正案は、第百四十回国会で成立した健康保険法等の一部を改正する法律が本年九月一日から施行されたことに伴い、介護保険法施行法案第二十九条等の規定について所要の整理を行うことを内容とするものであります。  討論に入りましたところ、平成会を代表して山本委員より、介護保険法案及び介護保険法施行法案について原案及び修正案に反対、医療法の一部を改正する法律案について賛成、民主党・新緑風会を代表して今井委員より、介護保険法案及び介護保険法施行法案について原案及び修正案に賛成、医療法の一部を改正する法律案について賛成、日本共産党を代表して西山委員より、介護保険法案及び介護保険法施行法案について原案及び修正案に反対、自由民主党及び社会民主党・護憲連合を代表して清水理事より、介護保険法案及び介護保険法施行法案について原案及び修正案に賛成、医療法の一部を改正する法律案について賛成する旨の意見が、それぞれ述べられました。  討論終局の後、順次採決を行った結果、介護保険法案及び介護保険法施行法案は多数をもってそれぞれ修正議決すべきものと決定し、医療法の一部を改正する法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、三法律案に対して、附帯決議が付されております。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  51. 斎藤十朗

    ○議長(斎藤十朗君) ただいま委員長報告がありました議案のうち、介護保険法案及び介護保険法施行法案に対し、討論の通告がございます。順次発言を許します。浜四津敏子君。    〔浜四津敏子君登壇拍手
  52. 浜四津敏子

    ○浜四津敏子君 私は、平成会を代表して、ただいま議題となりました介護保険法案及び同修正案並びに同法施行法案及び同修正案に反対の立場から討論を行います。  我が国は、他国に例を見ない急激なスピードで高齢社会へと向かっております。それに伴い、寝たきりや痴呆症状の要介護者も急速にふえ続けてまいりました。それに対応できる福祉の充実を政府が十分に行ってこなかった結果、在宅、施設両面における介護サービスは決定的に不足し、それが介護地獄とまで言われる悲惨な実態を生じさせることになりました。深刻化する介護を社会全体で支える新たな公的介護保障制度の確立が急務であることは疑いのないところであります。  しかし、余りに問題の多い今回の政府案では、介護地獄から救われることを期待する多くの国民の思いを裏切る結果となります。理念も不明であり、医療、保健、福祉の整合性ある社会保障制度全体の中に位置づけられた制度となっておらず、本来のあるべき制度とはかけ離れたその場しのぎの欠陥法案だからであります。  このことは、厚生委員会における審議が進めば進むほど、そして中央、地方の公聴会や参考人質疑を重ねれば重ねるほど、次々と疑問点、問題点が浮かび上がり、疑惑、疑念は解消されるどころかますます大きくかつ深くなってきたことを見ても明らかであります。  この法案審議の特徴は、学者も介護現場の人も自治体関係者も、また与野党を問わずほとんどすべての人が結論の賛否は別として同じような問題点を指摘し、不安と危惧を表明していることであります。積極的賛成はほとんどないと言っても過言ではありません。どこが違うかといえば、賛成論者は、問題はあるがともかく制度をつくり、後で見直していけばよいとするものであります。しかし、一たん制度を導入した後にそれを見直していくことは非常に困難であります。多くの欠陥を積んだままの見切り発車ではなく、初めから問題点を解消したよりよい制度として出発すべきであります。  私たちは、昨年来多くの現場に行き、さまざまな声を聞かせていただきました。福祉施設関係者からは、余りに現場を知らない机上の空論だ、このような制度が導入されれば現場は混乱し福祉は後退する、高齢者福祉施設の多くは経営が成り立たなくなるなどの厳しい声が寄せられました。  また、先般、新進党は全国自治体アンケートを実施いたしました。三千二百五十五の自治体のうち約四割に上る千二百四十五の自治体から回答がありました。それによると、この法案を早急に成立させるべきなどの意見はわずか八・五%にすぎないのであります。これに対して、法の施行をおくらせるべき、あるいは国民理解を得るためもっと時間をかけて議論すべきとの意見を合わせると慎重論が六五・二%にも上りました。また、先日、全国八十七の市長の有志の皆様が連名で参議院に対し慎重審議の申し入れをされました。  この法案は問題が多いので拙速な成立を避けるべきだというのが大半の関係者意見なのであります。国は現場の方々のこうした意見を謙虚に受けとめるべきであります。  以下、具体的な反対理由について申し上げます。  反対の第一の理由は、この法案は初めに国民負担ありきから出発していることであります。国家財政の観点から保険料名目で国民に負担を求めることのみが先行し、それが最大の目的となっているのであります。そのために高齢の低所得者層からも保険料と一割の利用料を徴収することとしております。年金生活者など低所得者には極めて重い負担となるため、大量の保険料未納者が発生することは必至であります。また、そうした人たちが介護サービスから排除される可能性が極めて大きいのであります。  さらに、四十歳以上六十五歳未満の第二号被保険者は保険料を支払ってもほとんどサービスが受けられない仕組みになっております。保険料はいただきます、しかしサービスは受けられませんなどということが理解されるとは到底思えません。この世代の方々からも多くの保険料不払いが生じることもまた明らかであります。  こうした問題について私たちが要求した加齢疾病条項の削除や低所得者の保険料減免、自己負担の上限額などの低所得者への配慮などの点につき、厚生省は態度を明確にしておりません。  橋本内閣は、各分野で待ったなしの抜本改革をすべて先送りし、その一方で消費税増税、特別減税打ち切り、医療費の値上げなど合計九兆円にも上る負担を国民に押しつけました。その上、さらに今回、この介護保険で福祉の分野にまで二兆円を超える新たな国民負担増を図ろうとしているのであります。  第二の理由は、保険あってサービスなしの危険性が極めて大きい点であります。  厚生省はあたかも保険証一枚で介護サービスが受けられるかのような幻想を国民に与えました。しかし、介護保険は医療保険とは異なり、カード一枚でいつでもどこでもサービスが受けられるわけではありません。複雑煩瑣な手続と要介護認定を受けなければサービスは受けられないのです。現在無料で受けているサービスが介護保険制度にかわるとサービスが受けられなくなったりサービスが低下する。その上、有料ということになります。  また、この要介護認定の手続と基準が不透明なため、公正公平の確保も疑問であり、また自治体の財政力によっても認定が左右されてしまうおそれが十分にあります。サービスの地域間格差が生じれば国民の間に不公平感と不満とが噴出することになりましょう。  さらに、制度がスタートして保険料を支払っても、ホームヘルパーなどの人材や介護施設が必要な数だけそろわず、サービスが受けられない高齢者が多数に上るおそれが大きいのであります。  自治体の約七割が新ゴールドプランの達成は困難と回答しております。新ゴールドプランを達成してさえ不足と言われていますが、しかし、少なくとも介護保険は新ゴールドプランの完全達成を前提としているものであり、このままでは人材や施設整備のおくれから保険あってサービスなしの最悪の事態を招くことが目に見えております。  第三の理由は、市区町村の多くが危惧している第二の国保となる危険性が極めて大きい点であります。  法案では国や都道府県による市区町村への支援策を決めてはいますが、それでも多くの自治体の財政破綻の不安は消えていません。  なぜなら、医療保険でも同様に国は二分の一を負担すると決めながら、現実には給付実績を無視して定額給付しかせず、そのために市区町村が不足分のしわ寄せをかぶってきた前例があるからであります。それと同じことが介護保険でも行われるとの危惧を自治体は払拭できないのであります。ある研究会の試算では、二〇一〇年には自治体の介護関係経費の負担は現行制度における負担の十倍を超えるとされております。  さらに、介護保険料を国保に上乗せして徴収することとされているため、介護保険だけでなく、国保も一緒に未納となる人がふえることが必至であります。国保と介護保険が共倒れになる危険すらあるのです。  このように、今回の介護保険制度は、自治体を財政破綻に陥れるおそれが極めて大きい制度であります。  第四の理由は、本法案では三百にも及ぶ政省令委任事項が定められていることであります。  要介護認定の基準、特定疾病の範囲、介護事業者の指定基準、介護報酬、保険料の算定方法など制度の根幹にかかわる重要かっ基本的な問題ですら政省令に委任され、いまだに明らかになっていないのであります。  つまり、介護保険制度に関する重要な事項は、国会でなく、すべて厚生省が決めることになるわけであります。また、市区町村は事業主体とされながら、実質的には何も決められないのです。このことは国会軽視であり、かっ地方分権にも反するものであり、到底認めるわけにはいきません。  以上のように、本法案は主な問題点だけでもこれだけに上る欠陥法案であります。このまま見切り発車させることになれば、介護保険制度そのものの破綻に至ることは明らかであります。何となくバラ色のイメージを抱かされた国民にとって、期待が大きいだけに、制度が破綻に至れば、公的介護保障制度そのものに対する失望感と不信感は非常に大きいものとなりましょう。そして、そうなれば二度と公的介護保障制度を構築することは不可能となります。  取り返しのつかない失敗を避けるためにも、本法案は廃案とし、もう一度、財源論を初め原点からの国民的議論を経て、二十一世紀に耐え得る、しっかりとしたよりよい制度の構築を図るべきであることを指摘して、私の討論を終わります。(拍手
  53. 斎藤十朗

    ○議長(斎藤十朗君) 南野知惠子君。    〔南野知惠子君登壇拍手
  54. 南野知惠子

    ○南野知惠子君 私は、自由民主党、社会民主党・護憲連合並びに新党さきがけを代表しまして、修正議決されました介護保険法案及び介護保険法施行法案、両案につきまして、賛成の討論を行います。  現在、我が国の高齢化は急速に進み、介護を必要とする高齢者の数は増加の一途をたどっております。また、介護期間の長期化や核家族化などに伴う家族形態の変化などにより、介護を行っている人の三人に一人が六十五歳以上の高齢者という老老介護という形になっております。家族による介護では、もはや十分な対応を行うことが困難な状況となってきております。  介護問題が国民の老後生活の最大の不安要因となっております今日、超高齢社会となる二十一世紀の我が国におきましては、長生きしてよかったと心から思える社会を築いていくためにも、一刻も早い介護保険制度の創設が待たれるものと思われます。  以下、修正議決されました両案につきまして順次賛成の理由を申し述べたいと存じます。  賛成の第一の理由は、介護システムを社会保険方式としている点でございます。  高齢化の進展に伴い、介護サービスの費用の増加が予想される中、利用者の自由な選択を確保し、かっ給付と負担の対応関係が明確である社会保険方式は、国民にとって望ましく、理解が得られやすい仕組みであると考えられるからでございます。  次に、賛成の第二の理由を申し述べます。  現在、福祉と医療が縦割りの制度となっておりますために、サービスが自由に選択できないなどの問題が指摘されております。そのために、修正議決されました両案は、現行制度を再編成し、利用者自身が多様なサービスを選択し、保健、医療、福祉にわたる総合的なサービスが受けられる利用者本位の仕組みとしているところでございます。  賛成の第三の理由は、介護を理由とする長期入院が問題とされていることにかんがみ、介護を医療から切り離し、社会的入院の解消を図るなど、医療について治療目的にふさわしい総合的、抜本的な改革を進める前提をつくるなど、六大改革の一つである社会保障構造改革の第一歩と位置づけられているところでございます。  このように、修正議決されました両案は、今まで女性を中心とする家族介護に寄りかかっていた我が国の立ちおくれた介護問題の解決を図り、社会全体の連帯のもと安心のできる良質な介護サービスを効率的に提供する、まさに福祉政策の歴史的転換をなすシステムであり、賛成するものであります。  なお、保険者である市町村等の不安を払拭させるため、介護保険事業の運営が健全かつ円滑に行われますよう、国が講すべき措置としまして、保健医療サービス及び福祉サービスを提供する体制の整備などを修正により明記しましたことは、基盤整備に関する国の責務をより明確にしたものと評価できるものでございます。  以上が、修正議決されました介護保険法案及び介護保険法施行法案両案についての賛成の理由でございます。  最後に、国民の期待にこたえられる介護保険制度を円滑に実施させるため、法律案の施行までの間にマンパワー及び介護施設の両面にわたります基盤整備強化が十分に達成されますことを強く強く願いまして、私の賛成討論を終わります。(拍手
  55. 斎藤十朗

    ○議長(斎藤十朗君) 西山登紀子君。    〔西山登紀子君登壇拍手
  56. 西山登紀子

    ○西山登紀子君 私は、日本共産党を代表し、介護保険法案及び同施行法案並びに両法案の修正案について反対の討論を行います。  今日、老老介護という状態や痴呆性老人や寝たきりでひとり暮らしのお年寄りがふえるなど、高齢者の介護をめぐる状況は極めて深刻です。また、年間八万人もの女性が介護のために仕事をやめなければならないなど、家族の悩みも深刻です。国民だれもが必要な介護を安心して受けられる公的介護保障制度の確立は待ったなしの差し迫った国民課題です。ところが、政府提出の介護保険法案は、この間の委員会の審議や参考人、公述人の陳述を通じても、このような国民の切実な期待にこたえるものでないことが一層明らかになり、この導入について深刻な不安や懸念の声が表明されました。  全国八十七市長が連名で参議院厚生委員会へあてた文書でも、介護保険法案が現行のまま施行された場合には地域混乱と不信をもたらすと重大な懸念を表明し、本法案の抜本的な改革を求めています。  私はまず、本案の導入について、一層慎重な対応を求めている多くの世論を無視して、採決を強行することに強く抗議をいたします。  反対理由の第一は、介護の基盤整備についての国の責任が明確にされておらず、保険あって介護なしとなることが明らかになったことです。  特別養護老人ホームの場合、その待機者は、全国の都道府県の担当者から直接聞き取り調査を行ったところ、一年半で二万人もふえ、今でも九万八千人を超えることがわかりました。現時点でも、新ゴールドプランの整備目標二十九万人分を四万人以上も超える事態になっているのです。また、ホームヘルパーも、非常勤や登録ヘルパーの急増などで、切実な介護の要望に追いつける状態ではありません。  しかも、重大なことは、財政構造改革法によって、二〇〇〇年まで社会保障関係費の大幅削減が図られることです。これでは公的介護の基盤整備が一層困難になり、保険あって介護なしの状態が広がるだけです。もともと低い新ゴールドプランの目標を国の責任で抜本的に見直すことこそ、介護保険導入の大前提です。特養ホームの増設を初め常勤ヘルパーの拡充、二十四時間対応のホームヘルプサービス、いつでも利用できるショートステイなど、介護サービス基盤整備を抜本的に充実することこそ今政府がやるべき、国民の公的介護保障のニーズにこたえる道であると考えます。  反対理由の第二は、保険料、利用料の負担が重く、多くの高齢者、低所得者が介護サービスを受けられない問題です。  介護保険の導入で、国の負担は三千七百億円、市町村負担が千六百億円削減される一方で、国民に負担増を求めるものとなっています。制度導入時の保険料は平均一人当たり二千五百円、その上、介護費用の一律一割を利用者が負担しなければなりません。  この間の参考人質疑や公聴会の陳述でも、例えば甲府市のある特別養護老人ホームの利用者の実に七割が月額平均利用料四万七千円を払えなくなること、中央の公聴会でも、神奈川のある特別養護老人ホームでは、現在より負担増となる入居者が七三%、利用料が負担できなくなる人が六三%にもなるとの報告もされました。  ホームヘルパーも、現在利用者の多くが低所得者で無料なのに、介護保険では一割負担が導入されます。高知市長は、ホームヘルプサービスの利用者の八五%が今無料であり、介護保険が導入されれば新たな負担増が生ずること、負担能力がなく生活保護を受けるしかなくなる市民がふえてくると述べています。さらに、名古屋の公聴会では、月三万三千五百円の年金で生活しているお年寄りの場合、今の介護負担額は月四千九百二十円であるが、制度が導入されると一万五千五百円と三倍以上になること、そのお年寄りが、生活費の半分が介護費用となり生活できない、お金がかかるならヘルパーを断るしかない、早く死にたいと言ったという陳述もありました。  このように、最も介護を必要とする人たちが介護サービスを受けられなくなります。これでは、だれのための介護保険かわからないではありませんか。  さらに、介護保険では、医療保険料に介護保険料を上乗せします。国民健康保険の加入者の場合、相次ぐ国保の改悪によって、今でも保険料が高くて払えない滞納者がふえています。滞納者から保険証を取り上げる資格証明書や短期被保険者証の発行世帯が五年間で二倍、二十一万世帯、約四十万人にもなり、この数は毎年ふえています。この上、高い介護保険料を上乗せしたのでは滞納者がふえるのは明らかです。四十歳以上の国保加入者で保険料が払えない場合は、医療も介護も受けられなくなります。初めから保険料を払えない人に高いハードルを設け、払えないからといって罰則を強化して保険証を取り上げるのでは、憲法第二十五条で定める国民の命を守る政治の責任が果たせるでしょうか。  第三の理由は、要介護認定の問題です。  厚生省の九六年度の要介護認定モデル事業の結果では、コンピューター処理の一次判定と認定審査会で行う二次判定で約三割に介護認定のずれが起こっています。東京都では約四割でずれが生じ、二次判定で七割がより高い介護度に変更されたという結果が出ております。要介護認定がニーズに応じて適切になされるかどうかについて、国民の間に強い不安があります。要介護度の認定制度に対する信頼性が確立されないままに保険制度を導入することは許されません。  修正案については、以上のような重大な政府案の問題点は到底解決されるものではありません。  日本共産党は、本案は廃案にして、抜本的につくり直すことを強く求めるものです。  すなわち、我が党は、新ゴールドプランを抜本的に見直し、国の責任で基盤整備を行うこと、高齢者や低所得者からは保険料は取らず、利用料は無料とすること、在宅介護手当を設け、在宅サービスとの選択制にし、併給も認めること、さらに、年齢の制限をやめ、介護を必要とするすべての人を対象とすることなどを提案しています。むだな公共事業をやめ、軍事費を半分にするなどして社会保障費を抜本的にふやすならば、財源を生み出すことは可能です。国庫負担をふやし、措置制度を拡充強化して公的保険制度と組み合わせるなどの措置がぜひとも必要です。この提案は、地方公聴会などで出された意見とも基本的に合致し、多くの国民の要求に沿うものと確信いたします。  老人福祉法第二条は、「老人は、多年にわたり社会の進展に寄与してきた者として、かつ、豊富な知識と経験を有する者として敬愛されるとともに、生きがいを持てる健全で安らかな生活を保障されるものとする。」としています。  日本共産党は、多くの高齢者が人間らしい生活を送ることはもとより、人間としての尊厳が保障される充実した公的介護制度の確立に全力を尽くす決意を述べ、私の反対討論を終わります。(拍手
  57. 斎藤十朗

    ○議長(斎藤十朗君) 今井澄君。    〔今井澄君登壇拍手
  58. 今井澄

    ○今井澄君 私は、民主党・新緑風会を代表して、修正された介護保険関連二法案に賛成する立場から討論を行います。  賛成する第一の理由は、急速な高齢化とそれに伴う要介護者の急増に対して、介護の社会化を進める新たな介護保障システムの導入が極めて急がれているからであります。  日本は、二十一世紀に向け急激な少子・高齢化を迎えております。そして、寝たきりや痴呆などを含む要介護高齢者、虚弱高齢者が、現在でも約二百万人おりますが、二〇二五年には五百二十万人に達すると見込まれております。  そういった中で、在宅の要介護高齢者の介護は主として女性によって担われており、介護者の半数は六十歳以上であり、介護者の負担は過大なものとなっております。介護を受ける者に対して憎しみを感じたことのある介護者は三人に一人に上り、虐待をしたことのある介護者は二人に一人というありさまで、家族による介護は崩壊の危機に瀕しております。  一方、施設等に入所している高齢者については、特別養護老人ホーム、老人保健施設、老人病院など、たまたま入った施設の違いによって、同じような要介護状態にある高齢者なのに受けるサービスが異なっていたり、費用負担に違いがあります。  こういった状況の中で、高齢者がみずからの能力を生かし、みずからが望む環境の中で人間としての尊厳を保って生活することができる、自立と選択の可能な介護システムの早急な構築が求められており、家族介護から社会的介護への転換が急がれております。  賛成の第二の理由は、社会保険方式による介護保障システムの構築が最も現実的であり、かつ広く国民支持を得られているからであります。  介護の社会保障システムを税方式によって構築するのか、保険方式によって構築するのかは、いまだ議論の尽きないところであります。社会保険方式は、新たな事務の発生、無保険者の発生、保険料の逆進性といった欠点を持っております。  しかしながら、従来の措置制度を基本とする税方式の欠陥もまた既に明らかになっております。一九九〇年度から着手された高齢者保健福祉推進十カ年戦略、いわゆるゴールドプランは、途中で新ゴールドプランヘと目標値をふやして変更され、現在実施中でありますが、その限界は残念ながら明らかであります。新々ゴールドプランあるいはスーパーゴールドプランなど、もう一段強化した計画の策定と実施が望まれている状況でもあります。  しかし、公的な供給主体によるサービスの非効率性や、そのことに伴って需要が意外と伸びないこと、民間活力が十分に活用されないことなどが問題でありますし、そして何よりも、財源の制約からサービス供給量が制限されていることが最大の問題点であります。特に昨今の厳しい財政状況のもとでは、新たな財源確保は極めて困難であります。  また、負担と給付の関係が不明瞭であることも問題です。各種の世論調査によれば、国民の六割ないし八割が介護保険制度を支持しており、その多くは三千円ないし五千円の保険料負担を肯定しております。そのことは、負担と給付の関係が明確な社会保険方式が、年金や医療の分野を含めて戦後の我が国に定着してきており、国民支持を得ていることを示していると考えられます。  したがって、急速な高齢化のもとで急いで介護の社会化を実現するためには、税方式か保険方式かという議論に決着をつけ、保険方式による具体的な制度設計に入るべきときに来ていると考えます。医療保障における社会保険方式の導入、つまり国民皆保険制度の導入が民間活力の活用に道を開き、当初は保険あって医療なしと言われながら、今日のような医師過剰を含む十分な供給体制の整備をもたらしたというこの事実を思い起こしていただきたいものであります。  しかしまた、本院厚生委員会の審議で明らかになりましたように、介護保険制度には幾多の問題が残されております。  第一は、介護基盤の整備の必要性であります。要介護者が選択できるためにも、良質のサービスが競って提供されるためにも、多様な主体によるサービスの十分な提供が保障される必要があります。そのためには、国及び地方自治体並びに民間事業者の一層の努力が必要とされております。  第二は、第二の国保とならないよう、保険財政の安定的運営への保険者である自治体の努力と国の積極的な支援が必要とされていることであります。  第三は、利用者にとって利用しやすく、かつ公明公平なシステムとなるよう、要介護認定が迅速かつ公正に行われること、不服や苦情の申し立てが簡便かっ迅速に行われること、さらには、市町村による追加サービスが適宜行われると同時に、それらが国の制度全体としてサービスメニューに加えられる必要があることです。  さらに、低所得者に対する保険料や利用料の減免あるいは補助制度が柔軟に行われる必要があります。  一方、詳細な内容の多くが政省令事項にゆだねられており、また、新しい制度はあらかじめ予見できない問題を含んでいると考えられますので、本院としても引き続き制度の仕上げに向けて取り組みを続ける必要があります。  以上の観点から、介護保険制度をすべての人々の手で支え、国〉都道府県、市町村が協力し合い、二十一世紀の展望を切り開く新たな制度として育てていくことを切に願いながら、私の賛成討論を終わります。(拍手
  59. 斎藤十朗

    ○議長(斎藤十朗君) これにて討論は終局いたしました。     —————————————
  60. 斎藤十朗

    ○議長(斎藤十朗君) これより採決を行います。  まず、介護保険法案及び介護保険法施行法案を一括して採決いたします。  両案の委員長報告は修正議決報告でございます。  表決は記名投票をもって行います。両案を委員長報告のとおり修正議決することに賛成の諸君は白色票を、反対の諸君は青色票を、御登壇の上、御投票を願います。  議場の閉鎖を命じます。氏名点呼を行います。    〔議場閉鎖〕    〔参事氏名を点呼〕    〔投票執行〕
  61. 斎藤十朗

    ○議長(斎藤十朗君) 投票漏れはございませんか。——投票漏れはないと認めます。投票箱閉鎖。    〔投票箱閉鎖〕
  62. 斎藤十朗

    ○議長(斎藤十朗君) これより開票いたします。投票を参事に計算させます。議場の開鎖を命じます。    〔議場開鎖〕    〔参事投票を計算〕
  63. 斎藤十朗

    ○議長(斎藤十朗君) 投票の結果を報告いたします。   投票総数        二百三十九票   白色票          百六十二票   青色票           七十七票  よって、両案は委員長報告のとおり修正議決されました。(拍手)      —————・—————   〔参照〕  賛成者(白色票)氏名      百六十二名       阿部 正俊君    青木 幹雄君       芦尾 長司君    井上 吉夫君       井上  孝君    井上  裕君       石井 道子君    石川  弘君       石渡 清元君    板垣  正君       岩井 國臣君    岩崎 純三君       岩永 浩美君    上杉 光弘君       上野 公成君    浦田  勝君       海老原義彦君    遠藤  要君       小野 清子君    尾辻 秀久君       大河原太一郎君    大島 慶久君       太田 豊秋君    岡  利定君       岡野  裕君    岡部 三郎君       加藤 紀文君    狩野  安君       鹿熊 安正君    景山俊太郎君       笠原 潤一君    片山虎之助君       金田 勝年君    釜本 邦茂君       鎌田 要人君    上吉原一天君       亀谷 博昭君    河本 英典君       木宮 和彦君    北岡 秀二君       久世 公堯君    沓掛 哲男君       倉田 寛之君    小山 孝雄君       鴻池 祥肇君    佐々木 満君       佐藤 静雄君    佐藤 泰三君       斎藤 文夫君    坂野 重信君       清水嘉与子君    清水 達雄君       塩崎 恭久君    下稲葉耕吉君       陣内 孝雄君    須藤良太郎君       鈴木 政二君    鈴木 貞敏君       関根 則之君    田浦  直君       田沢 智治君    田村 公平君       高木 正明君    竹山  裕君       武見 敬三君    谷川 秀善君       常田 享詳君    坪井 一宇君       中島 眞人君    中曽根弘文君       中原  爽君    永田 良雄君       長尾 立子君    長峯  基君       楢崎 泰昌君    成瀬 守重君       西田 吉宏君    野沢 太三君       野間  赳君    野村 五男君       南野知惠子君    橋本 聖子君       馳   浩君    畑   恵君       服部三男雄君    林  芳正君       林田悠紀夫君    平田 耕一君       二木 秀夫君    保坂 三蔵君       真島 一男君    真鍋 賢二君       前田 勲男君    松浦  功君       松浦 孝治君    松谷蒼一郎君       松村 龍二君    三浦 一水君       溝手 顕正君    宮崎 秀樹君       宮澤  弘君    村上 正邦君       守住 有信君    森田 健作君       矢野 哲朗君    山崎 正昭君       山本 一太君    依田 智治君       吉川 芳男君    吉村剛太郎君       朝日 俊弘君    伊藤 基隆君       一井 淳治君    今井  澄君       小川 勝也君    岡崎トミ子君       萱野  茂君    川橋 幸子君       久保  亘君    国井 正幸君       小島 慶三君    齋藤  勁君       笹野 貞子君    菅野 久光君       竹村 泰子君    千葉 景子君       角田 義一君    中尾 則幸君       前川 忠夫君    松前 達郎君       峰崎 直樹君    本岡 昭次君       藁科 滿治君    赤桐  操君       及川 一夫君    大脇 雅子君       梶原 敬義君    上山 和人君       菅野  壽君    日下部禧代子君       志苫  裕君    清水 澄子君       瀬谷 英行君    谷本  巍君       照屋 寛徳君    田  英夫君       渕上 貞雄君    三重野栄子君       村沢  牧君    山本 正和君       渡辺 四郎君    佐藤 道夫君       島袋 宗康君    西川きよし君       山田 俊昭君    奥村 展三君       堂本 暁子君    水野 誠一君       北澤 俊美君    釘宮  磐君       小山 峰男君    長谷川道郎君     —————————————  反対者(青色票)氏名      七十七名       足立 良平君    阿曽田 清君       荒木 清寛君    石田 美栄君       泉  信也君    猪熊 重二君       今泉  昭君    岩瀬 良三君       魚住裕一郎君    牛嶋  正君       海野 義孝君    及川 順郎君       大久保直彦君    大森 礼子君       扇  千景君    加藤 修一君       風間  昶君    片上 公人君       勝木 健司君    小林  元君       木暮 山人君    木庭健太郎君       白浜 一良君    菅川 健二君       田村 秀昭君    高野 博師君       高橋 令則君    武田 節子君       但馬 久美君    都築  譲君       続  訓弘君    鶴岡  洋君       寺崎 昭久君    寺澤 芳男君       戸田 邦司君    直嶋 正行君       永野 茂門君    長谷 川清君       浜四津敏子君    平井 卓志君       平田 健二君    平野 貞夫君       広中和歌子君    福本 潤一君       星野 朋市君    益田 洋介君       松あ きら君    円よ り子君       水島  裕君    山崎  力君       山下 栄一君    山本  保君       吉田 之久君    和田 洋子君       渡辺 孝男君    阿部 幸代君       有働 正治君    上田耕一郎君       緒方 靖夫君    笠井  亮君       聴濤  弘君    須藤美也子君       立木  洋君    西山登紀子君       橋本  敦君    筆坂 秀世君       山下 芳生君    吉岡 吉典君       吉川 春子君    江本 孟紀君       椎名 素夫君    末広まきこ君       栗原 君子君    矢田部 理君       山口 哲夫君    武田邦太郎君       松尾 官平君      —————・—————
  64. 斎藤十朗

    ○議長(斎藤十朗君) 次に、医療法の一部を改正する法律案の採決をいたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  65. 斎藤十朗

    ○議長(斎藤十朗君) 総員起立と認めます。  よって、本案は全会一致をもって可決されました。      —————・—————
  66. 斎藤十朗

    ○議長(斎藤十朗君) この際、お諮りいたします。  上野公成君外五名発議に係る介護サービス基盤整備推進等に関する決議案は、発議者要求のとおり委員会審査を省略し、日程に追加してこれを議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  67. 斎藤十朗

    ○議長(斎藤十朗君) 御異議ないと認めます。  よって、本決議案を議題といたします。  まず、発議者の趣旨説明を求めます。上野公成君。     —————————————    〔議案は本号(その二)に掲載〕     —————————————    〔上野公成君登壇拍手
  68. 上野公成

    ○上野公成君 ただいま議題となりました自由民主党、平成会、民主党・新緑風会、社会民主党・護憲連合及び太陽の各派共同提案に係る介護サービス基盤整備推進等に関する決議案につきまして、発議者を代表し、提案の趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     介護サービス基盤整備推進等に関する決議案   我が国は、来たるべき二十一世紀に世界に例のない高齢社会を迎えると予測されている。   このような高齢化が進む中で、高齢者介護の問題は、国民の老後生活における最大の不安要因であると言って過言ではなく、個人の人生にとどまらず、家族、さらには我が国社会全体にとっても極めて重要な課題である。   介護が必要になっても、高齢者が自らの有する能力を最大限活かし、自らが望む環境で、人生を尊厳を持って過ごすことができるような長寿社会の実現は、人類共通の願いである。   このような重要な介護問題の解決に向け、今後進むべき方向を明らかにし、着実に施策を講じていくことは、本院に課せられた責務であり、政府は、特に次の事項について万全の対策を期するべきである。   一、「保険あって介護なし」とならないよう、介護保険法施行までに介護サービスに関する人材、施設等の基盤整備を着実に進めるとともに、地域間格差の解消に努めること。また、法施行後も高齢者の増加に対応して引き続き介護サービス基盤整備の推進に努めること。   一、市町村が制度を安定的に運営できるよう、その意向を十分反映した各般の支援に万全を期すとともに、広域化の取り組み支援すること。   一、介護を要する状態の認定については、公平、公正に留意するとともに、迅速な判定を行えるよう必要な措置を講ずること。   一、全ての国民が適切に介護サービスを利用することができるよう、低所得者に対する必要な措置を講ずること。   右決議する。  以上でございます。  我が国の高齢化率は一五%を超え、既に西欧諸国と並ぶ水準に達しており、来るべき二十一世紀半ばには、これまで世界に例のない三人に一人が高齢者という超高齢社会を迎えようとしております。  このような急速な高齢化に伴い、高齢者介護の問題は、国民の老後の大きな不安要因となっており、家庭や社会保障制度にとどまらず、介護による離職の増加など就業や企業経営のあり方にも影響を与える我が国最大の課題一つとなっております。  高齢者が介護を必要とする状態となっても、みずからの意思に基づき、自立した質の高い生活を送ることができるようにするには、制度を確立するに当たり、介護サービス基盤の着実な整備、市町村の安定的な制度運営の確保、公平迅速な要介護認定及び低所得者への配慮が不可欠であります。  政府は、介護保険制度施行までの二年余の期間に、これらの施策の樹立に向け、積極的に取り組むとともに、施行後においてもその実施に万全を期することを強く要望するものであります。  以上が本決議案を提案する趣旨であります。  何とぞ皆様の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。(拍手)     —————————————
  69. 斎藤十朗

    ○議長(斎藤十朗君) これより採決をいたします。  本決議案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  70. 斎藤十朗

    ○議長(斎藤十朗君) 過半数と認めます。  よって、本決議案は可決されました。  ただいまの決議に対し、厚生大臣から発言を求められました。発言を許します。小泉厚生大臣。    〔国務大臣小泉純一郎君登壇拍手
  71. 小泉純一郎

    国務大臣(小泉純一郎君) ただいまの御決議に対して、所信を申し述べます。  政府といたしましては、ただいま採択されました御決議の趣旨を十分尊重いたしまして、介護サービス基盤の整備の推進などに努力してまいります。(拍手)      —————・—————
  72. 斎藤十朗

    ○議長(斎藤十朗君) 日程第一〇 罰則の整備のための金融関係法律の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。大蔵委員長石川弘君。     —————————————    〔審査報告書及び議案は本号(その二)に掲載〕     —————————————    〔石川弘君登壇拍手
  73. 石川弘

    ○石川弘君 ただいま議題となりました罰則の整備のための金融関係法律の一部を改正する法律案につきまして、大蔵委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。  本法律案は、最近における我が国金融環境の変化に対応し、金融機関等の経営の健全性と証券市場等の公正性及び透明性確保を図るため、金融機関等による検査忌避、虚偽報告等に係る罰則、証券市場等における不公正取引、企業内容等の開示義務違反等に係る罰則その他の金融関係法律の罰則の整備を行うものであります。  委員会におきましては、金融不祥事の背景と再発防止策、罰則強化の妥当性、金融機関の検査体制のあり方等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録に譲ります。  質疑を終了し、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、本法律案に対して、附帯決議が付されております。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  74. 斎藤十朗

    ○議長(斎藤十朗君) これより採決をいたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  75. 斎藤十朗

    ○議長(斎藤十朗君) 総員起立と認めます。  よって、本案は全会一致をもって可決されました。      —————・—————
  76. 斎藤十朗

    ○議長(斎藤十朗君) この際、日程に追加して、  国会議員の秘書の給与等に関する法律の一部を改正する法律案衆議院提出)を議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  77. 斎藤十朗

    ○議長(斎藤十朗君) 御異議ないと認めます。  まず、委員長の報告を求めます。議院運営委員長中曽根弘文君。     —————————————    〔審査報告書及び議案は本号(その二)に掲載〕     —————————————    〔中曽根弘文君登壇拍手
  78. 中曽根弘文

    ○中曽根弘文君 ただいま議題となりました国会議員の秘書の給与等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。  本法律案は、衆議院議院運営委員長提出によるものでありまして、一般職の国家公務員の給与改定に倣い、国会議員の秘書に適用されている別表第一及び別表第二の給料表の改定等を行おうとするものであり、本年四月から適用することといたしております。  委員会におきましては、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  79. 斎藤十朗

    ○議長(斎藤十朗君) これより採決をいたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  80. 斎藤十朗

    ○議長(斎藤十朗君) 総員起立と認めます。  よって、本案は全会一致をもって可決されました。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時六分散会