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1997-10-03 第141回国会 参議院 本会議 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年十月三日(金曜日)    午前十時一分開議     —————————————議事日程 第三号   平成九年十月三日    午前十時開議  第一 国務大臣演説に関する件(第三日)     ————————————— ○本日の会議に付した案件  一、裁判官弾劾裁判所裁判員予備員裁判官訴   追委員及び同予備員辞任の件  一、裁判官弾劾裁判所裁判員予備員等各種委員   の選挙  以下議事日程のとおり      ——————————
  2. 斎藤十朗

    議長斎藤十朗君) これより会議を開きます。  この際、お諮りいたします。  佐藤静雄君及び加藤紀文君から裁判官弾劾裁判所裁判員予備員を、志村哲良君及び星野朋市君から裁判官訴追委員を、矢野哲朗君及び森田健作君から同予備員を、それぞれ辞任いたしたいとの申し出がございました。  いずれも許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 斎藤十朗

    議長斎藤十朗君) 御異議ないと認めます。  よって、いずれも許可することに決しました。      ——————————
  4. 斎藤十朗

    議長斎藤十朗君) この際、欠員となりました  裁判官弾劾裁判所裁判員予備員二名、  裁判官訴追委員二名、同予備員二名 またあわせて  皇室会議予備議員二名、  皇室経済会議予備議員一名、  検察官適格審査会委員一名、同予備委員二名、  国土審議会委員二名、  国土開発幹線自動車道建設審議会委員四名、  北海道開発審議会委員一名の選挙 を行います。  つきましては、これら各種委員選挙は、いずれもその手続を省略し、議長において指名することとし、また、裁判官弾劾裁判所裁判員予備員裁判官訴追委員予備員皇室会議予備議員皇室経済会議予備議員職務を行う順序は、これを議長に一任せられたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 斎藤十朗

    議長斎藤十朗君) 御異議ないと認めます。  よって、議長は、  裁判官弾劾裁判所裁判員予備員服部三男雄君及び河本英典君を、  裁判官訴追委員に清水嘉与子君及び猪熊重二君を、  同予備員笠原潤一君及び太田豊秋君を、  皇室会議予備議員井上吉夫君及び扇千景君を、  皇室経済会議予備議員佐々木満君を、  検察官適格審査会委員平野貞夫君を、  同予備委員前田勲男君の予備委員として野村五男君を、  平野貞夫君の予備委員として笠井亮君を、  国土審議会委員真鍋賢二君及び木庭健太郎君を、  国土開発幹線自動車道建設審議会委員青木幹雄君、永田良雄君、吉川芳男君、寺崎昭久君を、  北海道開発審議会委員加藤修一君を、それぞれ指名いたします。  なお、裁判官弾劾裁判所裁判員予備員職務を行う順序は、服部三男雄君を第二順位とし、河本英典君を第三順位といたします。  また、裁判官訴追委員予備員職務を行う順序は、笠原潤一君を第一順位とし、太田豊秋君を第二順位といたします。  また、皇室会議予備議員職務を行う順序は、井上吉夫君を第一順位とし、扇千景君を第二順位といたします。  また、皇室経済会議予備議員職務を行う順序は、佐々木満君を第一順位といたします。      ——————————
  6. 斎藤十朗

    議長斎藤十朗君) 日程第一 国務大臣演説に関する件(第三日)  昨日に引き続き、これより順次質疑を許します。長尾立子君。    〔長尾立子登壇拍手
  7. 長尾立子

    長尾立子君 私は、自由民主党を代表して、橋本総理所信表明演説に対し、特に総理が内閣の最重要課題として挙げられた六つの改革のうちの一つ社会保障改革と環境問題に絞って、総理並びに関係大臣にお伺いしたいと思います。  総理は、所信表明において、我が国行政システムが深刻な限界を露呈しているものの、このシステム我が国発展する過程でうまく機能してきたがゆえに社会の隅々にまで深く根をおろしており、改革には総論賛成各論反対がつきまとうが、行政改革なくして国民皆様の信頼を得ることはできないと思うと述べられました。これは国民日常生活に直接影響のある社会保障改革についても当てはまるものと考えます。  我が国社会保障は、昭和三十年代の皆保険、皆年金達成を大きな柱として、国民生活に起こるさまざまな危機に対応するための諸対策充実が図られてまいりました。  我が国平均寿命世界最高レベルにあることや乳児死亡率が最低の水準であること、高齢者世帯の大部分公的年金家計の柱としていることなどは、これらの成果であります。しかしながら、少子高齢化の急速な進展経済成長の低下という変化の中で、これから予想される社会保障ニーズ変化にも対応しつつ安定的な運営を確保していくことは、極めて困難な課題であると言わざるを得ません。  社会保障関係費は既に平成九年度国家予算一般歳出の三分の一を占めておりますし、社会保障給付費は、平成七年度で六十五兆円、国民所得の一七%となっております。  社会保障のうち医療について、総理は、与党三党の改革案などをもとに、老人保健制度を含めた医療保険制度医療提供体制両面にわたる抜本的な改革を総合的かつ段階的に進めたいと述べられました。  医療保障国民生活の大きな支柱であることを考えれば、二十一世紀においても皆保険制度を維持し、国民に安心で良質な医療を確保していくことが強く求められております。  さきの国会において健康保険法等の一部を改正する法律案が成立をいたしましたが、国民負担増を求める前に、医療費適正化、効率的な医療提供体制の確立が必要であるとの議論が本院でなされたところであります。約四十年にわたって築かれてきた医療保険制度国民生活または社会経済のさまざまな分野に根をおろしており、その仕組みの抜本的な改革には極めて総合的な慎重な検討をする必要があるのでございます。  既に与党は、国民立場に立った医療提供体制医療保険制度抜本的改革案、すなわち「良質な医療と皆保険制度確保への指針」を八月末に発表いたしました。  この改革案は、医療提供体制及び医療保険制度全般にわたるものでありますが、基本的な課題のうち、薬価制度改革及び新しい診療報酬体系を取り上げ、総理及び厚生大臣改革に当たっての基本的なお考えを伺いたいと思います。  我が国医療においては、薬剤の占める比率が高いと指摘されておりますが、薬価差を原資とする医療経営から脱却し、技術中心医療に変えていくためには、現行薬価決定システムについて根本的な改革が必要であります。しかし、新たな決定方式については、新薬開発意欲を損なわないような配慮、流通の近代化など多くの問題がありますが、薬価決定方式改革について積極的な検討方針を示されている厚生大臣は、全体の改革のプログラムの中で、この点についてはどのようなスケジュールで、どのような方向で進めるのか、お考えをお聞かせいただきたいと思います。  医療技術の進歩に対応しつつ、新しい時代に即応した診療報酬体系の根本的な改革も必要であります。与党改革案においては、技術重視する、医療機関機能に応じた評価をする、急性期慢性期のそれぞれの医療にふさわしい評価をするなどの提案をいたしておりますが、これらの改革について厚生大臣所見をお伺いしたいと思います。  国民医療費は、一人当たりにして二十二万円という額に達しており、今後の少子高齢社会の急速な進展に伴ってさらに増加することが見込まれております。一方において、医療高齢者や児童にとっては欠くことのできないものでありますから、患者としての費用負担のさらなる増加については、国民皆様からの批判も多く寄せられております。  医療保険改革に当たっての基本的な理念は、国民生活の支えとしてきた皆保険体制の新しい形での維持と、国民健康水準が新しい世紀においても十分に保たれること、また負担の増については、適正な、国民の納得のできる形に抑えるべきと考えますが、総理及び厚生大臣の御意見を伺いたいと思います。  次に、高齢者医療対策についてお伺いをいたします。  国民医療費の中に占める高齢者医療費増加の傾向にあることから、財政対策が急がれるという観点でのみ高齢者医療対策が論じられることはまことに不適切なことであると思います。我が国社会経済発展に貢献されてきた高齢者生きがいを持って充実した人生を過ごすことができるよう、高齢者生活全体を考え対策を講ずること、その中で検討が求められているものであると考えます。  高齢者疾病予防には、生きがいを持って日常生活を送ることや健康増進のための諸対策が必要であり、これらの対策を包含した制度的なシステムが必要であると思います。高齢者の健康についての総合的な対策について、総理及び厚生大臣の御所見を伺いたいと思います。  このたびの医療保険制度においては、患者立場からの視点が従来よりも求められると思います。患者は、医療の受け手という消極的な立場のみでなく、積極的にみずからも努力するという姿勢が求められるのでありますが、それに対応したシステムも必要とされましょう。  医療従事者医療機関のみでなく、医療の諸制度、また現在、母子保健学校保健地域産業保健などに分かれております健康管理の諸制度につきましても、患者または国民立場から再検討をすべきではないかと考えますが、厚生大臣の御所見をお伺いしたいと思います。  次に、社会保障改革の中で、急がれるものとして挙げられた介護保険制度について伺います。  総理所信表明で述べられたように、老後生活の大きな不安の一つである高齢者介護社会全体で支える介護保険導入は急務であると思います。介護の問題への取り組みは、医療福祉などそれぞれの分野で行われてきたために、施設整備在宅サービス支援システム専門マンパワーの養成など、まだ地域によっては十分な準備が整っていないという声を耳にいたします。  国及び地方公共団体の昨今の厳しい財政事情のため、政府が取り組んでこられた新ゴールドプランの完全実施を危ぶむ声もありますが、介護保険の円滑な実施にとっては絶対必要条件考えます。総理及び厚生大臣の御所見をお伺いしたいと思います。  介護保険の創設に伴い、また今後検討される高齢者医療制度保険者をめぐる議論の中で、国民に最も身近な市町村の果たすべき役割について議論がなされております。総理は、住民に身近な市町村に業務と権限をできるだけゆだねるべきであるという考えを示しておられますが、国民のさまざまなニーズに一番密着している地方公共団体が、財政的にも人的な面でも力をつけていくことが今後の高齢社会にとって望ましいと思います。二十一世紀における地方自治体は、福祉充実という大きな国民の要請から見て、どのような姿が最も望ましいのか、総理の御所見をお伺いしたいと思います。  また、これらの方向に沿った形で市町村体制整備のための施策をどのように進めていかれるのか、自治大臣にお伺いしたいと存じます。  次に、介護保険についてお伺いしたいのは、この制度への円滑な移行という問題であります。  福祉分野においても、公的な財政措置の不十分であった時代から高齢者介護の問題に取り組んでこられた方々がおられますが、従来は福祉体系の中で対応がとられてまいりましたので、施設経営もそれぞれの施設規模に応じて定められてきた措置費システムの中で行われてきたわけでありますが、社会保険としての介護保険に戸惑いを感じている関係者は多いと思われます。制度実施までに十分な情報伝達に御努力をいただくとともに、いわゆる経過的措置について十分な配慮をしていただきたいと思うのであります。法の円滑な実施にとっては不可欠なことであると思いますが、厚生大臣の御所見を伺いたいと思います。  最後に、地球温暖化問題についてお伺いしたいと思います。  総理は、地球温暖化問題は全世界的な対応が求められる極めて重要な問題であると述べられました。我が国の環境問題に率先して取り組んでこられた橋本総理のお言葉であり、一段と重みのある御指摘であると思います。  地球温暖化防止は、全地球規模で取り組まなければならない、人類の生存にかかわる重大な問題でありますが、先進国発展途上国との対立、先進国間における意見の相違などから、国際的な同意への道のりは極めて厳しいと伝えられております。  十二月には京都で第三回締約国会議開催され、我が国議長国としてそのリーダーシップが期待されておりますが、環境庁長官国際会議開催国としての抱負についてお伺いしたいと思います。  我が国世界第四位の二酸化炭素排出国であり、地球温暖化防止を防ぐためには我が国の積極的な取り組みが必要であると思います。この排出量部門別内訳の中で、我々の日常生活にかかわる部分がある程度の比率を占めており、いわゆる産業分野における排出規制のみでは必ずしも十分でないことをうかがわせるものであります。現在の環境問題の多くは、我々の生活変化に伴うものであると言われておりますが、その意味において国民の多くの方々が環境問題に関心をお持ちいただき、効果的な対策協力していただくことが必要であると思います。  総理府で実施した地球温暖化問題に関する世論調査においては、回答者の八割が地球温暖化を心配であると回答しており、国民関心は高いものと思われます。しかし、京都で開かれるこの国際会議については周知度は低いというふうに聞いております。  環境問題について国民皆様のさらなる御協力を得る方策について、総理並びに環境庁長官の御所見を伺いまして、私の質問を終わらせていただきます。(拍手)    〔国務大臣橋本龍太郎登壇拍手
  8. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 長尾議員にお答えを申し上げます。  細部にわたりましては、関係閣僚から御答弁を申し上げますが、まず、薬価制度改革及び診療報酬体系についてお尋ねがございました。  薬価制度につきましては、医療保険制度の抜本的な改革の中で、現行薬価基準制度を改めまして、いわゆる薬価差が生じない新たな仕組み検討してまいります。  また、診療報酬体系につきましては、物よりも技術重視医療機関機能に応じた評価の基本的な考え方に立ち、新たな体系検討してまいります。  次に、その基本的な理念というお問いかけがございました。  二十一世紀の本格的な少子高齢社会におきましても、すべての国民が安心して良質な医療サービスを受けることができるように、国民保険制度を堅持していくことが必要だと考えております。  このような考え方に立ちまして、医療保険抜本改革におきまして質の高い医療の効率的な提供給付負担の公平が図られるように取り組んでまいりたいと思います。  また、高齢者医療対策につきまして、政府としては、高齢者生きがいづくりとともに、疾病予防、そして健康づくりを含めた総合的な取り組みを行いたい、そのような考え方を持っております。  次に、現在御審議をいただいております介護保険制度を円滑に実施いたしますためにも、新高齢者保健福祉推進十カ年戦略の着実な推進が必要であります。  そのため、各種規制緩和民間活力導入による事業効率化などもあわせて図りながら、その目的達成できますよう引き続き努力をしていきたいと考えております。  次に、福祉充実という視点から地方自治体がいかなる姿を求めるのか、そのような御質問をいただきました。  私は、介護サービスなど福祉充実を図る上で、住民に身近な行政ほど住民に身近な自治体に大きな役割を担っていただかなければならない、そのためには、とりわけ住民に身近な市町村行財政基盤の強化を図る必要があると考えております。  そのためにも、市町村の自主的な合併広域連合制度活用など積極的なこうした努力推進することにより、行政体制整備を進め、地方公共団体を力強いものにしてまいりたいと考えております。  最後に、地球温暖化防止のために、国民のさらなる協力を得るための方策という御指摘をいただきました。  昨日も御答弁を申し上げましたように、現在ぎりぎりの努力を重ねておるところでありますが、これにはまさに国民の御協力が不可欠であります。そして、国民のライフスタイルの見直しなどが進むように、持てる施策を総動員して積極的に普及啓発に努めてまいらなければなりません。  殊に、CO2だけではなく、メタンあるいは亜酸化窒素について計測技術を含めてどのようなことができるのか、そして、当然のことながら、CO2につきましても将来どのような技術開発を見通せるのか、これによって我が国として削減幅を決めていくこともできますので、最後の詰めをいたしております。  しかし、地球温暖化防止に我々が意義のある公平で実現可能な目標合意というものをつくり出すためには、国内対策推進国民の御協力が必要なところでありまして、政府一体となって最大限努力していきたいと考えております。  残余の質問につきましては、関係大臣から御答弁を申し上げます。(拍手)    〔国務大臣小泉純一郎登壇拍手
  9. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 長尾議員にお答えいたします。  まず、薬価制度についてですが、薬価基準制度現行制度を抜本的に改めて、今後薬価差益を生じないような新しい仕組み検討してまいります。  また、改革スケジュールなんですが、抜本改革案、厚生省が示した案は平成十一年度を目途にしております。与党案は十二年度を目途にしておりますが、できるだけ速やかに実施できるような形が望ましいと思っております。  今後、医療保険福祉審議会で御審議いただきまして、その結論を踏まえ、改革に取り組んでいきたいと思います。  診療報酬体系についてでありますが、お話しのように、物より技術重視医療機関機能に応じた評価急性期慢性期医療にふさわしい評価等の基本的な考え方を示しておりますが、この方針はほぼ与党改革案と同様だと思っております。この方向検討していきたいと考えております。  医療保険制度改革についての基本的理念についてでありますが、総理もお話し申したとおり、国民保険制度を維持するということを前提にして、国民が安心して良質な医療サービスを受けることができるよう、医療提供体制医療保険制度両面にわたる抜本的な改革に全力を尽くしていきたいと思います。  高齢者医療対策についてでありますが、予防は治療にまさる、これは大変大事なことだと思っています。当然、疾病予防健康づくり高齢者生きがいづくり、これを総合的に考えながら取り組んでいく必要があると考えます。  国民立場に立った医療、健康に係る諸制度について御指摘がありました。  まず、お医者さんも大事です。いい薬も大事です。それよりも、これからは患者国民自身がみずからの健康はみずからで守るといった観点が大変重要になってくるのではないかという御指摘は、そのとおりだと、同感であります。  このため、生涯を通じた総合的な健康づくり等推進する観点から、健康づくりの具体的な目標目標達成までの諸施策体系化した計画の策定を検討していきたいと思います。また、今後、医療提供体制について抜本的改革を進めていく中で、患者による医療機関の選択を可能とし、適切な医療が受けられるように、医療機関からの積極的な情報提供推進していきたいと思います。  新高齢者保健福祉推進十カ年戦略については、全国の地方自治体地域サービス必要量を踏まえて策定した老人保健福祉計画の集大成でありますので、現在御審議をいただいている介護保険制度を円滑に実施するためにも、その着実な推進が重要であると考えます。  そのため、各地域における事業執行状況等を踏まえるとともに、各種規制緩和民間活力導入、多様な手法の活用による事業効率化等もあわせて図りながら、その目的達成できるよう、引き続き努力をしていきたいと考えます。  介護保険制度の円滑な実施についてですが、これまでも。パンフレットの配布や説明会開催、さらに福祉関係者の研修への協力など、情報提供に努めてまいりましたが、今後とも、新しい制度に円滑に移行できるよう、早い段階から十分な情報提供を行ってまいります。  また、特別養護老人ホームに既に入所されている方について、制度施行後、一定期間利用者負担を軽減するなど円滑な制度実施のための経過措置配慮していきたいと思います。  以上であります。(拍手)    〔国務大臣上杉光弘登壇拍手
  10. 上杉光弘

    国務大臣上杉光弘君) 市町村体制整備についてのお尋ねでございますが、福祉充実に当たっては、総合的な福祉サービス供給主体である市町村役割が非常に大きいと考えております。  このため、市町村における行政改革推進、自主的な合併広域連合活用等に積極的に取り組み市町村行政体制整備を図ってまいりたいと思います。  御指摘のように、国民のさまざまなニーズに一番身近で一番密着している地方自治体が、財政的にも人的な面でも力をつけていくことが今後の高齢化社会にとって最も望ましいという認識に立って、腹を据えて取り組んでまいります。(拍手)    〔国務大臣大木浩登壇拍手
  11. 大木浩

    国務大臣大木浩君) 長尾議員の私に対する御質問は二点あったと思いますが、相互に関連しておりますので、まとめて答弁をさせていただきます。  まず、京都会議開催国としての取り組み意欲についてということでございますが、これは総理も述べられておりますように、まさに人類地球の将来を左右する重要な会議でございます。そして、この会議の成功のためには、議長国であります我が国の国際的なリーダーシップの発揮が不可欠と考えております。  そのため、政府といたしましても、できるだけ早い時期にいわゆる排出ガス削減目標などの、そういったものを含めた具体的な日本の素案を取りまとめまして、国際交渉の場に提示するとともに、これをてことして各国の意見を収れんさせ、国際合意の形成が進みますように最大限の努力をする決意でございます。  なお、国際合意に際しまして、我が国が積極的な決断を行うためには、やはり我が国自身国内での対策実施を確実なものとすることが必要であります。この点につきましても、今後、政府一体となって対策推進努力をしてまいりたいと考えております。  次に、環境問題、特に地球温暖化防止のための国民理解を深めるための施策という御質問がございました。  議員の方からのお話にもありましたけれども、家庭消費活動に伴う二酸化炭素排出量というのは、自動車からの排ガス、家庭で使う電気、日用品の製造や運搬、あるいはごみ処理による問題は、実は日本全体の排出量の約半分が一般家庭から出ておるということがございます。このために国民理解と支持を得て、国民総ぐるみ取り組みへの参加を促進することが必要と認識をしております。総理からも述べられておりますように、政府一体となってこの問題に関する普及啓発国民的運動を展開しておるところでございます。  なお、せっかくでございますので、多少具体的な例を述べさせていただきますと、環境庁におきましては、日常生活の中での温暖化防止への取り組み国民皆様方が直接に参加し行動していただくという「エコライフ・一〇〇万人の誓い」、こういうのを行っておりますし、その他、環境家計簿普及自動車のいわゆるアイドリングストップの話などを含めまして、四つのチャレンジヘの参加というものを今呼びかけておりますので、京都会議開催されますこの機会に、ぜひとも、今後とも庁を挙げて私どもの活動を続けさせていただくとともに、国民皆様方のまたひとつ御理解を得たいということで、この場をかりて国民皆様方にもお訴えさせていただく次第でございます。どうぞよろしくお願いします。(拍手
  12. 斎藤十朗

    議長斎藤十朗君) 笠原潤一君。    〔笠原潤一登壇拍手
  13. 笠原潤一

    笠原潤一君 私は、自由民主党を代表して、財政構造改革推進に関する特別措置法案いわゆる財政構造改革法案と、それに基づく来年度の予算編成方針、景気対策、経済構造改革、金融システム改革、金融・証券不正問題と沖縄基地問題を中心に、総理を初め関係大臣質問いたします。  我が国の経済は、二十一世紀を目前に控え、世界経済のグローバル化が進展する中、国際競争力をつけるために規制緩和による高コストからの脱却等々が求められ、そのための経済構造改革を初め、少子高齢化社会に備えた財政構造改革、金融市場の活性化のための金融システム改革、いわゆる日本版ビッグバン、行政のスリム化を目指した行政改革の中間報告等々、総理の唱えられる六大改革が緒についたばかりであります。  まず、財政構造改革法案、それに基づく来年度の予算編成についてお尋ねをいたします。  バブル崩壊後、十五兆円にも及ぶ政策減税を初め、六十兆円を超える景気対策により平成三年以降急カーブで国債を積み上げていった結果、主要先進諸国のうちで財政状況は最悪の危機的状況になりました。  このような状況のもと、財政構造改革推進方策平成九年六月三日に閣議決定され、本臨時国会に財政構造改革法案が提出をされました。あらゆる分野における量的縮減、制度改革を初め地方財政にも健全化を求める内容となっていますが、財政構造改革は私たちの世代でぜひともなし遂げなければならない重要課題であります。総理、大蔵大臣、自治大臣に御決意をお伺いいたします。  平成十年度の概算要求では、従来の概算要求基準、いわゆるシーリングにかえ、官邸主導により主要項目ごとに上限を設ける新手法に基づいて要求することとなり、その結果、要求段階で一般歳出がマイナスとなりました。しかし、一方では、総額ではついに八十兆円を超える額となってしまいました。    〔議長退席、副議長着席〕  平成十五年の特例公債発行ゼロ、財政赤字GDP比三%の目標達成しなければなりません。そこで、当面の目標である平成十五年までの六年間で特例公債発行ゼロを達成するためには、九年度発行の赤字公債七兆四千七百億円の六分の一の一兆二千五百億円を毎年減額させる必要があると聞いております。今後、額の圧縮や制度改正について真剣な議論がなされるものと期待をいたしております。  特に、運輸省の清算事業団の長期債務の処理や農林水産省の国有林野の累積債務の処理について、大蔵大臣は将来世代へ負担を先送りする形での安易な処理は考えるべきではないという考えを示しておられます。この問題はいたずらに処理を先送りすべき問題ではないと考えております。この点について総理及び大蔵大臣のお考えお尋ねいたします。  次に、景気対策についてお伺いをいたします。  九月に発表された経済企画庁の月例経済報告では、個人消費は消費税の駆け込み需要の反動減も引き続き見られるものの穏やかな回復基調にあるという認識が示されました。しかし、一方では、株価が九月一日には一万八千円割れ、きのうは一万七千五百円割れとなり、いまだに低迷の段階である。さらに、ドル安、長期金利も二・〇%割れとなり、トリプル安となっております。さらに、九月十一日に発表された四−六月の実質国民総生産でも年率二・二%減となるなど、消費税の駆け込み需要の反動だけでは説明できる範囲を超えていると見ることもできるのであります。  政策減税の廃止、財政構造改革下での公共事業費や補助金の圧縮、医療保険制度の改正等による負担増等々で個人の消費マインドが低迷、その結果、在庫が積み上がり、今まで景気の下支えであった設備投資も陰りが懸念されておるのであります。明るい材料に乏しく、さらに景気が不透明になっていくということではないだろうかと思うのであります。政府の景気判断と国民の実感との間には相当の隔たりがあります。  景気対策として、今後は財政構造改革に関連して財政、すなわち従来型の公共事業についてはその乗数効果が低下しているのではないかと指摘されております。しかしながら、公共事業は、地方の社会資本整備の向上、それに伴う地方経済の活性化、さらには雇用面において大なる効果があったことは万人の認めるところであります。公共事業を一律に削減することではなく、景気動向を踏まえつつ、地方の実態に合ったものであるべきと考えますが、総理、大蔵大臣のお考えお尋ねいたします。  さらに、景気対策として、限られた選択肢の中で土地税制や経済界で要望の強い法人税の減税、有価証券取引税の廃止等々が有効ではないかと考えられますが、これについて見解を総理及び大蔵大臣にお伺いいたします。  特に、改正された外国為替管理法が来年の四月から施行され、千二百兆円にも及ぶと言われる個人金融資産の動向が気になるところでありますが、景気にどのような影響を及ぼすのか、大蔵大臣に見解をお伺いいたします。  次に、経済構造改革についてお伺いをいたします。  豊かで安心できる社会を将来の世代に引き継ぐため、今やさまざまな制度疲労を起こしている経済システムを真に国際競争力のある経済構造に変革する観点に立った経済構造改革は、十五の分野において新規産業の創設、規制緩和、税財政上の支援策について具体的に触れられております。  現在まで、持ち株会社の解禁のための独占禁止法の改正、NTTの再編と国際通信業務への進出を目的とした日本電信電話株式会社法の改正等々、成果を上げておられますが、四大規制産業と言われるエネルギー、情報通信、物流、金融についても、早晩さらにドラスチックで実効のある施策が具体化されるものと期待しておりますが、現在どのような検討状況になっているのでありましょうか。  経済構造改革における規制緩和は、競争を活発化させることにあります。その中で、景気動向等を踏まえて、即効性が期待できる情報通信分野を初めとする規制緩和を早急に推進する必要があると考えております。  次に、規制緩和により市場の淘汰を強く受けるのは中小零細業者であります。事業所数で全産業の九九%、従業員数で八〇%近くを占める中小零細業者について放置することは政治家として無視できない重要な問題であります。これら中小零細業者に対して、どのような影響が想定され、どのような対策をお考えなのか。  以上の点について、大蔵大臣、通産大臣にお尋ねをいたします。  次に、金融システム改革についてお伺いをいたします。  金融機関の不祥事件や住専の乱脈不良債権問題で失われた信頼を回復し、東京市場を活性化するための金融システム改革検討され、二〇〇一律を目標実施されようとしております。  規制は、金融機関を競争から保護する側面がありました。今後、この規制を大幅に緩和することによってグローバルな競争を促し、金融、証券、保険の業務の垣根を取り除き、世界じゅうの金融機関が自由に日本市場に参入することを認めようとするものであります。これによって世界じゅうの資金が日本に入り、円が世界じゅうに出ていくことにもなります。  今後は、日本じゅうの金融、証券、保険機関はもちろんのこと、世界じゅうの金融機関からさまざまな金融商品が提供されることとなります。そして、市場メカニズムの中で自己責任のもと、みずからリスクを負うことが基本となってまいります。そこで、リスクの増加対応するためディスクロージャーの充実が求められるのであります。  しかし、金融商品知識があり、財務内容が理解できる人たちはごく限られた一部の人たちです。したがって、情報開示された内容をわかりやすく分析評価する第三者の公平な機関が必要ではないかと考えられます。さらに、ルール違反に対する処分の徹底が図られなければなりません。この二点についてどのようにお考えになり、どのような対策をとられるのか、大蔵大臣にお尋ねをいたします。  次に、自己責任が原則といっても、従来の絶対もうかるから式の悪質、強引な勧誘による被害が多発するおそれなしとは言い切れません。自己責任の原則で預金者等の顧客を切り捨てるには余りにも影響が大きいのではないかと危惧をいたしております。どのような対策をお考えになっておるのか、大蔵大臣にお尋ねをいたします。  次に、金融・証券不正問題についてお伺いをいたします。  一連の第一勧業銀行や野村を初めとする四大証券の不正問題、いわゆる総会屋への利益供与事件は、国民に対する背信行為であり、怒りを覚えます。断じて許されるべきものではありません。  このような不祥事は過去にもありました。すなわち、平成三年にはやはり証券業界で損失補てん等の不祥事を起こしております。企業モラルの低さ、たびたび起こされる同種の事件、このようなことで金融ビッグバンに立ち向かえるのか不安になってまいります。  我が自由民主党は、この一連の事件をきっかけに金融不正再発防止対策特別調査会を設け、数次にわたり意見交換、検討会を重ね、罰則の強化を中心に、企業倫理の確立、チェック体制の強化、検査、監督の充実等について九月二日に報告書を取りまとめ、政府に提言をいたしました。今般、利益供与要求罪の新設や罰則の強化について商法及び証券取引法の改正が具体化してまいりましたが、基本的な考え方について大蔵大臣及び法務大臣にお尋ねをいたします。  さらに、このような事件が過去の反省もなく再び起こされたことに対してどのようなお考えなのか、総理大臣及び大蔵大臣にお尋ねをいたします。  最後に、ことし復帰二十五周年を迎える沖縄問題について一言触れたいと存じます。  御案内のとおり、沖縄は日米安全保障上重要な位置にあり、多くの駐留米軍基地の存続に伴い、県民の方々には多大な御苦労をいただいております。我々は、その負担をできるだけ軽減すべく、基地の整理、統合、縮小の推進とあわせて、沖縄県の要望を踏まえてその振興にさらに努力していかねばなりません。特に、県民の要望の強い自由貿易地域制度等の一国二制度的なものの創設による振興策についてどのような見解をお持ちか、総理お尋ねをいたします。  次に、基地返還の中で象徴的な存在であります普天間基地については、日米間では、沖縄の米軍普天間基地の代替ヘリポート問題に関して、海上ヘリポート実施計画の年内策定に向けて作業を加速する方針が確認されているようでありますが、沖縄現地の動向も含め状況はどうなっておるのか、あわせて御説明をいただきたいと思います。  多岐にわたりましたが、以上をもちまして私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣橋本龍太郎登壇拍手
  14. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 笠原議員にお答えを申し上げます。  まず、財政構造改革についてお尋ねをいただきました。  今世紀中の三年間の集中改革期間におきまして、一切の聖域なしで歳出の改革と縮減を進めることとし、そのための具体的な方策や枠組みを定めた財政構造改革法案を提出させていただきました。財政構造改革は将来の世代に対する私たちの世代の責任であると考えており、改革を着実に実施してまいりたいと考えております。  次に、旧国鉄及び国有林野の債務についてのお尋ねがありました。  残高が二十八兆円に上る国鉄長期債務処理の問題、及び三兆円を超える債務を抱えるに至りました国有林野事業経営改善のあり方につきましては、あらゆる方策を今検討しておりますが、国民皆様の御理解をいただけるような成案を年内に得る方針でございます。  次に、公共事業についての御意見をちょうだいいたしました。  去る六月三日に閣議決定をいたしました「財政構造改革推進について」に沿いまして、経済構造改革期間中の関連の社会資本につきましては、物流の効率化対策に資するものを中心としながら優先的、重点的に整備をするほか、地域経済への配慮を行うとともに、国土の均衡ある発展整備水準についての地域間の格差の是正という観点にも留意してまいりたいと考えております。  また、景気対策に関連して幾つかの御意見をちょうだいいたしました。  政府としては、規制の緩和と撤廃を初めとして経済構造改革を強力に進めていくわけでありますが、土地税制につきましては、近年の土地をめぐる状況を踏まえて、土地の有効利用や土地取引の活性化を促進する方策検討していく中で議論するものと考えております。法人税につきましては、課税ベースを適正化しながら、税率を引き下げる方向検討を行います。また、有価証券取引税につきましては、金融システム改革の趣旨も踏まえつつ、証券税制全体の中で総合的に検討してまいりたいと考えております。  証券業界に対して、大変厳しい背信行為という言葉を議員はお使いになりました。前回の事件が起こりましたとき、その批判を一身に受けました私の立場として、今回の証券業界の事態に対して申す言葉を持たないぐらいの思いがいたします。あれだけ補てんで厳しい批判を受けたのに、まだかという思いを消すことはできません。それだけに、こうした問題に対する罰則を強化するとともに、今後ともに不正があれば必ずこれに厳正に対処していくこと、及び金融システム改革に向け公正で透明な市場の構築に取り組むこと、これが国民の信頼にこたえる方途だと、そのように考えております。  次に、沖縄県についての御指摘がございました。  一つは、一国二制度的な沖縄振興策というお尋ねでありますが、沖縄県から知事も中に入っていただいております沖縄政策協議会に正式に提示があれば、当然のことながら真剣に検討してまいります。県がお考えの全島フリーゾーン構想につきましては、地元の産業に与える影響等から県内においてもさまざまな御意見があると聞いておりまして、十分コンセンサスを図っていただきたい、そのように考えております。  次に、普天間飛行場の代替ヘリポートにつきまして、沖縄において昨日の名護市市民投票条例可決などの動きがあるところであります。しかし、政府としては、今後とも沖縄県を初め関係各位の御協力をいただきながら、移設の早期実現に向け、先日設置をいたしました普天間飛行場移設対策本部を中心に全力を挙げて取り組む決意でありまして、地元の皆様の御理解を得るべく引き続き努力をしていく考えであります。  残余の質問につきましては、関係大臣から御答弁を申し上げます。(拍手)    〔国務大臣三塚博君登壇拍手
  15. 三塚博

    国務大臣(三塚博君) 笠原議員にお答えを申し上げます。十一問という多岐にわたっておりますが、簡明にお答えをさせていただきます。  第一問は、構造改革についてのお尋ねであります。  その基本的な問題は、総理からただいまもお話がございましたとおりでございまして、六大改革のスタートを切る財政構造改革であり、健全な財政こそ安定的な経済成長、それに支えられた国民生活の安定が期せられるわけでございますから、財政構造改革法を出させていただき、その趣旨に誠実に沿いまして、平成十年度予算編成に当たってまいりたいと思います。本案の成立速やかなりますことを心から念願申し上げ、お願いを申し上げます。  国鉄及び国有林野の債務についてでございますが、本件も総理から答弁がございました。  若干加えますと、林野会計と二本あるわけでございますが、これも財政構造改革の基本的方針に沿って取り組まなければなりません。先送りをすることは断じてできない状況にあります。後世にツケを回すことは政治の原点からいいましてできないことでありますので、総理答弁にありましたとおり、あらゆる方策検討国民各位の御理解をいただける成案を年内に決定してまいりたいと考えております。  公共事業予算についてのお尋ねであります。これも総理から基本的な点が行われました。  優先的、重点的に取り組み、引き続き相対的に立ちおくれておる生活関連社会資本への重点化を図ることとされております。地域経済への配慮は、国土の均衡ある発展整備水準についての地域間の格差を是正するという観点からも留意することが大事であると考えます。今後、こうした考え方を踏まえ、公共事業予算の重点化、効率化を図ってまいりたいと思います。  景気対策に関連しての税制についてでありますが、本件についても総理から基本的な取り組みの姿勢、方針が披歴されたところでございます。規制の撤廃と緩和を初めとする経済構造改革を強力に推進する一方、土地税制につきましては、近年の土地をめぐる状況や土地の有効利用促進の観点を踏まえまして、今後とも資産課税全体の中での位置づけを明確にしながら検討していくことが重要であると考えております。  法人税については、総理が言われたとおりでございまして、課税ベースの拡大、適正化を図りながら、それによって得られる財源を法人税率の引き下げに充てていく方針をただいま検討いたしておるところであります。  有価証券取引税については、市場性を高めていくという意味で要望の強いところでございます。金融システム改革の趣旨を踏まえ、株式等譲渡益課税を含む証券税制全体の中でその望ましいあり方について検討を進めてまいります。  外為法改正の景気に与える影響についてでございますが、先般行われました外為法改正は、我が国金融資本市場の一層の活性化に資するのみならず、広く我が国経済全般に好ましい影響を与えるものと考えております。なお、個人金融資産の動向につきましては、内外金利差などによって決定されるものでございまして、外為法改正の影響を一概に論ぜられるものではないと考えておるところであります。  金融分野の構造改革についてでございますが、抜本的な規制の撤廃、緩和を含む金融システム改革推進することといたしております。本年六月に改革全体の具体的措置とスケジュールを明らかにいたしたところでございます。既に実現可能なものから順次実行に移しているところでありまして、今後もスケジュールにのっとり制度整備を早期に進め、改革の早期実現に向けて全力で取り組んでまいりたいと思います。  情報開示された内容をわかりやすく分析評価する第三者の公平な機関が必要との御質問でございます。  金融商品に関するディスクロージャーについては、これまでもその充実に努めてきたところであります。こうしたディスクロージャーの内容が投資家に理解されますよう、分析評価の専門家であるアナリストや格付評価機関などが企業評価手法の充実やディスクロージャーに関する広報活動なども行っており、今後とも御趣旨に添いまして重要な役割を担っているものでございますから、取り組んでまいりたいと思っております。  金融機関のルール違反に関する処分の徹底と悪質、強引な勧誘による被害への対応策についてのお尋ねでございます。  今後とも、不正があればこれに対し法令に基づいて厳正に対処していきますとともに、金融システム改革課題としてルールの整備やルール違反に対する罰則の強化、監視・監督体制の一層の充実強化等に努めてまいりたいと考えております。  最後に、証券取引法の改正、証券業界の不祥事件についてのお尋ねでございますが、今回の一連の問題につきましては、遺憾という言葉を超えまして極めて残念至極な出来事でありへ言い尽くせない思いを抱いておるところでございます。その再発防止を図りますとともに、今後の金融システム改革に向けて銀行、保険会社及び証券会社等の検査回避、虚偽報告等に係る罰則並びに損失補てん等の不公正取引及びディスクロージャー違反等に係る罰則を強化する法案を今国会に提出する予定でございます。  以上、答弁とさせていただきます。(拍手)    〔国務大臣上杉光弘登壇拍手
  16. 上杉光弘

    国務大臣上杉光弘君) 地方財政の財政構造改革についてのお尋ねでございますが、国及び地方の財政赤字対GDP比三%以下という目標達成に向け、平成十年度地方財政計画の地方一般歳出を対前年度比マイナスを目指すなど歳出の抑制に努めるとともに、各地方公共団体に対しましても徹底した行財政改革を要請するなど、地方財政の健全化に積極的に取り組んでまいります。  議員指摘ございましたように、財政構造改革は私たちの世代でぜひともやり遂げなければならない最重要課題であるとの認識に立ちまして、頑張ってまいりたいと思います。(拍手)    〔国務大臣堀内光雄君登壇拍手
  17. 堀内光雄

    国務大臣(堀内光雄君) 笠原議員の御質疑にお答えを申し上げます。  エネルギー、情報通信、物流分野についての規制緩和検討状況についてのお尋ねでございますが、本年五月に閣議決定されました「経済構造の変革と創造のための行動計画」において、平成十三年までにコストを含めて国際的に遜色のない水準サービス提供されることを目指して規制緩和等の具体的な措置を講ずることといたしております。各分野における取り組みにつきましては、行動計画において示された対応方針スケジュールに基づき具体的な手順を決めて、具体的内容を現在検討しているところでございます。  いずれにいたしましても、年内に行動計画のフォローアップを行うことといたしておりまして、その際には、行動計画を一層深化させ、さらなる規制緩和推進に最大限の努力を払ってまいる覚悟でございます。  特に、情報通信分野等の規制緩和についてのお尋ねでありますが、私も、御指摘のとおり、情報通信分野の規制緩和は新規需要の増加、新規設備投資の増加をもたらすものでありまして、経済活動に与える効果は極めて大きいと認識をいたしております。  行動計画においては、通信料金の認可制度の見直し等を含め、情報通信分野における抜本的な規制の緩和や公正有効競争のための条件整備計画的に行ってまいることにいたしております。  いずれにいたしましても、御指摘のような認識に基づき、今後、行動計画の着実な実施とさらなる深化を目指して情報通信分野の規制緩和推進に最大限の努力を払ってまいります。  次に、規制緩和が中小零細企業に対してどのような影響を想定するか、どのような対策考えているかというお尋ねでございますが、規制緩和は、我が国経済の高コスト構造を是正するとともに、事業機会の拡大や新たな雇用の創出等を実現するメリットをベンチャー企業を初めとする中小企業にもたらすものと認識をいたしております。  他方、規制緩和推進によりまして、一部の中小零細企業が痛みを生じることはまたこれ事実であります。  こうした点を踏まえまして、本年五月に取りまとめました「経済構造の変革と創造のための行動計画」におきまして言及をしておるとおり、規制緩和実施に当たっては環境整備等に万全の配慮を行うことが必要と考えております。  このために、通商産業省といたしましては、中小零細企業の経営基盤の強化をしつつ、創造的かつ独創的な事業展開を図るための環境整備を行うために、物づくり基盤を支える人材育成対策や、中心市街地を中心とした中小小売商業の活性化対策等の検討を進めてまいります。これにより、中小零細企業が現下の経済構造の変化に積極的に対応していくことを期待いたしておる次第でございます。  以上でございます。(拍手)    〔国務大臣下稲葉耕吉君登壇拍手
  18. 下稲葉耕吉

    国務大臣(下稲葉耕吉君) 商法改正の基本的な考え方についてのお尋ねでございました。  最近における相次ぐ事件の摘発により、会社運営の健全性を著しく害するいわゆる総会屋の活動が後を絶っていないばかりでなく、我が国経済の中枢にまで浸透しつつあるという極めて遺憾で異常な事態が明らかになりました。企業の基本的体質の改善が強く要求されております。  そこで、このような反社会的勢力の根絶を図るとともに、株式会社の運営の健全性を確保するため、株主の権利の行使に関する利益供与の罪及びこのような利益供与を受ける罪の法定刑の引き上げや、いわゆる総会屋などによるこのような利益供与を要求する罪を新しく設けるなど、商法等の罰則を強化するための改正法案を今臨時国会に提出したいと考えているところでございます。(拍手)     —————————————
  19. 松尾官平

    ○副議長(松尾官平君) 今井澄君。    〔今井澄君登壇拍手
  20. 今井澄

    ○今井澄君 私は、民主党・新緑風会を代表し、橋本総理所信表明演説に対して、所見を述べ質問をいたします。  第一に、橋本総理の政治倫理に関するお考えについて質問いたします。  このたびの内閣改造大事に際し、ロッキード事件で有罪判決を受けた佐藤孝行氏を入閣させたことについて、橋本総理は、政治により高い倫理性を求める世論の重みに十分思いをいたさなかったことを深く反省すると述べておられますが、世論の反撃を受けなければそのままでよかったと思っておられるのでしょうか。世論の動向にかかわらず、汚職を働き有罪判決を受けた人物を政府の責任ある地位につけることについて、適切でないとは思っておられないのでしょうか。  アメリカでは、有罪判決を受けた人物が閣僚級のポストに登用されることは絶対に考えられない非常識な事態だとされております。一九九三年春に、クリントン大統領が司法長官に弁護士のベアード女史を登用しようとした際に、彼女が過去に不法な移民夫婦をベビーシッターとして雇ったことがあるという事実が明らかになっただけで、みずから就任を辞退いたしました。  このたびの人事は、不法の事実があるどころか、司法の手で有罪と確定した人物を政府の要人として登用しようとした問題であります。国民総理御自身の政治倫理観に不安を持っております。総理の判断基準をお尋ねいたします。  さて、内閣改造と党大事に関連して、いわゆる泉井事件の被告である泉井氏本人は、自民党の主要幹部を名指しで多額の献金をしたと公言しております。仮に、泉井氏の証言が事実であるとすれば、これもまた重大な政治倫理の問題であります。政治に対する国民の不信を払拭するためには、総理として真相究明を含めて積極的な行動をとるべきだと考えるのでありますが、いかがでありましょうか。  現在、民主党を初め野党各党がそろって泉井被告の証人喚問を強く求めておりますが、この証人喚問について、総理御自身、自民党総裁として積極的に対処すべきだと考えますが、どうされるのかお伺いいたします。  加えて、元建設大臣中村喜四郎議員はゼネコン汚職に関して懲役一年六カ月の実刑判決を受けました。まさに、政治汚職に対する国民監視のもとで行われた司法の厳しい裁断と言えるものでありました。中村氏といえば自民党内では総理と同じ派閥のエースとも言われた人物であり、まさに総理御自身のおひざ元での事件であります。評論家的態度ではない、当事者としての総理御本人の対処方針をお伺いしたいと思います。  公共事業をめぐる談合事件が依然として後を絶たないのは、政治、行政、業界の三位一体の癒着構造がむだな公共事業予算を生み、それが政治献金という形で裏金として還流しているという、まさに構造そのものが決定的な要因であります。このような構造をなくすことこそが政治改革であり、行政改革であると考えますし、それなしに国民の政治不信を払拭することはできないと考えますが、いかがでしょうか。  なお、今回の組閣についてもう一点お尋ねいたします。  男女共同参画型社会が求められ、本院においても女性国会が明日開かれる折であるにもかかわらず、なぜ女性を一人も閣僚に登用しなかったのでしょうか。その理由をお教えいただきたいと思います。  さて次に、先ごろ発表された日銀短観によっても日本経済の状況は容易ならざるものでありますが、政府の経済見通しは楽観的に過ぎ、このまま放置しておけば再び不況が深刻化するのではないかと考えます。総理の景気の現状に対する御認識と、経済対策として具体的にどのようなことを考えておられるのかをお伺いいたします。  次に、行政改革に対する総理の基本姿勢をお伺いいたします。  総理は、所信表明の中で、「我が国行政システムが深刻な限界を露呈している」と述べておられます。その深刻な限界の中身が必ずしも明らかではありません。強いて読み取れば、内外の情勢変化や危機に弾力的に対応するための危機管理の必要を強調しておられるようであります。  総理が述べられている、我が国発展する過程でうまく機能してきた行政システムが、今、大きな時代の変革期にあって、逆に障害となっているところに本質的な問題があると私は考えております。前例主義、横並び主義、縦割り行政の縄張り主義など、一たん決めて始めたことは変えられないという官僚行政の病理に問題があるのではないでしょうか。  私は、この夏、たまたまある県の港湾施設を視察する機会がございましたが、地元の関係者が、大型船が入港することはほとんど見込めない、巨大な釣り堀ができただけだと自嘲ぎみに話す言葉を悲しく聞いたことがございます。相も変わらず続いている干拓事業を引き合いに出すまでもないと思います。  こういった官僚主導の政策形成と予算執行に政治が依存している、こういうことがさらに大きな問題であると考えます。政治と行政が癒着し、省庁に支配された政府運営がなされていることに問題があると言わざるを得ません。  したがって、行政改革を行うためには、第一に、国会が行政を監視、監督できる仕組みをしっかり確立する必要があると思います。民主党が提案する行政監視院の実現、これは行政改革を断行するための第一歩だと考えますが、総理の御見解を伺います。  第二は、複数の副大臣や補佐官を置くことによって、議院内閣制を形骸化させ、官僚内閣制とも言えるような、事務次官会議にコントロールされている閣議を活性化させたり、政府委員制度を廃止すべきであると考えておりますが、政治家が省庁をコントロールする仕組みを確立すべきだと思います。総理の御見解を伺います。  さて、今求められる行政改革がどのような視点から行われるべきなのか。私は、一つには地域にゆだねるべきものは地域に、一つには市場にゆだねるべきものは企業やマーケットに、そして自発的な市民の活動に任せるべきものは市民の手に、そしてもう一つ、今日のグローバル化の時代対応して国際社会に移譲すべきものは国際機関に、そしてそれ以外の残った仕事を中央政府が行うという視点が必要だと考えております。  そこで、特に地方分権が重要となりますが、この点で、残念ながら橋本総理は地方分権に消極的あるいはブレーキをかけているという印象をぬぐい切れません。  みずから音頭をとられた行政改革会議の中間報告では、地方分権の姿勢が全く欠けていると言わざるを得ません。地方分権推進委員会に対しても、各省庁とのすり合わせを重視するよう示唆されたと聞いております。現行の省庁の仕事をそのままにして、いわばカードを右から左へ、あるいは左から右へとただ動かすだけのような省庁再編成は、行政改革の名に値しないものだと言わざるを得ません。ましてや、税財源の大胆な地方移譲に全く触れないような分権では意味がなく、大蔵省による支配構造を温存するとしか言いようがありません。行政改革は地方分権と一体的に進められなければならないという、こうした考えに対する総理の御所見をお示しいただきたいと思います。  次は、財政構造改革取り組みについてであります。  総理は、財政構造改革に関連して一切の聖域なしというスローガンを掲げておられます。それは、一見常識と考えられますし、また一方、強い決意のあらわれのようにも受け取れます。しかしそれは、戦略的政策判断を欠いためり張りのない一律削減につながり、ひいては大蔵省主導の財政支出抑制策に力をかすだけのものにほかならないのではないでしょうか。  私は、誤解を恐れず言えば、道路や港湾などのハード整備と、社会保障や環境、教育などのソフト政策、言いかえれば物を対象とした投資と、人や生き物を相手とする投資とは区分して対処すべきだと考えております。ハード整備には先送りしてじっくり見直せる事業が少なくないのに対して、人や生き物を相手にする事業は待ったなしであります。聖域なしをもって機械的な削減目標を設定したとしか思われない財政構造改革方針を見直すおつもりはないか、総理のお考えを伺います。  そして、そもそも、今回橋本総理が提案しておられる財政構造改革法は、専ら一般会計を対象としたものであり、特別会計や財政投融資を含めたトータルな改革の道筋を明確に示すことを避けたものであります。結局、しり抜けのざる法となっているのではないかと思うのであります。ここで、準備されている中途半端な法案をもう一度見直して、改めて実効性のある財政改革法案を再提出する必要があるのではないかと考えるのでありますが、総理の御所見お尋ねいたします。  次に、総理は、「沖縄をめぐる課題は、引き続き内閣の最重要課題」と述べておられますが、基地問題と沖縄振興策に言及するにとどまっておられます。一方で進められてきた、いわゆるガイドライン見直しとの関連づけが明らかでありません。  沖縄の米軍基地をなくすためにも、極東有事を未然に防止するためにも、日米安全保障関係を基軸としつつも、アジアにおける相互信頼を築く外交努力が何にも増して優先すべきではないでしょうか。その外交も、専ら政府、外務省が請け負うのではなく、政治家の交流や民間外交の活性化によって、正しい歴史認識に基づき、国を挙げて展開すべきだと考えます。したがって、ガイドライン問題も、国民に問いかけ、国会での審議にゆだねることが必要であると考えますが、総理はいかがお考えでしょうか。  次に、総理は、所信表明において、旧国鉄長期債務の処理と国有林野事業対策について同列に並べて一括報告をしておられます。しかし、国鉄の長期債務の処理は借金の清算の問題であり、いわば過去の問題にすぎないのに対して、国有林野事業の再建確立は、日本の自然環境をどう維持し発展させていくのかという未来の問題であるという点で決定的に違うものであります。  アフリカのサバンナを訪れて帰ってきた私の知人が、その茫漠たる風景と比べ、日本には緑豊かな森林がある、これは我々が守るべき宝だと言っておりましたが、まさに国有林野事業のあり方をどうするかは、その宝を将来世代にどう引き継いでいくかという問題にほかなりません。  このように重要性を帯びている国有林野事業の問題を、長期債務の清算と同様に、単なる財源対策問題と見立てて一括処理しようとする発想に、私はわびしさにも似た感慨を抑えることができないのであり、まことに残念に思うのであります。  民主党は、こうした森林資源を守り育てていくために、国有林野事業の一元的管理の仕組みを確保するとともに、新たに森林環境税を導入し、国民合意のもとに国有林野事業の持続可能な体制づくりを提言しております。総理の御見解を伺いたいのであります。  この森林問題に関連して、我が国の農業問題についてお伺いいたします。  所信表明には触れられておりませんが、ことしも米の四年連続の豊作が確実となる中で、政府はことし三月の基本計画を見直し、米の買い入れを削減する方向であると報じられております。一方では、来年度は減反をさらに上乗せするとも伝えられております。そして、在庫の過剰により自主流通米価格が下落したりするなど、農家の間には怒りと不安が広がっております。このような状況を見ますと、新食糧法は早くも破綻を来していると指摘せざるを得ません。  現在の米の備蓄制度は、新米が出回る市場に古米の備蓄米を放出するという制度のため、在庫が過剰となり米の価格が下落するという欠陥を持っております。食糧安全保障の観点に立った備蓄を考えるならば、現在の回転備蓄制度を棚上げ備蓄制度に改め、備蓄米は市場から切り離し加工用や援助用などに活用する方向に誘導すべきではないでしょうか。とりわけ、途上国の爆発的人口増加などによる飢餓問題、北朝鮮の食糧不足といった問題が日々報じられている中で、我が国の過剰米を食糧援助として送れないのだろうかというのが国民の素朴な感情です。米政策の見直しについて政府はどう考えておられるのか、お伺いいたします。  我が国農業は、農村部の過疎・高齢化、後継者不足、国際化の波による競争力の低下などにより極めて深刻な状況に陥っております。これは、価格政策依存のゆがみ、不徹底な農地保全政策、非効率な画一主義、一律主義など、戦後五十年の農政の失敗を端的に物語っております。私は、これからの農政は、市場経済にも対応できる競争力のある大規模農業の育成と条件不利地域の農村政策にはっきり分けて考えるべきだと思います。  大規模農家の育成に向けては、農地保全のための公的規制を強める一方で、さらなる農地の流動化を進めるなど、意欲ある農家に農地を集積するための農地制度の確立が不可欠であります。また、現在の価格政策は所得政策へと大胆に転換すべきではないでしょうか。  この夏、北海道の大規模農家を視察させていただきました。我が国で唯一と言ってもいい国際競争にたえ得る農業が行い得るのではないかという地域においてすら、農家は土地改良などの負担金の負債にあえいでおり、また農地の集積が十分に進んでおりません。  一方、条件不利地域政策については、競争力を前提とする農業政策から切り離し、定住政策とリンクしたデカップリング政策を確立するなど、農村社会政策への転換を進めるべきではないでしょうか。そのためには、国からの支援とともに、各自治体の自主的な取り組みを強力に推し進めるための自主財源拡充策の確立も不可欠であります。  現在、政府レベルでも新農業基本法の論議が進められておりますが、以上のような視点をぜひ取り入れるべきであると思いますが、農林水産大臣のお考えを伺います。  橋本総理は、阪神・淡路大震災の教訓として危機管理体制の必要性について触れられましたが、同時に被災者個人の生活基盤の再建のための公的支援の弱さが明らかになっております。この被災者個人への公的支援が必要との教訓を受けてつくられたのが全国知事会の基金制度であり、また、民主党はさきの通常国会に阪神・淡路大震災被災者支援法案を提出いたしましたし、一方、現在も参議院の災害対策特別委員会で災害被災者等支援法案が継続審議となっております。  危機管理体制とあわせて、被災者個人への公的支援という国民生活する上での安心システムが必要と考えられますが、総理の御見解をお伺いいたします。  最後に、社会保障構造改革についてお伺いいたします。  急速に進行する少子高齢社会経済成長率の低下という状況のもと、社会保障制度の構造改革が必要となっていることは言うまでもありません。公的保障制度の維持安定のために、現在の制度の持っている非効率性やむだをなくすことは緊急の課題であります。  しかし、総理が、一昨年の自民党総裁選の公約以来、国民負担率を五〇%以内に抑えると言い続けておられることに私は大きな疑問を感じざるを得ません。  一昨年七月四日の社会保障制度審議会の勧告において、  国民生活を安定させるための費用は、いずれは誰かが負担しなければならないのである。たとえ社会保険料や租税といった公的負担が増大したとしても、社会保障制度充実されるならば、個人負担、例えば、医療社会福祉における利用者負担、民間保険保険料、家族による扶養、介護、育児等の負担などや、福利厚生面での企業の負担等が軽減されることとなる。逆に公的負担を抑制すれば、個人負担や企業負担が増大する。  本来、社会保障に係る公的負担、すなわち社会保険料と社会保障公費財源は、望ましい公的給付水準利用者負担金などの私的負担とを併せて考慮し、選択・決定されるべきものであり、公的負担だけが前もって給付水準と切り離されて数量的目標として決定できるわけではない。としております。  つまり、いわゆる国民負担率論議は、国家のあるべき姿、福祉国家を目指すのか否かの論議とイコールであります。総理の言われる五〇%以内に抑えるというのは、低福祉国家への路線転換を意図していると思われますが、いかがでしょうか。  なお、この国民負担率という言葉は公的負担率と言いかえるべきであると、私は昨年来、機会あるごとに総理及び関係大臣に申し上げてまいりましたので、本日はその内容については述べませんが、この公的負担率は、政府役割や大きさをはかる上での意味のある一つの指標であることは言うまでもありませんが、租税は社会保障以外にも使われておりますので、社会保障改革を論じるときに、公的負担率、いわゆる国民負担率の上限を云々するのはいささか筋違いだと考えます。素朴な国民感情としても、公共事業費や防衛費のむだをなくして社会保障費に充てるならば、公的負担率をふやさなくても社会保障充実はできるのではないかと考えられておりますが、いかがお考えでしょうか。  そこで、社会保障制度のおのおのについてお尋ねいたします。  まず、年金制度ですが、少子高齢化進展経済成長率の低下に加えて、低金利などによる運用益の低下、さらに、国民年金非加入者の増加などによって現行年金制度の維持は困難になっております。給付水準や支給開始年齢の見直し、さらに年金税制の見直しや、医療保険給付福祉施策との重複を避ける工夫など抜本的な改革が必要だと考えます。しかし、政府みずからが年金財政の危機のみを強調し過ぎる余り、国民公的年金制度に過度の不安を抱くようになっている現状は憂慮すべき事態であると考えます。  総理所信表明にもあります安心できる国民生活を支える最も重要な柱の一つ年金制度であります。年金改革を前提として、将来も年金をもらえなくなることはないと、はっきり総理の言葉で明言していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。  次に、医療制度及び医療保険制度についてです。  八月七日に厚生省が発表した抜本改革案「二十一世紀医療保険制度」は、国民に大きな失望を与え、怒りを呼び起こしました。当面の保険財政対策として、九月一日から自己負担を大幅にふやすことに追い打ちをかけるかのように、さらなる自己負担増と国庫負担の削減を打ち出したからです。国民の目には単なる財政対策としか映らない案です。  医療費のむだをなくすことが緊急の重要課題であることは言うまでもありません。しかし、無前提、無条件で医療費の伸びを経済成長率の範囲内に抑えると言ってよいのでしょうか。医学、医療の進歩と高齢化により、医療費がある程度伸びるのは自然ではないでしょうか。二十一世紀を支える産業分野として、政府みずからが第一に情報通信分野、次いで医療福祉分野を挙げており、医療及び医療関連産業が今後シェアを拡大するとすれば、医療費の伸びが経済成長率をある程度上回ることが一時的にあっても当然ではないでしょうか。また、経済成長率というとき、それは現在の一%前後を念頭に置いて言っておられるのでしょうか、それとも経済構造改革によって得られるはずの三・五%程度を念頭に置いて言っておられるのでしょうか。  また、来年度予算編成において医療費の自然増約六千億円を四千二百億円削減する方針のようですが、抜本的制度改革なしにこれだけの額を削減することは余りにもむちゃでありますし、また不可能なのではないでしょうか。その内容を厚生大臣にお伺いいたしたいと思います。  いずれにいたしましても、年金がもらえなくなるかのような過剰宣伝、さらに医療費自己負担が際限なくふえる予感などから国民は将来への不安感を強め、貯蓄に走り、財布のひもを締め、ますます消費が落ち込み、経済回復にも悪い影響を与えていると考えますが、総理の御所見をお伺いいたします。  最後に、高齢者介護についてですが、介護社会化は必要不可欠のことであると考えますが、いかがでしょうか。また、そのために介護保険法案は本臨時国会で何としてでも成立させないといけないと考えておりますが、総理及び厚生大臣の御決意をお伺いして、私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣橋本龍太郎登壇拍手
  21. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今井議員にお答えを申し上げます。  まず、佐藤孝行氏の総務庁長官の任命の問題を御提起になりました。  本院におきましてもたびたびおわびを申し上げましたことがすべて率直な私の気持ちでありまして、現在、与党三党間で合意いたしました政治倫理等に関する三党確認に基づいてこの努力を進めていきたいといたしておる、先日来、答弁を申し上げたとおりであります。  また、泉井問題及び中村喜四郎議員の件についてのお尋ねがございました。  泉井被告の事件、これは現在裁判中でありますだけに立ち入って申し上げる立場にはございませんけれども、証人喚問については国会でお決めをいただくべきものだと思います。その上で、私は、国民の政治不信の払拭のために政治家が常に自戒をし、襟を正さなければならないと考えており、その意味で、明らかにされなければならないことは適切な場で政治家みずからの判断で明らかにされるべきものだと考えております。  また、中村喜四郎議員の判決につきましては、司法の第一審における判断を重く受けとめております。評論家的なとおっしゃいましたが、重く受けとめるというのが私は評論家の言葉だとは思っておりません。引き続き、政治倫理の確立に向けて国民の信頼回復に最大限努めたいと考えております。  また、今回の改造内閣に女性の大臣がいないというおしかりをいただきました。しかし、男女共同参画社会を築いていくということは重要課題であると認識をし、引き続き取り組んでいるさなかであり、女性がいないという点は結果として御理解をいただきたいと存じます。  次に、景気の現状に対する基本認識、また経済対策として具体的に何を考えているのかという御指摘をいただきました。  本院におきましても繰り返し申し上げておりますように、最近の景気動向につきましては、足元の回復は緩やかなテンポでありますけれども、民間需要を中心とする景気の回復の基調は続いておると思います。しかし、日銀短観に示されるような厳しい状況があることも事実であり、この景気回復に従来のような力強さを感じることができないのは、まさに私は構造的な問題だと思っております。  本日の閣議後の閣僚懇談会でもこの論議をいたしたばかりでありますが、規制の緩和、撤廃というものを初めとして経済構造改革に関する政府の行動計画を可能な限り前倒ししていくと同時に、新たな施策の追加も含めフォローアップを年内に行うなど、経済構造改革を内閣を挙げて進めていこうといたしておりますし、当然のことながら土地の有効利用、土地取引の活発化を誘導する、促進するための方策等も検討してまいるところであります。  また、行政監視院法案についてのお尋ねがございました。  私は、国会が行政の監視のためにどのような体制を整備されるか、それは国会が御判断をされることであるということを前回にもお答えを申し上げました。しかし、政府としても、行政監察等を通じ行政の自己改善を進めていくその責任があることは当然であり、今後とも一層の改善に努めてまいりたいと思います。  また、副大臣制度導入政府委員制度の廃止についてのお尋ねがございました。  現内閣におきましても、既に閣僚経験者を政務次官に起用するといった取り組みを行っておる、あるいは内閣補佐官制度活用するといった取り組みも行っておりまして、さらなる取り組みは、三権分立のもとにおける立法府と行政府との関係、政治と行政との関係、行政の中立性等の要請にも十分留意しながら検討を進めていきたいと思います。  また、政府委員制度につきましては、従来から国務大臣を補佐する目的で任命をしてまいりました。現在の委員会の審査方式を前提といたしますと、ある程度の任命はやむを得ないことと考えます。この問題は国会の御審議のあり方とも深くかかわるところでありますだけに、十分御論議をいただきたいと考えております。  また、行政改革と地方分権についての御意見をいただきました。  これは、私は、議員が御指摘になりましたとおり、行政改革の前提に、地方分権、それだけではなく、実は規制の撤廃、廃止といった官から民への問題も存在をしていると考えており、現時点におきましても、過去三回いただきました地方分権推進委員会の勧告に合わせ、近々ちょうだいをすることになっております第四次勧告をいただき次第、地方分権推進計画の本格的な作成に入るということを繰り返し申し上げております。これを前提に中央省庁のあり方というものを論議していくことでありまして、地方分権を推進することが大前提であることは全く私は異論がありません。  むしろ、その意味で、国から地方へという流れで、都道府県にお渡しをする権限が、いかにすればその市町村の段階までその規模に応じておろすことができるか、何回か繰り返しその検討を指示しているのが実態であります。  また、財政構造改革への取り組みについての御指摘をいただきました。  財政構造改革法案は、社会保障など主要の経費ごとに、その緊要度あるいは例えば高齢化進展といった事情などを検討いたしました上で、めり張りをつけた量的縮減目標を決定いたしますと同時に、その制度改革の内容を定めております。政治レベルの判断により実情に応じて大幅に歳出構造に直接切り込む内容になっておりますし、この法案における財政運営の方針は、一般会計だけではなく、特別会計を含むすべての歳出分野にわたる改革推進でありまして、これにより財政構造改革を強力に進めることができると考えております。  なお、財政投融資につきましては、民業補完や償還確実性の原則を徹底し、スリム化を目指しますとともに、預託制度のあり方を見直してまいります。  次に、ガイドラインに係る国会審議に対して誠意を示せという御指摘をちょうだいいたしました。  新たな指針の国会審議について、当然ながら旧方針での指針のもとでの日米協力を基礎として、新しい時代における日米防衛協力関係を明らかにし、構築するものでありまして、十分御議論をいただきたいと考えております。  次に、国有林野の問題を国鉄債務と同様に扱う、それはおかしいという御指摘をいただきました。  しかし、そう扱っているつもりはありません。むしろ国民共有の財産であるとの考えのもとに、国有林につきましては農林水産省から改革案が示されております。今年中に行政改革議論も踏まえながら経営のあり方及び組織などの抜本的な改革取り組み、来年度予算編成の中で、この改革やあるいは財政構造改革五原則を踏まえた上で、森林整備のための財政措置のあり方や累積債務の処理方策等を幅広く検討していきたいと申し上げておる次第でありまして、ぜひ御理解を賜りたいと思います。  次に、阪神・淡路大震災関連につきまして、幾つかの法案を例示し、御意見をいただきました。  議員立法に対し政府がコメントをすることは差し控えるべきだと思いますが、いずれにいたしましても、政府としてはこれまでも公営住宅の大量供給とその家賃の大幅な引き下げ、阪神・淡路復興基金を活用した生活再建支援金の給付に対する地方財政措置、さまざまな支援策を講じてきておること、御承知のとおりであります。  次に、国民負担率についての御意見をちょうだいいたしました。  しかし、私は、少子高齢化進展していきます中で社会保障の果たす役割はますます重要となりますが、一方、社会経済の活力を維持し、将来の世代の負担を過大なものとしないためには、高齢化のピーク時における国民負担率というものをきちんと議論しておく必要があると考えておりますし、私は、五〇%程度にそれを抑える必要があると本当に思います。そして、そのためにも、利用者の選択の拡大、民間事業者の導入なども含めまして、社会保障制度効率化、合理化を進めながら、国民に対して必要なサービス給付を確実に確保していかなければならないと考えております。  議員からは、公共事業費や防衛費を削減すれば社会保障を削減しなくて済む、そうした趣旨の御質問がございました。  社会保障につきまして、今回の財政構造改革の中におきまして、少子高齢化の急速な進展経済成長率の低下という環境の変化の中でありますが、その構造改革を進めながら、社会保障ニーズ変化対応し、いかにして効率的で質の高いサービス提供できる安定的な制度をつくり上げるかという課題に今取り組んでいるわけであります。十年度予算編成におきましても、社会保障関係費につきましては対前年度比三千億円以内の増額を見込んでおりますが、公共投資予算につきましては対前年度比七%の減額といたしておりますし、防衛費につきましても前年度比同額以下といたしておる、そういう状況にあることをぜひ御理解を賜りたいと思います。  また、年金の将来についてのお尋ねがございました。  平成十一年の財政再計算におきまして、給付負担の均衡を確保しながら、また将来の負担を過重なものとしないように、制度改革することによりまして、将来にわたり安心して年金を受給できるその制度を構築していきたいと考えております。  また、医療費の伸びと経済成長率の関係についてのお尋ねがございました。  経済成長率につきましては、今後、長期的に考えましたとき、かつてのような高成長は見込めないと私は思います。そうした中で、今後とも国民負担が過重とならず、医療保険制度の安定的な運営を確保してまいりますためには、中長期的に医療費の伸びを経済成長率の範囲内に抑制していくということを基本方針として抜本改革に取り組んでまいりたいと存じます。  また、年金制度をめぐる論議あるいは医療費の自己負担増による景気への影響、そういう視点をきちんと持てという御指摘をいただきました。  社会保障構造改革をいたしますと、確かに当面の負担増はございます。しかし、御指摘のような改革措置を含めて幅広く検討し、高齢社会におきましてもしっかりした社会保障を確保していくためのものであるということを十分御説明申し上げ、むしろ国民に安心感を持っていただけるはず、その点をよく御説明申し上げていきたいと考えております。  最後に、介護保険法案についてお尋ねをいただきました。  この法案は、老後の最大の不安であります介護というものを社会的に支えるためのものでありまして、新高齢者保健福祉推進十カ年戦略に引き続いて介護サービス基盤の整備を着実に実施していく上でも、平成十二年度からの実施が必要なものであります。施行に向けました市町村の準備期間を確保いたしますためにも、今国会における法案成立にぜひとも御協力をお願い申し上げたいと思います。  残余の質問につきましては、関係大臣から御答弁を申し上げます。(拍手)    〔国務大臣島村宜伸君登壇拍手
  22. 島村宜伸

    国務大臣(島村宜伸君) 今井議員にお答えいたします。  まず、米政策に関するお尋ねでありますが、三年連続の豊作等による需給緩和を背景に、自主流通米の価格が低下し、また計画外米が増大しております。さらに、政府の備蓄も上限となる水準を大幅に超過しており、生産調整についても不公平感、限界感が指摘されている極めて厳しい状況にあります。  このような状況のもとで、食糧法の目指す米の需給と価格の安定を図るため、現在、備蓄運営、生産調整、稲作経営等、米政策全般の再構築に向け検討を進めているところであります。  次に、農政の改革についてでありますが、社会情勢の変化や国際化の進展対応し、新たな基本法の制定を含む農政の改革が必要となっており、現在、食料・農業・農村基本問題調査会において幅広い議論が進められているところであります。この議論を十分踏まえ、二十一世紀における我が国農業農村の発展国民生活の向上のための新たな農政の指針をつくり上げていく考えであります。(拍手)    〔国務大臣小泉純一郎登壇拍手
  23. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 今井議員にお答えいたします。  十年度予算編成における医療費の削減ですが、御指摘のように極めて困難なんです。一般歳出は九年度予算に比べてマイナスにする、その中で厚生省予算は例外として三千億円の増を認められましたけれども、当然増八千五百億円を考えると五千五百億円程度を削減しなければならない。わけても医療費については、その中で四千億円前後を削減しなければならない。極めて困難であり、本当に容易じゃないんです。しかしながら、これは総論賛成の中で、歳出削減の中でこのような方針を設定した。各論反対は許されないということで、これを断行しなければならない。  しかし、私といたしましては、これからどのような形で削減案をまとめるかというのは、年末にかけて具体的な方策考えていきたい。いわば国民の最も関心の深い分野でありまして、各論反対の最も顕著にあらわれる分野でありますので、行政改革なくして財政構造改革なし、行政改革なくして社会保障構造改革なしという形で、国民理解を得られるように、年末にかけて、極めて困難でありますけれども、やり抜かなきゃならないという気持ちで取り組んでいきたいと思います。  介護保険法案についてでございますが、現在、介護に従事されている御家族の御苦労や国民の期待を考えると、一日も早く成立させていただきたい。この点については、平成十二年度に導入するのだから少しおくれてもいいじゃないかという考えがありますが、私はそうではないと、介護基盤の整備や、あるいは市町村がこの準備をしなきやならないとなると、準備期間を考えれば一日も早い方がいい。  今井議員の御指摘は御理解ある激励と受けとめて、頑張っていきたいと思います。よろしくお願いいたします。(拍手
  24. 松尾官平

    ○副議長(松尾官平君) これにて午後一時十分まで休憩いたします。    午後零時一分休憩      ——————————    午後一時十一分開議
  25. 斎藤十朗

    議長斎藤十朗君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。  国務大臣演説に対する質疑を続けます。及川一夫君。    〔及川一夫君登壇拍手
  26. 及川一夫

    ○及川一夫君 私は、総理所信表明に対し、社会民主党・護憲連合を代表して質問いたします。  早速、政策についての論議に入りたいところでございますが、総理、その前にどうしても政治倫理の問題を取り上げざるを得ません。  第二次橋本内閣の改造に当たって、総理は一たん登用した総務庁長官をわずか十日余りで事実上更迭されました。この件について、総理が記者会見を通じて一応の釈明をされたことは私も承知いたしておりますが、国会に対するあなたの釈明は余りにもあっさりいたしております。これでは、後に国会の議事録を見る人が、何が起こったのか、なぜ総理がおわびをしているのかわからないと思うものであります。  もちろん、総理がみずからの誤りを認め、国民に率直におわびをされ、いち早く総務庁長官を交代させたことは賢明な措置であったと私も認めるのにやぶさかではありません。  問題は、なぜ総理が誤りを犯してしまったのか、そのことについての反省が本当になされているかどうかであります。事前に我が党の党首が、それとわかる言い方で御注意を申し上げたにもかかわらず、総理はこれを結果として無視されました。要するに総理は、過去に有罪が確定した人物であっても、党内で立派な仕事をし役に立つ能力を持っていれば、入閣させてチャンスを与えてもよいのではないかという信念を述べられたわけであります。  しかし、有権者である国民もそのように思っておったでしょうか。一般社会一般論としてなら、罪を犯した人にもう一度チャンスを与えることはあり得るかもしれません。しかし、政治家にはより高い倫理性が求められて当然であり、まして閣僚に有罪確定者を登用するなど論外と言うほかありません。  要するに、総理が信念を持って訴えられた論理は誤りであったと認めるか撤回されなければ、この問題は解決をしないと思うのですが、いかがでしょうか。  また、有罪確定者だけでなく、刑事事件で起訴されている人も含めて、自発的に政界を去るべきであると思います。私たちはこれを国民的な常識であると考えますが、総理は反対されますか。あわせて、その根本原因とも言うべき企業献金問題などについて、三党確認に基づいて今国会中に結論を得るよう最大限努力されるよう要請いたします。総理の率直な御所見をお伺いいたします。  財政構造改革についてお伺いいたします。  我が党は、今国会に提出される財政構造改革推進法に原則的に賛成の立場であります。それだけではなく、財政の構造改革総理御提唱の六大改革のうち最も緊急性があり、かつすべての改革の大前提であると考えます。  その意味で、この問題に対処するには、まずもって、なぜトータルで五百兆円にも達する借金を抱える財政になってしまったのか、厳粛な反省が必要であります。特に、タブーであったはずの特例公債の解禁は昭和四十年に始まったわけでありますが、それから三十二年が経過し、そのうち二十八年間は自民党の皆さんの単独内閣でありました。  この間に何が行われたのか、深刻な反省、点検を行い、責任の所在を明確にしなければならないと思います。もちろん、私たち国会議員にも責任なしとしません。私流に言わせていただけるならば、国会議員がまるで地域の利益代表であるかのように行動し、地域住民もまたそれを当然として、財源の性格を問うことなく、国費をたくさん分捕ってくる議員こそ実力ある政治家とたたえてきたことに問題はなかったのでしょうか。  建設国債の増発や借金返済の当てもない財投資金の投入などがなぜもっと早い段階で抑制できなかったのか。別の言葉で言えば、いわゆる政官財の癒着による既得権益の連鎖、増殖を断ち切れなかったのはなぜか。長い間、単独政権を維持してきた自民党の皆さんが最も大きな責任を負っておるのではないでしょうか。昭和三十八年以来、衆議院に議席を持ち、重要閣僚、党三役を歴任してこられた総理の御見解を改めてお聞かせください。  財政再建には、国会議員、利益団体を含む国民的な意識の転換が必要としても、見過ごされてならない問題として、消費税率五%への引き上げと、先進諸国にも例を見ない最低水準と言える公定歩合が〇・五%に張りついている問題があります。  前者の場合は、福祉を安定的に運営する目的のために、国民の多くは負担増に疑問を感じつつも受け入れている現状にあると思います。また、〇・五%の公定歩合に関しても、景気を支えるためならと、限界すれすれのやる方なき不満を抱えつつも、辛うじて忍んでおられるとも言えます。  にもかかわらず、景気の現状は楽観を許さないものがあります。景気足踏みの大きな要素は個人消費の伸び悩みにあると考えます。それこそ消費に支えられた内需拡大こそが景気回復のための最善最大の処方であると思いますが、そのためには、国民の可処分所得の保障、企業活動活性化のための諸施策をタイミングとバランスをはかりつつ実施していかなければなりません。  例えば国民の可処分所得について言えば、勤労者や自営業者が将来に不安を抱かないような、税制問題を含めた政策の展開が必要であります。また、所得税の特別減税を何らかの形で実行すべきではありませんか。それも、確実に消費に回してもらえるよう、金融機関への振り込みではなく、現金支給とか、商品券で還付するなど工夫を要するところではないでしょうか。景気対策について、総理並びに大蔵大臣の御所見を伺います。  総理直属の行政改革会議の中間報告が既に明らかにされております。報告によりますと、内閣機能の強化を軸に、行政組織を一府十二省に再編する構想のようであります。一見大変な整理統合が実現するかのように見えますが、現在も実は一府十二省の構成であります。政府には庁が二十五あり、うち八つの庁はトップに大臣を置いているので、これらは省並みと見ることができますが、継ぎはぎして省名の変更や所管の入れかえをしたところで、結局、一府十二省となるのでは、本来の意味で改革と言えるのか疑問であります。大幅な地方分権を伴う小さな中央政府を本気でつくり出そうとしているのかどうか、総理にその基本理念を改めて問いたいのであります。  最も大きな問題点は、行革会議と立法権を持つ国会との関係であります。立派な専門知識をお持ちの委員方々が出そうとしておられる結論に敬意を表し、その議論に謙虚に耳を傾けるべきは当然でありましょう。しかし、これを不可侵の金科玉条のごときものと受けとめることは、立法府の一員として、また与党の一角を担う者としてできるものではありません。委員方々に十カ月の審議期間をお願いしながら、与党には二カ月程度で結論を出せというのはいかがなものでありましょうか。本当に責任ある与党合意を取りつけるなら、十一月末には最終報告をまとめるという当初のタイムリミットを再考すべきだと思います。御所見を聞かせていただきたい。  また、行政改革は単なる経費の節減、機構いじりや人減らし、官僚いじめであってはならず、国民の声にこたえることと同時に、現場で働く公務員の協力が不可欠であります。しかし、中間報告は垂直的減量、エージェンシー化、企画立案と執行の分離、民営化の論議が先行し、現場に大きな不安を与えています。例えば、郵政三事業は見事なほどにばらばらにされています。しかし、私たちには、こういう分断をしなければならない真の理由はわからないまま、また、納得できる説明も受けていません。  一方、人事院勧告については、たなざらしては何をか言わんやであります。むしろ、現場からの目的意識的な、無理、むだ、むらの徹底した見直し論議を起こし、実際に行政に携わっている公務員の日ごろ感じている問題意識や矛盾の解決策を尊重した改革が求められています。例えば、各省庁ごとに職場行政見直し委員会をつくり、職員代表を委員に加え、一定の任務と責任を与え、当局と協議を行い、みずから足元を洗っていくべきではないでしょうか。そうでなければ、本当に削るべきところを削ることができないまま、削ってはならないところを削っていく失敗を犯すことになるのではないでしょうか。また、そのことを通して、働く人たちが納得できる改革を行うべきだと思います。  あわせて人事院勧告について、けさも関係閣僚会議開催されたようですが、結論は出なかったと聞いています。私には理解できません。ぜひ、早期に完全実施されるよう特段の努力をお願いしておきます。総理の御見解をお伺いいたします。  医療保険制度についてお尋ねをいたします。  小泉厚生大臣、あなたは国民の人気も高く、今では閣内においても総理に次ぐ席に座っておられます。前国会の健保法改正により、九月から国民に重い医療負担をお願いしているわけですが、この負担増について必ずしも国民理解が得られたとは言えない段階で、厚生省は早くも次なる負担増を構想しておられます。  私は、与党の政策調整を担当する一員として、再三厚生省の担当官に対し、抜本改革というのは国民負担増医療財政のつじつまを合わせることではないと指摘してきましたが、一向に態度を改めようとしません。  厚生大臣、こうした態度はあなたの医療問題に対する基本姿勢に原因があるのではありませんか。国民は、医療費のほかにもいろいろな負担増に悲鳴を上げているのが現実ですから、医療費については、これ以上の負担をかけずに医療制度抜本改革していく道を選択すべきではないでしょうか。また、医療に対する疑問、問題点が数値を含めて国民の前に十分に明らかになっていないと思うのですが、改めて御所見をお伺いいたします。  最近、私の手元に「医療維新」という本が送られてきました。鈴木肇さんという現役の歯医者さんが書かれたものであります。それを読みますと、いわゆる不正請求の手口、実例が豊富に紹介されています。架空請求、水増し請求等が横行し、是正されない医療業界の現場も紹介されています。特に、老人介護の問題と分からがたく結びついている終末医療における余りにも過剰な治療費の実態が、しかも不正請求に傾きがちな風潮とも相まって膨大な健保財政の赤字を生み出しているとの指摘は極めて説得力があります。  さらに、最近発表された平成七年度の国民医療費の総額を見ますと、その増加額は一兆二千億円であります。高齢者増加分が多いのは当然ですが、そのうち理由や根拠をつけにくい自然増の数字が医療費増加の半分近くを占める四千五百六十億円に達している事実を見過ごすことはできません。これこそ、薬漬け、検査漬け医療等のむだな費用部分であるとの疑いが強いからであります。また、薬剤費についても、一兆三千五百億円もの薬価差益のほか、五千三百億円に上る行方不明金があります。  与党協議会は、一つとして、患者の権利基本法については今後も誠意を持って引き続き検討することで合意しました。二つとして、抜本改革に基づく新しい医療保険制度実施平成十二年度を目途としているが、この間新たな患者負担増を生じせしめないよう最大限努力することを確認いたしました。三つ目には、抜本改革に当たっては、具体的項目ごとに数値目標を設定するよう努めるとの三項目について確認を行いましたが、社民党はこれが実現に全力を挙げる覚悟であることを申し添え、厚生大臣の御所見をお伺いいたします。  次に、防衛問題、特に新しい日米防衛協力のガイドラインについて伺います。  与党三党は、六月十二日以来二十回にわたって協議を重ね、代表団を米国に派遣して三党の立場を自由に主張し、論議をしてまいりました。  四十六項目に上る論点整理は、並行して進められた日米両政府間の交渉にも反映し、日本側の努力もあって最終報告に盛り込まれたことを多とするものであります。  しかし総理与党間に対立点もありました。  その第一は、周辺事態の定義及び周辺地域の適用範囲の問題であります。  周辺事態という言葉は、初歩的な国語の用法から見ても間違っている上、その意味するものもあいまいに過ぎるのではありませんか。事態とは余りにも幅広い言葉であり、新聞は既に事態を有事と言いかえております。この方が実態をあらわしており、読者にもわかりやすいからでありましょう。  この周辺事態が、政府説明によると、地理的概念ではなく性質に着目した概念であると言い、ではどんな性質かと問うと、日本の平和と安全に重要な影響を与える事態などの説明が返ってきます。これでは何か隠していると言わざるを得ないのであります。  第二に、周辺地域についても、周辺事態との絡みで政府は明確な説明をしていません。新ガイドラインが日米安保条約の枠内であることをうたっている以上、日本周辺とは、政府がこれまで地域の概念として何回も説明してきた極東ではないのでしょうか。これでは自衛隊の行動範囲がどこまで広がるのか、国民が不安を感ずるのは当然でありましょう。  もともと周辺地域という言葉を使ったのは、新防衛計画の大綱とガイドライン見直しの中間報告からであり、日米安保条約、日米安保共同宣言では使っていません。なぜガイドラインの見直しになってから使ったのか疑問を持ちます。  以上二点について、防衛庁長官に率直にお答えをいただきたい。  第三に、極東に関連して、私たちは、一九七二年九月の日中国交正常化後は極東の範囲から台湾を除外すべきだと主張してきましたが、政府の統一見解も変えるべきではありませんか。台湾両岸の問題が中国の内政問題である以上、日本が国家として台湾問題に干渉できないのは自明の理であります。国内法として台湾関係法を持ち、一たん緩急あるときは台湾擁護の立場をとると世界に宣言をしている米国と日本が同一行動をとれないのは、これまた自明のことであります。長官の御見解を伺います。  もう一点、米軍の活動に対する支援の問題があります。  施設の使用、補給、輸送などにおける協力が、その活動内容によっては国民の権利が侵害されたり、米軍の武力行使と一体化するおそれがあります。民間空港、港湾を全面使用可能ということになれば、それこそ日本列島を不沈空母とするようなものであります。我が国の自衛隊も米軍と同様に使用できることになりますと、憲法の許容する範囲、日米安保の枠組みを超えることになりませんか。また、武器弾薬の輸送は、紛争地域と一線を画すとの前提があっても危険きわまりない行動ということになりませんか。  憲法の制約を守り、特に集団的自衛権に踏み込まないようにするための歯どめについて、総理のかたい決意をお伺いしたいのであります。  総理は、九月十九日に開かれた男女共同参画社会づくりに向けての全国会議において、男女共同参画社会の実現こそ我が国の将来を決定する大きなかぎであり、社会のあらゆる分野における変革と創造の大きな柱であると確信していると述べられました。ところが、今次の改造内閣において、一人の女性も大臣、政務次官にならなかったことに対して、全国の女性から失望の声が上がっています。総理、これは言行不一致ではないでしょうか。御説明をお願いいたします。  また、世界各国は二〇〇〇年に開催される第五回世界女性会議に向けて、北京女性会議の行動綱領を実現するために、積極的な法整備と平等政策を推進しております。そのために、例えばカナダなどのように百人以上のスタッフを擁する総合調整・推進機能を設けている国もあります。それに比べて日本は立ちおくれており、その事務局たる男女共同参画室の強化が不可欠となっています。総理の男女共同参画推進に対する御決意をお聞かせください。  地球温暖化防止京都会議についてお尋ねいたします。  総理、御存じのように、十二月一日から十日まで開かれる京都会議には地球の未来がかかっています。総理は、その議長として重大な責務を負っておられます。総理の御提案によって、これからの世界市民の目標が決まるのであります。社民党は、新党さきがけとも協議し、温室効果ガスの排出量削減について、二〇〇五年において一九九〇年実績比六%減、二〇一〇年において同じく一二%減が可能であると考えております。ところが、昨日までの新聞によると、総理は二〇一〇年までに五%減とする御提案をなされると報道されています。これは事実でしょうか。地球を守るためにはもっと思い切った数値目標の実現に向けて大局的な政治判断が必要であります。また、このような政治課題は、国民的運動を展開していくことが重要でございますが、総理の御見解をお聞かせください。  最後に、農業問題について一言お尋ねいたします。  まず、新食糧法についてでありますが、制定時に想定できなかった四年連続という豊作のもとで、米は戦後第三期の過剰状態になり、その結果、生産調整も保管能力も限界に来ております。加えて、自主流通米価格の暴落などによって、農民の間にはかってない不安と新食糧法に対する不信が広がっております。  二点目は、現在、基本問題調査会において検討されている新農業基本法についてであります。  御承知のとおり、現行法は農業の近代化を目指したものであります。しかし、二十一世紀を目前にした今、人口の爆発的増加地球の温暖化、砂漠化の進行など人類を取り巻く条件を考えると、これまでの経済効率性に重点を置いた農政から、農業、農村の持つ公益的、社会機能重視した環境保全型農業への転換を図る農政が求められていると考えます。  農林水産大臣の御見解をお伺いし、私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣橋本龍太郎登壇拍手
  27. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 及川議員にお答えを申し上げます。  まず、佐藤総務庁長官任命や刑事事件で起訴されている人、政治倫理についてのお尋ねがございました。  所信表明で申し上げましたとおり、佐藤氏の件につきましては、政治により高い倫理性を求める世論の重みに十分思いをいたさなかったことを深く反省するとともに、多大な御迷惑をかけたことをおわび申し上げますというのが私の率直な気持ちであります。  与党三党間で合意をいたしました政治倫理等に関する三党確認に基づいて、汚職事件で有罪判決が確定した議員の公職就任のあり方及び立候補制限につき、法制面を含め早急に検討を開始し、今国会中に結論を得、立法措置が必要なものについてはその成立を図りたいと考えており、この間の党首間における議論も御承知のとおりであります。  いずれにいたしましても、政治倫理の確立に向け、国民の信頼回復に全力を傾けてまいりたいと存じます。  次に、建設国債や財政投融資に関し、もっと早い時期でなぜ抑制できなかったのかという御質問がございました。  建設国債につきましては、国の資産を形成する公共事業費などに限ってその発行を行ってきたところでありましたし、またこれまでもその抑制にはたびたび努力をしてきたところでありますが、現状は御承知のとおりでありまして、この残高の累増をそのまま放置すれば、我が国の経済の活力の低下、将来への過重な負担を招くことになります。  こうした観点から、一切の聖域なく歳出構造の見直しを進めて公債発行の抑制に努めてまいりたい、そのように考えております。  また、財政投融資につきましては、これまでも法律に基づいて確実かつ有利な運用を図ってきたところでありますが、今後は民業補完や償還確実性の原則を徹底し、スリム化を目指してまいりますし、預託制度そのもののあり方を検討していこうとしております。  次に、減税及び景気対策についての御意見をちょうだいいたしました。  景気が緩やかに回復しているもののその回復に従来のような力強さを感じることができない、先日の日銀短観にもあらわれておりましたような厳しい指摘があることを私も承知いたしておりますが、これはまさに構造的な問題のあらわれではないか、そのように受けとめております。  規制の緩和と撤廃を初めとした経済構造改革に関する行動計画の可能な限りの前倒し、新たな施策の追加も含めたフォローアップを年内に行うなど、内閣を挙げて経済構造改革を強力に推進してまいりますし、本日の閣議後の閣僚の懇談会においてもこの方針を再確認いたし、加速していこうといたしております。  また、土地の有効利用や土地取引の活性化を促進する方策等も当然のことながら検討してまいらなければなりません。  なお、所得税の特別減税について御提起をいただきました。  現在の危機的な財政状況を踏まえた場合、これを実施することはなかなか容易ではない、そのように考えております。  次に、行政改革会議の中間報告についてのお尋ねでありました。  繰り返し御答弁を申し上げておりますように、地方分権や規制緩和が重要であることは御指摘のとおりでありますし、それが大前提であります。現に、近く出される地方分権推進委員会の第四次勧告をいただき次第、地方分権推進計画の作成に本格的に取り組んでまいりますし、規制緩和につきましても、前倒しを含め規制の撤廃と緩和をさらに強力に進めてまいります。  同時に、第四次勧告を最終勧告と従来位置づけておられました地方分権推進委員会に、これは地方六団体から上がってきたものに対する答えが中心でありますから、なお引き続いての作業をお願い申し上げていることも申し添えておきたいと思います。  行革会議におきましては、こうした前提の上に立ちまして、国の機構や人員を絞り込みながら、国が果たすべき役割を有効かっ適切に推進できますように、中央省庁を行政目的別に大くくり再編成し、簡素、効率、透明的なものに変えていこうとしているわけであります。  その審議スケジュールにつきましての御質問をいただきました。  省庁の再編統合につきましては、昨年十月末の三党合意の内容を踏まえまして、昨年末閣議で決定いたしました行政改革プログラムにおきまして、会議発足後一年以内に成案を得るとされております。確かに十一月末までは限られた時間でありますけれども、この間、与党行政改革協議会の場を精力的に活用させていただき、会議における考え方与党内における意見がそごを来さないよう、コンセンサスの形成に努めていきたいと考えております。  その論議についても御指摘がございました。  しかし、今回の行政改革は、二十一世紀に向けて再び活力ある社会をつくるべく、我が国行政システムを根本から見直しながら、国の果たすべき役割を有効かつ適切に遂行し得るように、中央省庁を行政目的別に大くくり再編成するとともに、政策の企画立案と実施の部門の分離を図るなどによって簡素で効率的な行政をつくり上げることを目的といたしております。  もとより、議員が御指摘になりましたように、組織をつくるのは人であり、私としては、公務員各位に対し、こうした国民本位の行政改革の実現に全力を尽くすよう、いやしくも省利省益にこだわって反対運動を起こすことなどのないように誠心誠意理解協力を求めてまいりたいと思います。  なお、こうした観点から、行革会議におきましても、既にこれまで三回、官公部門の労働組合代表の皆さんとの意見交換等々も行ってまいりました。郵政三事業につきましても、こうした観点から中間報告が出されており、利用者の利便性に配慮しながら、具体的な改革のあり方につき今後さらに検討が行われるものと考えております。  そして、実際に働く人が納得できる行政改革が必要だという御指摘もいただきました。  今申し上げましたように、中央省庁の再編などに関する改革につきましては、労働組合を初め国民の各界各層を代表する有識者で構成する行政改革会議で鋭意検討を進めておりますが、その過程におきましても労働組合代表との意見交換を行っておりますし、行政改革を進めてまいりますに当たり、これまで同様、広く関係者の御意見を伺いながらこれを進めてまいります。  次に、人事院勧告について御意見をいただきました。  政府としては、これが労働基本権制約の代償措置である人事院勧告制度というものを尊重するという基本姿勢のもとに、危機的状況にあります財政事情を踏まえ、財政構造改革推進についての閣議決定におきまして総人件費を極力抑制することとされておりますことなどから、給与関係閣僚会議等の場で議論を尽くして検討を行う必要があると考えております。  次に、ガイドライン絡みで幾つかの御質問をちょうだいいたしました。  新しい日米防衛協力のガイドラインに関しまして、米軍や自衛隊による民間の港湾、空港の使用についてでありますが、自衛隊による民間空港や港湾の使用は関係法令に従いまして現在も行われておりまして、自衛隊によるこれらの施設の使用に議員の御指摘のような問題があるとは考えておりません。  また、米軍による民間空港、港湾の使用についての支援を含めまして新たな指針の協力項目に掲げられております行為につきましては、我が国実施することを想定しております具体的な内容及び態様に関する限り憲法との関係で問題となるようなものは含まれておりません。また、この方針は、日米安保条約及びその関連取り決めに基づく権利義務を変更するものではございません。  次に、武器弾薬の輸送や憲法の遵守についてのお尋ねがございました。  輸送はそれ自体としては武力の行使に該当せず、また戦闘地域と一線を画する場所において行うという前提にかんがみましたとき、基本的には米軍の武力の行使との一体化の問題が生ずることは想定いたしておりません。  いずれにせよ、日本のすべての行為が日本の憲法上の制約のもとでその範囲内で行われることは新指針に明記されているとおりでありまして、集団的自衛権の行使のように我が国憲法上許されないとされる事項についても従来の政府の見解に何ら変更は加えておりません。  次に、今次改造内閣に女性の大臣、政務次官がいないというおしかりをいただきました。  男女共同参画社会の建設、これは極めて重要な課題だと当然受けとめておりますし引き続き努力をしてまいりますが、女性が今内閣におらない、これは結果として御理解をいただきたいと存じます。  また、男女共同参画推進への決意及び事務局の強化に関する御意見をいただきましたが、我が国の将来を決定する大きなかぎであるという前提のもと、昨年十二月に決定した男女共同参画二〇〇〇年プランに沿い鋭意取り組んでおります。  推進体制につきましても、このプランに沿いましてその整備強化を進めてまいりますし、行革会議におきましても、その内部の議論においてしばしばこの点が取り上げられております。  次に、京都会議に向けた我が国の排出削減目標、そのための国民運動等についての御意見をいただきました。  議長国としての責任を持つ、それは議員の御指摘のとおりであり、今、意見がばらばらに分かれておりますアメリカやヨーロッパ、さらには途上国などの各国の立場を収れんさせ、国際合意の形成が進むよう具体的な目標についての設定の努力をいたしているところであります。  細かいことを繰り返すことは失礼と思い避けますけれども、御承知のように、国民に非常に大きなライフスタイルの変更をお願いし、さらに新たに必要とするエネルギー源を、原子力発電所二十基を建設するという努力をいたしましても、CC2についてぎりぎりゼロというのが実力の数字であり、その上に、CO2だけではなくメタンや亜酸化窒素につきましても計測技術を含めどのようなことができるか、CO2につきましても将来どのような技術開発を見通せるかなど、ぎりぎりの詰めを今行っております。今夜、環境庁長官にはこのための国際会議に出発をしてもらいますが、議長国としてこれに向けて最大限の努力を払っていくためには、非常に大きな御協力国民各位にも願わなければならないところでありまして、どうか委員におかれましても、この会議の成功に向けてのお力添えを心から願う次第であります。  残余の質問につきましては、関係大臣から御答弁を申し上げます。(拍手)    〔国務大臣三塚博君登壇拍手
  28. 三塚博

    国務大臣(三塚博君) 及川議員にお答えを申し上げます。  景気対策についての所見いかん、橋本首相から詳しく項目に分けて答弁がありましたので重複を避けます。  この構造的問題の解決のために、あらゆる諸方策考え、前倒しにいたすもの、新たに追加するもの等に向けて全閣僚一致協力して全力を尽くし、目的達成に邁進しなければならぬと存じております。  所得税の特別減税についての御質疑でございますが、及川議員も御案内のとおり、ともに提出をさせていただきました財政構造改革集中三カ年の初年度を迎えます。この特別減税がこの改革の法律の基本に反することに相なりますものですから、到底主管大臣としてもとり得ることではございません。やり遂げて初めて明るい展望が開けるものと信じます。深い御理解をお願い申し上げて、答弁といたします。(拍手)    〔国務大臣小泉純一郎登壇拍手
  29. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 及川議員にお答えいたします。  まず、これ以上の国民負担増をかけずに医療制度抜本改革をしていく道はないのかとお尋ねであります。  まさにこの点に最大の配慮をして厚生省案として八月七日まとめた案を提示したわけであります。どの政党が政権を担当しても、税金と保険料と患者の自己負担、この組み合わせをどう調整していくかしか医療費を賄う方法はないと思います。  ことし、初めて六十五歳以上の年齢の方が十四歳以下の年齢の方より上回りました。昨年は、百歳以上の方が七千三百人を超えました。ことしの九月、八千四百人を超えました。  高齢者医療費は平均して、そうでない方の医療費よりも五倍以上かかっております。そして、この中で毎年毎年医療費をどうやって国民が支え合っていくか、病気にならない方も保険料を出していただく、その保険料はできるだけ低く抑えたい、しかも増税はしない、赤字国債を発行しない、その前提の中で抜本案を考えたんです。  今、一部のマスコミ報道におきましては、平成十一年度あるいは十二年度から患者負担を三割取るんじゃないかということで御批判を浴びています。  それは、現在も国保に入っている方は三割負担しております。健保に入っている方は九月から二割になりました。高齢者は定額で千二十円から一回五百円、二千円までとなりました。その中で、これから三割負担といっても、現在、月に百万円以上かかっても一千万円以上かかっても六万三千六百円以上は御負担をいただいておりません。  これからも毎月数百万円あるいは一千万円を超える患者はかなり出てくると思います。今後、仮に三割負担国民皆様方にお願いするとしても、上限をどこに設定するかで実質的には一割にもなり得るわけです。低所得者にどのように配慮するか、一万円、二万円の三割だったら負担いただけるのじゃないか、しかし百万円、二百万円の三割だったら負担できないと思います。だからこそ、当然上限を設定しなきやなりません。低所得者に十分な配慮をしなきやなりません。ただ、負担能力のある方は最高限度で三割を御負担いただけないかということを提案しているわけであります。これは、今後上限をどこに設定するか、所得のない方々に対してどういう配慮をするかによって、実質的には上限は三割でも全体としては一割にもなるし二割にもなる案であります。柔軟な案を出しています。  同時に、医療提供体制診療報酬体系、薬価基準、この中でむだはないか、むだを徹底的に排除する策をとらなきやならない。同時に、医療効率化を図らなきゃならない。  私は、与党の御協議の中で、増税をしない、赤字国債を発行しない、保険料を上げない、なおかつ患者負担を上げないという考えで、薬価の問題、診療報酬の問題、医療提供の問題に、厚生省の案が生ぬるい、もっと厳しくやれという案を出していただければ、歓迎します。ぜひともその案を出していただきたい。いわば今回の案は総合的、抜本的に出した改革案であります。患者負担の三割だけを取り上げないでいただきたい。厚生省としてもできるだけ国民負担を避ける方法を考えた案であるということをぜひとも御理解いただきたい。  そして何よりも、国民がすべて保険に入って、お金持ちでもそうでない方も適切な、良質な医療を受けられる制度としてのこの国民保険制度は、何としても私は維持していきたいと思っております。そういう中で、税金と保険料と患者の自己負担をどうやって調整していくかというのをこれから国民議論の中で御検討いただきたい。よろしく御理解をお願いしたいと思います。  それと、医療に対する疑問、問題点が数値を含めて国民の前に十分明らかになったかとのお尋ねであります。  これは、私は必ずしも明らかになったとは思っておりません。勉強すればするほど医療制度というのは難しいです。これは自由経済の中で統制経済、合理性を追求すれば済むという問題じゃないだけに本当に難しい問題があります。それだけに厚生省案としては、二十一世紀、若い人にも過重な負担をさせない、高齢者も安心して医療を受けられる案はどういう策がいいかということで極めて柔軟な案を出しております。これからの薬価基準制度においても、基準の決め方によっては随分変わってきます。診療報酬体系もしかりであります。極めて柔軟な幅を持って国民的な議論をぜひとも巻き起こしていただきたい。  その中で、国民各層の幅広い御意見を踏まえながら、今後二十一世紀を見据えて、継続的に維持、安定的に運営できる医療制度を何とかまとめられないかということで出した案でありますので、これからもできるだけ国民の前にいろいろな情報を提供して、多くの方々関心を持っていただき、医療制度というのは国民みんなが支えているものだという意識を国民各位に持っていただきたいと思っております。  それと、医療費のむだに関してですが、医療費のむだ、非効率を徹底的に排除することは、ごれから抜本的改革を進めていく上において私は最も重要な視点だと思っております。  この点につきましては、今後、今の薬価差益が出るということを当然視しているこの薬価基準制度を廃止して、薬価差益が出ないような新しい制度を設けるということを既に決定しております。さらに、審査の充実保険医療機関に対する指導監査の強化、この点につきましても、与党協議でも御協議いただいておりますように、不正請求が明らかになった場合には、保険医療機関の指定取り消し期間の延長とか、返還の場合にはあるいは加算金を引き上げてもいいんじゃないかという議論が出ております。この点については、現在よりもっと厳格な処置が私も必要だと考えております。  さらに、与党医療保険制度改革協議会の中で、今後抜本改革の指針を取りまとめるに当たって三項目の確認を行ったことについてどうかというお尋ねであります。  厚生省としてもいわゆる三項目、一つ患者の権利基本法について、二つ目は新たな患者負担増について、三番目には数値目標について、これらの点は与党での御議論を十分に踏まえながら今後の抜本改革案の中で検討させていただきたいと思います。よろしくお願いします。(拍手)    〔国務大臣久間章生君登壇拍手
  30. 久間章生

    国務大臣(久間章生君) 及川議員の御質問に答えさせていただきます。  周辺事態についてのお尋ねでございますけれども、これにつきましては、本院でもたびたび総理から御答弁がございましたように、周辺事態とは、日本周辺地域における事態で日本の平和と安全に重要な影響を与える場合をいうのであり、これは地理的な概念ではなくて、生じる事態の性質に着目したものであります。したがって、周辺事態が発生し得る地域を地理的に限定することは不適切であり、また周辺事態に該当するか否かは、あくまで事態の態様等によるものであります。  かかる事態として特定の事態を念頭に置いているわけではございませんが、あえて一般論を言いますならば、日本の平和と安全に重要な影響を与えるような実力の行使を伴う紛争が発生する場合等が考えられます。また、実力の行使を伴う紛争が発生する場合以外におきましても、例えば国内の政治体制の混乱等によりまして大量の避難民が発生している状況や、特定の国の行動により国際の平和及び安定の維持または回復のために経済制裁が科されたような状況であって、それらが日本の平和と安全に重要な影響を与える場合等も周辺事態には含まれ得るものと考えております。  そういうことで、決して何かを隠しておるわけではございません。  それから、周辺地域という言葉についてのお尋ねでございますが、新指針において用いられておりますこの日本周辺地域とは、我が国の平和と安全に重要な影響を及ぼす事態が生起し得る地域というような、そういう意味で一般的に使っているわけでございまして、地理的に一概に画することはできないわけでございます。  他方、日米安保条約においては極東という言葉を用いておりますが、これは御承知のとおり、日米両国が国際の平和及び安全の維持に共通の関心を有している区域ということで使われておるわけでございまして、日本周辺地域とは性格を異にする概念でございます。旧指針第三項は、日本が米軍に対して行う便宜供与のあり方について記述していたわけでありますから、そういう意味でこの安保条約に言う極東という言葉が使われていたところであります。  なお、新指針に言う日本周辺地域は、昨年四月の日米安保共同宣言で使用されております日本周辺地域、そしてまた一昨年十一月に策定されました防衛大綱で使用されております我が国周辺地域と基本的には同じ概念と思っております。  それから、台湾についてのお尋ねでございますけれども、日米安保条約における極東の範囲につきましては、昭和三十五年の政府統一見解から何ら変更はございません。また、周辺事態は地理的な概念ではなくて、先ほど言いましたように事態の性質に着目した概念でありまして、特定の事態がこれに該当するか否かは事態の態様、規模等を総合的に勘案して判断するものでありまして、仮定の状況につき一概に申し上げることは困難であります。同時に、我が国は日中共同声明において、台湾が中華人民共和国の領土の不可分の一部であるとの中華人民共和国政府立場を十分理解し尊重する旨を明らかにしており、この立場をいささかも変えることはありません。  いずれにせよ、我が国が台湾をめぐる問題の関係当事者の話し合いによる平和的解決を強く希望していることは、これまでも累次申し上げているとおりでございます。  以上でございます。(拍手)    〔国務大臣島村宜伸君登壇拍手
  31. 島村宜伸

    国務大臣(島村宜伸君) 及川議員の御質問にお答えいたします。  まず、米政策に関するお尋ねでありますが、御高承のとおり、米は三年連続の豊作等による需給緩和を背景に自主流通米価格が低下し、その一方で計画外米が増大いたしております。また、政府の備蓄も上限となる水準を大幅に超過しておりまして、生産調整そのものについても不公平感や限界感が指摘されているところであります。  このような状況のもとで、食糧法の目指す米の需給と価格の安定を図りますため、現在、備蓄運営、生産調整、稲作経営等、米政策全般の再構築に向け検討を進めているところであります。  次に、環境保全型農業についてのお尋ねでありますが、我が国の農業は、その生産活動を通じて、緑豊かな国土やあるいは環境の維持、形成に貢献しておりますが、近年、化学肥料や農薬の不適切な使用などが環境へ悪影響を及ぼす場面も生じておるところであります。  このため、環境への負荷の軽減に配慮した持続的な農業、いわゆる環境保全型農業を農政の重要な課題一つとして位置づけておりまして、現在進められている食料・農業・農村基本問題調査会の議論も踏まえ、今後ともその積極的な推進を図っていきたい、こう考えております。(拍手
  32. 斎藤十朗

    議長斎藤十朗君) 西山登紀子君。    〔西山登紀子君登壇拍手
  33. 西山登紀子

    ○西山登紀子君 私は、日本共産党を代表して、総理質問いたします。  初めに、金権腐敗政治を一掃する問題です。  佐藤議員の閣僚任命問題で今問われている根本問題は何でしょうか。それは、ロッキード疑獄で確定した収賄罪という権力犯罪に全く無反省な人物をあえて入閣させた総理自身の政治倫理観と任命権者としての重大な責任です。  総理は、高い倫理性を求める世論の重みに思いをいたさなかったことを反省していると繰り返し答弁していますが、みずからの政治倫理観のどこが誤りであったのか、具体的に述べてください。  しかも、重大なことは、一年前の内閣改造時に佐藤氏入閣の約束が中曽根元首相との間で取り交わされていたと報道されていることであります。これは、総理だけではなく、自民党の金権腐敗体質が救いがたい水準に陥っていることを示すものです。総理、一年前、佐藤氏入閣について一体どのような約束があったのか、この際明らかにしていただきたい。    〔議長退席、副議長着席〕  佐藤問題だけではありません。石油商泉井純一被告の発言で、石油利権に絡んで自民党幹部や閣僚に巨額の資金が流れていたという重大疑惑が噴出しています。国会で証人喚問など徹底解明するのは当然ですが、橋本内閣と自民党も、みずからにかけられた金権疑惑として、進んでただすべきではありませんか。総理の見解を伺います。  また、中村喜四郎議員に対するあっせん収賄罪による実刑判決は族議員による底なしの利権政治を示すものであり、中村議員は直ちに議員を辞職すべきです。  企業・団体献金とは、実質的には形を変えたわいろです。今、政党と政治資金のあり方が改めて問われています。総理、お金の力で政治をゆがめる企業・団体献金は、この際、政党、政治家個人を問わず直ちに一切禁止すべきではありませんか。  次に、政党助成金についても伺います。  導入されてから二年半たつ政党助成金は、赤ちゃんからお年寄りまで国民一人当たり毎年二百五十円、総額七百六十四億円もの税金が支給されました。ちなみに、自民党には三百四十四億円、九六年度の助成金依存率は五五%、新進党は二百三十六億円、依存率は八〇%、社民党は百十七億円、依存率は五五%にも達しています。  国民には消費税増税、医療改悪などを押しつける政党が、自分たちは国民の税金を分け取りする、これほど道理の通らない政治があるでしょうか。政党支持の自由を踏みにじる憲法違反の政党助成金制度も直ちに廃止すべきです。総理、明確にお答えください。  我が党は、企業、団体からの献金も政党助成金も一切受け取らず、党費、個人寄附、機関紙活動などによる収益によって活動しています。政党の政治資金は、企業や税金に頼らず、みずからの努力でつくるべきものです。総理、これは近代政党として当然のあり方ではないでしょうか。  次に、国民の暮らしと行財政改革についてです。  私は、さきの国会で、消費税増税や医療保険改悪など合計九兆円にも上る国民負担増の予算に反対の討論に立ちました。その際警告したように、今この負担増によって個人消費は冷え込み、景気は極めて深刻な状況に陥っています。私は、京都の中央卸売市場や商店街を訪ねました。景気が回復したなんてうそや、ええのは上の方だけや、消費税が上がって売り上げは三割落ちた、このまま続いたら商売やっていけへんと真剣に訴えられました。  与党内でも、余りの深刻さに景気対策の必要性が語られ始めました。ところが、その中身は大企業への法人税減税などが中心であります。国民の消費落ち込みが不況の最大要因となっているのに、国民には負担増、それに対して大企業には減税を図るのでは有効な景気対策となり得ないことは明らかです。この深刻な不況の最大の原因が消費税の五%への増税にあることは経済界もひとしく認めています。今必要なことは、景気回復の二大主役である個人消費と中小企業への支援策であり、そのためにも消費税をもとに戻すべきではありませんか。総理の見解を伺います。  消費税増税に加えて、国民の暮らしを大きく脅かしているのが九月一日から実施された医療費の大改悪です。  私のところには、一カ月二千円分はよけてあるが、薬代の分だけ食事を抜くことにした、医療費が月一万円を超えそうなので、妻は整形外科を、夫は泌尿器科の受診をやめたというお年寄りの悲痛な叫びが届いています。病院によっては二割患者が減った、診療所では二割から四割も減ったという報告もあります。  総理、あなたは、さきの国会で、この患者負担は無理のない負担であると私に答弁しました。しかし、この一カ月の状況を見ても深刻な受診抑制が全国的に起こっていることは明らかではありませんか。総理はどのように認識していますか。犠牲者が出てからでは遅いのです。総理、一番問題の世界一高い薬価や医療機器にメスを入れるなどして、この新たな医療費負担をもとに戻すことを重ねて強く要求いたします。  財政構造改革法案は、国民生活がこうした深刻な事態にあるにもかかわらず、さらに今後三年間連続して年金医療など社会保障の大改悪を打ち出しており、断じて許せません。  来年度の概算要求では、その初年度として医療費の自然増のうち約七割に当たる四千二百億円も削減し、難病対策も全額公費負担から大幅に患者に肩がわりさせようとしています。このような国庫負担の削減が三年続けば国民医療費負担増は何兆円になるのか、政府としての推計を明確にしていただきたい。  さらに、健保本人三割負担、大病院では五割負担、お年寄りからも新たに保険料を取り立て、一割から二割の定率負担を押しつけるとんでもない計画が進められています。総理、これでは国民保険制度は空洞化され、文字どおりお金の切れ目が命の切れ目になるのではありませんか。総理の見解を伺います。  今日、公的介護保障の確立は急務となっています。我が党は、措置制度保険との組み合わせによる介護保険法案の抜本的な見直しを提案しています。現行政府案は、保険あって介護なしと言うほかなく、到底国民の期待とニーズにこたえるものではありません。  私は、京都など各地の特別養護老人ホームに伺いましたが、どこでも不安と切実な声が寄せられました。安心できる公的介護保障のためには、何よりも介護サービスの基盤整備の抜本的前進が急務です。ところが、九八年度の新ゴールドプランの概算要求は増額分が前年度の半分以下に減らされました。総理、これでは基盤整備はますますおくれるばかりではありませんか。国民の願いに真にこたえるためには、入所待機者が出ない特別養護老人ホームの増設、定員配置基準の改善や常勤ホームヘルパーの大幅増員、在宅介護手当の創設などが必要ではないでしょうか。  次に、障害者対策です。  市町村の障害者プランの策定状況は、市町村全体の一七・九%という低水準にとどまっています。にもかかわらず、財政構造改革の名で、障害者プランの来年度概算要求は伸び率が前年度に比べ四・二%抑制されています。これでは障害者が人間らしく生きられる地域づくりは進展しません。総理、国と都道府県、すべての市町村で実効ある障害者計画を策定するために国の財政援助を抜本的に強めるべきではありませんか。お伺いをいたします。  政府は財政危機を口実に社会保障費を削減しようとしていますが、軍拡予算とともにゼネコン型公共事業推進が財政破綻の根本原因であることは、公共事業費に五十兆円、社会保障費に二十兆円という数字を見れば明らかです。多くの諸外国では、社会保障費には公共事業費の四倍から八倍の予算を使っています。ところが、日本では公共事業費が社会保障費の二・五倍と全く逆立ちしています。日本のように公共事業費が社会保障費をはるかに超える国はほかにありますか。総理、御答弁ください。  こうした国際的にも異常なゆがみがあるにもかかわらず、財政構造改革法案では、さらなる社会保障の切り捨てを計画する一方で、むだ遣いの代表格の公共事業費はまともに減らそうとはしていません。その証拠に、アメリカと約束した十年間で六百三十兆円もの公共投資基本計画は、実施期限を三年延長するのみで総額には全く手をつけていないではありませんか。諌早湾干拓事業や工場の来ない工業団地、船の入らない大型港湾、むだなダム工事などゼネコン型公共事業の浪費に国民の怒りが集中しています。今やるべきは、対米約束の六百三十兆円を根本的に見直し、不要な事業、浪費的事業に大胆なメスを入れ、思い切って減らすべきです。総理の決断を伺います。  次に、阪神・淡路大震災の被災者救援の問題です。  被災後二年八カ月たっても、なお二方八千世帯、五万人の被災者が仮設住宅での生活を余儀なくされ、百七十三人もの被災者が孤独死するという悲惨な状況が放置されています。極限状態に置かれている被災者が生きる希望を持てるよう、生活費の援助、公営住宅の建設など十分な支援を強め、個人補償制度を確立することこそ国の責任ではありませんか。総理答弁を求めます。  本院で継続審議となっている災害被災者等支援法案は、すべての災害を対象とするものです。この際、私は、議員の皆さんの御協力で速やかに成立するよう強く要望をいたします。  次に、日米防衛協力の指針、ガイドラインの見直しについてです。  その最大の問題は、日本が武力攻撃を受けてもいない周辺事態なるもので、アメリカの武力行動、つまりアメリカの戦争に事実上日本が自動参戦させられる仕組みをつくったことであります。このような新ガイドラインは、日米安保条約の実質的な大改悪ではありませんか。日本の主権にかかわる重大な内容を持つ取り決めを政府が勝手に決定することは断じて許されません。新ガイドラインは、憲法第四十一条で国権の最高機関と定められている国会にその是非をかけるのは当然ではありませんか。  次に、具体的に伺います。  第一に、周辺事態が地理的概念ではないというのなら、地理的には無限定ということではありませんか。それなら、朝鮮半島や台湾も含まれるのは当然です。総理、仮定の問題と言わず、明確に答弁してください。中国・台湾問題は、あくまでも中国の内政問題であり、アメリカであれ日本であれ、いかなる国も軍事介入を行う権利などないことは国際法上明白です。総理は、この立場に立つのかどうか。お伺いいたします。  第二に、日本が引き受けるのは、情報収集、警戒監視、人員・武器・弾薬・燃料の輸送などの後方地域支援、機雷除去、戦闘中の捜索・救難、臨検、米軍への新たな基地提供、民間空港、港湾の使用などであります。これは、アメリカ軍の軍事行動にとって不可欠な分野日本が担うということであります。  総理は、これらの行為について、武力の行使には該当せず、米軍の武力の行使との一体化の問題が生ずることも想定されないと昨日答弁しました。しかし、後方支援のない戦争などあり得ず、これらが文字どおりアメリカの戦争への参加であることは明白ではありませんか。  第三に、しかも、こうした武力行使、軍事行動を決定するのがアメリカであることは、さきの国会で政府も認めています。これでは戦争と平和という国の命運にかかわる問題をアメリカに白紙委任するものではありませんか。総理、いかがですか。  第四に、この周辺事態の際に、地方自治体、民間の機能を動員し国民全体を協力させる、いわゆる有事立法についてです。  国民を強制的に動員するため、罰則つきの有事立法も検討しているのですか。そもそも有事立法は、憲法の平和原則、地方自治、基本的人権などを侵害するものであり、憲法違反は明白です。直ちに有事立法の策定作業は中止すべきです。しかと御答弁ください。  さらに重大な問題は、ガイドラインの見直しに先立って、空母インディペンデンスの小樽寄港を初め、九月だけで日本に三隻の空母が寄港し、北海道矢臼別演習場での米海兵隊の砲撃訓練が夜間まで行われ、まるで占領下のように米海兵隊が民有地まで無断で進入することまで起こっています。これで主権国家とどうして言えるでしょうか。このような米軍の一連の無法な行為を政府は断固として拒否すべきです。総理答弁を求めます。  そもそもアメリカは、ベトナム侵略だけでなく、グレナダ、パナマの侵略も全く反省していません。このアメリカと日本が一緒になった周辺事態の名による軍事干渉体制の具体化に、中国はもちろん、アジア太平洋諸国から厳しい批判が広がっているのは当然ではありませんか。総理の見解を伺います。  総理、ことしは憲法施行五十年、改めて憲法の原点に立ち返るべき年です。憲法第九条は、「国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。」、「国の交戦権は、これを認めない。」と定めています。それは、侵略戦争の反省と永遠の平和への日本国民の決意であり、日本軍国主義の犠牲となられたアジアの人々二千万人、国内は三百十万人もの犠牲者に対し遵守しなければならない厳粛な誓いでもあります。新ガイドラインは、この憲法を踏みにじるものであり、犠牲者と平和を希求する国民に対する冒涜ではありませんか。  今、世界とアジアの平和のために我が国が選択すべき道は、誇り高くこの憲法を堅持し、第十条に基づいて日米安保条約を終了させ、アメリカとも対等、平等の友好関係を結び、真の独立、非同盟、中立の道を進むことではありませんか。世界第二位の経済大国である日本が非同盟運動に合流すれば、アメリカの覇権主義的な危険な世界戦略を抑えて、真の平和のための大きな推進力になることは間違いありません。総理の見解を求めます。  最後に、人類とすべての生態系に深刻な影響を及ぼす地球温暖化問題についてです。  我が国は、世界第四位の二酸化炭素の排出国であり、地球環境に重大な責任を負っています。大企業の自主計画に任せず、エネルギー消費の浪費を防ぎ、効率を高め、新エネルギーの大胆な採用、リサイクルの徹底などを図るならば、二〇一〇年に九〇年比で二〇%の削減は可能です。この方向で、まず日本の削減計画を明確に打ち出すべきです。総理の見解を求めます。  十二月に京都で開かれる気候変動枠組み条約第三回締約国会議、いわゆるCOP3の議長国として、地球環境の保全にとって効果的な温室効果ガスの削減数値目標達成期日を決め、法的拘束力を持った議定書の策定に全力を尽くすべきではありませんか。総理、美しい地球ととうとい人類の生存がかかっているのです。明確な答弁を求めて、私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣橋本龍太郎登壇拍手
  34. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 西山議員にお答えを申し上げます。  まず、佐藤孝行氏の総務庁長官任命と政治倫理観についてのお尋ねがございました。  所信表明以来、繰り返し申し上げておりますように、私は皆様方におわびを申し上げたのが率直な私の気持ちであります。引き続き、政治倫理の確立に向けて国民の信頼回復に全力を尽くしていきたいと思います。  次に、佐藤氏の入閣につきまして、一年前の約束は何だったんだというお尋ねがありました。  そのような明確なものはありません。ただ、行政改革に取り組む努力というものが国民皆様評価されれば入閣ということもあるだろうという空気があったことを私は隠してもおりません。  次に、泉井問題についてお尋ねがありました。  泉井被告の事件は、現在裁判中でありまして、立ち入って申し上げる立場にはございませんけれども、証人喚問というお話は国会でお決めいただくべきものと思いますが、その上で、繰り返し申しましたように、私は国民の政治不信の払拭のためには政治家が常に自戒し襟を正さなければならないと考えております。その意味で、明らかにしなければならないことは適切な場で政治家みずからの判断で明らかにされるべきものと考えております。  次に、企業・団体献金を一切禁止すべきではないかという御指摘がございました。  先日の政治倫理等に関する与党三党の確認におきまして、政治資金規正法附則九条及び十条については、その趣旨を確認し、平成七年一月施行後の実施状況を十分見きわめ、入念な検討を加え、今国会中の合意努力する。その際、我が国民主政治における政党及び政治家の政治活動のあり方を検討しつつ、国民の浄財である個人寄附の拡大など政治資金について、諸外国の政治資金制度などを参考に、具体的な方途を講ずる旨を明記したところであり、これに基づいて鋭意検討していきたいと考えております。  次に、政党助成制度は、いわば民主主義のコストとも言うべき政党の政治活動の経費を国民全体で御負担を願うというものでありまして、民主主義の発展のために重要な意義を持つ制度であると考えております。また、この助成制度により、個々の国民がおのおの御自身の政治信条に基づいて政党を支持する自由は何ら制限されるものではありません。  さきの政治改革におきましては、政治活動の公明公正を期するために、会社その他団体のする政治活動に関する寄附の制限の強化などを行い、政党助成制度を創設した。御承知のとおりであります。  政党の政治資金の調達の方途としては、党費の収入、寄附収入、事業収入等さまざまなものがあります。各党のよって立つ基盤が相違することからあるべき姿を一概に申し上げることはできませんが、いずれにせよ、政党がその活動資金を賄うために自助努力をしなければならないことは当然だと思います。  次に、消費税の税率の引き上げについてのお尋ねをいただきました。  消費税率の引き上げは、少子高齢化進展という我が国の構造変化対応した税制改革の一環として実施されたものでありまして、この改革我が国にとり真に必要な改革だと考えております。  また、薬価の問題あるいは医療機器の問題等に触れられながら、医療費負担をもとに戻すべきという御指摘がございました。  先ほど厚生大臣から細かくお答えを申し上げましたように、薬価基準そのものに対して我々はメスを入れてまいります。その上で医療費負担をもとに戻すべきという御意見に対しては、本年九月の改革は、医療保険制度の破綻を防ぎ安定した運営を確保していくために給付負担の見直し等を行ったものであり、その一部負担水準につきましては無理のない負担となりますようきめ細かな配慮をしてまいりました。  国庫負担の削減が三年続いた場合の国民医療費負担増が何兆円になるかというお尋ねもございましたが、現在、十年度予算における縮減策について、医療費適正化などを含めて幅広い検討を行っております。お尋ねの金額につきましては、その縮減方策の内容によって全く異なってくるものでありまして、現段階でお答えのできるものでないことを御理解いただきたいと思います。  次に、患者負担について御指摘がございました。  抜本改革については、今後具体案づくりを進めていくこととしておりますが、給付負担のあり方につきましては、今後の少子高齢社会におきまして、若い世代の負担が過重とならないようにすること、全制度を通じた負担給付の公平を図る観点などから、所得の低い方にも十分配慮しながら適切に対処していこうと考えております。  次に、介護サービスの基盤整備等についての御意見がございました。  まずは、新高齢者保健福祉推進十カ年戦略につき、その目的達成できるよう引き続き努力をしてまいります。  次に、障害者プランについても御意見をいただきました。  財政状況が厳しい中、平成十年度予算におきましても、障害者プランの推進に必要な予算を確保する所存であり、市町村における障害者計画策定に対する支援等を含め、障害者プランの着実な推進を図ることとしております。  次に、社会保障費の国際比較についての御意見をいただきましたが、国民経済計算の一般政府ベースの社会保障移転のGDP比をとりましたとき、平成六年度で一二・七%でありまして、アメリカの一二・八、英国の一五・四等と比較してもそれほど遜色のある数字だとは思いません。また、公共投資につきまして同じように一般政府ベースの公的資本形成のGDP比で見ますと、同じ年度で六・六%となっておりまして、諸外国に比べますと高い、これはそのとおりであります。社会保障移転と比べれば約半分の水準であります。  次に、公共事業について御意見をいただきましたが、公共投資基本計画の基本的な考え方は維持しながら、計画期間を三年間延長し、投資規模の実質的な縮減を図ったところでありまして、今後費用対効果分析の活用等により公共事業の効率的、効果的実施に努めてまいります。  次に、阪神・淡路大震災に関連して御意見をいただきました。  政府は、これまでも公営住宅の大量供給、その家賃の大幅な引き下げ、阪神・淡路復興基金を活用いたしました生活再建支援金の給付に対する地方財政措置など、さまざまな支援策を講じておること、御承知のとおりであります。今後とも、政府といたしましては、被災者の生活再建に向け、これらの支援策を着実に推進してまいります。  次に、新たな指針の国会承認についてのお尋ねがございました。  周辺事態に対しまして我が国が後方地域支援等の対米支援を行うかどうかは我が国が主体的に判断するものであります。また、日米安保条約及びその関連取り決めに基づく権利義務が変更されないことも新指針に明記されているとおりでございます。新指針は立法上、予算上、行政上の措置を義務づけるものではなく、旧指針同様、国会承認の対象になるものではございません。  次に、周辺事態と台湾についてというお尋ねがございました。  周辺事態は地理的な概念ではなく事態の性質に着目した概念であり、特定の事態がこれに該当するかどうかは事態の態様、規模等を総合的に勘案して判断するものであります。したがって、周辺事態が発生し得る地域を地理的に一概に画することはできません。また、台湾をめぐる問題につきまして、我が国としては関係当事者の話し合いによる平和的解決を強く希望していることは累次申し上げてきているとおりであります。  米軍の武力行使との一体化についてのお尋ねにつきましては、新指針の協力項目に掲げられている行為につきましては、我が国が行うことを想定している具体的な内容及び態様に関する限り、それ自体は武力の行使に該当せず、また米軍の武力の行使との一体化の問題が生ずることも想定されないものであります。  米国に白紙委任をしているではないかというお尋ねでありますが、ある事態が周辺事態に当たるか否かは日米がおのおの主体的に判断をいたします。他方、日米間では密接な情報交換、政策協議が随時行われており、このような事態に対し、これらを一層緊密に行い、日米が共通の認識に到達するため努力を払います。いずれにせよ、我が国が対米支援などを行うかどうかは我が国が主体的に判断するものであります。  周辺事態における協力に関する立法について御意見がありました。  政府としては、新指針の実効性を確保するという観点から、九月二十九日の閣議決定の趣旨を踏まえ、法的側面も含めて具体的な施策について検討していく考えでありますが、その際、憲法を遵守することは当然であります。  周辺事態におきまして、民間事業者等の協力を罰則により強制するといった御意見がございましたが、罰則により強制することは現在検討しておりません。  また、国内における米軍の活動についての御質問がございました。  我が国における米軍の活動は、いずれも日米安保条約及びその関連取り決めなどに従いまして適切に行われているものであります。なお、日本に対する武力攻撃や周辺事態に際しての日米協力の具体的なあり方については今後、政府部内で検討してまいります。  新たな指針に対する近隣諸国の反応についてお尋ねがありました。  冷戦終了後におきましても、日米安保体制はアジア太平洋地域の平和と安定のために極めて大きな役割を果たしております。この点、アジア太平洋諸国からはおおむね理解が得られていると考えております。  特に、中国につきましては、先般、私の訪中いたしました際の論議を通しましても納得は残念ながら得られませんでしたが、中国側の理解を深める上での一定の前進はあったと思います。今般の新指針につきましても既に近隣諸国に対する十分な説明は開始しておりますし、今後もその努力を続けてまいります。  次に、新しい指針と憲法の関係についてのお尋ねがございました。  新指針のもとで、日本のすべての行為が日本の憲法上の制約の範囲内で行われることは新指針に明記されているとおりでありまして、憲法を踏みにじるという御指摘は当たらないと思います。  また、日本が非同盟化をすることはどうだという御意見がございました。  しかし、冷戦後の国際社会に依然として不安定な要因が存在する中で、日米安保体制というものが我が国の安全、アジア太平洋地域の平和と安定にとって重要な役割を果たしております。我が国は、今後ともに日米安保体制の堅持、節度ある防衛力の整備我が国を取り巻く国際環境の安定確保のための外交努力を安全保障政策の基本として堅持してまいります。  次に、我が国CO2削減計画についてお尋ねがございました。  この問題につきましては、大企業のみならず、民生、運輸部門を含めまして、国民すべての幅広い取り組み努力が必要であることは言うまでもありません。昨日来申し上げておりますように、細かな努力を積み重ね、さらに新エネルギーの供給を現行の約三倍にふやすなど、ぎりぎりの政策努力を積み重ねてようやくCO2排出量をゼロにできるかというのが実力の部分であります。  さらに、CO2のみならず、メタンや亜酸化窒素につき、計測技術を含めてどのようなことができるか、CO2についても将来どのような技術開発を見通せるか、現在、最後のぎりぎりの詰めを行っております。  しかし、議長国たる日本がこの問題について前に踏み出さないで国際的に進むはずはありません。これは御指摘のとおりでありまして、我々は実現可能なぎりぎりの努力の上に将来の技術開発までを見越しながらどれだけの数字を詰め切れるか、今最後努力をいたしております。当然ながら、リーダーシップを発揮し、今意見の分かれておりますアメリカやヨーロッパあるいはさらには途上国等、立場を異にしている国々をいかに収れんさせながら国際合意の形成が進むようにできるか、具体的な目標を含めて鋭意努力をしてまいります。  委員におかれましても、ぜひとも御協力を賜りたいと心からお願いを申し上げます。(拍手)     —————————————
  35. 松尾官平

    ○副議長(松尾官平君) 都築譲君。    〔都築譲君登壇拍手
  36. 都築譲

    ○都築譲君 私は、新進党と公明でつくっている平成会を代表して、橋本総理並びに関係大臣質問いたします。  初めに、政治倫理に関連してお尋ねいたします。  総理、まず、政治とは何か、政治家に高い倫理性が求められるのはなぜか、総理の御見解をお聞かせください。  次に、世論が高い倫理性を求めなければ政治家は高い倫理性を持たなくてもよいとお考えなのか、お聞かせください。  三番目に、政治家が公職に関連してわいろをもらうことが許されるのか、許されないとすればなぜなのか、総理の御所見はいかがでしょうか。  そして、わいろをもらって有罪となった政治家が国務大臣という公職につくことが許されるとお考えでしょうか、総理にお伺いいたします。  次に、高裁の汚職有罪判決をみずから認めて最高裁への上告を取り下げた佐藤孝行氏は、本当に罪を悔い改めたと任命のときにお考えになったのか、総理にお伺いいたします。  そして、一般論として聞きますが、有罪とされても検察や裁判所を逆恨みし、司法制度を批判し、否定する考えの人を総理はどうお思いになりますでしょうか。  法務大臣にお聞きします。  司法制度を終始批判し、否定してきた人が、あなたと同僚の国務大臣になることについて、法務大臣はどうお考えでしょうか。  総理は、佐藤氏任命に当たり、考え考え抜いて得た結論と言われましたが、何をどう考えられたのか、お聞かせください。  次に、国家公務員は憲法等法令遵守義務が課せられておりますが、憲法の定める三権分立の仕組みの中で、司法制度を否定する人が一般職の公務員に採用されるとお考えでしょうか。  そして、司法制度を否定するような人が公務員組織である行政機関の長になることがふさわしいとお考えですか。  ところで、辞任とは、就任後失敗したり、隠していた悪事が露見をして責任をとってやめることだと思いますが、どうお考えでしょうか。佐藤長官は、なぜ辞任をされたのか、その理由をお聞かせください。また、辞任するに当たって金銭、ポスト、次回選挙などで条件取引があったのか、正直にお答えください。  総理、住専処理策六千八百五十億円の税金投入に国民世論の八割が反対したときには深く反省しなかったのに、今回、深く反省したのはなぜでしょうか。国民に痛みを押しつける住専処理や減税廃止、医療費引き上げのときは社民党が後押ししてくれたけれど、今度は社民党が離れてしまうと自民党が政権を維持できなくなるから反省されたのですか。  次に、佐藤長官が辞任する前に罷免権を行使しなかったのはなぜでしょうか、お答えください。国務大臣の任命、罷免という重大な権限を適時適切に行使できなくて、総理大臣の資質が御自分にあるとお考えでしょうか。  また、何が正しいかを判断する力、一人で責任を持って決断する力、一たん決めたことを反対者を説得しても断行する力が重責を担う総理には必要だと思いますが、御自分には備わっているとお考えでしょうか。  行革という内閣の最重要課題の担当大臣として、片腕としてみずから佐藤氏を選んだのに、世論の批判が起こると自分はだんまりを決め、見捨ててしまうという人情味のなさでほかの人が自分についてくるとお考えでしょうか。  昨年の衆議院議員選挙で、佐藤孝行氏は小選挙区で落選し、汚職政治家、疑惑政治家は嫌だという有権者の意思が有効に反映されたと思いますが、総理はどう考えますか。  一方、小選挙区で落選した汚職政治家が比例代表で生き返ってくる仕組みについてどう考えますか。そして、自民党総裁としてはこれからも疑惑政治家を比例代表で当選させるお考えなのか、お聞かせください。  今回の大事について、社民党は当初同意していたけれど、世論の反発にびっくりして反対に回ったという報道が一部にありましたが、その事実関係を正直に明らかにしてください。  疑惑という点では、自民党の加藤幹事長も共和の森口五郎氏から一千万円を受け取った事実が確定していますが、不透明な金銭授受のあった人を幹事長に任命しても差し支えないとお考えでしょうか。  また、加藤幹事長の元後援会長の水町氏が提起した名誉棄損の民事訴訟では、加藤氏は裁判所の出頭要請に一度も応じることなく敗訴したのですが、裁判制度を侮辱しているという点では佐藤孝行氏と同じであり、それでも与党の幹事長としてふさわしいとお考えでしょうか。  山崎政調会長についても、泉井石油商会の泉井被告から二億七千七百万円を受け取ったとの疑惑の渦中にもありますが、党の要職につけるにふさわしい方だと自民党総裁としてお考えでしょうか。  次に、政党の自浄能力の発揮として、山崎氏を初め党員の疑惑解明のために、党内に公正な調査機関を設けて真実を明らかにする努力をしてはどうかと思いますが、いかがでしょうか。それとも、自民党総裁としては一切不問に付すお考えなのか、お伺いいたします。  次に、泉井被告の告白によれば、自民党総裁選のために一億円が山崎氏を通して渡辺派に提供されたとのことですが、自民党総裁のポストはお金がかかるものなのか、真相をお教えください。  泉井被告から渡辺派への二億円は政治資金報告には一切出てきておりませんが、政治資金規正法違反ではないのか、総理大臣の見解と今後の対応をお伺いいたします。  総理、企業献金、団体献金といった巨額のお金が自民党の政治にはなぜ必要なのかお教えください。  政党助成金制度が創設されましたが、いまだに自民党は企業献金、団体献金を多額に集めておりますが、今後ともその方針でいくのか、総理の見解をお聞かせください。企業献金等は、自民党が企業等に求めているのですか、あるいは企業等から自発的に持ってくるものですか、実態をお教えください。  何億という企業献金等は庶民の感覚からは膨大なものですが、何兆ともいう国民全体が納める税金の使い道を考えればエビでタイを釣るようなものにも思われるのですが、それで政治、行政の公正公平さは保たれるとお考えでしょうか。  ところで、所信の中で総理は「痛みを乗り越えて改革を進める」と言っておりますが、だれがどのように痛むことになるのか明らかにしてください。企業献金、やみ献金で潤っている政治家や、省庁権限を背景に業者と豪遊している高級公務員は痛まずに、税金や保険料をふやされる国民だけが痛みを押しつけられるのではたまらないと思いますが、いかがでしょうか。  次に、ニュースを見ると、加藤さんとか山崎さんとか疑惑があると言われる政治家を社民党とおつき合いさせていますが、社民党にとって大変失礼ではないかと思うのですが、これからも疑惑の政治家を社民党とおつき合いさせる方針なのか、お伺いしたいと思います。  所信表明の中で総理は「多大な御迷惑をおかけした」と言っていますが、社民党にですか、あるいは佐藤さんにですか、それ以外だれにどんな迷惑をかけたと御自分では考えられているのですか。  総理国民は今回の人事で佐藤さん以外だれも直接迷惑を受けたとは思っていないのですから、謝り方が違うのではないでしょうか。むしろ、人事権の行使を間違っていたと正直に認めるべきではないでしょうか。人事権を適切に行使できなくて総理職務が務まるとお考えでしょうか。責任のとり方は、謝るのとは別にあるのではないでしょうか。  そして、謝るべき筋合いもないのにとりあえず謝って済ましてしまおうというのは、相手をかえってはかにしているし、自分も卑屈だと思いませんか。もし、外交的にそんな心根で対応するとすれば、日本人の誇りや名誉が保たれるとお考えでしょうか。一国の総理の態度としてふさわしいとお考えでしょうか、お聞きいたします。  さて、世論に思いをいたすなどといった表現に見られるように、総理一般国民の感覚や常識とのずれは相当深刻だと思いますが、御自分でどう自覚されていますか。最近の各種選挙の低投票率の傾向は、国民感覚とずれた総理を中心とする自民、社民、さきがけ連立政権が政治を行っていることに原因があるとお考えになりませんか。  ところで、他の党から立候補し当選した国会議員を加藤幹事長らがしきりに自民党に入党させる動きをしているとの報道がありますが、これは多数派工作の名にも値しない有権者への裏切り行為、政治への信頼を破壊する行為であり、これが政治不信、政治無関心増加させる原因の一つであると考えませんか。これからもこういうことを続けていく考えなのか、お聞かせください。  七月の東京都議選では「自民圧勝 半数近い議席確保」と新聞で報道されていましたが、獲得票百十六万票は全有権者九百八十万人の一一・八%です。わずか一割ちょっとの支持で半数近い議席を得て都議会の主導権を握ったことについてどう受けとめておられますか。この半数近い議席を得た選挙結果を見て世論は我にありと誤解した原因でしょうか。総理の見解を伺います。  政治に対する一部の熱心、大多数の無関心は、代表民主政治にとって極めて危険な兆候だと思いますが、総理はどのように認識されていますか。この低投票率の傾向を総理は放置されるお考えでしょうか。特に、若い人たちの政治離れ、政治無関心は、政治家の責任も大いにあると思いますが、日本の将来をみずからの問題として認識せず、また社会の構成員の役割も自覚していないように思えますが、どのように総理は受けとめ、対応考えていかれるおつもりか、お聞かせください。  また、政治意識の面だけでなく、投票システム技術的側面についても、現在の日曜日の限られた時間に限られた場所で行い、不在者投票も限定されている仕組みを、有権者にもっと便利なものに工夫するべきではないでしょうか。総理のお考えをお聞かせください。  次に、橋本総理は六大改革を進めると悲壮なお顔で力んで言われますが、今回の改造人事で明らかになった総理及び自・社・さきがけ連立政権の国民感覚とのずれがこれほど大きいと、改革項目の一つ一つが果たして国民の期待にかなうものなのか、とんでもない方向に行ってとてつもない結果をもたらすのではないかと心配になってまいります。  そこで、以下の質問をいたします。  まず、景気の現状について、政府は月例経済報告も日銀短観も回復基調にあるとこの数年言い続けていますが、実のところこの四月以降の百貨店、小売業、自動車等の耐久消費財、建築着工件数など国内需要は非常に厳しい状況にあります。それでも総理は、景気は回復基調とお考えでしょうか。あるいは政府として景気は回復基調と言い続けなければならない理由があるなら正直にお答えください。国民はだまされて将来ひどい目に遇うよりも本当のことを聞いて心構えをしておく方を望みますし、それが総理が言う痛みを乗り越えることを求める際の礼儀だと思いますが、いかがでしょうか。  次に、春の予算委員審議の中で、一家四人、年収六百万円の平均的家計で、消費税引き上げで六万円、特別減税廃止で六万円、医療保険制度改正で六万円、合計十八万円家計にとって負担がふえるとの政府答弁がありましたが、春の賃上げでは、大企業二百二十六社の平均が二・八四%、中堅・中小企業や業種によってはもっと低い数字であり、勤労者家計の一年分の増収を上回る税金、保険料のアップが内需不振に拍車をかけてしまったと考えますが、総理所見を伺います。  さらに、このデフレ予算による景気後退の結果、八月までの租税収納額の進捗割合は前年比二%ポイントのおくれ、額にして一兆六千億円相当落ち込んでおり、当初意図した財政赤字縮小も実現できなくなった場合、景気を冷やし、赤字も縮小できず、増税だけを国民に押しつけたデフレ予算編成の責任を総理はどうおとりになるおつもりか、お伺いいたします。  昨日の債券市場では、長期金利一・八%を割り込むという世界の金融の歴史でも最低の超低金利状態となりました。それでも民間の資金需要が回復してこない状況です。デフレ予算を組み、景気を悪化させ、結果として税収を落ち込ませ、さらに財政赤字を拡大し、経済も財政も破綻させるサイクルに入ってしまったのではないかと考えますが、この過程を継続し、経済規模を縮小できるところまで縮小してバランスをとることが望ましいと考えておられるのか、総理のお考えをお伺いいたします。  次に、超低金利の状態であれば、むしろそれを生かして、国の財政出動により社会資本の整備をこの時期に進めるべきであるとも考えられますが、総理のお考えはいかがでしょうか。  国民にとって今の日本の金融市場は、株価の低迷、証券会社の不祥事の続発、銀行預金は超低利、生命保険も疑わしいと八万ふさがりの状態で魅力の乏しいものになっていますが、こんな中で外国為替の自由化を来年から実施すれば、資金の海外流出が急増し日本経済をさらに悪化させることにならないか、総理の見解をお伺いいたします。  金融機関の不祥事は、第一勧銀、野村証券にとどまらず他の証券会社大手の三社にも広がって捜査が行われております。一人の総会屋がこれだけ大規模な犯罪を起こしたことに驚きますが、他の証券会社は大丈夫なのか、総理にお伺いします。  大和証券には九月十八日に、日興証券には九月二十五日に証券取引等監視委員会の強制調査が入ったとのことですが、検察の捜査の後手に回って監視委員会は本来の機能を果たしているのか、総理の見解をお伺いいたします。  次に、銀行を初め金融機関の経営不安がささやかれる中で、預金保険法を改正し、新設合併方式による破綻銀行の処理にも保険機構から資金援助し、そのために保険料率をさらに引き上げる案が検討されていると聞きますが、これでは自己責任原則という金融市場改革の基本を否定し、健全な銀行に負担のツケ回しをし、さらに金融不安を引き起こすことになると思いますが、総理の見解を伺います。  さて、政府のこうした後手後手に回る対症療法的政策が経済を日増しに悪化させておりますが、その典型とも言えるのが財政構造改革案であります。  そもそも財政構造改革に関する国の責務とか、当面の目標とか、財政赤字の公表とか、財政運営の方針などは、本来内閣が責任を持って定めて行うもので法律によるべき事項ではないと考えます。内閣で責任を持って実行する自信がないから、形だけ整えて国民世論の目をかわそうというものではないでしょうか、総理の見解を伺います。  また、その内容を見ても、構造改革とは名ばかりで、単に量的な縮減と、結果として公共事業長期計画の二年繰り延べだけが主なものではないでしょうか。逆に、国民生活にかかわる社会保障関係、私立学校助成、雇用保険制度の見直しなど、税金を納めて生活している人には厳しく、税金を使って金をもうける人には改革と言いながら手厚くするという、まさに自民党の体質をむき出しにしたものと考えますが、総理の見解をお伺いいたします。  社会保障制度改革医療保険制度についても、大阪の安田病院に見られるように、不正な診療報酬請求が大きな問題となっています。医事評論家の話では全体の三分の一、約九兆円が不正請求などのことであり、まずこうした不正請求を根絶することで国民負担を押しつけなくて済むと思いますが、総理の見解をお伺いいたします。  こうした抜本改革を怠りながら、八月に出された医療制度改革案では、医者にかかったときの本人負担を、ことしの改正で二割に上げたものをさらに三割に引き上げるとされています。余りにも安易な国民への負担押しつけだと思いますが、総理の見解をお伺いします。  次に、雇用保険の失業給付等に関する国庫負担のあり方も検討するとのことでありますが、今日の労働雇用政策のほとんどは、事業主や労働者が拠出する保険料で賄っているのが実態です。そして、労働者が一生懸命働いて得た所得から所得税を払い、住民税を払い、消費税を払って日本の財政を支えているのに、経済不況や業種転換などで失業してしまったら、あとは自分の納めた保険料だけで食っていけというのでは、余りにも労働者の生活を無視した業界偏重の姿勢ではないかと思いますが、総理考えをお聞かせください。  さらに、人件費の総額を極力抑制とありますが、どういう方法で抑制するのか、総理考えをお伺いいたします。  これに関連し、人事院勧告制度は、従来公務員の労働基本権制約の代償措置として機能し、公務員の勤務条件の確保、士気の維持に重要な役割を果たしてまいりましたが、今や国会議員や大臣の歳費、特殊法人、公益法人の理事長などの給料までが、その財政状況のいかんにかかわらず、人勧に連動して上がっていくという仕組みになっています。人勧だけでなく、職階制、任用方法、労働基本権、地方と国との事務の整理など、公務員制度を抜本的に改革しなければ行革も財政再建もなし得ないと考えますが、総理の見解をお伺いいたします。  次に、年金制度についても抽象的な記述になっていますが、明らかなのは保険料率の引き上げの部分です。厚生年金基金の破綻や、超優良企業でも数千億円という赤字が見込まれるなど、若い労働者からすれば、保険料だけ取られて年金なしという事態を恐れる声を聞きます。制度の安定性と信頼性の確保のためにどう取り組むのか、総理の具体的な考えをお聞かせください。  また、地方財政の赤字の改革についても、地方公共団体の財政の自立的かつ自主的な健全化とうたいながら、政府地方公共団体に対し、適切な措置、必要な措置を講ずるというように、地方主権の発想が全く見られない支離滅裂なものとなっておりますが、総理は財政再建の前には地方主権、地方分権などはあり得ないというお考えなのか、お伺いします。  さて、先日の毎日新聞の報道では、通産省から全国の中小企業団体に対し、労働基準法を守らなくてもよいとの通達が出されたとのことですが、法律を誠実に実施、運営する公務員が法律を守らなくてもよいと公文書で指示するとはどういうことでしょうか。国家公務員法第九十八条第一項に違反すると考えます。どういう処分をされるのか、お伺いいたします。  次に、教育問題についてお尋ねいたします。  総理は「心の教育」という言葉を使われました。私は、心は育つものであって教え育てるものではないと思うのですが、育つ環境を整えていく取り組みをすることはぜひとも必要だと思います。  しかし、今日の学校教育における画一的な管理の手法で行うことには強い疑念を持っています。むしろ、それ以前の問題として、社会の大人の健全な常識や規範意識が薄れている状況が子供たちに影を投げかけているのではないでしょうか。ごみや空き缶を道路に平気で捨てる大人、少年に麻薬を売る大人、総会屋といって大企業を脅かして金をせしめようとする大人、それにやすやすと金を出す企業のエリートたち、わいろをもらって有罪となりながら司法制度を批判し国会議員に居座る大人、そういう人を大臣に任命する大人。子供たちはみんな大人の姿を見ているのです。  社会の大人が堂々と自信を持って子供たちに心ある姿を見せるためにも、まず政治家みずからが襟を正すことが必要ではないかと考えますが、総理の見解を伺います。  次に、学校教育におけるいじめ、不登校などの問題は、子供たちの持つ個性や能力の多様性にもかかわらず、一つの学校の一つの学級の中で画一的、一律的な手法で行われていることに起因すると思います。学校の先生方に相当な努力や苦労が強いられている今の仕組みを、編入、転入の自由化による学校選択の自由や教科選択の自由を大幅に認め、子供たちの多様性や自主性が生かされる仕組みにつくり変えるというのが新進党の教育政策の一つですが、総理はどうお考えになるかお聞かせください。  最後に、駐留軍特別措置法改正以来この半年、マスコミをにぎわしている保保連合という言葉があります。  総理、自民党は保守政党ですか。何を保守するのですか。保守党の理念とは何でしょうか、お教えください。また、あわせて、閣外協力という形で連立政権を組んでいる社民党、さきがけの二党も総理は保守党とお考えなのか、御見解をお伺いいたします。  新進党は、戦後五十年を経て、今や国民生活も、経済も、産業も、外交も行き詰まりつつあるこの国を仕組みから再構築しなければ、日本の将来が危ういという思いで革命的な構造改革を訴える政党でありますから、保守政党と呼ばれる理由はありません。  しかし、マスコミが使う保守という言葉で、例えば、自由主義を守る、議会制民主主義を守る、市場経済を守る、危機管理や安全保障をしっかりやって国民の生命、財産を守る、社会保障の基盤を整備して国民の豊かさを守る、こういうことを指すのであれば、新進党ほど保守的な政党はないと思います。ただ、これらのことは今日の政党として当たり前のことであって、そのことで保守党と呼ばれる理由はないのであります。  むしろ問題は、この当たり前のことを建前としては言いながら、実は当たり前でない政党が損得打算で連立政権を組んでいることに今日の政治の混迷と、ひいては社会全体の行き詰まり感の原因があるのであります。  さきの毎日新聞の報道では、三重県の津市の歯科医師会では、自民党のある参議院議員の来年の選挙のために、歯医者さんに対し、自民党への入党と後援会名簿作成を求め、それに協力しなければ学校の歯科医に委嘱推薦しないとおどかしているのです。政党に協力しなければ、経済的不利益、職業的不利益、社会的不利益を与えるとおどして、どこに思想の自由、信条の自由、政治活動の自由、議会制民主主義の精神があるというのでしょうか。  私たちは、利権政治根絶のために、時に激しく政官業の癒着を追及しますが、このように選挙のたびに票を出せと締めつけられる業界の皆さんに同情を禁じ得ないし、個人の政党支持の自由さえ認めようとしない自民党の体質に激しい憤りを覚えるものであります。  総理、私は橋本内閣の命運はもはや尽きたと思いまするるただしてまいりましたが、今回の改造大事における橋本総理の倫理観を初めとする国民感覚とのずれ、そのずれからくる経済、社会国民生活の現状に対する認識のずれ、これでは国民が期待し、信頼を寄せる国家の運営はできないのであります。  都議選でぱっと輝いたろうそくの火も、実はわずか一割のろうが燃えたにすぎません。ろうそくの九割はじっと我慢して、新しい持ち手があらわれ、新しい時代の扉を開くのを待っているのであります。  総理に政治家としての良心があるなら、そして日本の国、日本国民がこの行き詰まった暗やみから導き出されることを願うなら、速やかに職を辞されてはいかがかと進言申し上げて、私の質問を終わります。(拍手
  37. 松尾官平

    ○副議長(松尾官平君) 都築譲君の発言につきましては、速記録を調査の上、議長において適切に措置いたしたいと存じます。    〔国務大臣橋本龍太郎登壇拍手
  38. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 都築議員にお答えを申し上げます。  まず、政治とは何か、政治家に高い倫理性が求められる理由は何か、そうした御質問をいただきました。  国民の信頼と負託にこたえることが政治の原点だと思います。私は、自由と民主主義を基本理念として、社会、文化、経済の各分野にわたって豊かな国をつくり、国際社会の平和と繁栄に貢献していくことが政治の重要な役割だと考えています。国民の信頼により国政を任される政治家が、国民全体の代表としての立場を常に自覚し、かりそめにも国民の信頼にもとることのないよう努めることが政治家が保つべき政治姿勢であり、政治家としての資格の第一義であると考えます。だからこそ国会議員には高い倫理性が求められる、そう認識をいたします。  次に、公職に関連するわいろについてお尋ねがありました。  公務員である政治家が、その職務に関しわいろを収受した場合、刑法の収賄の罪が成立をいたします。公務員がわいろを収受する行為が処罰の対象となる根拠につきましては、公務員の職務の公正、それに対する社会の信頼を保護すべきことにあるものと理解をいたします。また、収賄罪に係る被選挙権の停止等につきましては公職選挙法に定めがあります。  汚職事件で有罪判決が確定した議員の公職就任のあり方等につきましては、与党三党の確認に基づいて検討することといたしております。  その上で、佐藤氏の総務庁長官への任命につきましてさまざまな角度から御質問がございました。佐藤さんは、私は過去をみずから反省しておられると思います。また、私は任命に当たりまして行政改革推進などさまざまなことを考えました。  一般職の職員に採用されるに当たっての欠格条項は、議員お尋ねでありますが、国家公務員法三十八条に定められておりまして、お尋ねの場合は当該欠格事由には該当しないものであります。  また、司法のあり方につきいろいろな意見を持つこと自体を否定することはあるべきことではありませんが、私は佐藤氏が司法制度そのものの存在を否定しているとは受けとめておりません。また、司法制度に否定的な人について私がどう思うかとかそうしたものは、一般論として申し上げるには適しないものと存じます。  次に、佐藤前長官の辞任の理由につきましては、御本人がみずから記者会見で明らかにされているとおりであり、国政への影響等さまざまなことをお考えになり決断をされたものと考えます。  なお、辞任に当たり、ポスト、金銭というような言葉までお使いになりましたが、何ら条件取引はございません。  次に、住専との比較あるいは社民党さんとのかかわりをお引きになりながら、なぜ反省したのかというお尋ねがございました。  冒頭お答えを申しました政治家としての考え方、そして所信表明で申し上げたとおり、これが率直な私の気持ちであります。  次に、罷免権の行使あるいは総理の資質などにつきましては、私自身は率直な気持ちを申し上げてまいりました。みずから欠点が多いことは承知をいたしておりますし、御批判は甘受いたします。  次に、佐藤孝行氏に対し、小選挙区比例代表制についてどう思うかというお尋ねがございました。  この小選挙区比例代表制の審議に際し、当時、野党でありました自由民主党がどのような考えを持っておったかは議員御承知のとおりであります。そして、その上で国会で成立をした制度であります。そして、そのときの推進をされた理由というものは、小選挙区比例代表並立制は、選挙や政治活動を従来の個人中心の仕組みから政策本位、政党中心の仕組みに転換することを目指して導入されたもので、候補者につきましてもその選定に政党に幅広い裁量を認める趣旨から重複立候補制が採用されたものと承知をいたしております。  次に、今回の大事について、社民党は当初同意していたと聞くがというお尋ねがございました。  社民党の同意の有無については、社民党が同意しておられたとは私は承知をしておりません。  また、加藤幹事長、山崎政調会長の任命につきさまざまな御指摘がありました。  幹事長、政調会長にふさわしいと考えお二人を選び、それぞれの職におきまして他の党、会派と接触するのはその職務であります。  次に、政党の自浄能力についてお尋ねがございました。  自由民主党は、既に平成二年におきまして、責任ある公党として常に綱紀を厳正に保つという観点から、党則を改正し、党紀委員会の組織改正を図りまして、委員に民間有識者を加えますとともに、党所属国会議員倫理規程を定めて自浄能力を発揮する体制を整えております。  次に、自由民主党の総裁のいす云々という御発言がございました。  新進党にも残念ながら我が党総裁であった方もおられます。その方にお聞きをいただきたいと存じますけれども、いやしくも公党の総裁のあり方についてそのような御指摘を受けることは、私は礼を失することであると考えております。  また、泉井被告の資金につきましては司法当局が厳正に判断するでありましょう。  次に、企業・団体献金などについて幅広い御意見がございました。  まず、御意見の中で、いまだに自民党は企業献金をふやしているという御発言がございましたが、この理由がわかりません。自由民主党に対する政治資金団体であります国民政治協会からの寄附は、過去数カ年間を見ましても大幅に減少をいたしております。  その上で、先日の政治倫理等に関する三党確認におきまして、政治資金規正法附則九条及び十条については、その趣旨を確認し、平成七年一月施行後の実施状況を十分見きわめて入念な検討を加え、今国会中の合意努力する。その際、我が国民主政治における政党及び政治家の政治活動のあり方を検討しつつ、国民の浄財である個人寄附の拡大など、政治資金について諸外国の政治資金制度などを参考に具体的な方途を講ずると明記をしたところでありまして、これに基づいて鋭意検討してまいりたいと思います。  なお、献金というものは自発的なものでありますし、それによって政治、行政の公正さがゆがめられてならないことは当然のことであります。  次に、改革に伴いだれが痛むのかという御質問がございました。  我が国システム全体の改革を実行しようとするその中でありまして、例えば今まで規制を受けて、その結果として有利に仕事をしておられた方があるなら、その方は痛みを直接受けるでありましょう。こうした意味で、国民全体が直接、間接に影響を受けるでありましょうが、それを乗り越えて我が国の将来を築いていかなければならないと考えております。  次に、佐藤孝行氏の総務庁長官任命に対し、再び、私の言葉を引きながらいろいろな御意見をいただきました。  私自身に対する御批判は甘受をいたしますが、外交、内政を問わず、常に日本人の誇りや名誉を念頭に政治がなされなければならない、そのように心がけております。  また、最近の低投票率の傾向について御意見がございました。  昨年の総選挙、一昨年の通常選挙がいずれもこれまでで最も低い投票率にとどまったことは極めて残念でありまして、その背景としては、若年層の政治離れを初めとして、政治的無関心の増大などさまざまな要因が指摘をされております。  また、他の党とのかかわりと政治不信という視点からの御意見がございました。  政党は、その理念、哲学、主義、主張というものを実現していくために、その支持を広げたいと思いますとともに、政治家もまた、みずからの理想を求めて政党を変わることはあります。  他党から我が党への入党者につきまして、入党申し込みを受け、御本人の意思を尊重して入党手続をとっておりますことに、我が党の方から無理やり議員の御指摘になりましたようなことを行っているとは報告を受けておりませんが、いずれにしても、政治家、政党ともに、常にみずからを戒めて襟を正さなければならないと思います。  また、都議選と世論について、都議選の結果を都築議員なりに分析をされた御意見をいただきましたが、私どもはこれをもって世論は我にありと、そのような思いをしていることはございません。  そして、政治の無関心ということについて、このままどうするんだという御指摘がございました。  これは、議員同様私も大変心配をしています。現在、有権者の投票しやすい環境を整えるという視点から、投票時間の延長や不在者投票制度の改善などについても検討を進めているところでありまして、成案が得られ次第、公職選挙法の改正を含め取り組んでまいりたいと考えております。  次に、今般の一連の制度改正による景気への影響及び景気の現状についての御質問がございました。  最近の景気の状況を考えますと、個人消費や住宅建設では消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動減も引き続き見られるなど、足元について回復テンポが緩やかになっていることはそのとおりであります。  しかし、雇用で改善の動きが見られることなどから個人消費は緩やかな回復基調にあるなど、民間需要を中心とする景気の回復の基調は続いていると考えており、今後とも経済の動向を注視してまいる所存であります。  次に、租税の収納状況等を踏まえ、九年度予算についてお尋ねをいただきました。  九年度税収について現時点で判明しております進捗割合は昨年度に比べて低くなっておりますが、これは、消費税率の引き上げによる増収効果が、今後、年度の後半に集中してあらわれてくること等によるものであります。  いずれにいたしましても、九年度予算は、財政構造改革の第一歩を踏み出すとともに、経済情勢等も勘案しつつ、重点的、効率的な資金配分を行ったものでありまして、適切な予算であると考えております。  また、縮小バランスが望ましいのか、そのような趣旨からの御指摘がございました。  最近の景気動向、今申し上げましたように、回復のテンポが緩いということは事実でありますが、民間需要を中心とする景気回復の基調は続いていると認識しておりまして、御指摘のような悪循環に入っているとは考えておりません。  次に、超低金利だからこそ財政出動をという御主張をいただきました。  しかし、我が国財政は危機的状況に陥っており、財政構造改革を着実かっ強力に進めていかなければならない時期であることは議員もよく御承知のとおりであります。今後の経済運営は、安易に財政に頼るのではなく、民間需要中心の自律的成長をいかに図るかにかかっていると、私はそう考えております。  社会資本整備については、六月三日に閣議決定されました「財政構造改革推進について」に沿い、経済構造改革関連の社会資本について優先的、重点的に整備する等、適切な対応を図ってまいります。  次に、外為の自由化についてのお尋ねがございました。  先般行われました外為法改正は、我が国金融資本市場の一層の活性化に資するばかりでなく、広く我が国経済全体に好ましい影響を与えるものと考えております。  なお、資金の流出入につきましては、内外金利差等により決定されるものでありまして……(発言する者あり)
  39. 松尾官平

    ○副議長(松尾官平君) 御静粛に願います。
  40. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君)(続) 外為法改正の影響を一概に論じられるものではないと思います。  次に、金融機関等の不祥事についてのお尋ねであります。  今回の一連の問題についての捜査等が行われておる現段階において、関係当局による実態解明の状況を見守ってまいりたいと考えております。仮に法令違反等の行為があれば、関係当局において厳正に対処されるものと考えております。  次に、証券取引等監視委員会についてお尋ねがございました。  最近の大手証券会社による一連の証券取引法違反事件につきましては、委員会がみずからの監視活動の中で端緒を把握し、事実解明を行っていると承知しております。市場取引に絡む犯罪に対処するには高度な専門的能力が必要でありまして、これら一連の事件におきましても委員会がその機能を発揮したものと考えております。  次に、預金保険法の改正案についてお尋ねがございました。  現在、政府において検討中の制度改正は、金融システム改革を円滑に進めるため、預金者の保護を図り、もって信用秩序の維持に資することができるような制度的な環境整備を図ろうとするものであります。この改正により、結果として預金者保護のためのコストも軽減できるものと期待されます。  次に、財政構造改革法案の必要性につきまして、この法案は、主要な経費の量的縮減目標制度改革など、構造改革のための具体的な方策や枠組みを定めたものであります。こうした方策等を皆が守ること、皆が拘束されるということを法律にして明確にすることによって財政構造改革を強力に実施していくことが可能になると考えておりますし、その中におきまして、各主要な項目の経費の性質に応じましてめり張りのきいた量的縮減目標を設定すると同時に、制度改革の内容を定めた財政構造改革法案の形態をとったところであり、これは量的縮減だけではなく、歳出構造に直接切り込む内容となっているものと考えております。  また、医療保険制度につきましては、医療費のむだや非効率を徹底的に排除することが、これは議員の御指摘どおり、抜本的改革を進めるための大前提でありますことから、保険医療機関に対する指導監査の強化等、医療費適正化に取り組んでおります。  また、厚生省の改革案は、コスト意識の観点少子高齢社会においても皆保険制度を安定的に運営していく観点から、患者負担のあり方も含めた改正案を提示したものであります。  次に、雇用保険の失業給付につきましては、失業時の生活の安定などを図るために、今後とも適切に運営していくことが必要であると考えております。財政が危機的な状況にあります中で、その国庫負担のあり方を見直すこととしておりますけれども、具体的には今後関係審議会での御議論を踏まえて検討することといたしております。  次に、公務員の人件費総額をどう抑制するんだという御指摘をいただきました。  「財政構造改革推進について」の閣議決定に従いまして幅広く検討していきたいと思います。  人事院勧告の取り扱いにつきましては、労働基本権制約の代償措置である人事院勧告制度を尊重するというその基本姿勢のもとで、人勧抑制以外の手段による総人件費抑制との関連などを含め、給与関係閣僚会議等の場で議論を尽くし、検討を行う必要があると考えております。  なお、現時点において、閣僚全員がその給与の一割を既に国庫に返納しておることも申し添えておきたいと思います。  次に、公務員制度改革について御意見をいただきました。  現在、政府は、行政改革を初め、密接に関連する六つの改革に全力を挙げて取り組んでおり、二十一世紀に向けて活力に満ちた社会をつくるために、その行政運営の基盤である公務員制度改革は、その一環として極めて重要なことでありまして、公務員制度調査会などにおいて全般的な見直しを進めております。  また、年金制度についてのお尋ねがございました。  平成十一年の財政再計算におきまして、給付負担の均衡を確保し、将来の負担を過重なものとしないよう改革することによって、制度の安定性、信頼性を確保していきたいと考えております。  また、地方分権と財政構造改革についても御質問がございました。  地方分権を進めていきますためには財政基盤の強化が必要であり、財政構造改革法案はそのためにも地方財政の健全化を進めようとするものであります。また、その推進に当たりまして、「財政構造改革推進について」の閣議決定で明記をいたしたように、地方自治、地方分権の推進視点に十分留意することといたしております。  次に、通産省の通達についてお尋ねがございました。  中小企業庁の文書は、週四十時間労働制完全実施の前提で、その対応が困難な個別の中小企業のケースにつき、労使による話し合いの内容を取りまとめ、解決策の検討のベースとしたものであり、当該ケースは両者の話し合いによって既に週四十時間労働制が実施をされており、労働基準法違反を奨励する通達を発出したというものではございません。  次に、教育につきお尋ねがございました。  社会の姿、大人の姿が大切である、その中で我々政治家が率先して努力をしなければならないという御指摘は私もそのとおりに受け、私自身に対する部分もそのとおりにちょうだいをしたいと思います。  その上で、学校教育につき転入、編入の自由化あるいは教科選択の自由という御指摘をいただきましたが、今、文部省が努力をしてくれております中に、むしろ学校に対して権限と責任を大幅に与え、父母の御意見も伺いながら、自主的な行動がとれる裁量幅を広げたい、そのような方向もございます。  恐らくは議員の御指摘になりました方向と異なるものではなかろう、そのように考えておりますが、学校選択の機会の拡大あるいは学習の選択の幅の一層の拡大に努めてまいることは我々としても共通であります。  最後に、保保連合について、自民党は保守なのかというお尋ねがございました。  保守とは、私は決して現状維持をいうものではないと考えております。そして、伝統の上に創造、秩序の中に進歩、これが原点であると思い、その原点を踏まえながら、私たちは健全な保守政党たらんと前進をしてきたと自負しております。  昭和三十年の自由民主党の立党宣言の一部を申し上げることをもって、答弁にかえたいと存じますが、目標に向かって常に創造の努力を払い、過去及び現在の制度機構の中から健全なるものを生かし、古き無用なるものを除き、社会的欠陥を是正することに勇敢であらねばならない、これがそのときの一文であります。  社会民主党あるいはさきがけについて、私が云々する立場にはございません。  残余の質問につきましては、関係大臣から御答弁を申し上げます。(拍手)    〔国務大臣下稲葉耕吉君登壇拍手
  41. 下稲葉耕吉

    国務大臣(下稲葉耕吉君) 司法制度を批判し、否定してきた人の問題ということでお尋ねがありましたが、私は、我が国の司法制度は、憲法によって保障されている司法権の独立に基づき、これまで厳正かつ公平に運営されてきていると信じます。  今後も、冷静に、一層厳正かつ公平に運営されていくよう最大限の努力をいたす所存でございます。(拍手
  42. 松尾官平

    ○副議長(松尾官平君) ただいま理事が協議中でございます。しばらくお待ちください。  これにて質疑は終了いたしました。本日はこれにて散会いたします。   午後三時三十五分散会      ——————————