○
国務大臣(
下稲葉耕吉君) 刑事免責ということは、刑事免責を与えることによりまして、結局
自分が罪を負うということに対する、それを消滅させることですね。もうやりません、罪を問いませんということになるかわりに供述の義務を与えるわけですね。司法取引というのは、これは刑事
事件において
被告人と検察官が交渉いたしまして
事件処理について合意するわけですね。それで、
被告人による有罪の答弁や共犯者等に対する
事件における証言等と引きかえに検察官が寛大な処置をとりましょうと。ですから刑事免責と司法取引とは違うと思います。
そこで、
一般的に申し上げますと、
犯罪につきましては、今お話しのとおりに、自首減軽という制度があることは、これは
刑法上ございます、御承知のとおりです。そういうふうなことを頭に入れて一連の
総会屋の問題をぶつけてみますと、まず、
総会屋がある
企業に取り入ろうとした場合に、初めての場合は
企業が決然と決断してそれを断る、現実に断って大変苦労しながらもそれからは
総会屋との
関係は私の
企業は切れましたということをおっしゃっていただく
企業の
責任者も何人か私知っております。
ところが、今、先生お話しのように、
自分が今度
責任者になってみた、そうしたら前から癒着が続いていた、これをどうしようかと、これはやはり
企業の
トップがどういうふうな決断をなさるかなさらないかだと思います。そういうふうな中でも敢然として切られた方もおられます。しかし、切り切れないで今日までに至って検挙されているというのが今度の事例の中で見えることなんですね。
そうしますと、そういうふうな過程の中で、
警察は守ってくれないじゃないか、だからしょうがないんだという話が
企業側からも出てくるんですね。ところが、具体的に詰めてみますと、どれだけそういうふうなことを
警察の方にお話しになって、そして相談なさってやっているかどうかということについては、やっているところもあれば、
一般的、抽象的に怖いからということで、
自分たちが継続するための理屈にしておっしゃっている
企業の方もないわけじゃない。
それで、そこまで踏み切ってやろうという方がいらっしゃるわけです。今
警察の方から、何十団体、何百人かの人たちについては私どもやっております。こういうふうな
企業は私は本気で一生懸命だろうと思うんですね。そして、そういうふうな形を繰り返していくことによって私は完全に脱却できる、こういうふうに思います。
そこで、司法取引の問題ですけれども、やはり刑事免責の問題も含めて、これだけ
犯罪が大変組織化し、巧妙化し、難しくなっていますから、捜査の手法もなかなか困難になっている。だから、言われるようなことも私どもの検討の視野に入れておかなくてはならないということは私も認識いたします。
しかし他面、刑事免責があるからとかいうふうな形で、例えば
総会屋なりなんなりというふうなものについてのお話をされる。ところが、実際は
総会屋と
企業とのかかわり合いというのは窓口であって、もっと大きな
犯罪が後ろに潜んでいないと言い切れるかどうかということについては、これはまた大変問題のあるところでございまして、そういうふうなところも踏まえて検討しなくてはならない。だから、
一般的に言って、司法取引で安易に相談に乗る、これはやはり
利益誘導型といいますか、そういうふうな面も司法取引の中でないわけでもないだろうと思うんです。そういうふうにいろいろな問題がございますので、そういうふうなことを十分踏まえながら
対策を検討していかなくてはならぬ。
しかし、
総会屋を
根絶するというために、個々の問題についてはどういうふうな手法がいいかどうかということは、個々具体的に検討して対応を決めていくべきだ、そういうふうな過程の中で大人の対応だとか何だかんだというふうな話が出たと思うんですが、それは自首の問題もございますし、検察官が起訴するか起訴しないかという一つの判断の問題等とも絡んでくることだろうと思います。