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1997-12-04 第141回国会 参議院 地方行政委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年十二月四日(木曜日)    午前十時開会     —————————————    委員異動  十月二十九日     辞任         補欠選任      山本 一太君     笠原 潤一君      朝日 俊弘君     今井  澄君  十月三十日     辞任         補欠選任      笠原 潤一君     山本 一太君      今井  澄君     朝日 俊弘君  十一月四日     辞任         補欠選任      谷川 秀善君     中曽根弘文君  十一月五日     辞任         補欠選任      中曽根弘文君     谷川 秀善君  十一月十二日     辞任         補欠選任      朝日 俊弘君     今井  澄君  十一月十三日     辞任         補欠選任      今井  澄君     朝日 俊弘君  十一月二十六日     辞任         補欠選任      山本 一太君     岩崎 純三君  十一月二十七日     辞任         補欠選任      岩崎 純三君     山本 一太君      田村 公平君     西田 吉宏君  十一月二十八日     辞任         補欠選任      西田 吉宏君     田村 公平君      山本 一太君     野村 五男君  十二月一日     辞任         補欠選任      野村 五男君     山本 一太君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         藁科 滿治君     理 事                 久世 公堯君                 松村 龍二君                 岩瀬 良三君                 朝日 俊弘君     委 員                 岡野  裕君                 上吉原一天君                 田村 公平君                 谷川 秀善君                 石井 一二君                 小林  元君                 吉田 之久君                 村沢  牧君                 渡辺 四郎君                 有働 正治君                 西川きよし君    国務大臣        自 治 大 臣        国 務 大 臣        (国家公安委員        会委員長)    上杉 光弘君    政府委員        警察庁長官    関口 祐弘君        警察庁生活安全        局長       泉  幸伸君        警察庁刑事局長  佐藤 英彦君        警察庁交通局長  山本 博一君        自治大臣官房総        務審議官     嶋津  昭君        自治省行政局長  松本 英昭君        自治省行政局選        挙部長      牧之内隆久君        自治省財政局長  二橋 正弘君        自治省税務局長  湊  和夫君        消防庁長官    佐野 徹治君    事務局側        常任委員会専門        員        入内島 修君    説明員        厚生大臣官房政        策課調査室長   高井 康行君        厚生省医薬安全        局企画課長    吉武 民樹君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○地方行政改革に関する調査  (市町村合併及び広域行政に関する件)  (地方単独事業財源確保に関する件)  (地方選挙期日統一及び定数格差に関する件   )  (社会福祉事業投資効果に関する件)  (自治体病院における医薬分業に関する件)  (市民生活安全確保対策に関する件)  (暴力団対策に関する件) ○参考人出席要求に関する件     —————————————
  2. 藁科滿治

    委員長藁科滿治君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。  まず、理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 藁科滿治

    委員長藁科滿治君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事朝日俊弘君を指名いたします。     —————————————
  4. 藁科滿治

    委員長藁科滿治君) 地方行政改革に関する調査を議題といたします。  これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  5. 松村龍二

    松村龍二君 自由民主党の松村龍二でございます。まず、市町村合併の問題について御質問させていただきたいと思います。  この質問は、昨日、行政改革会議におきまして、中央省庁の再編という今年国民の耳目をずっと引きつけておりました問題に一つの結論が出されて、恐らく本朝閣議においてこれが可決といいましょうか、認められたんではないかというふうに思うわけでございますが、そういう時点であること、また、昨日は参議院におきまして公的介護保険法修正案可決がされたということ、また、たまたま昨日テレビを見ておりましたら、政府諮問機関であります地方制度調査会市町村合併について中間報告を出したと、その翌日あるいは当日のきようでありまして、このような歴史的な日に市町村合併について質問をさせていただきますことを大変光栄に存ずる次第でございます。  歴史的な質問をすることはできないかもしれませんが、ぜひ大臣から歴史的な答弁をいただきたいというふうに思う次第でございます。  さて、この行政改革会議の膨大な答申の中で地方行財政制度改革ということが最後に触れられているわけですが、地方分権推進委員会の勧告は遅くとも二〇〇〇年三月三十一日までに法律の整備を完了、着実に実行するといったことが載っておるように承知しております。  そして本日、いろいろな新聞がこの問題に触れているわけでございますが、中央省庁の一府十二省庁ということだけでなくて、これは当然に地方分権ということを前提にした話ではなかっただろうかと。地方分権をしっかり進めてもらいたい、小さな政府実現政府スリム化ということは民営化という問題を含んでいるわけでありまして、地方分権民営化規制緩和をてこに中央政府スリムにするといった問題かと思います。そして地方分権の問題は権限も財源自治体に分権するということかと思います。  そのような意味におきまして、この行政改革を進めていく際に地方分権推進が欠くべからざるものである、そしてその主体となります市町村がかなりな行財政能力が要求されるといったことになるわけであります。  そして、昨日通過いたしました介護保険法案は、昨今よく地元から陳情も来るわけでございますが、市町村においてこの介護保険法実現ということになりますと、お金を集めるということも大変な問題であるけれども、要介護認定者の選別またその苦情に対してどのように対応するのか、そしてこの必要な医療保健サービス福祉サービス居宅サービス施設サービス、これに当たる人を養成し、施設を整えるといった問題で地方自治体、特に小さな町村にありましては大変な負担になるといったことを東京にお見えの町村担当者からも聞くわけでございます。  そして、その問題を解決するためにまさに昨日の法案によりましては、国は介護保険給付等に関する費用の四分の一を負担するとともに、要介護認定等事務に要する経費の二分の一に相当する額を交付する、あるいは市町村介護保険財政安定化に資するため都道府県財政安定化基金を設け、一定の事由により市町村介護保険財政に不足が生じた場合に資金の交付または貸し付けを行うこととする、あるいは市町村が他の市町村と共同して相互に調整するといったことも決めているわけであります。  このようなことで、市町村合併ということが今後大変な課題になるんではないかというふうに思うわけでございますが、まずこの必要性について自治大臣の基本的なお考えまた決意をお伺いしたいと思います。
  6. 上杉光弘

    国務大臣上杉光弘君) 市町村合併についての必要性認識いかんでございますが、お答えいたしたいと思います。  今、国も地方行財政改革をやる、それから地方分権推進を進める、こういうことになっておるわけでございまして、これを受ける市町村がどうなるかはあすの国づくりにとりまして大変重要なことと私は思っておるわけでございます。そのような意味から市町村の問題については、ただいま介護法にも触れられましたが、将来財政負担がどうなるのか、あるいはその認定にトラブルは起こらないのか、あるいは事務の執行はどうなるか、初めての経験でもございますからそのような心配がなされておることは事実でございます。  さらに、地方分権がどんどん進めば事務量がどんどんふえて、財政的な支援というか財政的な裏打ちというのが果たしてそれと整合性を持った形になるのかどうか、市町村の御心配というのはそこにあることは十分承知をいたしております。  その前提を置いてお答えをいたしたいと思います。  市町村合併につきましては、実行の段階に入りました地方分権成果を上げるために市町村の自立というものが強く他方では求められておる、また少子化高齢化進展等に対応した市町村が高度かつ多様な役割を担う必要が当然これは伴っておるわけでございます。さらに、厳しい財政状況の中で市町村行政合理化を図ることがまた一方では強く求められてもいる、このように思うわけでございまして、これらのことが非常に必要性があると認識をいたしております。自主的な市町村合併を積極的に推進することがさらに必要になっておるのではないかと考えます。  自治省といたしましては、従来から市町村合併必要性メリットなどを明らかにして積極的な取り組みを要請してきたところでございますが、アンケート等調査結果によりますれば、市町村長議長皆さんの約三分の二の方々が今後合併を検討する必要があるとされておるわけでございまして、市町村合併への機運というものは非常に高まっておると認識をいたしております。引き続き、機運醸成に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。  あわせて、合併阻害要因というものもあるわけでございまして、その阻害要因への対応や合併推進のための行財政措置の拡充を行うことを検討しておりまして、自主的な市町村合併を積極的に支援してまいりたいと考えております。
  7. 松村龍二

    松村龍二君 ただいまの大臣お話で、自主的な市町村合併支援してまいりたいというお話でございますけれども昭和二十八年に町村合併機運全国的にみなぎりまして、私の地元福井県の勝山市というところでございますが、旧大野郡、隣の大野町、勝山町、あるいはその周辺の二十以上の村が合併いたしまして、それぞれ大野市、勝山市というふうにでき上がって、あのときの機運は私もおぼろげながら覚えているわけでございます。  しかし、最近自主的な町村合併という方針で行っておるけれども全国的に、あの当時と比べるべくもない非常に微々たる町村合併しか行われていないんではないか。先ほど申しましたような地方分権の時代に合う町村合併が、自主的な機運を待つということでは到底実現し得ないんではないかというふうに思うわけでございますが、そのことはまた後ほどお伺いするといたしまして、合併メリットあるいはデメリットについて、今、大臣お答えいただいた部分はございますが、事務的にお答えいただきたいと思います。
  8. 松本英昭

    政府委員松本英昭君) 市町村合併メリットデメリットでございますが、これは先ほど大臣がお答えいたしましたように、アンケート調査を通じて全国の各市町村長さん、議長さんからも御意見を伺いましたし、また地方制度調査会におきましてもいろいろと論議をしていただいておるところでございます。  そういうことを踏まえまして、論議されている中身を申し上げますと、例えばメリットにつきましては、保健衛生とかあるいは福祉とか土木とか、そういう点で専門職員を充実して高度なサービスを提供することができる。あるいはこの重点分野専任組織を置くことができるとか、あるいは個性ある施策の展開ができるというようなこと、それから住民サービスが広域的に行うことができる。それから道路とか町づくりとか、そういうゾーニングにおきまして、重点的に広域的にそういう視野に立った町づくり等ができるようになる。それから重点的な投資ができるようになると、こういうことが掲げられております。  それから、このデメリットの面でございますけれども、これもこのアンケート調査なり地方制度調査会の御議論等を踏まえて考えますと、やはり一番御心配になっているのが合併した後、中心地はともかくとして以前の役場所在地等が活力がなくなるんでないかと、こういう御意見が非常に多いようでございます。それから、関係市町村間のサービス負担の水準に現実に差があるわけでございまして、この調整をどうするかということであります。それから、現実財政がフローにおきましてもストックにおきましても差がある、そのことについてどういう調整をしていくだろうか。それから、歴史的な地域所産、これに対する愛着があるというようなことがありまして、合併をしますとそういう歴史的な所産等に対する愛着が薄れてくるんじゃないかというようなこともあるようでございます。
  9. 松村龍二

    松村龍二君 市町村合併の問題について、先ほどお話がありましたように、地方制度調査会専門小委員会全国市町村首長、議会の議長アンケートを行って、その回答者のうち六六%が積極的な回答であったというふうに承知しているわけです。  私ども地元へ帰りまして、いろいろな機会に市長さん方の本音らしき話を伺いますと、自分周辺の小さな町村合併しなければとても行政マンとしてやっていけないということを理解する、合併した方がいいというような本音らしきことをちらっと聞くことがあるわけです。  しかし一方で、市町村職員は、やっぱり自分の将来がどうなるんであるかということが先に立って、余り積極的な意見が先ほどの数字ほど多くはないんではないか、またこのような調査もないんではないかというふうに思います。  また、住民の方はどうかといえば、やはり先ほどの私の地元の例でございますけれども、例えば大きな市町村合併するということになりますと、自分の町のアイデンティティーといいますか地域性が失われるんではないかという心配から、住民の方には町村合併をしたらいいという機運が少ないんではないかというふうにも思うわけです。  したがいまして、その町村首長議長アンケートだけでは全国機運を今はかることはできないんではないか。そして、もしも自治省においてこのような町村合併をぜひ推進する必要があるということであれば、積極的なPR等が必要ではないかというふうに思います。  この八月に自治省が、政府広報週刊誌等に四ページにわたりまして、「市町村合併は、私たちから始められます。」、「市町村行政広域化とパワーアップが必要です。」というような広告をしておられたのを目にしておりますが、そのような意味におきまして、世論形成自治省としてどのように図られるのか、お伺いしたいと思います。
  10. 松本英昭

    政府委員松本英昭君) 自治省におきましては、既に合併推進のためのプロジェクトチームを置いております。そして、ただいま先生指摘のように、市町村関係者はもちろんのこと、広く各住民に対しましても合併機運醸成のためのいろんな活動を行っているところでございます。  例えば、合併相談コーナーの設置、インターネットにおきます情報提供広域行政のアドバイザーの派遣、それからいろんなセミナー等を、合併必要性メリットについて地域住民を対象に行っているところでございます。都道府県におきましても、最近は独自のシンポジウム研修会等を開催していただいておりまして、それに対しても私ども協力支援をいたしているところでございます。  住民レベルでは、確かに先生今御指摘のようにかなり意識に差はございます。例えばJC、青年会議所でございますけれども、などはかなり合併に対して意識が高いようでございますし、そうでないレベル住民の方もいらっしゃるわけでございますが、いずれにいたしましても、合併というのは下からの合併への機運というものが非常に重要であるということを私どももつくづく感じておりますので、これからも住民レベル意識醸成にいろんな機会を通じて、またいろんな機会をつくって努めてまいりたいと考えているところでございます。
  11. 松村龍二

    松村龍二君 市町村合併につきましては、昨年の衆議院総選挙の際に、ある政党から、全国三千ある市町村を十分の一程度に減らすというような公約が示されたわけであります。  三千の十分の一というと三百でございまして、三百というと、ちょうど小選挙区の数と同じであります。我が地元の県は小選挙区は三つでございますので、もしもその党の公約ということになりますと、八十万の県が三つの市だけあればいい、こういうふうな話で、これはとてもむちゃな話だ。そういうことになりますと、果たして県というものが必要になるのかどうかといったような問題も含めまして、十分の一というのはとても無理な話であるというふうに思うわけであります。  しかし、一面、冒頭申しましたように、せっかく橋本内閣が二十一世紀を前に行政改革財政改革に取り組むといった柱の一つとして、市町村合併ということがいわば待ったなしの状況にもあろうかと思います。  最近、自治省で整備されました市町村合併特例法にもいろいろ誘導策はあるわけでありますけれども、やはり住民にとって、また市町村の議員さんにとって、またその市町村職員にとりましても、これは絶対に合併しないと損だといったいわば誘導策がなければこの問題は進まないというふうに認識いたしますが、その辺について、最後自治大臣からお話を伺いたいと思います。
  12. 上杉光弘

    国務大臣上杉光弘君) 私は、行政改革というものを打ち出すとすれば、非常にもう一つ考えなければならないのは、行政運営上効率化円滑化というものは、これは外してはならない基本的な条件だと思うんです。  当然、委員がおっしゃるように、末端の行政区を三十万で切ったらいいんじゃないかとか、あるいは十五万で切ったらいいんじゃないかとか、十万でというようなさまざまな議論があることは事実でございます。  しかし、三千三百という行政単位にはそれぞれ個性がございまして、人口の数も違えば財政力も違う、あるいは住民性の問題もありましょうし、さらには町部農村部構成というか行政区の社会構成の問題も異なっている。非常に難しい問題があるわけです。  ただ、自治省としては、住民皆さんから、あるいは国民皆さんから市町村合併機運が盛り上がるのを待つというのは、これは待つだけでは能のない話でありますから、いろいろなシンポジウムを通じたり、あるいは新聞広告とかあるいはパンフレットでありますとか、そういうものを十分用意して年じゅう市町村合併機運醸成することに取り組んでおるわけでございます。  行政改革のこのときでもございますし、地方分権推進のこのときでもございますから、合併の特典というかメリットといいますか、そういうものはさらに強く前面に打ち出しまして、そういう環境条件の盛り上がりに努めてまいらなければならない、そのように考えておるところでございます。
  13. 松村龍二

    松村龍二君 上杉大臣は、地方の問題について精通しておられると思います。フランスでは二万五千の地方自治体があるというようなことで、非常にフランスは細分化された地方自治体の中で地方分権も進めているというふうにも聞くわけでございまして、ぜひ御手腕を発揮していただきたいと思うわけでございます。  次に、暴力団の問題についてお伺いいたします。  健全な社会をむしばむ存在であります暴力団壊滅は、国民すべての願いであるというふうに思います。かつては、一部に暴力団必要悪ととらえる向きがありました。清水次郎長の講談が国民から非常に親しまれる、また戦後、暴力団対立抗争を扱った各種東宝、東映の映画、また「極道の妻たち」とかいろいろな映画国民からこれだけ喜ばれて見られるということは、日本社会暴力団必要悪としてとらえる素地があるのではないかというふうに思います。  戦後、警察におきましても、昭和四十年代の初めに、暴力団壊滅ということを唱えた警察庁最高幹部がおられましたが、そのときはやはり全国日本警察が必ずしもそれについていけないといった状況があったのではないかと思います。  しかし、暴力団が悪質になってきたのか、その悪質性がだんだん表に出てくるようになったのか、平成四年、暴力団対策法が施行されまして、初めて暴力団が反社会的存在として法律に明記されたということで、国民暴力団排除機運は大きく高まったわけであります。また、これまでの警察における取り締まりを初めとする暴力団対策も、着実に成果を上げてきたものと認識いたしております。  しかしながら、最近の情勢を見ますと、白昼ホテル内で山口組の最高幹部が射殺されまして、その巻き添えとなって無関係な市民の方が亡くなる。さきには、沖縄におきましても、無実の高校生が殺されるといったこともありました。銃器発砲事件を初めとする凶悪事件を敢行する暴力団は、依然として社会にとって大きな脅威でございます。  また、現在金融機関の不良債権問題が大きな問題となっておりますが、暴力団はこうした金融機関債権回収に絡んで多額の不正な利益を得るなど、活動資金を求めて巧妙に国民日常生活各種経済取引に介入し、市民生活や健全な企業活動に害悪をもたらしていると考えられます。昨年の住専の問題に際し、暴力団のばっこというのが国民の目に明らかになり、その後、警察といたしましても、法務省といたしましても一生懸命取り組んでおられるというふうに承知しております。  また、最近におきます相次ぐ利益供与事件の摘発からも明らかなとおり、総会屋企業社会に食い込んで不正な利益をむさぼっている、この背後に暴力団がいるといったことが指摘されるわけであります。  そして、外国の人から見ますと、ギャングの本拠が都心、市街地の真ん中にある、事務所が市内の真ん中にあるということは理解できない。また、総会屋というのを英語に翻訳しますと、ギャングあるいはラケッティアという話もありますけれども、一流の企業ギャングとおつき合いしているといったことは、近代資本主義社会におきまして到底理解しがたいことである、日本経済はどこかおかしいのではないかといったことが外国週刊誌等にも指摘されるわけであります。  そこで、このように暴力を背景として不正な利益を求める組織がいまだはびこっているということは、民主主義社会では決して許されないことである。こうした暴力団総会屋等の反社会的勢力の現状について、またこれの壊滅に向けて、大臣としてどのような御決意をお持ちであるか、お伺いしたいと思います。
  14. 上杉光弘

    国務大臣上杉光弘君) お答えいたします。  暴力団がけん銃を使用した凶悪な犯罪を多数起こしておることは十分承知しておるわけでございまして、これが市民生活に対する重大な脅威心配となっておるわけでございます。  また一方では、合法的な企業活動を装って、資金源としての、資金源というか資金を確保するための経済活動に介入したり、資金獲得活動をますます多様化、複雑化、巧妙化させているものと認識をいたしておるわけでございます。また、総会屋等に対しましては、株主権の行使に関しまして、企業に対して金品等の要求を行うなど、企業から不正な収益の獲得を図っておるわけでございます。  企業経済活動に極めて脅威を与える存在になっておるわけでございまして、そのような認識に立ちまして、これまで警察は全力を挙げてまいっておりますが、暴力団に対しましては十二月一日現在の実績でありますが、約七千六十カ所の捜索をいたしました。さらに、四千百四十人を検挙いたしまして、けん銃につきましては百一丁、散弾銃三丁、これをちゃんと押収しておるわけでございます。  このような実績を上げておりますが、さらに市民の皆様の脅威とか心配は打ち消すことができない状況にございまして、このような情勢を踏まえて、警察といたしましては、暴力団犯罪の取り締まりの徹底、暴力団対策法の効果的運用、暴力団排除対策の積極的な推進等を柱といたしまして、暴力団総合対策を推進いたしますとともに、総会屋等の取り締まりの徹底、企業総会屋等の排除の支援等の総会屋対策等も強力に進めていくものと承知をいたしておりまして、断固たる決意暴力団総会屋対策に取り組んでまいりたいと考えております。
  15. 松村龍二

    松村龍二君 最近、夏から各地で抗争事件が相次いでいるわけでありますが、この事態は国民に大きな不安を与えるものでありまして、この抗争を封圧するのは現在の暴力団対策上の最大の課題と思いますが、具体的にこの抗争の封圧に向けてどのような対策を講じているか、お伺いしたいど思います。
  16. 佐藤英彦

    政府委員(佐藤英彦君) 今お尋ねのように、八月二十八日でございますけれども、神戸市内のホテルで、山口組のナンバーツーに当たります若頭という役職にあります宅見組の組長が射殺をされました。それを受けまして、山口組におきましては九月三日に中野会の会長を絶縁処分いたしております。それを契機といたしまして、御指摘対立抗争事件が発生をいたしております。  現在までのところ、三十二件発生をいたしておりまして、市民に不安を与えているわけでありますけれども、先ほど大臣からお答えがありましたように、これまで山口組を中心にした取り締まりを徹底いたしておりまして、全国警察挙げた活動によりまして四千百四十名を検挙し、あるいはけん銃百一丁を押収し、また、大臣申し上げた箇所の捜索を目標といたしておりますけれども、今までのところ七千六十カ所の捜索でございますが、そういうものをやりつつ、直接の対立の当事者であります宅見組、それから中野会の検挙を目指しております。現在、三十二件の発生中七件の事件について十六名を検挙いたしておりますが、そのうち六件が宅見組傘下の組員によるものでございますけれども、引き続きこの検挙活動を強化するとともに、警戒活動全国警察を挙げて取り組んでまいりたいというふうに考えております。
  17. 松村龍二

    松村龍二君 暴力団の不良債権問題への関与につきまして、警察の取り締まりによりその実態が明らかになりつつありますが、まだまだ潜在化している事案が多数あるのではないかというふうに考えます。  最近、警察では金融機関との連携に関し新たな取り組みを進めていると聞いておりますが、その内容と現在までの成果をお伺いしたいと思います。
  18. 上杉光弘

    国務大臣上杉光弘君) 警察におきましては、暴力団等による債権回収の妨害行為を排除するために、本年の十月までに、銀行との間で新たな連携の枠組みを確立したところでございます。情報等もいただく、こういうことで対応をする連携の枠組みをきちっとしたと。それから、現在、暴力団等による債権回収が妨害されている案件につきましては、銀行から警察に対しまして積極的に御連絡をいただいておるところでございまして、この枠組みは相当効果的に作用しておるものと思っております。  また、今後でございますが、他の金融機関にも及ぶことでございますから、これらの金融機関も、銀行以外の金融機関も同様の枠組みをできるだけ早く構築をいたしまして、不良債権問題の解決に警察がさらに効果的に貢献できるように、私からも督励をしてまいりたいと考えております。
  19. 松村龍二

    松村龍二君 総会屋問題につきまして、さっき大臣触れられましたけれども、九月に総会屋対策要綱というのが定められまして、政府の検討会議の主要メンバーであった大臣に、これを受けて警察としてどのような取り組みを行っているのかお伺いしたいわけでございます。  そして、最後に、最初に御決意の御表明がありましたけれども、やはり私の地元でも、ある地域の公共工事に暴力団が影響あるといった苦情を地元へ帰ると聞くわけでございまして、いろいろ潜在化している暴力団の問題もあるんじゃないかというふうに思うわけです。国家公安委員長として暴力団を根絶するという御決意をお聞かせいただきたいと思います。
  20. 上杉光弘

    国務大臣上杉光弘君) 本年の七月、政府としての総会屋等の排除対策を検討するため、いわゆる総会屋対策のための関係閣僚会議が新たに開催をされました。  なぜいわゆる総会屋対策かというと、総会屋という職業はないそうでございまして、したがいまして、ないものを総会屋と称するわけにはいきませんから、社会の俗称としてあります総会屋に対して、いわゆるというように冠がつけられておるとお聞きしておるわけでございますが、その閣僚会議が開催をされまして、法務大臣、大蔵大臣、通商産業大臣とともに閣僚会議の一員として私も参加をいたしました。  なぜそれが持たれたかといいますと、警察からはちゃんと企業皆さんに集まってもらって講師として出向いて講演をしたり、あるいはその徹底方についていろいろ対応はしておりますけれども、財界と政府、関係閣僚が一つになった会合というものはないわけでございまして、財界も含めた関係閣僚会議があって、そこで具体的に財界と政府が一体となってこの問題は断ち切る、総会屋と断ち切ると、こういうことの申し合わせもできたわけでございます。その結果、九月にいわゆる総会屋対策要綱を取りまとめ、経済界の協力を得ながら政府を挙げて取り組む対策についてこの方向づけができたわけでございます。  警察におきましては、この対策要綱にのっとりまして企業暴力団総会屋等との関係遮断に向け取り締まり指導等を組織の総合力を発揮して推進をいたしておるわけでございまして、これまでにすべての都道府県警に企業対象暴力特別対策本部等を設置いたしました。九月に通達を出しまして、早々の一万人体制というものを十月にはしきまして全力を挙げて今取り組んでおると、こういうことでございます。  現在、この対策本部におきましては、暴力団総会屋、右翼等による企業からの不正な収益を獲得する活動に対する取り締まり、それから企業から暴力団総会屋等を排除するための対策に係る相談体制の充実、私は財界との話し合いの場でも申し上げましたが、警察は常に門戸を開いております、いつでも御相談ください、いつでも相談に応じますと、こういうふうに申し上げておるわけでございまして、その相談体制の充実、それから業界団体との連携のもとに企業暴力団総会屋との関係遮断に向けた業界単位に対する指導、特に建設業等の話もさきにございましたが、地上げでありますとかいろいろ裏で談合で動いておるとか、そんな情報もあるわけでございまして、業界単位での指導も警察はいたしておるわけでございます。  さらに、暴力団総会屋等との関係を絶つために、これに真摯に取り組む企業に対する、また役職員の保護というものについても目配りをいたしておるわけでございまして、そういう人たちを保護するという警察の役割というものも当然一方では保護対策として実施をしておると、こういうことについて積極的に取り組んでおるところでござ  います。  それから、国家公安委員長としての決意いかんと、こういうことでございますが、警察におきましては暴力団組織壊滅に向けまして犯罪取り締まりを初めとする諸対策をこういうふうに取り組んでおるところでございますから、今後とも引き続きまして暴力団壊滅を目指して暴力団対策に積極的に取り組んでいくものと認識をいたしております。  私といたしましても、暴力団市民生活に多大な不安と脅威を与えておりますことは法治国家としてゆゆしき問題でもございますから、その壊滅警察の重要課題の一つ認識をいたしております。良好な治安を国民生活にあるいは国家、社会の中に構築をしますことは、とりもなおさず国民の幸せあるいは国家の繁栄につながっていきます土台でもございますから、暴力団壊滅に向けまして最大限の努力をしてまいりたいと決意いたしておるところでございます。
  21. 松村龍二

    松村龍二君 どうもありがどうございます。
  22. 上吉原一天

    上吉原一天君 まず、自治体病院医薬分業について御質問をいたしたいと思います。  現在、国民の間では病院などの医療機関に対しまして薬価差で不当にもうけているという批判が高まっていることは御承知のとおりでございます。このような事態をなくすためにはいわゆる医薬分業を実施することが重要だと思っております。処方せんを院外に出せば病院が不当な薬価差を得ることはできなくなりますし、また処方せんが院外に出されることによりましてかかりつけ薬局による患者への適切な薬歴管理や丁寧な服薬指導もあわせて実現されるものと思います。  まず、この医薬分業につきまして政府としてはどのように考えているのか、厚生省にお伺いをいたしたいと思います。
  23. 吉武民樹

    説明員(吉武民樹君) 御説明申し上げます。  医薬分業につきましては、これは全国でございますが、平成三年に一二・八%程度でございましたけれども平成八年度には二三・九%と、こういう形で着実に進展をしてきております。ただ、地域別に見てまいりますと、最も分業率が高い県では五〇%近くに達しておりますが、四%あるいは五%といった状態の県も相当数ございます。  医薬分業メリットと申しますか、この点につきましては、処方せんを医療機関から患者に交付されることによりまして患者の方が投薬内容を知ることが可能になってくるというメリットがございますし、それから薬局におきまして患者さんの薬歴といいますか、どういう薬を飲んでおられるかということ全体の患者さんに対する御相談を行いまして、医薬品の相互作用あるいは重複投与といったことについて考えることができるというメリットがございます。さらに、薬の専門家でございます薬剤師によりまして患者さんに対します服薬について情報提供が可能になってくるといったようなメリットがございます。  ただ一方で、患者の方にとりましては、それまで医療機関で診療を受け、それから薬剤の調剤を受けるということが同時にできたわけでございますが、患者さんにとっては医療機関それから調剤薬局といういわば二度手間の問題が出てくるといった問題もございます。  私どもといたしましては、こういう医薬分業全体のメリットにつきまして広く国民に理解をしていただき受け入れていただくことが非常に重要だというふうに考えておりまして、医薬分業が全体の医療の質の向上あるいは医薬品の適正使用に資するという観点から望ましい仕組みであるというふうに考えておりまして、関係者の御理解を得ながら推進を図ってまいりたいというふうに思っております。
  24. 上吉原一天

    上吉原一天君 現在、国立病院では三十八のモデル病院を指定しまして院外処方せんの発行推進、いわゆる医薬分業を進めているように聞いております。また、国立大学の附属病院でも近年着実にこれが進んでおるということでございます。  そこで、医薬分業につきまして、都道府県立病院や市町村立病院などの自治体病院などに対しまして自治省としてはどのような指導をしているのか、お伺いをいたします。
  25. 二橋正弘

    政府委員(二橋正弘君) いわゆる医薬分業の問題につきましては、これは今、委員お話にもございましたように全病院に通じる話でございまして、医薬品の適正使用を進めるという医薬行政、医療行政あるいは業務行政の分野の問題であろうかと思います。厚生省の方から今お話のありましたようなことで、厚生省が中心になって適正な医薬分業推進について指導を行っているところでございます。  各自治体病院におきましては、薬価差の問題とかあるいは各病院の立地条件等の問題もございますが、先ほど厚生省から御答弁のありましたような指導も踏まえまして、適切に対応すべく各自治体病院において努力されているものと考えております。
  26. 上吉原一天

    上吉原一天君 私の地元の栃木県では、院外処方せんの発行モデル病院であります国立栃木病院が本年の十月一日から院外処方せんの全面発行に踏み切っております。県内には自治省とも関係の深い自治医科大学附属病院があるわけでございますが、資料によりますと、この病院の院外処方せんの発行率というのは、平成六年度が六・四%、平成七年度が六・三%、平成八年度七・〇%という推移でございます。  県を代表する大病院としまして、具体的な目標年次を定めまして院外処方せんの発行をさらに拡大する方向で検討すべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。
  27. 二橋正弘

    政府委員(二橋正弘君) 今お挙げになりました自治医科大学におきましては、病院内に院外処方検討委員会を設けておられまして院外処方のあり方について検討されておりますが、平成十年度夏ごろをめどに院外処方せんの発行をさらに拡大する方向で検討中というふうに私ども聞いております。そういう方向に沿ってこれからも自治医科大学においても適切に努力されるものというふうに考えております。
  28. 上吉原一天

    上吉原一天君 自治体病院は、既に御承知のとおりそれぞれの地域医療の中核機関としての役割を持っております。ですから、さきにも述べました医薬分業が着実に進む中で自治体病院もこの方向に向かって積極的に努力すべきだというふうに考えますけれども、これらの病院に対して今後どのように指導していくのか、大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  29. 上杉光弘

    国務大臣上杉光弘君) お答えいたします。  医薬分業は医薬品の適正使用を進めるという観点から厚生省の方で中心になって推進をしておるわけでございまして、基本的にはただいま財政局長が答えたとおりでございますが、この問題は医療提供体制、医療保険制度の改革にもかかわる重要な問題であると認識をいたしております。  自治体病院につきましては、地方行政の責任でもございますから、この実態は常に正しく把握しておく必要があると私は認識をいたしておるわけでございます。病院ごとに事情は異なると思いますが、それぞれの病院において十分検討していただくべき課題でございまして、このような問題等も含めて、今後さらに厚生省とも問題があれば相談をし、また地方行政を預かる自治省として、地方における自治体病院につきましても、これら実態をちゃんとつかんでおるものとは思いますが、その把握については責任ある対応というものが当然必要だと思っております。
  30. 上吉原一天

    上吉原一天君 大臣の大変前向きな答弁をいただきました。その方向で努力していただきたいと思いますが、いずれにしましても、現在の自治体病院の経営というのは薬価差益に非常に大きく依存しておりまして、この現状は極めて危険だというふうに思います。厚生省の方は来年の四月から一〇から一五%の薬価基準引き下げを考えておりまして、平成十二年を目途に薬価基準制度を廃止して、日本型参照価格制度の導入を目指していることは御承知のとおりでございます。自治体病院は一日も早く薬価基準価格依存体質から脱却すべきであるというふうに思っておりますので、今の方向で御努力をお願いいたしたいというふうに思います。  次に、医薬品の流通問題について御質問をいたします。  この問題については既に参議院の厚生委員会でも何度か取り上げられておりますけれども、医療機関に医薬品を納入する業者が価格も未妥結のままに医薬品である商品を納入させられまして、支払いを留保されたまま、最終的には総価山買いといいますか、全体として値引きをされるというような不適切な取引事例を聞くところでございます。  自治体病院の中には、医薬品の購入について価格の未妥結期間が極端に長い病院や、支払いについて債権累計残高が大きくて、極端な例ではその債権残高が十七億円にもなるような病院もあるというふうに聞いております。自治体病院の経営が非常に厳しいことは承知をいたしておりますけれども、透明で公正な医療サービス実現を目指すためにも、このような不適切な取引事例は改善されるべきであるというふうに考えます。大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  31. 上杉光弘

    国務大臣上杉光弘君) 支払いの実態については十分私承知をいたしておりませんが、契約をいたしておるといたしますれば、いずれにいたしましても、その契約に基づきまして適切に支払うべきものと考えております。
  32. 上吉原一天

    上吉原一天君 それでは、次の問題に移らせていただきたいと思います。景気対策の問題でございます。  今、我が国は大変深刻な景気状況にございまして、一刻も早い対策が急がれております。先日の十一月十八日に決定されました政府の緊急経済対策では地方経済に対する配慮が十分とは言えないように思いますし、しかもいわゆる財政出動を内容とする項目が盛り込まれておりません。  最近の経済対策を調べてみますと、地方単独事業に限りましても、平成四年八月の総合経済対策では一兆八千億円、平成五年度の三つの対策では合計三兆一千億円、平成七年度の経済対策では一兆円というふうに地方経済に配慮した景気対策が打ち出されているわけでございます。  政府案は中長期的需要効果は期待できるものの、減税などの短期的な需要創出効果が盛り込まれていないために、国民の不安感を和らげる即効性に欠けるというふうに考えます。  今後、地方自治体財政面からの地方景気てこ入れ策についてどのような取り組みをするのか、大臣の見解をお伺いいたしたいと思います。また、財政出動になりますと、当然財政面の配慮も財源面の配慮も必要になってくるというふうに思われますけれども、この点についてもあわせて御所見をお伺いいたします。
  33. 上杉光弘

    国務大臣上杉光弘君) 国も地方も特例的な借入金に依存をしておる、極めて財政は厳しい状況にあることはもう御案内のとおりでございます。  しかし、このような状況のもとではございますが、ただいまは財政構造改革というものに取り組んでおるところでございますから、財政構造改革の目標達成の観点からも、景気対策として直接的な財政出動というか財政的に景気対策に向けるという、そういうことはなかなかこれは容易なことではない。総理もたびたび申し上げられておることではございますが、景気対策に財政出動はないと、そのように容易じゃないと、こういうふうに思っております。  このため政府としては、過日、規制緩和を中心とした経済構造改革の大胆な断行というものを柱といたしまして緊急経済対策を取りまとめ、強力に推進することといたしたわけでございまして、当然地方の景気に対する対策もこの視野の中にあるわけでございます。  この緊急経済対策におきましては、地方財政関係ではゼロ国債や地方単独事業における債務負担行為の活用などによる工事発注時期の平準化、いわゆるふるさとのこの融資の活用などを盛り込んでおるわけでございまして、政府の景気対策で自治省がやるということでございましたから、そのような決断を私すぐいたしたわけでございます。  自治省といたしましては、こうした対策が積極的に実施されるように必要な地方債措置等を講ずるなどあらゆる努力をいたしまして、適切に対処してまいりたいと考えております。
  34. 上吉原一天

    上吉原一天君 大変難しい状況にあるとは思いますけれども、やはり地域活性化、地域経済の活性化というのは非常に大切な問題でございますので、あらゆる知恵を絞ってこの対策に早急に取り組んでいただきたいというふうに思っております。  ちょっと時間がないので最後になりますけれども、来年度の地方財政計画に盛り込まれる地方単独事業につきましてお伺いをいたしたいと思います。  自治省は、平成十年度の地方財政計画におきます地方単独事業を今年度比マイナスとするというふうに表明をいたしておりますけれども地方単独事業は三千三百の地方自治体がそれぞれの地域の実情に応じまして自主的、主体的に実施しているものでございまして、地域の振興や、地方においてはまだまだおくれております住民に身近な社会資本の整備などについて重要な役割を果たしております。また、先ほどの議論にも絡みますけれども地域経済に与える影響も大きく、地域経済活性化のためには地方単独事業の充実を望む声が強いことは御承知のとおりでございます。  そこで、大臣にお尋ねをいたしたいと思いますが、地方単独事業の性格と役割、さらに現下の地域経済状況を考えた場合には、地方単独事業推進に当たって何がしかの配慮が必要ではないかと思いますけれども、どのようにお考えなのか、お伺いをいたします。
  35. 上杉光弘

    国務大臣上杉光弘君) お答えいたします。  地方単独事業につきましては、御指摘のように、一つには地域経済の下支えをしている、これはもう申し上げておるところでございます。もう一つは、住民の皆様の要望に的確に対応した生活関連施設の整備など、極めて生活に密着をした対応という意味では重要な役割を果たしておるものと認識いたしております。地方分権の進展とともに、さらに今後も地方単独事業の果たしております役割は増大をしていく、私はこういうふうにとらえておるわけでございます。  平成十年度の地方単独事業の事業量でございますが、対前年度比マイナスとすることとされておりますが、こうした点や、一方では国庫補助事業に対する補助事業対象の縮減など、動向にも十分配慮して決定をしてまいりたいと、こう考えておるわけであります。地方債や地方交付税の必要な額を確保しまして、その配分に当たって各地方公共団体の計画的事業執行に支障が生じないように配慮をいたしてまいりたいと、こう考えております。  なお、一言申し上げておきますが、非常に地価が上がりまして、公共事業等の役割が損なわれておるんじゃないかという意見が一方でございます。都市部で土地代や補償で八〇%から九三%と聞いておるわけで、例えば一千億の道路建設予算を組みましても、使えるところで二百億、土地代等が非常に高いところは一千億の道路建設予算でも七十億しか使えない。例えば私の宮崎で今高速道路をつくっていますが、高速道路約一千億、土地代、補償というものは三〇%行きません。ですから一千億の道路建設予算を組んでも七百億以上が使える。一方は七十億、一方は七百億とすれば、それが地方経済に与える影響というものは極めて大きいことは十分承知いたしております一し、宮崎の例だけとりましても、宮崎の場合、県民経済の構造的なものからいえば三〇・一%は公共事業でございます。県民生活に直結するものもございますから、それらのことは十分考えながら、単独事業等も含めてこれは十分議論の余地あるものと考えております。
  36. 上吉原一天

    上吉原一天君 終わります。
  37. 石井一二

    ○石井一二君 平成会の石井でございます。  私は、持ち時間は三十五分でございますが、主として地方統一選挙、また地方自治体選挙における一票の格差、そして最後地方自治体財政状況について質問をさせていただきたいと思います。よろしくお願いをいたします。  まず最初に、年の瀬も迫ってまいりましたが、やがて来年がやってくる、当然のことでございますが、再来年は地方統一選挙の年でございます。そもそも昭和二十二年にスタートしたこの地方統一選挙が最近は非常にばらけてきておる、このように思いますし、また言われておるわけでございまして、そのことについて自治省としてはどのような御見解をお持ちなのか、また現在どの程度ばらけておるのか、まずその辺から御答弁をいただきたいと思います。
  38. 上杉光弘

    国務大臣上杉光弘君) まず私から申し上げまして、事務的な細かなことは事務方から答弁させたいと思います。  地方公共団体の議会の議員及び長の選挙につきましては、御指摘のとおり、昭和二十二年四月に全国で統一して実施されて以来、四年ごとの四月に地方統一選挙として行われてまいっておるところでございます。任期途中での議会の解散や首長の死亡あるいは退職等によりまして、統一して行われる選挙の数が年々減少してまいっておるわけでございます。平成七年の四月に実施されました前回の地方統一選挙におけるいわゆる統一率は四割を切っておりまして、半分以下になっております。このような状況にございます。  地方公共団体の議会の議員及び長の選挙を四年ごとに統一地方選挙として実施しておりますのは、選挙の期日を統一することによりまして、国民の皆様の地方選挙に対する関心を高めてもらう、あるいは選挙の円滑な執行と選挙執行経費の節減も期しておるわけでございます。このような観点から、現在地方選挙の統一をさらに推し進めるべきではないかという機運が高まってきておるわけでございまして、そのような状況を受けまして、自治省といたしましてもそれらの論議に的確に対応してまいらなければならないものと受けとめておるところでございます。
  39. 石井一二

    ○石井一二君 今、大臣は四割以下と言われましたけれども、議員と首長によって相当違いがあると思うんですが、その辺どのように御認識されておるのかということが一点と、方向としては統一の方が望ましいというような趣旨の御答弁であったかと思いますが、具体的にどうしようと思われるのか、そのような方策があればお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  40. 牧之内隆久

    政府委員牧之内隆久君) 選挙の種類ごとに現在の統一地方選挙の統一率を申し上げますと、都道府県会議員は九一・五%、都道府県知事が二七・七%、市区議会議員が六〇・五%、市区長が一九・四%、町村会議員が四九・三%、町村長が二三%で、すべての選挙が六千六百八ございますが、そのうち二千四百八十四の選挙が統一されているということで、三七・六%の統一率になっているところでございます。  この問題につきましては、昭和の大合併によりまして、もう第三回の地方選挙のあたりから非常にばらばらになってまいりまして、既に昭和五十一年の第十六次地方制度調査会が十月五日を地方自治の日として定めまして、この日に地方選挙を一斉に行うというような考え方を答申されたことがございます。また、その後昭和五十七年でありますとか、あるいは昭和六十一年でありますとか、同じような考え方がそれぞれのいろいろなところから打ち出されたというような経緯がございますが、法案等の作成に至らないまま今日に至っているということでございます。  その問題に関しまして、さきの通常国会のあたりから国会におきまして、例えば与党の地方制度協議会等におきまして、今こういうふうにばらばらになりました地方選挙を例えば年一回あるいは年二回に統一して行ってはどうかというような御議論が起こってまいりまして、私どもその意義を十分踏まえながら的確に対応したいと考えているところでございます。
  41. 石井一二

    ○石井一二君 地元の問題を申して恐縮でございますが、私の地元の兵庫県では間もなく震災三周年を迎えようといたしております。前回、選挙のときに震災の影響もございまして、そういうお願いをして、選挙の期日を四月からたしか六月に延期をしていただいたわけでございます。  再来年の選挙ということになりますと、本来であればそのまま丸四年務めてということになるのではないかと思うんですが、これがどうなるかということについて、若干お見通しがあればお聞かせをいただきたいと思います。  と申しますのは、当時地元から要望が出ておりまして、次回以降、地方選挙に復帰することができるよう法的措置をとることの要望が出ておりました。それについて、当時、野中自治大臣も、その要望を留意しつつ今後検討していくというような前向きなお答えも議事録にはとどまっておるわけでございまして、こういうことを踏まえて御所見があれば承りたい、そのように思います。
  42. 上杉光弘

    国務大臣上杉光弘君) お答えいたします。  平成七年の統一地方選挙として予定されておりました兵庫県議会議選挙及び神戸市、西宮市、芦屋市に係る選挙につきましては、阪神・淡路大震災に伴いまして、兵庫県選挙管理委員会から、選挙期日を六月十一日まで延期すること、その間、議員、市長が不在となることのないよう議員、市長の任期延長を行うこと、また次回以降、統一地方選挙に復帰できるよう法的措置を講じることの要望がなされたわけでございまして、御指摘のとおりでございます。  この要望を受けまして、平成七年三月、阪神、淡路大震災に伴う地方公共団体の議会の議員及び長の選挙期日等の臨時特例に関する法律が制定をされました。この特例法により、これらの選挙平成七年の統一地方選挙の約二カ月後の六月十一日に行われたわけでございます。  これらの選挙の次の、以降の統一地方選挙における取り扱いについては、現在、全国地方選挙を再統一することについて今与党で盛んに議論がなされておるところでございまして、平成十一年の統一地方選挙がどのようになるかはいまだ確定をしていない状況にございます。もし従前どおりの形で統一地方選挙が行われることとなる場合にありましては、統一地方選挙への復帰については強い要望があることを踏まえ、次回の統一地方選挙特例法の内容を検討してまいりたい、このように考えております。
  43. 石井一二

    ○石井一二君 大臣から、もとへ戻すという観点で前向きなお考えを示していただいたように思いますが、私は、国全体の論議というのは進みそうでなかなか進まない、その結果を見てから、じゃ兵庫県のことも考えようというのでは恐らくどんどん時間がたっていくと思いますので、それはそれ、これはこれということで、できるだけ早い機会にある程度の方向を御示唆いただくということが適当ではないか、またありがたい、そのような要望をしておきたいと存じます。  さて、次に一票格差の問題について質問をいたしたいと思いますが、衆議院におきましても参議院におきましても、どんどん人口の異動とともに一票の格差の問題がこれまで取り上げられてまいりました。例えば、衆議院におきましては、昭和六十年七月十七日に違憲判決が、当時四・五四倍という数値のもとに出されております。参議院におきましても何回かこういった裁判があったわけでございますが、最終的に平成六年に定数の是正をした、このときは裁判は合憲という結果が出ましたけれども、当時六・四八倍から四・八一倍に是正をして現在そういう体制にあるというわけでございますが、地方自治体におきましても、相当一票の格差というものがあると思うわけでございます。  まず、地方自治体の一票の格差についてどのようなお考えをお持ちなのか、今後、どのような方向で行政指導をしていこうと思われておるのか、その辺の御所見を賜りたいと存じます。
  44. 牧之内隆久

    政府委員牧之内隆久君) 市町村会議員につきましては、その全域を選挙区とするというのが原則でございますので、特別な場合を除きましては、そういう一票の格差というような問題は生じないものと認識しております。市町村議会でございますね。  それから、都道府県会議員の選挙についてでございますが、これは郡市の区域をもって選挙区とするということになっておりまして、各選挙区への定数配分につきましては人口比例が原則というふうになっております。  そのために、例えばある選挙区の人口が当該県の議員一人当たり人口の半数を下回るということになりました場合は、隣接の選挙区と合区をしなさいという強制合区の規定も置かれているところでございます。「ただし、特別の事情があるときは、おおむね人口を基準とし、地域間の均衡を考慮して定めることができる。」というふうにされておりまして、さらには、公選法の二百七十一条の第二項におきまして先ほどの強制合区の適用除外を定めておりまして、昭和四十一年一月一日現在の選挙区におきまして、当該選挙区の人口が当該都道府県の議員一人当たり人口の半数に達しなくなった場合におきましても、当分の間は条例で独立の選挙区を置くことができるというような特例規定があるわけでございます。  この特例選挙区を設けました場合には、全選挙区間で議員一人当たり人口に相当程度の格差が生ずることになるというふうに考えておるところでございまして、現実にそのような県において大きな格差が生じているというふうに認識をいたしております。
  45. 石井一二

    ○石井一二君 現実に大きな格差が生じておると認識をしておると。私は先ほど衆参の数値を挙げましたけれども、どの程度の数値になっておると御認識なんですか。
  46. 牧之内隆久

    政府委員牧之内隆久君) 現在、最大の格差を持っておりますのが愛知県で五・三八倍、四倍以上のところがあと三団体ございまして、北海道が四・九七倍、東京都が四・二八倍、兵庫県が四七六倍というような状況でございます。
  47. 石井一二

    ○石井一二君 先ほど、強制合区の除外規定もある、だがしかし強制合区という制度もあるからそういった格差是正に役立っておると言われましたが、その中で、条文の中にある「当分の間」という当分というのはどれぐらいの長さを言うんですか。私は、これは条文があるだけで実際機能していない、永久に当分だと、現実にこれを機能させて強制合区されたことはあるのかないのか、お伺いいたします。
  48. 牧之内隆久

    政府委員牧之内隆久君) 四十一年の法改正によりましてこのような規定の改正が行われましたのは、当時、人口異動が非常に激しゅうございまして、過疎地が各地に出現をしたということでございます。  先ほどの当該地域の人口が議員一人当たり人口の半数をちょっとでも下回るというようなところが多数出てきまして、そういうところを無理に強制合区をするのではなくて、やはり地域の代表というものを確保するという観点から、当分の間は強制合区をしないでそのまま存続させてもいいというような規定が取り入れられたわけでございますが、これまで何件か都道府県会議員のいわゆる定数訴訟が起こされておりますけれども、先ほど先生からお話しございましたように、衆議院の場合でございますと、明確に何倍という数字は出しておりませんが、これまでの判例を読みますと大体三倍を境にして合憲か違憲かが分かれているというような状況でございます。  都道府県の議会議員の一票の格差問題につきましては、そのような基準がなかなか読み取れない状況でございまして、三倍以下で違法判決が出たものはございませんが、三倍を超えたものがすべて違法判決が出ているかというとそうでもないというような状況でございます。  そして、先ほどの特例規定、これの趣旨等につきまして過去の判例を見ますと、先ほど私が申し上げましたようにこの改正法の趣旨は何であるかということに触れまして、その判断といたしましては、結局、当該都道府県行政施策の遂行上、当該地域からの代表確保の必要性の有無、程度、隣接の都市との合区の困難性の有無、程度等を総合的に判断して決することにならざるを得ないというふうにしておりまして、都道府県議会の判断がその裁量権の合理的な行使として是認されるかどうかということにかかっているということでございます。  したがいまして、法律に言います「当分の間」ということにつきましても、一たん設けた特例選挙区をいつまで存続させるかということにつきましては、当該都道府県議会の総合的判断の一要素としてとられるべきものではないかと。一律な基準等は示されていないということでございます。  なお、特例選挙区を設けた後強制合区をしたかどうか、そういう数が幾らぐらいあるかにつきましては、ちょっと今資料を持ち合わせておりませんので、また後ほど調べまして御報告をさせていただきたいと思います。
  49. 石井一二

    ○石井一二君 それは資料を持ち合わせていないんじゃなしに実際存在しないんじゃないかと、これは絵にかいたもちの条文じゃないかということを私は申し上げているんですが、もし見つかれば後刻御連絡をいただきたい、そのように思います。  それと、先ほど数値を挙げられた中で、兵庫県で四・七六という言葉が出ましたが、恐らくこれは神戸市の西区だと思います。結論として、自治省としてはそれに対してこうすべきだとか強制力はないし指導も完璧にはできない、地方自治体の主体性の問題だと、そう理解していいんですか。
  50. 牧之内隆久

    政府委員牧之内隆久君) 都道府県会議員の選挙区及びその配分は条例で定めるということになっておりますが、その条例を定めるに当たりましては公選法の十五条なりあるいは二百七十一条というものを考えながら配分をするということでございますが、先ほど申しましたように、あくまでも人口比例が原則でございますので、その趣旨が十分生きるようにしんしゃくしてほしいというような基本的な姿勢で指導等をしてまいっておりますし、これからもそうさせていただきたいと考えておるところでございます。
  51. 石井一二

    ○石井一二君 私は、地方議会の選挙区とか議席の数とか格差とかいろんなことになりますと、やはりそれを審議する議員の皆様方はそれぞれ自分の身分に直接影響してくる、そういう面で、全国的なバランスを踏まえて自治省の指導監督、そういったものがもう少し具体的にはっきりと強く出されてもよいのじゃないかという考えを持っておりまして、そういったことも一つ意見として今後ごしんしゃくを賜りたい、そのように思います。  なお、先ほど御答弁の中で、市町村議会の場合は選挙区が一つだから格差の問題が生じない、こういうようなことでございましたが、私は、全国的に見ていろんな地方自治体がある中で、余り極端な、例えば町議会議員になるのに何票でなれる、市議会議員になるのに何票でなれるというような格差があるということはやっぱりよくないと思うんですよ。  そういった意味で、私は、関係ないようでございますけれども、減少条例の制定によって議員の定数についてある程度指導することによって全国的な一票の格差の是正ということができるんじゃないかというような感じを持っております。今政令都市も含めて都道府県議会の減少条例の制定状況の実態についてどのように把握しておられますか。
  52. 松本英昭

    政府委員松本英昭君) お答えいたします。  地方議会の定数の減少条例の実態でございますが、現在、都道府県では七〇%、三十三団体が減少条例を持っております。政令指定都市では六六・七%、八団体でございます。市町村では、これは政令指定都市を除いておりますけれども、実に九八・一%、三千百六十団体が減少条例を持っておるところでございます。
  53. 石井一二

    ○石井一二君 自治省の方針として減少条例というものはウエルカムなんですか、それはもう地方に任せておいてどっちでもいいんですか。  といいますのは、特に、国と同様、地方自治体財政的ないろいろ問題というものが逼迫してきた中で、この制度がある限り、ある程度減少条例というものは生かしていくべきだという御指導をされるべきではないかという気もいたしますが、その辺のフィロソフィーについて御意見があればお伺いしたいと思います。
  54. 松本英昭

    政府委員松本英昭君) 減少条例の制定状況の団体数、先ほど申し上げましたところでございますが、現実にどれだけの議員が減少条例で減じられているかということになりますと、実は全体で二四・三%、特に市町村では四分の一以上、二五・五%、減少条例で定数が減じられております。  したがいまして、法定定数を全議員を計算しますと八万六千ぐらいあるんですが、現在の地方の議会議員定数は約六万五千と、こういう数字に相なっております。  ただいま委員から御質問いただきました自治省のスタンスとしてどうかということになりますと、これは今のその制度のもとにおいてはそれぞれの団体が自主的に対応していただくということがその制度の趣旨でもあり、私どももそういうスタンスでございます。  ただ、この点につきましては、さきの地方分権推進委員会の第二次勧告におきましても、この議員定数問題について少しいろいろ多面的な角度から検討するべきではないかと。現にこれだけの定数条例が制定されているというような実態も踏まえながら、その定数の問題もいろいろと検討していくべきではないかというような御議論もあって、勧告の中にもそういうことに若干触れられておりますので、私どもとしましても、地方会議員の定数問題をどういうふうにするか、これから少し検討をしていきたいと思っているところでございます。
  55. 石井一二

    ○石井一二君 まだまだこの問題についてお伺いしたいわけでありますが、時間も大分経過いたしてまいりましたので、話題を変えまして、財政問題、地方財政状況について若干の質問をいたします。  まず、財政構造改革の関係でございますが、先月の二十八日に法案可決されまして、いよいよ平成十五年までに国、地方を通じての財政赤字をグロス・ドメスチック・プロダクトの対比三%以下にするというような当面の目標も法律上設定されたわけでございます。  こういった中で、財政出動を求める声というものは不景気の中で非常に強いわけでございますけれども、基本的には、先ほど大臣が上吉原さんの御質問に対する答弁の中でもおっしゃっておりましたように、財政出動はないんだというのが現在の内閣の姿勢であると、このようなお言葉もございました。この財政構造改革実現していくために極めて厳しいかじ取りというものが求められておりますが、こういった中で、地方財政の逼迫状況をどのようにとらえ、今後どのような方針で地方自治体を指導していかれようとするのか、財政構造改革との関係も踏まえて、大臣の所信を賜りたいと思います。
  56. 上杉光弘

    国務大臣上杉光弘君) お答えいたします。  現下の地方財政は毎年多額の財源不足を来しておるわけでございまして、平成九年度だけでも五兆九千億の膨大なものに上っておるわけでございます。このような状況にあります上に、総体で百四十七兆円もの借入金を抱えておるわけでございます。  また、地方分権推進に伴いまして地方団体の担うべき役割が増大をしていくこと、高齢化の進展に伴う総合的な地域福祉への取り組みなどの財政上の増大が見込まれることから、地方財政は厳しい状況にあると考えております。  このような地方財政の健全化を図ることは私どもの世代でやらなければならない、次世代に残してはならない重要な政治課題でもございまして、この緊急的な当面の課題に対しまして、今後、国それから地方双方の歳出抑制につながる施策の見直し、あるいは地方単独施策の抑制などによりまして財政健全化の目標の達成に向けて全力を挙げて取り組んでまいりたいと考えております。  また、地方公共団体に対しましては、徹底した行財政改革への取り組み、不要不急の歳出の抑制などにより財政体質の健全化をしていただくように強く要請をしてまいる考えでございます。
  57. 石井一二

    ○石井一二君 財政構造改革法は平成十年度における地方財政計画の一般歳出の伸びを前年度比マイナスにする、こう述べておるわけであります。片や地方財政地方自治体の歳出の項目を見てみますと、公共事業費と社会保障関係費と教育費、これだけで全支出の約七割近いものになっておる。これは国の施策との関係もありまして、好むと好まざるとにかかわらず硬直化した中で出費をしなきゃならぬ。なおかつこの地方の歳出を抑制するんだということになると、実際実現不可能なような感じがするんですが、自治省として、具体的に地財計画における歳出の抑制をどのように指導していこうとしておられるのか、もし、項目等あれば、ここをゼロにするんだとかこうだとかいうように具体性を持った御答弁があればお伺いしたいと思います。
  58. 二橋正弘

    政府委員(二橋正弘君) 財政構造改革会議で構造改革推進についてということを定めておりますけれども、その中で地方財政の関係は、委員が今お挙げになりましたように、一般歳出を平成十年度において九年度に対してマイナスにするというふうな目標を示しております。  具体的には、国、地方共通の施策というのは非常にウエートが高い、委員が今お挙げになりました教育あるいは社会福祉それから公共投資という関係があるわけでございますが、これにつきましては、まず国のレベルで、例えば公共投資につきましてはマイナスの七%、それから教育の関係につきましては義務教育あるいは高等学校の教員の定数、標準法の定数改善の年限を後ろに二年あるいは三年というふうに延ばしていくというふうなことでございますとか、それから社会保障の関係では医療費の適正化等の施策がとられるということになっておりまして、それはそれぞれすべてが地方に直接かかわりを持ってくるわけでございます。  そういう項目ごとの国の取り組みが国、地方を通じて歳出の削減につながってくるわけでございまして、それに加えて地方の単独施策、中でも投資関係の単独施策につきましてもマイナスにする、具体のマイナス幅につきましては大臣からいろんな要素を考えて地財対策の中で決めていくという答弁を先ほど申し上げましたけれども、これにつきましても少なくともマイナスにするというふうなそういう目標を定めておるわけでございまして、それぞれ今申しましたような各般の分野での国、地方を通ずる歳出の抑制ということを図ってそれを地財計画に盛り込んでいくという形で取り組んでまいりたいと考えております。
  59. 石井一二

    ○石井一二君 これ二律背反と申しましょうか、言っていることはそれだけとればごもっともなんですが、地方の景気とかいろんなことを考えて、言うはやすし行うはかたしという中で私はなかなか難しい話だと思っておりますので、十分もろもろの考慮をされた上で適切な御指導を賜りたいと思います。  さて、こういった中で好むと好まざるとにかかわらず地方自治体は減収補てん債の発行とそれを後年度清算するというような格好で乗り切っていかざるを得ないと思うんですけれども、その実態についてもし数値等をお持ちであればお示しをいただきたいと思います。
  60. 二橋正弘

    政府委員(二橋正弘君) 地方財政計画で地方税収の見積もりを行いまして、それをもとにして毎年度の地財対策を決めて財源の見通しを立てていくわけでございますが、実際にその年度に入りまして計画した税収が上がってこないという事態はこれはあり得るわけでございます。もちろん計画以上に入ってくるという年もございます。計画を下回ってまいりました場合には、委員が今お挙げになりましたような減収補てん債という形でそれを補てんいたしまして、それの元利償還を後年度の地財計画に盛り込んでいく、各年度の交付税の算定においてそれを織り込んでいくということになるわけでございます。  本年度の場合はまだ税収の確たる見通しが立てる段階に至っておりませんで、地財計画の税収をかなり下回るんではないかというふうな見通しを今持っておりますが、具体的にそれぞれの税目ごとにどういう状況になってくるかというのは、まだまだこれから年度の後半残っておりますので、それを見きわめないと具体の数字は確定してまいりません。年度末になりまして、団体ごとにそういう減収補てん債というふうな御相談がある場合に私どもはその数字をお聞きして、減収補てん債の発行をしていただき、その元利償還を後年度財源措置をしていくというやり方をするわけでございまして、九年度の場合にはまだ数値を確定するような段階には至っておらないわけでございます。
  61. 石井一二

    ○石井一二君 今答弁の中で、なかなか税収がうまく入ってこないのではないかと思うというようなお言葉があったかと思いますが、私がここに持っております地方財政計画の税収見込みでは、平成六年を最低として七年、八年、九年と地方の税収というものは物すごく上がってくるというような数値をいただいているんですが、やや今の御答弁と矛盾すると思います。  そういった中で、今後、最近の不況下における地方の税収の動向、上がってくると思っておられるのか、どの程度取れると思っておられるのか、もし落ちるとすればどの税目が取りにくいのかとか、もうちょっと具体的な御表示でひとつ御表明をいただきたいと思います。
  62. 湊和夫

    政府委員(湊和夫君) 税収の動向でございます。  今、委員お話の中にもございましたが、まず近年の動向をちょっと先に申し上げたいと思います。  平成三年に税収が三十四兆円台に達しまして、この後四、五、六年と決算で見ましても地方の税収は落ちてまいりました。平成六年で三十二兆円ぐらいまでの規模に、小さく、三年連続のマイナスだったわけでございますが、七年、八年そして九年というふうに、かつてに比べれば伸び率はさほど大きくなってはございませんけれども、税収全体としては七、八、九と伸びてまいってきております。  問題は、国でいいますと予算に対してその年の税収が実態としてどうなるかということと同じように、今年度について申しますと九年度で見込みました、いわゆる地財計画ベースで見込んでおります税収に対して今年度の実際の税がどうなっておるかということが最終的に重要なポイントになるわけでございます。  そこで、今御質問がありました各税目の動向について若干、今年度のこれまでの状況をもとに御説明をさせていただきます。  これまでのところ、平成九年の九月末までの段階の税収、それも都道府県につきましての税収を中心に御説明させていただきたいと思いますが、トータルで都道府県の税収はこれまでのところ対前年で九八・八%程度の収入状況になっておりまして、昨年の九月末現在に比べまして一・二ポイント程度対前年比でマイナスになっておるという状況でございます。  その内容でございますが、特に見込みに対して減収が生じております税は御指摘のように法人関係の税収でございまして、都道府県の場合、三分の一の税収を占めております事業税がこれまで、九月末までの段階で対前年で九二・三%の収入にとどまっております。ということは七・七%対前年比で落ちておるということでございまして、また地財の伸び率に比べますとそれよりもまだ一段と大きなマイナスになっておるという状況でございます。  あと税目的に申しますと、そのほかにはこの事業税とほぼ連動いたしておりますが、道府県民税の法人税割が同じく五・六%程度のマイナス、それから金利が非常に低下しておりますこともございまして、道府県民税等の利子割もかなり大幅な落ち込みを見せておるということでございます。  そのほか、ほかの税目にも落ち込みを見せておるものもございますけれども、主要なものは大体この三つが中心であろうかというふうに思っております。
  63. 石井一二

    ○石井一二君 まだまだ聞かないかぬことがたくさんあるんですが、残念ながら時間となっております。したがいまして、私はこれであとの質問をカットせざるを得ないと思いますが、いろいろ難しい時代でございますので、ひとつよろしく地方の御指導をお願い申し上げまして、質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  64. 朝日俊弘

    朝日俊弘君 民主党・新緑風会の朝日でございます。  きょうは、冒頭に松村委員の方からもお話がございましたけれども、ちょうど昨日参議院の本会議介護保険制度の法案が修正可決されたと。このことを受けまして、主として広域行政推進というところに力点を置いて幾つかお尋ねしたいと思います。  私は、松村先生とはちょっと問題意識が違っておりまして、必ずしもこの問題、ストレートに市町村合併というふうに結びつけて考える前に、もう一段階広域行政推進というレベルでどう受けとめるかという課題があるというふうに思っています。  そこで、昨日の参議院本会議ではこの法案成立に当たって特に本会議決議を採択しました。この参議院の本会議決議の中で二番目ですか、「市町村が制度を安定的に運営できるよう、その意向を十分反映した各般の支援に万全を期すとともに、広域化の取り組みを支援すること。」という項目が一項目盛り込まれております。  つい昨日のことですが、このような形で本会議決議が付されたということについて、自治省としてはどのように受けとめておられるのか、率直な感想をお聞かせいただければと思います。
  65. 松本英昭

    政府委員松本英昭君) 介護保険制度につきましては、今、委員指摘のように昨日本会議の決議がございまして、この広域化の取り組みについて支援することという決議がなされているところでございます。  私どもも、この介護保険制度につきましては、財政上のさまざまな支援措置という面と、それからこの介護保険制度の実際の運営がスムーズに円滑に進められるような面で、特に小規模な市町村等がその法の目的を達成できるように取り組んでまいるよう考えてまいらなければならないと考えているところでございます。そういう面から、広域的な取り組みというのが重要であろうかと思っております。現実に、各市町村がこれまでもさまざまな行政の分野で広域的な取り組みをしていただいている、その成果は大体全市町村において何らかの広域的な行政体制を構築しておられるわけでございます。  今回のこの介護保険制度につきましても、そういうこれまでの広域的な取り組みの経験、そしてそこから得られましたノウハウ、そういうものを生かしてこの介護保険制度の趣旨に合うような取り組みをしていただきますように私ども支援をしてまいるつもりでございますし、それぞれの市町村におかれましても積極的に取り組んでいただきたいと、かように考えているところでございます。
  66. 朝日俊弘

    朝日俊弘君 この広域行政推進の問題については、単に介護保険制度の問題にとどまらず、今後の地方分権の具体的な推進とも密接に関連する課題であるというふうに思います。  そこで、この広域行政推進という問題、課題について、地方分権推進委員会ではどのような考え方を勧告の中で示されているのか、この機会に御紹介いただければと思います。
  67. 松本英昭

    政府委員松本英昭君) 地方分権推進委員会におきましては、七月八日の第二次勧告におきまして第六章の「地方公共団体の行政体制の整備・確立」という中で「市町村合併広域行政推進」という項目を立てまして、合併とともに広域行政等の推進について勧告をいたしているところでございます。  その内容はかなり詳しいものでございますが、三点ばかり申し上げますと、施設整備やサービス提供に関して広域的な観点からの所要の調整を行うように努めること。それから、既存の一部事務組合等の簡素化や体制強化のための広域連合への移行を検討すること。それから、広域連合設立促進策等の措置を講ずることなどが盛り込まれているところでございます。
  68. 朝日俊弘

    朝日俊弘君 この勧告の中にも触れられておりますけれども、私は、特に医療関係あるいは福祉・介護関係の施設サービスの提供については、どうしても個々の、一つ一つ市町村レベルよりも少し広域的な観点からのサービス提供体制の整備を図っていくことがより現実的でありますし、その方向で厚生省の方もいろいろ検討されていると思いますが、ただ、問題は、じゃ、どの程度の広域のレベルで考えたらいいのかという点になると、随分考え方がばらついているように思います。  そこで、念のためお尋ねしておきたいんですが、従来、自治省の方はいわゆる広域市町村圏あるいは広域行政圏という考え方で一定の広域行政推進を図ってきておられると思いますが、その広域市町村圏というのは一体どの程度の広さというか規模というか、ということを想定されてきておられたのか、あるいは現実にどうなっているのか、ちょっとお尋ねしたいと思います。  そのことと、じゃ厚生省サイドでこの間進めてきています例えば医療計画における二次医療圏とか、あるいは老人保健福祉計画における老人保健福祉圏という圏域設定と、この広域市町村圏という圏域設定とがどの程度合致しているのかしていないのか、ちょっと現状について、概略で結構ですのでお聞かせいただければと思います。
  69. 松本英昭

    政府委員松本英昭君) 広域市町村圏につきましては現在三百四十一圏域を指定いたしております。これは大都市周辺のものは広域市町村圏でなくて、別途大都市周辺地域広域行政圏というものを設定しておりますが、三百四十一というのは広域市町村圏の方の数でございます。  この考え方は当初の考え方をまだ踏襲いたしておるわけでございますけれども、圏域人口がおおむね十万人以上であり、住民日常生活社会生活圏を形成している地域、こういうことでございまして、市町村の大体九〇・六%をカバーいたしております。  現実には、現在の広域市町村圏は大都市、都市地域にもかなり拡大しておりますので、単純に一圏域当たりの人口を割りますと二十一万人と、こういうことになっております。  一方、お尋ねの二次医療圏でございますが、これは特殊医療を除きます一般医療需要に対応するために設定された区域でございまして、全国で三百四十八圏域でございます。それから老人保健福祉圏域は保健、医療、福祉の連携を図る観点から設定された区域でございまして、全国でこれも今、数は三百四十八圏域と全く同じ数になっております。  この広域市町村圏と二次医療圏あるいは老人保健福祉圏との重なりぐあいでございますけれども、合致いたしておりますのが二次医療圏とは百八十七圏域、それから老人保健福祉圏とは百八十四圏域となっておりまして、いずれもこの半分以上が重なっている、こういうことになります。
  70. 朝日俊弘

    朝日俊弘君 現状についてはそういうことだということなんですが、これは先日厚生委員会でも厚生省の方にお願いをしたんですが、実は二次医療圏と老人保健福祉圏、数は三百四十八なんですけれども、結構食い違っているんですね。今のお話でいくと、広域市町村圏とも重なっている部分もあるけれどもかなり食い違っているところもある。  市町村都道府県の間の中間的な広域圏域の設定のあり方についてもう少し整合性を図るというか、もちろん自治省だけではできない課題であると思いますが、調整を図るというか、そういう方向が今後必要ではないかというふうに私は思っているんですが、この点について何かお考えはございますか。
  71. 松本英昭

    政府委員松本英昭君) 都道府県の中で市町村を超えるいわゆる広域圏、この物の考え方というのが、広域市町村圏でありますならば、これは先ほど申し上げましたが、住民日常生活社会生活圏域の広域化に対応して特に都市及び周辺農山漁村地域を一体として振興整備するという、そういう趣旨のもので出発をしているわけでございます。  一方、それぞれの行政の中でただいま御指摘のありましたような医療圏とか老人保健福祉圏域というものは、それぞれの行政目的というものを中心に考えまして、一体的な対応だとかネットワークの形成だとかあるいはこの目標数量の設定などの単位というようなことで設定をされておられるわけでございます。そこに若干おのずから趣旨、目的の違いがあることは御理解をいただきたいと思っております。  ただ、御指摘のように、一般論としてそれぞれの圏域というものができるだけ総合的に対応できるような形というものが望ましいということは言うまでもないことでございまして、圏域が一致できればそれを一致できる方に合わせていっていただくということは、これはこれからも私どもも、指導というわけにはなかなかまいりませんけれども、そういう趣旨のことは地方団体に対してお話をさせていただくようにしたいと思っております。  そういう意味では、二年前に施行いたしました連合制度というのは、それぞれの行政目的というものを複合的に取り上げて、しかも必ずしもその参加地方団体が同じ事務を全部処理するということでなくてもいいという制度でございますので、そういうものを活用した総合化というものができればいいなというのが率直な感じでございます。
  72. 朝日俊弘

    朝日俊弘君 私も必ずしも何が何でも一致させなきゃいけないというふうに思っているわけじゃないんですが、随分考え方あるいは目的について、ある程度共通しているはずなのに現実には圏域設定が違っているというところもありますので、厚生省サイドとの相談というか検討も含めてより適切な広さの広域圏というものを設定していけるようにぜひ御検討をお願いしたいというふうに思います。  そこで、今ちょっとお話に出てきましたが、私もその具体的な方法論というか手段として広域連合という制度に着目をしておりますが、この問題についてはことしの二月に当委員会でも現状どうなっていますかというお尋ねをしましたが、その後かれこれ半年たちますので、この広域連合の設置状況について現時点でどの程度進んでいるのか、特にその際私が関心を持っています医療とか福祉分野においての取り組みなどがございましたら、それらを中心にできるだけ、時間がなくなってきましたので、簡潔に御報告いだだければと思います。
  73. 松本英昭

    政府委員松本英昭君) 広域連合につきましては、現在七つの広域連合が設置されておりまして、さらにその上にもう既に許可が与えられているもの、これが一つございますから八つと考えていただいていいのではないかと思います。そのうち医療関係、これは総合病院とか伝染病隔離病舎などでございますけれども、これが二件ございます。それから、現在検討されております中で病院や特別養護老人ホーム等の事務をやろう、あるいは将来は介護保険もやろうというようなことで現実に私どもの方に御相談があるようなものが数件ございます。
  74. 朝日俊弘

    朝日俊弘君 これからの介護保険制度の具体的な実施に向けて保健、医療、福祉という総合的なサービス提供体制をより広域的な観点から整備を図っていくという必要性は出てくると思いますので、この広域連合の積極的な活用を含めてぜひ自治省のサイドでも検討あるいはそれぞれの市町村に対するアドバイスを含めてお願いをしておきたいと思います。  それでは最後に、大臣に二つお伺いして終わりたいと思います。  まず第一点は、先ほども紹介をしていただきましたが、地方分権推進委員会勧告の中で広域連合の制度について積極的に活用するという趣旨の勧告を出しておられます。この勧告を受けて今後自治省としてどのように進めていこうとされているのか、大臣のお考えをお伺いしたいと思います。  もう一点は、きょうも冒頭に議論になりましたけれども市町村合併について、最近その方向で話を進めていくことについて、私自身も頭から反対するつもりはないんですが、やや強引なやり方ではないかというふうに感じることが幾つかございます。あくまでも市町村合併というのはそれぞれの市町村の主体的あるいは自主的な判断というのが尊重されるべきものでありますし、最終的には市町村住民皆さんの判断にゆだねられるというふうに思います。  冒頭にもこの問題についてのやりとりがございましたが、私の問題意識を踏まえてぜひ大臣のお考えをお伺いして質問を終わりたいと思います。
  75. 上杉光弘

    国務大臣上杉光弘君) お答えいたします。  広域連合制度は地方分権時代に対応した行政体制の整備だと、このように考えておるわけでございまして、広域連合はそのための有効な方策の一つであります。地方公共団体における取り組みが徐々に広がっておることも現状でございまして、好ましい状況になりつつあると思っておるわけでございます。  広域連合につきましては、その積極的な活用、促進をいたしまして、その実効を上げるためにも広域行政アドバイザー制度の活用等によりまして制度の内容の周知徹底を図りますとともに、地方交付税や町づくり特別対策事業等による財政支援措置も講じておるわけでございます。  また、先般通知いたしました地方行革推進の新しい指針におきましても、広域連合の権限の移譲の推進地方公共団体に要請をいたしておるところでございます。国におきましても、これを進める必要があるものと考えて、今後も努力をしてまいりたいと考えております。  それから、今後さらに地方分権推進委員会の勧告も踏まえまして、地域の実情に応じた広域連合制度の積極的な活用を促進いたしまして、地方公共団体の行政体制の整備に取り組んでまいりたいと考えております。  最後質問でございますが、強引に自治省市町村合併を進めているんじゃないか、こういう問題意識を持っての御質問でございますが、市町村合併推進するに当たりましては、みずからの役割を適切に担うためにどう行政体制というのを整備したらいいのか。これはみずからの問題として真剣に考えていただくことだと、またそのことが市町村合併になくてはならない基本的なものではないかと私は考えております。  地方自治を進展させるという視点が重要でございますことはもう申すまでもないことでございますが、こうしたことからも市町村合併というのは自主的に、今後の地域の特性とか、あるいは伝統的な歴史や文化も持つわけでございますが、そういう地方の特徴的な持ち味等も生かしてもらうためにどう自立するかというのもこれは必要なことだ、自主的にどう自立していくか、これが基本でございます。市町村合併はそのような考え方に基づいて進められるべきものと私は認識をいたしておるわけでございまして、いささかも自治省が強引に合併を進める、やらせる、こういうことのないように気をつけてまいりたいと考えております。
  76. 朝日俊弘

    朝日俊弘君 ありがとうございました。
  77. 渡辺四郎

    ○渡辺四郎君 社会民主党の渡辺でございます。   今、各委員からいろいろ意見等も出されました。特に私は、当面する問題として、九八年度の地方財政対策についてお聞きをしてみたいと思います。  もう言うまでもなく、間もなく自治、大蔵両省の折衝が始まってまいります。過日、財政構造改革法も成立をいたしまして、大変厳しい状況にある中でのこれからの折衝になってくるわけですが、その折衝に当たる自治省の基本的な考え方について、以下何点かお伺いしたいと思うんです。  先ほど、上吉原委員あるいは石井委員の方からも質問がありました。大臣からも御答弁がありましたが、まず最初に、公共事業の削減との関連で地方単独事業をどう考えていくのかという問題で、大臣の方から宮崎の実例まで出されてお話がありました。地財計画の中でも地方単独事業地方の一般歳出は前年度マイナスということが決まっておりますが、やはり問題は、地方単独事業が大幅に削減された場合に、大臣もおっしゃったように地域経済を支える有効な手段に欠けていくんじゃないかという心配一つあるわけですが、地方への影響をどういうふうに一体考えておるのかというのが一つあるわけです。  そういう点から見て、自治体を含めてそうですけれども、これも先ほどありましたが、地域生活を充実させるという立場から、社会資本の整備のおくれた部分については、どうしてもやっぱり地方の単独事業は欠かせない大きな役割を果たしておるわけです。こういう中で、枠をはめられた地方単独事業の活用についての考え方についてお伺いをしたいというのが第一点です。  それから二つ目に、財政構造改革推進法に基づいて毎年度補助金が削減をされていく、あるいは消滅をした場合、今後その部分の手当てについての考え方についてお聞きをしておきたい。消滅しなくても毎年どんどん削減をされていく、そういう場合に事業費の何割程度が大体交付税に算入されていくのかというのを自治体が非常に今関心を持っておるところなんです。ですから、これはまだ明確な方針はないと思うんですけれども、大筋の考え方は早く示してやるのが自治体に対するサービスになるんじゃないか。  そういう中で、特に施設整備などのハードの部分は取りやめれば済むことですけれども、例えば自治体の場合、消費者の啓発事業など既に定着しておるソフト事業、こういう部分では補助金が削減、廃止になったから、あるいは消滅したからといってストップをするわけにはいきません。だから地方の単独事業に変えていくというのが筋になってくるわけですが、お聞きをしたいのは、そういう部分の経費を全面的に交付税への算入対象にするかどうかです。あるいは何割ぐらいを見ようとしておるのかという点をお聞きしたい。  それからもう一点は、厚生省が先般来補助対象を大規模施設に絞る方針を打ち出しました。例えばごみ焼却場のような問題です。補助対象の縮減や採択基準の引き上げで自治体が単独事業の対応を迫られる事業もふえてくると思うんです。こういう部分については一体どういうふうに考えておるのか。  以上、お尋ねしたいと思うんです。
  78. 上杉光弘

    国務大臣上杉光弘君) まず、総体的な考え方を申し上げたいと思うんですが、財政構造改革行財政改革で取り組んでおるわけでございまして、財革法で示しておりますように、政府の基本方針として公共投資七%縮減というのは、これは量的な縮減を目指すものでございます。  当然、補助事業あるいは地方単独事業として公共事業全体のことがその中で考えられなければならない。他方、中央と地方では社会資本の整備というものが進んでおるところ、おくれておるところ、申すまでもなく地方は非常に社会資本の整備がおくれておるわけであります。加えて、地方における公共事業は経済的には非常に大きなウエートを占めておる。  そういう認識を持って申し上げたいと思うんですが、公共事業全体の削減は、短期的に需要面から地域経済に対して影響を及ぼすことは、これはもう委員指摘のとおり否定できないことでございます。また、そうした影響は、公共投資経済に占めるウエートが非常に高い地域におきましてはより大きいと考えております。平成十年度の地方単独事業の事業量につきましては、国の公共事業予算の動向あるいは地方財政収支の見通し等も踏まえつつ、地域経済への影響を十分考慮して決定をいたしたいと考えております。  なお、これに対しまして、地方債や地方交付税の必要額というものを確保し、またその配分に当たりましては地方公共団体の計画的事業執行に支障が生じないように配慮すべきものと私は考えておるわけでございます。   そこで、お尋ねの地方単独事業でございますが、一つ住民の要望に的確に対応した生活関連施設の整備、これはしていかなければならない。先ほどハード、ソフトという面のお話がございましたが、住民の皆様の要望が強くて生活関連施設というものの整備については、これは外すことができないものではないか。二つ目には、地域経済の下支えがございます。このような重要な役割を果たしておるわけでございまして、地方分権が進みますればなおこの重要な役割というものが増大をしていくものと私は考えるわけでございまして、さらに財政構造改革に伴いまして公共事業などについて補助対象の縮減、採択基準の引き上げが行われる場合には、地方単独事業によりカバーをする必要も生じてくるであろう、このような場合も考えておるわけでございます。  したがって、今後地方単独事業につきましては、地方公共団体のニーズあるいは公共事業予算の動向、地方財政収支の状況を踏まえつつ、地方財政計画の策定を通じまして、必要な事業量とそれに対応した財源の確保に努め、めり張りのきいたものにしなければならないと考えております。
  79. 二橋正弘

    政府委員(二橋正弘君) 補助金の関係で二点ございましたので、私から御説明いたします。  ソフトの関係の補助金が削減されて仕事が残るというケース、これは当然あり得ると思います。具体的にどういうふうな補助金の整理合理化が行われるかというのは、これから具体の作業に入るわけでございまして、地方に同化定着しているものの、国庫補助金で仕事が残るというものは当然一般財源化するということになってくるわけでございますので、地方財政計画の策定を通じて必要な一般財源を確保して、それに見合った交付税の算定を行っていくということにいたしたいと思います。  これは具体的なものにつきましては、具体的な一般財源化の項目が決まってまいりましたら、それに応じて検討してまいりたいと思っております。  それからもう一つ、廃棄物の関係の御指摘がございました。  厚生省の方から、概算要求で平成十年度以降新設の施設につきましては、国庫補助対象を原則として一日当たりの処理規模百トン以上に重点化するというふうな方向が示されております。  そういたしますと、それ以下のものをどうするかということは当然考えていかなくちゃいけないわけでございまして、関係省庁と今協議をしている段階でございますが、重点化というのは、補助金のあり方としてひとつ理解できるところでございます。したがいまして、その基準以下のものについての施設整備が必要であるということになる場合には、その事業執行に支障が生ずることのないように、その補助とのバランスを考慮した適切な地方財政措置を講じていきたいというふうに考えております。
  80. 渡辺四郎

    ○渡辺四郎君 次に財源問題で、先ほど大臣も、地方単独事業を含めての取り組みの決意を含めた御回答をいただいたわけですが、平成十年度の財源を見た場合に、伸びるんじゃないかというのは、地方消費税の平年度化による部分ぐらいが伸びるぐらいで、あとは大体税収が伸びるという見通しはないんじゃないか、逆に落ち込んでいくんじゃないか。  本年度分でも、この間新聞に出ておりました。先ほどお話がありましたように、法人税を中心に六千億ないし八千億ぐらいの税収不足を来すんじゃないかという状況等も出ておるわけですが、そういう中で今税制改正なんかの議論がされておりますが、税制改正で地方税の減収となるような改正が行われれば、事態はなお実は深刻化するわけですね。  そういう中で、現在、法人課税の改革問題で、法人税の課税ベースが拡大されれば法人事業税の改正も問題となってくるわけですし、自治省としてもそういう部分についての一定の見通しは持っておると思うんです。また、法人税との関連で、法人住民税も当然減収が生じてくるということになると思うんですが、そういう場合の穴埋めについて検討されておるかどうかというのが第一点です。  特に、私はこれからの中心というのは、どう考えてみても、地方交付税法の六条の三の二項を昨年初めて発動しましたけれども、来年度も制度改正が必要な財源不足額が生ずるのは避けがたいのではないか。  この場合に、法律に基づいて補てんをしようということを再三私らは従来から、三年間連続して大きく落ち込めばやってもらいたいということをやりましたけれども、今年度の概算要求を見てみますと、出口ベースで十六兆六千八十四億円ですか、が計上されております。その中で特に私が強調したいのは、いわゆる過去の貸し借り問題で、国が支払うという、大蔵が支払うという約束をした法定加算問題ですね。これも昨年が一兆三千百二十七億円を概算の段階では要求いたしましたが、最終的には三千六百億円ということで、約束事が三千六百億円に削られた。大変これは自治省は努力したんです。そのうちの二分の一しか大蔵はやっぱり正式な手当てはしていない。  だから、こういう部分について、私の数字が間違っておれば別ですが、法定加算分だけでもずっと平成二十四年ですか、ぐらいまでありますが、七兆四、五千億ぐらいあるんじゃないかという部分を、国も厳しいわけですけれども、これほど地方財政が厳しい中では、この法定加算分は絶対にやっぱりこれは確保してもらいたい、あるいは確保しなきゃいけないんじゃないかということを、特にことしの場合は全般強調して、そしてそういう立場でひとつかかっていただきたいというふうに思うわけです。  先ほど申し上げましたように、税収の伸びというのはもう八方ふさがりで、非常に暗い状況にあるものですから、過去からのそういう特例措置分についての繰り上げ償還をしてもらってでもやっぱり地方財政を確保するという立場で頑張ってもらいたいと僕は思うんですが、そういう部分について、大臣の御決意と当局側の基本的な考え方についてお聞きをしたいと思います。
  81. 上杉光弘

    国務大臣上杉光弘君) 税から先に。
  82. 湊和夫

    政府委員(湊和夫君) 法人課税のあり方をめぐる論議に関連してのお尋ねでございます。  諸外国と比較いたしました税率水準あるいは課税ベースの問題が、国、地方を通ずる課題として今議論をされているわけでございます。片や、財政構造改革に取り組まなければならないという環境でもございますし、その背景にもう一つ、今、委員指摘ございましたように、税収がかつてのような勢いがございませんで、税収の好転によってこういった改革実現できるという状況にもございません。  そういうことを背景にいたしまして、地方の法人課税につきましては、現在、法人課税のうち法人事業税につきましては、課税ベースが基本的に法人税と同一でございますので、法人税におきます課税ベースの適正化が図られるといたしますと、その分、実質的な増税になりますから、それに見合った税率の見直しが必要になろうというふうに考えております。  いずれにしても、今のような環境下で私どものとり得る策としては、税収中立ということを基本にして検討していくべきものと考えておるところでございます。
  83. 上杉光弘

    国務大臣上杉光弘君) お答えいたします。  明年度の地方財政対策につきましては、現時点で確定的なことを申し上げることはできませんが、地方税等の十分な伸びを見込むことが非常に困難である、難しい。また、平成六年度以降に発行されました多額の地方債の元金償還が始まるということなどから、引き続き大幅な財源不足が生じるおそれがある。地方交付税法第六条の三第二項の規定に該当する事態も想定される。委員指摘のとおりだと判断をいたしております。  地方財政は、国が国債に依存して財政運営をいたしております以上、交付税を国から地方へ配りますときに、三千三百、その交付税全体で足りない分はこれは借入金によって補う、あるいは補助事業等につきましても、それを受け入れるための地方の分担金がございますが、地方財政負担分というのは、国が国債に依存しております以上は、これも地方債に頼らなければならない。加えて、住民からの希望が強い、また非常に地域住民としてのニーズもあります単独事業については、財源措置も足らざれば、これも地方債という借金に頼って地方財政が運営され、地域住民の皆様の期待にこたえてきたというこれまでの実情からいたしましても、非常に地方財政が厳しく、また委員心配のように、地方交付税法第六条の三第二項に規定するという心配を大変いたしておるわけでございます。  そのような明年度の地方財政対策につきまして、このような地方財政状況や、国、地方財政赤字の縮減に向けまして、財政構造改革に今取り組んでおるわけでございますが、さらに地方交付税法第六条の三第二項の趣旨を踏まえまして、地方公共団体が必要とする地方一般財源を確保することはこれは基本的な対応だと、こう思っておるわけでございます。地方財政の運営に支障が生じることのないように適切な措置を講じてまいらなければならない、このように考えておるわけでございます。  御指摘の特例措置についてでございますが、地方交付税の必要額の確保を基本に据えまして、加算すべきは加算するという姿勢で私は財政当局とも当然対処するなど、地方財政の運営に支障が生じることのないように、国庫当局とも十分協議をして、地方交付税総額の確保に努めてまいりたい、こう考えておるわけでございます。  加算すべき交付税の額等については法律で明記しておるわけでありますから、加算すべきものはちゃんと加算してもらう、こういう姿勢で臨みたいと考えております。
  84. 渡辺四郎

    ○渡辺四郎君 もう時間が来ました。自治省はもうちょっと予定しておりましたけれども、厚生省にお尋ねをします。  先ほど朝日委員なり松村委員の方からもお話がありました、きのう通過をいたしました公的介護保険問題で、全国の市長会の八十七市長の皆さんが非常に不安を持って厚生省、それから参議院の厚生委員長あてにお願いということで出しておりますが、六項目の要求について、私自身は、公的介護保険制度は絶対にやっぱり今の状況の中では早く進めなきゃいけない、そういう立場に立っておりますけれども、保険者である首長自治体首長がこういう心配があるということで六項目出されて、列挙をしておるわけですから、もう厚生省は受け取って検討されたと思いますが、その検討についく検討の経過、あるいはどういうふうに進めようとしておるのか、おこたえをしようと思うのか、そういうのを含めてお尋ねをしたいという一点だけです。
  85. 高井康行

    説明員(高井康行君) 御指摘の申し入れ書でございますけれども介護保険法案の国会の御審議でも種々御指摘いただいている課題でございます。介護サービス基盤整備を初めとしまして、要介護認定事務処理でありますとか財政運営など御指摘をいただいております。  この申し入れ書の事項につきましても、これを十分踏まえまして、これから実施に向けて運用面で十分配慮をいたしまして、一つ一つ解決していきたい、こういうことによりまして市町村関係者の御理解を得るようにしていきたいというふうに考えております。
  86. 渡辺四郎

    ○渡辺四郎君 どうもありがとうございました。
  87. 有働正治

    ○有働正治君 公共事業のあり方が全国的にも大きな問題になってきているわけであります。本委員会でも地方単独事業との絡みで先ほど来議論も行われているわけで、まずこの問題から若干お尋ねしたいと思うんであります。  つまり、公共事業の中でも社会保障・福祉部門、それは施設、運営、人件費等々を含めた投資でありますが、そういう投資こそ一般に言われている建設部門よりも景気に対する影響、雇用に対する影響、投資に対する効果、これが大きいという問題であります。これは、二十一世紀の高齢化社会への対応の上でも私は大事じゃないかという点で、地方自治体のあり方等々とも絡んで御質問するわけであります。  つまり、一般的に言いまして、投資効果だとか景気効果という点でいいますと、道路とか港湾等々の、いわゆる俗に言う公共事業という部門が大きいというふうに指摘されているわけであります。そこで、私も素人ながら若干幾つかの問題を調べてみたんでありますが、生産への波及あるいは雇用効果という点で、そういう部門よりも社会保障・福祉部門の方が大きいという統計データ等も最近いろいろ出されてきているわけであります。  私は、最近、関西の幾つかの大学の先生たちが共同でお書きになられました「福祉投資である」という本も読ませていただきました。そこでは、現在使用されています平成二年度の大阪府の産業連関表を活用いたしまして、一千億円を投資した場合の投資効果につきまして、その生産への波及効果、それから誘発される雇用増、この二つの部門について、建設部門でどうなのか、社会保障部門、社会保険、社会福祉社会保障部門でありますが、これでどうか、医療保健、医療と保健衛生の医療保健部門でありますが、その三部門について分析し、比較検討しているわけであります。  その際、投資効果は、原材料費の生産に対する第一次波及と同時に、そこに働く労働者への賃金、そこから来る消費による需要増、それに伴う生産増といった二次波及、大阪の産業連関表は二次波及までしか出していませんので、そこまでの計算にとどまっているわけであります。  一方、生産に伴う雇用増という問題につきまして、産業連関表と大阪府の事業所統計から各産業部門の生産額百万円当たりの労働力係数を明らかにして算出しているわけであります。そして、いずれも一千億円の投資効果として、統計上、政府そして自治体が示しているデータを使って比較しているわけであります。  結論だけ申しますと、第一の生産額への波及効果は、いわゆる公共事業と言われる建設部門は一千七百六十七億円であります。社会保障部門は千八百五十九億円で、九十二億円も社会保障部門が大きいわけであります。医療保健部門は一千七百八十六億円で、建設部門よりもプラス十九億円と、いずれも大きいわけであります。  第二の、誘発される雇用効果という点で、建設部門は一万三千百五人に対しまして、社会保障部門は二万三千六百三十五人で、プラス一万五百三十人建設部門より大きい。医療保健部門は一万六千九百五十六人で、プラス三千八百五十一人。しかも、雇用階層で男女比で見ますと、建設部門は男性七に対し女性三の割合。これに対し社会保障は男性三に対して女性七、医療保健部門は男性四に対して女性六と、男女比が全く逆になっているわけであります。  統計的な分析の上に立って、この本では、景気、雇用対策といえば建設というこれまでの図式、そして福祉経済、産業上の役割、これは事実に基づいて見直し、検討が必要ではないかという問題を提起しているわけであります。つまり、社会保障、福祉というと、投資に対してマイナス、あるいは経済への影響という点では往々にして否定的な側面から指摘される場合が多いわけであります。ところが、福祉投資である、その効果も建設部門、一般に言われている公共事業よりも大きいというのをそういうことで提起しているわけであります。  建設省からも私は平成二年度の産業連関表に基づく産業誘発係数と就業への影響の単位分析表を取り寄せましたけれども、生産誘発係数で見ますと、社会福祉施設など非住宅と港湾、空港、鉄軌道などとはそんなに差異はございません。雇用効果で見ると、病院、学校等々の方が港湾、空港等よりも大きいと。  つまり、日本経済と産業、景気、雇用の上からいって、二十一世紀は高齢化社会という点からいっても、福祉投資であるとの認識が大事ではないかという問題提起をされて、これは地域、町や村の今後の発展の上、村おこしその他の問題とも絡んでくる問題だということで、自治省も無関係ではないということで質問するわけでありますけれども、こういう学問的な、社会保障、福祉への投資や雇用の影響が大きいというような指摘、プラス効果を持つんだという指摘大臣地方の問題に非常に堪能でございますので、どういう御認識でおられるかというあたり、実態を含めまして、まず簡単にお示しをいただければと思うわけであります。
  88. 上杉光弘

    国務大臣上杉光弘君) 総体的なものは私からお答えしまして、専門的なものは事務方にしたいと思います。  地方自治の観点から、個々の地方団体の財政運営、公共事業等、福祉関係の投資も含めてでございますが、これは国が直接拘束すべきものではなく、各地方団体がその責任において、またそれぞれの実情に応じまして、財源の重点かつ効率的な配分に努め、切実な住民のニーズに的確に対応していかれるものと考えております。  また、専門的な勉強の成果も含めて、先ほどの公共投資についての御質問でございますが、我が国は現在さまざまな分野におきまして構造的変化に直面をいたしておりまして、地域の総合的な行政主体であります地方公共団体が二十一世紀に向けまして活力ある豊かな地域社会づくりに取り組んでおることはもう御案内のとおりでございまして、そのような方向が極めて重要な課題であることはまた申すまでもないことでございます。  中でも、急速に進展をする少子・高齢化社会への対応や介護保険制度の円滑な導入のためには、福祉部門に対する公共投資が今後ますます重要になってくるものと認識をいたしております。このことは自治省においても調査をいたしておるわけでございまして、行政投資実績におきましても、福祉関連の投資額及び全体額に占めるその割合が近年増加しておるところでございます。  このような認識を持っておることを申し上げ、今後各省庁とも協力をしつつ、地方公共団体が地域の実情に応じて行うそういった福祉関係の施策等につきましても、その事業の推進につきましても支援をしてまいりたい、また今後とも地域主導による福祉施策の一層の推進に努めてまいりたいと考えております。
  89. 有働正治

    ○有働正治君 私がお聞きしたのは、福祉社会保障部門への投資・雇用効果の方が一般的に言われている公共事業よりも影響が大きい、こういう指摘に対してどうお考えなのかということをお尋ねしたわけであります。  そこで、ちょっと話を進めてもう一例挙げますと、確かにこの期間、福祉施設等民生費の比率が若干高まっていますけれども地方単独事業のうち、九五年度実績で見ましても、福祉施設などの民生費の比率は四・四%で、道路、橋梁、河川など土木費の比率が五一・八%ということで、福祉施設等民生費の比率が非常に低いわけであります。その低い部門への投資効果の方が景気その他の影響は大きいという指摘であります。  私、全国的に福祉サービスと公共事業の経済波及効果がどうかという問題について調べたものも見させていただきました。これは同じく産業連関表に基づいて、社会保障・福祉部門、公共事業にそれぞれ一兆円の需要があった場合を想定して、投資波及効果、雇用波及効果を算定したものでありますが、これは一次波及効果から三次波及効果まで示してあります。そのトータルでいいますと、福祉部門と公共事業部門の生産への波及効果というのはほとんど変わりません。  それから、雇用効果でありますけれども、一兆円の需要に対して福祉部門の場合は二十九万四百六十九人、これに対して公共事業の場合二十万七千三百九十九人ということで、同額の一兆円の需要から見ますと、福祉部門、社会保障部門が九万人雇用増が大きい、こういうことが指摘されています。その場合、公共の資金の投入という意味で、同じ一兆円の需要でも公共事業は全額、公共投資、公共資本であります。一方、福祉部門は政府消費が約半分、五〇%ということで、政府資金の投入という点では公共事業は福祉部門に比べて二倍行われていると。  したがって、同じ金額を支出するということになりますと、福祉部門は生産への波及効果は建設部門、いわゆる一般に言う公共事業よりも二倍の生産波及効果がある。それから、雇用べの波及効果は、今十万人近くが二十万近くというふうにはるかに格差が広がると。これが全国的な産業連関表から見た社会保障、福祉への投資、雇用への効果といわゆる建設部門との比較をやったこれは政府の公式統計表からの分析の一端であります。  そこで、自治大臣はかなり伸びてきていると。若干の伸びはあります。しかし、依然として全体の中でのそういう福祉社会保障部門の比率は、地方財政白書等々の資料を見ましてもやっぱり低いということで、二十一世紀の高齢化社会への対応という点からいっても公共事業の中身も検討していく必要があると。それから、日本経済のこれからの発展のあり方という点でも私は検討する必要があるんではないかなという点で問題を提起させていただいているわけであります。  そこで大臣、私が今一、二の事例、全国統計を示しました、こういう福祉社会保障部門への投資・雇用効果というのが大きいという問題。やはりそういうものを中心にして町おこし、村おこしをやりながら、深刻な過疎、人口減の中で新しい村おこしの自治体も幾つかあるわけであります。そういう問題について、ぜひ大臣としての御感想を一点。  今言いました二十一世紀の高齢化社会への対応、町づくり、村づくり、その発展、それから二十一世紀の日本経済の発展の方向ともかかわって、こういう問題について、先ほど自治省もいろいろ調査したり分析したりなされているとおっしゃいましたので、自治省独自にも、またほかの担当省庁とも連携しながら、こういう部門についても研究分析し、また地方自治体等々にも国民皆さんにも情報を公開して、国民的にこういうのは議論していく、こういうことが私は必要があるんではないかなという点で、大臣の前向きの積極的な対応を求めるわけでありますが、簡潔に。
  90. 上杉光弘

    国務大臣上杉光弘君) 地方行政で打ち出す福祉に対する投資、あるいは道路をつくったり地域住民の利便性を考えた投資、それはいろいろあると思うんですが、これは投資効果だけを基準にして政策を打ち出し予算を措置しておるものではないと考えます。地域住民の求めるもの、地域住民のニーズに対してどう対応するかでこれはなされておるものと私は思っておるわけでございます。  もとより、高齢化社会、少子社会を迎えた今日でございますから、社会保障さらに教育、公共投資で、先ほど石井さんからもありましたように、地方財政の約七〇%を占めるわけであります。ですから、そういうものも全体を見ながらどう対応していくかというのは当然のことでございまして、高齢化社会や少子社会に対して、住民皆さんの利便性あるいは将来のより健康で幸せで、また国全体の経済や産業の発展のためにどうしたらいいかというのを常々考えて政策を打ち出し、行政に取り組んでいくというのは私は当然のことだ、こう思っております。
  91. 有働正治

    ○有働正治君 そういう一般的なあれでなくて、こういう部門についても自治省としていろいろ調査したり研究したりしながら積極的に対応するという点についてもう一度お願いしたいのが一点です。  それからもう一点。ところが、残念ながら財政構造改革法が成立して、成立に先立ち、六月三日の閣議決定を受けて事務次官名で各自治体にも通知がされているわけでありますが、福祉や教育や暮らしの部門に対してすさまじい攻撃が地方自治体の来年度予算編成を見ますと集中してきているという感じであります。  一、二だけ申しますと、東京都の場合には、シルバーパス、老人医療助成、心身障害者への医療助成、敬老金支給等々が次々に切り捨てられようとしているということで、さきの都議選以来大問題になって、来年度予算編成の上でも大問題になっています。北九州の場合も、老人医療の給付年齢切り下げ、ごみ有料化、市立病院の一部廃止、保育所の再編、廃止統合、民間委託、市立幼稚園の就園助成への所得制限導入等々。岡山県の場合も、乳幼児・高齢者医療への県単助成の見直し、補助率切り下げ、中山間地対策の休止、打ち切り等々といったぐあいに、社会保障、教育、福祉、暮らしにかかわる問題に相当な攻撃が集中しているというのが実情であります。  その点で私は、こういう国の動き、あるいはこれを先取りしたような地方自治体の動きというのは、地方自治体の本来の仕事であります住民福祉や暮らしや健康や安全を守るという、こういう地方自治法の精神、憲法の精神を否定する道にだんだんならざるを得ない、なってきていると言わざるを得ないわけでありますが、先ほど言いました、福祉社会保障への投資の方が日本経済の発展の上でも影響は大きいという点からいってもここらあたりは問題ではないかと思うわけであります。この点、地方自治体の来年度予算編成の動きがそういう重大な内容になっている、そうなるべきではないと私は思うわけでありますが、この点についての大臣の見解。  そして、来年度交付税の問題について総額確保、地方自治体は、六団体の要望等々を見ましても、これをきっちり確保するというのは自治体固有の自主財源であって非常に重大だということで強い要望が出されているわけでありますが、これについての所見。  大臣、あわせて三点お尋ねいたします。
  92. 上杉光弘

    国務大臣上杉光弘君) 委員の強い期待というか、求めておられます社会福祉に対する投資ということでございますが、公共事業との、道路建設とかそういうものとの比較で投資効果がそっちが大きいからそっちにウエートを置けという御意見でございますけれども、それだけでは判断できないものもあろうと。御指摘のとおり社会福祉に対する予算の比率は小さいわけでございますが、しかし、これが年々急増しておることは事実でございまして、委員指摘のとおり、社会福祉、そういうものに対する視点というものを持って対応するというのは当然のことだと思います。  それから、自治体の予算編成につきましては、明年度の予算編成方針の策定に当たっては、財政の厳しい状況というものを踏まえながら、厳しいシーリングの設定あるいは歳出項目ごとの要求限度額の設定など、いろいろ努力をしておるところでございます。  地方自治の観点からは、先ほども申し上げましたが、地方自治体地方団体の財政運営あるいは行政の進め方について国が直接これは拘束というか縛るものじゃございませんので、各地方団体がその責任においてそれぞれの財政の実情でありますとか地域住民のニーズでありますとか、そういうものを十分考えた上で重点的かつ効率的な対応をしておると思いますから、我が方としても、これに対して十分注意をしながら目配りをし、気配りをして切実な住民ニーズに的確に対応してまいりたいと考えております。  それから交付税でございますが、交付税はこれは地方団体の財政力調整を行うとともに、例えば税金がたくさん取れるところもあるし取れないところもあるわけでございますから、地方団体間の財政力調整を行うとともに、各地方公共団体が一定の行政水準を維持できますように財源を保障するという重要な財源でございます。したがいまして、地方財政計画の策定を通じ必要な額を確保しまして、地方財政の運営に支障が生じることのないように適切に対応してまいりたいと考えております。
  93. 有働正治

    ○有働正治君 終わります。
  94. 西川きよし

    西川きよし君 よろしくお願いいたします。  私の方は、まず警察庁質問させていただきます。  まずは地域における防犯の対策でございますが、数日前に和歌山県におきましては小学校一年生の女の子が同じ住宅に住む男によって絞殺されました。まことに残忍で卑怯な事件が発生いたしました。親御さんの気持ちを考えますと、子を持つ親の一人として本当に言葉もございません。御冥福をお祈りするだけですけれども、ことしだけの事件を思い起こしましても、神戸市須磨区の事件、そして奈良県月ケ瀬村の事件、子供や女子、そしてまた女子学生をねらった凶悪な犯罪が相次いでおりますが、こうした犯罪の背景には家庭の問題、学校の問題、地域環境の問題等々さまざまな問題があると思います。  こうした犯罪の情勢につきまして、まず大臣の方から御見解をお伺いしたいと思います。
  95. 上杉光弘

    国務大臣上杉光弘君) 御指摘のように、本年に入りまして罪のない子供や女子生徒が被害者となる殺人事件、国民が不安感を抱く凶悪事件が相次いで発生しておるところでございます。極めて厳しい情勢にあることを認識いたしておるわけでございます。  こうした国民が不安を抱く重要凶悪事件につきましては、その未然防止に努めることは申すまでもないことでございますが、発生した際には、その迅速な解決を図りまして、良好な治安の実現警察の威信もかけて最善を尽くしてまいらなければならないものと思っております。
  96. 西川きよし

    西川きよし君 最近の子供を取り巻く環境を見ておりますと、塾に行って余り遊ぶ時間がない、一歩外へ出ますと車社会でありますし、そんなに広い遊ぶところもないわけです。公園ではせんだって死角になっていてということでそういう事件もあったわけですけれども、子供を育てる環境に恵まれていない、さらに犯罪による危険までということで、子供の健全育成にはほど遠い生活環境になっているわけです。  そうした中で、一昨日の日経新聞でございますが、自治体による生活安全条例を制定するという新聞を目にいたしました。こういう動きが広まりつつあるということも聞いておりますが、今こそ地域住民が一丸となって子供やお年寄りを犯罪から守るといった取り組みが本当に必要だと思います。  こうした自治体の条例の制定について、警察庁といたしましてはどのように評価をしておられますのか、お伺いいたします。
  97. 関口祐弘

    政府委員(関口祐弘君) 先生指摘のいわゆる生活安全条例でございますが、これは住民の安全意識の高揚と住民及び市町村による自主的な安全活動推進によりまして、安全で住みよい地域社会実現を図ることを目的としてそれぞれの自治体で制定が進められているものと承知をしております。  これらの条例の多くは、有害環境の浄化、犯罪弱者の安全確保等につきまして、自治体及び市民が実施すべき施策を規定しているところであります。こうした条例の制定は、安全な地域社会実現に向けた自治体の自主的な取り組みとして大変意義深いものであると考えているところでございます。
  98. 西川きよし

    西川きよし君 ありがとうございました。  毎日の生活の中で、本当に現代社会はいっどこでどんなことに巻き込まれるかわかりません。あるいは巻き込まれないまでも、現場とか現場付近に遭遇したときに我々はどういうふうに対応したらいいのか。仮にそのような事態に遭遇したときにはその周囲にいる者がとっさの判断で行動をとらなければいけないと思うのですけれども、ついつい恐怖が先に立ってということも我々自身も多々ございます。  例えば、子供の通学途中でありますとか外で遊んでいるような場合に、見知らぬ大人から声をかけられたりしたときに、付近のお店でありますとか場合によっては一般の家庭に緊急避難をさせていただく、日ごろからのこういう教育、指導が必要ではないかと思います。  同時に、受け入れた側の対応のあり方、そしてまた通り魔的な犯罪現場にたまたま通行中に出くわしたときにどのような行動をとればいいのか。例えば、被害に遭った方を避難させるということを最優先にいたしまして、そして一一〇番をするまではとっさの場合にでも判断、行動ができると思います。しかし、警察官が現場に到着するまで加害者への対応をどうすればよいのか。例えば人相を記憶するのか、できれば尾行する方がよいのか。このあたりの行動になりますと危険なことが本当に伴うわけですから、不安だと思います。  日ごろからの心構え、知識というものが必要になってくるわけですけれども、こうした緊急時の市民の対応のあり方は具体的にどうすればいいのかっせんだっての新聞で目にしたんですけれども、起きてから、恐ろしいものですから一度うちに帰ってから一一〇番をしたというような事例もございますが、いかがなものでしょう。
  99. 泉幸伸

    政府委員(泉幸伸君) ただいま御指摘のように、一つは、子供が不審者に声をかけられた、そのような場合に対処すべく、緊急避難先として通学路の店あるいは個人のお宅に自発的に、いろんな呼び方をしておりますが子供一一〇番の家などということでお願いしまして、ステッカーをかけていただきまして、何かあった場合にはそこに飛び込んでいただくというような動きが全国的に広まっておりまして、現在では約二十三万カ所以上そういうお宅がございます。  こういうときにどうしたらいいのかということにつきましては、それぞれこういうステッカーをお願いするときに言っておるわけでございますが、まず落ちついて事案のポイント、だれがいつどこでだれから何されたというポイントがありますが、まず何があったのかということを、いろんな状況がありますが、まずは一一〇番してくださいというふうにお願いしております。まず一一〇番をしていただきまして、その上で、一一〇番を受けた警察官がその事案に従いましていろんなことをお尋ねいたします。  ただ、一一〇番する前に何をしたらいいのかというお尋ねも含まれておりまして、まずお願いするのは、すぐに一一〇番してくださいということが大事でありますけれども、その前に、状況が許せばまずは被害者の救護でございます、助けていただく。それからその次に、犯罪であれば犯人の人相だとか服装、あるいは車のナンバー等を記憶していただくということはなおありがたいわけであります。そのような形でやっていただきますと捜査や次の犯罪防止に大いに役立つものでございます。  ただ、個別の状況というのは当然ながらいろいろ変わっておりますので、繰り返しになって恐縮でございますが、民間の方々にはそういう事案があった場合にはまず一一〇番していただくということをお願いしておるという状況であります。なお、一一〇番することに加えてどういうことをしたらいいのかということにつきましては、先ほど申しました二〇番の家等にお願いをする際に、あるいは一般の広報の段階で、例えば一月十日は一一〇番の日というのを設定しておりますが、それらの機会国民の方にこういう場面においては今申しましたようなことをお願いするということで広報してまいっている状況でございます。
  100. 西川きよし

    西川きよし君 ありがとうございました。  私も何十年か前ですが、そういう暴力に遭ったことがあるんですけれども、一一〇番をいたしまして、すぐにパトカーには来ていただいてパトカーに乗せていただいたんです。そして、近くにまだ犯人がいるかもわからないから西川さん一緒にということで、この男だと思います、こう申し上げたところ、間違いはございませんでしょうか、本当にこの男でしょうか、こう言われたときに、なかなか自分自身が決断が下せなくて、いや、そう言われるとというふうに現場ではなってしまうんですけれども、そういう意味合いで今御答弁いただいた啓蒙や啓発も、我々も頑張りますので、そちらサイドもよろしくお願いしたいと思います。  地域の大人が絶えず子供の動向に気を配る、昔のようにというのはなかなか時代の背景で難しいものもあると思いますけれども地域が一体となって犯罪から子供やお年寄りを守る、防犯環境とでも申しましょうか、なお一層必要なことだと実感しているわけですけれども警察におかれましてもこれまでさまざまな機会において取り組まれたことは十分私たちも承知はいたしております。  また来年度からですが、警察と建設省と共同で新たな対策に取り組まれることもお伺いをいたしております。今後地域住民自治体とどのような形で連携をおとりになりまして犯罪防止活動に取り組んでいかれるのか、長官にお伺いしたいと思います。
  101. 関口祐弘

    政府委員(関口祐弘君) 安全で住みよい地域社会実現していくためにはひとり警察のみでできるものではありません。とりわけボランティア活動を行う地域住民の方々、そしてまた自治体との連携というものが不可欠でありますとともに、そもそも犯罪が発生しにくい町づくりというものを進めていくことが肝要であろうと思います。  こうした見地から、このたび警察庁におきましては、都市計画行政を所掌する建設省と共同で町づくりに携わる自治体住民意見を取り入れながら安全で安心な町づくりというものの手法の検討を行いまして、自治体警察と連携しながら安全な町づくりを進める枠組みづくりに取り組んでいるところでございます。  警察庁としては、今後とも地域の安全確保の担い手である地域住民自治体警察との間で十分な情報交換が行われ、犯罪防止に配慮された町づくり推進されるよう努めてまいる所存でございます。
  102. 西川きよし

    西川きよし君 引き続きまして警察庁にお伺いしたいんですけれども、今度は交通問題でございます。  先日、一部改正されました道交法で高齢者の運転者の標識が導入されたわけですけれども新聞を見ますと、推進者、また慎重な方、いろいろ投書もございました。私たちもラジオ等々でPRもさせていただいたんですけれども、まだ一カ月と少しですから、それにしても余り町ではもみじマークは目にいたしません。その後、障害者の方々に対しても標識が必要ではないかという要望の声がたくさん参っておりますが、この点について御答弁をお願いします。
  103. 山本博一

    政府委員山本博一君) このたび導入されました高齢者標識につきまして、もみじマークとの愛称で呼ばれましたのは国会の場におきましてはきょうが最初ではないかというぐあいに思っております。私どもこの標識がこのような愛称で皆さん方に親しまれまして、活用されていくことを希望しているところでございまして、今後とも引き続き各種の広報・啓発活動に努めてまいりたいというぐあいに思っているところでございます。  過日、平成十年度の交通安全スローガンというものが公募されまして、優秀作が決定されております。この中で最優秀作として採用されましたものが、「運転中もみじマークに思いやり」というものでありまして、国民皆さん方にかなり親しまれてきておるなという感じがしているところでございます。今後とも努力をしてまいりたいというぐあいに思っているところでございます。  それで、先生今お尋ねになりました身体障害者の方々につきましてもこの種の制度を導入したらどうかということについてでありますが、さきの道交法の一部改正で高齢運転者標識を導入いたしましたのは、七十五歳を超えますと動態視力等の身体機能低下が著しいということ、この結果といたしまして七十五歳以上の運転者が第一当事者となる交通事故の死亡事故率が高いということもありまして、高齢運転者の保護を図る必要性が特に高いということから導入されたものでございます。  身体障害者の方々からもこの種のマークを制定してほしいという要望があることは十分承知しておるところでございますが、こういう状態でありますので、今後、身体の障害が自動車の運転に及ぼす影響や身体障害者にかかわる交通事故の実態等を見きわめつつ検討してまいるべき課題かなというように思っておるところでございます。
  104. 西川きよし

    西川きよし君 ぜひよろしくお願い申し上げます。  そこで、具体的な問題といたしましてお伺いしたいのは、もちろん私も運転はするんですけれども、習慣となっておりますパッシング、ハザードランプの合図でございます。  例えば、道を譲ってもらったときにありがとうございますという意味でハザードランプを私たちも点滅するわけです。あるいは高速道路で渋滞の列に接近をする、ハザードランプで後ろの車に合図をして無理を言って入れてもらったお礼とか、いろいろございます。これはもう本当に浸透しているんです。ところが、ある交通安全の研究会の中で、このパッシングやハザードランプによる合図が時にはドライバー間の誤解を呼んで大変大きな事故につながっているという指摘もございます。大きく新聞にも取り上げられております。  警察ではこういうことをどのようにただいま認識されておられるのか、お伺いしたいと思います。
  105. 山本博一

    政府委員山本博一君) 今、先生指摘のように、運転者が合図をし合っておるということにつきましては私たちも承知いたしておるところでございます。そして、運転者が互いに相手を思いやりコミュニケーションを図ることは交通の安全と円滑という観点から基本的には望ましいことではないか、このようにも思っておるところでございます。  ただ、その手段といたしましてパッシングのように道路交通法上特段の規定が置かれていないものが用いられておりまして、その乱用が誤解を招いて事故につながったとされる事例もあるということにつきましても承知しておるところでございまして、この両方の観点からいろいろ推移を眺めておるという状況でございます。
  106. 西川きよし

    西川きよし君 新聞を見ますと、もともと人間が持つ優しさ、そしてまた善意からこういうことが生まれたというふうに書いてありますけれども、私自身もだれに聞いたわけでも教わったわけでもないわけです。これは自動車教習所でも教えてもらわないわけですけれども、自然のうちに習慣化しているといいましょうか、ドライバー間の意思の疎通という面においては大変効果的であるように実感をしております。  しかし、結果として大きな事故の原因となっていることもまた事実でありますし、そのまま放置しておくことが果たしていいのか、また問題になるのか。よい面は取り入れながら、交通事故の原因やドライバーに混乱を与えないという意味で、ある程度のルールというものの整理が必要ではないか、こういうふうに思うわけですけれども最後にこの問題を警察庁にお伺いして、質問を終わりたいと思います。
  107. 山本博一

    政府委員山本博一君) 現在、ドライバーがこのような合図をとり合っておること、またそれが場合によりましては事故につながっておるということ、いろいろ承知しておるわけでございますが、ただこれらの問題につきましては、現時点におきましては直ちに法律によって規制をしなきゃならないというような状態にあるとはいまだ認識をしておらないところでございます。  今後こういうことを一層推奨していくべきなのかどうか、また誤解を生ずるようなものにつきましてはその意味、内容の統一化を図るべきか否かということにつきましては、今後の交通事故の情勢の推移を見ながら検討してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  108. 西川きよし

    西川きよし君 よろしくお願いいたします。  終わります。
  109. 藁科滿治

    委員長藁科滿治君) 本日の調査はこの程度にとどめます。     —————————————
  110. 藁科滿治

    委員長藁科滿治君) 次に、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  地方行政改革に関する調査のうち、地方分権推進に関する件について、来る十二月九日午前九時三十分、本委員会に地方分権推進委員会より、委員長諸井虔君、委員長代理、地方行政体制等検討グループ座長堀江湛君、委員行政関係検討グループ座長西尾勝君、専門委員、補助金・税財源検討グループ座長神野直彦君、以上四名の方々を参考人として出席を求め、その意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  111. 藁科滿治

    委員長藁科滿治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時四分散会      —————・—————