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1997-11-26 第141回国会 参議院 選挙制度に関する特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年十一月二十六日(水曜日)    午前十時開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         円 より子君     理 事                 須藤良太郎君                 鈴木 貞敏君                 武田 節子君                 一井 淳治君     委 員                 芦尾 長司君                 片山虎之助君                 上吉原一天君                 中原  爽君                 真鍋 賢二君                 松浦  功君                 村上 正邦君                 大森 礼子君                 平野 貞夫君                 渕上 貞雄君                 橋本  敦君                 西川きよし君                 奥村 展三君                 小山 峰男君    国務大臣        自 治 大 臣  上杉 光弘君    政府委員        自治政務次官   佐藤 静雄君        自治省行政局選        挙部長      牧之内隆久君    事務局側        常任委員会専門        員        入内島 修君    説明員        警察庁刑事局捜        査第二課長    縄田  修君        大蔵省主計局主        計官       川北  力君        国税庁課税部法        人税課長     小武山智安君        労働省労働基準        局監督課長    青木  豊君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○公職選挙法の一部を改正する法律案内閣提出  )     —————————————
  2. 円より子

    委員長円より子君) ただいまから選挙制度に関する特別委員会を開会いたします。  公職選挙法の一部を改正する法律案(閣法第一五号)を議題といたします。  本案の趣旨説明の聴取は既に終了しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  3. 須藤良太郎

    須藤良太郎君 投票時間の延長不在者投票事由緩和等によりまして投票環境向上させるという政府案には賛成でございます。ただ、来年の参議院通常選挙期日等につきまして質問いたしたいと思います。  まず大蔵省主計局にお尋ねしますが、平成四年から通常国会は一月後半に召集されまして、召集日予算書提出されるということになっておるわけであります。このうち、これまで最も早い召集日は一月二十日ということでありますけれども、この一月二十日よりも一週間程度前に予算書を出すことができないかどうか、伺いたいと思います。
  4. 川北力

    説明員川北力君) 予算書作成日程について御説明申し上げます。  予算概算閣議決定から予算国会提出までの作業に要する日数を見てまいりますと、例年、年内編成の場合ですと二十日間以上を要してございます。平成九年度予算の場合、今先生御指摘がありましたように、十二月二十五日の日に概算閣議をいたしまして一月二十日の日に国会提出させていただいたということでございます。  お尋ねは、これを一週間程度早めることができるかということでございましたが、概算閣議の後、予算書作成までにもろもろの作業がございまして、作業日程上、一週間ということになりますと対応は難しいということを申し上げざるを得ないところでございます。
  5. 須藤良太郎

    須藤良太郎君 一週間程度早めるのは非常に難しいということでございますが、年内予算編成ができれば、仮に来年の召集日を、ちょうど月曜日が十九日でありますけれども、十九日ということに仮定した場合に、これに予算書を間に合わせてもらえるかどうか。
  6. 川北力

    説明員川北力君) 切り詰めた日程作業させていただいておりますが、今年、平成九年度予算と同様十二月二十五日の日に概算閣議決定という予算編成となった前提で申し上げますと、一月十九日という御趣旨を踏まえまして、政府として最大限努力することになるというふうに考えております。
  7. 須藤良太郎

    須藤良太郎君 ぜひそれはひとつ努力していただきたいと思います。  次に、自治省にお尋ねしますけれども、仮に一月十九日に召集されることを前提といたしまして、会期延長がなく六月十七日が閉会になるわけでありますけれども、来年の参議院通常選挙は、この場合に投票日はいつというふうになるのか、伺いたいと思います。
  8. 牧之内隆久

    政府委員牧之内隆久君) 参議院通常選挙は、公職選挙法三十二条の第二項によりまして、参議院閉会の日から三十一日以後三十五日以内の間に行うということになっておりますので、仮に六月十七日に閉会となりますと、七月十八日から七月二十二日までの間に行うことになります。七月十八日が土曜日、七月二十二日は水曜日でありまして、この間の日曜日は七月十九日のみとなるところでございます。
  9. 須藤良太郎

    須藤良太郎君 十九日ということでありますけれども、来年のカレンダーを見ますと七月二十日は月曜日で、これが海の日ということで休みになるわけでありまして、大部分の学校が七月十八日の土曜日に終業式をやって七月十九日以後は休みと、こういうふうに思います。しかも、土曜日が休日でありますので勤労者にとりましては三連休、こういうことになりまして、そのちょうど中間の日に投票ということになりますと相当投票率影響がある、下がるんではないかと、こういうふうに懸念するわけであります。  そこで、まず過去に連休中に国政選挙投票日を設定したことはあるのかどうか、この点について伺いたいと思います。
  10. 牧之内隆久

    政府委員牧之内隆久君) 戦後におきましては、衆議院選挙参議院通常選挙につきまして連休日選挙期日が設定されたことはございません。
  11. 須藤良太郎

    須藤良太郎君 七月十九日は避けるべきだと思うわけでありますし、また夏休みに重ならないように七月十二日に投票日を設定すべきだと思うわけでありますけれども、現行法ですと七月十二日に投票日を設定することはできない。七月十九日と、こういうことになるわけでありますけれども、これを現行法で七月十二日に設定するということはできないのかどうか、お伺いいたしたいと思います。
  12. 牧之内隆久

    政府委員牧之内隆久君) 先ほど申し上げましたように、現行法では国会閉会後三十一日以後三十五日以内ということになっておりますので、仮に七月十二日を投票日にセットするということにいたしますと、六月七日から六月十一日の間に国会閉会をするということでないとこういう状態にはならないということでございます。  国会会期は百五十日と定められておりますので、解散あるいは会期延長等がない場合は一月九日から一月十三日の間に国会召集される必要があるということでございまして、そういう召集が無理であるということになりますと、現行法改正しないと七月十二日の期日設定はできないということになろうかと存じます。
  13. 須藤良太郎

    須藤良太郎君 現行法ではできないということでございますので、私の試算では、公職選挙法三十二条二項の規定閉会後三十一日以降と、こうあるものを、一週間早めまして二十四日以降とすれば七月十二日の日曜日の投票日設定は可能ではないかと、こういうふうに思われます。この点についてと、今回このように改正しておきますと、今後、夏休み中の投票日は避けられるんではないかと、こういうふうに思うわけでありますけれども、この点はいかがでございますか。
  14. 牧之内隆久

    政府委員牧之内隆久君) 仮に六月十七日に国会閉会するといたしますと、御指摘のような改正を行いますれば、選挙を行うべき日は七月十一日以降となりますので、七月十二日を投票日とすることは可能であります。  また、今後通常選挙が未来永劫にわたってどうなるかということにつきましては点検をいたしておりませんけれども、従来どおり一月二十日ごろ召集をされて六月十七、十八日のあたりに国会閉会するということになりますれば、この七月十二日前後が投票日に当たってくるのではないかというふうに考えております。
  15. 須藤良太郎

    須藤良太郎君 それでは確認しておきますけれども、二十四日以降と、こういうことに改正するということは、いわゆる選挙管理執行上、問題ないというふうに考えてよろしゅうございますか。
  16. 牧之内隆久

    政府委員牧之内隆久君) 二十四日以降というふうに改正をされますと、国会閉会日から公示までの間が、これまでの最短十三日から最短六日間に短縮をされることになります。この間に、選挙管理事務といたしましては、ポスター掲示場公示日までに設置をしなければなりませんし、また投票場入場券選挙期日を印刷して準備をするといったような事務が出てくるわけでございます。六日間ということで確かにタイトにはなりますけれども、事務処理を工夫することによって管理執行に支障なく準備できるのではないかというふうに考えております。
  17. 須藤良太郎

    須藤良太郎君 次に、不在者投票の問題です。  政府案では、不在者投票の時間を一応二時間延長して午後七時までと、こうなっておるわけでありますが、勤め帰り会社員等がこの不在者投票をするには、投票時間と同じように八時までに延長する方が投票率のアップにつながるのではないかと、こういうふうに思うわけでありますけれども、この午後八時とすることについてどうか。特に、職員勤務時間の問題なり経費問題等があると思いますが、この辺についてお答えいただきたいと思います。
  18. 牧之内隆久

    政府委員牧之内隆久君) 不在者投票時間の延長につきましては、御提案を申し上げております改正法案におきましては、現行の午後五時までというものを午後七時まで二時間延長するということにいたしておるのでございます。これは通勤者等便宜を考慮すると、一方では、選挙公示または告示の日から選挙の日の前日まで長い間不在者投票ができますので、その間の選挙管理委員会事務負担というものをどう考えるか、その両者の兼ね合いの中で、さらには投票時間の延長現行の午後六時から八時まで二時間延長するというふうにいたしておりますので、それとのバランスということから二時間延長ということにいたしているところでございます。  御指摘がございましたように、午後八時までということになりますと、特に大都市地域等遠距離通勤者の多いような地域につきましては投票機会向上に資するものというふうに考えておりますが、一方では、そのことによりまして事務従事者負担あるいは経費の増を招くこともまた事実でございます。ただ、その事務負担の増や経費の増というものが負担にたえかねるような問題であるのかということになりますと、そこまでは言えないというふうに考えております。
  19. 須藤良太郎

    須藤良太郎君 確かに、職員勤務時間あるいは経費の問題があると思いますけれども、これは民主主義のコストとして許される範囲ではないか、こういうふうに思うわけであります。この点について大臣のお考えをお伺いして、終わりたいと思います。
  20. 上杉光弘

    国務大臣上杉光弘君) お答えいたします。  不在者投票時間をさらに一時間延長することにつきましては、確かにそれに要する事務負担経費増といりた問題が生じるわけでございますが、さらなる一時間延長が、今回の法改正趣旨をさらに進めまして選挙人皆様便宜上、一層投票がしやすいということに資するものであるということにかんがみますれば、これはやはり尊重すべき御提言と受けとめさせていただきたいと思います。
  21. 須藤良太郎

    須藤良太郎君 終わります。
  22. 武田節子

    武田節子君 平成会武田でございます。  公職選挙法の一部を改正する法律案について質問をさせていただきます。  衆参両院選挙投票率推移を見てみますと、八六年のダブル選挙以降、参議院選は急激に低下傾向にあります。衆議院選挙も九〇年以降急激に低下しております。民主主義の屋台骨である選挙がこれでは、まさに民主主義の危機と言わざるを得ないと思います。低投票率要因はさまざまなことがあると考えられますけれども、その本質は、やっぱり国民政治不信がそのような結果を招いていることは明らかであります。したがいまして、国民政治関心を持つように、また国民一人一人の票が政治を左右するということを身近に感ずるようになるためには、まず何よりも政治家自身がそのためにあらゆる努力をしていくべきでありましょう。  大臣は、同じ政治家としてこのような民主主義空洞化現象に対してどのようにお考えですか。まず、その所感をお伺いいたします。
  23. 上杉光弘

    国務大臣上杉光弘君) お答えいたします。  最近の国政地方選挙を通ずる投票率低下傾向には著しいものがございまして、大変心配をいたしておるわけでございます。この背景には、政治に対する無関心不信増大、さらには若い人たち政治離れなど、さまざまな要因があると思われますが、このまま投票率低下が続けば民主主義にとって極めて憂慮すべき深刻な事態であると受けとめております。
  24. 武田節子

    武田節子君 私は、特に政党を渡り歩く無節操な政治家存在有権者投票意欲を妨げている大きな要因であると思っております。  例えば、比例区で政党から立候補して、選挙期間中に政党としての政策国民に訴えて選挙公報に公表しているにもかかわらず、当選してわずか数カ月で全く別の政策の異質の政党へ行くということは、これはだれが見ても余りにも信念のない姿と映るのは当たり前ではないでしょうか。参議院は少ないのですが、衆議院には多く見受けられます。立候補者は、政党政策考え方に同意して比例区から立候補しているわけですから、国民もそれを信じて投票行為を行ったわけです。私は、選挙公約形骸化こそ投票率低下国民政治不信につながる最も大きな理由ではないかと思います。  選挙公約は、選挙のとき政治家国民を結びつける最も大事なものでございまして、それをいとも簡単に信念を曲げ、政治家が単なる数合わせのこまになるなど、これほど見下げ果てた卑しい行為はございません。もし、離党した政治家に本当に政治信念があるのであれば、自身政治判断を悔い、議員辞職をして次の選挙で改めて有権者の信を問うのが当たり前ではないかと思います。  大臣は、政治家選挙公約の重みについてどのようにお考えでしょうか。また、比例当選者の、当選後他党への異動についてどうお考えでしょうか、所感を伺わせていただきたいと思います。
  25. 上杉光弘

    国務大臣上杉光弘君) お答えいたします。  申し上げるまでもなく、選挙とは民主主義の根幹をなす制度でございまして、国民の信託に基づき国民や住民の代表たる政治家が選ばれております以上、選挙に際し有権者皆様に対して掲げた公約というものは、我々にとっては極めて重い意味をなすものだと思っております。  御指摘の点は、当然のことであると受けとめております。
  26. 武田節子

    武田節子君 私は、政治家以前の問題として、人間としての人格がどうあるべきかが問われなければならないと思うんです。政治家は公僕として、国政における諸問題、国民に降りかかるあらゆる難問に対して、その解決のために努力をしなければならない存在であることは当然であると言えましょう。  最近の選挙戦を見ておりますと、選挙公約とは全く関係のない週刊誌等の劣悪なデマ宣伝を使い誹謗中傷が行われたり、そのほかにも目を覆うばかりの卑劣な選挙戦がその実態であります。これが国民の信頼を受けて立つ一国の政治をつかさどる人たち選挙戦かとの疑いを持つばかりか、日本の将来を思うとき、甚だ嘆かわしく思います。これでは、国民選挙などする気が起きないのは当然でありましょう。例えば、スポーツにおいても、ルールの中で正々堂々と戦う中に感動があるわけです。政治家行動も、政策を競い、不正に対しては断固として信念を貫き、いかにしたらすべての国民が平和で豊かな生活を享受できるか、責任ある選挙戦行動を展開してこそ、国民政治に目を向け評価するのではないかと思います。  大臣政治家のあるべき姿勢についてどう考えられますか、お伺いいたします。
  27. 上杉光弘

    国務大臣上杉光弘君) お答えいたします。  委員、失礼いたしました。先ほど御質問の中で比例当選者党籍異動について質問があって、これを落としておりましたから、それからお答えを申し上げます。  当選後に離党した議員の資格につきましては、比例代表選挙においても、一たび選挙されまして議員としての地位を有した者は単に一政党代表するものではなく、全国民代表、憲法第四十三条の一項でございますが、そのように法的には何物にも拘束をされない独立した地位にあることから、所属政党から離脱したことをもって議員の身分を失わせるようなことにはならないとの考え方によりまして現行法のような規定になっているものと承知をいたしております。  なお、このことにつきましては、与党政治改革協議会におきましても、政治家個人の倫理問題の一環として協議が今なされておると承知をいたしておるわけでございまして、これらの協議等もその推移を見守ってまいりたいと考えております。  それから、ただいまの御質問でございます。まず政治家の前に人間としての資質というか人格というものが問われておるよと、こういうことに対する考え方でございますが、選挙運動の方法なり選挙公約実態等を踏まえて、政治家のあるべき姿につきましては委員よりただいま貴重な御意見をいただきました。政治家個人人格がどうあるべきか、あるいは政策一貫性が問われるべきであるとの御意見につきましては、私といたしましても、政治家個々が重く受けとめるべきものである、このような認識をいたしております。
  28. 武田節子

    武田節子君 平成九年六月七日に、投票環境向上方策に関する調査研究会によって調査研究中間取りまとめが公表されました。  この内容を拝見しますと、深刻な投票率低下に対して、抜本的な対策というより枝葉的なとらえ方に終始しているのではないかと感じております。もっと客観的に見た、政治あり方にも踏み込んだ研究がなされなければならなかったと思いますが、今回の調査研究を行うに至った経緯についてお伺いいたします。  また、この調査研究会メンバーを見ますと、選挙執行管理面専門家であって、余り政治あり方にまで踏み込んだ抜本的な方策研究は難しいと思います。投票率低下最大要因政治への無関心不信感にあることはだれでもわかっていることでございますから、メンバー学識経験者、民間の有識者等で編成して、もっと真っ正面から提言できるメンバー研究会をつくっていかれたらいかがかと思います。ここにメンバーが出ていますけれども、座長を初め十三名のこのメンバーだけでは、とても投票率を上げるまでの突っ込んだ提言は難しいのではないかというふうに思うわけでございます。それについて、あわせて御意見を伺わせていただきます。
  29. 上杉光弘

    国務大臣上杉光弘君) 投票率低下要因には先ほど来お答えいたしておりますが、政治的無関心政治不信などさまざまなものがあることは御指摘のとおりでございます。  自治省といたしましては、選挙管理執行の任にある立場から、昨年の衆議院議員選挙投票率が過去最低となっておるわけでございまして、なぜそうなったか等も踏まえまして、ことし一月に選挙管理委員会の第一線の担当者を交えた、投票環境向上方策に関する調査研究会を設置いたしまして、選挙管理執行面において有権者投票しやすい環境を整えるべく、制度改正を含めて検討を行ってまいりました。そして、六月にその検討結果を中間報告として取りまとめをいたしまして、また各方面の御意見等も十分お聞きしながら、今回、投票環境向上のための公職選挙法改正案として提出をさせていただいたところでございます。  政治あり方にまで踏み込んで研究を行います学識経験者等を含めた調査研究会を設置してはどうか、もっと専門的に突っ込んだものにして投票率向上のためも含めたあり方検討せよ、こういうことでございます。  この御提案につきましては、その趣旨は十分わかるわけでございます。しかし、なかなか調査研究というものになじむのかどうか。やはり、政党政治家一人一人が政治への無関心不信感等の御指摘を真摯に受けとめまして、政治に課せられた課題の解決に全力を挙げて取り組んでいくことが大切ではないかと考えております。
  30. 武田節子

    武田節子君 なじむなじまないではなくて、なじむように学識経験者、専門的な人たちをぜひとも入れたメンバーで構成していただきたいことを強く望んでおきます。  次に、投票率低下について御質問いたします。  投票率低落傾向が著しい中で、昨年の衆議院、一昨年の参議院選挙投票率史上最低の記録を更新しております。昨年十二月の栃木県知事選も、知事選史上二番目の低投票率二八・〇九%というまことに厳しい状況にあり、報道でも、これでは選挙に勝っても国民の信任は得られないという酷評がございました。  自治省は、この三つの選挙の低投票率についてそれぞれをどう分析されておりますか、伺わせてください。
  31. 牧之内隆久

    政府委員牧之内隆久君) 自治省におきましては、総選挙通常選挙が行われますと、その後に、財団法人明るい選挙推進協会に委託をいたしまして世論調査を行っております。それを見ますと、棄権理由につきましては、選挙余り関心がなかったからとか、適当な候補者政党もなかったからとか、選挙によって政治はよくならないと思ったからといったような政治的な無関心を挙げている比率が増大する傾向がございます。よく言われますように、投票率長期低下傾向というのは、その底流には豊かな社会の中での政治的無関心増大というものがあるというふうに受けとめております。  特に、前回の参議院通常選挙につきましては、政党解散とかあるいは結成などが数多くございまして、政党間の政策違い等国民にわかりにくくなったんではないかといったようなことが、学界なりあるいは報道機関等からはよく指摘されているというふうに承知をいたしております。さらに、昨年の衆議院議員選挙につきましては、新しい制度の中で、例えば従来から支持をしていた方がよその選挙区に移られたとか、そういうような新しい選挙制度影響というものもあったのではないかというふうに考えているところでございます。それから、栃木県知事選挙につきましては、私ども深く承知をしているわけではありませんけれども、報道などによりますと、現職候補者への各党相乗り効果と申しますか、そういうものの影響が大きいというような指摘がなされているというふうに承知をいたしております。
  32. 武田節子

    武田節子君 今、いろいろ低投票率理由を伺いましたけれども、今や我が国の民主政治空洞化現象が急速に進行している実態は深刻に受けとめるべきであります。棄権するのも投票行為の一つという意見もありますけれども、それは無責任と言わざるを得ません。  財団法人明るい選挙推進協会がまとめた昨年の衆議院選挙実態によりますと、棄権した理由の中で最も多いのは、今お話があった、用があったからというのが四〇%、二番目が、選挙余り関心がなかったというのが衆議院では二三%、参議院では二九%となっております。  全体としてその傾向を見た場合、用があったため選挙に行かなかったという人が減少傾向にあり、逆に選挙余り関心がなかったとか、政策、人物についてよくわからなかったとか、あるいは適当な候補者政党もなかったからなどというのが上昇傾向にあります。一般的に、選挙に対する関心が薄く投票に行かなかったという傾向が強くなっていることが明白にあらわれております。また、年齢別に見ますと、参議院では、二十代は六〇%以上が棄権しているという実態を見ますと、まことに将来に不安を感じます。  しかも、実際の棄権率はもっと高いので、それはこの世論調査の中で、調査不能者の二八・九%の中に多くの棄権者が含まれていること、また世論調査の結果の投票率は六三・二%ですが、実際の投票率は四四・五%で一八・七%も高くなっております。これは、世論調査完了者の中には実際は投票していないのに投票したとの偽りの回答をした者がいるためだと言われております。したがいまして、本当の投票率は二五%、棄権率は七五%くらいで、四人に一人しか投票に行っていないことになり、民主政体にとって危機的であると言わざるを得ません。  本当に投票率向上を推進するためには、若年層、特に二十代の棄権を少なくしないとなかなか低落傾向を食いとめることは難しいのではないかと思われます。今後、若年層対策は選挙対策上最も重要であり、若年層対策を講じていく必要があると思いますが、いかがでしょうか。どんな対策を講じようとされておりますか、お伺いいたします。
  33. 上杉光弘

    国務大臣上杉光弘君) 御指摘のとおり、若年層の投票率は、前回二十歳から二十四歳で二二・二一%、二十五歳から二十九歳で二八・五%と三〇%を割っておるわけでございます。この二十代の若い皆さんの投票率が低いということは大変残念でございますし、大変心配をされるところでございます。  これまでも選挙時の投票参加の呼びかけにつきましては、自治省といたしましても、著名なスポーツ選手や若者に人気のあるタレントの皆様を起用したり、あるいは若者の皆さんが行かれる映画館等でのスポットを流したりするなど、若い世代に訴える方法というものを考えながら対応してまいっておるわけでございます。  しかし、このたびの法改正が、二十代の若者が一人でも多く投票に参加するきっかけになることを、私どもはある意味では大変期待もいたしておるわけでございます。投票参加の呼びかけや常時の啓発につきましても、選挙管理委員会や民間団体とも十分連携をいたしまして、さらに工夫を加えてまいりたいと。全く同じ考え方で、大変心配をいたしております。
  34. 武田節子

    武田節子君 今回の改正は、このような棄権した人の中で用があったから投票しなかった人たちに対しては、投票の間口を広げたことで多少の効果はあるとは思います。しかし、用があった人であっても、仕事のためか単なるレジャーのためか、その中身は千差万別だと思います。  過去においても、第三十回衆議院選挙の二時間延長のときと第十回参議院通常選挙において投票時間が一時間延長されたことがありますが、前者は、前回と比較して二・三七%下落で失敗しております。後者は、一三・九七ポイントの上昇をしております。このときのマスコミ報道は、田中政権のときの金権選挙と言われ、中央選挙管理委員長が批判し辞任した選挙でございます。  これから見ると、投票時間の延長投票率向上につながるとはなかなか思えませんが、今回は不在者投票改正が一緒に行われておりますけれども、自治省としては何%ぐらい伸びると推定されておりますか、伺わせてください。
  35. 牧之内隆久

    政府委員牧之内隆久君) 今回の改正によります投票率向上の効果というものを数値で示すことはなかなか困難でございますけれども、投票時間の延長なり、あるいは不在者投票制度の改善によりまして、有権者にとりましてはより投票しやすい環境が整備されることは事実でございますので、投票率向上には相当寄与するものと考えております。  なお、お話の中で、昭和三十八年の第三十回総選挙の二時間延長等のお話がございました。御指摘のように、このときは前回の第二十九回に比べまして若干投票率低下いたしましたけれども、これは一つには第三十回総選挙が平日投票であったということ、それから当時の新聞等によりますと、理由なき解散とか争点なき選挙と言われるような政治情勢であったということ、こういうことも影響しているのではないかと思われます。  大体、選挙というのは、投票率の時間別の推移を見ますと、十二時前後に一つのピークが来まして、そして投票時間終了間近の五時から六時ぐらいの間に急激に伸びるというような傾向を一般的に示すのでありますが、この二時間延長のときも、二時間延長したことによってそれが低減をするということでありますとその効果のほどに疑問があったということも言えますけれども、このときも同じように、六時から八時の間にまた投票率がぐっと伸びております。しかも、若年層がこの六時から八時の間にかなり投票をしているというような調査結果がございますし、また選挙の後の世論調査によりますと六七%、七割近い方は八時まで延長すべきだというような回答をされております。  当時から相当年月もたち、国民のライフスタイルも変わってまいりまして、週末レジャー時代を迎えて週末に郊外等へ行かれる方が非常に多くなったと。さらには、経済のソフト化といいますか、サービス産業の増大ということで日曜勤務の方々も多くなったということもございますので、この六時から八時までの時間延長というものは、相当有権者にとりましては投票機会の拡充そして投票率向上に寄与するものというふうに思っているところでございます。
  36. 武田節子

    武田節子君 投票率向上に大きく期待したいと思っております。  投票実態について職業別に見てみますと、昨年の衆議院選挙参議院通常選挙においても同様の傾向を示しております。参議院選挙の場合、販売サービス業で棄権した人は五三%と過半数を占め、第一位となっておりますし、次に運輸、生産工程が四三%と第二位となっております。衆議院選挙も、棄権した割合はそれぞれ三二%、二九%となっておりますが、順位は第一位、第二位と上位を示しております。  これは注目すべき点ではないかと思うわけであります。デパートなど販売サービスとなれば投票日の日曜日は書き入れどきであり、店を開き休むわけにはいかないというのが実態であろうかと思うわけです。これは労働基準法第七条、公民権行使の保障を規定し、使用者は労働者が労働時間中に選挙権の行使を請求したときは拒んではならないとしていますが、現実に販売サービスに携わる人たちにとってなかなか請求できないのが実情であることを如実に示していると思われます。  この点労働省は、労働者の投票への参加について使用者にどう指導されておりますか。また、自治省としても何か対策を講じておられますか。  デパートなんかは八時までやって、それからお店を閉め、売り上げを整理して、帰るのが十時にはなるというのがほとんどでございます。そういう点も踏まえながら、どのように対策を講じられておりますか、伺わせていただきます。
  37. 青木豊

    説明員(青木豊君) 今、委員指摘のように、労働基準法七条で公民権の保障という規定があるわけでございます。この七条については、労働基準法違反ということで、違反事案等についての問題は私どもとしては特に把握しているわけではございませんが、公民権の中でも選挙権はとりわけ重要ということでありますので、各都道府県労働基準局に対しまして、管内の事業所あるいは関係団体に対しましてこの基準法七条の趣旨が徹底されるように通達をしているところでございます。  今後とも、その趣旨の徹底に努めていきたいというふうに思っております。
  38. 牧之内隆久

    政府委員牧之内隆久君) 自治省といたしましては、総選挙通常選挙のたびに閣議に諮りました上で、すべての省庁に対しまして、一つには、投票当日勤務する政府職員への便宜供与、二つには国会、裁判所、政府関係機関あるいは地方公共団体の職員に対する便宜供与の依頼、三つには、民間の会社、工場等につきましても同様の便宜を図るとともに遅刻、早退等による給与の差し引きを行わないよう関係省庁から協力を依頼すること、それから四つには、投票期日に政府主催の各種行事や催し物等が予定されている場合は、開催期日の再検討なりあるいは開催時刻の調整などを行うよう依頼しているところでございます。
  39. 武田節子

    武田節子君 投票率低下は民主政体の危機ととらえられておりますので、労働省などは労働者の投票への実態をよく調査していただきたいと思います。  不在者投票所の箇所については、役所が郊外にあると大変でございます。不在者投票時間の二時間延長とあわせて、箇所数を増加する意向はおありなのでしょうか。修正案では不在者投票時間が八時までとなると関係職員に過重な負担がかかり、不在者投票所の箇所数拡大が困難になるのではないかと思われます。時間を八時まで延長するよりも箇所数をふやす方が効果が大きいのではないかと思いますけれども、いかがでございましょうか。
  40. 牧之内隆久

    政府委員牧之内隆久君) 不在者投票のできる場所につきましては、全国の市町村の中には支所とか出張所でできるようにしているところもございますが、本庁のみに限られている団体が多いというのが実情にございます。これは、場所の確保とかあるいは職員の確保という問題がございますけれども、有権者投票環境向上に大きく資する問題でございますので、その増設等につきましては今後とも引き続き指導をしてまいりたいというふうに考えております。  今、御質問がございました場所の増設と不在者投票時間の延長との関係でございますけれども、どちらが効果があるかといいますと、これは地域によってそれぞれ区々であろうかと思います。どちらをとるかといったような二者択一というような話ではなくて、いずれも有権者の利便の向上に資する話でございますので、あとは職員確保等の事務負担の増と選挙人便宜向上、この兼ね合いをどう考えるかという問題ではなかろうかというふうに考えておりまして、両者を含めて有権者の利便向上ができるだけ図られるように指導してまいりたいというふうに考えております。
  41. 武田節子

    武田節子君 次に、法案についてお伺いいたします。  十一月四日の朝日新聞、「声」の欄に「疑問点が多い投票時間延長」という投書がございました。一部読ませていただきます。   来年六月以後の選挙投票時間を二時間延長する公職選挙法改正が決まるようです。私は、投票管理者を長年務める者として、これで良いのかと思った。  従来の投票時間でさえ十一時間、立会人は昼食とトイレ休憩以外は席を外せないことになっている。現状では管理者に高齢者が多く、来年からの投票の時、十三時間座り続けて問題は起きないだろうか。  午前と午後に立会人を交代させてはとの検討もなされているようですが、立会人の務めの一つに、二度投票に来る人がなきにしもあらずとの公正な選挙への配慮がある。 と言われていますが、この投書の方の御心配に対する自治省のお考えはいかがでしょうか。  また、手当は国政選挙で一人当たり八千二百円の定額になっていますが、仕事の内容、労働の量からいっても考えるべきものがあるのではないでしょうか。この二点についてお答えください。
  42. 牧之内隆久

    政府委員牧之内隆久君) 今回の改正投票時間が延長されますと、投票立会人の拘束時間も長くなるわけでございまして、現在でも投票立会人の確保に御苦労されているというふうに承知をしているところでございますが、ますます困難になるということも予想されます。  また、今御紹介ありました新聞の投書にありますように、投票立会人の方々のお仕事というのも大変でございますので、投票立会人の交代制につきましては、投票の公正確保に十分配意しつつ、それが可能となるように前向きに考えてまいりたいというふうに考えております。法律事項ではございませんので、対応可能かと存じます。  それから、立会人の報酬の話でございますが、投票時間も二時間延長されますので、所要の単価引き上げにつきまして検討いたしたいというふうに考えております。
  43. 武田節子

    武田節子君 次に、不在者投票することの該当者の条件についてお伺いいたします。  不在者投票について、手続から資格審査、投票終了まで、現行改正後、実際にどう変わったのか、何か便宜が図られるのか、国民が理解できるよう具体的に説明いただきたいと思います。
  44. 牧之内隆久

    政府委員牧之内隆久君) 現行法では、不在者投票投票当日に投票所で投票できない者について認めるということになっております。  今回の改正法におきましては、いわゆる不在者投票事由に該当すると見込まれる者について不在者投票ができるというふうに仕組みを改めたところでございますので、これまでのように請求書や宣誓書に事細かに理由を書いたり、あるいは用事のある時間帯を書いたり、あるいはそのことを職員から問いただされるというようなことはなくなるものというふうに考えております。それから、不在者投票事由も大幅に緩和をしたということでございます。例えば、用務が不在者投票になりますのは、これまでですと市町村の区域の外でやむを得ない用務というふうに限られておりましたけれども、今回の改正法では投票区の外の用務であればいいし、やむを得ないかどうかも問わないというふうに緩和をしたということでございますので、この点でも大きな改善になっていると。さらには、不在者投票の時間延長がなされるということでございます。  そういうもろもろの点から、投票機会というものはかなり改善をされるのではないかというふうに考えているところでございます。
  45. 武田節子

    武田節子君 次に、在宅投票についてお伺いしますけれども、現行では郵便投票は施行令第五十九条の二に該当する者のみ認められています。これらの該当者の平成七年の参議院通常選挙における郵便による投票を行った人はどれくらいありましたでしょうか、御報告いだだきたいと思います。
  46. 牧之内隆久

    政府委員牧之内隆久君) 平成七年の通常選挙の場合でございますが、比例代表選挙で二万七千七百四十八票、選挙選挙が二万七千七百六十八票となっております。
  47. 武田節子

    武田節子君 平成七年国民生活基礎調査によりますと、六十五歳以上の寝たきり等の要介護者は八十六万一千人となり、また寝たきり老人の数は二〇〇〇年には百二十万人、二〇一〇年には百七十万人、二〇二五年には二百三十万人と増加傾向にあり、この方たちは高い政治意識がありながら、投票したくてもみずから投票所に行けないために選挙権を行使することが不可能であり、みずからの意思で投票しない棄権者と同様に扱われるというのは実質上選挙権を剥奪していると言わなければなりません。  以前、在宅投票制度を廃止した原因が、当時の制度の不備や関係者の無責任につけ込んだ悪質な選挙運動が大量の不正を生み出してしまったことにあると言われております。しかし、前に述べましたように、寝たきり老人が増加傾向にあり無視することができない状況にあることから、技術的問題をクリアすれば在宅投票も可能になるのではないかと思われます。特に、投票率向上の必要性から今回の公選法の一部改正法律案が出されたのですから、こうした人々に投票手段の確保策も当然考えるべきではなかったのでしょうか。  自治省は在宅投票の緩和を検討していくべきと思いますが、いかがでしょうか。
  48. 牧之内隆久

    政府委員牧之内隆久君) 御指摘のありました寝たきり老人の方々など、事実上投票参加の機会が閉ざされている方々の参加の方法をどう確保していくかということは極めて重要な問題というふうに認識をいたしております。  ただ、参加の方法としてどういう方法があるのかということでございますが、御指摘ありました郵便投票ということが一つの案としては考えられるのでありますけれども、お話がございましたように、過去に大きな不正があって一たん廃止をされて、そして昭和四十九年に、身障者等一定の基準を満たす方々に限って厳格な要件のもとに認められるようになったというような経緯があるわけでございます。寝たきり老人の方々に郵便投票を認めるということにつきましては、どのような状況の方を寝たきり老人とするかにつきまして、全国的に均一的な取り扱いが可能かどうか、あるいは公的な証明方法をどうするのかといったような公正確保という面から検討すべき課題が幾つもございます。  そういう課題解決に向けて、今後とも検討を続けてまいりたいというふうに考えております。
  49. 武田節子

    武田節子君 ぜひ御検討をお願いしたいと思います。  今回の改正に当たって、選挙結果をいち早く国民に伝えることは重要なことでございます。即日開票体制は可能なのでしょうか。当然、投開票に当たっては、その公正確保が最も大事であることは言うまでもございません。その上で、開票速報、選挙報道に支障が生じないよう開票の作業の迅速化を図るべきでありますが、いかがでございましょうか、お伺いいたします。
  50. 牧之内隆久

    政府委員牧之内隆久君) 投票時間が二時間延長になるということによりまして、大都市圏を中心に、一部の市区町村におきましては即日開票が困難になるおそれがあるというふうに考えております。  どの程度の市区町村が即日開票が困難なのかということは現段階では正確に把握をしておりませんけれども、私どもといたしましては、各市区町村に対しまして、まずは開票開始時刻をできるだけ早めてもらう、あるいは自然に開く投票用紙というものを活用してもらう、それから枚数計算機といったようなものも導入されていないところは導入してもらう、そういうことでいろいろ知恵を出してもらいまして、できる限り即日開票ができるように指導してまいりたいというふうに考えております。
  51. 武田節子

    武田節子君 今回の改正に伴う国政選挙執行経費の支出増については、地方公共団体の負担増とならないように措置を講ずべきであると思いますけれども、この点はいかがでございましょうか。
  52. 牧之内隆久

    政府委員牧之内隆久君) 御指摘のように、必要となります国政選挙の執行経費につきましては、地方公共団体の負担増とならないように、国会議員選挙等の執行経費の基準に関する法律を改正することによりまして適切に対応したいというふうに考えております。
  53. 武田節子

    武田節子君 今回の改正における投票率向上策は有権者が知って初めて効果があるわけでありますから、肝心のPRはどのように行いますか、お伺いいたします。
  54. 上杉光弘

    国務大臣上杉光弘君) お答えいたします。  本法案が有権者投票環境向上を図ることを主眼にいたしておりますことは申すまでもないことでございまして、このことにかんがみますれば、有権者へのPRの重要性については全く御指摘のとおりで同感でございます。  今回の改正の内容については、パンフレットや新聞広告等各種の手段を活用してその周知徹底に努めるべきものと考えております。また、都道府県、市区町村の選挙管理委員会におきましても、広報紙に改正内容を載せるなどして、積極的にさらに周知徹底に取り組んでいただくようにお願いをいたしてまいりたいと考えております。
  55. 武田節子

    武田節子君 平成七年の参議院選挙世論調査によりますと、あなたはどの選挙に最も関心がありますかの問いに対しまして、参議院選挙関心が最も薄く、ゼロに近い結果になっております。参議院が他より低い投票率になっていることが、参議院としては心配すべきでございます。二院制における参議院の危機と言わなければならないと思います。これは制度全体の問題として参議院全体が真剣に取り組むべき課題であることを訴え、大臣にお答えいただいて、私の質問を終わります。
  56. 上杉光弘

    国務大臣上杉光弘君) 御指摘のとおり、参議院は、衆議院の議論が足らざるものがあればこれを補完し、出過ぎたものがあればこれを抑制し、その論議の中にバランスを持つということは当然の役割でございまして、参議院のそうした権威を高め、役割をしっかり果たしていくことは当然のことかと思います。これは当然、御指摘のように参議院投票率等にも微妙な影響を及ぼすものと思っております。最近の選挙における投票率は著しく低下傾向にございまして、特に前回の参議院通常選挙投票率は四四・五%、また国政選挙として初めて五〇%を下回っておるわけでございまして、深刻にこれを受けとめなければならぬと考えております。  お尋ねの参議院議員選挙制度改革につきましては、与党三党では昨年十月三十一日の政策合意におきまして、議員定数の削減を前提にし、民意がよりょく国政に反映されるよう、早急に選挙制度の面からも、権威を高めたり役割をしっかり果たすということとは別にこの選挙制度の見直しを開始すると、明確にここに合意をしておるわけでございまして、鋭意検討が行われておると承知をいたしております。  また、平成会におきましては、さきの通常国会参議院議員選挙制度改正を内容とする公職選挙法の一部を改正する法律案提出されまして、本国会に継続審議となっているものと承知をいたしております。この問題につきましては、今後さらに国会を初め各党各会派で十分御論議を深めていただき、自治省といたしましては、その結果等を踏まえまして適切に対処してまいりたいと考えております。
  57. 武田節子

    武田節子君 終わります。
  58. 平野貞夫

    ○平野貞夫君 平成会の平野でございます。武田理事に引き続きまして質問をさせていただきます。  最近の各種選挙における投票率低下現象は、確かに深刻な問題でございます。しかし、投票率向上というのは、基本的には国民政治意識の向上という質を伴わなければ、これまた問題があると思います。今回議題となっております公選法改正案、自治省でいろいろ検討なさって、技術的な面で投票率向上を図ろうという幾つかの案につきまして、私自身は、例えば投票方式の改革とか、自書式を記号式に改めるとか、そういう投票実態の改革等の注文もございますが、現時点では、皆さん事務当局の方が知恵を絞って出されたもので一定の評価をしております。  しかし、何といいましても、これは別に選挙を管理しています自治省投票率低下の責任があるわけじゃございませんでして、私たち政治の方に本質的には責任がある問題でございます。そういう点から、少し角度を変えまして最初に大臣にお聞きしたいんです。  唐突な質問でまことに恐縮ですが、上杉自治大臣、今の日本の政治あるいは国家を民主主義国家とお思いでしょうか。
  59. 上杉光弘

    国務大臣上杉光弘君) お答えいたします。  我が国は法治国家であり、民主主義の国家だと認識いたしております。
  60. 平野貞夫

    ○平野貞夫君 私も、大臣のおっしゃることはよくわかるんですが、議会制民主主義国家といいましても世界じゅういろいろございます。我が国の議会制民主主義という制度は、明治に導入して約百十年ぐらいになるわけでございますが、いわゆる欧米の議会制民主主義国家の先進国から比べればかなり特殊で、かなり問題があるんじゃないかという意識を私は持っておるんですが、その点についてはいかがでございましょうか。
  61. 上杉光弘

    国務大臣上杉光弘君) 我が国は明治新政府以来、近代国家を目指しまして、西洋のすぐれたもの、あるいは制度的にも社会的にも政治的にも、あるいは議会制度国会のありようも含めて、その経験や知識というものを導入してきたわけでございます。今日の政治のありようについては、御指摘のとおり問題もあるかもしれないが、日本独特の土壌の中で育ってきた議会制民主主義ではないか、そのように認識いたしております。
  62. 平野貞夫

    ○平野貞夫君 日本独特の土壌の中で育ってきた議会制民主主義ではないか、こういうお話でございますが、そのとおりだと思います。私もその御意見に賛成でございます。その日本独特の土壌で育った民主主義というのが一体どういうものかということが問題でして、そういうことが結局は投票率の問題、国民政治意識の問題につながるのではないかと私は思っておるわけでございます。  そこで、ここのところ経済界は大変でございます。金融不安、証券会社の倒産、銀行の破綻、そういうものが続出しております。そういう日本の現状を考えてみますのに、私は、やはり株式会社なり企業を運営していくに当たっての日本人の特殊な考え方、日本の特殊土壌で育った日本人の考え方の破綻、いわばグローバリゼーションに向かっての悩み、あるいはあつれきといいますか、そういうものではないかと思います。  それから同時に、今の政治の閉塞性あるいは日本の民主政治あり方国民あるいは国民だけではなくて、我々政治家政治運営に対する認識というものがかなり世界の標準的なものと違って特質的なものであり、それをやっぱり変えるといいますか、改善するといいますか、改革するといいますか、それをやらないことには経済も政治もこれからの日本はうまくいかないという、そういう大きな波に今洗われているんじゃないかというふうな認識をしているんですが、その点について大臣の御所見はいかがでしょうか。
  63. 上杉光弘

    国務大臣上杉光弘君) 突然の質問ですから私も用意がございませんが、我が国は法治国家ですから法律が千三百本以上あります。省令や通達が千七百本当ておると私記憶いたしておりますが、それらのものは、人生五十年と言われるときにほとんどのものが発布をされたり通達が出されておるわけです。そうなりますと、今人生八十年ですから、おのずと一人の人間が生きていくためには三十年のギャップが生じております。したがって、そういうものも含めた我が国の全体的な対応というものは、ある意味では初めての経験でもあり、非常に戸惑いもあろうかと思うんです。  また、諸外国と比べましても、これだけ高齢化が短時間のうちに進んだ国はありません。また、一番の長寿国でもございますから、社会の構造というか社会の仕組み、もちろん社会保障や教育あるいは経済、財政、税制、すべてのものに及ぶ問題が、非常に国際的にも国内の対応としても、通用しない法律や制度の仕組みにもあるのではないかというのはさまざま今議論をされておるところでございまして、橋本内閣は、そういう意味ではそういうところにしっかりした改革をしていこう、こういうものではないかと。したがって、高齢化が、進みギャップが生じたことに対する対応というものは若干おくれておるかもしれぬけれども、それに対する改革はやっていこうという意欲を持ってこの問題に取り組んでおるわけでございます。  委員が御指摘のとおり、そのようなものに対応しようということは当然のことだと、こういう認識をいたしております。
  64. 平野貞夫

    ○平野貞夫君 御丁寧な答弁ありがとうございます。  日本人の政治意識の向上それから投票率向上、こういったことを考える際に、日本の議会政治の本質実態というのは何かということをどうとらえるかということが非常に大事だと思います。  現在、列国議会同盟、IPUという組織が世界にありまして百三十八カ国加盟しております。いわば世界で百三十八カ国が議会政治政治をやっておるということになっておるんですが、私の調査によりますと、常識的に、教科書に近い形で、いわゆる政治参加の自由それから結社の自由それから表現の自由ですか、この基本権を持って議会政治が行われている国というのは三十カ国足らずでございます。それが世界の政治実態でございます。ソ連圏が分かれましたので多少数は変わると思いますが、私は、大臣先ほど御指摘のように、日本もこの三十カ国の中に入ると思います。  そこで、その中で日本がどういう位置づけにあるかということを申しますと、その三十カ国のほとんどはキリスト教文化圏でございます。恐らく、キリスト教文化圏でないのは日本ぐらいなものじゃないかと思います。ですから、議会政治というのはもともと歴史的にキリスト教文化圏で育った政治制度、それを我が国のような東アジアの村社会といいますか閉鎖的な社会が明治に取り入れて、今活用しているわけでございますが、そういうことからいいますと、先ほど大臣のお話のように、日本人というのはよく頑張っているということが言えると思います。ただ、現在のこういう大きなグローバリゼーション、これは経済だけじゃございません。政治も文化もあらゆる面で波に洗われております。その場合に、どうしても日本人の意識というのが世界の基準、国際的基準になっていかなければいけないわけですが、実は投票率向上問題、政治意識の問題もまさにその変革期にあるものですから、極めて混沌としているんじゃないかと私は思っておるわけでございます。  そこで、何といいましても日本人の伝統的、歴史的なよい物の考え方は、これは保守し発展させていかなきゃいけませんが、やっぱり世界の中で生きていくためには、世界のそういう議会政治のスタンダードなものを国民自身政治家自身が身につけなきゃいかぬ。その場合に、やはり自律性それから責任性、それから合理的に物を見るということが非常に大事だと思います。この点につきましては、私自身も完璧にできているわけじゃございませんが、非常に問題があると。  したがって、投票率向上問題は自治省に全部しょわせているわけじゃございませんが、やっぱり選挙というものは本質的にどういうものか。そして、選挙によって議会政治が行われる結果世の中がどうなるんだ、生活と選挙というものはこんなに関係があるんだということを、選挙思想といいますか選挙制度の普及活動は、私は、自治省にとっても政府にとってもやはり重要な課題だと思いますが、その辺の位置づけについてはどのようなお考えでしょうか。
  65. 上杉光弘

    国務大臣上杉光弘君) 選挙というこの制度は、民主主義の基盤であることには間違いありません。したがって、選挙国民の生活に直結し、国家のありように直結することも事実でございます。  ただ、国民は、我が国の政局というものが二大政党に向かうのか、あるいは多党化という現象の中で連立政権というようなものの方向でいくのか非常に戸惑ったものがあると思うんです。ですから、国民が安心して政治が見ていられない、あるいは信頼が寄せられない、もう一つ突っ込んで言えば期待もかけられない、こういう今の状況は、私は今までなかったと思うんです。極めて憂慮すべき事態でありますから、こういうものの中で並行して、選挙制度あり方がどうなのか、国民皆様から投票していただくための環境づくりをどうするのか。これはもう全くセット論でございまして、一つ一つ切り離していくべきものではないし、またそれでは効果が上がらないと思うんです。  私もみずから政治家でございますから、国民の信頼をかち取り政治に対する期待感が集まるように、これは努力をして個々が頑張っていくべきことが投票率にも必ずつながるし、またそれぞれの政党や国全体としての政策のありようというものも投票とは無関係ではない。それから、国民生活の現場からそれぞれ国民意見を持ち、考え方を持っておるわけでございまして、そういうものも必ず投票には反映されるべきものと考えておるわけでありますから、全部連動した形で、セットで、この問題は民主主義の基盤として選挙制度あり方というものを考えていかなければならぬと認識いたしております。
  66. 平野貞夫

    ○平野貞夫君 よくわかりました。  何百年も議会を続けておる英国でも、幼稚園の絵本に議会の歴史なり議会というのが自分たちの生活にどんなに大事かということを書き込んで教育しておるわけでございます。それから、ナチス、ヒトラーを生んだドイツでは、やはり膨大な経費を使ってデモクラシーの大事さについて啓蒙しております。ぜひひとつ、要望でございますが、自治省におかれても、国会においても当然やることでございますけれども、もう我々は制度を導入した直後じゃございませんので、そういう独自な日本のいい制度をどうやって確立するかという意味でも、新しい思想普及活動をお願いしておきます。  それから、議会のもう一つの機能は、例えばヨーロッパの議会ですと教会というのが、教会から議会が分離するわけですが、教会が個人の心の議会、そして議会はいわば社会的教会という位置づけで、生活そのものに溶け込んでおるわけなんです。ぜひ日本も、議会が本当に国民生活と一体になるときが早く来てほしいものです。したがいまして、欧米の議会では、社会的教会の中でうそをつかないということと、それからやはり国会議員は、社会的倫理について非常に厳しくおのれを律しておるということがあるわけでございます。非常に我が国の場合にはそういう点もルーズでございまして、私も先般本会議で指摘しましたように、いろいろ問題があるわけでございます。  しつこいようですけれども、ちょっとそれの詰めをさせていただきたいと思います。  私は先般の本会議で、お二人の方の政治団体の機関誌が広告料名目で政治資金を集めている問題を取り上げました。自民党の森総務会長と加藤幹事長のことでございますが、森総務会長の場合に、機関誌「春風」の収入約五千九百六十万円のうち、広告費が約五千八百四十万円、約九八%を占めています。加藤幹事長の場合は、機関誌「雲霓」の収入約八千万円のうち、広告費が約六千百八十万円、約七七%を占めています。常識的に見ますと事実上の企業献金、ですから政治資金規正法二十二条で言う寄附の制限、この脱法行為ではないか。  広告料については規制がないわけでございまして、そういう認識を私はしておりますが、自治省、どのような御見解でございましょうか。
  67. 牧之内隆久

    政府委員牧之内隆久君) 一般論として申し上げますれば、機関誌等への広告料の支払いは、その代金が著しく高額で社会通念上の価額を超える場合でない限りは、広告の掲載に対する対価の支払いとして寄附には該当せずに事業収入になるものというふうに考えておりますが、個々具体の問題につきましては、私どもは事実関係を調査する権限等を有しておりませんので、お答えできないということを御理解いただきたいと思います。
  68. 平野貞夫

    ○平野貞夫君 私は、やっぱり社会通念を超えたものではないかと思っております。極めて著しく超えたものではないかと思います。ですから、これはやはり本当は法的措置で争われるべき問題だと思います。  この問題は、恐らく水かけ論になりますからこの程度にしておきますが、現在の規正法の抜け道といいますか、それをねらった行為ではないかと思うんですが、その点についてはいかがですか。
  69. 牧之内隆久

    政府委員牧之内隆久君) 先ほど申しましたように、寄附につきまして政治資金規正法は一定の定義を置いているわけでございまして、その寄附に当たるかどうかというのは個々具体の事実関係一に即して判断をさるべき問題でございますので、抜け道云々につきまして私どもから答弁を申し上げる立場にないということを御理解いただきたいと思います。
  70. 平野貞夫

    ○平野貞夫君 それではちょっと角度を変えて申し上げます。  広告料、私はこれはかなり大きな問題だと思っているんです。こういうことができるということは、あるいはこういうことをやっても今のようなお答えだということは、やはり機関誌の広告料について法的規制がないことに原因があると思いますが、私は規制がやっぱり必要だと思っております。その点どういうふうなお考えでございますか。
  71. 牧之内隆久

    政府委員牧之内隆久君) 広告料は、一般には事業収入ということでございまして、広告の掲載に対する対価というふうに一般には観念をされるわけでございますので、そのものをどうやって何ゆえに規制の対象にするのかという問題があろうかと思いますし、また社会通念上、一般に考え得るような対価を著しく超えるといったものにつきましては、現在の政治資金規正法でもそれは寄附に当たる場合があるということで考えておるわけでございますので、どういう検討が可能かということについては、この場でお答えすることはちょっと難しいかと思います。
  72. 平野貞夫

    ○平野貞夫君 もうちょっと詰めたいところですが、現行法でも社会通念を超える場合にはいろいろな展開ができるというお話でございましたが、ちょっとまた別の角度からお聞きしたいと思いますが、国税庁お見えだと思います。  私は、本会議でこの加藤、森両氏について脱税、所得税法違反という角度から申し上げたんですが、これは私の間違いで不勉強でございます。橋本総理は、答弁でむしろ法人税との関係を指摘されたわけですが、それはそのとおりだと思います。  そこで、国税庁にお聞きしたいことは、政治団体の収益事業から生じる所得は法人税の課税対象となるかどうかということでございます。
  73. 小武山智安

    説明員(小武山智安君) お答え申し上げます。  法人税法上、政治団体は、一般的に公益法人等または人格のない社団等に該当いたしまして、特掲された三十三の収益事業を営む場合に限り、その収益事業から生ずる所得につきまして法人税を課することになるわけでございます。
  74. 平野貞夫

    ○平野貞夫君 そうしますと、機関誌など出版事業を政治団体がやっておるところがあると思いますが、それも収益事業であり、状況によっては法人税の課税の対象となるというふうに考えてよろしゅうございますね。
  75. 小武山智安

    説明員(小武山智安君) 法人税法上、人格のない社団等及び公益法人等が行う出版業は収益事業に該当するわけでございますけれども、学術、慈善その他公益を目的とする法人がその目的を達成するため、会報を専らその会員に配付するために行うものにつきましてはその範囲から除外されております。  政治団体の行う機関誌発行事業につきましては、その内容が政治団体本来の公的活動としての実体を備えまして、かっただいま申し上げました要件に該当すると認められる場合には収益事業に該当せず、法人税の課税関係は生じないということになっておるわけでございます。
  76. 平野貞夫

    ○平野貞夫君 そうしますと、政治団体が発行する機関誌が公的な活動であって、そして会員に頒布されるという範囲においては課税の対象にならない、こういうことになると思いますが、それでは、会員だけでなく書店で不特定な読者を対象に販売して収益を得ている場合には、それは法人税の課税対象になりますね、これは一般論としての答弁でよろしいですが。
  77. 小武山智安

    説明員(小武山智安君) 政治団体の行う機関誌発行事業につきましては、その内容が政治団体本来の公的活動としての実体を備えまして、かつ学術、慈善その他公益を目的とする法人がその目的を達成するため、会報を専ら会員に配付するために行うものにつきましては、先ほど申しましたように収益事業に該当しないこととされております。  この場合、政治団体の発行する機関誌につきましては、その出版の目的、内容、配付の形態等をよく見きわめた上で収益事業に該当するか否かを判断するということになると承知しております。
  78. 平野貞夫

    ○平野貞夫君 橋本総理はさきの本会議で、要するに法人税の課税関係は生じないという答弁を私にしておりますが、今の御答弁だと若干ずれがあるような感じがしますが。
  79. 小武山智安

    説明員(小武山智安君) 先ほども申し上げましたとおり、政治団体の行う機関誌発行事業につきましては、その内容が政治団体本来の公的活動としての実体を備えまして、また、そういった専ら会員に配付するために行うものというようなことでございました場合には収益事業に該当せず、法人税の課税関係は生じないと、本会議で総理もそのようにお話しされていたと思います。
  80. 平野貞夫

    ○平野貞夫君 書店等でかなり販売して収益を受けているものだったら、課税の対象になるんじゃないですか。
  81. 小武山智安

    説明員(小武山智安君) 繰り返しになり恐縮でございますけれども、その政治団体の発行する機関誌につきましては、出版の目的それからその内容、配付の形態等をよく見きわめた上で収益事業に該当するか否かということを判断することになると思っております。
  82. 平野貞夫

    ○平野貞夫君 具体的なことを言うとちょっとまた角が立ちますが、加藤さんの場合、平成六年一月から発行されています「雲霓」、年四回出しておりまして部数が四万部、定価が千二百円、昨年は約八千万円の売り上げ、そのうち広告料は約六千百八十四万円、そしてこれは国会の本屋で売っているんですよね。これは一面百四十万円の広告料を取っているわけなんですね。そして、文研堂二店、文鳥堂、それからこれは確認していませんが、丸善や紀伊國屋の各書店にも交渉して販売してもらおうというような計画があったようなんですが、もちろんこれは立派な機関誌でございます。四万部、しかもこれだけの本屋で販売しようとする、これなどは当然課税の対象にすべきだと、私はそう思っております。  その問題については、やはり一方で企業からの献金の抜け道ではないかという論も政治的には立つわけでございますので、国税庁としてぜひこの問題を検討、調査していただきたいと思いますが、いかがですか。
  83. 小武山智安

    説明員(小武山智安君) まことに恐縮でございますけれども、個別にわたる事柄につきまして具体的に答弁することにつきましては差し控えさせていただきたいと思います。  一般論として申し上げますと、国税当局は、従来より常に納税者の適正な課税を実現するという観点から、あらゆる機会を通じまして課税上有効な資料、情報の収集に努めまして、これらの資料と納税者から提出された申告書等を総合検討した上で、課税上問題があると認められる場合には、実地調査を行うなどにより適正な課税の実現に努めておるところでございます。
  84. 平野貞夫

    ○平野貞夫君 この場で明確なお答えは無理だと思いますので、この点についてはこの程度にしておきますが、財政改革、本当に税金は余計欲しい時代でもありますし、また政治的指導者がそういう形で、社会通念上これは脱法じゃないか、脱税じゃないかと思われることもこれはよくありません。こういったことが政治不信投票率低下につながりますので、ぜひひとつ調査を要請、要望しておきます。  政治倫理にかかわる問題でもう一点自治省にお聞きしておきますが、泉井氏の証人喚問が二十八日、衆議院予算委員会で行われることが決まっております。  参考のため自治省に確認したいんですが、平成六年、七年、八年分の加藤紘一氏、山崎拓氏、小泉純一郎氏の資金管理団体収支報告書に、泉井純一氏または泉井氏の企業、泉井石油商会からの寄附は記載されていますか一いませんか。これはイエス、ノーで結構でございますので、お答えいただきたいと思います。
  85. 牧之内隆久

    政府委員牧之内隆久君) 御質問のございました、山崎拓氏の資金管理団体は拓政会、加藤紘一氏の資金管理団体は社会計画研究会、小泉純一郎氏の資金管理団体は東泉会であります。資金管理団体の制度平成七年からでありますけれども、当該団体の平成六年から八年の収支報告書を確認いたしましたところ、いずれも泉井純一または泉井石油商会という寄附者の記載はございません。
  86. 平野貞夫

    ○平野貞夫君 わかりました。  余りこんなことばかり聞いていると、何だということになりますので、少し別の問題を取り上げてみたいと思います。  平成五年から六年にかけまして政治改革というのをやったわけでございますが、そのときに、自治省案ではたしか、今の自書式投票制度を記号式に変えるというのが政府原案だったと思います。私どもは記号式に変えた方がいいということだったんですが、いろんな状況の中で現行のまま残されたわけでございます。  自治省は、今の自書式投票投票率低下とかそういうものにつながっているんではないか、あるいはつながっていると考えなくても自書式投票方式というのは変えた方がいいんじゃないかという御意見でしょうか。現段階での御意見をお聞かせください。国税庁の方は、どうぞもう結構です。
  87. 牧之内隆久

    政府委員牧之内隆久君) 平成六年の衆議院議員選挙制度の大改革の際は、自書式が記号式に投票方式は改正をされたわけでありますけれども、その後、議員提案によりましてもとの自書式に戻ったという経緯がございます。  自書式が投票率向上に寄与するかどうかという点につきましては、識字率が非常に高い我が国におきましてはさほどの影響というものはないのではなかろうかというような感じを持っておりますが、開票事務等の迅速化、これには寄与するのではないかというふうに思っております。ただ、一方では、非常に候補者等が多くなりますと、投票用紙の作成等に非常に支障を来すといったような問題もあるというふうに認識をしているところでございます。
  88. 平野貞夫

    ○平野貞夫君 そうでございました。私も勘違いしておりました。一たんは成立して、そのとおりでございます。  即日開票の問題だとか、それから当落を早く国民が知るという意味で、やはり記号式にした方がいろんな意味で、例えば投票の時間をもっと延ばせるんじゃないかということになると思いますが、しかし世界の傾向は、記号式を通り越して電子投票制度というのをやっておるわけでございます。私たちもこの電子投票制度については非常に高い興味を持って、平成会を構成している新進党の中で議員研究会をつくって導入すべく勉強しているところでございます。  自治省としては、この電子投票制度をどういうふうに評価、あるいは問題点ほどこだというふうに思われているんでしょうか。
  89. 牧之内隆久

    政府委員牧之内隆久君) 電子投票式につきましては、まず現在の自書式を記号式に変えるということが前提になるわけでございますので、先ほど来御指摘のあった点、あるいは私からお話し申し上げた点につきましてどういうふうに問題を整理していくかということが一つあろうかと思います。  それから、これを導入するということになりますと多額の費用を要します。また、セキュリティー対策等検討すべき多くの問題がございまして、早急な導入というのはなかなか困難であろうというふうに思っております。しかしながら、有権者の利便性向上の点から、あるいはまたこれが理想的な形になりますと、どこからでも投票ができるというようなシステムも理想的な姿としては構築可能でございますので、そういう点から申し上げましても将来的には重要な課題ということで、私どももそれなりに研究を進めているところでございます。  ただ、電子投票制度ができれば、だれでもどこでも投票ができるんだというようなことがよく言われるわけでございますけれども、そういう理想的な姿ができ上がりますためには、各選挙管理委員会選挙人名簿がデータベース化されまして、それがまた各地方公共団体のネットワークで結ばれる、さらには本人確認、選挙人名簿の登録の有無等がICカード等で確認できるといったようなシステムができることが前提になります。その前提といたしまして、現在自治省の方で住民基本台帳のネットワークシステムというものを研究しておりますけれども、これの実現というものにつきまして私ども大きな関心を持って見守っているところでございます。
  90. 平野貞夫

    ○平野貞夫君 ちょっと確認したいんですが、将来電子投票制度を導入するとして、その前提として、やっぱり一たん記号式投票制度をやっておかなきゃ移せない、こういうことですか。
  91. 牧之内隆久

    政府委員牧之内隆久君) 電子投票にはいろいろな段階があると思いますけれども、やはり端的なものは、画面に候補者等の氏名が出てまいりましてそれを電子ペン等で指示する、そうするとそれで投票が終了して、その結果が機械で集計をされていくというようなものが電子投票ということであろうと思います。  そして、理想的な姿としましては、先ほど申しましたように、データベースとかネットワークとか、あるいは本人確認のICカードというようなものがセットされるというのが理想的だろうと思いますけれども、画面に提示された候補者名等を電子ペン等で指示するということになりますと、これはもう自書式ということは離れるわけでございます。
  92. 平野貞夫

    ○平野貞夫君 先ほど武田先生それから大臣からも、若年、二十代の方の投票率が著しく悪いという御指摘があったんですが、私は、やっぱり明治時代から続いている今の自書式投票方式、こういうものに原因の一つがあるんじゃないかというふうに思うわけでございます。  一つの考え方は、やっぱり候補者たるもの、自分の名前をそこに魂を込めて書いてもらうということにもそれはそれなりの意義というのはあると思いますが、やはりパソコン、コンピューター時代になって、生活習慣からいっても物の発想からいっても、若い人たちは今の自書式に心理的についていけない側面があるんじゃないかというふうに思っているわけでございます。  そこで、導入の方法はいろいろあると思います。いろいろな段階があると思いますが、自治省も早急にそういう研究、準備というものの態勢に入っていただきたい。経費はかかると思いますが、こういうものにつきましてはまた内需拡大の一つにもなると思いますし、それと、やはり世界の政治運営の標準的なものに我々の選挙制度もちょっとでも近づく、なじむためにも、ぜひできるだけ早くそういうものに取り組んでいただきたいと思います。  先ほど、将来においてはそういうことだという感じの答弁だったんですが、およそ何年ぐらい、二十一世紀のどのくらいには、これは政治が判断することですから、法律を決めることですから、それは我々の問題でしょうけれども、そちら側としては準備ができるかという、そんな感じのことは言えませんか。
  93. 上杉光弘

    国務大臣上杉光弘君) 御案内のとおり、若年層対策はあらゆる知恵を絞らないといけないと思うんですね、二十代は三〇%以下ですから。  それで、経費増がどういうものになるのか。それから、セキュリティーとしての安全対策、ハッカーが侵入したらもうめちゃくちゃになっちゃうわけですね。あるいは、事故が起こる。あるいは、停電があったときはもう投票ができない。そういうことも含めて対応ができるのかどうか。もう一つは、個人の確認がどうなのかというのは、先ほど部長からも言いましたように、住民基本台帳のネットワーク化、そういうものとの整合性の問題もあろうかと思うんです。  それを前提で申し上げますが、御指摘の電子投票式につきましては、これは先ほどのこと等を含めて、直観的には早急な導入は非常に困難だろう、こういうふうに思います。しかし、将来に向かいまして、有権者の、特に若い人たちの志向からすれば、利便的な向上の面からすると、選挙管理執行の効率化の面からいたしましても将来的には重要な課題である、私はそういう認識をいたしております。  いずれにいたしましても、電子投票システムの導入のためにはICカード等によります本人の確認が絶対必要となってくるわけでございまして、現在各種の住民サービスの基盤となる住民基本台帳のネットワークのシステム構築化に向けまして検討を進めておるところでございます。住民のそういったものが確認できるという検討はもう既に進めておる。さらに、このシステムができますとカードによる本人確認が可能となってきますので、当面はこのネットワークシステムの導入の進展も見ながらでございますが、踏み込んでお答えしますけれども、私は、大臣としては電子投票制度についての基礎的な研究というものは進めたいと考えております。
  94. 平野貞夫

    ○平野貞夫君 ただいまのお話のように、ぜひ積極的に進めていただきたいと思います。  日本の選挙制度というのは明治からずっとやっておるわけでございますが、本質的に、あれをやつちゃいかぬ、これを言っちゃいかぬ、こうしちゃいかぬという、いわばべからず法だと思います。戦後、憲法のもとに新しい公選法をつくりましたが、やはり極めて複雑で、難解な言葉で、やってはいけないことを規定するという質は変わっていないと思います。これは日本の後発型デモクラシー、いわゆる管理デモクラシーという、官僚が議会を管理・指導するといいますか、そういうことで進んできたからだと私は思います。  それもある時期、やむを得ない時期もあったかと思いますが、今の時代に、もうこれは選挙の本当の意味というのを政治もお役所も大いに国民に普及していただいて、選挙というのは基本的に、積極的に世の中に対する自分の意見を言うものだという、楽しいものといいますか積極活動のものだというふうに国民は思うべきだし、だんだんそうなってきていますが、やはり法体系そのものが非常に規制を前提にしておりますので、電子投票制度の導入、将来を見渡して、ぜひ法体系自身も一人一人の国民を信用して、インチキするんじゃないかという前提に立たずに前向きに進めていただきたいと思います。  それから、最後でございますが、これは要望でございます。  今度の法改正で、不在者投票制度がかなり改善されるわけでございますが、私は自分の住所が非常に遠いところでございまして、高知でございます。いろんな選挙はほとんど不在者投票なのでございます。そのときに実に雰囲気が、それはそこの特殊な問題かもわからないんですけれども、全国的に共通していると思いますが、普通は投票日に行くんだけれどもこういう理由不在者投票に行くと、何となくまことに申しわけないという後ろめたい雰囲気なんですよね、場所が。やはり、そういうことも改善していただいて、それから特に地方の選挙ですと、候補者の氏名それから候補者の経歴といいますか、そういったものが行ってもすぐわからない部分がある。  ですから、そういう部分も大いにこれから改善していただいて、やっぱり不在者投票というのは別に後ろめたいことをしているんじゃないんだと、堂々と明るく参加できるようなひとつ工夫をしていただくことを要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  95. 円より子

    委員長円より子君) 午後一時に再開することとし、休憩いたします。    午前十一時四十三分休憩      —————・—————    午後一時開会
  96. 円より子

    委員長円より子君) ただいまから選挙制度に関する特別委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、公職選挙法の一部を改正する法律案(閣法第一五号)を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  97. 一井淳治

    ○一井淳治君 今回の改正につきましてはかなり項目が多いわけでありますけれども、それぞれの改正を実行した場合に、実務の執行上スムーズにいくのかどうか、その点についてまずお伺いしたいと思います。
  98. 牧之内隆久

    政府委員牧之内隆久君) 今回の改正によりまして投票時間が延長になりますし、また不在者投票時間も延長するということでございますので、職員の確保等、実務上にはいろいろと負担が大きくなるという問題があろうかと思います。  また、不在者投票制度につきましても大きな改善をするようにいたしておりますので、これによって不在者投票の数がふえますと、それに伴う事務の量というものも出てこようかと思いますが、昨今の低投票率ということにかんがみまして、これは管理執行機関としてもそのような事務負担にたえながら、やはり投票機会の拡充を図っていかなきゃならないという認識のもとに御提案をさせていただいたものでございます。
  99. 一井淳治

    ○一井淳治君 次に、政治資金収支報告書の保存期間についてお尋ねいたします。  現在はたしか三年になっておったと思いますが、そうですね。
  100. 牧之内隆久

    政府委員牧之内隆久君) 御指摘のとおりでございます。
  101. 一井淳治

    ○一井淳治君 保存期間を三年にした理由ですけれども、そのあたりの御説明をまずお願いいたします。
  102. 牧之内隆久

    政府委員牧之内隆久君) 政治資金収支報告書の保存期間は昭和三十七年の改正で三年間ということになったわけでございますが、これは公職選挙法におきます選挙運動費用の収支報告書の保存期間も三年ということでこれのバランス、あるいは政治資金の収支報告書は膨大な量になりますのでこの保存のあり方、こういうものを考えて三年というふうにされたのではないかと考えております。
  103. 一井淳治

    ○一井淳治君 その保存ですけれども、どのようにして現在は保存しているんでしょうか。
  104. 牧之内隆久

    政府委員牧之内隆久君) 自治大臣届け出分でございますと、原本を簿冊にいたしまして、閲覧室がございますが、その閲覧室の奥の部屋に保存、置いてあるということでございます。
  105. 一井淳治

    ○一井淳治君 この三年の保存期間が設けられてから現在まで相当日時もたっているわけであります。最初のころと現在と比べますと、いわゆる情報化そして役所の関係書類の情報公開ということも進んでおるわけでありますし、また政治資金についての公開、特にこれは透明化することによって政治資金を公開して、それで政治の透明化によってきれいな政治にしていこう、政治倫理を高揚していこう、そういうことで進んできていると思うんです。  もう一つは、刑事事件との関係ですね。刑事事件の関係があるから保存期間を延ばすというのは本末転倒だと思いますけれども、刑事事件の関係でも、刑事の公訴時効は五年間であると。刑事の公訴時効の期間内に立件しょうと思ったら、もう基本となる収支報告書がなかったというのでは困ります。  そういったことを総合的に考えれば、三年を五年ぐらいに延ばしていくということも検討されていいんじゃないかというふうに思いますけれども、御見解をお伺いしたいと思います。
  106. 牧之内隆久

    政府委員牧之内隆久君) 御指摘ございましたように、刑事訴訟法によりますと、収支報告書に記載すべき事項を記載しなかったというものについての罰則につきましては公訴時効が五年となっているわけでございます。それとの関連の御指摘と私どもも聞いているわけでございますが、文書の保存期間はそれぞれの文書の性格、内容等によりまして定められるものでございまして、公訴時効と一致をする必要があるのかどうか、それは必ずしも一致をする必要があるとは考えていないところでございます。  また、情報公開等の趣旨から、政治資金規正法上は要旨の公表あるいは閲覧等を認めているわけでございますが、自治大臣届け出の分は官報にその要旨の公表をいたしますけれども、これはずつと見られるということでございます。原本そのものの保存期間を長くするということにつきましては、先ほどの保存の困難性、スペースの問題等、そういうものもございますので、先ほどの刑訴法との関係等含めまして、各党各会派でも御議論をいただくべき問題かというふうに考えております。
  107. 一井淳治

    ○一井淳治君 一番問題なのは、保存する場所とかそういったことではないかというふうに思います、保存に費用がかかりますから。ただ、今の状況からすると、政治資金の透明性を高めると。何か事が起こって、見ようと思っならないというのでは、やはり政治資金の透明性を高めることになりません。  国民の目から見れば、いいかげんに早くなくしてしまった方がうやむやになってよろしいというふうな、そういう考えで見たら見られるんじゃないかというふうな気がいたしますけれども、特に三年を五年にしたら大変な不都合が起こるとか、三年を五年に延ばしたら、国政上あるいは地方自治体においてどうにも困って非常に支障が生ずるとか、そういったことはないんじゃないでしょうか。マイナス効果というのは、そういったものはないんじゃないでしょうか。
  108. 牧之内隆久

    政府委員牧之内隆久君) 事務管理上の問題で申しますれば、やはり保存スペースの問題だろうと思います。  都道府県選管分まで含めますと七万近い政治団体があるわけでございます。これを毎年、一団体につきましても今五万以上のものは全部一件ずつ書くというようなことで、一つ一つのボリュームも大きくなっておりますので、このスペースの確保というものが事務管理上は一番大きな問題ではないかと思っております。
  109. 一井淳治

    ○一井淳治君 自治省のお立場ですけれども、今お聞きしておりますと、これは政治の場面で決めるというか、その辺の検討がまず進むべきであって、自治省としては特別反対しなくちゃならない理由もないと、そういうふうにお聞きしておけばよろしいんですかね。
  110. 牧之内隆久

    政府委員牧之内隆久君) 刑事訴訟法との関連とか、あるいは情報公開といったような観点から各党各会派で御論議いただきまして、これをさらに延長すべきだということになれば、私どもはそれに対応できる知恵を絞っていかなければならないというふうに考えております。
  111. 一井淳治

    ○一井淳治君 次に、政治資金収支報告書の公開の徹底という観点からお聞きしたいわけですけれども、現在は、収支報告書を一々閲覧して関心のある場所を書き写さなくちゃならないということになっておりますが、これをコピーした方が公開をより徹底するんじゃないかという議論がこの数年間行われてきております。  現在、どのあたりまでその議論が進んでおるのか、自治省検討の状況をまずお伺いいたします。
  112. 牧之内隆久

    政府委員牧之内隆久君) お話ございましたように、政治資金収支報告書につきましては原本の閲覧が認められているわけでございますが、この閲覧にはコピー等の謄写は含まれないということで、現在コピーは認めておりません。   コピーまで認めるべきではないかということで、連立与党の政治改革協議会におきまして議論をされてまいりまして、平成八年一月の「新しい政権に向けての三党政策合意」におきまして、「政治資金収支報告書等の謄写問題等については、与党政治改革協議会の結論を待って対処する。」とされたところでございます。たまたま政治資金規正法の大幅改正がございまして、収支報告書のボリュームがどの程度ふえるのかといったような問題がありましたことから、平成七年の収支報告書の提出を待ってさらにこの問題の検討はしょうということが三党での協議の内容でございました。  平成七年の収支報告書も、自治大臣分あるいは都道府県選管分を含めて出そろってまいりまして、当初はボリュームが三倍とか五倍にまで膨れるんではないかというような懸念もあったわけでございますが、この点につきましては一・三倍とかあるいは一・四倍というような程度にとどまったということでございまして、それを踏まえまして、謄写の主体をだれにするのか。いわゆる申請者がするといたしますと、原本の破損といったような問題も引き起こしかねない。逆に職員がやりますと、職員の確保といった経費増というような問題があるということ。それから謄写の方式、コピー方式とか光ディスク方式とかいろいろございます。それぞれのメリット、デメリットはどうであるのかといったようなこと、あるいは費用の徴収方法、こういうものにつきまして検討を進めてきているところでございます。  私どもといたしましては、先ほど申しました連立与党三党の合意事項を踏まえまして、与党三党間の御論議の動向等に応じて適切に対応してまいりたいと考えているところでございます。
  113. 一井淳治

    ○一井淳治君 何か事務的に実行困難であるということが見つかったでしょうか。そういうことはなかったですか。
  114. 牧之内隆久

    政府委員牧之内隆久君) このコピーに対応いたしますためには、さらにスペースの問題でありますとか、それから要員の確保あるいは機械の導入等々、経費あるいは人員面でいろいろ負担の増になることは確かでございます。また、各都道府県選管に届け出ている団体が、先ほど申しましたように非常に多数ございますので、自治大臣届け出分だけというわけにはまいりませんので、各都道府県選管との調整、各選管がそれに対応可能かどうか、こういうものも吟味をしていかなければならないということでございます。  連立与党の今後の協議の動向がどうなるかということでございますけれども、私どもとして、絶対これは事務的に不可能というような考え方を持っているわけではございません。
  115. 一井淳治

    ○一井淳治君 経費負担がこれくらいふえるとかいうふうなことで、御説明いただけるようなことがあればお教えいただきたいと思います。例えば、この規模の選管であればこれくらいとか、何かわかりやすい御説明をいただければありがたいと思います。
  116. 牧之内隆久

    政府委員牧之内隆久君) 例えば、複写の方式をどうするかということでございますが、いろいろな方式があるわけでございます。最も進んだ電算処理方式というようなものを仮に導入をするといたしますと、自治省分だけで導入経費が一千万を超える、また運営経費も二千万を超えるぐらいになっていくのではないかというような試算はいたしております。
  117. 一井淳治

    ○一井淳治君 次に、現在自民党の政調会長をなさっておられます山崎衆議院議員に対して、九五年八月に泉井氏より一千二百万円、これは一千万とも言われておりますけれども、提供されたということが最近明らかになってまいりました。一千二百万か一千万かということが一つありますけれども、いずれにせよ一千万円が泉井氏より山崎衆議院議員に提供されておるということは間違いないというふうに思います。  この問題について、刑事事件の捜査、これはどういう状態になっておるんでしょうか。
  118. 縄田修

    説明員(縄田修君) 個別の事案につきましては、具体的な事実関係に即して判断すべき事柄でございますので答弁を差し控えさせていただきたいと思いますけれども、一般論として申し上げれば、警察といたしましては、刑事事件として取り上げるべきものがあれば適正に対処してまいる所存でございます。
  119. 一井淳治

    ○一井淳治君 例えば衆議院参議院予算委員会でこの問題が取り上げられまして、これが献金なのかあるいは貸借関係なのか等々、いろんなまだ解明されてない問題があります。しかし、いろんな解明されてない問題を、この場合はどうか、この場合はどうかということをずっと確認していきますと、どの場合にしても、書類上、例えば政治献金であれば政治資金収支報告書に載せなくちゃいけない、選挙資金であれば事後の選挙資金の届け出に載せなくちゃいけないということがあるわけですけれども、そういったことの記載がないと、これだけははっきりしているわけですね。しかも、その記載がなければ刑事処罰される。その刑事処罰も、今は時効にかかっていない。刑事事件の時効にかかっていないというふうになれば、正式の捜査をするかどうかはこれは非常に政治的な問題でありますし、余り行政が政治に介入するとマイナス効果もありますから、これは極めて慎重でなくちゃならないというのはよくわかるんです。しかし、国会でいろんな論議が行われて、その中で、いずれにせよ、どの道を通っておっても不記載あるいは届け出をしていないというところで刑事事件に該当する、そういう可能性が極めて高いんじゃないかというふうに思われるんです。  そうすれば、正式の捜査に入らなくても一応事案を調べる、そういうことが必要じゃないんでしょうか、どうなんでしょうか。一般論、抽象論でもいいですから、お答えいただきたいと思います。
  120. 縄田修

    説明員(縄田修君) 繰り返しの答弁になってまことに恐縮でございますけれども、いかなる事実関係を把握して、かついかなる判断をしておるかというようなことにつきましても、まさに捜査の内容にかかわることでもございますし、まことに繰り返しになって恐縮でございますけれども、捜査を行う者の立場として答弁は差し控えさせていただきたいと存じます。
  121. 一井淳治

    ○一井淳治君 警察当局の基本的な対応の仕方なんですが、どうもこれは刑事事件が起こっている可能性が強いという場合には、これは一般論、抽象論ですよ、調査をするんですか、しないんですか。例えば殺人事件でも、死体が発見されない限りは何もしないんですか、それとも、どうも何かあるらしいぞとなれば、一般論、抽象論とすれば、調査をされるんですか。
  122. 縄田修

    説明員(縄田修君) 警察の捜査につきましては、まさに事件に応じていろいろな場面がございます。そういう意味では、新聞報道が端緒になることもあれば、捜査員の情報収集ということもございますし、もろもろの要素を加味しながら適切に対応しておるところでございます。
  123. 一井淳治

    ○一井淳治君 国民の目から見て、政治家あるいはバッジの特権で事件になるものがならないでいるというふうなことがないように、これはきょう問題になっております投票率向上ということにも大いに関係することでございますから、厳正な対応をもって対応されるよう要望いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
  124. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 社会民主党・護憲連合の渕上でございます。  今回の議題となっております公職選挙法の一部を改正する法律案は、投票環境向上を図るというのが目的でありますが、投票率低下は、やはり先ほども同僚議員の方からお話がありましたように政治の責任であり、同時に、あわせて政党政治家の責任でもあろうと。いかに政治を活性化させていくかということは、やはり時の政治の争点というものを明らかにして、国民関心を呼ぶ努力政党自身政治家自身がやっていかなくてはならないというふうに思っているところであります。  東京都の選挙管理委員会が行いました選挙に関する世論調査平成九年三月によれば、選挙の中で最も関心が薄い選挙として参議院比例代表選挙が挙げられております。その調査によりますと、ポイントは〇・七であります。ほとんど関心がないと言っていい状態になっておるわけですけれども、このことは、やはり参議院存在そのものが問われる問題ではないかというふうに私自身思っています。とりわけ参議院は、参議院を創設して五十年の記念行事、女性国会、子ども国会等を開催しながら、参議院存在価値としてのありようについて広く国民に訴えてきたところでありますけれども、なお実態としてこういう状況にあります。  そこで、質問項目には入れていないんですけれども、どういう認識なのか教えていただきたいのは、さきの宮城県における選挙、宮城県知事選挙が行われ、その後、参議院補欠選挙が行われました。そしてまた、十二月の初めには衆議院の補欠選挙が行われると。参議院でやられた方が辞任をされて衆議院に回る、その穴埋めとして補欠選挙が行われる。これは制度上の問題でありますから容認されているわけで、仕方のないことであろうと思いますが、参議院の補欠選挙、とりわけ選挙制度上における補欠選挙あり方というのは、投票率が大変低いと思うんですけれども、これは制度上の問題として出てきておる問題なのか、それともそのときの政治状況にかかわるものなのか。  いろいろ原因はあると思いますが、ここら辺のところを、全体の衆参の補欠選挙のありようについて何か御検討されておるのか、どういう認識を持っておられるのか、まずはお伺いしたいと思うんです。
  125. 牧之内隆久

    政府委員牧之内隆久君) 先ほど来御論議がございますように、投票率国民政治関心が薄くなってきたということを背景にして低下傾向にあるわけでございますが、その中で、個々の選挙投票率というのは候補者の顔ぶれとか選挙の争点といったようなものが影響しているというふうに思っているわけでございます。すべてを点検しているわけではございませんけれども、確かに補欠選挙ということになりますと投票率低下をしている、その前の本選挙と比べまして低下をしているという傾向があろうかと思います。  これはやはり、総選挙通常選挙ということになりますと、全国的な国民関心事ということで、マスコミ等の報道あるいは選挙啓発等も重点的に行われますが、補欠選挙ということになりますと、一地域の話というようなとらえ方になりまして、そういう啓発あるいはマスコミの報道等からもなかなか有権者関心を呼びにくいといったようなことも影響しているのかなというふうに思います。また、選挙の回数が多いと投票率低下するというのが一般的な傾向でございます。前に本選挙があって、また余り期間を置かない間に補欠選挙があるということになりますと、その点でも投票率低下影響しているのかなというふうに思っております。  今度、衆議院も小選挙区が導入をされまして、その方が死亡したり退職をされますとすぐに補欠選挙をやらなきゃいけない、あるいは参議院につきましても、一人区が多いために補欠選挙ということがそう珍しくないという中で、例えば補欠選挙というものをまとめてやれないのかといったような御意見があります。そういうこともお聞きするわけでございますが、当該選挙区から代表が送れないというようなことをどう考えるのかといった基本的な問題等がございまして、この補欠選挙あり方につきまして、私ども、そのように突っ込んだ検討はまだできていない、ちょっと現状のものをどう改善したらいいかという適当な改善案というものはまだ見出しがたいという状況でございます。
  126. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 もし検討の機会がございましたら、具体的な検討をしていただくようにお願いを申し上げておきたいと思います。  次に、第四十九条の一項関係の不在者投票の関係につきましてはマスコミ等々でいろんな批判がございますけれども、私は、有権者の権利拡大につながることでありますし、歓迎することであろうというふうに思います。  不在者投票の問題点の一つに手続の簡素化があると思うのでありますけれども、今回、簡素化について改正が行われるわけでありますが、さらに簡素化ができないものかどうなのか。例えば、現行の宣誓書では、当日投票できない人の事由を選挙人みずからが記入しなければならないというようなことがありますけれども、これは大体幾つかの定番みたいなものがあって、そこにチェックできるようなことにすることが考えられないのかどうなのか。さきの同僚議員質問の中でも、投票所の持っている雰囲気などのお話がありましたけれども、やはりやってみるとかなり煩わしい話なんですね。ですから、できるだけそこらあたりは簡素化するようにできないものかどうなのか。したがって、例えば旅行、仕事、出張とかという幾つかの項目を書いてそれをチェックするだけにしていくとか、そういうことができないものかどうか。  次に、不在者投票を行おうとする場合に、その町の選挙管理委員会のある場所に出向いて投票しなければならないようになっているわけでございますけれども、各支所だとか区役所だとか、そういうところに行って投票できるようなことができないものかどうなのか。せっかく不在者投票をしようということになれば、できるだけそういう出張所だとか支所でもできるようなことが検討できないものなのかどうなのか、その点についてお伺いをいたします。
  127. 牧之内隆久

    政府委員牧之内隆久君) 不在者投票の申請時の宣誓書の具体的記載方法につきましては、できるだけ有権者の利便も考慮いたしまして、今回の法改正で各号列記のような事由に該当すると見込まれる者ということになっておりますので、それぞれの事由のどこに該当するかというようなことがわかれば足りるというような形で、御指摘がありましたような方向でできるだけ簡便になるように、その様式等も検討をいたしたいというふうに考えております。  また、不在者投票の場所の増設というのは、非常に有権者の利便性向上に資するというふうに認識をいたしております。現在、三千二百余りの市町村で四千余りの不在者投票記載場所があるわけでございますが、ほとんどが市役所あるいは役場だけに限られているという状況でございますので、この増設につきましては積極的に対応するように、各市町村選挙管理委員会を指導してまいりたいというふうに考えております。
  128. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 今回の改正におきまして、投票所の立ち入りの緩和がされておるわけでありますが、児童同伴及び「やむを得ない事情がある者」の「やむを得ない」とする者の解釈はどういうふうになっておるのか、その範囲のところをお聞かせいただきたいし、盲導犬だとか介助犬などについても入場を認めるべきだと思うんですが、現在はどのような形になっておるか、お知らせいただきたいと思うんです。  なお、今回、投票時間の延長に伴いまして、それぞれそこに働く人たち勤務条件や手当の問題等々について、やはり十分配慮をなされなければならないと思いますので、この点については要望をして、私の質問を終わりたいと思います。
  129. 牧之内隆久

    政府委員牧之内隆久君) 投票所に出入りできる者についてのお尋ねがございましたが、「やむを得ない事情がある者」というものをどこまで拾うのかというお話でございます。  現行法では、選挙の公正とかあるいは投票所が混乱をしないようにというようなことで原則として認めていないわけでございますが、いわゆる幼児を連れて投票に見えた方々はどうなのかというような問題がございます。この問題につきましては、法の趣旨からして、幼児等は投票所の中に連れていってもいいのではないかという指導はしていたのでございますが、各投票所の取り扱いが区々であるということから今回法改正をお願いすることにしたわけでございます。そのような趣旨から、やむを得ない事情があるということを極めて限定的に解釈をしたいという考えは持っていないところでございまして、例えば選挙人を常時介護している方が一緒に見えたというような場合等もこの中に入るというふうに考えております。最終的には、投票管理者が投票所の秩序維持の観点等から個々具体的に判断をしてほしいというふうに思っているところでございます。  それから、盲導犬のお話がございました。各選挙管理委員会の取り扱いの実情を、その詳細を承知しているわけではございませんけれども、法的には、投票所の秩序保持が保たれます限り、投票管理者の判断によりまして盲導犬や介助犬の入場も認められるというふうに考えております。個々幾つかの件に当たりてみますと、例えば大型犬については遠慮してもらっているというような取り扱いをしているところもあるようでございますが、おおむねこの法の趣旨を生かす方向での対応をしているものというふうに理解しております。
  130. 橋本敦

    ○橋本敦君 本法案で投票時間を午後八時までに延長する、あるいは不在者投票時間の午後七時までの延長、こういった点は、投票がよりやりやすくなるという面を持っておりますから、選挙人投票しやすい環境を整えるという法案提案趣旨に沿って、私どもも賛成できるわけであります。しかし同時に、根本問題を考えなくてはいけない。例えば新聞の社説でも、これはいわば技術的な見直しであって、政治の活性化が実現しない限り投票率向上という本質的な解決にはつながらないという社説が出ているのも当然のことだと思うわけであります。  東京都の選挙管理委員会が、昨年十月の衆議院選挙を受けまして十二月に世論調査を実施したのがございますが、それを見ますと、投票率がなぜ低くなるかというその理由の複数回答を見ますと、一番多いのが「投票しても世の中が変わらない」、これが六六・一%でございます。それから、「政治関心や興味がない」、これが四〇・九%、こういう状況になっております。これは四月二十日の朝日新聞にも報道されたので皆さんも御存じのとおりであります。  そういうわけですから、投票率低下の原因というのは、このような国民政治に対する不信政治が信頼できないという、そこのところに根本的な理由があるということが問題でありまして、この問題は民主政治のまさに基本にかかわる重大な問題を提起していると思うわけであります。  したがって、最初に大臣の御認識を伺いたいのでありますが、投票率向上というのが単なる技術的な問題では解決されるべきではなくて、こうした背景と根本問題にも政治家はしっかり目を向けなければならないのが当然だと思いますが、大臣の御認識はいかがでしょうか。
  131. 上杉光弘

    国務大臣上杉光弘君) お答えいたします。  まさに政治不信の基本は、おっしゃるように政治が変わらない、幾ら投票を何回しても政治は変わらないじゃないかと、それが政治に対して不信感あるいは期待感をなくしておる。期待感がないから、興味もなければ関心もないというのが私は今の政治的な背景の実態だと思うのです。  このようなことを考えますと、やはり御指摘のとおり、私どもが心して政治に携わらなければならないのは、党派を超えてその責務を十分個々が自覚をしなければならない。加えて、政治不信の解消や、政治がどうしたら魅力があるのか、政治がどうしたら活性化するのか、あるいは国会の論議等が国民にどう伝わっていくかということ等も含めてこれは真剣に考え、また真摯に努力を重ねてまいらなければならないことを痛感いたしております。
  132. 橋本敦

    ○橋本敦君 そこで、政治不信の原因がどこにあるかということの解明と、我々の責任における探求の問題があるわけですね。  読売新聞が二月六日の社説で、「投票率引き上げに何が必要か」ということを書いておりますが、これも私は一つの参考になると読みました。こう言っております。投票率向上の問題では、「もちろん、技術的な改善には限界がある。政治有権者の足を投票所に運ばせるだけの魅力を持つことこそ、投票率向上をもたらす本来の道であるからだ。」と、魅力を持たせなくちゃならぬ。「政策に基づく政党の違いが不明瞭な政治の構図、政党を渡り歩く政治家の姿、首長選に見られる相乗り候補の続出——こうした実態有権者投票意欲低下の大きな原因となっている。そのことを、政治家、そして政党は重く受け止める必要がある。」。これはまさに私は聞くべき言葉だと、こう思うわけであります。  そのことは国会でも論じられておりまして、例えば参議院選挙の後の九五年十月、本院の本会議において、当時、自民党参議院政調会長であった岡部三郎議員がこう言っておられます。「投票率低下の原因は、まず政治政党に対する不信感が高まったことであります。その理由として、政党の離合集散がいとも簡単に行われ、その理念、哲学や政策の違いが明確でないことが第一に挙げられます」と。私どもの言葉で言えば、オール与党化した政治という実態国民から批判されているのではないかということであります。これは、九六年総選挙後にも、戦後最低投票率と言われた五九・六%という実態を見ても明らかになっているところでありまして、こうした問題はまさに政治家そのものの責任であるということは明白だと思うのであります。  そこで、この問題についての参考資料として新聞に出ておりますのは、一つは投票率の高かった宮城と神戸の選挙での話であります。  宮城の選挙では、脱政党政党という構図の中で有権者関心が高かったあの県知事選では、最終投票率が最高の五五・八%を記録して、史上最低だった前回の三九%よりはるかに高くなった。次は、神戸の大震災後の市長選挙でありますが、ここでは選挙有権者関心を引きつけるあまたの政策課題があって、まさに選挙民から見て関心の高い、興味深い選挙になったということで、これは前回の二〇・四%の倍以上の四五・〇四%を記録したと報道、放送されております。  そういうわけで、今必要なのは、政治の側における我々政治家の責任においても、まさに有権者が重大な関心の持てる選挙をどうやるかということになってくる、こう思うのであります。そういう意味では、まさに選挙民に政治家があるいは政党選挙の争点を明確にして、そしてそのことを広く国民政治関心を高めるような、そういう選挙活動の展開こそが根本であると思うのですが、大臣のお考えはいかがでしょうか。
  133. 上杉光弘

    国務大臣上杉光弘君) 全く御指摘の点については私ども心して受けとめなければならぬ、こう思いますが、政党政治が厳然としてあります以上は、政党のありよう、政党の体質あるいは政党が掲げる政策、そしてそれを構成する議員個々の問題にもかかわる問題があろうかと思うわけでございます。したがいまして、政党政治があります以上は、政党自体がそのことも投票率等に関係があるし、国民皆様から見れば政治に対する信頼感をなくしたり、あるいは期待感をなくすることにもつながっておるものもあると思います。  したがいまして、基本は政治家ですから、政党を構成するものは政治家でございますから、やっぱり基本のところの政治家がきちっとしたものにならなければならないのではないか、そのように考えております。
  134. 橋本敦

    ○橋本敦君 そこで、朝日新聞の四月二十日の記事を見ましても、投票しやすいように選挙民の要求としては、自宅での投票や郵便投票をできるようにしてもらいたいが三五・六%、投票を駅など行きやすい場所でもできるようにしてほしい、これが二二・九%、いろいろな要求が出ております。これらは検討すべき課題でしょう。その一方で、二位に出ているのが二八・一%も占める、候補者公約を守らせるような仕組みを考えるべきだというのがあるんですね。  だから、大臣指摘されましたが、現在の政治というのが政治の側の責任で、選挙民に公約した公約を本当に守るかどうかという、そこの根本がまさに民主政治の根本理念の問題として厳しく国民に問われているということを、私たちはこの選挙における投票率低下の原因として厳しく自覚しなきゃならないし、指摘しなきゃならないと思うんですね。  そこで、こういった観点に立ちますと、こういうような政治不信をなくし、政治関心を高めるためには一体何が必要かということになりますと、私は、選挙期間中の政党機関紙のビラあるいは拡声機における宣伝、こういった問題が言論、表現の自由による選挙活動として広く認められるということが大事である。ところが、これまで選挙期間中の政党機関紙のビラや拡声機による宣伝の禁止が数次にわたって行われてきた。いわば暗やみ選挙になるのではないかと私どもは批判をしてきた。かつてはあった立会演説会も廃止をされてきた。選挙運動期間も大幅に減らされてきた。こうして、有権者選挙の争点などを明らかにするということは基本的に大事だということが言われながら、その根本が逆行してこういうことになってきたということは、選挙制度あり方としてこれは大問題だと思うのであります。  したがって、選挙投票率を高めるためには、こういった問題の根本にさかのぼって根本的な検討をすることが必要だと思うんですが、投票しやすい環境を整えるという今度の法案の中で一体何をやるかといいますと、私が賛成をすると言った投票時間の延長などいろいろ技術的な問題もありますけれども、重大な問題としては、国民政策を知らせる重要な媒介手段の一つである確認団体の新聞広告をやめてしまう、こういうことが行われるわけですね。私は、この法案におけるこれは全く逆行の重要な問題だと思うわけであります。なぜ政策宣伝のために大きな役割を果たしている確認団体の新聞広告を廃止するのですか。これは自治省にお伺いします。
  135. 牧之内隆久

    政府委員牧之内隆久君) 参議院選挙におきまして確認団体が行う政策広告、これは現在公営制度が設けられているわけでございますが、これは御承知のように政治活動を支援するものでございます。一方、政党等の行います選挙運動としての新聞広告も公営化されているわけでございますが、現実にはこの両者の内容がほとんど同様の内容となっておりますにもかかわりませず、政治活動としての制約からこの政策広告は政党等への投票依頼はできないという制約がございます。一方、衆議院議員選挙につきましては、この間の抜本改正によりまして従来の確認団体制度が廃止をされまして、確認団体の政策広告の無料制度につきましても政党選挙広告として一本化されたところでございます。  このようなことから、参議院選挙につきましても、衆議院議員選挙と同様に政党等の選挙広告を充実する、そのために現在あります確認団体の政策広告は廃止をして、この政党等の選挙広告に振りかえる、この方がベターではないかということを考えまして今回の改正案に盛り込ませていただいたところでございます。
  136. 橋本敦

    ○橋本敦君 両方あって、なぜ悪いんですか。
  137. 牧之内隆久

    政府委員牧之内隆久君) 政治活動としての政策広告でございますので、選挙の期間中に新聞広告をされるにもかかわりませず政党等への投票依頼、いわゆる選挙運動にわたる広告はできないということで、各政党にとりましては使い勝手が悪いと申しますか非常に混同をしてしまうという問題がございまして、むしろ選挙運動の広告の方に一本化した方が望ましいのではないかということで、今回こういう措置をとらせてもらうということであります。
  138. 橋本敦

    ○橋本敦君 それは勝手な解釈ですよ。  実態として、前回の参議院選挙の新聞広告について聞きますが、法二百一条の十五、公営無料の政策広告、確認団体によるものの数、それから法百四十九条、あなたがおっしゃった政党選挙活動として行った選挙広告、数はどうなっていますか。
  139. 牧之内隆久

    政府委員牧之内隆久君) 平成七年でございますか。
  140. 橋本敦

    ○橋本敦君 はい、いいですよ。
  141. 牧之内隆久

    政府委員牧之内隆久君) 政策広告を行いました確認団体の数と国庫負担の費用は、平成七年の通常選挙では、三十一団体で十七億四千二百万円でございます。また、比例代表選挙の新聞広告をした政党で国費によって費用負担をした政党数及びその費用は、平成七年の通常選挙では八政党、約八億四千万円でございます。
  142. 橋本敦

    ○橋本敦君 事実が、たくさん確認団体の政策広告が利用されているということを証明しているじゃありませんか。これだけたくさん利用されているものを、今あなたがおっしゃったような、確認団体が衆議院でなくなったその整合性などということで制限することは、これは合理的必要性が全くありませんよ。そして、これを制限して政策の宣伝を政党選挙活動として行う百四十九条に限定するならば、どうなりますか。この制度が廃止されれば、供託金が世界一高いと言われている上に、小会派にとっては、有効投票の一%以上確保できないと公営費用ということにならない、公費負担されないんですから大変な負担になりますよね。だから、今は小政党だけれども将来大きな政党になるかもしれない、しかしそういう小政党に対して不当な差別を行うということで、まさに選挙の公然とした政策宣伝活動が制約されるという重大な問題が起こるじゃありませんか。  私は、こういった問題は憲法上、そしてまた選挙民主主義の基本的な理念から言って許される問題ではない、こう考えております。この問題について、自治省は先ほどの答弁しかできないわけでありますが、これは私は重大な問題として、この法案としては賛成できない問題だということを改めて指摘して、次の問題に移りたいと思います。  次の問題は、選挙投票率を高めるために、寝たきり老人や障害者の皆さんの投票権確保の問題についてどれだけ私たちが鋭意努力するかという問題であります。  九六年十月の衆議院選挙が行われました際に調査がございますけれども、これによりますと、七十歳以上の皆さんを見ますと、投票に行けなかった理由は病気だったからというのが四四%を占めています。つまり、お年寄りになるほど行きにくくなるというのは、これはもう自明のことですね。それで本年一月に、投票環境向上方策に関する調査研究会というのが自治省選挙部管理課長の山本さんを座長にして発足されて、六月の中間取りまとめを基本にして、選挙人投票しやすい環境を整えるということで提案されたんです。  御質問いたしますが、この研究会で、障害者や寝たきり老人の皆さんの投票権をどのように確保するかという問題は論議されましたか、どうでしたか。結論だけでいいです。
  143. 牧之内隆久

    政府委員牧之内隆久君) 障害者や高齢者の方々ができるだけ投票しやすいようにということで、投票所については、エレベーター等昇降機のないような二階以上の部屋には設けるようにすべきじゃないとか、あるいは高低差のあるところはスロープをつけるようにすべきだといったような意見は出されまして、その点は中間報告にも盛り込まれております。  お話のございましたような寝たきり老人、まあ事実上投票参加の機会を奪われておられるような方々にどういう仕組みで投票参加の機会を与えていったらいいか。これはこれまでの制度の改変等を見まして、非常に重要な課題であると同時に慎重な検討を要する問題でございます。このため研究会におきましては、今すぐにでも取り組めるあるいは改善できる課題を中心に検討いたしましたので、この寝たきり老人等の投票参加の問題につきましてはさらにいろいろな角度から検討を要するということで、この研究会では直接取り上げなかったところでございます。
  144. 橋本敦

    ○橋本敦君 それで、この研究会はもう終わったんですか、継続するんですか。結論だけでいいです。
  145. 牧之内隆久

    政府委員牧之内隆久君) 研究会を今後どうしていくかということにつきましては、まだ結論は出しておりませんけれども、私どもは、一応当初の目標は達成をしたものと、あと長期的な課題は幾つか残っておりますけれども、それはまだ、この研究会の場を使ってやるのか、もうちょっと基本的な勉強が要りますので、この研究会調査研究事項には必ずしもなじまないのではないかというような見解を持っているところでございます。
  146. 橋本敦

    ○橋本敦君 というわけで、必ずしもなじまないとかはっきりしてないとかいうことで、この問題は見逃されてしまっているんです。これは私は許せないと思いますね。  明るい選挙推進協会がやられた世論調査のコピーがあるんですけれども、そのコピーで、今お話ししたように病気の皆さんの多数が選挙に行けないということを嘆いていらっしゃるんですよ。それをどうするかということを本当に考える必要があるじゃありませんか。  そして去る十三日、私のところに、障害をもつ人の参政権保障連絡会という方々が要請書を持っておみえになりました。それによりますと、「今回、私たちは、投票率を上げるために投票時間や不在者投票について検討するとともに、全国で約五〇〇万人も存在するといわれている障害をもつ人の参政権保障」についても要請したいとして、その理由を、「障害を持つ人の要請は、ひとり障害をもつ人のみの要請ではなく、年老いた人や体が不自由になった人をはじめ多くの国民にとっても「やさしい」「親切な」選挙あり方につながる」共通の課題だと、こうおっしゃっているのは、私はそのとおりだと思うんですね。したがって、障害者の皆さん、寝たきり老人などが選挙ができる環境をどう整えるかということは国の責任じゃありませんか。  あなたがおっしゃるような態度では、その責任が果たせない。もっと積極的にこの今日の重要な課題について肢体、視覚、聴覚、それぞれの障害を持っている皆さんのために、自治省として、差し当たってどのような改善措置が可能か、積極的な検討を責任を持って開始すべきだと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
  147. 上杉光弘

    国務大臣上杉光弘君) 社会的に弱者と言われます障害者の方々に思いやりを持って投票環境というものを整備することは当然のことだと、こういうふうに考えております。また、そのような意味での便宜を一層図っていくことは重要なことでございます。このため、今後とも障害者の方々のためにどのような措置がとれるのか。選挙の公正の確保という側面も持っておるわけでございますから、このようなこと等も十分留意いたしまして、必要に応じ有識者等の御意見もお伺いしながらさらに検討を進めてまいりたいと考えております。
  148. 橋本敦

    ○橋本敦君 今、大臣がおっしゃった検討を進めていきたいという御答弁に期待をして、二、三の問題を提起しておきたいと思います。  一つは、点字公報の問題であります。この点字公報については、啓発事業の一環といたしまして、候補者の氏名とか経歴等を記載した点字による選挙のお知らせ版、こういう点字公報を自治省は配布しておりますと、こういうことを言ってまいりました。これはまさに啓発事業として行われているのであって、公的な選挙公報の配布というものとは違う、啓発事業の一環としてなされているにすぎない。これはもっと厳格な意味で言えば、公的な意味で選挙公報と同様の扱いにするという検討が必要であります。  それから二つ目の問題として、政見放送研究会というのがございますけれども、それはテレビの政見放送に当たりまして手話通訳の問題、これを導入する上で大きな役割を今日まで果たしてまいりましたが、引き続いてすべての政見放送に手話と字幕をつける、こういう要望がございます。この点は引き続き検討する必要があるのではないか、これが二番目の問題であります。  それからもう一つの問題として、投票所に点字で候補者名を表示するなど投票所の改善の必要、候補者政党政策についての情報を豊かにするという意味で、今私が指摘した点字の選挙公報の発行も含むんですが、それ以外に障害を持っていてもワープロあるいはファクス、こういうものなども使って選挙運動ができるようにするという方法で、選挙運動の面でも障害者の皆さんに政策宣伝が行き届くような方法を検討する必要がある。  そしてさらに、老人の投票権の保障など、先ほど申しましたけれども、これらについては老人の皆さんの代表などの意見も聞いて、具体的にどういう施策が必要なのか、こういったことを全面的に検討することを自治省としては、先ほどの私が指摘した検討会というものは事実上もう終わったと言いますけれども、改めて検討会をつくって、積極的に障害者や老人のための投票あるいは選挙に参加する権利を保障するための検討をぜひ開始してほしいということを私は厳しく要望したいと思うのですが、自治省の御見解並びに大臣の先ほど検討するというお約束をいただいた上での具体的な御意見もあればお伺いして、質問を終わりたいと思います。
  149. 牧之内隆久

    政府委員牧之内隆久君) 点字公報の制度化ということになりますと、各選挙管理委員会が限られた期間内に誤りなく点字訳を調製することができるか、あるいはまた調製したものを障害者の方々に公平に頒布することができるかといったような保証の問題がございます。したがいまして、現時点におきましてこれを公営の選挙公報の手段として制度化するということはなかなか困難ではないかというふうに考えております。  また、すべての政見放送に手話通訳を入れるということにつきましては、これは御案内のように、参議院議員比例代表選挙につきましてはこれの導入が可能になったわけでございます。そのときの論議にもあったかと思いますが、手話通訳士というものの数が限られておりまして、しかも地域的に偏在をいたしておりますので、政見放送というものを誤りなく手話によって翻訳して通じさせるというところの保証がまだできかねる状況にございますので、これもすべての選挙にこの手話通訳を制度化していくというのは現状においては困難ではないかというふうに思っております。  ただ、御指摘ございましたように、障害者の方々の便宜供与あるいは投票機会拡充のための方策、これは非常に重要な課題でございます。特に、寝たきり老人の方々が増加をしているという午前中のお話もございました。この方々の投票機会の拡充をどう図っていくのかということは私どもも非常に重要な課題として受けとめまして、今後検討してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  150. 橋本敦

    ○橋本敦君 検討していきたいということなので、具体的に調査会、検討会を改めて関係者を組織してやるというぐらいの基本的な構えでやってほしいという私の要望に対して答えてほしいということです。大臣、いかがですか。
  151. 上杉光弘

    国務大臣上杉光弘君) ただいまの御提言は、私ども、選挙の公正というものに対して、健全な方と同じように障害者の方が投票していただく機会を用意するというのは行政府として当然のことでございますが、そういう選挙の公正の確保という点に十分留意をいたしまして、ただいますぐと、検討会をつくってどうだということでございます。これも十分重く御提言を受けとめまして、このことも含め、先ほど申し上げました検討課題として検討してまいりたいと考えております。
  152. 橋本敦

    ○橋本敦君 終わります。
  153. 西川きよし

    西川きよし君 よろしくお願いいたします。  私は、まず選挙報道について一点確認をさせていただきたいのですけれども、平成九年十月十九日の産経新聞でございますが、まず読ませていただきたいと思います。二十六日投票の神戸市長選のことですけれども、  地元のサンテレビが企画していた立候補予定者  による討論番組が、自治省の「公職選挙法の規  定に抵触するおそれがある」との判断から、個  別のインタビュー番組に変更されていたことが  分かった。という記事でございますが、少し飛ばさせていただきます。   同局は「参議院選挙のときも同種の番組を企  画、放送したが何の問題もなかった。自治省の  見解には大きな異議があり、規定のあいまいな  部分を問題として取り上げたい」としている。   この問題で民放連は「今回サンテレビが企画  した番組は、これまで各種選挙で数多く放送さ  れ、定着している形式のもので、候補者に出演  を「差し控えられたい」との見解を発したこと  は選挙報道を否定するもので理解に苦しむ。強  く抗議したい」とのコメントを発表した。こういうふうな記事でございます。  有権者が得る選挙媒体の一つとして、この選挙報道は大きな役割を果たしているわけですけれども、今後の報道あり方、つまりこの新聞の報道内容については自治省、また選挙報道あり方については大臣の方からお伺いしたいと思います。
  154. 牧之内隆久

    政府委員牧之内隆久君) 新聞等をお引きになりましてサンテレビにつきましての御質問があったわけでございますが、新聞の内容がすべてそのとおりであるかどうか、これは職員等に当たりましたけれども、必ずしもこの報道の内容のとおりすべてがそうだということではございません。  ただ、趣旨として申し上げますと、公選法の百五十一条の五におきまして、「何人も、この法律に規定する場合」、すなわち政見放送とか経歴放送は法律が認めておりますが、それを「除く外、放送設備を使用して、選挙運動のために放送をし又は放送をさせることができない。」というふうに規定をされているところでございます。もちろん、有権者の方々が候補者政策、政見等に接する機会が多いということは、これは重要なことでございますけれども、この百五十一条の五に言う選挙運動というもの、これは法律に明文の定義はございませんが、過去の判例では非常に広く解釈をされております。したがいまして、立候補を予定している方あるいは候補者の方が討論番組等に出ましていろいろな発言をされる、そうするとその発言の内容が選挙運動にわたるというふうな理解、位置づけをされる場合というのは相当多いであろう、その判例の解釈からいたしますと。そしてさらに、そういう選挙運動にわたるような発言があった場合に、これを放送するということになりますと、この百五十一条の五の規定に抵触をする場合もあるであろう、こういう解釈を従来からいたしているわけでございます。  この事例の場合でございますと、その出演を依頼された方から照会がありましたので、今申し上げましたような解釈をお伝えしたということでございまして、そういう選挙報道に、私どもがすべきじゃないとかいうようなことを申し上げたことではございません。
  155. 上杉光弘

    国務大臣上杉光弘君) 今、部長からお答えをいたしましたが、自治省としては、そういうお尋ねがあったことで、法に触れるということになっては気の毒でありますから、むしろ親切にそのような形での法に基づいた御指導を申し上げた、こういうことだと私は理解をいたしております。
  156. 西川きよし

    西川きよし君 次に、この節、投票環境向上策として投票時間の延長あるいは不在者投票の事由の緩和等が盛り込まれているわけですが、これまでの意見の中で平日、土曜日の投票あるいは投票日の二日制、こういう御意見も出ておったわけですけれども、これまでに自治省の方ではどういうふうな検討が行われたかお伺いしたいと思います。
  157. 上杉光弘

    国務大臣上杉光弘君) お答えをいたします。  平日、土曜日投票につきましては、休日投票よりも平日投票の方が経費が安くて済む、また平日や土曜日の方が投票率も上がるのではないかという御意見があることは承知をいたしております。  現在、観光地など休日が繁忙期になりますと、市町村などの地方選挙において平日投票が実施される例も見受けられるわけでございますが、平成四年に、明るい選挙推進協会が実施をいたしました投票日に関する世論調査によりますと、投票日としては日曜、祭日を希望される方が八割近くに達しております。また、平日を希望される方はわずかに三・七%と極めて少数にとどまっておるわけでございます。したがいまして、このようなことから平日投票経費節減の効果はあろうかと思いますが、これによって投票率向上の効果を期待することはなかなか困難であると。  それから、投票日の二日制でございますが、有権者投票機会の拡充には資すると思いますけれども、土曜、日曜の両日を投票日とすれば投票所の経費が倍増するわけでございます。そのコストに見合った顕著な投票率向上というものが、その効果が期待できるかということについては非常に問題があると。また、二日にわたりますと、学校を初めとする投票所等の施設や投票立会人の確保が非常に困難である。それから、一日目の投票が終わった段階で、いわゆるマスコミ等は出口調査をいたします。出口調査をいたしますから、途中経過が伝わるということになれば翌日の投票にいろいろな影響が出てくる、こういうおそれがあるということが心配をされるところでございまして、これらの事情もございまして、二日制の実施は極めて困難ではないか。むしろ、不在者投票の事由の大幅緩和等によりまして投票日以外の投票機会の拡大策をとれば、投票日の複数の制度よりももっと、同様それ以上の効果を期待することができるということで、現実的な方策としてこのような制度改正の方向にまとめた、こういうことでございます。
  158. 西川きよし

    西川きよし君 次に、不在者投票ですけれども、この不在者投票あり方につきましては、私も経験がございますが、申請時に理由を事細かく聞かれて非常に不愉快な思いをしたというような方々もたくさん全国の皆さんにいらっしゃって、そういう声も聞いているわけです。  特に、今回の改正案に盛り込まれている候補者氏名等の掲示について、支持政党が公認あるいは推薦している候補に投票しようと思って投票所に出向いたものの、氏名の掲示がないわけですからわからなくて帰ってこられたというようなお年寄りのお話なんかもたくさん聞いております。一方、投票所の職員にとっても、自治省の指導と有権者便宜を図りたいという気持ちとの板挟みの中で、なかなかこれが西川さん難しいんですというお話も多々聞きました。候補者のリストのコピーなどをカウンターの上にそっと配慮して置かれているという選挙管理委員会もありました。  投票記載所の氏名等の掲示の掲載が法文化されたのは昭和二十七年のことでございますから、これまでの長い年月の中でこの不在者投票の掲示についての要望は強くあったと思うわけです。しかし、氏名等の掲示の順序の問題とか、不在者投票所に氏名の掲示をすることは簡単なようで相当に難しい問題を抱えていると思いましたから、今回の内容はもちろん評価をさせていただくわけです。その反面、これまでかたくなにやれないということだったんですが、実は僕は去年の十一月二日にもこの問題でいろいろマスコミ等でもやらせていただいたことがあるんですけれども、今回これまで抱えていた問題点を、どうしてもこれだけは特にお伺いしたがったなということで質問に入れたんですが、お願いします。
  159. 牧之内隆久

    政府委員牧之内隆久君) これまで不在者投票場所におきます氏名等の掲示が法定化されておりませんでしたのは、不在者投票選挙公示または告示の日からできるということでございますが、その告示、公示の日にはまだ候補者等が確定をしないということで、事実上それは公示の日から不在者投票期間中ずっと氏名掲示をするということは不可能だという問題が一つございました。また、不在者投票は当該市町村以外の場所でも、役場とか市役所でもできるということでございますので、すべての氏名掲示を行うということもこれもまた不可能だということであります。行った方が、その市町村に行きますと自分が不在者投票をしようとする者以外の選挙区の氏名等が掲示されているということにもなり得るものですから非常に混乱をするんじゃないかというようなことから今日まで見送られていたわけでございます。  今回、できるだけ不在者投票がしやすいということを主眼に置いた制度改正をしようということで法改正の内容を考えました。従来からこの問題については要望が多いということも踏まえまして、一つには、公示日あるいは告示日は無理だけれどもその翌日から氏名掲示をするようにすればいいではないかということ、それから、すべての不在者投票場所にすべて氏名掲示があるとしますと先はどのような混乱も生じますし、また事実上不可能でございますので、選挙が行われる市町村の不在者投票場所だけの氏名掲示を行うと、これがほとんどでございます。そういうことで、今回法改正をさせていただこうということになったわけでございます。
  160. 西川きよし

    西川きよし君 時間が短いものですからちょっとスピードアップをさせていただきます。  次に、この不在者投票制度について今回の改正が行われることはありがたい、有権者にとっても利用しやすい制度に近づくわけですからいいことなんですけれども、有権者に対して投票の機会を十分に保障するという制度の目的を確実にしていくためにはまだまだ問題点がたくさんあるわけです。そうした問題点について自治省はどのように認識されているのか。  そして、まず僕がお伺いしたいのは、指定病院等における不在者投票制度についてですけれども、現状から御説明いただきたいと思います。
  161. 牧之内隆久

    政府委員牧之内隆久君) 指定病院等の不在者投票が行うことができる施設としましては、平成七年四月一日現在で、病院が七千五百八十一カ所で指定率九四・二%、老人ホームが四千百四カ所で指定率八八・九%、その他身障者更生援護施設、老人保健施設等を合わせまして千百五十六カ所で指定率五二%、合計一万二千八百四十一カ所、指定率八六・四%という状況でございます。
  162. 西川きよし

    西川きよし君 現在、今お伺いいたしますとおおよそ一万三千ぐらい病院等が指定されているわけです。病院等の職員の方々にとりましては、通常の業務に加えて、複雑でしかも厳格な手続が求められているこの不在者投票の管理事務を担っていただくわけですから、それは大変なことだと思うわけですが、ごく一部ではございますけれども、違法な行為による不正投票が行われているという事実もちゃんと出ております。公正に疑問の声が上がっていることもまたこれは軽視できないと思うわけです。警察庁にお伺いしたいんですけれども、指定病院等における不在者投票制度にかかわる近年の犯罪事件についてお伺いしたいと思います。
  163. 縄田修

    説明員(縄田修君) お答えを申し上げます。  指定病院等における不在者投票といった観点での統計はとってございませんけれども、病院あるいは特別養護老人ホームなどにおける不在者投票に絡んで病院職員などが投票偽造等の罪を犯しまして検挙したというもので当庁に報告があったものは、過去三年間をとってみれば二件ございます。七年に山形、八年には東京でございます。  以上でございます。
  164. 西川きよし

    西川きよし君 この実態については、川崎市の選管が平成七年の八月にアンケート調査を実施しております。この中では、例えば不在者投票を申請する際に、選管の指示どおりに本人が依頼書を書いている施設は五十七施設の中二十九施設です。あるいは、公選法では不在者投票の管理者と立会人は別でなければいけないと言われている点について、施設長が両方兼務しているホームが四カ所ございました。事実、実態を把握する上で大変これは重要な調査結果だと思われます。  自治省の、投票環境向上方策に関する調査研究会にもこの川崎市選管の方が参加をしていらっしゃいます。恐らくこうした問題についても調査研究が行われているのではないかというふうに思うわけですけれども、いかがでしょう。
  165. 牧之内隆久

    政府委員牧之内隆久君) 川崎市の調査結果の中で、不在者投票管理者たる施設長は立会人を兼ねることができないという規定に違反をした事実とか、あるいはこれは法律事項ではありませんけれども、口頭だけで代理請求の意思確認をしているといったような事例があったということでございまして、この点につきましては川崎市選管の方で適切な指導を行ったというふうに聞いているところでございます。  また、先ほど来話が出ております投票環境向上方策に関する調査研究会におきましても、こういう指定病院等の選挙の公正の確保ということにつきまして、もっと施設長に対する啓発等を徹底すべきだというような意見は出されたわけでございますが、今回の研究会は、投票環境向上ということで、有権者便宜をどう図るかということを主眼に置きましたこともありまして、こういう指定施設内における選挙の公正確保という問題につきまして突っ込んだ議論等は行われなかったというのが実態でございます。
  166. 西川きよし

    西川きよし君 二十四分でございますので、これで最後にさせていただきたいと思います。残る部分はお許しをいただきたいと思います。  全国市区選挙管理委員会連合会の要望項目の一つに、指定病院などの施設の職員等も不在者投票管理者と同様、不在者投票に関し、その者の業務上の地位を利用して選挙運動をすることができないよう法を改正されたいという内容がございます。公正性を高めるという点では、例えば選挙管理委員会など公正な第三者が立ち会うといった措置を講じることができればそれにこしたことはないでしょう。しかし、現実の問題として、今おっしゃいました全国一万三千カ所に近いところが、しかも不在者投票日については一日に限られたことではないわけですから事実上それは難しいし、そういたしますと、その要望内容については検討に値するのではないかというふうにも思います。  最後に自治大臣にこの内容についてお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
  167. 上杉光弘

    国務大臣上杉光弘君) 御指摘の要望があることについては承知をいたしておりますが、指定施設の多くが民間施設でございまして、不在者投票管理者以外の一般の職員につきまして公務員と同様の選挙運動の制限を課すことについては、憲法で保障します表現の自由、思想、信条の自由にかかわる問題でもございまして、慎重に検討すべき課題ではないかと考えております。  しかしながら、指定施設においても自由公正な選挙が確保されなければならないことは当然でございます。適正な選挙管理執行が行われますように、そのような指導に努めてまいりたいと考えております。
  168. 西川きよし

    西川きよし君 終わります。
  169. 奥村展三

    ○奥村展三君 今回の法の一部改正は、各先生方からもいろいろ御質問の中で指摘もなされておりますが、まさしく投票率向上であると思います。  今日までも即日開票というのが基本であったように思うんですが、この時間延長、どうも考えてみますと、やはり開票作業につきまして大変影響するんではないかなというように思います。  ちょうど十月の八日、九日だったでしょうか、大阪で政令都市の選挙管理委員会事務局長会議があったようであります。そのときに、従来どおりの即日開票は一体どうだろうというようなことで事務局長さんが議論された中で、福岡市のみができると、あとの政令都市の事務局長はちょっと難しいなと、こういうような議論があったように仄聞をいたしておるんです。  特に、昨年の衆議院選挙は初めての小選挙区制投票でありまして、私は滋賀県ですが、隣の京都市なんかに聞きましたら、九五年の参議院選挙よりも倍の人数が必要だったと。そして、あそこはアルバイトを約千人ぐらい使っておられまして、二百七十七カ所の投票所で約三千百人職員を動員した、そして開票には千人のアルバイトを使ったと言われています。そしてまた一方、横浜市なんかを調べてみましたら、横浜市なんかは全部職員さんでやられておる、六千五百人かかったんだと。それは市の職員の三分の一をこの投開票の職員として動員したんだというようなことで、非常に戸惑いといいますか、そういう問題もありました。  ですから、冒頭に申し上げましたように時間延長は非常に住民にとったはいいことであるんですが、こういう問題について自治省として今後、この法案が通った段階になるわけですが、周知徹底をどのようにしようとされているのか、所見をお伺いしたいと思います。
  170. 牧之内隆久

    政府委員牧之内隆久君) 投票時間の延長によりまして開票の終了時刻が遅くなることが懸念をされまして、中には即日開票が困難な市区町村も出てくるのではないかというような指摘がされております。  私どももそこのところを懸念しているわけでございますが、法案が通りますれば、各団体に対しましてできるだけ開票を急ぐようにという指導を行ってまいりたいということで、具体的には、開票開始時刻というものをできるだけ早めてもらう。今は投票時間が終了しまして二時間ぐらいたってから開票に入るというようなところもございますので、それを早めてもらうというようなこと。それから、投票用紙がすぐに自動的に開くような投票用紙を使っていただくとか、あるいは枚数計算が自動でできるような機器の導入等を図ってもらうとか、各団体でいろいろ先駆的に取り組んでいるところがございますし、かなりの有権者数を抱えながら開票がスムーズにいっている選挙管理委員会もございますので、そういうところの事例等も参考にしながら、できるだけ開票を急いでもらうように指導、またお願いをしてまいりたいというふうに思っております。
  171. 奥村展三

    ○奥村展三君 住民側にとりましたら選挙報道というか、結果を一刻も早く知りたいというのは当然であります。今、部長がおっしゃいましたように周知徹底をいただいて、そしてまた報道関係等もその旨期待をなされておるところですから、ぜひ即日開票としての早期実現をお願いいたしたいと思います。  ちょっと午前中にもお聞きになった先生があるわけですが、私ども、さきがけでは、与党の政治改革協議会の中で、今回のいろんな政治不信投票率低下等もありまして、特に比例当選議員政党異動の制限について、実は国会法の改正提案しているところでございます。先ほどもおっしゃいましたが、これは憲法の、当選した議員国民全体の代表である、こんな定義があるわけでありますけれども、やはり衆参の比例代表の選出議員がその政党を離脱する場合におきましては、一定の条件に該当する以外は辞職すべきであるということを我々は提案させていただいておるところでございます。  今、複雑な議論を与党政治改革協議会等でやっていただいておるわけです。現段階、いろんな議論をしている最中でありますが、まず大臣の所見をお聞きいたしたいと同時に、この比例当選議員政党間を異動なされた今日の状況等の数を把握しておられると思うんですが、その数を教えていただきたいのと、難しいんですが、問題意識をひとつ示していただければというように思います。
  172. 上杉光弘

    国務大臣上杉光弘君) 比例代表選出の議員選挙後党を変わると、このことについてさまざまな議論があることは私も承知いたしております。ただ、現行法でいきますと、さきの質問にお答えいたしましたように、比例代表選挙におきましても、一たび選挙され当選をされますと議員としての地位を有せられる。議員となられた者につきましては、選挙政党代表として比例代表で出られても、選挙後一たび地位議員として有されますと、単に一政党代表するものではなく全国民代表になる。これは憲法第四十三条の第一項であることはもう先刻御承知のとおりだと思うんです。  こういうことでございますから、法的には政党を移ることについては拘束をされない。拘束をされない独立した地位にあることから、所属政党から離脱したことをもって議員としての身分というか資格といいますか、これを失わせることはできないとの考え方で実は現行法では規定をされておる、このように承知をいたしておるわけであります。  このことにつきましては御承知で、もう参画をされて協議されておると思うんですが、与党の政治改革協議会におきまして、政治家個人の倫理問題の一環として、今協議が進められている、こういうふうに承知をいたしておるわけでございます。やはり選挙というもの、これはそれぞれが個性も違えば、倫理観がそう違うと思わぬけれども、やっぱり個々の倫理観に従うよりほかにないのかなと。私は、印象をというお尋ねでございますが、やっぱり個人の倫理観や政治家としての見識にかかわることではないのかと。  私なりのそういう認識を含めて、さは申せ、与党政治改革協議会でこの協議が進められておるわけでありますから、その議論の推移というものを十分見守ってまいりたいと考えております。
  173. 牧之内隆久

    政府委員牧之内隆久君) 自治省といたしましては、選挙の際の候補者所属政党等につきましては立候補の届け出書類等で把握をする立場にあるわけでございますが、その後の異動につきましては、例えば政党交付金を受けようとする政党からのその所属議員数の届け出というものはいただきますけれども、これを受けない政党もおられるわけでございまして、全政党にわたりまして最新の正確な所属議員数がどうかということはちょっとお答えしかねる立場にございますので、御理解いただきたいと思います。
  174. 奥村展三

    ○奥村展三君 大臣がおっしゃったように、我々一人一人の倫理観ということに集約されると思うわけですが、本当に国民不信を招くような行動というのは慎んでいかなければならないということを、もう一度我々も再認識をしっかりしなければならないというように思います。  以上をもって質問を終わります。ありがとうございました。
  175. 小山峰男

    ○小山峰男君 太陽党の小山峰男でございます。大臣及び自治省にお聞きしたいと思います。  午前中からでございまして、私、ラストバッターということで、用意した質問等も若干ダブってしまった面もあるわけでございますが、できるだけ簡潔に御質問を申し上げたいと思います。  投票率低下傾向が最近続いているということでございまして、大変憂慮すべき問題で、何とか投票率を上げたいという気持ちでいっぱいなわけでございます。この投票に行かない人たち考え方等につきましては午前中もるるお話があったわけでございまして、我々政治家の責任というのは大変重要だというふうに認識をしております。さはさりながら、いわゆる投票しやすい技術的な環境をつくるということも大変大事だというふうに思っているわけでございます。今回の改正案、そういう意味では賛成をさせていただくつもりでおりますが、少し角度を変えて御質問を申し上げたいと思います。  うちの調査室に状況等をお聞きしますと、いわゆるアメリカの投票率等につきまして、一九四六年度以降下院の投票率というようなものも三三%から五八%というようなことで推移しているというふうにお聞きしているわけでございます。制度も違いますが、その辺の状況についてまずお願いしたいと思います。
  176. 牧之内隆久

    政府委員牧之内隆久君) アメリカにおきます選挙の手続は州法によって定められておりますので各州ごとに手続が異なるわけでございますけれども、ほぼすべての州におきまして、我が国と異なりまして居住地の選挙管理機関に選挙人名簿への登録を申請するという申告登録主義がとられているわけでございます。しかしながら、投票率は、選挙当日の成人を分母としまして、現実に投票した方が幾らかということで出されているようでございまして、昨年、一九九六年の大統領選挙は四九・〇八%でございます。ちなみに、そのときの登録率は七四・四%、すなわち登録者のうち、およそ六六%の方が投票したということでございます。  下院の状況につきましては、ちょっと今、資料の確認が即座にできませんので、もしわかりましたらまた後ほど御報告させていただきます。
  177. 小山峰男

    ○小山峰男君 先ほどお話ししましたように、一九四六年以降、三三%から五八%というふうに聞いているわけでございます。また、スイスの場合でございますが、これもいわゆる投票義務制というようなものがあるようでございますが、下院選挙では、戦後七〇%から一貫して投票率低下し、現在四二%というような状況になっているというふうに聞いております。  こういう状況を横に置きまして自治大臣にお聞きするわけでございますが、私は、決して投票率が低くてもいいという意味ではございませんが、いわゆる投票率が低いということについてどういう問題があるのか、またどういう影響があるのかということを自治大臣としてどう考えておられるかお聞きしたいと思います。
  178. 上杉光弘

    国務大臣上杉光弘君) 投票率が低いというのは、たびたびお答えいたしておりますように、やっぱり政治に対する信頼がなくなってきた、政治に対する信頼のみならず、政治が何をしてくれるのかという意味での変わらないじゃないかという世論調査等が四十数%ありますように、結局は政治に対する期待感が非常に希薄になってきておる、そういう政治に対する信頼感あるいは期待感がなくなったことが私は投票率を下げておることではないかと思います。  もう一方、二十代の投票率が三〇%以下といいますのは、これは政治に対する無関心とかあるいは興味がないということのようでございまして、そういう意味では、しっかり政治に対する認識を深め、選挙に対してその事ごとにPRをしっかりしていくということが大切ではないかというふうに考えております。
  179. 小山峰男

    ○小山峰男君 ちょっと私の聞いたのとは違うお答えになったわけでございますが、投票率が低くていいということではございません、この問題についてはここでやめますが。  次に、ある程度技術的な問題でお聞きしたいと思いますが、在外邦人の投票権の問題が今衆議院でもいろいろ論議されております。この在外邦人の場合に、投票率影響するような形になっているのかどうか。いわゆる分母、分子にそれぞれ入っているのか入っていないのか、その辺についてまずお聞きしたいと思います。
  180. 牧之内隆久

    政府委員牧之内隆久君) 現行制度におきましては、海外に居住をされている方のほとんどは国内の選挙人名簿には登録をされていないと思われます。出てから四カ月以内であればまだ名簿が残っておりますが、それを過ぎますと名簿は消除されますので残っていないということになります。したがいまして、在外邦人の方は、投票率積算の分母にも分子にも算入されないというのが現状でございます。
  181. 小山峰男

    ○小山峰男君 今、四カ月以上海外居住の皆さんについては投票率影響はないと。そうすると、それ以下の短期の在外在留邦人については選挙人名簿にも登録されているというような形の中で、当然投票率にも影響があるというふうに考えていいんですか。
  182. 牧之内隆久

    政府委員牧之内隆久君) 海外に行かれましてから、これは国内も一緒でございますが、前の住所地の選挙人名簿に四カ月間は登録をされているわけでございます。今、衆議院の方で継続になっております在外選挙法案では、海外に行かれましてからその領事館の区域内に三カ月以上住所を有する方を在外選挙人名簿に登録していこうということでございますので、その影響の度合いというのは、わずか一カ月の差でございますか、極めて微量のものであろうというふうに思います。
  183. 小山峰男

    ○小山峰男君 それから、いわゆる障害者あるいは寝たきりの皆さんの投票というようなことでいろいろお話があったわけでございますが、確かに選挙をしたいという意識の高い人たち投票に行けないという状況が現在もかなりあるというふうに思っております。  具体的な問題としてお聞きしますが、選挙の公正という問題もあるわけでございますが、現在、施設等については、不在者投票所というのですか、これは五十人以上の施設というふうになっていると聞いております。現在、例えば過疎地等でつくっている特養につきましては二十人とか三十人とか、そういうような施設もあるわけでございまして、公正の確保等を図りながらできるだけ多くの施設に不在者投票所の設置というものを認めていくべきだというふうに思っておりますが、その辺はどうでしょうか。
  184. 牧之内隆久

    政府委員牧之内隆久君) 病院とか老人ホーム等における不在者投票施設の指定につきましては、先ほどもお話があったわけでございますけれども、これは投票の秘密とか選挙の公正の確保といった問題をクリアできるということで、そのためには、物的な施設さらには人的な要員の確保というものがないと、なかなかそのあたりの問題がクリアできないということで一定の基準を設けているわけでございまして、この基準のあり方につきましては慎重でなければならないというふうに考えているところでございます。  ただ、単一施設としましては、病院等であれば五十人以上というような基準を設けておりますけれども、他の施設と併設をされる場合には、併設された後の数字が基準をクリアしていれば、両方の施設とも指定するというような取り扱いにしているところでございます。
  185. 小山峰男

    ○小山峰男君 それから、例えば艦船というか船等に乗っている人の投票というようなものは具体的にどういうように行われるのか、またその辺の状況はどうなのか、お聞きしたいと思います。
  186. 上杉光弘

    国務大臣上杉光弘君) 洋上投票の見解いかんでございますが、船員の方々につきましては、その就業形態が特別であることから、一般の不在者投票制度に加え、いわゆる指定港における不在者投票さらには指定船舶における不在者投票などが認められております。しかしながら、洋上での航海期間が非常に長いということもございますから、不在者投票の送致等が非常に難しいということもございまして、現行の特例制度において、なお投票が事実上困難な方々がおられることについて十分認識をいたしておるところでございます。  洋上投票の方法につきましては、これまでも法制面、実態面等から検討を重ねてきたところでございますが、現時点では適当な手段がなかなか見出せない実情にございます。  なお、現行制度の運用に当たりましては、可能な限り船員の方々が投票できるよう適切に対処してまいりたいと考えております。例えば、具体的に選挙日程が定まっていなくとも指定船舶における不在者投票のための投票用紙を交付できる扱いとしているところでございまして、現実に、来年の参議院通常選挙におきましては指定船舶用の投票用紙を現時点で交付できることといたしておるわけでございます。  いずれにいたしましても、この貴重な選挙権の行使にかかわる重要な課題でございますから、今後ともさまざまな角度から引き続き慎重に検討をしてまいりたいと考えております。
  187. 小山峰男

    ○小山峰男君 数え上げればいろいろの問題が出てくるというふうに思います。今の船舶の船員の皆さんだとか、あるいは寝たきり、障害者、それぞれの具体の問題について、やっぱり自治省としても、できるだけ投票の機会が与えられるようにまたさらに御検討をいただきたいというふうに思っております。  それからもう一点お聞きしたいわけでございますが、選挙公報の関係でございます。いわゆる監獄とか代用監獄、あるいは少年院等への選挙公報の配布、周知、こういうものについてどのように行われているのか。適切に行われているのかどうか、また投票が行使できるのか、その辺についてもお聞きしたいと思います。
  188. 牧之内隆久

    政府委員牧之内隆久君) 監獄等に収容されております選挙人の方への選挙公報の配布につきましては、すべての市町村の実態を調査しているわけではございませんけれども、多くの市町村が、監獄等から不在者投票用紙の請求がありましたときに、選挙公報を同封いたしまして候補者等の情報の周知を図っているということでございます。また、県によりましては、当該県内の全選挙区の選挙公報を監獄等に送付いたしまして選挙人便宜に供しているところもあるというふうに伺っております。
  189. 小山峰男

    ○小山峰男君 いろいろ課題が多かろうと思いますが、ぜひ自治省も、できるだけいろんな事例を検討しながらきめ細かい対応をお願いしたいと思っております。  以上で終わります。
  190. 円より子

    委員長円より子君) 他に御発言もないようですから、本案に対する質疑は終局したものと認めます。  公職選挙法の一部を改正する法律案(閣法第一五号)の修正について鈴木貞敏さんから発言を求められておりますので、この際、これを許します。鈴木貞敏さん。
  191. 鈴木貞敏

    ○鈴木貞敏君 私は、公職選挙法の一部を改正する法律案(閣法第一五号)に対しまして、自由民主党、社会民主党・護憲連合及び新党さきがけを代表いたしまして、修正の動議を提出いたします。その内容は、お手元に配付されております案文のとおりでございます。  これより、その提案理由及び内容につきまして御説明申し上げます。  昨今の各選挙における投票率低下傾向の対策として、政府提出公職選挙法の一部を改正する法律案は、投票時間の延長不在者投票事由の緩和などの施策を講じようとしておりますが、その趣旨をさらに一歩進めて、選挙人投票をしやすい環境を一層整えるよう特に必要と考えられる事項について政府案を修正することといたしたく、ここに修正案を提出した次第であります。  次に、修正案の内容について御説明いたします。  第一は、衆議院議員の任期満了による総選挙及び参議院議員通常選挙を行うべき期間が国会開会中または国会閉会の日から二十三日以内にかかる場合には、その総選挙及び通常選挙国会閉会の日から二十四日以後三十日以内に行うこととする改正を加えることであります。これにより、参議院議員通常選挙の期日を夏休み前に設けることが容易になるものであります。  第二は、不在者投票をすることができる時間を、政府原案におきましては、原則として午前八時三十分から午後七時までとしておりますのを、本修正案では、さらに一時間延長して、原則として午後八時までとすることであります。  以上であります。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
  192. 円より子

    委員長円より子君) これより原案及び修正案について討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  193. 橋本敦

    ○橋本敦君 私は、日本共産党を代表して、本案に関し反対の討論を行います。  本改正案は、最近の各選挙における投票率低下傾向に対応するためとして、投票時間の午後八時までの延長、また、選挙会、名称保護届け出政党の立候捕手続、選挙公報の字数制限の廃止、不在者投票所における候補者の氏名等の掲示、不在者投票の実務の簡素化、投票立会人の定足数の要件緩和など、選挙に関する事務の簡素合理化等のためのそれ自体妥当な措置であり、これらは我が党もいずれも賛成できるものであります。  しかし、投票率低下の根本的な原因は、かつての消費税税率アップなど数々の公約違反政治の横行などによって、だれに投票しても政治は変わらないなど、こういった国民意見に見られるように、現在のオール与党的と言われる政治の現状に国民の多くが政治不信に陥っていることにあります。  また、小選挙区制の導入によって膨大な死票が発生し、国民の声が国会に届きにくくなっていることのみならず、何よりも、たび重なるこれまでの公選法の改悪によって、政党候補者政策宣伝活動が著しく制限され、さらには選挙運動期間や時間が短縮されてきたことなどが国民選挙から遠ざけてきたのであります。すなわち、世界にも例のない戸別訪問の禁止規定をいまだに温存していることを初めとして、ビラや音声による宣伝の規制、立会演説会制度の廃止、選挙運動期間と時間の短縮など、選挙のときこそ最大限に保障されねばならない政党候補者政策宣伝活動に制限を加える改悪を重ねてきました。  ところが、その上さらに今回の本改正案によって、参議院選挙における確認団体の行う政策宣伝活動の上で重要な役割を果たしている無料の新聞広告制度を廃止することは、真に投票率向上させるために必要な、政策本位の選挙が行えるようにするためのこういった規制を取り除いて、政党候補者の自由闊達な政策宣伝活動を十分保障することに逆行するものと言わなくてはなりません。  これは第一に、政党等の政策について国民の知る権利と機会をさらに少なくするものであり、選挙人投票しやすい環境を整えるという本案の提案理由にさえ反します。自治省は、確認団体制度で公営のものは新聞広告だけであり、確認団体の新聞広告をやめても、政党等が選挙に関して記載できる新聞広告を保障することにしていると、こう言っておりますけれども、確認団体の新聞無料広告制度は、参議院ではこれまで定着してきたものであり、これをなくすことは、自由闊達な言論表現による選挙活動の手段をまた一つ奪うことにほかなりません。  第二に、これまでの確認団体の公営の無料の新聞広告は、立候補しているすべての団体等にとって広告の寸法、回数を平等に取り扱っていました。一方、政党等の新聞広告公営制度は、名簿登載の立候補者の数によって寸法、回数が定められている上に、有効投票の一%以上の場合に限って公費負担が認められる制度であります。公営の新聞広告がこの政党等のものに制限されてしまえば、少数政党への不平等をこれまで以上に拡大することになるのは明らかであり、少数政党にも公正な権利を保障するという理念に反することは明白であります。  なお、修正案はいずれも賛成でありますが、以上の理由で本案に反対することを表明して、討論を終わります。
  194. 円より子

    委員長円より子君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより公職選挙法の一部を改正する法律案(閣法第一五号)の採決に入ります。  まず、鈴木さん提出の修正案の採決を行います。  本修正案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  195. 円より子

    委員長円より子君) 全会一致と認めます。よって、鈴木さん提出の修正案は可決されました。  次に、ただいま可決されました修正部分を除いた原案全部の採決を行います。  修正部分を除いた原案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  196. 円より子

    委員長円より子君) 多数と認めます。よって、修正部分を除いた原案は可決されました。  以上の結果、本案は多数をもって修正議決すべきものと決定いたしました。  この際、武田節子さんから発言を求められておりますので、これを許します。武田節子さん。
  197. 武田節子

    武田節子君 私は、ただいま可決されました公職選挙法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、平成会、民主党・新緑風会、社会民主党・護憲連合、二院クラブ、新党さきがけ及び太陽の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     公職選挙法の一部を改正する法律案に対     する附帯決議(案)   最近の各種選挙における投票率低下の状況を  踏まえ、本法施行に当たり、政府は左記の事項  について善処すべきである。  一 選挙に対する国民関心を高め、投票率の   向上を図る方策について、今後引き続き検討   すること。  二 投票率向上のための改正の実効性をあげ   るため、選挙の執行に当たっては、今回の改   正内容について国民に周知徹底を図ること。  三 選挙事務管理執行に当たっては、投・開   票の公正確保に努めるとともに、開票の迅速   化に留意すること。  四 改正に伴う国政選挙執行経費の支出増につ   いては、地方公共団体の負担とならないよう、   実情に即し十分な措置を講ずること。   右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  198. 円より子

    委員長円より子君) ただいま武田さんから提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  199. 円より子

    委員長円より子君) 全会一致と認めます。よって、武田さん提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、上杉自治大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。上杉自治大臣
  200. 上杉光弘

    国務大臣上杉光弘君) ただいまの附帯決議につきましては、政府といたしましてもその御趣旨を尊重し、善処してまいりたいと存じます。
  201. 円より子

    委員長円より子君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  202. 円より子

    委員長円より子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後二時五十九分散会      —————・—————