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1997-11-10 第141回国会 参議院 国民生活・経済に関する調査会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年十一月十日(月曜日)    午後一時開会     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     会 長         鶴岡  洋君     理 事                 尾辻 秀久君                 中原  爽君                 山本  保君                 朝日 俊弘君                日下部禧代子君                 有働 正治君     委 員                 小野 清子君                 太田 豊秋君                 金田 勝年君                 中島 眞人君                 橋本 聖子君                 平田 耕一君                 及川 順郎君                 木暮 山人君                 高野 博師君                 和田 洋子君                 小川 勝也君                 小山 峰男君    政府委員        厚生大臣官房総        務審議官     田中 泰弘君        厚生大臣官房審        議官       江利川 毅君        厚生省健康政策        局長       谷  修一君        厚生省保健医療        局長       小林 秀資君        厚生省生活衛生        局長       小野 昭雄君        厚生省社会・援        護局長      炭谷  茂君        厚生省老人保健        福祉局長     羽毛田信吾君        厚生省児童家庭        局長       横田 吉男君        厚生省年金局長  矢野 朝水君        通商産業省機械        情報産業局長   広瀬 勝貞君        中小企業庁次長  中村 利雄君        郵政省通信政策        局長       木村  強君        労働省労政局長  澤田陽太郎君    事務局側        第二特別調査室        長        村岡 輝三君    説明員        厚生大臣官房審        議官       大塚 義治君        郵政省放送行政        局放送政策課長  伊東 敏朗君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○国民生活経済に関する調査  (二十一世紀経済社会対応するための経済  運営在り方に関する件)     ―――――――――――――
  2. 鶴岡洋

    ○会長(鶴岡洋君) ただいまから国民生活経済に関する調査会を開会いたします。  国民生活経済に関する調査を議題とし、二十一世紀経済社会対応するための経済運営在り方に関する件について調査を行います。  本日の議事の進め方につきましては、本年六月に議長に提出いたしました中間報告書における提言に関し、関連する施策現状課題、並びに予算編成時期を迎え、次年度以降の取り組みなどについて関係各省から説明を聴取した後、各委員から質疑を行っていただくことといたします。  質疑につきましては、あらかじめ質疑者を定めず、自由に御質疑をいただきたいと存じます。質疑を希望される方は、挙手の上、私の指名を待って質疑を行うようお願いいたします。  なお、できるだけ多くの方が質疑をできるよう各委員一回当たりの発言時間を一分程度とさせていただき、時間があれば二巡目を行うというようにしたいと存じます。  また、時間に制約がありますので、質疑内容各省からの説明に関連するものとし、簡潔に行っていただくようお願いいたします。  なお、各省からの説明、各委員からの質疑及びこれに対する答弁とも着席のままで結構でございます。  それでは、まず郵政省及び通商産業省から説明を聴取いたします。郵政省木村通信政策局長
  3. 木村強

    政府委員木村強君) 御指名を賜りました木村でございます。  それでは、資料に基づきまして私の方から御説明をさせていただきます。  まず、情報通信技術研究開発及び情報通信利用者保護という観点二つに絞りまして御説明をさせていただきます。  まず、一ページであります。情報通信技術の最近の動向でございます。  御案内のように、情報通信は、二十一世紀に向けまして、我が国のみならず世界各国でもこれをその国の戦略分野という形で位置づけをいたしまして、来るべき社会に向かってこういった情報通信高度化ということを進めることによりまして、あらゆる社会経済活動あるいは文化活動、その他の国の営みの基本にしていこうと、こういう動きがございます。  その中で、情報通信技術と申し上げますのは、技術がやはり何といっても先にある分野でありまして、技術革新が行われ、新しい利用の仕方が開発されるということに従って情報高度化が進んでいくということでございます。  歴史を見ましても、一八七六年にアメリカのベルが電話を発明いたしました。それから、一八九五年にはイタリアのマルコー二が無線通信装置開発いたしまして、百年足らずの間あるいは百年ちょっとの間にこのような急速な進歩を見たわけでありまして、私ども情報通信行政に携わる者といたしましても、技術がやはり第一である。これを遅滞なく利用者皆様あるいは企業活動に還元していくということで、情報通信技術成果というものを遅滞なく還元していくように、果実が本当に国民皆様あるいは企業のお役に立つようにという形での情報通信行政というものを視野に置いております。  そういう意味で、きょうは情報通信技術の問題につきましても時間をとらせていただきまして大変ありがたい、このように考えております。  一ページは、最近のこれまでの情報通信技術は幅広い分野に応用されておりますし、現在も新しい情報通信技術開発進展中であります。日々日進月歩という急速な改革分野であります。情報通信技術が今どんな分野で動いておるかということで、四つ方向を示しております。  一つは、光通信分野ということであります。光通信、これができましてから通信伝送路として大きな改革を見たわけでありますけれども高速化進展あるいはトータル光通信技術ということで、これまで通信音声中心にメタルで伝送するということが基本でありましたけれども光通信ができるようになりましてからは大容量、高速情報が伝達できるという形になりました。したがいまして、音声のみならずデータ映像その他あらゆる情報量が一気に運べるということで、これが情報通信の飛躍的な発展につながったということでございます。  それから、右の方にコンピューター通信分野ということで、インターネットの発展あるいはネットワークコンピューターの登場ということでありますが、これがコンピューター開発と相まちまして、いわゆるネットワーク社会というものがこれから実現をしようといたしております。そして、通信というものの中にコンピューターの中に蓄積をされたデータなどがいつでも取り出されていくという中で、単に計算能力向上させるというコンピューターとしての単体という動きにも増しまして、これからはネットワークを通じてコンピューターの威力も発揮される、こういう時代になりつつございます。  それから、左下には放送分野ということであります。多メディア・多チャンネル化ということで、放送技術もアナログからデジタルという方向に動いておりまして、これによりまして周波数が効率的に利用できる、あるいはまた高画質な放送ができる。品質、量ともデジタル化ということで一気に進捗をしてまいったということで、放送分野におきましてもデジタル化ということで革命的な進展が見られております。  それから、右端には移動通信分野ということで、これは先生方にも身近に御理解賜れると思いますけれども携帯電話等の飛躍的な発展ということがこの分野を先導いたしております。  その状況は、二ページ目に書いてございますように、特に移動通信爆発的普及ということで、携帯電話PHS合計加入者数のこれまでの推移というものをこのグラフで示しております。自動車電話サービスは一九八〇年ごろ、左側の方の「八〇」の上に「自動車電話サービス開始」というコメントがしてございますが、一九八〇年ごろから開始をされまして、その後、携帯電話PHSサービスが順次開始をされたということであります。この間、小型軽量化あるいはデジタル化、新しい周波数資源開拓等が行われまして、ここ三年間では利用者が十倍以上という形に一気に立ち上がった、こういう状況でございます。現在は四人に一人以上の人が携帯電話PHSを所有しているという状況になっております。  次に三ページでございます。衛星移動通信の将来像ということで、これからの動きということで、地上系無線中心にいたしました携帯電話に加えまして、衛星を使った世界じゅうどこでも携帯電話利用できる構想というものも既に動いております。  左の方には衛星携帯電話を支える技術ということで、衛星を複数の個数上げますけれども、同じような軌道位置に制御しておく。それから、衛星が何個かぐるぐると回りますので、衛星間通信という技術開発も必要だということで、これはアメリカなどが周回衛星ということで、当初軍の関係でいろいろと開発をされた技術でありますけれども、現時点ではイリジウムといったような形で、モトローラ社イリジウム計画というものをつくっておりまして、来年あたりから衛星軌道上に六十六個ほどの衛星を上げまして、これをぐるぐる回して世界じゅうどこでも携帯電話が使える、こういう私ども日本ではなかなか考えられなかったような非常に大きな発想でアメリカあたりが動いておりまして、こういう形が来年度には具体的な実用的なサービスということにもなりつつございます。  それから、将来の発展性でありますけれども、二〇一〇年の未来像、このイリジウム構想というものにつきましては、いわゆる音声中心とした電話でありますけれども内容画像伝送も送れるようになるということで、音声からデータあるいは映像といったようなものが世界じゅう利用できる、こういう体制にもこれからなろうということで、技術的には可能な状況になりつつございます。  いずれにいたしましても、こういった形でコンピューター通信とがドッキングいたしましてネットワーク上にそういった機能が展開される、こういう時代が間もなくやってくる、このような動きでございます。  次の四ページには欧米情報通信分野研究開発状況につきまして若干説明してございます。  米国では、政府高速コンピューター通信分野におきまして、技術的リーダーシップを高めるということを目的といたしまして、一九九一年より高性能コンピューター通信計画、HPCCと呼んでおりますけれども、これを展開いたしております。この計画の中で超高速ネットワーク技術あるいは遠隔教育アプリケーションなどの研究開発実施されておりまして、予算といたしましても、左側の棒グラフでも御理解賜れると思いますけれども、一九九六年度からは十億ドルの規模に達しておるということで、相当この分野予算をつぎ込んでおるという状況でございます。  それから、右の方に欧州ということで、欧州連合EUでありますけれどもEUにつきましても、科学技術基盤強化あるいはその国際競争力向上目的といたしまして、一九八四年からフレームワークプログラムというものをつくりまして推進をいたしております。  情報技術分野通信技術分野情報通信融合領域三つ研究領域に第四次計画として四千百億円程度予算が投入をされているということでございます。双方向マルチメディアサービス、あるいは先ほど申し上げました移動体通信といったようなことでの研究開発に力が注がれておるという状況でございます。  欧米では情報通信を二十一世紀戦略分野と位置づけましてこのように国家プロジェクトが進められておるということでありまして、私どもにつきましても、これらの世界的潮流におくれることのないよう情報通信技術研究開発への取り組み強化していく必要があるということで考えております。  次に五ページでありますけれども情報通信技術研究開発への取り組みということでございます。  これは、郵政省情報通信研究開発基本計画というものを本年の四月に電気通信技術審議会から答申をいただきまして、これに基づきまして現在推進をしているということでございます。  政府として取り組むべき八十の重点研究開発プロジェクトを策定いたしまして、標準化推進国際的連携強化あるいは地域研究開発強化といったようなことにつきまして総合的な研究開発推進のための体制整備していく。それから研究開発、国のお金でございます。研究というのは成果がずばりあらわれるかどうかという面で非常に難しい問題もございますが、外部評価制度も取り入れまして、こういった研究開発に投入される予算の正しい使い方というものにつきましても透明性を確保する中で、国がやる必要のある研究開発というものを見きわめて対応しようということで、この計画に基づきまして推進をしているという状況でございます。  それから六ページは、ただいま申し上げました重点研究開発プロジェクト内容を一覧にしたものでございます。  まず、ファンダメンタル・リサーチということで、一番下の欄に電波光利用技術。あるいは、その他基本的な研究領域というものの上に立ちまして、真ん中にはジェネリック・ネットワーク技術ということで、いわゆるネットワーク化の中でこれが生かされていく必要がございますのでネットワーク基本技術。それから、その上に立ちましてどんな使い方ができるのかということを大くくりにいたしまして、八十のプロジェクトということで推進をしようという計画を持っております。  それからその次のページには、国民生活経済に関する調査報告におきます提言につきまして、郵政省施策現状ということで項目を整理したものでございます。四点御提言を賜っておりまして、以下のページで順次御説明をさせていただきます。  八ページでございます。国の研究開発施設や設備の高度化ということでございます。  私ども情報通信関係につきましては、国の研究開発施設といたしまして通信総合研究所というものを持っております。ここで行っています主な施設整備につきまして、①から④までの内容で御説明をしたいということでございます。  一つは、長波標準電波施設整備ということでございます。通信総合研究所我が国周波数とか時刻の国家標準を定めておりますけれども、より精度の高い標準電波全国向けに送信するための施設整備しようということで、平成十年度には六億近くの予算を計上いたしております。  それから二点目は、情報通信基盤技術研究開発施設整備であります。これは超高速ネットワークユニバーサル端末高度データベースに係る施設整備しようということで、これにつきましては二十六億四千四百万の予算平成十年度には要求しております。情報通信基盤技術研究開発ということの関連でございます。  それから三つ目には、マルチメディア・バーチャルフボの構築ということで、国の内外各地に分散する産学官研究開発機関高速ネットワークで結びまして、それらの研究開発力を結集して研究開発を行おうということで、国内あるいは世界研究開発機関ネットワーク上に設けまして、あたかも一つ研究機関で人が集まりあるいはデータを使いやっていこうというものでありまして、まさにネットワークの効用をフルに活用した研究を行おうという政策でございます。  四つ目は、次世代通信放送分野研究開発衛星整備ということで、携帯電話高速データ通信システムマルチメディア放送システム実現するための衛星用研究施設整備を行おうとするものであります。  こういったものにつきまして、現在、国の研究開発施設として整備を行おうということで予算等要求を行っておるものでございます。  それから九ページは、ベンチャー企業等公的研究機関との共同研究というものであります。  一つは、情報通信分野におきます研究開発推進するため、大学国公立試験研究機関等からの提案に対しまして共同研究をしようということで、しかもこれは公募方式によって行おうというものでありまして、大学とか国公立試験研究機関等からの提案を受けまして、私ども通信放送機構においてその施策実現に努めるという形のものであります。単に通信総合研究所の国の公務員が研究をするということではなくて、大学とか他の国公立試験研究機関からの提案というものを受けまして、新しいアイデアその他幅広い概念のもとに情報通信技術研究開発体制をつくろうというものであります。  それから二点目は、特別試験研究促進税制というものでありますが、二十一世紀に向けましての喫緊の課題であります情報通信基盤整備を支える技術研究開発を行うに当たりまして、個人または法人が通信総合研究所と共同して行います試験研究につきまして、試験研究費の六%の税額控除実施しようというものであります。  それから、これはもう既にスタートしておりますけれども、三点目のネットワーク活用型産学共同研究促進税制というものは、来年度の税制要求ということでこの八月末に財政当局に要請をしたものでございます。これは、情報通信の急速な高度化多様化に伴い、通信ネットワークを介した分散環境下共同研究実施するケースが増加していることから、大学等と相互に接続した高速ネットワークを用いて情報通信技術の水準の向上に寄与する共同研究実施のために支出する試験研究費の六%の税額控除を適用といったようなことであります。ベンチャー企業等民間活力を生かしながら研究開発体制強化に向けて行おうという税制の創設の問題であります。  それから十ページは、大学公的機関が有する先端技術開放を行おうというものであります。  研究成果の発表というものが一つ、それから一般公開ということで、通信総合研究所施設を一般に公開する、それから民間との共同研究実施をしようという三つ。  それから、「(3)公的研究機関による共同利用可能な施設開放」ということで、これも通信総合研究所大型施設電波暗室とか宇宙通信施設などを一般に開放いたしまして、民間皆様方にもこれを利用していただくということであります。それから、民間との共同研究による施設の共用なども共同研究契約というものを結びまして、民間企業との共同研究実施をするという形で産学官連携視野に入れまして施策推進しておるという状況でございます。  十一ページは、だれもが利用しやすい機器ソフトウエア開発ということで、これは特にこれからの情報化が進みます中で地域間の格差を是正すると同時に人によります格差を是正する必要があるということで、汎用福祉型情報端末技術、あるいは高齢者障害者のための機能代行、あるいは支援通信システム研究開発、あるいは、少し表現が難しゅうございますが、次世代バリアフリーシステム研究開発ということであります。  いわゆる情報弱者をつくらない形でこういう情報化になじんでいただけるように、むしろ情報化が進みますと、これまでいわゆるフットワーク社会であれば非常にハンディがありました方々も、ネットワーク社会になりますと距離関係なくいろんな情報を入手し、あるいは自分の考えを伝えることができるということにもなりますので、情報通信ネットワークの持つ有用性というものを大いに使っていただける環境をつくる必要があるという関係機器あるいはソフトウエア開発であります。  それから十二ページには、情報通信システム標準化互換性というものにつきまして、デ・ファクト標準への適切な対応ということで、事実上この新しい情報通信の仕組みができましてもこれが世界に通用する形でないといけない。これまでは標準化活動はITUといいます国際連合専門機関の中で行っておりましたけれども、自由な市場活動の結果、頭から標準はこうだと決め切れずに、事実上のマーケットの中で一定の標準的な動きというものが確立するような事態になってきております。そういうようなこともございますので、そういったデ・ファクト標準に対する形成というものも視野に入れた対応をしなければ、日本国内だけで通用する形でもいけないということで、こういったデ・ファクト標準対応する対策というものも一つ大きく取り上げたいということで進めさせていただいております。  以上が技術関係でございます。  時間の関係もございますので、少し走りながらで大変申しわけございませんが、十三ページは先ほど申し上げました長波施設関係。それから、マルチメディア・バーチャル・ラボの関係参考二。それから、汎用福祉型情報端末技術研究開発の概要ということで参考三。それから、アジア太平洋地域での標準化機関の設立というものにつきましても、アメリカあるいはヨーロッパに伍してアジア太平洋地域での標準化活動推進という観点での動きというものを参考四にあわせてつけさせていただきました。  それから次に、情報通信利用者保護というところに入らせていただきます。  十七ページでありますけれども情報通信がどんどん進みまして高度情報通信社会になりますと、いわゆるネットワーク利用によりまして時間と距離を超えた活動が可能になるということであります。しかし、ネットワークに起因をいたします新たな社会問題も発生するということで、この問題について適切な対応を図りながら高度情報社会推進を図っていく必要があるということで、利用者が安心してネットワーク利用できる環境整備することが必要だという認識に立っております。  十七ページには新たな社会問題等ということで、一つにはプライバシー侵害二つ目には虚偽情報の発信あるいは公序良俗に反する情報流通三つ目にはネットワーク利用した犯罪、四つ目には電子商取引の安全・信頼性確保の問題、それから五点目には苦情処理等の充実、それから六としましてその他、こういったネットワークとの絡みでできてまいりますいろんな問題というものは国内だけではなくて諸外国と連動もいたしておりますし、諸外国制度とも整合性がなければ通用しなくなるということもございますので、外国との連携ども視野に入れた問題ということで、以上六つの観点から簡単に御説明をさせていただきます。  十八ページは、いわゆるプライバシー侵害に対する取り組みであります。  高度情報化進展に伴いましてネットワークを通じて個人情報が容易に流通、蓄積することが可能となるとともに、それに伴いまして漏えいあるいは改ざんされる危険が大きくなってきております。  現在、我が国におきましては、公的部門個人情報保護につきましては法律条例が制定をされております。これは下の欄の左側公的部門ということで、国レベルあるいは地方自治体レベルにつきましてはそれぞれもう既にこの個人情報保護というものについての法律ないし条例が制定されております。  ところが、右にありますように、民間部門個人情報保護につきましては、現状では個別分野ごとガイドラインによりまして対応しておりまして、個人情報保護制度的な整備取り組みということがこれからの私ども課題というふうに認識をいたしております。郵政省におきましても、電気通信事業者あるいは放送事業者等個人情報の問題につきましては、現在ガイドラインという形の中で進めているという状況でございます。   それから十九ページは、虚偽情報の発信あるいは公序良俗に反する情報流通に対する取り組みということで、インターネットのホームページ等におきましてわいせつ情報あるいは他人の誹議中傷情報、詐欺的情報等の流通社会問題化しつつございます。  こういった問題に対応いたしますために、プロバイダー等の民間団体によります違法、有害な情報流通を防止するためのガイドラインというものを既に策定して公表いたしております。また、技術的にはこういったインターネット上の有害情報を格付いたしまして選別するという技術研究開発もあわせて推進をしておるということでございます。こういった虚偽情報あるいは公序良俗に反する情報の問題というのが一つのテーマであります。  それから三つ目は、ネットワーク利用した犯罪に対する取り組みということでございます。  ネットワーク利用の増大に伴いまして、ハッカーによる情報の窃取あるいは改ざん、あるいはパスワードの盗用によります成り済ましなどのネットワーク利用した犯罪の増加も懸念されております。  現在、私ども、この問題に対応するためには、情報通信ネットワークの安全・信頼性基準ということで、郵政省の告示でございますけれども、これを定めあるいは改定をし対応させていただいておるということであります。それからまた、無権限者によりますコンピューターシステムへのアクセスを防止するための技術開発等のネットワークのセキュリティー対策につきましても、平成七年度から予算をいただきまして取り組みを進めておるということでございます。セキュリティー技術対策ということであります。  それから、二十一ページにはこれからの電子商取引、いわゆるサイバービジネスの問題でございますけれども、二十一ページには概略といたしまして、我が国のサイバービジネス、サイバースペースを活用したビジネス活動ということでございますけれども、既に前年と比べて二・五倍ということで、サイバービジネス店舗数というのは四千九百二十五、私どもネットワーク上にこういうビジネス店舗が設定をされておる状況であります。  そこで行われております取引でありますけれども、右の方でありますけれども、八年度は日本は二百八十五億円ということで、米国などと比べますとまだまだ少ないわけでございますけれども、その成長率というのが非常に高いということで、これから急速に伸びていく分野だというふうに認識をいたしております。  二十二ページは、そういった電子商取引等のサイバービジネスにおきます安全・信頼性の確保のための取り組みということで、特に安心して商取引ができるというためには成り済ましやデータの改ざんを防止いたします認証制度等の整備が必要であるということで、通信相手の本人確認あるいは通信データ内容確認、この二つがやはり決め手であります。正当な本人との通信である、それから正確な中身が伝わっておるということが大切でありまして、このため、私どもとしましても、ネットワーク認証業務に関するガイドラインの策定などもサイバービジネス協議会という中で官民一体となりまして研究を進めまして、そういうガイドラインを策定しているという段階でございます。  それから二十三ページは、利用者からの苦情の処理等に関する取り組みということであります。  苦情処理窓口の設置ということで、特にこういった新しい電気通信等を使いましたサービスあるいは放送内容等に対しますいろんな注文、苦情、利用者の皆さんあるいは消費者の皆さんからの意見をきちっと聞く体制が必要だということで郵政省に苦情相談受付窓口を設置いたしております。本省並びに地方電気通信監理局におきまして設置いたしております。  それから、個別に消費者の方からの意見を聞こうということで電気通信サービスモニター制度実施をいたしております。  さらには、本年五月からは法律も改正していただきまして、放送番組内容の質的向上を図ろうということで、放送番組審議機関の機能強化ということで、右に書いてございますように、「放送番組審議機関への報告とその議事概要の公開を義務付け」という形で一応体制を整えたと。そういった法律上の措置とは別に、放送と人権等権利に関する委員会機構というものがNHKと民放連の共同によりまして放送に関する権利侵害についての苦情対応機関として自主的に設置がなされたということで、これが既に機能開始しておるということで、苦情の処理等についての取り組み強化をいたしております。  それから六番目といたしまして、これらの利用者保護関連施策といたしまして、郵政省といたしまして、研究開発分野あるいはサービスの充実の分野、それから利用者保護利用環境整備といったような形で、ここに書いてございますように、それぞれ予算措置を講じて進めつつありますし、また来年度の新しい施策としても要求をしておるという段階でございます。  それから二十五ページは、国際的な連携ということでございますが、既にアメリカにおきましても、電子商取引につきましてグローバルな電子商取引のためのフレームワークというものを、基本的な考え方、五原則を発表いたしております。さらに、EUにつきましても、右の方にございますように、「将来のEU活動のための一貫性ある政策の枠組みを提示」ということで、その基本的な考え方を発表しておるということで、私ども日本国内におきましては高度情報通信社会推進本部、総理大臣を本部長といたします。そういう場でも検討部会を設けて作業に入っておりますし、また国際的なルール化の検討ということで、対アメリカあるいは対欧州との関係でもコンタクトパーソンを決めながらそういった世界動きというものに対応した形での議論というものが進められていくような体制をとっておるところでございます。  最後になりましたが、今後の利用者保護施策の検討状況ということで、通信放送とがいろんな意味で融合していく、あるいは新しい二十一世紀に向けてこういったサイバー社会対応するもろもろの課題対応していく必要があろうということで、今申し上げましたような各課題につきまして対応策の検討が必要だろうということで考えております。  新しいネットワーク上の社会に対する新しい秩序でありますから、やはり時代の流れあるいは世界動きの中で余りおくれ過ぎることなく、また先走って早く規制みたいな話をやり過ぎることなく、その辺の状況をよく見極めながら、基本的には自主的なルールというものを尊重しながら、一定必要な社会的規制というものが必要であればこれについても問題を提起していこうということで、ここにございますような研究会で学者先生方にも広範囲に意見を聞くような場を設けて、現在私ども勉強を進めておるという段階でございます。  以上であります。
  4. 鶴岡洋

    ○会長(鶴岡洋君) ありがとうございました。  次に、通商産業省広瀬機械情報産業局長
  5. 広瀬勝貞

    政府委員(広瀬勝貞君) 広瀬でございます。どうぞよろしくお願いいたします。  それでは、お手元にお配りしてございます「情報通信に関する技術開発及び消費者保護施策 通商産業省」という横長の紙に沿いまして簡単に御報告を申し上げます。  二枚めくっていただきますと「1 通産省の情報化施策」というペーパーがございます。申すまでもございませんけれども高度情報通信社会というのは、ここ二、三十年ずっとやってきているわけでございますけれども、この十年間、特に急速な発展をしているわけでございます。  私ども情報化施策を進めるに当たりましては、一つは需要サイドの施策というのが大事ではないか、第二に供給サイドの施策というのが大事ではないか、そして、こういうものを進めていくに当たって環境整備というのが大事ではないか、この三つをバランスよくやっていくということが大事ではないかというふうに考えているわけでございます。  需要サイドの施策左側の箱の中に書いてございますけれども、最近特に私ども力を入れておりますのは、情報通信技術の進歩というのを需要サイドに普及させていくことによって日本の産業の競争力をつけたり、あるいは消費者の選択の幅を広げて国民生活を豊かなものにしていったり、そういうことがまず大事ではないかというふうに考えております。  そういう意味で力を入れておりますのが、一つは産業分野情報化ということで、電子商取引推進ということでございます。ここにいろいろ書いてございますが、その中でも一つはCALSというものでございます。これはそもそもアメリカの国防省で発達をした技術でございますけれども、製品をつくる場合に設計から部品の調達そして生産管理、あるいはそれの配送、配送した後のアフターケア、これを一連のシステムとしてやっていく。そのことによって生産性も上がっていくし、また流通も合理化されていくし、あるいはアフターケアという形で消費者に対するサービスも充実していくということで、これに力を入れております。  また、CALSという事業者のシステムだけではなくて、事業者と消費者の間というのも非常に大事でございまして、電子商取引と言っておりますけれども、そういうものによって事業者の事業活動と消費者の購買意欲というものをうまくつないでいくということも大事なのではないかということでやっております。こういう形で、需要サイドでとにかく情報通信の先端的な技術が普及していくようにということをやっております。  実は私ども、これにつきましては実証実験をやっていく必要があるのではないか、実証実験をしながらいろんな問題点も把握し、あるいは必要な技術開発もやっていく必要があるというふうに考えておりまして、平成七年度からでございますけれども、おかげさまで四百億円ばかり予算をいただきまして実証実験をやらせていただいております。    〔会長退席、理事山本保君着席〕  事業者と消費者を結ぶ実証実験としては十九プロジェクトぐらいやっておりまして、五十万人の消費者の参加をいただいております。あるいは事業者間の実験としましては二十業種について実験をしております。生産規模で申し上げますと日本の生産の四〇%をカバーする二十業種についてこういう実証実験をやっております。そういうことによりまして問題を抽出し、またそれに現実的な対応をしていくということをやっております。この実験につきましては、実は世界でも類のない規模でやらせていただいておりまして、欧米からも大変実験の情報をくれと言われておりまして、コンタクトをとりながら進めてまいりたいというふうに考えております。  需要サイドのもう一つ大事な点は公的分野情報化ということでございまして、ここにいろいろ書いてございますが、教育、医療、図書館等々いろんな分野について情報化推進していくことが必要ではないかというふうに考えております。  それから、そういうことに対応できる供給サイドの施策というのも大事でございまして、これは御会から御指摘をいただいておりますように、技術開発というのが非常に大事なのではないか。次世代あるいは次々世代のための技術開発というのを大いに進めていく必要があるんではないかというふうに考えております。こういうものを円滑に進めていくために、一番下に幾つか書いてございますが、セキュリティー対策とかプライバシー対策とか知的財産権対策といった消費者保護対策が必要になってくるわけでございます。    〔理事山本保君退席、会長着席〕  このベーパーにはございませんが、先ほど木村局長からも申し上げましたように、最近、特に九〇年代になってからでございますが、コンピューターにつきましては、ダウンサイジングと言っておりますけれども、非常に小型化をし、パソコンなんかを中心にやってくる。あるいは、ネットワークコンピューターコンピューターをつなぎましていろんなことをやっておる。ネットワーキングということで、そういう新しい革新的な流れが出てきております。  この時期、アメリカは実は情報化投資を積極的にやりまして、競争力の強化とか消費者に対するクイックレスポンスといったようなことをやってきたわけでございます。それが今日、歴史的と言われている長期の好況に結びついているんではないか、こう言われておるわけです。他方、日本はこの大事な九〇年代の初めにバブルがはじけまして、情報化投資がかなり落ち込んでまいりました。  そういうことで、最近ようやく上向いてまいりましたけれども、今から情報化投資を積極的にやって、このおくれた九〇年代以降の新しい流れにしっかり乗っていかなきゃならぬというのが基本的な問題意識としてあるわけでございます。  次のページ以降、幾つか御下問の技術開発について書いてございます。  この2のところの一つ目の丸をごらんいただきますと、「次世代情報処理技術基盤開発事業(リアル・ワールド・コンピューティング)」と書いてございますが、平成四年度からやらせていただいております。  ここに書いてございますが、これまでのコンピューターというのはゼロ、一でいろいろ判断をする、あるいはイエスかノーかで判断をするということでございましたけれども、実際、人間の世界を考えてみますと、なかなかゼロか一か、イエスかノーかだけではなくて、その間にいろんな判断、認識があるはずでございます。そこで、そういうイエスとノーの間にいろんなあいまいな判断あるいは認識というものもコンピューター認識をし、あるいは処理できるようなコンピューターが要るんではないかという、よりリアルワールドに近いコンピューティング技術というのを開発しようではないかということがこのねらいでございます。  平成四年度からやらせていただいておりますが、なかなか難しい技術でございますが、これによって初めて次世代のさらに人間の判断に近いコンピューターができるということでやらせていただいておる次第でございます。  それから、その下に超高度先端電子技術開発促進事業というのがございます。これから非常に大事なことは、超高速で、あるいは超大容量で、あるいは超低消費電力といったようなことがこれからの情報処理の非常に大事な技術になっていくわけでございます。そういうあたりを進めていこうということであります。  ここに例がございますが、極めて微細な線とか図形を描く技術というのも大事な技術開発一つでございます。現在、半導体というのは十六メガビットとか三十二メガビットとか六十四メガビットというようなことで、百万個ぐらいを一つの基盤の中に命令として入れていくという単位で議論をしておりますけれども、こういう超微細加工技術ができますと、さらにその千倍ぐらいの集積度の高いギガビットの世界でいろんな半導体等がつくられていくということになるわけでございます。そういう技術開発にチャレンジをしているというところでございます。  それから三番目に、次のページでございますが、ソフトウエア開発支援というのがございます。ハードウエアで立派な半導体をつくりコンピューターをつくりましても、これに命令を与えるソフトウエアなり、あるいはこれに乗っけるコンテンツが立派なものでなければどうにもなりません。そういう意味で、ソフトウエアとかコンテンツの開発につきましてもいろいろ支援をさせていただいておるところでございます。  具体例としまして、四角の中にございますが、次世代の電子図書館システムの開発、あいまいな記憶に基づく検索ができるというようなものでございます。例えば、今は夏目漱石の作品というのはすぐできますけれども、そうじゃなくて、夏目漱石という名前はぴんとこないんだけれども日本の文明開化のころで、日本日本の文明についていろいろ厳しい問いかけをした作家の作品というようなことで探すとそれが出てくる、そういう人間のあいまいな要求に応じて検索ができるような図書館システムはないだろうかとか、そういったいろんなことを開発させていただいておるところでございます。  それから次のページでございますが、次のページ以降が消費者保護の問題でございます。  消費者保護の問題につきましては、先ほど木村局長の方から詳しくお話がございました。実は、電子商取引とか、あるいはCALSと最初に申し上げましたが、そういったものが進んでいけばいくほど消費者保護の問題というのは非常に重要になってくるわけでございます。  そこで、ただいま木村局長からお話のございましたように、内閣総理大臣のもとで高度情報通信社会推進本部という全閣僚が入った閣僚会議が持たれておりまして、そこで消費者保護等各省にまたがる問題を勉強しているところでございます。そういう意味で、あらゆるセクションでいろいろ勉強をさせていただいているところでございますので、この辺は先ほどの木村局長の御説明とほとんどダブると思いますけれども、簡単に幾つかダブりのなかったところについて御報告をさせていただきます。  一つは、4の1のセキュリティー技術のところでございますが、暗証とか暗号とか認証政策、四角の一番左上の方のものでございますけれども、これからコンピューターネットワーク上でいろんな取引が行われる、あるいは情報のやりとりが行われるということになりますと、その暗号とか情報が本人のものであるかどうかという認証とか、そういったことが非常に重要になります。各国ともこの暗号の開発ということに力を入れているわけでございます。私どもも、先ほど申し上げました電子商取引の実証実験等を通じまして、どういう暗号技術がいいのかというようなことを議論しているところでございます。  暗号につきましては、皆さん御承知のとおり二つのやり方がありまして、暗号コードを共有しておいて、共通のかぎ、それは共通のかぎと言いますが、私と私が送る相手先が共通のかぎを持っておって、それで暗号のやりとりをするというやり方、共通かぎ方式と言っていますが。それともう一つは、秘密かぎと公開かぎという二つのペアのかぎを持っておりまして、私が秘密かぎと公開かぎを持っておるわけです。相手さんには公開かぎを持っておいてもらって、私が情報を送るとその公開かぎがある限りはあけられる、公開かぎがなければあけられないというようなことで情報のやりとりをやるというようないろんな方式がございます。そういうのを実証実験的にどういう方法がいいのかというふうなことをやっているわけでございます。  セキュリティーの問題でもう一つ大事なのは、コンピューターウイルスの問題でございます。これにつきましても、ウイルスの検国技術とかコンピューターウイルスをやっつけるためのワクチンの開発といったようなことを中心にいろいろ研究をやらせていただいているところでございます。  次のページの4の2でございますが、プライバシーの保護も非常に大事な問題でございます。特にネットワークの中で個人情報もいろいろやりとりをされるということになりますとリスクはますます増大するわけでございます。このリスクをどうやって軽減していくかということが非常に大事なテーマでございまして、個人情報データを集めるときには用途を明示して集めることとか、あるいは個人から集めたデータについて開示の要請がある場合にはその人にだけ開示をするとか、いろんな方策を講じながらプライバシーの保護をやっていくということが大事になっていくだろうというふうに思っております。  次のページ、4の3でございますが、「消費者保護」と書いてございます。これは狭い意味での消費者保護でございますけれども、消費者と電子商取引のサイバー上のモール出店者との間でいろいろトラブルが起こる可能性がございます。  どの時点で契約が成立したかというのも、これまでは口頭のやりとりですからできるわけですけれども電子商取引で申し込むということになりますと、マウスでクリックをすれば向こうに申し込みということになるわけでございます。それで申し込みになるのかならないのかとか、あるいはクリックをするというのは非常に簡単な動作なものですから、逆に言うと、ちょっと早まったかな、取り消しをしたいなということも出てくるかもしれません。  では、どの時点まで取り消しができるかとか、電子商取引ということになりますといろんなこれまでの民法上の慣例ではなかなか処理できない新しい問題が出てくるわけでございます。そういったあたりをどうやってやっていくか。これは、最後は法務省も入った新しい民法法典の考え方ということにもなるかもしれませんけれども、とりあえずはガイドライン等で対応していく必要がある  んではないかということでございます。  何か事後的に問題があったときには、クレーム処理ということで国民生活センターとか自治体の消費者相談センター等々、全国に展開しておる相談窓口で相談をするというようなことも大事にな  ってくるわけでございます。  それから、次のページの4の4でございますが、知的財産権の問題も大事な問題としてこれから出てきます。  先ほどデジタル化ということを申し上げました。例えばデジタルビデオディスクというようなものができますと、今までのテープレコーダーですと何回かコピーをすると劣化をしてしまいますからそれでだめというふうになるわけですけれども、このデジタルビデオディスクになりますと何回コピーをしても実は劣化をしないわけでございます。幾らでもコピーができる。そうなりますと、逆に著作権者は危なくて、このデジタルビデオデイスクにはなかなか自分の歌なり映画なりを載せられないということになるわけです。そこで、こういうデジタル化という技術進歩の中で著作権というようなものをどうやって守っていくのか。余り守り過ぎますとまた今度は情報化が進まなくなるわけでございますけれども、この辺のバランスをどうとっていくかというような問題も新しい問題として出てくるわけでございます。  それから、有害コンテンツについては先ほど木村局長からお話がございました。どういうものが有害かということを国が決めるんではなくて、むしろ民間の皆さんがお決めになって、それをユーザーが判断をしながら選択していくというような方向がまずいいんではないかと考えているわけでございます。  そういうことで、大変情報化というのが国内でも進んでおりますが、国際的にも大変な勢いで協調、グローバル化が進んでおるわけでございます。そのために、一番最後のページの五ページでございますが、国際的な議論というのも、御会で御指摘のあったプライバシーの問題にしろ、消費者保護の問題にしろ、知的財産権制度にしろ、有害コンテンツの問題にしろ、これは国内だけではなくて国際的な議論も既に起こっております。OECDとかWIPOとか、いろんな場で起こっております。  先ほど申し上げましたように、実証実験でいろんな私どもデータをとっております。いつもは日本が受け身になっておりましたけれども、今度はこういう国際的な議論の場でこういう新しい実証実験等で得た知見をもとに日本としても発信をしていくことが大事ではないか、そして二十一世紀情報化時代日本一つ中心的な役割を果たしていくことが大事ではないかというふうに考えている次第でございます。  長くなりましたが、御説明を終わらせていただきます。
  6. 鶴岡洋

    ○会長(鶴岡洋君) ありがとうございました。  以上で郵政省及び通商産業省からの説明聴取は終わりました。  これより自由質疑に入ります。  質疑は午後二時三十分ごろまでをめどといたします。質疑を希望される方は、挙手の上、私の指名を待って質疑を行うようお願いいたします。また、質疑はただいまの説明内容に関連のあるものとし、簡潔にお願いいたします。  それでは、質疑のある方は挙手を願います。
  7. 木暮山人

    ○木暮山人君 通産省、郵政省のただいまの御説明につきまして、簡潔過ぎてちょっと見当がつかない点もあるのでありますけれども、ひとつこれを総合的にまとめましてもう一度簡単に説明をお願いしたいというような立場から、情報通信技術開発基本的なあり方について通産省、郵政省にそれぞれ所見を重ねてお伺いすると同時に、情報通信技術研究開発あるいは利用者保護に関しまして、通産省と郵政省はどのような機能、役割分担のもとにどのような連携を行っているか、お伺いしたいということ。  もう一つは、これの側面としまして、こういう新しいハードから出てまいります磁力、これが今、人の身体に及ぼす影響というものが非常に大きいということが言われておりますが、実質これはこういう理由でというところまでは参っておりませんが、このような問題につきまして簡単にひとつ御説明を願いたいと思います。
  8. 木村強

    政府委員木村強君) まず、情報通信技術につきましての国、郵政省基本的な考え方であります。  冒頭申し上げましたように、情報通信技術発展というのは非常に目まぐるしいものがございまして、日々日進月歩をしておるという状況でございます。したがいまして、私どもが取り組む技術開発につきましては、基本的にはリスクが非常に大きくて民間が実用ベースを念頭に置いてやり切れないもの、しかし国の発展の原動力にもなるものでございますから、こういうものにつきましては国が直接行う必要があろうということ。それから、非常にハイリスクであると同時に、それを開発していけば非常に公共的にも役に立ち、影響力も非常に強い、そういう性格のものにつきましては国としてぜひ行っていく必要があろうというふうに考えております。  以上であります。
  9. 広瀬勝貞

    政府委員(広瀬勝貞君) 二つ申し上げたいと思います。  一つは、情報通信を活用していろんなことをやるその主体は民間事業者あるいは国民の日常の生活の中でございます。したがいまして、こういう技術開発については、一つは、実証実験をしながら、いろんな問題を掘り起こしながら、そうして民間の力をフルに活用しながらやっていくというのが大事なんではないか。  ただし、もう一つ申し上げたいのは、技術開発の中にはそういう当面の情報化の中で必要な技術のほかに、次の世代あるいは次々世代のために必要な技術開発がございます。例えば、先ほど申し上げましたリアル・ワールド・コンピューティングとか超微細加工技術、これは今は使えません、次の次の世代のコンピューターであり、半導体に使うものです。  そういうものについては、民間企業が活用しながらそれを製品に体化していくわけでございますけれども、しかしながら次の次の世代でリスクも非常にあるものですから、このあたりは国の支援といいますかバックアップも必要なんではないかということで補助金等でバックアップをしながら進めていく、そのことによって世界的な流れの中に日本がおくれないようにしていくということが大事なんではないかというふうに思っている次第でございます。
  10. 木暮山人

    ○木暮山人君 磁場の人体に対する影響ということについては、どの程度今は研究が進んでいるものですか。
  11. 広瀬勝貞

    政府委員(広瀬勝貞君) この研究については、影響につきましてはいろんな調査をやりまして、どのぐらいの影響があるか、それを防除するためにはどういうふうにしたらいいかというようなことを調べておる、一応調べはついているわけでございます。それに基づきまして、これを利用する場合の安全基準といいますか、こういう形で利用したらいいんじゃないかというようなことで基準を業界団体と一緒につくっておりまして、それを普及させながら対応してもらっているというのが私ども対応でございます。
  12. 木村強

    政府委員木村強君) 私どもの方におきましても、電磁環境対策というのは非常に大切だということで、あくまで安心して人体に影響のない形でこういった新しい研究開発成果が活用されなければいけないということで、特に携帯電話などが非常に使われるようになりますと病院の中などで使われる。この場合、ペースメーカーなどを入れておられる方の身近でこれを使うと非常に問題があるのではないかとか、いろいろな問題が指摘されております。そういったことで、私ども、専門の研究者の方を集めて電波の安全基準ということで、電技審などにもお諮りをいたしまして、答申をいただいて、一定の基準のもとに対応しておるというのが実情でございます。  これからもそういう状況につきましては常に新しい先端の研究開発成果を取り入れて電磁環境というものについて十分配慮を行っていこう、もし危険な状態が来ればこれはきちっと透明性を確保して国民皆様に知らせていく必要があろうというふうに考えております。  以上であります。
  13. 木暮山人

    ○木暮山人君 どうもありがとうございました。
  14. 平田耕一

    ○平田耕一君 話を承りますと、要するに情報化社会をより高度にしようということであろうかというふうに思うんです。現実、そういう社会に移行するに当たって産業サイドで物を考えていった場合に、アクションを起こせば起こすほどケアが要る。どういうことかといいますと、中小企業対策ということであります。  ベンチャー育成と書いてありますけれども、そういう新しいベンチャーも含めまして、どんどんそういう新しいものに取り組んでいくことになると思うんです。そうすると、今の、従来のような環境でもっても景気変動とか金利の変動に対するいろんな波をかぶりまして、かなり変動に対応するのに苦慮しておるのが実情であります。  そうしますと、お話しされたように、情報化社会がより高度に達成する段階において、技術的な進展の度合いとかいろんな機器の改廃、これはよりスピードアップするんだろう。そうすると、従来型の景気変動、金利変動プラス技術システムの対応変動というようなものがより頻繁に出てくるんだろうというふうに思うんです。  そうすると、実際にこれを達成していく産業の現実のことを考えますと、従来型の中小企業への対策、ケアだけでは不十分なんじゃないかというふうに私は痛切に思うんです。ですから、これはぜひ通産省としてはお考えをいただきたい。  それは、具体的には融資枠の増大とか、より低金利な融資とか、それから大きな変動にどう対応するかということだろうというふうに思うんです。具体的に言いますと、今までいろんな場面で私はお話ししておりますけれども、現実に中小企業に対する政府系金融機関の五%以上の金利を五%以下にしていただいていますが、四・五%以上の金利で見ますと五兆円ぐらいの融資残高があるわけです。これは、確実に大企業と差ができてきておるということを財投との絡みでどう解決していくかということ。  それから、新しい保証制度というのが要るだろうということ。  三点目に、同じ保証でも、例えばそういった情報化が進んでくると設備投資をがらっと変えなきゃいけないとか、あるいは抜本的に企業形態を変えてでも対応していかなきゃならない、それを多くの中小企業で認めてやらなければいけないとか、それから郵政と通産と合わさった皆さんの政策あるいは情報機器自体の技術的なそごができてきた場合、それに対応させるのに、それは民間の責任だということじゃなくて、社会として、国として対応しなきゃいけないというような場合も含めて、その特別保証というような制度を考えなきゃいけないんじゃないか。  特別保証といいますと、例えば簡単に言ったら、こういうふうに指導しておったけれども、こういう機械は実は要らなくなってしまったんだ、新しい設備が要るんですと、そうした場合には、従来のものに対してみんなが合意できるものについては棚上げとか金利減免とかという全く別個の保証システムが要るんじゃないか。  そういった現実に零細に至るまでそういう情報化社会進展に合わせてついていこうという場合に、現実面でのケアというものを通産で厳重に進めてほしいなと私は希望いたしますので、そのことについての大枠のお考えなりがあればお聞かせいただきたいし、構想とか感想でも結構ですからお聞かせいただきたいと思います。
  15. 中村利雄

    政府委員(中村利雄君) 御指摘のように、最近の中小企業、循環的な景気の変動の波に洗われていることに加えまして、非常に構造的な問題を抱えているわけでございます。そういう意味では、情報通信を含めまして、新しい分野を開拓していただくということを非常に強くやらなければいけないというふうに考えていまして、今までと違った新しい貸付制度でございますとか、例えば特別な枠にする、あるいは担保について特別な扱いをするとか、あるいは信用保証なんかについても信用保証協会の方で特別な扱いをするというような制度を設けてきております。  そういう中で、現在の企業にはもちろん既往の貸付金というのがあるわけでございます。実は、平成七年に五%超の金利のものについては五%まで下げるという制度を導入いたしまして、ことしの十月十八日から三年目に入ったわけでございます。  五%にしたときにはいろいろ議論がございました。この五%超の方だけを救うということについては、他の例えば農業とか、そういうところの制度と、あるいはどの程度中小企業の方にとって負担があるかとか、一方におきまして中小企業金融公庫等は長期固定金利で貸しているということでございますので、当然繰り上げ償還とかあるいは金利を減免いたしますとその分政府系金融機関に穴があくということで、それをどう補てんするか、そういう負担の問題とか、そういうような点を総合的に勘案しまして現在五%ということでございます。  延長に当たりましても、最近の景気の状況とか金利の動向についていろいろ議論がございました。徐々に返済が進みまして負担もある程度小さくなっているというようなことから、現時点では五%超のものを五%とするという現在の制度を継続するのが適当であろうということで一年間の延長をしたという経緯でございます。
  16. 平田耕一

    ○平田耕一君 今の現況までの制度はお聞かせいただいたわけですけれども、非常に現実に進んでいる情報化社会への対応も含めて、そして私の申し上げたことは、やっぱり末端ではバブルの清算も残っておるわけですけれども、将来を見据えた形で中小企業に対する保証制度、それから融資制度というのは要るんだろうというふうに思います。  現状でも不足している。ましてやお話しなされたことを進めていくに当たっては、きっとそれはもっと頻繁に必要になってくるとした場合に、これはどのように進めるのか、片やケアをするという点で、そういう面も備えていないと現実に動いていかないわけですから、お考えがあればお聞かせいただきたいというふうにお願いをしたんですが、雑感で結構ですからお願いいたします。
  17. 広瀬勝貞

    政府委員(広瀬勝貞君) 先生御指摘になりましたように、情報化社会の中で中小企業の振興を考えていく場合に二つの面を考えていかなきゃならぬと思うんです。一つは、中小企業情報化社会の中でその情報化技術というのを、あるいは通信高度化技術というのをうまく活用していくだけの技術的な能力がない、それをそこにどうやって追いついていかせるかという問題と、それからもう一つは、せっかくある中小企業の活力をうまく生かして情報化時代にふさわしいベンチャーを興していくかという、この二つを考えていかなきゃならぬと思います。  先生御指摘のあったのはその後者の方のこれからのベンチャー対策ということを考えたときの問題だと思いますが、おっしゃるように、ベンチャーとかなんとか考えていく場合に、一つは資金の問題であり、一つは人材の問題であり、一つ技術の問題であろうかと思います。  中小企業、おかげさまでいろいろな施策の受け皿はできているんですけれども情報化時代にふさわしい新しい考え方でやっていくということがまだ十分でないと思います。ソフトウエア開発についても、これまでのような委託費みたいなものでいいのか、むしろそれだと後に負担が残るとか、いろいろな意味で考え直していかなきゃならぬ問題もあると思いますので、私どももよく研究をいたしまして、中小企業庁の方にお願いをしながら、先生の御指摘のような情報化時代にふさわしい中小企業政策のあり方というのを実現していきたいというふうに考えております。
  18. 有働正治

    ○有働正治君 郵政省にお尋ねします。二点です。  光ファイバー網の整備と費用負担のかかわりなんですけれども、例えば二〇一〇年までに全国的にこれを完成させていく、そうしますとケースによっては三十数兆円あるいは五十数兆円かかるという試算も出されているようでありますけれども、問題はこうした費用をだれが負担するのかという問題であります。  政府の方は民間主導で行おうということがあると思うんですけれども、加入者を七千五百万件で見た場合に、三十数兆円となりますと一加入者当たり約四十数万円ぐらいになるわけです。五十数兆円となりますと約七十万円の負担になって、個人ではマルチメディア用の末端の機器の購入も必要になってくると思うわけです。仮に民間主導でNTTが実施するということになりますと、当然電話料金その他の値上げにつながることになりかねないのではないか、そういう面があるんじゃないか。また、現在の電話利用者が負担するのがよいのかどうか、その負担に対してどういうサービスが受けられるか等々の問題もあるわけでありますけれども、こういう整備とのかかわりでそこらあたりがどうなるのか郵政省としてビジョンを示すことが必要ではないか、その点でどうなのかをお尋ねしたい。  もう一点、情報弱者とのかかわりです。  障害者高齢者等々、情報から取り残されるということで、これからの高度情報通信社会ではこういういわゆる情報弱者、これへの対応というのが必要だと思うのであります。例えば字幕放送、これは国民的な要望あるいは国会の請願採択等々で、放送法で一定の改善措置がとられたようでありますけれども放送事業者に対しては努力義務の規定しか盛り込まれなかったと承知しているわけです。アメリカの場合には義務づけを原則としてやられている。その違いがあると思うわけでありますけれども、こういう国民が新しい高度情報社会に向けて情報の利便を享受できるような法整備なりあるいは必要な整備、ここらあたりについてのお考えをお尋ねしたい。
  19. 木村強

    政府委員木村強君) 光ファイバーにつきましては、私ども電気通信審議会等からいただいております考え方につきましては、今、先生から御指摘ございましたように、二〇一〇年に全家庭に持っていこうという形で整備プログラムというものをつくりまして対応する必要があるということであります。しかし、その基本民間電気通信事業者等が中心になって行うべしという考え方で進めております。  ただ、そうはいいましても最初の段階というのは非常にお金もたくさんかかりますし、営利を基本にいたします民間事業者がそれの設備投資をすべて打って出るというのはなかなか立ち上がりにくいというようなこともございまして、二〇〇〇年までを先行整備期間として、国としても財政上あるいは財投の方からの支援も行おうというスキームで二年前に立ち上げをさせていただいております。  そういうことで、二〇一〇年に最終的には民間中心とした設備投資等によりまして全加入者にそういう希望があれば光ファイバーが入るという体制まで持っていこうということであります。  費用負担につきましては、今、先生ございましたように、三十からそれ以上の数字というのが概算で出ておりますが、これをだれが負担するかということでありますけれども基本的には民間事業者の設備投資ということで、民間中心になって行っていくという基本の哲学がございますから、そのコストに対する回収ということも含めまして基本的には民間ベースの話であろう。  そうなりますと、今、先生御指摘ございましたように、七千五百万件加入とすると一加入者当たり幾らという数字が出てくるわけでありますけれども、私ども電気通信の行政という立場からは、そういう光ファイバーがどんどん進展をしてまいりますと、料金設定のあり方等につきましても、今は距離制、時間制といったような形で対応されておりますけれども、大容量の情報が一気に入ってくるというような仕組みになってまいりますと、必ずしも時間あるいは距離という現在のような料金の仕組みがいいのかどうか。マルチメディアですから、単に音声だけではなくデータあるいは画像といったようなものが同時に使われていくというようないろんな状況になってきて、この光ファイバー自身がそういうことを可能にする一つのシステムであります。  そこで、私どもは、この六月にいただきました電気通信審議会の答申によりますと、平成八年度の通信利用動向調査では現在の世帯平均支出額は月間約七千四百円だというような試算がございます。これと同程度の料金で利用可能なマルチメディア通信サービスの水準を一定のコストあるいはネットワーク構成のもとの条件下で行えば、二〇一〇年には二十メガビットの回線があれば今の七千四百円からちょっと上がる七千八百円程度利用可能だというような料金の試算の水準もございます。  そういう試算と現実のNTT等の第一種電気通信事業者の経営との絡みにつきましては、必ずしもリンクをしているわけではありませんけれども、設備投資をいつの期間で回収していくのかということは少なくとも経営上の問題としてそれぞれ設備投資をされていく段階での民間の御判断に任せていこうと。  ただ、今のような単純に三分十円というような形がコストがかかるから三分二十円になる、三十円になるといったような形ではないということで、料金の仕組み自体についての洗い直し等も当然行われていくのではないかというふうに理解をいたしております。
  20. 有働正治

    ○有働正治君 もう一点の質問についての御答弁、恐縮ですが、簡潔に。
  21. 伊東敏朗

    説明員(伊東敏朗君) 放送政策課長の伊東でございます。  私の方から答えさせていただきますが、字幕放送につきましては、私ども、非常に諸外国に比べて普及がおくれているということで、行政としていろいろな対応をしてきているわけでございますが、一つは制作に対する支援ということで、平成九年度も予算をつけていただきましたし、平成十年度も予算要求をさせていただいております。  それから、今、委員の方から御指摘ございました、放送法の改正をいたしまして免許制度の改善を行いました。これによりまして、NHKを除く一般の、いわゆる民放でございますが、この制度ができる前までは十四事業者しか字幕を行っていなかったわけでありますが、この十月一日から制度改善を行いまして二十九事業者ふえまして、現在四十三事業者が行っております。  ただ、放送法は努力義務だけでございますので、私どもガイドラインを設けて放送事業者及び当然視聴者の方々にお見せできるように今準備を進めているところでございます。  以上でございます。
  22. 中原爽

    ○中原爽君 郵政省にお尋ねをいたします。  御説明いただきました資料の六ページであります。項目としては「重点研究開発プロジェクト」のページでありまして、上から三段目の枠の右側でありますが、ネットワーキングの安全性と信頼性技術の一番上に「非常時通信技術」と書いてございます。この非常時通信技術という意味は、ただ単純に非常の場合のネットワークをつくるということ以外に何か意味があってのこの項目になっているのかどうか。要するに、非常時通信についてのネットワーク以外の技術というものも含めての内容でしょうか、ここを一つお尋ねしたいと思います。  もう一点は、同じ枠の下のところでありますけれども、「電磁環境構築技術」となっております。これは、先ほど木暮委員が御質問になりました電磁波の人体に及ぼす影響とかそういうような意味合いでの構築技術をおっしゃっておられるのか。  と申しますのは、電磁波の人体に及ぼす影響というのが、現在、半分オカルト的な出版物が大分出回っておりまして、余りいい状況ではないというふうに思います。電磁波そのものの解釈もあれでありますけれども、現在、PHSが一・九ギガ、千九百メガで非常に波長が短くなっております。したがって、波長が短くなれば人体への影響も出てまいりますので、中継の地点も含めてこういった環境の構築という意味合いでこの項目ができているのかどうか、その二点をお尋ねしたいと思います。
  23. 木村強

    政府委員木村強君) 先生御指摘の非常時通信技術研究につきましては、特に光ファイバー等を使いまして、高速ネットワークマルチメディア通信技術を駆使して阪神・淡路大震災で明らかになった通信網の脆弱性を克服する研究を行うということでございます。  この場合に、マルチメディア通信技術利用することで、単に災害に耐えるということだけではなくて、災害状況の把握あるいは安否の情報提供など積極的な災害対策ということで、前広の情報を把握していくというようなこともあわせて対応したいというような技術の中身に持っていきたいということで考えております。  それから、電磁環境の問題につきましては、先ほども御質問がありましたが、一九九〇年には電波利用における人体の防護指針というものを電気通信技術審議会から作成をいただきました。それから、ことしの四月にもまた「電波利用における人体防護の在り方」ということで答申がなされております。したがいまして、電磁波の及ぼす影響に関しまして、単に技術的な側面からではなくて、どういう形でこういったものに取り組んでいけるのか。それから、各種機器の耐性測定法の確立といったようなことで、少し単純な電磁波自体の問題からその周辺のところまでこれから研究をしてまいりたいということを考えております。
  24. 中原爽

    ○中原爽君 次の七ページでございますけれども、真ん中辺でありますが、「(2)大学公的機関が有する先端技術の公平な開放」という項目がございます。この点について、現在、放送大学との関連についてはどのような形で郵政省としてお考えになっておられるのかどうか、簡単で結構でございますので御説明をいただきたいと思います。
  25. 木村強

    政府委員木村強君) 放送大学につきましては、ただいま御説明をいたしました研究開発の視点というのは特に現時点では加えておりません。
  26. 和田洋子

    ○和田洋子君 電磁波について私も質問をしたがったのです。ただ、今小学生の子供たちからもう携帯電話を持っていたり、家庭で子供たちはみんな漫画のキャラクターなんかもパソコンでかいているなんていう時代ですから、子供に対する影響というのをもっとよく調べていただきたいなという思いで質問をしようとしました。  今お答えをいただきましたので、あともう一つは、人に優しいソフト、利用しやすいという御説明があったんですが、私たちなんかの年になりますとなかなかこういうものを理解しがたいということがあります。一つ自分のうちのを覚えても人のおうちのはできない。もう電話一つとってもそういうことが多々あるんですが、パソコンなんか本当にそうなんですね。  だから、そういう意味で、もう最低のところは、各社のいろんな特殊なそういうものを出すということも必要なんでしょうけれども、どういう機種でも使えるようなという最低基準は御指導願えればありがたいなという思いがします。
  27. 広瀬勝貞

    政府委員(広瀬勝貞君) 今御指摘の人に優しいソフトというのは大変大事なテーマでございまして、私どもも、現実にいいものが幾らできても、使い勝手が悪いといいますか普通の人が使えないようなものでは何のためにつくったのかわかりません。  したがいまして、一つは、ソフトウエアを提供するサイドから、できるだけ使いやすい、わかりやすいソフトをつくるように指導をしてまいりたいと思います。  それからもう一つは、やはり我々自身ももう少し情報化社会の中でソフトウエアなりコンピューターなりに親しむ努力も必要でございまして、そういう受ける方の対応ということも大事になっておりまして、一つは、若いころから教育の場でそういうものを取り上げてもらえないかというようなことも含めまして、文部省等関係のところとも相談をしているところでございます。  両面から対応してまいりたいというふうに考えております。
  28. 和田洋子

    ○和田洋子君 ありがとうございます。
  29. 山本保

    ○山本保君 特に郵政省だと思いますが、個人情報の保護に関するガイドラインについて一点、中身三つぐらいお聞きしたいんですよ。  一つは、私は名古屋ですけれども、名古屋、横浜で電話をかけますと発信者番号が出るというのが何か先行的に始まって、何かまたもっと今広げるようなことをテレビでもよく見ます。確かにかかってくるのがわかるというのは最近名古屋で私やっていても便利だなと思うときもあるんだけれども、しかし大きな問題は、例えば会社などが、百貨店とかそんなのが自分のところへかかってきた顧客名簿という形で、私たちがわからないうちに全部それが動き出すんじゃないか。まだ顧客名簿ぐらいならいいけれども、それがどこへ行くのかわからないし、アメリカのように、この地区からかかってきたのはお金のない人たちだから出なくていいというようなことにだってなるし、いろんな人権侵害が心配なんですが、三つ聞きたいんです。  一つは、NTTの宣伝だと思うんだけれども、テレビでそういう問題は一言も言わずに、便利だということしか言っていないですね。それはどうしてそんなことがいいのか、どういう指導をされているのか。  二番目は、ガイドラインでやるというけれどもガイドラインというのは一体何なのか、守らなかったときの罰則はどうなっているのか。  それに関連して三番目は、外国、特にアメリカではその辺はどうなっているのか、きちんと法的な規制があるんじゃないかと思うんだけれども、この辺はいかがでしょうか。
  30. 木村強

    政府委員木村強君) 先生今御指摘ございましたように、特にNTTが発信者情報通知サービス開始することになりますと、通知されます電話番号等の個人情報は氏名だとか住所、注文した商品の種類だとか注文回数の情報といったようなことでコンピューターに蓄積、統合処理されるということで、個人プライバシー侵害する危険が非常に多くなるというふうに、そういう面では全く先生の御指摘どおりの認識を私ども持っております。  現在はガイドラインということで、電気通信事業における個人情報保護に関するガイドラインということでございますので、端的に申し上げますと、これに違反をしたということでの罰則なり行政処分の対象にはならない、あくまで自主的な事業者のガイドラインだという法的位置づけになっております。そういうものを自主的に事業者が守って対応するということが基本でございます。  ただ、テレビ番組等でその辺の考え方をどの程度NTT等が利用者の皆さんにPRするかどうかということにつきましては、今の先生のお話につきまして早速伝えるようにいたしますが、役所がその問題について特に関与をしているということではなくて、NTTの主体的な判断あるいは広報対策ということに任せてございます。  それから、情報通信サービス等につきましては、公的部門については日本には国あるいは地方自治体でございますけれども民間部門ではない。ただ、アメリカ等につきましては、ちょっと今調べておりますけれども、諸外国については個人の保護というものについても法的規制がある国が多いというふうに聞いております。アメリカにつきましてはFCCの規制でございます。
  31. 鶴岡洋

    ○会長(鶴岡洋君) 以上で郵政省及び通商産業省に対する質疑は終了いたしました。  ちょっと速記をとめてください。    〔速記中止〕
  32. 鶴岡洋

    ○会長(鶴岡洋君) 速記を起こしてください。  引き続きまして、厚生省及び労働省から説明を聴取いたします。  最初に、厚生省田中総務審議官
  33. 田中泰弘

    政府委員(田中泰弘君) 総務審議官の田中でございます。  委員の皆さん方におかれましては、日ごろから厚生行政に対しまして御指導を賜り、改めて感謝を申し上げます。  また、さきの六月に発表されました本調査会調査報告書におかれましては、大変貴重な御意見を賜り、厚く御礼を申し上げます。  さて、本日はお手元にお配りしております厚生省説明資料、これを参考にしながら、さきに御提言いただきました事項に沿って関連の深い施策などにつきまして順次御説明をさせていただきます。  まず、第一番でございます。少子・高齢社会対応した社会保障制度の再構築でございますが、一ページ、二ページのところでございます。  社会保障制度につきましては、御承知のとおり、国民皆保険、皆年全体制中心といたしまして、これまで施策の充実に努めてまいりました結果、現在では年金の給付水準や医療の受けやすさという点で他の先進諸国と比較しても遜色のない水準に達しているというふうに考えております。しかしながら、特に近年、経済が低成長基調になっておりますし、財政事情の深刻化といった状況のもと、少子・高齢化の進行に伴い、今後社会保障費用の増大は避けられないというふうに思っております。  こうした中で、本格的な少子・高齢化社会におきましても社会保障に対する国民の需要に適切に対応しますとともに、将来の世代に過重な負担を課さないよう給付と負担の公平を図るなど社会保障の構造改革を進め、将来にわたって安定的な制度を構築していくことが求められているというふうに考えております。  その際、国民の生活の安定を支えるという社会保障の役割を損なわず、必要な給付は確実に保障しながら、経済社会の活力を損なわないよう制度の効率化、合理化を行っていくことが必要であるというふうに考えております。このため、社会保障の構造改革におきましては、介護などの必要な需要に積極的に対応しつつ、医療及び年金分野中心に効率化、適正化を段階的に推進していくため、三ページに挙げておりますが、順次制度改革に取り組んでいくという考えでございます。  まず第一歩といたしまして、国民の老後におきます最大の不安となっております介護の問題について、介護保険制度の創設につき現在国会で御審議をいただいているところでございます。  また、医療でございますが、すべての国民が安心して質の高い医療サービスを受けることができる制度を次の世代に引き継いでいくために、医療保険及び医療提供体制の両面にわたる抜本的な改革実施する必要があると考えております。今後、新たに設置いたしました医療保険福祉審議会での議論を踏まえながら、抜本改革の具体案づくりに本格的に取り組んでまいりたいと考えております。  さらに、年金でございますが、平成十一年度に予定されております財政再計算において、将来の負担が過重とならないよう制度全体の見直しを行うこととしたいと考えておりまして、現在年金審議会で検討を進めているところでございます。  次に、四ページをおあけいただきたいと思います。将来の給付と負担の見通しでございます。  昨年の十一月に社会保障関係審議会の会長会議の報告が出されます際に、厚生省より社会保障の給付と負担の将来見通しを公表させていただきましたが、その後本年九月にその改訂版を公表いたしましたのがこの資料でございます。  この改訂版では、基礎となる人口推計を平成四年九月の推計から平成九年一月の新推計に変更しますとともに、平成九年の医療保険制度改正を織り込み、また介護保険制度が導入されたものとして推計をいたしております。  この推計によりますと、社会保障に係る負担は、平成七年度の一八カ二分の一から、平成三十七年、二〇二五年でございますが、各国民所得の伸びに応じまして三つのケースがございますが、二九カ二分の一から三五カ二分の一というふうに見込まれております。仮に、社会保障以外の支出に係ります租税負担の対国民所得比でございますが、現在の水準で約二〇%でございますけれども、これがこのままであれば、それを足し合わせました将来の国民負担率は約五〇から五六%と推計されるところでございまして、前回の見通しよりも若干上昇するという答えになっております。  次に、六ページをお開きいただきたいと思います。少子化問題の関係でございます。  近年、低い出生率の水準のもとで少子化が進行する一方、いわゆる生産年齢人口とともに総人口も二〇〇七年をピークといたしまして減少し続ける社会、人口減少社会と言っておりますが、となることは避けられないと見込まれております。この少子化の進行は、将来の我が国社会経済に深刻な影響を与えると懸念されておりまして、来るべき少子・高齢化社会に向けて今後どのように対応するかについて幅広い議論が必要となっております。  このため、厚生省の人口問題審議会で本年二月以降、少子化問題に関しまして学識経験者の御意見なども伺いながら幅広い討議が行われてまいりました。そして、この六ページに概要を載せておりますが、去る十月二十七日に「少子化に関する基本的考え方について」と題する報告書が取りまとめられたわけでございます。  今回の報告書は、少子化の影響と要因、それらへの対応について公的な審議会として初めて取りまとめを行ったものでございますが、少子化の影響として現役世代の手取り所得が減少するといった国民の生活水準への影響とあわせまして、家族や地域社会の変容あるいは子供の健全な成長への影響、こういったことも指摘をしております。また、少子化の要因といたしまして未婚率の上昇などを挙げております。それへの対応として、特に育児と仕事の両立支援が重要であると指摘いたしております。固定的な男女の役割分業や雇用環境といったものを是正するといった我が国社会全体のあり方を問い直すことが必要であるというふうに指摘をしております。  もとより、少子化をどのように考え、将来の我が国社会はどうあるべきかと考えるのは最終的には国民の選択でございます。また、少子化について多様な意見が存在しているところでございます。報告書の中でも指摘されておりますが、今後この報告書をいわば一つの出発点といたしまして、国民全体で少子化についての議論をしていただきたいというふうに考えております。  次に、平成十年度の概算要求関係について御説明したいと思いますが、資料の十ページをあけていただきたいと思います。  六月三日に閣議決定されました「財政構造改革推進について」という資料でございます。これにおきましては社会保障関係費について、集中期間中、対前年度伸び率を高齢者数の増によるやむを得ない影響分、約二%程度でございますが、これ以下に抑制するとされているほか、特に十年度予算について約八千億を超える当然増について五千億を上回る削減を行うというふうにされております。  社会保障費は高齢者の増、あるいは物価、賃金の上昇などによりまして自然に増加する傾向がございますので、これは極めて厳しい数字と私ども受け取っておるわけでございますが、今後少子・高齢化が進行する中で将来の世代に過重な負担を残さず明るい展望を持てる社会とするため、社会保障構造改革及び財政構造改革に取り組んでいくべきものというふうに考えている次第でございます。  十三ページをお開きいただきたいと思いますが、平成十年度の厚生省の概算要求につきましては、この閣議決定に従いまして取りまとめました結果、この資料にございますように、前年度予算に比べまして二千九百五億円増の十五兆七十二億円というところでございます。  次のページ以下に概算要求の概要、七つの柱を立てて整理してつけておりますけれども、この要求内容については関連の事項のところで御説明をさせていただくことといたしたいと思います。  それでは次に、十八ページをお開きいただきたいと思います。第二番目の高齢期におきます所得の安定でございます。現在、我が国では高齢者世帯の平均的所得の半分以上を公的年金、恩給が占めておりまして、公的年金が老後の所得保障の柱として大きな役割を果たしております。公的年金の概要をつけておりますが、我が国国民皆年金制度のもと、全国民共通の基礎年金が一階部分となっております。サラリーマンには二階部分として報酬比例の厚生年金が、さらに三階部分として厚生年金基金などの制度がございます。  このページの一番下に書かれておりますが、基礎年金の年金額は四十年加入の場合で月額六万五千円、厚生年金の年金額は男子で月額平均二十万七千円となっておる姿でございます。  費用負担の仕組みについての説明は省略いたしまして、次のページをお開きいただきたいと思います。次期の財政再計算でございます。  年金制度については、五年ごとに社会経済情勢の変化に対応して制度改正あるいは財政計画の見直しが行われることとなっておりまして、平成十一年に予定されている次期財政再計算に向けまして、現在厚生省の年金審議会で検討が進められております。  近年の少子・高齢化を初めといたしまして、年金を取り巻く社会経済状況はますます厳しくなっておりまして、次期の改正では給付と負担の均衡を確保し、将来の負担を過重なものとしないよう制度全体の抜本的な見直しを図ることによりまして、国民が将来にわたって安心して年金を受給できる長期的に安定した制度を確立することが必要であるというふうに考えておるところでございます。  年金財政の見通しにつきましては、次の二十ページでございます。  厚生年金の保険料を挙げておりますが、平成六年の前回制度改正時の見込みでは、二〇二五年のところで二九・八%で、以降は一定になると予測されていましたが、先般の新人口推計を踏まえて試算し直したところ、三四・三%の水準まで引き上げることが必要と見込まれるということでございまして、厳しいものとなっておるわけでございます。    〔会長退席、理事山本保君着席〕  この改定の検討のスケジュールでございますが、二十一ページをお開きいただきたいと思います。  ことしの年末までに年金審議会として制度改正の論点の整理を行います。あわせて、厚生省として次期改正における給付と負担の組み合わせについて複数の選択肢を提示したい。これらをもとに国民的な議論をお願いし、平成十年九月を目途に年金審議会に意見書の取りまとめをしていただくことにしております。その後、政府としての改正案をまとめ、平成十一年の通常国会に法案を提出したいというふうに考えております。  次に、主要検討項目でございます。これは二十二ページにあるとおりでございます。  今回の改正では、先ほども申し上げましたように、年金制度に係ります基本的な事項について議論をしていただいておりまして、その中で例えば公的年金の果たすべき役割は何か、厚生年金の民営化論の問題点、こういったことについても議論をしております。  それから給付の関係でございますが、保険料負担の水準との見合いで現行給付水準をどう考えるかといった問題あるいはスライド方式の見直し、高齢在職者等に対します給付といったことなどが検討項目となっております。    〔理事山本保君退席、会長着席〕  また、負担の関係でございますが、最終保険料率としてどこまでの負担が可能なのかなとにつきまして、世代間の負担の公平の観点も踏まえ、議論を行っておるわけでございます。そのほか、厚生年金基金や年金積立金の自主運用のあり方なども重要な検討課題となっております。  こうした検討項目について、関係方面の主な意見を取りまとめたものを二十三ページ以降に載せております。厚生省といたしましても、こうした意見を参考にしながら開かれた審議を十分尽くし、国民に納得していただける改正案の取りまとめに向け努力してまいりたいと考えております。  現在、年金審議会の議事録を公開、インターネットに掲載をしておりますが、さらに今年度からは新たに年金白書を作成いたしまして制度改正についての情報や考え方を広く国民に提示することも予定しておりまして、今後とも情報公開に努めてまいりたいと考えております。  なお、資料にはつけておりませんが、本調査会の中間報告でも指摘されております海外勤務者の年金通算の問題につきまして、ドイツとの間で年金保険料の二重払いを避けるなどのため年金通算協定を締結することとし、関連国内整備のための法案を次期通常国会に提出できるよう準備を進めているというところでございます。  以上が年金の関係でございます。  次に、第三番目の保健、医療の充実の関係でございますが、二十六ページをおあけいただきたいと思います。  まず、(1)の医療の情報公開でございます。  医療は、患者の立場を尊重し、医療の担い手と受ける者の信頼関係に基づき提供されることが基本でありまして、医療提供に当たっての患者への説明、患者や地域住民への情報提供を進めることが必要であるというふうに考えております。  このような観点から、現在継続審議となっております医療法の一部を改正する法律案におきまして、第一条の四として医療を提供するに当たっての努力規定を設けますとともに、あわせて医療機関が広告し得る事項の拡大を行うこととしたところでございます。  また、次のページでございますが、第三者によります病院機能評価の充実とその情報公開の推進などにつきましても引き続き取り組んでまいりたいと考えております。  次に、二十八ページをお開きいただきたいと思います。  医療保険制度関係でございます。  急速な高齢化の進展等によりまして医療費が増大を続ける一方、経済基調の変化の結果、医療費の伸びと経済成長との間の不均衡が拡大、このままでは国民皆保険制度そのものが崩壊しかねない状況にあるわけでございます。このため、当面の財政危機を回避し制度の安定的運営の確保を図る観点から、さきの健康保険法等の改正によりまして給付と負担の見直しなどを行い、この九月一日から施行しているところでございます。  この法案審議の過程におきまして、医療保険制度の抜本的改革を進めるべきとの強い御指摘がございました。厚生省といたしまして、八月に抜本改革方向について厚生省案を取りまとめ、公表をいたしました。また、与党三党におかれては、厚生省案や関係方面からの提言などを参考として、与党としての抜本改革案であります「二十一世紀国民医療」を取りまとめられたところでございます。  これからは、さきの健康保険法改正で新たに設置することとなりました医療保険福祉審議会、ここで抜本改革について御議論をいただき、それを踏まえまして平成十年度の通常国会に所要の改正を盛り込んだ法案の提出を目指すということにしているところでございます。  三十ページ以下には、国民医療費の動向などの資料を参考までにつけております。  次に、三十三ページでございます。  保健サービスというところで、健康日本21計画、仮称として掲げております。これは、来るべき二十一世紀に向けまして、長期入院や要介護状態の主な原因であります生活習慣病について発病以前の段階で予防するための諸施策でありますが、省内関連部局や各省庁との連携をとりながらこれを体系化し、数値目標により健康管理を行おうというものでございます。この健康日本21計画を策定いたしまして、生涯を通じた効率的かつ一貫した対策を推進していくということについて検討を進めることとしております。  次に、三十五ページでございます。  (4)の地域に密着したリハビリテーションの実施体制強化でございます。  平成九年度に地域リハビリテーションモデル事業を行ったわけでありますが、それに基づきまして都道府県リハビリテーション協議会の設置運営地域住民の相談窓口への支援強化などを内容とした地域リハビリテーション支援体制整備事業、これを来年度の要求としているところでございます。  次に、四番目の社会参加活動の充実の御説明をしたいと思います。三十七ページでございます。  高齢者が生きがいを持って元気に生活できるようにしていくためには、高齢者が積極的に社会活動に参加できるような機会の提供や環境整備を進めていく必要がございます。このため、厚生省では高齢者の生きがいと健康づくり推進事業を実施いたしまして、国、都道府県、市町村を通じた機運づくり、組織づくり、人づくりを推進しております。これらは地域づくりとも密接な関係を持つことから、住民に最も身近な市町村が主体的に推進すべきものと考えております。  こうした市町村レベルでの取り組み推進するため、毎年百十八市町村において、モデル事業といたしましてこのページの資料に書かれているような事業を実施しているところでございます。また、都道府県レベルでは明るい長寿社会づくり推進機構におきまして高齢者社会活動についての啓発普及や組織づくり、その活動の振興のための指導者育成などの事業を実施しております。また、国の段階では長寿社会開発センターによって各都道府県の推進機構の事業の企画、指導等が行われておりまして、各段階での事業が効果的に行われますよう連携強化に努めているところでございます。  このほか、三十九ページでございますが、地域におきまして多様な社会活動を行う原動力となっております老人クラブに対する助成、また全国健康福祉祭、いわゆるねんりんピックの開催などによりまして、高齢者がその豊富な知識や経験を生かし多様な社会活動を行うことを支援しているところでございます。  次に、四十ページをお開きいただきたいと思いますが、五番目の介護基盤の充実の関係でございます。  まず、介護保険法の関係でありますが、今後急速な高齢化の進展に伴いまして寝たきりや痴呆の高齢者が急速に増加することが見込まれておりますが、こうした高齢者に対する介護は家族介護に大きく依存をしており、また介護をしている方の大半が女性でありかつ高齢者の方が多いという状況にございます。こうした中で、要介護者を抱える家族の心身の負担は非常に重いものとなっているわけでございます。  そのような状況を踏まえ、介護を社会的に支えるとともに、利用者自身が多様なサービスを選択し、保健、医療、福祉にわたる総合的なサービスが受けられる利用者本位の仕組みを創設するのが介護保険法案でございます。現在、国会で御審議いただいているところでございますが、本制度は、介護を医療から切り離し、社会的入院解消の条件整備を図るなど、社会保障構造改革の第一歩と位置づけられるものでございまして、法案の早期成立をぜひともお願いしたいと考えております。  法案が予定しております平成十二年度の施行に向けての準備にも万全を期してまいりたいと考えております。このため、本年度全国約四百カ所で試行的に実施しております介護保険制度の導入に伴う必要な業務として、要介護の判定、介護サービス計画の作成、こういった業務につきまして全市町村において実施するということで準備を進めたいというふうに考えております。  次に、四十四ページをお開きいただきたいと思います。介護基盤の充実整備関係でございます。  介護保険制度を円滑に導入するためにも介護サービスの基盤整備を着実に推進することが重要であるわけでございまして、このため、まずは新ゴールドプランの着実な推進に取り組んでいるところでございます。  平成十年度の概算要求は四十六ページのとおりでございます。財政構造改革の中ではありますが、新ゴールドプランの達成は緊急な課題でございまして、ホームヘルパーの増員などその着実な推進を図るため、約四百六十一億円増の約八千五百億を要求いたしております。なお、施設整備費の関係でございますが、政府全体で七%の縮減方針が出ております中で、この新ゴールドプランなど保険、福祉関係の三計画関連につきましては六%の縮減にとどめることとしております。  新ゴールドプランの進捗状況でございますが、四十七ページでございます。  全般的にはおおむね順調に進んでおりますが、地域的なばらつきがございます。四十八、四十九、五十ページにわたりまして資料をつけておりますが、地域によりまして、あるいはサービスの種類によりまして差が生じているという認識を持っております。そのため、介護サービスの基盤整備がおくれている地域におきましては、各地方自治体に対しまして、その理由の分析やそれに基づく対策の実施を求めているところでございます。  なお、介護保険制度導入後におきましても、五十二ページをお開きいただきたいと思いますが、各市町村が将来のサービスの必要量を踏まえまして介護保険事業計画を策定するとともに、各都道府県が介護保険事業支援計画を策定することとしております。これらの計画に基づく介護サービスの基盤整備につきまして、厚生省といたしましても必要な支援に努めてまいりたいと考えております。  次に、五十三ページでございます。六番目のボランティア団体支援の関係を御説明いたします。  国民のボランティア活動への参加の促進を図るため、平成五年四月に制定いたしました基本指針あるいは平成五年七月の中央社会福祉審議会の意見具申に基づきまして、国民の自主性、自発性を尊重しつつ、いつでも、どこでも、だれでもボランティア活動に参加できるようその基盤整備を図っているところでございます。  具体的には、この資料にありますとおり、都道府県、市区町村等の社会福祉協議会に設置されておりますボランティアセンターにおきまして、ボランティア活動に関する相談、登録、あっせん、広報、啓発などを行っておりまして、厚生省ではこれらの事業への助成を通じてボランティア団体に対する支援を講じているところでございます。また、特に高齢者のボランティア活動に対しましては、さきに御説明申し上げましたとおり、高齢者の生きがいと健康づくり推進事業を実施しておりまして、この一環として高齢者のボランティア活動の振興のための指導者の育成などを行っているわけでございます。  次に、五十四ページをお開きいただきたいと思います。第七番目の成年後見制度の創設について御説明いたします。  高齢化の進展や核家族化等の家族形態の変化あるいはノーマライゼーションの理念などを踏まえまして、痴呆性高齢者や知的障害者などの方々が社会の中で自立した個人として生活していけるよう新たな支援の枠組みが求められているところでございます。これらの意思能力が不十分な方々に対する制度としましては、現在民法で禁治産・準禁治産制度が規定されておりますが、種々問題点があり、利用しにくい制度であるとの指摘がございます。  このため、法務省では、平成七年以来、禁治産・準禁治産制度にかわる新たな成年後見制度の法整備に向けて検討が行われてまいりましたが、本年九月に研究会報告が取りまとめられたところでございます。その概要は五十六ページに挙げておりますが、意思能力が不十分な者を制度の対象とするとともに、本人の自己決定を尊重するなどの方向性が打ち出されております。この研究会報告はあくまで論点整理ということではございますが、これを受けて法務省の法制審議会民法部会の中に成年後見小委員会が新たに設置され、去る十月二十一日から法整備に向けた本格的な審議が始まっております。法務省としましては、来年春ごろに新たな成年後見制度の要綱試案を取りまとめ、関係各界に意見を照会した上で、平成十一年の通常国会に法案を提出する方向であると伺っております。  厚生省といたしましては、まず法務省と連携を密にしながら高齢者障害者の方々が利用しやすい法制度整備を進める、次に法制度の実効が上がりますように後見人となる者を紹介し支援する仕組みを検討するほか、財産や権利の侵害について身近なところで相談に応じ継続的な支援を行う仕組み、こういったことについて検討してまいりたいというふうに考えております。  なお、これらを検討するに当たりまして、五十七ページに挙げておりますが、本年九月、知的障害者の方々の財産管理の支援のあり方について研究をいただいております検討会から、ポイントとしては二つ内容提言をいただいております。一つは、知的障害者個々人の身近なところで財産の保管や日常的な管理等について継続的な支援を行う人材の登録・紹介システム、これが一つでございます。それから、財産侵害への対応など専門的な相談に応じる窓口の設置でございます。今後、このような提言も踏まえながらこの問題に精力的に取り組んでまいりたいというふうに考えております。  次に、五十九ページでございます。八番目の子育ての経済的負担の軽減について御説明いたします。  これにつきましては、児童手当制度、所得税、地方税の扶養控除が主な施策でございます。  児童手当制度でありますが、この資料にありますとおり、児童手当は三歳未満の児童を養育している方で所得が一定額未満の場合の方に支給されるわけでございます。その額は資料のとおりでございますが、また、この所得制限により児童手当を受けられないサラリーマンについては、その方の前年の所得が一定額までの場合は特例給付として全額事業主負担によって児童手当と同額の給付を受けることができることとなっております。  七年度で、この特例給付を含めて児童手当受給者総数は二百三万人、支給対象児童数で二百二十八万人、支給総額は千六百九億円となっております。  次に、次のページでございますが、税制の扶養控除であります。  所得税の欄にありますように、一般のお子さんは扶養親族となりますので、扶養控除として一人につき三十八万円が、また年齢が十六歳から二十三歳未満の扶養親族の場合は特定扶養親族としまして一人につき五十三万円が所得金額から控除されることとなります。  また、住民税の扶養控除については、一般の子供の場合、各一人につき三十三万円の控除、この場合も特定扶養親族については四十一万円の控除というふうになっておるところでございます。  次に、六十一ページでございます。九番目の育児、介護と仕事の両立支援を御説明いたします。  まず、育児と仕事の両立支援でございますが、従来から、子供を健やかに産み育てる環境整備するという観点から、厚生省、労働省、文部省、建設省の四省庁でエンゼルプランを策定し、またその具体化の一環として、大蔵、厚生、自治の三省庁で緊急保育対策等五カ年事業を策定し、その実施に努めておるところでございます。  特に、少子化の進行、夫婦共働き家庭の一般化など児童や家庭を取り巻く環境が大きく変化している中で、この緊急保育対策等五カ年事業によりまして、低年齢児受け入れ枠の拡大、延長保育の促進、地域子育て支援センターの整備などに努め、保育需要の多様化への対応を着実に図っていく考えでございます。  こうした状況を踏まえ、六十二ページに掲げておりますが、利用者の立場に立った保育所制度を確立するという観点から、前国会で児童福祉法が改正され、来年四月から施行の運びになっております。  具体的には、この表にありますように、入所方式を現行の措置という行政処分による方式から利用者が選択する利用契約方式に改めるとともに、市町村や保育所による情報提供に基づきまして申込者みずからが希望の保育所を決定するという方式に改めるわけでございまして、質の高い保育サービスをより柔軟に提供できる仕組みを構築していきたいというふうに考えております。  なお、介護と仕事の両立支援につきましては、先ほど触れました介護保険制度によりまして、介護を社会的に支える仕組みを創設し、高齢者の家族介護に係る負担を軽減することとしております。  次に、六十三ページでございます。十番目の地域社会におきます子育て支援について御説明いたします。  近年の著しい少子化の背景といたしまして、人口問題審議会の報告にもありますとおり、未婚率が上昇していること、女性の社会進出の中で子育てと就労の両立が困難になっていることなどが指摘されております。また、児童をめぐる問題が複雑化、多様化する中で、家庭や地域の子育て機能の低下や子育てに関する不安の増大、子育ての孤立化といった問題も見られるわけでございます。  このため、平成七年度より、保育所におきます育児の経験、知識を活用して地域の子育て家庭に対して幅広く育児相談を行うため、地域子育て支援センター事業を実施しておりますが、今回の改正によりまして、さらに今後はすべての保育所が、保育所を利用している家庭のみならず、広く地域住民に対する育児相談の実施に努めることとしております。  その事業内容は六十三ページの(2)以下に挙げておるところでございますが、他の保育所等と連携を図りながら総合的に行うというふうにしているところでございます。  次のページに移っていただきたいと思いますが、同じく今回の児童福祉法の改正により創設されました児童家庭支援センターでございます。地域に密着した相談・支援体制強化するというものでございます。  それから、ウにございます、同じく法改正で法定化されました放課後児童健全育成事業でございます。保護者が労働などによりまして昼間家庭にいないところの小学校低学年児童に対しまして、授業の終了後に児童厚生施設などを利用して適切な遊びや生活の場を与え、児童の健全な育成を図ろうというものでございます。  それから、工の母子保健対策でございますが、平成六年に母子保健法が改正され、市町村におきまして一元的に健康診査、訪問指導を実施するほか、一歳六カ月児健康診査を法定化し、学校保健とも連携を図ることとして、今年度四月から実施されているところでございます。  最後に、六十五ページでございます。十一番目の情報の一元化と手続の簡素化について御説明いたします。  情報の一元化につきましては、地域保健の総合的な見直しが行われた結果、平成六年度、新たに地域保健法が制定され、地域におきます住民に身近な保健・福祉サービスが市町村において一元的に提供できるようになったところでございます。  次の六十六ページでございますが、これらを踏まえまして、サービス窓口の一元化を図るため、保健と福祉における総合相談窓口などの設置を促進しておりまして、情報の一元化に努めてきているところでございます。  それから、六十七ページでございます。申請・届け出手続の電子化の促進でございます。  情報の一元化には情報の電子化が前提になる場合が多いということから、政府としましても、平成九年二月の閣議決定に基づきまして、六十七ページにありますような形で、申請、届け出などの行政手続の電子化、これは選択制でございますが、を進めております。  これまでの具体的な電子化の実績は次の六十八ページで示しております。特に、件数が多く要望の強い医薬品の製造承認申請等がございます。今後、関係法令の改正などの措置も講じ、原則として十年度宋までに可能なものから早期に実施に移していくというふうになっております。  次に、データカードの利活用の関係でございます。  六十九ページでございますが、ICカードなどのデータカードの利活用でございます。地域におきます保健、医療の情報ネットワークの構築を模索する目的で、このページにございますように、兵庫県の五色町などでモデル事業が行われてきたところでございます。その成果に基づきまして、保健医療カードシステムの導入指針を平成六年七月に全国都道府県に示しております。  それから七十ページでございますが、医療保険カードの関係でございます。健康保険の被保険者証につきましても、被保険者の利便性と医療機関の事務の合理化にも寄与する可能性があるということから、そのカード化に向けた実証研究平成七年度から三カ年の計画で進めてきているところでございます。  最後に、手続の簡素化の関係でございます。  七十一ページ、保険医療機関等の診療報酬請求に関しまして、レセプト電算処理システムでございます。これを試験的に一部の医療機関などで実施し、その普及の可能性を検討してきたところでございますが、一定のめどがついたということから、平成十年度を目途といたしまして、全国の希望する医療機関が審査支払い機関に届け出ることによりましてシステムに参加できる自由届け出方式への移行を現在検討しているというところでございます。  以上がお話でございますが、最後に、資料はつけておりませんが、御要望がございました廃棄物処理の問題について説明を追加させていただきます。  廃棄物、特に産業廃棄物につきまして、最終処分場の逼迫や施設の設置をめぐる地域紛争の多発、不法投棄等の問題に直面しておりまして、このままでは国民の生活環境や産業活動に支障を生じかねない深刻な状況にございます。こうした状況を踏まえ、さきの通常国会において廃棄物の減量化、リサイクルの推進、廃棄物処理に関する信頼性と安全性の向上、不法投棄対策、こういったことを柱といたします廃棄物処理法の改正が行われたところでありますが、廃棄物の処理に関する基準の充実強化とあわせまして、改正法の円滑な施行を図り、国民の信頼の回復に努めてまいりたいと考えております。  国民の健康に関係の深いダイオキシン問題でありますが、廃棄物の焼却に伴いますダイオキシンの発生を抑制するため、廃棄物焼却施設の基準の見直しなどを行ったところであります。今後ともダイオキシン対策の推進に鋭意努めてまいりたいと考えております。  また、今後の廃棄物処理につきましては、単に燃やして埋める処理から、循環型社会の構築に向けリサイクルを積極的に推進していくことが求められておりますが、厚生省といたしましては、本年四月に施行されました容器包装リサイクル法の円滑な実施を図るなど、リサイクルの推進に積極的に取り組んでまいりたいというふうに考えております。  厚生省関係説明は以上でございます。
  34. 鶴岡洋

    ○会長(鶴岡洋君) ありがとうございました。  次に、労働省澤田労政局長
  35. 澤田陽太郎

    政府委員澤田陽太郎君) 当調査会でお取りまとめになられました中間報告におきます御提言のうち、労働省に関係の深い事項につきまして御説明申し上げます。  説明資料の一ページに「基本的な考え方」ということでまとめております。  我が国におきましては、出生率の低下や平均寿命の伸長を背景に世界に例を見ない急速な少子・高齢化が進展しておりますので、こうした中で経済社会の活力を維持しながら豊かな勤労者生活を実現し、明るい希望の持てる二十一世紀への橋渡しをすることが当面重要であります。  このため、労働省といたしましては、働く人一人一人が安心してその持てる能力を十分に発揮し、労働を通じて我が国社会を支える側に回るようにするということが必要であると考えております。  具体的には、下の丸で書いてございますように、多様な個性や能力を発揮し、少子・高齢社会の基盤づくりを図るために、一つはアクティブエージングの観点に立った高齢者雇用対策の総合的な推進。ここでアクティブエージングと記載させていただいておりますが、この概念は、去るデンバー・サミットにおきましてG8のコミュニケの中で打ち出された概念であります。  該当部分をちょっと引用させていただきますと、「「活力ある高齢化」という概念、すなわち、多くの高齢者がかなりの高齢まで労働及びその他の社会的に生産的な活動を続ける意志及び能力を有することについて議論し、高齢者が被扶養者であるという古い固定観念を棄て去るべきことで一致した。」という点でございます。そうした政策。  それから二つ目は、育児、介護を行う労働者が働き続けやすい環境整備するなど、労働者の職業生活と家庭生活との両立を支援するための施策推進を図っておりますが、以下これらにつきまして具体的に御説明いたしたいと思います。  二ページでございますが、まず第一の項目の高齢期における所得の安定でございます。私どもから言いますと、所得の安定に必要な雇用機会の確保という御提言の部分であります。  我が国の高齢化は世界に例を見ない速度で急速に進んでおりまして、上の表にございますように、人口ベースで申しますと、二〇〇〇年には総人口の四人に一人、二三・三%、また下の棒グラフの労働力人口ベースで申しますと、二〇一五年にはそこの白抜きと黒のところを合わせた二〇・六%、五人に一人が六十歳以上という、世界にも極めてハイレベルの高齢社会となることが見込まれております。  また、高齢者の就業意欲という点を三ページの上の棒グラフでごらんいただきますと、高齢者の全体の約五七%の方々が六十五歳まで、あるいはそれ以上まで働きたいという希望を持っております。  こうした中で我が国経済社会の活力を維持していくためには、高齢者がその能力を高めながら、これを最大限に発揮し、労働を通じて社会を支える側に回っていただくことができるようにしていく必要があります。このため、私ども労働省では、少なくとも六十五歳までは現役で働ける社会、いわゆる六十五歳現役社会、これを構築することが重要であると考えております。厚生年金の本格的な支給開始年齢が最終的に六十五歳に引き上げられることが決定していることもあり、早急な取り組みが求められているところであります。  このため、平成十年四月より法定義務化されることになっております六十歳定年の普及と六十五歳までの継続雇用の推進に重点を置いた施策を展開しております。こうした施策の結果もありまして、五ページの上の折れ線グラフの方でありますが、平成九年一月現在、六十歳定年の企業は九割以上に達しております。右端の点線で表示してございます。  しかし、その一方で、希望者全員を六十五歳まで継続する制度はなかなか普及しておりませんで、同じ五ページの下半分に書いてありますが、一律定年制を採用している企業を一〇〇%といたしました場合、六十五歳以上定年を決めている企業が六・七%にとどまっております。そして、六十―六十四歳定年を定めている企業八三・五%のうち、六十五歳までの勤務延長、再雇用制度を持っている企業で、なおかつ両制度で原則として希望者全員を対象とする制度にしている企業は一四・九%であります。右から二つ目の箱であります。この六十五歳以上定年のところと希望者全員対象企業を足しました二一・六%が六十五歳までの雇用を確保する制度を持っている企業ということになります。一番右端の箱であります。こうした割合、二〇%強でありますが、近年それほど変化をしておりません。  別の観点でもう少し統計について触れさせていただきますと、現在高年齢者の雇用情勢は極めて厳しく、四ページでございますが、この二つの表では平成九年の八月を表示してございますが、資料提出後九月のデータが公表されましたので恐縮でございますが九月に変更して御説明いたしますが、平成九年九月現在、上の方の完全失業率で申しますと、年齢計で三・五%であります。そうした中で、六十-六十四歳は六・五%という高い失業率になっております。  それから、下の有効求人倍率の表でございますが、本年九月現在、年齢計の有効求人倍率は〇・七二倍、八月に比べまして〇・〇二上がっております。これは季節調整しておりません生の原数値であります。これに対応する六十-六十四歳の有効求人倍率は、八月と同じく〇・〇七倍ということでございます。  こうした厳しい雇用情勢を背景に、労働省では、我が国におきます今後の高年齢者雇用対策のあり方について検討をするため、昨年十月以来、学識経験者の参集を求めて六十五歳現役社会研究会を開催し、本年六月に研究会の報告書が発表されたところであります。これは六ページにそのポイントを掲載させていただいております。  この研究会報告書のポイントの中に「(2)政策ビジョン構築に向け想定しうるシナリオ」というところがございますが、その中で三つのシナリオが出されております。一つは、「六十歳定年を基盤とした六十五歳までの継続雇用という現在の政策体系を今後とも基本とし、強化する」。二つ目が、「定年制が我が国に広範に定着していることを重視し、六十五歳定年制を実現する」というシナリオであります。三つ目が、「年齢による雇用管理から脱却し、年齢に関係なく能力に応じて働くことのできる、いわば「エージレス社会」を目指す」という三つでございます。  同研究会では、とるべき施策の効果や緊急性、あるいは実現可能性を踏まえてこの三つのシナリオについて評価を行いました。その結果、六ページの「(3)シナリオに対する評価」という項目の二つ目の丸に書いてありますように、二番目のシナリオ、「六十五歳定年制を実現する」、このシナリオが最も適当であるという報告になっておりますが、同時に、これにつきましては今後も多面的な議論が必要であるということになっております。  私どもは、この報告書において示されました考え方を参考にして、まずは六十五歳現役社会実現に向けた国民的コンセンサスの形成を図るために、国民各層を代表する方々に参集を求めまして、六十五歳現役社会推進会議、現在仮称でございますが、こうした会議を開催することにいたしております。この会議では、六十五歳現役社会基本理念を構築していただくとともに、社会に向けまして六十五歳現役社会の必要性を積極的にアピールしていきたいと考えております。  また、このほかに労使の実務レベルの方々も入りました六十五歳現役社会政策ビジョン研究会というものを設け、六十五歳定年制の導入ということを含めて、六十五歳現役社会実現のための具体的な政策ビジョンの検討を行っていく予定にいたしております。  さらに、現在、実際企業で六十五歳までの継続雇用などに取り組んでいただきまして、その取り組みを広く地域にアピールすることによって、地域全体として企業の六十五歳継続雇用の導入を促進する、そして六十五歳現役社会実現の機運を醸成するという目的で、現在モデル事業を展開しているところでもございます。  次に、御提言にあります高齢者の就業環境整備について御説明を申し上げます。八ページ高齢者の就業環境整備であります。  高年齢期になりますと、健康、体力、能力、資産、いずれの状況等につきましても個人差が拡大するということから、高年齢者御自身の就業ニーズが多様化する傾向にあります。したがいまして、常用雇用とは異なります短期の就労など、みずからの裁量により働き方を決められる就業形態を希望する者が多くなっております。  この点について、恐縮でございますが三ページにちょっとさかのぼっていただきます。三ページの下の棒グラフであります。現在勤務していない、いわば不就業者の希望勤務形態を②という棒グラフで書いてございますが、年齢別に見ますと、五十五-五十九歳層におきまして短時間勤務を希望する者が一二・八%であります。これに対し、六十-六十四歳層になりますと短時間勤務希望者が四三・四%と大変高くなる。こういう年齢が高くなるに従い就業形態の希望は多様化しているという点であります。  したがいまして、先ほどの八ページにまた戻っていただきますが、八ページ高齢者の就業環境整備という政策体系を表にしておりますが、労働省としては、先ほど御説明いたしました六十五歳までの継続雇用の推進とともに、②にありますような多様な形態による雇用・就業機会の確保、これに重点を置いた施策を展開しております。  具体的には、定年退職後の高齢者等に対しまして、シルバー人材センターを通じて地域社会に密着した臨時的かつ短期的な就業の場を提供しております。シルバー人材センター事業につきましては、九ページの2にございますように、平成八年に高年齢者雇用安定法を改正いたしまして、シルバー人材センター事業の実施地域、会員、仕事の拡大を図りまして、全国どこでも高年齢者が仕事の提供を受けることができるようにシルバー人材センター連合を創設いたしました。また、平成九年度からは介護サービス分野の事業を行うなど、今後ともシルバー人材センター事業の積極的な推進を図ることといたしております。  このほか、大変恐縮でございますが、また前ページの八ページの②に書いてありますが、高年齢者のキャリアとか技能を生かしながらみずからの裁量で働き方を決められる雇用機会の確保を図るための方策の一つとして、高年齢者の労働者派遣事業の特例を設けております。また、高年齢者雇用安定法の改正によりまして、高年齢者が持っている知識、技能を活用できる短期的な雇用機会の確保を行うということを目的とした公益法人、高年齢者職業経験活用センターというものを指定し、高年齢者に係る労働者派遣事業や無料職業紹介等の業務が行われるような仕組みを設けております。  次に、今後の高年齢者雇用対策の取り組みについて申し上げます。十一ページでございます。  これまで御説明いたしましたように、六十五歳現役社会実現に向けた施策の展開、二つ目が多様な形態による雇用、就業の促進のためのシルバー人材センター事業の発展拡充、この二つを柱にいたしまして、平成十年度概算要求ベースでは高年齢者雇用対策として約一千五百億円を要求しているところであります。  このうち新規の要求といたしましては、この十一ページの「2 事業の概要」の(1)の②に書いてありますように、産業別高齢者雇用推進事業(仮称)の創設を要求しております。この事業の創設によりまして、産業別に高年齢者雇用促進のための指針を策定するなど、産業別団体による高年齢者雇用に向けた自主的な取り組みを促進していきたいと考えております。  なお、当調査会の御提言の中にあります事業主に対する雇用保険の保険料の軽減という点につきまして申し上げますと、私どもは高年齢者の雇用促進等の観点から、保険年度の初日、四月一日におきまして満六十四歳以上である雇用保険の被保険者につきましては事業主及び労働者に対する保険料の納付義務を免除しているところであります。  また、六十五歳以上の高年齢者を対象とした特別な助成金の支給は現在のところ行っておりませんが、さきに申しましたシルバー人材センター等により就業機会の拡大を図るとともに、五十五歳以上の高年齢者を新たに雇い入れた事業主に対しまして特定求職者雇用開発助成金の支給を行うなど、各種助成金の活用等により高年齢者の雇用の場の確保に努めているところであります。  三番目に、御提言のうち、少子・高齢社会対応した社会保障制度の再構築について御説明を申し上げます。十二ページでございます。  この項目のうち、私どもの直接関係いたします社会保障制度としては雇用保険制度の見直しという問題がございます。  中間報告におきまして、「我が国経済社会の変化や新たな国民のニーズに的確に対応していくためには、従来の制度の枠組みにとらわれることなく、他の施策制度との整合性を図るなかで、新たな社会保障制度を構築していくことが必要である。」と御指摘をいただいておりますが、雇用保険制度につきましても、同様の観点から、経済社会の変化や新たなる国民ニーズに的確に対応していくことが必要であると考え、現在、関係審議会において、経済社会の変化の中で労働者の雇用の安定等を図るために雇用保険制度のあり方について御検討いただいております。十二ページに主な検討項目が三点書いてあります。こうした点につきまして現在御議論をいただいておりますが、その結果を踏まえ、次期通常国会に雇用保険法の改正案を提出いたしたいと考えておるところでございます。  四点目に、育児、介護と仕事の両立支援という御提言の項目でございます。十三ページ以下に資料をお出ししておりますが、この少子・高齢化の進展、共働き世帯の増加、核家族化等が進む中で、仕事と育児、介護との両立は男女労働者がともに生涯を通じて充実した職業生活を送るために解決していかなければならない大きな課題であります。  十三ページは法の概要でありますので飛ばしまして、十五ページから関係施策を整理してございます。  労働省におきましては、十五ページにございますように、一つは、育児・介護休業法に基づきます育児休業制度の定着、介護休業制度の早期導入に向けての事業主や労働者に対するきめ細かな相談、指導を実施しております。  二点目は、育児休業給付、奨励金の支給等によりまして、育児休業、介護休業を取得しやすく、かつ職場復帰しやすい環境整備という点を行っております。  三点目に、事業所内託児施設を設置する事業主に対します助成金の支給等、育児、介護を行う労働者が働きやすい環境整備という点であります。  四点目が、育児、介護等のために退職した労働者に対します再就職の支援ということが大きな柱でございます。  当調査会の中間報告で御提言いただいております育児・介護休業期間の延長あるいは休業制度の弾力化につきまして、関連の実態を御説明いたしたいと思います。前のページで恐縮でございますが、十四ページの一番上の表でございます。  育児休業制度につきましては平成七年四月からすべての事業主に対しまして義務づけられているところでありますが、現状を見ますと、三十人から九十九人規模の事業所では育児休業に関します規定の整備が五五・四%にとどまっております。中小企業中心として就業規則の整備等がおくれていることがうかがえるところであります。したがいまして、私どもといたしましては、現行の育児休業制度をまずは定着させるための指導に当面力を入れていきたいと考えております。  同じく介護休業制度につきましても、この上の表にありますように、法律上は平成十一年四月からすべての事業主に対して義務づけられることになっておりますが、直近の時点では制度の導入が二〇・二%、二割程度にとどまっているということでございまして、まずはできるだけ早く多くの企業に介護休業制度が導入されるよう指導、援助を行っていきたい、現に行っているところでございます。  また、介護休業期間中の経済的支援につきましては、介護休業制度平成十一年度から義務化されることを踏まえまして、先ほど御説明いたしました中央職業安定審議会の雇用保険制度の全体の見直しの中で御検討をいただいているところであります。  また、労働時間の短縮や勤務時間の弾力化につきましては、週四十時間労働制の定着あるいはフレックスタイム制等の弾力的な労働時間制度の普及促進に取り組んでいるところであります。  来年度の両立支援に関係いたします概算要求につきましては、最後の十六ページに掲げさせていただいております。  まず、育児・介護雇用安定助成金の拡充を予定し、約五十億円を要求しているところであります。具体的には、保育施設の時間延長や病気がちな子供、病児保育施設整備など多様な保育ニーズが高くなっておりますことを踏まえて、事業所内託児施設助成金をそうした観点から拡充する予定であります。  また、事業主によります労働者の育児・介護サービス利用料を援助する制度、これを同じく整備するためにそこにあります育児・介護費用助成金の拡充を予定しているところであります。  以上、労働省関係の事項について御説明いたしました。
  36. 鶴岡洋

    ○会長(鶴岡洋君) ありがとうございました。  以上で厚生省及び労働省からの説明聴取は終わりました。  これより自由質疑に入ります。  質疑の時間は大体午後五時ごろまでをめどとさせていただきます。質疑を希望される方は、挙手の上、私の指名を待って質疑を行うようお願いいたします。また、質疑はただいまの説明内容に関連のあるものとし、簡潔にお願いいたします。先ほども申し上げましたが、重ねてお願いいたします。質問される方、答弁される方、両者とも簡潔によろしくお願いいたします。  それでは、質疑のある方は挙手を願います。
  37. 平田耕一

    ○平田耕一君 高齢化社会に対する自分なりの場面想定といいますか、そういうものがありまして、大分皆さんがお訴えになられることと違うんじゃないかという疑問を持っております。というのは、労働人口が低下するということについては、完全に能率向上とか技術革新とかというもので日本対応していけてしまうんじゃないかという気がしています。  減少した労働人口でもって売り上げを維持すれば分け前が多くなるわけですから負担はできるということでありまして、その負担をする保障制度を変えるんだと、これは賛成であります。  その部分については厚生省に質問なんですが、後段の部分は今からですけれども、労働省の高齢者就業機会環境をよくするということなんです。これは反対であります。  というのは、新しい国家像がどうもよく見えてこない、働くという点で。労働省の観点で新しい日本、将来の日本の労働をどう考えてみえるのか。週四十時間、年千八百時間ぐらいの程度にしなさいよというのか、一生を通じてもっと働きなさいというのか明確でない。フレックスタイムとか在宅介護とかということを延長していけば、要するに一生で働く時間を七万時間だとか十万時間だとか、それを若いうちに働いてどうするんだと。これは勝手な話でありまして、それを許していいんじゃないか。  そうすると、私が思うのは、要するに高齢者高齢者の新しいライフスタイルというか、そういうものを見つけないと、そういう部分を開拓していかないと需要が起きない。みんなが同じレベルで働きましょう、六十五歳以上は多少軽減をして働きましょうという同じ生活構造でやっていくと需要が出ないんだろうというふうに思うんです。ですから、内需喚起にもなるんだろうし、それはそれで明確な新しい社会を構築するというぐらいのビジョンを示された方が二十一世紀日本にとったはいいんじゃないか。  そうしますと、厚生省で言われるところのいろんな負担の問題も、両者で言われるんでしょうけれども、片や労働力の減少には十分対応できる、そして新しい高齢者世界ができて、それはまた新しい需要が起きる、そんなふうになるんじゃないかというふうに思います。  それからもう一つは、費用負担が増大をするとおっしゃるんですけれども、普通物をつくる場合に、需要がふえればこれだけの数ふえる。要するに、そういう介護サービスに類似するような業態の固定比率とかというものを考えた場合には、二割、三割需要がふえれば格段にコストが下がるんだろうというふうに思うんです。ですから、コスト低減、車いすも五万円が二万円になるだろうしというようなことをあわせ考えていくと、想定したほど負担は伸びないんじゃないかというふうに思います。  断片的にいろんな施策をつなぎ合わせるよりも、一本どうぞひとつ皆さんに知恵を出していただいて、新しい社会というもののあり方、人間としてどうした方がいいのか。働けるときに働こう、知恵を出すときに知恵を出そう、ソフトなんというのは若いほどいいわけですし、そういうような形でもう少し自由度のある社会を目指して絵をかいてかけないことはないだろうというふうに思うし、そういうために技術革新が必要であればそれはそのように進めればいいし、こういうことの方が私はダイナミックでいいと思いますので、ぜひひとつその点につきまして厚生省と労働省にそれぞれ、私は自分の意見を申し上げたつもりでおりますので、御見解なり対策、御感想があればお伺いしたいというふうに思います。
  38. 田中泰弘

    政府委員(田中泰弘君) 今の御質問の中で、何点かございますが、一つは労働力の減少というか不足の問題の関係では、今回の人口審の答申の中でも、高齢者あるいは女子労働、そういった方々が進出する、そしてそれに対応できるような企業技術構造なり受け入れ体制なりに持っていくということは、ある意味では少子化問題を逆手にとって、新しい雇用環境の創出というか垣根を取っ払った雇用環境の創出という面では一つの新しい方向に行く転機になるのではないかという提言もございます。  ただ、そのときに新しい対応ができるように企業がどれだけ条件整備を図っていけるのかという、その部分がこれからの大きな課題だろうというふうに思っています。それが一つでございます。  それから、将来の負担の問題が今出ておりましたけれども、今後の少子・高齢化の流れの中で、特に年金問題などに出てくるわけでございますけれども、支える層、生産年齢人口が既に減少が始まっている、そして高齢者の数は伸び続けているという中で、支える層とそれから受給をする層と、これがますます乖離が大きくなっていくということが予想されるわけでございます。  先ほど将来の負担率の見通しのところで申し上げました見通してございますけれども、現在、社会保障負担といたしまして国民所得比が一八%ぐらいでございますけれども、二〇二五年には今の状況で進んでまいりますと三〇%ぐらいまでに上昇するということがこの新しい人口推計の中でも計算ができると。
  39. 平田耕一

    ○平田耕一君 それが違っているんじゃないですかと申し上げたんです。
  40. 田中泰弘

    政府委員(田中泰弘君) ですから、これは今言った生産年齢人口なりの支える部分と労働人口の関係の中で、生産年齢人口を先ほど申し上げたようにどういうふうに今後新しい要素を取り込んでいくかというところだろうと思いますけれども、現在の流れの中で推計した部分としてそういう形が現在出ているということでございますが、これも今後の見通しについて、中位推計それから低位推計、高位推計ということがございますけれど                       も、さらに状況としては中位推計でいくのかどうかということも先行きとしては懸念されるところでございまして、この社会保障の負担、そしてそれが将来の世代に過重な負担にならないように給付と負担の公平を図っていくということは今の時点での非常に重要な問題ではないかなというふうに思っております。  以上でございます。
  41. 澤田陽太郎

    政府委員澤田陽太郎君) まず御指摘の点につきまして、やはり我が国の今後の着実な発展を支えるには一定の経済成長が必要であると思います。その場合に、先生御指摘のように、能率向上技術革新で生産性を上げて経済成長を支える部分と、労働力人口という頭数で経済成長を支える部分と二つの要素がございますので、前者については日本国はさらにやらなきゃなりませんが、労働力人口につきましても減るということは大変マイナスだろうと考えております。  その場合に、私ども高齢者社会を支える側に回るようにと言っておりますが、これは高年齢者の高い就業意欲を踏まえて、そうした意欲、選択が実現されるような環境を整えることをすべきであるというふうに考えております。その場合に大事なことは、千八百時間のお話が出ましたが、職業生涯のうち壮年期、中年期におきまして労働時間が集中する、高齢期において労働就業の時間、機会が寡少になる、こうした問題を一人の労働者から見た場合に、生涯を通じて労働時間を再配分することが大事であろうというふうに考えております。  新しいライフスタイルの問題につきましては、先生御指摘の点はそのとおりだと思いますが、労働時間を生涯にわたって再配分する中で、働き過ぎとも言われる中年期、壮年期の時短を進め、かつ労働時間を弾力化することによって中年層、壮年層の新しいライフスタイルもまたつくれ、それが需要拡大にも効果があるのではないかと、このように考えております。
  42. 小山峰男

    ○小山峰男君 厚生省にお聞きしたいと思いますが、老人介護の問題、介護保険法という形で現在審議中でございますが、私は、基本的には福祉の問題というようなものにつきましては、市町村の創意と工夫でそれぞれの市町村に実施してもらうというのが理想的だというふうに思っております。  今回の介護保険法、それは一定の成果を目指しているとは思いますが、結局、施設サービスなり在宅サービスなり、すべてのメニューがつくられていて、それをただ実施だけが市町村に任されているということでは本来の福祉が充実しないだろうというふうに思っておりまして、少なくとも市町村がその財源の中で自由にできる部分というのが相当なければ、これは実際には官製の福祉以外には何もなくなってしまうのではないかというふうに思っております。そういう意味で、市町村が創意と工夫を持って実施できるような部分の拡大というのが図れるのかどうか。  それからもう一点、ボランティア活動の支援というのは大変いいんですが、こういう形じゃなくて、もっと素朴な形でお互いに助け合おうというような中で福祉が行われている部分がかなりあるというふうに思っております。そういうものを育成する、そういうことを国民運動として大々的にやるべきだというふうに思っておりますし、また、そういう活動を例えば老人ホームの中に取り入れて、いわゆる安上がりというふうに言うとちょっと語弊がありますが、福祉ができるような、例えば配置職員の基準等につきましてもある程度その施設の自由に任せるというようなことを図らないと本当に金のかかる福祉になってしまうだろうというふうに思っておりまして、そういう点改善ができるのかどうか、その二点についてちょっとお聞きしたいと思います。
  43. 江利川毅

    政府委員(江利川毅君) 介護保険につきまして私の方からお答えさせていただきます。  今度の介護保険制度は、全国共通に考えるべき部分とそれから市町村の工夫ができる部分と両方組み合わせてございます。全国共通ベースでやりますのは、施設サービスや在宅サービスあるいは要介護度の判定、こういうものは全国共通でやっていこうと。ただ、別途、市町村の特別事業で、例えばメニューにない横出しの給付をやるとかあるいは単独事業をやることも当然ありますし、そういうことはできるようになっているわけでございます。  また、サービス基盤の整備の仕方は民間活力の活用の仕方でございますので、この辺の事業主体の育成や事業の実施の仕方につきましても市町村の工夫はできるんだろうというふうに思います。  以上でございます。
  44. 炭谷茂

    政府委員(炭谷茂君) まず、私のところではボランティア活動について御説明をさせていただきたいと思います。  日本のボランティア活動現状でございますけれども、私ども統計をとりますと、国民の大体四分の一は何らかの形でボランティア活動をしたいという希望は持っていらっしゃるんですけれども、実際実行に移されるのがそのわずか五%という状況でございます。  ですから、私は、この潜在的にボランティア活動等をしたいという四分の一の方にいかに参加していただけるかという、今、先生がおっしゃいましたようなその地域地域での風土づくりとか、私どもは福祉文化の土壌づくりというような形で呼んでいきたいなと思っておるんですけれども、そういう地域ごとの盛り上がりというものが必要じゃないのかなというふうに思っております。  しかし、ボランティア活動の性格上、行政が指導するとかというのは避けなければいけないわけでございまして、私どもの行政がやるべきなのは、いわばその環境なりその雰囲気づくりというところを主眼に対応していかなければいけないのかなというふうに考えているわけでございます。  それから、後段におっしゃいました特別養護老人ホームのいろいろな基準の緩和というものについては、これからそれぞれの社会福祉施設が創意工夫を持ってやっていただかなければいけないことだろうと思います。そういうものについてはこれからの検討課題として私ども十分認識しておりますので、これから検討させていただきたいと思っているわけでございます。
  45. 木暮山人

    ○木暮山人君 子育ての問題について一つお聞きしたいと思うのであります。  総合的な支援策についてもいろいろと御説明がありました。この問題については本調査会においても六月に提案を行ったところでありますが、去る十月二十七日に厚生省の人口問題審議会が少子化に関する基本的な考え方について報告書をまとめておいでになります。  厚生省は、今後、この人口問題審議会の報告を受け、どのような検討、施策の展開を図る考えか、また加えて、労働省はどのようにこれに対応していくのか、お伺いしたいと思います。
  46. 田中泰弘

    政府委員(田中泰弘君) 人口審の関係の御質問でございますのでお答えいたしますが、先ほど御説明いたしましたように、少子化の原因の一つとして、未婚率の上昇、そして女性のというか子育てと仕事の両立が新しい流れの中でうまくいっていないということで、柱としましては、今言われました仕事と子育ての両立支援のための総合対策、もう一つは、現在の企業の雇用環境の中で女性の進出についていろいろとまだ子供を育てながら仕事をすることについての阻害要因があるのではないか、そしてそれは企業の意識でもあるし国民の意識の問題、あり方の問題でもあるのではないかという二点が言われているわけでございます。  私どもとしまして、特に後段の問題については、これは国民的な議論であり、かつ関係省庁、関係団体等でいろいろ議論をいただき、そして国民的な議論として進んでいく問題ではないかということから、後段の問題については、関係各省に声をかけ、関係団体に声をかけ、またいろいろシンポジウムを開く等、パンフレットをつくるなどによりまして国民的な議論をやっていっていただくというふうに考えております。  それから、もう一つの子育てについての総合対策的な部分については、関係の省庁それから関係の部署、そういったところでこれから検討を進めていっていただくために、今回いろいろ出されている問題点を私どもとしては列記したというか整理したということでございまして、これについては関係省庁にも報告書を出し、そしてそういった意味のそれぞれの専門のところで御検討をいただくべく私どもの方で働きかけておりますし、厚生省の中でも関係部局の方で検討をしていただくべく働きかけをしているということでございます。  こういう形で、国民的な議論を進める方向とそれから関係部署で検討を進めていただく方向二つ方向に向けてのスタートを切った、働きかけをしているということでございます。  以上でございます。
  47. 澤田陽太郎

    政府委員澤田陽太郎君) 少子化対応は内閣を挙げて取り組むべき課題ということで、私ども関係各省、とりわけ厚生省とは従来からも意見交換、政策連携をしたいということでやってきております。  労働省の立場から申しますと、女性が働きながら出産し、働きながら子育てできる、こうした環境整備することが大事であろうと考えております。その場合に、環境と申しますのは企業内の環境もありますし社会的な環境もございます。  そこで、私どもは、一つは育児休業をとりやすく、逆に言いますとそれは職場復帰しやすい、そういう事業内の環境整備するということで育児休業制度の普及等をやっております。  それから、出産、育児の後、もう少し子育てという観点から、その後働き続けることができるというようなことも大事だろうということで、育児休業を終わった後、職場に出てきて働きやすくなるように、例えば事業所内託児施設への助成金等も今回拡充を要求させていただいているところであります。  そうした対策を打っても、やはり育児等のために退職する方も少なからずおられます。そうした女性が条件が整ったときに再就職できるような政策を打つことも大事だろうということで、こうした面で再就職希望者の登録制度を設け、職場復帰前の能力アップ等々のお手伝いをするような制度も行っております。  いずれにいたしましても、先般の人口問題審議会の答申については私どもも大変関心を持っておりまして、今後とも関係省庁と連絡をとって税制を含めいろいろ政策を打っていきたい、こういうふうに考えております。
  48. 中島眞人

    ○中島眞人君 財政構造改革の中の特に医療改革で、特に十年度予算に向かって言うなれば五千億の切り込みをしていくという大変な御苦労をしていただいている中で、きのうきょうの新聞の中にも薬価を二千億くらい切り込んでいくというような報道がなされております。率直に言って、大変な御努力をいただいているという点については敬意を表すわけですけれども、どうも重箱の隅をつつくような形で取り組んでいるんじゃなかろうか。  去年からことしにかけては介護保険一色ですけれども、おととしから昨年の春にかけては薬そのもの、例えば薬害とかそういうふうな問題。ところが、昨今では薬害とか薬というふうな問題そのものについては何ら論議が出てこないし、新聞の論調もそういうものについては余りない、何か一過性みたいな形なのかなと。あのときに論議をした中で、一億二千万を超える国民のレセプトが十五億枚と言われています。ですから、赤ちゃんからお年寄りまでにかけて平均十以上の診療機関に国民がかかっているということになるわけですね。  そういう中で、一方では薬が高過ぎるという一つ世界的な動向の中でいろいろな論議がされているんですけれども、例えば医薬分業というような問題は進んでいるのかどうか。しかし、実際問題としては、私なんかも一例を言うと、時によっては二つ三つの診療所に行ってその疾病に対応してもらっている。ところが、薬の公開はあるけれども、どんな薬ですか、こんな薬を飲んでいますかという程度。  前々から言っているように、一人の人間が飲む薬というものを全部チェックできるようなスタイルに変えていくことによって薬そのものの量を考えていく、健康のためにも、あるいはいわゆる薬に支出されている金額のためにもそのことが必要ではなかろうかと言うのですけれども、そういう抜本的な方向というのは検討がされているのかどうか、こういうことをまずお聞きしてみたいと思  います。
  49. 田中泰弘

    政府委員(田中泰弘君) 御質問は医療保険の専門的なことでございますので、説明員の方から説  明させたいと思います。よろしくお願いします。
  50. 大塚義治

    説明員(大塚義治君) 医療保険改革に関連いたしまして、特に薬の問題についてお尋ねがございました。  最初に、十年度の概算要求との関連でございますけれども、お話ございましたように、現在、薬価の適正化あるいは診療報酬の見直し、それらを含めまして、あらゆる可能性について検討を進めておるわけでございますけれども、さらに今後の問題といたしましては、医療保険全体にかかわる抜本的な改革ということについて論議を進めることといたしております。明後日、関連の審議会、新しくできました医療保険福祉審議会がスタートいたしますけれども、そうした審議の場で今後の抜本改革の御議論を進めていただくことにいたしております。  その中でも一つの重要な検討項目になるわけでございますし、恐らく審議会の中でも比較的早い時期に取り組むテーマが薬価あるいは薬価制度、それに関連いたしまして、当然、医薬分業も含めました日本における薬の位置づけといったようなテーマが重要なテーマとして議論をされるはずでございます。  私どもといたしましては、さまざまな日本の薬をめぐる問題といいますのは、いろんな要素がございますけれども、一面では医療保険制度の中における薬価制度の問題という面からのアプローチがございましょうし、もう一つは、それと非常に関連深いわけでございますけれども、医薬分業といったようないわば実施面、体制面での整備の問題がございます。  医薬分業についてはかねてからその普及に努めてきておりますけれども、今日で全国的には約二割、地域で相当のばらつきがございますけれども、最近かなりの普及を見てまいりました。今後の薬価制度のあり方によってはこれが大幅に普及するという可能性もございますし、また今回御提案をしております医療法の改正案の中でも地域医療計画の必要的な記載事項といたしまして医薬分業の項目を盛り込む等さまざまな角度からその普及に努めている、こんな状況でございます。
  51. 中島眞人

    ○中島眞人君 ちょっと関連して。  二つあると思うんですよ。薬価という問題は、薬品メーカーと診療機関との関係、そして実際に薬を飲んでいくという国民の立場に立ってみると、今度は薬害という問題と薬のむだというふうな問題、こういう二つの立場があると思うんですね。  薬価差の問題等についてはかなりの取り組みがされていますけれども、薬価差が一兆三千億ある。しかし、戦後日本の病院経営、診療所というのは、国もある面では薬価差の中で経営をしなさいという黙認事項があった。  だから、一兆三千億を全部浮かせればという形になったら、逆に今度は医療報酬の方は公務員のベースアップに比べてみたって伸び率は少ないわけですから、そのことも本当に諸外国に比べて診療報酬というものが正当なものであるのかどうかというものを考えてやらないと、これは医者は、昨今いわゆるいろんなデータを見ますと、病院、診療所の倒産が出ているんですね。こういう問題も、日本人というのは非常に悪い癖があって、時に問題が出ると魔女狩りみたいにそういうものをやるんだけれども、そういうものを総合的に見ていく改革というのはやっぱり必要だと思いますよ。  そういう点で厚生省としては、薬価差一兆三千億、そのまま引けばこれは全部いいんじゃないか、そういうことになったら、今度は診療報酬の問題も諸外国に比べてどうなのかという問題を検討しなきゃいかぬ。  それと同時に、さっき言ったように薬の飲み過ぎ、十五億枚のレセプトがあるということは一人が十以上の診療機関に体を預けているわけですね。時によっては、三つの診療機関にかかったとしたら、同じ時期に抗生物質を飲んでいる。ですから、そういう薬害の問題で、諸外国に見られないようなソリブジンと何かを飲んだらいわゆる薬害が発生をしたという問題、こういう問題、国民の健康を守るという点からも、やっぱり薬をまさに完全医薬分業制にしていくという形をやっていかない限り私はそういう問題は続くであろうと。そのことは国民の健康にも大変な影響を与えるし、日本人くらいまるで薬を何か飲むことが趣味になっているような、そういう風潮も変えていく一つのことになっていくんではなかろうかと、そんなふうに思います。ですから、そういう点についても重々ひとつ総合的にマクロで検討をいただきたいと私は申し上げておきます。
  52. 大塚義治

    説明員(大塚義治君) 御指摘全くごもっともであろうかと思います。  前段の薬価差と言われるものと診療報酬、これは非常に密接でございまして、薬価差の問題だけを取り上げまして全体の医療機関の、いわば健全な経営という面からいたしますと、その一面だけの議論ではとどまらないわけでございまして、薬価と診療報酬、これは非常に密接なものとしてそれぞれのあるべき姿を議論すべきだろうと思っております。  二つ目の薬の使い方の問題も、もちろんこれもおっしゃるとおりでございまして、例えば総合的な服薬指導という面からも医薬分業の重要性はあるわけでございますし、あるいは一面では患者さんあるいは市民に対する一種の普及啓蒙活動、薬に対する知識の普及といった面も重要でございます。それらを総合的に進めるべきだろうと考えておりまして、今後具体的な方策については広く御議論をいただきたいと思っております。
  53. 高野博師

    ○高野博師君 厚生省と労働省に一つずつお伺いいたします。  まず厚生省の方ですが、少子・高齢化で「少子化は、我が国社会への警鐘」だと書いてあるんですが、この報告書を見ると、少子化の非常にネガティブな部分だけ強調し過ぎてはいないかなという気がいたします。  それで、人口減少社会になるから社会的、経済的にいろんな影響が出ると言っているんですが、減少してもいいんじゃないかと私は個人的には思っているんです。二〇五〇年でも依然として一億人もいるわけですね。  それで、日本の今の国土面積とか資源とか経済力とかあるいは先進国並みの住宅事情等を考えて、日本の場合の適正な人口規模というか、そういう人口数というような試算はあるんでしょうか。これが一つ。  それから労働省の方ですが、シルバー人材センター事業の概要云々とあるんですが、シルバーの年齢、定年した後いろんな形で働く場所を見つけることができないか。一つは、海外に技術協力というようなシルバーボランティア、こういう形でそれぞれの経験とか知識を生かせるような働く場所をもっと求めてはどうか。したがって、ODAをもっと使って顔の見える援助というものをできないものか。この辺についてお伺いいたします。
  54. 田中泰弘

    政府委員(田中泰弘君) 今の御質問の中で、人口の適正規模という議論は今回の審議会の中でも本格的に議論はされておりません。  先ほどの御質問の中から申し上げますと、人口減少社会というのもメリットというかプラス面もあるのではないかという意見も出ておりますが、認識一つは、現在の日本の人口減少社会というか少子化のスピードというのが諸外国と比較しても異常なほどのスピードではないかという認識が一点でございます。  もう一点は、それが結局少子化につながっているわけですけれども、その原因の未婚率の問題それから女性の社会進出の問題、これは本来の姿として女性が社会へ出ていくというのは一つの流れではないか。それが妨げられ、その結果少子化という問題にもつながっていっているのではないかという面で、本来の社会のあるべき姿に持っていく、そして女性がスムーズに社会進出できる社会になっていけば異常な少子化というのは改善されるのではないか、こういう観点で今回こういった提言が出されたということでございまして、その少子化が多分とまるということになるのかどうかは、世界的な傾向から見ても人口減少社会というのは世界的な傾向であるのではないかという認識の方が多かったわけでございます。  先ほど申しましたように、日本の進行ぐあいは異常ではないかということ、それから女性の自然の流れである社会進出が妨げられた結果であるということであるならそれは改善する必要があるのではないか、こういう意味で今回の報告が出されたポイントとしてあるということでございます。
  55. 澤田陽太郎

    政府委員澤田陽太郎君) 高齢者の就業を含めた社会活動の幅を広げるという観点での御指摘だろうと思います。  労働省、現在ではシルバー世代の海外技術協力について直接政策的支援をするということはやっておりません。今後、ボランティア活動の支援という政府全体の大きな枠がだんだん固まっていくと思いますので、そうした中で労働省としても今御指摘のような点、どれだけできるか十分検討していきたい、かように思っております。
  56. 有働正治

    ○有働正治君 厚生省に聞きます。  厚生省の行政の基本に係る問題にもかかわると思いまして、社会保障あるいは医療保険部門の経済波及効果、つまり投資あるいは雇用効果をどう見ておられるかというあたりをちょっとお尋ねしたいのであります。つまり、高齢化社会に対しての今後の対応、介護基盤の充実、保健医療の充実等々にもかかわる問題ではないかと思っているわけです。  一般に、政府もそうだと思うんですけれども、通説として経済波及効果というのは建設部門の方が一番大きいと一般的に言われているわけです。果たしてそうかなという点で、私は最近、「福祉は投資である」という関西の大学の先生たちがお書きになった本を拝読したわけでありますけれども、結論から言いますと、福祉への投資の効果の方が建設投資を上回っているということをここでは論述されているわけであります。  そこで、一言論拠を示しますと、平成二年度の大阪府の産業連関表を活用いたしまして、一千億円投資をした場合の投資効果について、一つには生産額への波及効果、二つには誘発される雇用増がどうかというのを建設部門と社会保障、つまり社会保険と社会福祉の社会保障部門、そして医療、保健、医療と保健衛生の医療・保健部門、この三つ分野について分析して比較しているわけであります。  その際、投資効果というのは、原材料費の生産額への一次波及と同時に、そこで働く労働者の賃金から消費需要増に結びつく二次波及まで計算されているわけです。そして、生産に伴う雇用増加について、産業連関表と大阪府の事業所統計、ここから各産業部門の生産額百万円当たりの労働力係数を明らかにして算出して、全体として一千億円投資した場合のそれぞれの波及効果を算出しているわけであります。  結論的に示されているのは、生産額への波及効果は、建設部門が千七百六十七億円です。これに対して、社会保障部門は千八百五十九億円と九十二億円プラス、建設部門より。医療・保健部門は千七百八十六億円で建設部門よりもプラス十九億。いずれも建設部門よりも大きくなっている。  それから、誘発される雇用増を見ますと、建設部門が一万三千百五人です。社会保障部門は二万三千六百三十五人で、一万五百三十人建設部門よりも大きい。それから、医療・保健部門は一万六千九百五十六人、これは建設部門に対して三千八百五十一人大きい。  しかも、雇用階層といいますか男女比で見ますと、建設部門は男性が七に対して女性三の割合が、社会保障部門は男性三に対して女性が七、医療・保健は男性四に対して女性六と、男女比が全く逆転しているわけであります。  そして、この本の中では、こういう統計的分析の上に立って、景気、雇用対策といえば建設というこれまでの図式あるいは経済成長にとって社会保障等はマイナスという大方の概念を、福祉、社会保障等々の分野日本経済それから産業政策上の役割の上から見直して再検討すべきではないかということを提起されて、福祉は投資であるというのが結論なんです。  建設省から、私、同じ年度、平成二年度の産業連関表に基づく産業誘発係数と就業影響単位分析表を取り寄せてみました。  生産誘発係数で見ますと、社会福祉施設などの非住宅部門、こういう分類しかありませんでしたけれども、それと港湾、空港、鉄軌道などとそんな大差はありません。雇用効果で見ると、病院、学校、住宅、こういう生活密着型的なものの方が港湾、空港よりも大きい。  つまり、日本経済と産業の発展それから二十一世紀の高齢化社会という点からいって、福祉、社会保障部門への経済波及効果というのをやはり考える必要があるんではないかということでちょっとお尋ねするわけであります。  厚生省に二点だけです。  つまり、こういう福祉は投資であるという論証的な、また政府がこれまでやってきたのを見ましてもそう大差がないし、雇用効果等は大きいという点からいって、この指摘等々について厚生省なりあるいは局長さんなり、個人的でもあれですけれども、どう把握しておられるか、一点。  厚生省としてこういう部門、つまり厚生行政の基本にかかわるような、今後の二十一世紀基本にかかわるようなこういう部門での独自に分析した分析あるいはデータ等があったらぜひ後刻お示しいただいて、厚生省として、新ゴールドプランその他二十一世紀に向けて、理論的にも明確にして確信持って行政をやっていくという上からもこういう点は大事ではないかと、私素人ながら思ったものですからお尋ねすると、こういうことであります。
  57. 田中泰弘

    政府委員(田中泰弘君) 今、先生のおっしゃるのは、私どももそういう認識を持っております。  年次は忘れましたが、社会保障制度審議会の勧告の中にも今おっしゃったようなお話が入っております。一つは、生活の安定、所得の安定を通じて購買力なり消費を安定化させるということで、消費の関係一つございます。それから、もう一点は雇用創出の問題で、医療、福祉、社会保障分野で今後の雇用創出というのが期待される。社会保障が円滑に発展をしていく中で今の雇用創出というかそういった吸収力を持って社会保障制度が進んでいくという指摘が出ております。  ですから、先生おっしゃる考えは私どもと同じ考えでございますが、それを具体的に将来の方向としてどういう見込みになるかということについては、通産省か他省で多少試算をされた数字を聞いたことがございますが、厚生省自体はまだ独自の数字は持っていないということでございます。  それから、今回の介護保険の関係などで、さっきも社会保障構造改革の第一弾ということでお話しいたしましたけれども、民活の話とか規制緩和の話とか、そういう要素を持った新たな制度の展開という意味で介護保険の関係を私ども今期待を持って進めているということでございます。  今、ちょっと手持ちの資料ございませんので、お話できるのはその程度でございます。
  58. 有働正治

    ○有働正治君 わかりました。  後刻、厚生省所管そのほかでそういう資料等がございましたら御提示いただければという点が一点と、厚生省としてもぜひこういう点について独自に分析されて、後刻いろいろお示しいただくことをお願いしておきたいと思います。  以上です。よろしいでしょうか。
  59. 田中泰弘

    政府委員(田中泰弘君) わかりました。
  60. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 数字について少しお尋ねしたいと思うんです。  いただいた厚生省の資料の四十三ページの一番上の図表でございますが、大分前からおなじみの図表でございまして、「高齢者の要介護者数の推移」という、これはかなり以前からよく知られた数字でございます。  この中で、まずいわゆる算定の基準についてお尋ねしたいんですけれども、この数字の推移という中には、例えば寝たきり老人ゼロ作戦だとか、いかにして健康を維持しながら年をとっていくかというようなさまざまな施策は厚生省として考えていらっしゃるわけですね。それの効果というものが算定基準の中に入っている数字なのか、それともその中に効果を入れないでそのままいわゆる単純に計算なさったものなのかということが一つでございます。  その次に、医療費の問題についてお尋ねしたいんですけれども、医療費総額の水準というのは、国民総生産に対する比率というのはアメリカあるいはその他の先進国に比べると日本は現在まだ低いと思うんですけれども、その中で医療費総額の中での人件費の割合というのも多分日本は低いのではないかと思うんです。医療費総額に占める人件費の割合というものの国際比較をちょっと教えていただきたい。  なぜそのことを申し上げるかというと、今言われているのは、さまざまな構造改革ということが言われているわけであります。そういたしますと、医療費が上がる上がるということだけではなくて、そのサービスの質と量ということを確保するためにも、医療費の中に占める人件費の割合というのはかなり大きな意味を持ってくるのではないかというふうに思うわけです。特に、これは患者に対する意味が大きいということですね。  つまり、患者一人に対して医療スタッフ、看護スタッフあるいは介護スタッフというものの割合が高ければ高いほど患者にとっては快適になるわけでございますから、そういう点を含めるところの人件費の割合というのはかなり大きいと思います。これが二点目であります。  それから次に、いわゆる人口の高齢化による医療費の増加ということを考えますときに、人口高齢化による医療費の増加率というのを何%としてとらえていらっしゃるのか。たしか九六年度の場合には一・六%のように私は覚えておりますけれども、それがいわゆる人口高齢化のピークに当たる二〇二五年には人口高齢化による医療費の増加率というのはどのように厚生省としては押さえていらっしゃるのか。まずそれだけ聞かせてください。
  61. 江利川毅

    政府委員(江利川毅君) 最初の四十三ページの資料につきまして御説明します。  ここの要介護者の将来推計は、現在の年齢階級ごとの、六十五-七十歳、七十-七十五歳、そういう年齢階級ごとに発生率が現在把握できておりますので、この発生率をもとに計算しております。したがいまして、今後の将来の人口推計では、単純に今の人口構造よりも後期高齢者というんでしょうか、七十五歳以上、八十五歳以上、そういう方々の人口規模がふえてきますので、そういう規模がふえていったものを発生率に掛けて推計したものであります。  先生おっしゃいますように、私どもも寝たきり老人ゼロ作戦とか、こういう寝たきりにならないことを予防あるいは減少させる施策に力を入れているわけでありますが、それがどういう形で効果を生ずるか、あるいはまた、そういうことをやっていっても例えば衰弱とかという形で人生の最後には要介護状態というのは相変わらず残るのかどうか不確定的な要素がございますので、推計は現在の数字でやっているということでございます。
  62. 田中泰弘

    政府委員(田中泰弘君) 医療費の関係でございますが、専門的な質問でございますので説明員の方からさせていただきます。
  63. 大塚義治

    説明員(大塚義治君) 三点お尋ねがございました。  医療費のマクロの話でございますが、おっしゃいますように、例えば国民所得で見ますと、現状におきましては、我が国の医療費の国民所得に対する比率はアメリカ、ドイツ、フランスなどより低く、イギリスと大体同じぐらい、全体的に見まして先進諸国から見ますとかなり低い水準にあることが一点でございます。しかし、これは今後の人口の高齢化の進展と同時に相当近づく、あるいはほぼ同じ水準になるだろうという予測も一方ではございます。現状においてはやや低い水準にとどまっております。  二点目に、人件費の割合でございますが、手元に詳細なデータがございませんので恐縮でございますが、日本の医療費に占める人件費の割合は全体といたしまして約半分でございます。残りが薬であり材料費ということになっております。恐らく諸外国の場合も、これは調べてからでないと正確なことを申し上げられませんけれども、極端に大きな違いがあるとは、国によっても違いましょうが、感じておりません。  例えば日本の場合に、一つの例で申しますと、病院で申しますと、一施設当たりの投下される人件費、一施設当たりとして見ますと確かに小そうございます。しかし、ベッド数は諸外国に比べて相当多うございます。総量といたしましての一患者当たりあるいは一国民当たりの医療サービスの投下人件費というのはそう極端に低いというふうな感じは持っておりません。しかし、これは数字でございますから、恐縮でございますが、調べましてもし判明をいたしましたら御報告いたします。  三点目に、高齢化による増加率でございますが、おっしゃいますように、年によって若干違いますけれども、一%から二%、一・六%というお示してございましたが、その程度の水準でございます。これは増加率でございますから、この幅がそう大きく変動するというものではございません。将来人口の高齢化がピークに達するころには、現在、老人医療費のシェアが国民医療費の中の三割程度でございますが、それが半分ぐらいになるだろうと言われておりますのは、この増加率がほぼこの前後で積み重なってまいりまして、それで将来は大きなウエートを占めるようになるだろうということでございまして、ピーク時の増加率そのものが大きくぶれるというものではございません。  ただし、今後のさまざまな制度の仕組み方あるいは医療費関連の施策のとり方で当然将来変わってきますけれども現状の大きな枠組みが仮に続くという前提で大ざっぱな試算をいたしますとそんな医療費の構造になっているわけでございます。  以上でございます。
  64. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 最初の江利川さんがお答えになった、単純な推計だとおっしゃいましたけれども、これからは余り単純ではなく、せっかく厚生省が予防とか寝たきり老人ゼロ作戦、その施策の効果というふうなこともきちんと計算に入れた推計というものを出していただくことが必要になってくるのではないかというふうに思います。その辺のところを御考慮いただきたいということ。  それから、今余り定かではないという国際比較、これは多分厚生省はお持ちだと思いますので、後ほどで結構ですから届けてください。  それから、保育の問題ですけれども、保育所で延長保育何カ所というのは出ておりますけれども、これは私立の保育所では何%、公立ては何%ぐらいというふうな割合がございましたら、その数字をいただければと思います。  それからまた、育児休業、これは圧倒的に女性がとっているわけですね。介護休業の方は少し男性の割合も高くなっているわけですけれども、これからいかにして男性が育児休業をとるようにするか、そのことというのはかなり重要になってくる。これはまたライフスタイル全体を変えていく、それからまた就業のあり方、企業の考え方というのも随分変えていかなきゃならないことだというふうに思います。他の先進国でもやはり男性が育児休業をとるというのは少ないです。しかし、日本よりは高いわけです。ですから、女性が働き続けることができるには、男性も家事、育児にきちんとお互いにシェアし合うということがなければなかなか女性が働き続けるということはできないと思うんですね。最近の何か資料によりますと、日本の共働きの男性で家事、育児を手伝うことをしたいという人は、これは国民生活白書だったか、家事を引き受けるつもりはないという共働きの男性が五一・五%、半分が手伝うつもりはないと言っていらっしゃるということなんですね。  今そこにいらっしゃる皆さんは男性ですけれども、これからどのように、自分たちの職場も含めて、男性も育児休業をとるような形の条件整備といいましょうか、方向に持っていこうとなさっているのか、その点、労働省、厚生省両方にお聞きします。
  65. 鶴岡洋

    ○会長(鶴岡洋君) たくさんありますけれども、保育所の数と男性の育児休業ですか。この二点。
  66. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 二つだけです。
  67. 横田吉男

    政府委員(横田吉男君) 延長保育の公私の実施率でございますけれども、手元にちょっと割合はございませんが、保育所数は全体で約二万二千四百五十ございますけれども平成八年度の時点におきまして延長保育を実施している総数が二千八百三十カ所でございまして、そのうち公立が五百六十三カ所、民営が二千二百六十七カ所ということでございまして、実施率から申し上げますと民営の方が高くなっております。
  68. 澤田陽太郎

    政府委員澤田陽太郎君) 育児休業についての御指摘ですが、基本的には先生おっしゃるとおりだと思います。ただ、法律上は御存じのように男性女性ともに育児休業をとれるようになっておりますので、この点について私どもももっとPRしなきゃいけないと、こう思っております。  例えば、労働省の広報番組がございまして、そういう中でも育児休業を男性でとった人を取り上げてPRするとかいうことも過去においてはやったんですが、なかなか広まらないという点がございます。引き続き努力はいたしたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
  69. 小川勝也

    ○小川勝也君 私も育児休業をとったことはありませんで、女房にすべて任せていますが、私も先ほど来、平田先生と高野先生が話題にされた社会保障の給付と負担の見通しについてお伺いをしたいと思います。厚生省さんです。  私は、平田先生や高野先生と違って、どちらかというと非常に将来を懸念しているうちの一人でございます。特に、少子社会がもたらす最終的な人口が減った姿というのはある程度社会として想像できるのでありますけれども、先ほど審議官がおっしゃったように、急激に少子・高齢社会が進んだということもあって、その過渡的なところで物すごくトラブルといいますか、さまざまな現象が起きてくるんじゃないか。  それで、先ほどの数字で社会保障に対する負担が三〇%を超えるということになりますと、現在の社会経済と比べますと相当の変化が起きるわけでございまして、そのときの社会経済構造とか家庭経済に起こる変化とか、そのようなことがまだ厚生省としても十二分に把握し切れていないような気がいたします。例えば、大事なところの社会保障制度改革に関しては審議会に任せるということになっておりますけれども、将来的に過渡期にどういうことが起こり得るかということを想定しないと厚生行政もなかなか進めていけないと思います。  特にお伺いをしたいのは、結局、サービス増とかその他の政策の充実というものを上げていく、そして今の財政構造が非常に悪い状況だ、どこか切り込まないと、サービスを低下させないとなかなか構造的にうまくいかないと思うんですが、その切り込みをどこかで予定しているのか、その辺のことをお伺いしたいと思います。
  70. 田中泰弘

    政府委員(田中泰弘君) 人口問題審議会の関係で申しますと、人口減少が急激に進んだというか、予想以上に進んだ場合の問題として二つ挙げておりますが、一つは現役世代の負担の増大ということで、特に社会保障関係も入れまして、企業の負担も入れまして挙げております。それからもう一つは、これはよその省の推計として、なかなかいろいろ議論されて、よく詰められたものでございますが、場合によっては現役世代の手取り所得が低下するのではないかということで、働いても手取り所得の減少ということから活力がなくなるのではないかと。その基本には労働力問題とか生産性の問題が裏にあると思うんですが、そういう指摘を人口問題審議会でもしております。  それで、今言われました社会保障の関係でございますけれども、これは私どもの全体の立場といたしまして、将来の見通しの数値を挙げた先ほどの4ページの資料の下から三行目のところでございますが、これは昨年の社会保障会長会議のときにも出された指摘でございますけれども、現在の制度のまま推移した場合に、五〇%という国民負担率を五〇%以下にとどめるとするならば、中長期的に二割以上の給付の効率化、適正化が必要ではないかという見通しを昨年の十一月に出しておりまして、今回の見通しにおきましてもこの部分は同じではないかというふうにいたしております。  ただ、こういう状況の中で、先ほどお話が出ました負担と給付の問題、これをどうバランスをとって、そして将来に過重な負担がいかないようにするのか、これが各制度の中でのこれからの議論ということではないかなというふうに思っております。  以上でございます。
  71. 橋本聖子

    ○橋本聖子君 厚生省の方にお伺いしたいと思います。  資料の三十七ページなんですけれども、「社会参加活動の充実」というところで大変すばらしい内容が書かれていると思います。そこで「モデル市町村」と書かれているところなんですけれども予算と指定期間二年間というところから全国百十八カ所が選ばれているのかと思うんですけれども、どういうふうにしてモデル市町村が選ばれるのかということ。  もう一つは、この指定期間二年間が過ぎた後にはモデル市町村というのはどのような形になっていくのかということをお伺いしたいと思います。  あともう一つ、関連のような形になるんですけれども、三十九ページで全国健康福祉祭、いわゆるねんりんピックと言われるものなんですが、これは厚生省と開催県が主催となっている。この主催される県に私もイベントで開催前と開催後に各場所に行かせていただいたことがあるんですけれども、どちらかというと、何か開催の前はかなり準備に向けてというのもあると思うんですが、物すごく一生懸命されていました。その後に行くと、準備のために燃え尽きてしまったというか、せっかくのイベントなんですけれども地域の方に後につながるようなイベントになっていないといいますか、むだがあるんではないかというふうに思うところがありまして、そのことをどのように考えるか、二つあわせてお伺いしたいと思います。
  72. 羽毛田信吾

    政府委員羽毛田信吾君) まず、第一点でございます。  こういった高齢者の方々の生きがいなり健康づくりということにつきましては、何よりもまず、行政がどうこうするではなくて、まさに自主的な活動としてそれがお年寄りみずからがお取り組みになっていけるようなその動機づけが非常に大事だと思います。そのためには、その地域の方々を、お年寄りをそういうことに結びつけてくるような動機づけをしていくということが非常に大事なんで、そういうことにふさわしいようないわばプロジェクトを組んでいただいたものをモデルでやって、そこから先はいつまでも公が助け、公が何かあれしないとボランティア活動あるいはこういったみずからの生きがいづくり、健康づくりが動いていかないというのではそれは本物じゃありませんから、そういった動機づけをして、そういう二年間なりやることによって、後は玉で言えばみずから転がり出すような、そういうふうに持っていきたいというのが今回のこういったことをやっている趣旨で、この種のものはこういう形で持っていくのが正しいんじゃないかなというふうに思っております。  実際そういうふうになっていかないものについてはよくないわけですから、そういうふうになるようにしていきたいということで、選んでいただきます際にも、まずは、みずからそういうことをやりたいという機運、そういった地域の機運を大事にした選定をして、市町村、都道府県のお申し出によりまして選定をさせていただいております。今言ったようなそういった審査をしまして対象とさせていただいております。そういった形で後につながっていく。  それが第二点でむしろ先生の方から御指摘のあった、まさにねんりんピックもそうでございまして、その場そのとき限りのことであれしたんだったらそれほど意味がない、まさにそれがその後の健康づくりのいわば一つのモデルになり、またそれを一つの機運にして根づいていくというところが非常に大事でございます。そういう意味では、先生が御参加をいただいたところでそういう御印象を持っていただいたということになれば、私どもとしても改善をしていかなければならないというふうに思います。  ただ、私ども聞いています、今までもうこれで十回ぐらいやりましたけれども、その中では、県によりましては大変御熱心にこれを契機にして、例えばイベントで言えば、毎年ねんりんピックをやった日前後をあれして、今度は各地で県独自のそういうミニ版ねんりんピックと申しましょうか、そういったことをやっておられて、それが年々根づいていくという県もございます。  まさにそれがねんりんピックの意義じゃないか、そういうふうにして根づいていくためのいわば動機づけがねんりんピックじゃないかというふうに思いますので、先生の御指摘のような方向でやるように私どもの方も心がけたいと思いますし、だんだんにそういう機運は都道府県においても、参加していただいている老人クラブやなんかにもそういう機運があるんじゃないかというふうに思いますので、そういう方向に持っていきたいというふうに思います。
  73. 鶴岡洋

    ○会長(鶴岡洋君) 以上で厚生省及び労働省に対する質疑は終了いたしました。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時二分散会