○
政府委員(田中泰弘君) 総
務審議官の田中でございます。
委員の皆さん方におかれましては、日ごろから厚生行政に対しまして御指導を賜り、改めて感謝を申し上げます。
また、さきの六月に発表されました本
調査会の
調査報告書におかれましては、大変貴重な御意見を賜り、厚く御礼を申し上げます。
さて、本日はお手元にお配りしております厚生省
説明資料、これを
参考にしながら、さきに御
提言いただきました事項に沿って関連の深い
施策などにつきまして順次御
説明をさせていただきます。
まず、第一番でございます。少子・高齢
社会に
対応した
社会保障
制度の再構築でございますが、一
ページ、二
ページのところでございます。
社会保障
制度につきましては、御承知のとおり、
国民皆保険、皆年全
体制を
中心といたしまして、これまで
施策の充実に努めてまいりました結果、現在では年金の給付水準や医療の受けやすさという点で他の先進諸国と比較しても遜色のない水準に達しているというふうに考えております。しかしながら、特に近年、
経済が低成長基調になっておりますし、財政事情の深刻化といった
状況のもと、少子・高齢化の進行に伴い、今後
社会保障費用の増大は避けられないというふうに思っております。
こうした中で、本格的な少子・高齢化
社会におきましても
社会保障に対する
国民の需要に適切に
対応しますとともに、将来の世代に過重な負担を課さないよう給付と負担の公平を図るなど
社会保障の構造
改革を進め、将来にわたって安定的な
制度を構築していくことが求められているというふうに考えております。
その際、
国民の生活の安定を支えるという
社会保障の役割を損なわず、必要な給付は確実に保障しながら、
経済社会の活力を損なわないよう
制度の効率化、合理化を行っていくことが必要であるというふうに考えております。このため、
社会保障の構造
改革におきましては、介護などの必要な需要に積極的に
対応しつつ、医療及び年金
分野を
中心に効率化、適正化を段階的に
推進していくため、三
ページに挙げておりますが、順次
制度改革に取り組んでいくという考えでございます。
まず第一歩といたしまして、
国民の老後におきます最大の不安となっております介護の問題について、介護保険
制度の創設につき現在国会で御審議をいただいているところでございます。
また、医療でございますが、すべての
国民が安心して質の高い医療
サービスを受けることができる
制度を次の世代に引き継いでいくために、医療保険及び医療提供
体制の両面にわたる抜本的な
改革を
実施する必要があると考えております。今後、新たに設置いたしました医療保険福祉審議会での議論を踏まえながら、抜本
改革の具体案づくりに本格的に取り組んでまいりたいと考えております。
さらに、年金でございますが、
平成十一年度に予定されております財政再計算において、将来の負担が過重とならないよう
制度全体の見直しを行うこととしたいと考えておりまして、現在年金審議会で検討を進めているところでございます。
次に、四
ページをおあけいただきたいと思います。将来の給付と負担の見通しでございます。
昨年の十一月に
社会保障
関係審議会の会長会議の報告が出されます際に、厚生省より
社会保障の給付と負担の将来見通しを公表させていただきましたが、その後本年九月にその改訂版を公表いたしましたのがこの資料でございます。
この改訂版では、基礎となる人口推計を
平成四年九月の推計から
平成九年一月の新推計に変更しますとともに、
平成九年の医療保険
制度改正を織り込み、また介護保険
制度が導入されたものとして推計をいたしております。
この推計によりますと、
社会保障に係る負担は、
平成七年度の一八カ二分の一から、
平成三十七年、二〇二五年でございますが、各
国民所得の伸びに応じまして
三つのケースがございますが、二九カ二分の一から三五カ二分の一というふうに見込まれております。仮に、
社会保障以外の支出に係ります租税負担の対
国民所得比でございますが、現在の水準で約二〇%でございますけれ
ども、これがこのままであれば、それを足し合わせました将来の
国民負担率は約五〇から五六%と推計されるところでございまして、前回の見通しよりも若干上昇するという答えになっております。
次に、六
ページをお開きいただきたいと思います。少子化問題の
関係でございます。
近年、低い出生率の水準のもとで少子化が進行する一方、いわゆる生産年齢人口とともに総人口も二〇〇七年をピークといたしまして減少し続ける
社会、人口減少
社会と言っておりますが、となることは避けられないと見込まれております。この少子化の進行は、将来の
我が国社会経済に深刻な影響を与えると懸念されておりまして、来るべき少子・高齢化
社会に向けて今後どのように
対応するかについて幅広い議論が必要となっております。
このため、厚生省の人口問題審議会で本年二月以降、少子化問題に関しまして学識経験者の御意見な
ども伺いながら幅広い討議が行われてまいりました。そして、この六
ページに概要を載せておりますが、去る十月二十七日に「少子化に関する
基本的考え方について」と題する報告書が取りまとめられたわけでございます。
今回の報告書は、少子化の影響と要因、それらへの
対応について公的な審議会として初めて取りまとめを行ったものでございますが、少子化の影響として現役世代の手取り所得が減少するといった
国民の生活水準への影響とあわせまして、家族や
地域社会の変容あるいは子供の健全な成長への影響、こういったことも指摘をしております。また、少子化の要因といたしまして未婚率の上昇などを挙げております。それへの
対応として、特に育児と仕事の両立支援が重要であると指摘いたしております。固定的な男女の役割分業や雇用
環境といったものを是正するといった
我が国社会全体のあり方を問い直すことが必要であるというふうに指摘をしております。
もとより、少子化をどのように考え、将来の
我が国社会はどうあるべきかと考えるのは最終的には
国民の選択でございます。また、少子化について多様な意見が存在しているところでございます。報告書の中でも指摘されておりますが、今後この報告書をいわば
一つの出発点といたしまして、
国民全体で少子化についての議論をしていただきたいというふうに考えております。
次に、
平成十年度の概算
要求の
関係について御
説明したいと思いますが、資料の十
ページをあけていただきたいと思います。
六月三日に閣議決定されました「財政構造
改革の
推進について」という資料でございます。これにおきましては
社会保障
関係費について、集中期間中、対前年度伸び率を
高齢者数の増によるやむを得ない影響分、約二%
程度でございますが、これ以下に抑制するとされているほか、特に十年度
予算について約八千億を超える当然増について五千億を上回る削減を行うというふうにされております。
社会保障費は
高齢者の増、あるいは物価、賃金の上昇などによりまして自然に増加する傾向がございますので、これは極めて厳しい数字と私
ども受け取っておるわけでございますが、今後少子・高齢化が進行する中で将来の世代に過重な負担を残さず明るい展望を持てる
社会とするため、
社会保障構造
改革及び財政構造
改革に取り組んでいくべきものというふうに考えている次第でございます。
十三
ページをお開きいただきたいと思いますが、
平成十年度の厚生省の概算
要求につきましては、この閣議決定に従いまして取りまとめました結果、この資料にございますように、前年度
予算に比べまして二千九百五億円増の十五兆七十二億円というところでございます。
次の
ページ以下に概算
要求の概要、七つの柱を立てて整理してつけておりますけれ
ども、この
要求の
内容については関連の事項のところで御
説明をさせていただくことといたしたいと思います。
それでは次に、十八
ページをお開きいただきたいと思います。第二番目の高齢期におきます所得の安定でございます。現在、
我が国では
高齢者世帯の平均的所得の半分以上を公的年金、恩給が占めておりまして、公的年金が老後の所得保障の柱として大きな役割を果たしております。公的年金の概要をつけておりますが、
我が国は
国民皆年金
制度のもと、全
国民共通の基礎年金が一階部分となっております。サラリーマンには二階部分として報酬比例の厚生年金が、さらに三階部分として厚生年金基金などの
制度がございます。
この
ページの一番下に書かれておりますが、基礎年金の年金額は四十年加入の場合で月額六万五千円、厚生年金の年金額は男子で月額平均二十万七千円となっておる姿でございます。
費用負担の仕組みについての
説明は省略いたしまして、次の
ページをお開きいただきたいと思います。次期の財政再計算でございます。
年金
制度については、五年ごとに
社会経済情勢の変化に
対応して
制度改正あるいは財政
計画の見直しが行われることとなっておりまして、
平成十一年に予定されている次期財政再計算に向けまして、現在厚生省の年金審議会で検討が進められております。
近年の少子・高齢化を初めといたしまして、年金を取り巻く
社会経済状況はますます厳しくなっておりまして、次期の改正では給付と負担の均衡を確保し、将来の負担を過重なものとしないよう
制度全体の抜本的な見直しを図ることによりまして、
国民が将来にわたって安心して年金を受給できる長期的に安定した
制度を確立することが必要であるというふうに考えておるところでございます。
年金財政の見通しにつきましては、次の二十
ページでございます。
厚生年金の保険料を挙げておりますが、
平成六年の前回
制度改正時の見込みでは、二〇二五年のところで二九・八%で、以降は一定になると予測されていましたが、先般の新人口推計を踏まえて試算し直したところ、三四・三%の水準まで引き上げることが必要と見込まれるということでございまして、厳しいものとなっておるわけでございます。
〔会長退席、理事山本保君着席〕
この改定の検討のスケジュールでございますが、二十一
ページをお開きいただきたいと思います。
ことしの年末までに年金審議会として
制度改正の論点の整理を行います。あわせて、厚生省として次期改正における給付と負担の組み合わせについて複数の選択肢を提示したい。これらをもとに
国民的な議論をお願いし、
平成十年九月を目途に年金審議会に意見書の取りまとめをしていただくことにしております。その後、
政府としての改正案をまとめ、
平成十一年の通常国会に法案を提出したいというふうに考えております。
次に、主要検討項目でございます。これは二十二
ページにあるとおりでございます。
今回の改正では、先ほ
ども申し上げましたように、年金
制度に係ります
基本的な事項について議論をしていただいておりまして、その中で例えば公的年金の果たすべき役割は何か、厚生年金の民営化論の問題点、こういったことについても議論をしております。
それから給付の
関係でございますが、保険料負担の水準との見合いで現行給付水準をどう考えるかといった問題あるいはスライド方式の見直し、高齢在職者等に対します給付といったことなどが検討項目となっております。
〔理事山本保君退席、会長着席〕
また、負担の
関係でございますが、最終保険料率としてどこまでの負担が可能なのかなとにつきまして、世代間の負担の公平の
観点も踏まえ、議論を行っておるわけでございます。そのほか、厚生年金基金や年金積立金の自主運用のあり方な
ども重要な検討
課題となっております。
こうした検討項目について、
関係方面の主な意見を取りまとめたものを二十三
ページ以降に載せております。厚生省といたしましても、こうした意見を
参考にしながら開かれた審議を十分尽くし、
国民に納得していただける改正案の取りまとめに向け努力してまいりたいと考えております。
現在、年金審議会の議事録を公開、インターネットに掲載をしておりますが、さらに今年度からは新たに年金白書を作成いたしまして
制度改正についての
情報や考え方を広く
国民に提示することも予定しておりまして、今後とも
情報公開に努めてまいりたいと考えております。
なお、資料にはつけておりませんが、本
調査会の中間報告でも指摘されております海外勤務者の年金通算の問題につきまして、ドイツとの間で年金保険料の二重払いを避けるなどのため年金通算協定を締結することとし、関連
国内法
整備のための法案を次期通常国会に提出できるよう準備を進めているというところでございます。
以上が年金の
関係でございます。
次に、第三番目の保健、医療の充実の
関係でございますが、二十六
ページをおあけいただきたいと思います。
まず、(1)の医療の
情報公開でございます。
医療は、患者の立場を尊重し、医療の担い手と受ける者の信頼
関係に基づき提供されることが
基本でありまして、医療提供に当たっての患者への
説明、患者や
地域住民への
情報提供を進めることが必要であるというふうに考えております。
このような
観点から、現在継続審議となっております医療法の一部を改正する
法律案におきまして、第一条の四として医療を提供するに当たっての努力規定を設けますとともに、あわせて医療機関が広告し得る事項の拡大を行うこととしたところでございます。
また、次の
ページでございますが、第三者によります病院
機能評価の充実とその
情報公開の
推進などにつきましても引き続き取り組んでまいりたいと考えております。
次に、二十八
ページをお開きいただきたいと思います。
医療保険
制度の
関係でございます。
急速な高齢化の
進展等によりまして医療費が増大を続ける一方、
経済基調の変化の結果、医療費の伸びと
経済成長との間の不均衡が拡大、このままでは
国民皆保険
制度そのものが崩壊しかねない
状況にあるわけでございます。このため、当面の財政危機を回避し
制度の安定的
運営の確保を図る
観点から、さきの健康保険法等の改正によりまして給付と負担の見直しなどを行い、この九月一日から施行しているところでございます。
この法案審議の過程におきまして、医療保険
制度の抜本的
改革を進めるべきとの強い御指摘がございました。厚生省といたしまして、八月に抜本
改革の
方向について厚生省案を取りまとめ、公表をいたしました。また、与党三党におかれては、厚生省案や
関係方面からの
提言などを
参考として、与党としての抜本
改革案であります「二十一
世紀の
国民医療」を取りまとめられたところでございます。
これからは、さきの健康保険法改正で新たに設置することとなりました医療保険福祉審議会、ここで抜本
改革について御議論をいただき、それを踏まえまして
平成十年度の通常国会に所要の改正を盛り込んだ法案の提出を目指すということにしているところでございます。
三十
ページ以下には、
国民医療費の動向などの資料を
参考までにつけております。
次に、三十三
ページでございます。
保健
サービスというところで、健康
日本21
計画、仮称として掲げております。これは、来るべき二十一
世紀に向けまして、長期入院や要介護状態の主な原因であります生活習慣病について発病以前の段階で予防するための諸
施策でありますが、省内関連部局や
各省庁との
連携をとりながらこれを体系化し、数値目標により健康管理を行おうというものでございます。この健康
日本21
計画を策定いたしまして、生涯を通じた効率的かつ一貫した対策を
推進していくということについて検討を進めることとしております。
次に、三十五
ページでございます。
(4)の
地域に密着したリハビリテーションの
実施体制の
強化でございます。
平成九年度に
地域リハビリテーションモデル事業を行ったわけでありますが、それに基づきまして都道府県リハビリテーション協議会の設置
運営、
地域住民の相談窓口への支援
強化などを
内容とした
地域リハビリテーション支援
体制整備事業、これを来年度の
要求としているところでございます。
次に、四番目の
社会参加
活動の充実の御
説明をしたいと思います。三十七
ページでございます。
高齢者が生きがいを持って元気に生活できるようにしていくためには、
高齢者が積極的に
社会活動に参加できるような機会の提供や
環境整備を進めていく必要がございます。このため、厚生省では
高齢者の生きがいと健康づくり
推進事業を
実施いたしまして、国、都道府県、市町村を通じた機運づくり、組織づくり、人づくりを
推進しております。これらは
地域づくりとも密接な
関係を持つことから、住民に最も身近な市町村が主体的に
推進すべきものと考えております。
こうした市町村レベルでの
取り組みを
推進するため、毎年百十八市町村において、モデル事業といたしましてこの
ページの資料に書かれているような事業を
実施しているところでございます。また、都道府県レベルでは明るい長寿
社会づくり
推進機構におきまして
高齢者の
社会活動についての啓発普及や組織づくり、その
活動の振興のための指導者育成などの事業を
実施しております。また、国の段階では長寿
社会開発センターによって各都道府県の
推進機構の事業の企画、指導等が行われておりまして、各段階での事業が効果的に行われますよう
連携の
強化に努めているところでございます。
このほか、三十九
ページでございますが、
地域におきまして多様な
社会活動を行う原動力となっております老人クラブに対する助成、また全国健康福祉祭、いわゆるねんりんピックの開催などによりまして、
高齢者がその豊富な知識や経験を生かし多様な
社会活動を行うことを支援しているところでございます。
次に、四十
ページをお開きいただきたいと思いますが、五番目の介護基盤の充実の
関係でございます。
まず、介護保険法の
関係でありますが、今後急速な高齢化の
進展に伴いまして寝たきりや痴呆の
高齢者が急速に増加することが見込まれておりますが、こうした
高齢者に対する介護は家族介護に大きく依存をしており、また介護をしている方の大半が女性でありかつ
高齢者の方が多いという
状況にございます。こうした中で、要介護者を抱える家族の心身の負担は非常に重いものとなっているわけでございます。
そのような
状況を踏まえ、介護を
社会的に支えるとともに、
利用者自身が多様な
サービスを選択し、保健、医療、福祉にわたる総合的な
サービスが受けられる
利用者本位の仕組みを創設するのが介護保険法案でございます。現在、国会で御審議いただいているところでございますが、本
制度は、介護を医療から切り離し、
社会的入院解消の条件
整備を図るなど、
社会保障構造
改革の第一歩と位置づけられるものでございまして、法案の早期成立をぜひともお願いしたいと考えております。
法案が予定しております
平成十二年度の施行に向けての準備にも万全を期してまいりたいと考えております。このため、本年度全国約四百カ所で試行的に
実施しております介護保険
制度の導入に伴う必要な業務として、要介護の判定、介護
サービス計画の作成、こういった業務につきまして全市町村において
実施するということで準備を進めたいというふうに考えております。
次に、四十四
ページをお開きいただきたいと思います。介護基盤の充実
整備の
関係でございます。
介護保険
制度を円滑に導入するためにも介護
サービスの基盤
整備を着実に
推進することが重要であるわけでございまして、このため、まずは新ゴールドプランの着実な
推進に取り組んでいるところでございます。
平成十年度の概算
要求は四十六
ページのとおりでございます。財政構造
改革の中ではありますが、新ゴールドプランの達成は緊急な
課題でございまして、ホームヘルパーの増員などその着実な
推進を図るため、約四百六十一億円増の約八千五百億を
要求いたしております。なお、
施設整備費の
関係でございますが、
政府全体で七%の縮減方針が出ております中で、この新ゴールドプランなど保険、福祉
関係の三
計画関連につきましては六%の縮減にとどめることとしております。
新ゴールドプランの進捗
状況でございますが、四十七
ページでございます。
全般的にはおおむね順調に進んでおりますが、
地域的なばらつきがございます。四十八、四十九、五十
ページにわたりまして資料をつけておりますが、
地域によりまして、あるいは
サービスの種類によりまして差が生じているという
認識を持っております。そのため、介護
サービスの基盤
整備がおくれている
地域におきましては、各地方自治体に対しまして、その理由の分析やそれに基づく対策の
実施を求めているところでございます。
なお、介護保険
制度導入後におきましても、五十二
ページをお開きいただきたいと思いますが、各市町村が将来の
サービスの必要量を踏まえまして介護保険事業
計画を策定するとともに、各都道府県が介護保険事業支援
計画を策定することとしております。これらの
計画に基づく介護
サービスの基盤
整備につきまして、厚生省といたしましても必要な支援に努めてまいりたいと考えております。
次に、五十三
ページでございます。六番目のボランティア団体支援の
関係を御
説明いたします。
国民のボランティア
活動への参加の促進を図るため、
平成五年四月に制定いたしました
基本指針あるいは
平成五年七月の中央
社会福祉審議会の意見具申に基づきまして、
国民の自主性、自発性を尊重しつつ、いつでも、どこでも、だれでもボランティア
活動に参加できるようその基盤
整備を図っているところでございます。
具体的には、この資料にありますとおり、都道府県、市区町村等の
社会福祉協議会に設置されておりますボランティアセンターにおきまして、ボランティア
活動に関する相談、登録、あっせん、広報、啓発などを行っておりまして、厚生省ではこれらの事業への助成を通じてボランティア団体に対する支援を講じているところでございます。また、特に
高齢者のボランティア
活動に対しましては、さきに御
説明申し上げましたとおり、
高齢者の生きがいと健康づくり
推進事業を
実施しておりまして、この一環として
高齢者のボランティア
活動の振興のための指導者の育成などを行っているわけでございます。
次に、五十四
ページをお開きいただきたいと思います。第七番目の成年後見
制度の創設について御
説明いたします。
高齢化の
進展や核家族化等の家族形態の変化あるいはノーマライゼーションの理念などを踏まえまして、痴呆性
高齢者や知的
障害者などの方々が
社会の中で自立した
個人として生活していけるよう新たな支援の枠組みが求められているところでございます。これらの意思能力が不十分な方々に対する
制度としましては、現在民法で禁治産・準禁治産
制度が規定されておりますが、種々問題点があり、
利用しにくい
制度であるとの指摘がございます。
このため、法務省では、
平成七年以来、禁治産・準禁治産
制度にかわる新たな成年後見
制度の法
整備に向けて検討が行われてまいりましたが、本年九月に
研究会報告が取りまとめられたところでございます。その概要は五十六
ページに挙げておりますが、意思能力が不十分な者を
制度の対象とするとともに、本人の自己決定を尊重するなどの
方向性が打ち出されております。この
研究会報告はあくまで論点整理ということではございますが、これを受けて法務省の法制審議会民法部会の中に成年後見小
委員会が新たに設置され、去る十月二十一日から法
整備に向けた本格的な審議が始まっております。法務省としましては、来年春ごろに新たな成年後見
制度の要綱試案を取りまとめ、
関係各界に意見を照会した上で、
平成十一年の通常国会に法案を提出する
方向であると伺っております。
厚生省といたしましては、まず法務省と
連携を密にしながら
高齢者や
障害者の方々が
利用しやすい法
制度の
整備を進める、次に法
制度の実効が上がりますように後見人となる者を紹介し支援する仕組みを検討するほか、財産や権利の
侵害について身近なところで相談に応じ継続的な支援を行う仕組み、こういったことについて検討してまいりたいというふうに考えております。
なお、これらを検討するに当たりまして、五十七
ページに挙げておりますが、本年九月、知的
障害者の方々の財産管理の支援のあり方について
研究をいただいております検討会から、ポイントとしては
二つの
内容の
提言をいただいております。
一つは、知的
障害者個々人の身近なところで財産の保管や日常的な管理等について継続的な支援を行う人材の登録・紹介システム、これが
一つでございます。それから、財産
侵害への
対応など専門的な相談に応じる窓口の設置でございます。今後、このような
提言も踏まえながらこの問題に精力的に取り組んでまいりたいというふうに考えております。
次に、五十九
ページでございます。八番目の子育ての
経済的負担の軽減について御
説明いたします。
これにつきましては、児童手当
制度、所得税、地方税の扶養控除が主な
施策でございます。
児童手当
制度でありますが、この資料にありますとおり、児童手当は三歳未満の児童を養育している方で所得が一定額未満の場合の方に支給されるわけでございます。その額は資料のとおりでございますが、また、この所得制限により児童手当を受けられないサラリーマンについては、その方の前年の所得が一定額までの場合は特例給付として全額事業主負担によって児童手当と同額の給付を受けることができることとなっております。
七年度で、この特例給付を含めて児童手当受給者総数は二百三万人、支給対象児童数で二百二十八万人、支給総額は千六百九億円となっております。
次に、次の
ページでございますが、
税制の扶養控除であります。
所得税の欄にありますように、一般のお子さんは扶養親族となりますので、扶養控除として一人につき三十八万円が、また年齢が十六歳から二十三歳未満の扶養親族の場合は特定扶養親族としまして一人につき五十三万円が所得金額から控除されることとなります。
また、住民税の扶養控除については、一般の子供の場合、各一人につき三十三万円の控除、この場合も特定扶養親族については四十一万円の控除というふうになっておるところでございます。
次に、六十一
ページでございます。九番目の育児、介護と仕事の両立支援を御
説明いたします。
まず、育児と仕事の両立支援でございますが、従来から、子供を健やかに産み育てる
環境を
整備するという
観点から、厚生省、労働省、文部省、建設省の四省庁でエンゼルプランを策定し、またその具体化の一環として、大蔵、厚生、自治の三省庁で緊急保育対策等五カ年事業を策定し、その
実施に努めておるところでございます。
特に、少子化の進行、夫婦共働き家庭の一般化など児童や家庭を取り巻く
環境が大きく変化している中で、この緊急保育対策等五カ年事業によりまして、低年齢児受け入れ枠の拡大、延長保育の促進、
地域子育て支援センターの
整備などに努め、保育需要の
多様化への
対応を着実に図っていく考えでございます。
こうした
状況を踏まえ、六十二
ページに掲げておりますが、
利用者の立場に立った保育所
制度を確立するという
観点から、前国会で児童福祉法が改正され、来年四月から施行の運びになっております。
具体的には、この表にありますように、入所方式を現行の措置という行政処分による方式から
利用者が選択する
利用契約方式に改めるとともに、市町村や保育所による
情報提供に基づきまして申込者みずからが希望の保育所を決定するという方式に改めるわけでございまして、質の高い保育
サービスをより柔軟に提供できる仕組みを構築していきたいというふうに考えております。
なお、介護と仕事の両立支援につきましては、先ほど触れました介護保険
制度によりまして、介護を
社会的に支える仕組みを創設し、
高齢者の家族介護に係る負担を軽減することとしております。
次に、六十三
ページでございます。十番目の
地域社会におきます子育て支援について御
説明いたします。
近年の著しい少子化の背景といたしまして、人口問題審議会の報告にもありますとおり、未婚率が上昇していること、女性の
社会進出の中で子育てと就労の両立が困難になっていることなどが指摘されております。また、児童をめぐる問題が複雑化、
多様化する中で、家庭や
地域の子育て
機能の低下や子育てに関する不安の増大、子育ての孤立化といった問題も見られるわけでございます。
このため、
平成七年度より、保育所におきます育児の経験、知識を活用して
地域の子育て家庭に対して幅広く育児相談を行うため、
地域子育て支援センター事業を
実施しておりますが、今回の改正によりまして、さらに今後はすべての保育所が、保育所を
利用している家庭のみならず、広く
地域住民に対する育児相談の
実施に努めることとしております。
その事業
内容は六十三
ページの(2)以下に挙げておるところでございますが、他の保育所等と
連携を図りながら総合的に行うというふうにしているところでございます。
次の
ページに移っていただきたいと思いますが、同じく今回の児童福祉法の改正により創設されました児童家庭支援センターでございます。
地域に密着した相談・支援
体制を
強化するというものでございます。
それから、ウにございます、同じく法改正で法定化されました放課後児童健全育成事業でございます。保護者が労働などによりまして昼間家庭にいないところの小学校低学年児童に対しまして、授業の終了後に児童厚生
施設などを
利用して適切な遊びや生活の場を与え、児童の健全な育成を図ろうというものでございます。
それから、工の母子保健対策でございますが、
平成六年に母子保健法が改正され、市町村におきまして一元的に健康診査、訪問指導を
実施するほか、一歳六カ月児健康診査を法定化し、学校保健とも
連携を図ることとして、今年度四月から
実施されているところでございます。
最後に、六十五
ページでございます。十一番目の
情報の一元化と手続の簡素化について御
説明いたします。
情報の一元化につきましては、
地域保健の総合的な見直しが行われた結果、
平成六年度、新たに
地域保健法が制定され、
地域におきます住民に身近な保健・福祉
サービスが市町村において一元的に提供できるようになったところでございます。
次の六十六
ページでございますが、これらを踏まえまして、
サービス窓口の一元化を図るため、保健と福祉における総合相談窓口などの設置を促進しておりまして、
情報の一元化に努めてきているところでございます。
それから、六十七
ページでございます。申請・届け出手続の電子化の促進でございます。
情報の一元化には
情報の電子化が前提になる場合が多いということから、
政府としましても、
平成九年二月の閣議決定に基づきまして、六十七
ページにありますような形で、申請、届け出などの行政手続の電子化、これは選択制でございますが、を進めております。
これまでの具体的な電子化の実績は次の六十八
ページで示しております。特に、件数が多く要望の強い医薬品の製造承認申請等がございます。今後、
関係法令の改正などの措置も講じ、原則として十年度宋までに可能なものから早期に
実施に移していくというふうになっております。
次に、
データカードの利活用の
関係でございます。
六十九
ページでございますが、ICカードなどの
データカードの利活用でございます。
地域におきます保健、医療の
情報ネットワークの構築を模索する
目的で、この
ページにございますように、兵庫県の五色町などでモデル事業が行われてきたところでございます。その
成果に基づきまして、保健医療カードシステムの導入指針を
平成六年七月に全国都道府県に示しております。
それから七十
ページでございますが、医療保険カードの
関係でございます。健康保険の被保険者証につきましても、被保険者の利便性と医療機関の事務の合理化にも寄与する可能性があるということから、そのカード化に向けた実証
研究を
平成七年度から三カ年の
計画で進めてきているところでございます。
最後に、手続の簡素化の
関係でございます。
七十一
ページ、保険医療機関等の診療報酬請求に関しまして、レセプト電算処理システムでございます。これを試験的に一部の医療機関などで
実施し、その普及の可能性を検討してきたところでございますが、一定のめどがついたということから、
平成十年度を目途といたしまして、全国の希望する医療機関が審査支払い機関に届け出ることによりましてシステムに参加できる自由届け出方式への移行を現在検討しているというところでございます。
以上がお話でございますが、最後に、資料はつけておりませんが、御要望がございました廃棄物処理の問題について
説明を追加させていただきます。
廃棄物、特に産業廃棄物につきまして、最終処分場の逼迫や
施設の設置をめぐる
地域紛争の多発、不法投棄等の問題に直面しておりまして、このままでは
国民の生活
環境や産業
活動に支障を生じかねない深刻な
状況にございます。こうした
状況を踏まえ、さきの通常国会において廃棄物の減量化、リサイクルの
推進、廃棄物処理に関する信頼性と安全性の
向上、不法投棄対策、こういったことを柱といたします廃棄物処理法の改正が行われたところでありますが、廃棄物の処理に関する基準の充実
強化とあわせまして、改正法の円滑な施行を図り、
国民の信頼の回復に努めてまいりたいと考えております。
国民の健康に
関係の深いダイオキシン問題でありますが、廃棄物の焼却に伴いますダイオキシンの発生を抑制するため、廃棄物焼却
施設の基準の見直しなどを行ったところであります。今後ともダイオキシン対策の
推進に鋭意努めてまいりたいと考えております。
また、今後の廃棄物処理につきましては、単に燃やして埋める処理から、循環型
社会の構築に向けリサイクルを積極的に
推進していくことが求められておりますが、厚生省といたしましては、本年四月に施行されました容器包装リサイクル法の円滑な
実施を図るなど、リサイクルの
推進に積極的に取り組んでまいりたいというふうに考えております。
厚生省
関係の
説明は以上でございます。