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1997-12-05 第141回国会 参議院 国際問題に関する調査会対外経済協力に関する小委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年十二月五日(金曜日)    午後一時開会     —————————————   出席者は左のとおり。     小委員長        板垣  正君     小委員                 馳   浩君                 山本 一太君                 広中和歌子君                 福本 潤一君                 角田 義一君                 田  英夫君                 上田耕一郎君    事務局側        第一特別調査室        長        加藤 一宇君     —————————————   本日の会議に付した案件対外経済協力に関する件 ○調査報告書中間報告)に関する件     —————————————
  2. 板垣正

    ○小委員長板垣正君) ただいまから国際問題に関する調査会対外経済協力に関する小委員会を開会いたします。  対外経済協力に関する件を議題といたします。  本日は、今期国会中の取りまとめ自由討議を行います。  本日の運営につきましては、まず、これまで六回行ってきましたODA理念実施体制及び国会ODAとのかかわりについての議論を踏まえ、順次各小委員から各五分以内で意見を承り、その後、午後二時五十分を目途に意見交換を行いたいと存じます。  それでは、お手元の名簿順に馳君から順次お願いいたします。馳浩委員
  3. 馳浩

    ○馳浩君 自由民主党の馳浩であります。  こうやって週一回皆さん方意見交換をさせていただき、それから参考人皆さんにもいろいろと現場御苦労等をお聞かせいただきまして、大変勉強になりました。私も議員になる前は、ODAというのは、日本経済大国でありお金が余っているならば途上国に対して支援するのはいいことだなと、非常に表面的な見方しかできなかった日本人の一員であるということを改めて非常に深く恥ずかしく思いまして、そういう観点からも、今、小委員長の申されたような四点についての私自身意見といいますか考えをまずは申し上げさせていただきたいと思います。  この理念というものは非常に整理されていて、これ以上つけ加えるということについては余り私も深い議論はありません。ただ、理念に基づいてODA予算が十分に配分され現場において実施されておるかということに対する疑問がたくさん今回の勉強会を通じて出てまいりましたので、この理念に基づいて十分に実施されておるのかということは非常に大きな課題であると思います。人道支援相互依存環境保全自助努力支援というこの理念に基づいてどのように実施されているかという評価あり方を明確にしていかなければいけない、それが国会の務めではないかということにもつながっていくと思いました。実施体制につきましては、これは私はぜひまたやっていただく機会があればお願いしたいんです。十九省庁技術協力などが分かれている、あるいは円借款に関しましても四省庁、対応がばらばらであって予算の総額も把握することができない。この十九省庁、四省庁を呼んで現場担当官から意見聴取をした上で、一元化の問題に対しての答えを出していく方向性が必要ではないかということを感じました。  国会とのかかわりにつきましては、改めて言うまでもありませんが、当初出されました七項目合意の中でも審議の場を設けるというのでありますから、私は、ODAに関する委員会あるいは調査会を設けて、とりわけ案件評価専門家等々の人材発掘等も含めまして、広く議論をすることによってこそ国民に対しての私たち責任が果たせるのではないかということを強く感じました。  最後に、基本法についてですが、私も当初は基本法ありきという観点ではなかったのでありますが、今現在、議論を重ねてきたこの段階では、国民に対するアナウンスメント効果、それから国際社会において名誉ある地位を占めるという憲法前文に基づく日本国としての国際社会へのメッセージ、そして改めて日本型のODA実施するのだという強い決意を国際社会に対して発信する上でも、この基本法はたとえ理念法であったとしても制定する必要があるという感想を強く持ちましたので、私の意見を申し上げておきたいと思います。  以上です。
  4. 板垣正

  5. 山本一太

    山本一太君 きょうでこの小委員会は七回目ということになると思うんですけれども、きょう国会対策委員会で、いつものとおり各委員会の理事がいろいろ説明する中で、私もこの小委員会委員間のフリーディスカッションという話をしたら、他の同僚から、この国際問題調査会自由討議というのは非常にいいね、しかもきょうの小委員会委員問フリーディスカッションというのはなかなかない形だから一回聞いてみたいという話もあったわけでございます。  今回の対外経済協力に関する小委員会を設立するに当たっては、いろいろ難しいことを言う方もいらっしゃいまして、小委員会というものは現下の非常にタイムリーなホットなイシューを扱うというよりはもう少し長期の展望に立ったものだ、そういうものにそぐうのかなというようなお話もありましたけれども、いや、ODA外交というのは非常に関係もしている、しかも一〇%削減というODAが新しいターニングポイントを迎えた中で、長期的に日本ODAをどうするか、日本外交をどうするかという形で意味があるんですよといういろんな御説明も申し上げました。いわば板垣委員長の英断で何とかうちの方がまとまった経緯もあるんですけれども、この小委員会を六回やってみて大変私自身勉強になりましたし、意味があったなという気が今しております。  いろんな御意見が出たと思うんですけれども、ODA理念そして実施体制、諸外国の事情なんかもお聞きしたり、あるいはODA国会かかわりについては委員先生方からもいろいろ活発な御意見が出たりいたしました。  その中で大体我々が一致したことのまず一点目は、実施体制については何らかの形で一元化していくべきではないかということがあったのではないかと、今翻って考えてみますとそんなことを思っております。  また、ODA理念については、国益人道援助かという観点からいろんな参考人の方のお話もありましたし、また、広中先生からNGOをもう少しきちっと入れた方がいいんじゃないかとか、馳先生から環境に対する配慮というのをもう少し腰を据えてやったらいいんじゃないかとか、ODA理念についても、これを強化拡大していく形の意見が出されたのかなというふうな感じがしております。  また、国会ODAかかわりについては、私がとらえたところでは、大きく言えば現行のシステム、今のメカニズムを強化拡充する中で、この国会ODAとのかかわりをきちっとしたものにしていこうと。例えば、大綱運用をきちっと担保できるやり方を少し考えていこう、あるいは実施体制の強化という意味では国別援助方針をさらに進めていったらどうかと。  理念については、先ほども申し上げましたけれども、例えば新しい理念を加えていくとか、時代に合わせて理念を見直していくとか、そういう活動によって今のシステムを拡充強化する形で対応していけるのではないかというお話もありました。あるいは、もう一つの方法として、援助基本法というきっちりとした形で、国民そして我々議会人といいますかパーラメンタリアンの間の認識も深めると同時に、やはりODA大国としてメッセージを送る必要があるのではないかと。これはいろんな意見が出たのかなという感じがしております。  この小委員会で随分いろんな形でODAについて検討を重ねてきたわけでございますけれども、いよいよきょうが中間取りまとめ最後になるわけなんですけれども、ぜひまたそこは小委員長にいろいろ御整理いただきまして、我々が一致して考えられることについてはおまとめをいただき、またいろんな意見が出たことについても、いろんなことを勘案して中間取りまとめに向けて御尽力いただければと、このように思っております。
  6. 板垣正

  7. 広中和歌子

    広中和歌子君 馳先生山本先生がおっしゃられましたように、この小委員会で非常に充実した議員間のディスカッションが行われてきたこと、私にとってはまさに初めての体験でございました。国会に長く籍を置いておりますけれども、こうした議員間のディスカッションというのは、今まで提案されながらなかなか実現していない中で本当に画期的なことだろうと思う次第でございます。もっとこれを広げていくように、ここの小委員会体験を発信していく必要があるんじゃないかなと思います。  まず、政府開発援助大綱基本法に高めていく必要があるかどうかということでございますけれども、もし現段階のあれで十分であるというのであるのならば、実施段階においてきっちりそれに裏打ちされたものが実際に実施されているということをやはり証明する必要があるんではないかなと思います。  それからまた、実施体制もより効果的に、より効率的にさらにすることによって、今さまざまな意見があり、実施体制の一本化とかさまざまな提案がなされておりますけれども、現体制がいいというのであれば、本当にそれを証明してみるためにさらなる努力をしていただかないとだめなんではないかと思います。  我々のODAがこれで決して満足すべき状況でないことは事実でございますけれども、しかし、いい面も少なからずあるということの成功例をもっとPRすべきではないかなというふうに思うこともございます。それほど満足でない点というのは、私は特に質の高い援助ということでもっと小規模支援の拡大をしていくことが大切なんではなかろうかと思います。  前回、ODANGO経由でなされる割合というので我が国のケース、ほかの国との比較をお伺いしたわけですが、我が国は一九九五年で一・八%、ほかの欧米先進諸国では、例えばカナダの八・五%、それからスウェーデンの六・五%というように非常に率が高い。それから、草の根支援というのも、日本の場合、九六年度で四十五億と八徳、合計しても五十三億ということで、全体のODAの額に比べて非常に少ないということがあります。  これをまず最初ターゲットとして、草の根支援小規模支援、そしてまさに政府開発援助大綱で言っておりますように、ベーシック・ヒューマン・ニーズ、貧困とか人道支援に視点を置いた支援をするというふうに言っていることを裏づけるためにも、まずこのODA支援の金額の割合を例えば次の五年間に五%に引き上げるといったようなターゲットをつくることが必要なんではないかと思います。  そしてまた、引き上げるためには実施体制が十分できていないといけないわけで、そのためには人材発掘が必要だろうと思います。今、日本NGOが十分育っていないということがよく弁明に使われるわけですけれども、そういうことであるんだったら、やはり外務省が中心になってもっと人材発掘努力していただきたい。特に、NGO法人化なども含めましてもっと積極的に働きかけていただきたいと思います。  それと同時に、外務省の中でもODAに関しましては質、規模ともに充実していくことが切に求められ、もし私ども議員がお役に立つことがあれば、そのことを主張し続けることが大切なんではないかと思います。  以上でございます。
  8. 板垣正

  9. 福本潤一

    福本潤一君 私も、六回の自由討議を含め、ODAにかかわるこの小委員会でさまざまな参考人の御意見を聞かせていただき、また、今までODA基本法を具体的に出された先生方の御意見、それがスムーズにいかなかった状況流れ先人努力という形で聞かせていただきました。  四点の形で述べさせていただきますと、理念という中では、ODA大綱の中に人道的考慮相互依存性認識環境保全自助努力支援等、具体的な形で大きなODA基本理念が述べられている。こういうものを基本にしたものが大綱で現在終わっているという中で、その先人努力がなぜ今まで実らなかったのか。  外務省外交にかかわる話、専権事項であるというような話等々がありましたし、ODA大国とはいいながら日本も一〇%削減という具体的な動きが出てきておるわけですけれども、国益と絡み過ぎるのは問題であり基本的に人道主義だけでいくという上智大学教授村井吉敬参考人の御意見もありました。現場で具体的に活動した人たちの話を私が個人的にも聞いた上で言いますと、目的とか人道主義という形だけでやりますと、具体的な使われ方の中でマルコス疑惑だけではなく野方図になりがちなところが案外ありますので、ある意味では、平和のために役立つとか、地球環境地域環境整備に役立つとかいうような制限枠を設けた上での人道主義という理念にしていったらどうかというふうに思います。  実施体制におきましても、現場ではOECF、JICA、さまざまな団体が具体的な形で努力されているのはわかるわけでございますし、これを一元化していくという方向での御意見がこの小委員会でも多かったと思います。一元化自体に私自身はこだわっておりませんで、次の国会とのかかわりという中でも、実施体制としては一元化ができていなくても、例えば特別委員会常任委員会等ODA委員会という形で、具体的に計画段階、また結果の報告等々をやれるような形に将来的には持っていったらどうだろうか。これは、現在の予算委員会とか決算委員会というようなある意味での追及型ではなくて、長期的理念に沿っているかどうか、また長期的方針計画というような形での審議ができる委員会を設けて、外務省だけの責任じゃなくて、同時に国会もその実施に当たっては責任があるんだという形にしていった方がいいと思います。  情報公開という意味でいきますと、現在もかなりの情報公開はしていますが、具体的に情報公開を文書などの形態でやるだけではなくて、国会の場で審議するということが一番情報公開としては責任ある体制でやれるんではなかろうかと思います。現在も十二分やっておられる上で、このODAの一兆数千億円という予算国民の代表という立場でも国会審議の中できちっと情報公開していく。  私は、最初段階から、ODAという大きな予算基本的に基本法があった上で、それに基づいた長期方針また短期方針理念に基づいているかどうか等々の検討をするのが一番いいなとは思っておりました。  ただ、アメリカの対外援助法等含めて考えますとかなり追及型になりかねないという懸念、また外交上瞬時に、即時に判断しなければいけないことに対して、国会の質疑でこれが時期を逸するというようなこともあり得るかということで、むしろ基本法というものを据えた、その中身のあり方外務省外交特権と抵触しないような形でやっていったらどうかというふうに思っております。  以上です。
  10. 板垣正

  11. 角田義一

    角田義一君 一つODA理念についてですけれども、御承知のとおり、昨今の金融不安等があって、いずれ公的資金を導入しなければならないんじゃないかというようなことになってきますと、大変な税金を使わざるを得ないというようなことになってくる。さらには、少子・高齢化社会を迎える中で、介護保険法も通りましたけれども、国民の負担もいろいろふえてくる。こういう状況の中で、一部には、自分のところのことをやるのが精いっぱいである、外交のことまでとてもじゃないけれども金なんか出せないんじゃないかというような風潮もある。  しかし、国民の中にはボランティア活動も盛んですから、自分たちでできる国際協力というものについては参加もしていきたいというような意欲も一方ではあるという非常に複雑な今の社会状況の中で、私は最初に、国際社会の中で名誉ある地位を占めたいという憲法前文の精神を踏まえて、もう一度この理念というものについて、現時点で小委員会での合意を得られるように努力したい。また、ぜひ小委員長におかれてもそういう取り運びをしていただきたいというふうに思います。  さらに、日本平和憲法を持っているわけですから、国際貢献ということになれば、当然のことながら平和貢献という特色を明確に出していく。今後のことを考えますと、紛争の防止あるいは貧困からの解放、さらには地球環境、そして、きのうですか対人地雷禁止条約に調印されて、しかしこれも金がかかるということですから、そういう今の問題も踏まえた上でまず理念というものについてこの小委員会で確認していけたらというふうに思います。  それから、ODA実施体制については、いろいろ議論はありますけれども、細かな面はともかくとして一元化していくということについては、私の見る限りでは大体委員皆さん方意見方向としてはほぼ一致しているんじゃないかというふうに思っておりまして、この点は何らかの提言を政府に対してやるべきではないかというふうに私は思います。  それから、国会ODA関係ですけれども、二回ぐらい前のこの会合でも私は申し上げましたけれども、まず決算委員会等ODA特定項目として系統的に取り組んでもらうということと、それからきょうの本会議で可決させていただきました、まだ衆議院の承認も要りますけれども、行政監視委員会ODAというものに積極的に取り組むということを確認させてもらいたいと思います。  それから、参議院の予算審議の中で各委員会にお願いする方式がありますが、外務委員会ODA予算集中審議を行うというようなことを考えていただいてもいいのではないかと思います。  それから、ODA予算というのが、全体として予算書の中にばらばらになっておって一本になかなかなれない。どこにどう書いてあるかわからぬというようなことではやっぱり困りますから、これは一工夫していただいて、ODA予算だけで、予算書の別冊でもいいですけれども、まとめた一つのものをつくっていただく。すべての審査でその本を見ればODA予算というものがすべてわかるというような形をとるように、政府に要請したらいかがかというふうに思います。  最後になりますけれども、田先生以来、ここに上田先生もおられますけれども、ODA基本法について大変な御苦労をいただいてきております。私は、基本的には、どういうODA基本法というのがいいか、名称には余りこだわりませんけれども、いずれにいたしましても基本法的なものは必要だというふうに思います。大綱だけでは不十分じゃないかというふうに思っております。  以上です。
  12. 板垣正

  13. 田英夫

    田英夫君 皆さんのおっしゃったことと重複することになると思いますが、まとめるような形で申し上げます。  まず、理念については、私は被援助国国民立場に立つということが、例えば基本法をつくるときにそれをうたうことはしないとしても、心構えとしてはこれが非常に重要ではないかと思います。我が国国益優先でないことはもちろん、被援助国の政権への援助ということでもないと。やはり被援助国国民立場国民生活を向上させるということを優先させるべきだと思います。  その上に立って、一つは、皆さんもおっしゃいましたが、人道的な立場を重視する。その中には、女性あるいは子供さんの生活を向上させることを優先的に考えるべきではないかと思います。それから非軍事。軍事利用されない、平和のためということ。三番目に環境保護。このことは二十一世紀にかけて現在よりますます重要になってくるわけで、環境破壊などというのは論外であって、むしろ環境保護に役立つことを優先すべきではないか。  前後しますが、そういう理念の上に立って、国会とのかかわりでいえば、国会の中にまず受け皿としてODA担当委員会なり小委員会を常設すべきだと思います。常設ということになれば、まず常任委員会の中に小委員会をつくるというような形が望ましいのではないか。そうなると、具体的には外務委員会とか決算委員会とかいうことが考えられます。決算委員会は、私もやったことがありますが、年度を追いかけるのにようやくのような状況ですから、手が回るかなという気もいたします。  それから、国会とのかかわりでは、これは当然基本法をつくるとなればその中に入れなければなりませんが、国会に対して前年度報告をする。各国の例を見ますと大体それが多いようですが、そういうことにとどめるか。参考人の方の中には長期、中期、毎年度、次年度計画国会に提出しろという御意見もありましたけれども、私は、現実的な今の状況からすれば、これは検討課題として、当面はやはり報告からスタートした方が、国会の現在の状況からも、あるいは政府側状況からも取り組みやすいのではないかと思います。  それから、実施体制については十九省庁かかわり、また借款については四省庁体制という現在の状況は、コントロールタワーがないということでこれはぜひ変える、改正する。コントロールタワーをつくるということが重要で、一本化するということでなくてもとにかくコントロールタワーは必要だと思います。  それから、実際にODAをやる場合のいわゆる要請主義ということは、被援助国立場ということを考えれば重要な原則だと思いますが、現実的には透明性を保ちながら我が国の企業なりコンサルタントも協力できるという余地をどう残せるか、これは研究課題として考えなければならないと思います。  それからNGOの問題、広中さんもおっしゃいました草の根支援、これを十分に活用できる体制をつくっていく。それからもう一つ青年海外協力隊JICAがやっているわけですが、これを現在よりも拡充強化するということが必要ではないかと思います。今やっていることは非常に重要ないい仕事をしていますが、まだまだ数が不十分だと思います。  結論として、私は、以上のようなことをODA基本法という形にして内外に日本の姿勢を示し、これを守っていくということが大切だと思います。  以上です。
  14. 板垣正

  15. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 調査室でまとめていただいた六回のを読んだんですけれども、この期間に六回やってなかなか充実した審議になったと思うんです。  それで、テーマになった問題でいうと、細かなことは省きますけれども、発展途上国の貧しさその他の苦しみに対して人道的な立場援助することを基本にという点、実施体制では大まかに一元化方向を目指すべきだという点、それから国会関与関与の仕方にもいろいろありますけれども、はっきり関与すべきだという点、それから基本法は必要だという方向では、大方の意見流れができていると思います。私も一つ一つについて意見を申し上げたんですが。  しかし同時に、特に外務省大島局長が二回見えたんですが、現にそういう小委員会で大きな流れとなっている方向に対して、外務省はかなり強い抵抗があると思うんですね。これは単に外務省抵抗というだけじゃなくて、五〇年代の半ばに生まれて約四十年積み重なってきた日本のこのODAの現実、構造を変える方向に我々の議論がなっているので、なかなか大仕事だなということを改めて痛感しているんです。  それで、理念については、一番専門家山本海徳さんも現場でずっとやってきた体験の中から、「日本の場合、途上国の離陸へ向けての自助努力支援するという立派な理念を持っており、」ということで、この理念の国際的な大きな役割については証言があったぐらいでいいと思うんですけれども、その理念原則そのもの政府のやっている外交政策と衝突する問題が出てきていると思うんですね。  大島局長は、まとめていただいた十五ページでこう言っているんです。「同時に、ODA大綱原理原則にかかわる部分運用は、外交判断そのものにつながる部分があり、ここがきちんと担保されることについて非常に重要性を付して考えていきたい」、原理原則にかかわるところが政府外交政策そのものにつながるんで、ここに非常に重要性を置くという言い方ですよ。読み直してみるとそういう言い方をされているんです。  それから、基本法についても局長は同じような意見ですね。これは三十一ページ、ODA基本法については「制定には慎重に臨むという立場である。ODAはいろいろな機能を有しているが、外務省としては重要な外交政策の一環としての側面があるので」、だから縛られたくないということなんです。山本委員外交政策を縛る点では迷っているという発言もあったんですけれども、結局、原理原則理念を決める上でもそこの問題がやっぱり出てくる。外交政策という言い方で言われているけれども、これは私も何回も申し上げてきたんだけれども、結局いわゆるアメリカの戦略援助に同調していくという問題なんですよ。  それはもう既に公然と言われておりまして、例えば八一年、鈴木善幸首相当時の日米共同声明、「世界の平和と安定の維持のために重要な地域に対する援助を強化していく」と。共同声明にちゃんと入っているんですよ。それから、中曽根内閣のときの日米諮問委員会報告、これは八四年です。戦略援助を次のように評価しているとして、   日本ODAの六〇−七〇%をアジアに向けてきたが、これは、この地域の安定に大きく貢献してきた。最近になってみられるエジプト、パキスタン、トルコ、スーダン、ソマリア、およびアラブ湾岸諸国の一部、さらにカリブ海地域などに対する援助の拡大は、戦略的に重要な地域に対する援助の政治的重要性日本認識していることと、より広範囲にわたって日本が世界において政治的イニシアティブを発揮していく決意のあらわれとして大いに評価すべきものである。 等々、ちゃんと政府責任ある公式文書にこういう戦略援助というのは重要なんだということが表明され、実際に行われているわけです。  そのことが、例えば人道的援助の問題でいえば、私も何回も言ったんだけれども、食糧援助はDAC加盟国の中で最下位だ、それから人道的援助についても最下位だ、それから最貧国についても最下位だというように、非常に惨めな状況がある。一方、経済インフラについてはDAC平均の二倍にもなっているし、アメリカが戦略援助をやっている国々に対する二国間援助割合というのは、九一年には日本は半分あったんです。今少し減っていますけれども、三分の一あるんですよ。そういう極めて人道的な部分が、額全体は大きいけれどもDAC諸国の中でも最下位、非常に貧しい。  それはしかし、大企業の輸出振興や市場進出の部分、それからアメリカの戦略援助、こういうものが非常に大きいために、そういう構造になっているからそうなっているわけなんです。このごろ、「この国のかたち」というのを司馬遼太郎氏が使って、橋本首相も使われてはやり言葉みたいになっていますけれども、そういう日本ODAの形、おくれと同時にアブノーマルな形が戦後四十年の間にできている、それを直さなきゃならない。  直すためには、外務省はああいう態度ですから、やっぱり国会と政党の出番になっていると思うんですね。だから、国会と政党が、今の日本ODAを本当に世論も支持するような人道的なものに切りかえていく大仕事をやらなきゃならぬ。  だから、基本法にしても一元化の問題にしても国会承認の問題にしても、結局、理念原理原則、これは現実とかかわってくるわけです。そこのところを本当に我々が、国際問題調査会が小委員会をつくり調査会として取り組んでおりますけれども、国会の中での各党の一致をどうかち取っていくか、この小委員会で大勢になりつつあるような方向にどう各党の一致をかち取っていくかということが大きな課題で、それがかち取れると歴史的な仕事をなし遂げることになるんじゃないか、そう思っています。
  16. 板垣正

    ○小委員長板垣正君) ありがとうございました。  これより意見交換を行います。  時間が限られておりますので、御発言は簡潔に五分以内で述べられるようお願いいたします。  それでは、挙手をお願いいたします。
  17. 馳浩

    ○馳浩君 最後の上田委員意見に非常に賛同するものでありますけれども、まず現実問題として、次の通常国会においてもこの小委員会はぜひ続けていただきたい。きょうをもってまずは中間報告がまとめられる方向だというのは非常にありがたいんですが、週に一回では確かにこれは通常国会になると大変でありますので、その点は小委員長にお任せしますけれども、次の国会においてもこれを継続してやっていただきたいという私の強い希望をまず申し上げさせていただきたいということです。  今回、中間報告を出した上で、次期通常国会までに我々はある部分では各政党にボールを投げて、その政党執行部からのボールが投げ返ってくる時期になって、それをもってまたこの小委員会での議論が始まると思いますので、この小委員同士にしても各党代表で来ておるわけでありますから、合意できる部分について現実化の方向へ向かうような形をまず整えていっていただきたい。それは、結果的には、総花的であるよりも、何か一つの形でもできるように絞った方がいいのではないかという感想も持っております。何かそういう点での一致点をぜひ見出したいという私の強い希望をまず申し上げさせていただきたいと思います。  それから私は、次期通常国会でもやるならばぜひやっていただきたい点があるんです。十九省庁が携わっている技術協力の点で、専門家人材発掘、育成に関しましても、現状を見るに、これは実は私は「ODA最前線」という青木さんの本を参考にさせていただいておるんですけれども、非常に日本の官僚組織の悪い観点で、予算も権限も人事も既得権益化して、人事ポストになってしまっていると。  功罪両面がこの本の中では言われておるわけです。そうやって官僚の中に理解者がふえていくという点はいいかもしれないけれども、例えば農業。構造改善局の場合にはかんがいに関しての専門家が派遣されていくわけですけれども、日本国内でポストに当てはめるところがないので、ODAによる専門家のポストが二年か三年ぐらい、固定していってしまう。その点も一つ予算を効率的に使うことができない、新しい案件発掘したりあるいは長期的な案件の見直しのときに機動的に対応できない、柔軟な対応ができない原因になっているというふうな指摘もされております。  これは、実際に私たち国会の場に各省庁技術協力実施体制担当官を呼んで、どこまで既得権益化して、予算、権限、人事ポストがそういうふうになっているのかという実態を明らかにすると。そういう方向ではない、外務省もおっしゃるように予算削減の時期にやっぱり量から質と。そうかといって今までの質が薄かった、今までのがすべて悪かったというわけではないですけれども、本当に質的に効力のある方向を見出していかなければいけないと思いますので、その点、非常に関心を持っているということをつけ加えさせていただきます。  以上です。
  18. 福本潤一

    福本潤一君 今回、七回の会議の全般的な取りまとめのような形で田先生上田先生からお話しいただいたので非常にスムーズですけれども、今、馳先生が言われた次国会も継続していきたいというのは私も賛成です。上田先生田先生取りまとめ的な発言を踏まえますと、今度は、ODA基本法を現実化させるためにはどういう形の中身、どういう形の法案でいけば進めるのかという具体的な取り組みということですが、各会派党派でさまざまな意見があると思います。上田先生国会と政党の出番だというふうな表現をされましたけれども、それぞれ持ち帰りながら法案を具体的に煮詰めるという形で継続していただければ、この貴重な臨時国会中の七回の小委員会も実を結ぶ、意義が高まるのではなかろうかというふうに思います。  そして、大綱の中に理念の柱が四本あるわけでございますが、これを取りまとめるような、世界に日本の平和どか日本民族の人道的な貢献というものがわかるような表現を一本人れられるともっといいかなと。例えば地球環境問題ですと、宇宙船地球号の同胞、船員というような言い方とか、民族、国家を乗り越えた支援とかいうような形の表現を入れた上での四本柱にしていけたら、さらに日本の姿勢というものがはっきり法案の中でうたわれたという形になるのではないか。  というのは、人道主義という形だけの表現ですと、日本人の国際的な貢献という意味では非常に大きな意義があると思うんですけれども、限度がない。日本ODA大国でありながら経済的にも財政的にも逼迫し始めて、また、地方の方々から見るとかなり自分たちへの援助も必要な段階に来始めていると。日本国は経済的にも危機が来ているんではないかというような心配もある中でのお話ですから、先ほどの平和に役立つとか、地球環境、あと貧困からの解放という大きな使命、目的をきちっと出せるような文面を基本法理念の中に入れていけるように、次の通常国会でやれたらいいなというふうに思っております。  とりあえずはそれだけです。
  19. 山本一太

    山本一太君 今、先生のおっしゃった次の通常国会でも続けてほしいというのは、馳委員もおっしゃいましたけれども、私もぜひ要望したいと思います。この六回の議論というのは大変充実していたと思いますし、やはりODAをこういう形で考える場があってもいいのではないかということを私の方からも改めて要望として出したいと思います。  広中委員がいらっしゃらないんですけれども、私は、ODA基本法については依然として非常に慎重な立場をとっているわけなんです。ただ、広中先生のおっしゃった、現行システムを強化拡充する形で国会ODAとのかかわりを考えていくのであれば、例えば援助大綱とかODA大綱とか、そういったものの実施をきちっと担保するシステムが必要ではないかということについては同感です。実施体制の強化、より効果的な機能的な援助という観点も含めて、例のODAの改革懇談会の中で提言されているわけですけれども、これについては我々政治家がきちっとフォローアップをして、今の実施体制国会とのかかわり、こういったところの改革を進めていく努力はやはり不断に続けなければいけないんではないかという気がいたしました。  それと、角田先生のおっしゃったODA実施体制一元化をしていくべきということは、もしうまく我々の考えがまとまるのであれば、今回は中間取りまとめということなんですけれども、何らかの形でこの小委員会から提言していくということは考えたらいいんではないかなというふうに思いました。  それから、馳先生が今おっしゃった専門家の話なんですけれども、なるほどJICA専門家のことを考えてみても、確かに官僚の人事ポストといいますか、ある官庁にその人事権があるということは存在しますし、そう言われてみると、例えば何か大きな見直しがあったときに余りにも一つの権益として固定化しているためになかなか対応ができないというのも事実だと思います。  例えばかんがいのプロジェクトで言いますと、調査団で出るときはやはり農水省の構改局の方が出ますし、専門家もその筋から選んで送るということなんですが、ただ、ではかんがい専門家がほかの場所にいるかというとなかなかいないと思うんですね。例えば労働、雇用のプロジェクトなんかでも、やはり労働省の官僚の方を団長としたミッションが出て、専門家ということになると雇用促進事業団の方が出るということがあるので、この傾向を馳委員が言ったみたいに変えるためには、援助専門家を育てる基盤というものをもっときっちり整備しないとなかなかこの状態は変えられないのかなというふうに思いました。  あと、マルチとバイについていろいろお話ししたいこともあるんですけれども、長くなるのでまた後にしたいと思います。
  20. 馳浩

    ○馳浩君 今の話でありますけれども、私が先ほど引用させていただきました「ODA最前線」という青木公さんの御本によりますと、例えば人材についての育成ということでは、これは文部省の一九九六年の資料なんですが、「国立大学における国際開発関係研究科」の大学院関係では六つの大学院の修士・博士課程で都合二百人以上養成しておりますし、学部では二つの大学で定員で言えば毎年百六十名やっている。  そういう意味では、本当の専門家を育成していくということから考えれば、我々国会としても、例えば任期制を設けて、それにインセンティブを与えることによって、人材を大学、大学院あるいは民間から広く吸い上げるような形をとっていくことも一つの方策ではないかなということも私は考えられるんではないかと思うんです。インセンティブの話をすれば要はやっぱり給与体系の問題になってくるわけでありますけれども、そうやって集めやすくする。  それだけの意欲を持った方々は官僚の中でもいらっしゃると私は思うんです。人事ポストとして、勤務地の希望を出しておいて、ちょうど時期になってきたので指名されたから海外に行きましたと。それで大体二年から三年行っていて、また戻らなきゃいけないけれどもやっぱり本当の自分の居場所はここにあるということで、役所をやめて専門家としてJICAに入られるという方もいらっしゃるわけであります。そういう視点から国会がかかわっていくことも必要なんじゃないかなと。  日本で一番足りないと言われているのはこの人材の点でもありますから、この点についても、私は、非常に効率よくODA予算を活用していく上でも国会がかかわる観点は非常に大きいのじゃないかということは指摘させていただきたいと思います。
  21. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 先ほど、福本委員からは法案の討議と準備というお話があって、山本委員は慎重な態度をとりたいと言われている。それから、今度の臨時国会では中間報告になるんでしょうけれども、来年の通常国会ではぜひこれを継続したい。  基本法をつくろうというのは、国対や各党の指導部が了承しないとなかなかその作業には取りかかれないだろうと思いますので、以前の七項目合意、役割を果たしたものもありますし、あれをたたき台にしながら、今回の討議を含めて、例えば一項目ずつ、理念原則のところを討議する。法案かどうかは別にして、法案というのはこれは法制局がずっとやらなきゃいけないし、専門家もおりますからね。中身が大事なんで、中身の討議で、例えば理念原則ではまとまればまとめる、これはまとまらなくて少数意見なんだと。それから実施体制はとか、そういう七項目に沿って、ちょっと新しくしてもいいけれども、あれをたたき台にしながら議論を詰めていったらどうか。  それで、それが大きくまとまっていけば、基本法にするかどうかは、それこそ小委員会それから調査会委員だけじゃなくて、やっぱり各党の国対並びに指導部にかかわる問題だと思うので、政治的な結集というか、そういうところにいけるような理論的、政策的準備を小委員会でやるのが順当じゃないだろうか、そういうふうに思うんです。  それから、前回、村井さんに案があるんなら見せてほしいと言ったら、調査室の方から届けていただきまして、これを見ると、これは村井さん個人の案じゃなくてODA調査研究会の八九年の案です。これはなかなか詳細なもので、相当考え抜かれていて、例えば私が相当強調する戦略援助なんかもちゃんと入っていますよ、この基本原則に。「国際的な覇権または勢力圏の形成およびその助長を行なうような国際開発協力は行なってはならない。」という言い方で、かなりそういう視野まで入れている。それから、いろいろ実施体制だとか国会関与だとか国会に何をかけるかなんていうのもかなり詳細にできていまして、市民運動の中でこういう具体的な詳細な基本法ができていたのかと、不勉強で知らなかったんですけれども。  それで、これにはそのほかにも、「自由人権協会からも独自の法案が発表された。一方、国会議員の間でも法案策定の準備が進められており、」なんて書いてあります。こういう民間のいろんな案も小委員会としては集めて、国会で各党から出たもの、それからこういう民間の案などもこの原理原則、各項目の討議に役立つと思うので、調査室でそういう民間関係のものも集めていただいて、来国会、取り組んでいったらどうかというふうに思うんです。  以上です。
  22. 山本一太

    山本一太君 上田先生のおっしゃったことは大変意味のあることだと思うんですけれども、ただ、ODA国会かかわりについては、さっきも申し上げたとおり、やっぱり二通りの考え方があると思うんです。  例えば一つは、先生のおっしゃったとおり法律という形できちっと明文化してメッセージとして世界に出すという考え方もあると思うんですが、むしろ基本法から生じるネガティブな面ということも考えて、現行のシステムを改善し強化することでODA国会とのかかわりを強化するという意見もあるわけなんです。例えばODA基本法の方をやるんであれば、ODA改革をその基本法じゃない部分でやるということもやっぱり均等に、同じような形で考えていかないと、ではODA基本法原則だけについて法律になるかどうかは別としても話をしようということになると、もうその筋道がODA基本法最初にありきみたいな形になっちゃうと思うんです。  ですからこれは、あくまでも国会ODA関係を考える上の一つのオプションであるということを踏まえて議論を進めていった方が適当なんではないかなという感じがいたします。
  23. 福本潤一

    福本潤一君 さまざまなODA基本法にかかわる状況、次の調査会、小委員会に継続する場合を含めて、お話がありました。  それで、具体的な話に入る前に、実施体制でも、例えば十九省庁あって、田委員からはコントロールタワーが少なくとも必要であると。山本委員の方から、一元化するにしても、具体的な援助ではかん排等ですと農水省の構造改善局等々に専門家が集中しているという、現実の運営のときに十九省庁に分かれている背景、理由というのが言われたわけです。  現在の行政改革の機構改革においては、省庁一元化して例えばODA基本にかかわる形で進んでいるわけではない状態が現実なわけでございまして、そうすると一元化が望ましいとはいいながら、現実の実施体制はせいぜいコントロールタワーがあるかないかで、実施体制を一本化して進めるという形にはすぐにはなりにくいだろうという現状があると思うんです。  そうしますと、国会とのかかわりでは、少なくとも常設の委員会なりつくってこれを具体的に審議するというような形で持っていくことによって、本当の意味での情報公開の一歩前進、また、国民の代表たる国会議員国会審議することが報道されることによって、ODAの問題点、現実の計画とのそご等々も広く国民に認知されるという形になっていくと思うわけですね。  そうしますと、ODA基本法が先にありきということではないけれども、逆に、なぜ大綱というところでストップしておかなければいけないのかと。大綱で年月が進んで、一兆数千億のお金を現実に運営しているのに、一元化が即座にできるわけではない、また特別にODAの常設の委員会があるわけではないという形で進んで、次期国会もすぐ迎えるということになります。そうするとこれは、現時点での大綱で進んできた年月が具体化しないまま、また、国会はある意味ではODAに対して具体的な責任をとる形にいっていないんではないかという批判の声も出てくる段階に来ているんではないかというふうに思われます。  やはり、基本法というものを柱に据えた上での理念とか実施体制、また常設の委員会等々の議論を進めていくという形にして初めて、実りのある次期の継続した小委員会の会合が開けるのではなかろうかという気がします。ぜひともそこのところ、推進しながら各会派に持ち帰るということも可能ですので、その点を踏まえた上での議論を継続するのが望ましいのではなかろうかという点、さらに再考していただければというふうに思います。
  24. 馳浩

    ○馳浩君 自由民主党の中でも、党内において対外経済協力特別委員会でしたか、これが実は月に何回か行われておりまして、個別に、OECFであり、JICAであり、大島局長であり、お呼びして意見交換しているんです。私も板垣委員長山本さんも毎回参加するんですけれども、外交というのが票にならないのか、皆さん、関心があっても同じ時間帯にほかの部会があれば行ってしまわれるのか、毎回非常に参加者も少なく、認識も浅く、政府、与党一体といいながらもこういった中でだけ問題点が語られて処理されていくということに対して、私は非常に不満を持っております。  そういう点からいえば、先ほどから上田委員もおっしゃるように、この七項目合意というのは全会派一致で提出したわけでありますから、これを出しつ放しにしておく手はないのであります。私は、これをもとにして今回、小委員会での議論を積み上げてきたわけでありますので、これをまた各会派に打ち直すことによって、この小委員会を開く以前にあった誤解であるとかかたくなな法案に対する考え方というのは少し氷解するのではないか。そのために私たちは実際に経済協力局長であったり現場の方々をお呼びしてお話を伺ったわけであります。  本当に御苦労をしておまとめになった七項目合意について、改めて各党執行部にこの小委員会議論を持ち合って、新たにこういう方向性を問題点としてとっておりますと。いつも言いますけれども、私は基本的には基本法を制定すべきであるという立場ですが、そうではなくても、山本委員にもぜひお考えいただきたいんですけれども、ここまで来たからにはこの方向性というものはいずれ基本法の方に行かざるを得ないので、それは煮詰まっている段階であるということも認識としてお伝えすることも必要であります。執行部の方々はたくさんの法案の処理に忙しくてなかなかこうして専門的な話をお聞きになる場もないわけでありましょうから、議論をまとめて、持ち帰って、執行部のかたくなな気持ちを和らげていく一つの道を探りながら、次国会でまた新たに我々が討論を通してODAあり方議論していくことも私は必要ではないかと思っております。  以上です。
  25. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 できるだけまとめる方向努力したいと、皆さんも同じ気持ちだと思うんです。  七項目合意のときのことを、私はあのとき小委員だったのでひとつ参考に申し上げますと、一番苦労されたのが自民党の下稲葉さんだったんですね。当時、自民党単独与党ですから、あとは野党でしょう。最初は志苫さんが小委員長で、その次は矢田部さんが小委員長で、公明党は中西珠子さんという法案そのものをおつくりになった方で専門家なんですね。結局、下稲葉さんは、外務省、大蔵省、それから自民党国対、そういうところのかなり強い抵抗で、いろいろ話し合われて、ここまで何とかなったということであれがまとまっていったんです。だから、立法化問題なんというのは最終的に外務省も大蔵省も自民党の執行部もノーで、だから立法化はまとまらなかったんですけれども、あとの点は下稲葉さんが大変苦労してくださってああいうものがまとまった。これは政府の方の、外務省や何かの動向もあったと思いますよ。それが大綱にもなっていくという流れだったと思うんです。  しかし、その当時と今とはまた非常に情勢の違いがあって、ソ連はなくなっていますからね。私の言う戦略援助というのは、あれはつまり東西関係なんですよ。それで、このODAというのは南北問題だと、南北問題として解決すべきだと、我々はそういうとらえ方をしているんだけれども、そこへ東西問題が入ってくるでしょう、それで変になってくるわけです。ゆがんでくる。  今はソ連がなくなって、では南北問題一本かというとそうじゃなくて、今度は西の、NATOの拡大から、新ガイドラインから、APECから、何から、あるでしょう。今の地球温暖化問題だって、日本ODAはCO2をぐんとふやしているんじゃないかというのでODAがひっかかってくる。そういう大きな地球の情勢の変化、アジア情勢の変化、その中での日本地位等々の問題が重なってくるので、当時の下稲葉さんとはまた違う御苦労を与党三党の小委員にはお願いしなきゃならないんだと思うんです。  だから我々は、基本的には南北問題なんだと、そこを本当にやらなきゃならない。しかし、南北問題というのもまた、スーザン・ジョージなんかは南北問題というのはブーメランのように北の国にはね返ってくるんだということで、単純な人道的援助一本でいくかというと、さまざまな問題があるわけです。そこのところを、一致点をどう探究して少しでもいいものにしていくかということになるんじゃないかと思いますので、特に与党三党の小委員の方には大いに、どうも我々野党は少し気楽な立場で悪いんですけれども、お願いしたいというふうに思っているんです。
  26. 山本一太

    山本一太君 上田先生がよくおっしゃる例の七項目合意、あの合意をつくられたという諸先輩方の御苦労には本当に敬意を表させていただきたいと思います。  馳委員の方からODA基本法について煮詰まったという話があったんですけれども、私は煮詰まったとは思っていなくて、これはもう個人的な意見でありますけれども、私なりに援助現場日本と国連を経験した中で、ODA基本法というものを実際につくろう、あるいはそれを運用しようというときにはやはりいろんな問題が出てくるだろうと。ここら辺はもっと慎重に審議を尽くすべきだし、あるいは現行のシステムODA大綱をいかに運用し、そして担保していくかということを考える方がもしかしたら日本外交のためにいいかもしれない。これは個人的な私の援助の経験を踏まえた意見でありまして、今、全体としてODA基本法はもう時代の流れだという確信を持つに至っておりません。これは私自身意見として申し上げた話でございます。  ですから、どういう取りまとめをするかというのはまた小委員長のいろんなお考えもあるかと思うんですが、ODA基本法という形でやった方がいいという意見はもちろん大勢かもしれないんですが、私はきちっと、現行のシステムの問題点というのが今まで出てきたわけですから、それに対応して実際にどういうことが可能かということをもう一度洗って、基本法をつくらない場合の日本ODA政策というものについても一層議論を深めて、可能性を探っていくべきではないかという考えです。
  27. 馳浩

    ○馳浩君 私は、山本委員とは若干違って、煮詰まってはいると思う。この点は、いわばアカウンタビリティーの問題と、要は外務省政府に対して我々国会からのプレッシャーがもうちょっとかけられないかという点なんですね。  前にも外務省側が、今回の小委員会をやっているときにも本当にまめに我々の、ほかの委員は知りませんけれども、議員会館の部屋にやってきて、私たち意見に対して、それはそうではないんですよと逆に打ち消すような資料を持ってきてくださったりするんです。そういったことは、まさしく密室でやられるのではなくて、議論する場であって、我々からの、各党からの外交政策に基づいたプレッシャーがあってこそ、初めてODA大綱理念に基づいた是正措置がなされていくべきものだと思うわけであります。随分そういう点の議論が積み重なっているので、基本法方向に行った方がまさしく国民の方はわかりやすいのではないかということを私は申し上げているのであって、その観点からいえば、もう既に煮詰まってきているのではないかと私は思います。
  28. 広中和歌子

    広中和歌子君 先ほどはちょっと中座いたしまして失礼いたしました。  先ほど上田先生が、まさに歴史的なパースペクティブと言ってもいいぐらい、与党の方の現状維持、保守というんでしょうか、それを変えてこういう七項目をつくられた御苦労話を、私はその場にはおりませんでしたけれども、そのペリフェリー、周辺にいて感じているものですから、冒頭の私の意見陳述でも、ともかくどちらかというと山本さんに近いような意見を述べたわけでございます。でも、もし可能であるならやはり基本法ではっきりさせた方がいいし、そしてなぜ基本法が不都合なのかということをもうちょっとはっきりしていただいた方がいいんじゃないか。  きのう、たまたまテレビを見ておりまして、地雷除去のNGOの方々の働き、最初はもうだれも相手にしなかった、十人で始めたときにみんな笑っていた、相手にしていなかったのがこれだけ大きな運動になったということを聞いて、私たち議員というのもある意味では国民を代表するNGOみたいな部分もあるわけでして、最初はだめでも少しずつ流れを変えていく、そのために積極的な役割をする必要があるんじゃないかなと思うので、馳先生の今の御意見に全く賛成でございます。  先ほど私が冒頭に、もうちょっと日本ODAのいい部分を宣伝する必要があるということを申し上げたんですが、時々私のところにNGOの人が来るんですが、自分たちのやっていることがいかにすばらしいか、それに比べてということで、どこそこの国では必要もないのに巨額のお金を出して何とかをつくっているというような悪い例をお出しになるわけですね。ですから、そのときに私は、NGOのいい部分を、自分たちのいい部分を強調するのはいいけれども、他をけなすようなことをすると、結局自分たちの足が引っ張られることになるんだということを彼らに申し上げたんです。ODA国民に支持されていって、そして自分たちよりも恵まれない人々のために支援することはいいことだという確固たるコンセンサスができますと、やはり議員活動もやりやすくなる。  そして、例えば基本法にいたしましても、またよりよい体制に向けてのさまざまな改革の努力もやりやすくなるということなので、そういう点では、どういう形でできるかわかりませんけれども、ともかく私たちODAのポジティブな部分をもっと宣伝するような形を模索できたらと、それを一つの提言とさせていただいたらいいんじゃないかと思います。
  29. 山本一太

    山本一太君 今、広中先生お話を伺ったんですけれども、私は自分でオリジナル曲を書いていまして、政治を音楽を使って伝えようというバンドもつくっていまして、その中でステータスクオ・ノーモアというふうにいつもバンドで叫んでおりますので、現状維持派ではないですし、常に政治にいろんなブレークスルーをもたらそうという考えもあります。  さっき馳先生から、外務省からよく役人が来るという話があったんですけれども、別に外務省立場に加担して外務省が何か言うから基本法に慎重なわけではなくて、やっぱり自分なりに、援助機関にいたり、それから日本援助を考える中で、基本法が悪いとは言っていないんですけれども、透明性がないとか今まで国会ODAとのかかわりが薄かったということで基本法にすぐ飛びつくことについて、ちょっと確信が持てないということがあります。  どういう問題があるのかというのは、もう言い尽くされたことですけれども、つくり方によっては当然外交を縛るものになると思うのが一点。それから、これもつくり方でしょうけれども、やっぱり法律の議論になるということはかなり大変なことだと思いますし、また、別にODA基本法を進めるということに水を差すつもりはないんですけれども、世界的に見たときにODA基本法というのはメーンストリームになっていないんですね。  アメリカの基本法はかなりネガティブな部分が多いですし、この間イギリス大使館に行ったときにイギリスの法律を見せてもらって、最初ちょっと読んだときに、こんなものが基本法かなと。単なる手続法みたいなものなんですね。何度も援助省の役人に聞き直したんだけれども、これはファンダメンタルローかと言ったら、これが基本法だという話だったんです。何でこれを基本法と言うのかわからないんですけれども、こういう法律を出す必要があるのかなと。いろいろな考えの中で、ODA基本法が全くよくないと言うつもりはないんです。  それは、田先生が今までつくられた、苦労された田法案の中の例えば中期、長期計画の提出というのは現実的じゃない、ではそういうものはやめて理念だけでもきちんとしましょうということには意味があると思うんです。確かに、国民の間それから議員の間の認識を高めるとか、世界に対してメッセージを送るとか。  ただ、いろんなことを総合的に考えてみると、現実にODA基本法をつくろうというときの問題点もいろいろ出てくると思うので、別にこれはステータスクオを守ろうとか、外務省がこれを一生懸命心配しているからとかいうことじゃなくて、個人的に今の段階ではちょっと確信が持てないということですから、それは誤解なさらないでいただきたいと思うんです。  ちょっと長くなるんですが、一つ、今回のいろんな議論の中で出なかった大きなポイントで、マルチとバイの援助をどうするかということがあると思うんですね。マルチの援助とバイの援助をどうやって日本が考えていくかというのは大きな問題だと思うんです。  マルチは、大きく言うと御存じのとおり国際開発金融機関、世銀とかアジ銀とかに対する援助、あるいは広中先生も今一生懸命なさっている社会・人道分野の国連機関に対する援助、ユニセフ、UNDP、UNFPA、UNHCRというようなところがあると思うんです。今皮肉にも、日本の一〇%削減というものが世界に間違ったメッセージを送るからといって反対してきたわけで、簡単に一〇%削減が決まってしまったら、このことがかえって日本の、国際社会といいますか国連といいますか、ODA貢献の存在感を逆に示すことになったと思うんです。もう悲鳴が毎日上がって、事務総長から書簡は来るわ、国連機関の長は来て総理に直訴するわ、こういう中で私も広中委員と同じように、こうした国際機関への拠出金を三五%、四〇%削るということは世界に間違ったメッセージを送るということで運動してきたんです。  この間よく考えてみたら、これは与党の方の事情を申し上げてちょっと恐縮なんですけれども、総理初め首脳部の方にはこの国連のPRが意外と効いていまして、UNHCRとか幾つかの国際機関については余り減らすとまずいかなと、どうもそういう雰囲気は漂っているんですけれども、実はパイが限られているものですから。もう一つ援助にはバイという大事な部分がありまして、ここに田先生がおっしゃった協力隊も含まれるわけです。技術協力、無償援助の方の予算はどうも余り手当てができそうもなくて、国連機関の方だけ少し何とかしなきやというムードが何となく与党首脳の間に漂っている。  私も改めて考えたんですが、やっぱり援助というのはマルチとバイと両方必要なんじゃないかなという感じがありまして、もちろん基本法国会とのかかわりの問題と、この中間取りまとめの後、来期国会にマルチとバイをどうやっていくかということも議論の俎上にのせていったらいいんじゃないかなというふうに感じました。  あと、もう一つだけ言うならば、確かに国連機関の三五%、四〇%カットはいけないんですけれども、たまには日本外交もフライングベビー外交というのをやったらどうかなと。もう言うことを聞いてくれないんだったら出さないと。御存じのとおり、アメリカは極めてしたたかで、したたかなことがいいとは言いませんけれども、あれだけ滞納金をいつも持っていて、ちょうど職員の給料が払えるときに出すとか、それを国連改革の大きなバーターにしているわけですね。ですから、もちろん人道的な支援ということも考えなきゃいけないし、日本は滞納金なくきちっと払っているということも大事なんですけれども、これだけ大きな金額を国際機関に出しているということから考えると、少しそれを使って国連改革、国連外交国際社会に対する日本立場というものを主張したらいいんじゃないかなというふうなことを最近ちょっと思っておりますので、付言させていただきます。
  30. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 私、基本法が必要だと思う根拠を幾つか挙げたいんです。  一つは、非常に巨額だということですね。世界一位、二位を争う巨額で、一兆円を超えるODAだと。北欧諸国なんかは基本法なしでやっているけれども、あそこは絶対額はそう多くないし、それでキリスト教の影響なんかもあるんでしょう、だからかなり人道的な援助を主にしたものでできていて、余り問題も起きないし国民も支持している。日本の場合には非常に巨額ですから、これをどうしていくかということを国民に本当に納得してもらうためにも、必要になっているんじゃないかと思うんですね。  この間、「週刊金曜日」に要らないものというのがずらっと出て、その中にODAが入っているんですね。要らないものの中にずばっと入っちゃっている。椎名誠さんだったかな。ありゃりゃと僕は思ったんだけれどもね。  二番目は、私も何回も言っている、歴史的に形成されてきたゆがみがあるので、これは非常に重いと思うんですよ。まず最初は賠償から始まったでしょう。前にも引用したことあるんだけれども、財界の調査機関の日本経済調査協議会が六五年に報告書を出しているんです。それで「経済協力は資本財輸出の促進のために大きな役割を果たしてきた」、「賠償によって供与される生産物の大部分は資本財であるので、一部の重工業、例えば自動車工業、電気機械工業等の育成伸長に効果が比較的大きい。」と。だから、こういう歴史があるので円借款の比重が日本はずっと大きくなっているわけです。その後、日本の大企業中心の高度成長もありましたし、だからアジア中心のそういう資本財輸出、そのための非常に重要な手段の一つにやっぱりODAがなってきた歴史があるんですね。  二つ目のアメリカの戦略援助問題は、六〇年に安保条約が結ばれて、第二条に日米の経済協力が入っていて、六一年に海外経済協力基金法ができて基金がつくられたんですから、この報告書でも、アメリカの肩がわり援助というのは「理解に難くない」と言って認めているぐらいで、そういう歴史がずっとある。そういうことで、ゆがみが今極端なところまで来ていると僕は思っているんです。  ただ、それを直すための条件は生まれつつあると思うんです。国連や国連の諸機関が人間中心のそういう援助の問題とかをずっと言い出しているし、ODAの白書自身が人間中心とか、それからことしは環境中心とか、そういう方向政府自身が打ち出すという状況になっているので、そういうこれまで歴史的に四十年間積み上げられてきたあるゆがみ、これを国民を代表する国会と政党が正しい方向にというか、もっとよりよい方向に是正するためにはやはり法律が要る。実施体制の十九省庁円借款については四省庁等々の縦割り行政を、これも歴史的につくられたものでしょう、是正するためにも、それから国会との関係についても。  ここで本当に法律というものをつくって各党間の本当の合意をかち取ることなしには、山本さんはよく現場を御存じだからそうおっしゃっているんだと思うんだけれども、法律はつくらないで今のシステム政府大綱を改善することで、是正することでいけるかというと、僕はいけないと思うんですね。そういう意味では、各党の合意国会が主導権を握って法律をつくるということが、国民がますます正常な関心をこの問題で持つためにもやっぱり必要なんじゃないかというふうに思っております。
  31. 福本潤一

    福本潤一君 上田委員からかなり具体的な形で法をつくる必要性、私は巨額ということと国会責任という二つの考えでおったところに、歴史的にも、賠償でスタートしたもののひずみがかなり重なってきたと、その賠償からスタートしたという新たな視点から、ある意味ではODAの再生というか蘇生というような形からも必要だという御意見がありました。私も基本的には大賛成です。  前回の上田委員の発言の中にも、東西対決の構造から、対米追随外交のような外交の面からODAというのがゆがめられてきたと、東西はソ連の崩壊で現在APECとかさまざまな枠組みというのができ上がりっっあるけれども、本来ODAは南北問題であるという認識があったという御意見がありました。私も、新しい視点から、南北問題というものがこのODAの中で解決を図られる一つの大きな難しい問題という認識が眼前にずっと大きく迫ってきているわけです。  日本国内でも、国際的な南北問題と同時に、南北問題というのは前々からあるなと。環境問題で、前回の環境サミットでも、ブラジルの植物を保護することがCO2の削減と同時に国際的な問題でも守る形になるというときに、ブラジル側は、それは先進国エゴである、低開発国も開発したいんだという志向性というのがかなり強烈に述べられて、南北問題が残っているなと思いました。ODAは、この南北問題を解決する大きな手段としての位置づけで、今後外交問題の中でもとらえていく必要が出てきているという観点もあります。  先ほど広中先生から、なぜ外務省外交の中でこれが具体的に法案として出たときに難しいという形になるんだろうかと。経済協力局長が来られたときに、かなり具体的な話で、柔軟性、機動性を確保した外交案件に対して差しさわりがあるという御意見を中心に、慎重な態度であるということを言われておったわけです。確かに、山本先生が言われたように、現実にやったときに、外交案件にマイナスになるような形でこの法案がつくられることの懸念、外交努力されている中でそういう外交の裏舞台の世界を知らないまま国会追及されることに対する懸念みたいなのがかなり背景にあるんだなとは思います。  この機会にこういう歴史的なひずみみたいなものを解決するための法案をつくっていくというのは、先ほど上田委員が言われた七項目合意最後の方にも、「立法化の検討」というので「国際開発協力の基本理念基本的事項等を明確にするための立法化について、さらに検討を続ける」という形で来ています。そういう意味では、環境問題も大きくなり、今後、歴史的な賠償の問題でスタートしたというのを転換する、ODAを再生するためにも法を立てて、外交をただ単なる国会でのODA追及という形じゃなくて、国会も、同時にODAに対して責任を持てる形に、ODAに対する取り組みを変えていくという大きな使命のある立場になってきておるんではなかろうかというふうに思います。  山本先生も、さまざまな御苦労を考えられながら、外交問題に対する造詣もあられる中での御意見とは思いますけれども、そういう外交案件も含めて、外交交渉に難しい形にならないような法案を検討できるかというのも含めて、次期小委員会では考えていっていただければと思います。
  32. 田英夫

    田英夫君 中座して申しわけありませんでした。  私はODA基本法をつくるべきだという主張をしているわけですが、外務省を初め、基本法は要らない、必要ないという御意見をしばしば言われる方の一つの論拠に、アメリカの対外援助法のことが言われるわけです。この間、大島局長も若干触れておられましたが、要するにアメリカの対外援助法は政府を大変縛る、ああいうものでは困るということです。確かに対外援助法というのを見てみるとそういう要素が非常に強いんですけれども、私はこれは日本とアメリカの政治構造の違いに着目すべきじゃないかと思っているんです。  アメリカの場合は大統領制で、議会と大統領の選挙が全然別です。ここのところ、くしくもなんでしょうが、大統領と議会の多数とが違う党、二大政党なのに、いつも共和党大統領のときには民主党が議会で多数を占める、その逆の場合は逆と。そういうことの中でどうも議会が政府、大統領を縛る、こういう基本的な風潮がずっとあって、私は一番その典型的な例は台湾関係法じゃないかと思うんです。  例の日米防衛協力のガイドラインのところでいろいろまた出てきましたけれども、これは、ニクソン大統領が訪中して、そのときのコミュニケでは中国は一つと言い出して、それをカーター大統領が確認したわけですね。ちょうどその翌年、七八年にカーター・コミュニケが出て、その翌年の七九年に台湾関係法を今度は逆に議会が突きつけると。その中身は、全く対外援助法と同じように、大統領、政府を非常に縛っているわけですね。だから私は、これは余り参考にすべきじゃないと思っているんです。日本の場合は議院内閣制ですから全く構造が違う、これを一つ申し上げておきたいと思います。  それから、上田さんの言われた日本ODAというのは賠償からスタートしたというのは、本当にそのとおりだと私は実感しているんです。私ごとですけれども、ちょうどフィリピン賠償とかそういう賠償が次々に行われていくときに、決定していくときに、新聞記者で外務省の記者クラブにいたものですから。それがスタートして実施段階になるときには、もう国民国会もほとんど政府お任せという形に賠償の場合はなりました。これは戦争の責任でやることですから、解決すればそれはもう政府間のことだということだったんだろうと思いますが、その中で日本の企業に利益をもたらす仲介役としてコンサルタントという存在が生まれてきて、その結びつきの中で、結局最後はフィリピンなどはマルコス疑惑に結びついていってしまう。  そういう構造がODAにずっと引き継がれてきたというところに問題があったわけですが、私はこの構造はかなり改善されてきていると思います。大綱ができたということももちろんその一つだし、この前身である外交・総合安保調査会で上田さんや皆さんがやってくださったODAについての七項目合意というようなことも大いに役立っていると思うんです。  実際、今ODA現場に若干私も触れますけれども、触れてみると、いい意味のコンサルタントなり企業の活動が、日本のコンサルタントや企業が潤滑油のような役割をしている。これをもっと本当は透明性を高めて、国民国会の目の届くところで向こうの政府を、被援助国政府をお手伝いすると。その手伝いの内容は何かということまで透明性を持たせていけばいいんじゃないだろうかというふうに思います。ですから、賠償のあしき結びつきを、慣習をこの際基本法という形で一挙にきちんと絶ってしまう、私はそんな気持ちを持っています。  以上です。
  33. 角田義一

    角田義一君 結局、小委員長にいろいろまた御苦労いただかなければならぬと思うんですが、流れをじっと聞いておりますと、別に山本先生が一人で抵抗されているというふうには思わないんだけれども、馳先生も含めて、内容はともかく、いろいろこれから詰めていかにやならぬと思いますけれども、一つには基本法というものをつくるべきじゃないかという意見が、これは調査会ですから多数とか少数とかということではないんだけれども、流れとしてはそんな流れなのかなというのが私の率直な印象ですよ。  しかも、調査会報告にも立法化に向けてさらに検討を加えるべしというのもあるわけですから、その辺のことも踏まえた上で、しかも山本先生のお立場というようなこともよく理解した上で、小委員長に、この立法化の方向というか立法化にどう取り組むかというようなこと、これらについて中間報告で私はちょっと踏み込んだ物の言い方をしてもらってもいいんじゃないのかなという注文をつけたい気持ちを率直に今持っています。  それで、恐らく通常国会でさらに私どもはこの議論を深めなきゃならぬ責務をまた仰せつかるんでしょうから、最終的な判断は上田先生がおっしゃるように政治的な判断でいろいろな人が最終的な判断をすることになると思うんですけれども、私の率直な気持ちを言えば、いろいろな議論を積み上げて、しかも交通整理をきちっとして、何とか立法化ができるようなそういう筋道がつけられればなと思うんですね。その辺はどういうふうに中間報告取りまとめていただくか、それはもう任せる以外にない。もちろん、中間報告の素案は私どもにも来るんだと思いますけれども、私としてはそんな気持ちを持っているということを率直に申し上げたいと思うんです。
  34. 板垣正

    ○小委員長板垣正君) 御議論は尽きないと思いますが、本日の自由討議はこの程度とさせていただきたいと思います。     —————————————
  35. 板垣正

    ○小委員長板垣正君) 調査会報告書(中間報告)についてお諮りいたします。  本日の小委員会を踏まえまして、今期国会中間報告を作成し、調査会長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  36. 板垣正

    ○小委員長板垣正君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、調査会における口頭報告及び中間報告の作成につきましては、これを小委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  37. 板垣正

    ○小委員長板垣正君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     —————————————
  38. 板垣正

    ○小委員長板垣正君) この際、一言ごあいさつ申し上げます。  十月二十二日に本小委員会が設置されて以来、忙しい国会日程の中、ODAに関し積極的かつ率直に議論していただき、まことにありがとうございました。最終的な結論には至っておりませんが、さまざまな問題点、各小委員意見の相違点が明らかになったと思っております。  通常国会におきましても、調査会長に引き続き小委員会の設置を申し入れまして、その中で二十一世紀に向けたODAあり方及びそれに対する国会かかわりを明確にし、最終的に取りまとめていきたいと思っております。  小委員各位の一層の御協力をお願い申し上げます。  本日はこれにて散会いたします。    午後二時四十二分散会