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1997-11-14 第141回国会 参議院 行財政改革・税制等に関する特別委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年十一月十四日(金曜日)    午前十時開会     ―――――――――――――    委員の異動  十一月十三日     辞任         補欠選任      泉  信也君     海野 義孝君      小川 勝也君     竹村 泰子君      志苫  裕君     瀬谷 英行君      山下 芳生君     須藤美也子君      佐藤 道夫君     山田 俊昭君  十一月十四日     辞任         補欠選任      阿部 幸代君     吉川 春子君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         遠藤  要君     理 事                 片山虎之助君                 高木 正明君                 野間  赳君                 三浦 一水君                 荒木 清寛君                 広中和歌子君                 伊藤 基隆君                 赤桐  操君                 笠井  亮君     委 員                 狩野  安君                 鹿熊 安正君                 金田 勝年君                 亀谷 博昭君                 久世 公堯君                 沓掛 哲男君                 清水嘉与子君                 田村 公平君                 常田 享詳君                 長尾 立子君                 野村 五男君                 林  芳正君                 保坂 三蔵君                 宮澤  弘君                 今泉  昭君                 岩瀬 良三君                 海野 義孝君                 小林  元君                 菅川 健二君                 高橋 令則君                 寺澤 芳男君                 益田 洋介君                 吉田 之久君                 齋藤  勁君                 竹村 泰子君                 清水 澄子君                 瀬谷 英行君                 須藤美也子君                 吉川 春子君                 末広まきこ君                 山口 哲夫君    国務大臣        外 務 大 臣  小渕 恵三君        大 蔵 大 臣  三塚  博君        厚 生 大 臣  小泉純一郎君        農林水産大臣   島村 宜伸君        通商産業大臣   堀内 光雄君        郵 政 大 臣  自見庄三郎君        建 設 大 臣  瓦   力君        自 治 大 臣        国 務 大 臣        (国家公安委員        会委員長)    上杉 光弘君        国 務 大 臣        (内閣官房長官) 村岡 兼造君        国 務 大 臣        (総務庁長官)  小里 貞利君        国 務 大 臣        (経済企画庁長        官)       尾身 幸次君        国 務 大 臣        (科学技術庁長        官)       谷垣 禎一君    政府委員        総務庁長官官房        審議官      西村 正紀君        総務庁長官官房        審議官      瀧上 信光君        経済企画庁調査        局長       新保 生二君        科学技術庁科学        技術政策局長   近藤 隆彦君        科学技術庁研究        開発局長     青江  茂君        法務省民事局長  森脇  勝君        外務省アジア局        長        阿南 惟茂君        外務経済協力        局長       大島 賢三君        外務省条約局長  竹内 行夫君        大蔵大臣官房総        務審議官     溝口善兵衛君        大蔵省主計局長  涌井 洋治君        大蔵省主税局長  薄井 信明君        大蔵省証券局長  長野 厖士君        大蔵省銀行局長  山口 公生君        大蔵省国際金融        局長       黒田 東彦君        厚生大臣官房総        務審議官     田中 泰弘君        厚生省医薬安全        局長       中西 明典君        厚生省老人保健        福祉局長     羽毛田信吾君        厚生省保険局長  高木 俊明君        農林水産大臣官        房長       堤  英隆君        農林水産省構造        改善局長     山本  徹君        食糧庁長官    高木 勇樹君        林野庁長官    高橋  勲君        水産庁長官    嶌田 道夫君        通商産業省産業        政策局長     江崎  格君        中小企業庁次長  中村 利雄君        郵政大臣官房総        務審議官     濱田 弘二君        建設大臣官房長  小野 邦久君        自治省行政局長  松本 英昭君        自治省財政局長  二橋 正弘君    事務局側        常任委員会専門        員        田中 久雄君    参考人        日本銀行総裁    松下康雄君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○財政構造改革推進に関する特別措置法案(内  閣提出、衆議院送付)     ―――――――――――――
  2. 遠藤要

    委員長遠藤要君) ただいまから行財政改革税制等に関する特別委員会を開会いたします。  参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  財政構造改革推進に関する特別措置法案の審査のため、来る十一月十八日、参考人出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 遠藤要

    委員長遠藤要君) 御異議ないと認めます。  なお、その人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 遠藤要

    委員長遠藤要君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ―――――――――――――
  5. 遠藤要

    委員長遠藤要君) 財政構造改革推進に関する特別措置法案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 海野義孝

    海野義孝君 皆さんおはようございます。  ただいまから一時間時間をいただきまして、大蔵大臣経済企画庁長官を初めとして関係方々に御質問をいたします。  最初に大蔵大臣に、スタートですから御所見を伺って、最後にまたまとめで御所見を伺うということで、途中においては必要に応じて大蔵大臣には御質問をさせていただく、こういうことでございます。  先週の金曜日でしたか、今回のこの法案につきまして、参議院の本会議におきまして大蔵大臣から趣旨の御説明があり、それに対して各会派から代表質問がございました。我が平成会からは広中議員から、この法案の提出については時期を間違っているんではないかという点が第一点、内容的に果たしてこれが法案と言えるかという点が第二点、こういった点を通じて御質問をさせていただきました。これに対しての総理を初めとしての御答弁は、いささかわかりにくい相変わらずの御答弁でございました。  そこで、これから本論に入りますけれども、この先週の参議院の本会議におきまして、自民党議員の方から代表質問がありましたけれども、まさに肺腑をえぐる核心をついた話であったというように私は思いました。内閣よ、もっとしっかりしろと、こういった感じで受けとめました。本来であれば、自民党皆様方からは、ちょっと我が党の質問としては違うんじゃないかというようなやじが出るかと思いましたら、皆様方、真剣にこの代表質問をお聞きになっていたということでございまして、今お笑いになっているということは事実をお認めになると、苦笑いでございます。大変厳しい追及であったということはお互いに認めざるを得ないと思います。今そのような状況にあるということは国民すべてが認めているところではないか、このように思います。  この法案を審議するに当たりまして、私どもは、特に参議院は党派を超えて日本国国会議員としての良識、国民をいかに幸せにするか、その点に視点を置いて、さらにグローバルスタンダードの時代に国際的に迷惑をかけない、そういった対応ということが重要であると私は思います。  政府は、六つの構造改革に固執する余り、財政構造改革について、この法案を成立させることで一つ関所を越えようとしているわけであります。そのためには、関所を越えるにはいろいろなやり方があります。ただ正面突破というわけにはまいりません。柔軟な態度が必要と私は思うわけでございます。  以上、大きく分けて三点に対して、大蔵大臣所見を冒頭にまずお聞かせいただきたいと思います。
  7. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 斎藤議員の本会議における質疑応答を御披露いただきながら、委員のかねがねの御主張のもとの御質疑であったと存じます。  政党政治の現況において、自由民主党、党員たる国会議員の口をふさぐという伝統はございません。意見の披瀝は自由闊達に行うことにより、国民の声がよりょく政府に伝わるであろうと。大事な務めでありますから、斎藤議員質問は傾聴いたしたところでございます。  そういう中にありまして、答弁について相変わらずという御叱正でありますが、御叱正は御叱正として受けとめさせていただきますけれども、今日の行財政改革、六改革と思った方がよろしいのでありましょうか、そのうち、特に財政構造は危機的な状況にありますねと。五百二十兆とも言われます中で、政府関係だけは二百五十四兆、こういうことであります。  そういう点を考えますと、この借金漬けの、借金やりくり算段財政運営はこの際やめて、健全財政に取り組もうと。しかし、一年で達成できることでございませんから、集中三カ年、そしてプラス六カ年という年限を設けて健全財政の道へのスタートを切ったということであります。  しからば、国民的観点からという御指摘、後ほど経企庁長官にも御質問があろうかと思いますが、このことは構造的な問題の改革改善によってなし遂げていこう、こういうことがあります。  それと財政は、真に必要なものについての施策は各省一体となりましてこれに取り組んでまいる。その中で聖域なき見直し、全体の見直しがうたわれておるわけでありますから、その点については大胆にやめるものはやめる、思い切って是正改善をさせるものはするということの中で、全体の予算規模は前年同額以下になりますが、歳出削減目標を明示しておるわけでありますから、そういう中で、有効、効果的な仕上げをしてまいることによって歳出総額を上回る効果をもたらそう。  国際的観点からも、G7の国だけではなくOECD加盟国、アメリカ合衆国、カナダまたしかりと。こういうことで我が国がこの改革について、スタートは昨年からでありますけれども、若干おくれましたが、歩を一にして全体的な世界経済にも貢献してまいりましょう。  何が何でも関所を越えなければならぬという思いは、危機的状況にありますから、この際このことに理解をいただいて取り組まさせていただけませんでしょうかと、こういう思い詰めた気持ちであったことは間違いありません。
  8. 海野義孝

    海野義孝君 おっしゃることはもうまさにそのとおりでして、私どもも、この財政再建問題は大変深刻でありますし、これは何としても解決しなくてはならない問題である、国民すべての協力が必要であると。一人当たり五百万円近い負担ですから、中央と地方で五百二十一兆円ですから、問題はまだありますけれどもね。隠れ借金のことは触れていない、ここがくせ者なんですよ。これは後で言います。  そういうことで、大変な協力をいただくわけであり、しかも協力をいただくのは国民負担だけが先行しているということでありますから、現在の行革、この内容、十七日から四日間の集中御討議で、これがまた新聞に出れば国民はどういうふうに受けとめるかわかりませんけれども、かなり私は国民感情政府の考え方とずれがあるというか、そこに溝があると。政治というのはそもそも理想と現実の溝を埋める技術でありまして、この技術がすぐれているかすぐれていないかによって国際的な評価は決まります。例えばジャパン・プレミアムしかり、国際的な中心レートであるドルとの円レートしかり、あるいは債券レートしかりであります。  そこでお伺いしますけれども、大変危機的な状態にあるということはわかります。関所をどうしても越えなくてはならぬという思い詰めた気持ちはお立場上わかりますけれども関所を越えるのにまともにぶつかったら弾に当たって死ぬのが落ちです。関所をどうやってくぐり抜けるかという方法は英知を持って考えなくてはならないと私は思います。  その先例は、アメリカの例もあります、ヨーロッパの例もあります。その辺のところを深く検討なさって、今回のこの重要な法案の作成に臨み、またこれから六年間の財政構造改革、なかんずく三年間の集中期間に臨んでいられるかという点について、きょうは時間が限られていますからほんの一割も言えませんけれども、申し上げたいと思っております。  そこで、まず尾身長官、前の長官には私は大変かわいがってさしあげました。今回は尾身長官にひとつ引き続きまた御指導をいただきながらと思いますが、多分けさ閣議で、先月はたしか十月七日だったかなと思いますけれども、いわゆる経済予想につきましての政府の御発表、これが月例経済報告でしたか、けさ閣議了承を得られたと思いますけれども、時間が限られていますから、私の申し上げることだけにお答えいただきた  い。  まずは個人消費。「主要経済指標の最近の動き」、これは先月のです、今月のは私はまだ入手しておりませんから。その中の第一ページ、個人消費、ここについて、十一月のコメントは十月についてどう変わったかが第一点。第二点、二ページ、総括判断、十月に対して十一月、特にその中で最後の方に近いところで、二行ないし三行アンダーラインを引いて特に中心のところ、ポイントのところを述べておられるはずです。そこを言っていただきたい。第三点、政策態度政府はこういったことを踏まえてただいま時点ではどういうような方針をお持ちか。この点について、簡潔にひとつ長官お願いします。
  9. 尾身幸次

    国務大臣尾身幸次君) 月例経済報告でございますが、本日、経済関係閣僚会議、それから閣議におきまして御報告をし、了承をいただいたところでございます。  消費につきましては、総じて回復テンポは遅いものの、消費税率引き上げに伴う駆け込み需要反動減から立ち直りつつあり、雇用は、伸びは鈍化しているものの、消費下支え要因となっている、こういうふうな表現で申し上げたと思います。  それから、全体の状況でございますが、設備投資製造業中心回復基調である、純輸出は増加している、それから、住宅建設消費税率引き上げに伴う駆け込み需要により大きく増加した反動もあって弱い動きになっている、生産は一部に在庫調整動きが見られるなど一進一退で推移、また株価の下落傾向等目立った動きが見られるということで前置きがございまして、全体としては、このように民間需要中心とする景気回復基調は失われていないものと考えているが、経済は生き物でございまして、足元の状況は先月と変わってきているというふうに認識しております。  企業景況感に厳しさが増していることもございまして、先月では「回復テンポは緩やかである。」という言い方をしておりましたが、今月の報告では「景気はこのところ足踏み状態にある。」という表現にした次第でございます。  経済企画庁といたしましては、日本経済体質改善を行い、企業消費者経済の将来に対する不透明感を払拭し、我が国経済回復基調を確実で力強いものにするために経済構造改革前倒し等による経済対策取りまとめておりまして、現在検討を行っているところでございます。来週火曜日、十八日ごろには政府としての取りまとめをしていきたいと考えている次第でございます。
  10. 海野義孝

    海野義孝君 ありがとうございました。  今のお話ですと、大分トーンはダウンしてきている。株式市場を初めとしまして為替市場等、まさに先見的なそういうマーケットは大変厳しいシグナルを発し続けております。中には、株式市場については年内にも一九九二年八月、九五年七月、こういった一万四千円台の下の水準を下回る可能性もあるのではないかというようなことも言われております。  今の企画庁長官の御答弁でありますけれども、これはいつのデータをもって、発表されたものに対して分析検討を加えてただいまの政策判断を出されたか、何月の数字かということです。
  11. 尾身幸次

    国務大臣尾身幸次君) 常に私ども月例経済報告をつくる、経済見通しを立てるに当たりましては、その時点で得られる最新データ、統計によりましては八月までのものもございますし十月のものもございます、そういう最新データ参考にしながら、またいろんな方々等意見を聞きながら、総合的に判断をしているということでございます。  したがいまして、私どもとしては、中立といいますか公平に正しい判断をして、その時点における私どもとして自信を持てる見通し分析国民皆様にお知らせするということを主眼としてやっているつもりでございます。
  12. 海野義孝

    海野義孝君 大蔵大臣にお尋ねします。  先ほど企画庁長官がおっしゃった政策判断政策態度、これは十月と変わっていない部分がほとんどであります。若干変わったのは、来週にも第二弾の経済対策景気対策をお出しになるというようなニュアンスに受けとめられる御発言がありましたけれども、きょうの閣議では、企画庁出したこの報告に基づいての政策態度、これを全員で了承されたんですか、本当に。反論はなかったんですか。そんなことでいいのかとか、そういうのは何もなかったんですか。お答えください。いや、これは大蔵大臣です。
  13. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 流れだけ申し上げます。  閣議においては、企画庁長官経済政策取りまとめ責任者であります、首相の指示により。通産大臣を初め経済閣僚等との協議を進め、来週に予想される経済対策をお出しになるわけであります。そのことについて、全体のただいま報告になりましたようなエッセンスを申し上げ、今後の取りまとめ最終段階において、さらに回復基調変わらずということでありますから、足踏み状態にあるということの中で、この回復基調を確かなものにしてまいりますためにありとあらゆるものを点検いたし、規制緩和、高コスト是正のことも含め全体的にやっておりますので、格段の協力事務方にも徹底してほしい旨の発言、同様、通産大臣からもそういうことで対策を今、経企庁長官とともにやっております、こういうことでございました。
  14. 海野義孝

    海野義孝君 かねてより、いろいろな委員会等経済企画庁存廃論というのがあるんです。これは現長官に対してとやかく言うことではありません。行政一つのシステムとして企画庁の必要ありゃなしやということがあります、私はあっていいと思いますけれども。  大蔵大臣、私、株式出身ですけれども株式というものについてばかにされる、昔からこういう話があるんです。私が子供のころに、今生きていれば百歳になるじいさんが、おまえ将来政治家株屋にはなるなと言ったんです、私に。私は両方ともなっちゃったんです。それは、当時はそのような評価だったんです、私が子供のころ、四、五十年前。両方なつちゃったんです。これは自己矛盾に陥りますけれども。  そこで、やはり政治というのは一番先端の判断をしなくちゃならぬ部署だと私は思うんです。役所よりも重要です。三権分立といいますけれども国会国会でみんな真剣になってやっているわけです。内閣内閣で真剣に取り組んでやられる、これはこれで認めます。  このところで、いろいろな不協和音が出てきます。シンクタンクの見通しがどうということではなくて、具体的な日商であるとか経団連であるとか、そういうような日本のいわゆる実業界を担ってまとめているような人たちからも大幅な減税をやれとか、いろいろなことが出てきています。あの人たち判断というのは私は現場の判断だと思うんです。であるならば、内閣の中にあるかどうか知りませんけれども、各界、中小企業代表等も含めた各産業経済界あるいは金融界、そういったところの代表の人を集めたいわゆる賢人会議、こういったものを早急につくって、やはりそこのいろいろな意見を謙虚に聞くということが私は大事ではないかと思います。そういうものがありますか、今政府に。ここで稼働していますか、大臣
  15. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 賢人皆様中心として御参加をいただいております経済審議会でありますとか財政審議会、それから御案内のとおりに政府税制調査会、以下、私的諮問機関として総理にあったりまた各省大臣手元にありましたり、さまざまな形態で産業界及び国民各位の声を吸い上げるということで頑張っていただいておりますことは、委員も御案内のとおりかと思います。
  16. 海野義孝

    海野義孝君 大蔵大臣にお願いでありますけれども、今のはつまり縦割り行政的な中でのそういう代表選手なんです。そういうものではだめなんですよ。総合的に企業でも各分野の代表が出てボードを形成しているわけです、役員会を。私なんかは調査部門代表で参画していたわけです。そういうもの、これは閣議といえば閣議かもわかりませんけれども。  閣議でいろいろと検討され、総合判断されていく場合に、遅滞なく誤りなくそこで政策決定をされるためには、そういった縦割りのものではなくて横断的な、私が申し上げたような部署方たちが集まったものを。景気がいい悪いということじゃないんです、私の言うのは。これからビッグバンも控えている、いろいろ問題が控えている中でなぜ今こういうものがっくれないのか。改革改革も結構です。そういうものをつくっていただきたい。確約していただけますか。  きょう総理は見えていないけれども、副総理格としていかがですか。
  17. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 大変御提言でありますが、前段申し上げましたものがあります。改めてやるとすればどういうのがいいのか、私は私なりに考え、また相談をしてトップに御報告を申し上げるなりします。  大蔵省手元には広範な審議会懇談会がございまして、私も一々出られないぐらいてんてこ舞いをいたしておりますから、私的懇談会というようなことで意見を聞くということなのでしょうか。  言わんとする意味はわかります。縦割り行政をやめなさい、総合官庁でなければだめだろうと。ですから行政改革が極めて重要になってきました。これを踏み越えることなくして展望は開けません。それは御説のとおりであります。
  18. 海野義孝

    海野義孝君 国際金融局長、前の榊原局長には大変お世話になりました。必ずしも私の思うような御答弁はほとんどなかったんですけれども、外為法の自由化の問題についても大変教科書的な御発言で、世の中はどうも前局長とは違う方向に動きつつあると思って、私のような現場にいた者の方が苦労しただけ正論を言うのかなと思っておりますが、国金局長にお尋ねいたします。  またぞろジャパン・プレミアムの拡大ということが始まっております。一方で、円の対米ドルレート、きのうあたりは何と百二十六円台を瞬間つけたというような話も聞きます。日本が終わって欧米のマーケット、やっぱり円は弱いようであります。いろいろな理由はあると思いますけれども局長のお立場で言えること言えないことがあろうかと思いますが、この現実の数字を見て、よって来るところについての見解をお聞かせいただきたいと思います。
  19. 黒田東彦

    政府委員(黒田東彦君) まず、ジャパン・プレミアムと言われるものについてお答え申し上げます。  これは九五年十月のピークのときには、たしかドルの三カ月物で〇・五%ぐらいに達していたわけでございます。幸い、その後低下いたしまして、昨年の春以降は〇・一%前後、さらにごく最近の数カ月を見ますと〇・〇五%以下の水準ということで推移してきたわけでございます。ところが、ここ数週間、御指摘のとおり拡大をしておりまして、きのうの直近の例を見ますと〇・三%に上がっております。  これがどういう理由でそうなったのかというのはいろいろな理由があろうかと思いますが、昨年も実は年末にかけて、いわゆるジャパン・プレミアムというのは少し上がっております。年末にかけて資金の出し手の外銀の方の状況が一方にあり、他方で取り手の邦銀の方が若干取り急ぐような動きもあったようでありまして、そういうこともあっていわゆるジャパン・プレミアムというものが少し上昇したということではないかと思っております。  いずれにいたしましても、私どもといたしましては、今後ともこの動向を含めた邦銀の外貨資金調達の状況については十分注意してまいりたいと  いうふうに考えております。
  20. 海野義孝

    海野義孝君 為替の問題はどうでしょうか。
  21. 黒田東彦

    政府委員(黒田東彦君) 為替の問題につきましては、御案内のとおり、最近若干円安に振れておりまして、その動きについてどういうふうに考えたらいいのかということかと思います。  短期的な動きについて詳しく私どもからコメントすることは、不測の影響を与える可能性もありますので避けさせていただきたいわけですが、基本的には為替相場というのは経済のファンダメンタルズがまず第一にあって、そのほかにその時々の市場の思惑などを反映した市場の需給によって動いているということかと思います。  そこで、今の相場はそういうことで動いているわけでございますけれども我が国経済にとって為替の安定が非常に重要であるということは言うまでもないことでございますので、今後の為替相場の動向につきましては十分注意してまいりたい。そして、もし為替の乱高下あるいは行き過ぎた動きがありました際には、適時適切に対処してまいりたいというふうに考えております。
  22. 海野義孝

    海野義孝君 ここへ来ての介入はありますか。
  23. 黒田東彦

    政府委員(黒田東彦君) 介入の問題につきましては、従来からこれは国際的にそういうことでございますけれども、具体的に介入の有無等については今コメントを差し控えさせていただいております。
  24. 海野義孝

    海野義孝君 今の御答弁でわかりましたように、大変微妙な段階にある。為替がどこまで行くかということはある程度胸中におありでしょうけれども、それを言ったのでは直ちに短資業者が動き出しますから、そういうことはできませんでしょうけれども。  次に、証券局長、長野局長には久しぶりで、また大変つらいお立場と思いますけれども一つだけお聞かせいただきたいと思います。  タイのバーツの暴落に始まった為替の世界的な混乱に始まり、その後十月末の香港の株式の暴落に始まった現在の世界的な株式の混乱、これはきょうどうなっているかわかりませんが、昨日現在依然として動揺おさまらず、我が国のマーケットにつきますと方向としては完全にダウントレンドであるというように思います。  こういった点を含めて、さらには、先般不幸な事件が兜町でも起きました。大変不本意なことであります。私の同僚、仲間も同証券にも大勢いましたけれども、皆路頭に迷っているわけでございます。大変深刻な問題です。  年の瀬が近いです。こうしたことも含めて、証券局長のお立場で現在の世界的なマーケット及び我が国状況をどうごらんになっているか、あるいはこれに対して具体的にどういう対策を今お立てになっているか、簡単に教えていただきたいと思います。
  25. 長野厖士

    政府委員(長野厖士君) まず、本日の株式市況は、朝方いささか安く始まりましたけれども、今若干戻しつつございまして、昨日の引け値よりも若干下回る水準でございます。  本日のことはともかくといたしまして、本年に入りましてから、あるいはごく最近の株式市況につきまして、その変動の要因につきましてはいろいろなことが言われておると存じます。  これは先生の方がお詳しくていらっしゃるわけでありますけれども株式市場に参加なさる方は、その投資判断においてはさまざまな要素をそれぞれのお立場でお考えになりますし、同じ経済状況、同じ環境のもとで同一の株を、その値段で売った方が得と御判断になる方と買った方が得という逆の御判断をなさる方が両方おありになって成り立つ市場でございますから、株価動向を要因で特定するということは大変難しゅうございます。  あえて申し上げますと、やはり日本経済といったものの先行きに対する不安感といったものがベースにあることに加えまして、私ども市場を見ておる立場で申しますと、ことしに入りましてから二つの特徴を申し上げられるかと思います。  一つは、経済構造あるいは行財政改革といったものの先行きというものを株式市場が材料にするようになったということがことしの特徴のように感じておりますのが一点と、ごく最近、御指摘にございました十月二十七日以降といったものは、香港市場の大幅下落以降、海外市況の動向に非常に影響されやすい動きを示しておるということは顕著な特徴であろうかと考えております。  これに加えまして、若干お触れになりました仲介者たる証券業界における幾つかの問題というものが、投資家の市場参加に対して何がしかの影響を及ぼしておるのではないかということは、私どももそれは念頭に置いておかなければいけないことだと考えております。
  26. 海野義孝

    海野義孝君 証券局長にはもっと突っ込んだお話をお聞きしたいんですが、時間の配分上それもできません。  ただ、一言申し上げておきますのは、先々週と先週の二週間で東京、大阪、名古屋の三大市場の一、二部合計で外人売りが急増しておりまして、約二週間で五千億円、一株五百円平均としましても十億株売られた。これまで一貫して外人は日本株を買ってきた。日本の株が低迷しておりますから、長い目で見れば日本の株はいいだろうということで買っているわけですけれども、ここに来て売りに売っているという問題があります。  これについてはとやかく申し上げませんけれども、さっきいみじくも証券局長がおっしゃったように、現在の行革問題、景気の問題等々に対するマーケットのシグナルではないかということですが、私もそのとおりだと思いまして、この御発言は今回に限ったことではなくて、前に、昨年暮れに株式市場が暴落したときも、行革問題に対するマーケットの判断というのが大変厳しく出たわけであります。  それがここへ来て再び売られているという理由は、ただ行革の問題とかそういうことじゃなくて、グローバルな問題が大きなウエートを占めている点もあろうかと思いますけれども、現在の行革を初めとした改革が思うに任せない、思うように進んでいないというところに、国民は、負担はしたけれども先行きが見えないじゃないかという面があるんじゃないかと私は思います。これは私の感想を述べただけです。大蔵大臣企画庁長官もその点はお聞きになっていただいたと思います。  次に、財政構造改革法案の問題に入りたいと思います。  この財政構造改革法案は、言うなれば内閣が我々国会に対してあるいは共有して政治宣言をした、それがこういう形で出ている程度のものであるというふうに私は思います。それ以上は申し上げません。  なぜ今ここで財政構造改革法案ということについては、経済再建の問題、それから財政再建の問題、車の両輪であります。経済の成長の果実というものが財政再建の場合の歳入の大宗を占める税収となってあらわれます。  薄井局長、私の手元には九月末現在までしか、国の税収の四月以降の累計及び九月の数字、それから前年比、予算比出ておりますが、十月は出ましたですか、まだですか。
  27. 薄井信明

    政府委員(薄井信明君) 私ども手元にも九月末の税収までしか出ておりません。十月分につきましては来月初頭になろうかと思います。
  28. 海野義孝

    海野義孝君 私もつぶさに分析しておりませんので、ここで断定的なことは申し上げられませんけれども、この内容を見ますと、増税した、減税を打ち切った、この分だけはぴょんとふえているんです。あとは押しなべてだめです。  大蔵大臣、税収の面から見て、景気をどう判断されますか。
  29. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 税収はただいまの質疑応答の中で近々のものは今後であろうということでありますが、毎年年末、年度末というのに税収が集中される結果にあります。  言わんとするところは、海野委員判断の中で、低迷した場合はどうなるのかということが本旨であろうと思いますが、ただいまそれを判断する時期にないことを御理解ください。
  30. 海野義孝

    海野義孝君 大蔵大臣、これは大蔵大臣が承知されなくて、所管の大蔵省出し見通し報告がないということはないと思うのです。十一月六日の某紙の夕刊で、大蔵省見通しによれば、これはいつやるかわかりませんけれども、不景気によって見込み違いが生じている部分も含めて、補正予算は一兆円以上必要だということを言っているんです。これは御存じですか。
  31. 三塚博

    国務大臣三塚博君) それは知っております。
  32. 海野義孝

    海野義孝君 そういったことは赤裸々におっしゃっていただかないと。  それから、さっき年末にかけてふえてくる、こんなの当たり前の話ですよ。法人税がいつ入ってくるかというようなことは、毎月入ってくるわけじゃないですから。特に今は三、九決算、三月本年度決算というのが多いのですから、本会計。集中してくるのは当たり前です。私が言っているのは、四-九の累計、それから九月の数字、それの予算に対しての比率及び前年の同時期と比べてのことを言っているわけであります。  そういった点でいうと、明らかに消費税増税しているからこんなのはふえるのは当たり前だけれども、ふえ方が鈍い。所得減税、これは打ち切ったわけですから、この分は結果的には今度はふえてくると。理屈です。こういうものを除いて、総合的に見て大変厳しい状態にあるということを申し上げた、こういうことであります。  今のことはそれで結構です。  そこで次に、今回のこの法案、私何回も読んでいる時間はありませんから斜めに一回しか読んでおりませんけれども、今まで衆議院、参議院での先輩諸氏の質疑等で大体わかっております。  それを見ますと、わかりにくい点の第一点は、これは問題点でもあるんですけれども、いわゆる来年から三年間の集中期間、これはこれでいいと思うんです。なぜ三年間を集中期間とされたのか。ビッグバン、つまり金融制度改革との絡みがあるのか、この点が第一点。  そこまでについては、特に来年度の予算についての縛りというのが強烈だと。来年度の予算編成、十二月二十日前後に出てくると思いますけれども、来年一月からの常会での審議はハチの巣をつついたようなことになるでしょう。今の行革への政府国会との間の対立から見れば、来年度の予算はまずその手始めとして私は大混乱が起こると思います、こんな法律をつくったって縛りはないんですから。そういった点で、これが一つの問題点。  もう一点。スタート時点での細かな数字を挙げているけれども、最終ゴールである六年後の平成十五年度、この段階で言っていることはただ一つ、赤字国債をゼロにすると。七兆五千億円の赤字国債を単純平均すれば、来年度からは一年に一兆二千五百億ずつ減らしていく、こういうことを言っているということです。  ただそれだけであって、じゃ赤字国債はいいですよ、建設国債を平成十五年度にはどれだけ発行するんだと。義務的経費、一般経費、トータル的に見て一般予算の骨格はこういったものになるんだというようなことは何も出ていない。ゴールがわからずで入り口だけで追い込むというような法律、こういう法律は私は今まで見たことがない。その辺、大蔵大臣、明確に答弁していただきたい。
  33. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 三年、三年という六年はおわかりですね。集中三カ年をした理由いかんと、こういうことであります。  御指摘にありましたとおり、金融システム大改革が二〇〇一年、こういうことになり、あと三カ年、こういう視野の中にあります。それと、財政構造を健全化していくという大目標を掲げたわけです。借金払いのために借金をしていくというのは、首を締めつけて呼吸が困難になるという当たり前のことでありますから、これからの解放、そのための努力、痛みは伴います、それをやろうと。  こういうことで、この三カ年のところに設けました量的縮減目標、委員は決めても実行されないのではないかということでありますが、これは至上命題であります。法律を出させていただいた最大の理由も一つそこにあるわけで、法定していただくことによって編成者はこれを義務的最大責任と、こういうことに相なります。また、内閣一体でございますから、各省はまたそのことに従いまして要求をしてまいる。もちろんプライオリティーを、その後に決まりますから、要求でありますから若干上積みされてくることは理解できます。  理想的にはその枠内の中で歳出がぴっちりとキャップに応じて提出をされるということでありますが、しかし、やはりそれぞれの省はそれぞれの政策を抱えておるわけでありますから、その点は最終的にこの方針によって取り決めさせていただく、こういうことで三カ年その基調は変わらず、こういうことにさせていただいたところに財政構造改革に臨む内閣の決意が明示されておる、こういうことであります。
  34. 海野義孝

    海野義孝君 決意というものが法案を通すことによってそのまま実行されるような世の中であれば大変幸せなわけであります。それができないところに、我が国財政が今日ここまで追い詰められてきた責任というものが、これは私はすべての国民にもあると思います、これははっきり言ってすべてにある。ですから、それぞれが応分の負担をする、血を流す、きれいごとではこれは解決できないということは百も承知であります。ただ、解決の方法として法案をつくるということがすべてかと。何でもかんでもこの法案を一日も早く通すということ。  ちょうど去年、忘れもしません、よみがえってきました。あのときは大蔵大臣は久保先生でしたけれども、この住専国会、住専法案関係法案を通せば、六千八百億円プラス五十億円の負担国民が背負っていただくならば、世の中はよくなる、景気はよくなる、株価は上がる、こうはつきり言われたんです、ばかの一つ覚えみたいに。これは大変失礼な発言かと思いますけれども、僕に言わせればそれしか表現しようがない。どうなったですか今まで、ここ一年以上。やはり法案ができたからといって法案に魂が入らなかったらだめだし、あるいはその法案をまさに先頭に掲げて後、内閣国会挙げて真剣に協力して今日まで来たか、それが問題であって、それが変わらなければこういう法案をつくったってこれから先も変わらない、こう思うんです。  一つ例を申し上げます。この法案には財政構造、構造とは言えませんけれども財政立て直し、本当に赤字減らしの効果があるかという点は疑問ですけれども、これはもう言いません、水かけ論ですから。問題は、つい九月ごろでしたか、大蔵省で試算なさっているんですね。それは、名目のGDPが一・七五%の場合、これから義務的経費を除いた、つまり国債費あるいは地方交付税交付金、こういったものを除いた一般経費、これが向こう六年間横ばいであっても、六年間の累計の財政の赤字は二十四兆九千何百億円ということが出ておりました。  その問題の問題点。大蔵省はどうして財政構造改革法案をつくっているさなかにそういった見通しを新聞で出したかという点が第一点。なぜ名目一・七五%というような、日本の潜在成長力よりもはるかに低いような数字をもってそういうようなおどしめいたことを言ったかという点。これはどなたに答弁していただいたらいいかわかりません。  そのように、一般予算を横ばいでゼロに抑えていっても義務的経費はふえるから、国の財政は六年間で二十四兆九千億さらにふえる。加えて国鉄の清算事業団の赤字の問題二十八兆円、国有林野の問題約四兆円。これを一般会計で今後処理していくとしたら、この分で加わるのが約九兆円、全体で三十四兆円これから六年間で間違いなくふえていくということであります。  そこで私が言いたいのは、この財政構造改革法案がもし成立し、まじめにこれを実行していったならば、今大蔵省が言ったような問題は解決するのか。名目一・七五%の成長というのは、こんな低いのは出したくないけれども、最悪でもと言って出したのが、今はもっと低いんですね、現実は。来年以降上がっていくという保証は何もないです。  そういうことを考えたときに、こういったものをお出しになった真意、それから二十五兆ないしプラス九兆円というものが今後ふえていくということについては、大蔵大臣、どのようにお考えですか。
  35. 涌井洋治

    政府委員(涌井洋治君) お答え申し上げます。  先生御指摘の資料は「財政事情の試算」だと思いますが、この資料を提出した理由は、試算した理由は、この法案におきまして二〇〇三年度におけるGDPの財政赤字の比率を三%以下にする、それから特例債をゼロにし、あわせて公債依存度を下げていくという目標を決めているわけでございます。その目標に至る道筋として、あくまでも仮定計算として出したものでございます。  この資料におきましては、そのときの前提となる名目成長率一・七五%、これが低い方の比率でございます。それから、高い方として三・五%という数字を使っております。現段階におきまして政府としての将来的な経済の姿を描くものとして、これは経済企画庁でおつくりになっております経済計画、その経済計画の中で、構造改革が進展した場合には、名目三・五、進展しない場合には名目一・七五という数字がございます。それを前提に税収等を試算して、さらにその上で、特に後半の三年間につきましては、一般歳出、数字的な規定はございませんので、〇、一、二、一般歳出を三種類に分けまして試算し、その結果として要調整額がどの程度大きくなっているかということをお示ししたものでございます。
  36. 海野義孝

    海野義孝君 じゃ、お聞きします。  このいわゆる財政構造改革等、行財政構造改革を進展する上での経済構造ということをたしか企画庁で、名目はちょっとはっきり覚えていませんけれども一昨年暮れに最初のをお出しになって、経済構造改革が変わるならばこういうふうに変わってきますよということをおっしゃって、確かに上限というか三・五も期待したいわけですし、手の出るほどそういった景気になりたいということを思いますけれども、一年有余経過してきて、一年以上、もう二年ですね、ことしも終わり近いですから、何が変わりましたか、その面で順調に。  例えば規制緩和、これによってどれだけGDPを押し上げたかとか雇用がふえたとか。まさに経済構造改革ということで公共事業費をふやしたなんというのは、これは関係ないですからね、これは構造改革じゃないですから。具体的にどうですか、何か二年で変わりましたか。
  37. 尾身幸次

    国務大臣尾身幸次君) 規制緩和の効果でございますが、例えば携帯電話の普及等によりまして数兆円に上る需要がふえております。それからまた、規制緩和によりまして電気通信分野の競争が激化した結果、電話料金等もここ数年で半分以下に下がっているというようなことがございまして、そういう点でも規制緩和経済に与えるプラスの効果というものは非常に大きいものであるというふうに考えております。  私ども今度来週出します中でも、都市部における容積率の緩和の問題とか、あるいは地域における農地の転用とか、そしてそこにまた住宅を建てる問題とか、そういう規制緩和を進めることによりまして相当程度の経済に対する刺激効果、プラス効果があるというふうに期待をしております。  そういう経済構造改革規制緩和を進めることによりまして、先ほどの仮定計算で申しますと三・五%程度の水準の成長率まで上げていきたいというふうに考えている次第でございまして、この点大変難しいといいますか、大変に痛みを伴う問題でもありますが、他方、二十一世紀に向かってどうしてもそういう方向を実現していかなければならないと考えております。
  38. 海野義孝

    海野義孝君 次に、法案の内容についての問題点として申し上げたいのは、この法案というのは、対象とする歳出の削減問題につきましては、国の一般会計、それも当初の予算に限られたものでありまして、例えば特別会計予算、財政投融資計画、補正予算あるいは地方財政計画、こういったものを含めたものはそこには示されていない。こういうような財政構造改革法案という代物かと。国の一般会計のいわゆる要調整額をゼロにしていく、そういう意味合いのものにすぎない。例えば、単年度主義あるいは国会での予算審議権、こういったものに対してもあらかじめこういったものを決めるということについてどうかなということであります。  そのほかにもう一点は、公共事業予算の縮減問題にしましても、長期計画の年限延長という形で行われておりまして、総額は手つけずと、こういうようなもの。あるいは道路特定財源などの特定財源制度の見直しについても何ら触れていない。こういったことはすべて予算の歳出にかかってくる問題であります。そういったことについては触れていない。さっき申し上げたように、集中改革期間だけが明記されてあって、六年後までの歳出規制等については実質的な白紙だと。  そこで、時間もありませんので私の方から御提案申し上げますけれども大蔵大臣、今御指摘申し上げたようなことから見まして、こういう面を是正しなかったならば、当面の歳出抑制にはある程度の効果はあっても、歳出制度自体あるいは既得権益にメスを入れ財政構造改革に結びつけるということは難しいんではないかといった点に対する御答弁が一点。  そこで、私の提案は、有効な改革を進めるためには、まず改革すべき対象の実態を正確に把握することが不可欠である、財政構造改革を進めようという機会に各会計、一般会計、特別会計、財投、地方財政など相互間の貸借関係を一覧できるように工夫してこれを公表することを、大蔵大臣、約束していただけるかどうか。これは最低今回の財政構造改革法案を審議するための前提条件です。これを大蔵大臣は勇断を持っていろいろと難しいけれどもやると、そのように私の提案に対して御返答いただけるかどうか、できないとするならばなぜできないか、その点についてお答えいただきたいと思います。
  39. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 計画推進に当たっての御提言、それは全力を尽くしてやってまいります。  そういう中で、資料の問題でありますが、委員各位からの要望については、その都度委員会から委員長の命により提出が出ておりますものについては出しておりますし、今次の法律提案に伴う関係書類の中にもあります。御指摘の点についてはこれからも取り組んでまいります。
  40. 海野義孝

    海野義孝君 最後に一言だけ申し上げます。  今回、財政構造改革という問題が取り上げられたことによって、今までこういった問題について関心を持たなかった人たちも大変、日常の新聞、マスコミ、テレビ等を通じてのやりとりで関心が深まってきたと、このように思います。  先ほど大蔵大臣がおっしゃった五百二十一兆円、来年三月末でのいわゆる国と地方の財政のそういった赤字問題、その中には五十数兆円の隠れ借金も含まれているわけでありますけれども、そういったことを通じて、要するにこういうことだと思います。単にその一般会計を見ただけで、この中の一番大きな公共事業を七%減らすとか、そういうような一般会計を見ただけでは財政の実態はわからないということが今回の財政構造改革法案を審議している中で明確になったということが最大の収穫であった、このように私は思うわけでございます。  つまり、極端なことを言うと、戦後、いわゆる高度成長のときにも財政は膨張する、あるいは不況になっても財政は膨張する。そういうようなことの背後にあったのは、さっき申し上げたような一般会計、特別会計、財投、あるいは補正予算、こういったもののツケ回しが長年にわたってあったということ、これを絶たない限りはこんな法案を幾ら審議したって本当の効果が出るか、なぜこういった面にメスを入れるようなことを法案の中でやろうとしないのか、その点、大蔵大臣最後に御所見を伺います。
  41. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 諸制度を徹底的に見直しをいたします。聖域なき歳出カットの中で、制度にまで、背骨の根幹にまで検討を加えまして取り進めます。  同時に、行政改革の中で、本件は今最終の取りまとめに向けて進んでおりますし、基本が決まればさらに今度はその組織全体に及ぶということで、委員御指摘のとおりに進むものと思います。
  42. 海野義孝

    海野義孝君 終わります。(拍手)
  43. 常田享詳

    ○常田享詳君 自民党の常田享詳でございます。  このたびの法案は、財政的な量的抑制をかけることによって新しい二十一世紀の日本の構築を図っていく、いわゆる質的な転換を図っていく、そういう第一歩の法案であるというふうに理解しております。  質的転換を今後図っていく中で、私は、やはり不易と流行、いわゆる長い日本の歴史の中で構築してきて今後の二十一世紀の孫子の代にもきっちり残していかなければならないものと、そしてこのグローバルな社会の中で、日本も国際社会の中で思い切って改めていかなければならないこととの精査をきっちり今しなければならないときに至っていると思います。  そこで、農林水産大臣にまずお尋ねをいたします。  今、森総務会長を団長とする訪朝団が北朝鮮を訪問しておられます。あわせて、第一次の帰国の方々はきょうお帰りになるということで、日朝間の関係も非常に新しい局面を今迎えようとしている。多くの難題は抱えているけれども、そういう状況だと私は思います。  その中で、私も九月十三日から十八日の五日一間、北朝鮮を超党派の同僚議員方々と訪朝し、全容淳書記初め、特に食糧・農業事情の視察ということでピョンヤンにございます農業科学研究院、北朝鮮の一番の農業研究機関の研究者の方々と農業・食糧問題について討議をして帰ってきたところであります。  簡潔に申し上げますけれども、私はその中で、北朝鮮は日本の二十一世紀の反面教師ではないのかなという思いをしてまいりました。これは私の取り間違いであればお教えをいただきたいのでありますが、私の理解では、朝鮮半島というのは、北朝鮮側は過去、工業を中心に栄えてきた。そして現在の韓国、南側は農業を基盤として栄えてきた。その国家が二つに分断されたときにどうなったか。韓国はいわゆる農業農村基盤をベースとして、その上に工業を乗せて発展してきた。しかしながら、北朝鮮は工業中心できた。その後、農業農村というものに対して農業技術の点でもいろんな点でやはり手の打ち方がおくれてきた。それがここわずか三年の間に、干ばつとかことしの八月の高潮とか、そういったことがばっと襲ったときに、もう国家の存亡そのものが危ういような状況に追い込まれてしまったということだと私は理解しております。  そういうことを考えますときに、私は、二十一世紀の日本は科学技術立国であるということに対しては同感であります。特にNIESとかASEANとか、そういう国々とはまた違ったもっと高度な科学技術を国の中心に据えて発展していく、そういう新しい国家だろうと思います。しかしそのベースは、やはり農業農村がしっかりしている、食糧がきちっと確保されている、森林の保護等を初めとした環境問題等、そして水資源等の確保がきちんとされている、その上に科学技術立国というものが成り立つというふうに私は考えているわけであります。  しかしながら今、農業問題、そして農村問題が語られるときに、財政上の問題だけが先行して、今申し上げたような二十一世紀の科学技術立国日本のあるべき姿の根底には農業農村がしっかりとあらねばならないということがやや私は忘れられているのではないか。  そこで、農林水産大臣、今新しい農業基本法が制定されようとしております。私は思い切って、当面の課題を解決するというだけの農業基本法ではなくて、今るる申し上げましたような一つの国家観に立った二十一世紀のあるべき日本の姿を想定した上で、その方向に向かって進んでいけるような農業基本法を制定すべきだろうと思っております。  その中で中山間地の問題、農業予算の使われ方の中で、やはりこれからは特に中山間地においては直接所得補償方式、デカップリングの導入等はもう避けられない状況ではないかなというふうに思っております。  そして、先ほど申し上げましたように、国土の保全、水資源の涵養、多くの環境問題等に寄与している森林を、厳しい財政状況のもとであってもやはり国家の基盤をしっかり守っていくという上できっちり進めていただきたい、財政厳しい折でもこのことは進めていただきたいということで、農業基本法のことと今のことの御答弁を賜りたいと思います。
  44. 島村宜伸

    国務大臣(島村宜伸君) 率直に申して、全く同感でございます。  御高承のとおり、我が国の食糧自給率はカロリー換算では四二%、穀物では三〇%でございまして、先進国の中ではもう比較にならない大変な低い水準にあります。一たん有事の際にこれに対する備えがあるのか、これが私たちにとっては最大の関心事でございまして、これからもいわば行政全般に偏りを生じないように、特にどんな場合でも少なくとも食糧の安全保障というのはもう大前提でございますから、これらについては十分意を用いていきたいと思っております。  また、具体的に御指摘のありました農業農村について、将来にわたっての我が国経済社会における基幹産業としての産業及び地域として、次代に受け継いでいくべきものについてどのような考えを持つかということでありますが、新たな基本法の制定につきましては、現在、食料・農業・農村基本問題調査会で幅広い御議論をいただいているところでございまして、御指摘の農業農村の位置づけ等を含めてかなり私たちの想像を超えるような議論が進められております。  具体的な検討事項といたしましては、食糧の安定供給の確保のあり方、消費者の視点に立った施策のあり方、新しい農業構造のあり方、農業農村の多面的機能の位置づけ、中山問地域を含めた農村地域の振興のあり方等でございます。  これらの議論を十分踏まえまして、二十一世紀における我が国農業、これをどのように維持し発展させていくか、これから先生の御意思も含めて進めていきたい、こう考えます。  また、中山間地域についての問題でございますが、農業生産条件が不利な中山間地域の活性化を図るために、地域の特色を生かした農業の展開や生活環境基盤の整備等の施策を現在総合的に講じているところでございます。  また、EU型の直接所得補償制度、いわゆるデカップリングの導入についての御提言もありましたが、規模拡大が進んでおりますEUと異なりまして、我が国の場合には零細な農業が現実にございます。これらの構造を助長するという懸念も一方には御指摘のあるところでございまして、我々はこれらに対する配慮も行いながら、その一方では中山間地域の農家が置かれている厳しい状況等を十分認識しているところでありますから、総合的に判断をし、どの地域にあっても農業が定着していくという環境づくりの努力をするというふうに考えております。いずれにせよ、食料・農業・農村基本問題調査会で御検討いただいているこれらのいわば方向づけに、我々は十分それを参考にしながら頑張りたいと思います。  また、この森林の問題を御指摘いただいたことはまことにありがたい限りでございますが、森林というのは木材の供給が本来の職務でありましたけれども、最近は輸入が完全自由化になりまして、安い外材に完全に押されております。また同時に、木材供給そのものも、可伐の期間といいましょうか、伐採の適齢期を迎えている森林が非常に少なくて、その点ではそれまでの間は全く費用ばかりかかっていわばプラスを生まないという面がございます。  しかしながら、この森林の役割というのは何も木材供給だけではございませんで、国土の保全とか自然環境の保護とかあるいは水資源の涵養とか極めて多面的な機能を有し、かつ日本の国の健全さを維持するためにはこれらを粗略に扱うことは将来に憂いを残すことになります。  このため、当然のことに、コストの一層の縮減とか事業の重点化等を図りつつ、少なくも近年の自然災害の発生や渇水等を踏まえた山地災害の防止、あるいは水源涵養機能等の高度発揮を重視した森林の整備、第二には、自然休養林や市町村民の森などの森林の造成、整備、第三には、健全な森林の造成に不可欠な間伐あるいは林道整備などを積極的に推進することによって林業を支援し、これからもまさに緑豊かな国土というものを維持し日本の将来に資していきたい、こう考えております。  どうぞよろしく御理解いただきたいと思います。
  45. 常田享詳

    ○常田享詳君 ありがとうございました。  要望にさせていただきますけれども、私はもう今こそ中山問地域の多面的公益機能というものを、これは年間四十兆とも五十兆とも試算されているデータもあるわけでありますけれども、今インドネシアで起こっている火災等の実態を見ても、一たん森林を失ったときにどういうことが起こってくるのかということはもうモデルがあるわけですから、やはり今は国民が環境問題に非常に強い関心を持っておられるわけでありますから、私は国民は理解していただけるというふうに思っておりますので、ぜひとも推し進めていただきたいというふうに思います。  農水大臣、これで質問を終わりますので、よかったら御退席くださいますように。  それでは、大蔵大臣にお尋ねをいたします。  私は、このたびの法案審議をずっとお聞きしておりまして、不勉強ということもあるのでありますけれども、なぜこの時期にこの法案が出てきたのかなということを思い、また当然この法案を今ここで成立させることによって、将来的に日本の抱えている大きな問題の解決に活路を見出していくんだということであろうと思いますが、やはりその参考としておられるものがあるのではないかなというふうに思うわけであります。  そういうことで、財政再建のために法律を定めるということについては、アメリカ、フランス、そのほかの国でも取り組んで成功例もあるわけであります。特にここでお尋ねしてみたいのはアメリカの包括財政調整法でございますけれども、この二本の柱は、いわゆる裁量的経費についてのキャップ、すなわちシーリング制と、財源なくして増額措置なしという原則にあると言われているわけであります。  そういう意味で、この米国の財政制度を一つのモデルとしてこのたびの法案ができているとするならば、その米国の財政制度と日本の制度との仕組みの違いをやはりしっかり我々も理解しておかなければならないと思うわけであります。  そこで、米国の包括財政調整法において今、日本法案で言われておりますキャップなどの手法がとられているわけでありますけれども、その理由、財政制度の背景というのはどういうところにあるのか、教えていただきたいと思います。
  46. 涌井洋治

    政府委員(涌井洋治君) お答えいたします。  先生御承知のとおり、アメリカは大統領制をとっておりまして、我が国は議院内閣制でございます。それで、アメリカの場合、予算は議員提出による個々の法案を議会で可決して、その法律の総体が予算となっている、こういう仕組みでございます。他方、日本におきましては、予算は内閣が作成、提出し国会の議決を経るという形になっておりまして、まずその点が基本的に違う。  それでは、アメリカがこの包括財政調整法をつくってキャップ制をとったのはなぜかということでございますが、アメリカの予算編成過程におきまして、予算の中で裁量的な経費と義務的な経費にまず大きく分けられます。  まず、義務的な経費につきましては、これはもう毎年度の議会の審議が不要でございまして、一たん根拠法が制定されれば制度改正を行わない限り恒久的に支出が認められるということでございます。日本の場合、例えば生活保護費とかそういうものにつきましても毎年度予算の審議を受けるわけでございますが、アメリカの場合には、もうそういうような経費につきましては予算審議による金額のコントロールが不可能でございます。  他方、裁量的な経費につきましては、議会におきまして十三本の歳出権限付与法、これを個別にそれぞれ審議し可決することになってきます。そして、すべての法律が成立するまで予算の総額がわからないということでございまして、裁量的経費の予算総額のコントロールが極めて困難である。  そういうことで、このOBRA、包括財政調整法でございますが、裁量的な経費につきましては十三本の法律によってでき上がっているわけです。それに対して、全体に対してキャップと呼ばれる上限を定めまして、その総額がキャップを超過した場合には一律削減を行うという形で裁量的な経費の総額をコントロールしていくということでございます。  他方、義務的経費につきましては、これはもう予算審議による金額のコントロールができないものでございますので、新たに義務的な経費を設ける場合あるいは減税を行う場合には、その見合いの財源を用意しなければ、経費増分に対し一律に削減を行うとするペイ・アズ・ユー・ゴーの規定を置くことにより義務的な経費の膨張に歯どめをかけているということでございます。
  47. 常田享詳

    ○常田享詳君 そこで、もう一点お尋ねをしておきたいのでありますが、そのアメリカの包括財政調整法を議会等の仕組みが違う日本に導入してなおかつやろうということでありますけれども財政構造改革法案とアメリカの包括財政調整法とを比較して、アメリカは成功したと言われたが、アメリカのように日本でも財政健全化の成果を上げることができるのか。これは私も、今の段階では非常に議論があってまだよく自信が持てないところでありますけれども、この点について確たる御指導をいただければと思います。
  48. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 今、政府委員が答えましたようなアメリカの予算制度であります。この制度によって合衆国は大幅な改善が進んでおりまして、九七年度におきましては二百二十六億ドルと大幅な改善であります。  我が国におきましても、御案内のとおり、今回、財政構造改革会議という半歳余にわたる論議の結果を踏まえまして、各国によい制度があればよいところは取り入れるべきであろうということもございまして、その取り組みを参考にし、あらゆる角度から徹底的な検討を行いまして、我が国予算制度にマッチしてその中で目標が達成されるためにはということで、我が国制度に合致した法律案を提出いたしたところであります。  我が国のこの法律は、米国の包括財政調整法と同様、量的縮減目標を設定いたしたところであります。これは、政府にその遵守義務を課すことによって予算総額を抑制するという目的を持っております。同時に、この量的縮減目標を達成するためには、個々の経費の背後にある制度、また施策にまで踏み込んだ改革が求められることとなり、聖域なく歳出の改革と縮減を行うことができると考えておるところであります。  この制度は、我が国の法律を実施することによって、米国などと同様、財政構造改革が強力かつ確実に実施できるものと考えております。
  49. 常田享詳

    ○常田享詳君 大蔵大臣の力強い御所見をいただけたところで、厚生大臣にお尋ねをいたします。  私は、薬害エイズの問題のときに、厚生委員会等で厚生大臣を初め参考人質問等にも加わらせていただいた者であります。そのときに、当時の厚生大臣に対して、あの問題が起きたのは、一に薬事法第一章の第一条に対する厚生省の認識が非常に甘かったのではないかということを私は申し上げたわけでありますし、事実、裁判において裁判長もそのことを指摘されました。  この第一条には、「この法律は、医薬品、医薬部外品、化粧品及び医療用具の品質、有効性及び安全性の確保のために必要な規制を行う」ということで、それまでいろいろスモンの問題とかが起こる前は有効性ということが特に言われていましたけれども、安全性ということが今重要な問題で、いわゆる有効性と安全性のバランスをとっていく中に薬事行政がなければいけないというふうに私は思うわけであります。  ところが、今この財政構造改革の中で社会保障費の削減、特に医療費の問題、そして諸悪の根源は薬だ、薬が悪いんだということで大変厳しい指摘を受けているわけであります。しかし私は、財政上の問題は進めなきゃならないとしても、やはり医薬品が持つ特性というものはなおしっかり認識してやらないと、かえって怖いことが起こりますよということを申し上げたいわけであります。  そういう意味で、まず簡単で結構でございますので、この第一条に対する厚生大臣の御見解を賜っておきたいと思います。
  50. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 薬は大変大事なものでありまして、薬が悪いということではなくて、薬も用い方を誤れば毒にもなる、有効な薬であればあるほど管理服用規定をしっかり守らないととんでもない副作用を起こすということだと思うのであります。  医薬品の重要性、健康に与える影響、これは幾ら注意してもし過ぎることはない、要はその安全管理と適切に服用する、これをいかに守るかということだと私は思います。
  51. 常田享詳

    ○常田享詳君 安心いたしました。  そこで、今医療保険制度の抜本改革案が三党合意して示されているわけでありますけれども、この改革について、医療保険福祉審議会で今後検討されるわけでございます。  それで、私は、薬害エイズのときの審議会とかそういうもののあり方とは逆な意味で、やはり今回の医療保険福祉審議会においては、いわゆる医療保険財政の確立、これがもう中心的なテーマだと思います。しかし、今申し上げたような薬事法第一条にかんがみ、医薬品の持つ特殊性ということと、国民の健康を守るために医療の質を落とさないという観点もあわせていかないと、今、大臣からお答えいただいたようなことにはならないというふうに思っております。  そういうことで、この医療保険福祉審議会の構成を見ますと、どちらかというと、専門家が非常に少ないように私は拝見するわけであります。そういう中で、今申し上げたような保険医療の質を落とさないことについてどのように配慮していただけるのか、厚生大臣、お尋ねいたします。
  52. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 今後の医療制度改革については、国民皆保険制度を維持しつつ、いかに適切な医療の質を確保するか、また国民負担というものをできるだけ低く抑えてどのようにむだを排除していくか、効率的な制度を維持していくかということについて、薬価の問題につきましても、診療報酬の問題についても、あるいは医療提供体制についても総合的に見直そうということで取り組んでおりますので、その中にあっても適切な医療の質を確保するということは大変重要であるということを私も認識しております。
  53. 常田享詳

    ○常田享詳君 さらにお尋ねをいたします。  九月一日から医療保険制度の改革が行われておるわけでありますが、健康保険本人の自己負担率の引き上げとか薬剤負担の新設などによって、私どもが聞いておりますのでは六ないし七割の医療機関が一割以上患者さんが減ったと、いわゆるかなり受診抑制が起こっているというふうに感じております。  このことにつきまして、患者負担の改正後二カ月を経過したわけでありますが、厚生省はこの受診抑制に対する調査等をなさっているのか、また厚生大臣は、この二カ月間受診抑制が実際に起こっているという報道等に対してどういうふうな受けとめ方をしておられるのか、お尋ねいたします。
  54. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 九月から実施されたものでありますので、その調査が出るのは十二月だと聞いております。現時点ではまだどのような動向なのかはっきりした状態はわかりませんが、私は今回の改定で受診抑制ということは起こっていないのではないか、もし減っているとすれば、むしろ行く必要がないという方が行かないということではないかなと。  しかしながら、いろいろな調査といいますか、まだはっきりした調査は出ておりませんけれども、聞くところによると、依然として今回の改定でもそのような受診の抑制は起こっていないという病院がかなり多いということを聞いています。しかし、今後はっきりした調査が出るのは十二月以降だと聞いておりますので、その時点でまたよく状況を調査してみたいと思っております。
  55. 常田享詳

    ○常田享詳君 現在調査中で十二月に結果が出るということでございますので、それを待ちたいと思いますが、ただ、今、大臣がおっしゃいました、行く必要のない人たちが行かなくなったという認識は私はやや問題があるのではないかなと。このことにつきましては、十二月の結果を見まして、また大臣の御見解を聞かせていただきたいと思います。  さて、このたびの平成十年度の社会保障関係費についてでありますけれども、当然増のうち五千億円の削減ということであります。そして、今回の法案でも三千億円以内の伸びに抑えるというふうになっているわけであります。そして、そのうち四千二百億円は医療費の削減によって対応するというふうに政府はおっしゃっているわけであります。  先日の報道によりますと、厚生省は、来年予定されている薬価改定、これは過去二年ごとに行われていたわけですが、薬価改定において一〇%の引き下げを行う、そして四千二百億円のうち二千億円の財源をここから引き出す、また長期収載品の一般名収載、医療機材の価格引き上げ等で対応するというふうに報道されているわけでありますが、またマイナス改定になるんではないかと。  ここでお尋ねしたいのは、例年ですと二年ごとに薬価改定をして、あわせて医療費の改定をしているわけです。ここ十年ぐらいはそういうふうにしてきていると思います。消費税のときに一回、一・七%ぐらいというときがありましたが、大体二%ぐらいやってきていると思いますが、ここで医療費の改定についてどうされるのかなというふうに思うわけであります。  それで、薬価差益で医療が成り立っている、これは改善しなきゃいけないということだろうと思います。そして、物と技術を分離していくんだということだろうと思います。その視点からいきますと、医療費の改定ということについても当然、今後考えていかなければならない問題だろうと思いますが、実は十一月十二日の新聞報道によりますと、大蔵省は「診療報酬上げ認めず」ということをおっしゃっておられる。  まず大蔵大臣、診療報酬はことしは上げないという方針がもう出ているのでありますか。
  56. 涌井洋治

    政府委員(涌井洋治君) 十一月十二日の新聞の記事の件でございますが、これは当然のことながら予算編成は内閣全体で行うものでございます。多分、推測するに、その前の日に財政制度審議会が行われまして、その審議会におきまして診療報酬の引き上げに慎重な意見が出されたということがあったのを受けて新聞がこのように書いたのではないかと思います。  大蔵省として何ら決めているわけではございません。
  57. 常田享詳

    ○常田享詳君 それでは、改めて厚生大臣にお尋ねいたします。  厚生大臣は、このたびの薬価改定に伴って、過去行われてきた医療費の改定について今後どういうふうに取り組まれるおつもりでありましょうか。
  58. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 今までの過去の例を見ますと、薬価を改定しますとその分診療報酬を引き上げてきた。しかし今回は、この財政構造改革法案でも御承知のとおり枠がはめられております。五千五百億円削減する中で厚生省関係予算四千二百億円程度を医療関係で削減しなきゃならない。となりますと、当然薬価の改定もしなきゃならない。その分、診療報酬でまた引き上げるとなると、この四千二百億円は出ないんじゃないか。となりますと、従来の手法は通じない。あらゆる見直しの中で四千二百億円を削減するという中において考えていかなきゃならない問題である、そう思います。
  59. 常田享詳

    ○常田享詳君 先日の中医協において、厚生省は来年の薬価改定と四千二百億円の削減とは直接関係ないというふうにおっしゃっているようでありますけれども、そうしますと、今の大臣の御答弁とは食い違うのではないかなというふうに思うんですが、これはいかがでございましょうか。
  60. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 四千二百億円削減する中であらゆる問題を見直すということであります。
  61. 常田享詳

    ○常田享詳君 ということは、薬価基準も当然その中に含まれるということでありますね。  それで、医療費改定の問題に返りたいと思いますが、先ほど申し上げましたように、かなり受診抑制が起こっているというようなことで、これから医療費の改定問題についてはかなりいろいろな要望も出てくるというふうに思います。  私も、大臣がおっしゃいましたように、従来の手法を今回当てはめるということにはならないだろうと思いますけれども、しかし厳然として、ある面薬価差益で医療の経営が成り立っていた。これはよくないと思いますけれども、成り立っていたという現実、それをばっさり切って、その一方で受診抑制とかで非常に患者さんも減っている。そういう形の中で、財政構造改革ということのもとで医療費の問題はやりませんよ、二年に一度やってきたことが今回はもうやれるような状態ではありませんよなどということで健全な医療は成り立っていくんでしょうか。私はそこに疑問を持つんですが、もう一度、医療費の改定は今後どういうふうにされるのか。
  62. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 財政を削減する中で構造的な改革を進めていかなきゃならないということでありますので、薬価についても診療報酬についても、むだな面を排除する、非効率な面をなくしていくという中で何とかやりくりしていかなきゃならないというふうに考えております。
  63. 常田享詳

    ○常田享詳君 やりくりするということは、これから医療費の問題も含めて考えていく、現在まだ結論を出しているわけではないということとに理解させていただきます。  それでは次に、このたびの薬価の問題です。薬価基準の問題の決め手は、日本型参照価格制度が本当に今、大臣が期待しておられるように機能するのかなということでありますけれども、この参照価格制度が導入される中で一番大切なことは、仕入れ価格どおりに適正に請求されるということだろうと思います。これが担保されない限り、この参照価格制度の基本原則は守れないことはもう当然のことであります。  しかし、本当にこのことが守れるのかなということで、私の取り越し苦労かもしれませんが、例えば医療機関がトンネル卸をつくると。一次卸と医療機関との間にトンネル卸、二次卸をつくって病院が経営すると。そこを通すことによって価格を、二次卸で買ったことで請求すればいいわけですから、一次卸から安く買って、Aという卸から自分のところで経営する卸が安く買って、だけれども実際最終的に買ったのは二次卸ですから、その価格で請求するということになればそこに差益が出るわけです。おわかりになりますか。差益が出るんですよ。  それからもう一方で今起ころうとしているのは、卸が薬局を経営するということです。卸自体が薬局を経営する、そういう動きがある。ということになりますと、いろいろ制度が変わったら、その中で本当に巧みに何かやって一もうけしてやろうという動きはあるわけであります。こういうことがもしやられるということになったら、参照価格制度の信頼性は根底から覆ることになるわけであります。  私はこういうことについては、今から参照価格制度が導入されるまでに、そういうことは絶対許さないんだという歯どめをかけておいていただかないと、せっかく参照価格制度を導入しても絵にかいたもちになってしまうのではないかなという危惧を持っているわけであります。いかがでございましょうか。
  64. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 現在の薬価基準制度を廃止して新しい制度を導入するという中で、今いろいろ想定されております。  お話のように、法の網を何とかかいくぐろうという動きが心配されますけれども、そういう点もいろいろ専門家の意見を聞いて、法の趣旨が生かされるような基準を導入していかなきゃならない。これは大変大事な視点だと思っております。
  65. 常田享詳

    ○常田享詳君 ありがとうございます。ぜひ注目していただきたいと思います。  次に、参照価格制度が導入されますと、保険で給付される上限価格を定めて薬剤費の低減を図ろうとするものでありますから、上限価格内におさまる低薬価の医薬品を使用するというインセンティブが働くと思います、当然のことながら。  大事なことは、ドイツは参照価格制度を導入しているんですが、ドイツなんかの場合にいわゆる高薬価品から低薬価品へ、ピカ新と言われる本当の開発品、ピカ新からいわゆるゾロ新にシフトされていったというのは、ドイツの医療費が総枠予算制になっているわけです。医療費の総枠が決められている。日本とはそこが違う。あわせて、完全な医薬分業になっているということでありまして、日本の場合とちょっとそういう体制が違うわけであります。  そういうことで、医療費の総枠予算制でない、また完全医薬分業制でない日本で、厚生省が期待しているような高薬価品から低薬価品に、ピカ新からゾロ新に移行する、その結果経済的な効果を生み出すという期待どおりにいくのだろうかなという思いもあるんですが、この辺はどういうふうにとらえておられますでしょうか。
  66. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) いわゆる俗に参照価格制度と言われていますけれども、厚生省としては償還基準額とも言っております。保険で支払う上限を決めるということでありますが、これは、同じ効き目のある薬の場合は、高くて新しい薬でなくて、古くても安い薬を使いやすいような制度を何とか導入したい。薬価差益が出るという当然の観念ではなくて、きちんとできるだけ安い薬を使ってもらうというような趣旨のもとに新しい償還基準額制度を導入したいと考えているわけでありますが、ドイツの状況等を参考にしながら、いろいろ言われている問題が少しでも解決するような方法を今後考えていきたい、そう思います。
  67. 常田享詳

    ○常田享詳君 ピカ新からゾロ新に移る、しかしその後発品が安ければいいというものではないと思うんです。やっぱりその品質がピカ新に負けないものであらねばならないと思うわけであります。また、後発医薬品の中で同じ成分のものでばらつきがあったりしてもならないと思うわけです。やっぱりある有効な基準を保っているということが必要だと思うんですが、現実には後発品の薬価は先発品の二・五分の一ということで、大変薬剤費の節約には貢献しているわけでありますけれども、残念ながら、その品質を見ますとかなりひどいものがあるということが今指摘されております。  溶出試験を行ってみますと、例えばニフェジピンとかジクロフェナックナトリウム、イブプロフェン、臭化メピジウム等の製剤の試験結果では、もう半分ぐらいしか有効血中濃度がないとかいうものが認められ、しかも同じ薬価で使われている、後発品の中でですね。そういうことでありますから、後発品にスライドさせるということであっても、やはり医薬品の品質というものはきっちり確保されていかなければならない。  あわせて今、後発品にスライドする中での問題点としては、後発品の供給量が非常に少ない、供給が極めて不安定、そして市販後の情報提供サービス等情報活動が不十分、そして冒頭に申し上げたように品質に信頼ができないものがあるということです。  これらのことについて、参照価格制導入までに厚生大臣はどのように対策を打っていかれるのか、御見解を承りたいと思います。
  68. 中西明典

    政府委員(中西明典君) 確かに先生御指摘のような面があると考えております。  厚生省といたしましては、本年から進めております品質面での再評価推進するほかに、製造所への監視それから一斉収去試験の実施等、薬事監視を通じましてその品質面への信頼を高めていくとともに、後発品の製造業者に対しましても、先発品の製造業者と同等の安全性情報の収集あるいは医師等への情報提供体制の整備を確保するため、昨年薬事法を改正いたしまして医薬品の市販後調査の基準を定め、この遵守を義務づけることとしたところでございます。  そうした措置を講じまして、今後とも品質の確保あるいは情報提供などの面で先発品に引けをとらないような後発品が安定的に供給されるような方向で努力していきたい、かように考えております。
  69. 常田享詳

    ○常田享詳君 今、厚生大臣が期待をしておられる参照価格制度等、医療保険の改革にとりましては、私は医薬分業はどうしても進めなきゃならないことだろうと思っております。そうすれば薬価差益もなくなるわけでありますし、ソリブジンの問題等で起こるような重複投薬の問題等、そういったこともきちっとチェックされるわけでありますし、患者さんに対する情報の提供、インフォームドコンセント等も今よりもさらに濃密になっていくということであろうと思います。  そういう中で、与党協議案では、医薬分業の迅速かつ計画的な推進ということで地域医療計画の中の必要的記載事項というふうに今後するということも言われているわけでありますが、医薬分業計画をどのような内容のものにしようと考えておられるのか、お尋ねをするところであります。
  70. 中西明典

    政府委員(中西明典君) これは今、先生御指摘のとおり、国会で御審議いただいております医療法の一部改正法案で必要的記載事項として位置づけておるところでございます。具体的なガイドラインというのは今後の話になると思いますが、基本的には先生御承知のとおり、医薬分業の実施状況というのは各都道府県、地域によって相当なばらつきがあるわけでございまして、それぞれの地域医療をどのように組み立てていくのか、各地域で相当実情が異なるというふうに考えております。  したがいまして、それぞれの関係団体、機関が協力して都道府県の二次医療圏ごとに具体的な中身の分業計画をそれぞれの地域の実情を反映した形でつくっていただくよう指導していきたいと考えております。  本年度から私どもとしましても予算措置を講じたところでございまして、そのほか厚生省といたしましては、応需体制を確立していく観点から情報提供あるいは薬歴管理、在庫管理等のマニュアルについても検討していきたいと考えておりますし、支援センターに対する援助というものにつきましても引き続き行ってまいりたい、かように考えております。
  71. 常田享詳

    ○常田享詳君 医薬分業の推進につきましては、小泉厚生大臣は大変その必要性を認め、国立大学、国立病院等の分業等についても必要だ、そのことによって分業を早く進めていくんだということで大変御努力をしておられることを高く評価したいと思います。  厚生大臣に対する最後質問は、けさの新聞を見まして急遽取り上げさせていただきますが、例の福島県西郷村の知的障害者施設、社会福祉法人幸愛会白河育成園、ここで薬物の大量投与によって障害者の方がまさにコントロールされていた。私の理解では、ここでは三十二人の方が精神安定剤や睡眠薬などを大量に投与され、ほとんどが医師の処方を受けずに勝手に量をふやされていたということであります。こういう実態というのはここに限らないのではないかなとも思うわけでありますが、これからこの問題を一つの起点にしてどのように取り組んでいこうとしておられるのか、どのような指示を出されたのか、もしありましたらお尋ねしたい。
  72. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) けさの新聞報道で私も知ったんですが、このような報道が事実だとすれば、あってはならない人権侵害ですから、関係者等に対して適切な指導をしていかなきゃならないし、また実情をよく調査して、どういう今後の改善措置があるか、よく調査してみたいと思います。
  73. 常田享詳

    ○常田享詳君 そこで、この問題に関してもう一点お尋ねいたします。  実は、こういう施設もそうですし、今介護保険制度の問題が取り上げられていますが、老人保健施設においては、現在、三百床未満の施設には薬剤師は要らないということになっているんですね、置かなくてもいいということになっております。ところが、実際に老健施設で、私の手元データでは七四・四%、別のデータでは九五・八%の入所者の方が薬を飲んでおられると。それは病院でもらって飲んでおられるということでありますが、じゃその薬はどこで調剤されているかといえば、今申し上げましたように他の病院でやっている。実際、施設の中では服薬指導もされておりませんし、どのように投薬されているのかという実態把握もされていないという現実があるわけであります。  そういうことで、私は、薬の専門家がそういう施設の中にきちんと配置されて、特にお年寄りの場合は間違いも起こりやすいし、間違った場合に命取りになるケースも多いわけでありますから、三百人に一人ということでほとんど薬剤師が配置されていないという現実を踏まえて、今度の公的介護制度の改革の中では薬剤師の配置ということをぜひとも実施していただきたい。そのことはいかがでございましょうか、急な質問ですが。厚生委員会でも取り上げられたことがあるように思うんですけれども
  74. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 薬剤師が配置されていない老人保健施設においては、通常、医師から調剤とか服薬指導が行われていると思います。そして、適切な薬剤使用のあり方については、今年度、全国老人保健施設協会の協力を得て調査を行っているところであります。  今後、老人保健施設において、医薬品使用の実態等も踏まえながら薬剤師の適正配置については検討していきたいと思っております。
  75. 常田享詳

    ○常田享詳君 大臣、きのう日本病院薬剤師会でも新しい調査結果が出ておりますので、また御参照ください。
  76. 遠藤要

    委員長遠藤要君) 常田君の残余の質疑は午後に譲ることとし、午後一時まで休憩いたします。    午前十一時五十四分休憩      ―――――・―――――    午後一時一分開会
  77. 遠藤要

    委員長遠藤要君) ただいまから行財政改革税制等に関する特別委員会を再開いたします。  参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  財政構造改革推進に関する特別措置法案の審査のため、本日、参考人として日本銀行総裁松下康雄君の出席を求めることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  78. 遠藤要

    委員長遠藤要君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ―――――――――――――
  79. 遠藤要

    委員長遠藤要君) 休憩前に引き続き、財政構造改革推進に関する特別措置法案を議題とし、質疑を行います。
  80. 常田享詳

    ○常田享詳君 引き続き、質問をさせていただきます。  科学技術庁長官にお尋ねをいたします。  我が国経済の面で大変な局面を迎えているわけでありますが、あわせて我が国国民を含む人類の未来、二十一世紀には地球環境問題、食糧問題、エネルギー問題、資源問題など、まさに地球的規模での問題が大きく立ちはだかっているわけであります。一方、我が国経済社会が破綻するような事態とならないような財政構造改革は絶対になし遂げなければならないと思います。しかし、このような二つの要請の調和が必要だと思います。  科学技術振興費については、この法律案において平成十年度はプラス五%、十一年度、十二年度は増加を認めつつも増加額を抑制するとされております。こうした財政構造改革推進する中で、科学技術政策についてはより一層の重点化や効率化が求められると私は考えるものであります。  今後、財政構造改革のもとで科学技術政策をどのように展開していくつもりか、特にどのような点に力点を置いてやっていかれるのか、お尋ねをいたします。  あわせてもう一点、財政構造改革のもとで国が振興する科学技術を実り多いものにしていくために、法律案にもありますように、研究開発の適切な評価に基づいた予算配分は重要であろうと思います。効果的な評価体制の構築が求められる中、科学技術政策の推進官庁であります科学技術庁としてどのように我が国の研究評価体制の構築に今後取り組んでいかれるのか、二点お尋ねいたします。
  81. 谷垣禎一

    国務大臣(谷垣禎一君) 午前中の農水大臣との御議論でも科学技術立国の重要性を指摘されておりまして、まさに我が意を得たりの思いでございます。  それで、大変厳しい財政の中でどういうところに重点を置いて進めていくかということでありますが、一昨年、議員立法で科学技術基本法をつくっていただきまして、それを受けて、昨年、科学技術基本計画を閣議決定いたしております。どういうところに重点を置いていくかというのがその中で定められておりますが、どういうところに研究開発の対象を持っていくかというところになりますと、二つポイントがございます。  一つは、社会的、経済的ニーズに対応する研究開発を進めていかなきゃならない、これが一つの柱でございます。  その中には、まず三つぐらい小さな柱がございます。  一つは、新産業の創出とか、あるいは情報通信がどんどん進んでおりますが、そういう飛躍的な進化に対応できるような研究開発を進めなければならないということであります。それから二番目の柱は、環境問題とかいろいろ言われているわけでありますが、地球規模の諸問題の解決に対応する研究開発をやっていこう。それから三つ目は、疾病とか防災とかいろいろございますが、生活者のニーズにこたえるような研究開発を進めていかなきゃならない。そういう社会経済的なニーズにこたえるところに重点を置こうというのが一つの柱。  それからもう一つは、基礎研究といいますか、そういうところを強力に推し進めていかなければいけないんじゃないかというのがもう一つの柱でございます。それが研究開発の重点の置きどころと。  それからもう一つは、研究体制と申しますか研究環境と申しますか、柔軟で開かれて、しかも活発に競争し合うような研究環境をつくっていかなきゃいけない。そういう制度改革と申しますか、そういうものを進めていかなければならないだろうということが科学技術基本計画の中に定められておりまして、私ども、基本的にその枠組みの中で議論を進めているわけであります。  もう少し具体的に申しますと、研究開発課題としては、一つはライフサイエンス、ミクロに見ますと、遺伝子といいますかゲノム等の研究、ここにやはり相当重点を置く必要があるだろう。また、もう少しマクロにいきますと、脳を研究する、脳科学を進めていくというようなことがやはり重要じゃないかというのが一つございます。  それからもう一つは、先ほど情報化ということを申しましたけれども、情報の伝送処理の高度化、高速化、こういうところに着目いたしまして情報科学技術というものを推進しなければいけないのではないか。それから、エルニーニョ現象とかいろいろ温暖化の問題が言われておりますけれども、地球変動全体をきちっと解明していくような研究開発が必要ではないか。こういうところの強化に今具体的に努めているところでございます。  それからもう一つ、制度改革の面であります。  一つは、国の研究者に任期つき任用制を導入していただく。これはこの間の通常国会で法律を通していただきまして、六月にもう施行になっております。それ以来、現時点で国立試験研究機関では十八名の研究員をこの手法によって採用しております。  それからもう一つは、若手研究者層の養成拡充などの施策です。博士課程を修了した者、いわゆるポストドクターでありますが、このポストドクター等一万人支援計画というのを今具体的に進めております。  それから、以上のほかにも、国の研究者が民間企業で研究活動できるような仕組みをつくっていこうじゃないか。兼業を許可することをもっと円滑化させようじゃないか。あるいは、国の研究者にいろいろな自分の研究したことによる特許権を得られるように個人に帰属するような施策、こういうことで少しインセンティブを与えていったらどうかというようなことを今推進しております。  常田先生が御指摘になりましたように、大変厳しい財政下の中で、財政改革とそうして科学技術の進展を同時に進めなければならないということになりますと、第二問の御指摘にも関係してくるわけでありますけれども、厳正的確な評価を行っていくということが極めて大事になってくると思います。そうして、厳正的確な評価の中で、限られた財政と申しますか資金を効率的に効果的に投下していく、このことが財政改革下で科学技術立国を進めていく上では一番大事なことなのではないかと思っているわけであります。  先ほど御指摘のように、科学技術基本計画の中にもこの厳正な評価をきちっと位置づけることということが特記をされておりまして、これを受けまして、八月に内閣総理大臣決定で、「国の研究開発全般に共通する評価の実施方法の在り方についての大綱的指針」というものをつくりました。  これは、各省庁あるいは各国立研究機関が評価を実施する上でのガイドラインになるものでありまして、大体これは四つ大きな柱がございます。評価基準につきまして四つ基準がございます。    〔委員長退席、理事高木正明君着席〕  一つは、評価基準・過程を明示した明確な評価を実施していかなければならない。それから、自己満足に陥ってはいけませんので、第三者等を評価者とした外部評価というものも導入していこう。それから三番目としまして、評価結果をオープンにしなきゃいけない、開かれた評価というものを実施していこう。それから、評価のための評価をしても仕方がないわけでありますから、その評価結果を先ほどおっしゃった財政の中で研究資金を重点的、効率的に配分していこうという四つの方針のもとで行っております。  それで、当庁は、要するにそういう中で具体的にどういうことを今考えているかと申しますと、いわゆる科学技術評価白書みたいなものができないか、あるいは研究評価指標のデータベースみたいなものがっくれないだろうか、こういうことを今模索しておりまして、そういう中で資金の弾力的、効率的な配分を図って科学技術創造立国を進めてまいりたい、このように思っております。
  82. 常田享詳

    ○常田享詳君 力強い御答弁、ありがとうございました。  もう一点、竹島問題を考えておりましたが、時間がありません。ただ私は、外務省にこの機会に竹島問題について一日も早く韓国側ときちんとした形での話をしていただきたい。漁業協定の破棄も含めて、やはり決断する時期はもう来ているのではないかというふうに思いますので、このことをお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。(拍手)
  83. 沓掛哲男

    ○沓掛哲男君 自民党の沓掛哲男でございます。  三塚大蔵大臣初め閣僚の皆様、連日大変御苦労さまです。  持ち時間が一時間でございますので、最初に財革法についてお尋ねし、次に経済対策について、さらに日銀を中心にいたしまして、仮に現在の超低金利である公定歩合〇・五%を二%程度の低金利にした場合、現在の経済景気にどのような影響を及ぼすかについてお尋ねしてみたいというふうに思います。  まず最初に、財政構造改革に当たり、特にそれが痛みを伴うものにありましては、公平公正、特に神のような立場でやっていただかなければなりません。  本改革では、施策ごとにその経費の縮減についてかなりの差があります。四つの段階に分けて物が決られております。  一番厳しいのは、削減の数値目標をきちっと決めてそして対応する。それは三つございます。  第一は社会保障費でございますし、それから次はODA、そして公共事業費でございます。社会保障費については自然体で、来年は八千五百億円ふえるのを三千億円までということですから、五千五百億円をカットしなければなりません。ODAの一〇%、そして公共事業の七%の縮減は、大変大きな問題はあるとは思いますが、まずこれが  一番厳しいグループです。  その次に厳しいグループは、九年度の額を上回らないようにするとするものでございまして、これに該当するのは農林水産関係予算、エネルギー対策費、そして中小企業対策費もここに入っているのは何か厳し過ぎるような気もいたします。  そして三番目の方は、いわゆる、抑制するものとすると規定されているものでございまして、これはことしより少し上回ってもいいというような余裕のあるものなんでしょう。それが文教予算と防衛関係費なんです。  そして四番目は、今盛んに議論されました科学技術関係費で、来年度はことしの五%ふえるというふうに、この法律の中では各施策について四つの段階に分けて、そしてきちっと対応しておられるんですが、対応されている省庁に私も聞いてみて、あなたのところの省庁は四つに分けられているけれどもどの辺だと思うと聞いても、みんな、え、なんておっしゃられる方が多いんです。一体これはどういう基準で四つに分けられたのか。  これは時間をとると後に影響するので、事務当局から簡潔に説明していただきたいと思います。
  84. 涌井洋治

    政府委員(涌井洋治君) お答えいたします。  先生御指摘のとおり、集中改革期間中の三年間の各主要な経費につきまして、その性質に応じて量的な縮減目標を設定しております。特に十年度予算につきましては、一般歳出全体を対前年度比マイナスにするということを踏まえまして、各主要な経費について具体的な量的縮減目標を定めております。  まず、ふえるものといたしましては、社会保障関係費でございますが、これは高齢化に伴いましてどうしても当然増が見込まれるという性格の経費であります。その八千五百億円の当然増を、五千億円上回る削減を行うということで三千億円としたわけでございます。  それから科学技術振興費につきましては、これは創造的、基礎的研究の充実の必要ということで、他の経費との均衡にも配慮しつつ一定の増額を確保するということで、伸率おおむね五%以下とするということにしたわけでございます。  他方、公共投資につきましては、公共投資の水準を国民経済に見合った適正な水準まで引き下げるという考え方から、来年度につきましてはマイナスの七%。それからODAにつきましても、我が国のODAの量的拡充が国際的に顕著なものとなっているということを踏まえまして、対前年度マイナス一〇%にする。  その他につきましては、基本的には一般歳出を前年度比マイナスにするということを踏まえまして、前年度を上回らないようにするということになっておるわけでございます。
  85. 沓掛哲男

    ○沓掛哲男君 特に、私はこの二番目に厳しくされております九年度の額を上回らないものにするとする農林水産関係予算、中小企業対策費、エネルギー対策費と、三番目になっている抑制するものとすると規定されている文教、防衛というこの二つは、こんな区別をしなくても一つでいいじゃないですか。無理に何かし過ぎているように思えてならないんですが、この二つについてちょっとどういうお考えか、聞かせてください。
  86. 涌井洋治

    政府委員(涌井洋治君) 中小企業対策費の重要性については、もちろんその重要性は認識しているわけでございますが、ともかく一般歳出全体を来年度は今年度に比べてマイナスにするということでございますので、各経費、聖域なく抑制していくと。一方で、社会保障あるいは科学技術のようにある程度伸ばさざるを得ないものもある一方、他方で公共事業あるいはODAのようにマイナスにするという中で、その他につきましては基本的には前年度を上回らないようにするということで、全体としての一般歳出をマイナスにするということにしたわけでございます。
  87. 沓掛哲男

    ○沓掛哲男君 そうすると、抑制すると書かれた文教や防衛等も、九年度予算を上回らない、以下ということなんですか。  私がいろいろ聞いてみると、抑制するのは、それを上回ることもあるんだ、上へ行くそういう可能性も十分あるからという、そういうふうに聞いているんですが、いかがですか。
  88. 涌井洋治

    政府委員(涌井洋治君) 防衛予算でございますが、防衛予算につきましては、これは前年度の額を上回らないということにしております。それから文教予算につきましても、具体的に国立学校特別会計及び私学の経常費助成につきましては前年度の額を上回らないようにするという規定をしているところでございます。
  89. 沓掛哲男

    ○沓掛哲男君 そうするのなら、中小企業とか農林業と同じようなランクでよかったような気がするんですけれども、この法案では分けて書いております。  まさかこの四つに分けたことがこれからの予算配分、いろいろな面において重要度を示し、そして法律で一度こういう四つの段階で重要度を示したんだからお前のところはだめだとか、そういう優先度とか重要度とかいうことには今後使わないということだと思いますが、いかがでしょうか。
  90. 涌井洋治

    政府委員(涌井洋治君) この法案におきましては、あらゆる経費について聖域なく抑制するというのが基本的な考え方でございます。
  91. 沓掛哲男

    ○沓掛哲男君 それなら四つに分けないで一括して書いておけばいいのを、四段階に分けてあるからそういうふうに申し上げたんです。  だから、そういうふうにしてあるけれども、これはたまたま十年度とかあるいはこの行革の期間だけの話であって、そういう重要度や優先度をこの事業につけてしたものではないんだということを言っていただければいいんですけれどもね。
  92. 涌井洋治

    政府委員(涌井洋治君) 先ほど申し上げましたように、聖域なく抑制するという考え方でこの法案はでき上がっているわけでございます。  その中で、特に科学技術のような経費については、今後の日本の将来を考えて、その重要性を考えて増額をしている、あるいは社会保障のように当然増があるものについては特に配慮したということで、その他については基本的には抑制するということでございます。
  93. 沓掛哲男

    ○沓掛哲男君 厚生大臣は来ていませんが、厚生省はどなたか来ていますか。  それでは、厳しくされた方について一つ二つお尋ねしてみたいと思います。  何といっても来年度において一番厳しいというか大変なのは、厚生省の八千五百億円を三千億だけふやしてもらえると。大蔵省さんは三千億だけふやすとおっしゃられるんだけれども、八千五百億円の自然増があるものを三千億だけふやして五千五百億カットするというのは、これは並大抵のことではないと思います。  厚生大臣はこの間から同僚議員のこの種の質問に対しては、いろいろ検討していく、いろんな委員会もつくってやっていくと言っているんですけれども、その五千五百億をカットする重さというものがどういうものかをちょっと知りたいので、厚生省に。  ことしの九月に医療の改革をやられました。老人保健のいわゆる通院あるいは入院の額を一部上げたり、薬価を調整したり本人負担を上げましたけれども、あれを年に直すといわゆる患者負担はどれぐらいなんでしょうか。また、それによってその予算はどれぐらい減るのか。その辺、数値があったら教えてください。
  94. 高木俊明

    政府委員高木俊明君) ことしの九月からいわゆる医療保険の改革の実施がなされておるわけでございますけれども、その中で、一つには患者の一部負担のかなり大幅な引き上げをお願いいたしました。これは九月から施行でありますが、先生のお尋ねはいわゆる満年度ということだろうと思います。  平成九年度ベースで、満年度でそれではどれだけの財政的な効果が出たのかということでございますけれども、患者負担では従来に増しまして九千八百億円負担増ということになります。それから、それらに伴いまして国庫負担が削減されるわけでありますけれども、約三千億円の国庫負担が従来のベースに比べますと削減される、このような状況でございます。
  95. 沓掛哲男

    ○沓掛哲男君 そうすると、五千五百億円を丸々この患者負担等で負担しようとすると、九千八百億円掛ける三千分の五千五百ということですから、一兆八千億円になるわけです。五千五百億円を丸々患者負担で見ていこうとすると、患者負担を一兆八千億ふやさなきゃいけない。そうすると、社会保障費の予算というのは五千五百億円減ずるという大変な額なんですね。  毎年毎年患者がこんな負担をしたんではこれはやっていけるものではありませんので、厚生大臣をお呼びして、ぜひ医療全体の合理化をよく図って、そして患者負担というのがこんなふうにどんどんふえないようにぜひやってもらいたいということをお願いしたがったんです。私、厚生大臣が出てこられると思ったんだけれども、やっぱり来られないんで、まあいろいろ所用があるんだと思います。  大変重大なことでございますので、これから毎年こんなふうに国民負担がふえるんではなくて、合理化をきちっと図り、そしてサービスと適度な患者負担の増、そういうものの展望をきちっと示していただきたいと思います。  もう改革期間中どんどん涌井主計局長のところで削って、あなたのところでどんどんやったら行き詰まってしまいますから、厚生省でぜひ医療全体の合理化、そして患者負担がどんどんふえないようにお願いします。ひとつあなたの意見を言ってください。
  96. 高木俊明

    政府委員高木俊明君) これからの高齢化を迎える中で、やはり医療費の増嵩というものもある程度避けられないわけでありますけれども、一方、二十一世紀、若い世代が非常に減ってまいります。そういった意味で、若い世代の負担が過重にならないような制度にしなけりゃいけないということでございます。  そういった意味では、長期的には今医療保険制度の抜本的な改革に取り組んでおります。そういった意味で、今、先生の御指摘の趣旨も踏まえまして、私どもとしては、国民皆保険というものを維持できる、そしてまたそれをこれからの子供や孫の世代にきちんと引き継いでいけるようなものをつくっていきたいというふうに考えておりますし、また短期的には、今、先生の御指摘のとおり、医療費の中におけるむだな面あるいは非効率な面というものを是正して適正なものにしていかなきゃいけないということで努力をいたしております。
  97. 沓掛哲男

    ○沓掛哲男君 景気が非常に不安定な中において中小企業対策というのは大変重要だと思いますが、この中小企業対策も本当に二番目に厳しく取り扱われております。  企業数で、事業場でいえば九九・一%が中小企業の事業場ですし、また従業員数では七八%がいます。その中小企業我が国経済景気の面で大きな役割を果たしております。  このような中小企業対策費の縮減を受けて十分な中小企業施策が展開できるのかどうか、通産大臣の御所見をいただきたいと思います。
  98. 堀内光雄

    国務大臣(堀内光雄君) お答えいたします。  先生のおっしゃるとおり、中小企業は事業所数で九九%、雇用で七八%というような大変我が国産業中心的な存在でございます。したがいまして、中小企業対策の総額につきましては、非常に厳しい財政事情の中ではございますが、平成十年度においては九年度と同額の一千八百六十五億円を要求しているところでございます。中小企業対策の重点化あるいは効率化を図ることを通じて中小企業対策の万全を期してまいりたいと思っております。  特に、具体的には市街地を中心とした中小小売商業活性化対策、物づくり基盤を支える人材育成対策、情報化等による経営革新対策等への重点化を図ってまいっておりますし、もう一つは、小規模企業対策等のいろいろの補助金がございますが、そのメニューの統合化を図りまして、使いやすいような形を行ったりいたしております。  さらに、予算面では、財投の面を含めまして貸付融資の面でさらに重点を置きまして、貸付規模に引き続いて中小企業者の資金需要に十分こたえられるような規模を確保してまいっております。特に高度化融資事業のようなものは、既往の貸付金の回収等を最大限活用して、万全を期して資金のニーズにこたえてまいりたいというふうに思っております。
  99. 沓掛哲男

    ○沓掛哲男君 もう一つ、Bクラスの厳しさのランクになっております農林業について特にお尋ねしたいと思います。  現在、稲作農家にとって最大の悩みは米の持ち越し在庫量の増大であります。これが常に市場の米価を下方に抑えております。石川県名産のコシヒカリもいつも最低限のところにありますし、大蔵大臣のササニシキも決めておるうちの一番下に、どん底にいつも落ちています。また、生産調整面積の増大圧力ともなっております。  現在、在庫米は三百九十二万トンございます。国産米が三百五十二万トン、それからミニマムアクセスのものが輸入米として四十万トン。このうち政府米が二百六十七万トン、いわゆる備蓄用が百九十万トンありますから、七十七万トンが政府米としては余剰になっておりますし、ミニマムアクセスは全部余剰米になっているわけです。  私思いますが、ウルグアイ・ラウンドのときにこのミニマムアクセスは、残念ながら細川内閣のときに自民党が与党でなくて発言の機会がなく、四年前の十二月十五日でございましたか、実はその二日前にそういう資料を得て自民党の方が質問いたしました。その結果、平成八年には四十三万トン、平成九年には五十一万トン、約百万トンが入ってくるし、またどんどんふえていくわけです。これは加工米に使いますから、日本の米がなかなかそこの分野で使えない。丸々これが持ち越しになってきているんです。そうすると、今の持ち越し米の三百九十二万トンの処理というのはなかなか難しい、制度的にも難しいしお金の面でも難しいんです。  私は、ウルグアイ・ラウンド費というのは、こういう輸入、ミニマムアクセスをしたことに起因するわけですから、せめてミニマムアクセスしたお米の処理にはウルグアイ・ラウンド費が使えるというようなことをぜひしていただきたい。そうしたからといって、国際間のいろいろな条約がありますので、これをすぐ外国にどうするというわけにはなかなかいきませんけれども、お金もないことが難しい二つの面になっておりますので、ウルグアイ・ラウンド費は当然このウルグアイ・ラウンドのために入ってきたミニマムアクセスの処理に使っていいと思いますが、大蔵省、いかがでしょうか。――まず農林大臣に、ウルグアイ・ラウンドの金のことは大蔵省ですけれども、その前の持ち込み在庫量の処理についての御所見をいただきたいと思います。
  100. 島村宜伸

    国務大臣(島村宜伸君) お答えいたします。  ウルグアイ・ラウンド農業合意関連対策は、もう先生には釈迦に説法になりますが、まさににわかに国際化の波をかぶることになった我が国農業のいわば体質を強化し、将来展望を開き、もって農村の活性化を促そう、こういうことで必要不可欠な事業として決定を見たところであります。また、そのUR対策費につきましては、「財政構造改革推進について」の閣議決定に示された方針等に即しまして見直しを行い、それに沿って十年度の概算要求を行っているところであります。  このようなUR対策の実施の経緯からして、米の在庫処理という直接的な米対策のためにこれを充当するということは困難な問題である、こう考えておるところであります。また、この在庫処理につきましては、今いろいろな角度から党の方でも検討されているところでございまして、近く結論を得たい、こう思っております。
  101. 沓掛哲男

    ○沓掛哲男君 今、党でいろいろ検討していて、私もお話は承っているんですが、そのときの一つの険路がやっぱりお金の問題になってくるので、今ウルグアイ・ラウンド費は足腰の強い日本の農業をつくるということでもあるんですけれども、このウルグアイ・ラウンドのお米、ミニマムアクセスによって今非常に困っている。この処理費に一部使えるように、ぜひこれは大蔵省判断で、大蔵省はだめだと言っていますが、そういうことについてひとつまた検討するぐらいのことはしてもらいたいと思います。
  102. 涌井洋治

    政府委員(涌井洋治君) 具体的に農林省の方からお話があった段階で、十分財政当局としても御相談に乗ってまいりたいと思います。
  103. 沓掛哲男

    ○沓掛哲男君 時間があれば法案について後でもう一つ聞きたいところがあるんですけれども、あとまだ質問したいところがありますので、先にそちらをやらせていただきたいというふうに思います。  けさ月例経済報告を聞かせていただきました。本来であれば尾身長官に簡潔に言っていただくのが一番いいと思いますので、済みませんが、簡潔にお願いしたいと思います。
  104. 尾身幸次

    国務大臣尾身幸次君) 本日、月例経済報告閣僚会議において報告をさせていただきました。  内容でございますが、総論の部分を簡単に御紹介をいたしますと、最近の経済動向を見ると、設備投資は、設備過剰感が薄れつつあることや企業収益が緩やかに改善していることを背景として製造業中心回復傾向にあり、純輸出は増加傾向にある。個人消費も、総じて回復テンポは遅いものの消費税率引き上げに伴う駆け込み需要反動減から立ち直りつつあり、雇用は、伸びは鈍化しているものの消費下支え要因となっている。しかし、住宅建設は、消費税率引き上げに伴う駆け込み需要により大きく増加した反動もあって弱い動きとなっている。こうした中で、生産は一部に在庫調整動きが見られるなど一進一退で推移している。  また、最近の株価の下落等、目立った動きが見られるということでございまして、総じて言いまして、このように民間需要中心とする景気回復基調は失われていないものと考えておりますが、経済は生き物でございまして、足元の状況は先月とも変わってきております。  企業景況感に厳しさが増していることもございまして、先月は「回復テンポが緩やか」であるという表現をしておりましたが、今月の報告では「景気はこのところ足踏み状態にある。」というふうにしているところでございます。  私どもといたしましては、総理の御指示もありまして、我が国経済構造の改革の前倒しという意味で経済対策をこの十八日火曜日に取りまとめるべく全力を尽くしているところでございます。
  105. 沓掛哲男

    ○沓掛哲男君 非常に簡潔にありがとうございました。  ただ、もう一つ今月の中で先月と非常に違うのは、雇用情勢の面でも雇用者数の伸びが鈍化してきたということが大変先月とは違う面だと思っています。そして、製造業や、また特に建設業での雇用者減が非常に顕著にあらわれようとしているという御説明もございました。  製造業もそうですけれども、建設業ではもうお先真っ暗です。この人たちは今までだといわゆる受注して生産するとまたそれで次の再生産を考えたりいろいろしているんですけれども、今の建設業というのは四方八方からたたかれていますから倒産をいかにしないかというのでかたくなって、何とか倒産を免れようという行動ですから本当に消極的で、雇用の面でもまたいろいろ使う面でも非常に厳しくなってきております。そういうのがきょうの尾身長官からの報告でございました。  そこで、私なりにまたいろいろ申し上げたいんですが、経済構造改革を円滑に進める上においても、現下の厳しい経済状況に迅速かつ的確に対応し景気の浮揚を図ることが喫緊の課題であると思います。このため、自民党平成九年十月二十一日に、規制緩和、土地流動化及び住宅対策中小企業対策、税制改革の四つを柱とする緊急国民経済対策を決めたところであり、またきょう、民間資金やその他のものをいろいろ活用して社会資本等の整備を促進するための第二弾を今打ち上げつつあるところだと思いますし、政府も今お話のありましたように十八日には経済対策を決定すると伺っております。  ところで、今回の経済対策には需要喚起に即効性のある公共事業投資や所得税の減税は入らない模様ですが、財政構造改革推進する観点からやむを得ない面もあると思います。十月二十一日に決定した自民党の四つの施策を柱とする経済対策は今後の我が国経済の活性化にとって私は極めて重要なものであるとは思いますが、国民、マスコミ等の反応はいま一つの感があります。それは、これらの施策の実現には幾分あるいはかなりの時間がかかり、かつ経済に及ぼす影響の大きさもはかりにくい、すなわち国民の目から見てわかりにくい点にもあるかと思います。  一例として、この中で規制緩和が非常に重要なテーマとして挙げられておるわけでございますが、これについて通産大臣にお尋ねしたいんです。  通産省は新規産業の創出や産業活動の効率化、活性化のために積極的に規制緩和を進めてこられましたが、これまで実施してきた規制緩和によりどのような経済効果が出たのか、またそれに要した時間なり期間はどれぐらいだったのか。また、将来、これからのものでも大きな経済的インパクトのものがあれば、それについても簡潔にお答えいただければありがたいと思います。
  106. 堀内光雄

    国務大臣(堀内光雄君) お答えを申し上げます。  通産省は、これまで新規産業の創出あるいは高コスト構造の是正というものを図るために、規制緩和経済構造改革の重要な柱として取り組んでまいりました。みずから率先して推進に積極的に取り組んできたところでありますが、先生御存じのように、我が省自体の、通産省自体の規制というものの緩和による効果というものになりますと、非常に狭められてまいります。  よその省庁の問題を含めていろいろと取り組みをしてきたわけでありますが、私どもの通産省を例にとって申し上げるとすれば、例えば石油について例をとりますと、特定石油製品輸入暫定措置法の廃止、これは平成八年の三月に実施をされているのではございますが、検討され始めました平成六年初めから既に効果がいろいろ出てまいりまして、自由化を先取りにした競争が激化をいたしました。ガソリンの価格は本年十月において平成六年一月より二十二円低下をいたしております。この結果、単純に計算すると、年間約一兆円の消費者への還元というものが実現したということになってまいります。  また、電力に例をとりますと、電気事業法の改正、平成七年の十二月に施行いたしておりますが、平成八年度の卸電力入札におきまして約四倍の応募が来ております。電力会社の上限価格を大体一割弱から三割半ばぐらいまで下回る電源約三百五万キロワットが落札をされているということを見ますと、発電卸事業への新規参入が促進されまして、大変大きな効果が出てくることになってまいります。  さらに、大店法の規制緩和では、経済企画庁の試算によりますと、九〇年度から九五年度までの五年間の年度平均で約四兆五千億円の需要効果があったとされております。  そのほか、商品ファンドの最低販売単位の引き下げというのがございまして、一億円から五千万円、さらに今年の十月からは五百万円まで下がりました。さらに来年度にはもっと下げることにいたしておりますが、これによってファンドの販売額が大幅に増加をするなどいたしまして、これまで非常に大きな経済効果を生み出しているというふうに考えております。  今後効果が期待されるものの一例といたしましては、さきの電気事業法の改正に加えまして、今度は電力供給システムのあり方全般についての見直しをいたしているところでございます。  これについて、現在電気事業審議会において国際的に遜色のないコストの水準を目指して、我が国電力コストを中長期的に低減する基盤の確立を図るために、海外における規制制度の改革の実態をも踏まえながら検討を行っているところでありまして、来年の五月までには改革の道筋を示してまいる覚悟でございます。
  107. 沓掛哲男

    ○沓掛哲男君 大変わかりやすく説明をいただきました。確かに去年四月の石油の自由化によってガソリンスタンドの値段が、平成六年八月からこれに着手されたものですから、一年半余のうちに二十二円下がったんでしょうが、私らそんなにまで下がったかなという気もするんですけれども、確かに下がりました。しかし、このガソリンスタンドにおけるガソリンの自由化などが一番効果の出るのが早いもので、それでも決めてから実施までにはやっぱり一年半以上かかっております。  それから、電力、大店舗その他、今後ともひとつぜひそういう面での規制緩和を進めて、経済的な活力を得るようにお願いしたいと思います。  ここで経済企画庁長官に、現下の景気情勢下においてどのような経済対策が必要とお考えでしょうか。政府経済対策の発表直前なので長官の立場で申しにくいのであれば、今の自民党の緊急国民経済対策について所見を言いただければと思います。
  108. 尾身幸次

    国務大臣尾身幸次君) 税制の問題は自民党税調あるいは与党税調、政府税調等もございまして、多少後に延びるかと思いますが、規制緩和につきましては主として、例えば都市部における容積率の緩和、現実にビルが相当建っだろうということを想定して、近い将来の実需につながるものを考えております。  それからまた、地方におきましては、農地の転用あるいは国有林野で必要なものの転用等を考えまして、そこにセカンドハウスあるいは郊外型住宅をつくるというようなことも考えておりまして、そういう意味からいいますと、相当の実需が望めるような規制緩和を進めてまいりたいというふうに考えております。  それから、さらに一般の規制緩和におきましては、電気通信、情報関係規制緩和を進めまして、二十一世紀に向かって相当程度長期にわたって日本経済構造改革民間需要中心でできるような体制をつくっていきたい、そのように考えている次第でございます。
  109. 沓掛哲男

    ○沓掛哲男君 ありがとうございました。  ところで、私は、現在言われている内容の経済対策では、もちろんそれはやっただけの効果があるのは今いろいろお聞きしたとおりでございますが、しかし、今の経済対策で年末年始にかけて景気がぱっと明るくなるというようなことは何か期待しがたいような気もするんです。それは多くの国民がはっとするような、心を打つようなものがないからだと思います。  財政の出動ができないことを前提として、多くの国民の心を打つ施策がもう一つ残されております。そのことのできる人、それはまさに日銀なんですけれども、きょうは日銀の松下総裁に来ていただいておりますので、ひとついろいろ教えていただきたいというふうに思います。  既に同僚議員から、昨日ですか、日銀総裁にいろいろ質問しておりますが、議論はすれ違いだったと思いますので、きょうは一歩深めてお尋ねしたいと思います。  さて、公定歩合の上げ下げには、そのタイミングとその上げ下げの幅が非常に重要だと思います。我が国は二年前の九月八日から公定歩合を〇・五%と超低金利としていますが、これを二%程度の低金利に上げた場合にどういう影響が出るのか、メリット、デメリットについて私なりにいろいろ検討もいたしましたので、総裁から御指導を賜りたいと思います。  まず、メリットについてですけれども、矢野誠也さん、もと経済企画庁におられた方でございますが、その人がいろいろ計算されて週刊ダイヤモンド等にもこの八月に出しておられます。  それによりますと、日銀統計による九六年十二月末の個人貯蓄残高は総計で千五兆円となっています。千二百兆円というのも日銀にはあるそうでございますが、この場合、少ない方というか、その総計千五兆円のうち、金利を引き上げても個人所得の増加につながらない保険の二百四十七兆円を別として、残り約七百六十兆円の金利が、仮に〇・五を二%に上げたとすると一・五上がるわけですから、一・五%上がると十一兆円の所得の増加を生むことになります。十一兆円の個人所得が入れば、この場合は金利ですから通常二割の税金が取られますから、大蔵大臣の懐には黙っていて二兆円どんと入ることになります。この十一兆円の所得の増加ですが、この人の文章ではさらに、所得の乗数効果は二・四ぐらいだというので、それで計算すると二十六兆円、GDPの五%強の景気浮揚要因となるとなっております。  GDPの六〇%を占める個人消費が、十一兆円の所得をぽんともらえば、だれだって背広の一着もつくってみたい、革靴の一つもつくってみたい。また、今スーパーでは専ら細切ればかり売れているんだそうです。肉の量は同じぐらい売れるんだそうです。しかし細切ればかり買っていって、いわゆるステーキの肉とかそういうのを買わないんです。そこでひとりでに下がっていくんですよ。ですから、今度はうちの御主人にステーキも食べさせたいという、そういうことで非常にいろいろな需要に対して刺激を与えてくれる、それがまた企業設備投資の意欲を増し、景気の力強い回復につながるのではないかというふうに私は思います。  なお、マイナス面としては、もちろん先般も総裁いろいろおっしゃっておられましたけれども設備投資や住宅投資あるいは銀行の不良債権の処理等への影響も挙げられると思います。これについては私なりにいろいろ図をかいて説明しやすいようにと思って持ってきたんですけれども、そういう設備投資、住宅投資、こういうものについても、〇・五から二程度であれば、私は逆に所得増等に伴うことでほとんど差がないというふうに思います。そういう悪い方の影響というのは私は非常に少ないと思います。悪いと申し上げたことについてはまた後ほど説明させていただきます。  そこで、まず総裁にお尋ねしたいんですけれども、〇・五%という超低金利はある程度その役割を果たしたのではないかということです。  公定歩合が引き下げられた一九九五年九月は、バブル崩壊による資産価値の下落を背景に昭和恐慌以来のデフレの底なし沼に陥るとの懸念が高まっておりました。具体的には、為替レートがその春には一ドル八十円ともなっておりましたし、それによって輸出も行き詰まっておりました。また、金融機関の破産、倒産がいろいろ続出しておりました。このような状況のもとで、松下日銀総裁の決断で公定歩合が〇・五%と、超低金利とされたわけでございまして、それによってデフレスパイラルや円高に歯どめがかかり、景気も緩やかながら回復軌道に乗ったのだと思います。このときの〇・五%は本当に私たちをはっとさせました。国民全体をはっとさせたのだと思います。その総裁の決断がその後の効果をより明確なものにしたのだと思います。  超低金利時代から低金利へと移行してはいかがかというふうに思いますが、もちろんこの金利等については日銀の専管事項であり、その頂点にある総裁でございますので、お差し支えのない範囲でひとつお答え、御所見をいただきたいと思います。
  110. 松下康雄

    参考人松下康雄君) 私ども二年前に、委員御指摘のように思い切った金融緩和の措置をとったわけでございますけれども、それから今日までの間に、企業におきますところの設備投資でありますとか、あるいは個人の住宅購入というような際の資金調達のコストの引き下げや、あるいは企業収益の下支えというようないろいろの筋道を通じまして、今日までこの低金利は経済活動の回復に貢献してまいったというふうに思っております。  ただ、現状におきまして、我が国経済はやはり依然として企業のバランスシート調整でありますとか、あるいは全体的な産業構造の再編圧力というようないろいろの重たい課題を背負っておりまして、現在なお自律的な回復軌道への移行が十分には確認できていない状況でございます。足元の景気は引き続き四月以降減速局面にございまして、また、このところ企業景況感、一般の見通しも慎重なものになってまいっております。  そこで、こういう状況のもとにおいてとるべき金融政策の考え方につきましての御指摘でございますが、私どもも、金利の引き上げが行われました場合に、家計の部門におきましては金利収入の増加というものがあらわれてくる、これは御指摘のとおりでございます。  ただ、その反面におきまして、やはりこれが企業サイド、日本経済を支えている基盤のところでどういう影響が生ずるかということも一方では十分注意いたさなければならないと思っております。  その場合に、私どもの考えでは、金利の引き上げは一方で企業の資金調達上のコストをふやすことになりますので、設備投資を初めとしましてもろもろの企業活動を行ってまいります場合には、企業がその活動から期待している収益というものがコストのふえた分減少することになってまいるわけでございます。  そういう状態になってまいりますと、企業としては思い切った活動の増加というふうになかなか踏み切れませんで、やはり企業自体の活動の増加が停滞をし、それがひいては雇用の面でありますとか、あるいは雇用者の所得の面でありますとか、それらに悪影響を及ぼすことになればその影響は非常に大きいと思うわけでございます。  個人の家計におきまして、所得の約八割は企業からの給与の収入でございますので、企業活動がしっかりし、将来もこれが拡大をしていくという見通しが立ちますれば、家計においては当然消費の割合を高めていっても大丈夫だという安心感が出てまいるわけでございますけれども企業の先行きがなお確信が持てない、投資や生産活動が増加しないという状態でございますというと、家計の側もそれに応じて消費を引き上げることをためらうということにならざるを得ないように思います。  私どもは、それら両面のプラスとマイナスとを比較考量いたしまして、現在の経済の段階におきましては、なお金融緩和の姿勢を維持することによりまして、企業活動をいま一つしっかりしたものにし、それから日本経済全体が自律的な回復過程に乗っていくという形に早く持っていくようにいたしたい、そういう考え方で運営をいたしておるところでございます。
  111. 沓掛哲男

    ○沓掛哲男君 今、日銀総裁は、やっぱり中央銀行ですから、銀行へお金を出す、そしてそれが企業に行く、したがって企業に大変ウエートを置いた考えだと思います。しかし、今何が一番問題かというと、需要がないことなんです。その需要は、個人消費がGDPの六〇%も占めているんですから、その個人消費を増す、そうすれば企業においても設備投資を増して、そしてそれが景気回復へとつながるというふうに私は強く思います。  そこで、では、国内だけでなくて外国との関係でちょっとまた質問させていただきたいと思います。先進国の公定歩合とその国の状況等を一言申し上げたいと思います。  ずっと調べてみたんですけれども、ドイツとかフランス、イタリア、そういうところをまず申し上げますと、ドイツは公定歩合が今二・五%です。去年のGDPは一・四%成長率、失業率は一〇%、きょうのデータではもっと上がっていましたね。さらに、フランスは先月三・一%から三・三%に公定歩合を上げました。GDPは去年一・五、失業率は一二・三。そのほかアメリカ、イタリア、英国いろいろありますけれども、一番低いのはドイツの二・五、そして日本だけ〇・五というふうにかけ離れているんです。  ドイツやフランスの今の景気情勢が日本に比べて隔絶していい、あるいは日本が隔絶してファンダメンタルズが悪いというふうには私は思いません。どうしてこんなに跳びはねた状態日本はいなければならないのか。もし本当にそうだとすれば、日本経済というのは先進国よりも脱落したというような、そんなイメージを受けてならないんです。先進国のほかの国を見てもそういう数値がないのに、日本だけ超低利の〇・五、その次が先進国ではドイツの二・五、それからフランスの三・三なんですね。なぜなんでしょうか。私は、個人消費というものをバランスを考えながらやっていくこともぜひ必要だと思いますが、この諸外国との対比についてお答えいただきたいと思います。
  112. 松下康雄

    参考人松下康雄君) 諸外国の公定歩合と成長率との関係につきましては、ただいま御指摘をいただいたとおりの関係でございます。  日本の場合におきまして、一昨年に〇・五%の低金利を採用することに踏み切りましたのは、やはりもうその前の段階で既に金利水準が一%まで低下をいたしておりまして、その一%の水準におきましての経済運営というものを判断いたしまして、さらにもう一段の下げが必要だということからこのような低金利となったものでございます。  ただ、諸外国の場合と日本の場合と考えてみますというと、状況的に見ますれば、現在、日本の物価の水準というものが、これは消費税の税率を調整いたしますとほとんど横ばいでございまして、上昇が見られておりません。諸外国それぞれにある程度の物価の上昇率というものもあるわけでございます。  そこで、金融政策の判断に当たりましては、各国それぞれが目標としますところは持続的な安定成長を実現していくということでございますけれども、実際に、具体的に金利の水準を幾らにすべきかという点になりますというと、それぞれの国の置かれた状況に従いまして、例えば物価水準やそれから企業設備投資状況やそういったものを判断いたしましてそれぞれに決めてまいるものでございます。  そういう点から、我が国の金利水準は現在非常に低い段階にございますけれども、これは、そういう段階のもとに経済が本当に活力を高めてくれるような、そういう期待を持って政策をとっているわけでございます。
  113. 沓掛哲男

    ○沓掛哲男君 国際化時代ですから、私は今おっしゃられたことがすぐそうかというふうには余りうなずけないんです。いろいろなことはあるにしても、それは国が違うんですからいろんな状況は違います。しかし、余りにも違い過ぎるのではないでしょうか。世界で一番低い先進国は〇・五、それに二・五、やっぱりその辺のところが私は非常に問題だという意識できょうお話し申し上げているんです。  そこで、もう一つ三番目に、金利は経済によって生み出される果実である、金融機関の皆様はいつもおっしゃいます。金利は経済によって生み出される果実だと。金利は、日本の場合はほとんどないんですから、じゃ日本経済は今果実を生み出していないんですか。そんなことはありません。これだけ大きなGDP等を生み出して繁栄しているんですから。そういう点で、日ごろ皆さんが言っておられることと非常に矛盾しているように私は思います。  超低金利の長期化は日本経済の将来性に赤信号をともしているわけです。日銀という日本で一番信頼できるところが〇・五。金利はほとんどないよ、日本経済はいわゆる果実を生み出さないよと言って赤信号を前にどんとつけているわけですから、企業はみんなびびってしまいます、どこの企業も。きょうの経済企画庁の説明の中でも一番問題は、個人消費がなかなか出てこないということを説明しておられました。  では、景気の現状はどうかということについて、いろいろ資料があるので少しお話ししますと、十一月四日の読売新聞に出ていた主要百社アンケートというのが最近では一番わかりやすく説明していました。これによりますと、総論的には非常に景気見通しについてはみんな厳しく言っています。  それは、足踏みと見る人が六〇%、緩やかに落ち込んでいるという人が三六%で、実に九〇%ぐらいの人が余りよくないと言っています。なぜですかと聞くと、やっぱり一番の理由は、ここでもそうなんですが、九七%の人が個人消費の低迷を挙げているんです。その次に住宅投資の減少とか政府経済対策のおくれがそれぞれ四〇%、不良債権処理のおくれが三二%と、総論的には非常に悪いんです。  だけれども、じゃあなたの会社はどうですかと個々に聞いてみて、自社の業況はどうかというと、これは非常に底がたいんですね。横ばいが三八、よいが三二、合わせて大体七〇%がまあまあいっていますと言っているんです。低迷というのは二〇%ですよ。懐ていいかわからない、金利面では金融の日銀さんは赤信号、政府大蔵大臣初め皆さん方の財政構造改革はお先真っ暗、なかなか明るい展望が開けない。となれば、なかなか困ったなということになってしまうので、私は現在の会社そのものがそんなに悪いわけではないというふうに思います。  そこで、もう時間もない、具体的マイナスをいろいろおっしゃられたので、資料をつくってきたので、日銀総裁を中心に、皆さんにもあわせてさっと説明させていただきたいと思います。(図表掲示)  まず、金利を〇・五から二%ぐらいに上げたときに設備投資がどうなるか、金利だけに着目してですよ。そうするとどういうことかというと、ここにも書いてきましたように、金利とか投資額曲線というのは、横軸に投資額、これを設備投資と見ればいいわけです。そして、こちらを金利と見ればいいわけです。そうすると、金利がゼロになったとき、その設備投資は今の日本時点で幾らと決まるわけで、それが金利が上がれば徐々に減っていきます。そして、金利が無限に上がっていけばこれはゼロになりますから、こういう曲線を描くわけです。  そうすると、今〇・五%というのは非常に低い位置にあります。仮にこれを二%にしても、本当にこの減少というのは非常に少ない。これがもっと五%とか六%に上がっていくと、これはぐっと返ってくるので、逆に言えば〇・五%を今〇%にしたからといって需要がばっとふえる、そういうこともないんです。ですから、〇・五%を二%にすることによる減少というのは私は非常に少ないと思います。現に、企業に聞いても、今余りそういう〇・五、一%ということを意識しているわけじゃないわけです。それはやっぱり需要がない需要がないと言うんですよ。ですから、需要をつくることが大切。このように下がってもいない。逆に、これによって需要ができれば、私は設備投資はふえる方向にあるというふうに思います。  住宅投資についても同じ傾向なんですが、これは住宅金融公庫の資金とかいろいろありますし、住宅というのは大体平均的に百四十万戸台を維持しておればいけるのが日本の国なんです。一時百六十万とかその辺をみんな超えていましたから、今は百三十万に減っていますが、そういういろいろなことがあってのことであって、金利が云々というならば、それはまた大蔵大臣、皆さんそれぞれの御配慮をいただいて、住宅促進税制とかそういう政策をいろいろやっていけるんだというふうに思います。  それから、銀行の不良債権も心配なものですからいろいろ調べてみました。そうすると、いわゆる都市銀行十行のうち、第一勧銀が悪いわけじゃないんですが、ちょっと扱い方が違っていますから、それを除いた残りの九行、さくら、富士、東京三菱、あさひ、三和、住友、大和、東海、北海道拓殖、この九つについて見ても、平成七年度では業務純益が二兆九千八百億円、低金利で上がっています。そして、不良債権の処理を含めて三兆三千八百五十一億円やっています。そして、いろいろ経費もあるから七年度では一兆七千億ぐらいの当期利益でマイナスですが、八年になると、かなり不良債権を出し切りましたから、いわゆる業務利益が二兆二千九百億、そして不良債権が前より大幅に減って一兆九千億、そして当期利益を三千五百億円出している。第一勧銀もそうなんです。ちょっと不良債権の処理のウエートが違っているだけです。そういうふうに都市銀行十行は、ほぼ不良債権問題を処理し切っているんです。  それから、今おっしゃったいろいろな企業のこれからの対応については、それなりに有望な企業は大いに引っ張っていかなきゃいけません。しかし、それは通産省の方で例えばベンチャーキャピタルの育成、それからまたベンチャー財団の創設などなどを通じていろんなことをやっておられるので、日銀としてはこれから国全体の経済景気がどうなるかというのをぜひ見ていただきたいと思います。  それから、時間がもう二分しかないので、最後一つ重要なことを申し上げたいと思います。  来年四月、改正外為法が施行され、内外の資金の流れが自由になれば、金利水準は国際的な調整にさらされることになるはずです。もし、公定歩合〇・五%の低金利のままであれば、円は国外へ行き、為替レートは円安へといくはずです。一ドルが恐らく百四十円、百五十円、百六十円というふうになるんじゃないでしょうか。そうすれば、対米輸出は増大し、米国からたたかれて結果的に公定歩合はアップせざるを得なくなるのではないでしょうか。いずれ、来年の四月までにこの超低金利から脱出せざるを得ないというふうに思いますが、ここで御意見を聞いている時間がないので続けさせていただくことをお許しください。  市場や経済の指標に忠実なだけでは金融政策の解は私は出てこない時代になったのだと思います。二十年、三十年前は、今、総裁のおっしゃったとおりだと思います。しかし、今はそうではなくて、やはり個人消費国民もいろいろな面で活動して、個人消費こそ日本の需要の創出を、GDPの六〇%も占めているんですから、ここの部門に、仮に今〇・五%を二%としていただければ十一兆円の所得が国民の懐へ入るんですから、そうすれば大蔵省も二兆円どんと入る。これはそれ以外に私はなかなか新しいものは容易じゃないというふうに思います。  もちろん、今ここで日銀の専管事項であります公定歩合についてその頂点にある総裁に何かと申し上げたことはおわびいたしますが、最後にもう一度、この今〇・五%という超低金利を、一・五%にでもいいんです、仮に二%程度の低金利にすることにより国民に今申し上げたような大きな利益をもたらし、そしてそのことが設備投資増へと進み、景気回復へといくのではないでしょうか。  政府経済対策と日銀の金融政策が車の両輪となって我が国景気の本格的な回復を達成されることを願って、また日銀総裁にぜひぜひお願い申し上げまして、私の質問を終えたいと思います。  どうもありがとうございました。(拍手)    〔理事高木正明君退席、委員長着席〕
  114. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 民主党・新緑風会の齋藤でございます。  一昨日、質問を予定して通告しておりながら、各大臣皆様方には大変恐縮でございました。きょう再度残りの法案についての審議をさせていただきたいと思います。  過日の私自身の質問最後総理にお答えいただきまして、財政構造改革会議の最終報告に基づきまして、加藤寛先生から今度の法案はいわゆるシーリング方式、財政抑制法案であり縮減法案である、そんなふうな提起もあり、総理としても甘んじて受けとめなきゃならないというようなお話がございました。  最初に、これまでも各議員方々からもそれぞれ御指摘があった点ですが、さらに詰めさせていただきたいんです。  言うまでもなく、行財政改革というのは中央省庁だけでなく地方自治体でも当然必要なわけであります。しかし、中央からの命令あるいは押しつけであってはならないというのはもう言うまでもないことでありまして、自治体は自治体としての自己責任、独自の主体的な自治の立場に立った行財政改革というのが求められているというふうに思いますし、現実にはいってきているというふうに思います。ただ、それが現行の中央集権的な行財政システムの中であるわけですから、極めて窮屈なわけでありまして、この苦労、困難性というのは実は大変な思いであるということについては御案内のとおりだというふうに思います。  さてそこで、ことし、先ごろ「時のアセスメント」と、こういうことを北海道が導入をされました。「時のアセスメント」という表現の仕方、どこからネーミングをしたのかなと私もいろいろ見させていたださましたら、「北の国から」などのテレビドラマで知られる脚本家の倉本聰さんを北海道の職員が訪ねたときに、公共事業のあり方についていろいろ話し合っていたときに、この「時のアセスメント」という言葉が生まれたそうであります。  時代の変化に即応した施策の再評価ということになるわけでありますけれども、いずれにしましても、一たん予算がついたらとどまることを知らない、これが大方の実情であって、ダム建設あるいは干拓事業、これはもう通常国会からもずっと継続して議論がなっております。言ってみれば、時間という物差しを当てて事業を継続していくかどうか考え直す制度であるというふうに理解をさせていただくわけです。  そこで、国の事業はすべて建設省、建設大臣の所管のもとではないというのは理解をしておりますが、きょうは一般質疑ということでございますので、建設大臣に建設省という所管の長としてのお立場で、この「時のアセスメント」という制度の導入について、どうお考えになられているのかということについて伺いたいというふうに思います。
  115. 瓦力

    国務大臣(瓦力君) 齋藤委員からの御質問でございますが、まさに「時のアセスメント」と申しますか、建設省では大規模公共事業に関する総合的な評価システム、こう建設省の場合長く名称をつけておりますが、これは新事業の評価及び計画策定後長時間を経過して社会経済情勢が変化した場合の再評価を対照して地域の意見を審議委員会等を通じて聞くシステムでございます。  委員御指摘のとおり、長時間かかる事業がそれぞれあるわけでございまして、建設省におきましてもダム、堰、こういった問題につきましては十三事業を対象としてこのシステムを活用させていただきまして、十一事業で意見を聞き事業に反映する、一事業については目下検討中であるというようなことで取り組んでおるわけであります。  まさに、中央におきましても地方におきましても、時間の経過する中でそれぞれに再評価をするということはこれらの事業を進める上で重要なことである、かように理解をいたしておりますし、また加えて地方の方々にも理解を深めていく、そういったことも一面あるわけでありますので、これらのシステムをこれから大いに活用してまいりたい、こう思っております。  これらの意見を踏まえて、事業者として責任を持って判断をすることと、かようにいたしておるわけでありますので、今後とも委員御指摘のように、中央のみならず地方におきましてもこうしたシステム、考え方が持たれることは望ましいことだ、かように理解をしておるところであります。
  116. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 どうもありがとうございます。  そこで、いわゆる中央と地方の関係になりますと、どっちがどっちというのはいろいろ事業によってなかなか判断できかねる部分があろうかと思うんですけれども、補助金がついたことによって仕方なく公共事業が継続をしている、仕方がなくなんという言葉が適切かどうかは別にして、要はそういう中央と地方の関係で時折耳にしたり目にしたりすることがございます。  これは後ほど自治大臣にもお尋ねするつもりでございますが、ぜひとも補助金の見直しの中では国と地方一体となって事業のあり方について、そして自治体の立場に立った見直しをしていただくということでの再評価をしていただくということを強く訴えさせていただきたいというふうに思います。  今、大臣から御答弁のあった審議委員会ですか、十三事業の例示がございましたですね。それは第三者というのは加わっているんでしょうか。わかりますか、どういう構成になっておりますか。
  117. 小野邦久

    政府委員(小野邦久君) 審議委員会でございますけれども、具体的に一番事業主体に責任を持っておられます知事さん、市長さん、あるいは当該プロジェクトの都道府県の議会の議長さん、市町村の議長さん、あるいはその地域の学識経験者の方々、そういったような方々に入っていただいて審議委員会を設置して、そこでいろいろ御意見を聞く、こういうシステムをとっております。
  118. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 私は、私見でございますけれども、この中止勧告権限までは持っていないと思うんですね、今はまだ、提起する場でありますから。我が党は公共事業コントロール法案というのをさきの通常国会出しました。これは否決をされたんですけれども。  言ってみれば、むだな事業を廃止することが急務であるということがこの「時のアセスメント」の一つの精神であるわけでありまして、中止勧告の権限を持った第三者機関というのが検討されるべきであろうかというふうに思います。そうでなければ、どうも従来型の審議会で役所がレールを敷いて、そしてそれがまた出てくる、こういうふうになってきますので、このことを申し上げさせていただきたいというふうに思います。  財政構造改革会議、建設大臣も自治大臣も今回の臨時国会を前にしての新しい組閣で加わられたわけでございますから、この最終報告、そして政府改革会議、いわゆる政治主導を掲げた今度の会議でございますが、これは最初から閣僚としてはお加わりになっていないわけでありますけれども日本財政構造問題を考えていくときに、中央と地方の税配分、税財源の見直し、さらには責任分担の見直しこそが私は最も重要な課題であるというふうに思っております。  中央と地方の行財政機能の見直しの大きなデザインを描いていくということがやはり先決事項であるわけで、このことが、行財政構造改革法案というふうにうたっておりますが、縮減だ抑制だなんていう議論より先に、この中央、地方の税財源の責任分担の見直しをしていくのだということが最も日本に求められている骨太の財政構造改革であろうというふうに私は思います。  そこら辺を財政構造改革会議ではほとんど素通りをしてしまって今度の法案に至ったのではないかというふうに私は判断せざるを得ないわけであります。  自治大臣、最終報告が出されて以降おなりになったわけですが、分権を推進する省庁の責任者とされて、基本的な今私が申し上げた点についての自治大臣としての所感をお伺いしたいというふうに思います。
  119. 上杉光弘

    国務大臣(上杉光弘君) お答えをいたします。  地方から見ますと幾つかの論点があるわけですが、分権をどんどん進めていきますと仕事量がふえて、財政が伴わなければ人手だけふえまして、財政がさらに苦しくなって大変なことになるのじゃないかという心配があることも事実です。それから、地方財政の現状を見ますと、平成九年度で五兆九千億もの財源不足を来しておる。  たびたび申し上げておりますが、そのような意味でお答えしたいと思うんですけれども、まず本法案は地方財政の健全化が緊急の課題であると位置づけておるわけでございます。したがって、これは地方財政の健全化を急いでとにかく片づけるんだと、こういう基本に立てば、社会保障や公共事業等に係る国と地方双方の歳出抑制につながる施策の見直しは当然です。  それで、地方財政の中で我々が理解をして対応しなきゃならないことは、公共事業が三四・五%、社会保障関連で一七・九%、教育関連で一七%、計六九・四、約七〇%、地方財政に公共事業、社会保障、教育が占めておる。これはすべて国と地方双方にまたがる歳出関係でございますから、これはおっしゃるようにきちっとした施策の見直しをしていかなきゃいかぬというのは当然のことでございます。  それからもう一つは、地方単独施策の抑制でございますが、三千三百の地方団体に交付税を配分するわけですが、国から歳入として入ったものではとても足りません。したがって、足りない分は借金をしまして、上乗せをした上で三千三百に財源の配分をする。  それから、おっしゃるように補助事業を国の方で方向づけをしますと、各省庁でございますが、これは補助事業の負担分、これは国が国債に依存しております財政体質から脱却できない以上は、お金がありませんから、負担分は地方債に、これも借金して、地方の負担分を間に合わせておる。  それからさらに、今の地方単独事業でございますが、財源措置はこれも財源がなければ借金をしなきゃならない、こういう厳しい状況にあることも事実でございます。  それからもう一つは、国と地方の役割を法令に基づいて分担いたしておるわけでございますが、最終の支出ベースで見ますと、地方が三分の二を分担しておる、歳出ベースでは。しかし、租税総額に占める地方税の割合は三分の一でございますから、いかに地方の財政が厳しい状況にあるかは御判断をいただけると思うのでございます。  こういう厳しい状況の中で地方の財政の健全化を国と同じようにやらなければならない、こういうことでございますので、自治省といたしましては、地方一般歳出を抑制いたしますとともに、特例的な借入金に依存する財政構造改革というのは避けて通れない課題である、地方分権推進委員会の第二次勧告に沿いまして、補助金等の整理合理化、地方一般財源の充実確保、地方財政制度の見直し等を積極的に進めてまいりたい、このように考えております。
  120. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 自治大臣に御答弁いただいたんですが、分権推進委員会の二次、三次、四次にわたります勧告のこの背景というのは、大変残念ながら、これは財政の急激な悪化という背景で論じられていることは私も認めます。  そこで、私は、現実的にあり得た選択というのは、中央から一律に地方財政を抑制して負担を転嫁していくのか、あるいは地方の自己責任そして選択によって財政状況悪化への対応を迫る、こういった仕組みを改めるかにあったんではないかというふうに思います。  したがいまして、たびたびお話をさせていただいていますが、日本財政構造問題というのを考えたときに、中央と地方の税財源の見直し、責任分担の見直しを図っていくんだということが最重要な課題であったというふうに思うわけでありまして、これは今も御答弁いただきましたけれども財政の健全化という御答弁しか出てこないんです。甚だ残念に思います。  いずれにしましても、この日本の今の仕組みにつきましてはいろいろな多くの識者の方も御指摘されていますけれども、権益の増殖を求めていく官僚制度、そして票を集める政治家、あるいは受益者として振る舞うしか選択の余地の乏しい地方自治体、こういう酷評もあるほどそれぞれ三者が拡張主義的な財政運営推進してきたという、こういう構造に問題があるんだということが言われているわけでありまして、構造的に歳出圧力へのアクセルばっかりかかっていてブレーキがかかっていないようになっているんではないかというふうに指摘せざるを得ません。そのことを強く申し上げさせていただきます。  外務大臣、角度を変えさせていただきますけれども、今度ODA予算は一〇%の削減ということになっておりますね。これはいわゆる二国間の関係だとか、あるいはODAの予算につきましては非常に多面的に我が国のこれまでの長い間、五十数年間の歴史の歩みの中で途上国に対してさまざまな外交政策とともに歩んできたわけでありまして、このことが報じられますとやはり大変な反響があったというふうに思います。  残り時間も少なくなってきたので、幾つかまとめてお伺いさせていただきますけれども評価システムについて検討していこう、こういうことになっておりますので、この評価システムの検討状況、内容につきまして、それから対援助国との関係で団体との協議をしていかなきゃならないわけでありまして、どういうような協議をしているのか、しょうとしているのか。  それから、ODAは外務省だけでなく各省庁にまたがっているんです。それは総括的に外務省がおやりになっていると思うんですが、一〇%というふうにした場合、これは大蔵省がやられるのかどうか。その辺の政策的な点とお金の点についてどうおまとめになり整合性をとっていかれるのか、幾つか伺わせていただきたいと思います。
  121. 小渕恵三

    国務大臣(小渕恵三君) ODAにつきましては、効率的な効果的な実施をするために、御指摘のような評価システムというものは極めて重要なことだろうと思います。特に、御指摘のように、財政状況厳しい折であり、かつまた一〇%の切り込みという中で、より一層精査をしていかなきゃならぬ、こう思っております。  従来からもいたしておるところでありまして、一九八二年からは評価報告書というのを出しておるわけでございますが、さらに外務省といたしましては改革懇談会をつくりまして、第三者による評価の一層の拡充、評価結果の将来の援助へのフィードバックの強化、評価で得られる教訓の体系化等をこれから実施していこうということであります。  もとより、ひとりよがりで外務省だけでできるわけではありません。援助国との協議を通じまして、評価の専門家の会合の場等を通じまして、評価手法の改善等につきまして協議をいたしておるところでありまして、さらに一層精査のできるような評価システムを構築していこう、こう考えております。
  122. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 量から質へということが書いてあるんですね。これは、通常ですと質の論議をきちんとした上でお金の話が出てくると私は思うんです。逆の場合もありますけれども、特にこのODAの場合は大切じゃないかと思うんですね、質の論議というのが。この議論が私は見ている限り不十分ではないかというふうに思います。  これは、また評価というのは国際的にGNP比とかいろいろ比較の仕方をするわけでありまして、ぜひ質の問題を早期に議論をしていく、これは国会も含めてしていくというふうに私は求めさせていただきたいんですが、いかがでしょうか。
  123. 小渕恵三

    国務大臣(小渕恵三君) 全く御指摘のとおりでございまして、量より質ということでありますが、質の評価というのはなかなか難しいことではあります。しかし、御指摘のとおりだろうと思いますので、今後あらゆる観点からこの問題についてとらえまして、その評価の適正化を図ってまいりたいと思っております。
  124. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 三洋証券の問題について、過日、平成会議員の方に、いわゆる投資家保護の法改正の御答弁をされております。その中で証券取引審議会報告、この総合的改革の法改正に向けて、これがベースになっていると思うんですけれども、この前御答弁いただいたのが破綻処理制度の整備ということで、顧客資産の分別の徹底という、こういうくだりがずっとあるんですが、その中に外債の保護預かり、これは含まれますか。  これについては、いわゆる外債というのは証券会社名になるんですね。個人が外債を買いますと名前が出てこないというふうになってくるんで、この保護について非常に危惧もされているんですが、この分別の徹底という中に含まれる法改正なのかどうか、伺いたいと思います。
  125. 長野厖士

    政府委員(長野厖士君) 外債についてお答え申し上げます。  外債はおおむねユーロクリアと言われておりますけれども、ヨーロッパにございます証券の保管機関におきまして、その外債の券面を預かり、そして流通・決済をその場において行うという仕組みがとられております。したがいまして、三洋証券の顧客が購入しました外債につきましても、三洋証券名義でそのユーロクリアというきちんとしたシステムの中に保管されておるということでございます。  今回の三洋証券の破綻に際しましても、東京地裁におきます保全処分命令によりまして、顧客資産の返還に係ります例外措置が講じられておりましたけれども、その中で、名義上三洋証券のものとなっております。そういった外債につきましても、例外措置の対象としてすべて保護をするという裁判所の取り扱いになっております。
  126. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 大臣、今回の三洋証券の破綻からどういう教訓を学ばれたのか、それを伺って終わりたいと思います。
  127. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 金融システム改革に手をつけております。自由市場、まさに国際化のセンターにあるわけであります。我が国も自由市場を目指して法制の整備、業界の意識改革を促しておるところであります。いわゆる護送船団方式からの別離であります。自分の両足でしっかりと立って競争市場の中で、日本のファンダメンタルズ、基礎的条件は決して悪くないわけですから、そこで活躍し、国民の期待、投資者の期待、世界的なまた貢献のためにやってほしい、この視点でベストを尽くしてまいりたいと思っております。
  128. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 私は、短い時間ですからなかなか言い尽くせなかったかもわかりませんけれども、いわゆる大蔵主導の再建というのは不可能だったということを、このことが今度の三洋証券の破綻の幾つかの理由の中に明確になっているんではないかというふうに申し上げさせていただきまして、私の質問は終わります。(拍手)
  129. 竹村泰子

    竹村泰子君 民主・新緑の竹村でございます。  初めに、財政の問題に入ります前に、先ほど同僚の議員からも御質問がありましたが、きょうの朝刊に大きく報道されております福島県西郷村の社会福祉法人幸愛会白河育成園についてお尋ねいたします。  またしても繰り返されているこういった障害者に対する暴力、虐待の問題です。時間が短いので余りお尋ねできませんけれども大臣に二つだけお尋ねしたいと思います。  この施設に対して、公的な補助がされておりましたでしょうか。
  130. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 毎日新聞に報道されました白河育成園、この施設の整備については、国庫等の補助を受けることなく私的な事業として独自の財源で整備されたものであります。また、施設の運営費については、平成八年一月にこれまでの私的な事業が精神薄弱者更生施設として認可されたことに伴い、入所者の処遇に当たる経費として福祉事務所より措置費が支払われており、これに対して二分の一の国庫負担がなされております。
  131. 竹村泰子

    竹村泰子君 例の宇都宮病院事件から数えてももう十数年。後を絶たないこうした虐待、暴力、弱い人々が苦しみを受け続けているわけであります。「薬と暴力 抑圧の王国」なんというショッキングなタイトルがつけられておりますけれども、このような問題がまた再び、私もここだけではないと思うんですね。非常に多くの施設でこういったことが密室の中で行われているのではないか。どう対処されますか、御決意を聞かせていただきたいと思います。
  132. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) あの新聞の報道が事実であったとすれば、あのような人権侵害はあってはならないことでありまして、従前から都道府県や法人に対し入所者の人権を尊重した処遇が行われるよう指導しておりますが、今回の件に関して、この施設で行われていた入所者処遇の実態を調査して、現に入所している方々の今後の処遇のあり方や法人及び施設の今後のあり方について福島県や東京都に対し適切に対処するよう指導していきたいと思っております。  なお、特に人権侵害を受けた精神薄弱者等の訴えを適切に酌み取るため、休日を含めた常設の電話の相談窓口を設け、事案に応じ法律、教育、行政関係者から成る専門相談チームを編成して相談に応じる障害者人権一一〇番事業を都道府県、指定都市において実施できるよう、平成十年度予算概算要求に盛り込んでいるところであります。
  133. 竹村泰子

    竹村泰子君 小泉大臣のまなじり決した御対処をぜひ心から強く望んでおきます。  それでは、財政構造改革の問題点について聞いてまいります。  衆議院のこの特別委員会で、さきに私が予算委員会で指摘をしました第四条の貯蓄投資差額についての問題点を含め、多くの問題点があることを我が党は指摘いたしまして、修正案を提出いたしました。残念ながら修正案は通過しませんでしたが、修正案によってこの法案が極めて多くの問題を含んでいることが明らかになったと思います。  さらに私は、同法に沿って幾つかの問題点を指摘し、質問したいと思います。  まず、第三十四条から第三十八条にかけて「補助金等の見直し」の規定というのがあります。その第三十八条二号には以下のような条文があります。「補助金等の交付の目的等に応じ、当該補助金等の交付の決定の概要等を公表することとし、一公表に係る具体的方法等について定めるとともに、補助金等における予算の執行に係る手続の簡素化又は合理化に努めること。」。  今も私お聞きいたしましたけれども、これまで補助金等の交付は全くのブラックボックスの中にあったと言ってもいいと思います。このような基準で交付の決定が行われ、さらにどのようなところに補助金が交付されたのか、国民は知る由もなかったわけです。岡光事件等を引き起こした元凶だと言われてきたわけです。  今回、こうした反省があったのでしょうか。補助金等の交付決定の概要等が公表されることになっている、大変いいことだと思いますが、この基準、経緯、理由、そういったことをお聞かせ願いたいと思います。
  134. 涌井洋治

    政府委員(涌井洋治君) お答え申し上げます。  この規定は、できるだけ予算を透明性をもって広く国民に示していくという考え方のもとに設けられた規定でございます。  具体的にどのような概要等をどのような方法で公表するかにつきましては、各省各庁の長が適切な措置を講ずることになるわけでございます。例えば、補助対象施設についての交付決定の概況一覧を各種の広報媒体によって公表するなどの方法によることも考えられるのではないかと思いますが、いずれにしても、これは各省各庁の長が適切に判断するものと思っております。
  135. 竹村泰子

    竹村泰子君 簡単なお答えでしたけれども、交付の基準、交付決定の経緯、理由、そして交付決定の詳細な結果が公表されなくては何の意味もないんじゃないでしょうか。  きょうは総理がおいでにならないので官房長官にお尋ねいたしますが、私が挙げたこれらの内容がすべて概要等の中に盛り込まれることをぜひ約していただきたい。それから、「公表に係る具体的方法等について定める」と言っていますが、それはどこが定めるのだとお思いになられますでしょうか。総理にかわってお答えいただきたいと思います。
  136. 村岡兼造

    国務大臣(村岡兼造君) 今御質問ありましたけれども、私、この点については突然の質問でございますので……
  137. 竹村泰子

    竹村泰子君 いいえ、突然じゃありません。きのう通告してあります。
  138. 涌井洋治

    政府委員(涌井洋治君) お答えいたします。  この法律の中で、「補助金等の交付の目的等に応じ、当該補助金等の交付の決定の概要等」、具体的に申し上げますと、例えば補助金等の対象あるいは金額、箇所づけ等を公表していくということでございます。
  139. 竹村泰子

    竹村泰子君 公表しているところでございますというお役人のお答えはわかっているんですけれども、私がきのうちゃんと通告をしておきましたのは、総理に本当はお聞きしたがったんですが、きょうは一般質問でおられませんので、これらの内容はすべて概要の中に盛り込むことを約束してほしい、それから公表にかかわる具体的な方法についてどんなふうに定める決意なのかと。そういう政治的なお答えを、きのう通告してございました、どこかで連絡が途絶えていたようでありますけれども。  大蔵大臣、今の御決意のほどを。
  140. 三塚博

    国務大臣三塚博君) スリムなそして効率的な行政機関、これは国民の信頼を得ることに通じます。また批判を受けることにも通じます。そのことによって行政の現代的な役割、二十一世紀に向けての対応が進んでいくだろうと思います。  そういう観点から、今後とも御指摘の趣旨を踏まえながら、できる限りわかりやすい行政に取り組みますためディスクロージャーに相努めてまいります。
  141. 竹村泰子

    竹村泰子君 財政資金に補助金が圧倒的に多いということは事実ですけれども財政資金はほかにもありますね。特殊法人や認可法人の補助金等の交付のもとになる出資金というのがあります。この法案には出資金について規定を設けなかった、何も書いてありません、それはなぜなんですか。
  142. 涌井洋治

    政府委員(涌井洋治君) 今回の法案におきましては、歳出全般につきまして聖域なく規定を設けているところでございます。  ただ、その中で各主要経費等に加えてさらに補助金について規定しておりますのは、補助金が一般歳出の中で約四五%を占めていること、そういう意味では財政構造改革推進する上で補助金等の整理が不可欠であることを踏まえまして、経済社会情勢の変化、行政の各分野における国と地方、官と民との役割のあり方という共通の尺度を用いてその見直しを図る旨を規定しているわけでございます。  したがいまして、その出資金について具体的に規定しておりませんが、例えば出資金は社会保障であるとか、あるいはODAであるとか、各主要経費の中にそれぞれ含まれているわけでございまして、それぞれの主要経費の中でキャップがかかっております。さらに、最近では平成七年の閣議決定で、すべての法人について事務の縮減を含む事業の合理化、効率化を図ることとされております。そういう事業の見直しとあわせて、特殊法人に対する出資金についても見直しをしていきたいと考えております。
  143. 竹村泰子

    竹村泰子君 金額が少ないとか全体に与える影響の度合いも少ないとかというのも理由なのかもしれないと思うんですけれども、だから規定しなかったというのは理由にならないと思います。  特殊法人や認可法人にとって出資金は補助金とほとんど同じ意味を持っています。大蔵大臣もよく御存じだと思います。現在、補助金と出資金を合わせて約五兆円の資金が毎年特殊法人、認可法人に流れていると言われています。その実態も定かではありませんが、これら出資金は補助金等と同じような使われ方をしており、だからこそ法人によっては多額の欠損金を抱えているわけであります。  補助金等が減額されることによって、一方で出資金をふやした結果として、特殊法人、認可法人への財政資金の供給が減らなかった、何かシーソーゲームのような、補助金を減らしても出資金をふやしていったのでは何にもならない、そういうことにはならないでしょうね。明確に御答弁ください。
  144. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 今度の財政構造改革は、まさに財政健全化という基本、そして量的縮減目標を一般会計について明示する。同時に、このことは特別会計、それから公社公団、特殊法人につきましても及ぶわけであります。そういう点で、補助金、出資金の別を問わずチェックをいたしまして、適切に行われておるか、国の需要、民間の需要に応じ、民間というより国民の需要に応じて責務を果たしておるか等々の基準で厳しく見直して節減を図ってまいる、こういうことであります。
  145. 竹村泰子

    竹村泰子君 私、今補助金等や出資金の特殊法人、認可法人への交付の実態が定かではないと申しましたけれども、実際、多くの法人が存在していることは国民も知っております。でも、具体的にどんな業務を行っていて、どの法人は何をしているんだろうかとほとんど知らないというのが実情ではないでしょうか。やっぱり顔が見えないんです。顔の見えるような存在にすべきではないでしょうか。  具体的に言いますと、財務諸表とかを国会に提出しておりますけれども、これを見て、どんなことを具体的に行っている法人だと、だから補助金や出資金を出してもいいと大蔵大臣はお一つ一つちゃんと、失礼ですが、理解をしておられるでしょうかと私思うんですね。財務諸表等のより明細化、そしてディスクロージャーを含めて法人の顔がもっと見えるように努力すべきではないでしょうか。大蔵大臣、そして官房長官、御両所にお伺いしたいと思います。
  146. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 財務諸表の問題は、御案内のとおり、予算審議の参考とするため、財政法の命ずるところにより、国が出資している主要な法人の資産、負債、損益その他についての状況に関する調書という形で特殊法人等の財務諸表を国会出しております。  このことが、なかなか顔が見えないということについては、この財務諸表についてどうするべきかということであるとは思いますが、企業会計原則に準拠して設けられました特殊法人等会計処理基準、こういうことに基づいて作成されておりまして、従来よりの会計処理の適正化及び財務諸表の明瞭化を図っていると御理解いただいても決して間違いのないことであろうと思います。  いずれにいたしましても、御指摘の点は踏まえまして、わかりいいようにしていかなければならぬという趣旨はよく承知をいたしますので、これまたディスクロージャーに相努めてまいります。
  147. 村岡兼造

    国務大臣(村岡兼造君) このディスクロージャーについては先生のおっしゃるとおりでございまして、このため、前国会において特殊法人の財務内容のディスクロージャーのための法律を整備したところでございますが、もう一方において、九年度中でございますけれども、国の行政機関に対する情報公開法案についても今立案中であります。
  148. 竹村泰子

    竹村泰子君 続きまして、第三十九条以下に「地方財政の健全化」ということが規定されています。第四十条に次のような条文があります。「政府は、地方公共団体の財政の自主的かつ自立的な健全化が円滑に推進されるよう、地方公共団体に対し、適切に行政上及び財政上の措置を講ずるものとする。」と。  これは大蔵大臣にお伺いいたしますが、「地方公共団体の財政の自主的かつ自立的な健全化」というのはどのようなことを考えておられますでしょうか。
  149. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 本件につきましては、地方財政、国の財政、いつも申し上げるとおり車の両輪であります。これがしつかりと運転をされ運行しておる限り、国と地方一体となって国民の期待にこたえることができます。こういうことの中から、財政構造改革推進していくという点においては国と地方が一体であるというふうにさせていただきました。  よって、地方につきましても徹底した歳出の抑制が必要であるという前提の中で、今回の法案に基づきまして、地方財政計画の策定に当たりましては、国、地方双方の歳出抑制につながる施策の見直し、そして地方単独施策の抑制などにより、地方財政計画上、地方の一般歳出についても国と同一の基準の中で抑制を図るということにさせていただいております。  平成十年度におきましても、投資的経費に係る単独事業について対前年度比マイナスとすることなどにより地方一般歳出を対前年度比マイナスとすることを目指す、こういうことであり、自主的な運営ということは、もちろん地方自治でございますから、その基本にあることは理解をしております。  分権の問題が二次にわたり答申をいただいております。三千三百の地方自治体がみずからの創意工夫と、税収のあり方、また国の財源の再配分という基本的な問題に地方自治体が自治体として機能していく大改革が成功する大前提としてそこにあると思いますので、そういうところに到達するまでおのれの足でしっかりと立ちまして、地域住民のために政策を行ってまいるということが自主的な地方自治運営の根幹であると存じております。
  150. 竹村泰子

    竹村泰子君 ここのところは自治大臣にお聞きした方がよかったのかもしれませんけれども、ちょっと一つだけお伺いいたしますと、例えば機関委任事務をできるだけ少なくして、そして自主財源を多くするように努める、こういうことも入っておりますか。今の「財政の自主的かつ自立的な健全化」という中にはそういうことも入っていますか。
  151. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 当然入っております。
  152. 竹村泰子

    竹村泰子君 私なりに解釈すれば、地方分権推進委員会の勧告を厳格に守り、そして現在三割とか四割自治とか言われている自主財源を六割から七割へ、さらにそれ以上を目指して高めていくことだと。そして、国はそうなるように措置を講じなければならないということを規定しているというふうに理解しますが、よろしいでしょうか。
  153. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 地方分権推進委員会第二次勧告、委員もよく御存じの上での御質問であります。  問題は、国と地方との役割分担を踏まえながら、中長期的に国と地方の税源配分のあり方が確定をしていく、そのための検討が前段において真剣に行われるということを基本として私ども相努めてまいらなければならぬと思っております。
  154. 竹村泰子

    竹村泰子君 官房長官、私はこの条文の意味するところは大変重要なことだと思っております。単なる努力規定とか努力義務とか、そういうことで済まされてはならない。明確に「行政上及び財政上の措置を講ずるものとする。」と規定されているわけですから、国、特に政府の責任は非常に大きいものがあると思います。  官房長官の御見解を伺わせていただきたいと思います。
  155. 村岡兼造

    国務大臣(村岡兼造君) ただいま大蔵大臣答弁したとおりでございますけれども、今後、地方分権推進委員会の勧告を踏まえ、適切に対処していきたいと考えております。  もう先生御承知のとおりでございますが、国と地方の財政関係の基本的な見直しの方向と国と地方の経費負担のあり方、あるいは国庫補助負担金の整理合理化、存続する国庫補助負担金に関する運用、関与の改革、個別の国庫補助負担金の整理合理化及び運用、関与の改革等、地方税財源の充実確保、こういうような答申が出ておりますので、真剣に対処していきたいと思っております。
  156. 竹村泰子

    竹村泰子君 時間がなくなってきましたので、私はいつも予算委員会などでも申しているところですけれども我が国財政は一般会計予算の六割近くが特別会計に繰り入れられて、一般会計、特別会計全体では三十兆円以上の資金が国から地方自治体へ、五兆円近い資金が公団、事業団などの特殊法人、政府関係機関等に流れる仕組みになっております。  予算制度は財政法第二条によって現金主義をとっており、実際の予算管理も省庁別、縦割りの、いわば大福帳方式といいますか、そういうふうになっているため、民間企業のように国の資産と負債を総合的に管理することが非常に困難な状況になっています。一般会計と特別会計の間で資金をやりくりすることによる約五十兆円の隠れ資金の存在や、公共事業負担金など、地方から国への上納金の仕組みなどもあるわけです。  財政の全体像は、予算書、決算書では極めてわかりにくい。国民は、税金の使い道が非常に不透明である、こういう私は不幸な国の財政であると思います。借金を含めた国と地方の債務残高は五百二十兆円、そういうことになっているわけでありまして、私どもはこういったことを、ひとつきちんと予算編成権を国会が取り戻すことができるようにしっかりと仕事を続けていかなければならない。  これは私の決意でもありますが、どうぞ大蔵大臣の御決意もぜひしっかりとお定めくださるようにお願い申し上げたいと思います。(拍手)
  157. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 今、竹村さんが質問をされた問題に若干関連をいたしますけれども、私は、官房長官に御出席いただいたから、総理にかわった立場でもって、内閣全般の考えなきゃならない問題について質問したいと思っているんです。  今、竹村さんの質問の中で、特殊法人の問題が出てきた。あるいは総会屋の問題、きょうは午前中の本会議で、実は商法及び株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律の改正案についての趣旨説明があり、質問があったわけです。それで、大森礼子さんが質問されたんですが、あの方は非常に早口だったものだからよく聞き取れなかった点もあるんです。そこで、そういう点は官房長官からじっくりと答弁をしてもらいたいと思ったわけです。  特にその中で、今も特殊法人とか、あるいは顔が見えないという話があったんです。顔が見えないだけじゃなくて影も見えないわけです。やみ夜のカラスとか昼間の幽霊みたいなもので、これじゃやっぱり私ども困るわけですよ。つかめないんですね。だから、そういう問題を考えますと、特に総会屋の問題については、これは非常に重要だろうと思うんです。  それで、ことしくらい汚職が新聞種になった、あるいはテレビの中に出てきたという年はないと思うんです。もうじきことしも終わりますけれども、ほとんど汚職汚職でもって来ちゃった。こういう状態はまことに嘆かわしいことだと思うんです。  そこで、こういう問題を根本的に一体どうしたらいいのか。  今までもう有名な企業が軒並み顔を出して、証券会社だって、野村、山一、日興、大和と、トップクラスがすっかり並んでしまった。さらに最近、第一勧銀とか東芝、三菱、松坂屋と、もうすべての有名な企業が全部軒並み出てきて、週刊誌だってあるいはテレビだって、こういう幹部どころが何人も顔をそろえて深々と頭を下げる。深々と頭を下げたからといって、それを見ている国民が、これでわかった、これでせいせいしましたというわけにいかないんです、その奥がわからないんだから。  犯人は一体だれなんだと、総会屋だというんですね。総会屋という職業があるのか。これは外国語にしたら何と言うんだろう。外国でもこういう組織なり職業があるのか、日本だけなのか、一体どうなんだろう。総会屋がすべて絡んでいるものですから、これはひとつ官房長官にお聞きしたいと思うんです、総会屋というのは一体何なのか。
  158. 村岡兼造

    国務大臣(村岡兼造君) 私の聞いている範囲では、欧米諸国にはいわゆる総会屋は存在しない、これは日本独自なもの、英語等に総会屋に相当する言葉はないと承知しております。  総会屋の一般的な認識というと、いわゆる総会屋についてこれを定義することは困難でございますけれども、会社の株式を取得して会社に金品を強要し、その供与を受けると総会において一般株主の発言を抑えて会社側の議事進行に協力し、まあ与党的総会屋と、こういうことです。会社からの金品の供与を拒まれると、総会において議事の進行を妨害して議場を混乱させる、その反対の方は言いませんが、のようなものを言うとされておる、こう思っております。
  159. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 今までテレビでもあるいは新聞でもこの総会屋という言葉がどのぐらい出てきたかわからないですね。だけれども、一体そういう組織があるんだかないんだか、だれが総会屋を牛耳っているんだか、そこもまたわからないんです。  今の官房長官の御説明は上品な言い方でもって解説をしていただきましたけれども、それだけでもって一般の国民がわかった、ああそうかいといってこれを納得するわけにいかないんですね。その辺を、これからの対策として一体これでいいのかということを考えたならば、政府としてもきちんとした対応策というものがなきゃいけない。  きょう本会議でもありましたよ、せっかく本会議で。そこでも明確な対策なり答弁というものは出てこなかった。だけれども、これから大事な問題であろうというふうに私は思うから、内閣全体の、日本全体の大事な問題だと思うので、さらにその点を官房長官から、いかにすべきか、どうしたらいいのかということも含めてお答えいただきたい。
  160. 村岡兼造

    国務大臣(村岡兼造君) もう大変重要な質問でございまして、昭和五十六年の商法改正後もこの総会屋をめぐる事犯は後を絶っておらず、特に最近の事件では、金融機関等の最高幹部が関与して会社ぐるみで犯行に及ぶなど、悪質、重大化が進んでおります。  総会屋の活動が株式会社の運営の健全性を著しく害するものであるのみならず、我が国経済社会に深く浸透し、これを内部からむしばみつつあるものと認識しております。このような状況では我が国の国際的な信用が失墜し、株式の下落の一因となっておるような重大な問題でございます。  したがいまして、本年七月にいわゆる総会屋対策のための関係閣僚会議を設置いたしまして、経済界協力を得ながら、政府を挙げてその対策に取り組んでいるところであります。十一月六日には、私自身みずから関係閣僚とともに経団連等の関係団体と直接会い、会社不祥事に対する経営者の意識改革の必要性を強調するとともに、いわゆる総会屋等との絶縁を要請いたしました。また、現在審議されている利益供与罪等の罰則強化のための商法改正法案も総会屋対策の重要な一環をなすものであり、内閣を挙げてこの総会屋対策に取り組んで絶滅を期したい、こう考えておるところでございます。
  161. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 大変に力強いお言葉でありますけれども、今までの総会屋の絡みというのは、企業の首根っこを押さえて企業を振り回して、そしてその間に弱点をついて金品をねだる、あるいはたかる、こういうことをやってきたわけですね。現行の刑法あるいは商法、これは違反というだけでは取り締まりは十分できないんじゃないかなという気がするんです。だから、法的にこれを規制するなり、取り締まるなりということだけではなかなかはかどらないだろう。  株主総会の持ち方自体、これはやはり考えなきゃいかぬだろうと思うんですね。労働組合でいえば年次大会みたいなものです。労働組合の大会といえども、大会をやる場合には事細かな質問が出る。だけれども、その間に入って早く大会を済ませるために大会屋なんというのは聞いたことがないですよ。これはやはり白日のもとでやりとりが行われる。だから、株主総会のあり方をもう少し明快なものにするというようなことも必要だろうと思うんです。  官房長官自身が経団連の幹部とお話しになったということなんですが、その幹部との話し合いの中でどんな意見が出たのか。建設的な意見が出されているのか。話だけで終わってしまったらしょうがないんだから、前進をさせるために、浄化を図るために何らかの建設的な意見というものが出たのかどうか、そこら辺も含めて官房長官にお伺いしたいと思うんです。
  162. 村岡兼造

    国務大臣(村岡兼造君) この前、私を初め関係閣僚と経済界方々と懇談いたしました。その際に、いろいろ株主総会の話も出ました。  ある会社の方でございますが、実は懇談の中に、株主総会では八時間ぐらい立ちっ放しですよと、こんな話でございました。本当に立ちっ放しでしょうかと言うと、そうだと。じゃ、なんで座ってお答えできないんでしょうかと。そしたら法務大臣から、しかし八時間やるところは特別であって、平均の株主総会は三十分だと。私どもの方から、これは三十分で終わらせるというのは、一番スムーズにいっているけれども、一番総会屋と怪しいんですよと。八時間もあるいは十時間もかかっている会社もあるんですが、三十分や一時間ではこれは怪しいんですよと。国会なんか二日、三日もやっているんですから、どうぞひとつ総会屋に頼まないで十分な審議をしていただきたい。  ところが、旧来のいろんなきずなからなかなかこれを断ち切れないでいる。代表方々は別として、業界の中にうんとありますと。だから、業界自体で絶縁宣言をしたり、会社内部で本当に総務部長とか何かが挙げられて、今度だんだん上に来る。もうトップの意識を改革しなきゃいけない。  同時に、これを根絶するため、警察とかあるいは法務省と十分連絡をとり合って、一社でやるとなかなか容易じゃない、業界で相談してこれを根絶していただきたい、こういうような話もいたしました。  経団連等では、絶縁宣言しただけではだめだ、もしこれに違反するようであれば経団連の会員を除外すると、こんな話までも出ている状況であります。徹底してやっていきたい、こう思っております。
  163. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 八時間立ちっ放しというのも確かに異様ですよ、これは。そんなところから三十分で片づけようというような発想が生まれてくるんだろうと思うんです。確かに、三十分で片づけるところの方に問題があろうと思いますね。それは、何かやはり間にいろんな事情が入って、そして早いところ片づけようという動きがあったんだと思われてもしようがない。株主に十分に納得を得るようなことは二十分や三十分じゃできないと思うんです、我々素人が考えてみても。  だから、あくまでも透明にその経営の内容がわかるような方法を会社の株主総会でも考えなきゃいけないだろうと思うんです。そういう努力が行われればそんなに余計な時間をかけなくたってわかるはずだろうし、またそんなに長い時間をかけないで株主を納得させるような説明ができないと会社側としてもまずいんじゃないかなという気がいたします。  そこら辺の工夫をこれからの株主総会の運営なんかで生かすような方策はあるものかないものか、その点も含めてお伺いしたいと思うんです。
  164. 村岡兼造

    国務大臣(村岡兼造君) これは、株主総会でいろんな事例を挙げて八時間説明する、それはお座りになってやったらいかがですかと、こういうような意見は言うんですが、株主総会のやり方自体については私どもでどうこう言うことはできない。しかし、批判されておりますこと、経営のトップが本当に意識改革をして、総会がスムーズにいったら昇進するというようなことはやめていかなきゃいけない、こう思っております。  一方また、警察当局も、相談を受ければそれを断ち切るようなことも呼びかけておりますので、なお一層注意しながら絶滅を期していきたい、こう思っております。
  165. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 官房長官、時間の都合もおありでしょうから、この一問で私の質問を終わらせていただきます。  北朝鮮から里帰りをした方が十五人いらっしゃいました。しかし、行った人は千何百人でしょう、正確な数字はともかくとして。そうすると、百人に一人しかお帰りになっていないわけですね、里帰りと言っても。あとの九十九人、あるいは割合からいうともっと多いんじゃないかと思うんですけれども、それらの方々は里帰りの選に漏れてしまった。どういうわけで漏れたのか。何か裏があるのかないのか、一体どういう事情があるのか、そういうことも気になるわけです、日本人として。できれば、ことごとくが自由に往来できるようになってほしい、こういう気がいたします。  だから、自由に往来できるための何か険路があるのなら、それを打開するのが日本と朝鮮民主主義人民共和国との間の真の友好関係を前進させるために必要じゃないかというふうに思われるわけです。何かわけのわからない事情があって、ほかの大多数は帰りたくても帰れないというようなことがあっては悲劇だろうと思いますね。  その点を考えたならば、すべての人が自由に行き来ができるような状態にするということが日朝の外交関係を打開するために必要だろう、真の友好とか理解を深めるために必要じゃないかと、こういう気がいたしますが、それらの点についての外交的な努力なり、あるいは相互の話し合いなりというものがこれからできるのかどうか。また、内閣として、それらの決意がおありになるのかどうかもこの機会にお伺いしたいと思います。
  166. 村岡兼造

    国務大臣(村岡兼造君) 日朝間でございますが、国交回復、正常化がまだなされていない、まず第一番にそれをやっていると。  そして、今回の十五人の日本人の配偶者の方々けさほど日本を離れました。外務大臣があれば一番いいんですが、いずれにいたしましても、第二次、第三次と引き続き故郷訪問ということは交渉してまいりたいし、先生のおっしゃるとおり将来自由に行き来できるようなことにするのが一番望ましいのでありますが、国交正常化という問題もございます。  外務大臣があればまだ正確にお答えできると思いますが、ふるさと訪問についても二次、三次と拡大していきたい、こういうふうに考えておるところでございます。
  167. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 それではよろしくお願いします。  次に、大蔵大臣にお伺いしたいと思うんです。  昔は百万長者と言ったんです。今は億万長者になっちゃった。その単位が億から兆になっちゃったわけです。兆からになると庶民の感覚じゃ見当がつかないんです。こういうとんでもない単位の借金は膨らめば膨らむほど感覚が鈍くなってしまう。将来、日本の借金が何百兆といったようなことになることは、まことに恐ろしいことだし、借金というのは返さなきゃならないんですから。これは踏み倒しができないんですから。それを考えるならば、先のことだからといって、おれの内閣のときは構わないから先へ延ばしちゃおうということをやつちゃ困るんです。  それで、私は、国鉄の分割・民営のときに、果たして大丈夫だろうかという心配をした記憶があるんです。そのころ、三塚さんも橋本総理も運輸大臣をやっておられた。あのときから、この長期債務というものは後々になると膨らむばかりで厄介なことになるんじゃないかという心配をしたんですけれども、やはり面倒くさいことになつちゃったですよね。この長期債務をどうするかという問題が残っています。  何とかなるという問題じゃないけれども、打開をするためにどうしたらいいのか。整備新幹線の問題やらいろいろあるけれども、JRの方はこれ以上の負担はもうできないと返事をしているということを聞きました。じゃ、どこから金を持ってくるか。天から降ってくるわけじゃないんだから、何とかしなきゃならないだろうというふうにだれもが思うんです。これはやはり当時の運輸大臣経験者でもある橋本さんにもこの機会にお伺いしたいと思うんです。
  168. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 私の答弁、橋本さんと考え方が同じですから、橋本首相には私からお伝えを申し上げたいと思います。  瀬谷委員に当時大変心配をいただいて、十年前でありますが、アドバイスをいただきました。要すれば、今もお言葉にありましたが、借金が積もり積もり重なりますと、まじめにやろうという気がなくなるわけであります。もう投げやりになって、ただいまのお話のように、踏み倒すつもりはないけれども万策尽きてバンザイと、こういうのが最悪の事態でありました。  いつも言うのでありますが、運賃収入の二倍に債務が膨らむということになれば、国鉄があるから働いておる、現地調査で働く気のない過激なグループでありましたけれども、つぶれたらどうするのと、つぶれたときはやめるだけだよと。働かなければつぶれるんじゃないの、いや雇ってもらっているからやっているんだよと、こういうやりとりが実はありました。  この辺でそれはとどめますが、そういう中でいよいよ十年目を迎えて、二十八兆と言われておりますが、処分財産が五兆になりますか五兆五千になりますか、それはこれからであります。いずれにしても、二十二兆円近いものが支払いという待ったなしの時期を迎えるわけでございます。一般会計につけかえができない深刻な事態にあるわけでありますから、党も三党も、また政府、行財政会議も、選択肢中考えられるものをきちっとそろえましてそこで解決をしてほしいということで、ただいま深刻な議論をさせていただいております。十一月中にはその処方せんがつくられる、またつくらなければならない。三党の代表中心に、それに関係閣僚がいつも一緒に同じテーブルの中でやらさせていただいておりますので、何とぞまた御指導、御鞭撻、アドバイスをいただきたいものだと思います。よろしくお願いを申し上げます。
  169. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 そこで、今まで行財政改革、どうやって節約をしたらいいだろうかと、そういうどちらかというとまだ節約の余地があるんじゃないかというようなことでいろんな工夫がされてきたかもしれませんけれども、余り後ろ向きになっていたんでもこれはもう前途に希望が持てなくなっちゃう。それじゃいけないから、やはり我々は将来に明るい展望を求めていくことが必要だろうという気がするんです。  じゃ、日本財政はどうかなというふうに考えた場合に、借金だ借金だというとこれは気がめいってしまうから、いやまだまだ大丈夫だということを政府自身が国民の前に示して、それで国民に希望を持たせる。これから借金はどんどん返していく、かといって国民負担だけをふやすということばかりを考えているわけじゃないということを明らかにする必要があると思うんです。  そこで、私はきょうは一つの例として、日本の広告費というのをちょっと調べてもらったんですけれども平成八年の総広告費は五兆七千六百九十九億円。これは新聞あるいは雑誌、テレビ、これらの広告費というものを合計すると約六兆に近いものがある。この広告費というのはある程度経済力のバロメーターみたいなもので、金のない企業は広告に莫大なお金を使うわけにいかないです。それから考えると、具体的に言いますと、きょうの新聞広告ですけれども、昔は一ページ大の広告というのは余りなかった。新聞も今四十ページになってしまった。今まさに二ページ大の広告はもうどこの新聞にも出てきているわけです。  きょうの新聞をちょっと引き合いに出してみますと、これは二ページ大の広告ですよ。これ二ページ全部広告ですよ。何が書かれてあるかわからない。だけれども、これだってただで出してもらっているわけじゃないでしょう。内訳を見ますと、やはり最近は広告でも景気を反映していろんなところから、例えば自動車会社なんかも広告を出しているということなんです。きょうは読売と毎日と朝日とそれぞれ広告があるかなと思って見たら、二ページ大の広告はほかにも出ております。これは自動車の広告です。それからこれもまた車の広告です。これも二ページ大ですよ。  一体、これだけの広告を出すのにどれだけの金がかかるのか、ちょっと調べてもらったんですけれども、何千万もかかっちゃうわけです、こういう大きな広告を出すと。一般の人が例えば選挙のときにせめて新聞に少し広告を出したいと思ったって足踏みしちやうでしょうね、新聞広告となると安くは済まないから。だけれども調べてみると、テレビのコマーシャルなんかの場合は十五秒で幾らとか、それから新聞の方はこれまた内容を見ますと、十五段で幾らとか、四千万とか五千万とか、こういうのが載っております。これは、幾ら企業経済力のバロメーターだといってみても簡単なものではないと思うんです。これを見ると、まだまだ日本経済というのはばかにしたものじゃない、これだけの力があるというふうに我々は考えるのです。  だから、新聞広告は一つの例でありますけれども日本にはこれだけの経済力を持った企業がまだたくさんある。悪いことをしなくたってそれだけの余力はあるんだ。みんなそろって深々と頭を下げて捕まってしまったり、それから社長が交代したりと。社長が交代してみたところでまるっきり首になってしまうというのではなくて、相談役だとか何だとかということで名義をかえて残っているところもあるし、本当にやめちゃった人もあるかもしれないけれども、どうも形だけのような気がするのですね。  だから、形だけじゃなくて、本当に株主総会でもその企業の内容を十分に尽くして、そして株主が納得をするような方法で事がおさまるという形をとらないと、これは後々どこまで行ってもこの種の問題は後を絶たないという気がするんです。だから、こういう忌まわしいことでもって新聞あるいはテレビを埋めるということのないような方法を考えるべきじゃなかろうかという気がするんです。  大蔵大臣とすれば、日本財政を握っている立場にあるんだから、今後の指導の問題もありますし、そういう点を考えて税収をどうやったらふやすことができるか、余り恨まれないで、あるいは国民が苦しまないで税収をふやす方法だってあるんじゃないかという気がいたしますが、その点は大蔵大臣、どうでしょう。
  170. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 担税力という点で税制というのが考えられます。同時に、公正、中立ということで、基本は公正の原則でありますけれども、そういうことで考えられるところでございます。全税制を絶えず点検をしながら、公正であらなければならないということ。先般二%アップをさせていただきましたのも、公正、中立、簡素というこの原則に従って、御批判はございましたが、御決定を賜ったところでございます。  そういう点から、今後、原則をしっかりと踏まえながらチェックをしていくことは当然なことであります。  主税局から手が挙がっておりますので答えさせますから、聞いてください。
  171. 薄井信明

    政府委員(薄井信明君) 広告費課税についての御指摘でしたので、補足をさせていただきます。  確かに、広告費にお金が使われているというのは現実ですが、広告自体が各企業にとって販売を促進するための経費であるという位置づけからしますと、企業会計上これを損金にしていくのは当然のことであろうかと思います。  これを税制の観点から、ちょっと行き過ぎているんではないかということから課税してはどうかというのは確かにこれまでも御議論はございました。特に交際費について、企業経理上は経費でありながら税制上課税しているではないかということとの関係で議論がされてきたわけでございます。  その議論の中では、と言っても交際費は社用消費といいますか飲み食いが中心であると。それに対して、広告というのは本来的な企業の活動ではないかということとか、あるいはこの広告によって国民は情報を得てどこに何があるかということがわかるわけですから、そういった面にも着目しなければいけないということで、特に日本の広告費が大きいということならともかく、外国並みであるならば、これについて規制するという形の効果のある課税を導入することについては踏み切れないで来ているというのがこれまでの検討状況でございます。  なお、新しい企業が、後発組が先発の企業に対して新しく売り込みをするときにはやっぱり広告というのが効果があるといったようなことも反論の中に出てくるわけでございまして、これに課税することが国民にとってプラスであるかということは意見が分かれているということでございます。
  172. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 広告によって新たな購買力をということもあるかもしれないけれども、私が特に挙げた新聞の例は、別にこんな大きな広告を出さなくたって新聞を買う人は減らないと思うんですよ。こんなでかい広告を出して、二ページの広告で、内容は何だと思ったら、わけがわからない。一番最初に挙げたのなんか、女の人がカラーで写っているでしょう。あれはカラーで写さなくたっていいんじゃないかなと思うんです。それによって新聞の読者がふえるということはないだろうという気がするんですよ。過剰広告だろうという気がするんですね。これは余力があると見られてもしようがないと思うんです、懐にゆとりがあるからカラーでもってでかい広告を出していると。これを出さなきゃこれだけの大新聞が部数が減るなんということはありっこないでしょう。  それを考えたならば、そういう力のあるところから税収を上げるという方法を考えるのも政府としての一つの工夫じゃないかという気がいたしますけれども、その点、大蔵大臣はどのようにお考えになりますか。
  173. 三塚博

    国務大臣三塚博君) いろいろ税のあり方について公正な原則でこれを決めていくという永遠の課題が、これは人生が続く限り、国家が続く限りずっとはるか向こうに続いていくことであります。  宣伝広告は宣伝広告にふさわしい形でやられる、これも民間と新聞社との協定でありますから、私から言及することではないところであります。  瀬谷委員の甚深な意味合いを含めた御提言は傾聴させていただきました。
  174. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 終わります。(拍手)
  175. 須藤美也子

    須藤美也子君 日本共産党の須藤美也子でございます。  私は、農林水産関係予算にかかわる改革の基本方針に関して質問をいたします。  まず、皆さん御承知のように、今、日本の農業は大変厳しい危機的な状況を迎えています。この一年間で農家戸数は四万四千戸減少しました。就農人口は三万九千入減りました。さらに、耕作放棄地の拡大、その上、農業所得は減少する一方、そして後継者がいない、こういう中で急速に農業離れが進んでおります。  こういう現状の中で、先般開かれました衆議院の委員会で島村大臣は、農家が将来的に希望を持って仕事ができるように最善の努力をしてまいりたいと、こう答弁しておられます。しかし今、自主流通米の大暴落で、肥料代も払えない、借金がかさむばかり、生活さえ維持できない、このままじゃ農業をやっていけない、おれの代でもう終わりだ、こういう状況があるわけです。  そういう中で、全国各地で農協や農民の怒りの集会が開かれております。米価の暴落で農業は今深刻な打撃を受けておるわけですが、大臣が今国会に出されている財政構造改革法案の農林水産関係、第二十三条、第二十四条、これが実施されると、日本農業は大臣が衆議院で答弁なさったように希望の持てる農業が実現できるのか。私は、むしろ逆に、これが実施されれば日本農業は崩壊につながっていくのではないか、こういうことを考えます。  そこで質問いたしますけれども、第二十三条には、担い手に対して施策を集中的に行い、市場原理の一層の導入を図ること、こういうふうになっております。新食糧法三年目を迎えるわけですけれども、この中で、下支え制度をなくして自主流通米はもう既に民間市場任せになっているわけですが、その結果、現在自主流通米が六十キロで三千円から四千円下がっております。こういう暴落の中で、政府は暴落による農家の減収をどのように見込んでおられるか、お尋ねいたします。
  176. 高木勇樹

    政府委員高木勇樹君) 今お尋ねの件でございますけれども、これまでの自主流通米の入札結果によりますと、平成九年産の自主流通米価格は平成八年産に比べまして六十キログラム当たり平均で約二千円低下をしております。これによって試算をいたしますと、自主流通米全体、基本計画四百七十万トンというベースで約千六百億円の減収というふうに見込んでおります。
  177. 須藤美也子

    須藤美也子君 私の方の計算とちょっと違うようですね。私どもは、過去三年間の自主流通米の平均価格が二万四百円、これに対して新しい入札価格、これを見ますと、ほとんどの銘柄米が三千円から、新潟の岩船コシヒカリ、魚沼コシヒカリ、こういう三万円クラスの銘柄米さえ六千円ぐらい下がっているわけです。それを平均して三千円から四千円、まあ三千円と計算しますと、四百七十万の基本計画ですから、約二千数百億円の減収になる、こういうふうに私どもの計算ではしております。  それじゃ、全国はどうなのか。全国の状況を申し上げます。  私の隣に北海道の方がいらっしゃいますから、まず北海道の緊急調査では百六十二億円です。道が調べた緊急調査です。天候不順による品質低下分を含めると二百六十九億円の減収。日本銀行の仙台支店の調査によれば、大蔵大臣の地元の宮城、山形、岩手の三県で三百九十七億円の減収であります。こういう米の減収が地域経済にどのような深刻な影響を与えているのか。  私の出身の山形県鶴岡市といえば自民党の加藤幹事長の地元でもあります。ここで銀座商店街を調査いたしました。銀座はたくさんあります。銀座商店街を調査いたしましたところ、中心の銀座商店街ですよ、一時間でたった三人しか通行人がいなかった。そのうちの一人は、近所のおばあちゃんが隣にお茶飲みに歩いた。かつて、収穫の秋といえば百万石まつりで銀座通りは大にぎわいだったんです。それが今、閑古鳥が鳴くようなこんな商店街になってしまった、こう嘆いています。  こういう状況は私のところだけでないでしょう。多くの全国各地でシャッター通りとか、いろいろなところで出ているわけです。そういう状況大臣はどう認識されておりますか。
  178. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 過剰米を抱えて自由市場の影響もこれあり、今日の米価の自由市場における決定がなされておるということについての問題は私もよく知るところでございます。  主要食糧関係費は、御案内のとおり政府備蓄水準の早期適正化、これを基本に置きながら自主流通米助成、生産調整助成金について市場原理の活用等の視点に立って見直す、こういうことにより集中改革期間中において主要食糧関係費を引き続き対前年度同額以下、こういうことで出ております。  これに基づいて処理はいたしますが、いずれにいたしましても、農水大臣、農水省とよく相談をして対応してまいる、こういうことであります。
  179. 須藤美也子

    須藤美也子君 島村大臣がやっぱり答弁しないと私のあれにはかみ合わないですね。
  180. 島村宜伸

    国務大臣(島村宜伸君) 須藤委員の御指摘でございますが、この間も少しくお話をしたところですけれども、山形県鶴岡市といえば須藤委員の生まれ育った郷里であり、また我が党の幹事長加藤紘一さんの生まれ育ったところであります。また同時に、私ごとで恐縮ですが、私も子供のころ集団疎開児童としてお世話になったのが山形県鶴岡市でございまして、私は何度もお礼参りに伺っておりますが、あの当時とは比べ物にならないくらい発展をしたということに大変実はひそかな喜びを持っておりました。  もしその商店街が今閑散としているということであれば、いかに時代の転換期とはいえ心痛む思いをすることは事実であります。しかし、これも二十一世紀に新しい出発をしよう、そしてまた、確かな世代を築こうという痛みと心得て、これを一日も早く脱却し、またこの場でお褒めいただくような環境をつくりたい、こう思います。
  181. 須藤美也子

    須藤美也子君 当委員会の十日の日に、島村大臣は自主流通米の大幅下落に対して、農家拠出と政府助成で基金を造成して、自主米が下落したときに生産調整を一〇〇%以上達成した農家に補てん金を交付する、こういう答弁をなさっていますね。そうですが。
  182. 島村宜伸

    国務大臣(島村宜伸君) そのとおりであります。
  183. 須藤美也子

    須藤美也子君 そうしますと、主要食糧関係費に、二十四条では抑制するキャップをかぶせ、今年度の予算額二千六百九十二億円を集中改革期間の三年間は上回らないようにする、こういう法案なわけです。ですから、この法案のもとで米暴落対策の財源はどうするのか。農水省の幹部でさえ現行の予算の枠内では間に合わないと。自民党の幹部も、日本農業新聞を見ますとそういうことを発言しています。こういう中で、一方、主要食糧関係費にキャップをかぶせてどこにその財源を求めるのか、ここをお聞きしたいと思います。
  184. 島村宜伸

    国務大臣(島村宜伸君) お答えいたします。  財政構造改革推進に関する特別措置法案においては、主要食糧関係費を引き続き対前年度同額以下とすることとされたところでありますが、限られた財源の中でこの仕組みがより政策的効果が上がり、実効性が確保されるものとなるよう最大限の工夫をするべく、鋭意検討しているところであります。
  185. 須藤美也子

    須藤美也子君 検討している内容はここで聞いてもお答えにならないと思います。そうでしょう。中身について。
  186. 島村宜伸

    国務大臣(島村宜伸君) 再三答弁の機会にも申し上げているところですが、我が党のいわば農業の基本政策にかかわる小委員会で鋭意検討し、近く結論が出るのを待って我々はさらに協議を進めたい、こういうところでございまして、別に先行き無制限に期限を引き延ばしているものではございません。
  187. 須藤美也子

    須藤美也子君 そうしますと、今年度分は、九七年度産米についての暴落の補てん分はどうなるんですか。
  188. 島村宜伸

    国務大臣(島村宜伸君) お答えいたします。  新たな米政策は十年産米以降の対応として検討しているものでありますが、生産者の不安を解消し、新たな米システムへの円滑な移行のため、九年産米については特別な対応策を講ずるよう強い要請がなされていることは十分承知をいたしております。しかし、九年産米についての価格下落に対して直接何らかの対策を行うことについては、本年度自主流通助成等を既に措置いたしておりまして、所要の支援を行うこととしているところであり、これを九年産米に適用するのは困難であると考えております。
  189. 須藤美也子

    須藤美也子君 そうしますと、今年度産米についてはこれまでの自主流通助成金の中から賄うということなんですね。それでは私は十分な補てんはできないと思うんです。  そして、今度は不足分を農民に負担してもらう。これも内容の中にあるようでございますけれども、農家の収入が減って、これから三年間、一層の市場原理が導入されれば、米価はどんなふうに変わっていくかわからないわけです、三年間。もっと下落するかもしれない。そういう状況の中で、一方では主要食糧関係費にキャップをかぶせ、一方では市場原理の導入を一層図る。こういうことでは、幾ら大臣が希望ある農業をつくりたいと言っても、農業農村はこれでは続けていけない、もう農業をやめるしかない、こういうふうになると思うんです。  ですから、そういうような限られた財源の中で本当に農民のあるいは農家の経営の安定を確保できるのか、それから、その収入が減っている中で、農民がさらにその基金に負担をさせられることによって一層困難な状況になるのではないか、そういうことをお尋ねしたいと思います。
  190. 島村宜伸

    国務大臣(島村宜伸君) 食糧法の目指す米の需給と価格の安定を図るために、現在、生産調整、稲作経営あるいは計画流通制度の運営と米政策全般の再構築に向け、財政構造改革の趣旨を踏まえつつ鋭意検討を進めているところであります。今後、遅くとも月内には結論を得るべく、関係方面との間で協議、調整を進めてまいる所存であります。  また、財政構造改革推進に関する特別措置法案につきましては、主要食糧関係費を引き続き対前年度同額以下とすることとされたところでありますが、限られた財源の中で、全体としてより政策的効果が上がり、実効性が確保されるよう最大限の工夫をしてまいる所存であります。
  191. 須藤美也子

    須藤美也子君 後で財源の問題については、もう一言触れたいと思います。  次に移りたいと思うんですけれども、こういう状況の中で、二十三条の市場原理の一層の導入では、もう農業はやっていけない、こう言っていることと同じなんです。だから、私今まで聞いたんですけれども、この二十三条はやめるべきだ、撤回すべきだ。本当に将来的に希望を持てる農業をつくろうとするならば、二十三条、二十四条は、農民はこのことによって物すごい不安を持っているんです。ですから、そういう農民にあるいは農家経営に対してはっきり保障もできないような法案は出すべきでない、撤回すべきだ、このように思います。  私は、市場原理のもとで価格補てんをしても再生産できる米価の確保は得られないと。私どもは農村県にいますから、やはり生産費含めて最低でも一俵六十キロ二万円は必要だ、これが多くの農民の声です。これを下支えにすること、これが日本農業の再生と農業経営を安定に持っていく、大臣がおっしゃった将来的に展望の持てる、希望の持てる農業だ、このように考えております。  次に移りますけれども、もう一つ市場原理の導入で、現行では不十分ながらも麦、大豆、こういう農産物価格安定制度があります。これらの制度の目的は、価格の過度の変動を防止し農業経営の安定を図ること、こうなっております。つまり、この制度については価格変動に対して一定の価格補償をしているということですね。  ところが、二十三条で市場原理の一層の導入を図るということは、今後こうした制度の見直しあるいは補助金の削減とかも含めて廃止の方向につながるのかどうか、そこをお聞きしたいと思います。
  192. 島村宜伸

    国務大臣(島村宜伸君) 御指摘の農産物の価格政策につきましては、これまでも農家の経営の安定を図るとともに、需給事情その他の経済事情等を参酌し、市場動向が反映されるよう運用しております。農産物の価格政策は、農業者の経営安定方策として、今後ともその適切な運営が重要であるという考えに立っております。  財特法二十三条において、市場原理の一層の導入という方向が規定されておりますが、今後ともこのような基本的な考え方のもとに、農業経営の安定に配慮しながら、市場動向の適切な反映等により農業経営の体質強化が図られるよう、価格政策の運用を図っていくことが求められていると考えております。
  193. 須藤美也子

    須藤美也子君 再度念を押すようですけれども、本法案の第十二節で補助金あるいは制度の見直しが定められています。ただいまの大臣答弁であれば、価格支持制度はこの十二節に含まれていないと、こう解釈していいのでしょうか。
  194. 堤英隆

    政府委員(堤英隆君) おっしゃいました補助金のことがこの十二節に書いてございますが、一般論として申し上げれば、価格支持に要するお金も当然のこととしてこの補助金等の見直しの中に入っているというふうに理解をいたしております。  大臣が今申し上げましたのは、そういうような制約要件の中で、従来から進めておりますような市場原理あるいは需給実勢、そういうものをベースにしながらも、農家の皆様の経営の安定を図ることが価格制度の趣旨でございますので、そういうことを踏まえて今後とも運用に努めていきたい、こういうことで大臣から申し上げたところでございます。
  195. 須藤美也子

    須藤美也子君 そうすると、大臣と食い違うわけですね。
  196. 堤英隆

    政府委員(堤英隆君) 全く食い違っておりません。大臣が申し上げたことと私が申し上げたことは同じでございます。
  197. 須藤美也子

    須藤美也子君 そうすると、これまである米のほかに、麦類、カンショ、バレイショ、てん菜、サトウキビ、豚肉、牛肉、肉用子牛、加工原料乳、大豆、菜種、これが今価格保証がされているわけです。これだってどんどん下げられているんですよ。これを見直しの対象にしない、存続していくということでしょう。
  198. 島村宜伸

    国務大臣(島村宜伸君) いずれにいたしましても、この四月に設置されました食料・農業・農村基本問題調査会で現在各方面から幅広い議論を重ねていただいておりまして、この十二月中に第一次答申がいただけることになっております。これらを踏まえて、我々も当然に検討を進めてまいりますが、来年夏の最終答申を待つまでもなく、私どもはこれらについて万全の体制を組んでいきたいと考えております。
  199. 須藤美也子

    須藤美也子君 もう一つお聞きしたいのは、何度も言うようですけれども、こういう農産物を生産している農家は何年も据え置かれ、引き下げられてきた。そういう中で、生産費が上がれば当然価格も上がるのがこの安定制度の目的だと、こう冒頭申し上げたわけです。ところが、農民から、もっと引き上げてほしい、生産費が上がってもうやっていけないからもっと引き上げてほしい、こういう要求が出された場合、あるいは国会に請願が出された場合、こういう要求に対してはどうなんでしょうか。
  200. 堤英隆

    政府委員(堤英隆君) 農産物の価格支持政策に共通することでございますけれども、価格の算定に当たりましては、今おっしゃいましたように生産費の動向ということも配慮するということになっております。しかし、それだけではございませんで、その他諸般の事情を考慮しながら対応していくということになっておりますので、当然ながら生産性の向上といったこともその中に入ってくるわけでございます。  そういったもろもろのものを考えながら、毎年毎年の事情に応じまして適正に決定していくということでございます。
  201. 須藤美也子

    須藤美也子君 私は、今の農村の状況を踏まえて、こういうものは削るべきでない。主要食糧関係予算は国民の命なんですよ。みんな朝昼晩食べているでしょう。そういう命をはぐくむ大切な食糧をそういう形で価格保証もしないで政府の責任を放棄する。生産費に見合わないような低価格では農業はやっていけないからやめてしまいますよ。  そういう点では、国民の八割以上が少々割高でも国産米を食べたい、こういう要求を出しているんです。ですから、そういう国民の要求に、消費者の要求にもこたえて農業再生の道、自給率向上の道は生産者の所得補償と価格支持制度の充実、拡充である、こういうことを申し上げたいと思います。  さらに、次に質問したいことは、主要食糧関係費で真っ先に助成を廃止しようとしているのが閣議決定している米飯給食です。三年間で全廃することをことし六月の閣議決定で決めているようですけれども、これはどうなんですか。
  202. 島村宜伸

    国務大臣(島村宜伸君) 学校給食用米穀の値引き措置につきましては、六月三日の「財政構造改革推進について」の閣議決定において廃止の方向で見直すこととされたことを踏まえ、現在、具体的実施方策について、米政策全般の見直しの一環として、遅くとも月内に結論を得るべく鋭意検討中であります。
  203. 須藤美也子

    須藤美也子君 廃止の方向で検討していると。  今年度の予算で百九十二億円です。これが全部この三年間で父母負担になるわけです。今、父母、教師、国民の間から、米消費拡大のためにも、また子供の教育のためにもこの助成金を削らないでほしい、こういう強い要求があります。  島村大臣は先ほど鶴岡に疎開なさったとおっしゃいましたね。私のところは学校給食の発祥の地であります。大臣は湯野浜に疎開して庄内米を食べたはずです。しかも、文部大臣として学校給食の目的、その歴史について身にしみて感じておられる方であります。今まで国民の皆さんが去年も削ろうとしたのをとどめたんですよね。その大臣が真っ先になって今回から三年間かけて学校給食の助成金を廃止すると、こうなったら島村大臣は大手を振って鶴岡なんかには来られない。  これは廃止しないように答弁してください。
  204. 島村宜伸

    国務大臣(島村宜伸君) なるほど庄内米をかみしめかみしめ大変甘い甘さを感じるまでにいただきましたが、たまたま私の疎開仲間に落語家で有名な橘家圓蔵、月の家圓鏡と言った方がわかりやすいかもしれませんが、師匠がいます。彼と今でも言うんです。当時の私たちの夢は、一年に一遍でいいから腹いっぱい白い御飯が食べられたらいいねと。もう一つは、お砂糖のいっぱい入ったお汁粉を一年で一遍でいいから食べたいものだと。したがって、庄内米も余りそれほどいただいていたわけではないわけであります。  しかしながら、私は、だれにでも公言してはばからないのは、都会の農村派でありまして、農村に対して手厚いのは当たり前である、自然環境の保護、国土の保全にどれだけ貢献し、地域を守ってやっているかわからない、都会の人が便宜を受けているこの中で一生懸命農村で頑張っている人の立場になってほしいと言い抜いてきた男でありますから、決して私は農村に対して失礼なあるいは冷ややかな考えを持っておりません。  農家が安心してその仕事に取り組めるように私は自分の体を張って努力していこう、こう思っておりますが、消費者の中にも正直言って現在の経済の不況に苦しむいわば中小零細企業者もおられるわけでありますから、その方たちの理解も得られる範囲で私はこれからも一生懸命努力をし、結果につないでいきたい、こう思っております。
  205. 須藤美也子

    須藤美也子君 そういうことであれば撤回することですね。撤回することに先頭になって頑張りますということですね。
  206. 島村宜伸

    国務大臣(島村宜伸君) 実は、私は十四年前に農林水産省の政務次官を一年させていただきました。そのときにも、日本の主食のお米がわずか十年間でたしか一四・七%激減をしている現実を見て驚きました。そして、食糧の自給率もどんどん落ち込んでいくことも驚きました。  内容に踏み込んで見てみますと、一家のあるじが六十歳以上のうちが一番食べる、二十代後半から三十代前半のあるじのうちが一番食べない。その差は倍ぐらい違うんですね。これじゃ将来がない。そこで、私も実は推進派であったんですが、学校給食の中に米を積極的に取り入れてもらおう、この動きをした一人であります。  現在はこの財政難でありますから、百九十二億のこの金額も全体で見れば非常に大きな金額になるわけでありまして、これを月当たり幾らになるか調べてみると、たしか百四十二円くらいなんであります。そういうことからして、この百四十二円をそれぞれの御父兄に、御父兄というか保護者に負担をしていただいて、そして行く道はないのかということが今問われている、こう考えております。
  207. 須藤美也子

    須藤美也子君 これ以上いろいろ言い合っても平行線でしょうから、ただそういう歴史を持っている大臣ですから、そういう立場で頑張っていただきたいんですよ、撤回のために。それを強く申し上げたいと思います。自民党も頑張ってください。  逆にもう一つ問題なのは、こういう主要食糧関係費が、百九十二億円の子供たちの給食費さえも削らなければならない中で、ミニマムアクセス米に関する管理費ですか、経費はどのくらい持ち出ししているんですか。
  208. 高木勇樹

    政府委員高木勇樹君) お答え申し上げます。  ミニマムアクセス米につきましては、八年度におきまして五十一万トン輸入いたしまして二十四万トンを売却いたしております。この結果、ミニマムアクセス米の管理全体では、保管料等の経費もございます、八年度におきましてトータルとして二億円の損失を生じました。九年度予算では、今一応七十六億円ということを計上しておりますが、ただ現時点で見ますと売却数量そのものも減少、それから買い入れ価格の低下とか管理経費の節減ということもございまして、大体八年度と同程度というふうに見通しておるところであります。
  209. 須藤美也子

    須藤美也子君 この前調べたところによりますと在庫はおよそ四十万トン、ミニマムアクセス米ですね、そして七十六億円の赤字です。国民の主食である米は国内生産で十分賄うことができるのに、何でこんなミニマムアクセス米を輸入するのか。しかも、この主要食糧関係費の中に食い込んでいるわけですよ。そして、来年から六十八万トン、七十七万トン、八十五万トンの義務輸入が入ってくるわけです。細川内閣のときに決めたんだというのであれば、自民党が今与党ですから、与党でしょう。先ほどの質問の中ではどなたかが、WTO協定を受け入れたのは私方ではありませんと。であるとすれば、三年後、WTO協定の改正の時期であります。ですから、今度は自民党が率先してWTO協定から米と農産物を除外せよという大運動を起こしながら、何の役にも立たないミニマムアクセス米を中止するように一緒にやったらいかがでしょうか。大臣、どうですか。
  210. 島村宜伸

    国務大臣(島村宜伸君) 我が国はいわば貿易立国を国是としている国でありまして、自由貿易の最大の受益者でありますが、この自由貿易の恩恵を今後とも受け続けていくためには、やはり入れたくないものも入れざるを得ないという面も出てくるわけでございまして、私どもにしても、これはだれしも共通の考えは、ミニマムアクセス米などなければいいなというのが本音だろうと思います。  しかし、これも国際約束、いろいろな広い視野に立っていろいろ検討した結果、最小限のものとしてこれを受け入れている経緯もこれあり、これをやめたいからやめるということは、その他のいろんな問題が生じることを考えて、トータルで私は得策とは思えないと思います。
  211. 須藤美也子

    須藤美也子君 国際的な顔よりも、今重要な問題は日本の農業の問題を、この法案日本農業にかかわる問題なんです。ですから、日本農業の経営と国民の食糧を安定的に供給する、そういう立場から大臣が先頭に、そういうミニマムアクセス米の削減とか中止とか、これを強く要求していただきたい、このように思います。  それから、最後に、もう一つむだなものがあります。主要食糧関係費、こんなに削って、二千六百九十二億円ですか、今。これしかないわけでしょう。それをさらにキャップをかけるというわけでしょう。これでは、日本農業の発展はおろか、全く日本農業を考えていない予算だと思うんです。ところが、一方では公共事業、つまり予算の重点化、効率化をこの担い手に集中させていくと言っていますが、この公共事業の占める割合は五四・六%ですね。  しかも、私はここに総務庁がことし二月に発表した大規模な農業基盤整備事業に関する行政監察結果報告書をいただいて、読ませていただきました。  これによりますと、例えば事業が完了した二十カ所、私が見たところ二十カ所、この調査の結果を読んでみますと、全くむだな、利用されていない、金をかけても全然利用されていないところがたくさんあるんです。例えば、四十三億かけた青森の浪岡国営リンゴ園、これは今現在四分の一しか利用されていない。さらに北海道の真狩西部の開発では、二十二億円かけたにもかかわらず、一部はゴルフ場に使われている。こういう状況が数多くあるわけです。  もう時間がありませんから数多く言うことはできませんけれども、売れない土地を県や市町村が所有して、事業もおくれ、受益者負担が何倍にもなって大変だと言っているんです。こういう状況の中で、総務庁が指摘をしているのは、この利用されない最大の原因に挙げているのが農業情勢の変化だ、そして農家の生産意欲がなくなったことだと、こう書いてあるんです。  そうすれば、このような公共事業を見直して、何も農業経営に役に立っていないこの公共事業を見直して主要食糧費に、非公共事業費に回すとか、そういう農業予算の組み替えこそ今一番必要なんじゃないですか。そのことをひとつ。
  212. 島村宜伸

    国務大臣(島村宜伸君) これは釈迦に説法かもしれませんが、我が国の農業の現実を見ますと、農家一戸当たりの農地面積、これは先進国各国と比較になりませんですね。ドイツが約十九倍、フランス二十三倍、イギリス四十五倍、アメリカが百二十七倍と記憶をいたしますが、こういう比較にならない農業に対抗し、少しでも国内で農業生産を維持するとなれば、やはり先立つものは、土地改良事業等を進めて、あらゆる転作等をフレキシブルにいろいろ対応できるような環境を整備して、いわば農家に提供するのも私たちの大事な仕事、また農村で効率ある農業を進めようとなれば、やはりそれに向くようないろんな設備等をつくっていくこともまた必要、これらを考えて公共事業の必要性というのは否定できない、こう考えております。
  213. 須藤美也子

    須藤美也子君 時間が来ましたので、最後一つ。二十三条、二十四条、今私が申し上げましたとおり、日本の農業には何にも役に立たない法案、これを撤回すべきだということを申し上げまして、私の質問を終わります。  どうもありがとうございました。(拍手)
  214. 末広まきこ

    末広まきこ君 自由の会の末広まきこでございます。  来るべき二十一世紀に向けて、行財政改革我が国にとって避けては通れない最重要課題であると思います。しかし、今回の財政構造改革法案は、ただ単に縦割り省庁の中で頭を押さえてキャップをかぶせた、これにすぎない。例えば、公共事業費は十年間に前年度比七%減の予算枠をはめることとありますが、固定的なシェア配分という性格は少しも改まっておりません。予算の効率化、重点化を促すためには抜本的な構造改革が必要なのに、これではまるで大蔵省の予算編成のマニュアルづくりと、こういう印象でございます。  一連の行財政改革動きを見ておりますと、いま一つ国民に受けていない。アピール力に欠けて  いる。なぜでしょう。  十二日の朝日新聞のアンケートによりますと、行政改革をめぐる動きの中で何が一番問題と感じているかという設問に対しまして、「官僚の抵抗」かと私は思ったんですが、これは一四%で、「族議員といわれる政治家の介入」と答えている方が三五%。こういった国民の声を大切にしていただきたいと思います。  行財政改革動きを見ていますと、まず先に国民の方に痛みをお願いされております。国民の痛み先行型。消費税の税率アップ、特別減税の撤廃、医療保険改革など、合わせてみれば何と国民負担は九兆円ふえております。国民はいささかげんなり。それは財布のひもも締めるでしょう。将来まだまだこんな不幸が襲ってくるんじゃないかと今不安がいっぱいなんです。生きていく楽しさが見えてこないんです。  そこでお伺いしますが、この財政構造改革法が成立すれば国民にとってどんないいことがあるんでしょうか。この財政改革によって国民の苦しみが和らぐのか、それとも苦しさはあっても夢が広がるのか、国民の実益について具体的にお伺いしたいと思います。ただし、私の全質問時間の関係上、二分でお願いいたします。
  215. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 段々の御指摘であります。二十一世紀の扉をあけるときは、春の光がさんさんと輝いておる日本の社会、経済国民生活、そこを目指しておることは一つ確実に言えます。  経済は春夏秋冬と同じであります。冬来りなば春遠からじ。これは自然の配分で、そのときに構造改革、春と夏において経験をした、これはロングスパンで見ますと御理解いただけると思います。この冬の期間に、土壌改良を含め構造的な問題を改善改革をしていく期間なのであります。それが、集中三カ年プラス三年としておりますが、集中三カ年で最大の世界経済運営の中で問題となりました財政構造の健全化を図ることにより、インフレを抑え国民生活の基本を支えることができるだけではなく、持続的な経済成長がそれによって保障されるという既に実証が出ておりますものですから、この実証に向かってやり抜いてまいらなければなりません。  そのためには、行政改革を断行するということであります。規制緩和をやり、高コスト構造に支えられてきました今日の産業界を、世界の潮流に合わせて、世界の戦いの中でも十二分に戦い得る、競争し得る、これだけのノウハウとこれだけの勤勉性を持った国民でございますから、必ず乗り越えることができるであろう。チャンスは今だ、体力がありますと。体力が落ちて手術をいたしますと大変なことになる、こういうことであります。
  216. 末広まきこ

    末広まきこ君 今の、扉をあければ春の光がさんさんとというのは、今どき中学生でも信じないと思いますね。  大蔵大臣は、流行歌で「さざんかの宿」というのを御存じですか。「くもりガラスを手で拭いて あなた明日が見えますか」というものです。ガラスは曇っているのに、だれがふいたって見えませんよ。どこに原因があってこの膨大な赤字財政が生じたのか。行政の仕組みに問題があるんです。ですからあわせて行革も行う、こうなるわけですよね。  そして行革の柱は、歳出を減らして財政改革を行い、これ以上の国家財政の赤字をふやさないというのが一点。そしてもう一点は地方分権であるはずなんです。  スリムな中央政府、自己決定する地方自治体、中央から地方への権限と財源の移譲、情報公開して民間の知恵を生かす、こういったことが大切なのに、今回の行財政改革動きを見ておりますと、地方分権の視点がだんだんと薄らいでいっておると思います。市町村合併を促進させて自治体の機能を強化し、地域の特性や住民のニーズを生かす行政が必要とされてきております。そのためにも、中央省庁をスリム化し、余剰人員は地方行政のために地元に帰って尽力する、こういう改革が望まれているのではないでしょうか。これが真の市民文化の育成、ふるさと創生、個性ある町づくりではないのでしょうか。  行財政改革における地方分権の進め方について、総務庁長官の御見解をお伺いいたします。
  217. 小里貞利

    国務大臣(小里貞利君) 国の果たすべき役割を根本から見直しまして、そして規制の緩和及び撤廃を推進し、同時にまた、ただいまお話がございましたように民間にゆだねるべきはゆだねる、さらにまた地方分権を推進するというのは、もうしばしば申し上げておりまするように今次の行財政改革の大前提でございます。  さらにまた、ただいま地方分権の話がありましたが、地方分権推進委員会から四次にわたりまして大変精度の高い答申をいただきました。  私どもはこの前も、十月二十一日でございましたか、この地方分権推進委員会の答申を最大に尊重しなけりゃならないということを再々確認をいたしますと同時に、来年開かれる国会中に、できるだけ早い時期にその答申などを基本にした地方分権推進計画をきちんと立てようということでその作業を進めておるところでございますが、その取りまとめ官庁である総務庁といたしましても、その趣旨で今頑張っておるところでございます。
  218. 末広まきこ

    末広まきこ君 ありがとうございました。ぜひ頑張っていただきたいと思います。  地方分権を実行し、地域の自発的な社会資本整備が望まれます。中央省庁の縦割り官庁ごとにお伺いを立てる今のやり方では地域の個性ある発展は望めません。県単位で社会資本整備を行う時代はもう終わったのではないでしょうか。時代おくれとなりつつある県単位で助成金をもらうシステムを改めて、これからは県から地域へと広域的に視野を広げる必要がある。例えば、道州制のような地域を取りまとめる視点が必要ではないのかなと思います。  そこでお伺いしますが、従来の都道府県制のくくり方で二十一世紀もよろしいのでしょうか、御見解をお聞かせください。
  219. 小里貞利

    国務大臣(小里貞利君) きょうもすばらしい説をお聞かせいただいておるようでございますが、ただいまお話がございましたように、国、県、市町村の縦の系列は従来のように上下、主従の関係ではだめですよ、国も率直にそれは対等に、協調、協力関係ですということも先ほどの地方分権推進委員会ではきちんと述べられております。  そのような理念に基づきまして、ただいまお話がありましたような形で国の行政もスリム化を徹底的に図りまして、なおかつ先ほども申し上げましたような幾つかの要素がありますから、これを極力進めていかなければならない、さように思っております。
  220. 末広まきこ

    末広まきこ君 中央省庁を小さくして地方サービスをきめ細かくしようというのが地方分権のねらいでございますね。どこをどうすれば実現可能なのか。  私は郵便局の活用に注目しております。郵便局は全国津々浦々にネットワークを持っております。しかも窓口業務のエキスパートでございます。郵便、郵貯、簡易保険、いずれの業務にしましてもその大半が窓口業務で占められておると言っても過言ではないと思います。郵政三事業を民営化するとかしないとか、その是非はともかくとして、今ある郵便局のネットワーク、それと窓口業務のノウハウを生かしながらマルチに業務展開していくという考え方はどうなんでしょうか。  郵便局は全国に二万四千六百ものネットワークを持っております。それでは、年間に延べ、延べですよ、何人の人が郵便局を利用するのでしょうか。その活用頻度について、これは事務方で結構でございます。
  221. 濱田弘二

    政府委員(濱田弘二君) お答え申し上げます。  郵便局の窓口ということで、平成八年度の数字でございますけれども、貯金、保険の利用につきましては、貯金の預入とか払い戻し、あるいは保険料の受け入れとか保険金の支払い、そしてまた為替、振替の送金などで、一日にいたしまして千二百万件、年間二十九億円の御利用をいただいております。このほか、先生御案内のように、年金、恩給の支払い等の公的な窓口サービスも行っております。  さらに、先生、今郵便局のネットワークということでございますので、郵便の手紙、はがきの配達について申し上げますと、全国で家庭、事業所、約五千万カ所があるわけでございますが、一日にこの半分強の二千八百万カ所は必ず郵便局の職員が配達に回っておるということで、一日に七千万通、年間二百五十一億通の郵便物の配達もやっておりまして、このように国民の多くの皆様の御利用、御活用をいただいているというのが実態でございます。
  222. 末広まきこ

    末広まきこ君 そのように市民生活と深く密着している郵便局の存在なんですが、これだけのネットワークとノウハウを持った郵便局は、民営化するにしてもしないにしても、とても利便性が高い、ここに着目しなければならない。これは私の提案ですが、郵便局をあらゆる公的サービスの窓口として活用していけないものなんでしょうか。  例えば、郵便局に行って年金を受け取る以外に、住民票も受け取れる、マルチメディア技術を駆使してホームヘルパーの手配もできれば、病院や養護老人ホームの情報ももらえる、また高齢者のちょっとした相談にも応じてくれる、いわば区役所の市民課窓口や福祉事務所の窓口が一緒になったようなところを想像していただけるといいかなと。そうすれば、より充実した地方行政サービスが実現できるでしょう。住民はそれを望んでおります。  私が思いますのは、郵便局を民営化するかしないかを議論する前に、郵便局を地域の中で今後どう位置づけていくのか、二十一世紀における郵便局の役割について議論する必要があるのではないでしょうか。この点について御見解をお聞きしたいと思います。
  223. 自見庄三郎

    国務大臣(自見庄三郎君) 末広委員から将来の郵便局ネットワーク、今二万四千六百、まさに明治四年以来国民の財産としてあるわけでございまして、大変適切な御指摘をいただいたというふうに思っております。少子化、高齢化、高度情報化あるいはグローバル化など大きな環境の変化があるわけでございますが、今、委員御指摘のように、郵便局の潜在的能力と申しますか、それの一層の活用方法を考えていくことは国民のまさに利益にかなうことだし、また社会全体の効率性向上のために私は大変に重要なことである、そういうふうに思っております。  郵政審議会から、実はことしの六月十日だったと思いますけれども、「郵便局ビジョン 二〇一〇」という答申をいただいたところでございます。その中でも、郵便局は、全国どこでも国民だれもが利用できる国民共有のインフラというふうにとらえまして、特に郵便局を地域社会の中の情報、安心、交流の拠点として位置づける、そしてその上で、郵便局ネットワークを行政、民間、地域社会に開放し、活用するに当たって、全般にわたる改革の提言をいただいたところでございます。  今、郵便局を公的サービスの窓口として活用すべきだという先生の御指摘でございますが、本ビジョンにおきましても、各種の行政手続が身近な郵便学窓口で可能となるようなワンストップ行政サービスの実現が提言されているところでございます。大体一・一キロに一カ所、郵便局は国側の公的な窓口としては一番身近にあるわけでございますから、そういったことを提言されておるわけでございます。  そういったことを踏まえつつ、ちょっと私一例持ってきましたが、これ沖縄県の竹富町というところです。日本の最南端の竹富町でございますが、実は島がたくさんございまして、石垣市というところに町の役場があります。私も何度か行ったことがございます。この離島の竹富町の郵便局で、今実は実験的に、例えば今、先生が言われました老人や身体障害者に対するホームヘルパーの派遣を希望する場合の申請だとか、あるいは在宅の老人等が入浴補助用具などの日常生活用品の給付や貸与を行う場合の申請、これ今まで竹富島から石垣島まで行きますと一日かかるんです、船で行きますから。それが、今度は郵便局で先生今御指摘のような行政をさせていただくということで、大変現地の新聞からもまさにそういった意味の活用というのは意義があるというふうな報道をいただいております。  こういったサービスの実現によって、僻地あるいは離島の方々にそういったサービスができるわけでございますから、こういったサービスの実現によって、国民の最も身近なところにある窓口でございます郵便局が一括して行政手続を行うことなどができるとともに、行政の側も、主にこの場合自治体でございますが、効率性の向上に資することが可能であるのではないかというふうに考えております。  そして、恐縮でございますが最後に、「郵便局ビジョン 二〇一〇」を踏まえつつ、今後とも、国民の財産でございます郵便局の改革を積極的に推進し、二十一世紀においてもまさに郵便局は地域社会に貢献する中で国民から親しまれ信頼される郵便局であるように、全職員一丸となって積極的に取り組んでいきたい、こういうふうに思っております。
  224. 末広まきこ

    末広まきこ君 というように、住民のニーズというところから政策というものを立てていくという視点を失わないでいただきたい。官僚の霞が関で、テーブルの上でつくったプランをどどんと縦割りでおろしてこられても住民のニーズとマッチしませんよという例として取り上げているのでございます。我が愛知県の高浜市でも、駅前開発の一環として駅の真ん前にバリアフリーで行ける、こういったワンストップ行政の窓口を開いております。そういうふうに自治体は鋭意取り組んでおるのでございますから、ひとつこの国会、霞が関というところもそういう末端の、現場の声というのをよくよく吸収して行政をやっていただきたいと切にお願いして、私の質問を終わります。  ありがとうございました。(拍手)
  225. 山口哲夫

    山口哲夫君 きょうは、一昨日の質問で残っているのが少しありましたので、そこから入らせていただきたいと思います。  まず、自治大臣質問をいたします。  この間の質問で明らかになったことですけれども、市民生活に身近な公共事業、例えば小中学校とか保育所とか特別養護老人ホームとか、こういうような公共事業も制度的な補助金に該当して七%削減するんだということが明らかになりました。特に、文部大臣だったと思いますけれども、学校建設については七%の削減の対象にしておりますと、こう言っておりました。  しかし、閣議決定の中身を読んでみますと、「制度的補助金については、制度改正を含め既存の施策や事業そのものを見直すことにより、削減・合理化を図る。」と、こう言っております。要するに、今挙げたような施設を公共事業として行う場合にその事業そのものを見直して削減・合理化の対象にするんだというふうに言っております。  こういう公共事業というのは、施設というものは大変市民生活にとっては身近なものばかりでございまして、こういう身近な公共事業を一体どういうふうに見直して合理化するつもりなのか。私はこういうものの削減というものは、これはやっぱり市民生活の教育、福祉の面を後退させることになる、そういうふうに思いますけれども、自治大臣、いかがお考えでしょうか。
  226. 上杉光弘

    国務大臣(上杉光弘君) 制度的補助金はむしろ国と地方の関係大蔵大臣からの方が適当だとも思いますが、御案内のとおり削減は、制度的補助金については制度の見直しを具体的にしていくわけでございますが、これは平成十年度の予算編成の過程において内容を固めていくことになるだろう、こう思います。  ただ、この制度の見直しに当たりましては、自治省といたしましては、国、地方を通じます財政の健全化を図る観点から、国から地方への負担の転嫁が行われるようなことのないように、行われるべきではないと私は判断しておりますが、そういうことのないように各省とも十分話し合いをし、調整をして対応してまいりたいと考えております。
  227. 山口哲夫

    山口哲夫君 国から地方に対して財政的な面の転嫁がないようにというふうに考えているということは、例えば学校を建設する場合に、補助金の七%、公共事業として七%を切る、国の方は。しかしそれは、自治体の方ではこの七%は交付税か何かでもって必ず補てんするということもあり得るということですか。
  228. 上杉光弘

    国務大臣(上杉光弘君) 制度的補助金は、補助事業そのものは財源が一〇〇%地方財政では用意できませんから、例えば交付税でさえも足りない分は借金して市町村三千三百に財源配分しておるわけであります。  その次に、補助金というのは、国が国債に依存しておる以上は地方の負担分というのは足りません。その上に、七%を切ったから足りない分は全部地方でやれと言われてもできる筋合いのものじゃありません。ですから、国の財政構造改革という形での国債依存からの脱却というのは当然のことでありまして、国債依存が続く限り補助事業というものについては国は足りない分は負担分を借金によって賄っておるという現状でありますから、そういう形での国、地方を通じた意味での話し合いは当然なされるものと私は思っております。一方的に転嫁をされて、それを受け入れられるというものじゃない、そういう意味で私は申し上げました。
  229. 山口哲夫

    山口哲夫君 大蔵大臣、今お聞きだったと思うんですけれども、そういうふうに理解してよろしいですね。国の方で七%は切るけれども、自治体の方としてはそのまま受けるわけにはいきませんと、自治体の方だって金がないんだから。そこは当然話し合いの中で解決していきたいという自治大臣の主張だと思うんですけれども、そういうふうに解釈してよろしいですね。
  230. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 公経済の車の両輪であります。ですから、両々相まちまして協調体制をしいていくというのは基本でなければなりません。国と地方のトータルにおける債務の処理について、九〇%を超えないように、六年目には安定した路線にするということが基本にあります。財政赤字につきましても、単年度国民総生産比三%という健全化目標は国も自治体も同じだというふうに理解をしていかなければなりません。自治大臣もそこを踏まえた上でのお話であろうと思っております。
  231. 山口哲夫

    山口哲夫君 大蔵大臣答弁を聞いているとどっちにでもとれるんですよ。問題が起きたときに、あの時こう言ったのはこういう解釈でしたと、どっちにでもとれるように実に巧みな答弁をされるんですね。  もっと具体的に聞きたいのは、例えば学校をつくるときに公共事業の対象で七%切りますと言っているんですよ。補助金を七%切られたら、自治大臣は、それはっくれませんから困るんだと言っているんです。だから何とかしてくれるでしょうと言っているんです。全く自治大臣の言うとおりだと思うんです。  ですから、両輪相まってということになると、国も苦しいんだから自治体も苦しんでもらわなければ困ります、それが車の両輪ですよというふうにも解釈できるわけですよ、今の大臣答弁というのは。だから、大蔵大臣と自治大臣答弁、全然これは違います。  地方自治体ですから、国がああせいこうせいと言うようなこと自体が私はおかしいと思う、本質的に。だから、これは公共事業の一環なんだから国の方は七%切りますという対象にすること自体おかしいと思うんですよ。(「学校は公共事業じゃない」と呼ぶ者あり)  今、学校建設は公共事業でないというお話があったけれども、そういうふうに理解してよろしいですか。おとといは、文部大臣は今いらっしゃらないけれども、文部大臣がどなたかの質問に対して、学校建設等についてもこれは制度的補助金ですから七%のカットの対象になりますというふうに私は聞いていたものですから、それを確認したらうなずいていましたよ。  今ちょっと発言がありましたけれども、そういうふうに解釈してよろしいんですか。(発言する者あり)
  232. 遠藤要

    委員長遠藤要君) 御静粛に願います。
  233. 涌井洋治

    政府委員(涌井洋治君) お答え申し上げます。(発言する者あり)
  234. 遠藤要

    委員長遠藤要君) 私語を禁じます。
  235. 涌井洋治

    政府委員(涌井洋治君) 先生の御指摘の補助金につきましては、実は前回も御答弁申し上げたんですけれども一つは、主要経費のキャップの方がかかっております。学校建設費等というのは、いわゆる道路、河川等の公共事業のほかに、官公庁施設のような施設の建設もいわゆる公共投資の分野に入っておりまして、それらにつきましては事業量の縮減を図るという考え方のもとで七%のキャップがかかっております。  ただ、この七%といっても、具体的に個々の補助金が七%というよりもそれぞれのマクロとして七%がかかっているわけですから、その中でのめり張りのつけ方はこれからの予算編成で、より重要なものはマイナスが小さくなったりふえたり、それからより緊要度の低いものはよりマイナスが大きくなるかもしれませんけれども、いずれにしても全体としてはマイナス七%とする。  もう一つ、補助金については、やはり補助金の見直しを常にしなくてはいかぬということで、いわゆる制度的に見直していくという分野の補助金に入っている。ただし、制度的見直しの対象となる補助金につきましては、一割カットという対象じゃありませんので、数字的なキャップはかかっておりませんということでございまして、むしろ公共投資の方でかかっておるということでございます。
  236. 山口哲夫

    山口哲夫君 結局、事業量を減らしなさいと。そういうことになれば、自治体にしてみますと減らせないことだってあるんですよ、どうしても来年中にここまではやらなければいけないということもあり得る。そうするとどうするかというと、結局は超過負担でやらざるを得ないというような問題が出てくるんですね。  ですから、もう少し自治体の計画というものを尊重してもらわなければ、国の方が自治体のそういう仕事の内容まで縛りをかけるようなやり方というのは、私はやっぱり問題があると思うんです。だから、そこを十分考えて、その辺はむしろ自治大臣に大いにひとつ今後頑張ってもらわなければいけないんじゃないかなと思うんです。そのことだけは要請しておきたいと思います。  それでもう一つは、閣議決定の中に、「地方公共団体に対する補助金」の中で③のハの部分に、「会館等公共施設に対する補助金に関しては、集中改革期間中は、原則として新たな施設の着工を行わない。」と書いているんですね。これ、自治体がやろうというのに、国の方が新たな施設の着工はだめですということを言えますかね。
  237. 上杉光弘

    国務大臣(上杉光弘君) その前に、七%カットというのは、個別の問題じゃなくて全体の問題、量の問題ですから、だから国がそう言ってきたって受け入れないという話でしたが、そうじやありません。  私が申し上げたかったのは、地方財政法の二十一条、二十二条には地方負担を伴う法令予算については「自治大臣意見を求めなければならない。」と規定しておるわけでございまして、当然、国から地方への負担転嫁が生じないように、自治省としても十分これは留意した上で各省庁とも協議していく、国と地方と話し合ってやりますよ、こういうことですから、誤解のないようにひとつお願いします。  それから、御指摘の点につきましては、会館等公共施設に対する国の補助金に関し、原則として新たな施設の着工は行わないということでございまして、個々の地方公共団体がみずからの創意工夫を生かしました単独事業による施設整備等に関するものではございませんので、地方の自主性を縛るものではない、こういうふうに考えております。  いずれにいたしましても、財政構造改革における補助金等の削減合理化に当たっては、地方分権に資するよう進めていく必要があると受けとめております。
  238. 山口哲夫

    山口哲夫君 結局、補助金という財政面から縛って、事実上着工できなくしようという考え方なんですね、これは。自治体がやることについてそういう縛ることはないんだとおっしゃるけれども、補助金というものはつけないんだということは、事実上、やるのなら自分の金でやりなさいということになるので、そういう面から縛りをかけるやり方というのは地方分権の時代にふさわしいものではない、私はそう思っております。  ちょっと時間がかかり過ぎているんですけれども最後大蔵大臣に。  現在、法定加算というのが、地方交付税に加算を約束している金額ですけれども、実に七兆四千億になっているわけです。国の財政が苦しくなりますと、まずこういう法定加算の分まで繰り延べようという動きがあるわけですね。こういうことだけは私は今後やってほしくないと思いますけれども、そこは大丈夫でしょうね。
  239. 三塚博

    国務大臣三塚博君) その問題につきましては、各年度の地方財政計画に当たりまして法定化されている措置を重く受けとめますとともに、国と地方の厳しい財政事情を踏まえた上で、先ほど言っております公経済の車の両輪でございますから、バランスのとれた財政運営を行うことが必要であるとの基本的な考え方に沿いまして、一般会計からの加算を含め、地方財政の運営に支障が生ずることのないよう所要の措置を講ずることが基本である、こういうことであります。
  240. 山口哲夫

    山口哲夫君 法律で約束していることですから、それ以上自治体にしわ寄せすることだけは絶対に行ってほしくないということを強くお願いしておきたいと思います。  それじゃ医療制度の問題について、まず厚生大臣にお伺いいたします。  この財政構造改革を今行おうとしている理由の一つに、超高齢社会に備えて財政の健全化をやっぱり図らなければならない、そういう考え方があると思います。ところが、そういう考え方をしているのに、社会保障費の伸びをなぜ三千億円に抑制するのか。これは、いわば手段が本来の目的を阻害しているんではないだろうか、本末転倒ではないかなというふうに考えるんですけれども、いかがでしょうか。
  241. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 今後、高齢化社会、少子化社会を展望しますと、今の制度をそのまま維持していくといわゆる国民負担率が七〇%を超えてしまう。年金にしても、若い人の保険料は倍負担していただかなきゃならない。これで果たして若い世代は承知するだろうか。お互い、給付と負担の均衡を図るためにはどのような改革をしなきゃならないか。年金にしても医療にしても、あるいはこれから導入します介護保険についても、高齢者と若い世代の給付と負担の均衡を図るということは大変大事な視点だと思います。  その中にあって、できるだけ国民負担を五〇%以内に抑えたいという大前提の中にあらゆる省庁の予算を見直ししなきゃならない。前年よりふえるのが当たり前という今までのやり方ではなくて、むしろ来年度は一般歳出は今年度に比べてマイナスという大変厳しい手法を講じないとこれから若い世代に過重な負担となってしまうのではないかという中で、社会保障制度も例外ではない。  わけても、これから財政再建ということを考えても、厚生省予算と公共事業予算が一般歳出の中で一番いわゆる税金を使っている分野であります。できるだけむだや非効率を排除するという観点から改革をしなきゃならないということで、厚生省予算は三千億円増に認めるが、各省マイナスの中で厚生省は三千億円ふえても、実際は、黙っていれば八千五百億円増、ふえてしまうわけですから、増ではない、五千五百億円程度削減しなきゃならない。大変厳しい作業でありますけれども、今後の将来を展望するとこれも避けられない道ではないか。  社会福祉を充実していくためにも経済をいかに活性化するかということも大事でありますから、余り税負担、保険料負担をこのまま放置しておきますと、かえって金の卵を産む経済そのものもおかしくなってしまうんではないかという観点から、この五〇%に国民負担を抑えるという大前提を承知する限りは社会保障予算も聖域ではない。その中であらゆる項目を点検しようということで今鋭意四苦八苦しながら努力を続けている最中でございます。
  242. 山口哲夫

    山口哲夫君 厚生大臣は給付と負担ということを非常に大事におっしゃるんですけれども、それだけで果たしてこの社会保障制度というものを見ていいんだろうかなと思うんです。  例えば、この間もちょっとお話ししましたけれども、医療費の対GDP国際比較、これを見てみますと、アメリカが一四・一二%で一番目ですよ。それから、カナダが一〇・二三、スイスが九・九一、フランスが九・七八、オーストラリアが九・二一、日本は幾らかといえば七・二八、何と十八位ですね。ですから、いかに国際的に見て日本の医療費というものはGDPに比較して少ないかということが言えると思うんです。  ですから、そういうことを考えると、政府全体として、むしろこれは大蔵大臣に言いたいんですけれども、もう少し医療費に国の立場でもっとやっぱり温かい手を差し伸べていいと私は思うんです。  例えば、今老齢年金の受給者というのは千九百万人いらっしゃいます。そのうち六割を占める国民年金、これは月平均四万四千円です。厚生年金は十七万、共済年金二十一万九千円です。しかも、各制度とも受給者の約六割の人が平均以下、大変低い年金しかいただいていないんです。ですから、今、年金だけで暮らしていける人というのは大変少ないわけですね。  ですから、そういうことを考えたら、今度さらに健康保険の掛金まで負担をかけようかという厚生省の考え方というものには無理があるんでないかなと私は思うんです。そういう点で、もう少しやっぱり国全体として医療費に対してお金を出していくべきだと私は思います。大蔵大臣、いかがですか。
  243. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 国の一般会計歳出の総額に占める比率が社会保険費として一八・八でございます。地方交付税として交付金をいたしておりますのが十五・四八兆、こういうことで二〇%と、こういうウエートを占めておるわけでございまして、厚生大臣が言われますとおり、健全な安定した制度をキープしてまいりますためには改善が必要と、こういうことであります。
  244. 山口哲夫

    山口哲夫君 終わります。
  245. 遠藤要

    委員長遠藤要君) 次回は十一月十七日午前十時に開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時八分散会