○沓掛哲男君 国際化時代ですから、私は今おっしゃられたことがすぐそうかというふうには余りうなずけないんです。いろいろなことはあるにしても、それは国が違うんですからいろんな
状況は違います。しかし、余りにも違い過ぎるのではないでしょうか。世界で一番低い先進国は〇・五、それに二・五、やっぱりその辺のところが私は非常に問題だという意識できょうお話し申し上げているんです。
そこで、もう
一つ三番目に、金利は
経済によって生み出される果実である、金融機関の
皆様はいつもおっしゃいます。金利は
経済によって生み出される果実だと。金利は、
日本の場合はほとんどないんですから、じゃ
日本の
経済は今果実を生み
出していないんですか。そんなことはありません。これだけ大きなGDP等を生み
出して繁栄しているんですから。そういう点で、日ごろ皆さんが言っておられることと非常に矛盾しているように私は思います。
超低金利の長期化は
日本経済の将来性に赤信号をともしているわけです。日銀という
日本で一番信頼できるところが〇・五。金利はほとんどないよ、
日本の
経済はいわゆる果実を生み出さないよと言って赤信号を前にどんとつけているわけですから、
企業はみんなびびってしまいます、どこの
企業も。きょうの
経済企画庁の説明の中でも一番問題は、
個人消費がなかなか出てこないということを説明しておられました。
では、
景気の現状はどうかということについて、いろいろ資料があるので少しお話ししますと、十一月四日の読売新聞に出ていた主要百社アンケートというのが最近では一番わかりやすく説明していました。これによりますと、総論的には非常に
景気の
見通しについてはみんな厳しく言っています。
それは、足踏みと見る人が六〇%、緩やかに落ち込んでいるという人が三六%で、実に九〇%ぐらいの人が余りよくないと言っています。なぜですかと聞くと、やっぱり一番の理由は、ここでもそうなんですが、九七%の人が
個人消費の低迷を挙げているんです。その次に住宅投資の減少とか
政府の
経済対策のおくれがそれぞれ四〇%、不良債権処理のおくれが三二%と、総論的には非常に悪いんです。
だけれ
ども、じゃあなたの会社はどうですかと個々に聞いてみて、自社の業況はどうかというと、これは非常に底がたいんですね。横ばいが三八、よいが三二、合わせて大体七〇%がまあまあいっていますと言っているんです。低迷というのは二〇%ですよ。懐ていいかわからない、金利面では金融の日銀さんは赤信号、
政府の
大蔵大臣初め皆さん方の
財政構造改革はお先真っ暗、なかなか明るい展望が開けない。となれば、なかなか困ったなということになってしまうので、私は現在の会社そのものがそんなに悪いわけではないというふうに思います。
そこで、もう時間もない、具体的マイナスをいろいろおっしゃられたので、資料をつくってきたので、日銀総裁を
中心に、皆さんにもあわせてさっと説明させていただきたいと思います。(図表掲示)
まず、金利を〇・五から二%ぐらいに上げたときに
設備投資がどうなるか、金利だけに着目してですよ。そうするとどういうことかというと、ここにも書いてきましたように、金利とか投資額曲線というのは、横軸に投資額、これを
設備投資と見ればいいわけです。そして、こちらを金利と見ればいいわけです。そうすると、金利がゼロになったとき、その
設備投資は今の
日本の
時点で幾らと決まるわけで、それが金利が上がれば徐々に減っていきます。そして、金利が無限に上がっていけばこれはゼロになりますから、こういう曲線を描くわけです。
そうすると、今〇・五%というのは非常に低い位置にあります。仮にこれを二%にしても、本当にこの減少というのは非常に少ない。これがもっと五%とか六%に上がっていくと、これはぐっと返ってくるので、逆に言えば〇・五%を今〇%にしたからといって需要がばっとふえる、そういうこともないんです。ですから、〇・五%を二%にすることによる減少というのは私は非常に少ないと思います。現に、
企業に聞いても、今余りそういう〇・五、一%ということを意識しているわけじゃないわけです。それはやっぱり需要がない需要がないと言うんですよ。ですから、需要をつくることが大切。このように下がってもいない。逆に、これによって需要ができれば、私は
設備投資はふえる方向にあるというふうに思います。
住宅投資についても同じ傾向なんですが、これは住宅金融公庫の資金とかいろいろありますし、住宅というのは大体平均的に百四十万戸台を維持しておればいけるのが
日本の国なんです。一時百六十万とかその辺をみんな超えていましたから、今は百三十万に減っていますが、そういういろいろなことがあってのことであって、金利が云々というならば、それはまた
大蔵大臣、皆さんそれぞれの御配慮をいただいて、住宅促進税制とかそういう政策をいろいろやっていけるんだというふうに思います。
それから、銀行の不良債権も心配なものですからいろいろ調べてみました。そうすると、いわゆる都市銀行十行のうち、第一勧銀が悪いわけじゃないんですが、ちょっと扱い方が違っていますから、それを除いた残りの九行、さくら、富士、東京三菱、あさひ、三和、住友、大和、東海、北海道拓殖、この九つについて見ても、
平成七年度では業務純益が二兆九千八百億円、低金利で上がっています。そして、不良債権の処理を含めて三兆三千八百五十一億円やっています。そして、いろいろ経費もあるから七年度では一兆七千億ぐらいの当期利益でマイナスですが、八年になると、かなり不良債権を
出し切りましたから、いわゆる業務利益が二兆二千九百億、そして不良債権が前より大幅に減って一兆九千億、そして当期利益を三千五百億円
出している。第一勧銀もそうなんです。ちょっと不良債権の処理のウエートが違っているだけです。そういうふうに都市銀行十行は、ほぼ不良債権問題を処理し切っているんです。
それから、今おっしゃったいろいろな
企業のこれからの対応については、それなりに有望な
企業は大いに引っ張っていかなきゃいけません。しかし、それは通産省の方で例えばベンチャーキャピタルの育成、それからまたベンチャー財団の創設などなどを通じていろんなことをやっておられるので、日銀としてはこれから国全体の
経済、
景気がどうなるかというのをぜひ見ていただきたいと思います。
それから、時間がもう二分しかないので、
最後に
一つ重要なことを申し上げたいと思います。
来年四月、改正外為法が施行され、内外の資金の流れが自由になれば、金利水準は国際的な調整にさらされることになるはずです。もし、公定歩合〇・五%の低金利のままであれば、円は国外へ行き、為替レートは円安へといくはずです。一ドルが恐らく百四十円、百五十円、百六十円というふうになるんじゃないでしょうか。そうすれば、対米輸出は増大し、米国からたたかれて結果的に公定歩合はアップせざるを得なくなるのではないでしょうか。いずれ、来年の四月までにこの超低金利から脱出せざるを得ないというふうに思いますが、ここで御
意見を聞いている時間がないので続
けさせていただくことをお許しください。
市場や
経済の指標に忠実なだけでは金融政策の解は私は出てこない時代になったのだと思います。二十年、三十年前は、今、総裁のおっしゃったとおりだと思います。しかし、今はそうではなくて、やはり
個人消費、
国民もいろいろな面で活動して、
個人消費こそ
日本の需要の創出を、GDPの六〇%も占めているんですから、ここの部門に、仮に今〇・五%を二%としていただければ十一兆円の所得が
国民の懐へ入るんですから、そうすれば
大蔵省も二兆円どんと入る。これはそれ以外に私はなかなか新しいものは容易じゃないというふうに思います。
もちろん、今ここで日銀の専管事項であります公定歩合についてその頂点にある総裁に何かと申し上げたことはおわびいたしますが、
最後にもう一度、この今〇・五%という超低金利を、一・五%にでもいいんです、仮に二%程度の低金利にすることにより
国民に今申し上げたような大きな利益をもたらし、そしてそのことが
設備投資増へと進み、
景気回復へといくのではないでしょうか。
政府の
経済対策と日銀の金融政策が車の両輪となって
我が国の
景気の本格的な
回復を達成されることを願って、また日銀総裁にぜひぜひお願い申し上げまして、私の
質問を終えたいと思います。
どうもありがとうございました。(拍手)
〔理事
高木正明君退席、
委員長着席〕