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1997-11-12 第141回国会 参議院 行財政改革・税制等に関する特別委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年十一月十二日(水曜日)    午後二時一分開会     —————————————    委員の異動  十一月十一日     辞任        補欠選任      小島 慶三君     本岡 昭次君      梶原 敬義君     志苫  裕君      吉岡 吉典君     緒方 靖夫君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         遠藤  要君     理 事                 片山虎之助君                 高木 正明君                 野間  赳君                 三浦 一水君                 荒木 清寛君                 広中和歌子君                 伊藤 基隆君                 赤桐  操君                 笠井  亮君     委 員                 狩野  安君                 鹿熊 安正君                 金田 勝年君                 亀谷 博昭君                 久世 公堯君                 沓掛 哲男君                 斎藤 文夫君                 清水嘉与子君                 田村 公平君                 常田 享詳君                 長尾 立子君                 林  芳正君                 保坂 三蔵君                 宮澤  弘君                 泉  信也君                 今泉  昭君                 岩瀬 良三君                 小林  元君                 菅川 健二君                 高橋 令則君                 寺澤 芳男君                 益田 洋介君                 吉田 之久君                 齋藤  勁君                 峰崎 直樹君                 本岡 昭次君                 志苫  裕君                 清水 澄子君                 緒方 靖夫君                 吉川 春子君                 西川きよし君                 椎名 素夫君                 山口 哲夫君    国務大臣        内閣総理大臣   橋本龍太郎君        法 務 大 臣  下稲葉耕吉君        外 務 大 臣  小渕 恵三君        大 蔵 大 臣  三塚  博君        文 部 大 臣  町村 信孝君        厚 生 大 臣  小泉純一郎君        農林水産大臣   島村 宜伸君        通商産業大臣   堀内 光雄君        運 輸 大 臣  藤井 孝男君        郵 政 大 臣  自見庄三郎君        労 働 大 臣  伊吹 文明君        建 設 大 臣  瓦   力君        自 治 大 臣        国 務 大 臣        (国家公安委員        会委員長)    上杉 光弘君        国 務 大 臣        (内閣官房長官) 村岡 兼造君        国 務 大 臣        (総務庁長官)  小里 貞利君        国 務 大 臣        (北海道開発庁        長官)        (沖縄開発庁長        官)       鈴木 宗男君        国 務 大 臣        (防衛庁長官)  久間 章生君        国 務 大 臣        (経済企画庁長        官)       尾身 幸次君        国 務 大 臣        (科学技術庁長        官)       谷垣 禎一君        国 務 大 臣        (環境庁長官)  大木  浩君        国 務 大 臣        (国土庁長官)  亀井 久興君    政府委員        内閣法制局長官  大森 政輔君        内閣法制局第三        部長       阪田 雅裕君        総務庁長官官房        審議官      西村 正紀君        総務庁人事局長  中川 良一君        経済企画庁総合        計画局長     中名生 隆君        法務省刑事局長  原田 明夫君        外務省経済協力        局長       大島 賢三君        外務省条約局長  竹内 行夫君        大蔵大臣官房総        務審議官     溝口善兵衛君        大蔵省主計局長  涌井 洋治君        大蔵省主税局長  薄井 信明君        大蔵省証券局長  長野 厖士君        大蔵省銀行局長  山口 公生君        文部大臣官房長  小野 元之君        文部大臣官房総        務審議官     富岡 賢治君        文部省初等中等        教育局長     辻村 哲夫君        文部省教育助成        局長       御手洗 康君        文部省高等教育        局長       佐々木正峰君        厚生大臣官房総        務審議官     田中 泰弘君        厚生省保険局長  高木 俊明君        厚生省年金局長  矢野 朝水君        郵政大臣官房総        務審議官     濱田 弘二君        郵政省貯金局長  安岡 裕幸君        労働大臣官房長  渡邊  信君        労働省労政局長  澤田陽太郎君        労働省職業安定        局長       征矢 紀臣君        労働省職業能力        開発局長     山中 秀樹君        建設大臣官房長  小野 邦久君        建設省建設経済        局長       五十嵐健之君        建設省都市局長  木下 博夫君        建設省道路局長  佐藤 信彦君        建設省住宅局長  小川 忠男君        自治省行政局選        挙部長      牧之内隆久君        自治省財政局長  二橋 正弘君    事務局側        常任委員会専門        員        田中 久雄君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○財政構造改革推進に関する特別措躍法案(内  閣提出、衆議院送付)     —————————————
  2. 遠藤要

    委員長遠藤要君) ただいまから行財政改革税制等に関する特別委員会を開会いたします。  議事に先立ち、一言申し上げます。  本委員会運営に際し、昨日の外交日程に係る連絡不十分並びに緊張感を欠く審議態度等政府側対応について、委員長は、各会派の総意を持って遺憾の意を表し、その対応改善について申し入れを行ったところ、政府側を代表して内閣官房長官から、その趣旨のとおり、真剣に取り組む旨の表明がございました。  政府側には、今後、誠意を持って委員会運営に御協力を願いたいと存じます。  内閣官房長官より発言を求められておりますので、これを許します。村岡内閣官房長官
  3. 村岡兼造

    国務大臣村岡兼造君) 昨日の委員会審議に際し、外交日程について十分な連絡調整を行わず、御迷惑をおかけしたことを委員長及び委員各位に深くおわびを申し上げます。  今後、内政、外交日程については、当然、早期に連絡調整を行い、十分な意思疎通を図ってまいります。  また、委員会審議に当たっては、国会の権威を尊重し、緊張感を持って真剣な態度で臨むよう全閣僚に対し厳重なる注意を喚起し、実行させます。     —————————————
  4. 遠藤要

    委員長遠藤要君) 財政構造改革推進に関する特別措置法案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  5. 寺澤芳男

    寺澤芳男君 平成会寺澤芳男です。  本委員会審議の合間にバブル後遺症ということがたびたび指摘されました。バブル後遺症はいまだに続いている。続いているのみならず、ますます重く日本経済の上にのしかかっていると私は思います。  去年の四月二十三日だったと記憶しておりますが、参議院予算委員会で、私は参議院の中にペコラ委員会のようなものをつくったらどうかという御提案をいたしました。これは、御承知のように、一九二九年、アメリカの株が大暴落をして、何と時価総額が五分の一まで下がってしまった。ワシントンの上院で直ちに銀行委員会が開催されまして、ニューヨークにいたペコラさんという弁護士を委員長にしてペコラ委員会というのができました。徹底的に暴落の原因、そして暴落後のアメリカ経済、これを国会議員として上院議論をいたしまして、いろんな法律ができた。それが今日のアメリカ証券業務の基盤になっております。  ペコラ委員会参議院の中でできなかったということにつきましては、私としては、私自身の力不足を含めて非常に深く反省をしております。この種の委員会は、本来ならば国民の代表である、ローメーカーである国会議員国会で超党派で議論をして、そして例えば今提出されているような法案もつくるべきであるというのが私の考えであります。  今、日本経済バブル後遺症が大変重々しくのしかかっている。株は安い。きょうも安い。不動産価格も低迷している。不況なのか、不況感の強く漂う経済状態なのかは別としまして、この難しい法律を通すタイミングとしては、余りタイミングはよくない。  総理は、この法律が通らなければ日本のあしたはないとまで極言しておられますが、こういう非常にタイミングの悪いときに、国民の本当の心からのサポートを得てこの法律を通さなければならない総理のお覚悟、御見解をまず賜りたいと思います。
  6. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今、議員から、かつてのアメリカの大恐慌、そしてそれを受けましてアメリカ上院の動きの中で生まれましたペコラ委員会の遠因、そしてそれが今日にまで続いているアメリカ法制度、こうしたものを引用されながら改めてのお尋ねでありました。  これはもう何度も繰り返して申し上げておることでありますけれども、私は、我が国経済の現状を考えましたときに、まさに足踏み状態という言葉を私自身が使う、そして企業の景況感にも非常に慎重さが見られる、しかし一方で、まだ民間需要を中心とする景気回復の基調というものは続いている、そのように考えております。  他方、我が国財政状況考えますと、まさに御指摘になりましたバブルの崩壊後、その景気下支え策として累次にわたる公共投資の追加などを行う、こうした努力を重ねてまいりましたけれども、これはまさに下支えにとどまりました。そして、その中において財政収支は著しく不均衡な状態になり、その中で少子・高齢化はますます加速をいたしております。  こうした状況の中で現在の財政構造を放置した場合、将来財政赤字を含めました国民負担率が七〇%にもなる、そうした試算も示されておりますように、我が国経済国民生活が大変厳しいというよりもう破綻に近い状態を迎えることは明らかである、これは数字の上でも議員ごらんのとおりの状況であります。  そして、そういう中で、私はこれ以上、財政に今までのような運営が許されるかというならば、財政構造改革への取り組みというものは一刻の猶予も許されない課題になっていると考えております。確かに、短期的にこれは痛みを伴うということは繰り返し私も申し上げてまいりましたけれども、中長期的に国民負担率の上昇を抑えられる、また公共部門簡素合理化などにより経済活性化に資するということは間違いのないことであると思います。  当然ながら、これは財政構造改革だけの問題ではありません。経済構造改革、すなわち規制緩和撤廃等の、また新しい産業分野を育成していくためのそうした努力を並行して行わなければならない。行財政改革もその一つであります。しかし、こういう状況の中で今までと同じようなことが許されるのかというなら、私は既に限界に来ていると思っております。このためにも、この財政構造改革法案の速やかな成立をお願いいたし、これによって改革を強力に進めてまいりたいと、心から願っております。
  7. 寺澤芳男

    寺澤芳男君 十一月三日、三洋証券倒産をいたしました。負債総額三千七百三十六億円。金融機関としては珍しく会社更生法適用申請いたしました。この申請東京地裁によって認められれば、多くの債権者間の調整がこれまでのような大蔵省主導ではなく裁判所で行われ、会社再建に向けての手続が始まるわけですが、まず大蔵大臣御所感を求めたいと思います。
  8. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 三洋証券は、多額の不良資産を抱える関連ノンバンク経営が行き詰まり、その再建を図るために関係金融機関の支援を受けて平成六年に経営改善計画を取りまとめまして、その計画の実行を図ってまいってきたところであります。  こうした中で、十一月三日、三洋証券から、関係者と今後の三洋証券グループの建て直しについて協議を進めました結果、これ以上現行の経営改善計画の遂行は困難であるとの判断に至ったとして、関連ノンバンク等について法的措置を講じますとともに、三洋証券自身につきましても会社更生法適用申請を行った旨の報告が三日にありました。  三洋証券関連ノンバンク等の業容の悪化という特殊事情によりまして今回の措置に至りましたことはまことに残念でございますが、今後、同社会社更生法という透明性のある法的枠組みの中で再建を目指すことになりました。行政としましては、関係者努力を見守ってまいりたいと思っておるところであります。
  9. 寺澤芳男

    寺澤芳男君 一九九〇年二月に、アメリカドレクセル・バーナム・ランベールという証券会社が、大体三洋証券と同じ負債総額、約三十億ドルだったんですが、倒産をいたしました。  アメリカでは、早速、上院銀行住宅都市委員会で、このドレクセル社倒産教訓として何らかの立法措置必要性考え公聴会を開きました。実は、ドレクセル倒産する前にウォールストリートには、アメリカ政府ドレクセル社緊急融資を行うのではないかという憶測が、うわさが流れておりました。しかしながら、結果はそういうふうにはなりませんでした。  今、私がアメリカ日本証券会社倒産について、大蔵大臣にもう一度お伺いしたいと思っておりますことは、アメリカの場合は、証券行政というのが登録制である。証券会社になりたいと思う人はSECにその旨登録すれば直ちに証券会社になれる。そのかわり、一たん証券会社になったら、負債比率とかあるいは自己資本比率とか一定のルールは守らなければいけない。しかしながら、日本の場合には、証券会社になりたいと思っても、免許制ですから大蔵省から免許がもらえないと証券会社にはなれない。証券会社になってからの大蔵省指導というのは、手をとり足をとり、完全に大蔵省指導の中で証券業務が行われている。このように、免許制我が国証券会社倒産登録制米国における証券会社倒産とは同じレベルでは論じることができないかもしれない。  今後、今のまま日本証券業者免許制をお続けになるおつもりなのか、あるいは登録制ということもお考えの中にあるのか、大蔵大臣にお伺いしたいと思います。
  10. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 大変今日の事態を踏まえての御質問でございます。  ビッグバンを迎えるに当たりまして、業際を外しながら自由市場の原理に基づいてそれぞれが預貯金者寄託者契約者の利益にかなう商品を出すことによって、その行為を通じ地域社会国家に貢献をしてまいりたい、こういうことでございます。  今後の証券行政ということで見ますと、三洋証券裁判所寄託証券補償基金関連金融機関等関係者協力によりまして投資家保護に万全を期したところでございます。また、同社は今後、会社更生法という透明性のある法的枠組みの中で会社再建を目指すことといたしております。そういう中で、行政としてこの努力を見守りながら、今後のあり方を最大の関心を持って裁判所業務が進むことについて見守ってまいります。  今後、三洋証券問題の教訓を踏まえまして、自己資本規制比率等を通じまして証券会社の財務の健全性のチェックに努めますとともに、寄託証券補償基金の充実を含めました証券会社退出の際の投資家保護枠組みの整備に今後努めてまいりたいと思います。その帰趨を見ながら、御指摘のようなことも視野に入れながら取り組んでまいらなければならないのかなと思っておるところであります。
  11. 寺澤芳男

    寺澤芳男君 この三洋証券倒産と今政府考えている日本版金融ビッグバンとの因果関係というのは、果たして因果関係があるのかどうかもわかりません。しかしながら、一九七五年、たまたま私は居合わせたわけですが、ニューヨークにおけるメーデーあるいは一九八六年ロンドンにおけるビッグバン、少なくともこれによって多くの証券会社倒産し、失業者が一時的に町にあふれ出たことは事実であります。  当時、ニューヨーク証券取引所の前に常時二、三台のニューヨークポリスカーが、パトカーがおりました。何をやっているのかと見ますと、証券会社を首になった従業員ニューヨークポリスマン、お巡りさんにならないかという募集をしていたわけであります。はたまた、五十階六十階の高いビルができたはいいけれども、だれも入らない、本当にもうがらがらのビルが林立していたという恐ろしい経験を私自身しております。  この証券業者倒産、あるいは今たまたま大臣指摘されましたけれども、寄託証券補償基金というものについて真剣に考えなければならない時代がやってきたのではないかと思います。いわゆる投資家がこうむる損失を補償する制度というのは、これは政府がやらなければならない。現在は証券業界が自主的に運営している財源三百五十一億円の寄託証券補償基金がありますが、二証券会社当たり支払い限度額が二十億円どまりであり、多くの問題を抱えていると思います。  三洋証券倒産ではこの限度額を例外的に撤廃して対処するようですが、この際、補償基金法人格あり方補償限度額顧客ごとに変更する、あるいは証券会社からの出資を非課税にする等々、さまざまな補償基金改革をなすべきものであると思いますが、大蔵大臣の御所見をお伺いいたします。
  12. 長野厖士

    政府委員長野厖士君) 寄託補償基金につきましてお答えします前に、先ほど大臣からもお答えをしたところでございますけれども、証券業をめぐります免許制度につきまして、証取審におきましてこの日本版ビッグバン内容につきまして御検討をいただきました。六月十三日に御答申をちょうだいいたしておりますけれども、その答申の中では、証券会社の参入というのは免許制を改めて登録制にすべきであるという方向性をお示しになっておられます。したがいまして、先ほどの大臣の御答弁とあわせまして、この具体的内容検討の上、法改正すべきということになりますと御提案させていただきたい、そういう段階でございます。  御指摘寄託証券補償基金につきましては、まさに御指摘のとおりでありまして、現在、日本システム財団法人におきます任意のシステムとなっておる、したがって損金算入にならない。また、補償限度額は一社当たり二十億円。ということは、顧客の側から見れば、万が一のことがあったとき自分は大体どのくらいの補てんが受けられるんだということの予測がつかないといったような問題がございます。  諸外国におきましても、このような仕組み法律上の法人として位置づけて、その拠出金損金算入ができる。そして、どちらかと言いますと、一社当たり幾らという考え方ではなく、一顧客当たり幾らまで補償する、あるいは幾ら以上の損失については何%補償するという仕組みになっておるようでございますので、そういった例を参考にしながら制度を整えていきたいと思っております。  また、あわせまして二言加えさせていただきますと、寄託補償基金で救済します前に、証券会社の場合には、顧客資産会社資産と分けて分別管理をしておくということが顧客保護のためには一番大切なことだと考えております。したがいまして、そういった分別管理につきましても徹底していけば、破綻といった事態におきましても顧客の財産は証券会社とは別個のものとして完全に補てんされるということになりますので、その方向につきましても努力をいたしたいと考えております。
  13. 三塚博

    国務大臣三塚博君) ただいま証券局長が言われました全体の検討を進めながら、次期通常国会において所要の法改正を行い、御審議をいただきたいと考えておるところであります。
  14. 寺澤芳男

    寺澤芳男君 次に、有価証券取引税撤廃について何回かお願いをしておりますが、もう一度つけ加えさせていただきたいと思います。  日本の場合に、銀行普通株を持てるという状態になっておりまして、この件についてはまた後ほど御質問をいたしますが、すなわちダウが一万六千円を割ると、もう割っていますが、例えば三つの大銀行所有株式資産赤字になるとか、あるいは一万四千円を割れば主要二十行で九百六十億円の実質損失になると言われております。  すなわち、銀行普通株を持っているがゆえに、株式市場の低迷あるいは暴落ということが日本全体の経済に大きな暗雲を投げかけるということであります。なぜならば、金融機関が貸し出しをさらに制限し、景気回復はさらにおくれるということであるからであります。  結局、証券市場再生の強力なメッセージとして、現在〇・二一%の有価証券取引税撤廃、これを宣言してみたらいかがかと私は思います。取引税は、御存じのように米国にもドイツにもありませんし、一部残っている英国やフランスでも公社債の取引にまで課税することはありません。この点、大蔵大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  15. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 有価証券取引税を含む証券税制につきましては、ただいま政府税制調査会におきまして既に金融課税小委員会が設置をされ、議論が進んでおるところでございます。  有価証券取引税につきましては、証券取引審議会から示されました証券市場活性化の観点から、ただいまの御指摘も踏まえつつ、株式など譲渡益課税を含む証券税制全体の中でその望ましいあり方について本年度末までに総合的に検討をし、平成十年度税制改正の作業の中で適切な結論を得てまいりたいと考えておるところであります。
  16. 寺澤芳男

    寺澤芳男君 ビッグバン日本の現在置かれているポジションについての考えを申し上げ、また各大臣の御意見をお聞きしたいと思います。  いわゆる東京金融市場ニューヨークロンドンに次いで世界のファイナンシャルセンターになれるのかなれないのか、のるか反るかの非常に大事な時期に今あると思います。あるいは、このビッグバン日本で成功しなければ、日本金融市場というのはフランクフルトあるいはパリのような規模の市場になってしまうのではないか。今、金融は非常にグローバルで、為替一日の取引は一兆ドルと言われております。このグローバルということとインターナショナルということは基本的に全く違う言葉であって、インターナショナルの場合はまだナショナルという言葉が残っているわけですが、グローバルになってくると、これはまさしく地球的ということであって国境が全くない、そういう意味であります。  日本金融市場ニューヨークロンドンに次いで三番目のファイナンシャルセンターになれるかどうかということについて非常に問題があるのは、日本の商業の公用語であります。日本がファイナンシャルマーケットになれるかどうかのポイントは、日本金融業界に英語で業務を遂行できる人材が極めて少ない、また金融業界を支援するコンピューターの技師、会計士、弁護士も同様であります。これは非常にシリアスな問題であります。  私の友人の国際通貨研究所理事長の行天豊雄君は、日本金融機関であるがゆえの制約とは何かという問いに対して、相当な危機意識を持って次のように警鐘を鳴らしています。ずばり言って、年功序列制度を全廃し、英語を公用語にしなければグローバルバンクにはなれないと。グローバルというのはそういうものであります。  例えば、非英語圏の国の英語能力をはかるTOEFLというテストがありますが、この平均スコアを見ますと日本人の英語能力はアジアではほとんど最低の水準であります。シンガポールにはもちろん遠く及ばず、二位の中国、三位の韓国、香港にも大きく差をつけられております。国際的に見ると日本の英語授業時間数は短過ぎるのではないか。中学校では年間百十七時間。自国語を非常に大切にするあのフランスですら百七十三時間も英語を勉強しているそうであります。  文部大臣の御所見をお伺いいたします。
  17. 町村信孝

    国務大臣(町村信孝君) 寺澤委員にお答えいたします。  確かに、御指摘のような問題、残念ながらTOEFLの結果が悪いということも率直に私どもも認めざるを得ない状況だろうと思います。戦後の日本の英語教育、外国語教育というのは、どうしても文法とか和文英訳とか英文和訳とかあるいは単語を覚えるというようなことが中心でありまして、話したりあるいは聞いたりというような教育を、私ども自分自身の経験に立ち返ってみましてもそういう教育を受けた記憶が確かに乏しいわけでありまして、やっぱり戦後の英語教育は大いに反省すべき点があるということであろうと思います。  そんなこともありまして、ここ十年この方、大分コミュニケーション能力の向上ということに重点を移しつつあるところでございまして、例えばJETプログラムというのがありまして、外国の青年を五千名近く呼んできてそれぞれの学校に配置をしたりとか、あるいは日本人である英語教員を実際外国に派遣をしてその能力を身につけてもらったり、あるいは集中的な研修をやったりといろいろやっておりますし、例えば全部の都道府県の高校入試では英語の聞き取りのテストをやるというような改善もやっております。  ただ、それではやっぱり足りないかなということで、現在、教育課程審議会におきましても、週五日制のもとでどのくらい英語というものあるいは外国語というものに力を割くべきかということでその強化を図っていきたい、こんな検討が今教育課程審議会で進んでおります。小学校の段階から英語に触れるという時間をつくってはどうだろうか。なかなか英語という独立した時間をつくるのは難しいかもしれないので、総合的な学習の時間といったようなものを設けて英語になれ親しむということを始めてはどうだろうか。さらに中学、高校ではより基礎的、実践的なコミュニケーション能力を向上させる、そんな方向で今御審議をいただいているというふうに聞いております。  ぜひ、先生の御指摘、多分十年後か十五年後のTOEFLでは日本も相当よくなったと、時間がかかることではございますがそのようにしてまいりたい、かように考えております。
  18. 寺澤芳男

    寺澤芳男君 ビッグバンというものを金融に限らず、規制に縛られていたさまざまな分野が規制を全部放してしまった後どうなるか、そういうふうに考えますと、ビッグバン後の世界は、ビジネスチャンス、金融、情報、学術論文等々が国境を越えて世界じゅうを飛び交うダイナミックなものになるだろうと私は想像しております。そして、世界に飛び出す道具はやはり英語とパソコンだろうと思います。  私は、ビッグバンパージという言葉考えているわけですが、例のレッドパージに倣って。このグローバルな世界で取り残される経営者、政治家あるいはマスコミ、やはり英語とパソコンに弱い人たちは多分取り残されるだろう。私のようにパソコンに触っただけでじんま疹ができるような政治家は真っ先に取り残されるであろう。  リテラシーという言葉があります。識字能力、字が書けるか、読めるか。現在、ユネスコあるいは各国政府努力もあって、世界の識字率は、国際識字年だった一九九〇年から一九九五年の五年間で二%上昇し、八〇%近くになっております。もちろん、日本は一〇〇%近いだろうと思います。しかし、今後はいわゆる情報リテラシー、パソコンが操作できるかどうかというのが、字が書けるか読めるかというくらい大事な時代になってくることは必至であります。いわゆるパソコンを使って情報を集めたりコミュニケートをする能力があるかどうか、これを情報リテラシーと呼ぶそうであります。  シンガポールには国家コンピューター庁という機関があって、その機関が国民の情報リテラシー向上のための三つの目標を掲げております。一つは一九九七年から全小学校でコンピューター教育を実施する、二つは二〇〇〇年までに少なくとも家族の一人は情報リテラシーを有する、三つは二〇〇六年までに労働者の一〇〇%が情報リテラシーを有するというものであります。  ことしの二月、一般教書演説でクリントン大統領は国民に呼びかけました。八歳で本を読むことができ、十二歳でインターネットにログオン、接続することができ、十八歳で大学に進学できるように、そして成人のすべてが学び続けることができるようアメリカの教育を改革したいと。  もちろん、橋本内閣も教育改革に取り組まれております。これにつきまして、橋本総理大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  19. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) ちょうど私どもは、第二次世界大戦に敗れ占領行政が始まりましたときは、当時は国民学校と申しました小学校の二年でありました。そして、議員も御記憶のように、その後、当時の日本の初等教育の水準というものは、占領軍の行政政策の中で、特に数学等、その水準を大きく変えられたことは御承知のとおりであります。  そして、その後、戦後の教育というものが平等ということに非常に大きなウエートを置いて行われてきたと、私自身は、自分がその中に学んでまいりましたことを振り返りましても、そのような記憶を持っております。これはまさに等質の国民をそろえ、等質の国民の一致した協力のもとに今日の経済発展を築いてくるプロセスにおいては、私はこの教育システムは極めて有効に機能したものと思います。  しかし、今まさにそれぞれがみずからに責任を持ちながら、同時に、個性を伸ばし創造性やチャレンジ精神を有する青少年を育てていこうといたしましたときに、今までと同様の手法で足りるかとすれば、そこには必ず問題はあろうと思います。  それだけに、一方的に知識を教え込むというその教育の手法から、みずから問題意識を持ち自分なりの答えを出していく、その実現に努力できる力や倫理観、責任感、こうしたものを育てる教育の実現を目指したいと考えておりますし、そのために、今まで文部省当局としても中教審等から、より大きな権限と責任を個々の学校におろしていく、そこに父母の協力も得ていく。そうした発想も、また小さな、小さくはありませんけれども、部分的なものとしては例えば飛び級。さらに大学教育のあり方から、他の先進国に比べ大学進学率は高いが、大学院において専門というものを学んでいくという点ではまだまだ不十分と言われる我が国の教育制度全体に対してこれを改めていく。  要は、今申し上げましたように、みずからの責任においてみずからの人生設計ができるだけの個性と、そしてチャレンジ精神を持ったそうした人々が育っていき得るような教育というものを目指すということに尽きるかと思います。
  20. 町村信孝

    国務大臣(町村信孝君) 全般のお答えは今、総理からお話しいただきましたが、情報教育のお話がございましたので、ちょっと触れさせていただきたいと思います。  今、各国の状況などにお触れをいただきまして、大変貴重な御助言をいただきましたことを感謝いたしております。  教育内容と、それからコンピューターの設置といった条件整備と、両面から文部省も今努力をしているところでございまして、私も先般、小学校、中学校の現場を見てまいりましたが、やっぱり我々が通っていた学校とは相当違いまして、空き教室も大分できていたりしているものですから、そういうところに、小学校、中学校いずれも相当の台数のコンピューターを並べてパソコンを使えるようにと努力をしているところでございます。目標といたしましては、平成十一年までには、小学校では児童二人に一台、中学校では生徒一人に一台、ちょっと小学校の整備が予定よりも少しおくれておりますが、着々と整備が進んでおります。  また、教育内容の方も、小学校のうちからコンピューターにとにかく触れてなれ親しむということ、実際に子供たちは家に帰って随分やってはいるわけでありますけれども、そういうことを学校でも心がけ、中学校でも選択でこの情報基礎を学ぶようになっております。教育課程審議会の中では、中学校でその基礎的な内容を必修にするということを今検討している最中でございまして、鋭意この情報関係に関する教育内容の充実、また条件整備に努めてまいりたい、かように考えているところでございます。
  21. 寺澤芳男

    寺澤芳男君 ビッグバンの進展ということは、私は年金制度にもさまざまな影響を与えてくるのではなかろうかと思います。  日本的雇用慣行の三要素、終身雇用、年功序列あるいは企業別労働組合、これが今後変化を遂げていくことは火を見るよりも明らかでありまして、勤労者の定年後の所得の確保、これはどのような形で行われるかということは大変重大な問題であります。もちろん、現行では勤労者は退職後の所得に関して現役時代の貯蓄とか退職金、年金によって準備をしておりますが、このうち退職金とか年金はビッグバンの進展により、大きく影響を受けることになるだろうと思います。  現在、アメリカで行われている四〇一Kという年金プランがございます。御存じの方も多いと思いますが、これは、勤労者が自分で毎月一定額を積み立てていく、また、その雇用者が、企業がその額に足して積み立てる。個人が積み立てた分は税金の控除が受けられる、会社が積み立てていく分は損金算入ができる、これはもちろん一定の金額があるわけでありますが。これが五十九・五歳、五十九歳と六十歳の間まではすべてそういうふうに両方とも無税で積み立てることができる。それで、その積み立てた人の自由な判断で、全部株を買ってもいいし投資信託を買ってもいいし国債を買ってもいいというやり方で、たまたまアメリカの株が非常に上がってまいりましたので、そしてこの四〇一Kによる株あるいは投資信託の買いというのがアメリカの株高の相当重要なファクターになっているわけですが、非常にアメリカ人は今ハッピーだと。普通の勤労者でも、この四〇一Kによる自分で計画して自分で積み立てた年金がふえていっているわけですから、朝起きたらまた株が上がっていてハッピーだと。  本当は、資本主義、市場経済の国はそうならなければならないんですが、そのような四〇一Kというものを直ちに日本で導入できるかどうか、これはいろんな問題があるだろうと思います。しかし、いわゆる少子・高齢社会の進展、先行きのない公的年金制度の将来を考えてみると、個人として、自分自身のイニシアチブで退職後の所得確保策を図らなければならなくなっていることも事実だろうと思います。  年金改革の中でも最も現実性の高い選択肢と言える確定拠出型の個人積立年金制度の創設について導入の意思があるのかどうか。この制度の利点や欠点の検討、研究を行っているならばその成果、導入を検討していないのであればその理由について、小泉厚生大臣、伊吹労働大臣の答弁を求めます。
  22. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 確定拠出型の年金ですが、これは現在の日本の公的年金とどういう関連性を持つか。同時に、運用利回りによって給付が変わってまいりますから、税制優遇策なしにはこれは導入できないと思います。そういうことも踏まえて、今後検討課題として勉強させていただきたいと思っております。
  23. 伊吹文明

    国務大臣(伊吹文明君) 今、総論としては政府の年金担当大臣である小泉大臣からお答えがございました。  先ほど来先生がお話しになっているように、労働力というものが非常に流動性を増してくるという意味では、この四〇一Kという仕組みは職場を移るにつれて持っていけるという利点がございます。これは非常にいい点だと私は認識しております。ただ、日本の場合には、基礎年金はすべての方がお受けになりますが、厚生年金それから厚生年金基金、これを持っている企業、持っていない企業がございますので、自営業者をも含めてもし税制の優遇策を講ずるということになれば、資産性の貯蓄なのか積み立ての年金なのかということも含めて、私は、かなり抜本的な検討を要する課題ではないかと思います。  働く人をお預かりしているという労働省の立場からは、今部内的にはかなり検討を重ねているということだけ御報告をいたしたいと思います。
  24. 寺澤芳男

    寺澤芳男君 はたまたビッグバンの進展に伴って起こってくるであろう変化について御指摘を申し上げたいんですが、産業構造の変化、企業や国家間の世界的な競争の激化ということは、ホワイトカラーの労働者にこれまで以上の高度な知識や創造性を要求することが当然予想されます。学校を卒業して職を得た後でも、働きながら英語やパソコン、専門知識についての自己開発をしていかなければ生き残れない大変厳しい状態に今後なるだろうと思います。  こういった在職労働者の自己開発について、これまで政府は、社員の自己開発を支援した事業主に対して主に自己啓発助成給付金から助成をしてきたと思います。つまり、自己開発をしている労働者個人を助けるのではなく、企業、事業主を通しての間接的な助成を行ってきた。  今後、終身雇用が崩れて転職が頻繁な状態になってまいりますと、自己開発に努める労働者個人を企業を通さずに直接援助することがあってもよいのではないか、このような発想からだと思いますが、中高年の労働者が自己開発を目的として学校に通ったり通信教育を受ける場合に、その費用の半額、年額十万円を限度に雇用保険の会計から助成する制度がありますが、労働大臣に、その制度の現在の状況をお伺いしたいと思います。
  25. 伊吹文明

    国務大臣(伊吹文明君) まず、基本的に構造改革が進み、先生がおっしゃいましたように国際化が進みますと、終身雇用制が徐々に崩れて、労働力の移動というものが激しくなると思います。  あらゆる政策には効果と副作用が伴いますので、弱い人たち、比較的力がない人たちが切り捨てられないように、我々の立場としては労働者の方々にいろいろな意味での自己啓発、または職業訓練ということを現にやっておりますし、これからもやりたいと思っております。  一つは、今おっしゃった企業に対する自己啓発助成給付金でございますが、もう一つは、原則として四十歳以上の雇用保険に入っていただいている方々に対して、今、先生が御指摘になりましたような自分で進んで研修を受けたい、あるいは技術を手につけたいという方々に対して、助成率二分の一、限度十万円までの補助を行っております。  なお、雇用保険の構造改革関連法案に伴う改正を控えまして、現在、審議会においてこの点をさらにお話のような方向に沿って充実できないかどうかを今広く検討していただいているところでございます。成案を得ましたら、次期通常国会に提出をさせていただきたいと思っておりますので、そのときにはぜひ御賛成をいただきたいと思います。
  26. 寺澤芳男

    寺澤芳男君 先ほど申し上げたように、終身雇用、年功序列、企業別労働組合というのがかなり変わった形になってくる、日本の雇用環境が変わってくるということにおきまして、具体的にはホワイトカラーの転職が増加するであろうと予想されます。政府の施策についても、勤労者の人権が損なわれないよう留意しながらも、ホワイトカラーの転職ができるだけスムーズにいくことを目的とするものが求められていると思います。  その施策の一つが、この四月から実施されたホワイトカラーを対象にする有料職業紹介の自由化であると思いますが、半年たちました。今までの経過を簡単に労働大臣からお話し願いたいと思います。
  27. 伊吹文明

    国務大臣(伊吹文明君) 御指摘のように、有料職業紹介事業を、従来はこれとこれとこれまでやっていいですよという形から、これとこれ以外は自由におやりになって結構ですという形に実は変えました。その大きな対象は、専門技術職の一部、それから事務職、今、先生がおっしゃったホワイトカラー、それから販売関係の職業、セールス。ここで約二千万人の人が職業紹介の対象になっております。  そこで、職業紹介事業を自分たちの手で市場原理の中でやりたいという方は、前年に比べまして五倍の申請が労働省の方へ出てきております。このほとんどの扱い対象は今御指摘になったホワイトカラーでございます。  問題は、今は紹介事業所の自由化を進めているわけですが、これの向こうにあるものはやはり派遣職員という形になってくると思います。ここにはいろいろな効果と副作用が日本社会にあらわれてくると思いますから、大きな流れとしてはおっしゃった方向は間違っていないと思いますので、副作用を最小限に抑えながら国際化の大波に立ち向かえるような雇用構造をつくっていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
  28. 寺澤芳男

    寺澤芳男君 ビッグバンについてさまざまな質問をさせていただきました。私は、ビッグバンを迎えた日本として非常に大事な根幹になることというのは個の確立てあると思います。  非常に大事なことだと思いますが、集団主義の非常に考え方の強い我が国においては、赤信号みんなで渡れば怖くない、あるいは会社ぐるみ、護送船団方式という、みんながどこかの企業に帰属している、どこかの役所に帰属している、どこかの団体に帰属している。そうではなくて、まず個があって、個人があってそして社会があるという、いわゆる市場経済の根本に立ち返らなければならない、これが非常に大きなショックだろうと思います。  この個の社会、いわゆる市場経済を支えている自由競争、またそれを支える自己責任というその社会の確立が果たして日本の土壌になじむのかどうか、これは大変大きな問題だろうと思います。  去年の文芸春秋の三月号に、衆議院議員をやめたばかりの石原慎太郎さんが「芥川賞を目指す諸君へ」というエッセーの中で、大隈重信と福沢諭吉はどちらが偉いか、福沢諭吉が偉い、なぜならば福沢諭吉は言葉を残したというようなことを書いておられました。  確かに、福沢諭吉はいろんな言葉を残した。多分その中で「独立自尊」という言葉を一番気に入っておられたのではないかと思います。元麻布の善福寺のお墓には、独立自尊居士という戒名になっている。その個という観念はあの当時日本ではなかった。その時代が今また到来した。  福沢諭吉がどこから自尊という言葉考えられたのか。この間、国会図書館にお願いして四書五経の中にそういう言葉があるのかどうか調べていただいたんですが、どうもない。そうすると、一八四一年にアメリカの哲学者であったラルフ・エマーソンという人が「セルフリライアンス」というエッセーを書いて、当時のアメリカで大ベストセラーになった。ひょっとすると、あの「セルフリライアンス」という本を福沢諭吉が読んで自尊という言葉考え出したのではなかろうかというのが私の推論ですが、間違っているかもしれません。  とにかく、ここで大事なことは、今ビッグバンを迎えた日本が、果たして西欧型の、アングロサクソン型の本当の弱肉強食の市場経済に耐え得るだけの思考が思想が、あるいは慣行があるのかどうか。もしないとすれば、今後どういう教育でそれをやっていったらいいのか。この辺は非常に大事なポイントになると思っております。臨床心理学者の河合隼雄さんは、日本を母性社会と呼んでおりますが、父性社会、全く違った個人主義社会、市場経済、これを迎えるというのがビッグバンであろうと思います。  その自己責任を基盤とした新しい社会をつくろうというふうに総理はお考えになっているんだろうと私は思いますが、総理の御意見をお伺いしたいと思います。
  29. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 慶応義塾出身の私として、独立自尊という言葉を福沢先生とともに引用していただいたことを、ある意味では幸せに感じながら、ある意味では大変複雑な感じも持って伺っておりました。  なぜなら、私はこの福沢先生の独立自尊という言葉は、議員がその前にこのビッグバンが進んだ場合の社会というものを想定されて、欧米型のいわば優勝劣敗、弱肉強食がルール、その中における自己責任という突き詰めた思いの中で私はこの言葉を用いられたとは実は考えておりません。  むしろ、封建時代から近代日本が生まれようとする中で、改めて日本というものを福沢先生なりにみずからの心の中に問いかけ、あるべき姿として導き出されたものがある。文明の名において輸入される洋風のものすべてに対し、その技術は取り入れながら日本人の心を失うまじといった、そのような思いを持たれたのではなかろうか、私はそのような思いを持ってこの言葉に接しておりました。  そして、もちろんその市場原理というものが私は完全なものだということを言い切るつもりはありません。なぜなら、そこには独占支配の弊害といったこと、あるいは環境問題の悪化など、市場の失敗と呼ばれる事態も起こり得るわけであります。  かつてのように右肩上がりの経済の続く時代でありましたなら、結果の平等を求めることもできたでありましょう。しかし、そういう時代を夢見ることができないとするなら、まさに国家としてはセーフティーネットをできるだけ適切に整備をしておきながら、その上で、社会全体の活力というものを求めていくためにも、チャレンジ精神と申しましょうか、私はよく夢という言葉が好きで、夢という言葉を用いますけれども、みずからの夢に対して挑戦し、それがかなえられるチャンスのあるといった社会を築いていかなければならないのではないでしょうか。むしろ、今度は逆に、しかし、そのセーフティーネットを大きくすることにのみ奔命するならば、逆に活力をそぐ場合もありましょう。  私はそんな思いで、今、議員が福沢先生の言葉を引用されながら述べられましたものに対し、市場原理というものを当然追求しなければならないと思います。同時に、その弊害というものも目配りをしなければならないと思います。その上で、欧米型の弱肉強食、優勝劣敗の社会に対して我々は適切なセーフティーネットを用意する責任はある。まさに、そうした点を補完するのが政府の役割の中で大きなウエートを占めるのではなかろうか、議員の御議論を拝聴しながら、そのような思いを持っておりました。
  30. 寺澤芳男

    寺澤芳男君 質問を終わります。  ありがとうございました。(拍手)
  31. 益田洋介

    ○益田洋介君 平成会の益田洋介でございます。  まず最初に、通告はしておりませんでしたが、総理の御所見を伺いたい件は、昨日、一昨日と続いて総会屋の一連の癒着事件との関係で進展がございましたので、伺っておきたいと思います。  まず、一昨日夜、警視庁の捜査四課は、総合電機メーカーの三菱電機と東芝が、三菱自動車工業の総会屋への利益供与事件に関連して、株主総会を円滑に進めるために、総会屋の鄭照謨容疑者側に資金提供をしていた疑いを強めて、商法違反、総会屋への利益供与容疑で二人の総務部の社員を逮捕いたしました。これに引き続き、昨日十一日午前中、捜査四課はこの二社の本社など数カ所を家宅捜索いたしました。  一昨日逮捕されましたのは三菱電機の杉浦芳樹容疑者、それから東芝の渡部猛容疑者、この二人の容疑者は総会屋に対し四百六十万円、そしてまた、東芝については二百十万円を鄭容疑者側に手渡していた疑いが濃厚となったわけでございます。  その中で、警視庁が三菱自動車工業に続いて三菱電機と東芝を摘発した背景には、利益供与事件というのが大変な社会的批判を受けた昨年に引き続きことしになってからもこうした癒着事件が勃発をしておりまして、表面に出てきております。そして、近くまた三菱地所と日立製作所についても同様な容疑で立件する方針であると聞いておりますが、余りにも癒着企業が多い。そして、ことしになってからも、もう恐らく総理も名前を覚えていられないほどたくさんの日本の優良あるいは大手企業と言われる会社が無残にもこうした同じ容疑で摘発を受けている。  ここで名前を申し上げるのも差し控えさせていただきますが、私も国民の一人として、また政治家の一人として非常に心中寂寞とした思いといいますか、そんな気持ちを分け合う一人として、とても名前を言えるような会社ではございませんが、ある銀行、それから製紙会社、電機、重機の製作所等を含めて実に十二件が摘発されている。  問題は、まだまだこうした総会屋との癒着企業はたくさんあるんだと。そうした背景をとらえて、余りにも癒着企業が多いので、捜査当局としては供与額が小さい企業については事情聴取の後警告を発するにとどまらざるを得ない、こういう現状、これを総理はどのようにお考えでしょうか。
  32. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 大変申しわけありませんが、私は、捜査当局がそのような意図あるいは意思を表明したかどうかについては存じませんので、捜査当局の意向がどうかということについては論評は差し控えたいと思います。その上で、こうした一連の事件が続いておりますことを私は大変情けない思いで見守っているというのが実感であります。  同時に、こうした事件がなぜ後を絶たないのか。それは、例えば株主総会が時間が短く終わることをもってその会社の株主総会のできを評価するといった社会風土にあるのかもしれませんし、あるいは総会において論議の長さを煩わしいと思う企業側の心理がこうした土壌を育てたものか、私にも何ともそこはわかりません。しかし、一つ言い得ること、それは総会屋に対して株主総会を前に不当な利益を提供するという行為自体が、かつて証券不祥事が起こりました際、これは損失補てんという形で特定の人間に対し、一般の投資家を犠牲として利益が提供された姿が国民の前に広げられ、そして一般投資家市場離れを起こした事件であります。  このとき企業のイメージが傷つくといったことだけではなく、市場全体にこうした行動がいかに影響を与えるかということについて学んだはずの四大証券を初め、今、きのう、おとといの状況などを含めて委員からお話がございましたけれども、こうした事件が相次いでいることが日本市場における公正性といったものに大きな傷を与え、ようやく戻りがけた国内における一般投資家をまた市場から遠ざける結果になってしまうのではないだろうか。そうした危惧の念も持ちながら、うみはできるだけ出してしまった方がいい、そんな思いでこの事件を見ております。
  33. 益田洋介

    ○益田洋介君 ありがとうございました。  それでは、一連の行政改革、また財政改革、教育改革を含めた六つの改革総理は現在標榜されて、大変御苦労されながらも努力を積み重ねられていらっしゃるという現況下で、私は、若干政治倫理の問題及び政治改革、最近ではこの言葉は忘れられかけてきているような気がいたします。  実はけさの朝日新聞の報道によりますと、これは新聞社が行った電話による全国の世論調査の結果のうちで、行革が国民の望む方向に進んでいない、または首相の行革に対する指導力不足を指摘する人たちの内閣不支持率は実に四〇%から五〇%だと。この背景に何があるかという分析では、政治不信であると。つまり私は、行き着くところ、もちろん日本のそういった大手の企業がそうした総会屋との癒着をして商法違反を起こしているということのほかに、やはり政治不信という国民の方々の思いの背景には、実際に政治改革はできているのか、さまざまな問題が続けざまに起こっているわけでございますが、これも一々あげつらうことはいたしません。いたしませんが、余りにも続けざまにこういう問題が起こるので、もう国民はあいた口がふさがらない、私はそういう背景が現在、政治及び国会議員に対する国民の不信に直結をしているんではないか。  そういう懸念から、若干繰り返すようなことになりますが、まずゼネコン汚職事件の一つとして、談合組合の埼玉土曜会による談合の刑事告発の見送りに絡んで現金一千万を授受したとしてあっせん収賄罪に問われた元建設大臣中村喜四郎被告の判決公判が十月一日、東京地裁で言い渡されました。  この中で池田修裁判長は、準司法機関である公取委員会の処分をゆがめようとする不正の請託を受けてわいろを受け取った、そして公取委員長に告発見送りを迫るなど犯情は悪質である、国政に対する国民の信頼を著しく損なったとして、同罪の成立を認めました。そして、しかる後に、中村被告に対しては懲役一年六カ月、追徴金一千万円、それから贈賄罪の元鹿島副社長清山信二被告に対しましては懲役一年六カ月、執行猶予四年の判決が下ったわけでございます。  ここで、やはり私どもは政治家の一員として、同じ国会議員の一員として考えてみなければいけないことは、判決要旨の中で東京地裁の池田修裁判長は、平成四年一月十三日の本件一千万円の授受の際、被告人清山は被告人中村に対し、公取委員長に対して告発しないように働きかけてもらいたい旨のあっせん方の請託をいたし、その報酬として本件一千万円を手渡し、被告人中村においてはその請託を承諾して、働きかけの報酬として一千万円を受け取ったものと認定する。  私は、ここでやっぱり注意しなければいけないことは、被告人中村については、その執行を猶予するのを相当とする情状は全く認められない、反省のかけらも見られない。被告人中村は、自民党の独禁法調査会会長代理という、公取委員会に対して非常に大きな影響力を及ぼし得る地位にあった、その地位を利用したんだ、こういった判決要旨がございました。  あの当時、中村議員の辞職を要求するという声があちらこちらから上がりました。ただ、自由民主党は、既に中村議員は自民党の離党届を出しております、これは逮捕許諾請求のあった翌日ですが、というわけで、既に自民党員ではないから関係ないんだというような態度をおとりになった。  しかし、中村議員は二十一年二カ月在職年数があります。同僚議員の中には島村農林水産大臣、塚原前通産大臣、鳩山邦夫氏、もと私どもの党におった方でございますが、鹿野道彦さん、今度は選挙に出られる、こういうふうな方々が名を連ねておられ、総理としても、長年にわたって同僚議員として、同じ党の議員としていろいろな形で仕事をされてこられた。そうした立場から、また議員の一人として、やはり私は議員辞職を本人に要求すべきではないか、そのように考えるわけでございますが、御所見をお伺いしたいと思います。
  34. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) まず一点、事実関係について、議事録に残ることでありますから訂正をさせていただきたいと思いますが、内閣から逮捕許諾請求が出ましたのは平成六年三月十一日でありますが、その許諾請求が出されます以前、三月九日、同氏は自由民主党を離党しております。その許諾請求の翌日と言われたと思いますが、そこは、許諾請求が行われます前に既に自民党を離党しておられるという事実関係は、議事録に残ることでありますので、この点はきちんと申し上げておきたいと思います。  そして、確かに、私個人も自由民主党所属の同僚議員の一人として友人でありました。それだけに、この一審判決における実刑判決ということの重みを重く受けとめております。その上で、国会議員一人一人、その政治活動において疑惑を招くことのないように、それぞれの政治家、そして政党、十分心して政治活動を展開しなければならないという思いを一層強めた事柄の一つでありました。
  35. 益田洋介

    ○益田洋介君 それでは次に、建設業界の政治献金について、建設大臣総理に若干お伺いしたいと思います。  十月十九日付で公表されました政治資金収支報告書によりますと、建設業界団体のトップである日本建設業団体連合会、日建連は、自由民主党から、通常の政治献金とは別に、一九九五年から五年間で総額七億二千万円の献金を要請されていたことが明らかになったわけでございます。  五年間の割り当てというのは年によって違うわけでございますが、この献金というのは、九三年の総選挙の前、自民党が都銀数行から受けた融資額約百億円の返済資金として経団連に要請されたもののうち日建連が引き受けたもので、これを通常のものとは違う特別枠の献金と呼んでいたそうでございますが、昨年の献金は実に通常分を含めて日建連分で合計四億八千万円に上る。  この業界の方々は、今大変なリストラ、そして不良債権の清算等に必死になっている方々でございます。そういう方々の中では、献金というのは会費と同じものだ、拒否すれば業界内の信用が失墜する、どんなに苦しくても涼しい顔で払うしかないんだと。本当に涼しい顔で払っている方はどのぐらいいるのか私はわかりませんが。  ここで問題になるのは、ことしの夏、相次いで倒産いたしました東海興業その他の中堅数社は、自分の会社が深刻な経営状態にもかかわらず、こうした要請にこたえるように献金を続けていた。しかし会計上は、公共工事指名に影響を及ぼすことを防ぐために、欠損を出さないように黒字決算を発表している。  監査法人の話は後ほどいたしますが、東海興業その他の中堅数社は実際倒産いたしました。この事実について、総理はどのようにお考えでしょうか。
  36. 瓦力

    国務大臣(瓦力君) 益田委員にお答えいたします。  いわゆる政治献金は、政治資金規正法の範囲内で行われるものでございまして、それぞれ企業の判断にゆだねられておるということでございます。  政治家並びに政党も、社会的構成をなす法人の政治的支援をいただいておるということも民主政治の上では許されておるところでございまして、私は、政治献金につきましては、格別、不祥事が生じまして以来、各党各会派による協議がなされ、両院におきましてもさような議論が展開されて、あるべき姿、そうしたことに政治家、政党が渾身の努力をしてまいっておる、かように存ずるものであります。  よって、具体的にお話しになりました内容につきましては私は承知するものではありませんが、今後、国民の疑惑を招くことのないような、民主政治が育つ、そういう基盤をなすためのあり方というものを追求していくべきものと私は考えるわけであります。
  37. 益田洋介

    ○益田洋介君 それでは、個別的な事例を除いたことで総理の御所見を伺います。  ゼネコンの一連の汚職裁判が係争中でございますが、前宮城県知事及び前仙台市長など収賄側が相次いで実刑判決を受けている、これが現状でございます。  現在、橋本内閣が取り組んでいる省庁再編に対して、族議員、この場合は建設族と言われる自民党の方々の抵抗が非常に目立ってまいりました。国民の政治不信を払拭して政策決定の透明さを確保するためには、私は族議員のこうした顔きかせ行為というのを規制する手だてが当然求められてしかるべきではないかと考える一人でございます。  ゼネコン汚職の反省をしていたときに、与野党の国会議員が、議員や自治体首長の地位利用利得罪を成立させるべきだと提唱した時期があったというふうに聞いておりますが、私は今改めてその実現を国会審議するべきだというふうに考えますが、総理はどのようにお考えでしょうか。
  38. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今、議員からは二つの点の御指摘がございました。  一つは、族議員という言葉の持つそのイメージ的なもの、そしてその行動というものを批判されたわけです。私は、もし議員が使われました族議員という言葉の持つ意味が、国民全体の立場を考えずに特定の利益だけを代表するという意味でお使いになったとするならば、これは私は御説のとおりであると思います。同時に、特定の事項あるいは政策に非常に精通し、国家国民全体のために努力をしている、そういう方々を指すのであるなら、私は後者の族議員というものを排する必要はないと思っておりますし、むしろ、今後ともにそうした方々には知恵も拝借し力もかりていきたいと思います。そこには大きな違いがあります。  その上で、今、地位利用利得罪を設けてこれを法的に規制することについてという御提言がございました。  例えば、現在、与党三党の中で行っております与党政治改革協議会におきましても社民党からこうした御論議が提出をされております。政治腐敗防止策というのは、こうした考え方も含めさまざまな議論が現になされております。これらの議論を踏まえて適切に対処していくべきであると思います。
  39. 益田洋介

    ○益田洋介君 私は、政治改革の意味を考え直してみました。それは端的に言いますと、利権や談合の政治を排して政策中心の清潔な政治に変えることだと。教科書に書いてあるようなことで申しわけないんですが。  一方で、九月二十九日、総理は所信表明演説を国会でなさいました。その中で私が印象に残っておりますのは、引用させていただきますが、総理は「政策中心の政治」ということを繰り返しおっしゃいました。聞いてみれば当たり前のようなことでございますが、それを今国会、政権の標語のようにして掲げておられた。この背景にどういう総理の真意があったか、私は伺いたいわけでございますが、やはり権力抗争や派閥力学といったものはいいことではない、したがって世論の支持を得て国民のための政策をやり抜くんだ、こういう御意思ではなかったか、あるいは野党との連携もそのためにはいとわないと。総理の御所見をお伺いします。
  40. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) これはまさに所信表明演説において使いましたこの部分をもう一度申し上げさせていただきたいと思うのでありますが、六つの改革というものをそれなりに申し上げてまいりました上で、   六つの改革は、長い間私たちがなれ親しんで  きた仕組み考え方を変えるものであり、一朝  一夕にできるものではありません。しかしなが  ら、少子・高齢化も、経済グローバル化も着  実に進んでいるのが現実です。我が国に活力と  自信を取り戻すために、改革を先送りすること  は許されません。同時に、痛みを乗り越えて改  革を進めるには、国民世論の強い支持が不可欠  であり、私は、この時期に国政をあずかる責任  の重大さを肝に銘じ、政策中心の政治を目指し  ます。さまざまな意見に謙虚に耳を傾け、議論  した上で決断し、実行し、その責任を負うとの  決意のもとに、与党三党の協力関係を基本とし  て、政策によっては各党各会派の御協力をいた  だき、改革を進めてまいりたいと考えます。今、議員がどのような意味だと仰せられるなら、読み上げましたこの中に、これはそのままの文章でありますけれども、すべて尽きております。  私どもは、まさにそうした思いで日々国政に当たる、みずからに言い聞かせているとおりであります。
  41. 益田洋介

    ○益田洋介君 私は、政治及び政治家の本来の目的というのは、国民に対して自由で豊かな平和な生活を保障するといったことではないかと日ごろ考えております。そして、その手段として国家権力を用いて限られた財源と負担を合理的に配分する、そうした営みが政治でなければならない、そういう気持ちで立候補いたしたわけでございます。そして、その気持ちはいまだに変わりません。  しかし、これまでの政治は、私の知る限りにおいて、権力を目的にしたあるいは目的化した利権、談合のいけにえになっている。例えばロッキード事件、リクルート、共和、佐川急便、ゼネコン、泉井事件等、スキャンダルを生み続けてきた。そうした記憶が私にすら生々しいわけでございますので、国民の頭から離れることはできない。だから、私は政治改革が必要だということを主張しているわけでございます。  これまで大きな政界のスキャンダルのたびに各政権は政治改革国民に約束してきました。細川政権の出現によって一たん野に下ったときには、自民党は確かにこういうふうなキャッチフレーズをつくってまで国民に訴えている。しかし、その後に自社さきがけ連立という国民の皆さんも驚いたような奇策を打たれたわけでございますが、それから、さらに野党第一党が幾つかの内紛といった、言ってみれば、これは野球でいう敵失に当たるわけでございます。そういうものに助けられて衆議院で過半数をおとりになった。そうしたらもう政治改革の誓いなど忘れてしまったかのようです。その証拠が今回の第二次橋本改造内閣の組閣に見られるような派閥均衡型の跳梁ばっこであります。  私は、今回の組閣人事、これはもう衆参両院を通じて何回も総理にその御所見、決意のほどを伺ってきているわけでございますが、ただ一つ私はいまだに理解できない点がある。それは、この組閣人事で私は政治改革というのは振り出しに戻ったんじゃないか、そういう印象を受けている。何よりもその人事権者たる総理の判断、その責任が問われ、国民の前にきちっと示されるべきだ、結果責任が。総理は、責任のとり方について具体的には何もお示しになっていない。  私はここで、どのような形でこの第二次橋本内閣の組閣のミステークについての責任を国民の前にお示しになるのか、改めて伺いたいと思います。
  42. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 当時、しばしば両院それぞれの場所において各党から厳しい御指摘を受けましたときに申し上げましたとおりに、私自身の責任はこの改革それぞれに対して全力を尽くすことでとってまいりますという言葉、それ以上のものはございません。
  43. 益田洋介

    ○益田洋介君 であるからこそ、現在、衆参両院においてこの財政特別法の審議に私たち国会議員は一生懸命になっているわけでございます。だんだんに私はわかってきましたのは、果たして行革というのは総理の思うように実現していくのだろうか、余りにもいろいろなハードルがある、しかも、それは外在するものではなく内在するものがほとんどである、そんな印象を私は受けているわけでございます。  そこで、省庁再編に話題を移させていただきます。  九月二十六日に開かれました日本道路建設業協会首脳との懇談会において、綿貫民輔道路調査会長はこのようにおっしゃっている。河川行政を分離するという行政改革会議の中間報告について、分離は絶対に阻止しなければならない、先頭に立って撃破すると決意を御披歴になっている。綿貫先生という方は、昔の富山二区の選挙区の御出身で、建設大臣国土庁長官を歴任されたいわゆる道路関係の族議員の、言ってみればリーダー格です。族議員というのは、国民の皆様に政治家としてのある分野での特定の経験や知識を政治に生かすというふうな意味で使われていると私は思わない。それはこうした利益団体の利益を代表する、確保するという意味で族議員という言葉を使っている。それで、道路関係議員が一体となって反対運動を行っていくことを明らかにしている。  それから、それを受けて、行政改革本部武藤嘉文本部長は、十月十四日、省庁再編について行革会議の中間報告に対する関係部会や各省庁からの意見聴取の結果を行革会議の事務局に伝えた。その中で、国土整備省をつくるなどという枠は守りながら、中間報告を建設省の分割撤回をかなめとして大幅に変更する構想を提示した。  それからさらには、大蔵省からの国税庁の分離構想も総理の思ったような構想とは逆行した今動きの中で流れている。さらに、郵政三事業の一部民営化の撤回。つまり、言ってみれば橋本行革の骨格を揺さぶるような、そういう動きが顕著になってきた。公共事業を一本化した場合には十兆円以上の予算がつくという、巨大な利益官庁をつくるというのはいけないことだというのは総理の最初の建設省の河川局の分離の発想であったというふうに伺っているわけでございますが、公共事業の再編でもやはり総理が党の論理に追い込まれてきているんじゃないか。これは私は傍観者ですから、残念ながらそのような印象を持っておりますし、国民の皆さんもそういう気持ちになってきている。これは世論であります。この点、いかがですか。
  44. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私は、議員がすべての国民の世論を代表して述べられたと言われる御意見、報道をもってお聞きをいただいた部分でありますから、残念ながら、私が指示をした、あるいは私が意図したという言葉を使われましたところには、必ずしも正確ではない部分が報道によって流れている部分もあることは御承知おきを願いたいと思います。  そして、その上で、中間報告というものが全く動いてはならないものであるならば、それは最終報告と同じでありまして、中間報告を世に問う、報告する意味は私はないと思います。そして、まさに中間報告を出しましてから本当にいろんな議論が、例えば与党十者協議を初め、私どもの党の中でもそうですし、マスコミの中でも非常にたくさん御議論をいただくようになりました。そして、それぞれに私は十分そうした御意見が出されていることを喜んでおりますし、真剣な議論が深まることは決して私は悪いことだとは思っておりません。  その上で、昨日あるいは一昨日でありましたかの御審議でも申し上げましたように、私はぎりぎりまで、集中審議をもう数日後に控えておりますけれども、いろんな角度の真剣な御意見に耳を傾けていきたいと思います。その上で、皆さんの意見が一つにまとまっていけば、それはそれが一番いいことです。しかし、決断をしなければならないものが残りますなら、それは私自身の責任で決断をすると申し上げております。
  45. 益田洋介

    ○益田洋介君 その御決意をぜひとも貫いていただきたいと思うわけでございますが、残念ながら、総理のおっしゃるのとは裏腹に、総理を取り巻く環境は、さまざまな形で総理の構想をつぶしていこうというふうな動きがよく見られます。  例えば、中間報告で示された建設省の分割案について、香川県の建設業協会が選挙支持の拒否を示唆した要請文を地元選出の自由民主党の国会議員に送り、業界のために分割案の撤回を働きかけるよう要請していた、陳情ですね、ことがわかりました。香川県建設業協会というのは三百八十二社から成ります。要請文はA4判で、富田文男会長名で「お願いの件」と書かれている。九月五日、藤本孝雄元農林水産大臣ら、同県を地元とする計五人の自民党衆参両院議員の事務所や議員会館に配付をされた。選挙に何で河川局の分離に反対することが関係してくるのか。大体の想像はつくわけでございますが、この点について、要請文の中で選挙に言及したことについて富田会長は、協会として自民党支持を決めたのに、こうした分割案ではこれまでどおりの力を出せない、集票能力を発揮することはできない、こういうふうなコメントを発表しておりますし、文書や口頭で(「けしからぬな」と呼ぶ者あり)けしからぬでしょう。文書や口頭で要請したところは全国で三十四都道府県協会に上っている。一県だけじゃないんです。  この点、総理はどういうふうにお考えですか。
  46. 瓦力

    国務大臣(瓦力君) 益田委員にお答えをいたします。  橋本改造内閣におきまして、行政改革並びに財政改革、この改革をなし遂げなければ二十一世紀という新しい世紀を迎えることができないという決断のもとで今取り組んでおる作業でございまして、この考え方は、委員がお述べになりました行革会議の中間報告で識者の方々が一定の方向を示されましたが、ただいま総理が御発言のように、いろいろさらに各党の意見も聞き、あるべき姿に持ってまいりたい、この議論は大変結構な議論ではないか、こういうことであります。  よって、私は、行政改革がこれからそういう方向でいよいよ終盤、まとめの段階に入るわけでありますし、この内閣全体はそういう方向に向かって最善の努力をしていくべきものと、こう心得ておるわけであります。  なお、御発言の中で、政党の利益と行政改革と一体になったような御質問、御発言でございますが、私は建設省をお預かりする者といたしまして、この行政改革につきましては、まさに今新しい省庁に取りまとめられる方向づけについてかたずをのみながら、まさに耳をそばだてて刮目をしておる、こういうところでございます。あるべき姿にそれが収れんされて、国土の管理に責任が持てる体制はどうあるべきかということを心配いたしておるわけでありまして、私は、この大事な行政機構をつくり上げることと政党活動を混乱した御意見につきましてはいささかいかがなものであろうか、こういうぐあいに考えるものでありまして、真っ当にまじめにいわゆる行政改革に取り組んでおりますことを改めてここで申し上げさせていただきたい、こう思うわけであります。  なお、地方におきましてのそういう御意見、動向につきましては全く知らないわけではありませんが、それはこの重大な時期におきましてさようなことを指揮しておるということは全くないわけでありますし、私の立場から申し上げる必要はありませんが、あえて申し上げますと、綿貫議員につきましても、多年にわたって行政全般にわたり深い造詣をお持ちの方でありますので、族議員といいましても私は全体を眺めて行政あり方についてお考えをお持ちの方だと、こういうぐあいに考えておりますので、一応ここでさように答弁を申し上げさせていただきます。
  47. 益田洋介

    ○益田洋介君 私は、政党の利益の追求と行政改革推進ということを一緒に考えているというようなことを一言も言っていないんです。ただ、行政改革に真摯な姿勢で取り組もうとしている内閣にそうした外圧がかかっているということを申し上げているわけなんです。
  48. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 外圧は本当にかかっています。
  49. 益田洋介

    ○益田洋介君 そうでしょう。総理、認めているじゃないですか。
  50. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 党内、党外ともに
  51. 益田洋介

    ○益田洋介君 内外ともにそうだ。それは大変なことですし、大変な時期ですから、これは総理のおっしゃるとおりだと思います。  次に進みます。  十月十六日の夜、都内で旧小渕派−旧小渕派というのは、小渕派じゃなくなったのか、の野呂田芳成元農林水産大臣のパーティーが開かれたそうでございます。そこでまた、この綿貫民輔先生、元幹事長、元建設相、元国土庁長官がスピーチをされました。この野呂田芳成先生というのは党の建設部会長、秋田県の出身の方なんです。その中で綿貫元幹事長は、河川局を分離するという建設省また裂き論はぶち壊さなければならない、その突撃隊長となってただいま私は奮闘中でありますと、こういうふうに述べられた。もうなりふり構わずに、総理の意向を全く無視して、そして族の論理を押し通す、そういう典型的な発言ではないかと私は感じたわけでございます。  さらに、建設部会はこの分離案つぶしの実行部隊として再編対策プロジェクトチームというプロジェクトチームまで編成された。ほとんどの建設関係の有力メンバーが名を連ね、連ねていないのは竹下元総理村岡官房長官ぐらいということで、自民党の建設族の大結集となったわけでございます。別に官房長官がいらっしゃらないから言っているわけじゃないんですけれども。  九七年度の国の公共事業関係費九兆七千億円のうち建設省は約七割の六兆六千億円を獲得している。うち河川局関係の予算は治山治水工事に関係し一兆三千億円。こうした力の後退が避けられない現状で、同時にまた河川局が農林水産省のもとに配属されれば建設省出身者は人事面でも不利になるのではないか、さまざまな配慮が外圧の一つとして総理の肩にのしかかってきている。  私は、行政改革の最大のテーマの一つは肥大化や硬直化した公共事業の構造にメスを入れる、縦割り重複行政を是正することにあるのではないか、総理はそのように、同じ文言ではありませんが、言っておられたと記憶しております。  しかし、この現状を見る限りにおいて、橋本行革は省庁の姿は変わっても中身は全然変わらない、たい焼きの中であんこがおなかの中を右から左に移動するだけ、中身は全然変わらない、このように懸念するわけでございますが、いかがお考えでしょうか。
  52. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 大変見事な形容をされましたが、そのようにならないように努力をいたします。
  53. 益田洋介

    ○益田洋介君 先ほどけさの朝日新聞の全国世論調査のお話をいたしました。私が得ているこの数字から見る限りの印象では、行革に対して、今、国民の皆さんというのは、関心や期待感が薄らいできているのではないか、果たして断行できるのかと。総理の御決意のほどは皆承知をしているわけでございますが、これだけあちこちから圧力がかかってきている、そうじゃなくてもプレッシャーが多い、また社会事件、不祥事が多発している中で大変総理は御苦労されるんだなと思っておるわけでございます。  なぜ国民の皆さんは関心や期待感が行革に対して薄らいできているか、それは簡単なんでございます、総理。  一つは、行革を行ったとしても、減税はなされないだろう。九兆円もの増税をこの間された。だから、暮らしはよくならない。景気も回復しない。そして、何よりも役所の権限が減少する、省庁がスリム化されるというようなことの保証が全くないじゃないか、明確な保証はない。右から左にボールを移しているような、あんこを移しているような状態にしか終わらないんじゃないかということから期待感や関心が薄らいでいるわけです。  景気の足取りが鈍化したのは、これは先ほども申し上げた消費税の増税、特別減税の廃止、医療費の負担増、締めて九兆円。国債を減らせれば大蔵省はうれしいんでしょうけれども、国民の消費能力を削っただけの結果で今推移している。  住宅建設についても何回か尾身長官からお話を伺いました。やはりこの不振も予想どおりではないか。消費税率が二%上がるということになったので、だれでも借り急いだ。中には、資金計画が十分でないままに、不安が残るままに買ってしまって住宅ローンの返済難に陥るような人も出てきている。そうなれば、政府や与党は大変罪づくりなことをしたのではないか。私は、こういう状況に立ち至った限りは、住宅ローンの利子の控除制度、また所得税、住民税の控除といった考え方を導入すべきではないかと考えるわけでございます。  十一月九日、リヤドで総理は記者会見をなさって、景気対策については財政出動を重ねて否定するものであるが、その一方、教育、住宅分野での政策減税の実施を前向きに検討する旨の意向を明らかにされたというふうに伺っていますが、言っておられないですか。
  54. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今、その内政懇における部分を起こしましたメモをもう一度見直してみましたけれども、確かに、教育に対する負担、あるいはバブルの時期における、将来もバブルが続くであろうという想定で組んでしまわれた住宅ローンの返済といった問題について、そういった問題に触れたことはこれは事実なんですが、政策減税という言葉を一切使っておりませんし、また政策減税という内容も申しておりません。経済全体として、要するに国民の生活というものをバブル以前の健全な状況に戻すという問題意識の話は確かにいたしました。しかし、今、政策減税という言葉で御質問をいただきましたが、これは同行いたしました記者にお尋ねをいただけば結構でありますけれども、政策減税という言葉を使っておりません。
  55. 益田洋介

    ○益田洋介君 先ほど中村喜四郎被告の離党届が出されたのは、私が間違っていたという総理の発言がございましたが、調べてみましたところ、逮捕許諾請求が内閣から衆議院に送付されてきたのは平成六年三月八日でありまして、離党届が党本部に出されたのは六年の三月九日です。したがって、請求があってから離党届をお出しになった、それで許諾請求の議決が行われたのが三月十一日、これが正しいことだと思います。御確認ください。
  56. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 党の事務局からとりました資料をそのまま申し上げました。もし党側から届きましたものが間違っておりましたら、これは本当におわびをしなければなりません。当然ながら、もう一度今すぐ調べさせまして、間違っておりましたらおわびし、訂正をいたします。
  57. 益田洋介

    ○益田洋介君 減税についてもう一問。  私どもの新進党、平成会におきましては景気対策について減税策を打ち出しております。一つは二兆円の所得減税、二つ目は法人税の実効税率の一〇%引き下げ、三番目は有価証券取引税取引所税を廃止する、土地税制を見直すの四点でございます。  私は、減税のための補てんする財源がないわけじゃない。財源の一つとして考えられるのは道路の特定財源です。これも道路関係の議員の方から相当強い抵抗が出ています。揮発油税とか地方道路税、軽油引取税。  現在の税率というのは本則の二倍になっている。だから、本当はこれは半分でいいわけなんだ、税金は。本則の税率を半分にするならば、そっくりいって四兆円のうちの二兆円が減税できる、そういう仕組みなわけです。ただし、これは目的税でございますので、大蔵省の言うようにほかのところ、一般財源に繰り込めばいいんじゃないかというのに私どもは反対しております。他の使途へ流用をすると税制そのものの根拠を失うわけでございますから。この税率というのは暫定税率であり、租税特別措置の一環でございますので、税率だけ変えて、私は二兆円の減税をぜひとも実現させていただきたいと思いますが、大蔵大臣、いかがでしょうか。
  58. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 今度の財政構造改革推進に関する特別措置法、まさに健全な財政体質をつくり上げるためにスタートを切らさせていただきました。  スタートを切るに当たりまして、半歳余にわたる長い長い真剣な論議を展開いたしたところであります。そういう中で道路財源の問題の議論も真剣に行われました。目的税として、利用者課税でございますから、国民各位の理解を得て財源構成をいたし、目的に沿って事業を実行してきたことだけは御理解いただけると思います。  その他、準目的税と呼ばれる税目について考え直せという議論もございました。本件についてはただいま党税調、三党協議会、政府税調において真剣な論議が行われておるところでありますので、その結論、答申を待って予算編成時直前には歳入全体を歳出をにらみながら決めなければなりませんので、適正に対処をしてまいる、こういうことであります。
  59. 益田洋介

    ○益田洋介君 いわゆる高速道路四公団というのがございまして、有料道路、高速道路を建設、管理する日本道路公団、首都高速道路公団、阪神高速道路公団、本四連絡橋公団があります。  この管理業務について、四公団の発注総額は年間二千百九十二億円、昨年度のベースでございます。そのうちで、ファミリー企業と呼ばれる、あるいは関連法人に対しては実に八割の千七百億円が発注をされている。  この発注方式に問題があるということで、入札にするか、それから随契にするかという議論が亀井建設大臣の時代になされている。亀井建設大臣は、本年二月の参議院の建設委員会で、オープンにできる分野は競争入札を取り入れていくという姿勢が必要であると強調された。  その後、競争入札制度が六月に導入されたわけですが、これはほとんど新規参入を拒否するという形だけのものであります。それはどういうことかというと、条件をつけたわけです、過去に高速道路での工事経験が入札者には必要であると。ここで大変なキャップがかぶせられたわけでございまして、その実績として、新規参入業者が落札した仕事は首都高で一件もありません。道路公団でわずか一%。阪神高速道路公団でも二・五%にしかすぎない。実質的には随意契約が行われている。  この道路公団の借入金というのは、公団自身は残額が二十二兆円を超える大変なものであるが、ファミリー企業はその一方で潤っている。全くコストの意識がない。特殊法人の特徴である。やはり特殊法人にも民間並みのコスト意識を持たせる必要があるし、橋本総理の行革の成否を決めるのは、省庁再編だけではなくて、こうした特殊法人改革にも大きくつながってくるのではないかと思うわけでございますが、御所見を伺いたいと思います。
  60. 瓦力

    国務大臣(瓦力君) 益田委員にお答えいたします。  道路関係公団の維持管理業務への発注の適正化の問題でありますが、平成九年度より競争入札を導入いたしておりまして、これは特殊で専門的知識や経験が必要な分野でありまして、非常に高速の狭いところで仕事をするわけでありますから、この維持管理業務につきましてはまず御理解をいただいておかなきゃならぬと思うわけであります。その中で、競争性及び透明性を確保する観点から競争入札を導入したわけであります。  道路公団では、競争入札を導入した維持修繕と料金収受について、現在まで入札が終了した六十七件のうち、四十六件については新たな会社が入札に参加し、十七件については新たな会社が落札している。また、首都公団にあっては、入札が終了した二十五件のうち、二十四件について新しい会社が入札に参加した。  建設省としてはさらに透明性、競争性を高めていくわけでありますが、私は、門戸は開かれて、これからいろいろ参加する企業があるわけでありますので、競争性、透明性を確保しながら公団業務が前進されるようにさらに指導してまいりたい。状況は御理解いただきたいと思います。
  61. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今、特殊法人のコスト意識という点からの御指摘をいただきましたことは、私、これを素直にちょうだいをし、同時に、平成七年十二月の閣議決定でディスクロージャーのある程度のところが決まり、また、本年から特殊法人の財務諸表等の作成及び公開の推進に関する法律が施行されているところで、こうしたディスクロージャーの措置を通じてコスト意識は一層向上すると思いますけれども、それ以前の問題として、やはり財政投融資の使われ方としての特殊法人、そして、その財政投融資の原資の入り口としての預託の問題等を含め、問題意識を持ってこの問題に取り組んでいきたいと思い、この御指摘は私自身ちょうだいをいたしたいと思います。
  62. 益田洋介

    ○益田洋介君 終わります。  ありがとうございました。(拍手)
  63. 本岡昭次

    本岡昭次君 私に与えられた質問時間は二十五分でございますので、この法案の第三節の文教にかかわる問題に絞って質問いたします。  まず、総理並びに大蔵大臣質問いたします。  この法律案は、我が国財政が危機的状況にあるので、安心で豊かな福祉社会及び健全で活力ある経済の実現等の課題に十分対応できるよう、財政構造改革するために提案されています。提案理由説明の中には、社会保障、公共投資、文教その他九つの歳出分野ごとに量的縮減目標を定め、歳出の改革と縮減を進めるとあります。  それで、この財政の危機というのは、これは原因でなく結果であります。何かをやったから危機的状況が起こるのでありますが、この文教予算が今日の財政の危機をつくり上げるいかなる原因をつくったのか、私はここのところをはっきりと伺いたいんです。  かつて文教予算は、一九六八年度から一九八〇年度の間、一般会計予算総額の一一%から一〇%を占めていました。最近は年々その比率が低下して、一九八九年度以降では七%台となって、今年度は七・五二%となっています。一般歳出との比率においても、一四%台から今日では一三・二九%と年々縮減をされてきているんです。  このように冷遇をされていると私は思うんですが、冷遇されてきた文教予算がなぜ財政危機に追い込まれたからいろいろと構造改革したり予算を縮減するという対象にならなければならないのか。聖域を設けないということはわかるにしても、原因をつくったものでないものに対してなぜ同じようにやるのかということがわからないわけなんです。  そしてまた、この文教予算の歳出構造をどのように変えようとなさっているのか、そのことと、この法案の中に出されている予算の縮減をするという項目とどういう関係があるのか、ここのところを明らかにしていただきたいと思います。
  64. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 先生御指摘のように、原因があるから本件に対してやるというのも一つの方式かとは思います。  政府が抱える全体の赤字、地方団体の抱えます財政赤字、四百七十五兆と七十六兆と言っておりますが、これをこのまま放置してよろしいとどなたも思わぬと思います。これから支払っていかなければなりません利払いは膨大なものになってきておるわけでございまして、我が国だけ見ましても七十七兆の歳出があります、税収はその他の税収を含めて六十兆、残りの十七兆が利払いでございます。もちろん、元金借りかえの一部もありますけれども、ほとんどが利払いといって間違いございません。  そういうときに、全国民に向けてお願いを申し上げる。その前に、国民の代表である国会にこの基本的理念をお話し申し上げ、御審議の中で理解を求めていくということであります。  もちろん、そのことについては、財政改革行政改革を徹底して行う。その中には公社、公団、その他いろいろと存在をするわけでございますから、必要なものは必要なものと認めつつ、役目の終わったものとは何か、また民の活力がそこにプラスすることによってより効率的なるものもあるのではないか。原則が立てられまして今日にあるわけでございまして、オール政府としてこれに立ち向かう、こういうことの中でキャップをはめさせていただき、また縮減、抑制。社会保障関係のように全体の二%は認めさせていただく。  以下、長くなりますからこの辺で終わらせていただきますが、よろしくお願いします。
  65. 本岡昭次

    本岡昭次君 私の尋ねた文教のことは何も触れずに、そのほかのことを言われたって納得できょうがないじゃないですか。時間がないから食い下がれない。だけれども全然納得できない。でたらめな答弁という失礼なことは言いませんけれども、聞いていても何もわからぬわけですよ。また改めてそういうときもあろうと思いますが、今のは納得できません。国民が、だれが聞いても納得できないでしょう。  それでは、次の質問に入ります。  法案の第十八条は、第六次公立義務教育諸学校教職員の定数改善計画を二年先送りしております。一体それはいかなる理由によるのか、私は絶対納得できないんです。  この教職員の定数改善計画は、一九九三年度から来年の九八年度まで六年間に小中学校の児童生徒が自然に減ってくるので教職員が自動的に六万四百入減員になるというんです。そこで、その中の三万四千人を、個に応じた多様な教育を推進する教職員配置として六年計画改善計画を進めた。結局、この六年間で教職員は実質三万人が減るんです。そして、政府は今、学校教育に個性の教育尊重とか生きる力をつけるとか、ゆとりの教育、心の教育、次々と教育に対するスローガンを出してくるわけですね。そのときに、個に応じた多様な教育を推進するために必要な教職員だといって計画しているものを先送りして、一体このスローガンとどう一致するのか。これはもう全然言っていることとしていることが逆なんです。  だから、政府が今やるべきことは、直ちに来年度この六次を完結させて、直ちに第七次の教職員定数改善計画の策定を急がなければならぬと思うんです。でなければ、心の教育をどうせよ、ゆとりをどうせよ、個性をどうせよ、生きる力をどうつけよといったところでこれはできない、これはもうはつきりしているわけです。もしそれができるのなら、どうすればできるかということをおっしゃっていただきたい。  そして一方、登校を拒否する、学校へ行かないという子供、これは年々増加して、ことしは九万人です。私が中曽根総理大臣のとき質問したときはたしか三万人か四万人ぐらいで大変だと言ったら、もう九万人。来年は間違いなくこれは十万人の大台に上ります、学校へ行かないという子供が。これは一体どういうことなんでしょうか。  問題は、やっぱりこれをどう解決するかということが教育改革の大事なところだと思うんですが、その一番軸になるべき学校というところをどうするかということに、全然この教職員定数改善という大事な問題に対してメスが入らない。  また、橋本総理は怒られるかもしれませんけれども、五つの改革があったところへ教育をつけられた。一体何のために教育をつけ加えて六つにしたのか。私は、ああなるほど、この第六次定数改善計画を先送りするために六つ目の教育をつけたのかなというふうに思いたくなる昨今の状況なんです。  このことについて、文部大臣なり橋本総理の方から明快な、先ほどの大蔵大臣のような全く筋違いな答弁じゃなくて、そのものずばりの答弁をお願いします。
  66. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私は、戦中の教育がごくわずかある後は日教組の指導のもとの教育を受けてきた世代であります。ですから、回り回った物の言い方をするなと言われますなら、真正面から申し上げます。  財政構造改革に聖域がないということを繰り返し申し上げ、例外を持つことができないという厳しい状況にあるということを申し上げました。その上で、我々は教育改革を進めていきたいと申し上げております。これは現場の先生方に一層の御努力をお願いする部分があることは承知をいたしております。  教育の専門家である議員、納得できないという一言でお片づけにならないで、この状況の中においても子供たちにいかにすれば創造性、チャレンジ精神を持ってもらえるような教育ができるかをともに考えていただきたいと心から願います。
  67. 町村信孝

    国務大臣(町村信孝君) 今、総理がおっしゃったような全体の財政が厳しい中でのことでございます。それはもうゆとりがいっぱいあるならば私どももすぐに来年にでもやりたいと思いますが、それができる状況にない極めて厳しい状況だというのは総理の御答弁のとおりであります。  そのようなことで、もう先生先刻御承知のとおり、あと一年というのを三年間でということでございます。しかし、その中でもまた特に、その後どうするのかという御指摘もございましたが、今のところはその後のことを考えるゆとりがございませんで、三年延長されたものをとにかく十年、十一年、十二年でしっかりとまず仕上げていく。その成果を見ながら、どういう評価を下すべきか、今後どのような定数配置を考えていったらいいかということは、その後にまたじっくりと考えていきたい、かように考えているところであります。
  68. 本岡昭次

    本岡昭次君 その後にじっくり考えていきたいということは、第六次の教職員定数改善計画というのはそれなりの目的があるわけでしょう、個に応じた教育と。その目的に対して現場が対応できるようにという、そういうことがおくらされていく。  しかし、その結果として一体現場に何が起こるか。橋本総理は、現場の教職員が奮起して頑張ればいいんだとおっしゃるけれども、言われなくたってそれは皆やりますよ。あなたのためにやっているんじゃない、政府のためにやっているんじゃない、子供のためにやっているんですから、どんな状況に置かれたってやります。しかし、教職員定数改善計画というものを六年間きちっと目標を定めてやったものをなぜ先送りしなければならぬのかということが、ほかも皆やるからそれもやるんだというふうな論理で果たしてやっていいのかということを言っておるんですよ。道路工事とかそのほかのものの五年計画を皆七年にする、十年計画は皆十二年計画にする、だから教育のこの計画も先送りするんだということでしかこれはないわけであります。  そして、今現場に起こっておる状況は何かというと、これは一刻も早く個に応じた教育を進めていって、学校へ行きたくない子供が少しでも減るように、子供が学校の主人公、主役になるような学校をつくるためにということの定数改善なんですよ。それをおくらせていくということは一体どういうことになるのか。そういうことについて政府が非常に後ろ向きになっているということを言わざるを得ないわけです。  しかし、それは今おっしゃったように、この財政の厳しいときだから頑張ってくれ、辛抱してくれとおっしゃることと、それではやってみなければその次はわからぬという、こういうことでは困るわけです。六次計画はそういうことで今全体の削減計画があるからできない、しかしこれを完結させたら次のこういうところに行きますというものがあって初めて、現場だって納得しないまでも、そうかと言ってあきらめて一生懸命頑張るんですよ。そうでなくて、やってみなければわからぬというような、そういうことを教育現場に強要して、文部大臣、それは間違っているんじゃないんですか。  なぜ先の計画というものを立てられないんですか。これが終わったら次ごうします、第七次は心の教育のために、あるいはまた個に応じた教育のために、生きる力をつける子供たちを育てるために、あるいは登校拒否をするような子供が年々減ってくるようにこういうふうにしますという、やっぱり文部大臣が未来に対するきちっとした展望を示さないで、どうして教育に対してあなたが現場に指導、指示ができるんですか。
  69. 町村信孝

    国務大臣(町村信孝君) 今、先生御指摘になつたいじめとか登校拒否、確かに大切な問題であり、かつ現場では深刻な問題だと私どももそう受けとめております。  ただ、その原因が果たして今の先生方の数が問題で、もっと先生の数が多くて、多ければ多いほどその問題が解決するという、そういう因果関係があるのかどうか。私は全く関係なしとはしないと思いますし、現に現在の改善計画の中でも、生徒指導のための増員であるとか、あるいは個々の、まさにおっしゃったような複数の先生を教室に配置して、そしてその一人一人の進みぐあいに応じた教育をやるというような、もちろん定数改善あるいは養護教諭の定数、こうしたものも含まれているわけであります。しかし、これが全部うまく完成したから、あるいはこれをさらに進めたから、じゃいじめとか登校拒否がなくなるかということは、可能性は若干はあるかもしれませんが、それですべて解決するとはもちろん言い切れない問題だろう、もっと他の要素もいろいろあるだろう、こう思います。そこで、その辺を今掘り下げて中教審でも御議論をいただいているというところではあります。  いずれにいたしましても、平成十二年に完成をし、実際過去の例を見ましても、改善計画のすぐ翌年にまたつくるということでもない、若干の年限があいているという過去の経験もございますので、今すぐその先の姿を示せと言われても、それは現実難しいことは、現場のことを一番よく知っておられる先生がよく御理解をいただけるのではなかろうかと思っております。
  70. 本岡昭次

    本岡昭次君 私が評価するんじゃなしに、今の答弁を聞いて現場の教職員が評価するわけですから、恐らくバッテンでしょう。  それで、次の問題に行きます。続いて、心のケアを担当する教職員の配置計画の継続問題について、文部大臣に確認をさせていただきたいんです。  阪神・淡路大震災で地震のショックを受け,また親族が死亡したり、家が全半壊したり焼けたり、あるいはまた避難所生活から応急仮設住宅へ転居したり、さまざまな生活環境の激変で心に深い傷を負った子供たちが今たくさんいるんです。そして、その子供たちが登校拒否を起こしたりさまざまな病的な状況を起こしております。これを専門的にはPTSD、心的外傷後ストレス障害というそうでありますが、それに近い症状を示している。震災から二年九カ月過ぎても、なおかつあちこちでSOSを出し続けているのであります。  このPTSDとは一体いかなるものかというのを「教育と医学」という本を参照して若干申し上げてみますと、  「外傷後ストレス障害」は、人間の存在、生命に危機的影響を及ぼす「異常な状況」における「正常な反応」と言われる。すなわち、全く突然で予期できず、自らの意志で制御することのできない事件・事故・災害状況に巻き込まれると、誰もがPTSDという心理的状況に晒される。   PTSDという心的状態は、主訴と症状の隔たりや、外傷体験後の発症が遅れるため、その診断は非常に困難になる。しかも、適切な治療がなされなければ、症状の慢性化や重篤化の危険性が十分に予測される。ことに発達期に受けた外傷的体験は、形成途中の性格に甚大な悪影響を及ぼすといわれる。  こういうふうに、このPTSDというものの説明があります。  また、こういうことも書いてあります。真に心のケアが求められるのは、避難所から仮設住宅に移ったり、一応の生活ができるようになり、少しは心の余裕もでき、今後のことを考えることができるようになったときであるというんです。また、仮設を出て次の住宅に移り住む今の段階に心のケアが要るというんです。しかし、世間からはその災害は忘れ去られようとしている。この最も心の支えが求められているときに心のケアというのは一体どうなっているのかというふうに書かれてあるわけで、二年九カ月もたてばこうした子供の心的外傷後ストレス障害というふうなものはなくなっていくんではないかと言われているんですが、そうじゃないんです。  兵庫県教育委員会が、大震災の影響で心のケアが必要な県内の小中学校の児童生徒の調査を行いまして、心の健康調査ということで十一月七日に発表しています、新聞に出ましたからごらんになったと思うんですが。  それで、この調査を見ますと、七月一日時点で心のケアを必要とする児童生徒が、小中学生ですが、全体で二百七十七人ふえたと。減ることなくふえているんです。そして、必要な小中学生は、県下で、昨年の三千八百十二人に対して四千八十九人というふうにふえています。小学生は二千百五十四人、中学生は千九百三十五人というふうなことであります。特に神戸市では、小学校の生徒で千三百十一人であったのが千八百三十八人、実に五百二十七人もふえている。中学生が千四百二十七人から千五百七十人というふうに百四十三人とそれぞれふえているんです。四十人に一人の割合でこうした心的な障害が起こっているという報告がなされているわけであります。  文部省は、こうした被災地の子供たちに対する心のケアを専門的に担当する教職員を配置して、被災地学校教育の再建と復興を今日まで二年間にわたって推進してくれました。去年とことしてすね。これは非常に現場では好評で、現場でいろんなこういう震災後の問題に対応する教職員が悩み、苦しんでおりますけれども、文部省のこうした心のケアを専門的にやる教職員を配置することによって勇気づけられて、そしてさまざまな取り組みを先進的にやっておるわけなんですが、先ほどの定数改善計画を二年先送りするということと関連して、この大事な心のケアの担当教員の配置計画は来年はだめよということにならないかということを地元は非常に心配しておる。現にふえている。そういうものが新しくどんどんと起こっているという状態の中にあって一体どうなるのかと  いう不安を持っている。  文部大臣、このことについては御心配なく、私の責任でこの心のケア担当の教職員はきちっと配置しますとここで言い切っていただいたら、私は、はい終わりますと言って終わります。どうぞやってください。
  71. 町村信孝

    国務大臣(町村信孝君) 先生御指摘の心のケアを必要とする子供たちが震災後時間がたってもなおふえているということに、私も大変憂慮をしておりますし、また心配もしております。こういうお子さんを持った親御さんのお気持ちはいかばかりかとお察しをしているわけでございます。  私ども、そのようなことで平成七年からカウンセリング専門の教員を配置しておりまして、八年、九年と、現在は二百七名を百五十校に配置をするという形で対応させていただいているところであります。  来年の扱いにつきまして、それは私今ここで大見えを切ってもよろしいのでありますが、今後、兵庫県から具体のまたお話を伺いまして、多分これはこういった数がふえているという当然の憂うべき事態におこたえをしなきゃならぬ、こう思っておりますし、本日の先生の御指摘も踏まえてしっかりと対応してまいりたい、かように考えております。
  72. 本岡昭次

    本岡昭次君 余り質問するとだんだん悪い答弁が出てきたらまずいかもしれませんが、もう一言、先ほどの第六次教職員定数改善、それはおっしゃるとおりやるといっておやりになるでしょう。  しかし、それと関係なく起こっている心のケアの問題子供のこれからの将来を運命づけるようなこの問題については、それは別建てで考えていくという、そのことについての御答弁をいただければありがたいと思います。
  73. 町村信孝

    国務大臣(町村信孝君) 確かに、来年予定よりも増員数は減るわけでありますが、しかし当然の配置はあるわけでありますので、その中で、今、先生の御指摘、今の憂うべき事態にきっちりと対応できるように、それを無残にもばっさりということはゆめゆめ考えておりません。
  74. 本岡昭次

    本岡昭次君 これで終わります。  ひとつ文部大臣総理大臣大蔵大臣、よろしくお願いします。
  75. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 答弁ではございません。  先ほど益田議員に対しましてお約束をいたしました調査の結果、私どもの党の私に渡しました資料、逮捕許諾請求の日付と許諾の日付を誤っておりました。これは公党を代表され、質問をされました益田議員に対し大変礼を失したことだと思います。おわびをし訂正させていただきます。申しわけありませんでした。
  76. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 民主党・新緑風会の齋藤勁でございます。よろしくお願いいたします。  昨日の読売新聞の朝刊、日本経済新聞の夕刊、そして本日、まだ全部隅々まで見ておりませんが、日本経済新聞の朝刊、いわゆる「人勧完全実施見送り」という大きな見出しが目に入りまして、「人勧完全実施見送り 賞与に上乗せせず政府・与党方針固める」と。政府・与党方針固めるという報道もあれば、また別に社民と最終調整、こういう記述もございます。  方針を固めたとございますけれども、このことについては事実であるのかどうか。そしてきょうの報道では、本日、村岡官房長官大蔵大臣総務庁長官、自民党の加藤幹事長がお集まりし、完全実施を見送る方向で最終調整するとの報道もございますが、きょうの状況等につきまして明らかにしていただきたいと思います。
  77. 村岡兼造

    国務大臣村岡兼造君) いろいろな新聞報道ございますけれども、取り扱い方針については、現在、政府部内及び与党との間で検討を行っているところであり、現時点で決まっているわけではございません。  いずれにせよ、法案の作成、審議に一カ月程度かかりますことから、早ければ今週中にも給与関係閣僚会議を開催し、取り扱い方針を決定したい、このように考えております。
  78. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 その内容についてお伺いしたいと思います。  これまで歴史的には完全実施を見送ってきた時期もございますが、公務員の労働基本権、スト権の代償措置としての人事院の存在、そして人事院の官民の給与較差としての勧告、このことについて政府として勧告を受けている事実についても、これはもう言うまでもないと思いますが、完全実施を見送る、こういう内容で今検討されているのか、その内容についてお伺いしたいと思います。
  79. 村岡兼造

    国務大臣村岡兼造君) 内閣委員会でも齋藤先生には御質問を受けました。八月五日に人事院勧告の説明等を受けました。これは私ども入っておりません。二回目が十月三日、三回目が十月二十九日であります。  関係閣僚会議の主な内容でございますが、財政構造改革推進するため総人件費を抑制することは政府の既定方針で、財政構造改革法案にも明記、財政構造改革は一切の聖域なしに進める必要、総人件費の抑制を図るためには行政の効率化、スリム化により人員を削減するのが筋、定員削減の見通しを示すことが困難であれば人勧抑制の検討は不可避、人勧の取り扱いは十年度予算の総人件費の抑制に効果、一方で、人勧は労働基本権制約の代償措置の根幹、大事業である行革を推進するためにも良好な労使関係、公務員の士気の維持が必要、政治的判断により早期かつ完全実施すべき、行革の趣旨を踏まえ行政の効率化、スリム化を図るため定員削減は精いっぱい作業中、極力努力する、こんな意見でございまして、新聞の報道どおりではございません。  現在、今週中にも給与関係閣僚会議をして結論を出したい、与党とも相談したい、こう思っております。
  80. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 完全実施の見送りをする、完全実施をしないんだという意向がないままにこういう報道は私は余り出ないのではないかというふうに思いまして、意見はいろいろあると思いますね。しかし、固まっていないということですからそれ以上出ないのかもわからないのですが、少なくとも政府は、政府・与党となっていますけれども、政府は完全実施の方向で、与党が複数の政党ですので、社民と調整。いや、そうではないんだ、政府自身は完全実施を見送りする方針で、与党内からも完全実施はまずいんだということなのか、もう少し具体的に述べていただきたいと思います。短くて結構ですから。
  81. 村岡兼造

    国務大臣村岡兼造君) 政府の方の給与関係閣僚会議でまだ意見がまとまっておりません。与党の方は完全実施せよ、こういうことになっております。
  82. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 ぜひ今週中ということで、今、官房長官からも話がございましたが、私は財政構造改革、これから議論もさせていただきますが、働く多くの公務員の人たち、このことは国家公務員のみならず地方公務員、そしてまた勧告の給与が確定した後は恩給、年金、さまざまな多くの人たちがいるわけであります。大変注目をしているわけでありまして、これはまた予算上の措置も、この前の内閣委員会でも措置をほぼしてあるということであるわけであり、新たに補正予算を組むということではないわけでありまして、ぜひとも人勧完全実施を行ってほしい、こういうことを強く申し入れをさせていただきたいというふうに思います。  次に、UR農業対策費の関係でございます。  ウルグアイ・ラウンド関連事業の補正予算の関係でございますが、これまで衆議院のこの法案特別委員会でもたびたび質疑が出されておるところでございます。  そこで、大蔵大臣にお尋ねさせていただきますけれども、予算編成の際に、財政法第二十九条に基づき、農林水産大臣と十分協議の上、内閣として処理をいたします、このことが見解として明らかになっておりますが、それ以外にもたびたび答弁では、大蔵大臣は、補正を組むことはない、補正を組むことはないんですよということも繰り返し述べられているんです。この予算編成の際に、財政法第二十九条に基づき、農林水産大臣と十分協議の上、内閣として処理をいたしますということは、大臣が補正を組むことはないというそういう上での、同じ意味の見解である、そういうふうに受けとめてよろしいでしょうか。
  83. 三塚博

    国務大臣三塚博君) かねがね申し上げておりますとおり、財政の節度を財政構造改革の集中元年に向けて全力を尽くすことは当然のことであり、二十九条の原則に照らして厳正に行う、こういうことにすべて尽きるわけでございまして、予算編成の際に、条項の緊急性等々に該当するものというのが補正の必要な理由であります。  そういう点で、私はかねがね申し上げているとおり、二十九条の原則に照らして厳正に対処をする、厳しく対処をする、こういうことであります。
  84. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 今年度補正を組むことはないという答弁をたびたびされているようですね、委員会で。そういうことで今述べられたということでよろしいですか。
  85. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 私の申し上げていることはそういうことです。
  86. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 そうしますと、これはもうそれ以上、今度の財政構造改革法案というのは総理が並々ならぬ決意、これは私ども真剣に受けとめましてこの法案審議に当たっているところでございますが、この財政構造改革法案の行方というのはこの補正予算の中でどういうふうな動きがあるんだろうかということで大変国民が注目をしているわけであります。私は、農業対策は別に軽んじているわけではないわけでありますが、ウルグアイ・ラウンド予算、これはやはり当初予算できちんとやるべきだというのが私の考え方でありまして、この補正予算を組むことはないということについて、大蔵大臣、そのことについて、きょうの答弁として受けとめさせていただきます。  あえて言わせていただければ、大変気になる答弁で、これは今の答弁の前でございますけれども、島村農水大臣が二十四日の衆議院の特別委員会で、補正予算、これは財政法二十九条に則するのは当然であるんだ、これまで三年間のラウンド対策費の補正計上に当たっても二十九条に基づき所要額を計上し、国会審議してもらってきたんだと、こう答弁されているんですね。  そうすると、中身としては二十九条も同じことなんですけれども、島村農水大臣は、過去三年間もそうなんだから今年度も補正で組むことができるという財政法二十九条の理解の仕方をしている。大蔵大臣は、いやそうではないんだ、補正予算はことしは組めませんよ、二十九条というのはそういう理解なんですと、こういうことなんですけれども、衆議院の特別委員会では、二十九条の考え方がお二人の大臣で食い違うんではないかと、議事録を見ますと読み取れるんです。  先ほどの御答弁は、ウルグアイ・ラウンド補正予算を組むということについては、予算編成の際に、財政法二十九条に基づき、とありますが、これはあくまでも今年度は組まないんだと、農水大臣のこういう二十四日の答弁があったものですから、再度御確認させていただきたいと思います。
  87. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 基本的には、財政の基本原則を守る二十九条でありますことはそのとおりであります。  衆議院でも答弁を申し上げておりますとおり、集中元年でございますから、そういう基本に立ちまして必要な経費は当初で行う、こうなるわけです。同時に、緊急性という災害等を含めた諸問題がどうなるかというのは不確定要素でございますと、分類すればそうなります。
  88. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 緊急性ということでの二十九条の説明でございますが、今の答弁というのは、大変にしつこくて申しわけないんですが、補正予算を今年度組むんじゃないかという、十年度予算編成をしていくけれども、また十年度の予算編成だけれども、この九年度現年度で補正予算を、緊急とかいろいろな名前で、精査という新聞報道もあるんですけれども、農水省の方では千九百億という報道もまたございますが、組むのではないか。  そうすると、財政構造改革法案を今審議しているけれども、もう緒についた途端におかしくなるんではないかという心配が実はあるわけでございますので、このことをはっきり言っていただきたいんです。
  89. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 何回も申し上げて、同じことで若干表現が違いますから、引き続きの御質問でありますけれども、このウルグアイ・ラウンド予算の取り扱いについては、予算編成の際に、財政法第二十九条に基づき当然要求者側の農水大臣と協議の上、内閣として適切に処理するということになります。そこで御理解をいただきます。
  90. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 農水大臣大蔵大臣の答弁の食い違いで、たしか二十八日の大蔵大臣の答弁なんですが、それまでは補正を組むことはないということをはっきり言っていたんですね。  このことで私、時間をとるつもりはなかったんですけれども、財政構造改革を総括的に指導、所管されています、全体的な責任者でございます総理、もちろん今のやりとりを聞いていただいていたと思うんですが、このウルグアイ・ラウンド予算の補正予算の取り扱いについて、総理としての御見解を伺いたいと思います。
  91. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) これは内閣として統一してお答えをしてまいりましたので、そのとおりをきちんと申し上げなければならぬと思います。  それは、ウルグアイ・ラウンド関連事業の補正予算の取り扱いについては、予算編成の際、財政法第二十九条に基づき、農林水産大臣と十分、これは大蔵大臣が十分という意味でありますが、十分協議の上、内閣として適切に処理する、これに尽きるわけでありまして、これをずっと申し上げてきたと思います。  今、多少表現が違う、言い方が違うと言ったんでしたか、言い回しが違うか何かそういう言葉を使われましたけれども、まさにこの線の答弁をずっと申し上げてきているはずであり、今読み上げましたのがこの考え方であります。
  92. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 今回の財政構造改革法案はさまざまな問題があるんですが、キャップの問題も当初予算なんですね、補正予算にはないわけです。これがやはり一つは問題があるわけです。  だから、もうこの現年度の中で、新年度からなんですけれども、現年度の補正予算で、私は、当初予算、補正予算、やっぱり全体的な予算というのをキャップをかぶせるならかぶせるべきだというふうに思うんです。  どうなんですか、大蔵大臣、補正予算ではウルグアイ・ラウンド予算を組みまぜんということを言っているんですよ、今まで大臣の答弁は。今の御答弁はそこを言っていないんですよ。後退しているんじゃないかというふうに私は思うんです。
  93. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 変わっていないんです。  というのは、財政法二十九条をやはり厳正に解釈していくというのが財政を預かる主管大臣を任命いただいている者として当然のことでありますから、かみ砕いて言いますと、そういつも申し上げてきたところであります。  内閣として担当の農水大臣それぞれの見解がある、その見解は丁重に承りながら一致するところを見出さなければならない。こういうことでございまして、この原則は集中三カ年の基本を貫いていくだけではなくプラス三年の基本もそうなっていくであろう、こう申し上げておるわけでありますから、これで御理解いただけると思います。
  94. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 私の頭が悪いんだかどうか、理解できないんですね。  農水大臣、今やりとりしていないんですが、農水大臣は十月二十四日の衆議院の特別委員会での答弁で、先ほど言いましたとおり、三年間ラウンド対策費は補正予算に計上してやってきた、これは二十九条に基づき所要額を計上してきたんだと、だから今年度も、現年度もそういうつもりで財政法二十九条を理解しているんだという答弁なんですが、そういう御答弁、今もそう思っていますか。
  95. 島村宜伸

    国務大臣(島村宜伸君) 私はそう考えております。
  96. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 そうすると、補正を組むことはできないという答弁を大蔵大臣がされている中で統一見解が出てきたのが、先ほど来総理が読み上げていることなんですね。  そうすると、私は、やっぱりはっきり後退をしていると、そういうふうに言わざるを得ないんですね。大蔵大臣の答弁は変わったと。補正予算を組むことはないんだということを内外に、たしか十月十七日の閣議後の記者会見でもお話になっていますし、全部の新聞に出ています。出ているんです。全紙ですから、これ一紙だったらどこかの紙の聞き違いじゃないかというふうになると思うんですが。これは、だからなかなか大臣が後退したなんていうことを言えないのかもわからない、統一見解が出てから。  内外注目していますよ、このUR農業対策費については。ここは我慢して当初予算で対応すべきだということがこの財政構造改革のスタートではないかということであるわけでありまして、当初予算の上限、キャップの中で対応すべきだというふうに私は思います。本当に後退をしていると言わざるを得ませんよ、今までの答弁は。これから当然来年度の予算編成作業をする。来年度の予算、十年度予算、当初予算というのは理解しますよ。しかし、予算編成過程の中で、これは当初予算ではない現年度の補正で組むというのは来年の通常国会の冒頭にあることはあるわけですから、補正予算処理というのは、指摘しているわけですから、そのことを私は言っているんです。
  97. 三塚博

    国務大臣三塚博君) ですから、私は首尾一貫しているのは、財政法二十九条を厳正に守り、二十九条に基づき対処をしますと、こう申し上げておるわけであります。
  98. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 そうすると、さっき農水大臣にお答えいただきましたけれども、財政法二十九条というのは、今まで三カ年、補正予算で計上してきたと、そういう理解をしていますということでしているわけですから、そうすると今年度もあるということなんですよ。農水大臣はそういう受けとめ方をしているということなんです。  そうすると、もう入り口の段階から、ウルグアイ・ラウンド予算というのは与党の方々いろんな判断があると思うんです、景気対策とかいろいろ判断があると思うんです。いずれにしろ、今まで大蔵大臣が繰り返し衆議院か何かで言っていた、記者会見で言っていたということは、財政法二十九条という言葉は言われていますけれども、また来年度予算作業のときに出てくるんだという受けとめ方をせざるを得ないんです。後退をしていますよ、これは。変わっている。変わっていないというんだったら、補正予算を組まないという衆議院で言っていたそのことをはっきり言っていただければと思うんです。  今年度の補正予算は組みまぜんという私のかねての答弁というのは変わっておりませんということを言っていただければ私は別な質問に入れるんです
  99. 三塚博

    国務大臣三塚博君) ですから、補正予算について第二十九条、御案内のとおり「次に掲げる場合に限り、予算作成の手続に準じ、補正予算を作成し、これを国会に提出することができる。」と、こういうことです。一として、「法律上又は契約上国の義務に属する経費の不足を補うほか、予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要となった経費の支出又は債務の負担を行なっため必要な予算の追加を行なう」と、こういうことになっておりますから、ですからこの二十九条の法の基本に基づいて厳正にこれをやるわけですから、それに該当するものがなければ当然項目には入りません。緊要なものとはと、こういうことであります。  ウルグアイ・ラウンドといえども、財政の全体の枠にあるわけでございますから、申し上げておりますとおり、本件につきましては年度予算として措置をいただく、こう申し上げたのはその趣旨でございまして、その基本は変わっておりません。
  100. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 今の御答弁は年度予算でウルグアイ・ラウンド予算といえども措置をする、それは変わっていないということで、そうすると意味が通じるんですよ、大蔵大臣、大変失礼な言い方でございますけれども。  財政法二十九条というのがあるわけですから、これは厳しく緊急等ということでそれぞれ対応されるんでしょうけれども、今の、現年度の中でウルグアイ・ラウンド予算といえども対応していくということで、ちょっと私も何か整理ができなくなりましたが、そうすると、私が先ほどから言っている現年度の中ではウルグアイ・ラウンド予算、これは補正を組むことはないという言い方で、そのとおりですというふうに言っていいですね、それで。そういう意味ですね、今の答弁は。
  101. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 何回も言うんですが、大自然の中で森羅万象の動きがどうなるかわかりません。そういう点がありますが、私は平穏無事でいく限り、厳正に二十九条に基づき当初予算で年度予算は措置をされるべきものと、こういうことであります。
  102. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 どうも私は、たびたびの大蔵大臣の御答弁でございますが、総括的に言わせていただければ、先ほどの御答弁で、補正予算を組むことはないということの答弁であるというふうに受けとめさせていただくしかないのかなというふうに思っています。  もう残り時間が短くなりましたから、残りの質問につきましては、大変恐縮ですがまた別な質疑のときにさせていただくということを前置きさせていただきます。  今回の財政構造改革法案というのは、私は、いわゆるシーリング予算、これは加藤税調会長もある新聞記事で言われていたんですけれども、シーリング方式と変わらないなということや、財政構造改革法案ではない、財政縮減計画法案財政抑制計画法案、これが正しいんではないかと、こういうふうに述べている。それはそれなりに、私はキャップをするということは、財政を縮減していくということについては、別に基本的には異存はないんですが、財政構造と名づけたときに、これはやっぱり財政の構造の仕組みを変えていくということが基本的に大切なわけであります。今たまたまウルグアイ・ラウンドのことを言わせていただきましたけれども、ある意味ではこれは従来型の農業予算、公共事業配分型の予算ではないかという指摘の中で、きちんと本当に農業に生きているんだろうかという、そういう精査をしなきゃならないわけでありまして、そのことが大切なわけであります。  そういう意味で私はしつこく言わせていただいたわけで、その予算のつけ方についても従来型の予算のつけ方でいいんだろうかということ、財政法二十九条二十九条と言っているけれども、どうも大臣考え方は違うんではないかというふうに受けとめざるを得ないわけであります。ぜひこの補正予算では、当初予算のままで、財政の厳しさについて認識しながら、農業対策のあるべき姿についてやはり農民の方たち、農協、生産者、さまざまな方たちと話していく、そういう姿勢が大切ではないかというふうに思います。  残り一分になって恐縮ですが、総理、総合的に御答弁いただければありがたいと思います。
  103. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私は、ある意味で大変我々にとって厳しい問題の指摘をされたような思いがいたします。そして、議員言葉をそのままに使わせていただきますなら、あるいは加藤寛さんの言葉を使わせていただくなら、確かにこの法案は歳出の縮減を計画的に行い、その歳出削減を行うプロセスにおいて財政構造を変えていこうという仕組みになっております。  そして、私は、まさにこうした仕組みをとることにより、いわばキャップ制を採用することによりそれぞれの量的な縮減目標を達成しようとするならば、その仕組みにまで入らなければその量的な縮減はできないということを考えましたとき、これは財政構造改革にきちんとなると思っておりますし、議員指摘をされましたような、惰性に流れた予算査定の中にあるむだというものを絞り出すという意味では、私は確実に量的縮減のキャップが効いてくると思っております。  その上で、私はそうしたことを考えますと、いや応なしに縮減の幅が決まっておるわけですから、政策の優先度を当然ながら判断をいたさなければなりません。そうした効果も当然のことながら考えられる。そう考え、この法律案をつくりましたが、運用をする場合において、議員の御指摘のような視点を我々が忘れてはならない。そのような思いで今のやりとりを拝聴しておりました。
  104. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 ありがとうございました。(拍手)
  105. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 日本共産党の緒方靖夫です。  私は、本法案について公共投資の問題の角度から質問したいと思います。  日本共産党は、公共投資には膨大な浪費とむだがあり、軍事費削減とともにその構造にメスを入れる、このことが不可欠であると主張しております。同時に、軽視されている国民本位の生活密着型の公共事業を拡充する、これをかねてから主張してまいりました。  まず、法案全体にかかわることなんですけれども、総理は、財政赤字の原因について答弁の第一に、バブル崩壊後の累次にわたる景気下支え策としての公共投資の追加、このことをいろんな場所で繰り返し言われております。ならば、財政再建のためには、今日の財政赤字を招いた最大の原因である公共投資あり方について、浪費とむだをなくす、そういう方向検討をすることが何よりも必要だと思います。  ところが、本法案には、名前は財政構造改革法案となっているんだけれども、公共事業に関してはどうもそうした制度が、あるいはその見直しらしきものが見当たらない。第十三条の公共事業予算の基本方針のところには「重点化及び効率化を図る」ということだけ書かれているんですね。これまでいろいろ議論されてきた社会保障やあるいは文教、中小企業の基本方針には「できる限り抑制する」とか「すべての歳出を見直す」と明記されている。しかも、社会保障には具体的に制度改革まで書かれているわけです。これに対して公共事業のところでは、十四条に、公共事業は本年度七%削減、あと二年はそれぞれ前年度以下というだけで、結局二〇〇一年以降については削減のそうした縛りも目標も明記されていないわけです。  そこで、総理にお伺いしたいんですけれども、この法案の中で、公共事業について仕組み制度を変える、そういうことについて具体的な内容というのは一体あるんでしょうか。
  106. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 御党から繰り返し同じようなお尋ねをいただき、毎回同じようなお答えをすることをお許しいただくのも大変失礼だと思いますが、公共事業関係の長期計画につき、この財政構造改革の趣旨を踏まえて、計画期間を土地改良については四年、それ以外の長期計画は二年延長と、これによりまして投資規模の実質的な縮減を図りました。また、七%、三角七という数字は、議員もお認めをいただいたキャップの上限でありますが、公共事業そのものにつきまして、経済構造改革関連の社会資本について、物流の効率化対策に資するものを中心として優先的、重点的に整備をしていくほかに、相対的に立ちおくれている生活関連の社会資本への重点化、費用対効果分析の活用による効果的な整備の推進などを図ることを基本方針として取り組んでいきたいと。繰り返しお答えを申し上げていることであります。
  107. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 そういう話はすべてわかっているんですがね。この法案の中に具体的に公共事業の仕組み改革についてこうこうするということは書かれてないでしょう。閣議決定にはあるんですよ。それは認めますよ。しかし、法案の中には書かれていない。そのことを聞いているわけですよ。それは間違いありませんね。
  108. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 法律の条文なんだからそつちから答えさせます。
  109. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 総理総理に聞いているんだよ。
  110. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) いや、だから法律の条文だから……
  111. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 条文はわかっているんです、読んでいるから。聞いているのは、こういう改革について、仕組みについてこの法案の中に書いてあるのかと聞いているんですよ。書いてないんでしょう。書いてないからそういうことを繰り返すわけだ。
  112. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 何遍も申し上げておりますように、閣議で決めましたこと、その中で法律事項にすべきことを法律にしてお目にかけ、御審議をいただいております。その他の部分にお尋ねがございますようなので、事務当局から答えさせると申し上げました。
  113. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 今、総理が認められたように、閣議決定にはあるけれども法案には書かれてないわけですよ、今言われたこともね。  それで、私がここで言いたいのは、要するに、閣議決定で改革ができるならばなぜこの法案が必要なのかということなんです。そのくせ社会保障の問題では制度改革等々いろいろ書かれていますよ。しかも、私たちの立場からすると、これまでいろいろ議論しているけれども、やはり国民に犠牲を強いるような形でそれをやっているわけです。  ですから、私はこの法案について全体的に言うと、非常に大きな特徴というのは、公共事業の問題についてはあなた方の言葉で言っても非常に緩い規制しかかかっていないんですよ。そのくせ社会保障等々の問題については非常にきつい規制がかかっている。ここにやはり私は政府の姿勢があらわれている。やはり公共事業についてむだをなくすという改革を避けている。そういう規定がないというその特徴をまず最初に指摘しておきたいと思うんです。  次に、特に問題なのは建設国債の問題ですね。これはやっぱり公共投資を際限なく安易に拡大してきた元凶だと思うんです。年度末で百七十二兆円にならんとしているわけですけれども、この建設国債についてもやはり一言の、法案でですよ、一言の言及もないんですよ。これについては六月三日の閣議決定でも何も言及されていない。これは無視できる問題じゃないはずなんです。  例えば、日本経済新聞の社説では、建設国債が安易な公共事業の拡大を生んだと。赤字国債ゼロにこだわり、建設国債を野放しにして、粉飾まがいの予算操作を常態化して財政の本当の姿を見えにくくしている、こういう指摘があるわけですよ。これはやはり私は正論だと思います。  総理にお伺いしたいんですが、本法案で特例公債について二〇〇三年にはゼロにすると言っているんだけれども、残高が特例公債の二倍にもなっているこの建設国債についてはこの法案の中で直接的に規制する条項というのはありますか。
  114. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 御意見は大変興味深く繰り返し拝聴いたしております。  そして、財政法の中で、負担の世代間公平という考え方に立って見合いの資産等が残ります公共事業等に限り建設公債の発行を認めておることは、また委員よく御承知のとおりであります。そして、見合いの資産の残らない特例公債と基本的な相違があることもよく御承知のとおりであります。このために本法律案におきましては、財政健全化の当面の目標の一つとして平成十五年度までに特例公債依存からの脱却を規定いたしました。  その上で現状をお考えいただきたいと思うのでありますが、建設公債発行に伴う国債費を賄うために特例公債発行の増加を招くなどの問題がありますことから、国、地方の財政赤字対GDP比を三%以下とすること、公債依存度を当面の目標としておるわけでございまして、これらを踏まえて公債発行総額の抑制を図ってまいりたいと考えているということ、これも繰り返し御答弁を申し上げているところであります。
  115. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 私は、総理は今二点言われたと思うんだけれども、それについて私ちょっとここでどういうことになるかということについて考えてみたいと思うんですよ。  一つは、最初に言われたこと、これは公債依存度の問題ですね。それから次に三%の問題も言われた。この三%の問題もいろいろ試算をしてみても、過去に三%以下になったとき、ずっと見てみますと、例えば八七年から九一年までは三%以下になっていますよ。しかし、そのときの公債もやはり七兆、八兆とコンスタントにあるわけです。例えば一九九〇年度は公債を七兆三千百二十億円出しながら財政赤字の対GDP比は〇・〇一%だった、そういうことがあるわけですね。ですからこの三%というのは、要するに建設国債の発行の抑えにはならないんですよ。  さらに言えば、このGDP比というのは年度が終わって一年余りたつてからしかわからないわけです。だから、本当に三%以下になったかどうかということは確かめようがないわけだから、建設国債を発行して、終わってみたら三%を超えてしまっているという事態だってあり得るわけですよ。  さらに言えば、大蔵省が出している財政事情の試算の問題でも、やはりこの問題でいろいろ試算しているけれども、結局、建設国債八・五兆円、これを前提として、しかも試算は特別会計とか地方の財政赤字分については仮定の数字なわけです。だから、こういう数字を並べてこうなる、ああなると言っても意味がない。しかも地方の財政状況がよくなって、例えば二〇〇三年度のGDPが六百兆円ということになった場合、そのときには、三%ですから十八兆円の建設国債が発行できるということにもなるわけですよ。だから、これは全然縛りにならない。そういうことじゃないですか。
  116. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 仮定計算というもの自身、あくまでも一定の仮定を置いて計算をする数字でありますから、その仮定計算の数字が仮定だとお怒りになられましても、これは困るのでございます。
  117. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 大蔵省でそもそも仮定で出しているわけですから、私たちもこういうことをもとにしてやるんだけれども、しかしこういうことでやっても建設国債については縛りにならない。このことは一つ言えるんですよ。  それから、先ほど言われた公債依存度の問題、これは確かに縛りになるべき基準ですよ。確かにその基準なんだけれども、しかしこれを九七年度の予算並みということで計算してみると、九七年度の公債依存度というのは二一・六%ですよ。ですから、これを大蔵省財政試算に当てはめてみると、二〇〇三年度の歳出見通しは大体八十一兆から八十五兆、その二一・六%とすると大体十七から十八兆円の国債発行ができるという計算になるんですね。だから、これも全く縛りにならないんですね。そういうことじゃありませんか。こういう試算ができるわけですよ。
  118. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 仮定計算ということで財政事情を分析いたしたわけですね。成長率は、片や一・七五、そしてまた三・五と。
  119. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 そういうことはわかっているから。
  120. 三塚博

    国務大臣三塚博君) わかっていてもこれは話の順序ですから。  そういうことで財政再建、健全化を図ろうと。同時にそれは、歳出の縮減はすべての見直しをやるわけでございますから、活力のある財政状態というものが生まれてまいりますねと。こういうことで来ておるわけで、集中六カ年、三カ年プラス三カ年の六カ年で一・二五ずつ減に立てていけば七・五兆が解消なりますと。  先ほど総理も言いましたが、そのことは、解消なることは建設国債もセーブをして九〇を超えることはないと。今九〇ですから、ストックの国民総生産比が九一という説もありますが、九〇を超えることはないと。  そういうことの中で、さらに財政事情の試算によって四条公債は九・二が九年、八・五マイナス〇・七、七千億と、こうなるわけですから。このペースで進んでまいりますと建設公債は逐次縮減をしていく、こういうことになるわけですね。
  121. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 六カ年の間に建設国債については、縮減というか、結局八・五兆円でずっと並べているだけでしょう、この試算だって。ですから縮減じゃなくて、結局問題なのは、本来縛りになるべきこの公債依存度の基準を使ってもやっぱりそれだけのものが出る可能性があるということなんですよ、十八兆円もの建設国債が。法律上はそういう仕掛けになっているということを言っているんですよ。実際やるつもりがあるかどうかということじゃなくて、法律上はそういう仕掛けになっていると。  したがって、総理が先ほど言われた三%規定を使っても、あるいは公債依存度の問題を使っても縛りにならないということです。特に三%については不確定要素が多過ぎる、あいまい。それからまた、公債依存度は大緩です。  ですから、本当に規制をかけるのなら、例えば公債依存度、これを九七年度の半分以下に抑えるとか、そういうことをやるべきじゃありませんか。それが本当の規制となりませんか、大蔵大臣
  122. 三塚博

    国務大臣三塚博君) これもたびたびお答えしているわけでありますが、税収に見合う歳出、歳出は義務的経費を含めてありますから、歳出に見合う歳入の確保、この両方があるわけですね。まさに財政構造改革は、構造改革をやり遂げることによって歳入に見合うものに全力を尽くすと、こういうことなんです。  そういうことでありますと、ただいま七十七兆余の国家予算で、六十兆しか税収ほか国庫納付金が入りません。十七兆足りませんから国債費と、こういうことですね。だから、そこをおわかりいただければ物事の順序が見えてくるわけですし、社会資本の整備というのは、やはり災害復旧もしなければいけません、それからやりかかったもの、問もなく完成するものは完成をせしめなければなりません、費用対効果ということになりますから。それまで全部アウトだというと、それはどうにもならぬことになりますから、政治でもなければ行政でもない、こういうことになります。
  123. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 大蔵大臣は全然質問に答えないんですよ。要するに、公債依存度を半分ぐらいにしなければ効果はないじゃないかということについては全然答えられない。時間がむだだからもうやらないです。  私がここで言いたいのは、結局、今回の財政危機を招いた一番の問題、総理も言われているように、バブル崩壊後の累次にわたる建設国債の発行、公債の発行等々、こういう大盤振る舞いをしてきたわけです。こういうことに対して、やっぱり建設国債の発行に歯どめをかける、このことが本来非常に大事なのに、このことについては直接的な目標がない、このことはさっきお認めになった。間接的な目標にしても、今二つ挙げられたけれども、経済状況によっては建設国債をかなり増発できる、そういう余地を残しているわけです。これが法律上の仕組みだ、そういうことを私は指摘しておきたい。つまり、建設国債については政府は厳しく制限するつもりは全くない、そういう仕掛けになっているんです。これがやはり非常に大きな問題だと思います。  先ほど総理も最初に言われたけれども、五カ年計画の縮減、この問題についてもやはり相当問題です。私たちの党の立木議員質問に対して総理の答弁というのは、結局あらゆる前期計画を上回るような計画等々、こういう問題について、現行計画の延長で投資規模の実質的縮減を図ると、それだけしか言っていないんです。  これは縮減になるかもしれないけれども、しかしその前どうですか、四一%拡大しているでしょう。前の九五年までの計画で四一%拡大した。その前は四〇%拡大している。そういう拡大に拡大を続けてきたその額に、さらに単年度に直しても五百億円余りプラスになる、そういう形になっているわけです。  それが、総理が言われている財政構造改革五原則の中で言うあらゆる長期計画の大幅な縮減、あるいは一切の聖域なし、そういう方針どおりと言えるんですか、総理
  124. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) ちょっと前のを聞いていないので。
  125. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 財政構造改革を進めるに当たっての五原則というところに御指摘のようなことが出ております。聖域を設けるということになりますと、今日の予算編成の長い間の慣行の中で思い切ったことができません。見直しが不十分になります。  そういうことを考えまして、必要なものは必要なものと認めつつ、費用対効果といいますか、また受益と負担という感じで申し上げますのでしょうか、いろいろな手法があるわけでありますから、その手法を駆使してやることにより目的を達成していく。問題は、健全な財政運営が行われる基盤が確立することで経済が安定するわけですから、国民生活の安心はまさに政治の原点である、ここを踏まえたことであります。
  126. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 私が聞いたのは、こういう四〇%四〇%上がってきた五カ年計画を、縮減したと言うけれども、単年度を見ればさらに額が伸びている。これで財政赤字をつくってきたわけでしょう。それが原因なわけですよ。そのことに手をつけずにどうして大幅な縮減と言えるのか、一切の聖域なしと言えるのか、そのことを尋ねているんですよ。  総理大臣、いかがですか。——大蔵大臣、もういいですよ。
  127. 三塚博

    国務大臣三塚博君) いいですよと言わないで、今御許可をいただきましたから一言だけ申し上げます。  長期計画を四年あるいは二年このように縮減をいたすということは、この縮減によって内容が変わるわけですね。内容が変わりますけれども、その変わり方が、マイナス、減になったものについてもなおコスト減を図り、手法を変えてむだな経費を省く、やることによって縮減効果がもたらされます、制度もこれによって見直すことができます、こういうことであります。
  128. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 そういうことでは財政再建はできない、私はそう思うんですよ。  大体先ほどの話だって、教育について、文教については一切の聖域なしでやるんだ、切るんだと言いながら、公共事業のこの事業費についてはこれだけの抜け道をつくっているわけですよ、物流の効率化とかなんとかといろいろ言いながら。  ですから、私はここではっきりと、額の削減にもなっていないわけですから、単年度に直したって。しかも、四〇%四〇%でずっと上げてきた。その結果、そこまで来たものが財政危機を招いている。そういうことから考えれば、これを大幅に下げない限りやはり財政再建の道は開けない、私はそう思うんです。  そこで、総理にお伺いしたいんですけれども、九〇年代に入って急増したこういう五カ年計画あるいは建設国債、これはなぜ削減できないのかという問題なんですよ。  これは、私は思い起こすんですけれども、七八年にボン・サミットがありました。そのときに日本が内需拡大、経済成長という目標を対外的に公約したことがありました。いわゆる外圧だと言われました。歴史は繰り返すと言われますけれども、九〇年代初頭に、当時そうした外圧があったのかどうか、総理にお伺いいたします。
  129. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 議員が仰せになりたい外圧とは、具体的にはどのようなものでありましょうか。
  130. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 外国からの圧力ということです。
  131. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 国際間には常にさまざまな問題がございます。そして、そのときそのとき、九〇年代の初め、九〇年代とおっしゃいますならば、湾岸危機が起きたのも九〇年、そして湾岸戦争もございました。
  132. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 私は公共事業の問題についての外圧を尋ねているんですよ。
  133. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) お尋ねに前提がありませんでしたから。  外圧という言葉は、公共事業と当てはめますと大変異質な感じを与えるお言葉ではないかと思います。
  134. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 本来異質なはずなんだけれども、異質じゃないところにこの問題の異常さがあると私は思いますね。  これは私が言うんじゃなくて、これは本院の国民生活調査会の議事録ですけれども、その中で、経済企画庁の総合計画局長が当時の問題について、平成会の海野議員からの質問に実際上外圧があったということを答えているんですよ。ここで引用するのは時間がかかりますから述べませんが、それで……
  135. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) いや、引用してください。引用していただけませんか、正確に。
  136. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 じゃ、いいですよ。  「外圧と申しますか、諸外国も当然日本の貿易黒字に対する懸念を示し、内需主導の経済へという要望をたくさん出してきたことは事実だと思います。」、それも念頭に入れてこうした外圧等々に基づく計画がつくられたと、そういうことを言っているんですよね。  ですから総理、常識的に考えても、九〇年代のちょうど日米構造協議が行われたときに、そのときに外圧がなかったと言ったらおかしなことになるでしょう、常識から考えて。外圧はなかったんですか。
  137. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 公共事業に限定して外圧と言われますなら、私は不適切な言葉だと思うと申し上げました。  当時、貿易収支、経常収支黒字の拡大が国際的にさまざまな波紋を呼んでおり、日本がその黒字を国際社会のために、また内需拡大のために有効に活用すべきであるという意見がありましたことは、これは全く私は否定をいたしません。そういう議論を外圧ととるかどうかというのは、私は視点はおのずから分かれると思います。  国際経済、国際金融あるいはその他の分野におきまして、常に各国にはそれぞれの主張がございます。そしてその当時、日本の黒字の拡大に対し、これを内需の拡大によって、あるいは国際経済のバランス回復のために活用すべきであるという議論があったことは事実であります。
  138. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 その当時、日米構造協議の交渉者としていろいろ活動したウイリアムズという当時の通商代表部の次席がおりますけれども、彼がアメリカの議会で証言したときにアメリカの対日戦略ということを語っているわけですが、その中でも彼は外圧を使ったと書いているんですね。外圧という言葉アメリカの議会で使っているわけですよ。ですからアメリカにとっては、外圧を日本に与えた、しかも効果的に与えたということは常識になっているわけですね。そういう意味で私は言っているんですからね。  私は、このウイリアムズの証言を読んで、これは九〇年二月二十日、米議会で行われた証言です。ちょうど総理大蔵大臣をやられたときの話ですよ。何と言っているか。  彼は、戦略として、強力で一貫した圧力を用いる、重要な役割を果たした外圧をより建設的に使う、日本の振る舞いに影響を与えるために確かで計算された報復を用いる、こう述べて、そしてこの交渉戦略は成功だったと述べているわけですよね。  ですから、アメリカの認識というのは、日本に外圧を与えて、しかもその中身というのは何かというと、まさに公共事業をふやせ、そして公共投資をGNPの一〇%にせよ、そういう主張をやったわけです。もう当事者だったからここでくどくど述べる必要はないと思いますけれども。  それで、そういうことをずっとやって、しかも私は、その交渉の当時、アメリカ日本政府に提示した、これは一種の内部文書ですけれども、アメリカの立場をあらわすポジションペーパーというのを手に入れて、それを全部読みましたよ。  それを読むと、六分野二百四十項目に具体的な内容が書かれているわけですね。その第一の要求は何かというと、まさに公共投資GNPの一〇%ですよ。さらにその冒頭には、十五の長期公共事業支出の計画をつくり直すと書いてあるんです。拡大せよということですよ。さらに各論では、物流効率化のためのインフラ整備として、空港・港湾の五カ年計画の策定、道路建設予算の即時増加、こういうことを言っているわけです。  ですから、総理はこれは自分たちで決めたことだと言われるかもしれないけれども、アメリカはこういうことを日本に要求して、しかも外圧を使って、圧力をかけてやって、そしてその結果うまくいったと言っているんですよ。それが経過なんです。  アメリカからこういう要求があったということはお認めになるでしょう、総理
  139. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) まず第一に、あなたは当事者だったからとおっしゃいましたが、どの交渉記録をお調べいただきましても、構造協議に私が出席した記録はございません。まず、この点は冒頭申し上げます。
  140. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 大蔵大臣として当事者と言っているんです。
  141. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) いえ、私が当事者としてそこに出た記録はございません。  その上で、構造協議のときに、ISバランス論に至ったアメリカがさまざまな議論を展開したことは事実であります。同時に、あるいは通産、あるいは大蔵、それぞれの事務方の代表者が、それを認めるのではなく論戦を行いましたこともまた事実であります。  アメリカの議会における証言を引用されましたが、それはアメリカ側がアメリカ側の内部において述べたことでありまして、議論は双方が随分長い平行線のプロセスをたどりましたことも国内の報道等を突き合わせていただければ御理解をいただけるものだと思います。  また、交渉ペーパーは何項目あったかは私は忘れましたけれども、それぐらい膨大な項目を並べたものがアメリカ側から提示をされたことも事実でありますし、日本側でそれを持ち歩いて、これはできるんじゃないかとか、あれはだめなんじゃないかとか、当時勝手な予測をした人間がおったことも記憶をいたしております。  それと同時に、公共投資基本計画をたまたまその時期に設定したことは事実でありますけれども、議員が御主張になりましたように、その公共投資基本計画とあわせてそれぞれの計画アメリカの要求のようにつくり直したとは私は記憶をいたしておりません。
  142. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 そのペーパーがあるということは認められた。そしてまた、それをいろいろ持ち歩いて日本側で検討したということも認められた。これは膨大な文書なんですよ。(発言する者あり)ちょっと、発言中です、委員長。発言中ですよ。いいですか。  それで、こういうことが行われた。今、総理が言われたのは、それを検討したけれども受け入れたわけではないという趣旨のことを言われたかもしれない。しかし、私は思うんだけれども、事実が大事なんです、この問題では。  この中では、五カ年計画を拡大せよということだけじゃなくて、九〇年代は建設国債の発行、これを続行し増額すると、そういうことを述べているわけです、このアメリカのペーパーは。  そういうことから見るとどうなっているか。建設国債どうですか。建設国債はこの後、八〇年代は大体六兆円台だったんだけれども、九二年には九兆円台に行く、そして九三年には十六兆円にジャンプするわけですよ。そして一けた違った数字が続くわけです、その後。だから、アメリカの言ったとおりに建設国債というのは大幅に伸びているわけです、その後。  それでは五カ年計画はどうか。五カ年計画だって先ほどから言っているように四〇%も伸びているわけです。しかも総理、当事者じゃないと言うけれども、確かにSIIの交渉は当事者じゃなかったかもしれないけれども、大蔵大臣として当事者なんですよ。そして、これは九〇年の三月二十五日、ロサンゼルスでの日米蔵相会議を終えた後帰ってきて大蔵省で会見して、三年度以降も五カ年計画を更新し、事業量も拡大するということをアメリカとの会談を終えて言っているわけです。五カ年計画も実際四〇%その後伸びているわけです。  ですから、こういう事実を見ても、アメリカから言われた、建設国債をふやせ、五カ年計画を拡大せよ、こういうことについて事実はどうかといえば、はっきりとその後伸びているわけです、大幅に。そして、その伸びた結果というのが今問題になっている財政危機を生んでいる原因じゃありませんか。このことを言っているわけです。  ですから、これがアメリカの言う外圧なわけですよ。外圧によって日本を動かしたと。そして彼らは、日本に対してやり過ぎたかもしれない、アメリカ政府日本を余りにも信頼していないということを示してしまうほどやり過ぎたかもしれないということも反省的に述べているところもあるんです。そのぐらい激しい、すさまじい交渉だった。そのことをアメリカは述べているわけです。私は、アメリカのその交渉の議事録とかそういうのを全部読んでこのことを述べているわけです。  ですから私がここで述べたいのは、こういう問題、つまりすさまじい要求なわけですよ。例えばこのアメリカのペーパーの中には、談合を問題にして、建設省内に談合追及のセクションを設けよとか、建設省とか運輸省内の談合の事実を明らかにした職員への報奨制度を設けろとか、まさにこんな余計なお世話というような内政干渉的なことまで含まれていたわけです。ですからこういう問題、あらゆることを言われた、また外圧をかけられた。  そうした中で、結局問題としてさまざまなプロジェクト、投資を大きくするためには大規模プロジェクトをすればいいわけですから、アメリカの文書の中には関西国際空港の問題も東京湾横断道路の問題も出てくるわけです、もっと規模を拡大せよという形で。ですから、こういう形で工事のための工事、これをどんどんふやしていったわけでしょう。これが公共投資のむだなんですよ。  我々が言っている浪費、むだ、これは日本の社会の必要から生まれたんじゃない。ましてや、すべてが日本国民の必要から生まれたわけじゃない。まさに投資を生むための工事のための工事、そういう仕組みアメリカからのそういう横やり、外圧によってつくられた、このことを指摘しているわけです。これがやはり今日の財政赤字を生む、大変な危機を生む、そういう原因になったということを指摘したいわけです。いかがですか。
  143. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 大変興味深いお話をるる拝聴いたしました。その上で、私はアメリカ側において、アメリカの国内でどのような話がなされたかを存じてはおりません。これが申し上げたいます第一点であります。  同時に、バブルがそのころ崩壊の兆しを出し、国会の中におきましてもまた世間におきましても景気対策を求める声がその後相次いだことも議員はよく御承知の上、そのためにとられた施策の部分については言及をなさいませんでした。そして、そういったび重なる景気のための財政出動が今日の財政状況をもたらしていることも、これはお触れいただきませんでしたけれども、事実として申し上げなければなりません。  同時に、今この経済情勢の中でありますから、公共事業に対してキャップを私はかけております。この法律をもってその努力をさせていただきたいと国会にお許しをいただこうといたしております。  しかし同時に、我が国公共投資、公共事業は不必要でありましょうか。私は残念ながら、日本は随分このところ社会資本整備が進んだとはいいながら、都市公園にいたしましてもあるいは下水道にいたしましても、我々の暮らしの回りを見ましたときに公共事業は足りない部分があると思っております。あるいは廃棄物処理という問題一つをとりましても、我々はまだこうした分野には投資をいたさなければなりません。公共事業がすべて悪のようにおっしゃることには、私は必ずしも同感のできないものを持ちます。  そして、公共投資基本計画日本側が策定いたしましたのは、ですからそれを外圧とおっしゃるかどうか、私は、その時点における国際経済の中の論議だったと思いますけれども、黒字幅の拡大に対し対応を求める国際的な世論の中で日本が選択をしたのは公共投資基本計画という形であったということを申し上げておるわけであります。
  144. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 今、総理が言われたのは、アメリカのこうした動きは知らないと言われたのも甚だ心もとない話だと思います。こういうことを全部たなごころに乗せて、やはりこうあるべきだと私は思いますよ。  それからもう一つ、公共事業不要論であるかのようなことを言われましたけれども、私たちの立場というのは、必要な公共事業というのは拡充していく必要がある、その立場でむだを削れと、そのことを言っている、このことを述べておきたいと思うんです。  それで、この外圧を本当に日本に受け入れられやすくするために、アメリカでこういうスローガンを考えたわけです。これも証言に出てきますけれども、日本のおくれた社会資本の整備を取り戻す、これがこの外圧を受け入れさせるためのぴったりしたスローガンだということを見つけるわけです。そしてこれを宣伝する。そしてこれが日米共通のスローガンにもなったと言っているんですよ。このことを私は指摘しておきたい。  そして、日本財政をパンクさせたその裏にはアメリカ政府の対日圧力があった。いろいろ経緯はあったかもしれないけれども、結果的には、五カ年計画にせよ建設国債にせよ、アメリカの言うなりに大幅にふやしてしまった。そのことが大きな財政破綻をここにつくっている。そしてさらに言えば、総理自身大蔵大臣として五カ年計画を拡大した。そういうことを見ても、やはり私はその責任というのは大きいということを指摘しておきたいと思います。  最後に、私、次の問題に移りたいんですけれども……
  145. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今の問題、続けていいんですよ、どうぞ。
  146. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 いいです。時間の関係です。  私は次に、まさに総理が言われた、私たちがいかに公共事業を大事にしているかということについても実際に述べたいと思うんです。  私、浪費の仕組みを温存する、こうやって温存する一方で、暮らしに不可欠な施設整備費を大幅に削ろうとしている、このことが本当に問題だと思うんですよ。公共投資だから一律七%削減。  これ、何が起こるかというと、各官庁の来年度概算要求を見ると、例えば厚生省の場合、特別養護老人ホームや身体障害者療養施設など、お年寄りや障害者のための社会福祉施設整備費、ことしよりも百三十八億円、六%カット。それから、医療施設や保健衛生施設整備のための補助金、負担金も四十八億円削減。国立の公民館、図書館等の社会教育施設整備費に至っては全額カット。こういうことがずっとあるわけです。  そこで、私特に問題だと思うのは公立学校の改修の問題です。  ここでは、生徒が急増したときにつくられた校舎、これがちょうど老朽化する、そういう時期を迎えているわけですけれども、こういう問題で国庫補助が非常に大事なわけですが、一九八〇年度の五千七百十三億円、これをピークにして年々縮小されて、本年度は千八百七十八億円とピーク時の三三%にまで落ち込んでいるわけです。この改革なるものによってさらに七%、百三十一億円削減、そういうことをやる。これが今の状況なわけです。  この問題では、耐震を強化するという課題もあります。そうした中でどんどんこれを削る。耐震については少しふやしているようですが、全体としては大幅に減らす。そうした中で、やはり私は、生徒や児童の安全で快適な教育環境をどう確保するのか、この問題が非常に大事になっていると思うんです。  この問題について、私は若干事実を述べたいんだけれども、現場で何が起きているかです。例えば東京の葛飾区、ここでは八十校あるうち三十九校で雨漏り。学校長が提出した要望書があるわけです、教育委員会に出した。ある小学校の二階のトイレの数カ所に亀裂が生じて一階の天井から汚水が漏れるとか、トイレに男女の仕切りがなくなっちゃうとか、あるいは水道の水が赤く濁るとか、体育館の床にくぎが出てこれが修理できないとか、そういうことまで生んでいるわけですよ。  ですからこういう状況を、現在でもそういう状況なわけでしょう、それをさらにひどくする、そういうことになるじゃないですか。  文部省はどういうことを集計しているかというと、文部省によると、今後二〇〇〇年度までの三年間に、決まりによって建築後二十年を迎える、これが国庫補助の対象になるわけですけれども、そういう校舎というのは合計二千五百二十六万平米あると資料を出しているわけですよ。この大きさというのはどのぐらいかというと、東京ドームの総面積の五百五倍になるわけです。こんなことで、生徒が大変なわけ、そしてそのお母さんも先生方も心配されている、そうした中で学校の改修をおくらすということになるわけですよ。学校長を初め、そして生徒たちのこういう叫び、これをどう受けとめるのかということについてお聞きしたいと思います。
  147. 町村信孝

    国務大臣(町村信孝君) 来年度の概算要求につきましては、公立学校施設整備及び公立社会体育施設整備は七%減ということで要求をさせていただいております。  その中でも、確かに先生みずからお話しのとおり、耐震補強工事、これについては八%の増、あるいは緊急性を要する改築などは、減ではありますが三角一・七%、こういうような形で必要な事業は確保できる、こう思っております。  それから、社会教育施設整備につきましては、これは公民館などでありますけれども、かなり全国的に整備もできてきたという判断をいたしまして、平成九年度限りで廃止をするというふうにしたわけでございます。  ただ、私も最近この立場に立ちましていろいろな学校を見てまいりますと、これは先生も率直にお認めをいただきたいのでありますが、先生が通っていたころの学校、私どもが通っていた学校より最近の学校は飛躍的に格段にいい学校になってきております。時として私などは、こんなに豪華な学校をつくって本当にいいんだろうかといささか首をかしげたくなるような、ホテルまがいと言うといささか言い過ぎではございますが、そんな立派な学校すら最近はできてきておりますので、着実に整備され、着実に学校の施設はよくなっている、そういう大きな状況をしっかりと御認識をいただきたいと思います。
  148. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 今の文部大臣の発言は重大ですよ。あなたは全然実態をつかんでいないですよ。実態をつかんでいない、本当に。私が挙げた葛飾区の例というのは、学校長がやむにやまれぬ形で出してきた要望書ですよ、教育委員会に。それを私は引用したんですよ。ですから、そういう実態をちゃんとつかんで物を言っていただきたい。このことをはっきり述べたい。それから、できると言われてもできないですよ、これだけ減らされたら。どうしてできるかということを聞きたいけれども、時間がないから次に行きます。  こういう問題と並んでもう一つ重大なのは公営住宅の問題です。そもそも住宅の問題で言うと、住宅予算というのは一三・五%カットされているわけです。公営住宅について言うと四千戸、九・七五%減らす。こういう弱者に対してどういうふうにするのか、どういう施策をとるのかというのが非常に重大なわけですよ。住宅について言うと、やはり公営住宅がますます必要だということはもうはっきりしていると思います、この三年間ずっと減らされてきたけれども。例えば、都営住宅の平均の倍率を見ても六十七倍です。これだけ公営住宅に入りたいという方がいて、しかも入れない、そういう状態があるわけですね。こういう中で一律、住宅を七%からもっと切り捨てる、こういうことがあっていいのか。これがやっぱり非常に重大な問題なんです。結局、弱者にしわ寄せということでしょう。  東京新聞の社説、どう書かれているかというと、「公共事業費の削減が、政治的圧力の弱い分野にしわ寄せされることのないよう配慮する必要がある。」、こう書かれているわけですよね。まさに公営住宅の入居者……
  149. 遠藤要

    委員長遠藤要君) 答弁の時間がなくなるので、答弁の必要なければ時間いっぱいやってください。
  150. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 はい。  こういう問題があるわけですね。  そこで、私は最後に総理にお伺いしたいんです。  総理はたびたび、国民に相当な痛みを覚悟して、そういうことを言われてきました。しかし、借金をつくった責任というのは国民にはないわけですよ。学校の問題にしても、学校長、父母の叫びがある、子供たちが大変な思いをしているという状況がある。時代錯誤なことと文部大臣は言いましたけれども、そういう状況ですよ。公営住宅にしてもやはりそういう問題があるわけです。  だから、借金をつくった責任は国民にないわけだから、何で国民にこういうしわ寄せをするのか、その一方でどうして公共事業費のむだを大幅に削るようなことをしないのか、そのことを私は総理大臣に聞きたいと思うんです。やっぱりこういう人たちに痛みを覚悟せよというんですか。父母に対して、あるいは公営住宅の……。両方にまたがっているから、総理だよ。
  151. 瓦力

    国務大臣(瓦力君) 緒方委員の御質問でございますが、大変一方的な御議論でございまして、答弁の時間もございませんが、公営住宅につきましては、低所得者に対する住宅対策といたしまして財政構造改革の方針の中におきまして効率的に実施を行っていく必要がある、かような認識を持つて対応しておるわけであります。  地方分におきまして地方自治体で……
  152. 遠藤要

    委員長遠藤要君) 簡明に言ってください。
  153. 瓦力

    国務大臣(瓦力君) 協力を得まして、戸数におきまして借り上げを五千戸、高齢者向け優良賃貸住宅等を四千戸、これらに手だてをしながら、予算面では若干減額でございますが、借り上げ補助の手だてを講じまして……
  154. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 高齢者資金の……
  155. 瓦力

    国務大臣(瓦力君) それの手だてを講じておるところでありまして……
  156. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 それは弱者のためじゃないよ。絶対違う。
  157. 瓦力

    国務大臣(瓦力君) 手だてを講じておることを申し上げます。
  158. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 終わります。(拍手)
  159. 椎名素夫

    ○椎名素夫君 自由の会の椎名であります。  きょうは一つだけですが、ぜひお考えいただきたいことについてお伺いしたいと思うんですが、企業その他の資産の再評価と、それから時価による会計表示の問題をお伺いしたいと思うわけです。  今、総理、六つの改革ということで一生懸命御努力なさっておられますが、とりわけ経済構造の改革、構造の改革というところに重点があるわけでしょうけれども、これはもう非常に喫緊の仕事である。現にもう来年のビッグバンから実際、金融、為替の自由化だけでなしに、それに引きずられていろんなことが起こってくるだろうと思うんです。  そこで、三つの原則ということを言っておられます。フリー、フェア、グローバル。フリーというのは市場原理が働くような自由なマーケットでなきゃいかぬ、金融市場だけじゃなしに全体としてもですね。それからフェアというのは透明で信頼できるマーケット。これにはルールの明確化、透明化というようなことがありましょう。それからグローバル、さっき大蔵大臣ですか、企業が国を選ぶような時代になったというお話がどなたかからありましたけれども、そういうことからいっても、そのグローバル化に対応したような法制度、とりわけ会計制度、それから必要な監督体制というのを整備しなきゃいかぬ、こんなことだろうと思うんですね。   これ一つずつかじっていってもいいんですが、基本的には要するにマーケットエコノミー、市場経済体制というものについての考え方というのをきちっと確立しておきませんとなかなかうまくいかないだろうと思うんです。  少し青臭い話ですが、言ってみれば、市場経済体制というのは、私有財産制のもとに独立した自主的な自由な市民が自己責任の原則でマーケットに参加する、こういうことでしょうね。その経済行為が目的を達成できるような合理的なルールがなきゃいかぬ、そのルールのもとにできるだけの情報の開示、公開が必要である、これが原則だろうと思うんです。  というのは、自由な自主的なマーケットにおけるプレーヤーがきちっとした判断をするためには、情報の開示ということがなければ判断の基礎ができないということであろうと思います。また、もうちょっと別の角度から見ると、市場の役割、マーケットの役割というのは、資源の最適配分になるべく近づけるような機能をマーケットが持たなきゃいかぬ、こういうことですね。それをマーケットにゆだねるためには、先ほど言いました経済の主体であるマーケットの中のプレーヤーが自由を持っていなきやいかぬ、それから競争のための公正なルールと先ほど言いました情報、これが重要なわけです。  会計なんですけれども、要するに会社会社の株を上場する、そしてこの会社は一体どういう会社かということが元来基本でありまして、最近の日本の株のやりとりというのは、どうもキャピタルゲインをねらって売ったり買ったり、これは株を扱う証券会社の手数料稼ぎというような問題も一方にあるんでしょうけれども、よく言われる話ですが、元来はその会社のファンダメンタルズをきちっと見きわめてこれは判断されるべきものですね。  そのためには、その会計というものが、もう五百年昔から複式簿記ができたときからの原則ということになっていますが、真実性の原則というのがある。それを考えますと、日本での経営の一つの特徴みたいになっている含みで物を考えるというのは、どうも真実性の原則というのから非常に外れているということを言わざるを得ない。  これは、これからの経済構造改革の中で相当早い時期に直していかないと私はいかぬのだろうと思うのです。やはりなるべく早い時期に資産の再評価をやる。そして会計というものは、資産勘定ではきちっと時価に、一日一日の時価は無理でしょうけれども、時価に近いところできちっと表示をされるということに早く転換をしなきやいかぬのじゃないかと私は思うんですが、これをぜひ考えていただきたいと思っております。  というのは、いろんなことがこれから発生いたしましたけれども、経営者にとっては実は非常に楽なんですね、含みというものを持っているということは。含みで損が出ても、じっと寝かしておけば別にあの社長の時代に損が出たという話にはならない。それから含み益が出ると、これもまた黙っていても、特に益出しして税金を払う必要もない。  日本経営が右肩上がりでずっと伸びていったところを見ると、ある会社が新しい事業を展開しようかどうしようか、これにはこのぐらいの金がかかる、成否の見込みは五〇、五〇だったり、六、四だったり、七、三だったり、あるいはちょっとばくちみたいで四、六だというようなときに、何を見るかというと今までの含みを見るんですね。マーケットシェアを拡大するためには四、六でもやっちまうかというような行動というのがしばしば見られた。これがうまく当たればそれはそれでいいんですが、これが日本の企業の過当競争、これを海外まで拡大するような振る舞いにいささか貢献したと言えないこともない。こういうことをいろいろ考えまして、これから特にグローバルということからいうと、日本会社というのは本当のところは幾ら財務諸表を見ても何もわからない、こういうことではいかぬと思うんです。  それから、それに付随して、これはちょっと差しさわりがあるかもしれませんけれども、そういうようなことをそのままにしていかに外部監査の形を整えたりしても、そういうことでやっていらっしゃる公認会計士のような方々はよそへ行って通用しないんですね、そんなインチキやっていたら。向こうに言わせる言葉で、私がインチキと言うわけじゃないんですが、外国では日本のああいうやり方で公認会計士、監査法人でどうのこうのと言っていても、こっちへ来たらあんなものは役に立たぬというような声も聞いたりする。東京のマーケットもこれまたきちっとサウンダーなものにしていかなきゃいかぬというようなときに当たって、ニューヨークともロンドンとも競争しようというときに、これはちょっとほっておけないんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
  160. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) まさに今、議員の御質問を伺いながら、BISの議論をいたしましたときに、その含み益を考え考えないというのが他国との間に議論があったことを思い起こしております。そして、私は基本的に提起をされました議員の問題意識と同意であります。  既に、昨年の銀行法あるいは証券取引法等の改正によりまして、銀行証券会社などで認可を受けたものについて、トレーディング勘定に属する資産取引については時価法を適用することができることとされました。これに関連して、税法上もこれらの銀行証券会社などについては時価法により会計、課税所得の計算をすることになったという報告がございます。その上で、やはり我が国の会計基準そのものを国際的な動向も踏まえて一層整備をしなければならないという点は御指摘のとおりであります。  こうした観点から今、企業会計審議会におきまして金融商品の時価評価を含めた重要な幾つかの課題の検討を進めております。この企業会計審議会の検討結果なども見ました上で、課税上の取り扱い等も含めまして、今提起されました問題に対してはきちんと答えを出していきたい。やはりこれは国際ルールに合わせていかなければ通用しないわけでありまして、私は問題意識を一にするとお答えを申し上げた上で、この企業会計審議会における検討結果を見たいと考えております。
  161. 椎名素夫

    ○椎名素夫君 大変前向きなお答えでうれしいんですが、いろいろ関連することがありますね。例えば時価評価という点からいうと、個人は死ぬとみんな時価評価で税金がかけられて相続税を取られてしまうというようなことになっているけれども、企業の方が持っているやつはみんな含みだというようなことですね。これも随分不公平な話である。  それからもう一つは、動かすときだけでなしに持っているもの、これをはっきりさせるということは私は大事だと思うんです。そうすると、私はよくわかりません、これは計算をきちっとしていただければいいんでしょうけれども、例えば金融機関でBISの規制がある、これに合致しないようなことではいかぬということで、それに外れるようなことがあったら、早期是正措置というのを導入しようということがいわば理由というか口実になって現象的には貸し渋りというようなことも起きていますね。  しかし、きちっとした時価評価でやりますと私はどうもそんなことはないんじゃないかと思うんですね、資産があるわけですから、再評価をやりますと。自分の、要するに、BISの比率の問題の分子か分母が当然大きくなると私は思うんです。  このごろ経済界の方々は皆さんよくおっしゃるけれども、バブルのときに上がったのに、下がったところばかりおっしゃるでしょう。それでひどい目に遭っている遭っていると言うけれども、しかし前からずっと蓄積したものを考えてみると、時価評価をすると相当プラスが出てくるんじゃないかという気がするんですね。  バブルのあれが残っておりますでしょう、まだ後遺症が。不良債権を一体どうするかという問題が残っている。これは相当進んでおりますとおっしゃるわけですが、しかし本当に相当に進んでいるということならば、ああいう早期是正措置があるからというようなことで、貸し金を少し手を縛るというようなことは本当は起こらないんじゃないかと思うんです。やっぱりそれぐらいの進捗状況であると、素人目ではそういうふうにしか見えない。  これも、要するに含みを表に出すとそこで利益が出てきますね。これをどうするかという問題に関連いたしますけれども、思い切ってそうやって表に出したところで不良債権の償却に相当充ててしまっても、私は相当いくんじゃないかという気がするんです。それはわかりません。しかし、そういうこともぜひ視野にお入れになっていただきたい。  それから、不良債権もないけれども、ただ、しにせの会社で昔から、明治から持っている土地があるんだけれどもというようなところで物すごい利益が出ちゃったというのは一体どうするかという問題がありますね。こんなの、じっとしているだけなのにこれに税金かけるのかというような技術的な話もある。こういうことは相当御研究にならなきゃいけないんでしょうが、私は最初に申し上げたように、とにかく日本経済活動、その中の一番重要な単位であるこういう会社仕組みというものが国際ルールにきちっと合うということがまず大事なことであって、そこらで出た利益に対して税金をかけるかかけないかというような話はむしろ二次的な問題である。  そこの技術的な問題に余りかかわり合っていると物事が進まないならば、昔ありました刀狩りで、とにかく刀を持っていちやいけないけれども、ここへかごを置いておくからみんな持ってきてほうり込んでくれれば、後はもう持っていたということは問わないよというようなこともあり得るし、あるいは、大変にたくさん出てきたら、そいつとの見返りで皆さんがおっしゃっている法人税の実質減税というようなことに充ててもいいし、そうすると行って返りますから、会社の方もただ取り上げられるだけじゃない、十年たってみたら結局その方が得だったという話になるかもしれない。御研究を願いたいと思います。
  162. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 前段述べられた部分に対しては、当然ながら私は、この企業会計審議会でいろいろな議論をしております、今金融商品の時価評価を含めたという点からお答えをしたわけでありますが、そうした中でも問題は多分検討されてはおらないかと思います。  ただその上で、時価評価という場合に、現実にこのような問題に先日遭遇をいたし、建設大臣と自治大臣協力を得てこれに対応したわけでありますが、これはその以前から持ち続けていたケースではなく、むしろバブル期に現在は非常に価格が下回ってしまっている不動産を取得した、そしてこれを処分したいわけでありますけれども、当然入手した当時の価格とは相当な開き、言いかえれば赤字が出ることを覚悟で処分してしまわなければならない。ただし、企業の体質としては、それを処分することによって単年度は赤字になるが、完全に健全な体質を取り戻すことができる。  ただ、これはたまたまその建設のケースでありまして、単年度でも赤字になりますと入札に参加できない、指名を受けられない。そのために、みすみす不良資産であることを知りながらこれを抱え、表面上の経営状態を健全なものとして繕わざるを得ない。むしろ処分をすることによって、単年度は赤字が出ても健全な経営体質を取り返すことによってこれは確実にプラスが生まれるわけでありますから、指名のチャンスを与えてもらうことはできないかという話でありました。  調べてみますと、実は国は既にそういう方向に動いておりました。地方自治体の中にもそういう方向に動いておりましたものがありましたけれども、大半は表面上の赤字ということで入札に応ずる権利が得られない、指名が受けられない。これはしかしちょっとやはり考えなければいけないんじゃないかということで、建設大臣、自治大臣に指示をし、両次官の共同の通達でそうしたケースに対しての救済をきちんとできる体制を先日整備いたしました。  これはやはり、持っております資産を時価評価いたしました場合に必ずしも含み益が出るケースばかりではないであろう。殊にバブル期において不良資産をつかんでしまった、つかんでしまったと言ってはいけません、自分でつかんだんですから。しかし、その企業が現在になりますと含み益ではなく含み損を生じている可能性はある、両面があろうと思います。  その上で私は、やはり国際社会の中のルールというものに日本が合っていかなければならないことは間違いありませんし、そうした意味でのルールを公正化することにより、同時に透明なものにしていくことにより、むしろ積極的にこれに対応していくことが一般投資家の信頼の回復にもつながるのではないだろうか、そのような思いで委員の御論議を拝聴しておりました。
  163. 椎名素夫

    ○椎名素夫君 今バブルのところでできたけがの救済という問題をお話しになりましたが、それはそれで大事なことだと思うんです。しかし、私の言っておりますのは、それはごく一部であって、ユニバーサルルールとしてきちっとやらなきゃいかぬ、これはぜひお願いをいたします。  ちょっと話が飛びますが、今政治不信とかなんとか言いますね。何がいけないかといったら、国が強くなったときに我々も一緒に強くなった、それから国が苦しいときにはみんなで一緒に苦しもうという気持ちに、そういう一体感ができるかどうかというあたりが一番大事なことなんです。今申しましたように、例えば東京株式市場に上場されているのは主に日本の、どっちかといえばどうもはっきりわからないような会社ばかりである、しかしニューヨークロンドンその他に行けば実にはっきりそのファンダメンタルズがわかるようなところでゲームができるというと、東京のマーケットに愛情がわかなくなるんですね、日本人の。むしろ一体感はニューヨークロンドンやシンガポールに行っちゃう。こういうことになると非常に危険でありますので、そういうことまで考えますと、これはもうぜひお願いをしたい。  大変に前向きの御答弁をいただきましたので、時間が余りましたけれども、いっぱい使う必要はありませんからこれでおしまいにいたします。
  164. 山口哲夫

    山口哲夫君 新社会党の山口哲夫です。  法案とは直接関係ありませんけれども、急を要する問題だと思いますので、人事院勧告の問題について質問をさせていただきたいと思います。  先ほど齋藤議員質問に官房長官がお答えになったんですけれども、人事院勧告の扱いについてはまだ決定しておりませんと、できるだけ早く、来週中にでも閣議決定したいというようなお答えだったというふうに思いますけれども、よろしいですか。——今週中ですか。そうですが。  そこで、実は私けさのNHKのテレビを見ていて初めて知ったんですけれども、政府の方としては大体こんなふうに考えているというような内容で放送されておりました。それは、財政構造改革の論議もやっていることだし、それとの関係もあるという前置きの中で、期末手当については人事院勧告どおりにはできない、カットすると。それから、いわゆる賃金の方は、これは何というふうに言われたかよく覚えていないんですけれども、要するに、上級公務員というんですか、そういう人については行わないと。ということは、一般職の公務員については行うというふうに私は受け取ったんですけれども、聞き取ったんですが、そういうお考えが今政府の中で大体考えていることなんでしょうか。
  165. 村岡兼造

    国務大臣村岡兼造君) いろいろテレビや新聞で報道されておりますが、これは正確ではございません。  先ほど齋藤議員にもお答えをいたしました。今まで給与関係閣僚会議を三回やりました。一方で人事院勧告を尊重するべきだという意見もありますし、また総人件費を抑制しろ、こういう意見もありまして、給与関係閣僚会議では結論が出ておりません。一方で、与党三党から人事院勧告を実施すべきだと、こういうことで折衝を続けております。  したがいまして、あと国会終了まで一カ月ぐらいになりましたので、一カ月程度の余裕は持たなければいけない、今週中にでも与党とも相談をしながらひとつ決めたい、私どもこういうお答えをしているところでございます。
  166. 山口哲夫

    山口哲夫君 きょうは全閣僚出席されていらっしゃいますので、給与関係閣僚会議のメンバーの方が相当多いと思いますので、ぜひお聞きいただきたいと思うんですが、先般、決算委員会で前の官房長官の梶山さんとこの問題についてちょっと議論をいたしました。  そのときに、当時の梶山官房長官のお答えの中にちょっと問題があるなという御発言がございました。それは、今財政が非常に苦しいときだし赤字のときなので、やっぱりその責任というものは、公務員としてもその責任の一端を担ってもらわなければならないことも考えるべきではないか、そういうお答えが実はあったわけであります。  私は、当時の梶山官房長官にこのように申し上げました。赤字を出した責任の一端が一般の公務員にあるというふうに言われるけれども、それは違うんでないんですかと。赤字の原因をつくったのは、これはいわゆる政策決定に携わった人たちにむしろ責任があるんであって、それを提案した大臣にもあるだろうし、あるいはそれを決定していった国会議員にもある。ですから、そういう政策にかかわってきた人たちに我慢せいといろんならこれはわかりますと。しかし、決められたことを現場で忠実に実行している一般の公務員に赤字の責任の一端を担ってもらいたいという考え方は違うんでないだろうかという私はお話をいたしました。  このことについてどうお考えになりますか。一般の公務員も今の赤字財政の責任の一端を当然担わなければならないんだというふうにお考えになるんでしょうか。
  167. 村岡兼造

    国務大臣村岡兼造君) 梶山前官房長官の、この前の九月四日だと思いますが、私も読みましたけれども、今、山口先と言うように、今何で政府の方で決めていないのかというと、先ほど申し上げましたように、一方で人勧を尊重すべきだ、こういうことと、総人件費を抑制すべきだと、こういうことの間で意見がまとまらない、しかし早急にまとめなきゃいけない、与党とも相談しながら、こういうことでございまして、今の先生の問いにはお答えしないと、こう思っております。
  168. 山口哲夫

    山口哲夫君 これは釈迦に説法で大変恐縮ですけれども、公務員に対して人事院勧告制度をとったというのは、これはスト権を奪ったかわりにつくったのが人事院勧告制度ですよね。ですから、人事院勧告が出たらこれを一〇〇%実行するのが私はルールだと思っているわけです。  そういうことを考えたら、確かに財政が苦しいことはわかっているけれども、そういう時代でもやはり完全実施をやってきたときがずっとあるわけですね。私は、公務員が赤字解消をするためにこれから一生懸命働いていかなければならないんですから、その現場の公務員が責任を負わされて給与まで上げてもらえないような、能率の向上にはむしろ反対のような作用を起こさせるようなことはやっぱりやるべきではないと思うんです。これは、ぜひここのところはお聞きいただきたいなと思うんです。  そこで、当時議論の中で問題にしたのは、ILOから、日本の公務員にスト権を与えていないことについては大変問題があるというような勧告というか報告が出されているわけです。ところが、ILOのそういった意思に歴代の政府はこたえてきていないわけですね。G7の中で公務員にスト権を与えていないのは日本だけだと思います。  そういうことを考えたら、日本の公務員に対する労働政策というものは国際的に見てもやっぱり問題がある。もし人事院勧告が本当にやれないというのであれば、スト権をそれでは返してくださいということにつながるのであって、それを今行う気がないのであれば、一〇〇%やはり完全実施をしてもらいたいと私は思うんです。それは当然のことだと思うんです。それについてはいかがでしょうか。
  169. 村岡兼造

    国務大臣村岡兼造君) 山口先生の質問、突然でございますので、ILOの関係まで私ちょっと調べてきておりません。  ただ、今までの状況を見ますと、六十一年から平成八年までは勧告どおり実施しておりました。しかしまた、五十四年から六十年まで一部カットとかいろいろなこともやってきております。今どうするかというまだ方向を決めていない、きょうあすにでも決めたい、こう思っているところでございます。  以上でございます。
  170. 山口哲夫

    山口哲夫君 昭和五十四年、ずっと前のことですけれども、その当時は確かに完全実施しなかったことがあります。しかし、やはりそれはまずいと、そういう反省の上に立って、その後の赤字が大変苦しいときでもずっと続けてきたわけですね。しかもそんな高い率ではありませんし、ある程度の予算は組んでいることですから、公務員に元気を出してそれこそ赤字解消のために一生懸命に職場で頑張っていただくためにも、私はぜひ勧告を一〇〇%実施するように強くお願いをしておきたいと思います。  それでは、財政構造改革の関係で、地方自治体に関係する問題について幾つか質問をいたします。  まず、地方自治体が行う単独事業でございますけれども、これはいわゆる地方の一般財源で行うものでございますから、しかも市民生活に最も身近な仕事が多いと思います。したがいまして、国の公共事業とは性格が違うと思いますので、七%の削減の対象にはならないと解釈してよろしいですね。
  171. 上杉光弘

    国務大臣(上杉光弘君) 御指摘のとおりでございまして、この法案における公共事業の七%削減というのは国の予算における公共事業費の量的縮減目標でございまして、地方の単独事業は別でございます。
  172. 山口哲夫

    山口哲夫君 そこで、大蔵大臣にお聞きしますけれども、七%削減の対象になる公共事業の中には、今申し上げました単独事業とそんなに変わらないような市民生活に大変密着した事業が幾つもあります。  例えば、上水道もそうですし、下水道もそうですし、あるいは廃棄物処理施設、それから道路でもいわゆる生活道路、そういったものを一体どういうふうに考えていらっしゃるのか。特に廃棄物処理施設というのは、今ダイオキシンが大変大きな社会問題になっているわけです。私は、そういう市民の健康に影響を及ぼすような施設というものは、同じ公共事業の中でも優先的に扱って建設の対象にするべきものでないだろうか、公共事業だから一律に七%カットするというようなことであってはいけないというふうに思うんです。ちなみに、廃棄物処理施設それから上下水道の施設等に対してはどういうお考えを持っていらっしゃるんでしょうか。
  173. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 具体的な点は政府委員からお答えをさせますが、御案内のとおり、七%の公共事業のカット率であります。しかし、生活関連、さらにインフラ整備、物流の確立というんでしょうか、その分野については特別枠を設けまして対応する、こういうことになっております。これだけの問題になっておる案件でございますから、当然担当省からは、庁も含めてでありますが、要求が出ておるのではないか、こう思っております。
  174. 山口哲夫

    山口哲夫君 私の聞いた範囲では、廃棄物処理施設は三%カット、それから上下水道については一〇%カットで概算要求を出しているというふうに聞いているわけです。間違っていたら教えてください。  そこで、先ほど文部大臣もお話しされていましたけれども、各省別に七%カットでやるということは、これはちょっといかがなものかなという感じを持たざるを得ないわけです。公共事業の中でも、先ほど来いろんな議論がありますように、そんなに急がない、いわば不要不急の、しかも今問題になっている大型ダムの建設なんというのも随分あるわけです。それから、諌早湾に象徴されるように、干潟をつぶして干拓事業をやる、しかし農地をつくった場合に果たして買う人がいるんだろうか、そういう問題もある。  ですから、そういうような今社会問題化されている不要不急の大型事業を優先的にカットの対象にするべきであって、生活関連のところまで手をつけて省庁別に一律七%カットするということは、政策決定の場合のやり方に私は間違いがあるんではないかなと思うんです。縦割りなんですよね、全部。  やっぱり橋本内閣としてどこに重点を置くのか、何をさておいてもまず国民の健康に直接影響のある、例えばダイオキシンの問題なんかは早急に片づけてしまおうというような、政策を重視した公共事業のカットをしていかなければいけないんじゃないだろうかと私は思うんですけれども、どうでしょうか。
  175. 涌井洋治

    政府委員(涌井洋治君) 十年度以降の公共事業の予算配分に当たりましては、生活関連等につきましては重点を置くということで、十年度の予算におきましても生活関連等公共事業重点枠二千五百億円を設けておりまして、この枠内で重点配分することを考えております。  あわせて、念のために申し上げますと、廃棄物処理の計画につきましては、他の計画は二年延長によって前回計画よりマイナスになるわけですけれども、廃棄物につきましては二年延長によっても約一・三倍程度の枠を確保しておりまして、考え方としては重点的に考えているということでございます。
  176. 山口哲夫

    山口哲夫君 今二千五百億の配分の話がありましたけれども、大体七%カットということになりますと七千億円くらいですね、公共事業全体で。今、小泉厚生大臣、そうだというお話をいただきましたけれども、私は決して厚生大臣の応援でやっているわけじゃないんですが、今までよく今の日本の公共事業の扱い方については批判が出ていますね。何々五カ年計画という長期計画が決められれば、私も一回調べたことがあるんですけれども、十年、十五年でこの長期計画がどの程度変わってきたのかなと思ったら、一番多くても十五年間で三%くらいの揺れしかないですね。ほとんど変わらないです、各省庁。ですから、橋本内閣の性格というのは、公共事業を見たときに一体どこに重点を置いているんだろうかなというふうになっちゃうわけです。  私は、今ここに重点を置いて公共事業をやる、市民生活、市民の健康を守ることが最優先なんだ、そういうやり方をする絶好のチャンスだと思うんですよ、この構造改革で七%公共事業を切るということは。  ですから私は、まだ概算要求のときでございますから、これは総理大蔵大臣のお考えでそういう生活関連は優先する、カットしている中でもここだけは優先して、カットはしない、そういうような考え方でこれからの予算編成をぜひやってもらいたいなというふうに思うんですけれども、いかがなものでしょうか。
  177. 三塚博

    国務大臣三塚博君) ただいま政府委員もお答えし、その前に私もお答えしました。生活関連特別枠、これは史上最低枠と言っても過言ではございません。  そういう中でございますが、各省庁から個々の趣旨を体しまして要求が出てまいります。従前の公共事業は公共事業として七%カットの中で出てまいります。その中で真に立ちおくれているもの、必要なもの、生活上極めて大事と、こういうことについて配分をしてまいるということになります。
  178. 山口哲夫

    山口哲夫君 七%カットという御指示があったから各省庁はそれに倣って概算要求したと思うんですね。しかし、そうではなくて、政策として予算編成のときに考えるというようなことで出させたら、恐らく厚生省はこのダイオキシンに関連する廃棄物処理施設の三%カットとか水道事業七%カットなんかしてこなかったと思いますね。これはもう絶対に必要なんだから削ってもらっちゃ困るというようなことで出してきたと思うんです。  私は、やっぱりそういうような最終的な政策決定をするのが、これは総理なり大蔵大臣のお考えでやっていくべきことでないかなというふうに思うんですね。くどいようですけれども、今からでも遅くないわけですから、予算編成のときに、私なんかは、小さな自治体の経験からいきますと、予算要求は来てなくても、これは絶対つけなきゃならない仕事だと思えば、こっちの方から何で予算要求しないんだと言って出させてでもつけたことがありますよ。  政策決定というのは、私はやっぱりそういう形でぜひ総理なり大蔵大臣、やっていただきたいということを強くお願いをしておきたいと思います。  そこで、もう少し具体的な問題で、この法三十五条というのは「地方公共団体に対して交付される補助金等の削減等」ということでずっと書かれていますけれども、法律は非常に読みにくい。大体これは六月三日の閣議決定の内容とほとんど変わらないんじゃないかなと思うんですが、その中に、「制度的補助金については、制度改正を含め既存の施策や事業そのものを見直すことにより、削減・合理化を図る。」というふうに書いているわけですね。  その具体例の中に、憲法上の国民の基本的権利を保障するためのものとして、例だと思うんですが括弧書きで、「生活保護費負担金、義務教育費国庫負担金等」と書いているんですけれども、これは制度的補助金というものは、こういう生活保護の負担金だとか義務教育の国庫負担金まで見直しをしてカットの対象にするというふうに考えてよろしいんですか。
  179. 涌井洋治

    政府委員(涌井洋治君) お答えいたします。  今回は、補助金を含め歳出全般について聖域なく見直すということで、生活保護費負担金等を含めて補助金全般について制度的に見直すということでございます。
  180. 山口哲夫

    山口哲夫君 そうしますと、一昨日も総理にお聞きしたんですけれども、制度そのものを見直すということになると、例えば憲法で義務教育は無償とするというふうに書いていますね。その制度まで見直していくということになると、そのとき質問したように、義務教育については受益者負担金制度を徹底するというふうにとれるけれども、教科書の有償ということも考えられるんじゃないかということを質問の中で述べたんですけれども、そういうこともあり得るということなんですか。
  181. 涌井洋治

    政府委員(涌井洋治君) 今回のこの法案考え方は、先ほど申し上げましたように、すべての歳出について聖域なく見直すということでございますので、ともかくすべてについてメスを入れて検討を加えるということでございます。
  182. 山口哲夫

    山口哲夫君 それは大変問題が起きると思いますよ。憲法で定められている問題についてまで制度の改正の対象にするということは、これは憲法そのものを直さない限りできる問題ではないと思うんです。ですから簡単に、義務教育だけれども教科書は有償でもいいんだというふうな考え方には私はならないと思うんです。そこのところを十分ひとつ検討して、予算編成のときに考えてもらわなければ、大変大きな問題に発展するんではな  いかなと思います。いかがでしょうか。
  183. 涌井洋治

    政府委員(涌井洋治君) お答えいたします。  聖域なく見直すわけですけれども、その中で国政遂行上必要なものは当然のことながら存続すると。ただ、その中で合理化すべきものは合理化していくというあらゆる議論検討が加えられていくということになろうかと思います。
  184. 山口哲夫

    山口哲夫君 今のお答えではとても納得できません。これは非常に大きな問題になると考えられますので、その辺を十分注意して、これからの制度の改正についてはよく検討してもらいたいと思いますし、予算編成のときも考えてもらいたいと思います。  それで、先ほど小中学校の問題が出たときに、文部大臣が、これも七%の対象になるというふうにお答えになりましたですね。そうすると、この小中学校とか保育所とか特別養護老人ホームとか、この建設関係の事業というのは補助事業でございますので、これはいわゆる公共事業全般と同じように七%カットの対象にするという考え方なんですか。
  185. 涌井洋治

    政府委員(涌井洋治君) お答えいたします。  小中学校の義務教育費とかあるいは建設費等は、これはいわゆる補助金の一割カットの対象ではなくて、むしろ制度的補助金でございますから数量的な削減は補助金の方からは図りません。ただ、建設費補助金は公共投資の中に入るものですから、それはマイナス七%のキャップはかかります。
  186. 山口哲夫

    山口哲夫君 最後に、これまた大変問題があると思いますよ。この補助事業を地方自治体に対して移譲するときには、それに関連する補助金もつけて移譲しなさいという地方分権推進委員会の勧告がありますから、その勧告と全く違うようなやり方をするということは、これもまた問題になるんではないかなと思いますので、十分注意をしておいていただきたいと思います。終わります。
  187. 遠藤要

    委員長遠藤要君) 明日は午前十時に開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後六時四十分散会