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1997-12-02 第141回国会 参議院 厚生委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年十二月二日(火曜日)    午前九時三十一分開会     —————————————    委員異動  十二月一日     辞任         補欠選任      尾辻 秀久君     阿部 正俊君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         山本 正和君     理 事                 上野 公成君                 南野知惠子君                 浜四津敏子君                 清水 澄子君     委 員                 阿部 正俊君                 石井 道子君                 田浦  直君                 中島 眞人君                 中原  爽君                 長峯  基君                 宮崎 秀樹君                 木暮 山人君                 水島  裕君                 山本  保君                 渡辺 孝男君                 今井  澄君                 西山登紀子君                 釘宮  磐君    国務大臣        内閣総理大臣   橋本龍太郎君        厚 生 大 臣  小泉純一郎君    政府委員        厚生大臣官房総        務審議官     田中 泰弘君        厚生大臣官房審        議官       江利川 毅君        厚生省健康政策        局長       谷  修一君        厚生省保健医療        局長       小林 秀資君        厚生省医薬安全        局長       中西 明典君        厚生省社会・援        護局長      炭谷  茂君        厚生省老人保健        福祉局長     羽毛田信吾君    事務局側        常任委員会専門        員        大貫 延朗君    説明員        労働省職業安定        局雇用保険課長  上村 隆史君     —————————————   本日の会議に付した案件介護保険法案(第百三十九回国会内閣提出、第百  四十回国会衆議院送付)(継続案件) ○介護保険法施行法案(第百三十九回国会内閣提  出、第百四十回国会衆議院送付)(継続案件) ○医療法の一部を改正する法律案(第百三十九回  国会内閣提出、第百四十回国会衆議院送付)(  継続案件)     —————————————
  2. 山本正和

    委員長山本正和君) ただいまから厚生委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨一日、尾辻秀久君が委員を辞任され、その補欠として阿部正俊君が選任されました。     —————————————
  3. 山本正和

    委員長山本正和君) 介護保険法案介護保険法施行法案及び医療法の一部を改正する法律案を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 上野公成

    上野公成君 自由民主党の上野であります。  この介護保険法案と二法はもう既に参議院で五十六時間を超える審議をいたしました。衆議院が五十三時間でありますので、もう三時間既に超えているわけでございます。中央公聴会もやりましたし、二回の地方公聴会、四カ所でやらせていただきましたけれども、やはり施行までにきちっとしておかないとなかなか不安があるという意見も大変多いわけですし、施行後についてもきちっとしないといけないという意見が多いわけでございまして、後で総理には各省全体にまたがることについては確認をさせていただきたいと思いますけれども、厚生大臣につきましては三点について確認をさせていただきたいと思います。  そこで、まず要介護認定の問題であります。もう既にモデル事業を二年にわたってやっているということでありますけれども、そのモデル事業についてもさまざまな意見地方公聴会でも出されたわけでございます。  その中で一番大きな指摘がありましたのは、我が党からの質問でも出ましたように、どうも時間がかかり過ぎる、もう少し迅速にサービスができないかという指摘が多数なされたわけでございます。法案におきましては、三十日以内に認定を行うということにされているわけでありますけれども、どうも三十日では少し長過ぎるんじゃないかという意見もございまして、法律上は三十日以内であってもできる限り短い期間認定をするように最大限努力をしていただきたいということでありまして、その点について厚生大臣にお伺いしたいと思います。
  5. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 要介護認定手続については、手間をかけないように、できるだけ迅速に対応するようにという御指摘でありますが、この点については多くの方が心配するところだと思います。  私どもも、この認定手続についてはできる限り迅速な認定が行われるよう今後体制整備していかなければならない。と同時に、申請してから認定まで時間がかかり過ぎるという御批判もありますが、申請時にさかのぼって認定が出る前からこのサービスが行われるようなことも考えておりますので、この点について必要な要介護者介護サービスが妨げられないような配慮を十分していきたいと思っております。
  6. 上野公成

    上野公成君 ぜひお願いしたいと思います。  次に、保険料の問題であります。厚生省推計で、これは平成七年の推計単価ということではないかと思いますけれども、被保険者一人当たり月二千五百円という数字がどうもひとり歩きをしているような傾向があるんじゃないかと思います。  実際に法が施行するのは平成十二年の四月でありますから、平成十二年の四月に二千五百円でやれるということであればいいわけでございますけれども、その間五年もあるわけでありますから、相当この数字も違ってくるということが考えられるわけでございます。物価上昇だとか介護報酬の設定だとかまだされていない時点でなかなか確定的なこともできないんじゃないかと思いますけれども、しかしなるべく施行より前に、幾らであるということをできるだけ早く算出して数字国民の前に明らかにしていくということが必要じゃないか。  これは大変信頼関係国民の皆さんとなくなってしまうのでできる限り早く、わかり次第そういう数字を出していただいて明らかにしていただきたいということが必要だと思いますけれども、いかがでございましょうか。
  7. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 御指摘の趣旨、十分理解しております。  実際の保険料額は、物価上昇の影響や今後設定される介護報酬額等により推計額とは異なるものでありますけれども、まず制度施行時の要介護者数に大きな変動はないと見込まれること、そして現在も介護サービス運営されている公定価格に基づく推計であること等から、全国平均としては大きく食い違うことはないものと現在考えております。  実際の保険料額は、御指摘のような要素や被保険者所得地域サービス水準等により異なるものであることについて、正しい理解が得られるように今後とも周知に努力をしていきたいと思います。また、国としては、市町村において保険料額の見通しが立てられるよう、介護報酬額の見込みを早期に示すよう今後とも努力をしていきたいと思います。
  8. 上野公成

    上野公成君 それから三番目に、基盤整備につきましては後で総理に御質問したいと思いますけれども、特に要介護者の処遇のあり方として、それは施設の方が効率的にサービスできる、それから二十四時間の対応ができるということがあるという長所もある反面、高齢者というのはやはり長年自分で住み続けてきたところといいますか、そういった地域だとか環境の中で暮らし続けたいということがあるわけでありますし、今回、在宅介護をするという方向に今後行くというのは大変必要なことじゃないかと思っています。  そこで、介護の効率からいっても、例えばバリアフリーにしたりしますと工事にはお金がかかるわけですけれども、介護の方は非常にしやすくなる。一つ試算として、住宅バリアフリー化工事に大体五十四万ぐらいかけますと、介護に必要な段差がなくなるとかいろんなことがあって介護をする方が非常に楽になるということで、結果として介護費用の方は二百八十万ぐらい減少になるということで差し引きで二百二十六万の便益が出る。こういうような試算もあるわけでありまして、そういった費用全体を少なくするということも総合的に考えていただいたらいいんじゃないか。  ちなみに、デンマークでは施設介護中心であったわけでございますけれども、一九八七年に高齢者住宅法というのができましてプライエムという特別養護老人ホームの建設はそこで中止をいたしまして、一九八七年の法律ができた後は高齢者住宅をつくって、それは住宅省というところでやっているわけですけれども、それと介護サービスですね、これは保健省がやりまして、協力をして全体の費用介護の方も楽になるけれどもという方法をとっておりまして、かなり成功をおさめているんじゃないかと思うわけでございます。  やはり住宅の方と相当協力していくという、今までのような介護施設中心ではなくて、これから高齢者は二〇五〇年には三分の一がなるというような時代でありますから、一つ一つ施設でやっていくということじゃなくて、住宅全体との相当な連携をしていくということが、本当に今後のこれは介護基盤整備という意味でも重要な問題になっていくと思うわけでございます。厚生大臣、その点厚生省としてどのようにお考えになるか、取り組んでいかれるか、お伺いしたいと思います。
  9. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 今、上野議員指摘の問題については、独自の見識を持たれて、先日、上野議員みずからが作成されたビデオですか、デンマークに赴かれて現地の介護サービス福祉サービスを視察されてこられたあのビデオを拝見しました。なるほどなと、非常に日本としても参考にすべき点があるのではないかと。今御指摘のように、建設省厚生省連絡せよと、都市の中においての居住サービス、隔離するのではなくて、町づくりとして今後高齢者福祉考えるべきじゃないかという御指摘、同感するところ極めて多いと思います。  今後、介護サービス基盤整備を進めていくためには、介護居住をあわせて提供するサービス形態についてもその施策のあり方検討する必要がありまして、建設省と密接な連絡をとりながら、幅広い観点に立って検討を行う場を設けていきたいと思います。
  10. 上野公成

    上野公成君 施行までに二年四カ月近くあるわけですし、施行後も高齢者はどんどんえらい勢いでふえるわけですから、これはどんどんふえるに任せるということじゃなくて、少子化対策というので今後相当なことをやっていかないともう日本は沈没してしまうんじゃないかと思います。  いずれにしましても、この介護保険法案が保険あって介護なし、サービスなしと言われないようにするためには住宅との連携がぜひとも必要でありますので、どうか積極的に連携を進めるように要望いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
  11. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 介護保険関連三法に対しまして引き続き質問させていただきます。  新進党が本年十一月に行った高齢者介護保障に関する自治体アンケートでも明らかなように、政府提出法案を早急に成立させるべきという声よりも、税方式を望む声や慎重審議開始時期の延期を望む声が圧倒的に多い。また、約三百にも及ぶ政省令委任事項明確化を求める声も強い。  したがって、私は、厚生省が試行している要介護認定モデル事業ケアプラン作成事業等の結果を踏まえ、約三百にも及ぶ政省令事項具体的内容早期に確定し、介護保険制度の全体像を保険者となる地方自治体並びに被保険者となる国民に対してきちんと情報公開すべきであると考えます。厚生大臣のこの点に関しましての御所見をお伺いしたいと思います。
  12. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) この介護保険制度が導入されるに当たっていろいろまだ明らかな点が少ないのではないか、政省令事項が多過ぎるのではないかというような御心配、そしてできるだけ早くその内容というものを情報開示すべきだという御意見、これはもっともだと思っております。今後、政省令を定めるに際しても、地方公共団体関係者にも早い段階から基本的考え方などの十分な情報提供を行いまして、公布については可能なものについて平成十年度中を目途に行うよう努めてまいりたい。  いずれにしても、情報公開というのは大事ですから、この点をしっかりと踏まえて誤解のないように、できるだけ理解されるように努力をしていきたいと思っております。
  13. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 引き続き厚生大臣質問いたします。  これら政省令具体的内容が示され、介護保険制度具体的内容が明らかとなった時点で、再度国会介護保険法内容細部の適否に関しまして審議すべきではないかというふうに私は考えるわけであります。今後の法案細部に対する検討厚生省での施行後の内容考えまして再度審議することを厚生大臣として約束できるのかどうか、その点をお尋ねしたいと思います。
  14. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) この介護保険法案においては政省令に委任しているところが多いんですが、具体的な手続とが技術的事項について法律の範囲内で政省令に委任しているものでありまして、この政省令内容によって法案自体見直しが必要になることはないのではないかというふうに私は考えているんです。  今後、この法案全般については、施行後五年をめどに実施後の状況等を踏まえて検討を加え、必要な見直しを行うこととされておりますので、必要な場合にはその機会に見直しを行っていきたいというふうに考えております。
  15. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 では、次の質問をさせていただきます。  法案では、居宅介護サービス費等支給体制が二〇〇〇年の開始時点で不十分な場合には、法定居宅給付支給限度基準を下回る基準を設定することができる経過措置を認めております。このような経過措置をとる自治体の住民においては、本法案の目的であります家族介護負担軽減がなされないおそれがあります。そのような懸念を払拭するためには、平成十一年度施行予定介護休業制度の充実が不可欠と考えます。  そこで、これは労働省の方にお伺いしたいんですが、労働省におきまして休業前賃金の二五%を最長三カ月間給付する介護休業給付というふうな形で雇用継続のための経済的支援策検討しているというように聞いておりますけれども、検討しているか否か、簡潔にお答えいただきたいと思います。
  16. 上村隆史

    説明員上村隆史君) ただいま先生からお話がありましたように、二年前に成立いたしました法律に基づきまして、平成十一年度から介護休業制度実施施行されることになっております。その制度に基づきます介護休業期間中の労働者に対します経済的援助につきまして、雇用保険制度の中で介護休業する労働者雇用継続を図るための給付を創設する方向で、現在中央職業安定審議会において検討いただいているところでございます。  その際、具体的な内容につきましては、法律上の介護休業制度、それから既に平成七年度から実施されております育児休業制度、それから育児休業給付でございますが、それらを参考にしながら現在審議会で御検討いただいているところでございます。
  17. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 その点に関しまして厚生大臣にお伺いしたいと思うんですけれども、今後介護保障を進めるに当たりましてやはり居宅介護というものが中心になっていくんではないか、そのように私自身考えるわけでありますけれども、厚生省としてもそのような方向でいくことを目指しているのではないか、私自身はそのように思っております。  そうであれば、今回、介護保険制度の導入という新たな状況に対応しまして、厚生省労働省との間で、介護休業の時期や要介護状態認定を含めた休業条件というものがありますけれども、そのような休業条件等を再検討する協議機関、そういうものを設けるべきではないか、そのように考えるわけでありますけれども、この点に関しましての厚生大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  18. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 御指摘のように、介護休業制度という制度が効果的に機能が発揮されるというのは、この介護保険制度が導入された後も大変大事だと思っております。  今後、労働省と必要に応じ連携をとりながら連絡調整を行っていきたいと思っております。
  19. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 やはり介護休業をとる場合にも、申請する場合に要介護状態であるということを証明しなければならないというようなこともありまして、その要介護状態というのが今回の要介護認定の、認定されるかされないか、どのような認定基準家族の要介護者が当たるのか、そういうものがやはり介護休業をとる場合に微妙に影響してくるのではないか、そういうことを考えているわけであります。  二〇〇〇年時点で、まだまだ保険あって介護サービスが十分に整わないという状況であるということ、多くの自治体がそのような心配をされているわけでありまして、やはり国民が安心して介護サービスを受けられる状況に二〇〇〇年時点でないのであれば、介護休業一勤務している家族がその間仕事を休んで介護しなければならないという状況はまだまだ経過期間中は続くのではないか、そのように私は考えるわけでありまして、やはり厚生省労働省間で十分な協議をしてほしいと、そのように望むわけであります。  最後の三点目の質問に入らせていただきます。  介護保険制度が第二の国保となることを避けるためには、やはり自治体財政破綻を来さない方策を適切に講ずる必要があると思います。そのために、各地方自治体からは次のような要望もされております。介護財政自治体間格差を調整する調整交付金の財源は、国費負担の二五%の中の五%を充てるのではなく別枠の国費を充てるべきである、そのような要望も出されているわけであります。  このような点も含めまして、自治体財政支援策に対します厚生大臣の御所見をもう一度お聞きしたいと思います。
  20. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) 給付費の五%に相当する調整交付金、これは国費で見ます二五%のうちに入っているわけであります。  この考え方は、調整交付金につきましては市町村間における後期高齢者加入割合、それから高齢者所得相違等を調整するものでありまして、都道府県市町村負担分も含めますと公費が既に全体の五割ある。それからまた、調整交付金の少ないところ、これは所得水準が高い市町村ということになりますし、あるいは後期高齢者割合が少ない市町村ということになります。そういう一号被保険料調整交付金を足し合わせますとその割合はどこの市町村でも同じになるということでございまして、そういう意味で現在の仕組みで十分調整できるんではないかというふうに思っているわけでございます。  また、一般的な財政支援ということにつきましては、介護保険制度全体がかなり公費の入った仕組みになっているということのほかに、例えば介護保険に要します事務費、要介護認定に関する事務費などにつきましては、その費用の二分の一に相当する額を補助するというような規定がございます。あるいはまた、都道府県財政調整交付金の基金が置かれまして、それで運営についての助成あるいは交付なり貸し出しなりが行われるということになっております。  こういう制度全体を活用しまして、市町村介護保険に関します財政運営が的確に行われるように対応してまいりたいというふうに考えております。
  21. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 厚生大臣にもその点確認なんですけれども、やはり今回の介護保険法施行されることになりますと、未納者問題等自治体はかなり財政的な面で不安が大きいと思います。そのような自治体に対する財政的な不安を取り除くように厚生大臣としてどのように対応していくか、その決意のほどをお聞きして質問を終わりたいと思います。
  22. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 要するに、集約しますとこの介護保険制度というのは保険あってサービスなしという点が一番心配されている点だと思います。そういうことがないように基盤整備等必要なサービス給付されるように最大限努力を傾注していきたいと思います。
  23. 今井澄

    今井澄君 民主党・新緑風会の今井澄でございます。  きょうは、幾つ質問を多目に準備いたしましたが、時間の関係がありますので、この中の幾つかお願いしたいと思います。  まず最初に、一番最後に準備しました質問、順番は最後ですが、これは過日の審議の中でも申し上げたことですが、要介護認定介護サービス計画、いわゆるケアプラン策定に当たっては、サービス事業者の意向に左右されてそういう認定策定が行われないようにする必要がある。とすると、それにかかわる介護支援専門員いわゆるケアマネジャーは、サービス事業者からの独立を担保すべきだと考えますが、その点についての具体策はどのようにお考えでしょうか、大臣にお尋ねします。
  24. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 介護認定調査あるいは介護サービス計画策定のための介護支援専門員が行う業務については、確かに公平性中立性、いわゆる公正な方にやってもらわないとゆがんだものになってしまう、御心配は当然だと思います。  このため、この要介護認定調査を行う介護支援専門員については、民間人でありましても公務員とみなすとともに、公平に幅広く情報提供を行うことや、作成された介護サービス計画について本人同意を得ること等を居宅介護支援事業者運営基準として定めることを検討しておりまして、独立性中立性が損なわれることがないよう適正な運用に努力をしていきたいと思います。
  25. 今井澄

    今井澄君 今、御答弁の中にもありましたが、要は要介護者あるいは要支援者権利がきちっと守られる、業者の恣意で過剰なサービスを与えられたり、上乗せサービスで自費を取られたりするということが起こらないようにしていくことが大事だと思うんです。  その点でもう一つ、四番目に準備した質問でありますが、とかく要介護者権利というときに、実は家族との関係も案外大事な問題でありまして、家族の中には厄介払いでとにかく施設へぽんと預けたがっている、本人在宅サービスを受けたがっていると、こういうふうなこともあるんですね。そういうことも想定して、要介護者本人希望が何よりも優先して生かされるような介護サービス計画作成をどのようにして担保しょうというふうにお考えか、お願いいたします。
  26. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 確かに、本人希望を入れるということが一番重要なことだと思っています。  そのために、介護サービスについて公平に幅広く情報提供を行うことや、作成された介護サービス計画について本人同意を得ること等を居宅介護支援事業者運営基準で位置づけることを検討しておりまして、この点については適切に今後指導をしていきたいと思います。
  27. 今井澄

    今井澄君 重ねて本人同意ということです。このことを考えておられるということは非常にいいことだというふうに思います。そうはいっても、現実には本人家族に迷惑をかけたくない、そういうことで社会的入院を嫌々続けている、これも本人同意のうちなんですが、そういうことがありますので、今後そういうことの改善を図る必要があると思います。  ところで、本人希望とか同意とかといった場合も、ここにぼけの問題とかが絡んできますとなかなか本人権利が十分擁護されないというおそれがあるわけですが、そこで五番目に準備しました質問成年後見制度の制定についての厚生省の姿勢と、この法が制定されることを前提とした具体的な方策についてお尋ねをいたします。
  28. 羽毛田信吾

    政府委員羽毛田信吾君) 介護保険制度実施によりまして、意思能力が十分でない痴呆性高齢者方々等が適切な介護サービスを受けることができるようにするという観点から、契約に関しまする意思決定についての成年後見の必要性というものがますます高まるものと考えております。  こうした観点から、現在法務省において検討が進められております成年後見制度につきまして、新たな制度関係者にとって利用しやすいものになりますように、法務省と緊密な連携を図りながら法制化作業にできる限りの協力をまず行いたいと思います。  また、厚生省といたしましても、身近な相談の場の確保、あるいは適切な後見人が選任できるようなこと、こういったことにつきまして必要な取り組みについてさらに検討してまいりたいというふうに考えております。
  29. 今井澄

    今井澄君 法をつくっていくのは法務省でありましょうけれども、現実にこの福祉分野で後見人になっていったり相談に応ずるのはやはり現実の福祉、厚生省の分野で働いている人が多くなると思うんですね。確かに行政相談員などもこういう福祉の問題、年金の問題、随分取り扱っておられるようですけれども、やはり民生委員とかそういった分野の方に大いにやっていただかなければなりませんので、厚生省としての受け皿づくりというか、これが法の実効を担保する意味で非常に大事だと思いますので、よろしくお願いいたします。  そこで、次の質問ですが、要介護認定等にかかわる不服申し立てや実際に受けたサービス内容等に関する苦情処理など、これは国保連合会の中にそれを受け付ける機関を設けるということになっているわけでありますけれども、国保連合会は都道府県一つということで大分距離も遠いし、また実際にそのサービスを受けている人、あるいは不服、苦情を持っている人と距離が遠いわけですね。そうしますと、最終的にはそこで何かが処理されるにしろ、もうちょっと身近なところで行えるように窓口を設けるとか、その窓口も単なる事務的に受け付けて上へ伝達するというだけではなく、かなり親身になって苦情や不服を聞くというふうな、そういう体制整備することが必要だろうと思います。  もう一つ心配なのは、そういう窓口から国保連合会に上がる、県に行く、そして戻ってくるまでに随分時間がかかると。これについて迅速な処理が必要だと考えますけれども、そういうことについてはどのような方策をお考えでしょうか、大臣にお答えいただければと思います。
  30. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 国保連で行われる苦情処理についても、市町村居宅介護支援事業者等の身近な窓口で行えることにしております。確かに国保連だと一つですから、県単位の一つよりも身近といえば市町村の方が身近だと思うのであります。そういう点についても、今後事業者等の協力を得ながら、できるだけ身近に苦情処理を受け付けるような体制整備していかなきゃならないという御指摘は大事であり、そのように努力をしていきたいと思います。  また、迅速な救済が行われるよう、介護認定に対する不服が当然出てくると思います。このような不服申し立てについては、公益代表委員のみから成る合議体で取り扱うとともに、技術的、専門的事項についての調査を行わせる専門調査員を置くことができることとしておりまして、苦情処理担当委員の適切な配置をできるように努めていきたいと思います。
  31. 今井澄

    今井澄君 そこで問題は、介護サービスを各種の事業者、公的あるいは民間、民間の場合も営利、非営利のところにお願いをするわけですが、その場合の介護サービスの質の確保をきちっとするためにどのような措置を講ずるおつもりか。また、その中で事業者みずからによるサービスの質の評価や改善の努力もさせる、そういう方策を推進すべきだと考えますけれども、いかがでしょうか。
  32. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) サービスの質を確保するという観点から、介護サービス事業者が人員基準や設備・運営基準に違反する場合には、都道府県は必要に応じて監査を行い、指定の取り消し等の適切な措置を講ずることとしております。  また、国民健康保険団体連合会に苦情処理、いわゆるオンブズマン業務を行わせることとして、サービスに関する各種の苦情等を受け付け、サービス事業者に対する必要な調査や指導を行い、利用者の声というものをできるだけ反映するようなサービス体制を確保していきたい。  さらに、現在、特別養護老人ホーム、老人保健施設及び在宅サービスにおいて、サービス提供事業者、施設みずからが行うサービス水準の向上を支援することを目的としてサービス評価事業を実施しております。介護保険制度のもとでもサービスの質の評価に関する努力義務が法定されることを踏まえまして、適切なサービスの評価が行われるようにしまして、それによってサービス水準の向上が図られるよう指導していきたいと思います。
  33. 今井澄

    今井澄君 終わります。
  34. 清水澄子

    ○清水澄子君 大臣確認のための質問をいたします。  政府は、保険あって介護なしにならないように介護基盤整備に万全の施策を講じていくべきだと思います。そのためには、介護基盤整備について、市町村介護保険事業計画の集積を待っているのではなくて、政府として積極的に新ゴールドプランを達成し、引き続き新たな介護基盤整備計画を策定し、それを実現していくことだと思います。  その財源については、介護保険が導入されますと、老人保健福祉関係予算で三千七百億円、そして病院への社会的入院費用千三百億円の計五千億円が浮き財源になると。つまり、国の財政負担が軽くなるということ、これはみんな国民が知っていることでございます。私は、その財源を介護基盤整備に重点的に振り向けていくべきだと考えますが、厚生大臣、どのように御決意をお考えでしょうか。
  35. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 保険あってサービスなしということがないように体制整備に全力を尽くしていかなきゃならないわけでありますが、今回の介護保険制度において市町村というのが主体的な役割を担っていただきます。そして、市町村によって地域の実情が違いますから、その地域の実情に応じて掲げたサービス目標を全国的に積み上げたいわゆる新ゴールドプラン、これがまず確実に達成されなきゃいけない。この新ゴールドプランの目標が確実に達成されるよう最大限努力をしていくということが大事ではないかと思います。  今後、介護保険導入に向けて市町村がいろいろな計画を定めてくると思います。市町村が定めた介護サービスの目標については、それが達成されるように必要な支援を厚生省としても確実に行っていくということが重要だと考えております。
  36. 清水澄子

    ○清水澄子君 私がお尋ねをした財政措置なんですけれども、それはお金が余ってくる、そういうことに対して今後どのようになさっていくのかということをお尋ねしております。
  37. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 今、私はそのお答えをしたつもりなんですけれども。  要するに、市町村が掲げた目標に対して必要な支援をしていくということは、保険あってサービスなしというようなことのないような財政支援を行うということで御理解いただきたいと思うのであります。
  38. 清水澄子

    ○清水澄子君 二点目ですが、介護保険法施行後五年後に見直すということになっておるわけですが、その制度全般の見直しの際には、四十歳から六十四歳までの第二号被保険者給付理由になっております「加齢に伴って生ずる心身の変化に起因する疾病」というこの項は私は当然外すべきだと思いますし、若年障害者をも広く対象としたそういう内容にすべきだと考えます。そうなれば当然のこととして加齢疾病条項は削除すべきものと思いますが、その点についても大臣のお考えをお述べいただきたいと思います。
  39. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) この介護保険法施行後の制度全般の検討には、御指摘サービスが受けられる者の範囲も含まれております。ですから、仮にこの給付事由が変更されれば、それに合わせて、必要な場合には目的規定の改正も行うことになると私は思います。
  40. 清水澄子

    ○清水澄子君 次に、ホームヘルプサービス事業は在宅サービスの中核であると思います。そして、ホームヘルパーの養成と就労の確保がこの介護保険の成否にかかっていると言ってもいいと思います。この制度が発足した後十年後には五十八万人のホームヘルパーが必要とされているわけですけれども、やはりヘルパーの身分保障などの社会的待遇や改善、雇用の安定が伴わないとそれだけの人材は集まらないということがさまざまな公述人たちからも明らかにされております。  私は、良質な在宅介護サービスが安定的に提供されるようにするためには、ヘルパーについての現状を改善していくことを念頭に置いた介護報酬の設定を行うべきだと考えますが、大臣の御見解をいただきたいと思います。
  41. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) ヘルパーの問題で、介護報酬だと思いますが、人員、設備等サービスの質の確保に関する一定の用件を満たすことを前提に、費用の実態等を把握した上で、サービス内容、事業所の所在地等に応じた平均的な費用を勘案して、今御指摘の趣旨を踏まえまして、安定した質のよい在宅サービスが供給されますよう適切に設定していきたいと思います。
  42. 清水澄子

    ○清水澄子君 次に、これはなかなか大臣答えにくいんだと思いますが、現在の介護保険法が成立しますと、制度発足時の介護保険制度の総費用というのが平成七年度価格で四・二兆円と見積もられているわけですね。しかも、これは在宅介護の四〇%を対象にしたものであって、これからの介護保険に対する国民の期待とかそういうものが高まっていく段階の中では、これでは非常に不安な状況があると思います。  国は、介護保険事業の運営が健全かつ円滑に行われるよう、保健・医療サービス及び福祉サービスに提供する体制の確保にやっぱり万全の策を講じていかなきゃならないと思うわけです。ですから、非常に各方面から、これは現場で働く人も、それから自治体の皆さんたちも大変な不安を述べられているわけです。  それで、私は先ほども御質問いたしましたけれども、いわゆる浮き財源というのは出てくるというのははっきりしているわけですから、介護保険導入前にも在宅介護基盤整備の達成率をどんどん向上させていく、やはりそういう積極的な姿勢が必要だと思います。それから、人的資源の養成も急がなければならないと思っております。  そういう意味で、私は、やっぱり大臣にこの問題について本当に体当たりで臨んでいただきたいんです。補正予算による上積み計上が私は不可欠だと思うんですが、その点について厚生大臣はどのように努力なさいますでしょうか。
  43. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) この介護保険制度が評価されるか失敗だったかというかぎは、保険あってサービスなし、この問題に尽きると思います。それで、提案者としてもそのような介護保険制度導入は失敗だったと言われることがないように、やはり導入してよかったと言われるかぎはまさに基盤整備、これに必要な支援を行っていく、それが私は責任ではないかと考えております。
  44. 清水澄子

    ○清水澄子君 大臣、本当に頑張ってくださいよ。私どもはこれだけ長い間審議した中で、本当に日本介護状況をよくしていくということが私は国会に課せられた責任だと思いますし、大臣も何回もいろいろ一生懸命答えてくださったこと、本当に実行に移していただきたいし、私たちも一緒にやっていきたいと思います。  次に、介護保険施設に薬剤師の配置を義務づけるべきではないかと思うんですけれども、その点はどのようなお考えでしょうか。
  45. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 薬剤師の配置を義務づけるべきではないかという御提言だと思うんです。現在は義務づけられておりませんけれども、老人保健施設における適切な薬剤使用のあり方についてはいろいろ委員から御指摘がございます。  現在、全国老人保健施設協会の協力を得まして調査を行っているところであります。介護保険施設において薬剤師の配置の必要性については、このような調査の結果とか、あるいは施設における医薬品使用の実態を踏まえながら、今後検討していきたいと考えます。
  46. 清水澄子

    ○清水澄子君 終わります。
  47. 西山登紀子

    西山登紀子君 日本共産党の西山登紀子でございます。  大臣質問をいたしますが、この間の委員会での議論や、あるいは公述人、参考人の意見を聞くほどに、この法案国民の求めている公的介護保障制度としての期待に大きな隔たりがあるということが明らかになってきたと思います。  今、大臣もお認めになったように、この介護保険法案の最も大きな欠陥というのは、保険あって介護なし、こういう状況で見切り発車させられようとしている点だと私は考えております。  最初に、私も質問いたしましたように、特養施設そのものが非常に少ないですね。調査をいたしましたところ、一年半の間に二万人を超える新たな待機者が生じていると。ですから、新ゴールドプランの二十九万人を達成しても、今時点で既に四万人入れない人がいるということがわかってきたわけでございます。にもかかわらず、私の地元の京都大宮町の例を引きまして質問させてもらったことがありますが、実際、自治体が足りないから新たに建てたいと言っても、厚生省は新ゴールドプランの計画のときに計画していなかったからだめだといって建てさせない、こういう状況が地元であるということをこの委員会でも紹介しました。  実は、名古屋の公聴会で常滑市の市長さんが、私が指摘したと同じようなことを言っていらっしゃったんですね。常滑市は人口五万二千人で、特養老人ホームの待機者が百人いるということで、ますます特別養護老人ホームの充実の要望が高くなってきたというふうに、ここに陳述書がございますけれども、言っていらっしゃるわけです。  そして、在宅介護要望も多いけれども、介護保険が導入になりますと介護サービス家族や要介護者が選択できるようになる。特養老人ホームの数が多くない現時点では、在宅サービスに仕向けるための何らかの方策が必要だと。それを明らかにしていただきたいと政府に求める公述をしていらっしゃいます。それが明らかにできないならば、特養の整備枠の拡充を認めてくださいというように陳述をしていらっしゃいます。また、計画数値以上の整備厚生省が認めない方針であると聞いているということも、その市長さんは公述をなさいました。  ということは、自治体では足りないからふやしたいと言う。厚生省は予算をつけない、ふやすなと言う。介護保険は導入しろと言う。これでは保険者として地方自治体は、サービスの十分な準備なしに保険料を取る介護保険制度保険者になれということではないでしょうか。予算を抜本的にふやして、新ゴールドプラン以上に箇所づけをするという意欲を持っている自治体にはそれも早く認めるべきで、国民要望にこたえて自治体の信頼を回復するためにも、この基盤整備の予算を抜本的にふやすべきだと考えますが、大臣の御所見をお伺いいたします。
  48. 羽毛田信吾

    政府委員羽毛田信吾君) 現在の特別養護老人ホーム整備につきましての厚生省の姿勢につきましてのお尋ねでございます。  介護保険制度の円滑な移行のためにも特別養護老人ホーム等の整備を進めることが必要であるという点については御指摘のとおりでございます。しかし、そうしたときに、全国的に整備を進めていくときにどこを重点にやっていくかといえば、やはり現在それぞれの自治体においてこれが必要だということでお立てをいただいているそれぞれの老人保健福祉計画にまだ整備が追いついていないというようなところを重点にしていくという形で国の予算も配賦をさせていただいております。  一方、既にそこに到達をしながらなお入所待機者が増加をしているといったようなことを理由といたしまして、自治体からの特別養護老人ホーム施設整備要望が寄せられる場合がございます。これにつきましては、やはり今後できるだけ在宅サービス中心整備体制を整えていくという観点からいたしましても、また地域における本当の実際の需要にこたえていく観点からいたしましても、各市町村におきましてまず在宅サービスを十分に実施していただいているか、あるいはあわせてそういった二十四時間の専門的な介護を必要とする方々の本当のニーズというものが入所待機者という形になっているか、こういった実態をきっちり把握した上でその整備について検討するという姿勢で臨む必要があるだろうというふうに考えております。  厚生省としましては、やはり厳しい財政状況の中でできるだけ財源を効率的に使用していくという観点からも、市町村が必要なサービス量を見込んでつくられました老人保健福祉計画の整備ということをまず最重点にして、さらに在宅施設サービスの均衡を図りながら、まずは新ゴールドプランの着実な推進ということを第一目標に掲げて進めておるところでございます。
  49. 西山登紀子

    西山登紀子君 私は、そういう一般的な今までの答弁の繰り返しては納得することはできません。  常滑市長さんも、愛知県の計画をすべて達成しても全国最低の整備率にしかならないということも指摘をして、この特別養護老人ホームは十分整備されておりいつでも入所できるという保証があって初めて在宅福祉サービスを受ける余裕が出てくるということも指摘をされているんですね。  大臣に私は御質問したんですけれども、厚生省基盤整備、特養ホームの建設についても苦しい財政事情を説明されて努力されると言うんですけれども、私、努力されるでは許されないと思うんです。保険者である地方自治体というのは、強制的に住民の皆さんから保険料を取るという、こういうことをしなければならなくなります、保険者ですから。それならば、その見返りできちっとしたサービスを保障するということもセットで同時に地方自治体が実現できるという見通しがなければ、これは地方自治体が不安に思うのは当たり前じゃないでしょうか。大臣、その点どうでしょうか。
  50. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) それは、この介護保険制度導入に反対する立場からする議論というのはわかりますが、むしろ保険あってサービスなし、保険あって介護なしを一番心配するのは賛成者だと思うんです、せっかく導入を推進しているんですから。これができなかったら、何で賛成したのかという批判を受けるのを覚悟しなきゃならない。それがないために努力する。この点については、私は反対者よりも賛成者の方がより積極的に努力する必要があるし、その前向きの努力をぜひとも評価していただきたい、そういうふうに思います。
  51. 西山登紀子

    西山登紀子君 介護保険に賛成する人も反対する人もこれが決まれば拘束されますよね。  私たちは介護保険制度というのは社会保険方式として否定をしているわけではありません。措置制度と社会保険方式を組み合わせるということなんですが、余りにも今の基盤整備を進めている政府の態度に私は大変な不信を抱かざるを得ません。  といいますのは、この特養ホームの伸び率にいたしましても、平成七年、平成八年、わずか二千四百三十二人分の定員増しかしていないわけですね。ところが、来年度予算は四百六十一億円というふうに増額分は半減されて失速していると。こういう状況では、本当に大臣がやると言ってもこれは本当に信頼ができない、国民を欺くことになるんじゃないか、こういう見切り発車は許せないというふうに考えるわけです。  質問は次に移りますが、これも中央公聴会で出されましたけれども、現在特養ホームに入っていらっしゃる方が入院生活をした場合には、これは即特養ホームを退所しなければならなくなるんじゃないかということが佐野公述人から出されました。きちっとした調査があって、一年八カ月の間に二十九名の居住者の方が四十二回入退院を繰り返していらっしゃる、そういう人が病気になって入院したら特養ホームの退所を迫られることになる。これは大変な矛盾でして、現在よりも後退することになると思うんですが、この点は大臣、何としても回避をしていただきたい。
  52. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) 特別養護老人ホームにつきましては、現行制度上は入院期間が三カ月を超えないと明らかに予測される場合には措置を廃止しないと、そういう取り扱いになっているわけであります。  介護保険制度ができました後この問題をどう取り扱うかということでありますが、入院が一時的なものであるか長期的なものであるか、そういうことによって判断していくべきものだというふうに考えているわけでございます。  介護保険制度の場合においてそれをどういうところで判断していくかということでありますが、一方でベッドを確保するために特別養護老人ホームにあきをつくっておくということになりますと、待っている人もいたり、あるいはそのための介護報酬での支払いをしなければならないということになります。また、病院に入っているということになりますと、そこには医療保険の給付が行われているわけであります。こういう給付の重複などをどう考えたらいいのか、こういう点なども含めまして、先ほどの短期的な一時的なものか長期的なものか、そういうことを踏まえながら検討をしてまいりたいというふうに思っております。
  53. 西山登紀子

    西山登紀子君 大臣の御所見
  54. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 今お話ししましたように、慎重に検討が必要だと思っております。
  55. 西山登紀子

    西山登紀子君 それでは最後質問ですけれども、私も特養施設、いろいろなところを訪問させていただきましたけれども、まだまだ四人部屋、よくなって四人部屋、悪いときには八人部屋ということで、お隣の方との間にカーテンすらありません。そういう施設がまだまだ残っているわけですね。これは大臣から改善を図るというふうに御答弁いただいたわけですけれども、四人部屋でもやはり雑居というような感じはします。  そして、個室化が進められているんですけれども、これは厚生省からもらった資料によりますと、痴呆性老人及び重篤な入所者の特別介護のための個室を整備する場合に限って補助金をつけている、定員の三割までしか枠が認められていないということなんですけれども、これは二十一世紀、新しい時代のホームのあり方としてはやはり個室化を促進するべきではないか。個人のプライバシーの保護、個人の尊厳という点からもぜひそういう点を推進していただきたいということをお願いしたいと思いますが、大臣の御所見をお伺いします。
  56. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 個室化というのはやはり時代の流れではないかなと私も考えております。今後、入所されている方々のプライバシーの保護とかあるいは個人の意向、趣向、それぞれ違いますから、大部屋よりは個室を希望される方も多く出てくると思います。その点を考えながら、この個室建設の面について推進の方向検討していきたいと思います。
  57. 釘宮磐

    ○釘宮磐君 介護保険法案審議もきょうが最後になるわけでありますが、これまでに数々の指摘がなされてきましたし、とりわけ三百を超す政省令にゆだねる部分が多いということ、これがこれから二年間の準備期間の中で一つ一つモデル事業等を行いながらよりよいものにしていくということを私ども期待しているわけであります。  そこで、きょう幾つかの確認をさせていただきたいというふうに思っております。  まず、要介護認定についてでありますが、先ほど上野委員から、いわゆる要介護認定に時間がかかり過ぎる、介護保険法では三十日以内と法律で期限を限っているけれども、もっと短くするようにというような指摘もありました。これについては厚生省も前向きに答弁をなさったわけでありますが、これとあわせて、いわゆる要介護認定の申請後、これは法案では今言いましたように三十日近くかかるわけですけれども、認定結果が出される前の時点においても適切なサービス利用が妨げられないようにする必要があるのではなかろうか、このように思うわけです。  このような観点から、費用の支払い方法をもっと工夫すべきというふうに考えるわけでありますが、その点についてお答えをいただきたいと思います。
  58. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 認定結果に時間がかかり過ぎるのではないかという御心配だと思うのでありますが、この点については先ほどもお話ししましたように、申請時にさかのぼってまずはサービス給付を行うということも考えておりますし、運用面で今後そのような配慮や工夫をしていきたいと思っております。
  59. 釘宮磐

    ○釘宮磐君 今の答弁は、要するに申請時にさかのぼって対処するということですね。はい、わかりました。  次に、私は、この問題はたびたび指摘をさせていただいた件でありますが、今回、モデル事業の中で一次のコンピューター判定と二次の判定にそごが生じてきているということの中で、いわゆるぼけの、痴呆性の問題が加味されている部分が非常に薄いのではないかというような指摘をさせていただいたわけであります。これが実態に合わないとするならば、これから試行段階においてこれらを明らかにしていきながら、さらにはこのぼけの問題については別途の認定方式をとるというようなことも考えられるのではないかと思うんですが、その点について。
  60. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 普通の介護状態よりもぼけの問題というのは難しいのではないかというのは、私もそのとおりだと思います。  そのようなぼけの問題についてどうするかという御心配だと思いますけれども、現在、いろいろな試行作業をしておりますけれども、このぼけの問題というものについても、かかりつけ医の意見書にぼけの状況に関する記入欄を設ける等改善を図っておりまして、今後ともそのような試行作業の結果を踏まえながら、要介護認定がまずは適切に行えるよう検討を進めていく方が大事じゃないか。この六段階のほかにまたぼけの問題というのは、まだ試行していない段階でそれは難しいのではないか。その六段階の中の認定作業の中でぼけをどういうふうに判断するかという努力が私は必要ではないかと思います。
  61. 釘宮磐

    ○釘宮磐君 ぼけの問題はいわゆる瞬間的に判断ができない。まだら痴呆だとか、かなり長期間にわたって観察をしなければ的確な判定ができないということを私はたびたび申し上げてきたんですけれども、その点についてもぜひ考慮に入れていただきたいというふうに思っております。  次に、保険給付についてお伺いをしたいと思います。  今回、配食サービスについて給付サービスから除外されているわけでありますが、これは地方公聴会等でも福祉後退につながるおそれがあるということで自治体の首長さんからの指摘もあったところであります。全国的に地域の実情に応じた配食の体制づくりを進めていかなければならないと思いますし、一般施策において積極的にぜひ支援をすべきというふうに考えておりますが、この点についてまず一つ。  それからさらに、法施行後の制度全般の検討の際には配食サービスをぜひ給付に追加するよう今後検討すべきではないかというふうに思いますが、その点について。
  62. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 配食サービスについては、生活支援サービスの一環として市町村の実情に応じてこの支援体制をつくっていきたいと考えております。  また、これを給付対象に追加したらどうかということなんですが、この問題については、この法律施行された後、制度全般の検討の際には当然その問題が出てくると思いますので、検討対象にしていくべきものだと、そう考えております。
  63. 釘宮磐

    ○釘宮磐君 次に、いわゆる過疎地における高齢者の足の確保が今後大きな課題となってくる、私はこのことはたびたび指摘をさせていただいたわけであります。いわゆる保健・福祉サービス利用のための外出介助、この問題については今後介護サービスなり、それから高齢者福祉サービスなり医療サービスなり、こういうような問題の中で、なかなか車を自分で運転していけるわけじゃありませんし、ともするとタクシーが片道何千円もかかるというようなことも非常に過疎地域に住んでおられるお年寄りの一つの財政負担にもなり、不安の要因にもなっているというふうに思うわけです。  このことを私はたびたび指摘をさせていただきましたが、これを訪問介護等のサービスの中で積極的に対応すべきではないかというふうに考えますが、この点について。
  64. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 今の御指摘の趣旨を踏まえて、通院とかリハビリのため必要性の高い外出の介護といいますか介助に対しては、訪問介護、ホームヘルプサービスの中で対応していったらどうかということでありますが、そのとおりだと思います。
  65. 釘宮磐

    ○釘宮磐君 それでは最後質問にさせていただきたいと思います。  今回、この介護保険の導入に際しては競争原理を利用しながら、より被保険者が選択できるということが一つの大きなこの制度の中での魅力的な部分であろうかというふうに思うわけです。その際に、いわゆるその選択の自由を保障するためにはもっともっと情報公開をすべきだというような意見も多々あったというふうに思います。  都道府県市町村等による介護サービスに関する情報の提供をぜひ指導すべきではないかというふうに考えておりますが、この点について大臣の御所見をいただきたい。
  66. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) このサービス提供というのが実効あるものにするために、情報公開情報提供が大変重要だと思います。  厚生省のみならず都道府県市町村、これらの機関が正確な、また選択できる情報提供をどのようにしていくかということにつきましても、厚生省としては関係団体というものに対してできるだけ指導をしていきたいと思いますし、今後、この介護保険制度がより水準を向上させていくためにも、情報提供によって各事業者が競争する、水準を上げるために競争するという点が大事でありますので、この点についてはしっかりとした情報提供が行われるよう指導していきたいと考えます。
  67. 山本正和

    委員長山本正和君) これより内閣総理大臣に対する質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  68. 上野公成

    上野公成君 自由民主党の上野でございます。総理、どうも御苦労さまでございます。  参議院の厚生委員会では、きょうを終わりますと六十時間に数分足りませんけれども、衆議院の方で五十三時間でありますから、かなり長い間時間をかけて審議をしてまいりました。中央公聴会も一度やりましたし、参考人の質疑もやりました。それから、地方公聴会は四カ所で行いました。  費用の負担は別にいたしまして、介護について何らかの制度が必要であるということは、もうほとんど異論がないわけでございます。しかし、施行まで二年四カ月近くあるということもございまして、大変な不安も各方面にあるわけでございます。その中で三つだけ総理質問をさせていただきたいと思うわけでございます。  一つ基盤整備でございます。  法施行が二〇〇〇年の四月でございますけれども、それまでに十分なサービス提供基盤ができるかどうか。保険あってサービスなしというふうにならないようにしなきゃいけないということがもう繰り返し言われたわけでございます。そして、施行後におきましても高齢者の人口はどんどんふえていくわけでありまして、試算によりますと、二〇五〇年には三人に一人が六十五歳以上ということで、少子化対策としてそんなことはあってはならないことでありますけれども、いずれにしましてもかなり高齢者がふえるわけでございまして、基盤整備をきちっと施行までにできるかどうか、施行後もきちっと追いついていけるかどうかということが最大のこの介護制度のかぎであると言っても過言ではないんじゃないかと思います。  そこで、基盤整備と申しましても人の問題、ホームヘルパーさんが一番代表的であります。介護サービスをするに十分な人が確保できるかどうかという問題が一つあると思います。それからもう一つ施設施設につきましては、特に欠かせないのが通所施設と言われまして、介護を必要とされる方がそこに足を運んでいろいろなサービスを受ける、これが現状では各市町村全部には整っていないという状態でございます。  そこで一つは、その人材の確保についての総理の決意、保険あって介護なしとならないようにするための最大の問題じゃないかと思います。そして、通所施設がある範囲内で最低一つは必ずなきゃいけないということが必要だと思うわけでございますけれども、その点についても総理のお考えを伺いたいと思います。  そしてもう一つは、法施行前、施行後を通じてでございますけれども、介護施設というのは整備をしていかなければいけないということはもちろんでありますけれども、しかしこれは高齢者が四分の一になるとか三分の一になるとかという事態で、すべてこの介護施設で対応していくということはもう事実上不可能であります。在宅ということが非常に大事でありまして、自分が育った家でできるのが一番いいわけです。その地域で生活できるということがいいわけでございます。  北欧の福祉政策では、高齢者福祉住宅に始まり住宅に終わると、こういう言葉があります。この間の予算委員会でもお話しさせていただきましたけれども、デンマークではこうした施設中心、プライエムという特別養護老人ホームのようなものを中心にやってまいりましたけれども、これが行き詰まりまして、一九八七年に高齢者住宅法という法律をつくりまして、高齢者住宅で非常に介護サービスの効率が上がる。先ほどちょっと厚生大臣にお話ししましたけれども、住宅施設をきちっとしますと介護費用が人的な面におきましてもかなり軽減されるということがございます。  そこで、今後の課題としてでございますけれども、やはりこうした高齢者住宅みたいなものを中心にしていく、そしてソフトな面での福祉介護サービスというものと連携していくということがないと、長期的に見ますと高齢者介護サービスというのがなかなか十分に得られないのじゃないかと思うわけでございます。その点、住宅政策との連携でいきますと建設省厚生省との連携、これが必須の条件ではないかと思うわけでございまして、この三つの点についてまずお聞きしたいと思います。
  69. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) まず、介護サービス基盤整備という点からの御指摘をいただいたわけでありますが、私どもといたしましては、新高齢者保健福祉推進十カ年戦略に基づいて在宅サービスを基本とする、その考え方に基づきまして、まさに今御指摘のありました訪問介護員を初めとする人材の確保、あるいは日帰り介護施設などの通所施設整備など、着実な推進に今日までも努力してまいりました。また、これからも努力をしていかなければならないと考えております。  その上で、一点私なりに考えてみますと、こうした分野の人材を確保していく上で一つは給与体系、これをどう確保するかという問題がございます。そして、それについてのルールを明確にしていかなければなりません。もう一つは、今北欧の例を引かれましたが、海外におきまして私どもいろいろな施設を拝見いたしましたり、そうした機会に気づきますことは、例えばボランティアの方々が一つ施設に対して十年、二十年継続してそこでの活動を行っておられる、結果として非常にそのあり方施設内部に溶け込んでいる、こういう分野もあわせて考えていく必要があると私は思います。しかし、国としてはまさに議員御指摘のようにホームヘルパーなど人材をいかに確保するか、こうした点についての努力をいたさなければなりません。  また、住宅政策との連携を図りながら介護サービス基盤整備を進めていくことが重要だという御指摘は、私もそのとおりだと思います。そして、かつて世代間同居というものが柱になると考えておりました当時、そうした視点から建設省と随分議論をしたこともありますが、そのころは正直そういうものはなかなか実りませんでした。しかし、今日のこの人口構造の変化の中で、まさに高齢者世話つき住宅とでも申しますか、こうしたものを推進していく必要性は議員の御指摘のとおりでありますし、これに合わせて有料老人ホームのほか、介護居住を合わせて提供するサービス形態、こうしたものにつきましても幅広く検討を進めてまいりたいと思います。
  70. 上野公成

    上野公成君 ぜひ保険あってサービスなしとならないように御努力をお願いしたいと思います。  次に、市町村長さんが大変な不安を持っておりまして、本当に自分の町や村でこういうことを引き受けていいのだろうか、大丈夫なのだろうか、こういう不安が大変多かったわけでございまして、公述人の方も参考人の方でもそういった不安を多く言っておられたわけでございます。  本来でありますと、市町村がこういった役割を果たすということは、デンマークのようにきちっと地方分権をやって、一つ一つ市町村の力をそろえて、そして財源も直接税の四割は市町村に配分する、こういう体制デンマークの場合一九七〇年につくりまして、その後に市町村の方に役割を分担してこの介護を任せたわけでありますけれども、日本では二〇〇〇年までにそういうことは不可能でありまして、人口が千人に満たないような市町村も実際に現実としてはあるわけでございます。財源も十分でなくて、地方分権の基盤も進んでいないという現状ではないかと思うわけです。  そこで、制度の発足までに二年数カ月あるわけでございますから、市町村意見をよく聞いて、不安のないように、三百もの政省令もあるわけですから、そういったところにできるだけ反映していただくと同時に、自分が住んでいる市町村によって不公平といいますか、そういうことが決してないようにするということが大変大切なことだと思います。特に、小さなところにつきましては、なかなか自分のところだけではできないということでございますので、広域的な取り組みを積極的に支援していかないと今言ったような二つの不安も解消できないと思うわけでございます。  こういった観点から、市町村実施体制を支援していくということ、それから広域的な取り組みを含めて支援していくということについての総理の御決意をお伺いしたいと思います。
  71. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 確かに、財政運営の安定化、あるいは事務運営の効率化といった観点から考えた場合におきましても、規模の小さい町村などにおきまして、広域的に介護保険行政の運営を行っていくことは一つの有効な対応策だと考えておりますが、それ以上に、そのサービスを受ける方の立場に立ちましても、こうした取り組みは私は非常に有効な結果を生むだろうと思います。  ですから、今後、市町村の実情に応じまして、要介護認定事務の共同化、あるいは市町村間の財政調整を行う市町村相互財政安定化事業の活用など、広域化施策が講ぜられるように、都道府県に対しても市町村間の調整などの支援を行っていただくと同時に、国としても必要な技術的な支援は行ってまいりたいと思います。  こうした広域化の支援あるいは事務費の支援などのほかに、関係省庁間で十分連携を図りながら市町村実施体制づくりを支援していきたい、今そのように考えております。これは事務的な問題だけではなく、介護サービスを受ける方の立場になっても必要なことだと私は思います。
  72. 上野公成

    上野公成君 そして、三つ目でありますけれども、高齢者の中には、資産もないし、それからもちろん所得もないし、そして場合によっては家族もないという、生活実態から見ても本当に負担の大変な方がおられるわけでございます。  例えば、認定されて一番重いところになりますと、一割負担でいいますと三万円近い負担もあるわけです。それから、ふだんの保険料の負担、これは二千五百円になるか三千円になるかわかりませんけれども、年金生活者で年金額も非常に少ないという方にとっては介護保険保険料の負担も大変ですし、万が一介護が必要になったときの自己負担というのも本当に大変なことじゃないかなと思っております。  そこで、こういった方に対する十分な配慮というのが必要だと思うわけでございますけれども、一つ考え方として、例えば生活保護の制度があります。これは、介護保険の方は現金支給はないわけですけれども、生活保護の方は現金支給が原則でありまして、この辺も現金支給をやることによって住宅扶助費なんというのがあっても、町営住宅に入っていてもなかなかそれに払われないというような現状も多いわけでして、これを現物サービス中心の方に切りかえていく。全部はできないと思いますけれども、生活費のことでありますから、そういったようなことを含めて社会保障制度の構造改革を今これからやっていく途中でございますので、そういった中でも、特にこの低所得者の負担の問題については十分に検討して配慮をしていくべきではないかと思いますけれども、総理の御所見を伺いたいと思います。
  73. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) もう既によく御承知のことでありますけれども、介護保険保険料につきましては、第一号被保険者については所得段階別に定額の保険料、第二号被保険者につきましては、医療保険の算定方法に沿いまして負担能力に応じた保険料とすることによって無理なく負担をしていただけるような工夫、配慮を既にいたしております。  同時に、利用料の負担につきましても、無理のない負担になりますように、所得の低い方に対しては高額介護サービス制度や食事の標準負担におきまして一般より低い額、こうした配慮を行っているわけであります。  その上で、なおその保険料などを負担することが困難な生活保護の対象になる高齢者の方々につきましても、当然のことでありますけれども、介護保険制度の被保険者として位置づけを行いますとともに、保険料はその生活扶助によって、また利用料の負担につきましては新たに創設する介護扶助によって必要な給付を行うことにいたしておりまして、我々なりにそうした御意見を十分取り入れてこの案を組み立ててまいった、そのように考えておりますので、どうぞ御理解をいただきたいとお願いを申し上げます。
  74. 上野公成

    上野公成君 どうもありがとうございました。  以上で終わります。
  75. 水島裕

    ○水島裕君 平成会の水島でございます。  介護三法のうち、私はどちらかというと余り質問がないんではないかと思われる医療法一部改正の方について主としてお尋ねしたいと思いますが、その前に、介護法そのものについて一点だけお尋ねいたします。  ただいま上野議員からも話がありましたように、問題は、介護法導入のときに基盤整備がちゃんとできているかどうかということ、皆さんおっしゃっているとおりでございますけれども、今、財政構造改革を進めているところで、本当に大丈夫だろうかと、今、ボランティアという話が出ましたけれども、何かよいお考えはあるか、そういうことについてまずお伺いしたいと思います。
  76. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 介護保険制度、全く新たな制度でありますから、これを導入し定着させていきます上で介護サービス基盤をきちんと整備していく、この必要性が当然のことながら前提にあることは我々も十分理解をしておるつもりでございます。  ですから、財政構造改革の集中改革期間中におきましても、それぞれの規制の緩和、あるいは民間活力の導入など多様な手法の活用による事業の効率化等を図りながら、新高齢者保健福祉推進十カ年戦略の目的が達成できますように引き続き努力をしてまいりたいと考えております。  その上で、先ほどボランティアについて何か考えがあるかという御指摘をいただきました。我が国でも既に非常に多数のボランティアのグループがそれぞれの活動を続けていただいております。そして、その中でもごくわずかではありますが、自分たちの目的を設定し、特定の分野あるいは特定の施設に特化して継続的な努力をしていただいているグループがございます。そうしたグループの存在はもう当然ながらよく御承知であります。  先日もカナダに参りまして、本当に感じましたのは、これは私自身は時間がありません、家内が見にいかせていただいた小児の専門病院、伺ってみますと、十五年、二十年と継続してその施設をカバーする、そうしたボランティアのグループがその施設に定着をしている。結果としては本当に中に溶け込んで活動をしておられる、非常にうらやましいという気持ちを持って彼女は帰ってまいりました。これは、しかし同時に、ボランティアの方々を受け入れる施設側、あるいはそのボランティアの介助を受ける中におられる方々にとりましても非常に安心のできるものではないだろうかと瞬間感じた次第でございます。  今後、そういったものも我が国の中により大きく芽生えていくことを期待いたしますけれども、やはり基本的には、先ほどお答えをいたしましたように、国としてこの分野に人材をいかに確保するか、そうした努力も当然ながら払っていくべきものと、そのように思います。
  77. 水島裕

    ○水島裕君 それでは、医療法の方に入りたいと思います。  総理もこの分野については大変お詳しいし、また各省庁にまたがりますので、よろしくお願いいたします。  介護と医療の分担ということが大変大切であると同時に、医療の中での機能分担ということも極めて大切でございます。医療機関の機能分担で、いま一つうまくいっていないことは、大病院が機能を十分に果たしていないのではないか。その中で問題は、かかりつけ医に行った方がよいと思われる人まで大病院に集中してくるということだと思います。  例えば、慶応病院でもいまだに外来は一日五千人来ますし、いろいろな人に聞いてみますと、どうも半分ぐらいは来なくてもいいんじゃないかというような、人によって随分違いますけれども、意見がございます。  それではどうしたらいいかと申しますと、やはり大病院に行かなくてもよいのではないかという人、つまり紹介がない人とある人とで自己負担に差をつける、経済的なインセンティブをっけまして、そういう方はかかりつけ医の方に行った方が自己負担が少なくていいというふうにするのが一つの案ではないかと思います。  いずれにしましても、これだけ大病院に集中いたしますと、この医療法でうたっているようなことも、インフォームド・コンセントその他も余りうまくいかないということがございますので、そういう考え一ついかがかということ。その場合に大病院の方の患者さんが減りますので、そのことについてはむしろ一点を十幾らにするとか、そういうことについて診療報酬上経済的な考慮をしたらどうか。これは、実はこの間も小泉厚生大臣の方にお聞きしまして多少前向きのお答えをいただいているのでございますけれども、総理の御意見をぜひお伺いしたいと思います。
  78. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) これは、本来は患者の方々自身が選択をされることでありまして、法的に申すことは大変難しい部分を持っております。また、御自分の近所にいわゆるかかりつけ医という役割を果たしていただける医療機関が存在するかどうかということも現実の問題としてはありましょう。その上で、やはり大病院に外来患者が集中する、これを是正することは医療機関の機能分担の上から非常に重要な課題だと私も思います。  そして、この点に関しまして、与党医療保険制度改革協議会の抜本改革案及び厚生省案は、大病院については入院医療に重点を置く、これによりまして対応しようという考え方を出しております。こうした問題は、当然のことながら国民的な観点から今後議論をしてまいらなければなりません。  また、今御指摘の医療機関の機能に応じた診療報酬の評価、これにつきましては与党医療保険制度改革協議会、また厚生省のそれぞれの案においても提言をされておることでございます。今後、医療保険福祉審議会で御審議をいただき、その結論を踏まえて取り組んでまいりたいと思います。  私は、一つの視点として評価をいたしますとともに、同一の医療に果たして複数の料金設定が可能なのかという、これは従来から実はこの議論ございました。それだけに、そうした点についての論議というものは十分にいたさなければならないと思いますけれども、大病院への外来集中という現実をも踏まえて積極的に議論をしていくべき課題、そのように思います。
  79. 水島裕

    ○水島裕君 入院ばかりでなく外来もやはり専門病院でした方がいいのと両方がございますので、その点も十分御配慮いただきたいと思います。  それから、値段が変わっていいかどうかということですけれども、やはりこれからは選択の自由、責任の所在、アメリカなんかでもそういうふうになっておりますので、ぜひそういうこともお考え  いただいた方がよろしいんではないかと思います。  それでは次に、大病院、大学病院のもう一つの重要な機能としましては、医療に貢献する医薬品の開発のための臨床試験、治験をどうしてもする必要があるわけでございます。ところが、御存じの新GCPの施行後、医療従事者に対する負担が非常に多くなって、そういう人たちが働かなくてはもうきちっとした治験はできないというふうになりましたので、現在、日本では大体これまでに比べて五倍ぐらいスピードが遅くなっているわけであります。外国からすごい非難と申しますか、日本はどうしてこういう状態になっているんであろうかという意見もたくさん寄せられてきております。  私も現在でも、治験調整医師をやっております。昔は責任医者と言っていたわけでございますが、それを二、三やっておりますので、もうこのことは間違いないのでございますが、いろいろこのための解決策はあるんですけれども、一つやればできて重要なことは、治験受託機関、専門的にはCROその他でございますけれども、治験受託機関から治験のときに人を協力してもらう、派遣してもらう。なかなか大病院、大学病院にはそういう人はいないので、いないままやるとどうしてもうまくいかないのです。一方、そういうところではスタッフがいて、派遣してもいいというふうになっておりますが、それが今の現状ではうまくいかない。それだけでもうまくいきますと非常によくなるので、外部からの体制づくりということを至急考えていかなくてはならないわけでございます。  私どもの大学で、今この臨床試験のモデル事業をやらせていただいておりますけれども、そこにはそういうスタッフをつけておりまして、よそでは治験が全く進まなくなっているのが、私どものところで今やっておりますのは今までの二、三倍ぐらいうまくいっている。もちろん治験はくだらない薬を今までやっていたという問題点がございますから、これからは必ず医療に役に立ちそうな、よくわからないわけでございますが、役立ちそうなものだけをするということはもう我々も心がけなくちゃいけないわけでございますけれども、今みたいなことをひとつ早急に検討していただくと、外国から非難されないような、外国から何か言われるからやるというのは私は嫌いでございますけれども、そういう体制にできるわけでございます。  その点について、多少専門的なところもございますけれども、総理はよくおわかりだと思いますので、よろしくお願いいたします。
  80. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) ちょうど私が厚生大臣のとき、薬事法の改正に踏み切りましたのは、スモン、キノホルムの問題が非常に深刻な状況で、患者の方々との和解を進めていく上で、被害者救済の仕組みとともに薬事法を見直さなければならないという当時でございました。  そしてそのころは、むしろいかにして試験を厳重に行うかということと、医薬品というものは、本来人体に異物が入るわけでありますから何らかの反作用というものがあり、それを超えた薬効があるという点に着目をした議論、そのような形態を当時とったことを、今御質問を聞きながら思い起こしております。  その上で、改正薬事法によりまして、その治験を受ける方、被治験者に対する文書による説明及びその同意の取りつけ義務などを内容とするいわゆるGCPが定められたわけでありまして、現在、各医療機関、関係団体が平成十年四月の全面施行に向けて準備を進めておられる、そのように伺っております。  そしてその中に、今、議員が御指摘になりましたような、もっと率直に申しますなら、文書による同意それからその文書による説明というものがなかなか難しい問題を含んでいるといったような声も伺っております。  この新GCPのもとで臨床試験が円滑に行われますためには、その製薬企業の委託を受けまして治験を実施する開発業務受託機関、こうしたものの活用を含めて、医療機関内の治験実施体制整備のために必要な支援策の検討を現在進めております。議員の今の御指摘も重要なポイントの一つと、そのように思います。
  81. 水島裕

    ○水島裕君 インフォームド・コンセントをもちろん今きちんととっておりますけれども、それでもほかのところを改善すれば治験は進むという見本もございます。ただ、このまま放置していたのでは本当にしなくてはならない大切な研究が壊滅状態になると思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。  今、インフォームド・コンセントという話をしましたけれども、インフォームド・コンセントをちゃんと行うためには、先ほど申しました病院の改革というのがどうしても必要で、数時間待ち数分診療ということではなかなかうまくいかないわけでございます。じっくりとその辺はしなくちゃいけないわけでございますが、このインフォームド・コンセントをすると医療がやりにくくなるとかそういうふうに考える方もおりますけれども、私はむしろ患者さんに知らせて責任を持ってもらうということで、例えば末期医療をどうするか、尊厳死とか、安楽死はちょっとオーバーかもしれませんけれども、そういうこともこれからは可能になってきますし、また新しい医療技術を患者さんと相談して科学の進歩にも結びつけるというふうに前向きにとらえたいと思いますけれども、末期医療、尊厳死ということについて何か御意見がございましたらよろしくお願いいたします。
  82. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私はそのインフォームド・コンセントというものを普及し定着させていくことは非常に重要であると思っておりますし、このため今御審議を願っております医療法の一部を改正する法律案におきましても、医療提供に当たっての患者への説明を医師等の努力義務として法律上位置づけております。  その上で、私自身が非常に自分の判断に苦しみましたけれども、臓器移植をめぐる議論というものが国会で真剣に行われます中で、私は人の生命あるいは尊厳といった観点から末期医療のあり方についても相当な御論議が交わされたと承知をいたしております。そして、国民の中にもそうした御論議を通じ、こうした問題を改めて見詰め直す、あるいは論議すべきという空気が生まれてきておりますことが随分過去とは違ってきた、そう思います。しかし、やはりそれでは一つの形が既に定まったかといいますと、まだ残念ながらそこまでは私は国民考え方一つに収束したと言える状況ではないと思います。  ですから、私はやはり今御提起がありましたように、患者にできるだけ事実を伝え、その上で患者の協力を求めるという姿勢は医療として極めて大切なものだという前提を置きました上で、末期医療につきましてはなお国民の意識を踏まえながらさらに検討を進める必要のあることだ、そのように受けとめております。
  83. 水島裕

    ○水島裕君 ぜひ検討を深めていただきたい、ぜひ医学、医療が好ましい姿になるようによろしくお願いいたします。
  84. 今井澄

    今井澄君 民主党・新緑風会の今井澄でございます。  総理にこの貴重な機会を得て低所得者対策についてお尋ねをしたいと思います。  先ほど上野理事からも御質問があったわけでありますが、社会保障の考え方は大分ここのところで変わってきていると思います。かつては一部の貧しい方々に対する施策というふうな考え方が主流であったと思いますが、現在は対象者も国民あまねくということでありますし、特に老人福祉も一部の貧しい老人の人ということから所得、収入等に関係なくすべての例えば介護を要する高齢者ということで今度介護保険制度考えられていると思います。  また一方で、確かに高齢者を含む国民の全般的な経済水準も向上してきていることも間違いありませんし、一方で少子・高齢化が進んでいるということも踏まえますと、負担と給付の公平という考え方、そういう形から今回の介護保険制度でも高齢者の方にも保険料を納めていただく、利用料も支払っていただくというふうになってきていると思います。  しかし、ここでやはり注意しなければならないのは、そういう状況の中でも特に高齢者の中には低所得の人たちがいる、生活の困窮者がいる。例えば年金の問題ですが、現在成熟してきて、現在被用者として年金をもらう方は二十万円をもう超えるというところまで来ておりますが、しかしまだこの成熟以前の受給者、特にひとり暮らしの高齢女性などは非常に困窮しているという事実があるわけであります。  そこで、まず第一にお尋ねしたいのは、先ほどの上野理事の質問にお答えになった中にもありますが、今度介護保険保険料第一段階という軽減分を設けるというお話、御答弁がありました。これは老齢福祉年金受給者というのが要件なんですね。医療における低所得者に対する諸施策も老齢福祉年金受給者というのがまず第一の要件になっている。ところが、これは制度発足時にある一定年齢に達していてもう年金を掛けるそれだけの時間もないし掛けてももらえない人を特別に老齢福祉年金受給者としたわけですね。したがって、今ほとんど八十五歳以上なんですね。そうすると、八十五歳未満で老齢福祉年金ではなく例えば国民年金を老齢福祉年金相当額以下しかもらっていないというひとり暮らしの女性なんかも数おられるわけです。  そこで私は、これまでの質疑の中でも随分申し上げてきたんですが、例えば保険料軽減の第一段階を老齢福祉年金受給者ということに限るのではなく、老齢福祉年金受給者相当の、あるいはそれ以下の困窮者というのもこの第一段階に含めて考えるべきで、実態に見合った低所得者の要件というのを設定すべきではないかと思いますが、総理、いかがでしょうか。
  85. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 恐らく、これは厚生省大臣以下御答弁を申し上げることと重複すると思いますけれども、介護保険制度におきまして保険料を軽減するその低所得者の範囲、これにつきましては、所得把握における公平性の担保、新たな所得把握事務を課さない、こうしたことを勘案しまして、世帯全員が市町村民税非課税ということを基準としているわけであります。  今、議員が御指摘になりましたような御議論、私は全くそれを否定するものではございません。しかし、実際上の問題として、低所得者の範囲としてさらに細かい区分、これを設けることは私は大変難しいのではないかと思います。将来、保険料負担に係る所得の低い方の範囲を変更する、そうした場合におきましても、無理なく御負担をいただくという観点から、これは制度施行後の状況を見ながらさらに検討していくべき課題ではないか、そのように考えているところでございます。
  86. 今井澄

    今井澄君 今、介護保険法施行しようという段階にあっては、市町村にいろいろな事務負担がかかるということから、確かに老齢福祉年金受給者以外で、例えば国民年金をもらっている額がそれ相当かそれ以下という人の所得あるいは資産、生活状況を調べるということは、新たな事務を課すことになる。したがって、今市町村が非常に大きな不安を持っている段階ではすぐにできないというのは私もわかるわけでありますが、今の御答弁の中で、この法の施行後、実態に合ったような形を考えていかれるというふうな御答弁と受け取りましたので、これは介護保険だけではなく医療保険その他についても、低所得者ということについて実態に見合った方向で、これまでの定義にこだわらないで政府全体として取り組んでいただければというふうに思います。  そこで、今は保険料の問題でありましたけれども、今度は利用料の減免の問題であります。  これも、先ほどの上野理事の質問に対しまして総理の御答弁の中にもありました高額介護サービス制度、これはちょうど医療における高額医療費制度と同じようなものを設ける、そしてそれも低所得者に対してはまた同じ上限、限度額も下げると、食事療養費もそうだという、医療における考え方と同じだと思いますが、しかしそこで問題がやっぱりあるんですね。この高額療養費制度もそうですが、これは大体入院の患者さんに適用になるわけです。外来の患者さんではそう高額療養費の対象者になることは余りない。介護の場合もそうだと思うんです。やっぱりこの高額介護サービス制度は、例えば施設に入所している、あるいは在宅で見ていても非常に重度の場合、過酷な場合、月二十何万、したがって一割負担が二万幾ら、三万円近くになるという人の場合の軽減措置の話だと思います。  ところが、例えばひとり暮らしの女性で国民年金を三万ぐらいしかもらっていない人、本来だったら生活保護の対象になるかもしれないような人でも案外生活保護をもらっていない人が現実にはいるんですね。これは、やはり生活保護をもらうことが嫌だということもあったり、あるいはたまたま売ることもできないようなものであっても資産を持っているとか、いろんなことで生活保護の対象にならない。そうすると、自分の家は一応ある、それで家庭菜園もある。それを耕しながら三万前後の年金で細々と食べているという人もいるわけです。そうしますと、こういう方が一番低い要支援のランクに認定されて、週二回のホームヘルパーさんの訪問を受けたとしても、月に一割六千円の負担になるわけですね。そうすると、この六千円というのは高額介護サービス制度には当然ひっかからない額だと思うんですが、しかしやっぱりこの負担というのは非常に問題になってくる場合があると思うんです。そうすると、高額介護サービス制度だけではとても不十分ではないか。  そうすると、所得の実態、資産等の実態に合わせて減免をする、場合によっては市町村独自に補助をする事業というのもこれはあり得るという考え方があるわけですが、そういったことについてどういうふうにお考えなのか、御答弁をお願いします。
  87. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今、所得の低い方の利用者負担という点からの御意見をいただきましたが、既に御承知のように、高額介護サービス費あるいは食費におきまして、無理なく負担をいただけるような配慮というものはいたしているわけであります。そして、利用者負担の減免、例えばこれは災害など特別な事情によって一時的に被保険者の負担能力が低下した場合に限定をしているわけでありまして、今、議員がお触れになりましたけれども、事務量の増大というものを考えましたとき、この範囲を一般的に所得の低い方に拡大するということは現実問題としてできない、私どもは今そう考えております。  将来、所得の低い方々に係る利用者負担、これは所得の低い方々においても無理なく御負担をいただくという観点から、やはり制度施行後の状況を見ながらさらに検討してまいりたいという御答弁にとどめさせていただきたいと私は思います。
  88. 今井澄

    今井澄君 最後の方で、これは先ほどとも同じことだと思いますが、現実に介護保険制度保険者として担っていただくのは市町村だと。その市町村長さん方が大変な不安を持っているという段階で、何から何まで市町村の責任でやれというふうなことは、円滑なこの制度の導入、施行という意味ではちょっと控えざるを得ない点があることは私も十分理解いたしますが、その先の話としての問題だと思います。  そこで、先ほど御答弁にもありましたが、特別な場合というのは確かに法の中にあるわけですね。その特別な場合を、衆議院での御答弁でもそうだったと思いますが、災害等の特別な事情というふうに今も御答弁ありました。しかしこれは、災害等というのは臨時的なということになるわけですが、臨時的な場合でなくても、市町村によって特別に配慮を要すると認めた場合は、やはりこれは災害等ということで狭く縛るべきではないと私は思っておりますので、何とか特別な事由というのは災害等のということに必ずしもこだわらなくてもいいというふうに考えて、御答弁いただきたいと思うんですが、それはいかがでしょうか。
  89. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) ただいまの点については前にも御質問があったわけでございますけれども、災害とかあるいは例えば企業が倒産したような場合とか、いわゆる一時的に所得がなくなったようなときを想定している規定でございまして、そういう形で運営をさせていただきたいというふうに思っております。
  90. 今井澄

    今井澄君 私としては、災害や臨時的なものでない状況にも特別ということがあり得るということを強く主張していきたいと思いますが、それはいずれ施行後、こういうことにこだわらず見直していくという先ほどの総理の御答弁の中で、将来的に解決されていくことを期待しております。  さて、次にもう一問質問をしたいと思います。この質疑の中でも大分明らかにな一,てきたことで、特に老人福祉施設、特養の施設長等からのいろいろな心配が出てきた中で、私どもは今、措置制度から社会保険制度へということで、老人介護の問題を新しい制度をつくって解決しようとしているわけでありますが、現在の措置制度の中での特養などの入所者の中には、本来特養に入った方がいいのかどうか若干疑わしい、要するに住む家がないとか低所得者であるとか見る人がいないというふうなことで、必ずしも介護を要しないのに入っているような人もいるという現実があるわけです。  そうしますと、ここで介護保険制度ですべて見るということになりますと、要支援に達しないような人々は五年間の経過措置があるわけですけれども、やはり今のサービスを受けられなくなるということになるわけであります。これは、介護保険制度から見れば当然それ以外にないわけでありますけれども、そうしますと、介護保険制度を導入したことによって、一方でいわゆる一般の老人福祉施策を残しておくというか、それを一層充実しないと、生きがい対策や何かも含めて大変なことになると思います。  これまでの厚生省政府委員の答弁では、市町村がそういう一般施策はやっていくでしょうと、それを支援しますという程度の、ちょっとどちらかというと軽い答弁だったと思うんです。しかし国としては、医療は医療、そこからまた介護部分を今度抜き出す、措置制度から介護を抜き出すと同時に、そこに残っていく老人の一般福祉施策についても、十分国として責任を持って今後充実するということも忘れないでいただきたいと思うんですが、その辺についてのお考えをお述べいただきたいと思います。
  91. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今、厚生省の諸君が軽い答弁というふうに仰せられたんですが、私はその言い方がどういう言い方であったかわかりませんけれども、やはりその市町村の実情に応じて、それぞれの地域において展開されるそうした自主的な取り組みを支援していくという意味では、私も同じ答弁を申し上げることになるのかもしれません。  なぜなら、私は介護保険制度が導入されました後におきましても、健康あるいは生きがいづくり、さらにはその地域の産業構造によりまして可能な場所、難しい場所があると思いますけれども、みずから仕事を持って自力で動いていく、それを支援する、いわば介護保険給付とは全く異なった保健福祉サービスというものは存在すると思うんです。そして、そうしたサービスがまた展開されることによって、高齢者の保健福祉の向上というものは図られるものだと、そのように思います。  しかし同時に、これらの施策は地域性を持ちます。それだけに、私はこれは保健、医療、福祉、どの分野においても同様のことが言えるわけでありますけれども、そうしたその地域に応じて形づくられるであろうこうした分野に対し、やはり市町村がみずから展開していかれるものを国としても支援していくという、言葉としては同じような言葉になると思うんです。  ただ、それは逆にそうした必要性を否定するのではありません。むしろそうしたサービスというものはこれから一層必要になる、そしてそれはむしろ地域に根づいたものでなければならない。その根づいたものを国として支援する、私は多分そういう意味厚生省の諸君も御答弁を申し上げたと思いますし、国としてそのような姿勢でまいりたいと思います。
  92. 今井澄

    今井澄君 時間が来ましたので、もう一言だけ申し上げますが、まさにこの低所得者に対する対策というのは、憲法第二十五条の精神に基づいて、これは国がやっぱり責任を持つべきではないかと私は考えますので、それだけ申し上げて終わります。
  93. 清水澄子

    ○清水澄子君 社会民主党の清水澄子でございます。  総理は厚生行政とのかかわりというのも非常に深く、また社会保障関係には深い見識をお持ちであるというふうに伺っておりますので、きょうは積極的な御答弁がいただけるものと期待して質問をさせていただきます。  先週は東京都から厚生省に、そして先々週には全国八十一の市長が山本厚生委員長あてに、介護サービスの供給が不足している現状で介護保険制度施行されれば、地域に混乱をもたらすとの趣旨の要請がなされました。この本委員会でも六十時間を超える審議を行ったわけですけれども、与野党を問わず、現在の介護基盤整備がおくれている、そしてそれは非常に、もっと急いで基盤の整備のために政策的な努力をしなければならないということが繰り返し強調をされました。  そこで、総理にお伺いをしたいのですが、今般の財政構造改革法の中で社会保障費の削減が最も具体的に出されておったわけです。これから超高齢化社会を迎えるに当たっての福祉や社会保障に対して、国はどのような責任を果たしていくべきとお考えなのでしょうか。その点について総理の明確な御答弁をお聞かせいただきたいと思います。
  94. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 言うまでもなく、社会保障制度というものが将来にわたり国民の暮らしの中におけるセーフティーネットワークとして存在し続けること、我々はこれを何としても確保しなければなりません。そして、そのためには、この少子・高齢化という状況の中におきまして安定した制度をいかにつくり上げていくかということに非常に大きな問題があります。  少子・高齢化の進展に伴う負担の増大が見込まれます中で、経済の発展や社会の活力を損なわないように給付と負担の均衡を図ると同時に、利用者の選択の拡大あるいは民間事業者の参入、導入というものも含めて、いかに制度を効率化し合理化するか、こうしたことを今我々は考えていかなければなりません。  現在、御審議中の介護保険もその一つでありますけれども、これから我々は医療あるいは年金等、それぞれの制度改革を順次進めていかなければならないわけでありますが、これが崩壊しないようにしていく。そしてその場合に、所得の低い方など社会的な弱者と言われる方々に対して過重の負担にならないように細やかな配慮を行っていく必要がある。一方で、その必要な給付サービスを確実に保障して国民から信頼をしていただける、そうした仕組みづくりを我々はしなければならない。  我々は、今後ともに、国民の暮らしにおけるセーブティーネットワークとしての社会保障の重要性というものが維持できる体制を全力を挙げて築いていかなければならないと考えております。
  95. 清水澄子

    ○清水澄子君 今回の介護保険制度によって介護が社会化されるということは、非常に大きな意味があると私は思います。ですから、これからの国民生活にこの制度は非常に大きな影響をもたらすものと考えております。それは、家族あり方とか地域あり方とか、また高齢者自身の自立した生き方とか尊厳とか、非常に私たち人間社会の構造そのものに対してこれから影響してくると思いますが、とりわけ私は女性の地位の向上と社会進出に与えるインパクトは非常に大きいものがあると思うんです。  しかし、先ほど今井議員もおっしゃっておられた、今現実に後期高齢にある女性は年金も持たない低所得者という層に入るんですが、その部分はこれまでも御質問いたしましたので、ここでは、これまで介護者と言う場合はそれは女性の代名詞でありました。そして、嫁の評価でも、介護をする嫁はよい嫁だというふうな評価をされてきて、女性はこれまでも非常に精神的にも肉体的にも大きな負担を一身に背負っていたわけで、そのために自分の職業とか生き方を変えなければならないという状況がありましたけれども、これを変えていく道がこの制度で開かれていくという点で私は評価をしたいと思います。  しかし、そのためにはそれをやっぱり完全なものにしなきゃいけないという面があるんですが、しかし一方ではヘルパーとか看護とか、福祉労働人口としての女性労働への期待というのが非常に大きく高まっておりまして、その場合また再び女性は身分の保障なき低賃金労働力として扱われる心配がございます。  そこで、私が総理にお伺いしたいのは、少子・高齢社会において男女共同参画社会を実現していくことの意義と評価についてどのような御見解をお持ちなのかということです。よろしくお願いいたします。
  96. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) こういう申し上げ方をすると多少おしかりを受けるかもしれませんが、私どもは例えば本年五月に政府として決定をいたしました経済構造の変革と創造のための行動計画の中におきまして、新たに成長を期待できる分野として医療・福祉関連分野というものを挙げておりまして、技術開発の推進や人材育成、規制緩和などについての総合的な施策の推進を図ることといたしております。そして、ここに係る部分は女性だけを指し、女性だけを規定しようとするものでないことは十分御理解をいただいておると思うのであります。  そして、まさにホームヘルパー等介護サービスの担い手となる人材を確保する、これは性別の問題ではなく、むしろそれだけの熱意と技能を持つ人材をいかに確保するか。そういう視点から、我々にとっては極めてこれは大きな課題でありますけれども、当然ながらそれを職業として考えました場合におきましても、その中で女性の占める地位というものが、あるいは役割というものが非常に大きいことは当然想定をされますし、また期待をされるところでもあると思います。  これは議員に御承知おきをいただいておるかどうかはわかりませんけれども、私はよく今までも人事院に対して福祉職の給与表をつくってほしいということを言い続けてまいりました。それは、往々にして我が国においてこの介護ばかりではなくさまざまな福祉の分野において働く方々に善意が期待され、それはその個々の方の犠牲の上に成り立つ善意を期待されている、業として安定しないという問題点を持っていたからであります。  そして、医療職の給与表をある場合は参照にいたしましたり、いろいろな形でこれの対応を工夫してまいりましたが、なかなかうまくこれが組み立てられませんでした。それには、それぞれの福祉の分野の方々が、自分こそ一番その大変な部分を担っているという、その自負心と裏返しの感情的な論議というものがなかなか給与表をつくらせなかったという面もなかったわけではありません。しかし、私はやはりそうしたものがきちんと位置づけられることによって正当な業としての評価を得られるようにすることが、この分野に働いていただく男性であれ女性であれ、私は基本的な部分として確保されなければならないことだと思っております。  それだけに、今御指摘をいただきましたような観点も当然踏まえながら、介護を初めとする福祉の分野に関心を持っていただいている方々に対する研修の機会を確保することとか、あるいは個々の就労希望者の事情に応じた多様な就労形態というものも考えていく必要があろうと思います。また同時に、民間事業者の参入といった中においてどのような形がとれるものか、そうした視点の中から人材の確保を募ってまいりたい。  そして、それは同時に、議員のお言葉をそのまま拝借いたしますならば、男女共同参画型社会というものを形成していく上でも非常に大きな役割を担うものだと、そのように思います。
  97. 清水澄子

    ○清水澄子君 ぜひ、正当な業の評価を得られるような、そういう政策を私は強力に推進していただきたいということを要望して、次の質問に移ります。  豊かな福祉社会の構築は、福祉マンパワーの雇用確保やそれから福祉インフラの整備など、経済的な面でも日本の経済社会を根底で支えていくことになると思うわけです。所得の再分配によって高齢者や障害者の所得を保障し、そして社会的弱者の自立を支援しようとするこれからの福祉のあり方といいますか、これは今まで言われてきたような福祉とかこういう問題は経済のお荷物という考えではないと思います。日本の社会と経済を支えていく、そういう福祉であるし、また日本の経済にとっても大いにこれからのソフト面における内需の拡大でもあり雇用の拡大でもあり、そういう面でこれは非常に重要な政策だと思いますが、総理はどのように御認識をしていらっしゃいますでしょうか。
  98. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今、男女共同参画という視点からちょうだいをいたしました御質問の中でも申しましたように、私たちは今後我が国の新規成長分野の一つとして、医療・福祉関連分野というものを産業構造の上からも極めて大きな役割を果たすものとしてとらえております。  そうした視点を持つ理由、それはまさに所得保障あるいは各種のサービスの提供、こうしたものを行います社会保障制度というものは、これを受ける、サービスを受ける国民にとりましてもそこで安定した購買力というものを構成いたします。また、違った角度からこれを見ましたときには、新たな産業であり新たな雇用の分野を創出することになります。  私は、そうしたものが相まって当然のことながら経済の発展に寄与する、そうとらえておりますし、そうした意味での積極的な役割があることを全く否定しておりません。むしろ、こうした分野がまさに全体との整合性を持った形で推進されていくことは、議員が御指摘になりましたような経済の発展という視点もあわせて、活力のある、安心して国民が暮らせる社会を築いていく上でも役割を果たしていくものと、そのように思います。
  99. 清水澄子

    ○清水澄子君 最後質問ですけれども、介護基盤整備のためにはやはり補正予算を編成しなきゃならないんじゃないかと私は考えます。特に、介護保険制度化によって、先ほども厚生大臣に御質問申し上げたんですけれども、老人福祉施設関係で三千七百億円のこれまで使っていた国費が浮くわけです。そして、さらに社会的入院という費用に使われていた千三百億円、つまり合計五千億円というものがこの介護保険が導入されることによって財源が浮く。それをぜひ私は、本当に前倒ししてでも新ゴールドプランの早期達成に使っていくべきではないか、そして介護保険によって需要が顕在化するこの基盤整備について、もっと積極的にこの整備を急いでいくということが非常に必要じゃないかと思います。  そしてまた、今、政管健保国庫負担繰り延べ金も八千億円あるわけですが、これは小泉厚生大臣も三塚大蔵大臣に早く返してくれと申し入れておられると伺っているんですけれども、私は、こういう財政的な面の裏づけがないと、今までお答えいただいたことが、この介護保険制度がきょう成立するとしても、それが本当に保険あって介護なしということを絶対にやらせないという、それへの強い姿勢を示すことになると思いますので、ぜひ総理大臣も大蔵省に対して今のこの国民健康保険の財政については早期返済を命じていただきたいし、そしてぜひ積極的に予算編成においてのリーダーシップを発揮していただきたいと思いますが、最後に一言御決意をお願いしたいと思います。
  100. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) これはもう申し上げるまでもなくよく御承知のことでありますけれども、新高齢者保健福祉推進十カ年戦略、これは各市町村地域の実情に応じて掲げましたサービス目標を全国的に積み上げてきたものであります。言いかえれば、これが確実に達成されること、これが介護保険サービスの基盤をなす非常に重要なものであると私どもも考えておりますし、当然のことながらこれが確実に達成されるよう最大限努力をしてまいりたい、そのように思っております。  また、これで介護保険を導入いたしました場合、当然ながらそれによる財政の影響というものはあるわけでありまして、こうしたものも踏まえながら、市町村介護保険事業計画などにおいて定めてまいります新たな介護サービスの目標に向けて必要な支援を行ってまいりたい、そのように思います。
  101. 西山登紀子

    西山登紀子君 日本共産党の西山登紀子でございます。  私たちは、公的介護保障制度として、社会保険方式と措置方式の組み合わせをずっと主張してまいりました。今回の法案には重大な欠陥があるということで、きょう採決をして見切り発車をするということについては反対の立場でございます。  そこで、まず第一に総理にお伺いしたいわけですけれども、この間の当委員会での審議中央公聴会地方公聴会参考質疑などでも、賛成の御意見もあったことはあったんですが、しかしやはり賛成された方の中にもたくさんのいろんな御意見がついているわけですね。さらに、強い不安とか批判もるる明らかになってまいりました。また、最近の主要全国紙には、「いまだ「欠陥」介護法案」だとかあるいは「特養ホームの憂うつ 入所者選別の恐れも」といったような見出しが躍ると、こういうふうな世論の動向でございます。  そこで、さらに私が大変これは重要だなと思いましたのは、先ほども御紹介がありましたけれども、自治体の市長さんたち有志八十七人が直接委員長を初め、私たち各厚生委員のところにも陳情に来られたわけです。直接市長さんが名刺を持って数人私の部屋にも来られたわけですね。これはやはり異例のことではないでしょうか。その中身、もちろん総理は御存じだと思いますけれども、少し紹介をさせていただきたいと思います。  この「お願い」という形の陳情の文書の中には、「現在国会審議されている介護保険法案については、重大な問題を含んでおり、現行のまま施行された場合には、地域に混乱と不信をもたらすものと懸念いたしております。」というふうに述べているわけです。地域に混乱と不信をもたらすと、現職の市長さんたちがこれほどに憂慮されているということは非常に重大なことではないでしょうか。  そして、その中身も、介護サービス供給体制が不足している現状では現場で混乱が生じるというようなこと、あるいは介護認定によって特別養護老人ホームで退所を余儀なくされる、その場合の受け皿となる施設サービスも必要となる、市町村の超過負担の問題や要介護認定が公平に行われるだろうか、あるいは事務処理について莫大な予算が生じてくる、こういうような点について抜本的な改革が必要だという立場を述べた上で、国民的論議が深まり、現場での体制整備の見通しがっくまで、慎重に御審議いただきたいというような要望なんです。  保険者として自治体の市長さんたちが大変憂慮されているという、こういう声を総理はどのように受けとめていらっしゃるでしょうか。
  102. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 介護保険という仕組みそのものが全く新たな制度でありますから、公聴会等におきましても、必要性を認める、そうした御意見がある一方において、基盤整備を初めさまざまな課題を指摘される声があったと、そのようなことは私も伺っております。同時に、現在の少子・高齢化社会の中で、家族による介護というものが既に限界に達しつつある、そうした状況の中で、多くの国民制度の創設を期待しておられる。こうしたことを考えますと、私は早期制度を創設する必要はあると、今もそう考えております。  現行の制度、これは利用者負担の不均衡などによる介護サービスの利用しにくさあるいは社会的入院などの問題があるわけでありまして、公的介護保険制度は現在の老人福祉と老人医療を抜本的に再編成をする、そして総合的、一体的に介護サービスが提供できる仕組みをつくろうとするものでありまして、私はぜひとも必要だと考えております。
  103. 西山登紀子

    西山登紀子君 日経新聞が行ったアンケートでも、早急に実現すべきというのはわずか八・三%であるわけです。私が総理にお伺いしましたのは、市長の有志の皆さんが陳情に来られて、このまま実施されたら地域に混乱と不信が起こると、そこまで心配していらっしゃる、その心配に対して総理がどのように受けとめるかということでお聞きをしたわけですけれども、次の質問に移らせていただきます力  審議を通じまして、やはり基盤整備が非常に不十分だということが明らかになってまいりました。一つの例ではありますが、私たちが直接都道府県の担当者に特別養護老人ホームの待機者数を確認いたしましたところ、九月現在で九万八千三百十七人という待機者数でございます。これは、一年半の間に二万人以上待機者がふえていることになります。二十九万人という新ゴールドプランの目標を達成いたしましても四万人不足する、待機者が加速をし、また新ゴールドプランとのずれが倍加している、こういう実態が明らかになってまいりました。  また一方、在宅サービスの方はどうかといいますと、登録ヘルパーの常勤ヘルパーの伸びが抑えられる一方で、実は非常勤の登録ヘルパーというのが急増しております。寝たきりなどの重度の身体介護、こういうことに十分対応できないような大変心配される事態が起こっているわけであります。  背景には、やはりヘルパー一人当たりの国庫補助六十万という余りにも低い額がありまして、自治体の持ち出しがないと十分なマンパワーが確保できないという事情があるわけですね。その中で新ゴールドプランの目標値は、早くこの数はふやさなければならないというところから、非常に身分的にも不安定なこの登録ヘルパーが急増しています。  私の地元は京都ですが、非常勤の登録ヘルパーの割合は八割です。常勤は二割です。東京都なんというのは登録ヘルパーが二十九に対して常勤は一、二十九対一という比率になっているわけであります。特養老人ホームにいたしましても、また在宅のヘルプサービスにいたしましても、状況は今こういう実態です。ということは、やはり保険あって介護なしという不安が現実のものになるということは目に見えているんじゃないかと思います。  そこで、総理にお伺いいたしますが、そもそも新ゴールドプランの目標が低過ぎると思います。ですから、予算をうんとふやして、おくれた基盤整備を早急に進めるべきだという点について、お伺いをいたします。
  104. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 新ゴールドプラン、いわゆる新高齢者保健福祉推進十カ年戦略、これは、繰り返し私も今御答弁を申し上げてまいりましたように、全国の地方自治体地域サービスの必要量を踏まえて策定してこられた老人保健福祉計画を集大成したものであります。ですから、まずこの確実な推進を我々は図ってまいろうといたしております。また、図ってまいらなければなりません。  財政構造改革の集中改革期間中におきましても、私たちは、各種規制の緩和や民間活力の導入など多様な手法を活用しつつ、事業の効率化を図りながら、新ゴールドプランの目的が達成できますように、引き続き努力をしてまいります。
  105. 西山登紀子

    西山登紀子君 実は、全国市長会の社会文教部というところが意見を出しているんですが、その意見の第一は、介護サービス基盤の整備について、国の回答や明年度の概算要求においては、介護保険制度の導入時において新ゴールドプランの達成を目指すものとなっており、このような状況のまま介護保険制度を導入したら介護サービス供給体制が不足し現場で混乱を生ずることが懸念されるというふうに述べていらっしゃるわけですね。だから、やっぱり見直しをして、基盤整備の拡大が必要だということを全国市長会が言っていらっしゃる。時間がないので先に急ぎます。  次ですが、保険料、利用料が高過ぎて制度から排除されるという人々が多数生まれる心配が出てまいりました。  特養ホームに現在入所されている方の七割が保険料、利用料を払えないという実態が中央公聴会で川崎市にある緑陽苑の例で紹介されました。また、参考質疑の中では、甲府の特養ホームでもやはり七割の方々が払えないという状況が出てまいりました。ホームヘルプサービスでも、これは名古屋の公述人の方からですけれども、月額三万三千五百円の年金暮らしのお年寄りは、この法案が通りますと三倍以上に介護費用がはね上がって、生活費の半分が介護費用となって生活ができない、こういう声が出ていることが紹介をされましたが、総理はこういう状況をどのように解決をされるおつもりでしょうか。
  106. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今の御質問の趣旨がもう一つはっきりいたしませんけれども、それを保険料未納ととらえさせていただくとしますなら……
  107. 西山登紀子

    西山登紀子君 利用料です。
  108. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 利用料というところからでありますならば、無理のない負担になるようにということで、先ほど来も何回か申し上げましたように、高額介護サービス制度の中において所得の低い方により一段低い限度額を設定し負担を頭打ちにすること、あるいは食費の標準負担について低い額を設定することなどの配慮を行っているわけであります。  また、施行時に特別養護老人ホームに入所しておられる方でありましたなら、利用料の急激な負担増を避ける観点から、施行後五年に限りまして、その方の所得水準に応じてその利用者負担の緩和措置等を講ずることといたしておることは既に御承知の状況でございます。
  109. 西山登紀子

    西山登紀子君 総理、そうおっしゃいますけれども、月額三万三千円の年金で暮らしていらっしゃる今御紹介しましたお年寄りは、生活費の半分が介護費用になってしまうんですよね。そして、このお年寄りは、ヘルパーが有料になったらもう断るしかない、もう早く死にたい、こういうふうに言っているということが名古屋の地方公聴会で紹介をされました。最も介護を必要とする人たちが介護サービスの外に追いやられてしまうこの介護保険法案というのは、やっぱり重大な欠陥を持っているんではないでしょうか。  最後質問ですけれども、近年、国民健康保険料が引き上がりまして、払いたくても払えない、いわゆる滞納者は激増しております。厚生省も初めて数字を明らかにされましたが、現在二百九十六万世帯に上っております。今後、これに介護保険料が加わりますとさらに未納者がふえてまいります。払えない方は医療からも介護からも排除されるということになるわけですが、総理はこういう事態をなくすためにどのように対処されるでしょうか。
  110. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 介護保険というものが社会全体の連帯によって介護を支えようとするものであることは申し上げるまでもないことでありまして、介護というものはいずれだれもが直面をする問題でありますから、制度の趣旨や内容を十分御説明し御理解をいただくことによってこの制度というものは成り立っていくと思います。  そして、制度的にも、被保険者に無理なく保険料を負担していただけますように、所得段階別の定額保険料、二分の一の公費の組み合わせ、高齢看の保険料についての年金天引きなどの仕組みを設けておりますことから、未納の割合というものが大きくなることはないと考えているという報告を受けているわけでありますから、仮に未納が発生をいたしました場合にも、制度運営に支障が生じることのないように都道府県に設置される財政安定化基金によって支援されることになっております。
  111. 釘宮磐

    ○釘宮磐君 きょうは、総理をお迎えして最後質疑を行っているわけでありますが、今までの議論にもありましたように、今回のこの介護保険制度の導入というものについては、国民は大変大きな期待と一方では不安を抱えておる。そのことがこの委員審議の中でも今まで数々指摘をされてきたところであります。この制度が二十一世紀の超高齢化社会の中で本当に国民介護ニーズをきっちりと受け取るそういう受け皿にしていくために、ぜひこれまでの議論を踏まえてよりよい制度をつくっていただくように私からも総理にまずお願いをしておきたいと思います。  そこで、数点、総理にお伺いをしたいと思うんです。今回の介護保険制度の加齢疾病条項というものが導入されたために、いわゆる難病患者を初めとする障害者に対する介護というものが除外をされたわけでありますが、実はALSを初めとする難病患者の皆さんが非常に切実な要望を我々に求めてまいりました。私はこの難病患者の皆さん方の気持ちというのは本当によくわかるわけでありまして、これはようやく障害者プランのスタートによってこういう難病患者に対する福祉施策の道が開かれたばかりであって、その緒についたばかりである。したがって、今回のこの介護サービスの中から除外されたということになれば、私はこれから難病患者に対する介護福祉サービス整備拡充ということは喫緊の課題であろうというふうに思っております。  総理はそれこそ厚生行政の今日まで中核におられた方でありますので、この難病患者の皆さん方の思いを重く受けとめて今後の福祉制度の拡充に対して努力をしていただきたいと思いますが、決意をお伺いしたいと思います。
  112. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今、議員の御指摘を受けながら、改めて数字見直しながら御意見を承っておりました。  難病対策というものが制度として発足をいたしましてからいつの間にか四半世紀を過ぎようとしているわけであります。そしてこの間、医学、医療の進歩など、患者を取り巻く環境というものが随分変化をしてまいりました。こうした変化を踏まえまして、重症患者に重点を置いて難病対策を質的に充実していかなければならない。そのためにも医療費の公費負担制度を含めて、制度全般について今厚生省見直しを行っております。  この見直しの中で私どもが気をつけていかなければならないこと、それは特に重症者に対する拠点病院をいかに整備し確保するか。同時に、在宅の療養支援体制をどうするか。当然のことながら、こうしたものに対する強化を図っていかなければならない。私どもとしてはこの問題をそのように受けとめている次第であります。
  113. 釘宮磐

    ○釘宮磐君 よろしくお願いしたいと思います。  次に移りますが、今回の審議の中でもたびたび指摘をされた問題でありますが、保険あってサービスなしと、これをいかに解消していくかということが大きな課題になるわけです。とりわけ私は、過疎地域そして離島、こういうところにお住まいの人たちが本当に都市部の皆さんと同じような介護サービス、とりわけ在宅サービスというのが今回は企業の参入によってその勢力に大きくゆだねる部分があるわけですが、こういうところにはなかなか企業参入も難しいんだろうというふうに思うわけです。  こうした過疎地域や離島に対するサービス提供についての基盤整備、この点については総理はどういうふうにお考えになっているか、お伺いしたいと思います。
  114. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 介護サービス基盤整備の必要性は議員から御指摘をいただくとおりでありますし、その中におきまして、私は必ずしも離島あるいは過疎地域において民間サービスが活用できないとばかりは思っておりません。むしろ、そうした点に視点を置いた民間サービスというものもあり得るだろうと考えている部分はございます。  しかし、そうしたこととは離れまして、まさにその地域の特性に応じた対策が講じられますように、例えば小中学校の空き教室など、これを既存の資源ととらえて、こうしたものを活用していくこと、あるいはそうした地域にも恐らく存在するであろう農業協同組合などの組織、これを民間活力としてとらえて、これを導入していく、いろんな手法というものを我々はこれから考えなければならないと思います。  そうした多様な手法を活用することも含めて積極的に支援をしていきたいと今考えておりまして、ぜひまたよきアイデアがありますならお知らせをいただきたい、協力をいただきたい、率直にお願いを申し上げます。
  115. 釘宮磐

    ○釘宮磐君 これから積極的なアイデアを凝らしながら、そういった不安を除去していこうという総理の前向きな御答弁をいただいたわけでありますが、確かに過疎地域や離島というのは高齢化率が高いところは四〇%というような状況になって、本当に若い人がいないわけですね。そういうところであればこそ、介護保険が導入された、その制度が導入をされたけれども、それによって本当にサービスが提供できるんだろうかという不安があるということ、これはぜひ理解をしておいていただいて、とりわけ配慮をしていただきたいということをお願い申し上げておきたいと思います。  次に、介護保険の財源の問題についてお伺いをしたいと思うんです。  介護保険の導入に伴って財源に対する不安というのは、これは保険主体となる市町村からも強く指摘をされてきたところであります。一部の自治体ではこうした不安から、介護サービスの需要の掘り起こしをしないようにという指導をしたり、介護サービスの抑制を図るというようなところも出てきていると漏れ聞いております。これは先行する医療保険において、国家財政が非常に厳しい中で診療報酬改定財源が捻出できずに制度改正を積み重ねてきた現状があるわけです。こうした中で、今回の介護保険が社会保険方式を導入したからといって本当に十分な介護サービスを提供することができるのかどうかというような不安が指摘されております。  厳しい財政状況が中長期的に予想される中で、このままではせっかくの公費投入がかえって介護保険の足かせとなりかねないというふうに心配するわけでありますが、安定した公費財源を今後どう確保していくのか、この点についてお聞かせをいただきたいと思います。
  116. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) もうよく御承知のとおりのことでありますけれども、現在の老人福祉サービス、これは公費のみで財源が賄われております。しかし、これを半分保険料財源にする、同時に、その要介護度に応じた定額的な支払いがその基本である、さらに民間活力の活用などによりまして介護サービス費用の効率化が図られる、こうした仕組みが今回の制度一つの特色かもしれません。  こうした点を考えました場合、現行の制度に比べまして公費財源の効率化にも当然のことながら資すると考えておりまして、安定的な制度運営が十分可能だと考えておりますけれども、今後ともにそうした意味で必要な財源確保というものにも努めていきたい、そのように思います。
  117. 釘宮磐

    ○釘宮磐君 次に、介護保険制度における具体的なサービス水準についてお伺いをしたいと思います。  今回の介護保険の導入ということについて国民は、先ほども申し上げましたように、一方では大きな期待を持っている。期待を持っているがゆえに、保険に加入すれば即介護ニーズにすべて対応してもらえるのではないかという思いも、私はこれ当然の思いの中にあるんだろうと思います。  私は、今回の審議の中で、まずこの介護保険サービス水準を早く明示すべきだと。というのは、上乗せだとか横出したとかというような、民間サービスのオプションがつくというようなことが今回の答弁の中でも入っていますけれども、そのベースとなるものをはっきり示さないと、実際に保険がいよいよ施行されるようになった、制度施行されるようになったときに、何だこんな状況なのか、これではもう入ったってしょうがないということで、保険料を納入することをやめる、保険から脱退するというようなことが出てきて、保険の空洞化ということにつながっていってはこれは大変なことになるんだろうというふうに思います。  したがって、できるだけ早く介護保険によるサービス水準を明示すべきだというふうに思いますが、この点についていかがでしょうか。
  118. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) これは本当に大事な点だと思います。そして、もう既に御承知のように、介護保険制度の中におきまして、巡回型の訪問看護などを組み合わせることによりまして、二十四時間対応を含めた、あるいは視野に入れた在宅サービス水準というものを目指すことにしておりますが、地域の実情に応じて段階的にその水準は引き上げられていきます。  その介護の必要度に応じて利用できる介護サービスの具体的な内容というものは、標準的な利用事例をパンフレットなどでお示ししているところでありますけれども、なおその周知徹底を図れという点は、当然事務方の諸君も十分検討し、都道府県あるいは市町村とも御相談をしながら、制度実施に向けて、地域の実情に応じて段階的にサービス水準を引き上げていく、こうした点についても正しい理解をいただけるように努力をしてまいりたいと思います。
  119. 釘宮磐

    ○釘宮磐君 我々が、例えば民間の保険会社と契約する、保険に加入する場合は、当然どういうものがサービスとして出てくるかということは、それは明示された上で契約を結ぶわけですから、ある意味では当然のことだと思いますし、できるだけ早くそうしたサービス水準を明示すべきだというふうに思います。  最後に、今回の介護保険の導入によって、福祉関係者が非常に大きな不安を持っております。私も、長年施設の責任者として仕事をしてきた関係で、これは総理もその点は十分御承知だと思いますが、社会福祉施設というのは、従来措置費制度というもので運用されてきました。したがって、措置費制度というのは、これは公費がきて委託を受けるわけですから、その使途についてはかなりの制限があった。いわゆる規制が非常にあったわけであります。しかし、今回、介護保険制度が導入されることによって、いわゆる医療法人やさらには民間の企業、こういうところと同じ土俵で競争をしていかなきゃならない。  一方で、そういう手かせ足かせをされた中でこういう競争の中に突入していくことについて福祉関係者に大きな不安があるということをまず申し上げておきたいと思います。私は、これは小泉大臣にもしばしばこの問題については申し上げてきたところでありますが、特に今回、競争原理ということが強く言われているところでありますから、この社会福祉法人に対する規制緩和について、最後総理の見解を聞かせていただいて私の質問を終わりたいと思います。
  120. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 介護サービスというものがスタートいたしました段階では、恐らく多様な主体の参入が見込まれるでありましょう。そうした中で、確かに議員が言われるように公平な競争というものは存在しなければなりません。この制度実施までに各種の規制緩和あるいは競争的環境の整備検討しなければなりませんが、社会福祉法人につきましても、現在関係審議会で進められている社会福祉事業のあり方全般の見直しの中において、その業務あるいは財務を見直すこととしておるとのことであります。  そうした見直しの中におきまして、創意工夫を凝らした活動ができるように所要の規制緩和を検討していきたい、そのように思います。
  121. 山本正和

    委員長山本正和君) これにて内閣総理大臣に対する質疑は終了いたしました。  他に御発言もなければ、三案に対する質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」「異議あり」と呼ぶ者あり〕
  122. 山本正和

    委員長山本正和君) 異議がありましたので、改めて採決を行います。  三案に対する質疑を終局することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  123. 山本正和

    委員長山本正和君) 多数と認めます。よって、三案に対する質疑は終局することに決定いたしました。  介護保険法案及び介護保険法施行法案の修正について今井君から発言を求められておりますので、これを許します。今井澄君。
  124. 今井澄

    今井澄君 私は、ただいま議題となっております介護保険法案及び介護保険法施行法案に対し、自由民主党、民主党・新緑風会、社会民主党・護憲連合及び太陽を代表いたしまして、修正の動議を提出いたします。その内容は、お手元に配付されております案文のとおりでございます。  これより、その趣旨について順次御説明申し上げます。  まず、介護保険法案に対する修正案について申し上げます。  介護保険法案に対する修正案の趣旨は、介護保険事業の運営が健全かつ円滑に行われるよう国が講ずべき必要な各般の措置として、保健医療サービス及び福祉サービスを提供する体制の確保に関する施策を明記することであります。  次に、介護保険法施行法案に対する修正案について申し上げます。  介護保険法施行法案に対する修正案の趣旨は、第百四十回国会で成立した健康保険法等の一部を改正する法律平成九年九月一日から施行されたことに伴い、介護保険法施行法案第二十九条等の規定について所要の整理を行うことであります。  以上であります。  何とぞ、委員各位の御賛同をお願いいたします。
  125. 山本正和

    委員長山本正和君) これより三案及び両修正案について討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  126. 山本保

    山本保君 私は、平成会を代表して、介護保険法案及び修正案並びに同法施行法案及び修正案に反対の立場から、また、医療法の一部を改正する法律案に賛成の立場から討論を行います。  平成会は、国の責任を基本とし、国民権利を保障する介護制度の抜本的改革を直ちに進めるべきであると主張しております。しかし、今回の保険方式による制度の創設は、低所得者の切り捨てに象徴される重大な弊害が多く、財政の効率性の観点からも、市町村家族サービス提供者それぞれの円滑な実施が困難であることからも到底認めることはできません。また、ただいまの修正案によってもそれは解決することはできないと主張いたします。  具体的に申し上げます。  第一に、国は介護制度基盤整備をこそ真っ先に進めるべきであります。市長会有志の緊急要請に示されるように、介護体制地域で大きな格差があり、保険あってサービスなしの事態を招くことが危惧されておりますのに、この現状が全く配慮されておりません。  第二に、サービス供給体制を措置制度から私的な契約に転換するためにはその前提となる良質なサービスを十分確保するための社会福祉法人のあり方見直しがおくれており、営利企業やボランティアや市民参加型公益法人が参入するための条件が適正、公正なものになっておりません。これに加え、保険料積算根拠たるサービス価格の実態も把握せず、これを大臣が一律に定めれば、薬価差益問題と同様に際限のない保険料の値上げに結びつくおそれがあります。  第三に、社会保険方式は事実上の目的税でありますから、その給付水準や保険料法律に定めることが議会制民主主義の原則でありますのに、これが規定されず、行政の一存で保険料が改定できることは今後に大きな問題を残すものであります。  第四に、この法案制度の具体像は三百にも及ぶ政省令にゆだねられております。これでは国民が知ることもできず、介護への合意形成もできないものであります。これらの具体策を立案してから国会に提出すべきものであります。  以下、項目だけを挙げますけれども、明らかに不合理な差別である六十五歳未満の障害を持たれた方の排除、要介護認定の適正確保に関する不安、不服申し立てルールの不備、保険給付対象事業者の指定条件の未整備、ホームヘルパーや介護支援専門員等の身分保障や養成課程、配置基準等の未整備等、制度中心が今後運用面で努力しますとの答弁に終始してまいりました。  これらにつきまして、本委員会ではすべての会派から不安が表明されました。審議時間は長かったとしても、その審議内容制度に反映されないのではないかといういら立ちを感じております。本来ならば、これらの不安を払拭しつつ、さらに審議を進めていくべきだというのが各委員の率直な気持ちではないかと推察するものであります。  よって、平成会は介護保険法案及び修正案また同法施行法案及び修正案に反対いたします。  また、地域医療体系のシステム化やインフォームド・コンセントについての取り組み等を評価し、医療法の一部改正法案については賛成いたします。  なお、最後に、今後介護保険制度の全容が国民の前に明らかになるにつれ、この制度の大幅な見直しをしなければならなくなるでありましょう。その際には、各党また行政関係者とも真摯な再検討をお願いいたしまして、討論といたします。
  127. 今井澄

    今井澄君 私は、民主党・新緑風会を代表して、介護保険関連法案と修正案に賛成する立場から討論を行います。  日本は、二十一世紀に向け急激な少子・高齢化を迎えております。そして、寝たきりや痴呆などを含む要介護高齢者、虚弱高齢者が、現在でも約二百万人おりますが、二〇二五年には五百二十万人に達すると見込まれております。  そうした時代に高齢者がみずからの能力を生かし、みずからが望む環境の中で人間としての尊厳を保って生活することができる、自立と選択の可能な介護システムの構築が求められております。そのことを別の面から見れば、家族介護が強いられている現状で、介護地獄とも言われる状況から家族を解放し、ひいては愛情あふれる家族による支えを実現するために、介護の社会化を保障する介護システムの構築が求められております。  そういった介護システムとして、介護保険制度国民の支持と期待も高く、早期の確立が必要とされております。負担と給付明確化、要介護者権利性の確立、財源確保の確実性、民間活力を活用することの容易さなど、社会保険制度によるシステム創設が現実的な選択肢であります。  しかしまた、本委員会において多くの委員指摘し、多くの参考人、公述人が述べているように、幾多の問題が残されております。  第一は、介護基盤整備の必要性であります。要介護者が選択できるためにも、良質のサービスが競って提供されるためにも、多様な主体によるサービスの十分な提供が保障される必要があります。そのためには、国及び地方自治体の一層の努力が必要とされております。  さらに、保険財政の安定的運営への国の支援、低所得者への保険料や利用料の減免など、要介護認定が迅速かつ公明、公正に行われること、不服や苦情の申し立てが簡便かつ迅速に行われるなど、被保険者にとって利用しやすい制度として運用される必要があります。また、介護サービスのメニューも拡充する必要があります。  一方、詳細な内容政省令事項にゆだねられており、また、新しい制度はあらかじめ予見できない問題を含んでいると考えられますので、本厚生委員会においても、引き続き、制度の仕上げに向けて取り組みを続ける必要があります。  以上の観点から、介護保険制度を、すべての人々の手で支え、国、都道府県市町村が協力し合い、二十一世紀の展望を切り開く新たな制度として育てていくことを切に願いながら、私の賛成討論を終わります。
  128. 西山登紀子

    西山登紀子君 私は、日本共産党を代表し、介護保険法案及び修正案、同施行法案及び修正案について反対の討論を行います。  反対理由の第一は、介護基盤整備について国の責任が明記されておらず、また新ゴールドプランも不十分であり、保険あって介護なしとなることです。  特別養護老人ホームの場合、全国の都道府県の担当者から直接聞き取り調査を行った結果、九万八千人を超える待機者がいることがわかりました。現時点でさえ、新ゴールドプランの整備目標二十九万人より四万人以上も足りません。また、ホームヘルパーも非常勤の急増などで、介護要望にとても追いつける状況ではありません。  反対理由の第二は、保険料、利用料の負担が重い問題です。特に、六十五歳以上の高齢者は新たに月額平均二千五百円の保険料と一割の利用料を支払うことになり、現在より負担が重くなります。これでは保険料の滞納者がふえることは間違いありません。施設入所者の七割が保険料や利用料を払えないことも報告されています。  第三の理由は、要介護認定の問題です。九六年度モデル事業によれば、コンピューター処理の一次判定と認定審査会で行う二次判定では、約三割のずれが生じています。要介護認定の方法、基準体制については、実態を反映した信頼できる方法を確立すべきです。  さらに、介護手当はなく、四十歳から六十四歳までは加齢に伴って生ずる疾病に限定されるなど不公平な内容となっています。  しかも、重大なことは、財政構造改革法によって、二〇〇〇年まで社会保障関係費の大幅削減が図られることです。これでは公的介護基盤整備が困難になるだけでなく、高齢者を初めとする国民にさらなる負担を強いることになり、ますます保険あって介護なしにならざるを得ません。  このように問題のある政府の介護保険法案に対し、参考人や公述人、そして全国の自治体、さらにマスコミなどからも深刻な不安や懸念の声が広がっています。それを無視して見切り発車すべきではありません。修正案もこの声にこたえるものとは到底言えません。介護保険法案は廃案にし、抜本的につくり直すことを強く求め、私の反対討論を終わります。
  129. 清水澄子

    ○清水澄子君 私は、自由民主党並びに社会民主党・護憲連合を代表して、介護保険法案介護保険法施行法案及び医療法の一部を改正する法律案並びに介護保険法案に対する修正案及び介護保険法施行法案に対する修正案について賛成の討論を行います。  介護保険法案は、衆議院で、市町村介護保険事業計画について、被保険者意見を反映させること、法律施行後五年を目途に介護保険制度の全般に関する検討を行う旨の修正がなされ、参議院に送られてきました。  私が衆議院送付案に賛成する理由は、次のとおりであります。  まず、介護を再定義して、終末期のお世話から高齢者の自立を支援することとしたことです。福祉理念の画期的な転換であり、介護サービスの提供が利用者本位に行われることが期待されます。  第二に、高齢者の世代内連帯と世代間の連帯とを適切に組み合わせたことであります。社会保険方式にはさまざまな批判があることは承知しておりますが、介護保険制度全体では、介護保険料と同額の公費が投入されることになっている点も強調しておきたいと思います。  第三に、住みなれたついの住みかに、医療、介護、福祉の専門的なサービスを取り入れたことです。高齢者自身地域社会の一員として、積極的に地域に参加して生きることが期待されます。  第四に、保険者である市町村の行政に、住民、特に当事者である高齢者や女性が参画する道を開いたことであります。介護から広がる地域のデモクラシーとは、介護問題に取り組んできた人々の願いでもあります。  人はだれしも老いを迎えます。介護が必要になっても、みずからの能力を最大限に生かして、みずからが望む環境で、個人の尊厳を保持しながら人生を過ごせるような社会にすべきであります。豊かな長寿社会の実現は、福祉と市民とのきずなを結ぶ今日の政治に課せられた重い使命であることを深く自覚するものであります。  当委員会におきましても、介護保険関連法案について六名の参考人から御意見を伺いました。そして、高知県、山梨県、愛知県、大分県の四カ所で開会した地方公聴会、さらに国会における中央公聴会で、延べ四十名の公述人から貴重な御意見を伺いました。衆議院を上回る六十時間にも及ばんとする審議を経て、介護保険法案には少なからず問題があることも判明しましたが、これらの問題点は今後の政治の努力によって乗り越えられるものであると信じます。それが私どもに課せられた責務であるとの決意をここに表するものであります。  介護を待つ高齢者やその家族を思うとき、もはや一刻の猶予も許されません。できる限り速やかに介護保険制度を発足させるとともに、改善すべき点を明らかにして、国会はその責任を全うすべきであります。  ただいま介護保険法案に対する修正案が提出されましたが、この修正案は、国の責務に保健医療サービス及び福祉サービスを提供する体制の確保を明記しようとするものであり、人材や施設といった基盤整備に関する国の責任を明確にするものとして高く評価できます。  以上、衆議院送付案及び修正案は、我が国の立ちおくれた介護問題の解決を図り、社会全体で介護を支えようとするものであり、利用者本位の良質な介護サービスを提供しようとするものであります。多くの国民の期待にこたえるものと確信いたします。  最後に、政府に対し、法律施行までの間においても、福祉の人材の確保と雇用の促進、介護施設の充実など、介護基盤整備が十分に図られ、市町村に対する財政支援、低所得者に対する施策の充実、介護サービスの質の確保と情報公開、利用者の権利擁護などの検討と必要な措置が十分に行われるべきであることを強く要請して、私の賛成討論を終わります。
  130. 山本正和

    委員長山本正和君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより三案について順次採決に入ります。  介護保険法案について採決を行います。  まず、今井君提出の修正案の採決を行います。  本修正案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  131. 山本正和

    委員長山本正和君) 多数と認めます。よって、今井君提出の修正案は可決されました。  次に、ただいま可決されました修正部分を除いた原案全部の採決を行います。  修正部分を除いた原案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  132. 山本正和

    委員長山本正和君) 多数と認めます。よって、修正部分を除いた原案は可決されました。  以上の結果、介護保険法案は多数をもって修正議決すべきものと決定いたしました。  次に、介護保険法施行法案の採決を行います。  まず、今井君提出の修正案の採決を行います。  本修正案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  133. 山本正和

    委員長山本正和君) 多数と認めます。よって、今井君提出の修正案は可決されました。  次に、ただいま可決されました修正部分を除いた原案全部の採決を行います。  修正部分を除いた原案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  134. 山本正和

    委員長山本正和君) 多数と認めます。よって、修正部分を除いた原案は可決されました。  以上の結果、介護保険法施行法案は多数をもって修正議決すべきものと決定いたしました。  次に、医療法の一部を改正する法律案について採決を行います。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  135. 山本正和

    委員長山本正和君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、浜四津君から発言を求められておりますので、これを許します。浜四津敏子君。
  136. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 私は、ただいま議決されました介護保険法案介護保険法施行法案及び医療法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、平成会、民主党・新緑風会、社会民主党・護憲連合及び太陽の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。    介護保険法案介護保険法施行法案及び医療法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)  政府は、次の事項について適切な措置を講ずるよう努力すべきである。  一 介護保険制度の円滑な施行を図るため、新ゴールドプランの確実な達成を図るとともに、早急に介護保険事業計画等の策定に向けた準備に取り組み、制度施行後においても、介護サービス基盤の着実な充実が図られるよう、介護保険制度導入に伴う財政影響等を踏まえて、地方自治体策定する介護保険事業計画等の達成のため、所要の支援措置を講ずること。  二 介護保険法施行法に基づき在宅介護サービスに係る経過的な給付水準を定める市町村について、できる限り早期に全国標準的な給付水準の達成が図られるよう、積極的な支援措置を講ずること。また、離島、中山間地域等の過疎地における介護基盤の早急な整備を支援すること。  三 市町村による安定的な保険財政の運営及び円滑な保険者事務の執行が行われるよう、市町村の実情を踏まえた、適切な支援措置を講ずること。  四 在宅介護サービスについては、民間企業、農協、生協、シルバー人材センター、ボランティア団体等多様な事業主体の活用が図られるとともに、介護サービスの質の向上につながるよう、事業者の指定基準の設定やサービス提供方法の在り方等において、配慮すること。  五 介護施設については、一元化の方向を目指しつつ、その機能・役割分担の明確化を図るとともに、社会福祉の構造を見直す観点から、施設整備費補助金の在り方、社会福祉法人の在り方等について検討を進めること。特に、介護保険制度施行に向け、地方公共団体において、社会的入院及び特別養護老人ホームの入所待機者の解消を図るため、長期入院や入所待機の実態の把握、適切なケアマネジメントの方法、在宅サービスと均衡の取れた施設整備の在り方等について具体的な方策が講じられるようにすること。  六 療養型病床群については、介護保険制度の円滑な施行を図るため、適切な療養環境を確保しつつ着実な整備を進めるため、介護力強化病院からの転換の支援等所要の措置を講ずること。  七 介護保険法施行日前に特別養護老人ホームに入所している者については、法施行後も、その処遇が急激に変化することのないよう十分に配慮するとともに、法施行後における養護老人ホームの在り方については所要の検討を行うこと。  八 ホームヘルパー、介護支援専門員介護サービスを担う人材の安定的な確保が図られるよう、民間事業者の参入促進、潜在的な人材の掘り起こし、適切な養成研修システムの確立及び介護報酬上の評価等の措置を講ずること。  九 介護報酬については、民間事業者の参入を促し、質の高いサービスの選択が可能となるような水準とするとともに、その設定に当たっては、介護の困難度、地域差、要介護度の改善への動機づけ等を勘案すること。また、特別養護老人ホーム等事業者が円滑に介護保険制度に移行できるよう必要な配慮を行うこと。  十 要介護認定業務については、介護保険制度施行までの間に十分な試行を行い、公平、公正な審査判定基準の設定等に努めるとともに、申請手続の簡素化及び認定業務の迅速化を図ること。あわせて、痴呆の要介護度については、介護の実態に応じた認定が行われるよう配慮すること。また、介護認定審査会は介護保険の根幹をなす重要な機関であることにかんがみ、その委員については、保健・医療・福祉の幅広い専門家による公平性と専門性を重視した構成とすること。  十一 第一号被保険者保険料及び利用料に係る高額介護サービス費の設定に当たっては、高齢者所得・資産・生活の実態を踏まえ、困窮する低所得高齢者に対して配慮すること。  十二 被保険者によるサービス選択という介護保険の理念を実現するため、地方公共団体において、介護事業者等介護サービスに関する情報が、広く被保険者に提供されるよう配慮するとともに、介護保険事業計画の策定等に係る被保険者意見の反映について、適切な方策が講じられるようにすること。また、サービス提供事業者及び介護保険施設が自らサービスの質の評価を行い、その質の向上に努めるよう指導すること。  十三 国民健康保険団体連合会が実施する苦情処理業務の運用に当たっては、被保険者が申し立てしやすいように、身近な窓口での受付、申立ての方法等に配慮すること。  十四 配食サービス等の介護保険給付に含まれないサービス並びにデイサービスや福祉用具の利用など、介護保険法及び老人福祉法に共通するサービスについては、地域での高齢者の自立生活を支援する観点から、相互の連携に留意し、その総合的な推進に配慮すること。また、独居老人等で介護保険給付対象とならない者に対する総合的な福祉サービスの推進を図ること。  十五 難病患者を含む若年障害者に対する介護サービスについて、高齢者に対する介護保険給付と遜色のないものとなるよう、障害者プランに基づき、その拡充を図るとともに、その確実な達成のため、障害者基本法に基づく市町村障害者計画が全ての市町村策定されるよう、地方公共団体に対して適切な指導を行うこと。また、障害者が六十五歳に達し、介護保険給付対象になることがあっても、それ以前に受けていた福祉サービスの水準を維持することができるよう、必要な措置を講ずること。  十六 介護支援専門員在宅介護支援センターにおける相談助言、要介護者の立場に立った適切・公正な介護サービス計画作成、要介護認定等に関する不服申立制度の周知等を通じ、要介護者本人の意向を尊重したサービスが提供され、被保険者権利が擁護されるよう努めるとともに、自己決定の理念を尊重した新たな成年後見制度の創設について、立法化を含めた検討を行い、必要な措置を講ずること。  十七 要介護認定基準、特定疾病の範囲、介護事業者の指定基準介護報酬保険料の算定方法等、介護保険制度の基本的事項については、適正な手続の下に決定過程の透明化を図りつつ、できる限り早急にその基本的考え方等を明らかにすること。また、法律によって政省令に委ねられた重要事項については、本委員会に報告すること。  十八 今後の高齢化の進展を踏まえ、社会保障構造改革を進めるに当たっては、歳出の効率化を図るとともに、その財源の在り方については、社会保障の負担と経済活動との関係国民負担全体の中での直接税、間接税及び社会保険料の在り方、若年層と高齢者層の負担の均衡、給付と負担の関係の明確性、自己負担と公的支援の役割分担と連携等を総合的に勘案し、検討を加えること。  十九 地域医療支援病院とかかりつけ医の機能分担・連携をさらに進め、大病院への患者の集中を是正するための適切な措置を講ずること。また、医療機関の広告事項に関しては、認定基準明確化等を図った上で専門医資格を追加するなど医療における情報提供の推進を図ること。  右決議する。 以上でございます。  何とぞ、委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  137. 山本正和

    委員長山本正和君) ただいま浜四津君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  138. 山本正和

    委員長山本正和君) 多数と認めます。よって、浜四津君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、小泉厚生大臣から発言を求められておりますので、これを許します。小泉厚生大臣
  139. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) ただいま御決議のありました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重し努力いたします。
  140. 山本正和

    委員長山本正和君) なお、三案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  141. 山本正和

    委員長山本正和君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時四十五分散会      —————・—————