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1997-11-18 第141回国会 参議院 厚生委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年十一月十八日(火曜日)    午前十時開会     —————————————    委員異動  十一月十三日     辞任         補欠選任      牛嶋  正君     渡辺 孝男君      朝日 俊弘君     今井  澄君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         山本 正和君     理 事                 上野 公成君                 南野知惠子君                 浜四津敏子君                 清水 澄子君     委 員                 石井 道子君                 尾辻 秀久君                 田浦  直君                 中島 眞人君                 中原  爽君                 長峯  基君                 宮崎 秀樹君                 木暮 山人君                 水島  裕君                 山本  保君                 渡辺 孝男君                 今井  澄君                 西山登紀子君                 釘宮  磐君    国務大臣        厚 生 大 臣  小泉純一郎君    政府委員        厚生大臣官房審        議官       江利川 毅君        厚生省健康政策        局長       谷  修一君        厚生省老人保健        福祉局長     羽毛田信吾君        厚生省保険局長  高木 俊明君    事務局側        常任委員会専門        員        大貫 延朗君    説明員        法務省民事局参        事官       小林 昭彦君     —————————————   本日の会議に付した案件介護保険法案(第百三十九回国会内閣提出、第  百四十回国会衆議院送付)(継続案件) ○介護保険法施行法案(第百三十九回国会内閣提  出、第百四十回国会衆議院送付)(継続案件) ○医療法の一部を改正する法律案(第百三十九回  国会内閣提出、第百四十回国会衆議院送付)(  継続案件) ○公聴会開会承認要求に関する件     —————————————
  2. 山本正和

    委員長山本正和君) ただいまから厚生委員会開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る十三日、牛嶋正君及び朝日俊弘君が委員を辞任され、その補欠として渡辺孝男君及び今井澄君が選任されました。     —————————————
  3. 山本正和

    委員長山本正和君) 介護保険法案介護保険法施行法案及び医療法の一部を改正する法律案を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 平成会渡辺孝男でございます。  前回に引き続き、介護保険法関連法案につきまして質問をさせていただきたいと思います。  まず最初に、この介護保険法案とほかの社会保障関係法案との関連につきまして質問させていただきたいと思います。  有識者の中には、この介護保険法案の創設が今後の社会保障構造改革推進力につながるとの理由で、法案に多少問題があっても成立に賛成するとの見解を示されている方があります。すなわち、この政府提案介護保険法案成立すれば、一つには保険料負担個人単位化が進み、将来的には健康保険の被扶養者に対しても保険料徴収の道が開かれる。  二つ目には、生活保護を受けている方にも生活保護費に今回の場合には介護扶助を設けるという形で介護保険料を払っていただく。このような形で、将来には国保においても同様に生活保護費保険料を見てあげて保険料を払ってもらう、そのような仕組みを導入できる。  三番目には、介護保険と同様に、国保におきましても年金から保険料を徴収できる仕組みを導入できる。  四番目には、介護保険と同様に、老人医療制度でも定率負担を求めやすくなる。  そのような理由介護保険制度あるいは老人医療保険制度の改正につながっていく。そのような点を肯定的にとらえまして、政府提案介護保険早期成立を推奨するような有識者の方もおられるわけでございます。  このような観点に関しまして、厚生省としてはどのようにお考えになっているのか。そのとおりだというような考えなのか、それとも、いやこれとは関係ないのだというような考えなのか、お聞きしたいと思うんです。私自身は、このような違った意味での意図を持って介護保険法早期導入を図るのは、やはり介護保障制度の本質をゆがめるおそれがあるというような意味で問題を含んでいるのではないか、そのように考えるわけでありますけれども、厚生省見解並びに厚生大臣の御所見をお伺いできれば幸いでございます。
  5. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 今のお話、問題点として挙げられましたけれども、この介護保険法案本旨は何かといえば、それは二百万人以上に達している要介護者の問題を個人の問題、家族の問題にとどめておいていいのか、社会全体で支える仕組みをつくりたいというのが大方国民の声だったと思います。  そういう観点から、今後毎年十万人はどんどん要介護状態の方がふえてくる。そして、今や家族、特に御婦人の介護にかかわる御苦労というのは並大抵のものではない。子供が親を介護する時代から、むしろ六十過ぎの親が八十過ぎの親を介護している。このまま放置していいだろうか。これはやはり個人なり家族なりに任せておくのは限界である、社会全体で支えていこうという大方国民の声を受けて私はこの介護保険制度を導入しようという機運になったと思います。  もちろん医療制度等関連もあります。社会的入院等の問題もあります。そういう本旨というものを見失うべきではない。いろいろ問題点はあります。それでは全く放置していいのかという問題ではないと私は思います。当然、心配される点はあると思います。それは今後、十二年度四月以降導入して実施してから今想定できないような問題点も出てくると思いますが、それは実施後の状況を見ながら改善すべきではないのかなと。むしろ、今は一日も早くこの介護状態個人家族の問題として任せていることから、お互い助け合うという連帯感を持って介護保険制度を導入しようという、この法案本来の趣旨というものを見失わないで御審議をいただきたい、そういうふうに私は考えております。
  6. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 そういう意味でありますと、今回の介護保険法案が通るということになれば、自己負担が一割負担になるわけでありますけれども、それ自体は今後の老人医療保険制度の一割定率負担というような方向に直接結びつくものではないというようなお考えと承ったわけであります。また、保険料個人単位での負担、そういうものにも直接結びつくものではない、別個である、そのようなお答えであったかなというふうに考えますけれども、それでよろしいでしょうか。
  7. 高木俊明

    政府委員高木俊明君) 医療保険介護保険との関係お尋ねだと思います。  私は、やはりそれぞれの制度、当然のことでありますが、制度目的なり趣旨にかなったものでなければならないというふうに思っておるわけであります。そういった意味では、医療保険制度につきましては、これはやはりこれからの若い世代の方々が過重な負担にならないような制度にしなけりゃいけませんし、それからまた制度仕組みとしましても、給付と負担の公平を初めとして、制度全体としての整合性のとれた公平性というものをきちっと確立していかなきやならないというふうに思っております。  そういうような視点から、御案内のとおり、医療保険制度については抜本的な改革が必要であるということで、この改革に今着手しているわけであります。医療保険制度につきましては、そういった視点から医療保険制度にふさわしいような仕組みというものを考えていきたいというふうに思っております。
  8. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 続きまして、二十四時間の巡回ホームヘルプサービスに関しましてお尋ねしたいと思います。  介護保険が導入されますと、日中だけのホームヘルプサービスだけではなくて、夜間ホームヘルプサービスを受けたいというような方も当然ふえてくると思います。やはり、二十四時間巡回型のホームヘルプサービスというのは早急に充実していかなければならない、そのように考える次第であります。  今回、公明千葉県本部で、千葉県内の八十市町村で二十四時間ホームヘルプサービス現状調査した表があるのですけれども、それでは、八十ある市町村の中で実際に行っているのは二市だけでしかないということで、まだまだこの二十四時間ホームヘルプサービスというのは実際はまだ余り行われていないのではないか、そのような現状かと思いますけれども、実際全国的にはどの程度二十四時間型のホームヘルプサービスが行われているのか、その現状について、資料がございましたらお教えいただきたいと思います。
  9. 羽毛田信吾

    政府委員羽毛田信吾君) 現在の二十四時間対応型のヘルパー派遣事業でございますが、これにつきましては、平成七年から実は国の補助事業で、いわゆる加算をするという形の対象にいたしたわけでございます。したがいまして、国の事業として取り上げてまだ間がないということもございまして、平成九年の二月現在で申し上げますと、六十五市町村の七十五事業国庫補助事業という意味ではとどまっております。
  10. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 そうしますと、六十五市町村といいますと、全国的な比率でいきますと何%ぐらいになるわけでございますか。
  11. 羽毛田信吾

    政府委員羽毛田信吾君) 済みません、ちょっと今、パーセントを申し上げませんでしたけれども、全国の市町村が三千二百五十五でございますから、その中での割合という意味からいえば、まだこれから普及をしていかなければならない余地の多い数字であることは間違いございません。
  12. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 新ゴールドプラン達成目標、一九九九年の時点でこの二十四時間型のホームヘルプ事業、それを厚生省としましてはどの程度まで高めていくと、そのような目標をお持ちなのか、その点に関しましてお伺いしたいと思います。
  13. 羽毛田信吾

    政府委員羽毛田信吾君) いわゆるホームヘルプサービスの中で二十四時間巡回型というものだけを取り出しての数値目標というようなものは定めておりません。しかし、新ゴールドプランの中におきましては、今後取り組むべき高齢者介護サービス基盤整備に関する施策目標ということで、数値的な目標を立てておるもの以外に、施策の中でそういう重点を置いているという中に、休日を含めた二十四時間対応ヘルパー普及を図るということを置いております。  したがいまして、数値的な目標は立てておりませんけれども、今申し上げました平成七年からそういう形で国庫補助事業に取り上げまして普及を図っておるということで、今それはいわばモデル事業的にやっておるわけであります。このホームヘルプの仕方ということも、一にかかってやっぱりそれぞれの介護を要する方々状態に応じたヘルプをどういうふうにしていくかということの一環であろうというふうに思います。  そういう意味では、現在、そういった二十四時間型のホームヘルプ事業に対する補助金加算を行うというようなことをやっておりますほかに、在宅介護支援センター、これを核にいたしまして、訪問介護とそれから訪問看護サービスを二十四時間体制で一体的に提供するような在宅保健福祉サービス総合化試行的事業というようなもの、あるいはこの部分におきましては、さらに今後の民間事業事業展開というものを介護保険をにらんでやっていくというところでの民間事業の積極的な活用というようなことを通じましてできるだけの普及を図っていきます。  さらに、これは介護保険事業実施後におきましても、できるだけそのホームヘルプサービスがこれを必要とします人たち生活実態なり、あるいは需要というものに合った形で、つまり今までですと大概は滞在型ということで割に長い時間行くと、しかしそのかわり頻回には余り行かないという形でしたけれども、状況に応じて、あるいは家族実態に応じましてはもっと短時間で頻回に行くというように、いわゆる巡回型にしなければならない。その中には休日だとか夜間というようなものも当然入ってくるということになりますので、介護保険実施後におきましても、介護保険事業計画に基づきまして、二十四時間の巡回型を含めました利用者必要性に応じたサービス提供ということを心がけた整備を進めてまいりたいというふうに考えております。
  14. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 やはり、ある程度目標というものを設定しておかないと、努力するだけではなかなか十分なサービスが提供できないのではないかと、そのように思います。特に、やはり高齢者高齢者介護するという場合には、夜間、睡眠がとれないと介護者疲れというのは物すごくひどくなりますので、共倒れということになりかねないということであります。そういう意味では、巡回型ホームヘルプサービス目標をきちんと決めて努力していくということが大切なのではないか、そのように思います。  また、介護保険が導入されることになれば、当然そういうニーズというのが高まってきて要求も強くなってくるということでありますから、ますますそういう二十四時間巡回型ホームヘルプサービスというものを充実していかなければならない、そのような方向に進むのではないかというふうに考えます。よく要介護者家族からのニーズ調査して、どの程度二十四時間巡回型ホームヘルプサービスが必要なのか、あるいは日中だけでいいのか、そういうニーズをきちんと掌握しながら、そのニーズに合った目標値に達するようにきちんと目標を設定して体制を整えるべきである、そのように要望したいというふうに思います。  それでは、次の質問に移りますけれども、老人保健施設ではやはり中間型施設と言われるように一時的な入所という形になると思うんですけれども、おおよそ三カ月、あるいは長くても六カ月入所という形になると思うんです。実際、入所されている方のいろんな要望とかで長引くことも当然あるのではないか、あるいは特別養護老人ホームに入るのを待っていて、なかなかあきがないということで延びてしまうというようなことがあるとは思うんですけれども、現在、その老人保健施設での入所の期間というものはおおよそ平均どの程度になっているのか。あるいは長期入所されている方というのはどの程度、六カ月以上入所されているような方の頻度といいますか、比率がもしわかればお教えいただきたい、そのように思います。
  15. 羽毛田信吾

    政府委員羽毛田信吾君) 現在の老人保健施設平均入所日数でありますが、平成八年の九月で申しますと、平均して百八・七日が平均でございます。  その割合でございますが、ちょっと今手元に資料を持っておりませんので、後ほどの御質問の際にでも申し上げます。
  16. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 関連しまして、その老人保健施設から退所される方の動向、病気で再度病院に入院される、あるいは在宅目的どおり戻れる、あるいは別の有料老人ホームあるいは他の老健施設に移るというようなことがあると思うんですけれども、実際その退所後の動向というものは現状ではどのような比率になっておるのでしょうか。もしその資料がありましたらお教えいただきたいと思います。
  17. 羽毛田信吾

    政府委員羽毛田信吾君) 退所後の状況、同じく平成八年の調査によって見ますというと、家庭復帰をされる方が約六六%でございます。続きまして医療機関が約二四%、社会福祉施設が七%というふうになってございます。  それから、先ほどお尋ねのございました六カ月以上の方々割合でございますけれども、四二%が六カ月以上ということになってございます。
  18. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 今の答えで六カ月以上の方が四二%おられるということでありますけれども、老人保健施設の設立当初は六カ月以上入所されるというような方は余り念頭に置かなかったのではないかなというふうに考えるわけであります。そういう長期入所されている、あるいはしなくてはならないような状況というのがあるわけですが、その点、長期入所されている方も、大目に見るという言い方はおかしいですけれども、やむを得ない地域の事情があって仕方がない場合はしばらく経過的に認めるというような方向考えてよろしいんでしょうか。厚生省はどのようにとらえているのでしょうか。
  19. 羽毛田信吾

    政府委員羽毛田信吾君) 介護保険導入後におきます施設体系のあり方につきましては、先般来の御議論もございましたように、これをまず長期的にどう見ていくかということで、一元化ということで考えていくということでございますから、そういった一元化の中でもう一回洗い直しまして、それぞれの施設の今の機能分担というものはこれでいいのか、それから今のような分かれ方でいいのかという点は長期的な一元化方向考えていくということでございます。  現在の実態で、今スタートをするところでの御議論としていえば、やはり現在、老人保健施設というものは、先生お話しになられましたように、高齢者家庭復帰をしていただくための中間的な施設ということで、リハビリテーション等を施して、ついの住みかという形ではなくてやっていただくということを老人保健施設一つの使命という形でやっております。そこは一つ押さえながら、しかし今実態におきましても長期にならざるを得ないような、特に先般来御議論のございました痴呆性高齢者方々の場合にそういった実態がどうしても出てくるというような点については、やはり当面の施設体系の中でもどのように考えていくかについては検討しなければならないであろうということを先般お答えを申し上げました。  そういったことで、やはりその点については実態施設のありようどいうことと、両方ながらに押さえていかなければならないであろうというふうに思っております。
  20. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 特別養護老人ホームに入るような方ではもう在宅に戻ることは不可能ということで自宅を処分されて入られるというような方も当然おられると思うんです。こういう老健施設に入っていらっしゃる方でも、やはり将来、特別養護老人ホームに入るというような申請を出されておって、たまたまそういう特別養護老人ホームがあいていないということで一時的に入られるという方も当然あると思うんです。そういう老人保健施設に入っているような方で、自宅を処分しなければならないというような形で、あるいは自宅を処分して親戚の家に一応住居を移して入られている方というのは実際あるというふうには聞いておるんですけれども、その頻度というのは非常に少ないということでありましょうか。その実態というのはどうでしょうか。
  21. 羽毛田信吾

    政府委員羽毛田信吾君) 今、先生仰せのようなケースがどの程度あるかということにつきましての調査というものは行っておりませんけれども、先生もお挙げになりましたように、この老人保健施設というものは高齢者家庭復帰を支援するということを目的とする施設であるという施設性格からいたしまして、そういうように住所地以外のところにお入りになる場合にも住所を移して、いわば生活の本拠をそちらに移してしまうという性格施設ではもともとございませんので、少なくともそういう実態がたくさんあるというようなことは私どもないものというふうに思っております。  したがって、住民票を移したり、あるいは自宅を処分して老人保健施設に入るためにそういう形になられるということは本来的には想像しにくいところでございます。
  22. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 また別な質問になりますけれども、やはり介護疲れのために老人虐待というようなこともしばしば耳にするわけであります。介護保険が導入された暁でも家族申請がなくてもそういう目に余るようなケースの場合には措置制度入所させるというようなことも当然考えておられるわけでありますけれども、現在におきましてはそういう高齢者虐待みたいなもので措置的に入所させているというケースというのは、いろいろ話は聞くんですが、実際にはどの程度、わずかだとは思うんですけれども、頻度的にはどの程度あるものなんでしょうか。
  23. 羽毛田信吾

    政府委員羽毛田信吾君) 介護の心身の負担の余りの重さから心ならずも虐待というようなことをした経験があるというようなアンケート調査がしばしばお挙げいただきましたようにございますとおり、やはりそういったいわば介護地獄と言われるような実態というものがあり、そういったことを解決するということとして介護保険制度ということを今回御提案申し上げているわけであります。  現在の特別養護老人ホームに措置入所される中で、そういった家庭虐待等の経過を経てこられたかどうかということについては実は直接の調査というものはございません。  それで、今の特別養護老人ホーム高齢者入所されます際の主な理由ということで、平成七年の社会福祉施設等調査というのがございまして、そこによりますと、これは実は複数回答、当然、特別養護老人ホームでございますから介護を要する方ということになるわけでありますけれども、それで、身体障害理由とするというのが六七・七%、それから精神障害理由とされるというのが二六・〇%、それから複数回答の形で、家庭事情理由とするものというのが六六・二%ございます。  当然、この家庭事情というのはそういった要介護にあられるお年寄りをなかなか家ではもう支えにくいという事情ということが大半であろうと思いますから、それがストレートに虐待等理由というものに結びつくものではございませんけれども、そういった家庭事情でなかなか家では見にくいという、いわばその極限が言ってみれば虐待ということになるのではなかろうかということでございます。したがって、直接ではございませんけれども、家庭事情というので申し上げますと、今のような統計が出ております。
  24. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 正確には調査していないということでありますけれども、やはり今後いろいろ問題になるので、余り公にはできないような家庭のプライバシーの問題もいろいろ入ってくるので、正確な資料というのはないのかもしれませんが、やはり実態としてはきちんと把握しておく必要があるのかなというふうに考える次第であります。  次の質問に入らせていただきますけれども、有料老人ホームの中には終身介護型あるいは介護専用型というようなものもありまして、また軽費老人ホームの場合にも介護保険適用サービスを受けられると。当然、先ほどお話ししました終身介護型あるいは介護専用型の有料老人ホームも、今回の法案が通れば、介護サービス在宅という形になるんでしょうけれども、受けるということになるわけでありますけれども、そういう施設で受けられる介護の場合には特定施設入所者生活介護という形で介護保険サービスを受けるということになっているようなんですが、その特定施設になる条件といいますか、介護保険適用になる条件というものはどういうものなんでしょうか。
  25. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) 特定施設入所者生活介護といいますのは、事業者都道府県知事によって指定されるわけでございます。それは一定の人員とか運営等につきまして一定基準を満たしている、そういう条件を満たしている場合に都道府県知事の指定を受けてそのサービス実施する主体になるわけでございます。この基準そのものはこれから定めていくということになります。
  26. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 これから定めていくということでありますけれども、そういう終身介護型あるいは介護専用型の有料老人ホームに入っている方にとりましては、もし介護保険サービスが受けられるのであれば、保険料を取られる、取られるという言い方はおかしいわけですけれども、介護保険料を納めるわけでありますから、そういうサービスが今度受けられるということになれば、契約したときにサービスはまた別にホームの方から受けられるという形で契約しているわけでありますので、サービス介護保険から受けられるのであれば、最初の契約のときにお支払いした契約金の中から一部分は自分に還付されるべきであるというような考えを当然持たれるのではないかというふうに考えるわけであります。  介護保険導入後、そういう有料老人ホーム、特に終身介護型あるいは介護専用型の場合にどういう扱いになるのか、契約金の還付というようなものをしていく方向で指導されるように厚生省はお考えになっているのかどうか、その点に関しましてお考えをお聞きしたいと思います。
  27. 羽毛田信吾

    政府委員羽毛田信吾君) 先生今お話ございましたように、有料老人ホーム、現に介護保険がない状態有料老人ホームの中にはそういった介護サービスつきの有料老人ホームもありますから、それは個人の契約ベースであれしておられますので、当然そういった場合には入居者から既に一時金という形でそのための費用を取っておられるというものがございます。  そうしますというと、今度介護保険制度が導入をされていわゆる介護サービスとして保険給付が出るということになりますと、その分は保険で見られてしまう。そうすると、先ほど払った一時金の中でそれに見合う部分をどうするかという調整の問題は当然出てまいります。  したがいまして、そこについてどうするかという話がこれからの課題に一つ出てくるわけでありますけれども、もともと有料老人ホームというのは個人がホームとの契約でお入りになっている事柄であります。したがいまして、事はそういった契約上のこととしての話になります。したがって、最終的には契約当事者でありますホームと入居者がどのようにその間の話し合いなり協議を持たれるかということにはなるのでありますが、ただ全体的に介護保険でそういう給付を導入するということに伴うことでございますので、私どもといたしましてもやはりその調整ということについてある種の指導に乗り出していくということをしなければならないというふうに思っております。  そうした中で、調整が必要と考えられるのはどういう部分かというようなことの特定でありますとか、あるいは調整の具体的方法をどういうふうにしていくかということにつきまして、これも恐らくそれぞれの入居一時金の払い方だとか、それを完全に単純に戻す形にするのか、あるいはほかに充当する形にするのか、いろいろそれは当事者間のことがあろうかと思います。しかし、そういう形で入居者の方々に不利になることにならないように私どもとしてもそれぞれの有料老人ホームにおける介護サービスの提供の形態も踏まえながら検討して、いわば行政としてもそこに乗り出すということを考えていきたいというふうに考えております。
  28. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 何年か前にそういう特別な終身型あるいは介護専用型の老人ホームに契約された方にとっては、介護保険が将来導入されるということを念頭に置いていなかった方も当然おられるわけです。そういう方にとっては、もしそういう契約上自分の一時支払い金を還付されないということになれば、じゃ私は当然還付していただけないのならばサービスはそのホームから受ける、介護保険では払わない、サービスを受けてもメリットがないわけですから、保険料だけ取られるということになりますので、私は払わないというようなことが出てくるのではないかというふうに考えます。  そういう意味では、契約更新の場合にきちんとそういう資金が、介護サービスを提供される分に関しましては要介護者にそういう契約金の一部が還付されるようにぜひとも努力していただきたいというふうに考えるわけであります。  そういう介護を提供するというような契約の老人ホームのほかに、提携施設型あるいは限定介護型、健康型有料老人ホームというのもあるわけであります。そういう有料老人ホームに対する介護サービスというのは主に在宅介護サービスになるわけでありますけれども、そういうホームに対してはどういう在宅介護サービスが提供される予定なのか、その在宅介護サービスの種類ですね、どこまで提供を受けられる可能性があるのか、その点に関しまして、厚生省の御見解をお伺いしたいと思います。
  29. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) 有料老人ホーム自身がサービスを行うというような場合には、先ほどの特定施設入所者生活介護という形で介護保険サービス適用になるわけでございます。それ以外のサービス主体から提供を受けることも当然あり得るわけでありまして、考え方としましては有料老人ホームそのものが一つの住居であると。そして、そこに一般の場合でありますと都道府県知事の指定を受けた介護サービス事業者在宅サービスを提供するということでありまして、それは通常の在宅における場合と他のサービス事業者から受ける場合は変わらないというふうにお考えいただいて結構だと思います。
  30. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 そうしますと、そういうデイサービスも受けられるしショートステイなんかも利用できるというような形になるのかなというふうに思いますけれども、福祉用具の貸与あるいは購入等、ホームによっては車いすとかそういうものが既に備わっているようなところもあると思うんです。そういうものも契約の中に含まれているというようなこともあるのかなと思いますけれども、そういうものを介護保険を利用して貸与、リースを受けるというような場合には、やはり契約上でホームからは貸与してもらう必要がなくなるというようなことにもなりますので、そういう意味でもまた契約上で幾らかの費用は不用で還付されるべきだというような話も出てくるのかなというふうに思うんですけれども、そういうふうに考えてよろしいのでしょうか。
  31. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) 有料老人ホームが具体的にどういうサービスを行っているかといいますと、例えば本当に福祉施設の用具の貸与まで必要な状態なのか、あるいはそのホームではベッドなどがいろいろな事態に対応できるような形になっていて、そういうものは必要ではないのか、そういうものがあり得ると思いますので、具体的な福祉用具の貸与の範囲をどんなふうに調整していったらいいのか、その辺はちょっと検討が要る部分があろうかとは思います。
  32. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 要介護認定の場合にはそういう環境要因というのは勘案されないで、要介護状態サービスの上限といいますか、そういうのが決まってくるということでありまして、有料老人ホームで立派な電動ベッドが入っているとか車いすが備わっているというようなことは要介護認定上は考慮されないということではないかなというふうに思っております。  だから、本人がもしその施設のものを利用しなくてもほかで利用できるということになれば、わざわざ施設に対してそういう費用を負担する必要はなくなるということかなというふうに解釈しているので、そういう有料老人ホームに入られている方に、介護保険が導入された後のサービスの受け方といいますか、そこはきちんと前もってある程度の整理をされて、お知らせといいますか、介護保険が導入されたらこういうふうになるんだということをある程度やはり国民に示すべきではないかなというふうに考えるわけであります。  介護保険が導入された後の有料老人ホームの姿というのはどういうふうになるか、なかなかまだはっきりしないのでありますけれども、やはりいろんな意味で契約する時点で介護保険制度が今後どういうふうに移行していくか、一割負担が二割自己負担になる、あるいは場合によっては国あるいは保険で見る費用の割合が二分の一対二分の一でなくなる、あるいは全額公費で見ましょうというふうに制度が変わる可能性もあるわけです。そういう意味で、介護保険が導入された後、そういう有料老人ホームに入る場合の契約のあり方とか、そういうものを含めまして何らかの厚生省としては国民に対してガイドラインといいますか、方向、判断する上での情報というものをある程度提供していった方がいいんじゃないかなというふうに私自身は考えるわけであります。  介護保険導入後の有料老人ホームのあり方といった面に関しまして、厚生省あるいは厚生大臣の御所見がお伺いできればというふうに考えます。
  33. 羽毛田信吾

    政府委員羽毛田信吾君) 有料老人ホームのあり方につきまして大臣からお答えを申し上げます前に、その前の、そういう契約が当然先ほどのような調整ということがあり得るから、今の段階からそういうことをできるだけ知らせ、そういうことを契約当事者たるホームとそれから入ってこられる方が織り込んで考えられるような状態をつくるべきであるという部分がございましたので、そこの部分のお答えを申し上げさせていただきたいと思います。  この点については、先生おっしゃるとおりでございますので、私どもも実はもう既に、もし介護保険が導入されたらばということの前提でございますから、言ってみればお知らせといいますか、そういう情報を与えるという意味で、県を通じまして、例えば現在入居しておられる方々に対しましては、各有料老人ホーム内に運営懇談会といったようなものを設けるように指導しておりますので、そういった場におきまして一介護保険制度が導入されればその施行時には現在の契約上の介護費用の入居者負担額等についての調整が必要になるということをホームから入居者にちゃんと説明をするようにということ。あるいは、新規にこれから入居契約をお結びになるような場合につきましては、介護保険制度施行時に介護費用の調整のために、いわば介護保険との調整が出てきてその契約を見直す可能性があるといったようなことを契約書等におきまして明記をして、入居希望者もそのことを腹に置いて入っていただくということをきちっとわかるようにと。やはり、有料老人ホームの場合には基本的には契約関係でございますので、何が大事かといえば入ったときの契約条件なりがそのとおりになっているか、あるいはそういった契約条件というのが知らされているかということが非常に大事でございますので、そういった点については現在から既にあれするように、都道府県等を通じて今会議で指導いたしておるところでございます。  後段につきましては、大臣からお答え申し上げます。
  34. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 介護保険制度が導入された後についても、有料老人ホームというのは在宅というように考えますから、当然そこに入っている方々介護給付を受けられる。在宅サービスと同じように介護保険で給付が受けられますから、有料老人ホームとしては介護事業の提供形態の一つとして新たな役割とか活動が期待されていいのではないかと思います。また、利用者にとってはこの有料老人ホームがどういうものなのか、どういうサービスを提供できるのかということがまずよくわからなきゃいかぬ。よくわかるような情報開示、こういうことについても都道府県を通じてよく利用者にわかるような指導をしていかなきやならないなと思っております。
  35. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 有料老人ホーム現状といいますか、介護保険の導入目標としているのが二〇〇〇年でありますので、その間まだ二年少しあるわけでありますが、その間、都道府県でまた申請があれば有料老人ホームの許可といいますか、そういうものを出すことにはなると思うんですけれども、現状では介護保険というのがかなり影響を及ぼすのではないかということで少し抑制ぎみに認可がされているのか。その辺はどうなんでしょうか、最近の動向というものは。もし御存じであればお伺いしたいと思います。
  36. 羽毛田信吾

    政府委員羽毛田信吾君) 有料老人ホーム平成九年の七月一日現在で、全国で二百八十六施設で定員が三万百四十八人という実態でございます。  有料老人ホームにつきましては、先ほど申し上げましたように利用される方とホームとの契約ということを基本にし、しかしそれが、やはりついの住みかで入られるわけですから、入ったらとんでもないことになっちゃったということではぐあいが悪いので、そこは都道府県知事に対する事前届け出制という形でのある種の規制を行っているわけであります。したがいまして、事前届け出制でございますので、一定の要件を満たせば届け出は受理をしなければならないわけであります。  したがいまして、そういったいわば政策的な別途の意図を持って抑制をするというようなことはできる仕掛けにもなっておりませんし、現実にも先ほど申し上げました数字、前年に比べますと六施設、定員で約九百人増加をいたしております。ただ、若干先生のようなお話があるとすれば、やはりバブルの崩壊等もありまして結構そういった意味での経営条件の厳しさというものがございますものですから、二の足を踏まれるという向きがあるいはあるのかなということは予想されるところであります。
  37. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 万一そういう有料老人ホームに入られていてホームの方が倒産してしまったという場合には、入居されている方というのは非常に大変な事態になるわけでありますけれども、それに対しまして行政として何らかの支援というものはあるのかどうか。現在の状況と将来に対して何らかのそういう支援策というものを用意されるおつもりがあるのかどうか、その点に関しましてお伺いしたいと思います。
  38. 羽毛田信吾

    政府委員羽毛田信吾君) 有料老人ホームにつきましては、先ほどもお答えを申し上げましたように、基本的には利用者とホームとの契約関係ではございますけれども、利用せられる方にとってみればついの住みかを得るということですから、おいそれと選択がちょっとうまくいかなかったから変えようというわけにいかないというところがございます。  そういう意味での経営の安定というのが非常に大事であるということは、私どもそのように考えておりまして、従来からいわゆる長期の収支を出させるということで、ここに長く住まわれるわけですから、長期の収支計画をきちっと作成をするということを義務づけておりまして、その届け出もしていただくということで、安定的な経営が見込めるように、まずそのホーム自体がそういう計画のもとに進めていただく。  また、安定的な経営が見込まれるまで、入居がだんだん詰まっていきまずけれども、最初はそう全部詰まらないとなりますと、最初の立ち上がりのところがなかなか全部いわばお金が入ってきませんからつらいわけでありますけれども、こういったところについては銀行保証をつけるといったようなことについての指導を行って、有料老人ホーム自体の経営の安定ということをまず第一に指導をいたしております。  しかし、そうは申しましても、やっぱり民間事業者の常でございますけれども、万が一の倒産という事態は当然あり得ます。そのような場合に備えるということで、そういった場合の当面の生活の費用を保証するということを目的にいたしまして、社団法人の全国有料老人ホーム協会、ここにおきまして入居者基金制度という制度を設けております。これによりまして、施設が倒産しちゃったというようなときに、その入居者に対してその基金によりまして一定の額を保証するという制度有料老人ホーム協会において実施をいたしております。  ただ、現在この社団法人の有料老人ホーム協会でやっております基金制度の保証額といったようなものにつきまして、今、入居者基金制度の見直しを行っております。それによってどの程度の額にしたらいいかということを今宿題として検討してもらっております。そういったことがまず一つだろうと思います。  それから、これは先ほどのちょっと繰り返しになりますけれども、そういったことも含めて、自分の命後の生活上どの程度の安定したところに入れるかということを消費者の方にやっぱりちゃんと知っていただくという意味での入居の判断に必要な情報というものを与えるということが非常に大事でございます。今その点につきましても指導指針というものを出しておりますけれども、これを見直しまして、少し入居契約の際の重要事項の説明書といったようなものにつきまして、こういうものを徹底するという方向だとか、あるいは都道府県によります指導の充実といったようなことで、そういった入居時において入居希望者が有料老人ホーム施設に対する情報を的確に把握できるように情報を提供することを考えていくというようなことを今指針でもやっております。  それから、さらに介護保険が導入をされれば、先ほど来申し上げておりますような在宅介護サービスの対象にするということで、介護保険が取り上げること自体が、今は言ってみればもう全くそこは私費ベースの話になっておりますけれども、そういった形で有料老人ホーム介護サービス実施機関の一角を担うということ自体がある種の確実な経営の部分になるという意味では、経営の安定という側面からも有料老人ホームが活動を展開しやすくなる条件づくりということにはなるだろうというふうに思います。  そういったことを通じまして、今後とも有料老人ホームの経営の安定、そのことがまた入居者に対する生活の安定ということにつながるように持っていきたいというふうに考えているところであります。
  39. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 最後の質問になるんですけれども、介護保険の高額介護サービス費といいますか、医療の場合は高額療養費というのがあるわけですけれども、そこの介護保険の場合の限度といいますか、額がどの程度に設定されるのかまだちょっと不明確で心配な面があるんですけれども、その点に関しましてどの程度方向性が固まっているのか、その点だけをお聞きして、質問を終わりたいと思います。
  40. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) 介護保険利用者負担、原則一割負担ということでございますが、定率ですと高い負担を生ずることがある、そういうことで高額介護サービス費というものを設けるということにしているわけでございます。  この自己負担の上限額につきましては、基本的には制度施行までの間に関係の審議会で御議論をいただいて決めるということになるわけであります。具体的には、医療保険制度における高額療養費の支給基準が、さまざまなケースについてさまざまな基準額がございますので、どうなっているかと。あるいはまた、老人保健制度についても見直しの議論がございます。老人医療費の関係でございますが、見直しの議論がございます。こういう議論を踏まえまして、一般的な場合と低所得者に配慮する場合と、それぞれ審議会での議論を経ながら決めていくという手順になるわけでございまして、具体的な水準はまだこれからでございます。
  41. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 おおむね医療の高額療養費制度と同じような六万何がし、あるいは低所得者に三万何がしというようなレベルにおさまるものなのかどうか、その点だけでも少しでも方向性というのをお知らせいただければと思います。それで終わりにします。
  42. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) 介護状態といいますのは長期に継続するものでありますから、そういう意味で一般的なその水準がいいのかどうか議論があるところだと思います。必ずしもそれにぴたりと合わせるかどうか、そこは関係審議会の議論でございますので明確には申し上げられませんが、これからの議論でございますが、そういう介護の特性というものを踏まえながら高額介護サービス費を設定していただくということになります。
  43. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 では、以上で終わります。
  44. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 平成会の浜四津でございます。  先般、新進党が全国の市区町村を対象に高齢者介護保障に関するアンケートを実施いたしまして、その結果を十一月十四日に発表いたしました。  このアンケートの対象数は三千二百五十五市区町村であります。回答率は最終的に約四三%に上りました。その回答結果と、さまざまな真剣な御意見、御要望、不安の声が寄せられたわけですけれども、それを御紹介しながら本日は質問させていただきます。  このアンケートの質問項目は六問ありました。  まず一問目、「貴自治体は介護保険の導入準備をすすめるなかで、介護保険法案についてどのようにお考えですか。」、こういう質問に対して、「早急にいまの法案成立させるべきだ。」、こう答えた自治体はわずか八・五%にすぎません。一割に満たない。それに対しまして、さまざまな理由早期成立を望まない、これが八八・四%、約九割に近い自治体。  この自治体は事業主体でございます。早期成立は望んでいない、この結果を厚生省はどのように受けとめられるでしょうか。事業主体が、これほどいろいろ問題点があってすぐに成立は望まない、こう言っている中で、制度運営はうまくいくのか、制度の破綻のおそれがないと本当に言えるのかどうか、厚生省にお伺いいたします。
  45. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) 平成会、新進党で実施されましたアンケート調査の第一の問いの関係でございますが、この問いは、法案成立を急ぐ急がない、あるいはサービスの供給体制の問題、それから保険方式か税方式か、かなり次元の違うことが幾つか一緒になって質問されているんではないかという感じがするわけでございます。これは別のマスコミの調査でございますが、単純に賛成か反対かということを聞きました調査では、六七%の自治体が賛成である、そして一〇%の自治体が反対である、二二%の自治体がどちらとも言えないと、そういう答えでございます。ただ、今引用しました調査でも、実施後の問題として、例えば要介護認定の問題であるとか基盤整備の問題であるとか、賛成と言いながらも問題点は持っているわけでございます。  そういう意味で、今回のアンケート調査につきましては、確かに総意としましては、介護保険制度実施していくに当たってなお懸念すべき点、整備すべき点があるということが複合的にあらわれた結果ではないかというふうに思っております。
  46. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 この結果につきまして真正面に受けとめていただきたい、こう思います。  それから問い二に移りますが、「介護保険制度実施にあたって、多くの国民が心配しているのは「保険あって介護なし」の状況が生まれることであります。新ゴールドプランに沿って、介護サービスの供給体制を整えねばなりませんが、この件についての貴自治体の実情についてお尋ねします。」、こういう問いに対して、「着実に体制整備をすすめており、「保険あって介護なし」の心配はない。」、こう答えたのはわずか四・七%にすぎません。「新ゴールドプランに対する現状整備状況から見て、「保険あって介護なし」の心配が若干ある。」四八・四%、「多分にある。」四三・〇%、これを合わせますと九一・四%に上ります。  国民の多くの方々が保険あってサービスなし、この心配を持っている。事業主体の自治体も九割がこの心配を表明している。これをどう思われるか。この不安を解消してあげられるために何かお考えになっておられるのかどうか、お伺いいたします。
  47. 羽毛田信吾

    政府委員羽毛田信吾君) 先生今お挙げをいただいた数字でありますけれども、私どももこの保険あって介護なしというようなことにならないように、そういう意味では国も地方もそういう意味での努力を要する姿であることはそのとおりであろうと思います。  ただ、今、先生お挙げになった中で、五割近い部分が心配が若干あるというふうに言っておられますから、そういう意味ではいわば努力を要するというふうにとれる部分が、全体の九割というふうに総括をいただきましたけれども、やはりそこには大分差があるんではないかなという気がいたします。  いずれにしても、しかし努力を要する姿であることは間違いございませんので、私どもも先般来お答えを申し上げておりますように、全体的な予算枠の確保の問題あるいは地域間格差が非常にある部分につきましては、それぞれの基盤整備を進めるに当たってのいわば弾力的な扱いあるいは民間活力の活用といったこと、あるいは既存資源の活用といったようなことを総合的にやる中で、この新ゴールドプラン、それぞれの自治体がお決めをいただいた、その集大成を国としても全面的にバックアップをしていこうということでつくった計画でございますから、これの達成に向けて努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  48. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 次に第三問ですが、「介護保険法案では、各自治体において介護保険事業計画を策定することとされています。現在すすめられている老人保健福祉計画のローリング、さらには、財政構造改革による厚生予算の圧縮等の、介護保険事業計画策定に関する影響について、どのようにお考えですか。」、この問いに対しまして、「老人保健福祉計画は概ね達成できる見通しであり、介護保険事業計画の策定も平成十一年度中に可能である。」、これが一二・一%です。「物理的に困難である。」、「達成できないのではないかと心配している。」、これがそれぞれ四八・〇%、二一・七%。また、「厚生省予算の圧縮は例のないことであり、出来れば介護保険事業計画の策定を平成十二年度以降にしてもらいたい。」、これも一六・九%あります。これらを合わせると八六・六%、これも約九割に上ります。つまり、問題がないとしているのはいずれの設問でも約一割前後にすぎない。  次に問い四に移りますが、これはケアアドバイザー、「貴自治体では、この人材確保の見通しはありますか。」、こういう設問ですけれども、「確保できる見通しがある。」、これが八・七%です。「各機関・団体に養成を依頼することで何とか確保できる見通しである。」、これが二四・八%。「見通しは立っていない。」、「わからない。」、これを合わせますと六六・二%です。  また、先ほども御答弁の中で民間活力の積極的な導入を図るんだと、こうおつしゃいましたけれども、これも問い五でこう聞いております。「福祉サービスの供給にあたっては、効率化をはかる観点から、介護保険法案でも民間活力の積極的な導入が盛り込まれておりますが、貴自治体はこの問題についてどのようにお考えですか。」、こういう問いをいたしました。それに対しまして回答は、「営利型サービスも含め、積極的に活用したい。」、こう答えたのは二九・四%、民間導入するというのはわずかに三割です。あとの約七割、詳細に言いますと六六・九%ですけれども、「民間活力の積極的な導入は望めず、自治体直営の公的サービスを中心に充実をはかっていく。」、これが七・五%。それから、「自治体直営の公的サービス社会福祉法人などの非営利型サービスの組み合わせを中心に効率化をはかっていく。」、五九・四%です。  これで民間導入が十分に実現できるんだと考えておられるのでしょうか。民間活力の積極的な導入を前提としたこの制度がうまくいくと考えておられるのでしょうか。
  49. 羽毛田信吾

    政府委員羽毛田信吾君) 幾つかにわたりましてアンケート調査を引きながらの御意見、お尋ねでございますけれども、まず今後の介護基盤の整備につきましての不安が、問い三でございますか、いろいろ出されているという点につきましては、先ほどお答えを申し上げましたように、やはりそれぞれの自治体みずからがお定めをいただいた老人保健福祉計画でございます。そのことについて努力を要する姿でもございますし、それについては私どもも、財政面では非常に厳しい中ではございますけれども、この新ゴールドプラン関係につきましては、先般来お答えを申し上げておりますように、例えばこの平成十年度予算概算要求におきましても対前年度比四百六十一億円の増要求をしているというように、いわばめり張りの中で財政的な面もできるだけの支援をしていくという形で対応をいたしております。  そうした中で、何と申しましても、地方自治体にとりましても、やはり介護を要する人たちのために、保険ということ以前にそういうサービス体制を整えていかなければならないというのは首長さん自身が非常に痛感をしておられるところでありますから、私どもの方もそういった形で支援を申し上げる。と同時に、地方自治体におきましても、先ほど挙げましたようないろんな工夫の中でやはりそこは達成をしていただく努力をお願いしなければならないと思います。  また、こういつたことに関しましては、既に何度かにわたりまして市長会あるいは町村会を通じまして、こういうふうなことで国の方も自分らもやはり体制整備を進めていかなければならないと思うと、今、先生お挙げになったようにそれについて不安があると、したがってそれについてこういってこ入れもしてほしいというような要望もいただいております。それにできるだけこたえる形で今日までもやってきておりますし、今後もそういう姿勢で臨まなければならないというふうに思います。  マンパワーにつきましても同様の問題でございます。最後に民間活力のところでお話がございましたけれども、これは私ども、民間活力と申し上げました場合に、これ全部いわば営利企業だというふうには考えておりません。当然、その地域地域におきまして営利企業も含めました多様な主体がサービス展開を図っていく方向に持っていくということであろうと思います。そういう意味から申し上げれば、先生お話しのございましたアンケート調査の中におきましても、「自治体直営の公的サービス社会福祉法人などの非営利型サービスの組み合わせを中心に効率化をはかっていく。」ということも当然その中に入れた民間活力というのは、そういった非営利型の民間活力も含めました効率化ということで考えていくということになりますれば、多様な主体という意味ではこれからの方向としては十分に対応できることでございますし、特に過疎地域等におきましては農協組織等の御尽力というものも仰ぐような形で今お願いをしておるわけでございます。
  50. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 最後に問い六ですが、「仮に介護保険法案成立したとします。各自治体における保険料徴収事務や要介護認定、ケアマネジメントなどシステム開発も含めた体制整備に、相当の作業量が想定されますが、平成十二年度の法施行は、実務面からみて可能ですか。」、この問いかけに対しまして、「何とか施行可能。」、こう答えたのが一九・八%。「二年間では困難。」「できれば施行時期を延ばしてほしい。」、これが五八・七%。「絶対に施行時期を延ばすべきだ。」、これが二〇・一%。つまり、施行時期を延ばしてほしい、あるいは延ばすべきだ、合わせますと七八・八%。約八割の自治体が困難あるいは絶対に延ばせ、こういう回答をしているわけであります。  これらの回答結果を見ますと、この制度を無理やり導入しても保険の制度の挫折が目に見えているのではないかと危惧いたします。それでもこれは何ら修正もせず、あるいは見直しもせずにこのまま成立させ施行させて制度は破綻しないと、こうお考えでしょうか。仮に制度が破綻したときにはどう責任をとられるおつもりでしょうか。
  51. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) 最後のアンケート調査問い六はシステム開発などの関係でございまして、物理的に大変ではないかという回答が多かったということであります。  このシステム開発につきましては私どもも内々検討しておりまして、来年度の予算要求にはシステム開発の経費を入れているところでございます。これをできるだけ効率的に実施する必要があるというふうに考えておりまして、私どもの方で市町村で開発を行う電算処理方式の標準仕様の提示をできるだけ早く行う、そういうことによりまして限られた期間で市町村が効率よく準備を進められる工夫をしてまいりたいというふうに思っているところでございます。
  52. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 今のは数字の統計でしたけれども、それ以外に個々別々にさまざまな御意見、御要望、不安の声が寄せられております。大変真剣にまじめに記入して回答を寄せていただいております。これを全部御紹介している時間はありませんので、何点かほんの一部だけ御紹介させていただきます。  「原案のままで介護保険制度を発足させれば、遅からず破綻すると思います。」、こういう記載がありました。  また、次の自治体では、「現在の状態が続けば、たとえ税方式であれ保険方式であれ、破綻は免れないと思われる。」、こういう御意見もありました。そんなこともあって、対案についてはもう一度精査しよう、こういうことになっているわけです。  また、別の自治体はこう言っております。「財政運営上、危惧すべき点が多い。」、「実務面の体制準備期間が短く混乱が予想される。」。  あるいは、これもまた別の自治体です。「なにしろまだまだ不明な点が多く、国においてその指針が示されていない現時点でどのようになるのか、又うまく制度運用できるのか不安でいっぱいである。事務体制等すべての面で市町村に詳細な説明が行われるべきである。」、こう言っております。  また別の自治体です。「問題が多すぎて、もっともっと底辺からの検討をすべきと思う。」。  それから、「導入に伴う事務量とそれに伴う適正な職員数、導入後の月額二千五百円の保険料が適正なのか。収支の問題、未納者の問題、保険対象サービスと対象外サービスの補完の問題、寝たふり老人増加の懸念等、未解明な部分が多くありすぎる。」。  また、「自治体においてどのような体制整備しなければならないのか、具体的な業務、人的配置、予算等が明らかになっていないため、施行日までの期間を考慮すると非常に不安がある。」。  また別の自治体です。「介護保険制度国民への情報提供、呼びかけがうまくいっていないためか、対象者となるであろう人々は介護保険という言葉すら知らない人が多い。果たして、こういつた状況介護保険を導入できるのか不安である。」。  「基盤整備についての財源確保に厳しいものがあり「保険あって介護なし」の心配がある。」。  それから、「制度面だけが先走りし、財政面は厳しくなるばかりで、小規模自治体では不安の多い問題である。地域に合った柔軟な補助制度にしてほしい。」。  それから、これは小さな村の方ですけれども、「一人でいくつもの係を担当している小規模な村にあっては、毎日の仕事に追われているのが実状であり、新規事業にだけ係わっていく余裕もマンパワーもないので対応に苦慮している。」。  これもある地方の町の方です。「実務面の情報が少なく、一県の担当者でも分からない部分があり)庁舎内での体制が作られていない。(作れない)」。  「現状法案では市町村負担が大きすぎる、是非とも修正をお願いしたい。」。  それから、「地方自治体も含め、介護保障等に対する理解が充分でないところでの法施行は問題があると考えられる。厚生省からの情報が極めて少なく県にきいても分らない部分が多い。特に本村のような小さい自治体では人材確保が困難であり、そのようなことに対して国(厚生省)等はどのように対策を考えているか疑問が多い。」。  法案には「不明確な点が多く、対応ができない部分が多すぎる。」。  「各市町村での業務の実状を把握し体制強化を推進してほしい。」。  「地方にあっては早急の導入は無理であり、できれば廃案としてもらいたい。」。  ほかにもたくさん意見が寄せられておりますが、全部は残念ながら紹介ができません。しかし、特にこうした地方自治体の声を聞いていない、あるいは現状を知らないのではないか、あるいは説明がなされていない、こういう多くの声が寄せられております。  新しい制度導入の際に、こうした現場の声を聞かない、あるいは実態把握をしていない、これで制度としてうまくいくわけがないと、こう思いますけれども、今からでも遅くありませんから、各自治体にきめ細かくその御意見、実態調査されてはいかがでしょうか。
  53. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) 自治体から多様な意見が寄せられているということでございましたが、その一方で二百万人を超える要介護者がおって、毎年十万人ずつ要介護者が増加しているということも事実でございます。現行の医療と福祉に分かれている制度では、自己負担に矛盾があったり全体として非効率があるということも確かでございます。こういうものをどう解決するかということがまず最初にあるのではないかと。  市町村に対しましては、都道府県を通じてあるいは直接でもありますが、各都道府県ごとに説明会を設けたり、あるいはまた都道府県の担当課長を集めて全国課長会議をやり、そして県からまた市町村に説明してもらい、そこで上がってきた質問についてはまた別途通知で回答する、そういうことをこの夏にもやりまして、極力理解を深める努力をしているわけでございます。  今後も、法律が仮に成立しましたら同じように市町村に対して十分な説明をし、また詰まっていない点があるということにつきましてはできるだけ急いで全力を挙げて詰めて、早目に情報を提示して、実施までの間に自治体との情報交換を密にしていきたいというふうに思います。  全国市長会におきましては、その市長会の中に介護保険実施に向けてのプロジェクトを組んで勉強をしております。私どももそこに行って説明をし、いろんな議論を聞いております。市長会はつい先般、平成九年十一月十三日でございますが、決議を行いまして、介護保険制度を導入することを前提にさまざまな条件整備を我が方に対して要求しているわけでございます。  そういう意味で、意見交換、現場の意見を聞いていないということではなくて、そういう努力もしているわけでございますが、各方面から寄せられる御意見につきましてはできるだけ的確に対応し、不明な点につきましてはできるだけ早急に詰めて情報を提供し、いずれにしましても二〇〇〇年四月に無事に制度実施に向けられますように最善の努力をしてまいりたいと考えております。
  54. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 高齢化社会における公的介護保障の制度を充実させなくてはいけない、そういう認識についてはそれは共通しております。しかし、その整備ができるか、あるいは本当に問題が解決できるのか。解決できる制度に仕組まなければ、かえって問題は大きくなって混乱するばかりであります。  この委員会やあるいは公聴会においても、これは党派を問わずさまざまな問題点、疑問点が指摘されました。今の原案のままでは大変混乱が予想される、そういった問題点が数々指摘されたわけですけれども、それでもそうした点について何ら酌み取ろうとしない、あるいは修正もしないということであれば、何のための質疑なのか、あるいは何のための公聴会を開いたのか、全く意味がない、こう思います。ぜひとも再検討を強く要望いたします。お答えいただきたいと思います。
  55. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) この法案を提出する過程におきまして、与党における介護保険のプロジェクトチームで関係団体、関係市町村、自治体等の御意見も聞きながら調整をしてまとめていったものでございます。この法案ができますときは、昨年の九月でございますが、全国市長会、町村会もなお基盤整備その他について積極的な国の努力を促しながらも基本的にこれを了承してこの案になったわけでございます。  各地域における御意見につきましても、みんな一致して同じ意見かといいますと、意見の分かれているものもあるわけでございます。例えば現金給付などにつきましても、それをやるべきだという御意見もあれば果たしてどうだろうかという御意見もあるわけでございまして、同じようなことはまたこれを検討しました審議会でもあったわけでございます。  私どもとしましては、制度実施、運営で工夫できるものは極力工夫をして、できるだけ問題のないように実施をしていきたい。また、現時点で意見が多様に分かれているものにつきましては、実施後の状況を見て、関係方面の意見もそれを見ながらだんだん収れんをしてくると思いますので、そういうものを踏まえて、この法律におきまして附則で施行後五年を目途に制度全体の見直しをするという規定がございます。その段階で十分検討させていただきたいというふうに思っております。
  56. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 それでは、法務省はお見えでしょうか。時間がありませんので、簡単に成年後見制度についてお伺いいたします。  新たな公的介護保障制度が導入されることになりますと、判断能力の不十分な高齢者あるいは介護を必要とする高齢者方々の権利保護の制度整備が急務とされます。  先日、この成年後見制度につきまして報告書が公表されました。この新たな制度を検討する際に、高齢者方々が、特に財産を持っておられる高齢者方々がねらわれる事件が多発していると伝えられております。例えば特養ホームの職員が入所者からの預かり金を着服したとか、あるいはホームヘルパーの人が盗みを働いた、さまざまな事件が報道されております。  高齢者方々がどのような手口でどういう被害に遭っているのか、それを防ぐ、財産や権利を守る制度をつくろうというわけですから、その被害の実態を把握すべきだと思いますけれども、法務省はこの実態の把握をされておられるでしょうか。また、今後すべきと思いますけれども、その御予定はおありでしょうか。
  57. 小林昭彦

    説明員(小林昭彦君) お尋ねのような事件について、特に統計的な把握をしているわけではございません。しかし、いわゆる高齢者を被害者とする詐欺事件あるいは出資法違反事件等が相当数発生しているものということは承知しております。  個々の事件についてその内容を必ずしも十分把握しているわけではございませんけれども、一例としていわゆる豊田商事事件あるいはKKC事件等においてどのようになっているかということを申し上げますと、例えば豊田商事事件では、大阪地検が起訴した公訴事実に係る被害者四千六十三名のうち、六十歳以上の者が六四・四%、七十歳以上の者が三六・三%、それから八十歳以上の者が七・六%というふうになっております。  委員御指摘の施設の事件というようなことについては特に今のところ把握しておりませんけれども、今後ともそのような事件も含めましてこの種の事件の実態把握に努め、その動向を見守りつつ成年後見制度の見直しに生かしていきたいというふうに考えております。
  58. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 終わります。
  59. 今井澄

    今井澄君 民主党・新緑風会の今井澄でございます。  本日私は、介護保険料とそれから低所得者対策についてお尋ねをいたします。厚生省の方にお渡しした質疑とちょっと変えてやりますのでよろしくお願いいたします。  既に昨年の段階で、この介護保険制度が施行される西暦二〇〇〇年のまず最初の年の保険料平均をすると一人につき二千四百円というふうに言われておりますし、それを毎年改定を避けるために三年平均でとると一人月二千五百円というふうになっておりまして、厚生省のパンフレットにもそういうふうに書いてあって、もう国民は月二千五百円というふうに受け取っていると思います。これはその後経済情勢の変化とかいろいろ、また質疑で深められた課題もあるわけでありまずけれども、今でも一人月平均すれば二千五百円だということで変わりはないと理解してよろしいでしょうか。
  60. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) きちんとした計算はしていないので恐縮でございますけれども、経済情勢の動きにつきましては平成七年度価格で計算しておりますので、これは多分その変動部分は吸収できているんではないか、余り影響を受けない数字ではないかと思います。  ただ、一方、新人口推計というのが発表されまして、高齢化の進展が思ったよりも高まっているわけでございます。この影響分は若干出てくるんではないかというふうに見込んでおります。
  61. 今井澄

    今井澄君 その辺はこの質疑でいろいろ問題がずっと出ておりますけれども、やっぱりこれは完全な制度では必ずしもないわけです。いろいろまだこれからの疑問点もあるわけですから、ひとり歩きする数字が固定化してとらえられますと、もし施行の段階で例えば二千五百五十円になったとか二千六百円になったというと、だまされたというふうに言う人も出てくると思います。その辺は、大変人的にも時間的にも忙しいと思いますけれども、経済情勢の変動とかあるいはサービス内容が詰められてくるに従って変わってくることがあるかもしれないので、十分注意をしてやっていただきたいと思います。  ところで、大臣にお尋ねしたいのですが、この一人月二千五百円というのは、第一号被保険者、六十五歳以上は自分でその額を払うわけですね、本人負担が二千五百円ということになります。第二号被保険者の場合には、被用者保険であれ、国保であれ、事業負担なり国庫負担があるために半額の千二百五十円というふうになるわけです。これは、私も地元あるいはいろんなところでお話をする、特に高齢者の皆さん方にお話をするときに、高齢者や普通の人も含めておやという顔が多いんですね。  というのは、今後の社会保障のあり方、それがいいか悪いかはともかくとして、やはり今までの制度は、高齢者は収入もないあるいは少ない、病気も多い、あるいは介護を要する状態も多いので、そういう人はやはり特別に考え負担を少なくするという考え方でやってきていると思うんですね。ところが、今回は六十五歳以上は本人負担が二千五百円、六十五歳未満、四十歳以上の場合が千二百五十円と逆なんですね。これなかなか常識的に言うと理解してもらいづらいんですが、その辺大臣としてどうお考えになるか、またそれについてどういう根拠でそういうふうに国民にお話をなさるのかお答えをいただきたいと思います。
  62. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) その点、確かに今までとは違った点だと思いますが、考えてみますと、四十歳以上から六十四歳までの方は普通保険料負担するだけで給付受けられないんですね。六十五歳以上の方が給付を受けると。発生率が高いということから考えて、このような差が出てきている。実際には四十代以上の方は企業と折半ですから、額そのものは変わらない。個人負担は少ないといっても、危険率、発生率ということを考え高齢者にこの程度負担をいただくのはそれほど過大ではないのではないかと私は考えます。
  63. 今井澄

    今井澄君 本人負担二千五百円が過大かどうかという問題と、もう一つやはり四十歳から六十四歳までの負担額の倍だというこのバランスの問題ですね。ここはやっぱり明確に説明しないと納得してもらえないと思うんですね。  これ一つ考え方として加齢疾病条項というのがずっと問題になっておりますし、私どももこの法案作成の時点から、あるいはその後もこの加齢疾病条項をとるべきであると、すべての人の介護保険に広げていくという基本姿勢を持つべきであるというふうに主張しているわけでありますけれども、この二千五百円と千二百五十円という逆転現象的な本人負担などを考えますと、これはやっぱり明らかに高齢者介護保険制度なんだというふうに理解せざるを得ない面があるわけですね。  要するに、高齢者についての介護保険だと。だから、保険料高齢者から集めて、サービス高齢者が受けるんだと。要するに、六十五歳以上の保険なんだと。ところが、六十五歳以上だけではやっていけないから若年世代の応援も求める。したがって、その人たちには半額の千二百五十円ほどを御本人には負担していただく、事業主を含めれば二千五百円を負担していただく。どうもこういうふうに理解しない限り、常識的に考えて逆転現象というのは理解できないんですよね。  その辺はどうなんでしょうかね。明らかにこれは高齢者介護保険なんだと、あくまでもそういうものとして考えているのかどうか、その辺ちょっとお尋ねしたい。
  64. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) この制度をつくっていく過程ではそういう問題は確かに議論があったわけでございます。これはもう先生も十分御案内のとおりでございます。  ただ、若年世代をまたどこから対象にするかということもあわせて議論がありまして、二十からにすべきではないかという議論も確かにありました。どうなんだろうか、二十から果たして納得して保険料を納めてもらえるだろうか、そういう議論もありました。そういう被保険者の範囲をどうするかというさまざまな議論の中で、いわゆる四十歳を過ぎますと加齢に伴う疾病、いわゆる老年期が早く来るというケースもあるし、それからまた、四十歳以上になってきますと自分たちの親の世代が要介護状態になり得るということで、そうであれば家族の一員としていろんな影響を受けるわけでありますし、そういう総合的な判断から四十歳以上の方を被保険者にしょうということになったわけでございます。  議論の中では高齢者介護に特化するのかどうかと、そういう議論もありましたけれども、今はそういう世代間で支え合う側面も含めまして四十歳以上と、そこがわかりやすいところという意味で四十歳以上となったところでございます。
  65. 今井澄

    今井澄君 どうもやっぱり歯切れが悪いというかあいまいだと思うんですが、本来はみんなで支え合うリスク分散の保険という意味でいえば、収入を得るようになるおよそ二十歳ぐらいから均等にあるいは能力に応じて保険料負担するというのが一番自然な姿だと思うんですね。  こういう形になっているということは、意図はともかく結果的には、これは高齢者介護保険高齢者だけでは成り立たないから世代間のその連帯を求めると、こういうふうにしか理解できないという問題だと思うんですね。その辺は今後見直しなりあるいは医療保険改革とあわせて、今後介護保険制度をどうするかというときに大きな問題だと思います。加齢疾病条項の見直しも含めて、やはりこれは問題点としてぜひ御認識をいただきたいと思っているわけです。  さて、第一号被保険者のうち年金から天引きをする人が約七割ぐらいだろうと、年金が少ないあるいはないために年金からの天引きができない、直接徴収をせざるを得ない方が約四割だろうというふうに言われていると思いますが、この根拠はどういうところにあるんでしょうか。  一つは、きょう資料として二枚配らせていただきました。その一枚目の右側、これはいずれも厚生省医療保険の審議の過程で提出をお願いした資料をきょうコピーさせていただいたんですが、一枚目の右側の国民年金、老齢年金の月額階級別受給権者数というところに、老齢福祉年金というのが月額三万三千五百三十三円ですね。それ以下の人が約三割だと。こういうこの表でよろしいんでしょうか。
  66. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) 年金から天引きする人の年金の基準額、その水準は政令で別途定めるということになっておりますが、私どもとしては、大体その老齢福祉年金を頭に置いて三万円程度一つ基準だろうというふうに思っております。  この数字でございますが、どういう計算をしているかといいますと、六十五歳以上人口が平成七年八月段階でございますが千八百万人ほどおります。そして、その中で老齢年金受給者といいますものが千七百五十万人ぐらいおりますが、老齢年金から徴収可能な人といいますのが、三万円以上の年金受給者というので見ますと千二百五十万人ぐらいでございまして、これが大体七〇%という数字でございます。こういうことから七割ぐらいの人が対象になるという計算をしているものでございます。  先生のお示しされた資料とはちょっと違った、いわゆる老齢福祉年金と六十五歳以上高齢者ということで整理をしています。年金受給者の中には六十歳以上の方も多分この数字はいらっしゃると思いますので、そういうことで計算したものでございます。
  67. 今井澄

    今井澄君 実は、この資料を出しましたのは、ちょっと心配になったのは、三万円で切ると、その注の3に書いてありますように、一七・四%なんですよ。老齢福祉年金の三万三千五百三十三円で切ると三二・八%、約三割になるわけです。およそ三万円ぐらいといいますけれども、その辺はきちっとしないといけないんではないだろうかなというふうに思っております。  ところで、無年金者は大体どのぐらいいると考えておられますか。
  68. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) 無年金者の数でございますが、国民生活基礎調査等の結果から推計しますと、平成八年におきまして、一号被保険者となる六十五歳以上人口、約千九百万人のうち約九十五万人、パーセントにしまして約五%という水準でございます。
  69. 今井澄

    今井澄君 ところで、この直接徴収となる、もちろん天引きされる人にも問題はあるわけですけれども、特に直接徴収される人はそういう今の無年金者や低年金者ですよね。そういう人たち生活実態がどうなっているのか、家計調査などでこれを把握しないことには、確かに本人は年金がほとんどなくても、息子さんや娘さんたち、裕福な家庭の中で見てもらっている人もそれはいるでしょう。  しかし一方では、老齢福祉年金だけで暮らしている高齢の女性の方も現にいるんですよ。例えば、寂しいでしょうからテレビを持ってきてあげましょうかと言うと、いや、電気代が払えないから要らないというふうにして、本当にひとりで暮らしている。家庭菜園でちょっと野菜をつくりながら暮らしている八十のおばあちゃんもおられるんですよ、現に。この実態を把握しないと、本当に直接徴収ができるのかどうかということも問題になると思うんですが、そういう低年金者、無年金者の生活実態を把握しておられますか。簡潔に、おられるか、おられないか。
  70. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) 一般的な国民生活基礎調査その他の全体の調査はございますが、低年金所得者について詳しく調べた調査はやっておりません。
  71. 今井澄

    今井澄君 前回の通常国会での医療保険制度改革のときにも、高齢単独世帯あるいは高齢二人世帯について生活実態がどうなっているか、私はたしか資料をこの厚生委員会に提出させていただいたと思うんですが、それも高齢夫婦世帯の平均が二十二万九千幾らという家計実態なんですよ。平均するとそうなるかもしれませんけれども、やっぱり五万円、十万円、十何万円という人もいるわけですから、むしろ特に負担を求めていこうという今の傾向の中にあっては低所得者、低年金者の把握をきちっとしないと本当に気の毒な人たちが出るということになるので、そこはぜひきちっと調べてもらいたいと思います。  さてそこで、低所得者対策なんですが、医療保険のときに私はいわゆる老齢福祉年金受給者というのが低所得者のまず第一要件になっているというのはおかしいんではないかと、もう既にその方はほとんど八十五歳以上、八十五歳未満の方は数%しかいない。そうすると、今高齢化が進んで六十五あるいは七十を超えていく人たちはほとんど低所得の対象にまず最初でならないということでお聞きしたわけです。そのとき大臣も局長も、これは今後考えざるを得ないかもしれないなというお話を、御答弁をいただいたというふうに思っております。  そこで、きょう二枚目にお配りしましたのも厚生省からいただいた資料ですけれども、何しろ老齢福祉年金受給者の年金、年額四十万円ちょっとしか年金もらえないわけですね。そうしてそれ以下の人も、老齢福祉年金じゃなくて国民年金でもおられるわけです。一方で、生活保護基準額がひとり暮らしの場合だと百二十九万九千円、この間というのは随分離れているんですよ。  一方で、生活保護基準がいいかどうかは別としまして、こういう低年金者や何かについてはやっぱり低所得者の定義を考え直すべきではないかと思うんですけれども、その点、その後、通常国会以降四カ月余りたつわけですけれども、大臣あるいは局長の方で何か御検討なさったことはありますでしょうか。
  72. 羽毛田信吾

    政府委員羽毛田信吾君) 前回のお尋ねは、健保法の改正の一環としての老人保健法の改正、その一部負担関連をしましてのお尋ねであったと思います。  現行の老人保健法の仕組みといたしましては、現行制度における低所得者対策というものをベースに御答弁を申し上げ、いわゆる定額という形での負担という中では現在のこの仕組みが言ってみれば限界ではなかろうかという御答弁を申し上げながら、しかし、今後抜本改正の中で老人保健における負担というものを定額がいいのか、あるいは基本的にそういった医療保険についてもお年寄りの経済実態等も考えて基本的には定率という形での応能的な要素をあれした負担がいいのかという点についてまず考えなければならないであろうと。それで、その定率というような考え方をとつた場合には、やはりそこには当然一面において、定率と定額のメリット、デメリットを考えました場合には、定率をとりましたらば、低所得者の場合には過大な負担になるというのがいわば定率における問題になってまいりますので、定率をとつたときにはいわゆる低所得者対策というものについては別途また考えていかなければならないであろうという答弁を申し上げたと思います。  したがいまして、前置きが長くなって大変恐縮でございましたけれども、現在、老人保健における一部負担のあり方については抜本の一環として、定率にするのがいいのかどうかというところも含めて検討いたしておりますので、今日ただいまのところで低所得者対策をどうするかというところは結論を得ておりません。
  73. 今井澄

    今井澄君 質問趣旨が違うんですよ。要するに、もう八十五歳以上しか適用にならないような老齢福祉年金受給者ということを前提にするんじゃない新しい低所得者の考え方をすべきだということで、前向きにという御答弁があったんですよ。それがどうなっているかをお聞きしたんです。通常国会のときの御答弁を繰り返してくれと言ったんじゃないんですよ。時間もあと一分しかなくなりましたが、大臣、いかがですか、その点。
  74. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 低所得者の定義ですけれども、住民税非課税というのが定義になっていると、これがどうかという問題で、これは今後やっぱり年金との関係考える必要があるんじゃないか、そう思います。
  75. 今井澄

    今井澄君 老齢福祉年金のことはどうですか。もうそれを前提とするような低所得者の枠を外すのか。
  76. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) それも含めて、どういう定義が必要かというのは、今のままの住民税非課税でいいのかという問題は出てくると思います。その点を含めて、どの程度負担能力があるかという点については今後やっぱりさらに検討を加える必要があるんではないかと、そう考えております。
  77. 今井澄

    今井澄君 今度の介護保険法案においても、第一号被保険者の保険料は所得段階によって五段階に区分するということで必ずしも二千五百円じゃない。老齢福祉年金受給者は千二百五十円となっているんですが、さっきから言っていますように、老齢福祉年金受給者のほとんどはもう八十五歳以上なんですよね。それ以下の人はこの第一段階にはまず年齢からいって当たらないという変なことになっているわけですから、そういう意味で、低所得者の定義、それを変えてもらいたいと思うんですよね。  老齢年金受給者であってというふうな医療保険におけるようなものはぜひ変えるように前向きに検討していただきたいということを重ねて強くお願いをしておきますと同時に、やはり低所得者あるいは低年金者の生活実態というものをよく厚生省でお調べになって、これは統計的にはなかなか難しいかもしれない、ケーススタディーでもいいんですよね。そういうのをお調べいただいて、どういうところに免除なり軽減なり、これは利用料も含めて、そういうことをぜひ小まめにやっていただきたいということを要望して、私の質問を終わります。
  78. 西山登紀子

    西山登紀子君 日本共産党の西山登紀子でございます。  私の地元は京都なんですけれども、さまざまな老人福祉の施設を訪問させていただいてまいりました。地域に根差した老人介護というものが、形はさまざまなんですけれども、ようやく身近になりつつある、そういう印象を受けております。しかし、まだそれは点でありまして、面になるためには抜本的な基盤整備が急がれる、こういう印象もまた持ったわけです。しかも、さまざまな事業が接ぎ木のように行われてきている面もあります。それから、ばらばらに行われているという面も否めません。  施設調査の中では、デイサービスあるいはショートステイ、それから在宅介護支援センター、こういうようないろんな事業をやっているんだけれども十分な人材の保証がないために大変苦労している、こういうような御意見も伺ったわけでございます。一生懸命やろうとしている、そういう前向きの中での要望、意見も出ているわけでございます。  きょうは在宅介護支援センター、これについてお伺いしたいと思うわけです。特養ホームなどの施設を訪問いたしますと、介護機器などの展示コーナーがありまして在宅介護支援センターという看板がかかっているわけですけれども、なかなか活動の内容というものが住民にアピールされていない、よくわかっていないという面もあるんじゃないかと思います。  私は、センターの運営要綱をいただきまして、正直言って非常にいいことを書かれているというふうに思いました。例えば、その事業内容なんですけれども、地域の要援護老人の心身の状況家族状況などの実態を把握し介護ニーズなどの評価を行うだとか、あるいは要援護老人及びその家族に関する基礎的事項、支援・サービス計画の内容及び実施状況、処遇目標達成状況、今後の課題を記載した台帳を整備する。各種の保健福祉サービスの存在、利用方法などに関する情報の提供及びその積極的な利用についての啓発を行うこと。また、在宅介護に関する各種の相談に対して電話相談、面接相談など総合的に応じる。さらに、要援護老人を抱える家族等からの相談や在宅介護相談協力員からの連絡を受けた場合、訪問をして在宅介護の方法などについての指導、助言を行う。さらには、サービスの利用申請手続の受け付け、代行、こういうこともやってくれる。福祉用具の展示をしていろいろ紹介をし相談、助言を行う。さらには、相談協力員に対する定期的な研修会及び支援センターとの情報交換、懇話会の開催。在宅介護支援センター運営協議会を定期的に開催するというようなことも書かれているわけです。  これは私は非常に積極的な方向じゃないかと思うわけですが、このセンターをゴールドプランの中に入れた目的というのは寝たきり老人ゼロ作戦、こういうことが目的であったはずですけれども、そのとおりでしょうか。
  79. 羽毛田信吾

    政府委員羽毛田信吾君) 今、先生お挙げになりました在宅介護支援センターの機能、その大きな目的という意味では、寝たきりになることを防止するということもその一環に入ってございます。ただし、寝たきり防止だけでなくて、もうちょっと広いことを大目的としては考えております。先ほど先生がお挙げになったところで尽きておると思いますので繰り返しませんが、そういうことだと思います。
  80. 西山登紀子

    西山登紀子君 もちろんそうだと思いますが、積極的に寝たきりを防止していくということは地域に出ていく、こういうことがこの在宅介護支援センターの要綱の中身を見てもわかるわけですけれども、私はこれ非常に大事なことだと思います。  しかも、これを全国の中学校区に一カ所つくるということで一万カ所を目標にしているわけですけれども、新ゴールドプラン目標の進捗状況から見て、この在宅介護支援センターの実績というのは平成七年度で二千六百五十一カ所です。目標は一万カ所です。なぜおくれているのでしょうか。
  81. 羽毛田信吾

    政府委員羽毛田信吾君) 確かに、目標一万カ所に比べまして平成七年度末における実績はやや整備がおくれぎみでございます。私どもも今この部分につきましては重点的に整備を図っていくということで考えております。  おくれました原因でございますけれども、一つにはこれは実は平成二年度から、つまりゴールドプランが開始をされたときに新たに導入しました施設であります。したがって、比較的若い施設でありますので、そういった制度化からまだ歴史が浅いということが一つございます。  それから、今、先生もお挙げになりましたような形で地域的にできるだけ身近なところでそういう活動を展開いたしますためには、そのバックに特別養護老人ホームでありますとかあるいは老人保健施設あるいは医療機関、そういったようないわばバックアップ体制が要るということから、施設に併設をするというような形で展開しているものが多うございます。そうしますというと、事柄として言うと、まず施設をつくって、それから一呼吸置いて在介センターを整備してということになりますものですから、どうしてもワンテンポおくれるということがございます。そういった点がございます。したがいまして、施設整備が加速度的に伸びてくれば、それに応じて在介センターも伸びていくという予想がございます。  それともう一つは、これは御多分に漏れず、都市部では立地難でなかなか適切なスペースの確保が難しいとか、あるいは過疎地域では、先ほどもお話が出ましたけれども、二十四時間相談に応じるような専門体制をしくための人材等がなかなか得にくいというようなことが今日まであったと思います。  さらに、これは統計的にないわけですから軽々に申し上げることではないですけれども、住民の個別のそういった実態把握に熱心なところとそうでないところの差というのはやっぱりそれなりにあるのかなというふうに思っております。
  82. 西山登紀子

    西山登紀子君 この実施要綱のように、サービスを身近に普及していくという相談、調整に当たるというこの介護支援センターというのは非常に役割は重要なんですよ。重要なだけに、この立ちおくれも非常に重要だと私は思います。  在宅介護支援センター実態調査報告書というのが全国在宅介護支援センター協議会、こういうところでまとめられているわけですけれども、この要綱を見させていただきますと、二十四時間体制の確保、二十四時間相談ということが在宅介護支援センターのキャッチフレーズになっているわけです。それで、二十四時間体制の確保がどういう形で行われているかといいますと、夜間の職員の体制というのは母体施設の夜勤者によって対応するわけです。それが六一・三%。また、母体施設の職員と支援センターの職員が一体となって夜勤の体制を組んでいるというのが二六・一%で、合計九割を占めています。結局、母体施設の一部門としてこのセンターが二十四時間の運営がされているということだと思います。ですから、このことは在宅介護支援センターと母体施設サービスとが非常に相関関係が高くなってくるということをあらわしているんじゃないかと思うんです。  そこでお伺いしますけれども、厚生省は、今整備されてきている在宅介護支援センター実態把握、事業内容の把握、こういうことをどれぐらいやっていらっしゃるか。母体施設によって在宅介護支援センターの機能が左右されるあるいは規定をされる、こういう実態にあるんじゃないでしょうか。
  83. 羽毛田信吾

    政府委員羽毛田信吾君) 今のお話にございましたように、母体施設によってその機能が違うということ、またそのことによってうまくいかないというようなことがあってはなりません。ただ、その母体施設のいわば得意わざといいますか、が発揮をされるという方向になることはそれはそれで結構なことではなかろうかというふうに思います。  実態でございますけれども、今のお挙げになりました協議会の調査で見ましても、設置母体の違いによっていわゆる基本的な相談が違ってくるという実態はございませんで、例えば相談業務をとりましても、介護方法だとか介護の悩みといったものの基本的な相談がどの設置母体の場合にも上位を占めております。  若干傾向として申し上げれば、設置母体の違いによりまして、例えば特別養護老人ホームに併設をされている場合にはショートステイだとかあるいはデイサービスの利用に関する相談が比較的多いとか、あるいは病院併設の場合は福祉機器の利用に関する相談だとか医療に関する相談が比較的多いとか、それはおのずとやはりそういった差みたいなものは若干出ておりますけれども、基本的な部分についてはやはり同様に、今申し上げたような実態になっているのではないかというように思います。
  84. 西山登紀子

    西山登紀子君 私は、母体施設の特徴を生かした在宅介護支援センターのありようが問題だというふうに言っているわけではありません。その特徴を生かしながら、しかしこの要綱が言っているその地域の要介護老人実態の把握だとか、それからこの台帳をきちっとつくって処遇を一回きりじゃなくて系統的に見ていくだとか、そういうふうなそもそものこの介護支援センター目的が、それぞれの母体施設の特徴を生かしながらもっと徹底的にやれるようにすべきではないかと思うわけです。  その点で、在宅介護支援センターの特徴というのがなかなか知られておりませんので、具体例を少し御紹介したいと思うんです。  京都市の在宅介護支援センターこぶしの里というセンターが実はことしで五年目を迎えます。先ほど新しい事業だとおっしゃいましたけれども、このこぶしの里の特養老人ホームなんですけれども、九二年に積極的に介護支援センターをつくってやってみょうということでやられて、九六年の四月に五年目を迎えたということで、まとめをつくっていらっしゃるんですね。私も見せていただきまして、これは非常に入念なまとめをつくっていらっしゃいます。  九五年度ですけれども、年間相談件数というのは延べ六千十六件、実数でいきますと六百八十四件ですね。申請などの代行は五百六十四件やっております。さらに、電話の相談は九五年度で四千五百件、来所は八百四十八件、訪問は四百五十九件、夜間の相談件数は三十四件、休日の相談件数は六百三十二件受けているわけです。  相談内容の内訳ですが、先ほども申し上げました母体施設の特徴ということはここでもうはつきり出ておりまして、在宅福祉サービスは四千四百六十件ということで、この特養老人ホームの持っている機能、デイサービスだとかショートステイだとかあるいはホームヘルパーの派遣だとか、そういうものが中心にやはり福祉サービスの相談の中に入っていると。そのほかには、医療の相談が二千六十三件だとか、介護用品の相談は百三十五件だとか、綿密に数字でつかまれているわけでございます。  私は、とりわけ重要だと思いましたのは、このまとめの中に、数字の集計だけではなくてケースの中身が報告されているわけですね。在宅介護支援センターの職員でいる看護婦さんだとかあるいはソーシャルワーカーというのはどんな仕事をしているのかということをケースで紹介がされているのを見まして、この介護支援センターの活動というのは本当に重要だなというふうに思ったわけです。  一つケースだけ御紹介をいたします。  六十七歳の独居老人生活保護を受給をしている、糖尿病性腎症のため人工透析を受けている、視力がほとんどないということで入退院をいろいろ繰り返していたわけですけれども、退院後はどういうサービスを受けているかということで、この介護支援センターがその方の相談を受けていろいろとケアに当たっていらっしゃるわけです。ヘルパーが週三回透析時の送迎、透析日と日曜日の食事の援助、買い物、掃除、医療機関の往診、訪問看護訪問看護ステーションの利用、民生委員老人福祉員の援助等々、このセンターの職員がケアに当たっています。そしてその後、透析に必要な水分や食事管理が困難になって、入浴ができなくなったので特養老人ホームこぶしの里の配食サービス、デイサービスの通所のお世話をして、最後は在宅で八カ月生活を送られた後、亡くなられたわけです。  今、私が御紹介をいたしましたように、この介護支援センターのお仕事というのは非常に密接に一人のお年寄りにきめ細かく、しかも途切れることなく相談を継続していらっしゃるということはこれでよくおわかりいただけたのではないかと思うわけです。  そこで、大臣にお伺いいたしますけれども、こうしたセンターの経費なんですけれども、今出ているのが九年度で年間約千百七万円です。これは八割が人件費で飛んでしまう。あと残りが少し、いろんな管理運営費ということで使われているわけですけれども、国の補助がこれだけですから、仕事をすればするほど母体の持ち出しにならざるを得ないということなんです。この点で今、私が紹介いたしましたような大事な仕事、この要綱にもありますような在宅介護支援センターの本来の仕事が十分これで行えるかというとそうではないというふうに思うんです。もっと充実させるべきだと思いますが、大臣のお考えをお伺いいたします。
  85. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) 今のお話によりましても在宅介護支援センターの役割というのは大変大事なものだと理解できると思います。そこで、地域の実情によっても違ってくると思いますけれども、どのような充実策がいいか、今後それぞれの施設、地域に応じて充実策を図ることが必要ではないかと、そう考えております。
  86. 西山登紀子

    西山登紀子君 当委員会の参考人で来られました甲府の共立介護支援センター所長の生松さんという方にお伺いいたしますと、この生松さんのセンターでは年間三百五十万円の持ち出し、赤字だと。二人の職員でやっていらっしゃるんですけれども、母体の医療法人が持ち出しをしていると。しかし非常に地域に根差して、出かけていって要介護老人をよく把握をしていらっしゃるということは参考人の陳述の中でもよくおわかりいただけると思うんですが、そういう状況であります。  時間が参りましたので二つの質問を同時にさせていただきます。一つは、この在宅介護支援センター介護保険を導入した後どんな役割を果たすのかということで、現場では情報がない、非常に不安な思いをしていらっしゃいます。これはどのようにお考えになっているのか。情報の公開をもっとすべきじゃないかと、現場の意見をやはり十分に聞くべきだと、この点が一点です。  それからもう一つは、この在宅介護支援センターへの民間の営利企業の参入が検討されているというふうに聞いておりますけれども、これは非常に問題だと思います。民間の営利企業が参入すれば、介護支援センターがこの要綱の内容ではなくて、まるで営利企業の営業所のようになってしまうんじゃないかと、こういう声もあります。要介護者のプライバシーの保護、それから公正、公平なサービスの提供、こういう面でも営利企業への規制緩和はすべきではないというふうに考えますが、最後に御意見をお伺いして終わります。
  87. 羽毛田信吾

    政府委員羽毛田信吾君) 二点のお尋ねでございます。  まず、介護保険下におきまして在宅介護支援センターの役割はどうなってくるかということでございますが、在宅介護支援センターというものは、導入後におきましても、これは要介護者だけではなくて要介護状態にない方に対するサービスあるいは実態の把握、あるいは広い意味での老人保健福祉のサービス、地域のお年寄りの実態を把握し、ニーズをどういうふうに結びつけていくかというような役割を担いますので、そういう意味では、介護保険導入後におきましても在宅介護支援センターとしての役割は引き続きあるものというふうにまず基本的に思います。  その上で、在宅介護支援センターとして今あれしている機関が居宅介護支援事業者という形で、いわゆるケアプランと言っております。その人のための介護サービス計画をつくるというような機関になるという形で、二枚看板と申し上げたらよろしいんでしょうか、そういう形でさらに在宅介護支援センターの役割が広がってくるという側面があるというふうに考えております。  それから、二番目の民間参入についてのお尋ねでございますけれども、これにつきましては、先ほど来のお話のように、在宅介護支援センターが何と申しましても地域で有効に活用されるような施設になっていくという側面から考えますと、今後それをいかに効率的にやっていくかという観点からすれば、民間活用の前には、例えばデイサービスセンター間の連携をとりまして、先ほどの得意わざということもございましたけれども、そういう得意わざを発揮し合うために連携を組む。あるいは他の訪問看護ステーションとかホームヘルパーのステーションと連携を組んでやる。そういったような方向一つ考えていく、効率化を図る。あるいは、介護センター自身につきましても、補助方式を事業実績というものを勘案した形でやるというようなことを進めなければならないと思います。  あわせまして、在宅介護支援センターそのものにつきましては、今申し上げました多様なニーズにこたえていく、そしてそれぞれの得意わざを発揮していくという面から見れば、民間の参入ということもあっていいのではないかというふうに考えておりますし、そういった民間が自分の持ち味を生かしてやれるという部分が当然あっていい、そういうふうに考えて民間参入については認めていっていいんじゃないかな。  そのときに、先生御懸念のように、プライバシーの保護だとか、公正、公平というようなことが担保されないではないかということにつきましては、やはりそれは現在でございますれば委託条件をきちっとするという中で、あるいは今度の新しい介護保険制度下におきましては、それに加えまして、もちろん在介センターとしての市町村事業の委託については委託条件をきちっとする、それから、先ほどの居宅介護事業の計画をつくる機関という側面では、指定条件の中にきちっとそこらをうたい込むという中でそういった点は担保されていくものと思います。  そういうことを担保した上で、やはり民間の活力も、これは活力をというよりは活力もでございますけれども、活力も活用していくという方向はあっていいのではなかろうかというふうに考えております。
  88. 釘宮磐

    ○釘宮磐君 前回に引き続きまして、介護保険サービス水準についてお伺いをしたいと思います。  前回、私は最後に大臣に、介護保険が導入された場合、国民は非常に大きな期待を持ってこの介護保険に当然加入するだろう、その際にいよいよ介護保険がスタートしたのに十分な介護が準備できなかったということになると保険の空洞化を招くのではないかというような指摘をさせていただきました。  そこで、再度これは確認でありますが、今回の介護保険の導入に当たって老健審の最終答申に、「一人暮らしや高齢者のみの世帯でも、できる限り在宅生活が可能となるよう二十四時間対応を視野に入れた支援体制の確立を目指す。」ということがうたわれているわけですが、今回の介護保険でこのことを十分満たすというふうに確認をさせていただいてようございますか。
  89. 羽毛田信吾

    政府委員羽毛田信吾君) 老人保健福祉審議会でもございましたように、そういう方向を目指す、そういうことを踏まえたサービス体系というものを目指すということで基盤整備にも努めていかなければならないという、先ほど来御答弁申し上げているようなことでございます。
  90. 釘宮磐

    ○釘宮磐君 それではお伺いをいたしますが、介護保険では民間の横出し、上乗せサービスを前提とする弾力的な制度設計が予定をされていますが、そうであるとすれば介護保険における給付水準は極めて限定的なものに限られる懸念がないのかというふうに思うわけです。  そこで、公的介護保険と民間保険の給付水準、役割分担についてお伺いしたいと思います。
  91. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) 介護保険制度サービスすべき水準は、先ほど先生のお話にもありましたように、高齢者、例えば夫婦世帯で一方が寝たきりになっても在宅で自立した生活ができるように支援をする、そういうことが目標になるわけでありまして、段階的にその水準を達成するということでございます。これは公的介護保険の保障する標準的な給付水準という考え方でございます。それを超えるもの、あるいはその範囲に入っていないものにつきましては別途民間のサービス、例えば民間保険を使いながら受けていただく、この組み合わせということでございます。
  92. 釘宮磐

    ○釘宮磐君 それでは全く私が質問をしたことの答えとなっていなくて、私自身は理解ができないわけですね。  要するに、公的介護保険では二十四時間対応できるような姿にするんだということであれば、民間サービスというものは一体どの程度サービスをこれから用意すればいいかということが我々の視野にはなかなか入ってこないんですね。その辺をもう少し詳しく教えてくれませんか。
  93. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) サービス水準につきましては、サービスモデルというものをお示ししているところでございます。これは、要介護度に応じて、この程度サービスが必要だろうということで要介護度ごとに一つのモデルを示しております。私どもの審議会での議論におきましては、この辺が一つの標準的な給付水準ではないかということでございます。  ただ、介護サービスというのは、例えばよりよい生活水準を求めると幾らでも需要が広がり得るものでございます。そういう意味で、自立した生活を送ることができる必要な標準的なサービス水準、概念的にはもう少しまだ審議会等で詰めていかないと絵が描き切れないかもしれませんけれども、そういうものを示しまして、それを公的介護保険で給付する、それに加えてより生活の質を高めようというサービス水準につきましては、費用につきましては民間保険等を使いながらサービスを入手していただくということになると考えております。
  94. 釘宮磐

    ○釘宮磐君 どうも抽象論から抜け切れないんですよね。私は、やっぱりこの辺がスタートまでには整備をされておかないと非常に混乱を招くのではないかな、また国民に不安を与えるのではないかなと、このことを指摘させていただきたいと思います。  私は介護サービスについては地方と都市部との格差というものが生じてくるのではないかということを常々指摘させていただいたわけであります。今回、介護保険を土台に多様なかつ高度なニーズは民間サービス、民間保険で対応するというような二階建て構想になっているわけですけれども、特に過疎地域等では民間介護サービスでは採算がとれないとか、また高齢者の経済状況、田舎の高齢者というのはお金もありませんし、そういう意味から保険料負担を求めること自体も困難な状況にあると思うんです。そうなりますと、提供される介護サービスの水準はある意味では限定されるというか、低い水準にとどまってくるのではないかということを懸念するわけです。この都市部と地方との格差が拡大するということについては、これはもうやむを得ないというふうに見るのか、この点についてお伺いしたいと思うんです。  それとあわせて、サービス提供の方で民間企業の参入を認めているわけですけれども、特に過疎地域では移動コスト、こういったものも非常に都市部よりかかるわけであります。コストが都市部よりかかるということになると、ますます介護サービス事業者の参入というものが少なくなってくるということもあって、その結果選択肢の幅が狭められるというような不利益をこうむるということもあると思うんです。こうした地方と都市部とのハンディといいますか格差といいますか、この点について厚生省はどういうふうな見解を持っておられるのか。
  95. 羽毛田信吾

    政府委員羽毛田信吾君) 介護保険が導入をされました場合には、できるだけどこにいましても一定水準のサービスが受けられるということが大事だと思います。そういう意味では、都市部といわば過疎地域部分における条件の違いということをどう考えていくかという点はあると思いますし、民間参入に関係づけて今お話がございましたけれども、私ども、民間参入の場合には営利企業というだけではなくて、先ほど申し上げましたが、非営利の民間組織、その中には農協の組織等による展開も考えますと、やはり民間の参入と申しましてもそれぞれの状況に応じてその展開がまた違ってくるという側面はあると思います。  そういう意味では、過疎地域等におきましては農業協同組合あるいは住民参加型の非営利組織などというようなものの活用も含めて考えていく必要があるのではないかと。そういったことによりまして、都市部においてもあるいは農村部においてもサービス基盤に大きく格差が生ずるということのないように進めていかなければならないと。また、そのことはもう一回介護保険の中における事業計画の中でそれぞれの自治体が実情に応じた計画を定め、整備を図っていくという方向の中で解決をしていくというのが一つあろうと思います。  それから、後段でお話のございました、それにしても条件が悪いではないかというようなところにつきましては、現在の介護サービス、例えば施設の場合の介護サービスの報酬を決めます際にもそれぞれの事業所の置かれている所在地といったことについての条件というようなものも織り込みながらやるということになっておりますので、今後介護報酬を決めます際にそこらの置かれている地域における条件の差というものをどのように介護報酬の中に反映をしていくかという側面の中で検討していく側面は多いというふうに思っております。
  96. 釘宮磐

    ○釘宮磐君 介護保険のいろんな給付サービスが民間も含めて参入してくる。当然、いいものを選んでいけるということが、それぞれニーズを持った要介護者人たちが選択するということが可能な条件にはなっているわけですけれども、特に過疎地域においてのそういった選択肢の幅が狭くなってくる、悪くてもここしかないというようなことにならないように、私はこのことはぜひ指摘をさせていただきたいというふうに思います。  次に、家族介護の位置づけについてお伺いをしたいと思います。  このことについては地方公聴会等でも意見があったところでありますが、我が国においてはこれまで家族介護の大半を担ってきたということはもう間違いのない事実であります。今回の新しい制度家族介護をどうとらえているのかということについてはいま一つ明確ではないのではないかというような気がしてなりません。  そこで、お伺いをしますけれども、今回の介護保険家族介護に頼らない介護社会化を目指したものであり、平成六年十二月の高齢者介護・自立支援システム研究会がうたったように、家族は精神的な支えに特化すべきであるという考え方に立つものなのか、それとも、ドイツの介護保険がそうであるように、介護保険はあくまで家族介護の補完として位置づけられるものなのか、その点についてはどうなんですか。
  97. 小泉純一郎

    国務大臣小泉純一郎君) それをはっきり截然と分けることはできないと思います。  家族だけに介護問題を押しつけていいのか、個人だけでは限界があるのではないかということで社会全体で支えようということでこの介護保険制度導入を企図している。当然、自立を助ける、自立を促す、できたら家族と一緒にいたいという方はたくさんおられますから、他人のお世話になっても家族との関係を良好に保つということは大変大事だと思います。逆に、他人にお世話にならないというためによってかえって家族関係を壊す場合もあり得る。個人だけに家族の世話を任せていいのかというと、そうでもありませんし、それは人それぞれによって、また家族それぞれによって対応が違ってくるのではないかと。むしろ、たまには他人のお世話になった方が家族関係もうまくいく場合もあるでしょうし、両方の場合が私は出てくるのではないかと。  他人のお世話になっても家族との濃密な関係を保ちたいと、お世話する方も、また要介護になった人も、たまには少しは外に出かけていきなさいよという気持ちを持ってしょうし、そういう面で在宅支援を社会全体で支えていく制度でありますから、この介護保険制度が導入されれば家族との関係はもう精神的だけで終わるのかというと、私も必ずしもそうじゃないと思います。むしろ、家族も地域の方も、他人も一緒にこれを支えるという面でありますから、この介護保険制度を導入されることによって、あれかこれかではなくて、両面のよさを受容できるかどうかというのは、利用者の心の持ち方によっても対応の仕方によっても違ってくるのではないか、必ずしも右か左かという選択にはならないのではないかと思っております。
  98. 釘宮磐

    ○釘宮磐君 大臣のお答えは私も全く同感であります。  ただ、そうなりますと、今回家族介護については保険給付の対象外ということで現金給付はしないということで、これは下世話な話ですけれども、損得の話になってくる。一生懸命家族が支えている人は全然それは見てもらえない、家族が見ない人は保険の給付から得られる、ここのところがどうもすっきりしない部分が出てくるのではないのかなということを一つ私自身としては感じるわけです。  この前、地方公聴会で高知の方が言われていましたけれども、例えば限定的に家族介護について何らかの制限をつけるなりして保険給付の対象とするようなことができないのか、現金給付を押しなべて全部するのではなくて、ある程度制限をつけるということができないのかというような意見もありましたけれども、これらも今後議論を進めていく中で少し考えていっていいのではないかなというふうに私は思うんです。  それとあわせて、これは特に厚生省としてどういうふうにお考えになっているかということですけれども、保険ということですから掛けた以上は使わなきゃ損だという話がやっぱりある。そうすると、今までは家庭介護でとどまっていた部分が新たな介護ニーズをどんどん生み出してきて、ある意味では当然保険料の中で想定はしていると思うんですけれども、それ以上にふえていく懸念はないのかどうか。ですから、そういうことも含めてちょっとお答えをいただければと思います。
  99. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) 家族に対する現金給付は、地方公聴会でも御議論がありましたし、審議会でも意見がありました。必ずしも一つに一致しているというのではなくて、両面の議論がございます。  私どもの考え方は、家族がホームヘルパーを呼ばずに介護していても、例えばお医者さんの管理が必要であるとか、あるいはショートステイ等の施設を利用したりデイサービスを利用したりして家族自身がある意味で楽になる、そういうことは本人にもプラスですし楽になる。ですから、ホームヘルパーを家に呼ばなくても介護保険サービスの利用の仕方はあるわけでございます。こういうものを組み合わせて、家族がホームヘルパーを呼ばずに介護していても制度としては不公平にならないように、これを運用の基本に据えたいというふうに思っております。  それから、保険制度になりますと、保険料を掛けていますと当然受ける権利というものが出てくるわけでございまして、従前家族サービスしていたものの一部を、例えば介護サービスを利用しょうと、そういう形に変わっていく、これは当然あると思います。またある意味で、家族という専門的でない人がサービスするだけじゃなくて、専門的な人がサービスすることによってその人にプラスの面もたくさんあるわけでございますので当然それは想定していると、介護をある意味社会化していこうということでございますから想定しているわけでございます。  これがどのぐらいまで想定を超えて広がっていくのかというのが最後の御質問でございました。私どもとしましては、一つには、申請主義でございますが、申請のありましたときにその人の要介護状態というのをできるだけ科学的、客観的に調査する工夫をすると。要介護認定の問題でございますが、そういう調査をし、さらにまた専門家の判断をして必要な人に必要なサービスを提供する、そういうことを運用でやっていきたいと。これはすぐにぴたっと百点満点はいかないとは思いますけれども、経験を積み重ね、ある意味で判例を重ねるようにしてできるだけ正確なものにしていきたいというふうに思っているわけでございます。  また、制度全体としては民間活力の活用とか医療制度介護制度とのすみ分けとかをしながら全体の効率化を図って、費用全体が既存の仕組みでいくよりも全体としては効率化が図れるようにして、そういう意味でも負担の軽減を図る努力をしてまいりたいと思います。
  100. 釘宮磐

    ○釘宮磐君 それでは今のことに関連して、もう最後ですが、そうなりますと例えば家族がいる人といない人ということによって給付内容が変わるというようなことは出てくるんじゃないですか。
  101. 江利川毅

    政府委員江利川毅君) 要介護認定は、家族がいてもいなくても、いわゆるその人の要介護度を客観的に判断するようにしたいというふうに思っています。それによって支給限度額というのは基本的に同じになります。ただ、どういうサービスを受けるかということにつきましては、家族がいる場合、そうでない場合において受けたいサービスの種類が変わってくるのではないか、そういうことがありますので、それは選択の中で工夫してまいりたいと、そういうふうに考えております。
  102. 山本正和

    委員長山本正和君) 本日の質疑はこの程度にとどめます。  速記をとめて。    〔速記中止〕
  103. 山本正和

    委員長山本正和君) 速記を起こして。  暫時休憩いたします。    午後零時二十五分休憩      —————・—————    午後零時三十二分開会
  104. 山本正和

    委員長山本正和君) ただいまから厚生委員会を再開いたします。  公聴会の開会承認要求に関する件についてお諮りいたします。  介護保険法案介護保険法施行法案及び医療法の一部を改正する法律案、以上三案の審査のため、十一月二十七日午前十時に公聴会を開会いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  105. 山本正和

    委員長山本正和君) 御異議ないと認めます。  つきましては、公述人の数及び選定等は、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  106. 山本正和

    委員長山本正和君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時三十三分散会      —————・—————